鹿児島県議会 2021-03-12
2021-03-12 令和3年予算特別委員会 本文
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 七、審査経過
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午前十時開会
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◯小園委員長 定足数に達しておりますので、ただいまから
予算特別委員会を開会いたします。
本日の日程は、
総括予算審査であります。
質疑の順は、配付いたしております発言順位表のとおりであります。
これより質疑に入りますが、この際、当席より特にお願い申し上げます。
執行部におかれましては、答弁は簡潔に行っていただきますようお願いいたします。
委員は、会派等に配分されました質疑時間が経過したときは、直ちに発言を終了してください。この場合、執行部の答弁はありませんので申し添えます。
また、各会派等に配分されました質疑時間の範囲内で、通告委員以外の委員からの再質疑も認められておりますが、その際は挙手の上、委員長の指名があった後に発言してください。
なお、会派等に配分されました質疑時間の終了一分前と終了をチャイムでお知らせいたします。
最後に、当委員会の質疑は通告制となっておりますことから、再質疑を含め、通告外の内容に及ぶことがないよう御確認いただきたいと思います。
以上、よろしくお願いをいたします。
それでは、議案第三一号から議案第四二号までの十二件を一括議題といたします。
発言順位表に従って、順次発言を許可いたします。
まず、自由民主党の質疑であります。
質疑時間は、答弁を含めて百八十四分であります。
なお、時間が限られておりますことから、答弁者が席に戻られる前に次の指名をする場合がありますので、御了承いただきたいと思います。
園田委員に発言を許可いたします。
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園田委員登壇]
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◯園田委員 皆さん、おはようございます。
令和三年度当初予算の
予算特別委員会における
総括予算審査におきまして、
自民党県議団の一番手として質問をいたしますので、よろしくお願いを申し上げます。
本日の
予算委員会終了後、各常任委員会に予算案は付託されます。そして、一般質問、代表質問、本会議におきましても来年度の取組等に質疑がなされたわけでございます。令和三年度の当初予算が県民の生活、そして、現在、
新型コロナウイルスの中で、大変な状況でありますけれども、
新型コロナウイルス対策の予算並びに本県産業の発展につながる予算であることを確信いたしまして質問したいと思います。よろしくお願い申し上げたいと思います。
さて、塩田知事におかれましては、今回、初の当初予算編成になったわけでございます。知事におかれては
経済産業省出身ということで、国としての立場で、本県の産業経済の状況や財政状況などに対しまして、認識はあったとお察しするところでございます。
まず、一点目、令和三年度当初予算案についてお伺いしたいと思います。知事として、就任前に本県の財政状況に対してどのような御認識をお持ちであったのか、まずお伺いしたいと思います。
そして、令和三年度
一般会計予算は、八千四百四十三億七千五百万円で、前年度当初予算に対しまして〇・五%の増でございます。知事就任後、県政運営を行っていくトップとしまして、予算編成を行うに当たり、一番重点に置かれたことについても、重ねてお伺いしたいと思います。
さらには、本県においては、近年、予算編成前に収支不足が見込まれ、その解消を図りながら、年度ごとに予算編成がなされてきたわけでございます。限られた予算の中で令和三年度予算について、予算の効果や地域間に格差のないよう、各地域の要望等に対してどのように検討されたのか、まずお伺いいたします。
[
塩田知事登壇]
3 ◯塩田知事 本県の財政状況及び予算編成を行うに当たり、一番重点を置いた点についてでございます。
本県の財政状況については、県税をはじめとする自主財源に乏しい財政構造であることに加え、
新型コロナウイルス感染症の影響等を背景とした経済の下振れによる税収の減や
感染拡大防止と
経済立て直しに向けた対応に要する経費の増加などにより、厳しくなるものと考えていたところでございます。
そのような中で、令和三年度当初予算編成に当たっては、財源不足がない予算を編成できるよう、歳入・歳出両面にわたり徹底した
行財政改革に取り組むとともに、
新型コロナウイルス感染症への対応を最優先にしつつ、持続的な経済の発展や県民所得の向上につながる稼ぐ力の向上に資する施策を重点施策として計上したところでございます。
[
平木総務部長登壇]
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◯平木総務部長 令和三年度当初予算に係る予算の効果や各地域の要望等に対する検討についてでございます。
令和三年度当初予算につきましては、
行財政運営戦略を踏まえた
行財政改革を着実に進めつつ、SDGsの理念も踏まえ、
新型コロナウイルス感染症の
拡大防止対策や
医療提供体制の確保、県民の安心・安全と経済活動、社会活動の両立を図るための施策、鹿児島の基幹産業である農林水産業、
観光関連産業や地域の中小企業等の稼ぐ力の向上に資する施策、
デジタル社会の実現に向けた施策などを積極的に推進する予算として編成したところでございます。
予算編成に当たりましては、地域や関係団体からの御要望等も十分に踏まえながら、個別の事業に設定いたしましたKPIに対する事業の有効性、妥当性、必要性などの観点から検討を行ったところでございます。
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◯園田委員 ただいま、知事と総務部長からも御答弁ありましたけれども、多分、知事就任前も、本県の財政状況というのは厳しい状況であるという認識があったと理解いたしました。また、そういうことを踏まえて、令和三年度の予算編成に収支不足もあったことを解消しながら、令和三年度予算に取り組まれたということでございます。
知事は、これまで施政方針におきましても、誠実に、着実に県政の推進を図っていきたいと述べておられ、また、みんなでつくる鹿児島の今と未来ということを基本に、八つの政策を公約として述べておられます。また、そのことは県民に対するお約束事でもございますから、一つずつ、この任期中にできること、そしてまた、その糸口をつくっていくことと、それぞれの考えの中で公約実現に向けて取り組まれると思っております。
そこでお伺いしたいのは、令和三年度の予算に対して、知事の公約がどのように予算化され、反映されていたものか。さらには、知事のこれまでの経験を生かしながら塩田カラーというものが、自分でどの部分に出されているものか。さらには、令和三年度の新規事業が二百六十以上あると思いますけれども、新規事業に対する知事の御所見についてお伺いしたいと思います。
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塩田知事登壇]
6 ◯塩田知事 公約の令和三年度当初予算への反映と新規事業等についてでございます。
マニフェストにおきましては、
新型コロナウイルス感染症拡大防止及び
経済立て直しに向けた対応や各種産業の稼ぐ力の向上に資する施策に積極的に取り組んでいくことなどを県民の皆様にお示ししたところでございます。
令和三年度当初予算等への反映につきましては、
予算要求基準の中で、その実現に向け、
新型コロナウイルス感染症対策枠や
マニフェスト推進枠を設けたところでありまして、それぞれ四十四件、七十件の新規事業を計上するなど、財政健全化のための取組にも留意しつつ、重要施策には最大限投資するめり張りの利いた積極的な予算となるよう努めたところでございます。
これまでの経験等を生かした施策につきましては、若い人たちが鹿児島で生き生きと豊かに暮らしていけるような仕事の場をしっかりとつくっていくことなどが今後の地域活性化、持続的な社会の維持には必要であると考えており、こうした環境の整備を図るため、各種産業の稼ぐ力の向上に資する施策にしっかりと取り組んでいくための予算となるよう努めたところでございます。
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◯園田委員 知事から予算の枠の範囲内で、自らの公約に関しましても取り組んできたという趣旨のお話がありました。知事も一番念頭に置かれたものの一つとして、若い方々が本県で働きながら、そして生活していくということが、一番重要な課題の一つで、そのことも稼ぐ力の予算の中に配分されているものだと感じたわけでございます。
そこで、県政のこの予算を運営していく中で、歳入・歳出を考えた行財政改革、また運営していかなければならないということがあります。私も県議会議員として三人目の知事でございますけれども、施政方針の中におきましても、本会議におきましても、常に徹底した行財政改革を行いながら、予算編成を行っていくということをどの知事さんもお話されているようでありました。令和三年度当初予算におきましては、八千四百四十三億七千五百万円余りで、令和二年度当初予算に対しまして〇・五%の増となっております。しかし、施政方針の中でも述べておられましたが、歳入・歳出の両面にわたる徹底した行財政改革に取り組んだ予算であるということを、冒頭申し上げましたけれども、具体的にどの部分を徹底して予算編成を行われたのかお伺いいたしたいと思います。
さらには、施政方針におきましても、国の動向にも的確に対応しつつ、
行財政改革に取り組んできたと言われております。知事も国でお勤めでありましたけれども、現在の国の財政運営をどのように捉え、そのことがまた県の財政や県民のことに対しましてどう反映されていくのか、国の動向等をどのように捉えていらっしゃるのかということを二点お伺いしたいと思います。
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平木総務部長登壇]
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◯平木総務部長 行財政改革における具体的な見直しについてでございます。
令和三年度当初予算編成等に当たり、歳入・歳出両面にわたる徹底した
行財政改革に取り組んだところであり、具体的には
新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、大きな影響を受けている県民生活や県経済に対して十分に配慮しつつ、施策の妥当性・有効性等の観点から、
地域医療介護総合確保基金を活用した
高齢者個人ポイント制度などの事業内容、財源等の見直し、決算額を考慮した当初予算規模の見直し、
新型コロナウイルス感染症の状況を踏まえた不要不急の出張の取りやめなどの事業執行の見直しなど、事務事業の見直しに取り組むとともに、未利用財産の有効活用、使用料・手数料の見直しなどの歳入確保に取り組んだところでございます。
今後の国の財政運営に対する見解についてでございます。
国におきましては、
経済財政運営と改革の基本方針二〇二〇等を踏まえ、二〇二五年度の
プライマリーバランス黒字化目標等に向けて、引き続き歳出改革の取組を継続することとされており、
ポストコロナの新しい社会の実現を目指して中長期的な成長力強化の取組の推進などによる経済再生と財政健全化の両立に向けて、今後、具体的な議論が進められるものと考えております。
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◯園田委員 ただいま部長から御答弁がありましたけれども、今回の予算に関しましても、未利用財産の活用であり、また、様々な事務事業の見直し等も行った結果、そして、国の財政につきましても、
ポストコロナを見据えた新しい財政運営の在り方を、国の動向等も十分注視しながら行っていくということでございます。
そこでお伺いしたいと思います。
令和三年度の税収見込みと今後の
自主財源確保についてでございます。
当初予算に占める自主財源は二千六百九億四千万円の全体に占める割合が三〇・九%でございます。依存財源は五千八百三十四億三千五百万円で六九・一%であり、令和二年度の当初予算に比較しましても、自主財源の比率というのは低くなってきております。特に、令和三年度の当初予算の税収見込みは令和二年度の予算に比べ四・四%の減で、一千四百三十八億二千二百万円であり、県税収入の中でも法人二税、個人事業税は令和二年度に対して大きく落ち込む見込みであります。令和三年度のこの県税収入の
税収見積もりと
自主財源確保に対する取組について、まずお伺いしたいと思います。
そしてまた、
自主財源確保といたしまして、令和三年度は不動産売却が五億三千二百二十七万九千円が計上されております。令和二年度の予算に対して八億円近く減でありますが、これは、先般の補正予算の中でも減額補正をいたし、令和二年度の分が令和三年度へ来たと感じております。ただ、新たに昨年の分がそのまま令和三年度に来ているわけですけれども、令和二年度分の売る予定であったものが売れなかったということであります。それは、買う側、売る側の思い、そしてまた経済状況なども違いますから、そういう中でなかなか一致した考えの下に、スムーズに予算どおりにいければよかったんですけれども、それがなかなかできなかったということであります。そういうことも踏まえまして、本県の売却可能な未利用地の総額は現時点でどれぐらいあるものか。
それとまた、令和三年度の主な売却予定地と今後の未利用財産の有効活用についてお伺いしたいと思います。
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平木総務部長登壇]
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◯平木総務部長 令和三年度の県税収入の
税収見積もりと
自主財源確保の取組についてでございます。
令和三年度の県税収入につきましては、本県経済の動向や県税収入の状況、税制改正の影響、
地方財政計画における税収見込みなどを勘案して見積もったところでございます。具体的には、法人二税につきましては、
新型コロナウイルス感染症の影響により企業業績の下振れが見込まれることなどから、令和二年度当初予算と比べ、一四・二%減の二百六十九億八千三百万円、個人事業税につきましても、同様に事業所得の減が見込まれますことから、一五・二%減の十一億五百万円を見込んだところであります。各税目の税収見込額を積み上げた結果、総額で四・四%減の千四百三十八億二千二百万円を見込んでいるところでございます。このような中で、自主財源の確保につきましては、その根幹である県税収入につきまして、引き続き税源の涵養と徴収対策に取り組むとともに、未利用財産の売却・有効活用や、使用料・手数料の見直しなどについても取り組んでまいりたいと考えております。
続きまして、未利用財産の売却等についてでございます。
県では、現在のところ、売却を予定している公共資産として、約二十八万平方メートル、十三億円程度を見込んでおります。令和三年度におきましては、旧
姶良警察署跡地などを売却したいと考えております。未利用財産につきましては、今後の利活用が見込まれないものは、できるだけ早期に売却することとしており、売却困難なものについては、貸付け等による有効活用を図ることとしております。引き続き、歳入確保を図るために、未利用財産の積極的な売却等に努めてまいりたいと考えております。
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◯園田委員 令和三年度は、やはりコロナ禍で経済も落ち込む、そうした中でも、売却可能なところはしっかりと相手側ともお話をしながら、未利用財産を活用し、立地等が発生すれば、本県経済にとりましても、所得が上がってまいりますから税収が上がる、そういうこと等で働く場ができるということは、先ほど知事が申された若い方々への働く場の提供にもつながっていくんじゃないかなと思います。
そこで、次に、
財政調整基金などの基金の在り方と公債費についてでございます。本県の財政調整に可能な基金の残高というのは二百五十億円でございますが、この基金の額は、本県と同規模程度の他県と比較してどのような額であるのか、担当部署としてどう分析していらっしゃるのか。
そして、令和三年度の基金繰入金は百五十七億円余りでありまして、令和二年度の当初予算の百九十億円余りに比較して三十四億円余り減であります。とかく県民の皆様方もそうでありますけれども、ここに頂いている資料等で、鹿児島県は二百五十億円しか貯金がないのかなと思いがちでございます。本県の全目的基金も含めて残高というのはどれぐらいあるものなのか。そしてまた、今後の基金の有効活用に対する考え方についても御答弁をいただきたいと思います。
また、令和三年度の公債費の当初予算は一千二百十七億七千八百三十六万九千円で、元金が一千百二十三億二千七百四十八万円、利子が九十億二千三百十九万円でありますが、現在の県債残高の平均利率についてもお示しいただきたいと思います。
今、民間でもそうでありますけれども、現在、日銀の
マイナス金利政策の下、一般の銀行等の金利が低いということなどもありながら、元金の償還を少し遅らせて利息だけし、その元金を別途運転資金などに運用するというような、
新型コロナウイルス対策費の部分というのも含めて、事業者は経営運営の形を取っていらっしゃるところもあります。償還期間を含めた県債の借入れ方法などについても、今後十分検討していかなければならないと思いますが、御見解をお伺いいたします。
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平木総務部長登壇]
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◯平木総務部長 財政調整に活用可能な基金残高の他県との比較についてでございます。
財政調整に活用可能な基金であります
財政調整積立基金と
県債管理基金の残高の合計額につきましては、令和元年度決算におきまして、人口や
標準財政規模が類似する他の団体と比べ、本県はいずれも少ない状況となっております。安定的な財政運営を行うためには、その充実を図る必要があると考えております。
基金残高と基金の有効活用の考え方についてでございます。
令和元年度末における本県の全ての基金残高につきましては、財政調整に活用可能な基金二百五十億円や県債の
満期一括償還財源として積み立てております
県債管理基金千百五十八億円を含めまして一千八百八十六億円となっているところでございます。これらの基金につきましては、条例に定める特定の目的のために取り崩すことができるものでございまして、充当事業の対象を拡大するなど、これまでも有効に活用してきたところであり、引き続き、それぞれの基金の目的に応じて適切に活用してまいりたいと考えております。
県債残高の平均利率についてでございます。
本県の
県債借入利率につきましては、日本銀行の
マイナス金利政策による金利低下の影響等により、近年は低い水準となっており、令和元年度末の県債残高の
加重平均利率は前年度末より〇・一一ポイント低下し、〇・五五%となっております。
償還期間を含めた県債の
借入れ方法等についてでございます。
県債の借入れに当たりましては、長期的に安定した資金調達を実施するため、公的資金と地域の金融機関等からの借入れに加え、市場公募債を積極的に活用するなど、各資金の特色を踏まえ県債の借入先の多様化を図っているところでございます。また、年度内の金利上昇による金利負担の増加を抑制する観点から、共同発行の市場公募債を中心に発行時期の平準化を図ることなどにより、公債費負担の軽減を図ることとしております。さらに、県債の償還期間に関しましては、金利コストや
金利変動リスクを勘案しながら、年限構成に考慮して資金調達を行うこととしているところでございます。
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◯園田委員 先ほども申し上げましたとおり、二百五十億円の財政調整に可能な基金の残高は、コロナ禍におきまして、これを活用しながら県民の安心・安全につなげてはどうかというような御意見等もあります。実際、私どもの家庭にしましてもそうでありますけれども、借金が少なく貯金が多いというのは、私の考えるベターな生活じゃないかなと思うんです。そうした中で、他県に比べて二百五十億円というのは低い数字であるということでありますから、災害常襲県でもございます本県におきましても、基金を積み増していくということは必要なことだろうと思います。さらには、昨年度の補正でもそうでありましたけれども、基金の繰入れというのは、やはり条例上可能であるものは有効な対応が必要であると思っておりますので、令和三年度の取組をお願いしたいと思います。
次に、稼ぐ力の向上の予算の事業効果ということであります。今回、塩田知事にとりましても、この稼ぐ力というものは大きくクローズアップしながら、県民の理解を得ながら、予算の執行がなされるものであると思っております。
そこで、農林水産業、
観光関連産業、地域の中小企業など稼ぐ力の向上を支援する予算として、令和三年度が七十三億三千万円余り、令和二年度の三月補正を含めますと百四十億五千万円が予算化されております。全体的な意味でこの事業効果はどうあるのか、また、そのことが県民や事業者の所得の向上、そして、そのことによって県税収入の増につながってくるということでございますので、今申し上げましたことにつきましてもお伺いしたいと思います。
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塩田知事登壇]
14 ◯塩田知事 稼ぐ力の向上による予算の事業効果についてでございます。
本県の主要な産業におきましては、付加価値の向上が課題であると考えており、鹿児島の基幹産業であります農林水産業や
観光関連産業、地域の中小企業等の稼ぐ力の向上に取り組むこととしております。
稼ぐ力の向上に向けた取組の事業効果につきましては、それぞれ個別の事業においてKPIを設定し、この達成に向けて取り組むこととしております。
稼ぐ力の向上による税収確保につきましては、継続的な取組が必要であると考えておりますが、各種産業の稼ぐ力の向上に取り組み、経済を持続的に発展させ、県民の所得の向上を図ることなどを通じて取り組んでまいりたいと考えております。
また、一人当たりの県民所得についてでございますけれども、本県は、一人当たりの県民所得の全国順位が低いという状況にあり、県勢のさらなる発展を図るためには、県民所得の向上が重要であると考えております。そのためには、豊かな自然、歴史、文化、食など、本県が有する豊富で多様な地域資源を最大限に生かし、本県の基幹産業である農林水産業と
観光関連産業をはじめ、各種産業の振興に取り組み、稼ぐ力を向上させる必要があると考えております。
農林水産業につきましては、ICT等を活用したスマート農林水産業の推進による生産性の向上や高収益作物の生産、かごしまブランドの一層の確立など、高付加価値化の推進に取り組んでまいります。
観光関連産業につきましては、観光客数はもとより、観光消費額の増加を図るため、観光業界だけではなく、商工業者や農林水産業者、地域住民などを含む幅広い関係者が連携して観光地域づくりに取り組むとともに、観光客の属性や消費動向等データを分析し、滞在期間の長期化やリピート率の増加につなげる取組を進めてまいります。
製造業につきましても、国・県の研究機関や大学、支援機関などとも連携し、生産性向上や技術開発等支援を通じ、製品の高付加価値化などにより企業の稼ぐ力を引き出してまいりたいと考えております。
また、
デジタル社会の実現に向けてもしっかりと取り組んでまいります。
こうした様々な取組を通じて鹿児島の稼ぐ力の向上に努めるとともに、経済を持続的に発展させることで県民所得の向上を図り、本県のさらなる発展につなげてまいりたいと考えております。
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◯園田委員 知事の御答弁がありましたけれども、稼ぐ力の百四十億円余りの補正も含めた中で事業効果につながっていけばいいなと、また、そのことになるだろうと思っております。予算執行に当たりましては、できないこと、できることあると思いますけれども、県民のためになる、新しい稼ぐ力ということになればと思っております。
そこで、税収を上げるということは、県政の中でも永遠のテーマであり、課題でもあると思うわけです。私はいつも思っていることがございまして、県税収入が上がってまいりますと、自主財源の割合も多くなってまいりますし、また、そのことが健全財政につながってくると思っているところであります。
これは一番直近の数字なんですけれども、全国を比較する上で、平成二十九年度の本県の県内総生産額は、五兆五千四十五億円で、全国第二十六位でございます。また、同年で比較しますと、本県の一人当たりの県民所得というのは二百四十九万二千円余りで、全国第四十三位であります。ちなみに、一人当たりの県民所得の第二十六位の山形県は二百九十二万三千円で、本県の県民所得と四十三万円ぐらい違いがあるわけです。これを百六十万人の県民に換算しますと相当な額で上がってくると思っているわけであります。全国の数字だけで比較するというのも無理があると思います。置かれている立場、全事業の業種の在り方、働く人の割合、総人口などがあると思いますけれども、本県の県内総生産額が二十六位でありますから、本来ならば、県民の一人当たりの所得も二十六位に来るということがベストな状況だと思うわけです。先ほど申し上げましたとおり、この数字というのは、なかなか難しいことでございますけれども、あえて再度お聞きしたいと思います。この順位を上げていくために、個人所得、県税の収入につながるという意味を含めて、知事としての御見解をお伺いしたいと思います。
[
塩田知事登壇]
16 ◯塩田知事 県民所得の向上についてでございます。先ほども申し上げましたけれども、付加価値の向上というのが大きな課題であると思っております。そういった観点から、地域資源を生かした稼ぐ力の向上を農林水産業、
観光関連産業、あるいは中小企業等においてもしっかりと取組を進めることで生産向上、高付加価値化による県民所得の向上につながっていくものと考えておりますので、先ほど申し上げたような取組をしっかりと進めてまいりたいと考えております。
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◯園田委員 今お話がありましたとおり、また知事もしっかりと、順位だけではなくて、所得額が上がり、そして、県税収入が上がるようなさらなる取組を要望いたしたいと思います。
次に、令和三年度の予算を執行するに当たり、やはり一番しっかりとしなけきゃならないものの一つに、職員の健康であり、
新型コロナウイルス対策をしっかりと行いながら、予算を執行していくということは重大なことでございます。これまで以上の取組というのが求められていると。また、県の職員の方々は県民と接する部分が、特に警察本部、教育委員会の教職員の方々、各振興局の職員さん方もそうだと思います。そうした中で、令和三年度の県職員の
新型コロナウイルス感染症に対する取組と、あわせて、これまで県職員の
新型コロナウイルス感染者が、どれぐらいいたものかについてお伺いいたしたいと思います。
伴って、県教委、警察本部も御答弁いただければと思いますので、よろしくお願いします。
「
平木総務部長登壇」
18
◯平木総務部長 県職員の
新型コロナウイルス感染症対策についてでございます。
行政サービスの水準を維持しつつ職場内における感染症の感染防止を図る観点から、国の基本的対処方針等を踏まえ、職場において、手洗いや手指消毒の励行のほか、職員同士の距離を確保するための席配置や飛沫防止のためのアクリル板設置などを実施しております。また、職場への出勤におきまして、人との接触を低減する取組として、出勤時間の早出、遅出による時差出勤や在宅勤務の取組を進めているところでございます。さらに、現在の緊急事態宣言下におきましては、職員の出張について、感染拡大地域への出張は原則行わないこととしているほか、会議において、書面開催やウェブ会議の活用を検討することとし、対面開催の場合は三密を避け、適切な感染防止対策を講じることとしております。
引き続き、こうした取組を通じて行政サービスの水準を維持しつつ、職場内における感染防止を図ってまいりたいと考えております。
なお、令和三年三月十一日現在、知事部局職員の
新型コロナウイルス感染者数は四人であります。
[東條教育長登壇]
19 ◯東條教育長 県立学校職員の
新型コロナウイルス感染症等についてでございます。
県立学校職員の
新型コロナウイルス感染者数は、これまでで五人となっております。
学校における
新型コロナウイルス感染症対策につきましては、児童生徒、教職員共に文部科学省の衛生管理マニュアルに基づきまして、三密を避け、マスクを着用し、手洗いを徹底するなど基本的な感染症対策を行いながら教育活動を行っているところであります。例えば、教室では小まめに窓を開けて換気を行ったり、全体での集会活動は校内放送等を通じて行うなどの感染防止対策を講じております。
県教委では、子供の健やかな学びを保障するため、引き続き感染リスクを可能な限り低減しつつ、学校の実情に応じた対応が図られるよう指導してまいります。
[鈴木警察本部長登壇]
20 ◯鈴木警察本部長 警察職員の
新型コロナウイルス感染者数についてであります。
令和三年三月十一日現在、これまでに確認された県警察職員の
新型コロナウイルス感染者数は五人であります。
県警察におきましては、
新型コロナウイルス感染防止を図るため、手洗いの徹底、職場の消毒や換気のほか、飛沫感染防止のための窓口へのアクリル板の設置、職員の間の距離の確保等の対策を行っております。また、各種警察業務の遂行に当たりましては、その性質や感染リスク等に応じまして防護服等の各種装備資機材を活用するようにしております。これらに加えまして、感染リスク低減の観点から、ウェブ会議の活用なども図っているところであります。なお、職員が感染した場合等におきましては、必要に応じ、本部等から職員を派遣して業務支援を行いまして、業務継続体制の確保を図っております。
引き続き、こうした取組を通じまして、警察活動を着実に遂行できるよう感染防止を徹底してまいりたいと考えております。
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◯園田委員 今お話がありましたとおり、やはり県民や児童生徒と接する方々のしっかりとした
新型コロナウイルス感染症対策を図っていただきながら、県内の安心・安全に努めていただきたいと思います。
私の与えられた持ち時間もあと少々でございます。答弁を準備していただいた皆様方には、総務委員会で質疑をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたしたいと思います。
最後に、一点だけお伺いいたします。
今年いよいよ一年遅れのオリンピックが開催されるということでございます。その方向で、今、国やIOCでも準備がなされている状況であります。今回、本年度分の東京オリンピック・パラリンピック等事前合宿誘致事業が、来年度に来たということでございます。これに対する誘致活動を含め、現在どのような状況であるのか、また、各市町村の取組等も含め、最後にお伺いしたいと思います。
[迫 文化スポーツ局長登壇]
22 ◯迫 文化スポーツ局長 東京オリンピック・パラリンピック等事前合宿誘致事業についてでございます。
事前合宿につきましては、トリニダード・トバゴと台湾の陸上競技チームが大崎町で、アルゼンチンのバレーボールチームが薩摩川内市で実施することが決定しているほか、南アフリカ共和国の七人制ラグビーチームが鹿児島市で事前合宿を行うとの報道もなされており、交渉中の国も含め八つの国・地域の受入れを想定しております。
来年度の取組につきましては、誘致を希望する市町村等で構成する事前キャンプ対策連絡会におきまして、引き続き情報の収集・共有等に努めるとともに、市町村ごとに設置されている誘致組織に対する県の負担金を引き上げるなど支援体制を強化することとしております。
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◯園田委員 オリンピックの事前合宿につきましては、それぞれの国の思い、状況、そして
新型コロナウイルス感染症に対する対策、また全世界の方々が来てオリンピックが開催できるということがベストでございますけれども、なかなかそこにうまく行き着けるかなというような部分もあります。本県としても、しっかりとした事前合宿の誘致対策、対応等に取り組んでいただきたいと思います。
私は、これをもちまして終わり、次の郷原委員へつないでまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
ありがとうございました。
24
◯小園委員長 次に、郷原委員に発言を許可いたします。
[郷原委員登壇]
25 ◯郷原委員 産業観光経済委員会を所管する委員といたしまして、早速質問に入らせていただきます。
まず、各種交付金と商工業支援策についてでございます。
本県では、
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を活用しまして、今年度三月補正予算と令和三年度当初予算で需要喚起策や販路開拓等の事業を計上しております。令和三年度当初予算後の当交付金が事業費二百八十七億円、三百十三億円の上限額まで二十六億円余りの残余額があると先般示されたところでございます。
当交付金は、他県で使い道に疑念を持たれるような事業が一部あったとの報道があったところでございますが、そこでお伺いをさせていただきます。
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の使途要件並びに県の各事業への当該交付金の充当の考え方についてお示しいただきたいと思います。
[
平木総務部長登壇]
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◯平木総務部長 新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の要件等についてでございます。
新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金につきましては、地方公共団体の地域の実情に応じてきめ細やかに実施する事業の財源として幅広く活用できるとされておりますけれども、その運用に当たりましては、国の事務連絡において、事業者等への損失補償や用地の取得費などには充当しないこととされております。
県におきましては、これまで当該交付金を活用し、県民の安心・安全と経済活動、社会活動の両立を図るための施策に取り組んできたところであり、感染拡大の防止、事業継続や雇用維持、新しい生活様式を踏まえた地域経済の活性化、デジタル化をはじめとする
ポストコロナに向けた経済構造の転換など、当該交付金の趣旨を踏まえ、地域の実情に応じて実施する事業の財源として当該交付金を充当しているところでございます。
27 ◯郷原委員 御答弁をいただきました。
今回、この質問を取り上げさせていただきましたのは、当交付金を財源とする事業の中に、これは
新型コロナウイルス対応と言えるのかなと思える事業が幾つかあるのではないかと感じるからです。今回、事業名は控えますけれども、そうした事業は、長い目で見ると将来的には絶対に本県にとって必要な投資なのだと思います。しかし、一方で、地元で多額の債務を抱え、今お金が欲しいという悲痛な声をお伺いするたびに、こうした未来への投資が現時点の予算配分としてバランスの取れた納得できる使い方なのだろうかと自問自答することもあります。
本年度一月末までの県自殺相談が、既に昨年度の五倍以上の二万千百七十四件に上る旨が先日示されました。また、先般の時短要請協力金や事業継続緊急支援金につきましても、対象地域や拡充される業種など、もっと幅広く支援の対象とすべきとの自民党県議有志からの声もあったところでございます。
何を申し上げたいかといいますと、当交付金を財源とした未来への投資と言える事業を所管する各部署におかれましては、そういった大変な地元の状況があるにもかかわらず、当交付金を財源とする予算が配分されているという点をしっかりと認識していただいて、事業費以上の成果を確実に上げるんだという強い覚悟で事業に臨んでいただきたいということでございます。知事、何か御所見がありましたら、ぜひお示しいただきたいと思います。
[
塩田知事登壇]
28 ◯塩田知事 この地方創生臨時交付金の使途につきましては、今御指摘ありましたような、地元の事業者の声もしっかり踏まえて検討していきたいと思っております。
29 ◯郷原委員 知事からも現場に寄り添った使途の在り方というものも御答弁いただいたところです。
さて、都道府県の取組を包括的に支援する
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金が創設されました。四月創設当初は、国の負担割合が五〇%だったのが、五月の第二次補正予算で国の負担割合が一〇〇%とされ、また、交付金総額が大幅に増額されたとお聞きいたしております。
そこでお伺いいたします。
当交付金がトータルで幾らくらいになるのか、今年度三月補正後の予算計上額と来年度当初予算額についてお示しいただきたいと思います。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
30 ◯地頭所くらし保健福祉部長
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金につきましては、県予算として、今年度三月補正後の予算計上額は四百九十二億二千万円余りであり、来年度当初予算案においては、二百五十七億三千万円余りを計上しているところです。
31 ◯郷原委員 三月補正後の予算計上額が四百九十二億二千万円程度、それから来年度当初予算額が二百五十七億三千万円程度と御答弁いただきました。
当交付金を積極的に活用していただいて、病床確保、医療機関、福祉施設等の感染防止対策支援、従事者への慰労金支給など、県ではこれまでも医療・福祉分野で数多くの事業を実施していただいております。
今回、私が当交付金について質問させていただきましたのは、一〇〇%国負担の当交付金で少しでも経済対策としての活用を図れないかと考えるからです。例えば、交付金メニューにあります宿泊療養施設確保事業は、一室一万三千百円を補助上限額として一棟借り上げるという制度でございます。仮に一棟五十部屋のホテルであれば、一か月最高千九百六十五万円の収入となります。現在、五施設、五百七十七部屋が確保されておりますが、集客の見込めないホテルにどんどん適用することで、コロナ禍で疲弊する県内宿泊事業者への収益策にできるのではないかと考えたからです。
そこで、当交付金の要件並びに本県の充当の考え方についてお示しください。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
32 ◯地頭所くらし保健福祉部長
新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金につきましては、
新型コロナウイルス感染症への対応として緊急に必要となる
感染拡大防止や
医療提供体制の整備等について、地域の実情に応じて柔軟かつ機動的に実施することができるよう創設されたもので、国の要綱に定められた事業に取り組む都道府県に対し、必要な経費が交付されるものです。
県におきましては、軽症者、無症状者などの宿泊療養先の確保や感染者を受け入れる医療機関の設備整備など、
医療提供体制の整備や医療機関、福祉施設等における感染防止対策への支援などの施策に充当しているところです。
県といたしましては、今後ともこの交付金を活用して、県民の皆様方の安心・安全が図られるよう取り組んでまいります。
33 ◯郷原委員 御答弁をいただきました。
取材を受ける中で、当交付金につきましては、担当者の方々の積み上げで国へ申請するというお話をお伺いしたところです。
そこで、知事にお伺いさせていただきたいと思います。
厚労省の準備する交付金であれ、どのような交付金であれ、一円でも多く県内へ流入をもくろむしたたかさを発揮することは、本県の経済効果につながるのではないかと思います。有利な交付金であればなおさらです。疲弊する本県経済の下支えを目指す取組を全庁的に行っていただいて、また担当者の方にも、しっかりとそういった思いをお伝えしていただくということが、必要なのではないかと思いますが、見解をお示しください。
[
塩田知事登壇]
34 ◯塩田知事 大変厳しい本県の財政状況を踏まえますと、国のいろいろな補助金等の支援メニューを使えるものはしっかりと使っていくべきだと考えており、今後もそういった気持ちで取り組んでまいりたいと思います。
35 ◯郷原委員 よろしくお願い申し上げます。
次に、中小企業の業態転換について質問いたします。
新型コロナウイルス感染症の蔓延で瞬く間に需要が蒸発し、マーケットが縮小してしまった業界があります。アフターコロナを見据えたとき、業界のマーケット規模が回復する見込みがない場合、傷口の浅い段階での業態転換に踏み出すことが求められると思います。
県では、中小企業経営の支援について、中小企業経営革新支援事業などを展開し、限度額三百万円の補助メニューや相談・セミナーなどきめ細かい支援を行っております。一方、国は、令和二年度第三次補正予算におきまして、総額約一兆円、一企業当たり最大一億円の補助金により事業の再構築を支援し、企業の業態転換を後押しする中小企業等事業再構築促進事業を創設いたしております。また、
ポストコロナの状況に対応したビジネスモデルへの転換を支援する中小企業生産性革命推進事業を創設いたしております。私は、こうした国のダイナミックな政策メニューに一社でも多くの県内企業が申請することが、生産性向上や業態転換をより強力に推進することにつながると考えます。本県商工会の管轄地域における小規模事業者持続化補助金が全国二位の採択数である点を鑑みると、商工会、商工会議所、よろず支援拠点などの伴走支援がいかに大切かということを認識いたします。ただ、中小企業の現場レベルでは、国の事業となると、そもそも事業メニューが分からない、活用できるか分からない、アクセスの仕方が分からない、申請書作成に相当な苦労をするという声を多く耳にいたします。
そこで、県内中小企業が業態転換や生産性向上の国の支援策を活用する際の県内中小企業者をサポートする伴走支援体制について県の見解をお示しください。
[五田商工労働水産部長登壇]
36 ◯五田商工労働水産部長 中小企業が国の支援策を活用する際のサポート体制についてであります。
県内中小企業から国の支援策に関する相談等があった場合は、主に、かごしま産業支援センター内に設置されておりますよろず支援拠点や商工団体において対応しており、併せて、その企業に必要な助言や積極的なフォローも行っております。
中小企業に対する支援制度が有効に活用されるためには、各支援機関が相互に連携し、その周知を図っていくことが極めて重要なことであることから、県においては、金融機関や商工団体、行政等で構成いたしますかごしま中小企業支援ネットワーク等を通じて情報共有や周知協力など、連携強化に努めているところであります。
37 ◯郷原委員 私は、経産省出身で地方創生や地域活性化に携わってこられた塩田知事の誰にも負けない強みの一つは、この伴走支援の充実にもあるのではないかと思います。幸運なことに、経産省の補助メニューというのは、現場から直接申請できるものも少なくありません。二〇二〇年の中小企業基盤整備機構の報告書にも様々な先進事例が列記されております。
そこで、知事にお伺いいたします。
コロナ禍を契機に国の補助メニューが多く創設されております。こうした補助メニューに本県中小企業が挑戦することが
新型コロナウイルスを乗り切るのみならず、自社の事業を客観的に見直す、本県中小企業の課題である生産性の低さ、デジタル化の遅れなどを挽回する契機になると考えます。
そこで、県の伴走支援について知事の見解と思いをお示しください。
[
塩田知事登壇]
38 ◯塩田知事 中小企業に対する伴走型の支援に係る見解についてでございます。
地域経済を支える中小企業等が今後も持続的に経営を行うためには、中小企業等の事業計画の策定やその着実な実施等を伴走型で支援していくことが重要であると考えております。
令和三年度当初予算編成に当たりましては、中小企業等が行う新産業の創出・起業、生産性の向上、事業承継の取組に対して伴走型の支援を県としてもしっかり行い、地域の中小企業等の稼ぐ力の向上に取り組んでいくこととしております。
具体的には、新産業の創出・起業の支援につきましては、起業準備に取り組む方々等を対象に、ビジネスプラン策定の支援、ビジネスプランコンテストへの参加の働きかけ、事業化に当たって必要となる設備やPRに係る経費の補助等を通じて一貫した支援を行うこととしております。また、新産業創出に取り組む県内企業の掘り起こしから事業化、販路拡大等までの各段階に応じた支援を行うこととしております。
生産性の向上については、IT及び先端技術に関する普及啓発や導入計画策定の支援、システム等の導入経費の補助など、取組状況に合わせた支援を行うこととしております。
円滑な事業承継の促進につきましても、経営者等を対象としたセミナーの開催や新たに企業評価等に係る経費の補助、代替わりを契機とする事業の磨き上げに向けた支援等を行うこととしております。
私としては、県内中小企業等が自ら経営課題を解決し、成長していくことができるよう、商工団体やその他の支援機関と連携しながら、国の補助メニューの活用等と併せて、県としても伴走型の支援にしっかりと取り組んでまいります。
39 ◯郷原委員 国の補助メニューはダイナミックである分、その申請書の作成にも多大なる労力が必要であり、ある程度余裕のある事業体しか挑戦できないという声もお聞きいたします。
新型コロナウイルス感染症の蔓延で瞬く間に需要が蒸発し、マーケットが縮小してしまった業界の中で最も影響を受けている事業者は、これまでリスクを取って自らチャレンジングな投資をしてきて業界を牽引してきたトップランナーであるという意見もいただきます。そういった意欲的な事業者が業界から退場するのを見過ごすことのないよう、伴走支援の在り方を充実していただきますよう強く要望を申し上げます。
最後に、農業・水産に係る国土強靱化についてお尋ねいたします。
国は、令和二年度第三次補正予算では、防災・減災、国土強靱化の推進など、安全・安心の確保を柱として、総額十九兆円余りが計上され、中でも公共事業費には平成二十四年度以降、補正で最大規模となる約二・五兆円の国費投入が盛り込まれました。
そこで、農政・水産関係で国補正関係の公共事業予算がどのくらいあるか。そのうち国土強靱化関連の事業規模についてお示しください。
[満薗農政部長登壇]
40 ◯満薗農政部長 農政・水産関係の国補正関係の公共事業予算についてでございます。
国補正関係の予算につきましては、TPP等関連対策や防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に積極的に対応することとし、県といたしましては、農政関係で大規模畑地かんがいや農業用排水路の整備等に約四十五億九千万円を、また、水産関係では、漁港や漁場の整備等を約十一億四千万円を三月補正予算として計上したところでございます。
このうち国土強靱化関連の予算といたしましては、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策関連分として、農政関係では、農業用ため池や排水路等の整備に約三十二億九千万円を、水産関係では、防波堤や岸壁等の整備に約八億八千万円を計上したところでございます。
41 ◯郷原委員 御答弁いただきました。
令和三年度末の県債残高が一兆五百六十三億円と、令和二年度末より百六十九億円減少し、一定の評価はできますが、こちらの当初予算案の要点の五十四ページを見ますと、令和二年度三月補正後の残高は一兆七百三十二億円と、令和元年度末の残高より実は百三十四億円増加しております。これは、国の経済対策に対応した公共事業など、国土強靱化関連などの予算を令和二年度三月補正予算に前倒ししため、県債発行額が増加したことによるというものであります。
そこで伺います。
国土強靱化関連の予算については、令和二年度補正予算に前倒しすることにより、早期執行が図られるとともに、有利な地方債の活用ができるとお聞きいたしました。どのような地方債を幾ら活用したかお示しください。
[
平木総務部長登壇]
42
◯平木総務部長 国土強靱化関連予算で活用した地方債についてでございます。
今回の国の補正予算のうち、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に対応した公共事業等の地方負担額については、補正予算債の充当が認められ、後年度、元利償還金の五〇%が交付税措置されることとなっております。本県では、今回の補正予算において、補正予算債百八十九億五百万円を活用しているところでございます。
43 ◯郷原委員 御答弁いただきました。
五〇%交付税措置がされる補正予算債という有利な地方債を今回活用したということでありますけれども、とはいえ、十五か月予算で見ますと、公共事業が六・三%増加しており、将来の公債費の負担が大きくなることが懸念されます。昨年の土木部長の答弁で、めり張りの利いた事業を推進していくというような答弁があったんですけれども、農業・水産関係においても、国土強靱化を含めた公共事業等のめり張りの利いた事業の執行というものを進めていただきたいと思います。
ただ一方で、五か年加速化対策を活用することで、県土の強靱化はもとより、経済対策につなげることも必要だと考えます。来年度の国土強靱化関連予算の本県への内示率を維持・向上させるためにも、不調不落対策に万全を期していただき、予算の確実な活用策も要請させていただきまして、質問を終わります。
ありがとうございました。
44
◯小園委員長 次に、大久保委員に発言を許可いたします。
[大久保委員登壇]
45 ◯大久保委員 私からは、三つの新規事業について質問いたします。
まず、KAGOSHIMAイメージアップ事業について伺います。
この事業は、新鹿児島PR戦略に基づいて行われるということであります。鹿児島県では、鹿児島の農畜林水産物のブランド力強化や観光、その他本県が有する様々な地域資源のPRに資するとともに、今の時代に合ったより具体的で効果のある戦略として、新鹿児島PR戦略を策定し、県民が誇り、県外が憧れる、選ばれる鹿児島県、人々に驚きと感動を与える鹿児島県というコンセプトの下、国内外に向けた本県のイメージアップ、県産品の販売促進や観光客等の交流人口拡大を目的として、効果的な情報発信を図っていくこととしております。
そこでまず、これまでの新鹿児島PR戦略の取組及び課題について質問いたします。
[木場PR・観光戦略部長登壇]
46 ◯木場PR・観光戦略部長 新鹿児島PR戦略に基づくこれまでの取組と課題についてであります。
新鹿児島PR戦略では、県民が誇り、県外が憧れる、選ばれる鹿児島県の実現を目的に、メディア目線を意識したPRやSNSの活用、海外を視野に入れたPR等を展開することとしています。
同戦略に基づき、これまで航空会社と連携した、どんどん鹿児島ジェットによるPRや発信力のあるタレントを活用したプロモーション、オンラインイベントの開催等を通じまして、本県の多彩な魅力を発信してきたところであります。さらに、県公式インスタグラムをはじめとするSNSを活用した情報発信では、県内外のインスタグラマー等と連携したPRを展開するとともに、県PR動画等も活用し、国内外へ向けた本県の認知度向上やイメージアップに取り組んできたところです。
なお、これまでの情報発信におきましては、国内向けが中心であったことなどが課題であったと考えており、昨年四月に海外広報官を設置し、SNS等による情報発信に力を入れたところであり、引き続き、海外向けのPRも強化しながら、国内外にさらに積極的に本県の魅力を発信してまいりたいと考えております。
47 ◯大久保委員 新鹿児島PR戦略の取組を伺いまして、同戦略が本県のPRに大事な役割を果たしていることを伺うことができました。多彩な魅力の発信やSNSといった新しいメディアを活用するなど、意欲的な取組を行われている状況や、今後は、また海外にも力を入れていくということを伺うことができたところでございます。
そこで、次に、KAGOSHIMAイメージアップ事業についての目的、内容について伺います。
これまでの新鹿児島PR戦略などのPRの取組を生かしながら、より本県のイメージアップや認知度向上につながる取組が求められるところであります。本事業は、本県の認知度向上及びイメージアップを図るとしています。本県の強みを生かしたコンテンツを制作し、それを効果的な手法で広めていくことが大事になってまいります。
そこで、本事業の目的及び本県のどのような強みを生かし、どのような対象に、どのような手段で本県の認知度向上やイメージアップを図るのか伺います。
[木場PR・観光戦略部長登壇]
48 ◯木場PR・観光戦略部長 KAGOSHIMAイメージアップ事業の目的と事業内容についてであります。
鹿児島の基幹産業であります農林水産業や
観光関連産業をはじめ、本県の稼ぐ力の向上を図り、県民が誇り、県外が憧れる、選ばれる鹿児島県を実現するためには、本県のイメージをさらに向上させていくことが重要であります。
KAGOSHIMAイメージアップ事業におきましては、本県の有する豊かな自然、食、歴史、伝統、文化など多彩な魅力を効果的に情報発信し、プロモーション活動を積極的に展開することにより、本県の認知度向上やイメージアップを図ってまいりたいと考えています。
このため、まず、来年度は、本県の強みである食をメインテーマとして、主に首都圏を対象に大手コンビニと連携した商品開発、プロモーションやかごしま遊楽館と連携したPRを展開することとしています。
また、海外に向けましては、英国出身の海外広報官を活用しながら、今年度作成のPR動画やSNS等による海外への情報発信にも取り組むこととしており、国内外に本県の魅力を効果的に発信してまいります。
49 ◯大久保委員 本県の強みである食の魅力を効果的にPRにつなげていきたいということだと思いますが、そのような効果が発揮される取組が行われることを期待いたします。また、海外におきましても、英国出身の広報官を採用して意欲的に取り組むという、これまで手薄だった海外への広報戦略も、うかがうことができたところでございます。
本県のPRは、PR・観光戦略部だけでなく、他の部局、国、市町村、民間企業団体など、官民問わず連携が求められるところであります。
そこで、これらとどのような連携を図られようとされているのか質問いたします。
[木場PR・観光戦略部長登壇]
50 ◯木場PR・観光戦略部長 KAGOSHIMAイメージアップ事業における他部局等との連携についてであります。
県では、これまでも新鹿児島PR戦略に基づき、庁内関係部局をはじめ、国やJNTOなどの関係機関、市町村、民間企業、観光連盟などの団体等と連携し、安心・安全で世界に誇れる食や雄大で美しい自然、良質な温泉など本県の魅力をPRしてきたところであります。
KAGOSHIMAイメージアップ事業におきましては、例えば、県と包括連携協定を締結している大手コンビニと連携し、本県の特産品を使った商品展開による認知度の向上を図るなど、引き続き多様な主体と連携して効果的な情報発信に取り組んでまいります。
51 ◯大久保委員 事業の取組等についていろいろお聞きしたところでございますけれども、本事業の目指す成果は何なのか、また、その成果をどのように検証するのか伺います。
[木場PR・観光戦略部長登壇]
52 ◯木場PR・観光戦略部長 KAGOSHIMAイメージアップ事業の目指す成果と検証についてであります。
この事業におきましては、国内外に向けて、本県の多彩な魅力を効果的に情報発信し、また、プロモーション活動を積極的に実施することで、本県の認知度向上やイメージアップを図ることとしています。
この事業の成果につきましては、ウェブを活用したアンケート調査などにより、プロモーションを実施する前後で鹿児島に対するイメージや県産品、観光地の認知度、本県への来訪意向などがどのように変化したかを把握することで検証したいと考えております。
53 ◯大久保委員 この事業が県のあらゆる事業に波及し、本県のイメージアップ及び認知度向上に資することを期待して、次の質問に入ります。
続きまして、新産業創出ネットワーク事業について伺います。
県は、企業の「稼ぐ力」育成・支援プロジェクトにより、イノベーションの創出と競争力のある産業の振興を目指しております。その取組の一つである本事業は、令和三年度から新規に行われるところであります。コロナ禍で契機も大きく低迷している中、地域資源等を活用して新たな産業創出を図ることは意義あることであります。
そこでまず、これまでの取組と違い、本事業の目的及び新産業創出ネットワークとはどのようなものかについて伺います。
[五田商工労働水産部長登壇]
54 ◯五田商工労働水産部長 新産業創出ネットワーク事業に関しまして、これまでの取組との違いや事業の目的・背景についてであります。
県内の企業が継続して成長していくためには、従来のビジネスモデルを変革し、時代の変化に対応した新規事業を展開することや地域の課題解決による新たな産業の創出が求められております。
そのため、県では、新産業創出に取り組む県内企業の掘り起こしから事業化、販路拡大までの各段階に応じた研究開発支援や専門家によるコンサルティングなどの支援を行うため、新たに、かごしま産業支援センター、大学、県工業技術センターなどが連携して県内企業を包括的に支援する新産業創出ネットワーク事業に取り組むこととしております。
55 ◯大久保委員 様々な活用できる力を結集して有効活用し、産業創出を図るということを伺うことができたところであります。
続きまして、事業の内容について伺います。
地域資源等の活用とあります。地域資源等を活用することは県内総生産を増やし、本県の景気浮揚にもつながると考えられます。
そこで、地域経済等をどのようなものに想定しているか、具体例を伺います。
次に、対象企業の掘り起こしとありますが、どのように対象企業を抽出、選択して、事業をどのように進めていくのか伺います。
[五田商工労働水産部長登壇]
56 ◯五田商工労働水産部長 事業の具体的内容であります。
地域資源等の活用については、これまでも県内企業が県工業技術センターと共同開発したシラス緑化基盤などの事例があり、このように鹿児島ならではの地域資源と大学・試験研究機関や県内企業が有する技術を組み合わせることにより、新たな製品を生み出すことを想定しております。
事業の進め方といたしましては、まず、大学や試験研究機関などが持つ技術シーズや意見交換会の開催による地域課題解決のためのアイデアをそれぞれ掘り起こすこととしております。
次に、掘り起こした技術シーズやアイデアを活用できると見込まれる県内企業とマッチングした上で、事業化から販路拡大まで、専門家による助言・指導や補助金により継続的に支援していくこととしております。
57 ◯大久保委員 事業の内容と進め方を伺ったところでございます。
そこで、本事業の目指す成果は何か。また、その成果をどのように検証するのか伺います。
[五田商工労働水産部長登壇]
58 ◯五田商工労働水産部長 事業の目指す成果と検証についてであります。
新産業創出ネットワーク事業における成果目標、KPIといたしましては、本事業を活用して、売上額の増加が達成された企業数を設定することとしておりまして、その検証の方法としては、本事業を活用した企業の決算書により確認することとしております。
59 ◯大久保委員 令和三年度は農林水産業、
観光関連産業、地域の中小企業等の稼ぐ力の向上を支援することを主な施策に掲げているところでございます。本事業は稼ぐ力の向上に向けた新たな取組の一つであると言えます。本県の経済にとってプラスとなる新産業創出ネットワークが形成されていくことを御期待申し上げます。
三番目に、これからの六次産業化等商品開発・販路拡大モデル育成事業について伺います。
本県の経済政策において、まず目指すべきは、県内総生産をいかに増やすかということだと言えます。コロナ禍で景気が冷え込んだ本県経済において、高付加価値化を図り、稼ぐ力の向上を目指す政策は意義あることであります。
そこで、本事業導入に至った背景及び事業の目的について県の考えを伺います。
[満薗農政部長登壇]
60 ◯満薗農政部長 事業導入に至った背景及び目的についてでございます。
県では、これまで六次産業化サポートセンターを設置し、法に基づく総合化事業計画の作成支援や計画の実現に向けたフォローアップを行うとともに、大隅加工技術研究センターにおける加工技術指導や商品開発支援などに取り組んできております。
県内の総合化事業計画認定事業者へのアンケート結果では、六次産業化に取り組む上で、資金の確保や販売先の確保に苦慮している等の課題が挙げられているほか、コロナ禍において、商談機会や販売機会が減少しており、六次産業化をさらに推進するためには、これらの課題を早急に解決する必要があることから、これからの六次産業化等商品開発・販路拡大モデル育成事業を創設したところでございます。
61 ◯大久保委員 それでは、事業の内容について伺います。
まず、どのような事業主体により、どのような事業手法で本事業を行うか伺います。
次に、地域商社を活用した販路開拓、クラウドファンディングを活用した新商品開発の促進の取組内容について伺います。
また、県産農産物の付加価値向上に向け、加工・流通技術の研究開発と施設の開放による加工品作りの支援等に取り組む施設である大隅加工技術研究センターとの連携について伺います。
[満薗農政部長登壇]
62 ◯満薗農政部長 事業内容等についてございます。
当事業につきましては、六次産業化商品等を扱う地域商社等の活動を支援するほか、ウェブカタログの作成、クラウドファンディングの活用のための研修会やリモート商談会の開催などに取り組むこととしております。
特に、地域商社を活用した販路開拓につきましては、新たな販路を開拓するため、地域の六次産業化商品を取りまとめて販売する地域商社の取組を支援することとしております。また、新商品開発等に伴う資金調達を図るため、近年注目されておりますクラウドファンディングについて、基礎的な仕組みや募集方法、効果的なPR手法等を学ぶセミナーを開催するとともに、実際にクラウドファンディングに取り組む事業者をサポートすることとしております。
今回の事業の実施に当たりましては、大隅加工技術研究センターが有する商品開発や販路拡大の支援などの機能も十分活用してまいります。
63 ◯大久保委員 事業の内容について様々な意欲的な取組がうかがえたところでございます。この事業の目指す成果は何なのか、また、その成果をどのように検証するのか伺います。
[満薗農政部長登壇]
64 ◯満薗農政部長 事業の目指す成果と検証についてでございます。
当事業では、商談成約数十件、クラウドファンディング成立数十件をKPIとして設定しております。また、当事業で取り組んだ新たな商品開発や販路拡大の手法につきましては、モデル事例集として取りまとめて広く紹介するなど、六次産業化のさらなる推進に活用してまいります。
65 ◯大久保委員 本事業が魅力的な新商品開発、販路拡大につながり、本県の経済にとって県内総生産が増加する取組になることを期待申し上げ、私の質問を終わります。
66
◯小園委員長 ここで、換気等のため暫時休憩いたします。
再開は、おおむね午前十一時二十五分といたします。
午前十一時 十七分休憩
────────────────
午前十一時二十五分再開
67
◯小園委員長 それでは、再開いたします。
次に、大園委員に発言を許可いたします。
[大園委員登壇]
68 ◯大園委員 それでは、早速質問に入ります。
企画建設委員会の質問であります。
まず、鹿児島県DX推進戦略、仮称の策定についてお伺いします。
経産省の報告によると、今のままではIT人材の不足、古い基幹システムの二つが障害となって、二〇二五年から二〇三〇年までの間に、年間で最大十二兆円の経済損失が生じる可能性があるとされ、反対に、今、デジタル・トランスフォーメーションを推進することができれば、二〇三〇年の実質GDPにおいて約百三十兆円の押し上げを期待できるとされています。
現在、少子高齢化によって労働人口が減少しつつある日本では、海外市場も視野に入れ、ビジネスモデルの変革や不足しているIT人材の穴埋めを行わなければ、どんどん競争力が縮小してしまいます。
デジタル・トランスフォーメーションは、既存の個別領域をデジタルに適用させ、組織を変革し、新しい事業モデルへと転換していく必要があります。こうしたステップを踏みながら実行するため、その実現には時間がかかります。県でも、今回、デジタル・トランスフォーメーション推進戦略の策定に予算を計上しておられ、早期移行を図らなければなりません。
そこで伺います。
まず、県のデジタル・トランスフォーメーション政策において、現時点での課題はどこにあると認識されているかお示しください。
[藤本企画部長登壇]
69 ◯藤本企画部長 本県におきまして、デジタル・トランスフォーメーションを推進するための課題といたしましては、地域社会のデジタル化に必要な基盤である光ファイバーの整備率が低い、過去一年間にインターネットを利用した方の割合が全国下位にあることなどが挙げられます。このうち、光ファイバーにつきましては、現在、市町村が国の事業を活用して積極的な取組を行っているところでありまして、今後、大きく整備が進むものと考えております。
また、本県におきましては、農林水産業における担い手の減少、高齢化の進行、労働力不足、製造業における従業者一人当たりの付加価値額が全国に比べて低い水準にある、あるいは
医療提供体制が脆弱な中山間地域や離島等が多いなどの現状が見られるところでございまして、こうした現状を解決するためにも、デジタル・トランスフォーメーションを積極的に展開する必要があると考えております。
70 ◯大園委員 外部有識者委員会を設置して、デジタル・トランスフォーメーション推進における本県の実情を踏まえた推進戦略を策定するとあります。外部有識者委員会の人数、分野などの規模・構成を示し、委員会の開催時期や回数などデジタル・トランスフォーメーション推進戦略の策定へのスケジュールをお示しください。
[藤本企画部長登壇]
71 ◯藤本企画部長 仮称ですが、鹿児島県DX推進戦略の策定に当たりましては、来年度、新たに知事を本部長といたしますデジタル推進本部を設置いたしまして、デジタル推進課が企画・総合調整を担いながら、部局横断的に全庁を挙げて検討を進めることとしております。
この戦略におきましては、自治体内部の業務のみならず、農林水産業、医療・福祉、教育などあらゆる分野でのデジタル・トランスフォーメーション推進に向けた課題と基本的な方針を明確にすることといたしております。
このため、様々な分野の専門知識を有する学識経験者等十名程度から成ります有識者委員会を五回程度開催いたしまして、御意見を伺いながら、令和三年度中に戦略を策定したいと考えております。
72 ◯大園委員 県として、デジタル・トランスフォーメーション推進は大変大事な事業でありますので、ぜひ外部有識者委員会を活用しながら、県としての積極的な推進を進めていただきたいと思います。
次に、デジタル・トランスフォーメーション推進やデジタル施策推進を県全体で図るために、デジタル推進課を設置するとされております。県全体の中には、県民の暮らしを支える鹿児島県庁も含まれます。県庁・県内地方自治体におけるICT関連人材不足は各方面からも指摘されているところであります。また、専門業界においても同様のことが言われております。国による地域情報化アドバイザー派遣制度もありますが、先を見据えた県の人材育成も大変大事であります。
以上のことから、デジタル推進はデジタル推進課内だけではなく、庁内全体での取組が必要不可欠であると思いますが、外部の先進団体の出向などを通じた人的交流や将来的に技術職の一分野として設けるなど人材育成や確保に向けた県の取組をお示しください。
[藤本企画部長登壇]
73 ◯藤本企画部長 専門人材育成・確保と外部人材の活用についてでございます。
県におきましては、これまで、職員に情報政策に関する専門知識を習得させるため、OJTはもちろんのこと、国や民間事業者が主催する専門的な研修を受講させているほか、ICTの関連知識を有する職員の適切な配置に努めるなど、人材の育成・確保を図ってきたところであります。
国は、昨年十二月に策定いたしました自治体デジタル・トランスフォーメーション推進計画におきまして、ICTの知見を持った上で自治体現場の実務に即して技術の導入判断や助言を行うことのできるデジタル人材を確保することが必要としております。
このため、外部人材の活用や職員のさらなるスキルアップにつきましては、戦略策定に当たって、先ほど申し上げましたように、新たな外部有識者委員会を設置したいと考えておりますので、その委員会の御意見を伺いますとともに、九月に国で設置が予定されておりますデジタル庁の動向も注視しながら対応を検討してまいりたい考えております。
74 ◯大園委員 知事にお伺いします。
このデジタル化によって、県庁がさま変わりしていくんだろうと思っております。このデジタル化についての知事の意気込みを教えてください。
[
塩田知事登壇]
75 ◯塩田知事 今回の
新型コロナウイルスの感染拡大を契機とする地方回帰という流れもございます。また、地方分散という考え、流れが出ている中で、その実現を加速化するためにも、デジタル化というのがあらゆる分野において必要であると考えております。また、県庁においても、デジタル化、電子申請等をしっかりと進めていくということが最も重要であり、先ほど企画部長からも答弁がありました外部有識者の御意見等も踏まえながら、人材育成も含めてしっかりと対応していきたいと考えております。
76 ◯大園委員 ぜひ知事におかれては、本当に鹿児島県の大事な時期に知事になられておりますので、知事の持っておられるスキルを含めまして、これまで経験されたことを生かしながら鹿児島県の発展に尽くしていただけるよう心からお願いいたします。
では、次の質問に入ります。
デジタル県庁構築事業についてであります。
今議会の代表質問で、新年度中の新しい行政情報ネットワークを導入するとの答弁がありました。導入に関しては、既存のネットワークの取扱いはどうなるのか、活用されないのか。また、新しい行政ネットワーク導入で県としてどのような働き方の可能性が増えると認識し、どのように活用されていくのか現時点の方針をお示しください。
[藤本企画部長登壇]
77 ◯藤本企画部長 行政情報ネットワークは、庁舎と庁舎を結ぶ回線、庁舎内の配線、通信機器から構成されております。
今回の更新におきましては、庁舎と庁舎を結ぶ回線については、より安定した回線への見直しを行い、通信機器については技術の進展や老朽化への対応の観点から更新を行うものであります。なお、庁舎内の配線につきましては老朽化等の影響が少ないことから、その多くを引き続き活用したいと考えております。
また、このネットワーク更新に併せまして、職員に配備しているパソコンを用いて、外部とのウェブ会議が容易に開催できるほか、庁外においても簡単にインターネットに接続できるようにする新たなシステムを導入することとしております。
こうした取組によりまして、在席したまま遠隔地との打合せが可能になるほか、災害現場等から迅速な状況報告ができるなど、効率的な業務の遂行に資するとともに、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務、在宅勤務などの多様な働き方ができる環境が整うものと考えておりまして、今後の具体的な利活用策については、関係部局と共に検討を進めてまいりたいと考えております。
78 ◯大園委員 県内には、デジタル化を積極的に推進し、働き方改革を併せて実現しようとする企業もあります。そんな企業では、社内にて若手従業員によるプロジェクトチームを設置、社内業務の聖域なき棚卸し、整理整頓をデジタル化推進の第一段階として取り組んでおられ、紙媒体の徹底的な整理整頓、電子化を行うことが業務改善の道しるべとなったとされております。紙ベースの作業からの脱却をいち早く行うことは、今回の予算案のデジタル県庁の構築に向けた第一歩となることは間違いないと思います。
一方、県庁内を見ても、議会においても、各種委員会においても、大きなかばんに書類やファイルを両手に抱えた職員の方々を多数見かけますし、それぞれの部においてもプリントに囲まれたデスクを押しなべて散見できます。
これらを踏まえて伺います。
今回のデジタル県庁構築に向けての予算について、まずはその先駆けとして、行政手続等の棚卸し、ファイルやプリントなどの徹底した整理整頓が必須になると考えます。県として、デジタル県庁構築事業の基本的な考えとスケジュール、新設されるデジタル推進課の役割に、これらの行政手続等の棚卸しが含まれるかお示しください。
[藤本企画部長登壇]
79 ◯藤本企画部長 県庁のデジタル化の重要な基盤である行政情報ネットワークにつきましては、技術の進展や機器の耐用年数等を考慮しまして、おおむね六年ごとに見直しを行っております。今回の見直しにおきましては、令和元年度から二年間をかけて調査設計を行っておりまして、来年度はデジタル県庁構築事業として、ネットワーク機器の更新や新たなシステムの整備等を行うこととしております。
新たな行政情報ネットワークは来年三月から運用を開始することとしておりまして、高いセキュリティを確保しつつ、情報の一元化・共有化、情報収集・伝達の効率化、迅速化、ペーパーレス化等が図られるものと考えております。
また、行政手続の棚卸しにつきましては、この事業とは別に、昨年三月に策定いたしました県官民データ活用推進基本計画に基づきまして、今年度から情報政策課を中心に各部局と連携し、取組に着手しているところございます。引き続き、行政手続のデジタル化を推進することによりまして、業務の改善が図られるよう努めることとしております。
80 ◯大園委員 行政手続等の棚卸しも大変大切なことですので、しっかりと進めていただきますようお願いしておきます。
次に、デジタル県庁構築について、その導入については、労務改善の効果に関しては、可能性が大いにあると認識しますが、それ自体に慣れ親しまない職員にとっては不安も大きいものがあると思います。また、電子手続等の導入は、県民が平等に行政サービスを享受できるか心配する声もあります。
県では、デジタル県庁構築事業でどのような効果を見込み、改善されたものをどういった形で県民に還元する考えを持っているのかお示しください。
[藤本企画部長登壇]
81 ◯藤本企画部長 デジタル化を進めることによる効果ということでございますけれども、県庁のデジタル化を一挙に進めますことで、高いセキュリティの下で電子決済や決裁文書の電子的保存ができるシステムのほか、出張先などにおいてもパソコンを用いて業務ができる環境を整えることとしておりまして、効率的な業務の遂行はもちろんのこと、ペーパーレス化などの経費節減にも資するものと考えております。
また、県庁のデジタル化を推進することによりまして、例えば、離島の方々が自宅にいながらにしてインターネットを介して県主催の研修会等に参加できるようになる、あるいは各種手続が電子申請でできるようになるといったことなど、県民サービスの向上にも資するものと考えております。
82 ◯大園委員 大変大事なことなんですけれども、このデジタル化において一番心配されることはセキュリティの問題だと思っております。
県として、このセキュリティ問題をどのように解決していくのかお示しください。
[藤本企画部長登壇]
83 ◯藤本企画部長 今、御指摘ございましたようにセキュリティをどう確保していくかということが重要な問題でございます。これまでも使い勝手をよくするのか、セキュリティをよくするのかということで悩んできたということでございますが、今回、いろいろ工夫をいたしまして、まずは高いセキュリティが必要であると、その上で使い勝手もよくするという内容の大きな見直しを行いたいということで進めることとしております。
84 ◯大園委員 それぞれ御回答いただきました。
県全体のデジタル・トランスフォーメーション推進やデジタル県庁構築のための予算が計上されていることは非常に大きな一歩であると評価しますが、光ファイバーが今後の
デジタル社会や官民問わず既存業務のデジタル・トランスフォーメーションの基盤となることから、離島・僻地が多い本県にあっては、国や市町村が推し進めている光ファイバー整備を県の隅々まで利用できるように、県も一体となって取り組んでいただくことを強く求めておきます。
また、先ほど部長から答弁いただきました、デジタル化において、最も危惧されること、大きな課題といたしましてセキュリティの問題があります。情報が漏えいしないように、職員の倫理教育を徹底し、セキュリティに対しては、万全の上にも万全を期していただきたい。また、テレワークの導入により、職員同士の人間関係の希薄化も心配され、ぜひ職員同士のより深い人間関係の構築を図っていただき、メンタルヘルスにも配慮していただくことをお願いいたします。
次に、土木部関係について質問いたします。
まず、河川改修事業、浸水対策についてであります。
昨日は、二〇一一年の東日本大震災から十年、地震、津波、原発事故のあの三重苦の大災害がよみがえってきた一日でもありました。お亡くなりになれた方々の御冥福と被災された方々にお見舞いを改めて申し上げたいと思います。
私もこれまで、本県の八・六水害、阪神・淡路大震災、災害現場で医療支援に従事した新潟県中越地震、そして東日本大震災と近年の災害の惨事を身をもって経験しました。特に、東日本大震災の惨状を目の当たりにしたとき、言葉を失ったことを今でも鮮明に覚えております。
国は、近年の気候変動や大規模地震の切迫、インフラの老朽化等を踏まえ、昨年十二月、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策を閣議決定し、百二十三の対策を打ち出しました。その中で、激甚化する風水害から人命・財産の被害を防止・最小化するための対策として、流域治水対策等、五十の対策を掲げております。
本県においても、これまで線状降水帯の発生による大雨、度重なる大型台風の上陸など自然災害により大きな被害を受けたことから、安全・安心な県民生活を実現するために強靱な県土づくりを目指しています。
そこで伺います。
まず、流域治水対策としての河川改修整備箇所の実施優先内容について、それを受けて、令和元年度、令和二年度の主な浸水被害箇所と対応についてお示しください。
[兒島土木部長登壇]
85 ◯兒島土木部長 河川改修整備箇所の実施優先内容及び近年の主な浸水被害についてであります。
本県は、台風常襲地帯であり、これまでも台風や集中豪雨等により大きな被害を受けていますことから、災害を未然に防止する河川改修に取り組んでいるところであります。
河川改修につきましては、浸水被害や土地利用の状況、費用対効果などを勘案するとともに、事業中の他の河川改修の進捗状況などを総合的に見きわめながら事業着手の判断をしているところでございます。
近年の主な浸水被害につきましては、令和元年度は、いちき串木野市の大里川で、令和二年度は、薩摩川内市の百次川及び勝目川で堤防が決壊し、人家等が浸水する甚大な被害が発生したところでございます。
堤防が決壊した箇所につきましては、災害復旧事業に加え、大里川では災害対策等緊急事業推進費を活用し、また、百次川及び勝目川では、改良復旧を行う災害関連事業を活用し、河道掘削や堤防かさ上げ等を行い、治水安全度の向上を図っているところでございます。
86 ◯大園委員 災害が多いという我が県にあって、土木部の果たす役割は大変大きいものがあると思いますのでよろしくお願いします。
次に、河川改修については、梅雨時期の出水期を除いた時期になされるものと思うが、河川改修事業の年間事業の実施時期、令和三年度の事業内容についてお示しください。
[兒島土木部長登壇]
87 ◯兒島土木部長 河川改修事業の実施時期及び令和三年度の事業内容についてであります。
河川工事につきましては、梅雨時期や台風時の出水期には、工事の安全性を考慮して、極力、河道内は施工しないこととしており、出水期明けから翌年の出水期までの工事となりますことから、出水期明けの速やかな工事着手、ゼロ県債を活用した早期発注など、工事の施工時期に配慮し、事業を進めているところでございます。
令和三年度の河川改修につきましては、防災・減災、国土強靱化のための五か年加速化対策に係る令和二年度補正予算に約三十八億円、令和三年度当初予算に約三十二億円、合わせて約七十億円を十五か月予算として計上し、万之瀬川や甲突川などにおいて、河道の拡幅や掘削、護岸の整備等を実施することといたしております。
今後も引き続き、浸水被害の解消に向けて整備推進に取り組んでまいります。
88 ◯大園委員 本県は南北六百キロメートル、離島・僻地の多い県であります。今後の浸水対策につきましては、部長が答弁されたこと以外にも積極的な寄洲除去等のハード面、そして、国が進める国土強靱化に関する施策を効率的に進めるためにはどうしてもデジタル化が必要だと思っております。より積極的に進めていただきたいと思います。
次に、みんなの水辺サポート推進事業についてお伺いします。
つながる地域の力「共生・協働かごしま」の実現の施策の中で、みんなの水辺サポート推進事業について伺います。
県は、地域住民等による自主的な河川・海岸の清掃美化活動等を促進するために、ボランティア、みんなの水辺サポーターの活動を支援・奨励するとあります。大変すばらしい事業だと思います。地域住民が自主的に河川や海岸の清掃、美化に努める背景には、住民が地域に誇りを持ち、地域の事業対象箇所になっている河川や海岸への限りない思いがあるからだと思います。その思いをさらに高めるために、県はこの事業をさらに支援・奨励することは大変大切なことです。
そこで伺います。
平成三十年度、令和元年度までのみんなの水辺サポート団体の現状について、さらに、平成三十年度、令和元年度までの当初予算と実績額についてお示しください。
[兒島土木部長登壇]
89 ◯兒島土木部長 みんなの水辺サポートの登録団体の現状及び実績等についてであります。
みんなの水辺サポート推進事業は、県が管理する河川や海岸において、定期的な清掃美化活動を行う地域の住民等に対し、活動に必要な機材に係る経費等を補助するものであります。これまで登録した団体数は、平成三十年度末までに七百六十三団体、令和元年度末までに八百四十九団体であり、年々増加しているところであります。
また、事業の執行につきましては、平成三十年度が当初予算額約千八百五十万円に対し、実績額約千二百六十万円、令和元年度が約千九百五十万円に対し、約千四百七十万円となっております。
90 ◯大園委員 事業額と執行額が大変な開きがあると思うんです。この原因をどのように考えていらっしゃるか教えてください。
[兒島土木部長登壇]
91 ◯兒島土木部長 サポートしている団体につきましては、数多くあると思います。その団体の中には、まだこういう制度を知らずに申請されていない団体もあると思いますので、そういうことが原因ではないかと考えてございます。
92 ◯大園委員 部長の答弁がありました。
この事業の内容等について、もう少し普及するためには、やはり広報活動が大事だと思いますので、ぜひそこを徹底していただきたいと思います。
次に、これまでの事業の中で見えてきた課題と対応について、そして、ボランティア活動を推進するためには何が必要なのか。
最後に、この事業をこれからも継続するためには、この事業費の使い勝手を広げ、事業費を増やすことが必要だと思います。令和三年度の事業費の使用拡大と事業予算をもっと増やすべきと考えますが、見解をお伺いします。
[兒島土木部長登壇]
93 ◯兒島土木部長 活動推進への取組及び令和三年度の事業予算等についてでございます。
事業推進に当たりましては、先ほど申しましたように、これまで補助対象の拡大や手続の簡素化などの要望がありましたことから、平成二十八年度には補助の上限額を二万円から三万円に増額し、また、平成二十九年度以降も、高枝切りばさみや脚立などを補助対象に順次追加するとともに、手続につきましては、事前の活動計画の提出を不要とする事業の簡素化を行ってきたところでございます。
活動の推進に当たりましては、補助対象の拡大などについて多くの団体等へPRすることが重要であると考えてございますことから、チラシやポスターを作成し、市町村やコンビニ等に掲示するとともに、ラジオ等による広報を行い、事業の活用を引き続き呼びかけてまいりたいと考えてございます。来年度の当初予算につきましては、今年度当初予算約千九百九十万円より増額いたしました二千百四十万円を計上するとともに、補助対象としてチェーンソーなどの伐採機器の燃料代を追加して、事業を推進することとしております。
今後とも、河川周辺の良好な環境を維持するため、共生・協働の取組の支援を進めてまいりたいと考えております。
94 ◯大園委員 事業拡大に対して、予算執行の中で幅を広げていただいたことは、大変感謝いたします。
私の地域の永田川上流に約四百メートルの河川があります。大変浅瀬で、きれいな川で、幼稚園生や小学生、中学生が遊びに来る場所であります。この四百メートルを地域のコミュニティー、あるいはおやじの会等含めて四、五十名で草刈りをしますけれども、約六トンの草を刈ったものが出ます。県が約六トンの草の処分を事業者に頼むには大変な予算がかかるわけですので、我々も今後検討しますし、こういう事業をもっと前に進めるためには、先ほど部長が言われたように、しっかりしたこの事業の思いを社会に知らしめていただきたい。そして、こういう事業がもっと前に進むには、地域の事業をコンテストや、あるいは報奨金制度、本当にいい取組をしているなというところを県としても認めてあげて、それなりの後押しをしていただければ、地域の方々も頑張りがいあるかと思っております。
スマホ時代にあって、子供たちの健やかな心の成長を置き忘れているんじゃないかと、やはり地域の方々がこういう事業をされるというのは、地域の財産を守ろうという地域の皆さん方の気持ちだと思います。その地域を大切に守り育てること、それが私たちに与えられた責務だと思っております。どうか県でも、子供たちにすばらしい遊び場所を提供したり、自然の豊かさ、自然のありがたさを感じるための場所づくりもこの事業かと思いますので、ぜひ土木部においても、この事業をもっともっと推進していただき、地域の皆さんが、地域は自分たちの手で守り抜く、そしてそれを県が支えてくれるという思いに立って、土木部でもこの事業を積極的に進めていただくことを要望しまして、私の質問を終わります。
95
◯小園委員長 以上で、午前中の質疑といたします。
ここで、昼食等のため暫時休憩いたします。
再開は、おおむね午後一時十五分といたします。
午前十一時五十六分休憩
────────────────
午後 一時 十五分再開
96
◯小園委員長 それでは、再開をいたします。
この際、御報告をいたします。
傍聴について八名の方から申出がありましたので、これを許可いたしました。
次に、白石委員に発言を許可いたします。
[白石委員登壇]
97 ◯白石委員 それでは、早速、令和三年度
総括予算審査において所管しております警察関連予算三事業、教育関連予算四事業について伺います。
まず、警察関連予算について、交通安全施設等整備事業について伺います。
当事業に十四億一千七百五十五万九千円計上されております。概要をお示しください。
[鈴木警察本部長登壇]
98 ◯鈴木警察本部長 交通安全施設等整備事業の概要についてであります。
令和三年度の交通安全施設等整備事業費で計上しております約十四億一千八百万円の主な事業内訳は、信号灯器のLED化など信号機の改良・更新などに約六億八千万円、交通管制センターに関する事業に約四億五千万円、道路標示の整備や標識の修繕など標識・標示の新設・補修に約一億九千三百万円、信号機の新設に約三千七百万円などとなっております。
99 ◯白石委員 答弁いただきましたが、路面標示等について多くの要望をいただきます。補修整備については長期の時間を要しており、県民の安心・安全対策の観点からも早期整備が必要と考えます。
そこで伺いますが、県警察と道路管理者の道路標示設置区分と県警察における道路標示に補修が必要な箇所の整備方針についてお示しください。
[鈴木警察本部長登壇]
100 ◯鈴木警察本部長 県警察と道路管理者の道路標示設置区分及び道路標示補修の整備方針についてであります。
道路標示につきましては、道路標識、区画線及び道路標示に関する命令で規定されておりまして、その設置は、道路交通法を根拠として交通規制を伴う横断歩道や追い越しのための右側部分はみ出し通行禁止の黄色線、停止線などにつきましては県警察が行うことが多い一方で、交通規制を伴わない車道外側線や車線境界線等の区画線につきましては道路管理者が行っているものであります。道路標示の補修につきましては、摩耗や劣化の程度、現場の交通実態等を踏まえまして、補修の必要性が高い箇所から優先的に整備を進めることとしております。
来年度も引き続き、計画的に道路標示の整備を推進いたしまして、安全かつ快適な道路環境の実現に努めてまいりたいと考えております。
101 ◯白石委員 先日、地元の方にアンケートを取りまして、回答いただいたほとんどの方々から、路面標示についてしっかりと整備してほしい等の意見をいただいたところであります。限られた予算とは分かりますけれども、県警察と道路管理者の整備計画の連携を図り、効率的かつ迅速に整備いただきますよう要望いたします。
次に、災害警備対策等推進事業について伺います。
大規模災害等に迅速に、的確に対応し、県民の安全を確保するため、災害等装備資機材を整備するとあります。本県も昨年の七月豪雨や台風九号、十号による多くの災害があり、大規模災害等への備えは必要と考えます。本年度予算八百五十八万二千円からすると二倍近い増額になっております。今回整備する災害等装備資機材の主な内容とそれらの整備方針をお示しください。
[鈴木警察本部長登壇]
102 ◯鈴木警察本部長 災害等装備資機材の主な内容と整備方針についてであります。
今般の災害警備対策等推進事業のうち、主なものといたしましては、災害発生時における警察機動力の確保を目的とする災害対策車の整備に要する経費、倒壊家屋からの救出救助活動時等に使用するチェーンソー、エンジンカッター等の老朽化に伴う減耗更新に要する経費、発災時に活動する職員のための災害警備活動用非常食等の経費がございます。
県警察におきましては、過去の災害から得られた教訓などを踏まえまして、平素から関係機関と連携し、実践的訓練を実施するとともに、装備資機材の整備充実を図っておりまして、今後とも引き続き、災害対処能力の向上を図るため、災害活動用装備資機材の計画的な整備を進めていくことといたしたいと考えております。
103 ◯白石委員 災害等の備えは重要と考えます。今回、事業説明をいただきました太良木警部が、本日の地元紙に取り上げられておりました。東日本大震災後の被災地に六回派遣されたそうです。被災地での経験を胸に鹿児島県の各種災害を想定した危機管理、災害警備計画など災害対策に全力を注いでいただきたいと思います。
それでは、次に、伊佐湧水警察署整備事業について伺います。
来庁舎の利便性の向上や犯罪や交通事故等への迅速な対応を図るため、現地に新庁舎を整備するとありますが、新庁舎においては、障害者や高齢者に優しいまちづくり、外国人労働者の増加やジェンダーレスなどユニバーサルデザイン等を取り入れておられるのか。また、
新型コロナウイルス感染症対策についてもお示しください。
あわせて、現地に新庁舎建設とありますが、工事期間中の警察署利用者への安全対策についてもお示しください。
[鈴木警察本部長登壇]
104 ◯鈴木警察本部長 伊佐湧水警察署整備事業についてであります。
伊佐湧水警察署につきましては、令和二年度からの四か年事業で現地建て替えの計画を進めており、新庁舎につきましては、令和三年度からの二か年で整備を予定しております。
ユニバーサルデザインにつきましては、庁舎出入口周辺の段差をなくし、スロープ不要の造りとするほか、正面出入口の自動ドア、点字ブロック、エレベーター、庁舎案内の外国語表記、どなたでも利用できる旨を明示した多目的トイレの整備などを計画しております。
新型コロナウイルス感染症対策につきましては、社会的距離の確保を考慮した受付窓口カウンターの設置、同カウンターや取調室等の机上における遮蔽板の設置、取調室等における換気設備の設置等を計画しております。
工事期間中の警察署利用者への安全対策につきましては、敷地内においてバリケード等で工事を行う区域を区分し、当該区域に工事車両専用の出入口を設けますほか、敷地内を区分することによりまして、来庁者用駐車場が狭くなるため、近隣に来庁者用駐車場を借り上げることとしております。
105 ◯白石委員 既存の警察署の利用中の建設になりますので、第三者災害防止や警察業務に支障がないように要望いたします。
次に、教育関連予算について質問してまいります。
まず初めに、生徒指導対策総合推進事業について伺います。
児童生徒の様々な課題に対応するため、スクールカウンセラーや臨床心理士等による専門的知見に基づく教育相談体制の充実を図り、総合的な生徒指導体制を推進する予算として一億二千二十四万六千円計上されております。
新型コロナウイルスの感染拡大により、臨時休業や様々な学校行事の規模縮小、また、社会環境の変化などによるストレスを抱えた子供たちの教育現場における多大な影響があると考えます。
本事業の概要をお示しください。
[東條教育長登壇]
106 ◯東條教育長 生徒指導対策総合推進事業の概要についてであります。
この事業は、児童生徒の様々な生徒指導上の課題に対して、総合的な教育相談体制を充実させ、未然防止、早期発見、早期対応により、児童生徒の健全な成長の実現を目的とするものであります。
具体的には、児童生徒の心理的な支援を目的としたスクールカウンセラーや福祉的な支援を目的としたスクールソーシャルワーカーの配置など、子供の心のケアの推進等に要する経費として一億一千五百万円余り、また、県教委と警察、児童相談所などの関係機関との連携を目的とした協議会の開催、児童生徒が主体的に考え、議論するいじめ問題子どもサミットの開催など、いじめ防止対策の推進に要する経費として三百万円余り、そして、不登校児童生徒の支援者に対する研修の実施、不登校を生まない学校づくりに関する研究の実施など、不登校児童生徒の支援等に要する経費として百万円余りを計上しているところであります。
107 ◯白石委員 では、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーそれぞれの本年度の雇用者数と新年度の採用者数、また連携状況、そして、学校への派遣計画をお示しください。
[東條教育長登壇]
108 ◯東條教育長 スクールカウンセラー等の採用予定等についてであります。
今年度、県教委では、スクールカウンセラー七十一人、スクールソーシャルワーカー九人を配置しており、新年度においては、スクールカウンセラー八十七人、スクールソーシャルワーカー六人を採用予定であります。なお、市町村教育委員会でも独自に配置している団体があり、今年度は、スクールカウンセラーを十二市町村で二十九人、スクールソーシャルワーカーを三十六市町村で七十七人配置しております。また、新年度も同程度の数を配置する予定と聞いております。
スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの連携につきましては、定期的に市町村や学校の生徒指導関係の連絡会議、ケース会議等に出席し情報共有を行っております。また、スクールカウンセラーが把握した児童生徒の悩みや背景にある事情は、スクールソーシャルワーカー等を通じまして、市町村の福祉部局や関係機関による福祉面からの支援に反映されているところであります。
次に、スクールカウンセラー等の派遣計画についてであります。
新年度における県教委からのスクールカウンセラーの派遣については、小・中学校については、重点配置校八校にそれぞれ年三十五回、定期派遣校百四十校にそれぞれ年十回、その他五百五十四校にそれぞれ年三回、また、特別支援学校については各学校年二回、高等学校については各学校年十二回を計画しております。このほか、緊急的な事案に対応するため、年三十五回分の派遣を予算化しております。また、スクールソーシャルワーカーについては、市町村からの要請があった場合に随時派遣できるよう六名の体制を整えているところであります。
109 ◯白石委員 生徒や保護者、教師などの相談できる環境整備は必要かつ重要で当事業は評価いたしますが、生徒や保護者への周知については疑問を感じます。生徒や保護者へどのように当事業を周知しているのか。また、実態調査やアンケート等などの取組も必要と考えます。県の相談状況をお示しください。
あわせて、一般質問や代表質問でも質疑されておりますが、ヤングケアラーについて県教委としての認識をお示しください。
[東條教育長登壇]
110 ◯東條教育長 スクールカウンセラーへの相談状況についてであります。
令和元年度に県教委が配置しました七十四名のスクールカウンセラーへの相談件数は一万三百九十四件であり、内訳は、児童生徒からの相談が四千二十五件、保護者からの相談が一千六百四十五件、教職員からの相談が三千七百七十五件などとなっております。また、県教委が配置しました十名のスクールソーシャルワーカーの対応件数は五十二件でした。スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーによる相談体制については、各学校において、児童生徒、保護者に対しまして、年度当初に説明したり、学校便り等で来校日を連絡するなどの対応を行っております。また、県教委におきましても、広報誌等を通じて周知を図っているところであります。
次に、ヤングケアラーについてであります。
ヤングケアラーは、本来、大人が担うと想定されております家事や家族の世話などを日常的に行っていることによりまして、学校に行けなかったり、友達と遊ぶ時間がなかったりなど、子供自身の権利を侵害されている可能性のある子供とされております。このような状況にある子供は県内でも報告されておりますが、学校を休みがちになったり、学習の遅れなどが生じたりする可能性があり、福祉関係機関と学校との連携による適切な支援が必要であります。
このため、県教委では、市町村教育委員会、学校に対しまして、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を背負っている子供の心理面の課題等にスクールカウンセラーを活用して対応することやスクールソーシャルワーカーを交えた生徒指導関係の連絡会議等を通して、早期対応を行うこと等について指導・助言を行っているところであります。
111 ◯白石委員 先ほど、相談件数も説明いただきました。繰り返しになりますけれども、コロナ禍で臨時休業や様々な学校行事の規模縮小、活動自粛など、社会環境の変化によるストレスを抱えた子供たちへの影響は数年先にふと現れたりするそうです。万全かつ継続的に相談しやすい体制の構築を要望いたします。
次に、ALT、外国語指導助手活用推進事業について伺います。
本県の子供たちの英語教育について、目標通過率を七割に設定している鹿児島学習定着度調査では、令和元年度、令和二年度の結果は、中学校一年、二年ともに英語の通過率は七割を下回り、まだまだ十分とは言えないことが分かりました。
先日、県議会百四十周年事業の一環で地元高校生との意見交換会の場で、日本の英語教育について疑問視する意見をいただきました。自らも英語が話したくても話せない、インプットばかりでアウトプットする機会が少ないなど、生の英語に触れ、話す機会をより多くしてほしいとの要望をいただきました。今後ますます進むグローバル社会において、次世代を担う若者への支援は非常に重要と考えます。
そこでまず、県教委として県立高校の英語教育の現状をどのように認識されていますでしょうか。
[東條教育長登壇]
112 ◯東條教育長 県立高校の英語教育の現状と認識についてであります。
グローバル化が急速に進展する中、英語力を身につけることや外国語教育の充実が求められているものと考えております。そうした中、国は、高校三年生で半分以上の生徒が英検準二級相当以上のレベルになることを目標としておりますが、令和元年度の調査によりますと、本県ではその目標に達した生徒の割合は約三五%となっております。
こうした状況について、県教委では、本県の児童生徒が外国人と交流し、生の英語に触れる機会が少ないことがその要因の一つではないかと考えておりまして、各学校では、基礎的な英語力の確かな定着を図る取組に加えまして、積極的にALTなどのネイティブスピーカーや英語が堪能な人材を活用して、生徒が生きた英語に触れる機会を充実させるよう努めているところであります。
113 ◯白石委員 次に、来年度、ALT、外国語指導助手活用推進事業に一億九千八百三十五万三千円計上され、県立高校に三十六名、高校教育課に二名のALTを配置するとされておりますが、ALTの採用に係る審査基準の有無、各学校への配置方法について、また、現時点でのALTの数とコロナ禍の影響の有無についてお示しください。
[東條教育長登壇]
114 ◯東條教育長 ALTの招致及び応募要件等についてであります。
国内に招致するALTについては、地方自治体の国際化推進を支援すること等を目的として設立されました一般財団法人自治体国際化協会が一括して行っておりまして、ALTの応募については、日本の地域社会における国際交流活動に参加する意欲があること、積極的に子供たちと共に活動することに意欲があることのほか、日本における教育、特に外国語教育に関心があること、そして、大学の学士以上の学位取得者等であることなどの要件が設けられております。
自治体国際化協会は、応募要件を満たしたALTの要望を基に配置先となる自治体を決定しておりますが、県内の県立高校へのALTの配置先につきましては、県教委が、例えば、SSH校であれば理数系を得意とするALTなど、各学校の特色とALTの大学での専攻や資格、特技などを総合的に勘案して決定しているところであります。
次に、ALTの数とコロナ禍の影響についてであります。
県立高校では、全ての生徒が週に一回以上ALTの授業を受けることができるようALTを配置しており、具体的には三十八人を拠点となる県立高校等に配置し、それぞれが拠点校とその周辺の学校を兼務しております。こうした三十八人体制を取っているところでありますが、昨年八月の任期満了に伴いまして十四人が帰国した後、後任が
新型コロナウイルス感染症の影響で来日できておらず、現時点では二十四人となっております。こうした状況におきましても、ALT一人当たりの兼務校を増やしたり、オンラインで授業を行うほか、ALTが作成した動画教材を授業で活用するなどしまして、生の英語に触れる機会を確保しているところであります。
115 ◯白石委員 現在、ALTが二十四名との答弁をいただきましたが、生きた英語に触れ、会話する機会を増やす観点からも、県立学校に全員そろっても三十八名のALTでは限られた時間でしか対応ができないと思います。他県では、一高校に一名のALTが配置されるところもあると聞いております。少しでも多くの生徒へ英語に関心を持つ機会の創出が必要と考えますが、ALT等を交えた活動状況と市町村教育委員会でもALTを採用していると思いますが、県全体での活動状況などお示しください。
[東條教育長登壇]
116 ◯東條教育長 ALT活用による英語に関心を持つ機会の創出についてであります。
生徒の英語や外国に対する興味・関心を高めるためには、先ほども触れましたように、積極的にALTなどのネイティブスピーカーとの触れ合い等を通して、生の英語に触れる機会の充実を図ることが重要だと考えております。
ALTは、授業におけるティーム・ティーチングのほか、生徒の発音や文章表現についてアドバイスするなどの個別指導を行っております。また、ALTは、授業以外でも、体育際や文化際、遠足、クラスマッチなどの学校行事や部活動に積極的に参加し、同世代の一人の若者として、生徒と生の英語でコミュニケーションを図り親睦を深めております。
なお、県教委では、県内の中高生が多くのALTや留学生等と英語を用いた生活を送り、自らがコミュニケーションを図ろうとする態度を育成するためのイングリッシュキャンプを実施しているところであります。
次に、県全体のALTの活動状況についてであります。
県内には、県で任用しておりますALTのほか、市町村教育委員会が任用しているALTが二百八十七人おります。これらのALTは、それぞれの学校で英語の授業などを通して、生徒が英語や外国に親しむことのできる取組を行っておりますほか、おはら祭など地域のイベントやボランティア活動などを通して、児童生徒だけでなく、地域住民との国際親善や相互理解を深める存在となっているところであります。
117 ◯白石委員 先ほど教育長からも鹿児島県の英語教育についての現状を教えていただきました。文科省の目標としている高校生の英語力の卒業時点での英検準二級以上の取得率が五〇%以上なのが、鹿児島県では三五%という答弁だったんですけれども、これがまさに九州最下位ということです。また、全国で英語が一番伸びている福井県が五八・四%。また、学校の英語教諭のレベルとしまして、英検準一級以上の取得率七五%以上を目標値に設定しておりますが、これも、鹿児島県が九州最下位の五八%になっております。ちなみに、福井県においては九三・九%となっているところでございます。また、岐阜県においては、全ての県立高校に生きた英語を学べるようにとALTを増員するため、来年度予算を大幅に増額されております。グローバル社会に取り残されないよう、本県英語教育の充実を強く要望いたします。
次に、かごしまの次代を担う農業教育推進事業について伺います。
令和元年度農業高校生の海外研修報告会に参加させていただきました。五名の農業高校生から、先進農家の研修でオーストラリアのブリスベンに行き、先進農家の研修で学び、感じたことなどを発表していただきました。日本とオーストラリアでは農地の規模など全く違いますが、先進事例を学び、創意工夫で日本の農業に取り入れていくことや帰国後も現地の高校生と連絡を取り合っていますとの報告をした生徒もおりました。また先日、全国和牛甲子園で二連覇された市来農芸高校畜産部の副キャプテンが研修生の一人だったと思います。
来年度、新規事業として七百十七万八千円予算計上されております。現事業予算百二十五万八千円から大幅な増額になっておりますが、その概要をお示しください。
また、国内外の研修先進農家の選定基準及びコロナ禍の対策をお示しください。
あわせて、参加された生徒の反応などお聞かせいただきたいと思います。
[東條教育長登壇]
118 ◯東條教育長 かごしまの次代を担う農業教育推進事業の概要についてであります。
県教委では、本県における新しい農業教育の推進に関する提言を受けまして、平成三十年度から新しい農業教育推進プロジェクトを実施してきたところでありまして、この事業は、同プロジェクトを発展的に充実を図ったものであります。
具体的には、これまでプロジェクトで実施してきた高校生の海外における農場研修や交流活動、最先端の技術を導入している農業法人等での視察、中学生の農業魅力体験学習などに加えまして、新年度からは、小・中学生に農業高校の魅力を発信するためのPR動画の制作や、生徒がGAP、HACCP、六次産業化などを学ぶ研修、さらに、新学習指導要領に対応した農業教育の充実を図るためにスマート農業関連機器に関する教員向けの研修などを行うこととしております。
次に、農業高校生の海外研修についてであります。
ただいま申し上げましたとおり、県教委では、平成三十年度から新しい農業教育推進プロジェクトに基づき、就農を志す農業高校生を対象に海外における研修を実施してきております。
研修地は、野菜、果樹、穀類など多種多様な作物の栽培が学べること、肉用牛・酪農などの畜産や大規模農業についても学べることなど、本県で農業を展開する上で参考となる農業を行っている地域としてオーストラリアを選定して実施してきており、来年度も同地を予定しております。
なお、今年度は
新型コロナウイルス感染症が拡大し、渡航が困難になったため、海外研修は中止したところであります。新年度についても同様の状況が懸念されますが、その場合は、相応の教育的効果が期待できる国内の研修先を検討したいと考えているところであります。
海外研修に参加した生徒の反応についてであります。
これまでの海外研修に参加した生徒からは、「大規模な農業に驚いた。広大な土地を使った外国の農業に対抗できるように頑張りたい」、「改めて我が国の農業を支える人材になりたいと思った」、「研修先の学校では様々なプロジェクトが実施されており、多くのヒントをもらった」、「我が国の農業を支える人材となり、世界で勝負できる牛を育てたいという思いが強くなった」などの感想が聞かれたところでございます。参加者の中には、委員御紹介ありましたように、研修後、全国和牛甲子園二連覇に貢献した生徒や新しい栽培技術に対応したナシの苗木生産などの意欲的な学習活動を行った生徒もおり、この海外研修は県内農業高校の活性化に大いに寄与しているものと考えているところであります。
119 ◯白石委員 先ほどの繰り返しになりますけれども、海外研修報告会に参加させていただきまして、参加高校生の生き生きとした事例発表を聞いて、生徒が本当に一年間でこんなに大きく成長するんだなと感じました。
本県の基幹産業である農業の後継者育成や農業高校の定員割れなど最重要課題であると認識します。農業の魅力や技術の進歩など学ぶ機会の創出に力を入れていただきますよう要望いたします。
最後に、郷土教育推進事業について伺います。
将来、鹿児島に住んで郷土の発展を支えようとする人材育成のため、郷土の歴史、伝統、文化、産業、地域の特性を理解し、ふるさとに誇りを持つための郷土教育充実のため一千四百八十八万六千円計上されております。
先月の地元紙によりますと、鹿児島の高校卒業者の県外就職割合が二〇二〇年三月で全国で最も高い四四・八%と人材供給県であると指摘されております。郷土教育は喫緊の課題だと認識しますが、事業内容が本当に重要だと思います。当事業の概要を予算額も含めてお示しください。
[東條教育長登壇]
120 ◯東條教育長 郷土教育推進事業の概要についてであります。
この事業については、将来、鹿児島に住んで、郷土の発展を支えようとする人材を育成するため、従来の取組を含めた五つの取組を新規事業として実施するものであります。
鹿児島の未来を担う青少年の志を育む事業については、県内の中高生六十人を対象に、県立青少年社会教育施設を拠点とした鹿児島の歴史、伝統、文化、産業、地域の特性等を知るフィールドワークを実施するもので、予算額は五百三十九万円余りであります。
かごしま青年塾運営事業については、これからの鹿児島を担う青年層四十人程度を対象に、本県にゆかりのある各界で活躍される経営者の方々による講話や県内企業のリーダーとの交流や現地研修を実施するもので、予算額は百八十万円余りであります。
郷土愛を育み、未来の人材を育成する地域協働プロジェクトにつきましては、高校と地域が連携・協働するためのプランを公募し、実践活動や成果発表会を実施するもので、実施校は三校程度、予算額は二百三十九万円であります。
鹿児島の産学連携に学ぶ!アカデミック・インターンシップ推進事業につきましては、普通科系高校で参加を希望する生徒八十人程度を対象に、産学連携に取り組んでおります県内大学等でのアカデミック・インターンシップを実施するもので、予算額は二百十万円余りであります。
「かごしまの文化財を知り、親しむ」事業については、県内の国、県指定文化財への理解を深め、授業等で活用できるかごしま文化財事典を編さんするもので、予算額は三百十九万円であります。
121 ◯白石委員 それぞれ各取組について説明をいただきました。新規事業については参加される方々が興味を持つような創意工夫をお願いいたします。また、かごしま青年塾においては、本県ゆかりのある方の講演を予定しておられ、最前線で活躍される方の講演も必要だと思いますが、まずは、鹿児島県のトップリーダーである知事がどのような鹿児島にするか、知事の鹿児島への思いを若い世代に訴え、目指す未来の共有を図ることこそが、鹿児島に誇りや愛着を持つきっかけになると考えますが、知事の考えをお聞かせください。
[
塩田知事登壇]
122 ◯塩田知事 私の
マニフェストにおいても、これから鹿児島の将来を担っていく若い人たちに、ぜひ鹿児島の郷土についてしっかりと認識を持っていただく、その上で鹿児島に残っていただく、あるいは県外に出て鹿児島の課題を認識して、さらに様々なスキル、あるいはネットワークを育てて、帰ってきて、また鹿児島で活躍したくなる。そのために郷土教育というのは非常に重要だと思っておりますので、ただいま御指摘のかごしま青年塾においても、私も若い人たちと一緒に、鹿児島の未来について語り合う機会というのをぜひ設けたいと思っております。
123 ◯白石委員 その機会があれば、私も参加させていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
いろいろ質疑させていただきました。
昨日の地元紙の記事に感銘を受けたんですけれども、御覧になられた方も多いかと思います。「文通で心の交流」と題しまして、鹿屋市の鹿屋高校と串良小学校の取組なんですけれども、学生と生徒が文通による交流を始めたとの記事になります。昨年十二月に肝属地区人権・同和教育研究協議会で、鹿屋高校の大薗教諭が提案いたしましたこの事業に、その協議会の会長の濱田教諭が応じて一月下旬にスタートした事業になります。高校生は教員志願者を中心に、一、二年生で四十五名、また小学生が六年生から五年生の有志で四十五名が参加されております。高校生は、学校の休み時間や自宅などで返事を執筆されて、三月までに三回の往復をする予定になっておられるそうです。高校生の感想が、LINEでは簡単にスタンプはできるけれども、文通となると感情を伝えるのが難しい、小学生の支えになれたらという思いがあるそうです。また、小学生は、大人よりも高校生のほうが相談しやすいという結果も出ているそうです。この活動をされた教諭によりますと、子供たちが地域で支えながら成長できる環境をつくれたらということで締めくくられているんです。自分が思うのは、まさに、今、鹿児島県の教育で、全てやっている方向性と同じじゃないのかなと思っております。
先ほども質問させていただきましたけれども、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーに相談しやすい体制をつくる。そして、教育の多角化によって、教員が非常に少なくなっているという観点からも、教師を目指す高校生などにこういうきっかけがあれば、さらに教員を目指す人たちも増えていくのかなと思っております。地域の郷土教育じゃないですけれども、地域で若い子供たちを育てる、すばらしい取組だなと思っております。
新型コロナウイルス感染拡大で新しい生活様式が取り入れられ、急速にICTやIT化が進み、タブレットやペーパーレスなど時代は便利になる一方で、ワンクリックで人を傷つけたり、誹謗中傷が簡単にできます。人と人との交流が薄れていくような気がしております。教育の分野、また、人を育てる上では、時代の流れから一歩立ち止まって、古きよき風習を取り入れることも大切だよと教えられた気がいたしました。このようなすばらしい取組を県内の学校に広げていただきたいと思います。
最後になりますけれども、先月、地元さつま町で発生いたしました高病原性鳥インフルエンザに関しまして、県職員の方々をはじめ、県建設業協会宮之城支部、県警備業協会の皆様の迅速な対応、昼夜を問わず消毒作業の防疫活動等、御尽力いただきました関係各位の方々に心から感謝を申し上げたいと思います。発生いたしました農家の方には心からお見舞を申し上げますが、一農場だけで終息できましたことを安堵に思っております。十年ぶりに感染が確認され、初動対応や関係機関等の連携体制に少し課題があったと聞いております。今回の事案をいい意味で教訓としていただき、県の防疫体制強化に努めていただきますよう要望いたしまして、私の質問といたします。ありがとうございます。
124
◯小園委員長 次に、吉留委員に発言を許可いたします。
[吉留委員登壇]
125 ◯吉留委員 残り時間三十九分でありますので、
新型コロナウイルス感染症対策について深掘りして、質問を順次していきたいと思っております。
もちろん、私の所管する環境厚生委員会では、医療・介護・福祉、子育て並びに環境林務行政と非常に県政にとって重要な案件が多々ありますが、御案内のとおり、
新型コロナウイルス感染症対策というのは、目下、我が県政並びに国政、また県民生活についても、お葬式も結婚式もなかなかできないというような状況があります。この
新型コロナウイルスを何としても、一刻も早く終息させるというのが、我が国における、世界における最優先課題だと思いまして、この一項目につきまして時間をいただきまして、順次質疑させていただきたいと思っております。
一年前もちょうどこの問題でこの場に立たせていただきました。あれから一年後にまた立つとは思っておりませんでした。感染症対策については、私は十三年前に新型インフルエンザの問題を取り上げて、当時の予測では、鳥インフルエンザを起源とするH5N1の強毒型の新型インフルエンザ、鹿児島県においては二千四百人から八千九百人が亡くなると予測する計画をつくってきたわけであります。そうした中で、「吉留さん、なぜそんな大げさなことを言うんだ」ということをよく言われましたが、やはりこの感染症のパンデミックというのは数十年に一度必ず起こりますから、その対応をするのが政治の役割でしょうということで、私のテーマとして取り上げて、今日に御案内のとおりのような全世界的なパンデミックが起こっております。そうした中で、我が県民の皆さんも非常に不自由しているというのが実情でありますので、質疑を行いたいと思います。
まずは、代表質問や一般質問でも取り上げられておりますので、ダブっていることがあるかと思いますが、よろしくお願いしたいと思っております。
直近の今日現在の感染の状況について、まずお尋ねしたいと思っております。
これまで本県において感染者数、全国では約四十四万人、亡くなった方は八千四百人余りと報じられておりますが、今日現在の感染者数、重症化人数、死亡者数が幾らなのか。
また、重症者、死亡者の方の年代別、男女別の数、基礎疾患の有無と、そもそも重症化しやすい基礎疾患は、どれを指しているのかということをお尋ねしたいと思います。
そして、若い人はよく軽症や無症状が多いということでありますが、この軽症・無症状者の年代別、男女別、また、かかるのは男性が多いというような話を聞きましたが、そうしたことはどうなのか。そして、やはり、後遺症が幾分あるんではないか。特に、若い人が後遺症があるんではないかということで、今まで感染した方の中でどれぐらいが後遺症を訴えられているのか、まずこの感染の状況についてお尋ねします。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
126 ◯地頭所くらし保健福祉部長
新型コロナウイルス感染症の感染者の状況でございます。
今日現在という御質問でございますが、直近のものが昨日現在の数字でございますので、令和三年三月十一日現在で申し上げますと、感染者数は千七百六十二名、重症者数が二十二名、死亡者数が二十七名となっています。
重症者の年代につきましては、二月末時点の重症者二十一名の内訳として、四十歳代二名、六十歳代五名、七十歳代四名、八十歳代八名、九十歳以上二名となっており、男女別では、男性十六名、女性五名となっています。また、重症者のうち十七名が基礎疾患を有しているところです。
死亡者の年代につきましては、二月末時点での死亡者二十六名の内訳として、六十歳代二名、七十歳代三名、八十歳代十一名、九十歳以上十名となっており、男女別では、男性十四名、女性十二名となっています。なお、重症者や死亡者が有していた基礎疾患としましては、糖尿病、心疾患、脳血管疾患が多いところです。
軽症者・無症状者で宿泊療養された方は二月末時点で八百九十一名であり、年代別では、十歳未満三十九名、十歳代百九名、二十歳代二百二十四名、三十歳代百六十一名、四十歳代百五十九名、五十歳代百二十七名、六十歳代七十二名となっており、男女別では、男性四百六十四名、女性四百二十七名となっているところです。
後遺症の状況についてですが、本県において、退院または退所後に保健所に対して後遺症に関する相談をされた方は二月末時点で百二十六名であり、その主な症状は、せき、嗅覚障害、味覚障害、頭痛、咽頭痛、倦怠感などです。
127 ◯吉留委員 もう一つ確認したいんですが、特に後遺症では、年代別で若い人が多いと言われている事例は、どんな感じなんですかね、そこは分かりますか。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
128 ◯地頭所くらし保健福祉部長 申し訳ございません。後遺症を訴えられた百二十六名の年代別の数字は手元に持っておりません。
129 ◯吉留委員 とにかく、今度の
新型コロナウイルスは、やはり高齢者の方に、重症化や亡くなる方が極端に偏っているということであります。百年前のスペイン風邪は、本県では一万人近い方が亡くなったそうでありますが、若い方が多かったということであります。それからすると、今度の場合は高齢者が、非常に多いという事例かと思います。また、今聞いた感じでは、約一割近くの方が後遺症を訴えているということでありますので、
新型コロナウイルスとの関連がちゃんとしたものであれば、この後遺症対策というのも考えていかなければならないかなと思っているところであります。よろしくお願いしたいと思います。
続いて、病床の確保についてお尋ねしたいと思っております。
御案内のとおり、病床の確保というのは、感染症法上、一義的には知事の権限であり、国は調整支援するだけということであります。大阪の知事さんは、知事の権限で、重症化用の病院をプレハブで造ったり、ある意味では、知事しかできないということで、塩田知事が感染症で必要な病床確保の責任者ということでありますので、順次お尋ねしていきたいと思っております。
例えば、重症化の方のためのICU、集中治療室、ECMOは、実際にどれぐらいが稼働しているのか、利用可能なのかということを、まずお聞きしたいと思います。
次に、今回の
新型コロナウイルスの中で、毎日のように、日本医師会の会長さんから医療崩壊という発言が多いものですから、一般の県民の方から、「吉留さん、そんなに病院はきついの」、「どういうことなの」とよく聞かれ、最近は少し落ち着いてきましたからあまり言われませんが。人口比でいえば、日本は病床数が百六十万床ありますから、先進国の中で抜群に多いわけであります。そして、感染者、重症者、死亡者というのは、ヨーロッパ、欧米の国に比べて桁が小さい。そういう中で、なぜ医療崩壊というのが話題として出てくるのか。ヨーロッパは公的病院がほとんどであると。我が国では、民間病院が八割、公的病院が二割とした中で、
新型コロナウイルス対応に当たっているのは、公的病院がほとんどとは言いませんが、かなり多いと。民間病院はどうしても経営がありますから、医療従事者の数が少ない、動線を確保できない。また、今度は風評被害というのがよく言われますから、そうした中でなかなか対応できないということであります。我が県において、この公的病院がどのぐらい
新型コロナウイルス対応の病床を確保しているのか。特に、鹿児島県の県立病院が、
新型コロナウイルス対応の病床を、どれほど確保しているのかということをお聞きしたいと思います。
また、
新型コロナウイルスは治ったけど、ほかの疾患でまだ入院せざるを得ないということで、病床が詰まっていると。なかなか病床が空かないものだから、逼迫している状況がある中で、東京都墨田区みたいに、
新型コロナウイルスの治療は公的病院が行い、
新型コロナウイルスが完治した後の他の疾患で入院せざるを得ない場合は、民間病院が引き受けるというようなことをやっております。そうしたことをうちの県でやっているのかお聞きしたいと思います。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
130 ◯地頭所くらし保健福祉部長 まず、ECMOの台数とICUの病床数でございます。
新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム、通称G─MISによりますと、重篤・重症の入院患者を受け入れる医療機関におきまして、本年二月末時点でECMOが二十台、ICU病床数は六十八床整備されているところです。
次に、公的医療機関の病床数についてでございます。
新型コロナウイルス感染症患者のための入院病床として、県では現在、五十医療機関、三百七十五床を確保しているところです。このうち、医療法第三十一条に規定する公的医療機関は、十五医療機関、百二十三床であり、さらに、このうち県立病院は五医療機関で三十四床を確保しているところです。民間医療機関、そして県立病院含め、多くの公的医療機関において、
新型コロナウイルス感染症の対応に御尽力いただいており、感謝しているところでございます。
次に、
新型コロナウイルスが完治した後の入院患者の受入れに係る役割分担についてでございます。
国は、都道府県に対し、
新型コロナウイルス感染症患者用の病床の対応能力を拡大するため、
新型コロナウイルス感染症から回復した後、引き続き入院管理が必要な患者を受け入れる後方支援医療機関の確保に取り組むよう求めているところです。
本県では、これまで、クラスターが発生した医療機関等において、医師会が中心となって医療機関と調整し、回復患者を一時的に受け入れる病床を確保してきたところです。また、県医師会は、本年二月に医療機関に対し
新型コロナウイルス感染症から回復した患者の一時的な受入れについての調査を実施し、八十六医療機関から二百十一名の受入れの意向が示されているところです。今後とも、県医師会等と連携し、退院基準を満たした患者を一時的に受け入れる医療機関の確保に努めてまいります。
131 ◯吉留委員 すみません、確認なんですが、三百七十五床のうち、県立病院を含めた公的医療機関が百二十三床、あとは、民間病院ということで理解していいのかということです。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
132 ◯地頭所くらし保健福祉部長 委員おっしゃるとおり、公的医療機関が県立病院を含めて百二十三床、残りは民間の医療機関ということでございます。(休憩後、訂正発言あり)
133 ◯吉留委員 それはびっくりしました。うれしいことですよね。全国的には民間病院がなかなか受け入れないということで、一時期、非常に批判も起こっていました。我が県においては、民間の病院の方、医師会の方が頑張っていただいて、県立病院の三十四床が多いのか少ないのかよく分からないですが、要するに二百二十二床は民間病院と、公的病院が百二十三床、倍近くを民間病院がやっているということです。これは、ぜひPRして、鹿児島県内の医療機関は頑張っているんだということで、私も初めて知りましたので、予想とは少し違うことでうれしい思いであります。
あと、病院の役割の変換ですね。昨年六月に今のような病床計画で国から来たと思うんですが、二、三日前のマスコミの報道等では、今度、今言ったような役割分担をしろということを国から都道府県に通知するということで、病床確保計画を見直すようにということだそうであります。そうであれば、我が県ではこれからやろうとしているということで理解してよろしいんですよね。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
134 ◯地頭所くらし保健福祉部長 ただいま委員お尋ねのとおり、報道等によりますと、今後、国も病床確保計画の見直しを都道府県等に指示するということでございます。私どもとしましては、先ほど申し上げましたように、後方支援医療機関も含めて、それぞれ確保の取組を続けていく必要があると考えております。
135
◯小園委員長 この際、御報告をいたします。
傍聴について新たに一名の方から申出があり、これを許可いたしました。
136 ◯吉留委員 続いて、県立病院についてお聞きしたいと思います。
先ほど申し上げましたように、感染症法上の病床確保の権限は県知事にありますから、いざとなると県知事の指揮命令が効く医療機関というのがどうしても必要になるかと思います。有事の場合ですね。ボトムアップで調整を待っていたら間に合わないときがあります。そうした場合に、すぐ対応できるのは、県立病院ということであります。今後、薩南病院の建て替えや、北薩病院の在り方を云々というのもあるということでありますが、感染症に対応できる県立病院の病棟なり、設備なりを造っておくべきではないかなと思っているわけであります。私が県議会議員になった平成十五年頃は、県立病院は赤字が多くて、廃止するのか、続けるのか、続ける場合どういう対応がいいかという議論がありました。あれから考えると、官から民へという言い方がありますが、今般の
新型コロナウイルスの騒動を見ると、やはり公的機関をある程度残しておかないと。こういう感染症のパンデミックが起こった場合、すぐ対応できるのは、やはり公的医療機関だろうと。そういう意味では県立病院を残しておいてよかったなと私は思っているわけであります。
そこで、今後の県立病院の役割をどうお考えなのかということです。
[福元県立病院事業管理者登壇]
137 ◯福元県立病院事業管理者 県立病院の役割と今後の感染症対応に向けての整備についてであります。
県立病院は、地域の中核的医療機関として、地域に不足する医療や政策医療、高度・専門医療、救急医療等の提供を行っており、感染症対応についても担うべき役割の一つであると認識しております。
このため、各県立病院におきましては、感染症以外の一般患者への
医療提供体制も維持しながら、
新型コロナウイルス感染症にも対応するため、それぞれの病院の実態に合わせたゾーニングや機材の整備を行うとともに、感染症対応病床についても、現状の人員体制の中で、必要となる配置、調整をした上で確保しており、必要がある場合は、確保病床数を超えて患者を受け入れるなど、臨機応変に対応しているところであります。
なお、姶良病院におきましては、現在、陰圧装置を備えた病床の整備を進めているところであります。
また、新薩南病院の病棟整備に当たっては、今回の
新型コロナウイルス感染症の経験を踏まえ、感染が拡大した場合を念頭に、感染症病床の配置や一般病床の活用も考慮に入れたフロアゾーニングが可能となる設計としているところであります。
県立病院局としましては、引き続き、関係機関と連携を図りながら、県立病院としての責務を全うできるよう診療体制の確保に努めてまいります。
138 ◯吉留委員 県立病院のコロナ病床は三十四床でしたかね。それが多いのか少ないのかというのは何とも言いようがありませんが。さっき申し上げましたように、ほかの公的病院は、国のものだったり、大学病院だったりして調整がいったり、まして民間病院だと経営があって、なかなか動けないというときがあります。ふだんは一般治療をしていても、こういう感染症のパンデミックが起こった場合、すぐそれに対応できるように、例えば、今度でいえば、丸ごとコロナ病院になるとか、今入院なさっている方は一定期間民間病院に引き受けてもらうとか、臨機応変にやれるようになったらいいなと思いますけど、そのあたりはどうですか。
[福元県立病院事業管理者登壇]
139 ◯福元県立病院事業管理者 まず、コロナ病院という具合に特定する場合に、病床数自体は現在も休床している病棟など、ハード面はある程度確保できると思うんですけど、一番問題は、
新型コロナウイルスを診ることのできるドクター、看護師、そういうソフト面の整備というのが一番の問題になろうかと思っております。
それと、先ほども申し上げましたように、救急医療などは、都会ですと、そこがコロナ病院に特化しても周りの病院にできるけど、幸か不幸か、地方に県立病院はあるものですから、県立病院の今行っている
新型コロナウイルス以外の医療を代替できるところが、周りにあまりないというのが実情です。これは今後とも、連携を図りながらやらないと、自分たちだけでは決められないのかなと思っております。
140 ◯吉留委員 はい、ありがとうございました。
次に、病床の問題も入ってますけど、地域医療構想の見直しということを質問したいと思っております。
御案内のとおり、地域医療構想は、人口が減少していく中で、二〇二五年、今から四年後ですね。必要な病床をそれぞれ病床機能ごとに、鹿児島県内の医療機関で幾らかというのを積み上げて、つくり上げていくというものであったかと思います。これは、もちろん
新型コロナウイルス以前の話でありますから、県の計画では、例えば高度急性期、
新型コロナウイルスでいえば重症患者を診られる方が二百二十四床増えるという地域医療構想ですね。これは非常にいいことだと思うんです。ただ、急性期が県全体で約六千六百床減るということになっておりますので、そのあたりがどうなのかということ。もちろん、その基になる地域医療計画を六年に一回つくっていくということでありますが、この中には、がん、脳卒中、小児医療等の五つの疾病と五つの事業に基づいて、地域医療計画をつくるということなんです。これは感染症は入っていないということであります。国が、昨年十一月に
新型コロナウイルスを受けて、二〇二四年度以降の計画には、感染症対応を追加して入れろということであります。そうした基の地域医療構想が、どうなっていくかをこの議論の中で、そのままでいいのか、感染症対応も入れて、改めて見直したらと思うんですが、どうですか。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
141 ◯地頭所くらし保健福祉部長 地域医療構想の見直しについてのお尋ねでございます。
先ほど委員御指摘のとおり、国は、
新型コロナウイルス感染症を踏まえた
医療提供体制の在り方につきまして、昨年十二月に
新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた今後の
医療提供体制の構築に向けた考え方というものを示したところでございます。これによりますと、新興感染症等の感染拡大時における医療を医療計画の記載事項として追加する考えが示されました。委員お尋ねのとおり、五事業を六事業にするということになります。
一方、地域医療構想につきましては、背景となる中長期的な状況や見通しは変わっていないことから、感染拡大時の短期的な医療需要には、今申し上げました各都道府県の医療計画に基づいて機動的に対応することを前提としまして、地域医療構想については、その基本的な枠組みを維持しつつ、着実に取組を進めていく考えが示されたところです。また、今後の工程としましては、
新型コロナウイルス対応の状況に配慮しつつ、都道府県等とも協議を行い、感染状況を見ながら、改めて具体的な工程の設定について検討することとされているところです。
県といたしましては、今回の
新型コロナウイルス感染症に係る対応状況も踏まえつつ、国の動向を注視してまいりたいと考えております。
142 ◯吉留委員 ありがとうございました。
ぜひ、知事にお聞きしたいものですから、先ほど来、病床の確保は県知事の権限ということであります。いろいろな議論がある中で、ほかの県で県知事さんが先頭に立って、プレハブを造ったりして病床の確保をやっているんですが、病床の確保について知事はどのようにお考えか。
[
塩田知事登壇]
143 ◯塩田知事 県民の皆さんの安心・安全ということからしまして、病床の確保というのは大変大事な課題だと思っております。そういった観点からいたしますと、先ほど病院事業管理者から御説明申し上げましたように、医師、看護師の確保ということも併せてしっかりと取り組んでいくべき課題だと思っております。大阪などでやっておりますプレハブを建てるような、爆発的な感染拡大というような事態も想定しつつ、県立病院も含めて、県全体としての医療体制の整備ということをしっかり取り組んでいきたいと思っております。
144 ◯吉留委員 ありがとうございました。
新型コロナウイルスが始まって、ちょうど一年以上たつわけでありますから、昨年暮れからの医療崩壊を、一年たって何やっていたんだという思いがあるわけであります。ぜひこういうことは、先手先手でやっていただければなと思っております。
次に、今度の一般質問でも出ておりますけど、保健師さん含めて、保健所の体制についてどうなのか。私は自民党の県議会議員でありますが、よく行政改革を金科玉条として唱えることが一番いい時期がありました。そうした中で、保健師さん、保健所がこの十数年でかなり減ってきているということであります。それが今回の
新型コロナウイルス爆発で、保健所がパンクしているということがありますので、その辺についてちょっとお尋ねします。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
145 ◯地頭所くらし保健福祉部長 保健所の体制についてでございます。
保健所におきましては、
新型コロナウイルス感染症対応として、電話相談や疫学調査、健康観察等を行っておりまして、保健師等の負担が増大しているところでございます。
県におきましては、保健所の負担を軽減し、技術的職員が専門性の高い業務に専念できる体制の構築・保持が必要と考えており、来年度予算案に非常勤保健師を各保健所に一名配置する費用を計上するとともに、保健所の負担軽減を図るための
新型コロナウイルス相談かごしまの運用に必要な経費等を計上したところです。また、本年一月には、県内の潜在保健師等を登録する取組を開始したところであり、これを活用しながら非常勤保健師等の確保に努めることとしています。
クラスター等により感染が拡大した場合には、今年度と同様に、本庁の保健師の派遣や地域振興局の職員による業務支援のほか、市町村に対して保健師の派遣を要請し、住民からの電話相談等に従事していただくこととしています。
県といたしましては、引き続き国の対応等を注視しながら、感染症に対する保健所の業務が円滑に執行される体制の構築に努めてまいります。
146 ◯吉留委員 ありがとうございました。保健所が大変だそうですから、ぜひ、このあたりはやはり増員して、負担軽減に努めていただければなと思っております。
続いて、ワクチンについて、数点にわたって質問したいと思っております。
ワクチンを取り上げるに当たって、国産ワクチンがなかったために、こんな質疑をしないといかんわけであります。ほかの国では、国民に対してワクチンの接種がかなり進んでいる中で、我が国は一周も二周も遅れていると。それは文字どおり国産ワクチンがないということと、ワクチンに対する国民性で、過去いろいろなことがあった中、ワクチンを審査するというのは非常に厳しい国柄でありますから、そういう中で遅れているかと思うんです。まず、現時点での接種スケジュールですね。ニュースを見ていると日々変わるようなんですが、高齢者向けが令和三年四月十二日、それまでに医療従事者向けが始まっていると思うんです。そうしたことをお聞きしたいと思います。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
147 ◯地頭所くらし保健福祉部長 ワクチン接種に向けたスケジュールにつきましては、二月十九日から鹿児島医療センターの医療従事者に優先接種が開始され、今月五日から、医療従事者等の優先接種が開始されたところです。続いて、四月以降に六十五歳以上の高齢者向けに接種が行われ、ワクチンの供給量等を踏まえ、その後、基礎疾患を有する方、高齢者施設等の従事者、六十歳から六十四歳の方、一般の方への接種が順次行われることとなっています。
148 ◯吉留委員 時間がありませんので、まとめてお聞きします。先ほどから申し上げておりますように、国産ワクチンがないために、輸入が非常に制限されている状況の中で、我が県に割り当てられるワクチンの数量が限定されていると思うんです。そういう中で、この接種配分というのは、それぞれこれからどうなっていくのか。また、鹿児島の場合は小さな自治体が多いですが、接種体制の県の役割というのはどのように考えているのか。
そして、先ほどお話がありましたように、六十五歳以上の高齢者の接種を云々というのがあります。六十五歳以上は、六十五歳の方もいれば百歳の方もいますから、ワクチンの数が限られる中で、例えば九十歳以上から始めるのか、どういう順番でやるのかを県として決めているのか、各市町村に任せているのか。
また、先ほど来もありました優先接種の基礎疾患とは、どういう病気を持っていたら優先的にワクチンを受けることができるのか、このあたりをお聞きしたいと思っています。
県内での接種のやり方について、集団接種と個別接種というのがあります。アメリカでヤンキー・スタジアムの中で大規模にやるということをやっています。例えば、鹿児島県では、そういう大きな体育館や大きな設備でやる、そういう事例はどうなのか。あと、個別で各診療所でやるというのもあると思うんですが、そういった扱いはどうなっているのかというのをお聞きしたい。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
149 ◯地頭所くらし保健福祉部長 まず、ワクチンの配分が限られている中での対応でございます。
本県の優先接種の対象となる医療従事者等は約七万五千人でありますが、国から第一弾として配分されるワクチンが約二万人相当分となっておりまして、ワクチンの供給に限りがある状況です。医療従事者等への優先接種につきましては、限られたワクチンでありますことから、県において、基本的な考え方を示し、まずは
新型コロナウイルス感染症患者等との接触リスクの高い対象者をできるだけ早い段階で接種できるよう進めることとしています。具体的には、
新型コロナウイルス感染症患者の受入医療機関のうち、直接、
新型コロナウイルス感染症患者に接する可能性の高い方、海上保安庁職員及び自衛隊職員等のうち、患者の搬送に携わる可能性の高い方、宿泊療養施設の関係者、クラスターの対応者や患者に接する可能性の高い保健所職員等を優先することとしています。その後は、基本型接種施設と連携型接種施設のうち、発熱患者等の診療または検査を行う診療・検査医療機関の医療従事者等を優先して接種することとしています。
小規模自治体の接種体制と県の役割についてですが、市町村においては、迅速かつ適切に接種を開始できるよう必要な体制を確保し、地元医師会等と連携しながら準備を進めており、四月以降の高齢者から一般の方への接種に向け、接種方法や医師、看護師の確保について調整を進めているところです。僻地や離島においては、接種を実施する医師や看護師などの医療従事者の確保に課題があることから、国は、高齢者の人口がおおむね五百人程度未満、または総人口がおおむね千人程度未満の離島や市町村については、接種順位にかかわらず接種を行えることを示すとともに、複数の市町村が共同で接種体制を構築する場合、当該市町村相互間での住民の接種は、同一市町村内の接種と同様に取り扱うこととしたところです。市町村では、国の方針を受けて、地域の実情に応じた様々な接種体制の構築を検討しているところです。県においては、市町村を支援するために、県看護協会から看護師を派遣する仕組みを準備したところです。県としては、今後とも、関係機関や市町村と連携を図り、市町村の予防接種実施計画に基づき、必要な支援や調整を行い、ワクチン接種が円滑に進められるよう努めてまいります。
高齢者の年代を分けてのワクチン接種と優先接種の対象となる基礎疾患についてでございます。
ワクチンの予防接種実施計画は、市町村で定めることとなっていますが、国の手引きによりますと、高齢者や一般の方への接種は、ワクチンの供給量、時期等によっては、年齢により接種時期を細分化する可能性があるとされているところです。また、国が出荷するワクチン量が少ないことから、市町村の判断で接種券の発送を地域や年齢等により分けて行うことで、一部の地域の住民などに対象者を限定することも差し支えないとされています。
優先接種の対象となる基礎疾患を有する方については、慢性の呼吸器の病気、心臓病、腎臓病、肝臓病など十三種類の病気等で通院・入院されている方や肥満度の指標であるBMIが三十以上の方が対象となっています。
ワクチン接種の実施方法につきましては、国の指示の下、住民に身近な市町村が接種事務を実施し、県は広域的な観点から必要な調整を担うことになっています。
県としては、今後とも、関係機関や市町村と連携を図り、市町村の予防接種実施計画に基づき必要な支援や調整を行い、ワクチン接種が円滑に進められるよう努めてまいります。
150 ◯吉留委員 ありがとうございます。頑張ってください。終わります。
151
◯小園委員長 ここで、換気等のため暫時休憩いたします。
少し報告が遅れましたが、傍聴についてまた一名の方から申出がありましたので、これを許可しております。
二時四十分に再開をしたいと思います。
午後二時三十三分休憩
────────────────
午後二時 四十分再開
152
◯小園委員長 それでは、再開をいたします。
ここで、先ほどの吉留委員からの質疑に対し、くらし保健福祉部長より発言を求められておりますので、これを許可いたします。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
153 ◯地頭所くらし保健福祉部長 先ほど、公的医療機関の病床数の御質問の再質問の中で、民間医療機関の病床数について、答弁が不正確な部分がございましたので、訂正させていただきます。
医療法第三十一条に規定する公的医療機関は、十五医療機関、百二十三床ということでございます。あと、これ以外の大学病院など、この公的医療機関には該当しませんが、公的な医療機関という部類に入りますのが四医療機関、四十六床、この二つを除く民間医療機関が三十一医療機関、二百六床、これら合計で五十医療機関、三百七十五床でございました。大変失礼いたしました。
154
◯小園委員長 次は、県民連合の質疑であります。
質疑時間は、答弁を含めて四十九分であります。
遠嶋委員に発言を許可いたします。
[遠嶋委員登壇]
155 ◯遠嶋委員 県民連合の遠嶋でございます。
時間がありませんので、早速質問に入りたいと思います。
公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場、エコパークかごしまに関する諸問題についてお伺いいたします。
エコパークかごしま関連事業として、次年度予算に一億九千七百十八万四千円の予算措置があり、その説明の中に住民への啓発活動というのが入っております。
まず、このエコパークかごしま関連事業の住民への啓発活動について伺います。
住民にどのような内容の啓発をされるのかお答えください。
[松下環境林務部長登壇]
156 ◯松下環境林務部長 エコパークの安全性の周知については、県では、関係自治会の代表、学識経験者などを委員とするエコパークかごしま安全監視委員会を開催しており、施設の運営状況や環境保全協定の履行状況について確認いただくなどする中で、地域住民の代表の方々に理解を深めていただいていると考えております。
また、運営主体である県環境整備公社においては、エコパーク関連事業に係る補助金を活用して、広報誌であるエコパークかごしま通信の発行や関係自治会の代表を委員とするエコパークかごしま連絡協議会を開催しているほか、昨年度からは、薩摩川内市の小学四年生を対象とした環境学習をエコパークにおいて実施しているところであります。
157 ◯遠嶋委員 今、地域住民の中で心配されているのが、すぐ下にある民家の井戸の異臭問題、ダイオキシン問題ですね。これも、昨年十二月の四回定例会で質問しましたが、地下水のダイオキシン濃度と周囲の観測井戸の濃度が八倍違うと、地下水のほうが多いということで、ダイオキシンが漏れているんじゃなかろうかと地域住民は心配しているわけですね。そういう地域住民が知りたいということについて、エコパークあるいは環境整備公社がしっかり調査をして、こういう御心配がありますけど、こうですよというのが、真っ当な広報活動の内容じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
[松下環境林務部長登壇]
158 ◯松下環境林務部長 エコパークかごしまにおいては、安全監視委員会を設置しております。この設置目的は、環境保全協定に基づいて地域住民の安全確保や生活環境の保全を図るため、関係自治会の代表、学識経験者、薩摩川内市で構成し、廃棄物の搬入管理や施設の維持管理等に係る協定事項の履行状況等について調査検討を行います。
昨年八月に、この安全監視委員会を開催しておりまして、学識経験者四名の方から御意見をいただいております。その意見については県のホームページ等にも公開されておりますけれども、「廃棄物の埋立て管理は順調であることが確認できた」、「今後も水質管理のモニタリングをきちんと継続し、廃棄物の安定化に努めてほしい」、また、「きちんとマネジメントするという意味での管理がなされており、これを継続することで、今後もよい状態で管理できると思う」、「二重三重の安全対策が施されていることが確認できた。ここまでの努力がなされたからこそ、地元自治会の皆様との関係が築けたと思う」、また、「環境対策や維持管理が機能し、安全に稼働していることが確認ができた」、「今後とも、公社の皆さんには引き続き努力していただき、この環境を守っていただきたい」というような意見をいただいておりますし、この会には自治会の代表八人も参加されておりますし、原則公開とし、ホームページでも公開いたしております。
159 ◯遠嶋委員 今、お話を伺いましたけど、本当に疑問に思われていることが、協議されているのか大変疑問を持っております。
もう時間がありませんので、次に行きます。
エコパークかごしまは、公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場として建設されました。もともと一般廃棄物は対象になっていませんでした。しかし、途中から薩摩川内市の一般廃棄物も持ち込めるようになり、離島の三自治体の一般廃棄物も持ち込まれるようになりました。今、エコパークかごしまの正面ゲートの横には、産業廃棄物管理型最終処分場の看板と並んで、一般廃棄物最終処分場という看板があります。今日お配りをしている一枚目のこの写真です。私は、一か月ぐらい前に気がついたんですが、見張り小屋というのがあって、その奥まで行きましたら、えっと思って、一般廃棄物最終処分場という立派な看板が立っておりました。これは、いつこうなったのかを教えていただきたいと思うんです。いつというのは、昨年の第四回定例会の中で、一般廃棄物がいつ、どのくらい搬入されたという回答をもらったんですが、そういう時期的ないつというよりか、こんな立派な一般廃棄物最終処分場という看板も予算が伴っていると思うんですが、県議会で議論はされたんでしょうか。一般廃棄物最終処分場との兼業で行いますという議論が県議会であったのかどうか教えてください。
[松下環境林務部長登壇]
160 ◯松下環境林務部長 一般廃棄物受入れの経緯についてでございます。
市町村の一般廃棄物については、廃棄物処理法上、市町村の統括的な責任の下、市町村自らまたは委託等により処理することとされております。
エコパークかごしまにおいては、地元の薩摩川内市、離島に所在する喜界町、十島村及び三島村からの受入要請について、法の趣旨を踏まえながら、それぞれの地域における個別の事情やエコパークの埋立容量のほか、地元四自治会が同意していること、県外処分場までの長距離輸送に伴う環境負荷の低減などにも資すること、外海離島ならではの輸送コストの負担があることなどを総合的に勘案し、平成二十八年四月から受け入れることとしたものであります。
看板についての御質問がありました。
廃棄物処理法においては、産業廃棄物処理施設の設置者が産業廃棄物と同様の性状の一般廃棄物を当該施設で処理する場合には、あらかじめ都道府県知事に届け出れば設置許可を要しないとする特例措置を定めております。当該届出は、一般廃棄物の処理を開始する三十日前まで提出しなければならず、公社は平成二十八年三月十八日付で提出し、同日付で受理され、四月十八日から一般廃棄物の処理を開始しております。
看板につきましては、先ほどのエコパークの廃棄物処理法上の手続を経た上で、平成二十八年度から一般廃棄物の受入れを開始しておりますが、環境省が定める一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令の第一条において、一般廃棄物の最終処分場の技術上の基準の一つとして、入口の見やすい箇所に一般廃棄物の最終処分場であることを表示する立札、その他の設備が設けられていることと定められていることから、公社においては、当該基準を遵守しているところであります。
県議会での議論について御質問がございました。
エコパークかごしまに関しては、候補地選定の段階から現在に至るまで、県議会において様々な御議論をいただきながら、整備・稼働を進めてきたところであります。薩摩川内市など四市町村からの一般廃棄物の受入要請についても、要請の内容や関係自治会の同意、廃棄物処理計画における産業廃棄物の最終処分量の将来推計、エコーパークかごしまの埋立容量などから、県が受入れる方向とした経緯等について県議会にお示ししてきたところであります。
県としては、今後とも、県議会への情報提供に努めるとともに、御意見も伺いながら、エコパークかごしまの安定的な運営を図ってまいりたいと考えております。
161 ◯遠嶋委員 すみません、私がお聞きしているところにお答えをくださればいいんですけど、前半はほとんど要らないような答弁でした。
これは、私が取材で受けたときの次の質問に関わりがあるわけです。今のお話は、県議会に事前にこういう看板を立てて一般廃棄物を受け入れるというのを諮ったということはなかったように今の答弁では判断しました。
我々が、この産業廃棄物最終処分場を造るんだというときには、当時、環境生活厚生委員会で特別に陳情者の参考人招致をして、非常に慎重な審議をしたわけですよ。何度も言いますけど、当時の環境生活部長が、年間四万トン、十五年間で六十万トン、一トン当たりの単価が平均一万九千円、そうじゃないとペイしないという詰めた議論、今鹿児島市長をしている下鶴隆央さんもこの採算性の問題で、当時は質問をしております。それだけみんな真剣に産廃処分場を造るということで議論をしたわけです。一般廃棄物を入れるなんて、みじんも考えていなかったわけですよね。それがいつの間にかこんなことになっているというのは、私は県議会の議論を軽視しているとしか思えないのであります。三期以上の皆さんは、この産廃を造るときの議論を御存じだと思います。私は、本当に県議会を無視しているんじゃないかなと思えてなりません。
次は、四番目の質問になるんですけど、令和二年第四回定例会で、浸出水導水管が遮水工の下を走っているということで、「長さはどしこですか」と言ったら「六十六メートル」とおっしゃいました。今日の資料の資料2)と資料4)を御覧ください。
まず、資料4)は、支間長約六十二メートルと書いてあります。当時の松下部長が回答したのは六十六メートルと回答したわけです。これは分かりづらいと思いますが、資料2)を見てください。資料2)は、葉っぱの葉脈みたいみたいなのが載っているのが、上下に二つあると思います。これは廃棄物・リサイクル対策課の方が持ってこられたんです。何でこれを持ってこられたかというと、昨年の第四回定例会のときに、その六十六メートルの浸出水導水管は遮水工の下にあるという回答をされました。その説明のとき、浸出水導水管を遮水工の下に置くのか、上に置くのか工法が二つあって、予定どおり下に敷設をする工法を採用しましたという答弁をされたんです。私は耳を疑いました。「そういう二つの工法があるというのは何なのか、それを図示する資料を出せ」と言ったら、この資料2)を持ってこられたんです。これはですね、産廃処分場を造るときのバイブルと言われている産業廃棄物処分場の計画設計監理要領という冊子にあるわけですが、この図は、部長がお答えになったような、その導水管が上にあるか下にあるかという説明の図じゃないんですよ。でも、廃棄物・リサイクル対策課は、これがそうですと言って持って来られたんですよ。これは何を意味しているかというと、皿みたいなのがありますよね、この皿の上の表の表面は、遮水工といって産廃に汚染された浸出水が下に漏れないようにということで遮水工事をしたお鉢みたいなもの、上も下も同じような状況です。汚れた水を回収するのを上は外で回収をしますと、下は中で回収しますという図なんですよ。だけど、これを廃棄物・リサイクル対策課の方が持って来られて、上が遮水工の下に敷設する図ですと、下は遮水工の上に施工する図ですという説明をされたんですよ。皆さん、これはそう思えますか。
それから、資料4)を見てください。この資料4)は、今言った図の遮水工の下です。このお皿のちょうど真ん中ぐらいの下あたりから左側にある浸出水ピットまで、資料4)の長い導水管が遮水工の下を流れているんです。
皆さん、答弁のときは六十六メートルと言いましけど、さっきの上と下の図の説明とは全然ほど遠い六十二メートル、絶対に地下水と混じったらいけない浸出水の導水管が遮水工の下、砕石層の下、地下水で満タンになっているようなところを六十二メートルもずっとここに流れているわけですよ。この工事の説明をするのにコンクリートで周りを固めたという説明がありました。「そのコンクリートを固めたときの工事明細書と単価表を出してください」と、そしたら「ありません」と言うわけですね。この工事をしたときの単価表と明細がなければ検査ができないわけですよ。鹿児島県は依頼主ですけど、依頼主としてこの工事の安全性を検査できない、確認できないというのが現状なんです。この浸出水導水管の説明の仕方は今でも変わりませんか。まずお答えください。
[松下環境林務部長登壇]
162 ◯松下環境林務部長 提供した資料に記載された最終処分場は、谷間の出口をほぼ垂直な擁壁でせき止めたものであり、埋立地の外に浸出水ピットを設けると導水管を擁壁の厚み分の長さではありますが、遮水シートの下に設置されることになります。エコパークの場合は、底面部を緩やかなのり面としたため長くはなりましたが、浸出水ピットを埋立地の外に設けたことで、導水管が遮水シートの下に設置される点は変わりはございません。
163 ◯遠嶋委員 すごい言いようですね。資料2)の遮水工を貫通しているのは、上は遮水工左に横にずっと線を引いている、この厚みが遮水工なんですよ。だから、この厚みの遮水工が貫通しているんであって、六十六メートルというのは、遮水工の厚みどころか、この底盤の真ん中ぐらいからこの集水ピットまでずっと下を潜っているわけですよ。このことから、そういうことが起きたのか分かりません。今からダイオキシンの話をお伺いします。
令和二年第四回定例会で、ダイオキシンが周囲の観測井戸より地下水のほうが八倍高いのは、原因を特定する必要があるのではないかと質問しました。しかし、「基準値内だから問題ない」と調査することを否定されました。今回配付している資料5)を見ていただきたいと思います。
資料5)は、ダイオキシン類の経年変化ということで、折れ線グラフにしております。上は地下水ピット、さっき言ったお鉢の底にある地下水のダイオキシンの数値です。この下のは、遮水工の上にある産廃処分場の中を通った汚れた水のダイオキシンの変化です。ほぼ同じ時期に、同じ角度でぐっとダイオキシンの数値が上がっているわけですね。
さっき申しましたように、昨年の第四回定例会のときも、周囲の観測井戸よりも処分場の下の地下水のほうがダイオキシン濃度が八倍高いと、遮水シートの下の地下水が八分の一だったらまだ分かりますけど、周りの観測井戸は低くて、処分場の下の地下水が八倍も高いというのはおかしいと思いませんか。この資料5)のグラフもそういう傾向を表している。
今日もここに来られているんですけど、周囲の民間の井戸が異臭がするとあったわけです。さっき、安全監視委員会の中ではそういう議論がなかったかのように話をしましたが。資料5)の一番右上に赤い字で、「山之口宅の井戸水の異臭顕著になる」というのと時期が重なっているわけですね。この6)の図は、この産廃処分場の青が遮水工ですね。その下が青いので水脈というのがあると思います。これは、産廃処分場の地下水と同じ水脈で彼の家の井戸があるということを示しているのであります。もしかしたら導水管が何らかの異変が起きて漏れている可能性があるということで考えられるのは、資料7)の一番下から三行、平成二十六年九月上旬に発生した遮水シート破損事故と、二〇一九年六月二十七日から七月三日に降った観測史上最高の降水量五百六十七ミリによる地下水の増加と遮水シートへの影響と、底面砕石層内に設置された浸出水導水管の破損の懸念が考えられますと、国土研という専門家が分析したものです。
資料8)は、ダイオキシンの発生元のパターン図です。資料9)を見てください。これは数値のレベルが違いますけど、浸出水はこうなりますよ、観測井戸K─1、K─2、裏側の地下水は同じような傾向を示している。両端が少し高くて真ん中が低いと。これは専門家の分析では、農薬に由来するダイオキシンだと。最後のは真ん中が高くなっております。これは、焼却灰に由来するダイオキシンだと。これは全部、環境整備公社から情報を開示請求してもらったものを全部分析して、グラフ化してあるものであります。ですから、焼却灰によるダイオキシンもかなり検知されている。今、焼却灰を入れているわけですね。だから、そこ辺から出てきた可能性が高いということであります。
このことについて、どのような認識を持たれますか。
[松下環境林務部長登壇]
164 ◯松下環境林務部長 地下水の水質調査の結果についてでございます。
ダイオキシン類の毒性については、ダイオキシン類は種類が多く化合物により異なるため、実測濃度を基に最も毒性の強い化合物の毒性にそれぞれ換算して合計した毒性等量で評価することになっております。
令和二年一月の調査では、実測濃度が地下水ピットで一リットル当たり十六ピコグラム、観測井ナンバー二で二ピコグラムとなっておりますが、毒性等量に換算すると、それぞれ〇・〇四八ピコグラム、〇・〇四二ピコグラムとなり、その差は一・一倍であります。また、法に定める環境基準は、一リットル当たり一ピコグラム以下と定められていることから、いずれも基準値以下の数値となるため、県としては、環境保全上の問題はないと考えております。
漏れているのではないかというような御質問ですが、エコパークの地下水ピットにおいては、地下水の水素イオン濃度と電気伝導率を二十四時間監視しております。浸出水が地下水に漏れ出した場合、これらの値に変化が生じることになりますが、エコパークにおいては、これまで異常が認められたことはないと聞いております。
165 ◯遠嶋委員 もう時間がなくなりましたので、答弁はいいです。答弁は半分以上は、聞かなくてもいいような答弁が多かったです。
これは京都大学の専門家にも見てもらい、こうおっしゃいました。「この傾向がずっと続くと基準値を超えますよ」、「基準値を超えるまでずっと座視して見ているんですか」、「どうするんですかと聞いてください」と私は言われました。もう答弁はいいです。産廃処分場があるところは、小学生が千三百人住んでいるんですよ。隈之城小学校と永利小学校を合わせて千三百から千四百人の小学生が住んでいるということは、その家族がいるわけですよ。全部、そこの水に由来する地下水をくみ上げて、みんな生活しているわけですよ。浄水場として使っているんです。大変なことですよ。
今日の資料の一番最後に、読むだけで指摘しておきますが、これは化管法ができるときに、衆議院がつけた附帯決議であります。「内分泌攪乱物質、環境ホルモンの取扱いについては、人の健康及び生態系への重大な影響を与える可能性にかんがみ、内外の動向等を踏まえて迅速かつ適切に対処すること」と書いてあります。本当に、この地域の子供や人間の体に影響が出ないように、鹿児島県としてしっかり対応していただきたいと思います。
すみません、最後に知事、今の話を聞いていて、何か思うところはないでしょうか。
[
塩田知事登壇]
166 ◯塩田知事 エコパークの安全上の課題ということについては、今後もしっかりと監視して、指導してまいりたいと考えております。
167 ◯遠嶋委員 よろしくお願いします。終わります。
168
◯小園委員長 次に、前野委員に発言を許可いたします。
[前野委員登壇]
169 ◯前野委員 早速ですけれども、提案されている令和三年度予算の予算案には、高規格道路あるいは地域高規格道路の整備として、主要幹線道路等整備に百九十億円余りが提案されております。
塩田知事は、先日の代表質問に対する答弁で、県内の地域高規格道路整備に関する所信を表明されました。大隅地域の自治体、農林商工、経済団体をはじめ、関係住民、そして私ども大隅地域振興議員連盟が熱望している大隅縦貫道の新たな整備方針を表明されました。
早速、整備を促進すべき立場から質問いたします。
県では、令和二年度予算で吾平道路から以南の錦江町田代の国道四百四十八号までの約十五キロメートルの概略設計に着手されております。この一年間でルートや線形、バイパス、現道利用等について検討されたと考えますが、検討状況と関係自治体との連携について明らかにしてください。
また、知事は、つい先日も、「オンライン会議で来年度予算要望を行った」と語っておられます。所信で表明をされたことは、事業採択に相応の自信の表れと私は前向きに受け止めるものでありますけれども、国の新年度事業での採択の見通し、事業採択された際の整備推進の取組についてお示しください。
県内には、都城・志布志道路の間もない全線供用や南薩縦貫道などの供用などのほかに、四路線の地域高規格道路を整備中であります。こうした六つの路線中、唯一大隅縦貫道の田代佐多間約二十キロメートルはII期の表示があります。関係者の中では、候補路線のままで、計画路線にも位置づけない、やるか、やらないかも不明の印象が強いものであります。南薩、都城・志布志道路の供用を目の当たりにして、県土の均衡ある発展に格差を禁じ得ない地域県民に対して、この際、I期、II期区間について、全区間を重点的かつ一体的な整備を目指して、国のあらゆる支援策を駆使して促進すべきと考えるものですが、新規採択を見据えたこの区間の特徴的な取組の考えについて明らかにしてください。
[兒島土木部長登壇]
170 ◯兒島土木部長 大隅縦貫道の整備についてでございます。
大隅縦貫道につきましては、東九州自動車道鹿屋串良ジャンクションから鹿屋市、錦江町を経て、南大隅町に至る延長約五十キロメートルの地域高規格道路でございます。
未事業化区間であります吾平道路以南から国道四百四十八号までの約十六キロメートル区間につきましては、現在、吾平大根占田代道路といたしまして、ルートや道路構造などの検討を行っているところでございます。
ルートの検討に当たりましては、地元自治体の協力をいただきながら、埋蔵文化財の分布や、用地の状況等について調査を行っているところでございます。
吾平大根占田代道路の新規事業化の見通しについてでございます。
吾平大根占田代道路につきましては、令和三年度の新規事業に採択されるよう、国に要望しているところでございます。
新規採択が認められた際には、測量設計に着手するとともに、事業説明会等の実施や用地交渉など地元自治体と連携し、事業推進に努めてまいりたいと考えております。
次に、I期、II期の重点的かつ一体的な整備についてであります。
鹿屋串良ジャンクションから国道四百四十八号までのI期区間につきましては、これまで、串良鹿屋道路などの整備を終え、現在、吾平道路の整備を進めているところでございます。
また、国道四百四十八号以南のII期区間につきましては、これまでに大竹野工区の整備を終え、昨年度からは大中尾工区の整備に着手したところでございます。
大隅縦貫道は、大隅地域の農業や観光等の振興に寄与する重要な道路でありますことから、早期完成に向け、引き続き、重点的な整備に努めてまいります。
171 ◯前野委員 はい、ありがとうございます。
大隅縦貫道の整備について、より具体的に答弁をいただいております。ぜひ努力をいただきたいと思っております。この間の地域高規格道路の整備の方法として、複数区間をセットしながら整備を促進している経緯があるわけです。今お話にありました吾平大根占田代道路の約十六キロについては、従来の整備手法と何か変わるのか、あるいは従来の整備方針と全く同じ整備スタイルを取っていくのか。
今度、北薩横断道路の溝辺道路十四キロが採択されております。一昨年から既に事業着手しているわけですが、これは延長十四キロというセットがされています。採択されたらですけれども、そういったスタイルを大隅縦貫道にも導入していくお考えがあるのか、そういう整備手法でいかれるのか、あるいはまた分割しながらいくのか。今は何とも言えないんでしょうけれども、県としての考え方をお示しください。
[兒島土木部長登壇]
172 ◯兒島土木部長 現在検討を進めております吾平大根占田代道路につきましては、基本的には現道の活用も視野に入れながら検討を進めたいと思っております。まずは、全体的な用地の調査をいたしまして、用地のめどが立ったところからその整備を進めていきまして、整備したところから、できるだけ早くその効果が発現できるような整備手法を考えていきたいと考えております。
173 ◯前野委員 ありがとうございます。
この十六キロ区間については、今、部長のお話にあったように、条件が整ったところ、例えば埋文がないとか、あるいはコントロールをすべきものがないとか、そういったようなものがない条件のところについては、なるべく早く着手していくという理解でよろしいですね。
[兒島土木部長登壇]
174 ◯兒島土木部長 そのように考えてございます。
175 ◯前野委員 はい、ありがとうございました。
この間、II期区間についても、県では、社会資本整備交付金等を使って、大竹野道路あるいは大中尾道路を整備されています。これは、II期区間がセット化され採択がされたときに、現道活用で利用ができる道路ということで、非常にこの取組は県が知恵を絞ってやっていただいているということで評価したいと思っているところです。
この質問の最後に、令和三年二月二十七日に開催されました有明東─志布志間の開通式典に参加された地元選出の国会議員は、祝辞の中で、「次はいよいよ大隅縦貫道の番である」と語り、整備を急ぐ考えを示唆されました。私は、九州整備局長や知事、関係者を前に、「国会議員を含めた総合力の発揮を」というメッセージとして受け止めたわけです。そこで、地元選出国会議員や県、地元整備促進期成会などで連携した整備推進の取組と、知事が掲げる稼ぐ力を補完する最も基礎的なインフラと言える、県土の交通ネットワーク整備推進に向けた知事の決意をお聞かせください。
[
塩田知事登壇]
176 ◯塩田知事 大隅縦貫道の地元期成会等と連携した整備推進の取組と知事としての決意についてでございます。
大隅縦貫道につきましては、東九州自動車道と一体となって大隅地域の広域交通ネットワークの骨格をなし、農業や観光等の振興を図る上で重要な道路であることから、県開発促進協議会等あらゆる機会を通じ、同道路の整備推進について国に要望してきているところであります。
また、地元期成会におきましては、例年、地元選出国会議員と中央要望を行うとともに、一昨年八月には錦江町において、六百名規模の決起大会を開催するなど、積極的な要望活動を行っているところであり、大隅縦貫道の整備に期待を寄せる地元の方々の大変熱い思いを国に届けていただいていると考えております。
県といたしましては、先月十七日には、地元選出国会議員や沿線の首長の皆様方とともに、国に対し、オンラインで、吾平大根占田代道路の令和三年度の新規事業化を強く要望したところでございます。
大隅縦貫道全線の早期完成に向け、引き続き、整備に必要な予算確保に努めるとともに、沿線自治体をはじめ、関係の皆様方と一体となって重点的な整備に取り組んでまいります。
177 ◯前野委員 知事ありがとうございました。
私は、大隅縦貫道をライフワークみたいにやっているわけです。いよいよこの大隅縦貫道、大隅半島の真ん中の背骨の部分をぶち抜く道路ということで、完成の暁には、陸の孤島と言われる大隅半島が脚光を浴びる時代が近づいてきたという気がしているところです。
次の質問に入ります。
本県農業について、塩田知事の
マニフェストには耕種・畜産の生産コスト低減策、売上げ向上対策、スマート農業の推進による生産性向上で稼ぐ力を引き出す諸施策を講じ、食料生産供給基地として、さらなる発展と生産所得向上、生産構造の転換を進めると記されております。
今回、提案がある当初予算では、基幹産業の稼ぐ力の向上に関する関連事業として、補正も含めて、九十二億五千万円の提案がされているところです。
知事、大隅には他県にも類例が少ない農業加工技術研究センターが、平成二十七年四月から開設されております、開設目的は、塩田知事の
マニフェストにも類似しております。食料生産供給基地で素材提供型農業から加工を加え、高付加価値型農業への展開、新たな加工・流通技術の研究開発を行う。併せて、加工事業者への試作・研究・開発や販路拡大等を支援する施設とされております。
私は、本県農業の新たな展開を目指して、三十億円を超える県民の多額の税金を投入して開設した高度な施設を、さらに有効に活用すべき観点から、以下質問いたします。
開設して五年を経過して、設置目的を果たす取組の現状と主な実績についてお示しください。
そして、素材提供型農業からの脱却、高付加価値型農業の展開とした理念は、この五年間でどう変化したのかお聞かせください。
地域の耕種農業関係者は、ロットの大きい根物や葉物の生産にはたけていても、付加価値向上、営業や販売戦略については概して不得手であります。センターでは、マーケティングやマッチングを支援する需給者間のプラットホーム的な役割も併せ持つとした機能に大きな期待があることは言うに及びません。確かに、物流や需要、供給のマッチングは困難を極め、競争力が激しい世界と認識しておりますけれども、地域関係者の期待が高いマッチング、あるいはマーケティングの取組の現状と今後の課題をどう捉えておられるのかお示しください。
今次の
新型コロナウイルス感染拡大は、私たちの生活スタイルを変えて、食料の家庭内需要の拡大をもたらしていると言われております。発想を変えますと、これがチャンスであります。生産者側では、常時、食品メーカー、レトルト加工者、コンビニ総菜部門などの市場が求める作物の加工形状や形態などについて、適時的確な情報収集機能が求められると考えるものであります。センターには、こうした企画・支援への期待と使命があると思います。
そこで、本県農業の競争力強化には、センターでの食品加工やマッチング・マーケティングにたけた民間経験などの人材活用をより強化する必要があると考えるものですが、見解を求めます。
[満薗農政部長登壇]
178 ◯満薗農政部長 大隅加工技術研究センターでは、研究・開発のほかに、施設を開放し、食品加工事業者が加工品の試作等を行う機能や加工技術や販路拡大の相談に対応する機能がありまして、キャベツの予冷技術やサツマイモでん粉の食品用途拡大に向けた技術の研究・開発など、農業者や食品加工・流通事業者が直ちに利用可能な技術として、これまで十一の実用化情報を公表しております。
また、施設を開放し、真空フライヤーを活用したスナック菓子の試作や高温高圧殺菌機を利用したレトルトカレーの試作など、千百九十一件の利用実績がございます。さらに、マンゴーのフリーズドライ等の加工技術やイチゴを用いたジェラートの商品開発など千百四十四件の相談に対応してきており、多くの商品化につながってきているところでございます。
また、同センターのこれまでの取組を通じまして、大隅地域を中心にサツマイモや大根等を活用した新たな食品加工の取組事例なども出てきており、付加価値向上に向けた取組が進みつつあると考えております。
次に、マッチング等の取組につきましてでございます。
大隅加工技術研究センターでは、農業者と食品関連事業者間の連携を推進するとともに、商品開発への助言や加工事業者と販売事業者とのマッチングによる販路開拓への支援等に取り組んできており、これまでに百四十を超える商談が成立しております。この取組に際しましては、県職員のみならず、民間企業で食品の販売・仕入れや営業企画等の経験がある食品加工事業者連携推進員の人脈や豊富な経験が大いに役立ったものと考えております。
市場ニーズに合った商品開発等を行うためには、商品の流通・消費の実態等についての知見を有する人材が必要であると考えており、民間が行うマーケティングセミナー等への参加による職員の資質向上に努めるとともに、引き続き、マッチングやマーケティングにたけた民間企業経験者等の人材を有効に活用してまいります。
179 ◯前野委員 今、センターの実績、マッチング・マーケティングの実績、効果等についてお話がありました。
もう五年を経過している、一つの節目になっているわけです。設立当初の所長さんは、国の研究機関の方でした。お伺いしますと、今は県の職員が所長をなさっている。このことがいい悪いは別として、せっかくこのロットの大きい大隅地域での耕種農業の一次加工を加える、あるいは付加価値を高めるという意味で設置したものですから、申し上げましたような、コロナ禍で家庭内調理、レトルト食品といったものへの国民の皆さん方の需要が出てきている。このチャンスを生かさないわけにはいかないと思うわけです。そのことから、せっかくの施設を今以上に活用していただきたいということも要望しておきたいと思っているところです。
最後に、塩田知事は、本県農業で稼ぐ力を引き出す諸施策を講じて、食料生産供給基地として、さらなる発展と生産所得向上・生産構造の転換を進める政策綱領を掲げて知事に当選をされました。
ここに令和元年度の大隅地域の野菜生産・作付状況の統計があります。ゴボウ、大根、ニンジン、里芋、白菜、青ネギなどは、県全体に占める割合が、いずれも五割を超える作付が行われております。中でも、ゴボウ八五%、青ネギ八〇%、大根六五%、白菜五九%と耕種農業が盛んなことがうかがわれます。
そこで、知事にお聞きいたします。
本県の多種多様でロットの大きな農産物の六次産業化など、付加価値向上や農業振興にとって、宝とも言うべき農業加工技術研究センターの研究・開発・企画・支援、とりわけ需要情報の集積と分析、需給マッチング、セールスなどで売り込みが重要と考えるものですが、具体的に見える形で、稼ぐ力をどう具現化されていくのか。今ある施設を十二分に活用するといった視点も含めて、考え方をお伺いいたします。
[
塩田知事登壇]
180 ◯塩田知事 稼ぐ力の具現化に向けた大隅加工技術研究センターの役割についてでございます。
今、御紹介ありましたように、大変多様な耕種作物が大隅半島では作られていると、この地域資源を生かして付加価値を高めていく、そのための六次産業化等の取組というものが、大変重要な取組であると思っております。その中で、大隅加工技術研究センターの果たす役割というのも大変重要だと思っております。
同センターにおいては、平成二十七年度の設置以降、様々な研究・開発に取り組み、現場での実用化が期待される情報として公表しているところでございます。中でも、フリーズドライ技術については、農業者や食品加工事業者に活用され、キンカンや枝豆、桜島大根などを使った商品が販売されているところでございます。
また、加工技術の相談対応をはじめ、同センターの施設を活用した試作支援等により、これまで百種類を超える新商品が開発され、販売まで結びついているところでございます。
さらに、大隅地域を中心に、サツマイモや大根等の新たな乾燥技術を取り入れた加工食品づくりや地域の特産物を使った先ほど御指摘のありました、レトルト商品の開発・販売などの取組も進みつつあるところでございます。
大隅加工技術研究センターにおいては、県産農産物の高付加価値化を図るために重要な施設であるということでございまして、今後とも、新たな商品開発や販路開拓に向けて、加工・販売事業者への訪問による商品企画のアイデアの掘り起こしなど、民間事業者等との連携を強化するとともに、青果物の輸出拡大に向けて、国や県内の輸出事業者と連携して、長距離輸送時の品質保持技術の開発に取り組むなど、同センターが有する機能を十分に生かしながら、本県農業の稼ぐ力を引き出し、農業者の所得向上に努めてまいります。
181 ◯前野委員 知事の考えもお伺いしました。
私は鹿屋ですけれども、鹿屋にはJAくみあい食品が創業しています。今はバレイショをカットして出荷しているということですけれども、間もなく、また近くに、大根を大根おろしに加工するという北海道の業者が進出してきます。そういったものの加工ができるということは、市場に出せないような小さいものも含めて、カットすれば分からなくなるわけですから、残渣が少なくなるという非常に効果の高いものです。ぜひ引き続き、この大隅加工技術研究センターについても、人材も含めて御尽力を賜ることをお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
182
◯小園委員長 次は、公明党の質疑であります。
質疑時間は、答弁を含めて二十八分であります。
松田委員に発言を許可いたします。
[松田委員登壇]
183 ◯松田委員 公明党を代表して質問いたします。
早速、質問に入ります。
厚生労働省によりますと、二〇二〇年に自殺した人は約二万一千人、前年より約九百人増加しました。二〇〇九年以来、十一年ぶりの増加になりました。また、昨年十月は女性の自殺者が前年同月比で八割増加、児童生徒の自殺は令和二年四百七十九人、前年比一四一%、特に昨年八月は六十四人で前年同期の二倍、そのうち女子高校生は前年比約七倍と発表されました。本県では、令和二年二百九十五人、前年比九五・七%、児童生徒は令和元年六人、令和二年五人とお聞きしました。何としても自殺を選択しない世の中でなければならないと考えております。
そこで、生活困窮者支援に関連して質問いたします。
資料1)を御覧ください。手作りです。
NHKは、本年一月十八日から二十日にかけて、北九州市民千人のウェブアンケートを実施されました。この市民アンケートでは、
新型コロナウイルスの感染拡大によって、世帯の収入が「大きく減った」が一〇%、「ある程度減った」が二八%、「変わらない」が六〇%、「増えた」が二%でありました。大都市圏のアンケートなので、そのまま本県に当てはめることはできませんが、六〇%が「変わらない」と答えています。大事なのは、収入が大きく減った一〇%の方々の中に支援に結びついていない、支援を知らない方がいるのではないかという懸念であります。今こそ、困っている方を探し出してでも支援する意識改革が必要と考えております。セーフティーネットとして生活保護は最後のとりでであり、間違った判断があってはなりません。適用に当たっては、きめ細やかな判断と対応が求められます。
新型コロナウイルス感染拡大の影響から、自動車保有、自営用資産、扶養照会などについて緩和されたと聞いております。
そこで、
新型コロナウイルス感染症拡大の影響から、生活保護の柔軟な運用についてお示しいただくとともに、その効果についてお示しください。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
184 ◯地頭所くらし保健福祉部長
新型コロナウイルス感染拡大の影響で一時的な収入の減少により、生活保護が必要となる方の取扱いにつきましては、国において、昨年四月以降、数回にわたり弾力的な運用が示されているところです。
現在の主な取扱いにつきましては、まず、新たに就労の場を探すこと自体が困難であるなどのやむを得ない場合は、実際に稼働能力を活用する場を得ることができるか否かの判断を留保することができるとされています。
また、通勤用自動車の保有につきましては、現下の状況が収束した後に収入が増加すると考えられる場合、保護開始時からおおむね一年間保有を容認することができるとされています。さらに、通常解約を要する保険の保有については、おおむね六か月をめどとして処分指導を留保することができるとされています。
これらの見直しにつきましては、いずれも速やかに、県の出先機関や福祉事務所を設置する市町村へ周知し、これらに基づき業務を実施しているものと承知しており、感染拡大の影響により生活に困窮し、生活保護を必要とされる方々への支援につながるものと考えています。
185 ◯松田委員 はい、ありがとうございます。
本県の生活保護申請は、令和二年四月から令和三年一月で二百十七件、前年比九〇%であり、全国では、令和二年十一月の申請件数が二・七%増で、急増している状況にはありません。これは、社会福祉協議会が窓口の生活福祉資金の活用が効果を上げている側面があります。
一方で、生活保護制度を認知していない若い方々や偏見もあると考えます。厚労省は、「生活保護の申請は国民の権利。生活保護を必要とする可能性はどなたにもある。ためらわずに御相談ください」と呼びかけ、厚労大臣も国会で同趣旨の答弁をしております。
次に、生活保護申請数の状況について、県の認識をお伺いします。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
186 ◯地頭所くらし保健福祉部長 委員御説明のとおり、令和二年四月から令和三年一月までの生活保護の申請件数は、月平均二百十七件となっておりまして、前年度同期の二百四十一件より減少しているところです。
本県において、生活保護申請件数が減少している要因としましては、昨年三月からの緊急小口資金等の特例貸付けの実施や四月からの住居確保給付金の支給対象者の拡大等の影響があるものと考えています。
187 ◯松田委員 知事、鹿児島県のトップリーダーとして、生活保護について、知事からメッセージをお願いしたいと思います。
[
塩田知事登壇]
188 ◯塩田知事 生活保護に関する県民の皆様方へのメッセージについてでございます。
生活保護制度は、最低生活の保障と自立の助長を目的として、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行うものであり、最低限度の生活を保障する最後のセーフティーネットとされており、先ほど御指摘ありましたように、生活保護の申請は国民の権利であります。したがって、生活に困窮されている方におかれては、ためらうことなく福祉事務所や町村の窓口に御相談いただきたいと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
189 ◯松田委員 ありがとうございます。
心配するのは、何回も申しますけれども、大きく収入が減少した方々の中で、実際に支援が分からない方に確実に届くかどうかです。年度が替わり、先ほどの生活福祉資金にしても借金でありますから終了します。住居確保給付金も終了します。このときにどういう状況になるかということで、丁寧な対応を再度お願いしておきます。
続けて、県内各地にある自立相談支援機関がフル活動して相談対応されていると考えます。
資料2)の1)を御覧ください。
全国社会福祉協議会地域福祉部が実施した緊急調査によりますと、令和元年度七万一千件の相談数が、令和二年の四月から九月で十三万五千件と半期で倍増しております。本県内三十三の自立相談支援機関では、令和元年二千百四十二件が令和二年六千六百九十五件と三・一倍になっております。
また、相談員の時間外労働が過重となっていることから、自治体の支援により、相談員の加配等自立相談支援体制を強化した社協が二六・九%、住居確保給付金の申請処理のための事務職員の雇用等事務処理体制を強化した社協が二六・二%でありました。年間の委託費用が定められているため、想定外の超過勤務が発生しても手当てができない。直営であれ、委託の事業であれ、自治体が現場の状況を把握し、必要な対策を講じるべきと訴えています。国は令和三年一月二十九日、今後の生活困窮者自立支援の強化について事務連絡を発出し、国の第三次補正予算を活用し、自立相談支援機関の運営費、人件費の手当てを要請いたしました。
また、資料2)の3)配偶者暴力相談支援センターの相談件数も前年比一二・三%増加しています。相談員さんから、バーンアウトや二次受傷でかなり疲弊していると聞きました。
そこで、本県における自立相談支援機関の相談数の状況及びその内容について伺うとともに、相談員や事務職員の人件費等の強化及び相談員のバーンアウト対策についてお伺いします。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
190 ◯地頭所くらし保健福祉部長 県内の生活困窮者自立相談支援機関におきましては、
新型コロナウイルス感染症の影響等により、相談件数が大幅に増加しており、中でも生活福祉資金や住居確保給付金に関する相談が多くなっています。
県といたしましては、相談件数の増加に伴う人件費等の対応につきまして、各自立相談支援機関の現状や今後の見通し等を把握の上、検討してまいりたいと考えております。
また、自立相談支援機関の相談員の資質向上を図るため、相談員向けの研修会を昨年度は三回、今年度は
新型コロナウイルス感染症の影響により一回開催しているところです。現場の悩みを他の相談員とも共有したいとの研修会での声も踏まえ、来年度、オンラインによる意見交換の機会を検討するなど、相談員の資質向上と負担軽減に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
191 ◯松田委員 国は、想定外の相談件数の増加に対して、補正予算を組みましたが、実際に体制強化した社協は三〇%に満たない現状であります。確かに三次補正で急に来られても、なかなか出せない事情もよく分かります。相談員さんがその相談内容の対応でバーンアウト、二次受傷で疲弊していると申し上げました。現場の最前線が元気が出る体制強化、中でも処遇改善が必要であると考えております。これを機に、しっかりその部分も検討していただきたいと思っております。
熊本県では、自立相談支援機関の任意事業が一〇〇%実施されております。当初から県の担当者による各市町との調整があり、加えて平成二十八年の熊本地震もあり、一体的実施を早急に実施する必要があったとお聞きしました。一方、本県では、各市町村の取組姿勢にばらつきがあり、そもそも生活困窮者に対する視点のずれ、各事業の目的・意図、事業効果に対する理解が進まないとの意見もあります。
そこで、県内各市町村の自立相談支援事業の任意事業の実施状況と今後の課題について伺います。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
192 ◯地頭所くらし保健福祉部長 市町村における任意事業の実施状況等についてですが、福祉事務所を設置している県内二十三市町村において、子供の学習支援を十八市町村、就労準備の支援を十四市町、家計改善の支援を十三市町、一時生活の支援を五市町がそれぞれ実施しているところです。
県といたしましては、地域ごとに設置した生活困窮者自立支援推進協議会において、各市町村の取組状況や先進事例等の情報を共有し、任意事業の実施を働きかけているところであり、今後とも、任意事業の実施による包括的な支援が県下全域で展開されるよう努めてまいります。
193 ◯松田委員 生活困窮者自立支援全国ネットワーク代表理事の宮本氏は、「包括的な相談支援がその役割を果たしていくためには、自治体の全庁的な理解と援助が不可欠。国の第二次、第三次の補正予算で事業が組まれても、自治体が能動的に事業を担っていくことがなければ現場には届かない。また、現場には人的体制・予算面から、その余力がないこともしばしばだ」と訴えています。これこそ県の出番だと考えております。
また、現場からは、「生活困窮者支援は、分野横断的に対応することを求められているのにもかかわらず、社会福祉分野だけの事業として運営されているのは負担も大きい。例えば、住宅、教育、障害、高齢、子供、男女共同参画などが、連携・協働していくことが必要だ」と意見を直接伺いました。
そこで、県庁内各部局における生活困窮者支援の相談体制についての理解と協働体制の状況についてお伺いするとともに、市町村の体制についてお伺いします。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
194 ◯地頭所くらし保健福祉部長 生活困窮者の早期把握のためには、関係機関との連携が重要であると考えており、医療、福祉、教育関係機関等との連絡会議を設置し、情報共有に努めているほか、関係課で構成する庁内連絡会議を設置し、生活困窮者の自立支援に資する施策等について情報交換や協議を行うなど、部局を超えた連携強化を図っているところです。
市町村に対しましても、各種研修や会議等を通じて、市町村内における連携強化が図られるよう、引き続き、働きかけてまいります。
195 ◯松田委員 行政の横串が刺さっていないという言われ方をします。
新型コロナウイルス感染症の影響で、主たる生計維持者が離職・廃業後二年以内である場合、もしくは個人の責任・都合によらず給与等を得る機会が離職・廃業と同程度まで減少している場合において、一定の要件を満たした場合に住居確保給付金が支給されています。令和三年二月一日付で再支給の省令改正が実施されました。延長されたとはいえ、この方々の生活就労環境の改善がなされればいいですが、期間満了後の対応も重要であり、住宅確保要配慮者への支援の拡充が必要であると考えます。
そこで、住居確保給付金の活用状況及び延長、緩和の内容についてお伺いするとともに、本県における住宅確保要配慮者への支援の現状についてお伺いします。
さらに、DV被害者にとって、離婚が確定しないと県営住宅に入れないとお聞きしましたが、現状の取扱いについてお伺いします。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
196 ◯地頭所くらし保健福祉部長 住居確保給付金につきましては、本年一月末現在、県内の支給決定件数が九百八十四件、支給済額が約七千五百万円で、昨年度一年分と比べ、既に件数で四十一倍、金額で約五十二倍に増加しています。
住居確保給付金の支給期間につきましては、原則三か月のところ、延長を二回まで、最長で九か月の支給が可能となっていましたが、
新型コロナウイルス感染症対応による特例により、令和二年度中に新規申請した方については、延長を三回まで、支給期間は最長で十二か月まで可能となったところです。この住居確保給付金につきまして、必要な方に支援が行くよう周知に努めてまいりたいと考えております。
[兒島土木部長登壇]
197 ◯兒島土木部長 県では、高齢者や生活困窮者など住宅確保要配慮者が賃貸住宅へ円滑に入居できるよう、不動産関係団体や県社会福祉協議会、NPO法人等で構成する鹿児島県居住支援協議会を設置しているところでございます。
同協議会では、住宅確保要配慮者からの住まいの確保に関する相談に対応するため、連帯保証人の提供など居住支援に熱心に取り組んでいるNPO法人やどかりサポート鹿児島や公益財団法人県住宅・建築総合センターなどに相談窓口を設置しているところであります。
相談対応の結果、昨年度は七十一世帯、今年度は二月末時点で七十四世帯の住まいが確保されたところであります。今後とも、やどかりサポート鹿児島など関係団体と連携して、住宅確保要配慮者が賃貸住宅へ円滑に入居できるよう努めてまいります。
次に、配偶者からの暴力被害者、DV被害者の県営住宅への入居については、国の通知を踏まえ、県の要綱において入居対象者として定めております。
具体的には、DV防止法の規定により、一時保護や保護を受けた方、または、裁判所に保護命令の申立てを行い、認められた方につきましては、離婚が成立していなくても入居対象として扱っているところでございます。
198 ◯松田委員 はい、ありがとうございます。
DV被害者の県営住宅の入居に関しては、相談員さんからお受けしました。市町ではできるところもあると聞いたので、市町の条例を見ました。入居対象者に該当するか否かを配暴センターに確認して、その結果を住宅課長に通知、その上で、決定は市長がDV被害者の希望を勘案した上で行うとなっています。配暴センターとのやり取りの末に御自分で決められるんだろうなと思っています。今の回答だと、県の場合は、一時保護以上でなければ、一切受け付けませんという状況であります。当事者がいるわけです。今回、私も控室で住宅と男女共同の担当と一緒に話をしました。そういう場をつくって何かできることがないかというのを探るのが、今の仕事として重要な観点だと思いますので、その点申し上げておきます。
改正社会福祉法に基づき、令和三年度より重層的支援体制整備事業が新設されます。この事業を実施するに当たっては人材が何よりも重要であります。改正社会福祉法で明記された都道府県の役割として、市町村の新事業への移行促進や実施に向けた後方支援に対しても国が四分の三補助することになっております。
重層的支援体制整備事業において、国が求めている市町村の後方支援について、県はどのようにするのかお伺いするとともに、今後の取組についてお伺いします。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
199 ◯地頭所くらし保健福祉部長 社会福祉法の改正により、国におきましては、従来、介護、障害、子育て等の分野ごとに行われていた相談支援等を一体的に執行できるよう、重層的支援体制整備事業を創設したところです。
県内では五市町村において、生活困窮分野をはじめとする行政機関、民間団体等との連携体制の構築など、同事業への移行準備に必要な取組を行うこととしています。
県では、市町村において地域住民の複合・複雑化した支援ニーズに対応する包括的な相談支援体制の構築を促進するため、高齢者や障害者等の各種相談支援機関を総合的にコーディネートする相談支援包括化推進員を育成することとしています。
県といたしましては、重層的な支援体制を整備する市町村に対して必要な支援を行ってまいります。
200 ◯松田委員 ぜひよろしくお願いします。
冒頭申し上げました世帯の収入が「大きく減った」一〇%の困っている方をどう探すか、その最前線が相談員の皆さんだと思います。再度、資料2)を御覧ください。
生活困窮者が三・一倍増えました。自殺関係の補助団体も五・五倍増えました。DV相談も十二・三%増えました。この相談の最前線にいる方が元気づく施策を打っていかなければいけないかと思っております。
今回この表は私の手作りです。次の4)番、5)番を御覧ください。
実は、かごしま子ども・若者総合相談センターは減っているんです、八九・九%。かごしま教育ホットライン24は八六・八%。なぜ減っているんだろうと驚きました。
そこで、かごしま子ども・若者総合相談センター及びかごしま教育ホットライン24の相談件数の減少に対する認識についてお伺いします。
[印南男女共同参画局長登壇]
201 ◯印南男女共同参画局長 かごしま子ども・若者総合相談センターの相談件数の減少の要因としましては、
新型コロナウイルス感染症拡大に伴う外出自粛要請により来所相談が減少したこともありますが、そのほかに県や市町村等による専門の相談窓口の複数新設や生活困窮者自立相談支援機関の認知度の向上により、相談先の選択肢が増えたことも影響したのではないかと考えております。
コロナ禍において、子供・若者が抱える課題はますます複雑化・多様化していることから、来年度においては、専門性の高い相談員を配置するなど、相談対応力の向上や教育、福祉、保健、医療、雇用等の関係分野との連携強化を図ることとしております。
[東條教育長登壇]
202 ◯東條教育長 かごしま教育ホットライン24の相談件数についてであります。
県内の児童生徒やその保護者等からの相談に応じるかごしま教育ホットライン24への相談につきましては、昨年度と本年度の四月から一月までの件数を比較しますと、委員提供の資料のとおり、本年度は昨年度より二百三十件、約一三%減少しているところであります。
相談の受付体制につきましては、昨年度と特段の変更はありませんで、減少の原因については定かではありませんが、九州各県が実施しております教育電話相談におきましても、本県の教育ホットラインと同様に相談件数が減少していると聞いているところであります。
なお、あくまで私の推測でありますが、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う様々な不安や悩みに対応するため、今年度は各行政機関で幾つかの相談窓口が開設され、ホットラインへの相談が分散されたのではないかと考えているところです。
いずれにいたしましても、県教委としては、児童生徒等からの相談に適切に対応するため、その体制の維持・確保、そしてまた、周知・広報に努めてまいりたいと考えております。
203 ◯松田委員 問題意識をどう持つかだと思っております。
虐待されている子はお母さんが好きです。「私は虐待されている」とは言いません。生活困難の方は、「私は生活困難」とは言いません。そこを相談委員がほぐしてあげて、つないであげるという作業が大事だと思っているんです。
そういう意味では、DV相談や自殺相談に行かれる方は、自覚のある方です。そういう言い方が適切かどうか分かりませんが、自覚のない方々が、子供を介して相談して、実はその中に困窮がある、DVがある、それを聞き出すのが相談センターの役割だと思っています。4)番の佐賀県子ども・若者は、一万六千八件です。もちろん、これは全国でもすごい団体ですから、これと一概に比較はできませんけれども、この所長の話によりますと、来た子の中に入っていけば、結局そこのおやじさんがDVだったと、被害者は娘だったと、それを一つ一つ丁寧にほぐしながら警察と連携して、五年かかって解決したという話を聞いております。
再質問する気はないんですけれども、意識の改革だと思っています。やはりこの数値に対して危機感を持ってもらいたい。気軽に相談できるところに相談しながら、重たい相談を発見する作業を、ぜひともやっていただきたいと思うので、今回こういう形で提示させていただきました。
公明党は、党本部に社会的孤立防止対策本部を設置して、社協やNPO等で活躍する方々を呼んで勉強会を実施して、私もリモートで参加しております。社会的孤立とは、一般的には、家族や地域社会との交流が著しく乏しい状態であり、客観的な状態としては、高齢者等の単身世帯、ひきこもり、長期離職の状況などが考えられますが、それだけではなく、主観的な状況としては、頼れる人の有無や会話の頻度などといったことから、はかられるものであるとされています。
例えば、八〇五〇問題を抱えている御家庭ごと地域から孤立している。「自分の育て方が悪かった。自分が悪い」そういう思いの中で、どんどん社会から孤立していく。SOSが出せなくなる。
また、学校にも家庭にも居場所がなく、生きづらさを抱えている女性たちがいる。家族がいても、友達がいても、絶望的な孤独を感じ、何度もリストカットして、ネットにしか居場所がなく、死にたいとつぶやいたことに優しく反応してくれた大人に連れて行かれて性被害に遭ってしまう。外見からは分かりにくいのですが、様々な生きづらさを抱え、孤立している彼女たちの問題は、期せずしてコロナ禍で浮き彫りになりました。
今、コロナ禍で、子供・女性の自殺が増えています。本県は増えていないからありがたいんですけれども、全体としては増えています。DV、虐待、鬱、孤独死など、社会的孤立をめぐる課題は深刻化しています。しかし、これらの課題は
新型コロナウイルス以前からありました。
新型コロナウイルスで、はっきり見えただけです。こうした課題に緊急的に対応するだけでなく、真正面から取り組んで、
新型コロナウイルス以前より、よい社会をつくっていかなければならないと思います。
生活困窮者支援に関しては、現場の方と何回かお話をさせていただきました。大変な御苦労をされております。そこに対して、行政として何ができるのか、再度確認されて、少しでも前に進むようにお願い申し上げて質問を終わります。
204
◯小園委員長 ここで、換気等のため暫時休憩いたします。
再開は、おおむね午後四時十分といたします。
午後三時五十九分休憩
────────────────
午後四時 十分再開
205
◯小園委員長 それでは、再開いたします。
その前に、ここであらかじめ、会議時間の延長をいたしておきます。
終了予定時刻を少しだけ超える可能性がありますので、会議は、おおむね午後五時半までとしたいと思います。委員各位の御協力をお願いいたします。
次は、共産党の質疑であります。
質疑時間は、答弁を含めて十八分であります。
たいら委員に発言を許可いたします。
[たいら委員登壇]
206 ◯たいら委員 日本共産党県議団のたいらです。
通告に従って、質問させていただきます。
なお、質問項目三につきましては、先ほどの吉留委員の質問と重複する部分がありましたので、一部割愛させていただきます。
まず、観光課所管の事業について伺います。
海外誘客ステップアップ事業及び国際クルーズ船誘致促進事業について、事業の到達状況を含め、今年度の取組についてお答えください。
[木場PR・観光戦略部長登壇]
207 ◯木場PR・観光戦略部長 今年度の海外誘客ステップアップ事業は、
新型コロナウイルスの感染拡大により、現地を訪問するセールス等ができない状況でありますことから、現地のビジネスパートナーを活用したSNSによる継続的な情報発信や旅行会社と連携した現地商業施設での観光イベント等に取り組んできたところであります。
さらに、バーチャルバスツアーやオンライン商談会、海外航空会社の遊覧飛行の機内における観光PRなど、収束後を見据えた新たな取組も実施してきています。
国際クルーズ船誘致促進事業につきましては、これまでのセールス活動等の成果により、令和元年は、過去最高の百五十六回の寄港があり、本県の観光振興に大きく貢献してきたところであります。
クルーズ船の誘致の実現までには、通常二、三年の期間を要しますことから、昨年予定していた百七十八回の寄港を早期に回復させるためには、引き続き、絶え間のない誘致の取組が必要であると考えています。
本年度は、外国船の日本支社等に対するセールスやオンラインの国際見本市での商談のほか、満足度向上や経済波及効果の向上を図るため、上質で多様な寄港地ツアーの企画等も進めているところであります。
これらの取組により、市場の再開に向け、本県観光の認知度の維持向上や本県への旅行機運の醸成などにつながったものと考えております。
208 ◯たいら委員 次に、今後も続くコロナ禍において、海外誘客ステップアップ事業予算は、本年度一億一千万円余から、来年度は一億百万円余、同様に、国際クルーズ船誘致促進事業予算は、二千三百万円余から千九百万円余と若干の減額はあるものの、本年度とあまり変わらない予算が計上されています。本年度の事業の到達状況を踏まえた上で、来年度の具体的事業内容についてお答えください。
[木場PR・観光戦略部長登壇]
209 ◯木場PR・観光戦略部長 令和三年度の海外誘客ステップアップ事業につきましては、国際航空路線の再開を見据えまして、他の国や他県に出遅れることなく、本県への誘客を図るため、ビジネスパートナーによる現地情報の収集や情報発信、在日メディアを通じたプロモーションなど可能な取組を実施するとともに、路線再開後は速やかに現地セールスを実施することとしています。
国際クルーズ船誘致促進事業につきましては、
新型コロナウイルス収束後に、これまで以上の寄港が早期に図られるよう、船社等の動向やニーズに的確に対応しながら、国内外のセールスやクルーズ船社等の視察招請を行うほか、稼ぐ力の向上に向けた上質で多様な寄港地ツアーの企画提案やさらなる受入れ体制の整備も行うこととしています。
両事業の実施に当たりましては、
新型コロナウイルスの感染状況を踏まえ適切に対応してまいります。
210 ◯たいら委員 続きまして、仮に、外国人観光客を迎え入れる場合、厳重な感染対策が求められますが、他部局との連携の下で、どのような感染防止対策を考えていらっしゃるのかお答えください。
[木場PR・観光戦略部長登壇]
211 ◯木場PR・観光戦略部長 今後の海外誘客の再開に向けましては、国やくらし保健福祉部、土木部など他の部局、JNTOなど関係機関等と連携して、水際対策の徹底、感染防止対策の多言語による周知・広報、保健所や医療機関の多言語コールセンターへの登録促進など、感染対策を踏まえた受入れ体制整備に取り組むこととしています。
なお、クルーズ船の寄港再開に向けましては、昨年九月、関係業界団体が国内クルーズ船とその受入港における感染症対策ガイドラインを策定したところでありまして、本県では、昨年十一月の飛鳥II寄港に当たりまして、庁内関係部局や関係機関による連絡会を開催し、感染予防対策や感染者発生時の初動対応を確認するなど、相互連携の上で安全に受入れを行ったところであります。
212 ◯たいら委員 御答弁いただきました。
これらの事業のほかにも、本年度と同様の外国人観光客受入れのための事業が継続されているように見受けます。また、魅力ある観光地づくり事業についても、本年度は十億円の予算執行がなされ、来年度も同額の十億円の予算が組まれていますが、必要性あるいは執行の面から大きな疑問を感じるところです。コロナ禍における現状に鑑み、少なくとも来年度においては、これらの事業の予算については大胆に削っていただき、緊急性の高い
新型コロナウイルス対策事業に充てていただくことを要望いたしまして、次の質問に移らせていただきます。
次は、原子力安全対策課所管の事業について伺います。
まず、原子力防災対策事業につきまして、本年度予算は七億八千二百万円余でしたが、来年度は大幅増額の二十億三千六百万円余を計上されています。その理由について、本年度と比較して来年度の事業内容の違いを端的にお答えください。
[橋口危機管理防災局長登壇]
213 ◯橋口危機管理防災局長 令和三年度の原子力防災対策事業につきましては、防護服などの防災活動資機材の整備、原子力防災訓練の実施、原子力防災センターの管理などに要する経費として二十億三千六百万円余りを計上しており、令和二年度に比べ、十二億五千三百万円余りの増額となっています。
増額の主な内訳は、原子力防災センターの除染室や参集要員の仮眠室等を整備するための経費として七億一千三百万円の増、原子力防災アプリを含む原子力災害時住民避難支援・円滑化システムの開発に要する経費として四億八千五百万円余りの増、避難退域時検査に必要な資機材一式及びその運搬のためのコンテナ等の整備に要する経費として五千二百万円余りの増となっています。
214 ◯たいら委員 次に、原子力安全等対策費について、県民の安心・安全を最優先に考える上において、重要な事業であると考えますけれども、本年度一億七千百万円余の予算に対して、来年度は約二千六百万円減額の一億四千五百万円余を計上されていますが、減額の理由をお答えください。
[橋口危機管理防災局長登壇]
215 ◯橋口危機管理防災局長 令和三年度の原子力安全等対策費につきましては、原子力発電に関する知識の普及等に要する経費、県原子力安全・避難計画等防災専門委員会の運営に要する経費、県及び関係市町が設置している緊急時連絡設備の維持管理等に要する経費として、一億四千五百万円余りを計上しており、令和二年度に比べ二千六百万円余りの減額となっています。
減額の主な理由は、令和二年度に三市町で計画していた緊急時連絡設備の移設について、令和三年度は実施が予定されていないことなどによるものであります。
216 ◯たいら委員 続いて、原子力安全・避難計画等防災専門委員会の運営費について伺います。
本年度予算は五百二十五万円余、そして来年度は五百七十三万円余と、約五十万円のプラス予算を計上されていますが、その内訳についてお答えください。
[橋口危機管理防災局長登壇]
217 ◯橋口危機管理防災局長 令和三年度の原子力安全・避難計画等防災専門委員会運営事業につきましては、委員会を三回開催するための経費として、委員十二人の
報償費及び旅費、会場使用料、
新型コロナウイルス感染症対策として、リモート方式で委員会を開催する場合の運営委託費の計三百五十二万六千円を計上しています。
このほか、委員の原子力防災訓練等の視察や県民向けに分かりやすい情報発信を行うための講演会の開催に要する経費として、
報償費、旅費及びバス借り上げ料の計百九十四万四千円などを計上しているところであります。
218 ◯たいら委員 知事に伺います。
今、報告いただきましたが、知事には早急に
マニフェストを実行していただきたい。これは一般質問でも申し上げました。ただいまの説明を受けて、来年度は県原子力専門委員会メンバーの追加及び変更はないと受け取ってよろしいですか、お答えください。
[
塩田知事登壇]
219 ◯塩田知事 私の
マニフェストにおきましては、九州電力の川内原発の二十年延長問題について、その設備の劣化状況について、科学的・技術的な検証を行っていただくという観点から、専門委員会において、原子力政策に批判的な学識経験者も含めた形での見直しを行うということにしております。
したがいまして、専門委員会の委員構成の見直しにつきましては、九州電力の運転期間延長に向けた動向を踏まえながら、しっかりと対応できるように準備を進めていくということにしており、仮に、令和三年度中にこのような九州電力の動きが出てきた場合に、委員会の見直しを行うということになりますと、必要に応じて補正予算を計上するなど、対応してまいりたいと考えております。
220 ◯たいら委員 先ほど来申し上げておりますとおり、原子力政策につきまして、安全に動かすというところを大前提にされているんでしょうけれども、原発があるゆえに、大きな予算を組んでいかないといけない。もちろん、国からの交付金もあるでしょうけれども、県としても大きな負担を強いられているのは事実ではないか、このように考えます。ですから、それにつきましては、今後、政策の見直し等も含めて、早急に行っていただくことが賢明かと思っております。
さらに、川内原発の二十年運転延長の可否判断が目前に迫ってまいりましたけれども、塩田知事におかれましては、九州電力の申請を待つのではなく、一刻も早く
マニフェストに基づく県原子力専門委員会メンバーの変更を行っていただく立場から、年度途中での執行も含めて御検討いただくようお願いしたいと思いますが、それにつきましてはいかがでしょうか。
[
塩田知事登壇]
221 ◯塩田知事 繰り返しになりますけれども、私の
マニフェストにおきましては、九州電力の申請の中身をしっかりと科学的・技術的に検証するために、委員会の構成も見直した上で、科学的・技術的な検討を行うということでございます。
マニフェストに沿って、誠実に着実にしっかりと進めてまいりたいと考えております。
222 ◯たいら委員 もう既に、九州電力は申請できる段階に入っています。最終的な期限が寿命を迎える一年前ということですから、いつ何どき申請が出てきてもおかしくないという状況です。それに対応するためには、いち早く対応していくことが、準備していくことが求められるのではないかと思います。ぜひ知事には、改めて年度途中でもよろしいので、再度、委員の構成等について見直していただきたいと思います。ぜひよろしくお願いしたいと思います。
223 ◯たいら委員 最後です。保健医療福祉課所管の事業について伺います。
まず、地域医療介護総合確保事業について、この事業の目的についてお答えください。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
224 ◯地頭所くらし保健福祉部長 地域医療介護総合確保事業の病床機能再編支援事業につきましては、地域医療構想の実現を推進することを目的に、病院等が病床数の適正化に必要な病床数の削減や再編統合を行う場合、給付金を支給する事業であり、今年度から実施しているところです。
225 ◯たいら委員 続きまして、
地域医療介護総合確保基金造成事業について、来年度は二十一億八千百万円余が計上されており、本年度より二億一千万円ほど増額となっています。コロナ禍における状況に鑑み、少なくとも来年度においては本年度並みの金額に抑えていただき、そこで生み出される二億円余りの財源をより緊急性の高い
新型コロナウイルス対策事業に充てていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
[地頭所くらし保健福祉部長登壇]
226 ◯地頭所くらし保健福祉部長
地域医療介護総合確保基金造成事業につきましては、医療介護総合確保法第四条第二項第二号に掲げる事業に要する経費を支弁するために設けられたものであり、その予算計上に当たっては、例年、国の定めた標準事業例等に基づき、関係機関等に対する要望調査を行い、必要な事業費を積算しているところです。
なお、来年度は基金充当事業である地域介護基盤整備事業において、介護施設等における居室等への簡易陰圧装置の設置や多床室の個室化改修、ゾーニング環境の整備に係る経費の助成など、
新型コロナウイルス感染拡大防止対策支援を行うこととしているところです。
227 ◯たいら委員 御答弁いただきました。
この地域医療介護総合確保事業につきましては、県内の公的、準公的病院等の統廃合を促進し、病床削減を行うことも目的の一つとなっています。そういう観点からも、ぜひお考えいただきたいと、述べさせていただきたいと思います。
昨年から続くコロナ禍において、首都圏や北海道、沖縄などにおいて、医療崩壊の瀬戸際状態と叫ばれてきたことから、これまで進めてきた国の政策の転換が求められていると思います。
県におかれましては、県民の命と健康を守る立場から、これまでの病院及び病床削減や保健所リストラなどの問題について見直していただくよう、国に対してしっかりと意見を述べていただくよう強く要望し、私の質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。
228
◯小園委員長 次は、無所属の質疑であります。
東委員に発言を許可いたします。
質疑時間は、答弁を含めて十八分であります。
[東 委員登壇]
229 ◯東 委員 無所属の東清剛です。早速質問に入ります。
まず初めに、種苗事業についてです。
鹿児島県の森林面積は五十九万ヘクタールで県土の約六割を占め、人工林と天然林などが約半数ずつとなっております。森林面積は全国十二位、九州で一位となっています。また、国有林などを除いた民有林のスギ・ヒノキの人工林は十八万ヘクタールで、そのうち三十一年生以上の利用可能な森林が全体の九割以上を占めるなど本格的な利用期を迎えております。大型木材加工施設の稼働などによる旺盛な需要を背景として、森林の伐採面積は年々増加傾向にあります。一方、伐採跡地の再造林は約四割程度と依然として低い状況にあり、伐採後の森林の再生には、森林資源の循環利用や水資源の涵養などの森林の有する公益的機能の早期回復を図るという点で非常に重要となっています。
森林の整備には数十年の長期間を要し、この間、林木は厳しい自然環境の下で生育するとともに、容易には植え替えができないことから、森林の整備の成否は苗木そのものの素質に委ねられる部分が大きくなっています。このため、その基礎資材である林業用種苗については、成長、通直性などの優良性はもとより、特に、外観からは判断できない産地、系統、耐寒性などの遺伝的優良性の確保が重要です。
多面的機能を有する森林を整備するためには、需要に見合う優良種苗の確保を図ることが重要であり、優良種苗の生産の安定を図るとともに、適正な流通を維持することが、ひいては森林の適正な整備の推進につながると思います。
そこでお尋ねします。
造林用優良苗木の生産・供給の現状についてお示しください。
[松下環境林務部長登壇]
230 ◯松下環境林務部長 本県の苗木の生産量は、令和元年度で約百九十五万本であり、生産量が最も少なかった平成二十三年度の約一・九倍となっております。このうち、約九割の苗木が県内へ供給されておりますが、県内需要に対しては、県外産の苗木も活用しながら対応しております。
231 ◯東 委員 県内産の苗木が百九十五万本で一・九倍、県外産も利用しているということですね。
次に、苗木生産者の確保・育成の課題と取組についてお示しください。
[松下環境林務部長登壇]
232 ◯松下環境林務部長 生産者の確保・育成を図るためには、新規参入者が苗木生産を始める際に、専門的な知識や技術を習得する必要があります。
このため、関係法令等の基礎的な知識を習得するための生産事業者登録講習会を開催しているほか、穂木の挿し付けや散水、施肥の方法など、生産技術の習得・向上を図るための苗木生産実践講座を開催しているところであります。
また、国の研究機関の研究者等を苗木生産指導員として五人配置し、生産者が所有する採穂園や苗畑等において、年間を通じて、個別に生産技術や病害虫防除などに関する指導・助言を行っております。
233 ◯東 委員 今後とも、そういった講座や指導などを積極的に行っていただきたいと思います。
次に、優良苗木の生産体制整備の取組についてお示しください。
[松下環境林務部長登壇]
234 ◯松下環境林務部長 県では、優良な苗木を安定して供給するため、苗木生産に必要なビニールハウス等の育苗施設やコンテナ等の生産資材、散水施設の整備などに要する経費への支援等を行っております。
また、新たにコンテナ苗生産に取り組もうとしている生産者を対象とした生産資材の貸与や小型の穂木を活用した苗木生産拡大の取組に対する支援などにも取り組んでおります。
さらに、来年度からは、既存の生産者のコンテナ苗生産への転換に対する支援を行うなど、引き続き優良苗木の生産体制整備に取り組むこととしております。
235 ◯東 委員 やはり、優良苗木の生産体制をしっかり整備して、コンテナ苗、ビニールハウス、散水などもしっかりと支援していただきたいと思います。
次に、優れた特性を持つスギの採穂園の造成など、穂木確保の取組についてお示しください。
[松下環境林務部長登壇]
236 ◯松下環境林務部長 成長が早く花粉が少ないなど、優れた特性を持つスギの穂木を確保するため、県営採穂園の造成をはじめ、苗木生産者が管理する採穂園の造成に要する経費への支援等を行ってきております。
また、採穂園の造成から穂木を採取するまでに、五年程度の期間を要することから、穂木を早期に確保するため、品種の明確な造林地から採取する取組や採穂園の下刈り、施肥等に要する経費への支援を行っております。
さらに、採穂園の母樹の品種を遺伝子調査により特定し、優れた特性を持つ穂木を供給するための取組も行っているところであります。
県としては、引き続きこれらの取組を一体的に進め、優良苗木の安定的な生産・供給に努めてまいりたいと考えております。
237 ◯東 委員 優良苗木の生産拡大に向けて、今後、採穂園や生産施設などの整備をさらに進めるとともに、需要に見合う計画的な苗木の生産・供給ができるよう、圏域ごとに再造林推進対策会議などを設置し、関係者が連携して苗木の需給マッチングの機能強化を進めていただきたいと思います。また、コンテナ苗の生産増大にもしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
次の質問です。林業担い手確保・育成総合対策事業について質問します。
人工林の豊富な森林資源を活用して林業のサイクルを循環させ、森林を適正に管理するためには、優れた担い手の育成・強化が必要となってきます。このため、市町村などと連携した新規就業者の確保などによる就業の円滑化をはじめ、専門的知識・技術の習得、就労条件の改善などによる就業者の育成・定着、さらに、地域林業の中核を担う林業事業体の経営基盤強化などを総合的に支援していく必要があると思います。
お隣の熊本県では、林業を支える山の人財づくりに取り組んでおります。
熊本県でも高齢化や過疎化の進行などにより、林業の担い手不足は依然として深刻な状況にあります。
そこで、くまもと林業大学校を核として、くまもとの森林を守り育てる多様で技術力の高い人材確保に向けた取組を加速化させています。
くまもと林業大学校では、即戦力となる新たな林業担い手を育成し、林業就業者、林業経営者、自伐林家、高校生など多様な方々に向けたカリキュラムを設け、くまもとの森林を守り育てる多様な人材の確保・育成に取り組んでいます。
また、新たな林業担い手の確保に向け、公益財団法人熊本県林業従事者育成基金と連携し、林業の魅力について広くPRするとともに、森林の仕事ガイダンスなどによるリクルート活動を推進しています。
そこでお尋ねします。
林業担い手の現状と課題についてお示しください。
[松下環境林務部長登壇]
238 ◯松下環境林務部長 林業の新規就業者は、この五年間では毎年百五十人程度で推移しているものの、離職者も多いことから、就業者数は緩やかな減少傾向で推移しており、令和元年度末時点で千四百十八人となっております。
森林資源の循環利用を促進し、林業の成長産業化を図るためには、新規就業者の確保に加え、再造林等の作業を実践する現場技能者や適切な現場管理などを行える人材の育成、安定した雇用の場となる林業事業体の育成にも取り組む必要があると考えております。
239 ◯東 委員 毎年、百五十人程度の林業者が増え、そして、離職者もいるということですが、この離職者につきまして、何が原因であると思われますか。
[松下環境林務部長登壇]
240 ◯松下環境林務部長 離職の原因でございますけれども、まずは、この林業就業者というのは3Kと言われるようなきつい仕事というのもございますし、また、賃金としても低いということもございまして、そのような傾向があるかと思っております。
241 ◯東 委員 やはり、林業はまだまだ3Kがあるということです。ぜひ、子供たち、高校生が憧れる林業にしてもらいたいということを要望しておきます。
次に、林業担い手の確保・育成に向けた取組についてお示しください。
[松下環境林務部長登壇]
242 ◯松下環境林務部長 県では、新規就業者の確保を図るため、県林業担い手育成基金と連携し、就業相談窓口の設置やインターンシップ、高校・大学への訪問によるPR活動、高校生等と林業関係者との交流の場となるイベント等の実施、ウェブサイトを活用した情報発信等に取り組んでおります。
また、森の研修館かごしまを就業者育成の拠点とし、大学や関係団体とも連携を図り、植栽から木材生産に至る林業技術や経営感覚に優れ、効率的かつ安定的な林業経営のノウハウを習得するための研修等を体系化し、来年度から鹿児島スーパーきこり塾として総合的に実施することとしております。
さらに、森林整備の中核的な担い手である意欲と能力のある林業経営者が行う雇用拡大や就労環境の改善等の取組の支援を行うこととしております。
今後とも、関係団体等と連携しながら、担い手の確保・育成に努めてまいりたいと考えております。
243 ◯東 委員 いろいろ努力されているということが分かりました。ぜひとも将来的には、鹿児島県も林業大学校を前向きに検討していただきたいと思います。
また、鹿児島県では、豊富な人工林資源を背景とした素材生産量の増加や新たな木材需要の創出などの動き、林業・木材産業における所得向上と雇用機会の拡大を図っているところでございます。
林業の成長産業化を実現する上で好機と捉え、木材の効率的、安定的な供給づくりやさらなる利用拡大、森林資源の循環利用に向けた取組を強化することとしています。
今後も鹿児島県の森林施業や林業・木材産業における諸課題の解決に向けて、基本計画に基づき産学官が連携しながら、関係者と一体となって各般の施策を計画的に進め、目標の実現に努めていただくことを要望し、次の質問に移ります。
次に、かごしまの竹と生きる産地づくり事業について質問します。
鹿児島県は、竹林面積が全国一位、タケノコの生産量も福岡県に次いで二位となっています。鹿児島県はタケノコの生産振興を進めており、鹿児島県特用林産振興基本方針を定め、積極的な産地づくりも進めています。ところが、生産者の減少や高齢化による担い手不足などが大きな課題となっています。
竹林の多くは里山に分布し、これから得られるタケノコや竹材は農林家の重要な収入源となっています。しかし、近年、県内のタケノコ生産を取り巻く環境は、中国産の安いタケノコの輸入や生産者の高齢化などにより、生産量は減少するなど厳しい現状にあります。一方で、タケノコには安定した需要があり、県民の食の安全や安心、地産地消への関心が深まる中で、県内産のタケノコの安定した供給が求められています。
竹は軽くて加工性の高い素材であるため、農業や漁業でもごく身近な資材として、作物の収穫に用いる背負いかご、野菜洗いや水切りなどに使うざる、養殖用の浮き竹など、用途に合わせて使いやすい形や大きさに加工され、いろいろな形で利用されてきました。
従来からの竹材の利用用途は、建築資材をはじめ、かご類、ざる類、ちょうちん、物干しざおなど生活用品から工芸品などと多様であります。しかし、最近の国内の竹材の需要は、代替資材の普及や安価な海外製品に取って代わり大幅に減少しています。
そこでお尋ねします。
一点目、タケノコと竹材の生産の現状についてお示しください。
[松下環境林務部長登壇]
244 ◯松下環境林務部長 本県では、豊富な竹林資源と温暖な気候特性を生かして、タケノコや竹材の生産が行われており、令和元年におけるタケノコの生産量は約四千八百トンで全国第二位、竹材の生産量は約一万九千トンで全国第一位となっております。特に、十月頃から収穫が始まる早堀りタケノコは、全国一早いタケノコとして市場で高い評価を得ております。
また、竹材については、竹紙の原料のほか、養殖用いかだや園芸用の支柱などの農林水産業用の資材、竹工芸品、竹炭等に利用されております。
245 ◯東 委員 タケノコや竹材の生産の現状につきましてお聞きしました。やはり、竹林面積が全国一位ですので、この竹材、タケノコの生産、さらに力を入れてもらいたいと思います。
次の質問です。
担い手の育成や生産拡大に向けた取組についてお示しください。
[松下環境林務部長登壇]
246 ◯松下環境林務部長 本県では、新規生産者や後継者等の育成を図るため、タケノコや竹材の生産に関する基礎的な知識や技術を習得するたけのこ生産者養成講座を開催しており、令和元年度までに延べ二百八十人が受講し、そのうち約半数が生産を始めております。
また、生産技術に精通したたけのこ相談員を六人配置し、生産者に対する現地指導や電話相談への対応などを行っております。
さらに、タケノコや竹材の生産拡大に向けて、早堀りタケノコを主体とした収益性の高い生産林に誘導するため、竹林の改良や管理道の開設、竹材の生産機械の整備等に対する助成を行っております。
247 ◯東 委員 担い手の育成や生産拡大については、引き続き取り組んでいただきたいと思います。
次に、竹製品の需要拡大の取組についてお示しください。
[松下環境林務部長登壇]
248 ◯松下環境林務部長 竹材は、竹紙の原料となる竹パルプのほか養殖用いかだなどの農林水産業用の資材、竹工芸品、竹炭などに利用されております。
県では、竹製品等の需要拡大に向けて、竹製品まつり等のイベントを通じたPRや販売促進に努めるとともに、竹紙製のストローなどプラスチック製品に代わる実用的な竹製品の開発等に支援を行っているほか、県や市町村における竹紙の名刺や封筒などへの利用推進を図っているところであります。今後とも、これらの取組を通じて竹製品の需要拡大に努めてまいりたいと考えております。
249 ◯東 委員 最後に、知事にお伺いいたします。
鹿児島県の森林や竹林を見ていると思いますけど、感想をお聞かせください。
[
塩田知事登壇]
250 ◯塩田知事 鹿児島は今、丸太の輸出等においても森林産業というのは、大変重要な産業だと思っております。竹林も面積が一位ということで薩摩川内市などにおいては、様々な材料に使ったり、あるいはCNFの素材というようなことも新たな可能性を持っているということで、稼げる産業として、今後ともしっかり取組を進めてまいりたいと思っております。
251 ◯東 委員 知事も力強く支援してくださるということですので、今後ともよろしく取り組んでいただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
252
◯小園委員長 最後に、いわしげ委員に発言を許可いたします。
質疑時間は、答弁を含めて十八分であります。
[いわしげ委員登壇]
253 ◯いわしげ委員 はい、ありがとうございます。
早速質問に入らせていただきます。
まずは、かごしまジェンダー平等推進プロジェクト事業は、新規事業となっており、九百十七万六千円計上されております。ジェンダー平等の実現に向けて、根強い固定的性別役割分担意識や無意識の偏見などにより生じているジェンダーギャップを解消するため、ジェンダー平等推進プロジェクトチームの設置や若者を中心とした円卓会議の民間との協働による開催等を通じて、企業をはじめ、県民の取組に向けた機運醸成を図るとなっております。
このジェンダー平等推進プロジェクトチーム及び若者を中心とした円卓会議、それぞれの設置目的、設置場所また開催場所、構成人数、メンバーの内訳、メンバーの選定方法、メンバー募集に係る周知方法、活動内容、そして期待される成果について、お示しください。
[印南男女共同参画局長登壇]
254 ◯印南男女共同参画局長 ジェンダー平等推進プロジェクトチームについては、県庁内に設置し、本県におけるジェンダーギャップの解消に向けたプロジェクトの指針と取組内容を御検討いただき、具体の取組にも関わっていただくことを想定しております。なお、プロジェクトに賛同する様々な立場の方に参加していただきたいと考えておりますが、構成等は今後検討していくこととしております。県内の現状を踏まえた民間の方の知見や発想、アイデアを活かすことにより、プロジェクトの事業効果が高まることを期待しております。
また、円卓会議は、若者等のジェンダーギャップ解消に向けた声を集めて、プロジェクトの指針や取組に反映することを目的としており、開催方法等はプロジェクトチームで検討することとしております。若者のプロジェクトへの参加促進を図ることで、プロジェクトの発信力や推進力が高まることを期待しております。
255 ◯いわしげ委員 ありがとうございます。
次に、職場におけるジェンダー平等推進事業についてお尋ねします。
令和二年度には、女性が活躍できる企業応援事業として、女性が能力を発揮できる環境づくりを推進するため、企業トップ等を対象としたフォーラムの開催や女性の活躍推進に積極的に取り組む企業の表彰、経済団体等へのアドバイザーを派遣するという事業が展開されておりました。そして、令和三年度の当初予算では、職場におけるジェンダー平等推進事業が新規事業として、八百十万八千円計上されておりますが、事業の内容としては、令和二年度の女性が活躍できる企業応援事業と似たような内容で、企業トップ等を対象としたフォーラムの開催やジェンダー平等に積極的に取り組む企業の表彰等を通じて、職場におけるジェンダー平等の実現を図り、男女ともに働きやすい環境づくりを推進するとなっております。
令和三年度の職場におけるジェンダー平等推進事業と、令和二年度の女性が活躍できる企業応援事業の違いをお示しください。
また、企業トップ等を対象としたフォーラムを何回開催する予定なのか、そして、その周知方法と期待される成果についてもお示しください。
[印南男女共同参画局長登壇]
256 ◯印南男女共同参画局長 職場においては、女性が活躍する前提として性別に関わりなく、誰もが能力を発揮し安心して働くことができるジェンダー平等の環境が必要であることから、今年度の女性が活躍できる企業応援事業では、その環境づくりに向けて企業を対象としたフォーラムやセミナーの開催、アドバイザーの派遣等を行いました。
来年度からは、かごしまジェンダー平等推進プロジェクトの一環として、これらの取組を継続、充実することから、事業名を職場におけるジェンダー平等推進事業に変更し、今年度実施いたしました企業に専門家を派遣する事業も統合した形で実施することとしております。
なお、この事業の一環として開催する経営者トップ等を対象とするフォーラムについては、年一回を予定しており、開催に当たっては、経済団体等に広報の御協力をいただくほか、各種広報媒体を活用して周知を図ることとしております。
フォーラムを通じて、経営者等にジェンダーギャップ解消の必要性について認識を深めていただき、ジェンダー平等の推進を図る企業が増えることを期待しております。
257 ◯いわしげ委員 ありがとうございます。
次に、女性のエンパワーメント事業が、新規事業として七百三十万五千円計上されております。その事業内容としては、様々な分野における女性の参画を促進するため、各種セミナーを開催し、女性の能力向上やネットワークの構築を支援するとなっております。様々な分野における女性の参画を促進するため、各種セミナーを開催するとありますが、具体的にはどのような分野の女性の参画促進を想定しているのかお示しください。
また、各種セミナーとは、具体的にはどのようなセミナーであるのか、そして、そのセミナーの周知方法と期待される成果についてもお示しください。
なお、四番目の子どもたちの男女共同参画学びの広場推進事業については、時間の関係上割愛させていただきます。
[印南男女共同参画局長登壇]
258 ◯印南男女共同参画局長 女性のエンパワーメント事業については、経済や政治・行政などの分野において女性の参画を促進するために実施することとしております。
具体的には、女性を対象にキャリア形成や就労継続を支援するセミナー、管理職に必要なマネジメント能力を向上するためのセミナー、政治や行政、地域コミュニティーにおける地域経営を担う人材を育成するセミナー、起業を支援するセミナーの四つのセミナーの開催を計画しているところでございます。
これらのセミナーの開催に当たっては、経済団体や商業施設、市町村等に御協力いただくほか、行政や民間の各種広報媒体を活用して広く周知を図ることとしております。
セミナーを受講した方々が、企業や地域で能力を発揮し活躍していただくとともに、お互いに情報公開したり、支え合える関係や後に続く女性を支援するネットワークを築いていただくことを期待しております。
259 ◯いわしげ委員 ありがとうございます。
女性が生き生きと活躍できる社会の形成を目指して提案された事業の主なものについて質問をさせていただきました。
新規事業である女性のエンパワーメント事業については、女性の地方自治の政治への参画にもつながるようなセミナーや管理職のためのセミナーも開催されるなど、女性の力を引き出せるような取組をなされることに一定の評価をするものです。各種セミナーの開催の際には、SNSやメディアを最大限活用した周知に御尽力いただきますよう要望いたします。
一方で、かごしまジェンダー平等推進プロジェクト事業や職場におけるジェンダー平等推進事業については、どれだけ女性が生き生きと活躍できる社会の形成に向かって成果を上げられるのか未知数です。先ほどの企業トップのフォーラムにしても、年一回の開催でどれだけその意識が広がるのか危惧されるところです。内閣府の男女共同参画局によりますと、二〇二〇年四月一日時点で、鹿児島県の民間企業も含めた管理職に占める女性の割合は一七・五%で、全国十三位となっておりますが、都道府県の地方公務員の管理職に占める女性の割合を見ると、鹿児島県は全国で三十位となっております。また、鹿児島県の職員採用のホームページには、鹿児島県庁の管理職に占める女性の割合が二〇二〇年度は九・七%となっておりまして、民間企業を含めた数値の一七・五%を大幅に下回っております。ちなみに、岐阜県庁の二〇二〇年度の管理職に占める女性の割合は一九%で過去最高となっております。鹿児島県庁の約倍の割合となっております。
知事、まずは隗より始めよでございます。鹿児島県女性活躍推進計画においては、県庁内の女性管理職の割合を四年後の令和七年度に一五%にする目標が立てられております。この目標の達成を含めて、鹿児島における女性が生き生きと活躍できる社会の実現に対して、知事はどの程度、この重要性を御認識していただいているのか、お答えいただければと思います。
[
塩田知事登壇]
260 ◯塩田知事 男女共同参画社会、ジェンダー平等に向けて、まず、自ら県庁においても女性の活躍する組織づくりということは大変重要なことだと思っております。ただ、明日から管理職と言われてもなかなか難しいというところもありますので、少しその辺は時間をじっくりとかけながら裾野を広げ、また、これから活躍していただける女性の育成も含めて、今後しっかりと取り組むようにしていきたいと思っております。
261 ◯いわしげ委員 ありがとうございます。
今、知事からお言葉ありましたけれども、令和三年度の人事を見ますと、お二人いらっしゃる副知事さんの女性がいらっしゃらなくなって、男性のみということになっております。どの程度知事が、男女のバランスを県庁内で考えていらっしゃるのかなと思ってお尋ねしたところでした。こちらを見渡しましても、女性がお二人しかいらっしゃらない感じなんですよね。例えば、文教警察委員会の委員会室で執行部側に女性が二人ぐらいしかいらっしゃらなくて、警察本部は一人もいらっしゃらないという状況なので、できるだけ女性の方々がこういった場に参加できるように御尽力いただければと思います。
すみません、いろいろと質問を出させていただいておりますが、時間の関係上割愛させていただくものがたくさん出てくるかと思います。
若年妊産婦等オンライン相談支援事業についてお尋ねいたします。
この事業は、孤立感や不安を抱えた若年妊産婦等が身近に相談できる環境を整備するため、新たにSNSを利用したオンライン相談を実施するとともに、若年妊産婦等の状況に応じ、医療機関や市町村等と連携して支援を実施する新規事業として六百十二万六千円が計上されております。若年妊産婦とは、二十歳未満の妊産婦のことですが、鹿児島県において、若年妊産婦に焦点を当てたこの事業が展開されるのは、初めてのことではないかと思います。
そこで、まずは、この若年妊産婦に焦点を当てた本事業を導入するに至った背景についてお示しください。
あわせて、この若年妊産婦等オンライン相談支援事業で相談できる対象者は、若年妊産婦御本人のほかにどういった方々になるのか。また、この事業の周知方法についてもお示しください。
[吉見子育て・高齢者支援総括監登壇]
262 ◯吉見子育て・高齢者支援総括監 若年妊産婦の場合、未婚、経済的基盤が弱い、周囲の協力が得られにくい、社会体験の乏しさ、喫煙や飲酒などの健康リスクについて知識が乏しいなどの問題を抱えていることが多いと考えられます。
このため、県では、予期しない妊娠などにより、孤立感や不安を抱いた若年妊産婦等について、まずは御相談いただくことが重要と考え、既存の相談窓口に加えまして、新たにSNSを活用した相談窓口を設置することといたしました。
オンライン相談の対象者につきましては、若年妊産婦に限らず、妊娠届を未提出の方、妊婦健診を未受診の方、育児の支援等がなく孤立している方など、全ての妊産婦を対象としているところでございます。
また、事業の周知につきましては、まずはSNSに掲載するウェブ広告などの活用を考えているところでございます。
これに加えまして、市町村、産科医療機関を通じた周知や県のホームページによる広報のほか、保健師による学校等での性教育指導の際に紹介するといったようなことも考えております。
263 ◯いわしげ委員 鹿児島でも二〇一八年五月に十代の少女が、自らが出産した生後数日の男児を公園トイレに置き去りにしたという事件は、皆様の御記憶にも新しいかと思います。こういったように、鹿児島県内でも中学生、高校生が若年妊婦になるという事例がたくさん出てきております。ぜひ、中学生、高校生一人一人にチラシででも学校で配られて、皆さんが認識できるような形で周知をよろしくお願い申し上げます。
また、皆様方には質問の答弁を御準備いただいて大変申し訳ないですけれども、六番、七番、八番、九番については割愛させていただきます。誠に申し訳ございません。
続きまして、「鹿児島のウェルネス」推進事業についてお尋ねいたします。
この事業は、本県にあふれる健康、癒やし、長寿に有益な地域資源である鹿児島のウェルネスについて、広く県民への普及啓発、理解の深化を図るため、イベント開催等に取り組むために二百万円が計上されているんですが、令和二年度では千百三十六万八千円計上されておりまして、令和三年度では、五分の一以下と大幅に減額となっております。この予算でどのように取り組むのか具体的にお示しください。
また、この事業によって、鹿児島のウェルネスについて、広く県民の皆様へ普及啓発、理解の深化を図ると、どのような成果が期待されるのかも併せてお示しください。
[藤本企画部長登壇]
264 ◯藤本企画部長 県では、健康・癒やし・長寿に有益な地域資源である鹿児島のウェルネスにつきまして、広く県民の方々への普及啓発、理解の深化を図ることを目的に、平成三十年度から「鹿児島のウェルネス」推進事業を開始したところであります。
これまで、ロゴマークやパンフレットの作成、鹿児島のウェルネスにまつわる写真集等の募集、県内外でのイベントの開催など様々な取組を進めてきたところでございます。
イベントの際に実施いたしましたアンケート結果では、鹿児島のウェルネスの意味を知っている人の割合は増加しており、認知度が高まるなど一定の成果が得られたのではないかと考えております。
県といたしましては、今後とも継続した普及啓発の取組が必要であると考えておりまして、令和三年度は、これまでの成果も踏まえ、内容の見直しを行いまして、イベントの開催等において、多様な主体と連携するなど、より効率的・効果的な事業展開に努めてまいりたいと考えております。
それから、「鹿児島のウェルネス」推進事業の取組を通じての成果ということでございますが、多くの県民の方々が鹿児島のウェルネスを身近に考え、理解を深めていただくことによりまして、心身両面からの健康づくりへの活用、本県の安心・安全でおいしい食材を生かした食育や地産地消の取組、県内観光の促進などにつながることが期待されているところであります。
また、県民の皆様方が鹿児島のウェルネスの価値を再認識し、磨き上げを行っていただくことによりまして、本県の魅力・イメージの向上、地域資源の高付加価値化、県産品の販売促進、本県への誘客促進、ひいては定住促進等にもつながっていくものと考えております。
265 ◯いわしげ委員 ありがとうございます。
鹿児島のウェルネスについては、今、企画課でやっていただいているんですけれども、観光プロデューサーである伊牟田さんが、鹿児島のウェルネスについて提唱されたと記憶しているんですが、その観光プロデューサーの伊牟田さんは観光課なんです。観光課の方とこの鹿児島のウェルネスの推進に当たって、庁内で議論などなされているのかどうか。また、伊牟田さんに助言とか指導を受けたことがあるのかどうかもお示しください。
[藤本企画部長登壇]
266 ◯藤本企画部長 鹿児島のウェルネスと私どもが称しておりますのは、例えば、温泉でございましたり、景観でございましたり、あるいは安心・安全な食事でございましたり、様々でございます。ですから、県庁でも各部局が連携して取り組んでいるところでありまして、そういった点で企画部が今まで所管し、部局横断的に連携しながらやっているということでございます。
伊牟田観光プロデューサーからの助言ということでございますが、もともと伊牟田氏は鹿児島のウェルネスに大変造詣が深いので、私どもとしてもお話を承ったりしながら進めているところでございます。
267 ◯いわしげ委員 ありがとうございます。
十一番目の鹿児島港本港区エリアまちづくり事業についても御答弁を準備いただきましたけれども、要望にだけ代えさせていただきます。すみません。
こちら、二百二十五万九千円が事務費として計上されております。いろいろな先進事例を海外に見に行っていただければと思います。五十年後も百年後も鹿児島の顔となる場所に、コンベンション施設が妥当なのか、さらによい活用方法はないかも含めて、世界のウオーターフロントの先進事例を見てから検討していただきますよう強く要望いたしまして終わらせていただきます。
ありがとうございます。
268
◯小園委員長 以上で、通告による質疑は全て終了いたしました。
質疑は終結いたします。
これで、本日の日程は終了いたしました。
次回の委員会は、三月二十二日月曜日の午前十時から開催をいたします。
日程は、各常任委員長による部局別予算審査の調査結果報告及び採決であります。
なお、本委員会に付託されました議案につきましては、本委員会運営要領に基づき、この後、直ちに議長を経て、各常任委員会に対し、部局別予算審査に係る調査を依頼いたします。
本日の委員会は、これをもちまして散会いたします。
お疲れさまでした。
午後五時五分散会
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