[田中良二君登壇](拍手)
3 ◯田中良二君 おはようございます。
一般質問の二日目、
トップバッターでございますが、質問通告に従いまして、順次質問させていただきます。
まず、
行財政改革についてでございますが、昨年九月の平成三十年度当初予算編成における
財政収支見通し─仮試算─、以下、仮試算と申し上げます。この仮試算において、
一般財源ベースで七十八億円の財源不足を公表されましたが、平成二十四年策定の
行財政運営戦略に基づく改革検討の結果、仮試算との比較では、歳出で五十億円のカットと、あわせて歳入を二十八億円の増収により、七十八億円の財源不足を解消されており、財政調整に活用可能な二百五十億円の基金造成など、改革の努力と成果を高く評価しながら、次なる改革に向けて質問いたします。
まず、歳出削減の取り組みについてですが、仮試算の
一般財源ベースの歳出見込みは五千五百五十七億円でありましたが、当初予算案では五千五百七億円となり、五十億円のカットであります。
歳出構造において、一般的に減額調整がしにくく、また財政構造をかたくする性質があります義務的経費の人件費、扶助費、公債費について、歳出総額に占める割合は、仮試算で七七%、当初予算案においても七六%と大きなものであります。
これら義務的経費については、
普通建設事業費等あるいは
一般政策経費に比べて、扶助費と公債費は仮試算と当初予算案との数字に大きな異動がありますが、歳出の各項目について、改革の検討経緯と、仮試算と比べて五十億円削減の要因についてお知らせください。
次に、歳入確保の取り組みについて質問いたします。
歳入につきましては、仮試算より当初予算案は二十八億円の増となっておりますが、質問といたしましては、歳入確保に取り組まれた六項目の中で、使用料・手数料の減免見直しに関して質問いたします。
県の
指定管理施設などにおける減免の取り扱いにつきましては、利用促進と福祉配慮の観点と同時に、受益者の応分の負担の考え方もあろうかと思いますが、使用料・手数料の毎年度の歳入は百二十億円前後、
うち一般財源ベースでは約十億円と安定した歳入であります。
まず、減免の見直しを検討された各施設の使用料・手数料については、障害者配慮を含め、減免の基準と規定の仕方は同じでしょうか。
次に、使用料・手数料の見直しにより、五十二件分で効果額三千二百万円、また、使用料・手数料の減免基準の点検を実施との説明がありますが、昨年九月の仮試算における使用料・手数料の減免見直しに関し、見直しの経緯と結果。減免基準の見直しによる平成三十年度歳入への影響額があるのか、歳入の増があるのかについてお答えください。
次に、平成三十年度の歳入構造─一般財源の内訳─の評価について質問いたします。
一般財源としましては、一款県税から十五款県債が計上されており、平成二十九年度比でプラス四十八億円は評価できるものであります。これらの各款について見てみますと、
地方交付税と県債、
臨時財政対策債の減収分六十六億円を、核燃料税の増収分七億円を含む県税と
地方消費税清算金がほぼ同額を補填する形となっておりますが、繰入金は平成二十九年度の約一億五千万円に比べ、プラス四十二億円と突出しております。
平成三十年度の
基金繰り入れにつきましては、財政調整に活用可能な三基金二百五十億円を取り崩すことなく担保しながら、
基金繰入金歳入二百七十二億円のうち、
鹿児島臨海環境整備基金の廃止により、四十五億円を一般財源としての繰り入れは、まさに厳しい改革の有言実行であり評価いたしますが、後年度に及ぶ
一般財源確保の手法としては、継続は厳しい面があるように感じております。
平成三十年度の
一般財源ベース五千五百七億円の歳入構造、一般財源の内訳につきまして、平成二十九年度との比較も含めてどのように評価されているか、お尋ねいたします。
次に、
臨時財政対策債について幾つか質問いたします。
臨時財政対策債につきましては、平成十九年度百九十四億円で、一般財源五千百三十九億円の四%、県債一千九十五億円の一八%であったものが、平成二十二年度は六百七十五億円、平成十九年度の三・五倍であり、一般財源五千二百七十一億円の一三%、県債一千二百五十一億円の実に五四%を占めるまでに増加しております。
まず、この十年間を振り返り、
臨時財政対策債の一般財源に占める割合を見てみますと、平成十九年度四%であったものが、平成二十二年度から二十六年度までの五年間は一〇%を超えております。そして県債の歳入は、歳出への充当財源としては、本来、その他特定財源でありますが、
臨時財政対策債は一般財源の取り扱いであります。
お尋ねしますが、まず、
臨時財政対策債の歳入面での位置づけとして、県債でありながらも貴重な一般財源として、
本県財政運営において、財源不足の解消を含めて極めて大きな役割を果たしていると考えますが、当局の見解をお知らせください。
次に、
臨時財政対策債の県債に占める割合を見てみますと、平成十九年度は一八%であったものが、平成二十一年度以降は、平成三十年度まで三〇%を超えております。中でも、平成二十二年度、二十三年度、二十五年度は五〇%を超えております。
そこでお尋ねしますが、
臨時財政対策債は、県当局の御判断で申請可能額の範囲内で申請されたものと理解しておりますが、県債の五〇%までも占める
臨時財政対策債の起債申請額の積算基準はどのようなものでしょうか。
次に、
臨時財政対策債につきまして、公債費歳出、借金返しの観点から質問いたします。
臨時財政対策債の各年度の予算額は、平成二十二年度の六百七十五億円を最高として、以後、減ってきておりますが、県債の残高総額と、そのうち
臨時財政対策債分の割合を見てみますと、平成二十年度の県債残高一兆六千百五十四億円のうち一千九百四十二億円、すなわち一二%であったものが、十年経過後の平成三十年度末は一兆六千七十五億円のうち五千二百九十八億円で、
臨時財政対策債分が実に三三%、過去最高の額と割合を占めることになります。
お尋ねしますが、
臨時財政対策債残高の償還計画はどのようなものでしょうか。何年度から残高が減少期に入る見込みでしょうか。
あわせて、
臨時財政対策債等を除く県債残高につきましては、
行財政運営戦略を策定した平成二十四年三月には約一兆三千億円であったものを、一兆一千億円程度にまで抑制するという目標でありました。
そして、平成三十年度末は一兆七百七十七億円で、平成二十八年度末より二年度間で約五百億円減の見込みであり、着実な改革の成果が出ておりますが、一兆円以下になるのはいつなのか、見通しをお聞かせください。
次に、県債残高のうち
臨時財政対策債分が過去最高の累積額となっていることを踏まえて、質問いたします。
その元利償還の公債費歳出が、後年度の
地方交付税の運用に与える影響は全くないものか、お尋ねいたします。
臨時財政対策債の元利償還額は、その全額が後年度に交付税措置されるとの制度説明でありますが、本県において県債残高の三分の一を
臨時財政対策債分が占める現状からして、その元利償還額が
基準財政需要額として今後、増嵩する一方であれば、必然的に、後年度に
地方交付税に占めるその措置額も連動してふえていくものではないでしょうか。しかし、その措置分の増に連動して、本県の
地方交付税の総額はふえていくものでしょうか。
そして、本県の
地方交付税が一定レベルの総額のままであれば、あるいは新年度までの六年度間がそうでありますように、減少していくのであれば、ふえていくその措置分を毎年度の
地方交付税総額から差し引きますと、結果的に、残りの真水の
地方交付税額は減っていくのではとの県民の素朴な見方もあります。
お尋ねしますが、年々ふえていく
臨時財政対策債分の公債費歳出が、後年度の
地方交付税の運用に与える影響の懸念について、全くないものか、見解をお示しください。
次に、持続可能な行財政構造の構築に向けた
行財政改革の着実な推進についてお尋ねいたします。
平成三十年度も、
行財政改革推進プロジェクトチームを中心に、
行財政運営戦略を踏まえて、引き続き改革を着実に推進するとのことですが、検討の方向性として、継続事項や新たな視点などは具体的にどのようなものか、お尋ねいたします。
行革の最後に、
地方一般財源総額の確保について質問いたします。
全国集計の経済指標では、かつてない好景気とされておりますが、地方において、市民・県民は生活の豊かさを皮膚感覚として実感されているでしょうか。また、我々地方行政、議会にかかわる者にとって、我が国の好景気なるものが、本県財政において歳入全体の増が数字としては見えていない現状であります。
地方の
一般財源総額の確保につきましては、根本的に、県債である
臨時財政対策債ではなく、地方の財政運営に必要な本来の
地方交付税の総額確保などを国に求めるべきではないのか、知事の決意をお聞かせください。
次に、
原発防災対策の充実について質問いたします。
まず、核燃料税の財源充当についてでございますが、核燃料税は、本県の
法定外普通税として設置され、使途について明確な規定はないものの、広く
原子力防災関連事業に充当される貴重な一般財源であります。平成三十年度の核燃料税は平成二十九年度比でプラス七億円、十八億四千三百万円が計上されております。
お尋ねしますが、今後五年間の核燃料税の
税収見込み総額と、その総額の財源充当について、使途の分野と区分ごとの金額はどのようなものでしょうか。避難経路の整備関連もあわせてお答えください。
また、PAZ、UPZ圏内の避難経路上の県道整備について、平成三十年度
整備予定箇所名を具体的にお示しください。
次に、
安定ヨウ素剤の事前配布についてお尋ねいたします。
まず、これまでのPAZ圏内の事前配布についてですが、平成二十八年度更新時のPAZ圏内の対象者数、受け取った方の人数、率はどのようなものでしょうか。直近の状況とあわせてお知らせください。
次に、提案されております、UPZ圏内の
安定ヨウ素剤の事前配布につきましてですが、UPZ圏内の居住者で、一定の要件に該当し、希望する住民に対して実施するものとされております。一定の要件とはいえ、規定の幅の広さからしますと、私や私の家族を初め、相当数の住民が要件該当者に入ると思われますが、本人の自主性を尊重して、希望する住民となりますと、数は絞られてくることも想定されます。
まず、UPZ圏内の
安定ヨウ素剤の事前配布につきまして、新年度四月以降の具体的なスケジュールについてお尋ねします。
また、事前配布前の説明会と問診につきまして、UPZ圏は当然にPAZ圏よりはるかに面積も広いわけですが、県と関係市町の連携のあり方、参加呼びかけのエリア、箇所数、時期などについて、また、医師、保健師などのかかわりについてお尋ねいたします。
以上で、一回目登壇の質問といたします。
[知事三反園 訓君登壇]
4 ◯知事(三反園 訓君)
地方一般財源総額の確保についてであります。
本県の自主財源が乏しい財政構造のもとで安定的に財政運営を行うためには、
地方交付税は極めて重要であると考えております。このため、
地方交付税につきましては、
社会保障関係費の増加や高水準で推移する公債費、地方の実情に即した地域活性化の取り組みなど、地方における必要な歳出を適切に
地方財政計画に反映し、その全国総額の確保を図るとともに、
臨時財政対策債等による毎年度の
地方財政対策による措置ではなく、法定率の引き上げなどによる恒久的な措置が講じられる必要があると考えております。
国の財政状況が厳しいということもありまして、六年連続で減少しておりますが、
地方交付税を含む
一般財源総額の確保が図られるよう、引き続き、
県開発促進協議会、
全国知事会等を通じて、国に対して強く要望してまいりたいと考えております。
5 ◯総務部長(寺田雅一君)
行財政改革についての御質問のうち、まず、歳出の各項目の検討経緯と増減の要因についてでございます。
歳出の検討経緯につきましては、
行財政改革推進プロジェクトチームにおいて、
事務事業見直しを実施することとし、施策の妥当性・有効性・効率性などの観点からテーマを設定し、各課が所管する事業等のうち、各テーマに該当する事業等を選定し、重点的な検証、見直しを実施したところでございます。その上で、
事務事業見直しにおいて示された検討、取り組みの方向性を踏まえ、全事業についても見直しに取り組んだところでございます。
また、歳入確保策といたしまして、未利用財産の売却、使用料・手数料の見直し、ネーミングライツの活用などに取り組んだところでございます。これらの取り組みによる効果額五十六億円と、収支見通しを上回る税収の伸びなどによる二十二億円とを合わせまして、七十八億円の収支不足を解消することができたところでございます。
各歳出項目の仮試算からの主な増減の要因につきましては、まず人件費は、給与改定の影響等による十五億円の増、扶助費は、
行財政改革等で
特定目的基金が確保できたこと等による四十九億円の減、公債費は、低金利での資金調達ができたこと等による二十二億円の減、
普通建設事業費等は、事業費を精査したこと等による四億円の減、税等交付金は、県税の増に伴う十三億円の増、
一般政策経費は、
事務事業見直しによる減や
県有施設整備積立基金への積立金の増などによる三億円の減となっているところでございます。
続きまして、使用料・手数料の減免見直しについてでございます。
使用料・手数料の減免の有無や減免基準につきましては、施設の設置目的や利用者、利用態様などを勘案して、それぞれの条例等において定めているところでございます。なお、障害者を対象とする減免基準につきましては、見直しの対象としていないところでございます。
使用料・手数料の減免基準の見直しにつきましては、
行財政改革推進プロジェクトチームにおいて、歳入確保の取り組みの一つとして取り組んだ結果、二件の減免基準を見直すこととし、平成三十年度の歳入予算において、約三千七百万円の増収効果があったところでございます。
続きまして、歳入構造の評価についてでございます。
平成三十年度の本県の一般財源は、
臨時財政対策債と合わせた実質的な
地方交付税が、県税の増等によりまして七十億円減少することが想定される一方で、県税等が、個人県民税の増収等によりまして六十五億円、繰入金が、
鹿児島臨海環境整備基金の廃止に伴う取り崩し等により四十二億円の増となることが見込まれることなどから、全体で四十八億円の増となっておりますが、依然として自主財源が乏しく、
地方交付税や国庫支出金、県債等の依存財源に頼らざるを得ない歳入構造となっております。
特に、
鹿児島臨海環境整備基金につきましては、二十七億円を
県有施設整備積立基金に積み立てるものの、十五億円を収支不足の解消に活用しているところであり、これは、御指摘いただきましたように、基金の廃止に伴う臨時的なものでありますことから、引き続き厳しい財政状況であると考えております。
このため、県といたしましては、
行財政運営戦略に基づき、産業振興等を通じた税収確保などに努めますとともに、
地方交付税を含む
一般財源総額の確保などにも取り組む必要があるものと考えております。
続きまして、
臨時財政対策債についてでございます。
臨時財政対策債は、国・地方とも巨額の財源不足を抱える状況において、本来交付されるべき
地方交付税の振りかえ措置として平成十三年度に創設されたものであり、その
元利償還金は、
地方財政法等の規定によって、後年度、その全額が
地方交付税の
基準財政需要額に算入されることとなっているため、本県といたしましては、
地方交付税と合わせて実質的な
地方交付税として取り扱っているところでございます。
臨時財政対策債は、例年七月に行われる普通交付税の算定におきまして、各団体の
基準財政需要額を算出した後に、当該額から一定の算式で発行可能額を算定した上で振りかえを行うものでございます。その算定方法は、当該団体の
地方交付税の
基準財政需要額と
基準財政収入額の差額を基礎とし、
財政力指数等を考慮した率を乗じた額により算出することとされております。
臨時財政対策債につきましては、おおむね発行年度から二十年から三十年の期間で償還する計画となっております。
なお、
臨時財政対策債は、地方財政法において特例措置とされておりまして、その発行額は毎年度の
地方財政対策において決定されるものであることなどから、残高について、今後の見通しをお示しすることは困難であると考えております。
臨時財政対策債を除く県債残高についてでございます。
今後の
臨時財政対策債等を除く県債残高の推移につきましては、国の
公共事業関係予算やその地方負担に対する
地方財政対策の動向、また、大規模災害の発生などさまざまな要因に左右されるという面があり、現時点で見通すことは難しいものと考えておりますが、今後とも引き続き、県債残高を継続的に減少させることによりまして、将来的には本県の公債費負担を軽減していくという
行財政改革の方向性に沿って取り組む必要があるものと考えております。
臨時財政対策債の
元利償還金が
地方交付税に与える影響についてでございます。
臨時財政対策債は、毎年度の新規発行に伴う残高の増加によりまして、元利償還金の額は増加する傾向にございます。その
元利償還金につきましては、
地方財政法等の規定によりまして、先ほど申し上げましたように、後年度、その全額が
地方交付税の
基準財政需要額に算入されることとされておりますが、地方財政における
社会保障関係経費等が増加傾向にある中で、その
元利償還金を含めた
地方交付税の総額が確保されなければ、結果的に、
地方公共団体の財政運営を圧迫することにつながりかねないことが懸念されるところでございます。
平成三十年度の
行財政改革推進プロジェクトチームにおける検討の方向性についてでございます。
行財政改革推進プロジェクトチームにおきましては、平成二十九年度に実施した
事務事業見直しで、当初の目的を達成している事業の見直しなどの厳しい行革、部局横断的な事業統合・連携などで相乗効果を生み出せるような見直しなどの攻めの行革といった二つの視点を示すなど、新たな取り組みも行ってきたところでございます。
平成三十年度におきましても、引き続き
行財政改革の取り組みを着実に推進するため、
行財政運営戦略の基本的な方向性に沿って、さまざまな検討を行ってまいりたいと考えているところでございます。
続きまして、核燃料税の税収見込みと財政需要についてでございます。
平成三十年度から三十四年度までの第八期の核燃料税につきましては、昨年の第四回定例会において条例案を可決していただき、現在、総務大臣に協議しているところであり、第八期五年間の税収の総額は約百三億円を見込んでいるところでございます。
原子力発電所立地に伴う第八期の財政需要につきましては、防災対策などの
原子力安全対策費として約十四億円、
環境放射線監視などの
環境保全対策費として約六億円、道路・港湾の整備等の
民生安定対策費として約二百五十九億円、漁港整備等の
産業振興対策費として約十一億円であり、事業費総額で約二百八十九億円、
うち県負担額は約百四十八億円を見込んでいるところでございます。
6 ◯土木部長(渡邊 茂君)
原子力防災対策のうち、避難経路上の県道整備についてでございます。
避難経路の整備につきましては、
原子力災害発生時の緊急避難・救援ルートを確保する観点から重要と考えており、これまで道路改良や橋梁の耐震対策などを進めております。
平成三十年度は、PAZ内において、
県道川内串木野線の薩摩川内市久見崎工区で越波対策を進めることとしており、UPZ内においては、
県道川内串木野線の薩摩川内市高江長崎工区や、いちき串木野市荒川工区、国道三百二十八号の出水市武本工区など、十五カ所で道路改良やトンネル・落石対策などを進めることとしております。
7
◯保健福祉部長(藤本徳昭君)まず、PAZにおける
安定ヨウ素剤の配布状況についてであります。
平成二十六年度及び二十七年度にPAZ圏内の住民に事前配布した
安定ヨウ素剤の使用期限は、平成二十九年一月末となっていたところであります。このため、薩摩川内市とともに、地元医師会・薬剤師会の協力をいただき、平成二十八年十一月から平成二十九年一月にかけて、計七回の配布説明会を開催し、新たなヨウ素剤を配布したところであります。
更新対象者三千二百十六人の八一・一%に当たる二千六百七人の方々に配布するとともに、新たに、三歳未満の乳幼児二十人にゼリー剤を配布したものであります。
今年度におきましても、配布率の向上を図る観点から、更新も含めた配布説明会を二回開催したところであり、平成二十九年十一月十九日現在、三歳未満の乳幼児三十二人を含む対象者四千二百六十三人のうち、六七・四%に当たる二千八百七十三人の方々に事前配布を行っております。
次に、UPZにおける
安定ヨウ素剤の事前配布についてであります。
県におきましては、UPZ圏内の住民で、障害や病気により緊急時の受け取りが困難であるなど、一定の要件に該当し、希望する方を対象に
安定ヨウ素剤を事前配布することとしております。
その手順としては、まず、UPZ圏内全ての世帯に事前配布に係るパンフレット及び
事前配布申請書を配布した上で、申請書の提出があり、要件に該当する方については、五月から順次開催する説明会において配布することとしております。
また、配布に当たりましては、対象となる世帯の把握や配布説明会の会場の確保など、関係九市町の協力が必要であり、現在、協議を進めているところであります。
なお、開催場所や開催箇所数等については、今後、配布を希望する方の人数等を把握した上で、改めて関係市町と協議することとしております。
配布説明会の実施に際しましては、PAZ圏内における配布方法と同様に、医師・薬剤師が服用の意義、服用方法や服用できない方及び保管・管理方法等について説明を行うとともに、保健師等が個別の問診等により、既往歴や健康状態を確認し、医師の最終的な判断のもとに事前配布することとしております。
[田中良二君登壇]
8 ◯田中良二君 それぞれに御答弁いただきまして、ありがとうございました。
まず、
行財政改革についてでありますが、平成三十年度の歳入におきまして、私は、一般財源のプラス要因としては、核燃料税の増収分と
鹿児島臨海環境整備基金繰り入れの増収、合計五十一億円のウエートが大きいと思っておりますが、プロジェクトチームを中心に、歳入・歳出全般にわたる改革検討を進めた結果、当初予算案において改革の成果が出ていると考えております。
なお、
一般財源ベースの歳出構造を振り返りますと、扶助費につきましては、平成二十年度七百六十六億円が、十年後の平成三十年度は一千十一億円、すなわちプラス二百四十五億円、三二%の増であり、社会構造的な課題もありますけれども、プロジェクトチームにおきましては引き続き知恵を絞っていただきたいと考えます。
なお、県債残高に関しましては、県独自分が減少したことは数字で報告、説明があり、評価いたします。しかしながら、総額自体は、私が県議になりました平成十九年、十一年前の一兆六千百十七億円とほとんど数字は変わっていないこと、また、県独自分の削減目標値が示されないこと、さらに、県債残高の内訳にあります
臨時財政対策債の性格は、県民の皆様に対して説明しにくい面があります。
県債残高につきましては、努力も認め、難しい面は理解いたしますけれども、県独自分を一兆円以下にすることとあわせて、総額を一兆六千億円以下にすることが、県民の皆様にとりましてはわかりやすい説明だと考えます。
また、
臨時財政対策債の制度は平成十三年創設であり、平成三十年度で既に十七年目、もはや臨時的措置ではないと考えられますので、知事におかれましては、丁寧な答弁をいただきましたけれども、持続可能な行財政構造の構築に向けまして、
地方一般財源総額の確保につきましては、恒久的な地方の歳入につながる制度改正を国に対して引き続き強く要請していただくようお願いいたします。
原子力の防災対策の充実に関連しまして、「核燃料税の五年間の税収見込みは百三億円」、避難経路の整備も「民生部門に含まれている」との答弁でございました。また、土木部長からは、「新年度整備予定箇所は十五カ所」という答弁もいただきました。
避難経路の整備につきましては、原発防災の観点のみならず、同じ道路が通学道路、生活道路、産業道路あるいは他の自然災害の避難経路にもなりますので、避難経路上の県道整備に引き続き積極的に取り組んでもらうようお願いいたします。
次に、特定有人国境離島地域における航路・航空路運賃の低廉化について質問いたします。
次に、鹿児島市南部地域への特別支援学校整備についてお伺いします。
桜丘養護学校は、平成二十二年、知肢併置化がなされ、年々在籍者数が増加しています。それに加えて、教育施設・体育館・運動場が手狭でプールもないなど、学校施設として多くの不備があること、さらに、桜丘養護学校の受け入れ児童生徒数は学校施設の規模からして最大九十名程度であることは、これまでの質問の中でも指摘させていただいております。そして、鹿児島市南部地域の保護者の一番の悩みは桜丘養護学校に高等部がないことで、桜丘養護学校に通わせたくても通わせられない、そんな事情があるのです。
そこで、新たに鹿児島市南部地域に高等部を備えた特別支援学校が整備されれば、武岡台養護学校のマンモス化が解消され、鹿児島養護学校、武岡台養護学校との均等化が図られることは明白であります。
昨年六月、会派の長田議員と桜丘養護学校保護者の皆さんと、学校の現状及び保護者の思いを知事にお知らせに伺いました。知事もその思いは理解されたと思っております。しかし、知事が子育て支援を二本柱の一つに掲げておられるのに対し、今回の当初予算には何ら反映されていません。自民党会派だけでなく他会派も同じ思いだと思います。大変残念な気持ちです。
せめて、鹿児島市南部地域の特別支援学校整備についての検討委員会の設置等について、予算が計上されてもいいのではないでしょうか。桜丘養護学校の現状や将来を思うとき、知事、教育長の思いも同じではないでしょうか。
鹿児島市南部地域への早期の特別支援学校整備について、知事の見解をお伺いいたします。
32 ◯教育長(古川仲二君)まず、桜丘養護学校の現状と課題についてでございます。
桜丘養護学校における平成二十七年度から二十九年度までの在籍者数は、各年それぞれ、八十五人、七十七人、八十八人であります。来年度の在籍者数については、進路未確定者があることや今後の転入学者が想定されることなどから、現段階ではまだ確定はいたしておりませんが、今年度の在籍者八十八人より増加する見込みであります。
また、桜丘養護学校におきましては、一部の特別教室を普通教室として活用するなど、狭隘化が顕在化しつつありますが、来年度、学級数が増加いたしましても児童生徒の教育活動が円滑に行われますよう、必要な教室の確保等に努めてまいりたいと考えております。
次に、鹿児島市南部地域への特別支援学校の整備についてであります。
鹿児島市南部地域への特別支援学校の整備の必要性については、桜丘養護学校の在籍者の推移やそれに伴う学習環境の状況変化等、さまざまな状況を総合的に検討する必要があると考えておりまして、それを踏まえて、今後の対応についても引き続き検討してまいりたいと考えております。
33 ◯大園清信君 知事と教育長に再質問いたしますけれども、まず教育長、平成三十年度の在籍者数は大体どの学校でも推定ができると思うんですよね。どこに遠慮されているかわからないけれども、ある程度の学校そのものの在籍者数はわかるはずだから、そこについてまず明確な答弁を行っていただきたい。
それから知事、平成二十八年三月、前伊藤知事が、鹿児島市南部地域の特別支援学校については、「谷山地域の人口増を考えるときにもうそろそろ考える時期に来ているのではないか」と、前向きの答弁をされております。
それから丸二年、鹿児島県議会においても、我が会派だけでなく他の会派の方々からも、ぜひ南部地域の旧農業試験場跡地、盲学校隣接地に整備していただきたいとの要望が続いているわけです。教育は未来への投資です。保護者の皆さんはもとより、議会の声でもありますことから、南部地域の特別支援学校の整備は県政の大きな流れだと思います。
ぜひ、南部地域の特別支援学校については、この三月、障害を持つ子供たちや保護者の皆様方に大きな夢と希望を与えていただくような、もっと前向きな答弁をお願いいたします。
34 ◯教育長(古川仲二君)来年度の桜丘養護学校の在籍者数の見込みについての再度のお尋ねでございますが、進路未確定の方がいらっしゃること、あるいは今後の転入学者が予定されている段階でございますので、確定的なことは申し上げられないということは先ほど申し上げたとおりでございますが、現段階で申し上げますと、百名程度ということになろうかと思っております。
35 ◯知事(三反園 訓君)私は、障害のある子供一人一人を大切にする特別支援教育に関しましては、推進してまいりたいと考えております。
鹿児島市南部地域への特別支援学校の整備につきましては、昨年、多くの保護者の方々に、大園議員、長田議員とともに、知事応接室にお越しいただき、熱い思いを聞かせていただきました。皆様の思いを重く受けとめて、対応させていただきたいと考えております。
私としては、実際に学校を訪問いたしまして学習環境を確認した上で、また、保護者の方々を含めて、さまざまな方々の御意見等を聞いた上で、必要な対応をとらせていただきたいと思っております。
36 ◯大園清信君 知事のスタイルであります、現場を見てからというその気持ちは十分理解させていただきました。
しかし、この南部地域の特別支援学校に関しては、もう待てないような状況であることは議会からも再三にわたって質問が出ているわけです。知事が桜丘養護学校を訪問して、保護者の方、また関係者の方々と話をする機会はいつごろ持たれる予定なのか、まずそれをお伺いします。
37 ◯知事(三反園 訓君)三月中には訪問して、必要な対応をとらせていただきたいと思っております。
[大園清信君登壇]
38 ◯大園清信君 知事、今の言葉を重く受けとめたいと思っております。
我々といたしましても、障害を持つ子供さん方、ピョンチャンオリンピックで活躍する選手の方、本当にすばらしい心の持ち主、またスポーツ精神、技術の持ち主だと思っております。しかし、障害を持つ方々がこの大会を本当に心から賞賛できる環境づくりというのは、まだまだ鹿児島にはでき上がっていない。
知事が「三月には」と言われましたので、三月には現地を見ていただき、保護者の方、そしてまた盲学校の隣接地の場所等を見て、できれば三月中に重い決断をしていただきたいということをお願いして、次の質問に入ります。
交通安全対策についてであります。
ゼブラマークや導流帯については、平成二十九年の第一回、第三回定例会において質問しておりますが、本会議場において警察本部長や土木部長に再三にわたって質問している、交通安全に対する私の、救急医療に携わる医師として、常に事故のない安全対策はいかにあるべきか、いつも心を砕いている思いを理解していただきたいと思います。
皆様方のお手元に資料ナンバー一があります。これは、議長のお膝元であります武町の武町交差点から鹿児島方面に行く交差点を示しております。Aが武町交差点、Bが武町交差点を過ぎた交差点であります。四年前には、このBの交差点は右折が可能な標識が設置されておりました。しかし、私は四年前にここにたまたま出くわして、右折する車がおり、後に車が大変並んでおりまして、なぜここに右折の印が必要なんだろうかと思って警察に連絡しましたら、一年かかってやっと、Bの交差点が終日直進という印に変わりました。
そこで、本部長にお伺いします。
本部長におかれては、ゼブラマークの必要性について、本会議での二回の質問に対し、「ゼブラマーク設置の基準に従って、できない」旨の答弁をされました。
時代が変わり、状況が変化する中、学校は災害時の避難場所であり、また、学校で緊急事態が発生した場合、校門は重要な出入り口です。交差点付近に隣接する学校校門や複雑な道路出入り口は、より安全な対策が求められると思います。時代変化に合った基準、より安全な基準の見直しを求める議論が地方議会であったことを警察庁でしっかり意見を述べることも本部長の責務かと思います。見解をお伺いいたします。
次に、土木部長におかれては、朝夕の混雑時に導流帯の現状をごらんになられたことがありますか。ごらんになられたら、導流帯の現状に対してどのような印象を持たれたか。
導流帯については、これまでの質問でもお話ししたように、朝夕の混雑時、導流帯上を走行し、接触事故が発生するおそれがあり、また設置の費用もかかることから、大胆な見直しが必要と考えますが、道路管理者の見解を改めてお伺いします。
次に、少年犯罪についてお伺いします。
過去三年間の少年犯罪の概況につきましては、我が会派の代表質問でも触れておりますので割愛し、奄美青少年支援センターゆずり葉の郷の取り組みに対する評価と連携についてお伺いいたします。
奄美市名瀬で、刑法犯少年や不良行為少年など反社会的な非行、犯罪を起こす子供たちに命がけで愛情を注ぎ、相談・支援、更生させている三浦一広氏の活動をまず紹介させていただきます。
三浦氏は、三十年以上前から青少年保護活動を始め、二〇〇〇年に民間ボランティア団体を発足、深刻な悩みを持つ児童生徒や保護者の相談に応じ、自立・共生を目指す支援活動を継続し、子供たちはいい出会いと環境があれば生まれ変わるとの信念を持ち、自己犠牲も顧みず二十四時間・三百六十五日、子供たちに向き合って活動しておられます。
私は以前、現在福岡市で保護司として活躍している女性と出会いました。その女性は、小学生のとき親が離婚、その後に飲酒・喫煙・深夜徘回を繰り返し、何度も補導されたが、三浦氏と出会い、「何度裏切られてもあなたを信じている」と言われ、次第に心を開いていったそうです。その女性の話を伺い、三浦氏は本当にすばらしい活動をされているのだと改めて尊敬することでした。
そして、三浦氏が主宰しているゆずり葉の郷を訪問するたびに、犯罪や非行に走った少年たちが、三浦氏との出会いで短期間のうちに変わっていく様子を目の前にして、三浦氏の子供たちにかける心からの愛情が、病んでいる子供たちを変えていくのだと深く思い知らされます。
三浦氏はいつも「虐待や家庭崩壊などで親からの支えを失い、養育される権利さえも奪われている子供たちが現実にいます。公的社会福祉制度の法の網の目からこぼれてしまった、そんな子供たちを何とか救いたい」との思いを持ち、「いかなる厳しい状況下でも、彼らの自尊心と自己肯定感を育むプロセスがあるとしたら何だろうか。人としての善のメンタル面を引き出し、過去を許し、存在を認め、褒め励まし、感謝することが一番の有効策だ」と信じ、三十年以上、走り続けておられます。
そのような三浦氏の活動によって、奄美市の治安が、県最下位から、現在、日本一の回復をなし遂げていると言われます。
そこでお伺いします。
警察本部長も実際にゆずり葉の郷を訪問されたと伺っておりますが、奄美青少年支援センターゆずり葉の郷のこれまでの取り組みに対する評価と連携についてお伺いします。
次に、山田インターのフルインター化についてお伺いします。
平成二十八年第一回県議会定例会において、指宿有料道路の事業変更が議会で承認され、ETCの設置、山田インターのフルインター化などが決定しました。現在、上下二基のETC設置によって、車両の流れがスムーズとなり、利用者に喜ばれていますが、料金の設定には問題があるとの批判もあります。
一方、フルインター化についても事業が進捗中です。
フルインター化に向けての現在の状況と今後のスケジュール及び建設費についてお示しください。
私は、山田インターフルインター化の多額の建設費を考えるとき、県当局がいつも口にされます費用対効果があるのか、県民の皆様に、山田インターをフルインター化してよかったと感じていただけるだけの利用者が実際にあるのか、当該地域に住む一人として疑問を持っております。
現在、朝夕の混雑時、山田農協前交差点と皇徳寺北口交差点間の車の渋滞が著しく、山田インター交差点の信号は時差がないために、県道三十五号から赤信号で右折する車両が多く、また、山田インターから県道三十五号に進入する際、渋滞がひどいときは一台か、時には全然入れない状況があります。現在、県警のほうで信号を時差式にしていただけるとのことで、赤信号無視は減少するものと思いますが、朝夕の混雑時のこれらの諸課題に対し、今後どう対応されるのか大変心配しております。
そこでお伺いします。
山田インターフルインター化に向けては、フルインター化の建設のみを近視眼的に捉えるのではなく、山田インターのフルインター完成時の姿を思い描いて、インター前後にどんな課題が生じるのか考え、先行してその課題に取り組む姿勢が大切であると思います。フルインター化に向けて、現在考えられる課題及びその課題解決に対する取り組みについてお示しください。
山田インターから中山インター間の無料化についてお伺いします。
平成二十八年第一回定例会におきましては、指宿有料道路の事業変更に関する議案が議会で可決され、指宿有料道路の事業変更を承認した一人として、今後新設される山田インターの料金について、考えられる課題を解消し、利用者増を図る一方、現在普通車で百円と設定されている料金を、将来どれくらいに設定するのがいいのか、私も県当局と一緒に真剣に考えねばならないと思います。そして、利用者が極端に少なければ、何年か後に、この区間だけでも無料にできないのか模索する必要も生じてくるものと思います。
この区間の無料化について、県の考え方をお示しください。
39 ◯警察本部長(河野 真君)交通規制基準とその見直しについてであります。
交通規制は、警察庁が示す交通規制基準に基づき実施しているところでありますが、この基準は、道路交通法などの規定に基づく全国統一的な基準で、平成十一年に示されており、関係法令の改正や交通環境等の変化に応じ、これまで八回、見直しが行われております。
警察庁では、交通規制基準の見直しに際して、各都道府県警察の意見などを聴取しているとのことでありますので、議員の御意見につきましても警察庁にお伝えしたいと考えております。
少年犯罪についてであります。
NPO法人ゆずり葉の郷では、非行等の問題に悩む少年の相談・支援や街頭での声かけ・指導、居場所づくりなどの活動を行っているほか、ゆずり葉の郷の少年たちなどで結成された奄美市青少年警護隊においては、自主的に防犯パトロールや環境美化活動などに取り組んでおられます。
県警察においては、ゆずり葉の郷とは日ごろから緊密に連携しており、協働して防犯パトロールやスポーツ交流会、環境美化活動などを通じた青少年の健全育成活動に取り組んできたところであります。
ゆずり葉の郷の長年にわたる幅広いボランティア活動に対する地域住民の信頼は厚く、県警察としても、このような地道な活動が少年の健全育成に貢献しているものと高く評価しているところであります。
今後とも、ゆずり葉の郷とより一層連携しながら、少年の健全育成に努めてまいりたいと考えております。
40 ◯土木部長(渡邊 茂君)導流帯の見直しについてでございます。
導流帯につきましては、これまで、道路法等の基準に基づき設置を行い、現場の交通状況の変化等により、必要に応じて見直しを行ってきたところであります。
導流帯の朝夕の混雑時の状況については写真により確認しております。右折レーンの滞留長が車両の増加に伴い不足し、乗り上げている車両が多い導流帯などについては、見直しが必要であると感じたところであります。
現在、産業道路の新栄町交差点において、右折車両が増加したことから、右折レーンを延伸し、導流帯の縮小を検討しているところであります。
今後とも、導流帯につきましては、日常のパトロールなどにより現場の交通状況を確認し、必要な場合は、公安委員会と協議の上、見直しを行ってまいります。
続きまして、土木行政に関しまして、まず、山田インターのフルインター化についてでございます。
山田インターのフルインター化につきましては、利用者の利便性の向上を図るとともに、周辺団地の渋滞解消にも寄与することなどから、道路公社において整備が進められているところであり、整備に要する事業費として約三十六億円を見込んでおります。
平成二十八年度に事業着手し、これまでに道路設計や橋梁などの構造物設計を進めてきたところであり、約九割の用地を取得しております。平成二十九年度中に、永田川を渡河する工事用橋梁の設置や改良工事に着手することとしています。
県といたしましては、道路公社などと連携を図りながら、山田インターのフルインター化の早期整備に努めてまいります。
続きまして、山田インターの周辺県道の渋滞対策についてでございます。
山田インターが接続する県道永吉入佐鹿児島線においては、朝夕の時間帯を中心に交通渋滞が発生しています。このような中、山田インターのフルインター化に伴いまして、山田インターに出入りする交通量がふえ、さらなる渋滞が懸念されているところです。
県道永吉入佐鹿児島線の渋滞につきましては、山田交差点や山田インター入口交差点の右折レーンの不足、また、星ヶ峯ニュータウン入口交差点の形状が原因の一つと考えており、対策といたしまして右折レーンの延伸等を検討する必要があります。
課題解決に向けては、道路公社と県の関係機関による連絡調整会議を開催し、フルインター化に伴う交通状況の変化等について情報共有を図り、課題への対応を検討しているところです。
県といたしましては、山田インターのフルインター供用時に円滑な交通が確保されるよう努めてまいります。
続きまして、新設される山田インターの料金についてでございます。
山田インターのフルインター化につきましては、地形が急峻なことから施工に多額の費用を要しますが、多くの方々から整備を求める御要望があることも踏まえて、利用者が費用を負担する有料道路事業を活用することにより事業化が実現したものであり、現時点で、この区間のみ先行して無料とすることは困難と考えております。
41 ◯大園清信君 土木部長に再度質問させていただきます。
山田インターの現状を考えると、先ほどもお話ししましたように、現在、朝夕の渋滞時になかなか県道の出入り口で進めない状況があるわけですね。これから山田インターがフルになった場合はもっと交通量はふえるわけですので、今のそういう状況をいつごろまでに解決するのか、どの地点を二車線にして、あるいはどの地点に右折をつくるんだというような、皇徳寺北口から山田農協前までの青写真を早目につくらないと、山田インターができてから考えましょうじゃ、遅いんですよ。
ですから、山田インターの前に早くそういったものをつくっていただきたい、もう少し危機感を持ってもらいたいと思っているんですけど、この山田インターから出た県道の整備について、部長の考え方を再度お伺いします。
42 ◯土木部長(渡邊 茂君)ただいま、山田インターの周辺の県道の現状認識についてお尋ねがありました。
先ほど申し上げましたように、県道永吉入佐鹿児島線、これが朝夕渋滞しているのは事実でございます。それも把握しております。また、そこに存在します山田交差点、山田インター入口交差点、星ヶ峯ニュータウン入口交差点、そういった交差点の問題等もあると考えておりますので、引き続き、課題解決へ向けましては、道路公社などとも連携をとりまして、フルインター化に伴う交通状況の変化等について、課題への対応を検討してまいります。
[大園清信君登壇]
43 ◯大園清信君 土木部長の答弁に対して、今度ピョンチャンではやりました、「そうだね」と言いたかったんですね。でも、もうちょっといい答弁があってもいいのかなと。かねて我々利用する者としては、今、解決しなければ、山田インターができる寸前までこの状態が続くのかと思うと、周辺住民の方は大変心配されておりますので、ぜひそこは部長、前向きに考えていただきたいと。
先ほど土木部長も含めて、本部長にも道路標示についてお伺いしました。ぜひ県警と土木部でしっかり現地を視察して、大胆な見直しも必要だと思っております。
私の自宅から事務所のある伊敷まで五カ所、こんな導流帯が必要なのかなという導流帯がいっぱいあります。県下でそういうのを洗い直ししたら相当な費用が浮くんだろうと。午前中、寺田部長が、県の財政を大変苦慮されていると。しかし、金がなければ頭を使う、我々はそういう姿勢でなければいけないと。ですから、ぜひそういったところもしっかり見直しして。補助金が十万円、二十万円カットされて困る団体もある。そんな中で、県の職員は自分のことのようにしっかり考えていただきたいと思っております。
また、何回も本会議場でこの導流帯の問題を指摘してきましたけれども、もう今回、最後にしますので、ぜひ本部長も土木部長も、悪いところは悪い、手直ししないといけないところは手直ししないといけないと思っていただいて、これからの県政に当たっていただきたいと思います。
少年犯罪につきましては、先ほど、ゆずり葉の郷の取り組みを紹介いたしました。私も、子供たちが病んでいる、本当に子供たちに寄り添って頑張れる人材というのはそんなにいないんだと思っております。子供たちの非行に取り組んでいる団体はゆずり葉の郷だけじゃないです。ぜひ県警の方も、そういう団体としっかり連携をとって、子供たちの居場所をつくっていただきたいと思っております。
それでは、次の質問に入ります。
保健・福祉行政についてお伺いいたします。
まず、知事、保健福祉部長には、曽於市の救急クリニックの開院に御尽力いただき、開設の見通しができましたことに心からお礼申し上げます。地元の瀬戸口議員初め、地元自治体や住民の方々は大変喜ばれています。知事に感謝しつつ、知事、保健・福祉という言葉には大変な重みがありますよね。知事が、くらし福祉部から、くらし保健福祉部に再考していただき、医療関係者の一人として大変感謝しております。
それでは、鹿児島県地域医療構想についてお伺いします。我が会派の代表質問にもありましたので、地域医療構想の目標年次と現在の進捗状況につきましては割愛し、地域医療構想についての進捗過程の課題について質問させていただきます。
平成二十八年十一月に策定された鹿児島県地域医療構想は、二〇二五年に向け、病床の機能分化・連携を進めるために、医療機能ごとに二〇二五年の医療需要と病床の必要量を推計し、定めるもので、高度急性期・急性期・回復期・慢性期の四機能に区分しています。そして機能分化・連携については、地域医療構想調整会議で議論・調整することとし、現在、構想区域ごとに協議が進められています。
その調整会議の構成メンバーには医療関係者が多く、医療を受ける側の意見が調整会議での議論に反映されるのか不安に思います。その不安の声を埋めるのが保健福祉部の役割ではないかと思います。見解をお伺いいたします。
ところで、昨年十月に開かれた県医師会役員と環境厚生委員会との意見交換会の議論の中で、曽於市に開院予定の救急クリニックに対して、医師会側からは、地域医療構想をもとに、県内は既にベッドオーバーであるとのことで、有床の救急クリニックに対して強い抵抗がありました。
しかし、地域によっておくれている救急医療や、不足している産科・小児科等については、今後、特例として病床の設置を認める場合も必要であり、新たにどうしても必要とされるベッドに対して、地域医療構想が大きな障害となる場合もあるのではないか、見解をお伺いいたします。
次に、発達障害についてお伺いいたします。
発達障害を持つ子供が、子供人口比の約六%前後に見られると報告され、発達障害児に対する対応が急がれます。本県においては、平成二十二年六月に県こども総合療育センターが整備され、これまで、県内の地域支援体制も充実してきております。
オリンピックは平和の祭典と言われています。北朝鮮の核ミサイル開発等、戦争への危機が問われる中、スポーツを通した戦い、力を出し切る姿には、国や肌の色を超えて人間の尊厳を感じます。二年後には東京でオリンピック・パラリンピックが開催されます。東京から、日本から、平和のとうとさ、スポーツによる感動と歓喜の発信を願うものであります。
ところで、第四次産業革命と言われる現在の情報化社会の技術革新・経営革新は、その先にあると言われる第五次産業革命、いわゆる超スマート社会に向けて、予測困難なスピードと経路で進んでいると言われています。
国におきましては、生産性革命と人づくり革命とを車の両輪とする、新しい経済政策パッケージによる新たな推進への取り組みが始まりました。地方におきましては、少子高齢化による人口減少が進んでまいります。
二〇二五年には、団塊の世代─昭和二十二年から二十四年に生まれた人─が全て七十五歳以上になるなど、超高齢化社会を迎えます。一方、外国人観光客の来日により、地域の交流人口がふえてまいります。今後、情報化社会と相まって新たな地方自治が問われることが予測されます。
このような中、向こう十年を目標として県政ビジョンが策定されましたので、今回はそのことも踏まえ、質問させていただきます。
一点目は、鹿児島空港についてであります。
鹿児島空港につきましては、外国人入り込み客の増加等、国際化に対応するため、池畑前議長を会長とする鹿児島空港国際化推進議員連盟の一人として、私は、民間への運営の委託、九州におけるハブ空港化、運用時間の二十四時間化など、中長期的な視点で検討を進めるべきであることを、この議場で再三申し上げてきたところであります。
今回の県政ビジョンでは、鹿児島空港については、空港や航空業界を取り巻くさまざまな環境変化に対応しながら、国際線ターミナルビルの充実など、観光や産業の活性化に資する機能向上に努めることが明示されました。
また、平成三十年度予算において、鹿児島空港の目指すべき将来像やその実現に向けて、必要な施策等について
調査を行うための事業費が計上されたところであり、一定の評価をさせていただくところであります。
そこで、今回の鹿児島空港将来ビジョン検討
調査事業について、事業の目的、検討委員会の構成メンバー、検討委員会での検討内容及び今後のスケジュールについてお伺いいたします。
次は、北薩横断道路についてであります。
道路の整備は、どのような時代にあっても、人・もの・情報の交流の向上を図るために極めて重要かつ必要なものであると考えています。県政ビジョンでは、地域高規格道路については重点的に推進することが明示されているところであります。
地域高規格道路の一つである北薩横断道路は、霧島市溝辺町の鹿児島空港から、さつま町を経由し出水地域に至る全線区間約七十キロメートルの地域高規格道路であります。このうち既に供用が開始されているのが三区間十四キロメートル、整備区間として事業実施が行われている区間が三区間の二十四・二キロメートルであります。
したがって、全線九区間のうち事業未着手区間は、霧島市の鹿児島空港から横川町の野坂までの区間と、さつま町の広瀬から泊野までの二区間で、約三十キロメートルとなっているところであります。
北薩空港幹線道路については、整備のための期成会を結成して、これまで国への要望を続け、大きな成果を見てきているところでありますが、国際化の進展に伴う空港の果たす役割がより高まる中、北薩地域と空港を結ぶ道路として早期の全線完成が望まれるところであります。
地域高規格道路の事業化に当たりましては、まず第一段階としての測量・
調査・設計、関係機関との設計協議、用地測量
調査等もろもろの事業の流れを経て、整備区間に格上げ指定、すなわち事業着手となると伺っております。
そこで、ただいま申し上げた未着手の二区間については、現在どのような作業に取り組まれているのか。また、整備区間への格上げ、事業着手についてはどのような見通しになるのか、お伺いいたします。
三点目は、ブロードバンドによる通信基盤の整備についてであります。
私は日々、高度情報化・技術革新が進展する今日の情報化社会にあって、離島や山間地域などを多く抱える本県においては、地域による情報格差のない社会を実現する必要があると考えております。
今回の県政ビジョンでは、条件不利地域においては情報通信基盤の整備が進みにくく、光ファイバー等の超高速ブロードバンドが未整備の地域が依然として残っており、地域間での情報格差が生じているため、その解消を図っていく必要があることを示しています。
そこで、次の点についてお伺いいたします。
一点目は、光ファイバーの整備状況についてであります。
二点目は、光ファイバーの整備は市町村等が主体となって、国の補助を受けて行うものであります。県が整備のための補助等を行うものではありませんが、県政ビジョンでは、地域間の情報格差の解消の必要性が述べられています。この県政ビジョンに示された方向性を実現するために、県は、市町村に対してどのような支援をしようとしているのか、お伺いいたします。
次は、地熱エネルギーについてであります。
県政ビジョンでは、エネルギー・環境問題への対応という視点で再生可能エネルギーへの取り組みの必要性が述べられております。一方、県政ビジョンの策定と並行して設置された鹿児島県再生可能エネルギー推進委員会において、去る二月十五日、再生可能エネルギーの新たな導入ビジョン案が示されたところであります。
また、平成三十年度予算では、エネルギーパークかごしま推進事業を新たに設け、地熱を含む再生可能エネルギーの推進に取り組むことを示されております。大いに評価に値するものであると思います。
再生可能エネルギーの一つである地熱発電については、私はかねてから、多くの温泉地を有する本県において有力な再生可能エネルギーであると認識し、その必要性を申し上げてきたところであります。
私が住んでおります霧島地区においては、大霧地熱発電所が既に規模の大きな発電を行っており、その周辺への拡充の計画が、住民の理解が得られないために中断している状況にあります。地熱発電の推進に当たっては、自然環境の保全といった視点でも、地域住民の方々の理解をどのような形で得るのかが重要であると考えています。
今回、再生可能エネルギーの新たな導入ビジョンでは、地熱発電は安定的な発電ができ、本県におけるポテンシャルも高いことから、更なる導入を促進することが明示されたところであります。また、留意事項として、ただいま申し上げた地域住民とのかかわりについても述べられているところであります。
地熱発電につきましては、地元が主体となってこれまで取り組んできたところでございますが、今回このようなビジョンを策定される県として、私は、より積極的な支援が求められると思っております。
そこで、県として、地熱発電について、地域住民の理解を得るためにどのような取り組みをしようとしているのか、お伺いいたします。
五点目は、認知症県民週間についてであります。
認知症は、本人や家族にとっては認めがたく、認知症が疑われる状態になっても周囲に知られたくないという考えや、認知症に関する偏見や誤った考えから、周囲とのトラブルや地域から孤立してしまうなどの問題が生じております。私自身、九十七歳の母を見送った経験から、このことを強く意識していた一人であります。
鹿児島県議会としてこのたび、認知症対策について、県民週間による啓発のほか、幾つかの認知症対策について、小園委員長、持冨ワーキング部会長のもと、政策立案推進検討委員会で取りまとめを行い、近く知事に対して提言を行う予定であります。私もその委員の一人として携わらせていただきました。
このようなことを踏まえて、県民週間について特化した質問を予定しておりましたが、公明党の代表質問で触れられましたので、積極的な取り組みを執行部にお願いして、質問を要望にかえさせていただきます。
これで、第一回目の質問を終わります。
55 ◯企画部長(東條広光君)県政ビジョンにつきまして、まず、鹿児島空港将来ビジョン検討
調査事業についてであります。
鹿児島空港におきましては、香港、ソウル線におけるLCCの新規就航や香港、台北線の増便など国際線の拡充が続いており、また、国内線も合わせた全体の利用者数は、平成二十九年に五百六十万人に達するなど増加傾向にあります。
この事業は、こうした国際線の新規就航や増便、国内線・国際線におけるLCCの台頭など、近年の空港や航空業界を取り巻くさまざまな環境変化を踏まえ、鹿児島空港の将来像やその実現に向けて、必要な施策等について
調査を行おうとするものであります。
調査に当たりましては、鹿児島空港を取り巻く外部環境の変化や空港機能強化について、有識者等の意見を聞きながら論点整理を行ってまいりたいと考えておりまして、詳細につきましては、今後検討してまいりたいと考えております。
次に、光ファイバーの整備状況等についてであります。
県内の各市町村における光ファイバーの整備状況につきましては、ほぼ全域で整備済みが十五市町村、一部地域で整備済みが二十三市町、全域未整備が五町村となっており、今年度は、十市町村が国の財政支援を活用するなどして整備を進めているところであります。
光ファイバーの整備に当たっては、まずは市町村が管内の光ファイバーの敷設状況やサービス利用に関する地域住民の意向を把握した上で、整備計画を策定することが重要と考えており、県としては、これに必要な助言等を行っているところであります。
また、国に対しては、
県開発促進協議会や
全国知事会等を通じ、整備費に対する補助率のかさ上げのほか、市町村が一部負担して民設民営方式で整備を行う場合の新たな支援策の創設、市町村が整備した施設等の更新や災害復旧等に対する支援、ユニバーサルサービス制度の見直しなどを要望しております。さらに、今年度からは、整備費に充当する過疎対策事業債等に特別枠を設けることも要望しているところであります。
光ファイバーは、地方創生の取り組みを進め、地域間の情報格差を是正するために必要不可欠な基礎的インフラでありますことから、県としては、今後とも、こうした取り組みを通じて光ファイバーの整備促進が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、地熱発電の導入促進に向けた取り組みについてであります。
再生可能エネルギーの新たな導入ビジョン案においては、安定した発電が可能な小水力、バイオマス、バイナリー方式による地熱について積極的に導入を促進し、それぞれ太陽光以上の伸びを達成することを目標としております。
地熱発電の導入促進については、導入可能性
調査への支援、かごしまグリーンファンドによる事業者への出資、エネルギーの地産地消に関するセミナーの開催などに取り組むこととしております。また、地熱発電の導入の促進には地域住民等の理解が必要でありますことから、住民や事業者、自治体等を対象とする、地熱を利用したまちづくりの研修会や県民等への普及啓発を図るイベントなどを開催することとしております。
県としましては、こうした取り組みにより、本県の恵まれた地熱資源を生かした再生可能エネルギーの導入を促進してまいりたいと考えております。
56 ◯土木部長(渡邊 茂君)北薩横断道路の未着手区間の取り組みについてであります。
北薩横断道路は、鹿児島空港と北薩地域を結ぶ延長約七十キロメートルの地域高規格道路です。これまで、野坂インターからさつま広橋インター間及び中屋敷インターから高尾野インター間約十四キロメートルを供用しております。現在、北薩トンネルを含む泊野道路や広瀬道路、阿久根高尾野道路など三区間約二十四キロメートルで整備を進めているところです。
残る未着手区間の鹿児島空港から野坂インター間及び広瀬からさつま泊野インター間につきましては、これまで、航空写真撮影による地図作成や概略ルートの検討などを進めております。これらの区間の事業着手につきましては、現在整備中の地域高規格道路の進捗状況等を見きわめながら、今後検討してまいります。
[鶴丸明人君登壇]
57 ◯鶴丸明人君 それぞれ答弁いただきありがとうございました。
一点目の鹿児島空港については、昭和四十七年に鹿児島県で国体が開催された年に開港したものであります。今回お尋ねいたしました鹿児島空港将来ビジョン検討
調査事業で検討する内容等につきましては、「今後協議していく」ということでございましたが、二年後は鹿児島で国体が開催されます。そのことを踏まえ、今後の検討状況を期待しながら見守ってまいりたいと考えております。
二点目の北薩横断道路につきましては、事業未着手区間である霧島市の鹿児島空港から横川町の野坂までの区間と、さつま町の広瀬から泊野までの区間について、できるだけ早く整備区間への格上げがなされるよう、特にこれは知事の行動力に強く期待いたしております。
三点目は、光ファイバー等、超高速ブロードバンドの整備についてであります。
お話がありましたように、いまだ未整備のところが多く、場合によっては、市町村の一定の区域においてまだその整備が届かないところもあります。私の住む霧島市では、旧国分市隼人町の一部及び溝辺町については既に整備済みでありますが、温泉地で外国人客の増加している牧園や霧島等については未整備であります。地域の住民の方々や外国人観光客等の利便性の向上、また霧島山の爆発等災害への対応を図るため、現在、その整備について検討がなされているところであります。答弁いただきましたような施策の実現を強く国へ働きかけるなど、県における側面的な支援をよろしくお願いいたします。
四点目の地熱エネルギーを含む再生可能エネルギーにつきましては、その取り組みを大いに評価しているところでございます。県として、さらなる積極的な取り組みを強く要望いたしておきます。
二項目めは、ポスト西郷どんについてであります。
平成三十年度は、明治維新百五十周年を記念して、式典を初め多彩な催事が予定され、また、NHK大河ドラマ「西郷どん」の放映効果など、鹿児島にとってはまさに追い風の年であります。
私はこれまでの議会で、明治維新の立て役者西郷南洲翁について、南洲翁遺訓の顕彰、道徳教科書への採択、西郷どん空港の呼称など質問し、提案してまいりました。
今回の明治維新百五十周年を記念しての各種のイベントは、明治維新の立て役者であり、また人間としての生き方を残された西郷公が主役となるものであります。幸いにもNHK大河ドラマも放映されています。
しかしながら、イベントは一過性のものであります。私は、西郷南洲翁については、この節目のイベントを生かし、次の節目につなぐ方策を検討していくべきではないかと考えております。そのために、道徳教科書を生かしていくことや、愛称としての西郷どん空港、西郷公の子息で、台湾の宜蘭県知事として足跡を残された西郷菊次郎公を顕彰しての姉妹盟約等、また、平成三十一年二月には、西郷公の人徳をしのび、勧業知事として本県の発展に尽力された加納元知事が没後百周年を迎えられます。明治維新百周年のときに、加納元知事の没後五十周年を記念して建立された顕彰碑が旧県庁跡地に残されています。当時の知事は金丸三郎氏でありました。
私は、明治維新百周年のときに計画、実施された加納元知事の顕彰事業と同様な取り組みを、今年の明治維新百五十周年を迎えるこのときにも何らかの形で、没後百周年を迎える加納元知事の顕彰を行う必要があるのではないかと思っております。これもポスト西郷どんにつながるのではないかと考えております。
今回は時間の制約もあることから、前二つに絞って、知事、教育長、関係部長に見解をお伺いしたいと思っております。あとの二項目については次の機会に質問させていただきたいと思います。
一点目は、道徳教科書についてであります。
国は平成二十五年、いじめ防止対策推進法の制定と合わせて、長年の念願であった学校における道徳の時間を必修の教科化に決定し、道徳教育の技術的改善・充実に取り組むこととしたところであります。それまで小・中学校で行われていた道徳の時間を、算数あるいは数学、国語と同様に正規の教科として、検定に合格した教科書を用いて、平成三十年度は小学校、平成三十一年度からは中学校で全面実施することとされました。そのための教科書につきましては、小学校は平成二十八年教科書検定、平成二十九年採択、平成三十年使用開始となったところであります。
このような状況を踏まえ、知事も御案内のとおり、西郷南洲顕彰会等、県内外九つの団体は、編集者並びに出版社等関係者に対して、南洲翁の遺徳をこの道徳の教科書に取り入れるよう要請活動を行ってこられたところであります。
この要請活動が功を奏したか否かは明らかでありませんけれども、教科書の出版を扱う八社のうち、教育出版と東京書籍の二出版社は、平成二十八年度に、西郷隆盛公をその教科書に載せて教科書検定を受け、合格いたしております。つまり、国が教科書として取り扱ってもよいというお墨つきを与えたわけです。
ここまではよいのです。問題は、この教科書を使用するかどうか、採択するかどうかは、県内に置かれた地区協議会が決定することになります。ここで採択が決定されれば、平成三十年度からいよいよ、道徳の教科書が使われた授業が県内の小学校で始まるわけですが、驚くべきは、何と鹿児島県ではこれらの教科書を使うこととした小学校は一校もなかったことであります。県外では、この二社の教科書が約三割の学校で使われるというのにですよ。問題はここです。大河ドラマ「西郷どん」がテレビ放映されている鹿児島で、西郷隆盛公を扱った教科書を使用している学校が一校もないということであります。
教科書の採択は、先ほど申し上げましたが、県内に十カ所置かれている採択地区協議会で決定されることになります。どのようなメンバーでどのような協議がなされたかはわかりませんが、他県で使われるのに、本県では採択されず使われないということは事実であります。
そこで、三点お伺いいたします。
一点目は、知事はこの結果をどのように認識されているのでしょうか。
二点目は、一年後の平成三十一年度には、採択地区協議会で教科書の採択について再度協議されることになります。二年間の間を置いてです。ここに向けて、本年度予算化されている道徳教育総合支援事業の教職員の研修の場で、このような教科書があるということをPRできないかということについてであります。
三点目は、中学校の教科書についてであります。
中学校の教科書については、平成三十一年度から使用が開始されます。ことしの七月から八月に開催される採択地区協議会で、本県で使用する教科書が決定されることになります。
伺うところでは、中学校で使う教科書については、教科書検定結果が四月にならないと明らかにならないということでありますが、私は、小学校と同じように、西郷公を記載した教科書が検定を受け、合格して出てくると思います。その教科書を採択するかどうかは、今年度開かれる県内十地区の採択地区協議会にかかっているということになります。
知事はいろいろな場所で挨拶される機会があります。その中でNHKの大河ドラマ「西郷どん」には触れられております。これと同様に、道徳教科書についての話もしていただきたいと思います。西郷を敬愛すると言われる知事です。私は採択を強く求める人間の一人ですが、知事のお気持ちをお聞かせください。
次は、西郷どん空港についてであります。
私は、昨年三月の議会で、鹿児島空港前に建立されている西郷隆盛公の立身大の銅像が、一九七七年西郷南洲没後百周年のときに制作され、身の丈が十一メートルと銅像の中でも国内最大級のものであること、その後十年を経た平成元年に、当時の溝辺町の有志の方々が移設のための募金を呼びかけ、現在地に移されたことを申し上げ、その活用について所見を述べさせていただきました。
明治維新百五十周年という節目に、西郷どんのNHK大河ドラマが開始されることも決まったことから、過去の銅像制作や移設の経緯を踏まえ、くしくも鹿児島空港前に建立されている西郷銅像に目を向けて、「これがよく見えるようにして、鹿児島空港に西郷どん空港という愛称をつけたらどうか」という質問をいたしました。
これに対して知事は、「空港があって、そして目の前に西郷さんの銅像があれば、多分インパクトはすごく強いと思います。来て見て感動するということはそういうことだと思いますので、どうにかして銅像がうまく見えるような形がとれないかと思っています」。また、愛称の空港ネーミングについても、私と同様、知事自身の思いを語られ、「今後設置する予定の明治維新百五十周年記念プロジェクト実行委員会の中で、今のままでよいのか、新たな空港名にするのかを含めて検討していただけるのではないかと考えています」と答弁されたところであります。
その後、この問題については、平成二十九年四月に設置された明治維新百五十周年記念プロジェクト実行委員会でいろいろ意見が出されましたが、その方向が取りまとめられるには至らなかったと聞いているところであります。
私は、そもそもこの委員会は、明治維新百五十周年記念プロジェクトについて議論し、方向を決定する場でありますので、空港の名称について、その方向が定まらないのは当然のことだと思います。ただ、私は、この委員会で知事が、議会での質問を踏まえ、委員の皆様に意向を問われたことは一定の評価をいたします。
私は、この委員会の議論の状況も聞かせていただきました。その印象では、この問題は、鹿児島空港のあり方について、将来に向けて鹿児島空港をどういった形にするのかといったような場で議論すべきではないかと感じたところであります。幸い、先ほど私が質問した鹿児島空港将来ビジョン検討
調査事業の中で委員会を設置し、もろもろの議論をしていく旨の答弁がなされたところであります。
知事、どうでしょうか。西郷どん空港の愛称についてはこの委員会で議論を深めていただけたらと思うのですが、見解をお伺いいたします。
これで、第二回目の質問を終わります。
58 ◯教育長(古川仲二君)まず、道徳教科書の採択に関する所感についてでございます。
教科書については、文部科学大臣の検定後、各採択権者は、教科書の採択に当たり、静ひつな環境を確保し、それぞれの判断と責任において公正かつ適正に行うことが求められており、今回の道徳の教科書採択に当たっても、各市町村教育委員会におきましては、さまざまな事項を総合的に判断し、採択教科書を決定したものと承知いたしております。
次に、中学校の道徳教科書の採択等についてでございます。
教科書の採択に当たりましては、外部からの働きかけに左右されることなく、採択権者の判断と責任において公正かつ適正に行うことが求められているところでございます。
このため、採択権者となる市町村教育委員会に指導・助言等を行う立場にある県教委といたしましては、教職員研修の場やさまざまな会合の挨拶等で、特定の教科書の内容をPRや紹介するということについては、市町村教育委員会が行う教科書採択への影響も考えられ、慎重に対応せざるを得ないものと考えております。
59 ◯企画部長(東條広光君)鹿児島空港の愛称についてであります。
鹿児島空港についての
調査検討事業につきましては、近年の空港や航空業界を取り巻くさまざまな環境変化を踏まえ、鹿児島空港の将来像やその実現に向けて必要な施策等の
調査を行おうとするものであり、先ほど答弁申しましたとおり、その詳細につきましては、今後検討してまいりたいと考えております。
60 ◯鶴丸明人君 自席から、教育長及び知事に再質問させていただきます。
教育長の立場では、公平・中立な立場の協議会に対する発言はできないと、これは理解できるんですが、私が申し上げたのは、ことし新たな事業を設けられて、先生方に対して道徳教育のあり方を含めていろいろ話をされるわけです。その中で、鹿児島県は採択していないんだけれども、こんな教科書もあるんですよと。協議会の話じゃないんです。それはやれないということは理解できません。もう一回お答えいただきたいと思います。
知事、教科書の問題で一点であります。
知事は政治家なんです。特に西郷を愛されていると。西郷の話をされるときに、テレビのドラマがありますよと、ありがたいことに、八社ある道徳教科書の会社の中で二社が西郷公を取り上げた教科書をつくったんですよと。歴史の教科書じゃないんですよ、道徳教科書という新たに設けられた事業の中での話であります、私は誇らしいことだと思います。そういう話を機会あるときにされたらどうでしょうかとお話したんです。知事の御見解をお聞きしたいと思います。
61 ◯教育長(古川仲二君)教科書採択について再度のお尋ねでございますが、先ほど申し上げましたように、教科書の採択に当たりましては、外部からの働きかけに左右されることなく、採択権者の判断と責任において公正かつ適正に行うことが求められているということは申し上げるまでもないことでございます。
採択権者となる市町村教育委員会に、私ども県教委としては指導・助言を行う立場にあるわけでございますが、私どもの教育委員会の管轄下にある教職員の研修という場といえども、特定の教科書をPRするということについては、市町村の教科書採択への影響を考慮しますと、慎重にならざるを得ないと考えているところでございます。
62 ◯知事(三反園 訓君)教科書採択に関しましては、今、教育長の言ったとおりでありまして、立場も同じかなと思っております。
そして、きょう、鶴丸議員のいろんな西郷さんに対する思いというのを聞かせていただきました。その思いに関しては同じところがあります。明治維新百五十周年のいろいろな記念事業をやっておりますけれども、次の世代を担う、鹿児島を担う若者が、西郷公を初め、郷土の先人たちの志や行動力に思いをはせ、今後の鹿児島のあり方などを考えることは重要だと思っております。
今後、西郷公を含めて明治維新に関する作文コンテストなども、予定されているところであります。さまざまな機会を通じて考えていただくことは大事だと思っております。
また、明治維新をなし遂げた鹿児島の先人の自信と勇気を学ぶとともに、こうした若い人を育てた歴史と風土を生かして、次の世代の地域を支えるリーダーづくりなど、教育、人材育成には力を入れていきたいと思っております。
63 ◯鶴丸明人君 西郷どん空港の問題について、知事にお尋ねいたします。
知事は、私が先ほど申し上げましたように、議会の中でもしっかりと、西郷どん空港という愛称の問題については、「実行委員会にもかけてみたい」ということを言われております。
他県でも愛称というのはたくさんあるわけです。いろいろな意見もあろうかと思います。私は、アンケート調査をしてもいいと思うんです。せっかく今回新たに、鹿児島空港の将来に向かっての調査検討される場があるわけですから、その場の中でぜひ議論していただくと。この点についての知事の気持ちをお聞かせください。
64 ◯知事(三反園 訓君)空港の名称につきまして、鶴丸議員の思いはよくわかります。私自身の思いもあるわけですけれども、ただ、空港というのは、その県の玄関でありまして、また、みんなの玄関ということでもありますので、その名称ということを考えたときに、ある程度のオーソライズ、同意というものも必要になってくるかなと思っております。
また、鹿児島空港の前には、これは日本一の高さであるんですかね、そこらあたりは鶴丸議員のほうがお詳しいと思いますけれども、西郷さんの銅像があります。この銅像を鹿児島空港におりた方々が近くで見られるような、そういったインパクトのあるものができれば、そこでも西郷さん、西郷どんということがより印象的になるのかなと思っておりますので、そういった点に関しまして、鶴丸議員のお力添えもいただければなと思っておりますので、よろしくお願いいたします。
[鶴丸明人君登壇]
65 ◯鶴丸明人君 ただいま答弁いただきました。
道徳教科書の問題については、私は、採択協議会の関係の方々にとお話申し上げているわけではないんです。学校の先生たちの研修の場がありますよね、そのときは、道徳をどういう形で教えるかということについては、他の例も引きながら、鹿児島県がつくった「郷土の先人」というものを引きながらやられるわけですので、その中で、実はこういう教科書もあるんですよと言われることが、採択とつながるとは全く思っておりません。教育長、これはぜひ一考をお願いいたしたいと思います。
私は、直接子供たちが授業の中で学ぶことは非常に大きな意義があると思っているんです。今、テレビで放映されている、そういったことを踏まえて、もっともっと知事もいろんな機会に形で示していただきたいということを強くお願いしておきます。
西郷どん空港につきましては、今、お話がありましたように、そのとおりなんです。いろんな角度で検討しなければならないと思っておりますが、知事、一旦人間言ったら、鹿児島人はうそを言うなと、腹を切らないかんわけです。それぐらいの思いで、あの強い思いを言われた。私はそのことは多くの方々に通じると思います。ただ、いろんな方々の合意を得なければならないということもよくわかりますので、その点についてはお話のあったことも踏まえながら、一生懸命勉強しながら、また知事にも申し上げてまいりたいと思います。
さて、郷中教育の中では、「負けるな、弱い者をいじめるな、議を言うな」という教えがあります。私も、このことを人生の教訓の一つとしてまいりました。
県は、いじめ防止対策を推進するため、鹿児島県いじめ再調査委員会条例を制定することとし、今議会に上程されているところであります。今回の条例制定については、いじめ防止対策推進法に基づき、県教育委員会が設置した第三者委員会の調査報告を受けた知事が、同法に基づき、再調査の必要を認め、この第三者委員会での調査結果についての調査を行うために、新たに知事部局で再調査委員会を設けて対応するための条例の制定であると伺っております。条例については、他県において、再調査の必要の有無にかかわらず既に制定しているところであり、条例制定そのものに疑義を挟むものではありません。
知事、今回、再調査の必要を認めた案件については、事案の発生が三年数カ月前の平成二十六年八月であり、その後の学校側の対応を経て、事案発生後約一年後の平成二十七年十月に教育委員会が第三者委員会の設置を決定し、平成二十九年三月までの間、二十七回もの委員会が開催され、その結論がなされたものであります。また、委員会の構成は、学校心理学、精神医学、臨床心理学、弁護士、人権擁護委員等、その道の権威の方々から成り、いろいろな視点で調査が行われたものと認識していますことから、私は、基本的にはその調査結果が尊重されるべきであると思います。
文部科学省のガイドラインでは、再調査の必要が考えられるケースとして、調査により新たな重要な事案が判明したものの十分な調査が尽くされていない、事前に保護者と確認した事項について十分な調査が尽くされていないなどが挙げられています。
にもかかわらず知事が、きのうのまつざき議員の答弁にもありましたように、保護者に寄り添うという言葉だけでもって調査するんだと私には聞こえましたので、それも加えて、再調査が必要とされたんですから、知事にその理由についてお伺いいたします。
次は、県政ビジョンについてであります。
二月十四日に、おおむね十年後を見据えた鹿児島県の目指す姿や施策展開の基本方向などを明らかにした、新たな県政ビジョン案が、私ども県議会議員に示された説明会がありました。短い時間で、職員の英知を集め、また委員の方々の意見を聞き、取りまとめられた知事を初め執行部の皆さんに敬意を表します。
さて、その前日の二月十三日には、新聞報道にもありましたが、経済界が発起人となり、還暦の三反園知事を祝う会が開催されました。私は、なぜ知事の還暦をこのような形で祝う必要があるのかと思いつつも、諸般の事情もあり出席いたしました。
この会での知事の冒頭の挨拶は、知事自身のこれまでの人生について、運に恵まれたものであったことを主に話されました。この後、二人の方から、これからの県政運営についての質問がありました。これに対し、知事は、「オール鹿児島で、鹿児島に生まれてよかった、鹿児島に住んでよかったと実感できる鹿児島をつくりたい。け死んかぎい頑張っていきます」という趣旨のことを話されました。
それはそれで結構だと思いますが、私はこの話を聞きながら、知事は、知事が策定された県政ビジョンに対してどういう認識を持っておられるのか、少し疑念を抱きました。この会は多くの経済人が出席されている場でありましたので、私はその席での答弁は、「質問いただいた県政を実現するために、経済界はもとよりあらゆる団体の意見もいただき、また私の選挙公約も取り込んだ県政ビジョンを職員と一体となって策定したので、今後、これを県政運営の羅針盤として推進していくんだ」といったような答弁をされるものであろうと期待していましたが、このことについては触れられませんでした。
また、二月十九日開会日の知事の施政方針でも、このことを余り聞かれませんでした。
そこで知事に、今回策定された県政ビジョンについて、その基本的な認識をお伺いいたします。哲学の部分だけで結構です。
[知事三反園 訓君登壇]
66 ◯知事(三反園 訓君)いじめ再調査の判断理由についてであります。
教育委員会に設置されたいじめ調査委員会の報告書は、専門的知識及び経験を有する五名の委員により、およそ一年四カ月の間に二十七回にわたって審議された委員会の結果やその間に実施されたアンケート、聞き取り調査等を含めて取りまとめられたものと認識しております。
今回の事案につきましては、前途ある生徒のかけがえのない命が失われたことを大変重く受けとめております。教育委員会の報告書や御遺族から提出された意見書、去る一月十一日、御遺族と面会いたしまして直接お伺いした御意見などを踏まえまして、いじめ防止対策推進法及び文部科学省が定めるいじめの重大事態の調査に関するガイドラインに基づき、中立性・公平性を確保するとともに、御遺族の思いに寄り添って、知事部局において再調査を行うこととしたところであります。
今後も、随時御遺族の御意向等も確認しながら、丁寧に対応してまいりたいと考えております。
新たな県政ビジョンに対する御質問がありました。
我が国は、本格的な人口減少社会の到来、少子高齢化の進行、経済のグローバル化の進展、技術革新の急速な進展などによりまして、社会のあらゆる面で大きな変革期を迎えております。人口減少、少子高齢化の著しい進行は、コミュニティーの崩壊、産業の衰退、文化の消滅などが懸念されるところであります。また、経済のグローバル化の進展は、本県の基幹産業の一つであります農業を初めとする地域経済への影響も懸念されております。さらに、IoT、AIなど第四次産業革命のイノベーションが予測困難なスピードで進展しております。
このような大きな変革期にあって、県政が直面する諸課題を克服するには、新たな施策の展開が必要であります。新たな県政ビジョンは、このような考え方のもとで、県政全般にわたる最も基本となるものとして、おおむね十年後を見据えた中長期的な観点から、鹿児島の目指す姿や施策展開の基本方向などを明らかにするとともに、これらを県民の皆様と共有し、オール鹿児島で次世代の鹿児島をつくり、将来を担う子供たちにしっかりと引き継ぐために策定するものであります。
ビジョン策定に当たりましては、有識者委員会や県議会において御議論いただいたほか、市町村、各種団体、パブリックコメントを通じた県民の皆様方の御意見もいただきました。また、私自身も、知事と語ろう車座対話などさまざまな機会に県民の皆様の声を直接伺うとともに、東京地区の有識者委員会において議論に参加したほか、職員ともさまざまな議論を重ねてまいりました。こうして今回、ビジョン案を取りまとめたところであります。
今後、新たな県政ビジョンを指針とし、魅力ある本県の素材─ポテンシャル─を最大限に生かしながら、ビジョンに示す施策展開の基本方向に沿って、地方創生の取り組み、鹿児島のウェルネスを活用した観光振興、農林水産物の販路・輸出拡大、革新的な技術の導入による生産性と競争力の向上など、各般の施策を積極的に進めてまいります。
このような取り組みによりまして、ビジョンに示す鹿児島の目指す姿─鹿児島に生まれてよかった、鹿児島に住んでよかった、そう実感できる鹿児島─を実現していきたいと考えております。
67 ◯鶴丸明人君 再質問いたします。
いじめ問題につきまして、知事は、教育委員会から出された報告書、このものについてはどういう受けとめ方をされたんでしょうか。私としては、こういう点がこういうことでありますので再調査したいと思われたか、その辺も含めて御回答いただきたい。
68 ◯知事(三反園 訓君)今回の事案につきましては、先ほども申したとおりでありまして、前途ある生徒のかけがえのない命が失われたことを大変重く受けとめております。そして教育委員会の報告書も、教育庁とともに、さまざまな面で検討もさせていただいております。そうした中で、その報告書の中にも不十分な点があるという指摘もありますし、もう少し遺族の思いに寄り添うことが必要であったという御指摘もあります。そうした点も踏まえながら、再調査することにしたということであります。
[鶴丸明人君登壇]
69 ◯鶴丸明人君 県政ビジョンにつきましては、そうなるであろうと思いましたので、できるだけ時間を短く、あとをやりたいと思ったんですが、長く話されましたので。結論は、そういう思いを持って策定されたんだから、職員の苦労も含め、いろんな取りまとめをし、自分の考え方も入れた県政ビジョンなので、これがこれから羅針盤ですよという話をされたほうがいいのではないかという思いで言いました。今、そういう話を少しされましたので、この問題については知事の気持ちを受けとめたいと思います。
いじめ再調査委員会を設置し、教育委員会での調査に対して、再調査される知事のお気持ち、じくじたる思いについては答弁をお聞かせいただきました。私は、遺族の気持ちに寄り添うことの大切さは知事同様の思いであります。一方で、この教育委員会で設置した委員会の調査結果も、学校側がもう少し遺族に寄り添うなどの配慮に欠けた点があったということは指摘しつつも、当該生徒に対するいじめの存在を特定できなかったとの報告書が、二十七回もの会議を重ねて結果として取りまとめられております。それはそれとして、行政のそれぞれのすみ分けの中で尊重されるべきだと今でも思っております。
この事案につきましては時間が大分たちました。知事も再調査委員会を設置されるということですが、人の異動もあります。また生徒も進学しております。知事が苦慮された結果の再調査であると思います。そのことを踏まえて速やかに委員会を設置して、集中的に審議していただく。ほかの県でもこの手のものは一年以内、できるだけ早い期間に集中的な審議をして結果を出しておられます。それが御遺族や教育委員会にとってもベターだと思いますので、このことを強く申し上げておきたいと思います。
いろいろと御答弁いただきました。
私は、第五次産業革命と言われる超スマート社会には縁の薄い一人であると思っています。しかし、過去の県政の積み重ねが今日の知事の県政に脈々とつながってきたことは十分承知している者の一人であると思っております。
今議会の開会日に県議会三十年永年勤続の表彰を受けられました山田国治議員は、私は中学校・高校の同級生でもありますが、きょうもノーメモで質問を繰り広げておられました。これまでの長年の県議会での活動に深く敬意を表し、また、心からのお喜びを申し上げる一人であります。
山田議員が受賞の挨拶で、県政とは歴代の知事が残した業績の積み重ね、継続性の上にあることを、マリンポート、その当時、人工島という呼称がありましたけれども、例を挙げてお話されました。昨日、国際クルーズ拠点港湾に選定されましたマリンポートかごしまは、現在、大型客船のクルーザー寄港のための設備の整備等が行われておりますし、先ほど知事から、拠点港湾選定に伴う二十二万トン級のクルーズ船が接岸できる岸壁の平成三十年度事業化についてのお話をされました。知事の尽力は大いに評価いたしたいと思います。敬意も表したいと思いますが、ただし、一人の知事の成果ではないこと、歴代知事の先見性、着工から完成までの決意と予算確保の手腕と実行力に思いをはせての山田議員のお話でもあったと思います。
山田議員は県議会議員としての立場で、また私は長い行政経験の中で、まさに同じ思いであります。私は、知事には、行動力のある知事です、もっと歴代知事の実績をたたえ、その成果のもとに今があり、知事自身のこれからの仕事への取り組みができるんだと、情熱を話されたらよいのではないかと思っております。
三反園知事が今年は知事カラーの予算をお示しになりましたが、選挙公約についてはいまだ先送り感のするものもあります。知事の施政方針や答弁をお伺いする中で、頑張るぞ、どんどん行っぞという意気込みは伝わってまいりますが、短い期間の中でやむを得ないとは思いますが、その行政手腕が歴代知事の一期目と比較して、これに並び、凌駕しているとはまだまだ思えません。知事の残された任期の中でこの印象を払拭していただきますように、今後に期待申し上げます。
私は、長い歴史の中で見ると、それぞれの一生は長い人で百年、歴史のほんの一こまを演じているのだと最近つくづく思います。歴史書を読み、過去を振り返ることにより、当時の政治の権力闘争の結果を知ることができます。
今、この年を迎え、知事、執行部、議員の皆様方と同じ時間の流れの中で県政に携わる仕事をさせていただいております。いろいろと駆け引きも求められる政治の世界です。政治は権力闘争なりと言われる政治家もいらっしゃいますが、私の政治家としての心構え、人としての生き方は、西郷南洲翁遺訓にあります。一方、人の一生はしょせん、お互い同じ時代の一こまの人生を送っているのであります。
鎌倉時代、鴨長明が方丈記の中で、「ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消えかつ結びて、久しくとどまりたるためしなし。世の中にある人とすみかと、またかくのごとし」という名文を残しております。この言葉が最近、心に響きます。それゆえに、与えられた一こまの人生、またその一こまの人生の一こまの時間を議会人として大事にし、しっかりとした心構えで送るために、皆様方の御指導も仰ぎながら、是々非々の姿勢でこれからも精いっぱい努めてまいります。
ちょうど与えられた時間がいっぱいになりました。これで私の一般質問を終わります。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
70 ◯議長(柴立鉄彦君)これで、本日の日程は終了いたしました。
─────────────
71 △ 日程報告
◯議長(柴立鉄彦君)明日は、午前十時から本会議を開きます。
日程は、一般質問であります。
─────────────
72 △ 散 会
◯議長(柴立鉄彦君)本日は、これで散会いたします。
午後三時十六分散会
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