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  1. 長野県議会 2015-12-01
    平成27年11月定例会本会議-12月01日-02号


    取得元: 長野県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-16
    平成27年11月定例会本会議-12月01日-02号平成27年11月定例会本会議 平成27年12月1日(火曜日)  出席議員(58名)   1 番 花岡賢一      27 番 毛利栄子   2 番 今井愛郎      28 番 和田明子   3 番 寺沢功希      29 番 備前光正   4 番 山口典久      30 番 小池久長   5 番 百瀬智之      31 番 太田昌孝   6 番 小山仁志      32 番 諏訪光昭   7 番 小川修一      33 番 髙橋岑俊   8 番 丸山大輔      34 番 今井 敦   9 番 酒井 茂      35 番 丸山栄一   10 番 吉川彰一      36 番 竹内久幸   11 番 堀場秀孝      37 番 小林伸陽   12 番 依田明善      38 番 高村京子   13 番 石和 大      39 番 今井正子   14 番 埋橋茂人      40 番 村上 淳   15 番 両角友成      41 番 小池 清   16 番 藤岡義英      42 番 宮本衡司   17 番 髙島陽子      43 番 清沢英男
      18 番 浜 章吉      44 番 垣内基良   19 番 中川宏昌      45 番 鈴木 清   20 番 清水純子      46 番 西沢正隆   21 番 堀内孝人      47 番 風間辰一   22 番 小島康晴      48 番 佐々木祥二   23 番 小林東一郎     49 番 向山公人   24 番 下沢順一郎     50 番 高橋 宏   25 番 山岸喜昭      51 番 宮澤敏文   26 番 荒井武志      52 番 平野成基   53 番 本郷一彦      56 番 服部宏昭   54 番 村石正郎      57 番 望月雄内   55 番 萩原 清      58 番 古田芙士         ───────────────────  説明のため出席した者   知事        阿部守一    林務部長      塩原 豊   副知事       太田 寛    建設部長      奥村康博   副知事       中島恵理    会計管理者兼会   危機管理監兼危           計局長       石田訓教   機管理部長     野池明登    公営企業管理者   企画振興部長    小岩正貴    企業局長事務取扱  小林利弘   総務部長      原山隆一    財政課長      岡地俊季   県立大学設立担           教育委員会委員   当部長       髙田幸生    長         伊藤学司   県民文化部長    青木 弘    教育次長      小林資典   健康福祉部長    小林 透    教育次長      菅沼 尚   環境部長      青柳郁生    警察本部長     尾﨑 徹   産業政策監兼産           警務部長      西口 学   業労働部長     石原秀樹    監査委員      田口敏子   観光部長      吉澤 猛   農政部長      北原富裕         ───────────────────  職務のため出席した事務局職員   事務局長      大日方正明   議事課担当係長   倉石博之   議事課長      小山 聡    総務課担当係長   小山雅史   企画幹兼議事課           議事課主任     山崎紀子   課長補佐      坪井俊文         ───────────────────  平成27年12月1日(火曜日)議事日程    午前10時開議    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑    知事提出議案(日程追加)      ─────────────────────────  本日の会議に付した事件等    知事提出議案    行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑         午前10時開議 ○議長(西沢正隆 君)これより本日の会議を開きます。  本日の会議は、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑であります。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━知事提出議案の報告 ○議長(西沢正隆 君)次に、知事から議案の提出がありましたので、報告いたします。       〔職員朗読〕                                平成27年12月1日   長野県議会議長 西 沢 正 隆 様                           長野県知事 阿 部 守 一         平成27年11月長野県議会定例会議案提出書  議案を別紙のとおり提出します。 第 25 号 監査委員の選任について       〔議案等の部「1 議案 (1)知事提出議案」参照〕 ○議長(西沢正隆 君)以上であります。  ただいま報告いたしました知事提出議案を本日の日程に追加し、その順序を変更いたします。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━知事提出議案 ○議長(西沢正隆 君)本件を議題といたします。  お諮りいたします。本件については、会議規則第44条の規定により提出者の説明を省略いたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(西沢正隆 君)御異議なしと認めます。よって、本件は提出者の説明を省略することに決定いたしました。  本議案は、本日から行う質疑の対象に供します。          ━━━━━━━━━━━━━━━━━行政事務一般に関する質問及び知事提出議案 ○議長(西沢正隆 君)次に、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案を議題といたします。  お手元に配付いたしましたとおりの議員から行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑の通告がありましたので、報告いたします。朗読は省略いたします。  順次発言を許します。  最初に、中川宏昌議員。       〔19番中川宏昌君登壇〕 ◆19番(中川宏昌 君)おはようございます。国道143号の建設促進についてお伺いします。  国道143号は、現在、会吉工区の1.3キロメートルの工事が進められており、この工区が終了すれば残すは青木峠新トンネルのみとなります。  半世紀の長きにわたり、沿線の5市村で構成される国道143号整備促進期成同盟会により国や県に要望活動が実施され、さらに地元の市村議会では促進に向けて議員連盟が設立され、行政、議会、地域住民挙げてその機運の醸成は今沸点に達していると言えます。  災害時の緊急輸送路や代替道路の必要性はしあわせ信州創造プランの中でも繰り返し記述されておりますが、県が定めた第1次緊急輸送路43路線のうち大型車が通行できない区間があるのは、この国道143号の青木峠のみであります。  地域住民からはさまざまな期待がされており、松本、安曇野、筑北地域側からは広域交通機能の中で望む一つに新幹線上田駅の利用があります。現在、東京方面へ移動する際は事故や大雨などで不定時性の多い中央線や篠ノ井線を利用しておりますが、新トンネルを使い新幹線上田駅を利用することにより時間が早く、さらに安価で移動できることは、地域住民にとって魅力であります。  また、上小地域側からは、信大附属病院や県立こども病院、松本空港の利用、さらには松本山雅の応援などに利用したいと期待しております。  県内の中核地域をつなぐこの青木峠新トンネルは、伊那谷と木曽谷を結んだ権兵衛トンネルのようにさまざまな大きな効果があるのではないかと考えられます。  9月定例会では本州中央部広域交流圏結節機能強化の検討会議の結果をもってとの答弁がされており、その後、鋭意検討されていると思われます。去る11月14日には青木村において車座集会が開催され、知事は村民と143号についての意見交換もされたと伺っております。その思いを受け、早期に調査に着手されるよう強く望むものでありますが、知事の方針をお伺いいたします。  次に、自転車事故に向けた対策についてお伺いいたします。  10月1日の市民タイムスでは、松本警察署管内で、自転車の危険な運転をしたとして警察官から自転車指導警告票、イエローカードの交付を受けた人が県内警察署別で最多となっている記事が掲載されておりました。マナー向上に向けての一層の対策をお願いしたいと要望いたしますが、私が危惧しているのは自転車の事故であります。  警察庁によると2014年の自転車が関係した事故は約11万件、自転車事故の全体数が減る中で、走行中の携帯電話の利用といったながら運転などが原因で歩行者との対人事故は依然多いようで、ここ数年では自転車事故の加害者に対し高額な賠償金の支払いを命じる判決が少なくなく、約1億円の賠償を命じた判例も出ております。  このことから、被害者救済、加害者の負担軽減に取り組んでいる県もあります。兵庫県では、自転車利用者損害賠償保険への加入を義務づける全国初の条例が10月から施行され、未加入でも罰則はないものの、条例制定を受け、同県交通安全協会が創設した保険には11月1日現在で約6万3,000人が加入しているようであります。  県内の自転車事故の状況とともに、被害者救済、加害者負担軽減に向けて、例えば自転車購入時に保険加入を促すなど、県としての対策を求めたいと思いますが、見解を県民文化部長にお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)国道143号の整備についての御質問でございます。  国道143号、中信地域と東信地域とを結ぶ、防災面、観光面、経済面、さまざまな側面で重要な路線だというふうに認識をしております。  中川議員の御質問の中にも御紹介いただきましたけれども、先日、11月の14日に、青木村、ちょうど、ふるさと公園あおきの開園式、それから産業祭、新そばまつりということで大勢の方でにぎわっている会場をお伺いをさせていただき、その後、村民の皆様方と対話をさせていただきました。  対話のテーマは、産業振興であったり、福祉であったり、さまざまなテーマがございましたけれども、そうした中でも青木峠のトンネル整備につきましては複数の方から御意見をいただいたところでありますし、また、かねてからこのことについては各方面から多くの御要望をいただいているところでございます。特に、意見交換、村民の皆様方とさせていただく中で私が印象に残っておりますのは、災害時の物流等の基幹的な路線としての必要性を訴える住民の方がいらっしゃいました。  この143号線、青木村にとっても重要な路線でもありますし、また、冒頭申し上げましたように、これは青木村だけの問題ではなくて、中信地域と東信地域の交流をどう活性化させるかという広域的な観点からも重要な路線だというふうに受けとめております。また、地域の皆様方の熱い思いも私としては肌で触れて実感を改めてしたところでございます。  この路線については、しあわせ信州創造プランの中で事業化に向けての調査の実施等を検討する箇所という形で位置づけられております。  また、中信地域と周辺の地域の交通の状況をどう改善するべきかということで、本州中央部広域交流圏結節機能強化の検討会、これを開催しております。私の問題意識としては、長野県の各地域がしっかりとつながり、交流し合う、そういう長野県をどういう優先順位で進めていくべきかという観点でこの検討会議を設置しております。  この143号線については、冒頭申し上げましたような観点から、この検討会議の中でも重要な課題ということで位置づけて検討が進められてきているところでございます。  この検討会議、今最終的な取りまとめ段階でございますので、この検討結果を踏まえまして私としてもしっかりと対応していきたいというふうに考えているところでございます。
     以上でございます。       〔県民文化部長青木弘君登壇〕 ◎県民文化部長(青木弘 君)自転車事故に向けた対策についてのお尋ねでございます。  本県におきます自転車事故でございますが、この10月末現在、777件発生してございまして、死者6人、負傷者766人という状況となってございます。  自動車と自転車の事故はもとよりでございますが、自転車と歩行者の事故におきましても被害者が重傷化する場合がございまして、自転車利用者への交通安全教育とともに損害賠償責任保険等への加入促進が必要と認識しているところでございます。  このため、今年度の県の交通安全運動推進計画では自転車の安全利用の推進を重点とさせていただきまして、季別の交通安全運動を中心に、自転車利用者に対しまして交通ルールの遵守とマナーの向上について広報啓発活動を行いますとともに、交通事故防止を図るとともに保険等への加入促進に努めているところでございます。  さらに、来年度策定予定の5カ年計画でございます第10次長野県交通安全計画におきまして保険への加入促進を掲げまして、引き続き、関係機関や各種団体と連携を十分に図りながら、より効果的な対策となりますように取り組みを推進してまいりたいというふうに考えてございます。  以上でございます。       〔19番中川宏昌君登壇〕 ◆19番(中川宏昌 君)若年者雇用についてお伺いいたします。  平成27年度版の厚生労働白書によりますと、若者の雇用情勢の平成27年3月卒業者の就職内定率は大学については96.7%、高校生は98.8%といずれも前年同期に比べ上昇したものの、引き続き新卒者に対する就職支援に全力を尽くす必要があると指摘をされております。  白書では、今後の課題として、学校等と密に連携しながら、新卒者等の求人確保や採用意欲のある企業と学生のマッチングなどにより新卒者等の就職支援をさらに強化する必要性、既卒者においても、企業に対して新卒枠で既卒者も応募受け付けを行うよう採用拡大を働きかけるなどにより、早期就職に向けて取り組む必要があるとしております。  こうしたことから、県内の若年者雇用について幾つかお伺いしていきます。  まず、県の取り組んでいる就職説明会について、本年度の開催実施回数や参加企業数、参加者数など開催実績、実施方法や周知方法はどうであったか。参加企業や参加者の受けとめなどもあわせてお示しください。  また、県内では信濃毎日新聞やハローワーク等も就職説明会を実施しておりますが、その状況、他県の就職説明会の状況を産業労働部長にお伺いいたします。  私の地元の松本でも県やハローワーク等によりかなりの回数の合同就職説明会が開催されておりますが、参加企業の経営者の方からお聞きした話では、人気のある企業に学生が集中するのはやむを得ないにしても、学生の数が参加企業の数よりも少ないときがあったことから終日の日程にもかかわらず午前中で帰ってしまう企業が複数見られるなど、周知方法ともあわせ、今後工夫の余地があるのではないでしょうか。それが、売り手市場と言われつつも内定がとれず不安を抱える学生や優秀な人材を求める県内企業のためにもなると考えます。  この事業は、県直営ではなく、全国的に事業展開をしている就職関係企業に委託しておりますが、県としての就職説明会のあり方、改善に関する見解を産業労働部長にお伺いいたします。  さきの白書のように就職内定率は改善傾向であるものの、一方で離職率が大きな問題です。全国の新規学校就職者の3年目までの離職率は、平成24年3月卒業者の実績で大学は32.3%、短大等は41.5%、高校は40%と、県の調査ではもう少し低い数値とお聞きしておりますが、実に短大、高校は100人中40人が3年以内に離職しているという深刻な事態であります。  県作成の「はたらく若者ハンドブック」を私も読みました。「仕事の姿勢」の項目には、「どんな仕事でも一人前になるまでには時間がかかります。早々に見切りをつけて転職を繰り返すことは、仕事に対する迷いを大きくするだけでなく、仕事に必要な能力を育てる機会を奪い、再就職の足かせとなることがあります。」とあるように、ステップアップや病気等は例外として、安易な離職、転職に走っているケースも一部にあるやに思います。  離職の状況、離職そのものに対する認識について産業労働部長にお伺いいたします。  離職率の改善については、職業教育、特に高校生への職業観、勤労観の醸成の必要があると思われます。まさに学校から社会への移行が円滑に行われていないと言わざるを得ません。現状と認識を教育長にお伺いいたします。  文部科学省においてもキャリア教育を重視し、各教育現場においては精力的にキャリア教育を推進しているものの、現状の離職率の高さから、これまで以上に取り組むとともに内容の見直しも必要です。  一方で、過密した授業のスケジュールの中で取り組む一つの方法として、各高校へキャリアコンサルタントを担当制で1名ずつ委託し、少なくとも週1回程度訪問し、生徒の相談、職業観を醸成していくのも一つの手段と考えますが、教育長に見解をお聞きいたします。  県としてもさらなる若年者雇用対策が必要であります。財務省の研究会の報告でも、若年者に安定した雇用を確保することは、持続、安定的な経済や健全な財政のみならず、現在及び将来にわたる安定した社会の維持のために不可欠であるとしているように、県の総合戦略の視点としても優先的に取り組む必要があります。  現在、県としてジョブカフェ信州を運営しておりますが、利用実績は前年比で減少しているものの一定の支援を要する若者へのサポート体制が構築されており、さらなる機能充実を望むものであります。  一方で、地域別利用状況を見ると圧倒的に多く利用しているのがジョブカフェ信州と分室の所在する中信、北信地域であり、東信、南信地域の若者は地理的に利用が不便であると感じますが、東信、南信地域へのジョブカフェの設置とまではいかないものの、地域の市町村と十分に連携した新たなサポート体制の構築を望みますが、産業労働部長に見解をお伺いいたします。       〔産業政策監兼産業労働部長石原秀樹君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹 君)4点順次お答えいたします。  まず、就職説明会の実施状況についての御質問です。  今年度、県主催の合同就職説明会は、県内で2回、県外で4回、計6回開催いたしました。これらの説明会には、県内企業が延べ236社、学生は361人参加し、将来に向かっての真剣な話し合いを行っていただいたところでございます。  その際、求職側の学生へのPR方法といたしましては、新聞、テレビ、メールでの案内のほか、今年度は、Uターン就職協定校の就職担当者を通じまして直接長野県出身者にお知らせをするとともに、民間就職活動サイトの登録者へダイレクトメールを送るなど、周知の方法も知恵を絞ったところでございます。  また、参加者にアンケートを行いましたところ、企業側からは、学生が予想よりも少なかったという御意見もあり、よかった、まあまあよかったの割合は約6割にとどまりましたが、参加した学生の9割以上の方からは、よかった、まあまあよかったとの感想をいただいております。  このほか、県内では、国、ハローワーク主催合同企業説明会が今後の予定を含めて18回実施されるほか、市町村、経済団体、県内新聞社を含めた民間事業者の主催による説明会が県内外で多数開催されると承知しております。  また、他県の状況につきましては、全てを把握しているものではございませんが、おおむね本県と同様の開催状況となっております。  次に、就職説明会のあり方、改善についての御質問です。  先ほど説明いたしました県が実施している説明会は、民間の経験やノウハウを生かすという趣旨で民間企業によるプロポーザル方式で委託事業者を定め、効果的な実施を図っております。  また、実施に当たりましては事業者と事前に十分な打ち合わせや調整を行うほか、説明会当日は県の担当者も出席して成果の上がる説明会となるよう努めてまいりました。  このような就職説明会は、県だけではなく、さまざまな団体が実施しており、これらを活用して企業と学生との出会いの場がより多くつくられることが就職活動、採用活動の後押しになるものと考えております。  本年度は選考解禁時期が変更されたことで幾つかの混乱も見られましたが、県の説明会がより効果的な支援となるよう今後も努めてまいりたいと考えております。  次に、若者の離職についての御質問です。  昨年、県が取りまとめました離職状況調査によりますと、新卒採用後の3年間で離職した割合は大卒で17.2%、短大、専門学校卒で22.9%、高卒で25.2%で、厚生労働省が調査した全国数値よりも低い状況になっております。また、離職の理由としては、家庭事情や健康問題のほか、人間関係に関するストレス、労働時間、給与など労働条件に対する不満などを挙げる方が多く見られました。  キャリアアップを目指した転職などを除き、安易な早期離職は、採用や教育に経費と時間をかけている企業側だけではなく、若者のキャリア形成におきましても不利益が生じかねないと考えております。  県といたしましては、若者の離職防止に向け、学生の働くことや企業の役割に対する理解の促進に加え、職場環境の改善も同時に進めることが必要と考えております。  次に、東信、南信地域におけるサポート体制の構築についての御質問です。  若者の就労を支援するジョブカフェ信州は松本の本所と長野の分所で全県をカバーしておりますけれども、遠方の相談者の利便性を考え、ミニジョブカフェも実施しております。これは市町村と一緒にセミナーや個別相談会などを行うもので、昨年は県内各地で38回実施し、延べ303人の方々の相談に対応してまいりました。  また、来所することができない方にはキャリアコンサルタントを派遣したり、学校への出前講座、各地で行われる就職説明会での相談コーナーの設置なども実施し、一人でも多くの若者の就職を支援してまいります。  今後も、市町村との連携を深め、このような取り組みをさらに強化することで遠隔地にお住まいの方々の利便性の向上にも努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔教育委員会教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊藤学司 君)高校生の離職率に関する現状と認識についてのお尋ねにお答えを申し上げます。  ただいま産業労働部長がお答えしましたように、本県における高校卒業者で3年以内に離職する者の割合は全国と比べると低いものの、多くの若者が就職後3年以内に離職しており、憂慮すべき状況にあるというふうに認識をしてございます。  このため、就職によるミスマッチの解消を目指し、早い段階からのキャリア教育に取り組むとともに、インターンシップの充実などに努めているところでございます。  次に、高校生の職業観の醸成についてのお尋ねでございます。  県教育委員会では、平成23年度に策定をいたしました長野県キャリア教育ガイドラインに基づき体系的、系統的なキャリア教育を推進し、その中で、高校生の就業体験や地域で活躍する方々からの講話、デュアルシステムを用いた定期的な企業実習などさまざまな活動を行っているところでございます。  本年度は、こうした取り組みに加え、生徒の就職に向けた支援体制を充実するためキャリア教育アドバイザーを配置し、就職希望の多い学校を中心に生徒との面談や職業意識を高めるための取り組みを行ってもらっているところでございます。  県教育委員会では、こうした各校の取り組みを支援するとともに、企業と連携して生徒のキャリア発達を促し、健全な職業観、就労観が醸成されていくよう、キャリア教育の一層の充実に取り組んでまいりたいというふうに考えております。       〔19番中川宏昌君登壇〕 ◆19番(中川宏昌 君)このほど策定されました人口定着・確かな暮らし実現総合戦略では、県内経済を支える労働力の確保策として若者、女性の就業促進を具体的な施策展開として掲げておりますが、長野労働局との協定締結も踏まえて今後県として雇用対策の強化にどう取り組んでいくのか。その中におきまして、ジョブカフェ信州においては能力や適性等に応じた職業生活設計の個別相談、就職情報の提供、職業紹介の機能を強化するとしておりますので、一層の具体的な対策を要望いたしまして、一切の質問を終了いたします。 ○議長(西沢正隆 君)次に、小山仁志議員。       〔6番小山仁志君登壇〕 ◆6番(小山仁志 君)全国的に保育士不足が深刻化をしており、保育士確保が難しい状況は本県におきましても決して例外ではありません。また、核家族化や経済的な要因、女性の社会進出等とともに保育ニーズも高まっています。  さらに、今後着目をしていくべきは、保育の実施主体である市町村におきましても、子育て支援、少子化対策として独自に国基準を上回る保育料負担軽減への施策を積極的に講じていることです。  多子世帯にかかわる保育料軽減措置について県内の状況は、内容や要件等は多種多様ですが、20市町村におきまして第2子以降を対象に独自に軽減措置をとっており、57の市町村におきまして第3子以降を対象に軽減措置をとっています。  こうした保育料負担軽減等の子育て支援の施策は地域間競争の様相を呈しています。例えば佐久市におきましても、少子化対策、経済的支援、また女性の就労支援を目的に、来年度より第3子の保育料につきまして無条件無料化する方針を示しています。同様の施策は飯山市等に次いで県内五つ目の自治体となります。  県は、高まる保育ニーズや、一方での保育士の不足に対し、市町村が円滑な保育を行うための施設、人員確保について確かな支援施策を講じていくべきと考えます。  そこで、以下、県民文化部長にお尋ねいたします。  まず、県内保育士不足の状況を具体的にどのように分析をしているのか、また、各自治体の保育料の負担軽減施策に伴いどういった影響が出てくるのか、また、保育所に通う3歳未満児の近年の推移、状況についてとともに、お伺いをいたします。  そして、保育士の人員確保については今後どういった支援施策や市町村との連携により県の役割を果たしていくお考えなのか。これまでの取り組みとその成果とともに、あわせてお答えください。       〔県民文化部長青木弘君登壇〕 ◎県民文化部長(青木弘 君)保育士確保への対策につきまして4点御質問を頂戴いたしました。順次お答えを申し上げます。  まず、保育士不足の状況でございますけれども、本年4月時点で、県内の公立保育所442カ所のうち162カ所、36.7%に当たりますけれども、その箇所で不足が生じておりますし、また、私立保育所117カ所では28カ所、23.9%で不足が生じているところでございます。  こうした保育士不足の背景といたしましては、より多くの保育士の配置が必要となります3歳未満児保育でございますとか長時間保育等の保育ニーズの高まりが考えられるところでございますけれども、特に年度途中の3歳未満児の入所等に対応するために臨時的に任用する保育士の確保が困難であると市町村からお聞きしているところでございます。  また、私立保育所関係者等からは保育士の勤務条件等の処遇改善を求める声が寄せられてございまして、県としましても、保育士確保に向けて、保育士の処遇改善が図られるよう引き続き国に要望しているという状況でございます。  保育料負担軽減に伴う影響でございます。  保育料の負担軽減につきましては、希望の数の子供が持てますよう、多子世帯の負担軽減を図るため市町村が行う第3子以降の保育料の負担軽減につきまして本年度から県としても支援を始めたところでございます。  保育料を初めとする子育てに伴います経済的負担の軽減につきましては安心して子供を産み育てやすい環境の整備につながるものということを考えてございますけれども、一方で、議員御指摘のとおり、保育料の軽減は保育ニーズの掘り起こしにもつながることが考えられます。今後必要となる保育体制の整備につきましては市町村とともに取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。  それから、保育所の3歳未満児の推移でございますけれども、まず、県内の3歳未満児につきましては全体で本年4月時点では4万8,902人でございまして、これを5年前の平成22年4月時点と比べますと、この時点では5万4,265人でございましたから、およそ10%減少している状況ではございます。  一方、保育所入所児童のうち3歳未満児の数でございますけれども、本年4月時点で1万1,876人でございまして、これを同じく5年前と比べますと、9,921人でございましたので、20%逆に増加している状況でございます。  このように、3歳未満児全体が減少している一方で、保育所に入所する3歳未満児は増加している状況にあるわけでございます。  保育士の人員確保についてでございます。  保育士の確保に当たりましては、新たに保育士として登録する者の増加を図ること、それから既に保育士として登録している人の活用を図るという両面からの取り組みが必要でございます。  新たに登録する者の増加に向けましては、現状では、いわゆる保育士試験でございますけれども、こうした資格取得機会の提供が十分でないということから来年度におきましてはこれまで年1回の実施でありました保育士試験を年2回の実施とし、保育士の人材確保に取り組む予定でございます。  また、保育士資格を有しながらも保育士として勤務していないいわゆる潜在保育士の活用という面から、本年度、県といたしまして潜在保育士掘り起こし事業を実施したところでございます。  具体的には、長野県での保育士登録者2万4,920人に調査票を送付させていただきました。6,784人の方から回答があったわけでございますけれども、保育士として勤務していない方のうち30代までの68.9%の方が今後保育士として就職を希望していたという結果となってございます。  この調査の回答とあわせまして、就業意欲のある潜在保育士から求職票の提出を受けまして、この結果、649人を福祉人材センターに登録をしてございます。  こうしたことで市町村等の保育士確保の支援を行ったほか、就職支援として就業意欲のある潜在保育士を対象といたしました講習会を県下10会場で実施をしてございまして、あわせまして212人の方に受講をいただいてございます。こうした取り組み、一定の成果を上げてきたものと考えてございます。  また、市町村におきましては、保育士のみならず、医師でございますとか、保健師、看護師など保健福祉分野の専門職種の採用が困難な状況というふうに伺っているところでございまして、先ほど行われました11月24日の第10回の県と市町村との協議の場におきまして、保育士を含む医療保健福祉等人材の確保に向け、県、市町村の事務レベルワーキンググループを設置して検討を行っていくことを確認したところでございます。  今後、具体的な事業の実施に向けまして、市町村、それから健康福祉部等と連携をとって取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。       〔6番小山仁志君登壇〕 ◆6番(小山仁志 君)保育士不足の原因として向き合わなければなりませんのは、待遇面での厳しさや長時間保育やサービス残業、保護者への対応など想像以上に負担が重くなる中で、やりがいや充実感以上にきつい仕事としてイメージが根づいてしまい、保育士の資格を持ちながら保育士職につかない潜在保育士の増加や保育士を志す方の減少を招いているということです。  子供の数が減少の一方で、保育所に通う3歳未満児の数、占める割合が上昇を続けています。その配置基準を満たすのにもぎりぎりの状況というのが現場の感覚として捉えておくべきと考えます。  懸念するのは、人員不足の中で、量の拡大が先行し、正規職員等の割合の低下により保育の質の低下を招いてしまうということです。希望される出生数をかなえていただくための経済的負担の軽減や両立支援施策を充実させていく一方で、その受け皿としての保育の体制が脆弱、質の低下を招いているようでは本末転倒です。  まず、潜在保育士の掘り起こしとその現場とのマッチングが急務ですし、際しましては保育の質確保のための研修体制の保障や保育士同士の連携等の機会をふやす等、具体的対策の継続を今後とも求めたいと思います。  続いて、観光立県への取り組みについてです。  先月18日、政府観光局は、本年1月から10月期の訪日外国人旅行者が前年同期比48.2%増の1,631万6,900人となり、過去最高だった昨年の年間記録を290万人上回ったと発表しました。年末には1,950万人に達し、2020年に年間2,000万人とする政府目標がほぼ達成される見通しとなりました。  日本再興戦略に基づく外国人観光客の政府目標は2030年3,000万人が掲げられておりまして、長野県が掲げます観光立県の確立には、国内旅行需要の喚起はもとより、観光立国推進の波におくれない視点が求められます。  長野県の旅行者数は平成3年をピークに減少傾向にあり、また観光消費額も長野オリンピック開催の平成10年をピークに減少しています。観光立県を目指していく上で重要なのは、人口減少社会において観光産業を重要な雇用創出産業としての位置づけを明確化していくことです。  このほど策定された長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戦略では、観光消費額の重要業績評価指標、KPIとして、現状(平成26年)2,974億円を平成31年に3,300億円とする、1割ふやそうという目標を設定されていますが、この指標設定の根拠とともに、どういった取り組み、施策によって目標を実現をしていくのか。阿部知事にお伺いいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕
    ◎知事(阿部守一 君)観光立県への取り組みに関連して、観光消費額の目標設定の考え方、それから目標実現に向けての施策についての御質問でございます。  観光消費額、観光地内における観光旅行者が支出をされた宿泊費、交通費、飲食費、施設入場料等を積み上げているものであります。  今回の地方創生の総合戦略の中では、国内外から多くの観光客を呼び込むとともに、地域内での経済循環を拡大することにより観光消費額を伸ばしていきたいと考えております。  目標としております3,300億円、これは平成26年の観光消費額2,974億円をベースといたしまして、平成31年まで5年間、訪日外国人旅行者のさらなる増加を見込み、また東京オリンピック・パラリンピックの開催、さらにはデスティネーションキャンペーンの開催、こうした効果を見込んで1割増を目指してということで設定をしたところであります。  この目標の実現のためには、小山議員のほうからも御質問の中にも人口定着・確かな暮らし実現総合戦略、御引用いただきましたが、やはり国内外の多様な観光需要に対応する観光業の成長産業化が重要だと思っています。  特に、これまでの観光行政、どちらかというと観光客の数をふやすことが重視されてきた感がありますけれども、やはり地域の経済にしっかりと貢献していただけるような観光業を育てていく、あるいは我々も一緒になって取り組んでいくという視点が大変重要だというふうに思っています。  そういう観点で、まず観光業の付加価値を向上させていかなければいけないと思っています。さまざまな方策ありますが、当面、国も大きな方向性を打ち出しておりますが、DMOの設置、これは、県全体、そしてそれぞれの地域のDMOの設立支援、こうしたものにはしっかりと取り組んでいきたいというふうに思っております。  そうしたDMOの設置の検討を行う中で、もっとマーケティング等を重視をして、しっかりと科学的な根拠に基づくさまざまなPRであったり、あるいはリピーターの確保であったり、こうしたものに取り組んでいくということがまずは重要だというふうに思っております。  それから、国内外からの誘客の促進ということも引き続き取り組んでいかなければいけないわけでありますけれども、新幹線、金沢まで延伸をいたしました。12年後にはリニア新幹線の開業も見込まれています。また、私ども長野県としては、松本空港のさらなる活性化ということも責任を持って取り組んでいかなければいけないというふうに思っています。  そういう意味で、こうした新しい交通体系を生かすという観点に立って新しいゴールデンルートの構築をしようということも北陸各県の皆さんとお話をさせていただいていますが、さまざまなルート設定をしてPRを行っていくということが重要だと思っています。  また、あわせまして、議員の御指摘にもありましたように、インバウンド、これから日本の人口は減っていくわけでありますが、アジアを初めとする世界の人口はますますふえていきます。そしてまた平均的な所得水準も上がっていくわけでありますから、こうした流れにおくれをとらないように取り組んでいかなければいけないというふうに思っています。  本年度の予算の中でも、Wi-Fiの整備等、観光地の整備自体を県としても進めていこうということで取り組んでおりますけれども、これは、地域の取り組みを促すと同時に、県としても、単なる誘客促進というPRだけではなくて、本当の意味での観光地域づくり、こうしたものにもしっかり目を向けて取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。       〔6番小山仁志君登壇〕 ◆6番(小山仁志 君)ただいま知事から答弁いただきましたとおり、これから信州はさまざまなチャンスを観光をめぐって迎えますし、また、知事におかれましてはみずからツェルマットを訪問いただくなど、観光への意欲、熱意というものを私もすごく感じるんですが、しかし、一方でこの3,300億円、5年後ですが、やや控え目過ぎないかというふうに私は感じます。  つまり、観光消費額3,300億円という数字は平成21年度とほぼ同様の数字なんですが、平成21年度というのは知事が初めて知事に就任される前年の年でございまして、それ以降だんだん下がり続けています。それから、外国人宿泊者数はうなぎ登りの状況なのに観光消費額は減少している、ここに私は観光立県ということを考えていく意味での現状の課題があると思っています。  知事から答弁いただきましたとおり、観光立県という意味は、先日、山田桂一郎先生もおっしゃいましたが、いわゆるサービス産業として高度化、付加価値化を高め、滞在時間や宿泊者数等の実質的な収益性を考えた戦略で収入の高い安定した雇用をふやしていく産業の目玉として観光を考えていくことが必要だと思います。  そういう意味では、総合戦略におきましても、観光消費額、こういうふうにして、こうやって、これだけ雇用を誘発していくんですというような、もう少し大胆に具体的に夢を描いていただくような形を総合戦略でお示ししていただく必要があると考えるんですが、知事の見解をお聞かせいただきたいと思います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)総合戦略のKPI、やや控え目ではないか、またもう少ししっかりとした指標設定するべきじゃないかという御質問だと思います。  基本的には私も同じような思いを持って受けとめております。これは、今、国全体も、議員御指摘あったように、観光立国、しばらく前と比べますと本気で取り組みが進んできているなというふうに感じておりますし、実際に現実の数字を見ても、特に外国からのインバウンド客、急速な勢いで伸びてきているところであります。  私ども長野県、どうしても過去の統計との連続性というものを律儀に考えているところがありますので、例えば外国人宿泊客数についても、国の観光庁統計、それからそれと別に県としての観光宿泊者数をとっているわけであります。  私、先ほど少し申し上げましたけれども、DMOをつくって例えばマーケティング等もより科学的にということを申し上げましたけれども、そうしたこととあわせて、実は観光に関する統計のとり方自体のあり方も見直していくべき時期に来ているのではないかというふうに考えているところであります。  そうすれば、先ほどの御指摘の趣旨はしっかりと受けとめながら、これから来年度に向けて、観光行政、大きく変革をさせていかなければいけないというふうに思っています。そういう中で、統計のあり方、そして観光に関するいろいろな目標設定のあり方、こうしたもののあり方についてはあわせてぜひ検討していきたいというふうに思っています。  いずれにいたしましても、この観光政策、観光立県長野県として極めて重要な政策でありますので、これまでの施策の延長線上ではない新たな視点で取り組む中で具体的な目標設定についてもあわせてしっかりと検討する中で設定をしていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔6番小山仁志君登壇〕 ◆6番(小山仁志 君)先日、私、ある講演で、1人当たりGDPがもはや日本がアジアの先頭ではないという講演をお聞きをしました。シンガポールが1人当たり5.6万ドルで1位、日本は3.6万ドルで4位というお話をお聞きをしました。  これまで日本は、通商国家として工業生産力を高め、外貨を稼ぎ、成長を続けてきましたが、それだけに過剰に依存し過ぎないサービス産業の高度化が求められますし、そのリーディングヒッターとして観光産業を捉えていく必要があります。  シンガポールが、医療ツーリズムの中心地として、MICE等への積極的な取り組みを土台として世界の富裕層や研究者を引きつけ、観光立国としての確固たる地位を築いているのは御案内のとおりでございます。  訪日外国人旅行者についても富裕層のリピーターをいかに引きつけていくかという戦略が求められますし、そうした感覚をしっかり握り締めながら、長野県のらしさやならでは、あるいは訪れざるを得ない付加価値の創出をしていく戦略的観光行政のリーダーとしての役割を阿部知事には期待をしたいと思います。  さて、観光を産業として捉えて発展をさせていく上で重要なのは、観光を狭く限られたものとして捉えないということです。すなわち、ツーリズム産業を核としながら、さまざまな地域資源、それは歴史や文化、農林水産業や自然、景観、飲食店や物産店等々を立体的な相関として見詰め、連携を図り、市場調査やマーケティング等とともに一体的なブランドづくり、プロデュースをしていく着地型観光のプラットホームが必要です。その推進主体、組織体がDMO、デスティネーション・マーケティング/マネジメント・オーガニゼーションになります。  DMOにつきましては地方創生の新型交付金の対象にもなっておりますし、長野県の総合戦略におきましても、観光業の付加価値の向上への取り組みとしてDMOの設置支援が掲げられています。  そこで、お尋ねをいたしますが、いわゆる従来の観光をめぐる組織体と比較してDMOに期待される役割と機能についてはどのようにお考えなのか、また、DMO設置、創設支援については具体的にどのように取り組んでいくお考えなのか。観光部長にお尋ねをいたします。       〔観光部長吉沢猛君登壇〕 ◎観光部長(吉沢猛 君)DMOの役割、機能と創設支援についてのお尋ねでございます。  地域を活性化させる原動力や観光地域づくりの中心となる新たな組織、DMOの形成、確立につきましては、先月、観光庁におきまして日本版DMO候補法人の登録制度が創設されたところでございます。  現在、多くの観光協会では、関係者の巻き込み不足や科学的なデータの収集、分析手法の確立などが大きな課題となっております。このような中、新たなDMOとしては、地域の多様な関係者や人材を巻き込みながら、各種データ等の継続的な収集、分析によるマーケティング手法を取り入れる形で観光地域づくりを行うかじ取り役を担うことが期待されております。  国におきましては、新型交付金による支援策に加えまして、観光庁を初め関係省庁で構成されます連携支援チームを設置し、現場の課題やニーズの共有を行った上で、今後、支援メニュー集を策定する予定であると聞いております。  県といたしましては、今後示される国の支援メニューも勘案しながら、県内各地域におけるDMO創設に対する必要な支援策を検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔6番小山仁志君登壇〕 ◆6番(小山仁志 君)DMOと日本の従来の行政主導の観光振興との違いは、私は、経営感覚を重視した効果測定への視点が明確であること、つまり、知事もおっしゃったとおり、来客数で一喜一憂するのではなくて、実質的な収益性を考えた戦略に関心を持っているということです。  DMOの創設、組織化、そして軌道に乗るまではさまざまなハードルが考えられます。身近な県の役割として、私は、あるべき論や、その姿を明確に提示、推奨して必要な情報の提供や調整、人材育成のための事業や軌道に乗っていくための財政支援等が重要だと考えています。  DMOの創設は、関連する産業や団体、さまざまな地域資源や住民の連携により、クラスターとしての観光が持つ産業力の大きさを生み出していくことが期待をされます。ぜひ、地域住民が主体的に経営を進める着地型観光の推進に当たりましても、DMO創設へ実効性ある支援について県の主導的な役割を求めます。  続いて、ふるさと旅行券についてもお尋ねします。  地域における消費喚起を目的とした地域活性化・地域住民生活等緊急支援交付金を活用したいわゆる地方創生事業の一つになります。  長野県におきましては、「信州サぁイコー!ふるさと旅行券」と銘打ち、各種割引や助成等の事業が行われています。同様の取り組みは全国各地でやります合戦となっており、消費者にとっては実質負担が軽減され、大安売りという意味合いも持ち、消費喚起への期待も高まります。一方で、その必要な財源はもとより国民の税金でありまして、それぞれの地域で高い効果を上げていくことが求められると考えます。  そこで、「信州サぁイコー!ふるさと旅行券」事業におきまして、販売状況とともに、求めていく成果についてのお考えを観光部長にお尋ねします。  また、その成果を得ていくための具体的なお取り組みもあわせてお答えください。       〔観光部長吉沢猛君登壇〕 ◎観光部長(吉沢猛 君)「信州サぁイコー!ふるさと旅行券」の販売状況と成果についてのお尋ねでございます。  「信州サぁイコー!ふるさと旅行券」につきましては、宿泊用と体験用の2種類を販売しておりまして、11月23日時点でそれぞれ、宿泊用は12万8,000枚のうち11万4,640枚、体験用は2万6,000枚のうち5,466枚を販売し、総体といたしますと発行予定枚数の78%を販売できているという状況にございます。  今後でございますけれども、これからの年末年始の宿泊やスキーなど冬のアクティビティーでの活用によりまして完売されるものと見込んでいるところでございます。  次に、求める成果についてでございますが、一過性に終わらせることなく、来年度以降もつながる形を目指しまして次の4点を掲げて取り組んでいるところでございます。  一つ目はリピーターの創出、二つ目はコアな信州ファンの獲得、三つ目は被災地の復興、そして、四つ目は本県観光面の中長期的な課題への対応でございます。  具体的な取り組みでございますけれども、まず、旅行券とセットにした本県のアウトドア・アクティビティーの魅力を前面に押し出した形のプロモーションの実施、次に、木曽地域と大北地域限定の宿泊用旅行券の発行、さらに、新幹線駅の利用促進や貸し切りバス対策のための旅行商品の造成に対する補助などを実施しておりまして、それぞれ成果があらわれてきているものと考えているところでございます。  さらに、体験用旅行券の販売に関しましては、コンビニエンスストア窓口での購入に加えまして、スマートフォンなどでスキー場でも即時に購入できる仕組みを導入いたしましてさらなる販売促進を図っているところでございまして、こうした取り組みによりましてより大きな成果に結びつけてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔6番小山仁志君登壇〕 ◆6番(小山仁志 君)ふるさと旅行券において重要なのは利用期間経過後の効果検証を見込んでいくことだと考えます。すなわち、ふるさと旅行券による域外消費喚起をいかに一過性のものとさせないかという努力が求められます。正規料金を出したら損だなと思われるようでは、ふるさと旅行券もやぶ蛇でしかありません。そういった観点からしますと、旅行者の旅行中の行動へのアプローチ等の工夫が必要で、リピーター化への満足度向上などやるべきことは多いと考えます。  シビアな検証を重ね、このチャンスをしっかり生かし、さらなる観光振興におつなぎをいただきますようお願いを申し上げまして、私の質問といたします。ありがとうございました。 ○議長(西沢正隆 君)次に、諏訪光昭議員。       〔32番諏訪光昭君登壇〕 ◆32番(諏訪光昭 君)昨日、北安曇地方事務所管内で、大北森林組合以外で1億円を超える補助金の不適正受給があったと公表されました。どうして防げなかったのか。地元選出の議員として残念な気持ちでいっぱいであります。大北森林組合以外については原因や責任の度合いはさまざまのようであります。  大北森林組合の補助金不適正受給事案の原因について、県の検証委員会の報告では、不適正な申請を主体的、能動的に行い、多額な利益を得ていた組合に責任がある。一方で、県側のコンプライアンス意識の欠如した対応や実情把握を怠っていたことなども厳しく指摘されております。  組合がみずからの非を認め、10月5日、県に対して謝罪をいたしました。組合は再生に向けて地区別の懇談会などを開催し、今月には臨時総代会を開催する予定と聞いております。  県としてはこうした組合の動きをどう見ているのか。あわせて、再生に向けては県の果たす役割も必要かと思いますが、どう取り組むのか。林務部長にお伺いをいたします。  県側の原因に対しては、10月に林務部コンプライアンス推進行動計画がまとめられました。行動計画の中で、今回の事案の背景に信州の森林づくりアクションプラン達成へのプレッシャーが影響したと分析され、地域によっては過重な計画であったとされておりますが、大北地域においてはどのように過重であったのか。その原因はどこにあったのか。また、今年度の見直しに当たってはどう具体的に見直していくのか。林務部長にお伺いをいたします。  昨日公表された事案を含め、今回の事案は地方事務所の林務課職員がきちんと現地調査をしていれば防げた事例も多いわけですが、なぜできなかったのか、具体的にどう改善していくのか。林務部長にお聞かせください。  知事みずから、林務行政の再生に向けた林務部職員との車座集会に出席していますが、林務部を含めた県組織全体の意識改革に取り組む決意を知事にお伺いをいたします。       〔林務部長塩原豊君登壇〕 ◎林務部長(塩原豊 君)大北森林組合の補助金不適正受給について御質問をいただきました。順次お答えをいたします。  初めに、組合が謝罪した以降の動きと組合の再生についてのお尋ねですが、組合からの謝罪は、長期的に補助金の不適正な申請受給を主体的、能動的に行ってきたことを認め、補助金の返還については誠実に対応していくとした上で再生に向けた意思を表明したものと認識しております。  県といたしましては、不適正に受給した補助金の確実な返還を求めていくとともに、組合が今後策定する再発防止策や再生計画等については、組合みずからが本事案をしっかりと反省し、組合員の理解を得ながら早期かつ主体的に進めていくべきものと考えております。  このような組合の取り組み状況を確認しながら、県は、組合に対し指導監督していく立場でもありますことから、県森林組合連合会と連携し、地域の森林整備の中核を担う林業事業体として再生できるよう必要な対応を行ってまいりたいと考えております。  次に、森林づくりアクションプランについてのお尋ねですが、平成16年度を初年度とする第1期の森林づくりアクションプランにつきましては、間伐が必要な森林面積を本庁で算定し、地域の実情等を考慮せずに機械的に抽出したデータをもとに目標値を定めましたことから、地域によっては目標が過重となっておりました。  また、平成23年度の見直しに当たっては、現地機関との意見交換を行うなど間伐目標の設定方法を改善いたしましたが、実績の評価、検証や林業事業体の能力など地域の実態の反映が不十分であったと考えております。  特に大北地域では、間伐を余り必要としない広葉樹の面積割合が高いという森林資源の状況や林業労働力など間伐の実行能力から見て目標値が過重になっていたものと考えております。  こうした反省を踏まえて、各地域の目標と実績の乖離などについて分析を行うとともに、林業労働力や高性能林業機械の稼働台数など地域の実行能力の把握を行い、現地機関とも議論を行った上で、より実効性の高いアクションプランとなるよう現在作業を進めているところであります。  また、毎年度の取り組み状況を評価、検証する仕組みを構築して計画の適切な実行に努めてまいります。  次に、補助金交付のための現地調査についてのお尋ねですが、当時の北安曇地方事務所林務課においては、急増した事業量による業務の多忙や積雪期に多くの申請が集中していたこと、未完了事業の申請を認めていたことなどの理由から、現地調査を規定どおりに実施しない事務処理が続いておりました。昨日公表された大北森林組合以外の案件についても同様でございました。  こうした事務処理の常態化は、現地調査よりも予算執行を優先する職員の意識や管理監督者によるチェックなどの内部牽制が機能していなかったことが原因と考えております。このため、現地調査の形骸化を防止し、牽制体制を強化するための具体的な取り組みといたしまして、乱数表を活用した調査箇所の無作為抽出の徹底、原則2人体制での調査の実施などに取り組んでいるところでございます。  また、業務量に応じた柔軟な業務体制の変更や応援体制の整備に取り組みますとともに、積雪により現地調査が困難な年度末の申請につきましては、林業事業体の皆様の御意見をお聞きしながら、原則として廃止する方向で検討しているところでございます。  こうした取り組みを通じて、適正な現地調査を徹底して再発防止に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)大北森林組合の補助金不適正受給に関連して、県組織全体の意識改革に取り組む決意という御質問でございます。  今回の一連の事案を受けまして、本当に林務部が再生し、そして県民の信頼をしっかり取り戻すべく、私も含めて関係職員全てが思いを共有して取り組まなければいけないというふうに思っています。  その上でも、まずは林務部の職員一人一人が、今回の事案、他人事ではなく自分のこととして受けとめ、主体的に組織の風土の改革、取り組んでもらうということが必要だと思っております。  そういう取り組みの一環として、私が直接林務部の職員と意見交換させていただいたところであります。非公開で行いましたが、かなり率直な現場の職員の思いを聞かせていただくことができたというふうに思っております。  私の率直な思いとすれば、林務部の職員、仕事、業務に対する意欲、非常に強く持っているということを改めて実感いたしましたし、また、それぞれの仕事に取り組むに当たっての問題意識もしっかり持っているということを私としては受けとめました。  ただ、今回のような事案が起きたのが、一人一人の、あるいは現場の職員の思いが組織として必ずしも十分に共有できていなかったということに大きな要因があるんではないかというふうに思っております。  そういう意味で、今回の事件を契機に、風通しがいい、そして、さまざまなことに前向きに、今回のことで萎縮してしまうということでは逆に県民の皆様方の御期待には応えられないというふうに私は思っておりますので前向きに取り組んでいく、そういう職場にぜひ林務部職員と一緒になって取り組んでいきたいというふうに思っています。  12月からは、林務部職員同士が、今回の原因あるいは今後の取り組み、少人数で議論をするワークショップを開催していく予定になっております。そうしたことを通じて、私もしっかり取り組んでまいりますし、一人一人の職員もそれぞれの持ち場持ち場で全力を尽くして、意識改革、そして風土の改革、取り組んでもらって、しっかりと県民の信頼を取り戻していきたいと思っております。  また、この問題は林務部だけということではなくて、県の組織全体の風土の改善にもつなげていかなければいけないというふうに考えております。今後、職員の意識調査、あるいは部局ごとのコンプライアンス推進委員会の設置等を行って、あわせて、今回のような不祥事、課題、決して他人事ではなく自分のこととして職員が捉えて、考え行動できるように自分ごと化プロジェクトを進めていきたいというふうに思っております。  コンプライアンス推進参与の助言もいただきながら、全国で最も信頼される組織として長野県が生まれ変わることができるように私も先頭に立って取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔32番諏訪光昭君登壇〕 ◆32番(諏訪光昭 君)大町市では、既存の温泉井戸から出ている熱水で温泉発電を行った後、熱水を温室ハウス等に供給して通年で野菜等を栽培するプロジェクトを進めております。国の予算を活用して2年目になります。新規に井戸を掘削するわけではないので既存の温泉への影響は全くありません。次年度にはハード事業に発展させるべく準備を進めております。
     こういうプロジェクトを推進することによりまして、大町温泉郷のみならず大町市全体の発展につながることを期待しております。  さて、全国では環境アセスメントの必要がない小規模な地熱発電が大きく進展し、この3年間で約1万キロワット程度の発電が行われております。発電後の熱水を温室ハウス等に供給して、地元の名産品として果物、野菜等を生産して販売している成功事例があります。  例えば、摩周湖で有名な弟子屈町では、マンゴーを生産して、「摩周湖の夕日」と命名して東京の有名店で1個1万円以上で販売しています。大分県湯布院の近くでは、限界集落と言われた村でキクラゲを生産して、近くの道の駅で販売し収益を得ております。長野県の七味温泉では、小型のバイナリー発電を行い、発電後の熱水を活用する計画も進んでおります。  長野県にはほかにも温泉はあり、また井戸を掘削しても使用していないところもあります。例えば県などが所有する松本市中の湯にも井戸が数本あり、使われておりません。  長野県の将来を考えますと、新規に井戸を掘削するのではなく、既存の井戸、特に使用していない井戸を積極的に活用して発電を行って電気を自前で供給するとともに、発電後の熱水を活用して地域おこし等に役立てることは極めて重要なことと考えます。県内の環境を改善し、環境立県長野の実現と新しい産業を創造する施策の推進も必要と考えます。  このような既存の未使用な井戸の活用とともに、地熱の有効活用について環境部長の御見解をお聞かせください。       〔環境部長青柳郁生君登壇〕 ◎環境部長(青柳郁生 君)既存の未利用の温泉井戸の活用と地熱の有効利用についてのお尋ねでございます。  本県は多くの温泉源を有しておりますことから、温泉熱の有効利用により自然エネルギーの拡大と温泉地の活性化等につなげていくことは可能であり、とても重要なことと考えております。  このため、県といたしましては、七味温泉のバイナリー発電事業や諏訪市の温泉廃熱を活用した暖房システムの導入等に対して地域主導型自然エネルギー創出支援事業により支援をしてきたところでございます。  また、未利用源泉の活用は、掘削による周辺源泉への影響もなく、地域の理解が得られやすいとされており、今後その利活用の可能性は広がっていくものと考えております。  大町市におきます取り組みにつきましては、学習会等を開催している協議会に北安曇地方事務所も参加しており、内容も承知しているところでございますが、今後、温泉関係者等における合意形成が進むことを期待しているところでございます。  県では、地域資源を活用した地域主導型の自然エネルギー事業により地域を活性化することを目指しておりますので、地域の活性化につながる事業に対して積極的に支援をしてまいります。  以上でございます。       〔32番諏訪光昭君登壇〕 ◆32番(諏訪光昭 君)介護保険料の報酬改定に伴う現状と課題について、以下、健康福祉部長にお伺いいたします。  4月の報酬改定は小規模デイサービス事業者への風当たりが強く、小規模デイサービスの運営が厳しくなっているとの指摘があります。今回の改正は全体で2.27%の改定でした。一昨年あたりから特別養護老人ホームと小規模通所介護への風当たりは強く、この2カ所の改定率は大きくなりました。  県はこれまで宅幼老所の整備を小学校区に1カ所くらいのペースで整備を進めてきました結果、他県に比べて民家改修型のサービスが多く、家庭延長の小規模デイサービスは必要と考えます。  しかし、国は法人の統合化を進めています。報酬の減収は、これまで、地域に密着し、利用者の立場に立って運営してきた小規模デイ、小規模法人のよさが崩壊してしまうことが懸念されております。  小規模介護施設経営者からは厳しい現実の声が寄せられております。報酬改定で一番気になるのはどの程度の収益減となるのかであります。ことし1月ベースで試算して、年間約240万円の減額との指摘でありました。小規模事業者の皆さんにとっては大きな数字で、社会保険の扶養内で働きたいという非常勤のスタッフ2名を雇用できる金額とのことであります。  事業所の収支状況により、赤字に転落してしまうケース、採算ぎりぎり、何とか黒字を維持と、事業所の違いも生まれております。スタッフの給与減額、スタッフ雇用の削減、役員報酬の減額と、人件費以外の固定費の削減などの対応がとられているのが実情のようです。  一方で、収入のダメージを減らすために、新たに創設された認知症加算、中重度ケア加算を活用して収入確保に努める事業所もあるようですが、そう簡単に収入確保とならない現状のようであります。  認知症加算については、配置基準に常勤加算でプラス2の職員加配に加え、サービス提供時間を通じて認知症介護実践者研修修了等の配置など、直ちに算定できる事業所は限られてしまいます。直ちに算定できる事業所はどのくらいになっていますか。把握されていましたらお聞かせください。  中重度加算についても、サービス提供時間を通じての看護職員配置など、看護師不足がある中で看護職員確保も厳しい現状があります。特に大変なのが小規模通所介護だけ運営の法人であります。小規模であるがゆえにスケールメリットもなく、スタッフの余裕もなく、研修参加もままならないのが現実です。特に、4日間続けて参加が必要な認知症介護実践者研修は大変であります。  このような状況の中で、閉鎖を決断するデイサービスもあるとお聞きしていますが、現状をお聞かせください。  加えて、要支援認定者の受け入れを停止する状況も生まれていきますか。同様に現状についてお聞かせいただきたいと思います。  介護保険は、要介護1から5に向けた介護給付と、要支援1から2に向けた予防給付があります。このうち、要支援者向けの予防給付の訪問介護と通所介護の二つを切り離し、平成29年度からは市町村裁量に任せることとなります。この市町村の裁量に任せる意味としては、介護予防をNPO団体、ボランティア団体などの専門家以外に門戸を広げ、低コストでこれまで以上のサービスを提供されることが期待されております。  国では、要支援1から2のような軽度者向けの介護サービスは掃除、洗濯、調理などの生活支援が中心となりますので、訪問介護、訪問リハビリのような資格を持った専門職でなければならないものではありませんから、市町村やボランティアなどの幅広い範囲に開放し、介護の新たな受け皿づくりを生み出そうとしております。  現在実施されている予防給付は、国が定めた一律の基準のもとに運営されていることから全国どこに住んでいても同じサービスを受けることができます。しかし、市町村に事業が移るということは、住んでいる地域によって料金や内容に差が出てまいります。地域格差が懸念されます。  国が行っている事業に関しては予算が上限に達したとしても打ち切られることはございませんが、市町村の事業については予算が尽きればその事業は打ち切りとなります。予算のない自治体はサービスの縮小や利用料の値上げなども想定されます。  また、ボランティア等に要支援者へのサービス提供を依頼しても限界があります。これまでは介護保険制度のサービスにのっとっていたため人員基準が明確に示されていて、施設基準も法律のもとで決められておりました。これからの要支援者へのサービス規制が緩和されたことは、サービスの質の担保はできず、人材にも限界がありそうです。  このような指摘がある中で、県として、要支援者へのサービスは一律市町村任せとなった場合に懸念される点、あるいは県として要支援者の切り捨てとなるようなサービスの質の担保などについてどのような見解をお持ちか。お伺いをいたします。       〔健康福祉部長小林透君登壇〕 ◎健康福祉部長(小林透 君)小規模デイサービスについての御質問に順次お答えをいたします。  まず、認知症加算についてですが、認知症加算は、今後増加が見込まれる認知症高齢者へのサービスの提供を強化するため、4月の報酬改定で創設されたところでございまして、この認知症加算の要件は三つあり、1点目として、利用者のうち日常生活に支障があり介護を必要とする認知症高齢者の割合が20%以上であること、2点目として、最低限必要な人員基準に加え、介護職員または看護職員を2名以上配置すること、3点目として、認知症介護実践者研修の修了者を1名以上配置することでございまして、この全てを満たしていることが必要であります。  現在、延べ利用者数が月300人以内の通所介護事業所を小規模デイサービス事業所とすれば、それは435事業所ございますが、このうち加算要件を直ちに満たすことのできる事業所は、既に認知症加算を活用している30事業所、構成率で申し上げますと6.9%でございますが、これがそれに該当するものと考えております。  なお、新たな職員の増員を条件としない処遇改善加算の活用は346事業所、構成率で79.5%になってございますので、それに比べれば低い状況でございます。  次に、デイサービスの閉鎖についてですが、現在、小規模デイサービス事業所、先ほど申し上げましたとおり435事業所でございますが、本年4月から10月に県に届け出のあった廃止届は15件となってございまして、昨年同時期の10件よりもやや増加傾向にあることから、引き続き現状把握に努めてまいりたいと思います。  なお、これらの廃止した事業所の利用者は、他の事業所に移動し、引き続き必要な支援がなされていると考えております。  次に、要支援認定者の受け入れ停止についてですが、利用者や介護支援専門員、市町村などから要支援認定者の受け入れ停止についての情報提供や相談などにつきまして、現在そのような事例はございませんので把握してございませんが、議員御指摘のような要支援認定者の受け入れ停止という事例がございましたら、居宅介護支援事業所や地域包括支援センターと密接な連携をとりながら利用者が必要な支援を受けられるよう対応してまいります。  次に、介護予防サービスの質の担保についてですが、今回の制度改正は、介護、見守り、配食など多様な生活支援サービスを地域全体で応えていくため、現行の予防給付のうち訪問介護と通所介護を新しい総合事業として位置づけ、市町村が住民やボランティアなどの協力を得てきめ細やかにサービスを提供できるようにするものでございます。  市町村は平成29年度末までに新しい総合事業に移行することとされており、現在、県内では平成27年4月から御代田町が移行してございます。  ただし、市町村において、移行に当たっての具体的な進め方などがわからない、とりわけ小規模な町村を中心に、事業を担うことが期待されているボランティアやNPO法人などのサービス提供者がいない、あるいは利用者とサービスを結びつける生活支援コーディネーターの確保が難しいなどが課題として考えられております。  このため、県としては、10月16日に、既に移行している御代田町の協力を得て、市町村職員を対象に、事業を始めるまでの手順や実施方法に関する研修会を、65市町村、3広域連合など147名の参加により開催したところでございます。  また、生活支援コーディネーターの確保については、11月5日、6日に、市町村職員のほか、生活支援コーディネーターとなる方などを対象に実践的な研修会を延べ301名の参加により開催いたしました。  県といたしましては、引き続き、各市町村の状況を把握し情報共有するとともに、生活支援コーディネーターの養成やネットワーク化を図るなどにより市町村を支援することで、県内どの地域においても生活支援サービスが受けられるよう取り組んでまいりたいと思います。  以上でございます。       〔32番諏訪光昭君登壇〕 ◆32番(諏訪光昭 君)介護報酬改定が行われてまだ半年余でございます。今後の動向をしっかりと見きわめ、引き続き調査も継続していただきながら適切な対応をして、サービス提供、そしてまた施設運営者にも配慮いただくような施策を展開していただくことを御期待申し上げ、質問を終わらさせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(西沢正隆 君)次に、小川修一議員。       〔7番小川修一君登壇〕 ◆7番(小川修一 君)長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戦略のうち、「信州創生の基本方針」の2番目に「若者のライフデザインの希望実現」が示されています。そこには、若い世代が多様な夢と希望を持ち、結婚や子育ての希望実現に向けて進み、子供を育てることを社会全体で応援するとあります。  そこで、若者のライフデザインの希望実現という観点から順次質問いたします。  最初に、結婚支援について伺います。  少子化の最大の要因は未婚者の増加であり、これまで個人の問題とされてきた結婚も、子育て同様、社会全体の問題と捉え、全ての県民が一体となって積極的に結婚を支援することにより少子化傾向の改善を図るという目的は理解できます。実際、婚活サポーターの方々も熱心に活動に取り組んでいただいており、結婚を希望するが勇気がない、時間がない、出会いがない独身者にとっては頼もしいものであります。  県は、ながの結婚・子育て応援事業としてながの出会い応援プロジェクト事業を行っておりますが、婚活セミナーの案内を見ますと昨年55組のカップルが成立したそうです。ただ、内容は結婚セミナーと格安で利用できるいわゆるお見合いパーティーのような印象を受け、イベントであるにすぎません。そうすると、県が関与する意味が本当にあるのか疑問がないわけではありません。  言うまでもなく、人は皆それぞれ事情があり、結婚するしないは個人の問題であることには変わりはありません。少子化対策は社会全体の問題であるから、まず独身者を結婚させなければならないということは理解できないわけではありませんが、せっかく県が関与するのであればより効果的な継続的な取り組みもしていくべきではないでしょうか。その意味で、中川議員の質問にもありました若年者雇用は結婚支援にもつながるものと考えられます。  そして、同時に、そもそも結婚支援の前提ともいえる独身者、特に若者の結婚に対する意識、家庭観、結婚観といったものを醸成していくことが何よりも重要と考えますが、いかがでしょうか。  また、婚活サポーターの活動は、地域において結婚を希望する方の相談や独身の方の結婚に対する意識醸成にあると考えます。婚活サポーターの現状と課題について伺います。  さらに、市町村等もそれぞれ運営する結婚相談所において結婚支援をしておりますけれども、現状と課題について伺います。  そして、県は、婚活サポーターや市町村等の結婚相談所の活動に対して広域的な連携を促すことで出会いの機会を拡大させていくことが重要だと思いますが、どのような施策を実施しているのか。伺います。  以上4点を県民文化部長に伺います。       〔県民文化部長青木弘君登壇〕 ◎県民文化部長(青木弘 君)結婚支援につきまして4点御質問をいただきましたので順次お答えをしたいと思います。  まず1点目でございますが、若者に対する意識の醸成という観点でございます。  結婚に対する意識につきましてことし7月に県が行いました意識調査によりますと、独身者のうち約7割がいずれは結婚したいと思っている一方、結婚するつもりはない方が14%、わからないと回答された方も17%ございまして、まずは結婚することに対する意識を持っていただくことが重要ではないかというふうに考えているところでございます。  こうしたことから、県では、一昨年の6月でございますけれども、ながの結婚・子育て応援宣言を発表させていただきまして、県民の皆さんとともに結婚や子育てに対する意識醸成に取り組んでいるところでございます。  現在、177の団体、それから509名の方に賛同をいただいておりますけれども、こうした中で、地域において結婚を支援していただく、先ほどもお話ございました婚活サポーターに加えまして、企業におきましても県の結婚支援情報等を社員に紹介いただく社内婚活サポーターの登録をお願いするなど、地域や勤務先において結婚の意識を高めていただくといった取り組みもさせていただいてございます。  また、若者の方の意識の醸成、大変重要でございますので、若いうちから結婚や子育てを意識していただくことが大事だというふうに考えてございまして、そこで、高等学校におきましては子供との触れ合いを体験していただく子育て理解教育でございますとか、それから、高校、大学、新成人に妊娠、出産に適する時期や不妊予防に関する健康教育をするライフデザインセミナーによりまして妊娠、出産を含めました将来設計を描けるような教育、これは、県教委、それから健康福祉部とも連携する中で進めさせていただいているところでございます。  それから、婚活サポーターの現状と課題についてでございますけれども、地域で結婚を希望する方の応援をボランティアで行っていただきます婚活サポーターは、活動も3年目になってまいりました。11月末現在で505人の方、それから137団体に登録をいただいてございまして、9月までの活動実績で申し上げますと、2,000件を超える相談に応じていただき、39件の成婚のお世話をしていただいている状況でございます。  一方で、課題でございますけれども、地域内での活動が中心でございまして、相談者に関する情報が限定されること、それから、そもそもどのように相談に対応したらよいか悩まれる方も多いというふうにお聞きしてございまして、そこで、昨年度から県におきましては婚活コーディネーターを配置いたしましてサポーター活動を支援しているところでございます。例えば、昨年1年間では1,155件の相談に応じてまいったところでございます。  このほか、現在、地域におきましてサポーター同士が情報交換をいたしまして個々の活動を活性化する学習グループが10できてございますけれども、今後、各地域で学習グループが立ち上がって、多くのサポーターが気軽に相談できる組織を広げていくことも非常に大事ではないかなというふうに考えてございます。  それから、市町村等が運営する結婚相談所についてでございますけれども、結婚を希望する方々の直接のお見合いにつなげる支援ということでは市町村や社会福祉協議会等が行っていただいているところでございまして、これら市町村等の公的な相談所は県内に66ございます。地域においてきめ細かく相談に対応していただいている状況でございます。  この相談活動につきまして昨年度の実績をまとめたところ、相談所に登録されている方は総数で6,250人に上りまして、144組の成婚実績を上げていただいてございます。成婚件数は平成22年には90組でございましたので、5年間に約1.5倍ということで実績を伸ばされておるわけでございますが、一方、課題といたしましては、実際に相談業務をされている市町村等からは、高齢化等から相談員の確保が大変でございますとか、それから相談内容が多様化してございまして相談員の資質向上が求められるといった課題が挙げられてございます。また、相談業務が行われていない市町村もあることから、近隣の市町村間での情報交換ができないといった課題もいただいているところでございます。  サポーターや相談所の広域的な連携を促す取り組みでございますけれども、御指摘いただきましたように、婚活をされる方々に対して出会いの機会を拡大していく支援が大切ではないかと考えてございまして、そのためには広域的な情報交換、連携が重要でございます。  そういった意味では、婚活サポーターにつきましては、昨年度から結婚相談者の情報を持ち寄る情報交換会を開始してございまして、今年度も2回開催してございます。ふだんは情報交換できないほかの地域のサポーターとの情報交換によりまして互いの活動の活性化につなげていくということでございまして、多くのサポーターに参加いただくことで出会いの機会の拡大、広域化につなげていきたいと考えてございます。  また、市町村等の相談所につきましては、県が長野商工会議所と共同で運営いたします結婚を希望する方のデータベースでございます、ながの結婚マッチングシステムを活用することで情報を共有してございまして、地域に限定されない出会いにつなげていただいているところでございます。  現在、600人を超える方に登録をいただいておりますけれども、より多くの方に登録いただきますことでデータベースとしての機能が発揮できるというふうに考えてございまして、引き続き、システムを利用いただいている相談所をふやしまして、どの地域でも登録できる体制を整備していきたいというふうに考えてございます。  あわせまして、県内企業に対しましては、先ほど申し上げました社内婚活サポーターを通じまして県の結婚支援事業をPRし、登録者の拡大に努めてまいりたいというふうに考えてございます。  以上でございます。       〔7番小川修一君登壇〕 ◆7番(小川修一 君)先ほど、高校生、大学生、新成人にライフデザインセミナーなどを開催してというお話がありました。先ほどの中川議員の若年者雇用のときの御答弁にもありましたが、職業観、就労観の醸成といったものも大事ですけれども、結婚観、家庭観の醸成、できればキャリア教育などとあわせて、広く人生設計といいますかライフプランを立てていくという機会をつくることを希望いたします。  二つ目の質問に入ります。児童養護施設の入所児童の自立についてです。  初めに、児童養護施設について確認しておきたいと思います。児童養護施設とは、児童福祉法に定める児童福祉施設の一つであります。児童福祉法41条では、「児童養護施設は、保護者のない児童、虐待されている児童その他環境上養護を要する児童を入所させて、これを養護し、あわせて退所した者に対する相談その他の自立のための援助を行うことを目的とする施設」と定義されています。  「環境上養護を要する児童」とは、父母と死別した児童、父母に遺棄された児童、父母の行方不明、長期入院、拘禁、離婚、再婚、心身障害など家庭環境不良の児童、保護者がいても児童虐待を受けている児童のように、保護者の健康上、経済上の理由などで監護を受けられない児童、または保護者のもとで生活させるのが不適当な状況にあると児童相談所が判断した児童です。  児童養護施設はかつて孤児院と呼ばれていましたが、現在、孤児は少なく、親はいても養育ができずに預けられている場合がほとんどです。特に、虐待のため実の親から離れて生活をせざるを得なくなった児童の割合は増加しています。  児童養護施設入所児童は、施設入所以前の家庭環境や児童相談所での一時保護により学校に通うことができなかった期間があるため、一般の児童に比べて基礎学力が不足していると言われています。そこで、学習支援、学習意欲の向上が必要になってきますが、しかしながら、施設職員の負担は大変に大きく、学習支援を十分にし切れない実情もあります。  県の総合戦略の基本方針である「信州創生を担う人材の確保・育成」という点からも、子供にしっかりとした基礎学力を身につけさせ、また、自信を持って本人の希望する進路に進めるように将来の自立をサポートしていくことが肝要であると言えます。  そこで、県民文化部長に伺います。  まず、先ごろ、「長野県「子どもの声アンケート」」の結果概要が速報で発表されました。アンケートの「将来進学を希望する学校種」という質問に対して、大学まで行きたいと回答した児童の割合は、ひとり親家庭で35.4%、里親委託児童で36.4%でした。そして、児童養護施設入所児童のうち、大学まで行きたいと回答した児童の割合は12.8%でした。これは、ひとり親家庭や里親委託児童の回答と比べ、かなり低い結果であります。こうした現状をどのように捉えているのでしょうか。  また、2014年9月から11月に実施された国立青少年教育振興機構の調査によれば、日本の高校生はネガティブ思考の割合が高いと言われています。自分はだめな人間だと思うことがあるという質問に対して、とてもそう思う、まあそう思うという回答の合計が72.5%でした。親からの虐待を受けた子供たちのネガティブ思考の割合はさらに高いと推測されます。  児童養護施設で育った子供たちが、ネガティブ思考ではなく、自分に自信を持って社会に巣立ち、社会の一員として自立していくために県としてどのような施策を講じているのでしょうか。       〔県民文化部長青木弘君登壇〕 ◎県民文化部長(青木弘 君)まず1点目、児童養護施設入所児童の進学希望の関係についてのお尋ねでございますが、子どもの声アンケートでは、将来進学を希望する学校種や将来の希望をかなえるために必要なもの等について質問をさせていただきまして、子供自身の気持ちをアンケートにより答えてもらったわけでございます。  児童養護施設で暮らす児童のアンケートは、ひとり親家庭の児童と比べまして統計自体の母集団数が少ないため単純に比較することは難しいとは思いますけれども、大学への進学希望が低い背景といたしましては、一つには、児童養護施設に入所する児童のうち、障害でございますとか、発達障害、疾患のいずれかを有する児童の割合が5割を超えておること、54.4%、これは平成26年3月1日現在でございますけれども、それからまたお話にもございましたように、児童養護施設への入所に至る理由といたしまして、近年、親からの虐待を理由とした入所が約5割を占めていること、これは49%でございますが、時点的には平成27年の11月1日現在でございます。  こうしたことで、虐待という理由から入所されている子供が多いわけでございますけれども、虐待を受けた子供につきましては、情緒や行動、自己認知など非常に広範囲で深刻なダメージを受けてございまして、子供たちから自信を獲得することを妨げるとの国の専門委員会からの指摘もあるところでございます。  児童養護施設入所に至るまでの子供たちのこうした背景が、このアンケートの結果にあらわれたものと認識をしているところでございます。  それから、2点目の児童への自立支援施策についてのお尋ねでございます。  親からの虐待によりダメージを受けた子供たちに安心感を持てる場所を提供し、自信を取り戻してもらう役割が児童養護施設には求められてございまして、また、施設から自立していく子供たちができる限り一般家庭の児童と公平なスタートラインに立って社会に自立していけるよう自立支援の充実を図ることは重要なことと認識してございます。  このため、児童への心理的ケア等を行う職員を配置した場合や、児童養護施設等に入所している児童が就職、または進学の際にかかる費用について措置費による支援を行っているところでございます。
     また、今年度から、大学等に進学する児童への支援といたしまして民間からいただいた寄附を活用して県単独の給付型奨学金制度を創設するとともに、子供たちの将来の自立に向けた社会性を養うため施設が行う体験旅行の費用へ県単独で補助をしているところでございます。  また、退所後も自立援助が必要な児童に対しましては、児童相談所、児童福祉施設、学校等と緊密に連携を図りながら相談や定期的な訪問を行う等、子供の自立に向けまして引き続き必要な援助を行ってまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。       〔7番小川修一君登壇〕 ◆7番(小川修一 君)御答弁いただきました。  子供や若者のライフデザインの希望実現、そして若い世代が多様な夢と希望を持てる長野県にするため、結婚支援、学習支援、就労支援などさまざまな角度からの取り組みを期待いたしまして、私の質問を終わりにいたします。 ○議長(西沢正隆 君)この際、午後1時まで休憩いたします。         午前11時43分休憩          ──────────────────         午後1時1分開議 ○副議長(小島康晴 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  山口典久議員。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)初めに、地域経済の振興、製造業の支援について質問をいたします。  10月22日に決定された長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戦略では、「信州創生の基本方針」の一つとして「活力と循環の信州経済の創出」を挙げ、「信州らしさを伸ばす突破策」として、価格決定力のある製造業への転換、日本一創業しやすい県づくりなどが掲げられています。  そして、重要業績評価指標として、製造業の労働生産性を平成24年度1人当たり1,184万2,000円から29年度には106万円増の1,290万円に引き上げるとしています。今後5年間の具体的な施策として、付加価値の高い製品づくり、販路開拓の促進や地域を牽引する中小企業の育成なども打ち出されているところであります。  言うまでもなく製造業は長野県で最も大きい生産額を誇る産業であり、長野県経済の大黒柱です。  私は、こういう立場で、この間、中小企業の製造業の現場を訪ねて直接お話も伺ってまいりました。  南信地方のある企業は、自動車や航空機の部品の製造にかかわり、独自の製品開発も行う中で、価格決定も基本的に自社で行っております。悩みの種、後継者もいるということです。そういう意味では元気な企業の一つだと言えると思います。  ところが、この経営者とお話をしても、例えば価格の決定力を全体としてどうやってつけていくかということでは、大手や取引先から利益が出ないと言われればコストをダウンせざるを得なくなること、また、特殊な技術を持っていても品質や一定の量産体制、安定性が大企業には認められる必要があること、さらに、日本経済のあり方についても、重層的な下請構造の現実なども指摘され、価格の決定力を持つ製造業への転換について、それは大事なことだけれども、現実は容易ではなく、夢のような話だと語られました。元気な企業をもってしても、これが現実であります。  私は、現場には困難や課題がさまざまあって、改めて足を運ぶことの大切さを実感したところであります。  そこで、お伺いいたします。  長野県は、現場の実態、生の声や要望をつかむためにどのような取り組みをされているのでしょうか。  この間、製造業をめぐる環境は大きく変化してきています。付加価値の高い製品づくり、成長期待分野への展開、販路の拡大も求められています。一方、長野県の製造業は、関係者の皆さんの努力もあって、安定した仕事の流れや生産量の拡大が長い間定着してきました。そのために、新しい技術や分野への挑戦がかえって難しくなっている面があると思います。また、生産も営業や管理も経営者が一手に担っているような企業もあります。新しい流れに長野県内の中小企業が対応していくためには、意識の改革も含めた具体的な手厚い支援が必要ではないでしょうか。  東京の大田区では、独自の制度をつくり、中小企業診断士など専門家を無料で派遣して経営革新計画を作成し、そして、その計画の実行に当たっては上限50万円まで直接支援を行っています。この制度は、小規模な企業に焦点を当て、簡易に事業計画が策定できるもので、派遣する専門家については、俯瞰的な視野は必要だけれども上から目線はだめだ、まさに経営者の目線で経営者の話を聞き、そして計画づくりを応援する、こういう中小企業診断士、税理士を登録し、企業の求めに応じて派遣しているということです。利用した企業の7割以上から使ってよかったと評価されているそうです。  長野県でも、中小企業診断士など専門家の派遣、経営革新計画の策定など、非常に有効な取り組みだと私は考えます。県として、もしくは県と市町村の共同で経費の助成をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。  下請の中小企業では、自動車関連の親企業は過去最高の利益を上げながら単価のカットが強要されて、この年末、一時金も支給されない、また、親会社の要請で巨額の投資をした製造ラインが海外シフトのしわ寄せで突然必要ないと迫られて途方に暮れている企業もあります。深刻な実態です。大企業や親会社の社会的な責任も問われる問題でもあります。長野県として、相談窓口を設ける、また、余りにもひどい事例については調査や企業名の公表などを行うことを考えられないでしょうか。  以上3点について産業労働部長にお伺いをいたします。       〔産業政策監兼産業労働部長石原秀樹君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹 君)3点順次お答えいたします。  まず、中小企業の実態把握についての御質問でございます。  産業労働部では、景気動向調査を、県内の製造業300社、非製造業400社を対象に年4回実施しております。特に製造業につきましては、書面調査に加え、県職員が毎回65社の企業に直接出向き、最近の業況、生産量、収益率の状況、経営上の課題などを伺っております。さらに、県中小企業振興センターにおきましても、任意に抽出した200社を対象に経営動向調査を実施し、中小企業の実態把握に努めております。  最近のこれらの調査からは、経営上の課題として受注量の減少や求人難を挙げる中小企業が多く、これに伴い、中小企業の経営者は今後の対策として取引先の拡大、人材の確保と養成が必要と考えております。  次に、中小企業診断士の派遣とその経費についての御質問でございます。  御指摘のとおり、中小企業診断士など専門家を派遣して中小企業の経営支援を行うことは大変効果的なことと考えており、現在、中小企業振興センターの専門家派遣事業の中で進めております。この事業では、中小企業における経営、技術、海外展開、マーケティングなどさまざまな課題に対応できる専門家約700名を希望する中小企業に紹介し、1企業当たり6回をめどに企業の求める支援を実施しております。  なお、経費につきましては、これまでは全ての事業者に2分の1を御負担していただいておりましたが、県版地方創生総合戦略の対策の一つとして、創業間もない5年以内の事業者につきましては創業支援の観点から全額県が費用負担できるよう、この9月補正で充実強化したところでございます。  本来、企業の経営計画の策定は各企業が責任を持って主体的に取り組むべきものと考えております。しかし、中小企業が行う付加価値の向上につながる研究開発や販路拡大などモデル的な事業などにつきましては、国などの助成金や制度資金などを最大限活用できるようお手伝いをしてまいりたいと考えております。  次に、下請事業者についての御質問です。  下請事業者の具体的な相談につきましては、現在、中小企業振興センターの下請かけこみ寺が中心となって対応しており、昨年度は34件の相談に対応してまいりました。また、毎年、国と連携して下請の適正化に関する講習会を開催するほか、親事業者約300社を対象に文書でその適正化を要請しております。  なお、不適切事案の調査や企業名の公表につきましては、下請中小企業振興法や下請代金支払遅延等防止法を所管する中小企業庁、公正取引委員会など国の機関で対応することになっております。  以上でございます。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)御答弁をいただきました。  長野県の製造業は生産額が10年間で2,600億円も大きく減少しています。こうした中で、総合戦略は、先ほども御紹介したように労働生産性を5年間で1人当たり106万円も引き上げる目標を掲げているわけです。私は、本当に企業も行政も県民も力を合わせなければこの目標の達成は困難だと考えます。とりわけ、きょうも頑張っている県内の中小企業の現場にどこまで足を運ぶことができるか、それが成否を左右するといっても言い過ぎではないと思います。  市町村とも協力しながら、長野県内製造業の中小企業、1万1,000社を超えています、この1万1,000を超える製造業の業者を全て訪ねるくらいの思い切った取り組みが必要だと思いますが、いかがでしょうか。産業労働部長に伺います。  また、支援の問題では先ほど御答弁もいただきました。具体的な支援の問題で、これは使い勝手のよさが必要になってくると思います。とりわけ、経営を改善する、振興する計画を立てた、それへの支援が求められているのではないかと思います。原材料や機械装置、工具の購入、または試作や改良に関する経費への補助など、申請書類の作成も含めて大変使いやすい制度をつくって好評な市町村が長野県内にも存在しています。ぜひ、そうした効果の上がる、使い勝手のいい、喜ばれる制度を生かして全県に取り組みを広げるためにこの支援制度をつくっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。産業労働部長の見解を伺います。  次に、浅川ダムの建設について伺います。  浅川ダムは、軟弱な地盤のために20年も建設予定地が定まらず、建設の目的が下流域の内水災害の防止から上中流域の外水災害の防止に変更されました。貯水型ダムは穴あきダムに変わるなど、目的も内容も大幅に変更がされてまいりました。  また、洪水時の流量の予測が過大に設定されていること、既に河川改修も進み費用対効果も大幅に減少していること、安全性についてもさまざまな問題がこの間指摘をされてまいりました。長野県北部では近年でも地震被害が発生をしております。こうした中で工事は進められてきたわけですが、現在の工事の進捗状況、また今後の計画はどうなっているのでしょうか。  次に、安全性と試験湛水について伺います。  この間、ダム堤体の直下を走るFーV断層は活断層であるという指摘に対し、県議会でも知事からは安全性については念には念を入れて進めてきたという答弁もありました。しかし、活断層か否かの判断を行う最も重要とされる基盤に重なる新しい地層、つまりFーV断層上のれき層の調査はまともに行われてはおりません。ダム建設の安全性に責任を有する長野県は、これが断層活動とは無縁のものであるということを立証すべき責任があると考えますが、立証はされておりません。  さらに、地すべりの問題です。そもそも流水型ダムにおいては、水位の低下が急激になり、事前の降雨量によっては土壌が湿潤状態になって地すべりによってダム下流域に深刻な被害が出る可能性もあるとされているところです。また、技術検討委員会でも大規模地すべりの危険性があるとしてボーリング調査を求められても、極めて不十分な調査で危険斜面の証拠がないと判断をしてしまいました。さらに、この間、岩盤遮水のためのカーテングラウチング工等の契約変更がなされ、工事費が増額をされてきた経緯もあります。  こうした中でこのまま工事を続行していくこと、とりわけ完成後の試験湛水には大きな不安を抱かざるを得ません。  奈良県川上村の大滝ダムは、試験湛水が始まって間もない2003年4月、地層に水が入り込んで地すべりが発生し、全37世帯77人が移転を余儀なくされ、総事業費も大幅に膨らんでいます。  以上のことから、必要な調査や検証を行うこと、安全性が担保されるまでは試験湛水を行うべきではないと考えますが、いかがでしょうか。  以上、阿部知事に見解を伺います。       〔産業政策監兼産業労働部長石原秀樹君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹 君)2点順次お答えさせていただきます。  まず、中小企業の支援についてでございます。  昨年春につくられました中小企業振興条例、これに基づきまして私どもは中小企業に対する支援を行っているわけですが、長野県だけではなく、関係機関、これが全体となって応援するという形になっております。  各企業を訪ねるということはとても重要なことと考えておりますので、商工会、または商工会議所、または地域の金融機関、これと連携いたしまして中小企業の課題につきましてお話をお伺いしてまいりたいなと考えております。  次に、支援制度についてでございます。  産業労働部といたしましては、この夏に、創業間もない企業のための全額負担という新しい制度をつくってまいりましたので、当面は、創業に対しましては全額負担、その他の起業に対しては2分の1負担、これで進めてまいりたいと考えております。  ただ、具体的な事案でモデル的な事業がございましたならば、これは国の制度を十分活用できるような形で応援してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)浅川ダムの建設についての御質問でございます。  まず、進捗状況及び今後の見通しについてということでございます。  浅川ダムの建設につきましては、昨年度中にダム本体の工事をおおむね完了させ、貯水池内の地すべり対策であります押さえ盛り土や管理棟の建築も本年9月末までに終了しているところでございます。  現在、ダムの管理に必要な観測機器の設置あるいは管理用道路の整備などを進めているところでございます。  来年秋からは試験湛水を行い、平成28年度末にはダムが完成予定という状況でございます。  続きまして、試験湛水についての御質問でございます。  浅川ダムにつきましては、これまでも、地質、断層、地すべり、こうしたものにつきまして文献調査、現地調査、地質調査などさまざまな調査を行い、安全性の確認をしながら進めてきているところでございます。  工事におきましては、ダムや地質の専門家など6名で構成されます浅川ダム施工技術委員会を設置をいたしまして、委員の専門的な御助言もいただきながら押さえ盛り土工など必要な地すべり対策を進めてきているところでございます。  試験湛水につきましては、ダムが通常の管理に移行する前に、ダム本体、基礎地盤、貯水池周辺斜面などの安全性を確認するために実施するものでございまして、ダム事業においては必要不可欠であり、安全性を確認するという上からも計画どおり実施をしてまいりたいと考えております。  以上です。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)石原産業労働部長から御答弁をいただきました。前向きな御答弁をいただけたと思います。ぜひ関係団体、業界とも連携し力を合わせながら、そうはいってもこの中で足を踏ん張って頑張っている中小企業と語り合い、互いに力を合わせて長野県の経済の再建に奮闘していただきたいと思うわけであります。  次に、浅川の問題についてであります。  今知事から御答弁をいただきました。今の進捗状況についてもお話をいただいたわけですが、内水対策についてです。  中長期の整備の目標として、毎秒21トンの浅川排水機場の増設、千曲川合流点から200メートルから1.7キロメートル区間における堤防のかさ上げ並びに商業施設周辺への二線堤の設置、この二線堤は商業施設の来場者を浸水被害から守るためだということでありますが、いずれにしてもこの三つが示されているところです。  とりわけ21トンの浅川排水機場の増設ですが、これはいつごろをめどに整備する計画でしょうか。そもそも21トンの排水機場は浅川ダムの完成までに設置するという約束だったと思いますが、いかがでありましょうか。  排水機場の確保は、県の説明でも、ダムの建設で懸念される内水被害の悪化を解消するためということですから、いずれにしても早期の完成が求められているのではないでしょうか。知事の答弁をお願いをいたします。  また、下流域の住民の皆さんの間では、ダム建設の賛否を超えて遊水地の設置を求める声が強くあります。例えば、大きな遊水地ではなくても、北堀や中の池に建設中の雨水調整池を下流域につくって対応していただくことはできないでしょうか。住民の皆さんからもそういう要望が出されています。知事にぜひ御検討をお願いしたいと思います。雨水調整池の設置をお願いいたします。いかがでしょうか。  また、試験湛水について御答弁をいただきました。地すべり調査対策マニュアルの改定版でも、湛水によって発生した地すべりのうち約6割は初期湛水時、つまり、試験湛水のときに6割の地すべりが発生しております。そのほかは2回目以降の湛水時に発生をしております。初期湛水では貯水位上昇時に、つまり水がふえている段階で、2回目以降では貯水位低下時に地すべりが発生する傾向が見られると地すべり調査対策マニュアルでも言われています。改めて試験湛水の危険性は明らかだと思うんです。その試験湛水の前に、調査、必要な対策を求めたいと思いますが、いかがでしょうか。  以上2点について阿部知事にお伺いをいたします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)浅川ダムの関連についての追加の御質問でございます。  まず、内水対策につきましては、これは、ダム建設のときにもさまざま御意見をいただく中で、やはり内水対策もしっかり取り組んでいくことが必要だというふうに認識しております。  そういう意味で、この内水対策、ダム完成時を目途に取り組んでいくことが必要だということで私から建設部にも指示をしているところでありますので、今の現状については後ほど建設部長のほうから御答弁をさせていただきたいというふうに思います。  それから、試験湛水につきましては、これは、先ほど申し上げましたように、安全性を確認していく上では計画どおり実施していくということが重要だというふうに考えておりますので、地すべり対策等これまでも行ってきたわけでありますが、この試験湛水もしっかり行うことによって安全性の確認をしっかりと行っていきたいというふうに考えております。  以上です。       〔建設部長奥村康博君登壇〕 ◎建設部長(奥村康博 君)浅川の内水対策についてというところでございます。  特に排水機場の増設についてというところでございますが、これは予定どおり平成28年度浅川ダムが完成されるまでに排水機場の排水機能をきっちりと持たせるというところの工事は完成させるという予定で進んでおります。  若干の関連工事は29年度以降残りますが、排水機能は平成28年度中に確保できるように頑張りたいというふうに思っております。  以上でございます。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)私がお聞きしたのは、21トンを設置する予定の排水機場について、14トンが完成するということで、残りの7トンはいつ設置していただけるのでしょうかということであります。建設部長に再度答弁をお願いしたいというふうに思います。
     続いて、長野県と長野市の保健所の共同設置について伺います。  これは2011年度の地方自治法の改正で可能になったと言われております。実現すれば全国で初めてということです。この共同設置に関しては、一つの医療圏に二つの保健所があることで窓口で混乱が生じていることなどがその理由に挙げられています。では、現実にはどのような混乱が生じているのでしょうか。具体的に教えていただきたいと思います。  また、共同設置を行うことでどのような効率化が図られるのでしょうか。お伺いをいたします。  共同設置によって庁舎や業務システムの改修が当然必要になろうかと思いますが、新しい庁舎を建設するんでしょうか。場所はどのように選定するんでしょうか。予算の規模はどれくらいを見込んでおられるのでありましょうか。  次に、そもそも、長野市が中核市となり、市の保健所が16年前に設置されたときに、その時点で混乱や効率の低下は予測できたことであり、対策がとられてきたのではないでしょうか。なぜ今改めて必要なのでしょうか。見通しの甘さがあったと思いますが、いかがでしょうか。  以上、健康福祉部長に伺います。       〔建設部長奥村康博君登壇〕 ◎建設部長(奥村康博 君)浅川の排水ポンプ場のさらなる増設の予定というところに関する御質問でございます。  現在のところ明確に何年度というようなところは申し上げられませんが、なるべく早期に整備できるように我々としても努力してまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔健康福祉部長小林透君登壇〕 ◎健康福祉部長(小林透 君)県と長野市の保健所共同設置検討につきまして順次お答えをいたします。  まず、現実の混乱の有無についてでございますが、議員御指摘のとおり、平成11年4月に長野市保健所が設置して以来16年間を経過した現在でも、例えば住民や事業者からの問い合わせや届け出について市の保健所にすべきものが県の保健所になされるというような、市と県の保健所を混同する事例があると聞いているところでございます。  次に、共同設置による効率化についてでございますが、県として現時点で考えているところでは、新たな共同設置保健所に窓口を一本化した統合窓口を設置することにより、問い合わせや圏域全体の許認可手続等にワンストップで対応したり、管轄区域をまたがる災害や感染症発生時に県と市による一体的で迅速な対応が可能になることなどが挙げられます。  それに加え、長野市においては、医師である保健所長や獣医師、薬剤師、臨床検査技師などの専門職の確保がしやすくなり、また、多様な職場を経験した県職員とともに勤務することで採用後のスキルアップも図りやすくなるなどの効果があると考えられているところでございます。  次に、庁舎や業務システムの改良予定、予算の見込みについてでございますが、保健所の共同設置については、11月17日に、県、長野市、県長野保健福祉事務所管轄市町村をメンバーとする検討会議を立ち上げたところでございます。  今後、共同設置による効果や課題の整理、関係市町村への影響、組織、設置場所などをその中で検討することとしてございまして、議員御指摘の新しい庁舎、場所などを含めた庁舎や業務システムの改良についても、例えば管理業務の効率化ですとか施設設備の共用などが想定されますが、その中で検討していく予定としてございます。また、予算についても、そうした課題を整理する中で見込んでまいりたいと思います。  次に、保健所設置時点での見通しについてでございますが、中核市は地域保健法及び地域保健法施行令の規定に基づき保健所を設置することとされていることから、長野市において中核市への移行にあわせて保健所を設置したものでございます。  以来、長野市は、設置した保健所において、保健所業務とともに、母子保健や生活習慣病予防などの市町村業務を一元的に実施し、企画立案からサービス提供まで一つの組織で対応してまいりました。こうした利点を生かして長野市は独自の施策を展開することができ、それが住民サービスの向上につながっているものと認識してございます。  その一方で、議員御指摘の長野市内に二つの保健所窓口ができることや、県保健所の管轄区域が虫食い、飛び地になることも当時から認識してございました。それに加え、近年は、日常生活のさらなる広域化や行政需要の高度化、専門化への対応などとともに、少子・高齢化や人口減少社会の到来により一層の事務処理体制の効率化も求められてございます。  また、そうした状況を踏まえ、平成23年度の地方自治法改正により新たに対象が機関に拡大され、共同設置が幅広く可能となりました。  そこで、今回、そうした新たな共同設置制度を用い、長野市保健所が築き上げてきた独自の取り組みを生かしながら、それを長野圏域にも広げることなどにより住民サービスのさらなる向上につなげることができないかという視点で、県と長野市とともに関係市町村を加えて保健所共同設置の検討を始めたところでございます。  以上でございます。       〔4番山口典久君登壇〕 ◆4番(山口典久 君)建設部長からは、残り7トンについてはいつ設置するか申し上げられないというお話でしたが、住民はそれでは困ります。住民は内水被害の不安にさいなまれています。責任を持ってこの7トンの排水機場は早期に設置すべきであることを求めます。  ただいま、健康福祉部長からは保健所の共同設置についてお話を伺いました。これまで県は保健所を統廃合して実施してまいりました。統合先にありきではなくて、県民の意見もよく聞きながら進められることを要望して、私の質問を終わらせていただきます。 ○副議長(小島康晴 君)次に、埋橋茂人議員。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)信州・新風・みらいの埋橋茂人でございます。最初に、環太平洋パートナーシップ、TPPについてお伺いをいたします。  21分野35章にもわたりますTPP交渉が大筋合意に至ったということですけれども、合意に至るまで交渉経過の情報開示がほとんどありませんでした。また、合意内容もまだつまびらかにはなっておりません。  臨時国会がその上開かれないまま、国内での議論も十分とはいえず、本当に極めて遺憾な状態だと言わざるを得ません。  また、多くの自治体からの意見書や国会決議、農産物の重要5品目を守るとの政府の約束も守られたとは到底言える内容ではなく、多くの市町村長や影響を受ける各層の皆さんから強い懸念が示されています。これからどうなるんだという声に対しても県が真剣に耳を傾け、十分な対策をとるよう要望し、質問をします。  まず、TPPの県内産業への影響について質問をいたします。  大筋合意を受けて知事はコメントを出されていましたが、順次明らかになってきた合意内容を踏まえ、改めて以下の点について御見解をお聞かせください。  まず、二つ知事にお尋ねいたします。  一つは、長野県にとってプラス面とマイナス面についてあるというふうにお話をされていましたが、ここをもう少し詳しく、どう考えておられるのか。お伺いしたいというふうに思います。  二つ目、ここが大事なわけでありますが、TPPを踏まえて長野県の産業構造や地域経済をどのような方向に誘導していくのか。お考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)TPPについての御質問でございます。  まず、県内産業への影響をどう考えているかという御質問でございます。  TPP協定によりまして参加国の関税のほとんどが撤廃、削減されていくということになるわけであります。また、通関手続等の迅速化も図られるわけでありまして、大きなグローバル経済圏が誕生してくるという形になります。これは、プラス面、マイナス面、両面あり得るというふうに思っております。  まず、プラス面でありますけれども、製造品出荷額の6割超を自動車部品を含む加工組み立て産業が占めているところでございます。今回のTPP協定、最大限活用することにより、輸出増加等、県内製造業に対してはプラスの影響が見込まれるところでございます。  他方で、御懸念いただいております農業でございます。農畜産物に対しましてはマイナスの影響が出てくるということが懸念をされているところでございます。これまでの農業関係者の皆様方との意見交換におきましても、価格下落に対する不安、あるいは競争力強化への支援の必要性、こうしたさまざまな御意見を頂戴しているところでございます。  県としては、長野県TPP農業分野等対策本部を設置いたしました。農業分野を特に中心にしまして、影響把握、あるいは農業経営への総合的な対策の推進に取り組んでいきたいと考えております。  そういう中で、2点目の御質問でございますが、産業構造、地域経済の方向性ということでございます。  10月に策定いたしました人口定着・確かな暮らし実現総合戦略におきましては、本県経済の方向性として、経済のグローバル化を視野に入れ、「活力と循環の信州経済の創出」という基本方針を掲げたところでございます。  具体的には、海外市場に対する対応力の強化等によりまして県内産業の稼ぐ力を高めていきたいというふうに思いますし、あわせて、地域資源を活用して地消地産、自立的な地域経済循環の拡大を目指していきたいと考えております。  稼ぐ力の向上に関しましては、県内産業、国際的な競争力を強化していかなければいけません。こうしたことから、成長期待分野、航空、宇宙でありますとか、健康、医療、こうした分野における新技術あるいは新製品の開発を促進をしていきたいと考えています。  また、県庁内の産業イノベーション推進本部に新しく輸出促進タスクフォースを設置いたしました。ここを中心といたしまして、すぐれた工業製品、あるいは農業との関係での加工食品を含めた食品類、こうした県内製品の輸出拡大に向けて攻めの姿勢で取り組んでいきたいと考えています。  また、地域経済の循環についてでございますが、これは、農産物あるいは林産物等、長野県、非常に豊富な地域資源があるわけでございますが、必ずしも十分生かし切れていないのではないかというふうに思っています。地域内で消費するものを地域で生産していこうという地消地産の取り組みでありますとか、あるいは県民の皆様方にできるだけ県産品を使って愛用していただこうというバイ信州運動なども推進をしていきたいと考えております。  特に農業につきましては、これは国の政策の動向も極めて重要だというふうに考えております。先般も、私、農林水産政務官に対しまして直接具体的な要請をさせていただいておりますが、担い手の育成支援、あるいは本県の重要な農産物である園芸関係、さらにはTPPの影響を比較的大きく受ける可能性がある畜産の分野、こうした分野の生産体制の強化に向けた支援の拡充、引き続き国に対して強く求めていきたいというふうに考えております。  こうした中で、農家の経営体の経営安定をしっかり図りながら、農業が力強い産業となるように関係団体の皆様方とも一緒に取り組んでいきたいと考えております。こうした取り組みを通じて、活力と循環の信州経済の創出を図っていきたいと考えております。  以上でございます。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)ありがとうございました。かなり今知事にお答えをいただいてしまいましたけれども、重複の部分もお許しをいただいて産業労働部長にお聞きをしたいというふうに思います。  長野県は御案内のとおり内陸県でございまして、港まで輸出入ともコストが非常にかかります。したがって、工場立地にも大きな制約があるわけですが、しかし、長野県の先人たちは、このハンデに負けず、新産業都市が指定されたとき、多分、内陸で唯一松本諏訪圏が指定されたというふうに思っています。今知事がおっしゃられたような高い技術力を生かして精密や電機、部品などの産業を興してこられたわけでありますけれども、TPPでさまざまな国境措置がなくなるわけでありますので、工場が海外移転することにあわせて国内においても立地シフトが起きるであろうというふうに想定されます。要するに、海岸端へ工場が移っていってしまうんではないかということでございます。  このような状況の中で、長野県の目指す企業の本社、研究機関の移転等々を進めておられますが、こういう状況を踏まえて県内立地に適した企業やものづくりはどんなものを重点とすべきというふうにお考えなのか。知事の答弁を踏まえて具体的に御説明をいただきたいというふうに思います。       〔産業政策監兼産業労働部長石原秀樹君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹 君)お答えいたします。  TPPによる企業誘致やものづくりへの影響と対応重点項目についての御質問でございます。  TPPは、参加国間で自由な貿易を推進し、新しい交易ルールをつくるものと考えております。関税という外部要因の撤廃または縮小は、これまで以上に各国で生み出されている製品やサービスの持つ競争力や強みが直接取引に影響するものと考えております。したがいまして、これまで蓄積してきた強みをさらに伸ばすという視点で今後対応することが重要と考えております。  そのため、長野県といたしましては、本県の強みである精密技術を核として、航空・宇宙分野のセンサーや医療機器など高度な精密技術を必要とするものづくりや研究開発を重点的に推進するとともに、長野県の産業に関連する企業の本社機能や研究開発機能の誘致を積極的に進めてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)ありがとうございました。  続けて、地方創生へのTPPの影響、県版総合戦略への影響を伺います。  今知事にかなり説明をいただいたわけでありますが、TPPの大筋合意によって今回策定された地方創生・県版総合戦略にどのような影響があるのか。お伺いをしたいと思います。  県においても、先ほど知事がお話になったように対策本部を早急に立ち上げられたことについては評価いたしますが、農畜産業への影響が大きいことから地方創生に影響が出るのは必至だというふうに思います。  ついては、総合戦略におきましてTPPに特に影響を受けるであろう分野を三つほど挙げますので、おのおの考え方を示していただきたいと存じます。  まず、農政部長にお伺いします。  県版総合戦略においても課題提起されている人口減少については、農山村地域においてさらに著しいものになることは容易に想像できるところであります。農山村地域の基幹産業は農業であり、専業や兼業を問わず多くの方がそこで生活を営み、生産活動を通じてコミュニティーの維持も行われております。しかし、その大半が高齢者です。国が農業分野のグローバル化に伴い進めようとしている担い手への施策の集中だけでは、農山村地域の農業生産や農村人口、また地域コミュニティーの維持は困難なことが容易に想定されます。  県土の大半が中山間地域である本県において、どのように農業を守り、地域を守っていくのか。お聞かせいただきたいというふうに思います。  二つ目、農業の6次産業化が今回の対応策に大きなテーマとして挙げられておりますが、過去の例を見ましても、なかなか地域においては多数乱立で共倒れも起きております。また、今後も懸念されます。広域調整なり地域クラスターを構築していく必要があるというふうに思っておりますが、県はこれについてどのように関与していくおつもりなのか。お伺いいたします。  以上2点です。       〔農政部長北原富裕君登壇〕 ◎農政部長(北原富裕 君)農業関係の2点の御質問にお答えをさせていただきます。  初めに、農山村地域、特に中山間地域の農業の振興についてでございますが、中山間地域の農業を維持するためには農地や農業用施設を保全しつつ生産活動が継続されることがまずは重要と考えております。  このため、中山間地域農業直接支払制度などを活用しまして営農の継続を支援するとともに、農地中間管理事業による担い手への農地集積や集落営農組織の育成を進めてまいります。さらに、圃場整備や老朽化した農業用施設の改修などの基盤整備の促進によりまして耕作条件の改善と農地遊休化防止を図ってまいります。  また、御質問にありました地域コミュニティーの維持を図るためには、現在検討を進めておりますJA長野県グループと連携した農村地域の暮らし支援ですとか、農ある暮らしを希望し移住される方々を初め幅広い世代の就農を支援するなどによりまして、中山間地域の農業・農村を維持してまいりたいというふうに考えております。  次に、農業の6次産業化についてでございますが、本県の6次産業化の総合化事業計画の認定数は90件となっており、地域資源を活用した特色のある多様な取り組みが展開されているところでございます。  この中には、農業経営の多角化に向け農業者みずからが加工、販売を行う事業計画も多数見受けられます。これらの取り組みは農業者の所得向上に直接つながることから、今後も積極的に支援してまいりたいというふうに考えております。  県といたしましては、安定した経営が成り立つ事業となるように、経営管理の研修会ですとか、プランナー派遣による商品開発、販路開拓への支援、また事業開始のための資金相談など、きめ細かに支援をしてまいります。  また、農業者と2次、3次産業の事業者とが連携した規模の大きな6次産業化は地域の雇用拡大や活性化につながることから、広域的な調整ということの中では10広域に設置しました地域推進協議会を中心にしまして、市町村、農業団体、金融機関と一体となって事業化から事業実施のフォローアップまで一貫した支援を行い、これら比較的規模の大きな6次産業化の取り組みに対してもしっかりと推進をしてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)ありがとうございました。6次産業化、非常に難しいものがございます。ぜひ高いところから広域で特に調整をいただければというふうに思います。  次に、産業労働部長にお聞きします。  県民生活の土台となる地域経済の活力を高めというふうに総合戦略にございますが、TPPでそのような絵が、絵というのはプランですが、総合戦略どおり推進できるとお考えなのかということで、影響を受けるであろうものづくり、先ほど知事も触れられた地消地産、もしくは地産地消についてどんなふうにお考えなのか。お聞かせをいただきたいというふうに思います。  以上です。       〔産業政策監兼産業労働部長石原秀樹君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹 君)お答えいたします。  TPPの県総合戦略への影響についての御質問でございます。  まず、ものづくりにつきましては、TPPの大筋合意によりまして日本から参加11カ国に輸出される工業製品の99.9%の関税が最終的に撤廃されるなど、高度な技術に強みを持つ本県製造業にとってはさらなる輸出の促進が期待されます。  そこで、本県の優位性を確保し、さらに強化していくために、航空、宇宙や健康、医療など成長期待分野での産学官連携による新しい技術や新しい商品の開発に努めるとともに、すぐれた既存技術をもとに新たな事業展開を目指す中小企業や新たな課題に直面した中小企業に対しましては、専門家による集中的なアドバイスや複数の支援機関がチームとなってその新しい課題を迅速に解決するなど、支援体制を強化してまいりたいと考えております。  また、輸出促進のタスクフォースにおきましては、新たな市場開拓に向けた調査研究や健康長寿県である長野県の食の売り込みなどを積極的に進めてまいりたいと考えております。  次に、地消地産の取り組みにつきましては、県内の生産者と県内の消費者や加工事業者をつなげる形で県産品の消費拡大や新商品の開発などに取り組んでまいります。  具体的には、県内農産物を利用したメニューを提供する飲食店や宿泊施設の輪を広げるとともに、豊富な地域資源、高度な食品加工技術の強みを生かした新たな高付加価値食品づくりを推進してまいります。  また、エネルギー分野におきましても、木質バイオマスエネルギーの推進や電気自動車の活用による環境に配慮した観光地づくりなど、地域資源としてのエネルギーの活用を進めます。  このような総合戦略に掲げる具体的な取り組みによりまして、本県産業の稼ぐ力の向上や自立した地域経済循環を構築することによりまして、TPPの影響にも対応できる県民生活の土台となる地域経済の活力を高めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
          〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)しあわせ信州創造プランの上に地域総合戦略ということで大きなグランドデザインが二つあるわけですので、改めてTPPの対処方針をさらに乗っけていくというのは容易なことではないというふうに思いますが、地方版の総合戦略の中で県が言われているように、PDCAサイクルを回して所要の修正を柔軟に加えていっていただいて本当に厳しい状況に臨んでいただくことを強くお願いをして、この項の質問を終わります。  次に、地産地消、地消地産に密接に関連いたします学校給食等におけます県産農畜産物の利用促進について教育長に伺います。  貧困児童が非常に多い中で、学校給食による栄養摂取が重要性を増している状況も踏まえてお考えを示していただきたいというふうに思います。  学校給食に対する生徒の満足度、保護者の満足度はいかになっているか。お答えをいただきたい。  二つ目として、学校給食におきます県産品の占める割合と、その分母から長野県では自給困難な魚介類を除いた県産品の占める割合はどうなっているか。お示しをいただきたい。  三つ目として、学校給食の現状について、次の点、三つお願いしたいと思います。  生産、流通、1次加工、給食業者、学校の関係は、現状どんなふうになっているのか。  また、県内には給食センター方式と自校炊飯方式が混在をしておりますが、その割合を、食数比、イコールこれは生徒数比になると思いますが、と学校数比でお示しをいただきたいと思います。  今後の地消地産を基本とした学校給食における県産品の利用促進について県としてのお考えをお示しいただきたいと思います。       〔教育委員会教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊藤学司 君)学校給食に関しまして5点お尋ねをいただきましたので順次お答えを申し上げます。  まず初めに、学校給食の満足度についてのお尋ねでございますが、平成25年度に県教育委員会が栄養教諭や学校栄養職員と協力をして実施をしました児童生徒の食に関する実態調査の結果では学校給食を楽しみにしている小学生は7割弱でございまして、その理由としては、おいしいからが1位、友達と一緒に食べるからが2位、また、中学生では楽しみにしている割合は6割弱でございまして、その理由としては、おなかがすいたからが1位、おいしいからが2位でございます。  この結果は、9年前に同様の調査を行っている結果と比較いたしますと、小学生、中学生ともに楽しみと答えている割合が増加してきているところでございます。  保護者の満足度につきましては具体的なデータはとってはございませんが、各学校で給食試食会や保護者会での意見聴取などを通じ保護者の意見も聞きながら給食の改善に取り組んでいるところと認識をしてございます。  次に、学校給食における県産品の利用率についてのお尋ねでございます。  本県農政部が平成26年度に実施をした学校給食における県産農産物利用状況調査の結果によりますと、学校給食における県産品の活用率は43.8%でございます。また、同調査において魚介類を除いた活用率というものをはかりますと46.4%になっているところでございます。  次に、学校給食の生産から学校に納入されるまでの関係についてのお尋ねでございます。  学校給食用食材は、実施者である市町村教育委員会や各学校、調理場の物資選定委員会等で、その食材の実情や教育方針に応じて決定をされているところでございます。  主食である米につきましては、地産地消の観点から地元農協や直接生産者から仕入れる場合と、長野県学校給食会が全農長野県本部から仕入れる県内産米を納入する場合がございます。  また、野菜や果樹、キノコなどについては、地元農協等との協力や、農家や直売所、NPO法人などが学校給食応援団というような自発的な任意組織をつくり、協力し合って、季節ごとの食材を提供する取り組みも行われてございます。  調味料や加工品などその他の物資については、市町村教育委員会や学校、調理場ごとに一般競争入札等によって納入業者を決定しているところでございます。  なお、長野県学校給食会では、栄養教諭等と協力し、地場産物を活用した加工品の開発に取り組んでおり、現在、長野県産の果樹を使用したゼリーなど32品目が商品化され、学校給食に提供されているものもございます。  次に、調理場の方式ごとの割合についてのお尋ねでございます。  給食センター方式と自校方式の割合は、平成27年5月1日現在で、生徒数、食数で見ますと、センター方式が11万9,865食で70.1%、自校方式が5万1,049食で29.9%でございます。学校数で見ますと、センター方式が365校で66.1%、自校方式が187校で33.9%になっているところでございます。  最後に、県産品の利用促進についての考え方でございますが、学校給食に地場産物を活用することは、新鮮で良質な農産物が得られるばかりでなく、子供たちが食材を通じて地域の自然や文化、産業等に関する理解を深め、ふるさとを愛する心や生産者への感謝の心が育まれるなど、食育の面でも大きな効果が期待できるものと考えております。  このため、県教育委員会では、栄養教諭や学校栄養職員の研修会等において県産物を活用した食に関する指導を推進するとともに、県農政部が実施する「旬ちゃん学校訪問」の積極的な活用の周知や、長野県学校給食会との共催による「学校給食に地場産物を活用した献立コンクール」の開催などに取り組んでいるところでございます。  学校給食における県産農産物の利用率はこの5年間で5%上昇するなど、第2次長野県食育推進計画に掲げた目標達成に向けて確実な成果があらわれており、今後も、県農政部や長野県学校給食会と連携し、学校給食における地場産物の利用促進に取り組んでまいる所存でございます。  以上でございます。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)ありがとうございました。お聞きになっている皆さんも含めて、意外と自給率が低いんではないかということで驚かれたというふうに思います。魚を除いても46.4ということですから、冬場はなかなか生鮮野菜がとれないというようなハンデもありますけど、まだまだ県産品で賄える部分は多くあるというふうに思いますので、今回は細かいことはお尋ねしませんけれども、今後とも拡大に向けてお取り組みを頂戴したいというふうに思います。  次に、同じ趣旨で観光部長にお尋ねいたします。  ホテル、旅館、民宿等に対します県産農畜産物の利用促進についてどのような方策を講じておられるのか。伺いたいと思います。  ヨーロッパでは、民宿条例を定めて、一定の距離内、60キロ内で収穫したものを60%以上供給しなければ民宿と名乗れないなど、観光業とセットになった施策がとられています。  県の観光価値、先ほど来小川議員もお話をされておられましたが、複合的な施策が必要ではないかと思いますので、この辺について観光部長に御見解を伺います。  以上です。       〔観光部長吉沢猛君登壇〕 ◎観光部長(吉沢猛 君)観光業での県産農畜産物の利用促進についてのお尋ねでございます。  旅行者にとっては、その土地ならではのおいしい料理を食べることが旅先を決定する大きな要素となっているところであり、県としても食の分野は力を入れていきたい部分と考えております。  長野県には、信州サーモン、信州黄金シャモ、伝統野菜など信州ならではのオリジナル食材が豊富にあることから、地元の食材によるおもてなしの観点からも旅館、ホテルなどの観光事業者における県産農畜産物の利用促進が求められているところでございます。  県としては、現在、観光事業者を対象として、食の魅力づくりのための実践研修会や地元の食材を使った料理コンテストを開催し、旅館やホテルなど事業者との連携を進めているところでございます。  県としては、地方創生の総合戦略の中で地消地産の推進を重要施策と位置づけていることから、観光事業者に県産農畜産物をより積極的に活用してもらうための施策を、部局横断的な形を強化しながら、関係団体と一体となって推進してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)ぜひお取り組みのほうをよろしくお願いをしたいと思います。  次に、賃金、雇用問題について申し上げます。  アベノミクス、アベノミクスということでありますが、なかなか地方にはアベノミクスの雨が降ってこないという状況でありまして、多くの中小企業を抱えます県内ではなかなか賃金が上がりません。大手との格差がさらに進行しているというふうに私は認識しております。  県として改善策をそれぞれ講じられているわけですけれども、現状はどうなっており、また、これからどうお考えなのか。お示しをいただきたいというふうに思います。  もう1点、今回、ハローワークがそれぞれいろんな機関からの要請に基づいて存続をすることになりましたが、地公体でも職業紹介は今でもやっておられますが可能ということでありまして、県として、今やっている職業紹介、職安と県の職業紹介、どんなふうに国と業務が重複しないように調整、機能分担を図りながらやっていくのか。お考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。  当然、ハローワークや県の労政事務所やさまざまな機関が雇用の確保、維持に尽力をされているわけでありますけれども、国との業務は重複をするということでは目的を達しないというふうに思いますので、この辺どんなふうにお考えなのか。お聞かせをいただきたいと思います。  以上です。       〔産業政策監兼産業労働部長石原秀樹君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹 君)2点順次お答えいたします。  まず、県民の賃金や所得向上のための施策についての御質問でございます。  県民の賃金や所得を向上させるためには、まずは県内企業が元気になることが必要と考えます。そこで、県といたしましては、付加価値が高く、安定的な成長が見込める次世代産業の創出と産業を支える人材の育成に取り組んでおります。  具体的には、次世代産業の創出につきましては、ことし春、長野県次世代ヘルスケア産業協議会を設立するとともに、健康長寿県の強みを生かして少子・高齢化の中でも成長が期待されるヘルスケア産業の振興を図っております。また、下伊那地域の中小企業を中心に参入の動きが活発化している航空機産業や、本県の強みであるすぐれた地域資源や高度な加工技術を生かせる食品産業など、次世代を担う産業の振興を図ってまいります。  次に、人材育成の支援策といたしましては、産業界の急速なグローバル化や技術革新に柔軟に対応できる高度な技能や技術を持った人材をつくるため、長野県南信工科短期大学校を来年4月に開校する予定でございます。  また、県内企業の改善活動を推進するため、生産現場で活躍した大手企業のOBを中小企業指導者として育成する仮称信州ものづくり生産革新インストラクター養成スクールの開設なども検討しております。  県では、こうした取り組みを積極的に推進し、県内企業の成長期待分野への挑戦を支援するとともに世界に飛躍するグローバル人材の育成を進め、県民の賃金や所得の向上につなげてまいりたいと考えております。  次に、職業紹介についての御質問です。  平成16年の職業安定法の改正を受けまして、県では、地方事務所におきまして、障害者、母子家庭の母、中国帰国者を対象とした職業紹介事業を実施してまいりました。さらに、昨年度からは子育て期の女性も対象に加え、相談から求人開拓、紹介状の発行、就職後の定着の支援までを一体的に支援しているところでございます。  この取り組みでは、就職に困難を抱えている方々のそれぞれの事情や希望などに細かく配慮しながら丁寧なサポートに努め、これまでに800人を超える方々を就職に結びつけてまいりました。  このように、県では、求職者の全てに対応する国のハローワークとは異なり、特定の層に絞ってきめ細かな対応を行うことが県の行う職業紹介の強みであると考えております。  一方、国との関係におきましては、ジョブカフェ信州の運営をハローワークと一体で進めてきたほか、長野と飯田のマザーズコーナーや銀座NAGANOでもハローワークと連携した取り組みを進めております。  なお、今回、内閣府の有識者会議が自治体独自の地方版ハローワークなどの提言をまとめたことは承知しておりますが、具体的な制度設計は今後厚生労働省が検討していくと聞いております。県といたしましては、引き続き情報収集に努めるとともに、国との役割分担や連携などに留意しながら対応してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)ありがとうございました。ぜひ重複しないようなお取り組みをお願いをしたいと思います。  最後に、健康福祉部長にお伺いをいたします。  介護サービスの整備拡大について、政府、塩崎厚生労働大臣が介護による離職者をゼロにするということで、介護サービス受給者を、11月12日に、一億総活躍社会に関する国民会議で、現状より6万人ふやし40万人とする方針を示されました。ところが、安倍総理が、2週間ちょっとたった後、11月26日でありますけど、さらに50万人までふやすということであります。その方向については異論を挟むところではございませんが、じゃ具体的に一体どうするんだということでございます。  長野県ではどのくらいのサービス受給者がふえるのか。お示しをいただきたいところであります。  また、10万人に上る介護のための離職者が現状いるわけでありますが、一方、9月の県会でも質問いたしましたけれども、賃金が低いというようなことから介護従事者の離職が後を絶ちません。また、大学の介護関係学部や専門学校への進学も定員割れの状態が続いております。実効性を確保するにはさまざまな施策が必要だというふうに思います。  そこで、県として介護従事者の離職防止のためどんな対策を講じておられるのか。示していただきたい。これからの方針でも結構です。  二つ目として、介護専門職の養成が急務だと考えますが、定員割れ対策について奨学金の拡充を前回の県会でもお話をいただきましたが、具体的なスケジュールにのっているのかどうか。どういう状況か。お示しをいただきたいと思います。  また、これはもう国の制度設計に尽きるわけでありますので、国の新たな緊急対策を踏まえて県として国への予算措置を含めた要望をどのようにされていくのか。お聞かせをいただきたいというふうに思います。  以上でございます。健康福祉部長にお願いします。       〔健康福祉部長小林透君登壇〕 ◎健康福祉部長(小林透 君)介護問題についての御質問に順次お答えをいたします。  まず、介護離職ゼロ政策に伴う介護サービス量についてですが、平成26年度のサービス受給者数は全国で124万人であるが、第6期介護保険事業計画において全国の市町村が推計した2020年の必要サービス見込み量は162万人となり、38万人ふえるとしているところでございます。  今回、国が示した方針は、この38万人に加えて、介護離職の防止などのため特別養護老人ホームや認知症グループホームなどの整備を進め、さらに12万人上乗せすることで、2020年初頭までに50万人以上ふやすとしたものでございます。  本県では、平成26年度のサービス受給者数約2万6,500人に対し、市町村の第6期介護保険事業計画では2020年に3万4,300人と見込み、7,800人の増としてございます。  今回の国の方針は11月26日に開催された一億総活躍国民会議において示されたものであり、今後、国は地域ニーズのより的確な把握について詳細な実態調査、検証を行うとしているところでございますので、12万人増による県内への影響についても、地域において積み上げられたものではないということから、国の調査などの動向を踏まえて把握してまいりたいと思います。  次に、介護従事者の離職防止対策についてでございます。  県内の介護職員の離職率は平成26年は11.7%で改善傾向にあるものの、離職者のうち約7割は入職後3年未満の者であることから早期離職の防止を図ることが重要な課題でございます。  また、離職理由として、専門性や能力の発揮、向上ができない、あるいは将来の見込みが立たない、また雇用管理のあり方が不満などが上位に上げられていることから、こうした事由に応じた改善を進める必要がございます。  このため、県では、将来の展望を持って働き続けることができるよう、キャリアパスモデルの作成とそれに対応した生涯研修を実施しており、加えて、今年度、新たに新任職員の定着を図るため人材育成担当者の研修費用への助成などを行っているところでございます。  さらに、現在作成中であるモデル給与表・給与規程について、経営者などを対象にした福祉・介護人材確保セミナーなどで周知し処遇改善を促すとともに、腰痛などの職員の身体的負担を軽減するために介護ロボット導入セミナーを開催する予定でございます。  また、処遇改善については、平成27年度の介護報酬改定に際し介護職員処遇改善加算が拡充されたことから、集団指導の場や県ホームページにおいて事業者に加算制度を周知するとともに個別の相談に応じることなどにより、より多くの事業所で加算が算定できるように取り組んでまいります。  次に、奨学金の拡充などの対策についてでございます。  介護福祉士等への修学資金については、制度を開始した平成4年度から本年度までに1,348人に貸与を行い、介護福祉士等の県内施設への定着に大きな役割を果たしていると考えているところでございますので、貸し付け対象者の拡大を図る方向で検討を行っているところでございます。  それに加え、県では、若い世代に福祉や介護の仕事に関心を持ってもらうため、現場で活躍する職員が仕事のやりがいや魅力を中高生に伝える訪問講座や職場体験の機会の提供、現場で働く先輩の声や先進的な施設を紹介するDVD教材の作成などに取り組んでまいりました。  さらに、本年度は、新たに介護福祉士養成施設に対する支援策として、施設が行うオープンキャンパスや学校見学会など入学者の増加につながる取り組みに対して助成を行ったほか、漫画を中心とした啓発パンフレットを作成し県内全ての中学校、高校に配布することとしてございます。  来年度に向けては、若い世代にターゲットを絞り、福祉や介護の職場に関心を持ってもらうため、重点的にPRを強化することなどにより介護人材の養成確保を図ってまいりたいと思います。  次に、国の緊急対策への対応についてでございます。  先日、11月16日にまとめられた政府の緊急対策では、一億総活躍社会の実現に向けて、介護人材の育成確保のため、離職した介護職員の再就職支援を初め、介護福祉士を目指す学生等へ返還免除付学費貸し付けの大幅な対象拡大や、キャリアパスの整備を行う事業主に対する助成の拡大などに取り組むこととされてございます。  県といたしましても、国の予算措置については、先週、11月27日に、厚生労働省に対し、今後増大する介護ニーズを支える福祉・介護人材の安定的な確保定着を図るため十分な財源を確保するよう要望を行ってきたところでございます。  まずは、これらの平成27年度補正予算への反映等につきまして情報収集に努め、必要な事項は引き続き国に強く要望するとともに、国の事業を積極的に活用することなどにより必要な介護人材の育成確保に向けて取り組んでまいります。  以上でございます。       〔14番埋橋茂人君登壇〕 ◆14番(埋橋茂人 君)人口減少にしろTPPにしろ、中央の施策の具体的な解決策が地方に強いられていますので、ぜひしたたかに県として方針を示して立ち向かっていただくことをお願いをして、私の質問とさせていただきます。どうもありがとうございました。
    ○副議長(小島康晴 君)この際、15分間休憩いたします。         午後2時23分休憩          ──────────────────         午後2時39分開議 ○議長(西沢正隆 君)休憩前に引き続き会議を開きます。  続いて順次発言を許します。  清沢英男議員。       〔43番清沢英男君登壇〕 ◆43番(清沢英男 君)総合戦略について伺います。  国の地方創生に呼応する県総合戦略がまとめられ、知事は、信州創生に向けて六つの基本方針と四つの基本目標を示され、実現方の具体的施策を公表されました。  私の地域を振り返りながら読み進めていくと、人口対策や活性化策が基本的に今暮らしている場所を大切な起点として考えられていることに共感を覚えます。すなわち、不便な農山村から利便性のいい都市部に移って暮らしたらどうか、それが行政的にも効率がいい、そんなベクトルではなくて、あまたの山や川、自然に区切られた信州の集落やそこにある暮らしを大事にした総合戦略だと思うのです。  そこで、県議会議員の議席や選挙区の関係に触れてみたいと思います。  まず、定数であります。定数の多寡、多い少ないを評価するとき、議員1人当たりの県民負担数を見るのが最も客観的であります。全国最多は東京都の10万人余、最少は鳥取県の1万7,000人弱、長野県は議員1人当たり3万7,000人余で順位は19番目、平均点をクリアします。さらに、議員1人当たりの負担面積が全国6番目の広さということを考慮に入れると、今の定数58は妥当な数字であると考えます。  公選法の改正について言えば、全国で市町村合併が進み、村や町が収れんされ、それに伴って郡も少なくなりました。そこで、従来の「郡市を基本とする」とした選挙区は「市町村」に変更になりましたが、背景には村というものがほとんどなくなった全国の県の形があります。飛び地については、多くは郡の解消により選挙区として維持できなくなったという事情があります。  翻って長野県を見た場合、平成の大合併を経ても残った村の数は35で全国1位、第2位は沖縄の19、北海道と福島が15、奈良が12で、他の都道府県は8からゼロという状況です。町の数23も全国4番目で、これを見ても長野県の市町村の姿は他の都道府県と違う独自で特異と言えます。市町村数77は北海道に次いで2番目の多さという中、全国では消えていった郡も長野県では健在であり、郡内の自治体が飛び地になっていても町村会や議会初め住民交流も一体的に活動している現況があり、県議活動についても飛び地を理由にした停滞感や疲労感は少なくても私の場合は全くありません。  1票の格差是正は解消の努力は必要と思いますが、違憲判決の出た衆参と違い、地方議会は過疎地など事情の異なる地域代表ということから判例でも国政選挙に準じることはありません。長野県議会の格差2.2より大きい格差の他県議会は16県控えます。ちなみに、隣県静岡の今春県議選の格差は2.32であります。  ひっきょう、この県の形が持続したことは県民意思でありますから、それを長野県の個性、特性、独自性として捉える必要があると思うのです。改正公選法が県議の選挙区については地域の実情を踏まえて条例で定めるとした自由裁量をうたう理由が、ここにあると思います。もとより、1人区の解消については、法はおろか、全国の条例でもその必要性を認める条項は皆無であり、客観性のある理由も全く存在しないと言えます。  かかる問題を世論の一部に誘導されることなく、長野県独自たる問題意識を持って、地勢上、過疎や中山間地域で暮らす多くの人たちの思いを、総合戦略と同様、県政にいかに生かしていくかを真剣に考えることこそ求められていると確信いたします。  そこで、総合戦略につき伺います。  人口問題についてですが、45年後、長野県の人口は対策を打てば今より50万人減少にとどまるが、無策ならば80万人の減少と戦略の中で公式に示しました。県行政が大幅な人口減少を明示したことに戦略の真剣さを感じますが、その基本目標1番目は「自然減への歯止め」として、みんなで支え安心して子育てができる県にしようと掲げます。  私は、過日、京都府庁を訪れ、この12月府議会に上程予定の京都府少子化対策条例について調査を行いました。条例化の背景は、府の出生率が1.24と3年連続全国ワースト2位で、少子化に歯どめがかからず、未婚化、晩婚化、少産化が極めて深刻な状況下にあるということがあります。これらを克服し、安心して家庭や子供を持つことができる社会を実現しようと条例制定に動き出しました。  特徴的な支援策は、結婚から子育て支援の低利融資、多世代同居・近居の住宅改修支援、多子世帯の教育、保育、不動産取得税の軽減等の経済的な応援、また、学校で生命の尊厳、家庭の大切さ、生物学的根拠に基づく正しい妊娠、出産等の次世代教育をし、若者には計画性のある人生設計を考える機会の提供などであります。  毎月19日を「育児の日」に定め、府民が一体となって少子化に取り組む意識を共有しようとしています。  長野県の場合、条例制定は横に置くにしても、結婚、子育てが今後の人口減少社会に密接な関係にあるという当たり前のことを、県民の皆さんの日常生活や県内企業での雇用、労働形態のあり方の中で、共通の意識として色濃く醸成していく必要は京都府と同様だと思います。  そこで、県の総合戦略に盛られた長野県ならではの人口減少対策は何か。独自性について県民文化部長の御所見をお聞かせいただきます。  社会増について産業労働部長に伺います。  都市部から若者を引きつける施策に働き方があると思います。そこで、長野県で就職すれば正規雇用の終身雇用制だというイメージをつくり上げることができないかと思うのです。実力主義と非正規雇用をとる大企業は都市部に多いのですが、長野県の中小企業は終身雇用制を取り入れやすい環境下にあると考えます。  我が国経済成長の背景には、勤勉な国民性による製品の開発や生産イノベーション、高度なサービスがあり、これらは愛社精神と終身雇用が連動した結果であることも大きな要因と考えるのです。  よって、県内多くの企業が終身雇用制を採用すれば、長野県経済は活性化し、働く人も雇用形態が正規であれば落ちついて実力発揮ができて企業に長期的利益をもたらし、社会が明るくなって消費も伸び、税収も伸びる、結果、分配のパイが大きくなって好循環が生まれると思うのです。  要は、今の常識で政策を打っても人は集まらないし、地域間競争に勝てない。長野県独自の雇用形態で社会増を図る政策について部長の御所見をお聞かせいただきます。       〔県民文化部長青木弘君登壇〕 ◎県民文化部長(青木弘 君)長野県ならではの人口減少対策についてのお尋ねでございます。  御質問にもございましたように、総合戦略では六つの信州創生の基本方針を立て、それぞれに「信州らしさを伸ばす突破策」として本県の特徴を生かすための取り組みを掲げているところでございます。  自然増の観点での人口減少対策につきましては、この基本方針の2番目に「若者のライフデザインの希望実現」を掲げ、人口減少期を生きる今の若い世代が多様な夢と希望を持ち、結婚や子育ての希望の実現に向けて進み、子供を育てることを社会全体で応援することとしたところでございます。そして、「信州らしさを伸ばす突破策」といたしましては、しあわせ信州結婚支援センター、仮称でございますが、の設置による出会いの機会の拡大でございますとか、産科医の確保や助産師の活用など出産環境の整備と子育て世代の経済的負担の軽減など子育て支援の充実、さらには、企業での多様な働き方の普及による出産、子育てと仕事の両立の促進を掲げているところでございます。  こうした位置づけのもと、「具体的な施策展開」の中でも、例えば「結婚に向けた支援」の中では、移住したい県としての高い評価を生かしつつ、銀座NAGANOでの結婚と移住のセット相談を実施することや、「子育てに伴う経済的負担の軽減」では、意欲や能力が高いにもかかわらず経済的な理由で大学等への進学が困難な学生の入学金等に対する給付金の支給、また、「子育てと仕事の両立支援」では、多様な働き方の導入や職場環境の改善に取り組む企業を職場いきいきアドバンスカンパニーとして認証することなど、信州らしさや独自性のある事業としてそれぞれの施策の中に盛り込ませていただいたところでございます。  以上でございます。       〔産業政策監兼産業労働部長石原秀樹君登壇〕 ◎産業政策監兼産業労働部長(石原秀樹 君)お答えいたします。  雇用面から社会増を図る政策についての御質問でございます。  都市部からのUターンや移住者をふやすためには安定した雇用の確保が重要な課題であると認識しております。そのため、議員御指摘と同じく、まずは正社員の求人をふやすことが基本と考え、県では新しい産業の創出など県内産業の活性化による正規雇用の受け皿づくりを進めているところでございます。  また、正規雇用の拡大や非正規労働者の正社員化の促進につきましても、今年度も労働局とともに7月と11月に県内の経済団体に対しまして要請を行いました。また、多様な働き方を導入し正規雇用や正社員化などの取り組みを行っている企業を職場いきいきアドバンスカンパニーとして認証する県独自の制度をこの7月にスタートさせたところでございます。さらに、労働局、経済団体、労働団体との連携により働き方改革を推進するための協議会を年度内に立ち上げ、関係者が一体となって取り組んでまいることとしております。  県といたしましては、こうした取り組みを一層強化し、粘り強く続けることによりまして、県内の正規雇用の着実な増加を図り、人口の社会増につなげてまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔43番清沢英男君登壇〕 ◆43番(清沢英男 君)戦略各セクションにダイヤ印で掲げられた個々の具体的な施策展開は306項に及びます。また、キーワードと思われる言葉も累々と連なり、例えば、一人多役、地消地産、週末信州人、職場いきいきアドバンスカンパニー、シビックプライド等々、向こう5年を見据えた信州創生への熱い意欲が見てとれます。それを、殊に長野県独自の施策展開の中で成果を上げていただきたいとエールを送ります。  登山条例と安全について伺います。  長野県の山岳を訪れる皆さんは年間70万人を超えています。長野県は国に先駆けて信州山の日を制定しましたが、来年には国の山の日が国民の休日となって誕生します。海の日があれば海に行こう、山の日があれば山に行こう、やっぱり両方行こう、そんな気持ちになるは人情で、これまで以上に長野県の山を目指す人も増加すると思うのです。それに伴って遭難や事故が頻発する危惧があります。県警の統計資料を見ても、最近の遭難事故の伸びは異常ともいうべき領域に入っています。  そこで、遭難時のさまざま特徴的なことを視野に入れる中で、一人でも多くの人たちに長野県の山々を愛し自然や景観に触れていただきたい、同時にまた、その皆さんの安心や安全に、県や山岳関係者、県民の皆さんができることを一つの指針として条例にまとめることは大きな意味でのおもてなしということになると考えます。その上で、登山者の皆さんにも危険回避等の自己責任について改めて認識していただくということだと思います。  観光部長に伺います。  今議会に提案された登山安全条例について、一つには、先行する他県の当該条例との違いについて大きくは罰則規定を外している点だと考えます。かかる決断に至った背景や考え方をお聞かせいただきます。  二つ目は、グレーディングについてであります。このことを少しく御説明いただきたいと思います。  知事は、会見で、遭難の背景には技量、能力、体力に合わない登山をされる方がおられる、そこでグレーディングを活用することで御自分のレベルに合った登山を楽しんでいただきたいと話されています。そのとおりだと思うのですが、この公表から1年を経過する中で山小屋関係者の方からの意見として、グレーディングを見て危険な山に挑戦しようとする人がふえている、そこでの遭難事故は必至だと思う、公表はかえって危ないのではないかという心配があります。長い山岳経験に裏打ちされた言葉ですから真剣に再検討されるべきと思いますが、いかがでしょうか。  この問題につき、知事は、既に、新潟、山梨、静岡の中央3県に呼びかけ、4県でグレーディングを公表し、富山、岐阜の山岳隣接県、また国や全国の遭難防止対策協会、以後、遭対協といいますが、等にも呼びかけていくとしましたが、その成果を観光部長にお聞かせいただきます。  県警本部長にお聞きします。  グレーディングの公表が遭難増加につながらないだろうかという心配についての有無や妥当性につき遭難救助に当たる県警の考え方をお尋ねし、必要な対策をお聞きいたします。  また、県警は今年度から山岳安全対策課を設けましたが、当該条例施行によって山岳関係は新たな組織がえで臨むことになるのかどうか。また、レスキューの装備や人員配置、その他予算上の目算など従来と変わることがあるのかどうか。お聞かせいただきます。  次に、条例案では登山道その他必要な施設の整備支援をうたっていますが、必要な施設のメニューを観光部長にお聞かせいただきます。  登山道について環境部長に伺います。  その整備や維持はこれまで長い間山小屋関係者に頼ってきましたが、県は、ことし、山岳環境整備パイロット事業としてその整備を予算化しました。組織した連絡会では、市町村がモデルルートとした登山道整備を担当し、県立公園内では事業費の3分の2を県が、国立・国定公園内では国と県が4分の3を補助する等を決めています。では、そのほかの登山道はどう支援していくのか。ことしの事業成果とともに、具体的にお聞かせいただきます。  条例案を離れますが、観光部長にお聞きします。  「さわやか信州旅.net 信州の山」の中に、遭対協で示している「岳山登り10訓」というものがあります。一方、県の山岳総合センター制定の「登山十訓」もあり、両者の10訓を比較しますと、もちろん共通項は多いのですが、センター十訓にあって遭対協10訓で落とされているものに「やめよう単独登山」という一文があります。これを外すことはいけないと指摘する山岳関係者がおられます。単独行の選択は自由であり尊重もしますが、県警の統計でも単独登山は遭難の確率が高くなっている現実から、訓戒の項目表記を再考したらどうでしょうか。お聞きいたします。  知事に2点伺います。  一つは、火山条項を入れた我が国初の総合的な登山条例と説明されました。総合的ということが、長野県の登山条例を遵守することイコールそれが登山家としての生きざまであるというモラル形成につながってほしいと考えます。それは、すなわち、ヨーロッパでの山岳に対峙するときの理念でもあると思います。その意味で、景観や環境保全、自然に対する恐れなど、前文を設ける中でうたい上げてほしいと考えますが、いかがでしょうか。  環境保全の文言が15条にありますが、その方針を別途作成するということでは世界水準を念頭に置いた総合条例としては弱いと考えます。それをフォローする意味でも前文が欲しいと考えますが、御所見をお聞かせいただきたいと思います。  2点目ですが、山岳遭難の原因は気象によるものも多いと言われています。登山者が正確でリアルな気象情報を手に入れることができれば遭難事故は減ると思うのです。宇宙空間にはことし7月から運用を開始した世界に誇る静止気象衛星ひまわり8号が詳細な気象情報を送ってきます。この情報を登山者がいつでもどこでも取得できる手段の提供、例えばICTの活用、また、ラジオで山岳気象情報の専門電波帯を確保しての放送は可能と言えないでしょうか。その事業化を条例に連動して県が取り組んだらどうかと思いますが、お考えをお聞かせいただきます。       〔観光部長吉沢猛君登壇〕 ◎観光部長(吉沢猛 君)登山安全条例等に関しまして六つの御質問をいただいております。  まず1点目でございますけれども、登山安全条例案の罰則規定を外した背景と考え方についてでございます。  今回提出させていただいた登山安全条例案第21条におきまして、指定登山道を通行しようとするときは登山計画書を知事に届け出なければならないと規定しております。この背景としては、最近の遭難件数の多さや、昨年の御嶽山の噴火災害において入山者の把握が困難であったことがございます。  罰則規定を設けなかった理由としては、条例案の第4条に規定しておりますように登山は登山者が自己の責任において実施するものであることを基本的な考え方としており、規制につきましては最小限にすべきと考えたからでございます。  また、罰則は登山計画書提出の実効性を担保するための一つの手段ではありますが、罰することが本来の目的ではなく、登山者が事前に登山計画を立案し提出することで登山を安全に楽しんでいただくことが重要であると考えたからでございます。  県としては、登山計画書提出の実効性を高めるために、インターネットを利用した届け出システム等の活用により届け出しやすい環境を整備するとともに、登山専門誌の活用や、登山口や首都圏の登山者が多く集まるイベントなどにおきまして直接呼びかけるなど、登山者に対するきめ細やかな啓発活動に取り組んでまいります。  2点目がグレーディングについてのお尋ねでございます。  昨年の本県の山岳遭難件数は272件であり、一昨年より28件減少しているものの依然として高い水準となっております。  遭難原因の一つとして自分の力量を超える無理な登山をしていることが考えられるため、登山ルートを、体力の面、すなわち体力度と技術的な難易度の両面からマトリックスで評価する信州山のグレーディングを昨年6月に作成いたしました。  まず、体力度としては、鹿屋体育大学の山本教授の研究成果をベースに、登山ルートごとの水平距離や上り下りの標高差などの客観的データにより10段階に評価しています。次に、技術的な難易度は、山岳関係者や県内各地区山岳遭難防止対策協会の意見を参考にして、登山ルートの地形上の特徴や必要技術から5段階で評価したものであります。  信州山のグレーディングはこの二つの要素により県内の一般的な102の登山ルートを評価しており、県としては、このグレーディングの普及を図りながら、登山者に自分に合った山選びをしていただき、山岳遭難を抑制するための啓発活動を実施しているところでございます。  3点目がグレーディング公表による危険な山に挑戦する懸念についてでございます。  グレーディングは、先ほども申し上げましたが、本来、技術や体力面から見て登山者自身に合った登山ルートを選定いただくことが目的であり、自分の力量に合った山選びにより登山を安全に楽しみましょうと呼びかけているところでございます。  山のグレーディングは、昨年6月の公表以来、多くの登山者から具体的な山選びの指標ができたなどの声が寄せられ、大きな反響を呼んでおり、遭難の抑止力としても機能しているものと考えております。  登山もスポーツの一つであり、登山者としては自分を高めるためにより上位の山に挑戦しようとする面があることは一般論としては理解できますが、私どもの作成意図としては、一足飛びにグレーディング上位の山を目指すのではなく、御自身の体力、技術に応じて無理なく着実に上位の山を目指すための目安としてグレーディングを活用していただきたいと考えております。  御指摘の点につきましては、条例案に基づくガイドラインの策定におきまして具体的な注意事項をつけまして啓発活動を強化してまいります。  4点目がグレーディングの成果と今後についてでございます。  昨年5月に本県で開催した中央日本4県サミットにおきまして、阿部知事から、新潟県、山梨県、静岡県に対して本県が策定した基準によるグレーディングを呼びかけたところ御賛同いただきましたので、本年5月に388ルートに係るグレーディングを公表したところでございます。  また、ことし7月に開催された国の全国山岳遭難対策協議会において全国的に参加と活用を呼びかけ、あわせまして、岐阜県、富山県、群馬県にも個別に情報提供し参加を呼びかけたところ、岐阜県が本年度中に参加する意向であると聞いております。  今後も、隣接県を初め、全国に向け信州発の長野モデルとしてこのグレーディングを広く呼びかけて普及を図ってまいります。  5点目が条例案にある必要施設の整備支援のメニューについてでございます。  登山安全条例案では、第16条で登山道その他必要な施設につきまして、また、第18条で火山現象による災害に備えるための必要な施設設備及び装備品の整備支援につきましてそれぞれ規定しております。  現時点では、登山道その他必要な施設につきましては登山道本体を初め登山道の標識、鹿防護柵や人どめ柵などを、また、火山現象による災害に備えるための必要な施設設備等につきましてはシェルター、情報伝達設備、ヘルメットなどを想定しているところでございます。  具体的な整備支援の内容に関しましては、登山道その他必要な施設につきましては山域連絡調整会議におきまして、また、火山現象による災害に備えるための必要な施設設備等につきましては火山防災協議会におきましてそれぞれ検討されていくものと考えております。  条例案の施設の整備に関しましては、今後、市町村を初め地区山岳遭難防止対策協会や山岳関係者の御意見を聞きながら、県としては具体的な支援につなげてまいりたいと考えております。  6点目が山登り10訓についてでございます。  長野県警の統計によりますと、昨年の遭難件数272件のうち単独登山者の遭難件数は95件で全体の3割以上を占めている状況にございます。また、遭難の状況を見ると、死者、行方不明者51人のうち約半数の25人が単独登山者であり、単独登山は深刻な事態になる可能性が高いものと認識しております。  御指摘のように、県山岳遭難防止対策協会が定めました山登り10訓には単独登山を避けることに関する直接的な記述はありませんが、その項目の一つである「自分に見合った山選び」の一つの要素として内包しているものと考えているところでございます。  県遭対協の事務局を観光部が所管してございますので、この山登り10訓におきまして単独登山に関しまして位置づけることについて有識者の御意見を聞きながら検討してまいりたいと考えております。  以上でございます。       〔警察本部長尾﨑徹君登壇〕 ◎警察本部長(尾﨑徹 君)登山条例と安全の関連について2点お答えいたします。  まず最初に、グレーディングによる遭難増加の心配の有無や妥当性についての県警の考えと必要な対策についてお答えいたします。  山岳遭難は御指摘のとおり年間約300件近く発生しておりますが、その中には自分の体力や技術を過信して遭難に至るケースがあり、特にその傾向は高齢登山者や初心者に多く見受けられるところでございます。
     グレーディングは、体力が衰えた高齢登山者やこれから登山を始めたいと考えている登山者などが自分が安全に登れる山はどの山なのかを客観的に判断する一つの指標として遭難防止に役立つものと思われます。  警察といたしましては、登山者の方が自分の体力や技術に見合った山を選び、安全な登山に心がけていただくよう、引き続き指導、啓発に努めてまいりたいと考えております。  次に、条例施行により県警は組織がえをするのか、また、救助装備や人員配置、予算などが従来と変わるかという問いについてお答えいたします。  今回の条例施行を機に新たな本部の組織の改正等の予定はしておりませんが、長野県警察では、既に、議員御指摘のとおり、増加する山岳遭難への対応として、本年度から山岳安全対策課を新設して迅速な遭難救助と遭難防止対策の強化を図っております。  また、里山遭難対策として山岳高原パトロール隊を全警察署に設置する計画で昨年度から順次配置を進めており、広く山岳遭難対策の体制や装備品の充実強化を図っていくこととしております。  以上でございます。       〔環境部長青柳郁生君登壇〕 ◎環境部長(青柳郁生 君)登山道整備についてお答え申し上げます。  県では、世界水準の山岳高原観光地づくりに向けて、平成25年度に登山道1,040キロメートルの調査で明らかとなりました300の危険箇所解消を目指して、本年度から山岳環境整備パイロット事業を御嶽、八ヶ岳、中央アルプス、北アルプス北部、北信の五つの山域において開始したところでございます。  これまでの成果といたしましては、ハード整備による危険箇所の解消のほか、山小屋関係者や国、市町村が登山道の利用のあり方や登山道管理について話し合うことで横の連携が生まれてきたこと、規制行為の明確化、標準化をしようという動きが生まれてきたことなどが挙げられます。  本年度対象とならなかった登山道整備につきましては、来年度から順次各山域におけます将来像の議論を踏まえて進めていく予定としてございます。  このほか、パイロット事業に加えまして、環境省の直轄施行委任や国の補助制度により登山道を整備しているほか、企業等の寄附を活用した民間との協働による山岳環境保全事業として山小屋関係団体が行う修繕に必要な資材費も支援しているところでございます。  以上でございます。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)登山安全条例に関する御質問の中で、まず前文を設けないことについてということでございます。  この登山安全条例案、日本を代表する山岳県である長野県として、登山を安全に楽しむために登山者が守るべきルールや、県、山岳関係者等の責務や役割を明確化するとともに、広範囲の山岳を対象として登山計画書の提出を義務化するものであります。  どちらかというと理念というよりは実効性を強く意識して策定をさせていただいておりまして、そういう意味で、例えばツアー登山のときの登山ガイドの同行であったり、あるいは山岳保険への加入努力義務であったり、こうしたことを掲げた条例案ということであります。  そういう意味でこれは全国初の総合的な条例案だというふうに考えておりますが、私としては、山に対する考え方、もちろん議員御指摘のように出していくという部分も必要だと思いますが、この条例は、具体的に安全性をしっかり確保するため、あるいは先ほどの登山道をしっかり整備を促進するため、そういうものを位置づけた実効性あるものにするということを中心に考えて組み立ててきています。  しかしながら、あわせまして、この条例案におきましては、例えば12条「登山を安全に楽しむための指針」、条例制定いただければ具体的な内容を検討して関係者に周知していかなければいけないわけでありますし、また、山岳の環境保全、適正利用の方針ということも、山小屋、市町村、国、関係の皆様方と一緒になって考えていかなければいけないわけでありまして、御指摘のありました環境あるいは自然、そうしたものに対する考え方、こうしたところで一定程度盛り込んでいくこともできるものというふうに思っております。  いずれにいたしましても、私どもが、条例制定した上では、これは制定しただけでは意味がなくて、登山者、関係者の皆様方にこの条例の内容であったり、先ほど申し上げましたような方針、指針等の中身であったり、こうしたものを周知していかなければいけないというふうに考えておりますので、しっかりとした啓発活動に取り組む中で、長野県の安全登山、山のすばらしさ、こうしたものもあわせてアピールをしていきたいというふうに考えています。  それから、気象情報の提供についてということでございます。  御指摘のとおり、登山者に対しての気象情報の提供、山岳遭難を防止するという観点からも極めて重要だというふうに考えております。今、大分いろんな技術も進み、またさらにさまざまなサービスも提供されているという状況でありまして、例えば山の天気予報につきましては、日本山岳ガイド協会で、1平方キロメートルのメッシュで1時間ごとにパソコンあるいはスマートフォン向けに配信されるサービスを御提供されているというふうに認識をしています。  県としては、登山者に対しましてこうしたさまざまな気象情報の照会に取り組んでいらっしゃるサイト等について積極的なPRをすると同時に、登山者の皆さんがこうした気象情報にアクセスしやすい環境整備に努めていかなければいけないというふうに考えています。  また、ICTの活用という観点でございますが、昨年度、国の実証事業として山岳遭難防止対策モデル構築事業というものを実施をしています。この成果を踏まえまして、現在、来年度に向けて、Suica等のICカードを利用して登山者の位置情報を把握し、あわせてインターネットによる登山届の電子データと連携することにより、山岳遭難防止対策に役立てるためのシステムの構築を検討しているところでございます。  県としては、条例案の中にも登山を安全に楽しむための施策を総合的に実施するということにされておりますし、また、19条では施策の推進に必要な財政上の措置を講ずるよう努めるというふうにされているわけでありますので、今回条例を御制定いただければ、この条例に沿う形で登山を安全に楽しむための、御指摘ありました情報提供という部分も含めてしっかり取り組んでいきたいというふうに考えております。  以上です。       〔43番清沢英男君登壇〕 ◆43番(清沢英男 君)条例案が印刷されてから前文を設けろというのも乱暴な話でありますが、ただ、知事はツェルマットなども訪れて世界水準というものが念頭にあられるというふうに思います。日本の山岳がそういう標準でぜひこの条例もつくっていただければというふうに思った次第であります。  それから、山の頂上ではスマホなんかには電波が届きにくいかもしれませんのでラジオという発想を持ったわけでありますが、その面も検討いただければというふうに思います。  次に、情報モラルと教育について伺います。  過日、私は、松本で行われた性被害防止に関するタウンミーティングに出席いたしました。特に思うことは、条例モデルの位置づけが性被害全体の中で曖昧ということであります。  性被害に関してはさまざまな福祉法がある中で、殊に児童ポルノ買春法や児童福祉法でも取り締まることができない事案を罰則条例化するという点が会場では伝えられていない。この範疇を、前任知事は、大人になる過程でみずから考え対処していくことという意味の答弁をしています。  会場での県の説明では、性被害がふえている、原因としてインターネット環境の進展、それは大変だね、条例が他県と同じように必要だね、そういう論理の域を出ないことであります。法のはざまにある性被害の実態、それに対する条例での抑止力効果、成人の低年齢化という社会状況、性被害防止に県民運動はこれからどうあるべきかなど、深化した話は県側から一切語られず、構成要件が明確化したから条例化できる云々との説明で、その内容も説明不足のままに、報道される条例案件ではない性犯罪の全国ニュースに不安を抱く県民の皆さんを条例制定という一本道に誘導しているという感想を持ちました。以上は前置きであります。  そこで、進展したインターネット関連について教育現場での取り組みについて教育長に伺います。主として情報モラル教育についてであります。  今は、私たちのころとは違い、小中高でパソコンを整備し、それを駆使しての授業が行われています。その知識を基礎とし、成長するにつれて自分用のパソコンやゲーム機、携帯電話、スマホなどの世界に入っていきます。その過程の中でSNSを知り、さまざまな有害サイトにアクセスし、結果、それをいじめのツールに使う、また性犯罪に進んでしまうというケースが散見されるようになりました。  インターネットという社会的に有用な手段を適切に利用していくために一般的には入り口である学校での情報教育から始まりますから、児童生徒に正しい向き合い方を教え、子供たちみずからが考え対処する力を引き出すことが求められると思います。  質問1点目ですが、長野県では各学校でパソコンと向き合うのにどのようなことに力点を置いておられるのか。発達段階でそれぞれ違うと思いますが、殊にいじめや性被害防止にどんな深みのある指導をしているのかという観点でお聞きします。  文科省では、学校教育での情報モラル実践事例を取りまとめて公表しています。その中に、石川県珠洲市の「子どもたちを有害アクセスから守るために」をテーマとする事例があります。取り組んだ理由は、携帯、ゲーム機器等、インターネットでSNS利用が急激に増加し、それを利用してのいじめも見られるようになった。児童生徒に正しい情報モラルを育成するため、保護者の理解と協力のもと、全市挙げて啓発活動を行い、PTA、学校、行政が一体となって子供たちを有害アクセスから守る運動に取り組んでいる事例です。夜9時にはパソコンなど情報機器を保護者が預かる、インターネット接続機器にはフィルタリングをかけて利用させる等、情報モラルに対する厳格な姿勢が見受けられます。  2点目に伺いますが、このような地域挙げて情報モラル教育に取り組んでいる例が県内にあるかどうか。あるとすれば運動の実態や効果について御紹介いただきます。  3点目は、ことし3月、文科省が出した学校での教育情報化実態調査について伺います。  一つに、長野県の学校におけるICT関連についてですが、環境整備状況につき、教育用コンピューター台数、高速インターネット接続ともに全国低位にありますが、先生たちの校務用は全国上位にあります。理由と今後の対応をお聞きします。  二つに、教員のICT活用指導力につき、小学校は全国でも低位ですが、殊に目を覆いたくなるのは情報モラルなどを指導する能力はワースト2番であります。中学校では全国でも中位にランクされますが、高校になると再び低位に甘んじます。総じて教員のICT指導力には問題があると感じてしまいますが、対策をどうとっていくのか。お聞きします。  三つに、かかる研修の受講状況ですが、受講した教員の割合は全国平均で約35%、長野県の場合はこれにも届いていません。高いところでは佐賀県96%などもあります。情報機器を媒介とするいじめの多発に真摯に向き合おうとすれば、そういう分野は不得意などとのうてんきなことは言っていられないはずです。対策をお聞きします。  4点目ですが、ICTやSNSは過疎地域初め人口減少社会では有用、必要な手段である一方、いじめや性被害防止には適正に利用されることが求められます。コミュニケーションとしての機器や手段を有効に正しく使うために学校教育で今後どういった姿勢で臨んでいくのか。御所見をお聞かせいただきます。       〔教育委員会教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊藤学司 君)情報教育に関します御質問に順次お答えを申し上げます。  まず、情報教育の力点についてのお尋ねでございます。  現在、生活のあらゆる面で情報化が進展している中で、児童生徒のICT活用能力を育成すると同時に、情報化社会の陰の部分であるインターネット利用に当たっての危険性や情報モラルについてもあわせて指導することが重要と認識をしてございます。特に、ネットに関連したいじめや性被害の防止については喫緊の教育課題であると認識をしてございます。  このため、県教育委員会では、本年度5月に県内全ての中高生に向けて配布したいじめ防止リーフレットにおいて具体的にネットいじめを題材に取り上げ、インターネットを利用する際の注意点について指導の充実を図るなど、さまざまな啓発資料等を活用し情報モラル教育の充実に取り組んでいるところでございます。  また、本年度より、外部専門家の協力を得て、インターネットを介した性被害の危険性について啓発する子どもの性被害防止教育キャラバン隊を全ての県立高校に派遣しているところであり、ネットに関連した性被害防止にかかわる指導の充実に取り組んでいるところでございます。  次に、地域を挙げて情報モラル教育に取り組んでいる例についてのお尋ねでございます。  県内では、例えば中野市の長丘小学校で、地域と一体となって、家庭における児童の過ごし方の改善を図るため、毎月1回、ゲームやメディアとのかかわりを制限するメディアコントロールデーを設け、自分の生活を振り返り、家庭での時間の過ごし方について考える取り組みが行われているところでございます。また、ことしから、長野市や池田町では、学校、PTA、関係機関が連携し、全ての小中学校でリーフレットを配布し、インターネット利用についての保護者と子供の約束づくりの必要性を啓発しているところでございます。  こうした取り組みによりまして、情報モラルや情報機器の適正利用についての子供たちの関心が高まり、またネット利用の危険性やルールづくりへの保護者の認識が深まるなど、効果が広がりつつあると聞いているところでございます。  次に、学校のICT機器の整備状況についてのお尋ねでございます。  議員御指摘のとおり、文部科学省の調査によりますと、本県の学校では、この3年間、教育用パソコン1台当たりの児童生徒数が7.1人から6.9人へ、また高速インターネット接続環境は67.8%から73.1%へと徐々に整備が進んできているものの、平成26年度の調査においては教育用パソコン及びインターネット接続環境の整備率は全国に比べ低い状況にあるところでございます。  一方、教員の校務用パソコンの整備率は、小中学校においては全国上位となっておりますが、高等学校では全国平均をやや下回っているところでございます。これは、小中学校において学校の情報セキュリティー向上のため、市町村が優先的に教員の校務用パソコンの整備を進めた結果であるというふうに認識をしてございます。  県教育委員会としては、小中学校については、市町村に対して交付税措置を活用した教育用のICT機器の整備を促すとともに、授業でのより有効な利活用の方策について情報の提供を行っているところでございます。また、県立高等学校においては、普通教室でも活用できるタブレット端末や電子黒板等を機器の更新にあわせて計画的に整備しているところであり、今後とも情報化の進展に伴った教育環境の整備に努めてまいる所存でございます。  次に、教員のICT活用指導力の向上の対策についてのお尋ねでございます。  文部科学省の調査においては、教員が授業中にICTを活用して指導できると回答した割合は小中高全体でこの3年間で61.6%から66.5%、情報モラルなどを指導できると回答した割合は67.7%から72.9%へと上昇はしているものの、依然十分とはいえないというふうに認識をしてございます。  このため、県教育委員会では、教員のICT活用指導力を高めるため、小中学校のICTを積極的に活用している教員を集めて研究会を立ち上げるとともに、モデル校を指定し研究を進め、その成果をシンポジウムなどを通じ広く各学校に伝達、普及しているところでございます。  また、情報モラルに関する教師用指導資料を作成し、学校へ送付し、校内における研修会での活用を促しているところでございます。  次に、教員のICT活用指導力にかかわる研修の受講の状況でございます。  議員御指摘のとおり、本調査によりますと教員のICT活用指導力にかかわる研修の受講率は全国平均34.7%に対し本県は33.8%であり、全国平均をやや下回る状況でございます。  県教育委員会では、より多くの教員が研修に参加できるよう、指導主事が学校へ出向いて行うICTの研修の回数をふやしているところでございます。  また、今年度から、総合教育センターで行われる研修においてICTを活用した授業改善を進めることを大きな柱とし、多くの講座の中でICTを活用した授業スキルの向上を目指しているところでございまして、今後さらに研修の拡充を図ってまいる所存です。  また、今年度より、新たに国のICT教育に関する事業を活用し、ICTにかかわる教員研修プログラムを策定しているところでございまして、教員のICT活用指導力の向上に向け積極的に取り組んでまいる所存でございます。  最後に、ICT教育や情報モラル教育についての取り組み姿勢についてのお尋ねでございます。  子供たちがこれからの情報化社会を生き抜いていくためには、多くの情報を的確に収集、選択、編集、発信していく情報活用能力を育む必要があり、そのためには、学校教育において、子供たちがICT機器を主体的に活用し、ツールとして使いこなせるよう取り組むことが大切と考えてございます。同時に、子供たちがインターネットを通じたいじめや性被害に巻き込まれないようにするなど情報化社会の陰の部分にもしっかりと対応できるように、学校においては人権教育、道徳教育に根差した情報モラル教育を充実していくことという視点も踏まえながら取り組んでまいりたいというふうに考えてございます。  以上でございます。       〔43番清沢英男君登壇〕 ◆43番(清沢英男 君)ああいうことをやっている、こういうことをやっているという話はわかりましたが、なぜ珠洲市の例を挙げたかというと、それほど真剣になって取り組んでいるところのレベルまでどうやって引き上げていくかということですね。  それから、もう一つ、ICT活用については、いつまでにどんなレベルまで持っていくのかということを一つ再質問いたします。       〔教育委員会教育長伊藤学司君登壇〕 ◎教育委員会教育長(伊藤学司 君)ICT教育に関しまして再度のお尋ねにお答えを申し上げます。  私どもも、この問題は、大変重要な、本当に喫緊の教育課題というふうに受けとめているところでございます。珠洲市のみならず、県教育委員会でも、一昨年から県PTAの団体と一緒に、各家庭とともにこの問題に取り組むことが重要ということで、緊急メッセージというような形で各家庭まで配布をし、家庭と地域と私ども教育委員会、行政でこの問題について真剣に考え取り組まなければいけないということで、ともに行動を起こしているところでございます。  しかしながら、同時に、情報化の進展、大変速いものがございまして、保護者の理解をはるかに超えるスピードで子供たちの間にこれが広がってしまっている。そういう意味で、絶えず絶えず新しい情報というものをしっかり県教育委員会のほうから保護者、また学校のほうに発信をするために、毎月、情報に関する最新の動向をまとめたパンフレット等を作成し、また教師用指導資料をホームページ等で発信をしているところでございますが、この点については本当に喫緊の課題というふうに思ってございますので、今後ともそれぞれの関係者の力を合わせて取り組めるよう長野県全体で頑張って取り組んでいきたいというふうに思ってございます。  また、そうしたものに向けての目標というようなお尋ねでございます。  大変重要な課題ではございますが、ICTに関しては私どものほうで取り組んでいる部分のみでは十分ではないというふうに思ってございます。特に小中学校については機器の整備も含めて市町村のほうが設置主体という形になってございますので、この点については、私ども、市町村とよく歩調を合わせながら、県の目標、もしくは県の目指すべきものということを、市町村と同じ目線、御理解をしていただきながら、教員の養成等私どもでしっかり取り組む部分、さらにそれを日々の授業で実践するよう各市町村で促してもらう、環境整備を進めてもらうというものを一体として今後取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。  以上でございます。  教員の指導力につきましても、研修の充実という形で研修講座を大幅に今広げているところでございます。これらの研修の成果については、先ほどお答えをいたしましたけれども、今シンポジウムという形をとって各学校の参加者がより多く参加できるようにということで、日数がかかる研修になりますとなかなか全員参加できない面もございますので、そういう意味では、情報指導のための指導資料を作成し各学校に伝えるとともに、リーダー的教員の養成を通じて各学校の各教員までそれが伝わる、こういうような視点でしっかりと取り組んでまいりたいと思っております。       〔43番清沢英男君登壇〕 ◆43番(清沢英男 君)シンポジウムに参加すれば指導研修に参加したということになるということを初めて知りました。  今回は長野県がほかとは違う独自性について質問いたしました。総合戦略も、選挙区も、子供を性被害やいじめから守る考え方も、信州教育のあり方も、もちろん峻険で美しい信州の山岳の安全も、それぞれが長野県の県民性に裏打ちされてこそ、地方行政、長野県政と言えると思います。知事は日ごろ余り日が当たらない分野にも光を投げかけようとしています。それも実は県民性であります。独自性を大いに発揮して県政を牽引していただきたい、そう申し上げて質問を終わります。 ○議長(西沢正隆 君)次に、山岸喜昭議員。       〔25番山岸喜昭君登壇〕 ◆25番(山岸喜昭 君)課題の多い長野県の林業ですが、これからの林業の振興、また担い手の育成についてお尋ねします。  本県は、戦後一斉に植林され、県土の8割を森林が占める森林県であります。森林資源の成熟に伴い、計画的な森林整備の推進や低コストで生産性の高い搬出技術の確立、木材の安定供給体制の構築が重要な課題となっております。  県におきましては、しあわせ信州創造プランでは、森林を生かす力強い林業・木材産業づくりを「産業・雇用」に関する施策の柱に捉え、県産材を効率的、安定的に供給する基盤づくりなどによって充実した森林資源を有効に活用することにより、地域を支え、持続的に発展する競争力の高い林業・木材産業の構築を目指すこととしております。  森林の蓄積は年々増加しており、戦後から植栽してきた森林を育てる時代から、再生可能な地球に優しい資源として森林を活用する時代に移り変わってきております。森林資源の成熟に伴い伐採や搬出等の施業が中心になってきているとともに、森林吸収源対策を進めるため、民有林だけでなく、国有林等における森林整備事業も急増しております。  また、森林所有者の不在化や高齢化、世代交代が進むにつれ、みずから施業や経営を行うことができない森林所有者が増加していることに加え、森林に対する国民のニーズが多様化する中において地域の森林の適正な管理が求められている状況であります。  このように、各地域における森林整備や森林管理を推進していくためには、本県の林業の中核的な担い手である森林組合を初めとする林業事業体が森林所有者に対して経費負担を抑えた施業提案を行い、森林施業の集約化を進めるとともに、高性能林業機械の導入等による生産性の向上、県産材の安定供給体制の構築に積極的に取り組み、長期的な事業量の確保と経営の安定を図ることが必要であります。  これに加えて、地域の雇用の受け皿として人材の受け入れ態勢の整備を進めて新規雇用者を確保し、通年雇用等の雇用条件の向上により担い手の定着を図り、高性能林業機械による生産性向上等に対応できる高度な技術者を育成するなど、林業の担い手の確保が重要な課題であります。  この10月に策定された長野県人口定着・確かな暮らし実現総合戦略においても、「仕事と収入の確保」に関する施策展開の中で林業の競争力強化を位置づけ、林業の基盤整備、搬出間伐の推進、信州F・POWERプロジェクトを起爆剤とした県産材生産体制の強化、林業先進国との技術交流等を推進していくこととしていますが、今後、県として、これらの施策を推進していく前提として林業・木材産業を支える担い手の確保と育成が急務であると考えます。  来年6月には全国植樹祭が本県で開催されるほか、全国林業後継者大会もあわせて開催されるなど、林業、森林に対する県民の関心が高まっていることを契機に、本県の林業の将来を支える担い手の確保育成が進むことを強く期待するところでありますが、これからの林業の担い手について林務部長にお聞きします。  まず、本県の林業就業者数の推移についてですが、平成15年度には3,000名であった本県の林業就業者数は平成25年度には約2,000名と大きく数を減らしております。これから平成32年には本県の素材生産量を平成23年の2.5倍に当たる75万立方まで増加させる目標のもと、搬出間伐の推進と木材の利用拡大に取り組まなければならない本県におきまして、この現状をどのように分析されるのか。お聞きします。       〔林務部長塩原豊君登壇〕 ◎林務部長(塩原豊 君)林業の担い手の確保育成につきまして、林業就業者の現状分析についてのお尋ねをいただきました。  本県の林業就業者数は近年減少傾向にあります一方、通年雇用の目安であります年間210日以上就業した方の割合は平成15年度の約4割から平成25年度には約6割へと増加しております。  また、新規の林業就業者数は、近年、年間150人前後で横ばいに推移しており、林業就業者全体の平均年齢は平成15年度の50.8歳から平成25年度の47.6歳へと若返りが着実に進んでおります。  このほか、植栽、下刈り、枝打ち、間伐等の保育作業に主に従事する方の数は減少しておりますが、一方で、木材を伐採して搬出する素材生産の作業に主に従事する方の数は増加しております。
     このような状況の中で、本県の素材生産量は着実に増加しており、平成32年における素材生産量75万立方メートルの目標達成に向け、より一層の林業就業者の確保が必要であると認識しているところでございます。       〔25番山岸喜昭君登壇〕 ◆25番(山岸喜昭 君)続いて、新たな林業の担い手の確保についてお聞きします。  本県では、林業後継者及び林業指導者を養成するために、昭和54年に長野県林業大学校が設立されております。林業大学校が設立されてから36年が経過し、森林・林業を取り巻く情勢も大きく変化してきておりますが、近年では女子学生も増加しているとのことであります。  そこで、林業大学校の林業後継者や林業指導者養成について、近年の入学状況と特徴的な取り組み、就職状況等についてお聞かせください。  近年、大規模な木材加工施設や木質バイオマス発電施設の整備が進むなど木材需要が増大しており、素材生産を行う人材や持続的な森林経営を担う人材の育成が求められております。こうした中、これからの林業を支えるためには多くの若い林業就業者の力が重要であると考えるところですが、県内において新規林業就業者を確保するために行っている取り組み状況についてどのようにされるか。お聞きします。  次に、林業就業者の育成についてであります。  林業の活力を維持していく上でも、確保した人材の育成は欠かせないものであります。林業に就業した若者が地域に定着し、長く林業に就業していくためには、林業、森林に関する知識と技術を身につけていくことと新時代の社会の要請に対応できる教育が重要であります。  特に、木材を育てる時代から活用する時代を迎える中、林業の現場における作業は細分化、複雑化しており、より一層の労働安全性の確保と高度な技術を身につけることによる生産性の向上を図ることが林業就業者に求められております。そのために林業就業者の育成にどのように取り組んでいかれるか。林務部長にお聞きします。       〔林務部長塩原豊君登壇〕 ◎林務部長(塩原豊 君)御質問にお答えいたします。  まず、長野県林業大学校の状況についてのお尋ねですが、入学状況を見ますと競争率がおおむね2倍程度の中で毎年定員の20名が入学しておりまして、近年は女子学生がふえており、現在、在校生40名のうち女子学生は4分の1を占めております。  林業大学校での特徴的な取り組みといたしまして、平成25年度から、卒業後即戦力となります、より実践的な技術者を育成するために、森林資源を活用するコースや木材利用コースなど、進路に応じたカリキュラムを選択できるようコース選択制度を導入いたしました。また、2年次には林業の先進国であるオーストリアへの研修を行うなど、海外へ視野を広げるための取り組みも行っております。  直近5年間の卒業生の就職状況ですが、素材生産、製材加工といった民間企業に43%、森林組合に22%、林業職の公務員16%等となっておりまして、林業・木材産業分野に多くの学生が就職して活躍しているところでございます。  次に、新規の林業就業者確保の取り組みについてのお尋ねですが、新規就業者の確保とその後の育成につきましては県では長野県林業労働財団と連携して取り組んでおります。  まず、林業就業を希望される方に対して林業に関する情報を提供する取り組みとして、県内の林業事業体と連携しました共同就職説明会を年2回開催し、昨年度は参加者143名のうち32名が採用されるなどの成果を上げております。  このほか、県外におきましても、本年5月には、初めての試みとして、首都圏の林業就業希望者を対象に、本県の林業の魅力や林業就業についてPRするためのセミナーを銀座NAGANOで開催をいたしました。  また、国の事業を活用した林業就業支援講習や3カ月間のトライアル雇用制度など、実際に林業の現場を経験し、林業への適性をみずから確認できる取り組みを進め、新たな林業就業者の確保に努めているところでございます。  次に、安全性の確保と生産性の向上に向けた林業就業者の育成についてのお尋ねですが、平成15年度から、林業労働財団が国の緑の雇用事業を実施する中で、新規就業者を対象に基本的な技術を習得させる3年間の研修など、研修生の経験に応じた段階的、体系的な研修を実施しておりまして、昨年度までの12年間で延べ約1,200名が研修を修了しております。  また、県では、安全で効率的な作業を実施できる現場の技術者を育成するために、林業総合センターにおいてチェーンソーや架線作業に関する講習を実施しているほか、林業労働財団と連携して高性能林業機械のオペレーターを養成しているところでございます。  今後におきましても、これらの取り組みによりまして、本県が林業県として発展するための原動力となります林業の担い手の確保と育成に努めてまいります。  以上でございます。       〔25番山岸喜昭君登壇〕 ◆25番(山岸喜昭 君)ありがとうございました。  次に、知事におかれましては、今回、オーストリア、スイスを訪問されまして、海外の国々との安定的かつ将来的な友好交流の推進は最も重要であります。今回も、長野県知事がトップセールスとして、また議長初め県議会の皆さんと、交流をあわせ、ともに訪問できたことは、長野県とオーストリア、スイスにおける新たな地方間交流関係の構築を図るための大変意義ある訪問であると捉えているところであります。  今回は、林業や自然エネルギー利用、文化芸術の分野で先進的な取り組みを展開しているオーストリアと山岳観光の先進地であるスイスと長野県との国際交流関係を構築するために視察され、本県の林業再生に向けて、県では、新たな価値観を持った人材育成を図るために、林業の先進地からそのノウハウを学ぶことを目的としているところであります。  林業技術の連携について、政府機関との今後の交流や技術連携に関する覚書の締結や、さまざまな事例の調査等を実施されてこられました。担い手が先進的な技術を海外の現地で研修等を行うことは、今後、林業の新たな時代を築いていく若い世代にとって大いに刺激になるものと思われます。  また、スイスにおいては観光行政関係者との交流を図り、登山鉄道やロープウエーなど、まさに山岳観光の先進地でもあり、このようにグローバル化が進む中、明確な考え方や意識を持ちながら人材育成や地域活性化など複合的な視点を持ち、組織の連携を図りつつ事業展開が必要と思われます。  今回、オーストリアとスイスを訪問された成果を、今後の長野県の林業、山岳観光にどのように生かしていくのか。知事にお聞きします。       〔知事阿部守一君登壇〕 ◎知事(阿部守一 君)オーストリア、そしてスイスに訪問した成果、今後の林業あるいは山岳観光にどう生かすかという御質問でございます。  まず、オーストリアへの訪問でございますけれども、オーストリアでもさまざまなことを学んでまいりましたが、一つは、本県と似た条件でありながら、高い密度の路網の整備、そして高性能林業機械の活用、さらには、すぐれた技術者の育成で極めて高い生産性を実現していること、そして、CLT(直交集成板)等新たな技術によって大規模な木造建築がつくられていること、さらには、木質バイオマスを利用して地域熱供給システムが活用されていること、さまざま木材を中心とした地域経済の循環が進められているということを実感をしてまいりました。  提案説明で申し上げましたように、オーストリア政府、農林環境水資源管理大臣と技術交流に関する覚書を締結いたしましたので、今後、林業あるいは木質バイオマス関係の技術者の相互訪問あるいは先進技術の情報交換等、より具体的、実践的な交流に進めていきたいというふうに思っています。  こうした交流によりましてオーストリアの先進的な取り組みをしっかり学んで長野県の林業に生かさなければいけないと思っておりますが、木材の生産という観点で申し上げれば、高性能の林業機械など先進的な技術を最大限活用した高効率な木材生産システムを長野県においてもしっかり形成していかなければいけないというふうに思っております。  また、利活用という観点では、バイオマスのエネルギーを使う上では、発電も必要ではありますが、あわせて熱利用という観点が極めて重要だというふうに思っておりますので、地域主体の熱供給システムのモデルづくりを考えていく必要があるというふうに思っております。  また、日本では、大規模建築物、ほとんど鉄筋コンクリートなど非木質素材でありますが、こうしたものに対抗できる新たな木材利用技術の研究開発、これは日本全体でも進められておりますが、長野県もこうした動きにおくれをとらないように取り組んでいかなければいけないというふうに思っております。  こうしたことを通じて、本県の林業再生に向けた取り組みをさらに進めてまいります。  それから、ツェルマットでございます。ツェルマットでも私としても非常に学んだことはいっぱいあります。今回、地方創生の中でも地消地産ということを言っておりますが、ツェルマットは地域内はガソリン自動車乗り入れ禁止という状況でありますが、電気自動車も地域内で生産をされているというお話を聞いてびっくりいたしましたし、また、ふだん地域で消費される食材等も基本的には地元のものを選んで購入されるという地消地産、地産地消の意識が徹底されております。  また、さまざまな観光地でも世界各国から大勢の観光客がお越しになられている地域でありますが、お金を使ってもらうための仕組みがかなり徹底されているなということを感じました。ロープウエーで上がった3,800メートル級の高いところのレストハウスでありますが、トイレに入ると2スイスフラン払って領収書をもらうと、その領収書が売店で使えるということで、もらうと何か買い物をしないと損をするような気分になります。さまざまな工夫がなされていることも実感をしました。  今後、長野県として、こうした観光地と競争、そして連携していかなければいけないわけであります。私とすれば、例えば、今回、ブルガーゲマインデ、地域共同体の皆様方ともお話してきましたけれども、単に観光という観点だけではなくて、地域づくりと一体となった観光地域づくりを進めていくということが極めて重要だというふうに考えておりますので、そういう意味で観光地域づくりの主体となるDMO、県としても取り組むし、またそれぞれの地域の取り組みを支援していくということをしっかり取り組んでいきたいと思いますし、また、マーケティングの重要性、スイス・ツェルマット以外にも山岳高原観光地ありますけれども、山田桂一郎さんからも私もいろいろお話を聞きましたけれども、それぞれの地域の特性を生かして、セグメント分けしてリピーターを確保するような取り組みをされています。  長野県もさまざまな観光地がありますが、例えば上高地と野沢温泉とあるいは軽井沢、それぞれマーケットが違っている部分があると思いますが、そうしたこともしっかり分析をしながら観光行政を進めていくということが必要だと思っております。  こうしたことを進める中で、ぜひ世界水準の山岳高原観光地をしっかりと長野県から発信をしていきたいというふうに思っております。  いずれにいたしましても、既に市町村もこうしたスイス、オーストリアとさまざまな交流をしているところでございますので、長野県としても、視野を世界にしっかりと持って、世界の観光地、あるいは林業政策に負けないような取り組みを進めていきたいと考えております。  以上でございます。       〔25番山岸喜昭君登壇〕 ◆25番(山岸喜昭 君)大分成果があったようだと思われます。林業の振興、また担い手について、今後、林業の先進国との新たな覚書に基づいて、林業生産システムや木質バイオマス利用を含めた木材利用システム等を参考に積極的に取り組んでいただき、信州の森林は命の源であり、この恵みをもっと生かし、その輝きを次世代へ引き継いでいくことに期待して、質問を終わります。 ○議長(西沢正隆 君)お諮りいたします。本日はこの程度で延会にいたしたいと思いますが、これに御異議ありませんか。       〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(西沢正隆 君)御異議なしと認めます。よって、本日はこれをもって延会することに決定いたしました。  次会は、明2日午前10時に再開して、行政事務一般に関する質問及び知事提出議案に対する質疑を日程といたします。書面通知は省略いたします。  本日は、これをもって延会いたします。         午後3時57分延会...