〇
欠席委員[0人]
〇その他の出席者[0人]
〇
出席理事者[19人]
土木部長 樋口 志朗
土木管理局長 橋本 珠樹
技術監 大谷 悟
河川港湾局長 山下 勝徳
道路都市局長 杉本 寧
土木管理課長 秦 恭裕
技術企画室長 葛原 健二
用地課長 佐川 義則
河川課長 馬越 陽一郎
水資源対策課長 木村 圭策
港湾海岸課長 九鬼 和寛
砂防課長 高橋 節哉
高速道路推進監 中島 稔淳
道路建設課長 高瀬 進
道路維持課長 向井 恒好
都市計画課長 今井 啓介
都市整備課長 野間 俊男
建築住宅課長 山下 道和
営繕室長 西川 達倫
午前9時58分 開会
○(
松尾和久委員長) ただいまから、
建設委員会を開会いたします。
これより議事に入ります。
本日の
会議録署名者に
森高康行委員、
武井多佳子委員を指名いたします。
本日の議題は、本県における
海岸保全施設の地震・
津波対策についてであります。
議題について、理事者の説明を求めます。
○(
港湾海岸課長) それでは、本県における
海岸保全施設の地震・
津波対策について、お配りしている資料により説明をさせていただきます。
1ページを御覧ください。
左の写真は、
東日本大震災で発生した津波です。震災からもうすぐ7年が経過しようとしています。壊滅的な被害を受けた被災地では、震災復興の陰で、生活再建のおくれなどにより人口減少問題が深刻さを増しており、津波災害の恐ろしさを改めて認識しているところです。
県では、
南海トラフ地震などによる大規模な地震や津波に備えて、県民の人命・財産・暮らしを守るため、さまざまな取り組みを進めています。今回はその中でも、津波防護の第一線となる防潮堤などの
海岸保全施設の整備について、その役割や重要性を説明させていただきます。
2ページをお開きください。
御覧の5つの項目を順に説明させていただきます。
3ページを御覧ください。
初めに、本県が抱える地震・津波によるリスクについて説明いたします。
本県は、全国第5位となる全長約1,700㎞の長い海岸線を有しており、このうち背後に保全すべき人家や農地がある
海岸保全区域の総延長は、全国第3位の約1,190㎞に及び、沿岸部には人口や産業基盤が集積しています。
4ページをお開きください。
過去の
南海トラフ地震の発生状況を見ると、おおむね90年から150年ごとに大規模な地震・津波が発生しており、現在、直近の
昭和南海地震から既に71年が経過しています。このため、政府の
地震調査委員会の報告では、今後、30年以内に70%から80%の確率で発生すると言われています。
5ページを御覧ください。
県では、想定し得る最大級の地震・津波が発生した場合における被害想定を平成25年12月に公表しています。想定では、県内全域で最大震度6強から7の揺れの後、
宇和海沿岸で10mを超える津波が、
瀬戸内海沿岸でも3mから4mの津波が押し寄せ、県内沿岸で約1万2,000haもの浸水が予想されています。
6ページを御覧ください。
東日本大震災後の新たな
津波対策について説明いたします。
東日本大震災による甚大な
津波被害を受け、平成23年9月に内閣府から新たな
津波対策の考え方が示されました。
津波対策を2つのレベルに分けて考え、一つは、数百年から千年の頻度で発生するような
最大クラスの津波をL2津波と呼び、
住民避難を軸とした
ソフト対策を中心に、減災の考え方に基づく対策を実施します。もう一つは、数十年から百数十年の頻度で発生するような比較的発生頻度が高い津波をL1津波と呼び、この津波に関しては、
海岸保全施設等の整備により対応することとしています。
7ページを御覧ください。
L1
津波対策として整備する
海岸堤防のイメージ図です。
堤防前面での
せり上がり等を考慮したL1津波の設計水位に対して、既設堤防で高さが不足している場合は
かさ上げを行います。また、堤防が
液状化等により沈下するおそれがある場合には、施設の耐震化や地盤の
液状化対策を実施するとともに、L1津波を超える津波に対しても、天端の保護工等により堤防が倒壊しないで
減災効果を発現させる、粘り強い構造への改良を検討していきます。
8ページをお開きください。
本県における
海岸保全施設の地震・
津波対策の進め方について説明します。
本県は、東から順に
燧灘沿岸、
伊予灘沿岸、
豊後水道東沿岸の3つの沿岸に区分されておりますが、これらをさらに湾の形状等の自然条件を考慮し、県下38の
地域海岸に分割した上で、過去の浸水実績や
再現シミュレーションを行い、それぞれのL1
津波水位を設定し、平成26年6月に公表しました。瀬戸内海に面する
燧灘沿岸や
伊予灘沿岸では、L1津波の水位は最大3m程度で、堤防等が不足する高さは1m程度ですが、宇和海に面する
豊後水道東沿岸の愛南地域では、L1津波の水位、堤防等の不足高とも5mを超える箇所があります。
液状化の影響を加え、津波・地震・高潮等に対して堤防高が不足する
海岸保全区域の延長や割合について整理したのが、そこにある4つの円グラフであります。東予の
燧灘沿岸では、全体の約4割で堤防高が不足しており、地震の液状化によるものが多くを占めています。南予の
豊後水道東沿岸では、約半数の箇所で堤防高が不足しており、津波によるものがほとんどを占めています。
9ページを御覧ください。
こういった現状を踏まえた各沿岸における地震・
津波対策の課題といたしまして、瀬戸内海に面する燧灘、
伊予灘沿岸では、地盤の液状化の影響により
堤防不足高は最大3.8m程度まで増大し、地震直後の浸水による逃げおくれや浸水の長期化による産業活動への影響が懸念されます。このため、堤防等の
液状化等に対する
耐震対策とともに、津波・高潮に対する堤防高さを確保することとしています。
10ページをお開きください。
宇和海に面する
豊後水道東沿岸では、津波高が大きく、
堤防不足高は最大5.5m程度と予測され、最短30分程度で津波が到達し、
初期地盤変動による沈下も大きいため、津波からの逃げおくれや大規模な
浸水被害が懸念されます。このため、
現況堤防高と比較して
津波水位が著しく高い場合は、堤防等をその高さまで整備すると沿岸部の利用や環境に大きく影響を及ぼすおそれがあることから、まずは津波からの避難時間を稼ぐために必要な高さでの整備や津波が
施設堤防を越えるまでに逃げ切れる
避難場所の確保など、関係市町との協働のもと、ハードとソフトの両面から地域の状況に応じた
段階的整備などを検討することとしています。
11ページを御覧ください。
これらの各沿岸における現状や課題などを踏まえ、県では、新たな地震・
津波対策などを盛り込んだ愛媛県
海岸保全基本計画を平成27年9月に改定し、公表しております。この
基本計画は、人も自然も愛顔あふれるえひめの
海岸づくりを基本理念といたしまして、おおむね20年間を
計画期間として、
海岸保全に関する方針や
基本的事項を定めたものであり、本県における
海岸整備の基本となるものです。
計画では、整備の必要な海岸として、堤防高さが不足している箇所のうち、背後地に人家等の
保全対象のある箇所を
整備対象海岸として抽出いたしました。さらに、この
整備対象海岸約340㎞の中から特に緊急性や背後地の重要度が高い箇所を、
計画期間内に重点的に整備する
重点整備海岸として約130㎞を位置づけました。
なお、この
重点整備海岸につきましては、今後の詳細な調査や背後地の状況の変化等に対応し、必要に応じて見直しを行うこととしております。
12ページをお開きください。
先ほどの
整備対象海岸や
重点整備海岸を所管別に集計した表です。
土木部が
整備主体となる
重点整備海岸は29海岸、約69㎞となっており、次の13ページにその位置を示しております。
なお、今後の整備に当たっては、重大被害の可能性や
ストック効果の発現性などの観点から優先度を評価した上で、効果的な整備を図ることとしております。
14ページをお開きください。
ここからは、
基本計画に基づき現在進めている
海岸保全施設の地震・
津波対策について幾つか紹介させていただきます。
まず、三崎港海岸で進めている防潮堤の整備です。
この海岸では、計画段階で
住民説明会や
アンケート調査などにより意見調整を行った上で、L1津波を防ぐことができる防潮堤や陸閘等の整備を行っており、来年度の事業完成を目指しています。
15ページを御覧ください。
今治市の
波止浜海岸では、水門や護岸の
耐震補強を行っています。この
波止浜水門は、完成から60年が経過するとともに、今の耐震基準を満足していないことから、将来の大
規模地震に備えるため、水門本体を全面的に改修することとしております。既に周辺の護岸補強は完了しており、今年度から
水門本体の工事に本格着手し、平成34年度の完成を目指しているところです。
16ページをお開きください。
西条市の東予港海岸では、
既存防潮堤の
耐震補強を行っています。大
規模地震による液状化により倒壊のおそれが高いことから、二重に矢板を打設し、沈下を防ぐ構造としています。また、被災後でも緊急車両や
工事用車両が通行できるよう、矢板の間隔を5.5mとしています。
17ページを御覧ください。
波浪や砂浜の侵食等により本体の強度低下が著しい箇所については、コンクリートによる断面補強を施し、耐震性を向上させる工事を行っています。新居浜市の
沢津海岸では、来年度の完成に向け工事を進めており、四国中央市の
蕪崎天満海岸では、事業化に向け国と協議を進めているところです。
18ページを御覧ください。
ここからは、愛南町の御荘地区における
津波対策について御説明します。
この地区では、5mを超えるL1津波が想定されるとともに、地震直後からの
初期地盤変動により最大約1.4mの広域的な
地盤沈下が予測されています。このため、
愛南土木事務所では、平成27年11月に
海岸工学及び
自然環境の専門家や地域の代表者、漁業・
防災関係者等で構成する
津波対策検討委員会を設置し、地域の実情に応じた
堤防整備のあり方を検討しており、これまでに3回の委員会を開催しております。委員会では、L1津波を完全に防ぐ
津波堤防への期待の声がある一方、
自然環境や漁業への影響を心配する声もあったことから、日常生活や
自然環境への影響に配慮しつつ、実現性が高く効果的な
津波対策の進め方を検討する必要があるとの共通認識を得た上で、早期に目指すべき人命の保護や速やかな地域の復旧・復興に必要な
堤防整備を先行して実施する
段階的整備を基本とした
整備方針について検討を行っているところです。
19ページを御覧ください。
委員会では、検討された
整備方針について地元住民の声を広く取り入れるため、昨年の11月から12月にかけて、浸水が想定される地域や地元の中学校・高校・漁協を対象として、14会場、全18回に及ぶ
地元説明会を開催するとともに
アンケート調査を実施したところであり、次の委員会では、この結果を踏まえ、
整備方針が取りまとめられる予定です。
20ページをお開きください。
委員会で現在検討している内容について、具体的に説明いたします。
委員会では、L1津波に対して早期に目指すべき3つの目標を設定しております。
1つ目は、
ソフト対策と一体となり津波による
人的被害をゼロにする。これは、
堤防整備により浸水の開始時間をおくらせ避難時間を確保することにより、津波からの
人的被害をなくそうとするものです。
2つ目は、津波が越流した場合においても被害の抑制を図る。これは、越流しても壊れにくい粘り強い構造とすることで、
津波被害の抑制を図るものです。
3つ目は、被災後の速やかな復旧・復興につなげる。これは、
浸水被害を受けても、被災後すぐに必要となる公共施設や医療施設などの防災上の重要施設及び復興時に必要となる商業施設や農業・漁業施設などの
産業基盤施設が壊滅的な被害を受けないよう
津波浸水を抑制するとともに、
初期地盤変動による大規模な沈下があっても、日々の干満による浸水や台風による高潮等の被害を防ぐことができる堤防高さを確保しておくことで、速やかな復旧・復興につなげていくものです。
21ページを御覧ください。
委員会では、まず第1期整備として、先ほどの早期に目指すべき目標の達成に必要な堤防高さで整備する
段階的整備を検討しております。第1期整備では、
南海トラフ地震による
地盤沈下後や台風時の高潮発生時でも浸水しない堤防高さが保てるよう、
沈下相当分の1.4m程度を事前に
かさ上げし、T.P+4.7mで計画することとしています。また、将来的な目標である第2期整備につきましては、L1津波を完全に防げる堤防高さを視野に入れつつ、町における
防災まちづくりの方向性や住民の意向など、地域の実情を反映した堤防高さを引き続き検討していくこととしております。
22ページをお開きください。
第1期整備による
整備効果イメージです。上が現況のままでL1津波が発生した場合で、下が整備後においてL1津波が発生した場合です。
地震が発生すると、プレートの地殻変動により一帯が
地盤沈下し、堤防の低い部分から浸水が始まります。そして、
地震発生から約40分後、津波の最大波である第1波が押し寄せ、一気に浸水が始まります。現況では、
地盤沈下とともに津波の越流により堤防が倒壊し、津波が勢いよく市街地に流れ込み、大きな被害が発生する可能性があります。また、津波が過ぎた後でも
地盤沈下の影響により頻繁に浸水が発生することから、復旧・復興の妨げとなります。
一方、第1期整備をした場合には、L1津波を完全に防護することはできませんが、堤防の
かさ上げとともに粘り強い構造による津波の減衰効果により、浸水深の低減や
浸水区域の抑制が期待されます。また、堤防が残るので、日々の干満や台風等による浸水を防ぎ、家屋や事業所の早期再建につながります。
23ページを御覧ください。
L1津波の
シミュレーションの結果です。左側の上下の図を御覧ください。
L1津波による浸水想定で、上が現況、下が第1期整備後をあらわしています。第1期整備により浸水深の低下や浸水範囲が縮小しており、建物被害の軽減等につながります。
右側の上下の図を御覧ください。
これは、避難が困難になると言われている浸水深が30㎝に到達するまでの時間を色分けしたものです。現況を表した上の図では、地震後20分以内に浸水する茶色の区域が分布しています。また、吹き出しは、住居のある区域までの最短時間を示しており、地震後5分から20分で浸水深30㎝以上となっております。整備後の下の図では、最短でも地震後40分となり、現況より避難時間が確保でき、避難訓練など日ごろの備えにより
人的被害を大きく軽減できると考えております。
24ページをお開きください。
第1期整備の代表的なイメージをあらわしたものです。
御荘港海岸には堤防等がないので、今回のイメージでは、港の物揚げ場の背後に、三崎港と同じような規模の胸壁を設置する案を示しています。成碆海岸や
長崎海岸には堤防があるため、既存堤防の
かさ上げを想定し、県道の海側に直立壁を設ける案と堤防の背面に盛り土を行う案の二通りを示しています。
なお、この
整備イメージについては、住民の方が必要性を判断できるように描いたものであり、現時点においては具体的な配置や構造は決まっておりません。今後、
整備方針が固まれば詳細な調査や検討を加え、具体的な
整備計画をつくっていくことになります。
25ページを御覧ください。
委員会では、整備を行う上で配慮すべき事項を示しています。
1つ目は、環境や景観への配慮です。対象地区には、過去の調査で植生や
底生生物等の貴重種が確認されており、
施設計画の策定に当たっては、
自然環境の保全に配慮が必要です。また、堤防等の整備による景観や生活環境、
漁業活動等への影響を可能な限り抑制し、地域住民や関係者の意向等を確認し、合意形成に努めることが必要です。
2つ目は、避難への意識です。
堤防整備により住民の避難意識が薄れることも考えられるため、自分の命を守るためにも避難は必ず必要という意識を持っていただくことが重要です。
最後に、26ページのまとめを御覧ください。
今回は、地震・
津波対策のうち、
海岸整備の
ハード対策を主に説明しましたが、
ハード対策の基本はL1
津波対策であり、それを超える津波に対しても
減災効果は期待できますが、全てを防ぐことはできません。一方、
住民避難などの
ソフト対策だけでは、地域が存続していくために必要な社会基盤を守ることはできません。
豊かな地域社会を将来につなげていくため、県民の命を守ることを最優先に、被害の最小化により早急に復旧・復興が図れるよう、ハード・
ソフト両面からの総合的な地震・
津波対策を進めることが必要であり、県では、隣接の海岸・河川等の管理者や
ソフト対策を担う市町の防災・
まちづくりの部署などと連携しながら、
海岸保全基本計画に基づき、
海岸整備に着実に取り組むこととしております。
今後とも、本県の地震・
津波対策の推進に委員の皆様の御支援を賜りますようお願い申し上げまして、説明を終わらせていただきます。
○(
松尾和久委員長) 以上で理事者の説明が終わりました。
委員の皆さん、議題に関する質疑はございませんか。
○(
塩出崇委員) 14ページあるいは15ページなんですけれども、御説明いただいた堤防や護岸の整備とともに、陸閘とか水門、樋門という、いわゆる
閉鎖施設の整備も重要であると思います。これらの施設が県下で大体どれぐらいの数あるのかということがまず1点と、例えば電動化ということがありますが、緊急時にそのあたりはどういうふうな形で作動、閉鎖するのか、地震あるいは
津波対策への取り組みについて御説明いただきたいと思います。
○(
港湾海岸課長)
閉鎖施設の整備についてでございますけれども、土木部が管理する海岸の
閉鎖施設は1,309基ございまして、内訳は、水門が38基、樋門が174基、鋼製陸閘が568基、
角落とし等が529基となっております。
これらについては、
堤防整備にあわせて
地震・津波対策に必要な対策を行うこととしておりますが、緊急の措置といたしまして、施設の損傷や
老朽化等により操作に支障を来している箇所について、これまで国の交付金とか
防災減災対策事業等により補修、改良を行っておりまして、
東日本大震災以降、点検で異常が確認された155基のうち約8割の119基を補修いたしております。また、角落としの陸閘化とか階段化など、改良が必要と認められた162基のうち約9割の139基を改良しております。
なお、開口部については43カ所ございますけれども、それは全部閉鎖いたしました。
電動化等は今、検討はしておりますけれども、まだ実施したところはございません。
○(
塩出崇委員) ということは、これから電動化に向けて取り組むということでよろしいでしょうか。
○(
港湾海岸課長) 地域の状況とか閉鎖までの時間といったものを考慮して検討していきたいと考えております。
○(
塩出崇委員) 次に、16ページなんですけれども、平成25年12月26日に愛媛県の
地震被害想定調査結果の最終報告が出ております。特に西条市におきましては、非常に大きな被害を受けることが予測されておりまして、
浸水区域が3,360haと
県内最大になっております。また、建物の全壊は3万3,132棟で、うち11.7%の3,890棟が
津波浸水によるもの、死者は3,648人で、うち71.1%の2,592人が
津波浸水によるものというふうに予測されておるわけであります。
この予測数は
県内最大のものでありまして、非常に深刻な問題と考えておるわけなんですけれども、いわゆる液状化や
地盤沈下、堤防の損傷など、東予地域の
燧灘沿岸で今後、どのように津波・
地震対策に取り組んでいかれるのかについて、もう少し詳しく説明してください。
○(
港湾海岸課長) 資料の9ページを見ていただけたらと思うんですけれども、
燧灘沿岸では、津波高は低いですけれども、液状化による堤防の沈下や倒壊により
地震発生直後からの浸水が予測されておりまして、背後には
製造品出荷額で県の8割、四国の4割のシェアを誇る
臨海工業地帯が広がるなど、住民の避難はもとより、長期の浸水による
地域産業等への影響が非常に大きなものになると認識しております。
県の
海岸保全基本計画では、このような浸水の危険性や背後地の重要度も踏まえまして、
燧灘沿岸において11海岸、約29.9㎞を
重点整備海岸に選定しておりまして、今回説明させていただきました
波止浜水門の耐震化、東予港海岸の防潮堤の
耐震補強、
沢津海岸や
蕪崎天満海岸の
堤防補強といった耐震・
液状化対策を中心とした施設の整備を進めることとしております。
○(
塩出崇委員)
東日本大震災からもうすぐ7年ですけれども、被災された方の中でも意識が薄れているというようなことを聞いております。本県におきましては、これから起きなければとは思うんですが、逆に必ず起きるものと想定して取り組まなければならないんですけれども、どうも県民の方の中に震災に対しての意識が薄いような気がしますので、また今後、例えばDVD等を活用されて、震災に対するさまざまな知識の周知をしていただきたいと思っております。これは要望です。
○(
松尾和久委員長) ほかに。
○(
武井多佳子委員) 今、既に取りかかっている事業について、資料には事業費が書かれていないんですけれども、それをちょっと教えていただきたいんです。三崎港海岸、
波止浜海岸、東予港海岸と御説明いただいた事業が進んでいて、来年度完成とか平成34年度完成予定と言われていたので、進めるに当たっての事業費は出ていて、その進捗、
事業費ベースで進んでいると思うんですけれども、前にお聞きしたときには、愛南町の防潮堤は事業費が出せないということだったんですけれども、その全体事業費をまず教えていただきたいと思います。
○(
港湾海岸課長) 三崎港海岸の事業は、全体事業費が約9.5億円でございます。来年度に完成という進捗でございます。
波止浜海岸の事業は、全体事業費が約34億円でございます。現在の進捗は44%程度でございます。
東予港海岸の事業は、全体事業費が約29億円でございます。これは現在設計中で、平成30年度から
仮設工事等に着手する予定でございます。
○(
武井多佳子委員) 引き続いてお伺いしたいのは、
愛南町御荘地区沿岸の
津波対策なんですが、ソフトとハードの両面の対応をしていかなければならないということですけれども、20ページには避難時間を確保するとあります。これについては9月の
愛南町議会で、
津波避難タワーの設置などということを質問されたことに対して町長が、これまで一時
避難場所の見直しや避難経路の整備を行ってきて、全ての地域において
最大津波到達時間までに津波一時
避難場所までの避難が可能であると考えており、あとは意識を啓発していかなくてはいけないというふうに答弁されているんですけれども、この対策をすることによって時間がさらにどのくらい確保されるのかということがまず知りたいのと、対象が約1万2,000ha、全県が対象なんで全体的にわかりにくいかもしれませんけれども、愛南町で対象となる方の世帯数というのがわかれば。
本当は地域ごとに対象にはどんな方がいらっしゃって、その世帯がどのぐらいで、避難を本当にしようと思ったら、対象となる人たちのことがよくわからなければ、完全な避難にはならないと思うんですけれども、愛南町で言えば何世帯の方がその対象になって、アンケートなどもとられているので、もし年齢別でわかっていればその点もちょっとお伺いできると、本当に避難できるのかということがわかると思いますので、その2点をお伺いしたいと思います。
○(
港湾海岸課長)
段階的整備による効果につきましては、資料の23ページ、先ほど説明させていただきましたけれども、2m以上の区域について、現況と
堤防整備後の範囲がさらに縮小してくると。また、津波到達までの時間は、現況では5分から20分ぐらいですけれども、整備後は40分ということで、避難時間を稼ぐことができるという
シミュレーションの結果でございます。
それと、2点目ですけれども、
アンケート調査を
浸水区域の世帯に全戸配布いたしまして、現在、集計・分析しているところで、年齢構成といったものはまだ把握できておりません。
○(
松尾和久委員長) 対象の世帯数はわからないですか。
○(
港湾海岸課長) 2,750世帯でございます。
○(
武井多佳子委員) ちょっと確認ですけれども、津波到達が5分から20分が40分まで、最大35分延ばせるということで理解していいんですか。
○(
港湾海岸課長) 失礼しました。到達時間ではなしに、浸水深が30㎝になる時間が、5分のところが40分になるという分析でございます。
○(
武井多佳子委員) 私の勉強不足で浸水深と津波到達の関係がわかりませんけれども、それはまた勉強します。
それで、その2,750世帯なんですけれども、アンケートをとられて集計されているということですけれども、事業がおおむね20年かかるので、20年たったらその2,750世帯の人たちがどういう状況であるのかということもやはり想定していかないといけないと思うんです。最初に、
東日本大震災でも生活再建が本当に困難になって、人口減少がさらに進んでいると言われていましたけれども、やはりこの点から学ぶところもあると思うんです。それを学んだら、この世帯の人たちが今どんな年齢構成であって、それがおひとり暮らしなのかどうか、その次の世代の人もずっとそこに住むというような環境にあるのか、やはりそういうところを丁寧に見ていくことが、さらにこの次の事業の方向性を決めていく上でもとても重要なことになると思います。まだ事業を進められていなくて、方針を早急に立てようとされているところですけれども、せっかくアンケートもとられているのですから、そういう形の分析をして、その方たちの声を丁寧に拾うということをしていただきたいと思いますけれど、いかがでしょうか。
○(
港湾海岸課長)
アンケート調査は2,750世帯、そして、説明会は地元の中学校や高校でも行っております。その中で、
堤防整備への意見は若年層からも非常に出ていると聞いておりまして、お年寄りの方だけではなしに、そういった若者に対するアンケートもとっておりまして、そのあたりを反映した検討会の結果になると考えております。
○(
武井多佳子委員) 若者に聞いていただくのも結構なんですけれども、要るか要らないかというようなことだけを聞くのではなくて、その生活背景をもうちょっと丁寧に読み取るような分析をアンケートの上でしていくということも加えて必要なのではないかということで、そのことをできませんかとお伺いしたんですけれど、いかがでしょうか。
○(
港湾海岸課長)
堤防整備が要るか要らないかいうのは、アンケートの項目の中にございますけれども、環境とか生活にも配慮して愛南町の
津波対策をどうしていくか、そういった全般の聞き方をしております。1かゼロかで聞いているわけではありませんので、その中で若年層の方にも聞いて、今後、皆さんどういうふうに
津波対策をしていきますかとか、どこに逃げますかとか、広範囲に聞いております。偏ったアンケートではございません。
○(
武井多佳子委員) 偏っているというんじゃなくて、せっかくアンケートをとったわけですから、今住んでいる人たちが20年後に完成するときにどういう状況であるのかという、人口も減っているとか、そこに住んでいないとかいうことだってあると思うんですよ。そういうところは、やはり丁寧に見ていった方が、これだけ大きな事業をスタートさせるに当たって、そういう意味のアンケートの分析の仕方というのも加えていただきたいということなんですけれども、それはできませんかとお聞きしているんです。やはり丁寧に合意をとる上では、アンケートはとても大事だと思いますし、そういう足踏みをして、よくその状況を見ておくという、20年後、私は多分この完成を見られないと思うんですよ。だから、今決断するに当たっては、やはり丁寧に住民の状況を把握して判断するということが重要じゃないかなと思って、繰り返し言わせていただくんですけれども、いかがでしょうか。
○(
松尾和久委員長) 武井委員がおっしゃっているのは、
まちづくり全体のことにもかかわってくるので、所管の部分での答弁ということでいいですか。(「要望でいいんじゃないか」と呼ぶ者あり)
○(
武井多佳子委員) 対象の方が2,750世帯と特定されています。そして、本当は災害が起きてほしくないけれども、起こった場合の状況を考えたとき、この事業ができるのはおおむね20年後なんですよね。そのときは2,750世帯の方たちの暮らしぶりも大きく変わっていると思うんですよ。そのときに、本当にこの事業でよかったのか、いや、20年後だったら住んでいる人の顔ぶれも違って、この事業は何だったんだというふうになってしまったら、それはとても残念で、今から20年先のことを決めても、誰も責任はなかなか負い切れないと思うんですよ。だから、そこはやはり住民の状況というのを、あのアンケートで見えなくはないんじゃないかなと思ったので、そこに住む人の20年後の将来が推定できるような分析をしてもらえないかということなんですけれども。
○(
河川港湾局長) 武井委員のお話はごもっともなところもございますけれども、逆に今、アンケートで住民の方に20年後どうだということを質問してもなかなか明快な答えも難しいと思っております。その中で、大きな方針を決めていくというのが今の段階で、その方針のもとに今後、どういうふうに具体的に整備をしていくかといったことを決めていくわけですから、地元の町とも十分に連携をしながら、今後のことを決めていきたいというふうに考えております。とにかく今は、大きな方向を決めるということで御理解をいただいたらと思います。
○(
松尾和久委員長) ほかに。
○(
森高康行委員) 最近、火山の噴火など想定外の、ここで噴火すると思わなかったというところで自衛官が死亡するようなスキー場での事故もあったり、本当に気候変動期という言い方をしますけれども、どこで何が起きるかわからぬというような時代になってきたなと思って、きょうの議題は私、非常に意義深いと思うんですけれども、推計人口だって倍になっているかもわからぬし、半分になっているかもわからぬし。ただ東北でもあったのが、やはり先んじてやっておったところが助かっているという現実も、私は
東日本大震災に学べると思うし、ハードだけではなくて、やはり逃げるということについて徹底的に教育しておったところは助かっているということも、釜石の奇跡ということで語り継がれていますが、
重点整備海岸の選定について、平成15年の策定以来、12年ぶりの改定だということなので、いろんな要素を入れての見直しだと思いますが、
重点整備海岸を位置づけるに当たって具体的にどのように選定しているのか、もうちょっと詳しく報告いただけたらと思いますが。
○(
港湾海岸課長)
重点整備海岸の選定についてでございますが、県内には、津波や高潮に対しまして堤防高が不足して、背後地に
保全対象があって、今後、整備が必要な
整備対象海岸は378海岸、約340㎞ありまして、このうち土木部が所管します海岸は107海岸、約130㎞でございます。資料は11から12ページをあわせて見ていただいたらと思います。
この
整備対象海岸のうち、1つ目は、津波からの避難時間の確保が困難な箇所や高潮により頻繁に越波や
浸水被害が発生するなど特に緊急性が高い箇所、2つ目は、背後地に人家が密集しているなど重要度が高い箇所、3つ目は、一次緊急輸送道路や官公署、病院など、災害時の応急復旧活動において重要な施設を保全する箇所、この3つ全てに該当する箇所を
重点整備海岸として選定しておりまして、県下で71海岸、約130㎞、このうち土木部が所管しますのが29海岸、約69㎞となっております。
○(
森高康行委員) 非常に大きな財政措置が必要になってくると思うんですが、国等においてそういう財政措置がどうなのか、変わったのか、そういうことによって重点配分されるのかどうかということもちょっと説明いただけたらありがたいと思いますが。
○(
港湾海岸課長) 国も防災・減災対策に重きを置いておりまして、
重点整備海岸を整備していくには、国の補助事業というものが不可欠でございますので、国の交付金を最大限要望して、着実に整備を進めることといたしております。
○(
森高康行委員) そうなんでしょうけれども、前々から言っておるのが、補正予算なども急についたりすることもあるし、測量や設計や、いわゆるストックをしっかりしていないと、景気対策で1兆円規模の補正が出たけれども、こなせないということが愛媛県も過去にはありましたから、そういう財政の動きなども見ながら、熊本など火山の噴火はあっても地震がないという地域で地震が起きたということを考えた場合に、今後、いろんな要素が変わってくると思うので、計画は計画でよくわかるんですけれども、今もありました、設計等にこれから取りかかりますということも、なるべくストック化していくような姿勢で進めていただきたいなと。用地取得や住民同意等も含めてストック化できるような方向でぜひ施策を進めていただきたいなということ、これは要望にとどめておきたいと思いますので、お願いいたします。
○(
松尾和久委員長) 要望ということで。
ほかに。
○(川本健太委員) 資料の中でもL1津波がこういう想定で、L2津波はこうでというようなことも御説明いただいたんですけれども、ちょっと確認させていただきたいのが、
東日本大震災は、L1、L2という考え方の中でどちらに入るのか。また、南海トラフ巨大地震は、L1ないしL2のどちらに当たるのか、まずそこをちょっと教えていただきたいんですが。
○(
港湾海岸課長)
東日本大震災で被災を受けたのは、L2の津波でございます。現在、復旧・復興対策をしているのは、L1の津波でございます。
南海トラフ地震は、L2の津波でございます。
○(川本健太委員) そうすると、御説明いただいた中でも、L1津波に対して
海岸堤防等の整備を進めているということなんですけれども、南海トラフがL2ということで、L2津波が来た場合に対する効果について御説明もいただいたんですけれども、もう少し詳しく教えていただきたいんですが。
○(
港湾海岸課長) 国におきましては、
東日本大震災における堤防等の
津波被害の検証結果から、津波が堤防を越えた場合でも施設の効果を持続させる粘り強い構造の考え方を示しております。それは、資料の7ページでお示ししておりますような構造でございます。堤防の天端やのり面のコンクリートによる保護、それから堤内側ののり尻のコンクリートとか矢板等による洗掘防止、パラペットの補強などにより、例えば越流してもすぐには倒壊しなくて、粘り強くその効果を発揮する構造となっております。
こういった施設にすることにより、L2津波が発生した場合でも、津波が浸水する時間を稼ぎまして、避難に必要な時間を確保したり、
浸水区域を抑制するなどの
減災効果があることから、その粘り強い構造で県としても整備を進めることとしております。
○(川本健太委員) 加えて電柱なんですけれども、地震が来て津波が来たときに電柱が倒れたりすると、当然そこを車が通れなくなったり、もしかしたら人もなかなか通れなくなったりということは十分考えられると思うんですが、考えの中にはそういった電柱の対策なども入っているんでしょうか。
○(
港湾海岸課長) 今、海岸の構造を考える上では、特に電柱というのは、協議の対象とはしていないんですけれども、例えば愛南の方で
整備方針が固まって、
整備計画を決めていく段階では、そういった支障物件とか危険なものの移転といったものも考慮されると考えております。
○(
道路建設課長) 無電柱化につきまして、道路の立場から説明させていただきますと、無電柱化の取り組みの効果といたしましては、これまで良好な都市景観の形成ですとか観光の振興、快適な道路空間の確保というようなことを中心に進めてきたわけなんですけれども、今後は、
南海トラフ地震等に備えた都市の防災という観点から、さらに無電柱化を進めていかなければならないというふうに考えております。具体的には、国・県・市の道路管理者や電線事業者で組織しております四国地区の無電柱化協議会で順次
整備計画を立てながら、必要な箇所の整備を行っております。特に最近は、緊急輸送道路等におきまして、無電柱化の推進に力を入れているところでございます。
○(
松尾和久委員長) 暫時休憩いたします。11時10分から再開いたします。
午前10時56分 休憩
――――――――――――――
午前11時8分 再開
○(
松尾和久委員長) 再開します。質疑を続けます。
委員の皆さん、何か質問はございませんか。
○(福田剛委員) 愛南町で説明会をされたとありますが、住民の方からどんな意見や問い合わせがあったのか、わかれば教えてください。
○(
港湾海岸課長) 説明会では、本日説明させていただきました
堤防整備の考え方とか環境、景観といったものを説明いたしまして、その説明に対する質疑ということで、段階的な整備を求めるとか、もうL1までやったらいいとか、そういういろんな意見が出たと聞いております。あと、環境等につきましても、漁業活動や生活への影響とか、そのあたりは基本的な計画の方で考えていくんですけれども、そういった地元に根差したような意見が出たと聞いております。
○(福田剛委員) 説明会は、地域のみんなで生き延びようじゃないですけれども、そういった気持ちの醸成のためにするのか、それとも漁業対策でこれを建てるから、補償も含めて反対しないでねみたいな形でするのか、どういった視点がこの説明会にはあるのか、ちょっと教えてください。
○(
港湾海岸課長) この説明会は、地元
津波対策をどのようにやっていくのか、地域の防災をどういうふうにやっていくのかということを検討する会でございまして、事業実施レベルの堤防工事の同意とか、そういった話ではございません。
○(
松尾和久委員長) ほかに。
○(
武井多佳子委員) 追加で何点かお伺いしたいんですが、23ページのところ、さっきも御説明いただいたんですけれども、2,750世帯の中で、
地震発生直後の
地盤沈下により浸水が開始して5分から20分というようなことが対象になる世帯がどのぐらいあるのかを教えていただきたいです。
○(
港湾海岸課長) コンピュータによる
シミュレーションで浸水域を計算しておりますけれども、そこに何世帯という数字は出しておりません。
○(
武井多佳子委員) ここから見て難しいんでしょうかね。そういう災害のときに、自分がその対象になるということを日ごろから実感しておくことが、逃げるときの備えになると思って、前にも言ったことがありますけれども、ぜひその対象がわかるような、せっかくこういうものをつくられたんですから、そこにも発展させていただきたい。自覚ができるような、それが避難をさらに効果的にすると思いますので、その点は、今後、何か取り組みをお願いしたいと思います。
それで、今、福田委員が言われたんですけれども、私は1カ所の説明会にしか行けませんでしたけれども、とても貴重な御意見が出ていました。前にも御紹介しましたけれども、おおむね20年、その前に地震が来たらどうなるんだというお話とか、今逃げられる状況になっているというような区長さんのお話とか、ソフトでの対応が大事だというようなことをもっと広めておかないといかぬというようなお話もあって、とても貴重な説明会に私も参加させてもらったんですけれども、この説明会の全体の議事録をぜひいただいて、私たちもシェアさせていただきたいなと思うんです。要旨というのでまとめたものじゃなくて、いろんな生活の中から出た御意見を全部議事録としたようなものをぜひ見せていただきたい。皆さんもお力を使われて、昼に夜に説明会をされていて、その大きな成果でもあると思いますので、ぜひその議事録をいただきたいということをお願いしたいと思います。
○(
松尾和久委員長) 要望ですか。
○(
武井多佳子委員) 強い要望です。
○(
松尾和久委員長) 検討させていただきます。
○(
塩出崇委員) 12ページなんですけれども、先ほど御説明いただいた、いわゆる
重点整備海岸についてですが、県としては、69.1㎞を積極的に整備していくということでありますけれども、残りの61.1㎞の範囲については、どういうふうな方針で取り組まれるんでしょうか。
○(
港湾海岸課長) 重要性を考慮して
重点整備海岸を認定して、整備区域を選定させていただいたんですけれども、そのほかの海岸につきましては、日々のパトロールとか点検も保全区域は全部しっかりしておりまして、施設の老朽化については、老朽化の程度によって速やかに修繕するようにしております。そこの背後地の状況、例えば人家がふえたり、
浸水被害が出るとか、そういった状況に応じて
重点整備海岸も見直すようにしておりますので、そのあたりは、海岸の状況によって適宜変更する場合もございます。
○(
塩出崇委員) 県管理の69.1㎞と、例えば農林水産省所管の28.5㎞というのは、いわゆる危険度という評価でいうと同等なんでしょうか、それとも低いという形で考えているんでしょうか。
○(
港湾海岸課長) 農林とか水産の拠点についても、非常に箇所は少なくなっておりますけれども、危険度は同じでございます。
○(
塩出崇委員) 同じ危険度になるんであれば、土木の方とは別なんでしょうけれども、できましたら縦ではなくて横断的な取り組みを今後、展開していただくように要望しておきたいと思います。
○(
港湾海岸課長) 海岸線については、漁港とか農林の海岸に連続するようなところがございまして、そこと同時に事業をしないと防護ラインが築けないようになっておりますので、そのあたりは連携して整備を進めるようにしております。
○(宇高英治委員) 今、塩出委員がお話しされた内容と関連するんですけれども、13ページの地図を見てもらいますと、燧1、燧2と書いている部分あたりなど、国道11号線が海に面しているところは実はもう国の直轄で既に工事が始まっていまして、かさ高を上げているところもあるんですが、ずっと工事は続いているんですけれども、部分的に市の所管と、あと漁港なんかがありますと農水の管理で、工事の進み方が全然違っているようなところも現状もう既に出ていまして、これだと今言われたように、もう歯抜けのような状態になって、いざというときはそこから水が入ってくるような状態になっているので、要望なんですけれども、ぜひつながりがずっと来ているのなら、そういう部分を優先的に回していただいて、1つの帯でとめてもらうようなことを進めていただくようにしていたらと思います。
○(
松尾和久委員長) ほかにございませんか。
○(松尾和久委員) 済みません、どうしても1問だけ聞きたいんですけれども、
東日本大震災があった後に視察に行ったときに、全滅した山元町の町長が、本当に立派な、何十億円もかけた防波堤とかテトラポットがもう崩れて跡形もなくなっているのを見て、なんと無力なものだろうというようなことをおっしゃったのが耳に残っているんですけれども、
東日本大震災のときにそういう構造物があれだけ潰れたという知見を踏まえて、これから整備していこうとする愛媛県の構造物に対して、
東日本大震災よりも以前につくった構造物とこういうところが違うよというのがもしあれば、今度は津波に強くなっているよというようなところがあれば、少し御説明いただけたらなと思います。
○(
港湾海岸課長)
東日本大震災で東北が被害を受けたのは、L2津波によって、堤防自体が越流による洗掘とともに引き波のときに破堤したと聞いております。それを受けて、国が指示しているのが粘り強い構造というものでございまして、先ほど図で説明させていただいたように、のり尻を保護したり、下にコンクリートで補強したり、そういった粘り強い構造、愛南の整備にもこういうものを検討しておりますけれども、この構造によってそれを越える津波が来ても、堤防自体が破堤しない。それでリードタイムを稼ぐ、その地域がなくならないようにする、復旧・復興ができるようにと、こういった東北の知見を生かした整備を進めていくようにしております。
○(松尾和久委員) ありがとうございます。
○(
森高康行委員) 所管が違うと言えばそうなのかもわかりませんけれども、本会議などの議論を思い出しておったら、とにかく
東日本大震災以来、南予を中心にかなり津波等の被害があるということで、避難タワーとか、場合によったら駆け上がりの階段等の設置、市町任せではなくて県がというような議論があったように思うんですけれども、そのあたりとの兼ね合いといいましょうか、考え方の整理はなされておられるのかどうか、ちょっとお答えいただけたらありがたいと思いますが。
○(砂防課長) ちょっと砂防に特化したことになりますが、海岸近くに急傾斜の施設がたくさんございまして、当然ですがその前に住民の方がいらっしゃいますので、
東日本大震災以降、そこから避難するための階段を急傾斜の擁壁に設置するといった対策をこれまで実施しております。平成23年度以降、25年度までに37カ所、
宇和海沿岸、宇和島地域に急傾斜施設が多かったものでございますから、そこを中心にそうした避難施設というのも設置させていただいたところでございます。
○(
森高康行委員) 中村県政の成果として、これは評価していいんじゃないかなというふうに思っておりますが、ただ地元でも議論があるのが、タワーであれ急傾斜の階段であれ、駆け上がれないお年寄りがふえてきておるという現実も、これはまさに所管が違うのかもわかりませんが、そういう現実も踏まえると、ソフトという範囲の中では違った対応もあわせてやっていかないと、ハードだけでは解決できない問題なのかなという気もしますので、ハードを整備するに当たっても、そういうソフト面とのいろんな調整を、それは所管外ということではなくて、土木部もそういうことをにらみながらとにかく助けると、とにかく生き残るという視点からの考え方をぜひ共有するようなことも要望しておきたいというふうに思います。
○(中畑保一委員) 防災・減災をやっていくのも大変大事なことで、ぜひお願いしたいんですが、以前に一遍愛南を見に行って、その結果を委員会で言ったこともあるんだけれども、海岸で波を抑えるためにパラペットにエラスをかます。鉄筋は国が認めてない。膨張収縮があるからエラスをちょっと切る、10mピッチで。だから、一つ一つが分離しとるから、1つがいったらもうあとは全滅。手をこうやって握っときゃつながりが強い。それを鉄筋でと言ったことがある。昔と全然違うんで、聞いていない人もおるかもしれんけれども。
だから、この机でも間にエラスを10mピッチで入れていく、パラペットにしても何にしても、写真に載っておるけれども。これはそれぞれ全部切れとる。1つが転んだら、後は水がそこから入り、引っ張り、全部いってしまうんで、昔、ここへ鉄筋でつないでみたらどう、それを県単でやってみたらどう、設計の中でと言ったことあるんだけれども、今、それが見られているかどうかわからないが、国が見ぬのやったら、鉄筋はどうしてもいけぬのやったら、構造物を連結させるという設計を、より強い構造物というものを設計の中で考えてやっていくという方法をとれば、エラスだけで切っとるとやはり弱いんよ。表から来る波には強いけれども、後ろから襲う波には弱い、越波された後の引き波で。
だから、僕らそれを技術的に言いよるんだけれども、設計で見ないと、業者は何ぼ言ったっていかぬ、設計どおりにするから。そういう設計にしておけば、膨張を考えてエラスをかましておっても、それぞれが手を携えているということでより強固な防災護岸、減災護岸になっていくということをもう一回別の視点から提案しておきますので、そういう設計ぐらいは今のコンサルは十分できると思うんで、そうやってより強い壁、構造物というものをお願いしておきたいなと思っています。
それが一つなんやけれども、もう一つ、宇和島なんかも、13ページにいっぱいあるけれども、防護護岸のみなんよ。景観より、とにかく裏にいっぱい人家が入っているから。写真でも3ページにあるけれども、一番心配しているのは、広いところから中へ入れば入るほど津波高というのは上がっていくから、一番怖いのは川。だから、それぞれの地域によっては、向こうは低いんだけれども、それよりも遠いところはめちゃめちゃ高うなったということは、地形によっては起こり得る。
ただそうなっていくときに、僕は宇和島なんで、宇和島というところを捉まえてみると造船がある。造船があると、どうしても船を出し入れしていかなきゃいかぬ。だから、護岸というものがしにくい。そこがウイークポイントになっていって、ほかをどれだけ耐震岸壁にして、L1、L2にもある程度時間を稼げるといっても、その部分の結構な面積を動かすことができないままに今、造船絡みがあるんで、そこからいらっしゃいとみんな入ってくる。そうなると、さっき言ったように、入ったものは出るから、後ろからパラペットを押してしまう、すると転倒する。もちろん足元もとられるんやけれども、そういうこともここにはあるので、ぜひまた、地元の自治体と十分相談しながらそういうところをどうしていくのか、造船の移転ということまで将来考えた
まちづくりというものを進めていくのか、土木として今、津波高、防災・減災という視点から問題提起をぜひしておいてほしいですという、これはお願いです。