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2 △ 一般質問
◯議長(柴立鉄彦君)まず、一般質問であります。
通告に従って、順次発言を許可いたします。
山田国治君に発言を許可いたします。
[山田国治君登壇](拍手)
3
◯山田国治君 皆様、おはようございます。
お許しをいただきました。質問通告いたしておりますので、知事並びに執行部の方々に順を追って質問してまいりたいと思います。
まず、私が登壇させていただくに際しましていろんな御配慮をいただきました。御案内のとおり、自民党の中には、俺が今度は質問するんだと言われる方もたくさんおられました。枠が十二名でありますので、私もぜひそこに参画させてくださいとお願いしたところ、寺田会長のもとで執行部の方々が御配慮いただき、このような形になりましたこと、迷惑をかけました、そして御配慮いただいた方々に心から御礼申し上げる次第でございます。
今回は、私もいろいろ考えましたけれども、我々の地域にとりまして大事なことだなと思うのは、硫黄山が噴火いたしまして、それに伴ういろんな問題が出ております。その件につきまして知事を初めとされる執行部の方々に、地元の意見等も踏まえて、困っておられることも含めてそれぞれ質問させていただこうと思っておりますが、我々の地元には田之上議員、そして鶴丸議員、
向井たかまろ議員がおられます。先ほど申し上げましたように、それぞれ地元にとっては大事なことでありますので、いとまがあれば質問を当然されるわけでありますけれども、何分にも、その枠というものが限られておりまして、私が先ほどから申し上げておりますような形で登壇させていただきました。できるだけ地元の議員の皆様の御意向が執行部の方々に伝わるように努力して、質問を展開させていただきたいと思います。
硫黄山の噴火に伴う川内川の白濁による稲作等に与える影響についてであります。
御承知のとおり、本年の四月十九日、えびの高原にあります硫黄山が噴火いたしました。二百五十年ぶりの噴火であるそうであります。このことに端を発しました今回の
川内川水質の問題並びにそれに伴う稲作等への影響についてであります。
この問題につきましては、県民連合の方々、そして何人かの方々が質問していただいております。我々地元にとっても大変ありがたいなと思っている次第であります。
先ほど申し上げました川内川の汚濁による水質の問題、それと、これに起因いたします、稲作への影響についてでありますけれども、湧水町及び伊佐市は、本県を代表する米どころであります。いわゆる湧水米、伊佐米のブランド米になっている地域でありますけれども、ブランドを取りつけるのは並大抵のことではできません。つくられる農家とそれを購入していただけるそれぞれの消費者の方々が長年にわたって信頼関係を構築した、その延長線上にブランド化というものはあるわけでございます。
したがいまして、これを地域の人たちは大事にする必要があるという結論を出されました。それともう一つは、川内川から流れてくる汚染水に対して、水田の土壌汚染を未然に防止するという必要性も十分感じながら、現在の状況をいろんな方々が総合的に勘案され、ことしは川内川からの取水をやめ、稲作を断念するという苦渋の重い決断をされました。
農家の方々に稲作をやめるようにと言う、その決断をされるに当たっては、ある意味においては、農家の方々に死ねと言うような宣告をしているのではないかと、私なりに思っております。このことにより、主食用の水稲やWCS等の作付を計画されていた農家の方々は当然、作付ができないという事態になりました。
川内川の水質については、
国土交通省川内川河川事務所、県、湧水町、伊佐市でそれぞれ検査され、ヒ素を含む物質、さらに、強酸性の数値が検出される日もございました。コイやフナ、ナマズなどの死骸が多数漂着する日もございました。報道等で皆様も御案内のとおりであります。
漂着した魚の死骸の量は日によっては膨大なものとなり、湧水町の轟の瀬、そして伊佐市菱刈の
カヌー競技場などでは、劣悪な臭気の中、ありがたいことでございますが、両市町の職員の方々、
川内川河川事務所、そして子供たちを含む地元の
ボランティア等による清掃・処理作業が行われてきたところであります。また、川内川の川底には硫黄山から流出したと考えられる汚泥が沈殿しているところもございます。
私に限らず、先ほど申し上げましたように、地元選出のそれぞれの県議会議員、私以上にそれぞれ地元を回り、いろんな意見を聞いてくださっているとは思いますけれども、私なりに今までいただいた情報をもとに質問してまいりたいと思いますが、その一端を紹介いたしますと、基本的な補償金や活用できる資金などの拡大等に関する情報の提供を求めるものはもちろんでありますけれども、水稲栽培を中止することによって代替作物をつくることになるわけでありますが、有力とされる大豆を初め飼料作物の栽培技術が、今まで培ったことがないわけでございますので、そういう技術がない。また、播種、種をまかれるときや収穫における機械や施設も保有していない。どのような対応策があるのか。さらにまた、行政の側で対応していただけるということになれば、どのような対応をしてもらえるのか。あるいは、大雨により、川内川から他の水系の農地に冠水あるいは水の流入があった場合どのような対応をとれるのかなどであります。
今回の極めてまれで厳しい状況を反映し、今後に対する不安の声やさまざまな意見、心配事などを私も聞いております。
このような中、農林水産省からは、地元の不安に応え、営農の継続ができるように、営農再開に向けた支援、そして共済金等の早期支払い、そして
災害関連資金の措置などの支援策が公表され、県では先般、湧水町において、これらの支援対策を地元の関係者にるる御説明いただいたところであります。
県においては、これまで、地元での
意見交換会を初め、営農あるいは
資金相談窓口の設置、川内川の水質と汚泥の検査、魚のへい死原因の究明、国への対策の要望など迅速に対応していただいております。これまでの知事を初めとされる執行部の方々の対応に心から感謝申し上げる次第でございます。
県においては、引き続き、国、地元市町、隣県宮崎県とも綿密な連携をとり、しっかりした対応策を打ち出すことによって、稲作を断念するという重い決断をされた農家など、地元の方々の不安が少しでも軽減されるよう取り組みを進めていただきますように心からお願い申し上げる次第でございます。
そこでお伺いいたします。
今回の
硫黄山噴火による川内川の水質への影響、そしてそれに伴う稲作の断念などの諸問題に対して、短期的及び中長期的な取り組みが必要だと考えます。まず初めに、これらの取り組みに対する知事の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。
さらに、今回の議会において、知事にはいち早く
補正予算案を組んでいただきました。私の経験からして、三月、九月は予算議会でありますけれども、六月にこのような形で早い対応をしてくださるということは今までになかったことでございまして、心から感謝申し上げます。そのことも含めて知事の御答弁をお願いする次第でございます。
[知事三反園 訓君登壇]
4 ◯知事(三反園 訓君)
硫黄山噴火による諸問題解決へ向けた決意についてであります。
硫黄山の噴火後、川内川の水質が悪化し、魚の大量へい死が確認されるという、本県においてはこれまでに経験したことのないケースでありました。直ちに全庁的な体制をとり、その対応に取り組んできたところであります。
たびたび現場に出向き、現地視察や地元の農業・
漁業関係者と意見交換を行い、現場の声に耳を傾け、地元の方々に寄り添い、生産者の立場、思いに寄り添い取り組もう、そういう思いで
執行部ともども対応に当たってきたと思っております。
この問題に関し、重い決断をされた地元の農家の方々の不安を一刻も早く解消するため、宮崎県とも連携を図りながら、数回にわたり
農林水産大臣などに直接お会いして、地元の国会議員のお力もおかりしながら、水田活用の直接
支払交付金の財源確保など、農家へのきめ細かな対応について要請を行ったところであります。これらを受けまして、先月二十三日には農林水産省において
硫黄山噴火に関する支援対策が示されました。
さらに、県独自の支援策といたしまして、水質調査、農家に対する支援、県産農畜産物の
PR活動等を行うとともに、
硫黄山噴火等に伴う影響からの早期回復に向けた
各種プロモーションを実施するための経費等の補正予算を今議会に追加提案したところであります。
現在、川内川におきましては、県及び国の
川内川河川事務所が毎日水質調査を行っており、先月十六日以降、全ての項目が
環境基準値内となっているところでありますが、硫黄山の火山活動は依然として続いており、専門家においてもその見通しは立っておりません。
このため、県といたしましては、農家の皆さんが安心して営農を継続できるように、短期的な対応だけではなく中長期的な対応についてもお示しし、そして引き続き検討を行ってまいりたいと思っております。
今後とも、現場の声に耳を傾けながら、国や地元市町、宮崎県、関係機関、議会の皆様とも連携いたしまして、県民の皆様に安心してもらえるよう、この問題の解決に全力で取り組んでまいります。
[山田国治君登壇]
5
◯山田国治君 知事から、思いを含めての御答弁をいただきました。
私も先般、勤続三十年の表彰をいただくときに申し上げました。最初、一期目のときには鎌田知事でありました。それぞれの知事が立場立場で知事としての、県のトップとしての判断をされる機会がたくさんありましたけれども、今回の三反園知事におかれても、世界的にも、日本の歴史の中でもなかったような状況が発生し、知事としての手腕と申しますか誠意、そして考え方、その実現性に向けた対応というものは県民皆様ひとしく見ておられると思います。特に我々湧水町を含む地域の方々は、先ほどから申し上げておりますが、感謝してもし切れないほど、知事の行動に対して敬意を表していることは間違いありません。
しかし、後ほど申し上げましたように、いつ何どき、このヒ素の問題が、あるいは硫黄山の問題が解決するということは誰もこれは予測もできませんし、結論を出すこともできない状況にありますので、言わずもがなのことでございますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げる次第であります。
次に、農業分野の支援についてお伺いいたします。
農家への所得補償については、国は、農家に対する水田活用の直接
支払交付金と共済金の支払いに関する方針を打ち出しました。
このうち、水田活用の直接
支払交付金の
産地交付金につきましては、代替作物の面積増加に伴い、地元からの声の中に、不足するのではないかという懸念の声もあります。私は、国に対し、地元と連携して追加配分を要請すべきと考えておりますが、御意見等をお聞かせいただきたいと思います。
また、伊佐市と湧水町では、これらの国の対策に市町独自で上乗せすることを検討されておりますが、先ほど申し上げましたように、知事におかれても、県としての対応で、今議会に二億七千数百万円を予算計上されて提案していただいているところであります。ありがたい限りでございます。
次に、たとえ川内川の水を使わずこの地域で米をつくったとしても、風評被害が懸念されると思いますが、
風評被害対策、販売促進にどのように取り組んでいただけるのか、お聞かせいただきたいと思います。
また一方で、代替作物をつくる場合の栽培の技術指導や、飼料作物をつくる場合の
収穫作業等への支援についてどのように取り組んでいただけるのか、お聞かせいただきたいと思います。
また、地元では、大雨により川内川が増水し、支川に逆流した川内川の河川水が越水し、農地に流入することに対して心配する声が上がっています。どのような対策を将来に向けてとっていかれるのか、考え方をお聞かせいただきたいと思います。
さらに、農業分野以外でも、今後取り組んでいく必要があることとして、川内川の水質と汚泥の検査、今後再び、へい死した魚が漂着したり、そしてヒ素の量が今まで以上に上がるような状況が発生したときの対応、あるいは水道水の
安全確認等があると思います。また、風評被害が懸念されますが、国体に向けて、下流のほうでは
カヌー競技に係る合宿等について、当然、県としても誘致活動されていくわけでございますけれども、これらを所管する部局におかれましてはどのように取り組んでいかれるのか、お答えをお聞かせいただきたいと思います。
6
◯農政部長(本田勝規君)農業分野への支援に対しての御質問のうち、代替作物の導入に向けた県の
取り組み等についてでございます。
伊佐市、湧水町においては、水稲の作付を断念された農家の皆さんが主食用米を作付した場合と遜色のない所得を確保できるよう、水田活用の直接
支払交付金等を活用した代替作物の導入等に取り組んでいるところです。
国から配分を受けた
産地交付金につきましては、既に県内市町に内示しているところでございますが、国の追加配分や県内市町における所要額調査の結果等を踏まえ、国とも連携しながら調整を行い、両市町の所要額に不足が生じることのないようにしてまいります。
県では、これまで、代替作物の導入を支援するため、
営農相談窓口を設置するとともに、
代替作物導入マニュアルを作成し
栽培技術指導を行うなど、きめ細やかに対応してきたところでございます。加えて、飼料作物などの代替作物の導入に当たって課題となっている植えつけや収穫などの作業を支援するため、今回提案させていただいた補正予算で
硫黄山噴火対応代替作物導入緊急支援事業を創設し、農家の皆さんがこれらの作業を委託する際の作業料金を助成することとしております。
また、伊佐米、湧水米などを県内外にPRするため、かごしまの
農畜産物販売促進事業の予算を増額し、量販店等において
トップセールス等の
販売促進活動に取り組むこととしております。
県では、これらの取り組みを通じて、伊佐市、湧水町の関係農家の皆さんが今後とも安心して営農を継続できるよう、現場の声にも耳を傾けながら、関係機関・団体と連携して全力で支援してまいります。
次に、川内川が増水し、河川水が水田に流入した場合の対策についてでございます。
農用地の土壌汚染につきましては、農用地の土壌の
汚染防止等に関する法律に基づき、作物の生育阻害の防止等の観点から基準が定められており、仮に川内川の河川水が堤防を越えて流入した場合は、水田の土壌分析を行うなど実態把握に努め、
万が一基準値を上回った際は、国とも相談しながら適切な対応を講じてまいります。
7
◯環境林務部長(藤本徳昭君)川内川の水質及び泥の調査についてであります。
本県の
川内川水域においては、水質調査を県が二カ所で、国の
川内川河川事務所が四カ所で毎日行っております。
その結果、
水素イオン濃度指数、いわゆるpHが三・五まで低下し、ヒ素が一リットル当たり〇・〇二二ミリグラムになるなど、環境基準を満たさない日もありましたが、五月十六日以降は全ての項目が基準値内となっております。
また、泥の調査につきましては、県が三カ所で月三回程度行っており、これまでの測定結果では、
阿波井堰等において環境基準を上回るヒ素が検出されております。
県といたしましては、国等と連携を図りながら、引き続き水質や泥の調査を実施することとしておりまして、必要な経費を六月
補正予算案追加提案分に計上しているところであります。
8
◯土木部長(渡邊 茂君)へい死した魚が漂着した場合の回収についてでございます。
硫黄山噴火以降にへい死した魚の死骸につきましては、
河川管理者である
川内川河川事務所が河川管理上支障があると判断し、伊佐市、湧水町及び
カヌー競技者と連携し、回収・処分したところであります。
川内川河川事務所においては、四月二十八日から河川巡視を毎日実施していますが、五月三日以降、五月八日の数匹を除き、魚の死骸は確認していないと聞いております。
今後、魚の死骸を確認し、河川管理上支障があると判断される場合は、各
河川管理者において関係機関と連携し、できる限り回収に努めることとなります。
9
◯くらし保健福祉部長(中山清美君)水道水の安全確認についてでございます。
川内川の水を水道水として利用しておりますのは、薩摩川内市の
丸山浄水場の一カ所のみでございます。薩摩川内市では、硫黄山の噴火による水道原水への影響を把握するため、日常的に行っている水質検査に加え、四月二十九日から
丸山浄水場を含む複数カ所で、浮遊物質量、カドミウム、ヒ素など七項目について河川水の検査を行っているところです。これまで、いずれの数値も
環境基準値内でありまして問題はないため、薩摩川内市においては、通常どおり取水されていると聞いております。
現在のところ、水道水に影響を及ぼす状況は見られないものの、県としても引き続き水質検査結果を注視してまいります。
10 ◯PR・
観光戦略部長(川野敏彦君)
カヌー合宿等の誘致の取り組みについてでございます。
川内川流域では、伊佐市の
菱刈カヌー競技場において、
ゴールデンウイークや年末年始を中心に県内外からの
カヌー合宿等が行われております。
今回の硫黄山の火山活動により川内川が白濁化したことなどから、
ゴールデンウイーク期間中の一部の合宿等が中止となったところです。その後、五月四日に伊佐市から、水質は人体に影響はない数値であることが発表されましたことから、翌日からは地元クラブによる練習が再開され、五月二十六日には県高校総体の
カヌー大会が開催されるなど、現在は通常どおり利用されております。また、例年、年末に開催されている二百名規模の
九州カヌー冬季合宿についても、現在のところ、予定どおり実施される見込みと聞いております。
県としては、地元伊佐市などと連携し、正確な情報発信に努めますとともに、同地域への
カヌー合宿等の誘致に取り組んでまいります。
[山田国治君登壇]
11
◯山田国治君 それぞれ御答弁いただきました。
中には、今の状況はこうなっているというような答弁もありましたけれども、私が、そして地元の関係者の方々が危惧されているのは、将来に向けて、今回みたいな状況が発生したときにどう対応してくれるのかということで、そういうときの対応の仕方を私も聞いているわけでありまして、今の基準値が未来永劫に続くようであれば何も心配することはありません。
そういう意味におきまして、答弁は要りませんけれども、これからに向けて、県として、いろんな形が起こり得るであろうということも想定しながら、対応策を考えていただきたいと思います。
魚がへい死したということは、今までになかったことであります。しかるべき研究機関においていろいろ検査していただきまして、硫黄山から噴出された硫化物のヒ素ではなくて、強酸が魚に影響を与えて、魚が死ぬというような状況に至ったという研究結果を我々も報告いただいております。それはそれで大変ありがたいことであります。
そして、今回の川内川の水というのは人体に影響がないというような答弁をされましたが、そういう答弁をいただいて、そうですね、よかったですね、こう答えるのは当たり前でありましょうけれども、これから将来に向けて、人体に影響があるような状況が仮に発生した場合には、当然、責任ある県として私は対応していかなければならないのではないかと思っておりますので、そういうことも含めて、今後の対応策という捉え方をしていただいて、御検討いただければ大変ありがたいと思いますし、そうしていただきたいと思う次第であります。
次に、硫黄山の噴火は霧島山全体の活動の一端であります。いつ終息するかは誰にもわかりません。
けさ早くから桜島が何回となく噴火しておりますが、桜島の噴火は、我々が小学校時代に最初の現象があらわれました。当時は、議場におられる議員の皆様もまだ生まれておられなかった方々がほとんどだと思います。
先ほど申し上げましたように、地球の歴史というのは何十億年も続いております。学者の説によりますと、今ちょうど中間点を過ぎたところといわれています。人生百年時代を見据え、中央の政治の中では対応策をいろいろ考えておられますが、百年、二百年の問題ではなくて、噴火というものは大体一万年に一回そういう状況が発生すれば、噴火している活動火山だという定義づけを専門家はされるそうでありますので、私が申し上げているのはそういう長いスパンでの対応策でございます。
恒久的なと申しますが、できるだけ長い期間に耐えられるような対策を考えるときに、私は二つの観点から検討が必要だと思っております。
一つは、水質の悪化等を防ぐための、川内川に流れ込む長江川における対策であります。
えびの高原では、硫黄山の噴出物を含む泥水が宮崎県の長江川へと直接流れ込んでいる状況にあります。宮崎県もいろんな手段を講じてこれに対応しようと努力しておられます。いわば宮崎県も被災県であります。国との関係も含め、慎重な対応が必要な部分もあるでしょうが、再度お尋ねいたしますが、現時点で鹿児島県として、どのような対応ができると思っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
二点目は、ことしの稲作は中止されることになりますが、川内川からの取水ができない状態が長く続くようであれば、今後、ほかの水源の確保も考慮すべきと私は考えますが、その点につきましてどのような考え方をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
また一方では、これからの対応策としては、湿田の汎用化、そして排水対策をどのようにとっていくのか。私がお訪ねした農家の方々の中には、もう山田さん、この地で田畑をずっとつくっていくというのは非常に無理がある。耕作地に対する土壌改良あるいはそれぞれ川内川以外のところから取水ができるような対応、パイプラインも含めてでありますけれども、そういうことも検討していただきたいという声もあります。先ほど質問いたしましたが、それも含めて御答弁いただきたいと思います。
12
◯土木部長(渡邊 茂君)川内川に流れ込む長江川における白濁した水の対策についてでございます。
県といたしましては、五月九日に鹿児島県
川内川水質問題対策本部会議を設置するとともに、五月八日と二十九日に国土交通省に対し、上流域における発生源対策の技術的支援などを要望したところであります。
長江川における白濁対策につきましては、九州地方整備局の技術支援のもと、えびの市が、発生源対策として、長江川上流域の立入規制区域内に新たに設置する沈殿池の無人化施工による掘削や、堆積が進んでいる沈殿池の堆積物の除去を行っていると聞いております。
県といたしましては、洪水時の川内川本川からの逆流対策の強化といたしまして、県管理の幸田川合流点に国と連携して大型土のうを設置したところでもあります。
川内川の県内調査地点における水質調査結果につきましては、五月十六日以降、全ての項目が
環境基準値内となっていますが、河川水質調査及び河川巡視の継続的な実施など、引き続き、国に対し必要な支援を要望してまいります。
13
◯農政部長(本田勝規君)
硫黄山噴火に伴う代替水源の確保等についてでございます。
今後、硫黄山の活動の影響が長期化した場合、川内川以外からの農業用水の確保や代替作物を作付するための湿田の汎用化などの中長期的な対策も必要となってくると考えております。
このため、代替水源については、現況用水の実態調査や湧水などの取水可能量調査を、また、湿田の汎用化については、土壌調査や排水系統の調査を行うとともに、補助事業を活用するための計画調査もあわせて行う必要があることから、これらの調査を早急に実施するための経費を六月補正に追加提案させていただいたところでございます。
県といたしましては、農家の皆さんが今後とも安心して営農を継続できるよう、調査結果や地元の意見を踏まえながら、代替水源の確保や暗渠排水などの基盤整備について検討してまいります。
[山田国治君登壇]
14
◯山田国治君 それぞれ御答弁いただきました。
くどいようでありますけれども、今回のこの噴火を最後にして、こういう状況は発生しないんだということが確約できるような状況であれば、あえていろいろ申し上げることはありません。
先ほど地球の歴史も引き合いに出しましてお話させていただきました。桜島の例も引き合いに出しました。何十年もああいう状況が続いております。えびの高原の下にははかり知れないマグマだまりがあり、今、移動しているというような情報も入っております。
今、あるいはきょう、あす、そういう状況が出てきたときに、くどいようでありますけれども、そういとまはありません。もしこういう状況が起こった場合には、発生したときには、県としてこういう対策をするということを打ち出していただければ、一番安心されるのは地元の方々であります。泥縄ではありませんが、状況が発生して、現実に形になってあらわれたときに慌てふためいても手おくれでございます。
私も、地元を回る中で、川内川の吉松のほうに、水門が七つあると聞いております。県管理の水が流れている河川、天神川と幸田川でありますけれども、ここには水門がない。幸田川におきましては、県が百を超える土のうを積んでくださいました。そして河川事務所のほうでも百を超える土のうを積んでくださっております。転ばぬ先の杖というのは私はそういうことだと思います。もしそういう状況が発生したときに、それを前もって想定して対応していくのが私は一番大事なことであると思っております。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
65 ◯議長(柴立鉄彦君)以上で、通告による質問は全部終了いたしました。
これで、質問は終結いたします。
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66 △ 議案第七六号上程、質疑
◯議長(柴立鉄彦君)次に、議案第七六号を議題といたします。
これより、質疑に入ります。
まつざき真琴君から質疑の通告がありますので、発言を許可いたします。
[まつざき真琴登壇]
67 ◯まつざき真琴君 私は、日本共産党県議団として、追加提案されました議案第七六号平成三十年度鹿児島県一般会計補正予算第二号について、質疑を行います。
本議案は、霧島山硫黄山の噴火による川内川への影響に伴う対策の経費として示されたものであります。
農家にとって全く予期しなかった
硫黄山噴火で、ことしの水稲の作付を諦めざるを得なくなりました。伊佐米、湧水米という県内でも有数のブランド米の産地として、誇りを持って米づくりをしてきた農家にとって、ことしの作付を諦め、来年はどうなるのだろうかという不安を抱きながら、この一年を過ごすことになります。
農家は、ことしは耕作をやめて水稲の共済金を受け取るか、代替作物をつくって水田活用の直接
支払交付金を受け取るかの選択をしなければなりません。しかし、共済に未加入の農家もあると聞きます。また、代替作物をつくろうとしても、田んぼによっては、今回予算が計上されているように、暗渠排水などの整備を行わなければ代替作物をつくれない農地もあると聞きます。
そこで、質問の第一は、水稲の共済金か代替作物の交付金かのどちらの選択もできない農家、つまり支援策から漏れてしまう農家はないのか、確認いたします。
補正予算には、暗渠排水の整備に向けた基礎調査等に一億一千万円、代替水源の確保に向けた調査に四千万円が計上されています。これらは、今後、硫黄山の噴火がどういう状況になるかわからない中で、湿田でも代替作物をつくれるようにすることや、代替水源から水を引いて稲作ができるようにすることのために必要な調査の費用であると考えます。
しかし、これらの調査の後の対策の内容や時期によっては、来年の作付に間に合うのかわからない、もし間に合わなければ、来年、水稲の共済金はない、代替作物もつくれない、そういう事態は生じないのか心配されます。
そこで、質問の第二は、今回の補正で行われるこれらの調査のその後の対策についての方針と、それに必要な経費の確保の見通しについてお示しください。
今回の対応については、県としても、直ちに現状を調査し、地元首長や農業・
漁業関係者と意見交換を行い、その声を国に要望し、必要な手だてを講じられてきたことについて評価するものです。知事は、代替作物を作付する農家については、主食用米を作付した場合と遜色ない所得を確保するための道筋が示されたとされています。しかしながら、さきに述べたように、代替作物の作付ができない農家もあります。私がお話を伺った方は、もう力が抜けて、このまま農業をやめてしまおうかと思うと肩を落としておられました。
今、農家の高齢化、後継者不足など、それぞれの農家は課題を抱えながら、それでも田んぼを守り、おいしい米をつくりたいと頑張っておられます。それらの農家が、農業への意欲を失うことなく生活も成り立っていくためには、県が、関係機関とともに、きめ細やかに農家の相談に応じ、必要な対策を講じることが必要と思われます。
本日の山田議員の質問に対しての答弁がなされましたが、再度お尋ねいたします。
今後、硫黄山の噴火の見通しがわからない中で、この先、伊佐市、湧水町において、全ての農家が意欲を持って営農の継続ができるよう、今回の補正予算執行後も、県として、最後まで責任を持って、国や自治体、関係機関と協力して取り組んでいただくよう要望いたしますが、見解をお聞かせください。
以上、質疑といたします。
68
◯農政部長(本田勝規君)補正予算につきまして、三点御質問いただきました。
まず、一点目の農家への支援策等についてでございます。
伊佐市、湧水町で水稲の作付を断念された農家の皆さんは、水稲の共済金か、代替作物を作付して
産地交付金を受け取るかの選択を検討しているところでございます。
農業共済の未加入者であっても、代替作物を作付することで
産地交付金を受け取ることができることから、代替作物の作付に取り組みやすくするため、今回の補正予算により、
収穫作業等を委託する場合の作業料金を助成することとしたところでございます。また、代替作物の導入に対する農家の不安を解消するため、営農相談や
栽培技術指導を行うなど、きめ細やかな対応をしてまいりたいと考えております。
暗渠排水の整備と代替水源の確保につきましては、各水田や代替水源の状況により対応が異なることから、今回の補正予算で提案した調査事業により、まずは現地の状況を把握し、農家の意向を確認するなど、しっかりと調査することが必要と考えております。その上で補助事業を活用するなど、丁寧に対応してまいります。
最後に、県の
取り組み等についてでございます。
硫黄山については、依然として活発な火山活動が継続しており、河川水の水質悪化による農業への影響の長期化も懸念されております。このため、県といたしましては、農家の皆さんが今後とも安心して営農を継続できるよう、支援に必要な予算の確保を国に要請するとともに、現場の声にも耳を傾けながら、引き続き、関係機関・団体と連携して全力で支援してまいります。
69 ◯まつざき真琴君 今回の補正予算で終わりではなく、その後の対策についても全力で取り組んでいくということが確認できました。
このような災害というのは、残念なことではありますが、そういう事態に対して行政がどう取り組んでいくのか、農家や農業を守るために力を尽くしていく、その姿勢を示していくことが、今の農家を守るのみならず、今後、後継者や新規就農者をつくっていくことにつながっていくと思います。
今回の補正予算が、そういう意味で鹿児島の農業の将来に希望を与えることを期待して、質疑を終わります。
70 ◯議長(柴立鉄彦君)以上で、質疑は終結いたします。
─────────────
71 △ 議案第六五号─議案第七六号(議案第七三号─
議案第七五号を除く)及び報告第一号委員会
付託
◯議長(柴立鉄彦君)次に、議案の委員会付託であります。
今回提出されました議案第七三号から議案第七五号を除く、議案第六五号から議案第七六号まで及び報告第一号は、配付いたしております議案付託表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
お諮りいたします。
議案第七三号から議案第七五号までは、会議規則第三十九条第三項の規定によって、委員会付託を省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり]
72 ◯議長(柴立鉄彦君)御異議なしと認めます。
よって、そのように決定いたしました。
これで、本日の日程は終了いたしました。
─────────────
73 △ 日程報告
◯議長(柴立鉄彦君)六月二十二日は、午前十時から本会議を開きます。
日程は、議案及び請願・陳情の委員長報告、質疑、討論並びに表決などであります。
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74 △ 散 会
◯議長(柴立鉄彦君)本日は、これで散会いたします。
午後三時二十一分散会
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