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2018-02-27 平成30年第1回定例会(第4日目) 名簿
2018-02-27 平成30年第1回定例会(第4日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 2018-02-27
    2018-02-27 平成30年第1回定例会(第4日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(柴立鉄彦君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    東   清 剛 君    まつざき 真琴 君    田 畑 浩一郎 君    向 井 俊 夫 君  一、請願・陳情の委員会付託  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 報  告 ◯議長(柴立鉄彦君)ここで、報告いたします。  今回提出されました議案のうち、議案第三二号、議案第三三号及び議案第五七号につきましては、当席において、地方公務員法第五条第二項の規定に基づき、人事委員会の意見を求めましたところ、配付いたしております写しのとおり、意見書が提出されております。
     以上で、報告を終わります。       ───────────── 3    △ 一般質問 ◯議長(柴立鉄彦君)一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。  東清剛君に発言を許可いたします。    [東 清剛君登壇](拍手) 4 ◯東 清剛君 おはようございます。日置市区選出、無所属の東清剛でございます。一般質問のトップバッターで質問させていただきます。  今回もバス二台で多くの傍聴をいただき、まことにありがとうございます。  県議会議員になりまして六回目の一般質問です。一所懸命質問しますので、よろしくお願いいたします。  それでは、通告に従いまして、順次質問します。  まず初めに、知事の政治姿勢についてであります。  三反園知事におかれましては、知事に就任されまして一年七カ月が過ぎました。知事就任以来、県民が主役の県政を実現したい、県民の生活を少しでもよくしたい、その思いで、け死んかぎい走り続けていることと思います。  私の住む日置市でも昨年十月二十八日に、知事と語ろう車座対話を開催していただきました。知事がさまざまな機会に県民の皆様の声を直接伺い、真摯に耳を傾け、その声を県政に反映させる努力をし、スピード感を持って対応する様子を直接拝見させていただきました。これからも県内を隅々まで回って、県民の声を県政に反映させていただきたいと思います。  さて、知事は、当選した一年七カ月前、「県民の生活をよくするのが政治」と、再三強調しておられました。鹿児島県の一人当たりの県民所得は二〇一四年度で二百三十八万九千円と全国四十三位、「三期十二年までという任期中にベストテン入りを目指します」と言っておられました。  そこでお尋ねします。  これまでの一年七カ月間を振り返り、県民の所得向上も含めて、知事の御感想をお聞きいたします。  また、平成三十年度予算の「新しい未来への航海 どんどん前進」にかける知事の意気込みをお聞かせください。  次に、明治維新百五十周年の取り組みについての質問です。  ことしも早いもので二カ月が過ぎようとしています。先月七日には大河ドラマ「西郷どん」の放送が開始されました。私も自宅で毎回欠かさず楽しみに見ております。ドラマのタイトルバックでは、桜島や霧島神宮、龍門司坂、雄川の滝、奄美大島の宮古崎など県内の美しい風景が紹介され、また、ドラマ本編でも随所に鹿児島の景色を織り込むなど、ドラマを通じて鹿児島の魅力が全国に発信されております。  私の地元日置市でも昨年は撮影があり、地元の皆さんもエキストラで出演されたり、妙円寺参りや沢村一樹さん演じる赤山靱負を取り上げていただくなど、観光客が少しずつふえているようです。  鹿児島県におきましても、明治維新百五十周年を記念してさまざまな取り組みを企画されていると思います。さらなる誘客促進を図るため、引き続き、関係機関・団体と一体となって、県内外への情報発信や旅行商品の造成促進など、大河ドラマの放送効果を最大限に生かしていただきたいと思います。  そこでお尋ねします。  県として、明治維新百五十周年のさまざまな取り組みをどのように生かしていかれるのか、また、現在の明治維新百五十周年の上昇気流を来年度以降もいかに持続させるのか、お示しください。  次に、鹿児島県が製作している西郷どんのピンバッジについてであります。  このピンバッジを議場でも何人かつけていらっしゃるかと思いますが、私も前から欲しいと思っておりました。ようやく今月、九州観光振興議員連盟の総会が指宿市で開催されたときにいただきました。私の住む日置市でも何人かの方から、「その西郷どんのピンバッジいいですね。どうすれば手に入れることができるんですか」と聞かれます。  そこでお尋ねします。  県では、この西郷どんのピンバッジを何個製作し、どのような基準で配布しておられるのか、お示しください。  次に、鹿児島県のホームページの多言語化について質問します。  昨年、ホームページがリニューアルされ、大変充実していると感じております。しかし、国内外に鹿児島の情報発信をするには、県の公式ホームページや県の観光ホームページの多言語化が重要と考えます。国内外のたくさんの方々が見やすく、わくわくするようなホームページづくりに努めていただきたいです。  ちなみに、お隣の宮崎県のホームページは十八言語対応となっております。東京都の台東区は二〇一五年十二月に、区のホームページにグーグルの多言語機能を追加しました。  そこでお尋ねします。  県の公式ホームページや県の観光ホームページの多言語化の取り組みについてお示しください。  次に、農政関係についての質問です。  まず初めに、農林水産物輸出促進ビジョンについて質問します。  本県の農林水産業は地域経済を支える主要産業ですが、TPPや日EU・EPAなど国際交渉が進展しており、本県の農林水産業にも大きな影響が懸念されます。このような中、知事は、世界に挑戦する競争力のある農林水産業の実現に向けた取り組みを強力に進めるとしており、その指針となる農林水産物輸出促進ビジョンを検討・策定するとされております。  先日の新聞報道によりますと、ビジョンの策定検討委員会において、農林水産物輸出促進ビジョン案が了承されたとのことでした。ビジョン案には、生産や集荷・輸送、販売の項目ごとに、方針や輸出実績がある品目や国・地域を重点化し、目標額を設定しておられるようです。  また、県は、ビジョン案に対するパブリックコメントの意見募集や外部の専門家から成る策定検討委員会を実施されました。  そこでお尋ねします。  策定検討委員会の委員からはどのような意見が出され、それについてどのようにビジョン案に反映したのか、お示しください。  ビジョン案に記載されている輸出の目標額はどのように設定されたのか、お示しください。  また、このビジョンの実現に向け、平成三十年度はどのような取り組みが行われるのか、お示しください。  次に、農業労働力の確保対策について質問します。  私が日置市で営む稲作を初め、園芸作物、畜産なども年々高齢者が離農し、担い手不足が恒常化しています。一方で、後継者やUターン・Iターンの新規の就農者が希望を持って就農される事例もありますが、離農者をカバーするまでには至っていないようです。  このような中、一部の法人経営においては、外国人技能実習生を確保し農作業を手伝ってもらっているようでございます。法人経営が規模を拡大し、生産を効率化していくには、今や外国人技能実習生の活用は不可欠なものとなっています。  本県の農業が今後も地域経済を支える主要産業であるためには、農業を支える労働力を安定的に確保し、高齢者も安心して経営を継続できる仕組みを構築していく必要があると思います。農業分野における農作業の効率化のため、最近では、ロボット技術やICTを活用したスマート農業と呼ばれる新たな技術による農業があると聞いています。また、労働力不足への対応として、外部への作業委託などが取り組まれております。日置地域でも、小規模・高齢農家の水田や畑作の農作業を受託する組織が活躍しております。  そこでお尋ねします。  農作業の作業受託やスマート農業の推進、外国人技能実習生の確保を含め、農業労働力の確保に向けての県としての取り組みについてお示しください。  次に、イチゴの生産についての質問でございます。  三反園知事には、昨年八月二十日に、日置市の中川地区のイチゴ農家の皆さんと意見交換会をしてくださいました。農家の方々からは、イチゴづくりや農業への熱い思いが感じられる力強い意見が出され、有意義な機会となりました。これからもイチゴ農家の皆さんの所得向上に努めてくださるとのありがたいお言葉もいただきました。  平成二十九年産のイチゴが収穫シーズンを迎え、昨年十二月二十六日に、日置市いちご部会長や日置市長を初め、関係者の皆様がPRのため県庁を訪問されました。八月に日置市中川地区で開催したイチゴ生産者との意見交換会の際、地区内で生産されたイチゴをぜひ食べてもらいたいとの話があり、収穫を迎えた今回、大玉で立派なイチゴを知事室にお持ちになりました。  そこで、知事にお尋ねします。  日置市中川地区のイチゴを食べた感想をお聞かせください。  また、県の公式ホームページに「いちご新品種の愛称募集について、終了しました」とありますが、イチゴの新品種の特徴や愛称の応募状況、今後のスケジュールをお示しください。  次に、生産性の高い水田農業確立推進の取り組みについて質問します。  平成三十年産からの米政策の見直しについて、具体的な変更点として、一つ目、平成三十年産からは、国から県への生産数量目標の配分が廃止となります。ただし、国は、平成三十年産以降も米穀の需給及び価格の安定に取り組むこととし、地域における米の生産量等について、生産者や集荷団体が主体的に判断できるよう需給見通しや在庫量などの情報提供を行います。二番目、米の直接支払交付金が廃止となります。ただし、飼料用米、高収益作物、麦、大豆、園芸作物等の生産に対する交付金は継続されます。  次に、平成三十年産からの主食用米の生産についてですが、このたびの米政策見直しによる生産数量目標配分の廃止により、行政による配分に頼らずとも、生産者や集荷団体が中心となって、需要に応じた生産を行う体制に移行します。  しかし、主食用米の需要が毎年減少する中で農業者の所得を確保するためには、米の過剰作付を抑制し、米価を安定させる必要があります。そのためには、生産者や集荷団体が国から提供される情報等を踏まえ、みずからの経営戦略や販売計画に基づく、需要に応じた生産が必要となります。  主食用米の生産以外に園芸作物や飼料用米等を組み合わせるなど、水田の最大限の活用、また、収入減少影響緩和対策や平成三十一年一月一日から開始される収入保険制度等の活用が重要となります。  そこでお尋ねします。  水田を活用した所得向上を図るため、生産性の高い水田農業の確立にどのように取り組んでいかれるのか、お示しください。  これで、一回目の質問を終わります。    [知事三反園 訓君登壇] 5 ◯知事(三反園 訓君)お答えいたします。  これまでの県民所得向上の取り組みに対する所感と新年度予算にかける意気込みについてであります。  私は、魅力ある本県の素材を最大限に生かして、県民の所得を少しでも向上させたいと考えておりまして、これまで、農林水産業、観光の振興を初め、各般の施策に取り組んでおります。県産品を少しでも高く売って生産者の所得を向上させることで、後継者が育っていくという好循環を何としても実現したいとの思いであります。  国内外でのトップセールスに積極的に取り組み、県産品のブランド力向上、販路・輸出拡大などを図ってまいりました。また、各種プロモーションや情報発信を通じて、国内外からの誘客促進に取り組むとともに、鹿児島に来てよかったと思えるような、リピーターを呼ぶような、来て見て感動するまちづくりを進めるなど、さまざまな分野に取り組んでまいりました。  農業産出額につきましては、前年を含めて大幅に伸びまして四千七百億円余りとなっておりまして、また輸出額も、前年度の二割増しとなる百五十五億円に達しております。平成二十九年に本県を訪れた外国人観光客数国際クルーズ船の寄港数も過去最高を記録しております。このような状況の中で、平成二十九年度の県税収入は、個人県民税、法人二税を中心に当初予算比で増収を見込んでいるところであります。  明治維新百五十周年のことしは、このよい流れをさらに上昇気流に乗せて、勢いをどんどん加速させていかなければなりません。県といたしましては、今後とも、県産品のブランド力向上、農林水産物の販路・輸出拡大、国内外からの誘客促進、次の世代の基幹産業を担う企業立地の促進などをどんどん進めてまいりたいと考えております。  また、来年度からは、新たな県政ビジョンに基づきまして、本県が有する健康・癒やし・長寿、この有益な地域資源、いわゆる鹿児島のウェルネスを活用した観光振興も進めてまいりたいと考えております。  また、スマート農業の普及などによる稼げる農業、攻めの農林水産業の実現に向けた取り組み、IoT、AIなどの革新的技術の導入による、生産性の高い技術力のある産業の振興など、県民所得の向上に資する新しい施策の推進にも力を入れてまいりたいと考えております。  当初予算案においても、鹿児島を元気にするこれらの施策についても盛り込んだところであります。この予算は、「新しい未来への航海 どんどん前進」するための予算として編成したものであります。  今後とも、鹿児島に生まれてよかった、鹿児島に住んでよかった、そう思える鹿児島をつくるために、さまざまな施策に全力で取り組んでまいりたいと考えております。  日置市中川地区のイチゴを試食した感想についてであります。  昨年十二月、日置市中川地区のいちご部会の皆様方が、さつまおとめや県が新たに育成した品種など、とれたてのイチゴを持参してくれました。色、形がすばらしく、早速試食いたしましたが、香り、味もよく、ほどよい甘さで本当のイチゴという感じで、とてもおいしく感じました。鹿児島にはこんなにすばらしいイチゴがあるということを再認識いたしました。  昨年は鹿児島黒牛が和牛日本一をかち取りましたが、県が新たに育成し、先般、愛称を募集しましたイチゴの新品種についても、日本一を目指してこれからどんどんPRしていきたいと思っております。先月末には、東京で開催いたしましたかごしま食の大交流会において、東京の老舗果物店の役員の方に、ぜひこの新しいイチゴを取り扱ってもらえるようPRいたしました。十二月から集荷できるということについて非常に興味を示しております。  今後とも引き続き、生産者の方々と一体となりまして、本県産のイチゴのブランド化を進め、国内外への販路拡大に努めてまいりたいと考えております。  県が開発したイチゴの新品種の愛称募集についてであります。  県農業開発総合センターが今回育成したイチゴの新品種は、糖度が高く、全体が真っ赤にきれいに着色するのが特徴で、クリスマス需要のある十二月から安定的に出荷できます。消費者の皆さんに喜んでいただけるとともに、農業の収益向上に寄与するものと期待しているところであります。  この新品種を消費者に広く認識していただき、販売促進につながるように、去る一月四日から二月十六日まで愛称の募集を行ったところ、県内だけではなく関東や関西など全国各地から、合計七百五十八件の応募をいただいたところであります。  今後、類似する商標の有無等を確認した上で、学生など若い方々の意見も聞きながら、新品種のブランドイメージに合う愛称を選定し、商標登録の手続を進めた上で、秋ごろまでには公表したいと考えております。 6 ◯PR・観光戦略部長(西 啓一郎君)まず、明治維新百五十周年の取り組みの生かし方についての御質問でございます。  県では、明治維新百五十周年や大河ドラマ「西郷どん」の効果を生かすため、これまでに、かごしま明治維新博を展開し、観光プロモーションやイベント、維新ドラマの道を初めとする西郷どんゆかりの地の整備などの魅力的なまちづくりのほか、記念シンポジウムなど、機運醸成や情報発信、教育や人材育成の取り組みなどを行ってきたところでございます。  今後とも、西郷どんゆかりの地など本県の歴史に着目した観光資源や、各地で育成が進んでいるボランティアガイドを活用した誘客促進を図っていきますほか、次世代継承のための取り組みなど、明治維新百五十周年を契機とした取り組みの成果を生かしてまいります。  次に、西郷どんのピンバッジについてでございます。  西郷どんのピンバッジは、主に県外から観光客を誘致するためのPR資材の一つとして三千個作製しております。県内では、県議会議員やマスコミ、旅行会社など、県外に向けて鹿児島の観光情報等をPRしていただける方を中心に配布を行っております。また、県外におきましては、国会議員、県人会、県進出企業など、西郷どんのふるさと鹿児島をPRしていただける方などに配布しております。  次に、県ホームページの多言語化についてでございます。  県公式ホームページ及び県観光ホームページでは、自然や歴史など本県の概要や魅力を英語、中国語の簡体字・繁体字、韓国語の四カ国語で情報発信しております。外国語による情報提供は外国人観光客の誘致などに有効であると考えており、特に県観光ホームページでは、コンテンツの拡充やSNSの活用により、多言語による情報発信に努めているところでございます。  九州・沖縄では、本県同様、おおむね四つから五つの言語に対応している県が多い現状にある中で、自動翻訳システムによる十数カ国語対応している県もございますが、翻訳内容の精度には課題がございまして、また、県の膨大な情報をさまざまな言語に翻訳することは、費用対効果の観点から慎重に検討する必要があります。  多言語での情報提供の充実につきましては、ニーズや他県の状況等も踏まえて、そのあり方を検討してまいります。 7 ◯農政部長(川野敏彦君)県農林水産物輸出促進ビジョンに関しまして、検討会での意見、目標額の設定、平成三十年度の取り組みについてでございます。  同ビジョンの検討に当たりましては、昨年六月に委員会を設置し、四回にわたり議論いただきました。委員からは、輸出相手国の市場ニーズに応じた産地づくりや商品づくりをすべきである、重点化すべき品目や国・地域を明確にした上で戦略的な取り組みを展開すべきである、また、ビジョン実現に向けた体制づくりが必要であるなどといった意見が出されたところです。  これらを踏まえまして、ビジョン案においては、「つくる」、「あつめる・はこぶ」、「うる」の三つの視点から、合計十八の具体的な取り組みを取りまとめるとともに、重点品目や輸出重点国・地域ごとの取り組みを整理したほか、オール鹿児島で取り組んでいくための体制も位置づけたところです。  輸出目標額については、平成三十七年度を目標年度とし、牛肉、木材、ブリなど重点品目ごとに、輸出重点国・地域における需要動向などを勘案しながら目標額を算出し、合計で約三百億円としたところです。  平成三十年度においては、輸出相手国の残留農薬基準に対応した生産技術の指導、定期船便等を活用した低コスト輸送の実証、輸出用統一ロゴマークの作成などに取り組むこととしており、当初予算案に所要の経費を計上しております。  今後とも、オール鹿児島で県産農林水産物の輸出拡大を目指した取り組みを強力に進めてまいります。  次に、農業労働力の確保対策についてでございます。  担い手や農業労働力の不足に対応するため、県では、新規就農者等の確保はもとより、農作業受託組織の育成などを支援してきたところです。特に、昨年七月の調査において農業法人における労働力不足が明らかになったことから、県では来年度新たに、関係団体と連携し、仮称でございますが、農業労働力支援センターを設置し、農業分野における求人・求職情報の収集・マッチングに加えまして、労働力軽減につながるスマート農業の紹介なども行いたいと考えております。  また、センター内に、外国人技能実習生の監理団体なども含めた協議会を設置し、農業法人等の相談体制も整備することとしております。  県としては、このような取り組みを通じまして、農業分野における労働力確保の支援に努めてまいります。
     次に、生産性の高い水田農業の確立に向けた取り組みについてでございます。  県では、稲作農家の経営安定や需要に応じた米生産を推進するため、加工用米や飼料用米、野菜等の生産拡大を図りますとともに、売れる米づくりに取り組んでおります。特に、焼酎産業や畜産業との連携強化による加工用米や飼料用米等の生産拡大を進めておりまして、来年度からは、焼酎こうじ用の加工用米を安定的に供給するため、産地交付金を拡充することとしております。また、野菜の産地づくりを推進するため、水田の排水対策のモデル事業にも取り組むこととしております。  今後とも、関係機関・団体と一体となって、売れる米づくりや水田フル活用の推進に努め、本県の特色を生かした生産性の高い水田農業の確立に取り組んでまいります。    [東 清剛君登壇] 8 ◯東 清剛君 いろいろ御答弁いただきました。  コメントは後ほどさせていただきます。  次に、教育行政関係の質問です。  今月四日に県民交流センターで、かごしま青年塾の意見発表会と閉講式があり、私も出席しました。明治維新百五十周年を契機に、本県の教育的風土や伝統を生かして、将来の鹿児島を担う青年層を対象にしたかごしま青年塾を設置し、今後、さまざまな分野において地域社会をリードする人材を育成するとしております。  意見発表会では五人の塾生代表の、一年間の成果と将来に向けての堂々とした発表を聞かせていただき、大変感動しました。こういった若者たちをどんどん育てていかなければならないと痛感しました。  閉講式では、知事から修了生代表二人に修了証書を授与し、自分の思いをなし遂げるために努力し続けることの大切さなどをお話しされておりました。塾生の皆さんには、今後も夢と希望を抱き、勇気を持って一歩踏み出し、次世代の鹿児島のリーダーとして成長してほしいと思います。  平成三十年度も引き続き塾生を募集するとのことです。平成二十九年度の反省点や改善すべき課題も見えてきたと思います。より一層のかごしま青年塾の充実を期待するところであります。  そこでお尋ねします。  記念すべき第一期生がかごしま青年塾を修了するに当たり、成果と課題についてお示しください。  次に、生徒指導総合推進について質問します。  学校現場で深刻な状況が続いている問題の一つに、不登校があります。不登校の子供たちの支援を進めることを目的にした教育機会確保法が昨年二月、施行されました。不登校の子供たちは、基本的に学校に行かなかったり、行けなかったりする状態が続いています。こうした子供たちが教育を受ける機会を確保するための施策を国や自治体の責務として、必要な財政上の措置を講じることを求めています。ただ、支援などの具体的な中身はこれからでございます。  この法律ができた理由として、不登校の子供たちが一向に減らないという現状があります。文部科学省の調査によると、平成二十八年度、病気と経済的な理由を除いて三十日以上学校を欠席した不登校の小・中学生は、十二万六千人を超えています。小・中学校とも子供の数は減っているのに三年連続で増加していて、中学生はクラスに一人は不登校の生徒がいる状態で、高どまりが続いています。中でも、九十日以上と長期間学校を休んでいる子供が七万二千人余りと、全体の六割近くに上っています。原因は、いじめなどの学校でのトラブルや勉強の問題、期待に応えようと頑張り過ぎて疲れてしまったなどさまざまです。  そうした子供たちはどうやって過ごしているのかといいますと、教育支援センターといった教育委員会などが設置する公的な施設に通う子供がおよそ六万人、残る半分の不登校の子供たちの中には自宅にいる子もいるわけですが、多くを引き受けているのが民間のフリースクールという施設でございます。もともと法律の出発点は、多くの子供たちが通っているという現実を踏まえて、フリースクールなどの位置づけを考えようというものでした。  これまでの不登校対策は、子供たちの学校復帰が大前提とされてきました。こうした対策には、子供が学校に戻ることを無理強いしているといった意見もあります。このため、教育行政とフリースクールが対立することもしばしばで、お互いを知らないまま警戒し合っているというのが実情でした。地域によってばらつきがありますが、保護者が学校や教育委員会に相談しても、フリースクールや不登校の親の会などがあることを紹介することすらないというのが実態だといいます。ただ、やはり何らかの支援がフリースクールにも必要という声は以前からありました。  教育機会確保法には二つのキーワードがあります。休んでもよいということと、学校以外の場の重要性を認めたことです。この二つのキーワードを生かすことが、子供たちを取り巻く環境を変えることにつながります。さらに、教育機会確保法は、自治体とフリースクールの連携も求めています。居場所としてのフリースクールが活動しやすいように、行政がどのような支援が必要なのかをともに考えるのは当然のことでしょう。  そこでお尋ねします。  一点目、いじめ、不登校の現状を示した上で、この生徒指導総合推進事業の取り組みについてお示しください。  また、不登校における知事部局との連携状況についてお示しください。  二点目、新規事業のSNSを活用した相談体制構築に係る検証にどのように取り組まれるのか、具体的な内容をお示しください。  三点目、教育機会確保法では、地方公共団体とフリースクール等との連携が求められています。県教委の連携状況についてお示しください。  次に、ひきこもり対策について質問します。  ひきこもりは、子供や若者の問題と考えられてきました。不登校がきっかけで始まり、学齢期を過ぎても延長している人がいることに焦点が当てられてきました。ところが、今は中高年へと軸が移りつつあります。親も高齢化し、深刻な困窮家庭がふえていることが懸念されています。そこで、政府は、四十歳から五十九歳を対象にした実態調査を行います。ひきこもりが長期化するほど、病気や障害、貧困など複合的な問題を抱えやすくなります。早急な実態把握と対策が必要になってきます。  政府が過去二回行った実態調査の対象年齢は、十五歳から三十九歳でした。二〇一〇年の調査では、学校や仕事に行かない状態が半年以上続いている人は約七十万人、二〇一五年は約五十四万人に減りました。ただ、ひきこもり状態が七年以上の人は一七%から三五%へとふえ、長期化と高齢化が進んでいる状況が浮かんできました。  自治体の調査の中には、ひきこもりの年齢層は四十歳以上が最も多いという結果があります。四十歳を過ぎてもひきこもっている人では、ひきこもりの平均期間が二十二年以上に及ぶとの調査結果もあります。最近は、八十代の親が五十代の子の面倒を見る八〇五〇問題も新たな社会的課題として浮上しています。  政府の実態調査は、中高年のひきこもりの推定人数だけでなく、家族を含めた生活実態や健康状態の把握にも努めるべきだと思います。自治体やNPOとも協力し、早期の救済策、親亡き後の支援などについて対策を講じなければならないと思います。  そこでお尋ねします。  県におけるひきこもりの現状と対策はどのように取り組まれているのか、就労支援も含めてお聞かせください。  次に、防災教育について質問します。  現在、学校教育の中には、防災教育とうたった内容はあります。しかしながら、日本という国は陸地面積が世界の〇・二五%しかないのに、世界で起きるマグニチュード六以上の大きな地震の約五回に一回ぐらいは日本で起きています。東日本大震災もそうでした。そういう中で、日本の教育の特徴として今後さらに防災教育が必要ではないかということが、最近、国レベルでも大分話が出てきていますので、ぜひ今後も防災教育を進めていかなければならないと感じています。  防災教育では、防災に関する知識を学ぶ学習の面と、それを生かす実践の面があります。  学習の面では、子供たちが、家や学校の教室の中にいるときにどんな災害があるかを知り、それに対処する方法を学びます。例えば地震で物が落ちてきたり、何かが倒れてきたりしたときに、「じゃ、みんなはどうする」ということを勉強したり、中学レベルでは、地震のメカニズムをしっかりと学習すれば自分の身を守るのに役立つものになります。  実践の面では、今までの避難訓練をもう少し見直し、自分で自分の命を守るような訓練にしたり、また、上から物が落ちてこない、横から物が倒れてこないような安全な環境をつくることが必要になってきます。このように、学習と実践の両面からの防災教育を進めていくことが大事かと思います。  そこでお尋ねします。  学校現場における防災教育の取り組みをお示しください。  これで、二回目の質問を終わります。 9 ◯教育長(古川仲二君)まず、かごしま青年塾の成果と課題についてでございます。  かごしま青年塾については、県内外で活躍する企業経営者等による講演、県内で先進的取り組みを行っている企業等での現地研修や各分野で活躍する方々との交流、宿泊研修などを実施し、先般、十回の全講座を修了したところでございます。  塾生からは、視野が広がり、さまざまな知識を身につけられた、鹿児島について語ることができる人たちと出会えたことは大きな財産だったなどの感想が寄せられ、幅広い視野や高い見識、仲間とのつながりの構築など、所期の目的はおおむね達成できたものと考えております。  一方、塾生同士の人間関係を構築する機会である宿泊研修を年間計画の終盤に配置したことなど、各講座の実施時期や実施方法等に課題もあったところでございます。来年度は、それらの課題を改善し、内容をさらに充実させ、引き続き、次世代の鹿児島を支えるリーダーの育成を図ってまいりたいと考えております。  次に、生徒指導総合推進事業の取り組み等についてであります。  平成二十八年度の本県の公立学校におけるいじめの認知件数は五千九百七十一件、不登校児童生徒数は二千三百七十二人であり、いずれも前年度よりやや減少いたしておりますが、依然として生徒指導上の大きな課題の一つであると考えております。  これらに対応するため、本事業におきまして、スクールカウンセラー等を活用した相談に加え、新たに、未然防止、初期対応に重点を置き、臨床心理士等の専門家等と連携し、学校で定期的に児童生徒の心情把握や分析を行うとともに、専門家のアドバイスを受けて学校教育活動の改善につなげる取り組みなどを実施することにいたしております。  知事部局との連携につきましては、県教委では、保健福祉部と意見交換会を実施し、不登校等の課題解決のための方策を協議いたしますとともに、スクールソーシャルワーカーと児童相談所の協議の場を設定し、不登校などの背景にある家庭環境等を改善するために、児童相談所への情報提供や適切な役割分担のもとでの働きかけのあり方等について、情報共有や意見交換を行ったところでございます。  次に、SNSを活用した相談体制構築に係る検証の取り組みについてであります。  近年、若者層の多くが電話よりSNSをコミュニケーションの手段として用いておりまして、さまざまな悩みもSNSを通して発信している状況がございます。このような若年層の悩みをいち早く把握し、いじめ等の未然防止や早期対応に結びつけていくため、インターネットを通じた相談は有効な手段の一つであると考えております。  このため、県教委では、来年度新たに公立中学校・高等学校等二十五校程度を対象に、スマートフォンなどを用いて、相談やいじめを発見した際の通報ができる窓口を設置し、効果的な相談業務のあり方を検証することにいたしております。  なお、先行的に行われております他県でのSNSを活用した取り組みでは、委託する民間事業者によってシステム等が異なっておりますことから、今後、民間事業者等から具体的な提案を受けた上で、詳細なその内容を詰めていきたいと考えております。  次に、フリースクールと県教委の連携状況についてでございます。  不登校児童生徒に対する教育機会の確保のため、学校の環境整備等に加えて、適応指導教室等の学校以外の場においても、不登校児童生徒が安心して教育を十分に受けられるようにすることが大切であると考えております。  フリースクール等についても、学校以外の教育機会を提供するものであると考えますが、運営の方針や形態も多様でありますことから、県教委ではこれまで、幾つかのフリースクール等を訪問し、取り組みや児童生徒の学習状況等について意見交換を行ったところでございます。  県教委といたしましては、引き続き、フリースクール等の状況把握に取り組みつつ、フリースクール等と学校、市町村教育委員会、関係機関相互の連携による児童生徒の個々の状況に応じた丁寧な対応に努めてまいりたいと考えております。  次に、学校における防災教育についてでございます。  公立学校では、地震や台風、火災などの学習を行うとともに、児童生徒による安全マップの作成や防災リーフレット等を活用した危険予知トレーニング等を通して、危機回避能力の育成に努めております。また、立地条件に即した避難訓練を年三回以上実施するとともに、避難経路、避難場所に加え、訓練方法につきましても、より実効性を高める見直しを行っているところでございます。  Jアラート等を通じた緊急情報への対応については、県教委策定の学校における危機管理の手引に追記いたしますとともに、各学校の危機管理マニュアルにも適切に反映されるよう指導しているところでございます。また、チェックリスト等を活用した安全点検を実施し、改善が必要な箇所については、関係機関と協議しながら、迅速な対応に努めているところでございます。  県教委といたしましては、これらの取り組みを通して、今後とも、学校におけるさらなる防災教育の充実を図ってまいりたいと考えております。 10 ◯保健福祉部長(藤本徳昭君)ひきこもり対策についてであります。  いわゆるひきこもりについては、その数を把握することは困難でありますが、内閣府が平成二十七年に、十五歳から三十九歳までの若者を対象に実施した調査結果を本県に当てはめると、約二千人ということになります。  県では、ひきこもり地域支援センターを開設し、相談に対する助言や専門機関の紹介などを行うとともに、精神保健福祉センターにおいては、ひきこもり家族の会を開催し、家族が支え合う場の提供を行っております。また、保健師等による訪問支援、NPO法人への委託による就労体験の機会の提供などに取り組んでいるところであります。  さらに、就労意欲のある者に対しては、専門的相談や訓練等を行う、国の地域若者サポートステーションなどと連携した支援に努めております。    [東 清剛君登壇] 11 ◯東 清剛君 いろいろ御答弁いただきました。  コメントは後ほどさせていただきます。  次に、保健福祉部関係の質問です。  初めに、認知症対策についてです。  私は今年度、政策立案推進検討委員会に所属し、認知症対策のワーキングチームにかかわらせていただきました。認知症は高齢者に多い病気ですが、働き盛りの年代でも発症するケースがあり、六十五歳未満で発症した場合を若年性認知症と言います。  厚生労働省によると、全国における若年性認知症の有病者数は約三万八千人おり、そのうち五十歳以上が八割を占めるとされています。家計を支える働き盛りの家族が認知症になってしまったら、経済的な負担や心理的ストレスはとても大きいものです。そのため、早期発見・早期治療がより一層重要となります。  新しいことを覚えられない、物忘れが多くなった、仕事や家事の段取りが悪くなったなどの変化があらわれ、その症状が続くようであれば若年性認知症のサインである可能性があります。  鹿児島県でも若年性認知症の人が約八百人ほどいらっしゃるとお聞きしています。県では、若年性認知症の方やその家族が状態に応じた適切な支援を受けられるよう、認知症の人と家族の会鹿児島県支部内に若年性認知症支援相談窓口を開設しました。相談窓口には若年性認知症支援コーディネーターを配置しており、医療・福祉等の総合的な支援を行っています。  また、私は、周りの方々を初め、広く若年性認知症に対する理解を深めていただくことも重要ではないかと考えております。  そこでお尋ねします。  若年性認知症の方へはどのような支援がなされているのか、また、若年性認知症の理解促進のための取り組みをお示しください。  次に、受動喫煙防止対策について質問します。  東京都の小池百合子知事は十八日、四月から都庁舎内を全面禁煙とする方針を明らかにしました。都内で同日行われた国際会議の挨拶で、「隗より始めよということで、四月から都の全ての事業所で職員の喫煙室の利用を停止し、受動喫煙対策を徹底する」と述べました。  東京都は、受動喫煙防止対策をめぐり、官公庁の屋内禁煙などを盛り込んだ独自の条例案を二月の定例議会に提案予定でしたが、国との整合性をとる必要があるとして見送りました。小池知事は会議出席後、「職員の皆さんに理解してもらえるよう進めていく」と報道陣に述べ、四月に向けて調整を進める考えを示しました。  また、秋田県の佐竹知事は、ことし十月から県庁敷地内の全面禁煙に踏み切る考えを明らかにしました。  ちなみに、鹿児島市では、本庁、各支所は、受動喫煙防止対策のため、平成二十二年九月から屋内全面禁煙となり、建物外に灰皿を設置しています。  そこで、県庁舎管理者の三反園知事にお尋ねします。  県庁舎管理者として、知事は受動喫煙防止対策に関してどのようにお考えになっているのか、お聞かせください。  次に、県民生活局関係の質問です。  昨年十月十四日に、岐阜県関ヶ原町で、鶴丸城御楼門の大扉用として提供される岐阜県産ケヤキの贈呈式があり、知事も出席されました。私も出席する予定でしたが、都合が悪く、私の家内が代理で日置市の市民ツアーの皆様と一緒に参加しました。  岐阜県とは、薩摩藩による宝暦治水の偉業を縁に姉妹県盟約を結び、四十年以上にわたりさまざまな交流を続けています。  そこでお尋ねします。  鶴丸城御楼門並びに御角櫓建設について、進捗状況と今後のスケジュールをお示しください。  また、二月二十四日に、明治維新百五十周年記念として鶴丸城跡現地説明会が開催されましたが、どのような取り組みだったのかお示しください。  次に、企画部関係の質問です。  昨年の十一月二十日から二十四日まで、県議会の海外経済交流促進等特別委員会でシンガポール・タイのインバウンド調査に行ってまいりました。シルクエアーのチャーター便に乗りましたが、少し狭く、六時間ほどかかりました。シンガポールとタイの県人会の皆様との交流もあり、また、現地旅行会社のフォローミージャパンの西村会長やHISツアーズとの意見交換会など、中身の濃い視察をさせていただきました。  この視察で感じたことは、今後、鹿児島空港の利用者の増加が予想されます。観光客の誘客活動も活発になってきます。駐車場やレンタカーの問題、これから将来を見据えたビジョンの検討調査も必要になってくると思います。  そこでお尋ねします。  鹿児島空港将来ビジョン検討調査はどのように取り組まれるのか、お聞かせください。  また、鹿児島空港の国際化促進のこれまでの取り組みと今後の計画をお示しください。  次に、警察行政関係について質問します。  最近、不審者という言葉が一般化していて、小学生でも不審者という言葉をよく使っているのを耳にします。しかし、小学生に「不審者ってどんな人」と聞いてみると、「黒い帽子をかぶって、黒いサングラスをして」と答える子供が多いです。いずれにせよ、子供たちが外見だけで不審者と判断し、全ての大人に不信感を抱いてしまうような事態に陥らぬよう、不審者という言葉の扱いには十分な注意が必要です。  また、不審者情報の中には声かけ事案というものもあります。声かけ事案とは、十八歳以下の男女に対して、犯罪行為に至らない前兆段階の、声をかける、手を引く、肩に手をかける、後をつけるなどの行為を言います。  そこでお尋ねします。  県内における子供に対する声かけ事案などの現状と対策についてお示しください。  次に、高齢運転者の交通死亡事故防止対策について質問します。
     高齢ドライバーによる交通事故対策をめぐり、警察庁が二〇一五年に認知機能検査を受けた七十五歳以上の約百六十三万一千人について調べたところ、八十四歳になると、半数が認知症や認知機能低下のおそれがあると判定されたことがわかりました。九十歳では六割を超えていました。七十五歳以上の人は、三年に一度の運転免許更新時に記憶力や判断力を確かめる検査を受けます。  警察庁によると、二〇一五年は、認知症のおそれがある第一分類と判定されたのが三・三%の約五万四千人、認知機能低下のおそれがある第二分類が三〇・八%の約五十万二千人、認知機能低下のおそれがない第三分類が六五・九%の約百七万四千人でした。  そこでお尋ねします。  県は、高齢運転者の交通死亡事故防止対策にどのように取り組まれているのか、お聞かせください。  次に、県内の警察宿舎の整備状況について質問します。  現在、鹿児島西警察署の建設や県内の交番等の整備が進められておりますが、県内の警察宿舎の整備もしなければならないと思います。私の住む日置市にも、日置警察署の警察宿舎があります。県内の警察宿舎を見ると、老朽化が進んでいると考えられます。  そこで、現在進めている警察職員の宿舎整備数、入居率及び今後の整備方針についてお示しください。  これで、三回目の質問を終わります。 12 ◯保健福祉部長(藤本徳昭君)若年性認知症対策についてであります。  若年性認知症の相談・支援体制については、認知症の人と家族の会鹿児島県支部に配置している若年性認知症支援コーディネーターを中心に、電話等による相談への対応、地域包括支援センターや認知症疾患医療センターとの連携体制の強化、認知症の人や家族の交流会の開催などに取り組んでいるところであります。  また、県におきましては、若年性認知症の特徴や対応例等を記載したハンドブックを県のホームページに掲載しているほか、年金や保険などの支援制度等を記載したガイドブックを作成し、相談支援に当たる各機関の職員や産業医等へ配布しております。  さらに、就労上の支援を図る観点から、企業や地域包括支援センター等を対象とした若年性認知症セミナーを開催したところであります。 13 ◯総務部長(寺田雅一君)受動喫煙防止対策についてでございます。  県では、県職員喫煙対策実施要領を定め、平成十七年四月から、施設内全面禁煙を基本とした喫煙対策を講じているところであり、県庁舎におきましては、喫煙場所を五カ所に限定して受動喫煙対策に積極的に取り組んできたところでございます。  現在、国においては、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピックを見据え、受動喫煙対策を強化するための健康増進法の改正に向けた準備が進められているところでございます。  県といたしましては、その動向を注視しつつ、望まない受動喫煙の防止を図るための対策に引き続き取り組んでまいりたいと考えております。 14 ◯県民生活局長(中山清美君)鶴丸城御楼門建設の進捗状況等についてでございます。  鶴丸城御楼門の建設については、昨年九月に工事請負契約を締結し、現在、木材の調達、製材・乾燥を進めており、このうち大径木のケヤキについては全て調達を終えたところであります。あわせて、調査の成果などをもとに、瓦の文様の検討などを進めているところであります。起工式はことしの夏ごろを予定しており、その後、基礎工事などの工事が本格化していく見込みであります。  今後とも、二〇二〇年三月の完成を目標に官民一体となって取り組んでまいります。  御角櫓建設の進捗状況等についてでございます。  御角櫓については、基礎部分となる石垣の修復について、文化財の発掘調査等を行ってきたところであります。その結果、石垣の損傷が大きいことや、石垣の基底部から常時、地下水の湧出が見られることなどから、地下水の影響を見きわめた上で慎重に進めるべきとの専門家の助言を受けたところであります。このため、地下水の調査箇所を追加するなど継続的な調査を行っております。平成三十年度は、地下水の調査を継続しますとともに、堀側の石垣基底部の状況調査を行うこととしております。  県といたしましては、これらの調査結果をもとに、まずは石垣の修復を行う必要があると考えており、御角櫓の整備スケジュールについては、今後の石垣修復の状況を踏まえ、改めて検討してまいります。  鶴丸城跡現地説明会についてでございます。  現地説明会につきましては、今月二十四日に黎明館において開催し、県内外から約四百五十人の参加があったところであります。当日は、今年度の調査で発掘された庭園状の遺構やキリシタン瓦などのほか、石垣に残る西南戦争の銃弾跡や御楼門建設の取り組みなどについて説明を行ったところであります。今回の説明会の開催により、鶴丸城跡に対する理解がより深まるとともに、鹿児島の歴史・文化への関心が高まったものと考えております。 15 ◯企画部長(東條広光君)鹿児島空港将来ビジョン検討調査事業についてであります。  鹿児島空港においては、香港、ソウル線におけるLCCの新規就航や香港、台北線の増便など国際線の拡充が続いており、また、国内線も合わせた全体の利用者数も増加傾向にあります。この事業については、こうした近年の空港や航空業界を取り巻くさまざまな環境変化を踏まえ、鹿児島空港の将来像やその実現に向けて必要な施策等を取りまとめようとするものであります。  取りまとめに当たっては、有識者等で構成します委員会を設置し、同空港を取り巻く外部環境の変化や空港機能強化について御意見等いただきながら、論点整理を行うこととしております。  次に、鹿児島空港国際化促進の取り組みについてであります。  鹿児島空港国際線の昨年の利用者数は、香港線等の増便が図られたことなどから二十八万人を超え、四年連続で過去最高を更新したところであります。さらなる国際線の充実に向けては、イン・アウト双方のバランスが重要でありますことから、海外修学旅行への助成や旅行商品に対する広告支援等を行っております。また、新たな国際定期路線の拡充につなげるためには、チャーター便の実績が重要でありますことから、チャーター便就航促進に係る助成も行っているところであります。  鹿児島空港につきましては、昨年七月に訪日誘客支援空港に認定されましたことから、来年度は、国の着陸料減免等の支援制度も積極的に活用しながら、引き続き国際化の促進に努めてまいりたいと考えております。 16 ◯警察本部長(河野 真君)県内における中学生以下の児童生徒に対する声かけなどの事案は、平成二十九年中三百五十六件で、前年と比べ十七件減少しております。内訳は、声かけが二百九件と最も多く、公然わいせつが三十七件、つきまといが三十六件などとなっております。また、発生時間は、登校時間帯が五十七件、下校時間帯が二百四十八件と、全体の約八六%が登下校の時間帯に発生しております。  県警察では、登下校時間帯を中心に、防犯ボランティアやPTAなどと連携して通学路の見守り活動やパトロールを強化しているほか、県警あんしんメールなどにより、声かけ事案等の情報提供を行っております。また、学校と連携して、子ども一一〇番の家への駆け込み訓練や不審者対応訓練なども行っております。  次に、高齢運転者の交通死亡事故防止対策の取り組みについてであります。  本県では、昨年六十五件の交通死亡事故が発生し、このうち二十三件は高齢運転者が第一当事者となっております。  県警察では、高齢運転者の交通死亡事故防止対策として、ドライブレコーダーの無料貸し出しを初め、運転適性診断車による出前型交通教育、自動車教習所を利用したドライビングスクールなどの開催のほか、自動ブレーキや踏み間違い防止装置等を備えた安全運転サポート車の普及啓発活動などにも取り組んでおります。  また、運転免許の自主返納者に対するメリット制度の拡充や代替交通手段の確保など、自主返納しやすい環境づくりについて関係機関・団体などに働きかけているところであります。  警察職員宿舎の整備状況についてであります。  県警察が管理する職員宿舎は、本年一月末現在で千四百十四戸あり、入居率は約九〇%であります。県警察では、昨年三月に策定した警察本部所管の施設総合管理計画に基づき、点検等による計画的な修繕や、損傷が軽微な段階での維持補修を推進し、既存施設の長寿命化を図るとともに、知事部局等の保有する職員宿舎の活用についての調整を図っているところであります。    [東 清剛君登壇] 17 ◯東 清剛君 いろいろ御答弁いただきました。  きょう一番聞きたかったことは、なかなか不登校の子供たちの数が減らない、鹿児島県は減っておりますが、全国的には高どまりが続いているということで、ひきこもりが防止されるように今後とも取り組んでいただきたいと思います。  また、三反園知事におかれましては、引き続き、県民所得向上のために、そしてまた人口減少を食いとめるために一生懸命頑張っていただきたいと思います。  ピョンチャンオリンピックで日本の選手団が史上最多の十三個のメダルを獲得する活躍をいたしました。二年後の東京オリンピックに大きな弾みになったのではないでしょうか。選手たちや関係者の頑張りに敬意を表したいと思います。  そしてまた、鹿児島市の臨港部を南北につなぐ鹿児島港臨港道路のうち、唯一未整備区間のままだった鴨池港とマリンポート入り口を結ぶ区間の着工式が、二十五日に行われました。港湾物流の円滑化や周辺の道路の渋滞緩和のため一日も早い開通を願っております。  私ごとではありますが、先週の日曜日に長女の結婚式を無事終えることができました。日本晴れのすばらしい天気のもと、悠然とそびえる桜島と青く広がる錦江湾を背景にチャペルで式を挙げました。昨年四月に入籍しまして、五月には赤ちゃんも生まれます。末娘は正月に成人式も終わり、四月から東京での就職が決まっています。五人の子育てが終わり、親として少し肩の荷がおりた気がします。  鹿児島県民の所得向上、そしてまた県民生活がよくなるよう、これからも一生懸命頑張りたいと思いますので、引き続きよろしくお願いします。  これで、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 18 ◯議長(柴立鉄彦君)次は、まつざき真琴君に発言を許可いたします。    [まつざき真琴君登壇](拍手) 19 ◯まつざき真琴君 おはようございます。  私は、日本共産党県議団として一般質問を行います。  まず、知事の政治姿勢についてであります。  私は、昨年第三回定例会において、知事に憲法九条観をお聞きしました。知事は、「我が国が自由で民主的な平和国家として発展する上で極めて大きな役割を果たしてきていると考えている」と答弁されました。  安倍首相は、昨年五月三日、「憲法九条に自衛隊の存在を書き込む」、「二〇二〇年に新憲法施行を目指す」と述べ、改憲に並々ならぬ意欲を示しています。安倍首相は、憲法に自衛隊を書き込んでも、「自衛隊の任務や権限に変更が生じることはない」と繰り返していますが、結論からいえば、自衛隊を憲法に明記すれば、無制限の海外での武力行使に道を開くことになります。  政府はこれまで、自衛隊は自衛のための必要最小限の実力組織であって、憲法九条第二項で禁止されている戦力には当たらないと主張してきました。政府はこの立場から、海外への自衛隊の派兵、他国のために武力を行使する集団的自衛権の行使、武力行使を目的とした国連軍への参加、この三つの活動は自衛隊ができないとしてきました。  ところが、安倍政権は、二〇一四年にそれまでの政府見解を変えて、政権の解釈次第で集団的自衛権を行使できるという閣議決定を行い、これを二〇一五年の安保法制で法律化しました。それでも安倍首相は、イラク戦争やアフガン戦争のような場合に「武力行使を目的として戦闘に参加することは決してない」と繰り返さざるを得ませんでした。これは、九条二項が安保法制も縛っているからです。  もし憲法に自衛隊を明記すれば、九条二項の戦力の不保持と矛盾します。その場合、後からつくった法律は前の法律に優先するという法律の世界の一般原則によって、九条二項が空文化してしまいます。自衛隊は、九条二項の縛りから解放されて、無制限な海外での武力行使に道を開いてしまいます。  改憲派は、災害救助で頑張っている自衛隊を違憲状態のままでいいのかと、九条に自衛隊を書き込むことを主張していますが、これまで海外派遣された自衛官の命を守ってきたのは、まさしく憲法九条です。  知事にお尋ねします。  知事が答弁されたように、我が国が自由で民主的な平和国家であるために、大きな役割を果たしてきた憲法九条は変えるべきではないと考えますが、知事の見解を伺います。  二〇一六年十二月十三日に発生した米海兵隊普天間基地所属オスプレイの沖縄県名護市沿岸での墜落、大破した事故は、与論空港沖での空中給油訓練の最中に発生した事故でありました。  私は、昨年九月議会で、米軍の事故に関する報告書の内容を示し、事故機が夕刻十八時十七分に普天間基地を離陸し、その後、暗視ゴーグルを装着し、奄美大島上空で低空飛行訓練を行い、その後、事故を起こしたものであることを紹介しました。  本日、資料として配付しておりますのは、昨年十月、市民団体リムピースが、その米軍事故報告書の附属資料から読み取って、地図上に経路図として示したものです。この二月になって一部修正されましたが、奄美大島の上空をぐるりと回るコースとなっています。  一月二十七日には地元紙一面に、同様のルート図を示し、「奄美に低空訓練ルート」、「非公表で設定」と報道されました。  知事にお尋ねします。  この報道に触れての知事の所感をお聞かせください。  この報道後、県としてどういう対応をとられたのか、事実確認はなされたのか、答弁ください。  私は、実際にこのルートでオスプレイの飛行が行われているのか、これまで目撃情報を寄せていただいた方たちに聞き取りを行いました。  奄美市の芦花部小中学校の上空や崎原小中学校の上空をよく飛んでいる。崎原小中学校は断崖絶壁の上にあるため、講堂や校舎のすぐ横を飛んでいるように見える。大和村の国直では、畑の上をしょっちゅう飛んでいる。奄美市内の山に囲まれた朝仁新町に住んでいる人は、「山にぶつかるんじゃないかと思って慌てて市役所に電話した」。奄美市佐大熊に住んでいる女性は、「音と振動で地震かと思って震えた」と話しています。  芦花部に住んでいる女性は、「大抵二機一緒に飛んでくる。芦花部小中学校の上を飛んできて東シナ海のほうに飛んでいく。操縦士の顔が見えるほど低く飛んでいるが、向こうからも自分の顔が見えるかもしれないと思って怖くて見ないようにしている。夜八時過ぎにも飛んでいるのが音でわかる」と話してくれました。これらの目撃情報は、まさしくこの地図に示されたルート上にあります。  一九九九年一月十四日に公表された在日米軍による低空飛行訓練についての日米両政府による合意文書には、「低空飛行の間、在日米軍の航空機は、原子力エネルギー施設や民間空港などの場所を、安全かつ実際的な形で回避し、人口密集地域や公共の安全に係る他の建造物─学校、病院等─に妥当な考慮を払う」とあります。  しかし、小・中学校の真上が低空飛行訓練のルートになっているのです。これは、オスプレイの運航に関する環境レビューで示された六つのルートにはなく、日本政府にも伝えず、もちろん住民にも伝えず、奄美大島上空を米軍が訓練空域として使用していることになります。  このような低空飛行訓練に強く抗議し、直ちに訓練の中止を要請すべきと考えますが、見解をお聞かせください。  昨年十二月七日、沖縄県宜野湾市内の保育園に沖縄の普天間基地所属の大型輸送機CH─53の部品が落下しました。それから一週間もたたない十三日、宜野湾市内の小学校の運動場に、同じ大型輸送機CH─53の窓枠が落下する事故が発生しました。同型機は、二〇〇四年八月には沖縄国際大学に墜落、炎上。昨年十月には沖縄県東村の民有地の牧草地に墜落、炎上しました。このCH─53が、オスプレイとともに海上自衛隊鹿屋航空基地で空中給油訓練を行う計画になっています。  米海兵隊の軍用機は、この一年余りを見ても、名護市、久米島町、伊江村、石垣市、東村、宜野湾市、うるま市、読谷村、渡名喜村と沖縄全土で事故を起こしています。本県においても、今、県内各地でオスプレイなどの米軍機の低空飛行が目撃されています。  鹿屋市においては、米軍空中給油機の訓練に関して防衛省と協定を結び、基地再編交付金も支払われています。しかし、事は鹿屋市だけの問題ではありません。県土の上空を飛び回っている米軍機から県民の安全を守るために、鹿屋自衛隊基地での空中給油訓練の中止を要請すべきと考えますが、見解を伺います。  福島の原発事故から間もなく丸七年になろうとしています。一九六五年以来建設され、稼働した商業用原発は五十七基、今現在、稼働しているのは全国で三基だけであります。これは何を意味しているのでしょうか。  政府は、二〇一四年四月に策定したエネルギー基本計画から三年が経過し、昨年八月から見直しを始めており、今年中に新しい基本計画をつくることになっています。エネルギー基本計画では、原発をベースロード電源と位置づけ、二〇三〇年度の電源の二〇から二二%を原発で賄うとしています。これは原発を三十基程度稼働することを意味しますが、現在、廃炉が決定しているもの、再稼働のための適合審査申請の見通しが立たないものが多数あり、三十基稼働というのは、新たに原発を新増設する、稼働後四十年を超えて六十年運転しなければ達成できない数字です。川内原発を四十年超えて運転し続ける、あり得ないことです。  ことし一月十日、小泉純一郎、細川護熙両元首相が顧問を務める原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟は、原発ゼロ基本法案を発表しました。これは、福島の教訓を踏まえて、運転中の原発は直ちに停止する、停止中の原発は今後一切稼働させない、二〇五〇年までに全電力を自然エネルギーで賄うようにするというものです。我が党は全面的に賛同することを表明しています。  そこでお尋ねします。  三反園知事は、再生可能エネルギーを推進することで原発に頼らない社会に向けた歩みを少しずつ進めていきたい、まさしくこの原発ゼロ基本法案の方向性は知事の理想とされるものではありませんか。知事のこの法案についての見解をお聞かせください。  私はこの間、議会のたびごとに国保の問題について取り上げ、高過ぎる国保税の問題を指摘してきました。これまで国保の運営主体だった市町村は、住民の命と健康を守るために、国の国庫負担が削減されていく中で、住民負担を重くしないための努力をしてきました。  例えば、鹿児島市は、平成二十八年決算ベースでの一人当たりの保険税必要額は十万二千二百六十七円という額ですが、鹿児島市は、平成二十七年度の一般会計から二十二億四千七百万円余りの法定外繰り入れを行っており、一人当たりの平成二十七年度調定額は七万九千三百四円となっています。  県内で鹿児島市に次いで多額の繰り入れを行っているのが伊佐市で、平成二十八年決算ベースでは、一人当たり保険税必要額は九万八千八百八十円となっておりますが、平成二十七年度、三億五千二百万円の法定外繰り入れを行っており、一人当たりの調定額は六万四千三百四十四円となっています。  この四月から始まる国保の県単位化で最も心配されていたのが、国保税の引き上げです。国は、一般会計からの繰り入れは赤字分としてこの解消を目指す方針を示しましたが、ここに来て、法定外繰り入れについても引き続き実施し、保険料負担の急激な高騰とならないように自治体に対して提示しています。  私は、県内市町村に来年度の国保税額がどうなるのかお尋ねしました。その結果、検討中のところを除いて、引き上げを予定しているのは六市町村、据え置きが二十六市町村、引き下げが三市町村でありました。据え置きする市町村の半数以上が、法定外繰り入れを引き続き実施します。  そこでお尋ねします。  市町村が国保税を引き上げないためにこれまで行ってきた法定外繰り入れをどう評価されますか。また、市町村が法定外繰り入れを自主的に判断して行うことを尊重すべきであり、将来においても認めるべきだと考えますが、見解をお聞かせください。  私が市町村にお話を伺う中で、多くの担当者が、平成三十年度は何とか据え置きができると思うが、それ以降はわからない。激変緩和措置終了後にどうなるか心配と話していました。  高過ぎる国保税をこれ以上引き上げないために、市町村の努力とあわせて、県としても独自に財政的な支援を行うべきと考えますが、見解をお聞かせください。  来年度、運営方針に沿って法定外繰り入れを行わず、国保税は据え置く予定の市町村の担当者は、何とか収納率を引き上げて対応すると話していました。県が示した納付金は一〇〇%納めなければなりません。運営方針の中には、もちろん医療費削減のための健康増進の方策も示されてはおりますが、これはすぐさま結果が出せるものではありません。そこで懸念されるのが、収納率引き上げのための厳しい取り立てです。  運営方針には、収納対策の強化として、差し押さえのための財産の捜索や、差し押さえた財産の公売会を複数の市町村と共同で行うこと、また、研修として、国保固有の短期保険証や資格証明書の制度の理解を深めることが示されています。  二〇一六年度、国保税の滞納世帯数は一二・一%で三万三千七百四世帯、保険税を滞納している世帯に交付される短期保険証は二万五百二十七世帯、窓口で十割の負担を求められる資格証明書は三千八十三世帯に交付されています。短期保険証は、期限が切れれば、保険税を納めなければ更新はされません。  国民健康保険法第一条には、「この法律は、国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もつて社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的とする」とあり、国保は、国民の命を守るための国民皆保険の制度、社会保障であります。その国保の運営に県が直接かかわることになるのであれば、県がやるべきことは、市町村とともに、保険証がない人をなくしていくことではありませんか。また、国保の滞納者は払いたくても払えない人たちです。徴収対策として財産の差し押さえは行うべきではありません。  県の見解を伺います。    [知事三反園 訓君登壇] 20 ◯知事(三反園 訓君)憲法改正についてのお尋ねであります。  日本国憲法は、第九条を含めまして、これまで広く国民にも浸透しており、我が国が自由で民主的な平和国家として発展する上で極めて大きな役割を果たしてきていると考えております。  憲法第九条を初めとする憲法改正につきましては、憲法審査会など国会を初め、国民の間で幅広い議論が行われることが重要であると考えております。  原発ゼロ基本法案に対する見解についてであります。
     原子力あるいはエネルギー政策全般についてさまざまな意見があることは承知しております。民間の団体が出された提案に意見申し上げることは控えたいと考えております。  国は、現行のエネルギー基本計画におきまして、原子力政策の方向性として、いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げることを前提としております。また、原発の依存度につきましては、再生可能エネルギーの導入などによりまして可能な限り低減させることとしております。  引き続き、県民の安心・安全を確保する観点から、川内原発に係る防災対策の充実・強化に全力で取り組みながら、本県の多様で豊かな自然を活用し、再生可能エネルギーを推進することで、原発に頼らない社会づくりに向けた歩みを少しずつ進めてまいりたいと考えております。 21 ◯危機管理局長(田崎寛二君)奄美大島における低空飛行訓練ルートに係る報道等への所感等についてであります。  ただいま御指摘のありました報道がなされたことにつきましては、承知しております。  当該事故につきましては、昨年九月に九州防衛局から、米軍事故調査報告書の概要及び米側から説明を受けた再発防止策についてという文書で報告を受けておりますが、この中には報道された内容は記載されておりません。  また、先月二十九日の衆議院予算委員会におきまして、奄美にオスプレイの低空飛行ルートが設定されていたということが米側の資料で明らかになったとの報道につきまして、防衛省からは、「米側の具体的な飛行経路等については、米軍の運用にかかわる事項であり承知していない」とした上で、「引き続き、米側に対しては、安全面に最大限配慮するとともに、地域住民に対する影響を最小限にとどめるよう強く求めている」旨の答弁があったところであります。 22 ◯企画部長(東條広光君)県内での米軍訓練についてであります。  防衛・安全保障政策については国の専管事項でありますが、県としては、県内で米軍機による低空飛行等に関する目撃情報や報道が続いている中、海上自衛隊鹿屋航空基地での米軍訓練に参加予定の同型機による事故等が連続して発生し、安心・安全な県民生活に深刻な影響を与えている実情に鑑み、昨年八月、国に対し文書で、事故の再発防止の徹底等にあわせて、低空飛行訓練等について、関係地方公共団体や地域住民の不安が払拭されないまま実施されないようにすることを、米軍など関係機関に申し入れるよう強く要請したところであります。  また、今月十六日には、来庁した九州防衛局に対し、改めて、事故の再発防止の徹底等と低空飛行訓練についても日米合意事項の遵守を米軍等に申し入れること、安全保障上の施策を進めるに当たっては、国は、説明責任を果たすとともに、地域の意向を十分に踏まえて対応することについて要請を行ったところであります。 23 ◯保健福祉部長(藤本徳昭君)国民健康保険制度についてのお尋ねのうち、決算補填等目的の法定外一般会計繰り入れについてであります。  市町村との協議を踏まえて作成しました国保運営方針において、国保財政については、その安定的な運営を図る観点から、原則として、必要な支出を保険料や国庫負担金などにより賄うことにより、国保特別会計において収支が均衡していることが重要であるとしたところであります。  市町村国保における来年度以降の決算補填等を目的とする法定外一般会計繰り入れについては、最終的には市町村の判断によることとなりますが、同方針において、解消・削減すべき赤字と定義し、計画的・段階的に解消を図っていくこととしております。  次に、県独自の財政支援についてであります。  今回の国保制度改革では、財政運営の仕組みが変わることに伴い、住民の保険料負担が急激に上昇することがないよう、県において激変緩和措置を講じることとしております。このため、保険料をさらに引き下げるための県独自の対応は考えておりません。  国保税収納対策についてであります。  国民健康保険は、被保険者間の負担の公平を図る観点から、災害、病気等の特別な事情があると認められる場合などを除き、国保税を滞納している被保険者に対し、短期被保険者証または被保険者資格証明書を交付しているところであります。  市町村においては、短期被保険者証等の交付手続を通じて、納付相談等の機会をふやし、国保税の収納に結びつけるとともに、滞納理由に応じて支援策等の紹介を行っているところであります。  国保運営方針においても、短期被保険者証等に関する研修を行い、制度の趣旨を踏まえた効果的な運用が図られるよう取り組むこととしております。  また、滞納処分については、地方税法において、「滞納処分をすることによってその生活を著しく窮迫させるおそれがあるときは、滞納処分の執行を停止することができる」とされており、滞納処分の執行に当たっては、滞納者の状況等を十分に把握した上で適切に対応する必要があるものと考えております。 24 ◯まつざき真琴君 自席から再質問させていただきます。  まず、知事に二点。  奄美大島での低空飛行訓練についてですが、さまざまな事故が全国各地で起きている。こういう中で、きょうお示ししましたように、このルートで訓練が常態化している。県にも住民にも何の断りもなく、この危険きわまりないオスプレイが低空で訓練している。県民が危険にさらされている。こういう認識がおありかお尋ねします。  もう一点、知事には原発ゼロ基本法案についての評価をお尋ねしましたが、「民間の団体のものであり、意見を言わない」ということですけれども、知事は政治家ですから、みずからの考えを有権者に示し、それを実行していく立場です。さまざまな事象に対して、知事がその立場としてどう考えるか、県民に明らかにすることは当然のことです。まして議会で私は見解を求めているわけですが、どうして答えられないのか。法案についての評価ができないのか、その理由がわかりません。理由を御説明ください。  保健福祉部長にお尋ねします。  国保税の滞納者は、払えるのに払わないのではなくて、国保税が高い。そのことについてはこの間、私は議会の中で明らかにしてまいりましたが、払いたくても払えないのであって、払えるのに払わない悪質な滞納者ではない。その認識がおありか。  もう一点、数カ月で期限が切れてしまう短期保険証や資格証明書を交付するということは、必要な受診ができないようにする、受療権を奪ってしまうことになる、その認識がおありかお尋ねします。 25 ◯知事(三反園 訓君)最初の御質問でございますけれども、危機管理局長、企画部長が答弁したとおりでありまして、さまざまな場面で強く要請しているところであります。  防衛・安全保障政策については国の専管事項でありますけれども、県としては、安心・安全な県民生活に深刻な影響を与えている実情に鑑みまして、国は、事故の再発防止の徹底等を米軍などに、関係機関に申し入れるとともに、説明責任を果たすよう要請しているところであります。  いずれにしろ、県といたしましては、今後とも、県民の平和で豊かな暮らしと安全が守られるよう適切に対応してまいりたいと考えております。  第二点でございますが、原子力あるいはエネルギー政策全般についてさまざまな意見があることは承知しておりますが、民間の団体が出された提案に意見申し上げることは控えたいと考えております。 26 ◯保健福祉部長(藤本徳昭君)国民健康保険制度におきましては、被保険者は負担能力に応じて保険料を負担しており、所得の低い被保険者については、所得に応じた軽減措置が講じられておりますほか、災害などの特別事情による減免・徴収猶予制度も設けられております。  また、市町村においては、滞納世帯に対しまして画一的に短期被保険者証等を交付しているものではございませんで、災害や病気、事業の廃止など特別の事情がある場合におきましては、通常の被保険者証を交付しております。  もとより、国民健康保険制度は、被保険者の相互扶助により成り立つ社会保険制度でございますので、公平な保険料の負担が制度存立の前提であると考えております。 27 ◯まつざき真琴君 国保税について再答弁いただきましたが、私は、保険税は払わなくていいと言っているわけではありません。でも、保険証には命がかかっています。「負担の公平性がある」と言われますけれども、県民の医療を受ける権利を守って、保険証は全て交付し、正規の保険証を交付し、その上で、国保税の納入についてはさまざまな相談に乗る。そう保険証の交付と収納とは切り離して考えるべきだと考えますが、いかがでしょうか。 28 ◯保健福祉部長(藤本徳昭君)先ほどの答弁と重なりますけれども、被保険者の相互扶助により成り立つ制度でございます。そうした中で、さまざまな策が講じられておりますし、短期被保険者証等についても、画一的に交付しているものではございません。特別な事情がある場合は通常の保険証を交付しているということでございます。制度の存立ということを踏まえまして、こうした対応がとられていると認識しております。    [まつざき真琴君登壇] 29 ◯まつざき真琴君 昨年八月二十八日、奄美の地元紙の読者欄に宇検村の小学三年生が投稿しています。  「私が今、一番気になっていることはオスプレイのことです。オスプレイが飛んできたら、私の家は古いので地震の震度三から四ぐらい揺れます。夜はとてもうるさいので二歳の妹が泣いてしまいます。だから、高いところで飛んでください。飛ぶなら昼に飛んでほしいけど、できれば飛んでほしくないです。昼に飛ぶと勉強ができないから、昼も飛ばないでください。私は、何のためにオスプレイが飛ぶのか知りたいです。そのことを教えてほしくて、八月二日に安倍総理大臣にお手紙を書きました。その後、オーストラリアでオスプレイが落ちたというニュースを見ました。もしかしたら宇検村にも落ちるかもしれないと思ったら、とても怖かったです」。  県土の上空で身勝手なオスプレイの低空飛行訓練が行われています。「九州防衛局を通じて要請した」と言われますが、もっと怒りをもって厳しく抗議し、中止を求めていただきたいと思います。  青森県では今月二十日、米軍F─16戦闘機が、エンジントラブルから燃料タンクを地元漁民が漁をしている湖に投棄し、ようやく後になって謝罪はありましたが、後始末もしない。こんな米軍の横暴勝手が許されるでしょうか。県民の安心・安全を守るため、事あるごとに機敏に声を上げ、行動されることを強く要望いたします。  原発については、県は、新たな再生可能エネルギー導入ビジョンを策定していますが、原発には全く触れていません。原発ゼロを期限を切って明らかにしてこそ、再生可能エネルギーの導入促進が現実のものとして実効性を高めていくのではないでしょうか。  国保の問題について、私は繰り返し取り上げてまいりました。国保が国民皆保険としての役割を果たすために、保険証は欠かせないものです。保険証の交付と保険税の徴収は切り離すべきです。県が市町村とともに国保の運営をすることになって、加入者の健康が増進した、安心して医療を受けられるようになった、そうなるように社会保障の一翼を担っていただくことを要望します。  新たな質問に入ります。  知事は、ことし十月からの非課税世帯の未就学児の医療費窓口負担ゼロを目指して、乳幼児医療費助成の在り方に係る有識者懇談会を開催しておられます。未就学児のうち非課税世帯のみを現物給付の対象とすることにより、行政、医療機関、国保連合会におけるシステム改修に係る費用が増大すること、事務手続が煩雑化すること、また、医療機関の窓口で課税世帯か非課税世帯かがわかってしまうこと等に関して議論がなされたと聞いています。  県としてはこれらの課題についてどう考えているのか、見解を伺います。  知事のマニフェストには、「子供医療費助成制度は、窓口での一時払いを完全ゼロにします」と示されています。しかし、十月からの現物給付の対象者は、非課税世帯と限定されたものです。住民税非課税世帯の子供は、対象年齢児の六人のうちの一人にすぎません。  子供を持つ多くの親や祖父母が、知事のマニフェストに期待していました。三反園知事になれば安心して子育てができる。そう思い、知事選で一票にその願いを託したのです。子供医療費助成の現物給付は、子育て支援の象徴でもあるのです。  知事、今回、非課税世帯に限定したことは、知事のマニフェストに対する県民の期待から大きく外れているのではありませんか。知事の見解を求めます。  知事は、「経済的な理由から受診を控えることによる症状の重篤化を防ぐという観点から、非課税世帯を対象とする」と言われていますが、経済的理由から受診をためらうのは非課税世帯だけではありません。子供の命を守ることに、親の所得による区別や差別はあってはなりません。  国においては、この間行ってきた医療費助成の現物給付に係る国保の減額調整措置、いわゆるペナルティーは、二〇一八年度から未就学児の分は適用しないこととされていますが、その条件として所得制限はありません。九州・沖縄で、本県と同様に現物給付を実施していなかったもう一つの沖縄県では、同じく十月から現物給付とする予定ですが、所得制限は設けず全ての子供を対象とする予定だそうです。  国が、全ての世帯を対象とした現物給付を認めているのに、なぜ本県は非課税世帯だけに限るのか、どうしても納得できません。全ての未就学児を対象に現物給付を実施すべきです。見解をお聞かせください。  県立高校当時一年生の生徒が自殺しました。遺族の要望により、本県で初めていじめ調査委員会が設置され、第三者委員会による調査が行われました。  私は、若い命がなぜみずからによって絶たれなければならなかったのか、その真相を明らかにし、二度とこのような事態が繰り返されないように何をすべきなのか、それを明らかにするためにも、初めて設置された第三者委員会は重要な役割を持っていると考えてきました。  また、このような悲しい事態は繰り返されてはなりませんが、今後、残念ながら、もし同様の事態が起きたときに、今回の委員会の調査の進め方等が前例となっていくことからも、この調査のあり方についてしっかりと見ていく必要があると考えます。  今回、いじめ調査委員会は、昨年三月三十日、調査結果を県教育委員会に報告しました。県教育委員会は十二月十四日、その調査結果を知事に報告しました。その際、いじめ防止対策推進法、文科省のいじめの重大事態の調査に関するガイドライン、鹿児島県いじめ防止基本方針に基づいて、遺族による調査結果に係る所見が、意見書として報告書に添えられました。  本日、私の質問の資料として配付させていただいたのが、遺族の代理人から提出された意見書です。もちろん遺族の了解を得た上で配付しています。  本日、これを配付したのは、今議会、補正予算関連議案として、いじめ再調査委員会条例が提案され、当初予算として、いじめ再調査に係る予算が計上されているからです。いじめ調査委員会の調査報告書の概要は公表され、県のホームページに掲載されていますが、遺族の意見書は公表されていません。知事は、この両方を見て再調査を行う判断をされたわけですから、両方を読まなければ、議会としてこれらの議案が妥当であるかの判断はできないと考えます。  意見書を読めばわかりますが、事実の単純な間違いや調査の不十分さ、いじめの判断の問題など、私は、知事が再調査を行うという判断をされたこと、遺族と面談した上で、再調査は教育委員会ではなく知事部局で行うとされた判断は、適切であったと評価するものです。  その上で、何点かお尋ねします。  知事は、その判断を示した記者会見において、「遺族に寄り添う」と発言されていますが、それは具体的にはどのような趣旨であるのか。再調査が決まった一月以降、遺族との協議はどうなっているのか。再調査を教育委員会ではなく知事部局で行うことを遺族が要望された理由について把握できているのか、伺います。  さきの調査委員会においては、県教育委員会や調査委員会が遺族の要望を聞かず、協議もしなかったことで、「息子の命が置き去りにされた思いを持ち、苦しかった」と遺族は語っておられます。  県の基本方針にも、文科省のガイドラインにも、調査の目的、調査主体、調査時期、スケジュール、調査事項や調査対象、調査方法、調査結果の提供などを調査実施前に保護者に説明し、結果報告はもちろん、途中の経過報告を行うことが示されています。  今回の再調査に当たっては、実際にこれらの説明は行われているのでしょうか。今議会に提案されている条例の可決後に説明を行う予定であれば、いつごろになるのかお示しください。  また、当初予算には、いじめ再調査事業が計上されておりますが、卒業した生徒への聞き取りや、県外からの委員を委嘱することも想定して積算されているのか、お尋ねします。  本県においては、今、学校における業務改善方針案が示され、三月十二日までパブリックコメントが行われています。同時に、かごしま教員育成指標なるものが示され、この徹底が図られていく状況にあります。  まず、学校における業務改善方針案についてお尋ねします。  この方針案の背景にある教職員の多忙な現状について、国は、全国実態調査の結果をどう分析しているのか。県教育委員会としては、本県の教員の勤務実態をどのように認識しておられるのか、お示しください。  昨年末、中央教育審議会は、学校における働き方改革に関する中間まとめを提出しました。この中には、原則的な視点、立場として、定められた勤務時間内で業務を行うことを基本とし、押しつけではなく各学校の主体性を大事にすること、国や地方公共団体が、学校や教師だけでは解決できない抜本的な方策や取り組みを講じる必要を述べた上で、削減すべき業務に関しても具体的に言及しています。これらは、教員の勤務実態が余りにも過酷であるがゆえの指摘であり、現実を直視した姿勢については評価するものです。  しかし、その解決策として示されたものは大変不十分なものと言わざるを得ません。それは、一番必要な教員数の抜本的増員が抜け落ちている点です。小学校の英語教育の早期化・教科化に伴う英語専科の教師と、中学校の生徒指導担当の教師の充実というささやかな教員増は要求していますが、今の教職員の長時間労働は、その程度の教員増で何とかなるような甘いものではありません。  教師にとって、子供たちがわかる授業をしたい、子供たちがおもしろいと思える授業をしたいというのは一番の願いです。しかし、他の業務に忙しく授業準備に充てる時間がとれない。やろうとすれば、学校に遅くまで残ってやるか、家に持ち帰ってやるしかありません。  そこでお尋ねします。  国は、教員定数を算定するのに、一時間の授業に一時間程度は準備が必要という考え方をとっています。二〇一六年度の教員勤務実態調査によると、小学校では、授業時間は四十五分一こまで考えると平日は何こまになるのか。また、授業準備は一こま当たり何分充てられているのか、お示しください。  全日本教職員組合、略称全教は、小学校での教員の授業時数の当面の上限を二十こま、これは一日当たり四こま、一こまは四十五分なので、一日当たり三時間にする提言をしています。授業に三時間、準備に三時間、その他の業務が一時間四十五分ならば、勤務時間内におさまります。そのためには、おおよそ一・四倍の教員が必要だという計算になります。  県教育委員会が策定した業務改善方針案には、改善策として、一、業務の簡素化、二、業務の効率化、三、業務改善の意識化とあります。業務自体が削減されれば簡素化となるかもしれませんが、方針案では、教員と事務職員との役割分担を行い、教員の仕事ではない仕事を事務職員にさせ、教員の負担軽減を図るというものです。これは、事務職員の増員なしには絵に描いた餅になってしまうのではありませんか。  また、業務の効率化については、そのための研修等の実施や外部人材等を生かしたチーム体制をとるとされていますが、かえってこれらに時間をとられてしまうのではありませんか。また、教職員の働き方に関する意識改革を図るとありますが、今の教職員の長時間労働の現状は、意識改革で改善できるようなレベルではありません。  中間まとめが教員の抜本増に向かえなかった根本には、安倍政権の姿勢があります。安倍政権は、四年連続教育予算を削り、教員の抜本増にも背を向け続けています。民主党政権が始めた三十五人学級を途中でとめたのも安倍政権です。  この業務改善方針案の終わりには、「本県の学校教育が更に充実するとともに、学校で働く教職員一人一人が、意欲と能力を最大限に発揮し、働きがいをもって教育活動を展開できる勤務環境の実現をめざします。全ては鹿児島県の子供たちのために」と結ばれています。  これを実現させるためには、示されている業務改善方針案とともに、学校事務職員を含めた教職員の定数増が必要だと考えますが、見解をお聞かせください。  もう一点、かごしま教員育成指標についてであります。  これは、二〇一五年末に出された中央教育審議会答申─これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について─に基づき、二〇一六年十一月に公布された教育公務員特例法等の一部を改正する法律で、国が示した指針を参酌しつつ、地域の実情に応じ、指標を策定することとされたことによるものであります。  この中教審答申は、現在の学校と教育の困難を打開し、課題を克服する責任を、主として個々の教員の資質に求めるものです。これは、学校と教職員の自主性を奪い、長時間過密労働を放置してきた国及び教育行政の責任を放棄するものであると同時に、安倍政権の目的遂行のために国による教育への政治支配を強化する方向で、教員の養成、採用、研修を統制しようとするものだと言えます。  教員の資質向上などと称して、国の方針のもとで、あるべき教員像を示し、研修で育成する方法で、今の学校と教育の困難が解決できるでしょうか。学校に策定が求められている育成ビジョンや研修計画による研修の強化は、さきに述べた中教審の働き方改革の中間まとめの方向性と矛盾するのではありませんか。教員が学びの専門家として、みずからの職責のために自主的に研修に取り組むことが必要です。  教員の自由と自主性が尊重され、教員が、身体的にも精神的にも余裕を持ち、子供たちや保護者にしっかりと向き合うことができる、そのような環境をつくることこそ、教育行政が行うべきことではないでしょうか。そのためにも、行政研修の削減、校内研修の機会の確保・充実、少人数学級の推進と授業の持ち時数削減のための定数改善、多忙化の解消を進めることこそ、教育行政の責務ではありませんか。  県教育委員会の見解を求めます。  鹿児島市南部の特別支援学校の整備について、昨年第二回定例会においては公明党会派の議員が、第三回定例会では自民党会派の議員が、第四回定例会では県民連合会派の議員が取り上げています。これは、県議会の全会派が一致した要求です。  知事は、これらの答弁で、「私は特別支援教育を推進したい」、「保護者に熱い思いを聞かせていただき、全く同じ思いである。思いを重く受けとめ、対応していきたい」と述べられました。知事の任期や県議の任期は四年間でありますが、この課題は、その間のうちに対応すればいいというわけにはいきません。子供たちは日々成長しており、一年一年学年は進んでいきます。鹿児島市南部の特別支援学校整備は、今の鹿児島県の特別支援学校をめぐる課題の中でも最優先の課題ではないでしょうか。もちろんそれなりの予算が必要となります。だからこそ一日も早い知事の決断が必要です。  知事の見解を求めます。    [知事三反園 訓君登壇] 30 ◯知事(三反園 訓君)御遺族の思いに寄り添うことの趣旨についてであります。  今回の事案につきましては、前途ある生徒のかけがえのない命が失われたことを大変重く受けとめております。教育委員会の報告書や御遺族から提出された意見書、御遺族との面会で直接お伺いした御意見などを踏まえまして、文部科学省が定める、いじめの重大事態の調査に関するガイドラインに基づきまして、中立性・公平性を確保するとともに、御遺族の思いに寄り添って再調査を行うこととしたところであります。  今後も、随時御遺族の意向等も確認しながら、丁寧に対応してまいりたいと考えております。  知事部局による再調査の要望理由の把握についてであります。  去る一月十一日に御遺族と面会いたしまして、直接思いをお伺いし、その思いに寄り添い、対応する必要があると考え、知事部局において再調査を行うこととしたものであります。 31 ◯保健福祉部長(藤本徳昭君)まず、乳幼児医療費助成の在り方に係る有識者懇談会で議論された課題に対する見解についてであります。  乳幼児医療費助成の在り方に係る有識者懇談会においては、子供の医療費助成に係る新たな制度の創設に伴う課題として、医療従事者の負担や保険者、市町村の財政負担の増加、医療機関における窓口業務や市町村の事務の煩雑化などが示されたところであります。  こうした課題に対応するため、子供が急な病気やけがをした場合の対処法を記載したパンフレットの配布、小児救急電話相談のさらなる周知など、適正受診の啓発に取り組むこととしております。  また、市町村に対しては、既に条例改正のための標準例や受給者証の様式例などを提示してきており、医療機関に対しては、窓口対応を含めた新たな事務の取り扱いに関する説明会を開催することとしております。  なお、それぞれのシステム改修経費の負担については、市町村などとの協議が調ったところであります。  次に、窓口無料化の対象についてであります。
     県といたしましては、子供の医療費助成について、経済的理由により受診を控えることによる症状の重篤化を防ぐため、平成三十年十月から、住民税非課税世帯の未就学児を対象に、医療機関等における窓口負担をなくす制度を導入することとしております。引き続き、県医師会や市町村等と協議しながら、着実に準備を進めてまいります。 32 ◯総務部長(寺田雅一君)いじめ問題の再調査に関する御質問のうち、御遺族との協議についてのお尋ねについてでございます。  文部科学省が定める、いじめの重大事態の調査に関するガイドラインにおきましては、その基本的姿勢といたしまして、被害児童生徒・保護者に寄り添いながら調査を進めることとされているところでございます。  再調査の進め方等について検討するに当たりましては、条例に規定する内容等も含め、随時御遺族の意向等も確認してきているところでありまして、先ほど知事からお答えがありましたとおり、引き続き、丁寧に対応してまいりたいと考えております。  続きまして、再調査に当たっての御遺族への説明についてでございます。  再調査の進め方等につきましては、条例に規定する内容等も含め、随時御遺族に説明してきているところであり、今後も、再調査の進め方等について、御遺族に対し、順次丁寧に説明してまいりたいと考えております。  当初予算における積算内容についてでございます。  平成三十年度当初予算におきましては、いじめ再調査委員会の委員報酬や旅費、その他事務費など四百三十三万三千円を計上しているところでございます。このうち委員報酬については、委員の一部は県外から委嘱することも想定しているところでございます。  また、再調査の具体的な内容等につきましては、今議会の御審議を経て設置する第三者機関としてのいじめ再調査委員会における検討を踏まえたものになるものと考えているところでありますが、当初予算の積算に当たりましては、事実関係の調査に要する経費も見込んでいるところでございます。 33 ◯教育長(古川仲二君)国の教員勤務実態調査の結果の分析等についてでございます。  先般、文部科学省が公表した教員勤務実態調査の速報値によりますと、十年前と比較して、小・中学校とも教員の勤務時間が増加しているという結果となっているところでございます。このことについて文部科学大臣は、「教育の質の向上やさまざまな教育課題への対応が求められる中、教員の長時間勤務に支えられている状況は既に限界に来ている」との認識を示したところでございます。  県教委といたしましても、教員の勤務の負担軽減にさらに取り組む必要があると認識いたしておりまして、本年度中に、学校における業務改善方針を策定するとともに、来年度の早い時期に、教員の長時間勤務要因分析調査を実施し、その結果や引き続き実施するモデル地域での調査研究の成果等も踏まえ、本県の実情に即した中長期的な具体的取り組みや数値目標等を検討することといたしております。  次に、教員勤務実態調査における授業時間等についてでございます。  文部科学省の教員勤務実態調査では、小学校教諭の平日一日当たりの授業にかかる時間が四時間二十五分と示されておりまして、仮に一こま四十五分で換算いたしますと、授業数は約五・九こまとなり、また、授業準備にかかる時間は一時間十七分と示されておりまして、先ほどの授業数で換算いたしますと、授業準備は一こま当たり約十三分ということになります。  教職員の定数改善についてでございます。  文部科学省においては、中央教育審議会の中間まとめで示された具体的な方策を踏まえ、学校における働き方改革に関する緊急対策として、平成三十年度予算案に、授業準備や共同学校事務体制の強化など、複雑化・困難化する教育課題への対応等のための教職員定数の改善を計上しているところでございます。  また、同緊急対策におきましては、今後も、学校における働き方改革の実現に向けた環境整備のため、必要な予算を確保することとしているところであります。  県教委におきましては、全国都道府県教育長協議会・教育委員協議会を通じ、新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革のための指導・運営体制の構築のための定数改善について、国に要望してきているところでございまして、今後とも引き続き、教職員の定数改善等、国の働き方改革に係る動向等を注視してまいりたいと考えております。  次に、子供たちや保護者と向き合うことのできる環境づくりについてでございます。  今回策定することといたしております、学校における業務改善方針においては、学校における業務改善は、教員が児童生徒に接する時間を十分に確保し、授業や授業準備等に集中して取り組み、健康で生き生きとやりがいを持って勤務できるように推進することといたしております。  そのためには、具体的な削減目標の設定等により、業務の総量の削減を図ることが重要であり、その際には、これまでの教育の質の維持・向上に留意し、児童生徒に真に必要な総合的な指導を持続的に行うことができるように努めることとしているところでございます。  県教委といたしましては、教員が担うべき業務の適正化などを通した業務の簡素化、管理職のマネジメント力の向上などによる業務の効率化、勤務時間管理の徹底を含めた業務改善の意識化の三つの方向性により、学校の業務改善を推進するとともに、計画的な定数改善についても、国に対して引き続き要望してまいりたいと考えております。  次に、鹿児島市南部の特別支援学校整備についてでございます。  鹿児島市南部地区の特別支援学校のあり方につきましては、桜丘養護学校の在籍者の推移やそれに伴う学習環境の状況変化等、さまざまな状況を総合的に検討する必要があると考えておりまして、それを踏まえて、今後の対応につきましても引き続き検討してまいりたいと考えております。 34 ◯まつざき真琴君 自席から、知事に再質問いたします。  子供医療費の現物給付については、私は、知事のマニフェストの関係でどうなのかというのをお尋ねしました。今後、マニフェストの完全実施を目指して、全員を対象として現物給付を行うことを検討していただきたいと考えますが、いかがですか。  もう一点、鹿児島市南部の特別支援学校の整備について、私は、知事の議会での答弁を紹介いたしました。知事が、「保護者の気持ちがよくわかる、推進したい」と言われている。でも、待っても待ってもそれが形になってあらわれない。なぜでしょうか。形にできない理由は何かあるんでしょうか。いつになったら知事の思いが形になるのか、お示しください。 35 ◯知事(三反園 訓君)まず、第一点でありますけれども、お金がなくて子供を病院に連れていけない、そんなことがあってはならないわけでありまして、困った人がいる、であれば、まずその人を何とかしたい、そういう思いで今回取り組んでいるわけであります。  例えば、山に登らなきゃいけない。高い山で、富士山でもいいわけでありますけれども、一気に登れればいいが、一気に登れる体力がない。であれば登らなくていいかというと、そうでもないわけです。必ず登らなきゃならない。そういう道があったらまず何をやるかといいますと、自分の体力をまず見て、二合目か三合目にある山小屋までは何とかたどり着きたいと、そこで体力を待たなきゃいけないわけです。そうしなければ、一気に登ったとして、体を壊してしまえば元も子もないということもあるわけですよ。  さまざまなことを考えて、まずはお金がなくて子供が病気であっても連れていけない、そういう人たちを何とかしたい、そういう思いで今回取り組んでいるわけであります。  第二点でありますけれども、これに関しましては、私は子育て支援に特に力を入れて取り組んでおりまして、これまで何回も申し上げたとおり、私は、障害のある子供一人一人を大切にする特別支援教育に関しましては推進してまいりたいと考えております。    [まつざき真琴君登壇] 36 ◯まつざき真琴君 子供医療費の現物給付について、知事がおっしゃりたいのは財政状況云々ということだと思います。それは全ての事業に当てはまりますが、その中で優先順位をつけながら、知事の意思も反映されて予算が組まれていくのだと思います。「体力をつけてから」と言われるのであれば、いつごろ完全実施を目指すのか、その方向性を示しながら、理解を県民に求めていっていただきたいと思います。  鹿児島市南部の特別支援学校の整備については、子供たちは日々成長します。「親の思いを受けとめた」と言われるわけですから、一日も早く決断し、スタートされることを強く要望いたします。  いじめ再調査委員会について、遺族は納得いく十分な調査が行われれば、その結果がどうであろうと受け入れることができると話されます。残念ながら、さきの調査委員会は意見書にあるようなものでした。県のホームページには、報告書の概要だけでなく、その再調査を実施する根拠となる意見書もあわせて掲載すべきです。対応を強く要請しておきます。  今、鹿児島は、明治維新百五十周年や西郷どん効果、二〇二〇年の国体開催、外国人観光客でにぎわう商店街など、大変活気とにぎわいがあるように見えます。しかし、その華やかさとは縁がなく、日々厳しい暮らしを営んでいる県民が多数いるのも現実です。光が強いほどその影も強くなります。国の社会保障費削減、教育費の削減で格差と貧困が広がる中で、県が、県民の命と暮らしを守るためにその役割を果たすときです。  日本共産党は、何よりも県民の暮らし、福祉最優先の県政実現と、日本の平和と自衛官の命を守るために憲法を守る決意を申し述べ、私の一般質問を終わります。 (拍手) 37 ◯議長(柴立鉄彦君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        正  午   休憩       ───────────        午後一時十五分再開 38 ◯議長(柴立鉄彦君)再開いたします。  田畑浩一郎君に発言を許可いたします。    [田畑浩一郎君登壇](拍手) 39 ◯田畑浩一郎君 午後のトップバッター、そしてまた自民党のトップバッターでございます。自民党では心の広い順番に一番が回るということで、私がトップバッターでございます。執行部の皆様方は明確な答弁をお願いいたしたいと思います。  また、午前中には同僚議員が受動喫煙の話もされましたけれども、私は愛煙家でございます。昼、たばこを吸って心を落ちつかせての一般質問でございます。  それでは、質問に入らせていただきたいと思います。  まずは、一月末から続く厳しい冷え込みで打撃を受けている農家の皆様に心からお見舞い申し上げます。  県内の農家では、この居座る寒波により、露地栽培の豆類やバレイショ、キャベツなどに二億円を超える多大な被害が発生しており、生産農家は大きな痛手をこうむっております。  私の地元の南九州市でも、一月末の寒波で霜害を受け、スナップエンドウに見られる霜ざや被害で表面が白くなり、製品にならないということで、その後の出荷に期待して切り落とす作業を連日続けているようでありました。  私も、霜ざやのスナップエンドウをいただき、食べてみましたが、普通のスナップエンドウに比べ、さほど味が劣るということも感じられませんでした。地球温暖化が進み、霜害がふえることも考えられますので、このような被害を受けた作物の活用方法も、今後においては農政サイドで考えておくべきではと考えるところであります。  また、ハウス栽培の方々にとっても、燃料費が高騰している中、この寒気の影響で燃料費に係る経費が多額となり、苦慮されていることと思います。県当局、また議会としましても、被災農家への支援に努め、農家の皆様が一刻も早く生産意欲を取り戻せるよう努めてまいるべきと考えております。  それでは、質問に入りますが、県勢発展のため、また県民の福祉の向上を目指した質問に徹したいと思います。誠実で明確な答弁を期待します。  まず、サービス付き高齢者向け住宅についてであります。  サービス付き高齢者向け住宅、このサ高住は、国土交通省・厚生労働省が所管する高齢者の居住の安定確保に関する法律が、平成二十三年四月二十七日の通常国会で全面的に改正され、同年十月二十日に施行され、それにより創設された登録制度でありますが、この法の基準により登録される、介護・医療と連携し、高齢者の安心を支えるサービスを提供するバリアフリー構造の住宅で、賃貸借方式が一般的となっております。  高齢者の単身・夫婦世帯が安心して居住、生活できる環境を整えた賃貸等の住まいづくりを推進するために制定され、登録は、都道府県、政令市、中核市が行い、指導監督とともに、何か問題があれば自治体の立入検査が可能となっており、国による建設・改修費の補助や税制の優遇、住宅金融支援機構による融資の支援が行われております。  入居者は、六十歳以上の高齢者、または要介護・要支援認定者及びその配偶者・同条件の親族や特別な理由により同居する必要があると都道府県または指定機関が認めた同居者となっておりますが、この範囲内において、要介護者のみや、逆に入居時自立など、入居者資格を限定している住宅もあります。  入居者にとってのメリットは、介護付き有料老人ホームや特別養護老人ホームなどと異なり、要介護度の低い人でも積極的に入居者を受け入れてくれ、入居者の同意のない一方的な契約解除が禁じられており、安定した暮らしが確保できます。  要介護度の低い元気な高齢者の受け入れを前提としているため、施設への出入りも自由にでき、居室内に風呂を用意していつでも入浴できるようにしたりと、他の介護施設にはない自由度の高さが魅力と言えます。  デメリットとしては、要介護度の高い人の入居が難しく、入居時には自立だったとしても、入居後に体調を崩したりして要介護度が高くなった場合、退去しなければならない場合もあります。  介護に重きを置いていないので、医師・看護師が常駐していないケースが多く、病気やけがをしたときに自分で病院を見つけることも考えられ、健康面でのサポートが確約されておりません。  夜間の見守りは、緊急通報システムにより外部の警備会社など協力会社につながる場合も多いようで、見守り体制が希薄と言えるようであります。  昨年暮れの新聞紙面で、自立した高齢者の住みかえ先として想定されていた県内のサ高住が、平成二十八年度で入居者の二六%は、要介護三以上の重度の要介護者だったことを目にしたわけであります。  これによりますと、平成二十七年度、少なくとも七十六件のサ高住に千五百八十人が暮らし、このうち四百三人は、起立や歩行が難しく、排せつが自分だけではできない要介護三以上の認定者であり、要介護一から五の認定者で見ると、七〇%以上に上っているとのことであります。  そこで、一点目のサービス付き高齢者向け住宅の入居状況についてでありますが、現在、県に登録されているサ高住が何件存在し、何名の方が入居されているのか伺います。  次に二点目の、入居者が安心して居住、生活できる環境の確保についてでありますが、本来、このサ高住の登録基準は、床面積が原則二十五平方メートル以上で、便所・洗面設備等を設置し、バリアフリー化することと、サービス面では、少なくとも安否確認、生活相談サービスを提供することとなっております。  制度の本来の目的は、高齢者の単身・夫婦世帯が安心して居住、生活できる環境を整えた賃貸等の住まいづくりを推進することでありますが、入居時点においては自立できていた高齢者が、年数の経過とともに重度の要介護者となってしまっている、このような入居状況をどのように捉えているのか、見解を求めます。  当然、サ高住は賃貸住宅であり、介護施設と異なる対応となるわけでありますが、重度の要介護者も多い状況下において、万一事故等が発生した場合の対応においても、状況に応じた備えが必要と考えるところであります。  実際、つえを持った入居者が自室内で転倒、骨折し、夜十時から翌朝七時の朝食配膳時まで発見されなかったケースや、介護経験のない職員による介助で骨折を負うケースが発生しているような状況が見られるところであります。サ高住における、入居者が安心して居住、生活できる環境をどのように確保していく考えか、見解を求めます。  次に、三点目のサービス付き高齢者向け住宅の今後のあり方についてでありますが、県内の管理者からは、想定以上に入居者の重度化が早かった、サ高住の限界を感じる、また、ケアの質を保障できない、段階的な廃止を検討しているとの声まで上がっているようであります。  このサ高住は、高齢化が急速に進む中で、高齢の単身者や夫婦のみの世帯が増加しており、介護・医療と連携して高齢者を支援するサービスを提供する住宅を確保することが極めて重要である一方、サービスつきの住宅の供給は、欧米各国に比べ立ちおくれているのが現状であり、高齢者の居住の安定を確保することを目的として、バリアフリー構造等を有し、介護・医療と連携し高齢者を支援するサービスを提供するサ高住の都道府県知事への登録制度を、国土交通省・厚生労働省の共管制度として創設されております。  特別養護老人ホームを初めとする公的な介護施設等への入居待ち問題が深刻な昨今、民間による介護施設の充実という点でも大きな期待が寄せられております。  このように、サービス付き高齢者向け住宅の役割を踏まえた上でも、予想以上に重度化が進んでいることを考えると、入居者の適切な処遇を維持するための取り組みが必要ではないかと考えますが、現在の入居者の処遇の現状と今後の対応について、見解を求めます。  次に、指宿スカイラインについてであります。  薩摩半島の南部に当たる指宿市の池田湖に近い大迫地区を起点として、九州自動車道の終点でもあります鹿児島インターチェンジ付近を終点としている、全長五十・九キロメートルの指宿スカイラインは、谷山インターチェンジから鹿児島インターチェンジ間七・六キロメートルは、地域高規格道路の南薩縦貫道として自動車専用道路で、片側二車線で整備され、最高速度は七十キロメートルとなっており、本県高速道路網としての重要な役割を果たしております。  一方、指宿大迫地区から谷山インターチェンジ間四十三・三キロメートルにおいては、全区間五十キロメートルの最高速度となっております。  一部、南九州市に位置する千貫平自然公園前後十一・六キロメートルについては二次改良が実施され、急カーブの解消や、急勾配箇所六・二キロメートル間については登坂路も整備され、走行性は快適な道路となっており、整備に感謝しているところであります。  しかしながら、その他の区間においては、開設当時の状況の箇所がほとんどであり、この区間の最小半径は四十五メートルと急カーブで、最大縦断勾配も一〇%となっております。指宿市大迫地区から頴娃インター間においては、八%以上の縦断勾配のある箇所は五・七キロメートルで、頴娃インターから谷山インター間においては、五%以上が一九・一キロメートルと、縦断勾配のきつい区間がまだまだ多く存在している状況であります。  次に、指宿スカイラインの交通量について示します。  現在、有料区間となっている頴娃インターチェンジから谷山インターチェンジ間における状況についてでありますが、通行車両のデータが、上下線合計で十二時間交通量となっております。  まず、谷山インターチェンジにおける状況でありますが、開設当初の昭和五十五年時点で三百一台、これが、昭和六十三年度が二千百十九台と増加し、平成二年度が二千九十台、平成十一年度が千六百六十九台と徐々に減少し、平成二十七年度では五百三十台と大幅に減少してきている状況であります。  一方、四車線化されている区間にある山田料金所の状況でありますが、昭和六十三年度が四千六百二十二台、平成二年度が六千六百二十一台と徐々に増加し、平成十一年度が一万四千百二台、直近のデータが出ている平成二十七年度で一万七千七百九十四台と大幅に増加してきている状況であります。これは、高速道路体系として整備されたことや、産業道路からの連絡が高規格道路として整備されてきたことが大きな要因と考えるところであります。  そこで、一点目のETC設置についてでありますが、平成二十八年三月に、指宿有料道路の事業計画の変更を行い、三期区間においては、ETC設置や山田インターのフルインター化を行うこととされました。これまで山田料金所においては、利用料金を現金や回数券で徴収していましたが、利用者から要望の強かったETCを設置したところであり、九州自動車道との連携や山田料金所の渋滞解消においても必要不可欠な施設整備と考えるところであります。  そこで、ETCが設置されてから三カ月近く経過したわけでありますが、少し前に、ゲート前でしばらく動かない車が見られました。また、ETC搭載車でない車が入り、随分長く待たされ、車の列ができたこともありましたが、トラブルや苦情等の状況について、どのようなトラブルがどの程度の頻度で発生し、どのように対処しているのか、また、トラブル防止のため、ETCについての周知徹底にどのように取り組まれているのか、伺います。  それと、ETC利用者の利用料金が、普通車で三百二十円が二百九十円に一割程度減額となっておりますが、これは、料金所での渋滞緩和のため、利用者へのETC利用促進の効果もあると考えるところでありますが、ETCをどれぐらいの割合の車が利用しているのか、お示しいただきたいと思います。  また、ETC設置により渋滞緩和に効果があったと判断されているのか、伺います。  次に、二点目の道路整備についてであります。  指宿市大迫地区から谷山インターチェンジ間については、昭和四十四年三月一日に指宿有料道路一期区間、昭和五十二年四月一日に二期区間が供用開始され、四十年余りが経過しております。  その間において、先ほど話しました千貫平自然公園前後十一・六キロメートル間は二次改良され、整備されたわけでありますが、その他の区間においては、災害復旧工事の実施やのり面吹きつけ工事程度で、二次改良されていないところであります。急カーブ、急勾配が連続している状況が解消されていないところでありますが、その間において近隣の道路整備が進んだことにより、一層、道路の利用が敬遠されている状況かと考えるところであります。  本来、この道路は、観光促進や物流の移動面においても重要な路線でありますが、改修に多額の費用を必要とすることから取り残されたところであります。近隣の道路の利用に切りかえた方の多くが、この指宿スカイラインが整備されればまた利用されることは言うまでもありませんが、余りに近隣の道路に比べ整備が取り残されたことから、利用が敬遠されているところであります。  また、指宿スカイラインは、国道二百二十六号と並行した形で鹿児島市と指宿市を結んでおります。これは、言うまでもなく、万が一におけるバイパス、迂回路としての役目を果たすこととなります。  国道二百二十六号は、一部急峻な崖地を抱え、また、片側は海に接する区間が多い路線であります。最近におきましても、降雨時における道路閉鎖が見られ、また、地震時における津波等のおそれも考えられないことはありません。長期にわたる想定外の通行どめが発生した場合のことを考えますと、迂回路は必要となってまいりますが、その役割を果たすのが指宿スカイラインとなってくるものと考えます。そのためにも、この路線の整備を早急に進める必要があると思います。  抜本的な改修を望みますが、最低限、局部的な改修等に計画的に着手していくことも必要と考えますが、整備についての見解を求めます。    [知事三反園 訓君登壇] 40 ◯知事(三反園 訓君)山田料金所のETC設置についてであります。  山田料金所のETC設置につきましては、昨年十二月に上下一レーンずつ、合わせて二レーンを供用し、残る二レーンを来月に供用することとしておりましたが、早期全面供用に向けて取り組んだ結果、今月二十日に供用することができまして、上下合わせて四レーンとなりました。  これまで、ETCカードの差し忘れなどによる通行できない事態も発生しておりますが、オペレーターによるETCカードの確認案内等により対応しており、機器に関する大きなトラブルもなく順調に運用されているところであります。  また、今月二十日に上下二レーンずつとなったことにより、一レーンのみの場合と比べて代替性が確保されまして、利用者への影響を最小限にできるようになったと考えております。
     ETC周知の取り組みといたしましては、供用前に利用者向けのチラシを作成し、配布したほか、山田料金所手前に、ETCカード未挿入お知らせアンテナを設置し、車載器にETCカードが正しく挿入されていない車両への事前通知を行っているところでもあります。  利用者に占めるETC利用の割合につきましては、ことし一月末時点において、およそ八割の方がETCを利用されております。  ETC設置によりまして、朝夕の通勤時間帯に慢性的に発生しておりました渋滞も解消されたほか、供用後二カ月間の利用台数は前年同期に比べておよそ七%ふえておりまして、地域の活性化や産業・観光振興が一層図られるものと確信しております。 41 ◯土木部長(渡邊 茂君)サービス付き高齢者向け住宅の入居状況についてでございます。  サービス付き高齢者向け住宅、いわゆるサ高住は、バリアフリー化された構造で一定の面積・設備を有するなど、高齢者にふさわしいハード面の仕様を有するとともに、高齢者が安心して生活できるよう、見守りなど状況把握サービスや生活相談サービスを備えた住まいとして、平成二十三年に登録制度が創設されたものです。  県内では、その登録を県と中核市である鹿児島市が行っており、平成二十九年三月末現在の県内の登録数は九十一施設二千二百七十一戸であり、年々増加しております。登録されたもののうち、同月末現在で入居開始しているものは八十七施設二千百二十九戸で、そのうち県の登録分は四十七施設千百六十戸で、千四十六人が入居しております。  続きまして、入居者が安心して居住、生活できる環境の確保についてでございます。  サ高住の入居者は、六十歳以上または要介護・要支援認定を受けている方であり、自立している方から介護等の支援が必要な方まで対象が幅広い中、平成二十九年三月末時点で、県に登録されているサ高住のうち、要介護三以上の入居者が二六・九%を占めている状況にあります。  県内におけるサ高住のほとんどは、必須とされる入居者の状況把握や生活相談サービスに加え、食事や入浴等の介護などの高齢者生活支援サービスを提供しており、老人福祉法に基づく有料老人ホームに該当しています。  また、介護事業所などが併設されているサ高住が全体の八割を超えており、訪問介護や通所介護のサービスを利用しやすい状況にあり、入居者が要介護度の状況変化に応じて必要な介護サービス等を選択、利用できるよう、住宅・福祉部局が連携し、入居者が安心して居住、生活できる環境の確保に努めていく必要があると考えております。  続きまして、指宿スカイラインの整備についてでございます。  指宿市大迫から頴娃インターまでの一期区間十四・一キロメートルについては、一般道として県が管理を行っており、このうち頴娃インター側十一・六キロメートルについては、走行性や快適性の向上を図るため線形改良や拡幅及び沿道修景等を行ったところです。残る大迫側の急カーブで急勾配が連続する約二キロメートルにつきましては、池田工区として平成二十二年度から整備を進めており、これまでに登坂車線二百五十メートルを供用し、現在、バイパス区間五百五十メートルの改良工事を行っております。  頴娃インターから谷山インターまでの二期区間二十九・二キロメートルについては、緊急性の高いのり面対策箇所から整備を進めており、現在、整備を進めている事業の進捗を見きわめながら、のり面対策など整備内容の見直しによる事業費の縮減もあわせて検討を進めているところであります。 42 ◯保健福祉部長(藤本徳昭君)サービス付き高齢者向け住宅入居者の処遇の現状と今後の対応についてであります。  サービス付き高齢者向け住宅の入居者は、それぞれの意向に応じて、ケアマネジャーの作成するケアプランに基づき、訪問介護などの在宅サービスを利用できるほか、本人が希望し要件を満たす場合は、施設サービス等を利用することも可能であります。  また、有料老人ホームに該当するサ高住においては、入居者が介護施設への入所等を希望する場合、管理者は、入所先の紹介や転居などに係る支援に努めることとされております。  県といたしましては、引き続き、立入検査等において、各住宅管理者に対し、入居者がその希望に沿った適切なサービスを受けられるよう指導してまいります。    [田畑浩一郎君登壇] 43 ◯田畑浩一郎君 それぞれ答弁いただきました。  まず、サービス付き高齢者向け住宅についてでありますが、朝日新聞社が、全国約二十一万戸のサ高住を監督する都道府県と政令指定都市、中核市の計百十四自治体に情報公開を請求しておりますが、九十七自治体が事故報告書を、また、全ての自治体が運営報告書を平成二十九年二月までに開示しております。  その事故報告書によりますと、平成二十七年一月から平成二十八年八月末までの事故発生件数は三千三百六十二件となっております。事故のうち最多は骨折で千三百三十七件となっております。なお、病死を除く死亡が百四十七件発生しているとのことであります。  先般の南日本新聞の掲載記事によりますと、本県においても、平成二十六年度以降、骨折や切り傷などの事故が少なくとも五十二件発生しているとのことであります。  サ高住は、一日一回の安否確認と生活相談が義務づけられておりますが、夜間は、緊急通報システムがあれば職員常駐は不要となっております。  事故報告書では、事故の半数以上の千七百三十件は個室で起き、そのうち九百九十一件は、職員が手薄になりがちな午後五時から翌朝の午前九時に発生しております。北海道稚内市のサ高住では、平成二十七年十二月に、個室の床で後頭部を打ち失血死していた入居者が午前六時半に見つかっており、巡回は、約五時間半前の午前一時が最後だったとのことであります。  自立していた高齢者が年数の経過とともに重度の要介護者となっていくことは十分あり得ることでありますが、この方たちの安定というか、安全面を重視した方策を展開していただきたいと思います。  今後、超高齢社会を迎える我が国において、施設から在宅へと高齢者の医療・介護提供体制の転換が図られる中、その受け皿としてサービス付き高齢者向け住宅の役割はますます期待されるものであります。しかしながら、その実態を見ると、住宅というより施設化していることや、制度変更リスクや運営リスクといった事業継続リスクを十分に理解せず、安易に参入している事業者が多い可能性も懸念されます。  サ高住の大部分が有料老人ホームであるとのことであり、適切な入居者の処遇に努める必要がありますが、できる限り本来の目的に沿うような形で運営されるためには、課題が山積しているようであります。当然ながら、重度の要介護者の処遇の改善に向けて、医療機関や介護施設との連携、居住の安定性の確保のための周辺の医療施設とのアクセスを確保する必要もあります。  事業者の事業継続に向けての指導や、事業継続が困難になった場合や入居者が家賃の支払いができなくなった場合などに、入居者の居住の安定が確保されるような枠組みの構築を推進するために、例えば、地元の自治体や事業者団体等による事業の引き継ぎ先の確保に向けた取り組みの実施や、居住支援協議会等による安心な賃貸住宅の情報の提供・あっせんなど、各種サービス事業者等の紹介の実施なども必要かと考えます。  国の情報を注視しながら、本県と鹿児島市、事業運営者、金融機関、利用者それぞれが持つ課題や問題点を少しでも克服していくよう要望いたします。  次に、指宿スカイラインについてでありますが、ETC設置の効果は、渋滞緩和や料金の準備が必要なく、利用者の安全運転の確保など大きなものがあり、今回、上下線二レーンずつ整備されたことは非常に好ましいことと思います。反面、ETCが故障しますと渋滞発生や重大事故にもつながりかねませんので、メンテナンスや点検には十分配慮いただきたいと思います。  道路整備についてでありますが、近隣にあります国道二百二十五号の鹿児島市側においては、急カーブをなくし、また、縦断勾配が五%以上の区間については登坂路を設置しており、鹿児島市から入りますと、福平中学校を過ぎてから登坂路が始まり、川辺峠のトンネル入り口手前まで全区間設置されております。  現在、指宿スカイラインの二次改良されていない箇所においては登坂路もほとんどない状況でありますが、カーブが厳しいことには皆さん閉口しているようであります。車酔いされた方も多いようで、一層、利用の敬遠に拍車がかかるのではないでしょうか。  県外の方が空港から南薩方面の観光地や目的地に行かれるとき、カーナビを設定すると、少し古い型のカーナビは、ルートとして指宿スカイラインを利用するコースを表示しているようで、鹿児島の道路は整備がされていないね、特に有料道路はひどいねという声をよくお聞きするところであります。県外の方にこうしたイメージを持たれることは、本県のイメージとしても寂しい限りで、何とか対応できないものかと思います。  今回、利用促進策として料金引き下げの検討を表明されましたが、余りにも走行性の悪い現状では、たとえこの区間が無料化されても利用者の増加は余り望めないものと思います。  しかしながら、本来、非常に利用価値の高い道路であり、全面的な早期改修が予算面等で当分の間、厳しいとのことであれば、せめて、厳しいカーブの箇所を解消するなど、部分的にでも計画的な改良を実施していただけたら、利用者は増加するものと考えます。  この指宿スカイラインの整備が進みますと、県都鹿児島市と薩摩半島南部を結ぶ観光・物流の大動脈としての役割を担うことになるものと確信いたしておりますので、県を挙げての早急な対応方を強く要望いたしまして、この件については終わります。  それでは、ドクターヘリ及び防災ヘリについて質問いたします。  救急医療用ヘリコプター、通称ドクターヘリについては、本県においても、県当局の御苦労により平成二十三年十二月に運航が開始されており、また、奄美ドクターヘリも、平成二十八年十二月に運航を開始して一年余り経過しているところであります。離島を含む広範囲な地域を対象に効果的な救急医療体制がとられているところでありますが、救急車での搬送に比べ大幅に救命率が向上していることから、平成二十八年度の全国の搬送件数は十年前の五倍に当たる二万件を超えており、今後、ニーズはさらに高まるものと考えます。  消防・防災ヘリコプター、通称防災ヘリについては、平成十年六月に運航開始し、平成二十六年四月からは航空隊員を一名増員し、隊員七名体制となっておりますが、同年九月に枕崎ヘリポートの供用を開始し、現在、鹿児島県防災航空センターとして活動しているところであります。フライト時間も平成二十七年五月には五千時間を達成しており、隊員の努力もあり無事故でのフライトとなったことから、知事表敬されたところであります。  防災ヘリにおいては、災害時等の被災状況等の調査及び情報収集、食料、衣料の生活必需品及び復興資材等の救援物資及び人員等の搬送の災害応急対策活動や、河川及び海等での水難事故並びに山岳遭難事故等における捜索及び救助活動、また、山村及び離島からの傷病者の搬送や、高度医療機関のない地域からの傷病者の施設間搬送などの救急活動等が行われており、県民にとっては緊急時、心強い存在となっております。  そこで、一点目の稼働状況についてでありますが、奄美ドクターヘリが運航して一年余りが経過しております。昨年一月一日から十二月三十一日までの一年間における各地区消防本部や各地域の医療機関から要請があった救急搬送状況についてでありますが、県ドクターヘリと奄美ドクターヘリの出動要請件数と実際に出動した件数、搬送患者数、また、搬送が重なり対応できなかった件数をお示しいただきたいと思います。  それと、防災ヘリについて、出動要請件数と実際に出動した件数、搬送患者数をお示しいただきたいと思います。  次に、二点目の操縦士の二人体制についてでありますが、防災ヘリについて伺いたいと思います。  現在、総務省消防庁は、自治体の運航する防災ヘリについて、安全性確保のため、二人の操縦士が搭乗するダブルパイロット制を推進する方針との報道が流れております。平成二十九年三月の長野県松本市での、操縦士が一人の県防災ヘリが墜落した事故を受け、平成三十二年度から財政面で支援できるよう調整を進めるようであります。  操縦士二人体制になると、機長とは別の操縦士が計器のチェックや周囲の警戒を担当し、機長の体調が悪化したときには操縦をかわることもあり、操縦に係る安全性がより確保されます。  そこで、現在の全国の自治体や消防の運航する防災ヘリの機数と、ダブルパイロット制をとられている機数をお示しいただきたいと思います。  次に、私は、近い将来において本県もこのダブルパイロット制に切りかえるべきだと考えます。現在の防災ヘリですが、昨年の十二月定例会において、平成三十年度に更新することとし、平成三十年度当初予算に経費が計上されております。当時、私も不勉強でこのダブルパイロット制についての知識がありませんでしたが、現在の防災ヘリはダブルパイロットでの運航は行われておりません。  そこで伺いますが、現在、本県の防災ヘリの運航体制はどうなっているのか。また、今回、災害応急対策などのさらなる充実を図るとして、消防・防災ヘリコプター機体更新事業として約二十八億五千万円と多額の費用を計上されておりますが、更新される機体はダブルパイロットでの運航が可能なのか、伺います。  次に、三点目の操縦士の確保についてでありますが、救急ヘリや防災ヘリの操縦士の確保が現在、全国的に問題となっているようであります。全国的に、救急ヘリや防災ヘリ操縦士については、年齢構成の偏り、高齢化による将来の大量退職に伴い、中長期的には若手操縦士の需要が拡大する可能性が高まっている状況となっているようであります。  国においては、国土交通省、厚生労働省、総務省、警察庁、防衛省、海上保安庁が、ヘリコプター操縦士の養成・確保に関する関係省庁連絡会議において、公共性の高いドクターヘリや消防・防災ヘリ等のヘリコプター操縦士の需要が増大する中で、ヘリコプター操縦士の養成・確保が重要な課題となっていることから、関係省庁で連携し、ヘリコプター操縦士の養成・確保のあり方について、検討を加速しているところであります。  航空事業に関する諸般の調査研究事業等を行っている一般社団法人全日本航空事業連合会によりますと、ドクターヘリに乗るパイロット約百五十人のうち、五十歳以上が六五%を占め、高齢化が進んでいるとのことであります。また、各航空会社は、ドクターヘリ運航について、事業用の操縦資格に加え、二千時間以上の飛行経験が必要という最高レベルの条件を適用しております。  この二千時間という飛行経験は相当厳しい条件となり、若い操縦士がドクターヘリや防災ヘリに搭乗できるまでには相当な期間を要するものとなっており、操縦士の確保に向けた施策は、国や地方全体で取り組むことが求められるものと思います。  本県においては、鹿児島国際航空株式会社が操縦士を配置しているようでありますが、救急ヘリと防災ヘリについて、操縦士の配置体制と人員数及び平均年齢、定年年齢をお示しください。  また、県としては、救急ヘリや防災ヘリの操縦士の現状をどのように捉えているのか、将来に向けた操縦士の確保について、何らかの対処、検討している事項等があればお示しいただきたいと思います。 44 ◯保健福祉部長(藤本徳昭君)ドクターヘリについてお尋ねがありました。  まず、運航状況についてであります。  県ドクターヘリの平成二十九年一月一日から十二月三十一日までの運航状況については、要請が千七百三十一件あり、キャンセルや天候不良、要請の重複等の場合を除き、出動が千九十四件、搬送患者数が七百七十人となっております。要請が重複した四百十一件については、県ドクターヘリの補完ヘリや救急車等による対応がなされております。  同様に、奄美ドクターヘリについては、要請六百十三件、出動四百七十七件、搬送患者数四百二十七人となっております。要請が重複した五十五件については、救急車や沖縄県ドクターヘリ等による対応がなされております。  次に、ドクターヘリの操縦士の確保についてであります。  県ドクターヘリ及び奄美ドクターヘリについては、いずれも同じ民間航空会社に運航を委託しており、操縦士十名が交代で対応しております。操縦士の平均年齢は五十二・九歳であり、また、同社の退職年齢は六十歳でありますが、その後も六十八歳に達するまでは勤務することが可能であると聞いております。  運航を委託している同社からは、操縦士は十分に確保していると聞いております。しかしながら、国におきましては、将来的にはドクターヘリの操縦士が不足する可能性があるとの検討結果を平成二十七年に取りまとめているところであり、県としては、ドクターヘリの安定的な運航を確保するため、引き続き、委託先の民間航空会社と緊密な連携を図ってまいります。 45 ◯危機管理局長(田崎寛二君)消防・防災ヘリについてのお尋ねのうち、まず、消防・防災ヘリの運航状況についてであります。  平成二十九年中に消防・防災ヘリが急患搬送として出動要請があった件数は三十八件、天候不良で出動できなかったことなどにより、実際に出動した件数は二十八件、搬送した患者の数は二十九人となっております。  次に、消防・防災ヘリのダブルパイロット制の導入状況についてであります。  全国の消防・防災ヘリの機数につきましては、三十八道県において四十二機、十六消防機関において三十三機、合計で七十五機が運航されております。このうちダブルパイロット制、二人操縦体制は、六県において九機、十四消防機関において三十一機が導入されております。  本県の消防・防災ヘリの運航につきましては、操縦士一名、整備士一名、防災航空隊員は、救助の場合は四名、急患搬送の場合は三名が搭乗することとしており、このうち操縦士と整備士につきましては、民間の航空会社に委託しております。  また、更新する機材でありますレオナルド式AW139につきましては、操縦士席が二席配置されることとなっており、二人操縦体制が可能な消防・防災ヘリとなっております。  消防・防災ヘリの操縦士の配置等と確保についてであります。  消防・防災ヘリに従事する操縦士につきましては、運航委託している民間航空会社に五名が配置されており、常時一名が勤務しております。五名の平均年齢は五十歳、当該航空会社の定年は六十歳で、その後も六十八歳に達するまでは勤務することが可能であると聞いております。  消防・防災ヘリの操縦士の確保につきましては、これまで民間航空会社から操縦士の確保が難しいという話は聞いておりませんが、全国的には消防・防災ヘリの操縦士も高齢化の一途をたどっており、十数年後に大量退職も予想されているところであります。  現在、消防庁の消防防災ヘリコプターの安全性向上・充実強化に関する検討会の中で、消防・防災ヘリの操縦士の養成・確保策についても検討されているところであり、県といたしましては、国の検討結果を注視しながら、消防・防災ヘリの運航に支障がないよう必要な情報収集に努めてまいりたいと考えております。 46 ◯田畑浩一郎君 自席から、一点お聞かせいただきたいと思いますが、今回更新されるヘリコプターは、ダブルパイロット制の運航が可能な機体だということでありますけれども、報道によると、国は、平成三十二年度から財政面での支援ができるよう調整を進めているようであると。全ての自治体の防災ヘリがダブルパイロット制に移行できるまでには、機体の更新などの必要があることから、十年以上はかかるだろうと言われておりますけれども、本県として、将来においてダブルパイロット制を導入する考えがあるのかないのか、お聞かせいただきたいと思います。 47 ◯危機管理局長(田崎寛二君)消防・防災ヘリのダブルパイロット制についての再度のお尋ねでございますが、二人操縦体制につきましては、先ほど申し上げました消防庁の消防防災ヘリコプターの安全性向上・充実強化に関する検討会におきましても、検討がなされているところであります。  これまでの検討会の中の議論では、二人体制は、実際の運航では体調不良となる場合もあることから二人体制がよいという意見がある一方、二人操縦体制にすると燃料を減らし、捜索・救難活動ではデメリットがあるという意見もあったと聞いております。  県といたしましては、本県の消防・防災ヘリは、平成十年六月の運航開始以来、無事故で安全運航に努めているところでございますが、年度内に取りまとめられる予定の消防庁の検討会の議論を注視してまいりたいと考えております。    [田畑浩一郎君登壇] 48 ◯田畑浩一郎君 それぞれ答弁いただきました。  救急専門医と看護師がヘリに乗って現場に向かい、その場で素早く初期治療を施し、患者を救急医療機関まで高速で搬送することができるドクターヘリの運航開始により、救急救命が格段に進歩してまいりました。  昨年一年間で搬送した患者数は、県ドクターヘリが七百七十人で、奄美ドクターヘリが四百二十七人の計千百九十七人で、平成二十七年度の県ドクターヘリ一機での五百六人に比べ、大幅に増加しております。また、防災ヘリにより搬送された患者数の二十九人、補完ヘリの搬送もあり、その貢献度は極めて高いものがあります。  東京のNPO法人救急ヘリ病院ネットワークによると、陸路や水路で搬送した場合より、死者を三割程度減らせると推測されるとのことであります。  このドクターヘリの運航を今後も継続していかなければならないことは言うまでもありませんが、先ほどの答弁で、搬送が重なり対応できなかった件数が、県ドクターヘリで四百十一件、奄美ドクターヘリで五十五件とありました。  奄美ドクターヘリの運航範囲は奄美地域及び十島村で、県ドクターヘリの運航範囲は本県のその他の地域となっております。県内には、この二機のほかに、補完ヘリの米盛病院のドクターヘリや防災ヘリもあるわけですので、その区域における搬送の重なりがあった場合には、その応援体制を強化していただき、重なった搬送の対応にも力を注ぎ、救急救命を一層充実していただきたいと思います。  また、ダブルパイロット制についてでありますが、私は、近い将来において、本県もこのダブルパイロット制に切りかえるべきだと考えます。操縦士がふえることで経費がかさむことは理解しますが、先ほどの答弁で、都道府県管理の防災ヘリの四十二機中九機、約二割は既に採用しているところであります。長野県もダブルパイロット制を導入する方向ということであります。  防災ヘリが定位置で高度を保つホバリング時に、自動操縦されるわけではありますが、最も危険と思われる救助・救援活動においては、安全性を重視するとダブルパイロット制が力を発揮すると考えます。  捜索及び救助活動等においては、悪天候下での活動も十分考えられ、危険な空の活動においては、人命重視という観点からも望まれ、また、操縦士の高齢化に伴う危険性も潜んでおり、早急なダブルパイロット制の導入を要望いたします。  それと、防災ヘリの機体更新に当たり、昨年十二月議会定例会の総務委員会の審査においては、ダブルパイロット制についての説明が委員会になかったと伺っております。二十八億五千万円もの多額の費用を要し、今後、二十年程度の使用が見込まれる防災ヘリの機体更新でありましたことから、ダブルパイロット制についても詳細な情報提供がなされ、委員会において協議していただきたかったと考えます。  次に、操縦士の確保についてでありますが、先ほど、県ドクターヘリと奄美ドクターヘリの操縦士は十名で、平均年齢が五十二・九歳とのことでありました。また、防災ヘリの操縦士は五名で平均年齢が五十歳とのことで、操縦士の定年は六十歳とのことでありました。定年後は、嘱託契約が六十八歳に達するまでは可能なようでありますが、全ての方が嘱託契約され、引き続きヘリに搭乗するとは限らないわけであります。全国のドクターヘリの操縦士の六五・五%が五十歳以上ということでありますが、非常事態と言ってもおかしくない状況で、早急な対応が求められているものと考えます。  二千時間以上の飛行経験が必要ということを話しましたが、相当前までは、若手の操縦士が農薬散布などの仕事で経験を積み、十年から二十年で達成された基準とされておりますが、農薬の使用自体が敬遠されて、仕事が大幅に減少しております。送電線の点検や写真撮影などの業務もドローンの普及で減少しており、業界内で条件を満たす人材を育成することは難しくなっているとのことで、操縦士確保のため、航空会社によっては自衛隊の退職者等の採用も行っているようであります。  国土交通省でも、操縦士の数が不足してくるとのことで、操縦を模擬体験できる訓練施設の活用などで、飛行経験を機長として千時間に緩和する新基準を策定して、原則、来年度から適用しようとしておりますが、それでも、飛行経験を積める農薬散布などの仕事の減少で、十年、二十年以上の期間を要するのではと考えるところであります。  また、若いパイロットのなり手自体が減少しているようでありますが、事業用の操縦士資格取得には航空専門学校などで二年程度の訓練が必要で、学費も一千万円程度必要とのことで、仕事が減少する中で経済的な負担は重く、民間養成機関の養成定員が満たされていない状況とのことであります。  ドクターヘリや防災ヘリの果たす救急救命等は公共性が高く、不足する操縦士対策は避けて通れないものと思います。また、ダブルパイロット制についても、近い将来は取り入れる自治体が増加してくることが予想され、ドクターヘリや防災ヘリの操縦士の需要は一層増加していくものと考えます。  これまで、操縦士確保のため、一部の事業者等が奨学金制度を実施しているようであります。国のヘリコプター操縦士の養成・確保に関する関係省庁連絡会議において、若手ヘリコプター操縦士の養成・確保のため、民間養成機関における奨学金制度の充実等も協議しているようでありますが、育成システムの早急な整備とあわせて、本県としても、関係省庁に、操縦士の確保に向けた取り組みの要請を積極的に展開していただきたいと考えます。  また、操縦士が不足すると、人口が集中している地区を優先し、地方にしわ寄せが来ることも考えられますので、そのような状況にならないよう、国の動向も注視しながら対処していただきますようお願いいたしまして、質問を終わります。(拍手) 49 ◯議長(柴立鉄彦君)次は、向井俊夫君に発言を許可いたします。    [向井俊夫君登壇](拍手) 50 ◯向井俊夫君 奄美市区、龍郷町選出の自由民主党県議団の向井俊夫でございます。  議場の皆様、県民の皆様、キュヤオガミショーラン、ヒンマジキバミショリンショッチ、ムールアクマシャヌオーシレンド、ニャーリッカキバリンショレヨー。奄美の方言でありますが、通訳させていただきます。「こんにちは。お昼御飯を食べて大変眠いかもしれませんが、いま少し頑張ってくださいね」ということでございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。  私は、きょうは県の伝統的工芸品の紬のジャケット、ネクタイで登壇させていただきました。二十二日の代表質問初日、紬の着物で登壇、そして答弁いただきまして、大変華やかでございました。紬もいいものだなという思いがいたしました。  きょうは午前中のバス二台に負けずに、奄美から小型ジェット三機ばかりチャーターしてこようかなと思いましたが、何百万円かかるかわからないので泣く泣く断念いたしました。  さて、鹿児島県の平成三十年度当初予算は一般会計で八千百七億六千二百万円、対前年度比〇・一%増。昨年九月の試算で七十八億円収支不足、それを、事務事業見直しを初めとする歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に取り組み、財源不足を生じさせない予算編成ができ、三反園知事を初め、行財政改革推進プロジェクトチームの皆様や県職員の皆様の御努力に敬意を表します。
     また、平成三十年度末の財政調整基金の残高見込みも二百五十億円確保、平成三十年度の県債残高見込みは、臨時財政対策債を除いて二百十三億円減の一兆七百七十七億円、総額ベースで比較して百三十一億円の減と着実に減少していると施政方針で御説明いただきました。  歳入面では、県税、対前年度比三・二%増の一千四百八十四億一千九百万円と二年ぶりのプラスとなりました。自主財源二千六百八十億六千万円は歳入全体の三三・一%で対前年度比一・五%のアップ、地方交付税、対前年度比一・八%減の二千六百二十九億六千百万円、依存財源五千四百二十七億二百万円で歳入全体の六六・九%の高い割合を占めています。  これはいつまで続くか、三割自主財源自治であり、もっと本県の産業振興と民間企業の活性化を図り、税収と個人所得アップを考えていかねばならないのではなかろうかと思います。  歳出面では、人件費が全体の二八・五%で、〇・八%増の二千三百十二億一千五百万円、扶助費が〇・八%増の一千二百五十三億三千百万円で過去最高、公債費一千二百九十三億七千七百万円の〇・六%減で、義務的経費が合わせて四千八百五十九億二千三百万円、全体の六〇%を占めております。  一方で、普通建設事業費や災害復旧事業費等の投資的経費は一千六百六十五億三千四百万円で全体の二〇・五%で、対前年度比〇・二%の減、補助費や物件費、維持補修費等のその他の経費が一千五百八十三億五百万円で全体の一九・五%となります。  新年度予算で特に目立ったものは、少子高齢化社会の中で、子育て支援に過去最大の三百四十六億三千八百万円、高齢者の生き生き支援に過去最大の二百六十五億二千三百万円と、身近な県民生活への御配慮をうかがわせる予算編成かと思いました。  また、離島の中・高生の遠征費用の継続や、喜界、屋久島の新年度、特別支援学校高等部支援教室の設置、教育、医療・福祉、そして特に奄美の世界自然遺産に関する観光関連予算として、奄美の特産品を中心とした産業振興等に御配慮いただいたことに感謝申し上げたいと思います。  また、国保事業特別会計一千八百二十二億円が新設され、財政運営主体が市町村から県へ移管されるわけでございますが、今後の推移を見守りたいと思います。  少し長くなりましたが、通告に従いまして順次質問いたします。  まず、知事の政治姿勢でございます。  四月から執行される平成三十年度の予算審査と三反園知事の県政方針が示される大事な第一回定例会でございます。  三反園知事の施政方針や代表質問への答弁であらかた理解はしているつもりでございます。しかし、平成二十九年度の施政方針の資料を読み返しますと、マニフェストに掲げた六項目の日本一があります。参考までに申し述べてみます。  一、観光、「世界から人が集まる鹿児島、観光で日本一に!」、二、農林水産業、「世界に挑戦する鹿児島、農林水産業で日本一に!」、三、医療・福祉、「みんなが元気な鹿児島、医療福祉で日本一に!」、四、教育、「歴史と教育の鹿児島、人材育成で日本一に!」、五、産業・雇用、「若者と女性が輝く鹿児島、産業・雇用で日本一に!」、六、防災、「安心して生活できる鹿児島、防災で日本一に!」と、平成二十九年度当初の施政方針では、「日本一に!」が輝いておりましたが、今議会の施政方針では、和牛日本一の五文字だけであります。  三反園知事が就任して約一年七カ月、新年度は強烈な三反園カラーを打ち出してほしいと大きな希望を持っている私でございます。  そこでお伺いします。  一つ目に、平成三十年度、知事の施政方針で新年度の鹿児島県の方向性としての最重要課題をお示しください。  二つ目に、平成三十年度、鹿児島県予算編成において特に重点的に御配慮なされた分野は何か、お示しください。  三つ目に、平成二十九年度は「新しい力強い鹿児島の船出」という観光、農林水産業、医療・福祉、教育、産業・雇用、防災の六項目で「日本一!」にという基本的な考え方が示されましたが、それぞれの分野で考えられる達成度と、「日本一に!」を達成できた事業とそれぞれの新年度の対応・対策を明瞭簡潔にお示しください。  以上で、第一回目の質問といたします。    [知事三反園 訓君登壇] 51 ◯知事(三反園 訓君)お答えいたします。  本県の平成三十年度最重要課題及び当初予算編成における重点分野であります。  本県においては、平成二十七年の出生数が昭和三十五年の四割以下の水準まで低下し、高齢者人口は十年後には三四・四%になることが推測されるなど、人口減少、少子高齢化が進行しておりまして、本県の活力喪失につながりかねないことから、これらは早急に対応すべき課題であると認識しております。このようなことから、今回の予算編成では子育て支援と高齢者生き生き支援の二本柱により一層力を入れたところであります。  具体的には、鹿児島大学と連携いたしまして、産科医が不足する地域の中核的な病院等へ産科医を派遣する産科医確保の新たな取り組み、不安や悩みを抱える母親が相談しやすい環境づくりなどの子育て支援関連事業に総額三百四十六億円を計上したところであります。  また、高齢者の社会参加活動などに対してポイントを付与する制度に、新たに高齢者が参加した場合などに加算する地域デビューポイントを新設するなど、高齢者の生き生き支援関連事業に二百六十五億円を計上したところであります。  このほかにもさまざまな事業を展開することとしておりまして、子育て・高齢者支援などの各種施策に全力で取り組んでまいります。  「新しい力強い鹿児島の船出」とした今年度の取り組み状況と新年度の主な取り組みについてであります。  今年度においても、観光、農林水産業、医療・福祉、教育、産業・雇用、防災など各般の施策に取り組んできたところであります。特に、本県の基幹産業であります観光と農林水産業につきましては、各種プロモーション、情報発信を通じて、本県の多彩な魅力を戦略的にPRするとともに、増加する外国人観光客の受け入れ体制の整備、来て見て感動するまちづくりの推進などに取り組み、観光客の誘客拡大を図ってまいりました。  また、トップセールスにも全力で取り組み、県産農林水産物等の販売促進、輸出拡大、ブランド力の向上に努め、本県のすぐれた素材をさらに生かし、世界に発信して、一歩でも二歩でも鹿児島をよくしたい、県民所得の向上につなげたいとの思いで取り組んでまいりました。  こうした中で、昨年、鹿児島黒牛が和牛日本一を獲得したことは非常に大きな喜びでありました。日本一の黒牛を初め、黒豚、ブリ、カンパチなど県産農林水産物の昨年度の輸出額は、前年度比二割増しの百五十五億円に達し、また、昨年本県を訪れた外国人観光客数国際クルーズ船の寄港数も過去最高を更新しております。  このよい流れをさらに上昇気流に乗せ、勢いをどんどん加速させていかなければなりません。鹿児島の認知度を高め、多くの人々を呼び込むとともに、観光や農林水産業を初めとする本県産業の振興にもどんどん勢いをつける絶好の機会でありまして、新年度当初予算案においても、鹿児島を元気にするための各般の施策を盛り込んでいるところであります。  歴史的な大きな式典として、明治百五十年記念式典を来る五月に開催いたします。観光プロモーションや市町村、民間等と連携したイベントの展開など、これまで以上に強力に鹿児島の魅力を発信してまいります。  今年度策定する農林水産物輸出促進ビジョンに基づきまして、県産農林水産物の輸出拡大に向けた取り組みも強力に進めてまいります。  また、新たな県政ビジョンに基づきまして、本県が有する健康・癒やし・長寿に有益な地域資源、いわゆる鹿児島のウェルネスなどを活用した観光振興、生産性の高い、技術力のある稼げる産業の振興を図るためにスマート農業の普及など、攻めの農林水産業の実現に向けた取り組みや、製造業などへのIoT、AI等の革新的技術の導入支援といった新たな施策の推進にも積極的に力を入れてまいりたいと考えております。  新年度当初予算案は、「新しい未来への航海 どんどん前進」する予算として編成しております。新たな県政ビジョンで示す将来像の実現に向けた取り組みを進めつつ、子供からお年寄りまで全ての県民が安心して明るい展望を持って暮らせる社会を目指し、子育て支援と高齢者の生き生き支援を引き続き重点施策の二本柱に置きながら、観光、農林水産業を初めとする産業の振興はもとより、教育、防災など、マニフェストに掲げました鹿児島を日本一にする六つのお約束であります各般の施策にもしっかりと取り組んでまいる次第であります。  引き続き、先頭に立ちまして、鹿児島に生まれてよかった、鹿児島に住んでよかった、そう思える鹿児島をつくるために全力で走り続けたいと思っております。 52 ◯向井俊夫君 それでは、自席から再質問させていただきます。  今、知事から御答弁いただきましてありがとうございます。  施政方針の中で、前年度あれだけ日本一ということにこだわっておりましたが、その文言が消えておりましたので、ああ、もう日本一は諦めちゃったのかなということでの質問でございました。  今、お話があった子育て支援、高齢者支援で、県民の生活をしっかりまず見てからと。そして、自主財源が非常に比率が低うございますね、他県からすると低いなという思いがあります。これに対してどのような形で、これから自主財源をしっかり確保していくかということをお聞きしたいと思います。 53 ◯知事(三反園 訓君)非常に重要な御指摘だと思っております。  自主財源を強化していくためにはさまざまな方策、施策が必要だと思っておりますけれども、やはり税収を高くしていかなければなりませんし、そのためにも元気な鹿児島をつくる、日本一を目指すというのはそういうことであります。つまり日本一を目指すということは、鹿児島が元気になる、鹿児島が元気になるということは税収もふえていく、所得がふえていく、そういった好循環を目指していきたいと思っております。  そのためには、鹿児島には二つの基幹産業があります。その一つは、先ほども述べましたけれども、農畜水産業であります。これに関しましては輸出がふえておりまして、また生産額もふえております。生産額がふえているということは、生産者の所得が少しでもふえている。鹿児島の黒牛、日本一の称号が欲しかったのは、日本一になることによって、ブランド力を高めることができるわけであります。海外に輸出するときに、日本一の和牛であるということをPRすることによって少しでも高く売る、少しでも高く売ると生産者の所得が上がる、上がればどうなるかというと後継者が育っていく、この好循環に持っていかなければいけないと思っております。  この農畜水産業を、今、ビジョンをつくっておりますけれども、輸出拡大、販路拡大して生産者の所得を伸ばしていきたいと思っております。  また、観光面においても、ことしは明治維新百五十年でありますけれども、来て見て感動するまちづくりを今後とも強力に進めていくつもりであります。つまり、ことし来ていただいた方がまたリピーターとして来なきゃいけない。そのためには、ことし感動していただく、また来年来た人が感動していただかなければその次がないという、来年、再来年、その先を見据えた観光のビジョン、まちづくり含めて戦略性が大事だと思っておりますので、今後、執行部一丸となって日本一を目指すということであります。所得の向上そして自主財源の確保に向けて全力で取り組んでいきたいと思っております。    [向井俊夫君登壇] 54 ◯向井俊夫君 元気のいい、「日本一を目指す」というお言葉をいただきましたので、一つ安心いたしました。  今後とも、知事を初め全職員で引き続き行財政改革に取り組み、健全な財政運営をしてほしいと存じますし、知事が先頭に立ったトップセールス、鹿児島の農・水産・林業の製品を全国に、そして海外にしっかり出荷して、外貨を稼いでほしいと思います。  収益が上がらないことには税収も上がってきませんし、予算を医療とか福祉とか教育にしっかり配分するということもできないと思います。日本一を目指しながらしっかりこれから取り組んでいただきたいと思います。  次に、奄美群島振興開発特別措置法と奄振交付金についてお伺いいたします。  私どもの奄美群島は、戦後、昭和二十一年二月、日本本土から行政分離され、アメリカ軍政府の統治下に置かれ、昭和二十八年十二月二十五日に日本復帰するまで、本土へ密航までしての命がけの日本復帰運動、住民十四歳以上の復帰運動の署名は九九・八%、インドのガンジーに倣っての自治体や集落単位の復帰ハンガーストライキなど熾烈をきわめ、やっとの思いで本土復帰が実現しました。  そのような中、アメリカ軍占領下時代の本土との格差是正、復興と住民生活の安定に資するために、昭和二十九年六月二十一日に奄美群島復興特別措置法が成立し、インフラ整備、産業振興等のハード事業を中心に予算措置されてまいりました。  奄振法の今日までの変遷は省略いたしますが、平成二十六年度からは奄振交付金制度が創設され、奄美群島の地理的・自然的特性を生かし、奄美の魅力を増進することを基本理念とし、地域主体の取り組みや定住促進・交流拡大、条件不利性の改善、生活基盤の確保・充実施策の展開で自立・自興を図るソフト事業が大きく見直された予算となり、現在の奄美群島振興開発特別措置法となりました。  平成三十年度末で期限切れを迎える本法の延長を心から望むものであります。  そこで、一つ目に、平成三十年度の奄振の中で、奄振交付金を活用したリーディングプロジェクト推進枠について、予算規模・負担割合や想定しているテーマ案についてお示しください。  次に、クルーズ船誘致についてお伺いいたします。  私の地元、奄美市名瀬観光船バースにおいて、二万トン級のにっぽん丸やぱしふぃっくびいなすが初めて入港したときの感動は今でも忘れられません。  現在は、国内からのクルーズ船誘致だけではなく、いかに海外からのクルーズ船を誘致するかということに経済界や観光業界も大きな関心を持ち、国もクルーズ船客の年間五百万人誘致を目標とし、外国からの観光客の多額の観光消費による大きな経済効果を期待するところがございます。  また、一月二十五日の県知事の定例記者会見が奄美の地元紙のトップ記事として大きく報じられました。奄美に大型クルーズ船誘致話が出ているようでございます。  そこでお伺いいたします。  二つ目に、クルーズ船誘致においては施設整備が必要となるが、奄美大島瀬戸内町西古見の大型クルーズ船寄港地誘致計画は、今どのようになっているのか。また、名瀬港の十万トン級のクルーズ船に対応した観光船バースの延伸整備についてどのように考えているのか、お示しください。  次に、世界自然遺産登録に関する猫対策についてお伺いいたします。  今日のペットブームの中で、犬より猫のほうがペット数としては上回っているという報道がございました。ペットとしての犬は常に飼い主に対して従順で、比較的管理がしやすいように思われますが、猫は、餌を要求するときや遊び相手をしてほしいときはすり寄ってくるが、あとはどちらかというと勝手気ままという感があります。しかし、忙しい現代社会においては、かえってそのほうが飼いやすいということで人気があるのかなと思うわけであります。  ちなみに、奄美においては猫のことを方言でマヤといいます。かわいらしく足元にまやまやとまとわりついてくるから、その方言が生まれたのかなと思ったりもいたします。  さて、最近私は、ノネコと野良猫という表現区分の違いは何だろうと考えるようになりました。漢字で書けばノラネコは、野と猫の間に良いの文字が入ってきます。あちらこちら放浪していても野生化していないから、よい猫ということなんでしょうか。  そこでお伺いいたします。  三つ目に、自然保護関係でネコ対策事業とあるが、ノネコ対策と野良猫対策が重要と考えられます。奄美大島、徳之島におけるノネコ、野良猫の平成二十九年度、年度途中ではございますが、捕獲実績とその後の対応、そして平成三十年度の事業予定はどのようになっているのかお伺いいたします。  また、ノネコと野良猫の違いを簡単に御説明いただけたら幸甚に存じます。  県は、県内への外貨獲得の大きな二本の柱として、一次産業の農林水産物の県外・国外出荷、そして観光交流による観光収入を二大施策として打ち出しておられました。  本県におきましては、本年は明治維新百五十周年、NHK大河ドラマ「西郷どん」、奄美の世界自然遺産登録へと、観光客誘致へつながる行事、イベント等がめじろ押しでございます。その中で、奄美群島におきましても、奄振の予算を中心に各自治体の観光地整備が進められています。  四つ目に、奄美の観光拠点連携整備事業の平成二十九年度の事業と平成三十年度の事業をお示しください。  私どもの奄美群島におきましては、奄美群島振興開発特別措置法はまさに命の綱でございます。本年一月十六日に奄美市議会から県知事へ、奄振延長・施策等における要望書が提出されました。その中で、県への要望にもなるかと思いますが、県大島支庁にて奄振担当課を設置とありましたので、五つ目に、県企画部離島振興課の中に奄美振興係があり、係長以下五名の職員が配属されていますが、大島支庁の総務企画部総務企画課の中に、地元に密着した現地の総合窓口が必要でないか、お伺いいたします。  これで、二回目の質問を終わります。 55 ◯企画部長(東條広光君)奄美群島の振興開発に関しまして、まず、奄美群島振興交付金のリーディングプロジェクト推進枠についてであります。  この推進枠は、奄美群島振興交付金のうち市町村が行います奄美群島成長戦略推進交付金の中に、テーマを設定した予算枠を創設し、市町村等がみずからの創意工夫と民間等との連携により、地域特性を踏まえた政策ニーズの具体的な事業化を図ろうとするものであります。その予算規模は、来年度については国費ベースで一億八千万円程度を想定しており、負担割合は、奄美群島成長戦略推進交付金事業の国十分の五、県十分の一、市町村等十分の四であります。  また、来年度取り組むテーマにつきましては、国や市町村とも調整しながら、奄美らしい観光スタイルの構築、世界遺産ロード構築に向けた戦略的交流促進、スポーツイベントなど奄美の特性を生かした産業振興を設定したいと考えているところであります。  次に、観光拠点連携整備事業についてであります。  この事業は、市町村が奄美群島振興交付金を活用して、奄美群島の観光拠点として利活用が期待されます施設等の整備を行うものであります。今年度は、宇検村における湯湾岳展望台の整備、天城町における大和城周辺の遊歩道や案内板等の整備、与論町における大金久海岸の植栽の整備などが行われております。また、来年度は、奄美市における大浜海浜公園の整備、大和村におけるフォレストポリスの整備などが予定されているところであります。  次に、大島支庁における奄美群島振興開発事業の総合窓口についてであります。  大島支庁は、奄美群島の自立的発展を図るため、道路・港湾の整備、畑地かんがい事業などの公共事業を初め、地域の特性を生かした産業振興、奄美群島の抱える条件不利性の改善、生活基盤の確保・充実など、奄美群島振興開発事業に取り組んでおります。  奄振事業を効果的・効率的に推進するため、支庁内の総合調整、市町村事業計画の事前協議、地元陳情活動への対応など、地元における奄振事業の全体的な取りまとめや総合窓口を大島支庁総務企画課が担っているところであります。  今後とも、県庁各部、大島支庁が連携を図りながら、奄美群島の振興開発に努めてまいります。 56 ◯PR・観光戦略部長(西 啓一郎君)瀬戸内町の大型クルーズ船寄港地計画についてでございます。  近年、クルーズ船の日本への寄港数は増加しており、本県全体においても、昨年、過去最高の寄港数を記録する中、奄美大島など本県の誇る自然豊かな離島も寄港地として注目されておりまして、国において、奄美大島及び徳之島をモデルケースとして、クルーズ拠点の候補地の概略検討の結果概要が公表されたところであります。  こうした中、瀬戸内町が大型クルーズ船の寄港地誘致方針を打ち出し、県に対して要望があったところでございます。  クルーズ船の寄港を誘致し、多くの観光客を迎えることは、地域産業の振興、若者の雇用創出など地域の活力を取り戻すため有効な取り組みと認識しております。もとより、奄美の美しい自然を保全することを前提としつつ地域振興を図ることが重要であり、県といたしましては、地元の意向を踏まえながら、国や瀬戸内町と連携して対応してまいりたいと考えております。 57 ◯土木部長(渡邊 茂君)名瀬港の十万トン級クルーズ船に対応した観光船バースの延伸整備についてであります。  名瀬港においては、これまで八万トン級以下のクルーズ船が寄港しており、平成二十九年は、五万トン級の飛鳥IIなど国内外のクルーズ船が十三回寄港したところであります。  十万トン級クルーズ船を受け入れるためには岸壁延伸が必要であるほか、港の入り口における航路幅が狭いことや港内で旋回する水域が確保できないことなどさまざまな課題があると考えており、現在、それらの課題や十万トン級クルーズ船の沖どめによる寄港の可能性について、関係者と意見交換を行っているところです。  県といたしましては、今後とも、既存施設の有効活用を含め、観光ニーズや船社の意向などクルーズ船を取り巻く動向を注視し、地元と連携を図りながら、クルーズ船の受け入れ体制の整備に努めてまいります。 58 ◯環境林務部長(古薗宏明君)ノネコ対策についての御質問のうち、まず、ノネコと野良猫の違いについてであります。  ノネコは、いわゆる鳥獣保護管理法上、狩猟の対象となる鳥獣でありまして、同法の解説によりますと、常時、山野等において専ら野生生物を補食し生息しているものとされております。野良猫につきまして明確な定義はございませんが、一般的に、人間社会に依存して生活する猫のうち、特定の飼い主が存在せず、市街地、集落等で生活する猫とされております。  次に、捕獲実績等についてであります。  ノネコにつきましては、徳之島では平成二十六年度から本格的な捕獲が開始されており、今年度は一月末までに八十二頭が捕獲されております。そのうち十八頭は島内外へ譲渡され、その他につきましては、病死または衰弱死したものを除いて引き続き飼養されております。  野良猫につきましては、ノネコの発生源対策等として、不妊・去勢手術等を行うこととしておりまして、今年度は一月末までに奄美大島で七百七頭、徳之島で二百九十九頭が施術されております。  平成三十年度のノネコ対策でありますが、徳之島におきましては、捕獲、譲渡等の取り組みを引き続き実施することとしておりまして、奄美大島におきましては、今後策定予定のノネコ管理計画に基づき、現在整備中の一時収容施設を活用しながら、関係機関が連携して捕獲等の取り組みを進めることといたしております。 59 ◯向井俊夫君 自席から質問させていただきます。  まず、先ほど土木部長から、名瀬港におけるクルーズ船の受け入れ体制整備について御答弁いただきました。  本県の観光振興にとって、クルーズ船の受け入れ環境整備をさらに推進することは重要な取り組みであると考えております。クルーズ船の寄港数が順調に伸びている鹿児島港を起点とした奄美・離島への波及効果も期待したいところでございます。  そこで、知事にお伺いいたします。
     先般、鹿児島港について、官民連携による国際クルーズ拠点に応募したとのことですが、その選定に向けどのような見通しを持っているのか、お伺いしたいと思います。  そして、猫の件ですが、先日も新聞で、アマミノクロウサギやトゲネズミが捕食されている様子が報道されました。非常に大変なことなのかなという思いもありますし、実際、野良猫がまだまだ放し飼い、人家まで来ていると、そして恐らくその猫からまた野生化していく子猫が発生していくんじゃないかという思いがあります。どのような見解をお持ちかお伺いします。以上です。 60 ◯知事(三反園 訓君)御質問の点におきまして、うれしいニュースが一つあります。  鹿児島港を国際クルーズ拠点を形成する港湾に選定するように強く要請しておりましたけれども、本日、国土交通省から、選定されたと、認められたとの連絡を受けております。  これによりまして、クルーズ船社が旅客施設等への投資を行うことになり、本県におきましては、世界第二位のクルーズ船社が行うことになっておりますけれども、県が岸壁の優先的な利用を認めるものでありまして、クルーズ船の寄港数が増加し、地域活性化につながる効果が期待されております。このことは、クルーズ船の誘致活動に全力で取り組んでいる本県にとりまして大変喜ばしいことであります。  新たな岸壁整備の早期事業化も要求しておりますけれども、今後とも、クルーズ船の受け入れ環境整備を進め、積極的な誘致を行うなど、本県の観光振興に資するように全力で取り組んでまいりたいと思っております。 61 ◯環境林務部長(古薗宏明君)ノネコ対策についてであります。  世界自然遺産を目指す奄美大島、徳之島にとりまして、これはIUCNからも追加情報の提供を求められまして、ノネコ対策について近く回答することになっておりますけれども、もともと奄美大島、徳之島、いずれも猫というものは存在せず、外から飼い猫として持ち込まれて、それが逃げたり、あるいは飼い主がいなくなって野に出て、それが野良猫になり、野良猫で生活できなくなって山に入っていったという構図かと思います。  したがいまして、今、議員からも御指摘ありましたように、ノネコは捕獲していく、それからノネコにならないように発生源対策として、飼い猫はしっかりと最後まで飼っていただく、そのための条例改正が市町村において行われております。  野良猫対策にいたしましても、先ほど答弁申し上げましたように、これ以上野良猫がふえないようにするための不妊・去勢手術等をやっておりますので、これらを総合的に実施していきながら、ノネコ対策に重点的に取り組んでまいりたいと考えております。    [向井俊夫君登壇] 62 ◯向井俊夫君 ただいま、うれしいニュースも含めて御答弁いただきました。  これから、マリンポート初め、県内のクルーズ船誘致に一段と拍車がかかっていくんじゃないかという大きな期待を持っているわけでございます。  それで、奄美のほうの観光船バース、大きなクルーズ船が入港するのが無理というのであったら、その横にあるマリーナですね、これがもう何年も使われないでビットも打たれていない、使用できないという状況で遊ばせております。それをきちっと整備して、小型のクルーザーやヨットの港として使えるようにしてほしいと、これは要望しておきます。  それでは、次を質問していきたいと思います。  おがみ山バイパス事業についてお伺いいたします。  この質問は、同僚の永井議員も以前取り上げ、私も平成二十九年九月二十五日の第三回定例会で一般質問させていただきました。  この事業は、平成十四年度から着手され、用地買収と永田・真名津地区の改良工事も進められておりました。そして現奄美市、合併前の旧名瀬市においては、平成十六年度に、このおがみ山バイパス事業と連動して、名瀬中心市街地の末広・港土地区画整理事業に着手し、いよいよ本年四月には、このおがみ山バイパスに連結するシンボルロード、名瀬都市計画道路末広・港線の末広工区の供用が見込まれ、平成三十年度には港工区の整備に着手いたし、交通渋滞や中心市街地へのアクセス向上を高めたいといたしております。  しかしながら、国道五十八号おがみ山バイパス事業が中断され、おがみ山トンネル工事が未着手で中断いたしております。  そこでお伺いいたします。  おがみ山バイパス事業は再開するのか、しないのか、また、ネックになっている問題点があるのか、お示しください。  次に、県内の不動産・土地売買についてお伺いいたします。  県本土における不動産・土地の売買は、すぐに誰が買った、そして誰が売ったと大口取引はわかるとしても、過疎の進む離島や地権者を有する無人島などが外資系やそのダミーの日本人民間事業者に買い占められ、国土は日本国であるが、中身は外国化して、無秩序に乱開発されていくことへの懸念がございます。  そこでお伺いいたします。  県本土、特に有人離島、無人島の不動産・土地売買で、外資系またはそのダミーと思われる日本人民間事業者の売買情報はないのか、お示しください。  次に、二月二十二日の自民党代表質問の中でも示されましたが、タンカー衝突沈没によると思われるオイル漂着についてお伺いいたします。  今回のオイル漂着事案に対し、三反園知事や渡嘉敷環境副大臣の早々の奄美現地視察と回収作業、そして自民党本部の環境部会による漂着オイルの回収・処理、生態系への影響調査などを継続的に実施される方針と、本県への処理費用の追加配分への御配慮に感謝申し上げたいと存じます。  私も、奄美市名瀬朝仁海岸にオイル漂着物が最初に打ち上げられた二日目、二月二日より調査を始め、二月十四日に与論島、三反園知事が奄美市名瀬朝仁海岸で現地視察と回収作業をされた二月十五日には、沖永良部島の海岸線を現地の町議会議員や観光関連事業者の方々に御同行いただいて調査を実施いたしました。  十島村宝島の住民の方からいただいた写真を含め、与論島、そして沖永良部、奄美市の状況をお手元の資料で御報告させていただきます。  見ていただきました左上、これは二日の一番最初にオイルが漂着したときの状況です。大変ひどうございました。でも、今は、ボランティアの方々が総動員でやっていただき、ほとんど取り除かれているという状況までなっております。そして左の二つ目の写真は、知事が回収作業を油にまみれてやっているところでございます。  右上の写真二枚は、沖永良部の東シナ海側の海岸、沖のほうにリーフがございまして、ちょうど干潮で手前まで波が打ち寄せていなかった。沖のほうで、もしかしたらオイルがかかっているのかなと思いながら見ました。手前のほうに小さい塊が幾つか散乱いたしておりました。  左下は与論でございます。与論は毎朝ボランティアの方が二組ほど海岸線を掃除して、年間を通してやっているということで、これはかの有名な百合ヶ浜の写真です。そして右下二枚が宝島です。これはサンゴや岩にオイルが漂着してへばりついている写真です。このような状況であったということを皆さん方、お知りおきいただきたいと思います。  質問としては、今後、タンカー衝突沈没によると思われるオイル漂着が予想されそうな県本土の海岸線の対策と、既に漂着している県内離島への対応は十分できているのか、また、処理費用等は十分確保できるのかお示しください。  海上保安庁の方々と話したとき、これは長期戦になるかもしれないなというような話もございました。仮に本土の海岸線に流れ着いたときのことを想定しての対策はできているかどうかの質問でございます。  以上で、三回目の質問を終わります。    [知事三反園 訓君登壇] 63 ◯知事(三反園 訓君)おがみ山トンネルの着手についてであります。  おがみ山バイパスにつきましては、平成二十一年度に都市計画変更を行った際、住民との合意形成を図るべきとの意見も強かったことから、おがみ山トンネルに先立ち、網野子トンネルを整備したところであります。  一方、奄美大島では近年、集中豪雨等によりまして多数の交通途絶箇所が発生したことから、宮古崎トンネルなど災害に強い道づくりを進めております。  このような中で、今月、奄美市長から、おがみ山バイパスについて、県と連携・協力しながら事業促進に努める所存であり、一刻も早い事業推進を求めるとの要望書をいただきました。  交通混雑の緩和などのために、おがみ山トンネルの整備は必要であると私は認識しております。トンネル整備には多額の費用を要することから、現在進めている災害に強い道づくりの進捗状況を見きわめる必要はありますが、地元の理解が得られれば前向きに事業を進めたいと考えております。 64 ◯企画部長(東條広光君)外国資本による土地取得についてのお尋ねであります。  現在の国内法におきましては、外国資本の事業者による土地取得について一律に届け出等を求める規定はなく、実態を把握することは困難であります。  ただ、一定規模以上の面積の土地取引を行った場合は、国土利用計画法に基づき知事に届け出を行うこととされ、また、地域森林計画の対象となっている民有林について、新たに土地の所有者となった者は、森林法に基づき市町村長に届け出を行うこととされておりますことから、これらの届け出によって、土地取得を行った法人等の所在地が海外となっているものについては把握できるところであります。  県内における直近五年間のこれらの届け出のうち、所在地が海外となっている法人等によるものは、平成二十七年度に県本土の一件であります。 65 ◯環境林務部長(古薗宏明君)県本土地域における油状漂着物への対応についてであります。  去る一月二十八日に宝島、二月一日に奄美市の朝仁海岸に油状の物質が漂着していることが確認され、その後、奄美地域全島と屋久島、十島村全島においても漂着が確認されました。  これまでのところ、県本土地域では同様の油状の物質の漂着は確認されておりませんが、引き続き情報収集に努めるとともに、今後漂着した場合には速やかに回収するなど、適切に対応してまいります。  県内離島における油状漂着物への対応と処理費用についてであります。  県におきましては、回収作業マニュアルを二月七日に作成し、現在、県、市町村の職員を中心に、国の職員や多くの住民の方々の御協力をいただきながら回収作業等に取り組んでいるところであり、回収量は今月十八日時点で約九十トンとなっております。  これまでの回収作業につきましてはおおむね順調に行われておりまして、全体としては漂着物が減少しているところでありますが、引き続き全力で回収作業に取り組むことといたしております。  また、県や市町村が回収作業等に要した費用につきましては、国の補助金を財源として活用することとしており、既に一千七百九十万円の追加内示を受けたところでありますが、今月十四日に県庁を訪問された渡嘉敷環境副大臣に対し、補助金の本県への配分について知事から強く要望したところであります。    [向井俊夫君登壇] 66 ◯向井俊夫君 ただいま、長年懸案事項であったおがみ山トンネルに対しても、知事から前向きのお答えをいただきました。しっかり地元自治体と詰めていただきまして、ぜひ早い実現にこぎつけていただきたいと思います。  また、オイル漂着ですが、県本土のほうは特にパトロールもしっかりやっていただきながら、特に枕崎とか指宿とか、地元選出の県議会議員も朝早く起きてチェックしていただきたいと思っております。  そういうわけで、私の今回の質問、なかなかつかみどころのない質問でございましたが、いいお答えもいろいろいただきました。知事初め県職員、しっかりまた県勢発展のために頑張っていただきたいと思います。  ありがとうございました。(拍手)       ───────────── 67    △ 請願・陳情の委員会付託 ◯議長(柴立鉄彦君)次に、請願・陳情の委員会付託であります。  受理いたしました陳情は、配付いたしております請願・陳情文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に審査を付託いたします。  これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 68    △ 日程報告 ◯議長(柴立鉄彦君)明日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問であります。       ───────────── 69    △ 散  会 ◯議長(柴立鉄彦君)本日は、これで散会いたします。        午後三時十三分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...