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平成29年 6月定例会議(第2号~第8号)-06月29日-04号

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  1. 滋賀県議会 2017-06-29
    平成29年 6月定例会議(第2号~第8号)-06月29日-04号


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    平成29年 6月定例会議(第2号~第8号)-06月29日-04号平成29年 6月定例会議(第2号~第8号)                 平成29年6月定例会議会議録(第5号)                                       平成29年6月29日(木曜日)            ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 議事日程 第4号                                         平成29年6月29日(木)                                         午 前 10 時 開 議  第1 議第76号から議第81号まで、諮第2号および諮第3号(平成29年度滋賀県一般会計補正予算(第2号)ほか7件)の各議案に対する質疑ならびに質問            ────────────────────────────── 本日の会議に付した事件  第1 日程第1の件            ────────────────────────────── 会議に出席した議員(43名)    1番   村  島  茂  男       2番   加  藤  誠  一    3番   竹  村     健       4番   佐  藤  健  司    5番   目  片  信  悟       6番   海  東  英  和    7番   田  中  松 太 郎       8番   角  田  航  也    9番   塚  本  茂  樹       10番   下  村     勳
       11番   藤  井  三 恵 子       12番   杉  本  敏  隆    13番   節  木  三 千 代       14番   駒  井  千  代    15番   山  本     正       16番   大  橋  通  伸    17番   冨  波  義  明       18番   井  阪  尚  司    19番   木  沢  成  人       20番   中  村  才 次 郎    21番   有  村  國  俊       22番   大  野  和 三 郎    23番   岩  佐  弘  明       24番   山  本  進  一    25番   富  田  博  明       26番   細  江  正  人    27番   高  木  健  三       28番   生  田  邦  夫    29番   川  島  隆  二       30番   小  寺  裕  雄    31番   奥  村  芳  正       32番   野  田  藤  雄    33番   西  村  久  子       34番   佐  野  高  典    35番   家  森  茂  樹       36番   吉  田  清  一    37番   粉  川  清  美       39番   成  田  政  隆    40番   九  里     学       41番   清  水  鉄  次    43番   柴  田  智 恵 美       44番   今  江  政  彦    45番   中  沢  啓  子            ────────────────────────────── 会議に欠席した議員(なし)            ────────────────────────────── 会議に出席した説明員               知事              三 日 月  大  造               教育長             青  木     洋               選挙管理委員会委員長代理    中  原  淳  一               人事委員会委員長代理      桂        賢               公安委員会委員長代理      堀  井  と よ み               代表監査委員          北  川  正  雄               副知事             西  嶋  栄  治               副知事             池  永  肇  恵               総合政策部長          宮  川  正  和               総務部長            村  上  浩  世               県民生活部長          福  永  忠  克               琵琶湖環境部長         高  砂  利  夫               健康医療福祉部長        藤  本  武  司               商工観光労働部長        江  島  宏  治               農政水産部長          高  橋  滝 治 郎               土木交通部長          池  口  正  晃               会計管理者           辻  井  弘  子               企業庁長            廣  瀬  年  昭               病院事業庁長          笹  田  昌  孝               警察本部長           渡  邊  国  佳            ────────────────────────────── 議場に出席した事務局職員               事務局長            青  木  幸  一               議事課長            入  江  建  幸               議事課参事           吉  田     亮   午前10時 開議 ○議長(奥村芳正) これより本日の会議を開きます。    ──────────────── △諸般の報告 ○議長(奥村芳正) 日程に入るに先立ち、諸般の報告をいたします。  選挙管理委員会世古正委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として中原淳一委員が、また、人事委員会益川教雄委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として桂賢委員が、また、公安委員会小林徹委員長が都合により本日の会議に出席できませんので、代理として堀井とよみ委員が、それぞれ出席されておりますので、御了承願います。    ──────────────── ○議長(奥村芳正) これより日程に入ります。    ──────────────── △議第76号から議第81号まで、諮第2号および諮第3号(平成29年度滋賀県一般会計補正予算(第2号)ほか7件)の各議案に対する質疑ならびに質問 ○議長(奥村芳正) 日程第1、議第76号から議第81号まで、諮第2号および諮第3号の各議案に対する質疑ならびに一般質問を続行いたします。  発言通告書が提出されておりますので、順次これを許します。  まず、18番井阪尚司議員の発言を許します。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇、拍手)皆様、おはようございます。6月20日、知事提案説明で、SDGs──持続可能な開発目標、琵琶湖新時代、そして行財政、働き方改革に係る知事の思いをお聞きしまして、新しい時代の始まりを予感した次第でございます。そこで私は、SDGs、琵琶湖新時代、地域の宝を生かした地域創生を具体化するに当たっての考え方とフレーム等についての質問をしてまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  まず、SDGs──持続可能な開発目標は、生き方や滋賀の未来をどう変えるのかについて伺います。  2015年に、SDGsを掲げた2030年アジェンダと地球温暖化対策の国際的枠組み──パリ協定が締結されましたけれども、その後、世界ではCO2排出量を減らす動きが加速しておりまして、持続可能な開発目標──SDGsに向けたさまざまな取り組みが進められています。  SDGsは行動計画で、誰もが人間らしく安全に暮らせる社会と豊かな自然環境とを両立させようと、こういう取り組みですが、知事は今年1月の年頭の御挨拶で、滋賀県行政としてSDGsに取り組むことを表明され、さきの知事提案説明では、「ことしからSDGsに向けた取り組みに参画することとし、既に具体的な取り組みを始めたところです。琵琶湖を真ん中に、誰一人置き去りにしない持続可能な共生社会をつくる琵琶湖新時代を、皆様とともに築いていく所存です」と表明されています。  そこで、以下7点について伺います。  初めに、SDGsに取り組もうとする知事の思いについて、持続可能な社会の構築を目指す中で、誰一人取り残さないと掲げられている基本的な考えについて、知事に伺います。  2点目に、6月の1日のシンポジウム、盛大に開かれました。知事も御登壇され、SDGsの必要性や可能性、県が率先して取り組む意義について語られました。また、国連のトーマス・ガス氏や多くのパネラーからも、SDGsに取り組む意義が語られました。このシンポジウムについて、知事はどのような感想を持たれたのでしょうか、お伺いします。  3点目に、持続発展教育──ESDがあります。ESDは、社会の関連分野と連動しながら、学びを重視します。持続可能な開発目標──SDGsは、持続発展する社会の目標に向けて実践を重視します。  滋賀では、第3次滋賀県環境学習推進計画において、低炭素社会の実現、生物の多様性などへの取り組みが進められてまいりましたが、SDGsの土台とも言えるESDの滋賀の取り組み状況について、琵琶湖環境部長に伺います。  滋賀県内の学校では、自然を中心とした環境学習が早くから進められてまいりましたが、中でもエコスクールは、ESDに近い取り組みの一つと言えます。今後、学校でもESDからSDGsへの取り組みへと広がってくると思いますが、片仮名が多くてイメージが持ちにくいと感じています。例えば、次のようなものかなと思ったりもします。  私は、25年ほど前に教育視察研修でアメリカのアリゾナ州を訪問した際、そこで聞いた話に衝撃を受けました。「あなたが着ている綿製品は、メキシコから季節労働者として学校を休んで綿つみにやってきた子供たちの汗でできているんです」。私は、物の豊かさを享受している向こうに、貧困にあえいでいる子供たちがいることを知りました。以来、綿製品を身につけるたびにこの話を思い出して、少しでも長く大切に使うようにしています。  日本の学校では、綿花の生産国はどこですか、このような学びにしか至っておりません。しかし、この事例では、人権と環境、国際理解とを結びつけて考えていくと、自分の考え方や暮らしを変えるきっかけとなります。  そこで、4点目として、今年度第1回滋賀県総合教育会議でSDGsについて説明をされましたが、学校ではSDGsについてどのように取り組めるのでしょうか。その可能性について、教育長に伺います。  SDGsは企業でも取り組もうとの動きがあります。6月15日に参画しましたGoogle Cloud Next Tokyoで、グーグル社は、本年度、同社が世界で消費している電力を100%再生可能エネルギーで賄う予定であると紹介しておりました。驚きました。  そこで、5点目として、商工観光労働部長健康医療福祉部長に伺います。SDGsの取り組みの中で、産業や健康医療福祉部門でどのようなイノベーションが期待できるのでしょうか。  6点目に、やはりSDGsは片仮名言葉になると内容がイメージしにくいと思います。ややもすると理念先行になりがちですが、県民の皆さんにわかっていただくために、県全体としていかに進めていこうとされるのか、知事に伺います。  7点目に、SDGsは、貧困と格差の是正、食の安全、水問題など、私たちの暮らしに直結している問題です。知事は滋賀県としてSDGsに取り組むと表明されていますが、これによって滋賀がどのように変わるのでしょうか。期待される姿を示していただければと思います。知事、よろしくお願い申し上げます。 ○議長(奥村芳正) 18番井阪尚司議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)きょうもどうぞよろしくお願いいたします。  SDGsに関して7点御質問いただいたうち、私には4点賜りました。  1点目、基本的な考え方についてでございますが、SDGsが目指す持続可能な開発は、誰一人取り残さない社会の実現とあわせて、経済成長と環境保護を同時に達成していくことが不可欠とされており、これらの3つの要素を調和させることで、持続可能な共生社会づくりにつながっていくと考えているところでございます。  2点目、シンポジウムの感想についてでございますが、6月1日のシンポジウムでは、多くの皆様に御参加いただき、県民の皆さんの関心の高さを感じることができました。また、一人一人の暮らしや企業等の経済活動の中でSDGsに取り組むことの意味について共通認識を持つとともに、滋賀県が率先して取り組む意義についても発信することができたと考えています。  また、シンポジウムで基調講演をいただきました国連のトーマス・ガス氏が、事前に大津市内の中学校で行われた出前授業におきましては、暮らしの中から世界を創造し行動することの大切さを語りかけるガス氏に対して、中学生が熱心に質問する姿を見て、私自身、若者がSDGsの取り組みに参画していくことの重要性を改めて感じたところでございます。  大きな6項目めといたしまして、県としての進め方について御質問いただきました。  水源林を含めた琵琶湖の保全再生の取り組みや子ども食堂、水環境ビジネスなど、これまで県が注力してきた政策の多くは、SDGsに先行的に取り組んできた取り組みだと考えています。県民の皆さんにSDGsをよりよく御理解いただくためには、県内におけるこれまでの取り組みを、SDGsの視点でわかりやすく見せていくことが重要であると考えます。  あわせまして、経済界や各種団体等の皆さんと一緒に取り組みを進めるとともに、将来を担う若者の参画を進めるための大学等との連携を行うなど、県政だけでなく、それぞれの主体がSDGsに参画し、それぞれの立場で推進していくための仕組みづくりにかかわってまいりたいと存じます。  最後、SDGsによって滋賀がどう変わるのかということについてでございますが、SDGsは、本県が世界と同じ方向を歩んでいることを確認するための物差しとして有効であり、これまでの県の取り組みをSDGsの視点で見詰め直してみることで、その評価につながり、新たな気づきが次の政策にもつながるものと考えています。  あわせまして、2030年には、社会の主な担い手となる若者を初め、経済界など多様な皆さんの主体的な参画のもと、経済成長と環境保護が両立し、琵琶湖を中心とした自然と共生する、全ての人に居場所と出番がある持続可能な共生社会が実現しているよう、取り組んでまいりたいと存じます。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) (登壇)御質問の3点目、私にいただきましたESD──持続可能な開発のための教育の滋賀県の取り組み状況についてお答えをいたします。  本県では、平成28年3月に第3次環境学習推進計画を策定いたしております。その基本目標といたしまして、「『いのち』に共感して自ら行動できる人育てによる、持続可能な社会づくり」を掲げているところでございます。単なる人材の育成にとどまらず、学びを主体的な行動へと移していただくことで、持続可能な社会づくりが進むことを目指しているところでございます。  計画の重点的な取り組みといたしまして、1つに、暮らしと琵琶湖のつながり再生、2つに、低炭素社会づくり、3つに、生物多様性の保全、そして4つに、循環型社会づくり、この4分野に係る環境学習を進めることといたしております。  平成28年度の本県における取り組みといたしましては、例えば生態系サービスを対象にいたしました自然観察会や学習会、地球温暖化防止推進員によります出前講座の開催など、重点4分野総計で64の事業を実施いたしまして、各事業とも、おおむね目標を達成していると認識してございます。  また、環境学習の推進に向けましては、県のみならず、文部科学省や環境省などとの連携も重要であると考えてございまして、例えば、昨年度は環境省から、「ESDで地域資源を生かす」をテーマとする研修の講師派遣依頼をいただき、本県の環境学習の取り組みを説明させていただいたところでございます。  また、本年度に国が設置予定の近畿地方ESD活動支援センター企画運営委員会に、国からの依頼をいただき参画をしているところでもございます。  ESDは、議員御指摘のように、まさにSDGsの土台とも言える取り組みであり、SDGsを踏まえながら、引き続き一層の推進に取り組んでまいりたいと考えております。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) (登壇)企業のSDGsの取り組みについて、健康医療福祉部門でどのようなイノベーションが期待できるかについてでございますが、例えば、日常生活にかかわっては健康づくり器具の開発が県内でも進められておりますし、また、介護現場では介護ロボット、医療現場では、治療機器や新薬の研究開発などが考えられるところでございます。  こうした技術革新は、県民の健康、医療、福祉の向上といった効果だけではなく、医療、福祉現場で働く方にとっても、従事する業務の効率化、省力化などに資するものであり、人材確保の観点も含め、持続可能な社会の実現に貢献が期待されると考えております。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) (登壇)企業のSDGsの取り組みの中の産業部門のイノベーションについてでございます。  国内企業の中には、少ない水で流せて、においや虫を遮断できる安価な簡易式トイレを開発し、発展途上国での普及を促進する事例が見られるところです。また、県内企業においても、小規模な排水処理装置と水質監視を組み合わせ、新たなビジネスモデルの創出に取り組まれる等の事例がございます。こうした事例は環境保全と経済発展の両立を可能にするものであり、滋賀県産業振興ビジョンに掲げる重点分野の一つであります水・エネルギー・環境イノベーションにつながるものでございます。  本県が取り組んでおります水環境ビジネスの推進や医工連携による医療・健康・福祉イノベーション等の創出は、まさにSDGsが目指す持続可能な社会の実現に貢献し得るものと期待いたしております。
    ◎教育長(青木洋) (登壇)SDGsに関する御質問のうち、学校ではどのように取り組めるかについてお答えをいたします。  本県では、これまでから主に環境問題を中心としたESDを推進し、子供たちが学んだことを実践する場を設定して、地域におけるさまざまな取り組みを行ってまいりました。これらの活動を含めた学校の教育活動を、SDGsの17の目標から見詰め直すことは大切だというふうに考えております。  SDGsの17の目標について、子供たちがその意味をしっかり理解し、身近なところから自分にできることを考え、実践していけるようにしていくことが大切であると考えており、これは何を学ぶかだけでなく、何ができるようになるかということを重視する新学習指導要領の方向性と通じるものであると考えております。  学校教育の中でSDGsを意識することにより、子供たちに新しい時代に必要とされる資質、能力を育成できるよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)ありがとうございました。暮らしにロマンをという、そんな明るい御答弁をいただきました。  ESDというのは地道に滋賀は確かに積み上げていただいていますし、特に、この知事部局と教育委員会が本当にうまく連携していただいていて、国の方でも滋賀を注目されているというのをうわさに聞いたことがあります。引き続いて広げていただきたいなと思います。  また、これから各部で次年度の施策の中にSDGsの視点が盛り込まれると思いますけれども、滋賀らしい息の長いものとなりますことを願って、次の質問に移らせていただきます。  昨日の西村議員の琵琶湖新時代について共通するものがあるかもしれません。したがって、似た質問になろうと思いますけれども、琵琶湖新時代における滋賀の人と自然の関係について伺います。  私は本質問で、マザーレイクを足がかりに、豊かさを形にするという創造的な滋賀の姿をイメージしたいと思っております。そこで、以下、一問一答で伺います。  知事の目指す琵琶湖新時代とは、琵琶湖を利活用して経済的な発展に重きを置いたものなのでしょうか。あるいは、都会の人が抱く心のふるさととしてのいわば桃源郷とでも言うべき琵琶湖をイメージしておられるのでしょうか。琵琶湖新時代において、目指すべき滋賀の姿とは何かについて、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  琵琶湖新時代とは、琵琶湖を国民的資産と位置づけた琵琶湖保全再生法の制定を契機といたしまして、琵琶湖を滋賀の象徴と捉え、県民の皆さんや民間企業、団体、行政が力を合わせて、世界一魅力的な琵琶湖と滋賀を目指そうという挑戦的な取り組みの呼びかけでございます。  母なる湖、琵琶湖は、新しい豊かさを追求する滋賀の希望でもございます。琵琶湖を中心に、周囲の山々やまち、そこで展開される人々の暮らしを豊かなものとしていくために、県民の皆さんとともに琵琶湖の価値を改めて学び、琵琶湖とともにある滋賀の暮らしのあり方を見詰め直していく中から、本格的な人口減少時代を豊かに生きることができる新たな社会のあり方を追求していきたいと考えています。  そのために、まずは水環境ビジネスやビワイチなど、これまで力を入れてきた取り組みをベースに、琵琶湖を生かした地域の魅力と稼ぐ力の向上を図るとともに、SDGsを一つのよりどころとして、経済成長と環境保護が両立し、誰一人取り残さない持続可能な共生社会を実現していこうとするものでございます。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)経済と環境、確かに車の両輪だと思います。しかし、東京や大阪の方々から見ますと、滋賀のこの豊かな自然に触れると心が癒やされると。一方では、精神的なバックボーンになっていくのかなとも思ったりもします。両輪合わせて、新しい価値をまた私自身、見出していきたいなとも思っております。  1年間、いろんな行事をされます。特に記念式典では、事業の記念をお祝いすることとか、あるいは記憶を共有したり、未来に向かって確認したり、新たな文化ツーリズムなどのようなことを醸成したり、そういう狙いがあると思うんですけれども、昨年、司馬遼太郎氏没後20年の記念シンポジウムが行われました。これについて、どのような成果があったのか、県民生活部長にお伺いします。 ◎県民生活部長(福永忠克) (登壇)お答えいたします。  昨年、司馬遼太郎没後20年記念シンポジウム「『街道をゆく』は近江からはじまった」を開催いたしましたところ、約1,500名もの方々に御参加をいただいたところでございます。  このシンポジウムは、司馬先生が心を寄せてくださりました近江という土地や、琵琶湖を初めとする自然を大切にする心について考える貴重な機会となったところでございます。また、北海道から九州まで全国各地から多くの来訪があり、司馬先生の作品を通して、滋賀の魅力を高め、広めることができたと考えております。  司馬先生の作品に共通する、その土地の風土や歴史、文化を大切にするという考えを次の世代にも伝えていきたいと考えておりまして、ことし2月には、司馬遼太郎記念財団と滋賀県との基本協定を締結をさせていただいたところでございます。  この協定に基づきまして、今年度は、司馬先生の作品と滋賀を関連づけた写真の募集やブックレットの作成を行う予定であり、今後とも、滋賀の風土や歴史、文化のすばらしさを再発見し、その魅力を県内外に発信する取り組みを推進していきたいと考えております。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)本年度に引き続いて発展していただいているというのは本当にありがたいことでございます。  さて、本年度は、琵琶湖のイメージソングとも言えます琵琶湖周航の歌100年を迎えております。海東議員も取り上げられましたけれども、時間がないので私は歌いませんので、すいません。  式典が開かれまして、各地域でさまざまなイベントが行われておりますが、県はどのような事業にどうかかわっているのかについて、県民生活部長にお伺いいたします。 ◎県民生活部長(福永忠克) お答えいたします。  県内各地の情景が歌い込まれました琵琶湖周航の歌が誕生してから100周年を迎えるということは、大変喜ばしいことであると考えております。  県におきましては、6月24日に、琵琶湖周航の歌が誕生した高島市や関係団体等と連携いたしまして、琵琶湖や歌をテーマにした講演会、また合唱、ワークショップなどによります記念式典を開催いたしました。  また、本年5月29日から6月2日に県内の小学生を対象に実施したびわ湖ホールでのホールの子事業のプログラムの中に初めて琵琶湖周航の歌を取り入れるなどいたしまして、多くの方々に歌を知っていただき、魅力を感じていただくための取り組みを推進しているところでございます。  さらに、県内のさまざまな団体が実施していただいておりますイベントを集約した総合的なパンフレットを作成いたしまして、これを市町の観光協会や図書館などに配布いたしまして、県として広域的な情報の収集、発信に努めておるところでございます。  琵琶湖周航の歌誕生100周年をきっかけにいたしまして、琵琶湖や周辺の自然を大切にし、それと共生する暮らしの文化の魅力を高め、発信する取り組みを今後も進めてまいりたいと考えております。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)期待を申し上げます。  御存じのように、作詞は小口太郎氏、作曲は吉田千秋氏。日野町で飯田忠義さんが御講演されまして、この研究成果を発表されました。そこで私もちょっと驚いたんですが、お2人は出会われたこともない、人の縁で結ばれている。そしてから、作詞、作曲ともに二十のときにされた。息長く根づくというのは本当に不思議なところから始まっていくのだなと思わせていただきました。  さらに、この琵琶湖周航の歌は、歌詞が仏教的で、曲想が賛美歌風との研究でございます。これは琵琶湖の水と祈りの世界遺産とも重なりまして、新たな視点で、滋賀ならではの文化ツーリズムが期待できると思っております。商工観光労働部長に、そのお考えを伺います。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  議員御指摘のとおり、琵琶湖周航の歌ゆかりの地をめぐる旅は、文化ツーリズムの一つの形であると考えます。今年度実施します日本遺産滋賀・びわ湖水の文化ぐるっと博とあわせて、琵琶湖周航の歌ゆかりの地もめぐっていただけるよう、1つに、市町や地域の皆さんとともに、歌にまつわる観光素材を磨き上げるワークショップなどの実施、2つ目に、魅力的な周遊コースを提案し、参加者にSNSなどで発信していただくモニターツアーの実施、3つ目に、素材やルートの提案を盛り込んだ周遊マップの作成などを進めております。  これらを通じまして、観光キャンペーン終了後も継続的に来訪いただけるよう、いわば滋賀の定番商品として発信し、また、それぞれの地域でおもてなしを行う仕組みづくりに取り組んでまいりたいと思います。  さらに、これまでから取り組んでおります戦国武将や観音信仰、さらには映画のロケ地など、県内各地の歴史的、文化的素材にこの琵琶湖周航の歌ゆかりの地を加え、それらを結ぶツアーづくりにも、市町や地域の皆さんと連携して取り組んでまいりたいと思います。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)ありがとうございます。  ことし、長浜に歌碑が建立されまして、歌詞に出てくる場所全てにそろったということでございます。また、この歌、ボニージャックスさんとか加藤登紀子さんとか、いろんな方々が歌われて、全国的な愛唱歌になっております。滋賀の一番のわかりやすい売りの一つかなというふうに思うんですが、ならば、滋賀の情報発信拠点「ここ滋賀」で琵琶湖周航の歌や司馬遼太郎、白洲正子さんなどの精神文化の足跡を生かすということは、滋賀の文化として現代人の心に響くものだと思います。また、インバウンドですとか国体に向けた文化ツーリズムにも生かせるのではないかと思います。そのお考えについて、総合政策部長にお伺いします。 ◎総合政策部長(宮川正和) (登壇)お答えをいたします。  本県には、琵琶湖を初めとする豊かな自然、神と仏の美、歴史街道や町並みなど、多くの文化人を魅了した歴史文化の奥深さがございます。そして、それらは今も県民の暮らしの中に生きておりまして、県民共有の財産となり、また同時に、外に向けて誇るべき魅力となっております。この強みを生かして、議員から御提案もありましたとおり、「ここ滋賀」で滋賀の文化、その文化に裏打ちされた営みを積極的に発信していくことが重要であると考えます。  このため、例えば滋賀の歴史や祭り、観音文化などに焦点を当てた企画催事を実施するなど、さまざま工夫を凝らした取り組みを行ってまいりたいと考えております。  議員が挙げられました琵琶湖周航の歌や司馬氏、白洲氏、いずれもストーリーで滋賀を語ることの重要性を指摘されたのかなと私は理解をいたしました。そういう切り口をインバウンドや文化ツーリズムの中に生かしていくことが大変重要であると、こういうふうに考えております。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)ぜひインバウンドでも取り上げていただければと思います。特に賛美歌というとこら辺から、非常に癒やされるという、多分、外国の方に受けるんではないかなというふうに思ったりもします。  さて、やはり琵琶湖新時代の中に桃源郷としての近江、琵琶湖を構想したいと思うんでございますが、琵琶湖新時代を構築していくためには、琵琶湖の多様な価値に直接触れて、琵琶湖で肌で感じていただく施策が必要かなと思います。  例えば、琵琶湖に感謝する日の制定ですとか、滋賀で琵琶湖周航の歌を歌おうキャンペーンを張るとか、あるいは琵琶湖ジャズ等のジャンボリーを開くとか、そんなような地域資源を活用した施策を提案したいと思うんでありますが、知事のお考え、いかがでしょうか。 ◎知事(三日月大造) 琵琶湖新時代の構築に向けては、まずは、私たち県民を初め、多くの方々に琵琶湖を知っていただくこと、かかわっていただくことが必要だと考えています。  このためには、琵琶湖を中心とした自然や人々のつながりを大切にしながら、行政、民間企業、団体、県民の皆様、さらには全国の琵琶湖を愛する一人一人の協働により、琵琶湖とその周辺にある素材を掘り起こし、その価値を学び、磨き上げていくことが重要であると考えます。  県では、本年度、琵琶湖を守ることと生かすことの好循環を創出することに向け、琵琶湖を守ることを基本とした琵琶湖活用の方向性を検討することといたしております。  検討に当たりましては、私たち県民はもとより、国民の琵琶湖に対する理解と関心を深めるきっかけとなるエコツーリズムや、琵琶湖と親しむスポーツなどの体験、体感による琵琶湖との触れ合い推進など、琵琶湖の魅力に直接触れ、肌で感じていただく施策の推進に取り組んでいくこととしています。  井阪議員から貴重な御提案をいただきました。今後、具体の施策の検討に当たりましては、賜りました御提案も参考にしながら、琵琶湖の持つ可能性を最大限に引き出した魅力ある施策の推進に努め、多くの方々に琵琶湖を知っていただき、かかわっていただくきっかけを創出してまいりたいと存じます。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)ありがとうございます。  昨夜、東近江市で農業の勉強をする晴耕塾というのがございました。小寺議員も参加されていたんですが、近江八幡の白王町の権座の取り組みを紹介されていました。そこで大変心に響いた、全て心に響いたんですが、その中でも特に、地域づくりにはロマンとそろばんが必要だ、何でもできることはやるというふうにおっしゃっていました。確かに、未来に向かって創造的な部分については、ロマンに向かって、もちろん経済的も考え合わせての話なんですが、何でもやるという、そんな心意気を知事の言葉から賜りました。ありがとうございます。  それでは、最後のふるさと絵図の活用について、一問一答で質問をさせていただきます。  人口減少と少子高齢化社会が急速に進んでおりまして、特に中山間地域は、高齢化率がもう50%を超える地区も出てきております。地域創生という言葉が本当にかすんで聞こえてきそうな状況であります。地域が持つ資源とは一体何なのか。その資源をどう見える化して生かすことができるのか。具体的に形にすることが今求められていると思うんですが、そこで、以下、一問一答で伺います。  温故知新という言葉の意味するところは、恐らく、時代を読み、普遍性や思想性を引き出して、知恵や工夫を新しい時代に生かそうとするところにあると思いますが、人口減少と少子高齢化で地域が急速に変わってきている今日、総合戦略の中で地域コミュニティーの状況をどう認識されているのか、このことについて総合政策部長にお伺いします。 ◎総合政策部長(宮川正和) お答えをいたします。  総合戦略では、人口の変化が暮らしに与える影響の一つに、地域コミュニティーの弱体化を挙げております。具体的には、都市部、農村部のいずれのコミュニティーにおいても構成員が減り、組織基盤が弱体化するとともに、地域の活力が低下することが懸念をされていること、特に農村部においては集落としての機能が低下し、集落そのものが維持できなくなるおそれのある厳しい状況であると認識をいたしております。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)私が住まいします日野町も、本当に山間部のほうは高齢化率60%になる勢いで、子供がいない状況であります。地区の桜谷小学校というのがあるんですが、100名を切ってしまいました。そのうち、全部で15カ村が集まっているものなんですが、私の村は最も小さい村でありまして、30戸しかないんですが、その小学校の子供の1割をうちの小さい村がいてくれると。集会所にバスを待つんですが、大変にぎやかな状況です。多分、若いお母さん方が住みやすいのではないかなと思うんですが、これが1人、2人欠けていくと一遍に抜けてしまうという、そんな状況です。どうしたものかと思いますけれども、まさにおっしゃるとおり、コミュニティーの状況をどうしていくんかという具体的な提案が必要なのかなと思っております。  そういう少子高齢化を迎えていく中で、やはり地域の最大の力を持っておられるのはお年寄りであります。高齢者の活躍をどう構想されていくのかということについて、健康医療福祉部長にお伺いいたします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  少子高齢化やライフスタイルの多様化等に伴いまして、家庭や地域のつながりの希薄化、単身高齢者世帯の増加などにより、例えば住む人がいなくなった古い家、また高齢者の生活支援など、さまざまな地域の課題が顕在化をしてきております。  こうした中で、高齢者みずからが地域や暮らしを守るために、地域づくりの担い手として役割を持って活躍されることは、身近な地域の課題解決につながるとともに、高齢者自身の健康づくりや介護予防にも大いに寄与するものと考えております。  こうしたことから、県では、人口減少を見据えた豊かな滋賀づくり総合戦略の19のプロジェクトの一つに、高齢者の社会参加・健康長寿実現プロジェクトを位置づけまして、老人クラブの地域活動への支援やレイカディア大学の学生、卒業生による地域活動の促進、自主活動グループの立ち上げ支援、また情報誌やホームページによる情報提供などによりまして、高齢者の活躍促進に取り組んでいるところでございます。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)高齢者の御経験や知恵の多くは記憶の中に蓄積されています。記憶をひもとくということの効果をどのように見ておられるのでしょうか、健康医療福祉部長にお伺いします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  回想法により記憶をひもとくことにつきましては、早くから回想法事業に取り組んでおられる北名古屋市では、1つに、かつて経験したことを楽しみながらみんなで語り合うことによって、脳を活性化させ、仲間づくりにつながる、2つ目に、記憶をひもとくことで自分の人生を肯定的に捉えることができれば、気持ちを元気にし、主体的な力を引き出す、3つ目に、昔と今をつなぎ、高齢者の知恵や経験を伝承することができるといった効果が見られるとされております。  一方で、回想法は、素人が聞くと触れられたくない過去に直面するなど、むしろネガティブな方向に行ってしまう危険性もあるため、誰でもいつでもとはいかない面もあるという指摘もなされているところでございます。  こうしたことから、対象者に配慮した方法で実施することによりまして、高齢者御自身の生活向上や豊かな地域づくりに一定の効果があるものと考えております。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)今回取り上げましたふるさと絵図というものはどういうものかを紹介させていただきます。(資料提示)こんな感じですね。お手元の資料をごらんいただきたいと思います。  上の絵を見ていただきますと、これは大津の南比良地区の絵図です。琵琶湖で地びき網が行われています。一番丸が見えますでしょうか。今はミシガンという船というところだったんでしょうか。江若鉄道が走っています。今の湖西線。山手にイノシシが入ってこないようにシシガキがつくられているの、見えますでしょうか。昨日行われました、先ほど申しました晴耕塾でも、この八幡の白王地区の権座プロジェクト、内湖の複雑に入り組んだクリークが発達していました。このときも、昔の方々がこれを残す必要があるんではないかということで、ユネスコの世界景観にも指定されているとおりであります。やっぱりなつかしい部分というのはあって、近代的に発達した部分よりは、こういうのをひもといて残していくということが大事なのかなと思ったりしました。  真ん中の絵を見てください。南草津の矢倉地区です。農村地帯のゆったりとした暮らしぶりとか、あるいは地域に伝わる行事、そのころの人々の様子が生き生きと描かれています。豊かな地域がうかがい知れますが、今のまちの様子からは想像もつきません。煙を吐いて機関車が走っています。東海道です。かなり長い電車だったということで、このように長く描かれています。たくさん池がありました。ヒシ取りが行われています。東海道の街道には店が軒を並べて、人力車が行き来しています。  草津は、最初、渋川がつくられました。2番目に矢倉がつくられて、最後に真ん中の商店街のあそこですね。全部そろわれる。一つの大きなエリアでそろったというのはあそこです。矢倉については、大変学校教育との連携も深めておられます。  草津の商店街、それから矢倉地区については、まちの外に大きな看板を上げられて、行き来する方々への道案内、あるいは昔のガイドのような役割も果たしておられ、大変注目しております。  一番下の絵をごらんください。できたてほやほやです。甲賀土山の山内地域です。先日、この地域、全部で6つの村があるんですが、平成28年度事業で3つが完成いたしました。あと残り、ことし3つ完成しようと頑張っておられます。川には琵琶湖からアユとかあるいはアメノウオが上ってきた。毎日、魚をつかまえていたと聞きました。恐らく貴重なたんぱく源になっていたんではないかな。山では炭焼きが行われている様子ですとか、自然豊かな里山の風景が描かれています。  3つとも描いた人たちが違うのでこんな感じになっているんですが、このふるさと絵図というのは、地域のお年寄りに、五感アンケートによって70年から100年ほど前の暮らしの様子を聞くところから始まります。さらに多くの人から何回も話を聞いて、昔の地元の様子をイメージしていきます。そして、記録をもとに四季の変化を加えて絵を描いていきます。完成後は、お年寄りが語り部となって絵解きをされます。ちょうど今の95歳ぐらいの方は、夕方にお嫁に行かれた。80代ぐらいになると昼間に変わっていくそうであります。草津絵図のときに、「これ、私の姿を描いてもらったんや」と言って語っておられたお年寄りがいらっしゃいました。  このような記憶が地域の宝となるような性格を持つふるさと絵図なんですが、県内で35ぐらいが絵びょうぶとして完成しています。この文化的な価値についてどう認識されるのか、県民生活部長にお伺いをいたします。 ◎県民生活部長(福永忠克) お答えいたします。  ふるさと絵図につきましては、今し方、議員から御説明がございましたとおり、地域の風景や地域のなりわい、祭りや、また行事など、暮らしと文化を一定の手順に従い絵図としてまとめ上げ活用するというプロセスを通じまして、人と自然、人と人、また人と文化とのつながりを再認識し、回復していく取り組みと承知をいたしております。  この取り組みは、地域において継承されてきた文化的資産を可視化し、人々の間で共有、継承し、未来の地域づくりにも生かしていく、大変意義深い取り組みだと考えております。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)この回想法による心象絵図づくりで、古老の活躍がございます。この作業や語り部としての活躍に見る福祉的な価値をどう認識されているのか、健康医療福祉部長にお伺いいたします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  回想法による心象絵図づくりは、地域に暮らす高齢者の生活体験に関する記憶をもとに、地域の市民活動団体や老人クラブなどさまざまな方や団体が参加、協力し、役割を担いながら、地域の生活史を1枚の絵図として描き上げ、高齢者が語り部となって、当時のふるさとのよさや思い出を、子供など地域の人々に語り継いでおられる取り組みと聞いております。  このような取り組みは、子供を初め地域の人々が高齢者に学び、多世代が交流する場となるとともに、高齢者の生きがいや社会参加につながるなど、福祉的価値があるものと認識をいたしております。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)この絵図がまちづくりや学校教育に生かされているところがございます。特に矢倉地区、先ほど申しました、あるいは渋川地区での取り組み、大変先生方の前向きな姿勢、それから地域の前向きなお取り組みがうまく連携されたような形です。文部科学省や環境省も大変このことに注目しておられまして、視察にも来られています。  渋川のときも、環境副大臣、それから政務官もお越しになられて、いろいろ御案内もさせていただきましたが、大変注目されていることについて今後さらに広めていただければと思うんですが、また、環境教育副読本「あおいびわ湖」の中にも、小学校版なんですが、その中に南比良の絵を全面的に載せていただいたという経緯もございます。学校の学びのツールとして、学校での導入の考え方について教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  ふるさと絵図につきましては、草津市の矢倉や渋川、甲賀市の山内などの地域で、地域の方々により作成されているとお聞きをしております。この絵図を総合的な学習の時間などで活用している学校もあり、そうした学校からは、作成された方から直接話を伺うことで、子供たちが世代を超えたつながりを感じたり、地域への理解や愛着を深めたりすることができたという話を聞いております。  こうしたふるさと絵図を地域の学習をする際の効果的な教材として、その活用事例もあわせて、各学校に紹介をしていきたいと考えております。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)ぜひよろしくお願いいたします。  昔の様子を記録して、ふるさと絵図にした理由が幾つかあります。知事、教育長、部長の御答弁にもありましたように、効果はさまざまな分野にわたります。まず、お年寄りが語り部となって絵解きされますので、かつての地域の様子が豊かな経験等で伝えることによって地域の文化を伝えるツールになると。また、井戸ですとかから水をくみ取ったり、水路から風呂の水を運んだ暮らしなどを知りまして、五感を使って追体験することができる、もったいないの意味ですとか循環について考えることができる。また、聞き手の子供たちですとか若い世代の人たちとの交流が生まれまして、学校での出前授業ですとか、滋賀を訪問した都会の人たちにとって、滋賀の環境文化について学ぶ機会にもなります。  山内絵図、3つ完成したと申しましたが、1枚は、わしらが描くと言われて、80代のお年寄り3人が最後まで描かれました。ここの一番下にありますのは、地域のリーダー、お年寄りが中心となって、市内、市外からいろんな人たちが応援に駆けつけて仕上がったものです。大学生ももちろん入っています。  それから、猪鼻というところがあります。これは、何と石山高校の音楽科の学生が、2月以降春休みになるものですから、大津、草津、安土等々から通って仕上げてくれたものであります。  このように、お年寄りの話を聞きながら子供たちがかかわっていくという、それが多分、文化の伝承になっていくんだろう。50年後は君たちが語り部になるんだなというふうにしゃべっておりました。そんなことをイメージしておりました。  それから、聞き手の子供たちですとかと交流が生まれるということですね。子供たち、若い世代が、ふるさとを自分の言葉で語れるようになる。しいては、ふるさとへの自信と誇りと感謝の気持ちが生まれるんではないかなと思っています。  この心象絵図、先ほど御紹介いただいていますように回想法と呼ばれるものですが、お年寄りの脳裏に刻まれた記憶をみずからの力で再生することから、自身の生きがいにもつながっていくということで効果がある、そういうことでございます。  最後の質問をさせていただきますけれども、このふるさと絵図、高齢者が御健在な今しかできません。今のうちに滋賀の環境文化として形にしていきたいと、その強い思いを持っております。それには推進する拠点が必要だと思うんですが、県立大ですとか、あるいは県庁横の医療福祉拠点施設に回想センターを設置してはいかがかと思いますが、提案をさせていただきますけれども、知事のお考えをお伺いします。 ◎知事(三日月大造) とても興味深い取り組みをお取り上げいただき、ありがとうございます。それぞれの部長からも答弁がありましたように、このふるさと絵図の取り組み、また議員から御紹介いただいたように、文化的資産を共有、継承して地域づくりにも生かすという価値でありますとか、高齢者の皆さんがいろんなことを思い出されて、ああやった、こうやったとしゃべられて、そういったことが生きがいづくりにつながるですとか、多世代の交流という価値もあると思います。私も幾つかこの絵図をつくられたところですとか、つくられる過程に参加をさせていただいたことがあって、何とまあ楽しそうにやっていらっしゃった様子が印象に残っております。  こういう取り組みは、それぞれの地域にある暮らしや文化、風景を、地域の人の力で次の世代に引き継いでいかれるものでございまして、私もこれをどうやったら広めていけるのかなと思いながら聞いていました。その際に、御提案のあったセンターのようなものをつくるのがいいのか、それとも、こういう事例を、先ほど教育長からもありました、学校現場でも広めていく、さらにはこういう事例をいろんなところで紹介していく、そういう形で広めていくのがいいのか。どうすればこういった取り組みが広がっていくのか、一緒に考えていきたいなというふうに思っています。 ◆18番(井阪尚司議員) (登壇)ありがとうございます。何せここ滋賀県内にはたくさんの自治区があって一斉にできないものですから、やはりそれを興味持っていただいて、やってみようかなという方をどう育てていけばいいのかなというところが大きな課題なんですね。ですから、そういう機能するようなところがあればいいのになという、そんな思いで質問させていただきました。
     ESDあるいはSDGsにつなげて、県内外や世界にも紹介していただきたいなと思っております。地域の人によるもう1つの記憶遺産、ふるさと絵図、夢を形に、地域創生に生かせると思っております。ぜひ県主導でこの拠点になるものをつくっていただくことをお願い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。(拍手) ○議長(奥村芳正) 以上で、18番井阪尚司議員の質問を終了いたします。  次に、22番大野和三郎議員の発言を許します。 ◆22番(大野和三郎議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従い、医療費抑制と健康寿命延伸について、全て知事に問います。  厚生労働省による医療費の推計ですが、給付費が2025年には2012年の1.4倍で54兆円、介護費も2倍の19.8兆円まで膨らみ、このまま放置すれば、制度の持続可能性が危ういとしています。2025年には、平成28年2月議会でも質問をしましたが、団塊の世代が全員75歳以上の後期高齢者となる年であります。  こうしたことを踏まえた政府が4月に開催した経済財政諮問会議では、安倍首相は、データを最大限活用し、中長期的に持続可能で効率的なものにすると表明されたと報道されています。過剰な医療行為など地域差を洗い出すため、レセプトデータを活用して是正を促すほか、都道府県が主導して医療、介護を効率的に担う仕組みをつくる方針とのことであります。  同時に、厚生労働大臣も、地域の医療介護費抑制に向けて、都道府県の権限を強化する方針を表明しています。これは私が以前から提案をしているデータヘルスの取り組み、レセプトデータを用いて病気の予防や早い治療につなげ、結果、医療費抑制となり、財政健全化にも貢献するとしていましたが、これに加えて、今回の改正は、いわば公的社会保障費抑制を地域で競わせるものであります。  そこでまず、本県の医療費抑制の現状として、第2期医療費適正化計画における目標に対する現状はいかがか。前回も問いましたが、目標が特定健診診査の実施率70%以上、特定保健指導の実施率45%以上、メタボリックシンドロームの該当者および予備軍の減少率25%以上に対して、実績はそれぞれ、49.7%、20.9%、0.28%と目標と大きく乖離した状況にあり、目標達成が困難な状況となっていますが、どこに原因があり、どのように分析をされているのかについて、目標達成の覚悟をお伺いした前回の再質問において、「目標を達成することで、知事としての責任を果たしてまいりたい」と答弁されたことも踏まえて、「綸言汗の如し」と申します。知事として、県民の皆様への説明責任をどのように果たされるのか、知事の決意に基づく答弁を求めます。  当初、厚生労働省は、この計画達成により、長期的には6兆円余りの医療費の伸びが抑えられると試算していました。しかし、達成しないということは抑制できなかったというだけではなく、想定した医療費が多くかかったということであります。私はこの医療費適正化計画は、単に健診や指導率の実施率を上げるというものではなく、さきに述べましたが、地方財政を健全化するために極めて重要な計画だとの思いから取り上げています。  知事も以前に試算として、「メタボリックシンドローム該当者および予備軍の例えば半減となれば、約400億円の医療費が減少する。また、人工透析患者の増加を抑制すれば、390億円の医療費が削減できると見込んでいる」と述べています。だからこそ、この医療費適正化計画は目標を達成しなければならないのであります。合わせて約800億円が抑制できれば、県民の健康増進、社会福祉など、それこそ知事が言うところの新しい豊かさのために活用できるわけであります。  そこで、平成29年度の目標に対する現在の状況、それぞれの達成状況の具体を問いますが、達成していない場合は、平成28年度における医療費の抑制ができなかった医療費相当額がどれほどかもあわせて問います。  また、前回、まずは次の滋賀県保健医療計画の改定に向けて、次年度、すなわち平成28年度から、県民の意識調査やこれまでの進捗状況の評価等による現状や課題の分析作業を行うとされていましたが、現在、どのような状況かを問います。  ところで、改めて本県のデータヘルス計画の策定状況でありますが、平成27年度末では約半数の市町が策定済み、または医療保険者も7割が策定済みとの報告でありましたが、現在の計画策定状況はどのようになっているのか、また、進捗状況についても問います。私は、データヘルス計画による効果をぜひとも県が主導して、県内保険者や県民に浸透させるべきであると思っています。  知事は、広島県呉市の呉モデルを御存じでしょうか。既に10年も前から取り組んでいるもので、当然、1人当たりの医療費の伸びは全国を大きく下回っており、こうした実績から、国では成長戦略などにもデータヘルスを位置づけています。呉市の取り組みを見てみますと、私はレセプトデータを、日本語で言う医療明細ですが、宝にしていると思います。加えて、宝になるように活用していると思います。  さきに医療費適正化計画の各種実施率を問いましたが、呉モデルを見てみますと、県民の意識改革とともに、直接的な訪問指導、ジェネリック医薬品の使用促進、重複受診の改善には、各市町、医療保険者の行動に結びつくための支援が必要ではないかと考えます。滋賀県の取り組みと呉市の取り組みを比較したとき、目標を達成するには、滋賀県ではこれから何をどのように進めることが重要とお考えか、その具体を問います。  繰り返しになりますが、過剰な医療行為など地域差を洗い出すため、レセプトデータを活用して、都道府県が主導して医療介護を効率的に見直す仕組みをつくる方針が示され、同時に、地域の医療介護費抑制に向けて、都道府県の権限を強化する方針が表明されましたが、知事は、呉モデルと言われる取り組みをどのように思われるか。また、こうした市町あるいは医療保険者の取り組みを圏域で進めるための県としての行動はどうあるべきと考えているのか、国の方針を踏まえた答弁を求めたいと思います。  平成23年3月11日に発生した東北地方太平洋地震の津波で甚大な被害を受けた陸前高田市、奇跡の一本松でも有名になりました。この陸前高田市も復興に際して、いち早く健康に目を向けて、健康増進計画はもとより、データヘルス計画等を連動させた健康づくり推進の計画が策定されています。  申し上げるまでもなく、高齢化がさらに進む中で、寿命は健康で元気に活動できるという、いわゆる健康寿命の延伸が極めて重要であります。全国平均では、平均寿命は、平成22年時点で男性79.59歳、女性86.35歳、健康寿命は、平成25年時点で男性71.19歳、女性74.21歳となっておりますが、同時期における本県の数値は、平均寿命が男性80.58歳で全国2位、女性が86.69歳で全国で12位であるのに対して、健康寿命ですが、これは男性が70.95歳で全国31位、女性が73.75歳で全国39位となっています。  ちなみに、呉市では、平成27年の健康寿命が、男性79.02歳、女性83.44歳となっており、健康寿命を平均寿命にできる限り近づけていくことを目標として取り組まれています。  こうした状況を踏まえると、本県でも健康寿命の数値目標を掲げ、県民の皆様にお示しする必要があると考えますが、医療費の抑制と健康寿命延伸について知事の決意を問い、質問とします。 ○議長(奥村芳正) 22番大野和三郎議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)医療費抑制と健康寿命延伸について、7点御質問いただきました。順次お答えをいたします。  1点目、第2期医療費適正化計画における目標に対する現状等についてでございますが、第2期医療費適正化計画における目標として、特定健診の実施率を初め、全部で10の目標を定めておりますが、このうち、現時点で計画終期でございます平成29年度の目標を達成しているものは、平均在院日数の短縮とジェネリック医薬品の使用促進と女性の喫煙率の減少の3つとなってございます。  一方で、御指摘のように、特定健診、特定保健指導およびメタボリックシンドローム該当者等の減少率については、なお大きく乖離した状況にございます。  本県の課題といたしましては、主婦等の被扶養者と国民健康保険加入者のうち40から50代の特定健診受診率が低いこと、また、どの保険者についても特定保健指導の実施率が低いこと、特定保健指導がメタボリックシンドロームの改善に必ずしも結びついていないことの3点にあると考えています。  このため、県と協会けんぽ滋賀支部が包括協定を締結いたしまして、各市町と協会けんぽの特定健診および特定保健指導を共同実施することにより、健診の機会を広げるなどの取り組みを進めるとともに、市町に対し、データを活用した効果的な保健指導についての助言や情報提供を行ってきたところでございます。今年度は計画の最終年度でございまして、目標達成に向けて、引き続き市町とともにしっかりと取り組んでまいりたいと存じます。  第2期医療費適正化計画における医療費抑制相当額についてでございます。  第2期医療費適正化計画においては、取り組みによる効果額を97億円と見込んでおり、その内訳は、1つ、特定健診の実施率の向上等の生活習慣病対策、こちらで44億円、2つ、平均在院日数の短縮で42億円、3つ、ジェネリック医薬品の使用促進で11億円でございます。  平成28年度末の達成状況でございますが、まず1つ目の生活習慣病対策では、市町国保と協会けんぽによる特定健診の共同実施等の取り組みにより、受診率は42.6%から平成26年度末に49.7%と上昇いたしましたものの、治療が不要となった人数は目標の約10分の1にとどまり、結果、4億円の抑制状況でございます。  2つ目、平均在院日数の面では、平成27年度末に25.2日となり、目標の26.7日を達成したことにより、抑制効果は147億円となってございます。  3つ、ジェネリック医薬品の使用促進では、平成27年度の薬剤料実績値と平成23年度の実績値との差によりまして、47億円と目標を達成したところでございます。  合計で効果額の推計は、平均在院日数の減少が大きく寄与したことにより198億円となりまして、目標額全体としては上回っておりますものの、依然として特定健診や特定保健指導の効果は不十分であると認識しています。もとより、長期に入院しなくても、また薬を飲まなくてもよい状態で健やかに暮らすことが、どなたにとっても、御本人にとっても、社会にとっても望ましいことでございます。  そのため、県といたしましては、市町や医療保険者とともに、県民の皆さんへの特定健診の受診勧奨や生活習慣病対策などの意識啓発、データ提供により力を入れて取り組んでまいる所存でございます。  3点目、保健医療計画改定に向けた現在の状況についてでございます。  平成29年1月に滋賀の医療福祉に関する県民意識調査を実施いたしまして、県民の医療や介護、健康づくりについての希望や考えをお聞きいたしました。この調査結果からは、適正体重の維持や食育、食べ方など、健康づくりへの関心はいずれも72%から73%台と、平成24年度の前回調査時に比べて総じて高まってございます。  また、現行の保健医療計画の実施状況につきましては、昨年度末に取りまとめ、医療審議会に報告したところでございます。生活習慣病対策や糖尿病対策といたしましては、各地域の保健所ごとに会議や研修、事例検討会等を行うことにより、市町の支援を行いました。  さらに、国保連を事務局に、県内の35医療保険者の健診等データを活用し、約22万5,000人の県内居住者を抽出して、メタボリックシンドローム該当者や糖尿病有病者とその予備軍の状況等をマップ化いたしまして、市町や各医療保険者に提供するなど、健診データの分析、共有などを行っております。  今後、滋賀県保健医療計画の改定に向けまして、引き続き、こうした状況分析、課題分析を進めるとともに、国から提供される指標による全国比較等も参考に、さらに市町や関係団体と一体となりまして、保健指導、重症化予防に取り組んでまいります。  4点目、本県のデータヘルス計画の策定状況等についてでございます。  本県では、平成29年3月までに、県内の35医療保険者の全てがデータヘルス計画を策定したところでございまして、現在、それぞれ計画に基づき、虚血性心疾患や脳血管疾患による死亡率の減少、糖尿病有病者の減少、がん検診受診率の向上などの取り組みが進められております。  各市町においては、平成30年度からの次期計画策定に向けて、その達成状況を今年度に評価することとされており、県といたしましては、その評価をもとに、研修会等において情報交換や成果の共有を図ることとしております。  5点目、呉市の取り組みと比較した今後の県の取り組みについてでございます。  呉市では、全国に先駆けて、レセプトデータや健診データを活用して医療費分析を行い、これに基づいて、短期的な施策としてジェネリック医薬品の使用促進を、また、中長期的には糖尿病性腎症の重症化予防などに取り組まれ、医療費の適正化に資するさまざまな施策を展開されておられます。  呉市の事例に学び、現在では、県内の市町や医療保険者においても取り組みを広げてまいりました。例えば、ジェネリック医薬品の差額通知につきましては、県内市町では、従前は年2回でありました回数を、昨年度から10の市町が年4回にふやすこととされておられます。また、糖尿病性腎症の重症化予防につきましては、レセプトデータ等による対象者の抽出、かかりつけ医との連携、保健指導の実施といった基本的な取り組みの流れは呉市と同様でございます。  しかし、重症化予防プログラムの策定や、かかりつけ医と関係職種がチームで訪問指導するなど、対象者への個別アプローチについて市町の取り組みに差が見られますことから、外部の有識者による市町事業の個別指導や研修会を通じて、市町の取り組みが進むよう支援しているところでございます。  県といたしましては、このようにレセプトデータをもとに、ジェネリック医薬品の使用促進を通じて住民の自己負担の軽減を図りながら、健康予防事業に使える財源を確保し、保健指導、健診を通じて、県内どこに住んでいても健康的な生活を送れること、そして結果的に医療費の節減につながる、そういう好循環のシステムを示して、市町、保険者と一体となって取り組んでいくことが重要と考えます。  6点目、この呉市の取り組みをどう考えるのか、また、県としてどうあるべきかということについてでございますが、先ほど来御紹介しておりますように、呉市のモデルの取り組みは、レセプトデータに着目し、それを活用することで住民の行動変容を促して健康を維持増進し、その結果として医療費縮減などの具体的な効果を上げている先駆的な事例であると考えます。  議員御指摘のように、国において、厚生労働大臣から、データの利活用やインセンティブ改革を通じて、保険者機能や都道府県の保健ガバナンスを抜本的に強化するとの意向が表明されたところでございます。  医療費や介護費が経済の伸びを上回って増加を続ける中、それぞれの地域にふさわしい医療・介護サービスの提供や住民の主体的な健康づくり、疾病予防の取り組みを進めていく上で、今後、県が担う役割は大変大きく重いものがあると考えます。  特に、今年度は保健医療計画を初め、保健、医療、福祉にかかわる多くの計画を改定するとともに、来年度から県も国保の保険者となって財政運営の主体となります。  こうしたことを踏まえまして、県としては、医療費の適正化や健康寿命の延伸に向けて全県的な方針を示すこと、また、データを統合、分析し、利活用しやすい形で市町保険者に提供すること、さらに、これらを活用して効果的な保健指導の強化策をともに協議し、全県展開していくことなどの役割を果たしてまいる所存でございます。  最後、7点目、医療費の抑制と健康寿命の延伸についての決意についてでございます。  健康寿命の延伸につきましては、滋賀県保健医療計画に数値目標を掲げて取り組んでおり、健康寿命の伸びが平均寿命の伸びを上回ることで、平均寿命と健康寿命の差を縮めることを目標としております。  健康寿命延伸の要因はさまざまでございますが、中でも、がんや糖尿病等の生活習慣病の発症や重症化の予防が重要であり、そのためには、食事や運動、喫煙などの基本的な生活習慣の改善が必要であります。  今年度は保健医療計画を初め各種計画の改定時期を迎えており、健康寿命の延伸についても総合的な観点から施策展開ができるよう、検討を進めてまいります。  人口減少や少子高齢化が進む中で、県民誰もが健康的にその人らしく生き生きと生活し、ときどき医療や介護のサービスを受けながら、住みなれた地域で安心して生活していける、そうした滋賀の健康長寿社会を目指さなければならないと考えています。  県、市町、医療保険者が連携し、役割分担してデータ提供や啓発、保健指導などを行うことにより、県民の皆さんが主体的に生活習慣病予防などの健康づくりにしっかりと取り組む滋賀になるように、その結果、健康寿命が延伸して医療費の適正化につながり、その財源を活用して、滋賀の新しい豊かさの実現に資するよう、説明責任を果たしながら、全力で取り組んでまいる所存でございます。 ◆22番(大野和三郎議員) (登壇)私が申し上げるまでもありませんが、最も大切なこと、これは県民の皆さんの健康の増進、したがって、第2期医療費適正化計画で、いわゆる数字の上では入院日数の減少等でクリアはできていますが、特定健診なり保健指導、またメタボリック等々でそういった課題が残っている、そういった姿勢、これは一定評価したいと思います。  そこで、ちなみにですが、今後さらに説明責任を果たしてまいりたいという御答弁をいただいたと思うんですが、念のために、説明責任の定義、これを御披露いただければありがたい。 ◎知事(三日月大造) 御質問いただきました説明責任の定義でございますが、まず基本ベースとして、情報公開だと思います。その上で、目標を示し、到達する目標を示し、その目標に至る経過、さらには結果、それらをお示ししながら、達成できたものについてはどういう施策が功を奏し達成できたのか、達成できてないものについては、どういう原因で達成できておらず、今後どうするのかということを説明することが、行政の果たすべき説明責任ではないかと考えます。 ◆22番(大野和三郎議員) (登壇)これは出典なんですが、デジタル大辞泉、いわゆる英語でアカウンタビリティ、直訳すると説明責任ということなんですが、まず、デジタル大辞泉では、政府や公務員が、政策やその執行について国民の納得できるように説明する義務を持つこととあります。したがって、これを本県に置きかえましたら、滋賀県という普通地方公共団体の知事および職員が、政策やその執行について全ての県民が納得できるように説明をする義務を持つこととなります。したがって、説明を行ったということと説明責任を果たすということは、これは内容を全く異にすると思います。  したがって、例えばですが、知事御自身が政策の執行等において県民の皆さんに説明されて、例えお1人でも私は理解できないと言う人があれば、これは説明責任を果たしたことにはならないと思います。  繰り返しになりますが、滋賀県知事として、つまり医療費の抑制とあわせてですが、健康寿命の増進について、滋賀県知事として結果を出すと明確な答弁をいただければありがたいと思います。結果を出すということです。 ◎知事(三日月大造) 議員が御指摘されましたように、説明責任というのは、やはり受けられた側の納得というものが大変重要でありまして、説明したことと説明責任を果たすこととは違うんだという、このことはよく私どもも肝に命じて、わかりやすい説明でありますとか、しっかりとした情報公開等を行ってまいりたいと存じます。  その上において、この時代、特にこれからの時代、健康というものに対する県民の皆様方のニーズ、御要望、大変強く広いものがあると思っておりますので、そういったより長く健康でいられる、もって健康寿命を長く持てる、そういう取り組みを県として充実させていく、もって県民の皆様方の健康に結果を出して、お示ししていくことに責任を果たしてまいりたい。まさに説明責任を果たしながら、知事としての責任を果たしてまいりたいと存じますので、また御指導、御支援方、よろしくお願いいたします。 ◆22番(大野和三郎議員) (登壇)ただいまの知事の答弁、成果を期待しながら、質問を終わります。(拍手) ○議長(奥村芳正) 以上で、22番大野和三郎議員の質問を終了いたします。  次に、13番節木三千代議員の質問を許します。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇、拍手)それでは、通告に従いまして、一般質問を行います。  まず、被爆者の思いに応える県行政について、分割で知事に伺います。  現在、県下には330名の被爆者手帳を持っておられる方々が居住され、各種の手当の支給やがん検診を含めた健康診断の無料実施などが行われています。  私は先日、大津市内に住むお2人の被爆者の方からお話を聞かせていただきました。原爆投下直後、教員、兵士と、お2人お立場は違いますが、救護に駆けつけられておられます。男女の区別もつかず、ぼろぼろの皮膚を下げて歩く人々、丸太のようになった生きた人間が並べられ、体液が流れ出るさま、2カ月間にわたって死体を焼き続けたことなど、今でも夢にうなされることがあると。がんを患われたAさんは、孫たちには二度とこういう思いをさせたくないとおっしゃっておられました。  今、世界では核兵器廃絶へ大きな動きが始まっています。3月に開催された核兵器禁止条約の国連会議には、115カ国以上の政府代表と世界中の市民社会の代表が集まりました。核保有国とその同盟国は会議をボイコットし、日本政府は被爆国の政府でありながら、会議に出席したものの、会議に参加することはできないと発言し、恥ずべき態度をとりました。  しかし、被爆者の皆さんの、「生き延びた私たちは、核兵器の非人道性と筆舌に尽くしがたい苦しみを再び誰にも経験させてはならないと心に誓いました」と、この訴えが各国政府を動かし、歴史上初めて、核兵器禁止条約が来月にも締結をされようとしています。  仮に核保有国などの参加が得られなかったとしても、賛成する圧倒的多数の国々によって核兵器禁止条約が締結されるならば、核兵器の使用と威嚇は違法化され、核兵器の保有に悪の烙印を押すことになります。  被爆者は、速やかな核兵器廃絶を願い、核兵器を禁止し廃絶する条約を結ぶことを全ての国に求める、ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器禁止核廃絶国際署名が今取り組まれています。署名では、「人類は、生物兵器、化学兵器について、使用、開発、生産、保有を条約、議定書などで禁じてきました。それらをはるかに上回る破壊力を持つ核兵器を禁ずることに、何のためらいが必要でしょうか」と呼びかけています。  全国の県知事、市町村長の賛同が今658人にも達しています。被爆者の思いに応え、ぜひ三日月知事に賛同を求めるものですが、見解を伺います。 ○議長(奥村芳正) 13番節木三千代議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  核兵器のない平和な社会を実現することは人類共通の願いであると考えています。核兵器禁止条約に関する交渉は、状況を踏まえて国が対応されることではありますが、我が国は核兵器のない世界を目指す大目標を掲げており、私としても、核兵器の禁止、廃絶に向けて、これは26日に賜ったんですけれども、ヒロシマ・ナガサキの被爆者が訴える核兵器廃絶国際署名について、既に署名を済ませたところでございます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)今、御答弁にありましたように、核兵器の廃絶を求めるこの署名に賛同を知事がしていただいたということを高く評価をしたいというふうに思います。一日も早く核兵器の廃絶がされるように強く願い、次の質問に移りたいと思います。  次に、滋賀県地域医療構想について、一問一答でお聞きします。  格差、貧困の拡大や地域の経済、社会の疲弊が進む中で、安心できる医療介護保険制度の抜本的な改善を求める声が切実になっています。しかしながら、安倍政権は社会保障予算の自然増削減を掲げ、この間、医療介護総合法、医療保険改革法など、公的医療・介護制度の根幹に手をつけるような法改悪を強行してまいりました。これらの法律の中核部分が、特に医療関連は2018年度から本格始動することが定められており、都道府県、市町村がその実施、準備に総動員されるこの1年になりますが、改めて、安心できる医療・介護を保障していくために、地方自治体の役割の発揮を求めるものです。  地域医療構想は、高齢化のピークとされる2025年に向け、高度急性期、急性期、回復期、慢性期の4段階に病床の機能を分けて、病床を盛り込んだ都道府県がつくる計画で、滋賀県では2016年度に策定されました。以下、健康医療福祉部長にしばらくお聞きをします。  まず、地域医療構想の目的についてお聞きをします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) (登壇)お答えをいたします。  国民の3人に1人が65歳以上、また5人に1人が75歳以上となる2025年を見据えまして、限られた医療・介護資源を有効に活用し、地域ごとに効率的で質の高いサービスを確保し、提供していくための取り組みが急務となってございます。  そのため、滋賀県地域医療構想は、1つに、地域の医療需要の将来推計等をデータに基づき明らかにすること、2つ目に、構想区域ごとの各医療機能の必要見込み量について検討すること、3つ目に、地域にふさわしいバランスのとれた医療機能の分化と連携を推進すること、4つ目に、地域で安心して暮らせる地域包括ケアシステムを構築すること、これらを目的としております。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)今、目的にありました地域で安心して暮らせるというところが非常に大事だというふうに思いますが、果たしてこの医療構想が安心して暮らせるようになる構想になっているでしょうか。  2つ目の質問ですが、この滋賀県地域医療構想の県全体の2025年の病床数の推計を部長にお聞きいたします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  2025年の病床の必要量は、県全体で1万1,319床と推計しておりまして、医療機能別の内訳は、高度急性期が1,277床、急性期が3,871床、回復期が3,579床、慢性期が2,592床となっております。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)県全体の病床数について、2015年と比べて削減される病床数は何床でしょうか、部長にお聞きいたします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  県全体の病床数でございますが、病床機能報告によりますと、2015年7月1日時点で1万2,466床となっております。2025年の病床の必要量の推計と比較いたしますと、2015年の病床数は県全体で1,147床多くなってございますが、この推計は将来の地域医療のあり方を議論するための材料の一つでございまして、個々の医療機関に対して、病床の削減を強制するものではないということでございます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)1,147床、2025年には減らされるということでありますが、そもそも地域医療構想は、医療費適正化計画や国保の都道府県単位化などと連動して、公費医療費の抑制が目的であります。  この4月に全国全ての地域医療構想が出ましたけれども、全体としては2013年度の時点と比べて15万6,000床、11.6%も削減する計画になりました。これまでも患者さんは在宅へと言われてまいりましたし、私のところにも日々、入院したけれども、今度は遠いところに転院しなければならないという相談があったり、在宅と言われても夜は誰が面倒を見るのかと、このような声も寄せられています。今回、地域医療構想による滋賀県の1,147床の大幅な削減は、こうした県民の願いには本当にさらに切実になるものだというふうに思います。  4問目ですけれども、どのように2025年の病床数を推計されたのか、健康医療福祉部長にお聞きいたします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  2025年の病床の必要量の推計の方法でございますが、医療法施行規則等で定められておりまして、詳細は厚生労働省が作成をしました地域医療構想策定ガイドラインに示されております。
     これに基づきまして、2013年度のレセプトデータ等をもとに、入院患者に行われた診療行為を、診療報酬の点数によりまして高度急性期、急性期、回復期に区分いたしますとともに、療養病床の入院患者数から在宅医療等で対応可能と考えられる一定数を差し引いた数を慢性期と区分した上で、2025年の人口推計の性別、年齢階級別に当てはめて算出をしたところでございます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)厚生労働省のガイドラインに基づきますと、レセプトをもとに推計をされているということだと思いますが、このレセプトにあらわれない地域の医療ニーズ、例えば、ぐあいが悪くなってもお金がなくてかかれないという状況があったり、湖西地域では医療資源が不足しているために、本当は高度医療が必要なんだけれどもなかなか受けられないという状況があったり、また、湖北地域では医師不足で病院空床せざるを得ない実態もあったりということでは、滋賀県の本来の医療の需要を反映していないのではないかと思いますけれども、健康医療福祉部長に再度お聞きしたいと思います。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  今ほど申しましたように、この2025年の病床の必要量の推計につきましては、2013年度の一定期間、一定期間というか、2013年度中における診療行為のレセプトデータ等をもとにした推計でございますので、その時点で入院をされていない方、また、そのときに病院が休床をされていたというような実態は、この中には反映されてまいりません。それが推計の前提だということで御理解をいただきたいと思います。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)今、部長の答弁にもありましたように、厚生労働省の指針がそのようになっているということで、実際の地域の医療ニーズは、この地域医療構想の中には反映をしていないということを私は確認をしたいというふうに思います。  (資料提示)表1ですけれども、厚生労働省、つまり専門調査会第1次報告と滋賀県の地域医療構想を対比をしています。少し足し算に間違いがありまして、滋賀県のほうが必要数を少なく見積もっていまして、「①-②」は19ではなく、マイナス81の病床なんですが、いずれにしても、厚生労働省、そのガイドラインに沿った滋賀県の地域医療構想になっているというふうに思います。  (資料提示)グラフ1では、滋賀県の二次医療圏別の2015年の病床機能報告と2025年の地域医療構想を対比をしたグラフがあります。特に赤と黄色の部分、高度急性期と急性期を合わせますと、今回、滋賀県全体でかなりの病床が削減をされます。大津の医療圏域では、高度急性期、特に赤の部分ですけれども、ここが1,292床から470床と、63.6%もの大きな削減になっています。  私が言いたいのは、高度急性期、急性期のこの部分がかなり削減をされる構想になっている、このことが本当に県民の命を守れるかどうかということを知事に問いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) 先ほど来お取り上げいただいております2025年の病床の必要量の推計、これはあくまで参考値であり、これを参考にしつつ、構想区域ごとに医療機関を初めとする関係者に集まっていただいて、限られた医療資源を有効に活用し、効率的で質の高い医療サービスを確保、提供していくために、地域の課題を共有し、具体的な病床機能の分化、連携を進めていくための議論を深めていただくことが重要であると考えています。  こうした議論を通じて、県民誰もが状態に応じて適切な場所で必要なサービスを受けられる、安心して暮らせる地域医療が構築できるものであると考えますし、構築していかなければならないと考えているところでございます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)参考値という答弁がありましたけど、これは後ほど少し議論をしたいというふうに思います。  実際に、県内のある医療機関で、ことしに入ってからインフルエンザがはやって、1カ月間に病院も満床になって、入院を断らざるを得なかった。これはある医療機関なんですけれども、事例が8例おられたと私はお聞きをしています。症状も不安定狭心症、脳梗塞、急性虫垂炎の疑い、肺炎、発作性頻脈などで、こういう現状がことしあって、開業医の方からは、この地域医療構想を見て、一床たりともこの現状では減らしてもらっては困ると、こういう声が寄せられています。  高度急性期、また急性期の病床を減らすというのが政府の方針ではありますけれども、やっぱり命にかかわる問題ですので、そこはしっかりと知事に受けとめていただきたいと思いますが、再度問いたいと思います。 ◎知事(三日月大造) おっしゃったように、必要な高度急性期、急性期、こういった期の患者の皆さんを受け入れるその病床を確保していくことは大切だと思います。  ただ、地域別に、例えばそれぞれの医療圏でそれらをどう分担し担っていくのか、また、大きな病院だけではなくて、開業医の皆さんとどう連携してそういった機能を分担し合っていくのか、こういう議論もしながら、限られた医療資源をそれぞれの地域ごとに担っていただくという、そういうことをつくっていくことが重要だと思いますので、今おっしゃったようなことも含めて、2025年を展望して対策を講じてまいりたいと存じます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)このような地域医療構想に対して、今、2025年に向けて、県としてどういうふうに対応していかれるのか、具体的に健康医療福祉部長にお示しいただきたいと思います。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  地域医療構想の推進に当たりまして、県としては、各保健所が地域医療構想調整会議を主催をいたしまして、毎年の病床機能報告のデータをわかりやすく提供しながら、2025年の病床の必要量推計と比較をして、その地域にふさわしい医療提供体制のあり方や対応策を、参加者全員で議論をしていただいているところでございます。  そして、将来のあるべき姿を関係者で共有し、常に確認をしながら、各医療機関がどのような役割を担い、地域の需給バランスを確保していくのかについて、各医療機関の自主的な取り組みを基本に、継続的に検討を進めていくということになると考えております。  また、県では、地域医療介護総合確保基金を活用いたしまして、不足している回復期病床への転換促進や在宅医療・介護の充実を図るため、病院や市町、関係団体等に対し支援を行っているところでございます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)部長からそういう答弁はありましたけれども、この安倍政権のもとでの医療や介護の一体的な改悪のもとで、非常に県の権限が強まると同時に、国の指導も強引に今後行われてくるというふうに思います。  厚生労働省は都道府県に対して、この10月から12月、調整会議の中で、病院名も上げて具体的な決定をするように提起も今していますし、知事が今、民間医療機関に空床の削減要請ができるような、こんな法改悪もしていまして、ベッド削減の狙いを国のほうでは鮮明にしているわけなんです。  ですから、部長があくまでも自主的に、参考にというのは知事もおっしゃいましたけれども、一旦、地域医療構想をつくれば、国の指導のもとに、県がその権限を持って削減方向に進むというレールが敷かれています。そのことについて、もう一度、認識をしておられるのか、部長にお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  先ほど申しましたように、県としましては、この2025年の必要量、病床の必要量推計というのを参考として、各圏域ごとに必要な病床数の需給バランス、それぞれの医療機関がどのように分担し、また連携してこれを目指していくのかということを基本として、各構想区域ごとの調整会議において議論をして進めていただくということで考えております。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)同じような答弁でしたけれども、滋賀県のこの地域医療構想の中でも、2013年度の1年間の実績で推計をしていて、現時点では実態と乖離していると考えるということも書いてますけれども、こういうものを国は盾にして、今後、強引に急性期、高度急性期のベッドをどんどん転換させるというのが狙いですので、そこはきちんと県民の命を守るという点で対応していただきたいというふうに思います。  続きまして、地域包括ケアシステムについてお聞きをします。  この地域医療構想では、新たな在宅分として、療養病床に入院してきた方のうち、医療区分1の70%、一般病床に入院している方のうち、表2で示しています(資料提示)この175点以下の方々が在宅というふうにしています。新たな在宅分の方々ですけれども、非常に医療の依存度の高い患者さんばかりです。  先ほど示しました滋賀県の第二次医療圏病床機能別の2015年と2025年を比較したグラフ1でも、在宅医療等の需要部分、この下側のグラフですけれども、増加分が示されています。大津の医療圏域では1,884人と、この新たな在宅分、爆発的にふえていますけれども、こういった新たな在宅分の受け皿はあるのか、健康医療福祉部長にお聞きしたいと思います。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  議員御指摘の新たな在宅分ということでございますけれども、医療ニーズはあるものの、例えば人工呼吸器の使用や気管内挿管のケアなどを必要としない比較的症状が安定している患者さんや、点滴や喀たん吸引は必要ではありますが全身状態は安定している患者さん等であり、医療依存度は高くなく、2025年の病床の必要量を見込む上では、在宅医療等により対応することが可能ではないかと国で整理をされたものというふうに承知をいたしております。  現実的には、患者さん個人の状況や家庭環境、また地域の受け入れ体制などの状況はさまざまでありますことから、一律に一定数の入院患者を地域や在宅へ移行するということではないというふうに認識をしております。  また、将来に向けた体制整備も進むことを前提にした見込みでもあるというふうに考えておりまして、県では、これまでから、住みなれた地域でその人らしい暮らしをできる限り続けられるよう、地域包括ケアシステムの構築を進めているところでございまして、2025年に向けて増大が見込まれるこうした在宅医療等の医療・介護ニーズに対応できるよう、さらに充実強化を図っていく必要があると考えております。  このため、今後、地域医療構想調整会議や市町との協議の場での議論を踏まえまして、必要となる医療・介護の提供体制について、県の保健医療計画やレイカディア滋賀高齢者福祉プランの中に目標を掲げ、相互に整合を図りながら、計画的に整備を進めてまいりたいと考えております。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)部長の答弁では、比較的医療のニーズが少ない方という認識だと思いますけれども、それは私は間違いだというふうに思うんです。175点未満であっても実際に病棟に入院しておられた方でありますし、点滴とかドレーンによる持続吸引が行われていたり、喀たん吸引など、こういう方々が175点以下の中に含まれている、つまり、在宅で面倒を見ろということなんです。  医療区分1の70%、ここも、がん末期の方であったり、いわゆる脳梗塞で植物状態の方であったりしても、ここも在宅で見ろということなんです。私はそこの認識を改めていただきたいというふうに思うんです。  今でも、ヘルパーさんによる喀たんの吸引行為ができる事業所は本当に少ないんです。大津でも1号、2号の登録事業所は8カ所、高島とか湖東にはこういう事業所が全然ないんです。そういう中で、本当に受け皿があるのかということを指摘をしたいと思います。  新たな在宅での対応をされる、どんな方が、どんな患者さんが対応になるのか。私は患者像を明らかにすべきと思いますけれども、部長の答弁を伺います。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  先ほどもお答えしましたように、新たに在宅医療等により対応すると推計された患者数につきましては、一律に一定数を地域へ移行するということではなくて、これは実際に入院患者に提供された医療のデータをもとに、在宅医療等で対応可能と判断される患者数を算定し、これに2025年の人口構造の変化を当てはめたものというふうに理解をしております。  したがいまして、病院の病床で医療の必要がそれほど高くない人を引き続きそこで生活をされるのか、あるいは地域または介護施設のような場所で対応していくのか。それはその地域ごとに、その地域における社会資源の状況等を踏まえながら、また必要であればそれに対する整備も図りながら、対応をしていくというふうなことになるものと考えております。  したがいまして、こうした需要の推計に対して、在宅医療や介護施設の整備をどうしていくのかということにつきましては、今後、地域医療構想調整会議や市町との医療と介護の体制整備に係る協議の場においてしっかりと議論をし、地域包括ケアシステムの一層の強化を図る中で対応していきたいというふうに考えております。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)医療の必要が比較的少ないというか、高いと、そこの認識を私、やはり新たな在宅分で対応と言われる、この大津でいえば1,884人が果たしてどんな人なのか、どんな患者像なのか。私はしっかりとここはつかむべきであって、退院が困難なケース、在宅移行なケース、しっかりと把握をした上で協議をする、そういう姿勢を持っていただきたいということを要望しておきたいというふうに思います。  もう最後の質問に行きたいというふうに思います。  知事に問いたいと思いますが、最後の質問です。  実際、京都府では今回、地域包括ケア構想という名称で、滋賀県とは違う、入院患者の実態の調査、府医師会のアンケートなどにも取り組んで、病床数も、目標は国の推計では現状よりも減る地域も許可病床を維持していくような、京都では独自のそういうような地域包括ケア構想というものもつくられたんです。  ですから、国言いなりに推計するのではなくて、やっぱり県として実態もしっかりとつかんで、そして命と健康を守るためにしっかりと対応すべきだと思いますし、国に対して、やっぱりこういうやり方は間違っていると思うんです、私は。やり直しせよという意見を上げるべきだと思いますけれども、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 先ほど来お取り上げいただき、部長初め答弁させていただきましたとおり、それぞれの個々の方々の事情は異なると思います。医療と介護が連携をして、想定される10年後の状態を見通して医療・介護資源をどう整えていくのか、またつないでいくのか、こういうことだと思います。  国の方向が間違っているとか正しいとかということよりも、国が一定示したガイドラインに基づいて、この地域医療の実情とか課題を共有して、将来それでも大丈夫かと、効率的に配分できるのかと、運営できるのかということをやっぱり考えていくことが重要だと思いますので、いずれにしても、そういった高齢化が推計されている、もう10年先ですから、10年先に向けて、望ましい医療・介護の提供体制をしっかりと構築していくことが重要だと思いますので、その役割を果たしてまいりたい。  また同時に、そういったことをつくっていくためにも、国に対しましては、病床機能報告に基づくデータ、これらをしっかりと分析して見える化してほしいと、さらにわかりやすい形で提供してほしいと、こういう要望も行っているところでございますし、今年度末には医療・介護の診療報酬、点数の同時改定が行われるということですので、そういう流れも注視しながら、しっかりと県の体制を整えてまいりたいと存じます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)病床機能の分化が進まない場合は、知事の権限のあり方そのものについて検討をするということも、今、国のほうでは議論が始まっています。そういう面では、新たな在宅分の患者像を私はしっかりと現状を見据えて、しっかりとその削減方向の国の方向について、やっぱり知事として、命を守るという立場で意見を上げていただきたいということを要望しておきたいというふうに思います。  続きまして、国民健康保険について、一問一答でお聞きをいたします。  来年4月から国民健康保険の都道府県単位化が始まります。さきの代表質問で角田県議の質問に対して、「国保の運営単位を都道府県に広げただけでは、低所得者が多い、高齢者の割合も高いという構造的な問題の解決にはつながらない」とし、「国庫負担率の引き上げなどを国に働きかけている」と答えておられますが、これは私も同感で、国が負担を抜本的に引き上げることこそ行うべきだというふうに考えます。  大津市では、2016年度、所得200万の3人世帯で国保料が年間35万3,060円とし、所得の16.6%、2割近くを負担しなければならない状況にあります。  (資料提示)これはグラフ2ですけれども、大津市の状況を出していますが、差し押さえの件数が年々ふえています。市民の暮らしを直撃しています。私は、滋賀県が県民の命や暮らしを守る立場に立って、国保法の趣旨を十分踏まえて進められるように求めたいと思います。  まず、滋賀県の国民健康保険運営方針案の基本理念について、健康医療福祉部長にお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  持続可能な国民健康保険の運営ということを基本理念としておりまして、県民が健康な暮らしを送れる、いざというときに安心して医療を受けられる国保制度の堅持に努めていくこととしております。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)この方針の理念に、国保法第1条に掲げています「国民健康保険事業の健全な運営を確保し、もって社会保障及び国民保健の向上に寄与することを目的」、このことを明記すべきと思いますけれども、部長の見解を伺います。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  運営方針は、国民健康保険法第82条の2の規定に基づいて策定することとされております。そのため、法律の内容を運営方針に書き込むということは予定をしておりませんが、法の趣旨を踏まえて、国民健康保険の運営をしていくことは当然のことであると考えております。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)今でも保険料が高過ぎて、払いたくても払えない事態が相次いでいる中で、社会保障としての国保として、やはりその姿勢をこの運営方針案に明記をすべきだということを求めておきたいというふうに思います。  次に、運営方針案では、法定外繰り入れ、平成35年までに段階的に解消するとしています。現在、保険料引き下げのために一般会計からの法定外繰り入れは、2014年、平均ですけれども、1人当たり7,780円で、この繰り入れがなくなれば保険料の引き上げにつながります。新制度のもとでも一般会計からの繰り出しは可能だと考えますけれども、健康医療福祉部長に問います。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  市町の国保特別会計への法定外一般会計繰入金につきましては、新制度のもとでも市町において判断されるものでございます。  ただし、法定外一般会計繰入金のうち、決算補填等を目的とする繰入金につきましては、市町の財政力に影響される可能性が高く、市町間の公平性確保の観点から課題であるというふうに認識をしております。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)課題であるというふうに答弁いただきましたけれども、運営方針策定に当たって、この運営方針そのものはこの間も何度も確認をさせていただいていますけれども、あくまで技術的助言でありますので、市町村がこれまで行ってきたように、保険料負担がふえないように、上がらないように一般会計からの法定外繰り入れを行える、このことを方針案に私は明記すべきというふうに思いますけれども、部長にもう一回、見解を伺いたいと思います。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、法定外一般会計繰入金につきましては、新制度のもとでも市町において判断をされるものということであります。  しかしながら、決算補填等を目的とする繰入金につきましては、市町の財政力に影響される可能性が高いということで、市町間の公平性確保の観点からは課題であるというふうな認識をしているということでございます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)保険料についても、保険料水準の統一化に向けて、保険料の標準的な算定方法を定めるとしています。県が定める標準保険料率を全市町に一律に適用せず、地域の実情に応じ保険料を設定することを認めることを求めるものですが、部長の見解を伺います。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  県が示す市町村標準保険料率は、市町が加入者世帯への保険料の決定に当たって参考としていただくものでございます。保険料の決定は、新制度のもとでも市町の事務でございまして、市町が判断していただくものであるということでございます。  ただし、国民健康保険運営方針を踏まえた事務の実施に努めていただくこととなるというふうに考えております。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)繰り入れについても保険料についても、ただしということを答弁ではいただいていますが、あくまで市町の裁量で行える、このことをしっかりと堅持をしていただきたいというふうに思います。  甲賀市でも先日議会がありまして、市長が、広域化された後でも、少なくとも統一化されるまでは本市の実情を考慮して、適切に判断をするというふうにおっしゃってますので、市町の裁量で行える、このことははっきりしていますので、そのことを堅持していただきたいと思います。  また、国保法44条、77条に基づく保険料、一部負担金減免制度の周知徹底と積極的な活用に滋賀県がイニシアチブを発揮することを求めるものですが、部長の見解を問います。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  国保法第44条および第77条に基づく一部負担金、保険料減免につきましては、これまで、それぞれ市町における国保運営の歴史の積み重ねの中で制度がつくられてきたものと認識をしております。  県といたしましては、国が示す一部負担金減免の取り扱い基準や条例、参考例に基づきまして、公平で適切な運用が図られるよう市町に助言を行っておりまして、引き続き適正な対応を求めていきたいと考えております。  なお、保険料水準を統一するに際しましては、被保険者の負担の公平性の観点から、減免の取り扱いについて市町間で統一していく必要があると認識をしております。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)今、市町が取り組んでおられます国保事業について、住民の方々の立場に立ってやっておられるさまざまな減免制度などについては、平準化という目的でさらに引き上げていただきたいと、対応していただきたいということを要望しておきたいと思います。  この項の最後に、知事に伺います。  安倍政権のもとで、国保への公費を解消し、保険料負担をさらに引き上げ、滞納制裁の強化や給付費の削減では、先ほど示しましたけれども、大津市でも差し押さえ件数が年々ふえているように、国保制度の矛盾は深まるばかりです。  冒頭言いましたように、社会保障制度としての国保として国に引き続き国庫負担増を求めるとともに、私は決して保険料を上げるようなことになってはならないというふうに思います。滋賀県として、一人1万円の引き下げに取り組むことを求めるものですが、知事に見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 今後も医療費の増加が見込まれます。県としては、国に対して国庫負担率の引き上げ等、財政基盤の安定化に向けてさまざまな財政支援策を講じるよう、引き続き要望してまいります。  県は、厳しい財政状況の中で、県民の命と健康を守るため、年間100億円を超える負担を行いながら、国保の財政基盤を現在支えているところでございます。まずは、限られた資源、財源の中で安定的に制度を運営することが肝要であると考えておりまして、平成30年度から大きな制度移行もございますので、安定運営に努めてまいりたいと存じます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)社会保障の財源については、国においては、やはり税金の使い方や集め方をしっかりと見直すべきだと思いますし、県政においては、どこに税金を使うのか。この立場で、どこに税金を使うのかというところでは、私はやはり、きのう杉本県議からも質問ありましたけど、国体の整備に巨額の税金を使うのか、それとも、命を守るここに社会保障に使うのかというのが問われているのではないかなというふうに思います。  最後の質問です。子供の医療費助成の拡充を求め、一問一答で健康医療福祉部長にお聞きをします。  滋賀県が行っている子供医療費助成制度の目的についてお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  県の制度の目的でございますが、乳幼児の保健の向上と健やかな育成を図るとともに、子育て世帯の経済的負担の軽減を図るために、乳幼児に係る医療費助成を行う市町に対して補助するものでございます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)県の制度の内容についてお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  子育て世代にとって特に病気の不安が大きい未就学児童について、医療費の助成を行っております。  なお、家庭の経済的事情にかかわりなく、安心して医療を受けていただけるよう、平成28年4月より、県の制度として自己負担および所得制限を撤廃し、医療費の完全無料化を実現したところでございます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)県の制度として、就学前までの医療費の無料化をされているということだと思います。  市町の状況はどうでしょうか。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  ことしの4月1日現在でございますが、通院につきましては、就学前までを対象に実施をされているのが7市1町、小学校卒業までが1市、中学校卒業までが5市4町、高校卒業までが1町でございます。
     また、入院につきましては、小学校卒業までが1市、中学校卒業までが12市5町、高校卒業までが1町となってございます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)同じ滋賀県に住んでいながら、対象年齢には格差があるというふうに思います。私は、これは子供の命に滋賀県に住んでいながら格差が生まれているというふうに思います。  次に、知事に伺います。  先日、日本共産党県議団が視察に行きました福井県では、助成対象は、通院、入院とも小学校3年生まで行われています。県が対象年齢の底上げを図って、市町と共同の事業として連携して取り組んで、今、福井県では全ての市町で中学校卒業まで入院も通院も広がり、そして高浜町では高校卒業まで行っています。私は、滋賀県として福井のこういう取り組みにも学びながら、中学校卒業までの対象年齢の拡充を求めるものですが、見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 議員のお求めはお求めとして承りたいと思うんですけども、平成28年4月から、今も部長が答弁しましたように、県の制度として自己負担や所得制限を撤廃し、就学前の子供の医療費完全無料化を実施したところでございます。  今、例示されました中学校卒業までの対象年齢の拡大に当たりましては、医師の皆様方のそういう状況でありますとか、医療費の増嵩の問題ですとか、県の財政状況等々も勘案し、総合的に考えていく必要があるのではないかと思います。  まずは、限られた医療資源ですとか財政財源の中でしっかりと小児医療提供体制を確保しながら、現行の対象年齢での制度を安定的に維持して、安心して子育てできる環境づくりに、市町ともに連携しながら努めてまいりたいと考えております。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)知事はよく医療資源の話をされますけれども、福島県では18歳未満無料を実施していまして、国保の18歳未満の被保険者の1人当たりの医療費は、無料化しても横ばいになっているということが報告されています。  日本医師会でも、子供さんにおいてはそういういわゆるコンビニ受診、そういったことはないと指摘をされていますし、そもそも経済的理由で必要な医療が受けられない状況はやはり滋賀でもあると思いますので、医療の資源というところは私は違うのではないかと思いますし、10億円あれば中学校までの医療費の無料化ができると思うんです。ぜひ実施をしていただきたいというふうに思います。  さて、2018年度、ようやく厚生労働省は子供医療費を助成している自治体に対する国保の国庫負担の減額調整措置、いわゆるペナルティーを未就園児に限り廃止することを決めました。それに伴う県の影響額について、部長にお聞きします。 ◎健康医療福祉部長(藤本武司) お答えをいたします。  未就学児に係ります国保国庫負担の減額調整措置につきまして、県の負担額は平成27年度決算ベースで2,400万円余りでございます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)知事に伺います。  2,400万余りと、私が聞いていた数字とはちょっと違いますけれども、この分が来年から県の持ち出しがなくなるということですけれども、この財源も使ってやっぱり拡充に踏み切るべきだと思いますけれども、知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) 先ほど答弁させていただきましたように、こうした医療費助成を拡大するに当たりましては、財政、財源の問題、さらには、助成を拡大することに伴う受診が拡大することがどう医療提供体制に影響を与えるのか、こういったことを考慮する必要がございます。こうしたことを踏まえながら、こうした財源をどのように使うべきなのか、検討をしてまいりたいと存じます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)ですから、コンビニ受診というのは言われることは多いんですけれども、そういうことはないということも先ほど紹介をさせていただいたわけです。  福井県では、これまで一旦窓口で支払う償還払いをしていたんですが、来年からこれはなくすということだけではなくて、就学前だけではなくて、市町で償還払いをしているところのペナルティーについても、県がその分は助成をするということをされています。来年、国のほうがようやく、要望もされてきて、ペナルティーなくなるということでありますので、県としても、やはり一歩、県の制度を私は拡充をすべきだというふうに思うんですが、再度伺います。 ◎知事(三日月大造) この減額調整措置について、県の負担額は2,400万円余でございますし、こうしたものをどう使うのかということについて、議員からは現在の就学前までになっている子供の医療費の負担をさらに削減する方向で使ってはどうかということだと思いますが、財源、財政の問題、さらには医療の供給側の体制の問題等、総合的に勘案し検討してまいりたいと存じます。 ◆13番(節木三千代議員) (登壇)国体についても福井を1回見てきてくださいと杉本県会議員が言いましたけれども、この医療費助成についても1回見てきてください。やはりこの2,400万円であっても、これまで県が出していたこの予算を、来年しなければ削るということになるんです。私は、これは国がしてくれるから県が引くということだと思うんですが、大きな姿勢の後退だというふうに思うんです。やはり10億円あれば中学校卒業までの医療費の無料化できますし、例え年齢少しずつでも拡充をしていく、今、そういう方向に国、自治体が向かっている中で、県がここでとどまるというのは、やはり知事の姿勢が問われるというふうに思います。ぜひ医療費の無料化、拡充をしていただきたいということを強く要望して、質問を終わりたいというふうに思います。(拍手) ○議長(奥村芳正) 以上で、13番節木三千代議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後0時26分 休憩    ────────────────   午後1時29分 開議 ○副議長(小寺裕雄) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  次に、37番粉川清美議員の発言を許します。 ◆37番(粉川清美議員) (登壇、拍手)あらかじめ通告をいたしております項目に沿いまして、質問させていただきます。  まず初めに、道路の防災、安全対策についてです。  大津市比叡平では、昨年12月と本年4月に続いて2回、突然道路が陥没する事態が発生しました。幸い地元住民の通報で事故が起こる前に対応され、事故につながることはありませんでしたが、突然の道路の陥没が続いて起こったことに対して、またいつどこで起こるかわからないと、地元の住民は大変不安に感じておられます。住民の皆さんから、道路の陥没の原因と言われる路面の下の状況など、道路の安全対策について強い要望をいただいております。  道路の陥没につながる路面の下の空洞は、下水道などの埋設管路の破損箇所から道路の下の土を吸い出すことや、雨あるいは地震などの振動等によって土砂が流出することなどが原因と言われています。道路の空洞は、まるで落とし穴があるのと同じで、大変危険な状況です。  ところで、道路の陥没事故は、昨年の福岡市JR博多駅前で発生しました大規模な陥没事故が記憶に新しいところですが、これまでにも東日本大震災で、道路の大規模陥没により救急病院に患者が搬送できなかったことや、また、熊本大地震では道路の陥没により支援物資が滞ったことなどが地震災害の教訓として報告されていますし、国土交通省の調査では、地下の空洞による道路の陥没事故が年間約5,000件発生し、道路の陥没に車が落下した事故や、歩道の陥没にお母さんとベビーカーが落下した事故など、重大な事故が報告されています。私は事故が起こるたび、この事故を教訓にした取り組みを県に対しても要望してまいりました。  道路陥没を未然に防ぐために、ほかの車と同じスピードで走りながら、目視だけではわからない路面の下の危険な空洞を見つけ出す技術も確立をされ、国や多くの自治体で活用されておりますことから、滋賀県においても、防災、減災の観点から、特に緊急輸送道路などを対象に路面下空洞調査を実施し、事故が起こる前に予防的対策を講じることが重要と考え、土木交通部長に質問します。  1点目に、大津市比叡平の陥没事故を教訓にした路面下空洞調査についてです。  県は今回の突然の道路陥没を教訓に、県道の一部調査を実施されましたが、その状況についてお聞きします。  また、比叡平地域は、大津市側に通じる道路は県道下鴨大津線が唯一の道路となっていることから、陥没などの事故が起これば、通学や通勤などの住民の生活や緊急対応に、また比叡山観光にも大きな支障を来すことが心配されています。県道下鴨大津線について、事故を防ぐ予防的観点から、路面の下の空洞調査を実施することが重要と考えますが、見解を伺います。  2点目に、道路陥没事故を教訓にした道路の安全点検の対応についてです。  昨年11月議会で、福岡市の道路陥没事故を教訓にして、路面下空洞調査など計画的に進めるべきと質問、提案をしました。その折、県は、「比較的大きな地下埋設物が存在する区間を対象に、計画的に点検を行い、事故防止に努めてまいりたい」と見解を示されましたが、その後の道路陥没事故を教訓にした道路の安全点検の対応についてお聞きします。  3点目に、国の交付金を活用した道路の空洞化調査についてです。  多くの自治体で取り組みが始まっていますが、国の交付金事業、道路のストック総点検に路面下空洞調査を位置づけて計画的に推進することについて、また、県内一部市町では、路面の空洞化調査については、交付金活用のため国や県と協議するとの考え方を示しておられますが、県民の命や生活を守る道路の安全対策、道路の空洞化調査を、県と市町で協議、連携して取り組むことについて見解を伺います。  一方、路面下空洞調査の着実な推進については、国は、国土強靱化アクションプラン2015の中に明記し、また、他都市でも地域防災計画や強靱化計画に位置づけて取り組んでいます。今後、県においても、路面下空洞調査を計画的に着実に、かつ継続して進めるために、他都市のように防災計画などに追記して取り組むことを検討していただきたいと思います。  4点目に、路面下空洞調査の業者選定についてです。  目に見えない路面下の空洞調査の目的は、路面下の空洞をより確実に見つけることであり、そのためには技術力の評価が重要なポイントとなります。プロポーザル・コンペ方式を取り入れた大阪市では、空洞の発見率が90%を超える企業から40%以下の企業まであり、技術レベルに大きな差異が生じる結果となっています。  同様にプロポーザル・コンペ方式を取り入れた神戸市や堺市、東大阪市や高知市でも、同じような技術レベルの差異が大きく生じる結果となっています。そのため、国や先進自治体においては、高度な技術評価型の入札制度が導入されています。  そこで、滋賀県におきましても、路面下空洞調査に当たっての業者選定につきましては、空洞をより確実に見つける技術を評価、確認するプロポーザル方式など、技術評価型の入札制度をするべきと考えますが、見解を伺います。 ○副議長(小寺裕雄) 37番粉川清美議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎土木交通部長(池口正晃) (登壇)道路の防災、安全対策について、4点の御質問をいただきました。  1点目、大津市比叡平の陥没事故後の調査状況と、県道下鴨大津線の路面下空洞調査の重要性についてお答え申し上げます。  陥没事故の状況ですが、発生直後に直接掘り返したところ、陥没箇所に隣接する区間で、2メートル四方、深さ1メートルに達する地盤の緩みを確認いたしました。当該箇所につきましては、埋めて転圧を行い、経過観察を行いましたが、問題はございませんでした。念のため、陥没箇所周辺の非破壊空洞調査を行いましたが、空洞は確認されませんでした。  路面下空洞調査の重要性につきましては、人的被害など重大な事故を未然に防ぐため、大変重要なことと認識しております。本県では、舗装面にあらわれる陥没の兆候を路面上で把握した上で、異常が見られる場合には、必要に応じて路面下空洞調査を実施することとしております。  2点目、道路の安全点検の対応についてですが、昨年11月議会における議員の御指摘を受けまして、通常パトロールに加えまして、本年度より、空洞など路面下の異常の兆候である路面変状を確認するためだけのパトロールを、月1回実施しているところであります。  パトロール対象路線は、比較的大きな地下埋設管が存在する区間に加えまして、河川と並行する区間、過去に陥没事案が発生した箇所、市街地や交通量が多い箇所としております。  パトロール開始以降は、陥没の兆候を示すような路面の異常は見つかっていないため、空洞調査までは実施しておりません。また、地下埋設物管理者に対しましても、点検や路面変状の確認と把握を行うよう指導しているところでございます。  なお、非破壊空洞調査につきましては、直近で先ほどの下鴨大津線の事例を含めて2度、実施した実績がございます。  3点目、路面下空洞調査の計画的な推進と県、市町の連携についてですが、修繕を前提とした空洞調査は交付金対象とされているところですが、必要な事態が発生した際には、ほかの道路ストックと同様に、しっかりと調査をしてまいります。  県と市町の連携につきましては、国、県、市町、高速道路会社、鉄道会社で構成する滋賀県道路メンテナンス会議などで、最新の知見や県が過去に行った非破壊空洞調査の結果などを密に情報交換して、しっかり取り組んでまいりたいと思います。  4点目、路面下空洞調査の業者選定について、プロポーザル方式など技術評価型入札にするべきとの御意見についてですが、路面下空洞調査業務を発注する場合には、ほかの先進事例も確認させていただきながら、適切な業者選定をしてまいりたいと思います。 ◆37番(粉川清美議員) (登壇)3点、再問をさせていただきます。  1点目は、比叡平地域の安全対策についてです。  調査をしていただいて大丈夫だという御答弁をいただきましたが、路面下の空洞の原因は今回の比叡平のような事例は少なく、地下埋設物や、先ほども述べましたが、地下埋設物や大雨や地震などの振動が主な原因と言われていますが、そのようなことから、県道下鴨大津線は、そのような観点から見て大丈夫なのかどうか、再度伺います。  2点目は、先ほど答弁の中で、これまでのパトロールを強化するというふうな御答弁をいただきました。今、県はパトロールなどの道路の総点検に年間約2億円程度かけておられますけれども、これまでの目視点検だけでなく、新しい技術の活用が必要だと思っております。  例えば緊急輸送道路についてだけ考えれば、県道で約1,000キロメートルでございまして、空洞調査経費は約4億円となります。5年計画だと年間8,000万円、10年だと年間4,000万円でございます。県民の命と暮らしを守るために、新しい技術が確立をされたのであれば、こういう費用がそんなに難しい事業なのかと考えるわけですが、土木交通部長はどう思われますでしょうか。  3点目に、今、空洞調査の経費が大変高いということもございます。国は、路面下空洞調査の重要性から、1キロ40万から50万かかっているという高い調査費用が課題であるとして、調査のコストダウンを図るために、年内に企業別技術比較データなどを作成し公表することによって、コストダウンを図りたいというふうな方向性が示されていると聞いています。  調査のコストが下がれば、ぜひ、これまで要望してまいりました緊急輸送道路や病院に通じる道路など、限定した道路で結構ですので、安全対策として優先して調査をしていただきますように再度要望させていただきますが、土木交通部長の考えを伺います。 ○副議長(小寺裕雄) 粉川議員の質問に対する答弁を求めます。 ◎土木交通部長(池口正晃) 3点の質問にお答え申し上げます。  まず、1点目の下鴨大津線は大丈夫なのかといったところでございますけども、補修を行った後、その場所において、路面上問題がないか。大体、問題が何かあると、ちょっと変状が起こったりとか、薄い亀裂とかが発生したりするんですが、そういったところが一切見られないということで、特段問題ないというふうに思っております。  2点目ですけども、パトロールだけでいいのかといった話でございます。先ほどの1点目と重なるんですけども、これまでの知見として、大体、そういった何か変状が中で起こったときには、路面のところで何か変状が起こるというようなことがあります。それは構造物、トンネルとか橋梁でもそうなんですけども、そういったところを見て効果的に補修をすると、点検をしてやっていくというやり方をやっておりました。  先ほど議員から御指摘もありますように、今の路面空洞化技術は比較的ちょっとまだ高いといった部分もあって、事業費を有効に、今後いろいろ維持管理費が多くなっていく中で、どういうふうに使っていくかという中で、一番こういった形が効率的なのかなというようなことで、先ほど申し上げたようなやり方をさせていただいているところであります。  3つ目のコストダウンのところが今後ございましたら、その辺、新しいまた国の情報を得ていって、それで可能性が出てくるということになりましたら、また再度検討させていただいて、最新の知見を得た上で、どういったやり方が効率的で一番最適なのかということを考えてまいりたいというふうに思います。 ◆37番(粉川清美議員) (登壇)新しい技術もどんどん出てまいります。費用の部分も理解するところでございますので、ぜひまた御検討いただきたいと思います。  それでは、2項目めに、食品ロスの取り組みについて質問します。  国内では、食品廃棄物等は年間約2,775万トン、その中で、本来食べられるのに廃棄されている食品ロスは年間約621万トン発生しており、食品ロス発生量は世界全体の食糧援助量の2倍という状況です。  昨年2月議会でも、国民運動のロゴマーク「ろすのん」を使用した県民運動の展開や、持ち帰り用の袋──ドギーバッグの活用、宴会などの3010運動やフードバンク滋賀への支援など、食品ロスについて早急に取り組むように提案をさせていただきました。  また、県においても、昨年7月に策定した第四次滋賀県廃棄物処理計画において食品ロス削減推進を位置づけ、その取り組みが重要となっていますことから、以下、質問させていただきます。  1点目に、SDGsの推進の観点からです。  この食品ロスの問題はSDGsでも取り上げられています。17の目標のうち、SDGs12では「つくる責任、つかう責任」を掲げ、例えば、世界全体の1人当たりの食料の廃棄を半減させ食品ロスを減らす、食料損失、廃棄の削減を目標に設定しています。食品ロス、食品廃棄物の削減は、経済、環境、社会において非常に重要な世界的問題であり、喫緊の課題と言えます。  また、食品ロスの取り組みは、食べ物を大切にし感謝していただくという小さいころからの食習慣に大きく影響され、家庭や教育現場での食育、環境教育の果たす役割は大変大きいと言えます。  県が宣言したSDGsの推進の観点から、食品ロス削減の取り組みについて、さらに、環境教育の一環として食品ロスに特化した教材を作成するなど、教育現場等も含めて取り組んでいただくことを提案しますが、知事の見解を伺います。  2点目に、食品ロス、食品廃棄物削減推進の体制と、食品ロス等削減運動の展開についてです。  食品ロス対策などに力を入れている富山県を訪問し、調査をしてきました。富山県では、昨年5月に開催されたG7富山環境大臣会合を機に、県民一丸となった取り組みを実施しておられました。幅広い関係者29人が参画する富山県食品ロス・食品廃棄物削減推進県民会議を設置し、具体的な取り組みを推進されておられました。  滋賀県でも県民会議を設置するなどの推進体制について、また、シンポジウムの開催や削減目標の設定、定期的な実態把握の実施が必要と考えますが、県民や事業所を巻き込んだ発生抑制の今後の全県的な食品ロス等削減運動の展開などについて、琵琶湖環境部長に伺います。  3点目に、事業所の取り組みを応援することについてです。  住民も事業所もそれぞれの立場で食品ロスを削減するために、例えば東京都荒川区では、外食での食べ残しを減らすために、もったいない協力店認定事業を実施しておられます。宴会時のコース料理食べ切りの声かけや、小盛りやハーフサイズメニューの提供などを実践する飲食店などを協力店として認定し、支援する取り組みです。外食などの事業所の食品ロスの取り組みを推進し応援する協力店認定事業について、琵琶湖環境部長の見解を伺います。  4点目に、フードドライブの取り組みについてです。  フードドライブとは、家庭で余っている食べ物を持ち寄り、それらをまとめて、地域の福祉団体や施設、フードバンクなどに寄附する活動で、各地で行われています。  先日、環境学習センター「エコパルなごや」を拠点に実施されている名古屋市のフードドライブを訪問し、その取り組みを調査させていただきました。3月のプレオープンを経て、5月から常設拠点で実施をされておられました。アンケートで、「フードドライブを利用する」「条件があれば利用する」と答えた人が9割で、関心の深さがうかがえます。また、フードドライブ拠点「環境学習センター」は、毎年1万人の子供たちが来場するため、ごみの問題や、もったいないの精神を学ぶ機会になるとの効果も期待されておられました。  食品ロス対策の取り組みの一環として、分かち合う幸せと安心を届けるフードドライブに取り組むことについて、琵琶湖環境部長の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) (登壇)食品ロスの取り組みについて、私には1問御質問いただきました。  食品ロスの削減は、SDGsの目標のうち、持続可能な消費と生産のパターンの確保に掲げられており、現在の豊かさを分かち合い、将来の豊かさを実現していく上でも、循環型社会の形成を目指す上でも大変重要であり、県としても重点的に取り組むべき課題であると認識しています。  このため、昨年度策定いたしました第四次滋賀県廃棄物処理計画におきまして、廃棄物発生抑制施策の柱の一つに食品ロス対策を位置づけ、今年度から本格的な取り組みを進めることといたしております。  食品ロス対策を進めていくには、議員御指摘のとおり、環境教育としての取り組みが重要であり、学校におきましては、これまでも家庭科や社会科の中でごみ問題と関連づけるなどし、食べ残しの課題についても学んできているところです。  また、食育の日の取り組みといたしまして、給食の調理員から話を聞いたり、米づくり体験を通して生産者への感謝の気持ちを育てたり、給食の時間に児童生徒自身が残食調査を行い、結果を全児童が共有するなど、食べ残しを減らすさまざまな取り組みを進めているところです。  また、県ホームページ、ごみ減量資源化情報サイトにおきまして、昨年度からごみ減量に向けた子供向けホームページとして開設いたしましたキッズ教室や環境イベントにおいて、食品ロス削減の重要性や食べきり等の実践行動を、イラストを用いてわかりやすく紹介してきております。  これらに加えまして、今年度から新たに県内小学生等を対象として、食品ロス等を教材に出前講座を開催するなど、幼いころから食への関心を育む機会を積極的に提供していくことといたしております。  さらに、多くの県内市町においては、食べ残しをしないなど、環境に配慮した食生活についての啓発活動が実施されているところです。  今後、市町や関係機関、団体、教育現場等の取り組みともしっかり連携しながら、食品ロスの削減を図ってまいりたいと存じます。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) (登壇)3点の御質問のうち、まず、1点目の全県的な運動の展開についてでございますが、県では、食品ロスに関する県民や事業者の皆さんの自発的な活動を促しますために、これまでより、県ホームページやびわ湖環境ビジネスメッセでのブース出展、テレビ番組等を通じた関連情報の提供を行ってきているところでございます。  また、職員に対しましても、外食時の食べ切りなど、食品ロス削減のために率先して実践すべき行動を呼びかけているところでございます。  このような取り組みをさらにしっかりと広げてまいりますため、今年度から、食品ロス削減につきまして官民を挙げた県民運動としての取り組みを推進することとしており、平成21年度に設立いたしました「買い物ごみ減量推進フォーラムしが」を改組いたしまして、現段階、仮称でございますけれども、「滋賀県買い物ごみ・食品ロス削減推進協議会」を設置する予定としております。  この協議会におきまして、事業者や食品関連団体、消費者団体、市町、県等で情報交換を行いますとともに、今後連携して行う取り組みにつきまして具体的に検討し、可能なものから実施してまいりたいと考えております。
     あわせまして、県におきましては、県民や事業者の皆さん向けに、チラシ、ポスター、啓発冊子、あるいは卓上ポップ等の啓発品を作成、配布するとともに、さまざまな広報媒体を通じまして啓発キャンペーンを展開しながら、食品ロス削減の重要性の周知と取り組みの実践を図ってまいりたいと考えております。  次、2点目、事業者の皆さんの取り組みを応援する事業についてでございますが、御提案いただきました協力店認定事業につきましては、有意義な取り組みであるというように考えてございます。本県におきましても、食品ロス削減に取り組む飲食店や宿泊施設、小売店等を認定いたしまして、県ホームページ等で県民の皆さん等へ紹介する制度を、今年度設置予定の協議会の中で提案し、検討してまいりたいと考えております。  3点目のフードドライブの取り組みについてでございます。  フードバンクおよびフードドライブの取り組みにつきましては、社会福祉活動の推進だけでなく、資源の有効活用や廃棄物の発生抑制の観点からも大変意義深いものであると認識をしております。当部におきましては、食品ロス削減に係ります普及啓発の一環といたしまして、昨年度から、県のホームページあるいは環境イベント等の機会を捉えて、フードバンク活動の意義や取り組み等の周知を行ってまいったところでございます。  今年度から本格的に食品ロス対策に取り組んでいく中で、フードバンクやフードドライブ活動につきまして、関係部局と連携しながら一層の支援等に努め、循環型社会の構築を目指してまいりたいと考えております。 ◆37番(粉川清美議員) (登壇)知事に1点だけ再問させていただきます。  SDGsの取り組みを宣言されて、はや6カ月がたちます。県民に見える形でその取り組みを示すことが重要だと考えております。さまざまな取り組みが考えられますけれども、今回、1項目めに質問しましたように、まず子供たちが学べる食品ロス削減の教材をつくっていただきたいと思います。  SDGsの取り組みについては、さきの質問の答弁で、大学生の協力などを得ていくというふうな方向性も示していただいております。大学生などの協力も得て、ぜひこの教材を、絵本なりパンフレットなり、子供の年齢に応じた教材をつくっていただきたいと思っております。  先ほど出前講座などの話もありましたが、これまでの出前講座の状況などを調査をした中では、今回のこのことはわかりませんが、なかなか活用されないのが現実だと思います。ぜひ、子供たちに知事のSDGsの行動を示していただきたいと思います。絵本などの教材作成をお願いするものですが、再問とさせていただきます。 ◎知事(三日月大造) 今、御質問いただいたように、SDGsの取り組みの柱の一つである食品ロスの対策ですね、大変重要だと思っています。それで、琵琶湖環境部長からも私からも答弁させていただいたように、少しこれまでやってきた取り組みをこの食品ロスも加える形で展開していこうと。とりわけ、今、御紹介のあった子供たちの取り組み、子供たちの教育の中での普及啓発、大変重要であると考えます。  ただ、それを絵本や教材という形がいいのか、給食や日々の学校での生活の中で展開していくのがいいのかということについては、少し検討させていただきたいなと思っています。どうしても教材をつくると陳腐化して、それをまたリニューアルするということも必要になってきますし、それよりも、食べ物や食生活というと目の前にあるもので教えることもできるものですから、そういった対応がいいのか、少し、どういうツールを使って普及啓発、教育したらいいのかということについては、検討させていただければと存じます。 ◆37番(粉川清美議員) (登壇)今、知事がおっしゃったことは、これまでも環境教育で取り組んできたわけでございますし、ぜひ、この食品ロスということに特化した何か子供たちの教育に支援できるような対策なり教材を、また検討していただければと思っております。  それでは、3項目めに、住宅政策について伺います。  国では住宅政策の一つとして、民間の空き家、空き部屋を活用し、住まいを確保することが困難な高齢者や子育て世帯の入居を支援する改正住宅セーフティネット法が4月に公布され、半年以内に施行されることになりました。  法改正の背景の一つとして、高齢者や生活困窮などを理由に、民間賃貸住宅への入居を断られるケースが少なくない点が挙げられます。国交省の調査によれば、民間賃貸住宅の家主の約7割が「高齢者の入居に拒否感がある」と回答、入居制限の理由としては、「家賃の支払いに対する不安」が約6割と最も多い現状です。  もう1つの背景は、ふえる空き家や空き部屋の問題です。人口減少や高齢化に伴い、全国の空き家は約820万戸を数え、そのうち賃貸住宅は約429万戸に上ると言われています。一方では、地方自治体の公営住宅については応募倍率が高く、全国平均で5.8倍に達するなど、公営住宅に入居できない世帯が多い現状もあります。  このような背景のもと施行される新たな住宅セーフティネット制度は、地方自治体に専用住宅として登録し、改修費などを補助して、民間の適正な空き家、空き部屋を確保、活用し、また、入居者に家賃補助や家賃債務保証の支援を通じて円滑な入居を促す、住宅と福祉の連携した支援と言えます。  このような国の住宅セーフティネット制度を活用した取り組みなど住宅政策について、土木交通部長に伺います。  1点目に、公営住宅や民間賃貸住宅の入居状況等と、県内の住宅確保要配慮者の状況と課題について伺います。  2点目に、県内の空き家や空き部屋の状況と課題について伺います。  3点目に、国の住宅セーフティネット制度について、県の役割と今後どのように取り組むのか、見解を伺います。  4点目に、居住支援協議会についてです。  滋賀県居住支援協議会は、県内全市町のほか、不動産関係団体、居住支援団体等が会員として参画し、情報提供や高齢者などの居住に必要な支援をしています。国は福祉と居住の連携を求めてきましたが、居住支援協議会は生活支援の視点が欠けていて、個別支援に結びついていない現実が指摘されています。  そこで、居住支援協議会の現状の認識について、また、今後の居住支援協議会の機能強化の取り組みについて見解を伺います。  また、実際に入居相談に応じる居住支援協議会の存在が重要ですが、同協議会が地域で機能するためには、住宅政策と福祉政策の連携だけでなく、地域の実情をよく知る民間賃貸事業者や生活支援を行うNPO、また社会福祉法人との協働が不可欠であり、市町単位での設置が重要と考えますが、見解を伺います。  5点目に、住宅政策の体制拡充についてです。  国交省や厚労省の制度の活用など、住民の多様な要望に対応していくため、また、住宅政策と空き家政策や地域のまちづくりの観点も踏まえた対応が求められている中で、住宅政策の体制を拡充する住宅政策全般を所管する組織の検討が必要であると考えますが、見解を伺います。 ◎土木交通部長(池口正晃) では、お答えいたします。  1点目、県内の住宅確保要配慮者の状況と課題についてですが、住宅政策において今後の大きな問題と考えられている高齢者世帯の状況について見ますと、平成29年6月現在、県営住宅の入居者のうち約20%が高齢単身世帯であり、県内の民間賃貸住宅では、平成25年度の国の調査によりますと、約8%が高齢単身世帯となっております。  課題としては、高齢者、生活保護受給者、障害者等の住宅確保要配慮者が増加している状況の中で、議員御指摘のとおり、家賃支払いの不安や住宅の使用方法への不安などから大家に拒否感があり、入居に結びつかないというケースがあることなど、対応が必要と考えております。  2点目、県内の空き家の状況等についてですが、平成25年度の国の調査では、県内の空き家は7万7,800戸、このうち賃貸用の空き家は3万1,300戸です。  なお、平成10年度から25年度までの15年間で、空き家の総数は約1.5倍、賃貸用住宅の空き家は約1.7倍となっております。  今後、高齢化の進行と世帯数の減少等により、空き家や空き部屋はさらに増加すると見込まれることから、中古住宅の流通、活用の促進が必要と考えております。  3点目、国の住宅セーフティネット制度についてですが、今回改正された住宅セーフティネット法において、県について規定された役割としては、住宅確保要配慮者向け賃貸住宅の登録や指導監督、居住支援活動を行うNPO法人等の指定などの事項がございます。  今後の取り組みとしては、現時点では制度の内容がつまびらかでないものもありますが、7月には、地方自治体のみならず、大家、宅建業者、医療福祉関係者を対象に全国7カ所で国が説明会を開催する予定であり、その内容を精査しつつ、今後の検討をしてまいりたいと思います。  あわせて、セミナーや相談会の場などにおける大家への制度の周知や働きかけなどにより、住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録拡大につなげてまいります。  4点目、居住支援協議会に対する現状認識、協議会の機能強化の取り組み、市町単位での設置についてですが、住宅セーフティネット制度では、居住支援協議会の構成員として、不動産関係団体、居住支援団体および地方公共団体が想定されていますが、本県では、これまで福祉関係の団体が居住支援団体に含まれていなかったことから、現場とのつながりが弱い状況でした。このため、本年6月には滋賀県社会福祉協議会に構成メンバーに加わっていただくとともに、住宅課に相談窓口を設置したところです。  今後、住宅確保要配慮者の声を十分に聞き、個別の支援が行えるよう、福祉との連携を一層深めてまいりたいと考えています。  市町単位での設置については、支援を必要とする人の生活実態に合った具体的な対応を行う上で、地域の社会福祉法人や地元の賃貸事業者などと市町が連携することがより効果的と考えます。そのため、市町単位での協議会の設置については、県の居住支援協議会の中で関係機関の意見も聞きながら、市町に働きかけてまいります。  5点目、住宅政策の体制拡充についてですが、住宅政策は、福祉や環境、防災などさまざまな政策分野と密接なかかわりがあります。今回の住宅セーフティネット制度における居住支援協議会のほか、県営住宅をNPO活動拠点として取り組む社会実験のように、福祉部局と連携しながら取り組みを進めているものもございます。  今後、より一層、他部局のみならず、市町や関係団体等とも連携を深め、また、必要に応じて専門家や学識経験者の参画も検討しながら、住宅政策の拡充を図ってまいります。 ◆37番(粉川清美議員) (登壇)社会状況の変化や住民の多様な要望に対する住宅政策でございますので、しっかりと御答弁いただきましたように取り組んでいただくように要望させていただきます。  それでは、最後に、がん教育について、一問一答方式で教育長に伺います。  昨年12月に改正されたがん対策基本法の趣旨を反映し策定される次期がん対策推進基本計画においては、がん教育などをさらに推進するための方策が盛り込まれるものとして、文部科学省では、外部講師の活用状況などに関する調査結果も踏まえて、がん教育の一層の充実に努める方針を示しておられます。  一方、滋賀県では、がん教育の推進について、滋賀県がん対策の推進に関する条例に明記し、平成26年度から、滋賀のがん教育についての冊子を策定、配布するなど、しっかりとがんを知る、そして命の大切さを知るという観点でがん教育を推進してきましたが、学習指導要領の改訂案の中で、中学校の保健体育科にがん教育に関する記述が明記され取り組みが本格化することから、滋賀県のがん教育のさらなる推進に期待をしているところです。県でも、さらにがん教育の機会や内容が充実されることを願って、以下、教育長に伺います。  1点目に、がん教育の実施状況についてです。  滋賀県では平成26年に2校でモデル事業を実施し、平成27年度は全小中学校でがん教育に取り組む予定としていましたが、がん教育の実施状況や課題についてお聞きします。 ◎教育長(青木洋) (登壇)お答えいたします。  平成27年度に実施をいたしましたがん教育実施状況調査で、がん教育を実施した学校の割合は、小学校で53.6%、中学校では73.4%の実施率でありました。また、平成28年度には、小学校で82.5%、中学校では95.8%の実施率となっており、小学校、中学校ともに20%程度向上したところでございます。  このように、がん教育の実施率は向上はしていますものの、外部講師の活用や関係機関との連携等の取り組みの進捗に地域差があることが課題であると認識をしております。 ◆37番(粉川清美議員) (登壇)大変忙しい教育現場にもかかわらず、がん教育の実施率が大変高くて驚いておりますけれども、今、教育長が課題として挙げられました項目について、今後どのように取り組まれるのか伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えいたします。  特に今申し上げましたように、外部講師の活用についてでありますが、外部講師は医師だけではなく、保健師あるいはがん経験者など、幅広い方の御協力が必要だというふうに思っております。  こうしましたことから、がんの専門家を確保するため、さまざまな機会を通して、各地域の保健福祉部局あるいは医療機関、また学校医などに協力を求めながら、取り組みを進めてまいりたいというふうに考えております。 ◆37番(粉川清美議員) (登壇)次、2点目なんですが、県はこれまで、がん教育の課題として主に3点を示してこられましたが、その対応についてです。  小児がんの子供や家族にがん患者がいる子供に配慮することについて課題と示してこられましたが、このことについて、どのように対応しているのかお聞きします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  まず、教職員の小児がんの子供に対する配慮についてでありますが、平成26年から毎年、教職員に向けてがん教育研修会を開催をし、小児がんと成人のがんの違い、あるいは小児がんの子供が学校へ復帰する際の受け入れ体制づくりについて、医師、看護師等から研修を受け、教職員の意識の向上を図っているところであります。  また、家族にがん患者がおられる子供への配慮として、がん教育の実施について保護者への周知を図り、事前に家庭から配慮事項を確認した上で、がん教育を進めるようにしているところでございます。 ◆37番(粉川清美議員) (登壇)2点目の課題とされてきました教職員自身ががん教育の正しい知識と重要性を認識することについては、どのように対応しておられるのかお聞きします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  教職員自身ががん教育の正しい知識と重要性を認識するために、教職員ががん教育研修会の中で医師からがんの早期発見と治療の現状を学んだり、がん患者会の方から直接お話を聞くこと、さらに、がん教育実践校の効果的な授業の実践報告を受けたりしております。  参加をしました教職員からは、がんに関する知識が不十分であり、研修でがん教育の必要性を強く感じた、小学校からの積み上げ教育が大切であると感じたなどの感想があり、研修会の継続ががん教育の重要性の理解につながると考えております。 ◆37番(粉川清美議員) (登壇)大変有意義な研修会だと思うんですけど、がん教育にかかわる全ての教員がこの研修を受けて、正しい知識と重要性を認識することができたと思われますでしょうか。教育長の見解を伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  全ての教職員がと言われますと、なかなか難しいところがございますが、こうした研修を受けた教職員が学校へ帰って伝達研修という形でやっておりますので、そうしたことを通じまして、担当の教員だけではなくて、教職員全てがそういう意識になるよう努めてまいりたいというふうに考えております。 ◆37番(粉川清美議員) (登壇)もともと教職員自身の正しい知識と重要性が課題ということで持たれている研修会ですので、よりたくさんの方が実際に研修が受けられるように、また御配慮をお願いしたいと思います。  3点目なんですが、がん教育の教材等について。がん教育の教育プログラムやマニュアル、教材を充実することが課題とこれまでしてこられましたが、そのことについて、どのように対応されているのかお聞きします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  がん教育の教材につきましては、県教育委員会で作成をしましたスライド教材、あるいは滋賀のがん教育の進め方を示したがん教育プログラムを、平成27年3月に、全ての小学校、中学校、特別支援学校、市町教育委員会に配布をしたところでございます。  さらに、この5月には、文部科学省において、映像教材、ワークシート、スライド教材が作成されたことを通知をしておりまして、今後、各学校において、こうした教材を積極的に活用するよう促してまいりたいと考えております。 ◆37番(粉川清美議員) (登壇)授業に必要な教材としてさまざまな教材を提供していただいておりますけれども、県が作成した視聴覚教材や文科省選定の教材など、こういった教材がどのように活用されているのか、活用状況についてお聞きします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  個々の教材の活用状況は全て把握しておるわけでございませんが、県が作成をいたしましたスライド教材あるいは文部科学省選定教材、また関係団体から送付をされました教材は、各学校で活用されておりまして、学級担任や保健体育科教員だけでなく、地域の保健師等が直接学校へ出向き、地域の実情に応じて編集し、効果的に活用していただいている例もございます。  こうした教材につきましては、学校での利用を高めるため、県担当者が内容を確認し、研修会等でがん教育に活用できる部分を具体的に示すなど、児童生徒が効果的に学べるよう工夫をしているところでございます。 ◆37番(粉川清美議員) (登壇)活用状況について、もう少し詳しく示していただきたいんですけど、例えば、じゃ、県の視聴覚教材の活用状況について、活用した学校数など教えていただけますでしょうか。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  例えば県のスライドの場合ですと、平成28年度では、小学校では26校、中学校では11校、それぞれ活用していただいたところでございます。 ◆37番(粉川清美議員) (登壇)小学校223校のうち26校が活用、中学校では100校のうち11校ですから、県が作成した教材がほとんど使われていないということがわかるのではないかと思います。現場の先生が取り組みやすいようにと、県や文科省などが教材を作成して提供しているにもかかわらず、現場ではほとんど活用されていないという現状がわかります。  がん教育の実施率は先ほど聞きましたように80から100と大変高い現状ですけれども、じゃ、何の教材を使って、どんな教育がされているんだろうかと、教育の中身を大変心配しております。このような状況の中で、今後、教材などの活用について、どのように対応されるのかお聞きします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  先ほどもお答えいたしましたように、文部科学省の方からも教材を作成しております。そういったことで、教材そのものは数もふえてきております。ただ、現実的に今お答えいたしましたように、例えば県のスライドですと、小学校でいいますと10%余りということになりまして、この教材を使わないとだめということはございませんが、先ほどやはり言いましたように、まさに子供たちが理解しやすいためにはどのようなものを使えばいいのか、あるいは子供たちの発達段階に合わせて使うにはどれがいいのかと、そういったことをしっかりと考えて、また私どものほうからも指導しながら、しっかりと授業に活用してまいりたいと、そんなふうに考えております。 ◆37番(粉川清美議員) (登壇)教材の活用状況にこだわったのは、やっぱり教育現場で授業しましたと事実だけをつくってもらっても何の意味もないわけで、県がこれまで進めてきました、がんを知って、また命の大切さを知るという、その目標達成のためには、やっぱりしっかりとした教材で対応していただきたいという思いから、このことにこだわって質問させていただきました。  現場が求めている教材を提供していくこと、また、教育委員会がいいと思って提供されたことがしっかりと現場で使われますように、現状把握などをしながら、よりよい教材をつくっていただき、また活用していただきますようにお願いをしたいと思います。  3点目なんですが、外部講師の活用についてです。  外部講師としてお医者さんやがん経験者などが、専門知識や命の大切さや家族の支えなどを児童生徒に直接話をされます。その感動はまた家庭へと伝わっていくもので大変重要だと思いますが、外部講師の活用について伺います。  1点目に、滋賀県学習情報提供システム「におねっと」の「地域の力を学校へ」推進事業の中に、県立成人病センターの医師など関係者が学校に出向いて、病気やがんの予防について授業する出前授業があります。県教育委員会のホームページやがん教育の冊子でも紹介されていますが、このような外部講師を活用した事業の利用状況についてお聞きします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  滋賀県学習情報提供システム「におねっと」に掲載をします学校支援メニューの中で、病気やがんの予防に関する登録は現在2件ございまして、登録いただいた平成26年度から3年間の出前授業の実績は、小学校5校、中学校9校となっております。  専門的な知識のある方が、命の大切さや家族の支えなどを児童生徒に直接話されることは、児童生徒が学びを深めるためにも大変重要と考えておりますので、今後、登録団体の増加と情報発信に努めてまいりたいと考えております。 ◆37番(粉川清美議員) (登壇)すばらしい外部講師を派遣するこのシステムも、結局、1割も使った学校がない、3年間でないというふうな現状なんですね。なぜ余り活用されないのか。現場が活用する事業を計画することが重要だと思うんですけど、その辺、教育長はどのように思われますでしょうか。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  今、答弁しましたように、数的に非常に少のうございます。1つは、やはりまず現場がこうしたことを活用する重要性といいますか、効用性というのが余り知られていないのかなという気がいたします。そうしたことから、今申し上げましたように、こうした活用の有用性というのもしっかり伝えてまいりたいと思っております。  また、今申しましたように、登録が2件ということでございますので、日程というのもお互いございます。そこの折り合いもなかなか難しいのかなと思ったりもします。  そうしたことから、今後、先ほども申しましたように、できるだけ登録団体をふやす、また学校のほうでは、そういったものを活用することの有用さというのをしっかりと据えてまいりたいと、そんなふうに思っております。 ◆37番(粉川清美議員) (登壇)外部講師につきましては、国は、外部講師と教師は車の両輪として、外部講師活用ガイドラインを作成するなど取り組んでおりますけれども、滋賀県の外部講師活用の取り組みについて伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  がん教育で外部講師を活用された学校は、平成27年度は小学校で14校、中学校で8校、また平成28年度は、小学校で19校、中学校で14校となっております。  外部講師の活用により、医師から専門的な話や検査の器具を見せていただき真剣に講義を聞けた、地域の保健師さんから地域の検診の実態や相談の窓口を教えていただき身近に感じられたなど、具体的な効果を確認しておるところでございます。 ◆37番(粉川清美議員) (登壇)今、市町での取り組みなどの効果、また子供たちに好評だったいうふうな御報告をいただきましたけれども、これから拠点病院のお医者さんとか保健師などを活用して、やはり、県が一本でというのは難しいので、市町のがん教育のシステムをどう構築していくかが大変重要だと思います。また、これまでお聞きした取り組みの結果から、市町での取り組みの温度差が大変大きいということもわかってきております。
     そういった中で、県として今後の外部講師の活用について、どのように取り組んでいかれるのかお聞きします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  本年7月には、がん教育シンポジウム、この開催を予定をしております。がん診療連携拠点病院、保健センター、学校医、また教育委員会の効果的な連携の実践例、あるいは外部講師の活用例等について、その場で意見交換をしたいというふうに思っております。こうしたことを通じまして、外部講師の活用、さらには充実に一層努めてまいりたいというふうに考えております。 ◆37番(粉川清美議員) (登壇)いろいろ聞かせていただく中で、本当に教育現場のがん教育の実施率も高いですし、また教材提供など、教育委員会としても本当に一生懸命取り組んでいただいているんですけど、両者の隔たりが、調べれば調べるほど現場での取り組みとが差が大きいかなということを大変心配いたしまして、熱心に取り組んでいただいているその効果が子供たちのがん教育にしっかりと効果として上がってくるように、そんな思いで今回がん教育について取り組みをさせていただきました。  いよいよがん教育が本格化することから、全ての生徒が、県が目標としていますしっかりがんを知る、そして命の大切さを知る、このことを目的にしたがん教育が受けられますように、そのようなことを願って、また国が重要視しております外部講師の活用などについても、しっかりと取り組んでいただきますようにお願いをいたしまして、全ての質問を終わらせていただきます。  以上です。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(小寺裕雄) 以上で、37番粉川清美議員の質問を終了いたします。  次に、3番竹村健議員の発言を許します。 ◆3番(竹村健議員) (登壇、拍手)よろしくお願いいたします。今6月定例会議で諮問されている案件について質問をさせていただきます。  今定例会議では2つの諮問案件が県議会側へ諮問されていますが、その中で、野洲養護学校の寄宿舎に関する諮第3号寄宿舎入舎不許可処分に係る審査請求の諮問についてを、一般質問として取り上げをさせていただきました。  今回の諮問は、過去における審査請求や不服申し立てと違い、行政不服審査法が約50年ぶりに改正され、昨年4月1日の施行後は、議会に諮問された審査請求では初めての案件であると理解をしております。  まず、この法がどのように改正されたのか。また、その狙いはどこなのか。まず総務部長に伺います。 ○副議長(小寺裕雄) 3番竹村健議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎総務部長(村上浩世) (登壇)お答えいたします。  昨年4月から全面改正された行政不服審査法が施行されておりますが、その主な改正内容としては、1つには、不服申し立ての審理を現処分に関与していない職員である審理員が行う審理員制度の導入と、第三者機関である行政不服審査会への諮問手続の導入、2つには、異議申し立てを廃止し、不服申し立ての手続を審査請求へと一元化すること、3つには、不服申し立て期間を従来の60日から3カ月に延長することなど、主に公正性、透明性の向上や、扱いやすさの向上といった目的での改正が行われたものと認識しております。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)大変難しいですね。聞いてても難しいなと思ったんですが、審理員とは、どなたがなされているのか、総務部長に伺います。 ◎総務部長(村上浩世) お答えいたします。  行政不服審査法では、審査庁は審査庁に所属する職員のうちから事案ごとに審理員を指名することとされており、法で定められた欠格要件、例えば、審査請求に係る処分に関与した者や審査請求人の親族といった要件に該当しない方から審理員を指名しております。  本県では、今年度、管理職である専任および兼務の職員をそれぞれ1名ずつ、ならびに非常勤職員として弁護士資格を有する者1名の合計3名を、審理員となるべき者として総務部総務課に配置しており、それぞれの審査請求事件において欠格要件に該当しないことを確認した上で、3名全員を審理員として指名しております。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)普通地方公共団体の長は、公の施設を利用する権利に関する処分について審査請求があったときは、議会に諮問して、これを決定しなければならないとされています。  議会は、前項の規定による諮問があった日から20日以内に意見を述べなければならないとあり、つまり、諮問があったのは先週の代表質問のあった23日です。そこから起算して20日後は、ちょうど7月12日の議会の閉会日ということになります。大変時間のない中で意見を集約しなければなりません。  一方で、今回取り上げた諮第3号では、昨年6月に審査請求を出されており、今会議の諮問に至るまで約1年間が経過をしております。なぜこのような長期間に及んでいるのか、総務部長にお伺いをいたします。 ◎総務部長(村上浩世) お答えいたします。  審査請求は裁判に比べて簡易迅速な手続であるとされておりますが、審理員による審理手続においては、処分庁と審査請求人の双方から弁明書や反論書等の書類の提出を求めるなど、所要の手続が必要となるものであり、一定の時間を要することとなります。  ただ、これに加えて、本件審査請求事件につきましては、改正行審法に基づく公の施設の利用に関する初めての審査請求であったことから、関係部局が事務にふなれな点もあり、手続の迅速化という観点から反省すべき点もあったものと認識しております。  この行政不服審査制度の長所である簡易迅速性を損なわないよう、既に実施している職員への研修を充実させるなど、今後、さらに円滑な制度運用に努めてまいります。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)今も総務部長のほうから迅速性の確保という言葉があったと思うんですが、結果的に大変時間がかかってしまっているというふうに思います。  今回対象の生徒さんは中学生であったというふうに思うんですが、短い学生生活の中で審査請求して、結果が出るのにやっぱり1年かかるということは、長過ぎるというふうに思います。幸い、今回のケースでは審理の途中で入舎をされたようでありますけれども、法改正のポイントである迅速性の確保という点ではいかがなものかということを指摘しておきたいと思います。  また、先ほど、スキームを少しお話しいただいたんですが、今回の対象となる処分庁は野洲養護学校ということになろうかと思いますが、審査庁の位置づけというのがわかりにくいんですが、実態として、この審査請求書の原案を考えたり、事務的な役割をやられるのはどこのセクションがやられるのか、総務部長にお伺いをいたします。 ◎総務部長(村上浩世) お答えいたします。  まず、本件審査請求における処分庁と審査庁ですが、処分庁は、議員御指摘のとおり、不許可処分を行った野洲養護学校長であり、審査庁は地方自治法244条の4第1項に基づき、滋賀県知事とされております。  この審査庁の実務につきましては、知事部局の職員として、教育委員会事務局特別支援教育課の職員を併任させ、事務を実施してまいりました。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)ちなみに、ここ近年の審査請求はどのような事案が審査請求として出されているのかを調べましたら、もう1つの諮問案件である退職手当支給制限処分に係る審査請求の事案がほとんどでありました。  一方で、この寄宿舎入舎不許可処分に係る審査請求という、養護学校の寄宿舎に係る審査請求というのは過去あったのでしょうか。総務部長にお伺いいたします。 ◎総務部長(村上浩世) お答えいたします。  寄宿舎入舎不許可処分に係る審査請求は、過去に1件あったと承知をしております。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)ありがとうございます。余りない案件であるということ、また、第三者機関である議会の諮問は法改正後初めてというようなこともありまして、緊張感をもって見ていかなければならないというふうに思います。  そして、何よりもわかりにくいのは、今回の事案は、既に入舎をされているにもかかわらず、昨年4月に入舎不許可に対する取り消しを求めるものであります。通常といいますか、普通なら、入舎ができているのであれば審査請求の取り下げがあってもよさそうなものと考えますが、今回はそうではないと。  そういう意味においては、どのようなプロセスを経て今日に至っているのか。また、この審査請求にはどのような意図があるのか。そのようなことに思いをはせながら、既に執行部側からは事前に説明を受けておりましたが、審査請求人からも一定お話を聞かなければと思い、先日、直接お会いをさせていただいて、お話を伺う機会を得ました。  さて、審査請求の結論として、審査請求人の主張が認められた場合は認容、逆に認められない場合は棄却とされます。そして、今回の審査請求については、本件審査請求自体が不適法であるとされ、却下とされています。  この理由について、諮問書では、時間がないので抜粋をしますが、本件審査請求は、平成28年4月21日に処分庁が行った、野洲養護学校ですね、寄宿舎入舎の不許可処分の取り消しを求めるものであり、これにより得られる利益は、本件児童が寄宿舎に入舎することができる利益である。  同年12月1日に、処分庁は、審査請求人からの新たな寄宿舎入舎願いに基づき、審査請求人に対し、寄宿舎入舎を許可する処分をし、本件児童は同日付で寄宿舎に入舎している。これによって、審査請求は同日4月21日付の本件処分を取り消すことにより得られる法律上の利益は失われたと言える。  したがって、本件審査請求は、不服申し立ての利益を欠く不適法なものであるから、行政不服審査を、第45条第1項の規定により、主文のとおり裁決すると結論づけられています。  しかしながら、行政不服審査法の目的は、国民の権利、利益の救済を図るとともに、行政の適正な運営を確保することを目的とされています。今回の場合、入舎が可能になったことによって権利、利益は達成されたとしても、行政の適正な運営を確保することについての目的の部分は一定合理性があると考えますが、今回、この却下という裁決書案を提出された知事の見解を伺います。 ◎知事(三日月大造) (登壇)お答えいたします。  お取り上げいただいております行政不服審査法では、審査請求をすることができる者は行政庁の処分に不服がある者と規定され、不服がある者の具体的範囲については、当該処分について審査請求をする法律上の利益がある者と解釈されているところであります。  本件不許可処分に係る児童は、本件審査請求の審理手続中に既に寄宿舎に入舎しましたことから、本件不許可処分の取り消しを求める法律上の利益は失われており、不服申し立ての利益を欠くことから、却下の裁決案を諮問させていただいているものでございます。  なお、裁決の結果いかんにかかわらず、議員御指摘のとおり、行政の適正な運営を確保することに不断に取り組むべきことは当然のことであると認識しているものでございます。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)ここで総務部長にお尋ねをいたしますけれども、冒頭部分でお話をさせていただいた審理員の方々は、通常、どのようなプロセスを経て結論を導き出すのか、お伺いをいたします。 ◎総務部長(村上浩世) お答えいたします。  審理員は、まず、処分庁からの弁明書や審査請求人からの反論書および関連する証拠書類の提出を求め、主張の根拠を確認いたします。また、こうした書面の提出手続のほか、申し立てがあった場合には、口頭意見陳述を実施し、双方の主張や提出書類の疑問点を解決していきます。  これらの審理手続のほか、法で認められた参考人陳述や物件提出要求などの審理手続を、事件の内容に応じて取捨選択して実施してまいります。その上で争点の整理を行い、双方の主張が出し尽くされますと、関係法令に当該審査請求事件の内容を当てはめ、結論について心証を得た場合、審理手続を終了いたします。  その審理終結後、審理員は合議の上、審査庁がすべき裁決に関する意見書を審査庁に提出いたします。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)先ほど、知事が却下した理由をある意味教科書どおりに言っていただいたと思うんですけれども、今も総務部長の答弁にありましたように、今回も弁明書とか反論書を通じてこのようなやりとりがあったわけでありますけれども、そこの中では、自分の子供は入舎できたけれども、本件の内容を明らかにすることによって、今後、同じように入舎される方々の利益になるということを主張されておられます。  これは、この法律の目的である行政の適正な運営を確保することにつながるものであって、合理性が全くないとは言えないのではないかというふうに思います。100%は言えないかもわかりませんが、何%かは合理性があるはずで、却下という結論は私は疑義があるというふうに感じています。  仮に結論が却下ではなく棄却という結論であれば、一定、審査請求人と処分庁、今回の場合は野洲養護学校になるんですが、やりとりが透明化をされるというような部分があろうかと思います。問題点が浮き彫りになってくるのですが、却下という結論は、ある意味、問題の本質を見えなくしてしまっている側面があるというふうに思っております。  しかも、先ほど尋ねた審理員さんは、月に数日勤務をしていただいている弁護士さんは1名おられるにしても、他の2名の方は転勤や異動があるいわゆる県庁の職員さんですし、しかも、この原案をつくっている審査庁は、先ほども確認しましたとおり、野洲養護学校の上位組織に当たる教育委員会特別支援課であることから考えると、本当に中立性が担保されていたのかということを考えさせられます。  この法律の仕組みをぼやいていても仕方ありません。また、手続論に話が終始してもいけませんので、この辺でこの部分は終わっておきたいというふうに思います。  そういう意味でも、第三者機関と位置づけられて諮問されている県議会において、物事の本質を見ていく必要があるというふうに思っております。  そのような中で、野洲養護学校の寄宿舎に関する質問をさせていただいて、本質の話をしていきたいというふうに思っていますので、よろしくお願いをいたします。  まず、特別支援学校の寄宿舎は法的にどのように位置づけられているのか、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(青木洋) (登壇)お答えをいたします。  特別支援学校の寄宿舎は、学校教育法第78条に基づき設置をされており、通学が困難な児童生徒のために設置することが必要と位置づけられております。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)平成20年に野洲養護学校設置以降、全体の生徒数自体もかなり増加したように、障害が軽度の子供から重度の子供まで、知的障害から肢体不自由まで、さまざま支援が必要な子供さんが多岐にわたっています。あわせて、核家族化、共働き夫婦がふえる中で、寄宿舎への入舎希望は一定あると考えますが、寄宿舎の入舎に関する基準はどのようなものなのでしょうか、教育長に伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  寄宿舎の入舎基準は、滋賀県立特別支援学校寄宿舎の入舎および退舎に関する基準で定めております。  野洲養護学校の場合は2点ございます。1点目が、ア、合理的な経路および方法により通学する場合に、片道の所要時間が常に90分以上となる者で、通学困難と認められる者、2点目が、イということで、今申しましたア以外の理由により通学困難と認められる者と定めております。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)今お示しをいただきましたように、1つは、片道90分以上かかるというようなことと、もう1つは、それ以外の理由により通学困難と認められる者というふうになっておりますけれども、具体的にどのようなことなのでしょうか、教育長にお尋ねをいたします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  通学困難の認定につきましては、単に障害が重く通学の介助負担が大きいということだけでなく、家庭の状況や保護者の健康状態、福祉サービスの受給状況などから、通学の支援が継続できないと合理的に認められることが必要であります。  また、家族や支援者等の協力や工夫によって通学が継続できると見込める場合や、福祉施設を利用する場合は、通学困難とは認められないものでございます。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)今聞いておりましても、大変曖昧な言葉だなというふうに思っております。  寄宿舎への入舎に関する県からの案内は、どのようにされていますでしょうか、教育長に伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  知的障害と肢体不自由を対象とした特別支援学校の寄宿舎は、県内では野洲養護学校のみに設置をしておりまして、例年1月上旬に、次年度の寄宿舎入舎に関する手続について、県下全域の市町教育委員会、各特別支援学校長に通知をして案内をしております。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)その御案内の中で、平成25年度から、技術的基準という添付資料が示されているようです。  御紹介をさせていただきますと、特別支援学校の寄宿舎は、長時間の通学あるいは障害等の影響により毎日の通行が困難な児童生徒のために、学校に附属して設置されている施設であることを踏まえると、基準第2条第2号イに係る通学困難の認定については、単に障害が重く、通学の介助負担が大きいということだけではなく、家庭の状況や保護者の健康状態、福祉サービスの受給状況などから通学の支援が継続できないと見込まれ、それにより、実際に児童生徒の通学が継続できないと合理的に見込まれることが必要である。  また、家庭や支援者等の協力や工夫によって通学が継続できると見込まれる場合や福祉施設を利用する場合は、通学困難とは認められないと判断するのが妥当であると記されているようでありますが、これはどのような位置づけのものなのでしょうか、教育長に伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  平成24年度にも入舎不許可処分にかかわります審査請求があり、その裁決において、滋賀県立特別支援学校寄宿舎の入舎および退舎に関する基準の入舎基準のうち、イの通学困難の判断についての見解を示したものでございます。  そこで、平成25年度以降、寄宿舎への入舎を申請する際には、この見解を十分に踏まえるよう、見解の内容を技術的基準として、市町教育委員会や県立特別支援学校長への案内に添付をしたものでございます。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)この技術的基準の中で、3点ばかりわからないことがあるので教えてください。  まず、福祉サービスの受給状況が入舎の判断材料にされているようでありますけれども、通学にかかわる毎日の福祉サービスの提供は、そもそも本件の中ではないと聞いておりますが、教育長の見解を伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  近年、福祉施策が充実をしてきており、その福祉サービスの活用により通学が可能となる場合もあるため、判断材料の一つとしてこれは加えたものでございます。  移動支援にもかかわらず、例えば通学に関連して、家庭における居宅介護サービスにより本人の身支度や車椅子等への移乗など、家庭で必要な介護サービスを受けている例もございます。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)2点目でありますけれども、支援者の協力とありますけれども、保護者が自発的にお願いをしていくもので、基準化できるものではないと考えますけれども、教育長の見解を伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  議員御指摘のとおり、支援者の協力はもちろん自発的に依頼されることを前提としておりまして、そのことを義務づけたりするものではございません。しかし、家族以外の支援者の協力が得られることで通学できる場合もありますことから、判断材料の一つとして挙げているところでございます。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)3点目ですけれども、福祉施設の利用については保護者の権限に委ねられるべきであり、入舎の前提とするのはいかがなものかと考えますが、教育長の見解を伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  福祉施設を利用することについては、本人や保護者の意向を大切にし、強いるものではないと考えております。  ただ、障害の特性などにより生活全般の困難さが生じ、結果的に通学困難な状態に至ることがあり、そういった事例では福祉施設の利用などが適切な場合も考えられますことから、その可能性についても考慮するということを示したものでございます。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)今るるお話をさせていただいた技術的基準なんですが、これは教育委員会の内規的なものの位置づけというふうに考えてよろしいでしょうか、教育長にお尋ねをいたします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  先ほどもお答えしましたように、裁決という中で確定をさせていただきましたので、内規というか、外に向かっても当然周知をしているところでございます。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)この技術的基準が示されてから入舎が許可された方は何人いらっしゃいますでしょうか、教育長に伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  技術的基準を示して以降の新規の入舎希望者は4名で、4名全員の入舎を許可しております。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)今回、審査請求人と相手側である野洲養護学校のやりとりの資料を拝見をさせていただきました。資料もそれなりのボリュームがありますし、ここでその中身について議論をする気はありませんけれども、学校側から入舎できない理由に、技術的基準に基づき、技術的基準に基づきという文言が多々出てきます。今お話をさせていただいております技術的基準は、議会で諮られている規則や規定ではございません。そのようなルールでございますので、今、先ほど教育長がおっしゃったような部分のルールでございますので、生徒児童の寄宿舎入舎に対する可否が決められている大変大きい部分ですね。それが議会のルールとして諮られていないようなものというのは、私はどうかなというふうに思います。
     偏った見方かもわかりませんが、議会が関与していないルールの部分で、恣意的にハードルを高くしていないかということを考えてしまいます。入舎に対する基準がこのままでよいのでしょうか。ここは今後も何らかの場でしっかりと検証する必要があると考えております。  ところで、寄宿舎の入舎の権限を持っているのは誰でしょうか、教育長に伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  寄宿舎入舎可否の判断は、学校長が行います。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)寄宿舎への入舎はどのようなプロセスを経て可否が決まるのでしょうか、教育長に伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  野洲養護学校の寄宿舎に入舎を希望する場合は、野洲養護学校の校長宛てに入舎願いを提出をいただきます。その後、校内で本人や通学の状況について情報共有したり、対応について検討を行います。また、必要に応じて、校外関係者も含めたケース会議での情報を収集することもございます。そういうようなことを経て、校長が入舎基準をもとに入舎の可否を判断するというふうになります。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)校長先生が教育委員会特別支援課と御相談されて決定するようなことはございませんか。教育長に伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  場合によっては、私どものほうの特別支援教育課のほうに協議という形で上がってくることもございます。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)先ほど、プロセスのところで、ケース会議というようなことのお言葉がありましたが、ケース会議とはどのような位置づけのもので、また、どのような方々で構成されているのか、教育長に伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  ケース会議とは、個別の児童生徒の課題に対応するために開催するもので、就学時の引き継ぎに関することや進路の検討、また、学校生活全般についてなどがあり、課題の内容によって構成員も異なってまいります。  例えば一例を挙げますと、家庭生活、地域生活に関するケース会議では、学校の教員のほか、発達支援センター職員、民生委員、ケースワーカー、相談員等の出席がある場合もございます。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)今回の事案において、ケース会議ではどのような見解であったのか、教育長に伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  ケース会議では、子供の状況や障害特性に対する対応方法などについて検討するものであり、必要に応じて継続的に行う場合もございます。今回も、指導のあり方などについて継続的に検討してきたところでございます。  したがいまして、今事案に係るケース会議において、寄宿舎の入舎に係る方向性を結論づけたものではございません。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)今のケース会議なんですけれども、結論づけたものではないというふうに今教育長おっしゃっていたんですけれども、担任の先生とかサービスをされている方々、あるいは地域の方々がこのケース会議に携わっておられたというふうに仄聞をしておりまして、そこでは、一定やはり入舎しかしようがないであろう、やむを得ないであろうというような判断が出ているというふうに聞いております。  今後は、この寄宿舎入舎においては、ケース会議の方向性を重視して判断基準にされるのが客観的に見て公平ではないかと考えますけれども、教育長の見解を伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  入舎基準につきましては、入舎および退舎に関する基準に基づきまして、設置校である校長が判断することとしております。もちろん、判断するためには必ずケース会議を開くこととしているわけではございませんが、これまで開いてきたケース会議を初め、関係機関等の意見についても参考にさせていただいているところであります。  しかしながら、より客観性を持たせる必要があるというふうに私どもも認識をしておりまして、例えば、必要に応じて医療等関係機関から意見書等の提出を求めるなど、検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)このケース会議で、いろんな子供さんとかに一番身近な方々が集まってこういう方向性を出されているわけでありますので、私はやはりそこの部分というのは大きいのではないかなというふうに思っております。  ですから、やはり校長先生とかよりも、あるいは教育委員会とかも先ほども御相談しておられるという実態があるというふうにお聞かせをいただきましたけれども、やはり現場の方々の意見というのを私は尊重すべきではないかなということを申し上げたいというふうに思います。  開設時と比較して、寄宿舎入舎している生徒の推移は現在どのようなものになっているのか、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  野洲養護学校に寄宿舎が設置をされました平成20年度からの利用者数は、平成20年度は29名でしたが、過去5年間について見ますと、平成25年度は16名、平成26年度は12名、平成27年度は10名、平成28年度は12名、平成29年度──今年度ですが、9名となっております。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)現在入舎をされております生徒さんというのが今9名ということやったと思うんですが、先ほど議論させていただいた入舎基準の90分と、それ以外の部分と、それぞれ何人いらっしゃるのか、教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  今年度は野洲養護学校の寄宿舎に9名入舎をしております。この9名全て、先ほどのア、イでいいますと、90分でないほうです。イの理由により入舎をしております。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)90分実際にかかるような場所って、ほんと滋賀県にあるんでしょうかね。実質的には僕はないというふうに思うんです。つまり全員がイの基準ですね。つまり、通学困難と認められる者という曖昧なやはり基準というのがベースになっているということが1つあるというふうに思います。  この寄宿舎において入舎している生徒さんは、どのような生活をしているのでしょうか、教育長に伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  これはあくまでも一般論でございますが、下校後、17時の夕食まで自由時間としまして、夕食後も22時までの就寝まで自由時間として、自由遊び、入浴あるいは就寝準備等により過ごしているところでございます。また、朝は6時半に起床して、8時に朝食、9時に登校という生活を送っております。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)今、教育長のほうから生活のお話をしていただいたんですが、ちょっとイメージできるような感じではなかったので、もう少し細かく説明してもらえるかなというふうに期待をしておったんですが。  この寄宿舎に入舎することによって、生活のリズムが図れるなど教育的な側面があると考えますが、教育長の所見を伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  寄宿舎は、先ほどの答弁で申しましたように、本来、通学困難への対応を目的として設置をしておりまして、教育を行うことは目的とはしておりません。  一方で、入舎したことの結果として、寄宿舎指導員が児童生徒の日常生活上の世話および生活指導に当たることにより、日常生活の習慣が整えられるということもあるということは承知をしております。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)今回の件で、私、先週、文科省のほうに行ってまいりました。この寄宿舎教育という部分についていろいろお尋ねをしたわけでありますけれども、文科省のほうでも、やはり現状は通学困難、家から困難というような子供さんをやはり中心に考えざるを得ない。ただ、入舎をされることによっての生徒さんの成長あるいは生活のリズムが整うというようなことについては大変認めておられるということで、ただ、なかなかいろんな背景があって、それを今のところ全面的には出しにくいというようなことはおっしゃっておられました。  今回入舎された審査請求人の息子さんも既に入舎をされているわけでありますけれども、入舎前と比べると随分と落ちつかれたというふうなことを聞いております。結果的に家族全員が救われたというようなこともおっしゃっておられました。  先ほどから、入舎基準について、いろいろな部分で疑義を私も申し上げておりますけれども、今後、入舎の基準を見直すお考えはないでしょうか、教育長に伺います。 ◎教育長(青木洋) お答えをいたします。  野洲養護学校の寄宿舎は、何度も申しておりますが、通学困難に対応することを目的として設置をしておりますことから、入舎および退舎に関する基準に従って入舎等の判断をしてまいりました。この基準は、入舎について判断をするためのものであり、妥当なものというふうに考えております。  しかしながら、先ほども答弁いたしましたように、入舎についての判断はより客観性を持たせる必要があるというふうに認識をしておりまして、医療等関係機関からの意見書の提出を求めるなど、検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)私は、ぜひここの部分は検討していただきたいというふうに思っております。  今回の野洲の養護学校の寄宿舎、定員が40名いうようなことでありますけれども、先ほど、開設からの生徒さんの推移を聞かせていただきましたが、やっぱり徐々に減っていっています。これは単に入舎が希望がないのに減っていっているのか、あるいは教育委員会の入舎基準が厳しいからなかなか入れないような状況になっている。それが1つ、技術的基準という、先ほど申し上げました、いわゆる我々も知らないようなところで決まっているところが基準となっているところというのは、それはいかがなものなのかなと。  そういうことを考えると、雰囲気的には何か恣意的にやはり教育委員会の中で野洲の養護学校の寄宿舎の生徒数を徐々に徐々に減らしてはるんちゃうかなと、大変偏った見方かもわかりませんが、私はそういうふうに見えてしまいます。  本日の一般質問でこの問題を取り上げて、少しばかりの取材もさせていただきまして、るる議論をしてまいりましたけれども、教育委員会の方は、特別支援学校のこと、そしてまたこの寄宿舎のこと、財政も厳しいときに竹村何を言うとるんやと、ようわかってるのかというようなことを感想もお持ちかもわかりません。  けど、しかし、さまざまに家族で事情を抱えておられて、寄宿舎に入りたいと思っておられる方々がいらっしゃいます。そしてまた、いつでも入舎していいよ、おいでよと言っていらっしゃる寄宿舎の先生や職員さんもいらっしゃいます。寄宿舎の空きもある。そして、何よりも寄宿舎で寝食をともにすること、寄宿舎生同士の助け合い、年下の子を世話したり、家では経験できないことをこの寄宿舎で学び、家では見られなかった成長を遂げている寄宿舎生の姿が私はそこにあるというふうに思います。もう少しこの寄宿舎を生かすという考え方ができないでしょうか。私はこれが多くの県民の方が抱いておられる普通の感覚ではないかなというふうに思っております。  最後に、知事に伺います。  6月招集会議において、少し抜粋しますけれども、一人一人の暮らし、日常生活の中で、先ほどからも出ていますSDGsを物差しとして、誰一人置き去りにしない持続可能な社会を築くと力強く語られています。また、知事就任以来、かねてより、全ての人に居場所と出番のある共生社会・滋賀をつくると理念を掲げられております。  さらに、この地域は障害者福祉を切り開かれた糸賀一雄先生の魂が息づく地域でもあります。さきの定例会議で、我が会派の代表質問での知事答弁において、こう語られていました。「糸賀一雄先生らは、戦後の混乱期に近江学園を創設され、子供たちとともに生活する中で、この命の輝きに社会を変革する力があるということに気づかれ、この子らを世の光にとの言葉を残されました。この言葉を時代に即してどのように具現化していくのか、糸賀先生らから私たちに出された大きな重い宿題であると考えています」と言われております。  このようなことからも、全国的にもまだしっかりと位置づけられていない寄宿舎における教育を、本県でチャレンジしてみるという考えはおありではないでしょうか、知事に伺います。 ◎知事(三日月大造) お答えいたします。  寄宿舎については、先ほど来御議論いただいておりますように、法的に通学困難への対応を目的として設置されるものであり、本県としても同様の設置目的でございます。  教育長答弁にもありましたように、寄宿舎の入舎の結果といたしまして、先ほど来御紹介いただいた副次的に日常生活の習慣が整えられることもあるというふうに聞いています。こうした副次的効果としてあらわれたことなどを目的としていくということになりますと、根本的に体制整備などが必要となり、また、本来の特別支援学校の寄宿舎設置目的と離れることにもなると考えます。したがって、教育を目的として寄宿舎を位置づけることは、現時点、難しいものと考えています。 ◆3番(竹村健議員) (登壇)寄宿舎をつくる目的は県で定められるので、それは変えたらいいじゃないですか、知事がやる気があるんやったら。なので、そういうような視点を、すぐにはできないと思いますが、ぜひ今後そういうようなところもお考えいただけたらなというふうに思います。  最後になりましたけれども、この宿舎に現在学ばれておられる生徒さん、そして今後も入られる生徒さんの成長を促す寄宿舎であることを念願しつつ、質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(小寺裕雄) 以上で、3番竹村健議員の質問を終了いたします。  しばらく休憩いたします。   午後3時15分 休憩    ────────────────   午後3時39分 開議 ○副議長(小寺裕雄) 休憩前に引き続き、会議を開きます。  この際、あらかじめ会議時間の延長をいたします。  次に、1番村島茂男議員の発言を許します。 ◆1番(村島茂男議員) (登壇、拍手)自由民主党滋賀県議会議員団、村島茂男です。どうぞよろしくお願いします。分割で2問、質問させていただきます。  冒頭、昨年6月初めに熊本地震視察に行きました。議会で防災関係の質問をさせていただいたわけですが、この5月末にも、熊本城、復興センターを初め、危機管理課、防災センター、土木事務所へ再度視察に伺いました。まだまだ復興はほど遠く、熊本城は巨大なクレーンと足場が設置はされていましたが、何年かかるか想像もつかないような状態でした。  益城町では、倒壊した家屋が撤去され片づいただけで、大小数軒から500戸を超えるような大きな仮設住宅が何カ所も団地のように建ち並んでおりました。阿蘇へ向かう国道325号線、阿蘇大橋付近の大規模な斜面崩壊は、手はつけているものの、まだまだそのままの状態でした。  高速道路はあちこちで改修工事が行われているものの、波打った走行感を感じるところが多数ありました。通行どめや工事の影響で、震災後、通勤時の渋滞が多発し、生活の影響もまだまだ続きそうであります。  このような光景をまざまざと見せつけられますと、やはり道路の役目は重要であります。このような被災地の状況を思いますと、県内の道路整備もいま一度熱を入れていただき、今後の道路整備とアクションプログラムの見直しについて、しっかりと見詰め直していただきたく質問させていただきます。  道路事業については、今年度も当初予算を上回る補助予算を獲得し、今議会においても増額補正が提案される着実な整備を実施されているところであり、大変喜ばしく、一層の事業推進を期待しているところです。  このアクションプログラムは、どこに、どんな道が、いつまでに必要かを明らかにし、選択と集中する重点化を図り、地域に真に必要な道路を優先して整備することを目的として策定されるものであり、さきの常任委員会においても、見直しの概要とスケジュール等について担当課より報告されたと仄聞しています。数多くの事業を要望されている地元や市町にとっては、限られた予算の中で、このアクションプログラムの整備箇所にどこの事業が位置づけられるのか、非常に関心が高くなっています。  昨年12月に、我が会派、岩佐議員の代表質問の中で、知事からは、「県民や市町の切実な声が反映され、地域の課題解決に資する事業が位置づけられるように努めたい」との答弁をいただきましたので、そのお言葉を信じ、真摯に受けとめ、また前向きに地域に対して応援していただけるものと信じております。  ということで、今回は全て土木交通部長にお尋ねしたいと思います。地元からも傍聴に来ていただいております。期待に添える答弁をよろしくお願いします。  さて、率直にお聞きしますが、この滋賀県道路整備アクションプログラム2013が計画されてから5年目となる今年度に見直し作業が行われますが、見直しに当たっては、県内の今日的な情勢変化などを加味し事業計画を定められると思いますが、まずもって、現計画である滋賀県道路整備アクションプログラム2013について、土木交通部としてどのような認識をされているのかについてですが、前計画の滋賀県道路整備アクションプログラム2008では、計画箇所数225カ所に対し、平成20年度から平成24年度の5年間で、完了箇所50カ所、着手箇所32カ所とされてきました。現計画はあと1年を残すだけとなりましたが、現在の進捗状況はいかほどであるのかお尋ねします。  現在の日本は、急激な人口減少と高齢化が進むなど、我々が今まで経験したことのない状況であります。また、2011年の東日本大震災や2016年の熊本地震など大規模な災害が予期せず発生するなど、緊急輸送路として道路ネットワークの重要性が再認識される時代となっています。  幸い、滋賀県は災害が少ない県という認識ではありますが、南海トラフ地震のように、いつ地震の起こってもわからない、そういった危険性が全くないとは言えないところでもありますが、そのことでいえば、防災、減災対策としての信頼性の高い道路整備は、熊本視察でも痛感しましたが、必要となってくるわけであります。  現計画で事業化検討路線と位置づけされている道路などは、一日も早い道路整備を望んでいるのが現状であります。また、各道路の期成同盟会でも、事業化への格上げを待ち望んでおられるところであり、今回の道路整備アクションプログラム2013で事業化検討路線と位置づけられた道路は、次期道路整備アクションプログラムではどのような位置づけにされるのかを伺います。  次に、このように事業化検討路線と位置づけをされますと、対象地域の地元は大いに期待をするところではありますが、現計画で事業化検討路線において、具体的に進んでいる路線はあるのか伺います。  また、事業を進めるために、地域は地域土木事務所と連携を密にしていますが、土木交通部として、地域の思いをどう受けとめているのか伺います。  また、道路整備アクションプログラムについては、地域の熟度、熱意等が十分でなく、事業化検討路線に位置づけされても成就できなかった箇所もあると推察されますが、変動する社会情勢のもと、地域環境が変わり、当時できなかった道路整備の機運が再び盛り上がることも十分に考えられます。そのようなときに、地元等の状況変化を酌み取り、県として道路整備を進めることはできないものか伺います。  道路整備には莫大な費用と地元理解を得るための時間が必要となります。地元調整などは県と各市町との調整、協議が必要とされますが、財源については県の働きが大変重要となってきます。国に対し道路の必要性を訴える機会を多く持つなど、今までと違った取り組みが必要ではないかと考えますが、行政でできる部分、議会としてできる部分、整備をする地域としてできる行動など、複数のチャンネルを使い、道路整備の必要性をしっかりと国に伝える方法について、県としての考えを伺います。  現計画は、道路ネットワークの構築が大きな目的で実施されていますが、整備を行う地元地域も道路整備を期待されています。県下でも地域性にもよると思いますが、それぞれの地域で期成同盟会などの組織を結成し、道路実現に向けたさまざまな取り組みをされています。  また、地元日野町と甲賀市との2市町にまたがる土山蒲生近江八幡線は、江戸時代には東海道と中山道を結ぶ重要な脇街道として整備され、京都の皇族が毎年、多賀大社と伊勢神宮へ参拝するのにこの道を利用されたことから御代参街道と、この名がついたと聞いております。  地元の方々にとり重要な道であり、やっとの思いで2013年度のアクションプログラムに組み込まれ、大きな期待と夢を持ち、しっかりとした組織の連携をされ活動をされていますし、総会開催後には必ず、県や土木事務所に要望活動をされておられます。この8月にも、副知事、土木交通部長にじきじきにお願いに上がると聞いております。  しかしながら、既にこの期成同盟会は平成8年に結成され、20年以上の経過が過ぎております。結成当時の役員の中には、結果を見ず、悔しい思いをして亡くなった方もおられると聞き、何とか次年度には事業化検討路線から検討の2文字を消してもらえるように切願されておられます。  道路事業は地域振興や防災対策として密接な関係にあるため、地域も熱意を持って取り組みをされておられます。道路整備の評価項目である必要性、走行改善効果は大きな重要項目であると思いますが、地域特性を考えた中で、地域の熱意を十分に酌み取り、道路整備を進める方法も重要と考えます。  各道路の期成同盟会等も、ことしもたくさんの方々が要望に来られると思いますが、さきも述べましたように、8月には地元からもたくさんの関係者が来られます。熱い思いを持って来られるんですが、多年が経過しており、心の中では、このように何度もお願いに来ているが、効果があるんだろうかと思われるのもいたし方ないと思います。今回の見直しのプロセスにおいて、こうした地域の要望や地元の声がどのように反映されていくのか、お伺いします。 ○副議長(小寺裕雄) 1番村島茂男議員の質問に対する当局の答弁を求めます。 ◎土木交通部長(池口正晃) (登壇)今後の道路整備とアクションプログラムの見直しについて、7点御質問をいただきました。  1点目、アクションプログラム2013の進捗状況につきまして申し上げます。  現時点で、新規着手については55カ所の予定に対して44カ所、事業完了につきましては、47カ所の予定に対して32カ所となっております。  2点目、事業化検討路線が次期アクションプログラムではどのような位置づけになるのかにつきましてお答えします。  事業化検討路線は、予算の確保状況、他事業の進捗状況および地元との協議、調整状況等により事業化を検討していく路線です。今回のアクションプログラムの見直しにおいては、現計画での事業化検討路線についても、次期計画の検討対象となる全てのほかの路線と同様に評価しまして、次期計画での位置づけを判断することとしております。  3点目、事業化検討路線の進捗状況につきましてお答えします。  アクションプログラム2013における事業化検討路線72カ所のうち、現時点で12カ所において事業着手しております。  4点目、部として地域の思いをどう受けとめているかにつきましては、土木事務所にいただいた地域の思いについては我々も随時報告を受けておりまして、土木交通部としても情報共有しているところであります。私自身も、期成同盟会を初め地元市町の皆様など、多くの方々から直接要望をお聞きする機会がございます。こうして地域の生の声を聞くことによりまして、それぞれの地域で、その地域に応じたさまざまな課題や思いがあって要望活動があることを認識し、道路整備の必要性を痛感しているところであります。
     今後も、こうした切実な思いをしっかりと受けとめてまいりたいと考えております。  5点目、地域の熟度等が十分でないため着手できなかった路線を、再び進めることはできないかということにつきましてお答えします。  地域の熟度等が変化し、道路整備を受け入れていただく環境が整った場合は、先ほど申し上げた予算や他事業の状況等の変化を踏まえ、事業化を検討していくものと考えております。  6点目、道路整備の必要性をしっかりと国に伝える方法につきましてお答えします。  国への要望に当たっては、本県における地域の課題や道路整備の効果、整備を期待するコメントなどを適宜要望資料に盛り込み、視覚的にもわかりやすく、インパクトのある資料づくりに努めまして、国土交通省はもとより、財務省に対しましても予算枠拡大を訴えているところでございます。  また、市町等で構成される期成同盟会とともに県も要望活動を行っておりますが、近年は全国的に地元企業も同行して、道路整備による経済活動の効率化を訴えていくという傾向もございまして、本県も一部実践しております。  さらに、県のトラック協会やバス協会など、道路を利用する方々の切実な声も道路利用者会議の要望活動を通じ国にお届けするなど、県とともに活発な活動を行っております。  去る5月の政策提案では、要望活動に県議会議長にも御同行いただきまして、地元の熱意を伝えていただいたところでございます。  今後も、さまざまな手段、多くの皆様との連携協力を図りながら、道路整備の必要性をしっかりと国に伝えてまいりたいと考えております。  7点目、見直しのプロセスに地域の要望や地元の声がどのように反映されていくのかにつきましてお答えします。  今回のアクションプログラムの見直しにおいては、候補となる事業について、一つ一つ、客観的、定量的に評価することとしており、その中で、地元の要望状況につきましても評価の項目として点数化しているところであります。  また、県政世論調査、県民アンケート調査、地域ワーキングにおける市町の公募委員などの意見を踏まえて明らかになった地域の重点項目につきましても、評価の項目とするなど、広く地域の声の反映に努めてまいります。  このようにアクションプログラムの見直しプロセスにおいては、要望の状況や地域の声の反映に努め、さまざまな要素を総合的に検討し、計画を決定することとしております。 ◆1番(村島茂男議員) (登壇)ありがとうございます。しっかりと有言実行でよろしくお願いしたいと思います。  私たち日野町では、私も含め町議会と町が協力して、現在、社会資本総合整備交付金事業を取り組んでおります。他市町と同様に、通常分と防災、安全のメニューで取り組みを行っていますが、町の要望額に対しての内示額は厳しいところです。防災、安全につきましては、事業の性格上、交付金の配分は通常と比較して高いところではありますが、要望額に対し、満額配当はないところです。通常分においても、要望に対し十分な配分にはなっておりません。  地方部におきましては、集落間を結ぶ道路は生活道路であり、道路改良されることで住民の生活ががらりと変わります。まだまだ地方部では道路整備がおくれています。国土交通省が言われるように、道路改良が進むことでストック効果も高まり、地方経済に与える影響ははかり知れません。  このため、道路改良を要望される集落、地域からは、我々議員を初め、町に対し強い要望をされることになります。このため、議員として町と一体に、県、国に対し要望活動もしっかりと進めています。  私も町議会最後の年度に幹線道路特別委員会の委員長をしておりましたので、土木事務所へはたびたび伺いましたし、県庁にも地元の方々と要望に参りました。また、同志議員を連ね国交省へお願いし、財務省へ道路補助総額の増額もお願いに行きました。  しかし、国への要望を行うと、決まって、滋賀県はと、過去の県政が進めてきたことを言われます。このようなことを言われますと、要望にも力が入りません。過去のことであり、現在の県道路行政は違うと思いながらも、不合理だと感じます。  しかしながら、知事も三日月知事にかわりました。知事は元国土交通省の副大臣、県民の期待は大きくなったんじゃないでしょうか。今議会の初頭に行われた知事との懇談会でも、もっと、もっと国へと声が上がっておりました。過去は過去、知事には前を見て頑張っていただきたい。  道路改良を要望する集落、地域は、町に強い要望をすると同時に、自分たちも熱心な活動をされます。事業主体である町、県が直接できないことなど、住民みずからが責任を持って取り組みをされています。  きょう、この道路も、日野、甲賀にまたがる道ですか、町田水口線という道があります。期成同盟会の会長も傍聴に来ておられますが、残念ながら、アクションプログラムにはまだ載っていません。県単独事業としてでもやってもらえるんじゃないかと、早々に同盟会をつくり熱心に要望活動をされておられます。  この道は日野の一番甲賀寄りでありまして、開通すれば、甲賀病院や大型店舗へ5分少しで行けるような道になります。また、甲賀からは抜けてくると蒲生スマートインターのほうへ15分ほどで行けるような、生活環境ががらっと変わるような道であります。免許をなかなか返納できない我々の地方の方には、本当に買い物に行け、そしてすぐに病院に行ける、そういったすばらしい道になるのも必然です。私は富田議員とタッグを組んで、我々も熱意に応えるよう、必ず着工してもらえるよう、努力はしております。よろしくお願いします。  このような取り組みをされている集落、地域の声を真摯に受けとめ、払拭していくことが重要であると考えます。また、池口部長は久しぶりの国交省から来ておられる部長でもあります。県民の期待は大きいと思います。地域の声は丁寧に聞くと答弁いただきましたが、いま一度、地域に対する思いも含め、土木交通部長の所信をお伺いします。 ◎土木交通部長(池口正晃) お答えします。  滋賀県へ出向させていただきまして、あと数日でちょうど2年になります。道路担当技監の時代から、議員の皆様を初め、県の皆様には大変お世話になりまして、心より感謝申し上げます。  滋賀県が抱える地域特性、課題等をしっかり国に理解してもらい、滋賀県で整備する社会インフラへの支援は重要であると国に認識を深めてもらうことが、出向者である私に期待されていることと受けとめております。  これまでに県内の市町や企業にお伺いして、各地の道路事業等についてヒアリングし、その情報をもとにパンフレット等を作成し、それを活用しながら、滋賀県で進める社会インフラの意義を、地元市町や道路利用者の方々と国へ説明してまいりました。今後もそのようにして、滋賀県に対する国の理解を深めてまいりたいと思っております。  引き続き各地の声をしっかり聞きながら、滋賀県の課題解決に貢献できるよう、微力ながら職務に努めてまいります。 ◆1番(村島茂男議員) (登壇)余りにうれしい答弁で、ついフライングしてしまいました。本当にありがたいお言葉で、傍聴者も歓迎していると思うんですけども、部長がつくられたこのインフラストックというパンフレットを見せてもらいました。(資料掲示)私も、大概、県でつくっておられるパンフレット、私も広告業をしておりますので、こういったところ、ちょっと見る目も少しはあるんですけれど、本当にさすがによく考えられておりますし、経験が生かされるなと感心しました。  また、部長は東日本大震災のときにも復興に敏腕を奮われたということ有名でございますし、部長はまだ48歳と聞きました。大変若いです。いずれ国交省へ戻られるでしょうが、滋賀県の状況を熟知された方が味方になっていただけることを信じまして、この質問を終わります。ありがとうございます。  次に、地場産業の周知と支援についてお伺いします。  去る4月21日から5月14日までの24日間、三重県営サンアリーナにおいて、第27回全国菓子大博覧会・三重、本博覧会の名称「お伊勢さん菓子博2017」が開催され、入場総数58万人を超え、大成功で最終日を終えました。聞くところによりますと、前々回の姫路での開催は100万人を超えたということで、かなりの収益もあったと聞いておりますが、この立地上では大成功だ、そんなことを聞いておりました。  全国菓子博は、1911年──明治44年に第1回が帝国菓子飴大品評会として東京で開催されたのが起源で、おおむね4年ないし5年に1回開催され、この大会で27回を数える歴史ある大会であります。全国の菓子工業組合を初め、赤福、江崎グリコ、カルビー、井村屋グループ、おやつカンパニーなどの大手が並ぶ中、滋賀県菓子工業組合も、理事長を中心に県内の老舗が集結し参加されておりました。  今期から滋賀県菓子工業組合の理事長が日野町の伊勢藤の竹内さんという方で、長浜の押谷製菓舗の押谷さんが副理事長ということもあり、私と川島議員が組合の顧問に加わり、総会にも出席し、今後、組合の活動を支援する運びとなりました。県を初め、会派議員にも呼びかけ参加してきました。  開会2日目には、滋賀県の地場産業も紹介できる機会がありました。池永副知事先頭に、我々自民党会派議員もステージ上に上がり、滋賀県のPRをしっかりとしてまいりました。  大会には創作菓子の品評会も盛大に行われ、名誉総裁賞を初め、内閣総理大臣賞、農林水産大臣賞などの名誉ある賞をいただくチャンスがあり、それぞれの職人が腕を競う和菓子のオリンピックとも呼ばれています。今回もたねやの名誉総裁賞を初め、たくさんの店舗が受賞されておられました。  また、滋賀県のブースを拝見しても、各店舗が特有の名産品を陳列されておりました。両サイドに和歌山県と奈良県が並んで陳列されておりましたが、ひいき目で見なくてもかなり落ちた感があり、滋賀県の和菓子の層の厚さを感じました。  また、6月16日発売の「湖の餅tae」の試食も試み、200食を来場者に議員が配りましたが、どこで買えるんですか、サービスエリアにもあるんですかと大変反応がよく、今後、県内で広範囲に販売されるのですが、期待はかなりできそうです。  この新商品の開発に当たり、私が理事長に、「滋賀県ならこのお菓子というものをつくってくださいよ」と言っておりました。伊勢の赤福や広島のもみじまんじゅうのように、滋賀県に来られたらとりあえずこのお菓子をというようなものを。そうした中、議員提案で28年3月に制定された近江の地場産業および近江の地場産品の振興に関する条例による販路拡大補助を活用して、この「湖の餅tae」が誕生しました。  「湖の餅tae」は、県内産の最高級もち米「滋賀羽二重糯」を使った創作菓子で、お餅のプリンといったイメージのお菓子です。今、常温で長期保存できるよう研究中で、保存可能になれば、サービスエリアはもちろん、10月29日にオープンが決定した情報発信拠点「ここ滋賀」でも目玉商品にしたいと意気込んでおられます。  こうしたように、滋賀県内の地場産業も、各業界で私たちの知らないところでの活躍が少なくないとは思われます。メジャーなところでは、まず、近江米、日本酒、近江の茶、信楽焼などが有名ですが、今後は情報発信拠点「ここ滋賀」という最先端のツールを駆使していかなければなりません。ここにおられる議員の皆さんが、今後の運営、販売、業績などあらゆる面で心配しておられます。いま一度、県内の地場産業や地場産品にしっかりと正面から向き合い周知して、今後の発展を支援していただきたいと思い、質問させていただきます。  まず、菓子博に参加して、先頭に立って滋賀県をPRしていただいた池永副知事に、御感想をお聞きしたいと思います。  そして、副知事も就任後おおむね1年半がたち、県内の大まかなところは見回っていただいたとお聞きしておりますが、県内の地場産業をどのくらい把握しておられるのかお伺いします。  続いて、信楽焼や湖東麻織物、長浜ちりめん、日野の日野菜を初め、県内の地場産業で製造される商品や伝統的工芸品などの中にも、まだまだ世間的には認知度が低い商品が多くあり、残念に思っているところです。滋賀県のPRにもつながるこれらの地場産品について、県として今後どのように周知していこうとお考えか、商工観光労働部長にお伺いします。  また、条例にも、「近江の地場産業は、長い歴史の中で先人の知力によって育まれ、地場産業から生み出される地場産品の価値を全国に発信するとともに、地域の雇用を支える等、地域経済の中心的な役割を果たしてきた」とあるように、地場産地や地場産品を製造している事業者がもっと元気になっていただくことは、ひいては地域経済の活性化につながることと考えます。県として、地場産業の振興についてどのように取り組んでいこうとされているのか、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎副知事(池永肇恵) (登壇)地場産業の周知と支援について、4点の質問のうち、私にいただいた2点の質問にお答えいたします。  1点目の菓子博に出席した感想について申し上げます。  今お話にありましたように、私も、村島議員初め県議会議員の皆さんと御一緒にイベントステージでの滋賀県菓子工業組合のPRに参加し、本県が誇る滋賀羽二重糯を使って組合が新たに開発された羽二重餅プリンを配布しながら、滋賀のお菓子、ひいては滋賀の魅力をアピールさせていただきました。  会場内を回ったところ、各ブースやフードコートに長い行列ができており、幅広い年齢層の皆さんでにぎわっておりました。中でも、滋賀県ブースは他府県のブースより一段高く看板や観光ポスターを掲げるなど、多くの来場者の目を引く工夫をいただいており、大変魅力的な展示となっていたと感じました。  全体を通じて、お菓子というテーマが幅広い層に受け入れやすいテーマであるということ、そして運営に携わられた三重県の関係者、滋賀県菓子工業組合を初め出展者の皆様の大変な御苦労があってこうした大規模な行事が成り立ち、成功したんだなということを感じまして、感銘を受けたところでございます。  次に、2点目の県内の地場産業をどのくらい把握しているかについてお答えします。  私、就任以来、何よりも現場が大事という思いから、できる限り県内各地を訪問させていただく中で、滋賀の歴史の営みの中で培われてきた産品、そしてそれを担っている人たちやまちそのものの魅力を改めて感じております。  例えば滋賀県が誇る信楽焼の産地、信楽では、窯元と坂の織りなすまちをめぐったり、ビワマスやアユ、ホンモロコなどの湖魚、琵琶パールなど琵琶湖の水産資源を守り育てる現場を訪ねたり、ふなずしや近江の地酒といった滋賀の誇る食文化を味わったり、ふなずしづくりを体験したりなど、その魅力にじかに触れることで、産業としての底力と可能性を感じたところでございます。  あわせて、経済団体や業界団体の皆様、現場でものづくりを支える皆様とも直接お会いして意見交換をさせていただくとともに、県内地場産業の技術的な支援について中心的な役割を果たしている工業技術センターに赴き、地場産業の状況も伺ったところでございます。  こうした中で、議員の御指摘にもございましたけれども、底力や可能性がありながらどう認知度を高めていくか、どう魅力的な見せ方をするか、生活スタイルが変わって需要が減ってしまった、そういったものについては、現代のライフスタイルに合うものをどうつくっていくか、また、後継者や担い手の確保をどうするかなどの課題に取り組んでおられるという声も伺っております。  地場産品や地場産業の発信や振興については、この後、商工観光労働部長より答弁がございますが、私自身もあらゆる機会を捉えて発信するとともに、引き続き、現場の皆様、関係者の皆様の声を伺って、県政に生かしてまいりたいと思います。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) (登壇)地場産業の周知と支援についての2点の質問にお答えいたします。  まず1点目の地場産品の周知についてでありますが、周知手段としては、1つには、イベントの開催、2つ目に、ウエブ利用や映像、3つ目に、パンフレット等の紙媒体などがあります。  例えば、イベントの開催では、伝統工芸品をより広く知っていただくための展示などを行う滋賀の匠展、物の持つよさを最大限引き出す空間づくりを意識したT・E・I・B・A・N展などがあります。  ウエブ利用や映像では、県も企画段階から参画している滋賀県中小企業団体中央会が運営する滋賀の名品を集めたウエブ上のショッピングサイト、また、現在製作中の地場産業や伝統工芸品のプロモーション映像などがあります。  紙媒体では、滋賀の伝統的工芸品を紹介した冊子などがございます。  また、議員の質問にありましたように、10月に開設いたします首都圏情報発信拠点「ここ滋賀」では、物販はもとより、企画催事スペースをうまく活用しながら、滋賀の地場産品の魅力をしっかりと発信していきたいと思います。  こうしたさまざまなツールを活用して、よさや魅力を発信することにより、県民の皆様の地場産業や地場産品に対する誇りや愛着が増し、全国での認知度が向上するよう取り組んでまいります。  2点目の地場産業の振興についてですが、昨年3月に制定いただきました近江の地場産業および近江の地場産品の振興に関する条例に基づきまして、本年3月には施策の総合的な推進方策を掲げた振興指針を策定いたしました。この中で、新商品の開発支援、多様な分野における事業展開の促進、担い手となる人材の確保育成などに取り組むこととしたところです。具体的には、新商品の開発支援では、織物や扇子における滋賀らしい柄の提供など、東北部工業技術センターによる技術提供や共同研究等を的確に行ってまいります。  加えて、本年度、工業技術総合センターに試験醸造設備を新たに整備し、近江の地酒の酒造技術を高めることにより、付加価値の高い商品開発につなげてまいります。  多様な分野における事業展開の促進では、信楽焼の器とお茶あるいは地酒など、相乗効果による新たな価値の創造につながる異業種間の連携を推進してまいります。  担い手となる人材の確保育成では、産地組合が実施する担い手養成講座や流通講習会等に対して支援してまいります。  今後も、市町や関係機関と連携しつつ、地場産業や地場産品の振興に積極的に取り組み、事業者をしっかり支援し、条例にうたわれております地域経済および地域社会の発展につなげてまいります。 ◆1番(村島茂男議員) (登壇)副知事、ありがとうございます。しっかりと見ておられるなということを痛感させていただきました。  行ったときに、大変やはり大きな会場です。メーンの会場、体育館といいますか、アリーナつきの大きな体育館、またサブ体育館、いろんな会議場、そしてサッカー場もありました。サッカーグラウンドがありましたし、駐車場もすごい広大な、なかなか滋賀県にはないなと、こういう場所はないなと。それは痛感したところなんですけれど、やはり職員の方も来ておられましたけど、滋賀県でもやりましょうよ、このぐらいのをやろうというような話が皆さんから出てましたけど、完全にびびってしまっておられました。とても、こんなんとてもって。それを聞いて、きょうは、やりましょう、どうですかというような質問はもうしません。  しかしながら、私も商工業に携わる一人ですので、ネットワークを使いましてイオンとの交渉に行ってきました。それで、まずはイオン草津店のセンターコートかフードコートで、この9月に、日程はまだ未定なんですけれど、3日間、滋賀県菓子工業組合の県内版のこの菓子博というか、そういった予行演習のような形で、県内のお菓子を紹介できるようなイベントを企画、今しております。9月に決まりましたし、この辺は県としてもしっかりサポートしていただきたいとお願いしておきますけれど。  何といいますか、先ほど部長も言われましたように、お菓子ですので、それに伴い近江茶、それに合った信楽焼を使って、各店舗自慢のお菓子を賞味してもらうようなことを進めていますし、また、洋菓子等の組合ともコラボしてはどうかという話もさせていただきます。  少し寂しいのは、何かこう、県内いろんな組合もそうなんですけれど、他業種とのつながりが少し少ない。寂しいと、そう思うんです。一つのやはり組合といってましても、大きくならない1つ、我々もそういうことを入っているんですけれど、やはりライバル同士なんですね。だから、なかなか、つぶし合いといいますか、なかなか1つになって一丸になれないというところがありますので、今回の「湖の餅tae」なんかもいいあれかなと思ってるんですけれど。  そういった中で、やっぱりもっと横の広がりを、自分たちからはしようとはなかなかしていただけません。そういった中で、このように地場産業が今後発展していくためには、業種を超えた横のつながり、業種を超えて交流、意見交換できる場などを、場づくりですね、そういうところを県がやっぱり先導してやっていくことが必要と考えますが、部長の考えをお伺いします。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) お答えいたします。  業種を超えた横のつながりということをいただきました。確かに横のつながり、今、質問にありましたように、互いに刺激を受けて、新しい発想で新しいものをつくり上げるという可能性があって、大変重要なことと思っております。  議員の御質問にありましたように、紹介いただきましたお菓子である「湖の餅tae」というのも、お聞きしますと、滋賀県菓子工業組合と滋賀県茶業組合が連携された、そこで生まれたというふうにお聞きしております。  御提案いただきました幅広い業種が垣根を超えて交流する場ということでございますが、産地組合さん等とニーズも含めまして御相談させていただきながら、考えていきたいと思っております。(発言する者あり) ◆1番(村島茂男議員) (登壇)菓子博、菓子博というような声が聞こえているんですけれど、私も去年の初頭に日野町のゆかりの戦国武将、蒲生氏郷公のお酒をつくって知事に御紹介に上がりまして、その後すぐに三重県の松阪と、三重県のほうに行ったんですけれど、ちょうどサミットの前でばたばたしてはる、そんな感じでした。鈴木知事とも会わせていただきましたし、やはりその中でも、来年度を見据えて菓子博のこともやっているんですね。やっぱり動きが違うなと、ちょっと滋賀県負けてるなと、そんな感じで帰ってきたんですけれど、そんな負けてるとか言わず、いろんな国体に向けての箱ものもこれからどんとつくっていきます。そういった中で、菓子博も見据えた、そういった大きな博覧会も見据えた箱ものづくりも、やっぱり国体が終わればそれで終わりじゃなくて、終わった……。  ちょうど4年後、4年後でいくと、次はなかなか近畿には来にくいそうです。三重が終わった後、そしてその次になると、8年後になると近畿というのはすごくチャンスがあるらしい。そこでやはり滋賀県が手を上げていただいて。大きな会場がないというところを見ますと、過去を見ますと、やっぱり二分割で。例えばですけれど、彦根の総合グラウンドで仮設をつくったりして、1つ大きな場所がありますよね。そして長浜ドームで、そこをピストンで。そういう2会場でやるというのもできると、そういうことが今までにあったというのを、1カ所あったらしいですけれど、そういうことも踏まえて。  今回、私言っていますように、小さな県内版の、菓子博じゃなくて、地場産業のそういう博覧会やっていって、8年後には滋賀県でやりたいなと、そういう気持ちで思ってますけど、部長に所信だけ、気持ちだけで結構ですので。やるとかやらんとか、そこまで結構です。ちょっと気持ちをよろしくお願いします、最後に。 ◎商工観光労働部長(江島宏治) 私、三重県の大会には残念ながら行けませんでした。お聞きしておりますと、非常にたくさんの方がお見えになったということも副知事を通してお聞きしています。業者の方もそこで非常に熱心に販売されたということをお聞きしまして、非常に熱気にあふれた大会だということをお聞きしています。  今、8年後というお話ありました。今後、組合ともいろいろ相談していきながら、何より大切なのは、組合が前向きにやっていくというところも大事かなと思いますので、その辺を十分させていただきながら、8年後ということですので、またそのあたり念頭に置いていきたいと思います。 ◆1番(村島茂男議員) (登壇)本当に一つずつの組合に体力がないというのが現状だなというのを感じました。その辺はやはり県が先導していって、やはり活力をつけるような取り組みをやっていただきたいと思いますし、部長、ちょっと寂しいなという感じはしたんですけれど、その分、副知事に一緒に頑張りましょうというような気持ちになっていただけたかなと思っていますので、よろしくお願いします。これで終わります。(拍手) ○副議長(小寺裕雄) 以上で、1番村島茂男議員の質問を終了いたします。  最後に、7番田中松太郎議員の発言を許します。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇、拍手)それでは、本日の最終となりました。しばらくおつき合いのほど、よろしくお願いいたします。  それでは、通告に従いまして、大きく2問、いずれも一問一答形式で質問をさせていただきます。  まず初めに、PCB廃棄物の適正処理について質問をさせていただきます。  昭和29年に国内製造が開始されたPCB──ポリ塩化ビフェニルは、水に溶けず、化学的に安定し、電気絶縁性が高い性質を持つ工業的に合成された化合物で、その利便性の高さから、絶縁油として主にトランスやコンデンサー、蛍光灯安定器など電気機器に多く使用され、それ以外にも潤滑油やシーリング材、感圧複写紙など、その用途は多種多様でありました。  しかし、昭和43年、PCBが混入した食用油を摂取した人々に健康被害が発生した食中毒事件のいわゆるカネミ油症事件が発生し、当時、社会に大きな影響を与え、世界的な関心も集めました。  そのような状況の中、昭和47年には、当時の通産省の行政指導により製造を中止、回収などの指示が出されましたが、その後、有効な処理方法が確立されないまま、約30年間、各事業者はPCB含有機器などを取り外した後、処理できないまま、倉庫などで保管することとなりました。  その後、平成13年に、ストックホルム条約──残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約が採択され、環境中での残留性、生物蓄積性、人や生物への毒性が高いPCBを含む残留性有機汚染物質の製造および使用の廃絶、制限、排出の削減、これらの物質を含む廃棄物等の適正処理等が規定されました。これに伴い、加盟国である日本でもPCB廃棄物特別措置法が制定され、平成28年7月を期限としたPCBの処理計画が策定されました。  平成16年には、日本環境安全事業株式会社、今の中間貯蔵・環境安全事業株式会社、通称JESCOが発足し、ようやくPCB処理施設の運用が開始され、順次処理が進められて現在に至りますが、世界でも類を見ない大規模な化学処理方式による高濃度ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理は、作業者に係る安全対策等、処理開始後に明らかとなった課題への対応等により、また、世間的にPCBに対する認知度や危機感の低さから処理がなかなか進まず、平成24年には政令を改正し、処理期限を平成28年7月から平成39年3月まで延長されたところです。  現在の処理の進捗状況を考えますと、PCBの期限内処理を実現するためには相当アクセルを踏まなければ間に合わないこともあり、政府一丸となって取り組むため、PCB使用製品の掘り起こし調査や適正処分について、義務違反者に対して罰則が強化されるなど、昨年8月にPCB廃棄物特別措置法の改正が行われたところです。  この改正により、滋賀県を含む地域にあっては、高圧コンデンサーや安定器などの高濃度PCB廃棄物については平成32年度末までに、低濃度PCB廃棄物については平成38年度末までに処理しなければならないこととされました。  そこで、以下、全て琵琶湖環境部長にお伺いします。  県内の各自治体や事業所に対して、PCBの届け出業務や処理に向けた啓発活動などは主に滋賀県が行っておりますが、県が所有する施設から出るPCB廃棄物の処理の責任は当然、保管事業者である滋賀県にあります。現在、県の各機関が保管、管理している高濃度PCB廃棄物などの現状についてお伺いします。 ○副議長(小寺裕雄) 7番田中松太郎議員の質問に対する当局の答弁を求めます。
    琵琶湖環境部長(高砂利夫) (登壇)お答えをいたします。  PCB廃棄物につきましては、PCBの含有濃度が0.5%を超える高濃度のものと0.5%以下の低濃度のものがあり、主な機器といたしましては、安定器やトランス、コンデンサーとなっております。  現在、滋賀県が保管する高濃度PCB廃棄物につきましては、安定器約9,000台、コンデンサー76台、トランス1台が、61の施設にございます。一方、低濃度のPCB廃棄物につきましては、コンデンサーが253台、トランス37台を、23の施設で保管をいたしております。  各施設におきましては、PCBの漏れがないようドラム缶等の容器に入れて保管しており、保管および処分の状況につきましては、毎年、法に基づく届け出が行われております。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)これまで30年間保管されていたということで、非常に多くのPCB含有の廃棄物が保管されているということで、これ、県内の幾つかの高等学校では、専門業者により、既に保管してあるPCB使用安定機器等の分別調査、荷姿登録が行われているとお聞きしております。  ことし3月の予算特別委員会において、海東議員が、この分別調査を行うことで経費削減された事例についての質問をされていましたが、例えば県立甲南高等学校では、PCBを含有していると言われている蛍光灯安定器が302台、重さにすると472キロ、処理金額で1,420万円相当が保管されていました。  その安定器を処理施設であるJESCOへ搬入するために、分別、荷姿登録を行うよう県から指導がありましたが、とても素人ができる作業ではないと考え、専門の業者に依頼したところ、その86%に当たる261台、重さにして333キロが非PCB製品、つまりPCBを含まない安定器だったことが、6月22日の滋賀報知新聞にも報道されていました。  このまま処理していた場合に比べると、削減効果は実に1,000万円以上になります。ただ、処分費の予算化はされていても、この分別調査、荷姿登録の作業費用については県から予算が出ないということで、学校単位の少ない予算から何とか捻出されたとのことです。  また、滋賀県警察本部においても、各警察署の廃棄分で保管されていた安定器185台のうち、65%に当たりる121台がPCBを含まない安定器で、約720万円分の削減効果があったと聞いております。  県で保管しているPCB廃棄物の処理は当然税金で賄うことから、改めて正しい分別を行い、無駄な支出を抑える努力をするべきと考えますが、現在、県で保管しているPCB廃棄物の分別調査の状況についてお伺いします。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えいたします。  安定器等の高濃度PCB廃棄物につきましては、御質問にございましたJESCO──中間貯蔵・環境安全事業株式会社の処理施設で処理されるということになっておりますが、それに向けた登録の際、分別を行うことになっております。  県におきましては、PCB廃棄物保管施設の関係所属を構成員とする庁内の連絡会議を平成27年度に設けてございまして、保管等の状況を把握いたしますとともに、期限内の処分に向けて、分別した上で早期に登録を行うよう周知徹底を図っております。  各施設におきましては、電気関係の技術者や廃棄物関係の専門業者に委託して、もしくは職員みずからが分別を行い、一部の施設を除きまして、作業を終えている状況でございます。  なお、未登録の施設につきましては、分別と登録を確実に行うよう徹底してまいります。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)一部の施設を除いて、ほぼ終えられているということで、その分別が適切に行われているものと理解をさせていただきたいと思いますし、まだ分別が終えられていない部分に関しましても、適切な分別をしていただいて、より税金の無駄遣いにならないような努力をしていただくことをお願いしたいと思います。  次に、高濃度PCB安定器を中間・貯蔵環境安全事業株式会社──JESCOで処理する費用は、1キロ当たり3万240円と他の廃棄物に比べて極めて高いため、高濃度PCBを含む安定器やトランス、コンデンサーの処理費用に数千万から数億円の処理費用がかかる企業や自治体も多いと聞いております。  滋賀県における現在保管中のPCB廃棄物の処理にかかる費用だけでも多額の費用がかかる上、指定された期限内に確実に処理を進めていく必要性があると考えます。期限内のPCB全廃に向けた処理計画についてお伺いします。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えいたします。  滋賀県が保管いたしますPCB廃棄物のうち、高濃度のコンデンサーやトランスにつきましてはJESCOの大阪の事業所で、安定器等につきましては北九州の事業所で処理することとされ、また、低濃度のものにつきましては、環境省が認定する無害化処理施設等において処理するということになっております。  このうち、特に大量に保管している安定器等につきましては、JESCOと処理スケジュールを十分調整する必要がございます。そうした調整の上、期限内に処分が完了するように、処理計画を作成をしております。  今後、高濃度PCB廃棄物につきましては平成33年3月まで、低濃度のものにつきましては平成39年3月までの期間内に、それぞれ処分が完了するように進行管理を行ってまいります。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。今、全廃に向けた処理計画ということで、スケジュール的な部分を御答弁いただきました。当然、それぞれの処理にかかる費用というのは、恐らくそれぞれの保管されているところでの予算計上になってくるかと思いますけれども、早い時期にその計画を明確にしていただいた上で、当然それぞれの部門においてまた予算措置していただくことになろうかと思いますし、一方では期限が決められている部分でもございますので、そのあたり、スムーズな予算措置ができるように、またお取り組みのほうよろしくお願いいたします。  ここまでは、既に取り外した安定器、PCBの廃棄物についてお聞きしましたが、ここからは現在使用中の機器について少しお伺いをしたいと思います。  現在使用中の機器については、PCBの廃棄処理費用のみならず、機器の更新費用や更新工事が必要なため、より正確な現状把握と更新、廃棄計画が必要と考えます。  県立の施設における現在使用中のPCB含有機器、PCB使用製品の現状についてお伺いします。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えいたします。  県の施設におきまして、高濃度のPCB含有機器につきましては、現在使用中のものはございません。  また、低濃度のPCB含有機器につきましては、トランス16台、コンデンサー8台を使用中でございます。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)高濃度については現在使用中はなしと御答弁いただきましたが、近年、全国の自治体や事業所で蛍光灯安定器が破裂し、PCBが漏えいする事故が多発しております。ことし5月には、北九州市の短大で実習室のPCB使用の蛍光灯安定器が突然破裂し、中の油が漏えい。また、昨年8月には、北海道の公共施設と道の出先機関でPCB安定器からの漏えい。同じく、昨年8月、武蔵野市内の小学校で、PCB使用の安定器が341台残っていたことが判明しています。  これら全てに共通するのは、過去にPCBの調査を全て終えていたにもかかわらず事故等が発生しており、本来存在しないはずのものが実際には残っていたことになります。  これらの原因として考えられるのは、調査方法が施設全体の数カ所をピックアップしてサンプル調査しか行っていない可能性が考えられ、今問題になっておりますのは、そのサンプル調査した箇所以外の蛍光灯などからPCBが漏えいする事故が起こっていると考えられます。  滋賀県におきましても、平成27年9月に全ての県立施設の調査を行ったとのことですが、特に昭和52年以前に建築、改築された建物には、蛍光灯安定器などPCB含有機器が残っている可能性が高いと考えられます。全国で相次ぐ事故の事例も踏まえ、いま一度、滋賀県においても全ての機器を対象に全数調査を行うべきと考えますが、見解をお伺いします。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えいたします。  県におきましては、平成27年度に全ての県の施設におきまして、PCB含有機器の保有状況につきまして、電気主任技術者等の協力も得ながら調査を行い、全数を確認をいたしております。  一方、処分期限の終期を間近に控えまして、環境省において、PCB使用安定器の掘り起こしを漏れなく行うため、これまでの調査対象範囲を拡大した作業手順マニュアルを策定し、通知されると聞いているところでございます。  県におきましてもこうした機会を捉え、また議員御指摘の調査済みの事業所でも新たにPCB使用安定器が見つかった事例なども踏まえまして、県の施設でこれまで行った調査内容を改めて確認をいたしまして、必要に応じて追加の調査を行うことなどにより、全数の確認に漏れがないようにしていきたいというように考えております。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。改めて全数の調査をしていただくということで今御答弁いただきましたけれども、先ほど来申し上げていますとおり、いずれにしましても期限が限られている中で、また、前回の調査がどういった形でされていたのか、また、その施設の規模によっても調査にかかる費用あるいは時間的な部分がそれぞれ異なってくると思いますけれども、逆に、大規模な施設あるいは調査が困難なところほど、PCBを取り残す可能性が高いというふうにも考えられますので、ぜひ、これ、一旦、平成27年度に終えられていることではありますけれども、それを今、このタイミングで改めて再度していただくということで、そういった意味では、これ2回目となりますので、くれぐれもPCB、取り残すことのないように、しっかりと全数調査をしていただきますことを重ねてお願いを申し上げます。  高濃度PCBの処理期限が4年後に迫る中、万が一、処理期限が過ぎてからPCBが発見された場合、不法投棄がふえる可能性は十分に考えられます。そのような状況を阻止するためには、まず、指導する立場である県が率先して所有施設のPCBの全数を把握し、処分を進めた上で、県内の事業者に対して、PCB処理に向けた啓発と徹底した調査を行う必要性があると思います。  そこで、県内事業者のPCB廃棄物の保管状況についてお伺いします。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えいたします。  PCBの特別措置法による業務につきましては、県は、中核市を除く範囲を所管しておりますことから、以下、大津市内に所在します事業所を除く台数でお答えをさせていただきます。  平成27年度末現在の届け出によります県内事業者の保管状況でございますが、高濃度の安定器約7万台、コンデンサー約1万台、トランス3台となっております。  また、低濃度につきましては、コンデンサー約1,000台、トランス318台となっております。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)次に、県内事業者におけるPCB使用製品の所有の実態についてお伺いします。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えいたします。  平成27年度末現在の届け出によります県内事業者の使用状況でございますが、高濃度の安定器が207台、コンデンサー71台でございます。  また、低濃度につきましては、トランス121台、コンデンサー28台となっております。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)今、御答弁いただきましたそれぞれの状況ですが、これらは全て届け出があったものということでございますが、一方で、PCB処理に関する民間での認識がまだまだ低いようにも感じられます。不法投棄防止の取り組みやPCBの処理期限が迫る中で、不適切な保管や移動、譲渡等の違法な行為の未然防止など、民間事業者への啓発についてどのように取り組まれるか、お伺いします。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えいたします。  県内の事業者の皆さんにつきましては、PCB廃棄物の期限内の適正処理に向けまして、説明会や広報により周知を図りますとともに、保管を届け出た事業者への立入検査などにより、適正処理についての指導等を行っているところでございます。  処分期限の終期が近づく中、早期に適切な処理を行いますため、昨年、県内の自家用電気工作物の設置事業者約7,000者に対しまして、PCB含有機器の保有の有無について調査を実施し、約5,000者から回答を得たところでございます。  このうち、PCB含有機器を保有していると新たに回答がありました事業者が約200者ありました。こうした事業者に対し、法律に基づく届け出や期間内の処分について指導を行っているところでございます。あわせまして、未回答の約2,000者に対しましては、引き続き回答を督促しているところでございます。  さらに、今後、先ほどの答弁で触れさせていただきました環境省のマニュアルに基づきまして、小規模事業者などに対象を広げた調査につきましても実施を予定しております。  引き続きまして、県内に保管されておりますPCB廃棄物につきまして、期限内に確実に適正処理が完了いたしますように、あらゆる機会を捉えて、啓発あるいは指導等を行ってまいりたいと考えております。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)まだ未回答の事業者もたくさんあるということで、これ、いずれにしましても、処分をするにしても事業者の負担がかかりますし、そのまま処分をしなければ、かなり罰則も厳しいということで、いずれにしても、これ、事業者の負担は避けることができない部分がありますし、特に中小事業者にとって、かなり深刻な問題でもあろうかと思います。  ただ、かといって、一方で不法投棄、こういったことがふえることは未然に防止をしたいと思いますし、また、これに便乗したといいますか、いろんな正規の処理を行わないような事業者の出現も十分に可能性として想定されますので、こういったところの啓発をより一層徹底していただきまして、そういった不法投棄等防止していただきますことと、この県内のPCBの全廃に向けて全力で取り組んでいただきますことをお願いを申し上げ、次の質問に移らせていただきたいと思います。  次に、ニホンザルの獣害対策について質問させていただきます。  野生動物による農業被害が深刻な問題となっている中、ニホンジカやイノシシについては防護柵の設置などがかなり進み、また捕獲についても、計画に基づく捕獲により一定の成果が出ているものと認識しております。  一方、ニホンザルにつきましては、他の野生生物より知恵が働くため、さまざまな対策を講じるものの、なかなか成果が出ていないように思われます。私が住んでおります甲賀市におきましても、近年、集落によっては集落の人口よりも猿のほうが多いのではないかと思われる集落も数多くあり、私の子供のころにはほとんど見かけることのなかった猿も、今や日常の光景になっております。  これまで滋賀県では、平成14年にニホンザルの第1次鳥獣保護管理計画を、また平成20年に第2次鳥獣保護管理計画を策定され、さまざまな防除対策が実施されました。取り組み状況は地域によりさまざまですが、私の住む甲賀市を初め中山間地域を中心に、自家消費用農作物も含め農作物被害は多発しており、農家の生産意欲低下にもつながっております。また、近年では生活環境被害も増加しており、社会問題化しております。  平成24年に策定された第3次鳥獣保護管理計画は、平成25年5月の鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の改正に伴い、第二種特定鳥獣管理計画として平成27年5月に策定されたもので、これまでの1次、2次の計画で進められてきた地域ぐるみの総合対策に加え、人間と猿の生活域を分けることなどにより、ニホンザルの個体数保全を行いながら、被害の効果的な減少をさせることを目的としています。  人間と猿の生活域を分けること、これは昔から、山と里、野生動物の住む山と人間が暮らす里は、それぞれが共生する上でお互いが守ってきた生活域でありましたが、山の環境の変化、野生動物の個体数の変化により、山から里へと人間の生活域が猿たちに侵された今となっては、これをもとの生活域に分けることはたやすいことではなく、また、こうした取り組みの地域への負担も増大しております。  このような現状を踏まえ、以下、全て琵琶湖環境部長にお伺いします。  まず、本県におけるニホンザルの獣害対策の取り組み状況について伺います。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えいたします。  現在、鳥獣対策につきましては、全庁的な組織でございます滋賀県鳥獣被害対策本部を設置いたしまして、関係する部、課および関係地方機関等の連携のもと、1つに、個体数管理等の捕獲、2つに、農作物等の被害防除、3つに、生息環境管理の3つの施策を適切に組み合わせながら取り組みを進めているところでございます。  ニホンザルにつきましては、滋賀県ニホンザル第二種特定鳥獣管理計画に基づきまして、個体群の保全に配慮しつつ被害の軽減を図りますため、群れの10%を上限に悪質な個体をターゲットとした有害捕獲や、定期的に調査しております群れ単位の加害レベルが10段階のうち7以上の悪質なものとなった場合は、群れの半数または全頭捕獲を行うなどの個体数調整に対しまして、市町への支援を行っているところでございます。  しかしながら、ニホンザルにつきましては、1つの群れを消滅させましても、集落等の周辺環境を改善しない限りまた別の群れが入ってきますため、捕獲の実施とあわせまして、県によります現地での助言、支援を含めまして、地域ぐるみの防除や追い払いなど、総合的な対策を実施しているところでございます。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)それでは、これまでの本県のニホンザルの個体数の推移について伺います。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えをいたします。  県内のニホンザルの生息頭数でございますが、計画を策定する前に調査をしてございまして、直近の調査結果では、第3次計画を策定した平成23年度末現在となります。125群、約8,000頭と推定をしております。  第1次の計画策定時であります平成14年度と比べますと群れの数が16群増加しており、行動域を集落周辺に拡大した群れも複数見られましたため、現行の第3次計画では個体数調整を積極的に推進することとしております。  生息頭数の最近の動向につきましては、次期計画の策定に向けまして現在調査中でございますが、湖東など一部の地域では増加しているところも見られる状況でございますが、県全体としましては減少傾向にあると、今のところ承知をしております。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)それでは、捕獲数の推移について伺います。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えをいたします。  ニホンザルの捕獲数の推移に関してでございますが、平成27年度の捕獲数は544頭となっているところでございます。第1次計画策定以降の捕獲頭数につきましては各年500頭前後で、ほぼ横ばいの傾向で推移をしてきております。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)次に、ニホンザルによる農業被害額の推移について伺います。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えをいたします。  県の調査によりますと、ニホンザルによる農作物被害金額でございますが、個体数調整等の捕獲や電気柵設置等の被害防止対策を講じることによりまして、最も多かった平成22年度の約9,900万円をピークに、それ以降、減少傾向で推移をしてきてございまして、平成28年度には約2,600万円と、ピーク時と比較いたしますと約4分の1に減少しているという状況でございます。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。全体として個体数調整を行っていただいております関係で、全体の頭数が減少傾向にあり、捕獲数に関しては例年500頭で推移しながら、農業被害額は大幅に削減してきているという現状でございます。  しかし、その一方で、農作物の被害以外にも、ニホンザルが家屋の屋根を走り回ることによる屋根瓦の損傷、雨どいの破損、また、家屋に侵入し冷蔵庫をあけて食料を食べ散らかしたり、また、畳の上でのふん尿による被害は、掃除をしてもにおいがとれず、新しい畳に入れかえなければならないなど、家屋に対しての被害のほか、常に猿が家の中に侵入してくるのではないか、女性や高齢者が家の周辺で猿に襲われるのではないかという不安にさらされている現状や、学校や通学路に猿が出没し、子供たちが常に危険にさらされているという現状もあります。こうした農作物以外の被害の把握状況についてお伺いします。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えいたします。  県では、おおむね5年毎の計画策定時に、出没状況や被害内容を把握するための集落に対しましてのアンケート調査や専門業者によります現地調査、および集落へのヒアリング調査等を実施をいたしております。農地や居住地域への出現回数や被害の発生頻度、人を威嚇したり家への侵入の状況といった猿の行動など、主に生活環境被害の状況を把握しているところでございます。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)今、御答弁いただいた中で、被害の発生頻度の調査という部分がありましたけれども、それでもって生活被害の把握をしているという御答弁をいただきましたけれども、私の解釈でいきますと、その被害の発生頻度というのは、農作物に関する被害に限った被害の発生頻度ではないかと思いますが、再度質問いたします。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えをいたします。  先ほど御答弁申し上げました主に生活環境被害の状況を把握しているという部分でございますけれども、結果といたしましては、被害の状況をボリュームとして把握すると申しますよりは、それぞれの群れの被害発生、加害の状況等の先ほど申し上げましたレベルを判定する際に用いまして、その中で、その結果によりまして、例えば個体数調整の対象とする群れとするかどうかと、そういうところに用いているというものでございます。  そうした中で、例えば猿の様子、威嚇をしてくる、家に侵入してくる、そういったような被害の発生状況という中で把握をしていると、捉まえているというものでございます。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。今、御説明いただきました、いわゆるニホンザルの第二種特定鳥獣管理計画の中にございます加害レベルの評価についての今御説明をいただいたと思うんですが、鳥獣計画の中で示されている加害レベルの評価の指標の算出に関しては、今おっしゃいましたように猿の出現回数、それから被害発生頻度、これは農作物の被害が一日当たり何回あったかということに関しての発生頻度、それから猿の様子、先ほどおっしゃったように、猿が家に侵入してきたとか威嚇してきたとかいうことで、私が把握しております限り、この計画に関しては、農作物への被害ということで書いておりましたけども、その解釈でよろしいでしょうか。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えをいたします。的確に御質問の趣旨をつかめずに失礼をいたしました。  先ほど御答弁申し上げましたのは、今まさに議員御指摘のそうした内容のことを御説明したところでございます。  本来の先ほどの御質問につきましては、さきに御答弁申し上げました集落に対しますアンケートの調査あるいは専門業者による現地調査や集落へのヒアリング調査、こうした際には、農作物の被害以外にも、出没による状況につきましても把握をしているというものでございます。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。  それでは、農作物以外の被害について、被害額も含めた推移をお伺いします。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) 今ほど答弁させていただきましたアンケート調査やヒアリング調査では、議員御質問のその被害額については把握をいたしてございません。調査結果に基づきまして、猿の各群れの加害レベルを定期的に評価をしているというものでございます。  次期計画の策定に向けて現在調査中でございますが、県全体といたしましては、猿の、これは加害のレベルでございますが、加害レベルは減少傾向にあると見られる一方で、甲賀地域あるいは湖東地域では加害レベルの高い猿の群れも多く見られる状況にございます。  なお、調査で得られた被害状況につきましては、関係部局と情報共有をいたしまして、集落環境点検等の現地指導を通して対策に生かしているところでございます。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)今、加害レベル等も減少傾向にあるということで、当然そうかなと思います。先ほど確認しましたのは、加害レベルの発生頻度については、これは農作物に関しての被害の発生頻度に限って調査されておられます。先ほどお伺いしました農作物の被害というのは減少傾向にあります。この理屈からいきますと、当然、加害レベルは下がってきております。  ただ、一方で、先ほど申し上げましたように、農業被害以外の被害が最近ふえてきているという、そういった趣旨で今回質問をさせていただいております。  こういった傾向を考えますと、これ、そもそも頻繁に山から里に猿が出没してきている現状を考えますと、猿が山で生活できる最適な個体数になっていないということも成り立つかなというふうに思います。そういったことからしますと、県全体としての猿の生息頭数を減らす必要性があると考えますが、見解を伺います。
    琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えをいたします。  本県では、ニホンザルにつきまして、平成14年度以降、ほぼ5年を一区間としまして、3次にわたりまして管理計画を策定し対策を進めてきております。特に現行の第3次計画におきましては、個体数調整による捕獲をより強く推進し、効果的に被害を低減させるよう努めてきたところでございます。  対策を行った結果、農作物被害は大幅に減少してございまして、生活被害を含めた群れごとの加害レベルにつきましても、一定、個体数調整等の対策を実施したところでは特に低下が見られる状況にもございます。  このため、ニホンザルよる被害を減少させるためには、集落に甚大な被害を与えます群れにつきまして個体数調整をより積極的に行う必要があると考えられますことから、市町による捕獲が適正に進むように連携を図っていきたいと考えております。  あわせまして、集落によります追い払いなどが適切に実施されることが重要でありますことから、群れの加害レベルに応じた防除対策が推進されるよう、集落での取り組みを支援してまいりたいと考えております。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)ありがとうございます。今、取り組みは先ほど全庁的な組織で取り組んでいただいているということを御答弁いただきましたが、基本的に、鳥獣害対策に関しての担当は琵琶湖環境部の自然環境保全課の鳥獣対策室が担当となりながら、先ほど部長がおっしゃいました生息地管理、それから被害防除、それから個体数管理、この3つの施策を行っていただいております。  そのうち、被害防除につきましては、主に農政水産部の農業経営課、環境・獣害対策係が担っていただいているということで、追い払いであるとか例えば柵の設置という部分に関しては農業部局が中心にしていただいていると。当然これが市町におりて、それぞれの市町と地域住民の方がこの計画に基づいて行っていただいているというのが今のニホンザルの獣害対策になるかと思いますが、先ほど来申し上げていますように、この獣害対策の基本的な考え方が、農作物を守るという考え方になっている。私が知る限り、鹿やイノシシが家の中に入ってきて冷蔵庫をあけたという話は聞いたことありませんが、猿に限っては家の中に入ってきます。  この生活被害の部分で、田んぼ、畑にやってきて農作物をとるという部分に関しては、これまで農業のほうでやっていただいている被害防除で当然進めていただくべきところですけれども、じゃ、今、民家に、いわゆる生活被害の部分に関しては、じゃ、どこが担当するのかという話になってくれば、これは当然、琵琶湖環境部の自然環境保全課のほうでしっかりと行っていただくべきところかなというところを、ここで少し確認をさせていただきたいというふうに思います。  このニホンザル第二種特定鳥獣管理計画では、生息環境の整備についても書かれています。猿だけに限らず、獣害問題などの解決の道は、餌となる実ができる広葉樹の森林再生に尽きると考えます。野生動物が住むべき山と人間が暮らす里と、それぞれの生活域を明確にする上で欠かせないのが、全ての猿の個体数が生活できる山での生息環境の整備であると考えます。現在の生息環境の整備状況について伺います。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えをいたします。  ニホンザルの生息環境の整備におきましては、まず、出荷しない農作物や果実、生ごみを放置しないなど、集落の餌場としての価値を下げたり、追い払いを行ったり、集落に寄せつけない環境づくりが肝要と存じます。  あわせまして、猿の生息域であります森林の環境整備といたしまして、本県では、琵琶湖森林づくり基本計画に基づきまして、生物多様性が保全され、多様な動植物が生息、生育する豊かな森林づくりを推進しているところでございます。  具体的には、放置されました人工林に適切な間伐を実施することで、針葉樹や広葉樹の入り交じった森林へ誘導する環境林整備事業に平成18年度から取り組んでおりまして、これまでに3,115ヘクタールの整備を実施しております。  さらには、人間と猿等野生動物の生活域を分けるための境界を設け、すみ分けを図りますため、里山リニューアル事業により緩衝帯の整備を実施をしております。この事業は、野生動物が潜みやすいやぶを取り払いまして見通しをよくすることにより、集落や耕作地への野生動物の侵入防止を図ることを目的といたしまして、平成24年度から取り組んでおり、これまでに159ヘクタールの整備を実施をいたしております。  今後とも市町と連携をいたしまして、集落に寄せつけない環境づくりとあわせまして、生物多様性等多面的機能を持続的に発揮させるための森林整備を推進してまいります。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)他の県では、この鳥獣害対策を農業部局が中心に行っておられるところもありますけれども、本県はこの環境部局が担当されているということで、ぜひ環境先進県として、自然環境保全課として、引き続き、この生息環境の整備、力を入れていただきたいというふうに思います。  さて、都市部に猿が1頭出没すると、テレビのニュースで大騒ぎになり、警察を初め大勢の方々が捕獲のために走り回る騒動の様子が映し出されます。猿が人間の生活域に侵入するということは当然それだけ大騒ぎになるニュースですが、残念ながら、中山間地域ではニュースにもなりません。  しかし、都市部に住む人も中山間地域に住む人も、猿に対して脅威を感じるのは全く同じで、猿の被害に遭われている方々が皆さん口をそろえておっしゃるのが、とにかく早く全部の猿を捕まえてほしいということです。特に、県は動物保護の観点から捕獲より守ることを優先するため、なかなか許可がおりないという声も聞きます。  もちろん一部の被害者の感情を緩和するために、全頭捕獲を行うことはあってはならないと考えますし、実際、県は個体数調整で群れの50%までしか捕獲は認めておらず、市町が行う有害鳥獣捕獲で10%の捕獲しか認められておりません。  第二種特定鳥獣管理計画にある人間と猿の生活域を分けることを目指し、被害防除のため追い払いを行い、山へ返すのが基本としていますが、知恵のある猿は、あの手この手で行う追い払いにもすぐなれて、余り成果が上がらない現状もあります。  里におりてくる猿は、豊富な餌を確保するため栄養状態もよく、繁殖力が強まっていると考えられ、現在の対策では生息数が増加する可能性が高いと考えられます。各市町で行う有害鳥獣捕獲で許可された捕獲数、群れの個体数の10%では、なかなか成果が上がりません。一方、被害を受けている集落では高齢化が進み、継続して追い払いを行うことがますます困難となってきており、今後、生活被害等もふえていくものと予想されます。  なかなか出口の見えない現在の本県の対策では、市町や地域で対策に取り組んでいただく方々の労力にも限界があり、持続可能な仕組みとは考えにくいのですが、見解を伺います。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えをいたします。  議員御指摘のとおり、里におりまして人になれた猿を放置しておきますと、さらに被害が拡大するおそれがあります。また、高齢化等で追い払いが困難な集落についても、継続した対策を行っていく必要があるということになってしまいます。  引き続きまして市町と連携し、電気柵の設置等の防除対策について集落に対する支援を行いますほか、例えば、それぞれの個体群におきまして、計画策定時に評価した加害レベルよりも被害が進展してくるようであれば、計画時の想定よりもより大規模に捕獲するとしていくことは可能であろうかと考えているところでございます。  また、県といたしましては、現行の計画におきまして、集落の被害管理体制が整っていることなどを個体数調整の許可要件ということで位置づけさせていただいているわけでございますけれども、その一方で、議員御指摘のように、高齢化等の進展に伴いまして、望ましい体制がつくれないなどの課題があるということも認識させていただいております。  そのため、追い払いが十分に実施することができない場合におきましても、集落でのそのほかの取り組み度合い等を勘案した上で必要な個体数調整が実施できるよう、市町からの許可申請に対しまして、地域の実情に応じて柔軟に対応できるよう検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)今のお話にもありましたように、里の生活になれた猿がふえてきております。そしてまた、その子猿もまた里の生活になれてきている。むしろ山での生活ができない、そういう状況になりつつあります。最近では、夜遊びをする猿も出てきたと、そんなふうに聞いております。これ、下手な追い払いをしますと、逆に石を投げ返されたりとか、かなり攻撃的な猿もふえてきております。  ここで、皆さん冷静に考えていただきたいんですけれども、家の中にもしこれ人間が勝手に入ってきて、勝手に冷蔵庫をあけて、勝手に食べ散らかして、そして畳の上で用を足して、家主に見つかったら石を投げ返す。これ、すぐ警察であれば現行犯逮捕でありますけれども、猿であるがゆえに泣き寝入りをされているというのが現状ですし、これ、誰に言ったらいいのと。  当然、市に連絡すると、これ当然、県の計画に基づいて、市も地域の皆さんも日々、追い払いを一生懸命されているんですけれども、結局、その効果もむなしく、こういうことが起こっているということを御認識いただきながら、先ほど、県の計画おっしゃっておられますけれども、ちょっとその計画がやはり生活被害という部分と乖離している部分があるんではないかなというところ、少し御認識をいただきたいというふうに思います。  そういう状況の中、お隣の三重県では、鳥獣害被害が全国でもトップクラスで、滋賀県に隣接する伊賀市を初め、津市、名張市は特に被害の多い地域です。そこで、三重県では三重県農業研究所を中心に、攻めの農林水産業の実現に向けた革新的技術緊急展開事業として、ICTを用いた鹿、イノシシ、猿の防除、捕獲、処理一貫体系技術の実証研究を実施され、確実に成果を上げておられます。  ICTを活用した猿接近検知システムで猿の行動パターンを蓄積し、過去の猿の出現データ、人的要因、環境要因などから猿の出現予測を行い、効果的な追い払いや捕獲に反映し、また、捕獲もICTを活用した大型おり、わなの遠隔管理操作システムを活用し、三重県伊賀市の約40集落のエリアで広域的な実証社会実験をされました。  帰れる広い山がある猿の群れは追い払い可能な30頭程度に削減した上で、また、里のよさを覚えてしまったいわゆる里ザルについては全頭捕獲するという方法で、猿の5つの群れで約400頭を捕獲し、農作物被害は8割から9割減となり、三重県農業研究所は、伊賀市のこれまでの6年間の社会実験により、猿の問題はほぼ解決するに至ったと報告されています。  現在のニホンザル第二種特定鳥獣管理計画も来年度──平成30年度に見直しをされますが、ぜひ滋賀県でも三重県の対策を参考にしていただき、よりよい対策を検討し、次期管理計画に反映していただきたいと考えますが、見解を伺います。 ◎琵琶湖環境部長(高砂利夫) お答えをいたします。  本県におきましても現行の第3次計画の策定以降、有害捕獲だけでなく、個体数調整による捕獲をより積極的に行うことで、地域では前計画期間と比べると個体数調整の実施が増加し、農作物被害の大幅な減少や加害レベルの低下にもつながったところでございます。  しかしながら、個体数調整実施に当たりましては、詳細な生息状況調査等を行った上で地域実施計画を作成いただいたり、有識者による検討委員会での審議のプロセスに時間を要するなど、他府県と比べると実施段階におけるハードルが高いことにつきまして、捕獲を計画する市町から御指摘を受けているところでもございます。  さきに御答弁申し上げました市町からの捕獲許可申請への柔軟な対応に加えまして、平成30年度に予定しております次期計画の策定に当たりましては、許可要件の取り扱いですとか手続の迅速化も含めまして、他府県の事例を参考にしながら検討させていただき、市町による捕獲が円滑、効果的に進むよう取り組んでいくこととしたいと考えております。 ◆7番(田中松太郎議員) (登壇)伊賀市と甲賀市は山を隔てて隣同士です。これまで伊賀市で猿に悩まされてきた住民の声をお聞きしますと、猿は頭がいいからどうしようもない、国や県が猿を全部捕獲しろ、猿が子供を産まないようにしてほしい、このような声が聞かれておりまして、これは甲賀市でも同様の声であります。  しかし、三重県で伊賀市で、対策後は住民の声が変わりました。被害はなくなった、追い払うと逃げる、楽になった、悪いことをしなければかわいい生き物、子供や孫の手前、これ以上捕獲しなくていいのではということで、被害が減ることで、伊賀市の方は心の豊かさを育むことができました。山一つ隔てた甲賀市では、まだ心の豊かさは実感できる状況にはございません。  全ての人に心の豊かさを実感していただける滋賀の実現のために、ぜひ地域住民に寄り添った獣害対策を次の計画に盛り込んでいただきますことをお願い申し上げ、私の質問を終えさせていただきます。(拍手) ○副議長(小寺裕雄) 以上で、7番田中松太郎議員の質問を終了いたします。  以上で本日の質疑ならびに質問を終わります。  明30日は、定刻より本会議を開き、質疑ならびに一般質問を続行いたします。  本日はこれをもって散会いたします。   午後5時24分 散会    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