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2018-06-14 平成30年第2回定例会(第6日目) 名簿
2018-06-14 平成30年第2回定例会(第6日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 2018-06-14
    2018-06-14 平成30年第2回定例会(第6日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(柴立鉄彦君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    山 田 国 治 君    大久保 博 文 君    き 久 伸一郎 君    外 薗 勝 蔵 君  一、議案第七六号の上程  一、同右議案の質疑  一、議案第六五号から議案第七六号まで(議案第七三    号から議案第七五号を除く)及び報告第一号の常    任委員会付託  一、散  会
          ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 一般質問 ◯議長(柴立鉄彦君)まず、一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。  山田国治君に発言を許可いたします。    [山田国治君登壇](拍手) 3 ◯山田国治君 皆様、おはようございます。  お許しをいただきました。質問通告いたしておりますので、知事並びに執行部の方々に順を追って質問してまいりたいと思います。  まず、私が登壇させていただくに際しましていろんな御配慮をいただきました。御案内のとおり、自民党の中には、俺が今度は質問するんだと言われる方もたくさんおられました。枠が十二名でありますので、私もぜひそこに参画させてくださいとお願いしたところ、寺田会長のもとで執行部の方々が御配慮いただき、このような形になりましたこと、迷惑をかけました、そして御配慮いただいた方々に心から御礼申し上げる次第でございます。  今回は、私もいろいろ考えましたけれども、我々の地域にとりまして大事なことだなと思うのは、硫黄山が噴火いたしまして、それに伴ういろんな問題が出ております。その件につきまして知事を初めとされる執行部の方々に、地元の意見等も踏まえて、困っておられることも含めてそれぞれ質問させていただこうと思っておりますが、我々の地元には田之上議員、そして鶴丸議員、向井たかまろ議員がおられます。先ほど申し上げましたように、それぞれ地元にとっては大事なことでありますので、いとまがあれば質問を当然されるわけでありますけれども、何分にも、その枠というものが限られておりまして、私が先ほどから申し上げておりますような形で登壇させていただきました。できるだけ地元の議員の皆様の御意向が執行部の方々に伝わるように努力して、質問を展開させていただきたいと思います。  硫黄山の噴火に伴う川内川の白濁による稲作等に与える影響についてであります。  御承知のとおり、本年の四月十九日、えびの高原にあります硫黄山が噴火いたしました。二百五十年ぶりの噴火であるそうであります。このことに端を発しました今回の川内川水質の問題並びにそれに伴う稲作等への影響についてであります。  この問題につきましては、県民連合の方々、そして何人かの方々が質問していただいております。我々地元にとっても大変ありがたいなと思っている次第であります。  先ほど申し上げました川内川の汚濁による水質の問題、それと、これに起因いたします、稲作への影響についてでありますけれども、湧水町及び伊佐市は、本県を代表する米どころであります。いわゆる湧水米、伊佐米のブランド米になっている地域でありますけれども、ブランドを取りつけるのは並大抵のことではできません。つくられる農家とそれを購入していただけるそれぞれの消費者の方々が長年にわたって信頼関係を構築した、その延長線上にブランド化というものはあるわけでございます。  したがいまして、これを地域の人たちは大事にする必要があるという結論を出されました。それともう一つは、川内川から流れてくる汚染水に対して、水田の土壌汚染を未然に防止するという必要性も十分感じながら、現在の状況をいろんな方々が総合的に勘案され、ことしは川内川からの取水をやめ、稲作を断念するという苦渋の重い決断をされました。  農家の方々に稲作をやめるようにと言う、その決断をされるに当たっては、ある意味においては、農家の方々に死ねと言うような宣告をしているのではないかと、私なりに思っております。このことにより、主食用の水稲やWCS等の作付を計画されていた農家の方々は当然、作付ができないという事態になりました。  川内川の水質については、国土交通省川内川河川事務所、県、湧水町、伊佐市でそれぞれ検査され、ヒ素を含む物質、さらに、強酸性の数値が検出される日もございました。コイやフナ、ナマズなどの死骸が多数漂着する日もございました。報道等で皆様も御案内のとおりであります。  漂着した魚の死骸の量は日によっては膨大なものとなり、湧水町の轟の瀬、そして伊佐市菱刈のカヌー競技場などでは、劣悪な臭気の中、ありがたいことでございますが、両市町の職員の方々、川内川河川事務所、そして子供たちを含む地元のボランティア等による清掃・処理作業が行われてきたところであります。また、川内川の川底には硫黄山から流出したと考えられる汚泥が沈殿しているところもございます。  私に限らず、先ほど申し上げましたように、地元選出のそれぞれの県議会議員、私以上にそれぞれ地元を回り、いろんな意見を聞いてくださっているとは思いますけれども、私なりに今までいただいた情報をもとに質問してまいりたいと思いますが、その一端を紹介いたしますと、基本的な補償金や活用できる資金などの拡大等に関する情報の提供を求めるものはもちろんでありますけれども、水稲栽培を中止することによって代替作物をつくることになるわけでありますが、有力とされる大豆を初め飼料作物の栽培技術が、今まで培ったことがないわけでございますので、そういう技術がない。また、播種、種をまかれるときや収穫における機械や施設も保有していない。どのような対応策があるのか。さらにまた、行政の側で対応していただけるということになれば、どのような対応をしてもらえるのか。あるいは、大雨により、川内川から他の水系の農地に冠水あるいは水の流入があった場合どのような対応をとれるのかなどであります。  今回の極めてまれで厳しい状況を反映し、今後に対する不安の声やさまざまな意見、心配事などを私も聞いております。  このような中、農林水産省からは、地元の不安に応え、営農の継続ができるように、営農再開に向けた支援、そして共済金等の早期支払い、そして災害関連資金の措置などの支援策が公表され、県では先般、湧水町において、これらの支援対策を地元の関係者にるる御説明いただいたところであります。  県においては、これまで、地元での意見交換会を初め、営農あるいは資金相談窓口の設置、川内川の水質と汚泥の検査、魚のへい死原因の究明、国への対策の要望など迅速に対応していただいております。これまでの知事を初めとされる執行部の方々の対応に心から感謝申し上げる次第でございます。  県においては、引き続き、国、地元市町、隣県宮崎県とも綿密な連携をとり、しっかりした対応策を打ち出すことによって、稲作を断念するという重い決断をされた農家など、地元の方々の不安が少しでも軽減されるよう取り組みを進めていただきますように心からお願い申し上げる次第でございます。  そこでお伺いいたします。  今回の硫黄山噴火による川内川の水質への影響、そしてそれに伴う稲作の断念などの諸問題に対して、短期的及び中長期的な取り組みが必要だと考えます。まず初めに、これらの取り組みに対する知事の決意のほどをお聞かせいただきたいと思います。  さらに、今回の議会において、知事にはいち早く補正予算案を組んでいただきました。私の経験からして、三月、九月は予算議会でありますけれども、六月にこのような形で早い対応をしてくださるということは今までになかったことでございまして、心から感謝申し上げます。そのことも含めて知事の御答弁をお願いする次第でございます。    [知事三反園 訓君登壇] 4 ◯知事(三反園 訓君)硫黄山噴火による諸問題解決へ向けた決意についてであります。  硫黄山の噴火後、川内川の水質が悪化し、魚の大量へい死が確認されるという、本県においてはこれまでに経験したことのないケースでありました。直ちに全庁的な体制をとり、その対応に取り組んできたところであります。  たびたび現場に出向き、現地視察や地元の農業・漁業関係者と意見交換を行い、現場の声に耳を傾け、地元の方々に寄り添い、生産者の立場、思いに寄り添い取り組もう、そういう思いで執行部ともども対応に当たってきたと思っております。  この問題に関し、重い決断をされた地元の農家の方々の不安を一刻も早く解消するため、宮崎県とも連携を図りながら、数回にわたり農林水産大臣などに直接お会いして、地元の国会議員のお力もおかりしながら、水田活用の直接支払交付金の財源確保など、農家へのきめ細かな対応について要請を行ったところであります。これらを受けまして、先月二十三日には農林水産省において硫黄山噴火に関する支援対策が示されました。  さらに、県独自の支援策といたしまして、水質調査、農家に対する支援、県産農畜産物のPR活動等を行うとともに、硫黄山噴火等に伴う影響からの早期回復に向けた各種プロモーションを実施するための経費等の補正予算を今議会に追加提案したところであります。  現在、川内川におきましては、県及び国の川内川河川事務所が毎日水質調査を行っており、先月十六日以降、全ての項目が環境基準値内となっているところでありますが、硫黄山の火山活動は依然として続いており、専門家においてもその見通しは立っておりません。  このため、県といたしましては、農家の皆さんが安心して営農を継続できるように、短期的な対応だけではなく中長期的な対応についてもお示しし、そして引き続き検討を行ってまいりたいと思っております。  今後とも、現場の声に耳を傾けながら、国や地元市町、宮崎県、関係機関、議会の皆様とも連携いたしまして、県民の皆様に安心してもらえるよう、この問題の解決に全力で取り組んでまいります。    [山田国治君登壇] 5 ◯山田国治君 知事から、思いを含めての御答弁をいただきました。  私も先般、勤続三十年の表彰をいただくときに申し上げました。最初、一期目のときには鎌田知事でありました。それぞれの知事が立場立場で知事としての、県のトップとしての判断をされる機会がたくさんありましたけれども、今回の三反園知事におかれても、世界的にも、日本の歴史の中でもなかったような状況が発生し、知事としての手腕と申しますか誠意、そして考え方、その実現性に向けた対応というものは県民皆様ひとしく見ておられると思います。特に我々湧水町を含む地域の方々は、先ほどから申し上げておりますが、感謝してもし切れないほど、知事の行動に対して敬意を表していることは間違いありません。  しかし、後ほど申し上げましたように、いつ何どき、このヒ素の問題が、あるいは硫黄山の問題が解決するということは誰もこれは予測もできませんし、結論を出すこともできない状況にありますので、言わずもがなのことでございますけれども、どうぞよろしくお願い申し上げる次第であります。  次に、農業分野の支援についてお伺いいたします。  農家への所得補償については、国は、農家に対する水田活用の直接支払交付金と共済金の支払いに関する方針を打ち出しました。  このうち、水田活用の直接支払交付金産地交付金につきましては、代替作物の面積増加に伴い、地元からの声の中に、不足するのではないかという懸念の声もあります。私は、国に対し、地元と連携して追加配分を要請すべきと考えておりますが、御意見等をお聞かせいただきたいと思います。  また、伊佐市と湧水町では、これらの国の対策に市町独自で上乗せすることを検討されておりますが、先ほど申し上げましたように、知事におかれても、県としての対応で、今議会に二億七千数百万円を予算計上されて提案していただいているところであります。ありがたい限りでございます。  次に、たとえ川内川の水を使わずこの地域で米をつくったとしても、風評被害が懸念されると思いますが、風評被害対策、販売促進にどのように取り組んでいただけるのか、お聞かせいただきたいと思います。  また一方で、代替作物をつくる場合の栽培の技術指導や、飼料作物をつくる場合の収穫作業等への支援についてどのように取り組んでいただけるのか、お聞かせいただきたいと思います。  また、地元では、大雨により川内川が増水し、支川に逆流した川内川の河川水が越水し、農地に流入することに対して心配する声が上がっています。どのような対策を将来に向けてとっていかれるのか、考え方をお聞かせいただきたいと思います。  さらに、農業分野以外でも、今後取り組んでいく必要があることとして、川内川の水質と汚泥の検査、今後再び、へい死した魚が漂着したり、そしてヒ素の量が今まで以上に上がるような状況が発生したときの対応、あるいは水道水の安全確認等があると思います。また、風評被害が懸念されますが、国体に向けて、下流のほうではカヌー競技に係る合宿等について、当然、県としても誘致活動されていくわけでございますけれども、これらを所管する部局におかれましてはどのように取り組んでいかれるのか、お答えをお聞かせいただきたいと思います。 6 ◯農政部長(本田勝規君)農業分野への支援に対しての御質問のうち、代替作物の導入に向けた県の取り組み等についてでございます。  伊佐市、湧水町においては、水稲の作付を断念された農家の皆さんが主食用米を作付した場合と遜色のない所得を確保できるよう、水田活用の直接支払交付金等を活用した代替作物の導入等に取り組んでいるところです。  国から配分を受けた産地交付金につきましては、既に県内市町に内示しているところでございますが、国の追加配分や県内市町における所要額調査の結果等を踏まえ、国とも連携しながら調整を行い、両市町の所要額に不足が生じることのないようにしてまいります。  県では、これまで、代替作物の導入を支援するため、営農相談窓口を設置するとともに、代替作物導入マニュアルを作成し栽培技術指導を行うなど、きめ細やかに対応してきたところでございます。加えて、飼料作物などの代替作物の導入に当たって課題となっている植えつけや収穫などの作業を支援するため、今回提案させていただいた補正予算で硫黄山噴火対応代替作物導入緊急支援事業を創設し、農家の皆さんがこれらの作業を委託する際の作業料金を助成することとしております。  また、伊佐米、湧水米などを県内外にPRするため、かごしまの農畜産物販売促進事業の予算を増額し、量販店等においてトップセールス等販売促進活動に取り組むこととしております。  県では、これらの取り組みを通じて、伊佐市、湧水町の関係農家の皆さんが今後とも安心して営農を継続できるよう、現場の声にも耳を傾けながら、関係機関・団体と連携して全力で支援してまいります。  次に、川内川が増水し、河川水が水田に流入した場合の対策についてでございます。  農用地の土壌汚染につきましては、農用地の土壌の汚染防止等に関する法律に基づき、作物の生育阻害の防止等の観点から基準が定められており、仮に川内川の河川水が堤防を越えて流入した場合は、水田の土壌分析を行うなど実態把握に努め、万が一基準値を上回った際は、国とも相談しながら適切な対応を講じてまいります。 7 ◯環境林務部長(藤本徳昭君)川内川の水質及び泥の調査についてであります。  本県の川内川水域においては、水質調査を県が二カ所で、国の川内川河川事務所が四カ所で毎日行っております。  その結果、水素イオン濃度指数、いわゆるpHが三・五まで低下し、ヒ素が一リットル当たり〇・〇二二ミリグラムになるなど、環境基準を満たさない日もありましたが、五月十六日以降は全ての項目が基準値内となっております。  また、泥の調査につきましては、県が三カ所で月三回程度行っており、これまでの測定結果では、阿波井堰等において環境基準を上回るヒ素が検出されております。  県といたしましては、国等と連携を図りながら、引き続き水質や泥の調査を実施することとしておりまして、必要な経費を六月補正予算案追加提案分に計上しているところであります。 8 ◯土木部長(渡邊 茂君)へい死した魚が漂着した場合の回収についてでございます。  硫黄山噴火以降にへい死した魚の死骸につきましては、河川管理者である川内川河川事務所が河川管理上支障があると判断し、伊佐市、湧水町及びカヌー競技者と連携し、回収・処分したところであります。  川内川河川事務所においては、四月二十八日から河川巡視を毎日実施していますが、五月三日以降、五月八日の数匹を除き、魚の死骸は確認していないと聞いております。  今後、魚の死骸を確認し、河川管理上支障があると判断される場合は、各河川管理者において関係機関と連携し、できる限り回収に努めることとなります。 9 ◯くらし保健福祉部長(中山清美君)水道水の安全確認についてでございます。  川内川の水を水道水として利用しておりますのは、薩摩川内市の丸山浄水場の一カ所のみでございます。薩摩川内市では、硫黄山の噴火による水道原水への影響を把握するため、日常的に行っている水質検査に加え、四月二十九日から丸山浄水場を含む複数カ所で、浮遊物質量、カドミウム、ヒ素など七項目について河川水の検査を行っているところです。これまで、いずれの数値も環境基準値内でありまして問題はないため、薩摩川内市においては、通常どおり取水されていると聞いております。  現在のところ、水道水に影響を及ぼす状況は見られないものの、県としても引き続き水質検査結果を注視してまいります。 10 ◯PR・観光戦略部長(川野敏彦君)カヌー合宿等の誘致の取り組みについてでございます。  川内川流域では、伊佐市の菱刈カヌー競技場において、ゴールデンウイークや年末年始を中心に県内外からのカヌー合宿等が行われております。  今回の硫黄山の火山活動により川内川が白濁化したことなどから、ゴールデンウイーク期間中の一部の合宿等が中止となったところです。その後、五月四日に伊佐市から、水質は人体に影響はない数値であることが発表されましたことから、翌日からは地元クラブによる練習が再開され、五月二十六日には県高校総体のカヌー大会が開催されるなど、現在は通常どおり利用されております。また、例年、年末に開催されている二百名規模の九州カヌー冬季合宿についても、現在のところ、予定どおり実施される見込みと聞いております。  県としては、地元伊佐市などと連携し、正確な情報発信に努めますとともに、同地域へのカヌー合宿等の誘致に取り組んでまいります。    [山田国治君登壇] 11 ◯山田国治君 それぞれ御答弁いただきました。  中には、今の状況はこうなっているというような答弁もありましたけれども、私が、そして地元の関係者の方々が危惧されているのは、将来に向けて、今回みたいな状況が発生したときにどう対応してくれるのかということで、そういうときの対応の仕方を私も聞いているわけでありまして、今の基準値が未来永劫に続くようであれば何も心配することはありません。  そういう意味におきまして、答弁は要りませんけれども、これからに向けて、県として、いろんな形が起こり得るであろうということも想定しながら、対応策を考えていただきたいと思います。  魚がへい死したということは、今までになかったことであります。しかるべき研究機関においていろいろ検査していただきまして、硫黄山から噴出された硫化物のヒ素ではなくて、強酸が魚に影響を与えて、魚が死ぬというような状況に至ったという研究結果を我々も報告いただいております。それはそれで大変ありがたいことであります。  そして、今回の川内川の水というのは人体に影響がないというような答弁をされましたが、そういう答弁をいただいて、そうですね、よかったですね、こう答えるのは当たり前でありましょうけれども、これから将来に向けて、人体に影響があるような状況が仮に発生した場合には、当然、責任ある県として私は対応していかなければならないのではないかと思っておりますので、そういうことも含めて、今後の対応策という捉え方をしていただいて、御検討いただければ大変ありがたいと思いますし、そうしていただきたいと思う次第であります。  次に、硫黄山の噴火は霧島山全体の活動の一端であります。いつ終息するかは誰にもわかりません。  けさ早くから桜島が何回となく噴火しておりますが、桜島の噴火は、我々が小学校時代に最初の現象があらわれました。当時は、議場におられる議員の皆様もまだ生まれておられなかった方々がほとんどだと思います。  先ほど申し上げましたように、地球の歴史というのは何十億年も続いております。学者の説によりますと、今ちょうど中間点を過ぎたところといわれています。人生百年時代を見据え、中央の政治の中では対応策をいろいろ考えておられますが、百年、二百年の問題ではなくて、噴火というものは大体一万年に一回そういう状況が発生すれば、噴火している活動火山だという定義づけを専門家はされるそうでありますので、私が申し上げているのはそういう長いスパンでの対応策でございます。  恒久的なと申しますが、できるだけ長い期間に耐えられるような対策を考えるときに、私は二つの観点から検討が必要だと思っております。  一つは、水質の悪化等を防ぐための、川内川に流れ込む長江川における対策であります。  えびの高原では、硫黄山の噴出物を含む泥水が宮崎県の長江川へと直接流れ込んでいる状況にあります。宮崎県もいろんな手段を講じてこれに対応しようと努力しておられます。いわば宮崎県も被災県であります。国との関係も含め、慎重な対応が必要な部分もあるでしょうが、再度お尋ねいたしますが、現時点で鹿児島県として、どのような対応ができると思っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。  二点目は、ことしの稲作は中止されることになりますが、川内川からの取水ができない状態が長く続くようであれば、今後、ほかの水源の確保も考慮すべきと私は考えますが、その点につきましてどのような考え方をお持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。  また一方では、これからの対応策としては、湿田の汎用化、そして排水対策をどのようにとっていくのか。私がお訪ねした農家の方々の中には、もう山田さん、この地で田畑をずっとつくっていくというのは非常に無理がある。耕作地に対する土壌改良あるいはそれぞれ川内川以外のところから取水ができるような対応、パイプラインも含めてでありますけれども、そういうことも検討していただきたいという声もあります。先ほど質問いたしましたが、それも含めて御答弁いただきたいと思います。 12 ◯土木部長(渡邊 茂君)川内川に流れ込む長江川における白濁した水の対策についてでございます。  県といたしましては、五月九日に鹿児島県川内川水質問題対策本部会議を設置するとともに、五月八日と二十九日に国土交通省に対し、上流域における発生源対策の技術的支援などを要望したところであります。  長江川における白濁対策につきましては、九州地方整備局の技術支援のもと、えびの市が、発生源対策として、長江川上流域の立入規制区域内に新たに設置する沈殿池の無人化施工による掘削や、堆積が進んでいる沈殿池の堆積物の除去を行っていると聞いております。  県といたしましては、洪水時の川内川本川からの逆流対策の強化といたしまして、県管理の幸田川合流点に国と連携して大型土のうを設置したところでもあります。  川内川の県内調査地点における水質調査結果につきましては、五月十六日以降、全ての項目が環境基準値内となっていますが、河川水質調査及び河川巡視の継続的な実施など、引き続き、国に対し必要な支援を要望してまいります。 13 ◯農政部長(本田勝規君)硫黄山噴火に伴う代替水源の確保等についてでございます。  今後、硫黄山の活動の影響が長期化した場合、川内川以外からの農業用水の確保や代替作物を作付するための湿田の汎用化などの中長期的な対策も必要となってくると考えております。  このため、代替水源については、現況用水の実態調査や湧水などの取水可能量調査を、また、湿田の汎用化については、土壌調査や排水系統の調査を行うとともに、補助事業を活用するための計画調査もあわせて行う必要があることから、これらの調査を早急に実施するための経費を六月補正に追加提案させていただいたところでございます。  県といたしましては、農家の皆さんが今後とも安心して営農を継続できるよう、調査結果や地元の意見を踏まえながら、代替水源の確保や暗渠排水などの基盤整備について検討してまいります。    [山田国治君登壇] 14 ◯山田国治君 それぞれ御答弁いただきました。  くどいようでありますけれども、今回のこの噴火を最後にして、こういう状況は発生しないんだということが確約できるような状況であれば、あえていろいろ申し上げることはありません。  先ほど地球の歴史も引き合いに出しましてお話させていただきました。桜島の例も引き合いに出しました。何十年もああいう状況が続いております。えびの高原の下にははかり知れないマグマだまりがあり、今、移動しているというような情報も入っております。  今、あるいはきょう、あす、そういう状況が出てきたときに、くどいようでありますけれども、そういとまはありません。もしこういう状況が起こった場合には、発生したときには、県としてこういう対策をするということを打ち出していただければ、一番安心されるのは地元の方々であります。泥縄ではありませんが、状況が発生して、現実に形になってあらわれたときに慌てふためいても手おくれでございます。  私も、地元を回る中で、川内川の吉松のほうに、水門が七つあると聞いております。県管理の水が流れている河川、天神川と幸田川でありますけれども、ここには水門がない。幸田川におきましては、県が百を超える土のうを積んでくださいました。そして河川事務所のほうでも百を超える土のうを積んでくださっております。転ばぬ先の杖というのは私はそういうことだと思います。もしそういう状況が発生したときに、それを前もって想定して対応していくのが私は一番大事なことであると思っております。
     そして、鹿児島県は川内川の本流に流れてきた長江川の水に対するいろんな対応をとっていかないといけないわけでありますけれども、町長さんが招集された説明会の中で、すばらしい対応だなと思っていることがあります。水利組合の方々あるいは耕作組合の方々の中に、いち早く川内川からの水門を閉めることによって、農家の方々からは目に見えないヒ素、酸性の強い硫化物でありますけれども、それを詳しく説明しながら理解を求める努力をされた多くの関係者の方々がおられます。見えない部分でそういう方々がおられるということも県当局におかれましては十分意識していただいて、その人たちに敬意を表しながら、くどいようでありますが、いつ終息するか、その時期がわからない川内川のあるいは長江川の状況を想定した、いろんな形に対応できるような施策を、私は将来に向けて考えていただきたい。  そして湧水町の栗野、ここに北方という地域があります。執行部におかれましては、ぜひ向こうを通られるときには足を運んでいただきたいなと思う場所があります。私も、栗野の北方の方々の御案内をいただいて、その地を見せていただきました。そこには大きな堰堤があります。この堰堤をもう少し整備して、そしてここに山水をためれば、下で耕作されている方々の百町歩は、水の補給が可能だと言われました。そしてその上のほう、道路がありますけれども、そこまで整備して使えば、あと三十町歩の水田を耕作することが可能であるというような説明も受けております。  知事も口にされておりますが、短期的、中期的、そして長期的、ここの仕分けをするときに、言わずもがなのことでありますけれども、その辺の仕分けをしっかりしていただきまして、ああ、これは長い目で見たときに必要なことだなと判断されたときには、あのときに一般質問の中で山田も言っていたが、対応してやろうかと、そういうお考えを持っていただきますようにお願い申し上げます。  最後になりますけれども、これからいつまで続くかわからない、我々の地域の大きな大きな課題であります。議場の皆様方におかれましても、ぜひその辺のことを御賢察いただき対応していただけるように心からお願い申し上げ、このような時間をとらせていただいたことに感謝申し上げながら、私の一般質問を終わらせていただきます。  ありがとうございました。(拍手) 15 ◯議長(柴立鉄彦君)次は、大久保博文君に発言を許可いたします。    [大久保博文君登壇](拍手) 16 ◯大久保博文君 鹿屋市・垂水市区選出の大久保博文です。  五月二十五日、秋篠宮同妃両殿下御臨席のもと、明治百五十年記念式典が盛大に開催されました。私も会場で式典を拝見いたしましたが、日本の悠久の歴史の積み重ねと郷土の伝統をしっかりと受け継ぐ、生き生きとした若者の姿に感動いたしました。  今日の日本の文化は、縄文時代の一万年間に、自然の秩序を保ちながら自然の恵みを利用することで培われた、自然と共生する文化を引き継いでいると言えます。また、竪穴式住居跡からは、家族や他の家族と協力し合う形跡がうかがえますし、発掘された縄文時代の受傷人骨を見ましても、組織立った大規模な争いは見られず、人間同士も共存していた姿が見受けられます。  私は、よりよい未来をつくるため、自然や人類と共生・共存する精神にあふれたこの日本文化をしっかり引き継いでいこうと、思いを新たにしたところであります。  さて、国会で今年度予算が成立しました。政府では、経済・財政再生計画の集中改革期間の最終年度予算として、経済再生と財政健全化を両立する予算と位置づけています。我が国は、失われた二十年という言葉にあるように、一九九五年ごろからデフレに陥り、経済の再生が求められています。今年度こそ、日本経済に確かな成長をもたらす取り組みが始まることを期待するところであります。  それでは、通告に従って、以下質問してまいります。  行財政についての質問であります。  まず、プライマリーバランス黒字化先送りについての質問です。  政府は六月五日、経済財政運営と改革の基本方針二〇一八、いわゆる骨太の方針二〇一八原案を発表しました。  この骨太方針原案では、持続的な経済成長の実現に向けて潜在成長率を引き上げるため、人づくり革命と生産性革命に最優先で取り組みながら、あらゆる政策を総動員することを示す考えです。現在取りまとめ中の人生百年時代構想会議の基本構想、未来投資戦略二〇一八の内容もこの骨太方針に反映させる予定であります。人材への投資を通じた生産性の向上に取り組み、我が国が直面する少子高齢化や人口減少など、中長期的な課題の克服を目指す内容となっています。  この骨太方針原案にある財政健全化目標については、経済再生と財政健全化に着実に取り組み、二〇二五年度の国・地方を合わせたプライマリーバランス黒字化を目指す。同時に、債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指すことを堅持するとあり、二〇二〇年度としていたプライマリーバランス黒字化達成時期を五年後に先送りしています。  私は、デフレ脱却のために政府支出の自由度を確保することが必要であるとの観点から、政府支出に大きな影響を及ぼすプライマリーバランスの記述に毎年注目しています。  今回のプライマリーバランス黒字化達成時期の先送り自体は評価できるところであります。その上で、デフレから抜け出すために、GDP創出につながる投資を確保することが理想であります。デフレ下で投資がふえない状況では、名目GDPは増加せず、結果、税収はふえず、財政も悪化するという悪循環になるからであります。経済成長なくして財政再建なしという言葉どおりであります。現実的には、財政支出拡大等の可及的速やかな抜本対策が望まれます。  しかしながら、骨太方針原案を見れば、二〇二一年度に中間指標を設定し、今後三年程度の期間、財政赤字対GDP比を三%以下とし、債務残高対GDP比を一八〇%台前半とするなど、歳出水準に規律を設け、歳出を制限しています。  財政健全化においては、歳出改革や税制改革の議論が主流となっていますが、財政健全化を実現するための投資についての議論も必要だと認識すべきと考えます。現実的には、アベノミクスの二本目の矢である機動的財政支出を継続的に思い切って行うための議論が求められています。それでこそ、プライマリーバランス黒字化達成時期の先送りの意味があると言えるのではないかと考えます。  そこで、プライマリーバランス黒字化達成時期の先送りについて、県は財政上どのように考えるか、質問いたします。  次に、広域連携の推進についての質問であります。  五月二十三日発表された財務省の新たな財政健全化計画等に関する建議には、人口減少社会に突入する中で、行政サービスを安定的・持続的に提供していくため、自治体の広域連携を一層進めるべきとあります。  平成二十六年の地方自治法改正により、平成の大合併後の基礎的自治体における専門職員不足、広域化等の課題に対応するために、連携協約や事務の代替執行等が創設されています。また、広域連携が困難な市町村に対して、県が補完する選択肢も規定されています。  広域連携は、第一義的に当該基礎的自治体が判断すべきものでありますが、県も平成の大合併にかかわったことから、その後の基礎的自治体の課題に無関係というわけにはいかないと思います。  そこで、県は、基礎的自治体の広域連携にどのようにかかわっていくのか、質問いたします。  次に、消費税率引き上げに伴う需要変動に対する臨時・特別措置についての質問です。  二〇一九年十月一日に一〇%へ消費税率引き上げが予定されています。政府では、この消費税率引き上げに伴う需要変動に対して機動的な対応を図る観点から、臨時・特別の措置を二〇一九年度及び二〇二〇年度当初予算において講ずることとし、その具体的な内容については、二〇一九年十月一日に予定されている消費税率引き上げの需要変動に対する影響の程度や経済状況等を踏まえ、各年度の予算編成過程において検討するとしています。  前回、二〇一四年四月の消費税率の引き上げでは、経済が冷え込み、税収は鈍化し、プライマリーバランスは逆に悪化しました。その経験を踏まえて、景気に配慮した措置だと考えられます。  そこで、県としても、来年の消費税率引き上げ後、国の経済政策を受けて、県内の経済に配慮した取り組みが求められると思いますが、県の考えを伺います。  次に、税源偏在解消に向けた地方税制改革についての質問です。  骨太方針原案によれば、地域間財政力格差の拡大に対しては、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方税体系を構築する。地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置について検討し、平成三十一年度税制改正において結論を得るとしています。  本県の人口一人当たりの地方税収額の指数を見れば、平成二十八年度決算の数値では七二・五となっており、全国平均を約三割下回っており、東京都の半分以下であります。一番格差の大きい法人事業税及び法人住民税、いわゆる地方法人二税では五五・七となっており、東京都の四分の一以下であります。  今回の税制改正の動きは、本県財政にとってプラスになるようにする絶好の機会だと言えます。一方、東京都がこの税制改正の動きに対して、受益と負担の関係を逸脱しているとし、東京と日本の成長を考える検討会を立ち上げ、国への対抗姿勢を強めている動きもあります。  そこで、この税制改正の動きに対しどのようにかかわっていくのか、県の考えについて質問いたします。  次に、社会資本整備についてであります。  公共事業の予算確保の取り組みについての質問です。  社会資本が貧弱であれば、防災も成長もできず社会活動は衰退してしまいます。歴史的に見ても、社会資本が歴史、文化、社会、経済を支える大きな役割を果たしています。  日本経済はデフレに陥っていますが、その大きな原因の一つが、公共投資の大幅な削減であると言われています。一九九六年から二十年の間、我が国の名目GDPは約一〇%減少し、政府が行う社会資本投資である一般政府公的固定資本形成は、五〇%以上減少しています。  一方、欧米の首脳は、道路網、鉄道網、港湾整備などの社会資本によって、産業の効率性や競争力がもたらされ、自国の経済成長につながることなどを所信表明演説などで頻繁に発言しています。日本以外のG7各国においては、一九九六年から二十年間の名目GDPの推移及び一般政府公的固定資本形成の推移を見ると、いずれも増加しています。  しかしながら、新たな財政健全化計画等に関する建議には、GDPに占める一般政府の総固定資本形成の割合は、欧米諸国との比較で引き続き高い水準とし、高度成長期以降のインフラ整備により日本の社会インフラは概成しつつある。量の面では、現在の経済状況を見ると、需給ギャップの解消や人手不足による供給制約の高まり等から、総需要追加のための公共事業の必要性は乏しいとしており、政府としては、公共事業予算増加には消極的な姿勢を示しています。  このような国の公共事業への姿勢もあり、土木部では、当初予算の執行に当たり、財源確保に苦労されている現状も伺っています。  そこで、今年度、県の公共事業の予算確保の取り組みをどのように進めていくのか、質問いたします。  大隅地域の道路整備についての質問です。  全国的に見れば東京都、地方においては県庁所在地など一部都市に何もかもが過剰に集中する一方、地方は衰退し続け、地域間格差は著しく進行しており、是正のための地方創生の取り組みが行われています。  地方分散による均衡のとれた国土づくりは、地方の再生と都市の過密を緩和するのみならず、台風など風水害、巨大地震の脅威にさらされている国土や経済を強靱化するための最重要課題と言えます。  県本土は、西側には新幹線、高速道路を初めとした交通インフラが整備されている一方、東側の交通インフラ軸は極めて脆弱であり、大隅半島も、陸の孤島化が指摘されるなど、各自治体が分断され、それゆえに各自治体の発展が大いに阻害されています。  九州全体の発展のためには、大分─宮崎─鹿児島間の日豊本線を高速化する一方、高速道路ミッシングリンクを整備し、九州における交通インフラの東西の不均衡を是正していくことが望まれます。大隅地域の経済・防災、県土の東西不均衡是正のためにも、道路網の整備が求められます。  そこで、大隅地域の道路整備の取り組みについて質問いたします。  まず、国道五百四号について伺います。  大隅地域では、空港アクセス道路として国道五百四号を位置づけ、その整備を求めています。具体的には、吉ヶ別府地区の早期完成や市成地区の歩道整備について、今後の事業費確保を図る要望も地元から出ています。  そこで、吉ヶ別府地区の今年度の取り組みと市成地区の今後の見通しを伺います。  東九州自動車道は、ミッシングリンク解消へ向けての取り組みが急がれる道路です。今回、志布志─鹿屋串良ジャンクション間の整備取り組み状況について質問いたします。  志布志港は、国際バルク戦略港湾として整備が本格化することから、有数の畜産地帯である大隅地域と接続する高規格幹線道路として早期整備が求められるところであります。また、迅速な救急医療活動、災害に強い道路ネットワークの構築、観光資源へのアクセス向上などの効果が期待されます。  そこで、今年度の取り組みと志布志までの開通の見通しについて質問いたします。  地域高規格道路大隅縦貫道吾平道路について伺います。  東九州自動車道開通の効果を大隅半島全域に行き渡らせることが大事です。公園整備がなされている佐多岬など南隅地域と接続するための大事な道路であります。  そこで、今年度の取り組み及び事業の見通しについて伺います。  高隈串良線に関する質問であります。  高隈串良線は、東九州自動車道アクセス道路として鹿屋市東部に位置する重要な道路であります。下高隈地区の早期完成や、大隅グリーンロードから国道二百二十号間の整備が求められています。特に、鹿屋市串良町、東串良町、肝付町の住民にとって、国道二百二十号からの整備は悲願の区間であります。  そこで、今年度の取り組みと今後の事業の見通しについて伺います。  甫木川整備についての質問であります。  甫木川は、その源を鹿屋市串良町のシラス台地に発し、同台地を流下後、水田地帯を貫流し一級河川肝属川に注ぐ、流域面積十・三平方キロメートル、幹線流路延長四・六キロメートルの河川です。  甫木川は、もともと河道の流下能力が低く、過去たびたび鹿屋市大坪町内会などが洪水被害を受けています。肝属川合流点から国道二百二十号の区間については、全川にわたって十分な治水安全度が確保されている状況になく、流域の浸水被害等を軽減するため治水安全度の向上を図っていく必要があります。  そこで、甫木川について、今年度の事業の取り組み、今後の事業見通しについて質問いたします。    [知事三反園 訓君登壇] 17 ◯知事(三反園 訓君)大隅縦貫道の吾平道路の整備状況についてであります。  大隅縦貫道は、鹿屋市から錦江町を経由し、南大隅町佐多に至る地域高規格道路であり、このうち吾平道路につきましては、吾平市街部を迂回するバイパス道路として、平成二十七年度に事業着手したところであります。  これまで、測量や設計などを行うとともに、昨年三月に用地説明会を開催し、現在、用地買収を進めております。今年度は、鶴峰小学校付近の現道改良部において工事着手することとしております。また、吾平市街部を迂回するバイパス部においては、埋蔵文化財調査に着手するとともに、引き続き、全区間において用地買収を進めてまいります。  大隅縦貫道は、大隅地域の骨格をなし、農業や観光の振興を図る上で重要な道路であることから、引き続き重点的な整備に努めてまいります。 18 ◯総務部長(平木万也君)行財政についての御質問でございます。  まず、国・地方の基礎的財政収支の黒字化達成時期の先送りについてでございます。  国は、先般示されました、いわゆる骨太の方針二〇一八の原案におきまして、国・地方の基礎的財政収支の黒字化達成時期を二〇二五年度に延期することとしております。  地方財政につきましては、地方一般財源総額について、平成三十一年度以降三年間は、平成三十年度地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保するとされた一方で、国の取り組みと基調を合わせて、歳出改革等の加速・拡大に取り組むとされ、地方交付税の改革努力等に応じた配分の強化、業務改革の取り組み等の成果の地方財政計画等への反映、地方財政計画と決算を比較するための見える化などが示されているところでございます。  このようなことから、今後、財政健全化目標の達成のために、地方交付税等についてさらに厳しい調整が行われることが予想されるなど、本県財政に厳しい影響を及ぼすことが懸念されるところでございます。  このため、県といたしましては、県勢の発展や県民福祉の向上に資する事業について積極的に推進しつつ、持続可能な行財政構造を構築するため、引き続き、歳入・歳出全般にわたる徹底した行財政改革に取り組む必要があると考えております。  続きまして、広域連携の推進についてでございます。  市町村の広域連携につきましては、これまでも、市町村に対し、情報提供や助言等を行っているところでございます。県内では、鹿児島市を連携中枢都市とするかごしま連携中枢都市圏や、鹿屋市を中心市とする大隅定住自立圏を初め、五つの定住自立圏が形成され、夜間急病センターの運営、シャトルバスの運行、移住促進の合同相談会の開催などの連携した取り組みが実施されてきているところでございます。  また、昨年度は、国の委託事業を活用いたしまして、三島村及び十島村をモデルに、市町村間の広域連携や県と両村との連携のあり方等について検討・研究を行い、今年度は、小規模町村の課題や事務処理上の工夫等を把握し、幅広く意見交換を行うこととしているところでございます。  県といたしましては、人口減少社会において、行政コストが増大する中で限られた資源を有効に活用するためには、地方公共団体間の広域連携による行政サービスの提供をより一層進めていく必要があると考えております。本年三月に策定したかごしま未来創造ビジョンに、市町村間の広域連携に係る取り組みを支援すること等を盛り込んでおります。  今後とも、市町村における行政サービスの提供に関する課題の把握に努めながら、必要な情報提供や市町村との意見交換等を行い、広域連携の促進を図り、県民が安心して快適に暮らせる地域社会の形成に取り組んでまいりたいと考えております。  続きまして、消費税率引き上げに伴う需要変動に対する臨時・特別措置についてでございます。  議員御指摘のとおり、国は、いわゆる骨太の方針二〇一八の原案におきまして、平成三十一年十月の消費税率引き上げに伴う需要変動への対応として、平成三十一年度・三十二年度当初予算における臨時・特別の措置を各年度の予算編成過程において検討することとしているところでございます。  県といたしましては、これまでも、地域経済の活性化と雇用の安定・確保に取り組んでいるところでありますが、今後、検討される国の新たな経済対策に呼応しながら、本県経済を下支えし、将来の成長につながる施策の展開にも努めてまいりたいと考えております。  最後に、税源偏在解消に向けた地方税制改革についてでございます。  平成三十年度与党税制改正大綱においては、特に偏在度の高い地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置について、消費税率一〇%段階において、地方法人特別税・譲与税が廃止され、法人事業税に復元されることなども踏まえて検討し、平成三十一年度税制改正において結論を得ることとされております。  総務省におきましては、先月、地方財政審議会に地方法人課税に関する検討会を設置し、地方法人課税における税源の偏在を是正する新たな措置について、検討を開始したところでございます。  今後の地方法人課税に係る改正が本県に与える影響につきましては、現時点では、地方交付税の配分の仕組みも決定されておらず、見通すことは困難でありますが、県といたしましては、偏在是正により生ずる財源については、必要な歳出を地方財政計画に確実に計上するとともに、地方の経済や財政の状況等にも留意して、実効性のある偏在是正措置となるよう、県開発促進協議会や全国知事会等を通じて、国に対して強く要望してまいりたいと考えております。 19 ◯土木部長(渡邊 茂君)社会資本整備についてのうち、公共事業の予算確保の取り組みについてでございます。  本県は、南北六百キロに及ぶ広大な県土に半島や多くの離島を有し、また、台風常襲地帯やシラス地帯であることなど、地理的・自然的に大変厳しい条件下にあります。このため、高速道路や重要港湾などの陸海空の交通ネットワークの形成や、県民の安心・安全を守る防災対策等について、重点的な整備に取り組んでいるところであります。  しかしながら、社会資本の整備率は、河川が四六%、砂防関係施設が三六%と低く、また、高規格幹線道路は七七%と全国を下回っております。  このように、おくれている本県の社会資本整備を着実に推進するためには、必要な公共事業予算の確保が重要と考えており、県開発促進協議会などあらゆる機会を捉え、予算の確保を国に対して要請しているところであります。  今後とも、道路や港湾整備による観光交流の促進など、ストック効果のアピールを盛り込んだ効果的な国への要請や、国の補正予算への積極的な対応などにより、必要な公共事業予算が確保されるよう努めてまいります。  続きまして、国道五百四号の整備状況についてでございます。  国道五百四号は、大隅地域から空港へのアクセス道路として重要な道路であり、これまで、高隈バイパスや百引拡幅など計画的に整備を進めてきたところであります。  鹿屋市吉ヶ別府地区の七百メートル区間につきましては、平成二十五年度から整備を進めており、これまで用地買収を終え、現在、改良工事を進めているところであります。  今後とも、地元の方々の御協力をいただきながら、本路線の着実な整備に努めてまいります。  また、鹿屋市輝北町市成地区の六百メートルの区間につきましては、通学路でありながら歩道が狭いため、歩行者の安全を確保する必要があることから、事業中箇所の進捗状況を踏まえ、歩道の整備を検討してまいります。
     続きまして、東九州自動車道の整備状況についてでございます。  東九州自動車道につきましては、加治木ジャンクションから鹿屋串良ジャンクションまでの約六十三キロメートルが供用されており、現在、国において、鹿屋串良ジャンクションから夏井までの整備が進められているところであります。  鹿屋串良ジャンクションから志布志間の約十九キロメートルにつきましては、昨年十二月に、平成三十二年度までの開通が示され、今年度は引き続き、第一串良川橋等の橋梁工事や全線にわたる改良工事などが鋭意進められているところであります。  本自動車道は、広域的な高速交通ネットワークを形成する重要な道路であることから、県といたしましては、今後とも、埋蔵文化財調査など整備促進に取り組むとともに、関係者の皆様方と一体となって、本自動車道の早期整備が図られるよう、国に対し強く要請してまいります。  続きまして、県道高隈串良線の整備状況についてでございます。  県道高隈串良線につきましては、東九州自動車道や大隅縦貫道へアクセスする道路となることから、鹿屋市下高隈地区の四百メートル区間につきまして、平成二十七年度から整備を進めており、これまで測量設計を終え、現在、用地買収を進めているところであります。  国道二百二十号の交差点付近の未改良区間の整備につきましては、事業中箇所の進捗状況等を踏まえ、今後検討してまいります。  続きまして、甫木川の整備についてでございます。  鹿屋市串良町を流れる甫木川につきましては、これまで氾濫を繰り返しており、流下能力の向上を図るため、平成十六年度から、肝属川合流点より国道二百二十号までの三千六百五十メートルの区間において、河川改修を進めているところであります。これまでに、肝属川合流点から約七百メートル区間において、川幅の拡幅や駅通橋の橋梁かけかえなどの改修工事が完了したところであります。  今年度は、駅通橋の取りつけ護岸、また取りつけ道路などの工事を予定しており、来年度以降は、駅通橋から県道鹿屋高山串良線まで、さらには国道二百二十号までの改修を順次進めることとしております。  今後も引き続き、浸水被害の解消に向けて整備推進に努めてまいります。    [大久保博文君登壇] 20 ◯大久保博文君 答弁いただいたことに関しまして申し上げます。  まず、行財政についてであります。  骨太方針原案は、政府のプライマリーバランス黒字化優先のこだわりが一段と弱まる表現となったと思います。財政的には厳しい記述もあるようですけれども、当面の財政支出を直接抑制する数値目標は今回記載されておらず、デフレを脱却させ、成長と財政健全化のための合理的投資を奨励する記述も見られるようであります。  GDP六百兆円実現へ向けて、デフレ脱却を導く財政規模の確保と具体的な投資案件の検討と徹底推進が、国においてこれから議論がなされていくことを期待いたします。  県においても、不均衡是正と景気に配慮した地方財政となるよう、積極的に国に対し要望されることを期待いたします。  社会資本整備についてでありますけれども、経済成長と地域格差を解消する社会資本整備の取り組みが進められることを期待申し上げます。  またさらに、甫木川の整備については、ぜひとも、県道までの整備が終わった後、県道から国道二百二十号までの区間についても、途切れることのないような形の整備が進められていくことを御期待申し上げます。  続きまして、農政についての質問であります。  人類は、古くから土木技術によって文明を築いてまいりました。例えば古代の四大文明は、チグリス川・ユーフラテス川、インダス川、ナイル川、黄河等流域を、治水・利水の技術によってかんがい農業を実現し、もたらされたものと言えます。また、瑞穂の国である日本において、稲作を始めるに当たって、土地を平らかつ水平にする農業土木が絶対に必要でありました。  一方、江戸時代、大治水事業があったからこそ、十六世紀には、百町歩程度の耕地面積が三百町歩に拡大しました。その結果、人口も千二百万人から三千万人に増加しました。明治をつくった人材の基盤は、江戸時代の農業土木が生み出したと言えます。  土木とは、英語でcivil engineeringと言い、直訳すれば文明の工学です。歴史も文化も社会も経済も全て土木がつくっており、土木が人類の歴史をつくり上げたとも言えると思います。  そのような農業土木の果たしてきた歴史的な役割を忘れ、民主党政権時代に農業土木予算は大きく削減されました。しかしながら、自公連立政権のもと、関係者の努力によって着実に予算の回復が図られてまいりました。そして、今年度の国の予算の概算決定は四千三百四十八億円となり、これに平成二十九年度補正千四百五十二億円を加えますと合計五千八百億円と、前年度に引き続き、大幅削減前の平成二十一年度の水準を上回る予算額となりました。  農業農村整備事業は、生産性向上のための生産基盤の整備、災害に強い農業・農村を実現するための農地の保全整備等を通じて、農業の持続的発展、農村の振興、食料の安定供給及び多面的機能の発揮を図るための事業であります。また、本事業は、直接の受益者である農家のみならず、農村地域の住民、さらには地域に暮らす住民の日常生活にもさまざまな場面で恩恵を与えています。  国の平成三十年度予算における同事業の重点は、農地の大区画化や汎用化・畑地化等の農業競争力強化対策及び、老朽化した農業水利施設やため池等の補修・更新や耐震・洪水防止対策等の国土強靱化対策などと聞いています。台風、干ばつ、シラス土壌などの自然状況が厳しい本県において、これらの事業を計画的に進めていくには、安定した予算が確保される必要があります。  一方、私の住む肝属地域においては、各種農業農村整備事業を推進しておりますが、中でも、肝属中部畑地かんがい事業については、荒瀬ダムが完成し、間もなくダムからの本格通水が開始される見込みと伺いました。本格通水により、今後、順次通水面積が拡大し、水を利用したさまざまな営農が展開されることが期待されます。  また、笠野原地区においては、施設の老朽化が進行していることから、たびたび管が破裂するなど支障を来しており、補修・更新等の機能保全対策、いわゆるストックマネジメントを適切な時期に適切に実施することが重要であります。  そこで伺います。  まず、平成三十年度の農業農村整備事業の予算の確保状況及び、これを踏まえ、今後どのように取り組まれるのか伺います。  また、肝属中部畑地かんがい事業及び笠野原畑地かんがいストックマネジメント事業の国営及び県営における本年度の取り組み状況についてお示しください。  次に、TPP11対策についてであります。  三月八日、チリのサンティアゴで開催されたTPP11署名式において、TPP11協定が署名されました。  骨太方針原案によれば、政府は、今後の経済連携の礎となるTPPの早期発効に向けて引き続き主導的な役割を果たす。新たな海外展開の支援や国内産業の体質強化に向けて、総合的なTPP等関連政策大綱に盛り込まれた施策を着実に実施するとあります。  一方、昨日、国会でTPP11協定が承認されました。現在、環太平洋パートナーシップ協定の締結に伴う関係法律の整備に関する法律、いわゆるTPP整備法について見直しが行われており、発効に向けた手続が進展しているところであります。  そこで、国における関連対策の予算措置状況及びそれを活用した県での対策について質問いたします。  水産業についての質問であります。  まず、ブリの人工種苗の取り組み状況についてであります。  四月二十四日、養殖ブリの輸出促進を図るため、国の支援を受けて垂水市に整備していたブリ人工種苗生産施設が完成しました。この施設は、本県が全国一の生産量を誇る養殖ブリの生産に必要な稚魚を人工的に生産し、供給する目的で整備したものです。  人工種苗による養殖ブリは、天然の資源に影響を与えず、生産履歴が明確なことなどから、海外で高い評価を得ており、輸出に有利とされていると伺っています。具体的にこの生産施設を生かした取り組みが始まります。  そこで、今年度のブリの人工種苗の取り組みについて伺います。  続いて、カンパチ種苗生産事業の取り組みについて伺います。  カンパチの人工種苗の取り組みについては、昨年度から、豊かな海づくり協会に一本化して事業が行われています。  カンパチの人工種苗導入は、寄生虫のアニサキス対策、将来の安定した種苗確保、計画的な養殖生産、海上作業の効率化、生産コストの削減、品質の統一化につながるものであり、意義あるものだと考えられます。しかしながら、さまざまな課題に直面し、カンパチの人工種苗の取り組みは再構築を迫られています。  そこで、今年度の事業の取り組みや内容、見通しについて質問いたします。  次に、水産物の流通・加工・販売対策についてであります。  水産業の成長産業化のため、付加価値向上に取り組む必要があります。そのためには、品質向上のための生産だけでなく、水産物の流通・加工・販売対策が必要であります。  そこで、今年度の水産物の流通・加工・販売対策について伺います。 21 ◯農政部長(本田勝規君)農業農村整備事業予算の確保状況等についてでございます。  平成三十年度の農業農村整備事業予算につきましては、当初予算額二百二十五億円に対して、現時点までの国からの内示は、予算額の八二・五%に当たる百八十六億円となっています。これに平成二十九年度のTPP対策等の補正予算二十二億円を加えますと、二百八億円となっています。  県では、農業産出額の向上に資する大規模畑地かんがいの整備や農業の競争力強化を図るための基盤整備、農村地域の防災・減災対策などを重点事業と位置づけており、これら攻めの農業の展開を図る事業に引き続き取り組むこととしています。  今後とも、国の補正予算等の動向も注視しながら、引き続き、県開発促進協議会などあらゆる機会を通じ、国に対し、農業農村整備事業に必要な予算の確保について強く要請してまいります。  次に、肝属中部畑かん及び笠野原畑かんについてでございます。  肝属中部地区につきましては、水源となる国営の荒瀬ダムが本年三月に完成し、七月に地元主催によるダム通水式が行われると聞いております。  本年度の国営事業については、平成三十一年度の完工に向け、施設全体の最終的な機能確認等が予定されています。附帯県営事業については、第二鹿屋地区など十地区で、支線水路や給水栓など畑地かんがい百十二ヘクタールの整備を進めていくこととしています。  笠野原畑地かんがい施設の更新・補修につきましては、幹線水路など基幹施設は国営事業により、支線水路などの末端施設は県営事業により実施しています。  本年度の国営事業については、幹線水路一・七キロメートルの更新が見込まれています。また、県営事業については、支線水路十四キロメートル、給水栓四百カ所の更新を行うこととしています。  今後とも、事業の早期完成に向け、関係機関・団体と一体となり、予算の確保に努めてまいります。  TPP11対策についてでございます。  TPP11につきましては、先ほど議員からお話もありましたが、今国会において、昨日、協定案が承認されたところであり、現在、関連法案の審議がなされているところでございます。  国は、昨年十一月に策定した政策大綱に基づき、平成二十九年度補正予算などにおいて、農林水産業の体質強化や輸出強化を図るための措置を講じているところです。  県では、国の補正予算等を活用して、平成二十九年度三月補正や平成三十年度当初予算において畜産クラスター事業等を措置し、肉用牛等の生産基盤の強化を図るなど、守りを固めることとしております。  一方、TPP11等による国際化の進展は、和牛日本一の鹿児島黒牛などのすばらしい農林水産物に恵まれた鹿児島にとって、大きなチャンスでもあると考えております。このため、県では、本年三月に策定した鹿児島県農林水産物輸出促進ビジョンに基づき、輸出拡大を図るための取り組みを進めるなど、世界に向けて打って出る攻めの展開につなげることとしております。  今後とも、関係機関・団体一体となって、競争力のある農林水産業の実現に向けた取り組みを強力に進めてまいります。 22 ◯商工労働水産部長(田崎寛二君)水産業についてのお尋ねのうち、まず、ブリの人工種苗の取り組み状況についてであります。  ブリの人工種苗生産施設につきましては、人工種苗を活用した養殖ブリのさらなる輸出促進を図るため、去る四月二十四日に垂水市に開所したところであります。  今年度は、生産施設の管理運営を行う公益財団法人かごしま豊かな海づくり協会が、国立研究開発法人水産研究・教育機構から受精卵を譲り受け、種苗生産の実証試験を行うこととしております。この実証試験で得られた人工種苗については、水産技術開発センターが鹿児島湾内の海面生けすで中間育成し、成長と生残率等を把握することとしております。  現在、親魚の養成・採卵試験を開始したところであり、今後、人工種苗の供給体制の確立を図り、本県養殖業の振興に努めてまいります。  カンパチ種苗生産事業についてであります。  カンパチの人工種苗につきましては、公益財団法人かごしま豊かな海づくり協会が平成二十三年度から供給を始めており、病気に強く成長が早い種苗の供給が課題となっております。このため、水産技術開発センターと連携し、同センターが実施している選抜育種により育てられた親魚を協会が種苗生産に用いて、人工種苗を供給しているところであります。さらに、今年度は新たに、水産技術開発センターが小型種苗を用いた海面生けすでの中間育成試験を行うこととしております。  今後とも、関係機関等と連携し、優良な人工種苗の生産とその普及に取り組んでまいります。  水産物の流通・加工・販売対策についてであります。  本県水産物の流通・販売対策につきましては、知事のトップセールス等におけるPR活動のほか、国内においては、県漁連等が行う販売促進活動や魚食普及活動等の支援を行うとともに、安心・安全な水産物を提供するための市場等の整備を支援することとしております。  一方、国外においては、県農林水産物輸出促進ビジョン等に基づき、海外における展示会・商談会への参加支援及び、輸出に取り組む生産者等の確保・育成を図るための経営セミナーなどを開催することとしております。  また、加工対策については、県内水産加工品の品評会を開催し、消費者ニーズに対応した新たな水産加工品の開発を促進することとしております。  今後とも、県漁連や関係団体等と一体となって、本県水産物の流通・加工・販売対策に積極的に取り組んでまいります。    [大久保博文君登壇] 23 ◯大久保博文君 答弁いただいた内容について申し上げます。  まず、農政についてであります。  農業農村整備につきましては、補正予算の動向も踏まえ、予算の確保に尽力されることを期待申し上げます。  また、肝属中部畑地かんがい事業については、ダムからの本格的な通水が始まります。今後とも、ハード対策とあわせて、担い手への農地集積・集約化や畑地かんがい営農のソフト対策にも尽力されますことを期待いたします。  水産業について申し上げます。  本県の有数の養殖魚であるブリ、カンパチの人工種苗事業が確立され、あわせて、流通・加工・販売対策が水産業の成長産業化につながることを期待申し上げます。  それでは、鹿児島国体についての質問であります。  本日からワールドカップサッカーロシア大会が開幕いたします。予選を勝ち抜いた世界三十二カ国の代表チームがそれぞれの国の期待を背負って競う大会です。サムライブルージャパンの愛称で親しまれている日本代表チームも出場し、鹿児島県出身の選手の活躍も期待されています。  国体も同様に、毎年、郷土鹿児島を代表する選手の出場・活躍によって、県民に大きな夢・感動・希望を与えており、本県のスポーツ振興に大きな役割を果たしています。そして、二〇二〇年開催予定の鹿児島国体において、天皇杯・皇后杯を目指して競技力向上を図ることは、本県のスポーツ振興にとって大変意義深いことであると思います。  これまでも、県では、競技力向上に向けて、競技者の発掘・育成・強化、指導体制の確立に努めてきたことと存じます。  競技力向上の取り組みにおいて、スポーツ医・科学的サポートも求められます。一般的には、従来のスポーツ競技の指導においては、各競技の技術指導が中心で、競技する体をつくる、あるいは傷害予防トレーニングなど医・科学的サポートについて、余り考慮されることはなかったと思います。しかしながら、根性論だけで競技力を向上させる時代は終わり、スポーツ医・科学的サポートを加えた科学的取り組みの求められる時代だと言えます。  実際、開催県として最後に天皇杯・皇后杯を獲得した和歌山県では、競技力向上対策本部、競技団体、県体育協会にそれぞれスポーツ医・科学サポートの専門組織を持ち、連携して取り組んだことが成果につながったと思います。  そこで、県の今後の競技力向上対策及び競技力向上のための医・科学的サポートについて質問いたします。  鹿児島国体後の県民スポーツへの医・科学的サポートについての質問です。  二〇二〇年の東京オリンピック、鹿児島国体を控え、県民のスポーツへの関心が高まる中、いろいろなスポーツ振興の取り組みを行う絶好の機会が到来したと思います。近年、国においても、スポーツ庁の設置、地域スポーツ活性化法制定の動き、スポーツの成長産業化などの動きがあります。  スポーツには、普及と強化の側面があります。これから、強化の面で、スポーツ医・科学的サポートを加味した取り組みが地域スポーツ振興にも求められていくと思います。なぜなら、スポーツ医・科学的知見を導入すれば、慢性的なスポーツ疲労によるけがを予防することができ、末永くプレーヤーとしてスポーツにかかわることができ、あわせて競技力のパフォーマンス向上にもつながるからであります。  今後、プロスポーツはもちろんのこと、学校の部活動、スポーツ少年団などの青少年スポーツ、アマチュアスポーツなど県民スポーツ全体において、医・科学的サポートの取り組みが普及することが望まれます。  そこで、鹿児島国体後の県民スポーツへの医・科学的サポートについて、県の考えを伺います。  教育についての質問であります。  読解力向上についての質問であります。  近年、小・中学生の読解力不足が指摘されています。四月二十四日付、文部科学省の教育分野における経済財政一体改革の取組についての資料によれば、小・中学生において、教科書の文章を読み解けていないなど読解力に課題があるとして、言語能力の確実な育成が、教育内容の主な改善事項の一つに挙げられています。  また、自民党本部の文部科学部会のもとに設置されている、十年後の教育のあり方を考えるプロジェクトでは、国立情報学研究所社会共有知研究センター長の新井紀子氏からのヒアリングを行い、四万人の学生に実施した読解力を測定するテストの結果から、教科書に載っている用語を断片的に暗記するだけで、文章の意味を理解できない学生がかなりの割合に上るという事実が判明しているとして、学生の読解力不足による学力低下が指摘されたところであります。  また、新井氏の調査によれば、基礎的読解力と高校の偏差値の相関は〇・七五から〇・八という高い値を示しており、基礎的読解力が低いと偏差値の高い高校には入れないと結論づけています。
     平成二十八年第四回定例会において、私は、「学習活動の基盤となる言語能力を向上させるには、母語である日本語で論理力をつけることである」と申し上げました。もし県内の子供たちの基礎的読解力が低いのであるとするならば、楠隼中学校でのことば探求などの言語技術を向上させる取り組みが、義務教育課程において特に重要になると私は考えます。  そこで、県内の小・中学生の基礎的読解力の状況及び読解力向上のための取り組みをどう考えるか、質問いたします。  高校教育改革についての質問です。  新井氏の調査によれば、有名私立中高一貫校は、十二歳の段階で高校三年生程度の読解能力がある生徒を入試でふるいにかけ、大学進学で高い成果を出しています。公教育においては、私立学校と同じことはできません。しかしながら、小・中・高が連携を強めて基礎的読解力向上に取り組むことで、公教育の学校においても大学入試制度改革に対応できると思います。  人工知能いわゆるAIは、コンピューターであり、足し算・引き算しかできず、論理・確率・統計といった数式で表現できる領域は得意といたしますが、一方、同義文判定、推論、イメージ同定、具体的同定は、数式で表現しづらいため苦手な領域であります。ソサエティ五・〇の時代、AIと共存できる人材は、この領域の能力を身につけた人材であると言えます。  ちなみに、推論は、文の構造を理解した上で、生活体験や常識、さまざまな知識を総動員して文章の意味を理解する力です。イメージ同定は、文章と図形やグラフを比べて内容が一致しているかどうかを認識する力、具体的同定は、定義を読んでそれと合致する具体例を認識する力であります。これらの力は読解力によってもたらされるものと思います。  そこで、県としては、新しい社会、大学入試制度改革に対応した高校教育にどのように取り組むのか、質問いたします。  EdTechの活用についての質問です。  文部科学省では、EdTechを活用した教育改革推進プロジェクトチームを立ち上げるなど、EdTechを活用した教育の質の向上を検討しています。EdTechとは、教育─Education─とテクノロジー─Technology─を融合させた造語で、学習スタイルや教材にデジタル技術を活用し、従来の教育の仕組みに変革をもたらすビジネス全般を指します。  EdTechの活用で、教育に係る多様な情報のデータ化・蓄積・共有・分析・利用が可能となり、生徒の学習支援、学校生活における良好な環境づくりの改善に生かすことができるということです。  既に民間企業では、生徒の進路指導、自学自習、授業、コミュニケーションツールなどのEdTech的なサービスを学習支援プラットフォームとして提供しており、多くの学校が利用しています。  大学入試制度改革もあり、高校間の競争も全国的に厳しくなってくると思います。また、国もEdTechの活用に積極的なことから、県としても活用は前向きに取り組むべきと考えます。しかしながら、Wi─Fi、タブレット端末等のICT環境の整備、施設整備なども必要になってまいります。  そこで、高校教育におけるEdTechの活用について、県の考えを伺います。 24 ◯国体・全国障害者スポーツ大会局長(中堂薗哲郎君) 鹿児島国体に向けた競技力向上対策についての御質問のうち、今後の競技力向上対策につきましては、平成二十四年七月に、次期国体に向けた競技力向上計画を策定いたしますとともに、その計画をもとに競技力向上対策本部を設置し、推進体制・指導体制の確立、選手の発掘・育成・強化・確保、用具、練習環境等の整備を重点項目に掲げ、競技力向上に取り組んできております。  さらに、昨年の愛媛国体の結果を踏まえ、天皇杯・皇后杯の獲得に向け、明確なビジョンによる戦略を含む、福井・茨城・鹿児島国体に向けた強化方針を立て、入賞可能な選手の獲得・強化、団体競技の強化等に取り組んでいるところでございます。  次に、医・科学的サポートの取り組みにつきましては、日本スポーツ協会によりますと、効果的・効率的に競技力向上を図るためには、医・科学的な側面から選手や指導者をサポートすることが重要であるとされております。  このことから、県においては、昨年七月にコンディショニングサポート委員会を設置し、全競技団体に医・科学的サポートの重要性を周知いたしますとともに、これまでの選手の体づくりや基礎的な能力を高めるトレーニングメニューの処方、栄養指導等の取り組みや、選手を側面から支えることのできるスポーツドクター・トレーナー等派遣の取り組みの充実・拡大を図ったところでございます。  今後とも、引き続き、各競技団体やトレーナー等と連携しながら、医・科学的サポートを活用したさらなる競技力向上に努めてまいります。  鹿児島国体後の県民スポーツへの医・科学的サポートの普及についてでございます。  医・科学的サポートにつきましては、生涯スポーツの観点からも、一人一人の体力や年齢、目標などに合わせて運動指導、栄養指導・相談を行うことにより、県民の健康増進、体力向上、けが防止等に効果が期待できるものと考えております。  このことから、鹿児島国体を契機に、県体育協会、各競技団体等と連携しながら、スポーツ選手の競技力向上はもとより、県民が医・科学的サポートを受けて、けがなくスポーツを続けられる環境の整備も含め、トレーナー等関係者の情報共有などネットワークの構築及び体制づくりに努めてまいりたいと考えております。 25 ◯教育長(東條広光君)初めに、小・中学生の読解力向上のための取り組み等についてであります。  昨年度の全国学力・学習状況調査におきまして、国語科の読む能力については、本県は、小学校・中学校ともに全国平均をやや下回っている状況にありました。  県教委では、学力向上支援チームによる授業方法の改善を進める中で、この調査結果等を踏まえ、話や文章の中から情報を正確に読み取る能力を向上させるため、国語科では、主語・述語を意識した文章の正確な読み取りや、重要な語や文に注意して読むことなどをポイントとして指導しているところであります。  また、各学校においては、文章を筋道立てて書いたり話したりすることができる能力の育成を目指して、各教科等の中でスピーチや討論等を取り入れた学習に取り組んでおります。  今後とも、各教科等における言語活動をさらに充実させ、読解力を含む言語能力の育成に努めてまいります。  次に、大学入試改革等に対応した高校教育についてであります。  現在、国が進めている高大接続改革におきましては、これからの時代を生きる上で必要となる資質・能力の育成に向け、一つ目は十分な知識・技能、二つ目は思考力・判断力・表現力、三つ目は主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度、この三つを特に重視することとされ、また、大学入試におきましても、この三つを多面的・総合的に評価することとされております。  これに対応するため、高等学校におきましては、全ての学習の基盤となる読解力などの言語能力の向上を目指して、義務教育段階での指導を踏まえ、授業において、意見を述べたり批評する文章を書いたりするなどの言語活動について、より一層の充実を図る必要があります。  県教委としましては、昨年度から、いわゆるアクティブ・ラーニングの視点からの授業改善や指導方法の研究を行うとともに、他校との合同ゼミによる生徒の学習意欲の向上などに取り組んでいるところであり、今後も、こうした取り組みを通じて、生徒が新しい時代に求められる資質・能力を身につけ、みずからの進路目標を実現できるよう努めてまいります。  次は、EdTechの活用についてであります。  御紹介のありましたEdTechにつきましては、AIやビッグデータ等のさまざまな新しいテクノロジーを、生徒の学びや教師の指導など教育に活用しようとする取り組みと承知しております。  現在、文部科学省が委託して構築・運営されているシステム、JAPAN e─Portfolioにつきましては、生徒の学校内外の活動を記録し、教員がその確認に活用できるとともに、今年度から、幾つかの大学で入試等に利用することが予定されております。また、民間事業者も同様のサービスを提供しており、県内の県立高校でも四校がこのサービスを利用し、進学や就職の指導に活用しているところであります。  EdTechのさらなる活用につきまして、国は、ICT環境の整備やセキュリティーの問題など解決すべき課題があるとして、現在、課題解決に向けた対応策等を検討しておりまして、県教委としましては、国の動向等を注視しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。    [大久保博文君登壇] 26 ◯大久保博文君 答弁いただいた内容に関して申し上げます。  まず、競技力向上に関しましては、国体に臨む鹿児島県代表選手の競技力向上に資する取り組みが行われる中で、スポーツ医・科学的知見が生かされていくことを期待いたします。また、この知見が県民スポーツ全体に行き渡っていくことを期待いたします。  教育についてであります。  大学生協連合会の調査では、大学生の五三%が、一日の読書時間がゼロという結果が出ています。大変残念な結果であります。このことは基礎的読解力の低下と無関係ではないと思います。鹿児島県の教育において、基礎的読解力の向上対策が図られ、子供たちの論理力向上、他者意識の涵養につながり、子供たちの未来を開く生きる力になることを期待申し上げます。  ソサエティ五・〇の時代、人工知能─AI─が脚光を浴びております。しかしながら、人間の知的活動の一〇〇%を数式化できない現状では、AIが人間に一〇〇%取ってかわることはできません。そういう意味では、AIが神になったり、人知を超えるということはないと言えます。AIをツールとして使いこなし、共存できるたくましい次世代を育てることに努めていくことをお誓い申し上げまして、私の全ての質問を終わります。(拍手) 27 ◯議長(柴立鉄彦君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        正  午   休憩       ───────────        午後一時十五分再開 28 ◯議長(柴立鉄彦君)再開いたします。  き久伸一郎君に発言を許可いたします。    [き久伸一郎君登壇](拍手) 29 ◯き久伸一郎君 最終日、午後二人となりました。どうぞよろしくお願いいたします。  通告により、まず、保健医療行政に関する本県の新たな計画についてお伺いいたします。  平成二十九年度までの第六次保健医療計画の期間終了に伴い、平成三十年度から平成三十五年度までの六カ年の第七次となる県保健医療計画が示されたところであります。基本理念として、県民が健康で長生きでき、安心して医療を受けられる、みんなが元気な鹿児島─早世の減少・健康寿命の延伸・QOLの向上─を掲げております。  また、計画策定の趣旨として、県民の保健医療ニーズの多様化・高度化や産科・小児科等の医療の確保、また地域包括ケアシステムの整備充実等の要請、大規模な自然災害時の医療確保、平成二十八年十一月の地域医療構想の策定等の状況を踏まえたことが示されております。  本計画は、医療法第三十条の四の規定に基づく計画として、本県の保健医療行政の計画的・総合的な運営の基本となるものとして位置づけられており、保健・医療・福祉の個別計画と整合性を図りながら連携・役割分担しているものと捉えております。  また、医療費適正化計画や高齢者保健福祉計画、がん対策推進計画や障害福祉計画も公表されたところであります。これらの新たな保健医療行政に関する計画の効果・実効性について、県民として大いに期待するところであります。  そこで、何点かお尋ねいたします。  計画期間が終了した第六次保健医療計画について、その評価と第七次計画への反映も含めてお示しください。  また、第七次保健医療計画の具体的な構成、主な施策についてもお示しください。  さらに、このたびの計画では、がん、脳卒中、心筋梗塞等の心血管疾患、糖尿病、精神疾患といった十七項目の数値目標を立てておりますが、主な数値目標についてお示しください。  今回、新たな医療費適正化計画も公表されております。同計画策定の趣旨として、地域医療構想の策定や国の方針等を踏まえつつ、本県の医療費の動向・特性等を分析し、新たな計画を策定したとあります。  ここでお尋ねいたします。  医療費適正化計画の構成・目標・取り組みについてお示しください。  あわせて、県民医療費の適正化は、現時点から平成三十五年度まででどのくらいの効果があると見込まれているのか、お示しください。  また、平成二十八年十一月に策定した地域医療構想は、平成三十七年を目標年次としており、県は、県下九つの構想区域において、それぞれ地域医療構想調整会議を開催していると聞いておりますが、同会議における議論の状況についてお示しください。  次に、本県における死因の第一位であるがんについてでありますが、早期発見・早期治療とともに、一次予防としての生活習慣対策の強化、ウイルス等の検査、ワクチン接種等の促進も重要であると言われております。  県では、平成三十年三月に、国のがん対策推進基本計画等を踏まえて、ゲノム医療等の新しい治療法を推進することも含めた、新たながん対策推進計画を策定されております。  ここでお尋ねいたしますが、新たに策定された計画の概要と具体的な目標についてお示しください。  次に、高齢者保健福祉計画が公表され、生き生き、安心して、支え合って暮らせる長寿社会づくりを政策目標と定めております。今後、さらに高齢化率が上昇することが見込まれ、この計画の意義、役割は重要であります。  高齢者保健福祉計画の施策内容と計画目標についてお示しください。  次に、国保制度については、被保険者の年齢構成が高い、医療費水準も高い、所得水準が低く小規模保険者が多いなどの構造的な課題が指摘されているところであります。  このような中、本年四月からの国保制度改革により、国においては毎年度約三千四百億円の財政支援の拡充を行うこととされ、都道府県が市町村とともに国保運営を担うこととなったところであります。  ここでお尋ねいたしますが、今回の制度改革により、国保運営においてどのような効果が期待できるのか、お示しください。  また、七十五歳以上の後期高齢者医療制度については、平成三十・三十一年度の保険料率が、三月末までに各後期高齢者医療広域連合において決定されたところでありますが、厚労省の発表では、四月から、後期高齢者医療制度の被保険者一人当たりの保険料の平均額が、本県を含む三十六道府県で上がる見通しと公表されておりました。本県での状況はどれぐらいのアップなのか、また、他県との比較についてもお示しください。  これにて一回目の質問といたします。 30 ◯くらし保健福祉部長(中山清美君)保健医療行政に関する県の新たな計画に関して、保健医療計画における前期計画の評価と新たな計画の内容についてでございます。  第六次計画においては、早世の減少・健康寿命の延伸・QOLの向上に向けて数値目標を設定した上で、がんや救急医療等の五疾病五事業や、医療従事者の確保等の施策に取り組んだところであります。  掲げた数値目標の中には、七十五歳未満の脳卒中による死亡率や救急医療情報システムへの参加医療機関数など、目標を達成しているものもある一方、在宅医療を実施する医療機関の割合など、目標に達していないものもあります。  このようなことから、第七次計画においても、県民の健康づくりや疾病予防の推進などに継続して取り組みますとともに、超高齢社会に向けて、在宅医療を含めた医療提供体制の確保等について取り組みの強化を図ったところであります。  具体的には、保健医療に係る各種指標等に基づき、本県の地域的な課題の分析を行った上で、生活習慣病等の発症・重症化の予防、医師・看護師など医療従事者の確保、五疾病五事業の医療連携体制の整備などを推進するとともに、将来を見据えて、地域包括ケア体制の整備充実や病床の機能分化・連携の推進など、地域医療構想の実現に向けて取り組むこととしております。  これらの施策を推進するに当たり、生活習慣病に係る有病者数や、医療連携への参加機関数、医師数や看護職員の県内就業率、退院調整ルールを設けている二次保健医療圏域数等、主な施策に関連する十七の数値目標を設定しているところであります。  県としては、今後とも、市町村や関係機関・団体と連携を図りながら、本計画を着実に推進してまいります。  次に、医療費適正化計画の内容と適正化見込みについてであります。  医療費適正化計画については、一人当たりの県民医療費が全国平均を上回っていることなどを踏まえ、医療費を取り巻く現状と課題を分析し、医療費適正化に向けた取り組み等を記載しているところであります。  医療費の適正化に向けて、まずは県民の健康づくりを推進することが重要でありますことから、生活習慣病や感染症の予防、疾病の早期発見・早期治療を推進するとともに、後発医薬品の使用促進などによる医療の効率的な提供の推進にも取り組むこととしております。  また、数値目標については、特定健康診査の実施率など従来の目標とともに、予防接種率や後発医薬品の使用割合を追加したところであります。  県民医療費については、平成二十七年度の六千七百五億円に対して、八年後の平成三十五年度には、医療費適正化の取り組みを行わない場合、七千四百九十四億円が見込まれているところでありますが、医療費適正化計画に基づく取り組みにより、七千四百三十三億円となり、六十二億円の効果が見込まれております。  次に、地域医療構想調整会議における議論の状況についてでございます。  地域医療構想については、地域の医療提供体制の将来のあるべき姿を示すものとして、関係団体等の意見を踏まえて作成したものであり、その中で、平成三十七年の病床の必要量を県全体で一万九千九百四十四床と推計しております。  昨年度は、各構想区域において地域医療構想調整会議を二回から四回開催し、地域医療構想実現に向けた地域の課題や、公的医療機関等の役割を踏まえた病床のあり方について議論してきたところであります。  その中では、例えば肝属保健医療圏では、高度急性期を維持するためにはスタッフの確保が課題、熊毛保健医療圏では、在宅医療を推進するためには退院後の受け皿確保が必要といった意見があったところであります。  がん対策推進計画の内容と目標についてでございます。  平成三十年三月に策定したがん対策推進計画では、平成三十五年度までを計画期間とし、全ての県民が、がんを正しく理解し、がんの克服を目指すことを理念に掲げ、がん対策を総合的かつ計画的に推進するため、がん対策の基本的事項を定めております。  本計画においては、三つの全体目標と、目標達成のために十五の分野別施策を定めますとともに、それらを支える基盤の整備を図ることとし、がんの予防・早期発見、がん医療の充実、がん患者の就労を含めた社会的な問題などの課題に対して、重点的に取り組むこととしております。  これらの課題に対しては、がん検診受診率の向上を初め、新たに追加した小児がん患者の外来フォローを行う医療機関の増加、治療と仕事の両立支援などを含む四十の個別目標を設定しているところです。  次に、国保制度改革で期待される効果についてであります。  今回の国保制度改革においては、公費による財政支援の拡充により財政基盤を強化した上で、平成三十年度から、県が市町村とともに国保の運営を行い、財政運営の責任主体となって安定的な財政運営や効率的な事業の確保など、国保運営について中心的な役割を担うこととされたものであります。  こうした運営のあり方の見直しにより、高額医療費の発生などの多様なリスクが県全体で分散され、急激な保険税上昇が起きにくくなる。県が保険給付に必要な費用を全額市町村に交付することにより、予期しない医療費の増加等があった場合においても保険給付費の確実な支払いが確保される。県が統一的な運営方針を定めること等により、事務の効率化や広域化が推進されるといったことが期待されております。  この改革により、国保運営の安定化が図られ、ひいては国民皆保険の堅持に資するものと考えております。  後期高齢者医療制度における保険料についてでございます。  後期高齢者医療制度は、七十五歳以上の高齢者等を対象として、全市町村が加入している県単位の後期高齢者医療広域連合が運営しているものであります。  保険料については、二年ごとに保険料率の見直しがなされることとなっており、本年二月に県後期高齢者医療広域連合が決定した保険料率による四月からの本県の被保険者一人当たり保険料は、平均月額で昨年度と比べて一・七%、七十一円増の四千三百二十円となる見込みであります。なお、全国平均では一・二%、七十二円増の月額五千八百五十七円となっており、本県の状況としては、九州内では二番目、また全国では十番目に低い保険料額となっております。
    31 ◯子育て・高齢者支援総括監(地頭所 恵君)保健医療行政に関する県の新たな計画に関して、高齢者保健福祉計画の施策内容と計画目標についてでございます。  本年三月に作成した県高齢者保健福祉計画は、高齢化の進行に伴う要介護認定者や認知症高齢者の増加等を踏まえ、心豊かで活力ある長寿社会を目指してを基本理念に、健康づくりと社会参加の推進、地域包括ケアシステムの強化、認知症施策の推進、介護給付等対象サービス基盤の充実、高齢者の快適で安全な生活の確保などを主要施策としたところです。  また、本計画を実効性のあるものとするため、自立支援・重度化防止等に資する地域ケア個別会議を全市町村において実施すること、認知症に対する正しい知識と理解を持ち、地域で認知症の人やその家族に対してできる範囲で手助けする認知症サポーターを新たに三万人以上養成し、十八万人にすることなど、十四項目の目標を設定したところです。  今後とも、市町村や関係団体等と連携を図りながら、本計画の着実な推進に取り組んでまいります。    [き久伸一郎君登壇] 32 ◯き久伸一郎君 それぞれの事業において御答弁いただきました。  本県の保健医療計画の基本理念でも述べておりますが、県民が健康で長生きでき、そして安心して医療が受けられる、みんなが元気な鹿児島、県民の日常の生活や仕事、ライフスタイル、そのような視点で考えていきますと、極めて基本的な、重要な施策であります。  県保健医療行政としまして、第七次保健医療計画の成果がしっかりと出せるように推進していただきますよう要望いたします。  次に、奄美・沖縄世界自然遺産登録延期勧告についてお伺いいたします。  この件につきましては、さきの代表質問、そして一般質問でも取り上げられておりましたが、地元議員として視点を変えて質問させていただきます。  五月五日土曜日の地元紙に大きな見出しで、環境省より四日未明に国際自然保護連合─IUCN─が登録を延期するよう勧告したとの発表があったと報道されました。  環境省、県、地元市町村を初め、関係機関の皆様方もショックは大きいようでありまして、また新たな視点で再チャレンジ、登録に向けた体制の立て直しが急務である、そのような声が多かったのも事実であります。  まず、今回の登録延期勧告の要因と具体的な勧告内容についてお示しください。  近年、世界遺産への推薦後、IUCNから登録延期の勧告を受けた事例は何件あったのか。そしてその中で、課題を改善して何件登録されたのか、お示しください。  今後の県としての登録に向けての基本的な考え方と、再チャレンジするとのことでありますので、今後のタイムスケジュールについてもお示しください。  県として、登録に向けて、地元自治体、住民、国、沖縄県との連携はもとより、今後の具体的な役割分担は重要であると考えますが、県の御意向をお示しください。  次に、二〇一六年度及び二〇一七年度に、環境省奄美自然保護官事務所は、奄美にて特定外来生物のつる性植物ツルヒヨドリ、これは鳥のヒヨドリではありません、植物でございますが、これの分布調査を実施いたしております。  このツルヒヨドリは、猛烈な勢いで分布を広げることから、在来植物の育成環境に大きく影響するおそれがあり、IUCNが選定・公表する世界の侵略的外来種ワースト一〇〇のうちの一つに挙げられており、在来生態系への影響のみならず、農作物にも大きな被害を及ぼすことが懸念されております。  そこでお伺いいたしますが、現在、環境省が調査を行っているとのことでありますが、この特定外来生物ツルヒヨドリは、もともと奄美の在来種では確認されていないことから、侵入経路や奄美大島での分布状況、他の島には分布していないのか、また、防除対策についても伺います。  あわせて、ツルヒヨドリを含めた外来種の世界自然遺産登録への影響と今後の取り組みについてお示しください。  次に、今年度末の奄振法延長に向け、昨年度は総合調査が行われ、本年三月に報告書が取りまとめられたところであります。調査内のアンケート等において、交付金事業への評価が大変高かったことが印象的であり、群島民の延長への期待は非常に大きいと感じたところであります。  平成三十年度の奄美群島振興開発予算は、法延長後の奄美群島振興開発計画にもつながる重要な予算であり、国費ベースで公共事業百八十八億円、奄美群島振興交付金二十四億円の予算が確保されたところであります。  そのうち、奄美群島振興交付金を活用した事業として、市町村事業ですが、成長戦略推進交付金や農林水産物輸送コスト支援事業、航空・航路運賃軽減事業、交流需要喚起対策特別事業、また、沖縄との連携交流促進事業などが実施されているところであります。  今年度は、これらに加えて、成長戦略推進交付金の中にリーディングプロジェクト推進枠が新設されたところであります。  そこでお伺いいたしますが、新設されたリーディングプロジェクト推進枠の目的、テーマ、選定された事業及び交付率についてお示しください。  次に、公共施設等の老朽化対策の拡充について伺います。  地方自治体の財政力の脆弱性、東日本大震災、熊本地震被害等を踏まえて、公共施設等の長寿命化や新設に向け、平成二十九年度に公共施設等適正管理推進事業債が創設されました。地方公共団体にとりましては、公適債は、災害対策・長寿命化対策の視点から活用事業が拡充され、利点もあると思いますが、依然として、財政力の弱さ、公債費の増加等が懸念されるところであります。  そこでお伺いいたしますが、この公適債の事業内容、充当率、公適債を活用した県内市町村数と件数、また、平成三十年度の全国の計画額は前年度比で一千三百億円増額されておりますが、平成三十年度に活用を要望されている県内の市町村数、件数はどの程度あるのか、お示しください。  今後の状況に応じて、公適債の発行期限の延長は、基礎自治体にとりましては大変重要であると考えますが、県の見解をお示しください。  サトウキビ振興対策についてお伺いいたします。  平成二十九年産のサトウキビの生産量は、昨年七月の干ばつ、そして八月以降の台風等の影響がありまして、奄美地域で四十一万一千トン、種子島地域で十一万七千トン、県全体では前年比八三%の五十二万八千トンでありました。  また、低糖度被害が発生し、平均糖度が十二・三九度、これは基準糖度に達しない状況で、農家の手取り額も平年に比べて一トン当たり約千三百円の減額となることから、国や県も現地調査を行い、先般、さとうきび低糖度被害等に対する今後の対応が示されたと聞いております。  そこで、今回の対応についてお伺いいたします。  自然災害による低糖度被害への対応として打ち出された特別対策やセーフティネット基金の運用改善の概要、そしてその取り組み内容についてお示しください。  それと、さとうきび共済の支払い予定及び平成三十一年一月から始まる収入保険制度の概要についてもお示しください。  以上で二回目の質問といたします。    [知事三反園 訓君登壇] 33 ◯知事(三反園 訓君)奄美・沖縄の世界自然遺産の登録に向けた基本的な考え方についてであります。  国におきましては、先般のIUCNの記載延期勧告を受けまして、奄美の確実かつできるだけ早期の世界自然遺産登録を目指して、再推薦を行うため、推薦を一旦取り下げることを去る六月一日に決定したところであります。  今回の勧告におきましては、奄美のすばらしい自然が一定の評価を受けておりまして、推薦区域の見直しをすることで、世界遺産登録の可能性は十分あるとされております。今般の国の決定は、勧告の内容を踏まえまして、確実かつ早期の登録に向けた戦略的な判断であると理解しております。  国は、今後、IUCNの助言や有識者の意見等を踏まえながら、速やかに推薦書の作成作業等を進めるとしております。  県といたしましては、地元市町村等と連携を図りながら、こうした国の取り組みに協力するとともに、今回の勧告の内容を十分に踏まえ、遺産としての価値の維持、自然環境の保全と利用の両立、地域の機運醸成を図るための取り組み等をより一層推進し、確実かつできるだけ早期の登録がなされるよう、引き続き全力で取り組んでまいります。 34 ◯環境林務部長(藤本徳昭君)国際自然保護連合の勧告等についてお尋ねがありました。  まず、記載延期勧告の要因と勧告内容についてであります。  国際自然保護連合─IUCN─の勧告においては、記載延期の主な要因として、推薦地の連続性の観点から、沖縄の北部訓練場返還地が推薦地に含まれていないこと、遺産の価値の証明に不必要な分断された百ヘクタール未満の小規模な区域が複数含まれていることが指摘されております。このほか、私有地の取得の推進、侵略的外来種対策の推進、適切な観光管理の実施、総合的モニタリングの実施などが求められているところであります。  一方、今回の勧告におきましては、推薦地は、多くの国際的に重要な絶滅危惧種や固有種の生息地であること、推薦地の保護管理の状況は世界遺産としての要件を満たしていることなどが評価されておりまして、推薦区域の見直しにより、世界自然遺産登録の可能性は十分あるとされております。  次に、近年の記載延期勧告の事例についてであります。  世界自然遺産の新規の推薦において、国際自然保護連合─IUCN─の勧告により記載延期とされた案件は、過去十年間で十三件となっております。その後の状況は案件により異なっておりますが、推薦書の見直し、追加的説明の実施、指摘事項への対応などにより、最終的には十三件全てが世界遺産委員会において世界自然遺産に登録されております。  登録に向けたスケジュールについてであります。  登録に向けた今後のスケジュールについて、先般、環境省は、来年二月一日までの推薦書の再提出を目指したいとの意向を示したところであり、その場合、来年夏から秋ごろのIUCNによる現地調査、二〇二〇年春ごろのIUCNの勧告を経て、同年夏の世界遺産委員会において、登録の可否が審議されることとなります。  登録に向けた関係機関の役割分担についてであります。  国、本県及び沖縄県は、奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島の世界自然遺産の登録に向けて、地元市町村も参画する世界自然遺産候補地地域連絡会議を設置いたしますとともに、各島ごとに関係団体も加えた部会を置き、推薦地の適正な保全・管理を推進するため、相互に連携・調整を図ってきております。その結果をもとに、具体的な取り組み内容や実施主体を明記した世界自然遺産推薦地包括的管理計画や各島ごとの行動計画を策定したところであります。  県といたしましては、今回のIUCNの勧告内容や国の要請を十分に踏まえながら、今後とも、これらの会議を活用し、関係機関との連携強化を図るとともに、適切な役割分担を行い、世界自然遺産の登録に向けた取り組みを推進してまいります。  特定外来生物ツルヒヨドリの侵入経路等についてであります。  特定外来生物でありますツルヒヨドリは、中南米の熱帯地域を原産とする植物であり、国内では一九八四年に沖縄県で初めて発見されております。  環境省が昨年度取りまとめました調査結果によりますと、二十年ほど前に奄美大島に侵入したとの情報がありますが、島内各地で確認されるようになったのは数年前からであり、奄美市を初め四市町村、八カ所で生育が確認されております。また、侵入経路につきましては、生育環境のほとんどが道路ののり面でありますことから、のり面の緑化資材に混入して持ち込まれた可能性が高いとされているところであります。  なお、環境省や専門家によりますと、現在のところ、奄美大島以外の島での生育は確認されていないとのことであります。  特定外来生物は、外来生物法に基づき、国が直接防除を行うとされておりますことから、環境省は、昨年度から一部の生育地で防除作業を開始しており、今後、防除後のモニタリング調査も行うとしております。  外来種の世界自然遺産登録への影響等についてであります。  国際自然保護連合─IUCN─の勧告においては、外来種について、根絶に近づいているマングース対策や奄美大島のノネコ管理計画の策定などの取り組み等が評価される一方、推薦地の固有種等に影響を与えるその他の外来種についても、対策を拡大して実施することが求められております。  県におきましては、これまで、国や市町村等と連携して、奄美大島や徳之島におけるノネコ対策などに取り組んできたところでありますが、今回の勧告内容を十分に踏まえ、関係機関との適切な役割分担のもと、外来種対策をより一層推進してまいります。 35 ◯企画部長(古薗宏明君)奄振交付金事業のリーディングプロジェクト推進枠の目的、テーマ等についてであります。  今年度、奄美群島振興交付金を活用して新たなメニューとして設けましたリーディングプロジェクト推進枠は、奄美群島のさらなる産業振興などを図りますため、市町村等がみずからの創意工夫と、他の自治体や民間との連携により、地域特性を踏まえた施策を具体的に事業化することを目的としております。  この推進枠におきましては、事業費の負担割合を国十分の五、県十分の一、市町村十分の四とし、また、毎年度取り組むべきテーマを設定することとしておりまして、今年度は三つのテーマを設定いたしました。  まず、奄美らしい観光スタイルの構築のテーマでは、民泊事業者の育成、体験型プログラムの提供、旅行商品の造成、郷土食をテーマとしたイベントなど八事業を選定いたしました。  世界遺産ロード構築に向けた戦略的交流促進のテーマでは、沖縄県北部地域との広域的交流など三事業を、また、スポーツイベントなど奄美の特性を生かした産業振興のテーマでは、スポーツ合宿のためのトレーニング環境整備や各種大会での誘致活動など四事業をそれぞれ選定したところであります。  県といたしましては、国等とも連携しながら、市町村において、これらの事業が円滑に進むよう取り組んでまいりたいと考えております。 36 ◯総務部長(平木万也君)県内市町村における公共施設等適正管理推進事業債の活用状況等についてでございます。  公共施設等適正管理推進事業債は、公共施設等の老朽化対策を初めとする適正管理を推進するため、公共施設等総合管理計画に基づき実施する施設等の集約化・複合化、長寿命化、未耐震の市町村の本庁舎の建てかえのほか、除却等の事業を対象としており、充当率は九〇%となってございます。  県内市町村におきましては、昨年度、庁舎の建てかえや舗装による道路の長寿命化、施設の除却など、七市町で十件の活用があり、今年度は現時点で五市町・一組合、九件の活用が見込まれております。  公共施設等適正管理推進事業債につきましては、原則として平成三十三年度までの措置となっており、市町村においては、できる限り早期の取り組みが望まれるところでございます。  県といたしましては、公共施設等の適正管理を着実に実施することが重要であると考えておりまして、今後、市町村の意向や事業の実施状況、国の動向等を踏まえ、事業期間の延長要望の必要性などについて検討してまいりたいと考えております。 37 ◯農政部長(本田勝規君)サトウキビの低糖度被害対策についてでございます。  昨年十月の台風の影響等により、低糖度等の被害が生じたことから、国は、次年産に向けた土づくりや新植などの取り組み支援を内容とする特別対策を決定したところであり、種子島、喜界島、徳之島において、堆肥や土壌改良資材投入による地力増進対策などが実施されております。  また、セーフティネット基金の運用改善が図られ、これまでの台風、干ばつ、病害虫等の被害発生時の発動に加え、新たに収穫開始から一カ月間の平均買い入れ糖度が十一・五度を下回った場合にも発動されることとなったところであります。  この低糖度に対する発動要件は、平成二十九年産から適用され、種子島、喜界島、徳之島において、種苗確保対策やメイチュウ防除対策などが実施されているところでございます。  次に、さとうきび共済の支払い予定と収入保険制度の概要についてでございます。  平成二十九年産のさとうきび共済については、八月の共済金の支払いに向けて、現在、農業共済組合において損害評価を行っているところです。  収入保険制度は、対象作物を限定せず農業経営全体の収入減少を補填する仕組みとなっており、本年十月から加入申請が始まることとなっています。青色申告者を対象とし、補填金は、当年の収入が補償限度額を下回った場合に、下回った額の九割を上限としており、本県農業者の経営安定に資するものと考えております。  なお、サトウキビについては、農業共済制度との選択加入となっているところでございます。 38 ◯き久伸一郎君 企画部長にお伺いさせていただきたいと思いますが、今年度末の奄振法延長に向け、県が中心的に、積極的に取り組んでおられますが、これまでの社会資本整備いわゆる公共事業、これは一定の大きな評価がされている。また、今後も、必要かつ重要な公共事業については課題はあったとしましても、しっかりと推進していかなければならない。  前回の改正時に交付金事業が初めて創設されました。今回のリーディングプロジェクト推進枠、これもその一環ではあると思います。延長に向けて昨年度調査され、その中で産業の振興、そして住民に直接関係する交付金事業への期待が大変大きかったわけであります。交付金事業の拡充、予算額の増に関しましては、今後もしっかりと国へ要望するべきだと考えます。  もう一点は、補助率のかさ上げであります。この件につきましても、もう長年議論させていただきました。  ちなみに、沖振法でありますと、公共事業十分の九、非公共事業十分の八、奄振法では公共事業が十分の七から八、そして非公共が十分の五から七です。離島の市町村も財政は大変厳しい。補助率がかさ上げされることによって、交付金の推進も加速すると思うんですが、延長後も含めて、関係団体としっかりと連携して、国へ粘り強く要望していくべきであると考えますが、県の見解をお示しください。 39 ◯企画部長(古薗宏明君)奄振法の延長と、奄振事業の補助率のかさ上げについての御質問です。  奄振法の延長につきましては、現在、奄美群島振興開発審議会において審議がなされております。  四月の審議会では、県が昨年度実施いたしました総合調査の内容について説明を行いますとともに、知事が、奄美群島の自立的発展には、奄振法を延長し、社会資本の整備やソフト対策等の支援措置を一層充実させることが不可欠であるということで強く要望を行いました。  また、五月の審議会では、意見具申の骨子案が示されまして、平成三十一年度以降も法的枠組みによる特別措置を講じ、奄美群島の振興開発を積極的に推進することが必要であるとされたところであります。  今後ですけれども、七月には、この審議会による国への意見具申が行われる見込みでありまして、その内容を踏まえ、政府において、法改正等の作業に着手されるものと考えております。  県といたしましては、今後とも、奄振法の延長の実現に向けまして、県議会や県選出の国会議員の方々、それから地元市町村と一体となって国に働きかけてまいりたいと考えております。  それから、奄振事業の補助率かさ上げについてのお尋ねであります。  奄美群島の自立的発展を図りますためには、社会資本の整備はもとより、特に、ソフト事業に対する支援措置を一層充実させることが不可欠でありまして、まずは奄振事業の予算額が十分確保されることが重要であります。  その上で、沖振法の話もありましたけれども、奄美の市町村の厳しい財政状況などを考えますと、補助率の引き上げと地方財政措置の充実が望まれますことから、これらについて、現在、奄振法の延長に向けた国との協議の中でも要望を行っているところであり、引き続き、県開発促進協議会等を通じまして、国に粘り強く要望してまいりたいと考えております。 40 ◯き久伸一郎君 自席から、総務部長に一点お伺いいたします。  公共施設等適正管理推進事業債、いわゆる公適債、市町村単独事業ですね。これは総額で一〇%が地方公共団体の一般財源からの負担、九〇%に公適債を充てると。個別の事業においては負担比率の違う事業もありますが、交付税措置率は三〇%から財政力に応じて最大で五〇%という事業もあります。  それと、今年度になりまして事業内容が拡充されております。長寿命化事業の中で河川、港湾、砂防、治山、農道などの施設が追加されています。そして、ユニバーサルデザイン化事業が追加されております。  地方公共団体にとりましては大変使い勝手のいい公適債と考えるところでありますが、先ほどの部長の御答弁の中で、平成二十九年度はこれを活用したのが七市町の十件、そして平成三十年度は五市町・一組合の九件ですかね、それぐらいの活用。  一般論で考えますと、使い勝手のいいこの公適債に、なぜもっと手を挙げないんだろうかという疑問があります。地方公共団体もそれなりの事情はあると思うんですが、県内の市町村のそういう状況を把握しているんだったらお示しください。  それと、この事業も一年は経過したわけなんですが、全体的な評価についてもお示しください。 41 ◯総務部長(平木万也君)公共施設等適正管理推進事業債につきまして、県内市町村で活用されていない状況について、そして、この地方債に対する評価についてでございます。
     まず、市町村の活用状況についてでございます。  公共施設等の維持補修や更新等につきましては、公共施設等適正管理推進事業債のほかに、過疎対策事業債や旧合併特例事業債なども活用されているところでございます。市町村におきましては、それぞれの地方債の対象事業や財政措置等を勘案し、より有利な起債の活用が図られているものと考えているところでございます。  続きまして、公共施設等適正管理推進事業債の評価についてでございます。  本地方債を活用した市町からは、施設の長寿命化、未耐震の本庁舎の建てかえなどにより、公共施設の適正管理が図られるとともに、財政負担の平準化につながっていると聞いており、県といたしましても同様に考えているところでございます。    [き久伸一郎君登壇] 42 ◯き久伸一郎君 それぞれ御答弁いただきました。  奄美・沖縄世界自然遺産登録は、おおむね二年後あたりが目標だと考えます。そして、奄振法の延長、交付金の拡充、さらには公適債の推進、そしてサトウキビの振興、奄美群島民にとりましてはいずれも重要な課題でございます。関係機関としっかりと連携して、実現のためにしっかりと頑張っていただきますよう要望いたします。  残りあと一分でございますが、ことしは明治維新百五十周年、私も先般、式典に参加いたしました。三千名を超える多くの参加者がおられまして、そしてそのうちの二千三百名が小・中・高生でございます。私たちが今日、県政で推進している全ての事業は子供たちの将来のためにある、そのように私のみならず多くの参加者が痛感したと思います。  節目の年に、これからも若者たちが、艱難きわまりない厳しい国際情勢をしっかりと乗り越えていける真の日本人として、真の国際人として飛躍するため、この明治維新の役割、意義というものを共有し、未来へのメッセージにしなければならないということを強く感じた者の一人でございます。  これにて一般質問を終わります。(拍手) 43 ◯議長(柴立鉄彦君)次は、外薗勝蔵君に発言を許可いたします。    [外薗勝蔵君登壇](拍手) 44 ◯外薗勝蔵君 知事、お疲れではないですか。  県議会で一番くじ運の悪い男でございまして、一般質問の自民党の順番、くじを引きましたら、びりでございました。  早速質問させていただきます。  平成三十年第二回定例会におきまして、貴重な機会をいただきましたので、通告に従い順次質問してまいります。  三反園知事二年目を迎えられてのマニフェストと、かごしま未来創造ビジョンについてであります。  知事就任から、早いもので二回目の予算が示され、マニフェストの実現に向け、また、かごしま未来創造ビジョンの指針に沿った政策の展開に県民の皆様も期待しているところであります。  国においては、働き方改革の法案が衆議院を通過し、我が国の本格的な人口減少社会の到来や少子高齢化の進行、経済のグローバル化や技術革新の急速な進展などにより、社会のあらゆる面で大きな変革期を迎えており、国は、地方の財政健全化を求め、さらなる経済発展を進めていくものと、我々自民党安倍政権に期待するところであります。知事もまた、しっかりと自民党政権と向き合いながら、政策の実現に全力で取り組んでいらっしゃいます。  知事がマニフェストの政治姿勢の中で一番目に掲げていらっしゃることが、「聞こう!語ろう!対話の県政」であり、車座対話を全市町村で開催し、県民の声を直接聞き、積極的に耳を傾ける。まさに多忙な公務の合間を見つけ、精力的に車座を開催していらっしゃる姿は評価を得ています。  また、最近では、高校生と広く意見交換されておりますが、このように直接県民の声を聞かれ、多くの県民の期待がある中で、就任から二年目を迎えようとする知事の意気込みと、二年間を振り返って知事の所見をお聞かせください。  知事は、マニフェスト「政治姿勢とビジョン─鹿児島のために何ができるか─」と題して、問題意識の中で、地方自治体が独自で考えて実行していくことが求められるとされ、そのことが、かごしま未来創造ビジョンであると認識しているところであります。知事がよく言葉にされる、オール鹿児島、生まれてよかった、住んでよかった、鹿児島づくりというフレーズが、最近では各業界や団体の方々にも浸透し、「がんばろう東北」、「がんばれ熊本」のような全国版にはまだまだでございますが、県民の間にも、オール鹿児島で盛り上げようと一体感が醸成されてきたように思われます。  知事の思いとして、県民所得倍増計画がございます。鹿児島が持てる地域資源の再発見、鹿児島にしかない魅力を世界にセールスと掲げておられます。  そこで、知事の考えと取り組みをお伺いいたします。  次に、財政問題であります。  平成三十年度予算も執行の段階に入り、二カ月が過ぎました。予算編成前に七十八億円の収支不足が生じる見込みをクリアされ、さらに県有施設整備積立基金を積み増しされたと聞いております。県立体育館が大分実現に近づいたような気がします。  しかし、本県の厳しい財政状況には変わりはないものと思われますが、知事指示のもとに、岩切副知事を座長として行財政改革推進プロジェクトチームを立ち上げられ、本県財政の現状と今後の見通しを踏まえた行財政改革を着実に推進され、かごしま未来創造ビジョンにも、鹿児島の現状と課題の中で財政の健全化と明記され、かごしま未来創造ビジョンに掲げる施策を進めるために、その基盤となる持続可能な行財政運営を図っていくとされております。  そこで質問いたします。  一点目として、行財政改革推進プロジェクトチームの設置は短期的なものか、恒久的なものなのか、お伺いいたします。  二点目として、平成二十九年度の取り組みの成果、平成三十年度の取り組みの方針をお伺いいたします。  三点目として、県には財政調整積立基金のほか、三十に近い特定目的基金がありますが、基金の残高と取り崩し可能な基金がありましたら、お示しください。  四点目は、公債費のうち利子の償還額を教えてください。また、県債管理基金の運用利子の額もお示しください。  次に、中小企業・小規模企業の振興に関するかごしま県民条例に基づく平成三十年度推進計画についてお伺いいたします。  議員発議として県民条例をつくり、県としても数値目標を定めて、基本理念にのっとり、条例の十五の基本方針に基づき中小企業振興策を推進しますとされ、平成三十年度も手厚く予算措置していただきました。  特に、中小企業融資制度については、本県の中小規模事業者の資金繰り支援の拡充を図るために融資限度額を拡充し、創業者に対しても自己資金要件を廃止していただき、働き方改革、女性活躍の推進に取り組む中小企業に対して、運転・設備資金、小規模企業活力応援資金、新事業チャレンジ資金、観光・ものづくりパワーアップ資金など、各種支援の取り組みをしていただいております。新規事業として、若者のための県内企業就職応援事業、かごしまジョブ・トライアル推進事業などがあります。  本県の中小企業は、全企業数の九九・九%、全従業員数の八八・二%を占め、地域の経済・社会・雇用の各分野において大きな役割を果たしているのは語らずともであります。  そこで質問いたします。  一点目は、県内の景気の状況についてどのように認識されているのか、お伺いいたします。  二点目は、県内の倒産状況について、主な業種別を含めてお示しください。  三点目は、県中小企業融資制度の実績と代位弁済額をお示しください。  次に、県内各地域の経済状況についてお伺いいたします。  鹿児島県の統計協会が、市町村経済の構造、規模等をまとめた平成二十七年度の市町村民所得推計報告書を本年五月に発行しております。これによりますと、各市町村内で新たに生み出された市町村内総生産は五兆三千八百八十五億円で、前年度に比べ三・二%の増加となっております。市町村民所得は三兆九千二百九十七億円で、前年度に比べ二・三%増加したとあります。  また、統計課では、毎月発表している景気動向指数の鹿児島県内の主要経済指標の動きという項目において、人口の動き、賃金と労働時間、景気の動向、生産活動、特産物、雇用情勢、物価、消費関連、建設関連、企業倒産、このような動きをグラフにまとめ、指標として前年と比較するなどして、県内の景気動向を示しています。  しかし、地方の声として、なかなか物が売れない、受注が少ない、人手不足で売り上げが伸び悩んでいるなど、飲食業の総会でも景気のよい話は聞こえてまいりません。  これらの数値としては、確かに緩やかに回復していると思われますが、地方の実体経済の状況はそれほどよくないと思われます。  そこで質問いたします。  平成二十七年度市町村民所得推計報告書について、市町村内総生産の地域別概況などが掲載されていますが、地域別・産業別の特徴についてお伺いいたします。    [知事三反園 訓君登壇] 45 ◯知事(三反園 訓君)お答えいたします。  就任二年を振り返っての所見と今後の県政運営への意気込みなどについてのお尋ねでございます。  私は、知事就任以来、県民が主役の県政を実現したい、県民の生活を少しでもよくしたい、そういう思いで走り続けよう、そう決意し、取り組んでまいりました。  県内各地で開催しております知事と語ろう車座対話を初め、さまざまな機会に県民の皆様の声を直接伺い、真摯に耳を傾け、その声を県政に反映させる努力をする。また、災害が起こればすぐに現場に駆けつけ、スピード感を持って対応する。そして県民の生活を少しでもよくする。そうした県政を進めていきたいとの思いで取り組んできた二年でありました。  そのような中で、これまでの予算編成におきましても、子育て支援と高齢者の生き生き支援を重点施策の二本柱として、子育て世代が安心して子供を産み育て、高齢者が生き生きと安心して暮らせるよう、積極的に、重点的に取り組みを進めてまいりました。  あわせて、本県が有する多彩な魅力や強み─ポテンシャル─を生かす観光や農林水産業、医療・福祉、教育、産業・雇用などの各般の施策に加えまして、県民の安心・安全を守るための防災対策にも取り組んでいるところであります。  今後の県政運営に当たりましては、本県の厳しい財政状況を勘案しつつ、持続可能な行財政構造を構築するため、行財政改革推進プロジェクトチームを中心として、歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革を着実に推進するとともに、魅力ある本県のポテンシャルを最大限に生かせるよう、本年三月に策定したかごしま未来創造ビジョンで示した将来像の実現に向け、各種施策に全力で取り組んでまいります。  今後とも、県民が主役の県政を実現するために、多くの現場を訪れまして、県民の皆様の声を県政に反映させたいと考えております。  私が目指しております鹿児島、鹿児島に生まれてよかった、鹿児島に住んでよかった、そう思える鹿児島を目指し、これからも全力で走り続けようと思っております。  県民所得向上に対する考えと取り組みについてであります。  本県は、魅力ある観光資源や多様な日本一、安心・安全で豊富な食、豊かな自然環境など、多くの魅力や強み─ポテンシャル─を有しております。私は、このポテンシャルを最大限に生かして、県民の所得を少しでも向上させたいと考えておりまして、これまで、農林水産業や観光の振興を初め、各般の施策に取り組んできたところであります。  県産品を少しでも高く売ってブランド力を高め、生産者の所得を向上させることで、後継者が育っていくという好循環を何としても実現しなければなりません。今後とも国内外でのトップセールスに積極的に取り組み、県産品のブランド力向上、販路・輸出拡大などを図ってまいります。  また、各種プロモーションや情報発信を通じて、国内外からの誘客促進に取り組むとともに、鹿児島に来てよかったと思えるような、来て見て感動するまちづくりを進めるなど、さまざまな分野に取り組んでまいりました。和牛日本一の鹿児島黒牛を初め、かごしま黒豚、ブリ、カンパチなどのすぐれた県産農林水産物について、平成二十八年度の輸出額が過去最高となっております。  また、平成二十九年における延べ宿泊者数も八百万人を超え、伸び率は全国一位ともなっております。特に外国人に関しましては相当の伸びを記録し、また、クルーズ船の寄港数も過去最高となっております。こうしたよい流れをさらに上昇気流に乗せて、勢いをどんどん加速させていかなければならないと思っております。  本年三月に策定したかごしま未来創造ビジョンに基づきまして、本県が有する健康・癒やし・長寿に有益な地域資源、いわゆる鹿児島のウェルネスを活用した観光振興にも取り組んでいく必要があると思っております。  農林水産物の販路・輸出拡大などの攻めの農林水産業の展開、IoT、AIなどの革新的技術の導入による生産性の高い、競争力のある産業の振興など、県民の所得向上に資する施策の推進に全力で努めてまいりたいと考えております。 46 ◯総務部長(平木万也君)財政問題についてでございます。  まず、行財政改革推進プロジェクトチームの設置期間についてでございます。  行財政改革推進プロジェクトチームは、行財政運営戦略に基づく行財政改革を着実に推進するために、昨年度設置したものでございまして、終期につきましては特段定めておりません。  本県は、今後も一層厳しい財政状況が続くものと考えており、引き続き、このプロジェクトチームを中心に、歳入・歳出両面にわたる徹底した行財政改革に取り組む必要があると考えております。  続きまして、行財政改革推進プロジェクトチームの取り組みと成果についてでございます。  平成二十九年度におきましては、施策の妥当性・有効性・効率性などの観点からテーマを設定し、該当する事業等を選定して、重点的な検証、見直しをする事務事業見直しを実施したところでございます。  その上で、平成三十年度当初予算編成におきまして、その考え方を踏まえ、全事業についてさらに踏み込んだ見直しを実施したことなどによりまして、一般財源ベースで四十億円を確保することができたところでございます。  また、歳入確保策として、未利用財産の売却、使用料・手数料の見直し、ネーミングライツの活用などに取り組むことにより、十六億円を確保することができたところでございます。  平成三十年度におきましては、引き続き、事務事業見直しや歳入確保の取り組みを実施するとともに、中長期的な財源確保策の検討として、公の施設の利用者数をふやして利用料等の収入をふやすことや、指定管理者制度の活用を広げることなど、ソフト・ハードをより効果的・効率的に活用するための見直しなどを実施することとしているところでございます。  続きまして、本県の基金残高と取り崩し可能な基金についてでございます。  平成三十年度末における財政調整に活用可能な基金である財政調整積立基金及び県債管理基金の残高は、約二百五十億円の見込みであり、これを含めた本県の全ての基金の残高は、一千七百五十一億円となる見込みでございます。  財源が不足する場合などに取り崩しが可能であります財政調整積立基金や、県債の償還財源に充てる場合に取り崩しが可能である県債管理基金を初め、その他の特定目的基金につきましても、それぞれの設置目的のために取り崩すことが可能となってございます。  最後に、県債の利子と県債管理基金の運用利子についてでございます。  近年、金利が低位で推移しておりますことから、公債費のうち利子につきましては、平成二十九年度は、前年度と比べ二十四億円少ない百四十億円となってございます。  県債管理基金につきましては、満期一括償還までの長期間の運用が可能であるために、金融機関の定期預金より有利な債券を中心に運用しており、平成二十九年度末残高一千五十六億円に対しまして、約六億円の運用利子を得ているところでございます。 47 ◯商工労働水産部長(田崎寛二君)中小企業・小規模企業の状況と県内景気動向についてのお尋ねのうち、県内の景気の状況についてであります。  県内の景気状況につきましては、日本銀行鹿児島支店が六月六日に発表した金融経済概況によりますと、個人消費は底がたく推移しており、また観光は全体として堅調な動きが続き、生産も横ばい圏内の動きとなっているほか、雇用環境は有効求人倍率が高水準で推移するなど、全体として景気は緩やかな回復を続けているとされているところであります。  県内企業の倒産状況についてであります。  負債額一千万円以上の県内企業の倒産状況につきましては、民間の信用調査機関によりますと、平成二十九年度はサービス業が十九件、負債総額十一億五千七百万円、建設業が十七件、負債総額十七億八千万円、卸・小売業が十五件、負債総額七億三千百万円、製造業が七件、負債総額五億三千五百万円などとなっており、総計で六十一件、負債総額五十三億五千三百万円となっております。これは前年度と比較して、件数で四・七%、負債総額で八四・九%の減となっており、直近十年間で、件数は平成二十二年度の五十三件に次いで二番目に少なく、負債総額は最少となっております。  県中小企業融資制度の実績等についてであります。  県中小企業融資制度の融資実績につきましては、平成二十九年度は千七百六十四件、約百四十六億円となっており、前年度と比較して、件数、金額ともに約一二%の減となっております。  また、これまでの県融資制度の融資実績のうち、中小企業者が何らかの理由により金融機関に返済できなくなった場合に、保証機関が中小企業者にかわって返済いたします代位弁済につきましては、平成二十九年度は百七十一件、約十億一千万円となっており、前年度と比較して、件数、金額ともに約一〇%の増となっております。 48 ◯企画部長(古薗宏明君)県内各地域の経済の特徴についてであります。  平成二十七年度の市町村民所得推計結果につきまして、産業別の生産額を地域振興局・支庁の区域ごとに県全体に占める割合で見てみますと、第一次産業は、大隅地域が三九・六%で最も高く、特に農業は三七・九%となっております。第二次産業は、鹿児島地域二五・九%、次いで姶良・伊佐地域二二・五%で、うち製造業は、姶良・伊佐地域二四・九%で最も高く、次いで北薩地域二二・七%となっております。第三次産業は、鹿児島地域が四六・〇%と突出しております。  また、区域ごとの構成比で見てみますと、いずれの地域も第三次産業の占める割合が最も高く、六〇%以上となっております。特に鹿児島地域は八六・四%を占めております。姶良・伊佐地域、北薩地域につきましては、第二次産業の割合も高く、それぞれ三〇・五%、二九・七%となっております。このほか、南薩地域においては、第一次産業、特に農業の占める割合が九・五%と高くなっており、熊毛地域と奄美地域は、第三次産業が約八〇%と最も高くなっております。  一人当たり市町村民所得につきましては、県民所得二百三十八万四千円を上回っておりますのは、鹿児島地域の二百五十三万八千円のみでありますが、全ての地域で前年度を上回っているところであります。 49 ◯外薗勝蔵君 自席から再質問させていただきたいと思います。  総務部長、今、利子を教えていただきました。二つ合わせて三十億円ぐらいあるわけですけれども、この三十億円はどのものに繰り入れていらっしゃるんでしょうか。一般財源ですか、どこですか。 50 ◯総務部長(平木万也君)再質問にお答えいたします。  御指摘の金額につきましては、利子の償還に充てているものでございます。 51 ◯外薗勝蔵君 徹底した行財政改革をやっていくこと、これはすばらしいことだろうと思っておりますけれども、過去、税収の伸びをずっと見てみますと、ちょうど平成十九年にピークでありまして、それからどんどんどんどん鹿児島県の財政が悪くなっていっているんです。平成十九年といいますと、三位一体改革をやって、地方は、地方財源で柔軟に使えるお金がたくさん来るんじゃないかと思っていたんですけれども、鹿児島県財政はそれ以来、非常に悪くなっていっておりまして、一番悪い平成二十三年は、一千百億円ぐらいまで税収が落ち込んでいくんです。そして平成二十七年ぐらいから伸びているんですね。  過去十数年にわたって事業改革、機構改革、それから県内地域振興局等含めて非常に緊縮財政ということでやってきているんですね。先ほど部長のお話で、この行財政改革推進プロジェクトチームの効果が四十億円出たということでございますけれども、このプロジェクトチームを見て、県の職員の方々が予算を決めていくような気もするんですね。  そうしますと、どんどんどんどん萎縮していくんですよね。そういうことで、大変大事な財政のテーマかもしれませんけれども、財政調整に活用可能な基金の二百五十億円を今、積み込んでいかなければならないのかなと思うんですね。  幾ら税収一千四百億円を、鹿児島県民全部頑張って上げても、国の需要額で決まっていますから、税収が一千五百億円になっても需要額が上がっていけば、国から来る地方交付税は下がるんです。幾ら税収をどんどんどんどん上げても、交付税が減るんですね。  そうしますと、いつまでたっても財政調整に活用可能な基金の残高は二百五十億円の区域から抜けないということですから、税収が二十二億円上がった、そして県債の利子も頑張って百四十億円になって、二十四億円も少なくなった。そして預貯金の運用利子も六億円入ってきたということだったら、そういうのを積み立てていかなければならないと思うんです。そうしないと、また来年、消費税が一〇%になります。先ほど言ったように、平成十九年からずっと十何年間県財政が落ち込んだ理由は、国の三位一体改革なんです。そして、五%から八%に消費税を上げたあのあたりからまたおかしくなっていくんです。  そうしますと、我々鹿児島県として財政が非常に厳しいところで積み立てする余裕が僕はできないような気がするんですが、どうですか、部長。
    52 ◯総務部長(平木万也君)財政調整に活用可能な基金への積み増しについての御質問でございます。  本県の財政状況につきましては、御案内のとおり、扶助費が増加傾向にあることや公債費が高水準で推移することから、引き続き、厳しい財政状況が続くことが見込まれる中ではございますけれども、予算執行のさらなる効率化に努めますとともに、一層の歳入確保に取り組み、財政調整に活用可能な基金の充実・確保を図っていきたいと考えております。 53 ◯外薗勝蔵君 そのとおりなんですね。だから、今言うように、景気のいいとき、余力という言葉はおかしいかもしれませんけれども、前年度対比二十二億円も税収が上がったときぐらいでないとなかなかできない。  それと、金利の妥当性だと思うんですね。償還額は今、話を聞きましたけれども、その百四十億円の金利が毎年ですからね。そうしますと、銀行に偏っているんじゃないかという声もありますけれども、そこはどうですか。満遍なくやっていらっしゃいますか。 54 ◯総務部長(平木万也君)債券運用等に関しましては、銀行等満遍なくやらせていただいているところでございます。 55 ◯外薗勝蔵君 じゃ、一番金利の高いのと低いのは幾らですか。 56 ◯総務部長(平木万也君)今、手元に、具体的に債券運用に当たりまして一番高いところ、一番低いところの金利状況という資料はございませんけれども、債券運用に当たりましては、その運用時点において最も有利なものを運用できるように努めているところでございます。    [外薗勝蔵君登壇] 57 ◯外薗勝蔵君 それぞれ御答弁いただきました。  コメントは後ほどしたいと思います。  働き方改革についてお伺いいたします。  国は、今国会で働き方改革法案の成立を目指しています。働き方改革がもたらす本県の雇用状況と企業への影響について、中小企業経営者の方々から不安の声が聞こえてきております。  働き方改革は、一億総活躍社会の実現に向けた取り組みで、労働力不足解消の三つの対応策の一つに、働き手をふやす─労働市場に参加していない女性や高齢者─、二つ目に、出生率を上げて将来の働き手をふやす、三つ目に、労働生産性を上げる、以上の三点に取り組むということが働き方改革の概要であります。  具体的な三つの課題の一つとして長時間労働、二つ目に非正規と正社員の格差、三つ目に労働人口不足─高齢者の就労促進─があります。  県内の中小企業や中小店舗の店主が、時間外労働の法改正や三六協定の見直しなど、平均化する残業がどうなるのか、それと、同一労働同一賃金の法制度とガイドラインの整備を危惧していらっしゃいます。  そこで質問いたします。  一点目として、働き方改革は、中小企業の経営者の方々にとって、また働く従業員の方々にとって、どのようなメリットがあると認識していらっしゃるか、お伺いいたします。  二点目として、生産年齢人口の減少に伴う人手不足が心配されている中で、本県の生産年齢人口の推移についてお伺いいたします。  三点目として、少子高齢化による労働人口の減少が国の抱える最も大きな問題の一つであり、これを解決することが、働き方改革の最終的な目的と言われておりますが、今後の県の取り組みをお伺いいたします。  次に、公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場のエコパークかごしまについてお伺いいたします。  施設が完成し約三年が経過して、地元とのトラブル等、問題が発生したことはありません。しかし、完成したら県は地域振興策は忘れているのかということであります。  薩摩川内市に施設の計画を県が決めたときから、私も、地元の皆様に御理解いただくために何回もお伺いいたしました。廃棄物・リサイクル対策課の職員の皆様や地域振興局の職員の皆様も大変な御苦労をされたことを忘れてはなりません。  現在は、県内唯一の産業廃棄物管理型最終処分場として、県の産業廃棄物の適正処理や地域産業の振興に寄与しているところであります。  エコパークかごしまは、施設を受け入れていただいた地域の皆様の協力があってこそ、初めて可能になった施設であります。県が、整備の一環として、薩摩川内市を立会人にし、地元関係自治体や県環境整備公社と地域振興策に関する確認書を締結し、道路、河川等の整備を実施することを約束しております。  ことし四月に関係自治会から、県及び県環境整備公社、薩摩川内市に早期の実現を求める要望書が提出されました。薩摩川内市や県環境整備公社も、その意見を添えて県に早期整備を要望されたと聞いております。  特に、エコパークかごしまへの搬入道路につきましては、いまだに未整備区間が残されており、監視小屋前の道路は、廃棄物の搬入業者からも大型車両の通行に危険な状況であると聞いております。地元自治会も、過疎化や高齢化が進んでいて、地域振興策について、自分たちの代で実現するのだろうかと不安と危機感を募らせていると聞いております。  そもそも県の地域振興策は、施設の完成までに完了することとして、もし用地買収のために不測の状況が生じ、日程的に難しい場合は、施設完成後、可能な限り速やかに整備することとして、薩摩川内市を立会人として確認書を締結したものであります。開業後約三年が経過しても約束が果たされていないというこの状況が続きますと、地域の信頼を失ってしまうのではと懸念しております。  県との約束である地域振興策は早急に実施されるべきものと考えますが、道路や河川の整備状況をお示しください。  また、県へ要望書を提出した地元自治会や薩摩川内市に対して、道路や河川整備のタイムスケジュールを示すなど誠意ある対応が必要と考えますが、今後どのように進めていかれるのか、お示しください。  次に、犯罪被害者の支援についてであります。  最近、社会の安心・安全を脅かす犯罪が後を絶ちません。先日のテレビ番組でも、高速道路のあおり運転で若い夫婦が亡くなられて、そのときに同乗していた娘さんの話を聞いておりましたところ、泣きながらやめてくださいと懇願するけど、やめてくれず、暴力が続いた状況が、今まだ頭から離れないでいると悩んでいらっしゃる映像が映し出されていました。  また、身近な事件では、いまだ全容解明の捜査が続いております日置事件でありますが、私の地元から二人の女性の被害者が出ております。  ある日、突然起きる事件には、高齢者や子供などの弱者が被害にあったり、社会の不安をあおる事件が後を絶ちません。そのような事件には必ず被害を受ける方が出て、言葉で言いあらわすことができないほどのつらいことばかりではと思うのであります。  そこで一点目に、警察における総合的な犯罪被害者支援について、どのような取り組みを行っているのか、お伺いいたします。  二点目は、平成二十九年度における犯罪被害者給付金の支給状況についてお伺いいたします。  三点目は、警察における犯罪被害者に対するカウンセリングの体制及び平成二十九年度のカウンセリングの実施状況についてお伺いいたします。 58 ◯商工労働水産部長(田崎寛二君)働き方改革の県の対応についてのお尋ねのうち、働き方改革のメリットについてであります。  中小企業を含む民間企業等における働き方改革の取り組みは、働く方々の健康確保や仕事と生活の調和を図り、そのことが、会社を支える優秀な人材の確保・定着、ひいては企業の成長そのものにつながるものと考えております。  県といたしましては、県内企業において主体的な取り組みが進むよう、労働環境改善に向けた実践講座の開催、意欲のある中小企業への専門家派遣のほか、本年度から、働き方改革に取り組む企業を、かごしま働き方改革推進企業として認定することとし、今月十一日から募集を開始したところであります。  今後とも、鹿児島労働局など関係機関と連携を図りながら、働き方改革の推進に取り組んでまいります。  本県の生産年齢人口の推移についてであります。  本県の十五歳から六十四歳までの生産年齢人口は、直近の三年間、十月一日現在で、平成二十七年は九十二万九千七百五十八人、平成二十八年は九十一万二千七百九十一人、平成二十九年は八十九万五千七百九十八人と年々減少してきているところであります。  少子高齢化による労働人口減少への今後の県の取り組みについてであります。  生産年齢人口が減少する中で、本県経済の持続的な発展を図るためには、若年者等の県内就職促進と多様な人材が就労できる環境づくりが必要であると考えております。県では、新規学卒者を初めとする若年者等の県内定着やUIターンの促進を図るため、県内外で合同企業説明会等を開催しているほか、本年度は新たに、県内の企業、大学・短大、専修学校等が一堂に会し、県内企業等の魅力を発信する大規模なフェアを七月に開催することとしております。  また、結婚、出産等で就労を中断し、再就職を希望する女性に、就職に必要な情報等を提供するセミナーの開催、障害者雇用体験事業の実施、さらには、働く意欲のある高年齢者の就労拡大を図る生涯現役促進地域連携事業などにより、多様な人材が活躍できる環境づくりに努めてまいります。 59 ◯環境林務部長(藤本徳昭君)エコパークかごしまに係る地域振興策についてであります。  地域振興策につきましては、地元の要望等を踏まえ、これまで、エコパークかごしま周辺の道路や河川、上水道の整備などを進めてきております。  このうち、搬入道路については、これまでに約一千八百メートルの改良を終えており、未整備区間の約百メートルにつきましては、今年度、まずは必要な測量設計を行うこととしており、その上で工事に着手したいと考えております。  また、準用河川阿茂瀬川の改修につきましては、現在、下流部における護岸や阿茂瀬橋周辺部の整備を進めているほか、上流部においては用地買収等を行っているところであります。  地域振興策の進捗状況や今後のスケジュールなどについては、引き続き、地元自治会の方々や薩摩川内市が委員となっている会議の場などを活用し、十分な説明を行い、住民の方々の理解を得られるよう努めてまいりたいと考えております。  県といたしましては、地域住民の方々のよりよい生活環境の整備等に向けて、地域振興策の推進に取り組んでまいります。 60 ◯警察本部長(河野 真君)総合的な犯罪被害者支援の取り組み状況についてであります。  県警察では、犯罪被害者支援を運営重点の一つに掲げ、犯罪被害者等の視点に立った支援に取り組んでおります。具体的には、あらかじめ指定された警察職員が病院への付き添いや相談事への対応、捜査過程等に関する情報の提供などの支援を行っております。  また、犯罪被害者等の経済的・精神的な負担を軽減するため、公費による性犯罪被害者の診察、緊急の場合に使用する宿泊施設の確保、犯罪被害給付制度の運用のほか、臨床心理士等によるカウンセリングなどを実施しております。  次に、平成二十九年度犯罪被害者給付金の支給状況についてであります。  平成二十九年度の本県における支給件数は、犯罪行為により亡くなった方の遺族に対する給付が一件、重傷病を負った方に対する給付が一件、障害が残った方への給付が一件の合計三件で、給付総額は約二千二百万円であります。  次に、犯罪被害者に対するカウンセリングの体制及び平成二十九年度のカウンセリング実施状況についてであります。  県警察では、犯罪被害者等の深刻な精神的被害の軽減、早期回復を図るために、臨床心理士の資格を有する警察職員二名によるカウンセリングを行っているほか、犯罪被害者等の希望により、公費負担で外部の精神科、心療内科医師等の専門家によるカウンセリングを行っております。平成二十九年度は、警察職員によるカウンセリングを、十二人に対し三十二回、外部の専門家によるカウンセリングを、三人に対し七回実施しております。    [外薗勝蔵君登壇] 61 ◯外薗勝蔵君 道路における大型公共事業の創出についてお伺いいたします。  これまで、本県における県土づくり、いわゆる道路、河川、港湾などの社会基盤整備は、そのときの知事が、県の総合計画をおおむね十年を目安に策定し、歴代知事が総合計画の中で構想・実施し、実現半ばの事業は次の知事に受け継がれながら、全ての事業を県勢発展や県民の福祉向上を念頭に置きながら推進してこられ、時には無駄な公共事業、無駄な箱物と批判され、国の高度成長と経済対策に後押しされながら進めてこられました。そのことが県債残高を押し上げた要因の一つでもあると言われておりますが、こうした事業が今日の県勢発展の礎になっていることも忘れてはなりません。  計画ができるまでに十年、工事が始まるまでにさらに十年、県勢発展の礎となる社会基盤整備というものは、そのように長い年月を要するものであると聞いております。  私の地元甑島でも、橋をかけようと機運が高まったのが今から二十年前でありましたが、長い年月をかけてようやく完成間近であります。  一方、二十年前、三十年前から地域の要望がありながら、その当時の県内の経済状況が悪かったとか、地域の熱意が足りなかったなど、さまざまな要因で計画に至らなかった要望もあります。  例えば、県内に数多くある峠のうち、毎年冬になるとチェーン規制や通行どめになる道路が四路線あり、このうち、既に人吉市から伊佐市間の久七トンネルは完成し、出水市高尾野町からさつま町間の北薩トンネルも昨年度、完成いたしました。県都鹿児島市に近く、古くから要望があった入来峠、伊作峠については、峠越えの現道改良のまま取り残された感があります。  そこで質問いたします。  県勢の発展や快適で安心・安全な県民の暮らしを支える道路整備を進めていく上で、今後十年後、二十年後を見据えた道路整備の検討も必要と考えております。その検討に当たっては、入来峠トンネルや伊作峠トンネルなどの要望も念頭に検討すべきであると考えますが、県の考えをお聞かせください。  次に、寄洲除去について伺います。  九州各県持ち回りで行われております川内川総合水防演習が、知事も出席のもとにとり行われました。その中で、河川の課題として寄洲除去が話題になり、地域から多い要望の一つでもあります。  知事のマニフェストの、防災「安心して生活できる鹿児島、防災で日本一に!」の中に、「河川の寄り洲除去や治山工事など、ゲリラ豪雨や台風などによる自然災害を未然に防ぐための防災予算を確保します」とあり、今年度も予算を確保していただきましたが、予算執行を早目にしていただき、台風シーズンに備えなければなりません。  そこで、今年度の寄洲除去の予算と執行状況、できれば地域振興局等別にお示しください。  最後に、本県の有機農業政策についてであります。  農業再生と農業改革、農業を取り巻く環境が厳しい中で、食と食品の安心・安全が言われ、最近特に、食育でも、食の見直しと農業の再生、農業と環境が再認識されてきました。  国においても有機農業推進法を制定され、その指導のもとで、本県も有機農業推進計画を平成二十七年三月に改定されました。農業者が有機農業に従事しやすくするための取り組みの推進や、生産される農産物の生産、流通または販売に積極的に取り組むことの推進、有機農業者その他関係者と消費者との連携促進など、推進計画では五年間を対象としています。  推進計画改定から三年が過ぎましたが、現在の状況を具体的にお伺いしたいと思います。  一点目として、県の有機農家の戸数と栽培面積はどうなっているのか、お伺いいたします。  二点目は、有機農業に対する消費者の理解の増進の取り組みと成果はどうなっているのか、お伺いいたします。  三点目は、生産技術の普及など今後の有機農業に対する取り組みについて、お伺いいたします。 62 ◯土木部長(渡邊 茂君)今後の道路整備についてでございます。  半島地域や多くの離島など広大な県土を有し、移動手段を自動車交通に大きく依存している本県にとって、道路交通ネットワークの構築は大変重要です。しかしながら、本県の骨格をなす高規格幹線道路などにミッシングリンクが残されていることから、引き続き、重点的な整備に努める必要があります。  県といたしましては、産業の振興や地域の活性化、県民生活の安心・安全の確保を図る観点から、地域の御要望や整備の必要性・緊急性などを考慮し、計画的に道路整備を進める必要があると考えております。  ただいま御指摘の入来峠、伊作峠のトンネル化につきましては、多額の事業費を要することから、厳しい財政状況を考慮いたしますと、多くの検討すべき課題があると考えており、まずは事業中箇所の早期整備に努めてまいります。  続きまして、寄洲の除去の予算と執行状況についてであります。  寄洲の除去につきましては、氾濫を未然に防止する重要な対策であることから、河川を点検し、河川の断面が著しく阻害され、治水上緊急性の高い箇所から順次実施しているところであります。今年度の予算は、県全体ではありますが、平成二十九年度より三千万円増額した七億四千万円となっており、田海川など百十五カ所の寄洲を除去することとしております。  そのうち、梅雨期前の防災対策といたしまして三月までに早期発注するため、いわゆるゼロ県債五億二千万円を活用し、小倉川や高城川など百三カ所において、現在、寄洲除去を進めているところであります。  今後とも、寄洲の堆積状況を確認し、治水上緊急性が高いと判断される箇所から、できる限りの対応を行ってまいります。 63 ◯農政部長(本田勝規君)県有機農業推進計画の進捗状況についてでございます。  県では、環境と調和した農業に資する有機農業を推進するため、平成二十年から、県有機農業推進計画に基づき、有機農業者に対する支援等に取り組んでおります。平成二十七年に改定した現計画では、数値目標として、有機農業の取り組み面積をおおむね平成三十一年度までに一千ヘクタールにするとしており、平成二十九年五月時点での調査では九百二十二ヘクタール、農家戸数が四百四十一戸となっております。  消費者の理解増進につきましては、毎年、有機農業セミナーを開催するほか、県ホームページ、県政広報番組等の広報媒体や各種イベント等を活用したPR等を行うなど、広く周知を図っているところでございます。こうした取り組みにより、昨年実施した県政モニターアンケート調査では、有機農業に対する認知度が、計画改定前の六九%から七五%となっております。  生産技術の普及に向けては、これまで、有機農業推進プロジェクトチームによる栽培技術の検討や、有機農業者等を対象にした研修会の開催等に取り組んできているところでございます。加えて、今年度新たに、有機農業の手引きを改訂するとともに、有機農業者の団体等が行う規模拡大に向けた取り組みを支援することとしております。  今後とも、栽培面積拡大や生産振興に向け、有機農業者に対するきめ細やかな支援を行ってまいります。    [外薗勝蔵君登壇] 64 ◯外薗勝蔵君 それぞれ答弁いただきました。  取材していただきました職員の皆様方には大変申しわけありませんけれども、もう時間がなくなってしまいました。  一つだけ、有機農業政策についてコメントさせていただきたいと思います。  本日は知事、当選以来、知事室に毎週お花を生けていただいている鹿児島のグループの方々がお見えになっています。二年間も毎週ですから、なかなかできることではありません。知事のファンのボランティアの方だろうと思います。  有機農業については、大変地域で心配されております。特に、同じ農業をされる方々からの理解というのが大変でございます。きょうも鹿児島市内の方々で日置市吹上町野首で有機農業をされている方々もお見えでございます。  ようやく有機農業に対しての認知度が高まっており、ことしも五千七百万円ほどの予算を計上していただいておりまして、有機農家の団体の方々、それぞれ大変喜んでいらっしゃるところであります。  政治家の出処進退というのはかくあるべきものという言葉がございます。私の大先輩が人生百年時代などとうそぶいて、やり残した仕事があると。じゃ今まで何をやってきたのかという信じられない言葉でございます。多くの我々の先輩が国政を目指していきました。大変見事でありました。そしてしっかりと若い人たちにバトンタッチしていかれましたので、残念でなりません。力は力で倒すしかありません。若い人たちの奮起を期待しております。  そして、あと三回、議会はございますけれども、この場に立たせていただくのは、我が自民党、一般質問はたくさん候補者がおりましてなかなか難しいかもしれません。永田議員、まつざき議員、まだ十カ月ありますけれども、一般質問の機会が恐らくもうありませんので、議場から大変御苦労さまと言わせていただき、私の一般質問を終わりたいと思います。
     御清聴ありがとうございました。(拍手) 65 ◯議長(柴立鉄彦君)以上で、通告による質問は全部終了いたしました。  これで、質問は終結いたします。       ────────────── 66    △ 議案第七六号上程、質疑 ◯議長(柴立鉄彦君)次に、議案第七六号を議題といたします。  これより、質疑に入ります。  まつざき真琴君から質疑の通告がありますので、発言を許可いたします。    [まつざき真琴登壇] 67 ◯まつざき真琴君 私は、日本共産党県議団として、追加提案されました議案第七六号平成三十年度鹿児島県一般会計補正予算第二号について、質疑を行います。  本議案は、霧島山硫黄山の噴火による川内川への影響に伴う対策の経費として示されたものであります。  農家にとって全く予期しなかった硫黄山噴火で、ことしの水稲の作付を諦めざるを得なくなりました。伊佐米、湧水米という県内でも有数のブランド米の産地として、誇りを持って米づくりをしてきた農家にとって、ことしの作付を諦め、来年はどうなるのだろうかという不安を抱きながら、この一年を過ごすことになります。  農家は、ことしは耕作をやめて水稲の共済金を受け取るか、代替作物をつくって水田活用の直接支払交付金を受け取るかの選択をしなければなりません。しかし、共済に未加入の農家もあると聞きます。また、代替作物をつくろうとしても、田んぼによっては、今回予算が計上されているように、暗渠排水などの整備を行わなければ代替作物をつくれない農地もあると聞きます。  そこで、質問の第一は、水稲の共済金か代替作物の交付金かのどちらの選択もできない農家、つまり支援策から漏れてしまう農家はないのか、確認いたします。  補正予算には、暗渠排水の整備に向けた基礎調査等に一億一千万円、代替水源の確保に向けた調査に四千万円が計上されています。これらは、今後、硫黄山の噴火がどういう状況になるかわからない中で、湿田でも代替作物をつくれるようにすることや、代替水源から水を引いて稲作ができるようにすることのために必要な調査の費用であると考えます。  しかし、これらの調査の後の対策の内容や時期によっては、来年の作付に間に合うのかわからない、もし間に合わなければ、来年、水稲の共済金はない、代替作物もつくれない、そういう事態は生じないのか心配されます。  そこで、質問の第二は、今回の補正で行われるこれらの調査のその後の対策についての方針と、それに必要な経費の確保の見通しについてお示しください。  今回の対応については、県としても、直ちに現状を調査し、地元首長や農業・漁業関係者と意見交換を行い、その声を国に要望し、必要な手だてを講じられてきたことについて評価するものです。知事は、代替作物を作付する農家については、主食用米を作付した場合と遜色ない所得を確保するための道筋が示されたとされています。しかしながら、さきに述べたように、代替作物の作付ができない農家もあります。私がお話を伺った方は、もう力が抜けて、このまま農業をやめてしまおうかと思うと肩を落としておられました。  今、農家の高齢化、後継者不足など、それぞれの農家は課題を抱えながら、それでも田んぼを守り、おいしい米をつくりたいと頑張っておられます。それらの農家が、農業への意欲を失うことなく生活も成り立っていくためには、県が、関係機関とともに、きめ細やかに農家の相談に応じ、必要な対策を講じることが必要と思われます。  本日の山田議員の質問に対しての答弁がなされましたが、再度お尋ねいたします。  今後、硫黄山の噴火の見通しがわからない中で、この先、伊佐市、湧水町において、全ての農家が意欲を持って営農の継続ができるよう、今回の補正予算執行後も、県として、最後まで責任を持って、国や自治体、関係機関と協力して取り組んでいただくよう要望いたしますが、見解をお聞かせください。  以上、質疑といたします。 68 ◯農政部長(本田勝規君)補正予算につきまして、三点御質問いただきました。  まず、一点目の農家への支援策等についてでございます。  伊佐市、湧水町で水稲の作付を断念された農家の皆さんは、水稲の共済金か、代替作物を作付して産地交付金を受け取るかの選択を検討しているところでございます。  農業共済の未加入者であっても、代替作物を作付することで産地交付金を受け取ることができることから、代替作物の作付に取り組みやすくするため、今回の補正予算により、収穫作業等を委託する場合の作業料金を助成することとしたところでございます。また、代替作物の導入に対する農家の不安を解消するため、営農相談や栽培技術指導を行うなど、きめ細やかな対応をしてまいりたいと考えております。  暗渠排水の整備と代替水源の確保につきましては、各水田や代替水源の状況により対応が異なることから、今回の補正予算で提案した調査事業により、まずは現地の状況を把握し、農家の意向を確認するなど、しっかりと調査することが必要と考えております。その上で補助事業を活用するなど、丁寧に対応してまいります。  最後に、県の取り組み等についてでございます。  硫黄山については、依然として活発な火山活動が継続しており、河川水の水質悪化による農業への影響の長期化も懸念されております。このため、県といたしましては、農家の皆さんが今後とも安心して営農を継続できるよう、支援に必要な予算の確保を国に要請するとともに、現場の声にも耳を傾けながら、引き続き、関係機関・団体と連携して全力で支援してまいります。 69 ◯まつざき真琴君 今回の補正予算で終わりではなく、その後の対策についても全力で取り組んでいくということが確認できました。  このような災害というのは、残念なことではありますが、そういう事態に対して行政がどう取り組んでいくのか、農家や農業を守るために力を尽くしていく、その姿勢を示していくことが、今の農家を守るのみならず、今後、後継者や新規就農者をつくっていくことにつながっていくと思います。  今回の補正予算が、そういう意味で鹿児島の農業の将来に希望を与えることを期待して、質疑を終わります。 70 ◯議長(柴立鉄彦君)以上で、質疑は終結いたします。       ───────────── 71    △ 議案第六五号─議案第七六号(議案第七三号─      議案第七五号を除く)及び報告第一号委員会      付託 ◯議長(柴立鉄彦君)次に、議案の委員会付託であります。  今回提出されました議案第七三号から議案第七五号を除く、議案第六五号から議案第七六号まで及び報告第一号は、配付いたしております議案付託表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。  お諮りいたします。  議案第七三号から議案第七五号までは、会議規則第三十九条第三項の規定によって、委員会付託を省略いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり] 72 ◯議長(柴立鉄彦君)御異議なしと認めます。  よって、そのように決定いたしました。  これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 73    △ 日程報告 ◯議長(柴立鉄彦君)六月二十二日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、議案及び請願・陳情の委員長報告、質疑、討論並びに表決などであります。       ───────────── 74    △ 散  会 ◯議長(柴立鉄彦君)本日は、これで散会いたします。        午後三時二十一分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...