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2020-09-17 令和2年第3回定例会(第2日目) 名簿
2020-09-17 令和2年第3回定例会(第2日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 2020-09-17
    2020-09-17 令和2年第3回定例会(第2日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(外薗勝蔵君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、代表質問    西 高   悟 君    大久保 博 文 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 代表質問 ◯議長(外薗勝蔵君)代表質問であります。  西高悟君に発言を許可いたします。    [西高 悟君登壇](拍手) 3 ◯西高 悟君 おはようございます。  令和二年第三回定例会に当たり、自由民主党県議団を代表して質問いたします。
     今月六日、台風第十号が非常に強い勢力を保ったまま、県内全域を暴風域に巻き込みました。  気象庁が県内に台風の特別警報発表の可能性を示唆していたこともあり、百二十万人以上に避難指示・勧告が出され、多くの住民が避難所やホテルに殺到するなど最大級の警戒の中、停電が相次ぎ、交通機関は麻痺しました。お一人が犠牲となり、農業関係などに大きな被害が出ております。  お亡くなりになられた方に哀悼の意をささげますとともに、被災された皆様方に心からお見舞い申し上げます。  さて、先月末に安倍首相が健康上の理由で突然の退陣を表明したことにより、国内外に衝撃が走りました。平成二十四年の第二次安倍内閣の発足以来、歴代最長となる七年八か月に及ぶ政権運営を担われ、政治の安定と外交・安全保障・経済政策など多大な実績を残されたことに対し、心から敬意を表するところであります。  今月十六日の臨時国会の首相指名選挙で菅義偉新内閣総理大臣が誕生いたしました。コロナ禍の下、円滑な政権移行により、引き続き、政治の安定と外交・安全保障・経済再生などに力強いリーダーシップと実行力を発揮されることを期待するところであります。  塩田知事の御就任から一か月半が経過いたしました。  鹿児島県政史上、始まって以来、最多の七人が立候補した今回の知事選挙において、見事、激戦を制し当選を果たされました。初の経済産業省出身の知事として、経済対策や地域活性化などに携わってこられた行政経験や若さに県民は大いに期待しているところであります。  知事は、就任後直ちに、当面の大きな懸案となっていた、鹿児島国体と全国障害者スポーツ大会の二〇二三年の開催を佐賀県知事並びに滋賀県知事に要請し、先般、佐賀県に次ぎ滋賀県も受入れを表明されたことから、その実現はほぼ確実な見通しとなりました。  また、七月豪雨に伴う被災地の現地視察や新型コロナウイルス感染症クラスター発生への対応、経済、福祉、医療等関係団体との意見交換会の開催、臨時議会の招集などスピード感のある知事の積極的な姿勢を評価するところであります。  現下の最大の課題である新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う、感染抑止対策と地域経済の再生は極めて困難を伴うものであり、かつ待ったなしの状況である中、県民生活の安定と県勢の発展に向けて、鹿児島の進むべき方向を的確に捉え、かじを取り、着実な県政の推進に努めていただくよう強く望むところであります。  議会としても、目指すべき目的は同様であります。私ども自民党県議団は、このような観点から、本県の現状を十分に踏まえつつ、県勢の発展と県民生活の安定・向上に資するものについては知事を支持するとともに、一方で、意見を異とする政策については真剣に議論し、対応してまいる所存であることを申し述べたいと思います。  以上の基本的な考えを踏まえた上で、早速、通告に基づき質問に入りたいと思います。  これまで私どもは、塩田知事の政治姿勢・政策等については、選挙において掲げられたマニフェストと報道等を通じて知るのみであり、具体的内容を知るすべはなかったのであります。今議会冒頭において知事の所信表明がなされたところでありますが、これらを踏まえ、以下質問してまいりますので、知事におかれましては、できるだけ詳細に、かつ具体的な考え方をお聞かせいただくよう、特に要望しておきます。  初めに、知事の政治姿勢についてでありますが、幾つか基本的な点について伺います。  第一点は、知事は、これまで、経済産業省や内閣府において地域経済活性化地域振興等に関わってこられた経歴から、まず、鹿児島の現状と県政推進上の課題をどのように認識されておられるのか、お示しください。  第二点は、マニフェストで掲げられた施策の実現に向けて、直ちに取り組むもの、中長期的に取り組むもの等、どのような優先順位で取り組まれるのか、考え方をお示しください。  第三点は、塩田知事の目指す知事像について、また、どのように県政をリードしていかれるのか、お示しください。  第四点は、県民が安心できる行政づくりとして、県政運営に当たって、県民との対話、政策決定の透明化、市町村との連携強化により県民一丸となって県勢発展を推進すること等を掲げておられますが、それぞれ具体的な取組内容についてお示しください。  第五点は、議会をどのように認識され、どのように対応されていく考えか、お示しください。  次に、総務関係であります。  本県の行財政運営について伺います。  新型コロナウイルス感染症の影響により、これまで景気に対して安定的とされてきた税目にも、想定を超える大きな減収が生じることが懸念され、特に、都道府県税の約三割を占める基幹税である地方消費税の減収は、地方財政の安定的な運営に大きな支障を生じさせることが見込まれます。  内閣府が発表した、今年四月から六月期の実質国内総生産─GDP─改定値は年率換算で二八・一%減と、戦後最大の下落幅となりました。深刻な経済の落ち込みを示しており、今後、国税・地方税ともに大幅な減収が見込まれ、令和三年度の地方財政対策は極めて厳しい状況になることが予想されます。今後、景気がさらに減速すれば、追加の経済対策の議論も生じてくる可能性があります。  令和二年七月に閣議決定された、経済財政運営と改革の基本方針二〇二〇においては、二〇二五年度の基礎的財政収支の黒字化という従来の財政健全化目標の記載は見送られたものの、現行目標を達成する考えを崩していないことから、今後、地方交付税等について厳しい議論が行われることが想定されるなど、本県財政に厳しい影響を及ぼすことが懸念されます。  三反園県政では、行財政改革推進プロジェクトチームを中心に、事務事業見直しや歳入確保の取組などの徹底した行財政改革により財政健全化に取り組んできたとしておりましたが、毎年度の予算編成時点での収支差の仮試算は拡大し、事務事業見直し等による効果よりも、国の財政措置や減収補填債の発行等により収支差のない予算編成を行ってきたというのが実情であり、引き続き極めて厳しい財政状況にあります。  一方、平成二十四年三月に伊藤県政で策定した行財政運営戦略で掲げた県債残高の削減目標一・一兆円程度は、平成二十九年度に達成して以降、新たな行財政の運営指針等は定めておりません。  県のこれまでの財源不足解消は、組織機構改革や職員数の削減、職員給与の見直し等の人件費の削減によるものが大きく、今般の新型コロナウイルス感染症の対応で全国の保健所や自治体が窮迫する状況がある中、組織の合理化等による歳出削減は限界に至っていると思われます。  県の財政状況は厳しく、硬直化も進んでいます。知事には、コロナ対策における事業を展開しながら、公約に打ち出した施策を実施するための財源を確保する手腕と、県勢発展に向けて計画されている既存事業の見極めなど、コロナ禍という危機的な状況の中、より一層の効率的な財政運営が求められており、さらにはコロナ収束後を見据えた財政健全化への道筋をつけることも求められております。  そこで伺います。  本県財政の現状に対する認識、コロナ収束後を見据えた行財政運営の方向性及び財政健全化への取組の考え方についてお示しください。  あわせて、中長期的な視点に立った新たな行財政の運営指針などを策定する考えはあるのか、お示しください。  次に、新型コロナウイルス感染症対策に係る財政措置について伺います。  県においては、新型コロナウイルス感染症対策として、令和元年度と令和二年度八月までに計九回の一般会計予算の補正編成を行い、新型コロナウイルス感染症対策で組んだ一般会計予算の補正総額は、六百三十九億五千四百万円となったところです。また、今議会に百二十一億六千六百万円のコロナ関連を含む補正予算が提案されております。  これらの一般会計予算の補正額は、ほとんどが新型コロナウイルス対応地方創生臨時交付金新型コロナウイルス感染症緊急包括支援交付金等の国庫支出金で賄われ、八月の県議会臨時会では、医療体制強化のため、コロナ関連では過去最大となる四百三十五億一千七百万円の補正予算が提案されましたが、医療体制の強化や経済対策、生活支援と多岐にわたる事業は、国の施策を県に当てはめ、予算化したケースが多かったものと考えております。  県単独財源による上積みができない背景には、経常収支比率が平成三十年度決算値で九八・二%を占め、九州では最も高く、自由に使えるお金は収入の一・八%にすぎないといった財政難が背景にあると言われております。  一方、国においては、新型コロナウイルス感染症への地方における様々な対応・取組を全力で支援するため、地域の実情に応じて、家賃支援を含む事業継続や雇用維持等への対応を後押しするとともに、新しい生活様式等への対応を図る観点から、地方創生臨時交付金を拡充することとされ、第二次補正予算において二兆円が追加計上され、令和二年度第一次補正予算に計上された額と合わせて、総額三兆円が措置されることとなりました。  第二次補正予算の本県における都道府県分の交付限度額は、家賃支援を含む事業継続や雇用維持等への対応分として六十七億四千四百十万円、新しい生活様式を踏まえた地域経済の活性化等への対応分として八十六億二千五百二万円、合わせて百五十三億六千九百十二万円の交付限度額が公表され、第一次補正予算分と合わせて約二百二十一億円の交付限度額が示されました。  国においては、新しい生活様式を踏まえた地域経済の活性化等への対応分について、地域の社会経済構造そのものを将来の感染症リスクに対しても強靱なものへと改革することを推進する観点から、交付限度額の算定上、特に考慮したものであることを十分に踏まえ、交付金を活用し、特に地域の未来に貢献する政策を実施することを期待しております。  地方自治体の貯金に当たる財政調整基金に関し、多くの自治体が、休業要請の実効性を高めようと基金を用いた支出に踏み切っています。今後、地域経済の立て直しや感染拡大を防ぐための新しい生活様式への対応など、都道府県は前例のない支出が求められていますが、一方で豪雨などの自然災害にも備える必要があります。  このように感染予防と社会経済活動の両立を迫られる危機的な状況の中、知事には、限られた財源で社会や経済、雇用を立て直す手腕が求められており、さらには地域の未来に貢献する新しい生活様式の確立に向けた取組を求められています。  そこで伺います。  第一点は、新型コロナウイルス感染症対策における財政措置について、地方創生臨時交付金等に加えて、本県の財政調整に活用可能な基金を活用した取組についての考え方についてお示しください。  第二点は、地方創生臨時交付金を活用した、家賃支援を含む事業継続や雇用維持等への対応分、新しい生活様式を踏まえた地域経済の活性化等への対応分について、具体的にどのような方策を考えているのか、お示しください。    [知事塩田康一君登壇] 4 ◯知事(塩田康一君)おはようございます。  それでは、お答え申し上げます。  まず最初に、鹿児島の現状や県政推進上の課題、マニフェストの実現に向けた優先順位についてでございます。  私は、三十余年にわたる公務員生活で地域活性化政策に数多く携わってまいりました。  本県には、豊かな自然、食、歴史や伝統、お祭りなど、すばらしい地域資源が豊富にあると考えております。鹿児島の大きな特色は、南北六百キロメートルに連なる多くの離島の存在でございます。本県は、離島が多く、多様な地域、コミュニティーが存在しております。各島に特色のある独特の自然、文化や伝統があり、その多様性が魅力であると考えております。  以前から、鹿児島の良さを一人の県民として実感しておりましたが、あわせて、鹿児島の良さをもっと生かすことができるのではないかということも感じておりました。  今後、これらの地域資源を最大限活用し、地域に根差した様々な取組を実施することにより、地方創生の実現を図ることが、鹿児島の発展につながるものと考えております。  現在、我が国は、本格的な人口減少や少子高齢化の進行、経済のグローバル化の進展、地域間競争の激化、技術革新の急速な進展、国・地方を通じた厳しい財政状況など大きな変革期を迎えていると思っております。  本県におきましても、特に中山間地域や離島地域などにおいては、人口減少や少子高齢化の進行が著しく、地域コミュニティーの崩壊など、様々な課題に直面していると認識しております。  また、新型コロナウイルス感染症拡大により、飲食店や旅館・ホテルなどの観光関連産業、交通産業、イベント関連産業農林水産業など、本県の経済は大きな影響を受けております。とりわけ、県内の中小企業・小規模事業者は大変厳しい状況に直面しており、その支援が喫緊の課題となっていると認識しているところでございます。  今回の知事選挙において掲げましたマニフェストに基づき、まずは、新型コロナウイルス感染症対策をしっかりと進めてまいりたいと考えております。  感染防止対策を講じるとともに、医療提供体制を確保することで、県民の安心・安全と経済活動、社会活動の両立を図ってまいりたいと考えております。  さらに、新型コロナウイルス感染症の収束後の力強い経済復興、そしてさらなる成長に向けて、県民の皆様と一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。  その上で、今後の県勢発展の基盤をしっかりとつくっていくため、鹿児島の基幹産業である農林水産業観光関連産業のさらなる振興のために取り組んでまいります。  自立的な地域経済の実現を可能にするため、ICT等を活用したスマート農業の推進による生産性の向上や高収益作物の生産、かごしまブランドの一層の確立など、農林水産業の高付加価値化を推進してまいりたいと考えております。  また、観光客のニーズに的確に対応できるよう、データを客観的に分析・検討し、観光客はもとより観光消費額の増を図るとともに、交流人口の増加を地元の雇用促進にしっかりとつなげるため、地域全体で、地域資源の発掘・磨き上げや地域の観光資源・食を中心とした幅広い関係者が連携した観光地域づくりを行ってまいりたいと考えております。  地域を支える人材、新たな未来を切り開いていく人材の確保・育成も大切であると思っております。若年者等の県内定着と大都市圏からのUIターンを促進するとともに、地域外に進学・就職する場合も、郷土愛を育み、地域の良さや課題を認識し、その課題解決のための目的意識を持って学び、一定の経験を積んで帰ってくる人を増やすほか、地域の産業が必要とする専門人材を育成するため、自治体や企業と連携して、地域における人材育成にも取り組んでまいりたいと考えております。  加えて、技術力の高い製造業や情報産業、ヘルスケア産業など若者が働く場としての新たな産業の創出に取り組み、経済を持続的に発展させることで、地域の格差を是正しつつ、県民所得の向上を図り、県民の皆様の暮らしと雇用を守りたいと考えております。  こうした取組を通じて、鹿児島の稼ぐ力の向上に努めるとともに、結婚・出産・子育てのしやすい環境の整備や高齢者が健やかで生きがいを持てる社会の形成などに取り組み、これらを基盤として、高齢者や女性、障害者、子供たち、あらゆる方々が生き生きと活躍し、暮らしていける鹿児島をつくってまいりたいと考えております。  マニフェストに掲げた施策の実現に当たりましては、県民の皆様お一人お一人の考えをしっかりと受け止めながら、県民の皆様の御期待に沿えるよう、県民が主役の、県民の目線に立った、県民の声がしっかりと反映される県政を担ってまいりたいと考えております。  次に、目指す知事像についてでございます。  先ほども申し上げましたが、本格的な人口減少や少子高齢化の進行、経済のグローバル化の進展、技術革新の急速な進展、新型コロナウイルス感染症の拡大など大きな変革期の中にあって、県政を預かる知事としては、何よりも時代の流れを的確に見据え、県勢の発展や県民福祉の向上に向けて、各般の施策を着実に推進していくことが求められていると考えております。  また、県政に県民の声を反映させ、透明で開かれた県政運営を行うという姿勢も重要であると思っております。  さらには、最後は自分が責任を取るという覚悟を持つこと、そして、決断したことを最後までやり抜く行動力を持つことも求められていると考えております。  私としては、こうしたリーダーとして求められる役割・姿勢を十分肝に銘じて、少しでもこれに近づく努力を重ねながら、県民の皆様と一緒に鹿児島の今と未来をつくる、ということを基本として、全ての県民の皆様が生き生きと活躍し、暮らしていける鹿児島を目指し、誠実に、着実に県政の推進を図ってまいりたいと考えております。  次に、県民が安心できる行政づくりについてでございます。  私は、県民の声がしっかりと反映される県政にしたい、県民が主役の、県民の目線に立った行政を実現したい、各市町村の意見を聞きながら連携を進めていきたいということを申し上げてきたところでございます。  県民との対話を進め、政策決定の透明化を図り、市町村との連携強化に取り組むことなどにより、県民の皆様と一丸となって県勢発展を推進してまいりたいと考えております。  県民と真の対話を行う場としては、知事とのふれあい対話を十月二十四、二十五日の徳之島を初回として、県内各地で順次開催することとしており、県民の皆様方から頂いた御意見については、できるだけ政策に反映するなど、しっかりと対応していきたいと考えております。  また、透明で開かれた県政運営を行い、県民の県政に対する理解と信頼を深め、県民参加による開かれた県政を一層推進するため、情報公開を適切に行うとともに、記者会見や広報媒体を活用した積極的な情報発信などにも努めてまいります。  市町村との連携強化におきましては、各地域における県政の総合拠点である地域振興局・支庁を積極的に活用することとし、管内市町村長関係団体等との意見交換会などを通じて、各地域の課題や市町村の重点施策等の的確な把握に努め、地域課題の解決を目指し、協力して各般の施策に取り組んでまいります。  行政需要が多様化し、県民ニーズが広がる中、県民の納得性を高め、安心できる行政づくりを行うためにも、県民の皆様の声や、市町村、関係者の皆様の御意見を伺い、庁内でもしっかりと議論し、丁寧に合意形成を図るとともに、県民への説明責任を果たしながら、各般の施策に取り組んでまいりたいと考えております。  続きまして、議会への認識と対応についてでございます。  県民の皆様方の代表であります県議会と執行部は言わば車の両輪であり、県民のため、お互いが知恵を出し合いながら活発な議論を重ね、県議会と執行部が一体となって、県政の重要な課題に適切に対応し、県勢の発展、県民福祉の増進を図っていくべきものだと考えております。  議会は、幅広く住民の意見を代表しているものであることから、県政の運営に当たっては、県議会の御意向を十分に踏まえ、必要なものは議決を頂きながら、各般の施策を推進してまいります。  今後とも、県議会の皆様方の御理解、御協力、御支援を賜りますようよろしくお願い申し上げます。  続きまして、本県財政の現状認識、行財政運営の方向性等についてでございます。  本県におきましては、県税をはじめとする自主財源が歳入の総額に占める割合が三割程度となっており、全国平均が五割程度であることと比較すると、自主財源に乏しい脆弱な財政構造であると認識しております。  また、高齢化の進行により扶助費が増加傾向にあることや、公債費が依然として高水準であることに加え、国が七月末に示した、中長期の経済財政に関する試算では、新型コロナウイルス感染症の影響等を背景とした経済の下振れにより、国、地方ともに税収の減が見込まれていることなどを勘案しますと、今後とも厳しい財政状況が続くものと認識しております。  このような中で、持続可能な行財政構造を構築するためには、引き続き、歳入・歳出両面にわたる行財政改革に取り組んでいく必要があると考えております。  続きまして、新たな行財政の運営指針の策定についてでございます。  現行の行財政運営戦略につきましては、中長期的な行財政運営の基本的な考え方や行財政改革の方向性を示すものとして、平成二十四年三月に策定され、おおむね十年程度の中長期的な視点に立って、各般の施策を進めてきたところでございます。  この間、本県を取り巻く社会・経済情勢は、本格的な人口減少社会の到来、少子高齢化の進行、経済のグローバル化の進展、高度情報化・技術革新の進展など大きく変化しており、価値観・ライフスタイル等の変化、地域のつながりの変化も生じてきているところでございます。また、新型コロナウイルス感染症が収束したポストコロナ時代の新たな日常の実現に向けた取組も求められております。  こうした状況も踏まえて、今後、新型コロナウイルス感染症の影響も見極めながら、現行の行財政運営戦略の見直しを行っていきたいと思っております。 5 ◯総務部長(平木万也君)財政調整に活用可能な基金を活用した取組の考え方についてでございます。  新型コロナウイルス感染症対策に係る補正予算のうち、三月の定例会において議決頂いた補正予算、四月二十一日に専決処分を行った補正予算につきましては、他の財源が見込めないことから、財政調整積立基金を約六億円取り崩したところであります。  その後、国の補正予算が成立し、地方公共団体が地域の実情に応じてきめ細やかに実施する事業に幅広く充当することができる、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金などが創設されましたことから、これら交付金を積極的に活用することとしております。  新型コロナウイルスの感染拡大により、県民生活・県経済に大きな影響が及んでおり、引き続き、県民の安心・安全と社会経済活動の両立を図るための施策を進めるに当たって、これら交付金等を最大限活用してもなお、その財源が不足する場合には、ちゅうちょなく財政調整に活用可能な基金の活用も検討してまいりたいと考えております。  新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の活用についてでございます。  今回提案いたしました補正予算におきましては、本県に配分された新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金のうち、八十八億七千百万円余りを活用し、社会経済活動に対する支援策を予算計上したところでございます。  事業継続や雇用維持などへの対応については、路線バスや航路事業者の運行継続の支援、医療従事者に危険手当を支給する医療機関への支援、県内で修学旅行を行う公立・私立学校に対する貸切りバスの増便への支援、文化芸術公演や県内においてスポーツ合宿を行う団体の支援などを行うこととしております。  また、新しい生活様式を踏まえた地域経済の活性化などへの対応については、新しい生活様式を踏まえ、不特定多数の顧客等と接触する機会の多い中小企業等が実施する感染防止対策への支援、農業の新たな生産・販売体制の構築に向けた先進的な取組への支援、県内製造業者等の新商品の開発や業務の効率化のための取組への支援などを行うこととしております。  県といたしましては、引き続き、県民の安心・安全と社会経済活動の両立を図るため、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金の趣旨を踏まえ、社会経済活動への支援にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 6 ◯西高 悟君 今、御答弁頂いたわけですが、新型コロナ感染症対策に係る財政措置について、自席から知事に再質問させていただきたいと思います。  先ほど総務部長から、新型コロナ対策に係る財政措置について、国の地方創生臨時交付金、それから包括支援交付金等の国庫支出金を最大限に活用し、今後さらなる支援等が必要となった場合には、ちゅうちょなく財政調整基金等の活用を含めて、対応する旨の答弁がありました。  今後の県内経済の悪化等を踏まえて、さらなる対策が必要となった場合、県独自の対策を含めて、思い切った追加支援等に取り組む考えがあるのか、知事の決意をお伺いいたしたいと思います。
    7 ◯知事(塩田康一君)今、議員からお話のありましたとおり、国の交付金等を活用してもさらなる対策が必要で、なお財源が不足する場合には、今申し上げた基金の活用も含めて、しっかりと対応してまいります。    [西高 悟君登壇] 8 ◯西高 悟君 御答弁頂きました。  知事の政治姿勢について、所信を聞かせていただきました。  県政運営については、情報公開を適切に行うとともに、県民との真の対話を行う場として、知事とのふれあい対話の開催、地域振興局・支庁を積極的に活用し、県民の皆様の声を県政に反映するとのことであります。また、就任挨拶でも、県民目線の行政と現場主義の大切さを強調されております。私どもも全く同感であり、今後の塩田知事の取組を注視してまいりたいと考えております。  議会に対しても、県政を進めていく上での車の両輪としての重要性を十分に認識され、積極的かつ丁寧な対応に努めていただくよう強く要請いたします。  行財政運営への取組については、引き続き、行財政改革推進プロジェクトチームを中心に、歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に取り組むとのことでありますが、塩田知事の下における具体的取組を注視してまいります。  新たな行財政運営の指針となる行財政運営戦略の見直しについては、我が会派が再三にわたり指摘してきたところであり、社会経済状況の変化を踏まえた中長期的な視点に立った新たな戦略の策定に早急に取り組むよう要望いたします。  新型コロナウイルス感染症対策に係る財政措置については、国の財政支援を最大限活用するのは当然のことでありますが、今後想定される厳しい県内経済の状況によっては、財政調整基金の活用も含め、思い切った県独自の追加支援等に取り組むことを、改めて強く要望するところであります。  次に、危機管理防災関係であります。  川内原子力発電所に対する基本的考えについて伺います。  国は、平成三十年七月に、二〇三〇年エネルギーミックスの実現と脱炭素化に向けた二〇五〇年エネルギーシナリオを統合した、第五次エネルギー基本計画を策定しています。  この中で、原発依存度については、省エネルギー・再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減する方向性にはあるが、二〇三〇年度の原子力発電の電源割合を二〇から二二%としており、原子力については、安全性の確保を大前提に、長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源と位置づけています。  また、国は七月に、二〇三〇年度までに、非効率な石炭火力発電所の九割を休廃止する方針を示しています。  石炭は、同計画において、安定供給性や経済性に優れた重要なベースロード電源の燃料として評価され、平成三十年度の電源構成では三割程度を占め、依存度が高いことから、休廃止することになると、今後は抜本的な電源構成の見直しが必要となります。  一方、三反園県政では、平成二十八年十二月に県原子力安全・避難計画等防災専門委員会を設置し、川内原発に係る安全性の確認や避難計画の検証などについて、技術的・専門的見地から意見・助言を頂くとともに、県民への情報発信などを実施してきました。また、毎年、大規模な原子力防災訓練を実施しており、令和元年度は約二百十機関、五千人が参加しております。  避難計画については、これまでの原子力防災訓練の教訓などを踏まえて、複合災害時における屋内退避の基本的な考え方の追加や、原子力災害拠点病院の活動内容等の追加などの見直しを行い、社会福祉施設や公民館等への放射線防護施設をはじめ、防護服や防護マスクなどの防護資機材の整備などの防災対策のほか、環境放射線監視センターの新設・機能移転統合、モニタリングポストの通信の多重化など、環境放射線の監視体制の充実・強化にも取り組んできています。  知事マニフェストにおいては、三号機の増設は凍結、一号機・二号機の二十年延長については、必要に応じて県民の意向を把握するため、県民投票を実施、二十年延長については、原則四十年との認識の下、特例的な取扱いの可否について、県の原子力安全・避難計画等防災専門委員会の構成を見直した上で、同委員会において科学的、技術的な検証を徹底的に行い、事業者及び原子力規制委員会に対し、厳正な対応を要請する、としています。  令和六年七月に一号機が、令和七年十一月に二号機が四十年の運転期限を迎えることとなり、事業者が運転期間を延長する場合は、その一年前までに原子力規制委員会への延長申請が必要であり、少なくとも一号機については塩田知事の任期中に延長の可否判断が行われます。  そこで伺います。  第一点は、エネルギー基本計画に基づく、国の原子力政策に対する知事のスタンスをお示しください。  第二点は、県原子力安全・避難計画等防災専門委員会の委員構成について、原子力政策に批判的な学識経験者も入っていただくよう見直すとしていますが、人選の考え方についてお示しください。  第三点は、県原子力安全・避難計画等防災専門委員会において、科学的、技術的な検証を徹底的に行うとしていますが、県のレベルでどのようなことができるのか、議論の進め方等についてお示しください。  第四点は、一号機・二号機の二十年延長については、必要に応じて県民の意向を把握するため、県民投票を実施するとしておりますが、必要に応じてとは、どのような要件で、いつまでに実施の可否を判断するのか、お示しください。  第五点は、県民の安心・安全を確保する観点からの川内原発に係る防災対策の充実・強化について、知事の考えをお示しください。  大規模災害への対応力強化について伺います。  冒頭で申し上げたとおり、台風第十号は、気象庁が特別警報発表の可能性を示す異例の事態の中、県内全域を暴風域に巻き込みました。今年の台風発生は、七月までが少なく、八月以降は続発するおそれがあると指摘する専門家もあり、引き続き警戒が必要であります。  七月に九州地方を中心に甚大な被害をもたらした豪雨では、九州五県に加え、長野や岐阜にも大雨特別警報が発表され、避難指示は最大で百四十万人以上に上りました。熊本県では球磨川の大規模氾濫や土砂崩れなどが相次ぎ、甚大な被害が発生したところです。  国土交通省によると、平成二十六年に氾濫危険水位を超えた河川の数は八十三でしたが、令和元年は四百三と五倍に急増しており、数十年に一度と言われる豪雨の被害が全国各地で毎年のように頻発しております。  気象庁によると、令和二年七月豪雨の総雨量は、平成で最悪の被害となった平成三十年西日本豪雨を上回る規模だったと明らかにしています。  また、今回の豪雨は、梅雨前線が日本の上空で長期間停滞する異例の長雨となったことにより、九州では雨雲が線状に連なる線状降水帯が発生し、熊本県球磨川などの氾濫を引き起こしたとされています。  本県においても、数十年に一度という重大な危険が差し迫った状況で出される大雨特別警報が県内で初めて発表されるなど、県本土で記録的な大雨となり、土砂災害や河川の氾濫等により、一名の方が亡くなられ、四名の方々が軽傷を負ったほか、床上・床下浸水など六百三十一棟の住家被害が報告されています。  また、八月三十一日時点における公共土木施設等の被害額は百六十五億三千六百万円に上り、農業被害額は七十六億六千三百万円と報告され、中でも耕地関係の被害が最も大きく、六十八億四千二百万円と報告されています。  六月に出された二〇二〇年版環境白書は、地球温暖化で人類の生存基盤が脅かされる気候危機が起きていると初めて指摘しました。  また、七月には国土交通省が公表した防災・減災総合対策で、堤防、ダムに加えて貯水池整備や土地利用規制など、企業、住民も参画する流域治水の考え方を明確に打ち出しています。  このように、全国各地で大規模自然災害による甚大な被害が相次ぎ、気候変動の影響により、さらなる頻発・激甚化が懸念されている中、いつ発生してもおかしくない大規模災害への備えとして、直面した災害への対応経験や教訓を踏まえ、絶えず、災害対策や災害対応体制の強化に取り組んでいく必要があります。  今回の豪雨被害では、九州地方で死亡が確認された方のうち、九割近くが六十五歳以上の高齢者だったことが分かっており、早期に避難準備・高齢者等避難開始情報を出した自治体もあったものの、高齢者を避難させる難しさが改めて浮き彫りになりました。  災害による被害を最小限に抑えるためには、市町村・県等の防災関係機関による公助はもとより、県民が自らの身は自ら守る自助、地域の住民がお互いに助け合って地域の安全を確保する共助を基本として、相互に連携・協働して防災対策を行うことが重要です。  また、全国的に毎年のように、避難の遅れによる被害が発生する実態があり、住民一人一人が、個々の実情や状況に応じた避難の手順やタイミングを理解して避難意識を高める必要があるほか、住民の避難を確実に促すための気象情報や避難情報の伝達方法や体制の充実を図る必要があります。  一方、新型コロナウイルス感染症の収束が見えない中、密閉、密接、密集の三密になりやすく、感染者集団─クラスター─化するおそれのある災害避難所の過密をどう防ぐかが喫緊の課題となっております。令和二年七月豪雨や今回の台風第十号においては、各県で、新型コロナウイルス感染症対策で避難所の定員を減らすことに伴う新たな避難先の確保などに追われたとのことであります。  国は、五月末に防災基本計画を修正し、感染症の観点を取り入れた防災対策の必要性を新たに明記していますが、三密回避を目的とした分散避難は、過去に各指定避難所などで実施されてきた物資配給、情報伝達・共有、健康管理にどう対応するのかといった課題も浮上しており、避難所の確保や衛生管理の方策なども含め、避難所対策の検討が急務となっています。  令和二年七月に政府が決定した、経済財政運営と改革の基本方針二〇二〇においては、二〇二〇年度までの防災・減災、国土強靱化のための三か年緊急対策実施後も、中長期的視点に立って具体的数値目標を掲げ計画的に取り組むため、国土強靱化基本計画に基づき、必要・十分な予算を確保し、オールジャパンで対策を進め、国家百年の大計として、災害に屈しない国土づくりを進めると明記されています。  そこで伺います。  第一点は、令和二年七月豪雨や台風十号による本県の被害の状況を踏まえた災害対策の在り方について、改めてお示しください。  第二点は、住民の避難を確実に促す上での課題や、その課題に対する取組についてお示しください。  第三点は、国の防災基本計画の修正や県内における新型コロナウイルス感染症拡大の状況並びに令和二年七月豪雨や台風第十号における各県の状況を踏まえ、避難所対策の強化に向けて県はどのように取り組むのか、お示しください。  次に、国体・全国障害者スポーツ大会関係であります。  鹿児島国体及び全国障害者スポーツ大会の開催について伺います。  今年十月に本県で開催予定であった、鹿児島国体と全国障害者スポーツ大会の延期が決定されました。開催時期については、最終的に日本スポーツ協会、スポーツ庁、日本障がい者スポーツ協会と県の四者協議で決めることが明らかになっております。  県は、鹿児島で二〇二三年に開催することを軸に、二〇二三年の開催が内定している佐賀県や、二〇二四年の開催が内定している滋賀県へ、延期に伴う協力要請を行い、県議会スポーツ振興議員連盟としても両県議会を訪問し、協力を求めたところであり、八月十九日に佐賀県から、佐賀県開催を一年延期して二〇二四年とし、鹿児島県開催を二〇二三年とする協力要請を受け入れることが表明されました。また、滋賀県も今月十五日に、開催の一年先送りを受け入れることを表明されました。  佐賀県及び滋賀県の協力要請受入れは、開催時期の調整に当たって大きく前進した形ではありますが、滋賀県の後に国体開始が内々定している県が五県あり、各県の理解を得る必要があることから、今後も引き続き調整が必要となります。  本県では、昭和四十七年の太陽国体以来、四十八年ぶりとなる鹿児島国体と、本県で初めての開催となる全国障害者スポーツ大会に向け、長年をかけて鹿児島一丸となって全力で開催準備に取り組んできました。  昭和四十七年の太陽国体での本県選手団の活躍や県民総参加で大会を支えた誇りと自信は、明るく豊かな鹿児島を築く原動力となり、その後の県勢にも大きな影響を与えたところであります。  国民体育大会を再び本県で開催できることは、本県のスポーツ振興はもとより、県民の連帯感と郷土意識を醸成し、活力に満ちた郷土づくりを推進するためにも極めて意義深いものであります。両大会における鹿児島での開催時期について、紆余曲折を経て大きく前進したことは鹿児島県民として大変喜ばしいことであり、佐賀県及び滋賀県並びに関係県の御協力に対し、深く感謝申し上げるところであります。  一方で、競技会場となる市町を含め、延期に伴う経費の負担増が懸念されるところであります。  そこで伺います。  第一点は、二〇二三年の開催決定に向けた調整について、今後どのように進めていくのか、お示しください。  第二点は、二〇二三年の鹿児島国体・大会については、会期や会場、開催規模などを見直す考えがあるのか、お示しください。  第三点は、延期に伴い市町村の財政負担が増えることに対し、どのように支援していくのか。また、県や市町村などの自治体に対する応分の財政支援について、国に要請すべきと考えますが、県の見解をお示しください。  第四点は、両大会の開催経費として令和二年度当初予算に八十一億円余りを計上しているが、その取扱いについて、県の考えをお示しください。    [知事塩田康一君登壇] 9 ◯知事(塩田康一君)お答え申し上げます。  まず、国の原子力政策に対するスタンスについてでございます。  国は、第五次エネルギー基本計画におきまして、安全性の確保を大前提に、長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与するベースロード電源として原子力を位置づけております。  また、原子力政策の方向性として、いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を上げることを前提としており、原発依存度については、再生可能エネルギーの導入などにより可能な限り低減させることとしております。  原子力を含めたエネルギー政策につきましては、基本的には国の責任で行われるものであると承知しておりますが、私としては、県民の生命と暮らしを守ることを最優先に、原発の立地県として、常に事故の発生を念頭に置き、安全性の確保を事業者と国に求めてまいります。  また、避難計画については、不断の見直しを行うとともに、防災訓練の拡充などを図り、安全対策・防災対策の充実・強化に取り組んでまいります。  さらに、脱原発に向けて自然環境に配慮しつつ、風力発電、水力発電、太陽光発電、バイオマス発電など原子力発電に代わる再生可能エネルギーや燃料電池の導入促進、省エネルギーの徹底を図ってまいります。  続きまして、県原子力安全・避難計画等防災専門委員会の委員構成の見直しに係る人選の考え方についてでございます。  専門委員会の委員構成の見直しにつきましては、九州電力の運転期間延長に向けた動向を踏まえながら、今後検討してまいります。  委員の選任につきましては、国や他の原発立地県の委員の選任状況等も参考にしながら、原子力政策に批判的な学識経験者も含め、経験や実績などを総合的に判断して、科学的・技術的見地から意見・助言を頂ける方を選任したいと考えております。  次に、この専門委員会での議論の進め方等についてでございます。  原発の運転期間延長につきましては、事業者が、原子炉等の劣化状況を把握するための特別点検を実施し、これを踏まえ、延長しようとする期間における原子炉等の劣化状況評価及び保守管理方針の策定を行った上で、国の原子力規制委員会へ申請を行い、同委員会が、その内容を審査し、認可の可否を判断することとなっております。  県の専門委員会におきましては、九州電力が運転期間延長認可申請を行う場合に、特別点検の結果や原子炉等の劣化状況の評価、原子力規制委員会における審査の状況等について、九州電力に説明を求め、科学的・技術的な検証を徹底的に行っていただきたいと考えております。  県としては、専門委員会において委員から示された意見等を踏まえ、九州電力や原子力規制委員会に厳正な対応を要請してまいりたいと考えております。  次に、川内原発の二十年延長に係る県民投票についてでございます。  川内原発一号機・二号機の二十年延長については、専門委員会の意見が集約されない場合において、県民の意向を把握するために、公聴会やアンケート調査、パブリックコメント等の他の手段より県民投票が適切であると判断した場合が想定されるところであり、今後、様々な観点から検討を行い、総合的に判断してまいりたいと考えております。  続きまして、国体・全国障害者スポーツ大会二〇二三年の開催決定に向けた調整についてでございます。  鹿児島国体と鹿児島大会については、六月十九日に日本スポーツ協会、日本障がい者スポーツ協会、スポーツ庁の四者協議を行い、今年の秋には開催せず、具体的な開催時期については、引き続き、調整・検討を継続することとし、六月二十二日に開催した四者協議において、三年後の二〇二三年の開催に向けて調整する方針を確認いたしました。  この方針に基づき、七月三十一日に佐賀県の山口知事、八月五日に滋賀県の三日月知事と会談を行い、できるだけ早期の開催を県民が待ち望んでいることや、後催県の準備状況、新型コロナウイルスの状況下において鹿児島でしっかりとした大会を開催できる時期などを総合的に勘案し、二〇二三年に鹿児島国体・大会を開催させてほしいとの要請を行ったところであります。  また、日本スポーツ協会の伊藤会長におかれても、佐賀県知事、滋賀県知事に対しそれぞれ協力要請を行っていただき、八月十九日に佐賀県知事が、九月十五日に滋賀県知事が、二〇二三年の鹿児島国体・大会の開催を受け入れることを表明していただいたところでございます。  両県の表明を受け、先ほど御指摘のありました内々定している五県についても御理解を得られているということから、今月十五日に日本スポーツ協会から、二〇二三年の鹿児島国体・大会の開催について提案があったことを踏まえ、二十三日に県内の市町村、競技団体、経済団体等関係団体で構成する、燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会実行委員会総会を開催することとしており、二〇二三年の開催について御了承を得たいと考えております。  このような手続を行った上で、日本スポーツ協会、日本障がい者スポーツ協会、スポーツ庁と四者により、二〇二三年の開催に向けて会談を行うこととしております。  大変困難な調整に御尽力頂いている日本スポーツ協会、日本障がい者スポーツ協会、スポーツ庁はじめ関係の皆様方に心から御礼申し上げ、鹿児島県の苦境に御理解を示してくださった後催県の皆様、スポーツ協会等への早期開催についての要望等に多大な御支援を賜った県議会の皆様方に深く感謝申し上げる次第でございます。  また、多くの皆様の御理解と御協力の下、開催が実現することとなる鹿児島国体・大会が、県民の大きな夢と希望がかなう大会となるよう、引き続き準備を進めてまいりたいと考えております。  続きまして、延期に伴う市町村への財政支援及び県や市町村などの自治体に対する応分の財政支援の国への要請についてでございます。  県や市町村の財政負担については、鹿児島国体・大会の二〇二三年の開催が決定した後に、延期に伴う負担を精査した上で、佐賀県や滋賀県からも御意見を伺いながら、国に対する財政支援の要望について検討してまいりたいと考えております。  延期に伴う市町村の財政負担については、一定の配慮を行う必要があると考えており、国に財政支援を要請する中で検討してまいります。 10 ◯危機管理防災局長(橋口秀仁君)危機管理防災関係のうち、川内原発に係る防災対策の充実・強化についてでございます。  県といたしましては、川内原発については、県民の生命と暮らしを守ることを基本に、避難計画について、より実効性のあるものとなるよう不断の見直しを行い、防災訓練などの充実を図ってまいりたいと考えております。  今年度の訓練では、原子力防災アプリの試作版を活用し、避難の円滑化の検証を行うこととしており、訓練内容について、現在、関係機関等と検討を行っているところであります。  今後とも、専門委員会等の御意見を頂きながら、避難計画の見直しなど、防災対策の充実・強化に取り組んでまいります。  次に、令和二年七月豪雨や台風第十号を踏まえた災害対策の在り方についてでございます。  令和二年七月豪雨では河川の氾濫や土砂災害により、また、台風第十号では暴風や大雨により、人的被害や住家被害をはじめ、公共土木施設や農作物などで被害が発生いたしました。  県では、防災対策については、自助・共助・公助を基本として、県民、市町村、県及び防災関係機関がそれぞれの役割を果たすとともに、相互に連携・協働して行うことが重要と考えており、防災に関する講演会や各種訓練の実施などによる県民の防災意識の高揚や防災情報の周知のほか、自主防災組織の結成や活動支援、人材の育成、治山施設の整備、治水対策、橋梁の耐震化対策などに取り組んでいるところであります。  県といたしましては、引き続き、災害に強い強靱な県土づくりを図るため、地域防災力の強化、防災・減災対策の推進、大規模災害対策等に努めてまいります。  次に、住民避難に対する課題や取組についてでございます。  住民の避難については、行政からの的確な情報伝達などに加え、住民自らが日頃から災害に備え、適切な対応を取る自助や、地域の住民が互いに助け合う共助が極めて重要であります。  このため、県では、市町村と連携して、地域防災推進員の養成や地区防災計画作成の支援、各種研修や出前講座の実施、防災情報を掲載した県政かわら版の配布、講演会等の開催などを通じて、広く県民に防災意識の高揚や防災知識の普及啓発に努めているところであります。  また、市町村長が適切なタイミングで避難勧告等を発令できるよう、土砂災害警戒情報等の発表時には、市町村に直接電話で伝達するとともに、早めの避難勧告等の発令について助言しているところでございます。
     県としては、市町村と連携し、県民が安全に迅速・的確な避難ができるよう、引き続き取り組んでまいります。 11 ◯くらし保健福祉部長(地頭所 恵君)避難所対策の県の取組についてでございます。  新型コロナウイルス感染症対策については、国の防災基本計画の見直しを踏まえ、県地域防災計画においても、本年八月に必要な見直しを行ったところです。  また、県では、新型コロナウイルス感染症対策指針を本年六月に改訂し、避難所の定員数や混み具合の住民への周知方法、定員を超えた避難者への対応などを事前に検討するよう、事例を交えて市町村にお示ししています。  あわせて、市町村における新たな避難所の確保が円滑に進むよう、活用可能な県有施設やホテル・旅館に関する情報提供等を行ったところです。  各市町村では、避難所の定員数を減らすとともに、避難所の増設に取り組むほか、消毒液の設置や検温の実施など感染防止対策に取り組んでいたところです。一方で、台風第十号においては、定員数に達した避難所が生じ、他の避難所を案内するなどの事例が発生したところです。  県としては、今後の災害に備えるため、台風第十号における避難所の設置・運営の状況について、市町村に対し調査中であり、その結果を踏まえて、県民の安心・安全の確保のため、引き続き市町村や防災関係機関と緊密な連携を図りながら、防災対策に取り組んでまいります。 12 ◯国体・全国障害者スポーツ大会局長(松本俊一君)鹿児島国体・大会に関し、まず、会期や会場、開催規模等の見直しについてでございます。  両大会の会期については、本年の日程をそのままスライドすることとし、会場についても、現在の会場を使用することを基本として、今後、具体的な会期等について、市町村や競技団体と協議した上で、日本スポーツ協会等と調整したいと考えております。  また、開催規模については、国の新型コロナウイルス対策の状況、東京オリパラにおける感染症対策や簡素・効率化の視点を考慮するとともに、三重・栃木国体における開催方針なども勘案し、日本スポーツ協会等とも協議しながら、検討を進めてまいりたいと考えております。  次に、令和二年度当初予算の取扱いについてでございます。  両大会の開催経費については、当初予算において、大会運営費、競技力向上費等として、八十一億円余りを計上しております。  本年秋の中止が決定したことに伴い、これまで要した準備費用等の精算を進めており、また、今後、二〇二三年の開催に向け必要となる各種計画の見直しや広報、機運醸成等に要する費用も考慮した上で、最終的に予算の減額を行う予定としております。 13 ◯西高 悟君 再質問はありません。 14 ◯議長(外薗勝蔵君)ここで、休憩いたします。  再開は、午前十一時二十五分といたします。        午前十一時 十三分休憩       ─────────────        午前十一時二十五分再開 15 ◯議長(外薗勝蔵君)再開いたします。  西高悟君。    [西高 悟君登壇] 16 ◯西高 悟君 御答弁頂きました。  川内原子力発電所についてでありますが、施政方針でも、二十年延長については、必要に応じて県民の意向を把握するため、県民投票を実施するとしておりますが、記者会見では、必ずしも県民投票というのがいいのかどうか、公聴会やアンケート調査、パブリックコメント等も含めた選択肢の一つという旨を述べておられます。ただいまの答弁も、ほぼ同趣旨と理解するところであります。しかし、県民には、県民投票が強く印象づけられていると考えるところから、正確な説明に努めるよう要請しておきます。  大規模災害への対応力強化についてでありますが、さきの七月豪雨や台風第十号をはじめ、近年頻発している大規模災害の教訓を踏まえ、ハード・ソフト両面にわたる災害対応体制のさらなる強化に取り組んでいくとともに、感染症対策を含めた避難所対策の充実に努めるよう要望いたします。  鹿児島国体及び全国障害者スポーツ大会の二〇二三年開催がほぼ確実となったことは、本県としても誠に喜ばしいことであります。今後の最終調整を経て本県での開催が正式決定となった場合、国民体育大会の最後の大会として、またコロナ禍からの再生と飛躍に向けた大会として意義ある大会となるよう、開催市町村、関係団体との連携の下、最大限の取組に努めていただくよう要望いたします。  次に、商工労働水産関係について伺います。  新型コロナウイルスに伴う地域経済支援について伺います。  今回の知事選は、新型コロナウイルスの感染拡大で落ち込む地域経済をどう再生させるかが争点の一つでありました。県民は、知事の経済産業省での中小企業対策や地方創生に取り組まれた長年の経験に大きな期待を寄せ、知事のリーダーシップの下、一日も早い経済立て直しが行われることを望んでいます。  県は、これまでに中小企業等への新型コロナウイルス対策として、相談窓口の設置をはじめ、制度融資による資金繰り支援、売上げ等が大幅に減少した事業者への支援金の給付、飲食店への感染防止対策の補助金支給などの支援を講じてきました。また、需要喚起策として、プレミアム付き商品券やグルメクーポンの発行などを六月補正予算で計上しました。  県内では、緊急事態宣言解除後、少しずつ町なかに客足が戻り、六月には、経営状況に幾らか明るさが見え始めたといった声も聞かれるようになりましたが、七月に入り、鹿児島市内で国内最大級のクラスターが発生し、県内各地でも感染が広がったことから、依然として厳しい経営状況が続いています。  民間調査機関によると、経営者の高齢化や後継者難に加え、新型コロナウイルスの感染拡大による業績悪化が追い打ちとなり、令和二年に休廃業や解散に追い込まれる企業は全国で五万件を超える可能性があり、十数万人の雇用が失われるおそれがあるとの見方がされています。県内でも休廃業や解散が増えれば、雇用の受皿が減少し、地域経済は死活問題となることから、疲弊が進む中小企業等へのより一層の支援が必要と考えます。  知事は、選挙期間中、コロナで落ち込んだ経済を立て直せるのは私だけと県民に訴え、コロナ対策は中小企業対策と主張してこられました。また、マニフェストにおいて、新型コロナウイルスの影響を克服する強力な産業支援を行うとし、実態把握をした上で、事業者に対する支援を講じるとしています。また、地域経済団体と連携して、経営支援を強力に推進するとしています。  そこで伺います。  第一点は、知事は、マニフェストにおいて、事業者の実態把握を行った上で支援策を講じるとしていますが、県内事業者の現状に対する知事の認識についてお示しください。  第二点は、県は、新型コロナウイルス対策として中小企業等に様々な支援策を講じてきましたが、これまでの取組と今後の支援策についてお示しください。  中核企業、中小企業・小規模事業者の振興について伺います。  知事はマニフェストにおいて、県民が豊かになる産業振興を柱として掲げ、地域経済を牽引する中核企業、中小企業・小規模事業者の稼ぐ力を引き出す施策を積極的に講じる、とし、さらに、高い技術力を有する製造業や情報産業、ヘルスケア産業などの新たな産業の振興や起業支援を行う、としています。また、当選後のインタビューにおいて、初の経済産業省出身の知事として、「ものづくりはまだ伸び代がある。産業振興は私の得意分野なので、経験を生かせる」と答えていらっしゃいます。  本県の中小企業は、全企業数の九九・九%、全従業員数の八七・五%を占め、本県の基幹産業である農林水産業や観光産業を支える基盤として、さらには、地域雇用の受皿となるとともに、地域に密着した商品・サービスを提供するなどして、地域の経済・社会・雇用の各分野において大きな役割を果たしています。  県では、本県の経済や暮らしを支え、牽引する中小企業が発展、活躍することが重要であるとして、中小企業・小規模企業の振興に関するかごしま県民条例に定められた基本方針を踏まえ、経営基盤の強化や新たな事業活動の推進など中小企業振興施策を展開しています。  また、製造業については、かごしま製造業振興方針に基づき、産学官連携、企業間連携による技術・製品の研究・開発の促進、事業化支援、創業・新分野への進出支援のほか、新卒者・UIターン希望者などの人材確保支援などの施策を実施しています。なお、同方針については、製造業を取り巻く環境の変化等を踏まえ、今年度改訂が予定されています。  そこで伺います。  第一点は、初の経済産業省出身の知事として、これまで産業政策に取り組まれてきた立場から本県産業の現状をどのように認識しているのか、お示しください。  第二点は、マニフェストにおいて、地域経済を牽引する中核企業、中小企業・小規模事業者の稼ぐ力を引き出す施策、並びに高い技術力を有する製造業や情報産業、ヘルスケア産業などの新たな産業の振興、起業支援を行うことにより、持続可能な産業振興を、と示されておりますが、知事の具体的な考え方と、今後必要と考える施策についてお示しください。  次に、PR・観光戦略関係であります。  観光関連産業の振興について伺います。  本県観光業は、LCCの新規就航、大河ドラマ「西郷どん」の放送、アジアを中心とした直行便の増便等の効果もあり、延べ宿泊者数、外国人延べ宿泊者数、観光消費額と順調に推移してきました。また、本年度は、奄美の世界自然遺産登録や「燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会」の開催が予定されるなど、本県観光はさらに大きく飛躍するものと考えられていました。  しかし、新型コロナウイルスの感染拡大により、国内旅行の自粛や訪日客が激減し、県内の観光関連産業はこれまでにない大きな打撃を受けています。また、鹿児島国体・鹿児島大会の年内開催の断念により、両大会で見込んでいた宿泊や観光施設の収入など二百八億円が見込めなくなるとの分析が民間調査機関においてなされたところであります。観光回復までには数年かかるとの見方もあり、当面厳しい状況が続くことが見込まれます。  このような中、県では、六月補正予算において、観光局の減少に苦しむ観光業への需要喚起策として、県民が県内に宿泊する場合の助成等を行うディスカバー鹿児島キャンペーンを打ち出し、関係者の期待も大きいものでありましたが、鹿児島市内でクラスターが発生し、感染者が県内全域に拡大したこと、感染経路不明者が増加したことから、七月八日から八月二十五日まで宿泊券の使用自粛要請を行ったところであります。  また、感染拡大防止と経済活動の両立を図るため、宿泊施設において必要となる感染防止対策補助のための予算を七月に専決処分しました。  国においては、観光需要が増える夏休みに合わせて、観光支援事業GoToトラベルを前倒しして七月二十二日から開始し、県内観光地にも県外客の姿が見られるようになりました。経済回復への期待が寄せられる一方で、人の移動による感染拡大の不安の声も上がっており、観光関連産業の安全・安心の確立と定着が急務と考えます。  知事はマニフェストにおいて、新型コロナウイルスの影響を最も受けている観光関連産業は、回復が遅れる可能性もあり、コロナ後の再建を目的とした鹿児島観光再生プロジェクトを立ち上げ、再生に向けた諸施策を実施する、としています。  また、地域の観光資源・食を中心とした観光関連事業者、飲食店、交通事業者、農林水産業者、商工業者など関係者が広く参画し、市町村とも連携した観光地域づくりを推進し、観光地域としての稼ぐ力を引き出す、としています。  そこで伺います。  第一点は、本県観光関連産業に関する現状認識と、知事の考える観光振興方針についてお示しください。  第二点は、観光関連産業に対する新型コロナウイルス対策のこれまでの取組と今後の支援策についてお示しください。  第三点は、マニフェストに掲げた鹿児島観光再生プロジェクトはどのようなものなのか、お示しください。  第四点は、マニフェストに掲げた観光地域づくりの考え方についてお示しください。  本県のPRについて伺います。  知事はマニフェストにおいて、豊かな自然、食、歴史や伝統、文化、お祭りなど鹿児島にはすばらしい地域資源が豊富にある。一方で、鹿児島の良さを生かし切れていないということも感じている。鹿児島の地域資源を生かして、もっと豊かで元気な鹿児島にする、との基本姿勢を示されました。また、県知事は鹿児島県の営業マン、をキャッチフレーズに、国内外へ向けたトップセールスを行い、農林水産物・加工品の販路開拓と全国トップクラスの海外輸出額を目指し、稼ぐ力の向上に取り組む、としています。  本県では、県産農林水産物のブランド力の強化や、観光その他本県が有する様々な地域資源のPRをより具体的で効果のあるものとするため、平成二十九年に新鹿児島PR戦略を策定し、キャッチコピー「どんどん鹿児島」を活用しながら、メデイア目線を意識したPRやSNSの活用、海外を視野に入れたPR等を展開して、本県のイメージアップ、県産品の販売促進や観光客等の交流人口拡大を進めています。  また、農林水産物の輸出に当たっては、平成三十年に鹿児島県農林水産物輸出促進ビジョンを策定し、牛肉、豚肉、お茶、サツマイモ、養殖ブリやカンパチなどの輸出重点品目別、また、輸出相手国・地域別に戦略を立て、令和七年度に輸出額約三百億円を目標に設定し、攻めの農林水産業の実現に向けた取組を推進しています。  トップセールスについては、これまでの知事も意欲的に取り組んでこられ、伊藤知事におかれては、県産農林水産物や観光などの国内外でのPRを十二年間で計百五十一回、三反園知事におかれては、四年間で計二百二十四回実施してこられました。  そこで伺います。  歴代の知事におかれてもトップセールスに積極的に取り組まれてきましたが、塩田知事が行おうとするトップセールスなど、本県のPRに関する知事の考え方をお示しください。  次に、農政関係であります。  本県農業の振興について伺います。  知事はマニフェストにおいて、本県農林水産物の生産額は増大しているが、農家の所得向上が課題となっているとの認識を示され、生産コスト低減策、売上げ向上対策、スマート農業の推進による生産性向上など稼ぐ力を引き出す諸施策を講じ、生産所得の向上に努める、としています。また、農地の集約などにより、生産構造の転換を進める、農商工連携・六次産業化により、農林水産業の高付加価値化かごしまブランドの一層の確立に努める、農業従事者の減少に対応した担い手育成、新規就農者対策など総合的な施策を講じる、としています。  本県農業は、地域経済を支える基幹産業であり、農業産出額は平成二十九年、三十年と二年連続で全国二位と順調に推移しています。一方で、生産農業所得率は平成二十九年が全国四十四位、三十年は全国最下位にあり、他都道府県と比較して収益性が低く、農業者の所得の確保を図るためには、農業生産の低コスト化、省力化、農畜産物の付加価値向上などに取り組む必要があると考えます。  また、農村の過疎化、農業従事者の高齢化がさらに進行する中、担い手の確保・育成、労働力不足への対応が求められています。  このような中、県では、担い手への農地集積を図るため、公益財団法人鹿児島県地域振興公社を農地中間管理機構として指定し、平成二十六年度から、農地中間管理事業等に取り組んできたところでありますが、近年、この集積率の伸びは鈍化傾向にあります。また、素材提供型の農業から、一次加工等による高付加価値型農業への展開を図る拠点として、平成二十七年に大隅加工技術研究センターを開設し、五年が経過したところであります。  このほか、超省力・高品質生産の実現に向け、平成三十一年には県スマート農業推進方針を策定し、現地での実装化に向けた取組を進めるなど各般の施策を展開しています。  また、農業の持続的な発展を図るため、新規就農者の確保・育成、認定農業者の育成、集落営農の組織化・法人化、農業経営の法人化などに取り組んでいます。  そこで伺います。  まず、本県農業の現状、将来の可能性についてどのような認識をしているのか、知事の見解をお示しください。  第二点は、スマート農業の実装化に向けたこれまでの取組と今後の方向についてお示しください。  第三点は、大隅加工技術研究センターにおけるこれまでの取組と農商工連携・六次産業化のさらなる推進に向けた今後の方向についてお示しください。  第四点は、担い手の確保・育成に関するこれまでの取組と今後の方向についてお示しください。    [知事塩田康一君登壇] 17 ◯知事(塩田康一君)それでは、お答え申し上げます。  まず、新型コロナウイルスに伴う県内事業者の現状に対する認識についてでございます。  四月から五月にかけて、国の緊急事態宣言や、感染拡大を受けての外出自粛などにより、飲食業や宿泊業を中心に需要が落ち込むなど、非常に厳しい状況となったところでございます。六月には一旦回復しつつあったものの、七月のクラスター発生などの影響もあり、需要が激減し、厳しい状況となりました。  その後、個人消費は総じて持ち直しの動きが続いているものの、そのペースは緩やかとなっており、また、観光は一部に持ち直しの動きが見られるものの、依然として厳しい状況が続いているなど、新型コロナウイルス感染症の影響により、全体としては厳しい状況であると認識しております。  また、八月に開催した県内経済団体の皆様との意見交換会におきましても、飲食業については、利用客が激減し、休業要請期間以外にも休業する店舗も少なくないこと、宿泊施設やバス・タクシー事業者においては、観光客の減少により経営が厳しいといった切実な御意見を頂いたところでございます。  私としては、県内の中小企業・小規模事業者は大変厳しい状況に直面しており、その支援が喫緊の課題であると認識しております。  次に、本県産業の現状認識についてでございます。  鹿児島は、豊かな自然、歴史、文化、食など、豊富で多様な地域資源を有しており、それらを生かした農林水産業と観光業が本県の基幹産業でありますが、本県経済の持続的発展のためには、高い技術力を有する製造業や新たな産業などの振興にも取り組んでいくことが重要であると考えております。  本県の製造業につきましては、県内総生産の約一五%を占めており、豊富な農林水産資源を背景に、製造品出荷額の五割以上を占める食品関連産業をはじめ、独自の技術を生かした特色ある電子部品や半導体の生産技術を有する電子関連産業、世界的なプラグの生産や関連部品の生産技術を有する自動車関連産業など、一定の産業集積が図られております。  また、県内には、地域経済の中心的な担い手となり得る企業として、国が選定した地域未来牽引企業をはじめ、高い技術力を有する企業、独自の技術やノウハウを有する特色ある企業も存在しており、生産の拡大や新産業の創出、雇用の増大など、本県経済の発展に寄与していると考えております。  一方で、従業者一人当たりの付加価値額が全国に比べて低い水準にあることや、独自の技術や特許等を有しているものの、それを生かし切れていない企業もあるなどの課題もあると考えております。国、県の研究機関や大学、支援機関などとの連携を強化し、生産性向上や技術開発等の支援を通じて付加価値を高め、企業の稼ぐ力を引き出していくことにより、成長が期待できると考えております。  私としては、このような取組により、農林水産業や観光業に加え、本県製造業が今後とも地域経済・社会を支える重要な産業として、さらに発展するよう取り組んでまいりたいと考えております。  次に、マニフェストにおける産業振興の具体的な考え方や今後必要と考える施策についてでございます。  まず、地域経済を牽引する中核企業等は、独自の技術やノウハウなどその強みを生かして高い付加価値を創出し、地域に経済的な波及効果を及ぼすものと考えております。  このため、大学等との産学官連携による研究開発や、IoTなどの先端技術の導入等による生産性向上を通じて付加価値を高め、稼ぐ力を持つ多くのオンリーワン企業、ナンバーワン企業を生み出していきたいと考えております。  次に、新たな産業の振興や起業支援についてでございます。  本県産業が長期的に持続して発展するためには、まずは、既存の企業の技術力アップやそれに伴う高付加価値化を進めるとともに、将来を担う新たな産業の創出や起業支援も重要であると考えております。  このため、情報産業やヘルスケア産業など今後成長が見込まれる分野について、大学や支援機関等と連携しながら、技術シーズの発掘や人材の育成などに取り組むことが必要であります。  また、起業しようとする人材については、本県産業の成長の原動力となることが期待されることから、起業マインドの醸成や起業に係る知識、情報の提供のほか、資金面も含めた様々なスタートアップ支援を進めていくことが必要であると考えております。  私としては、技術力の高い製造業や新たな産業の振興、起業支援により、一層の稼ぐ力を引き出し、地域経済の好循環を高めてまいりたいと考えております。  続きまして、本県観光関連産業に関する現状認識と観光振興方針及び観光地域づくりの考え方についてでございます。
     本県の観光関連産業は、新型コロナウイルス感染症の拡大により、これまでに経験したことがない非常に厳しい状況にあります。  治療薬やワクチンが開発・普及されるまでは、この感染症がすぐに収束する見通しは立っておらず、国においても、ウイルスの存在を前提とした、いわゆるウィズコロナの経済戦略を掲げ、感染拡大防止策を引き続き講じつつ、経済活動を段階的に引き上げることとしております。  本県においても、感染防止対策の徹底による安心・安全と社会経済活動の両立を図っていく必要があると考えております。  私は、就任以来、観光業界の実情を把握するとともに、本県観光の回復・再建を図るための有効な施策を検討するため、観光業界の方々から複数回にわたり、直接お話をお聞きしたところでございます。  引き続き、事業者や関係団体と連携し、感染防止対策の徹底や需要喚起を図りながら、観光の回復に向けて取り組んでまいります。  本県は、温暖な気候、豊かな自然、美しい景観、豊富な温泉、安心・安全な食、誇るべき歴史や伝統など、すばらしい観光資源に恵まれております。離島も多く、各島の特色のある独特の自然、文化や伝統の多様性も魅力となっており、これらの豊富で多様な観光資源を最大限活用するとともに、データを客観的に分析・検討し、観光客のニーズに的確に対応することが重要であると考えております。  今後は、これらの取組に加え、いわゆる観光業界だけではなく、商工業者、農林水産業者、地域住民などを含む幅広い関係者が連携して、観光地域づくりに取り組むことにより、観光客数はもとより観光消費額の増加を図るとともに、交流人口の増加を地元の雇用促進にしっかりとつなげてまいりたいと考えております。  観光業は、本県の基幹産業であります。本県の豊富ですばらしい地域資源のさらなる発掘・磨き上げを行い、観光振興に生かしていくとともに、地域の稼ぐ力を引き出す施策を展開することにより、本県の観光関連産業のさらなる振興を図ってまいります。  続きまして、鹿児島観光再生プロジェクトについてでございます。  現在、旅館・ホテルなどの観光関連産業新型コロナウイルス感染症により大きな影響を受け、厳しい状況にあることから、安心・安全と経済活動の両立にしっかりと取り組みながら、本県の基幹産業である観光関連産業の再生に向けた諸施策を効果的に実施していく必要があります。  このため、観光客が安心して本県の観光を楽しめるための感染防止の徹底を促進し、県内・国内・海外の動向に対応した段階的な需要喚起を図るとともに、感染収束後の観光関連産業の活性化・発展に向けた一連の諸施策を鹿児島観光再生プロジェクトと位置づけて実施していくものであります。  続きまして、本県のPRについてでございます。  本県は、豊かな自然、食、歴史、文化等の魅力を有する数多くの離島など、すばらしい地域資源を豊富に有しております。  これら鹿児島の地域資源を最大限活用し、地域に根差した様々な取組を実施することが、鹿児島の発展につながるものと考えております。  その取組の一つとして、知事は鹿児島県の営業マンという思いで、大手量販店・百貨店等のトップとの会談や、本県産品の商流に影響力のある方々への売り込みを私が直接行うなど、国内外へ向けたトップセールスを積極的に展開していくこととしております。  これにより、本県の農林水産物・加工品をはじめとする県産品の販路開拓と全国トップクラスの海外輸出額を目指し、稼ぐ力の向上を図ってまいりたいと考えております。  また、本県のイメージアップを図り、県産品の販売促進や観光客をはじめとする交流人口拡大を進めることが重要であると考えており、メディアやSNS等の各種媒体も効果的に活用し、時代や環境の変化にも的確に対応しながら、国内外に本県の魅力を戦略的にPRしてまいりたいと考えております。  次に、本県農業の現状及び将来の可能性についてでございます。  農業も本県の基幹産業であり、食品製造業などの関連産業とともに、地域経済に果たす役割は極めて重要であると考えております。  本県では、温暖な気候や南北六百キロメートルに及ぶ広大な県土を生かして、肉用牛や豚、お茶、サツマイモ、バレイショなどが全国トップクラスの生産量となっており、農業産出額は北海道に次ぐ全国第二位、生産農業所得についても第四位となっております。  一方、担い手の減少、高齢化の進行、労働力不足などの課題がある中で、生産コストの低減に向けた取組や販路拡大対策、ICT等を活用したスマート農業の推進による生産性の向上など、稼ぐ力を引き出す施策を関係機関・団体と連携して講じることにより、本県が我が国の食料供給基地として、より一層発展していくものと確信しております。 18 ◯商工労働水産部長(五田嘉博君)商工労働水産関係についてのうち、中小企業等に対するこれまでの取組と今後の支援策についてであります。  四月の国の緊急事態宣言による外出自粛などにより、多くの事業者が休業を余儀なくされ、事業者の事業継続を下支えすることが必要となりました。  このため、県融資制度において、信用保証料ゼロ、三年間実質無利子の新たな資金を創設するとともに、融資枠を三千億円まで拡大し、強力な資金繰り対策を講じるとともに、売上高が大きく減少した事業者に対して、事業継続支援金の給付などによる支援を行ってきたところであります。  また、事業者からの資金繰りや国・県の各種支援策等に関する相談が急増していることから、このような相談の窓口を担っている商工会等に対しまして、相談に応じる人員の増強に要する経費を支援しているところであります。  感染拡大防止による県民の安心・安全と社会経済活動の両立を図ることが重要でありますことから、現在、飲食店や宿泊施設における感染防止対策に対する支援を行っているところであり、これに加え、小売業や生活関連サービス業など、不特定多数の顧客と接する機会の多い中小企業、個人事業者等が実施する感染防止対策の取組を支援することとしております。  あわせて、段階的に経済活動を引き上げ、需要喚起を図ることも必要であることから、プレミアム付き飲食券や、スマートフォンアプリを活用した割引クーポンの発行をすることとしております。  また、影響を受けた県内企業の利益の回復を図るため、製造業者等が行う新しい生活様式を踏まえた新たな製品の開発や業務効率化の取組を支援することとしております。 19 ◯PR・観光戦略部長(木場信人君)観光関連産業に対する新型コロナウイルス対策のこれまでの取組と今後の支援策についてであります。  県では、観光客の激減に苦しむ観光業を守り、早期の需要回復を図るため、本県独自の経済対策として、ディスカバー鹿児島キャンペーンを段階的に展開し、県民の県内宿泊を促進する事業などを実施してきたところであります。  さらに、今月からは、県内の観光バスを使った県民向け旅行商品への助成事業、本県の魅力のPRとともに県外からの誘客を図るため、総額一億円相当の県産品等をプレゼントする事業、県内のタクシー・レンタカーの利用を割引助成する事業を実施しています。  また、県内の宿泊施設が感染防止対策を徹底するための取組も支援しているところであります。  今後は、感染防止コンシェルジュの養成や、県内の観光バスやタクシー・レンタカー事業者が行う感染防止対策を徹底するための取組を支援することとしています。  さらに、今議会に補正予算案として、県内外から本県への宿泊を促す旅行商品や宿泊料金の割引助成、事業者が行う誘客の取組に対する助成等を行う観光かごしま回復事業を提案しています。  今後とも、感染の状況変化に適切に対応しながら、事業者や関係団体と連携して、感染防止対策の徹底を図りつつ、本県観光の回復とさらなる活性化に向けて取り組んでまいります。 20 ◯農政部長(満薗秀彦君)マニフェストに掲げてある本県農業の振興策についてでございます。  本県農業の振興に係る主な施策について、具体的な取組と今後の方向性について申し上げますと、まず、担い手の確保・育成につきましては、県内外での就農相談や農業大学校での教育・研修などにより、新規就農者を確保するとともに、経営の発展段階に応じた技術支援など、経営感覚に優れた農業者の育成に取り組んでいるところであり、令和元年度の認定農業者等の担い手数は、目標の一万経営体を超える一万七百八十二経営体となっております。  本県農業の持続的発展を図るためには、担い手の確保・育成が重要でありますことから、今後とも、就農のための機械・施設の導入や、経営安定のための経営管理指導、経営の一層の発展のための法人化など、総合的な支援に努めてまいります。  次に、担い手への農地集積につきましては、人・農地プランの話合い活動を通じ、農地を借り受け、担い手へ貸し付ける農地中間管理事業などの取組を推進しているところであり、令和元年度の担い手への農地集積面積は約五万ヘクタールとなっております。  経営規模の拡大による生産コストの削減を図るためには、担い手への農地集積・集約化が重要でありますことから、今後とも、地域の話合い活動を基本としたきめ細やかな対応に努めてまいります。  次に、スマート農業の実装化については、県スマート農業推進方針に基づき、研修会等を通じた農業者等への理解促進や、県内全域での技術の実証に取り組んでいるところであり、本年五月現在で、病害虫防除のためのドローン、園芸用ハウス内の温度や土壌水分等の制御を行う環境制御装置など、約千七百件が導入されております。  本県農業の生産性向上を図るためには、超省力・高品質生産の実現が重要でありますことから、今後とも、スマート農業のさらなる普及・拡大に努めてまいります。  次に、六次産業化等の推進につきましては、大隅加工技術研究センター等において、新たな加工・流通技術の研究や商品開発のための支援などに取り組んでいるところであり、これまでに県内で百種類を超える新商品が開発され、販売に結びついております。  農業者の所得向上や雇用確保など地域の活性化を図るためには、県産農産物の高付加価値化に取り組む農業者等の育成が重要であることから、今後とも、県が設置しております六次産業化サポートセンター等を中心に、六次産業化を目指す事業者の個々の課題に応じたきめ細やかな支援に努めてまいります。  県といたしましては、これらの取組を総合的かつ計画的に進めることにより、本県農業・農村のさらなる発展と農業者の所得向上に努めてまいります。 21 ◯西高 悟君 農政部長、自席から質問させていただきます。  今お答えいただいた中でですね、特に農地集積の問題、非常にこの頃、農地中間管理機構が伸び悩んでいるという状況にあるわけですが、そこについては、今、五万ヘクタールという面積が示されましたけれども、これから後の対応について、ただ計画だけではなくて、目標をどこまで伸ばすのか、そのあたりのお考えを伺いたいということと。  それから、もう一つはですね、鹿児島でも本当に一番の問題である担い手の確保の課題、一万七百八十二戸ということで示されましたけれども、これからますます高齢化が進む中で、若手の存在というのは非常に貴重なものであります。そこについてはもっと計画的なものでしっかりと示されているのか、その二点をお伺いしたいと思います。 22 ◯農政部長(満薗秀彦君)二点ほど質問を頂きました。  まず、農地の集積・集約化についてでございますけれども、議員が言われるように、農地中間管理事業につきましては、平場といいますか、平地のところについては順調に農地の集約が進んでおり、利用が進んでいるという状況でございますけれども、特に中山間地域等々については、貸す人はいますけれども、借りる人がいないという状況もあります。  そういう中にあって、中山間地域の条件をよくしていって担い手へ貸し付ける取組をしっかりやっていかないといけないということで、農地中間管理事業関連の基盤整備事業というのが今現在用意されております。農地を持っている方の負担なしで基盤整備ができるような対策もできておりますので、そういうものも活用しながら、しっかりと推進を図ってまいりたいと考えているところでございます。  それから、担い手の確保でございますけれども、若い農業者の方々をしっかりと確保していくのは非常に大事なことでございます。現在、農業に就農する方よりも、農業法人に就業する方がかなり増えてきております。そういう方々が実際、将来にわたって、のれん分けとか、そういう形で自立していくというのも姿なのかなと考えておりまして、コロナ禍でほかの産業は厳しい状況の中でありますけれども、今後とも、農業のすばらしさ、よさというのをしっかりとお伝えしながら、農業に参入される若い方々を集めていきたいなと考えているところでございます。    [西高 悟君登壇] 23 ◯西高 悟君 御答弁頂きました。  新型コロナウイルスに伴う地域経済支援についてでありますが、知事が、影響を克服する強力な産業支援を講じるとして、感染症対策を最優先した財政支援措置や、地域経済団体と連携した経営支援などを講じ、県民の暮らしと雇用を守る旨表明されていることに、県内事業者は大きな期待をかけております。現場の実情を十分踏まえた、具体的な支援策に最大限の取組を行うよう要望いたします。  中核企業、中小企業・小規模事業者の振興については、県ではこれまで、中小企業・小規模企業の振興に関するかごしま県民条例及び、かごしま製造業振興方針に基づき各般の施策を推進してきたところでありますが、知事の産業振興に関する経験等を踏まえて、コロナ収束後の経済再生を見据えた、より具体的で実践的な振興策の展開を期待するところであります。  新型コロナウイルスの影響を最も受け、観光客の激減に苦しむ観光関連産業においては、コロナ収束後の再生に向けた鹿児島観光再生プロジェクトや観光地域づくり等の取組を推進するとともに、当面の実効性・即効性のある対策が重要であり、さらなる支援策の強化に向けた取組を要望いたします。  本県のPRについてでありますが、トップセールスについては、歴代の知事におかれても積極的に取り組まれてきましたが、塩田知事として特色ある取組に努めていただきますとともに、本県のPRに関しても、新たな知見を踏まえた、より効果的で戦略的な展開を要望いたします。  農業の振興について、知事マニフェストに掲げる諸施策については、これまでも県において積極的に取り組んできたところでありますが、さらなる施策の加速化に向けて、知事の新たな視点を踏まえた先進的な取組にさらに力を注いでいただきますよう、強く要望いたします。  先ほど再質問で述べていただきました集約の問題につきましても、国としてしっかりとした、整備費を伴わない中山間地の振興策も進められるようになりました。そういったものをしっかりと生かして、農業立県鹿児島の農業をしっかりと振興していただきますよう強く要望いたします。  以上、県政の課題について質問してまいりました。  午後は、大久保博文議員に引き継ぐこととし、これをもちまして、自由民主党県議団の代表質問・午前の部を終わります。(拍手) 24 ◯議長(外薗勝蔵君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時二十五分といたします。        午後零時 十三分休憩       ────────────        午後一時二十五分再開 25 ◯議長(外薗勝蔵君)再開いたします。  大久保博文君に発言を許可いたします。    [大久保博文君登壇](拍手) 26 ◯大久保博文君 午前中の西高悟議員に引き続いて、代表質問を続けてまいります。  初めに、企画関係についてであります。  新たな総合体育館の整備について伺います。  新たな総合体育館については、平成三十年二月、大規模スポーツ施設の在り方検討委員会から、早期整備が必要であること、いわゆるアリーナ的概念の施設が望ましいとするなどの提言がなされました。  これを受け、県は、平成三十年第二回定例会において、県工業試験場跡地を最適地であるとし、隣地所有者である日本郵便と土地の譲渡について協議を行いたいと表明し、同年第三回定例会以降、用地補償等について具体的な協議を進めるため、土地の鑑定評価や用地測量、建物等の調査に着手したところであります。  その後、県工業試験場跡地の整備については、県議会や県民などから、駐車場や周辺道路の課題を懸念する意見などがあり、県は、昨年第三回定例会において、意見集約に相当の期間を要することから、県工業試験場跡地の整備は断念し、新たな候補地は、県庁東側の土地と農業試験場跡地を中心に検討したいとの表明がありました。  昨年第四回定例会において、県は、総合的な評価を行った結果、交通利便性に優れ、スポーツ施設が集積する鴨池公園に近接していることなどから、県庁東側の土地を新たな候補地としたいとし、隣地も合わせた整備が必要であると表明しましたが、同定例会の企画観光建設委員会における集中的な審議などを経て、県庁東側の土地での整備については、拙速に進めず、慎重に取り組むよう意見がなされました。  その後、県は、一月に県ホームページでアンケート調査を実施し、その結果も踏まえ、県庁東側の土地を新たな候補地とする新たな総合体育館の候補地の検討結果が示されたところでありますが、本年第一回定例会の企画観光建設委員会において、隣地所有者及び鹿児島市などの関係者等と様々な協議・調整などを行い、これらの状況を見守る必要があることから、県庁東側への建設を求める陳情を再び継続審査としております。  こうした中、県は、四月八日に、県庁東側県有地の隣地所有者である株式会社南日本放送に対し、土地の譲渡について協議の申出を行い、同社からの協議に応じる旨の回答を受け、県としては、土地の譲渡合意に向けて同社との協議を進めていたところであります。  また、さきの定例会における我が会派代表質問に対して、新型コロナウイルス感染症拡大により、県民生活、県経済に大きな影響が及んでいるが、新たな総合体育館については、その整備に相当の期間を要すること、現在の県体育館の老朽化や全国・国際レベルの競技大会の開催等には狭隘であることなどの課題を踏まえると、現時点で取り組むべき取組を着実に進めていく必要があるとの答弁がありました。  塩田知事のマニフェストの県民が安心できる行政づくりでは、総合体育館問題など市町村との連携強化を掲げ、県内市町村との連携を強化し、信頼関係を築き、協力してまちづくりなどの地域課題の解決を目指します、としております。  先月二十一日の定例記者会見において、知事は、どのような体育館を建設すべきかということも含めて、場所等について検討していきたい、と考えており、その点で少し検討に時間を要するということで、隣地所有者の方から、一旦白紙に戻してほしいとの申出がなされ、協議を中止していることを明らかにしました。  また、知事は、今後の進め方について、何らかの検討機関を設置して、検討していきたいと述べており、今議会に、総合体育館基本構想策定事業が補正予算として提出されております。  そこで伺います。  第一点は、新たな総合体育館の整備に関して、隣地所有者との協議を中止することとなりましたが、今後の整備について、知事の考えをお示しください。  第二点は、新たな総合体育館について、どのような体育館を建設すべきかということも含めて、場所等について検討していきたいとしていますが、今後検討を進める上で、大規模スポーツ施設の在り方検討委員会の提言をどのように取り扱っていくのか、お示しください。  また、今回の補正予算に総合体育館基本構想策定事業が盛り込まれておりますが、候補地決定に向けた具体的な進め方についてお示しください。  第三点は、新たな総合体育館に関して、市町村との連携強化に向けた具体的な取組についてお示しください。  次に、奄美・離島の振興について伺います。  本県は、南北六百キロメートルに及ぶ広大な県土にわたって二十七の有人離島が点在する全国有数の離島県であり、奄美・離島地域には豊かな自然、澄み切った海、独自の伝統・文化など、たくさんの魅力があふれております。  奄美地域の振興については、昨年三月二十九日に成立した法改正により、奄美群島振興開発特別措置法の有効期限が令和五年度末まで五年間延長されるとともに、法延長に合わせ、奄美群島振興交付金において、物資の輸送費支援事業や航路・航空路運賃軽減事業の拡充、特定重点配分対象事業の創設など、制度の充実・強化が図られております。  離島地域の振興については、離島活性化交付金など離島振興法に基づく各般の施策が講じられ、交通基盤の整備や産業の振興、生活環境の整備など、様々な面において相応の成果を上げてきており、また、有人国境離島法に基づく対象地域では、特定有人国境離島地域社会維持推進交付金を活用した航路・航空路運賃の低廉化や物資の費用負担の軽減などの取組が行われております。  しかし、奄美・離島地域については、依然として、本土との所得水準をはじめとする経済面における諸格差や人口の流出など、解決すべき課題が残されており、今後とも、地域格差の是正や地理的・自然的特性を生かした振興等による自立的発展を図っていく必要があります。  知事マニフェストの多様な魅力を持つ離島は、鹿児島の宝では、甑島、種子島から与論島まで、温帯から亜熱帯地域に広がる多様で豊富な物的資源・経済的資源を活用するとともに、生活環境、交通基盤、産業基盤などの社会資本の整備とさらなる産業振興を進め、暮らしやすい・働きやすい・また行きたい・定住したいと思う島づくりを推進します、としております。  そこで伺います。  経済面における諸格差や人口の流出など、奄美・離島には解決すべき課題がある中、奄美・離島の振興についての知事の考えをお示しください。  馬毛島における自衛隊施設の整備について伺います。  防衛省は、平成二十三年以降、南西地域における防衛体制の充実のため、新たに自衛隊施設を整備するとともに、米軍のFCLP─米空母艦載機着陸訓練─に使用される施設として、西之表市の馬毛島を候補地として検討を進めているとしております。  昨年十二月二十日には、山本防衛副大臣が西之表市と県庁を訪問し、馬毛島に自衛隊馬毛島基地─仮称─を整備すること、今後、環境調査を再開し、施設整備の検討に必要な測量・ボーリング調査等を実施したい、などの説明があったところです。  知事マニフェストでは、政府の安全保障に係る方針や馬毛島における訓練内容等を聴取するとともに、地域住民及び自治体の意見を聞いた上で、調整を図ります、としております。
     先月七日には、山本防衛副大臣が西之表市長と塩田知事をそれぞれ訪問し、馬毛島の自衛隊基地の配置案や計画の見通しのほか、土地の取得状況などについて説明があったところであります。  そこで伺います。  第一点は、国からの説明の内容は具体的にどのようなものであったのか、また、説明を受けての知事の所感をお示しください。  第二点は、国の安全保障政策に対する知事のスタンスについてお示しください。  また、マニフェストでは、政府の安全保障に係る方針や馬毛島における訓練内容等を聴取するとともに、地域住民及び自治体の意見を聞いた上で、調整を図ります、としておりますが、今後どのように取り組む考えであるのか、お示しください。  次に、土木関係であります。  鹿児島港本港区エリアまちづくりについて伺います。  鹿児島港本港区エリアまちづくりについて、県は、平成二十九年度に、同エリアの現状分析や活用方策に係る民間事業者との対話、先行事例の調査等を踏まえ、同エリアについては、民間活力の導入を基本に活用方策の検討を進めるとの調査報告をまとめ、その後、平成三十年度には、外部の有識者などから成る鹿児島港本港区エリアまちづくり検討委員会を設置し、昨年二月にグランドデザインを策定しております。  県は、このグランドデザインに基づき、ホテルや集客施設等の提案を求める公募要項を作成し、公募型プロポーザル方式により事業者公募を行うこととしておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、民間事業者の公募に向けた提案内容の検討に支障が生じていることから、公募の開始を当分の間、延期することを五月に発表したところであります。  さきの第二回定例会における我が会派代表質問に対して、今後の事業実施等については、新型コロナウイルス感染症に係る諸情勢を見ながら、民間事業者の御意見等も踏まえて、総合的に判断してまいりたいとの答弁がありました。  また、ドルフィンポート跡地については、庁内関係部局や民間団体、地元経済界等と幅広く連携しながら、本県の特産品・農林水産物の販売や飲食などのイベントスペースや駐車場、ツアーバス等の乗降場などとして積極的な利活用を図ることが示されたところであります。  一方、ドルフィンポート跡地を含む鹿児島港本港区エリアについては、鹿児島市がサッカー等スタジアムの候補地として検討を行うとともに、同市の路面電車観光路線基本計画策定委員会がルートの検討を行っているところであり、同市と協議・検討を行う必要があります。  知事マニフェストのアジア中核都市の実現では、ドルフィンポート跡地を活用し、天文館エリアや鹿児島中央駅エリアとの回遊性を確保しつつ、鹿児島市と連携して、国際会議などを開催できるコンべンション機能や展示機能を整備することを検討します、としております。  そこで伺います。  第一点は、知事マニフェストで検討するとしている国際会議などを開催できるコンべンション機能や展示機能を備える施設の整備については、これまでのグランドデザインを基本として整備を検討するのか、それともゼロべースで検討するのか、知事の考えをお示しください。  また、コンべンション機能や展示機能を備える施設の整備の必要性について、需要とその効果を含めて、どのように考えているのかお示しください。  第二点は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う経済情勢の深刻化などの影響がある中、同エリアまちづくりに関する今後の具体的な進め方について、知事の考えをお示しください。  また、鹿児島市との連携に向けた取組についてお示しください。  第三点は、鹿児島市が検討している同エリアでのサッカー等スタジアムの整備に関して、知事の考えをお示しください。  また、サッカー等スタジアムの整備に関する鹿児島市との協議・検討の状況についてお示しください。  第四点は、ドルフィンポート跡地の暫定的な利活用について、具体的な取組をお示しください。  次に、交通インフラの充実・強化について伺います。  道路や港湾といった社会資本の整備は、アクセス性の向上や物流コストの低減など、経済の効率性を高めたり、投資リスクを低減し、結果として、産業の生産力を拡大させ、暮らしや地域経済に長期にわたって効果をもたらします。  本県の交通インフラの整備について、道路関係では、本県の骨格をなす重要な道路である東九州自動車道や南九州西回り自動車道など高速交通ネットワークを形成する高規格幹線道路や、北薩横断道路や大隅縦貫道など広域交通ネットワークを形成する地域高規格道路において、重点的に整備が進められております。  港湾関係では、令和四年の国際クルーズ拠点の運用開始に向けたマリンポートかごしまにおける新たな岸壁や臨港道路鴨池中央港区線の整備、志布志港の大型バルク船に対応する岸壁の整備等が進められております。  空港関係では、屋久島空港の滑走路延伸や、昨年十一月に策定した鹿児島空港将来ビジョンも踏まえた、災害対応機能の向上や利用者の利便性向上に向けた取組等が行われております。  一方、過疎化の進展等に伴う人口減少により利用者が減少する中、在来線鉄道や地方バス路線の維持・存続や、島民の生命線となっている離島航路や離島航空路線の維持・充実、肥薩おれんじ鉄道に対する経営支援など地域公共交通の確保・維持については、今後さらに重点的に取り組むべき課題となっております。  本県では、これまでも県開発促進協議会などの機会を捉えて、国に対し、道路、港湾、空港など交通ネットワークの形成に向けた要望を行ってきているところであります。  なお、知事マニフェストのアジア中核都市の実現では、空港、港湾、道路など国際都市にふさわしい交通インフラの充実・強化を図ります、としております。  そこで伺います。  本県の交通インフラの充実・強化について、知事の考えを具体的にお示しください。    [知事塩田康一君登壇] 27 ◯知事(塩田康一君)それでは、お答え申し上げます。  新たな総合体育館の今後の整備に関する考え方と具体的な進め方についてでございます。  新たな総合体育館につきましては、これまでの検討経過や県議会での御論議などを踏まえつつ、今後の検討の方向性として、まずは、必要となる機能や規模、その構成など、どのような施設を整備するかを十分に議論した上で、整備候補地の検討を行う必要があると考えております。  また、これらの議論を行うに当たりましては、様々な方々の御意見を伺うなど透明性を確保しながら、検討を進めてまいりたいと考えているところでございます。  このため、今後、屋内スポーツ競技関係者や学識経験者等で構成します、仮称でございますが、総合体育館基本構想検討委員会を新たに設置するとともに、同委員会における今後の検討に資するため、スポーツ利用を中心として、その他コンサートなどの多目的利用についての全体的な需要予測調査を行うこととし、これらに要する経費を今回の補正予算に計上しているところでございます。  大規模スポーツ施設の在り方検討委員会におきましては、平成三十年二月に、新たな総合体育館には、本県のスポーツ振興の拠点としての機能に加え、多目的利用による交流拠点としての機能があることが望ましい、などとする提言が取りまとめられたところでございます。  新たに設置する検討委員会におきましては、この提言をベースとしまして、これまでの検討経過や県議会における御論議なども踏まえ、まずは、具体的な施設の機能や規模・構成等の検討を行い、その上で、整備候補地などについて検討を行っていただきたいと考えております。  県としましては、同委員会における検討状況を節目節目で県議会にも御説明し、御論議いただき、その上で、最終的な基本構想を策定したいと考えております。  続きまして、奄美・離島の振興についてでございます。  私は、本県の持つ大きな特色は、南北六百キロメートルに連なる多くの離島の存在であり、各島の特色ある独特の自然、文化、伝統、多様なコミュニティーなど、多様性を有する離島はまさに鹿児島の宝であると考えております。私自身、幼少期に徳之島で生活した経験から、ほかでは味わえない離島暮らしの魅力を体感したところでございます。  一方で、外海離島が多く、台風常襲地帯であるという厳しい自然条件の下、医療、物価、物流など多くの面で依然として本土との格差は大きく、人口減少や高齢化といった課題もあると認識しております。  このため、私は、離島の多様で豊富な物的・経済的資源を活用するとともに、生活環境、交通基盤、産業基盤などの社会資本の整備とさらなる産業振興を図ってまいりたいと思っております。  また、航路・航空路の運賃軽減や輸送コスト支援、ICT技術を活用した遠隔診療や教育の充実、蓄電池を活用した地産地消型再生可能エネルギーの推進、LCCによる路線の新設、奄美の世界自然遺産登録の実現、貴重な動植物の保全など、条件不利性の改善に取り組むとともに、定住促進や観光振興などを図ってまいりたいと考えております。  続きまして、馬毛島における自衛隊施設の整備についてでございます。  先月来訪されました山本防衛副大臣からは、我が国を取り巻く安全保障環境、馬毛島における施設のイメージ、周辺環境への影響などについて説明があったところでございます。  このほか、土地の取得状況について、既に登記を完了した土地と今後確実に取得できる見込みの土地を合わせると、島全体の面積の九九%に達しており、残りの土地の取得に努めていることなどについても説明があったところでございます。  説明の内容は大まかなものであり、自衛隊施設を整備する安全保障上の必要性や訓練の内容、周辺地域に与える影響などについて十分ではなかったと受け止めており、今後、より具体的な話をお伺いしたいと考えております。  防衛・安全保障政策は国の専管事項ではありますが、我が国を取り巻く安全保障環境が一段と厳しさを増す中、国民の生命・財産や領土・領海等を守るために重要であると考えております。  一方で、国が安全保障上の施策を進めるに当たり、地域住民の間に不安や懸念が生じることがないよう、国は十分な説明責任を果たす必要があると考えております。  馬毛島につきましては、西之表市長に、今後地元の意見を聞くことなどをお伝えするとともに、国に対しては、県への改めての説明と、地元への丁寧で正確な情報提供を申し入れたところでございます。  今後、国の安全保障に係る方針や訓練内容等を聞くとともに、地元の意見を聞いた上で、県としての考え方を整理し、対応を検討していきたいと考えております。  続きまして、鹿児島港本港区エリアまちづくりにおけるグランドデザインの取扱い、今後の具体的な進め方及び鹿児島市との連携に向けた取組についてでございます。  本港区エリアまちづくりのグランドデザインにつきましては、県議会での御論議をはじめ、有識者や経済界等から成る検討委員会の御意見やパブリックコメント等を踏まえ、策定したものでございます。  グランドデザインにおきましては、検討すべき導入機能として、イベント、コンベンションなどの交流機能、特産品販売等に対応できるスペース等が含まれており、こうした内容は私の考えと一致するところもあると考えております。  今後改めて、コンベンション・展示機能を備える施設の整備など、本港区エリアまちづくりの方向性を検討するに当たりましては、グランドデザインの開発コンセプトにある、かごしまの多彩な魅力を発信する人・モノ・情報の交流拠点、かごしまの魅力を体感できるエンターテインメント空間、錦江湾や桜島等の景観資源を生かした魅力ある空間の三つの要素も踏まえて検討していくことになると考えております。  今後の具体的な進め方につきましては、県民の皆様をはじめ、鹿児島市や経済界、商店街の皆様の御意見等を伺いながら、公募要項の見直しなどについて検討したいと考えておりますが、新型コロナウイルス感染症の経済的な影響等があることから、しばらく様子を見た上で検討してまいりたいと考えております。  鹿児島市との連携につきましては、これまでも継続的に協議や意見交換を行ってきており、今後も引き続き緊密な連携を図ってまいりたいと考えております。  続きまして、鹿児島港本港区エリアにおけるサッカー等スタジアムの整備についてでございます。  鹿児島市が検討しておりますサッカー等スタジアムの整備については、同市が設置した検討協議会において、ドルフィンポート跡地及び住吉町十五番街区を含む三つの候補地が示されているところでございます。  サッカー等スタジアムについては、私としましては、中心市街地との回遊性の確保等の観点から、鹿児島市内中心部に整備してはどうかという考えを持っておりますが、まずは鹿児島市の御意向が大事だと考えております。  同市の考えを伺いながら、今後も緊密に連携し、対応を検討してまいりたいと考えております。  続きまして、交通インフラの充実・強化についてでございます。  本県は、南北六百キロメートルに及ぶ広大な県土に半島や多くの離島を有しており、多様な地域、コミュニティーが存在するとともに、世界の成長センターとなっているアジア諸国に近いという地理的特性も有しております。  この地理的特性を生かして、近隣諸国とつながりを強め、県内の個性豊かで多様な地域との貿易・投資交流、人的交流を促進することにより、本県は九州の南の玄関口として発展することが可能ではないかと考えております。  このためには、交通ネットワークの形成を図ることが重要であり、本県としては、アジアをはじめとした海外との人流・物流の拠点となる鹿児島空港や鹿児島港、志布志港などの機能強化や、県内各地の地域社会を支え、経済の活性化や観光振興に寄与する空港や港湾、道路の整備などが必要であると考えております。  また、地域公共交通の維持・拡充を図る観点から、離島航路・航空路やバス交通の運行経費等に対する支援、さらには、肥薩おれんじ鉄道の安定的な運行を確保するための支援などの取組も引き続き必要であると考えております。  本県の地域資源を生かした産業や観光の振興、地域の活性化を図るため、県議会をはじめ、県民の皆様の御理解と御協力を得ながら、もっと豊かで元気な鹿児島となるよう、陸海空の交通ネットワークの充実・強化に努めてまいりたいと考えております。 28 ◯企画部長(藤本徳昭君)新たな総合体育館に関する市町村との連携強化に向けた取組についてであります。  新たに設置する、仮称ではありますが、総合体育館基本構想検討委員会において、大規模スポーツ施設の在り方検討委員会の提言をベースとし、まずは、具体的な施設の機能や規模・構成等の検討を行い、その上で、整備候補地などについて検討を行っていただき、県議会における御論議等を踏まえ、整備予定地を決定したいと考えております。  新たな総合体育館の整備に当たっては、まちづくりを所管する市町村との連携が重要であると考えていることから、都市計画法等との関連も含め、緊密に連携を図ってまいりたいと考えております。  サッカー等スタジアムの整備に関する鹿児島市との協議・検討状況についてであります。  本年一月の県市意見交換会において、今後さらに円滑な連携を図るため、県と市の事務レベルでの意見交換の場を設け、オール鹿児島で実現に向けて取り組んでいくことを確認したところであり、現在、意見交換の場の設置に向けて協議を行っているところであります。  県としましては、この意見交換の場において、これまでサッカー等スタジアムの整備に主体的に取り組まれてきた鹿児島市の考えをお聞きしながら、対応してまいりたいと考えております。 29 ◯PR・観光戦略部長(木場信人君)コンベンション機能や展示機能を備える施設の整備についてであります。  コンベンションや展示会などの開催は、ビジネス機会の創出や都市の競争力・ブランド力向上に寄与し、経済波及効果も大きいと言われており、我が国においては、それらの開催規模が増加・拡大する傾向にあります。  本県でも、公益財団法人鹿児島観光コンベンション協会などが誘致に取り組んでいますが、県内施設の収容能力などに課題があります。  本県は、豊かな自然、歴史、食など多様な資源を有しており、受入れ体制が整えば、より多くのコンベンション等の誘致が可能となり、観光を含め、広く本県の振興につながるものと考えています。  一方で、新型コロナウイルスの影響により、コンベンション等については、バーチャルやリモート開催へのシフトも予想され、地域間の誘致競争も激化しております。  これらの状況を踏まえ、県民の皆様や経済界等から幅広く御意見をお聞きしながら、本県に必要なコンベンション機能や展示機能について検討してまいります。 30 ◯本港区まちづくり総括監(前田洋一君)鹿児島港本港区エリアまちづくりに関しまして、ドルフィンポート跡地の暫定的な利活用についてでございます。  ドルフィンポート跡地については、イベントスペースや駐車場、ツアーバス等の乗降場などとして暫定的な利活用を図ることとしております。  七月から、簡易な舗装や給排水設備などの工事を進めてきておりまして、まずは、来月二日からイベントスペースの利用を開始することとしたところでございます。  また、駐車場、ツアーバス等の乗降場などのスペースは、現在、配置や利用形態等について検討しており、準備が整い次第、利用を開始することとしております。  ドルフィンポート跡地の暫定的な利活用につきましては、民間団体や地元経済界等と連携しながら取り組みたいと考えており、県民の安心・安全と経済・社会活動の両立を図るためにも、感染防止対策を徹底しながら、多くの方々に御利用いただきたいと期待しております。 31 ◯大久保博文君 それでは、再質問させていただきます。  知事答弁におきまして、先ほど、交通インフラの充実・強化について、海外とつながる、そして県内のネットワークを充実させるという答弁がございました。  県内の交通インフラの整備に当たりましては、当然、国内のほかの地域との連結という観点も必要かと思いますが、そういった部分について意識されているのかについて、再質問したいと思います。 32 ◯知事(塩田康一君)国内のほかの地域との連結の観点でございますが、当然、観光あるいは地域の振興ということでいえば、九州内あるいは国内、首都圏あるいは関西圏ともしっかりとつながったネットワークを確保していくことは当然必要なことだと考えております。    [大久保博文君登壇] 33 ◯大久保博文君 それぞれ御答弁頂きました。  新たな総合体育館の整備については、平成二十三年の伊藤県政における総合体育館等基本構想以来、まさに二転三転、紆余曲折を経て現在に至っております。スポーツ団体関係者からは、知事が替わるたびに振り出しに戻るとの落胆の声も上がっております。  これまでの経緯からは、唐突とも言える県の進め方が背景にあったものと考えております。今後、新たな検討委員会を設置して検討を進めるに当たっては、屋上屋を重ねることなく、県議会や自治体、関係団体等の意見も踏まえ、開かれた議論を経て、最大限、県民の理解が得られるような取組を強く要請しておきます。  奄美・離島の振興については、歴代の知事におかれても、県政の重点施策として最大限の取組を進めてきたところであり、引き続き、地域特性を生かした持続可能な自立的発展に向けた振興開発が図られるよう、さらなる取組に努めていただくよう強く要望いたします。  馬毛島における自衛隊施設の整備については、国において、まずは国の防衛政策上の考え方、整備計画、運用方針、地域への影響等について、県及び地元に対し詳細な説明を尽くすよう要請すべきであると考えます。  鹿児島港本港区エリアまちづくりについては、これまで我が会派が一貫して指摘してきたとおり、県都鹿児島市のまちづくりや中心市街地との連携等の諸課題の検討が極めて重要であり、サッカー等スタジアムも含めて、鹿児島市や関係団体との連携はもとより、県民に親しまれるエリアとして、幅広い意見を反映させていく取組を強く要望するところであります。  交通インフラの充実・強化は、言うまでもなく県勢の発展につながる重要施策であります。高速交通ネットワークの形成に向けた高規格幹線道路のミッシングリンクの早期解消、地域高規格道路の一層の事業促進、空港・港湾の整備充実に加え、地域交通の維持存続など、引き続き、さらなる積極的な取組を強く要望いたします。  次に、教育関係についてであります。  新型コロナウイルス感染症により影響を受けた学校及び県教育委員会の対応について伺います。
     本県の県立学校においては、文部科学省が二月二十八日に全国の学校の設置者に、三月二日から春季休業の開始日までの間、臨時休業を行うよう要請を行ったことを受け、三月二日から二十五日までの間、臨時休業が行われました。  その後、ほとんどの学校で四月六日から新学期が始まりましたが、四月十六日に本県も緊急事態宣言の対象地域とされたことから、四月二十二日から五月十日までの間、臨時休業が行われました。  臨時休業による学習の遅れについては、前回の定例会において我が会派の代表質問に対し、教育長から、小学校で平均十七時間程度、中学校で平均二十時間程度、高校で平均四十二時間程度の授業時数が追加で必要であることが明らかにされました。  その後、七月に鹿児島市の接待を伴う飲食店で発生した本県初のクラスターにより、感染者が発生した学校においては数日間の臨時休業が行われました。  全国では、北九州市において五月末から六月にかけて初めて小学校におけるクラスターが発生し、八月には島根県の高校のサッカー部でクラスターが発生しましたが、今後、本県でも同様の事態が発生することは十分考えられます。  国内外の感染状況を見据えますと、新型コロナウイルス感染症については、長期的な対応を求められることが見込まれる状況です。感染は一旦収束しても再度感染者が増加する事態が十分想定され、新型コロナウイルス感染症と共に生きていく社会をつくることが求められています。  学校においても、感染リスクはゼロにならないということを受け入れつつ、感染レベルを可能な限り低減させながら学校教育活動を継続し、最大限子供たちの学びを保障することが重要です。  国からは、新型コロナウイルス感染症に対応した持続的な学校運営のためのガイドラインや、学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアルにおいて、学校運営の指針や学校の衛生管理に関する具体的な事項が示されていますが、判断は各学校に委ねられている部分も多いため、難しいかじ取りを迫られており、対策にばらつきが見られるとの報道がなされています。  一方、感染予防対策による教員の業務負担の増加も懸念されています。  そこで伺います。  第一点は、学校における感染防止に向けた取組状況や学校行事・部活動への対応についてお示しください。  第二点は、学校でクラスターが発生した場合の対応や、再度の休業に備えた県教委の取組についてお示しください。  第三点は、学習の遅れを取り戻すための取組と高校入試や大学入試に向けた対応についてお示しください。  次に、マニフェストに掲げている鹿児島が誇れる人づくりについて伺います。  知事は、マニフェストの中で掲げている鹿児島を変える八本の柱のうちの一つ、鹿児島が誇れる人づくりの中で、郷土教育の充実を挙げており、鹿児島で生まれ育った若者が、鹿児島に住み、働きたいと思えるように、鹿児島の歴史や伝統、文化、地域の特性などを理解し、ふるさとに誇りを持てる郷土教育の充実を図る、としています。  本県は、平成三十一年二月に策定された鹿児島県教育振興基本計画の中で、今後五年間に取り組む施策の一つとして、郷土教育の推進を掲げており、郷土芸能などの体験活動や先人の生き方などを学ぶ活動の充実による鹿児島の魅力を語れる人材の育成、地域行事への参加や歴史民俗資料館などの利用による郷土教育の推進、貴重な鹿児島の伝統文化を継承する取組の推進などを行うとしています。  また、知事は、マニフェストの中で、県立楠隼中・高校を共学化するとともに、全寮制を廃止することを掲げていますが、県立楠隼中・高校については、平成二十三年度に設置された大隅地域の公立高校の在り方検討委員会において、今後の地区内の生徒減少を考慮すると、一定の生徒数を確保することが難しいと予想されるので、六年間の計画的・組織的な教育が行える併設型中高一貫教育を導入し、中学校段階から県内外の生徒を集めて、魅力ある高校づくりに取り組むべきであるとの検討結果が出されたことを受け、当時の高山高校の場所に全国初となる公立の全寮制男子校の併設型中高一貫教育校として、平成二十七年四月に開校したところです。  楠隼中高一貫教育校は、コンセプトに、一、豊かな人間性、二、創造的知性、三、リーダーの育成を掲げ、JAXAとの連携によるシリーズ宇宙学や、第一線で活躍する方々を講師に招くトップリーダー教室など、特色ある教育活動を行っています。  また、言葉を筋道立てて書き、話すことのできる能力の育成を目指す、ことば探究は、実践的な表現力や思考力を伸ばしていく同校独自の取組です。  一方、これまで県議会においても度々取り上げられていますが、県立校でありながら、全寮制の男子校であることや志願者数が年々減少しており、高校の入学者については開校以来定員数を下回っていることなど、様々な議論がなされています。  今後の検討に当たっては、同校設立の経緯を十分勘案し、現在の様々な特色ある教育の質を担保しつつ、どのように共学化や全寮制の廃止に取り組むのかについて、在校生や保護者、地元の意向等も踏まえた上での慎重な対応が必要です。  そこで伺います。  第一点は、郷土教育の充実について、知事の具体的な考えをお示しください。  第二点は、県立楠隼中・高校の共学化と全寮制の廃止について、知事の基本的な考え方と今後の進め方についてお示しください。  次に、警察関係であります。  犯罪被害者等支援の状況について伺います。  我が国の犯罪被害者等支援については、昭和五十五年に犯罪被害者等給付金支給法が制定され、国が、故意の犯罪行為により不慮の死を遂げた方の遺族や身体に重い障害が残った方に対し、給付金を支給する犯罪被害給付制度が発足したことにより、犯罪被害者等への経済的援助が始まりました。  平成十六年十二月には、犯罪被害者等の権利利益の保護を図ることを目的に犯罪被害者等基本法が成立し、平成十七年四月に施行されました。この法律では、犯罪被害者等に関する基本理念を定めており、政府においては、この法律に基づき、平成十七年十二月に犯罪被害者等基本計画を閣議決定しました。計画の中では、犯罪被害者等に対して講じていく具体的な施策が盛り込まれました。  平成二十三年三月には、第二次犯罪被害者等基本計画が閣議決定され、警察庁では被害者対策要綱を見直し、警察において特に講ずべき具体的な施策等を示した犯罪被害者支援要綱を制定しました。  平成二十八年四月には、第三次犯罪被害者等基本計画が閣議決定され、被害が潜在化しやすい犯罪被害者等に対する適切な支援の充実を図る取組や、犯罪被害給付制度に関する検討などが盛り込まれました。  本県においては、平成十九年十一月に犯罪被害者等支援総合窓口を設置し、相談内容に応じた適切な個別相談窓口や県の実施する施策の案内等を行っています。  また、県警においては、警察庁犯罪被害者支援基本計画を受け、犯罪被害者支援施策を計画的に推進するため、平成二十八年度から令和二年度末までを計画期間とする、鹿児島県警察犯罪被害者支援基本計画を策定し、犯罪被害者支援に取り組んでおられるものと承知しています。  そこで伺います。  第一点は、鹿児島県警察犯罪被害者支援基本計画に基づき、県警察が取り組んでいる犯罪被害者支援についてお示しください。  第二点は、本県における令和元年度の犯罪被害者等給付金の支給状況についてお示しください。  第三点は、本県における指定被害者支援要員制度の運用状況についてお示しください。  認知症やその疑いによる行方不明者の現状と対策について伺います。  高齢化社会の進行により認知症による行方不明者の増加が続いています。令和元年中に認知症やその疑いで行方不明となり警察に届出があったのは、前年より五百五十二人増の一万七千四百七十九人だったことが警察庁の集計で分かりました。  認知症以外も含めた令和元年に届出のあった行方不明者総数は前年比一%減の八万六千九百三十三人で、過去十年間ほぼ横ばいの八万人台で推移していますが、そのうち、認知症による行方不明者は年々増加し、平成二十四年の統計開始から毎年過去最多を更新しており、七年で一・八二倍になりました。  本県の認知症やその疑いによる行方不明者は、前年比五十六人増の百五十四人でした。  警察庁によりますと、平成三十年以前の届出分を含め、令和元年中に所在が確認された認知症による行方不明者は一万六千七百七十五人でした。自宅周辺で不明になるケースが多く、警察や家族による捜索で七割が受理当日に所在が確認され、一週間以内に九九%が見つかりました。一方、四百六十人は不明中に事故に遭うなどで死亡した状態での発見でした。  認知症による行方不明者については、事件や事故等に遭遇する可能性が高く、発見の遅れが命の危険にもつながることから、早期発見・保護に努めることが重要であると言われています。全国では、事前に認知症の人の顔写真や手のひらの静脈の形を家族の同意を得て登録し、データベース化する取組も進んでいます。  厚生労働省の推計では、令和七年には高齢者の五人に一人が認知症になるとされています。高齡化が進む本県においても、認知症の人やその家族が安心して暮らすための地域住民による見守り体制づくりや各関係機関との行方不明者の捜索活動に関する連携など、対策の強化が急務です。  そこで伺います。  第一点は、本県における認知症やその疑いによる行方不明者届出数について、統計が開始された平成二十四年からの推移及び県警における認知症やその疑いによる行方不明者の早期発見・保護に向けた取組状況についてお示しください。  第二点は、本県における認知症の行方不明者対策についてお示しください。    [知事塩田康一君登壇] 34 ◯知事(塩田康一君)お答え申し上げます。  郷土教育の充実についてでございます。  本県には、豊かな自然、日本の近代化をリードした歴史、地域に根差した個性あふれる文化、全国に誇れる農林水産業等の産業があります。私は、こうした鹿児島の良さを実感しており、鹿児島で生まれ育った若者が鹿児島に住み、働きたいと思えるようにするため、子供たちが鹿児島の歴史や伝統、文化、地域の特性などを理解し、ふるさとに誇りを持つことができるよう、郷土教育の充実を図ることが必要であると考えております。  また、郷土に愛着を持つ子供たちは、将来的に出身地へのUターンを希望する割合が高い傾向にあるとの調査結果もあるところでございます。  私は、地域の人材育成の充実なくして鹿児島県の発展はないと考えており、地域外に進学・就職する人も含め、将来鹿児島に住んで、鹿児島の発展を支えようとする人材を育成していくことが重要であると考えております。  こうしたことから、学校や地域における郷土の歴史・文化・産業を学ぶ活動や、大自然をフィールドとした体験活動、地域の食材を使った商品開発をはじめとする地域課題の解決を目指した取組、農業や観光業など地域を支える職場におけるインターンシップなどの充実を図ることにより、郷土に誇りを持ち、未来の鹿児島を担う人材の育成に努めたいと考えております。  次に、楠隼校の共学化と全寮制の廃止についてでございます。  楠隼校は、大隅地域の振興を図る上で、六年間の計画的・継続的な教育が行える併設型中高一貫教育を導入し、中学校の段階から県内外の生徒を集めて、魅力ある高校づくりに取り組むべきであるとの提言を踏まえ、グローバルな人材育成を目指す学校として、平成二十七年四月に開校したところでございます。  このような考え方に基づき、楠隼校では、現在、特色ある教育活動として、トップリーダー教室やシリーズ宇宙学、農業漁業民泊体験などが行われているところであり、引き続き、このような教育活動をベースとした上で、女子生徒や入寮しない生徒たちも、こうした教育を受けられるようにすることがよいのではないか、と考えているところでございます。  楠隼校の共学化と全寮制の廃止につきましては、男子校や全寮制であることを理由に入学した生徒もいらっしゃることから、生徒や保護者も含め、周辺市町などの関係者の御意見も伺った上で、施設の改修やそれに係る財源の確保などを考慮しつつ、今後の進め方やスケジュールなどを検討してまいりたいと考えております。 35 ◯教育長(東條広光君)初めに、学校における新型コロナウイルスへの感染防止に向けた取組状況等についてであります。  児童生徒等の教育を受ける権利を持続的に保障していくため、教育活動は、新型コロナウイルスの感染とその拡大のリスクを可能な限り低減した上で継続していくことが求められておりまして、学校においては、基本的な感染防止対策を継続しながら、学習内容や活動内容に応じて対策を講じております。  例えば、全校朝礼は放送を通じて行ったり、給食は、児童生徒間の距離が十分に取れない場合は全員が同じ向きに座って食べるようにしております。  また、運動会では、競技者等が接触・密集する種目はなるべく行わず、やむを得ないものについては少人数や短時間で行うほか、規模の大きな学校では保護者など参観者の人数を絞って実施しております。  運動部活動では、幾つもの部が一つの体育館を共用している学校では、各部間で利用時間を調整し、体育館を使えない時間帯はそれぞれ屋外での練習を行っている例があります。また、剣道部の対人稽古では、全国団体の指導により、当面、マスクとシールドをつけた上で小まめに休憩を取りながら練習を行っております。  修学旅行については、専門家の分析・提言を踏まえて作成された手引等を参考に感染症対策を行うこととし、例えば、食事はバイキング方式等は避け、各人ごとの提供を基本としております。  なお、修学旅行について、県教委では、県議会観光産業議員連盟等からの提言、児童生徒の県境を越えての旅行を不安視する声、全国の感染状況等を踏まえ、市町村教育委員会等に対して、旅行先の変更を検討する場合は県内も検討の対象とするよう呼びかけており、これまでに、県立学校十一校、小・中学校百五十一校が旅行先を県内に変更しているところであります。  次は、学校におけるクラスター発生時の対応等についてであります。  学校で児童生徒や教職員の感染が確認された場合、学校の設置者は、保健所による濃厚接触者の範囲の特定や検査に必要な日数・範囲で臨時休業を実施し、保健所等と連携して校内の消毒を行うことになります。  保健所による調査において、学校内で感染が広がっている可能性が高いと判断された場合、いわゆるクラスターの場合でございますが、厚生労働省クラスター対策班の助言を受けまして、感染状況に応じて、学級、学年あるいは学校全体の臨時休業を行うことになります。  また、今後、感染が拡大し、長期にわたり休業を行う必要が生じた場合については、学校は学習課題を課して家庭学習を行わせ、家庭訪問、電話等を通じて、児童生徒の学習や心身の健康状態を把握することになりますが、県教委では、家庭におけるオンライン学習が可能となるよう、各市町村教育委員会と連携して、タブレット端末や家庭用のWi─Fiモバイルルーターの整備を進めるとともに、オンラインによる学習支援に関する教員研修の実施や動画教材の作成を進めているところであります。  次は、学習の遅れへの対応と高校・大学入試に向けた対応についてであります。  今年三月と四月下旬から五月上旬にかけての臨時休業によりまして、御紹介ありましたように、県内では六月時点で、小学校で平均十七時間程度、中学校で平均二十時間程度、県立高校で四十二時間程度の授業時数が追加で必要となっていたところであります。  学校の再開後、各学校では、時間割編成の工夫、学校行事の精選により授業時数を確保し、また、多くの学校で夏休みを短縮して授業を行ったところであります。  こうした取組により、二学期の開始時点で、小・中学校では全体の九七%、県立高校では全ての学校で臨時休業による学習の遅れを取り戻すことができたとしております。また、現時点で学習の遅れを取り戻すことができていない学校については、二学期以降、学校行事の精選等により授業時数を確保するとしております。  県教委としては、こうした学習の進捗状況を踏まえまして、来年度入学者の公立高校の入試については、日程や出題範囲の変更はしないこととし、また、万が一、新型コロナウイルス感染症に感染し、または感染が疑われたことにより学力検査等を受検できなかった者に対しては、追加の選抜を実施することとしています。  次に、来年度入学者の大学入試についてでありますが、大学入学共通テストは、当初予定されていた日程に加え、学習の遅れに対応するため別日程が設けられるほか、個別の大学入試についても、追試験を実施したり、出題内容に配慮したりする等の対応が予定されているところであります。  県教委としては、引き続き、国や各大学の動向を注視しながら、高校生が安心して受験に臨むことができるよう、各高校に対し必要な情報を提供してまいりたいと考えております。 36 ◯警察本部長(鈴木敏夫君)県警察が取り組んでいる犯罪被害者支援についてであります。  県警察では、犯罪被害者支援を運営重点の一つに掲げ、犯罪被害者等の視点に立った支援に取り組んでおります。具体的には、指定された警察職員による病院への付添いや相談事への対応、捜査経過等に関する情報の提供などの支援活動を行っております。  また、公費による性犯罪被害者の診察、緊急の場合に使用する宿泊施設の確保、犯罪被害者給付金の支給のほか、臨床心理士によるカウンセリングなどを実施しております。  県警察では、今後とも関係機関・団体と連携し、被害者支援を適切に推進してまいりたいと考えております。  次に、令和元年度犯罪被害者等給付金の支給状況についてであります。  令和元年度の本県における支給件数は、遺族給付金の支給一件、重傷病給付金の支給二件、障害給付金の支給二件の合計五件であり、支給総額は約千八百四十万円であります。  次に、指定被害者支援要員制度の運用状況についてであります。  県警察では、殺人、性犯罪等の事件が発生した場合、指定された警察官等が指定被害者支援要員として、犯罪被害者等に支援を行っております。令和元年中は、事情聴取への付添い、刑事手続等についての説明、公益社団法人かごしま犯罪被害者支援センターへの紹介など、二百五十三件の支援を行ったところであります。  次に、認知症やその疑いによる行方不明者届出数の推移及び早期発見・保護に向けた取組状況についてであります。  県内で受理した認知症またはその疑いのある行方不明者の届出数は、平成二十四年が八十一人、平成二十五年が六十五人、平成二十六年が百十二人、平成二十七年が百三十四人、平成二十八年が百五十三人、平成二十九年が百四十七人、平成三十年が九十八人、令和元年は過去最多となる百五十四人となっております。また、暫定値でありますが、本年は八月末現在六十七人であり、前年同期と比べ三十六人減少しております。  県警察では、早期発見・保護の観点から、認知症の特性等に関する研修を行っており、届出を受理した場合には、行方不明者の特徴等を詳細に聴取し、迅速な広域手配、警察犬による捜索等の発見活動を行っております。  さらに、届出人の意向により、広く県民に公表し、発見を求める場合には、自治体、郵便局、コンビニ、タクシー等、県内四千五百以上の関係機関、事業所等で構築している、はいかい老人SOSネットワークや県警あんしんメール、一部の警察署管内で構築している配信メールによる手配を行うなど、状況に即した取組を行っております。  また、高齢者の多い地域を管轄する警察署では、自治体と連携した徘回老人捜索訓練や、高齢者等の衣服などに警察署等の連絡先が表示されるQRシールを貼付する取組への参加を行っているところであります。 37 ◯子育て・高齢者支援総括監(吉見昭文君)本県における認知症の行方不明者対策についてでございます。  認知症の方が行方不明とならないようにするためには、地域住民が認知症を正しく理解し、地域社会全体で見守っていくことが必要であります。  県におきましては、認知症を理解し一緒に歩む県民週間を設定いたしますとともに、認知症サポーターの養成を促進し、認知症の正しい理解の普及に努めているところです。あわせまして、県及び県民生委員児童委員協議会と新聞販売所との協定に基づく見守りの仕組みづくりなどに努めるとともに、高齢者の見守り活動等の互助活動に対して支援を行っているところであります。  また、市町村によりましては、高齢者へのGPS機器等の貸与や、認知症の方を想定した徘回模擬訓練のほか、事業者等との見守り協定の締結を行うなど、地域の実情に応じて取り組んでいるところであります。  今後とも、市町村等と連携し、認知症の方を地域全体で見守る体制の整備を促進してまいります。 38 ◯大久保博文君 楠隼中・高校の共学化と全寮制の廃止について、知事の基本的な考え方について再質問いたします。  私も楠隼校、自宅が近いものですから、いろんな行事等々案内をこれまでも頂きまして、設立以来、昨年まで何回かお邪魔して生徒の様子を間近で見ることができました。  例えば、トップリーダー教室などでは有名な大学の先生が地震についての研究の話をされました。子供たちは本当に生き生きと目を輝かせて、先生の研究室で地質学の勉強をしたいという、本当に学問的な、真面目な刺激を受けた子供たちがいっぱいいたことが印象に残っております。  また、運動会の入場行進のときに突発的な事故でスピーカーから音が出なくなって、入場行進がどうなるかと、はらはらして見ていましたら、そのまま入場行進は行われ、その入場行進を盛り立てるために、テントにいた吹奏楽部の一部の子供たちが誰にも指示されることなく自発的に打楽器でリズムを奏でて、シンプルなすばらしい入場行進をしたと。創造的知性、豊かな人間性、本当に実現している学校ではないかと、地元にいながら、私はこれまでの取組を高く評価しているところでございます。また、学業的な面においても、難関大学への合格などの実績も出しているところでございます。  知事の先ほどの答弁を伺いまして、私は、これまでの楠隼校の取組を評価して、その取組を生かして、さらにこの学校を発展させるという思いの中で、今回の考えを申されていると受け止めたところですが、その部分について再確認したいと思います。お願いします。 39 ◯知事(塩田康一君)議員のおっしゃるように、楠隼での取組は、私、開校前から山崎巧校長とも意見交換しながら、実際に楠隼にお伺いし、現場も見てまいりました。大変すばらしい教育をしているということですので、できるだけ多くの方にも機会を与えるような形で発展させていきたいという思いでございます。 40 ◯大久保博文君 最後にもう一点、楠隼校の取組の中で、ことば探求というものがございます。文部科学省が長年にわたって日本の児童生徒の読解力の低下に向き合っている状況がございます。それを是正するために、いろんな学習指導要領、改革の取組がなされていますが、なかなか成果を出すに至っていない状況だと私は認識しております。
     そういった中で、この学校のことば探求は論理力を構成するために、リサーチ力、コミュニケーション力、プレゼン力、この三つを三年間にわたって育て上げて、これをトータルした、成果を生かす取組も行っておりまして、本当は県立の全学校において活用されるべきものではないかと評価しているところでございます。こういった部分についても、知事におかれては、その成果も生かしながらこの学校を盛り立てていただきたいと思いますが、お考えをお聞かせください。 41 ◯知事(塩田康一君)うちの自分の子供を見ていましても、最近の子供たちは、なかなか読書をしないという中で、他人とのコミュニケーション能力あるいは言葉を使う能力、あるいは役所におきましても、文章を書く能力あるいはプレゼンをする能力が非常に求められている時代の中で、読書の効果が薄れているという危惧は共有いたしますので、国語教育、あるいは今おっしゃったような取組をしっかりと取り組んでいくことは大事なことだと思っております。 42 ◯大久保博文君 再質問は以上です。 43 ◯議長(外薗勝蔵君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後二時五十分といたします。        午後二時三十五分休憩       ────────────        午後二時 五十分再開 44 ◯議長(外薗勝蔵君)再開いたします。    [大久保博文君登壇] 45 ◯大久保博文君 それぞれ御答弁頂きました。  新型コロナウイルス感染症に係る学校及び県教委の対応についてでありますが、学校現場においては、感染予防対策と学校教育活動の継続、学習の遅れへの対応など様々な困難があるものと考えております。現場の実情を十分に踏まえ、科学的知見を活用して、必要な対応と緩和できるものとを明確に示しつつ、教職員の負担軽減にも努めていただくよう要望いたします。  マニフェストに掲げる鹿児島が誇れる人づくりについてでありますが、郷土教育の充実については私どもも全く同様の思いであり、さらなる取組を要望いたします。  楠隼中高一貫校については、先ほど申し上げたとおり、同校設立の経緯を十分勘案しつつ、在校生や保護者、地元の意向等も踏まえた上での慎重な対応を要望いたします。  犯罪被害者等支援については、県民の理解促進と関係機関・団体との連携による被害者支援の充実に努めていただくとともに、認知症等による行方不明者は今後とも増加することが想定されることから、県警及び関係機関が連携し、地域における見守り・支え合いの体制づくりに努めていただくよう要望いたします。  次に、環境林務関係についてであります。  気候変動問題やプラスチックごみ対策について伺います。  現代の私たちの生活や経済活動は安定的で豊かな環境の基盤の上に成り立っています。しかしながら、人間活動の増大は地球環境へ大きな負荷をかけており、気候変動問題や海洋プラスチックごみ問題など様々な形で地球環境の危機をもたらしています。  気候変動問題については、生活、社会、経済や自然環境において、その影響が顕在化しており、県内においても、高温による米の品質低下や海水温の上昇によるサンゴの白化など、その影響と考えられる事象が幾つか見られるところであります。  これらの気候変動の影響に対処するため、これまでの温室効果ガスの排出抑制に加え、現に現れている影響に対して適応していくことも重要になってきています。  このような中、県においては先般、気候変動法に基づき、地域気候変動適応センターを県環境保健センター内に設置し、地域における気候変動影響や適応に関する情報の収集・提供などを行う体制を確保したところであります。  また、海洋プラスチックごみ問題についても、プラスチックは利便性が高く、幅広い用途で使用される一方で、不適正な管理等により海洋に流失したプラスチックごみが、景観への悪影響やマイクロプラスチックによる生態系に影響を及ぼす事態が生じています。  海洋プラスチックごみ問題の課題に対応するため、本年七月から、プラスチック製買物袋、いわゆるレジ袋の有料化がスタートしました。プラスチック資源をより有効に活用するため、国においては昨年五月、プラスチック資源循環戦略を制定し、重点戦略の一つとしてリデュース─排出抑制─の徹底を位置づけており、レジ袋の有料化は、マイバッグの持参など消費者のライフスタイルの変革を促すための取組の第一歩とされています。  一方で、レジ袋はプラスチックごみ量の二%にすぎないと指摘されているほか、外食業界においては、今回の有料化の対象外とされた海洋生分解性プラスチック配合率一〇〇%の袋や、バイオマス素材の配合率が二五%以上の袋などを使用して無料配布を続ける企業も多いと報じられています。また、国連環境計画においては、生分解性プラスチックやバイオマスプラスチックといった代替品は地球温暖化などの面で弊害が大きく、環境負荷の軽減効果が低いと懸念する報告書をまとめるなど、今後の取組に課題も見えているところであります。  このような中、報道によりますと、県内企業においては、県の補助金を活用し、本県産竹を一〇〇%使用した竹紙のストローを国内で初めて開発するなど、地域の特性を生かした脱プラスチックへの取組も進んでいます。  また、政府においても先般、新たにプラスチック資源の分別区分を新設し、資源ごみとして回収するよう全国の市区町村に要請する方針を固めたところであります。  今回のレジ袋有料化を環境への意識を高める契機とし、プラスチック全体についてさらなる使用の削減、分別回収、循環利用等を図り、関係機関が連携してプラスチックごみ対策に取り組んでいく必要があると考えます。  そこで伺います。  第一点は、先般、県が設置した地域気候変動適応センターにおいては、得られる成果を県政の各分野で活用できるよう、どのような取組を進めていくのかお示しください。  第二点は、本県におけるレジ袋有料化の現状とレジ袋有料化の意義・効果について、県の見解をお示しください。  第三点は、プラスチックごみ削減に向けた現在の取組状況と今後の取組についてお示しください。  次に、森林経営管理制度について伺います。  昨年四月に森林経営管理法が施行され、林業成長産業化と森林資源の適切な管理の両立に向け、経営管理が適切に行われていない森林について、市町村が主体となって森林の集積・集約化を図り、意欲と能力のある林業経営者に経営管理を委託する森林経営管理制度がスタートして、約一年半が経過したところであります。  森林経営管理制度においては、市町村は、林業経営に適した森林か否かの判断など専門性を要する業務を行い、林業経営に適さない森林などについては市町村が自ら管理することとされていますが、県内の市町村においては林業の専門職員が極めて少ない状況であるなど、市町村の体制整備が重要な課題となっています。  このため、県においては、市町村の業務負担を軽減し、制度の円滑な運営を図るため、国の森林環境譲与税を活用し、森林経営管理制度に係る市町村の実務を支援する森林経営管理市町村サポートセンター、愛称もりサポを昨年五月に設置したところであります。  本県の市町村における森林経営管理制度の取組状況については、令和元年第三回定例会において、県内二十六市町で実施地区の選定、所有者の確認等を経て、令和元年度中に所有者に対する意向調査を実施する予定であり、残る十七市町村においても、意向調査に向けた森林情報の収集を行っていることが示されたところであります。  また、県においては、森林経営を担うこととなる意欲と能力のある林業経営者の公募を行い、本年八月末現在、要件に適合すると判断した三十九の民間事業者を公表しているところであります。  本年七月に九州を襲った豪雨では、本県においても林地や林道の崩壊など大きな被害が発生したところであり、今後、手入れの不足した森林や再造林が実施されない森林の増加などにより、山地災害の防止など、森林の持つ公益的機能の低下が懸念されます。  このような中、森林経営管理制度は、管理されずに放置されていた森林が経済べースで活用され、地域経済の活性化に寄与する効果のほか、間伐手後れ林の解消や伐採後の再造林が促進され、土砂災害等の発生リスクが低減し、地域住民の安心・安全につながる効果など、地域全体に効果が期待されるものであります。  引き続き、関係機関・団体と連携を図りながら、市町村に対する適切な支援を行い、森林経営管理制度が円滑に、着実に推進されるよう努めていく必要があります。  そこで伺います。  第一点は、市町村における森林経営管理制度の取組の状況と今後の進め方についてお示しください。  第二点は、これまでの取組を通じて見えてきた課題と市町村に対する支援策をお示しください。  次に、くらし保健福祉関係であります。  新型コロナウイルス感染症対策について伺います。  五月二十五日に、約一か月半ぶりに全国で緊急事態宣言が解除され、六月十九日には、都道府県境をまたぐ移動の自粛要請が全面的に解除されました。同日、政府の専門家会議は、新型コロナウイルスの感染第二波が発生した場合、ピーク時には全国の入院患者数は最大約九万五千人に上ると推計しました。  国は、再度感染が拡大する局面を見据え、新たな医療提供体制の構築が重要であるとの観点から、都道府県に対し、七月上旬には病床確保計画を策定し、七月下旬をめどに体制を整備するよう要請したところであります。  このような中、六月下旬から、東京都などの都市部をはじめ、沖縄県での感染拡大など、再び全国で感染者や感染経路不明者が拡大する中、七月に入り、本県において、接待を伴う飲食店で集団感染─クラスター─が発生、数日のうちに多くの感染者が確認され、県内全域に拡大する事態となりました。感染症指定医療機関以外の医療機関への入院や、無症状の感染者等の宿泊療養も開始したところであります。  一方で、クラスター関連以外の感染者や感染経路が特定できない例も増加し、本県の感染者数は一時、九州では福岡県に次ぐ二番目となりました。  また、七月下旬には、鹿児島市の高齢者施設において十数名のクラスターの発生が確認されたほか、与論島においては、医療機関と飲食店でのクラスターが発生し、感染者の島外搬送や島内医療機関における外来患者の受入れ制限、与論島への来島自粛要請が行われるなど、住民の生活に大きな影響を及ぼす厳しい状況となりました。  さらに、八月には、指宿市の病院においてクラスターが発生し、職員や入院患者・家族等に感染が広がりました。  国においては、七月十七日、経済財政運営と改革の基本方針─骨太の方針─を閣議決定し、新型コロナウイルス感染症への対応として、医療提供体制の強化、感染拡大防止策の進化、治療薬・ワクチンの開発加速を図ることとしたところであります。  また、九州においては、七月、福岡大学病院が九州では初めてとなる重症呼吸不全の治療に特化したECMOセンターを設立したとのことであり、新型コロナウイルスの治療にスタッフが二十四時間体制で専従するほか、医師などの人材育成も担うと報じられております。  東京都などの都市部をはじめとして再び全国で感染者や感染経路不明者が拡大する中、本県においてもクラスター発生、感染経路不明者の増加など、新たな局面を迎えています。全国に先駆けて高齢化が進行し、多くの有人離島や僻地を有している本県においては、今後の市中感染拡大の可能性も見据え、さらなる対策の強化が求められています。  そこで伺います。  第一点は、七月以降の県内の帰国者・接触者相談センターへの相談状況、帰国者・接触者外来の設置状況、PCR検査の実施状況についてお示しください。  また、七月以降確認された感染者数と、感染者数のうち入院患者数、宿泊療養者数及び自宅待機者数の内訳、並びに重症者数と、回復により退院等に至った者の数についてお示しください。  あわせて、感染者のうち、感染経路不明者が増加している現状についてどのように考えるか、県の見解をお示しください。  第二点は、クラスター発生や感染経路不明者の増加を踏まえ、クラスター再発や懸念される市中感染の防止に向けた取組についてお示しください。  また、さらなる感染拡大を見据えた医療提供体制構築に向けた取組について、病床確保計画の策定と体制整備の状況をお示しください。  第三点は、高齢者施設においては、施設内でのクラスター化が懸念されるところですが、高齢者施設の入所者や施設職員等に感染が判明した場合、県としてどのように対応するのか、具体的な対応方針をお示しください。  また、関係者への周知徹底をどのように図っているか、お示しください。  第四点は、知事は、県政の優先課題に新型コロナウイルス対策を掲げ、マニフェストの主要施策においても、もろもろの対策を挙げられておりますが、このうち、インフルエンザなど発熱疾患との振り分けに向けた発熱外来の増設と感染者・重症者の専門病棟の整備について、どのように取り組んでいくのかお示しください。  また、与論島での感染拡大を受け、離島における感染拡大防止に向けた水際対策、医療体制の整備について、どのように取り組んでいくのかお示しください。  第五点は、昨年、国は、再編統合の必要性について議論が必要と判断した全国の公立・公的病院を公表し、本県では八医療機関が再検証の対象とされたところですが、全国の現状は、公立病院が感染症病床の六割を占めるとされており、公立・公的病院の重要性が再認識される中、今回の本県における感染拡大を受け、公立・公的病院の再編について、県の見解をお示しください。  次に、医療・介護分野における人材確保について伺います。  本県は、全国に先駆けて高齢化が進行し、多くの有人離島や僻地を有しており、地域における医療・介護を支える人材の確保は重要な課題となっています。  医師については、これまで、地域枠を含む医師修学資金の貸与や初期臨床研修医等の確保、特定診療科の医師派遣など、総合的な医師確保対策に取り組むとともに、今年三月には、医師の地域的偏在・診療科偏在の解消のため、鹿児島県保健医療計画の一部として鹿児島県医師確保計画が策定されたところであります。  あわせて、今年度は、離島・僻地住民の医療を確保するため、へき地診療所における遠隔医療支援システムの整備の支援も行われております。  また、看護師については、地域により深刻な人手不足が顕在化していること等を踏まえ、今年四月に医師・看護人材課が新設されたところであり、本県の看護職員の計画的かつ安定的な確保・育成に向け、看護人材確保計画が策定される予定となっております。  介護職員については、後期高齢者の増加に伴い、介護に対するニーズはますます高まる一方、離職率は他産業に比べて高く、人材不足が進行している状況であり、介護職員を確保するため、県では、地域医療介護総合確保基金等を活用し、介護の魅力に関する情報発信、介護福祉士の資格取得を目指す学生等への修学資金の貸付け、介護職員の資格取得やキャリアパス構築、介護ロボット導入への支援など、各般の施策に取り組んできたところであります。  このような中、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、医療・介護分野においては、全国的には、外来患者や介護サービス利用者の減少等による医療機関や介護事業所の経営悪化、医療・介護従事者の感染による現場離脱、感染への不安を理由とした離職者の増加など、現場の疲弊が報じられており、人材不足に拍車をかける事態となっています。  本県においても、今年度の新規事業である介護施設等外国人留学生支援事業について、予定していたベトナム・ハイズオン省からの介護留学生の受入れが困難となり、事業計画を変更せざるを得なくなるなど、人材確保の取組に影響が及んでいます。  そこで伺います。  知事はマニフェストにおいて、地域における医師や看護師の確保に努め、地域医療の確保と充実を図る。また、IT技術を活用した遠隔診療を活用して離島・へき地医療の充実を図る、としています。  また、介護分野における人材育成、確保を推進するとともに、IT技術を活用した機器やロボットなどの導入を促進する、としています。  これらについて、新型コロナウイルス感染症拡大の現状も踏まえ、具体的にどのように取り組んでいくのかお示しください。  最後に、昨年八月の出水市における女児死亡事案について伺います。  昨年八月、出水市において、児童相談所や関係機関が児童虐待のケースとして関与していた、当時四歳の女児が死亡する事案が発生してから、一年が経過しました。  我が会派においては、事案発生後の令和元年第三回定例会代表質問において、事案の経緯や児童相談所、関係機関の対応、事案の検証に向けた取組などについて、当局の見解をただしたところであります。  その後、県においては、この事案の検証を行うため、県社会福祉審議会相談部会において、客観的な立場から本事例の検証を行った上で、提言を行うこととしたところであります。  相談部会においては、検証に当たり、児童相談所や関係機関の支援記録等の確認やヒアリングの実施、事案が発生した現地調査などを行った上で、委員間での議論を重ね、課題の抽出や再発防止策の検討を行い、今月二日に、相談部会において検証報告書が取りまとめられたところであります。  そこで伺います。  第一点は、相談部会の検証の結果、明らかになった課題をお示しください。  第二点は、課題を踏まえた相談部会からの提言の内容をお示しください。  第三点は、相談部会からの提言を踏まえ、今後どのような取組を行うのか、県の見解をお示しください。    [知事塩田康一君登壇] 46 ◯知事(塩田康一君)それでは、お答え申し上げます。  まず、発熱外来等の設置についてでございます。  厚生労働省におきましては、九月四日付で、次のインフルエンザ流行に備えた体制整備についてを取りまとめたところでございます。それによりますと、発熱患者等が帰国者・接触者相談センターを介することなく、かかりつけ医等の地域で身近な医療機関等を相談・受診し、必要に応じて検査を受けられる体制を整備するとされているところでございます。  県といたしましては、保健所、地域の医療機関などと連携を図りながら、インフルエンザなど発熱疾患との振り分けに向けた発熱外来の設置に向けて取り組んでまいりたいと考えております。  また、専門病棟の整備につきましては、新型コロナウイルス感染症患者専用の病院や病棟を設定する医療機関である重点医療機関を指定することとしており、当該医療機関においては、重症者も含めて対応可能な病床を確保することとしております。  今後、指定に必要な要件を満たしているか審査を行った上で、九月下旬を目途に指定を行うことといたしております。  次に、医師及び看護師の確保についてでございます。  新型コロナウイルス感染症への対応において、医師や看護師などの医療従事者は、感染リスクと厳しい環境の中で心身に大きな負担がかかる中、強い使命感を持って業務に従事していただいております。  このような状況を踏まえ、心からの感謝の気持ちとともに、慰労金を支給することとしているほか、県独自の取組として、感染リスクのある中で患者等の診療などに携わる医療従事者に対する危険手当支給の支援に要する経費を九月補正予算案に計上しているところでございます。  新型コロナウイルス感染症に係る医療提供体制も含め地域医療を維持するため、医療従事者の確保は重要な課題であることから、医師については、地域枠を含む医師修学資金の貸与や初期臨床研修医の確保などに、看護師につきましては、看護師等養成所への運営費の助成や修学資金の貸与などに引き続き取り組んでまいりたいと考えております。  次に、令和元年八月女児死亡事案に係る検証結果及び今後の取組についてでございます。  今月二日に、県社会福祉審議会の相談部会から検証報告書を頂いたところでございます。報告書では、児童相談所の体制や内部の情報共有の在り方、児童相談所や関係市のリスクアセスメントの在り方のほか、児童相談所と警察、関係市などとの連携、市町村の要対協の在り方などに関する課題が示されたところでございます。  これらを踏まえまして、児童相談所の業務執行体制の強化や職員の専門性・対応力の強化のほか、関係機関間における情報の相互確認と情報共有の徹底、市町村の対応力や要対協の強化などに関する提案を頂いたところでございます。
     児童虐待防止につきましては、子供の命が失われることがないよう社会全体で取り組むべき重要な課題であると考えており、県といたしましては、頂いた報告書の内容をしっかりと真摯に受け止め、今後、再発防止に向けて、関係機関とともに、このような事案が起きないよう速やかに、着実に取り組んでまいりたいと考えております。 47 ◯環境林務部長(松下 正君)環境林務関係についてのお尋ねのうち、まず、地域気候変動適応センターの取組についてでございます。  県では、地域における気候変動の影響や適応に関する情報の収集、提供等を行う拠点として、七月三十日に、県環境保健センター内に鹿児島県気候変動適応センターを設置したところであります。同適応センターにおいては、自然災害や農林水産業、生態系など七分野における気候変動の影響やその適応策等について、ホームページやパンフレットを活用し、広く県民の方々へ周知を始めております。  また、地方気象台や県の農林水産業分野の各試験研究機関等で構成する連携会議を開催し、気象観測データ、気候変動影響の予測、適応策の優良事例等の情報を共有することとしており、さらに、適応の情報基盤の中核である国立環境研究所から技術的助言等を受けることにより、例えば農業の分野では、高温耐性品種の開発などに活用されるものと考えております。  レジ袋有料化の現状と意義・効果についてでございます。  有料化後のアンケート調査によると、多くの事業者が、店内放送やポスター掲示等を通して有料化の周知に取り組んでおり、有料化開始後約一か月におけるレジ袋の辞退率は七七・一%で、開始前の二・七倍となっております。  レジ袋の有料化は、過剰な使用の抑制はもとより、消費者のライフスタイルの変容を促すものであり、今後、プラスチックに過度に依存する生活が見直され、海洋プラスチックごみの削減や地球温暖化防止などにつながっていくものと考えております。  プラスチックごみ削減の取組の現状と今後についてでございます。  プラスチックごみ対策については、海岸漂着物の回収をはじめ、海洋プラスチックに関するリーフレットの作成・配布、市町村におけるペットボトルの効率的な回収の促進等に取り組んでおり、本年七月一日には、レジ袋有料化実施に合わせ、マイバッグキャンペーンを一年間通しての取組としたところであります。  先般、国は、今後のプラスチック資源循環について基本的方向性を示し、家庭から出るプラスチックごみの分別区分を新設するなど、リサイクルをさらに進めることとしたところであり、県としては、引き続き、県民の方々、事業者、市町村等との連携を図りながら、これまでの取組を着実に推進するとともに、対策のさらなる強化に努めてまいりたいと考えております。  森林経営管理制度における市町村の取組と今後の進め方についてでございます。  森林経営管理制度については、これまで二十六市町において、実施地区の選定や所有者の確認、地元説明会の開催等を経て、所有者に対する意向調査を実施し、残る十七市町村では、意向調査に向けた森林情報の収集等を行ったところであります。  意向調査を実施した二十六市町では、経営管理委託を希望する所有者との間で委託内容の協議や同意の取得に当たっており、このうち、薩摩川内市など五市では、委託に必要な手続を今月までに行い、その他の市町でも、順次同様の手続を進めることとしております。その後、林業経営に適した森林か否かを判断し、その結果に応じて、林業経営者への再委託、または市町村自らによる経営管理を行うこととなっております。  森林経営管理制度の課題と市町村への支援についてでございます。  制度の開始以来、市町村は主に所有者への意向調査を実施してきましたが、森林の現況や施業履歴の把握、境界の明確化、所有者の探索など事前の業務が多岐にわたり、また、専門的な知識や技術を要することから、これらのより効率的な実施が必要となってきております。  このため、県では、森林経営管理市町村サポートセンターによる助言等のほか、業務マニュアルの作成や各種の情報を一元管理するシステムの開発等を行い、市町村に提供したところであります。また、今年度は、レーザー計測やドローンを組み合わせて高精度の情報を簡易に取得する手法の確立、森林の境界や立木の状況を映像で確認できるシステムの構築等を進めております。  県としては、引き続き、市町村に対する適切な支援を行い、本制度が円滑に推進されるよう努めてまいりたいと考えております。 48 ◯くらし保健福祉部長(地頭所 恵君)新型コロナウイルス感染症対策に関して、まず、七月以降の帰国者・接触者相談センターへの相談状況等についてでございます。  七月以降の同センターへの相談は、九月十一日現在で二万二千百十六件で、主な内容は、症状がある方からの受診やPCR検査等の相談でございます。  次に、帰国者・接触者外来は、九月十一日現在で八十三医療機関で、全ての二次医療圏に複数設置しております。  PCR検査は、七月一日から九月十一日までに一万四千五百五十四人の検査を実施しております。  なお、検体数の増加時には、各検査機関における一日の検査回数を増やすことにより、これまで一日最大七百八十八人の検査を実施しております。  次に、七月以降の感染者の状況についてでございます。  七月一日から九月十五日までに県内で確認された感染者数は三百六十二人で、内訳は、医療機関への入院患者が二百五十八人、宿泊施設療養者が九十七人、自宅待機者が七人です。入院患者のうち、人工呼吸器等を使用した重症者は三人です。  なお、九月十五日までに三百五十五人が退院等されております。  感染経路不明者の増加の現状についてでございます。  県内では、六月末までの感染者十一人中、感染経路不明者は一人でしたが、七月一日から九月十五日までの感染者三百六十二人中、感染経路不明者は五十九人確認されております。これは、全国的に感染拡大する中で、感染経路不明者が増加しているものと捉えております。  次に、クラスター発生や市中感染の防止に向けた取組についてでございます。  県内においては、七月以降、接待を伴う飲食店等において相次いでクラスターが発生し、九月十五日現在、五つのクラスター関連全体で感染者の約七割を占めております。  クラスターによる感染拡大を抑制するためには、速やかに積極的疫学調査を行い、濃厚接触者等に対するPCR検査を確実に実施することが重要であると考えております。  また、新型コロナウイルス感染症拡大防止については、新しい生活様式の徹底が重要です。このため、県においては、これまでに県民の皆様に対して、手洗いや人と人との距離の確保の徹底など基本的な感染防止対策や、買物・食事などの場面別の生活様式など、新しい生活様式の実践例を示し、県のホームページなど様々な広報媒体を通して周知を図ってきたところです。  また、ガイドラインを遵守しながら感染防止対策に積極的に取り組む事業者に対して、ステッカーを発行し、県民の皆様が安心して利用できる施設や飲食店等の見える化を図るとともに、飲食店等における感染防止対策に係る取組を支援しているところです。  さらに、中小企業、個人事業者等における感染防止対策の取組の支援に要する経費を九月補正予算案に計上しているところです。  なお、先般、感染拡大の警戒基準を定めたところであり、感染状況等の変化が見られた場合、県民に対して適切に情報提供を行い、感染拡大への警戒を呼びかけるとともに、感染状況の変化等に応じて、外出自粛や休業等の協力要請などを検討することとしております。  次に、病床確保計画の策定等の状況についてでございます。  県においては、先般、感染拡大に備えて三百床の入院病床を確保することなどを盛り込んだ県病床確保計画を策定したところであり、医療機関に対して行った意向調査を踏まえ、同計画に基づき、受入れ要請に即時に対応する即応病床や準備病床について、感染者の発生状況の段階に応じて、医療圏ごとの地域バランス等を考慮した上で速やかに設定することとしています。  また、実際の病床の運用に当たって、クラスター発生時等における医療圏を越える入院等の調整が今後とも円滑に図られるよう、県医師会や重症患者等を受け入れる鹿児島大学病院、鹿児島市立病院等と緊密な連携の下、新たに県広域医療調整チームを設置したところです。  高齢者施設での感染者発生時の対応についてでございます。  県では、高齢者施設内で感染症が発生した場合、保健所と感染症の専門家などで構成する感染症チームと共同で、直ちに当該施設に赴き、現状を把握し、感染拡大防止のため、施設管理者や関係医療従事者等と協議して、保健所が助言・指導等を実施することにしています。  また、高齢者施設において感染者等が発生した場合に備え、発生した施設から他の施設へ感染者等以外の高齢者を受け入れることや、発生した施設へ、他の施設から応援職員を派遣することについての可能性調査を行い、県内の各施設などから、延べ千二百四十四人の入所者の受入れと百二十人の職員派遣が可能であるとの回答を得ています。  これらを踏まえ、県では、関係団体等とも連携して、応援職員の派遣調整等を行うこととしており、現在、県新型コロナウイルス感染症調整本部の介護・福祉施設班において、派遣の手順や費用負担など具体的な支援体制の整備について協議を進めています。  なお、感染者等が発生した際の初動対応や受入れ・派遣などの支援については、関係団体と連携して、高齢者施設に対し周知したところでございます。  離島における医療体制の整備についてでございます。  与論町でのクラスターにおいては、医師や看護師等の専門家を派遣し、感染状況の確認及び院内感染防止対策の指導を行うとともに、海上保安庁の航空機及び巡視船、自衛隊のヘリコプターにより、四十九名の感染者を本土等の医療機関や宿泊療養施設に搬送したところです。  今後の取組としては、病床確保計画に基づき、離島も含めて必要な病床の確保に努めるとともに、症状が重篤である場合、島内に入院病床が確保できない場合などには、島外の医療機関や宿泊療養施設へ搬送を行うことで、全ての感染者が適切に治療等を受けられる体制を確保してまいりたいと考えております。  公立・公的病院の再編に係る県の見解についてでございます。  厚生労働省は昨年九月、がんや心疾患など対象となる全ての領域で、診療実績が特に少ない、または類似かつ近接している医療機関があるとされた公立・公的医療機関等に対して、遅くとも本年秋までに地域医療構想における具体的対応方針の再検証を要請したところです。  具体的には、各医療機関が担う急性期機能に必要な病床数等の再検証を要請するもので、医療機関の統廃合を機械的に決めるものではないとしているところです。  その後、本年八月に発出された通知において、再検証の期限を含め、地域医療構想に関する取組の進め方について、社会保障審議会医療部会等での議論の状況等を踏まえて、改めて整理することとされています。  公立・公的医療機関等は、新型コロナウイルス感染症対策で中核的な役割を果たすとともに、離島・僻地における巡回診療、生活困窮者に対する無料低額診療など、地域の中で役割を果たしているところです。  県としては、国の審議会等の議論の状況把握などに努め、関係機関への助言や情報提供を行ってまいります。  ICTを活用した遠隔医療による離島・へき地医療の充実についてでございます。  本県の離島・僻地においては、医療機関の利用が困難な地域が存在し、初期救急医療やプライマリーケアを確保するための体制づくり、施設・設備の整備が課題となっています。  離島における遠隔医療については、三島村及び十島村のへき地診療所で支援システムが導入され、拠点病院である鹿児島赤十字病院とへき地診療所等を結んだ医療支援が実施されています。今年度、機器更新を行う予定で、タブレットを用いた診療が可能になるとともに、十島村では、県立大島病院ともオンラインで結ぶことを検討しています。  県としては、引き続き、関係機関と連携して、遠隔医療を含めた離島・へき地医療の充実に努めてまいりたいと考えております。 49 ◯土木部長(兒島優一君)離島における感染拡大防止に向けた水際対策についてであります。  離島においては、医療提供体制が脆弱であることから、感染拡大防止に向けた水際対策が重要であり、県では、管理する港湾・空港において検温を実施し、体温が高い乗客に対しましては、注意喚起を行うとともに、後日、市町村が追跡調査を行っております。  また、県では、基本的な感染対策を継続しながら社会経済活動を推進するため、離島を訪れる人の増加に備え、これまでの非接触型体温計から、多くの人を一度に測定できるサーモグラフィーによる検温に切り替え、体制の強化を図ったところであります。  今後とも、離島における感染拡大防止に向けた水際対策に取り組んでまいります。 50 ◯子育て・高齢者支援総括監(吉見昭文君)新型コロナウイルス感染症拡大を踏まえた介護人材確保の取組についてでございます。  県では、介護職員を確保するため、地域医療介護総合確保基金を活用し、各般の施策を推進しております。  具体的には、介護の魅力を情報発信するとともに、元気な高齢者を対象に、介護分野への関心を持つきっかけとなるセミナー等を開催しますほか、介護職員のキャリアアップ等のための実務者研修の受講を支援しております。  また、事業者が介護職員処遇改善加算を活用して処遇改善に取り組むよう、キャリアパス構築のための研修会の開催や専門家の派遣などを行いますほか、介護福祉士修学資金の貸付けを実施しております。  これに加えまして、新型コロナウイルス感染症に対応する介護サービス事業所等に勤務する職員等に対し、慰労金を支給いたしますほか、職員の負担軽減を図るため、入浴支援機器、見守りセンサーなどの介護ロボットの導入や、介護記録から請求業務まで一元的に管理できる介護ソフトなどのICTの導入を重点的に進めるための予算を、今回増額計上させていただいたところであります。  次に、女児死亡事案に係る検証報告書で示された問題点・課題と再発防止策についてでございます。  本事案に係る問題点・課題の具体的な内容としまして、児童相談所に関しては、児童が警察へ四回保護されながら、児相の内部で迅速な情報共有がなされず、適切な対応─夜間の一時保護─につながらなかったこと、継続指導としながら、五月以降、母子にアプローチしていないなど、組織としてのチェック機能が働いていなかったこと、母子の転居など状況変化を把握した時点で再アセスメントを検討すべきであり、リスク判断に対して職員の認識不足があったことなどが示されたところであります。  このほか、本事例は、児相に対応が一任されているが、主たる支援機関を決めた上で、関係機関の様々な部門等も連携して見ていく体制が必要であったこと、関係市が母子の転居予定を確認しており、改めて要対協の開催の検討やアセスメントの見直しを行う必要があったことなどについても示されたところです。  これらを踏まえた提案の具体的な内容としまして、児相に関しては、内部の情報共有や伝達方法のルール化、リスクを客観的に把握した上での一時保護の実施、児相の補完的役割を担う児童家庭支援センターのさらなる設置、リスク要因の的確な把握による適切なアセスメントの実施などが示されたところです。  このほか、関係機関間における情報の相互確認と情報共有の徹底、支援の進行状況の確認等を行う市町村要対協の強化、専門性の確保などについても示されたところでございます。    [大久保博文君登壇] 51 ◯大久保博文君 それぞれ御答弁頂きました。  気候変動等についてでありますが、地域の気候変動の影響及び適応に関する拠点となる地域気候変動適応センターの設置により、得られる成果を、農林水産業など県政の各分野と連携し、具体的に活用していくことが極めて重要であります。今後のプラスチックごみ対策と併せて、県の積極的な取組を要望いたします。  森林経営管理制度については、市町村が重要な役割を担うものであり、円滑に機能するためには市町村の体制整備が不可欠であり、関係機関・団体と連携した県の積極的な支援を要望いたします。  新型コロナウイルス感染症対策については、クラスター発生時にも確実に封じ込めることができる体制の整備を図ることが最も重要であり、八月補正予算に計上された医療提供体制の整備や感染防止対策の速やかな実施に向けた取組を強く要望いたします。  医療・介護分野における人材確保について、県はこれまでも各般の取組に努めてきたところでありますが、現在のコロナ禍における医療・介護現場の疲弊も踏まえ、知事のマニフェストに基づく、さらなる対応を要望いたします。  女児死亡事案について、検証報告書は、関係機関の連携不足や責任の所在の曖昧さ、業務執行体制の不備、危機意識の低さを厳しく指摘し、虐待対応の強化を求めております。二度とこのような悲惨な事態を繰り返さないために、今回の報告内容を徹底的に検証し、実効ある体制の強化に速やかに取り組むよう強く要望いたします。  以上、県政の課題等について質問してまいりました。  今回の代表質問におきましては、私ども自由民主党県議団は、塩田知事の就任に伴い、まずは、県政運営に向けた知事マニフェスト等を中心に、知事の具体的な考えを伺うことに主眼を置いて質問してまいりました。  しかしながら、いずれの答弁も、総論としては理解できるものの、現時点では具体策に乏しかったというのが率直な印象であります。今後、本格的に県政を推進していく中で、どのように塩田カラーともいうべき具体的な施策を展開していくのか注目してまいります。  鹿児島の進むべき方向性を見極め、その実現に向けて、これまでの取組をより深化させ、加速化させるとともに、新たな視点による取組に期待するところであります。  私どもは、責任政党として、これまでも、これからも、個々の施策についてはあくまでも是々非々の立場で対応してまいる所存であることを申し述べておきます。  終わりに、私ども自由民主党県議団は、引き続き、各地域の実情を踏まえ、県勢の発展と県民生活の安定のために最大限の努力をもって取り組んでまいる所存であることを申し述べ、自由民主党県議団の代表質問を終わります。(拍手) 52 ◯議長(外薗勝蔵君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 53    △ 日程報告 ◯議長(外薗勝蔵君)九月十八日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、代表質問であります。       ───────────── 54    △ 散  会 ◯議長(外薗勝蔵君)本日は、これで散会いたします。        午後三時四十分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...