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2019-12-06 令和元年第4回定例会(第4日目) 本文
2019-12-06 令和元年第4回定例会(第4日目) 名簿

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  1. 鹿児島県議会 2019-12-06
    2019-12-06 令和元年第4回定例会(第4日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2024-09-10
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(外薗勝蔵君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    松 里 保 廣 君    遠 嶋 春日児 君    鶴 田 志 郎 君    き 久 伸一郎 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 一般質問 ◯議長(外薗勝蔵君)一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。  松里保廣君に発言を許可いたします。
       [松里保廣君登壇](拍手) 3 ◯松里保廣君 おはようございます。  今期定例会の自民党県議団代表質問において、三反園知事が来年七月の知事選出馬を表明されましたことから、私の一般質問に対して、前向きな御答弁になることを強く期待するものであります。  それでは、通告のとおり六問を質問させていただきます。  まず初めに、本県財政の現状についてお伺いいたします。  国は、経済財政運営と改革の基本方針二〇一九、いわゆる骨太の方針二〇一九において、令和二年ごろの名目GDP六百兆円と、令和七年度での国と地方を合わせた基礎的財政収支黒字化の達成を目指し、新経済・財政再生計画に従い、地方財政についても、国の取り組みと基調を合わせて歳出改革等の加速・拡大に取り組むとされております。  今後、国は、財政健全化目標の達成のために、地方交付税臨時財政対策債等の削減など、厳しい対応を地方に強く求めてくることが懸念されるところであります。  こうした状況の中、本県においては、平成十七年三月に県政刷新大綱、平成二十四年三月に行財政運営戦略を策定し、歳入・歳出両面にわたる行財政改革に懸命に取り組むことにより、平成十六年度四百五十一億円あった財源不足は、平成二十三年度以降解消されております。  先般、県は、令和二年度の予算編成において、歳出削減をしなければ、一般財源ベースで八十七億円不足するとの試算を公表しました。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、三反園知事は、「行財政運営戦略は、中長期的な行財政運営の基本的な考え方や行財政改革の方向性を示すものとして策定している」と述べておられます。  県におかれては、当然、本県の人口動態が今後どのように推移していくのか、また、高齢化率の上昇による扶助費が将来どのような状況になっていくのかについても把握しておられると思いますが、その具体的な内容等をお示しください。  第二点は、知事は、提案理由説明において、「公債費が高水準で推移することが見込まれる」と述べられておりますが、将来の財政需要も見込んだ上で、今後の公債費を減少させていく取り組みなどの考えをお聞かせください。  また、臨時財政対策債も含めた実質的な地方交付税がどのように推移していくと考えておられるのか、お答えください。  第三点は、国は、国及び地方の長期債務残高が一千兆円を超え、債務残高対GDP比も二倍を超えており、主要先進国の中で最も高い水準にあるという厳しい状況下において、経済財政運営と改革の基本方針や、新経済・財政再生計画及び概算要求基準を策定し、その都度見直しを行っております。  そのような中、県当局は、前回の県議会第三回定例会の自民党県議団代表質問において、伊藤前知事が七年前に策定した現在の行財政運営戦略を見直すべきではないかとの質問に対し、自主財源に乏しく、厳しい財政状況にあることに変わりはなく、引き続き、この現行戦略に基づき、徹底した行財政改革に取り組んでまいりたいと答弁され、現在、行財政運営戦略の見直しなどは考えていないということでありました。  しかしながら、私は、少子高齢化等による人口減少が急速に進行している本県において、自主財源に乏しく、厳しい財政状況にある今こそ、現在の行財政運営戦略の見直し、あるいは新たな行財政運営の指針を策定するべきだと考えますが、改めて、現時点での知事の見解をお伺いいたします。  次に、離島振興法並びに有人国境離島法の指定地域における振興についてお伺いいたします。  本県は、南北六百キロメートルに及ぶ広大な県土にわたって二十六の有人離島が点在する、全国有数の離島県であります。  このうち、離島振興法に基づく離島振興対策実施地域や、有人国境離島法に基づく特定有人国境離島地域については、離島活性化交付金及び特定有人国境離島地域社会維持推進交付金などによるさまざまな施策が行われており、当該地域の振興開発や地域社会の維持などが図られているところであります。  このような中、去る八月、令和二年度の国の概算要求内容が明らかとなり、離島振興関係予算で約五百六億円、有人国境離島法関係予算では約五十九億円が計上されております。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、離島活性化交付金特定有人国境離島地域社会維持推進交付金については、国は、国の負担割合を定めているのみで、都道県・市町村それぞれの負担割合は示していないところであり、各都道県がみずからの負担の有無を定めて取り組んでいる状況にあります。  本県においても、特定有人国境離島地域社会維持推進交付金を負担しているところであります。  今後、私は、都道県が最低限負担すべき割合を国で定めていくことが必要と考えており、その旨を国に要望していくべきだと思いますが、県の考え方をお示しください。  第二点は、特定有人国境離島地域社会維持推進交付金に基づく滞在型観光促進事業において、宿泊等の利用券と乗船券とをセットで販売して、観光客の運賃を島民並みにまで引き下げるメニューがありますが、当該メニューについては、市町村に対するモデルケースの提示や観光協会との連携など、円滑な導入に向けた助言を行うべきではないかと考えますが、県の見解をお伺いいたします。  第三点は、ジェットフォイルについては、全国的に老朽化が進んでいるものの、高額な船価が課題となり更新が進んでいないところであります。  一方、同じく機体更新に係る費用が高額な航空機に関しては、国により、航空機等購入費補助金が設けられております。  ついては、ジェットフォイルの建造にも補助制度を導入するよう国に要望すべきと考えますが、県の現時点での考えを明らかにしてください。  次に、種子島・屋久島地域における空港の滑走路延伸に係る整備についてお伺いいたします。  屋久島空港は、世界自然遺産屋久島産業振興等を図るために極めて重要な社会基盤であります。  県におかれては、平成二十七年度から滑走路延伸可能性調査などの各種調査を進め、本年八月には、ジェット機の就航に必要な滑走路二千メートルへの延伸とエプロン・ターミナル地域の配置を取りまとめた基本計画案を公表したところであります。  また、種子島空港は、地元産業の振興等を図る目的として、平成十八年三月に、二千メートルの滑走路を有するジェット空港として開港しました。  しかしながら、今後、日本が海外の商業衛星受注を獲得するためには、大型輸送機の離着陸可能な三千メートル級の滑走路を整備する必要があります。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、屋久島空港について、今年度、パブリック・インボルブメントを行うとのことでありますが、どのような内容の情報を住民に提供して意見を伺うのか、また、その結果を今後の取り組みにどのように生かしていくのか、お示しください。  第二点は、種子島空港滑走路延伸につきましては、これまでも離島行政懇談会等を通じ、地元から要望しているところでありますが、県におかれては、滑走路延伸の項目を県開発促進協議会として国に要望するべきだと思いますが、知事の見解を明らかにしてください。  以上で、第一回目の質問を終わります。 4 ◯総務部長(平木万也君)本県財政の現状についての御質問でございます。  まず、本県人口の今後の推移及び扶助費の将来の状況についてでございます。  国立社会保障人口問題研究所の推計によりますと、本県の総人口は、二〇四五年度にかけて減少を続ける一方で、総人口に占める六十五歳以上人口の割合は、二〇四五年度にかけて増加を続けると見込まれております。  扶助費につきましては、国が新経済・財政再生計画に基づき、医療・福祉サービス改革や、給付と負担の見直しなどの改革を着実に推進することとしており、今後、さまざまな制度改革が行われることが考えられることから、現時点において推計値をお示しすることは難しいと考えておりますが、一層の高齢化の進行による高齢者医療制度介護保険制度の対象者の増加などにより、今後も扶助費は増加するものと考えております。  公債費縮減の取り組みについてでございます。  将来の財政需要も見込んだ上での今後の公債費及び起債の見通しなどについては、国の公共事業関係予算やその地方負担に対する地方財政対策の動向が不透明でありますこと、今後、改修や更新を要する県有施設の増加が見込まれることなど、さまざまな要因に左右されるという側面があり、現時点で見通すことは難しいと考えております。  しかしながら、臨時財政対策債を除いた県債残高は、財政規模の類似している他団体と比較して多額に上っている状況であり、引き続き、本県が独自に発行する県債について、めり張りをつけた社会資本の整備を行うことなどにより、新規の発行を抑制することで、県債残高を継続的に減少させ、本県の公債費負担を軽減してまいりたいと考えております。  実質的な地方交付税の今後の推移についてでございます。  実質的な地方交付税につきましては、人口減少などの影響による財政需要の変動のほか、今後の景気動向や税制改正による税収の変動も勘案する必要があることから、現時点でその推移を見込むことは難しいと考えております。  行財政運営戦略の見直しについてでございます。  現行の行財政運営戦略は、厳しい財政状況が続くことが見込まれる中、今後の中長期的な行財政運営の基本的な考え方や行財政改革の方向性を示すものとして策定したものでございます。  本県におきましては、自主財源に乏しく、厳しい財政状況にあることに変わりはなく、引き続き、この現行戦略に基づき、徹底した行財政改革に取り組んでまいりたいと考えております。 5 ◯企画部長(古薗宏明君)離島活性化交付金特定有人国境離島地域社会維持推進交付金に係る国への要望についてであります。  これらの交付金を活用した事業の実施に当たりましては、国は、地方自治体である都道県と市町村の負担割合を示しておりません。これは、国が都道県と市町村それぞれの負担割合を示すことは、地方分権の時代にそぐわないと判断したものと考えております。  このようなことから、県といたしましては、国が都道県と市町村の負担割合を定めることについて、要望を行うことは考えていないところであります。  特定有人国境離島地域社会維持推進交付金滞在型観光促進事業に係る市町村への助言についてであります。  この交付金を活用して、宿泊や体験などの利用券と乗船券とをセットにしたものを企画・販売することにより、観光客の運賃を島民並みにまで引き下げる取り組みにつきましては、本県においては、今年度、薩摩川内市が甑島地域で実施しているところであります。  他の市町村におきましても、この取り組みの円滑な導入が図られるよう、先行事例を紹介するなど、引き続き、助言や情報提供を行ってまいりたいと考えております。  ジェットフォイルの更新についてであります。  国内では、鹿児島─種子島・屋久島間のほか、長崎─五島列島間など、六つの航路に十八隻のジェットフォイルが就航しており、竣工後の年数は二十四年から四十一年、平均で三十一年となっていますが、その更新に当たりましては、現行船の建造当時と比べ高額となっている船価が課題であると、航路事業者から聞いております。  船舶更新に係る国の補助制度につきましては、離島にとって唯一の航路であるなど、一定の要件に該当する国庫補助航路に運航する船舶を対象としており、鹿児島─種子島・屋久島航路の船舶については、ジェットフォイルを含め、その要件に該当していないところであります。  県といたしましては、現在、船舶更新に関する国の施策の動向や、ジェットフォイルが就航している他県の状況等の把握に努めているところであり、事業者等の御意見をお聞きしながら、国に要望するなどの対応を検討してまいりたいと考えております。  種子島空港滑走路延伸についてであります。  世界の商業宇宙市場の規模は、宇宙産業基盤を有していない新興国の人工衛星打ち上げ機数の増加などにより、今後、拡大する見通しであります。  このような中、我が国におきましては、ロケット打ち上げサービスの国際競争力の強化を図るため、柔軟性、高信頼性、低価格を強みとした新型基幹ロケットH3の来年度初めての打ち上げを目指し、開発等が進められております。  国や関係事業者によりますと、種子島空港滑走路延伸は、国際競争力の向上に有益であるが、商業衛星の受注獲得には、衛星の直接空輸だけでなく、価格やサービス内容、射場設備等が総合的に影響するとのことであります。  県といたしましては、このような状況も踏まえ、宇宙政策全般を担う国等の考え方、動向について情報収集を行いつつ、引き続き、県開発促進協議会等を通じて、長期的展望のもと、打ち上げ施設や周辺インフラの整備充実を図るよう、国等に要望してまいりたいと考えております。 6 ◯土木部長(兒島優一君)屋久島空港滑走路延伸に係るパブリック・インボルブメントについてであります。  屋久島空港滑走路延伸に係るパブリック・インボルブメントいわゆるPIにつきましては、その手法等を記載した実施計画書を十月に公表しており、これに基づき進めることといたしております。  具体的には、計画の概要、整備に要する概算事業費の約百五十億円、費用対効果いわゆるBバイCの一・四九などの基本計画案や、環境現況調査の結果などを取りまとめたパンフレットを一月から屋久島町の全世帯に配布するとともに、ホームページに掲載するなど広く情報提供することといたしております。  その上で、二月末までの期間、ホームページやはがきにより意見募集を行うことといたしております。  PIによりいただいた御意見につきましては、基本計画案への反映を検討し、事業化に向けた合意形成の取り組みに生かすこととしており、今後とも、屋久島町と連携を図りながら、早期の事業化に向けて着実に取り組んでまいりたいと考えております。 7 ◯松里保廣君 種子島空港滑走路延伸について、先ほど、周辺インフラの整備充実を図るよう要望を行ってきたと答弁されましたが、知事におかれては、滑走路延伸県開発促進協議会の要望項目として明確に記載するべきだと思いますが、再度の御答弁をお願いいたします。 8 ◯知事(三反園 訓君)三千メートル級の滑走路整備について、具体的に要望すべきではないかとの御指摘を受けました。  来年度の県開発促進協議会県宇宙開発促進協議会の総会に向けて、要望内容を検討してまいりたいと思います。    [松里保廣君登壇] 9 ◯松里保廣君 御答弁賜りました。  新潟県の花角知事は、本年五月九日の定例記者会見において、六千億円を若干上回る標準財政規模に対する県債残高が全国的に最悪の状況であることから、県財政を緊急事態と位置づけ、県民にとって痛みを伴う聖域なき改革になることを明確にしております。  この新潟県の財政状況のように、私は、地方財政については、毎年度多額の財源不足を抱え、地方交付税では足りず、今後、より一層、臨時財政対策債等により対応していく状況が続くと考えます。  このような状況の中、三反園知事は、平成三十一年二月八日の平成三十一年度当初予算案の記者会見で、「県の財政は非常に厳しい状況にある中で予算編成に取り組み、県債残高を百五十二億円減らし、当初の目標である一兆一千億円を切って、一兆五百億円台までに減少させた」と述べられております。  私は、このような厳しい本県の財政環境のもとで、三反園知事が徹底的に行財政改革等に取り組まれたことで、財源不足を生ずることなく平成三十一年度当初予算を編成することができましたことは、評価に値すると思います。  しかしながら、日本の社会構造が急速に変化する中で、行財政運営戦略は、平成二十四年三月に策定してから早くも七年が経過し、また、この戦略には、伊藤前知事が掲げていた、子どもからお年寄りまですべての県民にとって優しく温もりのある社会の形成を目指し、「力みなぎる・かごしま」、「日本一のくらし先進県」の実現を図るという理念や考え方が盛り込まれております。  私は、自主財源に乏しく、今後さらに厳しい財政状況が続くことが予想される本県において、将来に向けて持続可能な財政構造を構築するために、三反園知事の理念等に沿った新たな行財政運営の指針を策定することが、今後の三反園県政の最重要課題であると思いますので、知事の積極的な取り組みをお願いいたします。  また、離島地域並びに特定有人国境離島地域地方公共団体は、厳しい自然条件や少子高齢化などの生活環境に加えて、経済・財政的な観点からも不利な状況にあります。  県におかれては、離島活性化交付金特定有人国境離島地域社会維持推進交付金の財政支援のさらなる充実を、国に対して強く要望していただきますようお願いいたします。  特定有人国境離島地域社会維持推進交付金に基づく滞在型観光促進事業において、宿泊等の利用券と乗船券をセットにしたものを企画・販売することにより、観光客の運賃を島民並みにまで引き下げる取り組みについては、本県の未実施市町村に対する積極的な情報提供や助言等を通して、事業が円滑に実施されることを要望しておきます。  ジェットフォイルの更新に係る国の補助制度については、県と航路事業者等が連携して、他の地方公共団体とも積極的に情報交換等を行いながら、新たな補助制度の創設を国に強く要望することを切に願います。  屋久島空港におけるジェット機の就航に必要な滑走路二千メートルへの延伸については、今後とも、屋久島町と連携を図りながら、パブリック・インボルブメントの実施による住民の合意形成に努め、その基本計画を迅速に確定し、早期の事業化に向けて着実に取り組んでいただきますよう、知事に要望いたします。  また、種子島空港の滑走路三千メートル級への延伸については、県開発促進協議会の要望項目とするとの答弁でありましたので、地元自治体等と連携の上、国に強く働きかけていただきますようお願いいたします。  続きまして、文化財等の保存と活用についてお伺いいたします。  文化財保護法は、文化財を保存し、且つ、その活用を図り、もって国民の文化的向上に資するとともに、世界文化の進歩に貢献することを目的として、昭和二十五年に制定されています。  文化財保護法等に基づく県内の有形・無形等の指定文化財は、国百三十五件、県三百五件、市町村二千百五十七件の合わせて二千五百九十七件が指定されています。  文化財保護法とは異なりますが、平成五年には、屋久島が世界自然遺産に登録され、平成二十七年には、鹿児島市の旧集成館機械工場などが、明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業として世界文化遺産に登録されました。  また、平成二十八年には、屋久島と口永良部島の全域がユネスコエコパークに拡張登録されました。  さらに、来年の奄美の世界自然遺産の登録に向けての前向きな取り組みも行われています。  このような豊かな自然、歴史、文化などを有する本県においては、これらの文化財等を保存するだけでなく、観光・産業等に積極的に活用することが県勢発展のために重要であります。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、昨年、文化財保護法が改正され、平成三十一年四月一日から施行されましたが、その改正文化財保護法の主な内容についてお示しください。  第二点は、改正内容の中で、県は、大綱を定めることができるとなっており、本県においても、当然に大綱が策定されるものと思いますが、現在の状況を御説明ください。  第三点は、文化財を地域活性化のために活用することは極めて重要であると思いますが、本県の文化財等の地域活性化への活用状況をお答えください。  特に、種子島・屋久島地域の状況についてお示しください。  第四点は、令和元年五月、本県の、薩摩の武士が生きた町~武家屋敷群「麓」を歩く~が日本遺産に認定されましたが、現在の取り組み状況と課題についてお伺いいたします。
     次に、県立中種子養護学校の改築についてであります。  県立中種子養護学校は、現在、小学部・中学部・高等部合わせて四十五人の児童生徒が学んでおりますが、校舎や体育館の老朽化、児童生徒の増加に伴う教室不足、車椅子離合が困難であるなど廊下も狭い状況であり、また、食堂や駐車場も狭く、実習地も徒歩で五分ほどの場所に畑を借りて対応している状況にあります。  このような中、平成三十年第二回県議会定例会における私の一般質問において、県立中種子養護学校の施設整備の充実について質問したところ、東條教育長から、「今後、学校施設全体の整備を考える中で、中種子養護学校についても必要な対応を検討する」との答弁があり、令和元年度当初予算において、県立中種子養護学校の改築に係る基本設計の予算が計上されました。  私としては、これまで、早急に建てかえるなどの整備が必要と申し上げてきたところであり、基本設計の予算が計上されたことは、整備に向けて大きな一歩が踏み出されたものと考えております。  そこで質問いたします。  現在、基本設計が進められていますが、県立中種子養護学校の整備の基本的な考え方をお示しください。  また、基本設計後のスケジュールについても明らかにしてください。  最後に、サトウキビ生産振興の現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。  県内における種子島や奄美地域のサトウキビは、製糖業とともに地域経済に果たす役割が極めて重要な基幹作物であります。  近年、サトウキビは、台風及び干ばつなどの気象災害や病害虫被害、生産者の高齢化等に伴う労働力不足などにより、平成二十三年産以降、不作が続いております。  また、平成三十年産サトウキビも、九月末の台風二十四号による強い影響を受け、県全体の生産量は、対前年比八六%の四十五万三千トン、糖度も十三・〇八度と低く、大変厳しい状況となりました。  鹿児島県議会さとうきび・でんぷん用かんしょ振興議員連盟では、本年十月三十一日、自由民主党国会対策委員長森山裕衆議院議員を初め、本県選出国会議員、農林水産省や財務省に対し、サトウキビ生産振興対策の充実・強化について要望を行ったところであります。  そこでお尋ねいたします。  第一点は、現時点における本県の令和元年産サトウキビの生産量見込みや糖度の状況についてお答えください。  第二点は、サトウキビ生産者の経営安定や製糖工場の安定操業のためには、単収向上や収穫面積の確保など生産量の確保が必要であると思いますが、県は、今後どのような取り組みを積極的に推進していかれるのか、明らかにしてください。  第三点は、価格調整制度に基づく生産者及び製造事業者交付金は、生産者等が意欲を持って取り組めるように、再生産可能な水準を確保することが極めて重要であると考えますが、県のさらなる取り組みについてお尋ねいたします。  また、種子島のような糖度が上がりにくい地域に配慮した品質取引制度における基準糖度帯の引き下げを国へ強く要望すべきであると考えますが、県の考え方をお示しください。  第四点は、九州沖縄農業研究センターで育成された種子島地域向けのサトウキビ、はるのおうぎが、本年八月、県の奨励品種に選定されましたが、はるのおうぎの特性や種苗の農家への普及見込みなどについてお聞かせください。  これで、第二回目の質問を終わります。    [知事三反園 訓君登壇] 10 ◯知事(三反園 訓君)サトウキビの生産量見込み及び生産量確保に向けた取り組みについてでございます。  サトウキビは、種子島や奄美地域のおよそ七割の農家が生産する基幹作物でありまして、製糖業とともに地域経済に果たす役割は極めて重要であると考えております。  昨年のサトウキビは、九月末の台風二十四号の影響で過去二番目に低い生産量となったために、さとうきび増産基金などを活用し、種苗の確保、堆肥の導入等を支援し、生産回復に取り組んできたところであります。  令和元年産につきましては、これらの取り組みに加え、台風の襲来もなかったことなどから、順調に生育しており、十一月一日現在の生産量見込み調査によると、種子島では前年比一一八%のおよそ十四万トン、奄美地域では前年比一一一%のおよそ三十七万トン、県全体では前年比一一三%のおよそ五十一万トンの生産が見込まれております。  また、圃場における糖度調査では、前年に比べ三・八度高い十六・八度となっております。  生産者の経営安定及び製糖工場の安定操業のためには、サトウキビの単収及び品質の向上と栽培面積の維持・拡大を図ることが重要であると考えております。  このため、さとうきび増産計画に基づきまして、堆肥投入などの地力増進対策やメイチュウなどの病害虫防除対策、地域の条件に適応した優良品質の育成・普及などによる単収・品質の向上を推進しております。  また、栽培面積の維持・拡大に向けては、国・県の補助事業を活用し、ハーベスターや株出し管理機械導入など、作業受委託等の取り組みを支援し、省力化を図ることで、新植面積の拡大などを促進しているところであります。  今後とも、関係機関・団体と一体となりまして、増産計画の着実な達成に努め、サトウキビの生産振興を図ってまいります。 11 ◯教育長(東條広光君)文化財等の保存と活用についてのお尋ねのうち、まず、文化財保護法の改正内容についてであります。  今回の改正は、過疎化や少子高齢化などを背景に、文化財の滅失の防止などが緊急の課題となる中、文化財をまちづくりに生かしつつ、地域社会が総がかりでその継承に取り組んでいくことが求められておりますことから、地域における文化財の計画的な保存と活用の促進や、地方文化財保護行政の推進力の強化を図ることを目的としたものであります。  主な内容としては、都道府県は、文化財の保存・活用の基本的な方向性を明確にし、各種の取り組みを進めていく上で共通の基盤となります文化財保存活用大綱を策定できることや、市町村は、文化財の保存と活用に関する基本的なアクションプランとなる文化財保存活用地域計画を作成し、国の認定を受けることにより、未指定文化財を国の登録文化財に提案できることなどが、新たに規定されたところであります。  次に、文化財保存活用大綱の策定に向けた取り組み状況についてであります。  県教委では、文化財保護法の改正を受けて、大綱の策定を前提に、現在、県内の文化財の保存・活用に関する課題等を把握し、県として今後取り組んでいくべきテーマや、重点的に保存・活用の措置を講じていくべき文化財についての検討を行っているところであります。  次に、文化財の地域活性化への活用についてであります。  文化財を活用した地域活性化策については、例えば、県では、国指定史跡の上野原遺跡に広場や展示館等から成る上野原縄文の森を整備し、史跡の一部公開や県下各地で出土した土器等を展示しており、年間十万人を超える人々が訪れる、子供から大人まで楽しめる公園となっております。  また、種子島・屋久島地域においては、西之表市では、市指定文化財、月窓亭において、施設を管理している市民グループが歴史の説明や湯茶のおもてなしを行うなど、市民と観光客の交流の場となっております。中種子町では、国指定重要文化財、古市家住宅の古いたたずまいを生かし、住民が提供する人形を飾るひな祭りが毎年行われており、地域に定着した季節の行事となっております。南種子町では、国指定史跡の広田遺跡に公園や、専門スタッフとボランティアガイドを配置したミュージアムが整備され、ツアーにも組み込まれる観光スポットとなっております。  また、屋久島町では、各集落に残る史跡や文化財、自然などを地元の語り部が案内する、屋久島里めぐりが行われ、山岳部以外の屋久島の魅力の発信につながっているところであります。  次に、日本遺産の取り組み状況と課題についてであります。  日本遺産、薩摩の武士が生きた町は、鶴丸城跡及び県内九市に所在する十一の武家屋敷群、麓を主な構成文化財としており、県と関係市及び団体等では協議会を設立し、これらを活用した地域活性化に取り組んでいるところであります。  先月は、日本遺産に認定された麓の価値を広く県民に周知するため、シンポジウムを開催し、その魅力を発信するとともに、麓を活用した地域の活性化について、各麓の関係者による発表や熱心な意見交換が行われたところであります。  県としては、日本遺産認定の効果が最大限に発揮されるよう、協議会と一体となって、今後、各麓がそれぞれ有する高い歴史性や美しい庭園などの特徴を生かした周遊ルートづくりなど、各麓のネットワーク化に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  次は、中種子養護学校の整備の基本的な考え方等についてであります。  中種子養護学校の整備については、普通教室等の不足や食堂、運動場などの狭隘化等を解消するため、現在の敷地で施設の高層化や集約化を図ることとし、先月、基本設計に着手したところであります。  施設の規模や構造、階数などの整備内容については、この基本設計の中で検討し、お示ししたいと考えております。  また、基本設計後のスケジュールについては、来年度中に実施設計に入り、設計完了後、建設工事に着手したいと考えておりますが、工事の着手時期や期間などの具体についても、基本設計を行う中で検討することとしております。 12 ◯農政部長(満薗秀彦君)サトウキビの交付金や基準糖度帯についてでございます。  国の糖価調整制度に基づく生産者交付金等につきましては、生産者の生産コストや製造事業者の製造コストを補填するものであり、最近のサトウキビ販売代金等を考慮して、国が決定しているところであります。  県といたしましては、生産者や製造事業者が意欲を持って取り組めるよう、再生産可能な水準の確保について、県開発促進協議会等を通じ、国へ要請しているところでございます。  また、基準糖度につきましては、国が基準糖度帯を設定し、糖度が十三・一度から十四・三度の間の交付金単価を同額とすることにより、種子島のように糖度が上がりにくい地域にも配慮しているところでございます。  県といたしましては、引き続き、高糖度品種の導入や土づくり、適期管理の推進など、糖度向上対策に取り組むとともに、地域の実情を十分加味した基準糖度帯が設定されるよう、国に働きかけてまいります。  次に、サトウキビの品種であります、はるのおうぎの特性や種苗の普及見込みについてでございます。  はるのおうぎは、種子島の環境に適しており、現在、島内で広く普及している農林八号と比較いたしまして、茎数が非常に多く倒伏しにくいこと、十アール当たりの収量及び産糖量が多いこと、株出し萌芽性が極めて高く、茎数を安定的に確保できることなどの特性があります。  また、ハーベスター収穫時に生じる株の引き抜きの軽減も期待されているところであり、当該品種の普及により、種子島のサトウキビの増産に寄与するものと考えております。  種苗につきましては、地元からの強い要請を受けて、現在、国の種苗管理センターにおいて、通常よりも前倒しで増殖を進めており、来年三月には、種子島の各市町に原苗圃を設置し、令和四年には、一般農家向けの配布も開始されることとなっております。  今後とも、さとうきび増産計画に基づき、優良品種の普及を初めとする各般の取り組みを積極的に推進し、サトウキビの生産振興に努めてまいります。 13 ◯松里保廣君 県立中種子養護学校における学校給食施設設置についての再質問を教育長にいたします。  県立中種子養護学校では、これまでも中種子町立学校給食センターから給食が配食されており、平成三十年度からは、新たに同校の食堂内に設置した施設において、同センターから配食されている給食を、対応が必要な児童生徒の食形態に応じて二次調理しているところであります。  しかしながら、同センターでは、町内全ての小・中学校の学校給食をアレルギー対応食も含めて調理していることや、同校には特に配慮を有する児童生徒も在籍していることから、今後、誤食や食中毒等の事故等も心配されるところであります。  そこで、今後の整備を契機に、自校式を含めた学校給食の充実について、どのように考えているか、お伺いいたします。 14 ◯教育長(東條広光君)中種子養護学校の給食についてのお尋ねでございます。  中種子養護学校につきましては、中種子町立の小・中学校からの移管という経緯もあり、現在、給食は、お話があったように、二次調理を除き、町立の学校給食センターに委託して実施しているところであります。  今回の整備に当たりましては、自校式での給食も含めて、対応を検討してまいりたいと考えております。    [松里保廣君登壇] 15 ◯松里保廣君 それぞれ御答弁いただきました。  文化財等の保存と活用についてでありますが、県内の有形・無形等の指定文化財は、県民の暮らしと密接にかかわっております。  このような文化財等を地域振興に生かし、さらに地域社会が地方公共団体等と連携しながら観光振興などに取り組んでいくことができるように、県におかれては、来年度当初予算における、文化財保存活用大綱策定の予算計上を前向きに検討していただきますようお願いいたします。  県立中種子養護学校の改築については、中種子養護学校の職員やPTA、さらに中種子町等の意見・要望を基本設計や実施設計などに十分反映していただき、工事着手を早期に進めるよう、教育長に強く要望しておきます。  サトウキビ生産振興の現状と今後の取り組みについては、県内サトウキビ生産の低迷状況に対処するためには、価格調整制度に基づく生産者交付金の再生産可能な水準を確保することや、さとうきび増産基金の財源確保等が必要であると考えております。  県におかれては、今後とも、市町村や関係団体と連携しながら、国に対し、サトウキビ生産振興対策の充実・強化について、前向きに働きかけることを強く要望いたします。  また、種子島地域向けのサトウキビ、はるのおうぎが一日も早く農家の手に渡り、早期栽培ができますよう、県の積極的な取り組みをお願いいたします。  ところで、平成二十六年九月に逝去された宇沢弘文氏は、シカゴ大学経済学部教授、東京大学経済学部教授を歴任し、社会的共通資本やコモンズ─共有地─という概念を唱え、ノーベル経済学賞に最も近いと言われた日本人経済学者であります。  宇沢教授は、「農村あるいは農業が持っている固有の性質を無視して、工業において企業が果たしているような役割を農家に求めたことに農業基本法の失敗がある」と主張されております。  農業の衰退を解決していくためには、「農業部門における生産活動に関して、独立した生産、経営単位として捉えるべきものは、一戸一戸の農家ではなく、一つ一つの村落共同体、いわゆるコモンズでなければならない」と唱えております。  種子島・屋久島地域の状況を見てみますと、耕地面積は、全国の状況と同じく減少し続け、平成七年と二十七年を比較して、千六十二ヘクタールの減少となる一方で、兼業農家の割合は、四〇・三%の高い水準となっております。  特に、種子島・屋久島地域を含む離島・中山間地域では、地形条件や自然条件が厳しいため、小規模農家が多い状況にあり、急速な少子高齢化の進行に伴い、農家の後継者不足が生じています。  また、本県農業は、新規就農者の確保、耕作放棄地の解消や農業の生産性の向上、さらに農業集落の維持など、さまざまな課題が山積しております。  これらの課題を解決していくためには、私は、農業の法人化等を推し進める一方で、宇沢教授が述べられているように、小規模農家については、一戸一戸の農家ではなく、一つ一つの村落共同体的な考え方で、県などが離島・中山間地域の農家の支援を積極的に行っていく必要があると思うのであります。  最後に、県民の皆様にとりまして、来年がよい年でありますよう心から祈念申し上げ、私の一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 16 ◯議長(外薗勝蔵君)次は、遠嶋春日児君に発言を許可いたします。    [遠嶋春日児君登壇](拍手) 17 ◯遠嶋春日児君 皆さん、お疲れさまです。薩摩川内市区選出の県民連合の遠嶋春日児でございます。  今回の一般質問に当たりまして、前回のを調べておりましたら、私の前回の一番最後の一般質問が二〇一四年の第四回定例会、ちょうどこの十二月議会が最後の一般質問になっておりました。記念すべき五年後の一般質問になります。しかも、三反園知事になって初めての質問でございます。どうかよろしくお願い申し上げます。  まず、原発の諸問題についてお伺いしたいと思います。  これまで、原発は、安全、安い、クリーンと言われていたわけですが、本当にそうなのかというのをお伺いしたいと思います。  二〇一一年三月十一日に起きた東日本大震災から八年と九カ月が過ぎようとしています。現在も、全国の避難者は約五万千人で、仮設住宅、賃貸住宅、親族・知人宅及び病院で過ごすことを余儀なくされています。原発が一旦事故を起こすと、人々の生活も経済活動も全て破壊することが白日のもとにさらされたのであります。  三・一一以前までは、原発は多重防護により安全だと喧伝されていましたが、福島第一原発事故で、多重防護は何の役にも立たなかったことが明らかになりました。第一の壁と言われる燃料ペレット、第二の壁の被覆管は、冷却水が喪失したために空気と反応し、溶け落ちて炉心溶融につながっていきました。第三の壁である原子炉圧力容器、第四の壁である格納容器は、燃料溶融によって発生した水素等で爆発を起こし、もろくも崩れ落ちてしまいました。最後の第五の壁である原子炉建屋についても、鉄骨があめのように曲がったりした姿があらわになってしまいました。爆発の威力がいかに巨大なものであったかをあらわしています。  この福島第一原発の事故は、原子力発電所の事故の国際評価尺度でいうと、最も深刻な事故であるレベル七で、放射性物質の重大な外部放出事故であり、チェルノブイリ四号の暴走事故と同等の深刻な事故に当たります。ただ、チェルノブイリの場合は、原子炉は一個であるのに比較して、福島の場合は、一から三号機と複数にわたっていることが深刻であります。しかも、チェルノブイリの場合は、四月二十六日に事故が発生し、五月六日には放射能の大量放出が収束したとされていますが、福島の場合は、いまだに溶け落ちた燃料デブリの位置や状態が不明であり、収束とはほど遠い状況であります。  このような事故を目の当たりにして、原子力発電は安全だと言えるのか、お尋ねいたします。  また、三・一一以前には、原発は発電コストが安いとも言われていました。もともと電気事業連合会が試算したものを総合資源エネルギー調査会がオーソライズしたコストが、二〇〇四年の計算では五・三円/キロワットアワーとなっていました。この数値を根拠に、他の発電方法と比較して安価であると強調されてきました。その際も、単価を割り出す根拠や計算方法は明らかにされていませんでした。  しかし、福島第一原発事故以降、原発の発電コストが問題になり、さまざまな検証が行われてきました。二〇一一年の十二月に、政府によって報告された原発の発電コストはキロワット当たり八・九円だったが、二〇一五年にはキロワット当たり十・一円としています。  しかしながら、龍谷大学政策学部教授で原発等の発電コスト計算に詳しい大島堅一さんは、各原発の実態に即して計算して、川内原発一号機ではキロワット当たり十四・三円、二号機はキロワット当たり十三・六円と試算しています。石炭火力やLNG火力、一般水力などより高コストであり、低廉であると強調する根拠はなくなりました。大島氏は、この発電コストは今後も上がり続けるとしています。  原発は、クリーンなエネルギーとも言われてきました。それは、発電時に二酸化炭素を発生させないからというのが根拠でありました。発電時にこそ二酸化炭素の発生はほとんどないかもしれませんが、発電所の長期間にわたる建設時や、燃料であるウラン鉱石の採掘・生成・輸送、そして廃炉過程などなど、二酸化炭素の発生はあります。  しかし、何よりも地球温暖化に重大な影響を与えるのが、大量の温排水です。そもそも原子力発電は、発電原理でいうと最も原始的であり、熱効率が極めて悪い発電手段であります。  川内原発一号機・二号機は、熱出力でいうとそれぞれ二百六十六万キロワットアワーです。その三分の一である八十九万キロワットが電気を生み出すのです。残りの三分の二は温排水として海に放出されるのであります。その量は、横を流れる一級河川の川内川の流量の一・五倍ほどになります。莫大な量であります。  一次冷却水を冷やすために取水口から海水を取水し、放水口から放水する。その温度差は七度C以内とされていますが、民間団体の計測ではそれ以上のところもあり、範囲も、発表されている以上に広範囲であることが判明しています。この温排水の影響で磯焼けが生じ、小魚の生息が困難になり、漁場としても厳しい状況が生じていると言われています。このように、原発は、二酸化炭素の発生による地球温暖化というよりは、直接海水温を上昇させている元凶と言わざるを得ません。  このようなことから、原発は、安い、クリーンなエネルギーと言えるか、認識をお伺いいたします。  次に、核燃料サイクルの現状についてお伺いいたします。  これまで我が国の政権は、原発は、資源小国において極めて有効な無限のエネルギーであるとしてきました。その背景には、ウラン燃料を軽水炉で燃やし、出てきた使用済み核燃料を再処理して高速炉で燃やすか、MOX燃料として再び軽水炉で燃やすという計画がありました。
     六ヶ所再処理工場の稼働が再三再四延期されており、高速増殖炉もんじゅも実質廃炉となった今、核燃料サイクルの現状はどのようになっているのか、認識をお伺いいたします。  使用済み核燃料の処分についてお伺いします。  現在、川内原発敷地内には使用済み核燃料がたまり続けています。あと十年前後は貯蔵可能だと言われていますが、六ヶ所再処理工場も貯蔵容量がほぼ満杯と言われており、このままでいくと、使用済み核燃料は永久に川内原発サイト内に存在し続けることになりますが、このことに対する認識をお尋ねいたします。  次に、気候変動に伴う原発の危険性についてお尋ねいたします。  気候クライシス。気候が凶暴になっている。猛暑や暴風雨により多くの人命が犠牲になり、家屋や財産に重大な損害がもたらされ、インフラは決壊し、その支援や復旧も行き届かないうちに次の天災が襲いかかる。そして、この猛威がことし限りのものであり得ず、今後さらに激しくなるであろうということを誰もが予感している。これは、月間「世界」十二月号の、気候クライシスの中の一文であります。台風十九号の猛威や昨今の降雨量の異常さを見たとき、誰もが認めざるを得ない現実であります。  二〇一一年三月十一日の東日本大震災による巨大な津波と福島第一原発事故を、世界では、温暖化の影響で将来起こり得るリアルな姿として見た人々が多かったと聞きます。  世界気象機関─WMO─は、二〇一八年の世界の気候に関する声明を二〇一九年二月六日に発出しておりますが、その中で、二〇一八年までの四年間は記録史上最も暑い四年間であり、地球の平均気温は産業革命前と比べて一度C上昇していると報告しています。二〇一八年夏の記録的暑さは全世界的で、各地の原発で、冷却水の温度上昇のために出力を下げるか停止せざるを得なかったという報道が相次いだといいます。  フランスでは、熱波によりフランス電力会社─EDF─は四機の原発を停止させた。二〇〇三年の熱波の年も十七機の原発の出力を下げたり停止させたりする措置をとった。ドイツでも、河川沿いに原発が立地するが、二十八度C以上の温排水を川に戻すことを生態系保護の観点から禁止しているために、グローンデ原発とブロークドルフ原発の出力を低下させねばならなかった。  スイスでは、原発の冷却水としている河川水の温度が二十・五度Cを超えると出力を低下させる規則があります。ベルンにあるミュールベルク原発では、川の生態系を保護することと原発の安全性を確保するために、出力を八九%にすると電力会社が発表いたしました。スウェーデンは、使用可能な海水温度の上限を二十五度Cに設定しており、二〇一八年七月三十日は出力を半分に下げたが、八月一日には二十五度Cを超えたため、リングハルス原発を停止し、その他にもフォルスマルク原発三基の出力を下げた。  アメリカでも、海水温が高くなったことにより、二〇一二年にはコネチカット州のミルストーン原発が、二〇一五年にはマサチューセッツ州のピルグリム原発が運転を停止した。  このような話は日本では聞いたことがありません。日本の原発は、このような配慮が必要ないのでしょうか。気候変動がかつてない規模での異常気象を全世界にもらたし始めている現在、国際原子力機関─IAEA─も、二〇一八年報告に、原発の気候変動への適応策という章を設けて考察しております。その中で、今まで、五十年から百年以上前の事例にさかのぼって耐え得るものを基準としていたが、気候変動が進行したことにより、将来の異常気象の厳しさを判断するのに過去の事例を用いることは不適切になりつつあると書いています。  現在、日本近海の海面水温の上昇率は、世界全体で平均した海面水温の上昇率の値より二倍高いと言われております。原発の温排水の影響はないと言えるでしょうか。南極大陸やグリーンランドの氷が全部解けると、海水面が八十メートル上昇すると言われております。  川内原発も海に面しており、気候変動に対応する対策が必要ではないか、見解をお伺いします。  皆さん方一人一人にお渡しできればよかったんですが、このような写真がございます。上と下は同じ場所の写真でございます。どこかと申しますと、北極なんです。白いのが北極の氷です。上が二〇一二年、比較的最近の氷の状況で、下が一九八四年の北極海の氷の状態です。わずか二十八年で半分以下に減っているわけですね。これは北極ですから、氷が海に浮いていますので、解けたからといってすぐ八十メートル海水面が上がるということにはならないわけですが、先ほども申しましたように、南極とグリーンランドは陸地の上に氷がありますから、それが解けると八十メートル海水面が上昇すると言われております。もうそうなったら、日本の原発はほとんど全滅だと考えます。  そういうことも含めて、気候変動に対応した原発の政策が必要ではないかと考えますが、認識をお伺いしたいと思います。  次に、川内原発一・二号機の二十年延長問題についてお伺いいたします。  川内原発一号機は一九八四年七月四日運転開始、二号機は一九八五年十一月二十八日に運転開始しています。それぞれ三十五年、三十四年が経過しております。つまり、あと五年、六年で丸四十年を迎えるわけでございます。  立地自治体の岩切秀雄薩摩川内市長は、「五、六年後にこの問題が出てきたときに検討すべきだ」と、二〇一七年の十二月市議会で答弁しています。二年前に五、六年後と述べていますので、現在からすると三、四年後ということになります。現在の県議会議員の任期内ということになります。知事の次期選挙後の任期内ということにもなります。避けて通れない判断でございます。老朽化した原発をさらに二十年も延長運転せざるを得ないなど、危険きわまりないと考えます。多くの市民・県民は二十年稼働延長は望んでおりません。  稼働延長はさせないと、知事の明言を求めます。  次に、三号機増設計画の知事合意の撤回を求めるものでございます。  現在、川内原発三号機の増設計画は、進行中ではあるが、再稼働の審査が優先されていて進んでいないというのが正式な回答でございました。これは、私が五年前の第四回定例会で県当局に質問した際の回答でございました。もう一回申します。審査は進行中であると、再稼働の審査が優先されていて進んでいないというのが、これは恐らく県が原子力規制委員会に問い合わせて得た回答だと認識いたします。  福島第一原発事故は、知事同意も終わり、原子炉設置変更許可申請が経産省に預けられ、増設の最終的許可がおりる直前でありました。しかしながら、福島第一原発事故が発生し、原子力規制委員会が発足し、新規制基準がつくられ、その後、再稼働の審査が始まるなど、新・増設どころではなくなったのが現状であります。  また、事故を受け、伊藤祐一郎前知事は、「三号機増設計画は凍結する」と言われました。凍結というのは、知事の権能としての大きな二つの手段である、公有水面埋め立てを許可しない、保安林解除をしないということでありました。  現在、特重施設設置の関係で保安林解除がされたと聞きますが、保安林解除の範囲と三号機増設計画の範囲との関係はどのようになっているのでしょうか。残るは公有水面埋め立てのみとなり、不安がよぎるところでございます。  この際、三号機増設計画の知事合意を撤回するべきだと考えますが、考えをお聞かせください。  以上で、一回目の質問とさせていただきます。    [知事三反園 訓君登壇] 18 ◯知事(三反園 訓君)川内原発の運転期間と増設についてであります。  原子力発電所の運転期間につきましては、原子炉等規制法で四十年とされており、国の原子力規制委員会が認めた場合、一回に限って二十年まで延長することが認められております。  そのことを踏まえまして、これまでも一貫して、運転期間は原則四十年と申し上げてきております。  また、川内原発の三号機増設につきましては、東京電力福島第一原発事故後の状況や、今の県民の安心・安全に対する思いを考えると、三号機の増設を進める状況にはないと考えております。 19 ◯危機管理防災局長(地頭所 恵君)原発の安全性についてでございます。  国は、福島第一原発事故を教訓として、原子力発電所の安全性を審査する機関を原子力政策を推進する経済産業省から独立させ、内閣から独立性の高い三条委員会である原子力規制委員会を設置しています。  また、同委員会は、IAEA等の国際基準を踏まえ、炉心損傷の防止対策など、万一の重大事故が発生した場合でも対処できる、世界最高レベルと言われる新規制基準を制定しています。  川内原発については、新規制基準に基づく厳格な審査を受け、これに適合していることが原子力規制委員会により確認されているものと承知しております。  使用済み燃料の貯蔵についてでございます。  使用済み燃料対策については、国の使用済燃料対策に係るアクションプランに基づき、国と全国の発電事業者で構成する使用済燃料対策推進協議会が、発電事業者の策定する使用済燃料対策推進計画を確認するとともに、適切にフォローアップすることとされています。  同計画においては、六ヶ所再処理工場の竣工に向けた取り組みを進めるとともに、各原子力発電所ごとに定めた使用済燃料対策方針に基づいて対応することとされており、九州電力は、川内原発では、当面、現行の貯蔵設備を活用することとしています。  なお、川内原発については、使用済み燃料プールも含め、新規制基準に基づく厳格な審査を受け、これに適合していることが国により確認されているところです。  気候変動と原発についてでございます。  先ほど御答弁したとおり、原子力規制委員会は、IAEA等の国際基準を踏まえ、炉心損傷の防止対策など、万一の重大事故が発生した場合でも対処できる、世界最高レベルと言われる新規制基準を制定しており、川内原発については、これに基づく厳格な審査を受け、適合していることが同委員会により確認されているものと承知しております。  お尋ねのような、気候変動に伴う自然現象により原発の安全機能が損なわれるおそれがある場合など、新たな知見を取り入れる必要があるときには、原子力規制委員会は、バックフィット制度により、原発の設置者に対し、適時適切な措置を講ずることを命じることができることとされております。 20 ◯企画部長(古薗宏明君)原発のコストと環境負荷についてであります。  国は、平成三十年七月に閣議決定されたエネルギー基本計画におきまして、原子力については、運転コストが低廉で変動も少なく、運転時には温室効果ガスの排出もないとしております。  また、国が設置した総合資源エネルギー調査会のワーキンググループが平成二十七年五月に取りまとめました、長期エネルギー需給見通し小委員会に対する発電コスト等の検証に関する報告によると、発電に直接関係するコストだけでなく、廃炉費用や核燃料サイクル費用など将来発生する費用、事故対応費用も織り込んで試算した原子力発電のコストは、一キロワットアワー当たり十・一円以上で、他の電源と比べて安いという結果となっております。  さらに、原子力発電の二酸化炭素排出量につきましては、平成二十九年七月に原子力委員会が決定した、原子力利用に関する基本的考え方の参考資料において、他の電源に比べ、ライフサイクルベースで排出量が少ないとされております。  核燃料サイクルの現状についてであります。  国は、資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化や有害度低減の観点から、使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針としております。  平成三十年七月に閣議決定されたエネルギー基本計画におきまして、高速増殖原型炉もんじゅの廃止措置への移行等の現状を真摯に受けとめ、安全確保を大前提に、プルサーマルの推進や六ヶ所再処理工場の竣工等を進めるとしております。  現在、六ヶ所再処理工場につきましては、竣工時期を令和三年度上期に、MOX燃料加工工場については、令和四年度上期に延期する変更許可申請書が原子力規制委員会に提出され、審査が実施されているところであります。  県といたしましては、使用済み燃料対策が計画的かつ確実に進められるためには、まずは国がこれらの対策を着実に実施することが必要であると考えており、今後の国及び事業者の動向を十分注視してまいりたいと考えております。 21 ◯環境林務部長(藤本徳昭君)川内原発の保安林解除手続についてであります。  川内原子力発電所については、原子力規制委員会が定めた新規制基準に対応するための特定重大事故等対処施設の整備などに伴い、一・二号機の通常運転や定期検査時の保守点検に必要な資機材保管ヤードが不足するとして、敷地内の一部の保安林について、九州電力から解除申請がなされたものであります。  県におきましては、森林法等の規定に基づき、公益上の理由により必要が生じたものであるか、他に適地を求めることができないか、解除面積が必要最小限のものであるかなどについて、慎重に審査を行ったところであります。  この結果、解除の要件を備えていると判断し、県森林審議会からの解除適当との答申も踏まえて、解除予定として告示を行ったものであります。 22 ◯遠嶋春日児君 幾つか自席から再質問させていただきたいと思います。  まず一点目は、知事にお伺いしたいと思いますが、二十年延長問題でございます。  国が四十年と言っているので、原則四十年だという話は、もう何度もお伺いしたわけですが、真意がよくわからないんですね。  国が四十年と言っている。恐らく国は、これからも原則を六十年にするとかいうことはないと思います。原則四十年という国の方針は変わらないにもかかわらず、今、二十年延長を許可された原発が四基あるわけですね。高浜原発の一号機・二号機、美浜原発三号機、東海第二原発、この三つの原発の四基が、二十年延長を規制委員会によって認められているわけですね。国が認めているわけです。ですから、国が四十年だからといって、四十年以上はだめだということではなくて、国の原則は変わらないのに、二十年延長が国によって認可されているという現実があるわけですね。  このことについて私は、それでもなおかつ四十年とおっしゃるのであれば、例えば、事業者が二十年延長の申請をするわけですから、九州電力は二十年延長するという要求も持っているし、動機もあるし、そういう具体的な行動をとるだろうと思います。  九州電力が二十年延長を規制委員会に申請して、審査に上がってきたら、規制委員会がそれを審査するでしょう。そして、これまでの四基が二十年延長を認められているように、九州電力の川内原発一・二号機の二十年延長も原子力規制委員会がオーケーを出すことは十分考えられるわけであります。  そのときに三反園知事はどういう判断を下すのか。先ほどは原則四十年だとおっしゃいました。二十年延長は認められないという意味で、原則四十年とおっしゃっているのか、あるいは、一度限り二十年延長は認められるという話をされましたので、国が二十年延長はいいよと言ったんだったら、それでいいんじゃないかと、そういうことになるのか、どちらなのかがよくわからないのであります。  このことについて再度お尋ねしますので、回答してください。 23 ◯知事(三反園 訓君)事業者からは、そういうことも含めて何も伝えられていないわけでございます。  先ほど答弁いたしましたけれども、原子炉等規制法を踏まえ、これまでも一貫して、運転期間は原則四十年と申し上げてきております。これが私の答えでございます。 24 ◯遠嶋春日児君 本当によくわからないんですよね。原子炉等規制法ではそうだろうと思います。二十年延長について、今から申請するんだろうと思いますよ。岩切市長も、二〇一七年の段階で、五年後、六年後にそういうことがあるだろうというふうにおっしゃっているわけですよ。もうそれから二年たっていますから、あと三年か四年後には市議会で、そしてその後すぐに県議会で二十年延長問題が議論される時期が私は必ず来ると思います。  そのときに、私どもはまだ任期内だと思います。知事は、次の選挙、結果がどうなるのかよくわかりませんが、もし通っていらっしゃれば、三反園知事がそのことについて判断しなければならないわけであります。次の四年の任期の中で必ずそういう時期が来るわけですから、私は、今回の選挙でも県民にはっきり知事の姿勢を示しながら戦うべきだと思います。  再度この件についてお伺いいたします。 25 ◯知事(三反園 訓君)先ほども答弁申し上げましたけれども、原子炉等規制法を踏まえて、これまでも一貫して、運転期間は原則四十年と申し上げてきております。事業者には今、何の動きもないわけでございます。 26 ◯遠嶋春日児君 全然納得できませんが、三号機増設の問題についてお伺いしたいと思います。  先ほど質問の中でも申しましたけど、三号機増設については、今、原子炉設置変更許可申請書が原子力規制委員会に上がっているわけですね。現在、審査中であると、再稼働が優先されているので進んでいないというのが、恐らく原子力規制委員会の答弁だと思います。原発の再稼働がだんだん進んでいくと、三号機増設の書類がだんだん規制委員会のテーブルの真ん中に来るわけですよ。必ず審査されると。そのときに、原子力規制委員会で三号機はだめよというふうになる可能性は、私は非常に低いと考えております。  しかも、今、国のエネルギー基本計画の中では、ベースロード電源として原発が二〇%から二二%だと言われております。九州電力管内では、電力需要のピーク時が昨年七月の千六百万キロワットアワーだと言われております。千六百万キロワットアワーの二〇から二二%というと、三百五、六十万キロワットアワーぐらいが原発に依存するということになるわけです。  玄海原発の三号機・四号機の出力を合わせますと、残り百二十万キロワットアワーぐらいの出力が原発で必要になるという計算になります。そうであれば、川内原発一号機・二号機が動かなければ、ベースロード電源でいうと原発があと一機必要だと、三号機増設につながる可能性は極めて高いわけであります。  そうすると、一旦三号機が審査されて、ゴーサインが出ますと、ベースロード電源としてエネルギー基本計画に沿っているわけですね。さっき核燃料サイクルの答弁もありましたが、今、六ヶ所村もどうなるかわかりませんが、六ヶ所村で再処理しても、全部の原発から出てきた使用済み核燃料の処理はできないわけです。ですから、出てきたMOX燃料をどんどん燃やしていかないと、とても間に合わないという状況になってまいります。川内原発三号機ができて、それをMOX燃料、プルサーマル計画用の原発にすればそこで燃やせるわけです。そういうことにつながる可能性があるということです。  先ほどの知事の答弁を聞いていますと、何かその時期が来たら三号機はつくってもいいよと、とられかねないような答弁に聞こえるわけです。皆さん、どうですか、私はそんなふうに聞こえますよ。  再度このことについてお伺いしたいと思います。 27 ◯知事(三反園 訓君)先ほども申し上げましたけれども、東京電力福島第一原発事故後の状況、そして今の県民の安心・安全に対する思いを考えると、三号機の増設を進める状況にはないと、これまでも一貫して申し上げてきております。 28 ◯遠嶋春日児君 どうもそこが気になるんですね。皆さん、そうじゃないですか。そういう時期が来たら、三号機はいいですよというふうにしか聞こえないですよ。そんなふうに言っているのであれば大変心外でございます。  前回の選挙の際は、その直前に伊藤前知事が二十年延長問題を言いました。私は、もう彼は絶対通したらいかんと、彼が通ることは県民の負託を得たということになりかねないということで、当時、一生懸命三反園知事を応援させていただきました。その結果、薩摩川内市で伊藤さんよりも三反園知事が七票多かったわけですよ、七票。原発の立地自治体で三反園さんが勝つというのは、大変大きな意義があることなんですよ。それは、そのときの情報発信が薩摩川内市民にとってそういうふうに受け取れたから、三反園知事を誕生させようじゃないかと動いて、七票差で三反園知事が誕生したわけですよ。  私は、そのときの期待をずっと持ち続けていたいんですけど、きょうの答弁を聞いて大変がっかりしております。  もう次の質問に移ります。    [遠嶋春日児君登壇] 29 ◯遠嶋春日児君 恐らく時間がなくなると思いますので、次にいきたいと思います。  公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場問題についてお尋ねいたします。  二〇一五年一月に開業して以来、四年十カ月余りが経過しています。現在、環境整備公社に勤めている職員も、議員の皆さん方にも経緯を御存じない方がいらっしゃると思いますので、当時の議論を若干回想し、当局の見解をお伺いしたいと思います。  二〇〇七年五月八日、伊藤知事が、産業廃棄物管理型最終処分場の最終候補地を薩摩川内市の川永野町にある採石場跡地にすると、突然発表されました。地元住民にとっては寝耳に水の話であり、大いに驚きました。当時の市長も、「知らなかった」と言っておりました。  この施設の建設に当たっては、全国各地で裁判が行われるなど、地域住民との摩擦が生じています。住民にとっては、施設設置以降の子供や孫の健康問題など、深刻な懸念要因が包含されているからであります。  候補地の川永野がある隈之城校区では地域住民挙げての反対運動が起こり、わずか一週間で九千名、その後の二カ月ほどで二万名を超す署名を集めました。早い段階から、県が言う地元四自治会のうち、一自治会を除いて反対の決議を上げていました。  しかしながら、三億円の自治会支援金の話が出てからは、地域のきずなが崩れ始め、一自治会は内部分裂を起こして、別の自治会を立ち上げ、他の自治会でも、自治会こそ分裂はしていませんが、人間関係は完全に二分されてしまうなど、地域に深刻な爪跡を残すことになりました。  分裂してできた一自治会を含む五自治会のうち、四自治会が賛成に態度を変化させました。その一方で、子や孫に安心・安全なふるさとを残したいと願う地元の皆さんは、今でも監視行動を行っております。  多くの課題が残っており、今後の運営にも課題山積の中で、去る二〇一四年十二月二十日、およそ十九億円という巨額の追加経費を余儀なくされて建設された巨大な処分場の竣工式が行われました。  この施設の建設には多くの疑問があり、いまだに納得していないのが現状であります。本日も、午後から宮崎高裁で控訴審が行われる予定でございます。  川永野町の産廃処分場の採算性については、これまでも何度も質問してまいりました。二〇一四年三月議会の代表質問で、県の廃棄物処理計画では、二〇一五年度の管理型最終処分場への搬入予定量は三万六千トン、処分場の搬入計画では年四万トンになっており、計画に満たないのではないかと質問いたしました。  これに対して、当時の新川部長は、「景気が低迷しているときにつくった処理計画であり、現在景気が回復しており、今後も地域経済の活性化が期待されるので、予定どおり年間四万トンにした」という趣旨の答弁をされました。期待だけで収支の予測をしてよいものでしょうか。民間企業では、このような楽観的な予測で巨費を必要とする事業に手を出すことはまずあり得ないと考えます。  この件に関して当時県は、中越パルプ工業のバイオマス発電が始まれば、その焼却灰が運び込まれるので、目標に達するという趣旨の発言をいたしました。  その直後、私どもは、産業経済委員会で、当時、委員長は小園議員でございましたが、中パのバイオマス発電を視察いたしました。そのときに担当者が、「産廃は出しません」と答えたわけですね。ですから、当時県は、何ら確認もせずに希望的観測を述べていたということが判明いたしました。こんないい加減な調査でいいんでしょうか。  二〇一四年第一回定例会で質問した際に、二〇一五年度の管理型最終処分場への産廃搬入予定量は三万八千トンとなっていること、処理料金については平均単価をトン当たり一万九千円とすること、埋め立て期間の十五年間で六十万トン受け入れにより約百十四億円の収入を見込み、支出は、公社の運営費や施設の維持管理費約五十四億円、建設費の借入金返済約五十九億円、合計百十三億円を見込んでおり、現時点では収支はおおむね見合うものと考えていると答弁しております。要するに、百十四億円の収入があって、百十三億円の支出があるから、一億円黒字になりますという説明をしているわけです。  そこでお伺いいたします。  創業以来、各年度の搬入量と現段階の搬入総量をお示しください。  そのうち、一般廃棄物の量を各年度ごと、市町村ごとにお示しください。
     また、その市町村から一般廃棄物を受け入れることになった理由をお聞かせください。  また、それらの市町村からいつまで受け入れられるのか、お示しください。  また、一般廃棄物の受け入れ単価は幾らになっているのか、市町村ごとにお答えください。  基本的には、一般廃棄物は、廃掃法によって市町村が処理責任を負っていると思うのですが、他の市町村からも依頼があれば引き受けるのでしょうか。  これまでの総収入額と総支出額はどのようになっていますか。  環境整備公社の職員数と人件費の支給元はどこでしょうか。職員の分掌はどうなっているか、お伺いいたします。  以上で、二回目の質問を終わります。 30 ◯環境林務部長(藤本徳昭君)エコパークかごしまについてお尋ねがありました。  まず、全体の搬入量及び一般廃棄物の搬入量についてであります。  エコパークかごしまにつきましては、埋め立て期間を十五年間とし、六十万トンの廃棄物を受け入れる計画で、平成二十七年一月に開業したところであります。  これまでの搬入量は、平成二十六年度約六百トン、平成二十七年度約一万千五百トン、平成二十八年度約三万九千四百トン、平成二十九年度約三万二千八百トン、平成三十年度約四万二千七百トンとなっており、本年度は十月末現在で約一万七千百トンを受け入れております。  この結果、累計の搬入量は約十四万四千トンとなっております。  このうち、一般廃棄物の搬入量は、薩摩川内市分が、平成二十八年度約九千トン、平成二十九年度約一万千トン、平成三十年度約一万七百トン、本年度約四千三百トン、喜界町分が、平成二十八年度約三百トン、平成二十九年度・三十年度がともに約四百トン、本年度約二百トンとなっております。また、三島村分は、平成二十八年度七トン、平成二十九年度十二トン、平成三十年度六トン、本年度実績なし、十島村分は、平成二十八年度四トン、平成二十九年度七トン、平成三十年度十トン、本年度実績なしという状況であります。  一般廃棄物受け入れの理由等についてであります。  市町村の一般廃棄物につきましては、廃棄物処理法上、市町村の統括的な責任のもと、市町村みずから、または委託等により処理することとされております。  エコパークかごしまにおきましては、地元の薩摩川内市、離島に所在する喜界町、十島村及び三島村からの受け入れ要請について、法の趣旨を踏まえながら、それぞれの地域における個別の事情や、エコパークの埋め立て容量のほか、地元四自治会が同意していること、県外処分場までの長距離輸送に伴う環境負荷の低減などにも資すること、外海離島ならではの輸送コストの負担があることなどを総合的に勘案し、受け入れることとしたものであります。  薩摩川内市からは、既存の最終処分場の再生事業が完了予定の令和十一年度まで、喜界町からは、計画中の新たな最終処分場が完成予定の令和四年度まで、最終処分場を整備すること自体が困難な十島村及び三島村からは、エコパークが稼働している間、受け入れる予定としております。  一般廃棄物の受け入れ単価についてであります。  エコパークかごしまの運営主体である県環境整備公社は、県内完結型の産業廃棄物処理体制を確立するため、処理料金に各種割引制度を設け、搬入量確保に努めているところであります。  四市町村からの一般廃棄物につきましても、産業廃棄物の料金体系に基づき、個別に協議し、契約において単価を設定しているところであります。  このため、個別の取引内容を明示することは、結果的に公社の営業活動に支障が生じるおそれがありますことから、他の搬入事業者と同様に、各市町村との契約単価についても明らかにしていないところであります。  他の市町村からの受け入れ依頼への対応についてであります。  現在受け入れている四市町村以外の県内の市町村については、一部事務組合等によるものを含め、その全てが最終処分場を有しており、県としては、同様の要請は想定していないところであります。  エコパークかごしまの総収入額と総支出額についてであります。  エコパークかごしまの運営主体である県環境整備公社の収支計算書によれば、実質的な開業初年度である平成二十七年度から三十年度までの間の収入合計は、約二十九億円となっている一方で、支出合計は、借入金の返済が開始されていないことなどもあり、約二十四億三千百万円となっております。  県環境整備公社の役職員数、事務分掌及び人件費の負担についてであります。  県環境整備公社の常勤役職員数は、現在十二名であり、理事長、専務理事のほか、公社の運営や処分場への搬入管理等を行う総務課に四名、搬入時の技術的判断や埋め立て管理等を行う業務課に三名、訴訟担当一名及び営業担当二名という体制となっております。  公社が運営するエコパークかごしまは、循環型社会の形成や地域産業の振興を図る上で必要不可欠なものであり、その運営業務は、県の事務または事業と密接な関連を有しているところであります。  このため、理事長を除く常勤の職員につきましては、公益的法人等への一般職の地方公務員の派遣等に関する法律に基づき、県から派遣しております。  これらの職員の人件費につきましては、同法に基づき、県が給与などの基本給部分を、公社が超過勤務手当などのその他の部分を負担しているところであります。 31 ◯遠嶋春日児君 自席から、再質問させていただきたいと思います。  最初におっしゃったこれまでの搬入量が、例えば平成二十七年度が一万千五百トン、平成二十八年度が三万九千四百トン、ずっと数字が令和元年まで続くわけですが、これは総搬入量ということで、一般廃棄物も入っているということですかね。 32 ◯環境林務部長(藤本徳昭君)先ほど、平成二十六年度約六百トン、平成二十七年度約一万千五百トン、平成二十八年度約三万九千四百トン、平成二十九年度約三万二千八百トン、平成三十年度が約四万二千七百トンと申し上げましたが、これは、四市町村からの一般廃棄物を含めての量でございます。 33 ◯遠嶋春日児君 含めてということですね、了解しました。  幾つかお伺いしたいんですが、一つは、先ほど総収入と総支出のところで、借入金の返済がまだ始まっていないという話がありました。いつから始まるんでしょうか、教えていただければと思います。 34 ◯環境林務部長(藤本徳昭君)現在、公社におきましては、安心・安全を第一としたエコパークの運営を安定して継続するためには、まずは財政基盤を固める必要があると考えております。このため、エコパークへの廃棄物の搬入が安定したことを見きわめた段階で、償還を開始することとしております。 35 ◯遠嶋春日児君 職員の内訳も教えていただきましたが、熊本のエコアくまもとは、五人の職員でされているわけですね。その中の専務理事は、エコアくまもとが単独で人件費を出していると、残りの四人は、ここ鹿児島と同じように県が給料を出しているという話でした。  さっき、営業担当が二人入っているとおっしゃいましたけど、エコアくまもとでは、営業担当は、エコアくまもとが原資で民間委託しているというようなことでございました。ですから、そういう自助努力も必要じゃないのかなと思います。  もう一つは、事業報告を見せていただきました。平成三十年度事業報告の中に財産の推移状況というのがありまして、稼働が平成二十七年の一月からで、平成二十七年の三月期の負債合計は五十九億八千五百万円、平成二十八年の三月期の負債合計は五十九億七千三百万円、平成二十九年三月期は負債合計が六十億八千万円、平成三十年の三月期では負債総額が六十億八千八百万円で、平成三十一年の三月期には六十一億三千八百万円ということで、負債合計がどんどんふえているわけですね。  先ほどの収支でいくと、収入のほうが多いようになっているわけですが、何で負債がどんどんふえているんでしょうか。 36 ◯環境林務部長(藤本徳昭君)今、開業以来、実質四年ぐらいの収支が出ているわけですけれども、先ほど申し上げたように、まだ借入金の償還は開始していないわけですが、単年度では黒字になっていますので、そうしたことをベースにして安定的な運営は行われていると。そうした中で、今後、搬入が安定した場合には、借入金の返済も開始したいと考えております。    [遠嶋春日児君登壇] 37 ◯遠嶋春日児君 時間がありませんが、せっかく準備しましたから、最後に一問だけ質問したいと思います。  児童相談所を薩摩川内市に配置をということで伺います。  本年八月、出水市で四歳の女児が虐待死しました。あと一、二年で、黄色い帽子をかぶり大きなランドセルを背負って、友達と仲よく小学校に通うことを夢見ていた、いたいけな子供さんがとうとい命を奪われたわけです。  この子は、薩摩川内市に居住していたことがあり、三月二十一、二十八、二十九、四月二日と四回にわたって、自宅近くの路上や駐車場にいたところを薩摩川内警察署に保護されていたといいます。四回目の保護の際に、児相に一時保護すべき事案と県警が連絡したが、児相からは、母親に連絡をとって引き渡してくださいと伝えられたとしています。  この事案については、市、県警、児相間の連絡がうまくいっておらず、結果的に手おくれとなり、とうとい命が奪われてしまいました。  そこで、この関係する機関間のそごを埋めるために、密接な意思の疎通を図る必要があると考えます。そのためには、昨日の伊藤議員は出水とおっしゃいましたが、児童相談所を薩摩川内市に設置すべきではないでしょうか。  現在、県下には、鹿児島市、鹿屋市、奄美市の三カ所に児童相談所が存在しています。北薩にはありません。今回の事件は、北薩に児童相談所があればこのような結果にならなかった可能性があります。薩摩川内市からも設置の要望が出ていると聞いております。ぜひ薩摩川内市に児童相談所を設置していただきたい。  以上で、三回目とします。 38 ◯子育て・高齢者支援総括監(吉見昭文君)北薩地域への児童相談所の設置についてでございます。  児童相談所の配置のあり方につきましては、将来を見据え、管内区域の人口や、広さ・移動時間などの地理的条件、各地域ごとの相談・通告件数、中核市における児相の設置の動向等を総合的に考慮し、検討する必要があると考えております。  また、地域における児童に関する相談、訪問、助言等を行うなど、児相の補完的役割を担う児童家庭支援センターの社会福祉法人等による設置促進の必要性についても検討しているところであります。  このほか、平成三十年十二月に国において決定された児童虐待防止対策体制総合強化プランにおいて、二〇二二年度までに全市町村に子ども家庭総合支援拠点を設置することが明示されたところであり、県といたしましては、市町村における同拠点の早期設置が必要であると考えております。  いずれにいたしましても、現在、相談部会において、再発防止策について、児童相談所のあり方も含めて検証しているところであり、今後、同部会における提言も踏まえ、どのような取り組みを行うか検討してまいりたいと考えております。    [遠嶋春日児君登壇] 39 ◯遠嶋春日児君 いろいろ答弁いただきました。  特に、廃棄物・リサイクル対策課、環境林務部の回答は全く納得できません。皆さん、良好な運営ができているというふうにおっしゃったような気がしますが、例えば、返済をずっと先延ばししているというのが良好な状態でしょうか。私は、経営が非常に危ないと、今や破綻しているから、こういう方策をとらざるを得ないとしか思えません。  ですから、もうちょっと健全な、百億円を超す巨費を投じてつくった施設ですから、私はこのようなやり方は絶対に許すべきではないと考えます。  原発についてもです。時間がありませんので一々再質問はしませんでしたけど、世界最高レベルの規制基準と何度もおっしゃいました。全然、実態は違います。また時期を改めて、いかに世界最高ではないかということをお話ししたいと思います。  いずれにしましても、原発がこのままでいけばあり続けると、放射性廃棄物も原発のサイト内にたまり続けるということですから、何としてもですね。私は孫が九人います。原発の三十キロ圏内にみんな住んでおりますが、いや、一人は東京に住んでおりますので、一人だけは別ですけど、あとは三十キロ圏内に住んでおります。私の孫もそうですけど、孫の友達とか、子供さんやお孫さんたちが本当に将来にわたって安心して住める、そういうふるさとを私たち大人はつくるべきだと、守るべきだと、それが私たちの責任だと思います。そういう意味で、私も引き続き頑張ってまいりたいと思います。  恥ずかしながら、私の個人的なことなんですが、私はことしの四月まで四年間、年金生活をしておりました。共済年金と厚生年金合わせて月九万円です。月九万円で四年間生活してきました。大変心細い思いをしました。なけなしのお金を、老後のために残そうと思っておりました貯金を少しずつ食い潰しながら、四年間頑張ってまいりました。  私はそれで年金事務所に行ったんです。そんな話をしたら、まだいいほうですよと言われました。ああ、そうかなと。よくよく考えると、国民年金だけで生活している人は、二万円、三万円で生活しているわけですよね。本当にそういう方が多かったです。皆さん、二万円、三万円で、憲法二十五条に保障された、健康で文化的な最低限度の生活を営めると思いますか。私は営めないと思います。もう今の高齢者が置かれている現状は、憲法違反ですよ。  私は、今、憲法を変えようという話がありますけど、とんでもない話だと、今こそ憲法を守らないかんと思います。憲法を守って、日本の隅々まで憲法の理念が生かされるように、私は微力ながら今後も頑張ってまいりたいと思います。  以上をもちまして、久々の一般質問とさせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 40 ◯議長(外薗勝蔵君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午前十一時五十三分休憩       ─────────────        午後 一時 十五分再開 41 ◯副議長(桑鶴 勉君)再開いたします。  鶴田志郎君に発言を許可します。    [鶴田志郎君登壇](拍手) 42 ◯鶴田志郎君 自由民主党の鶴田志郎であります。  四月に改選され、議席を得て以来、きょうが初めての一般質問であります。最近は我が会派も新進気鋭の元気いっぱいの若手がいるものですから、なかなか我々に質問のチャンスが回ってこないという現状でありますが、負けないように質問を展開いたします。  まず最初に、知事の政治姿勢であります。  知事は、任期満了まであと半年余りとなる中で、自民党の代表質問に答える形で、次期知事選への出馬を表明されました。就任以来、マニフェストに基づいてさまざまな施策に取り組んでこられましたが、自主財源の乏しい我が県の財政状況のもと、民生の向上、社会基盤の整備、農林水産業や商工業など産業の振興など、各般にわたり取り組んでこられました。しかしながら、成果を得るまで時間を要することも多いことから、いろいろとジレンマを感じることもあるのではと思います。  私も、大隅半島の中でも県都鹿児島市など人口集積地から遠く、比較的条件が厳しいと言われる肝属郡を地元としており、少子高齢化や人口流出に歯どめがかからないとか、交流人口の確保が難しいなどの厳しい条件のもと、地域振興に取り組んでおります。  そして、我が党の代表質問の答弁で、これまでの実績をいろいろと知事も挙げられましたが、その中でも、知事と語ろう車座対話について高い評価をしておられます。そこで、肝属地域の実施状況を見てみますと、昨年の四月に肝付町と東串良町で、十二月に錦江町と南大隅町で車座対話を実施されております。  そこでお伺いしますが、知事と語ろう車座対話を通して、肝属郡の現状をどう考えるのか。また、車座対話で出された意見、提言をどのように生かしていくのか、教えていただきたいと思います。  次に、肝属地域の課題についてお伺いいたします。  県内におきましても、地域間格差の解消が課題となる中で、例えば平成二十八年度の統計調査によりますと、鹿児島市の県民所得の平均が二百五十八万三千円なのに比べ、肝付町は二百六万二千円で、約五十万円の格差があります。高齢化率につきましても、県内で最も高い町は南大隅町の四五・六%、第二位は錦江町の四二・九%、第三位は肝付町の三九・一%となっており、毎年二百名程度の人口減少が続く中で、地域振興への取り組みが厳しい状況が続いております。  しかしながら、観光客の入り込み状況につきましては、ことし四月の統計によりますと、大隅地域に宿泊した観光客は、対前年同月比で一七・二%の増加となっており、さんふらわあの新船の就航や高速道路の開通に西郷どん効果が加わったのが、その要因となっていると考えます。  もともと、合宿などによる訪問に力を入れてまいりましたが、根占自転車競技場やジャパンアスリートトレーニングセンター大隅などのオンリーワンの施設を活用することにより、さらに観光客や合宿客などをふやす努力をしなければなりません。さらに、かごしま未来創造ビジョンでも示されたように、豊富なウェルネス素材を生かした地域づくりという点では、手つかずの自然が多く、ゆったりとした時間を過ごせるということでは、大隅地域は絶好の環境であります。  例えば、鹿屋市では、廃校となった菅原小学校を活用してつくられた、ユクサおおすみ海の学校がありまして、錦江湾に臨み、右手には桜島、左斜めには開聞岳がそびえる雄大な景観を楽しむことができる、まさしくウェルネスな施設が人気を呼んでおります。ここでは、自転車をレンタルし、海岸の美しい景観を楽しむ仕掛けもあり、多数の自転車愛好家も訪れているようであります。このほかにも、ホテル佐多岬やコスモピア内之浦など、長期滞在ができる施設が多くあり、ウェルネスを素材とした体験型観光の誘致が期待されます。  そこでお伺いしますが、知事は、トップセールスなどを通じ、県外との交流の促進に力を入れておられますが、大隅地域をさらに活性化するに当たり、どのような課題があるのか、さらには、どのような取り組みをすべきか、お示しいただきたいと思います。  次に、台湾との交流の促進についてお伺いいたします。  このたび、台湾との交流促進と鹿児島県産物の輸出の取り組みの現状を把握すべく、桑鶴副議長、中村副知事、中村素子議員とともに台湾を視察・訪問してまいりました。台湾にとりましては、鹿児島県は沖縄県に次ぐ近い県であり、古くから交流が続けられてまいりました。  台湾は、日清戦争後に日本に割譲され、一八九五年から一九四五年の太平洋戦争終結まで日本の統治下にありました。その間、農業を中心に、各種産業の保護政策がとられるとともに、鉄道を初めとする交通網の整備、大規模水利事業などを実施し、製糖業や米の生産が飛躍的に向上いたしました。  日本統治以前の台湾はある意味、収奪されることが多い状況でありましたが、日本の統治下で、産業の振興や生活基盤が飛躍的に発展したと言われております。例えば、西郷さんの長男西郷菊次郎氏が宜蘭庁長のときに、宜蘭川の治水工事を手がけましたが、台風時期になると、必ず氾濫し、堤を寸断して田畑や家を押し流し、伝染病が蔓延するということが繰り返される状況でありましたが、これにしっかりと歯どめをかけることに成功し、その功績をたたえるべく顕彰碑が建てられております。  また、農学者である磯永吉は、台湾での栽培に適した米の新品種を育成、蓬莱種と命名しましたが、粒形、大きさ、食味は日本産米とほぼ同じくすることに成功し、この栽培により、台湾の農家は飛躍的な増収を得ることができたとされ、農家の収益は三〇%増になったと言われております。  また、台湾は衛生状態が非常に悪く、多種の疫病が蔓延しておりましたが、その原因である飲料水の状態を改善するため、後藤新平が近代的な上下水道を完成させ、大いに成果を上げたと言われております。  八田與一は、台湾南部の乾燥と塩害対策として、烏山頭ダムと用水路を建設し、現在でも、八田與一の命日には、毎年地元台湾で慰霊祭が行われているということであります。  さらに、義務教育制度が施行され、台湾人の就学率は一九四三年の統計で七一%と、アジアでは日本に次ぐ高い水準に達していたそうであります。  このようなことで、台湾国民の日本に対する思いは非常に温かいものを感じますので、鹿児島県としてもさまざまな交流を図るべきと考えます。  そこで、中村副知事は、このたび台湾を訪問・視察され、どのような印象を持たれたのか。さらに、鹿児島県と台湾との関係をどのように進めていかれるのか、お伺いいたします。  次に、台湾との産業連携についてお伺いいたします。  昨年二月に、台湾TJPO、これは対日産業連携推進オフィスというのでありますが、そこと鹿児島県商工労働水産部との間で、産業連携に関する覚書が締結されております。その目的は、鹿児島県と台湾の企業が連携し、それぞれの持つ特性と強みを生かしながら、中国や東南アジアへの市場開拓を目指すものとなっております。  連携の形態としては、合併や資本連携などの事業経営連携、委託製造や部品供給などの生産製造連携、プラント輸出などのマーケティング連携が想定されております。今後、企業間交流を図る中で、連携案件の発掘や商談・マッチングなどに取り組まれるものと考えます。
     そこでお伺いしますが、この協定に基づいたこれまでの取り組み状況はどのようになっているのか。また、期待される効果について教えていただきたいと思います。    [知事三反園 訓君登壇] 43 ◯知事(三反園 訓君)肝属郡で実施いたしました車座対話で出された意見、提言への対応についてであります。  私は、県民が主役の県政を実現するためには、県政の主役である県民が何を求めているのか、県民の思いは何かといったことにつきまして、現場に赴き、県民の皆様の声を直接伺うことが大変重要であると考えております。  知事と語ろう車座対話では、これまで、肝属郡を含む県内各地で、人口減少や少子高齢化から来る不安の声、子育てや介護、観光や農林水産業の振興などに関する御意見、御要望をいただいたほか、現地に行かなければわからない、身近な生活に密着したさまざまな御意見もたくさん伺っております。  これらの声を受け、子育て支援と高齢者の生き生き支援を私の重点施策の二本柱に掲げ、積極的に、重点的に取り組みを進めるとともに、魅力ある観光地づくりや稼げる農林水産業の実現に向けた取り組みなど、さまざまな施策に反映させてきたところであります。  また、車座対話で出された御意見等につきましては、その場で私がお答えするほか、持ち帰ったものにつきましては、担当課が一つ一つ真剣に検討を行い、すぐに対応、回答できるものから、速やかに検討結果を質問した方に直接お伝えしているところであります。  昨年四月の東串良町と肝付町、また昨年十二月の南大隅町と錦江町で開催した車座対話におきましては、県根占自転車競技場の早期整備、農畜水産物のPR・販路拡大、広域的な地域おこしの推進、産業の担い手の確保、地域医療の充実など、さまざまな御意見、御要望をいただきました。  同自転車競技場は去る八月に完成いたしましたが、これらの御意見等も踏まえ、台湾での鹿児島黒牛のPR、首都圏の量販店での肝属産のピーマン、ばれいしょなどの試食宣伝販売、県庁食堂での県産米なつほのかフェアの開催、大隅地域で活動する地域おこし協力隊の方々が一堂に会する連絡会議の開催などを行ってきたところであります。  車座対話は、やったことに対しまして、どのような形でそれを県政に生かしていくかが大切であると考えており、今後とも、県民の皆様の声を県政に反映させてまいりたいと考えております。  車座対話を踏まえた大隅地域の現状と今後の取り組みについてであります。  肝属郡を含む大隅地域は、人口減少や少子高齢化の進行、これに伴う後継者不足などの課題に直面しておりまして、改めて、地域活力の維持・向上に向けた取り組みを進める必要性を強く感じたところであります。  大隅地域は、佐多岬、雄川の滝などの景勝地のほか、ジャパンアスリートトレーニングセンター大隅、日本遺産に認定された志布志麓や垂水麓、弥五郎どん祭り、内之浦宇宙空間観測所などの魅力ある観光資源を多数有しております。また、豊かな自然が育んだ肉用牛、豚、カンパチ、ブリ、ピーマン、ばれいしょ等の食の宝庫でもあるなど、世界に通用する健康・癒やし・長寿に有益な地域資源、いわゆる鹿児島のウェルネスを多く有しております。  広域交通ネットワークにつきましては、東九州自動車道の鹿屋串良ジャンクションから志布志間の令和二年度供用開始に向けて着実に取り組んでいるほか、都城志布志道路の末吉道路及び有明志布志道路についても、令和二年度の供用開始を予定しております。大隅縦貫道につきましても、引き続き力を入れて取り組んでいきたいと思っております。それにあわせまして、国際バルク戦略港湾としての志布志港の整備なども進めているところであります。  県といたしましては、これらのポテンシャルが最大限に生かされるように、大隅地域の市町とも連携を図りながら、子育てや高齢者への支援、医療・福祉の充実などに取り組むとともに、観光や農林水産業の振興、高速交通網の整備など、大隅地域のさらなる発展に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 44 ◯副知事(中村かおり君)台湾訪問の所感のお尋ねがございました。  先般、議員の皆様と台湾での本県セールスを実施してまいりました。  鶴田議員御指摘のとおり、台湾の方々の鹿児島に対する感情は、西郷菊次郎氏など先人の功績に裏打ちされて、大変温かく、また堅固なものがあるように感じた次第でございます。  また、流通事業者や旅行会社など九カ所の訪問先との意見交換では、先方が、鹿児島を日本一の鹿児島黒牛、またお茶やさつまあげ、屋久島や奄美の自然、そして指宿の温泉など具体的な魅力と結びつけて語ってくれました。  本県が、他の自治体とは差別化されて、ビジネスに結びついている様子を確認できたことで、本県のPR戦略が奏功していることを実感いたしますとともに、戦略を持って事業を行うことの政策的な重要性を再認識したところでございます。  台湾へは他の自治体も熱心にセールスを行っておりまして、本県においても継続的な取り組みが必要でございます。国際関係は、殊に官民連携した取り組みが重要な分野の一つであります。県議会や民間事業者など関係の皆様方とオール鹿児島での取り組みができますよう、三反園知事のもとでこれからも努めてまいります。 45 ◯PR・観光戦略部長(木場信人君)今後の台湾との関係についてであります。  台湾は、本県と地理的に近く、直行便が就航しているほか、歴史的なつながりも深く、日本に親しみを持つ人が多い地域であります。  県では、これまで、観光客の誘致活動、スーパーにおける鹿児島フェアの開催、青少年の派遣など、交流に関するさまざまな取り組みを行ってまいりました。  また、日本一の鹿児島黒牛の重要な輸出先となっているほか、台湾からの宿泊者は、昨年、延べ十三万人を超えており、本県の海外誘客を推進する上でも、台湾は重要な市場の一つであると考えております。  今後も、観光や貿易のほか、文化や青少年などさまざまな分野における台湾との交流が一層促進されるよう、関係団体とも連携しながら取り組みを進めてまいります。 46 ◯商工労働水産部長(五田嘉博君)台湾との産業連携の取り組みについてであります。  県では、平成三十年二月に締結いたしました産業連携に関する覚書に基づき、県内の経済団体、金融機関等で構成する、鹿台ものづくり連携推進会議を設置し、台湾との産業連携に係る情報共有等を図っているところであります。  また、商談会も実施しておりまして、本年度は、先月末、台北市で開催されたTJ CONNECT FAIR二〇一九に県内製造業者七社が参加し、市場ニーズや業務提携の情報収集等を行ったところであります。  昨年七月には、台湾の行政機関等の関係者が本県を訪問し、意見交換等を実施したところであります。  本覚書の締結により、取引案件の発掘からフォローアップまでの一貫した支援を台日産業連携推進オフィスから受けられるため、台湾における本県製造業者のさらなる取引推進と販路拡大が期待されると考えております。  県としましては、今後とも、商談会や企業視察等の活動を通じて、台湾との産業連携を進めながら、県内製造業者の海外展開を支援してまいりたいと考えております。    [鶴田志郎君登壇] 47 ◯鶴田志郎君 ただいま、車座対話などいろいろと御意見いただきました。  知事が県民と直接話すということで、司会から質疑まで全て一人で仕切っている状況を見ておりまして、なるべく県民と直接対話をしたい、そんな熱意も伝わってきて非常にいいなという感じを持ちました。しかしながら、例えば、質疑がかみ合わない、あるいは即答できない、こんな問題も多々あるわけでありまして、そのときに、いかにその後をきちっとフォローアップしていくか、こういったことをしていかないと、行政不信につながっていくのではないかなと考えております。  また、私ども県議会も去る十月十二日にあなたのそばで県議会を実施いたしました。場所が、私の地元肝付町だったのでありますが、たしか田代の地域から、医療的ケアが必要なお子さんをお持ちの若い奥さんが来て、切実な思いを展開していかれました。今回の質問等を見ておりましても、早速その問題を取り上げていただいている議員もいるようでありますが、我々も、もう一歩踏み込んで、県民のもとでいろんな意見を聞いていくことが重要かと考えております。  さらに、そのことを担うべき錦江町にある医師会立病院が医師不足と老朽化で非常に大変な状況になってきております。このことにつきましては、知事と語ろう車座対話の最中に、お忙しい中、知事にその現場も見ていただきました。今後、そういった地域的な課題もしっかりお取り組みいただきたいと思うところであります。  さらに、台湾の問題で中村副知事から御答弁いただきました。  議場で見ておりますと、中村副知事は非常に清楚で、つつましやかな女性とお見受けいたしましたが、今度、台湾当局との意見交換を見ておりますと、決して的を外さない、わからないときは一つ一つ確認して議論を進めていく、そんな姿を見て大変にすばらしいなと思ったところであります。今後ともぜひ活躍を期待するところであります。  また、この意見交換の中で、奄美大島の龍郷町が、宜蘭市といろいろと交流を深めているということを聞きました。そこで、則副町長にその状況をお伺いしましたが、龍郷町と宜蘭市と、それからさつま町と京都市で交流宣言を行って、そこで、今後、交流を含めて地域の活性につなげていきたいという話が出てまいりました。  今後、県としては、こういったこともフォローアップする必要があると思いますし、私ども議会では、今回一緒に行った桑鶴副議長が、宜蘭県議会と交流を進めていけないかという御意向もお持ちでありますので、いろんなレベルでこのこともしっかりと進めていかなければいけないと考えたところであります。  さて、牛肉の輸出について取り組みをお伺いしたいと思います。  このたび、台湾とオーストラリアを視察する機会を得る中で、特に、日本一の鹿児島県の牛肉の輸出についていろいろと意見が出てまいりました。  牛肉の輸出につきましては、平成三十年に鹿児島県農林水産物輸出促進ビジョンが策定され、そこに示されたロードマップを一つの指針として取り組みが進められていると考えます。  このビジョンの中で、牛肉を初めとした農林水産物の輸出に取り組む必要性として、人口減少に伴い、日本の食需要は一九九〇年以降二十年以上減少し続けており、食需要の減退は、農林水産業や農山漁村の衰退につながることから、早急な対応が必要となっている。日本と諸外国との間で経済連携協定が締結されるなど、経済活動のグローバル化が急速に進む中、本県の基幹産業である農林水産業を維持・発展させるためには、グローバル市場の出現を新たなビジネスチャンスと捉え、農林水産物の輸出に取り組むなど、攻めの農林水産業への転換が必要となっているという課題が提起されております。  そして、県産農林水産物の輸出拡大に取り組むため、国内外の食市場を取り巻く環境の変化、輸出相手国における需要や市場条件の変化等を調査・分析し、中長期的な視点から、本県の農林水産業が目指すべき将来像とその実現に向けた戦略的な取り組みが示されております。  そのような中、農業産出額の六割を占める畜産部門について、鹿児島黒牛が、第十一回全国和牛能力共進会で日本一を獲得、かごしま黒豚が、ブランド豚として国内外で高い評価を得ているほか、かごしま地鶏は、おいしく安全な地鶏として人気が高まってきております。  このように、牛、豚、鶏それぞれにおいて、生産者と関係者が一体となった飼育・生産・改良を行う体制が確立されていることに加え、和牛や豚、採卵鶏とブロイラーを合わせた鶏の飼養頭羽数は全国第一位と、畜産物を安定的に供給できる体制が整っております。  このたび最初に視察した台湾では、平成二十九年に牛肉の輸入が再開され、質の高い鹿児島和牛の輸出が盛んに行われております。私が、再開前の平成二十八年に台中の県会議員の方と意見交換した際には、「台湾の養豚は比較的盛んであるが、牛の肥育はほとんどなされていない」と言っておられました。また、私の友人が台北で牛肉の販売を復興そごうという百貨店で行っていると聞き、訪問してみましたが、高額にもかかわらず、若い夫婦がビールを片手に鹿児島和牛を堪能しておりました。  また、オーストラリアにおきましては、以前アメリカ経由で輸入された和牛の遺伝資源を活用し、多数のオーストラリア産和牛が肥育・販売されておりました。大きなマーケットにある販売店では、牛の種類と各部位ごとにパッケージされ、購買者のニーズに沿うような販売がされておりました。しかしながら、オーストラリア産和牛は、確かにサシは入っておりましたが、鹿児島和牛の質の高い食味を味わうことはできないなと思いました。  台湾とオーストラリアでは牛肉の販売方法も大きく違うという印象を持ちましたが、鹿児島県農林水産物輸出促進ビジョンの中でも、その国の事情に合わせて、「つくる」、「あつめる・はこぶ」、「うる」の各段階において工夫していくとあります。  そこでお伺いしますが、台湾とオーストラリアへ向けた本県からの牛肉輸出の現状と、輸出促進の取り組みについてお示しください。  さらに、新聞報道では、二〇二〇年には巨大市場である中国への牛肉の輸出が再開される見通しであると報じられており、大きなビジネスチャンスと考えますが、鹿児島県はこのことに対しどのように対応していくのか、教えていただきたいと思います。  次に、酪農の振興についてお伺いいたします。  酪農は、明治二十七年より知事を務めた加納久宜知事が種子島に導入して以来、鹿児島県の畜産業の一翼を担う基幹産業として取り組まれてまいりました。そして県民の重要な栄養源である牛乳・乳製品を供給する中で、肉用子牛の供給等により牛肉生産にも貢献しておりますし、自給飼料の活用や良質堆肥の供給などにより資源循環の一翼を担っております。そのことにより、耕作放棄地の解消など、それぞれの地域で環境の保全や景観の維持にも寄与しております。  また、酪農業の特徴としては、毎日生産される生乳は、腐敗しやすく貯蔵性がないことから、需要に応じて、飲用向けとバターやチーズなどの乳製品向けの仕分け調整が必要であります。飲用向け生乳は輸入の影響は受けませんが、乳製品は保存がきくことから、輸入の影響を大きく受けます。国内での乳製品の製造は、飲用向けの生乳量を調整する役割を果たしておりますので、これらの乳製品向けの生乳に対して加工原料乳生産者補給金等を交付することにより、需給の安定と酪農家の経営の安定が図られているのであります。  そのような中、鹿児島県の酪農は、ことし二月の農家戸数が約百八十戸で、昨年度の生乳生産量は八万四千五百九十七トンとなっており、全国で十三位、九州で熊本に次いで二位の実績を誇ります。しかしながら、酪農家の高齢化と後継者不足により農家戸数が減少しているなどの影響により、今年度の九月末で、何と対前年比一〇%程度の減産となっているのであります。  そこで、酪農生産基盤の維持・拡大がさらに必要でありますので、これまでも県におきまして、国との連携のもと、優良牛の造成や経営体の育成、伝染病対策や需給の安定に伴う補給金の対応などに取り組んでまいりました。  そこでお伺いしますが、県は、鹿児島県の酪農生産基盤の維持・拡大に向けどのように取り組んでいるのか、お示しください。  また、来年の十月三十一日から都城市で開催されます、第十五回全日本ホルスタイン共進会に対する取り組みについてお伺いいたします。  五年に一度行われます全日本ホルスタイン共進会は、酪農王国と言われる北海道を筆頭に、優良牛の造成と酪農の振興を目的として開催されてまいりました。前回は北海道で開催され、鹿児島県からは八頭のホルスタインが出品されております。参加県としては沖縄県に次ぐ遠隔県ということで、長距離輸送に対し、いかに牛のストレスを軽減するかなど、農済や獣医師会などの団体からも支援を受けての参加でありました。結果は、優等賞が一頭、一等賞を四頭が獲得し、優秀な成績を上げたのであります。  来年の大会は九州・沖縄ブロックでの開催という位置づけで、「新しい風は九州・沖縄から。ミルクでつながる、みんなの笑顔。」というテーマで行われますが、都城はほぼ地元と言ってもよいので、好成績を上げるべく鹿児島県の酪農家の意気込みも強いものがあります。  そこでお伺いしますが、来年の第十五回全日本ホルスタイン共進会の上位入賞に向けて、鹿児島県はどのように臨まれるのか、お示しいただきたいと思います。  次に、カンショの病害対策についてお伺いいたします。  昨年、沖縄県や鹿児島県及び宮崎県にかけて発生が確認された基腐病は、茎の上部や芋全体に腐敗が広がり、収量が激減するというものであります。これは、我が国の重要な甘味資源であり、鹿児島県の基幹作物であるカンショの栽培にとり脅威であり、その対策が急務であります。  発生が確認された後、国の機関との連携により、病原菌がその原因であることは判明いたしましたが、過去の知見がないため、明確な病害対策をとることが難しい状況でありました。しかしながら、圃場の排水対策をしっかりとることとか、収穫後の残渣を圃場に残さない、バイオ苗などの病原菌に汚染されていない種苗を使うなどのリスク軽減策が講じられてきました。そして、ことしの作柄がどのようになるのか懸念されておりましたが、圃場によっては昨年より病害が拡大している地域も見られます。  私も農家の皆さんと、でん粉用、焼酎用、青果用それぞれの畑を回ってみましたが、カンショの葉に勢いがなく、中には枯れつつあるところも多くありました。そこで、農家の皆さんの意見を聞くと、バイオ苗を使っており、苗の段階で病原菌に感染している可能性は低く、土壌に病原菌がいるのではないかという意見でありました。また、収穫後の残渣を持ち出したにもかかわらず発生している畑もあり、感染力が強い病原菌ではないかという意見もありました。さらに、農家の間では、このような状況が拡大し、収量が激減するようなことがあれば、カンショ以外の作物に変えようかという意見も出てきております。  国の手厚い制度のもと、計画的に栽培されてきたでん粉用カンショについては、計画量を達成できないと、でん粉工場の経営にも悪影響が出てきます。また、大隅地域では、カンショ栽培全体の五割を占める焼酎用カンショにつきましても、地元の安全な作物として栽培されてきておりますので、焼酎ブランドにも悪影響が出る懸念があります。  我が自民党の代表質問において、今期の基腐病などの発生状況は、県全体の作付面積の約五割を占め、被害の大きい圃場が約六百ヘクタールあるとの答弁がありました。  そこでお伺いする一点目は、昨年の病害の発生状況を踏まえ実施された、本年度の取り組みで効果が確認された対策等を教えてください。  さらに、新しい農薬登録の拡大に向けた進捗状況について教えていただきたいと思います。  二点目は、来年度に向け、被害の程度に応じた対応をどのように進められるのか、具体的にお示しください。  三点目は、代表質問において、被害の大きい生産者については、圃場の交換等を推進するとの答弁がありましたが、具体的にどのように進められるのか教えてください。  加えて、国の対策についてもお示しいただきたいと思います。    [知事三反園 訓君登壇] 48 ◯知事(三反園 訓君)本県からの台湾とオーストラリアへの牛肉輸出及び中国への牛肉輸出再開に向けた対応についてであります。  台湾への牛肉輸出につきましては、平成二十九年九月の再開前に他県に先駆けて台湾を訪問し、トップセールスを行い、平成三十年度の輸出量は二百三十七トンであり、全国のおよそ四割を占めております。  また、オーストラリアにつきましては、作年五月に輸出が再開され、県内の食肉輸出事業者が七月から全国で初めて輸出を開始し、平成三十年度の輸出量は十六トンで、全国のおよそ八割を占めております。  県におきましては、台湾やオーストラリアを含めた海外への牛肉の輸出拡大を図るために、県内の食肉輸出事業者等から成る県食肉輸出促進協議会と連携しながら、食品展示会・商談会への参加や、ロース等の高級部位のみでなく、多様な部位を販売するための調理・カット技術の指導等にも取り組んでおります。  また、全共での和牛日本一の獲得を機に、台湾やオーストラリアなど各国の大使館等へ、毎年、手紙を送り、和牛日本一のPRや牛肉の輸入拡大の要請を行っているところであります。  中国への牛肉輸出再開につきましては、先月二十五日、日中両国政府が、日中動物衛生検疫協定に署名したところであり、この協定締結により、牛肉などの輸出再開に向けた手続の加速化が期待されております。  今後、政府間におきまして、輸出再開に向けて、食品安全システム評価や輸出施設の認定など、必要な手続が行われることとなっております。  中国における牛肉輸入量は、昨年、米国を抜いて世界一位になるなど、近年、急速に増加してきておりまして、日本産牛肉の中国への輸出が再開されれば、巨大な市場としてさらなる輸出拡大が見込まれ、本県にとっては大きなチャンスであると考えております。  県としては、引き続き、和牛日本一の優位性を最大限に生かし、積極的なPRに取り組むとともに、農林水産物輸出促進ビジョンに基づき、販売指定店の拡大、地理的表示保護制度、いわゆるGIによる差別化を図りながら、鹿児島和牛のさらなる輸出拡大に努めてまいりたいと思っております。 49 ◯農政部長(満薗秀彦君)酪農生産基盤の維持・拡大に向けた取り組みについてでございます。  酪農生産基盤の維持・拡大のためには、優良な乳用後継牛を確保し、経営規模の拡大を図るとともに、労働負担を軽減し、ゆとりある経営を実現していくことが重要であると考えております。  県におきましては、これまで、国の畜産クラスター事業や楽酪GO事業などを活用し、畜舎等の施設整備や搾乳ロボット等の導入などを支援しております。  また、酪農生産基盤強化対策事業などの県単独事業により、県内で育成された乳用後継牛の導入や、受精卵移植技術を活用した優良な後継牛の生産に対する支援を行っているところでございます。  さらに、ゆとりある酪農経営に不可欠な酪農ヘルパー組織の強化に向けた支援なども行っているところでございます。  今後とも、県酪農協など関係団体と連携して、酪農生産基盤の維持・拡大に努めてまいります。  次に、第十五回全日本ホルスタイン共進会に向けた取り組みについてでございます。  全日本共進会は、来年十月に宮崎県都城市で開催される予定であり、四十一都道府県から二百七十頭の出品が見込まれております。  先月、都城市で、この共進会のプレ大会として、九州連合ホルスタイン共進会が開催されたところでございます。本県からは十八頭が出品され、二つの部門で一位を獲得するなど優秀な成績をおさめ、生産者を初め、関係者の機運も高まってきております。  全日本共進会は、乳用牛の改良進度を見きわめるとともに、飼養管理技術の研さんの場であることから、県としては、関係団体と連携して、優秀な成績をおさめられるよう、出品月齢に応じた候補牛の選定や出品までの飼養管理指導などに取り組むこととしております。  次に、カンショの病害対策についてのうち、本年度効果が確認された対策等についてでございます。  県では、昨年度、国と共同で取り組んだ疫学調査結果を踏まえ、苗消毒の実施、圃場の排水対策、植えつけの早進化などの取り組みが効果的であることを、研修会等を通じて生産者へ周知してきたところでございます。  また、これらの効果を確認するため、昨年発病の多かった地域の百五十八圃場において、本年産の発病状況と排水環境を調査した結果、排水対策が十分に実施された圃場では病害の発生は少なくなる傾向にあるなど、排水の重要性が再確認されたところです。  加えて、昨年発生が見られた県内九カ所の圃場に設置した実証圃のうち、マルチ栽培による早掘り作型に変更した圃場では、病害の軽減効果が確認されております。  また、農薬登録の拡大に向けましては、苗消毒剤や圃場での散布剤について、登録に向けた手続に着手したことを農薬メーカーから聞いているところでございます。  次に、被害程度に応じた対応策等についてでございます。
     病害の発生状況は、地域や圃場ごとに差が見られることから、被害程度に応じた対応をしているところでございます。  生産者全体に対しましては、これまで、リーフレット等を活用し、効果的な対策の周知に努めてきましたが、特に、被害の多い生産者に対しては、関係機関等と連携した個別巡回等により、発生原因の整理や改善点を示した上で、実施状況を確認しながら、継続的な指導を行うこととしております。  また、被害が甚大な圃場では、他品目との輪作や圃場の交換を推進しており、大隅地域においては、地域振興局が中心となって、話し合いの場を設定し、飼料生産法人とサツマイモ生産農家との圃場の交換が成立するなど、新たな取り組みも始まっており、今後、他地域でも進めていくこととしております。  一方、国におきましては、緊急的な対応として、被害が著しい圃場に対し、土壌消毒等への支援、また地域全体に対して、苗及び苗床消毒用殺菌剤等への支援を行うこととしたところであり、これら国の事業も活用しながら、関係機関・団体と一体となって、今後とも被害の発生防止に努めてまいります。    [鶴田志郎君登壇] 50 ◯鶴田志郎君 それぞれ御答弁いただきました。  時間がありませんので、質問を進めたいと思います。  まず、大隅地域の道路の整備促進についてであります。  大隅地域の道路整備の促進につきましては、大隅地域は東京都に匹敵する面積を有しますが、地域振興のかなめともいうべき道路の整備がおくれているのではないかという印象があります。  高規格幹線道路につきましては、東九州自動車道が去る十月五日、志布志─夏井間で着工式が行われましたし、十一月四日には、夏井─県境間の中心杭打ち式が行われました。さらには、隼人道路の四車線化が着工され、順調にいけば、令和六年度には供用がなされるのではと期待しております。  また、地域高規格道路の都城志布志道路につきましても、本年五月に末吉道路、有明志布志道路の令和二年度開通予定が公表されるなど、急ピッチでその整備が進んでおります。  しかしながら、これまでも再三取り上げられてきましたように、大隅縦貫道につきましては、ほかの地域高規格道路に比べ、遺跡調査などに時間を要したためかもしれませんが、その進捗に大きな懸念が生じております。  そのような中、本年三月には、吾平道路の一部が工事着手され、さらに本年度は、大中尾工区の事業化が実現しております。  そこでお伺いしますが、現在の大隅縦貫道の整備状況と今後の取り組みについて教えてください。  さらに、大隅縦貫道の事業効果についてどのようにお考えか、お示しいただきたいと思います。  次に、平成十五年に事業着手された南大隅町の伊座敷バイパスについてお伺いいたします。  この道路は、国道二百六十九号のバイパス道路として建設されておりますが、この区間は、これまで梅雨や台風時期にたびたび落石や崩土で通行どめとなるなど、災害の多発する道路でありました。  そのような中、平成二十九年には、地域住民や関係者参加のもと、貫通式が行われ、地域住民の皆様方も伊座敷トンネルの一日も早い開通を心待ちにしております。  そこでお伺いしますが、既に貫通後二年が経過する中で、その供用開始についていつごろになるのか、お示しください。  また、地域住民の生活に必要な県管理道路の整備についてお伺いしたいと思います。  このことにつきましては、地域で生活するための利便性の向上や産業の振興、さらには、命をつなぐ防災道路として整備率の向上が求められております。しかしながら、その整備状況を見てみますと、幅員五・五メートル以上の改良率は、県全体の主要地方道で八六%、一般県道で六三%に対し、大隅地域はそれぞれ、七七%、五九%と大変低い状況にあります。  現在、地域高規格道路等の幹線道路の整備が重点的に進められておりますが、身の回りの地域生活に欠かせない県管理道路の整備も必要だと考えます。地域住民の生活に必要な県管理道路の整備について、県は今後どのように取り組んでいかれるのか、お示しください。  さらに、県管理道路の維持管理についてお伺いいたします。  県管理道路において、例えば、舗装に穴ぼこがあり通行に支障があるとか、センターラインや外側線が消えて運転に不安があるとか、草刈りや植栽の手入れが行き届かず通行の妨げになっているとか、樹木の高枝が道路に覆いかぶさり通行の妨げになっているなど、数々の苦情がふえてきていると思います。  県管理道路の維持管理についてどのように取り組まれているのか、お示しいただきたいと思います。  最後に、根占自転車競技場の活用についてお伺いいたします。  去る八月十七日に、念願でありました根占自転車競技場がリニューアルオープンいたしました。最初の根占自転車競技場は、長年の地域の皆様の熱心な誘致活動もあり、昭和五十七年に竣工し、全国高校総体が開催されて以降、各種競技大会やイベントなども開催され、地域の皆様に愛される競技場として、地元南大隅町で運営されております。  以前のものは一周四百メートルのトラックでしたが、老朽化が著しく、事故等が心配されたため、鹿児島県体育協会を初め、当局の御英断のもと、一周三百三十三メートルのトラックを持つ競技場としてスタートしたのであります。距離が短くなりましたので、バンクの角度も険しくなり、以前のものは傾斜度三十一度でしたが、今度のものは三十六度となり、素人が走るには少し気おくれするような気持ちがいたします。  オープンイベントには三反園知事も御出席いただき、走り初めには、きょう傍聴席にお見えですけれども、森田南大隅町長、それから錦江町長を初め、自民党県議団自転車振興調査会の米丸まき子会長や、南大隅高校自転車競技部、今や全国でもトップレベルの成績を上げております鹿屋体育大学自転車競技部の選手も多数参加し、にぎにぎしくオープンいたしました。  そこでお伺いしますが、三反園知事には、建設中から足を運んでいただき、さらにオープニングイベントでも御挨拶をいただきましたが、根占自転車競技場に対しどのような感想を持たれたのか。さらには、県の関連施設が少ないこの大隅の地域で、その活用をどのようにお考えか、お示しください。  次に、自転車競技の国体に向けての競技力向上についてお伺いいたします。  来年はいよいよ「燃ゆる感動かごしま国体」が開催されますが、あらゆる競技団体が優勝を目指して、より一層の取り組みを進めているものと考えます。自転車競技におきましても、南大隅高校、鹿屋体育大学、シエルブルー鹿屋などのチームが日夜練習に励んでおります。  そのような中、九月にリハーサル大会が鹿屋市、肝付町、錦江町、南大隅町の一市三町で開催され、本番さながらの勝負が繰り広げられました。リハーサル大会は全国より、ロード競技四十五チーム、トラック競技六十九チームの参加となりましたが、我が県の成績は、女子のチームスプリント優勝を初め、九種目で入賞しました。  また、その後開催された茨城国体では、トラック競技が所沢競輪場で、ロード競技がつくば市で行われました。成績は、上野みなみ選手のスクラッチ競技四位を筆頭に、成年女子四種目入賞を初め、六種目で入賞を果たしております。そして、来年の天皇杯・皇后杯獲得のため、しっかりと点数を獲得できるよう、結果を残さなければなりません。  そこでお伺いする一点目は、リハーサル大会を通じて把握された競技の運営状況の課題とその対応についてお示しください。  二点目は、茨城国体の成績をどのように評価するのか。そして、そのことを踏まえて、鹿児島国体に向け、自転車競技の競技力の向上にどのように取り組んでいくのか、お示しください。    [知事三反園 訓君登壇] 51 ◯知事(三反園 訓君)伊座敷バイパスの整備状況についてであります。  国道二百六十九号は、風光明媚な錦江湾沿いを通り、本年三月にグランドオープンした佐多岬公園などの観光地へアクセスする道路であるとともに、災害時の緊急輸送道路となる幹線道路であります。  このうち、南大隅町佐多伊座敷付近におきましては、大雨時に落石のおそれがある事前通行規制区間の解消などを目的として、延長二・九キロメートルのバイパス整備を進めてきたところであります。  これまでに、延長およそ二キロメートルの伊座敷トンネル本体工事などを終え、現在、残る照明工事等を進めているところでありまして、来年三月二十二日に供用を開始することとしております。  このバイパスの整備によりまして、安全で快適な交通が確保されることから、大隅半島南部の観光振興、地域の活性化に大きく寄与するものと期待しております。  根占自転車競技場のリニューアルオープンに対する感想とその活用についてであります。  私もオープニングセレモニーに出席させていただきましたが、本当にすばらしい施設ができ上がったと感嘆いたしました。  新しい自転車競技場は、近年の全国的な大会で主流となっております、周長三百三十三・三三メートルのバンクを備え、九州本土では唯一のものとなります。  実際にバンクに立たせていただき、その急な傾斜には私もいささか驚きましたが、これまでの四百メートルのバンクに比べ、コーナリングやその急な傾斜を使った加速によって高速での走行が可能となり、よりスピード感あふれるレースの展開が期待されているところであります。  この競技場は、東京二〇二〇オリンピックで使用される伊豆ベロドロームに傾斜が近くなったことから、「オリンピックに向けてレースのイメージがしやすくなった」、「タイムが出やすくなった」などの有力選手らの声も寄せられていると聞いております。  来年はいよいよ鹿児島国体が開催されますので、根占自転車競技場を舞台にすばらしいレースが繰り広げられることを期待しております。  また、来年の国体を見据え、今月からは、福井県を初め、各県を代表する選手たちが強化合宿に根占を訪れるということもお聞きしておりますが、県といたしましては、国体後もこうした選手たちが全国各地からこの競技場に集い、全国的な大会等が開催されるよう、関係競技団体とも連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。  大隅半島では、観光の促進と健康スポーツの増進を図ることを目的として、ツール・ド・おおすみサイクリング大会が開催されるなど、自転車を通じた地域の魅力の掘り起こしや、活気あるまちづくりが盛んに行われております。また、南大隅高校や鹿屋体育大学、シエルブルー鹿屋の自転車競技活動も大変活発であります。  このたびの根占自転車競技場のリニューアルが、本県の自転車競技の振興・発展と、地元大隅地域の振興に大きく寄与することを切望し、また努力していきたいと思っております。 52 ◯土木部長(兒島優一君)大隅縦貫道の整備状況及び今後の取り組みについてでございます。  大隅縦貫道は、鹿屋市から南大隅町佐多に至る地域高規格道路であります。このうち、吾平道路につきましては、これまで約九割の用地買収を終え、現在、埋蔵文化財調査や改良工事を進めているところであります。また、大中尾工区につきましては、現在、用地調査を進めているところであります。  大隅縦貫道は、大隅地域の広域交通ネットワークの骨格をなし、農業や観光の振興を図る上で重要な道路であるとともに、並行する国道二百六十九号の災害時の代替路としての機能も担う道路であります。  県といたしましては、引き続き、整備に必要な予算確保に努めるとともに、地元市町とも連携しながら、重点的な整備に努めてまいります。  県管理道路の整備についてであります。  本県の道路につきましては、今後の社会資本整備のあり方に基づき、重点事業と地域密着型事業に区分し、整備を進めているところです。  生活道路など地域密着型事業の整備につきましては、整備の必要性や緊急性、地元の協力体制等を踏まえ、現在、大隅地域において、県道辺塚根占線の横別府工区など約三十カ所で整備を進めております。  県といたしましては、産業の振興や地域の活性化、県民生活の安心・安全の確保を図る観点から、引き続き、地域の実情に即した道路の整備に努めてまいります。  県管理道路の維持管理についてでございます。  県管理道路につきましては、定期的にパトロールを行い、道路の異常や草木の繁茂状況等を把握し、状況に応じて、補修や伐採等を行っております。  道路の維持管理につきましては、数多くの要望や苦情が寄せられており、予算も限られていることから、除草剤の使用拡大等による作業の効率化やコスト縮減等に一層取り組むとともに、地域住民等による道路の清掃美化活動を推進するため、引き続き、ボランティア活動を支援する必要もあると考えております。  今後とも、道路の維持管理に必要な予算の確保に努めるとともに、これらの取り組みを着実に進め、安全で快適な交通の確保が図られるよう、適切な道路の維持管理に努めてまいります。 53 ◯競技力向上等総括監(岩元幸成君)自転車競技のリハーサル大会の課題と対応についてでございます。  国体競技別リハーサル大会は、開催地市町村と競技団体が、競技運営能力の向上と開催機運の醸成を目的に開催するもので、自転車競技は、本年九月に南大隅町の県根占自転車競技場でトラックレース、鹿屋市、肝付町、錦江町、南大隅町の一般道路を使用するロードレースが開催されました。  運営は、おおむね順調に行われたところです。主な課題としましては、接触転倒等による負傷者の救急対応や、レース中の一般・救急車両への対応等が挙げられたところです。  これらの課題につきましては、開催市町、競技団体において対応マニュアルの見直しとともに、警察、消防、医療機関等との連携やマニュアルに基づく各運営員の対応の徹底等を図ることとしており、安全かつ円滑な競技運営に向け、着実な開催準備に努めてまいります。  次に、茨城国体における自転車競技の成績の評価及び鹿児島国体に向けた競技力向上についてでございます。  茨城国体では、六種目で入賞したところではありますが、本県選手のこれまでの実績を踏まえると十分に実力を発揮できなかったと認識しております。しかしながら、これまで行ってきた県外遠征や科学的トレーニングによる選手強化が図られていると考えております。  来年の鹿児島国体では、天皇杯・皇后杯の獲得に向け、県外上位チームとの合同練習の増加や優秀指導者の招聘、プロチームであるシエルブルー鹿屋の選手を強化指導員として南大隅高校と鹿屋体育大学に派遣するなど、さらなる選手強化の底上げを図っているところです。さらに、地の利を生かすため、全国有数の根占自転車競技場や特設コースを活用したトレーニングを重ね、強化を図ることとしているところです。  今後とも、県自転車競技連盟や鹿屋体育大学と連携し、自転車競技の競技力向上に一層努めてまいります。 54 ◯鶴田志郎君 時間が参りましたので、質問者席で質問を終了いたします。  ありがとうございました。(拍手) 55 ◯副議長(桑鶴 勉君)次は、き久伸一郎君に発言を許可いたします。    [き久伸一郎君登壇](拍手) 56 ◯き久伸一郎君 二日目の最後となりました。通告により、質問に入らせていただきます。  行財政改革推進プロジェクトチーム及び消費税増税に伴う対策についてであります。  行財政改革推進プロジェクトチームは、平成二十四年三月策定の行財政運営戦略に基づき、歳入・歳出の両面から着実な行財政改革を推進し、財源確保を図るとし、県民の福祉向上に資する事業への重点的な予算配分等、めり張りをしっかりとつけた行革見直しを実施することをコンセプトとしております。  ことしも十月七日月曜日に、行財政改革推進プロジェクトチームの会合が開催されております。PT会合では、今後も厳しい財政状況が続くことから、徹底した事業の検証・見直しなど、厳しい行革に取り組む必要性が確認され、令和二年度への当初予算編成に向け、各部局のヒアリングを行い、調整し見直すこととしております。  検証・見直し等の方向性が議論されたと考えますが、事務事業見直しの検討状況をまずお示しください。  本県の財源は厳しく、令和元年度一般会計当初予算でも依存財源が全体の六七・五%で、自主財源比率が三二・五%、この自主財源のうち主な歳入は、県税が一八%、地方消費税清算金七・三%で、その他が七・一%となっております。  まず、類似団体と比較して本県の自主財源比率はどうなのか。このたびの行革PTでの主な歳入確保の取り組みについてお示しください。  基本的な視点に立つと、行財政改革を進めていく一方で、経済成長、県勢発展に資する事業への予算配分等も並行して実施する攻めの行革、これも重要なことであると考えます。  このたび行革PTで示された中長期的な財源確保の取り組みについてお示しください。  また、働き方改革につながる取り組みも行われていると伺っております。その取り組みもあわせてお示しください。  令和二年度当初予算編成の仮試算が公表されました。歳入は、元年規模よりも百七十億円プラスの五千六百五十三億円で、歳出は、元年ベースよりも二百五十七億円プラスの五千七百四十億円、この歳入と歳出の収支差は八十七億円の赤字と見込まれ、主な歳入は県税と地方消費税清算金であります。また、歳出は主に扶助費と一般政策経費の増額分が想定されております。  前年も、令和元年度の当初予算編成の仮試算では六十一億円の赤字が見込まれておりましたが、行革による歳出入の見直し等により、赤字が解消されました。令和二年度当初予算の赤字解消に向けて、どのような視点に立って取り組んでいかれるのか、前年の赤字解消の対応も踏まえて、具体的にお示しください。  県の財政運営において県債残高は重荷であります。年々増加する社会保障費への対応から、今後も高い水準で推移せざるを得ない状況であります。現在の県債残高は、令和元年度末見込みで一兆五百九十九億円であり、これは、御承知のように、臨時財政対策債と減収補填債を除いた額です。本県の財政規模に合った適切な県債残高はどれぐらいなのか。また、本県と財政規模が類似する県との比較もお示しください。  歳入のうち七・三%の六百三億八千九百万円は、地方消費税清算金が占めております。十月一日より、八%から一〇%へ消費税率が引き上げられましたが、このことによる本県の税収への影響をお示しください。  また、二〇一四年、八%へ消費税率が引き上げられた際の本県の税収への影響はどうであったのか、あわせてお示しください。  増税による軽減税率導入、プレミアム付き商品券やポイント還元など、事務的対応と煩雑さはあるものの、駆け込み消費需要の高い業界もある一方、購買欲の冷え込む業界もあり、一〇%への増税による景気動向指数の悪化が今後、懸念されるところであります。  政府は、前回の消費税増税に伴う景気落ち込みを踏まえ、軽減税率の導入のほか、景気対策として来年六月までの九カ月限定でキャッシュレス決済のポイント還元制度をスタートさせました。消費冷え込み対策として中小企業支援も行い、キャッシュレス決済の普及を促進し、国が税込み価格に対し、中小の店舗では五%、大手コンビニは二%のポイント還元を行います。また、端末導入費用についても、国が三分の二、決済事業者が三分の一負担という手厚さでキャッシュレス化を推し進め、地方事業者の参加を促すこととしております。  経済産業省によると、九月で、全国約二百万店舗のうち三割程度、五十七万七千八百八十五店が登録申請を行っております。制度がスタートして約二カ月、全国の店舗参加状況と県内の店舗参加状況、店舗のレジ等でのキャッシュレス決済による事務対応の状況はどうなのか。また、ポイント還元制度終了後の県内の消費需要の喚起に関する取り組みについてもお示しください。  これにて一回目といたします。 57 ◯総務部長(平木万也君)行財政改革推進プロジェクトチームの取り組みなどに関する御質問のうち、事務事業見直しの検討状況についてでございます。  現在、妥当性・有効性等の観点から項目を設定し、見直すことによって財源確保を図り、県勢の発展等に資する事業への重点的な予算配分を行うことを目標として、令和二年度当初予算編成に向けて、見直し内容などの検討を進めているところでございます。  見直しに当たりましては、今後も厳しい財政状況が続くことが見込まれることを踏まえ、事業目的達成状況などを踏まえた事業の縮小・廃止、当初予算と決算の乖離が大きな事業等の当初予算規模の縮小、特定目的基金の充当事業拡大や積立額の見直しなど、徹底した事業の検証・見直しを実施する必要があると考えているところでございます。  類似団体と比較した本県の自主財源比率についてでございます。  平成二十九年度普通会計決算における本県の自主財源比率は三一・五%であり、標準財政規模が類似する団体の自主財源比率の平均は、四九・五%となっております。  行財政改革推進プロジェクトチームでの主な歳入確保の取り組みについてでございます。
     現在、行財政改革推進プロジェクトチームにおいて、未利用財産の売却・有効活用、使用料・手数料の見直しなどの歳入確保に取り組んでいるところでございます。  具体的には、未利用財産の売却・有効活用に関しましては、今年度、鹿児島臨空団地などを売却し、県庁舎外来駐車場を民間に貸し付けたほか、魚見町職員住宅敷地について、売却に向けた手続を進めているところでございます。  また、今年度から、ふるさと納税を活用し、新たにプロジェクト応援型として、燃ゆる感動かごしま国体・かごしま大会応援プロジェクトに対する寄附募集などの取り組みを開始したところでございます。  これらの取り組みを中心に、引き続き、歳入確保に向けた取り組みを着実に推進してまいりたいと考えております。  中長期的な財源確保策の取り組みについてでございます。  行財政改革推進プロジェクトチームにおいては、厳しい行革だけではなく、攻めの行革にも重点を置くこととしております。中長期的な財源確保策として、部局横断的に新たなウェルネス素材を掘り起こし、鹿児島のウェルネスを効果的に発信することにより観光客の増加に資する取り組み、SNSで情報発信してくれた施設利用者への特典付与により公の施設の利用者数をふやす取り組み、指定管理者制度の活用を広げる取り組み、県公共施設等総合管理計画に基づく施設の保有総量の縮小などの取り組みなど、ソフト・ハードをより効果的・効率的に活用するための見直しを実施しているところであります。  続きまして、働き方改革につながる取り組みについてでございます。  本県におきましては、RPAなどの導入による効率化を含めた業務改善や、働きやすい環境の整備に取り組んでいるところでございます。  RPAの導入につきましては、今年度、具体的な補助金事務や許認可事務などを選定し、導入の効果や運用上の課題などについて検証を行っているほか、本年七月から、AIを活用した会議録作成支援システムの運用を行っているところでございます。  また、働きやすい環境の整備につきましては、本年六月から、サテライトオフィス勤務の試行を行っているところでございます。  引き続き、これらの検証結果などを踏まえ、業務改善や働きやすい環境の整備に取り組んでまいりたいと考えております。  収支不足解消の対策についてでございます。  今年度の当初予算編成に向けた仮試算では六十一億円の収支差が見込まれましたことから、歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に取り組み、事務事業見直しや未利用財産の売却などにより九億円を確保したほか、当初見込みを上回る平成三十年度税収等の伸びや公債費の見直しなどにより二十九億円を確保し、減収補填債を二十三億円発行したことにより、収支不足を解消することができたところでございます。  令和二年度当初予算編成に向けた仮試算では、扶助費が引き続き増加すること、国民体育大会などの開催に多額の経費が必要となることなどから、八十七億円の収支差が見込まれたところでございます。  このため、県としては、令和二年度当初予算編成作業において、先ほど申し上げましたような事務事業の見直しや歳入確保の取り組みなど、歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に取り組むことにより、仮試算で見込まれた収支不足の解消を図ってまいりたいと考えております。  本県の財政規模の適切な県債残高、他県との比較についてでございます。  本県の財政規模に合った適切な県債残高について、一概にお示しすることは難しいと考えておりますが、平成二十九年度決算における臨時財政対策債を除いた県債残高について、平成二十三年度の行財政運営戦略策定時の財政規模類似団体の平均と比較した場合には、二千億円程度多くなっている状況であり、今後も引き続き、県債残高を継続的に減少させることによって、本県の公債費負担を軽減してまいりたいと考えております。  消費税率引き上げによる県税収への影響についてでございます。  消費税率が本年十月から一〇%に引き上げられ、その内数としての地方消費税率も一・七%から二・二%に引き上げられましたが、税率変更の影響が税収にあらわれるまでには一定の期間を要することから、税収が平年度化するのは令和三年度となるところでございます。  税収は、景気の動向などさまざまな要素の影響を受けるものではありますが、平成三十年度決算をベースに機械的に試算すると、令和三年度における本県の増収額は、七十五億円程度と見込まれるところでございます。  なお、平成二十六年度に消費税率が五%から八%へ引き上げられ、その内数としての地方消費税率も一%から一・七%に引き上げられましたが、税収が平年度化した平成二十八年度の決算額と、引き上げ前の平成二十五年度の決算額とを単純に比較すると、約百三十一億円の増収となっているところでございます。 58 ◯商工労働水産部長(五田嘉博君)ポイント還元制度の状況と今後の取り組みについてであります。  ポイント還元制度の加盟店登録数は、今月一日時点で全国が約八十六万店、県内が一万九百八十二店となっております。  店舗側の事務対応については、県内各地の商工団体によると、当初は事業者から登録申請に係る事務の煩雑さを訴える声がありましたが、経営指導員等の助言や決済事業者の訪問活動により、最近では特に苦情は寄せられておりません。  また、ポイント還元制度終了後における消費需要喚起につきましては、来年度、国がマイナンバーカードを活用した消費活性化策を予定しており、県としても、制度の周知・広報を図るなど、当該施策の実施に向けた準備を進めてまいります。    [き久伸一郎君登壇] 59 ◯き久伸一郎君 それぞれ御答弁いただきました。  行財政改革は、県政・財政運営の背骨、基本であると思います。それと、自主財源比率向上、これは両立させていかなければなりません。行革、健全化という視点で切り捨てていく一方で、将来伸び代のある産業には萎縮することなく積極的に攻めの投資をする行革も必要であろうと思います。そうでないと自主財源比率も上がらないわけでありますし、また健全な県政運営も厳しいと思います。したがいまして、このような視点に立って、行財政改革を推進していただきますように希望いたします。  消費税増税の経過でございますが、一九八九年、竹下政権下で三%、そして橋本政権下で五%、二〇一二年八月、時の民主党・自民党・公明党の三党合意で、二段階で一〇%へ引き上げていく消費税増税法が成立いたしております。また二〇一五年十二月には、軽減税率導入が合意されております。  軽減税率の趣旨は、御承知のように、高所得者と低所得者の負担感を是正することを目指す、いわゆる逆進性の是正であります。憲法の十三、十四条でも、我々日本国民は、法の下に平等で、そして幸福追求権を有しているとあります。  軽減税率は、消費需要や景気低迷の改善、そういう側面もありますが、低所得者の負担感を軽減する、そしてよりよい生活環境をつくっていく、そのために政治の光を平等に照らす、こういう使命と役割があると、またその点を共有していただければと思います。  続きまして、世界自然遺産と観光産業振興について伺います。  来期夏は、いよいよ奄美・沖縄世界自然遺産登録の可否がユネスコで審議されます。二〇〇三年五月に、三地区、知床、小笠原諸島、奄美・琉球が世界自然遺産候補地に選定されて以来、二〇一七年二月、政府が推薦書をユネスコに提出するも、国際自然保護連合─IUCN─より記載延期の勧告を受けました。それを踏まえて、政府は推薦書を一旦取り下げました。二〇一八年、IUCNの指摘を踏まえ、クライテリアを生物多様性に絞るとともに、沖縄北部の米軍北部訓練場返還地を推薦地に編入し、そしてまた、推薦地のうち分断された小規模な区域を解消するなどして、二〇一九年二月にユネスコへ推薦書を再提出しました。  そして、ことし十月五日から、IUCNの調査員が奄美・沖縄の再調査を行いました。  そこで伺いますが、十月五日からのIUCNの奄美二島・沖縄県二島における現地調査の概要についてお示しください。  また、この現地調査の結果等はいつごろ公表されるのか、お示しください。  次に、希少種・外来種対策についてであります。  県は、外来種対策に関する条例制定やノネコ管理計画に基づく野良猫の捕獲、希少動物の保護や密猟などの対策を行っています。また、民間レベルにおいては、世界自然遺産推進共同体が本県と沖縄両県で発足するなど、多くの民間団体が自然保護のための活動を行ってきており、自然保護の機運が高まっているところであります。  そのような中、九月二十六、二十八日、徳之島町母間地区のタンカン畑等において、犬による被害と見られる国の特別天然記念物アマミノクロウサギ八頭の死骸が発見される、まことにゆゆしき事態が発生しました。  そこで伺いますが、犬の放し飼いのリスクとして、咬傷や鳴き声、動物への食害等がありますが、県内における放し飼い犬の捕獲数と徳之島保健所・名瀬保健所管内の捕獲数の状況、野良犬などを含む捕獲抑制への取り組みと自治体の対応についてお示しください。  十月には、国の天然記念物で、絶滅危惧1B類のアマミトゲネズミが野良猫に捕獲されたとの報道がありました。これまで、アマミトゲネズミは、マングースの補食が生息数減少の一因と推定されており、二〇〇五年から特定外来生物としてマングースの防除・駆除が実施されてきたところでありますが、現在のマングースの生息状況と駆除対策についてお示しください。  また、外来種は、定着することにより生態系にも影響を与え、世界自然遺産の価値を損ないかねません。  そこで伺いますが、県は、外来種対策に関する条例の制定や外来種駆除対応マニュアル作成などを行っていますが、県や奄美の市町村における外来種に対する取り組みについてお示しください。  さらに、希少種については、九月ごろ、奄美国立公園特別保護地区内において、奄美大島と徳之島の固有種であるアマミシカクワガタを含む百匹の昆虫が、違法トラップにより捕殺されたことが地元紙で報道されました。希少種を守るためにはさらなる監視強化が必要と考えますが、関係機関との連携や取り組みについてお示しください。  以上、世界自然遺産登録に向けての諸課題を提起してまいりましたが、次は、世界自然遺産に関連する観光その他の産業振興について伺います。  観光産業を中心とする産業振興の推進を図るためには、観光交流人口をふやしていくことと、地元の受け入れ体制整備を官民一体となって取り組んでいくことが必要であります。これらの二本柱を基本とする中で、全産業等の振興策を推進し、また、課題等の解決や改善策については、できることから一歩ずつ取り組んでいかなければなりません。  現在、日本の世界自然遺産は、屋久島、白神山地、知床、小笠原諸島の四地域がありますが、いずれも異なった生態系と特有な環境が形成されております。それぞれの地域においては、世界自然遺産としての環境の保全を図りながら、観光そして産業振興に取り組んでいると伺っております。  ここで伺いますが、これらの地域における保全と利用の両立に向けた課題及び課題を踏まえた取り組みについてお示しください。  世界に世界自然遺産は約二百あると伺っております。奄美の遺産登録後を見据えて、これから国内外へ情報の発信をしっかりしていかなければなりません。県として、地元市町村とも連携し、どのような媒体を活用して、どのような情報発信をされるのか、お示しください。  世界自然遺産登録を見据え、約五年前に新たな奄振交付金を創設し、航空・航路運賃軽減事業、交流需要喚起対策特別事業を実施しました。この五年間で鹿児島空港と奄美五島間、奄美空港と各四島間は高い搭乗率となっております。また、県外からもLCC─格安航空会社─路線により、成田─奄美間、関西─奄美間において六十八万人が利用され、この奄振交付金事業による成果が上がっております。  以前より徳之島では、徳之島航空航路対策協議会が中心となり、関西地区から格安路線の誘致要望活動が行われ、約二万名近い署名が提出されております。徳之島へのLCCによる週二、三便の就航は、徳之島の悲願として期待されております。  そのようなことを受け、三町長を先頭に、JAC、JAL等へ要望活動を行いました。登録を見据えたと思える、年末十二月三十一日と一月三日、大阪伊丹から徳之島への直行便を運航するとの発表がありました。また、不定期便ではありますが、世界自然遺産登録記念フライト、また季節間フライトも考えていきたいとの思いも聞いております。  まず、航空会社が主体的に実施されていくこととは認識いたしますが、関西─徳之島間週二、三便の格安航空路線と奄振交付金の活用も含めた県の認識をお示しください。  次に、奄美へのクルーズ船の寄港を進めるに当たり、港湾の現状として、定期航路での欠航や抜港の多さが気になります。奄美群島を航行する定期航路の就航率の状況、奄美群島におけるクルーズ船寄港の現状と課題についてお示しください。  南西諸島を縦断する観光ルートとして、鹿児島港から種子島、屋久島、奄美群島を経て、沖縄県先島諸島までのルートが考えられます。現在、奄美・沖縄世界自然遺産登録を見据えて、奄美・沖縄航路において屋久島寄港が試験的に行われています。これまでの寄港実績と今後の取り組みについて、県の考えをお示しください。  鹿児島港新港区については、これまでにフェリー岸壁、旅客ターミナル等の供用がなされ、安全性や利便性の向上が図られてきました。引き続き、貨物上屋等の整備が進められていると聞いておりますが、新港区の一日も早い完成が必要であると考えます。  そこで伺いますが、鹿児島港新港区の整備状況についてお示しください。  関西地区から徳之島へLCC路線が開設されたと仮定して、最短距離として徳之島から高速船で瀬戸内町へ向かう新規ルートを企画してみたいという意見も寄せられております。まず地元自治体の考えが基本となると思いますが、県として、世界自然遺産登録後の徳之島─瀬戸内間高速船運航における認識をお示しください。  屋久島においては、世界自然遺産地域に踏み込む前に、環境省が整備した屋久島世界遺産センター、県が整備した屋久島環境文化村センターを見聞して入山するほうが理解を深められるとの評価であります。奄美大島及び徳之島においても、こうした施設の整備が必要と考えますが、現在進められている取り組み、今後の計画についてお示しください。  これにて二回目の質問といたします。    [知事三反園 訓君登壇] 60 ◯知事(三反園 訓君)鹿児島港新港区の整備状況についてであります。  奄美・沖縄航路の拠点機能の強化を目的に、平成二十三年度から整備を進めてきた鹿児島港新港区につきましては、これまで、耐震強化岸壁、旅客ターミナルやボーディングブリッジなどを順次供用し、防災機能の強化や、旅客や荷役の分離、老朽化対策などを進めてきました。現在、残る貨物上屋や埠頭用地について整備を進めており、来年夏までには完成いたします。  これにより、鹿児島港新港区は、旅客の安全性・利便性や荷役作業の効率性が向上するとともに、世界自然遺産登録を目指す奄美群島の観光や産業の振興に大きく寄与するものと考えております。  今後とも、奄美・沖縄航路の母港として、鹿児島港新港区の港湾機能の維持及び向上に努めてまいります。 61 ◯環境林務部長(藤本徳昭君)奄美の世界自然遺産登録に関してお尋ねがございました。  まず、IUCN現地調査の概要と結果の公表についてであります。  奄美・沖縄の世界自然遺産登録については、IUCNの調査員二名により、十月五日から十二日にかけて現地調査が行われております。  調査においては、昨年の勧告を踏まえて新たに推薦地に編入した地域の確認、アマミノクロウサギなどの希少な固有種の観察、地元住民との意見交換などが行われております。  国、県、地元市町村からは、外来種対策、希少種保護対策、観光管理の取り組み等について、住民からは、外来種駆除などの主体的な活動について説明を行っております。  現地調査におきましては、遺産としての価値、世界自然遺産登録に向けた各般の取り組みを御理解いただけるよう、最大限努めたところであります。  なお、国からは、IUCNが現地調査結果そのものを公表することはないと聞いており、調査員が現地で確認した情報等につきましては、推薦案件の評価に関する会議における資料とされ、最終的には、来年五月ごろに世界遺産委員会に対して行われる勧告に反映されるものと承知しております。  マングースの駆除対策についてであります。  奄美大島のマングースについては、平成十一年度において、五千から一万頭生息し、一年当たり四〇%程度増加すると見込まれたところであります。  このため、平成十二年度から、国・県における生態系の被害防止のための捕獲事業が開始され、さらに平成十七年度からは、国がマングースを外来生物法に基づく特定外来生物に指定し、奄美マングースバスターズを中心とした組織的な防除事業を進めてきたところであります。  こうした取り組みにより、平成十二年度以降、延べ二万三千頭余りを捕獲した結果、現在の推定生息数は十頭以下にまで減少したと考えられております。  国は、現在、令和四年度までの完全排除を目標に、わなや探知犬を用いたこれまでの手法に加え、重点区域の設定による集中的な捕獲、化学物質を使用した防除試験などを実施しております。  外来種に対する取り組みについてであります。  奄美大島、徳之島においては、外来種に対する意識の醸成が図られてきており、市町村の呼びかけや、民間団体等が主体となった駆除活動が増加し、多くの住民や児童生徒などが参加しております。  県におきましては、これらの活動をさらに促進するため、外来種防除マニュアルを作成し、公表するなどの取り組みを行っております。  また、本年三月に制定した外来種対策に関する条例に基づき、啓発活動等を行う外来動植物対策推進員四十七名を県下各地に配置したほか、先月、初めてとなる指定外来動植物を定めたところであります。  奄美群島におきましては、ポトスなど十三種類について、来年二月一日から、栽培や飼養の方法を制限するなどの規制を行うこととしております。  希少種の盗掘や密猟の対策についてであります。  奄美大島、徳之島においては、希少種の盗掘や密猟の対策として、国、市町村、警察などが連携し、夜間のパトロールや森林内の巡視を実施しているほか、県の希少野生動植物保護推進員も日中のパトロールを実施しております。  また、関係行政機関がホテルやレンタカー会社等の協力を得て、盗採防止キャンペーン等を行っているほか、空港等における啓発ポスターの掲示や、空港職員に対する研修を実施しております。  さらに、航空会社、通信会社等も参画した密猟・密輸対策連絡会議を設置し、密猟等に関する情報を共有するとともに、緊急時における連絡体制などを協議したところであります。  日本の世界自然遺産地域における環境の保全と利用の両立に向けた課題等についてであります。  既に世界自然遺産に登録されている四地域では、登録を契機に観光客が増加しております。  知床におきましては、混雑に伴う植生への悪影響などが見られたことから、四月から十月までの間、知床の五つの湖を周遊する歩道への立ち入りを制限しております。  屋久島におきましては、山岳部におけるし尿処理などの課題があることから、平成二十九年に新たな協力金制度を導入し、山岳トイレの維持管理などを行っております。  小笠原諸島におきましては、外来種の侵入リスクの増大等が懸念されたことから、定期船等の乗降口に、靴底を洗浄する器具を備えつけるなどの取り組みを行っております。  県といたしましては、これらの事例も参考にしながら、奄美大島、徳之島における自然環境の保全と利用の両立に向けた取り組みなどを進めてまいります。  世界自然遺産登録を見据えた情報発信についてであります。  県におきましては、奄美の貴重な自然の価値について周知するとともに、その保全を図る観点から、市町村と連携したイベントの開催、県政広報番組やパンフレット、フェイスブック等を活用した情報発信に努めております。  また、英語や中国語にも対応したPR動画を作成し、ユーチューブ等による配信、奄美空港での放映等も行っております。  県といたしましては、登録後も見据え、引き続き、地元市町村等とも連携しながら、多様な媒体を活用し、自然環境の保全と利用の両立が図られるよう積極的な情報発信に努めてまいります。  奄美大島、徳之島における施設整備についてであります。  奄美大島におきましては、環境省奄美野生生物保護センターにおいて、奄美群島の生き物等に関する展示が行われているほか、奄美パークにおいては、展示を昨年リニューアルし、世界自然遺産に係るインフォメーション機能を付加しております。  また、県におきましては、龍郷町と連携し、奄美の自然を気軽に楽しめる奄美自然観察の森のリニューアルを進めているほか、奄美群島内の全市町村をつなぐトレイルを順次設定しております。  登録後におきましては、国が、奄美大島と徳之島に、遺産管理の拠点となる世界遺産センターを整備する考えを既に示しております。
     県といたしましては、奄美を訪れる方々にこれらの施設などを有効に活用していただき、奄美のすばらしい自然を御理解いただけるよう努めてまいります。 62 ◯くらし保健福祉部長(中山清美君)県内、名瀬・徳之島保健所の野良犬捕獲の取り組みについてでございます。  県内の犬の捕獲頭数は年々減少しており、昨年度は、鹿児島市を除き八百五頭となっております。うち、名瀬保健所管内で四十七頭、徳之島保健所管内で百五十五頭が捕獲されております。  犬の放し飼いや遺棄の防止のためには適正飼養が重要であり、県は、市町村等と連携し、飼い主の責任の啓発に努めております。  ことし九月、徳之島で、犬が原因と見られるアマミノクロウサギの被害が確認された際も、三町の協力を得ながら、犬の捕獲に努めるとともに、防災無線や広報誌等を活用した犬の適正飼養の啓発を行っているところであります。  今後とも引き続き、啓発に取り組んでまいりたいと考えております。 63 ◯企画部長(古薗宏明君)関西圏─徳之島間格安航空路への交付金の活用についてであります。  関西─徳之島間において、LCC等の航空事業者による航空路線の開設が実現しますと、観光客の誘致や住民の利便性の向上が期待できますが、その実現に向けては、まずは航空事業者において、需要の予測や受け入れ体制の確認等を行い、便数等の運航計画を含め、就航に向けた検討がなされるものと考えております。  県といたしましては、関西─徳之島間において航空路線が開設された際には、その時点で、事業効果や財源の確保などを踏まえ、この事業の適用の可能性について検討することになるものと考えております。  鹿児島・奄美・沖縄航路の屋久島寄港についてであります。  同航路の屋久島寄港につきましては、昨年三月からフェリー波之上による沖縄からの上り便で実施されており、四日に一回の頻度で、予約がある場合に寄港することとなっております。  運航実績につきましては、先月九日の九十回目の寄港までに約千人の方々が利用し、同日、運航事業者において、乗船客数千人達成を記念するセレモニーが開催されました。  県といたしましては、同航路の屋久島寄港は、奄美・沖縄の世界自然遺産登録を見据え、奄美群島と屋久島間の周遊性向上や沖縄との連携など、新たな観光需要を掘り起こすための重要な取り組みと考えており、引き続き、国や市町村と連携し、運航経費の一部を助成することなどにより、屋久島寄港が安定的に継続されるよう取り組んでまいりたいと考えております。  徳之島と瀬戸内町とを結ぶ高速船航路の開設についてであります。  徳之島と瀬戸内町とを結ぶ高速船航路の開設については、奄美群島内の交流人口の拡大を図る上で有効な方法の一つとして考えられますが、その実現に向けては、採算性を踏まえた運航事業者の意向や既存航路への影響などの課題があるものと認識しております。 64 ◯土木部長(兒島優一君)奄美群島へのクルーズ船寄港の現状と課題等についてであります。  奄美群島を運航する主な定期航路の平成三十年度における就航率は、おおむね九三%となっており、県内離島航路の平均である九二%と同等の就航率となっております。  奄美群島においては、名瀬港や平土野港など五港にクルーズ船が寄港しており、平成二十九年が十六回、平成三十年が二十四回、本年が二十五回寄港しております。  これらの港湾については、船社や地元から、より大きなクルーズ船を寄港させたいという要望がありますが、岸壁の長さや水深の不足、港内で旋回する水域の狭さなどの課題があります。  クルーズ船寄港は、観光や産業など地域の振興を図る上で重要なものと考えており、地元の意向や観光客の受け入れ体制などのソフト面の課題を踏まえた上で、より多くのクルーズ船が寄港できるよう、既存施設の有効活用も含め、地元とも連携を図りながら、受け入れ環境の整備に努めてまいりたいと考えております。 65 ◯き久伸一郎君 自席から何点かお伺いしたいと思いますが、まず、クルーズ船に関連する計画なんですが、仮称、クルーズ船誘致もしくはクルーズ船寄港促進基本計画なるものを策定する考えはないのか。これは、近年、南西諸島、そして本県にもクルーズ船寄港はふえておりますし、今後も期待できると思います。そして、本県におきましては、マリンポートかごしまで二十二万トン級のクルーズ船が接岸可能な岸壁の整備も行っております。  そういう視点で考えますと、仮称、クルーズ船誘致もしくは寄港促進基本計画なるものを考えていただければと思いますが、見解をお願いします。  そして、いよいよ奄美・沖縄の世界自然遺産登録、来年その可否が決まります。そういう中、県では、鹿児島県観光振興基本方針─第三期案─が策定されております。その中身を見ますと、基本的な考えから、現状、課題、実現に向けた取り組みと、大変すばらしい案であると思うんですが、その中で、世界自然遺産を活用した、という部分に関しましては、クルーズ船寄港の部分で世界自然遺産を活用するというふうになっているんですね。  奄美が世界自然遺産に登録されますと、本県は自然遺産が二つ、そして文化遺産、計三つのそれだけのポテンシャルのある、価値のある遺産を保有するということになるわけでありますが、現在の、観光振興基本方針案の項目のところを見てみますと、款・項・目という位置づけがあると仮定しますと、世界自然遺産を活用するという項目は、目のほうなんです。せめて款か項で、世界自然遺産・文化遺産を活用した観光振興、こういった項目で策定すべきではないのかなと私なりに思うところでございまして、その見解をお願いできればと思います。 66 ◯PR・観光戦略部長(木場信人君)二つほど御質問いただきました。  まず、クルーズ船寄港促進の基本計画を策定すべきではないかという御質問であります。  クルーズ船の誘致につきましては、本県観光振興において重要性がますます増しているところでございます。県では、観光立県かごしま県民条例に基づく次期観光振興基本方針におきまして、戦略的な誘客の展開として、クルーズ船の誘致の項目を独立させて新たに追加し、施策の展開例やクルーズ船観光客数の数値目標などを明記し、推進していく予定であります。  さらに、クルーズ船の誘致促進に関する計画を別途策定することにつきましては、奄美の世界自然遺産登録やマリンポートかごしまでの新たな岸壁の整備状況なども踏まえながら、その必要性等について、今後、研究してまいりたいと考えております。  次に、県内三つの世界遺産を活用した観光を、観光振興基本方針の基本的施策として位置づけられないかという趣旨の御質問だったかと思います。  次期観光振興基本方針案におきましては、平成三十年三月に策定したかごしま未来創造ビジョンに示している、魅力ある癒やしの観光地の形成など、三つの取り組みの方向性を施策の基本的方向として位置づけ、施策体系を示しているところであります。  奄美が世界自然遺産に登録され、本県が三つの世界遺産を有することになりますと、本県観光にとって大きなセールスポイントとなります。このため、世界遺産の活用につきましては、この施策の基本的方向の複数の項目にまたがって取り組むべき重要なものと考えており、基本方針案においては、今回新たに、奄美の世界自然遺産登録を見据えた取り組みや、世界遺産を生かしたリゾート地の形成、世界遺産を生かしたクルーズ船の誘致促進などを、県を初め、観光関係者が取り組む施策の展開例として明確に示しているところであります。    [き久伸一郎君登壇] 67 ◯き久伸一郎君 遺産登録後のいろいろな観光、産業振興に資する課題として、宿泊施設、農林水産物加工品開発、レンタカー、スーパーヨット構想、安全・安心な道路整備、観光地整備、トレイル選定、エコツアーガイド、地域通訳案内士、そしてキャッシュレス化、さらには伝統文化継承、これらの点につきましては次の一般質問で取り上げさせていただきたいと思います。  これで終わります。(拍手) 68 ◯副議長(桑鶴 勉君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 69    △ 日程報告 ◯副議長(桑鶴 勉君)十二月九日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問であります。       ───────────── 70    △ 散  会 ◯副議長(桑鶴 勉君)本日は、これで散会いたします。        午後三時十五分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...