鹿児島県議会 2022-03-04
2022-03-04 令和4年第1回定例会(第7日目) 本文
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午前十時開議
△ 開 議
◯議長(田之上耕三君)ただいまから、本日の会議を開きます。
本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。
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議 事 日 程
一、開 議
一、一般質問
米 丸 まき子 君
小園 しげよし 君
寿 はじめ 君
日 高 滋 君
一、議案第一号から議案第二〇号まで及び報告第一号
の常任委員会付託
一、散 会
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2 △ 報 告
◯議長(田之上耕三君)ここで、報告いたします。
今回提出されました議案のうち、議案第三三号、議案第三四号、議案第三五号及び議案第四七号につきましては、当席において、地方公務員法第五条第二項の規定に基づき、人事委員会の意見を求めましたところ、配付いたしております写しのとおり、意見書が提出されております。
以上で、報告を終わります。
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3 △ 一般質問
◯議長(田之上耕三君)一般質問であります。
通告に従って、順次発言を許可いたします。
米丸まき子君に発言を許可いたします。
[米丸まき子君登壇](拍手)
4 ◯米丸まき子君 皆さん、おはようございます。
本日もたくさんの方に傍聴に来ていただき、心より感謝申し上げます。
昨年末の地元新聞にこんな論説が掲載されていました。「国と市町村の間に位置し、中二階とも例えられる県議会。身近な存在の市町村議会議員や、国会議員と比べて活動が見えにくいからこそ、期待されるチェック機能を果たし存在意義を示してほしい」。そんな期待に応えるべく、本日は、鹿児島の発展のために県議会議員が必要だったという存在意義を示せるような一般質問ができればと思っております。
さて、
新型コロナウイルスは社会を大きく変貌させ、困難を強いられた人々にとって、負の面は大変大きくなっています。しかし、社会課題は決してマイナスの要因だけではなく、むしろ、そこにこそオンリーワンになれるヒントや、「稼ぐ力」へのアイデアが隠されていると思います。なぜなら、我が日本は、社会問題を解決することでビジネスが大きく育ってきた過去を持ち、日本独自の技術事例を幾つも見出すことができてきたからです。
そういった意味で、多数の課題を抱えた鹿児島県政において、このピンチは、「稼ぐ力」をつける史上最大のチャンスが到来しているのではないでしょうか。
しかし、知事の施政方針等々を見て思うことは、現状の課題はしっかりと捉えられてはいるものの、胸躍るような、県民に希望を抱かせるような具体的な課題解決策が見えてこないというところです。せっかくの大チャンスを我が県は生かせるでしょうか。逆に、時代の波に乗り遅れるのではないかと心配になってくるのです。
デジタルコンサルタントDBE合同会社代表の的場氏によると、地方の創生は、次の五つの要素の掛け合わせで生み出されるとのことです。少々難解ですが、大事なところなので御説明させていただきます。
一つ目が、哲学です。豊かさ幸福を追求する、格差をなくす、地球の持続性を維持するなどの強い意欲とそれに伴う価値観です。これが地方創生の全てのベースになります。
二つ目は、
オープンコミュニティーです。
オープンコミュニティーとは開かれた社会、鹿児島県と多様な関わりを持つ人々と地域の人々が交流できる場があるということ。
三つ目が、身体知、これは頭でっかちな知識ではなく、体験に根差した知です。そんな地域の身体知の魅力と触れ合うチャンスがあるということ。
四つ目は、新しいスキル創生です。デジタル化に必要なデータ分析、統計、プログラミング、デザインなどの技能を教え、育てる場があること。
そして最後は、地域の
アイデンティティー再生です。地域の独自性を再構築すること。そのためには、これまでの価値観にとらわれない斬新な視点で鹿児島の魅力を考えることが必要です。
これらが積み上がっていって、地域が富める力、つまり「稼ぐ力」にもなるということです。
そのような観点から、本日は時代の変化に対応した「稼ぐ力」について質問させていただきます。
最初に、
ドルフィンポート跡地についてです。
まず、Society5・0についてお尋ねします。
二〇一六年に内閣府が提唱した概念で、我が国が目指すべき未来社会の姿とされています。Society5・0とは、AIやIoTなど最新の
デジタルテクノロジーによって、物の豊かさと心の豊かさの調和をベースに、もっと豊かな社会を実現し、経済も発展させようというものです。このSociety5・0への移行は、今回改訂される鹿児島県の
かごしま未来創造ビジョンでも課題の一つとして取り上げています。
しかしながら、鹿児島県は、その一つ前のSociety4・0─情報社会─への移行に乗り遅れました。ある調査によると、
デジタル化ランキングでは、我が鹿児島県は全国四十一位という残念な結果が示されています。県民がインターネットやIoTなどのデジタル社会の恩恵をまだ十分に享受できていないということです。
鹿児島県は、そのほかにも問題を多く抱えた、言わば課題デパート県です。例えば、一人当たりの県民所得が二百五十万九千円、全国四十四位、子供の
貧困率ワーストスリー、鹿児島市街地の交通渋滞が
全国ワーストワンです。などなど、これらの問題を食い止めるのがSociety5・0であり、いかにスムーズに戦略的に移行できるかにかかっています。
そこで質問です。
当初予算案では、デジタル化の予算を増やしたとのことでしたが、知事は、Society5・0を踏まえた上での目指すべき鹿児島の未来社会をどのように捉えておられるかお示しください。
今議会が始まってから、知事の「稼ぐ力」に対する並々ならぬ思いを聞かせていただいています。しかし、私は、知事の稼ぐという意味、そこに込められた思い、そして知事はどこまで本気で取り組むつもりがおありか、最近、疑念を持っています。
なぜかと申しますと、総事業費約二百億円という
一大投資プロジェクト、スポーツ・
コンベンションセンターを
ドルフィンポート跡地に建設するという提案をされたからです。
これは、塩田知事が就任されてから最も県民にインパクトを与える事業に違いありません。それなのに、僅か四十万人の利用者数、経済波及効果五十四億円しか見込めない施設を、鹿児島の中心街に残された最後のまとまった優良地に造ろうというのです。我が県にとってこれから先、独自の財源でこんなにも大きなプロジェクトはなかなか起こせないと思われます。
今回の知事の判断は何が問題なのか、これから三つの事例を挙げて、問題点と課題点を指摘します。
まず、一つ目の問題点が、そこには未来を見据えた先進性が感じられないということです。皆様のお手元の資料ですが、昭和六十年の議会において、松村議員の質問に対し、鎌田知事が答弁されたときのやり取りです。
要約いたしますと、「なぜ我が県では、一万人以上収容可能な国際展示場兼国際会議場を計画できなかったのか」という松村議員の質問に対し、鎌田知事が、「本県は財源に乏しいので難しい。しかし、工夫を凝らし、体育館と
コンベンション施設という多目的に使える施設というのが私の念頭にあります」とあります。
あれっ、これどこかで聞いたことありますよね。三十七年過ぎた今、今議会に提案されたスポーツ・
コンベンションセンターと同じ考えです。この昭和的発想のまま進んでもいいのでしょうか。
お手元の文中で鎌田知事が例に挙げておられるシンガポールですが、奄美大島と同じぐらいの大きさです。しかし、この四十年で多国籍企業の本社を誘致するなどグローバル都市へと脱皮を進め、目覚ましい経済発展を遂げています。現在、一人当たりのGDPは約六百八十七万円となり、日本を追い越しています。また、経済発展のみならず、さらに、二〇〇二年には世界に先駆け、緑豊かで持続可能な
サステーナブルシティーの追求への移行を発表しました。
そのとき建築されたのが次の資料、ガーデンズ・バイ・ザ・ベイです。幻想的なデザインと最先端のエンジニアリング、緑豊かな自然が一つに融合した植物園です。これは、
サステーナブルシティーの象徴とも言える植物園だけではなく、特別なフェスティバルや音楽コンサート、映画の上映もあります。また、
スポーツイベントや
コミュニティーイベント、
教育ワークショップ、学校プログラムなど新しいスキルが創生され、観光客だけではなく、地元の憩いと学びの場にもなっています。
ここでは、最初に取り上げた地方創生の五つの要素が全て盛り込まれています。
シンガポール政府が目指すべきコンセプトと経済効果とまちづくりがマッチした先進的な事例です。人々は、施設というハードのすばらしさ以上に、理念や運用などソフト面に憧れて足を運ぶのです。
鹿児島県が総合体育館構想に右往左往している間に、シンガポールは、知事が目指しておられるアジアの中核都市となっています。
そこで質問です。
知事は、ビジョンに沿って各般の施策に取り組むとおっしゃったが、今回のスポーツ・
コンベンションセンターには「稼ぐ力」の観点でどのような理念が落とし込まれているか、お示しください。
次に挙げるのが、令和元年に
企画観光建設委員会の視察で訪れた、滋賀県の和菓子屋の老舗「たねや」が運営する、
ラコリーナ近江八幡です。ラコリーナのある近江八幡市北之庄町は、人口千五百人ぐらいの自然豊かな小さな町です。アクセスは大変不便で、最寄り駅からバスで二十分、車は最寄りのインターから四十分もかかります。それでも、コロナの影響前には年間三百十一万人を集客し、滋賀県で一番人が集まる場所となっています。
コンセプトは、自然を愛し、自然に学び、人々が集うつながりの場。たねやさんは、全体のこうした構想にたどり着くのに七年もの歳月をかけました。そして得られた答えは、自分の利益だけを追求するのではなく、私財を投じて橋や学校や森をつくり、地域や社会に還元するというものでした。
実際にできた施設ラコリーナは、そのほとんどが田畑や雑草が生えている自然の大地。五十年後、百年後に大きな森になることを夢見て、苗木も植えています。また、農業体験学習なども行われています。ここでもまた、先ほど挙げた地方創生の五つの要素が見事に盛り込まれています。
ドルフィンポート跡地は、桜島を目の前に眺望でき、錦江湾の
ウォーターフロントという絶好の立地環境です。多くの人々が共感し、納得できるコンセプト、もっと世界にアピールできる有効な活用方法を熟慮すべきと考えます。
そこで質問です。
今回のスポーツ・
コンベンションセンターの設置決定は、利便性や立地条件という計測可能な指標だけで物事を進め、立地を決めたように思います。コンセプトや美意識、哲学など一番大切な部分はほとんど問われていないように思いますが、そういった議論はなされたのか、お示しください。
最後に、費用対効果の問題です。
ドルフィンポート跡地は、現在、鹿児島市の中心街で最もまとまった優良地です。そこに、総事業費約二百億円、利用者数四十万人を目標にするスポーツ・
コンベンションセンターを建設するということです。経済波及効果は五十四億円と試算されています。稼ぐという視点で考えると、明らかに投資効率が低いのではないでしょうか。
例えば、人口百四十一万人の石川県にある金沢市立二十一世紀美術館。生活に密着した市民目線を持った美術館として役割を果たしながらも、来場者の約七割が石川県外からとなっています。
この美術館の総事業費は同じく約二百億円ですが、コロナの影響前には年間約三百万人が日常的に集まっており、全国のミュージアムで最多の入場者を誇るほどになっています。また、相乗効果で、お隣の兼六園は二〇一九年、外国人の入場者だけでも約四十八万人が訪れています。この美術館が与える地域経済と県民生活へのインパクトは計り知れないと思われます。
ドルフィンポート跡地のスポーツ・
コンベンションセンターの在り方については、施設ありきではなく、県民生活、観光を含めた鹿児島県全体のビジョンの中での役割を考えていくことが重要であると考えます。
そこで質問です。
約九千万円の赤字の試算について、構想当初から、毎年九千万円もの赤字を出すと試算されています。この考えは、知事の言われる「稼ぐ力」の考えに合っているのか、お示しください。
来場者一人当たりの消費額の見込額についてお尋ねします。
基本構想案の試算で用いた、来場者一人当たりの消費額、交通費、宿泊費、飲食経費がそれぞれ幾らになるのか、お示しください。
来場者四十万人という試算についてお尋ねします。
人口減少が予想される中、今後、一層関係人口を増やし、外貨を稼がなければなりませんが、今回、候補地五か所の中で一番価値評価が高かった、一番の稼げる一等地を、四十万人の観客という費用対効果の試算は甘くないでしょうか。
ドルフィンポート跡地を活用して、利益を最大限に押し上げるような戦略提案が検討委員会でなされたのか、お示しください。
新たな総合体育館の整備と鹿児島港本港区
エリアまちづくりに係る
コンサル業務委託料等についてお尋ねします。
これまで、新たな総合体育館の整備と鹿児島港の本港区
エリアまちづくりにかかった経費と、
コンサル業務委託の件数は何件で、総額幾らかお示しください。
以上、一回目の質問を終わります。
5 ◯総合政策部長(前田洋一君)まず、Society5・0を踏まえた上での目指すべき鹿児島の未来社会についてであります。
Society5・0に向けたデジタル化により、
スマート農林水産業などによる経営規模の拡大や、観光ニーズなどのデジタルデータを活用した
プロモーション活動による、観光客や観光消費額の増加等が期待されます。
さらに、中小企業においては、デジタル人材の育成やデジタル技術の導入により、生産性が向上し、新たな分野への事業展開や企業の付加価値の創出等が期待されます。
また、遠隔医療や遠隔教育が進むことで利便性が飛躍的に高まり、本県の中山間地域や離島地域の条件不利性が大幅に軽減されることが見込まれ、地方回帰の機運が高まる中、移住・交流先あるいは新たなビジネス拠点として選択されるようになることが期待されます。
今後、あらゆる分野でデジタル化を進め、県民の暮らしの質の向上や新産業の創出に取り組むことにより、心豊かな暮らしと持続可能な環境・社会・経済を実現し、地方発の新たな暮らしとイノベーションを生み出すことを目指してまいります。
次に、スポーツ・
コンベンションセンターの整備における理念についてであります。
かごしま未来創造ビジョン改訂案におきましては、鹿児島の稼ぐ力の観点から、農林水産業や観光関連産業、製造業について記載しており、スポーツ・
コンベンションセンターについては、文化・スポーツの振興の項目において、県民への良質なスポーツ環境の提供などを行う施設として位置づけております。
現在の県体育館は、築後六十年以上経過しており、老朽化に加え、一定規模以上の競技大会の開催等には狭隘であるといった課題を有していることから、スポーツ・
コンベンションセンターの整備については、喫緊の課題として取り組んでいるところです。
同施設は、良質なスポーツ環境を提供することで、青少年の健全育成や県民の健康増進等に資する公共施設であり、収益施設には当たりませんが、コンサート、
コンベンション等の多目的利用に活用することで、収益性の向上を図る必要があると考えております。また、中心市街地への経済波及効果があるものとしてまいります。
整備候補地に係る評価基準についてであります。
スポーツ・
コンベンションセンターについては、現体育館の老朽化、狭隘等の課題を踏まえ、
屋内スポーツ競技の中核的な施設として、子供たちをはじめ障害者や高齢者など、全ての県民がスポーツに親しみ、健康増進に取り組む施設として整備することに、最も重きを置いているところです。
また、多目的利用による交流拠点として、コンサート・イベント等の開催を通じ、様々な人々が交流できる施設とすることにより、にぎわいの創出や経済波及効果など地域活性化とともに、施設の収益性にも寄与することとしております。
また、鹿児島港本港区エリアについては、まちづくりの開発コンセプトについて、鹿児島市や経済界などで構成する検討委員会において検討し、策定したグランドデザインにおいて、年間を通じてにぎわいと感動を与える拠点を形成することとされております。
本港区エリアについては、中心市街地に近接しており、大型商業施設等の立地が難しい中で、スポーツ・
コンベンションセンターは、多目的な用途にも供する施設として、同エリアが、年間を通じてにぎわうために必要な高い集客機能を有する施設であり、本港区エリアのまちづくりにふさわしい施設の一つであると考えております。
なお、
総合体育館基本構想検討委員会においても、本港区エリアのまちづくりにふさわしい方向で検討を行うべきと議論されており、それを踏まえて整備を進めてまいります。
基本構想における収支差についてであります。
スポーツ・
コンベンションセンターの基本構想案における維持管理・運営費につきましては、石川県や福岡県などの類似施設を参考に、平均的な維持管理・運営費の平米単価を基に試算した結果、約二億九千七百万円とされたところです。
また、全国・国際大会やプロスポーツなどのスポーツ利用に加え、コンサート等の多目的利用などにより、収入を約二億八百万円見込み、収支差は約八千九百万円と試算されました。
スポーツ・
コンベンションセンターにつきましては、各種競技の大会基準等を基に必要な規模を決定の上、
屋内スポーツ競技団体からの
ヒアリング調査等により、利用日数を把握したところです。
その結果、想定される年間の利用形態は、スポーツ利用の日数が約七割と見込まれており、残りの三割を多目的な利用に有効活用することとなります。
スポーツ・
コンベンションセンターについては、全ての県民の皆様がスポーツに親しむ環境を提供することに重きを置いた公共施設であり、収益施設ではございませんが、集客施設として中心市街地との回遊性を高め、経済波及効果をもたらすものであります。
また、コンサート、
コンベンション等の多目的利用に活用することで、維持管理・運営費の低減、ひいては県民負担の軽減を図る必要があると考えております。
来場者一人当たりの消費見込額についてであります。
スポーツ・
コンベンションセンターの基本構想案における経済波及効果の試算に用いた、来場者一人当たりの消費額につきましては、観光庁や県内の観光統計資料に基づいて算出した、交通費、宿泊費、土産代、飲食費を含むその他費用を基に推計いたしました。
この結果、来場者一人当たりの消費額につきましては、県外からの宿泊の場合、約四万七千円で、うち、交通費は約八千円、宿泊費約一万四千円、土産代約九千円、その他費用は約一万五千円となっております。
県内からの宿泊の場合は約二万七千円で、うち、交通費約五千円、宿泊費約八千円、土産代約五千円、その他費用約八千円となっております。
県外からの日帰りの場合は約九千円で、うち、交通費約二千円、土産代約三千円、その他費用約四千円となっております。
県内からの日帰りの場合では約三千円で、うち、交通費約千円、土産代約千円、その他費用約二千円となっております。
施設利用者がこのような消費を年間を通じて行うことにより、毎年約五十一億円の経済波及効果が見込まれるところです。
来場者の試算についてであります。
スポーツ・
コンベンションセンターの基本構想案における利用者数につきましては、昨年度実施した需要予測調査における県大会、全国大会等のスポーツ利用、コンサート・イベント等の多目的利用の利用者数を基に、今回、整備予定地とされた鹿児島港本港区エリアの立地を踏まえ、現時点における試算を行った結果、約四十万人となったものであり、本施設と立地が類似する施設とおおむね同程度となっております。
この利用者数は、スポーツ大会やコンサート・イベントなど、現在想定している主な利用形態における利用者数を試算したものでありまして、今後、本港区エリアの立地を生かし、スポーツ大会等の施設利用者のみならず、県民や観光客が気軽に立ち寄り、回遊できる仕組みとして、カフェやイベント等にも利用可能な交流スペースを設けるなど、開かれた施設としての整備を検討することとしており、これらの整備により、利用者はより増加するものと考えております。
検討委員会においては、この試算結果を含む基本構想案の内容について検討が行われ、スポーツを中心としながら、コンサート、コンベンションの誘致に取り組むことで経済波及効果を高めるべき、本港区の立地を生かし、展望スペースや飲食等の附帯施設を入れることで中心市街地との回遊性が高まる、コンベンションの誘致がエクスカーションなどの長期滞在型の観光につながるなどの御意見を頂いたところです。
県としては、これらの議論を踏まえ、今後、全国・国際大会やコンサート、
コンベンション等の誘致や附帯施設への民間活力の導入など、利用者の増加を図り、収益性や経済波及効果を高める取組について検討してまいります。
6 ◯本港区
まちづくり総括監(米盛幸一君)新総合体育館と鹿児島港本港区
エリアまちづくりに係る
コンサル業務委託等についてであります。
スポーツ・
コンベンションセンターの整備について、平成二十一年度から令和二年度までかかった経費は六千八百七十八万円余りで、専門的な
コンサルタント等に業務委託した件数は十三件となっております。
また、鹿児島港本港区
エリアまちづくりについて、平成二十九年度から令和二年度までかかった経費は四千百十九万円余りで、同様に業務委託した件数は三件となっており、合計は、経費が一億九百九十七万円余り、業務委託件数は十六件となっているところであります。
7 ◯米丸まき子君 知事に、自席から再質問させていただきます。
今回、何が一番問題なのかというところが、体育館をどこに設置するかということに力点が置かれていて、
ドルフィンポート跡地をどう有効活用できるかという視点がすっぽり抜け落ちているということなんですけれども、今回設けられた検討委員会は、あくまで総合体育館に特化したものでした。
執行部が提案した五つの場所の中であれば、十二の測定可能な指標で一番点数の高い
ドルフィンポート跡地が選ばれるのは当たり前ではないでしょうか。赤字になっても
ドルフィンポート跡地に体育館を造るんだという知事の熱い思いがあれば、それはそれで一つの考えになりますが、しかし、今回、どう考えても検討委員会に丸投げの印象が拭えません。
知事は、
ドルフィンポート跡地にスポーツ・
コンベンションセンターを造るのがベターではなくベスト、どうしてもあそこに造りたいと本当にお考えなのか、お示しください。
8 ◯知事(塩田康一君)ただいまの御指摘でございますが、今回の基本構想検討委員会において、どこに設置するかということに力点が置かれたということについては、私はそういう考えではなくて、これまでの経緯を踏まえて、場所ありきではなく、まず体育館をどういうものを整備するのか、規模・機能、構成、そういったことから議論していただきたいということで、どちらかといいますと整備地の議論は後になっており、そのような
ドルフィンポート跡地ありきということではなかったと思っております。
また、そういった中で今回、スポーツの振興拠点と併せて多目的なものにすべきだということは、鎌田知事の昭和的発想という御指摘もありましたけれども、これは至極当然のことで、運営費の軽減等において必要なことではないかと思っております。
また、一方で、基本構想検討委員会の議論の中で、立地の基準で採点した結果、
ドルフィンポート跡地が候補の中で適切であると、場所がある程度決まりつつある中、
ドルフィンポート跡地の有効活用という視点や、しっかりとしたまちづくりの観点から、今後、本港区エリアにふさわしい施設になるよう検討するようにと基本構想の中に盛り込まれているわけでございます。
また、この本港区エリアについては、鹿児島市等も入ってグランドデザインというものがあって、三百六十五日にぎわう施設を整備すべきだといった観点で、その考え方にも沿ったものであると考えております。
また、体育館の現状の課題として、離島の生徒たちが出航に間に合わないことを理由として表彰式の途中退席・延泊といったこともあるということで、今回の整備予定地の選定に当たっては、そういった立地条件、交通の利便性ということで、離島や大隅からも全ての県民の皆様、県土全域からのアクセスが良好なこの地点が評価されたと考えております。
また、費用対効果ということで御指摘がございました。金沢市の二十一世紀美術館、これは大変人気のある施設で、年間二百数十万人が訪れるということでございます。そういったものでございますけれども、北陸の新幹線の効果等もあり、また、兼六園という二、三百万人集まる観光地の中にあって、憩いの場となっているという効果かと思います。
この美術館でございますが、約二百五十万人のうち実際に展示施設を見ている、入場される方というのは約六十万人程度だと聞いております。そういった意味で、事業収入というのが、運営費が九億一千万円に対しまして、実際に金沢市のほうから指定管理料として支出している金額が四億一千万円ということで、収支比率でいいますと五二%ということでございますから、今回のスポーツ・
コンベンションセンターが七〇%ということで、決してこのスポーツ・
コンベンションセンターの収支比率が低いということではないと思っております。
また、この事業効果として約百十億円と聞いておりますけれども、約四億円の支出で百十億円、スポーツ・
コンベンションセンターのほうが一億円弱で五十億円ということで、費用対効果でいいますと、こちらのほうが二倍というような見方もできるのではないかと考えております。
ただ、いずれにせよ、今日はいいヒントを頂いたと思っております。金沢市の美術館も、美術というものを核としながら、それ以外の交流スペースを使いながら、文化の交流といったようなことを核として地域の活性化につなげているということでございます。こういったこともしっかりと踏まえて、今回のスポーツ・
コンベンションセンターにおいても、実際にスポーツ等に参加する方の数は四十万人ということでございますが、スポーツだけではない、あるいはイベントだけではない、その周辺の開かれた県民の皆さんの憩いの場としても交流できるような、この金沢市の美術館と同じように、それ以外に、景観を楽しむ、あるいはスポーツの間の交流スペース等の活用により、さらなる交流人口の拡大ということの実現に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。
9 ◯米丸まき子君 もう一点お尋ねします。
昨日、知事が、おさだ議員が質問した中で、スポーツ・
コンベンションセンターは長年にわたり県民に親しまれる、誇れる施設が必要であると考えるとおっしゃっていましたが、知事にとって、誇れる施設とは具体的にどんな施設ですか。規模ですか、デザインですか、機能ですか、どういったことを誇れると思っていらっしゃいますか。
10 ◯知事(塩田康一君)誇れる施設というのは、見た目とかデザインとかそういうことだけではなくて、やはりこの鹿児島のシンボルとなるような、青少年のスポーツによる育成であったり、障害者の方も、県民全ての方々がここに集ってスポーツに親しみ、健康増進を図る、あるいはスポーツ以外のイベント等により経済波及効果もあるという、鹿児島の言わばシンボルとなるような施設として整備するということが必要であると思っております。
[米丸まき子君登壇]
11 ◯米丸まき子君 鹿児島県には多数の県の施設があります。毎年、数億円単位の維持管理費が計上されています。例えば、県民交流センター三億四千万円、奄美パーク二億三千万円、霧島アートの森一億円、霧島国際音楽ホール一億七千七百二十四万円、黎明館二億八千万円。体育館を建設した場合、さらに二億八千万円の経費と毎年九千万円の赤字が計上される予定です。この経費がどんどん膨らむ現状を次世代の人たちは本当に誇りに思うのでしょうか。私はどうしても思えません。
次に、来場者一人当たりの個別消費額についてですが、先ほどお伺いした数字だけを聞くと、結構採算が取れそうだなと思ってしまいます。しかし、よくよく考えると、四十万人で五十四億円の試算、日割りにすると一日約千人の来場者です。一人当たり一万三千七百五十円です。これは私の見立てですが、宿泊費を八千円、その他交通費を除き、飲食費として天文館に落ちるのは恐らく一日四、五百万円です。天文館には千から千五百店舗の飲食店があると言われています。一店舗、三千円から四千円しか落ちない計算です。今後も観光産業を主軸にしていくとおっしゃっていますが、消費単価が低い観光客の場合、数で勝負しなければ利益は上がりません。しかし、この数も四十万人、一日約千人です。これでは到底観光立県とは言えないでしょう。
令和二年賃金構造基本統計調査によると、宿泊業、飲食業、サービス業に関わる方の所得内給与額を見ると、鹿児島県は、平均所得二百五十万九千円より低い二百五万九千円です。一方、先ほど挙げた石川県ですが、二百四十四万八千円。そして、年間賞与額を見ると、石川県は何と四百四万六千円、鹿児島県は二百二十五万九千円です。ちなみに、地方都市で賞与額が四百万円を超えるのは、大都市以外、石川県と新潟県のみとなっています。この数字を見ると、石川県は堂々たる観光立県と言えるでしょう。
鹿児島県は、観光が主軸産業と言っていますが、県民の平均所得よりも低いこの業界に、今後、優秀な若者人材が集まるでしょうか。知事は、
かごしま未来創造ビジョンでも観光立県を目指すとしており、今回も予算を計上されていますが、これでいいのかと心配になります。
次に移ります。
我が県と同様に多くの離島を有し、観光を基幹産業とする沖縄県は、今回のコロナ禍で大きな打撃を受けています。また、我が県といつも所得の低さを争っている県でもあります。
コロナ禍前の令和元年、沖縄県は観光客数が初めて一千万人を突破しました。それでも、その影響は限定的で、県民を経済的に豊かにするような効果はなかったようです。一人当たりの県民所得は全国最低で、非正規雇用の割合は全国一高く、子供の貧困率は全国の約二倍の水準のままです。
ただし、沖縄県は、その経験を踏まえ、三つの大きな政治的決断が進んでおり、未来を見据えた政策で大きくシフトチェンジするのではないかと見られています。
その三つの大きな政治的決断の一つ目、まず、港湾計画についてです。
沖縄県は、三十二年ぶりに中城湾港の港湾計画を改訂することが決まりました。沖縄振興に向けた一つの戦略に、地域資源を生かしたアジアの誇れる国際交流拠点の形成を掲げています。
そして、県外との比較優位性を高める施策に、岸壁と浮き桟橋の整備を盛り込みました。富裕層が所有するスーパーヨットが寄港できる岸壁や浮き桟橋を備えた港が国内ではまだ少ないからです。スーパーヨットが寄港するためには、それに見合ったホテルや商業地が形成されることが必要になります。そうなれば、街のポテンシャルを上げることができると沖縄県は考えたのではないでしょうか。
そこで、二点質問です。
知事は、鹿児島県のアジアの中核都市を目指しておられますが、その重要な要素の一つ、鹿児島港の港湾計画において、アジアの中核都市に向けた取組はあるのか、その取組をお示しください。
鹿児島港の港湾計画は、平成五年から抜本的な見直しがされていません。南北六百キロメートルの鹿児島県を取り巻く社会情勢の変化を踏まえ、鹿児島県全域の発展を加速させる港づくりを進めるためにも、まず鹿児島港全体の港湾計画を見直すべきと考えますが、県の考えをお示しください。
次に、高度専門職や経営・管理などの高度外国人材の活用についてであります。
都市の発展は、いかに知識産業が主体になるイノベーション思考の社会に移行できるかが鍵になります。さきに例として挙げましたシンガポールは、常に世界最新の産業トレンドやビジネスモデルを取り入れ、世界中の一流の人材、知識、技術、資金、情報を自国の経済圏に取り込み、外部資源を活用することで経済発展を成し遂げてきました。また、国の発展とともに、大学のレベル向上のために世界中から優秀な教授陣を集め、継続的な努力を行ってきました。
そんな中、日本では二〇一一年、沖縄県第二の都市恩納村に沖縄科学技術大学院大学が開校しました。二〇一九年には、開学十年足らずで、質の高い論文数で世界九位と評価されました。国内では、東京大学の四十位や京都大学の六十位を抑えて堂々のトップです。そして現在、教員の六〇%、学生の八〇%が外国人です。教員の採用競争率は非常に高く、合格率は僅か一%です。世界の知識が集まっていると言えます。
鹿児島の経済が長期的に活力を維持・向上させていくためには、人口減少に伴う人手不足を補うための外国人労働力の活用だけではなく、優秀な研究者やIT技術者、起業家といった高度外国人材の確保が重要となります。政府も成長戦略の一つに掲げ、高度人材ポイント制導入などの対策を講じています。鹿児島県において、高度外国人材の確保に向けた政策が求められているのではないかと思います。
そこで質問です。
現在、県内事業者における高度専門職や経営・管理などの高度外国人材確保の状況をお示しください。
また、その方々を呼び込む環境となっているのか、県の認識をお示しください。
NHKの報道によると、鹿児島市街地の道路混雑割合は
全国ワーストワンです。その混雑ぶりは、福岡県や東京二十三区を上回っているとのことです。この渋滞に関して何ら手が打たれていないにもかかわらず、今回また鹿児島市の中心部に県の施設を造ろうとしています。
沖縄アリーナ、お手元の資料ですね。こちらは沖縄市主導の施設ではありますが、収容人数最大一万人、地上五階建て、県内最大規模の施設です。沖縄自動車道を利用することで沖縄本島のどこからでも交通の便がよい絶好のロケーションにあります。
また、沖縄アリーナの二十キロ圏内には、那覇空港、恩納村を中心としたザ・リッツ・カールトン沖縄やハレクラニ沖縄など、高級リゾートホテルが点在する西海岸リゾートエリアがあります。恩納村には先ほど取り上げた大学院大学もあります。
一極集中を避け、県庁所在地周辺だけの潤いを考えるのではなく、県全体をグランドデザインした政治的決断が必要なのではないでしょうか。
そこで質問です。
今回、検討委員会の有識者の意見をもって結論を出されましたが、知事の頭の中に全県を見渡しての均衡ある発展という考えはあるのでしょうか。大規模事業を鹿児島市で行うことで、一極集中の意味でも地方の可能性を摘み取ることにならないのでしょうか。知事は、鹿児島の均衡ある発展をどのように推し進めるか、お示しください。
以上をもって、二回目の質問を終わります。
[知事塩田康一君登壇]
12 ◯知事(塩田康一君)県庁所在地への一極集中を避けた均衡ある県土づくりについてでございます。
御指摘のように、鹿児島市における渋滞が大変な問題となっているということでありますので、そこについては、本港区エリアの開発においても考慮すべきところだと思います。
また、県土の均衡ある発展ということについては、県内の各地域が、それぞれ地域特性を生かして、活力ある地域として発展していくことが重要であると考えております。
県有施設の整備に当たっては、これまで、産業、文化、環境、観光など様々な分野の施設について、地域特性や施設の目的・機能を踏まえ、可能な限り、施設の配置バランスにも留意しながら、それぞれの検討過程を経て立地場所を決定してきたところであります。
例えば、安心・安全・新食料供給基地として、農業を基盤とした大隅地域の活性化を図るために整備した大隅加工技術研究センター、歴史ある霧島国際音楽祭をさらに定着・発展させるため、霧島国際芸術の森構想の中核的な施設として整備したみやまコンセール、人と自然が共生する地域づくりを目指す屋久島環境文化村構想の中核施設として整備した屋久島環境文化村センター及び屋久島環境文化研修センター、奄美群島の自然、文化、産業等の特性を十分生かした群島の観光振興につながる情報発信拠点として整備した奄美パークなど、それぞれの施設ごとに、設置目的や機能、さらには整備する地域の特性なども十分踏まえ、立地場所を決定してきたところであります。
今般のスポーツ・
コンベンションセンターについては、検討委員会において専門的・客観的な検討を行っていただき、スポーツ振興の拠点としての機能に加え、コンサート・イベントなど多目的利用による交流拠点機能を有する施設とのコンセプトを取りまとめていただいた上で、その機能を最大限に発揮させる立地について検討した結果、特に離島や大隅をはじめ、県土全域からの交通利便性などを踏まえると、本港区エリアに立地することが望ましいとされたところであります。
同地域に立地することにより、青少年をはじめ、県民にひとしくスポーツに親しみ、健康増進に取り組むという便益を提供することが可能となり、県土の均衡ある発展にも資するものであると考えております。
今後とも、地域特性や施設の目的・機能を踏まえ、それぞれの施設に応じた検討を行い、立地場所を決定することになるものと考えております。
県としては、地元自治体とも連携しながら、住民の皆様方と一体となって、地域のポテンシャルを最大限に生かしながら、各地域の振興に取り組んでまいりたいと考えております。
13 ◯土木部長(兒島優一君)鹿児島港の港湾計画についてであります。
鹿児島港におきましては、港湾物流拠点としての機能強化や国際交流の進展等に対応した交流拠点の形成、離島との玄関口にふさわしい、にぎわいのある空間形成、海洋性レクリエーション需要への対応などを基本方針として、平成五年に港湾計画を改訂し、これに基づき整備を進めております。
マリンポートかごしまにおきましては、県民や観光客が憩い、海と触れ合える緑地空間を整備するとともに、大型クルーズ船に対応した岸壁の整備など国際クルーズ拠点の形成に向けた取組を進めており、また、鴨池港区と中央港区間におきましては、人流・物流を支えるほか、雄大な桜島や錦江湾を望むことができる臨港道路鴨池中央港区線の整備を進めているところであります。
これらの取組により、国際都市にふさわしい交通インフラの充実・強化が図られ、アジア諸国と本県の間で観光客など人が活発に往来し、県産品などの物が盛んに行き交う、にぎわいや活気にあふれたアジアの中核都市の実現に寄与するものと考えております。
鹿児島港の港湾計画につきましては、平成五年の計画改訂以降に生じた社会経済情勢の変化に伴う課題に対して、本計画の基本方針の下、一部変更等を行うことにより、適宜見直しを行ってきたところでございます。
港湾計画の見直しにつきましては、様々な社会経済情勢の変化を踏まえ、物流や防災の観点、まちづくりや観光面で果たす役割の観点など、改訂の必要性も含め、今後、適切に判断してまいります。
14 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)高度外国人材の活用についてでございます。
出入国在留管理庁の在留外国人統計によると、本県における令和三年六月末時点の高度専門職の人数は四人であり、外国人労働者全体に占める割合は約〇・〇五%と、全国平均の約〇・九二%に比べて低い状況でございます。
また、経営・管理の人数は二十七人であり、外国人労働者全体に占める割合は約〇・三〇%と、全国平均の約一・五六%よりも低い状況となっております。
一方で、例えば、在留資格高度専門職の取得には、学歴、職歴、年収等の一定のポイントが必要でございますが、平成三十一年三月には、当該ポイント加算の対象に鹿児島大学も追加されるなど、本県においても、高度外国人材を受け入れる環境に改善が見られるところでございます。
高度外国人材を活用することは、日本人社員の不足を補うだけでなく、日本人にはない視点や発想による会社の経営、商品やサービスの開発に役立ち、事業所の多様化などにも貢献するものでございます。
県としては、このような高度外国人材を地域経済を支える貴重な人材として温かく迎え入れ、定着を促進するための環境整備に努めてまいりたいと考えております。
[米丸まき子君登壇]
15 ◯米丸まき子君 スーパーヨットが係留できる岸壁や桟橋の整備についてですが、もしこれが錦江湾に面する各市町に設置していただければ、スーパーヨットだけではなく、錦江湾の海上交通の往来が盛んになり、錦江湾周辺の活性化にもつながると思います。ぜひ御検討をお願いします。
伊藤知事、三反園知事、塩田知事と三代にわたり、体育館建設、
ドルフィンポート跡地の活用につきまして論争が迷走してきました。この原因の根本は、港湾計画の改訂なしに施設づくりが計画されてきたからではないでしょうか。体育館建設や
ドルフィンポート跡地の活用という、虫の目で見た点でしか議論がされず、港湾計画の後背地まで含めた改訂、鹿児島県の将来のあるべき姿を見る、鳥の目の視点が欠けていると感じます。全体をどうするかという根本的な話合いがされず、近道をしようとしてかえって遠回りになっているのが原因だと思います。ぜひ港湾計画の抜本的な改訂を要望いたします。
均衡ある県土づくりについてですが、今回、来場者年間四十万人、一日千人と試算されています。鹿児島市内へ経済的インパクト、先ほど述べたとおりですが、もしこれが地方都市になれば話は変わってきます。例えば、交通の便がよい霧島市に毎日千人の観光客が訪れるようになれば、町はお祭り騒ぎになるでしょう。町の産業構造は変わります。ちなみに、今回御紹介した沖縄アリーナがある沖縄市は、霧島市の人口と同じです。そういった意味でも、地方への投資も御考慮のうちに入れていただきたいと思います。
次の、世代変化と多様化への対応については、時間の関係上、要望とさせていただきます。
これから私たちが直面する社会課題あるいは厳しい鹿児島県財政は、二十世紀モデルで解決できるものではありません。また、世界的感染状況が終息するまで数年は難しい状況が続く見通しも出ています。
新型コロナウイルスの影響を受け、少なくとも全国で三道県、北海道、福岡県、沖縄県のコンベンションホールの計画が見直されています。ここで、再度、時間をかけることの重要さが問われているのではないでしょうか。
そこで、私は三つほど提案させていただきます。
一つ目が、
ドルフィンポート跡地を使ったオープンイノベーションの方法を取り入れることです。
二つ目が、ミレニアル世代、Z世代を再開発に巻き込み、彼らが何を求めているか、県も彼らから学ぶ機会を取り入れることを提案いたします。
次に、高付加価値な観光地づくりについてです。
政府は、二〇三〇年訪日外国人旅行者数六千万人、消費額十五兆円を目指しています。コロナ前二〇一九年でも、観光客は増大したものの消費額は四兆八千億円と伸び悩んでいました。また、着地消費額一人百万円以上の高付加価値旅行層の消費が大都市圏に集中し、地方で消費が少ないことも課題としています。
お手元にある資料ですが、政府は、令和四年度末までに全国十か所程度、高付加価値のインバウンドモデル観光地の候補を決定し、令和五年までにモデル観光地第一号を予定しています。国の示す方向を踏まえ、県においても、富裕旅行者の訪日促進に向けた高付加価値なインバウンド観光づくりに取り組むべきと考えます。
私は、
ドルフィンポート跡地の活用に重きを置いて質問させていただきました。私がなぜこんなにドルフィンポートにこだわるのかというと、私は、議員になる前、伊藤知事の時代に、特に何のスペシャリストでもない一般人でしたが、なぜかドルフィンポート敷地等における施設の在り方検討会の委員に選ばれました。しかしながら、委嘱されて、任期満了に伴う知事の交代のため、私はたった一回の自己紹介だけで委員としての任務は終わりました。
あれから六年。私は責任を果たせなかったことが悔しく、日々じくじたる思いで寝ても覚めてもドルフィンポートの跡地の活用について考えてきました。この六年間、私にとって目まぐるしい変化の日々でしたが、それ以上に世の中は急展開しています。
現在、コロナ禍に続き、予想もしなかった悲惨な戦争まで起こってしまいました。今、世界は出口の見えない迷宮の中にいます。今、必要なのは、人々を出口へと導く希望の光となるようなビジョンではないでしょうか。
塩田知事、私は最近、知事の政治姿勢が、どうやったらみんなの賛成が得られるかと、目の前の問題解決に向かっているような気がしてなりません。今、我が県に必要なのは、虫の目ではなく、県全体を見渡すような鳥の目です。県民の希望となるようなビジョンが必要なのではないでしょうか。
でも、もしかしたら、知事御自身もまだ明らかにしていない熱いビジョンを胸に秘めておられるのかもしれません。きっとそうですよね、知事。知事が本当に思い描くビジョンを実現する一大プロジェクトとして、そして県民が未来に希望を持ち、心を躍らせ、世界が大注目するような場として
ドルフィンポート跡地を活用しませんか。
また、知事だけでなく、今回は我々議員の意義が問われています。総合体育館計画が進まなかったのは、中二階とやゆされますが、良識ある県民が選んだ県議会議員、鹿児島県議会がこれまでその様々な矛盾点を許さなかった、また、二元代表制の意義が、そして存在価値が示されてきたのだと先輩方をとても誇りに思います。
私は、県議会議員の意味の深さを感じ、今回の決断に関して、改めて強い責任感を感じています。
最後に、今回私が強く感じたのは、我が鹿児島県は今、重要なターニングポイントに立たされているということです。県民誰もが世界に誇れる観光の街へと発展できるか、そして未来型の豊かな社会を創造できるかどうかの大きな分岐点です。どうかそのことを心に留めていただき、
ドルフィンポート跡地の活用と本港区
エリアまちづくり全体の構想を改めて考えていただければと思います。
先ほど、一つ要望のところで抜けていたのですが、今回、四月に県庁十八階にかごゆいテラスというコワーキングスペースができます。私は、そこの第一のプロジェクトとして、ドルフィンポートをどうやって活用するかというのを市民、行政、そしてミレニアル世代という若者を交えて、ドルフィンポートの在り方をみんなでもう一度ゼロから話す機会、そういったものを今のコロナ禍で、時が、経済が止まっているときだからこそできるチャンスだと思っています。以上、要望と代えます。
これで、私の一般質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。(拍手)
16 ◯議長(田之上耕三君)ここで、休憩いたします。
再開は、午前十一時十分といたします。
午前十一時二分休憩
───────────
午前十一時十分再開
17 ◯議長(田之上耕三君)再開いたします。
次は、小園しげよし君に発言を許可いたします。
[小園しげよし君登壇](拍手)
18 ◯小園しげよし君 皆さん、おはようございます。先ほどの米丸まき子議員に続きまして、質問させていただきたいと思います。
米丸議員の質問をお聞きしながら、私は古い町並みが好きで、北海道の小樽が大好きです。石原裕次郎さんも大好きです。あのドルフィンポートの周辺には古い石蔵倉庫がまだたくさん残っています。名山堀も残っています。ここにたくさんの外国人の方が最近よく訪ねられるという話も聞いております。また、五石橋も大好きであります。こういうものを鹿児島の人たちは簡単に壊してきたのではないかな、そんなことも思ったりしまして、私の指宿市にも古い石蔵倉庫がたくさん残っていたんですが、もうほとんどありません。
そういったものとドルフィンポートの計画と、今まで私はこの総合体育館の問題についてはあんまりいろいろと意見したことはありませんけれども、そういうダイナミックな視点も必要なのではないかなということを、先ほど米丸議員の質問の中から感じさせていただきました。議論することはとても大事なことですので、それぞれいろんなことを気持ちを通わせながら、鹿児島県の将来に向かって進んでいくことは大事なことだと思っております。米丸議員、ありがとうございました。
私は、今回、コロナ禍によりまして、地方に住んでおりいろいろと感じたことに対して質問させていただきたいと思います。
昨年、鹿児島市内の金融機関の方とお会いしました。今年の春頃にはコロナ禍の借入れ返済が始まりますよ。県内で千社くらいの企業が、農林水産業、観光関連産業、飲食業を中心に閉店、倒産するのではないかと話されて、驚きました。
観光関連産業について言えば、二〇一一年三月十一日の東日本大震災は、翌日、九州新幹線の開業日でもあり、悲願である九州新幹線の出鼻をくじかれた形となりました。その後、桜島の爆発、新燃岳の爆発、口永良部の爆発などにより、立て続けにキャンセルが発生し、県内観光業への影響は大きいものがあり、その後も、九州北部豪雨災害、熊本地震、また熊本の豪雨災害など多くの災害に見舞われ、その都度の相次ぐキャンセルにより、経営は悪化し、コロナ禍がさらに企業の業績回復を遅らせています。
コロナ禍の影響を大きく受けている業種及び規模はどれぐらいですか。
影響を受けた業界はどれぐらい売上げが下がっておりますか。
コロナ禍終息後の経済の立て直しは、立て続けに起きた観光業者には借入額が膨らんでおりますので救済するために信用保証協会の保証枠を広げたり、新たに観光枠としての保証枠を創設することはできないのか。
小学校休業等対応助成金については意外と知られておりません。小学校や保育所などでクラスターが発生することによって仕事を休んだ保護者へ、休んだ日数の賃金相当額を支給するという制度であります。さらに利用されるよう勤務先の企業や保護者への働きかけをよろしくお願いしたいと思いますが、現状はどのようになっておりますか。
臨時特別給付金について、住民税非課税世帯の分ですが、外国人労働者を雇っている社長さんから次のような手紙を頂きました。「外国人の実習生は、本国の扶養者を多く届け出て、扶養手当控除により税金を免れ、生活困窮者とみなされる人が多い。しかし、中には真面目に申告して納税する人もいます。前回の十万円のときは、一〇〇%の外国人の実習生がベトナムに送金していたそうであります。日本の経済にも全くプラスにはならないし、このようなことがまかり通ってはいけないのではないか」とのお手紙でした。国と協議する機会があれば、実態調査を要請し、改善してほしいと思いますが、いかがでしょうか。
二番目に、教育行政についてお伺いいたします。
私の自宅の前を通って毎朝、子供たちが小学校に登校していきます。昨年入学したと思われるこの女の子は、最初一人で通学しておりました。最近、近所のお姉ちゃんたちと思われる人たちと三人で通学するようになりました。昨年入学してから、この一年生の女の子に、おはよう、早く行きなさいね、さようなら、気をつけて帰りなさいねという言葉を幾度かかけてみましたけれども、返事がありません。きっと変な声かけおじさんと思われているのかもしれません。あんまりしつこいと、あんしんメールで配信されるといけないので、TPOに注意しながら挨拶しています。残念な世の中になってしまったなあと思っているところでもあります。
また、海外に行った人たちから、東南アジアの貧しい子供たちの目はきらきら輝いているのに、なぜ日本の子供たちの目はきらきら輝いていないのだろうという話をこれまでよく聞くことがありました。なぜ日本の子供たちは目がきらきら輝いていないのでしょうか。子供の居場所、それぞれの個性の長所を発揮できる場所が今の学校にあるのでしょうか。
平成二十八年五月、教育再生実行会議は、全ての子供たちの能力を伸ばし可能性を開花させる教育へ─第九次提言─を行っています。また、文部科学省も、全ての子供たちの可能性を引き出す個別最適な学びと協働的な学びをうたっています。
そのような方針に基づき、鹿児島県の教育は現在、それぞれの子供たちの可能性を引き出すために、どのような学びを推進しているのか、お伺いしたいと思います。
次に、私ども県議会は、藤崎議員や永田元議員を中心に、家庭教育支援条例をつくりました。それはまさしく、人間形成の全ての基本は家庭にあるんだということからであります。以前も話しましたが、秋田県は教育のレベルが非常に高く、以前、県議会文教商工観光労働委員会で視察に行った折、校長先生、なぜ秋田県はこんなに子供たちの教育のレベルが高いんですかという話をしましたら、校長先生から、三世代近居生活だからですよという言葉が当たり前のように返ってまいりました。
例えば、シングルマザーで子供を育てるお母さんたちを、保育園の保護者会やPTAで私も見てまいりましたが、保育園、幼稚園、学校の行事になかなか出てきてくれない、出てこられない、そういった孤立感がある、そのような方が多かったのではないかと思っております。
BSのテレビで東南アジアやヨーロッパの人々の生活の様子が報道されるのを見ておりますと、三世代近居生活に地域の人たちが様々な形で関わっている様子が伝わってきます。
全ての人間形成の始まりは家庭にあり、その子供を取り巻く三世代近居にあり、地域にあり、そしてその次に保育園や幼稚園、学校で関わりを持つ先生方にあると思っております。
鹿児島県は、どのような家族、どのような地域社会を目指そうとしているのでしょうか。
次に、学校の教職員の皆様方と話をすることがあります。病気をしている方が多いと聞きます。様々な悩みを持って、お寺に通ったり、精神科に通っている教職員の方も実は多いんですよという話を聞きます。なぜそうなったんでしょうか。
精神疾患による休職を発令された教職員数を学校種別に示していただきたいと思います。
また、その要因のうち主なものを示していただきたいと思います。
この時期になりますと、教職員の人事異動について、またいろいろな話を聞くことがあります。新年度に向かい、今、人事異動の作業が進められていることと思います。これまでもよく聞くことではありましたけれども、親の介護や子供の教育、先生方の病気の問題等々抱えていることがあります。基本は、一緒の家にお父さんとお母さんがいて、子供がいる家族構成がなされることが、子供にとっても親にとっても一番よい姿だと感じますが、両親併せて教職員という方もおられます。
教職員の健康状況や家庭状況も配慮された人事異動になっておられるのかどうか、教職員の人事異動の基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
19 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)コロナ禍の影響を大きく受けている業種とその影響の内容についてでございます。
中小企業が大宗を占める県内企業の昨年の倒産及び休廃業・解散状況について、民間の信用調査機関によると、倒産件数は前年比一・九%減の五十二件でございました。
一方、休廃業・解散した企業は前年比二五・四%増の五百七十二件で、二年連続で増加し、平成十二年の調査開始以降で過去最多となっておりまして、産業別では、飲食業や宿泊業を含むサービス業他が最多の百七十件で、全体の約三〇%を占めているところでございます。
増加の主な要因として、コロナ禍の長期化による先行き不透明に加え、後継者不足による事業継続断念などと分析しているところでございます。
次に、観光業者への金融支援等についてでございます。
新型コロナウイルス感染症の中小企業への影響が長期化している現状を踏まえ、県では、本年二月に、
新型コロナウイルス関連事業継続支援資金の取扱いを今年度末から来年度末までに延長し、融資限度額を四千万円から六千万円に引き上げるなどの拡充を図ったところでございます。
さらに、県信用保証協会においては、来年度に向けて、コロナ禍からの業績回復のために施設整備等に取り組む、宿泊、飲食、小売、交通等の観光関連事業者を対象とした新たな保証制度の創設を検討しております。
また、金融機関においては、借換えや返済猶予等の条件変更に柔軟に対応していただいているところでございます。
引き続き、保証協会や金融機関等との関係機関と連携しながら、観光関連事業者をはじめとする県内中小企業の資金調達の円滑化に努めてまいりたいと考えております。
小学校休業等対応助成金についてでございます。
小学校休業等対応助成金の利用につきましては、支給窓口である鹿児島労働局が、ホームページや広報誌で周知しているほか、特別相談窓口で相談に応じております。
県においては、ホームページに設けている
新型コロナウイルス感染症総合サイトに、制度の発足に伴い、事業者向け・県民向け支援情報として掲載するとともに、県のコールセンターコロナ相談かごしまで随時相談に応じております。
また、経済団体を通じて県内企業への周知を図っているほか、各家庭に情報を届けることが必要であるため、全ての市町村や小学校、特別支援学校、放課後児童クラブ、放課後等デイサービス、幼稚園、保育所、認定こども園等を通じて、県民への周知を図っているところでございます。
20 ◯くらし保健福祉部長(谷口浩一君)住民税非課税世帯等臨時特別給付金についてであります。
同給付金は、
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中で、様々な困難に直面した方々に対し、速やかに生活・暮らしの支援を行う観点から、住民税非課税世帯等に対して、一世帯当たり十万円を支給するものであります。
同給付金は、基準日に住民基本台帳に記録されていれば、外国人についても給付対象となることとされておりまして、支給に当たっては、所在市町村において、公平かつ適正に審査が行われているところであります。
なお、住民税非課税の取扱いについては、国の税制上の問題であることを御理解いただきたいと思います。
21 ◯教育長(東條広光君)教育行政につきまして、まず、子供たちの可能性を引き出す教育についてであります。
子供たちの可能性を引き出すためには、子供の成長やつまずきなどを理解し、個々の興味・関心等を踏まえたきめ細やかな指導・支援を行うことや、一人一人のよい点や可能性を生かし、異なる考え方が組み合わさるような学びを生み出していくことが重要であります。
このため、県教委では、各学校において、個別最適な学びと協働的な学びを一体的に充実し、主体的・対話的で深い学びの実現に向けた授業改善を行うよう指導・助言してきております。
具体的には、学習の進度等に応じまして、指導方法や教材等の柔軟な提供・設定を行うなどの指導の個別化、子供の興味・関心等に応じ、一人一人に応じた学習課題等に取り組む機会を提供するなどの学習の個性化、子供同士で、あるいは多様な他者と協働しながら学ぶ探究的な学習や体験活動等の充実等を図るよう指導・助言しております。また、これらの学びの充実には、ICTの活用も効果的でありますことから、学習履歴─スタディ・ログ─に基づく個別最適な学びや、オンラインによる他の学校の子供等との学び合いなどについても、研究を行ってまいりたいと考えております。
次に、子供を守り育てる環境づくりについてであります。
家庭は教育の原点であり、親子の愛情による絆で結ばれた家族との触れ合いを通じまして、子供が基本的生活習慣や生活能力、人に対する信頼感、豊かな情操、思いやりや善悪の判断などの基本的倫理観、自立心や自制心、社会的なマナーなどを身につける上で重要な役割を担っております。
しかし、核家族化の進行などにより、親が祖父母から子育てを学ぶ機会や祖父母が子育てに関わる機会は減少してきており、家庭教育を地域社会全体で支えていく取組の必要性が高まってきていると考えております。
こうした中、本県では、現在も人の子も、我が子も、地域の子という気風が受け継がれ、高齢者クラブや各種団体による挨拶運動や登下校の見守り活動をはじめ、校区ごとに開催される運動会や文化祭など、家庭と地域をつなぐ活動が行われております。
こうした活動を支援するため、県教委では、家庭教育に関する幅広い知識を持ち、保護者にカウンセリングを行う家庭教育支援員を養成しますとともに、県子ども会育成連絡協議会や県PTA連合会などと連携しまして、子供から高齢者までの幅広い世代が交流しながら、子供たちの健やかな成長と子育てについて学ぶ活動等を実施しております。
また、地域の方々と子供たちのつながりが深まるよう、毎年十一月の、地域が育むかごしまの教育県民週間では、地域の方々に子供たちが学ぶ姿を見ていただいたり、触れ合ったりする機会を設けているところであります。
引き続き、地域社会全体で家庭教育を支援していく環境づくりに努めてまいりたいと考えております。
次に、精神疾患による教職員の休職の状況についてであります。
精神疾患で休職している教職員は、今年二月時点で、小学校三十三人、中学校三十二人、高等学校十四人、特別支援学校八人の計八十七人で、本県教職員全体に占める割合は〇・五%となっております。
その主な要因としましては、学習指導や生徒指導上の悩み、対人関係の不安、家庭的な事情などが挙げられます。
次に、教職員の人事異動についてであります。
離島・僻地教育の充実・振興は、本県教育の重点課題の一つであり、そのため、教職員の人事異動においては、本県の教育を全ての教職員が公平に分担し、全県的な人事交流が公正・円滑に行われるよう、人事異動の標準を策定し、その標準に則して行っております。
また、具体的な人事異動に当たりましては、教職員から提出されます調査書や管理職による面談により、健康状況や家庭状況等について把握し、これらを考慮の上、総合的に判断しているところであります。
22 ◯小園しげよし君 先ほど商工労働水産部長から御答弁頂きましたけれども、悦田部長のほうは現状はよくお分かりだと思いますが、先ほど質問の中でもしましたけれども、これまで災害が十年間ずっと続いてきて、実質、観光業の人たちは関連業者も含めて、私のざっくりとした感じでは六年ぐらいしか、しっかりした営業はできていなかったのではないかなと思うんです。
新燃岳の爆発のときに霧島のホテルにお伺いしたことがあるんですが、一日三百人キャンセルが来るんですよ。三か月先まで、もう本当にお客さんがいなくなっているんですよ、そういう話を聞いていまして、そういう状態が十年間ずっと続いているわけですよ。
それで、先ほど、融資限度額を四千万円から六千万円に広げたとか、条件変更はその都度、相談に応じているということなんですが、そんなことでは鹿児島県の観光業の皆さん方は太刀打ちできないのではないかなと、私は肌感覚として思っております。
ですから、思い切って借入れの借入れの借入れを、もっと借入れがあるかもしれません。条件変更もずっとやってきました。そういう中で業界の皆さん方も非常に不安を感じておられるので、思い切ってここで何かやらないと、ばたばたばたばた倒産していくのではないかな、観光立県かごしまもなくなってしまうんじゃないかなという懸念を持っています。もう少し、いい方策を示していただければと思います。
それから、先ほど教育長からいろいろ答弁ございました。学習の個別化、探究・体験ということを言われました。どれぐらい取り組んでおられるんでしょうか。また、それを体系的にしっかりと、ずうっとやっておられるものなんでしょうか。そこら辺についてお伺いいたします。
23 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)先ほど、金融支援策の面から答弁させていただきました。
恐らく各事業者の方々の状況に応じて、金融支援策がどこまで効いてくるのかというところがございます。例えば、借入れがもう既にマックスにいっている方、もしくは与信枠がない方等々あるとは思いますが、恐らく金融支援のところでは、既にといいますか、金融支援だけでは事業の回復もしくは成長性を描くことが難しい状況かもしれません。ここは私の所掌外にはなってしまいますが、そういうことを踏まえて考えると、観光産業政策全体として今後どうしていくのかというところに重点が移っていくのかなとは思います。そこにつきましては、私の立場からは今お答えはできませんが、金融支援というところでは精いっぱいのことをさせていただいているのかなと考えております。
24 ◯教育長(東條広光君)学校教育についての重ねてのお尋ねでございますけれども、どれくらいの割合でということですが、これは基本的な考え方の問題であり、数値的にお示しできるものはございません。それぞれの教室におきまして、教材の選び方ですとか、一人一人の興味・関心に応じて指導を行うという、そうした授業改善というような形で、これは全ての学校、教室で取り組んでいることでございます。
25 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)観光関連産業の振興に関してということで、議員から御質問頂いております。
これまで、議員からお話のありましたとおり、過去に様々な災害がありまして、その都度、災害の内容により地域差というのも出てくるのでしょうが、当然、災害の後、当分の間、観光客が減少するというような状況を繰り返しながら、これまで観光関連産業については頑張ってこられたということです。直近で言えば、いわゆる明治維新百五十周年、それから大河ドラマ「西郷どん」の放映につきましては非常にいい時期もあったわけですが、その後、今回のコロナで約二年ほど非常に厳しい状況が続いているという状況でございます。
私ども県としましては、まずは、このコロナ禍を乗り切るために、いわゆる需要喚起策につきましては切れ目のない形でしっかりと需要喚起できるよう取り組んでまいりたいと思いますし、また、コロナ後を見据えた上で、いわゆる稼げる観光産業ということで取り組んでまいりたいと考えております。
[小園しげよし君登壇]
26 ◯小園しげよし君 今回のコロナ禍は未曾有の大災害だと私は思っております。皆さん方から、もう崖っぷちだよといったような、本当に悲痛な声も聞いておりますので、ぜひ手厚い復興策をお願い申し上げます。悦田部長までお答えいただきありがとうございました。
貸し渋り等の声も聞かんでもないので、ぜひまたそういう声が出ないようによろしくお願い申し上げたいと思います。
子供たちの個性や能力を伸ばしていくということで、学校が楽しくなって、そして子供たちの目がきらきら輝いていく。そのためには、教職員の皆さん方がやっぱり健康でなきゃいけない。そして教職員の皆さん方が一生懸命、子供たちといろんな気持ちを通わせることが大事なのではないかな。家庭でいろんな悩みを持ちながら学校に来られるわけですから、ぜひそういったような学校教育をますます推進していただきますようお願い申し上げたいと思います。
次に、生活弱者の支援につきまして、Aさんは八十三歳です。車で奥様を迎えに行く途中で二回ほど自損事故を起こしました。Bさんも八十三歳で、朝、脳梗塞を突然発症しまして、救急車で搬送され、現在、免許を返納されました。
先日、指宿市内の独居老人宅を訪ねたことがあります。畳の上にこたつが置いてあるだけで、ほかに暖房器具が見当たらず、あとはテレビがあるだけの独り暮らしの生活でした。買物とか病院に行ったりするときにどのようにしているのか、とても気になるところでもありました。
県内には国民年金をもらい生活している独居老人がほとんどと言われておりますけれども、調べてみましたらびっくりしまして、月七万八千円ぐらいもらうのかなと思っておりましたら、現在は月六万五千七十五円だそうであります。この年金から税金が引かれ、電気、ガス、水道とか電話代などが差し引かれながらの生活をしておられる方が多いという実態がありますが、これで生活ができるのかと思うことがよくあります。生活が困窮し、車がなければ病院にも買物にも行けない。国民年金だけでは介護保険サービスにも制約があります。このような大変不安な独居生活を続けておられる方が多数おります。
県は、そのようなお年寄りの生活実態をどのように把握し、支援していこうと思っておられるのか、お伺いいたします。
次に、最近のコロナ禍により、独り親家庭の生活が苦しくなっている実態を目の当たりにしています。特に私どもの町では、母子家庭のお母さんがホテルやサービス産業で働いておられます。コロナ禍により影響を受け、どう生活していけばよいのかといったような声も聞いております。このような独り親家庭の実数と支援策について、県はどのように考えているのか、お答えください。
次に、以前、吉留議員から、また昨日はふくし山議員からも質問がありました、ヤングケアラーの実態についてでございますが、多くの若者たちがアルバイトをしながら家計や家族を支えている実態等も私もよく見ております。生活が毎年厳しくなっているなという実感、ヤングケアラーという言葉にも驚きましたけれども、まだ県としては、その実数、実態についてしっかりとした把握がなされておらず、来年度、調査を実施するとのことですが、国が昨年度実施した調査ではどのような結果が出たんでしょうか。
また、県が来年度実施予定のヤングケアラー実態調査等事業の内容はどのようなものか。今後、県としてどのような支援が考えられるのか、ヤングケアラー支援ガイドラインの作成の予定も含め、お答えいただきたいと思います。
次に、
新型コロナウイルス感染症が確認されてから約二年半がたとうとしています。このコロナ禍で気づいたことがあります。
なぜ、日本はワクチンの開発ができないんだろう。大学の試験研究費はどうなっているんだろう。アメリカや中国の経済は約三十年前と比べて約二十五倍成長しているんだそうであります。日本の経済や大卒の初任給は三十年前とほぼ変わらないそうです。
様々な数字から経済力低下の理由が分かってまいります。日本人の一人当たりの労働時間は、一九九〇年は二千時間あったものが、二〇二〇年には千六百時間であります。アメリカは、一九九〇年は千八百時間、二〇二〇年でも千七百五十時間。中国は数字が出ておりませんけれども、いろいろな話を総合しますと、夜九時、十時頃まで働くそうでありまして、三千時間ぐらい働いているのではないかなということであります。
二〇一九年の国民生活基礎調査の概況では、一世帯平均所得が約二十五年の間に、一九九四年は六百六十四万二千円だったものが、二〇一八年には五百五十二万三千円と緩やかに減少しております。また、日本人の六人から七人に一人が貧困状態であり、五四・四%の世帯が「生活が苦しい」と訴えています。
では、どういった人が貧しい人になりやすいのでしょうか。日本では特定の人が貧困に苦しむ傾向があり、高齢者、母子家庭の人、非正規労働者が特にそれに当たると言われています。また、前述の国民生活基礎調査の概況では、「貯蓄がない」と答えたのは一三・四%、相対的貧困の数字を見ると、二〇一八年の日本における子供の貧困率は一三・五%、これはOECD諸国の中でも最悪の水準だったと言われています。これからも日本全体、特に中間層が貧しくなっている中で、ますますこのような割合は増えていくと思われます。
多くは、国の働き方改革など政策に左右されたものも多いと感じますが、稼ぐ鹿児島づくりを目指す本県にとって、貧しくなった要因を分析し、この機会に、日本の先進として鹿児島県が未来を切り開くための道筋を示すべきだと思っております。
なぜ貧しくなったのか。これから鹿児島県として、このようなことを踏まえ、どう取り組んでいくのか、お答えいただきたいと思います。
次に、JR西日本の長谷川一明社長が朝日新聞のインタビューに応じ、「経営悪化で維持が難しくなっているローカル線について、輸送密度が二千人以下の区間は非効率的で路線見直しをすべきである」との目安を初めて示されました。
一日当たりの平均通過人員では、一九八〇年と二〇二〇年とで対比しますと、都城から国分間で二千二十九人だったものが七百二十八人になりました。吉松から隼人間で千百九人だったものが四百八十人になりました。鹿児島中央から喜入までが八千二百五十三人だったものが六千六百三十一人となりました。指宿から枕崎間で九百四十二人だったものが二百五十五人と大幅に減少しております。県内のJR地方路線が大変厳しい状況になっていることがうかがえます。
また、地方バス路線につきましても、ピーク時の昭和四十三年、乗合バス・高速乗合バスの輸送人員推移で見ると、平成二十五年には約四〇%まで減少し、日頃走っている路線バスを見てみましても、田舎に行けば行くほど、その乗車人員は少ないものと思っております。
JR地方ローカル線や地方バス路線は地域住民の命の足であります。その存続に向け、県は、ますます厳しくなっているこのような交通機関をどのような経営状況であると把握し、どのような支援ができるのか、お答えいただきたいと思います。
[知事塩田康一君登壇]
27 ◯知事(塩田康一君)日本が貧しくなった要因と今後の県の取組についてでございます。
我が国の経済を振り返りますと、バブル経済崩壊以降、アジア通貨危機、ITバブルの崩壊、リーマンショックに伴うグローバル金融危機、東日本大震災等の災害など、度重なる経済危機等による落ち込みもあり、また、この間、金融機関の不良債権問題や成長率の低迷、デフレの問題等があって、長きにわたる停滞が続いたところであります。
あわせて、内需が伸び悩む中で国際競争力が低下し、人口減少や少子高齢化の進行による生産年齢人口の減少、また、デジタル革命、IT革命の中で、IT投資が欧米に比較して低水準にとどまる状況にあったと考えております。
このような中で、企業における設備投資や賃金引上げへの意欲が低下し、非正規雇用の増大につながるなど、経済活動が過剰に保守的になったという指摘もございます。
こうした中、私としては、今後の県勢発展の基盤をしっかりつくっていくためには、鹿児島の「稼ぐ力」の向上を図っていくことが重要であると考えております。
本県の基幹産業である農林水産業と観光関連産業のさらなる振興を図りつつ、高い技術力を有する製造業の競争力の強化や将来を担う新たな産業の創出に取り組み、鹿児島の「稼ぐ力」の向上を図ってまいりたいと考えております。
今後、先ほど御指摘のあった人口減少や働き方改革に対応した、生産性向上を図るためのあらゆる分野でのデジタル化を進め、県民の暮らしの質の向上や新産業の創出に取り組むことにより、心豊かな暮らしと持続可能な環境・社会・経済を実現し、地方発の新たな暮らしとイノベーションを生み出すことを目指してまいりたいと考えております。
今後とも、「稼ぐ力」の向上を図り、経済を発展させることで、地域の格差是正を図り、県民所得の向上を図って、県民の皆様の暮らしと雇用を守りたいと考えております。
また、結婚・出産・子育てしやすい環境の整備や高齢者が健やかで生きがいを持てる社会の形成などに取り組み、これらを基盤として、高齢者や女性、障害者、子供など、誰もが安心して暮らし、活躍できる鹿児島を目指してまいります。
28 ◯子育て・高齢者支援総括監(吉見昭文君)まず、独り暮らしの高齢者への支援についてでございます。
令和二年の国勢調査によりますと、本県の高齢単身世帯割合は一六・四%で全国二位となっております。
今後も、高齢単身世帯の増加が見込まれますことから、地域全体で高齢者を支える仕組みである地域包括ケアシステムのさらなる強化・推進が重要であると認識しております。
独り暮らしの高齢者の生活実態につきましては、地域における民生委員等の活動のほか、地域包括支援センターなどへの相談、在宅介護支援センターによる訪問等により把握に努めているところでございまして、高齢者の身体状況や生活状況に応じ、介護・福祉サービス、生活支援サービスなど、必要な支援につなげております。
県といたしましては、独り暮らしの高齢者が地域とつながりを持ちながら必要な支援を受けられるよう、市町村の地域支援事業や、県の元気度アップ地域活性化事業、いわゆるポイント事業などにより、身近なところで集まり、趣味活動や体操等を行う通いの場の開催や、自治会やボランティア、社会福祉法人等による見守り活動、買物移動支援、家事支援といった地域の互助活動などに対する支援を実施し、地域における高齢者を支える取組を促進しているところでございます。
さらに、今年度から、住民参加型福祉サービス支援事業により、地域の互助活動の立ち上げも支援しております。
引き続き、市町村や関係団体と連携して、高齢者が住み慣れた地域で健やかで安心して暮らしていけるよう取り組んでまいりたいと考えております。
次に、独り親家庭の数及び支援策についてでございます。
本県の独り親世帯数は、令和二年国勢調査によりますと、母子世帯が一万二千七百四十九世帯、父子世帯が千四百七十三世帯、合計で一万四千二百二十二世帯で、これに祖父、祖母などその他の世帯員が同居している世帯も合わせますと、一万八千七百五十世帯で、全世帯の約二・六%となっております。
県では、独り親家庭の生活の安定と自立を促進するため、これまで、就業・自立に向けた総合的な支援に取り組んできたところでございます。
具体的には、児童扶養手当の支給、母子父子寡婦福祉資金の貸付け、独り親家庭の医療費助成などの経済的支援、就職に有利な資格を取得するため養成機関に通学する場合に、その間の生活費の一部を支給するなどの就業支援のほか、修学や疾病等の事由により一時的に生活援助や保育サービスが必要な場合に家庭生活支援員を派遣する生活支援を実施しております。
あわせまして、
新型コロナウイルス感染症の影響で生活にお困りの独り親家庭に対しましては、生活福祉資金の特例貸付けや住居確保給付金などによる支援を行いますとともに、地域振興局・支庁に配置しました母子・父子自立支援員や、鹿児島県母子寡婦福祉連合会に委託し運営しております、ひとり親家庭等就業・自立支援センターが相談に対応しております。
今後とも、市町村や関係機関と連携を図りながら、独り親家庭の置かれた状況に応じた、きめ細やかな支援を実施してまいりたいと考えております。
次に、ヤングケアラーに関するお尋ねのうち、まず、ヤングケアラーの実態調査についてでございます。
国は、ヤングケアラーの実態をより正確に把握するため、昨年度、全国の中学二年生、高校二年生を対象とした実態調査を実施いたしました。
この調査におきましては、世話をしている家族が「いる」と回答した中学二年生は五・七%、同じく全日制の高校二年生は四・一%との結果が示されたところです。
世話をしている家族が「いる」と回答した中学二年生及び高校二年生に係る世話の頻度は、いずれも「ほぼ毎日」が最も多く、三割から六割程度となったところでございます。
また、平日一日当たりの世話に費やす時間につきましては、「三時間未満」が最も多かったんですが、「七時間以上」も一割程度いることが報告されております。
なお、国は、今年度新たに、小学生及び大学生を対象にした調査を実施しているところでございまして、現在、取りまとめ中と聞いております。
次に、ヤングケアラー実態調査等事業の内容及び支援についてでございます。
県では、国の実態調査結果等を踏まえ、令和四年度当初予算案におきまして、ヤングケアラーの実態調査や、関係機関職員への研修を実施するための経費を計上し、ヤングケアラーへの支援体制の強化を図ることとしております。
実態調査につきましては、小学六年生、中学生、高校生合わせて約一万人を対象に、ケアの状況や影響、困り事、支援ニーズなどを調査することといたしております。調査方法等の詳細につきましては、今後、市町村や学校等の意見も聞きながら、より実態の把握につながるよう検討してまいりたいと考えております。
また、研修につきましては、ヤングケアラーの早期発見・支援等につなげるため、関係機関職員を対象に、専門家による基調講演や支援の取組等に関するシンポジウム等を予定しております。
ヤングケアラーの支援につきましては、国が今後、市町村、教育委員会、ケアマネジャー、相談支援専門員、医療ソーシャルワーカーなど、多機関連携によるヤングケアラー
支援マニュアルを作成することとしており、当面は、このマニュアルをガイドラインとして活用することになるのではないかと考えております。
県といたしましては、まずは来年度、ヤングケアラーの実態調査を行い、その上で、実態調査の結果や今後示されます国の
支援マニュアル等を踏まえ、国のプロジェクトチームが支援策として示した、悩み相談、ヤングケアラーの支援体制の充実、教育現場への支援、適切な福祉サービスにつなぐ機能の強化などについて、市町村との役割分担も踏まえながら検討する必要があると考えております。
29 ◯地域政策総括監(房村正博君)JR地方路線等の存続についてでございます。
人口減少や少子高齢化、マイカーの普及、さらには
新型コロナウイルス感染症の影響により、県内の交通事業者は大変厳しい経営環境が続いております。
例えば、JR九州によりますと、令和二年度の平均通過人員が二千人未満の十九区間のうち、本県関係は、指宿─枕崎間など六区間に上っており、前年度と比べ、その多くで赤字が拡大したところでございます。
また、令和三年九月末現在、県内のバス路線千七十六系統のうち約九〇%が赤字となっており、前年度から約四ポイント悪化しております。
こうした状況を踏まえ、県においては、JR在来線等について、沿線自治体などと連携した利用促進に取り組んでおり、来年度は、列車を利用するきっかけづくりとなるイベント開催等を行うこととしております。
また、主に生活交通で利用される路線バスについては、その維持・確保を図るため、県では、国と協調して、広域的・幹線的な路線に係る運行経費等を補助しているほか、市町村の地域公共交通会議等に参画し、車両の小型化やデマンド交通の導入など、地域の実情に合った運行形態の検討について助言等を行っているところでございます。
さらに、公共交通機関の利用促進等を図るため、来年度、MaaSの実証実験に取り組みたいと考えております。
県といたしましては、引き続き、交通事業者、市町村などと連携し、地域公共交通の維持・確保に努めてまいりたいと考えております。
30 ◯小園しげよし君 実は三番目と四番目に生活弱者の支援とJR地方ローカル線・地方バス路線の存続を入れたというのはですね、生活弱者というのはやっぱり生活の足がなければ命に即関わりがあるんですね。車があるときはどこでも行けるんですが、夜、要するに何か病気で状態が悪くなったときに、どこにも行けないといったような実態がございまして、私の指宿市にとても熱心な館長さんがいらっしゃって、いっでんかっでん一生懸命という館長さんなんですが、何かあったときは夜でも走っていって、そのお年寄りの方を病院に連れていったりとかいろんなことをしておられます。立派な人だなと思ってですね、みんながそうしていただければそれはそれでいいのかもしれんけど、現実はなかなかです。
ですから、交通機関の関係は、できるだけやっぱりJRがあって、バス路線があって、そして市町村が運営している福祉バスとかデマンド交通とか乗合タクシーとかいろいろありますけれども、そういうものとしっかりと連動していけば随分助かっていくのかなと思います。
病院も、やっぱり専門的な技術のある先生というのは鹿児島市内におりますので、鹿児島市内で手術を受けられる方、それから通院される方、そういう方が多いので、ぜひそこのところの実態をよく御理解いただいて、市町村ともよく連携していただいて、国に鹿児島県の交通はこういうふうにあるべきだという姿をぜひつくっていただければと思っております。
先ほど吉見総括監のほうが、互助活動の立ち上げということを言われました。これは県内にどれぐらいあって、どういう地区でどういうふうに実施されているのかということが分かりましたら、お知らせいただければと思います。
31 ◯地域政策総括監(房村正博君)地域公共交通の維持・確保については、やはり地域の足として、あるいは観光面でも非常に重要な基盤であると考えているところでございます。
地域によっては、先ほども申し上げましたけど、デマンド交通を導入したり、あるいはデマンドタクシーというようなものも導入して、工夫を凝らしながら維持に努めているところでございます。
県におきましては、来年度、公共交通の計画を策定するということに向けて進めてまいりたいと思っておりますので、また、その中でも様々検討させていただきたいと思っております。
32 ◯子育て・高齢者支援総括監(吉見昭文君)地域における生活支援の実態といいますか、数ですけれども、これは網羅的に調査したものがございませんので、ちょっと断片的でございますけれども、私どもが市町村に聞き取りました数字を申し上げますと、例えば、買物代行でありますと三十一市町村で百七十六か所、それから見守り等でいきますと三十一市町村で九百七十九か所、それから今お話の出ました福祉タクシーですと二十九市町村で八十一か所、それから付添い、例えば病院の受診の付添いですけれども、二十市町村で百三十八か所といったような形になっております。
[小園しげよし君登壇]
33 ◯小園しげよし君 この前、実は友人と話をしておりましたら、天文館公園のベンチに座っちょったら、隣の人たちが、仕事はするもんじゃなかど。生活保護をもらえば遊んで暮らしがでくっどと言っていたそうでして、こんな考え方の人たちが増えれば困るんですけれども、こういう考え方には問題もあるなと思っております。
やっぱり働く人たちが一生懸命頑張って維持できる生活保護や国民年金や国民皆保険制度だと思っておりますし、私の地域の高校の校歌に、勤労をめでるという歌詞があります。働かないと豊かになれないし、社会的な弱者を支えることはできないんだという意識をコロナ禍の中で再認識、再確認すべきだと思っております。よろしくお願い申し上げたいと思います。
最近、独居老人や独り親家庭の生活がまた総体的に貧しくなっていると感じています。公営住宅も新たな貧困層に向けて工夫しなければならないのではないかと思っています。
私の指宿市にふれあい団地というのがあります。ここにはシングルマザーの方もいれば独居老人の方も一緒に住んでおられまして、この中でいろんな会話もあるし、孤独じゃないんですね。いろんなことが地域の中でできております。集会施設もあります。こういったところを造って、そういう問題を抱えている人たちが移り住んでいくと。空き家に住むんじゃなくて、そういう政策も必要なのではないかと思っておりますので、これは土木部の所管かもしれませんが、よろしくお願い申し上げたいと思います。
JR地方ローカル線や地方バス路線が廃止されまして、加えて免許返納等により、なお一層の交通弱者への配慮が必要であると思います。それぞれの交通機関の連携と利便性を引き上げていただきたいと思っております。
次に、国道二百二十六号の四車線化について、私の同僚の議員からも幾度となく質問させていただいております。
これまでいろいろな質問があったわけですが、実は本当に国道二百二十六号は交通事故の多い路線でして、昨年一月十八日、車両事故のため指宿市二月田付近で進入禁止。四月二十六日、指宿小学校から大園原の間で事故のため通行止め。十月十六日、指宿市小牧の国道二百二十六号で家族五人が乗る乗用車がガードパイプに衝突する事故が発生、父親と二十八歳の娘さんがお亡くなりになっております。
二〇二〇年一月二十二日、指宿市道の駅付近で衝突事故のため通行止め。三月三十日も平川付近で車両事故のため通行止め。五月十五日も指宿市役所入口交差点から秋元交差点の間が通行止め。五月二十八日、指宿市田口田から指宿市役所まで通行止め。九月六日には、平川交差点から指宿市岩本までの区間が台風による越波のため午後五時から通行止め。十月二十三日には、喜入町前之浜の国道二百二十六号で中型トラックと反対から走ってきた乗用車が衝突、乗用車は別の乗用車に衝突して合わせて三台が絡む事故で国道が二時間通行止め。このような状況がずっと続いておりまして、恐らくこういう道路というのはもうなかなかないんじゃないかなと思っております。
このように、指宿市と鹿児島市を結ぶ唯一の幹線道路でありまして、悲願の四車線化事業であります。寺田会長の下、議連も立ち上げておりまして、今後の国道二百二十六号の整備についての検討状況をお伺いしたいと思います。
指宿有料道路の二期区間の整備状況でございます。
この道路につきましても、これまでいろいろな要望、要請をさせていただきましたが、山田インターチェンジが本年四月一日には開通する運びとなります。ますますこの道路の重要性が高まっています。頴娃から谷山間につきましては、道路の狭隘やのり面の崩壊、地形が険しい山間部にある関係で、走行性や見通しが悪く、急カーブ区間の解消が必要であることから、急カーブ区間の改良や老朽化したのり面対策を有料道路事業として実施しているところであります。
この頴娃から谷山間の現在の進捗状況をお答えいただきたいと思います。
またあわせて、急カーブや急勾配、のり面の対策等はどのように進めていかれるのか、お答えいただきたいと思います。
34 ◯土木部長(兒島優一君)国道二百二十六号の平川から指宿間の整備についてであります。
国道二百二十六号の鹿児島市平川から指宿までの区間につきましては、二車線で改良済みであるものの、災害による通行止めのほか、交通事故発生時や週末には渋滞が発生するなど、定時性の確保に課題があると認識しております。
このことから、昨年七月には、国、県、鹿児島市、指宿市で構成する国道二百二十六号の道路検討会が開催され、平川から指宿の間を十二区間に分け、防災面や走行安全性の課題について検討したところ、鹿児島市喜入瀬々串町から同市喜入中名町の間の線形不良区間に課題が集中し、優先的に対策を行うことが必要であるとされ、具体的な対策の検討を進めていくことを確認したところでございます。
国道二百二十六号は、南薩地域の観光の振興、地域の活性化を図る上で重要な道路でありますことから、引き続き、早期の整備について、国に要請してまいりたいと思います。
指宿有料道路二期区間の整備状況等についてでございます。
指宿有料道路の二期区間である頴娃インターから谷山インター間につきましては、有料道路事業により、老朽化したのり面対策や線形改良を実施しているところでございます。
のり面対策につきましては、これまでに、要対策箇所二十九か所のうち十八か所を完了しており、来年度、残る十一か所の対策を完了する予定でございます。
また、線形改良につきましては、これまでに、十区間の道路詳細設計を終え、現在、七橋の橋梁予備設計や地質調査、用地調査、環境調査など必要な調査を進めているところであり、来年度には用地買収を行い、早期に工事に着手したいと考えております。
本道路は、本県の観光振興に寄与する道路でありますことから、引き続き、本道路を管理運営する道路公社と連携し、早期整備に努めてまいります。
[小園しげよし君登壇]
35 ◯小園しげよし君 越波をして国道が通行止めになる道路というのは、県内では国道二百二十六号しかないのではないかなと思うんですが、ぜひ引き続き取組を早めていただきたいなと思っておりますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
さて、二月十一日は建国記念の日でした。日本は皇紀二六八二年、世界で一番古い国になりました。紀元前六六〇年、日本書紀の記述によりますと、初代天皇であります神武天皇が即位したと言われています。神武天皇は、日本国を建国したとされる伝承上の人物ではありますが、日本における紀年法の元年は、二千六百八十二年前になるということであります。
そんな最も古い国である一方で、他国を見ますと、近年、世界でなくなった国にはチベット、ソ連、カメルーン、パレスチナなど、新しい国には南スーダンやニウエという国があるそうであります。
二月二十四日昼過ぎ、ロシアのウクライナ侵攻が全ての報道機関から発信されました。乳飲み子を乳母車に乗せて毛布をかぶせて避難する住民の姿を見ておりますと、こんな時代によくもまあこんな野蛮な侵略をするもんだなと、皆様方も驚いたことであったと思います。
テレビのインタビューで、避難する御婦人はこう言われておりました。ウクライナは独立国なんです。ロシアではないんですと憤りを隠せない様子でありました。
小野寺元防衛大臣が、力による現状変更がウクライナで行われている。米国はかなり早くからロシアの侵攻を予期してきたにもかかわらず、何もできずにきた。もし東京でこのようなことが起きても誰も助けに来ないだろう。自分たちで国を守るということはどういうことなのか考えるべきだと話しておられました。
戦争のない、食べ物に不自由しない、自由で民主的で、頑張った人の努力が報われ、困ったときには助け合う日本人であってほしいと思っております。地方と都市部の格差や所得の格差が過度に広がらない、平和な社会がずっと続く国にしてほしいと思っております。
これで終わります。ありがとうございました。(拍手)
36 ◯議長(田之上耕三君)ここで、休憩いたします。
再開は、午後一時二十五分といたします。
午後零時 十分休憩
────────────
午後一時二十五分再開
37 ◯議長(田之上耕三君)再開いたします。
寿はじめ君に発言を許可いたします。
[寿 はじめ君登壇](拍手)
38 ◯寿 はじめ君 こんにちは。大島郡区選出の寿でございます。
早速でございますが、通告に従いまして、順次質問してまいります。
県住生活基本計画関連です。
初めに、住宅は人々の生活を支える基盤であり、社会の礎である。これまで政府においては、住宅政策の指針となる住生活基本計画の策定を通じ、住宅セーフティーネットの整備や健全な住宅市場の整備等、国民一人一人が真に豊かさを実感できる住生活の実現に向けた施策を総合的かつ計画的に推進してきたところであります。
急速な技術革新やDX、働き方改革が進展する中、我が国もカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を宣言し、対策が急務となるなど、我が国の社会経済は大きな変革の時期を迎えております。
コロナ禍を契機とした生活様式や働き方の変化は、勤務場所に縛られないライフスタイルや二地域居住、地方移住、ワーケーションといった、暮らし方や生き方そのものについて新たな価値観をもたらし、豊かな人生を実現するために重要な機会を提供するものであります。
こうした社会環境の大きな変化や人々の価値観の多様化に対応した豊かな住生活を実現するためには、既存住宅中心の施策体系へ転換を進め、ライフスタイルに合わせて人生何度でも住み替えが可能となるよう住宅循環システムの構築を進めるとともに、住宅政策と福祉政策の一体的対応によるセーフティーネット機能の強化や、地域で多様な世代が支え合う地域共存社会の実現を通じ、全ての人々が住宅を確保して、安心して暮らせる社会を目指す必要があるとしており、本県においても、国の住生活基本計画に即して、平成十九年三月に鹿児島県住生活基本計画を策定し、その後おおむね五年ごとに見直しを行いながら、住生活の安定向上を図るための施策を総合的かつ計画的に推進してきたとされております。
本県は、半島や離島地域など多様な生活文化圏があり、豊かな自然や個性ある歴史・文化を有する一方で、自然災害を受けやすい特性もあります。また、県内各地において、空き家・空き地の増加など住宅の維持管理の困難化、地域コミュニティーの弱体化などの問題が発生している事例も見られます。
人口・世帯数の減少、少子高齢化の進行─全国よりも高い値で進行中です─、単身世帯の増加─先ほどもありましたが、割合は全国でも二位の水準─など家族構成の変化などから、人々の結びつきの弱まりが懸念されています。
社会経済情勢の変化により、適切な住宅の広さや性能を有する住宅を自力で確保できないなどの生活困窮者、低所得者だけでなく、高齢者、障害者、独り親世帯、DV被害者、外国人など多様化しています。賃貸住宅への入居を断られやすい傾向が見られるなど、民間賃貸市場では十分に対応できていない状況であります。
本県は高齢者単身世帯の割合が高く、今後も増加が見込まれることから、医療・福祉サービスや見守り等の生活支援サービスなどを必要とする高齢者も増加すると見込まれ、一方、高齢者が住み慣れた地域で安心して暮らし続けることができるよう地域包括ケアシステムの構築を進めており、地域の中で医療・福祉サービスや見守り等の生活支援サービスなどを利用しやすい高齢者の住まいづくりが求められているところであります。
一つ目です。高齢者の居住の安定確保に向けた取組の課題と、課題に対する対応策をお示しください。
国土交通省は平成二十九年、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律、いわゆる住宅セーフティーネット法を改正し、新たな住宅セーフティーネット制度として、高齢者や障害者などの住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録制度などの創設を行い、本県も改正法に基づき、要配慮者への居住支援の取組の促進を行うものとしております。
そこで、二つ目の質問です。要配慮者の居住支援を進めるに当たり、課題とそれに対する対応策をお示しください。
三つ目です。公営住宅の整備など、低額所得者などの居住の安定確保に向けた取組を促進するに当たり、課題に対する対応策をお示しください。
本県の空き家率は全国で第六位とその割合は高く、特に、本県では居住目的のない、その他の住宅の総戸数に占める割合は一二%、全国二位となっています。高齢化率が高く、単身世帯の増加、生産年齢人口の県外流出の高さから考えますと、本県は、このままではさらなる空き家の増加が見込まれます。
国としても、適正に管理されない空き家等が周辺の生活環境に深刻な影響を及ぼしていることを背景に、空家等対策の推進に関する特別措置法を全面施行し、市町村が空き家対策を進める枠組みが整いました。
住宅確保要配慮者の支援のため空き家を活用した取組が推進されているところではありますが、多くは古い建物であり、住宅の質の問題、省エネ性能の問題、新耐震基準以前の建物が多くバリアフリーがなされていない等々、また、質だけでなく適法性の問題で建築確認申請無届け、無接道、容積超過等々、当然、改修や手続には時間的にも金銭的にも負担がかかってしまい、空き家とされる例も少なくありません。また、いずれは誰かが帰ってきて住むかもしれないとの思いからの空き家、家に対する愛着から貸すこともなく長年放置される空き家等々、様々なケースがあります。
相続の観点から見ますと、共同相続で話がまとまらない場合も当然放置となりますし、民法では全員相続放棄後の不動産の建物は国に帰属するとしていますが、国に報告義務もなく、また、家庭裁判所は誰かの申述によって相続放棄を決定するものの、その決定について他の省庁に連絡する義務はないですし、年数を経て、いざ自治体が解体したいとしたときに、それを知らずして相続人一人一人に連絡することになるとするなら、いかにも無駄な作業ではないでしょうか。
空き家の増加は、財政の乏しい自治体にとっては、先の見えない、底の見えない不良債権と言っても過言ではないでしょう。当然、県にとっても同じことが言えると考えます。
県としての立場は重々理解した上で質問させていただきます。
一つ目です。空き家対策に当たっての課題、それに対する対応策をお示しください。
二つ目です。空家対策特別措置法に基づく市町村の取組に対する県の見解と、市町村における空き家の除去や活用に係る実績をお示しください。
続きまして、所有者不明土地についてです。
所有者不明土地問題に対処するため、土地の相続登記の義務化や国庫帰属制度の創設などの対策が二年後か三年後ぐらいから始まりますし、現在も地域のための事業を行うことを可能とする地域福利増進事業も令和元年六月から施行されました。
今年の二月、所有者が分からない土地の利用を促す特別措置法改正案を閣議決定いたしました。公共利用できる用途を広げ、防災施設や小規模な再生可能エネルギー設備も加え、使用期限も現行の十年から二十年に延ばすとしております。原則として建物のない空き地に限っていましたが、廃屋などが残っている事例も容認する。瓦礫やごみが残された管理不全土地について、市町村が所有者に代わって障害物を撤去できる代執行制度を創設する。空き地の仲介や売買を後押しする仕組みも整える。市町村が土地の仲介に取り組むNPO法人を指定したり、法律に基づく協議会を設置する。利用希望者に情報提供したり、隣接する道路を広げるなど土地を使いやすくしたりする。指定によって公的信用力を高め、地域づくりを支えてもらう狙いであります。
土地所有者の探索を支援する補助制度も創設され、市町村が土地の活用・管理計画をつくり、探索等に必要な費用の一部を国が負担するとしております。所有者不明の土地問題も空き家同様、地方自治体の財政健全化に向けて避けては通れない課題と考えます。
一つ目です。改正される特別措置法も踏まえて、現状と課題に対する施策をお示しください。
続きまして、鹿児島県公共施設等総合管理計画に関して質問してまいります。
本計画は、「県が保有する建築物及び公共土木施設並びにその他の工作物の総合的かつ計画的な管理の取組に当たって、長期的な視点で、その考え方の方向性や取り組むべき内容、推進体制など基本的な枠組みを定め、全庁的な共通認識の下、効果的な取組を推進することを目的とする」とされております。
一番の課題は老朽化への対応と考えますが、大規模改修工事の目安となる建築後三十年経過したものが延べ床面積全体の約五八%、建て替え工事の目安となる建築後六十年を経過したものが全体の約二%を占めており、十年後には、建築後三十年を経過するものが全体の約八三%、六十年を経過するものが約一八%に達する見込みとなっております。
今後、地方交付税等について厳しい調整が行われることも予想されます。県の財政状況としても公債費については、県有施設等の老朽化対策、防災・減災、国土強靱化対策等の必要性を勘案すると、これまでのような減少は望めない状況でありますし、むしろ増加すると考えます。
国土交通省においては、地方公共団体が所有する不動産を公的不動産、PRE─パブリック・リアル・エステート─と表現し、この公的不動産について、公共・公益的な目的を踏まえつつ、経済の活性化及び財政健全化を念頭に、適切で効率的な管理、運用を推進していこうとする考えをPRE戦略と位置づけ、その実践の促進に向けた取組を進めています。
PRE戦略を実践するに当たって、公的不動産を活用する方法としては様々なものが考えられるものの、地方公共団体のみで公的不動産の有効活用を進めるには限界があることから、近年、民間事業者と連携して、公共施設と民間施設を合築させて一体的に整備を行う事例や、民間事業者からの提案に応じて民間事業者のノウハウを活用する公的不動産の有効活用の事例が増えつつあります。これらの事例では、民間事業者の創意工夫により、地域住民にとって魅力的な施設が整備され、地方公共団体の財政支出が削減されるなどの効果が見られるところであります。
そこで質問です。
PFI・PPP等の活用も見据え、現状に対する課題と施策をお示しください。
ここで、一回目の質問を終わります。
39 ◯土木部長(兒島優一君)財政健全化に向けた不動産活用についてのうち、高齢者の居住の安定確保と住宅確保要配慮者の居住支援に係る課題と施策についてであります。
県では、昨年三月閣議決定された国の住生活基本計画を踏まえ、社会経済情勢・社会環境や住宅事情の変化に対応するため、県住生活基本計画の見直しを行っているところでございます。
高齢者や障害者、外国人など住宅確保要配慮者の居住に関しましては、高齢化の進行、高齢単身世帯の増加が見込まれる中、民間賃貸住宅への入居を拒まれるなどの課題があります。
県におきましては、高齢者など住宅確保要配慮者の居住支援や居住の安定確保を図るため、国、県、市町村及び不動産関係団体や居住支援に取り組む団体等で構成する鹿児島県居住支援協議会を設置し、同協議会において、県民の意識醸成のためのシンポジウム、居住に関する相談体制の整備、住宅確保要配慮者の入居を拒まないセーフティーネット住宅の登録促進、不動産事業者向けの研修会などを実施しているところでございます。
県といたしましては、県居住支援協議会の活動を通じて、引き続き高齢者など住宅確保要配慮者に対する居住支援や居住確保に努めてまいります。
公営住宅の整備など低額所得者の居住の安定確保についてであります。
公営住宅は、住宅セーフティーネットの根幹をなすものとして、住宅に困窮する低額所得者の居住の安定を図るため、県、市町村により整備を行ってきたところであり、令和三年四月一日現在、約四万八千戸を管理しております。
このうち約半数が築四十年を経過しており、建物の老朽化に伴う改修等が必要な住宅の増加が課題となっております。
県としては、建て替えや住戸改善等を適切に行いながら、引き続き市町村と連携し、低額所得者の居住の安定確保に努めてまいります。
空き家対策についてであります。
空家対策特別措置法におきましては、適切な管理が行われていない空き家の所有者等に対する指導・助言などを市町村が行うこととされております。
一方、空き家対策に取り組む市町村におきましては、危険な空き家等の所有者の特定や除却に向けた手続、また、空き家の活用方法に係る技術者不足等が課題となっているところでございます。
県におきましては、国、県、市町村及び法律や不動産などの専門家団体で構成する、かごしま空き家対策連携協議会を設置し、市町村に対し、弁護士や司法書士、建築士等の専門家を派遣するなど、市町村の空き家対策を支援しているところでございます。また、地域の活性化に資する優良な空き家活用のアイデア等を表彰する、かごしま空き家活用コンテストの開催など、空き家活用の機運醸成のための情報発信を行っております。
令和二年度における市町村の取組実績につきましては、法に基づく指導・助言件数は二十三市町で千十三件、そのうち改善件数は二十一市町で四百五件となっております。
また、市町村の助成制度を活用し、二十六市町で七百一件の除却があり、二十九市町村で改修により二百三十四件の空き家活用がなされたところでございます。
県といたしましては、市町村の取組により、危険な空き家の除却や改修による空き家活用が図られていると認識しているものの、今後も空き家の増加が見込まれますことから、より一層の取組が必要と考えており、引き続き市町村と連携を図りながら、空き家対策の促進に努めてまいります。
所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法についてであります。
現行のいわゆる所有者不明土地法では、対象となる土地が原則として更地に限られており、知事の裁定で使用権を設定できる地域福利増進事業の対象事業が少なく、使用できる期間も短い等の課題があり、全国的に活用事例が少ないところでございます。
このため、国は、老朽化した空き家等が存在する土地についても同法の対象とし、地域福利増進事業の対象事業に災害関連施設等の整備を追加するとともに、使用期間の上限を十年から二十年に延長するなど、所有者不明土地の利用のさらなる円滑化等を図るため、改正案を本国会に提出しているところでございます。
県といたしましては、見直し後の制度が有効に活用されますよう、今後とも、国、地方公共団体や関係士業団体で構成される九州地区所有者不明土地連携協議会を通じ各種情報提供を行うなど、制度の普及・啓発や市町村等への支援に取り組んでまいります。
40 ◯総務部長(山本 周君)鹿児島県公共施設等総合管理計画についてでございます。
県有施設等につきましては、老朽化が進んでおり、今後、維持管理・更新等に要する経費の増加が見込まれますことから、県では、財政負担の軽減・平準化を図る観点から、県公共施設等総合管理計画に掲げる、保有総量の縮小、効率的な利活用の推進、長寿命化の推進の三つの基本的な方針の下、県有施設等の適正管理に取り組んでおります。その中で、民間の創意工夫を生かした取組も積極的に推進しているところでございます。
具体的には、不動産鑑定士や民間事業者の助言や提案を踏まえた未利用財産の売却等に加えまして、民間委託や指定管理者制度などを活用した効率的な施設管理に取り組んでおります。
また、民間の資本や経営能力等を生かしたさらなる効率的・効果的な施設の整備・管理を目指しまして、PPP・PFIについて基本指針等を策定し、その活用に向けた取組を推進しているところでございます。
41 ◯寿 はじめ君 自席より再質問させていただきます。
今、効率的なということで、「老朽化した入居率の低い住宅及び統廃合により生じた空き公舎については、必要戸数を踏まえて、財産管理者と調整を図りながら統合による集約・用途廃止を行う」と、この計画にも載っているのですが、この職員住宅入居率、鹿児島地域の入居率三九・五%、離島では九一・三%、本土では五六・七%、また教職員住宅ですね、令和三年五月の時点で五八・三%、これはかなり入居率が低い。これを民間に貸し出すとか、要配慮者に対して貸し出すとかいったことは行っていくかどうか、お答えいただけますか。
42 ◯総務部長(山本 周君)職員住宅についてのお尋ねでございますけれども、御案内のとおり、確かに職員住宅は、今、入居率が低いところもございます。当然、入居率の状況等を踏まえ、必要ない住宅等については整理していくという方針でやってきておりますけれども、ただ、ほかに貸し付けるということは現状では行っていないところでございます。
43 ◯寿 はじめ君 再度、知事にお尋ねします。
この入居率の低い住宅でありますけれども、これを民間に貸し出す考え、もしくは、もう民間に貸し出しても入居率が上がらないといった場合には、即処分されるという考え方はありませんでしょうか。
44 ◯知事(塩田康一君)民間に貸し出せるものかどうかというのは物件にもよるでしょうし、そこは精査していく必要があると思っておりますが、処分というのも、入居されている方が現在いるかどうかというようなことも含めて、今後もしっかりと財産の活用については検討していきたいと思います。
45 ◯寿 はじめ君 前田総合政策部長にお尋ねいたします。
今、新しい公共施設、新総合体育館の建設が検討されているわけですけれども、この検討委員会の方々に鹿児島県の県有施設の総合計画等の資料の提示もしくは説明等がなされたかどうか。その資料の提示も説明もなかったということであれば、その理由をお答えください。
46 ◯総合政策部長(前田洋一君)スポーツ・
コンベンションセンターの検討に当たっての県有地ですけれども、スポーツ・
コンベンションセンターの整備候補地ということで検討委員会にお示しいたしました。その中では、まず、鹿児島市内にということがございましたので、鹿児島市内にある一万五千平米以上の未利用地ということで私ども県有地を当たり、その結果が四か所であったということでございます。
47 ◯寿 はじめ君 再度質問させていただきます。
県の財政状況というのは検討委員会の方々にお伝えしてあるんですかね。計画では、県有施設の今後十年間の経費見通しとして、長寿命化対策等を実施した場合は約三千十億円、年平均約三百一億円、耐用年数経過時に単純更新した場合には約八千六百九十五億円、年平均約八百六十九億円、維持・管理等にかかるとされているんですけど、これは、新しい公共施設を建てるに当たって検討委員会の方々には提示すべきではないかと私は考えるんですが、すみません、知事にお尋ねいたします。見解をお示しください。
48 ◯議長(田之上耕三君)ここで、寿はじめ君に申し上げます。
通告の範囲で発言するように留意していただくようお願いいたします。
49 ◯寿 はじめ君 はい、すみません。県有施設の総合計画の中から出したものですけれども、分かりました。
再質問はありません。
[寿 はじめ君登壇]
50 ◯寿 はじめ君 コメントは最後にしたいと思います。
続きまして、Society5・0の実現に向けたデジタル化の推進について質問してまいります。
持続可能な地域社会の実現に向け、Society5・0の様々な可能性を活用して地域の課題の解決に取り組む必要があります。デジタル活用にはインターネット等に接続するための端末が必要です。
総務省が毎年実施している通信利用動向調査によると、情報通信機器の世帯保有率については、携帯電話やスマートフォンなどのモバイル端末では九割を超えており、その中でもスマートフォンの普及が進んでおり、八割以上の世帯で保有しています。
二十世紀以降、世界的にICT機器の普及が進み、AI、5G、クラウド等に至る革新的な技術の開発・社会実装が進むなど、デジタル技術が社会のあらゆる場面に広がり、人々の生活や経済活動の在り方が抜本的に変化してきました。
今後、デジタル技術やデータのさらなる活用により、あらゆる分野・セクターにおいて生産向上や新たなサービスの創出が進み、社会課題の解決やイノベーションが進むことが期待されています。とはいえ、保有率や普及率が幾ら高くなろうとも、活用されない限り絵に描いた餅であり、Society5・0の実現にはたどり着かないし、現状として既に地域格差が現れているように感じます。
一つ目です。地域格差に対する認識と課題、取組をお示しください。
デジタルによる変革を進める上では、行政や民間のデジタル化を進め、デジタル化の成果として得られるデータを幅広く活用できるように公開し、蓄積、分析、活用を進めていくことが重要であるとしております。
二つ目です。データの利活用推進の具体的な施策と課題をお示しください。
本県においても、二〇五〇年までにカーボンニュートラルの実現を目指す旨を表明したところであり、県民、事業者、行政が力を合わせて一体となり、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出削減や、気候変動の影響への適応などの取組を進めるとともに、資源やエネルギーの効率的な使用などにより、環境への負荷をできる限り低減することや、県内に存在する多様で豊かな資源を活用した再生可能エネルギーの導入を促進することが重要となります。
政府は二〇二二年度から、自治体や企業の脱炭素を支援するため専門家の地方派遣を始めます。市町村長の補佐役などの役職に就かせ、再生可能エネルギーや省エネの普及に向けて、国と地方や官民の橋渡し役をするとしております。
政府が地方に専門家を紹介する地方創生人材支援制度を活用するとしており、同制度は、二〇一五年度以降、およそ二百九十市町村にデジタル分野などの人材を送っており、二〇二二年度から、脱炭素の分野に詳しいグリーン専門人材を派遣対象に加えるとしています。
一つ目です。グリーン専門人材派遣の地方自治体におけるメリットや、全国と県内市町村の派遣要望の状況をお示しください。
政府は、昨年六月に開いた国・地方脱炭素実現会議で、全国百か所を対象に重点的に政策を進める脱炭素先行地域をつくる方針を決めました。これらの地域は派遣先の候補となります。再エネや省エネ地域経済の活性化につなげる目的です。総務省も、地域の脱炭素事業や人材を支援する制度の拡充に向けた関連経費を二〇二二年度概算要求に盛り込むとしております。
二つ目です。脱炭素先行地域とはどのようなものか、お示しください。
国民の生活の向上を図る上では、社会の広範囲にわたる炭素に対して価格をつけることにより、各主体の行動を変え、イノベーションを誘発する等の効果のあるカーボンプライシング─炭素の価格づけ─が果たす役割が大きいと考えられており、昨年三月に中央環境審議会地球環境部会において、「長期大幅削減に向けたイノベーションを生み出す国内での取組を加速する上でいかなる制度の在り方が我が国にとって適しているか、具体的な検討を深める時期に来ている」とされたところです。
三つ目です。カーボンプライシング導入に向けた国の動向をお示しください。
地域から都市部への人口流出が続く中、UIターン者に対する積極的な就労支援で地域内の若年層を増やそうとする動きが活発になっています。
厚生労働省の雇用動向調査を基に、二十九歳以下の新規就労者数を集計し、二〇二〇年の新規就労者数を二〇一五年と比べたところ、最も増加率が高かったのは沖縄県、三倍の五万四千人に増。二十四位の栃木県までが増減率がプラスとなりました。九州・沖縄八県のうち、二〇二〇年の二十九歳以下の新規就労者数が五年前より増えたのは、五県であります。地域の活力になる若者を呼び込もうと、各県は企業誘致に力を入れたり、面接に訪れるための費用を補助したりと様々な施策を打っております。人口減が課題になる中、それぞれの施策の結果もしっかりと出ているように感じられます。
二割減だった鹿児島県は、二〇二一年から、面接などで若者を呼ぶ県内企業に助成金を出す取組を始めました。UIターン就職を考える学生にとって負担となる、インターンシップや面接に出向くための交通費などの負担軽減が狙いのようです。
ここで質問です。
ふるさと鹿児島UIターン就活応援事業の取組実績と課題に対する今後の取組をお示しください。
ここで、二回目の質問を終わります。
51 ◯総合政策部長(前田洋一君)デジタル化の地域格差に対する認識と課題、取組についてであります。
令和二年の総務省の調査によりますと、本県のインターネット利用者の割合は七八・三%でございまして、全国で最も高い神奈川県の八九・七%と比較しますと、一〇ポイント以上の格差が生じております。
この要因としては、本県は、離島や中山間地域が多く、情報通信環境の整備が途上であることや、スマートフォン等の利用率が低い高齢者の割合が大きいことなどが考えられ、ハード・ソフト両面の取組を進めていく必要があると考えております。
このため、光ファイバーの整備を進めており、今年度中に全ての市町村で完了する見込みでございます。
また、通信事業者と連携いたしまして、高齢者等が身近な場所でデジタル機器・サービスの利用方法を分かりやすく学ぶ講座を開催しており、今後とも、デジタル格差の解消に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
次に、データ利活用推進の課題と取組についてであります。
県、市町村、民間企業等の各主体においては、デジタル化により得られたデータを利活用することにより、多様化するニーズに対応した新たなサービスの創出や迅速かつ効率的な提供が可能となることから、単にデータを集約して処理するだけではなく、データから有用な知見を引き出した上で、それを活用し、政策形成や事業化に生かすことのできる人材が必要となっております。
今後、県では、県内企業のICTリテラシーを向上するためのセミナーや、IT企業等のエンジニアを対象としたデータサイエンスやセキュリティー等に関する講座を開催することとしております。
また、県職員を対象に、オープンデータに関する知識習得のための研修、さらには、県・市町村職員等を対象に、様々な分野での政策立案等におけるデータ利活用促進のためのセミナーの開催などを行いたいと考えております。
52 ◯総務部長(山本 周君)グリーン専門人材派遣の地方自治体における状況についてでございます。
令和四年度から新たに地方創生人材支援制度の対象となるグリーン専門人材につきましては、脱炭素の取組を地域の活性化につなげるという視点を持ち、再生可能エネルギーの推進等の脱炭素分野に業務経験と知識を有する民間の専門人材が想定されており、派遣を受ける地方自治体では、地域の社会課題や二酸化炭素実質排出量ゼロの実現のための課題の解決に向けた取組のさらなる推進が期待されるところでございます。
グリーン専門人材の派遣対象となる地方自治体は、地方創生に積極的に取り組む指定都市以外の市町村とされておりまして、全国では十九団体が、うち本県で二団体が令和四年度からの派遣を希望しているところでございます。
53 ◯環境林務部長(松下 正君)脱炭素先行地域についてでございます。
脱炭素先行地域とは、二〇三〇年度までに、家庭部門及び業務その他部門の電力消費に伴う二酸化炭素排出量の実質ゼロを実現するとともに、その他の温室効果ガス排出等についても、国の地球温暖化対策計画と整合する形で、地域特性に応じた削減の取組を実施する地域とされており、住宅街や工業団地、農山漁村、離島、公共施設群などが想定されております。
国においては、二〇三〇年度までに少なくとも百か所の脱炭素先行地域をつくることを目指し、二〇二五年までを目途として、全国の地方自治体を対象に年二回程度募集することとしております。現在、初めての募集がなされており、春に選考結果が公表される予定であります。
脱炭素先行地域において地方自治体等が実施する再生可能エネルギー施設や蓄電池等の基盤インフラ、省エネルギー設備の整備等に対しては、国が交付金により、おおむね五年程度支援することとされております。
カーボンプライシング導入に向けた国の動向についてでございます。
カーボンプライシングとは、企業等により排出される二酸化炭素に価格をつけることにより、企業等に対し、二酸化炭素排出量がより少ない行動を合理的に選択するように促す仕組みであります。
その手法としては、先進的な対策により実現した排出削減量をクレジットとして売買するJ─クレジット制度等の現行のクレジット取引のほか、二酸化炭素の排出源となる燃料や電気の利用に対し、その量に比例した課税を行う炭素税や、企業ごとに排出量の上限を定め、排出量が上限を超過する企業と下回る企業との間で排出量を売買する排出量取引があります。
国においては、まずは、既存のクレジット取引を見直し、自主的かつ市場ベースでのカーボンプライシングを促進するとともに、引き続き、炭素税や排出量取引に関しては、成長に資する制度設計の可能性等について、専門的・技術的な議論を進めることとしております。
54 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)ふるさと鹿児島UIターン就活応援事業の取組実績と課題に対する今後の取組についてでございます。
ふるさと鹿児島UIターン就活応援事業は、本県内で行うインターンシップや採用面接に対し、県外学生等の交通費等を支給する県内企業へ支援を行うもので、コロナの影響で実施が十七社にとどまったものの、五十四社から応募いただいたところでございます。
若者の県内就職促進の課題としては、企業の魅力を知っていただくことが重要であると考えており、これまで各種合同企業説明会などにより、企業の理解促進と魅力発信に取り組んでいるところでございます。
また、企業の採用活動等においては、
新型コロナウイルス感染防止対策として、対面式に加えオンライン化が進むなど多様化していることから、新年度において、オンラインでも企業の魅力が学生に伝わるようなインターンシッププログラムの作成等の支援を行うこととしております。
今後とも、若年層のUIターンの促進を図り、本県の産業振興を支える人材の確保に努めてまいりたいと考えております。
55 ◯寿 はじめ君 再質問はありません。
[寿 はじめ君登壇]
56 ◯寿 はじめ君 引き続き質問してまいります。
総務省の家計調査は、都市階級区分として、大都市─政令指定都市及び東京都区部─、中都市─大都市を除く人口十五万人以上の市─、小都市A─人口五万人以上十五万人未満の市─、小都市B・町村─人口五万人未満の市及び町村─の四つに分けて消費支出をまとめております。
新型コロナウイルスの感染者数が圧倒的に少なかった地方圏のほうが、大都市や中都市より落ち込みが激しかったのです。二人以上の世帯について、二〇二一年一月を前年同月と比べると、全国平均で六・八%減だが、大都市は三・九%、中都市は五・五%減にとどまり、これに対し、小都市Aは九・五%減、小都市B・町村は一〇・四%減と差がついております。注目すべきは、人口が密集し感染者数が飛び抜けて多い東京都区部は、三・三%減と落ち込みが小さかったことです。ほぼゼロコロナだった鳥取県鳥取市は九・九%減、島根県松江市は六・五%減であり、はるかに下落率が大きい。感染拡大が経済に与えたダメージよりも、それ以外の要因による引下げ効果のほうが大きいということであります。
背景の一つは、家計収入の落ち込み具合の違いであります。二〇二一年一月と前年同月の実収入─税込みで世帯全員の現金収入の合計額─を家計調査で比較してみると、全国平均では三・二%減だが、大都市は二・一%増、中都市一・九%減、小都市A八・二%減、小都市B・町村一一・五%減でした。
住民に必要以上に恐怖心を植え付けた結果、東京都などに緊急事態宣言が出されると、遠く離れた県にある繁華街の飲食店から客の姿が消えたり、三密回避のために各種会合の開催が阻害され、集落運営上の困難が増しています。特に、夏祭りをはじめ、各種イベントや文化活動の多くが中止されているが、このような活動は、地域コミュニティーのメンバーの結集や新規参入者の入り口でありました。また、感染拡大が落ち着きを見せた後にも、一度中止したイベントを再開するのは難しい、もうやらなくていいのではという声が各地で聞こえております。
地方には医療体制が脆弱なところが多く、感染者が増えたら困るという事情は理解できますが、ゼロコロナの実現と引換えに失うものはあまりに大きい。消費の低迷が企業の悪化を招いて給与カットにつながり、一段と消費が冷え込んでいく悪循環が続くことになります。家計収入の減少もまた、地域の閉鎖性がもたらしているのであります。
感染者数を抑え込んだ結果、地域経済が長期低迷に陥り、地方創生もままならなくなったというのであれば元も子もありません。地方圏はゼロコロナではなく、ウィズコロナを目指さなければ生き残れないと強く実感しております。
各種の調査では、首都圏の地方移住志向は高まっており、平常時になればそれが一気に動き出し、地方部に対するプラスの機会になる可能性もあります。このような地方部に対する政策が更新・転換されるものが二つございます。二十一年ぶりに新法となりました過疎地域の持続的発展の支援に関する特別措置法、もう一つが、農政による農村政策の見直しです。過疎地域や農村地域を低密度空間として国土の中に位置づけるという新しい政策構想が進んでいます。
今回は、新しい農村政策について質問させていただきます。
食料・農業・農村基本計画の具体化に向けて、令和三年六月に二つの検討会の中間取りまとめがなされました。「大都市への過度な集中を是正し、地方への人の流れを加速させることで、多様な主体が農村に定住し、新しいライフスタイルを実現するとともに、災害に強く、持続的で強靱な国土を実現するために、今まさに求められている、新しい農村政策の方向性を示したものである」としております。
政策の内容が広く多岐にわたっていますので、その中から幾つか質問させていただきます。
「地方への人の流れを加速させ持続的低密度社会を実現するための新しい農村政策の構築」の施策の中で、しごとづくりの施策─農村における所得と雇用機会の確保─より、「農村の担い手として、多様な形で農に関わる者が十分な所得を確保できるよう、農村の地域資源をフル活用した農山漁村発イノベーションを推進」とあります。
一つ目です。農山漁村発イノベーション推進に関する県の見解と取組をお示しください。
また、くらしの施策─中山間地域等をはじめとする農村に人が住み続けるための条件整備─として、「農村集落の共同活動の推進や、複数の農村集落の機能を補完する農村地域づくり事業体─農村RMO─の育成等」と示されております。
二つ目です。農村RMOに関する県の見解と取組をお示しください。
三つ目です。人口減少社会における長期的な土地利用の在り方として、今後の施策の方向性として中間取りまとめがなされたのですが、土地利用に関する県の見解と取組についてお示しください。
四つ目です。令和二年六月四日に地域人口の急減に対処するための特定地域づくり事業の推進に関する法律が施行されました。本県における特定地域づくり事業協同組合の事例と実績をお示しください。
農業政策分野に関して質問してまいります。
一つ目です。化学農薬の使用量を五〇%低減、輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量を三〇%低減、有機農業の取組面積の割合を二五%、約百万ヘクタールに拡大するとした、みどりの食料システム戦略に関してですが、取組推進に当たっての今後の進め方、経済連、農政連等、関係機関との協力体制をお示しください。
二つ目です。令和二年八月以降、米国に対する中国の旺盛な穀物輸入需要を背景として、配合飼料の主要輸入原料─トウモロコシ・大豆─の価格が急騰し、これにより国内の配合飼料も令和二年十月以降、急激に高騰しています。国際情勢に影響を受けやすい穀物類だけに、今後の配合飼料価格の上昇が懸念され、安定的な制度運用のためにも十分な財源を確保することが必要であると考えます。
畜産経営において生産費に占める配合飼料の割合が高い中、配合飼料価格が高止まりした場合、現行制度の基準では通常・異常補填いずれも発動が急激に減少し、実質農家負担が増え、経営に与える影響は甚大なものとなります。したがって、配合飼料価格が高止まりした場合でも、農家の経営安定を図るため負担軽減がなされるような対策を講じる必要があります。
そこで、二つ目の質問は、配合飼料価格高騰が続くことへの取組をお示しください。
最後になりますが、本県では、令和元年度新規就農者の中では、後継者─親元就農─が七三%を占めている状況であります。生産基盤の維持・拡大のためには、定着率の高い親元就農は期待の大きいところではありますが、農業次世代人材投資事業─経営開始型─を活用しづらい状況にあります。
具体的には、現在の交付要件では、経営を継承する場合、新規参入と同等の経営リスクを負う─新規作目の導入など─と市町村長に認められることが定められており、特に畜産経営では新規作目の導入は現実的ではありません。ついては、親元就農者に関して、農業次世代人材投資事業─経営開始型─の交付要件から新規作目の導入等の要件を外すなど、要件を緩和する必要があると考えます。
以上のことを踏まえまして、また、新たな事業も含めて、新規就農者の確保対策についてお示しください。
[知事塩田康一君登壇]
57 ◯知事(塩田康一君)新規就農者の確保対策についてでございます。
農業従事者が減少する中、本県農業を持続的に発展させるためには、新規就農者の確保・育成が重要であると考えております。
このため、県では、県内外における就農相談や、農業大学校における就農促進のための実務研修、現地就農トレーナーによる営農技術の助言・指導など、就農準備から経営安定まで段階に応じた支援を行っているところであります。
また、国の制度を活用して、親元就農者には一定の制限はあるものの、就農直後の経営確立を支援するため、農業次世代人材投資資金を交付しているところであります。
令和四年度からは、農業への人材の一層の呼び込みと定着を図るため、親元就農を含む新規就農者を対象として、経営発展に必要な機械・施設や家畜の導入などを国と県で手厚く支援することとしております。
今後とも、本県の基幹産業である農業の「稼ぐ力」を向上させるため、将来を支える意欲ある新規就農者の確保・育成に取り組んでまいりたいと考えております。
58 ◯農政部長(松薗英昭君)新しい農村政策に関する御質問のうち、まず、農山漁村発イノベーション及び農村RMOに関する取組等についてでございます。
令和三年六月、国の新しい農村政策の在り方検討会の中間取りまとめが公表されたところであります。
この中で、しごとづくりの施策については、農山漁村において、所得と雇用機会を確保するため、活用可能な地域資源を発掘し、磨き上げた上で、他分野との組合せにより、新たな価値を創出する農山漁村発イノベーションを推進すべきとの方向性が示されたところであります。
県では、地域の農産物を利用した料理や加工品を提供する交流拠点施設の開設や、農家民宿と旅行業者が連携した農村体験プログラムの開発など、農業と農業以外の分野との連携した取組を支援しているところであります。
県といたしましては、農村の地域資源を活用するなど、所得と雇用機会の確保につながる取組等を推進してまいりたいと考えております。
くらしの施策につきましては、地域資源の保全管理・活用や農業振興と併せて、複数の農村集落を範囲として、買物・子育て支援など、地域コミュニティーの維持に資するサービスの提供を行う組織である農村RMOを育成すべきとの方向性が示されたところであります。
県では、これまでも、NPOなど地域外の活力も導入したむらづくりを支援してきており、宇検村の阿室校区では、移住者が中心となった果樹の防除班の編成や在来ニンニクなどの生産・加工に加え、集落の共同売店の運営などの生活支援にも取り組む地域運営組織が育成されてきております。
県といたしましては、このような優良事例の研修会での普及やモデル地区の育成などにより、集落内外の多様な主体と連携したむらづくりを推進してまいりたいと考えております。
次に、土地利用に関する取組等についてでございます。
国の長期的な土地利用の在り方に関する検討会の中間取りまとめにおきましては、高齢化や労働力不足により、維持することが困難な農地が増加することへの懸念などが課題として挙げられております。
このため、地域の関係者が話合いを通じて、地域の土地利用を行政に提案できる仕組み、粗放的な農地利用など持続性を担保できる仕組み、鳥獣緩衝帯等の農業生産の再開が容易な用途として利用する仕組みなどを検討すべきとの方向性が示されたところであります。
県では、人・農地プランの実質化の取組などと連携した農地中間管理事業の推進などにより、担い手への農地の集積・集約化に取り組むとともに、日本型直接支払制度による共同活動の支援などを通じた荒廃農地の発生防止などに取り組んでいるところであります。
県といたしましては、優良農地の確保や農地の効率的な利用を推進してまいりたいと考えております。
次に、みどりの食料システム戦略の今後の進め方等についてでございます。
国は、みどりの食料システム戦略を昨年五月に策定し、関連法案が今国会に提出されたところであります。
この法案では、国は、環境負荷低減事業活動の促進等に関する基本方針を定め、県及び市町村はその方針に基づき、共同して基本計画を策定し、国に協議・同意を求めることができるものとされております。また、農林漁業者の事業活動等に関する認定制度の創設などが規定されており、法成立後、国から詳細が示されるものと考えております。
県では、今後、みどりの食料システム戦略に関して、国や市町村、JA県経済連などと情報共有や意見交換などを行うこととしております。
県といたしましては、国の動向を踏まえるとともに、関係団体等の協力を得ながら、環境負荷の軽減に資する取組を進めてまいりたいと考えております。
続きまして、配合飼料価格の高騰対策についてでございます。
配合飼料価格は、トウモロコシ等の原料価格の上昇、円安等を背景に高騰しており、配合飼料価格安定制度の補填金が令和二年度第四・四半期から令和三年度第三・四半期まで四期連続して交付されたところであります。
今後、配合飼料価格がさらに高騰した場合は、補填財源の不足が懸念され、また、価格が高止まりした場合は、発動されないケースも想定されるため、同制度の安定運用のための財源確保や、畜産経営の負担軽減がなされるような対策を講じるよう、引き続き、県開発促進協議会等を通じて国へ要請してまいりたいと考えております。
配合飼料原料の多くを海外に依存している畜産経営においては、飼料価格の変動等のリスクを回避する観点から、自給飼料の増産は重要な課題となっております。
県においては、自給飼料の増産を図るため、飼料畑造成等による飼料生産基盤の確保、水田を活用した飼料用稲の生産・利用拡大、コントラクター等の飼料生産の外部化推進等に取り組んでおり、今後とも、自給飼料に立脚した畜産経営の確立に努めてまいりたいと考えております。
59 ◯地域政策総括監(房村正博君)特定地域づくり事業協同組合の事例及び事業実績についてでございます。
この事業協同組合制度は、人口急減地域において、地域全体で複数の事業者が仕事を組み合わせて年間を通じた仕事を創出し、事業協同組合において職員を通年で雇用するとともに、地域事業者へ派遣する仕組みでございまして、都道府県知事が認定することとなっております。
本県では、沖永良部島において花卉などを栽培する農業、宿泊、介護などの八事業者が、和泊町と知名町を事業区域とする、えらぶ島づくり事業協同組合を設立し、昨年五月に認定されたところであります。
同組合では、県外から移住してきた八名を雇用し、季節ごとの労働需要等に応じて、事業者への派遣を行っており、農業等の担い手の確保や移住者の安定的な就業環境の確保につながっております。
県といたしましては、引き続き、市町村等への制度周知に努めるとともに、新たに、組合の認定に向けた専門家の派遣にも取り組んでまいりたいと考えております。
[寿 はじめ君登壇]
60 ◯寿 はじめ君 もう時間もございません。それぞれ御答弁頂きました。
これからも現場の声に寄り添いながら、地元繁栄のため汗を流していきますことをお誓い申し上げまして、質問を終えさせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
61 ◯議長(田之上耕三君)ここで、休憩いたします。
再開は、午後二時三十五分といたします。
午後二時二十五分休憩
────────────
午後二時三十五分再開
62 ◯議長(田之上耕三君)再開いたします。
次は、日高滋君に発言を許可いたします。
[日高 滋君登壇](拍手)
63 ◯日高 滋君 午前中は傍聴席が大変にぎやかでしたが、今の状況は本当に寂しいなという思いをいたして、皆さんがますますゆっくり寝てしまうんじゃないかと思って心配しておりますが、私もいよいよ最後を務めさせていただきます。どうかひとつ一時間ですのでお付き合いいただきますようお願い申し上げます。
それでは、まず初めに、ブリ人工種苗の津波被害についてであります。
本年一月十五日、南太平洋トンガ沖の海底火山が噴火し、日本でも津波警報や避難指示が出され、西之表港で十六日未明に最大五十センチの津波が観測されました。
一方、南種子町の島間港では、冬の間も温暖な気候を生かし、最大八十基の生けすで年間約五十万匹のブリ人工種苗を中間育成し、長島町の東町漁協に出荷しております。
このような中、南種子町漁協が島間港に設置しておりました生けすのうち、潮流が流れ込みやすい位置に設置されていた四基で、ブリの人工種苗が大量死していることが判明いたしました。
そこで伺います。
まず一点目は、トンガ沖海底火山噴火の津波により、本県の水産業にどのような被害が発生したのか、その概要をお示しください。
また、他県の被害状況も併せてお知らせください。
二点目は、被害を受けた人工種苗に対する支援措置と共済制度の充実であります。
現在の養殖共済制度の仕組みでは人工種苗に適用しにくいことから、今後、人工種苗の導入を進める県として、このような災害に対する支援をどのように考えているのか、また、今後のブリ人工種苗への取組をどのように進めていこうとしているのか、伺います。
次に、熊毛地域の林業振興についてであります。
熊毛地域の森林面積は、総面積の七三%である七万二千八百十六ヘクタールとなっており、県全体の森林率の六五%より高くなっております。
また、熊毛地域の産業別就業人口を見ますと、第一次産業への従事者の割合が県全体の八・八%であるのに対し、熊毛地域では二二・四%と非常に高い割合になっております。地域経済が農業、林業、水産業に強く依存している状況となっております。
このうち、林業への従事者の割合は、県の就業人口の〇・三%に対し、種子島地区が〇・四%、屋久島地区が一・五%といずれも高くなっております。
熊毛地域の林業は、地理的条件など県本土とは異なる経営環境にあり、地元の林業関係者からは、県本土に比べ条件が不利な状況にあり、森林の整備や木材の利用について、県本土と同じようなやり方では大変厳しい面があるとの声が聞かれるところであります。
特に、民有林の森林整備の中心的な担い手である森林組合においては、搬出間伐におけるコスト高や材質の低位性による販売収入の低さに加え、島外販売に係る諸費用等のために、以前にも増して、森林所有者に間伐材の精算代金を多く払えないという大変厳しい経営状況となっているところであります。
そこで、以下伺います。
まず一点目は、本土との流通条件の一致であります。
現在、熊毛地域では、国土交通省による補助事業である離島活性化交付金を活用し、原木等の海上輸送費の八割補助を受けております。一方、奄美群島振興開発特別措置法に基づく奄美群島農林水産物等輸送コスト支援事業では、十割補助となっております。
熊毛地域の林業事業者にとっては、海上輸送費に係る事業者負担のこの二割が大きな負担となっている現実があります。せめて、他の地域と同じスタートラインに立たせていただく措置はできないものか、県にお伺いいたします。
二点目は、労働環境整備についてであります。
全国的には、戦後に植林したスギ・ヒノキが利用期を迎え、また、令和三年四月頃からは、ウッドショックによる木材価格の高騰で林業や木材関係の景気は上昇している中、熊毛地域ではウッドショックの波は押し寄せていない状況だと言われております。
また、林業従事者の労働条件にしても、他の産業と開きがあるとともに、本土と離島の森林組合職員や作業従事者においても格差があると感じております。作業時の事故等も、他の産業と比べて多いこともよく聞くところであります。
脱炭素や地球環境問題が当たり前のように叫ばれる中、頑張ってもらいたいこの人たちが、このような状況で誇りを持って林業に従事ができましょうか。今の時代だからこそ、林業従事者の皆様の労働環境の向上にもしっかりと取り組むときではないでしょうか。
これらの状況に対する現状認識を含め、熊毛地域における林業振興に向けた取組について、県の考えをお示しください。
それから、三点目の森林環境譲与税でありますが、これは、さきの田畑議員の質問で取り上げられましたので割愛しますが、ぜひともこの目的に沿った配分と活用がなされるように、国・県挙げて、関係者挙げて、ぜひとも実現するようよろしくお願い申し上げます。
次に、魅力ある県立種子島中央高校に向けてであります。
中種子高校と南種子高校を廃校し、平成二十年四月、中種子町に県立種子島中央高校が設置されてから、早いもので十数年が過ぎました。
この間、教職員や保護者、地域の皆さんが懸命に学校運営に携わっていただきました。両町の教育委員会も、小・中学校でしっかりと基礎学力をつけさせ、県立種子島中央高校に送り出そうと取り組んでいただいたところであります。
さらには、議会も、魅力ある高校づくりに寄与するため、要望の多い部活や遠征費などにもさらに支援しようという動きも起きているところであります。
種子島中央高校は、現在、普通科が二クラス、情報処理科が一クラスの三クラスとなっております。近年、定員割れの状況が続いているところであります。今年もさらに定員割れが拡大する状況であるようであります。やはり入学試験の定員割れが顕著な場合、生徒にとっては、学びに対する意欲がそがれる面があることは否めないところであります。
魅力ある高校となるためには、今以上の努力と取組が必要であります。これまで頂きました地域や保護者の皆様をはじめとする御協力はもちろんでありますが、本県の教育委員会としても、県立種子島中央高校をさらに魅力ある高校にするための具体的な取組を行うべきだと考えております。
そこで、県教育委員会に提案いたします。
種子島中央高校の地域の特徴を生かした学科の新設をしていただきたいのであります。
御存じのように、高校の所在する中種子町には種子島空港があります。この空港を利用して、現在、宮崎県の航空大学校は離発着訓練を頻繁に行っております。また、JAXAの宇宙センター基地がある南種子町では、宇宙留学なども盛んに行われております。
このような地域の特徴を生かし、宇宙工学や航空工学なども勉強できる、例えば航空学科なるものを新設してはいかがでしょうか。
このような学科は全国的にも珍しく、これらの勉強をするために全国から生徒が集まり、地元高校生と切磋琢磨し、結果的に地元高校生の学力向上や進学・就職へのよい影響も期待されるものと思っております。ICTなど技術革新の進む中で、一歩先を行く取組こそが、時代に乗り遅れない大きな手段の一つであります。
そこで、教育長に伺います。
まず、県立高校で、現在、地域の特徴を生かした学びを行っている高校はあるのか、その状況をお示しください。
また、種子島中央高校においても、ぜひとも地域の特徴を生かした学科を新設するなどして、同校の魅力を高めるべきと考えますが、県教育委員会の考えをお示しください。
これで、一回目を終わります。
64 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)本県水産業の被害の概要についてでございます。
トンガ沖海底火山噴火の津波による本県水産業の被害については、南種子町の島間港で中間育成していたブリ人工種苗が約四万三千尾へい死し、約千三百万円の被害がございました。
また、他県の被害状況については、水産庁によると、宮城県、三重県、高知県、沖縄県などでも、ワカメ、カキ、モズクなどの養殖施設や生産物、漁船などに被害が見られたところでございます。
ブリ人工種苗の支援措置等についてでございます。
県では、台風や津波等の天災で死亡・流出した魚の損害を補償する養殖共済制度への加入促進や経営安定のための農林漁業セーフティネット資金の周知を図っているほか、被災して、新たに種苗の購入等が必要となった際に、低利の制度資金である漁業近代化資金により支援を行っているところでございます。
現行のブリを対象とした養殖共済制度は、国の制度であり、天然種苗に即した制度設計となっていることから、今後増加が見込まれる人工種苗の生産スケジュールにも適用しやすい制度を国に要望し、人工種苗の導入しやすい環境を整えてまいりたいと考えております。
本県のブリの養殖業は、生産量が全国第一位で「稼ぐ力」を有する基幹産業ではございますが、国内消費量の減少や種苗の確保が不安定なことなどから、経営が厳しい状況にございます。
このため、消費マーケットが拡大している欧米等海外への展開が必要不可欠であり、その販路拡大等を推進していくためには、生産履歴が明らかであることが高付加価値化につながること、また、養殖を継続するためには種苗の安定確保が必要なことから、今後、人工種苗の早期生産技術の確立や供給量の拡大に向けた体制の整備について積極的に取り組むこととしております。
なお、今年度は、公益財団法人かごしま豊かな海づくり協会が、前年度二十四万尾を大きく上回る一一八%増の約五十二万尾を供給したところであり、目標の四十五万尾を達成いたしました。
今後とも、ブリの人工種苗のさらなる安定供給に努めてまいりたいと考えております。
65 ◯地域政策総括監(房村正博君)離島活性化交付金における輸送コスト支援についてでございます。
離島活性化交付金における輸送コスト支援については、離島の産業活性化を推進するため、離島から県外を含む本土までの海上輸送費または航空輸送費を助成するものであり、事業者負担は、全国一律二割となっております。
一方、奄美群島振興交付金における輸送コスト支援については、本土より高い輸送コストを負担しているという流通条件の不利性を改善し、生産振興や産業振興を促進するため、奄美群島から鹿児島港または鹿児島空港までの輸送費を助成しているところであります。
県といたしましては、離島活性化交付金が離島の実情に応じた内容となるよう、今後とも、国に対し、対象事業の拡充や地元負担の軽減を図るなど、交付金制度の一層の充実を要望してまいりたいと考えております。
66 ◯環境林務部長(松下 正君)熊毛地域の林業振興に向けた取組についてでございます。
熊毛地域については、スギを主体とした人工林資源が充実してきており、これらの資源を有効に活用し、さらなる林業振興を図るためには、小規模で分散している森林の集積や、収益性の高い森林施業、木材の島外への出荷などに取り組むとともに、林業従事者の就労環境の改善や安全性の向上を図っていく必要があると考えております。
このため、県では、関係機関・団体と一体となって、森林経営プランナーの育成等による森林施業の集約化の推進や、路網と高性能林業機械を組み合わせ、生産性と安全性を確保した低コスト作業システムの普及・定着を図るとともに、林業従事者の社会保険等掛金の事業主負担への助成等も行っております。
また、木材の島外出荷を促進するため、付加価値向上に向けた加工施設の整備に対し支援するとともに、今年度からは、中間土場における良質材の仕分作業等の経費に対する支援を行っており、今後とも、これらの取組を推進し、熊毛地域の林業振興に努めてまいりたいと考えております。
67 ◯教育長(東條広光君)県立高校における地域の特徴を生かした学びについてであります。
県立高校では、それぞれに地域の特徴を生かした教育活動を行っております。
例えば、屋久島高校では、屋久島が世界自然遺産に登録されたことを受けまして、普通科に環境コースを設け、宿泊研修やフィールドワーク等を通して、将来の屋久島や未来の環境の在り方を学んでおります。また、南大隅高校では、地元に自転車競技場がありますことから、二年次から自転車競技に特化したスポーツコースを選択できるようにして、鹿屋体育大学と合同練習等を行い、インターハイで優勝を果たしております。このほか、鶴翔高校では、ジビエなど地元の未利用資源を活用した商品開発を行う授業を実施しております。
種子島中央高校におきましては、JAXAと連携した講演会、地域の空き家を改修する空き家リノベーションプロジェクト、商店街活性化イベントの企画など、地域と連携した教育活動を行っているところであります。
次に、種子島中央高校への学科の新設などについてであります。
県立高校については、中学生の進路希望状況、地域や学校の実態、社会情勢の変化等を勘案しながら、学科の設置等を行ってきているところであります。
こうした中で、国は、高校が地域振興の核としての役割も期待されるとして、昨年、学校設置者に対しまして、学校設置者というのは県教委のことでございますけれども、各高校の存在意義や期待される社会的役割、目指すべき学校像をスクールミッションとして明確にするよう求めたところでありまして、県教委では、来年度から、学校や地元の関係者と連携しながら、各学校のスクールミッションの策定に取り組むこととしております。
種子島中央高校における学科の設置も含めました地域の特徴を生かした学びについては、このスクールミッションを策定する中で、地元自治体や同窓会、PTA等の意見を聞きながら、検討してまいりたいと考えております。具体的な提案も頂きましたので、これも含めて検討してまいりたいと考えております。
68 ◯日高 滋君 自席より伺います。
まず、商工労働水産部長に、今回の被害についての対応というのはどのようになるのか、教えてください。
それから、環境林務部長ですね、この熊毛地域と本土との従事者の労働環境の比較というのが、私は答弁がなかったような気がいたしておりますが、そこら辺の実態を調べているのか、どういう状況なのか教えてください。
69 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)今回のブリの被害についてでございますが、先ほど申し上げました共済制度については、ただいま国のほうへ要請を行っているところでございまして、共済制度についての補償は現段階では難しいと考えております。一方で、漁業近代化資金等または農林漁業セーフティネット資金等で、その被害の補償にも対応していきたいと考えております。
70 ◯環境林務部長(松下 正君)本土地域と熊毛地域の森林組合林業技能者等の給与関係の比較ということの御質問と思いますが、まず、森林組合林業技能者の賃金については、本土地域と比べて熊毛地域は低くなっております。
また、森林組合職員の平均月給与についても、本土地域に比べて熊毛地域は低くなっております。
また、森林組合林業技能者の給与体系についてですが、本土地域に比べて熊毛地域の森林組合林業技能職員の月給割合、日給割合に比較した月給割合は高くなっております。
また、法定福利厚生でございますけれども、本土地域に比べて熊毛地域の森林組合林業技能者は、退職金制度への加入割合が低くなっております。
[日高 滋君登壇]
71 ◯日高 滋君 それぞれお答え頂きました。
ブリの人工種苗でありますが、これからも安定的に事業を進めるためには、やはり保険制度の創設や新たな支援策が必要であると思っております。
今日は中村素子議員もおりますが、今のままであれば、そして補償もなく人工種苗だけやれということであれば、長島町の鰤王もこれで終わりだと、そのような状況だと思っておりますので、これからも継続して出荷ができるように県としても御支援賜りますようお願いいたします。
熊毛地域の林業振興でありますが、離島だということで甘えるつもりはありません。組合林業従事者の努力はもちろんでありますが、現実として本土と比べて事業運営、そして事業従事者の環境は大変厳しい、大きく違っているものであります。先ほども部長が申されたとおりでございます。さらに調査の上、従事者の改善も含めて林業振興に取り組んでいただきたいと、かように思うところです。よろしくお願い申し上げます。
次に、魅力ある県立種子島中央高校でありますが、これまで地域の関係者の皆さんは、一人でも多くの生徒を確保するために様々な努力を続けてきております。それでも今の現状であります。県教育委員会としても、高校設置者として地元関係者とともに意見交換をさらにさらにされ、魅力的な高校となるように具体的な取組を進めていただきますようお願い申し上げます。
次に、持続可能な地域づくりについてであります。
今日、人口減少・少子高齢化の進行する中で、国はもちろん各都道府県、そして各市町村も持続可能な地域づくりの模索が進められてから久しいところであります。
このような中、都市部を中心に、住民の居住地を集中させる集住の取組、いわゆるコンパクトなまちづくりへの取組が進められております。人口、さらには税収も減少する中で持続可能な都市経営を進めるには、住民の居住地を集中させる集住が欠かせないものとされ、行政サービスの効率のよい集中配分を行うことによって、地域資源を効率的に活用することができると考えられております。
また、集住によって、子育てや医療資源の充実が図られるとともに、商店街施設の形成が高められるなど、生活しやすい環境整備につながっていくものと指摘されております。
このような中、マスコミ等の報道によりますと、二〇一〇年対比で最も集住率を高めたのは、全国で滋賀県、宮城県、そして佐賀県という順になっております。また、集住率の向上は経済成長にも連動する傾向があり、上位三県の実質県内総生産は、二〇一〇年対比の伸び率が、全国平均の八・九%を上回る一〇%台となっております。
さらに、集住率第一位の滋賀県は、全十九市町のうち十一市町が、コンパクトなまちづくりを目指し、立地適正化計画を作成済みまたは作成中となっております。
この立地適正化計画については、平成二十六年の都市再生特別措置法改正により制度化されたものでありまして、市町村が都市計画区域について作成するものであります。
人口減少や少子高齢化が進行する中、将来的に持続可能な都市構造の構築を目指し、コンパクトシティ・プラス・ネットワークの考えにより、居住機能や医療・福祉・商業などの様々な都市機能の誘導と公共交通ネットワークの充実により、コンパクトなまちづくりを充実させるためのマスタープランとなっております。
そこで伺います。
一点目として、先般公表されました令和二年国勢調査では、県内の人口は約百五十九万人で、十年前の調査時より六・九%減少し、四十一市町村においては人口が減少している結果が示されており、コンパクトで持続可能なまちづくりを図るための計画を作成することは、さらに重要度が高くなってきていると思っております。
ついては、平成二十六年の法改正以降、県内の市町村において、立地適正化計画を作成した市町村数及び、今後、作成に向けて取り組む予定である市町村数についてお示しください。
二点目として、県内の市町村において立地適正化計画を作成し、コンパクトで持続可能なまちづくりを図っていくためには、県民や地域の皆さんへの説明責任の下、理解を得る必要があり、そのためには県と市町村の連携が求められます。
ついては、立地適正化計画の作成における県の取組方針をお示しください。
三点目に、私は離島の小さな町、屋久島に住んでおりまして、都市部のような好条件と言える環境にはありませんが、それでも、自分の地域を守るために、持続可能なまちづくりへの取組をする必要があると考えております。
屋久島町においては、屋久島町役場の新庁舎移転や、屋久島空港滑走路延伸計画などにより、都市計画区域外である小瀬田地域の周辺について、今後、土地利用の活性化が見込まれており、将来に向けてコンパクトで持続可能なまちづくりを図っていくために、立地適正化計画の作成も含めた都市計画制度の適正な運用が必要と考えております。
ついては、屋久島における今後のまちづくりに向けた取組状況をお示しください。
次に、再生可能エネルギーを活用した地域づくりについてであります。
洋上風力発電につきまして、昨日は宝来議員より質問がありましたが、私も自分の思いを込めて質問させていただきたいと思います。
政府は、二〇二〇年十月に、二〇五〇年カーボンニュートラル宣言を行い、あわせて同年十二月にグリーン成長戦略を公表いたしました。この中で、再生可能エネルギーへの期待は高く、特に洋上風力発電は、大規模化による発電コスト低減が可能であることに加え、経済波及効果が期待されることから、再生可能エネルギー主力電源化の切り札とも期待されております。
また、洋上風力発電を再生可能エネルギーの主力電源とする国の動きも並行して進んでおり、二〇一九年四月には再エネ海域利用法が施行され、同法に基づき、これまで都道府県から三件の情報提供がなされ、既に全国で十二の有望な区域が選定されております。
洋上風力発電の事業費は、政府の試算では、資本費、二十年間の運転維持費、撤去費の合計で発電規模キロワット当たり約百万円となっており、一ギガワットの場合には約一兆円になってくるようであります。
このため、洋上風力発電を契機とした経済発展を目指し、日本各地で洋上風力発電推進の機運が高まっており、秋田県では精力的に取り組んだ結果、四区域が有望な区域に選定されております。九州地方においては、長崎県、福岡県、佐賀県が積極的に取り組んでおり、長崎県においては、大手風車メーカーの誘致を進めているなど産業誘致が始まっているところであります。
洋上風力主力電源化に向けて、産業界で示したロードマップでは、二〇二五年までに基盤を形成するとされております。洋上風力産業ビジョンにおいて、二〇四〇年までに最大四十五ギガワットの導入目標が明示され、このうち、私ども九州地域においても最大十二ギガワットが期待されております。本県は三方を海に囲まれて風況も望ましく、洋上風力発電のポテンシャルが大いに期待されるところであります。
県内においては、薩摩半島西岸沖において、洋上風力推進に向けて二〇一九年より環境アセスメントの手続が開始され、三事業体が洋上風力発電の検討を進めております。三年間の地元への継続的な説明により、関係市に推進議連が立ち上がるなど関心も高まってきているところであります。利害関係者である漁業関係者においても、洋上風力発電事業検討会が立ち上がるなど、積極的な事業者との協議も始まっていると聞いております。
また、このような状況にもかかわらず、本県の
かごしま未来創造ビジョン改訂素案においても、風力、特に洋上風力普及拡大についての言及も弱く、本県再生可能エネルギー政策に対する取組に疑問の声が投げかけられております。私も県の取組姿勢についてはこれまでも申し上げてまいりましたが、再生可能エネルギーのあらゆる選択肢は確保しておくべきだという思いからであります。
このような中、今回、第四回目となる都道府県からの情報提供の受付が二月四日から開始されております。薩摩半島西岸沖は有望な区域の要件に適合するものと考えられるため、本県の経済発展を目指し、二〇二五年までの基盤形成に乗り遅れないためにも、そして知事の日頃から言っております「稼ぐ力」の向上の観点からも、国への情報提供を行うべきと考えますが、知事の考えを改めて伺います。
次に、カーボンニュートラルの実現に向けた取組についてであります。
平成二十二年三月に、「屋久島から減らしていこうCO2」を副題とする屋久島低炭素社会地域づくり構想が策定されております。
この構想の中では、分野ごとに短期的、中長期的な取組が掲げられており、エコカーの導入促進、商品等におけるCO2の見える化、低炭素社会モデル地域「屋久島」の情報発信、そして省エネ・再生可能エネルギーの設備導入に対する助成などが掲げられております。
令和三年度の地域再生計画の中にも、屋久島における低炭素社会モデルの創造が掲げられておりますが、令和三年度当初予算で見ても、かごしま低炭素社会モデル創造事業として五百五十七万円が計上されているだけであります。
平成二十二年三月に構想が出された際には、私も屋久島CO2フリーの島づくりとして、カーボンニュートラル実現に向けた先進的な取組が積極的に進められていくものと感じたところでありますが、これまでのところ、そのような取組が積極的に進められているという感覚を持つに至っていないところであります。
そこで伺います。
一点目は、屋久島CO2フリーの島づくりについてでありますが、この言葉は予算書でもよく見かけるものでありますが、県は具体的にどのようなことを描いているのか、島民にもよく把握されていない面があります。屋久島CO2フリーの島づくりに向けて、これまでどのような思いを持ち、取組を進めてきたのか、お示しください。
二点目は、屋久島における電気自動車の導入状況と、これまでの計画はどのようになっているのか、お示しください。
三点目は、屋久島におけるカーボンニュートラル実現に対する県の認識をお示しいただくとともに、令和四年度当初予算に対する反映についても併せて伺います。
四点目は、化石燃料関連事業者への支援についてであります。
農業においては、当たり前のように作物の転作支援、そして最近もありました葉たばこの廃作支援などが行われております。
一方、近年、環境問題の脱炭素・カーボンニュートラルへの取組が行われるようになり、化石燃料からの再生エネルギーへの大転換が加速され、世界も大きく変わろうとしております。
このような中、時代の流れとしては分かりますが、これまで化石燃料を活用した我々事業者に対しても、もう少し、事業転換の方向性や具体的な転換支援、施策が示されてもいいのではないか、これまでも我々はそれぞれの地域に少なからずも貢献してきた自負もある。今の状況は、自分たちが納めた税金で電気自動車への補助金等が出され、自分たちの首を絞められている状況に思えてならないという不満を聞くのであります。
そこで、これらの事業者の思いや意見に対し、県の見解と今後の取組をお示しください。
最後に、知事に申し上げます。
カーボンニュートラル実現に向かって、県民への塩田県政の本気度を示す取組として、地域を生かした政策提言をいたしたいと思います。知事は、カーボンニュートラル実現への取組、そしてCO2フリーの島づくりを高らかに掲げておられます。
そこで、これらの目標を名実ともに実現、推進する知事のビジョンとして、本県の大きな旗印として、地域の特徴を最大限に生かした今の時代だからこそ打ち出せる政策として、水が豊富で水力発電の島・屋久島から、水源に乏しい化石燃料での発電の島・種子島への送水と送電の実現を目指す、このような大きな構想を掲げていただきたいのであります。
地域の特徴を最大限に生かした地域づくり、島づくりなど、鹿児島県におけるカーボンニュートラル実現に向けて、塩田知事のカラーを今こそ出していただきたい。
今日もいろいろ議員の皆さんからもお話がありました。知事の姿が、思いが感じられない。何かするにも大きな目標を立てて、ぜひとも知事のこれからの意気込みというものを見せていただきたい。そのように考えております。ぜひとも、このことも含めて知事の見解と意気込みを改めて伺います。
[知事塩田康一君登壇]
72 ◯知事(塩田康一君)カーボンニュートラル実現に向けた意気込み等についてでございます。
カーボンニュートラルの実現に向けた政策については、今年度、学識経験者や関係団体等で構成する二〇五〇年鹿児島ゼロカーボン推進委員会において、今後の施策展開や県地球温暖化対策実行計画の見直し等に当たって、様々な立場から意見や助言を頂いたところであります。
また、事業者や県民に対し、県が行っている取組への評価や、今後県が進めるべき取組等に関するアンケート調査を実施したところであります。
さらに、県内各地で実施した知事とのふれあい対話や、
かごしま未来創造ビジョン見直し有識者委員会においても、カーボンニュートラルの実現に関する意見や要望が出されているところであります。
これらの意見やアンケート調査結果、法改正や国の地球温暖化対策計画の改定等を踏まえ、今月中に、鹿児島県における二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた今後の施策展開を取りまとめることとしております。
その内容といたしましては、運輸部門や農業における温室効果ガスの排出量が比較的多いなどの本県の地域特性を踏まえた効果的な温室効果ガス排出削減対策を講じること、火力発電に依存せざるを得ない離島において、再生可能エネルギーの導入を推進すること、脱炭素経済社会に向けた今後の動きを踏まえながら、事業者による積極的な温室効果ガス排出削減や新分野への参入、事業転換等を促進することなどを盛り込んでおります。
来年度の県地球温暖化対策実行計画の見直しにおいては、今後の施策展開の考え方を踏まえ、地域の特性を生かした地産地消型の再生可能エネルギーの導入促進や水素利活用の推進、カーボンニュートラルポート形成の推進、県内企業における脱炭素経営の促進等の新たな項目を追加した上で、具体的な取組について検討することとしております。
県としては、県民、事業者、行政が力を合わせて、一体となって地球温暖化対策を積極的に推進し、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指してまいりたいと考えております。
73 ◯土木部長(兒島優一君)持続可能な地域づくりについてのうち、立地適正化計画の作成状況及び県の取組方針についてであります。
立地適正化計画は、平成二十六年の都市再生特別措置法の改正により制度化されたものであり、人口減少・少子高齢化が進行する中、都市全体の構造を踏まえ、居住機能や医療・福祉・商業等の都市機能の誘導と公共交通の充実に関する包括的なマスタープランであります。
本計画は、都市計画区域内の区域について市町村が作成することができることとなっており、令和四年二月末現在、本県における作成状況は、都市計画区域を有する三十五市町のうち、鹿児島市など四市で作成済み、徳之島町など六市町で作成を行っているところであります。
県の都市計画基本方針では、コンパクトな都市づくりを進めながら、活力にあふれ、個性豊かで魅力ある都市づくりを目指すことを基本理念としており、これまで、立地適正化計画の作成について、市町村への個別説明や合同説明会を開催しているところでございます。
今後とも、市町村に対し、必要な助言や情報提供を行うことにより、立地適正化計画の作成に向けた取組を促進してまいります。
屋久島における今後のまちづくりに向けた取組状況についてであります。
屋久島町の都市計画区域は、宮之浦地域を中心とした上屋久都市計画区域と、安房地域を中心とした屋久都市計画区域の二つの区域があり、市街地を形成しております。
一方、上屋久都市計画区域に隣接した小瀬田地域は、屋久島町役場の新庁舎移転や商業施設の増加等により、今後も人口動態や土地利用状況の変化が見込まれております。
このようなことから、今後のまちづくりの在り方を検討するため、本年度、人口・土地利用や建物等の状況を把握する都市計画基礎調査を実施したところでございます。
県といたしましては、屋久島町と連携しながら、人口減少など社会情勢の変化と都市計画基礎調査の結果等を踏まえ、都市計画区域の見直しを検討するとともに、屋久島町に対し、立地適正化計画の作成など、都市計画制度の運用等について助言してまいります。
74 ◯地域政策総括監(房村正博君)洋上風力発電についてでございます。
洋上風力発電事業については、再エネ海域利用法に基づき、国が洋上風力発電の開発を認める促進区域の指定を行った上で、公募により事業者を選定することとなっております。
促進区域の指定に当たっては、国が都道府県等から情報収集を行った上で、国・県・市町村をはじめ、漁業者などの利害関係者、学識経験者等で構成される協議会における合意形成などを経ることとされております。
国への情報提供に当たっては、促進区域として想定される区域の気象、海象等の自然的条件、航路等への影響、漁業への支障などの情報に加え、利害関係者を特定し、協議を開始することについて同意を得ているかなどの情報が必要となっているところでございます。
今年度も国から情報提供に係る意向確認の照会があったところであり、現在、関係市やその他利害関係者に対し、意向調査を行っているところでございます。
県といたしましては、国の促進区域の指定に関する基準や、漁業者などの利害関係者をはじめ地元の意向等を踏まえながら、国への情報提供について、対応を検討してまいりたいと考えております。
75 ◯環境林務部長(松下 正君)屋久島CO2フリーの島づくりに向けた取組についてでございます。
水資源が豊富な屋久島は、島内のほぼ全ての電力をクリーンな水力発電で賄うという世界でもまれな地域であります。
県においては、この屋久島の水が生んだ電気で車を走らせるというモデル性・発信性の高い取組を行うことや、脱炭素社会地域づくりに関する地域住民の機運の醸成を図ることにより、温室効果ガスの排出が抑制された脱炭素社会の先進的な地域となるよう、地球温暖化対策を積極的に推進することとしております。
その実現に向けて、これまで、電気自動車や充電設備の導入促進、住民への意識啓発や島外へのPRなどの取組を進めてきたところであります。
屋久島における電気自動車の導入状況についてでございます。
県においては、平成二十二年度から二十九年度までの八年間、屋久島において電気自動車の導入に対する補助を行い、二百十九台が導入されたところであります。
また、現在、県屋久島事務所の公用車のうち七台、屋久島町の公用車のうち二台が電気自動車となっております。
電気自動車の導入に対する補助を行ったことにより、平成二十九年度の時点において、全国における電気自動車の割合が約〇・一%であったのに対し、屋久島は二%に達するなど、一定程度の普及が図られたところであります。
屋久島におけるカーボンニュートラル実現についてでございます。
全国の各地域においては、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、再生可能エネルギーの導入に向けた取組が進められつつあります。
そのような中、屋久島は、水資源が豊富で、島内のほぼ全ての電力をクリーンな水力発電で賄うという世界でもまれな地域であるものと認識しております。
県としては、温室効果ガスの排出が抑制された脱炭素社会の先進的な地域となるよう、地球温暖化対策を積極的に推進することとしており、令和四年度予算においては、県が屋久島に設置する四基の急速充電設備の維持管理及び更新や、電気自動車の災害時における活用方法等を紹介する体験会の開催に要する経費などを計上しております。
また、離島における電気自動車等の購入や、県内の事業者等が行う充電設備・省エネ設備等の導入を支援することとしております。
カーボンニュートラル実現に向けた取組として、屋久島から種子島への送水と送電についてでございます。
カーボンニュートラルの実現に向けた取組としての屋久島から種子島への送水や送電については、両島における水道・電気の需要と供給の動向を勘案するとともに、両島間の地理的状況に起因する技術的な課題や費用対効果などを検証することが必要ではないかと考えられるところであります。
76 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)化石燃料関連事業者への県の取組等についてでございます。
化石燃料であるガソリンや灯油等の販売を行うサービスステーションについて、国は、昨年十月に策定したエネルギー基本計画において、電気自動車へのエネルギー供給等も担う総合エネルギー拠点化や、地域ニーズに対応したサービス提供も担う地域コミュニティーインフラ化などに取り組むとしております。
また、資源エネルギー庁では、地域における新たな燃料供給体制構築支援事業において、サービスステーションの先進的なビジネスモデルの実証事業等を支援し、地域の燃料供給体制を確保することとしております。
県は、新事業にチャレンジする中小企業等の計画策定や設備投資等を補助金や融資制度により支援しているところでございます。
県としては、関係機関とも連携し、これらの支援制度等の周知・広報や活用促進を図りながら、サービスステーション等が社会経済環境の変化に対応するために行う事業再構築を支援してまいりたいと考えております。
77 ◯日高 滋君 自席より再質問させてもらいます。
先ほど電気自動車の説明がございましたが、たしか平成二十二年から始まっていると思っているんですが、そのとき、どこまで、何台どういう目標を持ってやったのか、そこら辺をお教えいただけますか。
それから、これは知事にお伺いいたしたいと思いますが、洋上風力の関係でございます。お話がありましたが、ぜひ知事の思いをお聞きしたいと思っております。先ほどの私の思いを受けて、知事の洋上風力、そして情報提供についての考え方をお教えいただきたいと思います。
78 ◯環境林務部長(松下 正君)電気自動車の導入の目標についてでございますけれども、当該補助開始時に設定した目標台数は二百二十台でございまして、先ほど二百十九台ということですので、平成二十八年度におおむね達成しているものと考えております。
79 ◯知事(塩田康一君)昨日も議論になりましたけれども、再生可能エネルギーの導入というのは、カーボンニュートラルの実現に向けて、また地域の経済への波及効果といった観点からも大変重要な課題で、推進していくべきものと考えております。
また、政府のほうでも、そういった中で風力発電というのを重要な電源だと位置づけていると考えております。一方で、地域における理解、そして自然への影響等ということもしっかりと見極めた上で、今後進めていく必要があると考えております。
80 ◯日高 滋君 知事、どうもありがとうございます。
確認という意味でお聞きいたしましたが、いろいろと課題はあるということですが、それらをしっかりと整理して洋上風力というものを進めていく。そういう意味で最終的には国へ情報提供していく、環境づくりを今やっているんだと、そのように受け取ってよろしいでしょうか。
81 ◯知事(塩田康一君)県といたしましては、業者のほうにも地元に丁寧に説明するようにということを申し上げておりまして、そういった中での地元の状況というものをしっかりと見極めていきたいと思っております。
[日高 滋君登壇]
82 ◯日高 滋君 それぞれ御答弁頂きました。
持続可能な地域づくりでありますが、人口を増やすための移住を募る活動もするなど、いろいろな考え方もあると思いますが、これも集約、集住につながっていくものだと思っております。人口減少・少子高齢化、そして先ほども申しましたが、厳しい財政状況が進む中で、これからの地域を存続させるためには、住みやすく日常生活を送れる居住と各種機能が集約されたコンパクトなまちづくりが、どんな地域でも必然的に求められてくるものだと思っております。
一定のエリアへの集住への理解が簡単に得られるものとは私も思っておりません。しかし、それでもこれらの状況を見越した根気強い取組こそが、息の長い持続的な地域づくりにつながっていくものだと思っております。
そういう意味では、先ほど申し上げました私の町の小瀬田地域の新しいまちづくりが進められる状況をしっかりと注視していきたいなと、かように思うところであります。
洋上風力でありますが、国への情報提供も今回については二月四日から四月二十八日であります。本県の経済発展、そして知事の言われる「稼ぐ力」のまさにその観点からも、あらゆる取組をされて、国へ情報提供され、そして目的達成を果たしていただきたい。そのように思うところであります。
化石燃料関連事業者への支援についてでありますが、あえてこのことを取り上げましたのは、再生可能エネルギーへの大転換の中で、これまで主役であったものが脇役、そして消え去ろうとする中で、自分たちの立ち位置が分からず、もがき苦しんでいる、特に母ちゃん、父ちゃん、そして家族でやっている小規模事業者の皆さんの実情を知っていただきたいという思いであります。どうぞこのことにも御配慮賜りますようお願いいたします。
先ほど、知事の本気度を示す強いメッセージの旗印として、送水と送電を申し上げましたが、このことは、私が県議会議員に当選した一期目の平成十二年に、種子・屋久の振興の取組の一環として当時の須賀知事に提案したものであります。そのときは、種子島・屋久島を海底トンネルでつなぎ、そして送水・送電の実現を迫りました。電気自動車も走らせたらどうかと迫りました。知事からは、大きな夢としてそのときは一蹴されました。
しかし、今回はまさに時代の要求であります。地域を生かした送水と送電は、今の時代だからこそ言えるものであり、また、現在、海外から輸入されております水素につきましても、本県の離島、島々で生産される時代が来るのではないかと、私はそのように今、感じております。今いろんな意味で大変な時代になってきております。そういう意味では、カーボンニュートラル号の船長である知事には、高らかにこれらの旗を上げていただきたいと思うのであります。
今日もロシアのウクライナへの侵攻、攻撃が変わらず続いております。岸田総理も国民へ燃料、エネルギーの節約を訴えておりました。そしてまたコロナもまだまだ終息が見えない状況で、課題の多い大変な時代となってまいりました。それでも塩田知事の下、鹿児島県丸は前進していかなければなりません。
そういう意味では、私も県議会議員の一人として、県民の皆さんのためにこれからもしっかりと取り組んでまいりますことを申し上げ、そして、ロシアのウクライナへの侵攻とコロナの一日も早い終息が訪れることを願いながら、私の一般質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
83 ◯議長(田之上耕三君)以上で、通告による質問は全部終了いたしました。
これで、質問は終結いたします。
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84 △ 議案第一号─議案第二〇号、報告第一号委員
会付託
◯議長(田之上耕三君)次に、議案の委員会付託であります。
今回提出されました議案第一号から議案第二〇号まで及び報告第一号は、配付いたしております議案付託表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
これで、本日の日程は終了いたしました。
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85 △ 日程報告
◯議長(田之上耕三君)三月八日は、午前十時から本会議を開きます。
日程は、議案の委員長報告、質疑、討論並びに表決などであります。
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86 △ 散 会
◯議長(田之上耕三君)本日は、これで散会いたします。
午後三時三十五分散会
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