東清剛君に発言を許可いたします。
[東 清剛君登壇](拍手)
3 ◯東 清剛君 おはようございます。
日置市区選出、無所属の東清剛です。一般質問のトップバッターとして、県議会議員になりまして八回目の一般質問をさせていただきます。
それでは、通告に従いまして順次質問します。
まず初めに、知事の政治姿勢について質問します。
三反園知事におかれましては、知事就任以来二年七カ月が過ぎ、県民が主役の県政を実現したい、県民の生活を少しでもよくしたい、そういう思いで県内をくまなく走り続けている毎日だと思います。
私の住む日置市にも、知事就任以来、県防災訓練やイチゴ生産者との意見交換会、知事と語ろう車座対話、伊作小学校訪問など、たくさん来ていただいております。地域の皆様方から知事についていろいろと聞かれます。私は、知事は鹿児島県民のために一生懸命、け死んかぎい頑張っていますよと答えています。これからも、三反園知事には、初心を忘れず、県民が主役の県政の実現に努力していただきたいと思います。
そこで、知事にお尋ねします。
知事就任以来二年七カ月を振り返っての感想と、残り一年五カ月の抱負をお答えください。
次に、新たな県総合体育館について質問します。
県の新たな総合体育館につきましては、現在、鹿児島中央駅西口の
県工業試験場跡地が最適地として協議や調査・検討が進められているところでございますが、鹿児島市や周辺住民との協議も大変重要であると思います。それとあわせて、県内の市町村の皆様の御意見というのも無視はできないと思います。私の住む日置市でも、地域の皆様方から、中央駅西口の渋滞や駐車場の問題などを理由に、
県工業試験場跡地に体育館はつくらないほうがいいといった御意見が多数寄せられております。
鹿児島市は、
サッカースタジアム建設に関して、候補地を最初の六カ所から三カ所に絞り込んでいます。県の新たな総合体育館においても、複数の候補地の中から絞り込みをしたほうがよいのではないかと考えております。またあわせて、広く県民の意見を集約するためにアンケートをとったほうがいいと思いますが、知事の考えをお聞かせください。
次に、消費税一〇%への増税の影響について質問します。
ことし十月に、八%から一〇%へと引き上げられる予定の消費税。これは、少子高齢化が進む中、社会保障に係る費用を賄うための財源を確保し、国の財政を立て直すことが目的ですが、消費税率が上がりますと、どうしてもその分、買い物に慎重になる方も多くなります。その買い控えによる景気への影響をどうやったら最小限に食いとめられるかが課題となっています。
五年前、消費税率を五%から八%に引き上げた結果、駆け込み需要が大きくなり、その反動で増税後は個人消費がマイナス三%まで冷え込みました。結局、回復するのには三年もかかりました。そこで、この駆け込み需要の山と反動減による山をいかにならすことができるかが問われています。
政府は、このときも、消費税二%分に当たる五・五兆円もの経済対策をまとめて景気の冷え込みを避けようとしました。ただ、その対策の大半が企業向けや公共事業に充てられ、消費者にはその恩恵を実感しにくいものが多かったです。
そこで今回は、なるべく家計に直接届くような対策を中心に検討されています。一つは住宅です。家を税金が上がる前に購入しても上がった後に購入しても、消費者の負担が大きく変わらずに済むよう、住宅ローン減税の拡充が検討されています。また、自動車の購入者に対する支援策も盛り込まれる見通しです。前回、住宅、自動車に次いで落ち込みが大きかったのは食料品ですが、こちらは、税率をそのまま据え置きにする、いわゆる軽減税率を導入することが既に決まっています。
そこでお尋ねします。
ことし十月に予定されている消費税一〇%への増税の地域経済への影響について、知事はどのように考えているのか、お答えください。
次に、教育行政について質問します。
県立高校の校舎の改築状況と今後の考え方について質問します。
県教育庁は、県立高校の校舎改築等を含む教育環境の整備を年次的に進めているとお聞きしています。
鹿児島工業高校では実習棟改築を計画しています。II類棟の二〇一九年十二月の完成に向けて整備中で、I類棟は二〇二〇年度の発注を見込んでおります。また、鹿児島南高校も二棟目の整備を予定しています。
鹿児島中央高校では、改築完了後に残る校舎の大規模改造を行う計画と聞いております。
そこでお尋ねします。
鹿児島工業高校、鹿児島南高校、
鹿児島中央高校など、現在までの県立高校の校舎の改築状況をお示しください。
また、県立高校の校舎改築についての今後の考え方と計画についてお示しください。
次に、
スクールロイヤーの導入について質問します。
いじめや虐待など、学校や家庭ではさまざまな社会問題に子供たちが悩んでいます。当然ですが、子供たちの知識では、いじめや虐待から自分の身を法的に守ることはできません。そこで、日本でも一部の自治体で、子供たちを守るために
スクールロイヤーを導入する動きがあります。
スクールロイヤーは、学校で起きるトラブルに法的な観点からアドバイスしたり解決を図ったりする弁護士で、全国でも導入しているのは、大阪府や東京・港区など一部自治体にとどまっています。
新潟県では、子供のいじめの防止に向け、
スクールロイヤーを来年度初めて、試験的に導入し、モデル校で効果を検証することを決めました。具体的には、新潟県内で近年、いじめによる自殺が相次いでいることを踏まえ、いじめの防止に向けた授業の支援や、千葉県で女の子が死亡した事件では、親の要求を拒めず教育委員会が女の子のアンケートのコピーを渡してしまったことが明らかになったことから、教育現場での親とのトラブルの相談に当たります。
そこでお尋ねします。
鹿児島県においても、この
スクールロイヤーを試験的に導入すべきと考えますが、県の見解をお示しください。
次に、農政関係の質問です。
まず初めに、農業の生産体制強化についてお聞きします。
昨年十二月に農林水産省が公表した平成二十九年農業産出額によりますと、本県の農業産出額は五千億円で、全国第二位となったとのことです。特に、畜産部門は三千百六十二億円で、六割を占めております。これは、豚やブロイラーの価格が上昇したことが主な要因のようです。また、耕種部門は、若干増加して千七百十八億円であり、バレイショや米、お茶などが増加し、後押ししたようであります。
このように、本県の農家のこれまでの努力によって、農業産出額が全国第二位という成果をもたらしたことで、鹿児島県が日本の食料基地として重要な地位にあることを全国に示したと思います。
このような中、昨年十二月三十日にTPP11が、ことし二月一日に日欧EPAがそれぞれ発効されました。このような
国際経済連携協定の発効は、農業が世界的な競争に入ったことを意味しており、私の地元である日置地域の農業者も大きな不安を抱えており、農業の生産体制の弱体化が懸念されているところです。
知事は去る一月十七日に、二〇一九年農業分野での戦略的な取り組みについて、稼げる農林水産業の実現に向けて、として取りまとめ、発表されました。
そこでお尋ねします。
鹿児島県農業の生産体制強化についてどのように取り組まれているのか、お聞かせください。
次に、農業分野における労働力不足について質問します。
本県の農業産出額はふえておりますが、県内どの地域においても、高齢化や後継者不足により農業分野における労働力不足が見られ、県内の農業法人などにおいても、
外国人技能実習生が年々増加しております。今後の労働力不足に対応するため、国は、ことし四月から始まる
改正出入国管理法に基づく外国人労働者の新たな受け入れ制度により、地方の労働力不足を補うこととしております。
一方、地域においては、まだまだ元気な高齢者や退職者などがおられ、特に、本県の農業分野においては、労働力確保の観点から活躍が期待されるところであります。
そこでお尋ねします。
本県の農業分野における労働力確保に向けた取り組みについてお示しください。
次に、農業における六次産業化の推進について質問します。
私の住む日置市には、みずから生産した牛乳ジェラートを製造し販売する酪農家や、自由にのびのびと運動させて育てた地鶏を加工・販売し、さらにみずから経営する農家レストランで提供する野菜農家・養鶏農家、また、みずから生産したかごしま黒豚をカット肉として販売し、今後、加工品の開発を目指す養豚農家、また、自家産の果樹不知火で濃縮ジュースを製造・販売する果樹農家など、農畜産物の生産だけでなく、食品加工や流通・販売に主体的に取り組む、いわゆる六次産業化を実現している農家がおられます。
先ほども申し上げましたとおり、我が県の農業は国際的な競争にさらされることになります。攻めの農業として農畜産物の輸出拡大を目指すことも重要ですが、国内においても、経営の多角化や販路の拡大を図っていくことが重要だと思います。
私は、農業において六次産業化を推進することは、農家の所得向上だけでなく、雇用の拡大や地域にある貴重な資源の有効活用が図られ、地域経済の活性化が期待されると考えます。しかしながら、県内で六次産業化を実現する農家はまだまだ少ない状況だと思います。今後、多くの農家が規模拡大や生産性の向上を図っていく上で、みずから生産した農畜産物を加工や流通・販売する六次産業化の取り組みは、一つの選択肢だと思います。
そこでお尋ねします。
一点目、県内で六次産業化に係る法に基づく認定農家数はどれくらいあるのか、お示しください。
二点目、六次産業化に取り組む事業者の課題は何があるのか、お示しください。
三点目、六次産業化を目指す農家への支援策をお示しください。
次に、種子法廃止後の県の考え方と対応について質問します。
種子法とは、
主要農作物種子法のことで、二〇一八年四月に廃止されました。主要農作物とは、稲、大豆、麦類といった重要な穀物です。種子法は、各都道府県に主要農作物の生産・普及を義務づける根拠となっていた法律です。
今回、種子法が廃止され、かわりに成立したのが
農業競争力強化支援法です。今まで、日本の農業試験場が長い年月と多くの費用をかけて研究してきた種苗の生産に関する知見を民間事業者に提供することを促進する法律です。国内の企業だけでなく、モンサントやデュポンやシンジェンタなどといった外国の企業にも提供しなければならないのです。
国は、種子法が民間の品種開発意欲を阻害しているとしています。しかし、民間だけに種子の生産を任せれば、効率よくもうかるF1種子や、除草剤と併用できる遺伝子組み換えの品種ばかりがふえて、日本の食文化を守ってきた多様で美味な品種は失われてしまう危険性が高いのです。
種子法の廃止はTPP協定と深いつながりがあります。TPP協定の中には、国民の税金で賄われた公共サービスは全て民営化して、世界の多国籍企業にビジネス開放することを約束するといった内容が盛り込まれています。郵政事業、保険事業、水道事業までが次々と開放されており、それと同様に、種子の生産という公共的な取り組みの根拠である種子法も、TPP協定を守るために急いで廃止されました。
そこでお尋ねします。
種子法廃止後の県の考え方と対応についてお示しください。
次に、スマート農業の導入状況と普及に向けた取り組みについて質問します。
スマート農業とは、ロボット技術やICT、人工知能などの先端技術を活用し、省力化や生産物の品質向上を可能にする新しい農業のことを言います。
日本の農業は、農業従事者の高齢化、後継者不足に伴う労働力不足を初め、耕作放棄地の増加や食料自給率の低下など、さまざまな問題を抱えています。スマート農業は、日本農業が抱える課題を解決、成長産業化する試みであり、推進が急務とされています。
農業における人手不足の解消や省力化、戦略的生産に先端技術が活用されてきています。また、生産だけでなく、流通や販売における効率化、農業未経験者の就農のハードルを下げることにもつながります。例えば、人の手で行っていた収穫作業をロボットが行えるようになってきています。また、
農業用ドローンは、農薬散布を初め、さまざまな用途で活用されています。農薬の散布は重労働であり、
無人ヘリコプターを使用すると大変な生産コストがかかってしまうのですが、
農業用ドローンの活用で農薬散布の省力化・低コスト化が可能になりました。
スマート農業には、省力化や生産性の向上など多くのメリットが期待できますが、デメリットがあるのも事実です。どんなにすぐれた
農業用ロボットを導入しても、それを作業者が操作できなければ活用できません。機器やサービスを活用することがハードルとなる場合も多いでしょう。
しかし、農業分野では高齢化が問題となっておりますが、高齢の作業者でも操作が簡単で利用しやすい機器・サービスの開発も進められています。また、作業者のリテラシー向上のための教育、操作方法を教える人材育成に向けての取り組みも進められています。
そこでお尋ねします。
このスマート農業に対して、県はどのように取り組んでいるのか、お示しください。
これで、一回目の質問を終わります。
[知事三反園 訓君登壇]
4 ◯知事(三反園 訓君)これまでの県政運営を振り返っての感想と今後の抱負についてであります。
私は、知事就任以来、県民が主役の県政を実現したい、県民の生活を少しでもよくしたい、そういう思いで走り続けよう、そう決意し、取り組んでまいりました。
日置市にも何度となく訪れておりますけれども、これまで三十四市町村で開催いたしました知事と語ろう車座対話を初め、さまざまな機会に県民の皆様の声を直接伺い、真摯に耳を傾け、その声を県政に反映させる努力をする、災害が起こればすぐに現場に駆けつけ、スピード感を持って対応する、そうした県民とともに歩む県政を進めていきたいとの思いで、一生懸命という言葉が大好きでありますが、懸命に取り組もう、そう思ってまいりました。
平成二十九年には、農業産出額がさらに増加し、念願であった過去最高の五千億円を突破いたしまして、目標としていた全国二位となりました。日本一の鹿児島黒牛、養殖ブリといった県産農林水産物の輸出額についても、平成二十九年度に過去最高の二百一億円となるなど、着実に輸出拡大が図られているところでもあります。
奄美の
世界自然遺産登録につきましても、今月一日にユネスコに推薦書が再提出され、二〇二〇年夏の登録に向けて、さらに前進したものと考えております。
全国高等学校総合体育大会が開催されることし、そして国民体育大会・
全国障害者スポーツ大会が開催される来年へと、この勢いを加速させていかなければなりません。
このため、先般策定いたしました観光、農林水産業の戦略に基づきまして、オール鹿児島で、戦略的に国内外からの誘客対策に取り組んでいくとともに、農林水産物の生産体制、販売力の強化を図り、稼げる農林水産業の実現に向けた取り組みを進めてまいります。
また、本県が有する健康・癒やし・長寿に有益な地域資源、いわゆる鹿児島のウェルネスを活用した施策を展開し、本県の魅力・イメージの向上、地域資源の高付加価値化を図ってまいりたいと考えております。
一方で、昨今の全国的な景気回復による雇用情勢の好転等により労働力不足が深刻化する中で、本県においても、各種産業を担う人材の不足が顕在化していますことから、新たに、
かごしま故郷人財確保・
育成プロジェクトを立ち上げるとともに、
かごしま幸せプロジェクト委員会を昨年に引き続き開催し、ほかにはない鹿児島ならではの幸せな暮らし方を県内外に広く発信するなど、人材の確保・育成にもつなげてまいりたいと考えております。
さらに、子育て支援と高齢者の生き生き支援につきましても、県政の重点施策の二本柱として、引き続き積極的に、重点的に、力を入れて取り組んでまいります。
こうした取り組みを通じまして、経済成長、県勢の発展に資する施策を積極的に推進するとともに、元気な鹿児島、どこよりも幸せを実感できる鹿児島を実現し、さらなる県民福祉の向上につなげていくという好循環をつくってまいりたいと考えております。
私が目指す鹿児島は一貫して一つであります。鹿児島に生まれてよかったな、鹿児島に住んでよかった、そう思える鹿児島を目指し、これからも全力で、け死ん限り走り続けてまいります。
5 ◯企画部長(古薗宏明君)新たな総合体育館についてであります。
新たな総合体育館につきましては、昨年二月の大
規模スポーツ施設の
在り方検討委員会の提言において、本県のスポーツ振興の拠点としての機能に加え、多目的な利用による交流拠点としての機能を有することにより、交流人口がふえ、にぎわいの創出、経済波及効果など地域活性化とともに、施設の収益性にも寄与するとされており、このような効果を最大限に発揮させるという観点から、主な県有地であります
県工業試験場跡地、県庁東側の土地、
県農業試験場跡地について比較・検討を行い、議論を積み重ねた結果、総合体育館については、鹿児島の陸の玄関口であり、県内の交通の中心である鹿児島中央駅に隣接する
県工業試験場跡地が最適地であり、施設の規模等を考慮すると、隣地もあわせた整備が望ましいとの考えに至ったところであります。
昨年の第二回県議会定例会におきまして、このような県の考え方を表明した後、県議会での御論議を初め、
屋内スポーツ競技団体等の御意見もお聞きしたほか、県民の方々からもさまざまな御意見をいただいたところであります。
新たな総合体育館につきましては、さまざまな方々の御意見をお聞きしながら、検討を進めていく必要があると考えており、引き続き、県議会での御論議を初め、
屋内スポーツ競技団体や地元住民の方々等の御意見もお聞きし、道路管理者である鹿児島市やJR九州などの関係者とも緊密な連携を図りながら、基本構想の策定に向けて、慎重かつ丁寧に協議・検討を進めてまいりたいと考えております。
6
◯商工労働水産部長(田崎寛二君)消費税増税による地域経済への影響についてであります。
今後、消費税率が引き上げられた場合、消費に与える主な影響としては、物価の上昇を見越して
消費税率引き上げの前に消費を前倒しする駆け込み需要と、実質所得の低下により消費水準を低下させる効果があるとされております。
消費税率の引き上げが実際に地域経済に及ぼす影響については、一般的に、消費税率の引き上げ時の個人消費の動向、生産活動などの経済状況によって左右されるものと考えております。
7 ◯教育長(東條広光君)教育行政関係について、初めに、県立高校の校舎の改築状況と今後の考え方についてであります。
県立学校施設の整備については、長期的視点に立って、校舎等の老朽化の現状や学校施設を取り巻く環境等を総合的に把握した上で、各学校ごとに施設の集約化も検討し、改築や長寿命化の対策を計画的に行っているところであります。
現在の状況を申し上げますと、
鹿児島中央高校では、今年度から本館南側の普通教室棟の改築工事を行っており、今後は本館北側と西側の管理・教室棟を大規模改修する予定であります。
鹿児島工業高校では、今年度から建築・環境系の実習棟の改築工事を行っており、今後は情報・生産系の実習棟を改築する予定としております。
鹿児島南高校では、今年度から特別教室棟の改築工事を行っており、今後は普通教室棟を改築する予定であります。
また、国分高校では、来年度、芸術棟を改築することとしており、現在、実施設計に取り組んでいるところであります。
今後とも、建築後一定年数が経過した施設については、各学校の教育活動に支障が生じないよう、県立高校全体の施設の状況等を考慮しながら、計画的に整備を行ってまいりたいと考えております。
次は、
スクールロイヤー導入に係る県の見解についてであります。
近年、学校における課題が複雑化・多様化し、学校や教職員だけでは十分に解決することができない課題がふえておりますことから、学校が、法律の専門家である弁護士から、専門的知識と経験に基づく支援を受けることができる体制を整備することが求められております。
県教委においては、このような学校を取り巻く現状を踏まえ、今年度から、いじめの予防授業に弁護士を活用する取り組みを行うとともに、来年度は、学校が弁護士からの法的助言を受けられる体制づくりを試行的に実施し、その効果を検証することとしているところであります。
8 ◯農政部長(本田勝規君)農業の生産体制の強化についてでございます。
今回の漁業法の改正は、水産資源の持続的な利用を確保するための新たな資源管理システムを構築するほか、水域の適切・有効な活用を図るため、漁業権などの漁業生産に関する基本的制度を見直す内容となっております。
新たな資源管理システムについては、国は、まずは、関係漁業者の意見を聞きながら、沖合海域で操業する大臣許可漁業から導入することとしており、直ちに本県の沿岸漁業に影響はないものと考えております。
また、養殖業などの漁業権の免許については、漁協等の既存の漁業者が漁場を適切かつ有効に利用している場合は、継続して免許することとされており、新規に漁業権を設定する場合には、関係する漁協や漁業者等の利害関係者との意見調整を十分に図った上で、漁場計画を策定し、免許することとされております。
県といたしましては、厳しい経営環境に置かれている本県の漁業者の方々が将来にわたって持続的に安定して漁業を営んでいけるよう、海外輸出やブランド化など、本県水産業の発展に取り組んでまいりたいと考えております。
21 ◯総務部長(平木万也君)消費税増税についてでございます。
消費税及び地方消費税につきましては、国・地方を通じた厳しい財政状況や急速に進む少子高齢化という現状を鑑みれば、予定されている税率の引き上げを行うことは必要と考えております。
また、税率引き上げに伴い、低所得者に配慮する観点から、軽減税率制度が導入されるものと理解しております。
22 ◯まつざき真琴君 自席から再質問させていただきます。
まず、馬毛島についてです。
県が違法開発の疑いを持っていること、改めて調査に入る日程調整を行っていること、このことを防衛省には伝えていますか。まだであればすぐに伝えるべきだと考えますが、答弁願います。
23 ◯企画部長(古薗宏明君)先月来訪された原田防衛副大臣に対しまして、地元に対する十分かつ丁寧な説明を要請したこともあり、現地調査の日程調整を申し入れたことにつきましては、既に防衛省にお伝えしたところであります。
24 ◯まつざき真琴君 知事は、「地元の意向を尊重する」と言われていますが、これは種子島の住民だけの問題ではなく、県民の生命・財産を守る立場の知事として、当事者意識を持って国に反対の立場を表明していただきたいと考えます。当事者として考えていただきたい。いかがでしょうか。
25 ◯知事(三反園 訓君)この件に関しては、これまでも繰り返し申し上げておりますけれども、県といたしましては、今後とも、地元の動向を注視してまいりたいと考えており、そのためにも、国が十分かつ丁寧な説明を行っていただきたいと考えておりまして、その点に関しては原田副大臣にも申し入れたところであります。
26 ◯まつざき真琴君 原発問題について再質問を行います。
原則四十年というのは国の考えです。私は、知事のお考えをお聞きしています。御自身の考えを言われないということは、知事として四十年を超えての運転を認めるか認めないかの判断をする意思を持たないということですか。それでは、知事としての県民の生命・財産を守るという任務を放棄することになると考えますが、いかがでしょうか。
27 ◯知事(三反園 訓君)先ほども答弁いたしましたけれども、原子力発電所の運転期間は、原子炉等規制法で四十年とされており、国の原子力規制委員会が認めた場合、一回に限って二十年まで延長することが認められております。そのことを踏まえて、これまで一貫して、運転期間は原則四十年と申し上げてきているところであります。
今、やるべきことは何かというと、県民の世論調査でも、防災対策にまず力を入れてほしいというのが過半数を占めているわけであります。そして高レベル放射性廃棄物も含めて、今、そこに原発があるわけでありますので、まず取り組むべきことは何かというと、防災対策に全力を挙げる、それに今、一生懸命取り組んでいるところであります。
[まつざき真琴君登壇]
28 ◯まつざき真琴君 馬毛島問題については、ちょうど本日、国会でも、予算委員会第二分科会において我が党の田村貴昭衆議院議員が、馬毛島買収と違法開発について、として質問を行っているところです。この問題は、単に熊毛地域だけの問題ではありません。知事には当事者としての意識を持っていただきたい。そのことを強く申し上げ、反対の立場を表明していただきたいということを強く申し上げます。
原発についてですが、知事は、原発についての御自身の考えを述べられることに何か恐れを感じておられるのでしょうか。
老朽原発が四十年を超えて六十年運転を続けることは、圧倒的多数の県民は認めないでしょう。来年の県知事選挙では大争点となることと思います。三反園知事が、明快に四十年を超えての運転は断じて認めない、その立場に立たれることを強く要望いたします。
消費税についての御答弁もいただきました。
影響について、大変冷静といいますか冷ややかといいますか、そういう答弁、人ごとの答弁でありました。今、国会の議論で毎月勤労統計の不正をめぐって、消費増税を断行するためにアベノミクスの効果を大きく見せようとしたのではないか、大幅賃上げの数字をつくろうとしたのではないかという疑いが濃厚になってきました。実質賃金が下がり、消費不況が続いているときに、消費税一〇%増税はあり得ません。地方からも声を上げていくことが必要です。
県が、県民の暮らしと地域経済を守る立場で、消費税増税反対の立場を表明されることを要望いたします。
新たな質問に入ります。
私はこれまでも、高過ぎる国保税について県の認識をお尋ねしてきました。
具体的に、協会けんぽの保険料と、本県の国保税の比較についてお示しください。
国保税が、協会けんぽなどの被用者保険と比べて著しく高くなる大きな要因になっているのは、国保にしかない均等割、平等割という保険料算定です。被用者保険の保険料は、収入に保険料率を掛けて計算するだけであるのに対して、国保税は、所得割、資産割のほか、世帯員の数に応じてかかる均等割、各世帯に定額でかかる平等割を合算して算定されます。
例えば、鹿児島市の二〇一八年度医療分の均等割は一人当たり二万一千円ですから、夫婦で四万二千円、子供が二人だと八万四千円と国保税の負担が上がっていきます。低所得者には一定の減額があるものの、子供の数が多いほど国保税が引き上がる均等割は、子育て支援に逆行しているという批判の声が上がるのも当然のことです。
本県の国保の運営方針においては、納付金の算定に当たって、応能負担と応益負担の割合は一対一を基本としながら、全国との比較で所得係数を掛けることから、二〇一九年度は、医療分では〇・六七対一となっており、応益負担の比重が高くなり、世帯の人数が多いほど負担が重い仕組みが、さらに重さを増しています。
応能割と応益割の考え方を改めるべきと考えますが、見解を伺います。
全国で、均等割、平等割として徴収されている保険料額はおよそ一兆円です。公費を一兆円投入し、均等割、平等割をなくし、払える国保税とするために、国に公費負担の増額を求めるべきと考えますが、見解をお聞かせください。
その保険料が高過ぎるゆえ、滞納してしまい、財産の差し押さえとなった件数がふえています。
直近の統計で、滞納世帯に占める差し押さえの件数について、本県は、全国と比較してどのような状況であるのか、お示しください。
また、その現状について、県としての見解をお聞かせください。
国保税を滞納すると短期保険証が発行され、一年以上滞納すれば、医療機関の窓口で十割負担を求められる資格証明書が発行されます。
本県の資格証明書の発行件数と、発行している市町村数をお示しください。
資格証明書は、窓口での十割負担が求められるので、医療が受けられない無保険状態にあると言えます。そのような県民がいることについてどう思われますか。県の見解をお聞かせください。
本県の国保の運営方針においては、短期保険証、資格証明書について、他税にはない国保固有の事務であり、当制度の理解が深まるよう研修を行い、効果的な運用を行うことが示されています。保険証は命の綱です。保険証交付を収納率を引き上げる手段として使うのではなく、収納対策は、保険証の交付と切り離して行うべきです。県が市町村とともに国保会計の主体となった現在、社会保障である国民皆保険を守り、県民の命と健康を守るために県が果たす役割は大きいと考えます。
高過ぎる国保税が払えず、保険証がなく、ぐあいが悪くても病院にかかれない県民を生まないために、県が果たす役割について、見解をお示しください。
次に、子供医療費の助成制度についてお尋ねします。
昨年十月から一部、病院の窓口負担ゼロがスタートしました。多くの県民が待ちに待った現物給付のスタートでした。しかし、実際にこの対象となるのは、就学前の住民税非課税世帯の子供たちで、全ての就学前の子供たちのうちの六人に一人、わずか一六%です。
これまで、安心の子育てを願う多くの県民から、全ての子供たちの窓口負担ゼロを求める署名が知事のもとに届けられていると思いますが、三反園知事就任以来、何人分の署名が届いていますか。それを受けられての知事の感想もお聞かせください。
知事はこれまで、子供医療費助成の拡充を求める私の質問に対し、山登りに例えられて、「一気に山は登れない。まずは経済的な理由で受診ができない家庭から」と言われました。しかし、今、少子化対策として、安心して子育てができる環境が求められている時代、保護者の収入にかかわらず、子供のぐあいが悪いときに財布の中身を心配せずに病院へかかれる環境をつくることは、多くの県民の願いではないでしょうか。
ここに、全都道府県の二〇一九年度当初予算案と、その中の子供医療費助成事業の予算について、比率をまとめた資料をつくりました。ごらんください。
私は、六年前も同様の資料をつくりましたが、改めて驚きました。多くの県で対象年齢が引き上がり、鳥取県は、自己負担を月四回を限度に一回五百三十円という自己負担を設けながらも、高校卒業までを対象としています。現物給付も広がりました。本県の制度より充実している部分を黄色で塗り潰しています。前回、本県は、この比率の比較で下から五番目でしたが、今は、下から四番目になっています。裏の棒グラフをごらんいただくと、より明確におわかりになると思います。
それぞれの都道府県で、目指す山の高さや登り方はさまざまでしょう。現時点で全国で最も高い山が、群馬県の中学校卒業までの自己負担ゼロの山、所得制限もなし、自己負担なし。これであるとすれば、知事が目指される山はどのような山であるのか、お示しください。
現在の就学前までの子供が対象で、住民税非課税世帯は窓口負担ゼロ、課税世帯は、三千円の自己負担で、それを超えた分だけ二、三カ月したら戻ってくるという現状は、知事が目指される山の何合目でしょうか。いつごろ頂上にたどり着くと考えておられるのか。知事のお考えをお聞かせください。
ぜひ、早急に窓口負担ゼロの対象を拡大していただきたいと考えますが、見解をお聞かせください。
私は以前、他県の小学校の教諭でありました。結婚、転居のため退職し、三人の子供を出産後、期限つきで教員を務めました。二十年以上も前のことで、今とは教える内容も、働く環境も大きく異なっているでしょう。しかし、一人一人の教員の思いは変わっていないと思っています。子供たちがよくわかる、子供たちの目が輝く授業をやりたい。子供たちが毎日楽しく通える学校にしたい。
しかし、現実は、教師は毎日追いまくられて仕事をしています。毎日子供たちが提出する日記に目を通し、赤ペンで返事を書く。ノートやプリントの丸つけ。テストの採点。昼休みに子供たちと遊べば、子供たちとの距離がぐっと近づくのがわかっていても、昼休みは、ノートやプリントに赤ペンを入れる貴重な時間。給食や掃除の指導に手を抜けば、すぐにトラブルになってあらわれる。ようやく授業が終わって下校時間になっても、職員会や部会、校務分掌の会議に、学校行事・学年行事の計画作成に、学級通信・学年通信の作成。中学校は部活動が待っています。これらの中で、子供たちの小さな変化にも気づき、人間関係にも目配り、気配りし、適宜適切に指導しなければなりません。
もちろん、学校の中ではたくさんの感動や喜びがあります。だから、過酷な日々の連続でも教師の仕事を続けていけるのです。
今、学校における業務改善アクションプラン案が示されています。その中で、業務の簡素化、業務の効率化、業務改善の意識化の具体的方策が示されています。もちろんこれらも必要でしょう。しかし、教育委員会もわかっているはずです。教員の仕事の対象は、物ではなく子供たちです。教員に求められている役割を果たすためには、その荷を分けて支える人をふやさなければ根本的な解決にならないことを。一クラスの子供の人数を減らす。教員をふやしたり、専科をふやしたりして、一人当たりの教員の授業時間を減らし、空き時間をつくる。子供たちにしっかり向き合って生活指導ができ、授業準備を行うための物理的時間、精神的余裕が必要です。
本県においては、国加配や県単定数、非常勤職員の配置を活用し、かごしまっ子すくすくプランなどの少人数学級や、免許外教科担任解消や変則複式学級の解消について取り組まれていますが、それらの効果についてお尋ねします。
国が、抜本的に教職員をふやすための定数改善に後ろ向きで、それをやらないとすれば、教職員の健康とやりがいを支え、子供たちの豊かな学びを保障するために、県単独で人をふやすしかないと考えますが、見解をお聞かせください。
鹿児島港本港区エリアまちづくりについて、県によるグランドデザインが決定され、来年度は、この開発を請け負う事業者を公募し、選定していく予算が計上されています。
パブリックコメントとして寄せられた意見には、この開発に期待する声とあわせて、桜島と錦江湾を望む景観を大事にしてほしい、自然を生かしてほしいという意見、また、大型集客施設については、既存企業にとって深刻な打撃となるおそれがある、中心市街地及び既存の物販事業者へダメージを与えることは必至であるという指摘もありました。
天文館商店街の団体を初め四団体から、鹿児島市に対して、本港区に施設をつくる際に必要とされる規制緩和を行わないよう要望する嘆願書が提出されています。私は直接お会いし、お話を伺いましたが、「パイを奪い合うようなことはしてほしくない。行政が競争原理を持ち込んで、地域に迷惑をかけることになるのではないか」、「冷たい。血も涙もない」と話されました。
大事な県有地を鹿児島県民の福祉の向上と県の発展のためにどう活用するかについては、もっと県において時間をかけて、さまざまな関係者と協議し、検討を尽くすべきと考えます。すぐに公募し、開発を民間に委ねるべきではないと考えますが、見解を伺います。
最後に、二本の県道整備について取り上げます。
まず、県道十六号鹿児島吉田線と県道二十五号鹿児島蒲生線のそれぞれの県道が果たしている役割についての県の認識をお聞かせください。
県道十六号は、鹿児島市吉野第一地区土地区画整理事業において片側二車線への拡幅がなされてきましたが、残りの部分は、吉野第二地区土地区画整理事業においてなされる計画になっています。ここで取り上げるのは、県道整備の補助率が第一地区においては一〇%であったのに対して、第二地区では五%となっている点です。
区画整理事業による県道の整備は、住民の財産の提供である減歩によってなされるものです。吉野第一地区において一九・六%であった減歩率が、第二地区は二一・一二%になっています。そのうちの一・三四%が、第一地区では設定されなかった保留地で、それを売却した六億五千万円が事業費に充てられます。県の補助率が一〇%であれば七億八千万円となります。結果として、県の補助金が減った分、保留地として住民の土地を余計に減歩し、事業費に充てることになるのです。
地域住民にとっては、県道の拡幅に最低限の土地を提供することは納得できても、吉野第一地区ではなかった保留地が設定され、減歩率が大きくなることについて不満の声が上がっています。第二地区は、区画整理全体の面積からしても、第一地区の半分ほどになり、県道拡幅のための区画整理と言える実態にあります。
他県においては、群馬県など六県が二五%、岩手県など五県が一一から一七%、長崎県、福岡県が一〇%の補助を行っています。
吉野第二地区については、その実態と第一地区との整合性からしても、補助率を一〇%に引き上げるべきと考えますが、見解をお聞かせください。
県道鹿児島吉田線は、慢性化した渋滞解消のために、交差点に右折車線の設置を求める署名活動を行うなどして、支所入口交差点、帯迫交差点と右折車線が設置され、渋滞解消に効果を発揮してきました。しかしながら、上下二百本が走るバスの停車時間は、その右折車線設置の効果がそがれています。
幸い、支所入口交差点の先にある無線前バス停は、吉野交番の出入り口に当たり、バスの停車スペースを設置するに十分な広さがあります。ぜひ、ここに無線前バス停の停車スペースを設けていただきたい。いかがでしょうか。
次に、鹿児島蒲生線についてです。
坂元住宅入口交差点から坂元郵便局までの区間について、坂元台校区の七つの町内会長、鹿児島商業高校、東高校、坂元中学校のそれぞれの校長、坂元台小学校のPTA会長、周辺の保育園長、幼稚園長、校区の社協会長などから成るまちづくり協議会から、地域の皆さんの署名を添えて、坂元郵便局から坂元住宅入り口までの拡幅工事の早期着工を求める知事宛ての要望書が提出されています。
この地域住民の皆さんの切実な願いである坂元住宅入口交差点から坂元郵便局までの区間の拡幅について、早期に着手すべきと考えますが、見解をお聞かせください。
[知事三反園 訓君登壇]
29 ◯知事(三反園 訓君)子供医療費助成制度についてであります。
鹿児島の未来を担うのは子供たちであります。県内どこに住んでいても安心して子供を産み育てられる環境をつくることが重要であります。子供たちの中で、生まれながらにしてさまざまな格差があってはなりません。子供たちが成長していくためには、特に、医療、食、教育が重要であると考えておりまして、これらの施策の充実に努めていく必要があり、取り組んでいるところであります。
署名数は、延べおよそ一万九千人分となっておりますことから、まずは、経済的理由から医療機関の受診を控え、症状が重篤化することがあってはならないわけでありますので、昨年十月から、住民税非課税世帯の未就学児を対象に、医療機関等での窓口負担をなくす制度を開始したところであります。
私としては、新たに始めた制度の利用状況の推移も見ながら、財政面での体力をつけて、今後の施策について検討を進めてまいりたいと考えております。
30 ◯くらし保健福祉部長(中山清美君)国保税に関しまして、まず、協会けんぽ保険料と国保税との比較についてでございます。
鹿児島市に住む年間の給与収入三百万円の四十歳以上の大人二人と子供二人の四人世帯で試算いたしますと、協会けんぽ加入者が一年間に負担する保険料は約十八万二千円、それから国保加入世帯が負担する保険税額は約三十三万五千円となります。
次に、応能割と応益割の考え方、国公費負担の増額についてでございます。
国民健康保険は、被保険者の疾病あるいは負傷等という偶発的に発生する事故に対して救済することを目的とする事業でありますことから、賦課の方法は、担税力に応じて課税する応能方式と、被保険者として受ける利益に対して課税する応益方式によるのが原則とされております。
また、国保事業費納付金の配分における応能分と応益分の割合につきましては、国が示したガイドラインに則して、全国平均と比較した本県の所得水準に応じて設定しており、平成三十一年度納付金の配分においては、応能分と応益分の割合を約〇・六七対一としているところであります。
国の公費負担増につきましては、県としては、国民健康保険の財政基盤の確立が図られ、安定的な財政運営が行えるよう、財政支援の充実・強化について、県開発促進協議会等を通じ、国に対して要望しているところであります。
次に、国保税の滞納による差し押さえ件数についてでございます。
平成二十八年度の国保税の滞納による差し押さえ件数は、県全体で延べ八千四百七十三件となっており、滞納世帯百世帯当たりの差し押さえ件数は延べ約二十五件で、全国では延べ約十一件となっております。
国民健康保険は、被保険者の相互扶助により成り立つ社会保険制度であり、公平な税負担が制度存立の前提でありますことから、支払い能力があるにもかかわらず納付していない滞納者につきましては、市町村が地方税法等に基づいて財産調査を行った上で、滞納処分を実施しているところであります。
資格証明書の交付についてでございます。
被保険者資格証明書につきましては、平成二十九年六月時点で、二十六市町村において、二千八百六十七世帯に交付されております。
国民健康保険は、被保険者間の負担の公平を図る観点から、災害、病気等の特別な事情があると認められる場合などを除き、国保税を滞納している被保険者に対し、まずは市町村において、短期被保険者証等の交付手続を通じて納付相談などの機会をふやし、滞納理由に応じて支援策などの紹介を行っているところであり、さらに、特別な事情がないにもかかわらず一年以上滞納している場合に、資格証明書を交付しているところであります。
県といたしましては、短期被保険者証や被保険者資格証明書の制度について、その趣旨を踏まえた適切な運用が図られるよう、毎年市町村に対して研修を行っているところであります。
31 ◯教育長(東條広光君)教職員の働き方に関しまして、初めに、少人数学級等の効果についてであります。
本県においては、義務教育の入門期の児童一人一人に応じたきめ細かな指導の充実を図るために、三十人学級を実施しているところであります。
また、小学校における低学年、中学年、高学年の枠を超えてクラスを編制する、いわゆる変則複式学級は、学年間の教科の目標や授業内容が大きく異なることなどから、その解消に努めているところであります。
昨年度行った三十人学級についてのアンケート調査では、ほとんどの学校で、児童が授業中に発言・発表する機会がふえた、教師の児童に対する見方や接し方が改善された、教師の授業改善に取り組む意識が高まったなどの意見が出されたところであります。
次は、教職員の定数改善についてであります。
文部科学省においては、来年度予算案に、学校における働き方改革や複雑化・困難化する教育課題へ対応するため、小学校専科指導や通級指導などの教職員定数の改善を計上しているところであり、県教委においても、国の加配の活用も図りながら、学校における業務改善を推進してまいりたいと考えております。
なお、新学習指導要領の円滑な実施と学校における働き方改革のための指導・運営体制の構築に向けた定数改善については、これまで、全国都道府県教育長協議会・教育委員協議会を通じ、国に要望してきているところであり、今後も引き続き、要望してまいりたいと考えております。
32 ◯土木部長(渡邊 茂君)鹿児島港本港区エリアまちづくりに係る関係者との協議についてであります。
鹿児島港本港区エリアまちづくりについては、都市計画等の有識者で構成する鹿児島港本港区エリアまちづくり検討委員会を設置し、論議を重ねてきたところであります。
同検討委員会においては、アンケート調査や関係団体に対する聞き取り調査を行うなど、幅広い意見聴取に努めてきたところであります。
これらの御意見等や議会での御論議、パブリックコメントの結果を踏まえ、今般、グランドデザインを策定・公表したところであります。
また、土地利用規制の見直しに係る鹿児島市との協議や、土地・建物の活用方策に係る港湾関係者との協議を既に行っているところです。
県といたしましては、ドルフィンポート敷地の定期借地契約の満了を視野に入れながら、来年度の早い時期に事業者公募に必要な準備を進めるなど、今後、事業化に向けた取り組みを着実に進めてまいりたいと考えております。
続きまして、吉野地区土地区画整理事業と県道整備についてのうち、県道鹿児島吉田線、県道鹿児島蒲生線の役割についてであります。
県道とは、地方的な幹線道路網を構成し、かつ主要地や観光地を連絡する道路等として、道路法に基づき都道府県知事が認定した路線であります。
鹿児島市街地を起点とする県道鹿児島吉田線と鹿児島蒲生線については、鹿児島市街地と九州縦貫自動車道の薩摩吉田インターチェンジへのアクセス道路であるとともに、大規模災害等により国道十号が通行不能となる際は、代替道路としての役割も担っていると認識しております。
続きまして、区画整理事業に係る県費補助の引き上げについてであります。
県においては、昭和四十一年度から、土地区画整理事業の施行地区内に県道を含む場合、その整備に要する経費の一部を補助する制度を設け、市町村が行う土地区画整理事業の促進を図っているところであります。
この制度の補助率につきましては、極めて厳しい本県財政状況を踏まえて平成十七年三月に策定した県政刷新大綱に基づき、平成十九年度から、現行の補助率五%に見直しを行ったところであります。
県においては、引き続き、行財政運営戦略を踏まえた歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に取り組んでいるところであり、現行の取り扱いで対応したいと考えております。
続きまして、県道鹿児島吉田線の吉野交番前におけるバス停車スペースの確保についてであります。
県道鹿児島吉田線の大明丘団地入口から吉野中学校までの区間につきましては、鹿児島市において、吉野第二土地区画整理事業で整備することとされており、現在、事業計画決定に向けた手続が進められているところであります。
バス停車スペースの確保につきましては、土地区画整理事業の手法を用いて、道路や公園など公共施設の整備と宅地の利用増進を一体的・総合的に図ることが最も効果的であると考えております。
続きまして、都市計画道路催馬楽坂線の早期拡幅についてであります。
催馬楽坂線は、全体延長三千百八十メートルのうち、最も渋滞の激しかった坂元郵便局前交差点付近など、一期区間、二期区間を合わせて千四百三十五メートルの整備を終え、現在、二期区間のうち、残る七百六十メートル区間の整備を行っているところであります。
坂元郵便局から坂元住宅入口交差点を経由し、旧警察学校までの三期区間九百八十五メートルにつきましては、多額の事業費を要することから、県の厳しい財政状況を踏まえると事業化には課題があると考えております。
このため、県といたしましては、右折車による交通の阻害により、渋滞が著しい状況にある坂元住宅入口交差点において、歩道整備を含む部分的な改良により、渋滞を緩和し、加えて安全性の向上を図るとしたところであり、まずは当該交差点部分の整備を進めていきたいと考えております。
33 ◯まつざき真琴君 自席から、知事に再質問させていただきます。
子供医療費助成についてです。
知事は、体力をつけるんだと、「財政面での体力をつけて」とおっしゃいましたが、例えば、知事は、世界に四隻しかない二十二万トン級のクルーズ船の岸壁整備については、ちゅうちょすることなく事業費をつけられています。実際にその岸壁をどのくらいの県民が利用するでしょうか。その岸壁に接岸したクルーズ船の利用者がどのくらい県内に経済効果をもたらし、県民の安心・安全の暮らしに貢献してくれるでしょうか。
知事の決断なんです。知事は、「鹿児島に生まれてよかった、鹿児島に住んでよかった、そう言われる鹿児島にしたい」と言われていますが、今、県外の方たちが鹿児島に引っ越してきて、どうして鹿児島では、子供のぐあいが悪いときに病院にかかるとお金がかかるんだろうか、そう言われているんですね。知事に、現状よりもさらに早急に対象を拡大していただきたい。いかがでしょうか。
34 ◯知事(三反園 訓君)政治とは、御指摘のようにそんな単純なものではないと私は思っております。脆弱な財政、財政は非常に厳しいんです。財源も非常に厳しいんです。その中で何をやるべきか。(発言する者あり)
35 ◯議長(柴立鉄彦君)静粛にお願いいたします。
36 ◯知事(三反園 訓君)その中で何をやるべきか。
私は、生まれながらにして子供たちに格差があってはならない。その中でも医療、教育、食で格差があってはならない。まずは、その弱い立場の子供のための対策を優先してやるべきではないか、そういう思いでやってきているわけであります。
医療面では、住民税非課税世帯の乳幼児に関しては既に無料化が行われております。食に関しては、子供食堂の支援をやっているわけであります。また、教育に関しましても、いわゆる学習機会の確保に何としても全力で尽くしたいという思いでやっているわけであります。
そして子育て支援、全力で当たっております。ひとり親家庭への支援、また保育所の確保、さまざまな支援に取り組んで、子育て支援に関しましては、過去最大規模の三百五十五億円を充てさせていただいております。
また、生まれてよかった、住んでよかった、そのためにも、いわゆる高齢者の生き生き支援。年をとることがつらい、そんな鹿児島であってはならないわけであります。年をとることはすばらしいことであります。みんなで支え合う社会、高齢者の生き生き支援に関しましても、過去最大規模の予算をつけさせていただいているわけであります。
そういったさまざまな施策を展開する中で、鹿児島に生まれてよかったな、鹿児島に住んでよかったな、そういう鹿児島を目指して、全力でけ死ん限り今後とも取り組んでまいります。
37 ◯まつざき真琴君 国保税について、部長に再質問いたします。
資格証明書だと病院の窓口で十割払わなければなりません。滞納している方は十割払えないんですね。資格証明書では病院にかかることができない。そういう現実は理解しておられますか。
38 ◯くらし保健福祉部長(中山清美君)資格証明書では、窓口負担が十割になるということは認識しております。
しかしながら、先ほど御答弁申し上げましたとおり、国民健康保険は、被保険者間の負担の公平を図る観点から、特別な事情があると認められる場合には、きちんと短期被保険者証でありますとか、通常の保険証の交付をしているところであります。納税相談の機会をふやし、滞納理由に応じてさまざまな支援策の紹介を行っているところでありまして、特別な事情がないにもかかわらず一年以上滞納している場合に、資格証明書を交付しているところであります。
39 ◯まつざき真琴君 私は、保険料を払わなくていいと言っているわけではありません。保険税の納付の相談と保険証の交付は切り離すべきだと言っているんです。運営方針の改定を検討していただき、ぜひその切り離すことを盛り込んでいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
40 ◯くらし保健福祉部長(中山清美君)繰り返しになりますけれども、国保制度は被保険者の相互扶助により成り立つ制度でございます。そうした中でさまざまな策が講じられております。決して画一的に交付しているものではございません。特別な事情がある場合は、先ほども申し上げましたとおり、通常の保険証を交付しているということでございます。制度の存立ということを踏まえまして、こうした対応がとられていると考えております。
[まつざき真琴君登壇]
41 ◯まつざき真琴君 保険証を交付されずに資格証明書を持っている方、本当に窓口に行けないんですね。そのために全国では、間に合わずに命を落としてしまった。そういう事例も報告されています。
命を守るための国保が、住民の暮らしや命を脅かすことがあってはなりません。古代の人頭税と言えるような均等割について、子供の分を免除する自治体も全国で生まれています。均等割、平等割を廃止するための国の負担の大胆な増額を強く国に要求してください。
国保が県単位となってよかった、安心して医療が受けられると県民が感じられるように、納付金の算定方法、収納対策など運営方針を見直していただくよう要請いたします。
子供医療費について、市町村も財政的に厳しいですが、助成の対象年齢を小学校卒業まで、中学校卒業まで、高校卒業までと広げています。自己負担もゼロとしているところが多数あります。市町村の事業のうち県の補助は全体でも一六%、高校まで無料にしている自治体にとって、県の補助は八%ほどしかありません。それでも住民の子育て支援に有効な子供医療費助成を頑張っています。
知事には、県内どこに住んでいても安心して子育てができるよう、県の制度を大幅に拡充されることを要望いたします。
最後の質問も時間に追われてしまいました。質問の最後に、この場をおかりいたしまして一言御挨拶させていただきます。
私は、これまで四期十六年間、県議会議員として仕事をさせていただきました。私は、法や条例・制度の矛盾は現場、住民のところにあらわれると思っています。常に県民の皆さんの声を県政に届けることに努めてまいりました。
この間、鹿児島に新幹線が開通し、NHKの大河ドラマ「篤姫」、「西郷どん」が放映され、人工島マリンポートかごしまにクルーズ船の寄港がふえるなど、交流人口がふえ、とてもにぎやかに発展しているように見えます。しかし、その陰で、国の悪政により、高過ぎる国保税、介護保険制度の改悪、後期高齢者医療制度の創設、消費税増税、生活保護基準の切り下げなど、お金がなければ必要な医療や介護が受けられない、こんな事態も進んでいます。また、米軍の訓練が持ち込まれるなど、平和そのものも脅かされています。
私は、県政には、国の悪政から県民の命と暮らしを守る防波堤としての役割をしっかりと果たしていただきたい。このことを要望いたします。
最後に、私を県議会に送り出していただいた県民の皆さんに感謝申し上げます。私は、日本共産党のただ一人の県議会議員として、どこにも誰にも臆することなく、県民の立場を貫いてはっきりと物を言ってまいりました。見解の相違、立場の違いはあっても、それを受けとめていただき、また支えていただきました県知事を初め県職員の皆さん、同僚議員として切磋琢磨させていただきました議員の皆さんに心からの感謝を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
私は、任期を終わりましたら、新たな目標に向かって歩みを進めることになります。これからも県民の皆さんの命と暮らしを守る政治の実現を目指し、全力を尽くして奮闘する決意を申し上げ、私の最後の一般質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
42 ◯議長(柴立鉄彦君)ここで、休憩いたします。
再開は、午後一時十五分といたします。
午後零時 一分休憩
───────────
午後一時十五分再開
43 ◯議長(柴立鉄彦君)再開いたします。
田之上耕三君に発言を許可いたします。
[田之上耕三君登壇](拍手)
44 ◯田之上耕三君 平成の世が終わり、新しい元号に改まる節目の年、鹿児島県も新たな一歩を踏み出す年であります。七月十四日には県民の日という新たな記念日も加わり、さらに飛躍する我が県であることを期待しながら、質問いたしてまいります。
それでは、通告に従いまして、初めに財政問題についてお伺いいたします。
国は、地方公会計の整備促進について、統一的な基準による財務書類の作成と固定資産台帳の整備を要請しております。原則として、平成二十七年度から二十九年度までの三年間で、全ての地方公共団体において作成するよう要請いたしております。
統一的な基準による財務書類は、複式簿記の導入を前提とするものであります。減価償却費や引当金などのコスト情報、資産や負債といったストック情報が明らかとなり、財政の透明性をさらに高めるものであります。自治体の財政状態や行政サービスの効率性がわかりやすくなると同時に、今後、他県との比較などが可能となってまいります。
本県では、これまでも、貸借対照表などの財務書類の公表に努めておられますが、国の要請に対する本県の対応は迅速であり、評価いたすところであります。
財務書類、固定資産台帳の整備は、少子高齢化が進み、人口減少社会と言われる中で、今後の行財政運営へ活用することが大いに期待されております。
知事は、持続可能な行財政構造の構築に向けて、全庁を挙げて取り組むことを常々強調されております。財政の持続可能性、健全性を示す指標の一つである基礎的財政収支を見ますと、平成二十九年度は約百二十億円、平成二十八年度は約三百億円の黒字であります。平成二十七年度も黒字であり、黒字を維持しております。
今後、指標の経年変化や他県との比較などを通して、多角的な視点で検証し、活用すべきと思いますが、そこでお尋ねいたします。
第一点として、国は、予算編成等に積極的に活用するようにとしておりますが、今回の平成三十一年度予算編成での活用状況や、予算編成に当たっての課題についてお伺いいたします。
第二点として、財務書類等を活用していくに当たっては、多角的な分析・検証が必要になると思いますが、どのように取り組まれるか、お伺いいたします。
また、外部の専門家の意見を徴することも考えられるところであると思いますが、あわせてお伺いいたします。
第三点として、複式簿記・発生主義を基礎とする財務書類等の有用性を職員に浸透させる必要があります。これには何より、官庁会計を常としている職員に対する研修等が必要であると考えますが、どのように進めていかれるのか、お伺いいたします。
第四点として、県では、財務情報をわかりやすく県民に開示するとの立場で、ホームページなどで公表しておられます。この財務情報をより県民の目に触れやすくすることも重要だと考えますが、どのように公表していくおつもりか、お伺いいたします。
第五点として、市町村の財務書類の整備についてでありますが、国は、県が市町村に対し、適切な助言を行うよう要請いたしております。
国が公表した昨年三月三十一日現在の県内市町村の整備状況を見てみますと、財務書類の未作成団体は四団体、固定資産台帳の未作成団体は二団体となっております。今後の整備の見通し、市町村への支援についてお伺いいたします。
次に、人工知能AIについてお伺いいたします。
昨今、人工知能AIについては、産業、文化、芸術、医療、スポーツ、暮らしなど多彩な分野にわたって報道がなされ、書籍も多く目にいたします。
名古屋大学の佐藤理史教授は、「AIは、これまで人間にしかできなかった知的な行為、認証、推論、言語運用、創造などを、どのような手順とどのようなデータを準備すれば、それを機械的に実行できるかを研究する分野である」と述べておられます。
六年後の二〇二五年には、大阪・関西で万博が開催されます。大阪での万博開催は二回目となります。一九七〇年─昭和四十五年─の大阪万博の後の産業・情報技術の進歩・発展は目覚ましいものがありました。二〇二五年の大阪・関西万博は、AIが主役になると思われます。新たな産業が創出される可能性もあります。
AIの導入・活用は、雇用機会が減少するのではといった懸念の声もあります。しかしながら、第四次産業革命と言われる中にありましては、大なり小なりあらゆる事象に影響が出ることが予想されます。時代の潮流を捉え、こうしたAIやIoTなどの革新的技術に対し、早い段階から対応することが求められていると思います。
そこでお尋ねいたします。
第一点として、県庁内でのAIを活用した取り組みとして、どのようなものを考えておられるのか、また、その効果はどのようなものになると考えているのか、お聞かせください。
第二点として、県では、先端技術に対する支援事業や、鹿児島頭脳センターが開催するイベントを後援するなどして、AIやIoTの活用に取り組んでおられます。もとより最先端の技術でありますので、利活用に当たりましては、導入コストや人材面、経営者の意向などの課題はあろうかと思います。
本県産業におけるAIやIoTなどの先端技術の導入・活用に関する新年度の取り組みについてお伺いいたします。
第三点として、AI・IoT関連企業の立地は、本県産業に好影響を与えると思います。AI・IoT企業の誘致に取り組む考えはないのか、お伺いいたします。
45 ◯総務部長(平木万也君)統一的な基準による財務書類等の活用などについてでございます。
統一的な基準による財務書類等については、平成二十九年度以降、作成を開始しており、現時点で平成二十八年度及び二十九年度決算の二カ年分を作成しているところであります。
予算編成で活用するに当たりましては、経年比較や他団体との比較などによる活用が考えられますが、統一的な基準による財務書類等が二カ年分しかそろっていないこと、他団体の公表時期等が一定でないことなどの課題があるため、直接活用するには、引き続き検討を要する状況にあると考えております。
国においても、研究会を設け、公会計情報の比較可能な形による公表などを検討しているところでもあることから、その検討を注視してまいりたいと考えております。
統一的な基準による財務書類等の活用に当たっての多角的な分析・検証への取り組みについてでございます。
国の、地方公会計の活用の促進に関する研究会が昨年度公表した報告書において、統一的な基準による地方公会計の整備により、従来の決算統計や地方公共団体財政健全化法における健全化指標等、既存の指標に加え、財務書類等で明らかになる資産・負債に関する新たな指標を算出し、当該指標の経年変化や他県との比較などを行うことにより、財政状況を多角的に分析することが可能となるとされたところであります。
また、同報告書においては、指標に基づき、類似団体との比較分析を効率的に進めるために、各地方公共団体の指標を比較可能な形で示す方法の検討については、地方公共団体の財務書類の公表の進捗を踏まえ、引き続きの課題として認識する必要があるとされております。
当該報告書を受けて、国において、外部有識者等で構成される地方公会計の推進に関する研究会が本年度設置され、公会計情報の収集と比較可能な形による公表やセグメント分析手法の検討、指標の検証などについての検討がなされたところであります。
今後、公表される報告書等を踏まえながら、どのように分析・検証していくかを検討してまいりたいと考えております。
財務書類等の有用性を浸透させる職員研修等についてでございます。
財務書類等を作成する関係職員には、関係機関における研修や他県の実務担当者との会議への参加を通じて、知識をより深めてもらうよう努めているところであります。
また、予算編成等における財務書類等の今後の活用に応じて、職員に対する研修等の必要性についても検討してまいりたいと考えております。
財務書類等の公表についてでございます。
財務書類等については、県のホームページで公表するとともに、その情報を報道機関に提供しているところであります。
今後、先ほど申し上げました国の研究会における財務書類等の比較可能な形による公表などの検討を踏まえながら、県民にとって見やすく、わかりやすい形での公表となるよう努めてまいりたいと考えております。
最後に、県内市町村の財務書類の整備についてでございます。
県では、これまで、財務書類の整備や活用について、市町村等を対象とした研修会を実施するなど、必要な支援や助言を行ってきたところでございます。
県が本年一月末時点で調査いたしましたところ、財務書類については二団体、固定資産台帳については一団体が未作成となっており、これらの団体においては、今年度末を目途に作成作業が進められているところであります。
県といたしましては、未作成の団体に対し、引き続き、必要な助言等を行ってまいりたいと考えております。
46 ◯企画部長(古薗宏明君)県庁内でのAIを活用した取り組みについてであります。
さて、県は、鶏の生食に関する法律や条例が制定されていない中、平成十二年に全国で初めて、鶏を安全に食べるための生食用食鳥肉の衛生基準を作成し、食鳥処理場での加工、飲食店での調理、生食肉の保存・運搬・表示等について目標基準を定めております。この衛生基準を、県は昨年五月に十八年ぶりに改正して、食中毒の危険性の高いレバーなどの内臓を基準対象から外しております。これは、生食用食鳥肉等における食中毒に対する危険性について、食品加工業者や飲食店の方々に注意喚起するためとのことであります。
そこで、一点目の生食用食鳥肉の衛生基準を見直した経緯についてでありますが、今回、鶏に係る重大な食中毒が発生していない状況下において、生食用食鳥肉の衛生基準の見直しが行われております。なぜこの時期に、食中毒の危険性が高いとしてレバーなどの内臓を基準対象から外す見直しを行ったのか、その経緯をお示しいただきたい。
次に、二点目の生食用食鳥肉等の安全対策についてでありますが、食品衛生法においては、公衆衛生の確保のために必要な場合には、食品もしくは添加物の製造、加工、使用、調理もしくは保存の方法や成分について、規格基準を定めることができると規定されており、その違反は刑事罰の対象となります。
通常は行政処分により改善を図ることとされておりますが、食肉等の生食について、国は、生食用の牛及び馬の食肉と肝臓については、平成十年に衛生基準を定め、都道府県を通じ指導を行うとともに、政府広報等を通じて、食肉の生食を控えるよう周知を図ってきたところであります。
しかしながら、平成二十三年四月十九日以降、焼肉酒屋えびすの富山・福井・神奈川・石川県の店でユッケなどを食べた客百八十一人が、腸管出血性大腸菌O111及びO157による食中毒になり、五人が死亡、三十二人が重傷となったことなどを受け、生食用食肉の牛肉や牛肝臓に関して、規格基準が定められております。
食品衛生法第十一条第一項で、厚生労働大臣は、公衆衛生の見地から、薬事・食品衛生審議会の意見を聞いて、販売の用に供する食品もしくは添加物の製造、加工、使用、調理もしくは保存の方法につき基準を定め、または販売の用に供する食品もしくは添加物の成分につき規格を定めることができる。第二項で、基準または規格が定められたときは、その基準に合わない方法により食品もしくは添加物を製造し、加工し、使用し、調理し、もしくは保存し、その基準に合わない方法による食品もしくは添加物を販売し、もしくは輸入し、またはその規格に合わない食品もしくは添加物を製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、保存し、もしくは販売してはならないとなっております。
そして、規格基準において、生食用食肉、いわゆるユッケについては、加工は、専用の設備を有した衛生的な場所で、専用の器具で行うこと。また、牛肉表面から一センチ以上の深さを六十度で二分間以上加熱する方法、または同等以上の効果を有する方法で加熱殺菌すること等を規定しております。また、牛の肝臓─レバー─については、中心部の温度を六十三度で三十分以上加熱する、または同等以上の殺菌効果を有する方法で加熱殺菌することなどが規定されております。
このように、食品衛生法により、牛肉には生食用の規格基準が設定されており、これを満たした場合に限り、ユッケなどの生食が可能となっております。
一方、鶏肉については、内臓肉も含めて、食品衛生法に基づく規制は現在のところないものの、生食用の規格基準もありません。全国的には、流通する鶏肉は加熱用というのが実態で、いかに新鮮でも生で食べる前提ではありません。
ところが、生や生焼けの鶏肉を食べたことによるカンピロバクター食中毒が多発しており、昨年の食中毒では最多原因で、多くのケースで鳥刺しが問題となっているようであります。厚生労働省の集計によると、一昨年四月から十二月までに発生し、詳しく分析できたカンピロバクター食中毒百三十三件のうち約半数が、加熱用と表示されているものを、生または加熱不十分で提供していたとのことで、国は、加熱用鶏肉を使った生食に対する対策を強めつつあり、鶏肉が加熱用であると知りつつ生食メニューを出して食中毒を繰り返し発生させるなどの悪質な飲食店は、食品衛生法違反で告発するよう全国の自治体に通知を出しております。
カンピロバクターに感染すると、下痢、腹痛、吐き気などの症状があらわれ、死亡する事例はまれですが、時に、手足の麻痺や呼吸困難などを起こすギラン・バレー症候群につながる場合もあるとのことであります。
県は、今回の衛生基準の改正におきまして、内臓については、食中毒の発生を懸念し、基準対象から外したところですが、食品加工業者や飲食店に対して生食への注意を促すだけで、法的拘束力も持たず、罰則規定も設けておりません。このような対応で消費者の安全を守れると考えておられるのか、見解を求めます。
次に、三点目の生食用食鳥肉等の今後の取り扱いについてありますが、県は、鶏肉は安全で大丈夫だが、レバーの生食は安全性の確保ができないと判断され、今回、鶏のレバーなどの内臓を衛生基準対象から外した。つまり、レバーの生食を禁止し、また、子供、高齢者、食中毒に対する抵抗力の弱い人は食肉の生食を控えることというリスク表示を追加するなど、鶏全ての生食をしないようとの呼びかけを行ったと言え、あとの判断は消費者にお任せしますということになるのではないでしょうか。
私は、行政として、飲食に起因する危害が生命そのものにかかわるような公衆衛生上のリスクが高いものについては、消費者によるリスク回避のみに食中毒の発生防止を委ねることは適切ではなく、重大な事故を未然に防止するために、食品衛生法に基づく規制を検討することが必要であると考えるところでありますが、今後、何らかの対応を考えておられるのか、見解を求めます。
54 ◯農政部長(本田勝規君)サツマイモ病害の被害面積と支援についてでございます。
平成三十年産の原料用サツマイモにおいて、つる枯れや芋の腐敗が一株でも確認された圃場面積は、県全体の作付面積九千六十八ヘクタールのうち、一五%の千三百七十ヘクタールとなっております。被害面積の大きい市町村は、南九州市で六百ヘクタール、作付面積の三七%、鹿屋市で三百ヘクタール、二〇%となっております。
被害の発生を受け、県では、経営安定に向け、次年産の生産量がしっかり確保できるよう、生産者等を対象にリーフレットなどを活用した研修会等を開催し、対策の周知徹底を直ちに図ったところであります。
また、早期植えつけによる単収向上を図るため、国の二次補正で措置されたマルチ購入経費への助成事業の活用を促進してきたところであります。
次に、病原菌判明までの経緯についてでございます。
通常、現場で診断が困難な病害につきましては、県農業開発総合センターにサンプル等が持ち込まれ、顕微鏡による診断などを行い、病害を特定した上で防除対策の指導を行っているところであります。
平成二十九年度までに持ち込まれた、腐敗などの症状があるサツマイモにつきましては、つる割れ病などの病害と特定できたことから、防除対策を指導してきたところであります。
昨年の八月以降に持ち込まれたサンプルから、これまでに知られていない菌が見つかったため、県においては、この菌を分離・培養して、十一月に、国に遺伝子検査等を依頼したところであります。その結果、十二月十日に、本県で初めての発生となる、もと腐れ病と乾腐病の二種類の病原菌であることが判明したところであります。
次に、病原菌判明後の取り組みと今後の対応についてでございます。
十二月十日の病原菌判明後、県では直ちに、県内の生産者等に防除対策等を周知するための病害虫発生予察特殊報を発出するとともに、十二月中に、被害が多く報告された県内三地域での説明会を開催したところであります。
さらに、本県と九州沖縄農業研究センターなどが連携し、病害発生圃場の土壌分析や発生状況のアンケートによる疫学調査を行い、要因分析等に取り組んでいるところであり、農薬の殺菌効果、病害発生の主要因を明らかにし、三月までに、次の作付に向けた効果的な発病抑制対策を提示することとしております。
新たに見つかった病原菌への農薬登録に向けては、農薬メーカーとの連携が不可欠であることから、効果が期待される農薬や試験内容等について協議を行っているところであります。
今後、協議の調った農薬につきまして、同じ病害が発生している宮崎県とも連携し、両県の研究機関において農薬登録のための試験を行うとともに、国に対しては、登録に必要な期間の短縮を要請してまいります。
次に、原料用サツマイモの需要量見込みと確保についてでございます。
平成三十一年産については、でん粉製造事業者及び焼酎製造事業者からの要望を踏まえると、前年並みの約二十九万トンの需要量が見込まれているところでございます。
県では、必要な量・作付面積が確保されるよう、地域での栽培講習会等を通じ、生産者等に対して、健全な苗づくりや土づくり、苗消毒、排水対策等の基本技術の徹底を周知するとともに、収穫残渣分解実証圃の設置や、早期植えつけなどの単収向上対策に取り組んでおります。
また、地域の実情に応じて、飼料畑との交換作付などによる健全な圃場の確保や、話し合いを通じた計画的な作付面積の確保に取り組むこととしております。
サツマイモは、台風等の自然災害にも強い重要な作物であることから、今後とも、関係機関・団体等と一体となって、病害の発生防止に努め、生産量・作付面積の確保など、サツマイモの生産安定に取り組んでまいります。
55 ◯くらし保健福祉部長(中山清美君)生食用食鳥肉等について、まず、衛生基準を見直した経緯についてでございます。
県では、鹿児島の食文化である生食用食鳥肉の安全性を確保するため、生食用食鳥肉の衛生基準、いわゆるガイドラインを平成十二年二月に策定し、食鳥処理場における加工や飲食店での調理、保存等における衛生基準目標を定めたところであります。
鶏の内臓、特に肝臓につきましては、以前から国の食品安全委員会において、カンピロバクターの汚染を指摘されており、また、平成二十八年度から県と国とで実施しております、食鳥肉における微生物汚染低減策の有効性実証事業におきましても、鶏の肝臓からカンピロバクターが高い確率で検出されましたことから、内蔵の生食の安全性が担保できないと判断して、昨年五月にガイドラインを改正し、筋胃─いわゆる砂ずり─及び肝臓を衛生基準の対象から除外したところであります。
次に、安全対策及び今後の取り扱いについてでございます。
県が定めたガイドラインは、法的な強制力はございませんが、安全な生食用食鳥肉を提供するためには、ガイドラインに沿った衛生管理が重要であると考えており、県では、関係事業者に対して、ガイドラインの内容の周知と指導を継続して行っているところであります。
なお、国におきましては、現在行われているカンピロバクターのリスク低減策に関する研究結果等を踏まえて、具体的な対応策を検討するとしており、県といたしましては、国の動向を注視してまいります。
[田畑浩一郎君登壇]
56 ◯田畑浩一郎君 まずはサツマイモの病害対策についてであります。
先ほどの答弁によりますと、今回の原料用サツマイモの病害の被害発生状況は、一株でも被害が確認された圃場面積が、平成三十年産作付面積九千六十八ヘクタールのうち千三百七十ヘクタール、実に一五%程度の圃場で被害が確認されているようであります。
また、被害面積の大きい南九州市で三七%、鹿屋市で二〇%ということでありますが、市町村によっては、六割以上の圃場で被害が確認されているという話も耳にします。
生産農家におかれては、病害対策として、苗の消毒や排水対策などを徹底していただく必要がありますが、生産農家が生産意欲をなくさないよう、県、市町村、また関係機関が連携し、農地の確保、情報提供や財政的支援、特に病害虫防除には力を入れていただき、あらゆる面からのバックアップ体制をとられることを要望いたします。
昨年の例年にない長雨や酷暑で、平成三十年産のサツマイモにおいては被害が大きく広がったとの見解を示されており、排水対策等にも力を入れるよう生産者の方々に呼びかけておりますが、地球温暖化等により台風の襲来回数も増加しており、また、長雨、酷暑は今後も大いに予想されるところで、平成三十年産以上の被害の発生が危惧されるところであります。
病気を発生させないサツマイモの生産に取り組む中で、発生した場合のことも想定しなければなりませんが、残渣が病原菌の餌となることから、発病した株のつるや塊根を抜き取って圃場外で処理するという作業は、効率も悪く、農家の高齢化や人手不足を考えると厳しいものがありますので、農薬による薬剤散布での処理も必要かと考えます。
先ほどの答弁で、農薬メーカーあるいは宮崎県とも協議を行っているというようなことでございました。技術も進歩しておりますので、取り組みを迅速に進め、早急に農薬登録されることを要望いたします。
次に、生食用食鳥肉等についてでありますが、消費者が、食肉等の生食によるリスクについて正しく認識しているとは言えないと考えます。また、県外から観光に訪れる方も、地鶏の刺身は興味を示され、多くの方が飲食店等で堪能されているようであり、貴重な食の観光資源となっているのではと考えるところであります。
さて、昭和五十八年に新たな食中毒菌として指定されたカンピロバクターによる食中毒は、厚生労働省によれば、平成二十九年の発生件数が三百二十件あり、食中毒全体千十四件の三二%と、件数で最多となっております。
県内では、平成二十年から二十九年に十七件百十六人を確認し、鳥刺しが原因と推定されたものは二件二十四人となっております。さらに、ギラン・バレー症候群の約四〇%はカンピロバクター感染症が原因となっており、麻痺性疾患とも関連する看過できない極めて重要な病原菌と考えられます。
カンピロバクター食中毒では、原因となるものを食べてから約一日から七日で、下痢、嘔吐、腹痛、発熱などの症状を起こします。一般的には食中毒の症状が出てもその多くは自然に回復するものの、特に小さい子供や高齢者では脱水で重症になることもあり、ギラン・バレー症候群を引き起こすと手足の麻痺や呼吸困難に陥り、最悪の場合、死に至るとされております。
しかしながら、カンピロバクターでの食中毒を防ぐことはさほど難しいことではなく、十分な加熱調理と二次汚染防止を徹底すれば、比較的容易に防ぐことができるとされております。
鶏はカンピロバクター菌を保有している率が極めて高く、生息しているのは鶏の腸管内であることから、食肉処理の際に腸管が破れるなどして鶏肉部分にも付着し、中でも内臓肉を汚染することが考えられますが、細心の注意を払うことで、内臓以外の食肉の安全性を確保することは可能ではないでしょうか。
幸いなことに、平成二十九年は本県におけるカンピロバクター食中毒発生はなかったということで、本県の生食用食鳥肉の衛生管理が徹底されていると考えるところであります。
しかしながら、安全の確保が担保されていない現状において、法的拘束力や罰則もない中、万が一、重大な事故により死亡等を伴う食中毒が発生した場合や、頻繁に鳥刺しを原因とする食中毒が発生すると、いずれは国も、生食用食鳥肉に対する規制に踏み切るのではないかと危惧するところであります。
今後、県を初め、関係者が連携し、鶏の内臓の安全性を確保する調理方法の確立に向けた調査研究の取り組みを強力に進めていただき、消費者に安全・安心な食鳥肉を提供することが肝要と考えます。
鳥刺し、生食用食鳥肉の文化を守るためにも、また、貴重な食の観光資源を確保していくためにも、牛肉や牛内臓の二の舞になる前に手だてを行うことが、鶏肉店や飲食店の経営者にとっても長い目で見ると必要なことと考えます。
現在、畜産業において豚コレラの発生が見られ、五府県に拡大しており、今月十三日にも愛知県の養豚場で豚コレラが新たに発生し、養豚団地内十六施設の約一万五千頭全頭の殺処分を行っております。
幸いなことに本県においては、鳥インフルエンザや口蹄疫も発生していない状況ではありますが、全国的には極めて緊迫した状況で、感染を避けるため、畜産農家や関係機関のさらなる防疫対策をお願いするところであります。
次に、交通安全対策について質問いたします。
我が国では平成十二年四月一日から、道路交通法の改正によってチャイルドシートの着用が義務化されましたが、御承知のとおり、チャイルドシートの使用は幼い子供たちの安全を確保するために欠かせないもので、チャイルドシートを使用しない六歳未満の幼児を自動車に乗せて運転した場合、違反者には一点の違反点が科せられることとなっております。
さて、一般社団法人日本自動車連盟─JAF─が警察庁と合同で、平成三十年四月二十日から三十日までの間、チャイルドシートの使用状況とチャイルドシートの取りつけ状況、着座状況について全国で調査し、その結果を公表しております。
全国九十九カ所で一万三千百三人の六歳未満の子供を対象に、チャイルドシート使用状況を調査した結果、六歳未満の子供のチャイルドシート使用率は、前年比二・一ポイント増の六六・二%となっており、平成十四年の調査開始以来、最も高い数値となっております。
そこで、一点目のチャイルドシートの本県の使用率の推移についてでありますが、平成三十年の本県の使用率は、前年比四・一ポイント増の五五・五%となっており、使用率の向上が見られるところであります。しかしながら、全国四十七都道府県ではワースト六位ということで、チャイルドシートの使用状況は全国的には下位に位置しているところであります。
これまでのチャイルドシートの使用率の推移をお示しいただきたい。
次に、二点目のチャイルドシートの使用率向上に向けたこれまでの取り組みと今後の対策についてでありますが、本県の使用率は、全国平均の六六・二%に比較すると一〇%も劣る、極めて低い使用率となっておりますが、これまで、使用率の向上に向けて講習会や啓発活動などを展開されてきたことと考えます。
どのような方法や体制で使用率アップに向けて取り組んでこられたのか、お尋ねいたします。
チャイルドシートを使用しない状態で事故に遭い、幼児が死亡し、または重傷を負った事故は、時速四十キロメートル以下という比較的低い速度での衝突が多く、チャイルドシートを適正に使用していた場合に比較して、使用していなかった場合の致死率は約十六倍と極めて高い数値となっているようであります。
少子高齢化の中、大切な幼児を交通事故から守ることは重要な責務と考えるところであり、適正に使用されているチャイルドシートは、車両の衝突から幼児に与える衝撃を大きく緩和する器具として重要な役割を果たしております。
本県としても、他県に比べ使用率が低い中、これまで以上の、使用率の向上に向けた強力な取り組みが求められるものと思いますが、今後、どのような取り組みをされるのか、伺います。
次に、三点目の運転免許証の自主返納についてでありますが、まず、本県における自主的に車の運転免許証を返納された高齢者の方の推移と、他県と比較してどのような状況か、お示しいただきたい。
運転免許証を自主返納された理由として、運転の必要がなくなった。年齢とともに体や自律神経が衰えた。運転に不安を感じた。自信をなくした。高齢者といえども自信があったが、子供たちに返納を勧められ決断した。テレビなどで高齢者の事故が多いことを知り、事故を起こす前に返納したなどが挙げられております。
また、自主返納しようと思ったことがある運転継続者の約七割は、返納をためらう理由として、車がないと生活が不便なこと等を回答しております。
このような方に対する運転免許自主返納支援制度が、県内でも各自治体において設けられているわけでありますが、なかなかこのことについて理解されていないようであります。
県警としても、高齢者で運転に不安を持たれる方等の運転免許証の自主返納を促進するため、制度の啓発に努めることが望まれると考えますが、インターネットでの呼びかけによる高齢者への周知は厳しいものと思います。
どのような取り組みをされているのか、伺います。
また、現在、運転免許証の返納については、申請され、免許が取り消された時点で車の運転ができなくなるということですが、中には、車で管轄する公安委員会に来られ、帰りの対応に困り、こんなことなら申請しなければよかったと言われる方もいるようであります。
確かに、道路交通法第百四条の四第一項において、免許を受けた者は、その者の住所地を管轄する公安委員会に免許の取り消しを申請することができる、同条第二項において、前項の規定による申請を受けた公安委員会は、政令で定めるところにより、当該申請に係る免許を取り消すものとするとあります。
しかしながら、申請を受けたら、取り消すものとするとあるだけで、早急にとか、直ちにという文言もないわけですので、申請があった翌日付での運転免許証の自主返納としての申請で取り消す形はとれないものか、また、法的に難しいのであれば、弾力的な対応について国に要請する考えはないか、伺います。
次に、四番目の薩摩青雲丸の代船建造についてであります。
薩摩青雲丸は、本県が所有する漁業実習船で、私の母校でもある県立鹿児島水産高等学校の実習に使用されておりますが、現在、第四代目で、平成十四年三月に竣工し、使用年数は十七年目となっております。そろそろ代船建造に向けた準備が必要かと考えるところであります。
この件につきましては、平成三十年第二回定例会において、枕崎市区選出の西村議員も質問されており、今後さらに老朽化が進む中で、生徒の実習活動に支障が生じないよう、更新について検討しておく必要があることは認識していると答弁されていることから、平成三十一年度当初予算において、何らかの形で予算計上されるかと思っておりましたけれども、全く予算計上されておりませんでしたので、西村議員と思いを一緒にしながら、この質問をさせていただきたいと思います。
これまでの実習船薩摩青雲丸の使用年数ですが、初代が昭和三十五年に竣工し、第三代まで、使用年数はそれぞれ十四年間ずつとなっており、現在使用中の第四代は、ことし三月で十八年目に入ることとなります。現在、全国の水産高校で二十七隻の実習船が使用されておりますが、建造後の年数は、長いところで三重県の十九年となっているようであります。
本県の薩摩青雲丸は六百四十五トンということで、大型実習船に当たると思いますが、平成十四年三月竣工時の建造費が十五億四千九百二十七万五千円で、設計費が九百四十八万三千円となっております。
また、代船建造にかかる期間ですが、近年、他県で代船建造された状況を見ますと、設計にかかる期間が一年、建造にかかる期間が一年六カ月と、実質二年半の期間を要しているようであります。
そこで、一点目の代船建造の着手時期についてでありますが、現在の実習船第四代薩摩青雲丸の代船建造には、準備から竣工まで三年程度という長期間と、多額の建造費を要すると考えますことから、綿密な計画を持って取り組まれることが求められる中、もろもろの事情により変更もあり得るかもしれませんが、現段階で、いつごろの時期をめどに取り組まれ、竣工をおおよそ何年度と考えておられるのか、今後のスケジュール的なものの考え方がありましたら、お示しいただきたいと思います。
次に、二点目の代船の設備等についてでありますが、現在の薩摩青雲丸には、生徒用居室、生徒食堂兼教室、学習室が設けられ、国際規格に適合する救命設備や無線設備を有し、ごみや生活排水、汚水の処理設備も設けられてはおりますが、代船建造に当たっては、安定性・安全性がより向上したものであること、生徒の中には女性もいるわけですが、生徒や乗組員の居住環境・作業環境が充実したものであること、遠洋海域において国際航海する船舶として、最新の環境規制に対応した設備等を持つものであることなどが求められてくるとのことでありますが、どのような面を充実させるつもりか、また、何か改善案がありましたらお示しいただきたいと思います。
[知事三反園 訓君登壇]
57 ◯知事(三反園 訓君)薩摩青雲丸の代船建造についてであります。
私は一昨年六月、薩摩青雲丸がハワイ沖から帰ってきたときに行われた帰港式に出席いたしました。そのときに、生徒たちの元気なたくましい姿に触れ、本県水産業の担い手を育成する実習船の重要性を改めて感じたところであります。
その薩摩青雲丸も、現在、竣工から十七年が経過し、老朽化が進行しており、ハワイ沖まで航海して実習する子供たちの安心・安全を確保する観点からも、できるだけ早く、安全性や居住環境がより向上した新しい船が必要だと思っております。
薩摩青雲丸は、二〇二二年三月に次の定期検査を受ける必要があるわけでありますから、代船建造には多額の財源が必要となりますが、早期に新しい実習船の建造に向けて取り組んでまいります。
58 ◯警察本部長(大塚 尚君)本県におけるチャイルドシート使用率の推移についてでございます。
本県のチャイルドシートの使用率は、全国平均を下回る状態が続いております。具体的に申し上げますと、調査が開始された平成十四年には四三・一%であったものが、平成二十五年に過去最高の五六・五%まで増加したものの、その後、平成二十八年までの三年間は低下いたしました。
最近では、平成二十九年から増加に転じ、平成三十年は五五・五%となったところでありますが、残念ながら、依然として全国平均を大きく下回っております。
次に、チャイルドシートの使用率向上に向けた取り組みについてでございます。
県警察では、これまで、関係機関・団体と連携した街頭キャンペーンや妊娠中の方を対象とした交通安全教育、テレビ、ラジオ、チラシ等による広報啓発活動を推進するとともに、交通指導取り締まり等の街頭指導を行ってきたところであります。
また、県内全地区の交通安全協会や一部の市町村等においては、チャイルドシートの貸し出しやホームページ等による広報啓発活動等に取り組んでおられると承知しております。
本県の使用率について、平成三十年の全国調査のデータを子供の年齢層別に見ますと、子供の年齢が一歳未満の層では使用率が八〇%を超えているのに対し、一歳から四歳では五六%、五歳では三九・四%と急激に低下しております。
これは、子供が保育園や幼稚園に通う時期に、子供の成長に合わせたチャイルドシートの切りかえがうまくいっていないのではないかと考えられますことから、県警察では、その年齢層の保護者への働きかけを強化するために、県内の保育園等の協会や連合会に対して協力依頼を行いました。
これを受けて、各警察署では、管内の保育園等と連携して、交通安全教室の開催のほか、チャイルドシートの正しい使用方法等をイラスト入りで説明したチラシの配布などによる指導啓発に取り組むこととしております。
次に、本県における運転免許自主返納者の推移等についてでございます。
本県における過去五年間の自主返納者数は年々増加しております。具体的に申し上げますと、平成二十六年は三千二百七十七人、平成二十七年は三千七百九十二人、平成二十八年は四千二百九十四人、平成二十九年は五千五百六十八人、平成三十年は六千三十八人となっております。
全国平均との比較につきましては、高齢者の運転免許保有者数のうちに占める返納者の割合で見ますと、平成三十年の数値でありますが、本県は二%であり、全国平均の二・二%とほぼ同水準となっております。
同規模県と比較しますと、熊本県は一・六%、三重県は一・七%で本県よりも低いわけですが、岡山県は二・三%で本県よりもやや高くなっております。
次に、運転免許自主返納に対する支援制度の啓発についてでございます。
自治体が行う支援策の周知については、県警察としても、インターネットによる呼びかけだけでは難しいと考えております。そこで、インターネットを利用しない高齢者等にも周知を図るため、各市町村や警察が発行する広報紙への掲載、ラジオでの広報、巡回連絡等での説明、高齢者が利用する機会の多い病院、薬局、温泉施設等におけるポスターの掲示などの取り組みを行っているところであります。
次に、申請翌日からの運転免許の取り消し効力発生に関する見解についてでございます。
高齢者の方々が運転免許証を自主返納するということは大きな決断であるということを、私どもも理解はしておりまして、返納に際して御負担をかけることについては心苦しく思っております。
しかしながら、申請取り消しは免許センターか警察署でしか取り扱っておらず、例外的に病気やけが等で代理人申請ができる場合を除くと、何らかの手段で本人にお越しいただく必要がございます。
現状の対応といたしましては、自主返納については、申請者御本人やその家族などから事前に電話等で問い合わせいただくことが多くございますので、その際に、申請後は免許が取り消されるので、手続後の交通手段を確保する必要があることや、なるべく家族等の送迎や公共交通機関を利用することなどを丁寧に説明しているところであります。
とはいえ、申請者がみずから運転して窓口にいらっしゃることもございます。その件数は年に数件程度と聞いておりますが、その場合の対応については、運転代行の利用などにより帰りの交通手段が確保できない場合は、当日の申請は事前相談の扱いとして、後日改めて手続していただいておりまして、申請者にとっては二度手間になってしまうという難がございます。
この点については、議員の御提案も一つのアイデアでございますが、実現にはさまざまな課題がございます。
国への要請に関しましては、議員の問題意識について、担当者から警察庁の担当部局へお伝えいたしますが、いずれにせよ、返納手続後の交通手段を確保する必要があることについて事前の説明を丁寧に行うなど、申請者の立場に立った親身な対応に努めてまいりたいと考えております。
[田畑浩一郎君登壇]
59 ◯田畑浩一郎君 まずは交通安全対策についてでありますが、交通事故から人命を守ることは重要なことで、事故の発生を抑えることが第一でありますが、やむなく発生した場合におきましても、最低限度の被害となるよう力を注ぐことが求められます。
先般の我が自民党の代表質問で取り上げられました、後部座席のシートベルトの着用率も、全国的に低いようでありますが、今回取り上げておりますチャイルドシートの使用につきましても、ともに交通事故発生時の安全確保において極めて重要なことですが、残念ながら、本県は使用率五五・五%で全国ワースト六位と下位に位置しております。
これまで、着用率・使用率の向上に向けて各種取り組みをされているようでありますが、面倒くささやわずらわしさ、また、子供がだだをこねるなどの理由で使用が徹底されていないことも考えられ、なかなかその取り組みが実を結んでいないようであります。
チャイルドシートの使用率が高い広島県は八六%の高率となっており、本県の五五・五%と比較して三〇%もの開きがありますが、広島市では、チャイルドシートの取りつけ講習を無料で実施し、講習受講者は、レンタル会社でベビーシートやチャイルドシートを割安でレンタルすることができるようであります。また、広島県警は、保育園児や幼稚園児を対象に、演劇や音楽演奏による交通安全の啓発活動を行っているようであります。一番の交通弱者と思われる幼児・児童への啓発活動は特に重要と考えるところであります。
なお、チャイルドシートの取りつけ状況、着座状況でありますが、全国十六カ所─八地域─で実施された状況調査によりますと、チャイルドシートが座席に正しく取りつけられていたのは三八・四%で、チャイルドシートに正しく着座していた子供は四六・二%となっており、極めて危険な状況で、指導啓発を強力に展開していただくことを要望いたします。
次に、運転免許証を自主返納される方の中には、交通手段が失われることを真剣に悩まれた方が多く、真に事故の危険性を感じ、社会に迷惑をかけてはならないとの思いで免許を手放されたと考えておりますが、その方々の思いに感謝の意を表し、誠意を持った対応をすることが求められます。運転免許証を手放されるそのときこそ、敬意を持った対応に努めていただきたいと考えます。
また、平成二十七年度に警察庁が行った運転免許証の自主返納に関するアンケート調査結果で、七十五歳以上の運転継続者と自主返納者の約六割は、支援制度を「知らない」と回答し、四割以上は、制度の周知が「不十分だと思う」と回答されておりますので、支援制度の啓発にも積極的に取り組まれることを要望いたします。
次に、薩摩青雲丸の代船建造についてでありますが、薩摩青雲丸は、マグロはえ縄漁の漁業実習、航海や機関の実習、海洋観測や海洋生物の調査と研究を行っており、マグロ漁の実習はハワイ沖で年に三回、各七十日間行っております。
生徒にとっては、本県より遠く離れた海域での長い期間にわたる実習であり、荒波の中での作業も想定され、代船建造に当たっては、安全性はもとより、居住性も高めていただきたいと考えます。
鹿児島水産高校の生徒は、例年、高度な航海技術や機関技術を身につけ、二級、三級の海技士免許や、一級、二級の陸上無線技術士に多数合格し、また、乗船実習時に海洋観測及びマグロはえ縄資源調査を行っており、その膨大なデータは、地球レベルでの気候変化やマグロ等資源の状況調査に貢献しております。
平成二十八年度には、同校の実績が高く評価され、内閣総理大臣表彰であります、海洋立国推進功労者表彰を受賞しております。
先ほど、代船建造に向けた前向きな答弁をいただき、感謝するところであります。
島国日本にとりましては、海洋政策を強力に推進する必要があり、そのエキスパートを育成する鹿児島水産高校の役割は大きく、同校の教育施設の充実は欠かせないものと思っております。
第四代薩摩青雲丸はことしの三月で十八年目に入ることとなりますが、代船建造には三年程度の期間を要することとなり、これから建造に入っても二十一年目を迎えることから、船体の老朽化が危惧されるところであります。もろもろの事情で当初予算に計上されなかったものと思いますが、今後、協議がまとまりましたら、補正予算を編成されるなどの対応をとっていただけたら幸いかと思います。
また、現在の薩摩青雲丸が竣工した十八年前の建造費は約十五億六千万円を要しておりますが、当時に比べると建造費も相当高額になると思いますので、国の補助金等も含めた十分な予算確保に努めていただき、充実した薩摩青雲丸の代船建造に向けて計画的に取り組まれますよう要望いたしまして、質問を終わります。(拍手)
─────────────
60 △ 請願・陳情の委員会付託
◯議長(柴立鉄彦君)次に、請願・陳情の委員会付託であります。
受理いたしました請願・陳情は、配付いたしております請願・陳情文書表のとおり、それぞれ所管の常任委員会に審査を付託いたします。
これで、本日の日程は終了いたしました。
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61 △ 日程報告
◯議長(柴立鉄彦君)明日は、午前十時から本会議を開きます。
日程は、一般質問であります。
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62 △ 散 会
◯議長(柴立鉄彦君)本日は、これで散会いたします。
午後二時五十六分散会
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