[
永田憲太郎君登壇](拍手)
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◯永田憲太郎君 バスの二、三台を連ねて傍聴席においでいただいていると申し上げたいわけでありますけれども、それでも、私がきょう一般質問するということで遠くからおいでいただいた方もおられます。心から感謝申し上げて、一般質問に入りたいと思います。
まず最初に、財政問題であります。
八月十日に発表された本県の平成二十八年度
一般会計決算の見込みによりますと、
歳入歳出ともに前年度比減額となっているものの、実質収支は五十二億八千四百万円の黒字となっており、実質単年度収支も七億六千二百万円の黒字となっております。また、県独自に発行する県債の残高は、前年度比二百六十一億九千四百万円の減となっております。その結果、財政調整に活用可能な基金残高は増加して、二百四十九億九千四百万円となっており、県の財政はおおむね良好に推移していると感じております。
一方、国は、
経済財政運営と改革の基本方針二〇一七で
基礎的財政収支、いわゆる
プライマリーバランスを二〇二〇年度までに黒字化するという方針は堅持しつつも、同時に、債務残高対国内総生産比の安定的な引き下げを目指すという新たな方針も明言しました。
プライマリーバランスについては、安倍首相は先日の
解散表明記者会見で、二〇二〇年度までの黒字化目標の達成は困難としましたが、黒字化を目指すという目標自体は堅持して、引き続き歳出・歳入両面からの改革を続けるとしております。
財務省の中では、この目標達成のためには
地方自治体の協力が欠かせないという議論があります。また、五月に開催された
財政制度等審議会は、地方の基金が膨らんでいると指摘し、毎
年度赤字国債を発行して
地方交付税を措置している現状を踏まえれば、各団体の基金の内容、残高の増加要因を分析・検証して、
地方財政計画へ適切に反映させる必要があると報告しております。また、
経済財政諮問会議において民間議員から、このことを問題視する発言が出されたとの報道もありました。
全国の
地方自治体が積み上げた基金総額は二十一兆円に上ると言われますが、基金の積み上げを悪者扱いするような考え方に対しましては、当然ながら地方から強い反発が起こっているわけであります。地方六団体の長と閣僚が出席する国と地方の協議の場では、このことが大きな議題になったと聞いております。
全国知事会は、地方の基金残高が増加していることをもって、地方財政に余裕があるかのような議論は断じて容認できないと反発いたしました。地方は、国とは異なり、
金融経済政策、税政等の権限を有しておらず、不測の事態による財源不足については、みずからの歳出削減や基金の取り崩しなどによる対応をとるよりほかにないことを十分に踏まえるべきであります。
この国と地方の協議の場で、国は、
経済財政再生計画のもと、国と地方を通じた取り組みの必要を訴えて、まずは地方の基金の増加の背景の原因等について早急に把握・分析して、引き続きこの件についての議論を深めていくといたしております。今後、財務省を中心にして、国の側で地方富裕論が展開されていけば、地方への
地方交付税圧縮にもつながり兼ねないといった危惧を抱くものであります。
以上のことを踏まえて、質問いたします。
第一点、総務省からの今回の全国調査に対して、本県はどんな回答をしたのか、教えてください。
第二点、今回の国の調査を受けて、基金造成に対する方針が後退するようなことがあってはならないと考えますが、基金のあるべき姿をどのように考えているか、ここで改めてお尋ねしたいと思います。
一部報道によりますと、財務省幹部の言葉として、「親がお金を借りて仕送りしているのに、子はその金を貯金している」と、この現状を表現しているとの紹介がなされておりました。国と地方の協議の場や
財政制度等審議会などでの国側の発言を見るなどしていると、地方の基金造成に対する国の考え方は相当かたいような印象を受けるわけであります。現在、国に対して
予算要望活動が行われているわけでありますが、国の
地方財政計画に対する考え方についてどのような感想を持っているか、お聞かせください。
また、三反園知事にお願いいたしたいと思います。
知事としては、国との積極的な対話に努めていただいて、過去の
三位一体改革の例にあるような
地方交付税の一方的な強引な削減や、
地方交付税を人質としての
歳出削減要望などは絶対にしないように、強く意見を申し述べていただきたいと思いますが、知事の考えを聞かせていただきたいと思います。
以上で、一回目の質問といたします。
[知事三反園 訓君登壇]
4 ◯知事(三反園 訓君)お答え申し上げます。
地方財政計画に対する財務省の考え方、感想及び国への要望についてであります。
ことし五月に取りまとめられました
財政制度等審議会の建議におきましては、毎
年度赤字国債を発行して
地方交付税を措置している現状を踏まえれば、各団体の基金の内容、残高の
増加要因等を分析・検証し、こうした地方団体の決算状況を
地方財政計画へ適切に反映することにより、国・地方を通じた財政資金の効率的配分につなげていく必要があるとされております。
県といたしましては、地方における近年の
財政調整基金の増加は、地方では、国を大きく上回る行財政改革を行い、歳出抑制の努力も行う中で、災害や将来の税収の変動、社会保障等に要する経費の増嵩に備えた財政運営の
年度間調整の取り組みのあらわれであると考えております。
特に、本県は、人口や
標準財政規模が類似するほかの団体と
財政調整積立基金と
県債管理基金の残高の合計額で比較しますと、いずれも残高は少ない状況であります。安定的な財政運営を行うためには、財政調整に活用可能な基金の充実を図る必要があります。
このようなことから、地方の基金残高が増加していることをもって、地方財政に余裕があるかのような議論は妥当ではなく、
地方財政計画の歳出削減の議論に結びつけることは容認できないと考えております。
県開発促進協議会や
全国知事会等を通じて、引き続き、
地方一般財源総額の確保等について国に要望してまいりたいと考えております。
東京に行ったとき、総務大臣そして幹部の方々、それぞれの閣僚には強く要望しております。よろしくお願いいたします。
5 ◯総務部長(寺田雅一君)
基金残高等に関する総務省の調査に対する主な回答内容につきましてお答え申し上げます。
県の平成二十八年度末の基金残高の総額は七百五十八億円で、このうち
財政調整積立基金が百七十五億円、
県債管理基金が七十四億円、
特定目的基金が五百九億円でございます。平成十八年度末の基金残高と比較いたしますと、総額で三百四億円の増であり、その主な要因は、
国民体育大会施設整備等基金や
後期高齢者医療財政安定化基金などの
特定目的基金の増でございます。また、これらの基金残高の対前年度比の増は、行革、経費節減等や国費などによるものでございます。今後の増減見込みにつきましては、国の財政再建の取り組みや地方財政の動向が不透明であることを踏まえ、増減を見込むことは難しいと回答しているところでございます。
特定目的基金の使途につきましては、主なものを申し上げますと、子育て・少子化対策、高齢化対策、
スポーツ振興などでございます。
続きまして、基金のあるべき姿についてでございます。
地方自治体の基金は、年度間の財政調整や特定の事業の複数年度にわたる安定的な運営等のために設けられるものであり、基金の積み立ては各
地方自治体の判断で行うべきものと考えております。
県といたしましては、今後とも、経済情勢の変動にも的確に対応しながら、安定的な財政運営を行うことが重要であると考えており、引き続き、予算執行のさらなる効率化に努めますとともに、一層の歳入確保に取り組み、財政調整に活用可能な基金の充実・確保を図る必要があると考えております。
[
永田憲太郎君登壇]
6
◯永田憲太郎君 私は、こういったことが国と地方の間でやりとりされるということは、
地方交付税に対する国の考え方は、私たちと相当食い違っているなということを感じております。大体、マスコミによる一部の報道にすぎませんけれども、親が借金して子に仕送りしているといった
表現そのものからいたしましても、国の幹部の方々は、国が親で地方が子と認識しているのかなと思うわけであります。
地方分権法が成立して以来、国と地方は上下・親子の関係じゃないんです。対等で並立の協力し合う関係だと、もう一般的にこれが常識化されつつあると思うんですね。ですから、親が子に仕送りするなんて言葉はまさしく許せない、そういう表現であります。百歩譲って、親が子に仕送りしているという言葉を認めるとしても、仕送りしたお金を無駄遣いしているのではなくて貯金しているのだから、逆に喜んでしかるべきだと思うわけなんです。
地方交付税にいたしましても、この財源は、所得税あるいは法人税あるいは酒税などでありまして、これは国民固有の財源であります。それを国のほうで集めて財源補正、財源調整として使っているにすぎないわけでありまして、このことはしっかりと皆さんも認識はしていただいていると思いますが、国と対峙するときにはこのことをしっかり主張していただきたいとお願い申し上げておきたいと思います。
それでは、次の質問に入ります。
発達障害者支援法が平成十七年に厚生労働省によって施行されました。その対象疾患は、自閉症、学習障害─LD─、注意欠陥多動性障害─ADHD─とその他の脳機能障害とされています。このときの
発達障害者支援法が基盤となって、発達障害の人たちに対する支援が計画されているわけでありますが、その一環が小・中・高校での
特別支援教育ということになります。
本県においては、発達障害に係る療育は平成十四年から取り組みが始まっています。その歴史は比較的浅いと言えると思います。この時点での対象児童数はまだ少数でしたし、教室数もわずかなものでした。その後、
発達障害者支援法の成立や国の制度が進んでいく過程で、対象児童、教室数ともに増大してきています。現在は、言語障害、難聴、情緒障害、自閉症、LD、ADHDの症状が見られる児童生徒を対象にした
通級指導教室が八十三教室、千百八十一人に増大しています。県内の数字であります。
自閉症は、人の気持ちや場の空気に合わせた上手な対人交流ができないと言われています。学習障害─LD─は、知能に見合った読み書き、算数の習得ができないと言われております。大抵の単語はどんどんどんどん幾つも暗記していくけれども、「それをペンをとって書きなさい」と言うと、字がどうもついていけないといったような症状もあるんだそうであります。注意欠陥多動性障害は、衝動を制御して
社会的ルールに合わせた行動ができないと言われています。
これら発達障害の最大の特徴は、本人も家族も障害に気づきにくい点にあると言われています。見た目は普通の子供と変わらないために、単なるわがままな子、自分勝手な子と受け取られ、人づき合いがうまくいかないことなども、親のしつけのせいにされてしまうケースが多いと言われております。
発達障害は、かつては軽度の知的障害を指すとも言われていましたが、これは今日の一般的な定義ではなくなっています。発達のおくれやゆがみは決して不変のものではなく、適切な学習環境の設定によって発達を促し、ゆがみを変容・是正できると言われています。大多数は、先天性ないし比較的低年齢に生じた何らかの疾患の後遺症によるものと考えられております。
特別支援教育については、通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある子供一人一人の実態に応じた支援の充実が強く求められるようになり、平成十九年度、特殊教育から
特別支援教育へ制度の転換がなされたところであります。この間、各学校等におきましては、
特別支援教育コーディネーターの指名や
校内委員会の設置がなされ、一人一人に応じた支援体制の整備が図られてきましたが、支援の対象となる子供の保護者からは、「担任によって指導の方法が異なり戸惑うことがある」、「小学校を卒業して中学校に進学したときに、同じような支援がしてもらえるか不安がある」などの声が聞かれ、学校等における支援のあり方には温度差があるのではないかと思われます。
今後、全ての学校等において、さらに管理職が
リーダーシップを発揮して
特別支援教育を推進するとともに、実際に担当する教員の
特別支援教育に関する専門性を高めていくことが必要ではないかと考えるわけであります。そして、担任や学校がかわっても子供たちが一貫した指導・支援が受けられるような体制を整備していくことも大切であると考えます。
このことは、平成二十六年度からの五年間の施策の方向性を示した
県教育振興基本計画の中でも、
小・中学校等に在籍する障害のある幼児・児童生徒一人一人の
教育的ニーズに応える指導・支援の充実に努めることや、就学前から学校卒業後までの一貫した支援体制の整備に努めることが示されており、県としても重点的に取り組まれているものと考えます。
以上のことを踏まえて、その
取り組み状況等について、次の点をお伺いいたします。
第一点、発達障害の可能性のある子供は本県の小・中・高等学校にどれくらい在籍しているのか、お示しください。
第二点、発達障害の可能性のある子供の指導・支援の充実には、管理職を初めとする教員の資質向上を目指した研修が重要だと考えますが、県教委としてはどのような取り組みをしているのか、お示しください。
第三点、また、専門性を高めるための県教委の取り組みとして、夏期休業中に鹿児島大学において
免許法認定講習を実施していると聞いておりますが、発達障害の可能性のある児童生徒が年々増加する傾向の中で受講を希望する教員もふえてきているだろうと推測できるわけですが、教員の受講希望に対して十分な枠が確保されているものかどうか気になります。
特別支援教育に関する
免許法認定講習の概要及び受講状況についてお示しください。
第四点、発達障害の可能性のある子供たちが一貫した指導・支援を受けられるようにするためにどのような取り組みをしているのか、お示しください。
以上で、第二回目の質問といたします。
7 ◯教育長(古川仲二君)
特別支援教育に関するお尋ねのうち、まず、発達障害の可能性のある児童生徒の実態についてであります。
平成二十四年に文部科学省が実施いたしました
全国抽出調査によりますと、通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある児童生徒の在籍割合は、小学校は七・七%、中学校は四・〇%という結果が出ておりまして、これを本県の本年度の
児童生徒数に当てはめて算出いたしますと、小学校においては約七千人、中学校におきましては約二千人になると推計されますが、これはあくまでも統計上の推計値でございまして、そのことを御理解いただければと存じます。
また、高等学校においては、本年五月に県教委が独自に実施いたしました、特別な支援が必要な生徒の
在籍状況調査によりますと、発達障害が見られるような学習面や行動面、
対人関係等で困難があると学校が判断した生徒は、全体の約一・六%となる四百八十六人でございます。
次に、指導・支援に対する教職員の資質向上についてであります。
特別支援教育に対する教員の専門性の向上に係る取り組みといたしまして、管理職に対して、国及び県の動向や管理職の
リーダーシップに基づく
校内支援体制の充実などの研修を実施いたしまして、学校全体で取り組む
特別支援教育の推進を図っているところであります。また、各学校の中心となる
特別支援教育コーディネーターについては、
養成研修会等を実施し、
校内委員会の機能充実や関係機関との連携等について指導いたしておりまして、このほか学級担任等を対象に、発達障害のある児童生徒の理解や個別の指導計画に基づくわかりやすい授業づくりなどの研修を実施しているところであります。
このような研修を通して、全ての学校において、組織的な支援体制のもと、発達障害の可能性のある児童生徒の指導・支援のさらなる充実が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、
免許法認定講習についてでございます。
県教委が実施いたしております
免許法認定講習は、必要な単位を修得することによって、教員に新たな免許を取得させることを目的に、
特別支援教育に関する講座を含め、毎年十一講座を開設し、教員の積極的な受講を促しているところであります。
特別支援教育に関する講座につきましては、これまで、知的障害や発達障害に関する講座を開設いたしておりましたが、受講者の要望などから、本年度新たに、視覚障害、聴覚障害などに関する講座を新設したところでございます。また、同講習への受講状況については、これまでもおおむね希望どおりの受講がなされているところでございまして、昨年度は二講座に延べ二百二十四人が受講し、本年度は先ほど申し述べました講座の新設によりまして、延べ四百二十五人が受講または受講する予定となっているところでございます。
今後も、大学との連携を図りながら、
免許法認定講習の充実に努めるとともに、
特別支援教育に対する教員の専門性の向上に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、発達障害の可能性のある児童生徒への一貫した支援等についてでございます。
県教委では今年度、発達障害の可能性のある特別な支援が必要な幼児・児童生徒に対する就学前から
高等学校卒業までの切れ目のない支援の充実を図るための調査研究を実施いたしております。具体的には、県下の四つの
教育事務所にそれぞれ
学校間連携コーディネーターを配置いたしまして、各学校に適切な引き継ぎに関する助言等を行うとともに、障害のある幼児・児童生徒が次の学校段階に円滑に移行できるよう支援策等を記録し、引き継いでいく
移行支援シートの作成・活用を促進するなどして、移行期における適切な
引き継ぎ方法や時期について検討を行っているところでございます。
また、昨年度から、学校や
企業関係者等による協議会を開催し、発達障害に関する理解を深め、雇用促進につなげるための取り組みも進めているところでございます。その中では、生徒が就職する際に自分に必要な支援等の情報を自分自身でまとめ、企業につなぐための
就職支援シートの作成について、モデル校において試行いたしておりまして、今後、その成果を各学校に還元することにいたしております。
このような取り組みを通して、学びや生活の場が移り変わっても、発達障害の可能性のある幼児・児童生徒が必要な支援を継続して受けられる体制を整え、一人一人の自立と社会参加の実現に向けて一層努めてまいりたいと考えております。
[
永田憲太郎君登壇]
8
◯永田憲太郎君
特別支援教育について、教育長より御答弁いただきました。
特別支援教育に対する一般的な声として耳に入ってきますのは、この子供が本当にしっかりした専門的な教育を受けているんだろうかといったような親としての心配ですね、そういったものが聞こえてくるんです。さらには、小学校から中学校、中学校から高校と校種が変わっていき、そして高校は、進学もしくは就職といったように変わっていくわけですけれども、そのときの支援が、満足できるような支援が望めるんだろうかといったような親としての心配があるわけなんです。
子供を持つ親としては誰もそうですけれども、この子供は障害があるから、もうこの程度でいいというような親はどこにもいないわけでありまして、最大限の愛情を注いで、そして最大限の可能性を引き出して、この子供が幸せに暮らしていけるようにしてやりたい、あげたいというのが親の気持ちであります。今の
特別支援教育は、歴史が浅いということもあるだろうと思います。さらに制度的なものもありまして、
特別支援教育に携わる教師の免許・身分に対して制約がかけられておりませんので、そういった点での不安とか不満といったことが保護者の間であるわけなんです。
うそかまことかわかりませんけれども、うわさとしてお聞きいただきたいと思うんですが、
特別支援教育の担任は臨採の先生がたくさん、臨採とかあるいは初任者の方々が回されているといったようなことがまことしやかに保護者の間で語られているというのも、これは保護者のそういう教育に対する不安の裏返しじゃないかと思うんですね。よもやそういうことはないでしょうと思うんですけれども、親としてはそういう受けとめ方をしている空気もあるということも十分、教育長としては踏まえていただいて、
特別支援教育に対する今後の取り組みをお願い申し上げておきたいと思います。
次の質問に入ります。
甲突川に関する質問であります。
先日、甲突川で中学校二年生の子供たちが四人で川遊びをしている最中に、一人が溺れて重体、そして大学病院に運ばれております。一人は低体温症と判断されて、この子も搬送されたとお聞きいたしました。
この質問をするに当たりまして、まことに複雑な思いでありますけれども、けさお聞きしましたところ、
鹿児島大学病院に搬送された重体の子供は、まだ重体のままで回復には至っていないということでありました。低体温症で搬送された子供は二日後には退院し、その翌日からは、重体の子供のほかの三人は元気で学校に登校しているとお聞きしております。まだ入院しているお子さんが早期に回復して、元気な姿で登校できることを心から祈念したいと思います。
それでは、質問に入ります。
鹿児島市内を貫流する甲突川は、昭和四十年、五十年代は水質も悪く、河川環境も劣悪な状態でしたが、平成五年、八・六水害を機に河川環境が大きく整備されました。八・六水害では、藩政時代の貴重な遺産である武之橋と新上橋を失いましたが、その後、河川環境に配慮した護岸整備を初めとして、河道内の散策路や魚道整備などが実施され、生態系に優しい甲突川が再生されたと感じています。
また、県民や観光客など人々が川に親しみ、憩える場所としての水辺空間を創出するためのリバーサイドウォーク事業は、事業費を毎年予算計上していただき、県都鹿児島市にふさわしい川づくりを目指しています。その結果、西田橋や高見橋のライトアップを初め、MBC放送局前の水辺のステージゾーンでは、水辺のコンサートや曽我どんの傘焼きが、また、加治屋町の歴史散策ゾーンでは桜灯りと水上の音楽祭などが市民の手で毎年行われ、多くの県民や観光客が集まっています。このことは、昨年十二月の一般質問で宝来議員によって紹介されたところであります。
市民の方々に甲突川に親しんでいただくために、河川沿いの小学生を対象とする水辺の観察会やウナギの放流なども実施されています。
内水面漁業協同組合、甲突川漁協と称しておりますけれども、この漁協と法人会が中心となって毎年実施されている河岸のごみ拾いは、ことしも五月十四日に五百名近い市民が集まって、清掃奉仕に汗を流しました。
現在整備中の甲突川リバーサイドウォーク事業の継続と拡充を願うものであります。
ところで、甲突川リバーサイドウォーク事業は、岩崎橋より下流域が事業区間であるため、岩崎橋上流域の整備のおくれが近年、目立つようになっています。例えば、河道内の散策路は、八・六水害後に洪水の流下断面を確保する目的で整備されたものでありますが、自然の風情を残すために、表面の石材はごつごつした状態で敷設されていました。しかし、それでは歩きづらいということで、リバーサイドウォーク事業の一環として、岩崎橋より下流域はその石をフラットにして散策しやすくしました。
しかし、岩崎橋上流域の散策路は、八・六水害直後に整備されたままの姿であります。付近の住民が朝夕の散歩を楽しむには少々歩きづらいという声が多く聞かれます。さらに、高齢者などが転倒して川に落ち込んだりする危険もあります。
また、甲突川上流部には比志島川という支流が流れ込んでいます。お手元に資料をお配りいたしておりますが、その写真にある滝であります。
国道三号を横断して甲突川本流に合流します。この合流点でもある国道三号から約一・四キロぐらい入った地点に、幻の滝と言われて、落ち口から滝つぼまで一気に落下する比志島の滝があります。近年、甲突川上流域の景勝の目玉として民放によって紹介されたこともあり、放映以来、訪れる観光客もふえていると聞いています。この比志島川と滝周辺の整備を進めて、市民の憩いの場にしてほしいという地域の声があります。
以上、これらの点を踏まえて、市民の要望をお伝えしながら、その対応をお尋ねいたします。
一点、岩崎橋から上流においては市街地部が連続していることから、岩崎橋から梅ヶ渕橋の間についても、河道部分の散策路再整備や飛び石工、水制工の計画を要望する声があります。
第二点、これまで、リバーサイドウォーク事業で水制工や飛び石工など、生態に配慮した事業を実施していただいていますが、環境未来館前のビオトープの整備・拡充を要望する声があります。
第三点、甲突川中流域にある、幻の滝と言われる落差十七メートルの比志島の滝の環境整備を要望する声があります。
これらの要望に対する当局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
これで、第三回目の質問といたします。
9 ◯土木部長(渡邊 茂君)甲突川の岩崎橋から梅ヶ渕橋の散策路整備及び飛び石工の整備についてでございます。
甲突川の環境整備につきましては、甲突川リバーサイドウォーク整備事業において平成二十一年度に着手し、武之橋から岩崎橋の間、約五キロメートルにおいて両岸の散策路や甲突橋下流の水辺のステージ、環境未来館前の飛び石工などの整備を進めてきたところであります。今後は、甲突橋付近のフットライトや階段護岸の改良などの整備を進めることとしております。
岩崎橋から梅ヶ渕橋の間につきましては、現計画区間のさらに上流側にあることから、まずは現計画区間や事業中箇所の整備を進めることとしております。
続きまして、環境未来館前のビオトープ整備についてでございます。
環境未来館前につきましては、自然環境を再生するいわゆるビオトープとして水制工や飛び石工を整備し、良好な環境が形成されております。河川内のビオトープにつきましては、出水を繰り返す中で自然環境や利用環境を維持することが難しい施設であることから、現在は、飛び石表面が滑らないようにする安全対策など、施設の維持管理に努めているところであります。
これらの施設につきましては、水辺の自然観察会やリバーフェスティバルを初めとして、夏場を中心に活発な利活用がなされていることから、今後もより一層の利用促進を図るよう努めてまいります。
続きまして、比志島川の滝周辺の整備についてでございます。
県管理河川における親水護岸等の環境整備につきましては、市町村が実施する河川を生かした公園などと一体となって整備を進めることとしております。しかしながら、比志島川の滝周辺においては、現在、鹿児島市の周辺整備計画等がないことから、今後、市の考えや地元の御意見などをお伺いすることとしております。
[
永田憲太郎君登壇]
10
◯永田憲太郎君 土木部長に御答弁いただきました。
まずは岩崎橋下流域のリバーサイドウォーク事業を進めていきたいということでありましたが、これはそういうことであろうと納得いたします。やはり観光客が中央駅あるいは天文館におり立って最初に目にする部分というのは、武之橋を中心としたあの流域でありますから、ここをさらに充実して整備していくということは大事なことであると思うわけなんですね。
来年度以降は、市町村が作成する花いっぱい運動実施計画を踏まえ、種や苗、プランターなどを自治会や学校などに配布するとともに、県内各地で花育て教室を開催することとしております。
今後とも、市町村などと連携を図りながら、花いっぱい運動を展開し、県民総参加の大会となるよう取り組んでまいります。
続きまして、競技施設のバリアフリー化についてであります。
国体の競技会場となる施設につきましては、福祉のまちづくり条例で定める整備基準などに基づき、バリアフリー化に取り組んでおります。県有施設のうち鴨池運動公園では、車椅子席や障害者等用駐車場の拡張、エレベーターの増設、敷地内の段差解消などを行うこととしております。また、市町村でも、施設の改修に合わせて、障害者等用駐車場や多目的トイレなどの整備が進められております。
また、全国障害者スポーツ大会の会場につきましては、今年度行う現地調査の結果や関係団体の意見も踏まえながら、仮設による整備を含めて、必要な対応を検討することとしております。
今後とも、高齢者や障害者の方々などが安全で快適に競技や観覧などができるよう、施設の整備を進めてまいります。
19 ◯土木部長(渡邊 茂君)県道や県立公園における樹木、遊具の管理等についてでございます。
県が管理する国道・県道については、安全で快適な交通の確保を目的として、樹木の剪定等を定期的に行っております。また、県立公園の樹木については、それぞれの公園の特徴を踏まえた年間計画に基づき、剪定などを行っているところです。遊具については、県民が安全に利用できるよう、目視や触診などによる日常点検などを行っているところです。
引き続きこれらの適切な管理に努めるとともに、国体等の開催前には、国体県民運動プログラムに基づき、会場周辺の樹木管理などについて重点的に取り組んでまいります。
20 ◯環境林務部長(古薗宏明君)緑化活動の推進についてであります。
兵庫県におきましては、都市緑化の推進などを目的とし、使途を限定した県民緑税を導入し、住民団体などが行う緑化活動を支援する県民まちなみ緑化事業を実施していると聞いております。一方、本県の森林環境税は、森林環境の保全及び森林を全ての県民で守り育てる意識の醸成に関する施策に要する財源を確保することを目的としております。
本県におきましては、かごしまみどりの基金が、市町村や住民等による学校、公園、公共施設周辺の緑化活動への支援や、ボランティア団体等が行う植栽活動等への助成を行っております。
県といたしましては、今後とも、かごしまみどりの基金と連携し、地域住民等の協力も得ながら、緑化の推進に努めてまいります。
21 ◯保健福祉部長(藤本徳昭君)HACCP制度について、何点か御質問いただきました。
まず、制度の概要と世界の動向についてであります。
HACCPによる衛生管理は、食品等事業者みずからが、食中毒菌汚染や異物混入等の危害要因を把握した上で、原材料の入荷から製品の出荷に至る全工程の中でそれらの危害要因を除去または低減させるために、特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保する手法であり、合理的で有効性が高いとされております。
この制度は、既に米国やEUにおいて導入され、カナダやオーストラリアなどでも義務化が進められております。また、香港やシンガポールなど、食品の多くを輸入に頼っている国や地域では輸入の要件とされるなど、世界的にも導入の動きが進んでおります。
次に、国の動向についてであります。
我が国においては、国が設置いたしました食品衛生管理の国際標準化に関する検討会において議論がなされ、食品流通の国際化、東京オリンピック・パラリンピックの開催等を見据え、HACCPによる衛生管理を制度として位置づけ、定着を図る必要があるとする最終取りまとめが昨年十二月に示されたところであります。これを受けて、国は、平成三十年の食品衛生法の改正に向けて、現在、制度の詳細について検討中であると聞いております。
次に、モデル事業についてであります。
農林水産省は、日本食品衛生協会等への委託により、昨年度から、HACCPを導入して間もない事業者や導入を検討している事業者をモデル的に支援する、HACCPフォローアップ等及び指導者養成研修事業を実施しております。平成二十九年度は、本県の一事業者も含め全国で十八事業者が選定され、HACCPの運用や導入についての助言・指導を受けております。
本県の取り組みについてであります。
食品の安全確保にはHACCPの概念を取り入れた衛生管理が有効であると考えており、平成二十七年度に、食品衛生法施行条例で規定する管理運営基準にも追加したところであります。
県といたしましては、事業者に対し、手引書等の活用による普及啓発を行ってきたところであり、今後とも、食品衛生法の改正内容を注視いたしますとともに、導入に向けた指導・助言に努めてまいります。
[田中良二君登壇]
22 ◯田中良二君 それぞれに御答弁いただきました。
まず、明治維新百五十周年に向けた県政の展開につきましては、知事の明治維新に対する基本的な認識、また、明治維新に果たした鹿児島の大きな役割、また、先人の偉業見直しに言及していただきました。
新たな県政ビジョンの骨子案には、人、暮らし、産業に着目して、反映すべき基本方向もお示しいただきました。
明治維新百五十周年を機に、鹿児島は何に重点的に取り組むのか。「人は石垣、人は城」という言葉がありますが、私は、鹿児島に貢献する人材育成だと考えます。五十年後の明治維新二百周年のとき、今の我々が何を議論し、何を鹿児島の将来に残そうとしていたのかが問われることを思いますと、我々が明治維新の歴史的意義に学ぶべきことは、ゆかりのある箱物整備、イベント開催にあわせて、また、それらにとどまらず、ふるさと鹿児島の伝統・歴史を引き継いでいく人材、ふるさと鹿児島を守り、発展させていく人材育成の仕組みづくりが、県政の大きなテーマの一つであると考えます。
麓と城の保存活用につきましては、県内には麓地区が百一カ所、また、城が山城を含めて八百カ所余りという答弁でございました。鹿児島の次代を担う人材育成のためにも、貴重な歴史資産である鹿児島の麓と山城を含む城についての郷土学習を、将来にわたり積極的に続けていただきたいと考えております。
鹿児島国体、全国障害者スポーツ大会に向けた取り組みについてですが、県当局、各市町村とも精力的な準備が進められているようであります。半世紀に一回の鹿児島大会でありますので、推奨花による花いっぱい運動、樹木、遊具の管理、施設のバリアフリー化につきましては、計画的に確実に進めていただくようにお願いいたします。
次に、三項目めの、本県の主要政策や将来ビジョンなどの諸計画に係る検討と策定の手法の中で、県の附属機関と知事の私的諮問機関のあり方についてお尋ねいたします。
昨年七月に三反園知事が誕生されて以来、これまで、新たな県政ビジョン策定や行財政改革、エネルギー関連、ハード整備に係る主要政策の検討が進められており、新たな県政の方向性の構築に積極的に向かう姿勢は、県民が望むものであり、高く評価いたします。
そして、さまざまな政策、計画の検討の中では、出発点とプロセスにおいて、知事の基本的な考え方の意思表示、議会とのかかわり、また、県民の皆様の意見反映の手法が極めて重要であります。
そこでお尋ねしますが、平成二十八年度と二十九年度におきまして、新たな県政ビジョン策定、行財政改革、新たなPR基本戦略とキャッチコピー検討、新たな再生可能エネルギービジョン策定、原子力安全・避難計画関連、鹿児島港本港区エリアまちづくり検討、大規模スポーツ施設関連、乳幼児医療費助成関連、農林水産物の輸出促進関連、以上の九件、九項目につきまして、検討・策定手法の区分として、一つ目が、県庁内検討会─プロジェクト─の県庁単独で検討されているもの、二つ目が、コンサルタントに委託しているもの、三つ目が、要綱、内規により設置されている知事の私的諮問機関、名称としましては、あり方検討会、専門委員会、有識者委員会などがあると思われますが、それらに委ねているものの三つの区分で、とられている手法の数はおのおのどのような状況でしょうか。
また、地方自治法に規定する附属機関につきまして、法律、条例による審議会等の数、また、平成二十八年度における開催状況とあわせて、一回も開催されなかった審議会等の数についてお尋ねいたします。
次に、附属機関と私的諮問機関の設置基準と、それらの実態についてお尋ねいたします。
政策、計画の検討・策定を行うに当たり、外部委員による検討組織を、条例で規定される附属機関とするのか、あるいは県庁内内規で規定される知事の私的諮問機関とするのかの設置区分の基準、根拠は何でしょうか。
言いかえますと、私的諮問機関のいわゆるあり方検討会あるいは専門委員会設置を、附属機関として審議会等設置条例を議会に提案されない理由は何か、お尋ねいたします。
次に、附属機関と私的諮問機関に係る行政実例二件に対する見解についてお尋ねいたします。
先ほど私は、私的諮問機関の設置を、附属機関として審議会設置条例として議会に諮るべきではとお尋ねしましたが、あり方検討会などの設置は、名称は審議会でなくても、それらの内容、レベルによっては設置条例の議案にすべきとの見解が示されております。
行政実例の一つ目として、「条例に根拠を置かない、いわゆる私的諮問機関が存在しており、長が私的に学識経験者などから個別的に意見を聞くことは、事実上の問題としては許されるべきであるが、これらの者を一堂に集めて意見を聞くというような段階になると、もはや自治法上の附属機関との区別が明確ではなくなってくる。この場合、自治法は、相当の程度において組織化された形のものは、条例により設置すべきものとしていると考えるべきであり、相当制度以上組織化されながら条例に根拠を置いていないものは、違法なものと言える」。
また、もう一つの行政実例としましては、「附属機関たる性格を有するものは、名称のいかんを問わず、臨時的、速急を要する機関であっても、条例によらなければ設置できない」という行政実例があります。
本県の私的諮問機関の組織、委員構成、開催状況等を踏まえて、行政実例二件に対する当局の見解をお示しください。
あわせて、本県の私的諮問機関におきまして、了承、承認、意見集約などの合議制があり、また、知事への報告・提言・意見書の提出などにより、諮問機関である審議会の答申と同等の実質的な県政執行への影響を与えている実態はないのか、お尋ねいたします。
また、地方自治法に規定する附属機関の実態があるにもかかわらず、設置根拠を要綱としている私的諮問機関はないのかにつきまして、当局において精査する考えはないか、お尋ねいたします。
次に、女性委員の登用についてでありますが、これにつきましては、男女共同参画、女性活躍推進の観点から、さらなる登用推進が求められています。
お尋ねしますが、本県の附属機関、私的諮問機関において、女性委員の割合はどのような現状でしょうか。
また、その数字は、当局が委員依頼の際に女性登用を優先しておられる成果なのか。
最後に、本県においては、基本的にクオータ制についてどのような見解なのか、お尋ねいたします。
四項目めに、エネルギーパークについてお尋ねいたします。
エネルギー政策につきましては、本県は、原発立地自治体であり、また同時に、多様な再生可能エネルギーが具体的に展開されている中で、将来にわたる重要な県政のテーマであります。
そこでお尋ねしますが、知事マニフェストに、再生可能エネルギーの開発と実用化に向け、エネルギーパーク化構想の推進が掲げられていますが、まず、改めて、構想のグランドデザインすなわち概要と、構想実現のための指針となるビジョン策定のタイムスケジュールをお示しいただきたい。
また、今後の施策展開の方針と、指針となりますビジョンの目標の基本的な考え方をお尋ねいたします。
次に、私は、エネルギーパーク化構想に関連して、川内川アクアフロントのエネルギーパークとして、一つの提言をいたします。
薩摩川内市では、次世代エネルギービジョンを策定されており、既に多様な再生可能エネルギーが市民の目に見える形になっていますが、川内川アクアフロントを一つのエネルギーパークのモデルコースにしてはと考えております。
現在、川薩地区における川内川流域、いわゆる川内川アクアフロントにおきましては、世界的技術で再開発事業がなされました、さつま町の鶴田ダム・出力十二万キロワット、薩摩川内市東郷町のらせん水車による小水力発電、中越パルプ工業のバイオマス発電・二万五千キロワット、高江町の株式会社ワットによる風力発電・風車十二基で二万七千六百キロワット、川内原発、川内火力、寄田地区などの太陽光発電、さらに平佐地区のスマートハウス、また甑島への電気自動車の配備活用などがあります。
私は、この川内川アクアフロントのエリアをエネルギーパークの一つとして位置づけ、関連施設を線で結び、エネルギーの総合学習・研修や産業施設観光のモデルコースにすることを提言しますが、当局の見解をお示しください。
そして、今後、子供たちのエネルギーに関する学習の充実を望むものでありますが、教育長の見解をお示しください。
五項目めに、シラスの利用推進について質問いたします。
県民手帳の鹿児島県の概要、地質を見てみますと、「いわゆるシラス層の丘陵台地が幅広く広がり、ほとんど県下の全域を覆っている」と記載されています。本県に特徴的な自然資源活用を考えますと、ある意味、無尽蔵にある資源として、従来から竹材、竹とともにシラスの利用推進がうたわれてきました。
そこでお尋ねしますが、まず、県工業技術センターにおけるシラス利用の研究経緯と成果についてお示しください。
次に、その研究成果をもとに製品化されたもの、工事施工例はどのようなものがあるのでしょうか。
そして、シラス利用の製品製造につきまして、県内企業の取り組みと、商品の流通状況として販売金額はどのような推移でしょうか。
また、シラス利用の製品推奨と関連企業の支援について、県当局の方針をお示しください。
最後に、シラスの県事業への利用状況として、県の土木建築事業への活用はどのような現状か、お尋ねいたします。
以上で、二回目の質問といたします。
23 ◯総務部長(寺田雅一君)政策、計画の検討・策定手法につきまして、三つの区分のいずれに該当するかとの御質問についてでございます。
御質問のありました九件のうち、行財政改革推進プロジェクトチームは、一つ目の区分になろうかと思いますが、県庁内部で検討しているものでございます。
鹿児島港本港区エリアまちづくり検討事業は、二つ目になろうかと思いますが、コンサルタントに委託しているものでございます。
それ以外の県政ビジョン策定有識者委員会など七件につきましては、三つ目の区分になろうかと思いますが、おのおの要綱に基づき、外部有識者等による会合の場を設置し、必要な意見・助言等をいただく、あるいは市町村や関係機関と必要な協議を行うなどしているものでございます。
続きまして、審議会等の数と開催状況についてでございます。
本県では、法律または条例に基づき、本年四月一日現在で七十二の附属機関を設置しているところでございます。平成二十八年度は、このうち四十七の附属機関で延べ二百五十一回開催しているところでございます。その他の二十五の附属機関では、平成二十八年度は、計画等の見直しに係る諮問や不服申し立ての審査、紛争に係るあっせん、調停といった審議事項がなかったことから、開催しなかったところでございます。
続きまして、附属機関といわゆる私的諮問機関の設置基準等について、数点御質問いただきました。
地方自治法第百三十八条の四第三項におきましては、「普通地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより、執行機関の附属機関として、調停、審査、諮問又は調査のための機関を置くことができる」と規定されております。本県の附属機関は、私立学校審議会など、法律の規定に基づき設置されているものや、公務災害補償等認定委員会など、県による決定、処分等に関する審議、調査等を行うため全国的に条例により設置されているもの、また、観光立県推進会議や文化芸術振興審議会など、いわゆる政策条例に基づきまして指針等を策定するに当たり、あらかじめその意見を聞くこととされているものがございます。
一方、県政ビジョン策定有識者委員会や大規模スポーツ施設の在り方検討委員会等につきましては、行政運営上、必要な情報や意見の聴取、政策立案等に関する助言を得ることを目的といたしまして、おのおの要綱等に基づき、外部有識者等による会合の場を設置しているものでございます。これらはいずれも、行政組織である附属機関には当たらないものと考えておりますが、その設置に係る経費につきましては予算計上いたしまして、県議会で御審議いただいているところでございます。
いずれにいたしましても、今後とも、おのおの設置の必要性等については十分精査し、県政の各種課題に適切に取り組んでまいりたいと考えております。
24 ◯県民生活局長(中山清美君)女性委員の登用についてでございます。
本県の附属機関及び要綱等により設置された機関を対象とする審議会等への女性委員の登用率は、平成二十八年度末で三八・二%であります。
県では、県男女共同参画基本計画において、女性委員登用率について、平成二十九年度までに四〇%とする目標を掲げており、同計画に基づき、女性委員登用促進要領を定め、審議会等ごとに女性委員の年次別登用計画を作成して、進行管理を行い、女性の登用への配慮の要請などを行っております。その結果、審議会等への女性委員の登用率は五年前と比べて四・三ポイント上昇していることから、一定の成果が得られていると考えております。
審議会等の女性委員について一定の人数や比率を割り当てるクオータ制は、女性の参画を促進する上で効果的な方策であると考えておりますが、県としては、現行の取り組みで一定の成果が得られていることから、引き続き、女性委員登用促進要領に基づく登用促進に取り組んでまいります。
25 ◯企画部長(東條広光君)初めに、エネルギーパーク化構想の概要と新たな導入ビジョンの策定スケジュールについてであります。
エネルギーパーク化構想は、本県の恵まれた資源を最大限活用し、再生可能エネルギーの導入を積極的に推進することによりまして、多様な再生可能エネルギーが有効活用され、その供給量が全国トップクラスとなる状態を目指すものであります。
県では、この構想の実現に向け、施策の基盤となります新たなビジョンを策定することとしており、六月には、民間事業者にも参加していただき、外部有識者などから成る委員会を開催し、ビジョンの骨子案などについて協議していただいたところであります。
今後、委員会の御意見などを踏まえまして、ビジョンの素案を作成し、次期定例会で県議会の御意見も伺いたいと考えております。その後、パブリックコメント等を経まして、今年度中に新たなビジョンを策定したいと考えております。
次に、今後の施策展開の方針とビジョンの目標についてであります。
エネルギーパーク化構想の実現に向けましては、地域の特性を生かす、種類をふやす、量をふやすの三つの考え方に基づき、県内全域で再生可能エネルギーの有効活用を図り、雇用の創出や観光面での効果などにもつなげたいと考えております。
新たなビジョンにおける目標につきましては、導入量だけではなく、エネルギーの地産地消による雇用の創出や地域の活性化についても重視したいと考えております。こうしたことから、短期的には五年後の目標を設定し、再生可能エネルギーの導入拡大を図り、中長期的にはエネルギーの地産地消のまちづくりが進んでいくことを目指したいと考えております。
次に、川内川アクアフロントをエネルギーパークとして位置づけることについてのお尋ねであります。
国は、再生可能エネルギー等について国民の理解の増進を図るため、再生可能エネルギー施設を一体的に見学できるような自治体等の計画を認定し、公表する制度を設けております。
また、薩摩川内市におきましては、観光物産協会が、木質バイオマス、水力などの発電施設や主要観光スポットを一体的にめぐる観光視察プランを提供しているところであります。こうした取り組みによりまして、再生可能エネルギーに対する県民の理解促進が図られ、地域活性化にもつながることが期待されるところであります。
県としましても、このような取り組みが県内全域に広がるよう普及啓発などに努めてまいりたいと考えております。
26 ◯教育長(古川仲二君)エネルギーに関する学習の充実についてであります。
エネルギーに関する学習として、小学校社会科では、必要な電気等の確保について、発電所見学やパンフレットなどから情報を収集し、まとめて発表する学習を行っている学校がございます。また、中学校理科では、水力、火力、原子力などからエネルギーを得ていることや、エネルギーの有効な利用が大切であることなどを学んでおります。
こうした中で、身近な地域の生活環境を学ぶため、水力発電を行う鶴田ダムや風力発電を行う薩摩川内市の施設などを訪れ、発電の仕組みを学習し、その成果をまとめ、地域の再生可能エネルギーの状況について保護者や地域住民に発表している学校もございます。
県教委といたしましては、今後、身近な地域の再生可能エネルギーと関連させながら、エネルギーの有効利用の大切さなどに関する学習の充実を図ってまいりたいと考えております。
27 ◯商工労働水産部長(酒匂 司君)工業技術センターにおけるシラス利用の研究経緯と成果等についてでございます。
シラスは、豪雨時に災害発生の一因ともなるなど、長年厄介なものとして受けとめられてきたものの、県内埋蔵量は膨大であることから、工業資源化がかなえば大きな経済効果も期待できるとして、昭和二十年代後半以降、工業原料として活用するための研究を開始し、まずは、れんがやタイルといった建築資材等への利活用について研究、試作等を行ってきたところでございます。
その後、平成に入り、ガラス分を熱処理して発泡させるシラスバルーンの製造技術を確立し、断熱塗料や研磨剤、洗顔料等の製品に幅広く活用されているほか、軽石分を用いてシラス平板を製造する方法の開発により、緑化基盤として県内企業が製品化し、鹿児島市電の軌道敷緑化の基盤材等として採用されるに至ったところでございます。
さらに、今般、シラスを土木建築材料として全量活用できる技術として、シラスを構成する成分を四つに分離することに国内で初めて成功し、新たな事業展開の道を開いたところでございます。
県といたしましては、今後、この技術の実用化に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、県内企業の取り組みと県の支援方針等についてでございます。
シラスを利用した製品の製造につきましては、過去十年間で県内企業五社が、県工業技術センターの保有するシラス関連特許を活用し、緑化基盤や歩道ブロック、屋根瓦等を製造しているところでございます。また、これらの製品の販売金額は、平成十九年度から二十三年度までの五年間の合計で約三億八千四百万円であったものが、平成二十四年度から二十八年度までの五年間では約六億三千七百万円と大幅に伸びているところでございます。
県では、これまで、工業技術センターによる県内企業への技術的助言等のほか、生産設備導入への資金面での助成、さらには、トライアル発注制度による受注機会の拡大等の支援を行ってきているところでございます。また、シラスを活用した製品・技術を有する県内企業を県ホームページ等で紹介しているところでもございます。
県といたしましては、かごしま製造業振興方針において、本県の豊富な地域資源を生かした製品開発や事業化を支援することとしておりまして、今後とも、かごしま産業支援センター等の関係機関と連携しながら、シラスを活用した県内企業の新商品開発等の取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
28 ◯土木部長(渡邊 茂君)シラスの土木建築事業への活用状況についてでございます。
土木建築工事におけるシラス活用については、コンクリートの骨材の一つとして利用を図っているところです。コンクリートは、使用する材料によって性能が大きく異なることから、平成十七年度に作成したシラスコンクリートの設計施工マニュアルを活用し、積みブロックや側溝など二次製品での利用拡大を図ってきたところです。また、火山性ガスが発生するなど厳しい環境下の丸尾滝橋においても、シラスコンクリートを基礎ぐいに利用したところです。
県といたしましては、今後とも、シラスを活用した土木建築材料の利用に取り組んでまいります。
[田中良二君登壇]
29 ◯田中良二君 それぞれに御答弁いただきました。
附属機関と私的諮問機関のあり方についてですが、まず、主要政策、計画の検討・策定手法の区分につきまして、ピックアップしました九件のうち、いわゆる県庁自前方式は一件、コンサル委託が一件、私的諮問機関分が七件との答弁でありました。
附属機関と私的諮問機関の設置基準に関しまして、まず、大きな前提として申し上げますが、政策、計画の検討・策定の手法として、私は、各界各層から幅広い意見や、専門的知見を外部に求めること自体と、おのおのの機関における活発な会議、意見交換の内容などに異を唱えるものでは全くありません。広く県民の皆様の意見を聞き、また有識者から専門的知見を伺うことは、当局と議会の一致した姿勢であります。
私が申し上げたいのは、主要な政策、計画の検討体制においては、県当局の政策決定の主体性と最終的な執行責任の維持、さらには、当局は、議会の持つ二元代表制の権能とのかかわりを絶えず保つべきと考えるからであります。
鹿児島県庁は、県内屈指の優秀なシンクタンクであります。二万人の職員の皆様は、総合行政に係るマンパワー集団であり、おのおのが所管される業務に係る法令、科学的な知見においても専門家であり、長年蓄積された膨大なデータベースを有しておられます。
あるテーマについて、知事と本庁及び七つの地域振興局・支庁の職員の皆さんとの主体的な徹底した議論が交わされた後、それでもなお県庁内で方向性が見出せない専門的な部分は何なのか。すなわちコンサルに委託する、あるいはどうしても執行機関以外の外部委員からの意見を求めなければならない部分が明確でなければなりません。
昨日のふくし山議員の大規模スポーツ施設のあり方に関する質疑を聞いておりまして、建設場所、スケジュールについて、県の主体性はあるのかとの感を持っております。
また、政策、計画の検討・策定の手法が私的諮問機関に委ねられた場合、県政執行に大きな影響を与えているにもかかわらず、検討組織の設置あるいは計画・ビジョンが議案とならない限り、一連のプロセスと議会とのかかわりが希薄になることが懸念されます。
なお、県民の意見を広く聞くための手法として、知事の車座対話でフリーに出される意見と、専門委員会などで議事が進行され、合議後の政策判断として知事宛てに文書で出される意見は、性質が異なると考えます。
附属機関と私的諮問機関の設置基準に関しましては本日丁寧な答弁をいただきましたので、議事録をよく読んで、特に私的諮問機関の実態とあるべき方向性については勉強したいと考えております。
エネルギーパークについてですが、知事マニフェストのエネルギーパーク化構想の推進は、再生可能エネルギーの開発と実用化に軸足が置かれている記述であり、現在、新たなビジョンを策定中ということでありますが、エネルギー政策を県民の皆様に理解していただくためには、言葉による方針表明と同時に、数字によるわかりやすい説明が求められます。
新たな再生可能エネルギービジョンにおきましては、実現可能な電源別の到達レベルとタイムスケジュールを具体的にお示しいただきたいと考えております。
また、先日、骨子案が示されました、新たな県政ビジョンのエネルギー・環境問題への対応におきましては、エネルギーパーク化構想の推進並びに新たな再生可能エネルギービジョンと、国のエネルギー基本計画との整合性なども十分に議論していただきたいと考えます。
川内川アクアフロントのエネルギーパーク内の諸施設につきましては、今後とも、ぜひ子供たちのエネルギーに関する学習に活用していただきたいと考えます。
シラスの利用推進についてですが、県工業技術センターにおきましては、昭和二十年代後半から研究されており、その具体的な成果と取り組みがあることを評価いたします。
また、県内企業にあっては、「シラス利用関連の特許を五社が活用され、商品販売額も増加している」との答弁がありました。
新たな県政ビジョンの骨子案においても、地域資源等を活用した新たな産業の創出として、シラスを活用した新素材の開発・実用化が記載されておりますので、引き続き、シラスの利用推進を積極的に進めていただきたいと考えております。
最後に、今回の一般質問では、明治維新百五十周年、鹿児島国体、私的諮問機関のあり方などについて質問いたしましたが、多くの丁寧な答弁をいただき、まことにありがとうございました。
これからの県政展開において、来年は明治維新百五十周年、NHK「西郷どん」放映、奄美の世界自然遺産登録、三年後は鹿児島国体・全国障害者スポーツ大会、五年後は、今回見事日本一を奪還しました全国和牛能力共進会が鹿児島大会であり、県民の皆様と目標年次を共有できることに、本県発展に向けて県民の総力結集の明るい兆しを感じております。
私は、おかげさまで本年四月で県議会議員在職丸十年になりました。これからも初心を忘れず、行動と政策提言を活動指針としながら、県勢発展のため、県民の皆様のために働き続けていきたいと考えております。
以上で、今回の一般質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
30 ◯副議長(前原 尉君)ここで、休憩いたします。
再開は、午後一時十五分といたします。
午前十一時五十七分休憩
─────────────
午後 一時 十五分再開
31 ◯議長(柴立鉄彦君)再開いたします。
上山貞茂君に発言を許可いたします。
[上山貞茂君登壇](拍手)
32 ◯上山貞茂君 県民連合会派、上山貞茂でございます。
早速質問に入らせていただきます。
まず第一に、川内原発にかかわる諸課題についてでございます。
原子力安全・避難計画等防災専門委員会のあり方について質問いたします。
六月七日、ことし二回目の原子力専門委員会が開催され、十九日には、川内原子力発電所に関する意見書が出されております。
川内原子力発電所の安全性についての項では、南海トラフ地震を踏まえた長周期震動への検討、緊急時対策棟の耐震棟と免震棟の優位性の根拠など、今後の検討課題が挙げられています。
避難計画等の防災対策では、避難訓練は、避難者思いというより行政本意ではないか、広域・県境をまたぐ避難体制の充実、大規模な崩壊、地すべりなどの危険箇所の状況把握や情報の共有化など、避難計画の視点や改善点を指摘する項目が多く記載されています。
そこで質問いたします。
これらの意見や助言を今後、専門委員会や避難訓練にどのように生かしていくおつもりか、お考えをお示しください。
また、熊本地震は、布田川活断層及び日奈久活断層が連動して起きた地震でした。川内原発周辺にも市来断層帯、甑断層帯、出水断層帯など複数の活断層が迫っています。
これらの活断層が連動して起きる地震に対しての評価についても検討課題とすべきではないかと考えますが、県の見解を求めます。
一方、昨年、同委員会から提出された意見書では、委員会の構成人数、限定された専門分野の範囲、検討時間の制約を考慮すると、短時間で主な任務の全てを検討することは困難と述べられています。
そこで質問いたします。
これまでの委員会では、川内原子力発電所一、二号機の特別点検や定期点検に関する議論が中心でしたが、今後は、安全性に関する部会と避難計画など防災に関する部会を単独に開催し、総括的に専門委員会でまとめていくなど、機能性を高めていく考えはないのか。また、それぞれの委員について、学識者の増員を図る考えはないのかお聞かせください。
福島原発事故での被曝の評価と防災の評価も検証し、川内原発に生かすべきではないかと考えますが、県の見解を求めます。
専門委員会の任務として位置づけられました、県民向けのわかりやすい情報発信に関する検討については、議論できていないように感じます。この点についても、県の考えをお示しください。
次に、避難先の自治体を含めた合同連絡協議会の設置について質問いたします。
鹿児島県及び薩摩川内市は、住民の健康や財産を守るため、国の法規制とは別に、九州電力と安全協定を結んでいます。内容は、トラブル発生時の自治体による立入調査と措置要求、損害の補償、連絡協議会の設置などです。
川内原発周辺三十キロ圏の八市町のうち六市町─鹿児島市、出水市、日置市、姶良市、さつま町、長島町─は、平成二十四年十二月に鹿児島県の立ち会いのもと九州電力と安全協定を締結していますが、事前協議及び連絡協議会の条項はありません。平成二十五年三月に同様に締結した、いちき串木野市及び阿久根市の協定には、事前協議ではなく事前説明となっており、もちろん連絡協議会の設置はありません。
一方、福島第一原発事故を受け、原発から三十キロ圏内の自治体は避難計画の策定が義務づけられております。しかし、再稼働への自治体の同意手続については法的な定めがなく、当時の伊藤知事は、県と薩摩川内市の同意のみで再稼働を容認しました。再稼働して二年になりますが、いまだこの矛盾に対する周辺自治体の不満は解消されておりません。
いちき串木野市議会は、川内原発から最も近い場所で約五キロメートル、市のほとんどが二十キロ圏内に含まれることから、地元同意の対象に含めるよう求める意見書を採択しましたが、県は認めませんでした。
そこで質問いたします。
三十キロ圏内自治体の安全協定書に事前協議及び連絡協議会の設定を設けるべきだと考えますが、答弁を求めます。
また、避難計画策定に当たって、三十キロ圏外への避難、隣県への避難もあることから、県が音頭を取って、避難先となっている自治体も含めた自治体連絡協議会を結成し、九州電力と各自治体で実効性のある避難計画を策定すべきだと考えますが、県の見解を求めます。
次に、安定ヨウ素剤の配布の検討についてでございます。
今議会冒頭、知事は、安定ヨウ素剤の配布等について、「UPZ圏内の居住者に対しても、障害や病気により緊急時の受け取りが困難であるなど、一定の要件に該当し、事前配布を希望する住民に安定ヨウ素剤を配布する方式の導入など、県民の方々の安全・安心の視点に立った実効性のある案を検討している」と説明されました。
知事の英断を称賛するものですが、県は、これまで、原子力災害対策指針を根拠に、救護所等での説明及び配布する考えを変えてきていませんでした。今回の方針変更に至った経緯についてお答えください。
また、今回の取り扱い方針について内閣府に説明しているのか、そして内閣府はどう回答しているのか、お答えください。
配布対象者の考え方について質問いたします。
知事は、「障害や病気により緊急時の受け取りが困難であるなど、一定の要件に該当し」と、対象となる者の範囲を示しています。安定ヨウ素剤の効果は、投与するタイミングによって効果が左右され、被曝前二十四時間以内または直後の服用が最も効果的と言われています。その点からも、緊急時の受け取りが困難である者は、障害や病気のみならず、ほぼ全ての住民が該当するのではないかと考えます。事務作業の面からも、希望する者には事前配布に応じるのが合理的だと考えますが、県の見解を求めます。
次に、配布方法の考え方について伺います。
UPZ圏内の事前配布においても、説明・配布会を開催することとなると考えますが、昨年四月一日時点で、三十キロ圏内の三歳以上は二十万五千人強という数に上っています。かかりつけ医や薬局による説明・配布も考えていくことが合理的だと考えますが、見解を求めます。
また、三歳児未満のゼリー状の安定ヨウ素剤配布についての考え方についてもお答えください。
一歳六カ月健診や三歳児健診時に御両親に説明し、事前配布することも可能ではないかと考えますが、県の見解を求めます。
配布時期についてでございます。
知事は、「専門委員会、県議会での議論を踏まえ、環境が整い次第、できるだけ早く実施していく」としています。県議会には川内原発特別委員会は設置されていません。議論の場をどう保障し、配布時期を決定していくのか、考え方をお聞かせください。
原子力専門委員会が設置されて一年が経過し、二月三日に原子力防災訓練を実施することも表明されています。この際、専門委員の方々と県議会議員との合同検討会もしくは意見交換会を開催し、防災訓練、安定ヨウ素剤の配布等についても議題としていくことを望みますが、見解を求めます。
現在、PAZ圏内四校の小・中学校及び二園の保育園及び従業員三十人以上の事業所にも事前配備を準備されていると聞いておりますが、UPZ圏内における同施設に対する事前配備の考え方についてもお示しください。
以上、一回目の質問といたします。
33 ◯危機管理局長(田崎寛二君)川内原発にかかわる諸課題についてのお尋ねのうち、まず、専門委員会からの意見等の活用についてであります。
専門委員会については、これまで、九州電力による特別点検や定期検査の結果など、川内原発の安全性の確認や避難計画など、防災に関する検証などについて御議論いただき、技術的・専門的見地から意見や助言いただいているところであります。
今後の方向性については、六月にいただいた意見書において、これまでの川内原子力発電所の安全性を高める指摘や避難計画の改善点などについて議論を積み重ねていきたいとされたところでありまして、今後も、定期検査結果の確認を初めさまざまな観点から、川内原発の安全性などについて御議論いただきたいと考えておりまして、委員会からの意見等を踏まえ、避難計画の見直しや、より現実的な原子力防災訓練など、防災対策のさらなる充実に取り組んでまいります。
専門委員会における活断層等に係る検討についてであります。
川内原発周辺の活断層や地震に対する評価等については、これまでの専門委員会において議論がなされてきているところであります。
九州電力からは、川内原発については、各断層帯の連動の可能性も評価した上で、布田川、日奈久断層帯に限らず、敷地周辺の活断層の全てにおいて、断層帯全体が連動する大規模な地震を想定しており、大地震が繰り返し起こった場合でも、川内原発の建物、構築物は十分な耐震性を有することや、機器・配管の健全性が損なわれることはないことなどが示されるとともに、今後、熊本地震の新知見を収集し、安全性評価に適切に反映させていくとの回答もなされたところであります。
また、六月の意見書において、地震に関し、熊本地震について検証し、新たな知見の有無や基準地震動策定に反映させるべきことがないかなど、分析結果を報告していただきたいとの意見もあったところであります。
今後の専門委員会の進め方についてであります。
専門委員会については、原子力工学や地震学、放射線防護、防災関係など、有識者十二名の方々を委員に委嘱し、川内原発に係る安全性の確認や避難計画の検証など、原発に関する諸課題について熱心で活発に御議論いただき、各委員それぞれの技術的・専門的見地から意見や助言いただいているところであり、今のところ、増員する考えはないところであります。
また、福島原発事故を踏まえたさまざまな意見もいただいているところであります。
専門委員会については、今後も、定期検査結果の確認を初めさまざまな観点から、川内原発の安全性などについて御議論いただきたいと考えており、議論のテーマや、安全性や防災に関する分科会の開催など議論の進め方については、必要に応じて委員会の意見等もお聞きしながら、検討していくことになると考えております。
専門委員会における県民向けのわかりやすい情報発信に関する検討についてであります。
県民向けのわかりやすい情報発信に関する検討については、これまでの専門委員会において、住民に対し平時にどの程度の情報を伝えているかが重要、用語の定義を明確にすることが住民避難の観点から大事などの意見が出されているところであり、県広報誌原子力だよりの内容について、わかりやすい情報発信という観点からの意見等をいただいているところであります。
今後も、原子力だよりや原子力防災のしおりなどの作成について、専門委員会の意見等をいただきながら、表現や構成などを工夫し、わかりやすい情報発信に努めてまいりたいと考えております。
三十キロ圏内自治体の安全協定等についてであります。
川内原発に関する三十キロ圏内自治体と九州電力との協定については、いちき串木野市及び阿久根市においては、原子炉施設の変更に係る事前説明や異常時における連絡、県が行う立入調査の同行などを規定した、住民の安全確保に関する協定書を平成二十五年三月に締結したところであります。
また、鹿児島市、出水市、日置市、姶良市、さつま町及び長島町においては、異常時における連絡や県が行う防災に係る川内原発への立入調査の同行などを規定いたしました、原子力防災に関する協定書を平成二十四年十二月に締結したところであります。
これらの協定書については、各自治体と九州電力において合意の上、締結されたものであり、これまで各自治体から、協定の見直しについての意見等は聞いていないところであります。
避難先自治体を含めた合同連絡協議会の設置についてであります。
県といたしましては、避難計画の実効性を高めるため、計画の見直しや原子力防災訓練の実施に当たり、これまでも、原発のサイトごとに設置されている地域原子力防災協議会などを通じて、また、個別にも、国や関係自治体を初め、九州電力など関係団体と協議・調整を行ってきたところであります。
今後とも、避難計画等については、国や関係自治体等と十分に連携を図りながら、不断の見直しを行ってまいります。
原子力防災訓練や安定ヨウ素剤の配布等に係る議論の進め方についてであります。
次に、観光振興についてでございます。
鹿児島港側桜島フェリーターミナルの人道橋の改修についてでございます。
鹿児島市は、桜島港側フェリーターミナルの老朽化及び耐震性能の不足を理由に、新しいターミナルの新築工事を進めています。また、随時、二層積フェリーの新造船に更新しており、人道橋、可動橋等の整備も進めています。新造船は、バリアフリー基準適合船としてエレベーターの設置や客室ドアの自動化、多目的トイレの設置、授乳室等の設置に取り組んでいます。
しかしながら、桜島港側ターミナルは三階からの乗船ですが、鹿児島港側からは二階からの乗船となっているため、身障者にとって不便を強いられているのが現状です。鹿児島市議会からも、鹿児島港側桜島フェリーターミナル人道橋の改修を求める声が上がっております。
県として、鹿児島港側桜島フェリーターミナル人道橋の改修に向けた見解をお答えください。
次に、県営駐車場の料金設定についてでございますが、一九九八年、鹿児島港側桜島フェリーターミナルが新しく建築され、その前年には、いおワールドかごしま水族館が開館しています。両施設を利用する県民、観光客には、周辺の県営駐車場を利用している方々も多くおられますが、料金設定に施設利用、航路利用の割引制度はありません。三島・十島、種子・屋久航路利用者も同様です。料金設定は、一時間無料で、その後、一時間ごとに二百円となっております。最近では、一部を除いて長時間割引制度が導入されていますが、十六時間から二十四時間で千八百円となっております。
そこで質問します。
桜島や水族館を利用する方々はおおむね六時間内の方々が多いと思われますが、料金的に二時間無料もしくは一時間百円の設定を望む声が上がっています。
周辺施設のための駐車場ではありませんが、観光振興、利用者の利便性向上の観点からも、施設・航路割引制度を導入する考えはないのか、お伺いします。
次に、鹿児島市電延伸に向けた県の見解についてでございます。
ドルフィンポート敷地や北埠頭を含む鹿児島港本港区エリアについては、国内外から観光客を呼んでこられる拠点とすべく、どこに何をつくるか、どのような手法、スケジュールで進めるかなど、グランドデザインを描くための調査・検討を行っている段階だと認識しております。
そこで質問します。
天文館から種子・屋久航路、桜島フェリーターミナル、鹿児島駅までの市電延伸の実現は、観光都市としての鹿児島らしさと利便性の両面からも検討に値するものと考えます。
市電延伸について、県の見解と市との協議の状況についてお答えください。
次に、新たな県政ビジョンについてでございます。
県は、おおむね今後十年間という中長期的な視点から、鹿児島の目指す姿や施策展開の基本方向等を明らかにするため、新たな県政ビジョンを策定するとしており、先日、骨子案と、三月には策定というスケジュールが示されました。
この十年、各自治体は、市町村合併、少子高齢化が進む一方で、社会保障の削減により福祉政策にも困窮しているのが現状です。政治学者で東京大学名誉教授の大森彌氏は述べています。「都道府県は何のために存在しているのか。市町村のために存在している。市町村に役立つ存在として初めて都道府県に存在価値がある。だから、市町村が困って相談に行ったら一緒に考え、必要なら一緒になって国を説得に行く。そういうことをやるのが本来の県の姿」と述べられています。県のあり方を示唆していると感じました。
そこで質問します。
「日本一のくらし先進県」を目指した伊藤県政に対して、三反園県政のコンセプトは何か、お答えください。
県民の関心事の最前線は、原発に対する姿勢です。川内原発は、あと十年もたたずに四十年を迎えます。四十年を超える老朽原発は廃炉にすることが前提です。原発のない社会をどう描くのか、県政ビジョンには現実的な十年後の姿を描かなくてはなりません。そのキーワードは、限界集落、少子高齢化、住民本位、自然との共生、生きがい、地域力、地方創生、地域づくり、防災、後継者育成、世界への挑戦などが挙げられるのではないでしょうか。市町村を県がどう支援していくのか、課題は山積していると考えます。
そこで質問します。
政策展開の基本方向に、原発廃炉後における鹿児島のエネルギー政策、また、移住施策に係る市町村支援の具体的施策、世界に視野を広げる人づくりや、地域力向上・地域づくりに向けた県の施策についても盛り込んでいくべきではないかと考えますが、県の見解をお答えください。
以上、質問とします。
[知事三反園 訓君登壇]
47 ◯知事(三反園 訓君)お答えいたします。
新たな県政ビジョンのコンセプトについてであります。
県政の主役は県民であります。県政の主役である県民が、鹿児島に生まれてよかった、鹿児島に住んでよかった、そう思える鹿児島にしたいという強い思いで県政を進めてまいりたいと考えております。
そのためには、人が生き生きと輝き、潤いのある暮らしを営み、そして暮らしを支える魅力的な産業が存在することが大切だと考えております。このようなことから、ビジョンの骨子案におきましては、人、暮らし、産業に着目し、鹿児島の目指す姿をお示ししたところであります。
人に関しましては、県民一人一人が尊重され、挑戦し活躍できる環境が整っている、地域に誇りを持ち多彩な個性と限りない能力を発揮できるような社会。暮らしに関しましては、防災対策、生活基盤整備などが進んだ中で、結婚・出産・子育ての希望がかない、人々がつながりを持って安心して暮らせる、どこよりも幸せを実感できるような社会。産業に関しましては、革新的技術の活用などによりまして生産性が向上し、柔軟で多様な働き方が可能となり、本県の豊かで一流の資源・素材を活用した逸品が国内外に流通している、魅力ある産業が育ち世界に選ばれる逸品を創出するような社会であります。
これらの目指す姿を実現するための施策展開の基本方向につきましては、誰もが個性と能力を発揮し活躍できる社会の実現など、十二の大項目に整理してお示ししているところであります。
48 ◯土木部長(渡邊 茂君)都市計画道路催馬楽坂線における坂元住宅入口交差点の改良工事等についてでございます。
催馬楽坂線は、全体延長三千百八十メートルのうち、最も渋滞の激しかった坂元郵便局前交差点付近など、平成二十六年度までに、一期区間、二期区間を合わせて千四百三十五メートルの整備を行ったところであります。
坂元郵便局から坂元住宅入口交差点を経由し、旧警察学校までの三期区間九百八十五メートルについては、多額の事業費を要することから、県の厳しい財政状況を踏まえると、事業化には課題があると考えております。
このため、県といたしましては、右折車による交通の阻害により渋滞が著しい状況にある坂元住宅入口交差点において、歩道整備を含む部分的な改良により、渋滞を緩和し、加えて安全性の向上を図ることとしたところであり、まずは当該交差点部分の整備を進めたいと考えております。
また、同交差点内にあるバス停につきましては、渋滞の原因の一つとなっていることから、今後、交差点改良の詳細設計を行うに当たり、バス停の位置などについて警察などの関係機関と協議してまいります。
今後とも、地元住民に丁寧な説明を続けるとともに、渋滞緩和と安全性の向上を図るため、同交差点の早期の整備に努めてまいります。
催馬楽坂線の二期区間のうち、残っている七百六十メートルの区間につきましては、多額の移転補償費を伴うことなどから、早期の事業着手には課題があると考えております。
続きまして、鹿児島港側桜島フェリーターミナルの人道橋の改修についてでございます。
鹿児島港の桜島フェリーターミナルの人道橋は、ターミナル側の固定部約百三十メートルを港湾管理者の県が、フェリー側の可動部約三十メートルを当時のフェリーの運航事業者であった旧桜島町が整備を行ったところであり、桜島フェリーの二階に接続する構造となっております。
現在、五隻体制で運航している桜島フェリーは、フェリーの更新・大型化に伴い、全て客室が三階に設けられておりますが、このうち二隻についてはエレベーターが設置されていないため、身体障害者の方が二階の乗降口から三階の客室に移動する際、不便な状況にあります。
バリアフリーの確保のためには、人道橋を改修する方法とフェリーにエレベーターを設置する方法が考えられることから、今後、人道橋可動部の管理者であり、フェリーの運航事業者でもある鹿児島市の意向を確認してまいります。
続きまして、鹿児島港本港区の県営駐車場の料金設定についてでございます。
鹿児島港本港区の駐車場料金については、現在、利用者の送迎等に配慮して、最初の一時間までは無料とするとともに、離島航路利用者の長時間駐車にも配慮した料金設定としており、周辺の民間駐車場と比較して特段高い状況にはないと考えております。
桜島フェリーや水族館利用者に対する料金割引を県営駐車場に適用することについては、周辺の民間駐車場に与える影響、利用者の認証事務やそのための機器整備に係る費用等、さまざまな課題があると考えています。
なお、このような割引制度は通常、運営事業者が施設等の利用促進の一環として実施するものと考えております。
続きまして、鹿児島市電延伸に向けた県の見解についてでございます。
路面電車観光路線については、鹿児島港本港区エリアの整備の検討に当たって、観光客の移動手段やPRの面からも重要な要素だと考えており、本年三月に開催された路面電車観光路線導入連絡会議に、県も関係機関の一員として参加したところであります。
連絡会議においては、県は、鹿児島港本港区エリアにおけるまちづくり検討の進め方について説明したところであり、事務局である鹿児島市からは、県の施設整備の方針が明確になった時点で、ルート選定などを含む、基本計画策定に着手することが示されたところであります。
また、先月末には幹事会が開催され、鹿児島港本港区を含む道路状況等について確認するなど情報交換したところであり、今後とも、連絡会議における意見交換や情報交換を中心に、鹿児島市と緊密に連携しながら対応してまいります。
49 ◯企画部長(東條広光君)県政ビジョンにつきまして、施策展開の基本方向に盛り込むべき施策についてのお尋ねであります。
新たな県政ビジョンでは、時代の潮流、本県の現状・課題、ポテンシャルなどを的確に捉えた上で、鹿児島の目指す姿や施策展開の基本方向などを明らかにしたいと考えております。
提言のありました施策につきましては、お示ししております骨子案では、再生可能エネルギーの導入促進、個性を活かした地域づくり、人材の育成などに関係してくるものと考えておりますが、いずれにいたしましても、その取り扱いにつきましては、ビジョン素案の作成の中で検討させていただきたいと考えております。
50 ◯上山貞茂君 一点だけ再質問させてください。
土木部長に再度質問いたしますけれども、この図を見ていただきたいんですが、今回の坂元住宅入口交差点の改良工事では、その直前の人身事故に対する対策にはならないわけです。ですから、渋滞解消ということでの今回の工事なんですが、安全・安心に通行できる環境づくり、ここにもぜひ配慮した工事をしていただきたい。これが住民の方々が訴えている課題でございます。
七百六十メートルの二期工事の部分と、ここは三期工事ということで指定されていますけれども、ほぼ二百メートルぐらい、どちらが優先かというと、なかなかなりませんけれども、ここをどうしても早目にしていただかないと、平成九年から家の建てかえもずっと我慢しているという方々もおられます。引っ越すことになるのか、それともここに住めるのか、非常に苦労している方々もおられますので、そういった安全面も含めた形で考慮できないのか、部長としての考え方を教えてください。もう一回。
51 ◯土木部長(渡邊 茂君)御質問にお答えします。
県といたしましては、右折車による交通の阻害により渋滞が著しい状況にある同交差点におきまして、歩道整備を含む部分的な改良により、渋滞を緩和して、加えて安全性の向上を図るとしたところでありまして、一部であるかもしれませんけれども、まずは当該交差点の部分の整備をしっかり進めたいと考えております。
[上山貞茂君登壇]
52 ◯上山貞茂君 知事は、県政ビジョンをいよいよ新しくつくりかえます。コンセプトが、非常にコンパクトなコンセプトが欲しかったところですけれども、示されませんでしたが、私としては、県民目線、これは非常に大きなインパクトがあったと思っていますし、その視点にあるのは、安心して住める社会だと思っております。
鹿児島に生まれてよかった、住んでよかった、そういう鹿児島をつくりたいと述べておられます。こういった、生まれてよかった、住んでよかったというのは一つの感情でございます。幸せとは何か、これも哲学的な言葉なんですが、本人にとって、人それぞれの感情です。価値観が違います。少なくとも、鹿児島に住んでいる方々は、安全で安心して住みたい、鹿児島で自然の中で生きがいを持って人生を送りたいと思っている方々が大多数ではないかと思います。
今回、鹿児島の自然景観や環境を問うメガソーラーの課題もお示しいたしました。今後とも、そういった住民の方々が、鹿児島に住んでよかったと思える社会をつくっていただきたいと思っております。
県民目線というのは、県民、市民が主役だという視点だと思っております。私も県民目線を大事にし、平和で安心して暮らせる社会を目指して頑張っていく決意を述べさせていただきながら、一般質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)
53 ◯議長(柴立鉄彦君)次は、大園清信君に発言を許可いたします。
[大園清信君登壇](拍手)
54 ◯大園清信君 念ずれば花開くと申します。本当にそうでしょうか。私はそうではないと思います。念じて努力して初めて花は咲くものだと思います。議場は戦場だと思います。議場において、我々県議会議員と執行部とが火花を散らすような議論がなされるべきと思って、質問に入ります。
まず、知事の政治姿勢についてであります。
第一点目は、知事と鹿児島市長との信頼関係についてお伺いします。
知事と各市町村長は、ほどよい信頼関係を持って行政を運営されているものと思います。現在、知事は、鹿児島市長と月一回の頻度でお互いの情報交換をされていることから、特に、知事と県都鹿児島市長との信頼関係は一層強いものがあると思います。しかし、私は、その信頼関係がどれほどのものか、八月九日の地元紙に掲載された記事を見て考えさせられました。
記事の内容は、「中央駅西口再開発 市道拡幅進まず」、「鹿児島市のJR鹿児島中央駅西口地区再開発に絡み、県が工業試験場跡地に面した市道の拡幅案に応じず、測量調査の見通しが立っていない」というもので、これまで、議会において、中央駅西口の歩道整備を含めて、一帯の活用策を四者協議会で検討してほしい旨お願いしておりましたので、大変残念です。
そこで、知事は、この記事をごらんになってどんな思いを持たれたか、御所見をお伺いします。
次に、今回の事案は、鹿児島市の市提案であったと思いますが、鹿児島市には県の思いが理解できなくて、鹿児島市の思いがこのような記事の内容になったものと思います。これまで、県と県都鹿児島市では、いろいろな課題に対してなかなか一致を見なかったように思います。これは、歴代知事と鹿児島市長との真の信頼関係が構築できていないことによるものだと思います。
三反園知事、知事がお願いして就任していただいた男気のある岩切副知事、華のある小林副知事とは、県政の重要案件を推進する上では腹を割って話していただき、気持ちを共有して県政を推し進めていただきたい。そして、鹿児島市と連携しなければならない課題については、森市長とは肝胆相照らす仲、胸襟を開いてとことん話し合うことで、市政・県政の垣根が取り除かれるものと思います。まさに、明治維新において、江戸城無血開城をなし遂げた西郷隆盛と勝海舟のような人間関係を築いてほしいものです。
県の最重要案件はもとより、県として進める政策の中で、情報を出せるか否かは相手次第だと思います。私は、中央駅西口については、今回の地元紙に掲載される前に森市長と知事が十分な話をされるべきだったと思います。
知事、人の口は軽いものです。よく私にも相談があります。「他言しないでください」とまず言われます。その際、私は、「この相談事が外に漏れて、一点でも私のことを疑うようなら相談しないでほしい」と話します。人の相談事や個人情報は決して外部に漏らしてはならないとの思いで、いつも自分を戒めております。
知事、今後、県政と市政がうまく流れるように森市長とのかたい信頼関係を築くべきと思いますが、知事の決意をお聞かせください。
次に、県有財産─未利用地─の売却についてお伺いします。
県は、去る九月一日に開催された第二回行財政改革推進プロジェクトチーム会合において、平成三十年度当初予算編成における財政収支の見通しを試算され、現時点での大まかな見通しを示されています。試算結果として七十八億円の収支差が現時点で見込まれており、歳入・歳出の両面にわたる行財政改革を着実に推進する必要があるとまとめています。
歳入確保に向けた取り組みについては第一回会合でも議論され、未利用財産の売却に向けた積極的、具体的な取り組みを進めることとしていますが、果たして未利用財産の売却が進んでいるのか疑問に思います。
今回は、農業試験場跡地、住吉町十五番街区、聾学校三光学園跡地、魚見町職員住宅敷地の四カ所に触れたいと思います。
まず、農業試験場跡地は、これまで、医療法人徳洲会と県医師会との双方の言い分が異なるとして保留になったまま、約八年が経過しています。しかし、徳洲会は、既に谷山の民有地を取得し、移転の計画があると聞いています。一方、県医師会は、この地に健康長寿医療センター─仮称─を計画していると聞いていますが、県医師会の計画はどのようになっているのか、お示しください。
もし計画が具体的に進んでいなければ、県は、農業試験場跡地を今後どのようになされるのかもお示しください。
次に、住吉町十五番街区についてお伺いします。
この土地は、景観もよく、交通アクセスもよく、また天文館にも近く、不動産価値としては高い土地です。今回質問しております四つの県有地の中では、農業試験場跡地と住吉町十五番街区は大変不動産価値の高い県有地であると思います。住吉町十五番街区は、聞くところによると、サッカー協会関係者や鹿児島市がこの地に、ミクニワールドスタジアム北九州のようなサッカースタジアムを希望しているとも聞いております。鹿児島市の中心部にあり、集客力のある場所とも思います。
私はこれまで、サッカースタジアムは、ふれあいスポーツランドの県立サッカー・ラグビー場を第一に考えていましたが、県有地売却の目的やサッカー場として適地と考えるならば、サッカースタジアム候補地として市への売却も検討すべきと思います。見解をお伺いいたします。
次に、聾学校三光学園跡地についてお伺いします。
まず、九月二十三日の地元紙の鹿児島市議会の一般質問の記事、「県の鹿児島聾学校跡地 無償貸し付け要請」、その内容は、「市・県によると、昨年九月、県が市に聾学校三光学園跡地の買い受けを打診した。市は、公園整備や市道草牟田十五号線の拡幅のために跡地の一部活用を検討。ことし二月までに文書と口頭で無償貸し付けか譲渡を求めた」というものです。
この記事をごらんになって県はどんな思いを持たれたのか、なぜこのような記事になったと思いますか、お示しください。
これまで藤崎議員も何回か質問されていますが、聾学校三光学園跡地は、跡地への交通アクセスが悪く、大型車が入る広さの道路もありません。県は、これまで、この跡地売却の不動産価値を高める努力をされていますか。例えば、跡地近くには歩道整備された二車線から成る市道があり、その市道の一部から跡地へ六メートルないしは八メートルの道路を入れて不動産価値を上げるなどの努力も必要だったと思います。見解をお伺いいたします。
次に、魚見町職員住宅敷地についてお伺いします。
現地を訪れると、柵が施され、中は草が茂っています。周囲は住宅地で、景観も悪く、県有地のあり方としてはいかがなものかと思います。これまで下鶴議員も質問されていますが、この県有地を県は積極的に売却する気持ちがあるのか疑いたくなります。当該地には地下埋蔵文化財があるとのことです。県は、これまで、地下埋蔵文化財があっても売却できるとしていますが、なぜ文化財の早期発掘調査を終えて、より不動産価値の高い物件として売却できる姿にしなかったのか、見解をお伺いいたします。
私は今回、宅建協会の会員の方と聾学校跡地と魚見町職員住宅敷地を現地調査し、土地家屋調査士の方にも調査依頼しました。皆さんが話されることは、不動産価値を上げる努力がなされていないなど、県の取り組み姿勢が弱いのではないかとの声でした。私も同じ思いです。
そこでお伺いします。
聾学校跡地や魚見町職員住宅敷地等、現時点では不動産価値の低い県有地売却に当たっては、不動産鑑定士、土地家屋調査士、宅建協会等、不動産関係に精通した民間人を交えた特命チームをつくり、不動産価値を高め、向こう五年間の県有地売却の目標値をつくり、積極的に売却すべきと考えるが、見解をお伺いいたします。
[知事三反園 訓君登壇]
55 ◯知事(三反園 訓君)お答え申し上げます。
私と鹿児島市長との信頼関係についてのお尋ねがありました。
私は、森鹿児島市長とは、よい関係を保ちながら率直な意見交換を行っております。昨年八月、鹿児島市との意見交換会を開催し、鹿児島港本港区における県の施設整備、路面電車観光路線の新設などの課題につきましても、県と市が共通認識を持って協議を行い、力を合わせて解決していくことを確認いたしました。その後も、ほぼ毎月一回、さまざまな機会を捉えまして直接お会いしまして、二人で率直な意見交換を行っているところであります。
来年の明治維新百五十周年、大河ドラマ「西郷どん」の放送などの絶好の機会を最大限に生かすために、訪れた方々が、鹿児島に来てよかった、また訪れたい、そう思うような来て見て感動するまちづくりを、県と市が力を合わせて推進していく必要があるとの共通認識を確認しております。
機運醸成、鹿児島の魅力を広く県内外に発信するかごしま明治維新博のプロモーションイベント、市の大河ドラマ館を初めとする「西郷どん」ゆかりの地の観光地整備など、さまざまな分野で緊密な連携・協力を図っているところでもあります。