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2021-03-04 令和3年第1回定例会(第6日目) 本文
2021-03-04 令和3年第1回定例会(第6日目) 名簿

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  1. 鹿児島県議会 2021-03-04
    2021-03-04 令和3年第1回定例会(第6日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯副議長(堀之内芳平君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    宝 来 良 治 君    永 井 章 義 君    米 丸 まき子 君    寿   はじめ 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 一般質問 ◯副議長(堀之内芳平君)一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。  宝来良治君に発言を許可いたします。
       [宝来良治君登壇](拍手) 3 ◯宝来良治君 皆さん、おはようございます。鹿児島市・郡区選出、二期目の宝来良治でございます。趣味は野球でございます。  三月二日の南日本新聞、こちら、第四十七回鹿児島県ちびっこソフトボール大会の開催を予告する広告が出ました。「二年分の夢 一球に込め」というタイトルです。百六十一チーム、約二千名以上の選手が集う大きな大会です。今年は三月七日、しっかりと初戦が開催される運びとなりました。  しかし、昨年は、二月二十八日、急遽、この県ちびが中止という決断を下されました。開会式には約六千名の方が白波スタジアムに集まって行進したりするんですが、それが中止と、それに伴って試合も中止になりました。ただ、鹿児島県で初めての感染者が確認されたのは三月二十七日でした。非常にやるせない気持ちでいっぱいだったんですが、今年は仕切り直して、子供たちと一緒に白球を追いかけたいと思っております。  昨日、四都県では緊急事態宣言が延長されましたが、鹿児島ではしっかりと感染対策を整えているので、収束に向かっているのかなと感じているところです。  それでは、通告に従いまして質問させていただきます。  新型コロナウイルス感染症対策についてでございます。  鹿児島県でも、医療逼迫を理由に、五市の飲食店に対して時短営業の要請が行われました。高齢者施設でのクラスター発生や、県内のコロナによる入院患者の年齢層が高いことを理由にしたところでございました。宣言後、感染拡大が収束したことから、しっかりした対応だったと考えております。  しかしながら、県内全体の医療の逼迫を理由にしましたが、医療圏や市町村ごとに見ると、医療の逼迫、患者数には大きなばらつきがあったのも事実でございます。県民には、五市に限定する理由がうまく伝わっていなかったと思います。  その原因として、新型コロナ対応確保病床数が市町村または医療圏ごとにばらつきが大きいこと、医療圏をまたいだ入院等がかなりの数行われていたことが、県民の理解を得にくかった理由の一つだと考えられます。  また、医療逼迫を回避するために時短要請をしたわけですが、医療逼迫を起こした原因の一つに、宿泊療養に使用できるホテルの確保数並びに確保ホテルの地域偏在が大きく影響したと考えております。  なぜなら、病床逼迫を起こさないためには、しっかりと各地域に宿泊療養先を確保して、宿泊療養を効果的に利用する必要があると考えるからであり、そのことが、結果的に鹿児島県全体の病床の空床確保に大きく貢献すると考えるからです。  新年度予算を見ると、まずは、県民の命と暮らしを守ることを最優先とした医療提供体制の確保が大きな柱となっております。その中で、新型コロナウイルス感染症の軽症者等のための宿泊施設確保事業、並びに、新型コロナウイルス感染症重点医療機関等体制整備事業等が主な事業となっております。このことは、私の考えとしても合致するところです。  そこでまず、宿泊療養について質問いたします。  首都圏では、病床確保並びに入院調整が困難になったことを理由として、感染拡大期自宅療養者数がかなりの数に上がりました。そのことが影響してか、自宅療養中の病状の急変による死亡例が十数例報告されたところであります。症状のモニタリング不足が一つの原因になっていると思われますが、鹿児島県では、現在までのところ、そのような理由で自宅療養となったケースはないと考えております。  鹿児島県としては、原則、陽性者は入院か宿泊療養だと認識していますが、県内で自宅療養となったケースはあるのか、まずはお答えください。  次に、宿泊療養についての運用方針として、軽症者・無症状者の選択基準はどのようなものになっているか、お答えください。  宿泊療養となった場合の医療体制はどのようなメンバーでどの程度の人員を必要としているのか、お答えください。  また、症状は変化するため、症状をモニタリングする必要があると考えますが、どのように患者の症状をモニタリングしているのか、タブレット等を用いてモニタリングを行っているのか、お答えください。  また、基本的に、重症化しないことを前提に宿泊療養が選択されていると思いますが、初めての感染症のために、予想を覆して症状が悪化することも考えられます。  そこで、宿泊療養から入院した患者数、そのうち重症化したケースはあるのか、また、その場合の入院先はどのように決められていたのか、お答えください。  現在の宿泊療養先の数と、指定されたホテルの所在は何市町村あるのか。また、宿泊療養のために医療圏をまたいで移動した陽性者はどの程度いたのか。一月に鹿児島市内のホテルが新たに宿泊療養先に指定されましたが、その理由をお答えください。  鹿児島市に宿泊療養先が集中しているように思いますが、医療供給体制へ与える影響を県はどのように考えているのか、お示しください。  さらに、宿泊療養の課題とはどういうものがあるのか、それぞれお答えください。  次に、重症化の予測についてでございます。  宿泊療養や入院先の選定にも大きく影響すると考えられる重症化の予測についてですが、先月、重症化リスク判定補助となる因子を測定する検査が保険適用になったところです。この検査を行うことで、重症化するであろう患者を事前に予測することができる可能性が出てきました。うまく診療に取り入れることができれば、宿泊療養も含め、入院先の医療機関を効果的に指定できるとともに、医療体制の確保、患者自身の転院などによる負担の軽減にも寄与すると考えます。  県として、この検査の可能性をどのように考えているか、お答えください。  次に、治療指針についてです。  新型コロナ陽性者は、自ら医療機関を選択することができません。どこの医療機関に入院しても同じ治療を受けられるべきと考えられます。県内統一の治療指針があると思いますが、どのような指針で、どのような治療法が選ばれ、どのように見直されているのか、お答えください。  また、中等症以上になると入院期間が長くなり、感染力がなくなると考えられます。病床確保の観点から、感染力のなくなった患者は転院が可能になると思います。対応病床に余裕があるときは退院まで同じ医療機関でもいいと思いますが、医療逼迫時には、対応病床を確保するためにも転院させることが必要ではないかと考えます。  そのためにも、感染後時間経過とともに感染力がなくなった患者の入院を受け入れるような医療機関を、前もって指定しておく必要があると考えます。その転院先となり得る医療機関の確保はどのようになっているのか、現状をお答えください。  また、地域基幹病院に従来確保されていた第二種感染症対応病床と、コロナ禍において、新たに指定された新型コロナ感染症対応病床のそれぞれの数と、その役割の違い、入院先を選ぶ上ではどのように考慮されているのか、現在の考え方をお示しください。  ここ数か月、高齢者の陽性者が増えたことも大きく影響してか、死亡数が増加傾向にあると感じています。県内の死亡例について、年齢や基礎疾患の有無、その傾向などをお示しください。  また、当初、重症患者には高頻度で必要と言われていたECMOですが、現在の県内保有台数と配置されている地域、使用実績、また、ECMOが必要になり転院したケースがあるのか、お答えください。  新型コロナウイルスワクチンについてお聞きいたします。  予防接種法が改正され、新型コロナウイルスワクチンの接種が努力義務と位置づけられました。しかしながら、国は、積極的に接種するよう河野担当大臣が自ら明言しているところです。  そこで、ワクチン接種についてお聞きします。  まずは、ワクチン接種に関して、県と市町村の担う役割をお示しください。  全国の自治体で多数採用されているSNSを利用した予防接種の予約システムですが、自治体の労力の軽減や利用者の接種忘れの防止等にかなり役立つと思われます。県内でSNS予約システムを検討している市町村はどれぐらいあるのか、お示しください。  また、安全性をしっかりと示すためには、副反応の数等を可能な限りリアルタイムで公表すべきと考えます。今後、どのように公表されるのか、また、鹿児島県としても独自に集計されるのか、お答えください。  他県の市町村では、接種率向上のために各自治体でポイント還元や優待券などを配布するなど、対応を検討しているところもあるようです。県内の市町村でも考えられる動きではありますが、県内の接種率向上のための施策の状況をお示しください。  ワクチン接種は、感染拡大防止の切り札となることは間違いありません。ワクチン接種により、経済活動が以前の輝きを取り戻し、さらには医療崩壊を防ぐと考えられます。接種は努力義務ではありますが、医療体制整備の責任者でもある鹿児島県としては、積極的にワクチン接種を呼びかけ、まずは鹿児島の医療体制を守る義務があると考えます。  さらに、県として、ワクチン接種の呼びかけにより、接種者を増やすことで感染者を削減し、一年間、昼夜を問わず対応してきている医療従事者への負担軽減を実現することこそが、最大の医療従事者への敬意の表れと感じているところです。  そこで、県は、しっかりとワクチンの重要性を県民が理解できるように、十分な判断材料を与えることがまずは大切だと考えますが、県として、県民に伝えるべき情報とはどのようなものがあるのか、県の考えをお示しください。  また、知事も以前から待ち望んでいたワクチンです。医療従事者の私としては、積極的にワクチン接種を呼びかけるべきだと考えますが、知事の考えをお示しください。  また、県民のリーダーである知事が自ら率先してワクチン接種を行うことが、最高のメッセージになると思いますが、その考えはないのかお答えください。  高齢者施設における無症状者に対するPCR検査についてお聞きします。  今年度予算の柱の一つに、PCR検査体制の整備もうたわれているところでありますが、必要なときに必要な人が検査を受けられる体制づくりこそが大切だと考えます。  PCR検査の実施の考え方について質問します。  令和三年一月二十二日付で、医療機関・高齢者施設等における無症状者に対する検査方法についてという事務連絡が来ております。内容は、感染拡大地域において、感染が発生しやすい場所や施設に対して、無症状者に対して積極的な検査を国がお願いする内容であります。行政検査と同じく、費用は全て国が負担するという内容でもあります。  宮崎県では、ステージIVになったときに県内全ての高齢者施設へ取り入れたようです。  鹿児島県では、この仕組みを利用した無症状者に対する検査は実施していないようですが、その理由をお示しください。  また、県内の高齢者施設では、感染拡大時期に職員にPCR検査を受けさせたかったが、陽性者がいないために行政検査ができないと言われ、職員に自費で検査を受けさせたという報告もあるところです。  このPCR検査というのは、検査した時点で自分自身の感染の有無がはっきりするため、働く者としても、雇い入れる者としても、精神的にとても安心感を与えるものだと考えます。  現在は、無症状者へのPCR検査は基本的に実施されていないようですが、今後は、感染拡大時期には、医療機関や高齢者施設が安心して運営できるという視点からも、状況によっては無症状者に対するPCR検査を積極的に取り入れるべきだと考えますが、県の考えをお示しください。  県人権条例についてお聞きします。  愛媛で始まったシトラスリボン運動は、新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、社会的に問題になった差別や偏見をなくしていこうという活動です。  リボンやロゴで表現する三つの輪は、地域と家庭、職場もしくは学校です。ただいま、おかえり、と言い合えるまちなら、安心して検査を受けることができ、ひいては結果的に感染拡大を防ぐことにつながる。また、感染者への差別や偏見が広がることで生まれる弊害も防ぐことができる。感染者が出た、出ないということ自体よりも、感染が確認されたその後に的確な対応ができるかどうかで、その地域のイメージが左右されると考える。コロナ禍の中にいてもいなくても、みんなが心から暮らしやすいまちを今こそ実現しようという思いから湧き上がった運動です。非常に優しい心に満ちた活動だと思います。  さて、コロナの差別や偏見をなくすための施策として、全国の自治体を見ると、感染が急拡大した四月、東京都で新型コロナ対策条例が成立しました。感染拡大防止が主な内容でしたが、条文に、感染者や医療従事者に対し、不当な差別的取扱いをしてはならないと盛り込まれました。七月、八月には、長野と岐阜、沖縄、鳥取の四県でも同様の条例が成立しました。  その後、全国的に感染者が増え、茨城県水戸市内で医療従事者の子供が保育施設への登園自粛を求められたり、栃木県では他県ナンバーの車に乗る人が罵声を浴びせられたりする問題が相次ぎました。  そのような社会情勢の中、昨年九月以降成立した条例は、差別禁止に特化したものが目立ってきています。福島県白河市議会は、思いやり条例案を可決しました。新型コロナを含めた全ての差別を禁じる内容で、市担当者は、「コロナを契機に、性別や障害も含めた差別を取り除けるよう目指したい」と話しています。  昨年十月以降、県単位で条例案を可決したのは、茨城、愛知、徳島、三重、和歌山の五県となっているところです。  コロナ禍において、鹿児島県でも全国と同じように、残念ながら、新型コロナ感染者や、医療従事者やその家族、また、感染者を出した事業所への差別や偏見も見られるところです。もし、おたくの事業所のせいでうちの事業所に感染が広がったら損害賠償を請求しますよというようなひどいものもあったと聞きます。一時期、医療従事者のお子さんは預かれないと保育を断られたケースもありました。  感染症という誰もがかかってもおかしくない疾病に対する差別や偏見は、決してあってはなりません。  そこでお聞きします。  鹿児島県では、新年度予算で鹿児島県人権条例制定事業が計画されているようですが、その条例の内容はどのようなものになるのか。また、今後何度も繰り返すであろう感染症に対する対応は、その条例の柱となるべき項目だと考えますが、県の考えをお示しください。  一回目の質問を終わります。    [知事塩田康一君登壇] 4 ◯知事(塩田康一君)私のワクチン接種についてでございます。  新型コロナウイルスワクチン接種は、先月、医療従事者等の先行接種が開始されたところでありまして、今月には、医療従事者等の優先接種が行われ、四月以降に六十五歳以上の高齢者向けに接種が開始され、その後、基礎疾患を有する方、高齢者施設等の従事者、一般の方への接種が順次行われることになっております。  ぜひ多くの方に接種を受けていただくことにより、重症者や死亡者を減らし、医療機関の負担を減らすことが期待されているところであります。  私自身も接種の時期が到来した段階で接種を受けたいと考えております。 5 ◯くらし保健福祉部長(地頭所 恵君)新型コロナウイルス感染症対策に関して、まず、宿泊療養の運用方針等についてでございます。  新型コロナウイルス感染症の陽性者につきましては、軽症者・無症状者であっても症状急変時の適切な対応が必要であることなどから、本県では入院または宿泊療養を基本としているところでありますが、本人や家族の状況により自宅以外の療養が適さない場合など、自宅療養としたケースもあるところです。  宿泊療養の適否につきましては、軽症者や無症状者のうち、年齢や基礎疾患・妊娠の有無のほか、発熱、呼吸器症状、呼吸数、酸素飽和度等の症状の診察、検査所見を踏まえ、医師が総合的に判断しているところです。  宿泊施設における医療体制につきましては、基本的に、施設ごとに健康観察を行う看護師二名が二十四時間常駐しており、入所者の体調不良時に備え、二十四時間オンコールで対応する医師一名を配置しているところです。  入所者の健康状態の確認につきましては、体温計やパルスオキシメーターを貸与の上、一日二回、看護師が施設の内線電話による聞き取りを行うほか、症状によっては患部の写真を看護師のパソコンにメールで送ってもらい、それを医師が確認しているところです。  宿泊療養中に症状が悪化した場合は、県の調整本部の医師と宿泊施設の医師が協議の上、入院先を選定しているところです。二月末現在で五十九名が症状悪化により転院となりましたが、そのうち人工呼吸器が必要となるなどの重症化したケースはありません。  次に、宿泊療養の現状と課題についてでございます。  現在の宿泊施設につきましては、鹿児島市に三か所、奄美市に一か所、大隅半島に一か所、合計五か所で五百七十七室を確保しているところです。宿泊施設には、二月末までに八百九十一名が入所し、うち医療圏を超えて入所した方は三百二十名です。  昨年十二月以降の相次ぐクラスター発生等により、感染者が急増したことから、宿泊療養に協力する申出があった宿泊施設の中から、客室数・設備、受入れまでの準備期間、宿泊施設側で対応が可能なサービス等を考慮した上で、鹿児島市内のホテルで新たに受入れを開始したところです。  これまで、鹿児島市の宿泊施設で入所中に症状が悪化したため、鹿児島市の医療機関に転院した五十八名のうち、鹿児島医療圏以外の居住者は十六名であり、鹿児島医療圏における医療提供体制に大きな影響はなかったと考えています。  宿泊療養の課題につきましては、全国的に看護職員等の人材確保や部屋の消毒・清掃等の運用面の対応が挙げられていますが、本県におきましては、県医師会や看護協会、宿泊施設、清掃会社など関係機関等と連携を図り、宿泊施設の運用に支障を来さないよう取り組んでいるところです。  次に、重症化リスクの判定についてでございます。  国が示している、新型コロナウイルス感染症診療の手引きによりますと、御指摘の、血清中のたんぱく質であるインターフェロンラムダ3について、酸素投与を要する中等症II以上の症状を示す前に上昇することが知られておりまして、基本的に、入院患者を対象に測定することで重症化を予測できる可能性があるとされていますが、陰性であっても重症化の可能性を完全に除外することは困難とされているところです。  また、検査結果が判明するまでに二、三日を要するとされておりまして、入院か宿泊療養かの判断には適さないのではないかと考えています。  治療方針等についてでございます。  新型コロナウイルス感染症につきましては、国の新型コロナウイルス感染症診療の手引きにおいて、臨床像、重症度分類、薬物療法、退院基準等が示されており、知見の積み重ねにより、昨年三月に発行されて以降、これまでに七回にわたり内容が見直されているところです。  県では、この手引きを見直しのたびに医療機関等に周知しているところです。  県内はもとより全国の医療機関において、医師がこの手引きを参考に、入院患者の病状や基礎疾患等を考慮し、総合的に判断して治療を行っているものと承知しています。  転院先となり得る医療機関の確保についてでございます。  国は、都道府県に対し、新型コロナウイルス感染症患者用の病床の対応能力を拡大するため、新型コロナウイルス感染症から回復した後、引き続き入院管理が必要な患者を受け入れる後方支援医療機関の確保に取り組むよう求めているところです。  本県におきましては、これまで、クラスターが発生した医療機関等において、医師会が中心となって医療機関と調整し、回復患者を一時的に受け入れる病床を確保してきたところです。  また、県医師会は、本年二月に医療機関に対し、新型コロナウイルス感染症から回復した患者の一時的な受入れについての調査を実施し、八十六医療機関から二百十一名の受入れの意向が示されているところです。  今後とも、県医師会等と連携し、退院基準を満たした患者を一時的に受け入れる医療機関の確保に努めてまいります。  入院病床の確保数と入院先選定のルールについてでございます。  現在、新型コロナウイルス感染症の入院病床として五十医療機関、三百七十五床確保しています。このうち、第二種感染症対応病床は十二医療機関四十四床であり、県病床確保計画において、平常時のフェーズ1の段階では、原則当該病床において患者の受入れを行うこととしており、感染者が増加し、フェーズ2に移行した段階から、感染症対応病床以外での受入れを行うこととしているところです。  感染者の入院先の調整につきましては、管轄の保健所または県調整本部において、当該患者の症状や基礎疾患などの情報を基に、医療機関における受入れ状況等も踏まえながら判断しているところです。  死亡者の推移についてでございます。  二月末時点の県内の新型コロナウイルス感染者千七百六十一人のうち、二十六人の死亡が確認されており、そのうち、本年一月と二月に合計十二人の死亡が確認されているところです。
     死亡者の年代につきましては、六十代二人、七十代三人、八十代十一人、九十歳以上十人と全て高齢者となっています。感染者に占める死亡者の割合は、全体で一・五%となっていますが、六十歳以上の方に限ると、その割合は五・二%となっているところです。  また、死亡者の全ての方が糖尿病や心疾患などの基礎疾患を有していたところです。  次に、ECMOの保有台数等についてでございます。  新型コロナウイルス感染症医療機関等情報支援システム、通称G─MISによりますと、重篤・重症の入院患者を受け入れる医療機関において、本年二月末時点でECMOが二十台保有されており、医療圏ごとの内訳としましては、鹿児島医療圏で十六台、肝属医療圏で三台、奄美医療圏で一台となっています。  また、ECMOの使用実績は、二月末までの時点で二名であり、いずれも、当初入院を受け入れていた医療機関から重症患者の受入れが可能な医療機関へ転院したものです。  新型コロナワクチンについて、まず、県と市町村の役割についてでございます。  新型コロナワクチンの接種につきましては、国の指示の下、住民に身近な市町村が接種事務を実施し、県は、広域的観点から必要な調整を担うこととなっています。  市町村におきましては、実施主体として、医療機関等との委託契約、接種費用の支払い、医療機関以外の接種会場の確保、住民への接種勧奨、情報提供、相談受付、健康被害救済の申請受付、給付等の事務を実施することとされています。  県においては、医療従事者等への接種体制の構築、市町村への助言・支援や広域調整、ワクチンの流通や配分、専門的な相談や問合せに対応するコールセンターの設置などを担うこととなっています。  今後とも、関係機関や市町村と必要な連携を図り、ワクチン接種が円滑に進められるよう努めてまいります。  SNS予約システムの検討状況や副反応の公表方法及び接種率向上のインセンティブについてでございます。  現在、SNSを利用したワクチン接種予約システムは、県内の十三市町が導入を検討しているところです。  ワクチン接種後の副反応につきましては、国は、死亡やアナフィラキシー事例が判明した時点で速やかに公表を行うとともに、直近に開催される厚生労働省の合同部会で評価を行うこととしています。また、死亡やアナフィラキシー以外の事例についても、厚生労働省の同部会において公表することとしています。  新型コロナワクチンにつきましては、本県を含む全国の被接種者に対して、国などにおいて、接種後の健康状況に関する調査が行われることとされており、本県で独自に集計することは予定していないところです。  また、接種率向上につながるインセンティブにつきましては、六市町で検討していると聞いています。  ワクチン接種に向けた県民への情報提供等についてでございます。  ワクチン接種に関する情報は、自らの意思で接種の判断を行う上で重要でありますことから、予防接種による感染症予防の効果と副反応のリスクの双方について理解した上で、接種を受けていただけるよう、国は、国民や医療機関等に対し、科学的知見に基づいた正確な情報を丁寧に発信することとしています。  県といたしましては、県民が適切に接種の判断ができるよう、これらの情報の周知・広報に努めてまいります。  ワクチン接種の呼びかけにつきましては、市町村及び都道府県は、広報誌、ホームページ、電話相談等により、住民が適切に情報を得ることができるように情報提供体制を整備することとされていることから、県と市町村で連携し、適切な情報提供に努めてまいります。  無症状者に対するPCR検査についてでございます。  高齢者等が新型コロナウイルスに感染すると重症化しやすく、入院期間も長期間になる傾向がありますことから、高齢者施設等における感染防止対策を徹底することは重要であると考えています。  県では、感染防止対策として、特に高齢者施設に対して、県看護協会が作成したコロナ対策チェックリストに基づく緊急再点検を実施するよう依頼したところです。また、県看護協会、医師会、医療機関等の関係団体・機関と連携して、ゾーニングを含めた感染防止対策のための実地指導、いわゆるラウンドにも取り組んでいるところであり、緊急再点検の結果も踏まえ、引き続き実施していくこととしています。  また、県では、施設内に感染者を確認した場合には、その感染状況に応じて、拡大防止対策として、関連する施設を含む施設の入院患者や入所者、従事者を対象に、複数回にわたって幅広くPCR検査を実施し、感染拡大防止に努めてきたところです。  現在の本県における感染状況やクラスターの発生状況を踏まえると、無症状者に対する一斉・定期的な検査を実施するような状況ではなく、検査機関への負荷や費用対効果などの課題があると考えています。  今後の感染状況やクラスターの発生状況等を踏まえながら、一斉・定期的な検査の実施について検討してまいりたいと考えています。 6 ◯男女共同参画局長(印南百合子君)県人権条例の内容と感染症に対する対応についてでございます。  県では、県民の人権意識の醸成と人権問題の解消を一層推進し、一人一人の人権が尊重される社会を実現するため、来年度、人権条例を制定したいと考えております。  条例制定の背景には、今回の新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、深刻な偏見や差別が生じたこともあり、感染症に係る人権問題については、解決すべき重要な課題であると認識しております。  なお、条例の内容については、今後設置する予定の検討委員会において御審議いただき、県議会における御論議や県民の御意見等を踏まえることとしております。 7 ◯宝来良治君 一点だけ自席から再質問します。  知事、ワクチン接種に関してですが、アレルギーがあったり、基礎疾患があったりで、打ちたくても打てない人がいると。そういう方を守るためにも、一人でも多く県民が接種しないといけないんですが、私は、県が、医療体制を確保するため、こういう人々を守るために積極的に予防接種を呼びかけるべきだと思いますが、再度御答弁いただけますか。 8 ◯知事(塩田康一君)おっしゃるように、県全体の、県民の皆さんの安心・安全のためにワクチンを多くの方に接種していただくということは大変重要なことであると考えておりまして、今、御指摘のようなことで呼びかけを進めていきたいと思います。    [宝来良治君登壇] 9 ◯宝来良治君 御答弁ありがとうございました。  引き続き、質問に入りたいと思います。  GoToキャンペーンですが、マスコミを通して、GoToトラベルを介して感染拡大が広がったというような情報が出ていますが、お手元に配付した資料を見ていただくと、県内の宿泊者数と県内の感染者数の推移というのは全く相関がないと、逆に、丸で囲んでいる七月から十月、十一月から一月ではその逆相関となっていることから、鹿児島県の感染状況からは、GoToトラベルと感染拡大には因果関係がないと私は判断しているところです。  そこで、GoToトラベルを一部で悪者扱いするような風潮もありますが、鹿児島県としてGoToトラベルをどのように評価しているのか、示していただきたいと思います。  また、二月八日より、県民向けプレミアム宿泊券の利用や割引旅行商品の販売が順次再開されているところでありますが、県として、感染状況を見ながら、経済活動を徐々に活性化していこうという意思の表れだとも考えます。  そこで、先日、GoToトラベルについて国交省とのオンライン会議もあったようですが、現在停止しているGoToトラベルの再開について、どうあるべきと考えているのか、お示しください。  また、感染拡大期を過ぎた鹿児島県では、感染症拡大の最大の原因とされた飲食店について、県はどのように活性化策を取っていくのか。また、疲弊し切った夜の飲食店や接待を伴う飲食について、どのようなメッセージを送って、一日も早く以前のにぎわいを取り戻していくのか。具体的に感染予防対策を取っている飲食店においては、大声でしゃべらないや、お酌をしないなどのルールを守っていれば、何人何時間までだったらオーケーですよというような、知事の明確なメッセージを天文館を含めた県下の飲食店の方々が待っていると思います。  知事は自ら、時短営業を一月にお願いして、一度、人の波を強力に引き締めたわけですから、感染拡大期を脱した今、今度は知事自ら、人の波をしっかりと呼び戻すメッセージを出す責任があると考えますが、知事の考えをお示しください。  薬局薬剤師の慰労金についてです。  昨年四月から六月の間、新型コロナウイルス感染症に対する医療提供に関し、都道府県から役割を設定された医療機関等に勤務し患者と接する医療従事者や職員に対して、慰労金として最大二十万円、その他病院等に勤務し患者と接する医療従事者や職員には五万円というような国の事業が実施されました。その範囲は、医療・介護・障害福祉の分野で働く方へのものでしたが、我々薬局薬剤師には、その慰労金は残念ながら一部にしか届きませんでした。  現在、病院で診察後には、約八割の患者さんが、院外処方という形で薬を調剤してもらうために薬局を訪れている現状があります。  そのような国の事業の支援から漏れた薬局薬剤師のために、宮崎、佐賀、熊本、神奈川、高知など、県独自の対応として慰労金が薬局薬剤師へ支給されているところであります。  この慰労金が事業化された時点では、鹿児島での感染者もほとんどいなかったのは事実ですが、県内でも昨年七月以降、度重なるクラスターも発生していること、十一月からは、協力してくれる一般病院でもコロナ疑いの患者の診察が行われていること、その患者が薬局で薬をもらう可能性があること、一月には、鹿児島県としても感染拡大警報を出すほどの感染者の拡大が見られたことなどから、薬局薬剤師が感染者に接触する機会が目に見えて多くなってきております。  我々薬剤師は、業務として、感染の可能性のある患者へもしっかりと継続して対応している状況であります。  そこでお伺いします。  医療を支える薬局薬剤師へ、他県が実施しているような慰労金、もしくは他の方法で薬剤師に対する県独自の支援をすべきだと考えますが、県の考えをお示しください。  休業支援金・給付金等についてでございます。  コロナの影響から企業を守るために持続化給付金や休業協力金などがあります。これは、コロナの影響で業績にダメージを受けた企業、つまり経営者側に支払われる資金であります。そして、それらの企業に雇用されている従業員には、休業や勤務時間の短縮を余儀なくされた場合、雇用調整助成金を活用して基本的に休業手当が支給されているところではあります。  しかしながら、圧倒的に中小企業・零細企業が多い我が国では、事務処理や資金繰りの面から、必要な方々にそれらの制度は使われていない可能性があるということで、国は、中小企業に勤務していたアルバイトやパート従業員などに対して、自ら申請し、コロナの影響により減少した給与分の給付を受け取ることができる休業支援金・給付金の制度を創設し、対応しているところであります。  現状として、非正規社員のパートの方、アルバイトの方々も、営業時間短縮などにより、シフトが減少し、通常より得られる賃金・給料が少なくなり、生活に影響があるとする方が多数いらっしゃいます。  このことは、社会福祉協議会が窓口になっている緊急小口資金の貸付けなどがかなり利用されており、さらに総合支援金に移行した例が多数見られることからも推測されることです。  さらに、政府からは、休業支援金・給付金事業の予算執行率がかなり低いという報告もありました。  このような背景を見ると、雇用調整助成金と休業支援金・給付金については、共に休業者への支援制度ではありますが、これらが必要な方々にうまく使われていない可能性があると考えるところです。  鹿児島県でも昨年に続き今年一月、県内の五市に限定したものではありましたが、時短要請がなされました。時短に協力していただいた事業者は、これらの制度を利用してパートやアルバイトの方を含め、全ての従業員の収入を確保しなければならないと考えます。  そこで、雇用の問題と福祉の問題とのはざまの課題だとは言えますが、雇用調整助成金による支援や休業支援金・給付金の支給が必要な方々に届くために、県としてどのように取り組んでいるのか、お答えください。  次に、災害ボランティアについてです。  昨年七月、熊本県球磨川流域において甚大な豪雨被害が発生しました。同時期に鹿屋市等でも豪雨による被害が発生しております。自然災害は、新型コロナとは関係なしに発生しており、さらに、近年は甚大化が大きな課題になっています。自然災害に関しては、県や国も、その予算組みに関して柔軟に素早く対応している状況だとは言えます。しかしながら、個人等の敷地内での災害被害に関しては、行政の手は基本的には届かなく、自力による復旧作業が必要となります。  その自力復旧を手助けするのが災害ボランティアです。ボランティア元年と言われた阪神・淡路大震災以来、大きな自然災害が発生すると、全国からボランティアが集結し、自力復旧が困難な住宅地等の復旧作業を手伝い、一日も早い日常を取り戻すため活躍しています。  この災害ボランティアの活動を主に調整・運営しているのは、災害ボランティアセンターです。一たび、災害復旧に多くのボランティアを必要とする災害が発生すると、各地域の社会福祉協議会にあるボランティアセンターは、災害ボランティアセンターを開設し、全国から集まるボランティアの受付、作業の振り分け、ニーズの把握、そしてボランティアの方々の保険への対応をすることになります。  しかしながら、昨年七月の豪雨もですが、新型コロナがこの災害ボランティアの在り方に大きな変化を与えました。ボランティアは全国各地から集結するため、感染症の拡大を避けるためには、人の流れを制限する必要もあることから、災害ボランティアセンターも、地域外・県外からの災害ボランティアの受入れを中止せざるを得ない状況となっています。  また、ボランティア活動を行うために必須のボランティア保険に関しても、ボランティアセンターが窓口になっていることもあり、ボランティアセンターが地域外や県外ボランティアの受入れを表明していない場合、県外・地域外の方はこのボランティア保険の支払いがされないという現状があります。  このような状況により、ボランティアの人数は限られ、災害復旧に、特に住宅等の復旧に大きな影響が出ていると言わざるを得ません。  新型コロナに関しては、県が医療体制確保のために様々なメッセージを出すことが多くなっています。県外との往来を自粛する、不要不急の外出を控えるなどです。県のこのような考え方と同調しなければならないことから、県の考え方を尊重して、災害ボランティアセンターはボランティアの募集を決定していると思われます。  そこでお伺いします。  現在、社会福祉協議会等が運営する災害ボランティアセンターは、どのようにしてボランティアの募集範囲を決定しているのか。  ボランティアを行う際、加入が必要となるボランティア保険の今回の事例など、現状はどのようになっているのか。  また、自治体をまたぐ大規模災害のときは、各自治体でボランティア募集に関する考え方が異なる場合も想定されます。そのような場合、県としてどのような役割を担えるのか。  通常は、ボランティアの募集等広報活動もボランティアセンターが独自の予算で行っていると聞いていますが、県外からのボランティアを制限する場合、県内で可能な限り多くのボランティアを募集することになることから、その場合は、県も積極的に支援する必要があると思うが、県の考えをお示しください。  最後に、離島・へき地におけるICT技術を活用した遠隔医療推進事業についてです。  新型コロナの影響により、遠隔医療つまりオンライン診療は一気に十年進んだと言われています。法律を含め、医師サイド、薬局サイド、医療を提供する側の様々な壁があると言われていましたが、その壁を一気に飛び超えた形となっています。  現在は時限措置としてですが、初めての患者さんでもオンライン診療を受けることが可能となっています。これからも、ICTを活用した遠隔医療はますます進歩していくことになるでしょう。そのためには、医療の質を守るためにも様々な制限も必要となるとは思いますが、行政としては、まずはそのインフラ整備と、ICTを活用した技術の有効性や便利さを使用する県民側にしっかりと伝える必要があると考えます。  しかしながら、現時点で離島の保健師に聞いたところ、「医療を必要とする高齢者でオンライン診療を希望する方はほとんどおらん。先生と直接会わんで、何が分かっとな。そいで何になっとな」というような感じだという意見もあるところです。スマホもタブレットもテレビ電話も使用したことのない方々には、オンライン診療は敷居が高いと言っても過言ではない状況と言えます。  遠隔医療体制を整備するためには、サービス提供側と利用者側という両観点から同時並行して進めていかないと、利用者側が取り残されてしまい、仕組みはできても利用されないという事態に陥ることになります。  小規模離島を有し、医療体制の脆弱さから、その島に住むことをためらう方々もいるのも事実です。ICTを活用した遠隔医療がしっかりと進んでいけば、魅力ある離島暮らしに、より安心感を得ることができ、定住促進にもつながると考えます。  そこでお聞きします。  今回、離島・へき地におけるICT技術を活用した遠隔医療推進事業が予算に計上されていますが、今回はどのような事業を計画しているのか。今後、継続的に事業を行い、遠隔医療体制を整備することになると思いますが、今後どのような展開を考えているのか。  特に医療提供の場合、利用する側がそのメリット・デメリットをしっかりと理解して初めて広く利用されると思いますが、医療を受ける大部分が高齢者だということを加味すると、まずは、オンラインという仕組み自体を体験してもらうことが先決だと考えますが、県として、一人でも多くの高齢者に最新の技術を体験してもらうような機会の創出が大事だと思いますが、県の考えをお示しください。    [知事塩田康一君登壇] 10 ◯知事(塩田康一君)飲食店の利用についての知事メッセージについてでございます。  私は、昨年の夏就任以来、県民の安心・安全と社会経済活動の両立を目指して、あらゆる幅広い業種において感染防止対策の支援等を行ってきたところでございます。  また、多くの飲食店においても、こうした取組を進めていただいていると考えておりまして、県としても、そういった動きを促進する、あるいは県民の皆さんに見える化するための感染防止対策実施宣言ステッカーの発行等を行ってきているところでございます。  また、県においては、警戒基準を設けまして、ステージIIという判断をしており、ステージIIの間においては、GoToイートなどの人数制限等も行わず、また、県民の皆様方に社会的な要請も行わないということで、経済活動をしっかりと回していく、そういうことで進めてきたところでございますが、昨年の年末のGoTo停止等、あるいは首都圏における感染の拡大ということで、県民の中で会食の自粛というような動きが促進され、飲食店等にとっては大変厳しい状況になってきたものと認識してきております。  また、年末年始から本県においても感染が拡大し、医療提供体制が逼迫するおそれが高まったことから、感染状況の段階をステージIIからIIIに引き上げ、一月二十二日に感染拡大警報を発令するとともに、飲食の場における感染リスクを効果的に減らす観点から、県議会の皆様方からの強い要請も踏まえまして、一月二十五日から二週間、鹿児島市など都市部の飲食店に対する営業時間の短縮要請を行ったところであります。多くの飲食店、あるいは県民の皆様方に協力を頂いたことに感謝申し上げたいと考えております。  また、多くの飲食店の皆様方には、先ほど申し上げたような、業種別ガイドラインに従って、アクリル板設置あるいは換気対策などの感染防止対策を取っていただいている中で、このような要請を行うことは大変心苦しいことではありましたけれども、県全体の感染リスクを下げる観点から、飲食店が多い五つの都市に限って、午後八時までではなく、午後九時までということでお願いしたところでございます。  営業時間短縮要請に当たりましては、対象時間以外の時間帯においては、これまでどおり飲食のクーポン券等も使用できること、あるいは午後九時以降もデリバリー・テイクアウトには使用していただけること、会食に当たってはマスク着用、大声を出さないなどの感染防止対策を取って行うこと、そういったことをしながら、あるいは県のステッカーを取得するなどガイドラインの遵守している、そういう飲食店のリストを参考にしながら、お店を選んでいただくといったようなメッセージをこれまでも発信してきたところでございます。  時短終了後においても、これから春の異動シーズンを迎えるわけでございますけれども、こうした感染防止対策をしっかりと徹底して飲食店を御利用いただきたいと考えており、今後とも、様々な機会を捉えてメッセージを発出するとともに、感染防止対策と経済活動の両立を図ってまいりたいと考えております。 11 ◯PR・観光戦略部長(木場信人君)GoToトラベルに対する県の評価と再開についてでございます。  県内の主要施設の宿泊者数は、昨年五月時点で前年比約九割減と大きく落ち込みましたが、七月にGoToトラベル事業が開始され、十月からは東京発着の旅行にも適用された結果、旅行需要は徐々に回復し、十一月にはおおむね前年並みまで持ち直す動きが見られたところでございます。  また、県内観光関連事業者からも、GoToトラベルは需要回復に大きな効果があったとの声があります。  GoToトラベル事業は、参加施設に感染防止対策が義務づけられるなど、感染拡大防止に配慮しながら実施されており、観光需要喚起としては大変有効な施策であると考えています。  GoToトラベル事業の再開につきましては、各県により感染状況が異なることから、全国一律ではなく、地域の実情も踏まえ、県単位など感染が落ち着いている地域での再開、また、そのような地域間や九州などブロック内での制度適用など、感染状況に応じて適切かつ柔軟に運用することが必要だと考えています。  このことにつきましては、全国知事会を通じて国に要望しているほか、オンライン意見交換の場においても、国土交通大臣に直接お願いしたところであります。 12 ◯商工労働水産部長(五田嘉博君)GoToキャンペーンについてのうち、飲食の活性化策についてであります。  飲食店や宿泊施設での飲食に利用できる、ぐりぶー飲食券及びぐるめクーポンの利用店舗については、新型コロナウイルス感染防止対策実施宣言ステッカーの取得を要件としております。  また、ぐるめクーポンの発行に当たっては、利用客として求められる感染防止対策についても、併せて周知しているところであります。  このような感染防止のための取組を行いつつ、当初一月末としていた利用期限を五月末まで延長し、さらに六月からは、飲食に加え、お茶と花卉等にも対象を広げた新たな割引クーポンを発行することとしております。  県としては、引き続き、県民の消費意欲を喚起し、経済活性化を図ってまいります。
     次に、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金や雇用調整助成金の周知についてであります。  この支援金・給付金及び雇用調整助成金は、いずれも、時短営業などで勤務時間が減少した場合などの短時間勤務、シフト日数の減少なども対象としております。  これらの制度の対象や内容については、支給窓口の鹿児島労働局がホームページや新聞で周知するほか、大学へも案内するとともに、ハローワーク等で個別の相談に応じております。  また、県においては、この支援金・給付金及び雇用調整助成金について、ホームページに掲載するとともに、県のコールセンター「コロナ相談かごしま」で相談に応じております。  なお、支援金・給付金については、県社会福祉協議会と連携して、緊急小口資金等の貸付窓口である市町村社会福祉協議会に、相談者に対する紹介をお願いしているところであります。 13 ◯くらし保健福祉部長(地頭所 恵君)薬局薬剤師への慰労金についてでございます。  薬局薬剤師につきましては、医療従事者として強い使命感を持って調剤・服薬指導などの業務に従事していただいているところです。  新型コロナウイルス感染症対応従事者慰労金交付事業におきましては、国は、保険薬局について、調剤など不可欠な役割を担うものであるが、クラスター発生のおそれは相対的に低く、患者に直接処置や治療を行う医療機関の従事者とは性質が異なると考えられることから、対象としておらず、県においても、こうした国の考えに基づき対応しているところです。  保険薬局に対する支援としましては、感染拡大防止等支援事業におきまして、薬局内での感染拡大を防ぎながら、地域で求められる医療を提供することができるよう、七十万円を上限に助成し、事業継続を支援したところです。  また、介護サービス事業所等職員慰労金支給事業において、対象期間に十日以上居宅等を訪問し利用者と接する薬剤師に対して、慰労金を支給しているところです。  なお、県としては、薬局等の経営安定化のための財政支援等の拡充を図るよう、全国知事会を通じて要望しているところです。  次に、災害ボランティアの募集や保険についてでございます。  市町村の社会福祉協議会が設置する災害ボランティアセンターにおいては、全国社会福祉協議会の通知等を踏まえ、市町村の災害対策本部と協議し、ボランティアの募集範囲等を判断していると承知しています。  ボランティア保険につきましては、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、被災地の災害ボランティアセンターが県外等からの参加を募集しない場合には、募集対象外の地域からのボランティアのけが等は、同保険による支払いの対象とならないところです。  県内の自治体間で募集範囲等が異なる場合や、県外からの募集を制限し、県内のみでボランティアを募集する場合には、災害ボランティア活動を希望する方がそれらの情報について事前に把握できるよう、県としても、ホームページやSNSを活用し、関係団体とも連携して周知に取り組んでまいりたいと考えています。  離島・へき地におけるICT技術を活用した遠隔医療推進事業についてでございます。  本県の離島・僻地においては、医療機関の利用が困難な地域が存在していることから、来年度において、離島・僻地医療の充実を図るため、ICT技術を活用した遠隔医療の推進に関する調査・研究を実施することとし、当初予算案に二百二十九万千円を計上したところです。  具体的には、離島・へき地における遠隔医療に関する研究会を設置し、離島・僻地が抱える課題やニーズ、遠隔医療の推進に向けた課題等について調査研究を行うとともに、全国の先進事例等の実態を調査することとしています。  県といたしましては、まずは来年度の調査研究事業の結果を踏まえ、本県の離島・僻地における遠隔医療の導入可能性や活用方法について検討してまいります。 14 ◯宝来良治君 自席から、知事、一点だけ。  我々は天文館に行くとき、非常に周りから、本当に行っていいのと言われるんですよね。知事も多分、同じ立場だと思います。知事は、天文館での会食に誘われたら参加するつもりでいますか。そこだけはっきりお願いいたします。 15 ◯知事(塩田康一君)私は前から足を運んでおりますし、最近では一人でもあちこち回っております。 16 ◯副議長(堀之内芳平君)ここで、休憩いたします。  再開は、午前十一時十分といたします。        午前十一時一分休憩       ───────────        午前十一時十分再開 17 ◯副議長(堀之内芳平君)再開いたします。  次は、永井章義君に発言を許可いたします。    [永井章義君登壇](拍手) 18 ◯永井章義君 一般質問も二日目、二番手となりました。  早速、通告に従い質問に入らせていただきます。  まず初めに、新たな過疎法に関してお伺いいたします。  代表質問でもありましたが、現行の過疎法の期限切れを迎えるに当たり、国において過疎地域の指定要件など多くの議論がありました。  振り返ってみますと、過疎地域においては、これまで四次にわたる過疎法に基づき、産業の振興、交通・生活環境・福祉等の施設整備、地域医療の確保、教育の機会の充実など多くの施策を実施し、成果を上げてきました。  一方で、過疎地域の現状は、人口減少や少子高齢化はなお著しく、経済指標や公共施設の整備水準など格差が依然としてあるほか、医療・介護人材の確保、集落の維持・活性化など依然として多くの課題があります。  そのような現状を踏まえつつ、新たな過疎法においては、基本的指針において、今後の国土形成の在り方として、都市への集中から地方への分散の流れを加速させ、過疎対策は、条件不利性の克服という基本的な考えは維持しつつ、持続可能な地域社会の形成や、過疎地域が有する可能性の実現による発展に重点を置いて推進していく方向であることがうかがえます。  その議論の中で、今回初めて、過疎地域の指定要件の中で、人口要件において、人口減少率を判定する期間の基準年の見直し案が示されました。具体的には、今日までは昭和三十五年を基準年としておりましたが、昭和五十年とする案が示され、新たな減少率に基づくと、本県においても、複数の市町村が対象から外れることになり、大きな波紋が広がりました。  市町村の多くは、その事業・施策推進において、大部分は過疎債を活用して行われており、対象外となると多大な支障を来すことになります。  人口要件において、市町村では、定住促進に努力した結果、対象地域から卒業を指摘される矛盾、また、離島においては、I・Uターン者以外に島内における人口の移動という現実もあり、市町村というエリアだけではなく、島全体の人口の推移も考慮すべきとの意見もあります。  新たな過疎法においては、十分な激変緩和措置を講ずる必要があるため、法制定時に限り、基準年として昭和三十五年を併用することが示され、安堵するところでありますが、今後の推移を注視する必要があると思います。  人口要件も大きな要素でありますが、現実には、財政力要件、自治体の実情を十分加味した法制定であるべきだと思います。  まず、本県の考え、主張をお聞かせください。  あわせて、過疎地域の持続的発展を図るため、移住・定住の促進、人材の育成、雇用の場の創出、通信・デジタル化等新技術の活用による各種対策の推進、集落ネットワーク圏の形成による集落の維持・活性化など、重点分野としてうたわれておりますが、これらと呼応して、県として、過疎地域の対応としてどのように取り組んでいくのか、お示しください。  また、重点分野の中、市町村間の連携の推進もうたわれています。平成の合併は一段落していますが、広域的連携による事業・施策の推進は必要なことです。市町村における独自の特性を生かした取組を支援するとともに、効果・効率性を高める意味でも、広域的観点での事業・施策の展開が求められています。  本県として、市町村間の連携の推進のためにどのように取り組んでいくのか、お示しください。  次に、中小企業・小規模事業者の振興に関してお伺いいたします。  現在、コロナ禍の中、飲食店や旅行業者をはじめ、多くの業種の方々が大変厳しい現状にあります。一日も早い終息を願うと同時に、中小企業・小規模事業者の方々の事業継続と、雇用と暮らしを支えていくことが最も求められています。  本県の、中小企業・小規模企業の振興に関するかごしま県民条例において、県の責務として、基本方針を踏まえ、中小企業・小規模企業の振興に関する施策について、毎年度の推進計画の策定・公表とその実施、あわせて、各事業者や関係団体と協議するなど、毎年度その意見を聞く機会を設け、中小企業振興施策を立案し、その意見を中小企業振興施策へ反映させることがうたわれています。  まず、令和二年の協議の場での意見はどのようなものがあったのか、また、それらをどのように反映されたのか、あわせて、コロナ禍の対策も含め、令和三年度の年度推進計画はどのような特色を持って取り組んでいくのか、お示しください。  また、各年度の推進計画を見る中で感じることでありますけれども、推進計画には数値目標が示されていません。  本県の農政推進においては、農業産出額や担い手の確保数、担い手の農業所得、県産農畜産物の輸出額など多くの分野で数値目標があります。  商工政策では数値目標を表しにくい部分もありますが、例えば、障害者雇用促進事業において、県内の企業の平均法定雇用率を示し、その後の事業実施年度ごとの雇用率を勘案し、将来の法定雇用充足目標年度を設定することや、起業家スタートアップ支援事業や重点業種研究開発支援事業など、複数の分野でも将来の目標を掲げ、目に見える形で事業の成果を図ることも必要であると思いますが、本県の考えをお示しください。  地域産業の振興に関し、伝統的工芸品の振興に関してお伺いします。  先日は、恒例の大島紬着用の日において、議場におられる全ての方々に大島紬やネクタイ、マスク等を身につけて御参加を賜りました。議連の一人として心から感謝申し上げます。  大島紬は、長年にわたり伝統的な多くの工程を経て作られ、その緻密な繊細さと手織りによる温かいぬくもりがあり、着用すると、日本人として忘れてはならない文化と心を強く感じるものであります。  伝統的工芸品産業は、多くの従事する方々がおられる裾野の広い、かけがえのない産業でありますが、現状は御案内のように、生活様式の変化に伴い大変厳しい実情にあります。  昨年、販路拡大・促進のため、各産地組合及び事業者が計画する催事への支援事業が示されましたが、まず、現在までの活用状況をお示しください。  また、現在、コロナ禍の中にあり、催事自体が開催しづらい実情があります。本事業は年度内の事業であったと思いますが、今後の展開を思うとき、継続した取組と一層の拡充を願いますが、本県の考え・取組をお示しください。  従前より、伝統的工芸品の本県の無形文化財指定への要望があります。伝統的工芸品の付加価値を高め、従事者のステータスを高める意味でも意義あることだと思います。今日まで、大島紬への検討が進められていますが、審議会における検討状況、また、産地組合との協議を含め、県教委としてのお考え・取組をお示しください。  あわせて、未来を担う子供たちに、ものづくりの観点から、県内のそれぞれの地域にある伝統的工芸品の製造工程や製品に親しむ学習の機会の奨励は大切なことであると思います。教育現場での取組状況と教育委員会としてのお考えをお聞かせください。  工業高校における設備科・土木科の設置について、改めてお伺いいたします。  多くの業界において、後継者の育成・担い手の確保は大きな命題です。本県においては、十数年前に設備科は廃止となり、土木科においても、充足率が低いということで廃止となった地域もあります。先般も関係業界の方々から、新規人材の確保が大変厳しい現状にあるということの訴えがありました。  全国的な傾向ではありますが、愛知県や三重県では工夫した取組が進められています。一例を挙げると、工業高校の名称も工科高等学校に変更し、ITコースや時代に即した学科をつくると同時に、土木科も都市工学科に変えて、イメージ的にも募集がしやすい科にして、複数学科の一括募集等、コース選択の幅を持たせたやり方や、土木業界の方々と、地域における土木科の在り方はどうあるべきかとそれぞれに検討チームをつくり、その結果として、実習は企業で、学習は学校で行う、そういうお互いの分担の在り方を決めてスタートしているところもあります。  本県としては、まず生徒に興味・関心を持ってもらう意味で、企業のガイダンスや出前授業を行っているところです。この課題について、県教委として、「今後も研究を重ねてまいります」との答弁でありましたが、今後の方向性として、各業界団体とどのような協議をし、本県の在り方として、コースの設定はできないのか、また、カリキュラムの中に組み入れることはできないのか、どのような研究工夫をされているのか、取組をお示しください。  以上、一回目といたします。 19 ◯企画部長(藤本徳昭君)新たな過疎法に関してお尋ねがありました。  まず、過疎法制定に係る県の考え方についてであります。  現行の過疎法は今年度末で期限が到来することから、新たな法案が今国会において審議される予定となっております。  過疎地域の要件は、現行法と同様、市町村ごとの人口要件と財政力要件であり、このうち、人口要件に係る人口減少率の基準年が見直される見込みであります。  県といたしましては、人口要件の見直しに当たっては、人口減少対策により成果を上げつつも、中山間・半島先端地域、離島など、地理的・経済的・社会的に厳しい条件にあり、財政基盤も脆弱な市町村もありますことから、地域の実情を踏まえた特別な配慮を行う必要があると考えており、その旨を県開発促進協議会等を通じて要望してきたところであります。  なお、新たな過疎法案におきましては、現行の過疎地域について、基準年の見直しに伴う激変緩和措置などが講じられる見込みであり、地域の実情に配慮いただいた内容となっていると考えております。  次に、新たな過疎法への今後の取組についてであります。  新たな過疎法案においては、過疎対策の理念として持続的発展を掲げ、移住・定住の促進等による人の流れの創出、地域社会の担い手となる人材の育成・確保、企業移転等による雇用の場の創出、情報通信基盤の整備、各種社会資本の整備による安全・安心の確保、地域文化の振興等による個性豊かな地域社会の形成などに重点を置いた対策を進めることとしております。  県といたしましては、今後、新たな過疎法の成立を待って、関係市町村とも連携を図りながら、田園回帰の流れなど、過疎地域の可能性を広げる新たな潮流に即応した過疎対策のための計画策定等に着手し、過疎地域における持続可能な地域社会の形成及び地域資源等を活用した地域活力のさらなる向上が実現するよう努めてまいります。 20 ◯総務部長(平木万也君)市町村間の連携の推進についてでございます。  本県市町村においては、三十六の一部事務組合や二つの広域連合の設置等により、ごみ・し尿処理や救急・消防、介護区分認定審査などの事務を共同処理しているほか、鹿児島市を連携中枢都市とする、かごしま連携中枢都市圏や五つの定住自立圏が形成され、夜間急病センターの運営、コミュニティーバスの運行、移住促進の合同相談会の開催などの連携した取組が実施されております。  このような中、昨年六月の第三十二次地方制度調査会の答申においては、市町村は、多様な手法の中から選択した広域連携の取組により、加速する人口減少、人口増加期に集中的に整備してきたインフラの老朽化、Society5・0の到来、大規模災害のリスクなどの変化・課題等に対応し、必要な行政サービスを提供していくことが重要であり、また、都道府県は、市町村の求めに応じ、連携の相手方、方法等の助言や、調整、支援の役割を果たすことなどが必要であるとされております。  県といたしましては、本答申も踏まえ、市町村における行政サービスの提供に関する課題等の把握に努めながら、必要な情報提供や市町村との意見交換を行い、広域連携の促進を図ってまいりたいと考えております。 21 ◯商工労働水産部長(五田嘉博君)中小企業・小規模企業振興に関してのうち、まず、中小企業等振興条例に基づく意見交換会についてであります。  県では、中小企業・小規模企業の振興に関するかごしま県民条例に基づきまして、毎年度当初に、地域振興局・支庁単位で中小企業や商工団体、市町村の方々との意見交換会を開催し、地域の経済状況等に関する情報共有や、県の支援施策の情報提供等を行っております。  今年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から書面開催とし、県内約二百八十の企業・団体等へ年度推進計画を送付したところ、県の休業等協力金を拡充してほしいとの意見を頂きました。  県においては、頂いた御意見やその後の感染拡大状況等を踏まえ、協力金の対象者の拡大や事業継続支援金制度の創設など、様々な中小企業等向けの支援策を拡充してきたところです。  来年度は、感染防止対策を徹底した上で、四月中旬から、これまでと同様、地域振興局・支庁単位での開催を予定しておりまして、状況を見ながらオンラインの活用も検討することとしております。  次に、令和三年度の推進計画の特色等についてであります。  県では、本条例に掲げます十五項目の基本方針等を踏まえ、中小企業等の経営革新や経営基盤の強化、創業、資金供給、人材育成、研究開発等に係る施策につきまして、毎年度、推進計画を取りまとめて周知広報を行うとともに、施策の推進を図っているところです。  令和三年度の推進計画については、当初予算と令和二年度の三月補正予算を一体として盛り込みまして、経済立て直し対策や、地域の中小企業等の「稼ぐ力」の向上に資する事業を取りまとめて記載することとしております。  商工労働分野における県の数値目標につきましては、かごしま製造業振興方針や第二期鹿児島県まち・ひと・しごと創生総合戦略等において、例えば付加価値額や高校生の県内就職率などについて、中長期的な目標を掲げているところです。  県としては、年度推進計画に記載している中小企業等の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、これらの数値目標を達成できるよう取り組んでまいりたいと考えております。 22 ◯PR・観光戦略部長(木場信人君)伝統的工芸品の販路拡大・促進についての県の考え・取組についてであります。  九月補正で予算計上しました伝統的工芸品産業緊急対策支援事業においては、県内五十六事業者に対し、首都圏における大島紬など伝統的工芸品の展示販売会の開催経費など、総額二千万円余りの支援をしております。  新型コロナウイルス感染症の影響の長期化により、売上げ減少に苦しむ伝統的工芸品製造事業者への支援は今後も必要であると考えておりまして、この事業で対象となった取組に加えて、オンラインでの商談・販売活動などの取組も支援するため、今議会で、伝統的工芸品産業需要回復支援事業を提案しているところであります。  県といたしましては、引き続き、市場が求める商品の開発やPR、販路の拡大などの支援に取り組み、伝統的工芸品産業の振興が図られるよう努めてまいります。 23 ◯教育長(東條広光君)大島紬の文化財指定に向けた取組状況についてであります。  工芸技術の無形文化財指定については、対象となる製作技術の歴史的な価値づけとともに、その技術を保持する団体等の認定が必要となります。  大島紬については、一連の製作技術が文化財としての価値を有することが、平成三十年度の県文化財保護審議会で認められております。  また、保持団体については、大島紬では幾つかの製作工程がそれぞれ多くの技術者によって担われておりますことから、県教委としては、これらを構成員とする団体の設立を県内の二つの産地組合に助言してきたところでありますが、先月、両組合では、傘下の技術者から成る保持団体を新たに組織することについて、前向きに検討するとの合意がなされたところであります。  県教委としては、大島紬の歴史的に価値ある工芸技術の保護のため、早期の文化財指定が望ましいと考えており、速やかに保持団体が設立されるよう必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。  次に、学校における伝統的工芸品の学習機会等についてであります。  県内の子供たちが伝統的工芸品に親しみ、学習する機会については、小・中学校においては、社会科の授業で、自治体等が作成した副読本を活用しながら、地元の伝統的工芸品について学習を行っております。また、社会見学や職場体験活動において、大島紬、薩摩焼、川辺仏壇などの作業場を見学したり、実際に工芸品に触れながら製作を体験する活動を行っております。さらに、民間の団体と県教委が連携しながら、鹿児島の伝統的工芸品について子供たちに啓発する作文コンクールや検定試験を実施しているところであります。
     また、高校においては、総合的な探究の時間や専門科目、学校行事などで、地域の伝統や文化について学ぶ機会を設けており、例えば、大島紬に関して、泥染め体験や着つけ体験などを実施したり、また、薩摩切子の工房見学をしたりするなど、地元の伝統的工芸品に直接触れる取組を行っている学校もあります。  県教委としては、子供たちが県内の伝統的工芸品に親しみ、学ぶことは、子供たちの、郷土を知り、郷土を愛する心を育てるとともに、歴史的に価値ある伝統的工芸技術を後世に伝承するためにも大変重要であると考えており、引き続き、各学校の伝統工芸を体験する活動などの取組を推奨してまいりたいと考えております。  次に、設備や土木に関する学びについてであります。  県立高校には、土木については、工業高校三校と農業高校二校に学科やコースを設置しているほか、小型建設機械の取扱いや測量、溶接など、設備や土木に関する学びをカリキュラムに取り入れている学校があります。  これらに加え、県教委や学校では、業界団体と、土木・建設業や設備工事業に関する魅力発信や就職につながる効果的な方法について意見交換を行い、生徒の興味・関心を高めるために、連携した取組を進めているところであります。  具体的には、設備に関する学びについては、県管工事業協同組合連合会に平成三十年度から、工業科のある高校で年に三校ずつ、管工事業の仕事内容や必要性等に関する出前授業を実施していただくとともに、その際には、県教委と学校、同連合会とで進路指導等に関して意見交換を行い、相互理解を図っているところであります。  また、土木に関する学びについては、奄美大島の建設会社による工事現場の見学会のほか、県建設業協会による高校での模擬工事実習や就職応援キャラバン、建設業現場でのインターンシップ等が実施されております。  これらの業界と連携した取組により、設備・土木系の就職につながる例も見られているところであり、県教委としては、今後も、学校での学びに加え、業界団体の協力も頂きながら、出前授業やインターンシップなど生徒の興味・関心を高める取組を引き続き行うとともに、他県の状況なども参考にしながら、設備や土木に関する学びの充実に努めてまいりたいと考えております。 24 ◯永井章義君 今の教育長の御答弁に改めて質問したいと思いますが、設備科等の設置についてでありますけれども、今、御答弁のあったように、県として、企業ガイダンスや出前授業などを含めて、生徒の興味・関心を持ってもらういろんな工夫をされているのは承知しておりますが、平成三十年度から始まったこの出前授業も、令和三年度においては、県内のそれぞれの地域をちょうど一巡りするんですよね。そういう機会に、本当に根本的に、これまでの成果や課題、そして具体的に本県としてどういう姿が望まれるのか、ちょうどその方向性を出す時期に来ているような気がします。  さきの質問でもありますが、座学は学校で、実習は企業でというスタイルを取っているところもあります。ぜひ本県としての独自の在り方というのを来年度はしっかり協議していただきたいと思いますが、再度そのことについての御答弁を頂きたいと思います。 25 ◯教育長(東條広光君)ただいま御紹介ございましたように、県管工事業協同組合連合会に実施していただいております、工業高校における出前授業ですけれども、来年度で一巡することになります。出前授業を受けた生徒たちによりますと、この管工事業あるいは土木については、生活を支えるすばらしい仕事だということが分かった、あるいは、働きやすそうで興味が湧いたなどの感想が述べられており、この取組が生徒の興味・関心を大いに高めることになっていると認識しているところでございます。  今、出前授業を中心に行っておりますけれども、今後も、業界団体と連携・協議を行いながら、どういった取組ができるかということについて検討を行ってまいりたいと思っております。    [永井章義君登壇] 26 ◯永井章義君 それぞれ御答弁頂きました。  過疎法に関して、今回の新たな過疎法については、コロナ禍の中の激変緩和措置として、基準年の変更はないような方向ということですが、今後の議論というものは注視する必要はあろうかと思います。今後とも、過疎地域の持続的発展を図るための諸施策の充実をお願いしたいと思います。  中小企業の振興に関して、コロナ禍における令和二年度はなかなか難しかった現状の中で、来年度もやっぱりそういう現状があると思いますので、オンラインの活用、お話がありましたけれども、現場の実情、現状をしっかり把握して、施策の展開というのが求められると思いますので、よろしくお願いしたいと思います。  今回、条例を読み返してみますと、制定してから十年近くが経過して、前文の時代背景というのも随分変化を感じます。また、基本方針の中にも追加すべきものがあるように感じられます。議員提案の条例でありましたので、改めて議会の中で、今後の変更・拡充等、議論すべきときに来ているのではないかというのを感じたところであります。  伝統的工芸品は、裾野の広い、かけがえのない産業です。販路拡大、新商品の開発はもとより、幅広い取組をお願いいたします。  文化財指定については、いろんな議論の中でそれぞれの合意が図られようとしていますので、教育委員会としてもしっかり取り組んでいただきたいと思います。  今、御答弁頂きました設備科・土木科設置についてでありますが、令和三年度で出前授業も一巡します。この機会に、具体的に県としてどういう形を取るのか、そのことの方向性を団体ともしっかり協議して、学校現場との協議も含めて答えを出していただきたいと、そのように思います。  質問に移ります。  離島における諸課題についてお伺いいたします。  まず、新型コロナウイルス感染防止対策についてお伺いします。  現在、感染防止の切り札として、ワクチン接種の取組が各自治体や医師会等の連携により進められており、大いに期待を寄せているところでありますけれども、離島においては、医療体制を含め脆弱なところもあります。地域の実情を加味した万全の体制で対応されることを強く願うところであります。  離島においては、人の流れを含め、空港・港湾等まずは入り口での水際対策が肝要です。今後の水際対策の取組について、まずお示しください。  PCR検査の拡充が図られているところですが、今後、潜在的なコロナ患者が多くなった場合、救急外来を受診する患者や手術患者のPCR検査は必要です。現状では検査キットが足りないとのことです。検査キットの確保について、取組をお示しください。  あわせて、現在、コロナ患者の島外への搬送については、海上保安部、自衛隊の方々の御協力を頂いているところでありますが、患者の方々は、トランスバッグに入れられるので、搬送中及び鹿児島空港など長時間用を足すことができません。感染防止は基本でありますけれども、患者の負担の軽減についての取組をお示しください。  また、今、島外に搬送された患者の方々は、退院・退所後の旅費等を含め、費用は自己負担です。補填制度の検討について、見解をお示しください。  離島医療の充実に関し、奄美大島における血液製剤の供給体制についてお伺いします。  この課題については、幾度か一般質問等でありましたが、現状の改善が図られておらず、改めて質問いたします。  今日までの奄美大島における輸血医療を振り返ると、昭和三十七年、緊急用輸血運搬中に自衛隊機が墜落し、十三名の方が死亡されました。改めて、お亡くなりになられた隊員の方々へ心から哀悼の誠を捧げたいと思います。  その後、生血の供給体制が開始され、昭和四十五年、大島病院内に赤十字名瀬出張所を設置、昭和五十五年、民間の血液製剤備蓄所へ業務委託されていましたが、平成三十年、経営上の課題もあり、業務から撤退されました。その後、県赤十字血液センターからの直販体制に移行し、大島病院においては、備蓄することにより、廃棄処分する血液製剤が多数発生し、費用の負担が伴っていました。  そのような中、令和元年七月から、厚生労働省の研究として、県立大島病院と連携四医療機関─鹿児島大学病院、鹿児島市立病院、鹿児島医療センター、今村総合病院─と県赤十字センターの協力で、中小規模医療機関の院内在庫血が期限切れになる前に、血液─ブラッド─を大規模医療機関に循環させて、有効期限が来る前に使い切り、廃棄血を減らす試みのブラッドローテーションが開始されましたが、昨年三月にはこの研究も終了し、現在に至っています。  離島における輸血需給は県本土と異なり大きなリスクを伴っており、安定した血液供給の下、救命救急センター、ドクターヘリ、緊急手術、定時手術に携わることが肝要であり、根本的には、日赤の出張所設置が望まれます。  今年度においても、厚生労働省から委託を受けた血液製剤使用適正化方策調査研究事業において、離島における輸血医療の実態を調査し、血液製剤の検査装置を使用した場合の利点と課題を明らかにするとともに、離島間において品質管理の検証等を実施する予定であると伺っていますが、早急な課題解決のための取組が求められています。  基本的には、輸血用血液製剤の医薬品としての品質保証・供給は日本赤十字社にあると思いますが、地域の実情に応じた救急医療提供体制の構築・指導は、県が担っているところもあると思います。  県として、日赤と、出張所の設置などについて現在どのような協議をし、問題解決にどのように取り組んでいくのか、取組をお示しください。  次期奄振法の改正についてお伺いします。  現行奄振法も延長改正されて、来年度はちょうど折り返しの年を迎えます。令和三年度は、群島十二市町村において、五年後、十年後を見据え、群島の成長戦略ビジョンの改定作業が行われ、令和四年度は県の総合調査、そして次期奄振計画となっていきます。  現在の国の財政状況を思うとき、過疎法ではありませんが、特措法の改定期には、その意義、要件、施策の方向性等を含め、今まで以上の議論があるように思われます。  次期奄振法も、復帰後七十年という大きな節目を迎えます。世界自然遺産登録も目前に控え、地域の特性・魅力を発信しながら、新たな地域振興が求められています。その意味においても、次期改正に向けて、群島の課題を整理し、明確な将来ビジョンを掲げ、取り組んでいくことが大切です。  知事として、群島の将来をどのように思い描き、どのように地域振興に取り組まれていくのか、お考えをお聞かせください。  次に、割高な離島における消費税の軽減についてお伺いします。この課題については幾度か質問しましたが、塩田知事には初めてでありますので、質問させていただきます。  離島には、輸送コストもあり、離島物価というものが存在します。県本土と比べても、奄美地区で一三・四%、熊毛地区で一〇・三%と高い現状にあり、消費税は一律でありますので、離島は割高な消費税を負担していることになります。県平均よりも所得が低い地域で、割高な消費税が発生しているという矛盾があります。  この課題について、消費税が五%から八%になるとき、全国知事会の中でも議論いただき、結果として、国として歳入面、税制面での改正は難しいので歳出面で補うとのことで、新しい交付金制度が創設され、長年の課題であった航路・航空路運賃の軽減など条件不利性の改善、そして、多くのソフト事業の拡充も図られてきました。  一方で、暮らしの中で、割高な消費税の課題は現存しています。かつての議論の中、将来消費税が二桁になるときは改めて議論が必要であるとの意見もありました。  フランスやイギリスなど欧州で取り組まれているように、やはり根本的には税制の中で改正が必要であると思います。  本県としても、毎年、開促協を通じて国に要望していますが、改めて、離島を有する他都道県とも協議の上、国に要望していただきたいと思いますが、知事のお考えをお聞かせください。  奄美空港周辺における航空機離発着時の課題について伺います。  昨年、奄美大島に帰るときに、悪天候のため、また空港を他の航空機が使用中のためということで、上空で三、四十分待機したことがありました。  実情はどうなっているのか尋ねたときに、喜界空港と奄美空港の実情を知りました。喜界空港と奄美空港は近接して立地しているため、奄美空港を他の航空機が離発着するときは、喜界空港に着陸する航空機が上空で待機しなければならない状況が発生しているという課題があります。  また、本年十月からは、奄美空港における航空管制運航情報官が配置異動となり、遠隔から業務を行うリモート化となることから、地上からの目視情報の伝達がなくなることへの不安視の声もあります。  今後、世界自然遺産登録後、都市圏からの直行便やチャーター便の増便も想定され、現状の改善が求められています。  航空路の安全性の担保は基本的なことでありますが、飛行経路の在り方や、空港利用の安全性・利便性の改善について、今後の見通しはどうなっているのか、お示しください。  サイクルツーリズム推進についてお伺いします。  昨年、総務省の過疎地域等自立活性化推進交付金事業の二次募集において、龍郷町のサイクルプロジェクトが採択され、現在、年度内の事業化に向けて、eバイクの購入、拠点の整備等取り組まれているところです。  本プロジェクトでは、経済・観光、都市計画、環境、健康・福祉、文化、教育と六つの観点で、それぞれが密接に関連した中での地域振興を図り、SDGsの中の五つの目標達成を掲げています。  近年は、エコロジー意識の高まりやヘルスアップ意識の高まりなど、自転車が見直されると同時に、安全な交通環境の整備も求められています。  あわせて、サイクリング観光、いわゆるサイクルツーリズムは、地域の観光資源などを自転車によって周遊することから、多くの新たなスポットへの誘客や、国内外からの新たな誘客を図ることができ、交流人口や地域の消費が増えることにつながっていきます。  奄美群島では、世界自然遺産登録を目前に控え、地域資源を含む奄美の魅力を発信し、さらなる観光の振興が求められているとき、地域の方々との交流や、地域の伝統文化、地域の食材、農林水産物、特産品との触れ合う機会、また、先般開通した世界遺産トレイルを活用したサイクルツーリズムの推進は、奄美観光推進の一つの可能性の高い事業であると思います。  そのためには、市町村ごとの取組もありますが、大島本島、ひいては群島全体を見据えた広域的連携での展開が求められているものだと思いますが、本県として、奄美群島におけるサイクルツーリズムの推進についてどのような見解を持ち、どのように取り組んでいくのか、お考えをお示しください。  次の奄美群島における水産業振興について。  広大な海洋資源を活用した水産業の振興は大きな命題です。近年では、奄美海域においても温暖化の影響もあり、藻場が減少し、あわせて、平成二十七年度以降、放流事業が終了してから、シラヒゲウニの生育がほとんど見られなくなりました。  このことを踏まえて、今年度から、垂水の豊かな海づくり協会の協力を得て、シラヒゲウニの中間育成と放流事業が始まりましたが、まず、本年度の事業実績をお示しください。  また、将来的には地元において種苗生産が望まれますが、取組についてお示しください。  一方で、藻場の造成が求められます。近年では、維持管理の面も含め、中層型のネット方式のものが評価されています。食害が大きなネックになっていますが、ロットを増やすことで対抗すべきだと考えます。藻場の原種そのものが失われようとするとき、大幅な事業展開が求められています。  藻場造成について、県としての取組、考えをお示しください。  あわせて、未利用資源の活用についてでありますが、観光も含め、今後、多くの方が訪れる中で、地域の食材が求められており、幾つかの分野で工夫や取組が進められていますが、本格的に産学官連携ではありませんが、生産者、加工関係者、販売・食材提供者等が一体となった母体とその取組が求められます。  そのためには、交付金等を活用した県としての取組が求められていますが、未利用資源の活用について、県の取組と考えをお示しください。    [知事塩田康一君登壇] 27 ◯知事(塩田康一君)次期奄振法を見据えた取組についてでございます。  本県の離島には、多様な地域、コミュニティーがあり、各島に特色ある独特の自然、文化や伝統が存在するなど、その多様性が魅力であると考えております。  その中で、奄美群島は、亜熱帯性・海洋性の豊かな自然、固有種や希少種など世界的にも貴重な野生生物、個性的な伝統・文化、健康・長寿・癒やしに関する資源など、他の地域にはない魅力と特性に恵まれており、これらの魅力、資源等を生かし、持続可能な自立的発展を目指すこととしております。  現在、奄美群島振興開発計画に基づき、六つの方針を掲げ、その実現に向けた取組を進めているところであります。  まず第一は、産業の振興や担い手の確保・育成などの定住促進、第二として、自然環境や伝統・文化等を活用した交流拡大、第三として、奄美らしい体験ができる滞在型・着地型観光の促進、第四として、航路・航空路の運賃軽減や農林水産物等の輸送コスト支援などの条件不利性の改善、第五として、医療提供体制や生活環境の整備などの生活基盤の確保・充実、第六といたしまして、地域主体の取組の促進でございます。  特に、今年は奄美の世界自然遺産登録が期待されるところであり、登録を契機として、奄美のすばらしい自然を次の世代に継承する機運をさらに高めるとともに、奄美・沖縄を周遊するルートづくり、一月、全線開通した奄美トレイルや、奄美と屋久島の二つの世界自然遺産を活用した島旅の魅力の発信等による地域資源を生かした観光をはじめ、地域経済の活性化が図られるよう努めてまいりたいと考えております。  さらに、時代の流れを的確に捉え、デジタル社会の実現に向けて、遠隔医療や教育の情報化などに向けた取組を推進するほか、二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けて、燃料電池や蓄電池等の自立・分散型エネルギー設備の整備など、地産地消型再生可能エネルギーの導入も促進してまいりたいと考えております。  今後とも、国や市町村等と連携し、奄美群島の基礎条件の改善や、地理的及び自然的特性に応じた振興開発を着実に推進してまいりたいと考えております。 28 ◯土木部長(兒島優一君)空港・港湾等における水際対策についてであります。  離島におきましては、医療提供体制が脆弱でありますことから、感染拡大防止に向けた水際対策が重要であり、県では、管理する港湾・空港において検温を実施し、体温が高い乗客に対しましては、感染拡大防止の徹底をお願いするチラシを配布して注意喚起を行うとともに、後日、市町村が電話により体温や体調についての追跡調査を行っているところでございます。  県といたしましては、今後とも、警戒感を持って感染状況を注視しつつ、地元の意向なども踏まえながら、引き続き、離島における感染拡大防止に向けた水際対策に取り組んでまいります。  奄美空港周辺における航空機離発着時の課題についてであります。  現在、奄美空港周辺空域では、奄美空港の地上無線施設の電波のみを利用する飛行経路が設定されており、喜界空港に着陸する航空機は、奄美空港上空を通過しなければならないことから、奄美空港に離発着機がいる場合、空中待機することがあります。  航空管制を所管する国におきましては、令和三年度から、奄美空港周辺空域で、GPSを利用する新たな飛行経路を設定することとしており、これにより、喜界空港に着陸する航空機が奄美空港上空を通過することがなくなり、空中待機が解消される見込みであります。  なお、奄美空港の航空保安業務につきましては、那覇空港から遠隔で行う予定でありますが、最新の画像処理技術等の導入により、奄美空港の管制塔からの視界と同等の滑走路の状況を映像で確認できますことから、安全性が確保されると聞いております。 29 ◯くらし保健福祉部長(地頭所 恵君)PCR検査キット確保の取組についてでございます。  PCR検査機器のうち、特定の製品につきましては、検査に使用する検査キットが世界的な供給不足となっているところです。  県内離島の一医療機関において同製品を使用していることを確認していますが、現時点では、緊急用に一定の数量を保有するとともに、外部への委託も活用することで、検査に支障が生じないよう運用していると聞いています。  県としては、国として責任を持って試薬や検査キット等の安定供給体制を構築するよう、全国知事会を通じて要望しているところです。  搬送患者の負担軽減についてであります。  離島で発生した新型コロナウイルス感染症患者を離島から本土等の医療機関・宿泊施設まで搬送している間は、感染防止のためにトイレを使用することが困難でありますことから、感染症患者隔離搬送バッグに収容した方につきましてはおむつの着用を、それ以外の方につきましては空港施設内の特定のトイレや、同行する職員が携行したポータブルトイレを使用することで対応しているところです。  離島の感染者を島外へ搬送する場合は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の規定に基づき、県が搬送し、費用を支弁しなければならないとされており、感染者本人の負担は生じていないところです。  離島の一部市町村においては、帰島に係る移動費を助成していることは承知していますが、ドクターヘリ等による離島急患搬送においても帰島時の旅費は自己負担とされており、お尋ねのありました制度の創設は考えていないところです。  奄美大島における血液製剤の供給体制についてでございます。  県では、平成三十年三月に血液製剤備蓄所が撤退した際に、県赤十字血液センターに対して、奄美大島への血液製剤の安定供給に支障が生じないよう求めたところです。  県赤十字血液センターによりますと、出張所の設置については人的・経費的な課題があり困難なことから、県立大島病院に対して、有効期限切れ血液製剤の廃棄に係る費用の一部を負担することで、備蓄所撤退の影響緩和を図っていると聞いております。  県といたしましては、輸血用血液製剤の安定供給は重要であり、血液製剤の有効活用の観点から廃棄量は可能な限り減らす必要があると考えており、県赤十字血液センター、県立病院局、地元医療機関や自治体等と、血液製剤の供給体制の在り方について協議してまいりたいと考えています。 30 ◯企画部長(藤本徳昭君)離島における割高な消費税の軽減についてであります。  離島は、輸送コストが多くかかることなどから、本土に比べ総じて物価が高く、消費税の負担も大きくなっております。  県といたしましては、離島地域における消費税の軽減は必要であると考えており、これまでも、国に対し、県開発促進協議会を通じて、消費税負担の軽減の検討を求めてきているところであります。引き続き、あらゆる機会を捉え、粘り強く訴えてまいりたいと考えております。
    31 ◯PR・観光戦略部長(木場信人君)奄美群島におけるサイクルツーリズムの推進についてであります。  自転車で地域を巡り、沿線の魅力を楽しむサイクルツーリズムは、奄美群島の地域資源を生かした体験・交流型観光の推進に資するとともに、インバウンド向けの新たな観光資源としても有効であります。  県では、来年度、市町村や関係団体等による協議会を設置し、県内モデルルートを設定することとしています。  奄美群島のモデルルートの設定に当たりましては、世界自然遺産奄美トレイルも活用し、奄美独特の自然や伝統文化に触れ合うことのできるルートとなるよう取り組むとともに、関係市町村等とも連携しながら、サイクルツーリズムの推進による奄美群島の観光振興に努めてまいります。 32 ◯商工労働水産部長(五田嘉博君)まず、シラヒゲウニの種苗生産についてであります。  シラヒゲウニについては、奄美群島の重要資源でありますが、その資源が大幅に減少したことから、県水産技術開発センターが種苗生産技術の研究に取り組み、その技術移転を受けた、かごしま豊かな海づくり協会が種苗を生産しております。  群島各地では、同協会で生産された種苗を地元漁協等が放流サイズまで中間育成を行い、令和元年度は約三千個、令和二年度は約一万七千個の種苗を放流しております。  地元漁協や市町村で構成する奄美群島水産振興協議会では、種苗生産コストの削減を図るため、地元において種苗生産を行うこととしており、令和二年度から、奄美群島振興交付金を活用し、かごしま豊かな海づくり協会の指導の下、種苗生産の実証試験や技術者の育成に係る研修を実施しております。  県としては、地元においてシラヒゲウニの放流種苗の生産体制が確立できるよう、引き続き、その生産技術や生産施設の整備等について支援を行ってまいります。  次に、藻場造成についてであります。  奄美海域においては、磯焼け等により藻場が衰退・消失してきたことから、県水産技術開発センターが平成二年度から藻場造成に係る基礎的な調査を行い、平成十六年度からは、外海の直接的な影響を受けない大島海峡などの内湾や、外海の影響を受ける奄美市笠利町地先などのリーフの藻場について、それぞれ造成技術の開発試験に取り組んだところであります。  現在、内湾、リーフ、それぞれの藻場ともに魚類等の食害防止が大きな課題となっていることから、囲い網などによる食害防除技術の実証試験に取り組んでおります。  県としては、地元による藻場造成ができるよう、引き続き、その調査研究に取り組んでまいります。  未利用資源の活用についてのお尋ねがございました。  奄美群島周辺海域では、ソデイカやスジアラなど多種多様な魚介類が漁獲される一方で、イソマグロや小型のキハダなど、流通されない低・未利用水産資源が多い状況にあります。  これらの付加価値の向上が課題となっていることから、これまでも、現地加工指導により、奄美漁協のイソマグロを使ったハンバーグや、与論町漁協のキハダを使った薫製等の商品化を支援してきたところです。  県としては、漁業所得向上のため、引き続き、奄美群島成長戦略推進交付金等の活用も図りながら、漁業者や加工関係者等と一体となって、魅力ある商品開発や島外への販路拡大に取り組み、低・未利用資源の活用に努めてまいります。 33 ◯永井章義君 くらし保健福祉部長に確認したいと思います。  離島における輸血用の血液製剤の供給というのは、全国的にも離島の場合、体制が確立されていない部分がありますよね。そういう意味で、この協議の中で、本県がその一つのモデルとしてしっかりした体制づくりが今、求められていると思うんです。  今後、関係者との協議を進めていかれるということでしたが、基本的には出張所の設置というのが一番望まれると思うんですが、そのためには、県独自というよりは、日本赤十字社や関係機関の合意と協力が要ると思うんですけど、そういう協議の場において、県の基本的な考えとしては、出張所の設置を図っていくと、そのように理解してよろしいのかお答えいただきたいと思います。 34 ◯くらし保健福祉部長(地頭所 恵君)出張所の設置につきましては、これまでも日赤に対し、出張所の設置も含めて、血液製剤が安定的に供給されるよう求めてきているところですが、先ほど御答弁申し上げましたように、人的・経費的な課題があり、困難な状況があると県赤十字血液センターからはお話を承っているところでございます。なかなか困難な面がございますが、関係者・関係機関、今後、血液製剤の供給体制の在り方について協議を進めてまいりたいと考えております。    [永井章義君登壇] 35 ◯永井章義君 それぞれ御答弁頂きました。  離島においては、医療体制を含め脆弱なところもあります。スムーズなワクチン接種が行われるよう望みます。  また、今後も、感染防止対策について、水際対策、検査体制の充実を含めて市町村とも情報を共有しながら、しっかりと取り組んでいただきたいと思います。あわせて、患者の方の負担軽減というのも、やっぱり現実にありますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。  奄美大島における血液製剤の供給体制について、今も御答弁頂きました。これは一つの大きな課題です。離島にはそういう実情があって、全国的にもそういう供給体制というのはまだ確立されていません。そういう意味で、日赤の皆さんの御努力も理解しますが、やっぱり現実的には、県立大島病院、現場の方も設置についていろんな工夫を協議されて努力しようとされています。その中で、県としても、そのことを指導・助言する立場として、しっかり日赤の方等を含めて、現実的にどういうことが可能なのか、そのためにはお互いどういう役割を担って、可能なものはどういう形があるのかというのを現実的に協議していただきたいと思います。そういうモデルを鹿児島でつくってみましょうよ。ぜひお願いしたいと思います。  奄振法も、五年間の延長の中で来年度は折り返しのときを迎えます。知事から答弁頂いたように、地域の特色を生かしながら、新たな群島の振興を図るときを迎えています。そういう意味で、十二市町村、また民間の方ともしっかり協議して、その方向性を一緒に取り組んでいただきたいと思います。  サイクルツーリズムの推進でありますが、離島においての観光振興の中の一つの可能性の高い事業だと思いますので、広域的な観点での指導・助言をお願いします。  幾つか質問させていただきました。それぞれの課題に対しての県としてのしっかりとした方向性を持っての御努力を重ねてお願い申し上げて、私の一般質問を終わります。(拍手) 36 ◯副議長(堀之内芳平君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時二十五分といたします。        午後零時  十分休憩       ────────────        午後一時二十五分再開 37 ◯議長(外薗勝蔵君)再開いたします。  米丸まき子君に発言を許可いたします。    [米丸まき子君登壇](拍手) 38 ◯米丸まき子君 皆様、こんにちは。  本日もたくさんの方々に傍聴に来ていただき、心より感謝申し上げます。そして、今回、質問をつくるに当たり、要望を寄せてくださった県民の方々、そして有益なアドバイスをくださった皆様にも心より感謝申し上げます。  一時間という短い間ではありますが、知事、執行部の皆様から、よりよい答弁を頂けるよう精いっぱい頑張らせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。  さて、昨年の二月、コロナ禍が世界中にこれほどの打撃を与えるとは思ってもいない頃です。私は、台湾人の友人に招かれて結婚式に台北へ行きました。そのとき台北では、既にホテルやレストラン、マッサージ店など全ての施設において検温がなされ、マスクをしていないのは私だけでした。  その頃、日本では、鹿児島にも寄港したダイヤモンド・プリンセス号の船内での集団感染が話題になり始めており、感染者がどこへ立ち寄ったかを大慌てで調査することとなっていました。  しかし、同じようにこの船が立ち寄った台湾ではどうでしょう。私は、友人に携帯でアプリを見せていただき、その乗船客がどこに行ったのかを画面上で確認し、この地域は危険だから行かないようにと教えてくれました。そして友人は印象深くこう言いました。「我々は十八年前、SARSで大変な目に遭った。それを教訓に、今回のコロナに関しては我々はどこの国よりもうまくやる」と。あれから一年たった今、台湾ではスマート技術を利用した防疫システムが継続的に強化され、コロナの封じ込めに成功しました。友人の言葉どおり、うまくやっていると言えるのではないでしょうか。  このたび、知事の施政方針の中で、屏東県をはじめ、台湾との積極的交流を進めるとのことが発表されましたが、ぜひ学ぶ姿勢を持って友好を築いていただきたいと思います。  また、塩田知事に替わった令和の今、知事にはトップの手腕を存分に発揮していただきたいと思います。そして、県民の不安を取り除くような心の込もった強いメッセージを頂きたいと切に思います。  それでは、質問に入らせていただきます。  経済力アップのためのブランディング、K─GAPについてであります。  先日行われました、食と健康に関するシンポジウムにおける基調講演で、知事は、「農畜産物産出額が全国二位の約五千億円。しかしながら、鹿児島県の農業所得率は全国最下位。人口減少により、国内消費が少なくなることが確実性を増しており、今後は、高付加価値、機能性食品の掘り起こしを強化し、輸出や観光の促進なども含め、潜在力を磨き、収益性と稼ぐ力を高めてまいりたい」と述べられていました。それには私も同感ですが、どのようにして鹿児島県産品に付加価値をつけていくのか、また、どのように輸出促進を行うかには大きな課題があると思っています。  今回は、その課題の一つとして考えられる、鹿児島が取り組んでいるK─GAPについて取り上げます。  産業観光経済委員会での視察の際、お茶の有機栽培に成功し、抹茶の輸出で実績を上げている農家にヒアリングをしました。輸出に関してどういったものが必要かと問いましたところ、欧米と相互認証している有機JAS認証やアジアGAPを取ると輸出の際に信頼が得られるとのことでした。  そこで、K─GAPはどうかと尋ねましたところ、K─GAPは輸出には通用しないとはっきりとおっしゃっていました。もしこれが事実なのであれば、県が多額の予算を費やすK─GAPの取組が農家の稼ぐ力になっているのかどうか、疑問に思えてきます。  そこで質問です。  K─GAPの目的や意義、現状についてお聞かせください。  K─GAPは輸出には通用しないと言われる中、県はどういう取組を行っているかお聞かせください。  県内生産者でK─GAPの取組を行ったことで、JGAP、アジアGAPへどのぐらい移行できたか、お示しください。  次に、県政モニター制度についてです。  県政に生かすための調査方法として本当に有効なものになっているのかについて、二つ例を取り上げます。  一つ目が、先ほど取り上げたK─GAPです。  令和元年度第十六回食の安心・安全についての調査によると、「県ではK─GAPを設けていますが、この制度を御存じですか」という問いに対して、「知っている」と答えた人が四六%という結果でした。私は、この高過ぎる結果に驚きました。なぜなら、東京オリンピック・パラリンピック競技大会の食材調達基準であるJGAPでさえ、あまり認知されていないからです。  農水省から発表された、令和元年度フードチェーン関係者のGAPに関する意識・意向調査によると、GAPについて「知っていた」と回答した消費者は、たったの一一・六%といった低い結果が出ているのです。何かおかしいと思いませんか。  二つ目が、平成二十八年に行われた、鹿児島県知事選挙における選挙啓発の効果測定についての調査です。  そこでの問い、「知事選挙の投票に行ったか」に対し、実際の投票率が五六・七七%だったにもかかわらず、調査では、九七%もの方が投票に行かれたとの結果が公表されています。  また、その四年後に行われた調査でも、同じ問いに対して、実に九二%もの方が投票に行ったということです。では、実際、最終投票率はというと四九・八四%、半分以下です。なぜこんなにも調査結果と事実に違いが出てくるのでしょうか。  この調査の目的は、「鹿児島県知事選挙における各種選挙啓発活動に関する意見を頂き、投票率向上に向けた今後の選挙啓発活動の参考にするため」とあります。しかし、様々な要因が重なったとはいえ、直近の選挙では、前回の調査から六・九三ポイントも投票率が落ちています。このモニター調査を有効活用した結果だったということであれば、次に行われる選挙もまた同じことを繰り返し、投票率が下がるのではないかと一抹の不安を覚えます。  私は常々、行政執行部を県民のシンクタンクだと思っております。我々議員は、県がどのような動きをし、それらについて県民がどのように捉えているか等の判断材料の一つとして、県政モニターの結果を参考にするのですが、本当にこの数字をそのまま信じていいのだろうかと疑問に思っています。  そこでお尋ねします。  現在の県政モニター二百名は、鹿児島県民全体の平均的な属性を代表していると言えるのか、お答えください。  そもそも県政モニターは、県政に生かすための調査方法として本当に効果的なものになっているか、認識をお答えください。  これで、一回目の質問を終わります。 39 ◯農政部長(満薗秀彦君)K─GAPの目的や意義等についてでございます。  かごしまの農林水産物認証制度、いわゆるK─GAPは、生産から出荷、管理体制までの安心・安全に関する基準に沿って、生産者自らが作業を行い、記録し、点検・評価をして、改善をしていく生産工程管理の取組を、県が指定した外部機関が審査・認証する制度であり、平成十六年度に全国に先駆けて創設し、生産者へ普及・定着を図ってきたところでございます。  K─GAPに取り組むことにより、農林水産物の安全性の確保や、無駄のない経営管理によるコスト低減に加えて、消費者・流通業者からの信頼の確保など様々な効果があると認識しており、令和三年二月末現在で三百二十一件、県内販売農家の三割に当たる約八千戸が認証を受けております。  国際水準GAPの推進についてでございます。  県では、輸出を促進するため、アジアGAPなどの国際水準GAP認証の取得を推進しており、普及指導員等のGAP指導技術向上を図るとともに、生産者に対するGAPの理解促進のための研修会の開催、認証取得経費の補助などの支援に取り組んできているところでございます。  令和三年二月末現在で、県内においては、お茶などを中心にJGAPで百四件、アジアGAPで八十件の認証を取得しており、年々増加してきております。このうち少なくとも半数以上はK─GAPから移行した生産者であり、K─GAPの取組は、国際水準GAPの足がかりにもなっているものと考えております。  県といたしましては、今後とも、K─GAPをはじめとするGAP制度の推進に取り組み、県産農林水産物の安心・安全の確保と生産者の経営安定に努めてまいります。 40 ◯PR・観光戦略部長(木場信人君)県政モニターについてであります。  本県の県政モニターは、県内在住の満十八歳以上で、県政に関心を持ち、その推進・向上に御協力を頂ける方で、応募または市町村推薦により委嘱した二百名であり、無報酬で協力を頂いております。  同モニターアンケートにつきましては、県政に関心を持つ県民の皆様の率直な御意見を機動的に収集するため、コストや時間をあまりかけず、個別に自由記述の欄を設けるなどして、年に十数回実施するものであります。  このため、アンケートの結果を全てとして捉えるものではなく、関係団体や関係事業者等から意見を聴取するなどの場合と同様、気づきや参考が得られる広聴機能の一つとして活用しているところであります。  一方、代表性を備える無作為抽出法などによる調査につきましては、必要に応じて各部局が実施しており、これまで、少子化や人権、鹿児島の暮らしなどに関する県民意識の調査等が行われております。  県政モニター制度については、県政に関心を持つ方々から御意見を収集する広聴機能の一つとして役割を果たしているものと考えております。 41 ◯米丸まき子君 県政モニターについて、再質問させていただきます。  今、部長より、県政モニターは気づきとか参考にというお話だったんですけれども、私、いろんな委員会に所属しておりまして、度々、所属の委員会で、モニター結果がさも県民を代表した意見であるかのように話される場面に何度も遭遇しています。  例えば、県政かわら版についてのアンケートなんですけれども、このアンケート、百四十人の方が答えられて、九〇%近くの方が、紙面の構成に関して、「今のままでよい」とする回答が多く得られたということだったんですけれども、お話を聞きますと、ある一人の方が、情報量が多く、文字が多く感じるということに関して、写真と文字を大きくしたと答えられています。一方で、写真や文字が大きいと答えた方もいらっしゃる。  この調査を効果的に使うのであれば、百四十名のうち、約九〇%の方が「そのままでよい」と言っているのに、変える必要はないと思うんですね。  知事にお伺いします。  知事は、現在の県政モニターの制度についてどう思われますか。そして今後は、県政にデータを活用していかれるということをいろんな場面でおっしゃっていますが、県政モニターを県政のかじ取りの判断材料の一端として利用されていくつもりか、率直にお答えください。 42 ◯知事(塩田康一君)おっしゃるように、県政モニターというのが、ある一定の数の県政に関心の高い方になっていただいているということで、いろいろ年齢構成とか地域とか、そういった面で県全体を代表するものではないんだろうということは、確かにそのとおりだと思います。  したがって、今おっしゃったような形でいろんな場面で、さもそれが全体かというような扱い方をしているとすれば、直していかなければいけないと思っております。  ただ、こういったアンケートというか調査というのは、そもそもサンプル調査でありますから、県全体あるいは地域ごととか年齢別とか、いろんな工夫をしても実態と必ずしも違うところも出てくる。そういった前提での調査として使い方を考えていく必要があると思っております。  これまで毎回やっておりますけれども、こういった、例えば、治安に関するアンケートみたいなものは毎年やっておりますので、その年度年度でどういう変化があるかというですね、全体のその数字ではなくて。あるいは先ほどのGAPの話でいえば、知っている人、知っていない人、いろいろありますけれども、県政モニターの中で、ずっといろんな制度の浸透状況というのを見ている中で、大体これぐらいは皆さん知っているという回答が多いんだけど、たまたまこれはちょっと低かったとすれば、もっと周知活動しなければいけないとかですね、いろんな限定つき、そういう制度だという前提で調べていく、使っていくということが大事だと思っております。  また、自由記述の部分もあり、そういったところでは、いろんな方に御意見を寄せていただくという意味では非常に貴重な調査ではないかと思っておりますので、そういった観点に気をつけながら、今後の県政の参考にしていきたいと思っております。    [米丸まき子君登壇] 43 ◯米丸まき子君 それぞれ御答弁頂きました。  昭和三十八年から行われている県政モニター制度ですけれども、使い方ということで本当に今後考えていただきたいというところでありますが、現在はテクノロジーも格段に発達しています。調査方法は様々あると思います。  現在、LINE公式アカウント、鹿児島県庁の登録者、約二十一万三千二百二十人に達したとお伺いしています。先週の土曜日から始まった、ぐるめクーポンの利用の方を対象に、「抽選で三千円のギフト券を十名様に」と題し、アンケート調査をしたところ、たった六日間で二万四千人もの方々から御応募いただいたということです。このアンケートは、アンケート回答に加えて、属性、性別、年齢、世帯構成、住所、氏名、電話番号、メールアドレスまで記入させるにもかかわらず、この短期間でこれだけの方にアンケートにお答えいただいています。  知事は、これからの制度設計を高め、資金を投入したほうがいいのではないでしょうか。新しい分野に投資することも重要ですが、K─GAPや県政モニター制度など、本当にそれが稼ぐ力になっているのか。ぜひ知事には、今ある事業を見直し、合理的な決定を行っていただきたいです。  特にGAPに関しては、農水省も、令和十二年までにほぼ全ての産地で国際水準GAPを実施するとしています。全国二位の農業県として輸出力を高めるためにも、国際水準GAPへの取組をどこよりも加速していただくよう御要望とさせていただきます。  次に、ブランディングの必要性と世界の先進事例についてです。
     次に、稼ぐ力に直結するブランディングの必要性についてです。  昨年九月、私の一般質問において、塩田知事に初めて、鹿児島の経済力アップのためのブランディングという構想について、どのような見解をお持ちかという質問をいたしました。それに対し、知事は、「鹿児島の統一的なブランド構築に取り組んでまいりたいと考えている」と大変前向きな答弁を頂きました。今年度、総合政策部が設立されるということに、ついにと思いましたが、どうやらそういう部でもないらしいです。  ブランディングとは、競合するものとの差別化を図り、どこにもないもの、すてきなものなどと印象づけるための取組で、独自の価値を磨き、イメージをつくり上げ、それを形にしていきます。そのブランディングが成功すると、消費者から真っ先に選ばれる商品、選ばれる旅先となり、経済的にも潤うことが可能になるのです。  そのためには、鹿児島らしさとは何か、他の場所にはない鹿児島の強みとは何か、何をどう伝えるべきかなど、その核となる理念やビジョン、また、それを実現するためのブランドコンセプトを設定することが重要と考えるのです。  北欧のバルト三国の一つ、エストニア共和国を御存じでしょうか。千五百以上の島々から成るこの国の面積は、九州と沖縄を合わせたぐらいの本土に、鹿児島県よりも少ない約百三十万人が暮らしています。ソビエト連邦から悲願の独立を勝ち取ってから三十年弱と日が浅いにもかかわらず、スカイプを生んだ電子国家シリコンバレーとして、近年、世界に名をはせ、世界中から政府関係者などが視察に訪れています。  以前のエストニアは、今の鹿児島県のように、多くの魅力があるがゆえ、複数のブランドイメージが混在し、明確なものがありませんでした。エストニア政府は、一億円を超える費用をかけてロゴ制作やプロモーションに費やしました。しかし、それはことごとく失敗に終わってしまいました。  原因として考えられる大きな理由は二つ。一つ目が、当時の政府チームにブランディングを専門とするメンバーがいなかったこと。二つ目が、ブランディングの基礎とも言える、何を、誰に、どう伝えるかという基準がないままロゴやスローガンをつくることが仕事になってしまい、ブランドそのものを組み上げる過程で、独自の価値やイメージを明確化していくという本来の目的がおざなりになっていた点です。  その後、エストニア政府は、失敗の反省を踏まえ、政府職員に加え、民間のデザイナーチームが運営を担い、官民が業務レベルで協働する政府機関「Brand Estonia」を設立し、エストニアという国そのもののブランド確立に取り組み、ブランディングを成功させたのです。  そこで、知事にお伺いします。  このように、ブランディングを推し進めるには、知事のリーダーシップはもとより、ブランディングの専門家チームの編成と、ブランドを組み上げる過程が重要かつ必要と思われますが、知事の見解をお示しください。  次に、ブランディング推進のための組織改革と環境整備についてです。  私はこれまで何度も何度も、部局を超えて鹿児島県が一体となり、ブランディングを推し進めるべき、ブランド推進室をつくるべきということを主張してきました。しかしながら、なぜ一向に進まないのかを考察してみました。そこには理由が二つあると考えます。  一つ目が、ブランド戦略におけるリーダー同士のコミュニケーション不足です。  県内四十三市町村ある中で、県職員と市町村職員同士でふだんどのぐらいコミュニケーションが取れているでしょうか。四十七都道府県が、国内外を市場としてパイを奪い合い、しのぎを削る現在において、活動内容と予算をまとめて太く強いものにしない限り、これまでのように各市町村が多額のPR費用を持って、それぞれが独自のPR活動を行っているようでは、鹿児島を人々に印象づけることは難しいでしょう。  二つ目が、局を超えたコミュニケーションの場の不足です。  活発な化学反応は物質と物質が出会うことで起こります。人間同士も同じだと思います。今、コロナ禍で自粛が求められる中、飲みニケーションもできない、県庁内にはざっくばらんにコミュニケーションを取れる場所も少ないのではないでしょうか。  スティーブ・ジョブズが社長として建設したピクサー・アニメーション・スタジオは、建物の中央に大規模なアトリウム空間を設け、社員のメールボックスや会議室、カフェテリアなどを配置し、どの部署の社員もここですれ違い、目を合わせ、会話が生まれるような仕組みが埋め込まれています。これがコラボレーションと革新を生み出す場になっているのです。  現在、県庁にそういった場所があるでしょうか。県庁内にそういった場所が一つあるとすれば、喫煙所ではないでしょうか。県庁の部局、課長級以上の方は百名以上いらっしゃいます。そのうちおよそ二五%の方が喫煙者と聞いています。日々、雨にも負けず、寒さにも負けず、そして御自身の健康を犠牲にしてまでも、部局を超えたコミュニケーションを取るために、日々御苦労され、喫煙所にお集まりになられています。喫煙を勧めるわけではありませんが、こういった、非喫煙者も集まれる気軽でオープンな交流の場が県庁内にも必要なのではないでしょうか。  そんな折、二月十三日の地元紙で取り上げられた、県庁十八階にリモートワーク対応のシェアスペースがつくられるという報道に驚きました。大変うれしいニュースです。と同時に、どんな内容になるのか一抹の不安がよぎりました。というのは、行政は、ハードには資金を投じてもソフトにはお金をかけないことが多いため、シェアスペースで成功している例がとても少ないからです。  そこで、知事にお伺いします。  今年度、「稼ぐ力」の向上に関する関連予算は約二十四億円とお伺いしています。これに加え新年度、各部局、PR・観光部局、商工労働水産部局、農政部局が、県産品のPR関連予算が総額どのぐらいの規模になるか、予算額をお示しください。  また、海外へのPR予算も併せて教えてください。  県庁内ではコミュニケーションが不足しているのではないかと感じます。ブランディング推進のためには、県庁内外で連携を密にして取り組む必要があると考えますが、観光及び県産品のPRにおいて、県部局間、市町村、鹿児島県観光連盟、鹿児島県特産品協会、関係団体との連携・一体的取組についてお示しください。  縦割り組織の弊害はコロナ禍で顕著になりました。部局を超えたコラボレーションには、兼任発令による組織をつくるなどを試みざるを得ないのではないでしょうか。どうすれば一体となって部局を超えた生産的な県庁になるか、「稼ぐ力」の向上に向け、ブランディングを推進するため、ブランド推進室を設置して部局を超えて取り組む必要があると考えますが、見解をお示しください。  鹿児島県庁行政庁舎十八階に新設されるシェアスペースの整備目的と今後のスケジュールについてお示しください。  次に、強力なブランドメッセージにつながる自転車活用の推進についてです。  令和二年第三回定例会において、執行部より、自転車を快適に利用できる環境の整備、自転車を活用した健康づくりの推進、サイクルツーリズムの推進による観光の振興と地域活性化、自転車事故のない安心・安全な社会の実現の四つの目標を掲げ、関係部局が連携して施策を推進する等、大変力強いお言葉を頂きました。そして、本年度予算にもソフト面に千百九十一万円をつけていただきました。  塩田知事の自転車活用の推進にかける熱い熱い思いを受け取ったところであります。  そこで、この四つの施策の中で、特に二つについて質問します。  サイクルツーリズムの推進による観光の振興と地域活性化についてです。  二〇二三年、ツール・ド・九州・山口開催が決定し、今年五月に行われる九州知事会において、各県広域推奨ルートの公表が行われるというニュースを受け、今後の進展に胸を高鳴らせているところです。これを機に、コロナ収束後、インバウンドの需要回復も見据え、自転車を活用した観光地づくりは有望であると考えます。  しかしながら、サイクリングの受入れ環境や走行環境については整備が不十分だと感じています。  鹿児島県では、自転車専用通行帯の整備が断片的であるため、対歩行者や対自動車の事故が課題となっています。例えば、交通量が多い錦江湾沿いの国道十号線では、歩道を自転車用道路として活用すれば、自転車にとって安全な交通空間が確保されるものと考えます。  そこで質問です。  今後、サイクルツーリズムの推進による観光の振興と地域活性化、広域推奨ルートの受入れ環境整備は、各市町村どのように連携し、どんなスケジュールで進めていくのか、お示しください。  特に、錦江湾一周のサイクルツーリズムにおいて、交通の安全性を高めていこうとされているのかについてもお示しください。  次に、自転車活用推進の機運を高める中、交通空間の整備に続いて最も重要なことは、痛ましい事故を起こさないということです。  自転車事故のない安心・安全な社会の実現については、ヘルメット着用に関して大きな課題があると考えています。過去三年間の中学生・高校生が関連する通学時の事故は、中学生三十五件、高校生では百十八件、高校生の関係する事故は中学生の何と三倍にもなっています。  そこでお伺いします。  県の条例では、高校生以上のヘルメットの着用については現在努力義務となっているが、現在の交通事故の実態を踏まえ、今後のヘルメット着用促進についての見解をお示しください。  これで、二回目の質問を終わります。    [知事塩田康一君登壇] 44 ◯知事(塩田康一君)サイクルツーリズムの推進による観光の振興と地域の活性化についてでございます。  サイクルツーリズムの推進につきましては、来年度、県や市町村、観光協会、道路管理者、交通管理者、交通事業者、サイクル関係団体等による協議会を設置し、県内を周遊するモデルルートを設定するとともに、観光施設・宿泊施設におけるサイクリストの受入れ環境や、安心して走行できる環境の整備を検討し、あわせて、県外への情報発信にも取り組むこととしております。  特に、サイクルルートにおける交通の安全の確保につきましては、協議会において関係者と連携し、矢羽根等の自転車通行空間整備のほか、サイクリストやドライバーへの運転マナーの周知徹底等、ハード・ソフト両面からの取組を検討し、進めてまいりたいと考えております。 45 ◯PR・観光戦略部長(木場信人君)ブランディングの推進についてであります。  鹿児島のブランディングにつきましては、平成二十九年十二月に策定した新鹿児島PR戦略において、本県の歴史・文化、自然の豊かさ、食の豊富さ、人柄等、様々な優位性を再発見、再認識し、鹿児島ブランドを構築することにより、県民が誇り、県外が憧れる、選ばれる鹿児島県の実現を目指すこととしているところであります。  県といたしましては、同戦略の考え方に基づき、これまでも、かごしまPR課が中心となって、庁内関係部局をはじめ、市町村や企業、NPO等の多様な主体との連携を図るとともに、海外広報官やASEANディレクター、専門家などの意見も伺いながら、本県の魅力発信等に取り組んできており、引き続き、これらの関係者と連携し、鹿児島の統一的なブランド構築に取り組んでまいります。  観光振興と県産品のPRに係る連携等についてであります。  農林水産物や特産品など県産品のPRに係る令和三年度予算額は、令和二年度三月補正予算と合わせまして、総額十八億五千万円を計上しているところであります。そのうち、海外へのPRに係る予算額は、一部国内向けと不可分なものも含めまして、総額十二億八千万円であります。  観光のPRにつきましては、観光振興基本方針に基づき、国内外に向けた鹿児島の観光素材の認知度向上や、魅力的な観光周遊ルートの造成・提案などに取り組んでいるところであります。  これらは、全庁横断的に設置いたしました観光推進本部会議をはじめ、県観光連盟や市町村及び民間団体等で構成する観光かごしま大キャンペーン推進協議会、九州七県や民間団体等で構成する九州観光推進機構などにおいて、情報の共有を行い、方針や年度計画を確認しながら、関係機関・団体等と役割分担や連携をして取組を進めております。  県産品のPRにつきましては、販売促進に向けた庁内会議を設置して、関係部局間で活動方針を共有し、物産展等の場を活用して、県産品のPRに連携・協力して取り組んでいるところです。  また、県特産品協会や県観光連盟、市町村等との連携による首都圏等の百貨店での物産観光展の開催、県経済連や県漁連等との連携によります量販店等でのフェアの展開など、庁内関係部局はもとより、関係機関・団体等と連携し、県産品の認知度向上や販売促進に取り組んでおります。  ブランド推進室の設置についてであります。  鹿児島のブランディングにつきましては、現在、かごしまPR課が中心に担っており、観光や県産品など本県の魅力発信、マーケティング等に関係部局と連携して取り組んでいるところであります。  「稼ぐ力」の向上に向けた統一的なブランド構築に向けましては、引き続き、かごしまPR課が中心となって、庁内関係部局や市町村、関係団体等との連携を図りながら取り組むこととしており、現時点で新しい組織の設置は考えておりません。 46 ◯商工労働水産部長(五田嘉博君)行政庁舎十八階に新設されるシェアスペースの整備目的と今後のスケジュールについてであります。  本県においても、新型コロナウイルス感染症の拡大を契機にテレワークを導入する企業等が増加するとともに、テレワークを活用し、東京をはじめとする都市圏から地方への移住を希望する人が増えるなど、地方回帰の機運が高まりを見せております。  そのため、テレワーク等の新しい働き方による事業活動を支援するとともに、異業種交流を促進し、新たなサービスや商品等の創出や起業に向けた機運の醸成を図ることを目的に、県庁十八階にシェアスペースを整備することとしております。  整備に当たっては、より多くの方に利用してもらえるよう、レイアウトや運営等の企画提案を公募いたしまして、その中から最もふさわしい提案を採用することとしております。  この提案に基づいて、令和三年度内にシェアスペースを整備したいと考えております。 47 ◯男女共同参画局長(印南百合子君)高校生以上のヘルメットの着用促進についてでございます。  県では、交通安全県民運動の重点事項に、自転車の安全利用の推進を掲げ、ヘルメットの着用促進も含め、各季の交通安全運動期間におけるキャンペーンの実施やホームページの活用、各学校や関係団体等へのポスター・チラシの配布などにより、広報啓発に取り組んでいるところでございます。  引き続き、県警察や教育委員会、市町村、関係機関・団体と連携し、自転車を利用する全ての方にヘルメットの着用を呼びかけていくこととしておりますが、特に若年層に対しては、SNSなどを利用した情報発信と啓発の強化に取り組んでまいりたいと考えております。 48 ◯米丸まき子君 自席より、一点だけ質問させていただきます。  今、残念ながら、ブランド推進室はつくらないというお返事を頂きましたが、知事、ブランド推進室をつくることによって、本当に知事の力を発揮できるすばらしい場になると思うんですけれども、知事はこのことに関してどう思われるのか、少しお話をお聞かせください。 49 ◯知事(塩田康一君)ブランド推進室の役割がどういうものなのかということにもよると思うんですけれども、実質的な機能としては、今、かごしまPR課が鹿児島のブランディングについて担任しているということでございますから、その中に、室をつくるかどうかという形式的なことはさておきまして、ブランド推進室のような、ブランディングをつくり上げていくためのちゃんとした機能というものを、かごしまPR課の中で発揮できるように、私もしっかりと頑張っていきたいと思います。    [米丸まき子君登壇] 50 ◯米丸まき子君 知事、ブランド推進室は必要かと思います。ぜひぜひ、もしつくり方が分からないようであれば私がお話に参りますので、お時間いただければと思います。  先ほどの県庁十八階についてですが、私は東京の渋谷キューズシェアスペースというところに行かせていただきました。ソフトは産学官民の知識が集積され、本当にすばらしいものでした。また、群馬県庁でも官民共創のシェアスペースが進んでいます。  執行部の皆様には、シェアスペースに関して研究を重ね、国内外視察に行き、鹿児島のランドマークとなるような施設をつくっていただくことを願っています。  自転車活用の推進について、機運を高めるために最も重要なことは安全の確保です。自転車の安全な交通空間の確保及びヘルメット着用促進といった安全対策の推進を要望いたします。  次に、新型コロナ影響下での乳がんの検診体制について質問させていただきます。  乳がんの早期発見には、マンモグラフィーと乳腺超音波検査の両方を毎年受診することが早期発見につながります。  そこで、新型コロナウイルスの影響を受ける、本県における乳がん検診及び検診内容に関して、二つ質問させていただきます。  まず一つ目が、コロナ禍における検診率の低下の懸念であります。  日本対がん協会の、新型コロナウイルス感染症と健診事業に関するアンケートによると、コロナ禍二〇二〇年二月から七月のがん検診や特定健診などの受診者は、施設健診では前年度の七六・四%、巡回健診では五六・四%に落ち込んだことが分かりました。  鹿児島市内にある、日本で唯一の乳がん領域の特定領域がん診療連携拠点病院であるA病院によりますと、コロナの影響を受けた二〇二〇年四月から十二月の初発乳がん手術件数が前年比一五%減少、乳がん検診で発見され治療されるべき初期ステージ乳がんに限ると、前年から一〇・九%減少しているそうです。特に九月から十二月に焦点を当ててみると、マイナス三九・〇%と著しい減少をしております。  また、B病院でも、二〇一九年から二〇年を比較すると、手術件数が一〇・八%減少したとのことです。  ロンドン大学などの研究チームが英医学誌ランセット・オンコロジーで七月に発表した論文によれば、英国では、コロナ禍に伴う検診の中断や診断の遅れにより、乳がんと診断され五年後までに死亡する人の数が最大九・六%増えると推定しています。  二点目が、乳がん検診に関する鹿児島県の検査内容についてです。  皆さんは、高濃度乳房問題というのを聞いたことがありますか。  お手元の資料を御覧ください。  高濃度乳房をお持ちの方の胸は、写真のように全体が白っぽく写ります。検査の際、しこりも白く写るため、マンモグラフィー検査では初期乳がんを発見するのは難しく、乳がんの早期発見には超音波検査の併用が必須ではないかと考えられています。日本人を含むアジア人女性は、欧米人と比較して高濃度乳房とされており、特に二十代から四十代までの若年で多く見られ、その割合は六〇%から七〇%と言われています。  しかしながら、鹿児島県の乳がん検診は、マンモグラフィーのみの実施となっており、超音波検査は実費となっています。  ちなみに、お隣の宮崎県では、県内全ての受診者に公費でマンモグラフィーも超音波検査も受診できるようにし、高濃度乳房問題に対応しています。また、その動きは九州各県のみならず日本全国に広がっていると聞きます。  そこでお伺いします。  コロナ禍における鹿児島県の乳がん検診受診者数の状況をお示しください。  現在の鹿児島県内の市町村実施の乳がん検診の実施方法についてお示しください。  GoToイート、GoToトラベルのように、乳がん検診を県民に促すような取組をすべきと考えますが、今年度の乳がんの早期発見につながるような啓発活動の取組状況をお示しください。  乳がん検診については、マンモグラフィーと超音波検査の両方を実施することが早期発見につながると考えます。がん検診の方法は、実施主体であります市町村の判断になりますが、県は市町村にどのような指導をされているのか、県の見解をお示しください。  県内市町村実施の乳がん検診において、受診者に対し、乳腺濃度について通知をする必要があると考えますが、県の見解をお示しください。  また、県はどのような取組をされているか、お示しください。  次に、男子更衣室から見るジェンダー格差等の課題についてであります。  私は、暮らしやすい鹿児島県を考えるとき、ジェンダーレス社会、いわゆる性別によるあらゆる社会的な差別をなくすことがとても重要だと思います。しかし、今の鹿児島県はそのような社会に向かっているでしょうか。私はどうもそうではないと感じています。  改めてそう感じたのは、次のような事例があったからです。  昨年の九月、高校生との意見交換会という貴重な機会を頂きました。その後、参加者の男子高校生が、高等学校の更衣室における男性への配慮不足について、私にSNSでメッセージをくれました。それは、現在、彼の高校には女子更衣室はあるのに男子更衣室は存在せず、男子生徒は体育の授業前になると教室で着替えをしている。さらには、教室にはカーテンさえ設置されていないところもあり、窓の外から丸見えである。男性のプライバシーは無視されていいものかという訴えでした。この問題にはアンコンシャス・バイアスがあるため、声を上げられずにいる生徒がいるということにこの男子生徒は気づいたそうです。  アンコンシャス・バイアスとは、日本語で無意識の偏見、無意識の思い込みという意味です。今回の例でいえば、男性は人前で着替えをしているのを見られても恥ずかしくないという思い込みです。この無意識の偏見は、人材の多様性を認め、活用する男女共同参画社会の実現を滞らせる要因の一つとして考えられます。  そこでお尋ねいたします。
     県立高校における生徒の更衣室の現状をお示しください。  次に、全ての県立高校に更衣室を設置するのは難しいかもしれませんが、教室への目隠しのカーテンあるいは目隠しシートなどを取り付けることが望ましいと考えますが、県の対応をお示しください。  次に、霧島国際音楽祭から見る文化・芸術の重要性についてです。  一昨年、霧島国際音楽祭は四十周年を迎えました。そして、その節目から新たに迎えた四十一年目、例年夏に行われていた音楽祭は、コロナ禍により、初の冬の開催となりました。クラシックのトップアーティストが集結するこの音楽祭に私も足を運びました。若い音楽家たちが演奏する美しいベートーヴェンの調べに酔いしれました。一方で、コロナウイルス感染の拡大が続いているため、感染症対策を取っての開催となり、主催者側は大変な御心配と御苦労があったと思います。  霧島国際音楽祭の主会場となる霧島国際音楽ホールみやまコンセールは、世界音響学会から奇跡のホールと称賛されたほど、すばらしいホールです。ただ、この立地上、ホールへ入るためには長い階段を上らなければなりません。今回もたくさんの来場者があったのですが、演奏が終演する頃には日が沈み、帰り道は暗い電灯の下で足元が見えづらそうにされている上、そこには手すりがなく、年配の方が何人も転びそうになっているのを見ました。  槇文彦先生が設計したすばらしい建築に敬意を示す一方、せっかくすてきな音楽会を楽しんだ後、危険な階段を下りなければならないという不安を解消する方法がないものかと思いを巡らせたところでした。  そこで質問です。  今回、コロナ禍における音楽祭開催について、どのような反響があったでしょうか。  また、みやまコンセールについて、利用者が不便を感じている点はないのか。特に、ホール玄関につながる階段についてこれまで苦情が寄せられたことはなかったのか、お答えください。  以上をもちまして、三回目の質問を終わらせていただきます。 51 ◯くらし保健福祉部長(地頭所 恵君)コロナ禍における乳がん検診受診者数についてでございます。  乳がん検診につきましては、昨年四月に緊急事態宣言が発出されたことにより、当初の予定を延期した市町村もありましたが、その後、マスクの使用、会場入り口への消毒液の設置、体調不良受診者の事前把握など適切な感染拡大防止策を講じた上で、検診を再開しております。  十二月末時点における乳がん検診受診者数は、約五万三千人であり、前年同時期と比較して約九四%となっているところです。  市町村の乳がん検診の実施方法についてでございます。  県内市町村におきましては、国が定める、がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針に基づき、問診及び乳房エックス線検査であるマンモグラフィーを検診項目として、乳がん検診を実施しているところです。なお、全ての市町村が検診費用の自己負担額に対する助成を行っています。  また、約半数の市町村においては、マンモグラフィーに併せて超音波検査を受診する機会を提供しているところです。  乳がんの早期発見につながる啓発についてでございます。  県では、乳がんの早期発見・早期治療を促進し、乳がんに関する理解を深めるため、十月のピンクリボン月間において、県庁内でピンクリボンツリーの設置や、乳がんに関するパネル展示を行ったところです。  また、関係機関に対して、ポスター、自己検診カードを送付するとともに、街頭キャンペーンによる自己検診カードの配布や啓発用看板の設置を行うなど、県民に対し周知を図ったところです。  さらに、国においても、新型コロナウイルス感染症が発生している状況でも、がん検診を含む必要な受診を住民に対して呼びかけるよう市町村へ依頼したところです。  県といたしましては、乳がんの早期発見・早期治療を促進するため、引き続き、市町村や関係機関と連携し、受診率向上に向けて取り組んでまいります。  乳がん検診における市町村への指導についてでございます。  令和二年三月に取りまとめられた国の、がん検診のあり方に関する検討会における議論の中間整理によりますと、国の指針に定めるがん検診の種類及び検査方法については、死亡率減少効果を認め、かつ不利益が比較的小さいと考えられるものを基本とすることが適切であるとされているところです。  乳がん検診においては、この考え方に基づき、マンモグラフィーが国の指針の検診項目として定められています。超音波検査については、現時点では、死亡率減少効果を判断できないことから、指針の検診項目とはされていないところです。  県では、国の指針に基づき、生活習慣病検診等管理指導協議会乳がん部会において、市町村が実施した検診の実施方法等を検討し、この検討結果を踏まえ、検診実施方法等の改善に向けた市町村に対する技術的支援を行っているところです。  今後とも、がん検診の在り方について、国の動向を注視してまいりたいと考えています。  乳がん検診における乳腺濃度の通知についてでございます。  国は、平成三十年五月二十四日付で、乳がん検診における高濃度乳房への対応についての通知を発出しているところです。  この通知によりますと、高濃度乳房と判定された人は、乳腺の陰に病変が隠れて、がんが発見されにくい傾向にあるが、高濃度乳房の人に現時点で推奨できる有効な検査方法はないことから、市町村で一律に高濃度乳房に関する通知を行うことは時期尚早であるとされているところです。  一方、高濃度乳房についての正しい理解がなければ、がん検診の受診者が不必要な検査を追加で受ける等の不利益が生じると考えられることから、市町村や検診実施機関等が、乳がん検診や高濃度乳房等について正しく理解した上で、正しく情報提供を行うことが必要であるとされているところです。  これを受けまして、県においては、市町村の判断で、がん検診の受診者に対して高濃度乳房に関する情報を伝える場合は、この通知の趣旨を踏まえて適切に情報提供を行うよう周知しているところです。 52 ◯教育長(東條広光君)県立高校における生徒の更衣場所等についてであります。  県立高校においては、女子生徒用の更衣室は、男子校を除く六十校全てに設置され、三十六校では更衣室のみで、また、残りの二十四校ではカーテンなどが取り付けられた教室も使用して着替えが行われております。  男子生徒用の更衣室は、女子校を除く六十校中四十五校に設置されておりますが、教室から更衣室への移動や鍵の貸出しに時間を要するなどの理由から、常に更衣室を使用しているのは七校にとどまり、五十三校では教室等で着替えが行われております。このうち、カーテンやブラインドなどを設置しているのは十七校となっております。  県教委では、着替えが行われる場所については、プライバシー確保等の観点からカーテンなどの目隠しの設置が望ましいと考えており、改めて各学校に対し、更衣室などの使用や、更衣場所として使われる教室等へのカーテン設置について指導してまいります。 53 ◯文化スポーツ局長(迫 貴美君)霧島国際音楽祭等についてでございます。  例年夏に開催しております霧島国際音楽祭は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、史上初となる冬の音楽祭として、一月五日から十二日に開催したところであります。  今回は、観客の座席数を半分にするなど十分な感染症防止対策を講じた上で、国内の著名な音楽家や多数の受講生を迎え、みやまコンセールを中心に多彩なコンサート及び講習会を実施したところであります。また、新たな取組としまして、オンラインコンサート等の無料配信を行うなど、コロナ禍におきましても、県民の方々等が安心して音楽に親しむことができるよう取り組んだところであります。  来場者からは、「様々なコロナ対策が講じられており、心配なく楽しめた」、「音楽祭が開催され、参加できたことに大きな喜びを感じている」などの御意見を頂いたところであります。  また、講習会の受講生からは、「コロナ禍でも音楽祭を途絶えさせてはならないというたくさんの人の熱い思いで開催されたことを感じ、胸が熱くなった」といった声が寄せられたところであります。  県といたしましては、今後とも、アジアを代表する音楽祭として、さらに充実・発展していくことを目指してまいりたいと考えております。  次に、みやまコンセールに対する利用者からの意見につきましては、これまで、一般駐車場から建物入り口までの通路について、「高齢の方や体の不自由な方が利用するには、距離が長く、段差も見えにくい。手すりが必要である」といった声が寄せられているところであります。  このため、みやまコンセールでは、必要に応じて、建物入り口近くの高齢者乗降口や身障者駐車場を案内してきたほか、今回の音楽祭では、階段の照明の増設、誘導員の配置などにより対応したところであります。  近年、高齢の方の利用が増えていることから、県といたしましては、来館者の安心・安全や利便性を確保できるよう、通路への手すりの設置等につきまして、みやまコンセール全体の景観等との調和にも配慮しながら、検討してまいります。 54 ◯米丸まき子君 自席より終わらせていただきます。  知事のリーダーシップによって、この鹿児島県はよりよい、住みやすい場所にも、そうでない場所にもなります。ぜひこの鹿児島県をより住みやすい場所に変えていただくことを強く要望いたしまして、以上、私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手) 55 ◯議長(外薗勝蔵君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後二時三十五分といたします。        午後二時二十六分休憩       ────────────        午後二時三十五分再開 56 ◯議長(外薗勝蔵君)再開いたします。  次は、寿はじめ君に発言を許可いたします。    [寿 はじめ君登壇](拍手) 57 ◯寿 はじめ君 コロナ禍が続く中、本当に日々つらい思いをされている皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、コロナにより亡くなられた方々の御親族の方々に心から深くお悔やみ申し上げます。  通告に従いまして質問に入らせていただきます。  毎年のように相次ぐ自然災害、そしていまだ収束の見えないウィズコロナを余儀なくされた現代。日本で新型コロナウイルスの感染が深刻化したのは昨年三月のことで、自治体では新年度の予算編成を終えたばかりでした。その後、コロナ対策で毎月のように補正予算の編成、執行に追われています。  その財源については、どこまで国が対応し、どこまで県の財源を裏づけしてくれるのか、また、市町村としても、県がどこまで裏づけしてくれるのか、首長さんは危機に向かい合いながら、落としどころを常に気にしている。  全国知事会から二〇二〇年三月二十五日に、地域社会が日常生活を継続できるようにするなど、地方公共団体が地域の経済回復とともに構造改革や効率化に取り組めるよう、リーマンショック時において実施した地域活性化のための交付金のような、自由度が高く、地方負担を軽減し、柔軟な交付金制度を創設することを求められ、国は四月七日に、幅広い交付金を閣議決定しました。  それを受けて、地方自治体は積極的な補正予算編成へと進んでいくのですが、県としても、昨年の夏頃から今日まで、感染拡大防止対策、経済対策として様々な事業を展開してきました。  一つ目の質問ですが、これまでの経緯を踏まえて、改めて、令和四年度の予算編成と並行して、行財政運営戦略の改定が急務と考えます。その意義は、緊急時に対処しつつも、平常時における社会経済情勢の変化に支障なく対応できるようにすることです。  令和四年度以降の財政運営にも、コロナ禍への対応という緊急かつ臨時的な事項は大きな比重を占めるでしょう。さらに、新しい生活様式等に挙げられる分野には持続的な事業実施が求められる。いずれも二、三年間の集中的な対応が必要不可欠であります。一方で、かねての懸案事項である施設・インフラの長寿命化、超高齢化社会への対応は、五年から十年程度が重大な局面を迎えると考えられます。  社会経済情勢の変化への対応を含め、今後一定期間のコロナ禍への対応等を織り込んで、行財政運営戦略を改定することが必要と考えますが、見解をお示しください。  二つ目です。今般のコロナ禍への対応では、例えば、休業要請に応じた中小企業者・個人事業者に対する協力金の支給基準などにおいて、自治体間に相違がありました。どの自治体も、短期間のうちに前例のない対応を迫られ、最善を尽くしていました。  しかし、その努力が事業者に十分に届くためには、自治体間の調整を行った上で、国と地方財政との間で財政的な裏づけを確かなものにするよう議論し、決定していく必要があります。  その上で、地方の対応とされた分野については、連続した対応が集中的に実施されるこの時期において必要とされる財源の安定的確保が、実施の要諦であり、妥当な水準を全自治体において実施可能なように財源を確保するのは、国の財政責任と考えます。  そこで、コロナ禍における確実な財源確保の課題と今後の対応に関して、県の見解をお示しください。  ここで、一回目の質問を終えます。 58 ◯総務部長(平木万也君)新たな行財政運営の指針の策定についてでございます。  現行の行財政運営戦略は、策定後おおむね九年が経過し、この間の本県を取り巻く社会経済情勢は、本格的な人口減少社会の到来や少子高齢化の進行など大きく変化しております。  また、本県財政は、扶助費が増加傾向にあること、公債費が依然として高水準にあることに加え、今後、改修や更新を要する県有施設等の増加などが見込まれているところでございます。  このような社会経済情勢の変化などに対応した持続可能な行財政構造を構築するため、改めて、今後の中長期的な行財政運営の基本的な考え方や行財政改革の方向性を示す新たな指針を策定したいと考えております。  なお、コロナ禍等に対応した個々の事業実施につきましては、毎年度の予算編成の中で考えてまいりたいと考えております。  コロナ禍における確実な財源確保の課題と今後の対応についてでございます。  新型コロナウイルス感染症対策の財源につきましては、国において、地方公共団体の取組に対する財政的な裏づけが確実に講じられるよう、その確保について、県開発促進協議会や全国知事会等を通じて国に要望してきたところでございます。  国は、こうした要望なども踏まえ、令和二年度補正予算において、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金及び新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金を創設・拡充しており、県は、これらの交付金等を最大限活用しながら、感染症の拡大防止対策や医療提供体制の確保、県民の安心・安全と、経済活動、社会活動の両立を図るための施策に取り組んでいるところでございます。  県といたしましては、引き続き、感染状況に応じてこのような取組を進める必要があると考えており、新型コロナウイルス問題が収束するまでの間は、これらの交付金など地方公共団体が必要とする財源について積極的に措置するよう、引き続き、国に要望してまいりたいと考えております。 59 ◯寿 はじめ君 自席より、一点だけ知事に質問させていただきたいと思います。  昨年の夏以来、コロナウイルス感染防止対策・経済対策として、県もあらゆる事業を施策してきたわけですけど、現場の事業者の方々との温度差をかなり感じました。今回の行財政運営戦略には現場の声をどのように数字として反映していくのか、考えをお示しください。 60 ◯知事(塩田康一君)行財政運営戦略の改定に当たりましては、有識者の皆さんにも幅広く御意見を賜りたいと思っておりますし、それ以外にもいろんな広聴機能がありますので、できるだけ現場の皆さんの声をしっかり受け止めながら、進めていきたいと思っております。    [寿 はじめ君登壇] 61 ◯寿 はじめ君 それぞれ答弁頂きました。  塩田知事は施政方針の中で、「本県の多様で豊かな自然環境を次世代に引き継ぎ、安心して暮らし続けることができるようにするためには、これまでの発想を転換し、環境への負荷の少ない持続可能な社会の構築を図ることが重要である」とおっしゃいました。  感染防止対策や経済対策において、自治体の役割が極めて大きいことを再確認したのがコロナ禍であり、今こそ財源の確保、緊急時の対応力を高め、将来の世代に何を残すかという戦略的な県政運営が重要であることを申し述べて、次の質問に移ります。  ここからは、昨年十二月に閣議決定されました、国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策に基づいて、質問してまいります。  ポストコロナを見据えると、例えば、対面型のサービスでは従前のようなビジネスモデルが通用しない中で、新たな時代への変化に対応した経済活動を行うきっかけをつかめない状況にあります。こうした、いまだ攻めに転じられないマインドの弱さが、デジタル化に必要なソフトウェアを含め、成長力の原動力である民間投資の減少に表れております。国際機関の見通しでも、主要先進国の中でも、我が国はコロナ後の回復局面における成長率が低く、コロナ前に回帰する時期が遅れると見込まれており、民需主導の持続的な回復の実現に向け、長年の課題である成長力の強化が不可欠となっております。  政府としては、まずは、ITやAI等を用いたデータ分析結果を含め、年初来の経験から得られた検討に基づく、めり張りある感染対策により、引き続き強い緊張感を持って感染拡大防止に万全を期す。そして、感染拡大を抑えながら、引き続き雇用と事業を支え、経済をしっかりと動かす。同時に、力強い経済対策を講じ、今年度中には我が国経済をコロナ前の経済水準に回帰させ、民需主導の成長軌道に戻していかなければならないとしています。  こうした視座の下、経済対策は以下の三つの柱とし、第一は、新型コロナウイルス感染拡大防止対策であります。  これまでの知見等に基づき、社会経済活動を両立できるよう万全の対策を講ずることとし、病床の逼迫を回避するための医療提供体制のさらなる強化、迅速かつ安定的なワクチン接種体制の整備等に取り組むほか、地方公共団体が酒類を提供する飲食店等に対して営業時間短縮要請等を行い、協力金の支払いを行う場合への支援を追加することを含め、地域の実情に応じた取組への支援を講ずる。  第二は、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現であり、新たな時代の成長モデルの確立に向け、ワイズスペンディングの下、予算、さらには規制改革や税制改正などあらゆる施策を総動員して成長力を強化し、民間需要を大胆に呼び込むとしています。  第三は、防災・減災、国土強靱化の推進など安全・安心の確保としています。  今回は、第一、第二の対策の中から特に気になった事業に関して質問していきます。  それでは、一つ目の質問です。  第一の新型コロナウイルス感染拡大防止策の知見に基づく感染防止対策の徹底として、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の拡充とあり、それぞれの自治体の実情に合わせ、使い勝手のよい交付金となっておりますが、県内において、医療・福祉従事者関連に対する支援・人材確保として活用された実例をお示しください。  続きまして、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現としまして、大きく三つ項目を掲げて対策を打ち出しておりますので、それぞれ気になる事業に関して質問してまいります。  国・地方のデジタル化の一体的かつ抜本的な加速や、マイナンバーカードの普及促進の強化、先端的なデジタルインフラの開発・整備、高等教育を含む教育のデジタル化の推進、二〇五〇年カーボンニュートラルに向けた革新的技術の早期開発・社会実装の促進など、デジタル改革・グリーン社会の実現としておりますが、二つ目の質問です。  デジタル改革として、新型コロナウイルス感染症を契機に、感染拡大のような事態が生じても学びの継続を確保できる教育のICT化・オンライン化へのニーズが増しています。  このため、オンライン教育については、新型コロナウイルス感染症下で特例措置として実施しているところではありますが、デジタル時代に合致した仕組みとして、その内容の一層の充実を行うことと併せ、義務教育段階で本年度中に一人一台の端末環境が整備される中、高等学校段階を含む各教育段階においてICT化・オンライン化を推進し、取り残されることのないよう、デジタル社会にふさわしい対面指導とオンライン・遠隔教育のハイブリッドによる新しい学び方を実現していく。  また、オンライン診療・服薬指導については、新型コロナウイルス感染症拡大の観点から時限的措置を実施しているところであるが、デジタル時代に合致した制度として、安全性と信頼性をベースとし、エビデンスに基づき、恒久化を行うとともに、生活に密着する医療・福祉等の分野における利便性を高めるICT化を引き続き進めることから、国は、教育・医療・福祉におけるICT化等の一層の推進としていますが、県としてのこれまでの実績と今後の取組をお示しください。  二〇五〇年度までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロとする二〇五〇年カーボンニュートラルの実現に向けた挑戦は、我が国の新しい成長戦略であり、グリーン社会の実現のために、本経済対策でまずは政府が環境投資で一歩大きく踏み込む。その鍵となるのは革新的なイノベーションである。再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検を行い、大胆な緩和をするとともに、分野横断的な法的枠組みも含めた必要な制度整備を検討するなど、政策を総動員しながら、中小企業を含め、エネルギー・産業分野における新技術の実装化や研究開発を加速度的に推進していく。
     脱炭素社会の実現に向けて、水素は、発電・輸送・産業など幅広い分野で活用が期待されるカーボンニュートラルのキーテクノロジーであります。今後は水素を新たな資源と位置づけるとともに、利用・輸送・製造の各分野において各種措置を講ずることで、脱炭素化を促進しつつ産業競争力を強化していくことにしている。  しかしながら、水素エネルギーの利活用に関しては、水素発電の安定燃焼性の実証が未完了、燃料電池トラックの商用化の課題、再エネや水電解装置など水素製造のコスト低減など、まだ多くの課題があります。  本県は、温泉や森林、畜産など多様で豊かな再生可能エネルギー資源に恵まれ、将来、再生可能エネルギーを活用したCO2フリーの水素製造拠点となり得る可能性を有しており、昨年三月に策定した鹿児島水素社会の実現に向けたロードマップにおいても、再生可能エネルギー由来の水素の製造や利活用を中長期の目標に掲げております。  多様な資源の中でも、本県は言わずと知れた畜産県であることから、家畜排せつ物などのメタン発酵によるガス化発電や熱利用などのエネルギー利用や、メタンを改質した水素の製造などについても、今後大きな可能性があると考えます。  三つ目です。県として、畜産バイオマスのエネルギー利用に向けたこれまでの取組と今後の対応についてお示しください。  ポストコロナに向け、中小企業の事業継続、業態転換や新たな分野への展開等の経営転換を強力に後押しすること等を通じて、生産性の向上、賃金の継続的な上昇につなげ、引き続き、最低賃金の引上げに向けた環境整備に取り組むことが重要であるとされています。  このような中、国においては、新たな事業再構築補助金を創設し、新型コロナウイルス感染症の影響の下で、経済社会の変化に対応しようとする中堅・中小企業による新規事業への進出等の新分野展開、事業転換、業態・業種転換等の取組や事業再編及び、これらを通じて規模拡大を行う事業者に対して、その設備投資費用等を最大一億円補助するとしています。  また、中小企業生産性革命推進事業については、中小企業等が行う新たなサービス開発や生産プロセスの改善等に必要な設備投資や、IT導入、販路開拓等の支援を行う事業であり、令和二年度には、新型コロナウイルス感染症の影響を乗り越えるために投資を行う事業者向けの特別枠も設けられております。  県内中小企業は、企業数で九九・九%、従業員数で約九〇%を占め、地域社会の維持や雇用の確保など県民の生活を支える重要な存在であるとともに、地域の歴史、伝統、文化の継承にも大きな役割を担っております。  四つ目の質問です。国の中小企業等事業再構築促進事業、中小企業生産性革命推進事業に関しての相談状況などについてお示しください。  地域・社会・雇用における民需主導の好循環の実現として、地方への人の流れの促進など活力ある地方づくり、いわゆる東京圏一都三県の消費額は全国の三割にすぎず、地方の所得を向上させ、地方の消費を活性化することは、経済を民需主導の成長軌道に戻すために不可欠であります。このため、観光や文化芸術・スポーツ等への支援、地域の独自の取組への後押し等を通じて、人の移動を支えるインフラの着実な整備を図りつつ、地方への人の流れを促進し、活力ある地方をつくっていく必要があるとされています。  このような中、国においては、新たな人の流れの促進など地域の独自の取組への支援として、感染症を契機に地方の魅力が見直される中、観光にとどまらず、地方への移住・定住を強力に推進するなど、都会から地方への人の流れをつくり出す取組や、地方公共団体向けの新たな交付金や財政投融資の活用により、サテライトオフィスの整備等を支援するとともに、企業と地方公共団体のニーズのマッチングも通じて、地方におけるテレワークを促進するほか、大企業から地域の中堅・中小企業への人の流れを創出し、地域企業の経営人材確保を支援するため、地域経済活性化支援機構で管理する人材リストを通じた、地域金融機関等による人材マッチングを推進する地域企業経営人材マッチング促進事業に取り組むこととしています。また、条件不利地域における地域振興を促進するとしています。  五つ目の質問です。地域企業経営人材マッチング促進事業に対する県の今後の対応及び、市町村における地方創生拠点整備交付金の活用事例と成果、条件不利地域の振興策の県としての取組をお示しください。  国の総合経済対策においては、成長分野への円滑な労働移動等の雇用対策パッケージとして、感染拡大防止と社会経済活動の両立を目指し、引き続き、雇用調整助成金の特例措置等による雇用の維持・確保に取り組むとともに、一人一人が能力を最大限に引き出しながら働きがいを持って活躍できるよう、業種転換等による雇用確保も視野に、出向や早期再就職による新たな分野への円滑な労働移動の支援や、働きながら学べる環境の整備、リカレント教育の強化、求職者向け支援の拡充等を雇用対策パッケージとして総合的に取り組むと示されています。  具体的には、出向元・出向先双方の企業に新たな助成制度を創設することや、感染症の影響が非正規労働者や女性など弱い立場である人に大きく生じていることを踏まえ、こうした影響による離職者等で、就労経験のない職業に就くことを希望する方の早期就職支援を図るため、一定期間試行雇用する事業主に対する賃金助成制度を創設するとしています。  六つ目の質問です。雇用調整助成金の県内企業の活用状況と、活用を促進するための県の取組をお示しください。  また、国の総合経済対策において、創設されるとされている出向元・出向先事業主への一体的な助成制度や、感染症の影響による離職者を試行雇用する事業主への助成制度の活用促進に向けた取組をお示しください。  ここで、二回目の質問を終えます。 62 ◯総務部長(平木万也君)市町村における医療・福祉従事者への支援事例等についてでございます。  新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金に係る交付決定ベースでの実施計画書によれば、県内市町村においては、管内の医療・福祉施設等に従事する者を対象とした支援として、九市町村が十三事業を実施することとしております。  例えば、鹿屋市では保育施設等従事者に対して、錦江町、南種子町では医療・介護施設等従事者に対して、それぞれ慰労金等を支給するほか、肝付町では医療・福祉施設等従事者に対して、自身の健康管理等に要する経費を支給することとしております。  また、宇検村では、家族等を在宅で介護していた方が新型コロナウイルスに感染したことに伴い、代替として介護士等が派遣された場合には、当該介護士等に対して報酬を支給することとしております。  市町村における地方創生拠点整備交付金の活用事例等についてでございます。  県内市町村におきましては、これまで、八市町村が十一の事業に地方創生拠点整備交付金を活用しております。  当該交付金を活用した具体的な施設としては、稼ぐ地域や安心して働ける環境の実現を目的とした特産品の製造・加工・出荷施設や、新規参入者の技術習得に資する牛舎、地方への新しい人の流れの創出を目的とした体験型スローツーリズムの拠点となる宿泊施設、海洋資源を活用したマリンスポーツ施設、人が集う安心した生活の実現を目的とした多世代交流施設などがございます。  これらの施設の整備により、新規雇用や交流人口の創出、子育て・高齢者支援の充実などの成果が見られており、また、廃校となった学校校舎を活用するなど、既存施設の有効活用が図られたものもございます。  県といたしましては、今後とも、各市町村の総合戦略に基づく施策が円滑に進むよう、必要な情報提供や助言などの支援を行ってまいります。 63 ◯教育長(東條広光君)教育におけるICT化の推進についてであります。  県内の小・中学校、特別支援学校では、今年度末までに、おおむね全ての学校において一人一台コンピューター端末と高速大容量の通信ネットワーク環境が整備される見込みであります。  県立高校においては、国が目標として掲げている生徒三人に一台を上回る、二・八人に一台の整備が本年度末までに完了し、三月補正予算においては、オンラインによる学習支援のための貸与用タブレットをさらに整備することとしており、これにより令和三年度中には、一・九人に一台となる見込みであります。  教育におけるICT化の推進のためには、教員のICT活用指導力の向上が課題でありますことから、来年度は新たに、一人一台コンピューター端末を活用した授業づくりなどを内容とする研修を設けるとともに、県内各地での研修やオンラインでの研修を実施するなど、教員研修の充実を図ることとしております。  また、来年度、二十七の市町村において、小・中学校におけるICT機器の使用の際のサポートを行うICT支援員等を配置することとしており、県教委でも、各県立学校に年二十回、ICT支援員を派遣することとしております。  こうした取組を通じて、県内の各学校におけるICT機器の積極的かつ効果的な活用等を図り、情報活用能力とともに言語能力や数学的思考力など、児童生徒がこれからの時代を生きていく上で基盤となる資質・能力を確実に育成できるよう努めてまいりたいと考えております。 64 ◯くらし保健福祉部長(地頭所 恵君)医療・福祉におけるICT化の実績と今後の取組についてでございます。  医療分野におきましては、現在、三島村及び十島村のへき地診療所で遠隔医療の支援システムが導入され、へき地医療拠点病院である鹿児島赤十字病院とへき地診療所等を結んだ医療支援が実施されています。  また、医療機関からの依頼に基づき二十四時間読影を行う、かごしま救急医療遠隔画像診断センターが県医師会で運営されており、県は、システムの構築に係る経費や運営費の補助などの支援を行ってきているところです。  本県の離島・僻地におきましては、医療機関の利用が困難な地域が存在していることから、来年度において、離島・僻地医療の充実を図るため、ICT技術を活用した遠隔医療の推進に関する調査・研究を実施することとしています。  介護・福祉分野におきましては、今年度から新たに、介護サービス事業所ICT導入支援事業を実施し、八十六施設に対し、介護記録から請求業務まで一元的に管理できる介護ソフトやタブレット端末などの導入費用を助成しているところです。  また、介護職員の身体的負担の軽減を図るため、入浴支援機器、見守りセンサーなどの介護ロボットの導入費用に対する助成を行っており、今年度は、介護施設では、八十九施設三百六十六台の導入及び二十三施設の通信環境整備の費用を、障害者支援施設等では、六施設二十六台の導入に係る経費を助成しているところです。  このほか、オンライン面会に必要な機器整備の費用について、介護施設百六十六施設、障害児者入所施設五十六施設に対して助成を行っているところです。  今後とも、医療・福祉分野におけるICTを活用した効率化等に向けた取組を進めてまいりたいと考えています。 65 ◯企画部長(藤本徳昭君)畜産バイオマスのエネルギー利用に向けたこれまでの取組と今後の対応についてであります。  県におきましては、多量に存在する家畜排せつ物等のエネルギー利用を促進するため、平成二十八年三月に、バイオマスエネルギー利用に向けた取組方針と、メタン発酵ガス化発電等の導入に当たっての留意事項を取りまとめ、自治体等に対して、メタン発酵ガス化発電の事業化に係る事前調査に要する経費の支援を行ってきたところであります。  また、平成三十年度からは、事業化に向けた課題解決の方策の検討や導入可能性調査を行うとともに、民間事業者が行う設備の仕様や採算性の検討に要する経費の支援を行ってまいりました。  しかしながら、依然として、採算性や原料の安定確保、発電の過程で発生する消化液の活用などが課題となり、具体的な事業化が進んでいないところであります。  県といたしましては、導入可能性調査の結果等に基づき、課題の解決に向けて、地域特性に応じた事業モデルを作成するなど、引き続き、事業化の方策を検討してまいります。  県における地方創生拠点整備交付金の活用事例等についてであります。  県におきましては、これまで、地方創生拠点整備交付金を活用し、マリンポートかごしまにCIQ機能等を有するターミナルを整備したことにより、クルーズ船寄港時における出入国審査等の手続の迅速化が図られ、乗船客がより長い時間を観光に充てられるようになったところであります。  また、農業開発総合センターにおいて、お茶の無人走行ロボット摘採機や自動制御スプリンクラー等の設備を整備し、圃場管理技術の開発に取り組んだことにより、生産者の大幅な省力化や作業精度の向上による高品質な茶の生産に寄与しているところであります。  今後とも、当該交付金を活用し、本県の有する地域特性や可能性を最大限に生かしながら、地方創生に向けた取組をさらに推進してまいります。  条件不利地域の振興策の県の取組についてであります。  過疎地域など条件不利地域におきましては、人口減少や少子高齢化等により、地域コミュニティーの崩壊など様々な課題に直面していることから、県では、中山間地域等集落活性化指針に基づき、共生・協働の地域づくり、地域リーダーの育成、空き家対策の推進、農林水産業の振興など様々な施策に取り組んでいるところであります。  さらに、今般の新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、地方の豊かさが改めて注目され、地方回帰の機運がさらに高まっており、移住・交流の促進など新しい人の流れの創出、条件不利性を改善するためのあらゆる分野でのデジタル化などデジタル社会の実現、豊かな自然、食、歴史や伝統など、豊富な地域資源の磨き上げにも取り組んでまいりたいと考えております。  県といたしましては、それぞれの地域で、将来にわたって活力ある社会を維持していくことが重要であると考えており、引き続き、本県の実情に沿った実効性を伴う各般の施策の展開に努めてまいります。 66 ◯商工労働水産部長(五田嘉博君)国の中小企業等事業再構築促進事業等についてであります。  これらの事業は、事業の再編やビジネスモデルの転換を図るため、今年度の第三次補正予算に計上されている補助制度です。  県内中小企業等からの相談については、主に、かごしま産業支援センター内に設置されている、よろず支援拠点や商工団体において対応しており、補助金の概要や今後のスケジュールなどの問合せが多く寄せられております。  また、工業技術センターにおいても、補助金を活用して機器を導入する際、技術的な相談に応じているところです。  中小企業等に対する支援制度が有効に活用されるためには、各支援機関が相互に連携し、その周知を図っていくことが極めて重要であることから、県としては、今後とも、金融機関や商工団体、行政等で構成する、かごしま中小企業支援ネットワーク等を通じて情報を共有するとともに、県や関係機関によるメール配信や情報誌を活用して周知広報に努めてまいります。  次に、地域企業経営人材マッチング促進事業についてであります。  本事業は、大企業から地域の中小企業等への人の流れを創出し、地域企業の経営人材確保を図るため、今年度第三次補正予算に計上された国の新規事業であり、現在、詳細な事業内容について検討中であると聞いております。  本県では、都市圏等からの即戦力人材を確保するため、平成二十八年からプロフェッショナル人材戦略拠点を設置し、地域金融機関等と連携しながら、県内中小企業等の経営革新に必要な専門人材のマッチング支援を行っているところです。  今後、ポストコロナに向けた本県産業の振興を図るためには、これを支える人材の確保・育成が重要であることから、引き続き、国や経済界、関係団体等と連携して、人材の確保・育成に努めてまいります。  成長分野への円滑な労働移動等の雇用対策パッケージについてであります。  県内の雇用調整助成金の活用状況につきましては、鹿児島労働局によりますと、二月二十日現在で二万五十二件の支給申請があり、一万九千八百十五件の支給が決定されたところであります。  県においては、商工会議所、商工会に委託して、労務相談等の対応や、専門的知識を有する社会保険労務士などの専門家による助成金申請の支援を実施しております。  国の総合経済対策で創設された出向元・出向先への一体的な助成制度や、新型コロナウイルス感染症の影響による離職者を試行雇用する事業主への助成制度の活用促進に向けては、今後設置されます、労働局、県、労使団体等を構成員とした協議会において、出向情報やノウハウの共有、送り出し企業や受入れ企業開拓を行い、地域で連携して出向マッチングを支援することとなっております。  雇用調整助成金や国の総合経済対策で創設される各種助成金制度については、県ホームページや労働かごしまなどの広報媒体を活用して、引き続き周知に努めてまいります。    [寿 はじめ君登壇] 67 ◯寿 はじめ君 それぞれ答弁頂きました。  今般のコロナ禍において、今日まで昼夜問わず、自ら命を削る思いで、現場の最前線において献身的な努力をしていただいている医療関係者の皆様に、改めてこの場をお借りして感謝申し上げます。  先日の自民党県議団の代表者から、医療従事者の離職防止、確保に関する質問があり、また、県としても、計画を立ててしっかりと対応していくとの答弁を頂きました。  私も個人的に、甑島で働く看護師より悲痛な声を伺い、今ある医療崩壊の危機を感じた次第でした。角度を変えて質問させていただきました。対面・接触を避けての仕事化を進める中で、なりわい上厳しいのは医療・福祉従事者関連の業務かと思います。自治体として現場の声に寄り添い、地方臨時交付金を活用して支援する姿勢はすばらしいと感じました。  ICT化の促進で現場の問題が潜在化することのないよう、しっかりと各部局、各自治体と情報共有を図られますよう強く要望いたします。  最近よく見聞きします。脱炭素・カーボンニュートラル社会実現に向けての活発的な企業、行政の動き。知事は、「稼ぐ力」の向上を強く訴えておりますが、今あるものを最大限に活用し、エネルギーの移入による支出を減らすことも、「稼ぐ力」につながると考えます。  昨年の九月の一般質問でも申し上げましたが、いま一度、サトウキビの高収益作物としての検証を強く要望いたします。  我が県の目下の経済対策は、何よりも中小企業の事業者の皆さんが明日に希望と夢を持ち、働ける環境を後押ししてあげることだと考えます。国から多くの事業が創設されていますが、事業者の方々からの相談を待つ体制ではなく、自ら現場の声を聞く、手を差し伸べる姿勢を持つことを強く要望いたします。  昨年十月二十四日、二十五日と、現地視察も含めて、塩田知事には一番初めにふれあい対話を徳之島にて開催していただき、心から感謝申し上げます。  島民はその日を待ち望み、また、当日は大盛況でした。さて、三町を回り、それぞれ住民の方々から直接、切実な現実の状況に対する改善をお願いされたり、相談されたわけですが、それに対する対応と進捗状況を伺いたいと思います。全て伺いたいところではありますが、主なことに関して質問させていただきます。ですが、それ以外の要望に関しても答えていただきますと幸いです。  一つ目です。今回の徳之島開催のふれあい対話において、各町民より要望、質問等を受けたわけですが、そのことをどのように今後の県政に反映させていくか、ふれあい対話の全体的な総括も含めてお示しください。  二つ目です。徳之島と言わず、離島においてはどこも言えることですが、海のしけによる船の抜港、欠航が多く、食料品等の安定的な供給や農産物の計画的な出荷が課題となっています。県はこれらの課題にどのように対応するか、お示しください。  三つ目です。観光振興における情報発信に対する取組をお示しください。  四つ目です。農業の振興についても多くの意見が出されたところですが、特に、サトウキビの振興や鳥獣被害対策の取組についてお示しください。  ある記事の見出しに目が留まりました。出生率が映さぬ少子化、若い女性の地方離れによる経済的影響、鹿児島は、出生率は二〇一九年度で上位九位ですが、十五歳未満の子供の人口は、二〇〇九年比マイナス九・八%です。コロナ禍で少子化が加速するとのデータも出ています。今こそ、子育て世代の女性が暮らしやすい環境を創出し、子供の支援体制をしっかりと確立すべきだと感じます。  SDGsの目標四、質の高い教育をみんなにという項目では、二〇三〇年までに全ての男女が無償で初等・中等教育を修了すること、また、職業訓練の平等な機会を提供し、ジェンダーと貧富による格差を解消することで、全世界で質の高い高等教育機会を提供することが目標であるとされています。  ユニセフ研究所によると、二〇一六年、日本は、OECD加盟国を中心とする四十一か国中、子供の貧困率において十四番目、相対的所得ギャップにおいても八番目の高さでした。  また、厚労省による国民生活基礎調査、二〇一九年版では、子供がいる現役全世帯全体の相対貧困率が一二・六%であるのに対し、大人が一人の世帯の相対的貧困率は四八%と、約四倍を超える高い水準となっております。OECD加盟国中、独り親世帯は、高い就業率にもかかわらず相対的貧困率が高く、ワーキングプア状態にあるという。  子供の貧困に関心が寄せられる中で、貧困が学力とも大きな関連があることが解明されてきています。経済的困窮が子供に与える影響は、衣食住や健康・発達にとどまらず、虐待・ネグレクトや低学力、低い自己肯定感といった深刻なダメージとして顕在化しており、さらに、こうしたもろもろの不利や困難な状況が複合的に形成されることによって、学習や教育の機会及びライフチャンスが制約されるに至り、成長するとともにその不利や困難は長期化する。結果として、次世代の子供の貧困という結果に陥る。まさしく貧困の世代的再生産が生じることになるとする文献も出ております。まだまだ実証的データと研究の蓄積が少ないものの、子供虐待問題と低所得・貧困の関連は示されています。  国としても、制度の充実を図り、対応してきましたが、平成三十年度のデータでは、心理的虐待五五・三%が最も多く、次いで身体的虐待二五・二%となっている。虐待を受けた子供の年齢では、就学前児童が四五・七%と半数近くを占めており、死亡事例のうち、六割強をゼロ歳児が占めていることから見ても、年齢が低いほど死亡につながりやすく、リスクが高いことが分かります。  保育所等の利用率は年々増えてはいますが、二〇二〇年四月現在で、ゼロ歳児で八割以上、三歳未満児でも六割以上が在宅で育てられている状況です。孤立に陥りやすい在宅子育て家庭の育児困難に目が向けられるようになり、民間及び行政による支援が進められてきました。その中心的な場として、地域子育て支援拠点が設置されています。保育料無料化は人口流入に影響し、そして各自治体による取組によっては、保育施設を使いたくても使えない人が増えることもまた事実であり、公共の福祉として、どの子供も保護者も適切なサービスを受けることができるように、保育を取り巻く現状を把握した上で、適切な対処を行っていくことが非常に重要だと感じます。  児童相談所や家庭児童相談室、児童福祉施設において支援される子供、接することができる子供はごく一部にすぎません。それに対して、学校は全ての子供たちを視野に入れることができます。だからこそ、悲惨な家庭の状況をいち早くキャッチできる可能性があります。  複雑化する課題を抱える中で、教育機関としての学校の役割が再考され、様々な制度が整備されているところですが、二〇一八年に実施されたOECDによる教員環境の国際比調査によると、我が国の中学校教員が一週間当たりの仕事にかける時間は五十六時間、参加国平均三十八・三時間、小学校教員は五十四・四時間で、いずれも調査対象国で最長でありました。しかも、授業やその準備以外に費やす業務が多く、そのために総労働時間が長時間化していることも分かりました。教職員のワーク・ライフ・バランスの確保も図りつつ、家庭の状況にかかわらず子供たちが安心して教育を受けられるような教育・相談体制充実を深めた環境づくりや、低所得世帯の高校生への経済的支援が必要であると考えます。  そこで、最後の質問です。  コロナ禍を経て、ますます諸問題が顕在化する中で、県としての子供貧困支援、学びのセーフティーネット、子育て支援の取組をお示しください。    [知事塩田康一君登壇] 68 ◯知事(塩田康一君)徳之島での知事とのふれあい対話についてでございます。  知事とのふれあい対話は、県民と真の対話を行う場として開催しており、これまで、徳之島三町と北薩地域の二市一町で開催しております。  徳之島での対話では、大変多くの方に温かくお迎えいただき、感謝しております。  参加された方々からは、医療や教育における本土との格差の解消や女性の活躍促進、コロナ禍における観光の振興、サトウキビの生産支援、世界自然遺産登録に向けた取組など、多岐にわたる地域課題について多くの御意見を頂いたところであります。  これらは、各部局において検討を行い、離島・へき地におけるICT技術を活用した遠隔医療推進事業や、女性のエンパワーメント事業、「稼げる」観光地域づくり推進事業など、新たに七つの事業を令和三年度当初予算に計上するなど、施策に反映させているところでございます。
     なお、全ての御意見についての県の対応や考え方等を取りまとめまして、先月、県のホームページに掲載したところであります。  行政需要が多様化し、県民ニーズが広がる中、安心できる行政づくりを行うため、今後とも、知事とのふれあい対話など様々な機会を通じて、県民の皆様の声を伺い、庁内でもしっかりと議論して、県民への説明責任を果たしながら、各般の施策に取り組んでまいります。 69 ◯企画部長(藤本徳昭君)船舶の欠航などによる食料品等の供給についてであります。  離島におきましては、船舶が欠航などした場合に、食料品等が不足し、住民生活に影響が生じていると承知しております。  県におきましては、昨年一月、有人離島を有する市町村、海上保安庁、海上自衛隊、旅客船協会等と、台風発生時などにおける離島の物流対策について、意見交換を行うとともに、課題の整理や対応策の検討等を行ってきたところであります。  今年度におきましては、関係機関に対し、緊急時の輸送支援、フェリーの臨時便運航、医薬品等重要物資の優先輸送等について改めて要請を行ったほか、市町村と連携し、広報誌や防災無線等を活用して、住民の方々に対し、備蓄する物資、その量の目安などについて普及啓発を行ったところであります。  さらに、各店舗において、事前に食料品等の仕入れ量を拡大できないかなどにつきまして、現在、市町村と意見交換を行っているところであります。 70 ◯農政部長(満薗秀彦君)船舶の欠航などに対応した農産物の出荷対策についてでございます。  県では、大島地域における農産物の計画的な出荷に向けて、これまで、国の補助事業等を活用しながら、農業団体等が管理する野菜や花卉、果樹の集出荷施設、予冷施設、フリーザーコンテナの整備を支援してきたところであり、天候不良により船舶が抜港・欠航した場合にも、これらの施設を活用した一時保管が行われているところでございます。  今後とも、農産物の計画的な出荷に必要な新たな施設等については、生産者団体等からの要望も聞きながら、市町村や農業団体とも連携し、その整備を支援してまいります。  次に、サトウキビの生産振興に関しましては、生産拡大に向けた幅広い支援や、作業が集中する収穫時の労働力確保に対する支援などの御意見を頂きました。  県といたしましては、生産拡大を図るためには、単収・品質の向上が重要であると考えていることから、島ごとに策定しているさとうきび増産計画に基づき、株出し管理機など適期の管理作業を行うための農業機械の導入や、地力増進対策、優良品種の普及などに加え、さとうきび増産基金を活用した、台風、干ばつ等の気象災害対策、病害虫防除対策などの支援に取り組んでおります。  また、労働力の確保については、収穫や株出し管理、植付けが集中する二月から四月の作業の分散を図るため、夏植えを推進するとともに、株出し管理作業等の受託組織の育成に取り組んでおります。  県といたしましては、今後とも、関係機関・団体と一体となって、増産計画に基づき、サトウキビの生産振興を図ってまいります。  次に、鳥獣被害対策につきましては、イノシシの被害防止対策などの御意見を頂いたところです。  県では、国の鳥獣被害防止総合対策交付金を活用して、集落ぐるみの被害防止研修会の開催や、侵入防止柵の整備、捕獲活動経費の支援などに取り組んでおります。  これに加え、近年、イノシシの被害が増加している徳之島におきましては、県鳥獣被害対策アドバイザーを派遣し、現地での被害状況等を聞き取りしながら、侵入防止柵の適正管理や、イノシシが侵入しにくい環境づくりなどの現場指導を行っております。  また、赤外線カメラを搭載したドローンによるイノシシの行動調査を基にした、効果的な被害防止対策の取組を支援することとしております。  県といたしましては、今後とも、市町村と連携しながら、ソフト・ハード両面にわたる総合的な対策を推進し、被害の防止・軽減に努めてまいります。 71 ◯PR・観光戦略部長(木場信人君)観光振興における情報発信に対する取組についてであります。  徳之島は、希少な動植物や変化に富んだ海岸部の景観などの多彩な自然、数百年の歴史を誇る迫力ある闘牛文化など、魅力的な観光資源を多数有しています。  県では、これらの魅力的な観光資源を県観光サイト等で情報発信しているほか、旅行会社向けに観光素材として紹介するなど、県内外からの誘客に向けて取り組んでいるところであります。  また、今年夏頃に期待されている世界自然遺産登録を見据えた沖縄県との共同プロモーションも行い、県域をまたいだ広域周遊促進にも取り組んでいます。  県といたしましては、今後も、徳之島三町や地元の観光関係者と連携して、徳之島の持つ魅力を積極的に発信し、観光客誘致につなげてまいります。 72 ◯子育て・高齢者支援総括監(吉見昭文君)子供の貧困支援及び子育て支援についてでございます。  まず、子供の貧困支援についてでございますが、県といたしましては、家庭の経済状況等にかかわらず、安心して子供を産み育てられる環境づくりが重要であると考えており、令和二年三月に改定しました、子どもの貧困対策計画におきましては、医療・食・教育で格差のない社会を目指すこととしております。  具体的には、子ども医療給付費について、令和三年四月から新たに住民税非課税世帯の高校生まで拡充いたしますほか、子ども食堂の立ち上げ支援や各種の奨学金による進学等の支援などに取り組んでおります。  また、県や市町村等が実施している、成長段階に応じた子供の生活支援対策を集約し、制度や申請窓口を分かりやすく掲載したリーフレットを小学校に入学する子供の保護者等へ、それからガイドブックを中学二年生、教員等に、昨年度に引き続き配布したところでございます。  さらに、今年度は、新型コロナウイルス感染症に関連いたしまして、低所得の独り親世帯に対して、臨時特別給付金を支給いたしましたほか、子ども食堂が、開催に代えて弁当や食材の配布等を行う取組を支援しているところでございます。  次に、子育て支援についてでございますが、近年、核家族化の進展や地域のつながりの希薄化により、祖父母や近隣の住民等から、日々の子育てに関する助言、支援や協力を得ることが困難な状況になっており、子育てが孤立化し、子育てに不安や負担を感じる親が増加しております。  子育ては、次の世代の担い手を育成するという観点から、子育て家庭が安心と喜びを持って子育てに当たることができるよう、社会全体で応援することが求められております。  このため、コロナ禍におきましても、感染防止対策に留意しつつ、市町村の地域子育て支援拠点において、子育て中の親子が気軽に不安、悩みの相談等ができるよう取り組んでいるところであります。  県におきましても、県民一人一人が子育てを支えていく取組を積極的に実施する日として、毎月十九日を育児の日と定めておりますほか、今年度は新たに、企業向けの、男性の家事・育児参画応援読本や、地域における子育て支援に携わる人材確保を図るための子育て支援員ガイドブックを作成・配布するなど、引き続き、社会全体で子育てを応援する機運の醸成に取り組んでいるところでございます。 73 ◯教育長(東條広光君)学びのセーフティーネットについてであります。  学校には、プラットフォームとしての機能を生かして、子供たちの状況を把握し、その相談を受けたり、関係部局との連携や経済的支援などを行うことで、子供たちの福祉の向上を図ることが求められております。  子供や保護者からの学校生活や進路、不登校に関する悩みについては、スクールカウンセラーが相談を受け、子供の貧困や児童虐待など学校だけでは解決できない事案については、スクールソーシャルワーカーを活用し、医療、福祉、警察等の関係機関と連携を図りながら、課題の改善、解決に向けた支援を行っております。  また、経済的な理由により修学が困難な高校生については、奨学のための給付金事業において、教科書や学用品など授業料以外の教育費の負担軽減を図るほか、県育英財団を通じて、教材費などの教育費を貸与し、経済的支援を行っているところであります。  なお、オンライン学習に参加できない高校生のために、三月補正予算では貸与用タブレットの整備に係る経費を計上しているところであります。    [寿 はじめ君登壇] 74 ◯寿 はじめ君 それぞれ答弁頂きました。  引き続き、ふれあい対話を各地域にて開催し、ぜひ、じかに県民の声を聞いていただき、県政に生かしていただきますよう強く要望いたします。  少子化によって一人当たりの将来負担率が高くなる話題が上がり、少子・超高齢化社会において経済が疲弊するとの問題ばかりに目が行きがちですが、大人の目が多い分、一人でも多くの人材をいかに育て、夢をかなえてもらうかが何よりも大事であり、一人の人間の可能性が世の中を一変させることは歴史が物語っております。  今こそ、技術革新をうまく利用しつつデジタル・トランスフォーメーションの推進を加速させることが、様々な問題解決の鍵であることを確信しております。  塩田カラーの話題が先日も出ておりましたし、決断力を問題視する声も上がっていましたが、私も正直、大丈夫かなと不安視しておりました。でも、職員の提案を聞きつつも、自身の思いを込めた意図的な新規事業が見てとれたとき、白黒もカラーも見せずに虎視たんたんと目的に向けて歩みを進めるのが、塩田カラーならず、流儀なのかなと感じた次第でした。  ともあれ、私自身、これからも現場の声に寄り添える県政を目指し、尽力してまいりますことをお誓い申し上げまして、一般質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) 75 ◯議長(外薗勝蔵君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 76    △ 日程報告 ◯議長(外薗勝蔵君)明日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問であります。       ───────────── 77    △ 散  会 ◯議長(外薗勝蔵君)本日は、これで散会いたします。        午後三時三十五分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...