鹿児島県議会 2022-02-24
2022-02-24 令和4年第1回定例会(第2日目) 本文
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午前十時開議
△ 開 議
◯議長(田之上耕三君)ただいまから、本日の会議を開きます。
本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。
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議 事 日 程
一、開 議
一、代表質問
園 田 豊 君
桑 鶴 勉 君
一、散 会
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2 △ 代表質問
◯議長(田之上耕三君)代表質問であります。
園田豊君に発言を許可いたします。
[園田 豊君登壇](拍手)
3 ◯園田 豊君 令和四年第一回定例会に当たり、
自由民主党県議団を代表して質問いたしてまいります。
本日は、恒例の大島紬着用の日であります。
伝統的工芸品産業振興議員連盟の呼びかけにより、知事をはじめ執行部の皆様方、同僚議員が大島紬製品を着用しての本会議となりました。
毎年、この機会を捉え、本県が国内外に誇る、大島紬、薩摩焼、川辺仏壇など
伝統的工芸品の価値を再確認し、その振興を図るため、県と関係業界が一体となった取組を要望しております。
今議会に提案された三月補正予算案には、
伝統的工芸品高付加価値化・
需要開拓強化事業が新規事業として計上されております。引き続き幅広い取組に力を入れていただくよう要望するところであります。
さて、
新型コロナウイルスの感染者が令和二年一月十五日に初めて国内で確認されて以来、二年以上が経過いたしました。昨年十一月末、国内での新
変異株オミクロン株の感染確認により、年明け以降、感染は爆発的拡大を続け、累計の感染者数は約四百六十万人、死者数は約二万二千人に上ります。今なお、感染の波を繰り返しながら、世界各地で猛威を振るい続け、多くの人命が失われ、経済にも大きな打撃を与えております。
県内でも、年明け以降の
オミクロン株の急拡大により、二月一日には、昨年の第五波時の最多二百五十一人を大きく上回る七百四十四人の新規感染を記録し、その後も増減しながら高止まりを続けている現状に、県民はかつてない危機感を持っているところであります。これまでの県内の
累計感染者数は二万九千人を超え、百十四人の方がお亡くなりになっております。
亡くなられた方々の御冥福をお祈りし、心から哀悼の意を表します。
また、厳しい環境の中で最前線で献身的な努力をされている医療従事者をはじめ、救急搬送、高齢者施設などの感染症対応に御尽力いただいている全ての関係者の方々に心から感謝申し上げます。
これらの状況を踏まえつつ、早速、通告に基づき質問してまいります。
初めに、
新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
昨年十一月末、
新型コロナウイルスの
変異株オミクロン株が出現して以降、国は水際対策を強化してきましたが、各地の
在日米軍基地でのクラスターの発生を契機に、冬休みや年末年始の帰省、旅行等による人流の増加に伴い、感染は急拡大の一途をたどったことから、先月九日から沖縄県などへ、
まん延防止等重点措置を適用し、現在、本県を含む三十一都道府県が適用下にあります。
この間、国は、濃厚接触者の待機期間の短縮や、ワクチン・
検査パッケージの原則停止、
ワクチン接種時期の前倒し及び対象者の拡大、在宅・宿泊療養の強化、さらに治療薬の特例承認及び提供など、随時、対策の見直しを行ってきました。
県内においても、先月五日には
オミクロン株の感染者を初めて確認し、同月八日には知事が奄美大島に県独自の
緊急事態宣言を発令し、
第三者認証店を含む飲食店に対し、十一日から営業時間短縮などを要請しました。その後、同月十九日には県全域に
爆発的感染拡大警報を発令するとともに、鹿児島、霧島及び鹿屋の三市の飲食店に対しても、二十一日から営業時間の短縮などの要請を行いました。
今回の感染拡大の主流となっている
オミクロン株のBA・1系統は
重症化リスクは低いとされる一方で、感染力が極めて強いとされます。このような中、国内においてもBA・1系統を上回る感染力を持つとされる派生型のBA・2系統も検出されるようになっています。感染者が多くなれば、重症者の増加につながり、
医療提供体制が逼迫し、また、感染拡大の波が
エッセンシャルワーカーに及んだ場合には、社会機能が不全に陥る可能性があります。
県ではこれまで、感染者は原則入院・入所とする中において、受入れ体制が整わず
宿泊療養施設に入所できないことから、家庭内感染が発生するなどの事例が生じていました。
こうした状況を受け、
自民党県議団としては先月二十一日、
まん延防止等重点措置の国への早期要請を求め、緊急申入れを行いました。その後、県からの要請に基づき、一月二十七日から二月二十日までの間、
まん延防止等重点措置の適用が決定されたことから、県は県内全域を措置区域とし、県内全域の飲食店に対し、適用期間中の営業時間の短縮などを要請いたしました。
現在、県内においては、飲食店や児童施設、学校、高齢者施設など、県内の至るところでクラスターが発生し、年明け以降の死者数も四十八人に上るなど、感染拡大に歯止めがかからない状況となっております。
そのような状況の中、県は今月十五日、国に対して、
まん延防止等重点措置の適用期間の延長を要請し、三月六日までの延長が決定されました。
県民が
新型コロナウイルスに罹患した場合であっても、ひとしく適切な医療に結びつけることができるよう、また、先般の高
病原性鳥インフルエンザ対応などの非常事態や複合災害などが同時期に発生した場合においても、可能な限り安定した社会生活が送れるよう、知事におかれては、本県の状況を総合的に俯瞰し、
医療提供体制を維持できるよう、万全を期す必要があります。
あわせて、コロナ対策は国及び県において逐次見直しが行われることから、県民が不安を抱くことのないよう、その都度、説明や周知を丁寧に行うとともに、県内経済への影響を最小限に抑える努力が必要となります。
そこで伺います。
第一点は、県内の感染状況と今後の見通しをお示しください。
第二点は、今回の第六波については、感染拡大が先行した地域の傾向を踏まえ、本県における第五波までの知見や課題を基にその対応に当たるべきと考えますが、知事が認識される本県のコロナ対策の課題と、その課題を踏まえた現在の取組をお示しください。
第三点は、本県の感染者の入院、
宿泊療養施設への入所、自宅待機などについて、その入退院の基準と、各医療圏ごとの確保・稼働状況をお示しください。
第四点は、自宅待機者が一時四千人を超えるなど医療へのアクセスへ不安が残ることとなったことから、その原因と稼働率向上に向けた取組をお示しください。
あわせて、自宅待機をしている感染者に対応する各医療圏ごとの医療機関数と、感染者に対する健康管理や支援策についてもお示しください。
第五点は、濃厚接触者の定義と待機期間を、
エッセンシャルワーカーなどの
社会機能維持者の取扱いを含めてお示しください。
第六点は、
PCR等検査無料化事業の概要と、実施事業者の登録状況及び検査実績をお示しください。
第七点は、本県の
ワクチン追加接種の接種状況と、県が設置している大
規模接種会場の概要と予約・接種状況をお示しください。
第八点は、県内の治療薬の提供体制をお示しください。
第九点は、高齢者施設、児童施設、学校などの
感染拡大防止対策についてお示しください。
第十点は、これまで飲食店の
第三者認証店の登録店舗数が他の都道府県と比べ低調でありましたが、現在の認証状況と普及のための取組についてお示しください。
次に、総務関係であります。
令和三年度三月補正予算案についてお伺いいたします。
我が国の経済の状況は、
新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあり、各機関による今年度の経済成長率の見通しは下方修正が相次いでいます。他方、コロナ下において、デジタル化が急速に進むなど社会に変化の兆しが現れており、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けても、産業構造や社会構造に変革をもたらし、大きな成長につなげていくことが喫緊の課題となっています。
このような中、政府は、
新型コロナウイルス感染症対策に万全を期すとともに、社会の変化の兆しを捉え、思い切った投資を行うことにより、成長と分配の好循環を実現するため、コロナ克服・新時代開拓のための経済対策を策定し、その裏づけとなる令和三年度補正予算を編成いたしました。
過去最大の三十六兆円となった補正予算は、
新型コロナウイルス感染症の拡大防止、
ウィズコロナ下での
社会経済活動の再開と危機管理の徹底、未来社会を切り拓く新しい資本主義の起動、国民の安全・安心の確保の四つを柱とした経済対策に基づき、いわゆる十六か月予算の考え方により、令和四年度当初予算と一体的に編成されたところであります。
さらに、補正予算では、経済対策の柱でもある
新型コロナウイルス感染症の拡大防止において、
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の枠組みを活用し、地方の実情に合わせた取組を支援するとし、同交付金に六・八兆円を追加計上しており、自治体が独自の
新型コロナウイルス感染症対策に使える
地方単独事業分として、本県には八十六億円の限度額が示されたところであります。
地方単独事業分の同交付金における
交付対象事業の基本的な考え方は、引き続き、
新型コロナウイルスの感染拡大の防止及び感染拡大の影響を受けている地域経済や住民生活の支援などを通じた地方創生に資する事業に自由度高く活用することが可能となっております。
そこでお伺いいたします。
第一点は、国の経済対策に基づく補正予算に対応した本県の補正予算案の考え方についてお示しください。
第二点は、
地方単独事業分の
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金についての使途の考え方についてお示しください。
次に、令和四年度当初予算案についてお伺いいたします。
政府は令和四年度予算案を閣議決定いたしました。一般会計の歳出総額は百七兆五千九百六十四億円と、十年連続で過去最大規模となり、一体的に編成された令和三年度補正予算と合わせて百四十三兆円を超える大型の財政出動が示されました。
新型コロナウイルス感染症対応に万全を期しつつ、成長と分配の好循環による新しい資本主義を実現していくための予算案は、看護や介護、保育分野の賃上げなどの施策が盛り込まれ、分配の原資を生み出す成長戦略として、
科学技術立国、
デジタル田園都市国家構想、
経済安全保障の三分野について重点的に投資するものとなっています。
また、令和四年度
一般会計税収は、
実質経済成長率を前年度比三・二%とする
政府経済見通しに基づき、令和三年度当初予算比一三・六%増の六十五兆二千億円と見積もりました。
新型コロナウイルスワクチンの普及などを背景に、低迷していた経済活動が本格的に再開し、景気が順調に回復すると想定していますが、感染状況がこの先どうなるか、依然予断を許しません。
さらに、令和四年度末には普通国債の残高が千二十六兆円に達する見通しとなっており、名目GDPの一・八倍という多大な借金を抱え、将来世代に負担を回す構図が続いております。
政府は、力強い成長を実現し、骨太の方針に基づく取組を継続した場合には、名目三%超の高い経済成長が続くことが想定され、社会保障費の抑制など、従来と同様の歳出改革を続ければ、国と地方の
基礎的財政収支を二〇二五年度に黒字化する目標の達成は可能であるとしており、経済を立て直しつつ、財政健全化に向けてもしっかりと取り組むとしています。
地方財政対策については、地方の
一般財源総額について、水準超経費を除く
交付団体ベースで前年度と同水準の六十二兆円が確保され、また、
地方交付税総額は、
リーマンショック後、最高となる今年度より六千億円多い総額十八兆一千億円が確保されました。さらに、
臨時財政対策債の発行額は大幅に縮減され、財政健全化にも配慮するなど、全国知事会などでは高く評価しているところであります。
県の令和四年度当初予算案は総額約八千七百億円と、令和三年度当初予算を二百五十億円程度上回る見込みとなっており、五年
連続プラス編成となりました。最優先課題とする
新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、基幹産業や企業の「稼ぐ力」の向上、
デジタルテクノロジーを活用した県民の暮らしの質の向上を目指す施策などが盛り込まれております。
そこでお伺いいたします。
第一点は、令和四年度の当初予算編成の基本的な考え方と具体的な施策についてお示しください。
第二点は、同予算の歳入における県税収入─プラス九・七%の要因─及び地方交付税の見積りについてお示しください。
第三点は、昨年度、本県の収支見通しが示されましたが、国の
地方財政対策を踏まえ、本県の財政運営上の今後の見通しについてもお示しください。
次に、
危機管理防災関係であります。
川内原子力発電所の
特別点検実施における県の検証等についてお伺いいたします。
県は、原則四十年の運転期限が迫る川内原発の
運転期間延長申請を見据え、
県原子力専門委員会に、原子力政策に批判的な方を含め、運転延長に関する科学的・技術的な検証に必要な専門分野における学識経験者四名を新たに特別委員として委嘱し、専門委員会の委員二名及び特別委員四名の計六名で構成する分科会において、九州電力が実施する特別点検の結果や原子炉などの劣化状況の評価の内容などについて科学的・技術的な検証を行うこととしており、先般、第一回の分科会が開催されたところであります。
分科会は、検証を行った結果を専門委員会に報告し、県は、専門委員会において取りまとめられた意見などを踏まえ、九州電力が
運転期間延長申請を行う場合には、九州電力及び
原子力規制委員会に対し、厳正な対応を要請するとしています。
今般、県は、分科会からの提案を踏まえ、委員を追加することとしたところです。
原子力発電については、昨年十月に閣議決定された第六次
エネルギー基本計画で、
原子力発電所の新増設や建て替えは盛り込まれていなかったものの、可能な限り原発依存度を低減するものとした従来の方針を維持する一方、二〇三〇年度の発電量に占める比率を二〇から二二%とする目標を据え置き、安全性確保を前提に、必要な規模を持続的に活用するとされたところであります。
九州電力においては、昨年十一月に川内原発で重大な事故が発生した際の対応拠点となる緊急時対策棟の運用を始めました。県は、今後も専門委員会での意見などを踏まえ、
原子力防災訓練の実施や避難計画の見直しなど、さらなる川内原発の安全対策・防災対策の充実・強化に取り組む必要があります。
そこでお伺いいたします。
第一点は、さらに分科会の委員を追加するに至った経緯と人選の考え方についてお示しください。
第二点は、専門委員会では分科会の検証結果を踏まえて意見の取りまとめを行うこととされていますが、分科会における今後の
検証スケジュールについてお示しください。
第三点は、今年度の
原子力防災訓練の結果を踏まえた総括及び今後の課題についてお示しください。
[
知事塩田康一君登壇]
4 ◯知事(塩田康一君)まず、県内の
新型コロナウイルス感染症の感染状況と今後の見通しについてでございます。
ここ数日、一週間当たりの
新規感染者数が前の週と比べて減少傾向となっております。しかしながら、クラスターも続発し、二月一日には
新規感染者数が七百四十四人と七百人を超え、過去最多を更新し、この数日も依然として高い水準の感染状況が続いております。
最近の感染の機会としては、家族・親族、職場、学校・児童施設、高齢者・介護施設での感染が拡大しており、十歳未満のお子さんや高齢者の感染が増えております。また、医療機関での感染も増加傾向となっております。
病床使用率は、ここ数日五〇%台で推移しており、これとは別に、コロナ病床以外の病床に入院されている方もおられます。
医療機関での
クラスター発生や、医療従事者やその家族が濃厚接触者になることで業務に従事できない
医療スタッフが増えており、病床使用率の数値以上に医療機関は逼迫しており、これ以上感染が拡大すれば、一般医療を制限しなければならなくなることも懸念される状況であります。
確保病床以外の病床も含む入院患者は、二月二十二日時点で三百六十五人で、このうち六十歳以上の方が約八割の二百九十一人となっており、また、重症の方が五人、中等症IIが五十六人と多くなっているところであります。
今後の感染状況の見通しについては、家庭における感染割合が高い期間が長期間継続しており、今後も、児童施設、学校から家庭、医療機関、高齢者施設を含む職場への感染につながる可能性が懸念されることから、予断を許さない状況であると考えております。
次に、
新型コロナウイルス感染症対策の課題と現在の取組についてでございます。
昨年十二月に、第五波の感染状況を踏まえ策定した保健・
医療提供体制確保計画においては、それまでの
最大新規感染者数が一日二百五十一人確認された場合でも対応可能な体制を構築することとし、七百十一床の病床と千七百五十七室の
宿泊療養施設を確保したところであります。
その後、さらなる
医療提供体制の確保に取り組み、今月二十日時点で、七百十七床の病床を確保するとともに、
宿泊療養施設についても、千八百一室を確保しているところであります。
また、第五波の際には、
宿泊療養施設への入所調整に時間を要したことから、民間企業への委託を通じ、入所手続の円滑化や入所体制の拡充を図り、感染者急増時にも機動的に対応できる体制を確保したところであります。
保健所の業務負担の軽減については、感染者の急増に伴う
積極的疫学調査や健康観察などの保健所業務の増加に対応するため、県庁内での応援体制を整えるとともに、市町村の協力や民間事業者を通じた人員派遣などにより、保健所体制の強化を図っているところであります。
オミクロン株が主体の第六波においては、ウイルスの感染・伝播性が強く、これまでの想定を上回る感染状況となり、一時、自宅待機している方が約四千人となったところであります。
このような中、医師が必要と判断された方については適切に入院していただいており、
宿泊療養施設については、高齢者や基礎疾患のある方と同居されている方や、自身に
重症化リスクがある方に優先的に入所していただいております。
一方、軽症・無症状の方で、
宿泊療養施設に入所していない方々に対しては、県では、パルスオキシメーターを配布し、保健所による健康観察に万全を期すとともに、希望する方に対しては生活物資の支援を行っているところであります。
感染状況については、依然として高い水準が続いており、
医療提供体制への影響が懸念されたことから、さらなる
感染防止対策に取り組んでいくため、今月十五日に
まん延防止等重点措置の延長を国に要請し、三月六日までの延長が決定されたところであり、引き続き、県内全域を措置区域として、飲食店の営業時間短縮等の要請を行っているところであります。
県では、感染が拡大している児童施設、学校、高齢者施設において、これ以上の感染拡大を防止するため、
感染防止チェックリストを用いた緊急点検の実施を要請したところであり、今後、この点検結果を踏まえ、対策が不十分な施設等へ
感染防止対策のさらなる徹底について助言等を行うこととしております。
また、特に感染が拡大している鹿児島市、霧島市、姶良市の高齢者施設や児童施設の従事者、学校の教職員を対象として、
集中的PCR検査を順次実施しているところであります。
さらに、ワクチンの追加接種の加速化を図るため、市町村における接種に対して、必要に応じて医療従事者の派遣等の支援を行うとともに、鹿児島市、鹿屋市、薩摩川内市の三か所に大
規模接種会場を設け、約一万五千人の県民の方を対象に接種を行っているところであります。
県においては、現在発令している
爆発的感染拡大警報を継続し、県民の皆様に注意喚起を行うとともに、外出、移動、会食等の際の感染防止の徹底について要請を行っているところであります。
県としては、引き続き、強い警戒感を持って感染状況を注視しつつ、専門家の御意見を伺いながら、
感染防止対策に取り組んでまいります。
国の経済対策に基づく補正予算に対応した本県の三月補正予算案の考え方についてでございます。
国においては、いわゆる十六か月予算の考え方により、令和四年度当初予算と一体的に編成した令和三年度補正予算において、コロナ克服・新時代開拓のための経済対策に基づき、
新型コロナウイルス感染症の拡大防止や、
ウィズコロナ下での
社会経済活動の再開と危機管理の徹底などに重点的に取り組むこととしております。
県としては、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、引き続き県民生活や県経済への大きな影響が及んでいる状況を踏まえ、令和三年度三月補正予算において、国の補正予算にも積極的に対応し、
新型コロナウイルス感染症に係る
医療提供体制の整備や
感染拡大防止等に要する経費や、飲食業や
観光関連産業等における需要喚起に要する経費、
公共交通機関、製造業、
サービス業等の事業者への支援に要する経費を計上しております。
これらに加え、国の補正予算に対応した各種交付金・補助金を活用した事業などを追加計上した結果、令和三年度三月補正予算の総額は四百二十九億円となっております。
次に、令和四年度の当初予算編成の基本的な考え方と具体的な施策についてであります。
令和四年度当初予算については、新たに策定する
行財政運営指針案を踏まえた行財政改革を着実に進めつつ、持続可能な
開発目標SDGsの理念も踏まえ、
新型コロナウイルス感染症の
拡大防止対策や
医療提供体制の確保、県民の安心・安全と経済活動、社会活動の両立を図るための施策、鹿児島の基幹産業である農林水産業、
観光関連産業や企業の「稼ぐ力」の向上に資する施策、
デジタルテクノロジーを活用した県民の暮らしの質の向上に資する施策、脱炭素社会の実現と豊かな自然との共生のための施策、移住・交流の促進のための施策などを積極的に推進することとし、令和三年度三月補正予算と一体的に編成を行ったところであります。
特に力を入れた点としては、一点目は、
新型コロナウイルス感染症対策について、
医療提供体制・
感染防止対策に万全を期すとともに、
新型コロナウイルスの感染急拡大により回復しつつあった観光や個人消費に落ち込みが見られることなどを踏まえ、こうした経済的影響を克服するための経済対策として、飲食業や
観光関連産業等の需要喚起策に大きな予算を投入した点であります。
また、二点目は、企業・観光事業者の「稼ぐ力」の向上のために、サービス業・製造業・
食品関連製造業の生産性向上や、宿泊業等における
受入れ環境向上等のための、これまでにない規模の大型補助金を設けた点であります。
具体的な施策について申し上げますと、
新型コロナウイルス感染症の
拡大防止対策や
医療提供体制の確保については、引き続き、
重点医療機関等の空床確保、
宿泊療養施設の確保・運営、ワクチンの追加接種の円滑化のための個別接種・職域接種の支援、高齢者施設や障害者施設などの
感染防止対策への支援などに取り組んでまいることとしております。
経済対策については、旅行需要喚起について、国のスキームを基本に旅行商品の割引等を行うこととし、特に離島への旅行に県単独で割引額の上乗せを行うとともに、県民の消費意欲の喚起について、今年度、多くの県民の方に御利用いただいた飲食サービス等の割引クーポンを引き続き発行することとしております。
このほか、サービス業、製造業の生産性向上の取組に対する支援や
伝統的工芸品製造事業者等の販路開拓等の取組に対する支援、路線バスや航路、貸切りバス事業者に対する事業継続のための支援などを行うこととしており、
新型コロナウイルス感染症の関連予算は、令和三年度三月補正と合わせて、
医療提供体制の確保、
感染拡大防止対策に総額約五百五十五億円、経済対策に総額約二百六十七億二千万円を計上しております。
農林水産業の「稼ぐ力」の向上については、新規就農者の支援による担い手の確保、スマート農林水産業の導入・普及による生産性向上、サツマイモ基腐病対策のさらなる推進による防疫対策強化、輸出先国の規制に合わせた商品開発による輸出促進などを行うこととしており、総額約百十億六千万円を計上しております。
観光関連産業の「稼ぐ力」の向上については、県民のマイクロツーリズムの促進のための観光コンテンツの磨き上げ、サイクルツーリズム推進のための環境整備、観光客へのマーケティング調査に基づく効果的なプロモーションなどに取り組むこととしており、総額約百八十三億二千万円を計上しております。
企業の「稼ぐ力」の向上については、スタートアップ企業の資金調達に向けた伴走支援、市場拡大が期待される宇宙産業やドローン関連産業分野での県内企業の参入支援、県内の製造業、
食品関連製造業、サービス事業者の生産性向上の支援などに取り組むこととしており、総額約三十九億四千万円を計上しております。
デジタルテクノロジーを活用した県民の暮らしの質の向上については、鹿児島版MaaSの実証実験、中小企業のデジタル化の支援、県内企業のデジタル人材の育成支援などに取り組むこととしており、総額約四十八億四千万円を計上しております。
このほか、二〇五〇年のカーボンニュートラルの実現に向け、地球環境を守る脱炭素社会づくり及び再生可能エネルギーを活用した地域づくりについて、総額約百八億五千万円を計上するとともに、地方回帰の流れを踏まえ、移住やワーケーションの推進など移住・交流の促進について、総額約三億円を計上しております。
今後とも、誰もが安心して暮らし、活躍できる鹿児島を目指し、時代の変化に的確に対応しながら、県民の皆様と一緒に鹿児島の今と未来をつくるということを基本として、誠実に、着実に、県政の推進に全力を挙げて取り組んでまいります。
次に、
県原子力専門委員会分科会委員の追加の経緯と人選の考え方についてでございます。
県の専門委員会においては、川内原発の運転期間延長に関し、九州電力が実施する特別点検の結果や原子炉等の劣化状況の評価の内容等について、科学的・技術的な検証を徹底的に行っていただきたいと考えており、昨年十二月二十三日に、検証に必要となる材料工学及び建築構造・材料学の分野の学識経験者四名を専門委員会の特別委員として新たに委嘱するとともに、集中的かつ効果的に検証を行うため、同日、専門委員会の委員及び特別委員の計六名で構成する分科会を設置したところであります。
去る一月二十日に開催した第一回分科会において、「分科会での検証作業をより効果的に進めていくため、これまで川内原発の安全対策等について議論を重ねてきた専門委員会の中から、専門性にとらわれることなく、広い見識を持った方を委員に追加することを検討していただきたい」との趣旨の提案があったところであります。
この提案を踏まえ、同専門委員会において幅広い観点から積極的に意見を述べておられる佐藤暁委員に、新たに分科会委員をお願いすることとしたところであります。
5 ◯くらし保健福祉部長(谷口浩一君)
新型コロナウイルス感染症対策に関する御質問のうち、入退院の基準と医療圏ごとの稼働状況等についてでございます。
入院・入所は、医師が必要と判断した方は入院し、それ以外の方は入所を基本といたしますが、施設が逼迫する場合には、高齢者や基礎疾患のある方と同居の方や、自身に
重症化リスクがある方が優先的に入所されます。
退院・退所は、
オミクロン株感染者の有症状者は発症日から十日間かつ症状軽快後七十二時間経過した場合、無症状者は検体採取日から七日間を経過した場合に、医師の判断により行っております。
なお、入所されていない方も、同様の基準により、保健所が解除を判断しております。
一般フェーズの最大確保病床と病床使用率は、二月二十日現在、鹿児島医療圏が二百三十一床、六五%、南薩三十八床、六六%、川薩三十床、三七%、出水三十一床、七七%、姶良・伊佐七十九床、六七%、曽於九床、一〇〇%、肝属三十三床、七六%、熊毛三十三床、六一%、奄美八十床、一九%となっております。宿泊療養の稼働居室数と使用率については、鹿児島医療圏が千百七十六室で五三%、出水が二十室で五〇%、曽於六十三室、三二%、肝属五十三室、六二%、熊毛三十六室、一四%、奄美百二十室、一九%となっております。
次に、自宅待機者増加の原因と
宿泊療養施設の使用率向上についてであります。
自宅待機者の増加については、感染者数が稼働居室数をはるかに超えたことや、自宅を強く希望する方が増加したことなどが一因と考えております。
県としては、さらなる施設の確保に努めますとともに、入所への御理解と御協力を要請しております。
また、人員体制等を増強し、全ての対象者に入所案内を行った上で、毎日百人から百五十人程度が入所しており、使用率も上昇してきたところであります。
今後も、感染者の円滑な入所が進むよう努めてまいりたいと考えております。
次に、自宅待機者に対応する医療機関数と健康管理や支援策についてであります。
県では、自宅待機をしている方にはパルスオキシメーターを配布し、一日一回を目安に体温やせきなどの症状を毎日確認するなど健康観察に万全を期すとともに、希望する方には生活物資の支援を行っているところであります。
また、この間の症状変化時においては、地域の医療機関で電話診療等を行うこととしており、鹿児島医療圏九十六、南薩三十四、北薩三十一、出水十六、姶良・伊佐三十六、曽於三、肝属二十七、熊毛十一、奄美二十八の医療機関が登録されております。
今後とも関係機関と連携し、自宅待機者の健康観察等に適切に対応してまいります。
次に、濃厚接触者の定義と待機期間についてであります。
新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者は、患者の感染可能期間において、患者と同居あるいは長時間の接触があった者、適切な感染防護なしに患者を診察、看護や介護していた者、手で触れることのできる距離で必要な感染予防策なしで患者と十五分以上の接触があった者などとされております。
また、
オミクロン株の濃厚接触者の待機期間は、令和四年一月二十八日付厚生労働省通知により七日間とされたところであり、さらに、
社会機能維持者については、自治体の判断により、抗原定性検査キットを用いた検査で、陽性者との接触等から四日目及び五日目の二回の検査結果が陰性となった場合は五日目に待機の解除が可能とされ、本県でも現在、これを踏まえた取扱いを行っているところであります。
次に、PCR等検査無料化の事業についてであります。
県においては、
新型コロナウイルス感染症患者や濃厚接触者などは行政検査を行い、その対象外の無症状の方で、飲食、イベント等の経済社会活動に当たり必要な方や、感染不安を感じる県民を対象にした検査を無料化しております。
二月二十二日現在で百五十八事業者が登録され、二月二十日までに五万五千七百四十二件の検査を実施し、千二百二人の陽性者を確認したところであります。
続きまして、追加接種の状況及び大
規模接種会場の概要についてであります。
追加接種については、
重症化リスクの高い高齢者等を中心に、市町村や医師会等とも連携しながら接種に取り組んでいるところであります。
二月二十二日時点で約二十七万四千人が接種を終え、総人口に対する接種率は一七・〇%となっております。
こうした中、県では、希望する対象者の接種を早急に完了いたしますため、二月十九日から二十七日まで、鹿児島市、鹿屋市、薩摩川内市に大
規模接種会場を設置し、約一万五千人を対象に接種を行っております。
また、高齢者施設等の従事者、教職員、警察官等に対しては、接種券なしで優先接種の機会を設けますとともに、予約枠に余裕があった鹿屋市、薩摩川内市の会場については、二回目接種後六か月を経過し、希望する方々へ接種券なしでも広く接種の機会を提供しております。
二月二十三日時点の予約率は八二・九%、接種実績は七千三十四人となっております。
続きまして、県内の治療薬の提供体制についてであります。
中和抗体薬は、
オミクロン株に効果があるとされるゼビュディが、一月末現在、五十一医療機関で使用登録がなされております。
経口薬は、ラゲブリオとパキロビッドパックがあり、ラゲブリオは、入院患者受入れ医療機関等において処方を行う体制、及び薬局から経口薬を
宿泊療養施設等に届ける体制を整えております。
なお、二月十五日時点で、ラゲブリオを処方可能な医療機関は三百三十二、対応可能な薬局は百六十九となっております。
また、パキロビッドパックは、現在、入院患者受入れ医療機関でのみ処方が可能となっております。
続きまして、高齢者施設、児童施設、学校などの
感染防止対策についてであります。
高齢者施設、児童施設、学校においては、これまでもガイドライン等に基づく
感染防止対策を行ってきたところでありますが、感染が急拡大したことから、
オミクロン株の特徴を踏まえたチェックリストを作成し、緊急点検を要請したところであります。
また、特に感染拡大している鹿児島市、霧島市、姶良市の高齢者施設等の従事者、教職員を対象とし、
集中的PCR検査を順次実施しているところであります。
さらに、県の大
規模接種会場の
ワクチン接種においては、これらの施設の従事者や教職員の優先枠を設けたところであります。
今後とも、対策が不十分な施設等への助言を行うなど、
感染防止対策をさらに進めてまいりたいと考えております。
次に、飲食店の第三者認証制度の認証状況と普及のための取組についてであります。
飲食店の第三者認証制度については、対象店舗約一万店舗のうち、二月二十二日現在で認証件数は三千六百四十三件となっております。
まん延防止等重点措置の適用に当たり、認証店については、酒類の提供や協力金の上乗せ支給を可能としたことなどを受け、申請・認証件数は増加しております。
県としては、多くの飲食店に第三者認証を取得していただきたいと考えており、新聞広告や県内各地での説明会の開催のほか、認証件数の少ない地域の商工会等への働きかけを行っているところであります。
また、来年度も、
第三者認証店が行う
感染防止対策の物品整備に要する経費を支援いたしますとともに、ぐりぶークーポン券についても、今年度同様、割引額を引き上げることとしております。
今後とも、制度の効果的PRを行い、認証の取得促進、感染防止のレベルアップにより、安心な飲食店の増加に努めてまいりたいと考えております。
6 ◯総務部長(山本 周君)まず、地方創生臨時交付金の使途の考え方についてでございます。
国の令和三年度補正予算で増額されました
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金につきましては、
新型コロナウイルス感染症の拡大防止、人流抑制等の影響を受ける事業や生活・暮らしへの支援、
ウィズコロナ下での
社会経済活動の再開等により地方創生を図りますため、地方公共団体が地域の実情に応じて必要な事業を実施できるとされております。
県といたしましては、今回提案いたしました令和三年度補正予算及び令和四年度当初予算におきまして、同交付金について、昨年措置された事業者支援分を含め、その趣旨を踏まえて積極的に活用いたしまして、
感染拡大防止対策や経済対策等に関する予算を計上したところでございます。
具体的には、介護・障害福祉サービス施設等が行う
感染防止対策への支援、飲食業や
観光関連産業等における需要喚起策、サービス事業者や製造業者が行う生産性向上等の取組への支援、
公共交通機関の事業継続のための支援、文化芸術活動の再開やスポーツ合宿を行う団体への支援などを行うこととしております。
次に、県税収入及び地方交付税の見積りについてでございます。
令和四年度の当初予算における県税収入につきましては、令和三年度当初予算に比べまして総額で九・七%増の千五百七十七億千四百万円と見積もったところでございます。
具体的には、まず、令和三年度の県税収入につきまして、製造業等の企業業績が改善したことなどによる法人二税の増収や、課税総所得金額の総額の増加による個人県民税の増収が見込まれることなどから、令和三年度三月補正予算において増額しておりまして、補正後の総額は、令和三年度当初予算に比べまして九・一%増の千五百六十九億六百万円と見積もったところでございます。
この令和三年度の三月補正予算後の県税収入を基に、本県経済の動向や地方財政計画における税収見込み等を勘案し、令和四年度当初予算の県税収入について見積もった結果、令和三年度の三月補正予算後の見込みに比べまして、総額で〇・五%、八億八百万円増の千五百七十七億千四百万円となったところでございます。
また、
臨時財政対策債を合わせました実質的な地方交付税につきましては、総務省が示した推計手法により算定しておりまして、これによりますと、地方税の大幅な増収などにより基準財政収入額が大きく増加することが見込まれることなどから、令和三年度当初予算に比べ九・八%減の二千八百八十七億五千万円を計上しているところでございます。
次に、今後の財政運営の見通しについてでございます。
令和四年度の
地方財政対策につきましては、地域デジタル社会推進費など、地方に必要な歳出が引き続き計上されたことなどによりまして、
一般財源総額が前年度と同水準確保されたところでございます。
これに加えまして、歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に取り組みました結果、本県の令和四年度当初予算につきましては、財源不足のない予算編成、
臨時財政対策債等を除く県債残高の一兆千億円程度での管理、財政調整に活用可能な基金残高二百五十億円の維持という、
行財政運営指針案でお示ししました三つの財政面の指標を達成したところでございます。
令和五年度以降の本県財政につきましては、国が二〇二五年度の国・地方合わせたプライマリーバランスの黒字化等を目指すという財政健全化目標を堅持する中、地方交付税等について厳しい調整が行われることも予想されることに加えまして、扶助費が増加傾向にあることや、改修や更新を要する県有施設等が増加することなどを踏まえますと、引き続き、予断を許さない状況が続くものと考えております。
このため、
行財政運営指針案を踏まえまして、引き続き、歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に取り組む必要があると考えているところでございます。
7 ◯危機管理防災局長(橋口秀仁君)
危機管理防災関係に関するお尋ねのうち、分科会における
検証スケジュールについてでございます。
本年一月二十日に開催した第一回分科会では、運転期間延長認可制度や特別点検の概要等について確認していただいたところであり、三月下旬頃に開催予定の第二回分科会では、川内原発の特別点検の実施状況などを視察していただくこととしています。
第三回以降の分科会では、三十年目高経年化技術評価結果などの検証を行っていただき、九州電力が
運転期間延長申請を行う場合には、申請内容に基づいて特別点検の結果や劣化状況評価等の検証を行っていただくこととしています。
県では、国による延長申請に関する判断が行われる前に、分科会の検証結果の報告及び専門委員会意見の取りまとめを行っていただきたいと考えており、当該意見等を踏まえて、国及び九州電力に対して厳正な対応を要請することとしております。
次に、今年度の
原子力防災訓練の結果を踏まえた総括及び今後の課題についてでございます。
今月十一日に実施した
原子力防災訓練では、
新型コロナウイルス感染症対策のため、やむなく住民等の参加を取りやめたところですが、一方で感染症流行下を想定し、避難所等における感染症対策の手順を確認するとともに、本年四月から導入予定の原子力防災アプリを活用して避難手続や住民の避難状況の確認を行うなど、新たな取組を実施し、有意義な訓練ができたものと考えております。
今回の訓練につきましては、今後、外部委託による評価・検証結果や、参加された関係機関や県専門委員会の御意見を踏まえて、課題や対応などを整理し、来年度以降の訓練に生かしますとともに、引き続き、県民の安心・安全を図る観点から、川内原発に係る防災対策の充実・強化に取り組んでまいりたいと考えております。
8 ◯園田 豊君 再質問はありません。
9 ◯議長(田之上耕三君)ここで、休憩いたします。
再開は、午前十一時五分といたします。
午前 十時五十三分休憩
─────────────
午前十一時 五分再開
10 ◯議長(田之上耕三君)再開いたします。
園田豊君。
[園田 豊君登壇]
11 ◯園田 豊君 御答弁頂きました。
新型コロナウイルス感染症対策については、国内の
新規感染者数はピークを超えつつありますが、減少ペースは鈍く、また感染者の中心が若年層から高齢者や子供へ移ってきているとのことであります。引き続き感染の収束に向けた課題は山積しており、
感染防止対策と
医療提供体制のさらなる強化に向けて、県、市町村、医療関係者などが一丸となった取組を要望いたします。
令和四年度当初予算案については、十六か月予算として三月補正予算案と一体的に編成し、引き続き
新型コロナウイルス感染防止対策と
医療提供体制の確保を最優先に経済社会活動との両立を図るとともに、コロナ終息後を見据え、基幹産業である農林水産業、観光業、中小企業の「稼ぐ力」の向上に資する施策を積極的に推進し、デジタル化や脱炭素にも力を入れた内容となっております。今後、三月補正予算案と併せて、詳細について審議してまいります。
原子力発電所の特別点検に係る県の検証等については、九州電力に対し、県専門委員会における検証作業に全面的な協力を要請したところであり、まずは今後の分科会における技術的・専門的見地からの安全性の検証を注視してまいりたいと考えております。
次に、商工労働水産関係であります。
企業の「稼ぐ力」の向上についてお伺いいたします。
二〇二一年、
新型コロナウイルス禍は二年目となりました。県内の中小企業などは、
新型コロナウイルスの影響が続く中、感染防止と営業活動の両立を模索しながら事業継続を図ってきました。
昨年、夏以降の
新型コロナウイルス感染者の急増により、本県でも初めて
まん延防止等重点措置が適用され、観光や交通、飲食業界を中心に影響が長期化したところでありますが、九月末の
まん延防止等重点措置解除後、行動制限緩和に伴い、人出は回復し、飲食や観光業は活気を取り戻しつつありました。しかしながら、年明け以降の
オミクロン株による急激な感染拡大に歯止めがかからず、本県にも
まん延防止等重点措置が適用され、知事は一月二十七日から県内全域を措置区域に指定し、全飲食店に営業時間短縮要請を行いました。
鹿児島銀行と九州経済研究所は、最近の県内景況を「
新型コロナウイルス・
オミクロン株の感染拡大で全体として急速に弱まりつつある」として、五か月ぶりに判断を引き下げました。消費や観光関連の持ち直しの動きに急ブレーキがかかり、先行きは不透明となっています。
県は、
新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けている飲食業や観光・宿泊業への支援策として、ぐりぶークーポン及びかごしま旅クーポンの発行などの消費喚起策や集客効果のあるイベント開催助成などに取り組み、県内経済の早期回復に努めてきました。また、ポストコロナを見据え、将来を担う新産業の創出を図るとともに、スタートアップの創出・育成によるイノベーションを促進するため、県庁十八階にコワーキングスペースを整備しており、昨年十二月にかごゆいテラスと命名されたところであります。
昨年度改訂されたかごしま製造業振興方針においては、従業者一人当たりの付加価値額が全国に比べて低い水準であることや、新たな分野への参入機運の醸成などの課題を踏まえ、地域経済を牽引する中核企業などの生産性向上の取組に対する支援や、ヘルスケア産業や情報通信関連産業など新たな産業の育成などを図ることとしています。
第四回定例会において、かごしま未来創造ビジョン改訂素案について議論してきたところでありますが、現行のビジョンに新たに、企業の「稼ぐ力」の向上を新設したところであります。知事は二回目の予算編成を終え、いよいよ看板政策である「稼ぐ力」の勝負の年であると考えます。
そこでお伺いいたします。
まず、コロナ感染拡大を踏まえた県内経済の現状と県の対応策についてお示しください。
次に、知事は就任以来、中小企業などの「稼ぐ力」の向上を掲げていますが、具体的な方向性が県民にも見えてこないことから、第一点は、本県中小企業などの現状を踏まえ、知事の考える進むべき新産業分野とその振興に向けた具体的な取組についてお示しください。
第二点は、来年度の企業の「稼ぐ力」の向上に向けた重点的な取組についてお示しください。
第三点は、四月からオープン予定のコワーキングスペースかごゆいテラスの具体的な活用方法とスタートアップの創出・育成に向けた今後の取組についてお示しください。
次に、雇用及び人材確保対策についてお伺いいたします。
令和二年に実施された国勢調査によると、日本の総人口は五年前の前回調査に比べ、約九十四万九千人減少し、総人口のおよそ三割を六十五歳以上が占める結果となりました。県内の高齢化率は三二・五%で、大正九年の調査開始以来、初めて三割を超えました。今後、さらに高齢化率は上昇し、現役世代の割合が低下し、令和四十二年には六十五歳以上の者一人に対して一・一人の現役世代という比率になると推測されています。
県内の雇用情勢については、
新型コロナウイルスの影響により先行き不透明でありますが、慢性的な人手不足を背景に、有効求人倍率は昨年十二月まで六十八か月連続で一倍台を維持しております。十二月の新規求人数は前年同月比一一・一%増で十一か月連続で増加しており、宿泊業・飲食サービス業は三か月ぶりに減少しましたが、それ以外の全産業が伸びました。労働局は、従来からの人手不足の業種からの求人増や、
新型コロナウイルスの影響を受けた業種でも減少幅が縮小するなど、求人が戻りつつあると分析いたしております。
また、日本銀行が昨年十二月に発表した全国企業短期経済観測調査によると、宿泊・飲食業では、雇用が「過剰」との回答から「不足」との回答を引いた雇用人員判断指数はマイナス一七となり、昨年九月のプラス一九から急変し、コロナ禍からの経済回復で急速に人手不足が進んでいる実態が明らかになりました。一方で、失業期間が一年以上の長期失業者が増えており、背景には雇用のミスマッチも考えられます。
本県では、深刻化する人手不足を補う形で外国人労働者の受入れを行ってきましたが、
新型コロナウイルス感染症の水際対策としての入国制限により新たな入国ができず、事業活動に影響が出ている企業もあります。
令和三年三月卒業の新規学卒者の就職内定率は、前年とほぼ同程度となっており、コロナ禍においても堅調に推移しましたが、高校生及び大学生の約半数が県外への就職となっているところであります。
県内の令和四年三月の新規学卒予定者の就職内定率は、高校卒業予定者が九月末現在で五六・一%となっており、昨年度は高校生の就活スケジュールが一か月後ろ倒しとなったことから令和元年度との比較となりますが、前々年同月比五・七ポイント減、また、大学卒業予定者は十月末現在で五九・三%と前年同月比四・八ポイント減となったところであります。
生産年齢人口の減少により、人手不足の深刻化が進み、地域産業の振興など各分野・地域を支える人材の確保・育成が喫緊の課題となっております。就職に際しての若年層の県外流出に歯止めをかけ、県内の若者の定着を図り、将来にわたって安心して暮らし続けることができるような仕組みづくりが今、求められております。
そこでお伺いいたします。
第一点は、県内新規学卒予定者の県内・県外別の就職内定状況についてお示しください。
第二点は、生産年齢人口の減少により人手不足の深刻化が進む中、県内企業における人材確保・育成及び県内就職促進に向けた県の取組についてお示しください。
[
知事塩田康一君登壇]
12 ◯知事(塩田康一君)来年度の企業の「稼ぐ力」の向上に向けた重点的な取組についてでございます。
新型コロナウイルス感染症の拡大やデジタル化の進展、カーボンニュートラルの実現など、社会経済情勢の変化を踏まえて改訂を進めている、かごしま未来創造ビジョンにおいては、企業の「稼ぐ力」の向上を新たな柱とし、これを推進するための四つの基本方向を定めており、来年度の当初予算編成に当たっては、この基本方向に基づいて取り組むこととしております。
まず、一つ目の将来を担う新たな産業の創出については、起業に向けた機運醸成や環境整備を行うとともに、イノベーションを担うスタートアップを育成するため、新たに、産学官・金融機関等と連携して県内で起業家を支援する仕組みを構築し、若い世代の起業家マインドの醸成を図るほか、事業化のための実証事業や事業成長に必要な資金調達に向けた支援を行うこととしております。
また、企業等のニーズの掘り起こしから事業化・販路開拓まで各段階に応じた研究開発費の補助や専門家によるコンサルティング等を実施し、新産業の創出に向けた取組を支援することとしており、特に宇宙・ドローン関連産業について、県内企業の参入を促進することとしております。
二つ目の生産性と付加価値の向上による産業競争力の強化については、地域経済を牽引する中核企業が行うAI・IoTの導入、ロボット協働等による生産性向上や、新製品・技術の開発による付加価値向上の取組のほか、
食品関連製造業者、サービス事業者が行う自動化・IT化等による生産性向上や、新たな需要獲得の取組を支援することとしております。
三つ目の中小企業の経営基盤の強化については、経営革新や円滑な事業承継など、引き続きこれを進めるとともに、成長意欲の高い県内企業に対して、金融機関や投資ファンド等と連携し、株式上場に向けた研究会や成長戦略策定等のためのゼミの開催などによる伴走型支援を行うこととしております。
四つ目の県産品の国内外マーケットへの戦略的な展開については、商工労働水産部に販路拡大・輸出促進課を設置し、商品開発から販路拡大に至る支援を切れ目なく展開していくこととしております。
具体的には、製造業者等の海外市場への販路拡大に向けた海外商談会・展示会への出展や、HACCPなど輸出先のニーズに対応した施設整備等を支援することとしております。
また、本格焼酎の首都圏等でのさらなる消費拡大や、海外の酒類業関係者との連携による輸出拡大を促進するとともに、
伝統的工芸品産業の商品開発力や販売力を強化するため、ライフスタイルの変化に対応した取組を支援することとしております。
こうした四つの基本方向に基づく取組に加え、産業人材の確保や企業立地の推進、工業技術センターを核とした産学官連携による技術開発支援の強化等に取り組むことにより、企業の「稼ぐ力」を引き出し、地域経済の好循環を高めてまいりたいと考えております。
13 ◯商工労働水産部長(平林孝之君)県内経済の現状と県の対応策についてでございます。
県内経済は、個人消費や観光など全体として、持ち直しの動きが一服していると認識しております。
国は、中小企業等に対する事業復活支援金の支給や実質無利子・無担保融資等の資金繰り支援、雇用調整助成金の特例措置などの支援策を講じているところでございます。
県といたしましては、
新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けている観光・交通事業者や飲食店、商店街等への支援に取り組むこととしております。
具体的には、県版GoToトラベル事業の実施などによる観光需要喚起を図るとともに、宿泊施設の
感染防止対策やバリアフリー対応、観光客の受入れ環境の整備を支援してまいりたいと考えております。
交通事業者の支援につきましては、公共交通事業者、貸切りバス事業者の事業継続の支援に取り組むとともに、鹿児島空港に就航している航空会社の運航再開・継続の支援、航空会社等と連携した誘客プロモーションにも取り組むこととしております。
飲食店の支援につきましては、引き続き飲食サービス等の購入に利用できる割引クーポンを発行し、消費意欲の喚起を図るとともに、第三者認証取得飲食店が
感染防止対策として行うアクリル板等の物品の整備に要する経費の支援に取り組んでまいりたいと考えております。
また、空き店舗活用やイベント開催等によるにぎわい創出に取り組む商店街等を支援することとしております。
これらの対策を通じまして、県内経済の早期の回復を図ってまいりたいと考えております。
次に、今後進むべき新産業分野についてでございます。
県では、これまで、製造業振興方針において、環境・新エネルギー、ヘルスケア産業等を成長分野として掲げ、研究開発や販路拡大の取組等を支援しているところでございます。
来年度は、時代の変化に対応した新事業展開をさらに促進するため、市場拡大が期待されるとともに、本県の特性を生かせる宇宙・ドローン産業への新規参入も促進したいと考えております。
宇宙産業については、種子島と内之浦に二つの打ち上げ施設を有していることから、JAXAや企業との連携を強化することで、宇宙産業の成長を県内経済に取り込むことが可能であると考えております。
このため、宇宙ビジネスの創出に向けて、新たに、県内外の企業や大学、JAXA等で構成する推進組織を設置するとともに、宇宙機器等の研究開発支援や衛星データの利活用実証事業を実施することとしております。
また、ドローン産業についても、離島間の物流や自然災害の多発など社会課題を抱える本県は、ドローン関連ビジネスが生まれる余地が大きいと考えておりまして、鹿児島ならではのビジネスモデルを生み出すため、産業化に向けた可能性調査や実証事業への支援を行いたいと考えております。
これらの取組を通じて、成長分野への県内企業の参入を促進し、新たな産業による「稼ぐ力」の向上を図ってまいりたいと考えております。
次に、かごゆいテラスの利活用とスタートアップの創出・育成に向けた今後の取組についてでございます。
四月に運営を開始するかごゆいテラスについては、ビジネス交流・イノベーション拠点として、民間事業者が主体となり、新産業の創出やスタートアップの育成等によるイノベーションを促進することとしております。
具体的には、同施設に利用者間のマッチングを行うコミュニケーターを配置し、異業種交流を進めるとともに、国内外コワーキングスペースと連携したイベントやDX推進・新事業創出に資するセミナーの開催、メンタリング支援などを行うこととしております。
今後の県勢発展の基盤をつくる上で、イノベーションを担うスタートアップの創出・育成に取り組むことは重要であると考えております。
このため、新たに、産学官・金融機関等で構成する協議会を設置し、連携した支援を実施するとともに、事業化のための実証事業や事業成長に必要な資金調達に向けた支援を行うこととしております。
また、高校生や大学生等を対象に、スタートアップを招いてのアイデアソンの開催や海外事業者との交流を通じて、起業家マインドの醸成にも取り組むこととしております。
これらの取組をかごゆいテラスも活用しながら展開し、スタートアップの創出・育成による「稼ぐ力」の向上を図ってまいりたいと考えております。
次に、県内新規学卒予定者の就職内定状況及び人材確保・育成の取組についてでございます。
就職内定率は、高校生は、九月末現在で県内が五九・四%、県外が五一・四%でございます。また、大学生は、十月末現在で県内が四六・一%、県外が七五・五%でございます。
人材確保・育成については、各種合同企業説明会などにより、企業の理解促進と魅力発信に取り組んでいるところでございます。
また、インターンシップや採用面接において、UIターン就職を希望する県外の学生等に交通費等を支給する企業へ支援を行っているほか、モデル事業の実施により、若者を引きつけ就職に結びつけるインターンシッププログラムの作成等を通じ、県内企業の採用力アップを支援する予定でございます。
なお、新年度からは、新たに設置される産業人材確保・移住促進課において、雇用促進とUIターン、移住促進に係る政策を一体的に推進することとしておりまして、これらの施策の効果的な展開を図るために調査、分析を実施するなど、産業人材の確保がより一層図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。
[園田 豊君登壇]
14 ◯園田 豊君 御答弁頂きました。
企業の「稼ぐ力」の向上については、コロナ禍で厳しい経営状況にある県内中小企業などの実情を的確に把握しつつ、事業継続と経済立て直しに向けた産業支援に努めるとともに、終息後を見据え、地域の中小企業等の「稼ぐ力」の向上に関する取組として掲げている施策の着実な推進に努めていただくよう要望いたします。
雇用及び人材確保対策については、コロナ禍の影響により就職内定率の減なども見られますが、有効求人倍率は全国平均を上回っているとのことであり、オンラインなどを活用した採用活動支援に取り組むとともに、地方回帰の機運も捉えて、若者の地元就職の促進にさらに力を入れていただくよう要望いたします。
次に、農政関係であります。
本県農業の「稼ぐ力」の向上に向けた取組についてお伺いいたします。
二〇二〇年農業産出額は昨年十二月に公表され、本県の農業産出額は四千七百七十二億円で四年連続全国第二位でありました。
また、政府は、二〇二一年の農林水産物・食品の輸出額が初めて一兆円を突破したと明らかにしました。県では、昨年度、かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針を見直し、令和七年を目標年として、農業産出額を五千億円、県産農畜産物の輸出額を百五十九億円に設定したところであります。
一方で、令和二年の国勢調査によりますと、日本の総人口の約三分の一を六十五歳以上が占める結果となりました。農業においても農業従事者の高齢化と担い手の減少などにより厳しい状況に置かれており、二〇二〇年の農林業センサスでは、個人経営体の基幹的農業従事者は県内で約三万七千人であり、五年前の前回調査と比べ約二九%減少しています。また、六十五歳以上が占める割合は六四・一%と五年前に比べ一・六ポイント上昇し、今後さらにその傾向が強まるおそれがあります。
また、気候変動の
社会経済活動への影響が生じている中、我が国においても二〇五〇年カーボンニュートラルを宣言し、農業分野においても脱炭素化に向け、昨年五月にまとめたみどりの食料システム戦略において、二〇五〇年までに有機農業に取り組む面積を全農地の二五%まで拡大することや、農林水産業の二酸化炭素発生量をゼロとする目標を掲げたところであります。
知事はマニフェストにおいて、「本県農林水産業の生産額は増大しているが、農家の所得向上が課題となっている」との認識を示され、生産コスト低減策、売上げ向上対策、IT技術などを活用したスマート農業の推進による生産性向上など「稼ぐ力」を引き出す施策を講じるとしています。
今年度改訂予定のかごしま未来創造ビジョンにおいて、農林水産業の「稼ぐ力」を新たな柱に据え、人づくり・地域づくりの強化、生産・加工体制の強化、付加価値の向上、販路拡大・輸出拡大に取り組むとしています。今後の県勢発展の基盤をしっかりとつくっていくためにも、本県の基幹産業である農林水産業の振興を図ることは極めて重要であります。
そこでお伺いいたします。
第一点は、知事は、本県農業の「稼ぐ力」を引き出す施策を講じるとしていますが、「稼ぐ力」を引き出すための来年度における具体的な取組についてお示しください。
第二点は、国のみどりの食料システム戦略を踏まえた本県の今後の取組についてお示しください。
次に、サツマイモ基腐病対策についてお伺いいたします。
本県のサツマイモは、全国第一位の生産量を誇り、でん粉、焼酎の原料用、青果用、加工用などに幅広く利用され、普通畑の約二割に作付される重要な基幹作物であります。
しかしながら、サツマイモ基腐病が全国的に拡大し、県内においては平成三十年に初めて確認され、令和二年産の被害状況は県全体の作付面積の五割以上を占めるなど、県内各地で基腐病の拡大が見られました。令和三年産で症状が出た県内の農場は作付面積の七五%を超え、被害はさらに深刻であります。二年連続大幅な減収となれば、生産から手を引く農家が出てくることも危惧され、関係者からは「産地存続の危機だ」との声も上がっています。また、焼酎や加工など関連産業への影響も大きく、地域経済の衰退も懸念されます。
本県では、国との共同研究や地域プロジェクトチームにおけるこれまでの取組を踏まえ、圃場に基腐病原菌を持ち込まない、増やさない、残さない対策を総合的に取り組む必要があるとし、種芋更新などによる健全苗の確保や、本圃での土壌消毒、圃場の排水対策などを推進しておりますが、根本的な解決策はまだ見つかっておらず、年々状況は深刻化しているのが実態であります。
また、十二月の補正予算で、育苗施設から提供される苗の健全化を図るため、苗床消毒と蒸熱処理装置の支援を行うこととしたところですが、次年度産に向けて、国や関係機関・団体と一丸となって農家の下支えをする取組と、さらなる実効性のある対策の強化が必要であります。
そこでお伺いいたします。
第一点は、サツマイモ基腐病の現状と焼酎など関連産業への影響についてお示しください。
第二点は、来年度予算を含めた今後の取組についてお示しください。
次に、第十二回全国和牛能力共進会鹿児島大会に向けた取組についてお伺いいたします。
今年十月六日から十日まで、五十二年ぶりに全国和牛能力共進会が地元鹿児島県で開催されます。和牛のオリンピックとも称される、五年に一度の和牛の祭典であります。
前回平成二十九年に宮城県で開催された第十一回大会では、本県は全九部門中、四部門で一位となり、悲願の総合優勝を果たしました。
本県は、和牛の飼養頭数が全国一位であり、令和二年の農業産出額の六五%を構成する畜産の中でも、肉用牛が産出額全体の二四%を占めるなど、国内屈指の黒毛和牛産地であります。
しかしながら、畜産をめぐる情勢は、担い手の高齢化などによる生産基盤の脆弱化や配合飼料価格の高騰に加え、相次ぐ国際連携協定の発効など、これまで経験したことのない国際競争にも直面しています。
今年一月には、中国、韓国など十五か国が加盟するRCEP協定が発効したところであります。
また、
新型コロナウイルス感染症の影響により、国内ではインバウンド需要の低迷が続くなど外食需要の回復が不透明な中、牛肉需要の低下など生産者等への影響が懸念されており、大会に向けても、これまで、出品候補牛の掘り起こしのための各地区の共進会などの中止が続き、昨年十月二日に予定されていた県畜産共進会も中止を余儀なくされたところであります。
一方で、前回総合優勝した後は、県内子牛市場での県外新規購買者が増えたことに加え、在外日本大使館におけるレセプションで県産和牛を振る舞い、和牛日本一をPRするなど、その波及効果は大きく、和牛日本一での経済効果は計り知れないものがあります。
そのような中、昨年太宰府市で開催された九州管内系統和牛枝肉共励会では六年連続本県が団体優勝を果たしており、鹿児島大会に向けて大きな弾みがついたところであります。
全国和牛能力共進会は、和牛改良の成果や時勢に応じた改良の方向性を示してきました。第十二回となる今回の大会は、牛肉のうまみに関係するとされる脂肪の質を評価する出品区を新設し、特別区として高校及び農業大学校の部を創設しています。消費者のニーズを捉え、和牛改良の新たな方向性を示すことによって、和牛肉の消費回復、さらに新規需要の開拓の促進を図るとともに、農家が高齢化する中、若い人たちが後継者として活躍するきっかけになることを期待します。
また、今回は
新型コロナウイルス感染症の拡大以降初めての大会でありますが、鹿児島の魅力をPRする絶好の機会でもあります。本県大会での和牛日本一の獲得を目指し、ブランド力に一層磨きをかけるとともに、人にも牛にも安心・安全な大会となるよう取り組むことが求められております。
そこでお伺いいたします。
第一点は、本県大会での和牛日本一の獲得を目指して、新たな出品区分も含め、出品対策にどのように取り組んでいるのか、お示しください。
第二点は、
新型コロナウイルス感染症を踏まえた大会準備の取組についてもお示しください。
次に、土木関係についてであります。
熱海市土石流災害を受け、県内の盛土の点検などについてお伺いいたします。
静岡県熱海市で昨年七月に発生した大規模土石流を受け、同県は、原因の一つとされる盛土に特化した新条例をつくる方針を明らかにしました。従来の条例より規制を強化して罰則に懲役刑を加え、地方自治法の上限である懲役二年以下もしくは百万円以下の罰金とする内容であり、既に十三府県がこの罰則を導入しています。また、これまでの届出制を許可制に変える方針で、今年七月の施行を目指しています。
この土石流災害を受け、国土交通省は、宅地造成等規制法を大幅改正し、盛土を規制する新制度を創設する方針を固め、今国会への法案提出を予定しています。
新規制では、都道府県知事らが盛土等で災害のおそれが高まると判断した区域を指定し、区域内での盛土や切土、一定規模以上の土石を積む行為を知事らの許可制とする方針であり、今後、全国一律での安全性や罰則の実効性確保に向けた対応の検討状況を注視する必要があります。
また、国土交通省は、近年形成された全国の盛土について、都道府県宛てに総点検の実施を依頼し、昨年末には、全国六百五十七か所で必要な災害防止措置が確認できなかったと総点検の結果を発表したところであります。
本県における点検状況については、令和三年第四回定例会の総合政策建設委員会において中間報告され、点検が完了した約千百か所のうち十五か所はボーリングなどの詳細調査が必要な箇所と明らかにされたところであります。
盛土による災害防止に向けて、国では、危険箇所への対応や土地利用規制など安全を確保するために必要な対応策を検討するため、有識者検討会を設置し意見交換や関係団体からヒアリングを実施してきました。昨年末には、全国一律の厳しい安全基準を設定した上で、自治体が実情に応じて基準を強化できるようにすべきと有識者検討会から提言されており、本県においても、条例制定を含む盛土の安全性を確保するための対応策を検討する必要があります。
そこでお伺いいたします。
第一点は、国と連携した盛土の総点検の結果をお示しください。
第二点は、詳細調査が必要な箇所の調査時期とその対応状況をお示しください。
第三点は、新制度の創設や他県における条例制定状況等を踏まえて、本県における盛土の安全性を確保するための対応策の検討状況をお示しください。
次に、通学路の安全対策についてお伺いいたします。
昨年六月、千葉県八街市で下校中の小学生がトラックにはねられて死傷した事故を受けて、政府が全国の通学路を対象とする一斉点検を行った結果、対策が必要な危険箇所は昨年十月末時点で約七万二千か所に上ることが分かりました。
政府は、今回の点検結果を受け、二〇二三年度末までにガードレールの設置や歩道の整備、地域の見守り強化などの対策を講じることを目指すとし、国土交通省は、昨年末に成立した今年度補正予算では五百億円を関連費用に計上、さらには、二〇二二年度予算案にも五百億円を計上し、通学路の安全確保に特化した補助金を新設することとしています。また、警察庁も同補正予算で六億円を計上し、信号機、標識、横断歩道の整備も進めるとしています。
本県内における
通学路点検の実施状況については、令和三年第四回定例会の総合政策建設委員会において、道路管理者における対策必要箇所八百五十四か所のうち、県が管理する道路における対策必要箇所二百八十二か所について、道路改良や交差点改良、歩道整備などの安全対策に取り組むとの説明があったところであります。
これまでも、生活道路における歩行者などの安全な通行を確保することを目的としたゾーン30の通学路への整備や、登下校時の通学路の進入禁止などの一定の対策は取られてきており、学校においても、地域ボランティアのスクールガードなどを活用した登下校時の見守り活動などを実施しているところです。
今後、対策を講じるに当たっては、自治体によっては、地域住民の理解を得る必要がある場所もあり、全て早急に対策するのは困難との声もあることから、対策が必要な危険箇所をできる限り早く解消するためには、対策を求められている場所がどのくらい危険なのか地域住民に分かりやすく伝える工夫や、IT技術を活用した分析なども求められています。
通学路における事故については八街市の事故にとどまらず、昨年十二月には徳島県小松島市において登校中の小学生がトラックにはねられて死亡する事故が発生するなど、痛ましい交通事故が後を絶ちません。
本県においても、関係機関が連携して実効性のある対策について検討し、子供たちを危険から守り、安全な通学路の確保に向けた取組を一層推進することが必要であります。
そこでお伺いいたします。
第一点は、道路管理者における通学路の安全対策に係る国の補正予算の概要及び本県の取組状況並びに対策実施の今後の見通しをお示しください。
第二点は、警察における通学路の安全対策に係る取組状況及び対策実施の今後の見通しをお示しください。
最後に、県立病院関係でありますが、時間の関係で後ほど要望に代えさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
[
知事塩田康一君登壇]
15 ◯知事(塩田康一君)サツマイモの基腐病対策に対する今後の取組についてでございます。
サツマイモの基腐病対策については、本年一月に、令和七年産までに一万ヘクタール分の健全苗と健全な圃場を確保することを目標とした鹿児島県サツマイモ基腐病対策アクションプログラムを策定し、圃場に基腐病菌を持ち込まない、増やさない、残さない対策を総合的に推進することとしております。
令和四年産に向けては、蒸熱処理装置の導入支援による健全苗の確保や、交換耕作、早植え・早掘りなどを推進するとともに、継続して栽培していただけるよう、引き続き、基金事業等による被害程度に応じた定額支援や、資材等の購入支援を行うこととしております。
また、今月十七日には、基腐病対策のポイントと防除暦を地元紙へ掲載するなど、県内生産者に対する周知活動にも取り組んでいるところであります。
令和四年度当初予算においては、育苗業者等に対する健全苗・種芋の確保のための肥料・農薬などの購入支援、基腐病対策のための排水対策や土層改良に対する支援を行うこととしております。
基腐病の防除技術については、国が育成した基腐病に強い九州二百号の健全種芋の大量増殖技術や、石灰窒素等を用いた残渣分解技術などの確立に取り組むこととしております。
今月八日には、国の農研機構と農産物の研究開発等に係る連携協定を締結したところであり、さらなる共同研究を実施することとしております。
また、県内三地域に設置しておりますプロジェクトチームを全域に広げるとともに、各地域との連携・調整等を行うための県プロジェクトチームを立ち上げたところであります。
さらに、基腐病対策の取組をより一層推進するため、農政部内に対策班を設置し、組織体制を強化することとしております。
県としては、関係機関・団体と一体となって、サツマイモ基腐病対策に万全を期してまいりたいと考えております。
次に、第十二回全共鹿児島大会での和牛日本一の獲得に向けた出品対策についてでございます。
本年十月に本県で開催される第十二回全国和牛能力共進会鹿児島大会に向けては、県や和牛登録協会県支部、県経済連、各地区の農協等で組織される県推進協議会において、関係機関・団体と一体となって、肉用牛農家や高校及び農業大学校に対して、それぞれの出品区分に対応した指導を行っているところであります。
出品区分のうち、種牛の部については、これまで、技術員の審査技術や調教技術の向上を目的として、全国和牛登録協会の本部職員等による研修会を開催するとともに、関係機関・団体と連携した巡回調査による飼養管理指導や集合審査会を実施し、候補牛の掘り起こしに取り組んできたところであり、現在、五月に開催される地区ごとの予選会に向けて、候補牛の選定を進めているところであります。
肉牛の部については、牛肉中の脂肪の質の改良を目的として、新たな出品区が設けられたことから、脂肪のうまみ成分であるオレイン酸などの含有量の向上に向けて改訂した飼料給与マニュアルや、超音波肉質診断技術等を活用し、定期的な飼養管理指導を実施しているところであります。
また、担い手の育成等を目的に新設された高校及び農業大学校の部についても、県内七高校と農業大学校の学生に対する飼養管理指導を定期的に実施し、候補牛の選定に取り組んでおります。
いずれの部についても、八月末の県最終予選会で県代表牛を決定することとしております。
第十二回大会は、過去最多となる四十一道府県が出品する大会となっており、県としては、生産者をはじめ、関係機関・団体と一丸となって、チーム鹿児島の団結の下、出品対策を強化し、全国一の和牛生産県として必ずや和牛日本一を獲得すべく、全力で取り組んでまいります。
16 ◯農政部長(松薗英昭君)農政関係に関する御質問のうち、まず、本県農業の「稼ぐ力」の向上に向けた取組についてでございます。
本県の基幹産業である農業の「稼ぐ力」を引き出すため、かごしま未来創造ビジョン案に基づき、人づくり・地域づくりの強化、生産・加工体制の強化・付加価値の向上、販路拡大・輸出拡大を三本柱として位置づけ、様々な施策を展開することとしております。
具体的には、人づくり・地域づくりの強化については、本県農業の未来を担う新規就農者を確保するため、新規就農時の機械等の導入を国と県で手厚く支援することとしております。
また、農村集落を活性化するため、地域の農産物を活用したレストランの開設等の雇用創出につながる取組を支援することとしております。
生産・加工体制の強化、付加価値の向上については、生産性を向上させるため、スマート農業機械の実装化を進めていくこととしております。
また、本県で開催される第十二回全国和牛能力共進会を契機として、ブランド力や畜産農家の生産意欲向上を図るため、和牛日本一を目指して、大会開催準備、広報活動、機運醸成に取り組むこととしております。
さらには、付加価値の高い仕上げ茶の全国シェアを高めるために、全国に先駆けたフリーズドライ緑茶の商品化支援に取り組むこととしております。
このほか、生産確保体制の基盤となる農畜産物の防疫に万全を期すため、サツマイモ基腐病対策として、国が農家に対する健全苗等の確保や蒸熱処理機の導入支援を行うことから、県では、育苗業者に対する健全な種芋の確保のための肥料等の購入支援を行うこととしております。
また、バイオセキュリティーの高度化を図るため、老朽化した姶良家畜保健衛生所の移転整備等を新たに進めることとしております。
販路拡大・輸出拡大については、かごしまブランドに対する消費者の認知度向上や有利販売につなげるため、老舗高級果物店における鹿児島フェアの開催に取り組むこととしております。
また、アジア諸国等の海外需要を取り込むため、これまでの県内輸出商社の海外営業活動支援等に加えて、新たに本県の農畜産物を紹介する動画のSNSを活用した情報発信を行うこととしております。
今後とも、農業の「稼ぐ力」を引き出し、本県農業・農村のさらなる発展と農業者の所得向上に努めてまいりたいと考えております。
次に、みどりの食料システム戦略を踏まえた本県の取組についてであります。
国は、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させるため、中長期的な観点から戦略的に取り組む政策方針として、みどりの食料システム戦略を昨年五月に策定したところであり、生産から消費まで環境負荷の低減に資する取組等を推進する関連法案が今国会に提出されたところでございます。
県においては、国の交付金を活用し、有機農業の団地化や学校給食での利用等により、地域ぐるみで有機農業に取り組む市町村や、いわゆるIPMと呼ばれる総合的病害虫・雑草管理など、環境に優しく省力化にもつながる技術の検証に取り組む農業者等への支援などを行うこととしております。
今後とも、国のみどりの食料システム戦略を踏まえながら、IPMや有機農業の技術確立・普及など、環境負荷の軽減に資する取組を推進してまいりたいと考えております。
次に、サツマイモ基腐病の現状と焼酎等関連産業への影響についてでございます。
令和三年産のサツマイモ生産量は十九万六百トンで、基腐病の影響が少なかった元年比七三%となり、基腐病の拡大や八月の日照不足等によるものと考えております。
焼酎等関連産業への影響につきましては、県酒造組合の調査等によりますと、令和三年産の焼酎メーカーの集荷見込みは約五万八千トンで、元年比七九%、でん粉工場の集荷実績は約七万トンで、元年比七五%となっております。
昨年末に行った焼酎メーカーとの意見交換会では、「原料不足が二年連続で続いている」、「品薄による原料購入単価の高騰に苦慮している」などの意見が出されており、早期受入れ等の取組は行ったものの、二年産に続き原料確保は厳しい状況にあったものと考えております。
県としては、今後とも、関係機関等と一体となって基腐病対策に全力で取り組んでまいります。
次に、全共鹿児島大会での
新型コロナウイルス感染症を踏まえた大会準備についてであります。
県実行委員会では、先月策定した実施計画の中に、感染症対策を盛り込んだところであります。
具体的には、国の感染状況に応じたイベント開催制限の留意事項に基づき、今後策定する感染防止安全計画において、マスク着用による飛沫の抑制や、消毒ゲート等の設置、入場時の検温の実施、換気の徹底、来場者間の距離の確保など、来場者の安心・安全に十分留意した感染対策を講じることとしております。
県としては、鹿児島大会を通じまして、本県の魅力を最大限発揮できるよう、感染防止策を含め、万全の準備を進めてまいります。
17 ◯土木部長(兒島優一君)土木関係についてのうち、国と連携した盛土の総点検についてであります。
国と地方公共団体が連携して実施している盛土の総点検につきましては、盛土による災害防止のための総点検要領に基づき、約千百か所の盛土を対象に現地点検等を実施したところであります。
現地点検等の結果、許可手続が必要な盛土や詳細調査が必要な盛土など二十か所が確認されたものの、緊急的な災害防止措置が必要な箇所は確認されなかったところであります。
二十か所の内訳につきましては、林地開発許可手続が必要で現在審査中の盛土が二か所、廃棄物が確認され既に撤去済みの盛土が二か所となっております。
また、擁壁の一部に亀裂など小規模な変状が見られた十六か所の盛土につきましては、安全性を確認するため、市町村においてボーリング調査や地下水位の状況などの詳細調査を行うこととしており、来年度以降の実施に向け準備を進めているところでございます。
県といたしましては、詳細調査の実施が促進されるよう、引き続き、市町村に対し、技術的支援を行ってまいります。
盛土の安全性を確保するための対策についてであります。
盛土規制につきましては、盛土等による災害から国民の生命・身体を守るため、宅地造成等規制法を抜本的に改正し、土地の用途にかかわらず、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制する、宅地造成及び特定盛土等規制法案が、現在開催中の国会に提出されることとなっております。
同法案では、都道府県知事が盛土等により人家などに被害を及ぼし得る区域を規制区域として指定できるものとし、規制区域内で行われる盛土等を許可の対象としたほか、責任の所在の明確化や実効性のある罰則の措置がなされているところでございます。
今後、国は、法に基づく盛土等に伴う災害の防止に関する基本方針の策定や、災害防止のために必要な許可基準の設定等を行うことといたしております。
県といたしましては、危険な盛土による災害を防止するため、法案や国の策定する基本方針等を踏まえながら、法施行体制を整備したいと考えております。
また、現在、危険な盛土は確認されておりませんが、法施行までの間、関係機関が連携した監視体制の強化を図るとともに、建設業界の協力も得ながら、建設発生土の適正管理を進めることで、盛土の安全性を確保してまいりたいと考えております。
次に、道路管理者における通学路の安全対策に係る取組等についてであります。
国土交通省においては、昨年六月に発生した千葉県八街市の事故を受け実施した合同点検の結果等を踏まえ、学校や警察が行うソフト対策の強化と一体となった通学路のハード対策を推進するため、国費約五百億円が補正予算に計上されたところでございます。
また、ソフト対策の強化に合わせて実施する今後の交通安全対策について、計画的かつ集中的な支援を可能とする個別補助制度が来年度創設されると聞いております。
昨年実施した合同点検におきましては、県管理道路の通学路では二百八十二か所で対策が必要とされたことから、路肩のカラー舗装や防護柵、歩道整備など可能なものから速やかに実施することとしており、今年度の補正予算を含め二百三十四か所、約八割の箇所で対策を進めているところでございます。
道路管理者といたしましては、新たに創設される交通安全対策補助制度も活用しながら、さらなる通学路の交通安全対策に取り組んでまいります。
18 ◯警察本部長(山田好孝君)県警察における通学路の安全対策に係る取組についてであります。
県警察では、警察官による児童生徒の誘導や交通指導取締り、学校関係者等との合同の交通安全総点検を実施しており、安全な交通安全施設の整備に努めているところであります。
千葉県八街市において発生した事故を受け、学校関係者等と連携して合同点検を行った結果、警察が対応すべき対策必要箇所として百五十八か所を確認しており、早急な対策実施を推進しているところであり、本年三月末までに対策必要箇所の約九割が完了する予定となっております。
今後とも、子供たちが安全に登下校できるよう、通学路の安全対策を推進してまいりたいと考えております。
19 ◯園田 豊君 自席から質問させていただきます。
私は、今回の代表質問におきまして十一項目の質問をさせていただきましたが、全体を通じて知事の御見解をお伺いしたいと思いますけれども、次年度令和四年度の予算に対する効果は、本県の発展や県民所得の向上、事業所の継続した運営などにつながるような予算編成の取組がなされたものであると思っておりますけれども、そこでお伺いいたしますが、知事、先ほども申し上げましたとおり、就任二回目の予算編成となりましたけれども、今回の予算編成に当たり、知事の政策を含めたマニフェストがどのように盛り込まれている予算であると思っていらっしゃるのか、またそのようにされたものか、知事自身の御見解をお伺いいたします。
20 ◯知事(塩田康一君)令和四年度の予算編成の概要については先ほども答弁で申し上げたとおりでございますが、そのうち、私のマニフェストに関連したものとして主なものとしては、まずは、
新型コロナウイルス感染症の
感染防止対策のための病床確保でありますとかあるいは
宿泊療養施設の確保等がございます。また、コロナ対策の経済立て直しとしての各種の旅行需要でありましたり、あるいは消費の需要喚起策といったものがあると考えております。
また、基幹産業であります農林水産業、
観光関連産業、企業の「稼ぐ力」の向上に向けて、それぞれの製造業者等の生産性向上のための取組の支援、あるいは本県における将来を担っていく産業としての新規事業を創出するための企業支援、スタートアップ支援といったようなことにも予算を計上しているところであります。
また、そのほかに販路拡大・輸出拡大等のための施策、再生可能エネルギーの促進のための蓄電池の活用でありましたり、あるいは電気自動車の導入の支援といったようなことも挙げられるかと思っております。
また、個別の事項としては、重度心身障害者の医療費の問題についての検討のための調査等の在り方の検討の予算、あと楠隼中・高の共学化、全寮制廃止の検討のための費用といったようなものもございますし、あとは郷土教育の充実でありますとか、防災対策の予算といったようなことを含めて、私のマニフェストに関連した事業として盛り込んだものと考えております。
[園田 豊君登壇]
21 ◯園田 豊君 御答弁頂きました。
本県農業の「稼ぐ力」を引き出す施策については、ICTなどを活用したスマート農業などの推進による生産性の向上、新商品開発・販路開拓支援や、ポストコロナを見据え、農林水産物・加工品の輸出拡大に取り組むこととしており、収益性の向上につなげる具体的な施策の着実な展開を要望いたします。
サツマイモ基腐病対策については、国、関係市、関係機関・団体と一体となって、アクションプログラムに基づき、対策の早期確立に向けた取組を強化するとともに、国の被害農家に向けた基金事業などによる支援策の確実な実施を強く要望いたします。
全国和牛能力共進会鹿児島大会は、先ほども述べたとおり、
新型コロナウイルス感染症の拡大以降初めての大会であり、本県の魅力をPRする絶好の機会でもあります。本県大会での和牛日本一の獲得に向けて、全力を挙げて取り組まれるよう要望いたします。
県内の盛土対策についてでありますが、現在、他県の盛土崩壊事例や規制条例などを基に、盛土規制の必要性などについて検討を進めており、今後、国の土地利用規制などの制度対応に係る検討状況などを参考に、条例化の必要性も含め、盛土の安全性確保に必要な対策を検討するとのことであります。
災害多発県でもある本県として、ぜひとも積極的な取組を強く御要望申し上げます。
通学路の安全対策については、国土交通省及び警察庁の予算措置を踏まえ、重点的かつ早急な対応が図られるよう、子供の安全・安心の確保を強く要望いたします。
最後に、県立病院の経営安定化などについてでありますが、コロナ禍の中、厳しい経営環境にありますが、地域の中核医療機関として、医療機能の一層の充実・強化や経営安定化に取り組まれるとともに、県立北薩病院の早期経営改善への取組と、新県立薩南病院の来年春の開院に向けた着実な整備促進と新たな診療科の開設など、医療体制の強化に努めていただくよう強く要望いたします。
以上、県政の課題について質問してまいりました。
本日は、大島紬製品を着用しての本会議となり、傍聴席のほうでも大島紬を着用していただきまして、ありがとうございます。
本日着用しました大島紬のふるさとでもあり、離島のハンデを乗り越えて本年春の選抜甲子園野球大会に出場する県立大島高等学校は、日頃の練習の成果を一球一打に込めて、県民に元気と希望を与えてくれる大きな活躍をしてくれることを願い、「きばれ、大高」と熱いエールを皆さんと一緒に送り、午後は桑鶴勉議員に引き継ぐこととし、これをもちまして、
自由民主党県議団代表質問の午前の部を終了させていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
22 ◯議長(田之上耕三君)ここで、休憩いたします。
再開は、午後一時二十五分といたします。
午後零時 十三分休憩
────────────
午後一時二十五分再開
23 ◯議長(田之上耕三君)再開いたします。
桑鶴勉君に発言を許可いたします。
[桑鶴 勉君登壇](拍手)
24 ◯桑鶴 勉君 午前中に引き続いて、
自民党県議団の代表質問を続けてまいります。
初めに、総合政策関係についてであります。
かごしま未来創造ビジョンの見直しについて伺います。
鹿児島の目指す姿や施策展開の基本方向などを取りまとめた、かごしま未来創造ビジョンについては、昨今の社会経済情勢の変化等を踏まえ、今年度末を目途に見直しが進められているところであります。
さきの定例会の我が会派代表質問において、知事は、ビジョンの見直しにおいて、観光や企業、農林水産業の「稼ぐ力」の向上、脱炭素社会の実現と豊かな自然環境との共生、多様で魅力ある奄美・離島の振興、個性を生かした地域づくりと移住・交流の促進に特に力を入れてまいりたいと答弁しています。
また、一般質問において、鹿児島の現状を踏まえ、行政課題や挑戦すべきテーマを明確にし、体系的に整理した上で、中長期的な観点から、本県のあるべき姿や今後の県政の進むべき基本的な方向性、戦略を県民に分かりやすく示すビジョンが必要であると答弁しています。
常任委員会においては、全委員会において、かごしま未来創造ビジョンの改訂素案を特定調査事項とし、各般の具体的な施策の方向性について集中的な論議が交わされました。委員からは、ビジョンと各分野における個別計画については、関連性が確認できるような工夫をお願いしたい、各地域の取組方針について、地域特有の課題やポテンシャルをいかに補完していくかを期待したいなどの意見が上がったところであります。
ビジョンの見直しに当たっては、県議会や県民の意見も十分に聞き、さらに検討を進めることとされており、県議会での議論やパブリックコメントを経て、このたび改訂案が示されたところであり、今後、改訂後のビジョンに基づいて鹿児島を活性化するための取組が積極的に進められることが期待されます。
また、ビジョンの地域版である地域振興の取組方針について、改訂後のビジョンに沿って見直しを行うとの考えが示されており、その見直しに当たっては、市町村や地域の声を十分に聞き、各地域の県民にとって、より身近で分かりやすいものになることが重要であります。
そこで伺います。
第一点は、改訂案にこれまでの県議会の意見や県民の声をどう反映したのか、お示しください。
第二点は、改訂後のビジョンに基づき、知事は今後どのように県政を進めるのか、お示しください。
第三点は、地域版について、どのような内容とし、また、市町村や地域の声を反映させるためどのように見直しを進めるのか、お示しください。
次に、デジタルによる社会変革について伺います。
デジタル社会の実現については、国において、新しい資本主義の実現に向けた成長戦略の第一の柱として、デジタルを活用した地方の活性化を掲げ、地域の課題解決とともに、地域から全国へとボトムアップでの成長を実現するために、
デジタル田園都市国家構想を強力に推進することとされたところであります。
この構想について、岸田首相は、教育、医療、農業、物流などの各分野で早期に目に見える成果を上げるべく、国と地方、民間が協働してデジタル実装を進めていくとし、誰一人取り残されず全ての人がデジタル化のメリットを享受できることを目指し、個性あふれる地域を実現することを掲げました。
具体的には、高速・大容量の通信規格5Gの人口カバー率を現在の三割から二〇二三年度までに九割に引き上げることや、地方のデジタル化を推進する人材を二〇二六年度までに二百三十万人育成することを打ち出しました。
そのほか、デジタル技術を活用して地域の課題解決に取り組む自治体を現在の約四百九十九から、二〇二四年度までに千に増やすことを明記したほか、高齢者にデジタル端末の利用法を教えるデジタル推進委員を二〇二二年度に全国で一万人以上配備することも盛り込みました。
本県においては、デジタルによる社会変革に向けた課題と基本的な方向を明確にするため、鹿児島県デジタル推進戦略─仮称─を策定することとしています。
さきの定例会において、知事は、戦略の策定に当たって、「県議会で御論議いただくとともに、パブリックコメントを実施することとしており、県議会や県民の皆様の御意見を踏まえ、今年度末を目途に策定したい」と表明しています。
また、知事は一般質問において、デジタル化の推進戦略が目指すイメージについて、「デジタルによる社会変革により、新産業の創出や県民の暮らしの質の向上を目指す」と答弁しており、戦略が策定された後は、同戦略に基づいて、目指すべき姿に向けた取組を確実に進めることが重要です。
そこで伺います。
第一点は、本県における情報通信基盤─5G─の整備状況についてお示しください。
第二点は、デジタル人材の育成、確保、活用の観点から、デジタル化を推進する県の体制についてお示しください。
第三点は、本県における市町村への支援策についてお示しください。
第四点は、今年度策定する鹿児島県デジタル推進戦略─仮称─に基づき、まず何から取り組み、今後どのように取組を進めていくのか、お示しください。
第五点は、国が進める
デジタル田園都市国家構想により、知事は、本県におけるデジタル化がどのように進むとお考えか。また、デジタル化の推進により、本県のどのような特色が生かされるとお考えか、お示しください。
次に、再生可能エネルギーの導入推進及び規制の在り方について伺います。
政府は昨年十月、エネルギー政策の中長期の方向性を示す
エネルギー基本計画を改定し、閣議決定しました。同計画において、新たに掲げた温室効果ガス排出削減目標達成のため、太陽光や風力発電といった再生可能エネルギーの普及に、初めて最優先で取り組むと明記され、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにするカーボンニュートラルの達成を見据え、二〇三〇年度に温室効果ガスを二〇一三年度比四六%削減する政府目標と整合する内容を目指すとされました。
前回二〇一八年の改定時において、再生可能エネルギーは主力電源と位置づけられていましたが、今回の計画では、最優先の原則の下で最大限の導入に取り組むとされ、二〇三〇年度の総発電量に占める電源ごとの割合の見直しについても、再生可能エネルギーの割合は前回の二二から二四%を三六から三八%へと目標が大幅に引き上げられたところであります。
県においては、再生可能エネルギー導入ビジョン二〇一八を策定し、再生可能エネルギーの導入促進に向けた取組を行っており、県内各地でメガソーラー発電所が運転を開始したほか、風力発電や洋上風力発電も計画されるなど、再生可能エネルギーの導入に向けた動きが活発化しています。東日本大震災以降のエネルギーをめぐる様々な課題等を鑑みると、再生可能エネルギーの導入促進は本県においても重要な課題であると考えます。
一方、太陽光発電施設等の設置や運営をめぐっては、山林を切り崩すことによる土砂災害や自然環境の破壊、景観の悪化等に対する住民の不安や懸念が強まっていることから、取組に当たってはこれらの懸念等に配慮することが極めて重要であります。
地方自治研究機構によると、太陽光発電設備等の設置を規制する単独条例は、令和三年十二月二十四日時点で確認できるものとして、百七十五条例とされています。禁止区域を定めたり、自治体との事前協議や住民説明会の開催を求めたりする条例もありますが、地元が事業計画を知るのは、FIT認定や土地取得が終わった後という事例が少なくありません。地域で反対の声が上がっても計画変更が難しいという問題があります。
また、四月に施行する改正地球温暖化対策推進法において、市町村は、再生可能エネルギーを利用した地域の脱炭素化のための施設整備や地域の脱炭素化のための取組など、地域脱炭素化促進事業を促進する区域を設定することができるとされております。環境省は、促進区域の設定に関する環境保全の基準案を作成し、自然環境保全法に基づく自然環境保全地域や自然公園法に基づく特別保護地区、鳥獣保護管理法に基づく特別保護地区などを区域から除外することとしており、促進区域において、地域における円滑な合意形成を図りつつ、適正に環境に配慮し、地域に貢献する再生可能エネルギーの導入を促進することとしています。
再生可能エネルギーは、地域活性化の有力な手段になる可能性を秘めています。導入を加速するには、住民との十分な合意形成や地域への利益還元を重視する観点が欠かせません。
そこで伺います。
第一点は、国の
エネルギー基本計画を踏まえた県の再生可能エネルギー導入ビジョンの見直しについてお示しください。
第二点は、本県における再生可能エネルギーの導入促進により、本県及び地域が得られるメリットについてお示しください。
第三点は、本県における再生可能エネルギーの導入促進に当たって、自然災害や環境、景観の悪化等に配慮した規制の在り方について、条例制定の必要性を含めて、知事のお考えをお示しください。
次に、スポーツ・コンベンションセンターの整備について伺います。
新たな総合体育館については、今般示された県の基本構想案において、施設の名称をスポーツ・コンベンションセンターとされたところであります。
スポーツ・コンベンションセンターについては、県内外の各分野の専門家を構成員とする総合体育館基本構想検討委員会を設置し、具体的な施設の機能や規模・構成等について議論を重ねてきました。その上で、整備候補地の検討を行い、複数の候補地の中から鹿児島市のドルフィンポート跡地と住吉町十五番街区を選定し、一体的なエリアとして検討を進めることとされました。
さきの定例会の我が会派代表質問や一般質問において、整備候補地とされた鹿児島港本港区エリアに関する質問に対して、「鹿児島港本港区エリアまちづくりグランドデザインについては、総合体育館がスポーツ振興の拠点機能と多目的利用による交流拠点機能を有することにより、年間約四十万人の利用が見込まれるなど、県内外の様々な人々が利用・交流し、にぎわいが生まれる施設となることから、同開発コンセプトとも整合する。また、コンベンション・展示機能を備える施設に係る整備可能性調査に関して、総合体育館がコンベンションや展示会場としても利用できることを前提に調査を進めることとなる」と答弁しています。
総合政策建設委員会においては、委員から、「鹿児島の一等地である鹿児島港本港区エリアに総合体育館を造るに当たって、どう合意形成を図るのか」との質問に対し、「同エリアにふさわしい総合体育館を造る必要があり、デザイン等にも配慮し、多様な方々が多目的に使える、人が集まる施設という観点で検討する」と答弁されました。
また、鹿児島市において路面電車観光路線の新設計画やサッカースタジアム整備の構想などがあることから、まちづくりの観点から鹿児島市との意見交換をしっかりとやるべきとの意見があり、一月から、県と市の課長級が意見交換する連絡会が開かれているところであります。
一月十一日には第七回検討委員会が開催され、メインアリーナやサブアリーナ、駐車場などの配置案について議論が交わされ、検討委員会として、ドルフィンポート跡地には体育館施設を、住吉町十五番街区には駐車場を配置するという結論が出されました。
さらに、一月三十一日には第八回検討委員会が開催され、検討委員会は、県が提示した基本構想案を承認し、二月四日に知事に提出したところであり、今議会での議論を経て、三月末には県において基本構想を策定する予定となっております。
そこで伺います。
第一点は、スポーツ・コンベンションセンターの整備については、検討委員会の構想案を受け、県として今議会に基本構想案を示したところであり、整備に向けた大きな局面を迎えたと捉えますが、改めて知事の考え方と決意をお示しください。
第二点は、スポーツ・コンベンションセンターの整備は、鹿児島港本港区エリアまちづくりに、さらには県勢の発展にどのように寄与するとお考えか。また、知事が目指すコンベンション・展示機能を備えた施設を実現するためには、スポーツ・コンベンションセンターにどのような設備や機能等が必要となるのか、お示しください。
第三点は、スポーツ・コンベンションセンターを鹿児島港本港区エリアに整備することに対する鹿児島市の見解や、今後、鹿児島市とどのような点について協議を進める必要があるのか、お示しください。
また、鹿児島市長が表明している、ドルフィンポート跡地におけるサッカースタジアム構想に対する知事の見解をお示しください。
第四点は、スポーツ・コンベンションセンターの整備に向けた今後のスケジュールをお示しください。
第五点は、スポーツ・コンベンションセンター基本構想案を踏まえ、鹿児島港本港区エリアのまちづくりを今後どのように進めていくのか、お示しください。
馬毛島における自衛隊施設の整備等について伺います。
防衛省は一月十二日に西之表市を訪れ、八板市長に、馬毛島への自衛隊施設の整備を決定し、米軍空母艦載機着陸訓練─FCLP─の候補地の位置づけが変更されたと説明しました。翌十三日には、知事にも同様の説明を行いました。
説明では、滑走路など基地本体の工事費を計上した二〇二二年度政府予算案が閣議決定されたことにより事業を進めたいという考え方を示し、日米安全保障協議委員会─2プラス2─においてもこの日本政府の決定を米側が歓迎したことを踏まえて、候補地という位置づけではなくなったとされ、南西諸島の防衛体制と日米同盟の抑止力強化に向けた早期整備の必要性を訴え、環境影響評価手続後に速やかに着工したい考えを強調したとのことであります。
馬毛島における自衛隊施設の整備等をめぐっては、防衛省は昨年二月に環境影響評価の手続に着手、調査項目や手法を示す方法書の縦覧が始まりました。五月には、住民の懸念が強いFCLPの騒音をめぐり、馬毛島周辺で自衛隊戦闘機によるデモフライトが行われ、知事も現地入りし、音を体感しています。七月には、方法書への知事意見を九州防衛局熊本防衛支局に提出し、航空機騒音の調査及び予測地点の追加などについて検討の上、方法書の次の段階である準備書に記載することなどを求めたところであります。
同省は、二〇二二年度政府予算案に米軍空母艦載機着陸訓練─FCLP─移転と自衛隊基地整備計画の施設整備費三千百八十三億円を計上、同年度の支出については五百四十九億円で滑走路や管制塔、港湾施設など基地本体の工事費を初めて盛り込みました。
また、同予算案には全国の地元自治体に支払われる米軍再編交付金四十一億円も盛り込み、西之表市、中種子町、南種子町の一市二町を交付対象とする方針であることが明らかになっております。
さらに、同省は昨年十一月、滑走路など基地建設に使うコンクリートを作る仮設プラント工事の入札を公告したほか、一月二十四日には、航空機の管制塔や駐機場、燃料貯蔵施設建設などの入札を本年度内に公告予定であることを発表し、一月二十六日に、給水管路や仮設アスファルトプラント、浄水施設など計十三件を公告しています。
二月四日には、西之表市の八板市長と知事の意見交換が行われ、市長から、一月に市が実施した各種団体からのヒアリングの概要や、二月三日に岸防衛大臣に国と市の協議の場の設置などの要望を行ったことなどについて報告があったとのことであります。
また、二月十二日には、岸防衛大臣が県を訪れ、知事や県議会議長等と馬毛島をめぐる様々な動きなどについての意見交換を行ったところであります。
一方、日米両政府が米軍の無人機を海上自衛隊鹿屋航空基地に一時展開する方向で検討していることが報道により明らかになり、防衛省は一月二十七日に鹿屋市、翌二十八日には県を訪れ、一時展開について説明を行いました。さらに、二月九日に鹿屋市、翌十日に県を訪れ、一時展開を検討するための現地調査の概要について説明を行いました。
防衛・安全保障政策は国の専管事項でありますが、私どもは、尖閣諸島など南西諸島地域における軍事的緊張が現実味を帯びる中、防衛体制と日米同盟の抑止力強化を図ることは極めて重要であると考えております。
しかしながら、馬毛島における自衛隊施設の整備をはじめ、新たな米軍無人機の海上自衛隊鹿屋航空基地への展開案については、今後、関係自治体などの様々な意見が想定されることから、国において丁寧な説明を行い、国と地方の信頼関係を構築しつつ、地元の理解を得ていくことが極めて重要であります。
そこで伺います。
第一点は、馬毛島における自衛隊施設の整備等について、環境影響評価手続の途中段階において、地元への説明がないまま整備地と決定されたこと、来年度予算案に関連予算が計上され、仮設プラントや本体工事の入札手続が進んでいることなどについて、現時点での知事の見解をお示しください。
第二点は、米軍無人機の海上自衛隊鹿屋航空基地への一時展開や現地調査について、防衛省からどのような説明がされたのか。また、県として今後どのように対応していくのか、お示しください。
第三点は、防衛・安全保障政策は国の専管事項でありますが、知事として、本県や周辺の現状をどう捉えているのか。また、県民の安心安全な暮らしを守るため、国においてはどのような姿勢で防衛・安全保障に対処してもらいたいのか、知事の基本的な考え方をお示しください。
[
知事塩田康一君登壇]
25 ◯知事(塩田康一君)まず、改訂後のかごしま未来創造ビジョンに基づく今後の県政運営についてでございます。
かごしま未来創造ビジョンについては、県政全般にわたって最も基本となるものとして、中長期的な観点から鹿児島の目指すべき姿や施策展開の基本的方向等を示すものであります。
改訂後のビジョンを踏まえ、各分野の計画等に係る様々な施策・事業等が具体化されることとなり、その過程においては、庁内で政策議論を重ねながら、また、部局横断的・全庁的に緊密に連携しながら政策を立案し、具体的な施策を進めてまいりたいと考えております。
また、毎年度の予算についても、ビジョンを踏まえ、社会経済情勢に的確に対応しながら、弾力的・効果的な施策となるよう編成してまいりたいと考えております。
県政の主役は県民であり、ビジョンに掲げる各種施策について、県民の方々の関心を高め、理解を深めることが重要であることから、ビジョンについては、ホームページでの公表やリーフレットの配布、SNS、県政出前講座等の活用など、積極的に広く県民に周知を図ってまいりたいと考えております。
また、ビジョンの地域版である地域振興の取組方針について、改訂後のビジョンに沿って見直しを行うこととしており、各地域における目指す姿を示すとともに、地域特性を生かした「稼ぐ力」の向上や移住・交流の促進など、各地域において力を入れて取り組むべき施策展開の基本方向について取りまとめていきたいと考えております。
今後、ビジョンに沿って、各般の施策に積極的に取り組み、市町村ともさらに連携を図りながら、県民の皆様と一丸となって力強く県勢の発展を推進してまいりたいと考えております。
次に、スポーツ・コンベンションセンターの整備に向けた考え方と決意についてでございます。
スポーツ・コンベンションセンターについては、検討委員会からいただいた基本構想案を基に、これまで県議会からいただいた御意見や県民の皆様からの御意見も踏まえ、県としての基本構想案を作成し、パブリックコメントを実施しているところであります。
この基本構想案について、県議会での御論議やパブリックコメントの結果を踏まえ、基本構想を策定したいと考えております。
現在の県体育館の老朽化や狭隘への対応は先送りできない課題であると考えております。また、基本構想の策定後、供用開始まで六年から七年という相当の期間を要すると見込まれており、県政の長年の懸案であるスポーツ・コンベンションセンターの整備に向けた道筋を早急につける必要があると考えております。
スポーツ・コンベンションセンターが屋内競技の中核をなし、子供や青少年だけでなく、高齢者も、あらゆる世代の、また、障害者や県内各地の県民がスポーツに親しむとともに、アスリートにとって、ここから全国・世界に羽ばたいていくシンボル的な施設として、またこれに加えて、コンサート、イベント等を通じて、県内外からの来訪者でにぎわい、感動を与える施設として、長年にわたり県民に親しまれ、誇れるものとなるよう、強い決意を持って、早期の整備に向けた歩みをしっかりと進めてまいりたいと考えております。
次に、馬毛島における自衛隊施設の整備等についてでございます。
国からは、馬毛島の自衛隊施設については、整備する方針、また、FCLP施設については、候補地と聞いていた中で、昨年十二月の令和四年度政府予算案の閣議決定をもって、馬毛島における自衛隊施設の整備を決定、FCLPの候補地という位置づけは、本年一月の日米安全保障協議委員会の共同発表をもって変更されたということを報道で知ったところであります。
地元への十分な説明等をすることなく、位置づけを変更するというような国の進め方については、丁寧さに欠けるのではないかと申し上げたところであります。
その後、国から説明を受けた際にも、改めて、国の進め方については、丁寧さに欠けるのではないかと申し上げたところです。
さらに、国から、馬毛島の施設整備について、一月下旬以降、順次入札公告を実施するとの連絡があったところであります。
これらの入札公告については、環境影響評価の手続等を経た後に行うべきであり、このようなことに至った経緯や必要性について、国の十分な説明を強く求めたところであります。
また、岸防衛大臣が、地元の理解を進めるためには丁寧な説明に尽きるとの考え方を表明され、国が県の意見をしっかりと受け止めるとしている中でのこうした国の進め方については、甚だ遺憾であると伝えたところであります。
このような中、国が入札公告を行ったことから、県としては、改めて県の考えをお伝えしたところであります。
国においては、こうした県の考えを十分に踏まえ、しっかりと対応していただきたいと考えております。
県としては、これまで一貫して、国に対し、まずは、環境影響評価の手続等により、住民の皆様が判断できる材料を示すべきと考え、その旨をお伝えしてきたところであり、この考えは変わっておりません。
次に、米軍無人機の鹿屋航空基地への一時展開についてでございます。
一月二十八日に、日米の警戒監視能力を高めるために、鹿屋航空基地での米軍の無人機展開を検討していることなどについて、国から説明があり、二月十日には、私自ら説明をお聞きしたところであります。
国からは、中国が我が国周辺海空域の活動を急速に拡大・活発化させており、我が国周辺地域における情報収集態勢の強化は、我が国の防衛上の深刻かつ喫緊の課題であること、次に、一時展開を実施するかどうかも決定していない段階であり、さらなる検討に必要な現地調査を行う考えであること、そして、期限を切った形での展開であり、その後のことについては何ら決めていないことなどの説明があったところであります。
また、二月二十一日には、まずは、在日米軍等による基礎的調査として、本日から、ホテルやレンタカーのサービス内容などについて、電話等により民間業者への問合せを行い、二月二十八日から三月四日にかけて、基地内の格納庫等の施設や、ホテル・飲食店等の状況に係る現地調査を行うことなどについて、国から説明があったところであります。
県としては、住民の生活上の不安が生じることがないようにすることが重要であると考えており、今後とも、調査の結果を含め、地元に対し、十分かつ丁寧な説明を求めるとともに、県への詳細な情報提供を求めてまいりたいと考えております。
今後、国からの調査結果の詳細な内容などの説明を受け、また、鹿屋市長のお考えなどもお聞きした上で、対応を検討してまいりたいと考えております。
次に、防衛・安全保障政策に対する基本的な考え方等についてでございます。
国においては、我が国周辺の厳しい安全保障環境を踏まえると、南西地域の防衛体制の強化は喫緊の課題であるとしているところであります。
我が国を取り巻く安全保障環境が一段と厳しさを増す中にあって、我が国の安全と平和を確保することは、基本的に必要なことであると考えております。
一方で、国においては、そのような安全保障環境の中にあっても、安全保障上の施策を進めるに当たっては、地域住民の間に不安や懸念が生じることがないよう、十分な説明責任を果たしていただきたいと考えております。
26 ◯総合政策部長(前田洋一君)まず、かごしま未来創造ビジョン改訂案への県議会の意見や県民の声の反映状況についてであります。
県議会からは、県民にとって分かりやすいビジョンとすべきとの御意見を頂きまして、改訂案作成に当たり、図表や写真を追加し、また、キーワードなどを易しく解説したトピックを盛り込むなど、より分かりやすいものとなるよう工夫したところであります。
また、再生可能エネルギーの導入促進について、具体的に記載すべきであるとの御意見につきましては、自然環境に配慮しつつ、地域との共生を図りながら、水力発電、バイオマス発電、地熱発電、風力発電、太陽光発電などの再生可能エネルギーの導入を促進することなどを記載したところであります。
また、いじめは喫緊の課題であるため、特化した記載を検討してほしいとの御意見につきましては、いじめについては、一件でも多く発見し、それらを解消することを目指すことなどを記載したところであります。
県民からは、スマート観光の構築を目指すべきとの御意見を頂き、デジタル技術と観光資源の融合等による新たな観光コンテンツやサービスの創出などのスマートツーリズムなどの取組を促進することを記載したところでございます。
次に、地域版ビジョンの見直しの内容と進め方についてであります。
ビジョンの地域版である地域振興の取組方針については、各地域特有の課題を十分に踏まえながら、各地域において力を入れて取り組むべき施策展開の基本方向について取りまとめてまいりたいと考えております。
また、見直しに当たりましては、県議会の皆様や地域の有識者、各地域で活躍されている方々のほか、地元市町村と意見交換を行うなど、地域の皆様の意見を十分に伺いながら策定を進めてまいりたいと考えております。
次に、本県における情報通信基盤─5G─の整備状況についてであります。
5G展開の前提となる光ファイバーの整備促進については、現在、各市町村において、国の補助事業等を活用しながら整備が進められておりまして、今年度中には全ての市町村で整備が完了する見込みとなっております。
また、5G基地局の整備につきましては、NTTドコモなど通信事業者四社が国に提出した整備計画によると、令和五年度までに都市部・地方部を問わず事業可能性のある九八%のエリアで5G基盤が展開されることとなっており、国は、通信事業者に対し、この整備を加速するよう求めているところです。
県としては、市町村と連携しまして、国や事業者に対し、着実な整備について要望してまいります。
デジタル化を推進する県の体制についてであります。
デジタル化の推進には、データ分析やICTに関する専門的な知識、情報システム全体のマネジメント能力など、様々な人材が必要であると考えられます。
このため、県では、様々な分野の有識者六名をアドバイザーに委嘱し、戦略策定に係る助言・提言を頂いており、引き続き、戦略に基づく取組を進めるための助言等を頂くこととしております。
また、デジタル機器の導入やITサービスの活用など実務的なサポートが必要であり、IT企業からの人材派遣などによる協力体制の構築にも取り組んでおります。
県としては、様々な分野の有識者やIT企業のバックアップを得るなど、デジタル人材を多層的に活用し、県全体のデジタル化を推進してまいります。
デジタルに係る市町村への支援策についてであります。
国においては、デジタルを活用して地域の課題解決に向けた取組を支援するため、
デジタル田園都市国家構想推進交付金や地方創生推進交付金などを活用し、地方から国全体へのボトムアップでの成長を実現していくこととしております。
県としては、市町村がこれらの交付金を活用し、デジタル実装を通じて課題解決に取り組めるよう、取組に係る助言や情報提供などを行っているところです。
また、国では、高齢者等への支援を行うデジタル推進委員制度の検討が進められておりますが、現在のところ、制度の詳細が未定でございまして、県としては、この国の検討状況を注視してまいりたいと考えております。
鹿児島県デジタル推進戦略─仮称─に基づく今後の取組についてであります。
県では、デジタル化の推進について、まずは、行政のデジタル化を進めるとともに、農業、福祉、教育などあらゆる分野におけるICTを活用した効率化・生産性向上、人材の育成等に取り組むこととしております。
行政のデジタル化につきましては、デジタル技術の活用による業務改革や働き方改革の推進の取組を進めることとしております。
暮らしと産業のデジタル化については、遠隔医療の推進やスマート農業の普及展開等の取組を進めることとしております。
デジタル人材の確保・育成等につきましては、県内のIT技術者が最新技術を習得するまでの講座、都市圏のプロフェッショナル人材と本県企業とのマッチング支援などの取組を進めていくこととしているところでございます。
県の特色を生かしたデジタル化の推進についてであります。
デジタル化の推進は、スマート農林水産業などによる経営規模の拡大、生産コストの削減及び省力化等をもたらし、また、
観光関連産業においては、観光の動向や観光消費の実態、観光ニーズなどのデジタルデータを活用した戦略的なプロモーション活動により、観光客や観光消費額の増加が図られることが期待されます。
さらに、中小企業においては、デジタル人材の育成やデジタル技術の導入により、生産性が向上し、商品やサービスの開発など、新たな分野への事業展開や企業の付加価値の創出等が図られることが期待されます。
また、遠隔医療や遠隔教育が進むなど、これまでに比べ利便性が飛躍的に高まり、本県の中山間地域や離島地域の条件不利性が大幅に軽減されると期待されるところです。
これらのことから、地方回帰の機運が高まる中、本県ならではの豊かな自然や特徴ある伝統・文化などを全国に発信することで、地域の魅力が改めて県内外に認識され、移住先、交流先あるいは新たなビジネスの拠点として選択されるようになることが期待されるところです。
今後、あらゆる分野でデジタル化を進め、県民の暮らしの質の向上や新産業の創出に取り組むことにより、心豊かな暮らしと持続可能な環境・社会・経済を実現し、地方発の新たな暮らしとイノベーションを生み出すことを目指してまいります。
次に、スポーツ・コンベンションセンターの整備による本港区エリアまちづくりや県勢発展への寄与についてであります。
スポーツ・コンベンションセンターについては、スポーツ振興の拠点機能に加え、多目的利用による交流拠点機能を備えた施設として整備することとしております。
本港区エリアのまちづくりについては、同エリアのグランドデザインの実現に向けて、民間活力を生かした宿泊施設等を整備するため、事業者公募に係る公募要項案を作成・公表しておりましたが、
新型コロナウイルス感染症の拡大による影響から、公募の開始を延期したところでございます。
この影響が続く中で、民間活力を生かした施設整備だけではなく、公共関与による交流機能の整備も視野に入れて、改めて検討することとしたところです。
このような中、スポーツ振興の拠点機能に加え、多目的利用による交流拠点機能を備えたスポーツ・コンベンションセンターについて、本港区エリアを整備予定地として検討を進めていくことは、公共関与による交流機能の整備も視野に入れて検討することとした同エリアのまちづくりの検討の方向性とも合致しており、同施設の整備は、同エリアにおいて地域がにぎわう交流拠点としての役割を果たすとともに、中心市街地との回遊性を高めることにより、経済波及効果をもたらすことになると考えております。
スポーツ・コンベンションセンターについては、屋内スポーツ競技の中核的な施設として整備することで、子供たちをはじめ障害者や高齢者など全ての県民が利用できる拠点として、また、コンサートやコンベンションに活用される多目的な施設として整備することで、国内外からの多くの来訪者に利用される拠点として、本県の発展に大きく寄与する施設となるよう取り組んでまいりたいと考えております。
スポーツ・コンベンションセンターに係る鹿児島市の見解と今後の協議の方向性についてであります。
スポーツ・コンベンションセンターについて、鹿児島市からは、スポーツを通じたまちづくりを進める本市にとっても大変重要な施設であることから、本市とも十分に協議・連携を取りながら取組を進めていただきたいとの見解が示されているところです。
本港区エリアにおける同施設の整備に当たっては、サッカー等スタジアムや市電路線新設など、同市の事業との関係も想定されることから、県市の関係課の課長級職員で構成する連絡会を設置し、同エリアのまちづくりに係る意見交換を行っているところです。
今後とも、同連絡会において十分に協議・連携してまいります。
最後に、今後のスケジュールについてであります。
スポーツ・コンベンションセンターについては、他県の同規模の施設の事例を踏まえますと、基本構想の策定後、民間資金の活用可能性の検討に一年から二年、基本設計・実施設計に二年、建設に三年などの期間を要し、六、七年後の供用開始が想定されるところであります。
27 ◯地域政策総括監(房村正博君)再生可能エネルギー導入ビジョンの見直しについてでございます。
国は、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言し、再生可能エネルギーを主力電源として、最優先の原則の下、最大限の導入に取り組むこととしており、本県においても脱炭素社会の実現を目指し、再エネのさらなる導入拡大が求められております。
このため、県では、再エネ施策の指針となるビジョンの見直しを進めており、脱炭素社会の実現に向けた再生可能エネルギーの導入促進を基本理念とし、地域特性を生かした再生可能エネルギーの導入促進など、三つの基本方針を盛り込んだ骨子案の取りまとめを行っているところであります。
今後、新たな導入目標の設定や具体的な取組などについてさらに議論を深め、来年度中に次期ビジョンを策定してまいりたいと考えております。
再生可能エネルギー導入促進によるメリットについてでございます。
地球温暖化は重要な環境問題であり、我が国においても平均気温の上昇、頻発する豪雨等による被害、農作物や生態系への影響等が観測されており、本県でも同様の影響が確認されております。
この地球温暖化を抑制するためには、温室効果ガスの排出を削減する必要がございます。
再生可能エネルギーは、温室効果ガスを排出しないエネルギー源であり、導入拡大に取り組むことにより、脱炭素社会の実現に貢献するものであります。
また、産業振興や雇用創出など地域経済への波及効果も期待されます。
さらに、地産地消型の再エネの導入は、エネルギーの自給率の向上、地域への利益還元など地域活性化につながるとともに、非常時のエネルギー確保にも資するものと考えております。
再生可能エネルギー導入促進における規制の在り方についてでございます。
再生可能エネルギーの導入につきましては、防災・環境上の様々な問題が顕在化したことなどから、国は、発電事業計画の認定制度を創設し、事業者に対し、国が指導・助言や改善命令、認定取消しを行うことができるとしたところであります。
また、地球温暖化対策推進法の改正で導入される再エネの促進区域の設定について、自然環境保全地域や国立公園の特別保護地区などを促進区域から一律に除外するエリアとし、砂防指定地や地すべり防止区域などを考慮が必要なエリアとする基準案を公表しております。
県においては、再エネ施設の設置について、森林法等の個別法令等に基づき、防災面を中心とした指導・助言を行ってきております。
県といたしましては、規制条例の制定など再エネの導入等に係るさらなる規制については、引き続き、国の制度運用に係る情報収集などを行いながら、様々な角度から検討する必要があると考えております。
28 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)コンベンション・展示機能を備えた施設を実現するために必要な設備や機能等についてでございます。
今回実施いたしましたコンベンションに係る整備可能性調査におきましては、本県における現状を踏まえました上で、大規模な会場や中小規模の会議室や多目的ホール、分割利用が可能な平土間の不足のほか、優先予約の対応や分散開催の際の施設間移動に対するサポートなどが、本県におけるMICE開催に係る課題とされております。
一方、一般的に、コンベンション開催のためには、会場とオンラインのハイブリッド開催にも対応できる通信環境や、分科会場としての会議室を、また、展示会開催のためには、床下の電源や給排水設備、搬入搬出時の出入口の十分なスペースをそれぞれ備えることが望ましいとされております。
今後、今回の調査結果を踏まえました上で、どのような機能を整備するか、近隣の施設との役割分担も念頭に置きつつ、市場動向の変化や需要見込みの変動を見極めながら、検討を進めてまいりたいと考えております。
29 ◯本港区まちづくり総括監(米盛幸一君)鹿児島市長が表明しているサッカースタジアム構想に対する見解についてであります。
サッカー等スタジアムの整備につきましては、鹿児島市の検討協議会におきまして、ドルフィンポート跡地を含む三つの候補地が示されているところであります。
現時点におきまして、市から施設の機能、規模・構成など具体的な姿が示されていないところでありますが、ドルフィンポート跡地に整備する場合、Jリーグの年間試合数が二十試合程度であることなどを踏まえますと、年間三百六十五日にぎわう拠点を形成することを開発コンセプトとしたグランドデザインとの整合性をどのように図るかといった課題があります。
また、その規模によりましては、代替緑地の確保や港湾計画の変更、臨港道路の付け替えなどの検討も必要になると考えております。
このため、市に対しまして、サッカー等スタジアムの考え方等について説明を求めているところであります。
市では、先般公表された来年度当初予算案におきまして、サッカー等スタジアムの整備内容の検討を行うこととしており、県といたしましては、その検討結果等をお聞きしたいと考えております。
次に、スポーツ・コンベンションセンター基本構想案を踏まえた今後の鹿児島港本港区エリアまちづくりについてであります。
同エリアのまちづくりにつきましては、今後策定するスポーツ・コンベンションセンター基本構想や、今年度実施した整備可能性調査の結果等を踏まえまして、まずは、同エリア内に、スポーツ利用に加え、多目的な交流機能を有するスポーツ・コンベンションセンターの整備を進めてまいりたいと考えております。
その上で、コロナ終息後の社会情勢の変化や同施設の状況等を考慮しながら、事業者公募で検討しておりました宿泊機能や集客機能はもとより、鹿児島市が検討しているまちづくりの方向性なども念頭に置きまして、グランドデザインの開発コンセプトに基づき検討してまいりたいと考えております。
30 ◯桑鶴 勉君 再質問はありません。
31 ◯議長(田之上耕三君)ここで、休憩いたします。
再開は、午後二時三十分といたします。
午後二時十八分休憩
───────────
午後二時三十分再開
32 ◯議長(田之上耕三君)再開いたします。
桑鶴勉君。
[桑鶴 勉君登壇]
33 ◯桑鶴 勉君 それぞれ御答弁頂きました。
かごしま未来創造ビジョン改訂案が示されました。今議会での論議を経て、改訂後のビジョンに基づき、知事のリーダーシップの下、目指すべき社会の構築に向けた積極的な施策展開が図られるよう期待するところであります。
デジタル社会の実現については、国において検討が進められている
デジタル田園都市国家構想も踏まえながら、今年度策定するデジタル推進戦略に基づき、まずは、本県の目指すべき取組について県民に周知することが重要であると考えます。
再生可能エネルギーの導入促進に当たっては、地域へのメリットを勘案することが必要であり、一方、導入による災害や自然環境、景観の悪化等に対する住民の懸念に配慮することが極めて重要であります。
昨年、環境省は、北薩における大規模風力発電計画について、希少種クマタカへの影響が懸念されるとして見直しを求める意見書を経産省に提出したとのことであります。このような国の動向も踏まえつつ、県独自の規制の在り方について、条例制定の必要性を含めた検討を行うよう要望いたします。
スポーツ・コンべンションセンターの整備については、今議会の論議を経て基本構想を策定することとなりますが、構想の推進に当たっては、これまでも再三にわたり指摘してきたとおり、県と市との緊密な連携が重要であります。鹿児島市のサッカースタジアム構想についても、早い時期に県の考え方を明確に伝えるべきであると考えます。
さらに、重要なことは、基本構想策定後も本港区エリアまちづくりの全体像についての検討を並行して進め、県民に本港区エリアの開発のイメージを示すことが重要であり、可能な限り早期の取組を要望いたします。
馬毛島における自衛隊施設の整備等については、先ほど述べたとおり、私どもは、尖閣諸島など南西諸島地域における軍事的緊張が現実味を帯びる中、防衛体制と日米同盟の抑止力強化を図ることは極めて重要であり、かつ喫緊の課題であると考えております。
そのためにも、国においては、計画推進の必要性と地元の疑問、懸念等について、地元の理解がさらに進むよう丁寧な説明を尽くしていただくよう強く求めるところであります。
次に、観光・文化スポーツ関係であります。
観光振興の取組について伺います。
令和二年の本県の観光消費額は、
新型コロナウイルス感染症の影響により、対前年比四五・二%の大幅減となる千五百六十四億九千四百万円となりました。
県では、感染状況が落ち着いてきた咋年十月から、宿泊や旅行に使えるかごしま旅クーポン事業や、県民の県内観光を促進するための旅行商品の割引を実施する、今こそ鹿児島の旅─第二弾─を再開しました。
かごしま旅クーポン事業については、十一月末には完売し、今こそ鹿児島の旅第二弾については、ワクチン・
検査パッケージを活用しながら、十二月からは割引助成の対象範囲を隣県の熊本県、宮崎県、沖縄県まで拡大し、観光需要の拡大を図ってきたところであります。
しかしながら、新たな
オミクロン株により感染が再拡大し、今こそ鹿児島の旅第二弾は、隣県を含め、事業の停止を余儀なくされたほか、国のGoToトラベル事業も再開の見通しが立たない状況となっています。
感染状況の落ち着いてきた昨年の秋以降、少しずつ宿泊客数の回復傾向が見られていた県内宿泊施設においても、第六波の到来により全国で
まん延防止等重点措置が適用される中、キャンセルが相次ぐ厳しい状況となっています。
一日も早い感染の終息が待たれるところでありますが、
感染拡大防止対策の徹底等への支援を継続しつつ、ポストコロナを見据えた観光産業の復興に向けた一層の取組が求められます。
様々な分野でデジタル技術の導入やDX─デジタル・トランスフォーメーション─が進んでいく中で、観光分野においても、観光需要の回復を見据えたデジタル技術の活用は国を挙げて推進しているところです。本県においても、デジタル技術と文化や自然等との融合により新たな観光コンテンツを創出するなどの観光DXを検討していく必要があります。
新型コロナウイルス感染症により、人々の行動様式や生活様式が変化する中、観光に対してもそのニーズは多様化しており、観光客の属性や消費動向等データを分析し、中長期滞在者やリピーターなどの新たな市場の開拓が必要であり、単純な宿泊にとどまらない付加価値を創出し、地域全体において消費を促すなど、「稼ぐ力」の向上のための取組が重要です。
そのためには、デジタル技術を活用して国内外からの誘客を促進する取組を確実に進めるとともに、屋久島、奄美大島・徳之島、明治日本の産業革命遺産の三つの世界遺産をはじめとする本県独自の観光資源を生かすようなエコツーリズムやサイクルツーリズムなどの体験型メニュー、イベント参加型メニュー等の観光滞在コンテンツの充実や、「稼ぐ力」向上のための受入れ体制づくりを進めていく必要があります。
そこで伺います。
第一点は、本県観光産業の現状とそれを踏まえた県の対応策についてお示しください。
第二点は、本県における観光分野へのデジタル技術活用への取組など、観光DXに向けた県の取組についてお示しください。
第三点は、中長期滞在者やリピーターの増加等に向けた観光滞在コンテンツの充実など、「稼ぐ力」の向上に向けた県の取組についてお示しください。
次に、国体・全国障害者スポーツ大会関係であります。
燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会の開催に向けた来年度の取組について伺います。
新型コロナウイルス感染症の影響により、令和二年秋の開催を見送り、佐賀県や滋賀県など後催県との協議等を経て、令和五年に特別国民体育大会、特別全国障害者スポーツ大会として、燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会を開催することとなりました。
本県での国体開催は、昭和四十七年の太陽国体以来五十一年ぶりであり、全国障害者スポーツ大会は、本県での開催は初めてとなります。
これまで、従来の機運醸成に係る取組に加え、鹿児島国体・全国障害者スポーツ大会及びその翌年に佐賀県で開催される国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会を双子の大会と位置づけ、両県の関係を深めるため、佐賀県との連携により、スポーツをはじめとした様々な交流を行うプロジェクトを推進してきたところですが、開催一年前を迎えるに当たり、さらなる機運の醸成に取り組む必要があります。
また、開催県として天皇杯・皇后杯を目指すこととなりますが、昨年開催予定だった三重国体についても
新型コロナウイルス感染症の影響により中止となったことで、二年続けて本県選手の活躍の場が失われたこととなり、選手強化への影響が懸念されるところであります。
選手強化については、令和三年三月に、二〇二三鹿児島国体に向けた競技力向上三か年計画を策定していますが、この計画にのっとり、新たなターゲットエイジの発掘・育成・強化や成年選手の強化などを着実に進めることが重要です。
本県では初めての開催となる全国障害者スポーツ大会は、障害のある人もない人も、誰もがスポーツを通じて喜びや感動を分かち合い、障害に対する理解を深め、障害者の社会参画の推進に寄与することを目指しています。
咋年は、鹿児島大会の正式競技に追加されたボッチャ等の体験会を県内各地で開催するなど、県民の障害者や障害者スポーツに対する理解を深める取組がなされており、このような活動を通じて、本県における障害者スポーツのさらなる普及と環境整備の促進とともに、心のバリアフリーが進むことが期待されます。
そこで伺います。
第一点は、開催機運の醸成に向けた来年度の取組についてお示しください。
第二点は、二〇二三鹿児島国体に向けた競技力向上三か年計画に基づく取組についてお示しください。
第三点は、障害者スポーツの本県での普及拡大、環境整備の促進及び心のバリアフリーにつながる取組についてお示しください。
次に、教育関係であります。
小学校高学年における教科担任制の導入について伺います。
文部科学省は、令和四年度から小学五、六年生において外国語、理科、算数、体育の四教科を中心に教科担任制を段階的に導入することとしています。
従来から音楽、家庭などの技能系教科を中心に専科指導を担当する教員が配置され、専科指導として実施されてきましたが、教材研究の深化等による授業の質の向上、児童の学習内容の理解度・定着度の向上と学びの高度化を図るとともに、小学校から中学校への円滑な接続や複数教師による多面的な児童理解を通じた児童の心の安定に資することなどを目的として、各教科等の学習が高度化する小学校高学年から教科担任制を導入することとしたところです。
国は、教員の確保の観点を踏まえながら、対象とすべき教科の専科指導の取組を円滑に推進できるよう四年程度をかけて段階的に進めることとし、初年度となる令和四年度は九百五十人の定数改善を図ることとしており、今後四年間で三千八百人程度の定数増を見据えています。中学校での学習内容も見据えた系統的な指導を行う専門性の高い教科指導を行うためには、早急に専科指導教員を配置する必要がありますが、限られた予算の中で本県に十分な加配措置が見込めるのか懸念されるところであります。
今後、専科指導教員の専門的な指導力を高めるための取組とともに、各学校の状況に応じた四教科の教科担任制を推進していく取組が必要です。
公立小学校では、昨年四月に施行された義務標準法の改正により、今年度から五年間かけて段階的に全学年の学級編制の標準を四十人から三十五人に引き下げることになりました。本県では、既に小学一、二年生においては三十人学級が実施されており、令和四年度の小学三年生から段階的に三十五人学級が実施されることとなっています。
近年、教職員の採用試験受験者数は減少し続けており、本県の公立小学校の採用倍率も低下傾向が続いています。このような中、教科担任制を着実に推進していくためには、確実な人材確保が求められることになります。
そこで伺います。
第一点は、教科担任制の意義及び課題と本県における進め方についてお示しください。
第二点は、専科指導にはどのような教員を充てるのか、お示しください。
第三点は、三十五人学級の実施と教科担任制の導入により、本県の公立小学校の教員増が必要と見込まれますが、今後の人材確保対策についてお示しください。
34 ◯観光・文化スポーツ部長(悦田克己君)観光産業の現状と県の対応策についてでございます。
本県の観光産業は、昨年末にかけては持ち直しの動きが見られていたものの、本年一月以降、感染の再拡大に伴う今こそ鹿児島の旅第二弾などの需要喚起策の停止や、全国的な
まん延防止等重点措置の適用などの影響により、旅行需要は大きく落ち込んでおります。
県内の観光関連事業者からも、修学旅行をはじめとした団体旅行などの予約について、キャンセルがかなり生じているとのお話を伺っており、本県
観光関連産業は再び非常に厳しい状況にあると考えております。
このような状況を踏まえ、県では、今こそ鹿児島の旅第二弾の延長や、県版GoToトラベル事業の実施などによる需要喚起に引き続き積極的に取り組むとともに、宿泊施設に対する
感染防止対策に要する経費の支援や、宿泊施設の第三者認証制度の継続実施による
感染防止対策の徹底を図ることといたしております。
また、コロナ後を見据えた新規需要を取り込むための観光事業者の取組に対する支援なども行うこととしております。
県といたしましては、
感染防止対策の徹底を図りつつ、効果的な需要喚起策を切れ目なく展開してまいります。
観光DXに向けた県の取組についてでございます。
現在、観光産業分野においても、DXを活用することは、観光客の利便性向上に加え、観光産業の生産性向上や高付加価値化を図る上で重要となってきております。
県では、ICTを活用した宿泊管理システムやキャッシュレス決済の導入などに対する支援により、観光業の生産性向上を図ることとしております。
また、観光関連事業者が行いますWi─Fi環境整備に対する支援等により、観光客の利便性向上を図り、本県への誘客につなげることといたしております。
あわせまして、来訪意欲の促進や観光地の高付加価値化を図るため、オンラインツアーによるプロモーションやVR技術等を活用した観光素材の充実にも取り組んでおります。
県といたしましては、引き続き、観光関連事業者とも連携しながら、観光DXの取組を積極的に進めてまいります。
次に、
観光関連産業の「稼ぐ力」の向上に向けた県の取組についてでございます。
観光関連産業の「稼ぐ力」を向上させるため、まず、観光客のニーズや消費に係るマーケティング調査を実施し、この結果に基づくデータを客観的に分析・検討することにより、ニーズに的確に対応した効果的な誘客を行うこととしております。
また、観光業界だけでなく幅広い関係者が連携し、各地域の観光戦略に沿って観光地経営に取り組む、稼げる観光地域づくりを推進するためのDMO等の組織づくりや人材育成等による体制整備にも取り組みます。
また、県民等から募集いたしました観光素材を県民向けの新たな観光コンテンツとして磨き上げ、情報発信を行うことにより、マイクロツーリズムの推進にも取り組んでまいります。
さらに、世界遺産を活用した周遊旅行商品の造成促進や、インバウンドの再開を見据えた新たな滞在型観光コンテンツの充実、ワーケーションなど新規需要を取り込むための観光事業者の取組に対する支援などにも取り組んでまいります。
県といたしましては、これらの取組により、滞在期間の長期化やリピート率の増加等につなげ、観光客数はもとより観光消費額の増加を図り、本県の基幹産業である
観光関連産業の「稼ぐ力」の向上に取り組んでまいります。
35 ◯国体・全国障害者スポーツ大会局長(永山達也君)燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会の開催機運の醸成に向けた来年度の取組についてでございます。
両大会の開催機運の醸成につきましては、花いっぱい運動などの県民運動を推進するとともに、小・中学校等における障害者スポーツ体験会や、活躍が期待される選手のインタビュー動画の公開などに取り組んでおります。
また、後催県とのスポーツを通じた交流を行っており、特に佐賀県とはスポーツのみならず産業や文化など幅広い分野での交流を進めております。
来年度は、これらの取組に加え、大会を支える運営ボランティアの募集を始めるほか、開催一年前を目途に、節目イベントやダンスコンテストなどを計画しております。
県といたしましては、市町村、関係団体等とも連携しながら、県民はもとより、全国の皆様にとってもすばらしい、思い出に残る希望に満ちた大会となりますよう、開催機運の醸成に取り組んでまいります。
36 ◯競技力向上等総括監(中山恭平君)二〇二三鹿児島国体に向けた競技力向上三か年計画に基づく取組についてでございます。
昨年三月に競技力向上三か年計画を策定し、少年選手の発掘・育成・強化や成年選手の確保・強化、選手強化体制の充実など五つの重点項目に基づき、競技力の向上に取り組んでおります。
少年選手については、競技会等での新たな選手の発掘や県外の強豪チームとの対戦経験の蓄積など育成・強化を進めております。
また、成年選手については、県外在住のふるさと選手への支援、強化指導員の配置による有力選手の確保・強化に取り組んでおります。
さらに、県外遠征やオリンピック選手による指導の拡充などにより選手強化体制の充実などを図ることとしております。
県といたしましては、鹿児島国体での天皇杯・皇后杯を目標に全力を尽くすという強い決意の下、引き続き、競技団体等と連携しながら、競技力の向上に努めてまいります。
37 ◯くらし保健福祉部長(谷口浩一君)障害者スポーツの本県での普及拡大等につながる取組についてであります。
県においては、令和五年の鹿児島大会に向けて、参加選手の確保・育成を図りますとともに、障害者スポーツの普及・拡大を図るため、県民向けの体験教室や、鹿児島大会を目指す選手を対象としたレベルアップ教室を開催しますとともに、競技用具の整備・貸出しや県代表チームの練習会等への助成等を行っております。
また、市町村体育協会等を対象に障害者スポーツ導入研修会を開催し、地域における障害者スポーツの拠点づくりに取り組んでおります。
加えて、新たに全国大会の正式種目となったボッチャ競技の審判員の養成も行っているところであります。
心のバリアフリーの促進につきましては、障害や障害のある方への理解を深めるため、広報誌の配布や県政広報番組等による啓発を行いますとともに、パーキングパーミット制度の普及やヘルプマーク等の配布などに取り組んでおります。
また、鹿児島国体・大会においては、真心のこもったおもてなしで多くの方々をお迎えしたいと考えており、障害者への手助け方法等をまとめた啓発資料の周知等に努めているところであります。
令和四年度も、関係団体等と連携しながら、これらを継続して実施することにより、障害者スポーツの普及・拡大や環境整備等に取り組んでまいりたいと考えております。
38 ◯教育長(東條広光君)教育関係についてのお尋ねのうち、まず、小学校における教科担任制の導入についてであります。
中央教育審議会は、昨年一月、各教科等の学習が高度化する小学校高学年では、中学校等における抽象的で高度な学習を見通した指導を行うことで、中学校への円滑な接続─いわゆる中一ギャップの解消等を図ることが求められるなどとして、教科担任制の導入を答申したところであります。
これを踏まえ、文部科学省では、教科担任制の導入については、各地域や学校の実情に応じて、学級担任間の授業交換などとともに、特定の教科における専科指導の充実を図ること、その対象教科については、外国語、理科、算数及び体育を優先することとし、今後四年程度をかけて全国で三千八百人程度、来年度九百五十人程度の定数改善を図ることとしております。
こうした中で、教科担任制を推進していくには、国による定数措置に限りがありますことから、多くの学校においては、学級担任間での授業交換等、既存の人員体制による工夫が求められることになります。特に、複式学級を有する小規模校等においては、特定の教科について、専門性のある教員の数には限りがあったり、学年間の授業時数の違いから授業交換を行いにくかったりする等の課題も考えられます。
こうしたことから、県教委では、来年度から各地区ごとに教科担任制の実践に係るモデル校を指定し、効果的な実施方法等について研究を行うなどしながら、その推進を図ってまいりたいと考えております。
次に、専科指導に充てる教員についてであります。
小学校高学年の専科指導にどのような教員を充てるかについては、一定程度の専門性を担保するために、例えば、対象教科の中学校または高等学校の教員免許状を有する者、対象教科の専科指導を一定の年数実施した経験のある者、対象教科に関する研究活動や研修履歴等がある者を充てていくことが考えられます。また、対象教科に専門性のある教員が不足する小学校には、近隣の中学校の教員を充てることなどが考えられます。
県教委としては、モデル校での研究等を通して、専科指導の専門性を担保するための方策についても検討してまいりたいと考えております。
次に、教員の確保対策についてであります。
教員の確保については、これまで、正規教員や臨時的任用教員として一定期間勤務した経験のある者に対し、選考試験の一部を免除したり、大学生に対し、教員の魅力をPRする動画を活用した教職ガイダンスを実施して、教職を目指す人材の発掘につなげたりするなど、受験者の確保に努めてきているところであります。
小学校の三十五人学級の実施や教科担任制の推進等に伴い、今後さらに多くの教員が必要になることが見込まれますことから、来年度の選考試験では、受験資格を五歳引き上げて五十四歳までとするとともに、中学校及び特別支援学校小学部の受験者は小学校との併願ができるようにすることとしております。
県教委としては、こうした取組を含め、引き続き、市町村教育委員会等と連携した教員志望者の発掘や大学と協働した教職への就職率を高める取組、受験者の負担軽減を図ることなどによりまして受験者の確保に努め、必要な教員の確保を図ってまいりたいと考えております。
39 ◯桑鶴 勉君 教育長に一問だけ再質問を申し上げます。
鹿児島県は小規模校が非常に多い県であります。複式学級や小規模校がいっぱいある市町村でブロックごとに、学校に籍を置かない、何校かを受け持つような、そのような専科の指導教員というのは考えられるのかどうか、もしそういうことになったときのその教員の身分はどこに在籍をして、どんな扱いを受けるのかお示しください。
40 ◯教育長(東條広光君)小学校における教科担任制、専科指導の導入についての重ねてのお尋ねでございますけれども、先ほど御答弁申しましたとおり、小規模校におきましては指導教員を確保するということが大変難しくなるのではないかと考えております。
そうした中におきまして、来年度はモデル校を指定して、その実施方法を検討するわけでございますけれども、ただいま御提案のありましたような複数の学校を担当するような教員の配置ということについても考えられないかどうか、この辺も含めて検討してまいりたいと考えているところでございます。
[桑鶴 勉君登壇]
41 ◯桑鶴 勉君 それぞれ御答弁頂きました。
観光振興の取組については、引き続き感染の推移と業界の実情を踏まえ、
観光関連産業の早期回復に向け最大限の対応を行うとともに、観光立県かごしまとして、宿泊施設の第三者認証のさらなる取得促進に向けた取組を要望いたします。
さらに、コロナ終息後を見据えた本県観光の稼ぐ力の向上に向けた各般の施策の積極的な推進を要望いたします。
燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会の開催を一年後に控え、開催準備及び天皇杯・皇后杯の獲得に向けた競技力向上対策と開催機運の醸成に向けた一層の取組を強く要望いたします。
小学校高学年における教科担任制の導入については、三十五人学級の実施に加え、教員の数の確保と質の担保が最大の課題であります。文科省が初めて実施した調査でも全国的な教員不足の実態が明らかになっている中、教科担任制の段階的推進に向けた県教委の一層の取組を要望いたします。
次に、環境林務関係であります。
カーボンニュートラルの実現に向けた取組について伺います。
近年、世界各地で極端な高温や大雨などによる干ばつや洪水などの被害が発生しています。国内でも毎年のように記録的な大雨が降り、本県でも昨年、住宅や農作物などに被害が発生しました。
このような災害を引き起こす異常気象は、地球温暖化の影響があると言われています。地球温暖化は、人類の生存基盤に関わる最も重要な環境問題であり、地球温暖化を防止することは人類共通の課題です。
気候変動間題に関する国際的枠組みであるパリ協定では、世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて二度より十分低く保つとともに、一・五度に抑える努力を追求することを目指し、各国に温室効果ガスの排出削減を求めています。
国は、二〇五〇年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言し、二〇三〇年度に二〇一三年度比で四六%削減する中期目標を新たに定め、従来の二六%削減から大幅に引き上げました。
また、経済と環境の好循環をつくっていく産業政策として、今後成長が期待される蓄電池産業などの十四の重要な分野を示したグリーン成長戦略や、脱炭素で、かつ持続可能で強靱な活力ある地域社会を実現する行程を示す地域脱炭素ロードマップを策定したところであり、現在、炭素中立型の経済社会実現への具体的な道筋を示すクリーンエネルギー戦略の策定に向けた検討を行っています。
本県においては、地球温暖化対策推進条例及び地球温暖化対策実行計画に基づき、地球環境を守るかごしま県民運動の全県的な展開や温室効果ガスの排出削減を推進してきました。
また、令和二年第四回県議会定例会において、知事は、二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロとすることを目指す旨を表明し、昨年の定例会においては、「今後、国の動向を踏まえ、地球温暖化対策実行計画や再生可能エネルギー導入ビジョンの見直し等を行い、さらなる実効性ある対策を進めたい」との答弁をされているところです。今後、本県においても、国の新たな削減目標を踏まえた対応が必要となってきます。
そこで伺います。
第一点は、温室効果ガス排出削減に関する取組と成果についてお示しください。
第二点は、カーボンニュートラルの実現に向けた今後の取組についてお示しください。
次に、森林経営管理制度について伺います。
国内の森林は、戦後造林されたスギやヒノキなどの人工林が大きく育ち、利用期を迎えています。本県においても、森林面積は五十九万二千ヘクタールで県土の約六割を占めており、同様にスギやヒノキが本格的な利用期を迎えています。国内で生産される木材も増加し、木材自給率は平成二十三年度から十年連続で上昇を続け、令和二年には四一・八%と四十八年ぶりに四〇%台を回復しました。国内の森林資源は、切って、使って、植えるという循環利用を促進していく新たな時代に入っていると言えます。
森林の有する公益的機能は、地球温暖化防止のみならず、国土の保全や水源の涵養など国民に広く恩恵を与えるものであり、適切な森林の整備等を進めていくことは国土や国民の生命を守ることにつながります。
しかしながら、森林の小規模・零細な所有構造に加え、森林所有者の世代交代や長期的な木材価格の低迷等による経営意欲の低下、所有者や境界が分からない森林の増加などから、管理が適切に行われない、伐採した後に植林がされないという状況が見られているところです。
このような中、森林経営管理法が平成三十年に成立し、さらに、パリ協定下の温室効果ガス排出削減目標の達成や、災害防止等を図るための森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、森林環境税及び森林環境譲与税が創設されました。
その後、昨年十月に閣議決定された地球温暖化対策計画においても、地球温暖化対策・施策の森林吸収源対策の中に、森林経営管理法に基づく森林経営管理制度や森林環境譲与税を活用した森林整備の推進が明記されています。
平成三十一年四月に開始された森林経営管理制度においては、市町村は林業経営に適した森林か否かの判断など専門性を要する業務を行い、林業経営に適さない森林などについては市町村が自ら管理することとされていますが、県内の市町村においては林業の専門職員が極めて少ない状況であるなど、市町村の体制整備が重要な課題となっています。
このため、県においては、市町村の業務負担を軽減し、制度の円滑な運営を図るため、森林環境譲与税を活用し、森林経営管理制度に係る市町村の実務を支援する森林経営管理市町村サポートセンター─愛称もりサポ─による助言等のほか、作業手順等をまとめた業務マニュアルの作成・提供などの支援を行っています。
引き続き、関係機関・団体と連携を図りながら、市町村に対する適切な支援を行い、森林の経営管理を確保し、林業の成長産業化と森林の適切な管理の両立を図るよう努める必要があります。
そこで伺います。
第一点は、本県市町村における森林経営管理制度のこれまでの取組状況についてお示しください。
第二点は、森林経営管理制度の推進に向けた課題と市町村への県の支援についてお示しください。
次に、くらし保健福祉関係であります。
重度心身障害者医療費助成制度の変更に関する取組について伺います。
重度心身障害者医療費助成制度は、障害者とその家族の経済的負担を軽減するため、医療機関を受診した場合の医療費の一部負担金を県と市町村で助成する制度です。
全国の市町村で実施されてはいるものの、地方単独事業として実施されていることから、その財政規模や実情に応じて、助成対象者や給付方式、自己負担額等の運用面に違いが生じているところです。
塩田知事はマニフェストにおいて、優しく働きやすい福祉の実現を掲げており、重度心身障害者の窓口負担ゼロについて、関係者の意見をお聞きしながら、実現した他県の事例を参考に手続の簡素化等の取組を前向きに検討することとしております。
その上で、同制度の変更に係る検討に当たっては、制度変更を行っている他県の状況を調査し、これらを参考に進めていく必要があるとして、今年度、調査対象に六県を選定して調査を進めてこられましたが、これらの調査結果を参考にしつつ、市町村をはじめ県の財政への影響も考慮する必要があることから慎重に検討を進める必要があると考えます。
知事は去る二月十八日の施政方針において、支給方式を現行の償還払い方式から自動償還払い方式に変更し、新たに精神障害者を支給対象とすることなどについて、今後、市町村や関係団体の意見を伺いながら検討を進めていく考えを示され、来年度の予算案に関係機関・団体で構成する関係者会議を設置するための予算を計上しております。
そこで伺います。
第一点は、重度心身障害者医療費助成制度の制度変更に係る県の考え方と具体的な内容をお示しください。
第二点は、今回示された制度変更に係る県の考え方について、今年度の調査結果も含め、どのように反映されているか、お示しください。
第三点は、制度変更に向けた今後の取組をお示しください。
次に、児童虐待防止対策の充実・強化について伺います。
児童虐待の防止については、これまで、児童虐待の防止等に関する法律及び児童福祉法の累次の改正や民法の改正、関係機関の体制強化により、その充実が図られてきました。
一方で、全国の児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数は一貫して増加しており、昨年度の件数は速報値で二十万五千二十九件で、平成二年度の統計開始以来、最高となりました。本県児童相談所においても、令和二年度の認定件数は二千十七件と、前年度と比べ三百二十一件、約一九%増加しています。
児童虐待の防止に当たっては、児童虐待の発生予防と児童虐待発生時の迅速・的確な対応が重要であります。
児童虐待の発生予防のうち、妊産婦へ心理的・身体的な支援を行う産前・産後ケアは、育児不安や孤立感を軽減し、さらには産後の鬱や児童虐待を防止する重要な取組であることから県議会では咋年十二月に産前・産後ケアの充実について、知事に対して政策提言を行ったところです。
また、日頃から支援が必要な児童等に接する機会が多い病院、学校の関係機関は、児童虐待の早期発見に努め、通告することが求められています。
児童虐待発生時の迅速・的確な対応については、児童福祉法等において児童相談所は一時保護や施設入所など行政処分としての措置等を行うこととされ、市町村は基礎的な地方公共団体として児童の身近な場所における児童の福祉に関する支援等に関する業務を適切に行うこととされています。
各市町村は、要保護児童対策地域協議会を通じて虐待を受けている子供や支援を必要としている家庭を早期に発見し、適切な保護や支援を図るために関係機関の間で情報や考え方を共有し、適切な連携の下で対応していくことが重要です。児童相談所は児童虐待対応の中核を担う特に重要な機関であり、高度な専門性を要求される一方で職員数の不足が懸念されています。
本県においても令和元年八月に出水市の女児が死亡した痛ましい事件を踏まえ、同年以降、児童福祉司などの増員や組織面の強化に加え、児童相談所の補完的な役割を担う児童家庭支援センターを大隅地域及び北薩地域に加え南薩地域に設置するなど子供の安心と安全を確保するため体制の充実を図ってきました。
また、昨年六月に一時保護所の在り方等検討委員会を設置し、県内外の外部有識者七名を構成委員として一時保護所の混合処遇や児童相談所の分散配置等について協議を重ね今年二月まで計五回開催してきました。
児童虐待は、子供の心身の発達及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに将来世代の育成にも懸念を及ぼすことから、その防止は社会全体で取り組む必要があります。
そこで伺います。
第一点は、令和元年八月死亡事例に係る検証報告書の提案内容を踏まえ、これまでどのように取り組み、今後、児童虐待防止対策にどのように取り組んでいくのか、お示しください。
第二点は、同検証報告書の提案を踏まえ、今年度、一時保護所の在り方等検討委員会を設置しましたが委員会で出された課題や意見を踏まえ、県として今後どのように取り組んでいくのか、お示しください。
[
知事塩田康一君登壇]
42 ◯知事(塩田康一君)まず、カーボンニュートラルの実現に向けた今後の取組についてでございます。
地球温暖化は、人類の生存基盤に関わる最も重要な環境問題であり、県としても二〇五〇年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロとすることを目指しております。
その実現に向けて、学識経験者や関係団体等の御意見、事業者や県民へのアンケート調査結果、法改正や国の地球温暖化対策計画の改定等を踏まえ、令和四年度に県地球温暖化対策実行計画について、二〇三〇年度の温室効果ガス排出削減目標を引き上げるとともに、その達成に向けた対策や施策の充実などの見直しを行うこととしております。
また、地球温暖化の現状、温室効果ガスの排出削減や気候変動への適応の必要性について、県民や事業者の理解を深め、地球温暖化対策に対する機運醸成を図るため、取組事例等の動画やテレビ・インターネット広告による情報発信を行うとともに、各種イベントを開催することとしております。
さらに、県内のエネルギー起源の二酸化炭素排出量の削減を図るため、運輸部門では引き続き、電気自動車の充電設備の導入を支援するとともに、新たに、離島における電気自動車等の普及を促進するため、車両購入費の支援を行うこととしております。また、産業部門・業務その他部門では、これまで製造業者に限っていた省エネ設備等の導入支援の対象を製造業以外の県内中小事業者にも拡充することとしております。
再生可能エネルギーについては、国の
エネルギー基本計画等を踏まえ、再生可能エネルギー導入ビジョンの見直しを進めており、令和四年度には次期ビジョンを策定することとしております。
また、新たに地熱発電、小水力発電及びバイオマス発電の導入可能性調査等に対する支援や再生可能エネルギー設備と蓄電池を併用したマイクログリッドの構築など先進的な取組に対する設備導入の支援を行うこととしております。
森林吸収源対策としては、計画的な間伐や伐採後の再造林等による森林整備を進めるとともに、炭素を長期貯蔵することが期待される木材の利用促進を図っていくこととしております。
県としては、県民、事業者、行政が力を合わせて一体となってこれらの対策に積極的に取り組むことにより、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現を目指してまいります。
次に、重度心身障害者医療費助成制度の変更に係る県の考え方と内容についてでございます。
重度心身障害者医療費助成制度の在り方については、重度障害者の方々の負担軽減を図る観点や、三障害のサービス提供が一元化された障害者自立支援法の趣旨に鑑み、支給方式の変更や対象者の拡充などについて、昨年度来、他県の制度内容や制度変更に至るまでの取組・課題等について調査を行ってきたところであります。
県としては、これらの調査結果や制度変更に伴う県及び市町村の財政に与える影響等も考慮し、支給方式について現行の償還払い方式から自動償還払い方式に変更するとともに、支給対象者について、精神障害者保健福祉手帳一級所持者のうち医療機関へ通院する方を新たに追加する、また、相当程度の収入のある方については、制度の対象外とする所得制限を新たに導入することなどについて、今後、事業主体である市町村をはじめ医師会等の関係機関・団体等と協議を行い、御意見を伺いながら制度変更に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。
43 ◯環境林務部長(松下 正君)環境林務関係についてのうち、温室効果ガス排出抑制に関する取組と成果についてでございます。
県では、これまで地球温暖化対策推進条例や地球温暖化対策実行計画に基づき、地球環境を守るかごしま県民運動を展開するとともに、一定以上の温室効果ガスを排出する特定事業者に対して排出抑制計画の作成・提出と実施状況等の報告を義務づけております。
また、再生可能エネルギーの導入促進や二酸化炭素排出量を森林整備による吸収量で埋め合わせるかごしまエコファンド制度の普及促進など温室効果ガス排出抑制のための取組を推進しているところであります。
こうした取組もあり、本県の二〇一八年度における温室効果ガス排出量は、基準年度である二〇一三年度に比べ二二・六%減少しており、二〇一四年度以降は五年連続で減少しております。
県としては、庁内関係部局はもとより、関係機関・団体等と連携しながら地球温暖化対策を積極的に推進してまいりたいと考えております。
市町村における森林経営管理制度の取組状況についてでございます。
森林経営管理制度については、これまで三十市町において実施地区の選定や所有者の確認、地元説明会の開催等を経て所有者に対する意向調査を実施しており、その他の十三町村では、意向調査に向けた森林情報の収集等を行っているところであります。
意向調査を実施した三十市町では、経営管理委託を希望する所有者との間で順次委託内容の協議や同意の取得に当たっており、令和四年一月末現在で十五市町の約五十六ヘクタールの森林について経営管理を受託したところであります。
また、市町村においては、受託した森林が林業経営に適するか否かを判断した上で、経営に適した森林については、意欲と能力のある林業経営者へ経営管理の再委託を行うこととしており、現在、七市町の約十四ヘクタールの森林が再委託されております。
森林経営管理制度の課題と市町村への支援についてでございます。
市町村においては、制度の推進に伴い、森林の現況調査や林業経営の適否の判断、施業方法の検討など専門的な知識や技術を要する業務が増加していること、また、林業専門職員が極めて少ない状況にあることから、これらの業務のより効率的な実施が必要となってきております。
このため、県では、令和元年五月に開設した森林経営管理市町村サポートセンターによる助言等や各種の森林情報を一元管理するシステムの開発・提供などを行っているほか、今年度からは、市町村業務の支援を行える地域林政アドバイザーの育成・確保を図っております。
また、来年度からは、ドローンを活用したレーザー計測等により詳細な地形情報などを把握し、効果的な路網の配置と分散した森林の効率的な集積が行えるシステムを開発し、提供することとしております。
県としては、引き続き、市町村に対する適切な支援を行い、本制度が円滑に推進されるよう努めてまいりたいと考えております。
44 ◯くらし保健福祉部長(谷口浩一君)重度心身障害者医療費助成制度に係る調査結果の制度変更への反映についてでございます。
これまで実施した調査では、現行制度の支給対象者や支給方式、自己負担等の導入状況について把握するとともに、本県と同じ償還払い方式から現物給付方式または自動償還払い方式に変更した県における制度変更時の医療費の推移や自己負担等の導入状況、さらには、市町村や関係団体等との協議の状況や具体的に出された意見及びその対応状況等について、実地または文書にてその内容を把握できたところであります。
調査結果の主な概要としましては、現行制度の支給方式は、償還払い等との併用を含む現物給付方式を導入している県が三十九県、自動償還払い方式のみが三県、償還払い方式のみが五県となっており、このうち、所得制限と自己負担のいずれか、または両方を導入している県が四十三県、いずれも導入していない県が四県であること、精神障害者を支給対象としている県が三十六県であることが確認できました。
また、これまで行った他県における制度変更の状況につきましては、支給方式の変更後、総じて医療費が増加している中で、所得制限や自己負担を新たに導入した県では、これらを導入しなかった県に比べて医療費の増加が抑制されていること、制度変更に向けて、市町村や関係団体と複数回、協議・調整を行うなど緊密に連携を図っていることなどが確認できたところであります。
県としては、これらの調査結果や、制度変更に伴う県及び市町村の財政に与える影響等も考慮し、今後、市町村や関係団体と協議・調整を行ってまいりたいと考えております。
次に、制度変更に向けた今後の取組についてであります。
今後、県の制度変更に係る考え方等について、まずは、事業主体である市町村や各関係団体等に対し個別に説明を行った上で、市町村や医師会、審査支払い機関等の関係機関・団体で構成します関係者会議を設置したいと考えております。
同会議においては、制度変更の内容や今後の取組、課題等について御意見を伺うとともに、それらについて協議・検討を行った上で、関係者間においておおむねの合意を得て、最終的に制度変更の内容を決定してまいりたいと考えております。
45 ◯子育て・高齢者支援総括監(吉見昭文君)検証報告書を踏まえた児童虐待防止対策についてでございます。
県社会福祉審議会の相談部会から令和二年九月に頂いた検証報告書の提案内容を踏まえ、県ではこれまで児童相談所の業務執行体制の強化や職員の専門性・対応力の強化のほか、関係機関間における情報の相互確認と情報共有の徹底、市町村の対応力や要対協の強化などに取り組んできたところでございます。
具体的には、令和三年度においては、児童福祉司等を増員したほか、中央児童相談所に新たに心理判定課を設置するとともに、警察本部から警察職員を出向で配置いたしました。
また、児童相談所の補完的役割を担う児童家庭支援センターを南薩地域に設置したほか、新たに、市町村児童福祉担当者・母子保健担当者合同研修会を県内九か所で実施するとともに、他自治体との情報共有等を図るため、児童記録票の作成などに使用する児童相談所システムの改修も行ったところでございます。
令和四年度におきましては、虐待認定件数の増に対応した児童福祉司、児童心理司の増員を行うほか、引き続き、児相職員の研修の充実や市町村要対協の強化を支援する取組を実施することといたしております。
今後とも、検証報告書の提案内容等を踏まえながら、関係機関相互の緊密な連携の下、児童虐待への確実な対応・防止に努めてまいりたいと考えております。
次に、一時保護所の在り方等検討委員会を踏まえた取組についてでございます。
一時保護所の在り方等検討委員会につきましては、中央児童相談所の一時保護所の在り方及び児童相談所の配置の在り方等について必要な事項を検討するため、これまでに五回開催し、今月二十日の第五回委員会におきましては、これまでの議論・意見交換を踏まえ、報告書の取りまとめに向けた協議が行われたところです。
中央児童相談所の一時保護所の在り方につきましては、委員間で子供の安全や権利擁護等の観点から一時保護所の課題やその対応策について意見交換が行われ、短期的な取組を求めるものと中長期的に検討を要するものに分けて議論がなされました。
委員からは、委員会の議論を踏まえ、報告書の提出を待たず、できることから速やかに取り組むよう意見が出されたことから、中央児童相談所におきましては、これまで入所中の児童がより意見を表明しやすくなるよう意見箱を設置いたしましたほか、子供の権利を分かりやすく説明した子どもの権利ノートの作成・配布、居室に持ち込めない私物の見直しなどに取り組んできたところです。
加えまして、令和四年度当初予算案におきましては、中央児童相談所の一時保護所について、より安全・安心で適切なケアを提供するための補修や環境整備、備品整備を行うための経費を計上いたしました。
また、児童相談所の配置の在り方につきましては、管内人口、児童虐待の認定件数のほか中央児童相談所から各市町村への移動時間、管内の移動時間、児童養護施設等の分布状況などを踏まえた議論・意見交換が行われているところでございます。
中央児童相談所の一時保護所の在り方や児童相談所の配置の在り方につきましては、今後、同委員会から知事へ提出される報告書の内容を踏まえ、県として対応を検討し、取組を進めてまいりたいと考えております。
[桑鶴 勉君登壇]
46 ◯桑鶴 勉君 それぞれ御答弁頂きました。
カーボンニュートラルの実現に向けた取組については、まずは地球温暖化対策に対する県民・事業者の理解を深め、機運の醸成を図るために、改定予定の県地球温暖化実行計画において取り組むべき具体的方策を示すことが重要であると考えております。
森林経営管理制度については、「森林環境譲与税の市区町村配分額の五割が使われず基金に積み立てられており、背景に人口考慮で都市部が優遇され、山間部は配分が少ないことが一因」と報ぜられております。県内の実情を把握し、市町村への的確な支援に努めるよう要望をいたします。
重度心身障害者医療費助成制度については、ようやく自動償還払い方式への変更が実現するものと考えております。早急な検討を進めるよう要望をいたします。
児童虐待防止対策についてでありますが、虐待事案は後を絶たず、岡山市においては、五歳の女児を長時間、鍋の中に立たせるなどの虐待を行い、死亡に至らせたという痛ましい事案も発生しております。
また、一昨日、出水の女児死亡事案が急転し、母親の交際相手が傷害致死の疑いで逮捕される事態ともなりました。児童相談所と警察等関係機関の一層の連携強化による虐待防止対策の強化を強く要望をいたします。
以上、県政の課題について質問してまいりました。
さて、ウクライナ情勢が風雲急を告げる事態となり、プーチン大統領は軍事行動に踏み切りました。尖閣諸島問題、竹島問題を抱え、台湾と国境を接する我が国にもその影響は計り知れないものがあると思います。ロシアに対する制裁措置を含め、世界の混迷は一段と深まることになりました。
南西諸島を有する我が県としては、武力攻撃事態が発生した場合などに備え、国と共同して、国民保護法に基づいて国民保護計画を念頭に国と連携しながら国民保護訓練の必要性も検討すべきではないかと思っているところです。
内外の情勢が大きく変動する中、私ども
自由民主党県議団は、引き続き、各地域の実情を踏まえ、県勢の発展と県民生活の安定のために最大限の努力をもって取り組んでまいる所存であることを申し述べ、これをもちまして
自由民主党県議団の代表質問を終わります。
47 ◯議長(田之上耕三君)これで、本日の日程は終了いたしました。
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48 △ 日程報告
◯議長(田之上耕三君)明日は、午前十時から本会議を開きます。
日程は、代表質問であります。
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49 △ 散 会
◯議長(田之上耕三君)本日は、これで散会いたします。
午後三時三十九分散会
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