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2017-02-27 平成29年第1回定例会(第4日目) 本文
2017-02-27 平成29年第1回定例会(第4日目) 名簿

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  1. 鹿児島県議会 2017-02-27
    2017-02-27 平成29年第1回定例会(第4日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(池畑憲一君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    田 中 良 二 君    まつざき真 琴 君    永 田 憲太郎 君    田 畑 浩一郎 君  一、請願・陳情の委員会付託  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 一般質問 ◯議長(池畑憲一君)まず、一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。
     田中良二君に発言を許可いたします。    [田中良二君登壇](拍手) 3 ◯田中良二君 おはようございます。  一般質問のトップバッターで質問させていただきます。ありがとうございます。  知事には初めての質問でございますので、簡潔明瞭な、いい答弁をよろしくお願いいたします。  それでは、質問通告に従いまして、順次質問いたします。  まず、総合計画に対する基本認識についてお尋ねいたします。  総合計画は、自治体の行政推進の指針として、おおむね十年間、中長期の基本構想、おおむね五年間の基本計画、おおむね三年間、短期の実施計画の三層構造のもとに、各年度の予算を措置・編成していくことが一般的な計画体系とされてきましたが、新年度策定の新たな県政ビジョンは、平成二十三年地方自治法改正まで策定義務がありました市町村の基本構想に相当すると理解しており、総合計画の計画体系に基づく知事の行政執行の意思表示と受けとめております。  計画行政に係る基本構想につきましては、地方自治法における位置づけ、市町村行政への総合計画導入、その後の法改正を経て今日に至っているわけですが、改めて、計画体系の構造の大枠の議論として、三層構造の総合計画による計画的な行政執行を県政のあらゆる分野において基本姿勢と考えておられるのか、お尋ねします。  次に、新たな県政ビジョンマニフェストとのかかわりについて質問します。  両者の根本的な違いとして、知事就任前に作成されたマニフェストは、作成過程において議会の意見反映の機会がありませんが、新たな県政ビジョンは、素案に対して、広く県民の皆様と議会の意見が反映されるものであります。  また、マニフェスト達成の前提には総合計画における位置づけが必要であり、マニフェストは、基本的には短期的な実施計画に相当すると認識しております。  そこで、新たな県政ビジョンマニフェストとのかかわりにおいて、マニフェストの中には中長期的視点で検討すべきものが含まれているのか、お尋ねいたします。  次に、新たな県政ビジョン策定と議会とのかかわりについて質問いたします。  新たな県政ビジョン策定につきましては、県民の皆様の十分な意見反映とともに、地方自治の根幹的構造であります二元代表制の観点からも、議会は策定に深くかかわっていくべきと考えております。  そこで、県当局の議会に対する基本姿勢についてお尋ねします。  新たな県政ビジョン策定においては、地方創生の時代における本県の将来発展の方向性とあわせて、マニフェストの位置づけについても十分な議論が必要であります。地方自治法の手続において、新たな県政ビジョンを議会が十分に審議して、県民意思を的確に反映するためには、新たな県政ビジョンは、知事から議会に提案される議案として議決事件であるべきと考えております。  そこで、新たな県政ビジョン策定と議会とのかかわりについて、県当局の基本姿勢、基本認識はどのようなものか、お尋ねします。  次に、県行政に係る基本的な計画の策定等を議会の議決事件とする条例に関して質問します。  本条例は、地方自治法第九十六条第二項の規定に基づく、議員提案という議会の権能に係ることは承知しておりますが、九州七県において、中長期的な県政ビジョン策定の議決事件としての取り扱いはどのようなものでしょうか。  また、その前提となります、県行政の基本的な計画策定等を議決事件とする条例について、九州七県における制定状況はどのようなものか、お尋ねします。  次に、均衡ある県土の発展の観点から、地域振興局・支庁ごとの地域別振興計画も、新たな県政ビジョンと連動して同時に策定すべきものと考えますが、見解をお示しいただきたい。  次に、二項目めの行財政改革について、まず、あるべき歳出構造について質問いたします。  本県の行財政改革は、おおむね十年間の中長期的視点で、平成十七年三月に策定された県政刷新大綱により進められてきました。  県政刷新大綱においては、平成十六年度の一般財源の歳出項目、人件費、扶助費、公債費、普通建設事業費等税等交付金一般政策経費の合計五千四百二十八億円につきまして、四百五十一億円の財源不足を解消するために、圧縮率など今後の方向性と、あるべき歳出構造の数値目標を掲げていました。  そして、当初予算編成時の財源不足を平成二十三年度から解消などの成果を上げ、平成二十四年三月策定の行財政運営戦略に引き継がれました。  まず、平成二十九年度当初予算における一般財源ベースの歳出構造について質問いたします。  平成二十九年度も財源不足なしの予算案であり、また、一般政策経費が減少を続ける中で、魅力ある観光地づくり事業地域振興推進事業、寄洲除去など、全県的な地域配慮の政策継承と予算措置については評価できるものであります。  一点目の質問は、平成二十三年度からの推移を踏まえて、平成二十九年度の歳出構造をどのように分析、評価されているのか、お尋ねします。  次に、平成二十九年度以降の行財政改革の指針について質問いたします。  まず、平成二十九年度知事の施政方針において、行財政運営戦略の文言がなく、また、当初予算案の要点の資料に、行財政運営戦略を踏まえた行財政改革の推進の記載がありません。また、行財政運営戦略を踏まえた平成二十九年度の行財政改革の取り組みの別冊資料の配付がないのはなぜでしょうか。  そこで、予算編成のベースとなります、平成二十九年度以降の行財政改革の指針は何であるのか、お尋ねします。  次に、新たな行財政改革大綱の策定について質問いたします。  臨時財政対策債等を除きます県債残高につきましては、平成二十九年度末残高見込みを一兆一千五十六億円とされておりますが、行財政運営戦略における目標値一兆一千億円に間もなく到達しようとしており、当局の改革の努力は高く評価いたします。  一方で、現行の行財政運営戦略には、それ以外の改革達成の目標値と目標年次が示されておりません。  国は、平成三十二年度目標で基礎的財政収支の黒字化を掲げながらも、国と地方の合計で八兆三千億円赤字との試算を公表しており、また、地方交付税の削減などの厳しい財政見通し、さらに、本県の県債残高は、財政規模類似県より数千億円ほど多いという現実があります。  知事の施政方針におきましては、「持続可能な行財政構造を構築するため、引き続き、歳入・歳出の両面にわたる行財政改革に取り組んでまいります」とあることから、私は、新たな県政ビジョンの実効性を担保する意味からも、ビジョン策定と同時進行で、五年目に入ります行財政運営戦略を見直し、中長期的な指針となります新たな行財政改革大綱の策定を提言いたします。  平成二十九年度は、新たな県政ビジョンとあわせて、新たなPR戦略、新たな再生可能エネルギービジョン、新たな男女共同参画基本計画など、数多くの部門別計画策定を予定されており、私は、知事の計画行政に対するチェンジの意欲を強く感じておりますので、新たな行財政改革大綱の中に、平成十七年策定の県政刷新大綱と同じく、あるべき歳出構造の目標数値を設定し、また、臨時財政対策債を除く県債残高については、一兆一千億円を下回る次の目標値設定も、新たな大綱の内容として提言いたします。  三反園県政の行財政改革において、本県の行財政構造持続可能性を持たせることが最大の定性的目標であるならば、個別分野における定量的数値目標の設定は表裏一体であると考えますが、新たな行財政改革大綱の策定について見解をお示しください。  次に、公債費について質問いたします。  公債費につきましては、十二月議会で、「公債費が他県より多い。将来の公債費負担を減らしていく」との答弁があり、平成二十九年度借り入れ県債の歳入は一千三十二億円、借金返済の公債費歳出は一千三百一億円が計上されております。  一点目は、公債費歳出の財源に充当される一般財源につきまして、平成十七年度、二十二年度、二十七年度の決算ベースで、各年度の公債費決算額と、充当財源であります借り入れた県債の元利償還に対する交付税措置分と、地方交付税算定における基準財政収入額に算入されない県税収入の二五%、いわゆる一般財源の留保分と、それでも不足する一般財源の額はおのおの幾らで推移しているのか。  二点目は、そのような公債費歳出の財源構造と推移をどのように分析されているのか、お尋ねします。  次に、平成二十九年度歳入予算に関連しまして、川内原発関連の歳入について質問いたします。  一点目は、川内原発関連の核燃料税及び交付金等の歳入総額について、平成二十四年度から二十九年度まで各年度の推移はどのようなものか。  二点目は、県の歳入財源としてどのように評価されているのか、お尋ねいたします。  以上で、一回目登壇の質問を終わります。    [知事三反園 訓君登壇] 4 ◯知事(三反園 訓君)お答えいたします。  新たな県政ビジョンマニフェストのかかわりについてであります。  新たな県政ビジョンは、計画期間をおおむね十年とし、中長期的な観点から、本県のあるべき姿や今後の県政の進むべき基本的な方向性、戦略を示すこととしております。  マニフェストに掲げます施策につきましては、基本的には任期である四年間に行うものと考えてはおりますが、県政においては中長期的視点に立って取り組まなければならないものもあると考えております。  平成二十九年度以降の行財政改革の指針及び新たな行財政改革大綱の策定についてであります。  現行の行財政運営戦略につきましては、今後の中長期的な行財政運営の基本的な考え方や行財政改革の方向性を示すものとして、議会の行財政改革特別委員会での御議論も経て、平成二十四年三月に県として策定したものであります。  平成二十九年度当初予算編成に当たりましても、本県の厳しい財政状況を踏まえまして、引き続き、同戦略の基本的な方向性に基づき、歳入・歳出両面にわたる行財政改革に取り組んできたところであります。その結果、財源不足を発生させることなく県債残高も減らすなど、行財政改革を着実に進めながら、県勢の発展や県民福祉の向上につながるような予算編成ができたのではないかと考えております。  今後につきましても、本県の厳しい財政状況の中で、この現行戦略の基本的な方向性に基づき、引き続き行財政改革に取り組んでまいりたいと考えております。  なお、来年度につきましては、副知事を座長とする行財政改革推進プロジェクトチーム行財政運営戦略推進本部内に設置するよう検討を指示しているところでありまして、着実に行財政改革に取り組んでまいりたいと考えております。 5 ◯企画部長(岩切剛志君)総合計画に関するお尋ねのうち、まず、基本認識についてであります。  現在、我が国は、国・地方とも厳しい財政状況や本格的な人口減少、超高齢化社会の到来など、社会のあらゆる面で大きな変革期にあり、また、今後の地方財政計画などの見通しも不透明な状況にございます。  このような中で、従来のような、分野ごとに事業費や具体的な事業内容を示した全体的な計画を策定することは難しい面があり、他県においても、計画策定や施策展開の方法について、計画期間が十年以上の計画等を策定している都道府県の多くが、施策の方向性などを示した、いわゆるビジョンを策定しているところであります。  現下の厳しい社会情勢において、中長期的な観点から、あるべき姿や今後の県政の進むべき基本的な方向などを県民や県議会の皆様と共有することは、円滑な県政を進める上で極めて重要なことであります。こういうことから、新たな県政ビジョンを策定することとしたところであります。  ビジョンと個別計画との関係については、新たな県政ビジョンが策定され、新しい基本理念や方向性等が示された場合には、各種計画等は、これを踏まえ、必要に応じて見直しがなされるものと考えております。  新たな県政ビジョンの策定と議会とのかかわりについてであります。  新たな県政ビジョンは、鹿児島の新たな行政課題や挑戦すべき課題を明確にし、中長期的な観点から、本県のあるべき姿や今後の県政の進むべき基本的な方向性、戦略を示すものであり、その策定に当たっては、県議会と執行部がお互いに知恵を出し合いながら、活発な議論を重ねる必要があるものと考えております。  知事と議会との関係等を定めた県議会基本条例におきましては、知事等は、県政に係る基本計画等の重要な政策または施策について、その素案等を作成したときは、議会に対してその内容を説明するよう努めることとされております。このため、新たな県政ビジョンの策定に当たっては、この条例に基づき、県議会にその骨子案や素案をお示しして丁寧に説明を行い、十分に御議論いただきたいと考えております。  総合計画などの基本的な計画等を議会の議決事件とすることについて、九州各県の状況につきましては、計画の策定段階から議会が積極的な役割を果たすことなどを目的として、本県を除く六県において、議員提案により条例を制定しております。  最後に、地域別振興計画の策定についてであります。  現在のかごしま将来ビジョンは、平成二十年三月に策定し、このビジョンを踏まえて、平成二十二年三月に各地域別の将来ビジョンを策定しております。来年度において、新たな県政ビジョンを平成二十九年度末までにお示ししたいと考えており、地域別のビジョンの策定については、新たな県政ビジョンの策定を検討する過程において検討してまいりたいと考えております。  行財政改革のうち、川内原発関連県歳入総額の推移についてであります。  川内原子力発電所に係る核燃料税及び原発関連交付金等の平成二十四年度から二十九年度の歳入総額については、平成二十四年度から二十七年度までが決算ベースでございますが、それぞれ三十一億円、三十億円、三十一億円、四十九億円、平成二十八年度と二十九年度は当初予算ベースでございますが、それぞれ五十九億円、七十二億円となっております。  歳入総額が増加している主な要因としては、平成二十七年度は、川内原子力発電所の再稼働に伴う税収及び交付金の増、平成二十八年度は、川内原子力発電所が稼働開始から三十年を経過したことに伴う交付金の増、平成二十九年度は、原子力防災対策の強化に伴う交付金の増となっているところであります。  川内原発関連県歳入財源の評価についてであります。  川内原子力発電所関連の交付金等については、原子力発電所の立地地域を中心とする本県の防災機能の充実・強化や地域振興に貢献してきたものと考えております。具体的には、環境放射線の監視、緊急時における放射線防護対策、防護資機材の整備などの原子力防災関連事業や、橋梁、道路、校舎、公園等の公共用施設の整備などに活用されてきているところであります。 6 ◯総務部長(寺田雅一君)平成二十九年度の歳出構造の分析と評価についてでございます。  平成二十九年度の本県の歳出構造を平成二十三年度と一般財源ベースで比較いたしますと、一層の高齢化の進行等によりまして扶助費が増となっている一方で、行財政改革取り組み等によりまして、人件費や公債費、一般政策経費が減となっているところでございます。  平成二十九年度当初予算の歳出構造につきましては、扶助費が増加傾向にあり、公債費が高水準で推移していることなど、厳しい財政状況が続いていると考えております。そのような中で、財源不足を発生させることなく県債残高も減らすなど、行財政改革を着実に進めながら、県勢の発展や県民福祉の向上につながるような予算編成ができたのではないかと考えているところでございます。  しかしながら、本県の公債費が、財政規模が類似している他の団体に比べますと、依然として多額に上っている状況に変わりはないものと考えておりまして、今後とも、持続可能な行財政構造の構築に向けまして取り組みを進めることが必要であると考えております。  なお、当初予算の説明資料等において、行財政運営戦略という言葉を引用していないことについての御指摘がありましたが、これにつきましては、できるだけわかりやすく簡素な資料作成に努めてきたところでございまして、平成二十九年度の当初予算編成に当たりましては、現行戦略の基本的な方向性に基づきまして、行財政改革に取り組んできたところでございます。  続きまして、臨時財政対策債等を除く県債残高について、一・一兆円を下回る次の目標値を示すべきではないかとのお尋ねがございました。  これにつきましては、まずは現行戦略の基本的方向性に基づきまして、継続的な県債残高の減少に努めてまいりたいと考えているところでございます。  続きまして、公債費につきましてお尋ねをいただきました。  平成十七年度、二十二年度、二十七年度、三カ年の決算における公債費に充当いたしました一般財源は、それぞれ一千二百九十八億円、一千三百七十四億円、一千三百二十一億円であり、これに対する地方交付税措置額は、それぞれ八百七十一億円、七百四十五億円、八百十八億円となっております。  いわゆる留保財源につきましては、仮に基準財政収入額をもとに算出いたしますと、二百九十九億円、二百七十二億円、三百三十九億円となっております。  お尋ねをいただきました、一般財源から地方交付税措置額といわゆる留保財源を差し引いた額を計算いたしますと、それぞれ百二十八億円、三百五十七億円、百六十四億円となります。  いずれにいたしましても、本県の財政は自主財源に乏しい脆弱な財政構造にある中で、公債費が、財政規模が類似している他の団体と比較して多額に上っている状況でございまして、このことが、柔軟な財政運営を難しいものにしている一つの要因となっているものと分析しているところでございます。このような状況を踏まえまして、将来的な公債費の負担の軽減を図りますために、臨時財政対策債等を除く県債残高の継続的な減少に努めてまいりたいと考えております。 7 ◯田中良二君 ありがとうございました。  一点だけ、県政ビジョン策定と議会とのかかわりについて、知事に再質問させていただきます。  先ほど企画部長から、議会とのかかわりにつきましては、「県議会の基本条例に基づいて、素案の内容を提示して丁寧な説明を行う。議会にも十分審議してもらう」という答弁がありました。そう願いたいものであります。  お尋ねしたいのは、鹿児島県議会基本条例第二十五条議会への説明の中に、文言としては、県政に係る基本計画という言葉があるんですが、知事に確認したいのは、知事が新年度策定されます新たな県政ビジョンは、県政に係る基本計画の中で最も重要な基本方針であるという認識であるのか。  同様なんですけど、本県の計画行政において、新たな県政ビジョンが最上位に位置する計画である、そのような位置づけの認識があられるのか、お尋ねいたします。 8 ◯知事(三反園 訓君)お答えいたします。  新たな県政ビジョンにつきましては、今後の県政の進むべき基本的な方向性、戦略を示すものでありまして、県政全般にわたる最も基本となるものであると考えております。    [田中良二君登壇] 9 ◯田中良二君 それぞれに御答弁いただきました。  新たな県政ビジョンと議決事件とのかかわりにつきましては、まず、議決事件は議会の権能に係るものであり、知事初め当局の皆様、さらに議員各位におかれましても、唐突感を持たれた方もいらっしゃるとは思いますが、私は、知事と議会との権能の違いは理解し、また、当局が議会の権能には直接的な言及がしづらい立場であることは認識しながらも、質問しております。  一般的に十年に一回しか策定されない中長期的な県政ビジョンについて、九州では、答弁のとおり本県以外の六県全てで、また全国的にも七割近い府県において、中長期的な県政ビジョンは言うまでもなく、計画期間が五年程度の部門別計画も、知事から議会に提案される議決事件であるということを、まず広く県民の皆様に知っていただきたいとの思いがあるからであります。  そして私は、県政の基本的計画策定の多くが議決事件であることで、他県は、県政ビジョンを頂点に、三層構造の総合計画に基づく県政執行の計画体系と言えると考えております。  また、県行政の基本的な計画策定等を議決事件とする条例に関しては、議員提案の条例制定は議会の権能でありますが、知事、県当局にも、県政ビジョンを議案にするという議会との共通認識がなければ、他県にある本条例は制定されないものであります。  今ほど知事の答弁で、新たな県政ビジョンは、鹿児島県議会基本条例第二十五条、県政に係る基本計画の中で、「最も基本的な計画」という答弁がありました。  本県ではこれまで、議員提案により部門別計画の基本方針二件が議決、策定されていますが、それらの実績を十分に踏まえた上で、県政ビジョンが本県のみ議決なしの現状改革のために、本県における県行政の基本的な計画策定等を議決事件とする条例について、制定検討の議論を喚起していきたいと考えております。
     そしてそのことは、議会の監視機能の向上、政策提言能力の発揮のために県民の皆様からも強く望まれていることであり、鹿児島県議会基本条例第二十六条議会改革の趣旨にもかなうものであると考えます。  行財政改革につきましては、「現行の行財政運営戦略を踏まえて、今後も改革を続ける」ということでございました。あわせて、「新年度から行財政改革推進本部を設置して取り組む」との答弁でありました。  いずれにしましても、例えば、答弁にございましたように、臨時財政対策債を除く県債残高は、努力によりまして一兆一千億円の目標値に迫ろうとしておりますので、当然に、改革としては、これを下回る数値目標、さらには目標年次を提示しなければ、何の指針によって、何の数値目標によって改革するのかというのが見えにくい状況であることには変わりありません。  次に、三項目めの原子力安全・防災対策の推進について質問いたします。  まず、避難計画・体制の充実に関連して、平成二十九年度当初予算における関連事業について質問いたします。  報道によりますと、全国の原発四十二基のうち再稼働しているのは三基のみで、うち二基は川内原発であり、それらに係る安全・防災対策は全国が注目するところであります。  まず、避難計画・体制の充実に向けた本県の取り組みとして、平成二十九年度当初予算案に計上されている主な事業の概要とそれらに期待される効果について。  また、薩摩川内市などUPZ三十キロメートル圏内の関係市町の取り組みについて、避難計画・体制の充実に向けた国交付金活用の事業はどのようなものか、お尋ねします。  次に、二月五日、薩摩川内市で開催されました知事との車座対話で出された意見への対応についてお尋ねします。  知事と市民との車座対話が市庁舎内で開催されたことは画期的なことであり、知事が、原発の安全性の向上にフットワークよく取り組まれることは評価できるものであります。  知事の車座対話を傍聴いたしましたが、予定時間を超える活発な議論の中で、避難道路整備の要望、また、避難訓練に係る意見・要望もありました。  避難道路の整備につきましては、県地域防災計画原子力災害対策編にも、避難のための輸送施設の整備として、県は、住民等の避難誘導・移送を行うための道路、港湾、漁港の整備に努めるものと記載されているわけでありますが、知事は、原発立地市薩摩川内市の車座対話で県民の生の声を聞かれたことを受けまして、避難経路の整備、十キロメートルから二十キロメートル圏内の避難計画の充実に今後どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねします。  次に、避難計画に対する九電からの支援協力についてお尋ねいたします。  昨年八月と九月、避難計画に対する知事からの支援要請に応えて、九電から、おのおの支援協力の回答がありました。  一点目は、支援協力の回答内容について。  二点目は、支援実施の状況、スケジュールについて、平成二十八年度中に実施されるものがあるのか。  三点目は、避難計画・体制の充実のために、今後、状況によっては九電に支援協力を要請する考えがあるのか、お尋ねします。  次に、川内原発に係る安全協定と県原子力安全・避難計画等防災専門委員会のかかわりについて質問いたします。  まず、川内原子力発電所に関する安全協定書は、鹿児島県と薩摩川内市、九州電力の三者協定として締結され、第九条第一項には立入調査、第九条第二項には立入調査の同行者、第十条には措置の要請の規定がありますが、おのおのにつきまして、川内原発一、二号機の運転開始以来、これまで実績があればそれらの内容をお示しいただきたい。  次に、県原子力安全・避難計画等防災専門委員会の検討事項に関して質問いたします。  検討事項の中に、県及び関係自治体の避難計画の検証がありますが、一月二十八日には原発防災訓練を現地視察され、また、視察を踏まえて、二月七日に傍聴いたしました第二回専門委員会において、本県の防災計画の充実に向けて活発に議論され、二月十六日に、川内原子力発電所に関する意見書が知事に提出されたことは極めて意義深いことであります。  原子力災害対策に係る避難計画は、原子力災害対策特別措置法第二十八条と、災害対策基本法第四十条都道府県地域防災計画及び第四十二条市町村地域防災計画により、おのおの別条で、県と関係する市町村に策定が義務づけられています。  一点目の質問は、県の要綱による専門委員会の権限は、県のみならず関係自治体の避難計画の検証にまで及ぶものなのでしょうか。  そして二点目は、専門委員会から関係市町の避難計画に対して助言があった場合、具体的に、関係自治体の避難計画の見直しに反映される仕組みになっているのか、お尋ねします。  次に、専門委員会と立入調査同行とのかかわりについて質問いたします。  知事は、平成二十八年十月に、二名の専門家とともに特別点検の現地調査をされましたが、安全協定書における立入調査ではないとの説明でありました。また、本年二月六日には専門委員会の川内原発内の視察がありましたが、私は、第九条第一項の立入調査ではないと認識しております。  川内原子力に関する安全協定の運用に関する覚書第八条第二項において、県が指定する立入調査に同行できる者は、地方公務員法第三条第三項の各号に規定する地方公務員としての職に限定されております。したがいまして、知事が専門委員会にお願いする検討事項として、立入調査を掲げる掲げないの議論以前に、専門委員会の位置づけが審議会条例規定でなく内規の要綱規定であること、また、委員の皆様には報償費、旅費でお願いしており、報酬及び費用弁償条例が適用される職ではないことからも、安全協定書における立入調査に同行できる地方公務員法上の職ではないと判断しますが、当局の見解をお示しいただきたい。  次に、第十条措置の要請に関しまして、昨年九月議会では、「原発の安全協定の特別の措置には原発の停止を含む」との非常に重要な答弁がありました。  二月十六日に専門委員会から提出された川内原子力発電所に関する意見書の中に、「原発自体の是非については検討の対象外」との記載がありますが、今回の専門委員会の委員は、出発点におきまして、私の理解では、立入調査の同行者に指定されている地方公務員法上の職ではないことからしますと、委員は、第十条、立入調査の結果、必要があればできるとされる知事の措置の要請にも関与できない職であると判断しますが、当局の見解をお示しいただきたい。  次に、原子力規制委員会に関連してお尋ねいたします。  去る二月十八日、知事と原子力規制委員会の田中委員長が面談され、国の原子力防災対策に係る指針が説明されました。また、翌十九日には、田中委員長と上甑島の皆様との意見交換会が開催されました。  そこで、原子力規制委員会に対する基本認識に関してお尋ねします。  一点目は、平成二十三年福島第一原発の重大事故発生以来、事故の教訓を踏まえた国の対応の中で、規制委員会の設置経緯と役割について。  二点目は、原子力安全・防災対策の推進に向け、原子力規制委員会と今後どのように向き合っていかれるのか、お尋ねします。  次に、四項目めの省エネルギー基準の新築住宅への適合義務化について質問いたします。  住宅・建築物に関する省エネルギー基準は、昭和五十四年に制定されました、エネルギー使用の合理化に関する法律、いわゆる省エネ法により設けられたもので、その後、段階的に強化される中で、届け出制度等により省エネ化が図られてきております。  さらに、平成二十七年には新たに、建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律、いわゆる建築物省エネ法が制定され、一定規模以上の住宅以外の建築物について、省エネ基準への適合義務化等の措置が創設されたところであります。  また、昨年五月に閣議決定されました地球温暖化対策計画などにおいては、規制の必要性や程度、バランス等を十分に考慮しながら、平成三十二年までに、新築住宅・建築物について段階的に省エネ基準の適合を義務化する方針が掲げられております。  エネルギー政策として、原子力、再生可能エネルギーについて活発な議論を続けるべきと考えておりますが、あわせて、省エネ、効率的なエネルギー活用も政策としての位置づけが求められていると考えております。  そこで、住宅の省エネルギー化の取り組み状況等について質問いたします。  一点目は、今般の建築物省エネ法制定の経緯と、新築住宅の適合義務化の方向性について。  二点目は、現状として、新築住宅の省エネ基準への適合率はどれぐらいと推計されているのか、お尋ねします。  三点目は、新築住宅への省エネ基準の義務化に向けた建設業者など関係者の技術力向上につきまして、当局の取り組み方針はどのようなものか、お尋ねいたします。  以上で、二回目登壇の質問を終わります。    [知事三反園 訓君登壇] 10 ◯知事(三反園 訓君)お答えいたします。  避難経路の整備の取り組みについてであります。  薩摩川内市で開催いたしました車座対話の中で、数名の方から、避難経路となっている県道等の整備についてお話がありました。  私としても、避難経路の整備につきましては、原子力災害発生時の緊急避難・救援ルートを確保する観点から重要であり、早急な取り組みが必要であると考えております。現在、UPZ内で県道川内串木野線の高江長崎工区など十七カ所におきまして、道路改良や橋梁かけかえ等を進めておりまして、このうち、宮里工区など二カ所の整備を本年度中に終えます。  今後とも、関係自治体の意見などを伺いながら、避難経路の早期整備に努めてまいります。  車座対話を受けての避難訓練の充実についてであります。  薩摩川内市で開催されました知事と語ろう車座対話の中で、住民の方から、十キロメートルあるいは二十キロメートルも含めた中で、広い範囲の避難訓練の充実についてお話がありました。  原子力防災訓練においては、PAZ内の住民につきまして毎年訓練に参加していただいておりまして、UPZの住民については、できるだけ多くの方に訓練を体験していただけるよう、関係市町のそれぞれの実施方針に沿って、参加していただく地域を選定しているところであります。  万一に備えまして、避難計画への理解を深めるため、引き続き、関係市町や住民の方々などの協力を得ながら、できるだけ多くの方々に訓練に参加していただきたいと考えております。 11 ◯危機管理局長(永野 司君)原子力安全・防災対策の推進につきまして、まず、国の交付金を活用した平成二十九年度の防災対策事業とその効果についてでございます。  国の交付金を活用した防災対策事業につきましては、平成二十九年度当初予算におきまして、モニタリングポストを三十三局増設して百局体制といたしますほか、緊急時に放射性物質の測定を行う大気モニタやヨウ素サンプラの増設や、モニタリングカーの更新を予定しております。また、平成三十年度に新築移転予定の環境放射線監視センターの本体工事を行うこととしております。  一方、薩摩川内市におきましては、現在整備中の総合防災センターにつきまして、本体工事に合わせて放射線防護対策を実施すると聞いております。  県といたしましては、これらによりまして、川内原発周辺の環境放射線監視体制や緊急時における放射線防護対策が強化されますとともに、原子力防災体制の一層の充実が図られるものと考えております。  九州電力からの避難計画に対する支援協力についてでございます。  昨年、九州電力に対して要請した避難計画等に関する支援策につきましては、九州電力から、PAZ内の山間部の高齢者等の避難支援や関係九市町への福祉車両の追加配備、PAZ内の避難道路へのアクセス道路等の改善支援などについて回答があったところであります。  これらの支援策のうち、PAZ内の山間部の高齢者等の避難支援につきましては、先月二十八日の原子力防災訓練において、その手順を確認したところであります。  また、関係市町への福祉車両の追加配備やアクセス道路等の側溝へのふたの設置、街路灯の設置などにつきましては、県、薩摩川内市及び九州電力の三者で、昨年十一月から、具体的な実施場所や方法などについて協議を行っておりまして、協議が調ったものから来年度以降順次着手する予定であります。  なお、九州電力におきましては、回答いただいた支援策について、まずはしっかり取り組んでいただきたいと考えております。  安全協定に基づく立入調査等の実績についてでございます。  川内原発に関する安全協定につきましては、県、薩摩川内市及び九州電力の三者で、一号機稼働の約一年前の昭和五十七年六月に締結されたところであります。  安全協定締結以来、これまでの立入調査の件数は二百六十件で、設備点検作業中の火災事故などのトラブルが発生した場合の状況確認のほか、新規制基準に基づく安全対策や燃料装荷作業の状況確認などを行っております。  なお、立入調査同行者及び措置の要請の実績はないところであります。  専門委員会委員による立入調査の同行等についてでございます。  安全協定で定める立入調査に同行できる者につきましては、協定書及びその覚書により、県の指定する者でありますが、その資格要件は、地方公務員法に基づく特別職の地方公務員の一部で、例えば、条例等により設置する委員や臨時または非常勤の顧問等であります。したがいまして、要綱で設置しております県原子力安全・避難計画等防災専門委員会の委員は、立入調査に同行できる者には該当せず、また、知事の措置の要請にも関与できないと考えております。  なお、安全協定に基づく立入調査に専門家の同行が必要な場合は、専門委員会の委員を含めまして、適任の専門家に対しまして、地方公務員法に基づく委嘱の手続を行えば可能と考えております。  専門委員会の検討事項についてでございます。  専門委員会におきましては、設置目的の一つとして、県や関係市町が策定する避難計画など防災に関する検証等を行い、必要な意見、助言をいただくこととしております。  県といたしましては、専門委員会における避難計画等の検証に当たりましては、関係市町の職員にオブザーバーとして出席を求め、避難計画の概要や現状について説明していただきたいと考えております。その上で、専門委員会の中で出された意見や助言を踏まえ、関係市町と協議・連携しながら、より実効性のある避難計画となるよう見直しを図っていきたいと考えております。  原子力規制委員会に対する基本認識についてでございます。  国は、福島第一原発事故を教訓といたしまして、原発の安全性を審査する機関を原子力政策を推進する経済産業省から独立させ、内閣から独立性の高い三条委員会であります原子力規制委員会を設置したところであります。  規制委員会は、原発の安全性を確保するため、国際原子力機関などの国際基準を踏まえ、新規制基準を策定し、原子炉等規制法など関係法令に基づき、規制や審査を行っております。また、原子力防災対策のため原子力災害対策指針を策定しております。  事業者である九州電力は、規制委員会の定めた新規制基準等に基づき、安全対策を行っております。一方、県や関係市町は、同様に、規制委員会の定めた原子力災害対策指針に基づき、原子力防災対策を行っております。  このような中で、県におきましては、県民の安心・安全をさらに進めるため、昨年十二月に専門委員会を設置したところでありまして、原発の安全性の確認や避難計画等の防災対策の検証をしていただき、県民向けのわかりやすい情報発信に努めていくこととしております。  なお、規制委員会に対しましては、原発の安全性について県民の理解を得るため、厳格な検査を積み重ねながら、県民に対しわかりやすい情報発信や説明に努めるよう、引き続き要請してまいりたいと考えております。 12 ◯土木部長(久保田 一君)建築物省エネ法の背景と住宅への基準適合義務化についてです。  我が国のエネルギー消費量につきましては、産業部門及び運輸部門が減少する中、建築物部門では著しく増加し、全体の三分の一を占め、その省エネ対策の抜本的強化が必要不可欠でありましたことから、平成二十七年に建築物省エネ法が制定されております。  この法律により、住宅以外の二千平方メートル以上の建築物について、窓や外壁などの断熱性能及び冷暖房や照明などの設備機器によるエネルギー消費量を評価するエネルギー消費性能基準、いわゆる省エネ基準への適合義務が創設されました。  さらに、平成二十八年には地球温暖化対策計画が閣議決定され、二〇二〇年までに、新築住宅・建築物について段階的に省エネ基準への適合を義務化する方針が示されたところです。  しかしながら、新築住宅への適合義務の対象拡大につきましては、現在のところ具体的な制度改正案等は示されておらず、国においては、基準への適合状況の推移を見つつ、義務化の効果、省エネルギー化の費用負担、大工・工務店等の技術力、関係者の理解などを総合的に勘案しながら、検討を進める方向としております。  次に、省エネ基準の適合率と義務化に向けた取り組みについてです。  新築住宅の省エネ基準適合率につきましては、国土交通省が、三百平方メートル以上の共同住宅等に係る数値を公表しており、それによりますと、近年、三割から五割程度で推移しているところです。  県では、平成二十六年度から、新築住宅の省エネ基準の適合率向上のため、木造住宅関連団体と連携しながら、住宅生産を担う設計者・施工者向けに、省エネ性能の計算方法や性能を確保するための施工技術を学ぶ講習会を実施しており、本年度も延べ十五会場で開催したところであります。受講者は、これまでの累計で設計者が七百六名、施工者が五百四十九名となっております。  新築住宅への省エネ基準の適合義務化を視野に、今後の制度改正に向けた国の動きを踏まえつつ、県としましても、引き続き、大工・工務店等の技術力向上に向けた講習会を実施しますとともに、建築主の意識啓発のため、県民向けのイベント等を通じて周知・広報に努めてまいりたいと考えております。    [田中良二君登壇] 13 ◯田中良二君 それぞれに御答弁いただきました。ありがとうございました。  原子力安全・防災対策の推進につきまして、避難経路の整備に関連しまして、県当局におかれましては、北薩地域においては、原発防災の避難経路にもなります西回り自動車道、北薩横断道路、川内港、甑島の藺牟田瀬戸架橋などの整備を強力に推進されております。また、知事からも御答弁いただきましたが、PAZ圏関連の川内串木野線の例えば宮里工区、高江工区あるいは臨海道路のメンテナンスフリー化など、目に見える工事進捗初め、避難経路の維持補修にもきめ細かく取り組んでいただいており、市民から多くの感謝の声があります。  原子力行政全体について言いますと、例えば原発の再稼働に係る判断については、議会は、地方自治法第九十六条陳情・請願の議決により、法に基づく意思表示ができますが、立地市町村長と道府県知事は、国策と言われながらも、法令に定めのない地元合意の名のもとに厳しい判断を求められております。  そして、そのことにより、原発立地自治体の首長の責任は非常に重く、また権限が強くなっている中で、首長に対しては、エネルギー政策における明確な立ち位置とその根拠が問われていると考えております。  原子力安全・防災対策につきましては、知事の施政方針にもありましたように、防災に完璧や終わりはありませんので、引き続き、国、関係市町と連携して、関連施策を積極的に進めていただきたい。  省エネルギー基準の新築住宅への適合義務化につきましては、部長から答弁いただきましたが、国としては、平成三十二年までに、段階的に一般住宅・建築物も義務化の方針ということでありました。詳細にはまだ詰まっていないような状況はありますが、一般住宅への適合義務化は、近い将来避けられない大きな流れであると考えております。  私は、新年度策定の新たな県政ビジョンにおいて、省エネルギー基準に関する国の方針等や動向を踏まえて、例えばスマートハウスやゼロエネルギーハウスの推奨などを、本県の住宅政策の一つとして新たに明確に打ち出されることを提言いたします。  最後に、今回の一般質問では、新たな県政ビジョン行財政改革、原子力安全・防災対策、省エネルギー基準に関して質問いたしました。多くの丁寧な答弁をいただき、ありがとうございました。  私は、県政の将来ビジョンに関連しまして、これまで自分自身の行政・議員活動を通じて深く心に残っている言葉があります。それは、甑島の藺牟田瀬戸架橋に係る実現可能な夢という言葉であります。  藺牟田瀬戸架橋は、甑島住民にとっては歴史的な悲願であり、六十年以上も前からの要望活動の中では、一・五キロメートルの長大橋は夢のまた夢であったものが、須賀元知事の時代に実現可能な夢という言葉に変わりました。そして平成十六年、一市四町四村合併の薩摩川内市誕生と時を同じくして、伊藤前知事の大きな政策判断より、実現可能な夢が実現に向かっております。  当局から示される政策と事業については、短期的に成果を出すことも必要でありますが、長期の将来ビジョンの中に、夢を県民の皆様に提示し、それを実現可能な夢に変え、さらに、実現可能な夢を実現に変えていく努力が必要であると考えます。
     私は、本年四月で県議会議員丸十年になります。これからも初心を忘れず、行動と政策提言を活動指針としながら、県勢発展に向け、県民の皆様のために働き続けていきたいと考えております。  以上で、一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 14 ◯議長(池畑憲一君)次は、まつざき真琴君に発言を許可いたします。    [まつざき真琴君登壇](拍手) 15 ◯まつざき真琴君 私は、日本共産党県議団として一般質問を行います。  まず、知事の政治姿勢についてであります。  十二月十三日、沖縄県名護市の浅瀬に米軍オスプレイMV─22が墜落しました。日本で初めて起きたオスプレイの事故として、国民に大きな衝撃を与えました。  本県においては、海上自衛隊鹿屋基地において、MV─22オスプレイを含めたKC─130空中給油機の訓練が行われる計画が進んでいます。  そこでお尋ねします。  県土に飛来する予定になっているオスプレイの墜落事故について、知事はどのような所感をお持ちでしょうか。  鹿屋市は、九州防衛局と協定を結び、交付金も支払われていますが、この訓練受け入れはオスプレイの安全性を前提として行われたものであり、今回の重大事故の発生により訓練自体が見直されるべきです。交付金と引きかえに住民を危険にさらすことは許されません。この間、オスプレイが鹿児島市上空でも、奄美地域でも幾つも目撃されており、住民の間にさらに不安が広がっています。  知事は、常日ごろから、トップの役割は県民の安心・安全だと言われています。県民の安心・安全を守る立場で、奄美地域を含め、県土上空におけるオスプレイの飛行に断固反対し、その意思を政府に伝えていただきたい。そして、自衛隊鹿屋基地への空中給油機の訓練移転とオスプレイの鹿屋基地への飛来について、鹿屋市長と協議し、訓練移転の中止を申し入れていただきたいと考えますが、見解をお聞かせください。  知事が選挙で約束した専門委員会が設置され、多くの県民の期待が集まりました。しかしながら、世界最高水準と言われる新規制基準に合格したとされる川内原発について、その稼働に待ったをかけることはとても困難であることは想定されることでした。それでも、専門的な立場で川内原発の安全性や住民の避難の問題について議論されることは、これまでより前進であるとは感じています。  知事は、川内原発について、この専門委員会での助言を得て、自分自身で総合的に判断すると発言を繰り返されていました。専門委員会で問題がないということだったので、強い対応をする必要がない。これがその判断でしょうか。  知事は政治家です。県民の生命・財産を預かる県のトップです。専門委員自身が、わずか十二人で結論を出すというのは無責任だと発言されていますが、県民の安全にかかわる問題について、委員会の結論をそのままみずからの判断としていいのでしょうか。  私は先日、原発事故後、六回目の福島の現地視察を行いました。六年もたつというのに、いまだ八万人を超える人たちが自宅に戻れない。仕事のために福島に残った夫と、子供と県外に避難した妻と、戻る戻らないで離婚に至った夫婦も珍しくありません。避難指示が解除されたが、除染が不十分で子供を連れて帰れない、事故前は子、孫、ひ孫と四世代で暮らしていたが、今は仮設住宅に一人で寂しいと老人が語る。一本の狭い道路の右側と左側で、住宅補償が続く帰還困難地域と補償が打ち切られる解除地域に分断される。汚染水のタンクや、汚染された木々や土砂を詰め込んだフレコンバッグ置き場はふえるばかり。事故現場では、溶けた核燃料がどこにどれだけあるかの調査さえできない。そして、廃炉費用が二十一兆円を超え、国民の負担として押しつけられる。これが原発事故がもたらした現実です。  知事、私たち政治家が考えるべきことは、この福島の現状を直視し、原発はどういうものであるのか、事故がどういう事態を招くのかということです。専門委員会の助言、意見とあわせて、これらを含めて総合的に判断すべきです。  そのためにも、知事、ぜひ福島の現状を見ていただきたい。知事は記者時代に行かれたそうですが、それは報道する立場としてです。知事は今、県のトップです。県民の安心・安全を守る立場でもう一度福島を訪ね、原発事故の現状を見て、住民の声を聞いていただきたい。見解をお聞かせください。  私は、専門委員会にもその役割を果たすことを求めます。  先日、専門委員会から知事に提出された意見書には、今後の方針として、現実に存在する原子力発電所のリスク及びそれに関連する避難計画等のリスクを軽減する方策を検討対象とする立場が望ましいと述べられています。  県は、第四回定例会の総務委員会において、「国とか規制委員会あるいは内閣府等に対して、何か意見を言おうという委員会ではない」と説明しました。しかし、専門委員会において、原発のリスク、避難計画等のリスクを検討する中で、必要があれば、意見、要望を国や規制委員会、内閣府等を含めて、どこに対しても自由に物が言えることを可能としなければ、県民にとっての委員会の存在価値がなくなるのではないですか。県が専門委員会の意見、助言の対象を限定すべきでないと考えますが、見解をお聞かせください。  また、この専門委員会が県民の安心・安全のために役割を果たすためには、委員会自体が県民の信頼を得ることが必要です。二人の委員が、九州電力や原発メーカーの三菱重工業などから寄附金を受け取っていたことが明らかになっていますが、そのうちの一人は、九州電力と約六千万円の受託契約を結び、九州電力のグループ会社から計五百万円の寄附を受けていました。これは、原子力規制委員会が、委嘱する委員に求める自己申告書で明らかになったものです。  九州電力川内原発の安全性を確認する委員会において、その相手側から多額の研究費を受けていた人が公平・公正に判断できるのか、多くの人が疑問を持つのは当然です。知事は、「これまでの経験、実績、周りの評価、そして専門的見地から、良心に従って公平・公正に判断していただける、そういう方を人選した」と発言されていますが、この委員のこれまでの経験、実績の中に、九州電力と六千万円の受託契約が存在するわけです。それでも、知事が公平・公正に判断していただけると判断された根拠をお示しください。  この専門委員会でどういう議論が交わされるのか、県民のみならず全国の注目を集めています。ところが、傍聴の定員はわずかに二十名というもので、多くの人たちから、二十名に漏れてしまってとても残念だという声を聞きました。  傍聴は、パソコンや携帯電話などのネットで数日間の申し込みでしたが、傍聴の申し込みが開始となった時刻から、二十名の定員いっぱいとなった時刻まで、どのくらいの時間であったのか、第一回、第二回、それぞれお示しください。  来年度以降の専門委員会の傍聴人数について、もっと拡大していただきたい。また、県内どこにいても議論の経過がリアルタイムでわかるように、ライブ配信を検討していただきたい。  また、県民の安心・安全のために確認し、わかりやすく県民に説明するために設置したという委員会であれば、県民がどういう不安を持っているかを聞く場や、委員会開催後、県民にわかりやすく説明する場が設けられるべきと考えますが、県の考えをお聞かせください。  知事は、施政方針演説において、「持続可能な行財政構造を構築するため、引き続き、歳入・歳出の両面にわたる行財政改革に取り組む」と述べられましたが、伊藤前知事時代に行われてきた行財政改革は、県民に直接かかわる補助金のカットや使用料・手数料の値上げ、人件費削減でありました。例えば地域振興局の代表電話と電話交換手が廃止され、県民は、自分の用事が一体どの部署のどの係であるのかわからなければ電話をかけることができない、このような県民サービスの低下が起きました。また、県立の施設に指定管理者制度が導入され、三年置き、五年置きに、仕事が切られてしまうかもしれない、つまり、不安定な雇用で県立の施設で働く人たちを多くつくり出すことになりました。行政の仕事は県民、住民を対象とした仕事で、マンパワーが求められるものです。伊藤前知事時代には、職員の給与カットが八年間続き、約千名もの職員が削減されました。これ以上の人件費削減は、県民にとって許されるものではありません。  伊藤前知事が行った行財政改革を進めるに至った原因について、三反園知事はどのように認識しておられるか、お聞かせください。  また、知事が考えられる一層の行財政改革において、何を削減し、何を充実させようとしているのか、お示しください。  知事は、子供の医療費について、住民税非課税世帯の未就学児を対象に医療機関の窓口負担をゼロとすることを、平成三十年十月から実施したいと示されました。  これまで、国は、医療費助成の現物給付を行っている市町村に対して、国保の国庫負担の減額措置を行ってきており、本県は、そのことを現物給付を行わない理由の一つにしてきました。  国は、少子化対策に逆行するという批判の声や、市町村からの減額措置の廃止を求める要望を受け、この減額措置を廃止することとしました。昨年十二月二十二日付の県への厚労省通知には、自治体の少子化対策の取り組みを支援する観点から、平成三十年度より、未就学児までを対象とする医療費助成制度については、国保の減額措置を行わないこととすると示されています。  このように、国の減額措置の廃止は、所得制限を設けず全ての未就学児を対象としていますが、知事の方針は、所得制限を設け、非課税世帯のみを窓口負担ゼロの対象としています。  現在の制度でも非課税世帯は無料です。もちろん、窓口での負担がなくなるというのは前進です。しかし、無料の対象は全く広げずに、これで子育て支援に特に力を入れると言えるのでしょうか。  県議会の政策提言に応えたと言われていますが、その提言で求めた現物給付は、非課税世帯に限っているものではありません。課税世帯でも、滞納が発生している世帯があるように、経済的に困難な世帯はたくさん存在します。そもそも子育て支援というのは、親の経済状況にかかわらず、子供の命と健康を守ることではありませんか。これまでに県市長会や県内の地方議会から知事宛てに提出された現物給付を求める意見書は、全ての世帯を対象にしたものです。  知事は施政方針で、「人口減少、子供たちの数の減少に少しでも歯どめをかけることが必要。私は、何よりもまず、子育て世帯にとって住みやすい鹿児島をつくる」と述べられました。また、昨年十二月に、医療費助成の現物給付を求める署名を知事に直接手渡されたママたちに、「来年は子育て支援の年にします。来年はクリスマスプレゼントを贈ります」と言われましたが、知事のプレゼントを受け取れる子供たちは、県内の未就学児九万三千人のうちの一万五千人、比率でいえば約一七%、六人に一人に限られることになります。  知事がマニフェストに込められた子育て支援の思いは、子供医療費については、無料の対象者は広げない。あとの人たちは、これまでと同じように一旦は窓口で全額負担しなさい。こういうことですか。知事のお考えをお聞かせください。  これから設置される有識者懇談会においては、知事のこの結論を押しつけるものではなく、有識者懇談会の議論の経過によっては対象が広がる可能性もあると考えますが、いかがですか。  また、有識者懇談会を公開とし、傍聴を可能とすることと、議事録の公開を求めます。見解をお示しください。  また、この懇談会に、これらの医療費負担の当事者である保護者をぜひ加えていただきたいと考えますが、見解をお聞かせください。    [知事三反園 訓君登壇] 16 ◯知事(三反園 訓君)知事としての福島への訪問についてであります。  私としては、原発は絶対に事故を起こしてはならないと考えております。私は、知事就任前に福島を訪れて、原発事故の悲惨さは十分に認識しております。  行財政改革についてであります。  私としては、財政状況が非常に厳しい中で、新しい力強い鹿児島の実現に向けた施策と財政健全化の両立を図ることが重要と考えております。  平成二十九年度当初予算につきましては、鹿児島を元気にする各般の施策を盛り込む一方で、歳入・歳出両面にわたる徹底的な見直しを行うなど、行財政改革を着実に進めたことによりまして、財源不足の生じない予算となっており、めり張りのある予算編成ができたのではないかと考えております。  本県財政は、自主財源に乏しく脆弱な財政構造にあります。厳しい財政状況にある中で、子育て支援を初めとする各般の施策を推進していくこと、引き続き行財政改革に取り組む必要があると考えております。  なお、具体的な行財政改革の取り組みの内容につきましては、来年度に向けて、行財政改革プロジェクトチームの設置を検討するよう指示したところでありまして、今後、同プロジェクトチームにおいて検討していくことになるものと考えております。  子供の医療費についてでございます。  子供の医療費につきましては、住民税非課税世帯の未就学児を対象に、医療機関等における窓口負担をゼロとすることとし、市町村が医療機関に支払うための新たなシステム構築に要する期間も考慮して、平成三十年十月から制度を開始したいと考えております。  私は、経済的な理由により受診を控えることによる症状の重篤化を防ぐため、県議会からの子供の貧困対策に係る政策提言も踏まえまして、新たな医療給付制度を創設したいと考えております。  検討に当たっては、お金がなくて受診できない方々に早急に対応しなければいけないという思いから、住民税非課税世帯の未就学児を対象としたいと考えたところであります。 17 ◯企画部長(岩切剛志君)米軍機オスプレイの墜落事故、飛来についてであります。  まず、オスプレイの事故に関しましては、防衛政策に関する一義的な判断主体である国は、地元の方々に丁寧に説明し、理解を得ること、また、事故の原因とその対策を米側に確認することが必要としておりました。その後、国は、米側が、今般の事故の原因となり得る人的及び環境要因を幅広く網羅する再発防止策を全て実施したことを確認し、これらの対策は、防衛省、自衛隊の知見及び経験に照らしても妥当であるとし、さらに、空中給油訓練は陸地の上空では実施しないことも確認しているところであります。  防衛・安全保障政策については国の専管事項でありますが、国が米軍再編など安全保障上の施策を進めるに当たりましては、地域住民の間に、事故の危険性の増大や騒音、治安に対する不安や懸念が生じることに対して、説明責任を果たすとともに、地域の方々の意向を十分に踏まえて対応する必要があるものと考えております。  県としては、今後の動向を注視するとともに、県民の平和で豊かな暮らしと安全が守られるよう適切に対応してまいりたいと考えております。 18 ◯危機管理局長(永野 司君)川内原発に関連して、専門委員会の意見等の対象の制限についてでございます。  原子力安全・避難計画等防災専門委員会につきましては、原発の安全性の確認や避難計画等の検証、県民向けのわかりやすい情報発信のため、それぞれ技術的・専門的見地から、あくまでも県に対して意見、助言をいただくものであります。これまでの二回の会合におきましては、各委員から自由に発言いただいております。  また、今月十六日に専門委員会から提出された意見書におきましては、現実に存在する原子力発電所のリスク及びそれに関連する避難計画等のリスクを軽減する方策を検討対象とする立場が望ましい。また、具体的な事項に限定した調査、議論、評価を行うスポットチェック方式を採用すべきなどの提案がなされております。  県といたしましては、県民の安心・安全の観点から、その方向で議論していただきたいと考えております。  専門委員会委員の選任の根拠についてでございます。  専門委員会の委員は、設置目的であります、川内原発の安全性の確認や避難計画等の検証を行っていただく観点から、国などの同種の委員会等に所属されている方々の中から、原子力工学や地震学、放射線防護、防災関係など、専門分野や県内・県外のバランスを考慮して選任したところであります。  専門委員会の傍聴等についてでございます。  専門委員会につきましては、第一回を昨年十二月二十八日に、第二回を今月七日に開催し、傍聴につきましては、いずれも定員二十名として、第一回は十二月二十四日、第二回は一月二十九日の九時から、インターネットにより募集したところであります。傍聴申し込み開始から定員に達するまでの時間につきましては、第一回は二時間十三分、第二回は九時間二十九分となっております。  専門委員会の傍聴人数につきましては、委員を初め、県の事務局、関係市町、県議会議員の皆様、マスコミ等の出席者をもとに会場の広さを考慮し、二十名としたところであります。  専門委員会での議論の内容につきましては、会議の配付資料を初め、議事録や先日委員会から提出された意見書につきましても、全て県のホームページに掲載しており、また、原子力だよりや県政かわら版など県の広報紙でも、委員会の開催状況を掲載しております。  このようなことから、県としては、リアルタイムのライブ配信は考えていないところであります。  専門委員会におきましては、そもそも原発に対して県民の方々にはさまざまな不安があるという前提に立って、これを解消するためにそれぞれの技術的・専門的見地から議論していただいております。また、専門委員会の設置目的の一つが、県民向けのわかりやすい情報発信を掲げており、今後発行いたします原子力だよりなど広報紙を通じて、わかりやすい情報発信に努めてまいりたいと考えております。  このようなことから、県といたしましては、専門委員会において、県民の意見を聞く場や説明する場を設けることは考えていないところでございます。 19 ◯総務部長(寺田雅一君)行財政改革を進めるに至った原因について、どのように認識しているかについてでございます。  本県におきましては、国の経済対策への対応を含め、公共事業等に多額の予算を計上してきた結果、平成七年度末に約八千六百億円であった県債残高が毎年一千億円程度増加し、平成十五年度末には約一兆六千億円となったところでございます。  また、行財政改革への取り組みが他県と比べますと三年程度おくれたことによりまして、県債残高が累積し、財政規模が類似している他団体と比較いたしましても二千億円程度多額となっており、毎年度の公債費も二百億円程度多くなっているところでございます。  このような状況に対応するため、行財政改革を行ってきたものと認識しております。 20 ◯保健福祉部長(古薗宏明君)子供の医療費に関連しまして、有識者懇談会についてであります。  有識者懇談会につきましては、先ほど知事が答弁申し上げました新たな医療給付制度について説明した上で、この制度の創設に当たり検討すべき事項や、想定される課題への対応等について、意見交換を行う場として位置づけており、したがいまして、県、市町村、医療関係者、保険者、審査支払機関で構成することといたしております。  有識者懇談会の公開、非公開につきましては、有識者懇談会みずからの判断に委ねたいと考えております。  議事録につきましては、有識者懇談会の意見も聞いた上で、何らかの形で公表したいと考えております。 21 ◯まつざき真琴君 自席から知事に再質問させていただきます。  委員が公平・公正に判断できると、知事はそう言われているわけです。私は、委員の方の中で多額な研究費をもらった方がおられると、そういう経験があるんだということをお示ししました。知事が公平・公正に判断できると言われる根拠について、御本人にちゃんとそうできますかと確認されたのかなど、根拠をお示しください。  それと、知事の判断、この本会議で述べられましたけれども、それは、この委員会の結論のほかに何を材料として、この前のような答弁に至られたのでしょうか、お示しください。 22 ◯知事(三反園 訓君)これは私、繰り返し述べておりますけれども、その方のこれまでの経験、実績、周りの評価、専門的見地、総合的に判断して、委員として起用したということであります。  議員もこの専門委員会に出席していたからよくわかるとは思いますが、実際問題として、あの質疑応答を見ていただければわかると思います。あの質疑応答の中でも、厳しい意見、専門的見地から、すごい、本当に厳しい意見がどんどん出されております。専門的見地でなければわからないような質問もたくさんあります。問題点に関して確認して、そして専門的見地から意見いただいたということであります。  そうした中で私自身は、これもずっと言ってきております。これもぶれていないんですけれども、原発については安心・安全が一番であります。そのためにも専門家委員会をつくりたいということで設置したわけであります。そして、その専門家委員会の中で問題があれば、強い対応をとっていきますと、これもずっと言ってきております。  専門的見地から専門家の方々がそれぞれ意見を述べました。その中でも、定期検査、そして特別点検に関しても問題はないという結論に至って、そういった意見書もいただいております。そういったことを踏まえて、いわゆる強い対応をとる必要はないと判断したということであります。 23 ◯まつざき真琴君 あと一点、子供の医療費について再質問を知事にさせていただきます。  答弁の中で、「早急に対応しなければならないということで非課税世帯を対象にする」と言われました。ということであれば、早急にという対応であり、今後、対象としては広がる可能性があると理解していいのではないかと思いますが、確認させてください。  それと、有識者懇談会では、今度、一回目が来年度早速開かれるかと思うんですが、その議題の中に、先ほど述べられたことと加えて、その前に、非課税世帯に限定した議論とせずに、対象者をどうするかと、県は、知事としてはこう考えているけれども、有識者懇談会としては対象者はどう考えますかという議題も含めて議論していただきたいと考えますが、いかがでしょうか。 24 ◯知事(三反園 訓君)私は、子育て支援、すごく重要であり、最重要政策だと考えて今回の予算編成にも当たりました。議員もこの予算をよく見ていただければわかると思います。子育て支援に相当のいわゆる支援策も盛り込んでおります。  そして、理想と現実というものも実はあります。まず私がやらなければいけないことは何でしょうか。財政状況が厳しい中でまずやるべきことは、お金がなくて受診できない子供がいる。そうすると病気は重くなる。そういった子供を何とかしなければいけない。そのためには、早急にしなければいけない。今回の予算も、二億六千万円というお金が市町村も合わせてかかるわけであります。そうした中で、まずは早急にできること、それは、お金がなくて受診できない子供たちのための対応をしなきゃいけないということで、今回こういうことをやろうとしたことであります。  そして、有識者懇談会の中では、こうした考え方をもとに意見交換していただくということであります。    [まつざき真琴君登壇] 25 ◯まつざき真琴君 川内原発につきましては、知事の判断については、私はどうしても福島原発の現状を見ていただきたいと思います。  専門委員会の議論の経過から、問題ないということで知事は判断を示されましたが、もちろん、私自身も専門委員会を傍聴いたしまして、専門家の立場で議論がなされる、それは一つの前進であるとは感じています。しかしながら、知事は、専門家という立場ではなくて、政治家、県のトップであります。総合的に判断すると言われるのであれば、専門委員会に自分の判断を丸投げするのではなくて、福島の現状を見て、原発というものがどういうものであるのか、過酷事故が起きればどういう事態に県民は陥るのか、そこを見て判断していただきたいと思います。ぜひとも福島に足を運ばれることを再度要請しておきます。  子供医療費につきましては、知事は、早急に対応しなければならないと言われました。これについては、今まで窓口払いが必要で、後から戻ってきたものが、窓口で払わなくて済むことになる。非課税世帯にとっては本当に大きな前進だと思います。  しかしながら、先ほども申し上げましたように、経済的に苦しい家庭というのは非課税世帯ばかりではなく、課税世帯も同様です。知事のマニフェストには、多くのパパ、ママ、おじいちゃん、おばあちゃんたちが期待していました。県内の市町村は、少子化対策の努力の中で、高校卒業、中学卒業まで無料にしています。沖縄県も、国保の減額措置が廃止になったら現物給付を実施することを明らかにしています。このような形で償還払いを残すのは、九州、沖縄では鹿児島だけになってしまいます。  知事の子育て支援の思いを阻むものは何なのでしょうか。県民との約束を果たすために対象者を広げていただくことを強く要請しておきます。  規制委員会の田中委員長が来鹿し、知事と懇談されました。その中で、屋内退避の必要性を述べられたと報道されています。福島のような事故は起きないのだから屋内退避でいいんだと強調されているようですが、規制委員会の仕事は、電力事業者に対して、規制基準に適合しているか審査する役目であり、厳しい審査で国民の安全を守ることであります。避難計画は内閣府の仕事です。熊本地震の経験の中で、家の中にじっと避難することは不可能でした。規制する立場でありながら、立地自治体、稼働自治体に、安全なんだ、過酷事故は起きないんだと言って回る、新たな安全神話を振りまく田中委員長に強く抗議するものです。  次の質問に入ります。
     国民健康保険が二〇一八年度から都道府県単位化となり、国保の保険者は県と市町村になります。実質的には、国保のさまざまな実務、賦課や徴収、給付や健診等は市町村が行いますが、国保の財源を県が握ることになります。  都道府県国民健康保険運営方針策定要領には、国保は国民皆保険の最後の砦と述べた上で、財政運営上の課題が並べられていますが、かつて、国保の構造的な問題点として厚生労働省みずからが指摘していた、保険料負担が重いという点が消えています。  国保税について鹿児島市が示しているモデル世帯の試算では、鹿児島市は、夫四十五歳、所得二百万円、妻四十二歳、所得なし、子供二人の四人世帯で、法定の二割減免した上で、医療分、後期高齢者支援分、介護分の合計で年間三十四万五千三百円となります。霧島市は、夫四十四歳、所得三百万円、妻三十九歳、所得なし、子供二人で、合計、年間五十三万五千六百円となっています。いずれも国保税が所得の二割近くを占めることになります。  国保税の負担が重い現状についての県の認識をお聞かせください。  本県の国保税の収納率がこの間、上がっています。これは全国的な傾向ではありますが、税の徴収について大変厳しくなっている現状もうかがえます。  この五年間の収納率の上昇の要因についての見解をお聞かせください。  今月九日、衆議院予算委員会で日本共産党高橋千鶴子議員の質問において提出された資料によると、全国都道府県国保差し押さえ率ランキングにおいて、本県は高いほうから十二番目となっています。滞納世帯の数とは関係なく、滞納率では、本県は高いほうから三十六番目です。滞納率が全国で三番目に高い熊本県は、差し押さえ率では三十二番目です。  県内に住む運送会社の契約社員のMさんは、重度の難聴で就業が困難な妻と県立の高校生と小学生の四人暮らしですが、生活が厳しい中で、税金は余裕があるときに少しずつ納付していました。しかし、子供さんの高校進学を機に転居した結果、前の居住市の国保税と住民税が滞納として催告や納税通知書が届くことになりました。しかし、納付するお金がなく、直接窓口に相談に行けない状態が続き、とうとう給与約二十四万円の中から四万円ほどの差し押さえが始まりました。ますます支払いが困難となっていましたが、今度は現在の居住市からの二万円の差し押さえも加わり、保険証は取り上げられ、病院にも行けない、食料を買うお金もないという状況になってしまいました。  Mさんは、払いたくないのではなく、払いたくても払えない事情があるにもかかわらず、お金がなくて、市の窓口の敷居が高く相談に行けなかったために、悪質な滞納者だとみなされ、給与の差し押さえを受けたということです。収納率の上昇の陰にこのような実態が隠れているのではないかと心配します。  二〇一四年に成立した医療介護確保推進法の中で、都道府県が地域医療構想を策定することが義務づけられました。この地域医療構想で都道府県ごとに医療供給体制の枠組みを決め、同時に、医療費の大きなシェアを持つ国保を都道府県単位とすることによって、医療供給体制と医療費支払いをリンクさせる。つまり、財政を握ることによって、医療費適正化、医療費の削減を可能にするものです。  県と市町村のお金のやりとりは、一部の基盤安定化部分を除き、新しくできる事業納付金と保険給付費等交付金のみとなります。県が財政を握ることによって、例えば、医療費削減に努力した自治体には納付金を少なく算定したり、交付金を多く交付したり、反対に、医療費削減ができない市町村にはペナルティー的に納付金を多く算定したり、交付金を少なく交付できるとするならどうなるでしょうか。県が権限を持つことにより、国保が、医療費適正化、つまり医療費削減の道具にされることにならないか懸念するものです。  現時点で幾つか確認させていただきます。  国民健康保険が県単位化された後も、国民健康保険料率は県下で統一しないこと、また、市町村の一般会計から国保の特別会計への法定外の繰り出しは可能であることを確認します。いかがでしょうか。  さらに、県が定めることとされている国民健康保険の運営方針には法的な拘束力はなく、市町村の自主性、自立性が県単位化後も確保されると考えますが、見解を伺います。  私は、鹿児島市の下伊敷にある鹿児島県立短期大学を訪ねました。国道三号から少し中に入るだけで静かな緑豊かな環境にあり、この季節は、赤と白の梅の花が咲き誇っています。ここは、新制大学発足の翌年、一九五〇年に鹿児島県立大学短期大学部として開学し、六十七年を迎えています。  まず、県立短大が本県の高等教育において果たしている役割についての県の認識をお聞かせください。  県立短大の施設は、古いものでは築五十年を経ており、新しいものでも築三十年を経ていますが、古いながらも大切に使われてきたことがうかがわれます。途中、耐震工事や部分的な改修も行われていますが、施設・設備の老朽化が進んでいることは明らかです。伊藤前知事時代には、県短予算にずっとマイナスシーリングをかけるだけで十分な改修・改築は行われませんでした。  私は実際に施設を見て回りましたが、目立つのはトイレの古さです。一般にトイレは見えない場所ではありますが、その施設に対する設置者の構えがあらわれる場所と言えると思います。多くが昔ながらのタイル張りの床で、和式トイレが半数以上、和式を改修して洋式に変えたものもありますが、ただの冷たい便座です。増改築がなされた図書館には、洗浄機がついた温かい便座の車椅子用トイレがありました。  また、体育館の更衣室は、横開きのドアをあけるとそのまま中が丸見えで、銭湯の脱衣場のような棚が並んでいるだけですが、今回、入り口にカーテンは取りつけられるそうです。体育館の天井のすき間から横殴りの雨のときには雨漏りがする。テニスコートはコート内に古いひびが入っている。こういう状況です。  バリアフリー化については、以前私は、車椅子の学生さんが、エレベーターがないために、他の学生が来ない時間に階段をはって上がっているということを取り上げました。現在も車椅子の学生さんがおられますが、その学生さんの授業は、エレベーターと車椅子用トイレのある二号館でなされるよう教室を入れかえているというお話でした。  それで解決かと思っていましたが、実際に学生さんたちに話を伺うと、その車椅子の学生さんが、エレベーターのない三号館に研究室がある教授に話を聞いたり、本を借りに行きたいと思っても行くことができない。「友人の自分がかわりに借りてあげようと思うが、やはり本人が行かないとどんな本がいいのかわからない。これから卒論を書くのに困るだろう」と話していました。車椅子であるために、そこの学生でありながら学内に行くことのできない場所がある。これはどうしても改善しなければならないと思います。  来年度、認証評価機関の認証評価を受けると聞いていますが、研究環境、学生の教育環境、バリアフリー化に十分な教育・研究環境は整備できていると言えるのでしょうか。設置者としての県の認識を聞かせてください。  また、平成二十九年度、施設整備に係る予算の計上はどうなっていますか。平成三十年度以降の施設整備についての考え方もお示しください。  子供の貧困が大きな社会問題になっています。経済的理由で大学に進学できない。学業を続けられない。奨学金を受けてもその返済ができず自己破産する。格差と貧困が広がる中で、学ぶ機会と将来への希望が奪われる若者がふえていることは、日本社会の大問題です。  現在二十五歳のAさんは、高校、大学と無利子の奨学金をもらいました。自宅から鹿児島大学に通いながら、受け取っていた月四万五千円の奨学金はほとんど大学の授業料に充て、教科書代などはアルバイトで賄っていたといいます。現在、実家を出て、鹿児島市内の民間に勤め、手取り月十四万円ほどの給料から毎月二万円を返済しています。一万円札十四枚のうち、二枚を返済に回す。厳しい生活ぶりは容易に想像できます。これが十五年間続きます。  政府は、ようやく返済不要の給付型奨学金の導入を決めましたが、余りに規模が小さく、関係者に失望を広げています。給付枠の一学年二万人は、全学生のわずか二・五%弱です。他国の給付型奨学金の受給率を見ると、アメリカ四七%、イギリス四八%、ドイツ二五%となっており、日本とは桁違いです。日本の収入基準も住民税非課税世帯と対象を狭くし、全国五千の高校に一人以上を割り振り、高い学習成績、部活など教科以外の活動成績をもとに選定します。  本県では、先駆けて、奨学金の返済を支援する制度をつくられていますが、募集定員に対して二倍以上の応募があります。しかし、その対象は、日本学生支援機構の無利子奨学金の貸与者に限られています。しかも、県内企業の正規雇用が要件です。そもそも、返済に苦慮しているのは有利子奨学金の貸与者も同じです。また、無利子でも正規雇用がかなわなければ、返済は厳しい状況になります。  これからの鹿児島を担っていく若い世代が安心して学べる環境をつくるためにも、県として、国に対して給付型奨学金の対象者の拡充を要請するとともに、県独自の分についても、ニーズに合った形で拡充していただきたいと考えますが、見解をお聞かせください。  今、県内各地で、山を切り開いたり、かつて田んぼや畑だったところに太陽光パネルが設置され、太陽光発電が行われています。  長島町川床では、太陽光発電のために九・五ヘクタールもの林地開発が進められていますが、住民には全く知らされていませんでした。  一ヘクタールを超える林地開発の知事の許可申請には、開発区域周辺居住者の同意書が必要であり、このとおりに進めば、周辺の住民が知らないことにはならないはずですが、現実に誰も知りませんでした。住民説明会も開かれないまま、地域の代表者の名前と判こをついた、開発区域周辺居住者の同意書が添付され、開発許可がおり、現在に至っています。  街部の開発と違って、林地は、住民が知らない間に開発が進んでいることがあったり、災害が起きればその被害をこうむったりすることからも、住民にとって、その開発の目的や工事の内容がわかり、住民の不安に応える説明会は欠かせません。  林地開発許可の手続においては、常に、事前協議の段階から、地域住民への説明会の開催を事業者に対して義務づけるべきと考えますが、見解を伺います。  この開発は、本年三月完成を目指して工事が進められており、住民の皆さんは、ここまで進んでいては、これを現段階で中止を求めることは難しいと諦めておられますが、台風や豪雨のときに土砂災害などが生じないか、それを大変心配されています。  今後、調整池の土砂を定期的に撤去することや、切り土ののり面の保護や管理などを事業者が責任を持って行うよう、林地開発を許可した県が、事業者と町に対して、災害防止のための協定の締結を促していただきたいと考えますが、見解を伺います。  森林には、水源涵養や災害防止、地球温暖化防止といったさまざまな公益的な機能があり、だからこそ、県も森林環境税を徴収し、森林を守っています。林地開発許可は、対象が一ヘクタールを超える林地となっており、それ以下の面積については、樹木の伐採届を出すだけです。また、開発面積には上限の定めがなく、どれだけでも森林の伐採、造成など、開発ができる法体系となっています。環境に優しいはずの自然エネルギーであるのに、それを進めるために次々と山が丸裸にされているのを見ると、このまま何の歯どめもなく開発を進めていいのかと疑問を抱かざるを得ません。  また、耕作放棄地を利用した太陽光発電も各地で見られ、農地の転用が進み、田や畑が減少している状況を見たときに、農地を守るという立場から何らかの歯どめが必要ではないかと考えるものです。  知事は、本県を自然エネルギー県へ少しずつ少しずつ変身させていくと言われており、それは、少しずつではなく早急に進めていただきたいと思っていますが、だからこそ、本県の自然環境の保全と災害防止のためにも、林地開発や農地の転用について一定の歯どめが必要であり、県独自の条例やガイドラインを制定していただきたいと考えます。また、国に対して現行法の改正を要請していただきたいと考えますが、見解をお聞かせください。 26 ◯保健福祉部長(古薗宏明君)国民健康保険税の現状等についてであります。  国民健康保険制度は、被保険者の負担能力に応じた応能割と、受益に対する応益割で構成される保険税の拠出や公費負担などにより成り立っておりまして、保険税の税率等は市町村ごとの所得水準や財政事情、医療費の状況などをもとに、各市町村がそれぞれ条例で定めているものと認識しております。  なお、所得の低い被保険者に対しましては、所得に応じた軽減措置が、災害などの特別事情により保険税負担が困難な被保険者に対しましては、減免・徴収猶予制度が設けられております。  本県の市町村国保の保険税収納率につきましては、平成二十三年度から五年連続で上昇しておりまして、平成二十七年度の現年度分収納率は九一・七一%となっております。県が昨年九月に、各市町村における収納対策の取り組み状況を把握するため実施いたしましたアンケートによりますと、収納率の向上に特に効果があると思われる取り組みとして、滞納処分の実施や口座振替の推進などが挙げられております。  県単位化後の国保の財政運営についてであります。  国保の保険料率につきましては、都道府県国民健康保険運営方針策定要領におきまして、市町村ごとに設定することを基本としつつ、地域の実情に応じて、都道府県ごとに保険料率を一本化することも可能とされております。また、法定外の一般会計繰り入れのうち決算補填等を目的とするものにつきましては、解消または削減すべきものとされております。  このため、本県におきましては、保険料率の一本化の可能性や法定外繰り入れの解消等に向けた取り組みなどにつきまして、市町村等との協議の場であります国保新制度移行準備連絡会議におきまして、検討・協議を進めているところであります。  国保運営方針につきましては、平成二十七年五月に改正されました国民健康保険法の規定に基づき、都道府県が安定的な財政運営や市町村の広域的・効率的な事業運営を図るため、都道府県内の統一的な運営方針として定めるものでありまして、同法において、市町村は、国保運営方針を踏まえた事務の実施に努めるものとされております。 27 ◯総務部長(寺田雅一君)県立短期大学の施設整備についてでございます。  県立短期大学につきましては、例年、入学者の九割前後が県内出身者で占められ、また、卒業生の八割から九割が県内に就職するなど、鹿児島の発展に大きく貢献しており、本県の高等教育において大きな役割を果たしているものと認識しております。  施設整備につきましては、平成二十四年度までに耐震化の工事を完了し、また、バリアフリー化を図るためにこれまで、二号館の校舎にエレベーターや身体障害者用トイレ、手すりを設置いたしますとともに、図書館の増築やトイレの洋式化など、キャンパスの環境整備に努めてきたところでございます。  平成二十九年度予算案におきましては、校舎と校舎をつなぐ渡り廊下の設置、バリアフリー化のための三号館校舎へのエレベーター設置、体育館の天井や照明器具等、非構造部材の耐震化改修等の工事の設計委託費を計上しているところでございます。  県といたしましては、魅力ある県立短期大学づくりに向けまして、厳しい財政状況のもとではございますが、今後とも、必要な教育・研究環境の整備に努めてまいりたいと考えております。 28 ◯教育長(古川仲二君)給付型奨学金制度についてでございます。  国による給付型奨学金制度は、住民税非課税世帯の生徒など、経済的理由により大学等進学を断念せざるを得ない者に対し、月額二万円から四万円の奨学金を全国で二万人に対して給付する内容となっており、平成三十年度からの本格実施のため、平成二十九年度政府予算案に計上されたところでございます。  県といたしましては、全国知事会や全国都道府県教育長協議会を通じ、国に対して給付型奨学金制度創設等の要望を行ってきたところでございまして、また、制度創設の検討過程では、給付対象や給付額、給付規模についてさまざまな議論もなされたと聞いておりますことから、まずは、新年度からの応募実績など、制度の実施状況や国における今後の議論等を見きわめる必要があると考えております。  また、本県独自の奨学金制度につきましては、引き続き、制度の着実な運用に努めながら、鹿児島の将来を担う有為な人材の育成・確保を図るために、よりよい奨学制度となるよう、今後のあり方について検討を進めてまいりたいと考えております。 29 ◯環境林務部長(東條広光君)太陽光発電所建設に関連しまして、林地開発許可制度について幾つかお尋ねがございました。  初めに、林地開発許可に係る住民説明会についてであります。  林地開発の許可手続におきましては、地域住民の意向を反映するため、森林法は、県に地元市町村長の意見を聞くことを義務づけております。このため、県では、当該市町村に対し、申請関係書類を提供するとともに、必要な説明を行っているところであります。  このほか、県では現在、林地開発を行う事業者に対し、開発申請書の提出に当たっては、当該開発行為について、開発区域の周辺居住者や利害関係者へそれぞれ説明の上、同意を得ることを求めているところでありまして、提案のありました、住民説明会の開催の義務づけについては考えていないところであります。  次は、災害防止協定についてであります。  林地開発許可の手続におきましては、県では、ただいま申し上げましたとおり、現在、事業者に対し、当該開発行為について、開発区域の周辺居住者や利害関係者へそれぞれ説明の上、同意を得るよう求めているところでありますが、災害防止について協定締結を行うか否かについては、これは当事者間で協議・判断されるべきものと考えているところであります。  次は、林地開発許可制度による太陽光発電に関する規制についてであります。  現行の林地開発許可制度においては、森林法に規定する許可要件を満たすものについては許可しなければならないとされており、この規定の趣旨を踏まえますと、県において、独自に太陽光発電について規制措置を設けることは難しいと考えております。  なお、現在、全国知事会から、大規模太陽光発電所建設による景観の悪化等の課題に対し、林地開発における基準や関係法令を整備することについて、国への要望がなされているところであります。 30 ◯農政部長(川野敏彦君)農地転用許可制度によります太陽光発電に関する規制についてでございます。  農地法に基づく農地転用許可制度は、優良農地を確保するため、農地の優良性や周辺の土地利用状況等により農地を区分し、農地転用を農業上の利用に支障が少ない農地に誘導することを目的としております。  農地転用許可申請があった場合、農業振興地域の整備に関する法律に基づく農用地区域内農地や、農用地区域外でありましても、集団的な農地や農業公共投資の対象となった農地など、いわゆる第一種農地については、太陽光発電施設の設置を含め、原則として農地転用を認めないこととされております。  また、農地転用許可に当たっては、申請者から、土砂の流出または崩壊その他の災害を生じさせないよう被害防止計画書等を提出させております。  今後とも、農地転用許可制度の趣旨を踏まえ、適切な運用に努めてまいります。 31 ◯まつざき真琴君 自席から知事に再質問させていただきます。  知事は、現場に足を運ぶと言われて、いろんなところに直接行かれているわけですが、県立短大の施設の老朽化について私は質問しました。これから県立短大の卒業式や入学式に知事も出席されるのではないかと思います。その折にぜひ施設を見て回って、きょう私は幾つか例として示しましたが、老朽化部分について実際に御自身の目で見ていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。 32 ◯知事(三反園 訓君)県立短期大学の果たしている役割は非常に大きいと思っておりますし、学ぶのにふさわしい環境が必要だと思っております。 33 ◯まつざき真琴君 林地開発許可についてお尋ねします。  先ほど、防災協定については当事者間でということでありましたが、許可したのは県でありまして、今お示ししたように、住民の方は不安に思っておられます。県が町の相談に乗るといいますか、解決のためにどうしたらいいか、町と協議はしていただきたい。その点についてはいかがでしょうか。 34 ◯環境林務部長(東條広光君)お答えいたします。  林地開発にはさまざまな規模、態様がございますので、一律にそうした協定の義務づけはできないのではないかということで先ほど御答弁申し上げましたけれども、そういった趣旨で災害の発生を防止するような仕組みを講じることについて、事業者あるいは市町村にお話することは可能だと考えております。    [まつざき真琴君登壇] 35 ◯まつざき真琴君 国民健康保険は、加入者の多くが無職者、低所得者であり、国の相応の負担なしには立ち行くはずがありません。国民皆保険の最後の砦として、これ以上の国保の滞納世帯をつくらず、安心して受けられる医療保険制度にするためにも、国庫負担を大幅に増額するよう、ぜひ国に求めていただきたいと思います。  そして、国保の県単位化は、県が市町村自治を尊重して、住民の命と健康を守る役割を果たしていくかが大きく問われる問題です。決して国の社会保障費削減、医療費削減の実動部隊となることのないよう強く要請しておきます。  きょうは長島町から住民の方が傍聴に来ておられます。ぜひ、林地開発を許可した県として、防災のために町と協議していただき、防災協定締結のために力を尽くしていただくことを再度要請しておきます。  安倍政権は、アベノミクスと消費税頼みの路線の行き詰まりによるしわ寄せを国民に押しつけるとともに、軍拡推進の道を暴走する強権的な姿勢を示しています。一方で、この暴走政治に対して、市民と野党の共闘で政治を変えていく大きなうねりが起きています。  日本共産党は、国の政治でも、地方の政治でも、この国民の暮らしと命をないがしろにする政治に対し、多くの市民や立憲野党と共闘し、奮闘する決意を申し上げ、質問を終わります。(拍手) 36 ◯議長(池畑憲一君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午前十一時五十五分休憩       ─────────────        午後 一時 十五分再開 37 ◯議長(池畑憲一君)再開いたします。  永田憲太郎君に発言を許可いたします。    [永田憲太郎君登壇](拍手) 38 ◯永田憲太郎君 自民党の一人として質問させていただきます。  前回はノー原稿で臨みましたけれども、時間オーバーとなりまして、議長にあわや打ち切り処分にされるところでありましたので、今回はしっかり原稿を準備してまいっております。最後まで御拝聴いただきたいとお願い申し上げます。  まず、財政問題についてお尋ねします。  安倍政権の平成二十九年度予算は、経済再生なくして財政健全化なしを基本として、六百兆円経済の実現と、財政健全化目標を達成することを目標として編成されました。特に、財政健全化目標としては、平成三十二年にプライマリーバランスを黒字化にするという目標は堅持するとされました。  一方、地方財政については、公共施設等の老朽化や一億総活躍社会実現といった課題に対応するための総額予算は確保できたものの、実質的な交付税については一千億円の減額となっております。  また、米国トランプ大統領の誕生によって、世界経済は不確実性が増したと言われております。今後、為替相場が円安で進むのか円高に振り返すのか、日がわりメニューで動いているのが現状であります。昨年同様、円安が続くのであれば、輸出は増大していきますが、円高に振れると輸出には大きな痛手となります。予断は許しません。  さらに、トランプ大統領が選挙戦で主張していた、日本やドイツなどに対する防衛費負担増の要求が現実のものにならないとは限りません。北朝鮮や中国からの軍事的脅威が高まっている中では、そのことは拒否できると誰が断言できるだろうかと思うわけなんです。そうなったら、国の財政の枠組みは大きく変わってしまうだろうと考えます。まことに厄介な人が大統領になったものだと思うわけであります。しかしながら、地方交付税など、国からの財源に大きく依存している地方財政は大きな不安を抱えていると言わざるを得ません。  一方、本県の新年度の財政状況を見てみますと、対前年比で県税が〇・九%、地方交付税が〇・二%減収となっています。両者の減収合計額は十三億四千二百万円となっております。  また、公債費が歳出総額に占める割合は一六・一%となっております。これを金額に換算すると一千三百五十二億六千八百万円となり、臨時財政対策債の発行によって実質的県債残高は減少してきているとはいっても、引き続き高水準で推移しています。  今後一層の高齢化進行や社会保障制度の改革により扶助費が増加する傾向にあることは、常に指摘されております。
     人件費についても、伊藤知事のときは財源不足解消という大義名分がありましたので、何とか減額できたと思っておりますが、今後はそういうわけにもいかないのじゃないかと考えるわけであります。人事委員会の勧告によっては、人件費の負担増も続いていくだろうと予測いたします。  財源不足が解消し、財政調整に活用可能な基金残高が二百五十一億円確保されているとはいっても、決して油断はできません。  このようなことを踏まえまして、以下質問いたします。  先ほども申し上げましたように、国は、平成三十二年度までにプライマリーバランスの黒字化という財政健全化計画を堅持するとしております。これは避けて通れない道と考えますが、このことが地方財政に与える影響を心配する声もあります。また、トランプ政権誕生によって防衛費等の負担の増大を懸念する声もあります。そうした場合、本県のように自主財源比率の低いケースではいろいろな影響が考えられます。  今後の国の経済の財政再生計画や国際情勢が本県財政に与える影響をどのように捉えているのか、お聞かせください。  今回、国において、地方財政の一般財源総額を四千億円増額確保できたと言っておりますが、地方交付税については一千億円の減額となっております。新年度の予算編成作業をする中でこのことが本県にどのような影響を与えたか、お聞かせください。  マニフェストに基づく大型施設設置の検討委員会が設置されることとなっております。今後、これらが建設予算として出てくる可能性があるわけです。一方、人件費や扶助費は確実に増加していくだろうと予想します。本県の置かれた財政状況は相変わらず厳しいと考えますが、その中で健全財政の規律は守っていかねばならない。その点、行財政改革は、常在戦場の覚悟を持って取り組むべき県政の最優先課題であります。  新知事は、来年度に向け、副知事を座長とする行財政改革推進プロジェクトチームの設置について検討を指示したとのことですが、行財政改革に対する見解について認識を問うものであります。  第四点、行財政改革については過去に指針が示されております。平成十三年十二月は財政改革プログラム、平成十七年三月は県政刷新大綱、平成二十四年三月は行財政運営戦略、それぞれの知事のもとで、それぞれの行財政改革に対する指針が示されてまいりました。  三反園知事のもとでも、まず行財政運営の指針が策定され、同時にこのことが広く県民に示されるべきと考えますが、見解をお聞かせください。  また、プロジェクトチームで扱う財政に関する課題は何であると認識しておられるか、お聞かせください。  以上で、第一回目の質問といたします。    [知事三反園 訓君登壇] 39 ◯知事(三反園 訓君)お答えいたします。  行財政改革に対する見解についてであります。  本県の財政構造は、自主財源に乏しい脆弱な財政構造であることなどを踏まえますと、将来にわたって持続可能な行財政構造の構築に向けた取り組みを進めることが必要であると考えております。そのために、行財政改革推進プロジェクトチームの設置について検討を指示したところでありまして、着実に行財政改革に取り組んでまいりたいと考えております。また、同時に、県勢の発展や県民福祉の向上に資する事業につきましては、積極的に取り組むことも重要であると考えております。  私といたしましては、平成二十九年度当初予算の編成に当たっては、財政状況が非常に厳しい中ではありますが、財源不足を発生させることなく県債残高も減らすなど、行財政改革を着実に進めながら、県勢の発展や県民福祉の向上につながるような予算編成ができたのではないかと考えているところでもあります。  行財政運営の指針策定とその周知についてであります。  現行の行財政運営戦略につきましては、今後の中長期的な行財政運営の基本的な考え方や行財政改革の方向性を示すものとして、議会の行財政改革特別委員会での御議論も経て、平成二十四年三月に県として策定したものであります。本県は、自主財源に乏しい、厳しい財政状況にあることに変わりはなく、この現行戦略の基本的方向性に基づき、行財政改革に取り組んでまいりたいと考えております。  プロジェクトチームにおいて検討する財政の課題についてであります。  本県財政は、歳出面では、扶助費が増加傾向にあり、公債費が引き続き高水準で推移すると見込まれております。歳入面では、国が財政健全化目標を堅持していることから、地方交付税等につきまして厳しい調整が行われることが予想されるなど、さまざまな課題があるところであります。このため、今後とも着実に行財政改革に取り組む必要があると考え、行財政改革推進プロジェクトチームの設置について検討を指示したところであります。  なお、取り組みの詳細につきましては、来年度に向けて検討してまいりたいと考えております。 40 ◯総務部長(寺田雅一君)国の経済・財政再生計画等が今後、本県財政に与える影響及び新年度の予算編成に与えた影響についてでございます。  昨年六月二日に閣議決定されました骨太の方針におきましては、平成三十二年度の基礎的財政収支黒字化という財政健全化目標を堅持することが明記され、経済・財政再生計画に掲げる歳出改革等を着実に実行することとされたところでございます。  このような中、内閣府の中長期の経済財政に関する試算では、平成三十二年度には、いわゆる経済再生ケースでは基礎的財政収支赤字が八・三兆円程度になると見込まれております。また、知事からお答えもありましたとおり、今後、財政健全化目標の達成のために、地方交付税等についてさらに厳しい調整が行われることが予想されるなど、本県財政に厳しい影響を及ぼすことが懸念されるところでございます。  また、国際情勢等につきましても御指摘がありましたが、地方行政に影響を及ぼす国の政策の動向につきましても、今後、十分留意していく必要があるものと考えております。  平成二十九年度地方財政対策におきましては、地方交付税において、前年度からの繰越金が減少するなど非常に厳しい状況でありましたが、地方一般財源総額は前年度と同水準が確保されたところでございます。結果として、実質的な交付税については、地方財政計画ベースで前年度比〇・六%の減となり、本県におきましても、前年度比〇・三%の減を見込んでいるところでございます。    [永田憲太郎君登壇] 41 ◯永田憲太郎君 本県の行財政改革について御所見をお伺いいたしました。  考えますのは、平成十六年の三位一体改革の影響による三百十五億円に上る地方交付税の減収であります。一瞬にして本県の財政は厳しい状況になったわけでありますが、このときに四百五十一億円の財源不足が生じております。そしてそのときにあった、財政調整に活用可能な基金残高も減少いたしております。このことを続けていけば、本県の財政は財政再建団体に陥ってしまうといった危機感が生じたのを思い出しております。  その中で県政刷新大綱が作成されまして、そして歳出のあるべき姿を模索しながら、議会でも特別委員会を設置して、歳出の抑制に努めてまいりました。ここにおられる同僚議員の方々の大半も給与を減額することを了承いたしましたし、また、知事初め管理職の方々も手当の削減を了承いたしまして、人件費の削減に努めたわけであります。  歳出の抑制では、職員給の削減、あるいはまた扶助費の削減、公債費、普通建設事業費、一般政策経費全てにわたって、ありとあらゆる経費の削減が検討されました。あのときを考えますとまさに、胸突き八丁という言葉がございますけれども、県の財政は胸突き八丁の状況にあったような気がいたします。北海道夕張市のような財政再建団体に陥ってしまってはならないということが大きな危機感として共有されたわけであります。あのときの思いを忘れてはならないと考えるわけであります。  知事におかれましては、行財政改革推進プロジェクトチームを発足させて、副知事を座長として、あるべき行財政についての姿を模索していくということでありますので、このことは大変歓迎いたします。  現在のところ、マニフェストに基づくいろいろな政策は、知事の口からお聞きしますけれども、行財政改革に対する取り組みの厳しい姿勢は伝わってまいらないわけであります。ぜひこのことをしっかりと進めていただきたいとお願い申し上げます。  次に、新卒者及び若者の就職支援についてお尋ねいたします。  リーマンブラザーズの倒産による不況が世界を大席巻いたしました。平成二十一年度はその十二月、鹿児島県内の求人数、求職者数、内定率も最悪の状態になっております。平成二十一年度の求人数は千九百六十二人となっております。この千九百六十二人に対して、求職者数は二千百六十二人でありました。内定率は七一%、求人倍率は〇・九。高校は卒業したけれども働く場所がないといった悲鳴が聞こえたのがこのときでありました。私は、夢と希望を抱いて学校を卒業していく子供たちが働く場所がないことほど悲惨な状況があるかという思いでこのことを取り上げたのを思い出しております。  一方、ことしのこれらの数字でありますけれども、求人数は四千八百四十二名、この四千八百四十二名に対しまして、求職者数は二千百二十九名となっております。内定率は九二・五%、まことに平成二十一年度と比べると雲泥の差があります。求人倍率は二・二七、二倍以上になっております。新卒者・若者の就職状況はまことに好転してまいりました。  あの就職氷河期の新年度において、麻生政権の末期でありましたけれども、雇用支援基金事業を発足していただき、ハローワーク事業あるいは若者就職支援サポート事業とか、そしてこのことを具体的にはキャリアガイダンスの方々、あるいはハローワークのジョブサポーターの方々が連携して、卒業したけれども就職ができない子供たちの就職支援を行ったわけであります。  大きく改善されてきた若者たちの就職環境でありますけれども、その後、また新たな問題も発生してきていると考えて、今回、このことを質問することといたしました。  まず第一に、地方創生あるいは人口減少化社会を背景にした地元就職への子供たちの誘導、あるいは地元就職への支援、このことが新たな課題であろうと考えております。  さらに、新卒者の三年以内の離職状況が相変わらず改善されないでおります。新卒者で就職した方の約半数がその職場を離れていっている状況は、やはり改善されておりません。これらが大きな課題だなと思いまして、以下質問いたします。  先ほども申し上げましたように、リーマンショック後の就職氷河期を過ぎて、新卒者の求人倍率が高水準にあります。昨年十月の県内高校卒業予定者の内定率も、平成四年度以来二十四年ぶりの高水準で七九・六%、十月で既に八〇%の内定率が達成されております。大学生も同様な高水準の内定率にあるそうであります。その反面、新卒就職者の三年以内離職は一向に改善されていません。  また、企業は、より優秀な人材を確保するため、インターン採用に向けた動きを見せております。あとは、国初め行政の判断を待つばかりであるとお聞きいたしております。来年あたりから、このインターン採用が本格的に企業側の活動の中で出てくるんじゃないかと思うわけなんです。  地方は、人口減少化対策として、国の地方創生事業を追い風に、新卒者の地元就職への誘導を加速化させております。  このような中で、新卒者及び若年者の雇用に関する現状をどのように認識しておられるのか、お聞かせください。  次に、新卒者の三年以内離職についてお尋ねいたします。  新卒者の五〇%近くが三年以内に職場を離れていくという現象が、相変わらず続いております。昨年の政労使会議でもこのことが重点テーマとして話し合われたみたいでありますが、このような雇用のミスマッチを解消するための取り組みについてお聞かせください。  新規学卒者の三年以内離職問題について、教育長にお尋ねいたします。  卒業生の離職の理由として、職種が向いていないと挙げている例が最も多いみたいであります。職種が自分に向いていないというわけなんですね。卒業生が就職先を選択するに当たって、本人の適性とか希望とかがどのように評価されたのだろうかという点で、進路指導のあり方に疑問を投げかける声もあるわけです。  子供の性格を一番知っているのは保護者です。また、学校では学級担任じゃないかと思いますが、進路指導に当たって、これら周囲の意見は十分に反映されているのだろうか。進路担当者任せになってはいないのか。そのための組織になっているのだろうか。さまざまな疑問が湧いてくるわけであります。ついては、高校における就職希望者への進路指導体制についてお聞かせください。  新規学卒者の三年以内離職問題について、あと一点お聞きいたします。  離職の理由として、職場での人間関係を挙げる声も多くあります。急激な環境の変化や仕事になれないことなどによる悩みを相談できる相手がいないことや、上司などの指導方法等にも原因があるのではないかといった声もありますが、職域内での周囲との年齢差から来る孤立感等もあるのかもしれません。  同じような悩みを持つ若者たちが考えを述べ合ったり、交流する場所を設定することは意義のあることだと考えますが、年に一回程度、新卒者等を対象に、企業の垣根を越えて集合研修の場を設けてみてはいかがでしょうか。このような活動を支援していくのも行政の役目ではないかと考えますが、考えをお聞かせください。  今回、若者に関する就職支援問題について調査する中で、福井県や富山県では、新規高卒者の県内就職率が高い一方で、離職率も低いといった話をお聞きいたしました。なぜだろうかと考えるわけでありますが、そこでお聞きしたのは、要因としては、県内企業から毎年安定的に求人が出ていることから、学校との信頼関係が強いことなどです。  県内企業からの新規高卒者の求人は、地方創生の機運が高まっていることもあり、現在のところ安定的に増加しております。しかし、今後、施策の変更や景気動向などの要因によって企業からの求人が減少することになれば、地元雇用・地元就職が減少してしまうことになり、学校と企業の関係も弱まることとなります。  県内企業からの新規学卒者の求人を確保するための取り組みは恒常的な課題と認識すべきだと思いますが、そのための取り組みについてもお聞かせいただきたいと思います。  以上で、二回目の質問といたします。 42 ◯商工労働水産部長(西 啓一郎君)まず、新卒者及び若年者の雇用に関する現状と取り組みについてでございます。  新規学卒者等の雇用に関する現状につきましては、本県の十二月末時点での県内と県外を合わせた新規学卒者の就職内定率は、高校生九五・五%、大学生七五%と昨年に引き続き高水準で推移しており、このうち約半数が県内への就職を予定しております。  一方、三年以内の早期離職率は、高校生が四六・三%、大学生三六・六%といずれも全国より高い状況にあり、早期離職の防止へ向けた取り組みが必要と認識しております。  雇用のミスマッチ解消のための取り組みにつきましては、昨年十月に鹿児島労働局が主催する政労使会議において、早期離職の理由として、「職種が合わない」と回答した割合が最も多かったとの結果が公表されたところであり、雇用のミスマッチを解消するため、県では、企業と高校等との情報交換会やインターンシップなどにより、県内企業への理解を深め、職業観の醸成を図るとともに、新たに、企業が積極的に自社をアピールする場の設定や体験型の県内企業見学会の実施に取り組むことといたしております。  新たに就職した若者等への離職防止に向けた支援内容につきましては、内定者の入社後の不安を解消するための講習会や、入社後おおむね三年未満の若手社員を対象として、他社社員との交流とコミュニケーション能力の向上等を図る研修会、上司や先輩社員を対象とした若手社員への指導力向上のための研修会を開催するなど、職場定着に向けた支援を行っておるところでございます。  次に、新規学卒者に対する県内求人の確保についてでございます。  平成二十八年三月卒業者に対する求人数は、五年前の平成二十三年度と比較して、高校は一・五七倍の四千六百五人、短大は一・二四倍の二千百十六人、大学は一・六九倍の四千三百五十九人となっており、新規学卒者に対する県内求人数は年々増加の傾向にあります。  県では、新規学卒者の県内求人を安定的に確保するため、経済団体や県内企業に対し、新規学卒者の採用枠の確保等について要請活動を行っており、今年度は新たに、雇用管理を見直す働き方改革等への積極的な取り組みについても要請したところでございます。  引き続き、鹿児島労働局や関係機関と連携を図りながら、若者の県内定着や雇用のミスマッチの解消、早期離職の防止に努めてまいります。 43 ◯教育長(古川仲二君)公立高校における就職希望者への進路指導体制についてであります。  高校の就職指導におきましては、インターンシップ、職場見学会及び進路に関する講演会などを計画的に実施し、勤労観、職業観の醸成を図りますとともに、生徒が自己の能力・適性を的確に判断し、卒業後の進路について具体的な目標を定め、自己実現を果たせるよう、組織的に取り組んでいるところであります。  学級担任におきましては、各学年部や進路指導部との連携のもと、進路相談や保護者を交えた三者面談を通しまして、生徒一人一人の希望や適性を踏まえた指導を行っております。  一方、早期離職の割合が高いことが課題となっておりますことから、各学校においては、その主な原因であるミスマッチを防ぐために、十分な進路研究や企業研究、特に第一希望以外の職種についての仕事内容の分析・研究を通して、就職に対する幅広い視野を持たせるような指導を行っているところでございます。  さらに、学級担任は、県内外への企業訪問の際に積極的に企業の情報を収集いたしますとともに、就職した卒業生と面談を行って、仕事上の悩みに関する相談等に対応するなど、早期離職の防止にも努めているところでございます。  今後とも、各学校において、生徒の進路実現に向けた校内体制のさらなる充実が図られるよう努めてまいります。    [永田憲太郎君登壇] 44 ◯永田憲太郎君 新卒者の三年以内離職につきまして、部長、教育長から御答弁いただきました。  御答弁の中で、勤労観、職業観の醸成を課題として挙げておられましたが、まさにこれは家庭の問題でもあるかもしれないなとも考えるわけであります。子供たちの低学年からのインターンシップ、このことを充実させていただいて、そして、勤労観、職業観の醸成を意識した青少年の育成が非常に大事じゃないかなと思いますので、このことを要望しておきたいと思います。  また、高校の進路指導に当たっては、進路担当主任というんでしょうか、この主任任せにしてはちょっと解決しないんじゃないかと考えます。進路担当主任の主な仕事は情報収集じゃないかなと思うんですね。子供とのコミュニケーションを通して、その子供に合った仕事を一緒になって考えて、探していく、それは学級担任に負うところが大きいんじゃないかとも思いますので、ぜひ子供たちの進路指導に当たっては、学級担任の役割も大きなウエートを占めていくような組織にしていただきたいとお願い申し上げておきたいと思います。  次の質問に入ります。  去る一月十二日に、知事、議長は、中国江蘇省の人民政府を表敬訪問されました。  私は、同僚議員や観光交流局の皆さんと同行し、中国江蘇省と本県の交流の一角を拝見する機会をいただきましたので、そのとき感じたことに基づいて質問いたします。  中国江蘇省と本県は、昭和六十年、一九八五年でありますが、この年に農業分野での技術交流を契機として、海外技術研修員や国際交流員及び各種訪問団のほか、青少年派遣等を実施して、南京や上海でアンテナショップを開催するなどしてきております。  平成九年には、須賀知事が江蘇省を訪問した際、そのときの省長と交流協議会の設置について合意がなされたことを受けて、鹿児島県・江蘇省交流協議会が発足いたしております。ここに両県省の本格的な行政的・組織的交流が始まったわけであります。その後、交流協議会を毎年、お互いの地で交互に開催を続け、その時々の知事や議長に受け継がれてきた歴史があります。  この三十年余りの交流の実績は、その時々の知事と議長の相互訪問を初め、農業分野の交流はもとより、視察団の受け入れ、商談会の開催、青少年の交流、技術研修員や省政府職員の受け入れ、スポーツ交流事業など、十幾つかの事業実績を重ねてきております。中国国交回復四十五年を経過する中で、特に鹿児島県と江蘇省は一衣帯水の関係を築いてきたと言えます。  この三十年の間に両県省で交わされた交流人口は、この事業でかかわってきた若者たちですね、ヤングネットワーク・ウイング九州事業─九州青年の船事業─も含めますと、その参加者は総数二千名を超えるとお聞きいたしました。二千名以上の方が中国江蘇省との交流協議会を通じて中国を経験しているわけであります。  交易面において、中国政府が農業水産物の輸入を禁止している現状では、交流を深める取り組みとしてはいま一つボリュームに欠けるのは残念ですが、世界的に内向きに矮小化された反グローバルな世界観が生じつつある今だからこそ、中国江蘇省との交流を深めていくことの意義は大きいと考えます。  今日、中日の国レベルでの関係は決して親和的とは言えません。この親和的でない事情の中で、いつの時代でも国との関係を決断するのは国家であります。国民や地方は、この国の決断に翻弄されていくわけであります。しかしながら、国の決断の根底にはいつも国民の声がありました。  中国と鹿児島の関係の中でも、忘れてはならない事実があります。戦後、六百万人を超える引揚者がアジア太平洋各地から無事帰還でき、日本再建の原動力となりました。中国に置き去りにされた三千人近い日本人の子供たちが中国人に育てられ、無事成長し、再び祖国の土を踏むことができました。  また、中国だけでなく、米国、イギリス、オーストラリアなどの元捕虜の皆さんが、恩讐を超えて長年にわたって日本を訪ね、互いの戦死者のために慰霊を続けてくれております。今もそういった努力がなされております。  鹿児島県と江蘇省の友好を築くことは、世界平和からすると小さい小さい努力にしかすぎませんが、今日のような時代であるからこそ、平和を求める無辜の民の声を掲げて、江蘇省との交流を深めることは意義があることだと考えるわけであります。  また、江蘇省との交流の一面を経験してみて感じたことがあります。江蘇省との交流協議会による二千名に上る交流の人的資源がどのように生かされているのかといった疑問も感じたわけであります。  これ以上の交流の深まりを求めるためには、これらの人的資源を生かしながら、民間の活動を育成していく必要があるのではないだろうかと感じました。行政の手を一旦放して、民間の活力を引き出しながら、さらに幅広い交流を開拓していく方法も考えるべきであります。鹿児島県と江蘇省が三十年余りかけて築いてきた二千名から成る交流人口の広がりを人的資源と捉えて、新たな局面に挑戦する方法はないものでしょうか。  このことを踏まえて、知事にお尋ねいたします。  中国との交流に求めるものは何ですか。  第二点、この二十年いろいろの事業を実施してきております。それなりの効果もあったと考えております。ただ、これ以上の交流の深化を求めるのは、行政だけではそろそろ限界点にあるのではないでしょうか。今までの交流の実績を踏まえて、民間の自立したエネルギーを引き出すべきときに来ているのではないでしょうか。そのための仕掛けづくりをすべきと考えますが、見解をお尋ねいたします。    [知事三反園 訓君登壇] 45 ◯知事(三反園 訓君)江蘇省との交流の目的に対する認識についての質問でございます。  経済成長を続ける中国は、将来、本県産農林水産物輸出や海外観光客の誘致拡大を図る上で大変有望な市場になり得ると考えており、現在もそのとおりだと思っております。行政と民間は協力して仕掛けをする、知恵を出していく、そのとおりだと思っております。  その中国の現状を自分の目で確かめ、また江蘇省との友好交流を一層深めるために、先月、県議会議長や永田議員を初め議員の皆様とともに、江蘇省と上海を訪問してまいりました。その際の江蘇省長との意見交換などを通じまして、人口およそ八千万人を有し、中国全体の成長率を上回る経済成長を続け、かつ大都市上海に近接する江蘇省との交流は非常に重要であるという思いを新たにいたしました。  本県と江蘇省とは、これまで十九回の交流協議会を開催し、国際交流員や技術研修員などの人材交流はおよそ六百人、派遣した青少年等はおよそ千七百人に上っております。人的ネットワークは双方で拡大してきております。今後は、中国における将来の県産品の販路や観光客誘致の拡大などを見据え、江蘇省との交流協議会を基盤とし、これまでの交流で培った強固なつながりを生かしまして、さらなる交流の促進を図ってまいりたいと考えております。 46 ◯観光交流局長(本 重人君)江蘇省との交流を深化させる仕掛けづくりについてのお尋ねでございます。  江蘇省との交流につきましては、交流協議会における合意に基づき、国際交流員の受け入れや青少年の派遣、南京師範大学における中国語研修への職員派遣などの人材交流を通じまして、双方の人材育成と人的ネットワークの形成を図ってきております。
     また、経済分野では、江蘇省で開催されます高齢者向け健康食品等の見本市などに参加して県産品のPRを行いますとともに、観光セミナーを開催するなど観光客の誘致も図っているところであります。  さらに、薩摩川内市等の市町村や鹿児島大学等の教育機関におきましては、市民交流や学生交流が行われるなど、さまざまなレベルにおきまして交流が展開されております。  今後、江蘇省との交流をさらに深めていくためには、県産品の輸出促進や観光客誘致などの経済分野を含む民間の活力を生かした交流の拡大が必要であると考えておりますことから、県としましては、江蘇省政府とも協議しながら、例えば展示商談会や観光プロモーションへの民間事業者の参加を促すなどの取り組みを進めてまいりたいと考えております。    [永田憲太郎君登壇] 47 ◯永田憲太郎君 中国江蘇省との交流につきまして、一つ提案させていただきたいと思います。  鹿児島は鑑真和上の上陸の地であります。南さつま市では最近、鑑真和上の足跡をたどるウオーキング活動がなされておるとお聞きいたします。また、鑑真和上の生まれは江蘇省であります。江蘇省の石省長は、この鑑真和上に対する大変誇りに思う気持ちを私たちに披瀝してくださいました。  地元での鑑真和上の足跡をたどるウオーキング活動など、こういった活動に対して、地元の御理解をいただいた上でですけれども、中国からのインバウンドの観光客と地元の方々、あるいは鹿児島県民の参加者との交流の場をつくったらどうかと考えるわけであります。国が思う以上に国民は、民衆は親和的であります。こういった一つ一つの小さな努力の積み重ねが世界の平和につながっていくんじゃないかとも感じるわけであります。  最後に、治山事業についてお尋ねいたします。  近年、豪雨による被害が毎年多発いたしております。ことしもその時期がやってまいります。昨年は六月二十八日から三十日にかけて、豪雨による被害が全県的に発生しました。また、九月十九日から二十日にかけては、台風十六号が大隅半島を中心に大きな被害をもたらしました。この台風十六号による被害復旧については、本会議場でも同僚議員による要請もなされましたので、議場の皆様も記憶に残っていることと思います。  私は、これら豪雨による災害への行政の対応について、治山事業に関して気になっていることがあります。本日は、このことをぜひ整理していただきたいとの思いで質問いたします。  治山事業は、御承知のように、荒廃した山林をもとの自然の姿に戻すことがその事業目的でありますので、復旧施工後は施工箇所を地権者に返すことになっています。施工後の管理は、地権者もしくは地域の責任においてなされるべきというのが、法の建前であります。  ところが、近年は、集中豪雨の大型化の影響もあって、治山施工済み箇所の被害が多く見られるようになってきました。主な被害状況は、のり面に植えられて成長した木が倒れることによって、のり面が崩壊していることです。のり面に設置されたトラフの下が大雨でえぐられて、落下しそうになっている状況もあります。  このような状況は、個人の力ではいかんともしがたいと思うのであります。地権者ができる管理としては、のり面の下草払いや側溝の落ち葉除去とか、小さな雑木の枝払い程度ではないでしょうか。倒木して根元がえぐられ、ほがったところや、落下しそうになっているトラフなど、それらが原因で土どめ工が倒壊するなど、さらに大きな崩壊が発生しないとは言えません。こういった治山施設の災害については行政で対応できないのでしょうか。  小規模な被害ではありますが、優先した予算づけをしていただき、素早い対応を窓口担当や各市町にも徹底させていただきたいという願いを込めて、以下質問いたします。  昨年の治山事業施工箇所での被害状況をお聞かせください。  また、これらの施工済み被害箇所は、行政と地権者との間で役割分担を整理しておく必要があると思いますが、このことについてもお考えをお示しいただきたいと思います。  以上で、四回目の質問といたします。 48 ◯環境林務部長(東條広光君)治山事業について、既設の治山施設に係る災害復旧についてのお尋ねがありました。  治山事業は、山崩れなどの山地災害から住民の生命・財産を守るため、治山ダムや土どめ工、水路工などの治山施設の整備を行うものでありますが、整備が行われた治山施設についても重ねて災害が発生することがあります。こうした既設の治山施設に係る災害は、県内では今年度、先月末時点で、治山ダムや土どめ工の崩壊、水路工の洗掘、のり面の崩壊などが三十五カ所で発生しております。  治山施設は、御紹介ありましたように、民有林に所有者の土地使用承諾を受けて整備し、完成後は当該土地所有者に無償譲渡しておりますが、既設の治山施設に倒壊等の災害が発生した場合は、県が改めて治山事業によって復旧を行うこととしております。  今後とも、土地所有者や地元市町村等と連携し、治山施設の適切な管理に努めてまいりたいと考えております。    [永田憲太郎君登壇] 49 ◯永田憲太郎君 治山施工済み被害箇所の復旧につきましては、行政のほうで対応していくと御答弁いただきました。  部長、お願い申し上げておきたいんですけれども、窓口あるいは各市町においては、このことがまだ徹底していないような気がいたします。事業目的からすると、確かに窓口あるいは各市町の判断というのも間違っていないのかもしれません。そしてまた、担当としては、これらのことを一々本庁に伺いを立てて予算をお願いするというのもしんどいのかもしれませんけれども、これは大きな金は必要としない復旧であります。放っておいて、万一そこから大きな倒壊が起こるとなると、これはまた別な問題が発生するわけでありますので、このことはぜひ流れをよくしていただいて、そして窓口あるいは各市町村、徹底して連絡体制をとって、意見の一致をつくっておいていただきたいとお願い申し上げます。  以上をもちまして、私の質問を終わります。  今回は何とか時間内でおさめることができまして、議長にお叱りをいただかないで済んだような気がいたします。  ありがとうございました。(拍手) 50 ◯議長(池畑憲一君)次は、田畑浩一郎君に発言を許可いたします。    [田畑浩一郎君登壇](拍手) 51 ◯田畑浩一郎君 それでは、本日の最終ということで非常に眠たい時間ですけれども、皆さん、よく耳を傾けて聞いていただきたいと思います。  私も、鹿児島県議会議員として南九州市区から選出させていただき、二年近くが経過いたしました。その間、鹿児島県議会議員として県民の負託に応えるべく、県勢発展のために鋭意努力してまいったつもりであります。  今回で一般質問四回目となりますが、県民の福祉の向上、また県勢発展のための質問に徹したいと考えます。誠実で明確な答弁を期待いたしまして、それでは質問させていただきます。  一番目の消防力についてでありますが、まずは、年末に新潟県糸魚川市で発生しました糸魚川大規模火災により、住宅や商店、工場を焼失されました皆様に心からお見舞い申し上げますとともに、一刻も早い復興をお祈り申し上げます。  昨年十二月二十二日十時二十分ごろに、新潟県糸魚川市の市街地中心部の糸魚川駅から北側に位置しているラーメン店で、大型こんろの消し忘れから火災が発生し、昭和初期に建造された商店街や木造住宅等の密集地であったことと、強い南風により日本海向きに延焼しております。  当初、市の消防本部から十二隊が出動しておりますが、火勢の拡大から、近隣の地方公共団体へ応援要請を行い、県外を含む三十一隊など四十三隊が投入され、地元の消防団もともに活動を行っております。  また、糸魚川地区生コン組合にミキサー車による水の搬送要請、国に排水ポンプ車等の支援要請を行い、さらに自衛隊に派遣要請を行っております。  現地では、三百六十三世帯七百四十四人に避難勧告が出され、強風による飛び火で火点が分散したことに加え、消火用水が不足するなど消火に手間取り、百四十七棟、約四万平方メートルが焼損しており、消火作業は、鎮圧まで約十時間半にわたり、鎮火まで約三十時間を要しております。  本火災が発生した当日は、日本海側の低気圧に南風が吹き込むフェーン現象の影響で、糸魚川の気象観測点で、出火推定時刻の最大風速は十三・九メートルを、糸魚川市消防本部では最大瞬間風速二十七・二メートルをそれぞれ記録しております。  本火災は、地震や津波で出火するケースを除き、延焼による火災の規模としては、国内では過去二十年間で最大となっております。  それでは第一点目の、糸魚川市大規模火災を教訓とした検討事項と対策及び、延焼が懸念される地域の箇所数と対応についてでありますが、この火災は、面積三万三千平方メートルを超える余りにも規模の大きい大火となりましたが、五棟の焼損棟数でも大きな火災と考えております。  本県においても、区画整理が行われず、老朽化した商店街や木造住宅などが密集している地域は多数存在しており、年間を通して、偏西風や台風などの影響で強風となる日も多い状況であります。  近年、奄美市名瀬の焼損棟数十九棟の火災や、霧島市の十八の飲食店が入居する国分屋台村の火災が発生しておりますが、強風などの悪条件が重なると、さらなる規模の火災の発生が懸念されるところであります。  今回の糸魚川市の火災を教訓として、密集地の面積の規模の違いや、建造物の老朽化や構造に若干の違いはあるにしても、本県が同様のケースに置かれた場合について各方面からいろいろ検討されたと思いますが、その検討された事項や今後講じようとする対策がありましたら、お示しいただきたいと思います。  また、老朽化が進んだ商店街や木造住宅等が密集し、例えば、出火により二十棟以上の延焼が懸念されるなどの消防の警戒強化地域が本県に何カ所存在するのか。さらに、そのような地域に対する火災時の対応は、他の地域と異なる対応をとられているのか、お尋ねいたします。  次に、二点目の消防力の現状についてであります。  フェーン現象が起きたと見られる強風による飛び火で次々と火災の範囲が広がり、火災活動が後手に回ったとの指摘もあるようですが、火災後に記者会見した糸魚川市消防本部の消防長は、消防力が足りなかったと述べております。  大規模火災とならないためには、初動の消火活動が重要と言われております。都市部の強力な消防力を持つ消防本部では、一つの火災に初動で十台以上の消防自動車が駆けつけることは珍しくないようでありますが、人口約四万四千五百人の糸魚川市の消防本部には、それだけの消防力がなかったとのことであります。  本県においても、このような状況下で火災が発生した場合、大規模な火災とならないような対応は可能なのか。十分な消防力を備えていると判断しているのか。また、対応を迫られるとしたらどのような対応を考えているのか、見解を求めます。  次に、三点目の消防団の現状についてでありますが、今回の糸魚川市大規模火災において、地元消防団も延べ千四百七十六人が消火活動に携わっております。私も地元の消防団に最近まで所属しておりましたが、地域の実情を把握されている地元消防団の果たす役割は極めて重要なものがあると思います。  平成二十八年四月一日現在の県内の各市町村の消防団員については、条例定数一万六千三百十四人に対して、消防団員数は一万五千四百七十五人となっており、充足率は九四・九%にとどまっております。  県内四十三市町村のうち、十市町村が一〇〇%の充足率となっておりますが、残り三十三市町村は条例定数を満たさない状況であります。充足率が七六・二%にとどまっている町もあり、条例定数四百四十五人に対し、消防団員数は三百三十九人と大きく定数を下回っております。  このように県内市町村が消防団員を確保できない原因が何にあるのか、把握されている要因をお示しいただきたいと思います。  また、消防団員数については、平成二十六年十月に消防力の整備指針が改正され、これまで、車両や管轄する面積等を基礎に算定されてきましたが、火災の鎮圧や予防、救助、災害の予防・警戒等の業務のほか、地域の実情に応じて必要な数とされたところであります。  このような中、消防団の充足率が八〇%台、九〇%台前半となっている市町村が多く見られますが、県としてどのような指導を行っているのか。県の施策はどうなっているのか。また、今後において充足率の改善が図られる見込みが立っているのか、見解を求めます。  次に、二番目の河川整備でありますが、本県の河川は、一級河川が川内川、肝属川及び大淀川の三水系百五十三河川で、二級河川は、天降川、万之瀬川、菱田川など百六十水系三百十河川となっており、河川延長は、一級及び二級河川を合わせて二千六百五十九キロメートルであります。また、市町村管轄の準用河川が、千二百七十九河川千六百七十二キロメートルとなっております。河川数も多く、延長も長く、住民の生活に直結することから、河川管理は極めて重要と考えるところであります。  近年の地球温暖化により、局地的な大雨や異例な長雨が頻繁に発生する状況となっており、一層、災害時の厳しい対応や河川の整備などが求められるところであります。  それでは一点目の、台風十六号に係る河川災害復旧工事の進捗状況及び今後の見通しについてでありますが、昨年本県に上陸した台風十六号は、南九州市において、時間雨量百五十九ミリ、垂水市で百五十四ミリと驚異的な時間雨量を記録しております。  特に、大隅半島や南薩地域を中心に甚大な被害を受け、県・市町村合わせて件数が二百四十二件、災害復旧費は五十九億二千六百万円となっておりますが、この台風により被災した堤防等の復旧工事がまだ着手されていない箇所も見られるようであります。  二級河川と県道が並行しており、河川の増水で河川の護岸が被災し、道路まで被害が及び、緊急の信号機も設置されていない中、車の運転手が自主的に交互通行している危険な箇所も見られます。  つい先日、信号機が設置されたようではありますが、災害復旧工事について、進捗状況及び今後の見通しをお示しいただきたいと思います。  次に、二点目の寄洲除去についてでありますが、私は、台風十六号が上陸した翌日に、南九州市を中心に被害状況を調査してまいりました。時間雨量百五十九ミリを記録し、非常に強い風も伴っており、山林被害も多く見られました。  被害が広範囲に及ぶ中、特に、二級河川大谷川の上流の山林で数カ所の崩壊が見られ、多くの土砂が流出し、この土砂の大半が二級河川大谷川に、さらに万之瀬川に流入しております。  平成二十四年度から二十七年度までの四年間、大規模な寄洲除去計画を立て、三十六億九千万円を投入し、順次寄洲除去を実施しており、この河川においても大半の土砂が除去されておりましたが、残念ながら、また河川に大きな寄洲が発生しております。河川改修が十分でない二級河川大谷川の周辺住民にとっては、非常に危険な状態と考えます。  そこで、大谷川など寄洲除去計画四カ年の実績について、また、県内河川の寄洲の状況をどのように捉え、今後どのように対応していく考えか、見解を求めます。  次に、三点目の未改修河川の整備についてでありますが、県管轄となっております一級河川の要改修延長五百七十六・七キロメートルのうち三百十・六キロメートル、五三・九%は未改修で、二級河川は、要改修延長千三百三十六・七キロメートルのうち七百二十一・四キロメートル、五四%は未改修となっているところであります。  河川を取り巻く形態もさまざまでありますが、薩摩半島の南西部に位置する二級河川万之瀬川を見ますと、万之瀬川本流に加世田川、野崎川、大谷川等の支流が、さらに、市町村管轄の準用河川や普通河川が多数合流しております。  その河川の現在の整備状況を二級河川大谷川に見ますと、上流部に当たる準用河川や普通河川が、災害関連事業や農政サイドの基盤整備事業等により改修され、下流部に位置する二級河川に合流している状況で、台風や梅雨前線豪雨による出水のたびに、下流部の二級河川において、堤防決壊ではなく堤防越水という形で圃場や人家等へ被害が発生しているところであります。  現在、河川が氾濫している箇所を見ますと、河川の未改修による河積不足や用水路への取水用固定堰も河積を阻害する要因となっており、流域面積に対して流下能力が極めて低いと感じるところであります。  本県の河川は、このような未整備区間が多く存在していると考えますが、現在の河川整備状況に対する見解をお示しいただきたい。  また、費用は莫大なものとなるとは思いますが、県内の二級河川のうち、人家や圃場等に被害を及ぼすことが懸念される大谷川等の未整備区間の河川改修について、年次的な整備計画を立てて整備していくことはお考えでないか、お伺いいたします。  次に、四点目の河川合流箇所の整備についてでありますが、昨年の台風十六号では短時間の降雨量も多かったため、河川本流の流れはすさまじいものがありました。このため、下流部の支流においては、本流の流れの勢いで水が本流へ流出されず、バックウォーターの影響を受けて、床下・床上浸水が起きたケースが見られたようであります。  支流から本流への合流が、本流に対して垂直に近い状態となっている河川も見られたようでありますが、局部改良的な対策は講じられないものか、見解を求めます。    [知事三反園 訓君登壇] 52 ◯知事(三反園 訓君)台風十六号に係る河川災害復旧工事の進捗及び今後の見通しについてであります。  台風十六号により、護岸決壊など県管理河川で百八十三カ所、市町管理河川で五十九カ所の災害が発生いたしました。これらのうち、その後の降雨によりましてさらに被害が拡大するおそれのある箇所につきましては、応急対策として、河川護岸の大型土のう設置や埋塞土砂の撤去などを速やかに実施したところであります。  災害復旧工事につきましては、ことしの出水期までにできる限り安全性の向上を図る必要性があることから、現在、鋭意工事の発注に努めております。年度内に県・市町合わせておよそ八割の工事発注を予定しているところであります。地域の安心・安全の確保を図るため、残る箇所につきましても早期発注に努め、平成二十九年度内の復旧完了に向けて取り組んでまいります。  寄洲除去についてであります。  私自身も寄洲の現状について視察を行いました。県では、河川の氾濫を未然に防止するため、土砂が著しく堆積しているなど治水上緊急性が高い箇所につきまして、寄洲除去計画に基づき、平成二十七年度までの四カ年で四百二十八カ所、およそ百十八万立方メートルの土砂を除去いたしました。大谷川においても、中山田地区など二カ所の寄洲を除去したところであります。  平成二十八年の梅雨前線豪雨や台風十六号などの影響によりまして、土砂が新たに堆積した箇所も見られることから、平成二十九年度予算では、昨年度をおよそ三千万円上回る七億一千万円の予算を計上したところであります。  このうち、いわゆるゼロ県債五億二千万円により、梅雨期前の防災対策として、大谷川など七十五河川において寄洲除去を行うこととしておりまして、現在、発注手続を進めているところであります。  今後とも、寄洲の堆積状況を確認し、治水上緊急性が高い箇所からできる限りの対応をしてまいりたいと考えております。 53 ◯危機管理局長(永野 司君)消防力につきまして、まず、糸魚川市大規模火災を教訓とした検討状況と対策及び県内の消防の警戒強化地域についてでございます。  県におきましては、糸魚川市大規模火災を踏まえた国からの通知を受け、火災に対する警戒の強化につきまして、文書を本年一月に県内の各消防本部に発出し、現在、各消防本部におきましては、住宅密集地への進入路の調査や、用水路などの消防水利としての活用などについて検討を行っております。  また、県におきましては、これまで、一定の強風などが観測された場合には、鹿児島地方気象台から発表されます火災気象通報を直ちに市町村や各消防本部に伝達しております。  なお、国におきましては、糸魚川市大規模火災を受け、本年一月二十七日に検討会を設置し、現在、検討を進めておりまして、県といたしましては、その検討結果を踏まえながら、各消防本部と連携し、大規模火災の防止対策について検討してまいりたいと考えております。  県内のいわゆる消防警戒強化地域につきましては、十消防本部が百六十二カ所を指定しております。強化地域におきましては、火災発生に備えて消防団との火災防御訓練が実施されますとともに、車両ごとに使用する消防水利や延焼阻止のための消火活動の内容などがあらかじめ定められ、火災が発生した場合には、消防団や出動車両が増強されて消火活動が実施されております。  大規模火災の防止対策及び消防力の現状等についてでございます。  各消防本部におきましては、大規模火災を防止するため、住宅密集地の地域住民への火災予防啓発や水利状況の把握、火災防御訓練の実施などにより、火災の発生防止や迅速な消火活動のための体制整備に取り組んでおります。  また、県におきましては、各消防本部と連携して、住宅用火災警報器の設置促進や消防団員の確保対策に努めております。  消防本部の消防力につきましては、消防庁が示しております消防力の整備指針に基づき、各消防本部におきまして、計画的に消防車両等の拡充が図られております。  平成二十七年度の調査結果では、消防ポンプ自動車や救急自動車は基準を満たしておりますが、はしご車や救助工作車等は基準を満たしていない状況となっております。一方で、消防職員数は、前回調査の平成二十四年度と比べますと六十八人増加しておりまして、市町村におきましては、厳しい財政状況や定員管理の中、消防力の充実に向けて取り組みが進められていると考えております。  また、火災が大規模化し、一消防本部で対応できない場合に備えまして、県内におきましては、市町村同士で個別に協定を結んでおりますほか、平成十八年度に県内の全市町村によります相互応援協定が締結され、これにより相互に応援することとなっております。  消防団員の現状と確保対策についてでございます。  県内の消防団員数につきましては、平成二十八年四月一日現在、一万五千四百七十五人で、条例定数に対する充足率は九四・九%となっております。消防団員の確保ができていない要因につきましては、消防庁が実施した調査によりますと、高齢化や若者の減少、サラリーマンの増加などとされております。  県におきましては、このような状況を踏まえまして、消防団員の確保を図るため、市町村に対して、消防団協力事業所表示制度の導入を要請いたしますとともに、建設工事入札参加資格審査や総合評価方式の入札におきまして、消防団員を雇用している事業所に対し加点を行っておりますほか、県政かわら版やホームページで広く県民に入団を呼びかけ、団員の確保に努めております。また、本年度は新たに、女性消防団員の加入促進を図りますため、ブックレットやPRチラシの作成、研修会等を開催したところでございます。  県といたしましては、消防団員の確保は、地域防災力の維持・向上の観点から非常に重要な課題であると考えておりまして、今後とも、市町村と連携しながら消防団員の確保に取り組み、充足率の改善を図ってまいりたいと考えております。 54 ◯土木部長(久保田 一君)未改修河川の整備についてです。  県管理河川につきましては、近年発生した著しい住宅浸水被害の解消を第一に河川改修を行うこととしており、現在、万之瀬川や新川など四十一河川において、河道の拡幅や護岸の整備等を進めております。  未整備区間における河川改修につきましては、浸水被害や土地利用の状況、費用対効果などを勘案するとともに、事業中の他の河川改修の進捗状況などを総合的に見きわめながら、事業着手の判断を行っているところであります。  また、未整備区間におきましては、必要に応じて県単河川等防災事業等により、寄洲除去や護岸整備などの対策に努めているところであります。
     河川合流箇所の局部改良的な対策についてです。  県が管理する本川において水位が上昇し、本川から市町村が管理する支川へ逆流して氾濫することがあり、台風十六号においても、一時間百ミリ以上の記録的な大雨により、南薩や大隅地域で支川が氾濫した箇所も見られたところであります。  抜本的な対策としましては、逆流してもあふれないように、支川の河岸の高さを本川と同じにすることや、水門等の逆流を防止する施設を設置することなどがありますが、一般的に大規模な事業となります。局部的な対策としましては、寄洲除去により本川の水位低下を図ることや、局所的に流水の方向を変えることが考えられますが、支川の管理者と十分連携し、効果的な対策を検討していく必要がございます。    [田畑浩一郎君登壇] 55 ◯田畑浩一郎君 それぞれ答弁いただきました。  消防力についてでありますが、これまで、都市の近代化による不燃化の進展、燃えにくい建築材料の普及や消防力が高まったことなどから、市街地大火災は地震以外では発生しないと思っておりましたが、今回の火災は、木造住宅や工場等が密集し、強い風が吹き、消火能力が十分でないなどの悪条件が重なり、大規模な火災となりました。  国においては、危険な密集市街地を指定し、道路拡幅や鉄筋コンクリート構造の建物の増加を図っておりますが、糸魚川市同様、指定されていない密集市街地がほかにも多数存在するようであります。本県には指定されている箇所はありませんが、規模は小さくても危険性を秘めた市街地については、安全なまちづくりに取り組んでいただきたいと考えます。  また、初動の段階でもっと多くの消防自動車が駆けつけることができれば、今回の火災はここまで大きくならなかったと見られております。  近年、地方においては、過疎化で人口が減少し、市町村合併で面積も拡大しており、消防車などの消防力は実質的に大きく減少しているのではと危惧しているところであります。これまでの整備基準にこだわらず、面積や地形、また、住宅の老朽化や密集状況、空き家率など、地域の危険度を把握し、実情に合った消防力の確保が必要と考えるところであり、今後の検討を進めていただきたいと考えます。  また、強風警報が発令されている中での火災にもかかわらず、火勢の拡大が進んだ一時間半程度後に近隣の市町村へ応援を要請しており、大火に至ったのは、応援要請のおくれも大きな要因の一つかと思っております。迅速な応援体制に向けた近隣市町村間の連携体制の強化を図っていただきたいと考えます。  緊急時においては現場での消火活動に追われ、近隣市町村への応援の要請がおくれることも想定され、近隣市町村において緊急性を察知した場合においては、要請がなくても応援体制に入れるような方策をとるなどの連携体制も検討していただけたらと考えます。  なお、国は、消防広域化へのこれまで以上の取り組みと、平成三十年四月一日までに消防機関間の柔軟な連携・協力等を目指すようとの通達も出されているようでありますことから、県が中心となり、実現に向けた積極的な働きかけを期待いたします。  また、本県にも、密集地で延焼が危惧される地域が多数存在しており、そのような地域については、火災の程度にかかわらず消防車の出動台数を最初から多くするなど、初動の段階での取り組みの強化を推進していただくことを要望いたします。  糸魚川市大規模火災における人的被害は、活動された消防団員十五名を含む十七名で、うち十六名は軽傷と、火災の規模に比較し極めて少ない被害で、幸いなことに一人の死者も出ておりません。  消火活動の厳しさを判断した行政サイドが、防災行政無線や戸別受信機等を活用し、迅速な住民への避難を呼びかけ、また、消防職員が現場で広報を実施されたことが、人的被害を少なく抑えられた要因と言われており、本県においても、これらを教訓に方策をとっていただけたらと考えます。  消防団については、内情を見ますと、消防団員の中には、市町村外に勤務されており、昼間は消防活動も参加できず、夜間だけ対応可能という団員を抱えている団もあるようであります。平日の昼間の火災対応も課題となっているようであります。  火災は、初動の消火活動が重要と言われておりますが、地の利にたけている地元消防団の出動は初期消火に大きく貢献しており、また、地域における火災予防活動や災害時等の貢献を考えますと、消防団の一層の充実を図っていただきたいと考えます。  なお、自主防災組織も初動の消火活動において重要な役割を果たすものと考えております。五六・四%と低い市も見られるようであり、組織率向上と訓練活動等による充実を図っていただきたいと考えます。  消防署、消防団、充実した自主防災組織が一体となった火災への取り組みも、消防力のアップにつながるものと考えますので、総合的な対応に努めていただきたいと考えます。  次に、河川整備の災害復旧工事についてであります。  基本、災害復旧工事は三カ年での終了となりますが、平成二十九年度中の完成を目指すとのことで、県当局の対応に感謝いたします。  ただ、河川、道路問わず、放置すると被害が拡大するおそれがある場合や、交通の機能を回復する必要のある場合など、緊急に災害復旧を要する箇所については、災害査定を待たずに、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法施行令で補助対象となる応急仮工事や応急本工事を実施することができるようになっております。  先ほど紹介しました二級河川と県道が並行している被災箇所などについては、車両の安全な通行を緊急に確保する必要がある場合は、応急工事の活用などにより、スピード感ある対応をとられるよう要望いたします。  寄洲除去についてでありますが、厳しい財政状況下、平成二十九年度の寄洲除去は七億一千万円と前年度より三千万円程度の増額となっておりますが、人命や貴重な財産を守るため、寄洲除去については優先され、住民の不安を取り除いていただきたいと考えます。  県では、地域の雨量や河川水位の確認ができる、インターネットを活用した河川砂防情報システムを配信し、この活用や早期避難を呼びかけておりますが、私もネット活用は有効な手段の一つと思っております。しかしながら、高齢化が進んでいる地域が多く、なかなかインターネットの活用が厳しい地域も見られますので、根源であります寄洲を除去し、地域住民の安全を守っていただきたいと考えます。  未改修河川や河川合流箇所の整備についてでありますが、河川上流部の改修や圃場整備、ビニールハウス施設、開発行為による宅地造成、ゴルフ場、舗装や排水路の整備などの経済活動や環境整備で、降雨の到達時間が早くなり、保水能力の低下により流出率が高くなるなど、流下能力の低下に対し、河川改修が追いつけない状況になっていることは明らかであります。  改修が手つかずの状態ということは、国の補助事業が採択条件に満たないということで改修が進まない要因とは考えますが、何らかの手だてを講じながら県民の安全を守ることが求められます。  これまで、万之瀬川本流などの中心部においては大規模な河川改修事業が実施され、本流は整備が進み、降雨時の浸水被害の心配が軽減され感謝しておりますが、合流する支流の下流域の改修が進んでいない状況が見られます。  この箇所についても、固定堰から転倒堰への改修や局部改良を実施していただいており、改修の効果は見られておりますが、その影響は限られており、やはり思い切った河川改修事業の取り組みが必要かと思います。  また、支流から本流への合流箇所についても、バックウォーターの影響で床上・床下浸水が生じることのないような対策を講じるよう検討していただけたらと考えます。  地球温暖化による異常気象は、私どもの想定以上のスピードで進展しており、今以上の災害発生が危惧されるところであります。県民の安全確保のため、十年、二十年というスパンを要しても、抜本的な河川改修事業に取り組んでいただきたいと考えます。  次に、三番目の福祉避難所の確保について質問いたします。  福祉避難所とは、高齢者、障害者、妊産婦、乳幼児、病気の人など、一般的な避難所では生活に支障を来す避難行動要支援者のために特別な配慮がされた避難所で、一般的には、二次避難所として位置づけられ、小学校等の避難所での生活が困難で福祉避難所の開設が必要と判断された場合、施設管理者に要請され、開設されます。  開設期間は、原則として災害発生の日から最大七日間で、延長は必要最小限の範囲にとどめられ、運営に当たる人材は、その多くを地域内のボランティアによって確保する必要があります。  福祉避難所として指定されるのは、施設自体の耐震・耐火などの安全性が確保されているとともに、手すりやスロープなどのバリアフリー化が図られた施設であります。  平成二十年に厚生労働省から、福祉避難所についての設置・運営ガイドラインが出されたことにより、ようやく要支援者のための避難支援の動きが広がり始めており、地域のバリアフリー施設を福祉避難所として指定する動きや、自治体と特別養護老人ホームなどの福祉施設の間で福祉協定を結ぶケースが増加しております。  東日本大震災では、犠牲者の過半数を高齢者が占め、また、障害者の犠牲者の割合についても、被災住民全体と比較して二倍程度に上ったと言われております。  高齢者や障害を持った方々などにとっては、直接の被害だけでなく、生活環境が整備されていない避難所で長く生活することを余儀なくされた結果、健康を害したケースも見られます。  このため、平成二十五年八月に策定された、避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針を受けて、東日本大震災の教訓を考慮し、福祉避難所の確保・運営ガイドラインを平成二十八年四月に作成しており、地方公共団体や関係機関は、これにより福祉避難所に対する理解を深め、確保・設置に向けた動きを進めることとしております。  国は、福祉避難所の指定目標については、要配慮者や同居家族の生活圏やコミュニティーとのつながりに配慮し、少なくとも小学校区に一カ所程度の割合で指定することを目標とすることが望ましいとしております。  なお、施設については、バリアフリーが基本で、支援者をより確保しやすい施設を主眼に置いて選定することが望ましいとしており、デイサービスセンター、小規模多機能施設、老人福祉センター等の老人福祉施設や障害者支援施設等の施設、保健センター等が想定されているようであります。  それでは、まず一点目の、県内市町村の福祉避難所の確保状況でありますが、昨年十月二十一日の南日本新聞によりますと、「平成二十八年八月現在で、県内十三市町村において、福祉避難所が一カ所も確保されていない」という記事が掲載されてびっくりしたわけであります。  担当所管において調査に入っていることと考えますが、半年経過した二月時点での県内市町村の確保状況を八月時点に比較してお示しいただきたい。  また、その後においても一カ所も確保できていない自治体があれば、確保できない原因・理由は何か。それと、どのような施設が主に福祉避難所として確保されているのか、お示しいただきたい。  次に、二点目の、確保に向けた市町村への説明会や研修会についてでありますが、本県は、桜島、霧島山などの多くの火山を有し、また、台風常襲地帯であるとともに、梅雨どきの降水量も極めて多く、大きな地震や風水害による被害がいつ降りかかってきてもおかしくない状況下にあります。  これまで経験したことのないような大地震等による災害等が発生した場合、福祉避難所の確保は必要不可欠という東日本大震災の教訓が十分生かされておりませんので、高齢者、障害者、妊産婦等の避難行動要支援者の方々の対応において、麻痺することとなるのではと危惧しているところであります。  災害時において十分な対応ができるよう、福祉避難所の確保は急務と思っておりますが、各市町村の状況は、多くの施設を確保できている市町村があり、全く確保できていない市町村もあるということで、余りにも極端な差が見られ、取り組みに対する意識というか熱意に各市町村で温度差があるのではと感じているところであります。  このような状況も踏まえ、これまで、県として、福祉避難所の確保に向けた説明会や研修会を開催してきていることと思いますが、どのように実施してきたのか。また、何に重点を置いた説明・研修となっているのか、お示しいただきたい。  なお、確保できていない市町村や施設確保の少ない市町村に対して、どのような指導をされているのか説明を求めます。  次に、三点目の、確保に向けた各市町村の取り組み状況、確保達成目標時期と県のサポートについてでありますが、福祉避難所がまだ確保されていない市町村の現段階での取り組みの進捗状況と、確保数の少ない市町村の取り組み状況をお示しいただきたい。  また、福祉避難所は、少なくとも小学校区に一カ所程度の割合で確保することを目標とすることが望ましいとなっておりますが、早急な確保が必要な中、確保する時期、最低限の目標とする年月日を設定しているのか、お伺いいたします。  また、このような県内市町村の状況に対して、県としてどのような対応をとられているのか。何らかのサポートをしていく考えがあるのか、見解を求めます。  次に、四点目の福祉避難所の周知徹底についてでありますが、ガイドラインによりますと、市町村は、あらゆる媒体を活用し、福祉避難所に関する情報を広く住民に周知する。特に、要配慮者及びその家族、自主防災組織、支援団体等に対して、周知徹底を図るとあります。  また、留意点として、災害対応機関や関係機関、医療・保健・福祉サービス提供機関・事業者等に周知を実施すること。広報活動や訓練を通して、広く住民に福祉避難所について周知を図り、理解と協力を求める。要配慮者とその家族に対しては、広報活動のほか、民生委員や保健師の活動、支援団体を通じて周知を図る。さらに、福祉避難所は、より専門的な支援や援護の必要性の高い避難者のために確保されるものであり、一般の指定避難所で生活可能な避難者に対しては、対象としない旨についてあらかじめ周知しておくこととなっております。  このような体制が、確保されている市町村でとられ、実際に、要配慮者や家族、また住民に周知されているのか、質問いたします。 56 ◯保健福祉部長(古薗宏明君)県内市町村における福祉避難所の確保状況等についてであります。  県内の市町村における福祉避難所につきましては、昨年八月一日時点で、三十市町村において三百八十九施設、半年後の本年二月一日時点では、三十一市町村において三百九十七施設が確保されておりまして、半年前と比べますと、市町村数で一町、施設数で八施設ふえております。  確保できない理由等についてでありますが、一カ所も確保されていない市町村に対し、その理由を照会したところ、適当な施設がない、職員体制が不十分、必要なノウハウがないなどの回答を得たところであります。  福祉避難所として確保されている施設につきましては、全体の六六%が高齢者施設、一七・六%が障害者施設などとなっております。  説明会の実施状況等についてであります。  県では、市町村職員等を対象とする災害救助事務担当職員研修会を毎年度開催しておりまして、その中で、福祉避難所の必要性についての説明と、国の福祉避難所の確保・運営ガイドラインを踏まえた確保方法を中心とした研修を行っております。  また、本年一月には、市町村職員を初め、防災や福祉の分野の関係者を対象として鹿屋市で開催したセミナーにおきまして、福祉避難所を確保した県内市町村の取り組みの好事例を紹介し、確保に当たって留意すべき事項等について、関係者間で認識の共有化を図ったところであります。  福祉避難所の確保につきましては、これまで、市町村に対し、文書により、また研修会等の場も活用して要請しておりまして、特に、福祉避難所の確保が進んでいない市町村に対しては、遅滞なく取り組むよう要請しているところであります。  各市町村の取り組み状況や県のサポートについてであります。  福祉避難所の確保に向けた現在の取り組み状況について市町村に確認いたしましたところ、福祉避難所が確保されていない十二市町村のうち、七市町村からは、指定可能な施設を調査中または関係機関と協議中、五町村からは、一般の避難所で対応することとしているとの回答を得たところであります。  また、福祉避難所の数が指定目標とされる小学校区の数を下回る二十市町村のうち、四市が、今後避難所をふやす予定であり、残りの十六市町村につきましては、現時点においてふやすことは考えていないとしております。  福祉避難所の確保時期の目標を設定している市町村はありませんが、確保が進んでいない現状を踏まえますと、確保に向けて早急に取り組んでいただく必要があると考えておりまして、福祉避難所が一カ所も確保されていない市町村を中心に、県の担当職員が現地に赴き、利用可能な施設等の洗い出しを初め、福祉避難所の確保に係る取り組みについて、より具体的な助言を行うこととしたいと考えております。  福祉避難所の周知徹底についてであります。  市町村におきましては、福祉避難所に関する情報について、現在、ホームページや全戸配布する防災マップ、支援にかかわる関係機関・団体等を対象とした会議等を活用して、周知を図っているところでありますが、県といたしましては、市町村に対し、今後、御指摘にありましたように、国のガイドラインを踏まえて広く住民に周知するとともに、要配慮者及びその家族、自主防災組織、支援団体等に周知徹底を図るよう働きかけてまいりたいと考えております。 57 ◯田畑浩一郎君 今、答弁いただいたんですけれども、一点だけ再質問させていただきたいと思います。  福祉避難所の確保目標達成時期の件でありますが、先ほども言ったわけですけれども、これだけマスコミに大きな紙面を使い掲載され、問題視された事項が、半年もの長い期間にわたって全くと言っていいほど進展が見られない。一町確保されただけで、この一町が多分この八カ所ふえた要因だと認識しております。  そういう中で、福祉避難所の確保目標は、各自治体において設定することが基本ということは私も重々承知しているつもりではあります。しかしながら、これだけ進展が見られないのは、一部の市町村において危機管理意識が欠如しているのではと思わざるを得ないところがあります。  福祉避難所が確保されている自治体においてさえ、指定箇所との調整で大変な状況と思います、普通の避難所がですね。そういう中で現場はパニック状態に陥るのではないかと、とても危惧するところでございます。  副知事においては、その道のスペシャリストとして認識しておりますので、副知事に、避難所の確保、何年何月までという目標を立てる、そして目標を設定することによって、達成に向けた対応がとられ、進展が見られると私は考えますが、専門的な分野で見解を求めたいと思います。小林副知事です。 58 ◯副知事(小林洋子君)福祉避難所が、災害時において、要配慮者の方々の良好な生活環境を確保するために必要不可欠な施設でありますことは認識しているところでございます。  福祉避難所の確保に当たりましては、福祉避難所として利用可能な施設の洗い出し・絞り込み、施設管理者との調整等、相応の時間を要すると考えておりますことから、目標時期を設定することはなかなか難しいのではないかと考えておりますが、先ほど部長が答弁申し上げましたとおり、福祉避難所が一カ所も確保されていない市町村を中心に、担当職員が現地に赴き、具体的に助言・指導を行うなどして取り組みを強化することとしております。  また、取り組みのおくれている市町村の首長にも、お会いする機会などを捉まえまして、福祉避難所の確保に向けて早急に取り組んでいただくよう強く要請してまいりたいと考えております。    [田畑浩一郎君登壇] 59 ◯田畑浩一郎君 ただいま、副知事からも再度答弁いただいた目標時期の設定でありますが、県全体で難しいのであれば、各市町村と協議し、市町村ごとにでも設定していただくという方法もあるのではと考えます。  さて、南九州市を例にとりますと、福祉避難所が四十七カ所確保されております。内訳を見ますと、老人福祉施設が四十四カ所で、頴娃、知覧、川辺地区のそれぞれの保健センター三カ所が指定されております。  特別養護老人ホームやデイサービスセンター等の老人福祉施設は最適な施設で、指定に当たっての市担当所管の尽力や各福祉施設の理解と協力に感謝しているところであります。  ガイドラインにおいて、民間の社会福祉施設等の場合は、福祉避難所の指定に際して、市町村と当該施設管理者との間で十分調整し、福祉避難所の指定に関する協定を締結するとなっております。  南九州市では、協定については、関係のあるいぶすき地区老人福祉施設協議会及び川辺地区老人福祉施設協議会と、災害時における福祉避難所設置に関する協定書という形で、それぞれ協定書を交わしておりますが、この協議会には、隣接する指宿市、南さつま市、枕崎市の二十七カ所の老人福祉施設も構成メンバーとなっております。  このため、ガイドラインで示されている、市町村内の福祉避難所で対応困難になった場合、広域の福祉避難所等に一時的に要配慮者を避難させることも想定されることから、近隣の都道府県及び市町村並びに関係団体との協力関係を構築しておくことという観点においても好ましいものと考えるところであります。  県内の確保されていない市町村においても、福祉施設等との粘り強い協議で、このような形の協定書を交わせるよう努力する必要があると思います。  県としても、市町村と福祉施設等との協議等については、アドバイスや調整など全面的にサポートしていただき、協定書締結の実現、福祉避難所の確保に大きく貢献していただくことを期待いたします。  次に、周知の件でありますが、東日本大震災では、福祉避難所に指定されていたにもかかわらず、施設の職員がそのことを知らなかったため、地域の高齢者が避難してきた際に、受け入れを断ったというケースも見られたようでありますので、福祉施設の職員に対する周知も徹底していただきたいと考えます。  福祉避難所は、登録されれば機能するというものではありません。どの地域の要支援者を受け入れるのか、スペース、人的な資源、物資等について、事前に十分検討して災害時に対応できるよう準備していただきたいと考えます。  なお、現段階では、地域に居住する要支援者やその家族が福祉避難所の存在を知らない状況ではと思いますので、福祉避難所の確保と同時に、情報の周知徹底に努めていただきたいと考えます。  また、基本的に、福祉避難所は二次避難所として位置づけられており、要支援者に対しても、まず、小学校や体育館などの一次避難所への誘導がなされ、そこがだめな場合は福祉避難所へ行くようにというケースになるのではと考えます。  確かに一理ありますが、視覚・聴覚障害者や足の悪い高齢者など、ハンデを抱えている方は非常に厳しいものがあるのではと考えますので、そのような方については初めから福祉避難所へ誘導するなど、事前に対応を決定しておくことも必要かと考えます。  これまで、本県においては、幸いなことに大災害による大規模な避難所開設などはありませんが、備えあれば憂いなしと言いますので、早急な対応をとっていただきたいと考えます。  福祉避難所の確保に向けた取り組みの強化を期待いたしまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)       ───────────── 60    △ 請願・陳情の委員会付託 ◯議長(池畑憲一君)次に、請願・陳情の委員会付託であります。  受理いたしました陳情は、配付いたしております請願・陳情文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に審査を付託いたします。  これで、本日の日程は終了いたしました。       ─────────────
    61    △ 日程報告 ◯議長(池畑憲一君)明日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問であります。       ───────────── 62    △ 散  会 ◯議長(池畑憲一君)本日は、これで散会いたします。        午後三時八分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...