[
永田憲太郎君登壇](拍手)
3
◯永田憲太郎君 バスの二、三台を連ねて傍聴席においでいただいていると申し上げたいわけでありますけれども、それでも、私がきょう一般質問するということで遠くからおいでいただいた方もおられます。心から感謝申し上げて、一般質問に入りたいと思います。
まず最初に、財政問題であります。
八月十日に発表された本県の平成二十八年度
一般会計決算の見込みによりますと、
歳入歳出ともに前年度比減額となっているものの、実質収支は五十二億八千四百万円の黒字となっており、実質単年度収支も七億六千二百万円の黒字となっております。また、県独自に発行する県債の残高は、前年度比二百六十一億九千四百万円の減となっております。その結果、
財政調整に活用可能な
基金残高は増加して、二百四十九億九千四百万円となっており、県の財政はおおむね良好に推移していると感じております。
一方、国は、
経済財政運営と改革の基本方針二〇一七で
基礎的財政収支、いわゆる
プライマリーバランスを二〇二〇年度までに黒字化するという方針は堅持しつつも、同時に、債務残高対国内総生産比の安定的な引き下げを目指すという新たな方針も明言しました。
プライマリーバランスについては、安倍首相は先日の
解散表明記者会見で、二〇二〇年度までの
黒字化目標の達成は困難としましたが、黒字化を目指すという目標自体は堅持して、引き続き歳出・歳入両面からの改革を続けるとしております。
財務省の中では、この目標達成のためには
地方自治体の協力が欠かせないという議論があります。また、五月に開催された
財政制度等審議会は、地方の基金が膨らんでいると指摘し、毎
年度赤字国債を発行して
地方交付税を措置している現状を踏まえれば、各団体の基金の内容、残高の増加要因を分析・検証して、
地方財政計画へ適切に反映させる必要があると報告しております。また、
経済財政諮問会議において民間議員から、このことを問題視する発言が出されたとの報道もありました。
全国の
地方自治体が積み上げた基金総額は二十一兆円に上ると言われますが、基金の積み上げを悪者扱いするような考え方に対しましては、当然ながら地方から強い反発が起こっているわけであります。地方六団体の長と閣僚が出席する国と地方の協議の場では、このことが大きな議題になったと聞いております。
全国知事会は、地方の
基金残高が増加していることをもって、地方財政に余裕があるかのような議論は断じて容認できないと反発いたしました。地方は、国とは異なり、
金融経済政策、税政等の権限を有しておらず、不測の事態による財源不足については、みずからの歳出削減や基金の取り崩しなどによる対応をとるよりほかにないことを十分に踏まえるべきであります。
この国と地方の協議の場で、国は、
経済財政再生計画のもと、国と地方を通じた取り組みの必要を訴えて、まずは地方の基金の増加の背景の原因等について早急に把握・分析して、引き続きこの件についての議論を深めていくといたしております。今後、財務省を中心にして、国の側で
地方富裕論が展開されていけば、地方への
地方交付税圧縮にもつながり兼ねないといった危惧を抱くものであります。
以上のことを踏まえて、質問いたします。
第一点、総務省からの今回の全国調査に対して、本県はどんな回答をしたのか、教えてください。
第二点、今回の国の調査を受けて、基金造成に対する方針が後退するようなことがあってはならないと考えますが、基金のあるべき姿をどのように考えているか、ここで改めてお尋ねしたいと思います。
一部報道によりますと、
財務省幹部の言葉として、「親がお金を借りて仕送りしているのに、子はその金を貯金している」と、この現状を表現しているとの紹介がなされておりました。国と地方の協議の場や
財政制度等審議会などでの国側の発言を見るなどしていると、地方の基金造成に対する国の考え方は相当かたいような印象を受けるわけであります。現在、国に対して
予算要望活動が行われているわけでありますが、国の
地方財政計画に対する考え方についてどのような感想を持っているか、お聞かせください。
また、三反園知事にお願いいたしたいと思います。
知事としては、国との積極的な対話に努めていただいて、過去の
三位一体改革の例にあるような
地方交付税の一方的な強引な削減や、
地方交付税を人質としての
歳出削減要望などは絶対にしないように、強く意見を申し述べていただきたいと思いますが、知事の考えを聞かせていただきたいと思います。
以上で、一回目の質問といたします。
[知事三反園 訓君登壇]
4 ◯知事(三反園 訓君)お答え申し上げます。
地方財政計画に対する財務省の考え方、感想及び国への要望についてであります。
ことし五月に取りまとめられました
財政制度等審議会の建議におきましては、毎
年度赤字国債を発行して
地方交付税を措置している現状を踏まえれば、各団体の基金の内容、残高の
増加要因等を分析・検証し、こうした地方団体の決算状況を
地方財政計画へ適切に反映することにより、国・地方を通じた財政資金の
効率的配分につなげていく必要があるとされております。
県といたしましては、地方における近年の
財政調整基金の増加は、地方では、国を大きく上回る
行財政改革を行い、歳出抑制の努力も行う中で、災害や将来の税収の変動、
社会保障等に要する経費の増嵩に備えた財政運営の
年度間調整の取り組みのあらわれであると考えております。
特に、本県は、人口や
標準財政規模が類似するほかの団体と
財政調整積立基金と
県債管理基金の残高の合計額で比較しますと、いずれも残高は少ない状況であります。安定的な財政運営を行うためには、
財政調整に活用可能な基金の充実を図る必要があります。
このようなことから、地方の
基金残高が増加していることをもって、地方財政に余裕があるかのような議論は妥当ではなく、
地方財政計画の歳出削減の議論に結びつけることは容認できないと考えております。
県開発促進協議会や
全国知事会等を通じて、引き続き、
地方一般財源総額の確保等について国に要望してまいりたいと考えております。
東京に行ったとき、総務大臣そして幹部の方々、それぞれの閣僚には強く要望しております。よろしくお願いいたします。
5
◯総務部長(寺田雅一君)
基金残高等に関する総務省の調査に対する主な回答内容につきましてお答え申し上げます。
県の平成二十八年度末の
基金残高の総額は七百五十八億円で、このうち
財政調整積立基金が百七十五億円、
県債管理基金が七十四億円、
特定目的基金が五百九億円でございます。平成十八年度末の
基金残高と比較いたしますと、総額で三百四億円の増であり、その主な要因は、
国民体育大会施設整備等基金や
後期高齢者医療財政安定化基金などの
特定目的基金の増でございます。また、これらの
基金残高の対前年度比の増は、行革、
経費節減等や国費などによるものでございます。今後の
増減見込みにつきましては、国の財政再建の取り組みや地方財政の動向が不透明であることを踏まえ、増減を見込むことは難しいと回答しているところでございます。
特定目的基金の使途につきましては、主なものを申し上げますと、子育て・
少子化対策、
高齢化対策、
スポーツ振興などでございます。
続きまして、基金のあるべき姿についてでございます。
地方自治体の基金は、年度間の
財政調整や特定の事業の複数年度にわたる安定的な運営等のために設けられるものであり、基金の積み立ては各
地方自治体の判断で行うべきものと考えております。
県といたしましては、今後とも、経済情勢の変動にも的確に対応しながら、安定的な財政運営を行うことが重要であると考えており、引き続き、予算執行のさらなる効率化に努めますとともに、一層の歳入確保に取り組み、
財政調整に活用可能な基金の充実・確保を図る必要があると考えております。
[
永田憲太郎君登壇]
6
◯永田憲太郎君 私は、こういったことが国と地方の間でやりとりされるということは、
地方交付税に対する国の考え方は、私たちと相当食い違っているなということを感じております。大体、マスコミによる一部の報道にすぎませんけれども、親が借金して子に仕送りしているといった
表現そのものからいたしましても、国の幹部の方々は、国が親で地方が子と認識しているのかなと思うわけであります。
地方分権法が成立して以来、国と地方は上下・親子の関係じゃないんです。対等で並立の協力し合う関係だと、もう一般的にこれが常識化されつつあると思うんですね。ですから、親が子に仕送りするなんて言葉はまさしく許せない、そういう表現であります。百歩譲って、親が子に仕送りしているという言葉を認めるとしても、仕送りしたお金を無駄遣いしているのではなくて貯金しているのだから、逆に喜んでしかるべきだと思うわけなんです。
地方交付税にいたしましても、この財源は、所得税あるいは法人税あるいは酒税などでありまして、これは国民固有の財源であります。それを国のほうで集めて財源補正、財源調整として使っているにすぎないわけでありまして、このことはしっかりと皆さんも認識はしていただいていると思いますが、国と対峙するときにはこのことをしっかり主張していただきたいとお願い申し上げておきたいと思います。
それでは、次の質問に入ります。
発達障害者支援法が平成十七年に
厚生労働省によって施行されました。その対象疾患は、自閉症、学習障害─LD─、注意欠陥多動性障害─ADHD─とその他の
脳機能障害とされています。このときの
発達障害者支援法が基盤となって、
発達障害の人たちに対する支援が計画されているわけでありますが、その一環が小・中・高校での
特別支援教育ということになります。
本県においては、
発達障害に係る療育は平成十四年から取り組みが始まっています。その歴史は比較的浅いと言えると思います。この時点での
対象児童数はまだ少数でしたし、教室数もわずかなものでした。その後、
発達障害者支援法の成立や国の制度が進んでいく過程で、対象児童、
教室数ともに増大してきています。現在は、言語障害、難聴、情緒障害、自閉症、LD、ADHDの症状が見られる
児童生徒を対象にした
通級指導教室が八十三教室、千百八十一人に増大しています。県内の数字であります。
自閉症は、人の気持ちや場の空気に合わせた上手な対人交流ができないと言われています。学習障害─LD─は、知能に見合った読み書き、算数の習得ができないと言われております。大抵の単語はどんどんどんどん幾つも暗記していくけれども、「それをペンをとって書きなさい」と言うと、字がどうもついていけないといったような症状もあるんだそうであります。注意欠陥多動性障害は、衝動を制御して
社会的ルールに合わせた行動ができないと言われています。
これら
発達障害の最大の特徴は、本人も家族も障害に気づきにくい点にあると言われています。見た目は普通の子供と変わらないために、単なるわがままな子、自分勝手な子と受け取られ、人づき合いがうまくいかないことなども、親のしつけのせいにされてしまうケースが多いと言われております。
発達障害は、かつては軽度の知的障害を指すとも言われていましたが、これは今日の一般的な定義ではなくなっています。発達のおくれやゆがみは決して不変のものではなく、適切な学習環境の設定によって発達を促し、ゆがみを変容・是正できると言われています。大多数は、先天性ないし比較的低年齢に生じた何らかの疾患の後遺症によるものと考えられております。
特別支援教育については、通常の学級に在籍する
発達障害の可能性のある子供一人一人の実態に応じた支援の充実が強く求められるようになり、平成十九年度、特殊教育から
特別支援教育へ制度の転換がなされたところであります。この間、各学校等におきましては、
特別支援教育コーディネーターの指名や
校内委員会の設置がなされ、一人一人に応じた支援体制の整備が図られてきましたが、支援の対象となる子供の保護者からは、「担任によって指導の方法が異なり戸惑うことがある」、「小学校を卒業して中学校に進学したときに、同じような支援がしてもらえるか不安がある」などの声が聞かれ、学校等における支援のあり方には温度差があるのではないかと思われます。
今後、全ての学校等において、さらに管理職が
リーダーシップを発揮して
特別支援教育を推進するとともに、実際に担当する教員の
特別支援教育に関する専門性を高めていくことが必要ではないかと考えるわけであります。そして、担任や学校がかわっても子供たちが一貫した指導・支援が受けられるような体制を整備していくことも大切であると考えます。
このことは、平成二十六年度からの五年間の施策の方向性を示した
県教育振興基本計画の中でも、
小・中学校等に在籍する障害のある幼児・
児童生徒一人一人の
教育的ニーズに応える指導・支援の充実に努めることや、就学前から学校卒業後までの一貫した支援体制の整備に努めることが示されており、県としても重点的に取り組まれているものと考えます。
以上のことを踏まえて、その
取り組み状況等について、次の点をお伺いいたします。
第一点、
発達障害の可能性のある子供は本県の小・中・高等学校にどれくらい在籍しているのか、お示しください。
第二点、
発達障害の可能性のある子供の指導・支援の充実には、管理職を初めとする教員の資質向上を目指した研修が重要だと考えますが、県教委としてはどのような取り組みをしているのか、お示しください。
第三点、また、専門性を高めるための県教委の取り組みとして、夏期休業中に
鹿児島大学において
免許法認定講習を実施していると聞いておりますが、
発達障害の可能性のある
児童生徒が年々増加する傾向の中で受講を希望する教員もふえてきているだろうと推測できるわけですが、教員の受講希望に対して十分な枠が確保されているものかどうか気になります。
特別支援教育に関する
免許法認定講習の概要及び受講状況についてお示しください。
第四点、
発達障害の可能性のある子供たちが一貫した指導・支援を受けられるようにするためにどのような取り組みをしているのか、お示しください。
以上で、第二回目の質問といたします。
7 ◯教育長(古川仲二君)
特別支援教育に関するお尋ねのうち、まず、
発達障害の可能性のある
児童生徒の実態についてであります。
平成二十四年に
文部科学省が実施いたしました
全国抽出調査によりますと、通常の学級に在籍する
発達障害の可能性のある
児童生徒の在籍割合は、小学校は七・七%、中学校は四・〇%という結果が出ておりまして、これを本県の本年度の
児童生徒数に当てはめて算出いたしますと、小学校においては約七千人、中学校におきましては約二千人になると推計されますが、これはあくまでも統計上の推計値でございまして、そのことを御理解いただければと存じます。
また、高等学校においては、本年五月に県教委が独自に実施いたしました、特別な支援が必要な生徒の
在籍状況調査によりますと、
発達障害が見られるような学習面や行動面、
対人関係等で困難があると学校が判断した生徒は、全体の約一・六%となる四百八十六人でございます。
次に、指導・支援に対する教職員の資質向上についてであります。
特別支援教育に対する教員の専門性の向上に係る取り組みといたしまして、管理職に対して、国及び県の動向や管理職の
リーダーシップに基づく
校内支援体制の充実などの研修を実施いたしまして、学校全体で取り組む
特別支援教育の推進を図っているところであります。また、各学校の中心となる
特別支援教育コーディネーターについては、
養成研修会等を実施し、
校内委員会の機能充実や関係機関との連携等について指導いたしておりまして、このほか
学級担任等を対象に、
発達障害のある
児童生徒の理解や個別の指導計画に基づくわかりやすい
授業づくりなどの研修を実施しているところであります。
このような研修を通して、全ての学校において、組織的な支援体制のもと、
発達障害の可能性のある
児童生徒の指導・支援のさらなる充実が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、
免許法認定講習についてでございます。
県教委が実施いたしております
免許法認定講習は、必要な単位を修得することによって、教員に新たな免許を取得させることを目的に、
特別支援教育に関する講座を含め、毎年十一講座を開設し、教員の積極的な受講を促しているところであります。
特別支援教育に関する講座につきましては、これまで、知的障害や
発達障害に関する講座を開設いたしておりましたが、受講者の要望などから、本年度新たに、視覚障害、聴覚障害などに関する講座を新設したところでございます。また、同講習への受講状況については、これまでもおおむね
希望どおりの受講がなされているところでございまして、昨年度は二講座に延べ二百二十四人が受講し、本年度は先ほど申し述べました講座の新設によりまして、延べ四百二十五人が受講または受講する予定となっているところでございます。
今後も、大学との連携を図りながら、
免許法認定講習の充実に努めるとともに、
特別支援教育に対する教員の専門性の向上に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、
発達障害の可能性のある
児童生徒への一貫した支援等についてでございます。
県教委では今年度、
発達障害の可能性のある特別な支援が必要な幼児・
児童生徒に対する就学前から
高等学校卒業までの切れ目のない支援の充実を図るための調査研究を実施いたしております。具体的には、県下の四つの
教育事務所にそれぞれ
学校間連携コーディネーターを配置いたしまして、各学校に適切な引き継ぎに関する助言等を行うとともに、障害のある幼児・
児童生徒が次の学校段階に円滑に移行できるよう支援策等を記録し、引き継いでいく
移行支援シートの作成・活用を促進するなどして、移行期における適切な
引き継ぎ方法や時期について検討を行っているところでございます。
また、昨年度から、学校や
企業関係者等による協議会を開催し、
発達障害に関する理解を深め、雇用促進につなげるための取り組みも進めているところでございます。その中では、生徒が就職する際に自分に必要な支援等の情報を自分自身でまとめ、企業につなぐための
就職支援シートの作成について、モデル校において試行いたしておりまして、今後、その成果を各学校に還元することにいたしております。
このような取り組みを通して、
学びや生活の場が移り変わっても、
発達障害の可能性のある幼児・
児童生徒が必要な支援を継続して受けられる体制を整え、一人一人の自立と社会参加の実現に向けて一層努めてまいりたいと考えております。
[
永田憲太郎君登壇]
8
◯永田憲太郎君
特別支援教育について、教育長より御答弁いただきました。
特別支援教育に対する一般的な声として耳に入ってきますのは、この子供が本当にしっかりした専門的な教育を受けているんだろうかといったような親としての心配ですね、そういったものが聞こえてくるんです。さらには、小学校から中学校、中学校から高校と校種が変わっていき、そして高校は、進学もしくは就職といったように変わっていくわけですけれども、そのときの支援が、満足できるような支援が望めるんだろうかといったような親としての心配があるわけなんです。
子供を持つ親としては誰もそうですけれども、この子供は障害があるから、もうこの程度でいいというような親はどこにもいないわけでありまして、最大限の愛情を注いで、そして最大限の可能性を引き出して、この子供が幸せに暮らしていけるようにしてやりたい、あげたいというのが親の気持ちであります。今の
特別支援教育は、歴史が浅いということもあるだろうと思います。さらに制度的なものもありまして、
特別支援教育に携わる教師の免許・身分に対して制約がかけられておりませんので、そういった点での不安とか不満といったことが保護者の間であるわけなんです。
うそかまことかわかりませんけれども、うわさとしてお聞きいただきたいと思うんですが、
特別支援教育の担任は臨採の先生がたくさん、臨採とかあるいは初任者の方々が回されているといったようなことがまことしや
かに保護者の間で語られているというのも、これは保護者のそういう教育に対する不安の裏返しじゃないかと思うんですね。よもやそういうことはないでしょうと思うんですけれども、親としてはそういう受けとめ方をしている空気もあるということも十分、教育長としては踏まえていただいて、
特別支援教育に対する今後の取り組みをお願い申し上げておきたいと思います。
次の質問に入ります。
甲突川に関する質問であります。
先日、甲突川で中学校二年生の子供たちが四人で川遊びをしている最中に、一人が溺れて重体、そして大学病院に運ばれております。一人は低体温症と判断されて、この子も搬送されたとお聞きいたしました。
この質問をするに当たりまして、まことに複雑な思いでありますけれども、けさお聞きしましたところ、
鹿児島大学病院に搬送された重体の子供は、まだ重体のままで回復には至っていないということでありました。低体温症で搬送された子供は二日後には退院し、その翌日からは、重体の子供のほかの三人は元気で学校に登校しているとお聞きしております。まだ入院しているお子さんが早期に回復して、元気な姿で登校できることを心から祈念したいと思います。
それでは、質問に入ります。
鹿児島市内を貫流する甲突川は、昭和四十年、五十年代は水質も悪く、河川環境も劣悪な状態でしたが、平成五年、八・六水害を機に河川環境が大きく整備されました。八・六水害では、藩政時代の貴重な遺産である武之橋と新上橋を失いましたが、その後、河川環境に配慮した護岸整備を初めとして、河道内の散策路や魚道整備などが実施され、生態系に優しい甲突川が再生されたと感じています。
また、県民や観光客など人々が川に親しみ、憩える場所としての水辺空間を創出するためのリバーサイドウォーク事業は、事業費を毎年予算計上していただき、県都鹿児島市にふさわしい川づくりを目指しています。その結果、西田橋や高見橋のライトアップを初め、MBC放送局前の水辺のステージゾーンでは、水辺のコンサートや曽我どんの傘焼きが、また、加治屋町の歴史散策ゾーンでは桜灯りと水上の音楽祭などが市民の手で毎年行われ、多くの県民や観光客が集まっています。このことは、昨年十二月の一般質問で宝来議員によって紹介されたところであります。
市民の方々に甲突川に親しんでいただくために、河川沿いの小学生を対象とする水辺の観察会やウナギの放流なども実施されています。
内水面漁業協同組合、甲突川漁協と称しておりますけれども、この漁協と法人会が中心となって毎年実施されている河岸のごみ拾いは、ことしも五月十四日に五百名近い市民が集まって、清掃奉仕に汗を流しました。
現在整備中の甲突川リバーサイドウォーク事業の継続と拡充を願うものであります。
ところで、甲突川リバーサイドウォーク事業は、岩崎橋より下流域が事業区間であるため、岩崎橋上流域の整備のおくれが近年、目立つようになっています。例えば、河道内の散策路は、八・六水害後に洪水の流下断面を確保する目的で整備されたものでありますが、自然の風情を残すために、表面の石材はごつごつした状態で敷設されていました。しかし、それでは歩きづらいということで、リバーサイドウォーク事業の一環として、岩崎橋より下流域はその石をフラットにして散策しやすくしました。
しかし、岩崎橋上流域の散策路は、八・六水害直後に整備されたままの姿であります。付近の住民が朝夕の散歩を楽しむには少々歩きづらいという声が多く聞かれます。さらに、高齢者などが転倒して川に落ち込んだりする危険もあります。
また、甲突川上流部には比志島川という支流が流れ込んでいます。お手元に資料をお配りいたしておりますが、その写真にある滝であります。
国道三号を横断して甲突川本流に合流します。この合流点でもある国道三号から約一・四キロぐらい入った地点に、幻の滝と言われて、落ち口から滝つぼまで一気に落下する比志島の滝があります。近年、甲突川上流域の景勝の目玉として民放によって紹介されたこともあり、放映以来、訪れる観光客もふえていると聞いています。この比志島川と滝周辺の整備を進めて、市民の憩いの場にしてほしいという地域の声があります。
以上、これらの点を踏まえて、市民の要望をお伝えしながら、その対応をお尋ねいたします。
一点、岩崎橋から上流においては市街地部が連続していることから、岩崎橋から梅ヶ渕橋の間についても、河道部分の散策路再整備や飛び石工、水制工の計画を要望する声があります。
第二点、これまで、リバーサイドウォーク事業で水制工や飛び石工など、生態に配慮した事業を実施していただいていますが、環境未来館前のビオトープの整備・拡充を要望する声があります。
第三点、甲突川中流域にある、幻の滝と言われる落差十七メートルの比志島の滝の環境整備を要望する声があります。
これらの要望に対する当局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
これで、第三回目の質問といたします。
9 ◯土木部長(渡邊 茂君)甲突川の岩崎橋から梅ヶ渕橋の散策路整備及び飛び石工の整備についてでございます。
甲突川の環境整備につきましては、甲突川リバーサイドウォーク整備事業において平成二十一年度に着手し、武之橋から岩崎橋の間、約五キロメートルにおいて両岸の散策路や甲突橋下流の水辺のステージ、環境未来館前の飛び石工などの整備を進めてきたところであります。今後は、甲突橋付近のフットライトや階段護岸の改良などの整備を進めることとしております。
岩崎橋から梅ヶ渕橋の間につきましては、現計画区間のさらに上流側にあることから、まずは現計画区間や事業中箇所の整備を進めることとしております。
続きまして、環境未来館前のビオトープ整備についてでございます。
環境未来館前につきましては、自然環境を再生するいわゆるビオトープとして水制工や飛び石工を整備し、良好な環境が形成されております。河川内のビオトープにつきましては、出水を繰り返す中で自然環境や利用環境を維持することが難しい施設であることから、現在は、飛び石表面が滑らないようにする安全対策など、施設の維持管理に努めているところであります。
これらの施設につきましては、水辺の自然観察会やリバーフェスティバルを初めとして、夏場を中心に活発な利活用がなされていることから、今後もより一層の利用促進を図るよう努めてまいります。
続きまして、比志島川の滝周辺の整備についてでございます。
県管理河川における親水護岸等の環境整備につきましては、市町村が実施する河川を生かした公園などと一体となって整備を進めることとしております。しかしながら、比志島川の滝周辺においては、現在、鹿児島市の周辺整備計画等がないことから、今後、市の考えや地元の御意見などをお伺いすることとしております。
[
永田憲太郎君登壇]
10
◯永田憲太郎君 土木部長に御答弁いただきました。
まずは岩崎橋下流域のリバーサイドウォーク事業を進めていきたいということでありましたが、これはそういうことであろうと納得いたします。やはり観光客が中央駅あるいは天文館におり立って最初に目にする部分というのは、武之橋を中心としたあの流域でありますから、ここをさらに充実して整備していくということは大事なことであると思うわけなんですね。
県といたしましては、今後、この技術の実用化に向け、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
次に、県内企業の取り組みと県の支援方針等についてでございます。
シラスを利用した製品の製造につきましては、過去十年間で県内企業五社が、県工業技術センターの保有するシラス関連特許を活用し、緑化基盤や歩道ブロック、屋根瓦等を製造しているところでございます。また、これらの製品の販売金額は、平成十九年度から二十三年度までの五年間の合計で約三億八千四百万円であったものが、平成二十四年度から二十八年度までの五年間では約六億三千七百万円と大幅に伸びているところでございます。
県では、これまで、工業技術センターによる県内企業への技術的助言等のほか、生産設備導入への資金面での助成、さらには、トライアル発注制度による受注機会の拡大等の支援を行ってきているところでございます。また、シラスを活用した製品・技術を有する県内企業を県ホームページ等で紹介しているところでもございます。
県といたしましては、かごしま製造業振興方針において、本県の豊富な地域資源を生かした製品開発や事業化を支援することとしておりまして、今後とも、かごしま産業支援センター等の関係機関と連携しながら、シラスを活用した県内企業の新商品開発等の取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
28 ◯土木部長(渡邊 茂君)シラスの土木建築事業への活用状況についてでございます。
土木建築工事におけるシラス活用については、コンクリートの骨材の一つとして利用を図っているところです。コンクリートは、使用する材料によって性能が大きく異なることから、平成十七年度に作成したシラスコンクリートの設計施工マニュアルを活用し、積みブロックや側溝など二次製品での利用拡大を図ってきたところです。また、火山性ガスが発生するなど厳しい環境下の丸尾滝橋においても、シラスコンクリートを基礎ぐいに利用したところです。
県といたしましては、今後とも、シラスを活用した土木建築材料の利用に取り組んでまいります。
[田中良二君登壇]
29 ◯田中良二君 それぞれに御答弁いただきました。
附属機関と私的諮問機関のあり方についてですが、まず、主要政策、計画の検討・策定手法の区分につきまして、ピックアップしました九件のうち、いわゆる県庁自前方式は一件、コンサル委託が一件、私的諮問機関分が七件との答弁でありました。
附属機関と私的諮問機関の設置基準に関しまして、まず、大きな前提として申し上げますが、政策、計画の検討・策定の手法として、私は、各界各層から幅広い意見や、専門的知見を外部に求めること自体と、おのおのの機関における活発な会議、意見交換の内容などに異を唱えるものでは全くありません。広く県民の皆様の意見を聞き、また有識者から専門的知見を伺うことは、当局と議会の一致した姿勢であります。
私が申し上げたいのは、主要な政策、計画の検討体制においては、県当局の政策決定の主体性と最終的な執行責任の維持、さらには、当局は、議会の持つ二元代表制の権能とのかかわりを絶えず保つべきと考えるからであります。
鹿児島県庁は、県内屈指の優秀なシンクタンクであります。二万人の職員の皆様は、総合行政に係るマンパワー集団であり、おのおのが所管される業務に係る法令、科学的な知見においても専門家であり、長年蓄積された膨大なデータベースを有しておられます。
あるテーマについて、知事と本庁及び七つの地域振興局・支庁の職員の皆さんとの主体的な徹底した議論が交わされた後、それでもなお県庁内で方向性が見出せない専門的な部分は何なのか。すなわちコンサルに委託する、あるいはどうしても執行機関以外の外部委員からの意見を求めなければならない部分が明確でなければなりません。
昨日のふくし山議員の大規模スポーツ施設のあり方に関する質疑を聞いておりまして、建設場所、スケジュールについて、県の主体性はあるのかとの感を持っております。
また、政策、計画の検討・策定の手法が私的諮問機関に委ねられた場合、県政執行に大きな影響を与えているにもかかわらず、検討組織の設置あるいは計画・ビジョンが議案とならない限り、一連のプロセスと議会とのかかわりが希薄になることが懸念されます。
なお、県民の意見を広く聞くための手法として、知事の車座対話でフリーに出される意見と、専門委員会などで議事が進行され、合議後の政策判断として知事宛てに文書で出される意見は、性質が異なると考えます。
附属機関と私的諮問機関の設置基準に関しましては本日丁寧な答弁をいただきましたので、議事録をよく読んで、特に私的諮問機関の実態とあるべき方向性については勉強したいと考えております。
エネルギーパークについてですが、知事マニフェストのエネルギーパーク化構想の推進は、再生可能エネルギーの開発と実用化に軸足が置かれている記述であり、現在、新たなビジョンを策定中ということでありますが、エネルギー政策を県民の皆様に理解していただくためには、言葉による方針表明と同時に、数字によるわかりやすい説明が求められます。
新たな再生可能エネルギービジョンにおきましては、実現可能な電源別の到達レベルとタイムスケジュールを具体的にお示しいただきたいと考えております。
また、先日、骨子案が示されました、新たな県政ビジョンのエネルギー・環境問題への対応におきましては、エネルギーパーク化構想の推進並びに新たな再生可能エネルギービジョンと、国のエネルギー基本計画との整合性なども十分に議論していただきたいと考えます。
川内川アクアフロントのエネルギーパーク内の諸施設につきましては、今後とも、ぜひ子供たちのエネルギーに関する学習に活用していただきたいと考えます。
シラスの利用推進についてですが、県工業技術センターにおきましては、昭和二十年代後半から研究されており、その具体的な成果と取り組みがあることを評価いたします。
また、県内企業にあっては、「シラス利用関連の特許を五社が活用され、商品販売額も増加している」との答弁がありました。
新たな県政ビジョンの骨子案においても、地域資源等を活用した新たな産業の創出として、シラスを活用した新素材の開発・実用化が記載されておりますので、引き続き、シラスの利用推進を積極的に進めていただきたいと考えております。
最後に、今回の一般質問では、明治維新百五十周年、鹿児島国体、私的諮問機関のあり方などについて質問いたしましたが、多くの丁寧な答弁をいただき、まことにありがとうございました。
これからの県政展開において、来年は明治維新百五十周年、NHK「西郷どん」放映、奄美の世界自然遺産登録、三年後は鹿児島国体・全国障害者スポーツ大会、五年後は、今回見事日本一を奪還しました全国和牛能力共進会が鹿児島大会であり、県民の皆様と目標年次を共有できることに、本県発展に向けて県民の総力結集の明るい兆しを感じております。
私は、おかげさまで本年四月で県議会議員在職丸十年になりました。これからも初心を忘れず、行動と政策提言を活動指針としながら、県勢発展のため、県民の皆様のために働き続けていきたいと考えております。
以上で、今回の一般質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
30 ◯副議長(前原 尉君)ここで、休憩いたします。
再開は、午後一時十五分といたします。
午前十一時五十七分休憩
─────────────
午後 一時 十五分再開
31 ◯議長(柴立鉄彦君)再開いたします。
上山貞茂君に発言を許可いたします。
[上山貞茂君登壇](拍手)
32 ◯上山貞茂君 県民連合会派、上山貞茂でございます。
早速質問に入らせていただきます。
まず第一に、川内原発にかかわる諸課題についてでございます。
原子力安全・避難計画等防災専門委員会のあり方について質問いたします。
六月七日、ことし二回目の原子力専門委員会が開催され、十九日には、川内原子力発電所に関する意見書が出されております。
川内原子力発電所の安全性についての項では、南海トラフ地震を踏まえた長周期震動への検討、緊急時対策棟の耐震棟と免震棟の優位性の根拠など、今後の検討課題が挙げられています。
避難計画等の防災対策では、避難訓練は、避難者思いというより行政本意ではないか、広域・県境をまたぐ避難体制の充実、大規模な崩壊、地すべりなどの危険箇所の状況把握や情報の共有化など、避難計画の視点や改善点を指摘する項目が多く記載されています。
そこで質問いたします。
これらの意見や助言を今後、専門委員会や避難訓練にどのように生かしていくおつもりか、お考えをお示しください。
また、熊本地震は、布田川活断層及び日奈久活断層が連動して起きた地震でした。川内原発周辺にも市来断層帯、甑断層帯、出水断層帯など複数の活断層が迫っています。
これらの活断層が連動して起きる地震に対しての評価についても検討課題とすべきではないかと考えますが、県の見解を求めます。
一方、昨年、同委員会から提出された意見書では、委員会の構成人数、限定された専門分野の範囲、検討時間の制約を考慮すると、短時間で主な任務の全てを検討することは困難と述べられています。
そこで質問いたします。
これまでの委員会では、川内原子力発電所一、二号機の特別点検や定期点検に関する議論が中心でしたが、今後は、安全性に関する部会と避難計画など防災に関する部会を単独に開催し、総括的に専門委員会でまとめていくなど、機能性を高めていく考えはないのか。また、それぞれの委員について、学識者の増員を図る考えはないのかお聞かせください。
福島原発事故での被曝の評価と防災の評価も検証し、川内原発に生かすべきではないかと考えますが、県の見解を求めます。
専門委員会の任務として位置づけられました、県民向けのわかりやすい情報発信に関する検討については、議論できていないように感じます。この点についても、県の考えをお示しください。
次に、避難先の自治体を含めた合同連絡協議会の設置について質問いたします。
鹿児島県及び薩摩川内市は、住民の健康や財産を守るため、国の法規制とは別に、九州電力と安全協定を結んでいます。内容は、トラブル発生時の自治体による立入調査と措置要求、損害の補償、連絡協議会の設置などです。
川内原発周辺三十キロ圏の八市町のうち六市町─鹿児島市、出水市、日置市、姶良市、さつま町、長島町─は、平成二十四年十二月に鹿児島県の立ち会いのもと九州電力と安全協定を締結していますが、事前協議及び連絡協議会の条項はありません。平成二十五年三月に同様に締結した、いちき串木野市及び阿久根市の協定には、事前協議ではなく事前説明となっており、もちろん連絡協議会の設置はありません。
一方、福島第一原発事故を受け、原発から三十キロ圏内の自治体は避難計画の策定が義務づけられております。しかし、再稼働への自治体の同意手続については法的な定めがなく、当時の伊藤知事は、県と薩摩川内市の同意のみで再稼働を容認しました。再稼働して二年になりますが、いまだこの矛盾に対する周辺自治体の不満は解消されておりません。
いちき串木野市議会は、川内原発から最も近い場所で約五キロメートル、市のほとんどが二十キロ圏内に含まれることから、地元同意の対象に含めるよう求める意見書を採択しましたが、県は認めませんでした。
そこで質問いたします。
三十キロ圏内自治体の安全協定書に事前協議及び連絡協議会の設定を設けるべきだと考えますが、答弁を求めます。
また、避難計画策定に当たって、三十キロ圏外への避難、隣県への避難もあることから、県が音頭を取って、避難先となっている自治体も含めた自治体連絡協議会を結成し、九州電力と各自治体で実効性のある避難計画を策定すべきだと考えますが、県の見解を求めます。
次に、安定ヨウ素剤の配布の検討についてでございます。
今議会冒頭、知事は、安定ヨウ素剤の配布等について、「UPZ圏内の居住者に対しても、障害や病気により緊急時の受け取りが困難であるなど、一定の要件に該当し、事前配布を希望する住民に安定ヨウ素剤を配布する方式の導入など、県民の方々の安全・安心の視点に立った実効性のある案を検討している」と説明されました。
知事の英断を称賛するものですが、県は、これまで、原子力災害対策指針を根拠に、救護所等での説明及び配布する考えを変えてきていませんでした。今回の方針変更に至った経緯についてお答えください。
また、今回の取り扱い方針について内閣府に説明しているのか、そして内閣府はどう回答しているのか、お答えください。
配布対象者の考え方について質問いたします。
知事は、「障害や病気により緊急時の受け取りが困難であるなど、一定の要件に該当し」と、対象となる者の範囲を示しています。安定ヨウ素剤の効果は、投与するタイミングによって効果が左右され、被曝前二十四時間以内または直後の服用が最も効果的と言われています。その点からも、緊急時の受け取りが困難である者は、障害や病気のみならず、ほぼ全ての住民が該当するのではないかと考えます。事務作業の面からも、希望する者には事前配布に応じるのが合理的だと考えますが、県の見解を求めます。
次に、配布方法の考え方について伺います。
UPZ圏内の事前配布においても、説明・配布会を開催することとなると考えますが、昨年四月一日時点で、三十キロ圏内の三歳以上は二十万五千人強という数に上っています。かかりつけ医や薬局による説明・配布も考えていくことが合理的だと考えますが、見解を求めます。
また、三歳児未満のゼリー状の安定ヨウ素剤配布についての考え方についてもお答えください。
一歳六カ月健診や三歳児健診時に御両親に説明し、事前配布することも可能ではないかと考えますが、県の見解を求めます。
配布時期についてでございます。
知事は、「専門委員会、県議会での議論を踏まえ、環境が整い次第、できるだけ早く実施していく」としています。県議会には川内原発特別委員会は設置されていません。議論の場をどう保障し、配布時期を決定していくのか、考え方をお聞かせください。
原子力専門委員会が設置されて一年が経過し、二月三日に原子力防災訓練を実施することも表明されています。この際、専門委員の方々と県議会議員との合同検討会もしくは意見交換会を開催し、防災訓練、安定ヨウ素剤の配布等についても議題としていくことを望みますが、見解を求めます。
現在、PAZ圏内四校の小・中学校及び二園の保育園及び従業員三十人以上の事業所にも事前配備を準備されていると聞いておりますが、UPZ圏内における同施設に対する事前配備の考え方についてもお示しください。
以上、一回目の質問といたします。
33 ◯危機管理局長(田崎寛二君)川内原発にかかわる諸課題についてのお尋ねのうち、まず、専門委員会からの意見等の活用についてであります。
専門委員会については、これまで、九州電力による特別点検や定期検査の結果など、川内原発の安全性の確認や避難計画など、防災に関する検証などについて御議論いただき、技術的・専門的見地から意見や助言いただいているところであります。
今後の方向性については、六月にいただいた意見書において、これまでの川内原子力発電所の安全性を高める指摘や避難計画の改善点などについて議論を積み重ねていきたいとされたところでありまして、今後も、定期検査結果の確認を初めさまざまな観点から、川内原発の安全性などについて御議論いただきたいと考えておりまして、委員会からの意見等を踏まえ、避難計画の見直しや、より現実的な原子力防災訓練など、防災対策のさらなる充実に取り組んでまいります。
専門委員会における活断層等に係る検討についてであります。
川内原発周辺の活断層や地震に対する評価等については、これまでの専門委員会において議論がなされてきているところであります。
九州電力からは、川内原発については、各断層帯の連動の可能性も評価した上で、布田川、日奈久断層帯に限らず、敷地周辺の活断層の全てにおいて、断層帯全体が連動する大規模な地震を想定しており、大地震が繰り返し起こった場合でも、川内原発の建物、構築物は十分な耐震性を有することや、機器・配管の健全性が損なわれることはないことなどが示されるとともに、今後、熊本地震の新知見を収集し、安全性評価に適切に反映させていくとの回答もなされたところであります。
また、六月の意見書において、地震に関し、熊本地震について検証し、新たな知見の有無や基準地震動策定に反映させるべきことがないかなど、分析結果を報告していただきたいとの意見もあったところであります。
今後の専門委員会の進め方についてであります。
専門委員会については、原子力工学や地震学、放射線防護、防災関係など、有識者十二名の方々を委員に委嘱し、川内原発に係る安全性の確認や避難計画の検証など、原発に関する諸課題について熱心で活発に御議論いただき、各委員それぞれの技術的・専門的見地から意見や助言いただいているところであり、今のところ、増員する考えはないところであります。
また、福島原発事故を踏まえたさまざまな意見もいただいているところであります。
専門委員会については、今後も、定期検査結果の確認を初めさまざまな観点から、川内原発の安全性などについて御議論いただきたいと考えており、議論のテーマや、安全性や防災に関する分科会の開催など議論の進め方については、必要に応じて委員会の意見等もお聞きしながら、検討していくことになると考えております。
専門委員会における県民向けのわかりやすい情報発信に関する検討についてであります。
県民向けのわかりやすい情報発信に関する検討については、これまでの専門委員会において、住民に対し平時にどの程度の情報を伝えているかが重要、用語の定義を明確にすることが住民避難の観点から大事などの意見が出されているところであり、県広報誌原子力だよりの内容について、わかりやすい情報発信という観点からの意見等をいただいているところであります。
今後も、原子力だよりや原子力防災のしおりなどの作成について、専門委員会の意見等をいただきながら、表現や構成などを工夫し、わかりやすい情報発信に努めてまいりたいと考えております。
三十キロ圏内自治体の安全協定等についてであります。
川内原発に関する三十キロ圏内自治体と九州電力との協定については、いちき串木野市及び阿久根市においては、原子炉施設の変更に係る事前説明や異常時における連絡、県が行う立入調査の同行などを規定した、住民の安全確保に関する協定書を平成二十五年三月に締結したところであります。
また、鹿児島市、出水市、日置市、姶良市、さつま町及び長島町においては、異常時における連絡や県が行う防災に係る川内原発への立入調査の同行などを規定いたしました、原子力防災に関する協定書を平成二十四年十二月に締結したところであります。
これらの協定書については、各自治体と九州電力において合意の上、締結されたものであり、これまで各自治体から、協定の見直しについての意見等は聞いていないところであります。
避難先自治体を含めた合同連絡協議会の設置についてであります。
県といたしましては、避難計画の実効性を高めるため、計画の見直しや原子力防災訓練の実施に当たり、これまでも、原発のサイトごとに設置されている地域原子力防災協議会などを通じて、また、個別にも、国や関係自治体を初め、九州電力など関係団体と協議・調整を行ってきたところであります。
今後とも、避難計画等については、国や関係自治体等と十分に連携を図りながら、不断の見直しを行ってまいります。
原子力防災訓練や安定ヨウ素剤の配布等に係る議論の進め方についてであります。
鹿児島市は、本県の県都として、経済や文化の中心的役割を担うことが期待されておりまして、県と市のトップ同士が一つの方向を向いて地域活性化を図っていくことが非常に重要であると考えております。
今後とも、森市長との積極的な意見交換を重ねながら、県政を推進してまいりたいと考えております。
56 ◯企画部長(東條広光君)県工業試験場跡地に関する報道についてであります。
鹿児島市に対しましては、ことし四月七日に、県工業試験場跡地については、県民にとってどのような活用方法が最も望ましいかとの観点から検討中であり、売却には応じられない旨を伝えて以来、数回にわたり説明してきているところでありますが、先月、市道拡幅案に県が協力しないという趣旨の報道がなされたところであります。
県といたしましては、鹿児島市には今後とも県の考えを丁寧に説明していきたいと考えております。
57
◯総務部長(寺田雅一君)農業試験場跡地の活用についてでございます。
まず、県医師会の病院構想についてでございますが、平成二十五年当時、一般競争入札による農業試験場跡地の売却に関連いたしまして、跡地利用の一つとして提案されたものと承知しておりますが、その後の検討状況等についてはお聞きしていないところでございます。
また、県は、農業試験場跡地を今後どのようにするのかとお尋ねでございます。
農業試験場跡地につきましては、まとまった一団の土地であり、地域の活性化に寄与する施設等が整備されることが重要であると考えております。今後の対応につきましては、これまでの経緯も踏まえつつ、県民にとってどのような活用方法が最も望ましいかという視点を持って、総合的に検討しているところでございます。
続きまして、魚見町職員住宅敷地に係る埋蔵文化財の調査についてでございます。
埋蔵文化財の発掘調査につきましては、今後の利活用の内容によりまして、調査が必要な場合と不要な場合がありますほか、仮に売却する場合であっても、売却前に県が調査することも、また、売却後に購入者が調査することも可能でありますことから、当該土地の具体的な利活用方策に合わせて対応してまいりたいと考えております。
県有財産売却に係る特命チームの設置等についてでございます。
県有財産の売却を含む有効活用につきましては、これまで、副知事を会長とする県有財産管理運営委員会を中心に、全庁的に情報の共有化や連携の強化に努めますとともに、不動産鑑定士や宅地建物取引業者などの民間のノウハウも活用しながら、未利用財産の売却等を進めてきたところでございます。
特命チームをつくり、売却目標額を定めて売却を進めるべきとのお話もいただいたところでございますが、現在、未利用地を売却するまたは一時的に貸し付けを行うに当たりまして、それぞれの土地の置かれた条件・状況に応じた具体的な方策につきまして、民間事業者等と意見交換を行うなどの取り組みを進めているところでございます。
今後とも、このような民間事業者等の意見も十分に活用しながら、県有財産の積極的な売却に努めてまいりたいと考えております。
58 ◯土木部長(渡邊 茂君)住吉町十五番街区のサッカースタジアム用地としての売却についてでございます。
住吉町十五番街区について、鹿児島市等から、サッカースタジアムの立地場所にしたいとの意向を県としては聞いていないところであります。
59 ◯教育長(古川仲二君)鹿児島聾学校跡地、三光学園跡地に関する報道についてであります。
鹿児島聾学校跡地、三光学園跡地につきましては、地域住民から、災害避難ができる公園整備や市道拡幅等について要望が出されており、鹿児島市にそのことを示した上で、買い受け希望について照会いたしましたところ、昨年十二月に鹿児島市から県に対し、跡地全体についての買い受け希望はないものの、公園整備及び市道の一部拡幅のため、跡地の一部に係る無償での貸し付けまたは譲渡について要望があったところでございます。
新聞報道にあった鹿児島市議会での質疑については、このような状況を踏まえてなされたものと受けとめております。
鹿児島聾学校跡地、三光学園跡地の売却についてでございます。
鹿児島聾学校跡地、三光学園跡地については、接続する市道の幅員が狭く、建物等の建築が制限されますことから、その活用に当たりましては、接続道路の整備・確保が課題であると考えております。
県といたしましては、今後、同跡地の土地利用に関する制度面での情報提供など、売却促進を図るための課題解決策や当面の活用策などに関する不動産鑑定士などの助言、民間事業者からの意見等も参考にしながら、売却も含めた利活用策について検討してまいりたいと考えております。
[大園清信君登壇]
60 ◯大園清信君 答弁をお伺いして、本当に未利用財産等を売る気持ちがあるのか、県の財政を考えるとき、もっともっと真剣に、前向きに取り組む必要があろうかと思います。そしてまた、本県の財政を考えると、県有地を無償で譲渡したり貸し付けできる状況にはないと思いますので、どうか検討していただきたいと思います。
次に、保健福祉行政についてお伺いいたします。
救急医療の現状と救急クリニック開設についてであります。
昨日は、我が鹿児島県議会きっての紳士、温厚な瀬戸口議員が、地元課題、曽於医療圏の課題について熱くも、しかし謙虚に質問されました。議場の皆さん、自分のお膝元で同じような課題が生じたらどうされますか。恐らく、市民の皆さんの命と健康を守るために瀬戸口議員と同じ思いになられると思います。
部長、昨日の答弁は、県民の命と健康を守る本県の保健福祉部長としては誠意ある回答だったでしょうか。大変厳しい質問になろうかと思いますが、曽於医療圏の皆さんが、そして県民の皆さんが納得できる答弁をお願いします。
私は、去る九月二日に鹿児島県救急医学会の四十周年記念式典が行われましたが、それに出席しました。救急医療に携わる医師として、県立大島病院に勤務していた二十年前に比べると、県内の救急医療体制はかなり整備されてきたとの思いです。特に、鹿児島市立病院、
鹿児島大学の救命救急センターの充実と、県本土、一部離島の県本土ドクターヘリ搬送による救命率のアップ、全国で離島初めての県立大島病院地域救命救急センターの整備、そこを基地病院とするドクターヘリ運航、さらには民間病院による二十四時間・三百六十五日体制の救急医療の提供など、大変充実してきています。しかし、県内の中には医療過疎と言われる地域もあることを忘れてはなりません。
今回、私は、県内一の医療過疎地域となっている曽於医療圏の救急医療体制について、大変残念な思いをしております。
県は、鹿児島県地域医療構想の中で、以下のように曽於医療圏の現状を報告しています。「圏域内での完結率は七〇%程度であり、入院患者の多くが宮崎県または肝属医療圏へと流出しているため、今後も連携強化を図る必要がある」と。これまでどの医療圏においても、医師会を中心に医療連携がなされていたものと思います。
また、県は、平成二十九年度保健福祉行政の概要の中で、医師不足がより一層深刻化している状況等を踏まえ、将来にわたって医師を安定的に確保するため、医師修学資金の貸与、ドクターバンクの活用、臨床研修医の確保など、総合的な医師確保対策を推進するとし、その中で、ドクターバンク運営事業について、ドクターバンクかごしまにおいて、県外在住医師のUIJターンの促進を図るとともに、公的医療機関に対する医師のあっせん等を実施するとしています。
ドクターバンク運営事業の趣旨とは少し異なりますが、救急医療体制が脆弱な地域にあって、今回、曽於市に救急クリニックを開設したいという優秀な県外の救急専門医師の思いに県は応えていると言えるでしょうか。また、県内の救急専門医の数は、他県に比べて大変少ない状況だと理解しています。
そこでお尋ねいたします。
第一点として、曽於医療圏は、県内医療圏の中では最も医療環境が悪い医療過疎圏となっています。県は、曽於医療圏の医療の現状をどのように捉えているのか、特に救急医療の現状についてお示しください。
第二点として、県内の救急専門医師の平成二十九年六月現在の数と、その数の全国での順位をお示しください。
第三点として、県内の医師不足に対し、県の今回の対応は、鹿児島県内でクリニックを開業し、医療を行おうとする意欲のある医師の皆さんに対し、あしき前例となると思います。県の見解をお伺いします。
次に、本年五月、環境厚生委員会では、地域医療に大きな役割を果たしているとして、これまでマスコミで取り上げられている松岡救急クリニックを視察しました。視察には、県行政を初め、地元南九州市の行政関係者等多くの参加があり、松岡院長より、クリニックでの地域医療への取り組みが紹介されました。委員の多くがクリニックの取り組みを高く評価したものと思っています。
そこでお伺いします。
県は、松岡救急クリニックの医療をどのように評価しているのか、県独自の視点と、南九州市の行政関係者や医師会からの視点での評価についてもお示しください。
ところで、曽於医療圏の医療環境については、県内全ての医療圏の中で一番の医療過疎圏であることは先ほど触れました。その曽於市に救急クリニックが開設されるとの話が昨年暮れに流れ、地元曽於市では、市長初め、消防組合の職員、そして市民の多くが、曽於市の救急医療体制の現状から、大変な期待を持って今か今かと心待ちにしておられると聞いています。そして八月に開催される予定であった県の医療審議会に上がってくるものと期待されておりましたが、延期されました。
そこでお伺いします。
第一点は、市長初め、多くの地元市民が大いに期待している案件にもかかわらず、どうして審議会が延期されたのか。
第二点は、県は、曽於市民の命と暮らしを守るために、開院予定の救急クリニックの必要性についてどのように考えているのか。
第三点は、今回計画されているクリニック開院のために県はどのような努力をされたのか、お示しください。
ところで、平成二十年、県立整肢園の廃止が決定した際、その跡地について、当時の執行部では、既に同敷地にあった桜丘養護学校を拡張することに決定されていました。執行部から私に相談があった際、私は、県内に肢体不自由児の医療施設がなくなることは全国でも初めてのことで、県として恥ずべきこと、到底認められないということを当時の伊藤知事、保健福祉部長に申し入れ、もし認められなければ、議会の場で議員生命をかけて臨む旨を伝えました。その後、伊藤知事の御英断で、整肢園の半分を、当時ニーズのあった
発達障害児や肢体不自由児の施設に、半分を桜丘養護学校に分割していただき、現在の県こども総合療育センターと、拡張された県立桜丘養護学校に整備がなされました。
部長、行政のトップは、県民の命を守ることが第一です。優秀な医師が、県外から熱い思いを持って鹿児島で医療をしたいとのことです。今回の救急クリニックの開院手続がおくれていることが私には理解できません。曽於市に開設を計画されている救急クリニックは、曽於市民の命と健康を守るという大事な使命を持っております。まさに曽於市にとっては大事な事業であります。部長、大英断をもって、一日も早くこのクリニックの開設を認めることが部長の責任だと思います。見解をお伺いいたします。
61 ◯保健福祉部長(藤本徳昭君)曽於保健医療圏域に関しまして幾つか御質問いただきました。
まず、曽於保健医療圏の救急医療の現状についてでございます。
曽於医療圏につきましては、人口十万人当たりの医師数が百十二・九人で、本県平均の二百五十七・八人を下回っており、小児科や産科など特定診療科の医師も不足しているところであります。
また、同医療圏における救急医療の現状につきましては、在宅当番医制や夜間急病センターなどによる初期救急、曽於医師会立病院や救急告示医療機関などによる二次救急の体制が構築されております。しかしながら、救急患者の半数以上が管外へ搬送されており、救急搬送に要する時間も長いといった課題があるものと認識しております。
次に、救急専門医についてであります。
日本救急医学会が認定しております県内の救急専門医については、平成二十九年六月現在、四十三名であり、全国の順位は二十五位となっております。
次に、ドクターバンク運営事業への影響についてであります。
県では、地域医療の確保・充実を図るため、ドクターバンクかごしまを設置し、本県での就業を希望する医師の積極的な募集活動及び県内の公立医療機関へのあっせん等を行っているところであります。今回のケースは、診療所の開設に係るものであり、勤務医の確保を目的とするドクターバンクと比較して論じることは難しいものと考えております。
いずれにいたしましても、県としては、今後とも医師確保に向けて、医師修学資金の貸与やドクターバンクかごしまにおける医師のあっせん、臨床研修医の確保、医師の勤務環境の改善など、総合的な医師確保対策に取り組んでまいります。
次に、南九州市の救急クリニックの評価についてであります。
県の立場で当該クリニックの医療の評価は申し上げられないところでございます。しかしながら、救急自動車による搬送受け入れが、平成二十六年度は六百六十七人、平成二十七年度は六百三十八人、平成二十八年度は七百六人で、診療時間外の受診患者数は、平成二十六年度は六千七十四人、平成二十七年度は七千五百四人、平成二十八年度は八千九十五人となっており、一定の実績を上げておられるものと認識いたしております。
なお、県におきましては、消防機関や地元医師会の意見も踏まえまして、同クリニックを救急告示医療機関に認定しているところであります。
次に、医療審議会の延期の理由についてであります。
医療審議会につきましては、当初は、八月に特例診療所の開設を審議する全体会と、医療法人の認可を審議する医療法人部会を開催する予定でありましたが、特例診療所の開設に関してさらに確認すべき事項が生じたため、全体会は延期することとし、医療法人部会のみ開催したところであります。
特例診療所の必要性に関して申し上げると、曽於保健医療圏における救急医療については、在宅当番医制や夜間急病センターなどによる初期救急、曽於医師会立病院や救急告示医療機関などによる二次救急の体制が構築されておりますが、救急患者の半数以上が管外へ搬送されており、救急搬送に要する時間も長いといった課題があるものと認識いたしております。
県の特例診療所に係る対応についてであります。
県といたしましては、特例診療所の開設についての相談に対し、制度や手続に関する説明等を丁寧に行ってきましたほか、地域医療構想調整会議において開設予定者が関係者に説明する場を設定するなど、所要の措置を講じてきたところであります。
特例診療所に係る見解についてであります。
現在、県内のいずれの二次医療圏においても、既存病床数が県保健医療計画に定める基準病床数を超えており、新たな病床は原則として設置できないところであります。そうした中で、地域において、良質かつ適切な医療が提供されるために特に必要な診療所については、その特例として一般病床の設置が認められております。
このため、まずは地元の自治体、消防、医師会等の関係者において、救急医療の現状や課題等について十分に協議され、共通認識を持っていただくことが重要ではないかと考えております。
県といたしましても、これまで、関係者が協議する場を設定するよう地元自治体に働きかけてきたところであります。
いずれにいたしましても、特例診療所の開設については、必要とされる医療に関する地域の実情を踏まえつつ、医療関係者や受療関係者等を委員とする医療審議会での審議を経た上で、その可否を判断することになるものでございます。
62 ◯大園清信君 部長に質問いたします。
先ほど答弁の中にも、「地元関係者の共通認識を持って」というお話がありました。しかし、地元関係者による協議会がなかなか開催されないと言われているんです。開催されない。なぜ開催されないんですか。
それと、開院後の救急クリニックが医療審議会での審議を通過するためにはどんな要件をクリアしたらいいのか。その二点についてお伺いします。
63 ◯保健福祉部長(藤本徳昭君)私も地元自治体のほうにお話を承ったところでございますけれども、今、市のほうでさまざま関係者への呼びかけ等を行っているが、まだ協議まで至っていない状況であるというお話を聞いているところでございます。
それと、要件ということで、先ほどの答弁の中で、「さらに確認すべき事項が生じた」と申し上げましたけれども、私どもとしては、救急医療を目的とする特例診療所につきましては、救急処置後、転送せざるを得ない救急患者を積極的に受け入れる協力医療機関をあらかじめ確保しておくことが必須であると考えておりますが、この協力医療機関について確認ができない状況ということでございます。
64 ◯大園清信君 再度質問します。
部長、今回、曽於に開院予定の救急クリニックは、地元医師会の中には、表面上は連携できないと、しかし、今回、鹿屋市の病院が連携してもいいという合意をされたと伺っております。その場合には、この医療審議会における要件を、連携する後方支援病院があったということで理解していいのか。
それともう一点、知事にお伺いします。
知事はこれまで、昨日の瀬戸口議員の質問を受けて、そしてまたきょうの私の話を聞いて、今後、この救急クリニックの早期の開設に向けてはどう対応していったらいいのか、県のトップでありますので知事の御所見もお伺いいたします。
65 ◯保健福祉部長(藤本徳昭君)先ほどの答弁と重なりますけれども、要件といたしまして、特例診療所、特例的に病床を認めるか否かということでございますが、その際に、必ずしも医師会の同意を必要とするということではございませんが、協力医療機関については必須であるという認識を持っているところでございます。
それとあと、県の認識ということでございますけれども、県におきましては、救急医療も含めまして、地域における医療提供体制を確保するための施策を進める立場であると認識いたしております。そういった観点から、私どもとしては、医師修学資金の貸与とか臨床研修医の確保など、総合的な医師確保対策等に取り組んでいるところでございます。
また、一方で、県は、医療法に基づく許認可等の事務も所管しております。特例診療所の開設に関して申し上げますと、審査庁の立場でもございます。このため、医療法、関係法令に照らして、特例診療所に該当するか否かを判断する必要がございますので、特定の案件に関して直接的に関与するということは、また一方で避ける必要があるのではないかと考えております。
ただ、先ほど申し上げましたように、曽於医療圏については、救急搬送に関して課題があるという認識もいたしておりますので、今後、地元自治体とも連携を図りながら、救急医療体制の確保に努めてまいりたいと考えております。
66 ◯知事(三反園 訓君)お答えいたします。
救急医療に関しましては、私も車座を通してさまざまな御意見も伺っているところでもありまして、特に、産科医不足とか小児科医不足とかいうこともよく聞いておりまして、また曽於市、そうした周辺におきまして、救急医師が不足しているという現状もよく認識しているところでもあります。
そういったことも踏まえまして、曽於市民にとって何が一番いいのか、そして県民にとって何が一番いいのか、どうすれば一番いいのか、そういう観点から、今後、この件に関しましても考えていきたいと思っております。
[大園清信君登壇]
67 ◯大園清信君 時間がありませんけど、一言。
知事、部長、今、曽於市民が何を一番求めているか、このことが大切なんです。一日も早く、おくれている救急医療体制に救急クリニックを開設していただきたいと、この思いだけなんです。ですから、この思いにしっかりと応えられるように、知事初め部長も、曽於市の行政の皆さん方と協力して、一日も早く審議会が開かれるように努力していただきたいと思います。
次に、教育行政についてお伺いします。
特別支援教育の現状と課題についてお伺いいたします。
特別支援教育が大切であることは、今議会の代表質問、一般質問で多くの議員の方々が質問されており、明らかです。
自閉症スペクトラム、アスペルガー障害、その他の広汎性
発達障害、学習障害、注意欠如・多動症などの
発達障害は、これまで知的障害や精神障害にも該当しないと判断され、教育や福祉の谷間に長く取り残されてきましたが、
発達障害者支援法が平成十六年十二月に制定され、翌年から施行され、今ではこれらの障害のある人も精神障害者保健福祉手帳や療育手帳が取れるようになっています。
私も議員に上げていただいてから、障害者の医療・福祉・教育支援について取り組んできており、よりよい障害者の環境整備にこれからも努めてまいりたいと思います。
現在、普通学級に通う子供たちの約五%から六%に、落ちつきがなかったり集中できないという特性を持った子供がいることから、文科省は、
特別支援教育の充実を図る施策を行うようになってきており、障害のある子供たちの一人一人の
教育的ニーズに応じて、適切で細やかな指導や支援を行う
特別支援教育を充実させる必要は言うまでもありませんし、その受け入れ先の特別支援学校や特別支援学級の整備が大変重要です。
今議会の知事提案理由の中で、「今回新たに平成三十年度から、特別支援学校高等部支援教室として喜界島と屋久島においても設置」されるとのことで、県の取り組みを高く評価します。
鹿児島市においては、これまで、盲学校、聾学校、鹿児島養護学校、鹿児島高等特別支援学校の整備は既に終わっています。鹿児島養護学校の整備、養護学校の知肢併置化がなされ、
鹿児島市内の養護学校の
児童生徒の動向についてはある程度理解しておりますが、確認のために、
鹿児島市内養護学校三校の平成二十七年、二十八年、二十九年の在籍者数をお示しください。
ところで、県は、平成二十八年度に就学意向調査をされたとのことですが、結果分析はどうであったのか、結果分析から見えてきたものは何であったのか、お示しください。
次に、鹿児島市南部地域の特別支援学校整備についてお伺いします。
平成二十八年第一回定例会において、伊藤前知事は、南部地域の特別支援学校整備について、「人口が増加傾向にある同地区におきまして、将来的に特別支援学校の
児童生徒数が増加することにより、新たに特別支援学校を整備することが必要となる事態も十分に想定しているところである」と答弁されており、同地区の人口増加は、中山小学校の児童数が年々増加し、現在、千三百六十二名と全国でも一位か二位の在籍児童数を誇っています。