17番 古 川 拓 哉
18番 兵 頭 竜
19番 大 西 誠
20番 松 尾 和 久
21番 欠 番
22番 欠 番
23番 木 村 誉
24番 石 川 稔
25番 梶 谷 大 治
26番 西 田 洋 一
27番 中 田 廣
28番 大 西 渡
29番 福 羅 浩 一
30番 三 宅 浩 正
31番 欠 番
32番 欠 番
33番 欠 番
34番 欠 番
35番 欠 番
36番 笹 岡 博 之
37番 黒 川 洋 介
38番 毛 利 修 三
39番 徳 永 繁 樹
40番 高 山 康 人
41番 渡 部 浩
42番 戒 能 潤之介
43番 鈴 木 俊 広
44番 欠 番
45番 横 田 弘 之
46番 越 智 忍
47番 村 上 要
48番 赤 松 泰 伸
49番 本 宮 勇
50番 欠 番
51番 西 原 進 平
52番 中 畑 保 一
53番 明 比 昭 治
54番 岡 田 志 朗
55番 森 高 康 行
――――――――――
〇欠席議員 なし
――――――――――
〇欠 員 3名
――――――――――
〇出席理事者
知事 中 村 時 広
副知事 上 甲 俊 史
副知事 原 昌 史
公営企業管理者 兵 頭 昭 洋
総務部長 菅 豊 正
企画振興部長 西 本 牧 史
スポーツ・文化部長 土 居 忠 博
防災安全統括部長 福 井 琴 樹
県民環境部長 金 子 浩 一
保健福祉部長 山 口 真 司
営業本部長 八十島 一 幸
経済労働部長 田 中 英 樹
農林水産部長 田 所 竜 二
土木部長 杉 本 寧
会計管理者出納局長 岸 本 憲 彦
教育長 井 上 正
副教育長 武 智 俊 和
人事委員会委員長 宇都宮 嘉 忠
公安委員会委員 曽我部 謙 一
警察本部長 松 下 整
監査委員 山之内 芳 夫
監査事務局長 山 本 亜紀子
――――――――――
〇
出席事務局職員
事務局長 内 田 万 美
事務局次長 山 田 裕 章
参事総務課長 北 川 謙 二
参事議事調査課長 松 本 賢 固
参事政務調査室長 西 田 洋 一
議事調査課主幹 井 原 重 喜
――――――――――
〇本日の会議に付した事件
定第69号議案ないし定第85号議案
午前10時 開議
○(
鈴木俊広議長) ただいまから、本日の会議を開きます。
本日の会議録署名者に徳永繁樹議員、石川稔議員を指名いたします。
――
―――――――――――――――
○(
鈴木俊広議長) この際、報告いたします。
地方創生・
産業基盤強化特別委員会におきましては、6月25日の委員会で委員長を互選した結果、明比昭治議員を選任いたしました。
――
―――――――――――――――
○(
鈴木俊広議長) これから、定第69号議案平成30年度愛媛県
一般会計補正予算ないし定第85号議案を一括議題とし、質疑を行います。
○(
岡田志朗議員) 議長
○(
鈴木俊広議長)
岡田志朗議員
〔
岡田志朗議員登壇〕
○(
岡田志朗議員) (拍手)おはようございます。
自民党の岡田志朗です。
質問に先立ちまして、故寺井修県議の御逝去に対し、衷心より哀悼の意を表します。同期として二十有余年、いろいろあっても、ちゃんと心がつながっていたと信じております。目を閉じると、農業について熱弁を振るう姿と、お酒をおいしそうにうれしそうに飲む姿が浮かんできます。これからも天国から愛媛県政を見守り続けてください。御冥福をお祈りしつつ、質問に入らせていただきます。
まず初めに、今治市に新設された
岡山理科大学獣医学部についてお伺いいたします。
本年4月、本州と四国を結ぶしまなみ海道の四国の玄関口である今治市いこいの丘に、50年以上新設が認められなかった獣医学部が新設され、第1期生として186名が入学されました。国際社会に通用する高度な獣医学の専門知識の習得を目指し、新たに始まる
キャンパスライフに心躍らせながら獣医学部に入学された皆さんを同世代の子を持つ親として心から歓迎するとともに、思い出に残るすばらしい学生生活を送ることにより、就職も愛媛でしてもらえるよう、
愛媛県議会議員としても応援していきたいと考えております。
さて、これまでの取り組みを振り返ると、
獣医学部新設までの道のりは決して平たんではなく、まさにイバラの道でありました。今治市と共同で行った平成19年から27年までの15回に及ぶ
構造改革特区提案は、ことごとくはね返され、国家戦略特区として29年度にようやく岩盤規制を突破し開学準備に至ったところで、安倍総理と加計学園の理事長が古くからの友人で便宜が図られたのではないかとのいわゆる加計問題が喧伝され始めました。そして、1年以上が経過した現在でも、疑念が完全に払拭されたとは言いがたい状況にあります。
また、本年4月3日の入学宣誓式後も、当時の
総理大臣秘書官が本件は首相案件となっていると面会の際に発言したとの県職員の個人メモが報道されたほか、5月下旬には、参議院からの要請により県が提出した文書をめぐり、総理と理事長が面会したかどうかという本質論には全く関係のない一点に野党の質問の焦点が当てられ、終始しました。それについては、加計学園側が誤った情報を伝えたとして県と市に謝罪し、今月19日に理事長も記者会見を開きましたが、いまだに混迷は続いております。
もとより、このたびの
獣医学部新設に当たっての経緯の中で、国家戦略特区による認定プロセスについては何の違法性も指摘されておりません。また、学部の設置認可に関しても、文部科学大臣の諮問機関である大学設置・
学校法人審議会における専門的見地からの厳正な審査を経て、同大臣から正式に認可されたものと承知しております。
入学から既に3カ月が過ぎようとする中、学生たちが落ちついて学業に専念できる環境を整えることが急務であり、学部の運営は混迷させてはならないと考えます。
さきの2月定例県議会で、県は、今治市が加計学園へ補助する額の一部について支援を行うため、事業費の徹底的な精査を行った上で補正予算案に今治市への補助金を計上し、県議会としても十分審議した上で予算案を可決しました。しかしながら、加計学園から県への虚偽報告によって状況が変化したとして、補助金支出について疑問視する声が一部に出ております。
そこで、お伺いいたします。
県では、加計学園の虚偽報告を踏まえ、今治市への補助金交付の妥当性をどう認識しているのか、お考えをお聞かせ願いたいのであります。
次に、公文書の管理に関する条例案についてお伺いいたします。
御案内のとおり、国においては
学校法人森友学園への国有地売却に関し、財務省での決裁文書の改ざんや交渉記録の廃棄が明らかになり、また、防衛省では存在しないと報告されていた陸上自衛隊の
イラク派遣部隊や南スーダンの
国連平和維持活動の日報が見つかるなど、公文書のずさんな管理が次々と発覚しており、その管理のあり方について、国会等でさまざまな議論がなされるとともに、国民の厳しい視線が注がれています。
公文書管理の問題は、10年ほど前にも、社会保険庁での消えた年金記録や厚生労働省での血液製剤によると見られるC型肝炎患者のリストの放置、防衛省での保存期間を終えていない航海日誌の一部廃棄など、不適切な文書管理が相次いで明るみに出ました。その反省から、当時の福田康夫首相のもとで議論が進み、与野党の合意により公文書管理法が平成21年に成立し、23年から施行されております。
同法では、公文書を健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源と位置づけており、公文書の適正な管理に関する基本的事項が定められたにもかかわらず、今回このような問題が発生したことは、行政そのものに対する国民の信頼を大きく損ねるもので大変遺憾であり、今後、早急に問題点を究明するとともに、法制定の原点に立ち返り、政府の責任において公文書の適正な管理・保存を徹底しなければならないと思うのであります。
一方、地方においても、公文書の改ざん等が発覚しており、公文書管理の適正化は国だけの課題ではありません。総務省の調査によりますと、
公文書管理条例を制定している自治体は、昨年10月時点で、全体の1%に当たる21自治体にすぎないということであり、公文書管理の適正化に向けた自治体の動きも鈍いようであります。
そのような中、加計学園の獣医学部設置に係る案件で本県にも直接影響が及ぶ中、県民の信頼を高めるためには新たな取り組みが必要ではないかと考えていたところ、本議会に公文書の管理に関する条例案が提案されたことは、まさに時宜を得たものとして大いに評価するものであります。
そこで、お伺いいたします。
このたび公文書の管理に関する条例案を提案する理由は何か。また、条例制定により公文書管理がどのように変わり、その効果をどう考えているのか、お考えをお聞かせ願いたいのであります。
次に、G20愛媛・
松山労働雇用大臣会合についてお伺いいたします。
松山市発行の
移住ガイドブックによりますと、本県の暮らしに関するデータでは、通勤・通学時間が東京都の約半分で全国第1位、1日のうちの余暇時間の長さも第1位、仕事時間の短さは第2位となっております。また、全国の女性7万人を対象にした民間調査では、人間関係の不安や社会での孤独感、教育や家事に対するストレスが少なく、心のバランスがとれる環境が整っているということで、ストレスオフ県第1位を2年連続で獲得するなど、本県は全国に誇れる暮らしやすく働きやすい県だと自負するところであります。
こうした中、去る4月2日、来年大阪で開催されるG20サミットの
関係閣僚会合の開催地が発表され、本県において
労働雇用大臣会合が開催されることが決定しました。そして、先週末には、来年9月1日、2日となったとの具体的な開催日程の発表があったところです。まことに名誉なことであり、また、暮らしやすく働きやすい本県をアピールする絶好の機会と考えるのであります。
G20サミットは、主要先進国や新興国の首脳が参加して毎年開催される国際会議であり、加盟国のGDPが世界の8割以上を占めるなど、大きな影響力を有しています。また、首脳会議に前後して開催される
関係閣僚会合は、本県で開催される
労働雇用大臣会合のほかに、財務、観光、農業、貿易、環境、保健、外務などの国際的諸問題について熱心に議論されると聞いております。
リーマンショックを契機に発生した経済・金融危機に対処するため、2008年に第1回会合が実施され、その後も各国持ち回りで開催されているG20サミットですが、我が国で開催されるのは来年が初めてのことであり、2008年、2016年に我が国で開催されたG7サミットと比べても、これまでにない大規模な国際会議となることは間違いありません。
また、2016年のG7サミットの関係閣僚会議が開催された香川県での経済効果が13億円であったと言われる中、本県で開催されるG20愛媛・
松山労働雇用大臣会合は約20カ国の参加があることから、経済効果はそれ以上と予想されます。
首脳会議が開催される大阪では、大阪府や大阪市、関西経済界などで組織するG20
大阪サミット関西推進協力協議会を立ち上げ、会場となる
国際展示場インテックス大阪の改修や最大で二、三万室とも想定される宿泊先の確保、交通対策などの準備に着手していると聞いております。
本県においても、これまでに経験したことがない国際会議であり、会議を成功に導き、愛媛の魅力を世界に発信するために万全の準備体制を構築して取り組む必要があると思うのであります。
そこで、お伺いいたします。
来年開催されるG20愛媛・
松山労働雇用大臣会合に向け、どのように準備を進めていくのか、お考えをお聞かせ願いたいのであります。
次に、四国遍路の
世界遺産登録に向けた取り組みについてお伺いいたします。
私たち四国に生活している者にとって、お遍路さんが行き交う風景はふだんから身近に見る風物詩となっています。
四国遍路は、
弘法大師空海ゆかりの札所をめぐる全長1,400㎞にも及ぶ我が国を代表する壮大な回遊型巡礼路であり、1200年の時を超えて受け継がれてきた世界に誇る財産であると認識しております。
近年では、
フランス人女性による四国遍路の体験や感動をつづった著書の出版やSNSによる情報発信、
ニューヨークタイムズ紙で2015年に行くべき場所52選として紹介されるなど、海外での認知度も高まっており、四国遍路をめぐる外国人をたびたび見かけるようになりました。特に、八十八カ所の札所を徒歩でめぐる歩き遍路は、精神的な充実感に加え、自然や人々との触れ合いなど、ほかでは得がたい体験として挑む外国人がふえているようであります。歩き遍路を達成した人に
遍路大使任命書を発行している
NPO法人遍路とおもてなしのネットワークによれば、近年、任命書を受けた外国人の数が増加し、全体の1割を超えたとのことで、国、地域別で見ると、北米と欧州の方が半分以上を占めているそうです。
私は、先日、
県議会海外派遣で、1993年に
世界遺産登録されたスペインガリシア州の
サンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼路を訪問する機会を得ました。現地を歩かせていただく中で、キリスト教と仏教の違いはありますが、欧米の方々には、その精神性と普遍性における存在が共通点の多い四国遍路に親しみを持つ要因となっているのではないかと感じたところであります。
また、四国4県では、スペインのガリシア州と協力協定を締結し、その助言を得ながら、同種の資産との比較研究を進められており、ぜひこの研究を
世界遺産登録に結びつけていただきたいと考えております。
世界遺産に登録されるためには、顕著な普遍的価値を有する遺産として保護することが必要と聞いておりますが、本県には4県でも最多の26の札所があり、最長の約570㎞にも及ぶ遍路道があることから、とりわけ精力的に取り組んでいかなければならないと考えるのであります。
本年5月には、長崎と天草地方の
潜伏キリシタン関連遺産についてユネスコの諮問機関から登録が勧告され、6月24日から7月4日まで中東のバーレーンで開かれている
世界遺産委員会で正式に登録が決まる見込みと聞いており、国の暫定一覧表の記載物件も順調に減少している状況にあります。このような状況の中、四国遍路の
世界遺産登録に向けては、まず国内において暫定一覧表への記載を目指さなければなりません。
そこで、お伺いをいたします。
四国遍路の
世界遺産登録に向け、今後どのように取り組みを進めていくのか、お考えをお聞かせ願いたいのであります。
次に、県が開発した
ブランド畜産物の販売強化への取り組みについてお伺いいたします。
本県の畜産業は、農業産出額の約2割を占め、果実に次ぐ農業分野の基幹産業となっていますが、少子高齢化の進行などにより国内市場がますます縮小していくことに加え、TPP11を初め日欧EPAや米国との2国間協議など、急速なグローバル化の進展により、輸入畜産物との競合が懸念される厳しい状況にあります。また、近年、飼料価格の高騰や担い手の高齢化などを背景に離農が増加するなど、生産基盤の脆弱化も懸念されています。
こうした中、本県におきましては、中村知事みずからの
トップセールスや営業本部を初めとする他県にはない販売の取り組みが進められており、そのより一層の強化が生産者からも期待されているところであります。
私自身、社会人としてのスタートは営業マンでありましたが、ものを売り込むためには品質のよさに加えて、安定供給が不可欠であります。それがまさに信用の構築につながり、営業にとってこの上ない武器となります。品質がよくなければ安く買いたたかれますし、幾ら品質がよくても安定供給ができなければ買っていただけません。そういう意味では、販売の最前線となる営業と生産現場とが車の両輪のように意思を通じ合わせることが、販売を強化する上で最も大切であると言えます。
幸いにして、本県においては紅まどんなというよき前例があります。平成2年の交配から有望系統の選抜、品質や安定生産技術の向上に15年もの歳月をかけ、平成17年に品種登録された後、さらに
安定供給体制の構築を進め、今や愛媛ブランドの押しも押されもせぬ牽引役になっています。
畜産物につきましても、
畜産研究センターや養鶏研究所が独自に研究を重ね開発した媛っこ地鶏や愛媛甘とろ豚、そして
愛媛あかね和牛という愛媛畜産業の未来を支えていくであろう大切な財産が生み出されています。これは各生産者の御努力はもとより、開発に携わった試験研究機関の地道な努力や
家畜保健衛生所による生産現場での熱心な技術指導のたまものであり、関係者の一丸となった取り組みに深く敬意を表するものであります。
現在、媛っこ地鶏は年間約6万羽、甘とろ豚は約8,000頭まで着実に生産拡大が進むとともに、あかね和牛も、生産基盤の構築を進めながら徐々に生産頭数をふやそうとしていると聞いております。今後、本県畜産業が発展していくためには、中長期的な視点も持って、これら畜産ブランドの生産技術と
安定供給体制の構築をはやらず、しっかりと図ることにより、市場での信用力や競争力を高めながら、その進捗に合わせた新たな販路開拓にもこれまで以上に精力的に取り組む必要があると思うのであります。
そこで、お伺いいたします。
県では、
ブランド畜産物の販売強化に、今後どのように取り組んでいくのか、お考えをお聞かせ願いたいのであります。
次に、
四国電力伊方発電所の
使用済み燃料乾式貯蔵施設の設置についてお伺いいたします。
四国電力伊方発電所の3つの
原子力発電施設については、3号機が国の
原子力規制委員会の審査に合格し、平成28年8月に再起動する一方、平成29年6月に1号機が国の廃止措置計画の認可を受け、同9月には事前協議に対する県の了解を得て廃炉作業が開始されるとともに、本年3月には1号機に続いて2号機の廃炉表明がなされたところであります。県当局には、今後、約40年にわたる1号機、2号機の廃炉作業が安全かつ適切に進むよう、しっかりとした指導とともに地域経済への配慮もお願いする次第であります。
さて、こうした中、5月25日に四国電力の佐伯社長が知事に対し、
伊方発電所敷地内への
使用済み燃料乾式貯蔵施設の設置について、安全協定に基づく事前協議の申し入れを行うとともに、
原子力規制委員会に対し、
原子炉等規制法に基づく
設置変更許可申請を行いました。四国電力の発表によると、青森県六ヶ所村の再処理工場へ搬出するまでの間、一時的に
使用済み燃料を貯蔵する施設として設置することとし、5年後の運用開始を目指しているとのことであります。
また、今回設置する
乾式貯蔵施設は、水や電気を必要とする
使用済み燃料プールよりも安全性にすぐれていると言われており、現実に東京電力福島第一原子力発電所に設置された
乾式貯蔵施設は、東日本大震災の際に地震と津波に襲われましたが、保管してあった
使用済み燃料の安全性に問題がなかったと聞いております。しかしながら、
乾式貯蔵施設がどのような施設なのか、安全性に問題はないのかなど、まだまだ県民には十分理解できていないのではないかと思うのであります。
また、国は、先般発表された
エネルギー基本計画案においても、
核燃料サイクルの推進を基本方針としております。しかしながら、六ヶ所再処理工場の操業のおくれなどにより、
使用済み燃料搬出の時期が明確になっていない状況の中、平成28年12月に四国電力が
乾式貯蔵施設の設置検討を表明した当初から知事が要請し、今回の申し入れの際にも念押しされたとおり、
乾式貯蔵施設による保管があくまで一時的な保管であることを明確にしなければなりません。四国電力には、この点もあわせて県民に丁寧に説明することが必要ではないかと考えております。
県におかれましても、今回の施設設置計画について、国の審査と並行してしっかりと安全性等を確認していただき、その妥当性については地元の意見も踏まえて判断していただきたいと考えております。
そこで、お伺いいたします。
四国電力から申し入れがあった
乾式貯蔵施設の設置に係る事前協議について、今後県として、どのように対応するのか、お考えをお聞かせ願いたいのであります。
次に、水災害から住民の生命・財産を守るための減災対策についてお伺いいたします。
近年、局地的かつ猛烈な降雨により、甚大な水災害の被害が全国各地で発生しております。今年度に入ってからも5月に秋田県の一級河川雄物川が氾濫しており、これまで水災害が発生しなかったような時期にも猛威を振るっているところであります。
本県でも、昨年9月に襲来した台風18号において、人口が集中する県都松山市などを流れる一級河川重信川が出合地点で氾濫危険水位を超え、観測開始以来最高水位となる出水を記録しました。
このような中、昨年7月の九州北部豪雨では、記録的な大雨により、中小の河川の水位が急激に上昇、氾濫し、40名ものとうとい命が犠牲となるなど、多くの人的被害や家屋被害が発生したところであり、中小河川を多く抱える本県においても同様の被害が発生するのではないかと大変不安に感じております。
県におかれましては、水災害から住民を守るため、河川改修事業などのハード対策に日々努められており、愛媛県水防計画で定める整備が必要な重要水防箇所の延長は、この30年間で約300㎞から約156㎞と半減しております。しかしながら、全ての箇所を施設整備によって解消するにはまだまだ時間を要します。また、ハード対策は、防災・減災の効果が大きい一方で、多額の費用と長い期間を要し、事業効果の発現に時間がかかることから、今後、起こり得る水災害から住民が逃げおくれることのないよう、地域住民の安全・安心を確保する避難支援など、即効性の高いソフト対策についても充実させる必要があると考えます。
そこで、お伺いいたします。
水災害から住民の生命・財産を守るため、県管理河川における減災対策にどのように取り組んでいくのか、お考えをお聞かせ願いたいのであります。
これで質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○(
鈴木俊広議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(
鈴木俊広議長) 中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 岡田議員に、まず、加計学園の御質問についてお答えをさせていただきたいと思います。
加計学園による平成27年3月の虚偽報告については、公的機関である県に対して誤った情報を与えるという重大な問題であると受けとめています。一方で、国家戦略特区への提案は、内閣府からの助言を受け、同年6月に今治市と共同で行ったものであり、民間有識者が参画する諮問会議や区域会議などで審議された後、
獣医学部新設を可能とする関係制度の改正を経て、国が実施主体を公募するなど、法律や制度にのっとり手続が進められてきたものと認識しています。
その後、加計学園では、文部科学省の審議会による専門的見地からの厳正な審査を受け、29年11月に獣医学部の設置が文科大臣により認可されたものであり、先日、改めて文部科学省へ確認をさせていただきましたところ、学部設置は適切なプロセスを経て進められており、今回の虚偽報告は認可の判断に影響しないという文部科学省の回答を県に対して受けたところでございます。
今治市への財政支援については、学部の設置認可を受け、平成12年の都市再生機構、県、市の3者の今治新都市開発に関する覚書や29年11月の同市からの要請を踏まえ検討を開始し、整備事業費につきましても県全庁を挙げての専門的知見を生かして厳正な審査を行い、当初の補助対象経費6億円を減額するとともに、先行事例も参考にしながら総合的に検討した結果、公務員獣医師の安定確保や本県経済の活性化にもつながるなど、十分に公益性が認められますことから、県議会の議決をいただき、支援することを決定したものでございます。
この補助金は、校舎建設や備品購入など大学開設に必要となる施設、設備の整備に要する経費を対象に今治市に対して交付するものであり、計画どおり本年4月に
岡山理科大学獣医学部が開学し、建物や設備等が順次整備されるなど補助の目的を満たすとともに、事業そのものは適正に実施されていると確認しており、県としては現時点において、補助金交付の妥当性については問題がないものと判断しているところでございます。
次に、公文書の管理についての御質問にお答えをさせていただきます。
国における公文書をめぐる不祥事案により、公文書に対する県民の皆さんの関心が高まっていることから、公文書管理をこれまでの組織内部の規程にとどめず、できるだけ速やかに県民を代表する議会の審議を経て、オープンに条例として制定し、県民の皆さんの信頼を高めることが重要であると考えまして、今議会に条例案を提案することとした次第であります。
条例案では、公文書を県民共有の知的資源として、県民が主体的に利用し得るものと位置づけ、県政について県民に説明する県の責務を全うすることを目的といたしました。このため、政策決定プロセスを検証できるよう、新たに経緯も含めた意思決定に至る過程や事務・事業の実績がわかるように文書を作成することを義務づけるほか、毎年度、公文書の管理状況を公表し、行政の透明性を高め、県民への説明責任を徹底することといたしました。
さらに、職員に対する意識啓発や知識向上のための研修を定期的に実施し、公文書管理をこれまで以上に適正に運用することといたしております。
条例制定により、公文書の適正管理に取り組む県の姿勢が明確になりますとともに、職員のコンプライアンス意識が高まるものと考えており、10月1日の施行に向けて、詳細な処理基準を定める文書管理規程の改正や具体的な運用基準となるガイドラインの策定を進め、職員を対象とした説明会を実施するなど、新制度の周知と啓発に努め、県民の信頼を高められるように公文書の適正管理の徹底を図ってまいりたいと思います。
次に、G20の会議についての御質問でございます。
G20愛媛・
松山労働雇用大臣会合は、25程度の国や国際機関の労働雇用部門のトップが来県する本県で経験のない大規模でハイレベルな国際会議であるため、参加国等と直接調整を行う厚生労働省と連携して、万全の受け入れ態勢を整えるとともに、本県の魅力を参加国や海外プレス等へ積極的に発信していきたいと思います。
会合日程につきましては、厚生労働省から来年の9月1日、2日の2日間とするとの発表がありましたが、県ではこれに先んじて、松山市と県警察本部から3名の職員を受け入れて、経済労働部に7人体制のG20
労働雇用大臣会合推進室を設置しておりまして、8月からは県と松山市の職員2名を厚生労働省に派遣する予定でございます。
また、会場につきましては、松山全日空ホテルとする予定と聞いており、宿泊や輸送、交通対策などの円滑な受け入れ環境の整備、要人の安全確保に向けた会場等の警備体制の構築について早急に検討を進めるとともに、県民総ぐるみで歓迎、支援する協議会組織も立ち上げて、おもてなしの心を体感できる本県ならではの歓迎レセプションや体験型の視察も企画、実施したいと思います。
今回の会合を通じて、国際観光コンベンション都市としての力量を国内外に示すことにより、本県への国際会議のさらなる誘致や観光振興につながりますよう、引き続き開催準備にしっかりと取り組んでいきたいと思います。
次に、
乾式貯蔵施設についての御質問にお答えをさせていただきます。
伊方発電所敷地内への
乾式貯蔵施設の設置につきましては、先般、四国電力から国に対して
原子炉等規制法に基づく
設置変更許可申請がなされるとともに、県に対しましても、安全協定に基づき、事前協議の申し入れがなされたところであります。
その際、
乾式貯蔵施設は、
使用済み燃料を再処理工場に搬出するまでの間、一時的に貯蔵するもので、プールで十分冷却した燃料を放射線を遮蔽する金属製容器に収納し、空気の対流によりさらに冷却する安全性にすぐれた施設であるとの説明を受けましたが、私から四国電力社長に対し、あくまでも一時的な保管であることを明確にするとともに、安全性等について県民にわかりやすく丁寧に説明するよう要請をさせていただきました。
また、使用済燃料対策に関するアクションプラン及び
エネルギー基本計画案において、
乾式貯蔵施設の建設、活用を促進している国に対し、5月末の重要要望の際に、技術的な検証を行い、安全性等について国民への十分な説明を国の責任で行うよう強く要望したところでございます。
県としては、6月15日に専門家で構成する伊方原発環境安全管理委員会原子力安全専門部会を開催し、四国電力から国への申請内容を聴取するなど審議を開始したところでありますが、今後、委員の皆さんに乾式貯蔵を実施している発電所を視察いただくなど、安全性等について厳正な審議を行っていただくこととしており、事前協議への対応は、国の審査結果、県の管理委員会の意見、県議会での議論、伊方町の意見などを踏まえ、総合的に判断していきたいと考えております。
その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えをさせていただきます。
○(土居忠博スポーツ・文化部長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 土居スポーツ・文化部長
〔土居忠博スポーツ・文化部長登壇〕
○(土居忠博スポーツ・文化部長) 四国遍路の
世界遺産登録に向けた取り組みについてお答えいたします。
現在の世界遺産の総数は1,073件、このうち日本では21件が登録されており、その中で今後、四国遍路が世界遺産に登録されるためには、まずは登録の前提となる国の暫定一覧表への記載が必要であります。このため、四国4県と58の市町村、霊場会、経済団体や大学等の関係者で構成する「四国八十八箇所霊場と遍路道」
世界遺産登録推進協議会が中心となりまして、登録のための課題とされている構成資産の保護措置の推進及び顕著な普遍的価値の証明に取り組んでおります。
本県では、まず、構成資産の保護措置として、関係する13市町と連携しながら、これまでに横峰寺、龍光寺、三角寺奥之院道などの札所や遍路道について史跡指定を進めております。
また、顕著な普遍的価値を証明するために、四国内の7つの大学や世界遺産の専門家の御協力もいただきながら、海外や国内の同種の資産との比較を通じて、過去から未来に続く巡礼文化の独自性、普遍的価値の理論構築等にも取り組んでおります。
地域の宝である四国遍路が、世界遺産に登録され、人類共通の遺産として次の世代に継承されることは地域にとって大きな誇りであり、また、国内外へアピールできる観光資源にもなりますことから、まずは暫定一覧表への記載に向けて史跡指定等の取り組みを加速するとともに、スペインガリシア州との協力協定や四国4県持ち回りでの国際シンポジウムなどを通じて、今後も機運醸成を図ることとしております。
以上でございます。
○(田所竜二農林水産部長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 田所農林水産部長
〔田所竜二農林水産部長登壇〕
○(田所竜二農林水産部長)
ブランド畜産物の販売強化についてお答えをいたします。
産品のブランドを確立し、販売拡大を実現するためには、生産と販売の両面からの振興策をバランスよく展開する必要がありますことから、県では、品質の高い位置での平準化や安定供給を確立することで産品の信頼性や消費者評価を高めますとともに、県内の量販店や飲食店に軸足を置いた営業活動に努めてまいりました結果、媛っこ地鶏は全国13位の6万羽、愛媛甘とろ豚も8,000頭規模の年間出荷実績を上げるまでに成長してまいりました。
しかしながら、近年、県内販売が飽和状態となり、出荷数が横ばいとなる中、今後、全国ブランドとして一段の飛躍を図るためには、強豪がひしめく県外市場へ本格的に打って出る必要がありますことから、県では、媛っこ地鶏につきましては、久万高原町での産地化など、年間8万羽出荷を目指した生産拡大に着手いたしますとともに、関西圏の飲食店をターゲットとした営業活動を強化しており、また、愛媛甘とろ豚につきましても、年間1万頭出荷を目標に掲げ、昨年度から北関東の量販店や大手飲料メーカーとの共同販促活動に取り組んでいるところでございます。
一方、
愛媛あかね和牛は、出荷頭数がいまだ限られる中、繁殖雌牛の導入や産地化支援など、当面は生産振興に全力で取り組むとともに、赤身がおいしくヘルシーな和牛肉というコンセプトに関心を持つ層への認知度向上にも努めることとしておりまして、3つの
ブランド畜産物それぞれの生産状況などを勘案しながら、適切な販売強化を図ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(杉本寧土木部長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 杉本土木部長
〔杉本寧土木部長登壇〕
○(杉本寧土木部長) 県管理河川における減災対策についての御質問にお答えをさせていただきます。
県では、河川改修によるハード対策を着実に進める一方、人命を守るためには住民の速やかな避難行動を支援するソフト対策も重要であると認識しており、これまで市町や関係機関と連携し、避難、水防体制を強化するとともに、県内の主要な河川の浸水想定区域図の公表やえひめ河川メール等により、水位、雨量等の情報を発信してきたところでございます。
さらに、九州北部豪雨など近年の水害の教訓を踏まえ、これまで水位計が設置されていない河川へ洪水時に機能する水位計を新たに導入し水位情報を拡充するほか、全ての県管理河川を対象に浸水実績などのさまざまな水害情報を網羅したマップを作成し、水害リスクの住民への周知、また、出水時に関係者が事前にとるべき防災行動を取りまとめたタイムラインの策定、市町長とのホットラインの構築など、住民の避難支援を強化することとしております。
今後とも、ハード対策に加え、市町や関係機関と連携し、ソフト対策の充実を図り、洪水からの逃げおくれゼロを目標に県管理河川における水災害から住民の安全・安心を確保するための減災対策を積極的に進めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(
鈴木俊広議長) 暫時休憩いたします。
午前10時49分 休憩
――
―――――――――――――――
午前11時5分 再開
○(
鈴木俊広議長) 再開いたします。
質疑を続けます。
○(黒川洋介議員) 議長
○(
鈴木俊広議長) 黒川洋介議員
〔黒川洋介議員登壇〕
○(黒川洋介議員) (拍手)自民党志士の会・無所属の会の黒川洋介です。
質問に先立ち、去る6月15日御逝去されました故寺井修議員に対し、深く哀悼の意を表しますとともに、心から御冥福をお祈り申し上げます。
さて、日本を取り巻く環境は大きく変化をしており、昨年来、アメリカファーストの勢いが増す中、ヨーロッパの政治の混乱、ロシアや中国の動き、また、北朝鮮の動向など、先行きの不透明感が広がっております。そのような中、6月12日、米朝首脳会談がシンガポールで開催され、共同声明に署名されました。これにより、拉致問題の解決、朝鮮半島の完全な非核化等が具体的に実施され、北東アジアの安定と平和が確保されることを望みます。
国内においても社会の不安が拡大しているように感じます。国連が発表している世界の幸福度調査によりますと、日本は54位と前回から3つ順位を落とし、日本人は、現在及び将来の生活に対して大きな不安を抱いていると評価されております。世界における日本のGDPは3位、輸出総額は4位であるのに対し、各国の物価水準の差を修正した1人当たりのGDPは30位、公益財団法人日本生産性本部発表の1人当たり労働生産性は、OECD加盟国35カ国中21位で、G7では最も低い水準となっており、政府の新しい取り組みとして、生産性革命が打ち出されていることに大いに期待するところであります。
県内におきましても、人口減少に伴って、学校の統廃合、担い手不足、若者の流出により技術の伝承が困難となることが考えられ、多くの県民は、将来に対して不安を抱いております。私たち議員は、県民の安心と幸せを希求し、覚悟を持って次の時代につなげなければなりません。志を同じくする者相集い、力を合わせ、英知と勇気と情熱を持って取り組まなければなりません。それが今であると確信をいたします。
それでは、質問に入らせていただきます。
まず、今治市の
岡山理科大学獣医学部についてお伺いいたします。
去る6月6日に県議会の総務企画委員会と農林水産委員会合同で、本年4月に開学した獣医学部の新しいキャンパスを訪れる機会を得ました。当日は、あいにくの雨模様で、時間も1時間程度しかありませんでしたが、視察では、まず、獣医学部長の吉川先生から獣医学部の理念や学生の状況、施設の概要などについて説明を受けました。その後の質疑では、地域貢献に力を入れたいとのお話があり、地域住民との交流や地元の鳥獣害対策などに取り組むこととしているほか、キャンパス内の食堂や図書館を市民に開放しており、これまで1日当たり平均100人の方の利用があるともお聞きいたしました。大変心強く感じたところでございます。
その後、駆け足で施設を見学させてもらいましたが、約300人が一度に講義を受けることができる講義室や学生相互の交流を図ることができるオープンな研究スペース、人が使用するものと変わらない高度な医療機器など、獣医学教育のため最先端の施設、設備が整備されておりました。また、時間の都合で見ることができませんでしたが、立派な体育館やグラウンドが配置されており、周囲の緑豊かな環境とあわせて充実した学生生活を送ることができるものと確信いたしました。
そして、何より今回の視察で心に残ったのは、真剣に勉学に励む学生の姿であります。私自身、大いに安堵するとともに、県議会としても、貴重な地域資源である獣医学部を最大限活用するため、前向きな視点で議論し、支援する必要性を強く感じた次第であります。
ところが本年4月以降、愛媛県職員が作成したメモが報道され、さらには、参議院からの要請により、県が提出した文書に記載されていた加計学園理事長と総理の面会について、実際にはなかったとして学園が県と今治市に謝罪するとともに、理事長が記者会見を行ったものの、昨年来のこの問題に関する国民の疑念が払拭できたと言える状況ではないと感じております。
言うまでもなく、今回のようなプロジェクトの推進に当たっては、関係者間の信頼関係が何にも増して大切であり、県と市に誤った情報を伝えた加計学園は非難されてしかるべきと思いますが、もとより獣医師等を目指して志を高く持ち入学した学生や熱心に教鞭をとられている先生方には何の非もなく、混乱を収拾して学問のための静ひつな環境を確保することが必要であると思います。
県としても、この獣医学部と手を携え、公務員獣医師の確保や若者の地元定着等を初め、関連企業の集積や
ブランド畜産物の振興など、ともに地方創生に向け取り組んでいくことが重要であると考えるのであります。
そこで、お伺いいたします。
今治市の
獣医学部新設をめぐる動きに関し、知事はどのような思いで対処されてきたのか、お聞かせください。
次に、四国一周サイクリングの推進についてお伺いいたします。
知事は、就任当初から自転車新文化を提唱し、瀬戸内しまなみ海道のサイクリストの聖地としての地位を確立するとともに、愛媛マルゴト自転車道の整備、サイクルオアシスの拡充等、サイクリングパラダイス愛媛の実現に向け、着々と取り組まれてこられました。
さらに、サイクリングアイランド四国の実現に向け、四国一周1000キロルートをその第一歩として設定されました。サイクリストにとって一周の魅力は、同じ場所を通らないという楽しみや目標のわかりやすさに加え、何といってもやり遂げた際の達成感であります。
国内においては、東京湾や琵琶湖、四国では小豆島など、地域色を生かした一周ライドのコースがサイクル雑誌でも特集されるなど関心が高まっております。また、観光客にとっては、4県固有の自然や食、観光資源に加え、1200年の歴史を有する四国遍路のおもてなし文化に触れることができるという独特の魅力があり、買い物を楽しむモノ消費から地域の伝統文化や体験を楽しむコト消費にシフトしている中において、四国一周サイクリングは、時宜を得た取り組みであると考えております。四国一周は、四国4県の連携が必要不可欠であり、いち早く自転車新文化を提唱した知事にリーダーシップを発揮していただき、4県共通のルートの環境整備やプロモーションを行うことにより、四国、そして愛媛への人の流れをつくっていただきたいと思います。
そのような中、昨年度から四国一周にチャレンジするサイクリスト獲得のため、本県が先進的にチャレンジ1000㎞プロジェクトなど本格的な取り組みに着手されており、その効果が期待されるところであります。
そこで、お伺いいたします。
サイクリングアイランド四国の実現に向け、チャレンジ1000㎞プロジェクトの実施状況はどうか。また、今後、四国一周サイクリングの認知度向上にどのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
次に、本県のスポーツ振興についてお伺いいたします。
昨年秋に開催された愛顔つなぐえひめ国体・えひめ大会の成功は、県民にとりましてもあすへの大きな力となりました。県民の惜しみない支援と応援の力、スポーツ文化に対する地位の向上、ジュニアアスリート育成の大切さ、トップ選手は異口同音に、これまで支えてくれた皆様に対する感謝の気持ちとこれからもより一層の応援をお願いしますとの言葉が印象的でした。えひめ国体を体験して今思うのは、ジュニア育成の大切さであります。まさに国体のレガシーとして、より一層取り組まれることを期待いたしております。
本県では、世界で活躍するアスリートの育成を目指すえひめ愛顔のジュニアアスリート発掘事業を実施しており、昨年度の修了式では、修了生から、タイトなプログラムであったが、このプログラムを通して充実した日々を送ることができたとの感想や、今後は、オリンピック出場を目指し励みたいとの抱負が笑顔で語られました。今年度は、小学5年生から中学3年生までの計147人の育成プログラムが開始されております。日本を代表する元選手やトレーナーの指導を受け、夢を形にすべく努力する子供たちから元気と勇気をいただきました。
また、えひめ大会で育まれた県民のぬくもりを生かして、障がい者スポーツの充実、裾野拡大に取り組むとともに、県民がさまざまな形でスポーツに親しむことができるよう環境整備を進めていただきたいと思います。
このような中、今年度、スポーツ・文化部は2局4課体制でスタートいたしました。スポーツ局は、これまでえひめ国体推進局や教育委員会、企画振興部、保健福祉部で担ってきた役割を一元化し、スポーツに親しむための県民運動の推進や障がい者スポーツの振興に一体的に取り組むこととされており、大いに期待するところでございます。
そこで、お伺いいたします。
今後の愛媛スポーツの振興にどのように取り組むのか、お聞かせください。
東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿誘致についてお伺いをいたします。
2020年の東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会、略して東京オリパラと称されますが、開催まであと2年余りと迫ってまいりました。東京オリパラは、世界最大のスポーツイベントであり、東京都の発表では、全国に及ぼす経済効果は、招致が決まった2013年から大会10年後の2030年までの18年間で約32兆3,000億円、全国の雇用増加数は約194万人と試算をされております。また、スポーツの持つ力により、共生社会や健康長寿命社会の実現、地域の魅力向上や活性化につながり、幅広く社会全体に活力をもたらすものと期待をされているところでございます。
本県では、えひめ国体・えひめ大会において、選手の応援やボランティアスタッフ、民泊への協力など、多くの皆様にさまざまな形でかかわっていただきました。県民のスポーツに対する関心や意識がこれまでになく高まっていることに加え、県内の競技施設や設備の整備が進み、開催された競技が地域に徐々に根づいてきており、まちづくりの核となる兆しが見受けられるようになってまいりました。
こうしたえひめ国体・えひめ大会のレガシーを活用して東京オリパラの事前合宿を誘致し、その開催効果を取り込むことは、スポーツ立県えひめを目指す上で極めて重要と考えており、世界トップレベルの選手のプレーが間近で見られること、県民が海外選手と交流し、応援することで国境を越えたきずなが育まれること、また、相手国、地域における本県の認知度が向上することにより、インバウンドの拡大や経済波及効果にとどまらず、東京オリパラ後も新たな分野での友好、交流関係が構築されることなど、非常に大きな効果が期待をされます。
このため、県においては、これまでの交流実績や人的コネクション、競技レベル等を勘案し、ターゲットとすべき国や競技を見きわめ、戦略的かつ効果的な誘致活動に取り組んでこられたところであり、先般、本県第1号となるマレーシアのバドミントンチームの誘致が決定をしたことを大変うれしく思っております。メダルの期待がかかる強豪チームの誘致に成功したわけですから、関係者が協力して受け入れ体制の構築に万全を期すことはもとより、誘致の効果が最大限に発揮されるような取り組みを期待するとともに、多くの国、地域の事前合宿の受け入れが実現するよう、誘致の取り組みを加速させてほしいと思うのであります。
そこで、お伺いいたします。
東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿誘致に向けた取り組みの状況はどうか、お聞かせください。
次に、小学校の運動会の開催時期についてお伺いいたします。
新居浜市の小学校では、運動会を秋から春に移行して初の春季運動会が実施されました。春のよき日、天候にも恵まれ、私の地元の新居浜市立宮西小学校では、「赤き太陽 白きいなずま 仲間を信じて 宮西魂 見せつけろ」をスローガンに、元気いっぱいの競技が展開されました。開催時期の変更については、地域の校区運動会やスポーツ大会など、タイトな日程が心配されるとともに、新入生入学から2カ月足らずで学校生活になじんでいない時期の大会に不安があるなど幾多の懸念がありましたが、児童のためにどのように取り組むのかを考え、地域や関係者の理解をいただき、実施することができました。
春季運動会については、練習時間が確保できた、秋に比べ天候が安定している、熱中症の心配がない時期である、新入生は運動会の練習を通して学校生活によりなじむことができたなど、前向きな意見を多くいただきました。その一方で、新任者にとっては、授業づくりや学校業務にふなれな上、新任者研修等もあり、時間的な余裕がないとの意見もありました。
そこで、お伺いいたします。
春季への移行を含め、小学校の運動会の開催時期についてどのように考えているのか、お聞かせください。
次に、東予東部圏域振興イベントえひめさんさん物語についてお伺いいたします。
もともと小さな農漁村であった新居浜市に、元禄4年、1691年、別子銅山が開坑、日本三大銅山の一つとして発展をしてまいりました。その後、1973年に閉山するまで283年にわたり、幾多の困難を乗り越え、産銅量65万tを誇り、日本の発展に寄与してまいりました。その間、新居浜市もともに大きく発展をしてまいりました。
平成28年1月、別子銅山の近代化の祖である広瀬宰平と伊庭貞剛の奮闘を描いたドラマ「百年の計、我にあり」が放映されました。子供たちは、このドラマを見て、どんな困難にも立ち向かい行動する先人の思いに触れ、夢を持ち、郷土を愛することのすばらしさを再認識するとともに、今の新居浜に対する思いを新たにし、これからも日本、世界のために何ができるか考え、行動していきたいとの熱い気持ちが生まれております。
別子銅山の産業遺産を後世に伝える取り組みとして、新居浜南高校では、平成22年に四国初のユネスコスクールに認定され、その魅力を世界に発信しております。
県では、来年度、ものづくり産業と海やまちに降り注ぐ太陽、暮らしを見守るようにたたずむ山脈をテーマに、東予東部圏域振興イベントを開催するとされており、大きな期待を寄せているところでございます。このイベントえひめさんさん物語は、ものづくりと自然をテーマとし取り組むことはもとより、新居浜市、西条市、四国中央市、計32万人が市境を越え取り組むものであり、大変意義深いものと思っております。
そこで、お伺いいたします。
えひめさんさん物語が、来年4月から11月までの219日間開催されるとお聞きをいたしておりますが、地域の皆さんがみずから魅力や誇りを創出し、継続することが大切と思います。えひめさんさん物語の準備状況と今後の取り組みはどうかお聞かせください。
次に、県内企業のICT活用支援についてお伺いいたします。
1989年に商用インターネット接続が登場し、その10年後の2000年のインターネット利用者は2億3,500万人でしたが、現在は35億人であり、世界の人口の半分以上に普及をしております。インターネットの急速な普及により、距離、時間、位置に影響されない通信手段が確立され、コンピュータや通信技術の総称であったITという言葉にコミュニケーションを含んだICTという言葉が普及をしております。
ICTは、スマートフォンなどの登場で操作しやすくなり、インターネットが普及して、いつでもどこでも使える上、クラウドサービスによりソフトウエアを所有せずに各種システムが安価に使えるなど活用しやすくなってきておりますが、中小企業ではICTの導入がまだ進んでいないと言われております。
人口減少社会を迎え、生産年齢人口が減少する中、持続的な経済発展を維持するためにも、先進国に比べ低水準にある労働生産性の向上が不可欠であります。労働生産性の向上には、合理的かつ効率的な働き方が求められます。そこで、有効なツールとして、AI、IoT、ビッグデータなど新しいICTがあり、これらは新たな付加価値の創出にもつながるものと確信をいたしております。
松山商工会議所が公表したICTの利活用状況調査では、県内企業がICT導入で期待する効果と実際の効果に差が見られ、売り上げの拡大や利益の向上については期待が実際の効果を上回った一方で、従業員の能力向上や生産性の向上については、実際の効果より期待が低くなっております。
また、県内企業のAI、IoT、ビッグデータの導入に向けた取り組み状況は、導入が0.9%、検討中が6.3%、導入予定なしが92.8%となっており、県内企業のICTの導入への取り組みや意識は低い状況にあります。
県では、今年度、AI、IoT等の県内企業への導入促進に向け、産学金官によるコンソーシアムの設置、運営をするなど、活力ある産業づくりに取り組むこととされており、中小企業における人手不足が深刻さを増す中、このようなICT化への支援を行うことは、時宜を得たものであると思います。
そこで、お伺いいたします。
県では、中小企業における生産性の向上と付加価値の創出に向け、ICTの活用をどのように支援していくのか、お聞かせください。
最後に、事業承継の取り組みについてお伺いいたします。
経営者の平均引退年齢は70歳前後ですが、今後、10年で70歳を超える中小企業、小規模事業者の経営者は約245万人、その約半分の127万人は後継者未定と言われております。事業承継問題をこのまま放置すれば、2025年ごろまでの10年間累計で約650万人の雇用と約22兆円の国内総生産が失われる可能性があるという衝撃的な試算を中小企業庁がはじき出しました。大量廃業危機が目前に迫る大事業承継時代を迎えた我が国にとって、いかに事業承継をスムーズに行えるかが経済成長の大きな鍵となっております。それには、事業承継における税制面及び後継者不足対策が不可欠であると思います。
税制面では、ことし4月1日から事業承継税制が拡充され、納税猶予となる対象株式数の上限を撤廃し、猶予割合が100%に拡大されるとともに、深刻な人手不足の現状を踏まえ、雇用維持の要件や対象者の制限が緩和されるなど、今後10年間に限って贈与税、相続税の負担軽減が図られることとなりました。
一方で、県商工会連合会が全会員企業を対象に実施した県内中小企業の事業承継の実態調査では、回答企業の5,448社の45%に当たる2,447社が自分の代での廃業を考えており、そのうち5年以内の廃業が28%を占める状況となっております。
また、えひめ産業振興財団が、県内商工会議所等と連携して、経営者が65歳以上の県内企業622社を対象に実施した事業承継診断では、業績動向を良好とした95社のうち28社、29.5%が後継者不在と回答しており、税制が拡充されても後継者がいなければ廃業を余儀なくされる状況の中、円滑な事業承継を後押しするためには、後継者不足への対策を強化すべきと考えます。
そこで、お伺いいたします。
県では、県内中小企業の円滑な事業承継に向け、どのように取り組んでいるのか、お聞かせください。
冬季オリンピック平昌オリンピックでは、日本のすばらしい活躍が記憶に新しいところです。女子カーリング競技において、そだねーが話題になりました。試合後、北見出身のカーリング選手、吉田知那美選手は、正直このまち何もないよねと会場を笑わせた後、私もこのまちにいても絶対夢はかなわないと思っていた、だけど、今はこのまちにいなかったら、夢はかなわなかったと思うと涙声で語られました。会場に集まった大勢の子供たちを見詰めながら、たくさん夢はあると思うけど、大切な仲間や家族がいれば夢はかなう、場所なんて関係ないと力強く語り、場内から大きな拍手が送られました。
この言葉は、地方がもっと誇りと自信を持ち取り組むことで必ず未来は開けるとの熱いメッセージと受けとめ、これからも
愛媛県議会議員として愛媛県政発展に向け、努力することをここにお誓い申し上げます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○(
鈴木俊広議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(
鈴木俊広議長) 中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 黒川議員に、まず、獣医学部についての御質問にお答えをさせていただきたいと思います。
獣医学部の新設につきましては、加戸前知事の時代から、今治市の強い意向を受けてバックアップしてきた経緯があり、半世紀近くも続く国の設置規制が首相主導の国家戦略特区という形で岩盤が切り開かれ、今日に至っていると認識しており、長年の悲願がかなったということで開学を歓迎するとともに、入学した学生の皆さんが、国際水準の獣医師を目指して勉学に励み、第二のふるさととして今治での学生生活を満喫することを心から願っているところでございます。
ただ獣医学部の新設をめぐる動きにつきましては、私は、本県がかかわったものは可能な限りオープンにして、一つ一つ正直に対応することが県民の皆さんから負託を受けて県政をあずかる者の責務であると肝に銘じて行動してきたところでございます。
ことし4月以降の一連の動きを振り返りますと、4月9日に報道されました平成27年4月2日の首相官邸への訪問結果につきましては、当時の担当者に確認をし、私への口頭報告のための個人用メモとして作成したことが判明したため、速やかに翌日、臨時記者会見を開き、発表したものでございます。
また、5月10日に国会へ参考人招致されました元首相秘書官の発言の一部には、本県に対する信頼にかかわることが含まれていたため、反論する必要があると思い、翌日、首相官邸訪問時に職員が交換した元秘書官の名刺と説明内容を書き起こしたメモを公表したものでございます。
さらに、参議院予算委員会から与野党合意の上、官邸訪問に至るまでの経緯を含む文書、メモ等の提出要請があり、また、途中で督促もございましたので、再度担当課に限らず、かつ個人ファイルを含めて探した結果、見つかった全ての書類について、個人情報の取り扱いに十分に注意をするよう付記して5月21日に参議院に提出したものでございます。
その後、学園から首相との面会は虚偽であったとの突然の発表、翌週の学園担当者による県への報告と謝罪、数週間置いて理事長による緊急記者会見へと続きましたが、いまだ不透明感は残ったままであることは否めません。理事長は、緊急記者会見の際、もう少しきちんとした形で会見等を行うことを検討したいと述べておりまして、当然のことながら、改めて記者会見がオープンな形で開かれるものと思っています。
今後、学園では、国から毎年、私学助成金などの支援を受けることになりますから、コンプライアンスの確立を最優先に取り組んでいただくことが、結果的に学園そのものの信頼確保や学生の皆さんが勉学に集中できるような環境の整備につながるものと確信をしておりますので、適切な対応を心から願っているところでございます。
次に、東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿誘致に向けた取り組みについての御質問でございます。
事前合宿の実現は、愛媛の子供たちに夢や希望を届けるとともに、本県経済や文化の国際交流の促進、愛媛を世界に発信する絶好の機会にもなりますため、これまで相手国との交流実績や県内受け入れ体制等も勘案しながら誘致活動に取り組んでまいりました。
その結果、第1弾として、これは私自身が、知事というよりも県バドミントン協会の会長として交渉させていただきましたマレーシアバドミントンチームの事前合宿が正式に決定しまして、来月7月27日にマレーシア現地で基本合意書を調印する運びとなりました。
今後は、県、関係市町、競技団体等で実行委員会を組織し、快適な練習環境の提供はもとより、ハラール対応の食事の用意、体調ケアの支援、ジュニア選手による学校訪問など、愛媛とマレーシアとのきずなが一層深まるよう万全の準備をして臨んでいきたいと思います。
また、県と松山市が取り組む台湾の野球、西条市が進めるオーストリアのスポーツクライミングに続いて、近々マレーシアのバドミントンや、黒川議員が県ウエイトリフティング協会の会長を務められ、新居浜市と誘致を目指すサウジアラビアのウエートリフティングについても、国のホストタウン登録が認められる見通しでございます。
さらに、先般、モザンビークの代表選手の受け入れについて、同国オリンピック委員会から、駐モザンビーク全権委任大使を通じて申し出があったほか、東京オリンピックでの活躍が期待されます男子7人制ラグビー日本代表候補の短期合宿が来月7月17日から実施されることが決定するなど、さまざまな合宿誘致が具体化しつつあることから、今後は、県と市町が一体となった受け入れ体制を構築し、誘致と合宿支援の両面にわたりまして、オール愛媛で積極的に取り組んでいきたいと思います。
その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えをさせていただきます。
○(西本牧史企画振興部長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 西本企画振興部長
〔西本牧史企画振興部長登壇〕
○(西本牧史企画振興部長) 四国一周サイクリングの推進に関する御質問にお答えをいたします。
サイクリングアイランド四国の実現に向け、昨年11月から始動したチャレンジ1000㎞プロジェクトは、四国一周を目指すサイクリストを登録し、完走者には完走証などを交付して四国一周サイクリングの認知度向上を図るものでありまして、5月末の登録者数は700名を超え、完走者は48名に達するなど、四国が有する高いポテンシャルを実感しているところでございます。
今年度は、四国遍路結願後の高野山参りを参考に、完走後には、サイクリストの聖地しまなみ海道を訪問する仕組みを構築するとともに、海外にもターゲットを拡大し、ホームページの多言語化による情報発信の強化を図るほか、昨年度に引き続き、若者目線で四国の魅力を発信する若者応援プロジェクトを実施したいと考えております。
また、先般の四国知事会議では、知事から、3県知事に対し、四国一周ロゴをデザインしたヘルメットとウインドブレーカーを配り、ともにPRしていくことを確認したほか、4県で構成するサイクリングアイランド四国推進協議会におきましても、路面案内ピクトの統一デザインや、全国最大規模の自転車展示会への出展を決定しておりまして、今後とも引き続き本県が牽引役となって、4県が連携した環境整備やPR活動に取り組み、四国一周サイクリングの認知度向上に努めてまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(土居忠博スポーツ・文化部長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 土居スポーツ・文化部長
〔土居忠博スポーツ・文化部長登壇〕
○(土居忠博スポーツ・文化部長) 今後の愛媛スポーツ振興についてお答えいたします。
えひめ国体・えひめ大会の開催によりまして、県民のスポーツに対する関心が格段に高まり、地域が大いに盛り上がるなど、スポーツの持つ力を改めて認識したところでございまして、県では、両大会で得られたレガシーを継承、発展するため、今年度からスポーツ・文化部を新設したところでございます。
これによりまして、世界を目指すトップアスリートやパラアスリートの活動支援、国体など全国レベルの大会に向けた競技力の強化、次の世代を担うジュニアアスリートの発掘育成、障がい者スポーツの裾野拡大、シニア版の国体と言われる日本スポーツマスターズ2020の開催、レクリエーションスポーツの普及促進、プロスポーツの振興やスポーツを通じたまちづくりなど、これまで各部局がそれぞれに所管していたスポーツ関連施策を一元化して効果的に取り組むことが可能となりました。
さらには、全国規模の大会の誘致や東京オリンピック・パラリンピックの事前合宿誘致などを積極的に進めることで、県民の皆様にスポーツの多彩な魅力を実感していただく機会の提供に努めるなど、市町や関係団体との連携のもと、各般にわたるスポーツ振興施策に果敢に取り組み、スポーツ立県えひめの実現を図りたいと考えております。
以上でございます。
○(田中英樹経済労働部長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 田中経済労働部長
〔田中英樹経済労働部長登壇〕
○(田中英樹経済労働部長) 3点お尋ねをいただきました。
まず、えひめさんさん物語についてお答えをいたします。
石鎚山等の山々やものづくり産業の集積等を生かし、東予アクティブライフの創造を目指す広域振興イベントえひめさんさん物語については、本年3月に策定した実施計画において、実行委員会が実施する6話編成のコアプログラムと、地元住民や企業等が主体的に企画、運営するチャレンジプログラムの構成等が決定したところでございます。
コアプログラムは、先日、委託事業者を決定し、工場を舞台にアートイベントを繰り広げるさんさん都工場芸術祭など個々のイベントの準備作業に着手したところであり、チャレンジプログラムについても、既に応募のあった企画提案をもとに、今月30日に1回目の企画相談会を開催し、磨き上げを図ることとしております。
また、本年9月には、プレイベントとしてコアプログラムの一部試験実施や、それまでに練り上げられたチャレンジプログラムの内容発表等を行うことで、機運醸成に加え、本番に向けた課題等を洗い出したいと考えております。
今後、地元3市とともに、地元住民等の熱意や主体性を引き出しながらコアプログラムの詳細設計やチャレンジプログラムの掘り起こしを進め、圏域でのさらなる機運醸成を図りますとともに、関西圏等をターゲットにした効果的な広報宣伝活動を展開し、県外観光客の誘致につなげることにより、イベントの成功へ導いてまいります。
次に、企業の生産性向上に向けたICTの活用支援についてお答えいたします。
少子高齢化が進展し、生産年齢人口が減少する中、本県の産業活力を維持、拡大するためには、労働者1人当たりの付加価値生産力を高める必要がありますことから、県では、県内中小企業に対しますIoTやビッグデータ、AI等を含むICTの導入支援に力を入れて取り組んでいるところでございます。
現在、各産業支援機関と協力して、国が平成29年度の補正予算で事業化しました総額500億円のIT導入補助金の活用を県内企業に強く働きかけており、既に第1次公募で100を超える企業が採択を得ておりますほか、国、県、中小企業団体中央会が共同でIoTやAI等の導入支援ができるインストラクターを育成し、中小企業のものづくり現場等へ派遣する事業にも取り組んでいるところであります。
また、ことし8月には、IoTやAI等の推進に向けた産学金官によるコンソーシアムを立ち上げ、オール愛媛での導入機運の醸成や、新たな製品、サービスの開発に向けた企業と大学との共同研究の橋渡し等にも取り組むこととしておりまして、今後ともICTの導入、活用による中小企業の生産性の向上や付加価値の創出を積極的に支援し、本県経済の活性化につなげてまいります。
最後に、企業の円滑な事業承継についてお答えいたします。
後継者不足等による県内企業の事業承継問題の解決は、本県の産業活力の維持、拡大にとりまして極めて重要であり、これまで県では、事業承継資金の保証料を全額補助するなどの金融支援に加えまして、えひめ産業振興財団と協力して、商工団体や金融機関等38機関で構成する愛媛県事業承継ネットワークを組織し、企業に対する事業承継診断等の実施に取り組んできたところでございます。
また、今年度から、財団の専門家コーディネーターを2名から6名に増員して体制強化を図り、今回、事業承継に係る贈与税、相続税の納税猶予等の優遇措置が拡充されたことも踏まえまして、県内企業を直接訪問いたしまして、親族内承継を前提とした事業承継計画の作成やM&A等の第三者承継など、企業の実情に応じた伴走型の支援の充実に取り組んでいるところでございます。
今後とも金融機関や税理士会等との税制改正セミナーの共催等によりまして気づきの機会を提供いたしますとともに、後継者が決定している企業には、税制措置による承継支援を図り、後継者等を探している企業には、事業引継ぎ支援センター等への適切な橋渡しを行いますことで円滑な事業承継を促進し、本県経済の活性化につなげてまいります。
以上でございます。
○(井上正教育長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 井上教育長
〔井上正教育長登壇〕
○(井上正教育長) 小学校の運動会の開催時期についてお答えをさせていただきます。
小学校の運動会は、全校や学年の児童で協力し、よりよい学校生活を築くための体験的な活動を通じて責任感や連帯感を涵養し、運動に親しむ態度の育成や体力の向上に資する重要な学校行事であり、開催時期は、各学校におきまして、児童の安全や気候条件、学校・地域の行事等を総合的に勘案しまして、学校長が決定をしているところでございます。
県内の公立小学校におけます最近の開催状況といたしましては、平成28年度は283校中18%の51校が5月開催でございましたが、29年度は278校中26%の73校が、今年度は274校中31%の84校が5月開催となっておりまして、主に熱中症対策を理由として、秋から春の開催に移行する学校が増加している傾向にございます。
県教育委員会といたしましては、運動会は、学校や地域の実情に応じて、保護者や地域とも十分協議しながら、児童にとって最も適切な時期に開催されることが望ましいと考えておりますが、近年、厳しい残暑により運動会中に熱中症となる事案もありますことから、市町教育委員会等に対しまして、児童生徒の健康と安全に配慮した運動会が行われるよう、開催時期の変更も含めた検討などを要請してきたところでございまして、引き続き必要に応じ、学校等に助言、指導を行ってまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(
鈴木俊広議長) 休憩いたします。
午後1時から再開いたします。
午前11時55分 休憩
――
―――――――――――――――
午後1時 再開
○(
鈴木俊広議長) 再開いたします。
質疑を続けます。
○(古川拓哉議員) 議長
○(
鈴木俊広議長) 古川拓哉議員
〔古川拓哉議員登壇〕
○(古川拓哉議員) (拍手)愛媛維新の会の古川拓哉です。
質問に先立ちまして、去る6月15日に御逝去されました故寺井修議員に対しまして、謹んで哀悼の意を表するとともに、御冥福をお祈り申し上げます。
初心忘るべからずとは、およそ600年前に能を大成した世阿弥の花鏡という伝書に書き残されている言葉であります。一般的には、初めの志を忘れてはならないという言葉で使われています。私自身、県民の代表として、そして県政を担う議決機関の一員としての重責を果たさなければならない立場であります。その責任を全うするためには、初めて県民の負託を受け、当選させていただいたときの熱い思いを常に胸に抱き、本県の輝かしい歴史と伝統に今後、さらなる人間の英知と創意を加え、その上で次の時代を担う人々にどのように継承すべきかを考えていかなければならないと初心に返る思いを強くしているところであります。そして何より県政のさらなる発展を目指すには、まずは県民との信頼関係をしっかりと築くことが重要です。今後も、初心を忘れず県民の皆様の声を聞き、正直な心で自分の信じる道をしっかりと歩んでいきたいと思っています。
それでは、質問に入らせていただきます。
まず初めに、
岡山理科大学獣医学部についてお伺いいたします。
半世紀以上にわたり新設が認められてこなかった獣医学部がついに今治市に開学し、4月3日には入学宣誓式が行われ、獣医学科の147名、獣医保健看護学科の39名が充実した教育研究施設において学生生活をスタートさせました。学生たちは、夢の実現に向けて希望に胸を膨らませ、勉学に励んでいることと思います。
しかし、国会ではいまだにいわゆる加計問題が続いています。学生や保護者、関係者の方々の胸のうちはどうでしょうか。先日、加計理事長と首相との面会は虚偽の報告であったと加計学園職員が県と市に謝罪し、加計理事長本人も、この問題が明らかになって初めて公の場で会見されましたが、記憶にない、記録にないでは真相が明らかになったとは到底言えず、いまだに国民の間にもやもやした感じは残っております。中村知事がおっしゃるとおり、関係者の方それぞれが正直にありのままを説明すればすぐに真相は明らかになると思います。この4月に入学された学生や教員の方々のことを一番に考え、一刻も早く論争を収束させ、安心して学問に取り組める環境づくりを進めていただきたいと望むものであります。
去る4月24日に県議会の地方創生・
産業基盤強化特別委員会において、吉川獣医学部長から、獣医学部の現況と今後の取り組みについての貴重なお話を拝聴する機会に恵まれました。説明の中で、
岡山理科大学獣医学部の理念は、ワンワールド、ワンヘルス、ワンメディスンであり、具体的には、地球上の生き物は一つの世界に生きており、人だけでなく家畜や野生動物も含め健康は一つであり、さらに動物の医学も人の医学も目的やゴールは一緒で、一つの医学であると伺いました。
私なりにこの理念をわかりやすく表現すれば、かけがえのない地球に住む生き物として、パートナーである人と動物がともによりよく生きる、よりよく食べる、よりよく暮らすためにどうするべきかを新たな視点で研究するというのが、この獣医学部におけるミッションであると思うのであります。
また、獣医学部には獣医師養成のための獣医学科とそのパートナーとなる獣医関連専門家の養成のための獣医保健看護学科の2つの学科があり、1、ライフサイエンス、2、公共獣医事、3、医獣連携獣医療の3分野を明示して教育するほか、国内最大級の87人の専任教員を配置するなど、従来の獣医学部にはない特徴があるとの説明もありました。
さらには、地域貢献にも力を入れたいとのことで、地域コミュニティ交流プログラムとして、1、地域住民を対象とした公開講座、2、地元高校の生物系クラブとの交流、3、地域ボランティア活動等を学生が主体となって企画し実施するというお話もお聞きし、将来の職業人あるいは地域のリーダーとなるための人材育成にも熱心に取り組まれていることを大変心強く感じたところでございます。
このような獣医学部が開学することにより、地域の活性化はもとより、感染症の水際対策や食の安全・安心の向上など、その恩恵は地元である今治市にとどまらず、県や四国全体に及ぶものと期待しており、地域に根差した世界に冠たる獣医学部となるよう、県としてもバックアップしていく必要があると考えます。
そこで、お伺いいたします。
県では、新設された
岡山理科大学獣医学部にどのような効果を期待しているのか、お聞かせください。
次に、子供医療費の助成についてお伺いします。
子供医療費の自己負担は、もともと国の制度では、未就学児は2割、就学後は3割負担でありますが、子供に必要な医療が安心して受けられるよう、全国全ての地方自治体において自己負担を減免する子供の医療費助成が行われております。これは地方単独事業でありますので、各市町村の財政力や人口規模等の違いを反映して、助成水準に格差が生じております。県内各市町の子供医療費の助成制度を見てみますと、入院は全ての市町で中学生まで無料化されておりますが、通院については無料化の対象が中学生までのところが多いものの、一部は就学前までとなっており、県内でも居住地によって助成対象等に差が見られる状況となっております。
先般、松山市議会のみらい松山、フロンティアまつやま、民社クラブの議員が知事に対して子供医療費に対する県費補助の引き上げを求める要望書を提出したとのことでありますが、松山市の通院医療費の助成は就学前に限定されるなど、県内市町の中でも最も助成水準が低い状況にあり、少子化対策を進める上で子育て世帯に対する助成水準を引き上げたいとの思いからの要望と聞いております。
本来、子供の命を守るための医療制度に格差はあるべきではなく、子供医療費の助成は、国の責任において全国一律に実施すべきものと思いますが、国は逆に、地方の無料化または負担軽減措置に対して医療費の増高を招くという理由で、国民健康保険の国庫負担金等の交付額を減額するペナルティーを科してきたとのことであります。
しかしながら、私も対象となる年齢の子育てをしていますが、助成があるおかげで、けがをしたときや病気になったときに迷うことなく医療機関にかかることができると、保護者から喜びの声を聞く機会がよくあります。
深刻さを深める少子化の時代にあって、国には医療費助成を負担と捉える視点ではなく、子育てを社会全体で支えていこうという気概が必要ではないのでしょうか。国によるペナルティーは少子化対策に逆行するものであり、全国の地方自治体からの強い要望を受け、平成30年度から減額措置の一部が廃止されることとなりましたが、事、子供医療費助成制度に対する国の姿勢は極めて消極的であり、今後も地方が声を合わせて国による子供医療費の助成制度の創設を求めていく必要があると考えます。
そこで、お伺いします。
松山市を初め県内市町の状況も踏まえ、知事の子供医療費助成に対する考えはどうか、お聞かせいただきたいのであります。
次に、台湾との交流促進と定期航空路線開設に向けた取り組みについてお伺いいたします。
観光庁の統計によりますと、台湾から本県への延べ宿泊者数は昨年1年間で5万人を超え、県内を訪れる外国人観光客の国、地域別で最多となっているとのことであります。知事が第2期公約に掲げ、足かけ3年にも及ぶ交渉を経て誘致を実現し、成功に導かれた昨年の2017日台観光サミットin四国開催以降、本県と台湾との交流や定期航空路線開設に向けた動きが急速に拡大していることを大変うれしく思うとともに、今後の展開に期待しているところです。
特に台湾の大手航空会社エバー航空の李副社長がサミットに参加されたことがきっかけとなり、昨年11月に過去最大規模となる連続10往復のチャーター便が運航されたことを皮切りに、ことしの3月から5月にも16往復のチャーター便が運航され、いずれも高い搭乗率を確保したことは、台湾と本県の観光交流の拡大に寄与するとともに、今後の定期路線開設に向けた大きなはずみとなったものと考えております。
また、昨年6月、サミットに合わせて友好交流の覚書を締結した台中市との交流も活発に行われており、先日、中村知事も参加された2018日台観光サミットin台中では、林台中市長を初めとする台湾の各界要人と今後のさらなる誘客、交流促進について意見交換を行い、昨年のサミット開催に伴う来県時の歓迎晩さん会や視察ツアーに対して高い評価をいただいたと伺っております。加えて、台中市滞在中にジャイアント社の創業者である劉氏などとも面会されたとのことであり、自転車を通じた交流もますます進み、サイクリングアイランド四国の実現にも大きく寄与するものと心強く感じているところであります。
今後は、こうした交流をさらに積み重ねながら、観光やビジネスの飛躍的な拡大につながる定期航空路線の開設に全力で取り組む必要があると考えております。
エバー航空といえば、世界的に定評のある機関が発表する世界で安全な航空会社として常に上位にランクインされるとともに、機体や座席、機内食に至るまで丸ごとキティ仕様のハローキティジェットが一部の日台路線で運航されるなど、安全で楽しいフライトサービスが提供されており、県民の一人として一日も早い定期便化の実現を期待しているところであります。
こうした中、中村知事におかれましては、今回初めてエバー航空を訪問され、同社の副社長に対して定期便化に向けた交渉を行われたところでありますが、今後も引き続き県民の願いである定期便化の早期実現に向け、取り組んでいただきたいと思います。
そこで、お伺いいたします。
今回、知事は台湾を訪問されましたが、その成果はどうか。また、台湾とのさらなる交流促進を図りながら、定期航空路線の早期開設に向けどのように取り組んでいくのか、お聞かせください。
次に、えひめ愛顔のジュニアアスリート発掘事業についてお伺いいたします。
多くの県民に勇気と感動を与えた、愛顔つなぐえひめ国体が大成功をおさめた大きな要因の一つとして、過去最高の成績をおさめた本県選手団の活躍があったことは御承知のとおりであります。応援に駆けつけた競技会場での本県選手団による高いパフォーマンスと気迫あふれるプレー、天皇杯、皇后杯を目指して戦う姿に大きな感動を与えられたのは言うまでもありません。人間の持つ限りない可能性を再認識するとともに、一朝一夕にはいかない選手の育成を見事になし遂げられた各競技団体や指導者の方々に敬意を表すところです。
今後は、2020年7月24日から始まる東京オリンピックに向けて、県内にいるダイヤの原石を発掘し、いかにして磨き育て上げ、オリンピアン、トップアスリートを生み出すかに大いに期待と注目をするところでもあります。
そのような中で、愛媛から世界へのキャッチフレーズのもと、現在、4期生の募集を行っているえひめ愛顔のジュニアアスリート発掘事業は大変時宜を得たものであり、オリンピックを初めとする国際大会で活躍する本県出身のトップアスリートを輩出するという大きな夢の実現に向かって取り組む事業だと伺っております。
14年前より先行して行われている福岡県タレント発掘事業では、報道によりますと、これまでにプログラムを受講して巣立った修了生が本年1月時点で260人を超えるとのことであります。受講生になるためには3次にわたる選考会で合格する必要がありますが、事業の知名度も向上し、昨年度は1次選考会に約5万6,000人が集まり、枠の多い小学4年生でも35人前後の採用に対する競争率は約460倍となるなど、スタートラインに立つことすらままならない狭き門となっているそうであります。
しかしながら、タレント発掘実行委員会がまとめた2016年度までの競技成績によると、36人が国際大会に出場、52人が全国大会で優勝するなど、修了生からの初のオリンピック選手の誕生が期待されています。
本県でも、愛顔のジュニアアスリートに認定されると身体能力開発プログラムや専門プログラム、さらには各競技団体指導者の専門的な視点による適性の評価や体力特性等の情報を受け、より本人に合った競技の紹介を受けられるパスウェイプログラム、保護者へのサポートや県内外のトップコーチによる指導を受けることができます。
前回大会のリオデジャネイロオリンピックに参加した日本代表選手数は、男子174人、女子164人の合計で338人でした。2016年当時の人口を約1億2,600万人とすると、全国民の中でオリンピアンとなる確率は単純計算で男女合わせても0.00027%、およそ40万人に1人ということになります。さらに、裾野を広げ、オリンピック候補者も含めたトップアスリートということになっても数千人といった規模だと伺っています。豊かな才能の上にたゆまぬ努力を積み重ね続けても、トップアスリートとして活躍することができる選手は一握りだと改めて感じるところです。
一方で、アスリートとして目標や課題に向かって生き生きと競技に取り組む姿勢を持ち、各種プログラムを体験し育った子供たちは、人間的に大きく成長し、愛媛県にとってかけがえのない人材に成長してくれるものと信じています。競技においては思い描いた結果が伴わないこともあるかもしれませんが、本県出身者として各方面で活躍できるすばらしい人材を育成する事業になると感じています。本事業には、スポーツの世界だけにとどまらない、愛媛の次代を担う子供たちの成長という夢を重ね合わせ、大いに期待したいと思います。
そこで、お伺いします。
えひめ愛顔のジュニアアスリート発掘事業は4年目を迎え、現在、4期生の募集が始まっておりますが、これまでの成果とそれを踏まえた今後の展開についてお伺いいたします。
私も子育て現役世代であり、恥ずかしながら我が子には過度に期待をしてしまうものですが、頑張っている様子は競技のレベルを問わず可能な限り応援したくなるものです。子供たちの持つ無限の可能性をぜひ見出してほしいと願うところであります。
最後に、中学校における運動部活動についてお伺いします。
さきの2月県議会でも、我々の会派の兵頭竜議員より、本県の中学校における運動部活動のあり方をどのように考えるのかといった質問がなされましたが、改めてお伺いしたいと思います。
運動部活動のあり方についての議論は、教職員の働き方改革を出発点として、多忙をきわめる現場教職員の長時間労働が深刻化する一因として注目をされました。文部科学省が2016年に行った調査では、月80時間超相当の時間外労働をしている公立学校教諭は、小学校で約3割、中学校で約6割に上っており、学校現場の働き方改革は急務だと言われております。
また、生徒にとっては、活動中のけがのリスク等や少子化の進行に伴う学校単独の運動部活動の継続難の問題など、子供たちを取り巻く環境が大きくさま変わりをしている現状があることは、御承知のとおりであります。
そのことを受け、本年3月、スポーツ庁で義務教育である中学校段階の運動部活動を主な対象とし、原則として高等学校段階にも適用する運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインがまとめられました。事前に出された骨子案にも示されていましたが、運動部の活動時間については、学期中に平日と土日に各1日、週2日以上の休養日を設け、練習時間は長くても平日2時間程度、休日は3時間程度とすることを柱に、少子化の進行に伴って単独校でチームを組めない場合の複数校合同チームの設置など、持続可能な部活動の運営に向け、学校と地域のスポーツクラブとの連携や融合を進めるなど、学校単位にとどまらない新たな指針も盛り込まれました。
国のガイドラインを作成するに当たり、担当するスポーツ庁の有識者会議ではさまざまな議論がなされ、公表されている資料によると、議論の中で委員から、指針どおりの練習環境では五輪で活躍するようなアスリートは生まれない、夢を持って一生懸命やっている生徒や熱意のある教員の行き場が失われては本末転倒といった慎重な意見が出る一方で、やればやるほど、厳しければ厳しいほど育つという時代ではないと会議委員で柔道元世界女王の山口香氏は断言されていました。
確かに、我々が経験したような根性論で優秀な選手を育成しようとする時代ではなくなりました。現代ではあり得ないことかもしれませんが、かつてはとにかく耐え忍ぶことが能力の向上につながるとの信念のもと、ひたすら走り込みをさせられたり、炎天下での水分補給の禁止や、指導者や先輩からの愛情たっぷりの指導は当たり前で、それらを克服することが美徳のように教えられました。今では、指導法やトレーニング方法、それに伴う食事や休養のとり方も確立され、我々がスポーツに明け暮れた青春時代とは隔世の感があります。
当然ながら、運動部活動をしている生徒全てが高いレベルを保ち、その競技を将来の仕事として続けることが難しいことは言うまでもありません。それよりも、一つの共通する目標に向かって仲間と苦楽をともにして頑張る機会を持つことで、人として大きく成長することを願うものであります。
そこで、お伺いいたします。
本県においても、国の総合的なガイドラインの公表を受けて、本県版の方針が策定されたところです。これまで御説明させていただきましたように、本県の子供たちが夢や目標を持って活動できる機会を確保できるよう願うものでありますが、本県の中学校における運動部活動のあり方をどのようにお考えか、お示しください。
また、同ガイドラインでの運用では、目標や夢を持って一生懸命取り組んでいる生徒や熱意のある教員の行き場が失われてしまうのではないかと危惧するところであります。働き方改革ということであれば、本県が進めている部活動指導員を積極的に配置することで、負担軽減を図りながら、競技力の向上を目指すことも有効な手だてだと考えます。
先般、ある部活動の大会の応援に伺いましたが、試合中に観客席ばかり選手が見ているのでなぜだろうと思って聞くと、学校での部活動だけでは練習時間が足りないので、学校外で外部の指導者に教わっており、残念ながら顧問の教員よりも外部の指導者との信頼関係が深まっているため、困ったときには外部の指導者がいるところを見て指示を仰いでいるとのことでありました。
足らざる部分を外部に求めることは、現状ではいたし方のないことであることも理解できますが、生徒それぞれの個性を尊重するのであれば、部活動は学力ではない部分で生徒のよいところを見つけたり褒めたりできる場であり、生徒との信頼関係づくりの重要な場であると思います。また、生徒を指導する一方で教員の指導力向上の場であるとも伺っております。
そこで、お伺いいたします。
今後の運動部活動のあり方次第によっては、生徒と教員との信頼関係や教員の指導力など、これまで部活動を通して培われてきた部分が弱まることを危惧するところであります。このことに関して、県教育委員会はどのようにお考えなのか、お示しください。
以上で、質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
○(
鈴木俊広議長) 理事者の答弁を求めます。
○(中村時広知事) 議長
○(
鈴木俊広議長) 中村知事
〔中村時広知事登壇〕
○(中村時広知事) 古川議員に、まず、獣医学部についての御質問にお答えをさせていただきます。
4月の
岡山理科大学獣医学部の開学に伴いまして、全国各地から1期生として186人の学生が入学するとともに、100名を超える教職員が配置されており、民間のシンクタンクの試算によると、全学年がそろう5年後には、学生や教職員等1,200人以上が定住することにより、年間21億7,000万円の経済波及効果が見込まれるなど、地域経済の活性化や今治圏域の人口減少対策に大きく寄与するものと確信をしています。
また、学生、教職員の皆さんには地域の一員としての自覚を持っていただき、ボランティア活動への参画や地元高校との連携など、地域との交流を積極的に進めていただくとともに、大学が新たな獣医学部教育として掲げているライフサイエンス、公衆衛生・家畜衛生、医学と連携した獣医療の3分野において高度な専門知識を習得され、世界で活躍する国際水準の獣医師等を目指し、充実した大学生活を送ることを願っています。
県としては、今回の獣医学部の設置が、慢性的に不足している公務員獣医師等の安定確保はもとより、鳥インフルエンザを初めとする人獣共通感染症の学術支援拠点として迅速な水際対策の強化につながるとともに、新薬の開発等を行う先端ライフサイエンス企業の県内集積や本県
ブランド畜産物の高付加価値化などにも貢献すると期待をしており、このような効果をしっかりと具体化させるためには、まずは学園の信頼を高めることが必要不可欠であって、そのためにも学園において速やかにガバナンスとコンプライアンスを確立していくことが重要ではないかと考えます。
今後とも、今治市における獣医学部の特色を生かした地域づくりを支援し、若者の地元定着や人材育成、産業振興などを通じて県全体の活力創出につなげてまいりたいと思います。
次に、子供医療費助成についての御質問にお答えをさせていただきます。
子供医療費助成は、保護者の経済的負担を軽減することにより子供に必要な医療が適切に提供されるよう全国全ての都道府県で実施されており、子育て世帯に不可欠な制度となっていますけれども、地方単独事業であるがゆえに、自治体の財政力の格差等が助成水準の格差につながるという問題があり、対象年齢を初め自己負担や所得制限の有無など、全国的に制度の内容に大きな違いがございます。
本県では、県の乳幼児医療費助成制度に市町が独自に上乗せすることにより子供医療費助成が行われておりますが、特に、通院医療については市町によって助成対象に差があり、県内の15歳未満人口の約4割を占める松山市では、市の財政負担も大きく、助成対象が歯科も含め就学前までにとどまっている状況にございます。
子供が住む場所によって医療費の負担に格差がある現状を解消し、安心して子供を産み育てることのできる制度とするためには、国は、こうした分野を地方任せにするのではなく、ナショナルミニマムとして子供医療費助成制度を創設すべきであり、これまでもこのことにつきましては全国知事会を初め、地方六団体が結束して国に要請をし続けてまいりましたけれども、国の対応は、国保の国庫負担額減額措置の見直しにとどまるなど、不十分でスピード感に欠けていると言わざるを得ません。
県としては、今後とも全国知事会等あらゆる機会を捉えて国に対して制度の創設を求め続けてまいる所存でありますが、先般の松山市議会議員有志による県乳幼児医療費助成の補助率引き上げの要望につきましては、従来より県全体の医療費助成制度の底上げを図ってきた経緯も踏まえ、松山市の今後の方針と県の財政状況を勘案しながら、県としての対応を検討してまいりたいと思っています。
その他の問題につきましては、関係理事者の方からお答えさせていただきたいと思います。
○(土居忠博スポーツ・文化部長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 土居スポーツ・文化部長
〔土居忠博スポーツ・文化部長登壇〕
○(土居忠博スポーツ・文化部長) えひめ愛顔のジュニアアスリート発掘事業についてお答えをいたします。
この事業は、小学5年生から中学3年生までの児童生徒を対象として平成27年度からスタートしており、毎年3,000人近い応募があります。その中からトライアル選考を経て、最終的には50人程度に絞り込んで認定しておりまして、その選考倍率は50倍を超える状況にあります。
これまでの3年間に愛顔のジュニアアスリートとして認定した児童生徒は合計213名で、既に54名の修了生を輩出し、現在は147名が本県独自の育成プログラムに沿ったトレーニングを実施しております。こうした取り組みによりまして、既にライフル射撃の全国大会中学の部で優勝した選手、ウエートリフティングやスケルトンの全国大会で上位に入る選手などが出てきているほか、スポーツ庁がオリンピック等で活躍するアスリート発掘のために実施しているジャパン・ライジング・スター・プロジェクトの最終選考に全国42名中、本県から4名が選出され、現在3名が自転車や7人制ラグビーに挑戦しているなど、将来が楽しみなアスリートが着実に育ってきております。
今後も、大きな可能性を秘めたジュニアアスリートに対し、県内外のトップコーチによる実践指導など各種の育成プログラム実施や全国規模の発掘事業へのチャレンジ支援を行うとともに、東京のナショナルトレーニングセンターでの体験合宿等の受け入れを国に働きかけるなど、世界に羽ばたく愛媛の子供たちを全力でサポートしたいと考えております。
以上でございます。
○(田中英樹経済労働部長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 田中経済労働部長
〔田中英樹経済労働部長登壇〕
○(田中英樹経済労働部長) 知事の台湾訪問の成果と、台湾との定期航空路線についてお答えいたします。
昨年の日台観光サミットin四国の開催は、台中市との友好交流覚書の締結やエバー航空によります連続チャーター便の運航開始など、台湾との交流が拡大、深化する契機となりましたが、今回の観光サミットにあわせて知事みずからが訪台し、台湾の各界要人に前回開催県としての謝意を伝え、本県への一層の誘客や交流促進を働きかけましたことで、パートナーシップがより良好で強固なものになったと考えております。
特に、知事がエバー航空本社を訪問し、李副社長に定期便化を要請いたしました際は、さらなる連続チャーター便の運航を予定していることや、機材繰りや乗務員不足の問題がクリアされれば定期便化の可能性は高いとの前向きなお話をいただくなど、大きな成果が得られたところでございます。
引き続き11月の台中花博への県ブースの出展や、国際サイクリング大会への台湾関係者の招請などの観光分野を初め、経済やスポーツ、文化、教育など幅広い分野で双方向の交流を拡大し、台湾における本県知名度のさらなる向上を図りますとともに、魅力的な体験プログラム等でチャーター便利用者の満足度を高め、一層の誘客促進につなげるなど、定期航空路線の早期開設に向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。
以上でございます。
○(井上正教育長) 議長
○(
鈴木俊広議長) 井上教育長
〔井上正教育長登壇〕
○(井上正教育長) 中学校の運動部活動につきまして、2点お尋ねがございました。
まず、部活動のあり方についてお答えをさせていただきます。
学校教育の一環である中学校の運動部活動は、生徒がスポーツの楽しさや喜びを味わい、体力の向上や健康増進を図る上でも効果的であり、生徒の自主性、協調性等を育むなど、多様な学びの場として教育的意義が大きいと認識しておりますが、一方では、過度な負担を伴う活動が生徒のバランスのとれた生活や健やかな成長に支障を来すことが懸念されますとともに、教員の多忙化の一因ともなっております。
このため、県では、国のガイドラインを踏まえまして、市町教育委員会や競技団体等の意見も聞くなどしまして、先般、県の運動部活動の在り方に関する方針を策定し、部活動指導員の活用等による円滑な指導・運営体制の構築、スポーツ医・科学の見地による適切な休養日、活動時間の設定や短時間で効果が得られる指導の実施、学校、地域が連携したスポーツ環境の整備などに取り組むこととしております。
今後、市町教育委員会や各学校におきまして、県の方針を参考に運動部活動の方針を策定することとなっており、県教育委員会といたしましては、生徒にとって望ましいスポーツ環境の構築という観点に立って、えひめ国体・えひめ大会のレガシーを生かしながら、学校、地域、競技種目等に応じた多様な形で運動部活動が最適に実施されるよう適切に指導、助言を行ってまいりたいと考えております。
次に、部活動を通して培われてきた生徒と教員の信頼関係等についてお答えをさせていただきます。
県の運動部活動の在り方に関する方針では、顧問教員は、過度の練習がけが等のリスクを高め、必ずしも体力や運動能力の向上につながらないことや、スポーツ医・科学の見地から、適切な休養をとる必要があることなどを正しく理解するとともに、体力の向上や生涯を通じてスポーツに親しむ基盤を培うよう、生徒とコミュニケーションを十分に図り、生徒が意欲を失うことなく技能や記録の向上等の目標を達成できるよう、効果的な指導を行うこととしております。
また、部活動の指導・運営体制としまして、部活動指導員の配置状況等を勘案した上で、顧問教員の適切な校務分掌に留意し、学校全体として適切な指導、運営及び管理に係る体制の構築を図りますとともに、学校の設置者におきましては運動部顧問を対象とするスポーツ指導に係る知識、実技の質の向上を図るための研修等を行うこととしております。
県教育委員会といたしましては、こうした県の方針を踏まえ、教員自身が生徒としっかりと向き合い、緊密なコミュニケーションを図りながら、効率的、効果的な部活動の推進に取り組んでいく中で、これまで以上に生徒との強固で適切な信頼関係が培われ、教員の指導力向上も図られるよう支援してまいりたいと考えております。
以上でございます。
――
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○(
鈴木俊広議長) 以上で本日の日程を終了いたしました。
明29日は、午前10時から本会議を開きます。
日程は、全議案に対する審議の続行であります。
本日は、これをもって散会いたします。
午後1時45分 散会...