鹿児島県議会 2022-03-10
2022-03-10 令和4年予算特別委員会 本文
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 七、審査経過
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午前十時一分開会
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◯日高委員長 定足数に達しておりますので、ただいまから
予算特別委員会を開会いたします。
本日の日程は、
総括予算審査であります。
質疑の順は、配付いたしております発言順位表のとおりであります。
これより質疑に入りますが、この際、当席より特にお願い申し上げます。
執行部におかれましては、答弁は簡潔に行っていただきますようお願いいたします。
委員は、会派等に配分されました質疑時間が経過したときは、直ちに発言を終了してください。この場合、執行部の答弁はありませんので申し添えます。
また、各会派等に配分されました質疑時間の範囲内で、通告委員以外の委員からの再質疑も認められておりますが、その際は挙手の上、委員長の指名があった後に発言してください。
なお、会派等に配分されました質疑時間の終了一分前と終了をチャイムでお知らせいたします。
最後に、当委員会の質疑は通告制となっておりますことから、再質疑を含め、通告外の内容に及ぶことがないよう御確認いただきたいと思います。
以上、よろしくお願い申し上げます。
それでは、議案第二一号から議案第三二号までの十二件を一括議題といたします。
発言順位表に従って、順次発言を許可いたします。
まず、自由民主党の質疑であります。
質疑時間は、答弁を含めて百八十四分であります。
なお、時間が限られておりますことから、答弁者が席に戻られる前に次の指名をする場合がありますので、御了承いただきたいと思います。
中村素子委員に発言を許可いたします。
[中村(素)委員登壇]
2 ◯中村(素)委員 皆様、おはようございます。阿久根市・出水郡区の中村素子です。
自民党の先陣を切りまして、私から、通告に従い質問をさせていただきます。
まず、令和四年度当初予算案の評価についてお伺いいたします。
塩田知事による二回目の予算案が示されました。対前年度比三%増の八千六百九十九億三百万円、主な施策の概要を拝見しますと、多くの新規事業が盛り込まれ、
新型コロナウイルス感染症対応を含め、
マニフェストの実現に向け、いよいよ、塩田カラーを強く押し出し、本格的な塩田県政の確立を図っていかんとする思いを感じたところでございます。
そこでまず、知事にお伺いいたします。
来年度予算について、どのように評価しておられるのか考えをお示しいただきたいと思います。
[
塩田知事登壇]
3 ◯塩田知事 令和四年度当初予算の評価についてでございます。
大きく四つの基本的な考え方に立って編成したところであります。
一点目は、
新型コロナウイルス感染症について、引き続き、
感染防止対策と医療提供体制の確保に取り組み、経済対策と併せて推進することで、県民の安心・安全と経済活動、社会活動の両立を図るという点であります。
二点目は、鹿児島県の基幹産業であります農林水産業、
観光関連産業や企業の「稼ぐ力」の向上に資する施策を積極的に推進するという点であります。
三点目は、SDGsの理念を踏まえ、デジタル化、脱炭素化、ジェンダー平等、イノベーションの促進等の各般の施策を推進するという点であります。
四点目は、歳入・歳出両面にわたる行財政改革に取り組み、当初予算における収支均衡、県債残高の適正管理、基金残高の維持という
行財政運営指針(案)に示した三つの指標を全て達成するという点であります。
このように、令和四年度当初予算については、財政の持続可能性を維持するための取組もしっかりと行いつつ、重要施策には最大限投資するめり張りの利いた積極的な予算とすることができたと考えております。
4 ◯中村(素)委員 今、知事のお考えを聞かせていただきました。四つの基本的な考え方に基づいて、満足のいく予算案となったというお答えだったと思います。
その中でも、やはり我が県の現状としては課題が非常に多うございます。コロナの対応でありますとか、「稼ぐ力」の向上というのは県民みんなが本当に期待している政策でございます。さらに、SDGs等、新たな概念が盛り込まれるということもございますので、ぜひとも塩田カラーを全開にして、来年度しっかりと努めていただきたいと思います。
続きまして、歳入について何点かまとめてお伺いしたいと思います。
まず、県税収入についてでございますが、対前年度比七・九%増と大きな伸びが見込まれております。その要因といたしまして、我が党の代表質問に対し、製造業に改善が見られる、法人事業税が約九十六億円、個人県民税が約二十四億円増収する見込みとの答弁があったところです。
そこで、改善が見られる製造業につきまして、具体的にどういった分野に改善が見られるのかお示しいただきたいと思います。
コロナ禍での経済活動の停滞が続いており、第六波の出口もまだ見通せない中で、次の
ステルスオミクロン株による第七波への突入が懸念される状況にございます。
経済の先行きは依然不透明で、県内でも廃業件数が増加傾向にある中、来年度も製造業の改善が続くとの県の見立てに、実体経済と乖離がないのか気になります。
そこで、来年度も製造業の改善が続くと判断した背景、根拠について県の考えをお示しいただきたいと思います。
また、個人県民税も約二十四億円増収とされています。増収と判断した背景、根拠をお示しいただきたいと思います。
この個人県民税につきましては、徴収対策の強化が課題となっております。増収を見込んでおられる以上、一層徹底した取組が求められるところです。
そこで、
滞納整理対策事業について伺います。
昨年度の
個人県民税収入未済額と、それが県税収入未済額に占める割合をお示しください。
また、本事業の中の
個人県民税対策の取組についてお示しいただきたいと思います。
[
山本総務部長登壇]
5
◯山本総務部長 令和四年度当初予算編成等についての御質問のうち、まず、法人事業税の約九十六億円の増収についてでございます。
法人事業税につきましては、まず、令和三年度分の税収について、
電気機械器具や
精密機械器具などの製造業の業績が改善したことなどから、令和三年度三月補正予算におきまして、令和三年度の当初予算に比べて八十八億七千九百万円増の三百三十億四千百万円と見積もっております。
また、本県経済の動向でございますが、
九州経済研究所の二〇二二年度鹿児島県経済見通しにおきまして、令和四年度の
本県経済成長率は一・三%増と見込まれております。
加えまして、令和四年度の
地方財政計画におきましても、法人事業税につきましては、令和三年度の税収見込額に比べて四・一%増と見込まれております。
令和四年度の法人事業税の税収につきましては、三月補正予算後の収入を元に、今申し上げましたような本県経済の動向や
地方財政計画の
税収見込み等を勘案しました結果、令和三年度当初予算に比べまして九十五億八千四百万円の増、令和三年度補正予算後の見込みに比べますと、七億五百万円増の三百三十七億四千六百万円と見積もったところでございます。
次に、個人県民税の約二十四億円の増収についてでございます。
個人県民税につきましては、まず、令和三年度分の税収につきまして、その大宗を占めます所得割が課税総所得金額の総額の増加により増加いたしますとともに、
株式等譲渡所得割が物価上昇により増加すると見込まれたことなどから、令和三年度の当初予算に比べまして二十一億二千八百万円増の四百五十三億五千八百万円と見積もっております。
令和四年度の税収につきましては、今申し上げました三月補正予算後の収入を元に、先ほど御答弁申し上げました本県経済の動向等を勘案いたしました結果、令和三年度当初予算に比べまして二十四億三千九百万円の増、令和三年度補正予算後の見込みに比べますと、三億千百万円増の四百五十六億六千九百万円と見積もったところでございます。
次に、
滞納整理対策事業についてでございます。
令和二年度決算における県税の収入未済額でございますが、十七億千九百万円となっておりまして、
うち個人県民税は十一億七千百万円と全体の約七割を占めております。
このため、県では、個人県民税につきまして、
滞納整理対策事業としまして、収入未済額が高額な市町村等について
特別滞納整理班を設置いたしまして、市町村と連携して徴収対策を実施いたしますなど、収入未済額の縮減に向けた取組を重点的に実施いたしております。
これらの取組の結果、令和二年度の個人県民税の収入未済額は、令和元年度に比べまして一億五千百万円減の十一億七千百万円となっております。
県といたしましては、令和四年度も、
個人県民税等の収入未済額の縮減に向けまして、徴収対策を引き続き積極的に進めてまいりたいとこのように考えております。
6 ◯中村(素)委員 御答弁いただきました。
製造業の中で、電気機械、また精密機械の伸びがあるということでございます。
それから、個人県民税に関しましては、株式の譲渡等で収入が上がっているということでございました。ただ、県民税に関しましては、依然として、滞納額が多いということで、引き続き徴収対策に励んでいただかなければならないところかと思いますが、予算編成後の情勢としまして、ロシアの
ウクライナ侵攻により世界経済への悪影響が非常に懸念されるところでございます。既に、原油、穀物、金属等の価格の高騰が始まっておりますし、世界の株式相場は非常に不安定になっております。株価も下がってきているということで、先ほどありました株式譲渡による個人県民税の増収ということにもかなり直結してくるのではないかと思っているところです。
こうした世界情勢が我が県経済に与える影響等も注意深く観察しながら、引き続き緊張感を持って財政運営に当たっていただきたいと思っております。
続きまして、歳出について何点か御質問申し上げます。
まず、
行財政改革推進プロジェクトチームが財源確保に鋭意取り組んでおられることをまず評価いたしたいと思います。
そこで、一点目といたしまして、
ふるさと納税制度を活用した災害等支援の取組について、約一億円の効果額を示しておられますが、取組の具体的内容についてお示しいただきたいと思います。
次に、事業見直しで十四億円の効果額があったと示しておられますが、見直しの主な内容について、効果額の内訳とともにお示しください。
さて、来年度の予算は、知事の
マニフェストの目玉であります稼ぐ力の向上関連の事業のオンパレードでございます。並々ならぬ思いを持って集中的にこの分野に予算を投じておられるという印象を受けております。
そこで、稼ぐ力の向上関連の事業数とその総額についてお示しいただきたいと思います。
県として、稼ぐ力の向上に多額の投資をする以上は、明確な基準を持ってその効果を図る必要があると考えております。
そこで、事業効果を評価する客観的な指標をお示しいただきたいと思います。
また、事業の効果として、最終的には県税収入の増収につなげていく必要がある、これはつなげていかなければならないと思っておりますし、我々も非常に期待いたしているところです。
そこで、県税の増収額の見込みについて、県としてどう考えておられるのか、見解をお示しいただきたいと思います。
[
山本総務部長登壇]
7
◯山本総務部長 まず、
ふるさと納税制度を活用した災害等支援の取組についてでございます。
行財政改革推進プロジェクトチームは、本県の財政状況について認識を共有いたしまして、現行の
行財政運営戦略に基づく行財政改革を着実に推進するために設置をいたしております。令和三年度も、同
プロジェクトチームを中心に、引き続き事務事業の見直しや歳入確保の取組を積極的に実施をいたしたところでございます。
歳入確保の取組のうち、御質問いただきました
ふるさと納税制度を活用した災害等支援の取組でございますが、令和三年七月の大雨災害への対応や
新型コロナウイルス感染症対策のための寄附を企業や個人から募りまして、それぞれ関連事業の財源として約一億千二百万円を活用したものとなってございます。
次に、
事業見直し効果についてでございます。
令和四年度の当初予算編成に当たりましては、事務事業の見直しに積極的に取り組みまして、約十四億円を確保いたしております。
具体的な内訳といたしましては、警察本部の
回線使用料等の契約統合や、
地域包括支援センターとの相談対応機能の重複を考慮した事業の廃止など、事業内容、財源等の見直しによる効果額が約三億円となっており、また、松くい虫等駆除費の見直しなど、決算額を考慮しました予算規模の見直しによる効果額が約二千万円となっております。
さらに、林業・木材産業、沿岸漁業の
貸付資金滞留額の返納など、その他の見直しによる効果額が約二億円となっておりまして、不要不急の出張等の取りやめなど、
新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえました事業執行の見直し等による効果額が約八億円となっております。
次に、「稼ぐ力」の
向上関連事業についてでございます。
令和三年度三月補正予算及び令和四年度当初予算におきましては、農林水産業、
観光関連産業及び企業の「稼ぐ力」の向上に向けた関連事業数は百五十三事業となっておりまして、総額は三百三十三・二億円となっております。
「稼ぐ力」の向上に向けた事業の効果でございますが、個別の事業でそれぞれ
重要業績評価指標(KPI)を設定いたしておりまして、その達成に向けて取り組むことといたしております。
具体的には、例えば、かごしまの
農林水産物輸出促進ビジョン推進事業では、県産
農林水産物輸出額につきまして、令和二年度の二百十四億円から令和七年度には三百億円を目指すというKPIを設定いたしております。
県税収入につきましては、国内外の経済の動向などの影響も受けますことから、「稼ぐ力」の向上に向けた関連事業の県税収入に対する具体的な効果額をお示しすることは難しいと考えておりますが、令和四年度の県税収入につきましては、「稼ぐ力」の向上に向けた関連事業の実施を前提に、先ほど申し上げましたように、最近の県税収入の実績や今後の本県経済の動向等を踏まえ、令和三年度に比べまして増加を見込んでおります。
「稼ぐ力」の向上による税収確保につきましては、継続的な取組が必要であり、今後も各種産業の「稼ぐ力」の向上に取り組みまして、経済の持続的な発展や県民の皆様の所得向上などを通じた税収確保に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
8 ◯中村(素)委員 御答弁ありがとうございました。
百五十三の関連事業に三百三十三億二千万円の投資をされるということでございます。
この「稼ぐ力」への投資がしっかりと実を結ぶように、各般のそれぞれの分野での施策展開を強化していただきたいと考えております。
「稼ぐ力」を向上させて税収を上げていくということが一番の最終的な目標だと思っておりまして、以前に一般質問させていただきましたときに、「稼ぐ力」を上げたその先に知事は何を考えておられるのかということを質問したことがございます。そのときの御答弁が、人口減少や少子高齢化が進行する中、鹿児島に生まれ育った若者が、地元に住み、働きたいと思える鹿児島をつくりたい、地域外に進学、就職した若者が、一定の経験を積んで帰ってくる鹿児島をつくりたいというような御答弁でした。最終的な目標はそこにございます。しっかりと、実現するように皆様方の力を結集して進めていただきたいと思います。
続きまして、
組織力向上研修事業についてお伺いをしたいと思います。
高度化、多様化、複雑化する行政需要に対応する能力の向上のために、新規でこの事業を導入ということでございます。今さら感が拭えないところでございますのでお伺いいたします。
この事業の導入の背景と
具体的事業内容、また、期待する効果についてお示しいただきたいと思います。
[
山本総務部長登壇]
9
◯山本総務部長 組織力向上研修事業の導入の背景と期待する効果についてでございます。
先般お示しをいたしました
行財政運営指針(案)におきましても、今後の
社会経済情勢の変化等にも対応できる持続可能な組織体制の構築に向けまして、職員一人一人がさらなる意欲と資質の向上等を図りながら、その力を最大限発揮できるようにすることが重要との観点から、研修の充実等による人材育成を重点的な取組事項として掲げております。その一環といたしまして、令和四年度当初予算案におきまして、新規事業として、
組織力向上研修事業を計上いたしております。
同事業では、従来の職員研修に加えまして、新たに、例えば課長級職員を対象に、
マネジメント能力の向上のための研修を実施することといたしております。また、全職員を対象に、DX推進など業務課題に直結したテーマを設定した
政策形成能力等の向上のための研修や、職員自らが必要なメニューを選択いたしまして、組み立てて受講できるオンラインでの研修を実施することといたしております。
このように、個々の職員がそれぞれのニーズに応じた研修を自発的に受講できる環境をより充実させることによりまして、個々の職員の業務に対する意欲に加えまして、
マネジメント能力や
政策形成能力等がさらに高まり、ひいては、職場全体の
業務遂行能力の向上につながることを期待いたしているものでございます。
10 ◯中村(素)委員 御答弁ありがとうございます。
先ほども申し上げましたけれども、SDGsもそうですし、カーボンニュートラルゼロでありますとか、Society5・0とか、そういう新しい概念がいろいろと広がる中で、しっかりと政策に結びつけていく能力というのは、これからますます問われていくことであろうと思います。
政策形成能力を上げていく大事な事業でございます。その能力が、ひいては、先ほど申し上げました「稼ぐ力」を上げていく、これを実効性のある事業として進めていくために必要で、最終的には知事が理想とする鹿児島県を形づくっていく非常に重要な取組だと思いますので、ぜひ力を入れて推進していただきたいと思います。
次の質問に入ります。
高齢者交通安全対策事業についてお伺いをいたしたいと思います。
我が県の、県内の
交通事業発生件数は減少傾向でありますものの、高齢者が絡む事故の割合は依然として高く、高齢者への
交通安全指導等を引き続き徹底していかなければならない状況でございます。
県警では、来年度も高齢者に対する
交通安全対策事業を実施するということでございます。
そこで、同事業の具体的内容と効果につきまして、昨年中の実績も含めてお示しいただきたいと思います。
また、
くらし共生協働課におきましても、来年度、同様の
高齢者対策事業というのが予定されていますが、同課との連携についてどのようなものになっているのかお示しいただきたいと思います。
[
山田警察本部長登壇]
11
◯山田警察本部長 高齢者交通安全対策事業の具体的な内容及び効果についてであります。
高齢者交通安全対策事業においては、
交通安全教育指導員による
各種シミュレーター等を活用した参加・体験型の
交通安全教育や、夜間の高齢者の
交通事故防止を目的としました
自動車教習所等における
交通安全ナイトスクールを実施しておりますほか、参加した高齢者に対しては、夜光反射材を配布して利用促進に努めているところであります。
活動の実績についてでありますが、昨年中、
交通安全教育を九十回実施し、千七百十一人が参加しております。
交通安全ナイトスクールは二十九回開催し、九百四人が参加しております。
その結果としまして、昨年の高齢者の死者数は二十六人で、前年比十二人減少し、負傷者の数は八百三十九人で、前年比百七十六人減少したところであります。
また、
県くらし共生協働課が
高齢歩行者交通事故防止講習会を実施するに当たりましては、
交通死亡事故が多発している地域等を選定し、より効果的な対策が取ることができるように、県警察におきましては
交通事故分析システムデータの提供を通じまして、連携しまして
交通安全県民運動を年間を通じて展開し、県民の
交通安全意識の高揚を図っているところであります。
今後も、県との連携等を通じまして、高齢者の交通事故の防止に努めてまいりたいと考えております。
12 ◯中村(素)委員 御答弁いただきました。
昨年の実績、非常に実績を上げておられる、死者数も負傷者数もかなり大きく減少しているということで、効果のある事業だと理解いたしました。
来年度も引き続き徹底した事業執行をしていただきたいと御要望を申し上げます。
また、今回、聞きませんでしたけれども、認知症の方の交通事故というのも増えていると聞いております。判断ができないということで、事故に巻き込まれるということも多いということですので、できれば、知事部局が行っている認知症関連の事業とも連携していただけたらと思っております。
次の質問に入ります。
鹿児島県
消防団PR推進事業につきましてお伺いいたします。
去る三月四日、阿久根市消防団が日本消防協会による特別表彰であります「まとい」を受賞されました。まといを受賞できるのは、毎年、全国で十団体しかなく、消防団にとりましては最高の名誉とされる表彰と聞いております。日頃から地元の消防団の皆様方と交流をさせていただきますが、地域に密着した存在として、住民の生命、財産を守る非常に重要な任務を強い使命感と奉仕の精神を持って遂行されておられることに頭が下がります。そうした日々の御尽力が受賞につながったものとうれしく思っているところでございますし、改めて、彼らなくしては地域は成り立たないとの考えを強く持っているところでございます。
消防団に関しましては、少子高齢化により団員確保が困難である等の課題も多いと承知しています。そうした中で、最近では、各地で女性消防隊の設置が進み、新たな活力として地域を支えていただいていると聞きます。実際に、私も、地元の女性消防隊の皆様方の明るく元気で目覚ましい活躍の様子を目の当たりにしております。
県は、来年度、新規事業として、若者や女性等の消防団への加入を促進する取組をされるということでございます。
そこで、県内の女性消防隊の数と所属隊員の数を、近年の推移とともにお示しいただきたいと思います。
また、本事業の効果として、数値目標をどのように掲げておられるのか、併せてお示しいただきたいと思います。
[橋口危機管理防災局長登壇]
13 ◯橋口危機管理防災局長 県内の女性消防隊の現状についてでございます。
県内の消防団における女性消防隊等つきましては、令和三年四月一日現在で、二十五市町村に二十五の組織が設置され、三百二十三人の方々が在籍されております。平成二十八年四月一日に比べて、市町村数及び組織数が七増、在籍者数が百二人の増加となっております。
次に、
消防団PR推進事業に係る数値目標についてでございます。
県内の消防団員数は、令和三年四月一日現在で一万四千九百三十八人となっており、五年前に比べて五百三十七人減少しています。
県では、消防団員、特に若者や女性の確保は、地域の安心・安全の確保や地域防災力の維持・向上の観点から非常に重要な課題であると考えており、令和二年度に制作しましたPR動画「IZA!(いざ)消防団」などを活用して、来年度、テレビコマーシャルやインターネットなどの様々な媒体による広報活動を行うことにより、若者や女性などの消防団への加入を促進することとしております。
県といたしましては、減少傾向が続く消防団員数につきまして、まずは、現在の水準が維持されるように、市町村や消防関係機関と連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。
14 ◯中村(素)委員 御答弁いただきました。
女性消防隊員の数は年々増加傾向にあるということでございます。一方で、全体の消防団員の数というのが、五年間で五百三十七人の減ということで非常に大きな減だと思います。これを一年間でしっかりと補っていくというのは非常に大変な作業だとは思いますが、地域でぼやがあると、皆さん、取るものも取りあえず、職場から駆けつけてくださるというような状況でございまして、なくてはならない存在でございますので、団員の加入促進には、県もぜひ力を入れていただきたいと思います。
地元阿久根市の女性消防隊員の話を聞きますと、非常にきめ細やかな活動をされています。地元の独居老人のお宅に一軒一軒訪ねていって、日頃の生活状況とか、何かあったときの避難の状況とか、お薬の場所はどこにあるのかということを聞き取りされるようです。男性の団員が来られると、どうしても敬遠して家に入れたがらないところが、女性の消防隊員でありますと、お茶もお菓子も用意して、すごく楽しみに待っているというような、活躍、目覚ましい女性消防隊員でございますので、ぜひそちらの確保にも励んでいただきまして、地域の安心・安全の向上に取り組んでいただきたいと思います。
それから、続きまして、「生理の貧困」支援促進事業についてお話をお伺いしたいと思います。
コロナ禍で生理の貧困が顕在化いたしました。生理用品を買えない女性がいるという話を聞きまして、同じ女性として非常に心が痛んだところでございます。
昨年六月、私たち五人の女性県会議員も、女性団体の皆様方と県の担当部局を交えて意見交換をさせていただく機会を得ました。その時点で、県の態度といたしましては実態調査をするということでございましたが、来年度予算で、早速、新規支援事業を立ち上げられたという、スピード感を高く評価したいと思います。
そこでまず、「生理の貧困」に関するアンケート調査の結果とアンケート等から見えてきた生理の貧困の背景等についてお示しをいただきたいと思います。
また、本事業では、相談機関での無料提供や市町村における取組を支援するということでございます。まず、提供される生理用品の積算の考え方、次に、県における広報周知の方法も含めた無料提供の具体的内容と市町村に対する支援スキームについてお示しいただきたいと思います。
この生理の貧困の問題に関しましては、背景にある根本的な原因を解消することこそが重要と考えております。
そこで、生理の貧困の根本原因の一つである生活困窮に対する支援の取組と本事業との連携についてお示しいただきたいと思います。
[奥 男女共同参画局長登壇]
15 ◯奥 男女共同参画局長 「生理の貧困」に関するアンケート調査結果と生理の貧困の背景についてでございます。
県におきましては、今年度、生理の貧困に関するウェブアンケート調査を県内在住の女性を対象に実施し、約四千人から回答を得たところであります。
今回の調査におきましては、生理用品の購入について、いつも困っている方々が約三%おり、年代別では二十代、三十代の方が多く、職業別では、契約社員や派遣社員、パート・アルバイトの方々が多かったところでございます。
また、困っている理由といたしましては、「値段が高い」、「収入が少ないまたは減った」などが多く、経済的な理由により生理用品の購入に困っている状況が確認できたところでございます。
次に、「生理の貧困」支援促進事業の具体的な内容と他事業との連携についてでございます。
生理用品の積算に当たりましては、県内の女性の人口や、今回実施したアンケートにおいて、購入にいつも困っていると回答した方の割合等を踏まえて算出したものでございます。
県におきましては、今年度、かごしま県民交流センターの相談窓口やトイレでの無料提供に取り組んでおりまして、来年度実施予定の「生理の貧困」支援促進事業におきまして、県の相談機関等での生理用品の提供を行うこととし、県のホームページやリーフレット等による周知を図ってまいりたいと考えております。
また、市町村における同様の取組を支援するため、生理用品の配布と併せて、他の自治体の取組事例、提供に当たっての留意点等を対応マニュアルに示すことといたしております。
生活困窮に対する支援の取組につきましては、福祉事務所設置市町村を含む三十三の自立相談支援機関が相談窓口を設置し、生活に困窮する方々への包括的な支援を実施しているところであり、生理用品の提供に当たりましても、こうした関係機関と連携を図ってまいりたいと考えております。
16 ◯中村(素)委員 御答弁いただきました。
生理用品を買えないということはなかなか言い出しづらいといいますか、非常に繊細な問題でございます。トイレットペーパーで代用したりとか、我々女性が聞きますと、非常に胸が痛いなと思うことが多うございます。ぜひ、必要な人の手に届くような事業の展開をしていただきたいと思います。
また、市町村におきましても、非常に取組が進んでおりますので、連携をしっかり取っていただきたいと思います。
最後に、かごしまジェンダー平等推進プロジェクト事業についてお伺いしたいと思います。
去る三月八日は、国際女性デーでした。世界銀行が百九十の国と地域の職場や賃金、年金など八つの分野で男女格差を分析した最新の結果では、日本は百三位タイ、昨年の八十位タイから大きく後退しています。また、鹿児島県は、政治、行政、教育の分野で全国で四十位台ということで新聞報道がなされました。これを見て大変重い気分になりました。今年一月には鹿児島大学の医学部の女子学生の皆様方と意見交換させていただきました。その中では、ジェンダーギャップを解消するためには何をすればいいですかというような御質問がございました。昨日は、志學館高校の女子生徒さんからも同様の質問をいただいたところでございます。我が県内でも、特に若い世代の女性が非常に窮屈な思い、理不尽な思いを抱えているということを知っていただきたいと思います。
そうした中で、県のこの取組に関しまして、取組を行う前提として、県におけるジェンダーギャップの状況と、プロジェクトの事業を進めるに当たっての背景についてお示しください。
また、かごしまジェンダー平等推進プロジェクトの事業の具体的な内容について、令和三年度の実績も踏まえてお示しいただきたいと思います。
[奥 男女共同参画局長登壇]
17 ◯奥 男女共同参画局長 ジェンダー平等推進プロジェクトについて、幾つかお尋ねをいただきました。
本県におきましては、固定的な性別役割分担意識が根強く、管理職などに占める女性の割合や、共働き世帯における夫の家事時間が全国よりも低い水準にあるなど、ジェンダーギャップが職場、家庭、地域などにおいて生じているところであります。
県におきましては、これまで、男女共同参画の普及啓発や学習機会の提供をはじめとする様々な取組を進めてきたところであります。
ジェンダー平等の推進は、SDGsや地方における人材確保等の観点からも強く求められていることから、ジェンダーギャップ解消に向けた県民の機運醸成をさらに図るため、今年度、新たに民間の方々や若者と連携して、かごしまジェンダー平等推進プロジェクト事業に取り組んでいるところでございます。
事業の実績につきましては、経営者や地域団体など民間の方々で構成する
プロジェクトチーム会議を五回開催し、職場、家庭、地域におけるジェンダーギャップの解消に向けて取り組む内容につきまして、それぞれの立場から、「わたしたちのコミットメント」として取りまとめたところでございます。
また、若者会議を民間との協働により県内三か所で開催し、学生や社会人など延べ約二百名の参加者が、自らの体験や思いを語り合い、今後の機運醸成に活用できるデザインを考えるとともに、会議の内容についてSNS等で情報発信を行ったところであります。
来年度におきましては、コミットメントやデザインなどの成果も活用しながら、広く県民や企業等にメッセージを発信するための会議やフォーラムの開催、ジェンダー平等の意義や重要性を県民に分かりやすく伝えるための広報啓発を展開するなど、ジェンダーギャップ解消に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
18 ◯中村(素)委員 御答弁ありがとうございました。
今日はホワイトリボンをつけて登壇いたしました。鹿児島の女性が生きやすい鹿児島県をつくっていただきたい、鹿児島の女性を代表して、知事にお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。
ありがとうございました。(拍手)
19
◯日高委員長 次に、酒匂委員に発言を許可いたします。
[酒匂委員登壇]
20 ◯酒匂委員 皆様、おはようございます。
私は、産業経済委員会関係について質疑をしていきたいと思います。特に新規事業を中心に今回は取り上げております。
早速質問に入ります。
まず、世界に轟く!「和牛日本一」プロモーション推進事業についてであります。
私は、五年前、宮城県での全国和牛能力共進会に出席させていただきました。現場で日本一が決まった瞬間は、みんなで立ち上がって感動したのを覚えております。
いよいよ本年十月に本県で開催されますが、ぜひ、これまでの準備等の成果をしっかりと発揮されまして、日本一を目指して頑張っていただきたいと思っております。
まず、日本一プロモーション推進事業についてお聞きします。
それは、前回日本一を獲得した後に、いろいろな機会で、全国に出張しましたが、鹿児島県の牛が日本一であるということについて、関係業界の方々は知っているんですけれども、一般の他県の方々がなかなか知らないということを目の当たりにしまして、やはり情報発信というのがまだまだ十分ではないのかなと思っております。この事業について二点お伺いします。
一点目は、具体的な取組内容、どういうことを今年度、取り組んでいかれるのか。二点目は、その事業の目指す成果についてお聞きしたいと思います。
[松薗農政部長登壇]
21 ◯松薗農政部長 世界に轟く!「和牛日本一」プロモーション推進事業の具体的な取組内容とその目指す成果についての御質問でございます。
本事業では、第十二回全国和牛能力共進会後の国内外における鹿児島黒牛のより一層の銘柄確立を図るため、認知度向上に取り組むこととしております。
具体的には、和牛日本一の称号を活用して、国内向けとして、県庁や鹿児島空港での看板設置、鹿児島黒牛販売指定店でのPR、また、海外向けといたしまして、輸出相手国の在外日本大使館のレセプションや食品展示会でのPRなどに、全共終了後、直ちに取り組むこととしております。あわせて、PR動画やSNS等も活用することとしております。
本事業の目指す成果についてでございます。
この事業で国内外の認知度向上が図られることにより、県外からの新規購買者の増加による子牛価格の上昇、肉用牛農家の生産意欲の向上による繁殖雌牛の増頭、牛肉の輸出先国の拡大や輸出量の増加などの成果につながるものと考えております。
22 ◯酒匂委員 この和牛日本一という言葉が非常に難しいのが、幾つかの部門がありまして、鹿児島が全ての部門で優勝というわけではなくて、部門によっては他県も内閣総理大臣賞等を受賞されておりまして、それをうたって、我が県が日本一だとアピールする県もあります。鹿児島が日本一であるということを、宣伝するのがなかなか難しいのかなと思っておりますが、ぜひ、工夫して取り組んでいただきたいと思います。
次に、かごしまの
農林水産物輸出促進ビジョン推進事業について質問いたします。
知事の「稼ぐ力」の向上、そしてまた、鹿児島県がこれから何で飯を食っていくのかというときに、日本国内、県内は、人口減少・少子高齢化で内需は縮小していく傾向であるため、やはり外貨を稼ぐということが必要であると思います。
そういう中で、鹿児島県はこれまでも農林水産物の輸出に一生懸命取り組んでまいりましたけれども、新たにこのかごしまの
農林水産物輸出促進ビジョン推進事業でどのような取組をされていくのか、これまでの取組と成果について、また、来年度、具体的な取組をどのように行っていくのか、質問いたします。
[
塩田知事登壇]
23 ◯塩田知事 まず、県産農畜産物の輸出拡大に向けた取組と成果についてでございます。
県産農畜産物の輸出拡大に向けた取組と成果については、県では、輸出拡大に向けて、農林水産物輸出促進ビジョンに基づき、これまで生産体制や販売力の強化に戦略的に取り組んできたところであります。
その結果、県産農畜産物の令和二年度輸出額は百二十億円で、平成二十三年度の公表開始以降、最高額を更新したところであります。
次に、来年度の取組内容についてでございます。
国全体の輸出が伸びる中で、県産農畜産物の輸出を一層促進するため、経済成長を続けるアジア諸国など海外の需要をしっかりと取り込む必要があると考えております。
このため、これまでの県内輸出商社の海外営業活動や農業者の国際水準GAPの認証取得等への支援に加えて、令和四年度は、本県の農畜産物を紹介する動画の作成やSNS等による海外への情報発信などを行うこととしております。
今後とも、県農林水産物輸出促進ビジョンに基づき、農畜産物の令和七年度輸出目標額百五十九億円の達成に向け、官民が一体となって輸出拡大に取り組んでまいりたいと考えております。
24 ◯酒匂委員 この農林水産物の輸出につきまして、知事の「稼ぐ力」の成果が十分出るように頑張っていただきたいと思います。
特に、TPPに加えまして、RCEPという国際的な環境も少しずつ整ってきておりますので、ぜひ利用して頑張ってください。
次に、「稼ぐ力」を引き出すスマート農業普及展開事業についてであります。
これまで私も、スマート農業の現場で、例えば肉用子牛の繁殖の場面とか、または、お茶の摘採機の現場も見させてもらいました。今外国人の労働力に頼りながら何とか現場も持ちこたえておりますが、こういうコロナの感染等がありますと、外国人の力も頼りにできないというときに、やはり、自力でまずは頑張っていく体制が必要であると考えます。こういうスマート農業については、本県の、または日本が持つ技術を生かして進めていかなければならないと思いますので、大変期待しております。
そこで、これまでの取組と成果について、また、来年度の具体的な取組内容についてお示しください。
[松薗農政部長登壇]
25 ◯松薗農政部長 「稼ぐ力」を引き出すスマート農業普及展開事業につきまして、これまでの取組と成果について、また、来年度の具体的な取組内容についての御質問でございました。
県では、これまでスマート農業の普及促進のための研修会等の開催や、スマート農業技術の実装化のための実証活動等に取り組んできたところであり、現在、二千件を超える導入が見られるところであります。
また、実証活動の成果として、施設ピーマン経営においては、環境制御システムの導入により、単収が約一・五倍に増加するなどの結果が得られており、産地での導入が進んでおります。
また、酪農経営では、搾乳ロボットなどの導入により、労働時間が約四割削減できたことで規模拡大が図られ、県内でも技術の導入が進みつつあります。
来年度の具体的な取組内容についてでございます。
令和四年度におきましては、来月、農業開発総合センターに開設いたしますスマート農業拠点施設においてセミナー等を開催し、普及啓発等を行うこととしております。
また、スマート農業機器のデータを活用して技術指導ができる人材を育成する研修会等を開催することとしております。
さらに、水田の雑草抑制ロボットや畜産の非接触型分娩監視システムなど、新たなスマート農業機器の導入を進めるための現地実証等を行うこととしております。
県といたしましては、本県の基幹産業である農業の「稼ぐ力」を引き出すため、スマート農業の導入・普及を促進してまいります。
26 ◯酒匂委員 次に、家畜保健衛生所施設整備事業についてであります。
地元にあります姶良家畜保健衛生所をこれまで数回視察させてもらいました。また、県議会でも何度か質問をさせてもらっております。非常に古い施設でありまして、当時は、非常に豊かな農村地帯といいますか、人家のないところに建てられて、家畜の施設としてはよかったんですが、現在は周りに人家が張りついてきて、密集地帯の中にぽつんと存在するような状況になっておりまして、できるだけ早い施設整備、移築をお願いしてきたわけであります。今回ようやく予算を組んでいただいて、非常にありがたいなと思っているところでございます。
先ほどからの農林水産物の輸出であったり、また、「稼ぐ力」を引き出すためにはこうした県の施設がしっかりと機能しなければなりませんので、非常に期待しているところであります。
そこで、具体的な取組内容及び事業の目指す成果についてお聞かせください。
[松薗農政部長登壇]
27 ◯松薗農政部長 家畜保健衛生所施設整備事業につきまして、取組内容と目指す成果についての御質問でございます。
姶良家畜保健衛生所につきましては、昭和四十二年に整備され、五十四年が経過し、施設等の老朽化や混住化が進んできたことから、移転整備を進めることとしております。
令和四年度におきましては、用地の購入、設計等に要する経費を当初予算に計上しており、令和五年度以降、建築工事や機器の整備等を予定しております。
移転先につきましては、一定の面積を有し、管内の農場へのアクセスが良好であることなどを考慮して、今後選定することとしております。
目指す成果についてでございます。
新たな施設は、高度なバイオセキュリティーを完備した検査施設や検査機器を整備することにより、家畜の伝染性疾病の発生時に迅速かつ安全に病性鑑定を実施できることとなります。
また、防疫資材の備蓄倉庫等を整備することにより、初動防疫に迅速に対応できることとなります。
県といたしましては、家畜衛生対策の拠点としての機能が十分発揮できるよう、移転整備を進めてまいりたいと考えております。
28 ◯酒匂委員 幾つか再質疑をさせていただきます。
まず、用地につきまして、先ほど、管内ということでございましたが、現在想定している地域があるのかどうかお聞きします。
もう一点はスケジュールでございますが、いつ頃完成して、いつから新しい施設が稼働できるようになるのか、分かっておりましたらお聞かせいただきたいと思います。
また、バイオセキュリティーという言葉や様々な対策がありましたけれども、その内容につきましてお聞きしたいのと、鳥インフルエンザ等も、これから本県で毎年のように起きる問題でありますから、どのようにこの施設が機能していくのかということも併せてお聞かせください。
[松薗農政部長登壇]
29 ◯松薗農政部長 姶良家畜保健衛生所の移転整備について御質問いただきました。
まず一点目の用地につきましては、現在、管内の自治体等からも情報等を提供していただきまして、数か所お話もございますので、そういう中から、面積やアクセスの条件等を考慮して選定してまいりたいと思っております。
二点目のスケジュールの話でございますけれども、今年度、用地、その後設計等を行ってまいりますので、その状況を見て、令和五年度以降、建築工事等に入ることとしておりまして、現時点でどの時点で供用できるかというところまではまだはっきり申し上げる段階ではないところでございます。
続いて、高度なバイオセキュリティーを完備した検査機器等ということでございますので、この辺につきましては、家畜の伝染性の疾病が発生時に、きちんと検査でき、病性鑑定が直ちにできるような内容の施設等としてまいりたいと考えております。
鳥インフルの関係につきましては、最終的な県内の施設、対象の判断等については、引き続き鹿児島中央家畜保健衛生所でやることになると思いますけれども、防疫資材の備蓄倉庫等を整備することになりますので、特に初動防疫に関しましては、かなり改善できるのではないかと思っております。
30 ◯酒匂委員 分かりました。用地につきまして、まだ調整中ということでございましたけれども、やはり管内どこからでも非常に便利で機能的に動けるような場所にぜひ選んでいただきたいと思います。
スケジュールについては、あまり延ばされないように、できるだけ早く移築できるように御努力をお願いしたいと思います。
次に、かごしまのさかな輸出産品品質向上支援事業についてであります。
先ほどからあります輸出ということで、鹿児島では一番ブリが主力商品として頑張っているわけでありますが、事業の具体的な内容について、また、その事業の目指す成果についてお聞かせいただきたいと思います。
[平林商工労働水産部長登壇]
31 ◯平林商工労働水産部長 かごしまのさかな輸出産品品質向上支援事業の具体的な取組内容と事業の目指す成果についてでございます。
本事業は、水産物の輸出拡大を図るため、輸出先国・地域の輸入規制やマーケットのニーズ等の調査を行うとともに、それらに対応した製造技術開発や商品開発を行い、輸出産品の品質向上を目的としております。
具体的には、まずはターゲット国・地域の食品衛生等の規制、外食店や小売店の商品ニーズについて調査を実施することとしております。
また、製造技術開発や商品開発については、ブリフィレなどの変色防止に効果のある物質を利用した餌の開発や、変色部位をトリミングする機器の開発などについて、産学官が一体となった共同研究を行い、ニーズに対応した輸出産品の商品化を行うこととしております。
本事業を実施することにより、ブリの主要輸出先である米国市場の販売を拡大させるとともに、ヨーロッパにおける和食文化の広がりを追い風にかつおぶしを輸出し、同地域の市場開拓を図ってまいりたいと考えております。
32 ◯酒匂委員 幾つか再質疑をさせていただきます。
まず、それぞれの魚種につきまして、主なところで結構ですが、ターゲットになる国がどこか、また、現在取り組んでいる国と、今後新たにターゲットとして考えている国があるのか教えてください。
そして、ブリの輸出は非常に伸びているということで、我々としてはうまくいっていると思っていたんですが、先ほどブリの変色というお話がありました。血合いの部分だと思うのですが、現在どういう状況になっているか、お聞かせください。
[平林商工労働水産部長登壇]
33 ◯平林商工労働水産部長 まず、ターゲット国についてでございます。
主にブリの輸出につきましてはそのほとんどが米国ではございますが、一般質問でも答えさせていただきましたが、メキシコやドイツ、そういった国々を現在は進めておりまして、商品の定番化と実績を出しているところでございます。また、そのほか、東南アジア等へも市場の拡大へ向け商品開発等進めているところでございます。
もう一点目のブリの変色についてでございますが、こちらの問題につきましては、御案内のとおり、魚の血合い部分が時間の経過とともに赤色から褐色へ変色するところでございますが、冷凍後、解凍したときが特に著しい状況でございます。変色すると当然のことながら商品価値が損なわれるものでございまして、現在、米国向けにはCO処理をして輸出しているところでございます。このCO処理が今後どういった形でアメリカで扱われるのかというところが不確定なところでございますので、その点についての調査及びそのCO処理以外の技術でこの褐変、変色を防止してアメリカ等へ輸出できるような形にしていきたいと考えております。
34 ◯酒匂委員 再質疑をさせていただきたいと思いますが、このブリの血合いの変色というのは、長年の課題だったと思うんですね。なかなか解決できないということだったんですが、今回この新たな取組によってある程度解決できるといいますか、変色防止なりができるような見通しがあるのか、それとも実証ということでチャレンジしていくということなのか、まず一点お聞かせください。
もう一点、先ほど、かつおぶしの話があったんですが、品質向上支援ということで、かつおぶしで何か取組があるのかどうか。
あともう一点が、ブリとかつおぶし以外の魚種で何か取り組む予定があるのか、お聞かせください。
[平林商工労働水産部長登壇]
35 ◯平林商工労働水産部長 ブリの褐変防止対策に関する研究開発でございますが、こちらにつきましては具体的には抗酸化物質の検索と給餌試験及びO2、N2、混合ガスの含気の気泡の包装試験、あと、ノンCOブリ評価試験等を行いまして、まずは研究開発から行っていきたいと考えています。これらを三年間を通じて研究開発を行い、その実績を出したいと考えております。
また、かつおぶしでございますが、こちらにつきましては、ベンゾピレンと言われる発がん性の物質がございますが、実際のところ、これは水溶性が少ないため、実質上、かつおぶしに影響を及ぼしてはいないところでございますが、ヨーロッパにおいてはこの点について規制がかかっておりますので、ここのベンゾピレンの低減化に向けた研究開発を三年間を通じて実施していきたいと考えております。
それから、その他の魚種でございますが、現在この事業につきましては、ブリ及びかつおぶしについて研究開発を進めていきたいと考えております。
以上でございます。
36 ◯酒匂委員 分かりました。欧米では非常にブリが人気があるということでございますが、国内ではカンパチも非常に人気がありまして、カンパチは脂は少ないんですが、食感もよくて、また、血合いの変色もほとんどないですから、私は輸出に非常に適しているんじゃないかなと思います。これから新たに海外に出すには、ブリ・プラス・カンパチというのも非常にいいと思っておりますので、ぜひ、機会がありましたら、その検討もしていただきたいと思います。
次の質問に入ります。
水産物グリーン物流導入支援事業についてでございます。
先ほど、中村委員から、SDGsとかカーボンニュートラル、また、Society5・0とか、いろいろ新しい概念というのが示されましたけれども、このグリーン物流という取組も、そういうものの一部を担いながら取り組まれていく事業だろうと思っておりますが、具体的な内容について、また、事業の目指す成果についてお答えください。
[平林商工労働水産部長登壇]
37 ◯平林商工労働水産部長 水産物グリーン物流導入支援事業の具体的な取組内容と事業の目指す成果についてでございます。
水産物の大都市圏への輸送については、鮮度を維持する必要がございまして、常にスピードが重要視されているところでございます。
また、カーボンニュートラルを実現するため、貨物輸送をトラック等の自動車から鉄道等へ転換するモーダルシフトの取組が従前より求められているところでございます。
このため、本事業では、新幹線のスピードと始発駅を有する本県の優位性を生かして、輸送キャリア(手段)としての新幹線活用とモーダルシフトに呼応した水産物物流の検証を行い、JR各社等と連携して実施することとしております。
本事業を実施することにより、鹿児島県と大阪府や福岡県などの大消費地をつなぐ新幹線物流を実証し、本県水産物を即日輸送することによる付加価値向上と水産分野でのカーボンニュートラルの実現を図ることとしております。
38 ◯酒匂委員 新幹線を活用して福岡県、大阪府へ輸送するとありましたが、新幹線は、東京都を含め日本全国、ターゲットになると思うんですが、どの辺まで視野に入れて取り組んでいかれるのか。また、ブリの物流は、どのぐらいの規模から始めていかれるのか、その辺の取組、スケジュール等、何かございましたらお聞かせいただきたいと思います。
[平林商工労働水産部長登壇]
39 ◯平林商工労働水産部長 まず、所要時間、リードタイムでございますが、仮に東京都へ陸路で運んだとした場合ですと、三日かかり、その後、市場へ四日目に着くようなスケジュールでございます。また、大阪府につきましては、二日目に着きまして、市場に回るのが三日目、福岡県は、最終的に出るのが二日後というのが現状でございます。
こちらを実証的な輸送路線の確立ということで、新幹線を使った場合でございますが、福岡県、大阪府を主要な目的地としておりまして、即日で配送できるような形でできないかということで、実証実験を進めたいと考えております。
実証実験のその規模でございますが、まずは、ニーズ調査、オペレーション調査を実施していくことから始めたいと考えておりまして、具体的な規模等についてはまだ想定しておりませんが、試験輸送等までこの事業で進めていきたいと考えております。
以上でございます。
40 ◯酒匂委員 新幹線を活用して福岡県、大阪府でまずはということなんですが、新幹線が、大阪府では直行があるけれども、東京都は直行がないということが理由で今回外されているのか、それとも取りあえず、実証として大阪府、福岡県でやって、将来的には東京都も考えているのか、その辺はどうなんでしょうか。
[平林商工労働水産部長登壇]
41 ◯平林商工労働水産部長 この事業を行う背景でございますが、コロナ禍におきまして航空便がなかなか使えなくなってしまったことから、代替輸送として新幹線も使えないのかというところから発想しております。
東京都への輸送につきましても、当然のことながら視野に入れたいとは思いますが、福岡県と大阪府でまずは実証を行い、その先の東京都についてはまた検討していきたいと考えております。
42 ◯酒匂委員 分かりました。
次に、新規事業の企業成長促進ハンズオン支援事業についてでございます。
私の地元にプリントネットという企業がありまして、もともと私も商工会青年部で同じ仲間で活動しておりまして、当時は小田原印刷という名称でやっておりましたけれども、ちょうどインターネットを使った印刷通販というのがはやる初期の頃そこにチャレンジされまして、今では上場企業になったということで、鹿児島県内でも有数の企業でありますが、ぜひ、そういう企業をこれからも生み出す意味からも、企業成長促進ハンズオン支援事業というのをこれからも取り組んでいただきたいと思っておりまして、期待している事業でございます。
この事業の具体的な内容及び事業の目指す成果についてお聞かせいただきたいと思います。
[平林商工労働水産部長登壇]
43 ◯平林商工労働水産部長 企業成長促進ハンズオン支援事業の具体的な取組内容と事業の目指す成果についてでございます。
本事業は、令和元年度から令和三年度まで実施してきましたかごしま企業成長促進プログラム事業、こちらをさらに拡充して、より深掘りした伴走型支援を行うものでございます。
具体的には、成長意欲の高い県内企業に対しまして、金融機関や投資ファンド等と連携して、株式上場に向けた研究会を開催するほか、成長戦略策定や高度な経営管理体制構築のためのゼミを、それぞれ五社、六回程度実施することとしております。
また、ゼミ修了後には、その取組の成果を発表する機会を設け、証券取引所や投資ファンド等による評価を受けることとしております。
過去三年間の事業により、支援した六社のうち二社が上場を目指す旨を表明しており、また、うち一社は株式公開の早期実現に向け具体的な取組を始めているところでございます。
本事業においても、より深掘りした伴走型支援により、株式上場など県内企業の成長に向けた取組を進め、生産性と付加価値の向上を図ってまいりたいと考えております。
44 ◯酒匂委員 ただいま今年度は五社ということでお話がございましたけれども、県内の企業で将来的には上場したいという企業はまだあると思うんですが、どういう調査をされて今回五社になったのか、また、今後、自分たちも参加したいという企業が出てきたときには、枠を広げて対応できるのか、その辺はいかがでしょうか。
[平林商工労働水産部長登壇]
45 ◯平林商工労働水産部長 この五社につきましては、企業名は具体的には決まっておりません。公募の中で確定していきたいと考えております。
まずは、この五社から成果を出していきたいと考えております。
46 ◯酒匂委員 私の知り合いも上場を目指している方もいるんですけれども、やはりこうやって行政がサポートするというのは非常にありがたい取組だと思いますでの、ぜひ力を入れていっていただきたいと思います。
次に、インターンシッププログラム支援事業について質問いたします。
インターンシップはいろいろな企業が取り組んできておりまして、また、今回、ズームとか様々な機能も普及しまして、非常にやりやすくなっていると思うんですが、実際に幾つかの会社の方から聞いたのは、新入社員が突然来なくなるとか、全く連絡が取れないとか、非常に困っているということをよく聞きます。ですから、企業がインターンシップを充実されて、若い子たちに企業風土とか、様々なものを感じ取って入っていただくのが一番いいと思うんですね。それが離職率の低下につながると思っておりまして、今回の事業も非常に期待しているところでございます。
そこで、具体的な取組内容及び事業の目指す成果についてお聞かせいただきたいと思います。
[平林商工労働水産部長登壇]
47 ◯平林商工労働水産部長 インターンシッププログラム支援事業の具体的な取組内容と事業の目指す成果についてでございます。
昨今、多くの企業で実施されているインターンシップでございますが、主として大学生を対象としており、就職先を決定する重要な機会の一つとなっております。
来年度実施するこのインターンシッププログラム支援事業は、まず十社程度をモデル企業として公募し、専門家によるインターンシッププログラムの設計、社内での実施体制の構築、学生へのアフターフォローといった支援を行うこととしております。
その後、これらの成果をまとめた導入マニュアルを作成し、県内企業を対象とした成果発表セミナーを開催することで、インターンシップの必要性を経営者の方に周知することとしております。
本事業を通じまして、ホームページ等では伝わりづらい企業理念や具体的な事業内容、社員の働き方など、企業の真の魅力を学生にしっかりと伝えることによって、若者の県内就職を促進してまいりたいと考えております。
さらに、入社前後の企業に対する意識のギャップを埋めることで、早期離職の防止にもつなげてまいりたいと考えております。
48 ◯酒匂委員 本日は、産業経済関係の質疑をさせていただきましたが、まさに知事の「稼ぐ力」の目玉の事業がたくさんございます。ぜひ、県庁を挙げて、成果がしっかり出るように頑張っていただきたいと思います。
以上で私の質疑を終わります。ありがとうございました。(拍手)
49
◯日高委員長 ここで、換気等のため暫時休憩いたします。
再開は、おおむね午前十一時二十五分といたします。
午前十一時 十六分休憩
────────────────
午前十一時二十六分再開
50
◯日高委員長 再開いたします。
次に、鶴丸委員に発言を許可いたします。
[鶴丸委員登壇]
51 ◯鶴丸委員 霧島・姶良郡区選出の鶴丸です。
通告に従いまして、順次質問をさせていただきたいと思います。
一点目は、新時代に対応する鹿児島空港、RESTART KOJ!「鹿児島の空」活性化事業についてであります。
鹿児島空港の活性化につきましては、これまで私は、本会議で空港の民営化等、数回にわたり質問をさせていただいているところでございます。鹿児島空港は、鹿児島市の鴨池から霧島市の溝辺に移転開港してから、今年五十周年を迎えることになります。
執行部におかれましては、この大きな節目を迎えるに当たり、令和元年に鹿児島空港将来ビジョンを策定し、さらに取り組むべき課題の実現を図るため、継続的に進捗管理を行うことを目的に、鹿児島空港将来ビジョン工程表をお示しいただいているところであり、この間の取組に高い評価と敬意を申し上げるところでございます。
新規事業のRESTART KOJ!「鹿児島の空」活性化事業は、鹿児島空港将来ビジョンの実現やコロナ後の変化に対応するため、鹿児島空港が新たに備えるべき機能、設備等について検討を行うこととしており、鹿児島空港将来ビジョンに向けた第一歩の事業と理解をいたしております。
そこで、一点目として、RESTART KOJ!「鹿児島の空」活性化事業の目的、事業の概要、期待する効果等についてお示しください。
二点目は、新型コロナウイルスにより経営状況の悪化などその影響を受けている国際線については、既にその支援対策が講じられているところでありますが、同様に新型コロナウイルスの影響を受けている国内線についての支援についてお示しください。
[房村地域政策総括監登壇]
52 ◯房村地域政策総括監 RESTART KOJ!「鹿児島の空」活性化事業についてでございます。
令和元年度に策定した鹿児島空港将来ビジョンでは、二〇三〇年の乗降客数七百三十万人などの目標のほか、駐機スポットの増設や国際線・国内線ターミナルビルの一体化を含めた施設整備の検討などについて掲げているところでございます。
今月中を目途に策定する同ビジョンの工程表では、新規路線誘致や空港の再整備の在り方など五つのテーマについて、具体的な方向性を示すこととしております。
RESTART KOJ!「鹿児島の空」活性化事業では、今年度までの議論を踏まえ、同ビジョンの目標実現時に想定される国内・国際線の発着便数や空港利用者数など、より詳細な条件を基に、鹿児島空港が新たに備えるべき施設等について検討することとしております。
これにより、鹿児島空港の将来像について関係者間のより一層の認識の共有を図ることができるものと考えており、今後とも緊密な連携の下、同ビジョンの実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
国内線新型コロナウイルス対策についてでございます。
新型コロナウイルス感染症の拡大により、国内線は全国的に大きな影響を受けており、鹿児島空港においても、国内線を運航する航空会社は、羽田線を含めた路線の減便・運休等を余儀なくされ、令和三年の乗降客数が令和元年と比べて約五七%減となるなど、厳しい経営環境が続いております。
このような状況を踏まえ、県では、RESTARTKOJ!「鹿児島の空」活性化事業により、鹿児島空港国内線就航の航空会社に対し、空港ビル使用料の一部や需要回復のためのプロモーション費用等も支援することとしております。
今後とも、各航空会社と緊密に連携を図りながら、鹿児島空港発着の航空路線ネットワークの維持回復を図ってまいりたいと考えております。
53 ◯鶴丸委員 ただいまの答弁でおおむねの概要は理解できました。
鹿児島空港につきましては、お話がございましたように、鹿児島空港将来ビジョン工程表に位置づけられました新規路線等の誘致、国内線・国際線の一体的整備、新時代の二次交通の充実、物流・輸出入機能の向上など、順次、今後、取組が始められると理解しております。
そのためには、ただいまお話がございました航空会社の経営基盤の改善方策と並行しながら、施設の配置の検討など、新たなスタートが肝要だと思っております。
令和四年度新規事業のRESTART KOJ!「鹿児島の空」活性化事業の着実な執行を期待しております。
次は、デジタル戦略の推進についてであります。
デジタル技術の進展は、ポストコロナの日本社会の在り方と相まって、我々の日常生活や働き方など、昭和スタイルを大きく変えるものと思っております。
デジタル技術の革新は、これまでの常識を翻し、さらなる変革や創造を後押しする状況であり、地方が変わるチャンスだと思っております。県が果たす役割は今後ますます重要になってくると思っております。
このような視点に立ちまして、以下三つの事業等についてお伺いいたします。一点目は、デジタル人材の活用・確保・育成についてであります。
県では、令和三年度にデジタル推進課を設置し、庁内行政の業務改革、行政サービスの改善等に取り組むとともに、現在、デジタル推進戦略の取りまとめを行っているところでございます。
私は、県が足腰を強化し、県民を先導する形での県全体のデジタル化の推進を図ることが、とりわけ大事ではないかと思っているところでございます。
そこで、三点お伺いします。
一点目は、新年度予算で県全体のデジタル化を推進するため、外部の人材を活用した推進体制を構築することとされております。この事業について、外部人材の役割を含めた全体の事業概要をお示しください。
二点目は、県職員を対象としたデジタル人材の育成について。
三点目は、市町村支援についてのお取組をお示しください。
[前田総合政策部長登壇]
54 ◯前田総合政策部長 デジタル人材の活用・確保・育成についてのお尋ねでございました。
県における外部人材の活用につきましては、様々な分野の有識者をアドバイザーとして委嘱いたしておりまして、専門的知見からの助言等をいただくとともに、IT企業からの人材派遣により、デジタル機器の導入やITサービスの活用など、実務的なサポートを受けることとしております。
こうした多層的なデジタル人材を活用し、庁内はもとより、市町村や民間企業からの様々な相談にも対応できる体制を構築することで、県全体のデジタル化を推進していくこととしております。
次に、県職員に対するデジタル人材の育成につきましては、デジタル化に必要となる基礎知識のほか、公共データを誰もが利用しやすい形でアクセスできるようにする、オープンデータに関する知識を習得するための研修を行うこととしております。
市町村への支援につきましては、デジタル人材の任用等に要する経費に係る国の財政支援措置や、デジタル人材の募集情報を一元的に収集・公表する国の支援体制につきましての情報提供を行ってきたところでございまして、今後とも、デジタル人材の活用等を含めた様々な相談・助言等を行ってまいりたいと考えております。
55 ◯鶴丸委員 一点、お尋ねします。
去る二月二十八日の新聞報道で、国は、地方自治体のDXを推進するため、デジタルに精通した人材の確保が困難な地方自治体にDXチームをつくり派遣するモデル事業に乗り出すという記事を目にしたところでございます。ただいま外部人材としてアドバイザーの活用をしていきたいという答弁がありました。本県では国の事業の活用は必要はないと理解していいのか。また、アドバイザーにはどのような方を委嘱しようとしているのかお示しください。
[前田総合政策部長登壇]
56 ◯前田総合政策部長 アドバイザーにつきましての再度のお尋ねでございます。
現在、県におきましては、例えば、オープンデータでありますとか、マイナンバーの専門家でありますとか、AIを活用したサービスを提供する経営者の方々でありますとか、例えば、内閣府のCIO補佐官でありますとか、そういった方々六名をアドバイザーとして委嘱しておりまして、今年度の戦略策定に当たって、様々なアドバイス、御意見をいただいて進めているところでございます。
そういうこともございまして、この戦略を実施に移すというのが来年度でございますので、私ども県の戦略に対して知見を有しております六名のアドバイザーの方々を引き続き来年度もお願いしたいと考えているところでございます。
57 ◯鶴丸委員 それぞれ答弁いただきました。
全国でも高齢化率の高い本県におきましては、今後二十五年間で県民の四分の一に当たる約三十八万人の人口が減ってくると言われております。社会を維持していくためには一人当たりの労働生産性の向上が急務となります。人口減少に対応し、若年層の社会流出を防ぐためには、県全体でIT等の活用などデジタル戦略の推進が必要であると思っております。
今年度予算でそのためのDX構築に県が取り組まれるということは極めて重要であると思っております。その推進に期待をし、事業の成果を見守ってまいりたいと考えております。
次は、鹿児島版MaaS推進事業についてであります。
MaaSは、交通サービスの供給側といわゆる需要側の双方に変革をもたらし、我々のライフスタイルやまちづくりの在り方まで変える新たなモビリティーサービスの一つと言われております。
都市と地方ではその推進に当たる課題がそれぞれ異なる中で、それぞれの地方公共団体においても地域の特性を踏まえた早急な取組が求められると伺っているところでございます。
このような中、県では、令和四年度の新規事業で、鹿児島版MaaS推進事業に取り組むこととされているところであります。
鹿児島版と称するMaaS推進事業について、本県の課題と必要性、事業の目的、内容、今後の展開の方向等についてお示しください。
[房村地域政策総括監登壇]
58 ◯房村地域政策総括監 鹿児島版MaaS推進事業についてでございます。
MaaSは、スマートフォンなどの利用により、複数の公共交通機関等を最適に組み合わせ、目的地までの移動に関して一括した検索・予約・決済等を提供する新たなモビリティーサービスとされており、公共交通機関の利用促進等を図るため、現在、全国的に実証実験などが進められているところでございます。
本県においても、マイカーによる移動の増加や急速な少子高齢化の進展などに伴い、公共交通機関の利用促進や観光客などの乗り継ぎ円滑化などが課題となっております。
県といたしましては、来年度、アプリを活用した実証実験などに取り組みたいと考えており、具体的な内容等につきましては、交通事業者や市町村などの関係機関と協議しながら、鹿児島県にふさわしい効果的な仕組みを検討してまいりたいと考えております。
59 ◯鶴丸委員 ただいま、本県のMaaS推進事業の取組につきましてお話をいただきました。
MaaSによるサービスは、利用者にとってその取組が急がれるところでございます。お話がございましたように、関係者と連携を図りながら、鹿児島にふさわしい鹿児島版のMaaSの立ち上げが円滑に進むことと、その成果に期待しているところでございます。
引き続いて、かごしまワーケーション推進事業について、質問させていただきます。
ワーケーションとは、通常の仕事場とは異なる場所で余暇を楽しみながら生活の時間を過ごす新しいライフスタイルで、新型コロナの影響を受けた、テレワークへの取組やデジタル化の進展と相まって、社会全体の新しい働き方の大きな変革につながると言われているところであります。
ワーケーションには、一般的に、休暇型ワーケーションと業務型ワーケーション、例えば地域課題解決型と言われるワーケーションがあると承知しているところであります。
後者のワーケーションは、地域の課題解決を図りながら、地方を活性化し、地方から全国へとボトムアップでの成果を実現していくとされるデジタル田園都市国家構想にも相通ずるワーケーションの形態ではないのかなと思っているところでございます。
県では、ワーケーション推進を図るため、令和二年から三年度にかけて、体験モニターツアーやモデルツアーの実施、PR動画の作成等を行っていると伺っているところであります。また、令和四年度には、関係人口の創出、拡大を図り、将来的な移住者の増加につなげるために地域資源などを活用したかごしまワーケーション推進事業に取り組むとされているところであります。
これらを踏まえまして、次の二点についてお伺いいたします。
一点目は、今年度の事業には、デジタル田園都市国家構想を視野に入れた地域課題解決型のワーケーションといった視点が取り込まれているのかどうか。
二点目は、令和四年度のかごしまワーケーション推進事業には、本県の資源の特性をどう反映した事業内容になるのか、お示しください。
[房村地域政策総括監登壇]
60 ◯房村地域政策総括監 かごしまワーケーション推進事業についてでございます。
本県は、豊かな自然や豊富な温泉資源、安心・安全な食など、地域資源があることから、ワーケーションの適地であると考えており、今年度は、地域体験プログラムなどを盛り込んだモデルコースの構築や、鹿児島でのワーケーションをPRするための動画の作成などに取り組んでいるところでございます。
来年度は、デジタル技術の活用により、地方を活性化し持続可能な経済社会を実現するというデジタル田園都市国家構想の趣旨も踏まえ、新たにWi─Fiなどワーケーションに必要となる環境整備への支援に取り組むとともに、移住を見据えたワーケーションの滞在費の助成、官民連携による受入れ体制の整備への支援などに取り組むこととしております。
県といたしましては、デジタル技術や地域資源を生かし、地域の関係者との交流を通じて、地域課題の解決につなげるという視点も持ちながら、引き続きワーケーションを推進してまいりたいと考えております。
61 ◯鶴丸委員 県では、交流人口の増、あるいは移住人口の増によりまして、人口の増を図りたいという趣旨で幾つかの事業をされていらっしゃるんですが、ただいまの事業と、もう一つ同じ課の中で行われております移住・交流・関係人口拡大推進事業の、人口拡大を図るということについて、どこがどう違うのかお示しいただきたい。
[房村地域政策総括監登壇]
62 ◯房村地域政策総括監 移住・交流・関係人口拡大推進事業と、ワーケーションとの違いということかと思いますが、移住・定住等につきましては、中山間地域等におきまして、人口減少、あるいは少子高齢化などによりまして、地域コミュニティーの維持が困難となるという課題などもございまして、その解決策として、大都市圏から本県への人の流れをつくって地域を支える人材の確保をしていくと考えておりまして、地方回帰の機運が高まる中で、より多くの移住を希望する方々に、本県を選んでいただけるよう取り組んでいるものでございます。
また、ワーケーションにつきましては、社員の休暇取得ですとか、あるいは生産性向上といった観点に立ちまして、近年、導入する企業が増えているところでございます。コロナ禍におきましても、地方で暮らしながらテレワーク等で都会にいるのと同じような仕事ができるということもありまして、広がりが拡大しているということかと思います。
地方におきましては、そういう方々が地方に来ていただけるということで、関係人口の創出・拡大によりまして、地域の活性化ですとか、あるいは将来的な移住・定住につながるということも期待しているところでございます。
また、このかごしまワーケーション推進事業については、対象といたしましては、テレワークに取り組む民間企業ですとか、フリーランスの方という方になるのではないかなと考えているところでございます。
63 ◯鶴丸委員 ただいま答弁がありましたように、移住・交流・関係人口拡大推進事業は全市町村、あるいは個人そのものを対象とし、かごしまワーケーション推進事業は、企業と個人、しかも限られた市町村を対象とする事業ではないかと、私は思っているところです。
したがいまして、今後、この事業を推進されるに当たりましては、こういった視点も視野に入れながら、できるだけ関係市町村と協調し、意見を出し合いながら取り組んでいただくことを強く要望をさせていただきたいと思います。
引き続きまして、脱炭素社会の実現と豊かな自然との共生についてでございます。
蓄電池を活用した地産地消型再生エネルギー導入支援事業についてでございます。
太陽光を中心とした再生可能エネルギーの導入につきましては、固定価格買取制度創設以後、導入の拡大が進んだところであります。
再生可能エネルギーで発電された電力の多くは、電気事業者により買い取られており、域外へ移出している現況であります。
このような中、エネルギーの自給率の向上や非常時の電源確保、また、電力需要の変化に合わせて余剰電力を蓄え、必要なときに電力の利用を可能とするためには、再生可能エネルギー設備と蓄電池を活用することが有効であると伺っているところでございます。
県では、新年度予算で蓄電池を活用した地産地消型再生エネルギー導入支援事業に取り組むとしているところでございますが、事業の目的、事業の内容、対象事業者、財源をお示しください。
[房村地域政策総括監登壇]
64 ◯房村地域政策総括監 蓄電池を活用した地産地消型再生エネルギー導入支援事業についてでございます。
本事業は、再生可能エネルギーの地産地消を促進することを目的に、太陽光発電など再生可能エネルギー設備と余剰電力を蓄えて、必要なときに利用可能となる蓄電池を併用したマイクログリッドの構築、自己託送の活用など、先進的な取組に対する設備導入に必要な費用の一部を補助するものでございまして、
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を財源としております。
補助対象事業者は、市町村、県内の民間事業者で、公募により決定することとしております。
65 ◯鶴丸委員 ただいまお話がありました再生可能エネルギーの地産地消の必要性は理解できたところでございます。今後、この事業を通しまして、今後の課題の把握、また次につなげるような事業の推進を図っていただくよう、要望をさせていただきます。
次は、カーボンニュートラルポートの形成計画の策定についてでございます。
未来エネルギーに係るいろいろな資料を見てみますと、将来のエネルギーは水素の時代の到来になると思っております。
令和三年六月二日の地元紙で、国が鹿児島港湾等全国百二十五の重要港湾等で、港ごとのCO2の排出量の推計、燃焼時のCO2をほとんど出さない水素、アンモニアの供給拠点化を目指し、パイプラインなどの整備をするなど、脱炭素計画を策定するための作成マニュアルを示すとの記事があり、関心を寄せていたところでございます。
県が新年度予算で取り組むこととしているカーボンニュートラルポート形成計画の策定は、これらを踏まえてのことだと理解しているところでございます。
そこで、新年度で策定を予定されているカーボンニュートラルポート形成計画の背景、事業の目的、策定のスケジュール等について、お示しをいただきたいと思います。
[兒島土木部長登壇]
66 ◯兒島土木部長 国は、脱炭素化に配慮した港湾機能の高度化、集積する臨海部産業との連携等を通じて、温室効果ガスの排出を全体としてゼロとするカーボンニュートラルポート、いわゆるCNPを形成し、国全体の脱炭素社会の実現に貢献することといたしております。
また、昨年六月からCNPの形成に向けた検討会を四回開催しており、十二月にはCNP形成に向けた施策の方向性と、CNP形成計画策定マニュアルを公表したところであります。
本県の重要港湾におきましても、港湾利用者等の協力も得ながら、CNP形成計画の策定に順次着手することとしており、令和四年度当初予算において五百十七万円を計上したところでございます。
まずは、現在の温室効果ガスの排出量推計や将来の削減目標の調査を進め、その後、目標を実現するために講じるべき取組等について取りまとめる予定でございます。
67 ◯鶴丸委員 ただいま御答弁いただきました。
私は、カーボンニュートラルポートのイメージという、国土交通省が策定いたしましたパンフレットを見させていただきました。これはお話がありましたように、我が国の輸出入の九九・六%の取扱いを占め、CO2の排出量が約六八%を占める産業が立地をしております港湾の脱炭素化を目指すイメージでございます。
港湾につきましては、水素専用船の推進等の係留施設、また、埠頭などの港湾施設用地には、水素の専用発電施設や水素の貯蔵施設の整備と、これまでの港湾とはその機能が大きく変わる新たな港湾が予想されているところでございます。
鹿児島県の重要港湾のうち、鹿児島港につきましては、先日の一般質問で、北埠頭の用地の活用も含めた港湾計画の見直しの改定について質問をし、前向きな答弁をいただいたところですが、今回、令和四年度の新たな事業でカーボンニュートラルポート形成計画の作成に着手されることになりますが、これは、将来の本県の五つの重要港湾の在り方にも影響を与えるものだと思っているところでございます。
鹿児島港の港湾の計画と改訂に当たりましては、このカーボンニュートラルポート形成計画のその第一歩となるものと思っておりますので、しっかりとした取組をしていただくように強く要望をさせていただきます。
次は、多様で魅力ある奄美・離島の振興についてであります。
昭和二十八年に日本国に復帰した奄美群島につきましては、産業基盤、生活環境の整備、自然の特性を生かした振興等を図るため、昭和二十九年に制定された奄美群島振興開発特別措置法に基づき、空港、港湾、道路など、社会資本の整備や生活基盤の改善、整備に年々取り組まれ、今日を迎えているところであります。
一方、令和三年には、地域の自然の特性を生かした地域の振興につながる、我々、悲願でございました奄美の世界自然遺産への登録がなされました。これでさらに多くの人々が奄美を訪れ、交流人口の増加にもつながるものと期待いたしておりました。しかしながら、これからというときにコロナの影響を受け、出ばなをくじかれた気がしております。
奄美におきましては、交流人口の増加による地域の振興や、また、コロナ対策としての振興も重要であると思っております。
そこで伺います。
一点目は、新規事業の奄美群島誘客・周遊促進事業について、取組の背景・目的、期待する効果についてお示しください。
二点目は、奄美群島が本土へ復帰するまでは、沖縄県の支庁が名瀬市に設置されていたなど、奄美群島と沖縄とは、歴史的・文化的につながりの深いところであります。今後、奄美・沖縄世界自然遺産登録も視野に入れた、両地域の調和ある振興を図るために、奄美・沖縄連携交流促進事業については、さらにその必要があるのではないかと思っております。
そこで、この事業についての取組の成果、課題及び今後の対応をお示しください。
[房村地域政策総括監登壇]
68 ◯房村地域政策総括監 奄美群島誘客・周遊促進事業についてでございます。
本事業は、
新型コロナウイルス感染症の影響により減少している奄美群島の入り込み客数の回復を図るとともに、世界自然遺産登録を契機としてより一層の群島内周遊の促進を図るため、交通事業者と連携したプロモーションや、奄美群島周遊旅行商品の造成などを行うこととしております。
今後とも、関係市町村・事業者と連携を密に図りながら、奄美群島の交流人口拡大に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
続きまして、奄美・沖縄連携交流促進事業についてでございます。
この事業は、奄美群島と沖縄の住民などとの交流を促進するため、奄美群島振興交付金を活用し、奄美群島発及び沖縄発の航空運賃と航路運賃の軽減を行っているところであり、平成二十八年度の事業開始から約三十六万人の利用実績を上げるなど、両地域の交流促進に寄与してきたところでございます。
現在、
新型コロナウイルス感染症の影響により航路・航空路の利用者が減少していることから、落ち込んだ需要の回復を図るとともに、両地域の世界自然遺産登録を新たな契機として一層の交流促進を図るため、来年度は両地域のPR等も併せて実施することとしております。
今後とも、両地域のさらなる交流促進に向け、沖縄県をはじめ関係機関とも連携して取り組んでまいりたいと考えております。
69 ◯鶴丸委員 本県は三つの世界遺産を有する全国唯一の県でございます。また、奄美は沖縄と深いつながりのある地域です。奄美と離島の振興を図るために、引き続き社会資本の整備を図ることはもとよりですが、多様な伝統、文化等の魅力を生かした交流人口の拡大や、人と自然が共生する地域づくりがとても大切ではないかと思っているところです。そのためには、この地に人が足を運んでいただくことが重要であります。
奄美につきましては、入り込み客数も増加傾向にあったところですけれども、コロナが水を差した状況になっています。しかし、幸いにも、大島高校が県の予選を勝ち抜き、春の甲子園大会で、来る三月二十二日、戦うことが決まっております。ここでの活躍がさらに奄美のPRにつながるのではないかなと思っているところでございます。ウィズコロナとともに、多くの方々の入り込みに期待しているところです。
県としての事業である奄美群島誘客・周遊促進事業、奄美・沖縄連携交流促進事業などの着実な取組を要望するところでございます。
次に、強靱な県土づくりでございます。
河川等防災事業についてでございます。
近年の気候変動等による異常降雨により、各地で河川の氾濫による被害が発生しているところであります。氾濫を未然に防ぐ対策が重要であると考えております。
河川の防災事業については、県単事業による寄洲除去と河川改修としての交付金事業等による河道掘削があると承知しているところであります。
住民にとりましては、寄洲除去と河道掘削とは見た目には同じような河川改修に映るところでありますが、流下能力を短期間で向上させることが可能であり、防災事業として重要な取組であると考えております。
そこで、二点伺います。
一点目、寄洲除去と河道掘削、それぞれの事業内容についてお示しください。
二点目は、寄洲除去については、令和二年度を境に事業費がほぼ倍増の十六億円となっているところであります。事業費の増加については県として有利な起債を活用できることによると伺っているところですが、そこで、寄洲除去によるこれまでの年次ごと除去箇所数と令和四年度見込み箇所数についてお示しください。
また、この起債事業の概要及び活用できる期間、今後の取組についてお示しください。
[兒島土木部長登壇]
70 ◯兒島土木部長 寄洲除去につきましては、洪水を安全に流下させるため、河道内に局所的に堆積した土砂を除去し、河道の流下能力を維持するためのものであり、実施に当たりましては、河川を点検し、河川断面が著しく阻害され、治水上、緊急性の高い箇所から県単河川等防災事業により順次実施しているところでございます。
河道掘削は、一連区間の河道内の掘削を行うことにより、河川の流下断面を拡大し、流下能力の向上を図るものであり、今年度におきましても、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を活用し、交付金事業等により取り組んでいるところでございます。
寄洲除去につきましては、令和元年度は九億円の予算で、百十五か所を実施しており、令和二年度からは、緊急浚渫推進事業債を活用し、予算を十六億円に増額したところであり、約百九十か所において実施しているところであります。
緊急浚渫推進事業債につきましては、令和元年、台風十九号による河川氾濫等の大規模な浸水被害などが相次ぐ中、被災後の復旧費用を考慮しても、維持管理のための河川等のしゅんせつが重要であることから、地方団体が単独事業として緊急的に河川等のしゅんせつを実施できるよう、令和二年度に創設されたものであり、事業期間は令和六年度までの五か年間とされております。
令和四年度予算におきましても、この地方債を活用し、今年度と同額の十六億円の予算で、約二百か所の寄洲除去を実施する予定であります。
今後とも、寄洲除去など河川の防災対策に必要な予算を確保し、重点的に取り組んでまいります。
71 ◯鶴丸委員 ただいま、寄洲除去事業、あるいは河道掘削事業等につきまして、詳細に御説明いただきました。
県単による寄洲除去につきましては、河床に土砂が毎年滞積することに伴い行われるもので、氾濫を未然に防止する重要な対策であります。河川が存在する限り、永久に繰り返し実施しなければならない事業であります。
答弁の中で、緊急浚渫推進事業債により令和六年度まではこの事業を活用して推進するということでございましたが、私どもに対して大変要望の多い事項でございます。
県としては、この起債制度を引き続き活用し、事業費の確保を図っていただきますとともに、財政力の弱い本県の財政を牽引する上で、この制度は非常にいい制度でございますので、この制度の継続を国に対しましても機会あるごとに要望していただきますように、お願いいたします。
以上で質問を終わります。
72
◯日高委員長 以上で、午前中の質疑といたします。
ここで、昼食等のため暫時休憩いたします。
再開は、おおむね午後一時二十分といたします。
午後零時 三分休憩
────────────────
午後一時二十分再開
73
◯日高委員長 再開いたします。
次に、伊藤委員に発言を許可いたします。
[伊藤委員登壇]
74 ◯伊藤委員 自民党の伊藤でございます。
本日は、教育委員会及び観光関連予算等について質問してまいりたいと思います。
初めに、鹿児島県におけるICT教育の推進についてお尋ねいたします。
先般、出水市の東出水小学校へ出向いた際に、吉國校長先生より、台湾の離島、金門縣の湖埔小学校とのオンライン交流を今年の二月二十四日より開始したとお聞きしました。国際感覚の向上や意識の醸成を図るにはとてもよい取組をされていると感じたところでございました。しかしながら、この取組に対し、県や出水市からの予算措置はないとのことでした。
そこで、令和四年度当初予算案を検証してみると、新規事業として、教室から世界へ!かごしまグローバルクラスルーム事業が予算計上されておりました。事業名を聞いただけでも夢のあるものだと感じているところでございます。
そこでお尋ねいたします。
一点目は、この事業導入に至った経緯及び背景についてお示しください。
二点目、コロナ収束後に交流先の学校への海外派遣事業を開始されると思いますが、どのような過程及び選考方法で派遣する学校を選ぶのか、お示しください。
また、先進的に独自のオンライン交流をしている学校を把握し、既に事業展開をして頑張っている学校へ優先的に事業活用することはできないのか、見解をお示しください。
[東條教育長登壇]
75 ◯東條教育長 教室から世界へ!かごしまグローバルクラスルーム事業についてのお尋ねであります。
本県では、東アジアなどからの海外旅客や外国人労働者の増加が予想され、多様な人々と共生できるグローバル人材の育成が必要でありますが、中高生が日常的に英語でコミュニケーションを図る機会が限られていることや海外志向が弱いなどの課題があると考えております。
このような背景の下、近年、ICT環境の整備が進みましたことから、海外の学校の生徒と年間を通じてオンラインで交流するとともに、生徒を交流先の学校へ派遣することで、語学力の向上と国際意識の醸成を図る事業の実施を計画したところであります。
この事業におきましては、地域のバランスを考慮しながら、中学校を八校程度、県立高校を十校程度選考し、海外の中高生とオンラインでお互いの文化や郷土の紹介などを英語で行いますとともに、このオンライン交流に参加した生徒の中から希望者を募りまして、計二十人程度を交流先の学校等へ派遣することといたしております。
なお、小学校につきましては、昨年度から英語が教科化されたばかりでありまして、この事業につきましては高校生と中学生を対象としたところであります。
市町村や学校の取組としまして、国際交流を目的とした小学生のオンラインによる海外との交流が実施されていることは承知しているところであります。また、中学校等においても行われているものと承知しておりますが、先ほど申しましたとおり、地域のバランスを考慮しながら募集したいと思いますので、そちらは学校の判断で手を挙げていただければと思っているところであります。
76 ◯伊藤委員 今、教育長の答弁で、中高生、中学校八校、高校十校程度の派遣という形でありました。現在のところ、小学校は来年度予算では考えられていないということなんですが、ぜひ小学校にも、派遣ができるような事業展開を望みますけれども、その見解をお願いします。
先ほど言いましたように、オンライン交流をしている小学校もあります。できるだけ小さいうちから海外との交流をして、国際感覚の醸成を図ってほしいと思いますので、来年度以降の展開にそこは考えられませんか、見解をお示しください。
[東條教育長登壇]
77 ◯東條教育長 小学生も対象にしてはどうかという提案でございますが、まずは、来年度の事業実績等を見ていきたいと考えておるところであります。
78 ◯伊藤委員 次に、ICT教育の推進事業においては、現行の事業に併せ、新たに二つの事業が発表されたところであります。
今年度、県教委は、教育の情報化推進事業として、学校へのICT支援員の配置や、教員のICT活用指導力向上のため研修するとされ、また、令和四年度も予算計上されました。
そこでお尋ねいたします。
一点目は、今年度のICT支援員数及び次年度におけるICT支援員の予定者数をお示しください。
また、二点目は、今年度、教員におけるICT活用力の向上の状況、また、次年度においては今年度の経験を生かしたさらなる教員へのICT指導力の向上が求められると思いますが、見解をお示しください。
三点目は、県立高校におけるICT機器の導入が遅れていると感じております。次年度の機器導入の予算額、台数、並びに機器の少ない状況での指導力の向上策にはどのような取組を講じられているのかお示しください。
[東條教育長登壇]
79 ◯東條教育長 教育の情報化推進事業についてのお尋ねであります。
この事業では、学校における教員のICT活用をサポートするため、ICT支援員を各学校に派遣することとしております。
ICT支援員につきましては、事業者に委託しまして、その事業者から支援員を派遣するという形でございまして、個別の支援員を直接雇用するという形は取ってございません。
今年度は、各県立学校に年二十回程度派遣しておりまして、機器の設備準備や操作方法等の支援を教員に対して重点的に行ってきているところであります。
来年度は、このICT支援員には、操作方法等の支援のほか授業計画や教材作成の支援等を中心に行ってもらうことを予定しておりまして、これによりICT機器を活用した学びの充実を図ってまいりたいと考えております。
また、高校における機器の充実についてということでございますけれども、新学習指導要領が来年度から高校一年生から始まるわけですけれども、生徒用として全生徒数の約五四%分のタブレットを整備しているところでございまして、新一年生に対しましてはこのタブレットを貸与したいと考えております。
また、他のICT機器を入れますと、ICT機器の数は全生徒数の七割を超えますので、学校全体としてこれを活用してICT教育を進めてまいりたいと考えているところであります。
80 ◯伊藤委員 教育長の今の答弁では、ICT支援員の数は業者で把握しており、教育委員会では把握ができていないということなので、できれば、どれぐらいいるのか、来年度は把握できるような体制を講じてほしいと考えます。
四点目は、国は、民間事業者によるGIGAスクール運営支援センターを各都道府県等へ開設する準備を行っており、五十二億円の補正予算を計上しております。今回、県のICT予算に反映されているのかお示しください。
[東條教育長登壇]
81 ◯東條教育長 来年度、県教委では、国の補助事業を活用いたしまして、みらいの学び推進事業を行うこととしております。小・中学校におきましては、GIGAスクール構想に基づきまして、一人一台端末の整備がおおむね完了したところでございまして、今後は、この端末の活用の充実に向けて、その支援を重点的に取り組んでいく必要があると考えております。
こうしたことから、この事業では、端末等を効果的に活用した新たな授業づくりを推進するため、県内の各地区において、モデル校による実践研究やICTを活用した授業力向上のための研修等を行うこととしております。
そしてまた、ただいま御質問ありました国の補助事業を活用いたしまして、県教委に学校ICTに係る専門家を配置するなどしまして、各学校や市町村教育委員会等に対し、端末等を効果的に活用した授業づくりなどの指導面や、端末等の諸設定・運用などの技術面の両面から、より効果的な指導・助言や支援を行っていきたいと考えているところであります。
82 ◯伊藤委員 次に、みらいの学び推進事業についてお伺いいたします。
ICTの専門家等による学校、市町村教育委員会への指導面及び技術面の支援を行うとされておりますが、ICT支援員とICTの専門家は私自身は同じであると認識しているところですが、学校に対しての施策は、先ほどの教育の情報化推進事業とどのような違いがあるのかお示しください。
また、市町村教育委員会への指導面及び技術面への支援の具体的な内容、また、参加者の範囲や事業の回数をお示しください。
[東條教育長登壇]
83 ◯東條教育長 失礼いたしました。
国の補助事業を活用したみらいの学び推進事業の内容につきまして、先ほど御紹介を申し上げたところでございます。
この事業におきましては、県内八地区におきまして、各地区、小学校一校、中学校一校の合計十六校で実施をしたいと考えているところでございます。
その内容でございますけれども、基本的には、ICTを効果的に活用した授業づくりを中心に検討してもらう予定としておりますが、その中では、国が試行的に運用しておりますオンライン学習システムの効果的な活用方法等についても研究を行う予定でございます。
県教委に二名程度のSEの専門家を置くこととしておりますけれども、この専門家を活用いたしまして、また、県教委の指導主事とも連携しながら、市町村教育委員会、そして学校に対し、指導面、技術面での支援等を行う予定でございます。
84 ◯伊藤委員 今の答弁の中で、市町村教委等に研修ということがありますが、私が聞いた中では、県教委に対してのICT研修等は入っていないようでした。一番最初にICTについての研修が必要なのは県教委の幹部職員の方々ではないかと感じておりますけれども、御見解をお願いします。
また、県庁デジタル推進課との連携というのはどうなっているのかお示しください。
以上で、ICT関連の質問は終わります。
[東條教育長登壇]
85 ◯東條教育長 学校におけるICT教育の推進については、国がGIGAスクールをつい先年示したところでございまして、その後、一人一台端末の充実等を図ってきているところでございますが、現在、実際に、県教委に勤務している職員につきましては、学校現場でのICT機器の活用ということについては経験もない職員もいるわけでございまして、御指摘のとおり、教育委員会の職員が研究をすることが重要ではなかろうかと思っております。
そうした中で、来年度は、学校におけますICT教育を推進するために推進班を設置いたしまして取り組んでいくこととしております。もちろん、県庁全体としてICTの活用の推進を図っていきたいと考えているところでございます。
86 ◯伊藤委員 次は、コロナ禍における鹿児島県の観光政策についてお伺いいたします。
一点目は、観光かごしま大キャンペーン推進事業についてお聞きします。
令和三年度事業費七千五百万円における事業内容をお示しいただいた上で、その事業効果をお示しください。
その上で、令和四年度予算においては、前年度の広報宣伝を生かしたプロモーションを展開されると思いますが、見解をお示しください。
次に、修学旅行誘致促進事業及び教育旅行学習プログラム造成事業についてお尋ねします。
二つの新たな事業が発表されたところでありますが、事業導入に至った経緯、また、具体的な事業内容をそれぞれお示しください。
二点目は、教育旅行学習プログラム造成事業においては、文化・平和を基軸にプログラムを整備するとされておりますが、県内全域においてのプログラム整備を希望いたしますが、見解をお示しください。
[悦田観光・文化スポーツ部長登壇]
87 ◯悦田観光・文化スポーツ部長 まず、観光かごしま大キャンペーン推進事業についてでございます。
今年度の観光かごしま大キャンペーン推進事業につきましては、アフターコロナを見据えつつ、各地域の観光素材を生かした情報発信や世界遺産を活用した観光キャンペーンなど、官民一体となったプロモーション等に取り組みますとともに、県民向けに県内の観光情報を発信することにより、県内旅行の促進に取り組んだところでございます。
今年度はアフターコロナを見据えての情報発信等を中心に事業を実施いたしましたことから、現時点においてその効果を示すことは難しいですが、コロナ禍における旅行需要の喚起につながったものと考えております。
令和四年度におきましては、引き続き、アフターコロナを見据えながら、三つの世界遺産をはじめとします多彩な観光資源の情報発信を行いますとともに、コロナ収束後は、旅行会社や交通機関とのタイアップなどによる効果的な誘客に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、修学旅行誘致促進事業についてでございます。
修学旅行につきまして、今年度は、コロナ禍の影響により、全国的に多くの学校が旅行先を海外や感染拡大地域から変更したところでございます。
このような状況を踏まえまして、当事業では、県内外の学校が県内で修学旅行を実施する場合に、一台当たり一日五万円を上限に、バス借り上げに要する経費を支援することで、県内外の学校に対し、本県への修学旅行の積極的な誘致を図ることといたしております。
次に、教育旅行学習プログラム造成事業についてでございます。
最近の教育旅行の実施に当たりましては、これまで以上に生徒たちがより主体的に学べるよう、効果的な体験学習ができるプログラムが求められております。
このため、当事業では、本県の素材を活用し、環境、文化、平和などのテーマごとに、生徒たちが、旅行前の調査・課題設定、現地での学習、旅行後の振り返り・発表など一連のプロセスを体験できるような学習プログラムを整備し、提供することといたしております。
なお、本県は、県内全域にわたり、環境や文化、平和のほか、自然、離島、歴史、食など多彩な学習素材を有しておりますことから、当事業では県内全域を対象に学習プログラムを造成することといたしております。
88 ◯伊藤委員 答弁、ありがとうございました。
知事をはじめとする県当局の皆様、コロナ後の鹿児島の発展を見据え、お互いに今後汗を流してまいりましょう。
以上で終わります。(拍手)
89
◯日高委員長 次に、
藤崎委員に発言を許可いたします。
[
藤崎委員登壇]
90 ◯
藤崎委員 文教観光委員会、二人目、藤崎でございます。
早速質問に入ります。
昨年九月二十八日の鶴丸議員の一般質問の際に、伊佐市から通学する出水養護学校の通学バスの乗車時間が一時間半にもなり、その時間の長さが大きくクローズアップされました。再質問に対しまして知事が答弁されたんですが、その後の報道の印象では、てっきり優先順位の第一位が伊佐になったんじゃないかと思ったんですが、その後の常任委員会の答弁で再確認がありまして、優先順位は決まっていないということが分かりました。
また、今議会、志布志からも陳情書が上がっておりまして、この件は多くの県民のニーズの高い分野であるかと認識しております。
こういった経緯を踏まえて、新年度、特別支援学校教育環境改善検討事業が提出されていると理解しておりますが、お尋ねいたします。
特別支援学校教育環境改善委員会というのがつくられると聞いておりますが、その委員の選任方法と、年間の協議予定の回数、それからまとめの作業はいつ頃終了予定なのか、検討結果は報告書のような形になるのか、お示しいただきたいと思います。
[東條教育長登壇]
91 ◯東條教育長 特別支援学校教育環境改善検討事業に係ります委員会の委員につきましては、特別支援教育に知見のある学識経験者や学校関係者、特別支援学校の保護者、市町村教育委員会、その他の教育関係者の方々にお願いしたいと考えております。
このうち、学識経験者につきましては、特別支援教育に関する専門性等を考慮して選任し、その他の方々につきましては、関係の団体に推薦いただいて選任したいと考えております。
委員会の開催回数など検討の進め方につきましては、委員会で協議していただきたいと考えておりますが、予算案では三回の会議と県外での調査を計画しているところであります。
検討の進め方について、ただいま申しましたとおり、具体的には委員会において協議していただきたいと考えており、現時点で作業の終了時期を明確に申し上げることは難しいところですが、来年度中には県教委としての方針を示すことができるよう検討を進めていただき、委員会として報告書をまとめていただければと考えているところであります。
92 ◯
藤崎委員 分かりました。予定では三回を想定しているが、委員会の委員さんが選ばれた後、具体的に回数は決められるということで理解もいたしました。
ただ、それぞれの学識経験者の方々も入るかと思いますが、地域ごとの個別事情がいろいろ出てくるんじゃないかなと思いますが、この個別事情につきましては、どのように情報を収集するのか、委員会が例えば地域地域に出張っていってお話を聞くような場面も想定するのか、そういったことも委員会で決めていくことなのか、確認させていただきたいと思います。
[東條教育長登壇]
93 ◯東條教育長 検討の進め方につきましては、基本的には委員会で協議していただきたいと思っておりますが、県内の事情につきましては、例えば特別支援学校の関係者、特別支援学校校長会や小・中学校等の校長等も参加していただくこととしております。
そしてまた、必要であれば実地調査等も行いたいと考えているところであります。
94 ◯
藤崎委員 ありがとうございました。
ということは、通勤・通学時間帯の交通事情をよく把握するために、場合によってはそういう時間帯に行くということも、検討委員会の委員の判断によってはあり得ると私は理解いたしました。
それから、県外先進地の視察につきましてもお話がありましたが、新設学校に行くケース、既設の学校に行くケース、二つあるのかなと思いますが、どちらに行くのか、どっちも行くのか、その辺も含めて自由な裁量が委員会に与えられているのか、確認させていただきたいと思います。
[東條教育長登壇]
95 ◯東條教育長 委員会におきましては、他の自治体の状況も参考に検討していただきたいと思っておりまして、県外視察も計画しているところでございますけれども、例えば小・中学校等に併設されているもの、そして、小学部や中学部など学部ごとになっているもの、あるいは廃校を活用して設置されたもの等を含めまして、近年、特別な支援を必要とする児童生徒の増加に伴い分置された学校を調査対象とすることとしているところでございます。
具体的には委員会において協議していただくことになりますが、現在、南部地区の特別支援学校の開校に向けた準備を進めておりまして、新設校については、これまでも調査等してございますので、そうしたノウハウが生かせるのではないかと思っているところであります。
96 ◯
藤崎委員 分かりました。いずれにしましても、この委員会に選ばれた方々は、事務方のつくったペースで、年間、動いていくわけではなくて、それぞれの委員さんがそれぞれの見識を持って、意見を出し合って、年間のスケジュールを決めて、そしてまた、保護者の方々のニーズの大きい事業であろうかと思いますので、多様な意見を集めて、重要な議論をしていただければと思います。わずか九十七万円余りの事業予算ではありますが、非常に重要な委員会であることが分かりました。
二つ目に入ります。
県立高校の特色化・魅力化推進事業であります。
入学試験の時期になりますと、学校ごとの募集定員とそれに対する志願状況が発表になります。志願状況の報道等を見ますと、なかなか眉をひそめるような倍率であったり、私どもも心を痛めているところであります。
西日本の各府県の県立高校の志願倍率等と見比べますと、鹿児島県はどうしても抜本的な対策が後手後手になっているんじゃないかなという印象を拭えません。
また、令和三年度は魅力ある県立学校づくりに向けた懇話会が開催されて、間もなく、三月末に取りまとめと聞いております。
お尋ねしますが、どのような問題意識があってこの事業が行われるのか、背景をお示しください。
それと、この事業では何をするのか、どのような実務作業を行うのか、お示しいただきたいと思います。
[東條教育長登壇]
97 ◯東條教育長 事業導入に至った背景についてでございますが、県内では、少子化等の影響によりまして、特に、通学手段の限られる中山間地域や離島等の学校では小規模化が進んでおり、こうした学校では、近年、地域振興の核としての役割も期待される中、教員数や学校施設などの教育資源に限りがあり、生徒の多様なニーズの全てに対応した指導体制を単独で確保することは難しくなってきております。
こうした状況の中、県教委では、生徒がどの高校に進学しても、それぞれの夢に向かって希望を持ち、進路目標に応じて学びたいことを学びながら、充実した学校生活を送れるような、魅力ある高校づくりに向けた検討を今年度から行っているところであります。
今年度は、大学や民間企業、私立高校の関係者、PTA代表などから成ります懇話会を設置して、県立高校の魅力化について意見を伺っておりまして、年度内に意見を取りまとめていただくこととしております。
来年度は、この懇話会の意見を参考に、本県と同様に高校の小規模化が進む中で、ICTを活用した遠隔授業やグループ化などの学校間連携に具体に取り組んでいる他県の学校等の調査を行うとともに、県内の中学生とその保護者に対しまして、高校における学びのニーズなどについてアンケート調査を行うこととしております。
98 ◯
藤崎委員 分かりました。昨今では、テレビもネットで見る、欲しい商品があっても、近所で買うんじゃなくて、本当に欲しいものをどこまでも目がけて買いに行くという、カスタマイズ社会が進んでいる中で、いかにして選ばれる学校をつくっていくのか、また、選ばれる学校を県教委としては提供していくのかというのが重要な場面かと思いますし、また保護者や生徒さんからすれば、我が子に合う学校かなとか、自分に合うかなとか、いろいろ逡巡しながら自分の進学先を選ぶんだと思いますが、今ありましたように、これから受験を迎える子供とその保護者の意見というのは、アンケート調査以外で反映する場面というのは想定されていないのか、確認させていただきたいと思います。
[東條教育長登壇]
99 ◯東條教育長 中学生あるいは保護者の要望につきましては、このアンケート調査を行うこととしておりますが、学校の魅力化に向けて求められることということにつきましては、今年度の懇話会におきましても、様々、提言、意見をいただいておりますので、そういったものを参考に取り組んでいきたいと考えているところであります。
100 ◯
藤崎委員 分かりました。
最後に、事業成果を翌年度以降にどう反映していくかということもお尋ねしたいと思います。出されたまとめに対しては、短期的、中期的、長期的、それぞれの視点から、どのように翌年度以降反映するのか、確認させてください。
[東條教育長登壇]
101 ◯東條教育長 来年度におきましては、先ほども御紹介申しましたように、中学生等へのアンケート調査を七月に、また他県の取組についての調査を九月頃までに実施したいと考えているところでございます。
この事業での調査結果、そして今年度の懇話会の意見等踏まえまして、県立高校の特色化・魅力化に係る取組の方向性を整理しまして、小規模校をはじめ、県立高校の活性化に向けての具体的な取組を行ってまいりたいと考えております。
102 ◯
藤崎委員 分かりました。先ほどの特別支援学校につきましても、県立高校につきましても、重要なことですので頑張っていただきたいと思います。
次、観光関係です。
継続事業で、魅力ある観光地づくり事業についてお尋ねします。
県内各地をいろいろ見て回りますと、なかなか気の利いたところが整備されていると感じます。よくよく調べてみますと、魅力ある観光地づくり事業が行われているということであります。
この事業は、本来ならば土木部が所管していた事業のうち、観光の視点からのハード事業を観光課でもできるようにして、平成十八年から始まったものでありまして、当時の厳しい行財政改革のさなか、県単公共事業が削られる心配の中での新規事業でありました。前年度と比べますと、その当時、観光課の予算が前年度比二三五%増ということで、ハード事業が加わったことの大きさがしのばれます。
令和四年度予算に十億円がついておりますが、事業の内訳についてお尋ねします。既に本会議の答弁で、出水や奄美宇検村など三十か所程度の整備と答弁がありますが、新規案件なのか継続案件なのか、確認させていただきたいと思います。
[悦田観光・文化スポーツ部長登壇]
103 ◯悦田観光・文化スポーツ部長 魅力ある観光地づくり事業の新規案件か既存案件かということでございます。
令和四年度に整備を予定しております約三十か所につきましては、全て継続事業で実施することとしております。
104 ◯
藤崎委員 分かりました。これは市町村から非常に期待の大きい事業と聞いておりますが、まだ要望を受けた段階の、協議中のものを含めると、どれぐらいの方々が待っているかというのは把握されていますでしょうか。
[悦田観光・文化スポーツ部長登壇]
105 ◯悦田観光・文化スポーツ部長 今、手元にその資料はないんですが、引き続き市町村としっかりと協議しながら、早期に事業を完了させ、また新たな事業にも取り組めるよう対応してまいりたいと考えております。
106 ◯
藤崎委員 分かりました。プロジェクトのそれぞれ熟度があるでしょうから、鋭意協議を続けていただきたいと思います。
続いて、財源ですが、財源につきましては特定財源が多くを占めていて、かつては観光かごしまパワーアップ債という県債が市場公募債で発行されていた時期もありました。その当時は、やはり投資家に対しても鹿児島は観光に力を入れているとメッセージを発していたと思いますが、超低金利時代で魅力が薄れて、市場公募債が成立しにくい現在であります。現在も財源の多くは県債によるものかと思いますが、どのような財源を活用しているかについてお示しいただきたいと思います。
[悦田観光・文化スポーツ部長登壇]
107 ◯悦田観光・文化スポーツ部長 魅力ある観光地づくり事業の財源についてでございます。
魅力ある観光地づくり事業の財源につきましては、後年度の元利償還金の三〇%に普通交付税措置がある有利な地方債であります地域活性化事業債などを活用しております。
また、その借入れに当たりまして、かつては住民参加型の市場公募地方債であります観光かごしまパワーアップ債を活用していたところでありますが、低金利によります需要の低下に伴う同債の発行休止により、現在は、地元金融機関からの借入れなどにより資金を調達しているところでございます。
108 ◯
藤崎委員 分かりました。また、引き続き有利な財源を探して、この事業に充てていただければと思います。
次に、事業の選考方法なんですが、主に日本遺産の視点からお尋ねします。一部市町村におきまして、日本遺産関係でこの事業に着手している部分も聞いております。構成文化財十二か所のうち、既に市町村から働きかけがあって事業化されたものが何か所か、まだ手を挙げていないところが何か所か、内訳をお示しいただきたいと思います。
[悦田観光・文化スポーツ部長登壇]
109 ◯悦田観光・文化スポーツ部長 魅力ある観光地づくり事業における日本遺産に係る事業箇所についてでございます。
日本遺産に認定された武家屋敷群「麓」つきましては、九市十二か所のうち、これまで、市からの提案に基づきます六市八か所と、市からの提案によらない鶴丸城御楼門周辺の景観整備と併せまして、七市九か所において事業を実施しており、既に二か所で完了しております。
また、事業化されていない箇所につきましては、鹿児島市に日本遺産が二か所ありますことから、鹿児島市を含みます三市三か所となっております。
110 ◯
藤崎委員 本事業を生かしまして、日本遺産の整備が進んでいる実情が明らかになりました。
残る三市三か所が今からということですので、それぞれの該当市の方々には頑張っていただきまして、この事業を利用して魅力ある観光地づくりに生かしていただければなと思います。
それから、稼ぐ力なんですけれども、魅力ある観光地づくりの成果につきましては、その分野だけで単独で稼いでいる力の指標化は難しいと思います。また、その整備箇所におきまして、ほかの整備事業と複合的に組み合わせることで、魅力の相乗効果が生まれ、人が集まって、飲食、お土産などの需要が生まれ、商品開発されていくかと思いますが、稼ぐ力について、この魅力ある観光地づくりを含めた総合的な整備によって、何か数値化することも今後は大事かなと思いますが、見解を教えていただきたいと思います。
[悦田観光・文化スポーツ部長登壇]
111 ◯悦田観光・文化スポーツ部長 魅力ある観光地づくり事業の事業成果の数値としての把握についてでございます。
本県観光の「稼ぐ力」の向上に向けましては、魅力ある観光地づくり事業によりますハード整備のほか、受入れ体制の整備や効果的な誘客、「稼げる」観光地域づくりに向けた人材育成や体制強化などのソフト対策など、総合的に取り組む必要がありますことから、魅力ある観光地づくり事業のみをもって、その成果として、販売数、金額などを数値で把握することは難しいものと考えております。
112 ◯
藤崎委員 分かりました。まとめますけれども、鹿児島は、やはり、人の真心によるおもてなしとか、手作りの記念品をくださったり、特産品を食べさせてくださったりという、対価なしの人情性の厚い県民性があって、それが無償経済という分野を構成したと思います。知事の言う「稼ぐ力」というのは、市場価値に耐え得るものは商品開発して売ろうということでしょうから、有償でそういった価値が生まれるように、また、稼ぐ力がある鹿児島県になるように、引き続き頑張っていただければと思います。
終わります。(拍手)
113
◯日高委員長 次に、柴立委員に発言を許可いたします。
[柴立委員登壇]
114 ◯柴立委員 早速、通告に基づきまして、質問させていただきます。
まず、
新型コロナウイルス感染症対策の重症患者対応医療従事者研修事業についてです。
昨年の第五波においては、毒性の高いデルタ株が猛威を振るい、重症化のリスクが非常に高いと言われました。本年に入っての第六波においては、感染力が高く、あまり重症化しないとされるオミクロン株が主体となっておりますが、それでも、中等症、重症患者の方が相当数おられる状況であり、医療現場の最前線では、ECMOや人工呼吸器などの医療機器を用いた治療が行われているものと思われます。
また、これらの機材に関しては、最新かつ精密であるため、取扱いが難しいという声もお聞きしております。
そこで、同事業についてのこれまでの実績と本事業の詳細についてお示しください。
また、医療現場においての重症患者を担当される医療従事者の方の状況や、ECMOの稼働状況などが分かれば、併せてお示しください。
[谷口くらし保健福祉部長登壇]
115 ◯谷口くらし保健福祉部長
新型コロナウイルス感染症対策に関連しまして、重症患者対応医療従事者研修事業についてでございます。
この研修事業は、
新型コロナウイルス感染症の重症患者に対する医療提供体制の充実を図りますため、国の交付金を活用し、体外式膜型人工肺、いわゆるECMO等を適切に取り扱うことができる医療従事者を養成するものであります。
今年度の
新型コロナウイルス感染症患者に対するECMOの使用実績は、
新型コロナウイルス感染症医療機関等情報システムによりますと、二医療機関で三件となっております。
昨年十月に開催しました研修会においては、五医療機関から三十人が参加し、ECMO治療の導入判断や具体的な治療手順などについて、医師や看護師、臨床工学技士から構成するチームごとに、機器を使用しながら実践的な研修を行ったところであります。
116 ◯柴立委員 分かりました。利用状況などを教えていただきありがとうございます。
比較的、中等症、重症者の人数の方に比べれば、使用状況というのは少ないかなと思ったところでありました。
ただ、今三十人程度の方が研修されているということで、この方が多ければ多いほど、やはり万が一ということには備えられると思いますので、継続した事業をよろしくお願いいたします。
引き続き、妊産婦感染症対策事業についてお伺いいたします。
妊婦の方は、新しい命を宿しながら、見えないコロナの感染拡大と共生せざるを得ないということで、不安の毎日であると存じております。
当事業は、令和二年度からの継続事業であり、ただいま県が行っている無症状者に対する無料PCR検査事業に先立って行われたものであると認識しており、迅速な対応であったと思っております。
先日の本会議、小幡議員の一般質問にて、妊婦の方のワクチン接種状況、妊婦の感染者等に関する質問がありました。県の事業によるワクチン接種は四百二十八人の利用、感染者に関しては四十一件の報告があったとのことであります。今なお留意すべきものと考えておりますが、そこで、当事業に関してのこれまでの経緯と実績、新年度における事業内容と、妊婦の方々に対する周知方法が分かればお示しください。
[吉見子育て・高齢者支援総括監登壇]
117 ◯吉見子育て・高齢者支援総括監 妊産婦感染症対策事業についてでございます。
県では、国の令和二年度第二次補正予算に計上された新型コロナウイルス流行下における妊産婦総合対策事業を活用し、令和二年度六月補正予算に妊産婦感染症対策事業を計上し、妊婦への寄り添い支援を令和二年九月から、不安を抱える妊婦へのウイルス検査の助成を同年十月からそれぞれ実施しております。
また、同事業は、令和三年度当初予算及び令和四年度当初予算案にも引き続き計上しております。
事業内容といたしましては、妊産婦への寄り添い支援については、新型コロナウイルスに感染した妊産婦に対し、保健師等が自宅への訪問や電話等により不安や孤立感の解消を図るなどの支援を行うものでございまして、これまでに四件の支援を実施したところでございます。
令和四年度からは、感染した妊産婦に加え、感染に不安を抱える妊産婦を新たに対象とすることとしております。
また、妊婦へのウイルス検査の助成につきましては、
新型コロナウイルス感染症の流行が続く中で、強い不安を抱える妊婦が、医師と相談し、本人が希望する場合に、分娩予定日のおおむね二週間前を想定して行うPCR等検査の費用を助成しているものでございます。
本年一月までに千四十八件、令和二年度が二百七十六件、令和三年度が一月末までに七百七十二件、助成いたしました。
これらの支援・助成の周知につきましては、産科医療機関に対しまして説明会を開催し事業内容を説明いたしますとともに、妊産婦向けリーフレットの配布などの協力依頼を行ったところでございます。
加えまして、妊産婦への寄り添い支援につきましては、市町村に対しても、妊娠の届出や新生児訪問等の際にリーフレットを配布し、説明するよう依頼いたしました。
さらに、感染した妊産婦に対しましては、県保健所の保健師が、直接、支援内容を説明した上で、希望を確認しているところでございます。
118 ◯柴立委員 答弁いただきました。
担当医の方へのお知らせや、市町村に対する周知などがされているということです。
私ごとになりますが、私の第一子は、一昨年七月のコロナ禍の中で生まれました。私も当事者の一員として、一抹の不安を感じざるを得なかったのは事実であります。
このコロナ禍で、全国的な出生数の減少が見られるという報道もあります。このことも、若者の人口流出県とされる本県にとっては、将来における大きな打撃になる可能性があります。
そのためにも、しっかりと丁寧に、妊婦の皆様、御家族に寄り添う事業となりますよう、新年度もよろしくお願いいたします。
引き続き、多言語案内整備事業についてお伺いいたします。
当事業については、本年度からの事業開始と認識しております。私も語学留学生の皆さんと一緒に働いた経験があります。そして、本県には、現在多くの技能実習生も在留しております。母国になかなか帰れない状況、そして違う医療体制や文化に戸惑う声もよく聞きますし、不安や悩みの解消が難しい状況なのかもしれません。
昨年、この事業が採択された際に、委員会質疑にて外国人の感染状況を確認しましたら、不明であるという旨の答弁でありましたが、新年度への継続となると、医療機関などの利用があるのだろうと推察されます。
そこで、今事業の詳細と、これまでの実績、活用している医療機関数などが分かればお示しください。
[谷口くらし保健福祉部長登壇]
119 ◯谷口くらし保健福祉部長 多言語案内整備事業についてであります。
この事業は、
新型コロナウイルス感染症の疑いがある外国人が医療機関を適切に受診できるよう、国の交付金を活用し、多言語案内を行う機器等の整備を支援するものであります。
支援の対象となるのは、外国人を受け入れる拠点的な医療機関のうち、
新型コロナウイルス感染症の診療・検査を行うものとして指定を受けた医療機関であり、外国人を病院内で適切に誘導するための多言語対応の電光掲示板やタブレット端末、スピーカー等の整備経費を補助するものであります。
施設当たりの補助上限額は百八万三千円であり、昨年度は三施設、今年度は五施設が多言語対応の大型ディスプレイ等を整備しております。
120 ◯柴立委員 ただいま答弁がありました。
拠点となる医療機関で合計八施設ですかね、誘導するためとか、案内するためのディスプレイを置くということなんですけれども、例えば、昨年は外国人の感染状況が分からないという状況がありました。事業者とか、外国人相談窓口、学校とか、受入れ企業、あると思うんですけれども、そういったところからお困りの声があったからするのではなくて、こういう国の予算があったからこれをやりましたと、そういう形であると。もしそうだとすれば、言われたからやりましたというような形なのかなと感想を持ちましたけれども、実際、現場からそういう声はお聞きしていますか。
[谷口くらし保健福祉部長登壇]
121 ◯谷口くらし保健福祉部長 委員お尋ねの、この事業の端緒的なものとしてどういう声が上がったのかというのは、すみません、私ども存じ上げないところなんですけれども、今、コロナ禍で、当然、外国人、いろいろな国々から、いろいろな言語をお持ちの外国人が来られるということで、医療機関にかかる場合に相当な御不便が現実化するというのはあると思います。医療機関、あるいは医療機関、医療行政を束ねる厚生労働省を中心として、外国人のニーズをしっかり酌んで、御案内することで、院内感染を防ぐという意味合いもありますし、動線をしっかりして、ちゃんとした形で診療を受けていただくということからこういう事業が成り立ったのだろうと思っております。
122 ◯柴立委員 分かりました。院内感染を防がないといけないというのは当然のことだと思います。
できればほかの部署とも連携して、外国人の方々に対してどういった配慮やお知らせができるのか、皆様で考えていただきたいと思います。
それでは引き続き、次の質問にまいります。
若年がん患者等支援事業についてお伺いします。
この事業は、来年度、一部新規事業として提案されております。全国では、十代から三十代の世代の毎年約二万人ががんを発症するとされております。本県においても、がんと闘う若年層の方が少なからずいらっしゃるとと思っております。
当事業は、若年がん患者の方が、将来、子供を産み育てられることを望む妊孕性温存療法に対する負担軽減と、造血細胞移植をされた二十歳未満のがん患者等に対し免疫消失のためのワクチン再接種費用の一部助成が含まれております。
このワクチン再接種助成事業については、私も昨年九月議会、環境厚生委員会にて質疑の上、事業化への要望をさせていただきました。迅速な対応に心より感謝を申し上げます。
そこで、以下お伺いします。
妊孕性温存療法について、本県における原因となるがんの若年層の患者数と、同療法にかかる費用は患者一人当たりどの程度になるものかお示しください。
加えて、新年度における同療法を選択される方の見込みについてお示しください。
また、造血細胞移植をされた後のワクチン再接種助成制度について、事業提案に至った経緯とその予算規模、具体的なスキームをお示しください。
さらには、ワクチン再接種助成について、主体となるのは市町村と推察されますが、その連携及び周知をどのように図り、これからの課題をどう認識しているのかお示しください。
[谷口くらし保健福祉部長登壇]
123 ◯谷口くらし保健福祉部長 二問いただきました。
若年がん患者等支援事業について、まず、妊孕性温存療法の現状と課題についてであります。
若年のがん患者は、がん治療の影響により妊娠する能力が低下することがあり、受精卵凍結などの生殖機能を温存する治療、いわゆる妊孕性温存療法を行った場合、国の調査では数万円から数百万円の治療費がかかるため、患者にとって経済的負担を伴うものとなっております。
また、がん患者の妊孕性温存療法については、さらなる有効性・安全性のエビデンスの集積が求められているところであります。
このような状況を踏まえ、妊娠・出産を希望する若年のがん患者等が妊孕性温存療法の治療を受ける際の経済的負担を軽減し、国が実施する研究を促進するため、本県においても、小児・AYA世代のがん患者等妊孕性温存療法研究促進事業を令和四年度当初予算に計上したところであります。
一回当たりの助成上限額は、治療により異なり、二万五千円から四十万円となっております。
なお、本県において、平成三十年度にがんと診断された四十四歳以下の患者は五百五十二人であり、また、医療機関への調査によると、妊孕性温存療法の来年度実施見込みは十人程度とのことでありました。
次に、造血細胞移植後のワクチン接種助成の枠組み及び市町村との連携についてであります。
造血細胞移植により、移植前に受けた予防接種で免疫を付与された血液細胞は消失いたしますため、移植後に再度予防接種を行うことにより、新たな血液細胞に免疫を付与する必要性は高いとされております。
一方で、医療行為により免疫を失った者が行う再接種は、予防接種法に基づく定期接種と認められていないため、再接種に係る費用は全額自己負担となり、患者の経済的負担が大きいところであります。
日本造血細胞移植学会の資料によりますと、本県における二〇一五年から二〇一九年までの五年間の造血細胞移植件数の平均は八十五件であります。うち、二十歳未満は約一割と推定されております。
このような状況を踏まえまして、造血細胞移植を受けた後に定期接種の接種対象である二十歳未満の患者がワクチンを再接種する際に要する費用に対し助成を行うこととし、令和四年度予算案で百六十八万九千円を計上しております。
事業の実施に当たっては、市町村が患者へワクチン再接種費用を助成した額に対し、県が二分の一を補助することとしております。
来年度は県内で五市が事業の実施を予定していると聞いております。
県としても、できる限り多くの必要とする方々に支援を行うため、その他の市町村に対しても当事業について説明を行いますとともに、県のホームページ等により周知を行い、事業化を促進してまいりと考えております。
124 ◯柴立委員 答弁いただきまして、ありがとうございました。
私、昨年の委員会で提案をさせていただく前に、
藤崎委員の紹介で、造血細胞移植をされた御家族の方とお話をさせていただきました。私も勉強不足で分からないところがあったんですけれども、親切丁寧に教えてくださり、そして理解するに当たって、どうしても、この制度を事業化できないかということで要望させていただいたところ、事業化に至っておりまして、本当に重ねて御礼申し上げます。
誰一人取り残さないというSDGsの観点もありますけれども、この鹿児島で生きていくために、これからも少数者の方々へも目が行き届くような施策をしていただきたいと思います。
引き続き、質問を続けてまいります。
林業担い手確保・育成総合対策事業についてであります。
鹿児島の森林整備や管理に際し、林業経営者や従事者の確保は非常に重要であると考えます。高齢化やなり手不足はほかの産業と同様に大きな問題であり、機械化やスマート化の技術進歩がほかの農林水産業に比べ困難な点も理由になってくるのですが、そうなると、やはり人の力が大事になってくると思います。
その中で、同事業の中の鹿児島スーパーきこり塾の現在の取組内容について主なものをお示しください。
また、同きこり塾においてどのような人材の育成を図ろうとしているのかお示しください。
また、現在、森林・林業活性化促進鹿児島県議会議員連盟の議員よりスーパーきこり塾を発展的に改定し、林業大学校を新設すべきとの要望等もあります。この事業の中に林業大学校の新設の検討等に関する予算が含まれているのかお示しください。
[松下環境林務部長登壇]
125 ◯松下環境林務部長 鹿児島スーパーきこり塾の取組内容等についてでございます。
森林資源の循環利用を促進し、林業の成長産業化を実現するためには、植栽から木材生産に至る林業技術を有する人材や、経営感覚に優れ、効率的かつ安定的な林業経営を担える人材の育成を図る必要があると考えております。
このため、鹿児島スーパーきこり塾において、大学や関係団体と連携し、新規就業希望者を対象とした就業に必要な知識や技術等を習得する入門研修や、伐採から植栽までの高性能林業機械を活用した作業等の研修、高い生産性と安全性を確保した低コスト作業システムを実践する高度技能者の育成研修などを実施しております。
また、安定した雇用の場となる林業事業体の育成を図るため、林業経営者に対し、事業体の労働力や経営等のマネジメントに関する講座も開催しております。
今年度は、これまでに鹿児島スーパーきこり塾の各種研修を延べ四百二十二人が受講しているところであります。
林業担い手確保・育成総合対策事業における林業大学校の検討等についてでございます。
県では、就業相談窓口の設置や高校・大学への訪問によるPR活動、林業関連学科の高校生等を対象とした技能講習などを実施しており、これらの取組により、本県における新規就業者数は毎年百五十人程度を確保しております。
また、今年度から取り組んでいる鹿児島スーパーきこり塾において、新規就業希望者を対象として、就業に必要な知識や技術等を習得する入門研修、チェーンソーや刈払機などの安全衛生教育、高性能林業機械等の操作に必要な技術講習に加え、インターンシップやトライアル雇用などを実施することにより新規就業者の確保を図っているところであり、当該事業において、林業大学校の新設の検討等に関する予算は措置していないところであります。
県としては、現在の取組を基本としつつ、関係者で構成する運営協議会において、必要な見直しを行いながら、研修内容等のさらなる充実に努めてまいりたいと考えております。
126 ◯柴立委員 答弁いただきました。
本県の林業の現状として、毎年百五十人ぐらいの就業があると実績をおっしゃっていましたけれども、離職率が非常に高いことがすごく問題だと思っております。先ほど林業大学校について申し上げたんですけれども、あれは即戦力の人材育成と確保を兼ねており、このスーパーきこり塾の事業を見ると、すごく多岐にわたっているような感じがすると。
限られたリソースであるとするならば、選択と集中の観点から、私は、就業前の即戦力の人材の育成・確保に取り組むべき、そこに重きを据えるべきだと考えますが、部長、見解を示してください。
[松下環境林務部長登壇]
127 ◯松下環境林務部長 就業前の育成に取り組むべきではないかということの御質問でございます。
先ほども申し上げましたけれども、県においては鹿児島スーパーきこり塾において、関係機関・団体と連携し、林業に関する基礎知識をはじめ、チェーンソーや刈払機、高性能林業機械の操作に必要な技術習得等を行う十四日間の研修を開催しております。また、伐採や集材などの実践的な作業を林業事業体において体験する五日間のインターンシップや、六十日間の長期にわたるトライアル雇用の取組を行っているところであります。
これらの研修内容については、研修側の主体側と、受講側の県森林組合連合会や素材生産業などの代表者で構成する運営協議会において、必要な見直しを行いながら、さらなる充実に努めてまいりたいと考えております。
128 ◯柴立委員 就職はするけれども、本当に急峻な山地での林業というのは、あらゆる業種の中でも非常に危険性が高いと。そういったところに何も知らないまま入ると、やはり危ない目に遭ったりして、挫折をする方が多いというのが現状ですので、そのあたりを理解していただいて、このスーパーきこり塾事業を続けていただきたいと思います。
引き続き、同事業について質問します。
本県では、県みんなの森づくり県民税を活用し、木や木製品との触れ合いを通じ、子供の頃から木の良さや利用の意義を学ぶ木育の取組があります。この制度はすばらしいものであると認識していますが、その先の小・中・高校生への継続的な取組があれば、担い手不足の解消策になると私は考えております。
そこで、この事業において、木育の実施後、青少年世代に対する就業促進につながる取組がありましたらお示しください。
[松下環境林務部長登壇]
129 ◯松下環境林務部長 青少年に対する就業促進につながる取組についてでございます。
青少年に対し、林業の仕事や魅力を発信し理解を得ていくことは、将来の林業を担う人材を確保していく上で有効な取組であると考えており、これまでも小・中学生などを対象とした森林・林業学習や植樹などの体験活動を行っております。
高校生に対しては、林業への理解と就業を促進するため、関係団体等と連携し、森林組合等におけるインターンシップ、林業技術者との対談やチェーンソーの模範演技等を行う就業者との交流イベントを実施しております。
また、ウェブサイト「鹿児島きこり塾NET」を開設し、交流イベントや高性能林業機械を活用した作業の状況を動画などで情報発信しているほか、来年度からは、植栽や木材の生産から加工・利用までの一連の現場を巡るバスツアーを実施することとしております。
130 ◯柴立委員 切れ目のない教育こそ、林業従事者の将来的な育成につながると思いますので、継続的な教育を各教育機関などと連携して行っていただくようお願いいたします。
次に、稼げる林業・木材産業の確立事業についてお伺いします。
塩田知事の県政方針にもあるように、本県の基幹産業である農林水産業を稼げるものにすることは、非常に肝要であると思います。各産業の経営者や従事者、関係者にとって、未来が明るくならなければなりません。林業・木材産業においては、現在、木材価格の乱高下があるものの、主要産物のかごしま材の品質向上とそれに比例した高値安定こそが林業関係者に望まれます。
そこで、同事業のかごしま材競争力強化対策事業について、まずは国内市場におけるかごしま材の現状認識についてお示しください。
また、その認識を踏まえ、新年度予算でどのような取組を行い競争力向上を目指すのかお示しください。
[松下環境林務部長登壇]
131 ◯松下環境林務部長 国内市場におけるかごしま材の現状認識についてでございます。
本県の木材産業は、小規模・零細な企業が多く、製材品の生産量は増加傾向にあるものの、製材品流通量の約四割は県外から移入されており、また、品質の確かな乾燥材の比率は、全国平均に比べ低い状況にあります。
このため、製材工場の生産能力を強化し、品質が確かな製材品の供給量の増大を図り、国内市場におけるかごしま材の競争力を高める必要があると認識しております。
こうしたことから、県では、これまで、新たな工場の整備・規模拡大による生産量の増大を図るとともに、CLTやツーバイフォー工法部材の加工施設、乾燥施設等の整備による品質向上に取り組んできたところであります。
また、昨年の公共建築物等木材利用促進法の改正により、中高層建築物等への木材利用の期待が高まる中、強度表示のあるJAS構造用製材の生産体制の整備に取り組む必要があると考えております。
かごしま材競争力強化対策事業の取組内容についてでございます。
本年度から開始したかごしま材競争力強化対策事業においては、乾燥率や強度の明確なJAS構造用製材の生産体制の整備を図るため、製材工場関係者や建築・流通関係者等で構成する需給連絡協議会と生産工場連絡会の二つの組織を新たに設置したところであります。
令和四年度においては、これらの組織が連携して、JAS構造材の需給動向やニーズの高い性能・規格等の把握・分析を行い、生産体制の構築に向けた協議・検討や整備方針の作成を行うこととしております。
また、JAS認証取得に必要な検査手数料や県外への販売促進を図るための展示会出展等に係る経費に対する支援などを引き続き行うことにより、品質や性能の確かなかごしま材の生産体制を構築し、競争力の強化に取り組んでまいりたいと考えております。
132 ◯柴立委員 ありがとうございます。
引き続き同事業について質問してまいります。
この事業の中に、新規事業として、県産材流通コスト低減対策事業を新設しています。先日の我が自民党県議団、日高議員の一般質問にもありましたように、本県の地理的条件を踏まえると、木材流通における伐採から製材、販売までの、いわゆる川上から川下までの輸送コストが他県に比べ割高になることは否めないと思います。この事業の狙いと詳細な取組について内容をお示しください。
[松下環境林務部長登壇]
133 ◯松下環境林務部長 県産材流通コスト低減対策事業の取組内容についてでございます。
県では、大隅地域において、平成二十九年度から今年度まで、林業成長産業化地域創出モデル事業を実施しており、関係者で組織した協議会において、中間土場を活用した直送取引を行うとともに、効率的な木材流通体制の検討などの取組を推進することにより、木材の安定供給、流通の効率化やコストの低減等が図られたところであります。
令和四年度の新規事業である県産材流通コスト低減対策事業については、この取組成果を県内各地に展開するため、直送取引の推進に向けて、各地域における素材生産者と木材加工業者等で組織する原木安定供給協議会の設置や、中間土場の整備等を支援することとしております。
また、ICTを活用した技術研修会や、需要に応じた木材供給システムの構築に向けた検討会等を開催することとしており、これらの取組により県産材の流通コストの低減を図ってまいりたいと考えております。
134 ◯柴立委員 この稼げる林業・木材産業の確立事業について再度お伺いします。
もちろん、関係者のお一方お一方の努力が必要なのは当然であるが、今もなお、この業界においては、日給で働く方、そして、収入が少なく兼業せざるを得ない方がたくさんいらっしゃるのを私は知っています。
その中で、この稼げるというワードは、それ自体が励みになる言葉だが、何をもって稼げると定義するのか、県の見解を示してください。
[松下環境林務部長登壇]
135 ◯松下環境林務部長 稼げるについての御質問がございました。
県においては、県内の製材工場の生産能力を強化し、品質が確かな製材品の供給量の増大や、県外の販売促進を図ることなどにより、国内市場におけるかごしま材の競争力を高める必要があると認識しております。
かごしま材の競争力を高めることで、地域の外から資金を稼ぎ、稼いだ資金を域内で循環させることにより、林業・木材産業の「稼ぐ力」の向上が図られ、関係者の所得向上につながるものと考えております。
136 ◯柴立委員 稼げる見解をお聞きしました。
私も、そして皆さんも一緒になって、林業関係者のために全力で取り組んでいかなければならないと思っております。
最後に、鹿児島のかごしまの竹で育む産地づくり事業についてお伺いします。
本県は、特にさつま町など北薩地区を中心に、全国一位の竹林面積を誇っております。竹林の整備は、見た目の華やかさなどを与える一方、しっかりと整備しないと、公益的機能の低下などのリスクになることも考えられます。
そこで、以下お伺いします。
本事業は令和四年度の新規事業であるが、これまでの竹・タケノコに関する事業の実績をお示しください。
また、別途、特用林産物に関する新規事業がある中で、本事業は竹・タケノコに特化したものとなっております。その思いが伝わってきますが、事業内容の詳細についてもお示しください。
[松下環境林務部長登壇]
137 ◯松下環境林務部長 竹・タケノコに関する事業の実績についてでございます。
本県では、豊富な竹林資源と温暖な気候特性を生かして、早掘りタケノコの生産振興と竹材の有効活用を図るため、令和元年度からかごしまの竹と生きる産地づくり事業を実施してきたところであります。
本事業では、タケノコの新規生産者等を育成するため、たけのこ相談員による現地指導等や生産者養成講座を実施してきており、三か年で三十一人が養成講座を受講し、そのうち約半数が生産を始めております。
また、タケノコや竹材の生産基盤の整備を図るため、約三十七ヘクタールの竹林改良をはじめ、チェーンソーや林内作業車など三十一台の竹材生産用機械の整備等に対して助成を行ってきております。
さらに、需要の拡大を図るため、竹製品まつり等のイベントを通じたPRや販売促進に努めるとともに、竹紙製のストローなどプラスチック製品に代わる実用的な竹製品の開発等にも支援を行ってきたところであります。
かごしまの竹で育む産地づくり事業についてでございます。
令和四年度の新規事業であるかごしまの竹で育む産地づくり事業は、今年度まで実施しているかごしまの竹と生きる産地づくり事業を拡充するものであります。
具体的には、タケノコのさらなる生産振興や需要拡大を図るため、これまで竹材に限定していた生産加工用機械の整備や製品の開発等の取組に、新たにタケノコを加え、モノレール等の運搬機械やボイル加工機械、タケノコ加工品の開発などについても支援することとしております。
また、引き続き、タケノコ生産者養成講座の開催などにより新規生産者等の育成を図るとともに、竹林改良や管理道の開設等に対する支援のほか、竹製品まつり等のイベントを通じたPRや販売促進に努めることとしております。
今後とも、関係機関・団体等と連携し、これらの取組を進め、タケノコや竹材の生産振興に努めてまいりたいと考えております。
138 ◯柴立委員 私も団体などに所属して森林ボランティアとして竹林の整備をやっております。すばらしいものだと認識しておりますので、ぜひ竹林・タケノコに関する事業がすばらしいものとなるように要望いたします。
全ての事業が県民に寄り添い、そして縁の下の力持ちとなるよう要望し、私の質疑を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
139
◯日高委員長 ここで、換気等のため暫時休憩いたします。
再開は、おおむね二時四十五分といたします。
午後二時三十四分休憩
────────────────
午後二時四十五分再開
140
◯日高委員長 再開いたします。
次は、県民連合の質疑であります。
質疑時間は、答弁を含めて四十九分であります。
安楽委員に発言を許可いたします。
[安楽委員登壇]
141 ◯安楽委員 県民連合トップバッター、安楽ひでみでございます。
早速、通告に従い質問させていただきます。
まず、重度心身障害者医療費助成在り方検討事業について伺います。
県単三医療の現物給付化につきましては、県市長会をはじめ、多くの県下市町村や市町村議会、そして、当事者の方々が中心の障害者等の医療費助成制度の現物給付を求めるかごしまの会などから、これまで強く実現に向けた要望が繰り返されてきました。
今回、新年度の事業として、重度心身障害者医療費助成在り方検討事業が提案され、市町村や医療関係者等で構成する関係者会議を設置し、制度改正に向けた検討がなされるとのことで、これまで要請等を重ねてこられた関係者の方々も一歩前進できることを心から喜んでいることと思います。
そこでお伺いいたします。
市町村や医師会、審査支払機関等の関係機関・団体で構成する関係者会議を設置することとされています。制度の変更についてその中で具体的に協議されていくこととなると思いますが、具体的な制度設計等、来年度どの程度まで作業を進めるつもりか、具体的なスケジュールをお示しください。
また、知事は、精神障害者保健福祉手帳一級の所持者に対象を拡大することとしていますが、精神障害者保健福祉手帳一級所持者は何人か、そのうち対象となる人は何人と見込んでいるのかお答えください。
また、所得制限を設けるとおっしゃっておられますが、所得制限についての考え方をお示しください。
[谷口くらし保健福祉部長登壇]
142 ◯谷口くらし保健福祉部長 重度心身障害者医療費助成在り方検討事業に関して、二つの御質問でございます。
まず、重度心身障害者医療費助成在り方検討事業の今後スケジュールについてでございます。
今議会においてお示ししました県の制度変更に係る考え方等について、まずは、事業主体である市町村や各関係団体等に対し個別に説明を行った上で、市町村や医師会、審査支払機関等の関係機関・団体で構成いたします関係者会議を設置したいと考えております。
同会議においては、制度変更の内容や今後の取組、課題等について、協議・検討を行った上で、令和四年度中に関係者間においておおむねの合意を得て、最終的な制度変更の内容を決定したいと考えております。
次に、新たな対象者等についての考え方についてであります。
精神障害者保健福祉手帳一級所持者は、令和三年三月末時点で五百七十四人となっておりまして、このうち、医療機関に通院されている方々の人数については把握していないところであります。
また、所得制限については、現在、全国四十二都道府県で導入されております。
本県においても、支給方式の変更や対象者の拡充と併せ、持続可能で安定的な制度として継続していく観点から、他県における制度運用の状況等も参考に、相当程度の収入のある方については本制度の対象外とする所得制限を新たに導入する方向で検討を進めたいと考えております。
143 ◯安楽委員 重度心身障害者医療費助成在り方検討事業についてでありますが、現行は償還払いでございますが、年齢制限なし、所得制限なしで、この制度を維持してきました。私は要請等重ねてこられた方々が一歩でも前進したと思える事業になっていかなければならないと感じています。所得制限を設けることに関しては、私は一歩前進したとは思えません。そこは、所管する委員会や一般質問でまた議論を重ねていきたいと思っています。
次に、県立博物館常設展示更新事業について質問させていただきます。
県立博物館常設展示更新事業に五百三十二万九千円計上されています。
事業内容は、来館者への質の高い展示サービスを提供するため、ジオラマ等の展示品や解説動画の上映機器を更新するというものでございます。資料を配付しておりますので御確認ください。
資料3)で御案内しておりますとおり、現在,ジオラマ等の展示において、展示の一部は、聴覚・視覚障害者向けに音声案内アプリの音声・説明文で展示の説明がなされています。しかし、音声アプリの案内は、資料1)にありますように、緑の板で案内番号が示されているもので、視覚障害者の方々には分かりづらい表示となっています。視覚障害者の方がより分かりやすくするためには、ブースに点字表示や音声で案内する等の合理的配慮が必要と考えます。
次に、資料2)を御覧ください。
解説動画の上映は、現在、一部字幕対応となっています。また、動画画面は小さなお子様や車椅子利用者からは見にくい現状となっています。動画更新の際は、字幕対応の動画を予定されているのか。
以上、申し上げたこと等が解消され、誰でも博物館を楽しむことができるように、質の高い展示サービスがなされる事業にしていただきたいと考えますが、事業の内容等についてお示しください。
次に、資料4)を御確認ください。
博物館の敷地には身障者用駐車場の案内があり、博物館ホームページにも表記があります。しかし、正面の入り口には案内表記がないため、段差を前に入館を諦めていたとの声がありました。
次に、資料4)の右下を御覧ください。
博物館の身障者用駐車場の出入口やエレベーターへの通路の写真です。車椅子利用の障害者にとっては、利用しづらい状況にあります。誰もが訪れやすい博物館にしていただきたいと思いますが、現在の状況について、バリアフリー等障害者への対応について、どのような認識をお持ちか、また、今後の改善についての考えもお示しください。
さて、これらのことから、他の県有施設においても、同様の状況にあることが危惧されます。本県の障害のある人もない人も共に生きる鹿児島づくり条例にあるように、身障者用駐車場、歩行困難者用の昇降機や入り口の案内表示を分かりやすく掲示すること、また、チラシやリーフレット等は点字版を常設して、合理的配慮を進めていただきたいと思いますが、県民の安全確保のためにも再度点検確認を求めたいと思いますが、県教委のほかの主な施設の状況と今後の対応について、見解をお伺いいたします。
以上、まとめて答弁をお願いいたします。
[東條教育長登壇]
144 ◯東條教育長 県立博物館常設展示更新事業の内容についてであります。
この事業は、老朽化したオープンジオラマの補修や解説動画の上映機器の更新を行おうとするものであります。併せまして、御指摘のありました解説動画のノイズ除去や可能な範囲での動画への字幕の追加も行いたいと考えております。
その他の御指摘をいただきました点字案内でありますとか、音声案内に関しましても改善に努め、県民に親しまれる博物館づくりに努めてまいりたいと考えております。
博物館における障害者への対応についてであります。
県立博物館の建物は、昭和二年に建設されました旧県立図書館を昭和五十六年に改装したものでありまして、これまで、平成十七年度に多目的トイレ、平成十九年度に身体障害者用駐車場の整備などを行ってきたところであります。
また、車椅子の通行に支障を来さないような展示設備の配置、スマホアプリを活用した音声ガイドや解説、各階に配置した職員によります介助の対応など、障害のある方にも利用しやすい環境を提供する取組を行ってきているところであります。
なお、車椅子利用者の入り口付近については、御指摘を受けまして、直ちに片づけを行いました。また、玄関の案内表示については、現在、設置を準備中であります。
今後とも、誰もが利用しやすい博物館の環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
教育委員会所管の主な施設の障害者への対応状況等についてであります。
教育委員会が所管しております文化施設のうち、上野原縄文の森につきましては、平成十一年に施行されました県福祉のまちづくり条例による整備基準を踏まえて整備を行いました。また、県立図書館につきましては、同条例施行前の施設ですが、多目的トイレ、障害者対応エレベーター、点字ブロック、車椅子の設置など施設・設備面での障害者への対応を行っております。
このほか、上野原縄文の森では、展示施設内の音声解説や点字パンフレットの設置など、また、県立図書館では、大活字本の配架、拡大読書器、拡大レンズの常備など、障害のある方々も施設を利用しやすいように配慮しているところであります。
引き続き、利用者等の意見を聞きながら、誰もが利用しやすい施設づくりに努めてまいりたいと考えております。
145 ◯安楽委員 県立博物館常設展示更新事業に関して御答弁いただきました。
早速取り入れていただいて、改善するところ、そして、今後予算計上されるときには、障害の有無に関係なく、県立博物館へ気軽に誰でも足を運べるよう、今後とも御尽力いただきたいと思います。
以上二点の事業についてお伺いいたしました。
バリアフリー化は決して障害者や高齢者だけのものではなくて、誰でもが安心して暮らしていけるものと、私は考えております。
すみません、塩田知事に再質問させてください。
塩田知事は県立博物館に行かれたことがおありかと思いますが、先ほど県立博物館常設展示更新事業についてもお伺いいたしましたが、以上の観点から所感をお伺いしたいことと、重度心身障害者医療費助成制度もそうですが、アウトリーチの観点から、地域で暮らす疾患や障害の当事者が必要とする支援に対する予算措置を行うことが福祉のあるべき姿だと、私は考えます。塩田知事の見解をお伺いいたします。
[
塩田知事登壇]
146 ◯塩田知事 博物館の件につきましては、写真等も拝見をいたしましたけれども、通常訪れる際にもなかなか気づかない、障害者の立場からの目線で初めて気づかされるという点が多々あると感じており、御指摘を踏まえてしっかりと対応していきたいと思っております。
また、先ほどおっしゃったアウトリーチの話ですね、実際に障害のある方々のために、しっかりと予算の活用という観点からも検討を進める必要があると考えております。
147 ◯安楽委員 ありがとうございます。それぞれ御答弁いただきました。
資料5)にある資料は、磯公園にある、ある店舗の写真でございます。入り口の前には段差がありまして、スロープは、店舗の方に声をかけると、快く準備してくださり、私でもコーヒーを楽しむことができました。私はここで合理的配慮のあるべき姿を見ました。
アウトリーチの観点から、地域で暮らす疾患や障害の当事者が必要とする支援に対する予算措置を行うことが、先ほど申し上げましたように、福祉のあるべき姿だと私は考えています。
障害者にとって優しいまちは、高齢者や子供たち、全ての人々に優しいまちとなります。今後の予算は、こういう視点をしっかりと持っていただいて、誰もが暮らしやすい鹿児島になるよう、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。
これで私の質疑を終わります。(拍手)
148
◯日高委員長 次に、柳委員に発言を許可いたします。
[柳 委員登壇]
149 ◯柳 委員 県民連合の柳誠子でございます。よろしくお願いいたします。
それでは、早速、通告に従って質疑を行ってまいります。
児相福祉司等の増員や中央児童相談所の一時保護所補修や備品整備等により、児童虐待への確実な対応・防止を図るとして、児童虐待防止関連事業二億八千六百七十八万八千円が計上されました。
以下、六点について伺ってまいります。
まず、一点目、児童一時保護所費の一億千五十九万九千円で、施設の補修や備品整備等が行われるとのことですが、一時保護される子供の環境がどのように変わるのか、子供が安心できる環境がつくれるのか、お答えください。
[吉見子育て・高齢者支援総括監登壇]
150 ◯吉見子育て・高齢者支援総括監 一時保護所の環境整備に係る予算についてでございます。
中央児童相談所の一時保護所につきましては、今年度、県が設置いたしました一時保護所の在り方等検討委員会をこれまでに五回開催し、委員間で子供の安全や権利擁護等の観点から、一時保護所の課題やその対応策について議論がなされたところでございます。
委員からは、委員会の議論を踏まえ、報告書の提出を待たず、できることから速やかに取り組むよう意見が出されましたことから、県におきましては、令和四年度当初予算案に、より安全・安心で適切なケアを提供するための補修や備品整備を行うための経費を計上したところでございます。
委員からお話のありました予算額のうち、一部の部分でございますけれども、具体的には、一時保護所内が外部から見えないよう、窓やドアのガラス交換を行うほか、学習室やプレイルームの書籍や玩具、DVD等の充実、障害児に配慮した段差の解消、居室用の学習机の購入などを予定しております。
これらにより、一時保護所の環境整備を進め、入所している子供たちにとって、できる限り安全で心地よい生活空間、家庭的環境となるよう努めてまいりたいと考えております。
151 ◯柳 委員 現在、児童相談所の一時保護所では七つの部屋で受け入されていると思いますけれども、児童虐待も本当に増えており、保護する子供が多い状況です。子供が多い場合、一つの部屋に何人ぐらい一緒に生活をすることになるのかお答えください。
[吉見子育て・高齢者支援総括監登壇]
152 ◯吉見子育て・高齢者支援総括監 基本的には二人でございます。
それを上回るような場合は、児童養護施設等への委託保護というようなものを活用しながら、人数を調整しているということになると思います。
153 ◯柳 委員 二人の子供が一つの部屋で生活をするとのことですが、虐待を受けた子供というのは非常に複雑な背景があると認識しています。子供の人権に配慮するよう、個室での対応を求めるものでございます。キャパが非常に狭いという現状はあるんですけれども、とにかく、子供たちは心を静めて、そこでゆっくりと子供の環境を整える、そうしてその後に、また児童養護施設であったり、里親であったり、措置がされるわけです。そういった環境をつくらなければいけないんですが、その辺についてはどのようにお考えですか。
[吉見子育て・高齢者支援総括監登壇]
154 ◯吉見子育て・高齢者支援総括監 委員から御指摘ありました点、まさに一時保護所の在り方等検討委員会の中で、例えば、触法少年と被虐待児の混在でありますとか、年齢が著しく離れた子供たちが混在していることの問題点も御指摘を受けておりますので、一時保護所の在り方等検討委員会の報告書がそのような内容も含めて出ますので、それを受けて、県としても対応を検討してまいりたいと考えております。
155 ◯柳 委員 二点目でございます。
一時保護委託を里親や乳児院、あるいは児童養護施設に対して行っていると思いますけれども、その間の子供についてのアセスメントは行っているのかお答えください。
[吉見子育て・高齢者支援総括監登壇]
156 ◯吉見子育て・高齢者支援総括監 一時保護委託の際のアセスメントについてでございます。
児童相談所は、児童養護施設等に一時保護委託する際には、子供への説明内容や子供の意向、性格、特性のほか、親子関係、あるいは同年齢の子供との関係など、児童相談所が把握している情報を提供しているところでございます。
委託先の児童養護施設等におきましては、提供された情報を踏まえまして、行動観察を実施し、児童相談所の児童福祉司等に児童の状況、行動観察の結果等について報告をしていただいているということになります。
児童福祉司は、この児童の状況等に応じまして委託先を複数回訪問しまして、状況把握を行いますとともに、面接や心理診断等を行い、これらの結果を踏まえまして、アセスメントを実施し、その後の援助方針を定めているという状況にございます。
157 ◯柳 委員 ここに、二〇一〇年五月五日に発刊された子どもの権利ノートというのがございます。県がつくったものでございます。
これをどのような形で子供に配布しているのか。この現物を見ますと、対象は学園という言葉が出てまいります。学園ということは、児童養護施設と認識をするわけですけれども、対象が全て学園になっているんですね。里親委託の子供にも同じものを配布しているんでしょうか、お答えください。
[吉見子育て・高齢者支援総括監登壇]
158 ◯吉見子育て・高齢者支援総括監 すみません、児童養護施設に委託する場合と、それから児童相談所の一時保護所に入所する場合、それから里親の場合、いずれも配っております。これは今年度中に作成したものでございまして、まだ暫定版でございますので、今後、専門家の意見も聞きながら改訂してまいりたいと考えております。
159 ◯柳 委員 これは、二〇一〇年五月五日でございますよ。この間、子供たちに配布されてきたんじゃないですか。里親の預け先にもこれを配布したんじゃないですかと伺っておりますが、どうですか。
[吉見子育て・高齢者支援総括監登壇]
160 ◯吉見子育て・高齢者支援総括監 すみません、二〇一〇年の話でありましたら全然別の話でございまして、今新たに児童相談所で新しいものをつくっておりまして、それのことをお答えいたしました。それ以前のことについては、すみません、今詳細を把握しておりません。
161 ◯柳 委員 詳細を把握していないというのは問題だと思いますよ。十二年前にこれをつくって、子供たちに配っているわけです。
この中身を見ますと、学園が対象なんですけれども、学校は学園の近くにある幼稚園、小学校、中学校に転校して通います、また、高校などへ進学することもできますと、こんなふうに書かれているんですよ、十二年前ですよ。あまりにも時代にそぐわない内容じゃないですか。私の知り合いの児童養護施設の施設長は、この中身は子供たちの意見を聞くという視点が抜けている、だから使っていないとおっしゃっています。この子どもの権利ノートの見直しを早急にすべきだと思います。そして、私の知っている児童養護施設で育った子供にお聞きしますと、もう十八歳を過ぎておりますけれども、子どもの権利ノートの存在を知らなかったと言っているんです、そんなものがあるんですかと。ましてや、自分を担当していた児童福祉司がいたんですかっていうことも言っているんですよ。いかに県として、つくることが目的となっていたかが分かるんじゃないですか。早急に見直しをすべきと思いますが、いかがでしょうか。
[吉見子育て・高齢者支援総括監登壇]
162 ◯吉見子育て・高齢者支援総括監 おっしゃるとおりだと思いますので、早急に見直しを行います。
163 ◯柳 委員 知事に伺います。
知事は、この子どもの権利ノートの存在を御存じでしたか。
知事は里親や児童養護施設は行ったことがあるかもしれませんね。里親、あるいはその里親と暮らす子供と話をしたことがございますか、いかがですか。
[
塩田知事登壇]
164 ◯塩田知事 子どもの権利ノートの存在については承知をいたしております。
また、児童養護施設にはお伺いしたことがございますが、保護者等の方とはお話をしましたが、直接、お子さんと話をしたことはございません。また、里親の方についても、まだお会いしたことはございません。
165 ◯柳 委員 ぜひ、知事におかれましては、里親、そしてまた、そこで暮らす子供とぜひ会っていただいて、どのような対策が必要なのか、しっかりと見ていただきたいと思います。
三点目の質問です。
児童福祉法の改正によりまして、児童相談所が子供を一時保護する際に司法審査が導入されることになります。裁判所に提出する資料等の準備など業務量の増大も懸念されることから、児童相談所に常勤の弁護士を配置する必要があると思いますが、いかがでしょうか。
[吉見子育て・高齢者支援総括監登壇]
166 ◯吉見子育て・高齢者支援総括監 お話がございましたように、国におきましては、一時保護の判断の適正性や手続の透明性の確保のため、一時保護の判断に関する司法審査を導入することとして、今国会において、児童相談所長が一時保護開始から七日以内または事前に裁判官に一時保護状を請求するなどの手続を設ける児童福祉法の改正案が審議されることとなっております。
現時点では、具体的な手続や裁判所へ提出する資料の内容等については示されておりませんので、全国知事会からは、厚生労働大臣へ、資料作成等の手続の簡便化について要望を行っている状況です。
国は、所要の手続につきましては、法律の施行、具体的には公布日から三年以内の政令で定める日までに作業チームで詳細を検討していく予定としておりまして、県といたしましては、この検討状況を踏まえて、弁護士を含め、司法審査の導入に伴う対応について検討する必要があると考えております。
167 ◯柳 委員 弁護士を非常勤ではなくて常勤、常に児童相談所に弁護士がいるという体制を鹿児島県でもしっかりとつくっていただくように要望いたします。
四点目の質問です。
児童虐待防止対策強化推進事業が百七十三万二千円でございますが、新年度においてどのような防止対策が図られることになるのか、これまでの対策と比べて何がどう強化されるのかお答えください。
[吉見子育て・高齢者支援総括監登壇]
168 ◯吉見子育て・高齢者支援総括監 児童虐待防止対策につきましては、今お話のありました児童虐待防止対策強化推進事業だけではございませんので、ちょっと全体でお答えさせていただきます。
県社会福祉審議会の相談部会から令和二年九月にいただきました検証報告書の提案内容を踏まえまして、県ではこれまで児童相談所の業務執行体制の強化や職員の専門性・対応力の強化などに取り組んできたところでございます。
具体的には、令和三年度においては児童福祉司等を増員したほか、中央児童相談所に新たに心理判定課を設置いたしますとともに、警察本部から警察職員を出向で配置いたしました。また、新たに一時保護所職員が県外の専門研修機関が実施する研修を受講し、専門性の向上を図ったところでございます。
加えまして、お尋ねのありました児童虐待防止対策強化推進事業によりまして、新たに市町村児童福祉担当者・母子保健担当者合同研修会を県内九か所で実施いたしますとともに、他自治体との情報共有を図りますため、児童記録票の作成などに使用する児童相談所システムの改修も行いました。
また、令和四年度におきましては、虐待認定件数の増に対応した児童福祉司、児童心理司の増員を予定しているほか、引き続き、児相職員の研修の充実や市町村の部門間連携を強化する取組を実施しております。これらを通じまして、児童虐待の防止の強化を図っているところでございます。
169 ◯柳 委員 五点目の質問です。
中央児童相談所管理運営事業・相談事業が予算計上されております。業務執行体制の強化について伺います。
二〇一九年八月に、出水市で四歳児が虐待により死亡した事件がありました。警察が当該児の保護をした際の児童通告書は受理されていましたが、署内での情報共有がなされておらず、当該児に関する記録の記載漏れ、警察との電話でのやり取りの記載漏れなど、引継ぎの内容が不十分だったと聞いています。
体制強化により児相内部の情報共有や伝達方法のルール化は図られるのか。虐待ケースは児相と警察の全件共有することになっておりますが、事件後、体制強化を図っているのかお答えください。
[吉見子育て・高齢者支援総括監登壇]
170 ◯吉見子育て・高齢者支援総括監 児童相談所における業務執行体制の強化と情報共有についてでございます。
県では、令和二年四月に中央児童相談所に児童虐待対応業務のルール化や進行管理等を行う調整課を新たに設置するなど、児相の業務執行体制の強化を図ったところでございます。
具体的には、通告書の処理フローを作成・運用いたしますとともに、夜間・休日における業務推進体制の見直しを行うなど、情報の共有や伝達方法のルール化を図ったところでございます。
また、在宅の虐待ケースに係る転居情報を得た場合につきましては、速やかに受理会議を開催して情報共有を行うなどのルール化も図りました。
警察との情報共有につきましては、平成三十一年二月に締結いたしました児童虐待に係る児童相談所と警察の相互連携に関する協定書に基づきまして、虐待による外傷、ネグレクト、または性的虐待があると考えられる場合など、緊急性が高いと判断された事案等について、速やかに警察へ情報提供を行っているところでございます。
また、警察から通告があった事案につきましては、児童相談所で決定した援助方針等、その後の対応について情報提供を行っているところでございます。
さらに、児相と警察におきましては、必要な事案における全件情報共有を図るため、児童相談所がリスト化した情報を提供しておりますほか、迷子の取扱いについてルール化したところでございます。
171 ◯柳 委員 警察では、二〇二一年、昨年十二月から、児童虐待チェック表で危険度判定を行っていることが分かりました。児相と警察の連携を強化していただいて、チェック機能を高めていただきたいと要望いたします。
最後の質問です。
児童虐待防止対策を強化する上で、里親支援機関、フォスタリング機関となる里親支援センター(仮称)設置についての考えをお伺いいたします。
[吉見子育て・高齢者支援総括監登壇]
172 ◯吉見子育て・高齢者支援総括監 今国会に提出されております児童福祉法改正案におきまして、お尋ねのありました里親支援センターでございますが、現在、フォスタリング機関が行っている里親からの相談対応や子供と里親家庭のマッチングといった里親支援事業のほか、里親に養育される児童並びに里親になろうとする方について、相談その他の援助を行う施設とされております。
また、家庭養育の推進により児童の養育環境を向上させるため、里親支援センターを児童福祉法に規定する児童福祉施設として位置づけることとされました。
里親支援センターに係る同法の規定につきましては、令和六年四月から施行予定とされているところでございます。
県といたしましては、同センターに関する設備及び運営基準の具体的な内容につきまして、今後、施行までの間に示されることとされておりますことから、国の検討状況等を踏まえて、対応を検討する必要があると考えております。
173 ◯柳 委員 ぜひ、鹿児島県の児童相談所の体制を強化していただきたい。それは、単に、人が増えればいいというものでもないと思っています。まずは、専門職の確保、そして職員の研修体制の充実、そのようなことをして、初めて業務も円滑に推進していくと思います。
それと、私は行政マンではなくて、社会福祉司、弁護士、あるいは医者、そういう専門の方が、児童相談所のトップに就くべきだと考えております。知事におかれても、他県の状況も検証していただいて、ぜひ見直しを図っていただきたいと要望いたしまして、質疑を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
174
◯日高委員長 次に、上山委員に発言を許可いたします。
[上山委員登壇]
175 ◯上山委員 早速質問に入りますけれども、農林水産業の「稼ぐ力」の向上に関する事業についてです。
まず、かごしまの農業未来創造支援事業における新規就農者に対する支援について、具体的にお示しください。
二つ目には、「稼ぐ力」を引き出すスマート農業普及展開事業が出されておりますが、そもそもスマート農業は、ICTによる農作業の省力化・労力の軽減、農業技術の継承、収量を上げて食料自給率の向上、化学肥料や農薬の使用量を削減し環境保全、栽培履歴の管理で品質向上というのが目的とされております。
県として、スマート農業普及展開事業において、稼ぐ力として期待される効果というのはどういうことを考えておられるのか。そもそも、農業の稼ぐ力とは何なのかお示しください。
一方、かごしま食と農の県民条例を基に作成されました基本方針では、農業産出額や担い手の確保数などが目標項目に掲げられています。農業の稼ぐ力の各事業と、かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針で掲げている目標等の関係についてお答えください。
また、基本方針で掲げました各目標項目ごとの現在の数値についてもお答えください。
基本方針におけます生産性向上に向けた施策においては、普及指導活動を重点的に展開し、地域農業全体の収益性の向上に努めるとなっておりますが、現在、普及指導はどのように展開されているのかお示しください。
[松薗農政部長登壇]
176 ◯松薗農政部長 まず、かごしまの農業未来創造支援事業のうちの新規就農対策についてでございます。
本事業は、国の制度を活用して、農業への人材の一層の呼び込みと定着を図るため、四十九歳以下の親元就農を含む新規就農者を対象として、経営発展に必要な機械・施設や家畜の導入、果樹・茶の改植などを支援するものであります。
対象事業費は上限が一千万円で、四分の三以内を補助するものとなっており、農業次世代人材投資事業の経営開始資金の交付を受ける場合は、対象事業費の上限は五百万円となっております。
県といたしましては、今後とも、本県の基幹産業である農業の「稼ぐ力」を向上させるため、将来を支える意欲ある新規就農者の確保・育成に取り組んでまいります。
次に、「稼ぐ力」を引き出すスマート農業普及展開事業の効果についてでございます。
スマート農業は、ロボット技術やAI、ICT等を活用して、超省力・高品質生産を実現するなどの効果が期待されるものであり、県ではこれまで、スマート農業技術の実装化のための実証活動に取り組んできております。
その成果として、施設ピーマン経営では、環境制御システムの導入により、単収が約一・五倍増加するなどの生産性向上が、また、酪農経営では、搾乳ロボットなどの導入により、労働時間が約四割削減の省力化が図られるなどの結果が得られており、県内でも技術の普及が進みつつあります。
令和四年度におきましても、本事業により、実証活動等に取り組むこととしており、さらなる実装化により、本県農業の生産性向上等に資するものと考えております。
次に、農業の「稼ぐ力」と基本方針の目標についてでございます。
農業の稼ぐ力とは、今後の県勢発展の基盤をしっかりとつくっていくために、本県の基幹産業である農業におきまして、地域資源を生かして、経済的な価値を高めることで、世界も視野に入れて、地域の外から資金を稼ぎ、稼いだ資金を域内で循環させ、地域経済を強くし、地域に仕事をつくり、地域への人の流れをつくる。また、域外への資金の流出を防ぐことにより、地域経済の好循環を高め、持続的な発展につなげることであると考えております。
かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針は、本県の食、農業及び農村の振興に関する各般の施策の展開方向と主要な目標を示したものであり、これを踏まえ、本県農業の「稼ぐ力」の事業を展開しているところであります。
基本方針におきましては、令和七年度を目標年次として、農業産出額五千億円、意識して県産農林水産物を購入する県民の割合九〇%以上、担い手の確保数一万経営体、担い手の農業所得五百四十万円、担い手への農地集積率九〇%、六次産業化の市場規模千四百億円、県産農畜産物の輸出額百五十九億円、地域共同で保全活動を実施する集落割合五五%を数値目標として設定しているところでございます。
続きまして、普及活動事業の展開についてでございます。
県では、かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針を踏まえ、協同農業普及事業の実施に関する方針を定め、普及指導活動を展開しております。
具体的には、現地指導や話合い活動等により、経営改善意欲のある農業者及び集落営農組織の確保・育成に向けた取組や、園芸産地の育成、畜産・お茶などの生産基盤の強化、畑地かんがいによる営農の推進など、地域の特性を生かした生産体制づくりに向けた取組などを支援しているところでございます。
また、普及指導活動に当たっては、地域の状況に応じて重点化を図り、地域の目指す姿と中長期的な視点での目標を設定し、市町村などの関係機関との役割分担により、地域全体の収益向上等に取り組んでいるところであります。
県といたしましては、今後とも、普及指導活動を通じて、担い手の育成や農業の生産性向上、地域農業・農村の維持・発展を図ってまいりたいと考えております。
177 ◯上山委員 今答弁いただきましたけれども、まず、稼ぐ力のかごしまの農業未来創造支援事業ですが、基本的に立てつけは国の制度だと思っております。新規就農者育成総合対策事業、もしくは農業次世代人材投資事業という立てつけに、県の支援という形で上乗せしているのかどうかも聞きたいんですけど、県独自でこれに対して上乗せしている部分は幾らなのか。そして、国の立てつけであれば、他県も当然ながらやっているはずなんです。鹿児島県を選んでもらうだけの魅力あるものを打ち出すべきだと、私としては考えておりますので、その辺のアプローチについてもっと考えることはないのかお聞かせください。
それと、普及指導なんですが、これまでも展開している継続事業だと思うんです。この事業に対して、農家の方々、あるいは新規就農者の方々が期待するもの、これは継続的な支援なんです。農業改良普及員の方々はどうしても異動が宿命だということで、異動するたびにその指導の在り方が変わっていくという苦言も聞かされています。そういった新規就農者に対する継続的な支援というところにもっと力を置くべきじゃないかと思うんですが、稼ぐ力に向けた農政部長の決意も含めて、もう一度お願いします。
[松薗農政部長登壇]
178 ◯松薗農政部長 まず、新規就農対策のかごしまの農業未来創造支援事業の関する御質問でございますけれども、お話にありましたとおり、新規就農者の確保の問題につきましては、本県もそうですけれども、国全体を挙げて、重要な課題となっておりまして、そういう観点から、農業への人材の一層の呼び込みと定着を図るため、国でいろいろな議論もした上で、今回、従来ありました経営開始資金援助に加えまして、新たに、経営発展の支援事業という形で、施設ですとか、家畜導入等の支援を創設したわけでございます。その財源につきましては、国が二分の一、県が四分の一ということで、四分の三以内の補助という形で、上限が一千万円となっておりますので、非常に手厚い支援となっております。この事業を活用して、今後、新規就農者の確保に努めてまいりたいと思っております。
今回、新しい事業でございますので、九州各県等も同じような取組をするものと考えておりますけれども、本県としても、引き続き新規就農者の確保については頑張ってまいりたいと思っております。
二点目、普及活動事業のお話がございました。
現在、普及の現場におきましては、いろいろな課題を抱えておりますし、その中の一つ、大きな問題が新規就農者の確保でもございます。それから、継続的にその地域に必要な普及活動を行っていくということでございますので、当然人事異動等もありますけれども、経営の専門、畜産の専門、それぞれおりますので、人の配置を含めて、地域特性に応じた形で継続的な普及の支援活動が行われるように、引き続き取り組んでまいりたいと思います。
179 ◯上山委員 引き続き、お願いいたします。
次に、「稼げる」観光地域づくり推進事業なんですが、まず、「稼げる」観光地域づくり推進事業とは、具体的にどのような取組をされるのか。また、観光で稼ぐとは、お金が地域に落ちるということか、交流人口が増えるということかお示しください。
先ほど、中村委員の答弁では、稼ぐ力として百五十三事業があると答弁されていますが、それぞれの事業が稼ぐ力の向上を引き出すためには、各部ごとの縦割り事業ではなくて、地域の発展に立った横断的なつながりを持った事業に発展する必要があると、私は考えています。
岡山大学の大学院、中村良平教授はこう述べています。「経済の好循環をもたらす出発点、正確には地域の稼ぐ力である」と。「これは民間企業が利益を上げるということだけを意味したものではない。企業のみならず、個人や民間非営利団体、公的部門も含めて、まち全体が地域のあらゆる資源、歴史資源、人的資源、社会資本、民間施設などを有効に活用して、域外からマネーを獲得するということである」と。「経営的視点は重要であるが、民間企業の稼ぐ考え方とは一線を画する」と述べています。
内閣府の資料によっても、稼ぐ力とは付加価値を生み出す力であり、地域の稼ぐ力は、個人と企業、そしてそれらが立地する地域に存在する有形・無形の資産から成ると定義されて、地域ブランド力の可視化も試みています。そういう意味では、稼ぐ力を総合的に議論・総括することが必要ではないかと考えるものです。
そこで、各地域の稼ぐ力の向上に向けて、県はどういう考え方で取り組んでいかれるのか、お答えください。
[悦田観光・文化スポーツ部長登壇]
180 ◯悦田観光・文化スポーツ部長 まず、「稼げる」観光地域づくり推進事業の事業内容についてでございます。
令和四年度におきましては、各地域における人材育成や観光地域づくりを支援するため、先進事例や県内の実践事例を共有するシンポジウムの開催や、DMO等への専門家の派遣、観光コンテンツ造成等への助成等を行うこととしております。
これらの取組により、観光地域づくりのリーダーとなる人材育成や、DMOなどの組織の強化等による稼げる観光地域づくりの体制整備を図ってまいります。
次に、観光における稼ぐの意味についてでございます。
観光の稼ぐとは、まずは観光客数を増やし、一人当たりの消費単価を上げることで、観光消費額を増加させることであると考えております。
このため、県では、データ分析に基づきます効果的なプロモーションの展開によります誘客に取り組みますとともに、新たな観光コンテンツづくりや屋久島と奄美の二つの世界自然遺産を周遊する旅行商品の造成などを行うほか、観光地経営に取り組む組織づくりなどに取り組むこととしております。
県といたしましては、これらの取組を推進することにより、本県の
観光関連産業の「稼ぐ力」の向上に努めてまいります。
[前田総合政策部長登壇]
181 ◯前田総合政策部長 各地域の「稼ぐ力」の向上に向けた県の考え方についてであります。
今後の県勢発展の基礎をしっかりとつくっていくためには、鹿児島の「稼ぐ力」の向上を図っていく必要があると考えております。
具体的には、先ほど農政部長も申し上げましたが、地域資源を生かして、経済的な価値を高めることで、世界も視野に入れて、地域の外から資金を稼ぎ、稼いだ資金を域内で循環させ、地域経済を強くし、地域に仕事をつくり、地域への人の流れをつくる、また、域外への資金の流出を防ぐことにより、地域経済の好循環を高め、本県の持続的な発展につなげることが重要であると考えております。
来年度、各地域振興局・支庁におきましては、かごしま未来創造ビジョンの地域版である地域振興の取組方針について、各地域特有の課題を十分に踏まえながら、改訂後のビジョンに沿って、地域の目指す姿を示すとともに、地域特性を生かした「稼ぐ力」の向上をはじめとした各地域において力を入れて取り組むべき施策展開の基本方向について取りまとめることとしております。
見直しに当たりましては、県議会の皆様や地域の有識者、各地域で活躍されている方々のほか、地元市町村と意見交換を行うなど、地域の皆様の意見を十分に伺いながら策定を進めてまいりたいと考えております。
この取組方針に沿って、地域のポテンシャルを最大限に生かしながら、各般の施策を実施し、県内の各地域がそれぞれ地域特性を生かして、活力ある地域として発展するよう取り組んでまいりたいと考えております。
182 ◯上山委員 お答えいただきました。
やはり、地域振興局・支庁の活動に、取組に期待したいと思いますが、「地域の「稼ぐ力」を高める仕組みづくり」、大阪産業経済リサーチセンターの山本敏也氏が書いてございます。地域で稼ぐ仕組みの分類で、地域産業、これは地域産業とICTと観光が連携して取り組むべきだと書いてございますので、ぜひ、私どもも要望していきたいと思います。
以上です。(拍手)
183
◯日高委員長 ここで、換気等のため暫時休憩いたします。
再開は、おおむね午後三時四十五分といたします。
午後三時三十四分休憩
────────────────
午後三時四十五分再開
184
◯日高委員長 再開いたします。
次は、公明党の質疑であります。
質疑時間は、答弁を含めて三十六分であります。
森委員に発言を許可いたします。
[森 委員登壇]
185 ◯森 委員 早速です。
救急安心センター事業についてお伺いいたします。
新年度予算においては、救急医療確保対策事業において、小児救急電話相談♯八〇〇〇事業をはじめ、第二次救急医療現場や離島における救急医療、また、ドクターヘリ運航関連の事業などについて四億八千万円余りを計上されました。コロナ禍において、救急医療現場が逼迫する中で、救急出動件数が年々増加しており、救急車の適正利用や救急医療現場の負担軽減及び住民への安心・安全の提供につながる♯七一一九(救急安心センター事業)について、令和三年三月に検討委員会が報告をまとめました。
報告書のまとめでは、事業実施に向けた具体的な取組として、各市町村における導入の必要性について、県の救急業務高度化協議会や消防長会等を通じて確認することや、財源負担についての負担額の算定方法、支出の根拠の整理、電話対応の質の向上対策や検証方法、委託方法などについて検討を進める必要があるとの内容でした。
現在、コロナ禍において、市町村への聞き取りがあまり進んでいないようですが、公明党県議団からの来年度予算要望に対し、引き続き、救急業務高度化協議会や消防長会において関係者の御意見もお聞きしながら、事業の導入について検討するとの御回答を知事からいただいております。
そこで、♯七一一九(救急安心センター事業)の必要性を強く訴える立場から質問いたします。
まず、第一点として、令和三年三月の報告書を受けて、現在までの市町村への聞き取り状況及び事業導入についての検討状況をお示しください。
第二点といたしまして、事業実施に向けた具体的な取組について、いつまでに市町村との確認及び要件等の内容をまとめるのかお示しいただくとともに、県危機管理防災局においては、救急医療現場の負担軽減に大きく関わる事業として、本事業についてくらし保健福祉部とも連携を取っていくべきと考えます。県の考えをお示しください。
[橋口危機管理防災局長登壇]
186 ◯橋口危機管理防災局長 ♯七一一九(救急安心センター事業)に関する検討状況等についてでございます。
県では、昨年度の検討委員会の結果を踏まえまして、今年度、消防本部や市町村の保健医療担当部局に対し、事業導入の必要性などについて意向調査を実施したところであります。
主な調査結果といたしましては、消防本部におきましては、救急車の適正利用に関し、救急隊の到着時間などの短縮効果について、「効果あり」としたのが五消防本部、「効果なし」が十五消防本部となっており、また、事業の必要性について、「必要」としたのが四消防本部、「不要」が四消防本部、「どちらとも言えない」が十二消防本部となっています。
市町村の保健医療担当部局におきましては、救急医療機関受診の適正化に関し、時間外受診者数の減少効果について、「効果あり」としたのが六市町村、「効果なし」が十一市町村、「分からない・無回答」が二十六市町村となっており、また、事業の必要性につきましては、「必要」としたのが四市町村、「不要」が十四市町村、「どちらとも言えない」が二十五市町村となっています。
県では、意向調査の結果等を踏まえまして、消防長会や県救急業務高度化協議会において意見交換を行っているところであります。
次に、今後の取組予定等についてでございます。
救急安心センター事業の導入につきましては、救急業務を担っている市町村の意向が重要であると考えておりますが、今年度実施いたしました意向調査では、事業の効果や必要性について、住民の利用見込みが不透明であることや既に類似の対応や窓口があることなどから、「どちらとも言えない」との回答が多かったところであります。
国におきましては、現在、事業導入促進のために、事業導入・運営の手引の作成などの取組を進めているところであり、県といたしましては、引き続き国や他県の取組状況などについて市町村や消防本部等に情報提供するとともに、庁内関係部局間で連携して、市町村や関係機関の御意見も伺いながら、事業の導入について検討してまいりたいと考えております。
187 ◯森 委員 どちらとも言えないというような意見が各市町村から多かったと思います。なぜ必要なのかがしっかりと伝わっていないんではないかなと思っています。
そこで知事にお伺いしたいんですが、徳島県において、高齢者の方が、救急車を呼んでいいんだろうかとためらったときに、そういった窓口に一報を入れて、救急車をすぐ呼んでくださいということで命が助かった例がありました。やはり、救急現場医療に関わる問題ですので、知事はどういった思いがあるかお聞かせください。
[
塩田知事登壇]
188 ◯塩田知事 高齢者の方も含めて、救急医療というのは大変重要な課題であると思っております。今おっしゃったような他県の事例等も含めて、また市町村等とも情報共有しながら検討してまいりたいと考えております。
189 ◯森 委員 ぜひ引き続きしっかりと検討をお願いしたいと思います。
次の質問に入ります。
多言語案内についてお伺いいたします。
多言語コールセンター及び
新型コロナウイルス感染症多言語案内整備事業について伺います。
まず初めに、多言語コールセンターにつきましては、令和三年度第二回定例会一般質問において取り上げた際、多言語コールセンターが利用できる県内の宿泊施設、観光案内所、観光施設、交通事業者、飲食店、小売店の登録数を示していただきました。あまりにも少ない登録数でしたので、現在、コロナ禍において利用数が減少しているものの、多言語コールセンターは、外国人観光客が本県において安心・安全に過ごし観光を楽しめるよう、今後、外国人観光客が戻ってきたときのために、各業種にもっと積極的に登録を促し、外国人観光客とのコミュニケーションで困ったときに対応できる体制を整えておくべきであるとの質問に対し、県は、より多くの施設において多言語での対応が可能となれば、本県を訪れる外国人観光客の安心・安全につながるものと考えており、引き続き観光関係者向けの研修会など様々な機会を通じまして、多言語コールセンターの積極的な周知、登録促進に努めてまいりますとの答弁をいただきました。
そこで伺います。
その後、どのように積極的な周知、登録促進に努めてきたのかをお示しいただくとともに、その結果、各施設の登録件数がどれぐらい増えたのかをお示しください。
[悦田観光・文化スポーツ部長登壇]
190 ◯悦田観光・文化スポーツ部長 多言語コールセンターの登録促進及び登録数の状況についてでございます。
多言語コールセンターにつきましては、観光関係者向けの研修会等を通じまして、制度を周知し、登録の促進に努めてまいりました。
直近の登録施設数は三百二十三件であり、昨年五月と比較いたしますと、コロナ禍で外国人観光客が激減したこともあり、医療機関が二件増加、小売店が二件減少し、全体としては増減なしという状況になっております。
登録施設を増やすことは外国人観光客の利便性の向上につながりますことから、県といたしましては、今後、これまでの取組に加えまして、各業界団体と連携いたしまして、未登録の事業者に対し直接働きかけを行うなど、より積極的に登録施設の増加に努めてまいります。
191 ◯森 委員 登録数がほとんど変わっていないということでございました。非常に残念です。
前回の議会の答弁で積極的な周知、登録促進に努めたいとおっしゃったから期待していたんですが、全然、努めたとは伝わってきません。ぜひ、あと、まだコロナがどうなるか分かりませんが、積極的に努めるという言葉でしたので、さらに、どのように、何件ぐらいを目標に努めるか、明確な数が出なくても結構です、その心意気をお聞かせください。
[悦田観光・文化スポーツ部長登壇]
192 ◯悦田観光・文化スポーツ部長 多言語コールセンターの登録に関してでございます。
先ほど答弁いたしましたとおり、これまで取り組んできたところですが、結果として、全体として増減なしという状況になっております。
今後、これまで以上に積極的に、また、各業界団体とも連携しまして、未登録の事業者に直接働きかけを行うなどいたしまして、登録施設の増加に努めてまいりたいと考えております。
193 ◯森 委員 その言葉を信じて、一緒になって、こういった体制をしっかりとつくってまいりたいと思っております。
次に、
新型コロナウイルス感染症多言語案内整備事業における多言語案内看板設置について、令和二年度における事業内容は、翻訳機の購入費用として活用され、令和三年度、本格的なデジタルサイネージ、いわゆる映像による電子看板掲示板として活用され、来年度予算にも四百十万円余りが計上されております
そこで伺います。
なぜ、比較的高額なデジタルサイネージを採用したのか理由を伺うとともに、何言語を表示している案内看板となっているのかお示しください。
また、本年度の設置病院数と来年度の設置予定病院数をお示しください。
鹿児島県在住の外国人の方々からは、必要な病院が見つけられないことや受診の際に言葉が通じないことに大変困っているとお聞きしております。本事業は、コロナ禍において、外国人の受診者の方々が医療機関を適切に受診できるようにするための事業となっています。
そこで、第三点として伺う内容は、県が把握している外国人の方々が受診前に受診すべき病院を見つけるまでに抱えている問題点及び受診時に起きているトラブル等をどのように把握されているのかお示しいただき、その上で、本事業の効果として、翻訳機が現場で活用され、受診される外国人の皆様の安心につながっているのか、お示しください。
さらに、多言語の案内看板の効果として、案内された先でどのような言語で対応しているのかが重要と考えます。
そこで伺います。
例えば、ベトナム語の案内看板にて案内された先で、ベトナム語で対応できる環境がどの程度進んでいるのか、お示しください。
[谷口くらし保健福祉部長登壇]
194 ◯谷口くらし保健福祉部長 多言語案内の、まず、
新型コロナウイルス感染症多言語案内整備事業についてでございます。
お尋ねのデジタルサイネージにつきましては、発熱などの症状がある外国人に対し、医療機関の入り口において院内感染を防止する上で必要な情報を分かりやすく提供し適切な受診につなげるために有効な設備であると考えておりまして、今年度は、本事業を活用し、五医療機関が設置したところであります。
また、デジタルサイネージの対応言語数は、最も多いところで三か国語であります。
なお、当該事業について、来年度は三医療機関の活用を見込んでおります。
次に、外国人の受診における問題点等の把握と本事業の効果等についてであります。
外国人の医療機関の受診について、昨年二月に出入国在留管理庁がまとめました在留外国人に対する基礎調査報告書によりますと、病院で診察・治療を受ける際の困り事として、病状を正確に伝えられなかった、どこの病院に行けばよいか分からなかった、病院の受付でうまく話せなかったとの回答があったところでございます。
県では、外国人患者が安心して受診できる体制整備を図りますため、外国語による診療が可能な三十八の医療機関について、病院等が対応可能な言語の情報を含めて、県や日本政府観光局等のホームページにおいて情報提供を行っております。
また、外国人の
新型コロナウイルス感染症疑い患者を病院内で適切に誘導し円滑な受診につなげるため、医療機関に対して、多言語案内の機器等の整備を支援しているところであります。
なお、
新型コロナウイルス感染症多言語案内看板整備事業を活用した医療機関によると、外国人患者が来院した際には、多言語対応のデジタルサイネージの案内に従ってスタッフに誘導され、例えばベトナムの方に対しては、翻訳機等を活用しながら受診案内や診察を支障なく行っていると聞いております。
195 ◯森 委員 今の答弁で、翻訳機が役に立っているかの答弁がなかったと思います。また、今ついているデジタルサイネージがそのように本当に役に立っているか、内容を御存じか、教えてください。
[谷口くらし保健福祉部長登壇]
196 ◯谷口くらし保健福祉部長 再度のお尋ねでございます。
まず、デジタルサイネージについては、先ほど申し上げたように、各病院の入り口において、院内感染を防止する上で必要な情報を外国人の方に大きな電光掲示板で提供し、その上でスタッフが案内するということで、有用性というのはあり、病院でも有効活用されているものだと認識しております。
それと、すみません、二問目で翻訳機について引用しましたけれども、答えが足りないのではないかというお言葉でした。
翻訳機についても、先ほどデジタルサイネージでまず病院で治療をするに当たっての留意事項、これをそれぞれの外国人患者にしっかり認識していただいた上で、スタッフが受付に案内しております。通常、医療機関では翻訳機等複数持っているところも多くあると聞いておりますけれども、受付で翻訳機が必要な方についてはそれを携えていただいて、しかるべき診療科に御案内して、その翻訳機でコミュニケーションを図り、しっかりと診療を受けるというプロセスにおいて、非常に有用だと私認識しております。
197 ◯森 委員 私は、実際に三つの病院にデジタルサイネージを見に行きました。とても感染対策に役に立っているとは思えません。ほぼフロアマップでした。ある病院は、三十秒程度日本語が流れた後に、八秒から十秒程度、英語に切り替わるだけで、それを繰り返している状況でした。
院内感染を防止する効果は、まだまだこれからという状況でした。せっかくデジタルサイネージという形を取って、いろいろな内容に変更できると思います。翻訳機につきましても病院と話をして、役に立つものになるようお願いしたいと思います。
その後の若年妊産婦等オンライン相談事業については、要望に代えさせていただきます。
昨年九月にかごぷれホットラインが確立されまして、多くの方々に喜ばれております。特に、男性の登録率も高く、男性にも多く理解してもらうことによって女性が安心できます。男性の登録者が見たときに、特に女性の方が男性に知ってもらいたい内容等を区別するなど、いい形のホームページになるよう、予算を使っていただきたいと要望いたしまして、私の質問を終了いたします。
198
◯日高委員長 次に、松田委員に発言を許可いたします。
[松田委員登壇]
199 ◯松田委員 がん教育推進について伺います。
知事は本会議で、学校におけるがん教育については、学習指導要領の改訂により、令和二年度から小学校で、令和三年度から中学校で必修とされたことに加え、高等学校においても令和四年度から必修化されることになっており、がんの原因や現状、予防や検診の重要性、がん治療やその支援、がん患者との共生などについて、小・中・高の学校教育のそれぞれの段階で学習体制が整ったと答弁されました。
そこで伺います。
国として学習体制が整ったのはそのとおりでございます。その上で、本県の全公立高等学校において外部講師の手配など、がん教育を実践する環境整備はどのように整ったのかお伺いします。
[東條教育長登壇]
200 ◯東條教育長 県立学校におけるがん教育の取組についてであります。
高校におけるがん教育については、これまで保健の科目の中の生活習慣病の学習の中で触れてきておりますが、学習指導要領の改訂によりまして、来年度からはがんについてより深く学習していくこととなったところであります。
県教委ではこれに備え、平成二十九年度に医療関係者、学校関係者、保健関係部局等から成りますがん教育に関する連絡協議会を設置しまして、地域の実状を踏まえたがん教育の推進を図るための計画や取組について協議を行いますとともに、国の第三期がん対策推進基本計画において、医師やがん患者・経験者等の外部講師を活用し、子供にがんの正しい知識やがん患者・経験者の声を伝えることが重要であるとされていることを踏まえまして、県医師会やがん患者団体等の協力を得て、外部講師のリストを作成したところであります。
また、県では、平成二十九年度から文部科学省のがん教育総合支援事業を活用し、鹿児島東高校などモデル校においてがん教育の実践研究を行いますとともに、その成果を研修会等を通じまして県内の学校等へ普及を図ってきているところであります。
また、その後、毎年度、管理職の研修会ではがん教育について特出しをして説明を行いますほか、新教育課程説明会を開催しまして、全ての県立高校の体育科の教員にがん教育についての説明を行いますとともに、昨年十二月には、同じく全ての県立学校の体育科の教員を対象にがん教育等の評価の在り方についての研修会も行っているところであります。
引き続き、教職員の資質の向上を図りますとともに、より多くの外部講師を確保しまして、多くの学校に講師を派遣するなど、がん教育の充実に努めてまいりたいと考えております。
201 ◯松田委員 ありがとうございます。
令和四年度の高等学校の必修化に向けて、県教委において様々準備されてきたことと思います。平成二十九年に鹿児島東高校が、国のがんの教育総合支援事業を実施されました。その後の動きについても種々説明していただきました。
一点、モデル校以外での取組について、がん教育を進める際の鹿児島県版Q&Aを作成し今後がん教育を始める学校の参考資料となるようにする、外部講師を活用しようとする学校に対して、NPO法人がんサポートかごしまをはじめ、団体と連携を取り情報提供する、それから、教職員のがんの理解はまだまだ不十分であるため検証を行うこととされていますが、Q&Aは作成していないようです。なぜつくらなかったのか。そして、今回の研修の効果についてお示しください。
[東條教育長登壇]
202 ◯東條教育長 Q&Aの作成についてでございますけれども、Q&Aにつきましては、すみません、詳細についてここでお答えするものを持ち合わせていないんですけど、国においてそうした副教材を作成するというような状況になっていたかと思っているところであります。
今回の研修の成果につきましては、評価の在り方等について研修しておりまして、この春からの実施に備えているということでございます。
203 ◯松田委員 がんの教育総合支援事業では、もう二度目なんです。平成二十六年にも、小学校でがんサポを中心にやりました。ホームページ上に結果を出すと言っていて、この
予算特別委員会で聞いたときに、アップしていませんでした。今回のQ&Aについては、保健体育課長と話をしていますので、後で話をしてください。Q&Aを何で出さなかったんだと聞いても返事がありません。せめて何で出さなかったんだという弁解をホームページに載せてください。
[東條教育長登壇]
204 ◯東條教育長 ただいまの御指摘を踏まえて、しっかりと対応したいと思います。
205 ◯松田委員 長年、がん教育に取り組んでこられたNPO法人がんサポートかごしまは、二〇二〇年に「いのちの授業」を小・中・高等学校九十二校、二百三十二クラス、六千八百三十六人の児童生徒にがん教育を対面及びオンラインで実施されました。そのうち、高校は八校、四十クラス、千二百二十一人、令和四年度からがん教育が必修化されると分かっていながら、実際に学校に語りかけていたのは民間団体です。県教委ではありません。他人のふんどしで相撲を取るような状況です。
我々公明党は、高校一年生のピロリ菌検査の導入時から、がん教育に生かすこと、また、同意書に記入する親世代のがん検診へ生かすこと、二点を訴えてきました。平成三十年の本会議で東條教育長は、「このピロリ菌検査を実施することによって、生徒や保護者のがんに対する正しい理解が深まり、がんの予防や早期発見、検診等について関心を持つことにつながる。県教委としては、関係部局や団体と連携を図りながら、ピロリ菌検査事業の取組を通じてがん教育の推進に努めてまいりたい」と答弁されました。また、
予算特別委員会で、当時の藤本保健福祉部長は、「学校、県医師会、検査機関と連携を図りながら、がん教育の一環として事業実施に努める」と答弁されました。
そこで伺います。
これまで、ピロリ菌検査事業の実施を通じたがん教育の推進はどのように図られてきたのか、教育長、くらし保健福祉部長、それぞれお伺いします。
[東條教育長登壇]
206 ◯東條教育長 ピロリ菌検査事業を通じたがん教育の推進についてであります。
学校におけるピロリ菌検査事業につきましては、生徒のがんの予防や早期発見に対する正しい理解の促進などを目的として、くらし保健福祉部と連携しまして、平成二十九年度から高等学校と特別支援学校高等部の一年生のうち、希望する生徒を対象に行ってきたところであります。
学校では、検査内容や早期発見の重要性などを分かりやすく記載したチラシを配布して周知を図っており、毎年度九割を超える生徒が検査を受けたところであります。
[谷口くらし保健福祉部長登壇]
207 ◯谷口くらし保健福祉部長 ピロリ菌検査事業の実施を通じたがん教育の推進についてであります。
ピロリ菌検査事業につきましては、生徒のがんの予防や早期発見に対する正しい理解の促進などを目的として、教育委員会と連携し、実施してきております。
この中で、検査内容や本県のがんの現状、早期発見の重要性などを分かりやすく記載したチラシを配布し、これにより毎年度対象者の九割を超える生徒がピロリ菌検査を受検されたところであります。
検査の実施状況については毎年度教育委員会を含む関係部署に提供してきたほか、教育委員会が主催するがん教育総合支援に係る協議会にも参加するなど、これまで連携してがん教育の推進を図ってきたところであります。
208 ◯松田委員 私からすると、プリントを配っただけですよね、連携の中身は。くらし保健福祉部長と教育長が話をしながら、しっかりがん教育に生かすという実態がない。
古川教育長の時代ですけれども、「高校一年生の保健の授業ではがんを含めた生活習慣病を取り扱っており、早期発見・早期治療の学習を通して定期健康診断の重要性について学んでいます。また、ピロリ菌検査を実施することによって、がんについてより関心を持って自らのこととして受け止めるのではないかと考えています」と答弁されています。
実際は、プリントを配る依頼をして、依頼を受けた教育委員会が配っただけじゃないですか。
この御質問をするに当たり、何回か保健体育課、健康増進課と意見を交換しました。ピロリ菌検査のがん教育へのリンクに何をしたかとお聞きしますと、沈黙しかありませんでした。
議場で、委員会の場で、少なくとも八回、我々県議団はピロリ菌検査のがん教育を訴えてきました。答弁ではそれらしい回答をされるが実態がない。これまで何をしてきたのか、憤りしか感じません。
我々県会議員が議論したことが、ここではそれなりのお答えをされて、現場では、保健体育課、健康増進課、何も答えられないんです。
先ほどのQ&Aにしたって聞いても何の返事もない。本県において、知事は、がん教育について従来のピロリ菌検査事業に代えて、本県の喫煙や飲酒等の生活習慣の状況、部位別のがん患者数や死亡者数、検診受診率などを記載した副教材を活用できる冊子を作成し、児童生徒全員に配布すると答弁されましたが、この副教材は誰がどのように協議して、いつまでに作成するのか伺います。
[谷口くらし保健福祉部長登壇]
209 ◯谷口くらし保健福祉部長 がん教育に使用する副教材の作成についてであります。
今回作成する冊子につきましては、がん教育が学校において必修化されたことを踏まえ、本県の喫煙や飲酒等の生活習慣の状況、部位別のがん患者数や死亡者数、検診受診率などを盛り込んだ身近で親しみやすい副教材として、子供たちががんについてより理解を深められる内容としたいと考えております。
この冊子については、早急に原案を作成し、教育委員会、がん診療に携わる医師、がん患者団体等関係者の意見をお聞きした上で、できるだけ早い時期に取りまとめ、関係者に配布したいと考えております。
210 ◯松田委員 くらし保健福祉部長、いただいた資料には九月頃をめどと書いてありますが、これはどうなんですか。
[谷口くらし保健福祉部長登壇]
211 ◯谷口くらし保健福祉部長 できるだけ早い時期に、鋭意努めて、早い時期に配布できるように努力したいというふうに思います。
212 ◯松田委員 いただいたプリントに九月をめどというのは、これはミスプリントでいいですね。
知事、県教育委員会のホームページを御覧になったことがあるとは思いますが、再度見てください。
小・中学校は既に必修化され、令和四年度から高校で必修化されるがん教育のカテゴリーは文化財・スポーツです。学校教育のカテゴリーにはありません。しかも、そこに貼ってあるのは、国のがん教育総合支援事業の報告だけです。先ほど申し上げたとおり、Q&Aを作らなかったという説明もありません。
民間団体であるがんサポートかごしまさんは、いのちの授業の事業報告を毎年まとめられ、教材や教師用指導書までドクター監修のものを作成されています。どちらが汗かいているか。
本年よりスタートする高校一年生のがん教育は一学期末から二学期に実施されると聞きました。教科書見開き二ページであり、あとは、ワークのようなつくりでありました。心配になって、先ほどの副読本の話を聞きました。ここには九月頃をめどと書いてありますが、できるだけ早い時期になるんでしょうか、間に合いません。一学期には授業をやるんですよ。間に合わないものを作るから大丈夫ということが、私には納得できません。
知事に伺います。
本会議の再質問に対して、がん検診向上よりもがん教育の体制が整ったからピロリ菌事業の見直しをしたと答弁されましたが、必修化として国の体制は整いましたが、県教委としての体制づくりはむしろこれからであります。
知事は、五年前にピロリ菌検査が導入されるときには知事ではありませんでした。導入の経緯やその後の議論については、その場におられなかったのですから、担当部局から丁寧にお聞きになったと思っております。
知事は何をもってがんの体制が整ったとされているのかお伺いします。
[
塩田知事登壇]
213 ◯塩田知事 環境整備につきましては、先ほど部長から答弁いたしましたように、外部講師のリスト等の体制については整っていると思っております。
一方で、今御指摘の副教材ですね、学校の授業の進行が夏ぐらいになる可能性があるということで、副教材が間に合うのかという意味では、教育委員会ともしっかり連携を取って、授業の進捗に合わせて教材の配布が間に合うように、あるいは、教材の配布に合わせて授業を実施するというようなことで、しっかり対応してまいりたいと考えております。
214 ◯松田委員 令和四年度から必修化は、皆さん、御存じだったはずです。であれば、副読本は今で出来上がっていて当然だと思うんです。
学校は、年間指導計画を立てます。一学期末か二学期に多分四時間ぐらい、がんの時間をつくるでしょう。それをつくったときに、基になる教科書はありますけど、副読本はないんです。教師は何をして、指導すればいいのか。平成三十年に告示された高等学校学習指導要領解説には、がんについては生活習慣のみならず細菌やウイルスの感染など原因があることについて理解できるようにする、予防と回復には健康診断やがん検診の普及、正しい情報の発信など、社会的な対策が必要であることを理解できるようにされております。
ピロリ菌検査の結果で、将来がん検診を受けようと思うが九六・四%、ピロリ菌検査で陽性のときは除菌治療を受けるが九六・六%。私は、高校におけるがん教育の必修化を楽しみにしておりました。その冒頭で、君たちはピロリ菌検査を受けたよね、これががん検診のスタートだよという話になると思っておりました。まだまだ体制は整っていないと思っております。
知事、がん教育の授業に活用するに当たりピロリ菌検査事業を実施すべきと強く訴えますが、いかがでしょうか。
[
塩田知事登壇]
215 ◯塩田知事 ピロリ菌検査についてのこれまでの実績等については十分踏まえまして、しっかりとがん教育を推進してまいりたいと思っております。
216 ◯松田委員 終わります。(拍手)
217
◯日高委員長 最後に、無所属の質疑であります。
東委員に発言を許可いたします。
質疑時間は、答弁を含めて十八分であります。
[東 委員登壇]
218 ◯東 委員
予算特別委員会の最後の質問になります。
早速質問に入ります。
まず初めに、鹿児島県
消防団PR推進事業について質問します。
若者や女性など消防団への加入を促進するため、テレビCMやインターネットなどの様々な媒体を活用した広報活動を行うとなっておりますが、鹿児島県における火災の出火率、そしてまた、消防団員の充足率をお示しください。
[橋口危機管理防災局長登壇]
219 ◯橋口危機管理防災局長 県内の火災の出火率及び消防団員の現状についてでございます。
県内の令和二年の火災件数は六百六十七件で、人口一万人当たりの出火件数(出火率)は四・〇九件となっています。
また、県内の消防団員数は、令和三年四月一日現在で一万四千九百三十八人で、市町村の条例定数に対する充足率は八九・八%となっています。
220 ◯東 委員 出火率は鹿児島県は全国でも高いということでお聞きしております。
次、女性消防団員や学生消防団員の団員数の推移と活動状況についてお示しください。
[橋口危機管理防災局長登壇]
221 ◯橋口危機管理防災局長 県内の令和三年四月一日現在の女性消防団員は五百九十四人で、五年前に比べて百七十一人の増加、また、学生消防団員は九十一人で、五年前に比べて八十七人の増加となっています。
女性消防団員は、主に火災予防や応急手当などの普及・啓発活動、災害時における避難所の運営支援などを行っており、また、学生消防団員は、防災訓練における避難支援活動やイベントでの救護活動などを行っているところです。
222 ◯東 委員 学生消防団員につきましては、姶良市、そしてまた霧島市でも今結成されているようですので、この動きをさらに加速させていただきたいと思います。
次に、昨年県ではPR動画「IZA!消防団」を制作しておりますが、このPR動画につきまして、どのように評価、分析しているのかお聞かせください。
[橋口危機管理防災局長登壇]
223 ◯橋口危機管理防災局長 「IZA!消防団」についてでございます。
県では、令和三年二月に消防団の活動や魅力を分かりやすく発信し、若者や女性の加入を促進することを目的に、PR動画「IZA!消防団」を作成し、県ホームページやテレビコマーシャルのほか、ユーチューブやフェイスブックなどを活用して、広く県民に向けて情報発信を行っているところであり、ホームページの閲覧件数が約一万件、ユーチューブの再生回数が約六万件となるなど、多くの方に関心を持っていただいていると考えております。
また、市町村におきましても、屋外ビジョンや有線放送などでの放映のほか、消防の出初め式や防災教室などの機会を捉えて、PR動画を活用した消防団への加入促進の取組が行われており、一部の市町村では、動画を視聴された方から消防団業務に関する問合せや加入申請書類の交付依頼などがあったと聞いているところであります。
224 ◯東 委員 引き続き、市町村と連携して、このPR動画の宣伝、そしてまた加入促進に努めていただきたいと思います。
また、来年度、消防団への加入促進につながる広報活動を新たにするとありますが、取組内容をお示しください。
[橋口危機管理防災局長登壇]
225 ◯橋口危機管理防災局長
消防団PR推進事業における取組内容についてでございます。
県では、若者や女性などの消防団への加入を促進するため、来年度、国の消防団の力向上モデル事業を活用し、テレビコマーシャルや街頭ビジョンでPR動画「IZA!消防団」を放映しますほか、若者や女性のライフスタイルの多様化に合わせたSNSなどでの広告や、インターネットの検索サイトで「消防団」と検索した際に本県のPR動画の関連サイトを検索結果の上位に表示させるリスティング広告など、様々な媒体を活用して情報発信を行うこととしています。
県といたしましては、今後とも市町村や消防関係機関と連携しながら、様々な機会にPR動画などを活用して、消防団員の確保につなげてまいりたいと考えております。
226 ◯東 委員 いろいろ答弁いただきました。消防団員の充足率向上にさらに努めていただきたいと思います。
次の質問です。
鳥獣被害防止対策について質問します。
国は、平成二十五年に策定した抜本的な鳥獣捕獲強化対策で、ニホンジカ、イノシシの個体数を十年後の令和五年度までに半減させることを当面の捕獲目標としておりますが、鹿児島県では、当面の捕獲目標として国の半減目標に準じて計画的な捕獲を推進しております。
鳥獣被害は、農作物への直接的な被害に加え、営農意欲の減退を招き、荒廃農地の発生の要因ともなる深刻な問題となっています。
県では、野生鳥獣による農作物被害の防止・軽減を図るため、寄せつけない、侵入を防止する、個体数を減らすの三つの対策をソフト・ハード両面から総合的かつ一体的な推進に取り組むとしておりますが、鳥獣被害による農林業の被害状況の推移をお示しください。
[松薗農政部長登壇]
227 ◯松薗農政部長 野生鳥獣による農林業の被害状況の推移についてでございます。
本県におけるイノシシ、シカなどの獣類やヒヨドリなどの鳥類による農林業への被害は、水稲や野菜、果樹、スギ・ヒノキ等を中心に発生しております。
過去三か年の被害額は、平成三十年度が約四億五千万円、令和元年度が約五億九千万円、令和二年度が約四億六千万円となっております。
228 ◯東 委員 四億円、五億円の被害が出ているので、引き続き対策を取っていただきたいと思います。
二点目ですけど、県は、第二種特定鳥獣管理計画に基づき、科学的、順応的な鳥獣個体群の管理により、生活環境の保全、農林業の健全な発展及び自然生態系の維持を図るために、個体数の推定を実施しておりますが、鳥獣の生息及び捕獲などの状況についてお示しください。
[松下環境林務部長登壇]
229 ◯松下環境林務部長 ニホンジカとイノシシの生息及び捕獲等の状況についてでございます。
県においては、ニホンジカとイノシシについて、令和五年度までに個体数を半減させるという国の目標に沿って、計画的な捕獲を推進しているところであります。
令和二年度におけるニホンジカの推定個体数は四万六千頭であり、捕獲数は約二万三千頭となっております。
また、イノシシの推定個体数は五万五千頭であり、捕獲数は約二万九千頭となっております。
230 ◯東 委員 シカもイノシシも結構捕獲もしておりますが、やはり、この被害が相当多いということが実感できます。
次の質問です。
今の狩猟免許の取得者の状況についてお示しください。
そしてまた、狩猟免許合格者などの推移、そしてまた、狩猟登録者の推移、そして、できたら登録者の年齢構成などをお示しください。
[松下環境林務部長登壇]
231 ◯松下環境林務部長 狩猟免許取得者の状況についてでございます。
県においては、狩猟免許の取得を促進するため、狩猟免許取得のための猟友会による事前講習会への支援や、狩猟読本等の無償配布を行うほか、免許試験を受験しやすい日曜日に県内各地で年三回実施しております。
狩猟免許合格者数の推移については、平成三十年度が三百五十九人、令和元年度が三百二十三人、令和二年度が六百二十三人となっております。
そのうち、狩猟登録者数は、平成三十年度が二百七十二人、令和元年度が二百三十七人、令和二年度が三百八十九人となっており、毎年度の合格者のうち約六割から七割程度が登録しております。
また、狩猟登録者の年齢構成については、六十歳以上の割合が約七割を占めておりますが、近年、五十歳未満の割合が増加傾向となっております。
232 ◯東 委員 狩猟免許につきましても、免許は取ったけど登録しないという人もいらっしゃるので、できるだけ免許登録につながるような支援もお願いしたいと思います。
また、年齢構成なども、やはり、六十歳以上七割ということですので、若い人たちにできるだけ狩猟免許を取ってくださるような、そういった広報活動、支援活動もお願いしたいと思います。
次に、指定管理鳥獣捕獲等事業における効率的な捕獲の取組についてお示しください。
[松下環境林務部長登壇]
233 ◯松下環境林務部長 指定管理鳥獣捕獲等事業における効率的な捕獲の取組についてでございます。
指定管理鳥獣捕獲等事業については、毎年度の生息状況調査を基に個体数の推定を行い、捕獲の効果を検証しながら計画的な捕獲を推進しているところであります。
この事業においては、鳥獣の捕獲等に係る安全管理体制や技術、知識が一定の基準に適合している認定鳥獣捕獲等事業者に委託して、シカを餌で誘引して狙撃するシャープシューティングやICTを活用したわなの設置など、効率的な捕獲手法の導入を図りながら捕獲を進めております。
今後とも、捕獲の効果を検証しながら、関係機関と連携して鳥獣の適正管理に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
234 ◯東 委員 計画的な捕獲体制に今後とも取り組んでいただきたいと思います。
次に、鳥獣被害対策推進事業の取組についてお示しください。
[松薗農政部長登壇]
235 ◯松薗農政部長 鳥獣被害対策推進事業の取組についてでございます。
県では、野生鳥獣による農作物被害の防止・軽減を図るため、本事業により、寄せつけない対策として、餌となる収穫残渣の適正処理や耕作放棄の解消などの取組を推進するための研修会の開催、侵入を防止する対策として、電気柵や金網柵等の整備の支援、個体数を減らす対策として、農家によるわな猟免許取得の促進や捕獲に要する活動費の助成などに取り組むこととしております。
また、捕獲した野生鳥獣をジビエとして有効活用するための獣肉処理研修会なども開催することとしております。
今後とも、市町村と連携しながら、ソフト・ハード両面にわたる総合的な対策を推進し、被害の防止・軽減に努めてまいります。
236 ◯東 委員 今後とも、地域住民の方が主体的に鳥獣被害防止対策の取組ができますよう、関係機関・団体と連携しながら、ソフト・ハード両面にわたる総合的な対策を推進し、被害の防止・軽減の支援に努めていただきますよう要望いたします。
次の質問です。
次に、グリーン・ツーリズム農泊推進事業について質問します。
グリーン・ツーリズムとは、都市住民などが農山漁村において直売所での農産物の購入や農林漁業体験施設での加工体験、体験民宿での宿泊などを通じて、自然、文化、人々との交流を楽しむ滞在型の余暇活動であります。
また、受け入れる農山漁村側にとっても、訪れる人々との交流を通して、農林漁業の魅力を再発見し、地域に自信と誇りを持ち、地域の活性化につながると言われております。
県では、体験型教育旅行を中心としたグリーン・ツーリズムの充実に加え、農家民宿や古民家での宿泊によって旅行者にその土地の魅力を味わってもらう農山漁村滞在型旅行である農泊の推進に取り組んでおられます。
そこでお尋ねします。
本県における農泊推進の取組についてお示しください。
[松薗農政部長登壇]
237 ◯松薗農政部長 本県における農泊推進の取組についてでございます。
県では、都市と農村との交流人口を増やし農村地域の活性化を図るため、グリーン・ツーリズム農泊推進事業により農泊の機運醸成に向けたシンポジウムを開催するとともに、農泊に取り組む地域の育成等のため、アドバイザー派遣による農家民宿の開業促進、経営改善研修会の開催や農家民宿と旅行業者が連携した農村体験プログラムの開発などを支援することとしております。
県としては、今後とも各地域のグリーン・ツーリズム協議会と連携しながら、本県の豊かな魅力ある地域資源を活用した農泊を推進してまいります。
238 ◯東 委員 引き続き、農泊の推進に取り組んでいただきたいと思います。
次に、コロナ禍における体験型教育旅行の取組についてお示しください。
[松薗農政部長登壇]
239 ◯松薗農政部長 コロナ禍における体験型教育旅行の取組についてでございます。
本県の体験型教育旅行につきましては、令和元年は約一万三千人の受入れがあったものの、
新型コロナウイルス感染症の拡大により、令和三年は約一千七百人に減少したところでございます
県では、県グリーン・ツーリズム協議会に委託し、感染症対策の専門家による
新型コロナウイルス感染症予防対策研修会の開催や、体験型教育旅行感染症対策チェックリストを活用した予防対策の指導などを行っております。
今後とも各地域のグリーン・ツーリズム協議会と連携し、農家民宿等による安心・安全な体験型教育旅行の受入れ体制づくりに取り組んでまいります。
240 ◯東 委員 現在、
新型コロナウイルス感染症拡大などの影響により体験型教育旅行などの農村地域での受入れが困難な状況にありますが、県として、引き続き県グリーン・ツーリズム協議会などをはじめ関係機関・団体と連携して、感染症対策の徹底など安心・安全な受入れ体制の整備をはじめ、本県ならではの地域資源を活用した農村体験プログラムの開発支援などを通じ、農村の活性化に取り組んでいただきたいと思います。
最後の質問です。
次に、むらづくり活動推進事業について伺います。
近年、農業者の高齢化や新規就農者の減少に伴い、農業・農村の担い手が減少してきており、農業生産力や農業集落などの地域機能の低下が懸念されております。
農業・農村の活性化を目指して、農業生産・農村基盤の有効活用はもちろんのこと、農畜産物、食文化や伝統芸能など幅広い地域資源を活用しながら、生産・販売や豊かな生活空間の創造を図るとともに、都市住民等との交流などを深めることで、農業・農村のよき理解者を増やすなど、持続可能な農業・農村の再構築が今求められています。
来年度、農村集落の担い手確保に向けた研修会の開催、地域資源を活用した農村の新たな仕事づくりなどの支援に要する予算を計上しておりますが、新規事業のむらづくり実践活動支援事業におけるむらづくりの取組についてお示しください。
[松薗農政部長登壇]
241 ◯松薗農政部長 むらづくり実践活動支援事業についてでございます。
本県の農村におきましては、農村集落のマンパワー不足やリーダーの高齢化の進行などにより、農村環境の維持・保全が困難になっているとの課題などが挙げられております。
本事業では、むらづくりプランナーを設置し、集落リーダーの育成等を進めるため、集落の現状把握や話合い活動の助言などを行うこととしております。
また、モデル地区を設定し、農業者組織と自治会など地域の組織が連携した農村環境の維持・保全に係る労力補完の仕組みづくりなども支援することとしております。
県では、今後とも、市町村と連携しながら、農村の維持・発展を図るため、地域で支え合うむらづくりに取り組んでまいります。
242 ◯東 委員 来年の農村集落の担い手確保に向けた研修会の回数や内容が分かればお答えください。
[松薗農政部長登壇]
243 ◯松薗農政部長 研修会の内容についてでございますけれども、回数等も含めまして、ただいま検討しておりますので、モデルづくりも含めまして、しっかりと対応してまいりたいと思っております。
244 ◯東 委員 引き続き、県として、関係機関・団体と連携して、農業・農村の活性化を図り、そしてまた、持続可能な農業・農村の再構築を支援していただくことを要望いたしまして、私の質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
245
◯日高委員長 以上で、通告による質疑は全て終了いたしました。
質疑は終結いたします。
これで、本日の日程は終了いたします。
次回の委員会は、三月十八日金曜日の午前十時から開催いたします。
日程は、各常任委員長による部局別予算審査の調査結果報告及び採決であります。
なお、本委員会に付託されました議案につきましては、本委員会運営要領に基づき、この後、直ちに議長を経て、各常任委員会に対し、部局別予算審査に係る調査を依頼いたします。
本日の委員会は、これをもちまして散会いたします。
御苦労さまでした。
午後四時四十分散会
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