鹿児島県議会 2020-12-02
2020-12-02 令和2年第4回定例会(第2日目) 本文
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午前十時開議
△ 開 議
◯議長(外薗勝蔵君)ただいまから、本日の会議を開きます。
本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。
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議 事 日 程
一、開 議
一、代表質問
中 村 素 子 君
前 野 義 春 君
一、散 会
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2 △ 代表質問
◯議長(外薗勝蔵君)代表質問であります。
中村素子君に発言を許可いたします。
[中村素子君登壇](拍手)
3 ◯中村素子君 令和二年第四回定例会に当たり、
自由民主党県議団を代表して質問いたします。
新型コロナウイルス感染症が欧米などで急速に再拡大し深刻な状況となる中、国内でも東京、大阪、北海道をはじめ全国で感染が拡大しており、新規感染者数が過去最多を更新しました。
一方、アメリカ
大統領選挙における前代未聞の混乱、安倍首相の突然の退陣と菅新内閣の発足、本県では歴代最多の候補者となる県知事選挙での塩田新知事の誕生など、内外が激動の年となりました。
また、先般の鹿児島市長選挙においては、本議会出身の下鶴隆央氏が当選を果たされたところであります。
さて、塩田知事の就任から四か月が経過し、いよいよ知事には来年度予算編成をはじめ県政運営への本格的な取組が求められております。
本県経済は、
新型コロナウイルス感染症の影響により、飲食店や観光関連産業、交通産業、
イベント関連産業、農林水産業など大きな影響を受けております。
新型コロナウイルス感染症の拡大防止と社会経済活動の両立、コロナ収束後の経済再生と中長期的視点に立った本県のさらなる発展に向けた県政運営に加えて、当面する新たな総合体育館の整備や鹿児島港本港区
エリアまちづくりなど主要施策の具体的な方向づけなど、取り組むべき課題は山積しております。
本県財政は、国・地方を通じた厳しい財政環境の中、
新型コロナウイルス感染症の影響等に伴う経済の下振れにより、今後一層厳しい財政状況が続くものと考えられますが、持続可能な行財政構造の構築を着実に推進するとともに、本格的な人口減少・少子高齢化の進展を見据えつつ、地域の活性化と県勢の浮揚発展につながる県政運営を望むところであります。
これらの状況を踏まえつつ、以下、通告に基づき質問してまいります。
初めに、総務関係であります。
令和三年度当初予算の編成方針と今後の財政運営について伺います。
令和元年度の一般会計決算は、歳入・歳出ともに前年度を上回ったものの、行財政運営戦略に基づく行財政改革の取組等により、平成三十年度に引き続き実質収支は黒字となっています。
また、
臨時財政対策債等を除いた本県独自の県債残高は、前年度よりも百二十八億円の減となる一兆五百九十八億円となり、総額も一兆五千九百億円と、県債残高は着実に減少しており、財政調整に活用可能な基金も平成三十年度と同水準の二百五十億円が確保されました。
しかしながら、本県においては、高齢化の進行により扶助費が増加傾向にあることや公債費が依然として高水準であることを踏まえると、厳しい財政運営が続くことが予想されています。加えて、
新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、七月に内閣府が公表した中長期の経済財政に関する試算では、今年度は補正予算による歳出増や感染症の影響等を背景とした経済の下振れによる歳入の鈍化が見込まれており、それに伴う地方税財源の大幅な減少が懸念されています。
このような中で、県は先般、来年度当初予算の要求基準を示し、予算編成に当たり、引き続き、県民の命と暮らしを守ることを最優先とした感染防止対策を実施するとともに、
新型コロナウイルス感染症の影響を克服する強力な産業支援を講じる必要があるとして、
行財政改革推進プロジェクトチームでの検討内容を含め、歳入・歳出両面にわたる行財政改革への徹底的な取組をはじめ、マニフェストで示されている基本的な考え方を踏まえた各種施策の重点化や組替え等による見直しを行うとしています。
一方、
行財政改革推進プロジェクトチームが示した令和三年度当初予算編成における財政収支見通しでは、現時点での地方財政制度等を踏まえ、見込み得る範囲で推計した仮試算として、一般財源ベースで二十七億円の収支不足が見込まれております。ただし、国の予算編成の動向などにより、財源不足がさらに拡大する可能性もあります。
このような状況を踏まえ、県は、限られた財源の中で、
新型コロナウイルス感染症の感染防止対策や医療提供体制の確保を行いつつ、知事の言う鹿児島の「稼ぐ力」の向上に努めるための本県の感染症収束後の力強い経済復興と、さらなる経済成長に向けた施策をはじめ、今後の県勢発展の基盤をしっかりとつくっていくため、鹿児島の基幹産業である農林水産業、観光関連産業のさらなる振興に取り組む必要があります。
そこで伺います。
第一点は、令和三年度の当初予算の編成方針についてお示しください。
第二点は、同予算の歳入における県税収入、地方交付税及び国庫支出金の動向についてお示しください。
第三点は、当初予算要求基準については、知事のマニフェストの実現に向けた専用枠を設けることとしていますが、同予算での対応を検討しているマニフェストに基づく最優先課題についてお示しください。
第四点は、二十七億円の収支不足が、平成二十九年度以降に示された中で最少額となっていることについての要因をお示しください。
次に、
男女共同参画関係であります。
女性活躍推進について伺います。
国は令和二年七月一日、女性活躍加速のための重点方針二〇二〇を策定しました。方針では、政策・方針決定過程への女性の参画状況は、国際的に見ると依然として低水準にとどまっていると指摘しており、政府は七月、指導的地位に占める女性の割合を三〇%に引き上げるとした政府目標の先送りを決定しました。
また、女性が直面する困難は、経済的・身体的・精神的な困難など多岐にわたっており、さらに今般の
新型コロナウイルス感染症の拡大に起因する外出自粛や休業等が行われる中、増大する家事、子育て、介護等の家庭責任の女性への集中や、生活不安・ストレスからのDV被害の増加・深刻化などが懸念されています。
重点方針では、女性や女児は
新型コロナウイルス感染症の影響を様々な形で受けやすく、応急対応及び回復期の両面において対策を講じるに当たっては特別な配慮が必要であることを指摘しており、その必要性については、国連をはじめとする各種の国際機関も積極的に発信しており、我が国においても着実に対応することが求められ、性別等を理由として女性が支援から取り残されることのないよう、一人一人に寄り添って取り組むことが大事であると言及しています。
ほかにも重点方針では、女性に対するあらゆる暴力の根絶を掲げて今年六月に策定した、性犯罪・性暴力対策の強化の方針に基づき、令和二年度から三年間で、再発防止や被害者支援、教育や啓発を集中的に行うことも重点方針の柱の一つに据えています。
前回の定例会では、女性登用について知事の政治姿勢を問われた際、現行の女性職員の活躍のための鹿児島県
特定事業主行動計画に基づき、「女性職員が意欲を持ってその能力を発揮できるようにするとともに、働きやすい環境の整備に努めてまいりたい」と答弁しているところであります。
そこで伺います。
第一点は、女性活躍について、知事としての具体的な考え方を改めてお示しください。
第二点は、コロナ禍におけるDVの現状及び県のDV防止対策についてお示しください。
第三点は、性犯罪・性暴力における犯罪被害者等の支援に対する県の取組をお示しください。
次に、PR・観光戦略関係であります。
新型コロナウイルスの影響を受けている本県観光産業の現状と対策について伺います。
本年一月に国内で初めて
新型コロナウイルス感染者が確認されて、間もなく十一か月が過ぎようとしています。観光産業は、インバウンドだけでなく、国内観光やビジネス出張も激減し、これまでにない厳しい状況となりました。
このような中、国においては、国内旅行の需要喚起策として、七月から
GoToトラベルを実施しています。十月一日からは対象地域に東京発着旅行が追加されるとともに、旅先での飲食や買物に使える
地域共通クーポンの発行も始まり、十月三十一日までに少なくとも約三千九百七十六万人泊の利用となるなど、経済効果への期待が高まっておりました。
しかし、十一月中旬から、東京、大阪、愛知、北海道などで感染が再拡大し、全国の新規感染者数が過去最多を更新していることから、一部地域を
GoToトラベルの対象地域から除外するなどの動きが出ております。
県においては、六月から県民向けの宿泊助成やバス旅行商品の造成といった
ディスカバー鹿児島キャンペーンを段階的に実施し、また、宿泊事業者や
観光バス事業者等を対象とした
感染防止対策支援を開始しました。さらに、九月の補正予算では、旅行商品の割引助成や各事業者の誘客に向けた取組、受入れ体制の整備を支援する
観光かごしま回復事業を計上したところであります。
民間調査によると、県内のホテルや旅館など宿泊施設の稼働状況を示す指数は、九月は前月より一三・七ポイント改善され、回復傾向にあることが示されました。しかし、少人数での旅行が増加する一方で、社員旅行や研修旅行といった団体客の動きは鈍く、
貸切りバス事業者や旅行代理店は厳しい状況が続いています。また、ビジネス需要は、出張を控える動きがまだまだ続いており、回復に至っていません。
県は、本年三月に鹿児島県
観光振興基本方針を策定し、令和六年を目標年として観光消費額や延べ宿泊者数などに高い数値目標を設定していますが、このままの状況が続けば、目標到達は厳しいものと考えられます。
引き続き、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の状況を見極めつつ、観光産業の再生に向けた今後の対応に努める必要があります。
そこで伺います。
観光産業は、
新型コロナウイルス感染症拡大の影響を最も受けており、これまで、国・県ともに回復のための経済対策を展開してきているところではありますが、その効果及び現時点における本県観光産業の状況と今後の見通しについてお示しください。
[知事塩田康一君登壇]
4 ◯知事(塩田康一君)まず、令和三年度の当初予算編成方針についてでございます。
令和三年度の国の予算編成につきましては、
新型コロナウイルス感染症への対応に係る経費、地方財政対策、税制改正、公共事業関係費や農業関係予算など、地方の行財政運営に大きな影響を与える予算編成や制度設計が行われることが考えられます。
このような中、本県の当初予算編成に当たっては、国の動向を注視しつつ、
行財政改革推進プロジェクトチームでの検討内容を踏まえ、歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に取り組んでまいりたいと考えております。
まずは、
新型コロナウイルス感染症対策をしっかりと進め、県民の安心・安全と経済活動、社会活動の両立が図られるよう取り組んだ上で、マニフェストに掲げた基本的な考え方も踏まえ、予算編成作業を進めてまいりたいと考えております。
次に、令和三年度当初予算での対応を検討しているマニフェストに基づく最優先課題についてでございます。
令和三年度当初予算編成におきましては、マニフェストで示している基本的な考え方を踏まえた各種施策を推進するため、重点的な予算配分や事業の組替え等、めり張りをつけた見直しなどを行うよう指示しております。
まずは、
新型コロナウイルス感染症対策をしっかり進め、県民の安心・安全と経済活動、社会活動の両立が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。
その上で、今後の県勢発展の基盤をしっかりとつくっていくため、鹿児島の基幹産業であります農林水産業、観光関連産業のさらなる振興、地域を支える人材や新たな未来を切り開いていく人材の確保・育成、技術力の高い製造業など若者が働く場としての新たな産業の創出などに取り組んでまいりたいと考えております。
こうした取組を通じて、鹿児島の「稼ぐ力」の向上に努めるとともに、結婚・出産・子育てしやすい環境の整備や高齢者が健やかで生きがいを持てる社会の形成などに取り組み、これらを基盤として、高齢者や女性、障害者、子供たち、あらゆる方々が生き生きと活躍し、暮らしていける鹿児島をつくってまいりたいと考えております。
そのほか、当初予算に計上する事業の内容や事業費などについて、現在、具体的に検討を進めているところであり、今後示される国の予算編成の内容や来年度の地方財政対策なども踏まえながら、県の財政状況を勘案しつつ判断してまいりたいと考えております。
次に、女性活躍に対する見解についてでございます。
女性がその個性と能力を発揮し、様々な分野で活躍することは、本人の希望がかなう生き方や働き方を実現する上で重要であるとともに、人口減少が進む中で本県社会の活力を維持していくためにも不可欠であると考えております。
固定的性別役割分担意識や社会制度・慣行が女性の能力発揮の妨げとならないよう、様々な施策を総合的・横断的に取り組んでいくことが必要であると認識しております。
今回の
新型コロナウイルス感染症の対応に当たっては、医療関係者をはじめエッセンシャルワーカーと言われる方々に、医療・保健、福祉・介護の第一線で御尽力いただいているところであり、この中で多くの女性が活躍しております。
また、製造業はもとより、情報産業やヘルスケア産業などの新分野において本県の「稼ぐ力」を一層強化していく上でも、女性をはじめとする多様な人材の活用が極めて重要であると考えております。
そのためには、起業やキャリア形成、再就職など就業面の支援に加え、子育ての社会基盤の充実や、職場における働き方改革の促進等、重層的に施策を講じることが必要であり、こうした取組に着実に取り組んでまいりたいと考えております。
さらに、女性活躍の前提である安全・安心な暮らしの実現のため、今回の
新型コロナウイルス感染症による女性の深刻な影響も踏まえつつ、DVや性暴力等の根絶に向けた取組や、様々な生活上の困難を抱える女性に対する支援の充実も図っていくこととしております。
今後とも、このような取組を全庁的に推進し、誰もが安全・安心な暮らしを送ることができ、その個性と能力を発揮して生き生きと活躍することができる鹿児島の実現を目指してまいりたいと考えております。
5 ◯総務部長(平木万也君)県税収入、地方交付税及び国庫支出金の動向についてでございます。
令和三年度の県税収入については、九月末に総務省が示した令和三年度地方財政収支の仮試算において、令和三年度の地方税収が大幅な減となる見通しが示されたところであり、今後、本年度の税収動向、経済情勢の推移、税制改正の影響や地方財政計画などを踏まえながら、適切に見積もってまいりたいと考えております。
国庫支出金や地方交付税については、各府省の概算要求要望では、
新型コロナウイルス感染症への対応に係る経費など金額が示されない事項のみの要望があるなど不透明な要素が多く、これらについては、今後、国の令和三年度予算編成過程を経て明らかになるものと考えており、国の動向を注視しつつ、予算編成作業を進めてまいりたいと考えております。
財政収支見通しにおける収支不足が最も小さい要因についてでございます。
平成二十九年度以降、財政収支の見通しにおいて見込まれた収支不足を解消するため、
行財政改革推進プロジェクトチームを中心とした事務事業見直しなど徹底した行財政改革の取組を行ってきたところでございます。
このような取組に加えて、令和二年度地方財政計画に地方法人課税の偏在是正措置により生じる財源を活用した
地域社会再生事業費が計上されたことや、国の令和三年度地方財政収支の仮試算において臨時財政対策債などが大幅に増加していることを踏まえて試算を行っていることなどが主な要因であると考えております。
ただし、十月にお示しした本県の令和三年度当初予算編成における財政収支の見通しにおいては、
新型コロナウイルス感染症への対応に係る経費などを見込んでいないところであり、今後、国の動向を注視しつつ、予算編成作業を進めていく必要があると考えております。
6
◯男女共同参画局長(印南百合子君)コロナ禍におけるDVの現状及び県のDV防止対策についてでございます。
本年四月から十月までに県内の
配偶者暴力相談支援センターに寄せられたDV被害者からの相談件数は千百九十件で、前年同期と比較して四十五件増加しております。このうち
新型コロナウイルス感染症に係る被害相談は、百六十五件となっております。
県では、DV防止の意識啓発や相談窓口の周知を図るため、広報用動画の配信やリーフレットの配布、関係機関・団体と共同した
街頭キャンペーン等を行っているほか、相談支援体制の充実を図るため、関係機関との連携会議や相談員等を対象とした研修会等を実施しております。
今後とも、DV防止のための広報啓発に努めるとともに、関係機関と緊密に連携し、DV被害者一人一人に寄り添った支援に努めてまいります。
性犯罪・性暴力における
犯罪被害者等支援に対する県の取組についてでございます。
県では、県警察、
かごしま犯罪被害者支援センター、県産婦人科医会と連携して、性犯罪・性暴力被害者の支援を行うため、
性暴力被害者サポートネットワークかごしま、通称FLOWERを設立し、
かごしま犯罪被害者支援センター内の相談拠点において被害者の相談に対応するほか、病院、警察等への付添い支援や、医療、法律相談等に係る公費負担を行っております。
また、行政職員や相談員等を対象とした連携会議や研修会を開催し、相談支援体制の充実を図っているところでございます。
引き続き、関係機関・団体と連携し、被害者への切れ目のない支援に努めてまりいます。
7 ◯PR・観光戦略部長(木場信人君)
新型コロナウイルスの影響を受けている本県観光産業の現状と対策についてであります。
県の観光動向調査によると、
ディスカバー鹿児島キャンペーンや国の
GoToトラベルにより、宿泊者数は、前年比約九割減だった五月に比べ、十月には約二割減となり、主要観光施設等の入場者数は、五月の約九割減に対し、十月は約四割減となるなど、まだ回復には至らないものの改善してきているところであります。
このような状況を踏まえ、先月からは、
県民向けプレミアム付き宿泊券の発行や、県外からの旅行商品の割引助成を開始し、さらなる旅行需要喚起を図っております。
一方で、感染の再拡大による
GoToトラベルの一時停止地域の設定などで需要回復の減速を懸念する声もあり、現時点で、今後を見通すことは困難な状況であります。
県といたしましては、今後の感染の状況変化を踏まえつつ、適切に対応してまいります。
[中村素子君登壇]
8 ◯中村素子君 御答弁頂きました。
来年度の当初予算の編成と今後の財政運営については、国・地方ともに厳しい財政環境の下、コロナ禍に伴う歳出増と税収減により一層厳しい状況が続きますが、経済再生と県勢の発展につながる予算編成と持続可能な行財政構造の構築に向けて、一段の取組を要望いたします。
男女共同参画については、男女を問わず能力を発揮し活躍できる社会の実現を目指すものであり、女性活躍のさらなる推進に向けて、県が先頭に立ち実効性のある施策の推進を要望いたします。
観光産業の支援については、引き続き、感染の推移と業界の実情を踏まえて、最大限の対応に努めていただくよう要望いたします。
次に、
商工労働水産関係であります。
新型コロナウイルスの影響に対する本県の経済対策について伺います。
政府は、十一月の月例経済報告で、「国内経済は、
新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあるが、持ち直しの影響が見られる」と判断を示しました。
雇用情勢については、完全失業者は八月に三年三か月ぶりに二百万人超えとなる二百六万人となり、九月はさらに四万人増の二百十万人となっており、九月の有効求人倍率は一・〇三倍と九か月連続で悪化となりました。また、コロナ禍の影響が出始めた二月からの約九か月間で解雇や雇い止めをされた人の数は、累計で六万八千人に上り、雇用情勢は依然として不安定な状況にあります。
国においては、企業の雇用維持を支える雇用調整助成金や、売上高が急減した中小企業への持続化給付金や家賃支援給付金の支給を行うとともに、無担保・無利子の融資を行ってきています。
県においては、資金繰り支援や事業継続支援金の給付、飲食店への
感染防止対策費用の支援、
プレミアム付き飲食券の発行などを行いました。
また、九月補正予算においては、新しい生活様式に対応するため、不特定多数の顧客等と接する機会の多い事業者への
感染防止対策費用や、新製品の開発、新たな販路開拓の支援などを計上したところであります。
民間調査会社によると、一月から八月に休廃業・解散した企業は、前年比二三・九%増の三万五千件に上り、経営の好転が見込めず会社を畳むケースも多いと見られます。また、上半期の倒産件数は過去三十年で最少でありましたが、九月以降、倒産ペースが加速しており、政府の資金繰り支援で何とか持ちこたえているものの、年末にかけてその勢いが強まるおそれが懸念されています。
県内でも、雇用調整助成金の活用と融資で何とか雇用を続けているが、融資返済のめどは立っていない、運転資金も底をついてくるため心配でたまらないといった切実な声も聞かれています。
そこで伺います。
第一点は、県内経済の現在の状況についてお示しください。
第二点は、県が行う中小企業等に対する支援策の主な実施状況と今後の施策展開についてお示しください。
次に、
かごしま製造業振興方針について伺います。
本県では、平成二十八年に
かごしま製造業振興方針を改訂し、付加価値の創出・向上、販路拡大や新分野参入によるビジネス展開、企業立地の促進や立地企業へのフォローアップによる産業集積、人材の確保・育成を柱に、産学官が一体となって様々な取組を行ってきております。
本方針では、製造品出荷額、
産学官共同研究数、立地協定件数、製造業従業者数など五項目について数値目標が設定され、今年度がその最終年度となり、見直しが予定されています。
平成二十八年の改訂当時は、アベノミクス経済政策等により、円安・株高へ移行し、本県においても、雇用情勢が改善するなど、景気が緩やかに回復しつつある状況でありました。しかしながら、
新型コロナウイルスの影響により、サプライチェーンの混乱や需要減が見られるなど、日本を含めて世界全体の経済活動が大きな打撃を受け、製造業を取り巻く環境は大きく変化しています。
日本銀行の九月の短期経済観測調査では、代表的な指標である大企業・製造業の業況判断指数は六月の前回調査から七ポイント改善し、マイナス二七に、中小企業・製造業は一ポイント改善し、マイナス四四でありました。景況感悪化に歯止めがかかりましたが、依然としてマイナス幅は大きく、本格的な回復は遠い状況にあります。
県内製造業においても、受注減による休業や生産調整を余儀なくされるなど影響を受けたところであり、社会経済活動の再開により回復の兆しが見られる一方で、依然として厳しい状況も続いています。
本県製造業は、他産業と比較して県民総生産が高く、就業者数の一割を占めるなど重要な産業であります。知事は、さきの定例会施政方針で、「地域産業を牽引する中核企業、中小企業・小規模事業者の「稼ぐ力」を引き出す施策を積極的に講じてまいりたい」と発言されました。今回の
かごしま製造業振興方針の改訂については、経済産業省出身である塩田知事が就任されて初めての改訂であり、製造業関係者をはじめ多くの人が、その内容に注目しています。
そこで伺います。
第一点は、
かごしま製造業振興方針に基づくこれまでの取組状況及び成果並びに数値目標の達成度合いについてお示しください。
第二点は、本県製造業の「稼ぐ力」をどのように引き出していくのか、次期方針の基本的な方向性についてお示しください。
次に、鹿児島県水産業振興基本計画について伺います。
本県の水産業は、長い海岸線や南北六百キロメートルに及ぶ広大な海域と多くの島嶼を有し、沿岸・沖合域では多様な漁船漁業が、湾や入り江の静穏な海域では養殖漁業が営まれ、さらに世界の海を漁場とする遠洋カツオ・マグロ漁業が営まれています。
現行の鹿児島県水産業振興基本計画は、平成二十三年三月に、今年度を目標年度として策定され、平成二十八年三月に見直しが行われ、現在に至っています。
本計画では、つくり育てる漁業の推進や、漁業経営対策と担い手づくりなど五つの基本目標と七つの指標を設定し、本県の水産業振興の基本理念である、「おさかな王国かごしま」の実現を目指し、水産業の振興と漁村の活性化に取り組んできたところであります。
しかし、水産業・漁村を取り巻く環境は、資源状況の悪化や魚価の低迷、就業者の減少・高齢化に加え、燃油価格の高騰など厳しい状況が続いています。特に、漁業就業者数は、計画策定時の基準指標が八千四百八十四人でありましたが、平成三十年には六千百十六人に減少し、本年を目標年とする指標の八千人を大きく下回っています。
国は、平成二十九年四月に、新たな水産基本計画を策定し、産業としての生産性向上と所得の増大、水産資源とそれを育む漁場環境の適切な保全・管理などを基本方針として、各種施策を総合的・計画的に進め、水産業・漁村の活性化を図るとしています。また、平成三十年十二月には、漁業法等を改正し、適正な資源管理と水産業の成長産業化を両立させるため、資源管理措置、漁業許可など基本的制度の一体的な見直しを行っています。
県では、これら国の動向なども踏まえて、水産物の安定供給の確保及び水産業の振興を図るため、今年度、新たな水産業振興基本計画を策定するとしています。
そこで伺います。
第一点は、水産業振興基本計画に基づくこれまでの取組状況及び成果並びに指標の達成度合いについてお示しください。
第二点は、次期計画の基本的な方向性についてお示しください。
次に、農政関係であります。
コロナ禍における県産農畜産物の販売促進対策について伺います。
県では、農林水産物の輸出拡大を図るため、平成三十年に鹿児島県農林水産物輸出促進ビジョンを策定し、令和七年度に輸出額約三百億円を目標に設定し、その実現に向けて取組を推進してきています。農林水産物の輸出額については、平成二十三年度以降、毎年度、過去最高額を更新してきましたが、
新型コロナウイルスの影響により、令和元年度は初めて減少に転じ、今年度は、海外での外食需要が低迷し、影響が本格的に現れるものと思われます。
国内においては、本県農業産出額が平成二十九年から二年連続で全国第二位となっていましたが、
新型コロナウイルス感染拡大により、外食産業の低迷、インバウンドの消失、イベントの激減などにより、牛肉、花卉、お茶といった品目で価格低下などの影響が出ています。
このような中、国においては、輸出対策として、食品製造設備等の整備・導入や、商談・プロモーションの支援等を実施しています。また、国内対策として、外食支援を行うGoToイートを都道府県ごとに順次開始し、購入額の二五%が上乗せされる食事券の発行や、予約サイトを通じた飲食店利用でのポイント付与が始まり、飲食業の需要喚起による農林水産物の消費拡大が期待されています。
また、県においては、輸出促進対策として、県内産地と県内輸出商社が連携して海外での新たな販路開拓を行うための支援や商談会の開催を行い、国内での需要喚起対策として、飲食店や量販店等と連携したスタンプラリーによるプレゼント企画などを実施しています。
本県では、農業を基幹産業として位置づけており、生産者が安心して経営を継続できるよう、県産農畜産物の販売促進対策が求められます。
そこで伺います。
第一点は、コロナ禍における最近の県産農畜産物の輸出状況と、輸出促進に向けた具体的な取組についてお示しください。
第二点は、コロナ禍における国内での県産農畜産物の販売促進対策についてお示しください。
かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針の中間見直しについて伺います。
同方針は、平成二十七年三月に議決され、県民の農業及び農村に対する理解促進に関する施策や、食育及び地産地消に関する施策など九つの施策と、農業産出額や担い手の確保数など八つの目標値が定められています。
さきの定例会において、現行方針の策定後、TPP11等の締結や、国の食料・農業・農村基本計画の見直し、
新型コロナウイルス感染症の拡大など、本県農政を取り巻く情勢が大きく変化していることから、今年度、中間見直しを実施したいとの考えが示されました。また、目標についても、中間年での進捗状況を踏まえて、一部見直しを検討しているとのことでありました。
国は、今年三月に、食料、農業及び農村に関し、総合的かつ計画的に講ずべき施策等を定める食料・農業・農村基本計画を見直し、食料・農業・農村の持続性を高めながら、農業や食品産業の成長化を促進する産業政策と、多面的機能の維持・発揮を促進する地域政策を車の両輪として各分野の施策を講じ、食料自給率の向上や食料安全保障の確立を図るとしています。
本県の農業は、地域農業の担い手及びその労働力の確保、農業者の所得向上などが課題となっています。また、相次ぐ国際連携協定の発効に対応するため、生産基盤の強化なども求められています。
かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針については、広く県民に、食、農業及び農村に関する施策の方向性を示すとともに、本県農政の指針として極めて重要な意義を有するものと考えています。
そこで伺います。
第一点は、かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針の見直しの主なポイントについてお示しください。
第二点は、今回の見直しを踏まえた本県農政の推進方向についてお示しください。
次に、企画関係であります。
新たな総合体育館の整備について伺います。
新たな総合体育館については、平成三十年二月に、大規模スポーツ施設の在り方検討委員会から、「本県のスポーツ振興の拠点としての機能に加え、多目的利用による交流拠点としての機能があることが望ましい」などとする提言を受け、県は、利用者の利便性が高い鹿児島市内が立地に適しているとして、整備候補地の検討がなされたきたところであります。
さきの第三回定例会において、知事は、「今後、屋内スポーツ競技関係者や学識経験者等で構成する総合体育館基本構想検討委員会を新たに設置するとともに、同委員会における今後の検討に資するため、スポーツ利用を中心として、その他コンサートなどの多目的利用についての全体的な需要予測調査を行うこととし、これらに要する経費を今回の補正予算に計上している」とし、「新たに設置する検討委員会においては、大規模スポーツ施設の在り方検討委員会の提言をベースとして、これまでの検討経過や県議会における御論議なども踏まえ、まずは、具体的な施設の機能や規模・構成等の検討を行い、その上で、整備候補地などについて検討を行っていただきたい」と答弁しています。
また、新たな検討委員会については、今後、候補者の選定作業を進め、年内には設置したいとし、需要予測調査については、専門的な知見を有するコンサルタントを活用し、現体育館や類似施設の利用状況、各種大会の開催状況、コンサート・イベントの市場動向等の調査に加え、屋内スポーツ競技団体への利用意向調査などを想定していることが示されました。
その後、企画建設委員会における質疑で、整備候補地については、「現段階で鹿児島市内に限って検討を進める考え方を持っているわけではない」、鹿児島港本港区エリアが体育館の整備候補地となることについては、「その可能性はゼロとは言えない」との答弁がありました。
第三回定例会後、県は、十一月九日に需要予測調査の委託先を決定し、調査を開始するとともに、十一月二十五日には、基本構想検討委員会を開催し、基本構想策定に向けて、新たな検討が始まったところであります。
そこで伺います。
第一点は、今回の基本構想検討委員会では、具体的な施設の機能や規模・構成等を検討するとともに、整備候補地も検討することとしていますが、委員の構成及び選定の考え方についてお示しください。
また、今後の基本構想策定に向けた協議内容とスケジュールについてお示しください。
第二点は、総合体育館基本構想策定事業における需要予測調査の内容について、具体的にお示しください。
第三点は、県議会や自治体、関係団体等の意見や需要予測調査の結果等を検討委員会においてどのように反映させていくのか、知事の考えをお示しください。
次に、馬毛島における自衛隊施設の整備について伺います。
さきの第三回定例会において、知事は、八月七日の防衛省からの説明に対して、「説明の内容は大まかなものであり、自衛隊施設を整備する安全保障上の必要性や訓練の内容、周辺地域に与える影響などについて十分ではなかったと受け止めており、今後、より具体的な話をお伺いしたい」と答弁しています。
西之表市の八板市長は、八月七日の説明に対する四十二項目の質問書を防衛省に提出し、同省からは九月三十日に回答がなされ、その後十月七日に、八板市長は、国の施設案への疑問点を上げ、回答を得た現段階でも、なお不明点は払拭されていないなどとして、国の計画に、地元首長として同意できないとの判断を表明しております。さらに十一月九日には、防衛大臣に直接、その考えを伝えています。
塩田知事は、十月二十三日、西之表市、中種子町、南種子町、屋久島町、南大隅町の首長から意見を聞くとともに、十一月十八日には西之表市長、同十九日には中種子町長とそれぞれ個別に意見交換を行っています。
また、十一月二十五日には、防衛省から、馬毛島に自衛隊施設を整備する安全保障上の必要性等について、改めて説明を受けられたところであります。
さらに、防衛省が馬毛島周辺の地質状況を把握するために必要となる馬毛島沖で行う海上ボーリング調査について、先月九日に申請がなされ、県は同月二十七日に許可を行いました。
そこで伺います。
第一点は、関係自治体一市四町と行った全体での意見交換や、その後に行った個別の意見交換の内容は具体的にどのようなものであったのか、お示しください。
第二点は、十一月二十五日の防衛省からの説明内容は具体的にどのようなものであったのか、お示しください。
また、今後どのように取り組むのか、知事の考えをお示しください。
第三点は、海上ボーリング調査について、申請内容及び許可の考え方をお示しください。
[知事塩田康一君登壇]
9 ◯知事(塩田康一君)まず、次期
かごしま製造業振興方針の基本的な方向性についてでございます。
国内製造業を取り巻く環境は、経済を支える人材の不足、IoTやAIなどのデジタル技術の進展による産業のパラダイムシフト、
新型コロナウイルス感染拡大に伴う生産拠点の地方分散や新しい生活様式の実践の動きなど、大きく変化してきております。
一方、本県製造業におきましては、従業者一人当たりの付加価値額が全国に比べて低い水準であることや、独自の技術等を生かし切れていない企業もあるほか、新たな分野への参入機運の醸成、ブランド化による販売力の強化、デジタル化による生産性の向上、IT人材の育成・確保、女性や高齢者等の多様な人材の活用などが課題として挙げられております。
本県製造業が長期的に発展するためには、製造業を取り巻く環境の変化や本県製造業の課題等を踏まえ、既存産業の技術力の向上を進めるとともに、地域経済を牽引する中核企業へ集中的な支援を行うこと、ヘルスケア産業や情報関連産業など新たな産業の育成等を図りながら、「稼ぐ力」を引き出し、地域経済の好循環を高めていくことが重要と考えております。
次期方針につきましては、このような考え方を踏まえ、その基本的な方向性として、一つ目は、中核企業をはじめとした県内企業の付加価値の創出・向上を目指すための独自の技術・ノウハウを生かした新製品・技術の研究・開発、二つ目は、新たなビジネスへの挑戦を目指すための地域資源等を活用した新産業分野への参入や起業、三つ目は、活発なビジネス展開を目指すための新たな販路・市場開拓やマーケティング力・販売力の強化、四つ目は、ものづくり基盤の強化を目指すための企業立地の促進・立地企業へのフォローアップやデジタル技術の活用促進、そして五つ目として、県内製造業の成長を支える原動力である人材の確保・育成を柱に掲げ、本県製造業の「稼ぐ力」を引き出すための施策を進めてまいりたいと考えております。
次に、次期水産業振興基本計画の基本的な方向性についてでございます。
水産業を取り巻く環境は、漁業生産量の減少、燃油価格の変動による漁業経営の不安定化、漁業就業者の減少・高齢化等や、気候変動に伴う海水温の上昇等により水産資源や漁業・養殖業等への影響が懸念されるなど、大きく変化しております。
そのため、国においては、水産資源の適切な管理と水産業の成長産業化の両立や、漁業者の所得向上と年齢バランスの取れた漁業就労構造を目指す、水産政策の改革の方向性を示したところであります。
このような水産業の環境変化や国の水産政策改革を踏まえ、長期的かつ総合的な視点に立ち、本県の次期水産業振興基本計画を本年度中に策定することとしております。
この計画におきましては、「おさかな王国かごしまの実現─水産業の『稼ぐ力』を引き出すために─」ということを基本理念に、五つの基本目標を定め、取り組むこととしております。
一つ目は、資源管理の高度化など「持続可能な漁業・養殖業の推進」、二つ目は、新規就業者の育成・確保や中核的漁業者の育成など「漁業の担い手の育成・確保」、三つ目は、付加価値の高い製品づくりなど「水産物の流通・加工・販売対策」、四つ目は、漁業生産の基盤づくり、そして五つ目として、水産技術の開発と普及を柱に掲げ、本県水産業の「稼ぐ力」を引き出すための施策を進めてまいりたいと考えております。
次に、かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針の変更についてでございます。
現行の基本方針につきましては、平成二十七年三月の策定から五年が経過し、今年度が中間年度となっております。
この間、本県農政を取り巻く情勢は、農業産出額や農畜産物輸出額の増加に加え、TPP11や日EU・EPA協定の発効など国際化の進展、国の食料・農業・農村基本計画の見直し、
新型コロナウイルス感染症の拡大など、大きく変化してきていることから、これらを反映した基本方針の変更に関する議案を本議会に提出したところであります。
基本方針は、本県の食、農業及び農村の振興に関する主要な目標と、実施する施策の展開方向を示したものであり、今回の変更は、主要な目標については、既に目標を達成することができた農業産出額及び県産農畜産物の輸出額について、新たな数値目標を設定することとしたところであります。
また、施策につきましては、生産現場における労働力不足の解決を図るための高齢者、障害者、外国人等多様な人材の活用や、生産性の向上にもつながるスマート農業の現場実装化を進める取組をはじめ、農業者の所得向上を図るためのTPP等関連政策大綱に基づく生産基盤の強化など生産性向上の取組や、人・農地プランの実質化などによる担い手への農地集積・集約化、鹿児島の強みを生かす新たなブランド制度の推進や県農林水産物輸出促進ビジョンに基づく重点品目等の輸出拡大など販売力強化の取組、さらには、農村地域の活性化を図るための農泊の推進や棚田地域の振興の取組、ミカンコミバエやサツマイモ基腐病の防除対策、豚熱やアフリカ豚熱等の家畜防疫対策などの取組を追加することとしたところであります。
県としては、今後とも、かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針に沿って、関係機関・団体と連携して、これら各般の施策を総合的かつ計画的に取り組むことにより、農業の「稼ぐ力」を引き出し、本県農業・農村のさらなる発展と農業者の所得向上に努めてまいりたいと考えております。
次に、馬毛島における自衛隊施設の整備等についてでございます。
関係自治体との全体での意見交換におきましては、西之表市長から、住民が正しい判断ができるような材料をそろえる必要があること、騒音等の影響について不安があること、経済効果を期待する住民にとっても、交付金等が分からない状況にあることなど、住民の理解が得られないまま計画を進めることに同意ができないなどの意見があったところであります。
また、その他の首長からは、騒音に関することも含め判断材料となるような情報、住民の不安を払拭できるような情報等を国はしっかりと説明していただきたいなどの意見があったところであります。
個別の意見交換におきましては、西之表市長から、先月、防衛大臣と会談し、施設の計画に同意できないという所見を直接お渡ししたことなどのほか、騒音の影響や隊員が居住することの経済効果などの判断材料がなく、引き続き説明が必要であるとの考えなどを伺ったところであります。
また、中種子町長からは、住民には、生活や畜産業・漁業への影響について国にしっかりとした対策を取ってほしいという意見がある一方で、自衛隊による災害対応への期待があることなどを伺ったところであります。
私からは、それぞれの意見や不安材料等を国に伝えるとともに、引き続き、国に詳細な説明を求めていくことなどをお伝えしたところであります。
先月二十五日の国の説明におきましては、馬毛島に自衛隊施設を整備する必要性や、馬毛島における自衛隊の訓練計画等について再度説明があり、前回より詳細な説明がなされたものの、騒音など周辺環境への影響が明確にされていないといった点があると考えております。
国に対しては、関係自治体との意見交換の内容を伝えるとともに、引き続き、詳細な説明等を行うよう重ねて求めたところであります。
馬毛島における自衛隊施設の整備等につきましては、国による住民説明会などにおいて、様々な意見や要望も出ていることから、国においては、十分な説明責任を果たしていただく必要があると考えております。
今後とも、国による説明や地元の意見をお聞きした上で、県としての考え方を整理し、対応を検討してまいりたいと考えております。
海上ボーリング調査の申請内容及び許可の考え方についてでございます。
今回の申請内容は、馬毛島地先における海底の地質状況を把握するための試料採取を目的とし、来年五月三十一日までの期間において、馬毛島の東岸沖三十七か所でボーリング調査を実施するものであり、これに伴い、海底の土地使用、土石採取、岩礁破砕の三つの許可申請があったものであります。
申請内容について審査いたしましたところ、ボーリング調査の一か所当たりの足場等の面積や土石採取量が小さく、海底の地形等に著しい影響を及ぼさないこと、本調査は全地点で一斉に行うものではなく、各地点ごとに、順次実施する計画となっており、長期間かつ広範囲にわたり、調査周辺海域の利用を阻害するものではないこと、漁業への配慮として、海底面の掘削の際に濁りの拡散を抑える工法で行うほか、トコブシ等の生息場所を損壊しないよう、機器設置前に潜水士による目視調査を行うなどの保全措置を講じるとされていることを確認いたしました。
また、西之表市長の、漁場環境に影響が生じる可能性を否定できないという意見を踏まえて、ボーリング調査の専門家に保全措置の内容について意見を聴取するとともに、漁業関係者に漁業の操業状況について確認を行った上で、漁場環境に著しい影響を及ぼすおそれはないと判断したところであります。
また、馬毛島地先海域に漁業権を有している種子島漁協も調査に同意していること。
こうした理由などから、海底の土地の管理上の支障、並びに水産資源の保護培養上著しい影響を来すおそれはないと考えられ、関係法令の要件に該当すると判断し、許可したところであります。
県としては、念のため、許可に当たり、漁場環境への影響を可能な限り回避または低減するように努め、関係者と十分に連絡調整を行うことなどの条件を付したところであります。
10 ◯商工労働水産部長(五田嘉博君)
商工労働水産関係についてのうち、まず、県内経済の現在の状況についてであります。
本県の景気動向につきましては、日銀によると、個人消費は全体として緩やかに持ち直しており、企業部門は大幅に悪化した状態にあるが、設備投資は高水準にあり、総じて、本県景気は引き続き厳しいが、緩やかに持ち直しております。
企業の休廃業等につきましては、民間の信用調査機関によりますと、本年八月までの本県の休廃業及び解散件数は三百二十四件で、前年同期比三六%増加しております。また、本年度の負債額一千万円以上の倒産件数は、十月末現在で二十五件、前年同月比九件の減少となっております。
雇用情勢につきましては、有効求人倍率は、本年二月から六か月連続で前月より下回っていましたが、八月は前月を上回る一・〇八倍となり、以後九月、十月も同率で推移しております。
次に、中小企業等に対する支援策の主な実施状況と今後の支援策についてであります。
県では、これまで、事業継続を下支えするために、資金繰り支援や事業継続支援金の支給のほか、県民の安心・安全と社会経済活動の両立が図られるよう、飲食店等における感染防止対策への支援を行ってきました。あわせて、小売業などが実施する感染防止対策の取組を支援しております。
また、需要喚起を図るため、スマホアプリを活用した割引クーポンを配信するとともに、
プレミアム付き飲食券の利用を十一月から開始しております。
今後は、テレワークなど多様な働き方が可能な職場環境づくりや、外国人材を受け入れる際の入国後の待機など、受入れ事業者が追加的に負担する経費等を支援することとしております。
県としては、引き続き、県内経済への影響を注視しながら、実態に即したきめ細かな支援に努めてまいります。
次に、
かごしま製造業振興方針に基づく取組状況及び成果並びに数値目標の達成度合いについてであります。
現在の振興方針は、平成二十八年度から本年度までの五年間を計画期間として策定いたしました。
これまで、本県製造業の成長を支援するため、イノベーションと製品開発等による付加価値の創出・向上などの四つの柱により各種施策を展開しております。
これらの施策を通じまして、県内企業においては、シラス活用によるコンクリート強度や耐久性を高める混和剤の開発やJIS登録、県農林水産物活用による新商品の開発、精密機械加工の技術を生かした医療器具製造分野への進出など様々な分野で研究開発や事業化がなされました。
また、海外での市場調査や展示・商談会への参加などの販路開拓、工場の設備投資案件の増加、工業系高校生に対する地元企業の説明会等による県内就職率の向上など、具体的な成果が現れてきております。
同方針においては、製造品出荷額など五つの数値目標を設定しておりまして、昨年までは、景気の緩やかな回復基調の下、企業収益が総じて高水準を維持し、雇用・所得環境の改善などを背景として、全ての項目において目標を上回るペースで推移してきました。
現在の県内経済につきましては、
新型コロナウイルス感染症の影響により、総じて、引き続き厳しい状況にはあるものの、緩やかに持ち直しているところであり、今後とも、国内外の経済活動、市場動向等を注視しながら、関係機関と連携して、きめ細かな支援に努め、数値目標の達成等に向けて取り組んでまいります。
水産業振興基本計画に基づく取組状況及び成果並びに指標の達成度合いについてであります。
現行の計画は、おさかな王国かごしまの実現を基本理念といたしまして、つくり育てる漁業の推進など五つの基本目標を定め、各種施策に取り組んでまいりました。
つくり育てる漁業の推進については、ブリ人工種苗生産施設を整備し、十万尾の人工種苗の供給を開始しました。また、赤潮被害を最小限にとどめるため、熊本県等とリアルタイムで調査データを共有する体制を整備したところであります。
次に、担い手づくりにつきましては、かごしま漁業学校を開設し、段階的に新規就業者の育成・確保に努めました。
水産物の流通・加工・販売対策につきましては、衛生管理型市場やHACCP対応型水産加工施設の整備のほか、海外における商談会への出展支援等の取組により、水産物の輸出額は、平成二十五年度の約五十二億円が令和元年度には約百三億円に増加しております。
現行計画の指標のうち、生産量につきましては、漁船漁業は、資源状態等の影響を受け減少、海面養殖業は、需給バランスに応じた生産により、ほぼ横ばいで推移しており、全体としては目標を下回る見込みとなっております。
生産額も同様に、漁船漁業は減少し、海面養殖業は横ばいとなっておりますが、ウナギ養殖業の生産額が増加していることから、全体としてはおおよそ目標を達成する見込みとなっております。
漁業就業者数につきましては、就業者の高齢化等により、目標値を下回る見込みとなっております。
11 ◯農政部長(満薗秀彦君)農政関係につきまして、まず、コロナ禍における県産農畜産物の輸出促進対策についてであります。
最近の輸出状況につきましては、関係事業者への聞き取りによりますと、牛肉については、四月から五月は減少したものの、六月から九月のアジアや米国向けが前年同期比で二割強増加しております。
青果物につきましては、コロナ禍で家庭内需要が堅調なことから、東南アジアで三月以降も安定的に販売されており、特に、八月から十月のサツマイモの販売量は前年同期比で一割強増加しております。
このような輸出の状況を踏まえますと、今後は、飲食店向けの需要に加えまして、家庭内需要にも対応した販路開拓を積極的に進めていく必要があると考えております。
このため、県といたしましては、東南アジア等で日本産の商品を提供するスーパーと連携して、来年二月にシンガポール等で県産農畜産物のフェアを計画しているところでございます。
さらに、現在、海外への渡航が困難な中で、県産農畜産物の販路開拓を進めるため、県内輸出商社四者が行う、現地法人や代理人の営業活動に対しまして支援を行っております。
今後とも、官民が一体となって、県産農畜産物のさらなる輸出拡大を図ってまいります。
次に、コロナ禍における国内での県産農畜産物の販売促進対策についてであります。
県では、国の事業を活用した県産和牛肉の学校給食への提供などに加え、県独自の取組といたしまして、現在、地産地消推進店や量販店等と連携し、県産農畜産物を「買って」「食べて」応援キャンペーンに取り組んでおります。
さらに、鹿児島空港等でのかごしまの花の展示などの取組や、県内茶商が行う新規販売店の開拓の取組、新メニュー開発によるかごしま地鶏の販路拡大の取組を支援することとしております。
また、量販店等での新しい生活様式に対応したPR方法を開発し、その効果について検証していくこととしております。
こうした取組を通じまして、コロナ禍における県産農畜産物の需要喚起を図り、生産者の所得向上に努めてまいります。
12 ◯企画部長(藤本徳昭君)新たな総合体育館について、何点かお尋ねがありました。
まず、基本構想検討委員会の委員構成と選定の考え方についてであります。
先般設置いたしました検討委員会においては、平成三十年二月の大規模スポーツ施設の在り方検討委員会の提言をベースに検討いただくこととしており、委員の専門分野についてもおおむね同様の考え方としたところであります。
具体的には、スポーツ、都市計画、経済の学識経験者、建築、観光、法律、スポーツ、経済、金融、経営、教育の関係者といった、総合体育館の整備に関連する様々な分野の専門家に委員に御就任いただいたところであります。
次に、今後の協議内容等についてであります。
第一回検討委員会では、新たな総合体育館に関するこれまでの検討経過や、県議会における御論議の状況、今後の進め方等について御説明し、活発な御議論を頂いたところであります。
今後、需要予測調査の結果等も踏まえながら、具体的な施設の機能や規模・構成等の検討を行い、その上で整備候補地などの検討を行っていただくこととしております。
県といたしましては、基本構想を策定する過程において、屋内スポーツ競技団体の御意見を伺うとともに、関係する市町村とも連携を図っていくこととしております。
また、同委員会における検討状況については、節目節目で県議会に御説明し、御論議いただくとともに、パブリックコメントにより県民の方々の御意見も伺った上で、来年度中の基本構想策定を目指して取組を進めてまいります。
需要予測調査の内容についてであります。
需要予測調査の内容においては、スポーツ振興の拠点機能に関して、全国の一定規模以上の収容人数を有する施設を対象とした類似施設の利用状況の調査や、体育館・アリーナ等を利用する大会を対象とした全国大会・国際大会の開催状況の調査に加え、県内の屋内スポーツ競技団体の利用意向調査などを行うこととしております。
また、多目的利用による交流拠点機能に関しては、国内のコンサート・イベント市場動向や商圏分析等を行う類似施設のイベント開催状況の調査、関連団体・専門家へのヒアリングによる施設需要及び誘致可能性の調査を行うこととしております。
さらに、これらの調査結果を踏まえ、需要予測及び稼働率のシミュレーションや、大まかな施設の規模・構成の検討を行うことといたしております。
13 ◯中村素子君 再質問はございません。
14 ◯議長(外薗勝蔵君)ここで、休憩いたします。
再開は、午前十一時二十分といたします。
午前十一時 六分休憩
────────────
午前十一時二十分再開
15 ◯議長(外薗勝蔵君)再開いたします。
中村素子君。
[中村素子君登壇]
16 ◯中村素子君 御答弁頂きました。
新型コロナウイルスの全国的な感染拡大は予断を許さない状況にあり、今後の県内事業者の実情を踏まえつつ、国の経済対策を補完する本県独自の支援策に取り組まれるよう要望いたします。
かごしま製造業振興方針については、先ほど申し上げたとおり、経済産業省出身である塩田知事による初めての改訂であり、製造業関係者をはじめ多くの人が注目しております。「稼ぐ力」を引き出す施策の積極的な展開に努めていただきますよう要望いたします。
水産業振興については、養殖ブリを中心とする県産水産物の輸出が増加している一方で、沿岸漁業については厳しい状況が続いております。漁場開発、栽培漁場の推進、水産物流通対策の積極的な推進、漁業就業者の育成・確保に力を入れていただくよう要望いたします。
県産農畜産物の販売促進対策について、県内産地と県内輸出商社が連携した海外での販路開拓や商談会開催は、新たな試みとして大いに期待するところであり、積極的に取り組まれるよう要望いたします。
かごしま食と農の県民条例に基づく基本方針の見直しについては、基幹的農業従事者や農業法人等のスマート農業の実現や多様な労働力の確保に加え、中山間地域の小規模な経営体も営農が継続できるような支援や、多面的機能の維持・発揮につながる見直しを要望いたします。
新たな総合体育館の整備については、これまで、議会において相当な時間をかけ様々な議論を積み重ねてきたところであります。この経緯を十分に踏まえ、これまでと同じことの繰り返しにならないよう、しっかりと検証を行い、手続やその過程等について透明性を確保しながら、屋内スポーツ競技団体や県民の期待に応えられるよう、丁寧かつスピード感を持って確実に前に進めていくことを強く要請します。
馬毛島における自衛隊施設の整備については、国において、防衛政策上の考え方、整備計画、運用方針、地域への影響等について、県及び地元に対して納得いく説明を尽くすべきであると考えます。
次に、土木関係であります。
鹿児島港本港区
エリアまちづくりについて伺います。
さきの定例会における我が会派の代表質問に対し、知事は、鹿児島港本港区
エリアまちづくりにおけるグランドデザインの取扱いについて、「今後改めて、コンベンション・展示機能を備える施設の整備など、本港区
エリアまちづくりの方向性を検討するに当たり、グランドデザインの開発コンセプトにある要素も踏まえて検討していくことになる」と答弁しています。
また、今後の具体的な進め方については、「県民の皆様をはじめ、鹿児島市や経済界、商店街の皆様の御意見等を伺いながら、公募要項の見直しなどについて検討したいと考えているが、
新型コロナウイルス感染症の経済的な影響等があることから、しばらく様子を見た上で検討してまいりたい」と答弁しています。
さらに、サッカー等スタジアムについて、知事としては、「中心市街地との回遊性の確保等の観点から、鹿児島市内中心部に整備してはどうかという考えを持っているが、まずは鹿児島市の御意向が大事だ」と考えており、同スタジアムの整備に関する鹿児島市との事務レベルでの意見交換の場について、「現在、意見交換の場の設置に向けて協議を行っている」ことが示されております。
その後、企画建設委員会における質疑において、「鹿児島港本港区エリアが新たな総合体育館の整備候補地となる可能性はゼロではない」として、「同
エリアまちづくりの今後の方向性を検討するに当たっては、新たな総合体育館やサッカー等スタジアムなどの大きなプロジェクトとそごが生じないよう、緊密な連携を取って進めたい」との答弁がありました。
先月二十九日には鹿児島市長選挙が行われ、下鶴隆央氏が当選したところであり、ドルフィンポート跡地を含む鹿児島港本港区エリアについては、鹿児島市の路面電車観光路線基本計画策定委員会のルート検討やサッカー等スタジアムの整備検討など、下鶴市長と、同エリアのまちづくりについて具体的な協議・検討を行っていく必要があります。
そこで伺います。
第一点は、今後改めて、コンベンション・展示機能を備える施設の整備など、本港区
エリアまちづくりの方向性を検討することとしていますが、具体的にどのように取り組んでいくのか、スケジュール等も含めてお示しください。
また、県民、鹿児島市や経済界、商店街の皆様の御意見等を伺うとしていますが、どのように取り組む考えであるかについてお示しください。
第二点は、新たな総合体育館やサッカー等スタジアムの整備の可能性があるとしている中、同エリアの公募要項の見直しについては、総合体育館基本構想検討委員会の検討結果やサッカー等スタジアムに関する鹿児島市の意向が示された後で検討を行うのか、他のプロジェクトの進捗との関連を明らかにした上で、知事の考えをお示しください。
第三点は、サッカー等スタジアムの整備に関する鹿児島市との事務レベルでの意見交換の場における具体的な協議の状況についてお示しください。
次に、高規格幹線道路の整備状況等について伺います。
高規格幹線道路や地域高規格道路は、地域間の交流連携の強化や産業・観光の振興、災害時における緊急輸送道路や代替道路の確保、救急医療活動の向上など、沿線の今後の地域づくりを進め、地域の安心・安全を確保する上でも必要不可欠な道路であります。高速道路ネットワークの構築と機能強化は喫緊の課題でありますが、本県域の高規格幹線道路の供用率は、令和元年度末で約七七%と、全国平均の約八六%に比べて遅れています。
高規格幹線道路のうち、東九州自動車道については、鹿屋串良ジャンクションから志布志間において、令和二年七月豪雨により工事中の道路が被災したため、供用予定時期が令和二年度内から令和三年夏頃へ見直しがなされたところであります。志布志から夏井間については、日南・志布志道路として用地買収や工事等が進められています。残る夏井から県境を含む串間市奈留間については、油津・夏井道路として昨年度新規事業化され、調査設計が進められています。
また、南九州西回り自動車道については、薩摩川内水引インターから阿久根インター間の阿久根川内道路、出水インターから県境を含む水俣間の芦北出水道路のそれぞれにおいて、用地買収や工事等が進められています。
地域高規格道路についても、都城志布志道路や北薩横断道路などで整備が進められており、このうち、都城志布志道路の末吉道路及び有明志布志道路においては、本年度の供用に向けて鋭意工事が進められています。
一方、平常時・災害時を問わない安定的な輸送を確保するため、国は、物流上重要な道路輸送網を重要物流道路として路線を指定しており、本県では、本年四月一日時点で、高規格幹線道路や直轄国道など供用中区間六百七キロメートルが重要物流道路に指定され、あわせて、重要物流道路の代替・補完路として百五十六キロメートルが指定されています。
また、国の令和三年度予算概算要求概要において、現状の交通課題の解消を図る観点や新たな国土形成の観点から、地域ごとの実情をきめ細やかに反映させた新広域道路交通計画を策定するとともに、計画の中から重要物流道路を計画路線を含めて指定し、重点的に整備・機能強化を加速するとされています。
そこで伺います。
第一点は、高規格幹線道路の整備状況及び今後の早期整備に向けた取組についてお示しください。
第二点は、地域高規格道路の整備状況及び今後の早期整備に向けた取組についてお示しください。
第三点は、本県の新広域道路交通計画の検討状況等についてお示しください。
次に、教育関係であります。
いじめ・不登校対策について伺います。
文部科学省の令和元年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査の公表に合わせ、県教委は十月二十二日に、県内の公立学校の結果を公表しました。それによると、いじめの認知件数は、県内の公立学校の合計で前年度より二千六百四十三件増の一万二百五十九件、年間三十日以上欠席した不登校の児童生徒数は、前年度より二十四人増の二千七百三人でした。
いじめの認知件数は、全国では前年度より一二・九%増加し、本県においても前年度より三四・七%と大きく増加していることについて、県教委は、積極的にいじめを認知した学校が増えたことが、認知件数の増加につながったと考えているとしています。しかしながら、ここ数年同様の傾向が続いており、一方で、小・中学校におけるいじめの解消率はほぼ横ばいとなっていることから、いまだ、いじめ問題は、引き続き喫緊の課題であると考えております。
また、現在、
新型コロナウイルス感染症の感染者への誹謗中傷が全国各地で絶えない中、感染した児童生徒に対するいじめや差別を防ぐための早急な取組も求められています。
一方、本県における不登校の児童生徒数の推移については、平成三十年度から小・中学校で大幅に増加しており、全国においても、五年間で約四割増加しています。
こうした中、平成二十九年二月には、義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律が施行され、不登校の児童生徒が学校以外の場において行う多様で適切な学習活動の重要性を認め、個々人の状況に応じた学習活動が行われるよう支援を行うことが求められています。
そのためには、学校は、不登校が生じないような魅力ある学校づくりを目指すことはもちろん、不登校の児童生徒の一人一人の状況に応じて、フリースクールなどの民間施設等とも積極的に連携し、相互に協力・補完することが重要です。
また、今回の
新型コロナウイルス感染症による学校の一斉臨時休業は、学校現場におけるICT環境の整備を加速させ、今年度中に公立小・中学校において一人一台の端末が整備される予定ですが、不登校の児童生徒に対する多様な学習機会の確保策の一つとして、ICTを活用した学習支援も推進していく必要があります。
そこで伺います。
第一点は、積極的に認知した結果もあるとはいえ、各種の取組がなされているにもかかわらず、いじめの認知件数が前年度より大幅に増加していること、不登校も増加していることについて、どのように捉えているのか、見解をお示しください。
また、県内公立学校におけるいじめ・不登校対策の取組状況についてお示しください。
第二点は、県内公立学校におけるフリースクール等を利用している不登校の児童生徒数、及びフリースクールや関係機関と学校との連携状況についてお示しください。
第三点は、県内公立学校における不登校の児童生徒へのICTを活用した学習支援への今後の取組についてお示しください。
次に、警察関係であります。
交通事故抑止対策について伺います。
警察庁の発表によると、令和元年の全国の交通事故死者数は、前年より三百十七人少ない三千二百十五人で、統計がある昭和二十三年以降で最少となっています。このうち、六十五歳以上の高齢者の死者数は全体の過半数を占めており、本県においても、高齢者が六〇・七%を占めており、同様の状況にあります。
また、自動車乗車中の六十五歳以上の死者数は全体の過半数を占めており、高齢者及び高齢運転者の交通事故抑止対策が課題となっています。
今年六月に成立した改正道路交通法では、一定の交通違反歴がある七十五歳以上の高齢運転者に対する免許更新時の運転技能検査の義務づけや、衝突軽減ブレーキを搭載する安全運転サポート車に限って運転できる限定免許も創設されます。
また、悪質なあおり運転が後を絶たないことを受け、刑法上の暴行罪より重い妨害運転罪が今回の改正で創設され、六月三十日に施行されました。七月二日には、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律の改正に伴い、危険運転致死傷罪の対象となる行為も追加され、厳罰化による抑止効果が期待されています。
一方、国土交通省は、全国に約四十万あるバス停について、交通事故の危険性を調査した結果、今年九月、信号機のない横断歩道の近くにあり、交通事故の危険性が特に高いバス停が全国で少なくとも二千か所あることが分かりました。
このため、事業者や警察、道路管理者などの関係機関による合同検討会を全都道府県に設置し、バス停の危険度を個別に判定することとしており、今後、検討会で、優先的に対応を取るべきバス停を洗い出し、安全対策が進むことが望まれます。
そこで伺います。
第一点は、高齢者の運転免許の自主返納の状況及び交通事故抑止対策の取組状況についてお示しください。
第二点は、妨害運転に関する相談等の受理状況とその対応結果についてお示しください。
第三点は、バス停留所の安全確保対策事業における県警察の取組についてお示しください。
次に、環境林務関係であります。
本県林業の成長産業化に向けた県産材の利用拡大について伺います。
近年、本県においては、木質バイオマス発電や、県産材の新たな需要の創出が期待されるCLTやツーバイフォー工法部材等を製造する木材加工施設が稼働しており、湧水町の県立高校跡地においては、CLTやツーバイフォー工法部材を活用した建材やユニット住宅等を製造する新たな木材加工施設の整備計画が進められ、八月に起工式が行われました。
また、これまで東アジア等への木材輸出量も年々増加し、志布志港等における木材輸出の順調な伸びに加え、中国では、一昨年の八月から日本産スギ・ヒノキ等が住宅用の構造材として利用が可能になったところであり、将来的には木材需要の増加や付加価値の高い製品を含めた輸出拡大につながるものと期待されております。
県内の森林資源が本格的な利用期を迎え、木材生産量が増加する中、本県林業の成長産業化を実現するためには、木材を効率的・安定的に生産・供給する取組等と併せ、県産材の利用拡大を図る必要があります。
このため、県では、木材加工施設整備への支援をするとともに、木材輸出や木質バイオマス利用の促進や、イベント等を活用したかごしま材の普及、かごしま材を積極的に利用したかごしま木の家づくり、公共施設等の木造化・木質化等を推進してきたところであります。
このような中、
新型コロナウイルス感染症拡大等により、全国的には住宅着工数の低迷、木材の在庫拡大、取引価格等の下落等により、今後、木材産業へ影響を及ぼす可能性が報じられているところであり、本県においても、原木市場において、製材所による建築用木材の購入量が減少しており、木材価格が低下しています。
そこで伺います。
第一点は、本県の木材産業の現状と課題及び対策について、
新型コロナウイルス感染症拡大による影響を含めてお示しください。
第二点は、県産材の利用拡大に向けたこれまでの取組状況と成果、今後の取組についてお示しください。
次に、くらし保健福祉関係であります。
新型コロナウイルス感染症対策について伺います。
本県では七月以降、感染者が増加するとともに、重症化リスクの高い高齢者も多くの方が感染するなど厳しい状況となり、感染防止対策の推進や医療提供体制のさらなる整備が求められております。
八月二十七日には県議会臨時会が招集され、医療機関等に対する感染防止対策等に必要な支援金や医療従事者等に対する慰労金の支給、重点医療機関等における体制・設備整備への支援など、早期に実施する必要がある施策について補正予算が議決されました。
特に、医療機関への支援金や医療従事者等への慰労金については、国の二次補正予算が六月に成立したものの、本県においては他県より支給が遅れる状況となっており、早急に対応すべきとの指摘がなされ、支援金や慰労金は十月下旬には医療機関等へ支給される見込みである、一日でも早く県民に届くよう努力したいとの考えが示されました。
また、第三回定例会においては、
新型コロナウイルス感染症患者専用の病院や病棟を設定する重点医療機関の指定を行い、重症者も含めて対応可能な病床を確保することが示され、十月一日には十六医療機関が指定されたところであります。
一方で、現在、季節性インフルエンザが流行期を迎えており、今年度は
新型コロナウイルス感染症患者と併せて、医療や検査の需要急増が懸念されるところであります。
国においては九月上旬、インフルエンザと
新型コロナウイルス感染症の同時流行に備えた体制整備として、従来の仕組みを変更することとし、都道府県に対して、発熱患者等が帰国者・接触者相談センターを介することなく、かかりつけ医等の身近な医療機関等を相談・受診し、必要に応じて検査を受けられる新たな体制を十月中をめどに整備するよう求めたところであります。
また、地域の診療所等で十分な検査体制を確保できない場合には、地域外来・検査センターを拡充し、検査体制を確保するよう求めています。
これに関連し、県は、第三回定例会において、保健所、地域医療機関などと連携を図りながら、インフルエンザなど発熱疾患との振り分けに向けた発熱外来の設置に向けて取り組みたい旨の考えを示したほか、新たな受診・相談体制の周知や民間の調査機関へのPCR検査委託に係る補正予算を計上したところであります。
そこで伺います。
第一点は、八月臨時会で早期に実施すべき施策とされた医療機関等に対する支援金や医療従事者等に対する慰労金の支給について、取組状況をお示しください。
第二点は、重点医療機関の担う役割と、現時点における二次医療圏ごとの指定状況及び今後の追加指定の見通しについてお示しください。
また、これまでの補正予算等において計上された感染防止対策や医療提供体制の整備に係るその他の施策について、現在の取組状況をお示しください。
第三点は、この冬の季節性インフルエンザと
新型コロナウイルス感染症の同時流行に備えた新たな相談・外来診療・検査体制について、本県の整備状況をお示しください。
また、新たな体制整備の取組において見えてきた課題と今後の取組についてお示しください。
全世代型社会保障改革における高齢者施策について伺います。
総務省の人口推計によると、昨年十月一日現在の本県の高齢化率は三一・九%と、全国の二八・四%を上回っており、全国より十年早い高齢化が進んでいると言われて久しい状況にあります。
県民の約三人に一人が高齢者となる中、県では、高齢者の支え合い活動や社会貢献活動を促進し、地域の活性化を図ることを極めて重要な政策課題として取り組んできたところであります。
平成二十六年度からは、高齢者を含むグループが行う互助活動や地域貢献活動に対し、地域商品券等に交換できるポイントを付与し、高齢者の社会参加、見守りなどの生活支援、美化活動や子育て支援を促進するなど、市町村と連携し、全国に例がない事業を展開しています。
一方、国では、昨年九月に全世代型社会保障検討会議を設置し、社会保障制度の基本に支え合いを据え、年齢に関わりなく、意欲ある限り現役として活躍し、支える側となることで、これまで築き上げてきた社会保障制度を次の世代に着実に引き渡すための改革を進めるとしています。
昨年十二月の検討会議の中間報告においては、予防・介護分野の具体的方向性として、介護予防等への取組について評価し、保険者や都道府県に交付金を交付する仕組みの抜本的な強化を図ると同時に、地域の高齢者が集まり交流する通いの場の拡大・充実や、高齢者の介護助手等への参加などへのポイント活用といった点について、交付金の配分を強化することが示されました。
このような中、今年度から、国においては、介護予防・健康づくり等に資する取組を重点的に評価し、都道府県等へ配分する介護保険保険者努力支援交付金を創設したところであります。
折しも、今年度は第七期鹿児島県高齢者保健福祉計画の最終年度であり、第八期計画の作成年度となっています。来期計画においても、これまでのポイントの活用による高齢者の社会貢献活動の促進や、地域づくり・互助活動への参加の取組の推進が期待されるところであります。
そこで伺います。
第一点は、本県におけるポイントを活用した介護予防・地域活性化の実施状況の推移と効果・課題、及び市町村との連携・支援についてお示しください。
第二点は、国の介護保険保険者努力支援交付金の本県への配分状況と、交付金をどのように活用していくのか、お示しください。
第三点は、高齢者の社会貢献活動の促進や高齢者の地域づくり・互助活動への参加について、第八期高齢者保健福祉計画における位置づけと今後の取組方針についてお示しください。
[知事塩田康一君登壇]
17 ◯知事(塩田康一君)鹿児島港本港区
エリアまちづくりにおける今後の具体的な取組等についてでございます。
ドルフィンポート跡地を含む鹿児島港本港区エリアのまちづくりにつきましては、今後改めて、グランドデザインの開発コンセプトにあります、かごしまの多彩な魅力を発信する人・モノ・情報の交流拠点などの三つの要素を踏まえながら、コンベンション・展示機能を備える施設の整備など、その方向性を検討することとしており、新たな市長ともしっかり連携を図っていく所存でありますが、まずは庁内で、具体的な進め方等について検討を進めているところであります。
庁内での検討に当たりましては、先月、全部局の主管課等で構成する連絡会を開催し、関連施策の進捗状況の情報共有等を行ったところであり、今後とも、関係部局が十分な連携を図りながら、鹿児島市や関係団体等から意見を伺いつつ、望ましい施設整備の方向性や課題・スケジュールについて検討を進めてまいりたいと考えております。
また、コンベンション・展示機能を備える施設の整備に関しましては、県内外における既存施設の整備・運営状況や、コンベンション・展示会等の市場動向等も踏まえながら、検討を進めてまいりたいと考えております。
新たな総合体育館及びサッカー等スタジアムの進捗を踏まえた鹿児島港本港区
エリアまちづくりの公募要項の見直しについてでございます。
新たな総合体育館の整備につきましては、「スポーツ振興の拠点としての機能に加え、多目的利用による交流拠点としての機能があることが望ましい」とした大規模スポーツ施設の在り方検討委員会の提言をベースに、先般設置した検討委員会において、まずは、具体的な施設の機能や規模・構成等の検討を行った上で、整備候補地などについて検討いただき、来年度中の基本構想策定を目指して取組を進めてまいりたいと考えております。
また、サッカー等スタジアムの整備につきましては、鹿児島市が設置した検討協議会において、三つの候補地が示されているところであり、下鶴新市長の下、まずは鹿児島市において整備地を含めた議論が進められるものと考えております。
このようなことから、鹿児島港本港区
エリアまちづくりの公募要項の見直しにつきましては、コンベンション・展示機能を備える施設の整備検討を進めながら、新たな総合体育館及びサッカー等スタジアムの検討状況も注視しつつ、一定の方向性が定まった段階で、具体的な検討を行ってまいりたいと考えております。
18 ◯企画部長(藤本徳昭君)サッカー等スタジアムの整備に関する鹿児島市との協議の状況についてであります。
本年一月の県市意見交換会において、今後さらに円滑な連携を図るため、県と市の事務レベルでの意見交換の場を設け、オール鹿児島で実現に向けて取り組んでいくことを確認したところであり、現在、意見交換の場の設置に向けて協議を行っているところであります。
県といたしましては、この意見交換の場において、これまでサッカー等スタジアムの整備に主体的に取り組まれてきた鹿児島市の考えをお聞きしながら、対応してまいりたいと考えております。
19 ◯土木部長(兒島優一君)高規格幹線道路の整備状況等についてであります。
南九州西回り自動車道の出水から県境間におきましては、これまでにおおむね用地買収を終え、現在、橋梁工事や改良工事などが鋭意進められております。
また、西目から阿久根間におきましては、用地買収や改良工事などが進められており、今月五日には、薩摩川内水引から湯田西方間の着工式が開催される予定であります。
東九州自動車道の鹿屋串良から志布志間につきましては、供用予定時期が令和三年夏に見直され、あわせて、仮称志布志有明インターについては、フルインターとして同時に供用されることが示されたところであります。
また、志布志から県境間につきましては、改良工事や調査設計が進められております。
高規格幹線道路は、本県の骨格をなす重要な道路でありますことから、本県の高速交通ネットワークが一日も早く整備されるよう、引き続き、県議会をはじめ、沿線自治体などと一体となって、国に対し強く要請してまいります。
地域高規格道路の整備状況等についてであります。
地域高規格道路につきましては、国において鹿児島東西幹線道路を、県において都城志布志道路など三路線七区間で整備を進めております。
県で整備を進めております三路線のうち、北薩横断道路につきましては、広瀬道路において全区間で工事を進めるとともに、阿久根高尾野道路においては、本年度から工事に着手することといたしております。
また、本年度事業化された溝辺道路につきましては、現在、調査設計を進めているところであります。
都城志布志道路につきましては、これまで整備を進めてきた有明東インターから志布志インター間を来年二月二十七日に、また、宮崎県金御岳インターから末吉インター間を来年三月二十八日に、それぞれ供用開始することといたしております。
また、大隅縦貫道の吾平道路につきましても、埋蔵文化財調査や改良工事などが進められているところであります。
このほか、北薩横断道路及び大隅縦貫道の未事業化区間につきましては、現在、概略設計を行うなど、事業化に向けた検討を進めているところであります。
地域高規格道路は、高規格幹線道路と一体となって広域的な幹線道路ネットワークを形成する重要な道路でありますことから、早期完成に向けて、引き続き、整備に必要な予算確保に努めるとともに、沿線自治体などと一体となって、重点的な整備に取り組んでまいります。
新広域道路交通計画の検討状況等についてであります。
新広域道路交通計画につきましては、まず、地域の将来像を踏まえた広域的な道路交通の今後の方向性を定める新広域道路交通ビジョンを策定し、このビジョンを踏まえ、高規格幹線道路など広域的な道路ネットワークを中心に、具体のネットワーク計画等を策定するものであります。
本県におきましては、平成三十年十二月にビジョンの骨子を取りまとめ、その後も、ビジョン及び計画の検討を進めてきたところであります。
こうした中、本年六月に国が設置した、新たな広域道路ネットワークに関する検討会におきまして、中間取りまとめがなされ、特定広域道路の位置づけなど、新たな広域道路ネットワークの在り方が示されたところであります。
県といたしましては、引き続き、中間取りまとめの考え方などに基づき、本県の地域特性を踏まえ、将来を見据えたビジョン及び計画となるよう検討を進めてまいります。
20 ◯教育長(東條広光君)教育関係について、初めに、いじめ・不登校の増加に対する見解と取組状況についてであります。
いじめに関しては、県教委では、市町村教育委員会、学校に対しまして、いじめの芽やいじめの兆候もいじめとして積極的に認知し、その解消に努めるよう指導してきており、また、近年、いじめを認知した学校数、認知件数は共に増加してきております。
増加の状況を見ますと、令和元年度は、小・中学校では、前年度全くいじめを認知していなかった約百二十校が新たにいじめを認知し、それらの学校のみで認知件数は約五百件となっております。また、市町村別では、認知件数が前年度に比べ千件以上増えたり、二倍増や三倍増となるなど著しく件数が増加した自治体があります。
このことは、学校のみならず、市町村を挙げて、いじめを積極的に認知する取組が進んできていることを反映しているものと捉えているところであります。
なお、高校では、前年度よりも認知件数が減少しておりますが、これは、早期発見に向けた取組を積極的に進めている中で、生徒会が中心となったいじめ防止の活動等が充実していることによるものではないかと分析しております。
不登校についても、小・中学校では増加傾向にありますが、その要因を分析しますと、「無気力・不安」、「生活リズムの乱れ・遊び・非行」が全体の四割以上を占めており、最近、スマートフォン等の過度な使用が多くなっておりますことから、インターネットの利用に関する問題が背景にあると考えております。
いじめ対策につきましては、いじめを早期に発見して対応し、重大な事態を防ぐとともに、いじめの行為自体を減らしていくことが重要であり、引き続き、アンケートの実施回数を増やすことや、児童生徒が主体的にいじめの問題について考える機会の充実などに取り組んでまいります。
また、不登校対策につきましては、規則正しい生活習慣の確立とともに、児童生徒にとって楽しいと思えるような学校にすることが必要であり、学校と家庭とが連携したインターネットの利用に関する指導の徹底や、年間を通したゲームや体験活動等による児童生徒の人間関係づくり、居場所づくりなどに取り組んでまいりたいと考えております。
次は、フリースクール等を利用している児童生徒数等についてであります。
フリースクールや市町村が設置する学校外の指導・支援を行う施設を利用している県内の公立小・中学校の児童生徒数は、本年九月末現在で小学生六十八人、中学生三百三十七人を把握しております。
各学校では、児童生徒がフリースクール等を利用している場合は、教職員が定期的に施設の訪問等を行い、児童生徒の状況を把握するとともに、児童生徒の学習や活動に関する情報を共有するなどして、互いに連携しながら、支援を行っております。
また、県教委では本年度から、不登校の児童生徒の支援の充実に向けて、市町村教育委員会、フリースクール、関係機関等との意見交換会を開催し、課題や事例の共有等を通じて連携を図っているところであります。
次は、不登校児童生徒へのICTを活用した学習支援についてであります。
現在、県教委では、市町村教育委員会と連携しながら、学校における一人一台コンピューター端末と校内ネットワーク環境の整備を進めており、今年度末までには、おおむね全ての学校において、一人一台コンピューター端末が整備される見込みであります。
これと並行して、現在、県内には、不登校児童生徒に学校のタブレット端末を貸与し、その端末を使って家庭で学習させたり、登校はできるものの教室に入れない児童生徒に対して、教室の授業をオンラインで配信し、別室で視聴させたりするなどの取組を行っている学校があります。
県教委としては、不登校児童生徒への多様な学習機会の提供を推進するため、今後、ポータルサイトを整備して、こうしたICTを活用した学習支援に係る事例について、市町村教育委員会や学校に対して情報提供を行うこととしております。
21 ◯警察本部長(鈴木敏夫君)高齢者の運転免許自主返納状況及び交通事故抑止対策の取組状況についてであります。
本県における高齢者の運転免許自主返納者数は、令和元年中、前年より千五百五十九人多い七千五百九十七人であり、本年は、十月末現在で五千七百二十七人となっております。
県警察では、高齢者の交通事故抑止対策として、各種資機材により、身体機能の低下を自覚していただいた上で、身体機能の低下を補う運転方法や夜光反射材の着用などの広報啓発を行っておりますほか、高齢者以外の方に対し、高齢者の特性を理解していただく教育に取り組んでおります。
また、安全運転サポート車の普及、運転免許の自主返納者に対する支援策の拡充や代替交通手段の確保につきまして、関係機関・団体に働きかけを行っております。
次に、妨害運転の相談等の受理状況及び対応結果についてであります。
県警察では、本年十月末現在、いわゆるあおり運転、妨害運転に関する一一〇番通報や相談を、前年同期より百九十件多い八百十二件受理しております。
このうち、運転者等が特定された百三十三件は、検挙・指導・警告の措置を取るなど適正に対処しているところでありますが、これまでのところ、法改正により設けられた妨害運転等で検挙した事案はございません。
県警察といたしましては、引き続き、妨害運転等の悪質・危険な運転に対しては、厳正に対処してまいりたいと考えております。
次に、バス停留所の安全確保対策事業における県警察の取組についてであります。
バス停留所の安全確保対策については、バス事業を所管する国土交通省九州運輸局鹿児島運輸支局が事務局となり、合同検討会が開催されることとなっており、現在、バス協会、警察、道路管理者等が連携して、実態把握、安全上の優先度判定及び安全確保対策の検討を行っているところであります。
県警察といたしましては、事務局に対し、事故発生データ等の提供を行うとともに、関係機関と連携して、必要な安全対策を進めることとしております。
22 ◯環境林務部長(松下 正君)環境林務関係について、まず、本県の木材産業の現状と課題及び対策についてでございます。
本県の木材産業は小規模・零細な企業が多く、製材品の生産量は増加傾向にあるものの、製材品流通量の約四割は県外から移入されております。こうしたことから、製材工場の生産能力を強化し、品質が確かな製材品の供給量の増大を図ることが重要な課題となっております。
県では、これまで、新たな工場の整備や規模拡大による大型化、乾燥施設の整備等による高品質化に取り組んできたところであります。
このような中、
新型コロナウイルス感染症の影響により、製材品等の販売量の減少等が生じていることから、九月補正予算で措置した販売活動の支援に加え、今回の補正予算において、かごしま材を利用した住宅建築の促進に要する経費を計上し、木材需要の回復による木材産業の支援を行うこととしております。
県産材の利用拡大の取組等についてでございます。
県では、これまで、県産材の利用拡大を図るため、木の良さ等のPRや、かごしま木の家づくり、公共施設等の木造化・木質化、木材輸出の促進などに取り組んできたところであります。また、新たな木材需要の創出を図るため、CLTなどの加工施設の整備に加え、建築士等を対象とした技術講習会等の開催など、中高層建築物等への利用促進にも取り組んでおります。
これらの取組により、県産材の需要は年々増加し、令和元年度の県産材生産量は約百二十六万立方メートルとなり、十年前の約二・五倍となっております。
県としては、今後とも、関係機関・団体等と連携を図りながら、非住宅分野等への利用促進等により、さらなる県産材の利用拡大に努めてまいりたいと考えております。
23 ◯くらし保健福祉部長(地頭所 恵君)
新型コロナウイルス感染症対策のうち、まず、医療機関等に対する支援金及び医療従事者等に対する慰労金の取組状況についてでございます。
支援金及び慰労金については、九月十五日から申請を受け付け、十月九日に介護関係職員に対する慰労金から支給を開始し、以降順次、審査、支給を行っています。
十一月末日までの慰労金の支給累計は三千三百二十一件、約八万三千人、約六十五億円、支援金は九百七件、約十四億円となっています。
また、事業の実施について、全医療機関等に対して案内を行うとともに、県ホームページや県政かわら版、テレビ、ラジオ等を活用し、周知に努めています。
引き続き、事業の周知を行うとともに、迅速な支給に努めてまいります。
次に、重点医療機関の役割等についてでございます。
重点医療機関は、専門性の高い医療従事者の集約と院内感染対策の効率的な実施の観点から、患者専用の病棟を設定している医療機関として、県が指定しているところです。
現在、十八医療機関百五十六床を指定し、二次医療圏ごとには、鹿児島が十二医療機関九十六床、南薩が二医療機関十八床、川薩が二医療機関十一床、出水が二医療機関三十一床となっていますが、指定のない医療圏においても、医療体制や院内感染対策を備えた即応病床を確保しています。
県としては、既に目標の百五十床以上は確保していますが、今後も、希望する医療機関に対して、要件を満たすか確認した上で対応してまいりたいと考えております。
次に、補正予算等に計上された施策の取組状況等についてでございます。
県では、国の緊急包括支援交付金等を活用して各種施策に取り組んできたところです。
PCR検査機器の整備については、十一月五日時点で二十検査機関等で二十一台、年度末までに、合わせて三十二検査機関等で四十五台に助成する予定です。
医療機関等の施設整備については、帰国者・接触者外来四十八か所に対して、空気清浄機等の整備費用を助成しているほか、入院を受け入れる医療機関五か所に対して、人工呼吸器等の整備費用を助成しています。
また、介護施設等に対しては、簡易陰圧装置の整備費用を助成することとしており、三十六施設に対する補助の内示を行ったところです。
このほかにも、タブレット等を活用したオンライン面会が実施できる体制整備の費用について、障害者施設五十八施設、介護施設百三十七施設に対して助成を行っています。
さらに、医療機関をはじめ、障害者施設や高齢者施設等にマスクや消毒液等の配布を行ったほか、今後の感染拡大時における不足に備え、衛生・防護用品の備蓄に努めています。
次に、新たな相談・外来診療・検査体制についてでございます。
次のインフルエンザ流行に備えた体制整備についての国の方針を受け、県では、医師会等と連携を図り、発熱患者等の診療または検査を行う体制の整備に努め、十一月一日付で八百十三医療機関を指定しましたが、その後、追加申請や指定解除の申出があり、十一月三十日時点で七百九十五医療機関を指定しているところです。
また、かかりつけ医がいない場合等の相談先である受診・相談センターとして、保健所が十一月以降、その役割を担っています。
さらに、同センターの代理機能として電話相談体制を整備した医療機関について、十一月三十日付で二十三機関を指定しました。
今後、各地域においては、夜間・休日等の対応、発熱患者が集中した場合の対応等について協議を継続することとしています。
県においては、医師会等と連携しながら、適切に相談・診療・検査を提供する体制の整備に努めてまいります。
24 ◯子育て・高齢者支援総括監(吉見昭文君)高齢者施策についてのお尋ねのうち、まず、ポイントを活用した介護予防・地域活性化の実施状況・効果等についてでございます。
県では、高齢者が行う自助活動や高齢者を含むグループが行う互助活動に対し、地域商品券等に交換可能なポイントを付与する高齢者元気度アップ地域活性化事業を実施し、高齢者の健康維持・介護予防への取組や、高齢者を地域全体で支える活動を促進しているところでございます。
令和元年度は、個人活動が三十六市町村、約六万六千人、グループ活動が四十一市町村、約二千二百グループの登録があり、全体の登録数は着実に増加しております。
実施した市町村からは、引き籠もりがちな高齢者が地域とつながりを取り戻すきっかけとなった、地域活動の育成・活性化につながったなどの意見を聞いているところでございます。
また、人口構成等の影響を除きました調整済み要介護認定率は、本事業の開始前の平成二十五年度末は、本県は一八・二%と全国平均の一七・七%を上回っておりましたけれども、令和元年度には一六・一%と二・一ポイント下がり、全国平均の一七・〇%を下回っているところでございまして、本事業をはじめとする介護予防施策の効果が現れているのではないかと考えております。
県といたしましては、市町村と相互に連携を図りながら、引き続き、本事業を活用するなどして、介護予防や見守り・外出支援など、高齢者を地域で支える活動のさらなる促進に努めるとともに、地域活動や子育て支援など、高齢者自らが地域づくりの担い手として活躍できるよう支援してまいります。
次に、介護保険保険者努力支援交付金についてでございます。
同交付金は、市町村や県による高齢者の自立支援・重度化防止等の取組のうち、介護予防・健康づくりに資する取組を重点的に支援するため、令和二年度に創設されたものであります。
この交付金は、介護施設や通いの場における元気高齢者等の活躍する仕組みの構築など、その取組状況等を点数化し、その点数及び事業実施見込額に応じて国から交付されるものでございまして、令和二年度は、国の交付金総額二百億円のうち都道府県分十億円から、本県に七千七百八十二万円が配分されたところでございます。
今年度は、本県に配分された交付金の全額を、高齢者元気度アップ地域活性化事業のうちグループポイント事業に充当し、高齢者を地域全体で支える活動を促進することとしております。
次に、高齢者の社会貢献活動等についての高齢者保健福祉計画における位置づけ等についてでございます。
高齢者が豊富な知識・経験・技能を生かして、地域づくりの担い手として活躍し続けることができるよう、また、住み慣れた地域で生きがいを持って暮らせるような環境整備を行うことが必要であると考えております。
このため、現在策定中の第八期高齢者保健福祉計画におきましても、引き続き、健康づくりと社会参加の推進及び地域で高齢者を支える仕組みづくりを重点目標として位置づけ、ポイント事業の活用や情報提供等を通じて、高齢者の社会貢献活動の促進や地域づくり・互助活動への参加を推進する方向で検討しているところでございます。
同計画につきましては、関係団体、学識経験者等で構成する作成委員会の御意見等も踏まえ、計画の素案を作成し、近くお示しすることとしており、今後、県議会をはじめ、県民の皆様方の御意見も十分にお聞きしながら検討を進め、今年度末を目途に策定したいと考えております。
[中村素子君登壇]
25 ◯中村素子君 御答弁頂きました。
鹿児島港本港区エリアについては、鹿児島市のまちづくりや中心市街地との連携が極めて重要であり、サッカー等スタジアムも含めて、鹿児島市や関係団体との緊密な協議を進めるとともに、県民に親しまれるエリアとして幅広い意見が反映できるような取組を強く要望いたします。
高規格幹線道路のミッシングリンクの早期解消と地域高規格道路の早期整備に向けて、引き続き積極的な取組を強く要望いたします。
また、本県の将来を見据えた広域道路交通計画の策定を要望いたします。
いじめの認知件数は、積極的に認知した結果もあるとはいえ、前年度より大幅に増加し、不登校も増えております。担任だけでなく学校が一丸となった取組と、教師をサポートする専門家による支援など、実効的な体制づくりに努めるよう要望いたします。
交通事故抑止対策については、街頭活動の強化や自治体等と連携した広報啓発等の総合的な対策の推進を要望いたします。
県産材の利用拡大については、木材産業の競争力の強化や需要創出に関する施策、東アジア等への輸出拡大に向けたさらなる取組を要望いたします。
新型コロナウイルス感染症については、全国における感染の急拡大や本県の相次ぐクラスターの発生を踏まえて、引き続き、感染防止対策と医療提供体制のさらなる強化に取り組むよう要望いたします。
高齢者施策についてでございますが、県が行う高齢者元気度アップ・ポイント事業を利用して、私の地元阿久根市では、各地公民館でころばん体操教室を開催いたしております。このほど、この取組が厚生労働省老健局長優良賞団体部門として表彰されたところでございます。
ポイントが付与され、それが地域商品券と交換できるということで、高齢者の社会参加意欲が高まることに加え、体操教室の実施地区では要介護認定率が明らかに抑制されるという効果を出しています。また、付与されたポイントで高齢者が地元スーパーにおいて鹿児島黒牛や海産物、野菜を購入するなど、地域経済への波及効果も見られます。
こうした活動の下支えをしている県の事業を高く評価し、今後ますます取組を強化していただきますようお願い申し上げます。
以上、県政の課題について質問してまいりました。
今年も残すところあと一か月となりました。慌ただしい年の瀬を迎えようとしております。
内外の情勢が大きく変動する中、私ども
自由民主党県議団は、引き続き、県勢の発展と県民生活の安定のために最大限の努力をもって取り組んでまいる所存であることを申し上げ、以上をもちまして
自由民主党県議団の代表質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
26 ◯議長(外薗勝蔵君)ここで、休憩いたします。
再開は、午後一時二十五分といたします。
午後零時 十四分休憩
────────────
午後一時二十五分再開
27 ◯議長(外薗勝蔵君)再開いたします。
前野義春君に発言を許可いたします。
[前野義春君登壇](拍手)
28 ◯前野義春君 県民連合を代表して質問いたします。前野でございます。
塩田知事が就任され四か月が経過しました。知事に就任され、極めて大きな判断とも言える、防衛省が申請していた、馬毛島での自衛隊基地建設・米軍のFCLP訓練基地整備計画の前提となる、港湾整備等に係る海上ボーリング調査を二十七日の県議会本会議の場において、同日付で許可する旨表明されました。就任直後、国の重要なプロジェクトに事実上のゴーサインを出されました。
知事は、基地建設の賛否とは別問題とされますが、この問題で知事の判断に注目していた多くの県民は、知事の発言を果たしてうのみにするでしょうか、疑問であります。この課題については、改めて、知事の政治姿勢で伺ってまいります。
早速質問に入ります。
お断りしますが、午前中の自民党の代表質問と質問が複数項目において重複しております。重複している項目においては一部割愛して質問させていただきます。
新型コロナウイルス感染拡大は、県民生活のあらゆる部分に影響を及ぼす危機的状況にあると認識いたします。こうした状況下にあっても、県民の命と暮らしを守ることを最優先にした感染防止対策を徹底するとともに、
新型コロナウイルス感染症の影響を克服する強力な産業支援策を講じることには論をまちません。
しかし、本県財政運営は、一層の高齢化の進行などにより扶助費が増加傾向にあり、公債費も高水準で推移することから、引き続き厳しい状況が続くとされております。
一方、財務省は七月、来年度予算要求を行う際のルールを決め、要求されるコロナ対策費については上限を設けない方針とされております。
こうした中、本県の
行財政改革推進プロジェクトチームは、二〇二一年度当初予算編成における財政収支の見通しにおいて、現時点での仮試算として、一般財源ベースで二十七億円の収支差が見込まれるとしております。今後の厳しい財政状況を踏まえますと、持続的な行財政運営の確立に向けた抜本的かつ現実的対応が必要であると考えます。
このような状況にあっても、本県におきましては、七月豪雨災害や台風災害の早期復旧、高速交通網の整備、新たな総合体育館や鹿児島港本港区
エリアまちづくり、鹿児島市南部地区特別支援学校・薩南病院の着手など、大型事業が待ち構えております。
そこでお伺いいたします。
新型コロナ対策を最優先することが本県財政運営に与える影響とその対策についてお示しください。
多額の財政支出を伴う大型事業が具体化している中で、持続可能な行財政構造をどのように構築していかれるのか、それぞれ見解をお示しください。
米軍空母艦載機陸上離着陸訓練─FCLP─・自衛隊基地整備問題は、今、重要な時期を迎えております。地元西之表市の八板市長は十月七日、米軍訓練のための施設整備が目的、現行の地位協定の下では、一度基地を容認すると米軍の行動に歯止めがかけられず、基地被害の拡大が懸念されるとして、計画への反対を表明しました。また、その中で、同省が示した基地整備計画の説明が不十分として、四十二項目にわたる質問書を提出し、その回答書では、騒音の影響や再編交付金の見込額、運用開始の詳細な工程など、市民の関心の高い項目についてはほとんど明示されず、現段階でも不明な点は払拭されていないと、不同意の理由を説明したとされております。市民の理解が不十分なまま、なし崩し的に計画を進められる懸念があると主張もしておられます。
住民の中にも、馬毛島への米軍施設に反対する市民・団体連絡会が組織化され、署名運動が取り組まれる一方、馬毛島の自衛隊・FCLPを支援する会も組織され、同じく署名運動が行われております。国からの確かな情報がない中、平穏な島で地元を二分するような賛否双方での活動が進められていることに大きな懸念を覚えます。
このような中、防衛省は十一月六日に、港湾整備に伴う海上ボーリング調査を鹿児島県に申請したことが明らかになりました。そして、十一月二十七日付で知事の許可が行われたわけであります。
そこでお伺いします。
海上ボーリング調査を許可するに当たり、地元首長や漁業関係者の懸念に応えるためにどのような許可条件を付されたのか、具体的にお示しください。
西之表市の八板市長が危惧されるように、現行の日米地位協定の下で整備が進められてしまうと歯止めがかからなくなり、多くの地元や県民へ深刻な影響が出るものと考えます。
この米軍空母艦載機陸上離着陸訓練─FCLP─・自衛隊基地整備問題は、県民の命と暮らしを守る立場から知事は反対すべきと思いますが、見解をお伺いします。
今年の十月二十六日、アメリカ軍のオスプレイ四機が海上自衛隊鹿屋航空基地に飛来しました。鹿児島県十島村臥蛇島での日米統合演習に参加するためであります。この演習は、自衛隊とアメリカ軍の相互運用性の向上を目指すとされており、十月二十六日から十一月五日までの十一日間、十島村の臥蛇島など日本周辺の海域や空域で行われたものであります。
この訓練は、敵国に奪われた島の奪還を目的に、自衛隊ヘリや米輸送機オスプレイで隊員を島に送り込み、上陸して敵に対処する内容とされ、緊迫化している沖縄県尖閣諸島の防衛を想定していると見られております。
防衛省によりますと、離島防衛を専門とする陸上自衛隊の水陸機動団ら約百人、米海兵隊約四十人が参加。今回の統合演習で海上自衛隊鹿屋航空基地を拠点にオスプレイ四機のうち二機が演習に加わったとされます。
さらに、臥蛇島における日米部隊による機動展開に加え、自衛隊の単独での訓練は、県内では、奄美大島、種子島、沖永良部、徳之島などで実施され、沖縄でも、沖縄本島、久米島、宮古島から日本最西端の与那国島など南西諸島各地で同時期に訓練が行われております。
そこで、このように演習地以外での演習は許されるものではないと考えますが、知事の見解を求めます。
次に、米中関係も緊迫しており、尖閣諸島をめぐる日中関係も緊張している中、県内での日米統合演習は今後さらに拡大し、常態化する懸念があります。このような状況をどのように認識されますか、お伺いいたします。
核兵器の使用や保有、開発などの全てを禁じる核兵器禁止条約の批准国・地域が、条約の発効に必要な五十に達し、二〇二一年一月二十二日に発効することになりました。核兵器禁止条約は、二〇一七年七月に、国連の交渉会議で核兵器の非保有国百二十二か国・地域の賛成で採択されており、核兵器廃絶を訴えてきた被爆者からは、遅いけど大きな一歩と歓迎の声が上がっております。
ストックホルム国際平和研究所の調査では、米国、ロシア、中国など九か国で今でも一万三千四百発の核兵器があるとされております。
日本は、唯一の戦争被爆国として核兵器廃絶を訴える一方で、核軍縮は核保有国とともに段階的に進めるべきとし、国連の交渉会議にも参加しておりません。
このような日本政府の対応について、広島で被爆した九十三歳の女性は、原爆の悲惨さをつぶさに知っている日本政府が条約に参加していないのは、被爆者として非常に残念だ。アメリカへの気遣いと条約に参加するかどうかは別の問題。核保有国と非保有国の橋渡し役を務めるために、しっかりと条約に参加した上で、核兵器廃絶に向けて各国を導いてほしいと話をされております。
そこで伺います。
全国の自治体で非核平和都市宣言をしているのは、百九十八市、七区、百十五町二十一村。都道府県レベルでは神奈川県一県のみであります。
塩田知事、一月の条約発効を受けて、鹿児島県においても非核平和都市宣言をする考えはないのか、お答えください。
県内で一昨年からサツマイモ基腐病の被害が拡大しております。九月二十一日には鹿屋市の吾平町で知事も被害圃場に足を運び、被害の実態と農家関係者の声を直接聞いております。農家の方からは、国や県の指導により、苗消毒や土壌消毒、圃場の排水処理などあらゆる対策を講じても、この有様だと落胆の声が多くありました。また、このまま病害対策が改善しなければ、来年への作付不安と併せて営農意欲を失うなどの厳しい現実を吐露されておりました。
十月二十一日には、農水省の防疫対策室長が種子島の被害圃場を視察しております。また、十一月十四日に南種子町で開催された、あなたのそばで県議会でも、早急な対応策の確立、転換作物への助成措置などを求める複数の意見がありましたが、答弁した県議会議員からは、国・県・市町村・研究機関による取組の現状や、国が今回新設した助成制度の内容などの説明にとどまり、農家の皆さんが最も望む、治療効果が目に見える農薬等の開発には答えるすべを持たず、参加した議員もじくじたる思いを抱いたところでありました。
そこで、本県の農業開発総合センターの下で、基腐病に対する国・県の知見を総合的に集約した調査研究・開発を重ね、対処法を見出すなど、可能最大の対策を取るべきことが求められております。
そこで、知事にお伺いいたします。
知事が先頭に立ちリーダーシップを発揮し、基腐病対策に必要な試験研究費の財政措置も含めて、抜本的な取組を望むものでありますけれども、知事の決意を伺います。
以上で、一回目の質問といたします。
[知事塩田康一君登壇]
29 ◯知事(塩田康一君)まず、馬毛島問題に係る見解についてでございます。
国におきましては、これまで、西之表市などで順次住民説明会を行っているほか、西之表市議会、中種子町及び南種子町の両町議会等でも説明を行っていると承知しております。
先月二十五日の国の説明におきましては、いずれの説明会においても、その説明会をスタート地点として、今後もやり取りを続けさせていただきたいと伝えているとの発言があり、引き続き説明していく意向が示されたところでございます。
私としても、国に対して、関係自治体との意見交換の内容を伝えるとともに、引き続き、詳細な説明等を行うよう重ねて求めたところでございます。
今後とも、国による説明や地元の意見もお聞きした上で、県としての考え方を整理し、対応を検討してまいりたいと考えております。
非核平和都市宣言に対する考え方についてでございます。
我が国は世界で唯一の被爆国であり、核兵器による惨禍が再び繰り返されることがないよう、世界の平和の構築のための不断の外交努力を続けていくことが極めて重要であると考えております。
本県におきましては、県議会で県民の総意を代表して、平成十六年十二月に、核兵器廃絶などを希求する鹿児島県宣言を決議されており、県としては、今後とも、県民の方々や関係機関・団体による国際交流の促進などにより、相互の理解と信頼を深めることに努めてまいりたいと考えております。
サツマイモ基腐病の抜本的な対策についてでございます。
本年産でのサツマイモ基腐病につきましては、七月までは苗消毒等の対策の実施により全体的に発生が抑えられていたものの、梅雨末期の豪雨等の影響もあり、九月以降、県内全域で昨年以上の発生が見られております。
このため、県では、被害の大きい南薩、大隅、熊毛地域において、国や県、市町、研究機関等で構成するプロジェクトチームを設置し、生産者からの聞き取りや個別巡回指導に取り組んでおり、今後、モデル地区での効果確認・検証などに取り組むとともに、県内全域で基金事業等を活用したウイルスフリー苗や無病種芋、防除薬剤の購入、残渣処理等に要する経費などの支援を行うこととしております。
さらに、国においては、サツマイモ生産を継続しながら基腐病対策を促すため、本年産の被害程度や次年産に向けた取組に応じて、十アール当たり最大五万円を交付するなど、新たな支援策が示されたところであり、県としては、これらの活用に向けて、関係者への周知を図るなど推進活動を行っております。
サツマイモは、本県畑作の約二割を占め、夏場の重要な土地利用型作物であり、大きな被害を及ぼす基腐病の防除技術を早期に確立することが急務であることから、試験研究の果たす役割は非常に大きいと考えております。
現在、農業開発総合センターでは、発生メカニズムの解明、薬剤による防除技術の開発、発病の原因となる植物残渣の分解促進技術の開発、抵抗性品種の育成に向けた試験等について、国などの試験研究機関と共同研究を実施しているところであります。
特に、薬剤による防除技術の開発においては、これまで四剤の農薬が登録されており、引き続き、治療効果が期待できる新たな農薬についても試験を実施しているところであります。
今後とも、必要な予算を確保しつつ、基腐病の抜本的な対策の早期確立に努めてまいります。
30 ◯総務部長(平木万也君)新型コロナ対策を優先することが財政運営に与える影響とその対策についてでございます。
新型コロナウイルス感染症拡大は、あらゆる方面に影響を及ぼす先例のない危機的状況であることから、引き続き、県民の命と暮らしを守ることを最優先とした感染防止対策を実施するとともに、
新型コロナウイルス感染症の影響を克服する強力な産業支援を講じる必要があると考えております。
新型コロナウイルス感染症への対応経費については、国の令和三年度当初予算の概算要求要望において事項のみの要望となっていることなどから、今後、本県の財政運営にどのような影響を与えるかを現時点で示すことは困難でございますが、感染症拡大の影響により本県を含めた地方の財政運営に支障が生じることがないよう、全国知事会等を通じて、国に対して必要な財源の確保を要望してまいりたいと考えております。
持続可能な行財政構造の構築についてでございます。
県では、国・地方を通じた厳しい財政環境や、本県の自主財源に乏しい脆弱な財政構造の下で、新たな財政需要に必要な財源を確保しつつ、めり張りのある社会資本の整備など行財政運営の基本的な考え方を示した行財政運営戦略に基づき、歳入・歳出両面にわたる行財政改革に取り組んでいるところでございます。
具体的には、
行財政改革推進プロジェクトチームにおいて、事務事業見直しや未利用財産の売却・有効活用、使用料・手数料の見直しなどに取り組んでいるところでございます。
県としては、中長期的な視点に立って持続可能な行財政構造を構築する必要があると考えており、県勢の発展、県民福祉の向上に資する事業については積極的に推進しつつ、引き続き、徹底した行財政改革の取組を着実に進めてまいりたいと考えております。
31 ◯土木部長(兒島優一君)海上ボーリング調査の許可における西之表市長からの意見書等への対応についてでございます。
今回のボーリング調査の許可申請につきましては、西之表市長から、漁場環境に影響が生じる可能性を否定できないとの意見書が提出されたところであります。
ボーリング調査につきましては、海中の濁りの拡散を抑える工法で行う等の保全措置が講じられていることや、市長からの意見書を踏まえ、ボーリング調査の専門家へ意見を聴取した結果などから、海底の土地の管理上の支障並びに水産資源の保護培養上著しい影響を来すおそれがないと判断し、許可したものであります。
なお、念のため、許可に当たりましては、漁場環境への影響を可能な限り回避または低減するよう努め、関係者と十分に連絡調整を行うことを条件として付したところでございます。
32 ◯危機管理防災局長(橋口秀仁君)日米共同統合演習等の訓練地についてでございます。
防衛・安全保障政策は国の専管事項であり、訓練場所の選定につきましては、国防を担う国の責任において行われるものでございますが、訓練の実施に当たりましては、訓練実施地域となる市町村の理解や住民の安心・安全の確保が最も重要であると考えています。
そのため、県では、これまで自衛隊等の訓練に際し、国に対して、地元の意向を尊重するとともに、住民の安心・安全の確保に万全を期することなどについて要請しており、今回の日米共同統合演習につきましても、文書で要請を行ったところであります。
次に、県内での日米共同統合演習の拡大、常態化の懸念についてでございます。
先ほども申し上げましたが、防衛・安全保障政策は国の専管事項であり、日米共同訓練の実施場所や規模等につきましては、訓練の目的や内容に応じて、その都度、国の責任において判断されるものと考えております。
なお、訓練が実施される場合には、県として、国に対し、訓練に関する詳細な情報提供や十分な説明を行うこと、地元の意向を尊重するとともに、住民の安心・安全の確保に万全を期することなどについて要請してまいります。
33 ◯前野義春君 自席から再質問させていただきます。
知事は、基地建設の賛否とは別問題ということでマスコミにも話をされました。今回のこの海上ボーリング調査は目的がはっきりしています。防衛省は、基地をつくるための港湾を整備するということを目的にして、ボーリング調査の申請を県に出したわけであります。今後、知事が賛否を判断するに当たって、いろんな関係の方々はおられますけれども、最も重要な県民の意向をどのような手法で把握されるのか。
そしてまた、土木部長が答弁されましたけれども、漁業に影響がない範囲でやるということでした。ボーリング調査中の許可条件を遵守するために県はどのように監視・点検をしていかれるのか。
二点についてお答えください。
34 ◯知事(塩田康一君)県民の、住民の方の意向をどのように把握するかということでございますが、これまでも行ってきておりますけれども、まずは地元の首長の方々から、住民の皆さんの動向、御意見等についてお伺いするということを行っていきたいと思っております。
そのほかにも、いろんな署名活動等を行って県へお届けいただいている、そういったこともしっかりと踏まえていきたいと思っております。
また、漁業への影響についての監視といいますか、チェックをどうやって行っていくのかということにつきましては、地元の漁業関係者の皆様方に何らかの影響がある場合には県に通報いただくということを通じて、しっかりと影響については確認していきたいと考えております。
[前野義春君登壇]
35 ◯前野義春君 知事の政治姿勢について様々お伺いしました。
馬毛島に関しましては、基地が整備されますと、本県で初めて米軍の訓練が行われる拠点となり得ます。馬毛島周辺は地元漁業者にとって豊かな漁場であります。また、離島航路や航空路、大隅海峡の船舶往来、南大隅町の畜産基地で飼養される和牛や豚、ブロイラーなどへの騒音被害や事故などの懸念が高まってまいります。
知事は、今後、県民のあらゆる意見に耳を傾けて、そして国に対しても県民の意向を明確に意見する、能動的な対応を強く求めておきたいと思います。
サツマイモの基腐病に関しては、国の農研機構共々研究に取り組んでいるという答弁でした。
緊急的な試験研究の進展と、民間で研究しておられるこれらの知見なども積極的に取り入れ共同した実証試験など、新たな試験研究を模索して、焦燥感に浸っておられる農家の期待に応える努力を要請しておきます。
次の質問に入ります。
県は、
新型コロナウイルスとインフルエンザの両ウイルスの同時流行に備え、七百九十五の県指定診療・検査医療機関での受診・検査体制を整備しました。一方で、医療機関の公表に対しては、風評被害などを恐れてか慎重になっております。実際、感染を恐れての受診控えや介護サービスの自粛など、医療機関・介護施設などの経営悪化は深刻であります。
医療・介護経営の著しい減収は、それだけ国が支払う報酬支払いの交付負担分が少なくなり、国の財源には余裕が生まれるはずであります。もっと医療や介護経営者への財政的な援助も必要であります。特に、
新型コロナウイルスと闘っている医療機関を守ることは、医療崩壊を防ぐ意味でも重要であります。
そこで、県内の医療機関の減収補填について国に求めるべきと考えますが、知事の見解を求めます。
業務に起因する感染症は労働災害であります。厚生労働省も四月二十八日付で通知を出しております。調査により感染経路が特定されなくても、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められる場合には、これに該当するものとして労災保険給付の対象となります。
厚生労働省のまとめによりますと、労災認定は十一月十九日現在、二千百四十の請求件数に対して千九十六件が決定されています。業種としては、医療業や介護・社会福祉業、運輸業、建設業が多くなっています。厚生労働省は、集団感染が起きた事業所などは積極的に労災申請するように求めております。
そこで、県における労災制度の周知と申請への支援について、現状をお答えください。
新型コロナウイルスは指定感染症と定められ、都道府県知事が入院を勧告した患者の医療機関までの移送は、都道府県知事が行う業務とされております。そのため、患者の移送業務は保健所等が行うこととなりますが、事前に管内の消防本部と保健所等との間で協定を締結していれば、協定にのっとり移送業務を依頼することができます。その場合、県は、当該消防本部に必要な個人防護具の提供や費用負担の責務を負うことになります。
そこで、県内各保健所における消防本部との協定の締結の状況についてお伺いいたします。
消防機関が新型コロナ患者を搬送する場合、患者の症状の程度にかかわらず、搬送時の感染拡大防止、搬送後の消毒の徹底には気を遣うところです。搬送に関わる消防職員の安全も確保しなければなりません。
そこで、感染症患者を隔離搬送する陰圧式トランスバッグやフードなどの資機材について、各保健所から消防本部への提供体制についてお示しください。
また、
新型コロナウイルス感染症患者が離島から飛行機やヘリなどで本土に搬送された場合、当該自治体の消防本部に移送を依頼せざるを得ない場合も生じます。さらに、クラスターが発生した場合には、大量の患者搬送を依頼しなければならない事案となり、台数の関係で複数の消防本部に依頼せざるを得ない場合も想定されます。
そこで、県であらかじめ各自治体の消防本部と協定を締結しておくべきではないかと考えますが、県の見解を求めます。
総務省統計局がまとめた九月分労働力調査では、就業者数は前年同月に比べ七十九万人の減少、雇用者数も五十六万人減少、いずれも六か月連続の減少となっております。雇用形態別で見てみますと、前年同月に比べ、正規職員は四十八万人増加したのに対し、非正規職員は百二十三万人減少している。就業者の減少が目立つのが宿泊業や飲食サービス業、次いで製造業、農業・林業と続いております。完全失業者数も二百十万人と前年同月と比べ四十二万人増え、八か月連続で増加しております。
そこで、鹿児島県における解雇・雇い止めの雇用形態別の推移と、解雇・雇い止めが大きい業種の現状と県の対策をお示しください。
厚生労働省は、二〇二〇年春卒業の大学生や高校生の採用内定取消し数が、九月末時点で七十九事業所、二百一人だったと発表しました。人数では昨年の六倍弱、主として
新型コロナウイルス感染拡大に伴う取消しと見られ、コロナ禍の雇用への影響が改めて裏づけられました。
そこで、鹿児島県での内定取消しの現状と対策についてお示しください。
県では今年、稼げる農林水産業の実現に向け、人づくり・地域づくりの強化、新たな生産・加工施設などの整備や先進技術等の普及・定着により、生産体制の強化、鹿児島黒牛、かごしま黒豚、お茶、木材、ブリ、カンパチなど県産農林水産物のPR・販売促進、輸出拡大に向けた販売力の強化の取組など、戦略的な取組を公表しております。
しかしながら、今年度当初からのコロナウイルス感染拡大による影響が、本県農林水産業にも大きく影響しているものと考えます。
そこで、知事に伺います。
県は、稼げる農林水産業の実現に取り組む最中と考えますが、このコロナ禍において、事業に取り組む上での影響と県の対応について明らかにしてください。
次に、具体的な事象について伺います。
大隅地域や南薩、種子島地域で今年、深刻な状況にあるサツマイモの基腐病に関して伺います。
現状の国・県の防除対策を見ますと、水和剤などの消毒と殺菌剤の使用が主体であります。しかし、即効性を見出すには至っておりません。こうした対策を取る中でも、化成肥料に大きく依存し、堆肥や緑肥の施用が激減している。殺菌剤による善・悪玉菌の壊滅、結果として圃場の地力低下を招くと、昨今の営農の在り方に反省を含めて指摘する農家もあります。
国や県の基腐病対策の中で、地力との考察・研究は行われていないのか、地力低下に対する対策や取組がほとんど見えてきません。土地改良事業などハード整備充実の裏側で、耕種農業の基本中の基本と言われる地力低下を指摘する農家の声は少なくありません。
そこで伺います。
基腐病と圃場の地力との関係について示してください。
また、県内耕種圃場の地力に関する現状、並びに良質堆肥の投入などによる効果と地力回復に向けた今後の取組についてもお示しください。
大隅地域を含む県内では、木材生産が堅調な中にあって、皆伐された森林の一部では再造林が行われず、台風や豪雨による土砂流出などが見受けられます。こうした観点から伺います。
皆様方に資料として、左側と右側をそれぞれ三段、写真でお示ししております。二年前の状態が左側であります。そして右側が、つい最近、ドローンを飛ばして撮った写真であります。
このように、皆伐された山林がそのまま放置されて災害のもとをつくっているという現実が、この大隅半島の随所で見られているところであります。一番下の一番右側ですけれども、ここの下に少し道路が見えますが、これは国体の会場に向かう市道にすぐ隣接した山であります。縦横に機械が通った跡がこのような状態で放置されているという現実もここにはあるわけです。
そこで、本県における森林の皆伐の現状と、枝葉処理や適切な作業道開設など皆伐地の荒廃防止対策、並びに再造林の推進に向けた取組の現状と課題について明らかにしてください。
次に、水産業の振興について伺います。
二〇一七年十一月にファインバブル地方創生協議会が主催し、ウルトラファインバブルに関するセミナーが鹿児島市で開催されております。セミナーは、県や九州経済産業局、九州環境エネルギー産業推進機構も主催者に名を連ねております。
先般、産業観光経済委員会が視察した奄美市の奄美漁協の取組は、消費地に遠い本県の地理的ハンデに革新的な効果をもたらす技術と考えるものです。塩田知事は九州経済産業局長を歴任されておりますので、当該技術や活用事例などは見識に明るいと考えます。
そこで、ウルトラファインバブル技術を活用した本県での活用事例とその効果分析、今後の本県の水産物への技術活用の展望についてお示しください。
まちづくりに、そして本県の活性化に大きなインパクトを与えるものとして、これまで、新たな総合体育館や鹿児島本港区エリアの再開発について検討あるいは実質的な計画の推進が図られつつある中、さきの知事選挙において塩田知事が誕生したことにより、どちらも再検討されることになりました。
九月議会で企画部長は、新たな総合体育館の整備が十年余りの取組にもかかわらず、整備が図られなかったのはなぜかとの質問に、「整備候補地の選定方法など、整備に向けた検討のプロセス等に対し様々な意見があり、その整備に至っていない」と答弁。さらに、「改めて検討のプロセスを見直す必要があると考え、透明性を確保する観点から、新たに検討委員会を設置し、まずは、どのような施設を整備すべきかを十分に議論した上で、整備候補地について検討を行う必要があると考えている」と説明されております。
そこで、どのような施設・機能が必要かという観点では、本港区エリアの再開発の在り方とも関連しており、庁内においての関係部局等での協議が必要でありますけれども、現在の協議状況と課題の整理がどのようになされたか、明らかにしてください。
十一月二十五日には第一回目の総合体育館基本構想検討委員会が開催されております。しかし、平成二十九年にも、大規模スポーツ施設の在り方検討委員会が設置され、新たな総合体育館整備の必要性と求められる機能について検討し、提言しております。
そこで、今回の検討委員会メンバーについても、前回の在り方検討委員会とほぼ同様の団体、メンバーになっているようですが、文化芸術の専門家やイベントの専門家、あるいは若者の代表など、もっと多彩なメンバーで構成されるべきと考えますが、選定についての考え方についてお示しください。
さらに、委員会の具体的検討内容など、役割とスケジュールについてもお示しください。
サッカー等スタジアムの整備に対する一定の考慮も必要でありますが、連携強化が求められる鹿児島市の代表、市役所の職員などをメンバーとする考えはなかったのか、お答えください。
今後、検討委員会で検討を進めるに当たって、各種団体や専門家からの意見を聞くなどの対応が必要と考えますが、見解をお示しください。
鹿児島港本港区エリアの再開発について、一点伺います。
これまでの状況と今後の進め方についてお示しください。
この質問の最後に、行政の継続性が言われますが、これまでの経過を見る限り、知事が替わるたびに計画が振出しに戻る事態が続いております。それは、計画そのものと将来を展望した長期的戦略性が欠如しているのではないかと考えます。
長期的な戦略を持つことと併せて、それに対応できる人材の配置・確保が重要であります。今度こそ整備計画を実現するために、職員の継続性も考慮して取り組むべきと考えますが、見解をお聞かせください。
以上で、二回目の質問とします。
36 ◯くらし保健福祉部長(地頭所 恵君)新型コロナ禍における支援の在り方についてでございます。
国においては、医療機関への支援として、中等症以上の
新型コロナウイルス感染症患者を受け入れる医療機関の診療報酬の引上げや、福祉医療機構における無利子・無担保融資上限の引上げなどを行っているところです。
しかしながら、
新型コロナウイルス感染症の患者を受け入れた医療機関に加え、受け入れていない医療機関においても、受診控えもあり、経営が一層厳しくなっているところです。
このため、県においては、県開発促進協議会を通じて、地域医療提供体制の確保のために、医療機関の経営存続に対する支援策を講じるよう国に要望しているところです。
また、全国知事会においても、公立・公的病院や大学病院をはじめとする全ての医療機関に対する財政支援などを行い、医療機関の経営悪化へ歯止めをかけるよう戦略的かつ継続的に対処することについて、十一月二十三日付で、国に対し緊急提言を行ったところです。
県としては、今後とも、地域医療提供体制の確保のため、医療機関の経営存続に対する十分な支援を国に求めてまいりたいと考えています。
次に、保健所と消防機関との協定の締結状況についてでございます。
新型コロナウイルス感染症患者の搬送については、厚生労働省事務連絡において、都道府県等と消防機関で協定等を締結している場合は、その内容に従って移送協力の要請を行い、協定等を締結していない場合には、都道府県等が消防機関と事前に十分な協議を行った上で、移送協力を行うこととされています。
現在、県内保健所においては、二十の消防機関のうち十九機関と協定等を締結しており、締結していない一機関についても、事前に十分な協議を行っており、移送協力を得ることとなっています。
次に、トランスバッグ等の提供体制についてでございます。
消防機関による感染症患者の搬送においては、基本的に救急車内をビニールシートで養生することにより感染防止対策を行った上で、従事者はサージカルマスクやガウンなどの個人防護具を着用し対応しています。
また、移送後も救急車の消毒を実施するなど、患者の安全な移送と従事者の安全の確保に努めています。
なお、搬送に必要な資機材については、各保健所と消防機関との協定等に基づき提供されているところです。
さらに、一般的な個人防護具で対応できない場合に備えて、トランスバッグ四十三個を保健所等に配備するとともに、現在、フード百三十八個を離島の診療所等に配備するよう手続を進めているところです。
県と消防機関との協定締結についてでございます。
離島から本土への患者搬送における本土到着後の搬送については、病状に応じて救急車により実施しているところです。
船舶等で鹿児島市に到着する場合は、離島の消防機関との応援協定に基づき、鹿児島市消防局が受入れ医療機関へ搬送し、鹿児島空港に到着する場合は、県の依頼により霧島市消防局等が受入れ医療機関へ搬送するなど、適切に対応してきたところです。
また、本土において多数の患者が発生し、同一保健所管内で救急車による複数の患者搬送が必要となり、当該保健所が協定を締結している消防機関で対応し切れない場合においては、協定を締結していない隣接する消防機関へ県が依頼し、搬送を行うなど、適切に対応してきたところです。
今後、消防機関との連携の在り方等について、関係機関と協議してまいりたいと考えております。
37 ◯商工労働水産部長(五田嘉博君)
新型コロナウイルス感染症対策強化の取組のうち、まず、労災制度の状況についてであります。
鹿児島労働局によりますと、本県の
新型コロナウイルス感染症に関する労災請求件数は十月末現在で七件、決定件数は四件となっております。
厚生労働省は、労働者が業務に起因して
新型コロナウイルスに感染したものであると認められた場合は労災保険給付の対象となることや、
新型コロナウイルス感染症に係る労災認定事例をホームページで公表するとともに、労使団体などの関係団体に対して、その旨の周知を要請しているところであります。
また、鹿児島労働局は、報告等により感染者の発生を確認できた企業に対して、労災請求を勧奨するとともに、その支援を行っているところであります。
県においては、労働問題について専門的な知見を有する社会保険労務士を配置した相談窓口を設け、労災を含む相談に対応しているところであります。
今後とも、鹿児島労働局など関係機関と連携し、労災制度の周知に努めてまいります。
次に、新型コロナ禍における解雇・雇い止めの現状についてであります。
鹿児島労働局によりますと、本県における
新型コロナウイルス感染症の影響による解雇・雇い止めは、十一月二十日時点で、見込みを含めて累計で六百九十八人となっており、業種別には、宿泊業、製造業、飲食業が多くなっております。
非正規労働者の把握を開始した五月二十五日以降の雇用形態別の解雇・雇い止めの推移を月ごとに見ますと、正規労働者、非正規労働者ともにばらつきが大きくなっておりますが、月平均としては、正規労働者が四十人、非正規労働者が三十七人の解雇・雇い止めとなっております。
県においては、
新型コロナウイルス感染症の影響で解雇等された方の早期の再就職を促進するため、ハローワークの求職登録者で雇用保険未加入の離職者が職業訓練を受講しながら生活維持が可能となるよう、職業訓練実施期間に助成金を支給し、離職者の再就職支援を行っているところであります。
また、国においては、求職活動の長期化等に対応できるよう、雇用保険の基本手当の給付日数を延長するとともに、ハローワークの相談・支援体制を強化しているところであります。
今後とも、鹿児島労働局をはじめとする関係機関と連携し、
新型コロナウイルス感染症の影響で解雇等された方々の再就職支援に努めてまいります。
新型コロナウイルス感染症の影響による採用内定取消しについてであります。
事業主が新規学卒者の採用内定取消しを行おうとする場合は、あらかじめハローワーク等へ通知することが必要であり、鹿児島労働局によりますと、令和二年三月の県内の新規学卒者の内定取消しは一件発生し、その後、県内の同業他社に就職したと聞いております。
また、令和三年三月卒業予定の新規学卒者の内定取消し通知は受理していないとのことであります。
鹿児島労働局は、内定取消しの対策として、県内企業に対し、採用内定取消し等の防止など適切な採用活動の実施を依頼するとともに、かごしま新卒応援ハローワークに特別相談窓口を設置し、内定取消しを受けた学生等が早期に新たな就職先を決定できるよう、きめ細やかな支援を行うこととしております。
県としては、今後とも、関係機関と連携し、新規学卒者の円滑な就職が促進されるよう努めてまいります。
次に、農林水産業振興の課題のうち、ウルトラファインバブル技術の活用事例等についてであります。
ウルトラファインバブル技術については、極めて細かい気泡を含んだ水を活用することで、化学物資を使用することなく、機械部品などの洗浄や食品の鮮度保持、品質向上などの効果が期待できることから、水産分野でも活用されているところであります。
本県では、鮮度保持や販路拡大を目的として、奄美漁協、江口漁協、おおすみ水産振興協議会等で活用されているところであります。
奄美漁協によりますと、船上で生き締めすることに加え、ウルトラファインバブル技術で処理した海水につけることで、通常の出荷方法に比べ長期間の鮮度保持が可能になったとのことであります。
当該技術については、メカニズムが十分明らかになってはおりませんが、鮮魚の酸化や細菌増殖を防止する効果が期待できることから、今後、利用が進むものと考えております。
38 ◯農政部長(満薗秀彦君)コロナ禍における稼げる農林水産業の実現に向けた事業推進上の課題等についてでございます。
今般のコロナ禍において、県が行う事業の推進に当たっては、感染拡大を防止するため、会議等の開催時には新しい生活様式への対応が必要であったり、海外渡航ができなくなるなど様々な制約が生じ、臨機応変に対応することが求められているところでございます。
具体的には、新規就業者確保のための県内外での就業イベントや、農林漁業者に対する経営・技術指導を行うための研修会の開催につきましては、コロナ禍により多人数での会議の開催ができなくなったことから、マスクの着用や消毒を徹底し、参加人数を制限して実施しているところでございます。
また、海外における県産農林水産物の販売促進のためのフェアや商談会の開催については、海外渡航制限により職員等の派遣が困難となったことから、現地販売員を活用してフェアを開催するとともに、県内輸出商社四者が行う、現地法人や代理人の営業活動に対する支援を行っております。
また、国内のフェアにおいても、量販店等での対面の試食宣伝が困難となっていることから、リモート技術等を活用した新しい生活様式に対応したPR方法の開発・実証などに取り組むこととしております。
県といたしましては、これらの取組を通じて、コロナ禍においても事業を着実に推進し、農林漁業者の所得向上に努めてまいります。
次に、地力回復に向けた今後の取組等についてでございます。
基腐病の発生程度と地力との関係については、農業開発総合センターが実施した疫学調査によりますと、発生圃場では、未発生圃場と比べ地力が低い傾向が見られるものの、土壌の化学性との間には現段階では有意な差は見られないところでございます。
しかしながら、農作物の生産において、土づくりは最も基本的かつ重要な技術であると考えております。農業開発総合センターが実施した試験においても、牛ふん堆肥等を一定量以上投入することで地力が向上し、作物の収量が増加したとの効果が確認されているところでございます。
一方、県内圃場の地力の現状につきましては、県が実施している農地管理実態調査等によりますと、近年、土壌への有機物の投入量が減少してきており、地力の低下につながっていると考えております。
このようなことから、県におきましてはこれまで、健全な土づくりの指導指針等に基づき、良質堆肥などの有機物資材の積極的な施用、土壌の物理性を改善するための深耕、土壌診断による適正な施肥などを地域の栽培基準に明記するとともに、土づくりの重要性を再認識してもらう、土づくり研修会などを開催しているところでございます。
また、本年度の九月補正予算において、原料用サツマイモやサトウキビを対象とした堆肥散布の支援等を行う、土づくり展開事業を措置したところであり、今後とも、良質堆肥の施用や深耕など、健全な土づくりを推進し、農作物の生産性の向上を図ってまいります。
39 ◯環境林務部長(松下 正君)皆伐地の現状と荒廃防止対策と再造林の推進についてでございます。
本県においては、森林資源の充実や木材需要の高まりを背景に、木材生産を目的とした人工林の皆伐面積が増加傾向にあり、令和元年度は約千三百ヘクタールと、五年前の約一・八倍となっております。
森林の伐採に当たりましては、現地の地形・地質、地理的条件、雨水による影響等に留意し、土砂災害の防止や周辺環境の保全などに努める必要があります。
このため、県では、伐採地周辺部の保護林の確保や枝葉等の適切な整理、作業用道路における排水処理など、伐採時に留意すべき事項を取りまとめた手引書を作成するとともに、研修会の開催等を通じて、県内の林業事業体に対し、対策の周知と実施の徹底を指導しております。
また、近年、事業体の活動範囲が県境を越えて広域化していることから、宮崎県と連携し、両県の事業体に対する指導も文書で行っているところであります。
伐採後の再造林については、森林の公益的機能の維持や資源の循環利用の面からも極めて重要であり、造林・保育コストの低減や、造林・保育に必要な労働力の確保・育成、優良苗木の安定供給体制づくりなどの取組を一体的に進める必要があると考えております。
このため、県では、所有者の負担軽減を図る観点から、再造林に要する経費や苗木などの資材費等に対する助成等を行うとともに、伐採から植栽までの一貫作業による造林コストの低減、コンテナ苗の生産拡大による植栽作業の通年化、成長に優れた品種や樹種の活用による下刈りの省力化等に取り組んでいるところであります。
今後とも、関係者と一体となってこれらの取組を進め、さらなる再造林の推進に努めてまいりたいと考えております。
40 ◯企画部長(藤本徳昭君)新たな総合体育館の整備についてお尋ねがありました。
まず、庁内関係部局との協議状況等についてであります。
新たな総合体育館の整備候補地を検討するに際しては、鹿児島港本港区
エリアまちづくりとの関連が生じる可能性もありますことから、引き続き、関係部局とも緊密な連携を図ってまいります。
基本構想検討委員会の委員構成と役割等についてであります。
先般設置した検討委員会においては、新たな総合体育館には、本県のスポーツ振興の拠点としての機能に加え、多目的利用による交流拠点としての機能があることが望ましいとの、平成三十年二月の大規模スポーツ施設の在り方検討委員会の提言をベースに検討いただくこととしております。このため、委員の専門分野についてもおおむね同様の考え方としたところであります。
具体的には、スポーツ、都市計画、経済の学識経験者、建築、観光、法律、スポーツ、経済、金融、経営、教育の関係者といった、総合体育館の整備に関する様々な分野の専門家に委員に御就任いただいたところであります。
同委員会において、各委員の専門分野における豊富な知識や経験を基に、客観的に幅広い議論に応じられる方々を選定させていただいたものであります。
また、今後、必要に応じ、様々な専門家へのヒアリングも実施したいと考えております。
同委員会におきましては、今後実施する需要予測調査の結果等も踏まえ、市民スポーツや競技大会などのスポーツ利用と、コンサート・イベント開催などの多目的利用のバランスなどを議論した上で、メインアリーナ・サブアリーナ、武道館、駐車場など、本県の新たな総合体育館に求められる機能や規模・構成等について、より詳細に検討していただくこととしております。
その上で、整備候補地について検討し、最終的な基本構想案を作成していただくこととしており、県としては、来年度中の基本構想策定を目指して取組を進めてまいります。
鹿児島市の代表の検討委員への就任についてであります。
先般設置した検討委員会においては、まずは、具体的な施設の機能や規模・構成等の検討を行い、その上で、整備候補地などについて検討を行っていただき、県議会における御論議等を踏まえ、整備予定地を決定することとしております。
このため、鹿児島市などの市町村関係者は、委員には就任していただいておりませんが、今後、関係する市町村には、必要に応じ、検討委員会へオブザーバーとして参加いただくなど、連携を図ってまいりたいと考えております。
各種団体や専門家からの意見聴取についてであります。
先般設置した検討委員会での検討を進めるに当たっては、今後実施する需要予測調査において、主な利用者である各屋内スポーツ競技団体から、新たな総合体育館の利用意向や施設の機能、規模・構成等について丁寧に御意見を伺うこととしております。
また、プロスポーツ、コンサート等の需要や誘致可能性について、プロモーターやイベント興行主等へのヒアリングを行うこととしております。
この調査結果につきましては、検討委員会において御説明し、具体的な施設の機能や規模・構成等の検討を行っていただくこととしております。
41 ◯本港区まちづくり総括監(前田洋一君)鹿児島港本港区
エリアまちづくりのこれまでの状況と今後の進め方についてでございます。
鹿児島港本港区
エリアまちづくりにつきましては、平成二十九年度より、現状分析や活用方策等の調査・検討を開始し、平成三十一年二月に、県議会での御論議をはじめ、有識者や経済界等から成る検討委員会の御意見やパブリックコメント等を踏まえ、グランドデザインを策定したところでございます。
また、昨年度におきましては、グランドデザインの実現に向けて、ホテルや集客施設等を民間活力の導入により整備・運営するため、事業者公募に係る公募要項案を作成・公表しておりましたが、
新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う経済情勢の深刻化などから、公募の開始を延期したところでございます。
同エリアのまちづくりにつきましては、今後改めて、グランドデザインの開発コンセプトにございます三つの要素も踏まえながら、コンベンション・展示機能を備える施設の整備など、その方向性を検討することとしており、まずは庁内で具体的な進め方等について検討を進めているところであります。
庁内での検討に当たりましては、先月、全部局の主管課等で構成いたします連絡会を開催し、関連施策の進捗状況の情報共有等を行ったところでございまして、今後とも、関係部局が十分な連携を図りながら、鹿児島市や関係団体等から意見を伺いつつ、望ましい施設整備の方向性や課題・スケジュールについて検討を進めてまいりたいと考えております。
また、コンベンション・展示機能を備える施設の整備に関しましては、県内外における既存施設の整備・運営状況や、コンベンション・展示会等の市場動向等も踏まえながら、本県に必要な両機能について検討を進めてまいりたいと考えております。
42 ◯総務部長(平木万也君)新たな総合体育館や鹿児島港本港区
エリアまちづくりに対する職員の配置についてでございます。
新たな総合体育館や鹿児島港本港区
エリアまちづくりに限らず、県職員の人事異動につきましては、業務の円滑な推進を図るため、職員の経験や能力等を総合的に判断して行っております。
また、専門性が必要な部門については、人事異動による士気の向上にも配慮しながら、職員の専門的知識や経験等を考慮して異動を行っております。
特に、係長ポスト以上の職員については、能力、経験、専門性等を踏まえて配置しており、県政の継続性の確保にも留意しております。
今後とも、複雑・多様化する行政需要に的確に対応するため、適切な人材の確保・育成や配置に努めてまいりたいと考えております。
43 ◯前野義春君 自席から再質問させていただきます。
林業の振興に関して、部長から、特に再造林の取組等々について答弁がありました。隣県宮崎県とも一緒になって取り組むということでした。問題は実効性です。県が旗を振る。市町村が旗を振る。しかし、お示ししたような状況が伐採したところで行われている。そのまま放置されているということを資料でお示ししたんです。このお話はもう前から聞いています。しかし、実効性がなかなか伴わない。知恵を出さないといけないということで質問したんです。そのあたりについて、もう一回答弁をお願いします。
44 ◯環境林務部長(松下 正君)お尋ねのありました実効性についてでございますけれども、県では、伐採を行う林業事業体に対し、再造林の取組や土砂災害の防止等について、県で作成した手引書に基づき、対策の周知と実施の徹底を指導しております。
手引書では、人家の裏山や常時流水のある谷沿い等の箇所については皆伐を回避、または可能な限り縮小すること、伐採時に発生する枝葉等は、下流への流出防止を図るとともに、再造林等の更新作業の支障とならないよう適正に整理すること、木材搬出に必要な作業用道路においては、排水を考慮するとともに、堅固な壊れにくい道づくりを行うことなどを対策としてまとめております。
これらについては、改めて、先月十六日に市町村実務者会議を開催し、伐採届出を受理する際に林業事業体に周知するよう、市町村職員に対して依頼したところであります。
引き続き、林業事業体に対して、土砂災害等に留意した伐採と適切な再造林の実施を指導してまいりたいと考えております。
45 ◯前野義春君 総合体育館、本港区エリアに関して再質問させていただきます。
ただいま、体育館、本港区エリアを主管する両部長から答弁頂きました。
いずれも県政の大きな課題、そして何よりも鹿児島市の都市計画あるいは地区計画と密接不可分な関係にあるわけです。そういった意味で鹿児島市から見ると、県は窓口が二つある。時限的にでも一本化して、そしてこの事業のスピード化を図る必要があると私は考えているんです。だからこういう質問をしたんです。
塩田知事の下で、ぜひとも組織改革も含めて取組をしていただいて、総合体育館、本港区エリアの再開発を進めるおつもりはないのか、知事にお伺いいたします。
46 ◯知事(塩田康一君)鹿児島市との連携という意味では、県と市が一体的に緊密に連携を取って進めていく、意思の疎通を図りながら進めていくことは大変重要だということでございますが、御指摘の点につきまして、総合体育館については、まだまだこれから整備候補地を検討していくということでございますので、あらかじめそれを本港区エリアに限定するような形での組織というのは、現段階では難しいと考えております。
47 ◯前野義春君 知事、ありがとうございました。
建設にかかるまでの間、様々な調整が必要なわけです。そういった意味で申し上げますと、一本化が望ましいのではないかと考えてお聞きしたところです。
国体局と比べるのはおかしいかもしれませんが、国体局は、目前に迫った国体を実行するために、組織を一括しておられます。そういったことを県が取っておられることから、まちづくりに関しても、なるべく一本化することが必要ではないかなということがあるものですからお聞きしたところでした。どうか事業の進捗に応じたタイミングでの組織の変更ということも視野に取組をいただければありがたいと思います。以上です。
48 ◯議長(外薗勝蔵君)ここで、休憩いたします。
再開は、午後二時四十五分といたします。
午後二時三十三分休憩
────────────
午後二時四十五分再開
49 ◯議長(外薗勝蔵君)再開いたします。
前野義春君。
[前野義春君登壇]
50 ◯前野義春君 それぞれ答弁頂きました。そして再質問にも対応いただきましたが、答弁はなかなか納得できるものではありませんでした。
新型コロナウイルス感染症は、ここに来て第三波の感染拡大と言われております。本県でも、大規模な感染の拡大やクラスターの発生は決して対岸の火事ではありません。テレビ報道では、日増しに、感染拡大と医療関係者の医療崩壊は目前と切迫した声が流れております。ベッドはあっても、それを支えるスタッフが確保できないと訴えております。
県におかれては、切れ目のない県民啓発や医療体制の確立、医療崩壊を招かない先手先手の対策をお願いするものであります。
サツマイモの基腐病に関しましては、県の様々な取組も伺いました。
農家の皆さんが最も望むのは、治療効果が目に見える農薬等の開発であります。なかなか難しい問題でありますけれども、引き続き、本県の農業技術研究の総力を挙げた取組を望むものであります。
新総合体育館、本港区
エリアまちづくりに関しましては、いずれも県政の大きな課題であります。知事が替わるたびに見直しが行われ、県民からは計画の継続性が求められていると考えます。三度目の正直であります。塩田知事の下で、組織改革を含め、建設場所や規模・機能を県民が理解する、しっかりとした計画の策定を求めてやまないものであります。
次の質問に入ります。
奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界自然遺産登録の取組については、二〇一八年五月、IUCNの登録延期の勧告を受け、推薦を一旦取り下げることとしたものの、二〇一九年には、政府がユネスコ世界遺産センターへ推薦書を再提出しておりました。
しかし、思いもかけぬ
新型コロナウイルス感染拡大により、登録が審査されるユネスコ世界遺産委員会が延期され、来年の六月から七月に開催されることが決まっております。
この間、知事もおっしゃっているように、県として、自然環境の保全と利用の両立、地域の機運醸成のための取組を推進してきておりますが、推薦地域や周辺の環境保全に係る課題を指摘する声もあります。
十月に、徳之島で自然保護の普及啓発に取り組んでいらっしゃるNPO法人徳之島虹の会を訪問し、現状等について伺ってまいりましたが、登録実現に向けた喜びや期待以上に、今の時点では不安が大きい。保全管理の準備は思ったように進んでおらず、果たして今後継続した管理ができるかどうか疑問だと、厳しい状況にあることを訴えられました。
そこでお伺いしますが、IUCNからの指摘にもあるように、最優先の取組事項として、侵略的外来種対策と観光管理の仕組みの構築の二点がありますけれども、侵略的外来種対策としてノイヌ・ノネコ対策と外来植物対策が課題とされます。特に、外来植物の駆除はボランティア頼みとの指摘がありますが、実態はどうなのかお示しください。
また、駆除した外来植物の処理に苦慮する実態の指摘もあります。これらの現状と対応を明らかにしてください。
観光管理の仕組みの構築としてのエコツーリズムの推進と林道利用・管理の仕組みづくりについて、現状と課題、そして今後の対応についてお示しください。
山積する様々な課題への取組が進まないことの要因として、徳之島には県の世界遺産の担当者がいないこと、世界自然遺産推進室等の拠点がないことなどを挙げておられます。このようなことから、来年にも世界遺産委員会が開かれますけれども、喜びや期待よりも不安が大きいという心情になっているものと思われます。
そこで、県として、指摘のような現状についてどのような認識を持っておられるのか。また、今後の対策・対応についてお聞かせください。
新聞の取材に対し、奄美大島エコツアーガイド連絡協議会の喜島会長は、人が増えるとたちまち自然は壊れる。ガイドや観光業者、住民も含めて、自然あっての観光であることを肝に銘じて登録審査に臨むべきと強調しておられます。奄美の未来は自然にかかっている。継続して利用するには保護が第一だと、対策の強化を訴えておられます。
こうした地元の不安を解消するためにも、県の積極的な指導的関与が大事だと考えますが、決意をお聞かせください。
燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会が二〇二三年に開催されることが正式に決定しました。国体準備課が設置されてから八年になりますが、この間、準備に取り組んでこられた方々に敬意を表するものであります。
二〇二三年開催が内定していた佐賀県をはじめ、多くの関係者の御理解の下に困難を乗り越えて決定された意味からも、有意義な大会とするための取組が一層求められております。
さて、鹿児島国体・鹿児島大会が三年後に延期になったことにより、ハード・ソフト両面から見直さなければならないこと、あるいは新たな課題など、様々に取り組むべき課題があると考えます。どのような課題があり、どのように対応されていかれるのか、現時点での考え方についてお示しください。
予算議案として提案されている、二〇二三年開催決定気運醸成事業について、広報物のリニューアルなど、後催県との交流事業が含まれておりますが、どのような交流事業を考えていかれるのか、お示しください。
鹿児島大会開催基本方針で、障害のある人もない人も、みんながスポーツを通じて心を通わせ、ともに支え合い、ふれ愛の絆を深めることと、心のバリアフリー推進がうたわれており、障害者への理解を進める取組が積極的になされなくてはなりません。
県ではこれまで、困っている障害者を見かけた場合の接し方や手伝いのポイントをまとめた、ふれ愛の絆を深めるために─私たちにできること─を作成するなど、大会を機に、障害の有無に関係なく誰もが住みやすい、訪れたい鹿児島県にすることを目標に取り組んでこられたと認識しております。
そこで、これまでの取組の成果と、心のバリアフリーに対する県民の理解は醸成されているとの認識でいいのか、見解をお聞かせください。
また、サポートスタッフや手話通訳・要約筆記者の体制はどのようになるのか。三年の準備期間ができたことによって、新たな人材確保のために講座等で養成に努める必要があると考えますが、どのように取り組んでいかれるおつもりか、お聞かせください。
十月二十七日、県原子力安全・避難計画等防災専門委員会が開催され、来年二月六日に予定される原子力防災訓練の概要案が示されました。
それによりますと、鹿児島県、薩摩川内市、いちき串木野市など一県二市二町の主催となっておりますが、隣県の熊本県の関係自治体の参加が想定されておりません。少なくとも水俣市との情報連絡訓練は実施してもいいのではないかと考えますが、答弁を求めます。
新型コロナ禍での避難訓練となることから、感染症対策として、人と人との距離の確保、マスクの着用、手指衛生等の対策が新たな課題とされております。専門委員会による意見でも、感染リスクを指摘する意見も複数出されております。
訓練参加者がバスに乗り込んで一、二時間、避難退域時検査場所まで放射線検査もせずに一緒に行き、検査後に除染、隔離措置を行うとした訓練に疑問が残ります。
そこで、バス避難での放射線検査のタイミングと感染症対策の方策について、県の考えをお伺いいたします。
十一月十七日九州電力は、全国の原発で初めてテロ対策施設、特定重大事故等対処施設いわゆる特重施設でありますが、これを整備した川内原発一号機の原子炉を起動いたしました。十九日に発電開始を、十二月中旬に通常運転を行うとしております。
そこで、原子炉建屋に航空機衝突があった場合などを想定し、川内原発一号機もしくは同等の建屋で、様々なテロ事象を想定した実験・検証はされているのか、お伺いいたします。
また、特重施設を建設したからといって県民の安心・安全が担保されるとは思えませんが、知事の考えをお伺いいたします。
以上で、三回目の質問といたします。
[知事塩田康一君登壇]
51 ◯知事(塩田康一君)まず、鹿児島国体・大会の延期に伴う課題と対応についてでございます。
両大会につきましては、十月に開催されました日本スポーツ協会の臨時理事会において、二〇二三年に特別国民体育大会、特別全国障害者スポーツ大会として開催することが決定されたところであり、県としては、コロナ禍からの再生と飛躍を象徴するスポーツ大会として成功を目指したいと考えております。
二〇二三年開催に向け、開催機運の再醸成や感染症対策を踏まえた宿泊・輸送計画等の運営・管理計画の見直し、競技力の再構築、延期に伴う追加経費への対応に加え、本年の大会延期により消失した経済波及効果への対応などが取り組むべき課題と認識しております。
開催機運につきましては、県民、市町村、関係団体等と連携しながら、広報物のリニューアルや花いっぱい運動など様々な広報・県民運動活動を展開するとともに、今回の延期開催決定に当たり多大な御理解と御協力を頂いた佐賀県や滋賀県など後催県とのスポーツをはじめとした交流を展開することにより、再醸成を推進してまいりたいと考えております。
特に、佐賀県につきましては、二〇二三年・二〇二四年と二年連続で九州開催となることや、明治維新以来の歴史的なつながりを有していることなども踏まえ、両県の大会を双子の大会として盛り上げ、スポーツや文化など幅広い分野で関係を深化させるための交流プロジェクト、エール二〇二三、エール二〇二四を展開することとしております。
宿泊・輸送計画等の運営・管理計画につきましては、これまでの開催準備の成果を生かし、感染症対策などの新たな課題も見据え、宿泊・バス事業者など関係者の協力も頂きながら、見直しを進めることとしております。
競技力につきましては、喫緊の課題となる少年選手の発掘・育成・強化や、有力成年選手の確保・強化について、新たな競技力向上計画を策定し、競技団体等とも連携しながら、再構築を図ってまいりたいと考えております。
延期に伴い見込まれる、実施体制の維持、宿泊・輸送計画など運営・管理計画の見直し、競技力の再構築などの追加経費につきましては、先般、県開発促進協議会を通じて、国に対し財政支援を要請したところであり、引き続き、負担軽減が図られるよう努めてまいります。
また、延期に伴い消失した経済波及効果につきましては、これまで競技団体等との調整を通じ、来年以降、本県で五十の全国・九州レベル等の大会や世界マスターズ水泳、アーティスティックスイミング競技が開催される予定となっており、引き続き、二〇二三年の大会につながる全国レベルのスポーツイベントの誘致に取り組み、宿泊・交通・飲食などの観光消費需要の喚起による経済効果の誘発が図られるよう努めてまいります。
県としては、鹿児島国体・大会が、県民はもとより、全国の皆様にとってもすばらしい、思い出に残る希望に満ちた大会になるよう、二〇二三年の開催に向けて着実に取組を進めてまいります。
川内原発の特重施設設置に関する見解についてでございます。
特重施設は、故意による大型航空機の衝突などのテロリズムによる重大事故等に対処するための施設であり、原子力発電所の安全性を確保するために必要な施設であると考えております。
川内原発一号機の特重施設につきましては、原子力規制委員会による許可を受け、工事計画認可等の必要な手続を経た上で、使用前検査に合格し、運用を開始したところであり、二号機についても、現在工事が進められているところでございます。
九州電力においては、万一の際に特重施設をしっかりと使用できるよう、適切に維持管理を行いながら、必要な訓練を積み重ねていただきたいと考えております。
いずれにしても、原子力発電所につきましては、安全性の確保が最優先であると考えており、川内原発については、特重施設の完成により安全性が向上したと考えておりますけれども、原発の立地県として、常に事故の発生を念頭に置いて、九州電力と原子力規制委員会に対し、安全性の確保を求めていくとともに、県民の生命と暮らしを守るという観点から、川内原発の安全対策・防災対策の充実・強化に取り組んでまいります。
52 ◯環境林務部長(松下 正君)奄美の世界自然遺産登録に向けての課題と今後の取組のうち、まず、ノイヌ・ノネコ対策についてでございます。
奄美大島及び徳之島においては、ノイヌ・ノネコによるアマミノクロウサギ等の希少種の捕殺が確認されており、ノイヌ・ノネコによる生態系への影響の防止が課題となっております。
このため、県が事務局となり、国、市町村参加の下、ノイヌ・ノネコ対策検討会を設置し、関係機関と対策を検討してきたところであります。
また、これらの関係機関等が連携し、山野で生活するノネコの個体数減少のための捕獲や、ノイヌ・ノネコの供給源対策としての飼い犬・飼い猫の適正飼養の推進、集落周辺で生活する野良猫の不妊去勢手術等に取り組んでいるほか、徳之島においては、ネコ管理の在り方について検討を進めております。
県としては、引き続き、国、市町村、関係団体などと連携を図りながら、ノイヌ・ノネコ対策を進め、貴重な生態系の保全に努めてまいりたいと考えております。
外来植物対策についてでございます。
外来植物の防除については、国、県、市町村に加え、県民の方々、事業者、民間団体等が適切な役割分担の下、侵入予防や定着種の駆除、適正な処分に取り組むことが求められております。
このような中、奄美大島、徳之島においては、外来種に対する意識の醸成が図られてきており、市町村や民間団体等が主体となった活動が増加し、多くの住民や児童生徒などが参加しております。
県では、これらの活動をさらに促進するため、外来種防除マニュアルを作成し、公表するなどの取組を行っているほか、昨年三月に制定した外来種対策に関する条例に基づき、外来動植物対策推進員を設置し、外来種防除に関する必要な助言・指導を行っております。
また、本年度からは、新たに民間団体が実施する外来種防除活動等への助成を始めたところであります。
また、駆除した外来植物の廃棄処分に苦慮している実態についての現状と対応につきましては、外来植物によっては、適正に廃棄処理をしなければ再び繁殖してくるものがあり、また、市町村の廃棄物処理方法に従い、焼却など適正な処分が必要となっていることから、今後、必要に応じ、地元市町村と連携しながら、取組を検討してまいりたいと考えております。
エコツーリズムの推進と林道利用・管理についてでございます。
エコツーリズムの推進については、奄美群島広域事務組合が中心となり、平成二十八年度に創設された奄美群島エコツアーガイド認定制度により、現在、百九名が認定され、安心・安全で質の高いプログラムの提供、自然環境の保全の取組等が行われております。
林道利用・管理の仕組みづくりについては、保護上重要な地域における自然環境の保全と利用の両立を図るため、認定ガイドの動向、ガイド車両の台数制限などの利用のルールを設定しており、徳之島の林道山クビリ線においては、徳之島町林道管理条例に基づく利用規制を昨年七月から運用し、また、奄美大島の金作原林道周辺においては、昨年二月から利用のルールを運用しております。
県としては、関係機関等と連携しながら、利用のルール等の効果の検証等を行い、引き続き、自然環境の保全と利用の両立の取組を推進してまいりたいと考えております。
徳之島における県担当者の配置等についてでございます。
世界自然遺産の登録に向けた取組は、自然公園の管理や希少種保護対策等の自然環境の保全をはじめ、観光管理や公共事業における配慮等と多岐にわたります。
これらの取組を効率的に推進するため、環境林務部では平成二十七年度に奄美世界自然遺産総括監を、平成二十九年度に奄美世界自然遺産登録推進室を設置しております。
また、大島支庁には、世界自然遺産等に関連する連絡調整及び普及啓発や自然公園の管理を担当する職員をそれぞれ配置し、本年四月には、世界自然遺産登録に向けた取組と観光客の受入れ体制の整備等を一体的に推進するため、奄美群島振興開発総括監を設置しております。
なお、徳之島では、県の出先機関の徳之島事務所において、必要に応じて、連携を図りながら対応しております。
今後とも、奄美世界自然遺産登録を見据えて、庁内各部局はもとより、県の出先機関や環境省、地元市町村との連携を密にして、取組を推進してまいりたいと考えております。
世界遺産登録に向けた県の決意についてでございます。
県では、世界自然遺産登録を契機とした観光客の増加を見据え、計画的な観光管理を進めるための国、県、市町村、民間団体等との共通の指針として、平成二十八年に奄美群島持続的観光マスタープランを策定しております。
同プランでは、多様で豊かな自然環境の保全を図るため、地域を少人数利用を前提としたエリアと多人数利用が可能なエリアに区分し、適切に利用することとしております。
こうした考え方の下、保護上重要な地域である奄美大島の金作原や徳之島の山クビリ線においては、認定ガイドの同行などの利用ルールの運用を進めております。
また、多人数利用が可能な自然体験の場を提供するため、奄美の固有種が生息する龍郷町の奄美自然観察の森のリニューアル等も進めているところであります。
県としては、世界自然遺産としての価値の維持、自然環境の保全と利用の両立、機運の醸成を図る取組をより一層推進してまいりたいと考えております。
53 ◯国体・全国障害者スポーツ大会局長(松本俊一君)鹿児島国体・大会の開催決定に伴う取組のうち、まず、後催県との交流事業についてでございます。
鹿児島国体・大会の二〇二三年開催決定に当たっては、佐賀県や滋賀県、青森県、宮崎県など後催県から多大な御理解と御協力を頂いたところです。
このことを契機として、後催県への謝意と併せて、スポーツを通じた人的交流等を通じ、二〇二三年の大会に向けた開催機運醸成や競技力向上の推進を図るため、今議会に補正予算案として、後催県との交流推進事業を提案させていただいたところです。
事業内容としては、佐賀県・滋賀県のアスリート等を本県で開催される競技会等に招待し、競技を通じた交流や、鹿児島国体競技会場の見学等を行う招待事業と、本県のアスリート等を佐賀県・滋賀県の競技会等に派遣し、両県のアスリートとの交流や謝意表明、PR活動等を行う派遣事業を実施したいと考えております。
次に、心のバリアフリーとボランティア体制についてでございます。
鹿児島国体・大会においては、障害のある人もない人も、みんながスポーツを通じて心を通わせ、ともに支え合い、ふれ愛の絆を深めることを基本方針として、心のバリアフリーを推進しており、子供向けも含めた啓発資料を作成し、市町村及び市町村教育委員会、社会奉仕団体等を通じて、周知・啓発に取り組んできたところです。
これまでの取組により、普及啓発資料を市町村の職場研修や小学校の授業で活用する事例や、声かけなどの手助けを実践したいとの児童の感想も聞かれるなど、県民の理解は進みつつあるものと考えております。
二〇二三年の大会に向け、引き続き、関係機関や団体等とも連携しながら、心のバリアフリーの推進に向けて取り組んでまいります。
三年後のボランティア体制につきましては、現在、
新型コロナウイルス感染症対策を踏まえた活動内容や配置人数等について精査・検討を進めているところであり、これらの検討結果等に基づき、現在の登録者や協力校を基本に、改めて協力を依頼するなどして必要な規模を確保するとともに、活動に必要な技術や知識の維持・向上を図るための研修を行い、スキルアップも図りたいと考えております。
今後とも、オール鹿児島で両大会を盛り上げ、真心のこもったおもてなしで多くの方々を迎えられるよう、ボランティア体制の整備に取り組んでまいります。
54 ◯危機管理防災局長(橋口秀仁君)危機管理防災対策の課題のうち、まず、熊本県の関係自治体との訓練の実施についてでございます。
原子力災害時における広域的な避難については、県内の避難先に加え、阿久根市においては熊本県の芦北町及び津奈木町を、出水市においては水俣市を避難先として定めており、これまで、原子力防災訓練において、住民の受入れ手順等を確認するための住民避難訓練や、緊急時の関係機関相互の通信連絡体制の確立を図るための緊急時通信連絡訓練を行っているところであります。
今年度の住民避難訓練につきましては、今後の
新型コロナウイルス感染症の事態の推移を見極めながら、関係自治体や国など関係機関と訓練の内容等について検討していくこととしていますが、緊急時通信連絡訓練については、昨年度同様、熊本県の関係自治体を含めて実施する予定であり、今後とも、関係機関と十分に連携を図りながら、広域的な避難体制の確保に取り組んでまいります。
次に、バス避難時の汚染検査のタイミングと感染症対策についてでございます。
原子力災害時に広域避難をされる方々の汚染状況の検査については、国の原子力災害対策指針に基づき、川内原発の三十キロ圏周辺から避難所までの間に設置した避難退域時検査場所において実施することとしています。
また、バス避難時の住民の感染症対策につきましては、内閣府が本年十一月に策定したガイドラインに基づき、バス乗車前に検温などの健康確認を実施し、可能な限り、濃厚接触者、熱・せきなどのある方、それ以外の方が混在して乗車しないよう車両を区分した上で、乗車時にマスク着用の確認や手指消毒等を実施し、車内においては、十分な座席間隔を確保するとともに、濃厚接触者や発熱・せきなどのある者を搬送する場合には、可能な限り乗車人数を抑え、車内をビニールなどで区切り、個々人を隔離するなどの対応を講じることとしています。
今年度の原子力防災訓練におきましても、国のガイドラインを踏まえた感染防止対策の徹底を図ることとしています。
次に、川内原発における原子炉建屋への航空機衝突などのテロ事象を想定した実験・検証についてでございます。
原子力規制庁によりますと、大型航空機の原子力施設への衝突については、種々の検討を行っているが、詳細については、セキュリティーの観点から公開していないとのことであります。
なお、川内原発一・二号機の特重施設の設置許可手続に係る原子力規制委員会の審査書におきましては、原子炉建屋への故意による大型航空機の衝突その他のテロリズムにより想定されるプラント状態に対して、九州電力が計画している特重施設による原子炉格納容器破損防止対策について審査を行い、有効性があることを確認したとされております。
55 ◯前野義春君 一点だけ、川内原発の特重施設に関して再質問させていただきます。
今、局長の答弁がありましたように、この特重施設については場所も知らされていない。どこにあるか、どういう規模であるかということも全く分かっていない。分かっているのは国と原子力規制委員会だけということになるわけですが、これまで、県が原発の安全性の確保という観点で様々な検査あるいは監視等々行ってこられたと思うんですけれども、この特重施設に関しては全く県は監視も点検もできないということを、今の答弁を聞いて思ったわけですが、特重施設に関して県はどこまで関与できるのか、そのあたりについてお答えを頂きたいと思います。
56 ◯危機管理防災局長(橋口秀仁君)特重施設に対する県の監視体制等の関与についての御質問がございました。
議員がおっしゃられたとおり、特重施設につきましては、セキュリティーの観点から、国の情報公開法等に基づきまして、詳細については公表されていないところであります。
県におきましては、九州電力と薩摩川内市との間で締結しました安全協定に基づきまして、必要な立入検査等を実施できることになっておりますが、この特重施設に関しましては、その設置の場所でありますとか実際の建物の状況、そういったものにつきまして立入検査等は実施していないところでございます。
安全協定に基づき、この施設の設置許可申請に当たりまして、県のほうに事前協議が行われており、県が事前協議を承認するに当たりましては、規制委員会による承認の内容等を踏まえて、県として了解したところでございます。
以上でございます。
[前野義春君登壇]
57 ◯前野義春君 それぞれ答弁頂きました。
奄美の世界自然遺産登録に関しまして、IUCNからの指摘にもある最優先の取組事項として、侵略的外来種対策と観光管理の仕組みの構築の二点については、県として、関係自治体と共同して取組を強化していかなければなりません。来年の審査にも影響が出てくるのではないかと私は思うわけですが、県の積極的なリーダーシップを要請しておきたいと思います。
次の質問に入ります。
第三回定例会の施政方針において、塩田知事は、「地産地消型再生可能エネルギーの導入に向けた取組を積極的に進める」旨表明されました。
現在、県内では、出力十万キロワットを超える大規模風力発電施設の建設計画が、北薩地区の陸上や洋上など七つの区域で計画されており、これらの計画が実現いたしますと、最大二百万キロワットを超える出力となります。
一方、地元住民の中には、山林や海域の開発による環境悪化、あるいは景観への影響などを不安視したり、計画の透明性に疑問を呈する声、また、地元には恩恵が得られないといった意見もあります。特に、計画している事業者はほとんどが県外資本であり、風力という地域資源に恵まれている地域が、県外の大手資本に利用され利益をさらわれる一方、地元にとっては、災害の原因となったり、住民生活に悪い影響を及ぼすなど、地元に何ら利益や恩恵がなければ迷惑千万な施設となります。
大規模な風力発電施設の計画につきましては、環境影響評価の中で住民が意見を提出する機会が確保されております。しかし、手続は事業者主体で行われ、縦覧される図書の分量は膨大で、内容も専門的で分かりにくさは否めません。
本県の再生可能エネルギー導入ビジョン二〇一八において、エネルギーパークかごしまを実現させ、脱原発社会を実現することを目標としていることは大変評価すべきことでありますが、このままでは事業者と住民の間に常にあつれきが生じる事態となり、再生可能エネルギーの導入自体が困難になりかねないことが予想されます。
そのような状況に陥らないためには、県として、事業者と住民の間に入って何らかの形で利害を調整する役割を果たすべきではないかと考えます。県は、再生可能エネルギー導入を促進する立場でもあると同時に、開発行為を規制する立場でもあります。
そこで、地元が納得できる再生可能エネルギー導入を進めていくために、地元との調整を事業者任せにしておくのではなくて、県は、地元自治体と連携して、事業者と地元との調整や、事業者が地元へ雇用を含めて何らかの貢献につながるよう調整する仕組みづくりに取り組むべきと考えますが、見解をお聞かせください。
二〇二〇年四月、総務省の過疎問題懇談会は、現行の過疎法の期限切れを踏まえ、新たな過疎対策の理念、目標、施策の視点、対象地域、支援制度等について協議し、今後の過疎対策の在り方、方向性をまとめた報告書、新たな過疎対策に向けて─過疎地域の持続的な発展の実現─を発表しました。
それを受けて二〇二〇年七月、全国過疎地域自立促進連盟は、新たな過疎対策法の制定等に関する要望をまとめ、一つには、過疎地域の特性を的確に反映した指定要件とすること、二つに、過疎対策債の対象事業の拡大、そして三つには、人口減少・高齢化対策としての産業振興、雇用拡大、子育て支援の推進などを要望しております。
自民党の特別委員会がまとめた素案では、人口減少の基準年を見直す方針が示され、県内では、東串良町や龍郷町、離島で財政基盤も弱い十島村も除外される可能性があるとされております。合併特例で旧市町村単位の一部過疎の見直しも検討されております。
現在、県内の九五・三%に当たる四十一市町村が過疎地域に指定されており、同法に基づく様々な事業をもって、苦境にある地域を支えております。
そこで、新たな過疎対策法の制定の動きに対しての県の見解、及び県過疎地域自立促進協議会における取組の状況についてお示しください。
鹿児島県の人口動態を総務省のデータで確認してみますと、二〇一五年には人口百六十四万八千人ですが、二〇四五年の推計人口は百二十万四千人とされており、七十五歳以上人口も六・三人に一人だったものが、三・九人に一人になると推計されております。
これまで政府は、子育て支援や困窮者支援、男女共同参画社会の実現、働き方改革などあらゆる政策が取られてきました。しかし、即効性は見られておりません。
そこで、人口減少に歯止めがかからない理由をどう分析しておられるのか、見解をお伺いいたします。
また、県として行っている人口減少対策について、市町村への支援も含めてお答えください。
奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島など八つの有人島から成る大島地区には、特別支援学校は奄美大島に一校だけであり、小規模校が多いことから、特別支援学級や通級指導教室が未設置の学校もあり、特別支援教育に係る教育資源は限られているのが現状であります。
現在、大島養護学校が中心となってネットワークを構築し、巡回相談も積極的に行われていると認識しておりますが、散在する小規模校への支援を特別支援学校一校で行うのには限界があり、今後、特別支援学校だけでなく、特別支援学級や通級指導教室などの教育資源を活用した仕組みが必要となるのではないかと考えております。
そこで伺います。
大島地区における特別支援学級に在籍している児童生徒数をお示しいただくとともに、今後どのような計画の下で特別支援教育を推進していかれるのか、お答えください。
二〇〇八年三月には文科省が、「特別支援学校の在籍児童生徒数の増加に伴う大規模化・狭隘化への対応について」を都道府県教育委員会に発出し、特別支援学校の分校・分教室の設置も提案されております。
県内におきましては、二〇一〇年四月に与論島で、与論高校校舎を活用した大島養護学校高等部訪問教育が開始され、その後も、地域からの要望を受け、徳之島、沖永良部島、喜界島でそれぞれ、高校校舎を活用した大島養護学校高等部訪問教育が実施されております。
高校校舎を活用した訪問教育が初めて実施された与論町では、当初一週間の授業時数が八百分で始まりましたが、その後、保護者からの強い要望もあり、平成三十年度からは、生徒の人数にかかわらず最大千五百分まで可能になりました。
しかしながら、そもそも訪問教育とは、心身の障害の状態が重度であるかまたは重複しており、特別支援学校等に通学して教育を受けることが困難な児童生徒に対し、特別支援学校等の教員が家庭や病院、施設を訪問して行う教育であります。現在の訪問教育の拡充型は、通学できる生徒に対してのみ行われており、訪問教育とは全く趣旨が異なるものであります。
そこで、奄美大島以外の離島に特別支援学校や分教室を設置することについて、県の考えをお示しください。
現在、徳之島支援教室には九人の生徒が在籍し、大島養護学校本校から三人の教員が配置されております。教員が一人一人の生徒に寄り添い、また徳之島高校の協力を頂きながら、きめ細やかな教育実践が行われております。
しかしながら、トイレ介助など様々な場面での対応に限界が生じてきており、教員は生徒の安全面に大きな不安を抱いております。本校であれば、教員が病欠の場合や、万が一、緊急事態の対応については、ほかの教員が代わりに支援に入ることができますが、徳之島の支援教室では人員が限られており、代わりの職員を確保することすら困難な状況であります。
そこで伺います。
徳之島支援教室については、副担任などを配置して本校との連携を強化することによって、より安心・安全な教育環境がつくられると思いますが、教育長の見解を求めます。
最後に、離島における特別支援学校高等部支援教室が始まって、十年がたちます。生まれ育った地域で高校教育を受けたいという子供や保護者のニーズに寄り添いながら、それぞれ教育活動が進められていると認識しております。
さらに、よりよい教育活動が展開されるためには、配置する教員数や教室の整備等が子供の障害種やその程度に応じたものになっているのか、県教委として、管理職だけでなく、子供たちの教育にじかに当たっている現場の職員の声を拾い上げて検証することも必要不可欠だと考えます。
そこで伺います。
毎年度、特別支援学校高等部支援教室について、実態の把握と検証を行う必要があると考えますが、教育長の見解を求めます。
以上で、四回目の質問といたします。
[知事塩田康一君登壇]
58 ◯知事(塩田康一君)新たな過疎対策法の制定についてでございます。
過疎対策につきましては、四次にわたる過疎立法に基づく過疎債や補助率のかさ上げなど各種の支援措置の活用等により、住民生活を下支えする交通・情報通信基盤の整備、水道施設などの生活環境の整備等に一定の成果が上がったものと考えております。
しかしながら、過疎地域においては、人口減少と著しい高齢化に直面し、雇用の場の不足、身近な生活交通の不足など依然として多くの課題を抱え、特に地理的・地形的条件の厳しい地域においては、集落機能の維持が困難な集落が発生しているところでございます。
今年度末で期限が到来する過疎地域自立促進特別措置法につきましては、現在、与党において新たな過疎法の検討が進められているところであり、過疎地域の指定要件の見直しによっては、過疎市町村が多い本県にとっては大きな影響が懸念されます。
このため、県といたしましては、県開発促進協議会等を通じ、過疎地域の指定に当たっては、離島をはじめとする条件不利地域の取扱いについて、地域の実情を踏まえた特別な配慮を行うよう強く要請したところでございます。
県過疎地域自立促進協議会は、過疎地域対策の充実・強化を図ることなどを目的とし、県及び関係市町村で構成しております。同協議会におきましても、先般、自民党過疎対策特別委員会等に対し、新たな過疎法の制定を行うとともに、指定要件の見直しに当たっては、地域の実情を踏まえた特別な配慮を行うことなどを強く要請したところであります。
県としては、関係市町村、関係団体と連携を図りながら、引き続き、本県の過疎地域の厳しい現状を国に訴えてまいりたいと考えております。
本県における人口減少対策等についてでございます。
本県の人口は、昭和三十年に二百四万人を超えていましたが、一時期を除き継続的に減少し、令和元年は百六十万人となっております。
その要因としては、価値観の多様化等に伴う未婚化・晩婚化の進行による少子化や、若年層が就職・進学するに当たって、大企業や大学等が集中する東京圏等の地域を選択することによる県外への転出超過が続いていることなどが、その主なものであると考えております。
県においては、婚活支援や産科医の派遣、保育士の確保など、結婚・出産・子育てしやすい環境の整備に取り組むとともに、かごしまブランドの一層の確立による農林水産業の高付加価値化、地域資源の発掘・磨き上げによる観光地域づくり、技術力の高い製造業や情報産業、ヘルスケア産業など新たな産業の創出等に取り組んでおります。
また、今般の
新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、地方における暮らしの豊かさに改めて注目が集まる中、若年者等の県内定着と大都市圏からのUIターンを促進するなど、地域を支える人材の確保・育成にも努めているところでございます。
さらに、市町村に対しては、医療費助成など子育て支援に対する財政支援を行っているほか、優良事例をはじめ、地域づくりに有用な情報提供などを行っております。
これらの取組により、それぞれの地域で住みよい環境を確保し、将来にわたって活力ある社会を維持していくことが重要であると考えており、県としては、市町村との緊密な連携の下、引き続き、本県の実情に沿った実効性を伴う各般の施策の展開に努めてまいります。
59 ◯企画部長(藤本徳昭君)再生可能エネルギーの導入促進における県の役割についてであります。
国は、防災・環境上の懸念等をめぐり地域住民との関係が悪化するなどの問題に対応するため、平成二十九年四月、再生可能エネルギー発電事業計画の認定制度を創設し、事業者に対し、国が指導・助言や改善命令、認定取消しを行うことができるとしたところであります。
県におきましては、エネルギー自給率の向上や雇用創出、地域活性化につながる再生可能エネルギーの導入を促進する必要があると考えております。
このためには、地元の理解などが重要であることから、環境影響評価の実施に当たりましては、地域住民等に対し、積極的に情報公開や説明を行うことなどの意見を述べているほか、森林法などの個別法令や県土地利用対策要綱に基づき、防災面を中心とした指導・助言も行っております。
また、市町村における取組も重要でありますことから、独自のガイドラインの策定など、地域との調和を図る仕組みづくりの参考となるハンドブックを昨年三月に配布したほか、各種会議やセミナー等を開催し、再生可能エネルギーを導入する上でのメリットや課題等について情報共有を図るとともに、事案に応じて市町村とともに必要な対応を行っております。
県といたしましては、今後とも、国や市町村と連携し、再生可能エネルギーの導入促進に努めてまいりたいと考えております。
60 ◯教育長(東條広光君)特別支援教育の拡充について、まず、大島地区における特別支援学級の在籍者数と特別支援教育の推進についてであります。
大島地区における特別支援学級の在籍者は、本年五月現在で小学校が百四学級に三百六十三人、中学校が四十二学級に百十五人となっており、近年、増加傾向にあります。
県教委では、特別支援教育の推進については、県教育振興基本計画に基づき、全ての学校等で、障害のある児童生徒等が、一人一人の教育的ニーズに応じた指導・支援を受けられる環境づくりに努めることとしております。
そのため、特別支援学級の担当者には、児童生徒の障害の状態等の把握や個別の指導計画の作成、具体的な指導の方法など、より専門性の高い研修を行うほか、通常の学級の担当者に対しても、障害の特性の理解やそれに対応した指導の方法など、基本的な理解を深める研修を実施し、全ての教職員の特別支援教育に係る資質の向上を図っているところであります。
また、市町村教育委員会に対しては、特別な支援が必要な児童生徒の就学指導の在り方や特別支援学級における教育課程の編成など、各学校への適切な指導・助言のための研修を行っております。
県教委としては、引き続きこれらの取組の充実を図り、各学校における特別支援教育がより一層推進されるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、大島本島以外の離島への特別支援学校や高等部分教室の設置についてであります。
大島地区におきましては、大島養護学校を中心として特別支援教育の充実を図るとともに、地元で後期中等教育、これは特別支援学校の高等部における教育のことでありますが、これを受けたいという本人や保護者の希望を踏まえ、平成二十二年度の与論島をはじめとして、徳之島、沖永良部島で高校校舎を活用した高等部訪問教育を開始し、また、平成三十年度からは、名称を特別支援学校高等部支援教室と改め、喜界島にも開設し、授業時数を増やすなどの教育機能の充実を図ってきているところであります。
県教委としては、これまでの特別支援教室における実績や今後の入学見込みなどを考慮しつつ、指導内容や方法の工夫を図りながら、離島における特別支援教育について、さらなる充実に努めたいと考えております。
次に、徳之島支援教室の運営体制等についてであります。
離島における支援教室では、基本的には学級担任と特別支援教育支援員が生徒の指導を担当しており、徳之島支援教室には今年度、九人の生徒に対し、三人の担任と特別支援教育支援員一人を配置しております。このほか、同教室では、徳之島高等学校の教職員が農業実習や健康管理などの業務を分掌しております。
各支援教室の運営につきましては、支援教室の担任の判断により、またはその報告を受けて、大島養護学校として対応しておりますが、大島養護学校本校からも定期的に支援教室を訪れ、担任からの相談を受けたり、担任への指導を行ったりしているところであります。
県教委としては、よりよい環境づくりに向けて、関係者の連携・協力が図られるよう指導を行うとともに、職員の配置については、毎年の生徒の数や障害の程度などの状況を踏まえて検討してまいりたいと考えております。
次に、支援教室の運営に係る毎年度の見直しについてであります。
特別支援学校では、毎年、各支援教室の入学・進級予定者の把握や、学校運営に関する保護者からの意見や要望の聴取を行い、これを基に関係教職員が、クラス編制をはじめとする学校の運営体制を検討・決定しております。
また、保護者や教員の意見等につきましては、県教委の職員も毎年、直接これを聞きまして、支援教室の状況の把握に努めているところであります。
県教委としては、引き続き、保護者等の意向を踏まえながら、生徒一人一人の教育的ニーズに応じた指導・支援が行われるよう努めてまいりたいと考えております。
61 ◯前野義春君 自席から失礼いたします。
地元紙の記事が目に留まりました。「知事の言葉」とするタイトルであります。「知事の言葉は重い」という書き出しがありました。
国が計画する海上ボーリング調査の許可を表明した際に、知事の言葉が報道されました。基地建設の賛否とは別問題だという話でしたけれども、実質的に私は事実上のゴーサインと受け止めております。恐らく県民の多くもそのように受け止めていると考えるものであります。知事の言葉は重いんです。
塩田知事、百六十万県民の代表者の言葉はいかなる場合も重くなってきます。そして陰に陽に波紋が広がるということをどうか念頭に、県政をつかさどっていただくことを申し上げて、以上で県民連合を代表しての質問を終わります。
御清聴いただきましてありがとうございました。(拍手)
62 ◯議長(外薗勝蔵君)これで、本日の日程は終了いたしました。
─────────────
63 △ 日程報告
◯議長(外薗勝蔵君)十二月四日は、午前十時から本会議を開きます。
日程は、一般質問及び請願・陳情の委員会付託であります。
─────────────
64 △ 散 会
◯議長(外薗勝蔵君)本日は、これで散会いたします。
午後三時三十九分散会
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