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2015-09-18 平成27年第3回定例会(第3日目) 名簿
2015-09-18 平成27年第3回定例会(第3日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 2015-09-18
    2015-09-18 平成27年第3回定例会(第3日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(池畑憲一君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、代表質問    ふくし山ノブスケ君    成 尾 信 春 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 代表質問 ◯議長(池畑憲一君)代表質問であります。  ふくし山ノブスケ君に発言を許可いたします。    [ふくし山ノブスケ君登壇](拍手) 3 ◯ふくし山ノブスケ君 県民連合を代表して質問を行います。  関東・東北豪雨は各地に大きな被害をもたらしました。残念ながら犠牲になられた方々に哀悼の意を表し、被災をされた方々には心からお見舞いを申し上げます。
     今回、茨城県常総市は鬼怒川の決壊により甚大な被害を受けました。決壊した堤防は、十年に一度の洪水に対応するため、かさ上げ工事の計画が予定されていたものの、着工に至っていなかったとのことであります。本県も多くの河川を有していますが、河川の整備は一朝一夕にはまいりません。時間はかかりますが、優先度を見きわめながら整備を進めると同時に、やはり最悪を想定した防災対応を進めることが重要だと考えます。  近年、地球温暖化の影響等もあり、全国各地で豪雨災害が発生をしています。本県においても、犠牲者を出さないことを最重要課題として、改めて避難のあり方等の徹底した検証が必要だと考えます。関東・東北豪雨による被災者の一日も早い生活再建がなされることをお祈り申し上げ、質問に入ります。  六月に行われた、景気回復の実感に関するマスコミの調査において、安倍内閣に優先的に処理してほしい政策課題を複数の回答で聞いています。五七%で最も多かったのが、年金など社会保障改革、次に、三八%で景気対策と続いています。そのような中、七月に安全保障関連二法案が衆議院で強行採決され、参議院においても、良識と抑制の府としての役割を果たすことなく、安保法制特別委員会で採決されました。  この法案については、衆議院の憲法審査会で、各党推薦の参考人である憲法学者三人全員が安全保障関連法案を憲法違反と指摘、歴代の内閣法制局長官からも違憲であるとの指摘がなされています。この間、砂川判決を持ち出したり、法案が違憲ではないとする政府見解を示すなどいたしましたが、憲法学者の九割以上が、憲法違反もしくは憲法違反の疑いありと指摘、一万人を超える大学の研究者など学識者が法案に反対、そして大部分の国民が理解は進んでいないと感じ、今国会での成立に反対しています。それにもかかわらず強行に進められているのであります。  政府は、「憲法解釈の最高権威は最高裁。憲法学者でも内閣法制局でもない」と反論しましたが、その憲法の番人のトップにあった山口繁元最高裁長官マスコミ取材に対し、集団的自衛権行使容認は違憲との立場で次のように述べています。「専守防衛に徹する。これが憲法九条の解釈だ。その解釈に基づき、六十年余りさまざまな立法や予算編成がなされてきた。その解釈をとる政権与党が選挙の洗礼を受け、国民の支持を得てきた。この事実は非常に重い。長年の慣習が人々の行動規範になり、それに反したら制裁を受けるという法的確信を持つようになると、これは慣習法になる。同じように、憲法九条の従来の政府解釈は、単なる解釈ではなく規範へと昇格し、九条の骨肉と化しており、それを変えるのなら、憲法を改正し、国民にアピールするのが正攻法だ」と言っています。  さまざまな議論、意見がある中で、山口繁元最高裁長官の考え方は大変合理性のあるものだと考えます。もちろん砂川判決についても、集団的自衛権の行使なんて全く問題になっていないと一蹴しています。  知事にお伺いいたします。  この質問の冒頭で申し上げましたように、安倍内閣に優先的に処理してほしい政策課題として多くの国民が、年金など社会保障改革や景気対策と答えています。当然だと思います。もちろん、それらが安全保障政策より重要であるなどと比較して申し上げることはいたしませんが、それにしても、憲法解釈変更集団的自衛権行使の容認を閣議決定し、民意から乖離しているにもかかわらず安保法案の成立を急ぐ理由がどこにあるのか。  安全保障政策にかかわる一連の動き、その進め方、法案についてどのような見解をお持ちか、お聞かせください。  知事は、六月議会における我が会派の安保法案に関する質問に、「安全保障政策に関する一義的な判断主体である国で、国会を初め、政党及び国民の間で幅広い議論が行われることが重要。国会において十分な議論が行われることを期待している」と答弁しておられます。  この間の国会における議論は、果たして国民の幅広い議論をも包含した十分な議論がなされたとお考えでしょうか、お聞かせください。  法案成立への反対のうねりが、学生、法曹、学者、大学有志の会、ママの会など世代や立場を超えて広がりを見せていますが、こうした国民世論に対する見解もお聞かせください。  戦後七十年談話の評価について伺います。  ことしは、第二次世界大戦の終結から七十年目となります。戦争の犠牲となってたおれ、傷つき、苦しめられた全ての人々に心から哀悼の誠をささげます。戦禍を生き延びた人々にとって一筋の光明となったのは、恒久平和を誓った日本国憲法でした。この憲法を指針にしたこの七十年の平和国家への歩みを振り返り、再び戦争の時代を招来しないよう努め、後世にも引き継いでいくことが私たちの責務だと考えます。  安倍首相は、戦後七十年に当たって談話を発表いたしました。談話は、歴代内閣と同様に、戦後五十年のいわゆる村山談話の基本的立場を踏まえたとしています。自社さ連立政権時の村山談話は、国策の誤りであったさきの大戦の深い反省から、平和と民主主義の遂行と国際的な軍縮の推進が、犠牲になった国民と世界の全ての人々への償いであると確信し、平和憲法の理念に沿った施政を貫くことを誓っています。  第二次安倍政権発足直後に、「安倍内閣として村山談話をそのまま継承しているわけではない」と発言していたことなどから、痛切な反省、植民地支配、侵略、おわびの四つのキーワードにどう言及するかが焦点となっていましたが、アジア諸国からの強い警戒心に加え、アメリカやドイツなどからも自省を求められたことや、二十一世紀構想懇談会報告書で侵略に言及したこと等から、キーワードを盛り込むという妥協を余儀なくされることになったようであります。  キーワードが明記されたことを評価する声や、いずれも第三者的な触れ方であったという声、また、世界の平和と繁栄への決意を示しながら、一方で立憲主義に反する安保法案の成立を目指すなど、矛盾も見られることへの批判もあります。  いずれにしても大切なことは、沖縄基地問題や原爆被爆者問題、空襲被害など民間の戦争被害など、七十年たっても解決しない問題が幾つもありますが、こうした未解決の課題の解決に向けた取り組みが必要であるという問題意識を持つこと、そして何よりも大事なのは、戦後七十年の平和国家としての歩みをこれからも続けることであり、憲法九条が指し示す武力によらない平和を目指すことであると思います。  戦後七十年に当たっての安倍首相談話についてどのように評価しているか、お聞かせください。  県政運営の評価と課題について伺います。  伊藤知事は、昨年七月に知事就任十年目を迎えられたことから、県民との約束であるマニフェストに基づく県政運営の取り組みについて、みずから一定の評価をされました。知事御自身は大体順調に進んでいるとの評価をされています。  知事三選を果たされてから早くも三年が経過いたしました。二〇一二年の選挙では、「我が国のグローバル化本格的人口減少少子高齢化により大きな変革期を迎えている中で、人々がみずからの暮らしに明確な見通しや希望を持って安心して生活できるようにすることが重要であり、子どもからお年寄りまですべての県民にとって優しく温もりのある社会の構築がより一層求められている。私は、本県の有する発展可能性を最大限に生かすとともに、時代状況の変化にも的確に対応しながら、県民の皆様とともに力を合わせて、すべての県民が郷土に夢と誇りを持ち、生涯を安心して過ごせるような『力みなぎる・かごしま』、『日本一のくらし先進県』の実現に向けて全力を挙げて取り組んでまいりたい」と決意を述べておられます。  知事就任から十一年、そして三期目の三年間をどのように評価しておられるのでしょうか。政策の進捗や県民との連携、信頼関係の構築などの観点も含めてお答えください。また、残り少ない今任期ですが、課題として何があるとお考えか、お聞かせいただきたいと思います。  本県の厳しい財政状況の中で、財源不足の解消など大変な御努力があったわけですが、職員の給与カットや職員数の大幅削減もなされるなど大きな痛みを伴うものであったことから、今後、ボディーブローのように行政運営に影響が出てくることも予想されます。財政もピンチを切り抜けたとはいえ、県債残高は多く、公債費は高水準で推移し、扶助費も増加傾向に歯どめがかからず、今後も厳しい財政運営が予想されます。  そういった中、地方創生の総合戦略や人口ビジョンを策定し、今後、取り組みを進めていくことになりますが、本県の将来について知事はどのように展望しておられるのか、お聞かせください。  知事の三期目の任期も残すところ一年足らずとなりました。これまでの評価を踏まえ、引き続き、みずからが県政のトップリーダーとしての役割を担う意欲をお持ちか、次期知事選挙への考え方についてもお聞きいたします。  アベノミクスの効果と今後の経済の見通しについて伺います。  世界の株式市場で混乱が続いています。発端は中国経済の減速への懸念で、八月下旬には世界連鎖株安が起こり、日経平均株価は六カ月ぶりに一万八千円を割り込みました。株価連動内閣と言われる安倍内閣が進めるアベノミクスの行方はどうなるのか。三本の矢と言われる大規模な金融緩和と財政出動、成長戦略の効果がどうなっているか、気になるところであります。  確かに、円安・株高を背景に企業業績は過去最高水準に達し、二〇一五年春闘では二年連続の賃上げが実現するなど、経済の好循環の実現も期待させましたが、ことし四月から六月期の実質国内総生産は前期比〇・四%減と、三四半期ぶりのマイナスになりました。政府は一時的な要因が大きいとしていますが、現在の各国の景気浮揚策は財政出動や金融政策に依存しており、自転車に例えると補助輪を外したら倒れかねないという状態だ。アベノミクスの限界が見えてきたと指摘するエコノミストもふえています。  株価を上げ、円安を進めることには一定成功しましたが、円安による輸出量の増加も見られず、賃金も実質賃金はこの七月、二十七カ月ぶりにやっと前年同月比で〇・三%増となりましたが、日経平均株価が十八年半ぶりの高水準になった六月に行われたマスコミの世論調査でも、国民の七、八割は「景気回復の実感はない」と答えており、実感しているという人の多くは高額所得者であります。  また、現在の株安傾向で不安が広がりつつあるのが年金であります。公的年金資産を運用する年金積立金管理運用独立行政法人の資金が株式市場に投入されていることから、年金の将来について懸念の声が上がっています。この問題も、国民がこうむるリスクについての説明が十分になされておらず、年金と社会保障の立て直しに展望が見えない状況になっていると言えます。  以上のように、世界の株式市場の混乱から世界経済全体の先行きに不透明感が強まったことで、我が国においても、アベノミクスが今後、各地域において徐々に好循環を実現していくという楽観的な見通しも崩れてきていることや、社会保障に至るまでさまざまに影響が及ぶことが危惧されます。  伊藤知事は、この間のアベノミクスの効果についてどのように評価しておられるのか。また、課題と現状についての認識について、本県の現状も含めてお聞かせください。  あわせて、今後の国の経済見通しについてどのように考えておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。  八月二十七日、第二回総合教育会議が開催され、伊藤知事、古川教育長、ほかに五名の教育委員が出席されました。教育大綱の策定について協議がなされたようですが、その中で知事から信じられない発言が出たわけであります。  せんだって行われました全国学力・学習状況調査の結果を受け、知事としての目標設定を委員から質問されたときに、知事は、「僕は、女性にはサイン、コサイン、タンジェントは要らないと従来から言っています。高校教育で女の子にサイン、コサイン、タンジェントを教えて何になるのかなと。それよりももう少し、社会の事象とか、植物の花とか草の名前とか覚えさせたほうがいいのかというのがあって」という発言をされました。翌日は、多くのメディアがこの発言を取り上げ、全国ニュースでも取り上げられる始末となったわけであります。知事の発言以来、県には多くの電話やメールあるいは抗議文が寄せられており、学事法制課に二十件、広報課に百五十件といったぐあいであります。  このような事態を受けて、知事は率直なところどのように思っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。  九月九日に開催された県男女共同参画審議会で委員から、「男女平等は教育の基本。どう弁解されようと不安や疑問がある。高校生でなく、女の子がなぜ入ったのか納得いかない。撤回すれば済むものではない」などの意見が相次いだようであります。当然だと思います。明らかに女性蔑視と受け取れる発言に対しては、私どもも看過できるものではなく、知事という立場ですから、このような見識なのかと残念であります。  当日は、三角県民生活局長が知事の発言の経緯について説明し、「一連の報道により皆様に御心配、不快な思いをさせ、おわび申し上げます」と謝罪しておられます。発言したのは知事であります。なぜ局長が謝罪されるのか。直接知事が謝罪すべきだと思いますが、いかがでしょうか。  また、審議会の石田尾会長は、「教育の根幹にかかわり、審議会として譲れないところ。男女共同参画を前に進めるため、発言の位置づけを示してほしい」と話されたとのことであります。審議会に対しても真摯な対応をすべきと考えますが、見解を伺います。  教育委員会制度が変わり、この四月から知事は、県全体の教育について責任を持つ立場にあり、また、男女共同参画を推進する県の責任者でもあります。今回の知事の発言は、男女平等をうたう教育基本法の精神にも反し、流れに逆行するものであります。知事の見解を求めます。  当日は、古川教育長も出席していたようですが、知事の発言に対しどのような見解を持たれたのか。なぜ会議の中で知事に対し見解を求めなかったのか、お尋ねいたします。教育行政全般を統括する知事の発言として許されるものではないと考えますが、いかがでしょうか。  地方創生の取り組みと二〇一六年度予算編成方針について伺います。  政府のまち・ひと・しごと創生本部は、地方創生の柱として二〇一六年度に創設する新型交付金を一千億円規模にする基本方針を決定しました。その規模は、二〇一四年度補正予算で先行計上した千七百億円を下回っております。新型交付金は、地方の先駆的な取り組みを後押しする安倍首相の看板施策でもあります。全国知事会は、二〇一四年度補正予算を大幅に上回る規模を要請していたもので、ここに時事通信社が行ったアンケートがあります。概算要求額千八十億円に対し、半数以上の二十五の県知事が、「全く評価しない」あるいは「評価しない」とした結果が出ております。新型交付金事業は、これと同額の地方負担を求める仕組みで、従来事業と比較して奇抜性に乏しく、国から拠出される金額に期待した地方側の落胆が見てとれます。  伊藤知事は、地方創生の推進に当たり、国の新型交付金概算要求額をどう評価されるのか伺います。  また、時事通信社のアンケートでは、人口減少対策や地域の活性化に向け、国に特に強く求める項目について、東京、熊本、鹿児島を除く四十四の府県知事が少子化対策の抜本強化を挙げ、最多となっています。次いで四十一人の知事が、地方創生に必要な財源の確保と税制措置と答えていますが、各県が国に対し求めている少子化対策以外に、本県における優先すべき課題をどのように捉えておられるのか、認識をお聞かせください。  国の来年度予算の概算要求は百二兆四千億円程度と過去最大規模に膨らんでおり、政府が六月に新たな財政健全化計画を取りまとめたものの、達成への道筋は早くもかすむとする見方もあります。総務省は、二〇一六年度の概算要求で、国から地方自治体への財政支援に当たる地方交付税の要求額を十六兆四千億円台半ばとしており、二〇一五年度の地方財政計画に盛り込んだ十六兆七千五百四十八億円から三千億円程度減額となっています。これは、景気回復による法人二税などの地方税収の伸びを織り込んだものと考えられます。  この国の概算要求に見る地方財政への期待と不安要素について、認識を伺います。  ここに来て政府内には、参院選を控え、景気を優先した補正予算編成の必要性などが議論されています。四月から六月期のマイナス成長への転落や中国ショックによる世界市場の混乱も加わり、アベノミクスは内憂外患の様相を呈しています。そのような中、二〇一六年度地方財政計画の策定に向け、歳出特別枠の堅持や別枠加算など地方財源確保に、全国知事会を初め、地方の側の迅速で的確な対応が求められています。  国との折衝が正念場となりますが、今後の取り組みへの知事の決意を伺います。  日本の国と地方の借金は約一千兆円、国民一人当たり八百万円にも上っています。財政危機では崖っ縁で債務超過に陥ったギリシャがありますが、借金残高をGDP比で見ると、ギリシャより日本のほうが深刻だと言われます。二〇二〇年度の国と地方のプライマリーバランスを黒字化するという目標達成にも疑問符がつきます。安倍総理は「経済再生なくして財政再建なし」が口癖で、成長戦略に軸足を置き、財政再建は後回しにしている感があります。  本県の来年度予算編成を控え、本格化する地方創生総合戦略策定と相まって、県の基礎的財政収支バランスの成果と課題を踏まえた来年度予算編成の基本方針と重点施策を明らかにしてください。  以上で、一回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 4 ◯知事(伊藤祐一郎君)知事の政治姿勢について、まず、安全保障関連法案についてのお尋ねであります。  我が国の周辺の安全保障環境が一層厳しさを増す中で、政府が国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制と位置づける安全保障関連二法案は、本年五月に閣議決定された上で国会で審議され、七月に衆議院本会議で可決されたところであります。現在、参議院におきまして関連二法案は審議されており、昨日、平和安全法制特別委員会において可決され、本日、本会議で審議が予定されているところであります。  このような中、安全保障関連二法案につきましては、世論調査の結果、また、法曹界関係者や学者などの有識者によるさまざまな意見、主張があることは十分承知いたしておりますが、これまでも申し上げているとおり、安全保障政策に関する一義的な判断主体である国におきまして、引き続き、国会を初め、政党及び国民の間で幅広い議論が行われるとともに、国として十分に説明責任を果たすことが重要であると考えているところであります。特に、今回の安全保障二法案は、各法律における対応事態やその改正内容等につきまして複雑な点が多いために、引き続き国が、より丁寧な説明を、より広範な国民を対象として行うよう期待しているところであります。  戦後七十年談話の評価についてのお尋ねがございました。  戦後七十年談話は、さきの大戦が終わりを告げてから七十年目に当たる本年八月十四日に閣議決定され、安倍首相みずからが発表されたものであります。談話では、さきの大戦における行いに痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明してきました歴代内閣の立場を継承いたしますとともに、積極的平和主義の旗を掲げ、世界の平和と繁栄にこれまで以上に貢献していくことが述べられているものであります。  未来志向が考慮された内容にもなっており、今後、産業、観光、文化など各分野において大きな発展可能性を有する環黄海経済圏を中心としたアジア地域との戦略的な連携・協力を構築することを目標としている本県にとりまして、一定の評価をするところであります。  県政運営の課題と評価についてのお尋ねがございました。  私は、平成十六年七月の知事就任以来、県民の皆様にお約束をいたしましたマニフェストやかごしま将来ビジョンに基づき、「持続可能性への挑戦」、「産業おこしへの挑戦」、「鹿児島おこしへの挑戦」の三つの課題に取り組みますとともに、二十一世紀の人類の共通の課題であります環境、食料、医療・福祉に重点を置きつつ、「力みなぎる・かごしま」、「日本一のくらし先進県」の実現に向け、全力を挙げて取り組んでいるところであります。  また、私は、県政の主人公はあくまで県民の皆様であるとの立場を明確にし、県民本位の県政の実現に懸命に取り組んできたところであり、対話や協働を通じて、なるべく多くの県民の皆様の県政への参加を促しますため、積極的な情報の公開や提供などに努めますとともに、知事と語ろ会の開催や審議会等における委員公募制の導入など、さまざまな取り組みを進めてきているところであります。  その結果、行財政改革につきましては、県勢の発展や県民福祉の向上に資する事業についてその財源を十分に確保した上で、平成十六年度に四百五十一億円あった財源不足を解消いたしますとともに、九州新幹線全線開業の効果を県内各地に波及するための取り組み、高規格幹線道路などの道路網の整備、国際定期航空路線の拡充、奄美群島振興交付金の創設、特別支援教育の充実、楠隼中高一貫教育校の開校、大隅加工技術研究センターの開設、こども総合療育センターの設置、ドクターヘリの運航開始など、各般の施策・事業に取り組んできたところであり、全体として、県議会や県民の皆様の御協力のもと、おおむね順調に県政を推進することができているのではないかと考えております。  一方、我が国は、グローバル化の急速な進展、本格的な人口減少や少子高齢化の進行、地域間格差の拡大、国・地方を通ずる厳しい財政状況など大きな変革期を迎え、将来に対する不透明感が増しつつありますが、このような時代状況にありましては、人々が将来に対して安心して自分の暮らしに明確な見通しや希望を持って生活できるようにすることが重要であると考えております。  そのため、私は、県政の推進に当たりましては、三年、五年、十年、三十年後の鹿児島の将来像をいつも念頭に置きつつ、人口減少、超高齢社会への対応など時代の状況変化に的確に対応しながら、子どもからお年寄りまですべての県民にとって優しく温もりのある社会の形成を目指し、すべての県民が郷土に夢と誇りを持ち、生涯を安心して過ごせるよう全力を挙げて取り組んでいくことが重要であると考えております。私としましては、今はただひたすら、「力みなぎる・かごしま」、「日本一のくらし先進県」の実現に向けて邁進してまいりたいと考えております。  総合教育会議での私の発言に対する質問がございました。  先般、二十七日に開催しました総合教育会議において、本県の教育に関する大綱の策定に向けた協議に引き続き、全国学力・学習状況調査の結果の報告が行われたところであります。その議論の過程において、小・中学校における基礎的な知識の習得は、将来どの分野に進むにしても必要であるという考え方を示した上で、高等学校におきましては、人生にはいろいろな分野がありますことから、均一的な教育の仕組みを変えたほうがよいのではないかという考え方もあること、どの段階で何を教えるかということが難しくなっていることなどを申し上げたところであります。その後、この場における発言の一部のみが報道されたことに伴い、他の報道機関でも取り上げられ、いろいろ反応があったことは承知いたしております。  私の発言は、全国学力・学習状況調査におきまして、何を目標とするかと私の考え方を問われ、まず、小・中学校は、基礎的な知識の応用、基礎的知識の習得などで一般的に学力調査等で一定の成績をおさめてほしいという私の考え方を述べた上で、中学校後の高校教育のあり方、カリキュラムの取り扱いについて附則的に発言した中で述べたものでありますが、サイン、コサインを例示として示したために、私の真意が十分に伝わらない表現になってしまった面があり、男女平等教育の観点からは誤解されるような印象を与えた発言になったことは少々軽率であったと考え、翌日の定例記者会見において、その部分について撤回したところであります。今回の発言は、その場の議題からして、性別の教育のあり方について言及する意図は全くなく、もとより男女平等教育の推進は引き続き取り組むべき重要な施策であると考えております。  なお、県男女共同参画審議会における県民生活局長の発言は、同審議会を所管する局長としてのものであり、また、同審議会からは、今後とも男女共同参画に関して有益な御意見をいただけるものと考えております。 5 ◯企画部長(岩切剛志君)アベノミクスの効果と今後の経済の見通しについてであります。  国は、長引くデフレからの早期脱却と日本経済の再生のため、大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略を三本の矢とする経済政策、いわゆるアベノミクスに取り組んできたところであります。  直近の月例経済報告によりますと、我が国経済は、企業収益が改善傾向にあり、設備投資に持ち直しの動きが見られるものの、個人消費の伸びは鈍くなっています。また、先行きについては、中国やその他新興国経済の先行き、アメリカの金融政策正常化に向けた動きの影響、ギリシャ問題への対応やその影響などにより、景気が下振れするリスクや金融資本市場の変動に留意する必要があるとされております。また、県内経済については、雇用情勢は高水準の状況が続いているものの、個人消費の一部に弱い動きが見られるところであります。  国がアベノミクスに取り組むこの二年半余り、有効求人倍率は二十三年ぶりの高水準、完全失業率は低水準で推移し、個人消費は持ち直しの兆しがありますものの、円安による輸入原材料価格の上昇が消費に与える影響等については、注視が必要な状況であるとされております。  今後、国においては、好調な企業収益を設備投資の増加や賃上げ、雇用環境のさらなる改善等につなげ、地域や中小・小規模事業者も含めた経済の好循環のさらなる拡大を実現するとしており、県としましても、こうした取り組みにより、地域経済も含めた経済の好循環の実現に努めていただきたいと考えております。  地方創生の取り組みへの新型交付金の評価についてであります。  地方創生について、地方が総合戦略を策定し、平成二十八年度より具体的な取り組みが本格化することを受け、国は、人的・財政的支援などを講ずることにより地方創生を進化させていくため、新型交付金の創設を決定し、平成二十八年度の国の概算要求におきまして一千八十億円を計上したところであります。  この新型交付金は、官民共同や地域間の連携の促進など、先駆的優良事例の横の展開などを対象に支援することとされておりますが、概算要求の規模は、平成二十六年度補正予算で措置された地方創生先行型交付金の額一千七百億円を下回ること、その内容は、内閣府所管の地域再生基盤強化交付金事業や他省庁の地方創生関連事業など、既存事業の再編などにより財源の確保がなされたものでありますことから、国の地方創生に対する姿勢に地方から疑問の声が上がっているところであります。  県としましては、新型交付金について、地方が地域の実情に応じて自主性、主体性を最大限に発揮できる継続的な仕組みとすることや、その配分に当たっては、離島や過疎地域などの条件不利地域に十分配慮した仕組みとすること、また、規模については、平成二十六年度補正予算における地方創生先行型交付金を大幅に上回る額を確保することなどについて、県開発促進協議会や全国知事会等を通じて、引き続き要望してまいりたいと考えております。  人口減少対策等のための課題についてです。  地方創生は、人口減少、少子高齢化が急速に進展する中、国と地方が総力を挙げて取り組まなければならない課題であり、本県においては、人口減少の克服と地方創生を確実に実施するためには、本県の地域特性や可能性を最大限に生かしながら、県民一人一人が生涯安心して働き、安定した生活を送ることが重要であると考えております。  そのため、従来の少子化対策や産業振興対策、定住・移住の推進など、地域経済の活性化のための諸施策の充実を図りますとともに、何よりも、本県の基幹産業である農業を初めとした第一次産業や観光産業などの重点的な振興を図ることが重要であると考えており、地方が地域の実情に応じて自主性、主体性が発揮できる、真に実効性を伴った施策を展開できますように、少子化対策の抜本強化のほか必要な財源を確保することや、雇用創出の強力な推進など、経済活性化のためのさまざまな取り組みが必要であると考えております。 6 ◯教育長(古川仲二君)総合教育会議での発言に関する教育長の見解についてでございます。  先般開催されました総合教育会議におきましては、大綱の策定に係る協議のほか、全国学力・学習状況調査の結果についての報告がなされたものでありますが、御質問にありました発言については、小・中学校における基礎的な知識はどの分野に進むにしても絶対に必要であり、一定のレベルには達してほしいとの考えを示した上で、高等学校においては、人生にいろいろな分野があるので、どの段階で何を教えるのかということが難しくなっていることや、均一的な教育の仕組みを変えたほうがいいのではないかという考えもあることが述べられたものと理解いたしておりまして、私といたしましては、当日の知事自身の教育に関する発言の全体的な流れの中で、その発言の趣旨については受けとめたところでございます。 7 ◯総務部長(寺田雅一君)国の概算要求に係る地方財政への期待と不安要素の認識及び県の今後の取り組みについてでございます。  総務省が公表しました平成二十八年度地方財政収支の仮試算におきましては、ことし六月に閣議決定されました骨太の方針において示されました経済・財政再生計画を踏まえ、地方一般財源総額について、平成二十七年度地方財政計画の水準を下回らないよう、実質的に同水準を確保する内容となっているところでございます。  他方で、同計画におきましては、二〇二〇年度における基礎的財政収支の黒字化を実現することとし、地方財政については、歳出改革の重点分野として、国と地方を通じた歳出効率化などに取り組むとされていることなどを考慮いたしますと、来年度の地方財政計画の策定に向けまして、今後、厳しい調整が行われることが予想されるところでございます。  県といたしましては、社会保障関係経費の増大や地方の実情に即した地域活性化の取り組みなど、地方における必要な歳出を適切に地方財政計画に反映した上で、安定的な財政運営に必要となる地方一般財源総額の確保を図る必要があると考えておりまして、県開発促進協議会や全国知事会等を通じまして、引き続き国に対して粘り強く要望してまいります。  来年度の予算編成の基本方針と重点施策についてでございます。  本県の基礎的財政収支は、新規に発行する県債を抑制することによりまして、平成十六年度以降、十一年連続の黒字となっているところでありますが、本県の公債費及び県債残高は、財政規模が類似している他の団体と比べますと依然として多額に上っている状況でございます。一方、地方創生につきましては、今年度中に鹿児島県版総合戦略を策定し、市町村とも連携を図りながら、本県の実情に応じた実効性の伴う施策を展開していくこととしているところでございます。  このような中、来年度の予算編成に当たりましては、国の動向を注視しつつ、引き続き、行財政運営戦略に基づき、歳入・歳出両面にわたる行財政改革に取り組みますとともに、地方交付税や国庫支出金等の財源の確保にも努め、経済情勢の変動や各般の制度改正にも的確に対応しながら、従来の諸施策に加え、医療、福祉、介護、教育等の新たな行政需要や地方創生に重点を置き、マニフェストに基づく各種施策の推進が図られますよう予算編成を進めてまいりたいと考えております。    [ふくし山ノブスケ君登壇] 8 ◯ふくし山ノブスケ君 教育会議における知事の発言でございますけれども、やはり知事の発言は重たいものがあります。意図するところあるいは趣旨がうまく伝わらない表現は、そもそもそういう意識、感覚なのではないかと言われても仕方がありません。ですから、今のように説明すればいいわけであります。率直に反省すべきであることを申し上げておきます。  質問を続けます。  川内原発再稼働についてであります。  去る八月十二日、川内原発一号機が、多くの国民が不安を訴えて反対する中、再稼働されたことに強い憤りの声も聞かれます。そして既に二号機への燃料棒装荷が始められていますが、性急に二機目の再稼働の準備が進められていることを危惧しています。  九州電力は、再稼働から一カ月もたたないうちに経常利益の黒字化を発表し、再稼働の成果を印象づけようとしています。また、県も、電力移出県等交付金事業に一億円、原子力発電施設立地地域基盤整備支援事業に五億円余りの補正予算を今議会に計上し、再稼働への後押しの意図に満ちています。現在でも、薩摩川内市民など地元市民はもとより、多くの県民は不安を持つものであります。  ことしの夏も原発なしで電力需給バランスが維持できたことを踏まえれば、国のエネルギー基本計画を早急に見直し、再生可能エネルギーへの転換を急ぎ、核エネルギーからの脱却を図るべきであると考えます。見解をお聞かせください。  再稼働後間もなく、復水器への海水混入が報じられました。また、地域住民からは異常な黒煙の目撃情報もあります。  これらについて、九州電力から県にどのように報告がなされ、どのような措置がとられたのか、明らかにしてください。
     再稼働直前の時期、反対を訴える市民に対し、県の北薩地域振興局が、コンサート・集会に関する久見崎海岸の占用を不許可にしたことや、県警が、通行者に免許証の提示を求め、免許証番号や車両ナンバーを記録するという検問は過度なもので、集会・意思表明の権利を規制するかのようでありました。  これらのことへの見解を求めるとともに、県警の記録は直ちに抹消すべきと思いますが、対応をお聞かせください。  避難計画について、地域住民への直接説明の要求に応えず、避難訓練の事前実施については、九電が再稼働準備で忙しいことを理由に十二月の実施とされています。東京電力福島第一発電所の過酷事故を顧みれば、当然に避難訓練は再稼働前に実施すべきであったと考えます。また、口永良部島の噴火、そして桜島の山体膨張と火山性地震の頻発などは、原発災害への不安を募らせています。加えて、台風十五号襲来による被害が原発周辺地域で多発し、倒木等による停電、通行不能が長引いたことは、複合災害時に備える避難計画の見直しの必要性を露呈いたしております。  過酷事故は起こらないという前提ではなく、起こる可能性は否定できないという立場で、避難計画の住民への直接説明、避難訓練の早急な実施、複合災害への対応をすべきであります。考えを示してください。  過酷事故発生時の被曝労働についても多くの不安が訴えられています。東京電力福島第一発電所事故での災害復旧や廃炉処理に当たる労働者への被曝基準量は高い方向に修正されてきました。また、合計被曝線量の管理の不十分さ、基準量を超える労働も指摘されています。このような過酷な現場だけでなく、例えば避難所の要員、避難バスの運転員、ヨウ素剤の服用指導者などへの事前説明、緊急時の対応方法などが示されるべきであると考えます。  過酷事故が発生した場合の、被曝する可能性のある要員等の種類とその方々への説明、了解の取得方法、許容被曝線量などについて示してください。  桜島火山における防災と観光について伺います。  八月十五日十時十五分、気象庁は、山体膨張を示す急激な地殻変動が観測され、桜島を震源とする地震が多発していることから、桜島の噴火警戒レベルを四に引き上げ、午後四時には、噴火口から三キロ以内の噴石落下の危険が高い有村町、古里町及び火砕流の被害が予想される黒神町塩屋ヶ元の住民に避難勧告が出されました。  突然のレベルの引き上げに、お盆の帰省客や観光客でにぎわっていた観光施設は瞬く間に閑散となっていきました。しかし、レベル四は避難準備であるため道路に規制はかけられず、国道は閉鎖されていませんでした。また、避難勧告が解除され、住民の方々は家に帰れましたが、有村展望所は閉鎖されたままでありました。噴火警戒レベルが下がらなかったためですが、一方で、国道がスムーズに走れるという状態に違和感を持ちました。  科学的データによる噴火可能性でのレベル四引き上げは国内初めてのケースでしたが、噴火してから発令されるのなら理解しやすいのですが、可能性での発令は勇気と決断が必要だと思います。結果として大規模な噴火が起こらなかったことは幸いでしたが、最悪の事態を想定し、対処することは重要であります。一方で、このようなケースが繰り返されるのではないかという不安も抱きます。  そこで、今回のレベル四引き上げに至った経緯と成果、さらに教訓について見解を伺います。  今回は三キロ圏内のみが避難準備地区に指定されたと後に知りましたが、島民も報道関係者も全島に避難準備が発令されたと受けとめていたようです。また、レベル引き上げについて行政からの説明は、避難住民に対しては避難所で行われましたが、その他の島民にはありませんでした。テレビや新聞での情報で知り得るのみであり、島民の方々は現状に不安が増していきました。一方で、桜島ミュージアムなどインターネットでの情報発信で理解度が深まり、安心したという意見も聞いています。  住民説明会を支所においてもできなかったものか、また、桜島及びその周辺地域の正確な情報について、島民だけでなく県外への情報発信に努めるべきだと考えますが、見解を伺います。  桜島は、一月から報道された山体膨張報道で、既に観光産業はダメージを受けつつありましたが、今回のレベル引き上げで大きな影響を受けました。桜島で生活する方々にとって、レベル引き下げに至った現在も試練の日々が続いています。桜島フェリーの運航状況についての広報も大事でありますが、島民はそこで普通に暮らしていることや、安全に生活できるように県・市も全力を期していることなどを情報発信していただき、安全に観光できる体制であることをアピールするとともに、桜島観光を促進する事業も検討していただきたいと思います。  九月三日に開かれた桜島での今後の観光を考える会では、短期的な対処療法として、積極的なおもてなし、誘客キャンペーン、観光プロモーション、テレビ等の全国放送活用を行っていくこと、長期的な体質改善法としては、火山と生きる桜島らしさのアピール、観光関係の噴火対応訓練、火山を知り火山を伝える、火山活動を常にチェックし、安心して桜島に渡れる環境を整えようと議論をしていました。「ピンチをチャンスに変える」を合い言葉に、桜島の正しい理解によりマイナスイメージを吹き払おうとしています。  本県の観光産業が受けた影響について、その軽減のために県としてどのように取り組んでいかれるつもりか、見解をお聞かせください。  今回のレベル引き上げは、島民にとって防災意識の向上につながったと確信しています。一方で、現実に応じた避難計画が必要だと島民の多くが改めて感じています。防災袋の大きさや携帯品リスト、停電時の対応、外国人の誘導、フェリーによる避難が現実的かどうか、台風などとの複合災害対策はとられているのか、現在の避難手順で大丈夫かといったことなど、多くの疑問が出されています。  今後の桜島防災対策について、避難訓練、避難手順等も含め、見解を求めます。  県内における防衛施策の展開と県の対応について伺います。  防衛省は、南西諸島の離島防衛強化を目的に、鹿児島県奄美大島に配備する陸上自衛隊部隊を約五百五十人規模とすることを決め、二〇一八年度までの配備を目指し、今年度から駐屯地整備に着手することが明らかになっています。  一方、奄美市議会は、自衛隊誘致は、人口対策や子育て世帯を含め地域活性化へ最も期待するという内容の意見書、奄美市への陸上自衛隊配備を求める意見書を採択しています。既に奄美市への配備が予定される陸上自衛隊部隊の配置案や工程表が示され、ゴルフ場の一部約三十ヘクタールに、訓練、勤務・生活など三地区が来年度に着手、二〇一八年度に施設が完成予定と聞きます。  また、防衛省が、日米合意後初となる米軍空母艦載機の陸上離着陸訓練移転候補地の馬毛島において、測量調査などを本格化させるということが報道されています。  さらには、鹿屋市の海上自衛隊鹿屋航空基地で計画する空中給油機KC─130部隊や新たに発表されたオスプレイの訓練問題など、政府や国会での安全保障関連法案の議論と相呼応する形で県内での防衛施策が着々と進展しています。  こうした一連の情勢を県民は専ら報道でしか知るよしがなく、県当局の情報開示が求められますが、伊藤知事は、防衛問題は国の専権事項、地元意向の尊重としたスタンスを今後も貫かれるのか。改めて、県内での防衛施策の新展開に対し、基本的な認識と基本姿勢を伺います。  奄美大島や徳之島を初め、鹿屋市や馬毛島をめぐる熊毛地区四市町の対策協議会など、このような国の防衛施策に対して、地元ではさまざまな反応、動きがなされています。人口減少や地域活性化、経済活性化などの視点から誘致を促進する運動が展開されている一方、奄美群島は、戦後八年間の米軍政下に置かれ、群島民は耐えがたい苦難の歴史を持っており、鹿屋市も、特別攻撃隊の出撃の基地としての歴史を持っていることなどから、当該地域に住む住民にとっては不安や反対があることも事実であります。  地域住民の期待と不安が交錯する中で、知事は、このような地元の反応、動きをどのように認識し、今後どのように対応されるのか、見解を求めます。  沖縄県の翁長知事は、知事就任以来一貫して、米軍普天間基地の辺野古移設に反対する姿勢を貫いておられます。県民の負託を背景とした明確な姿勢は、沖縄県民や国民から注目が集まっています。伊藤知事は、翁長知事の姿勢についてどのように評価しておられるのか、お聞かせください。  スーパーアリーナ構想について伺います。  八月二十八日の定例記者会見において、知事は、スーパーアリーナについて、「これからの方向性を出さないといけない時期に来ている。スーパーアリーナ構想は、国体にこだわらず時間をかけて合意を得ながら、鹿児島本港の北・南あわせて、景観、にぎわい施設、都市構造の改革という視点で、既存の諸施設との整合性を図りながら新しい姿を描く」と発言しています。  二〇一三年に出されたスーパーアリーナ構想については、唐突な感が否めないとの県民の強い批判を受けることになりましたが、計画の再検討を決断してからこの間の知事の発言等から、今回の考え方に傾きつつあるのではないかと私自身も考えているところでもありました。  そもそもスーパーアリーナについては、二〇一三年第二回定例議会において、「新たな総合体育館の整備とあわせ、ドルフィンポート敷地等を新たな整備予定地として、多くの人々が集う機能を有した総合的な施設の整備を図る」と提案され、県民の知るところとなりました。鹿児島市や県民・市民のさまざまな反対意見、慎重意見が出されたことを今回の見直しの判断の理由としていますが、何かにつけ総合開発の理由に挙げられるのが、県体育館の改築移転問題のようにも思えます。一体鹿児島県として、老朽化していると言われ続けてきた県体育館をどうするのかということは判断されているのか、見解を求めます。  また、知事は、ドルフィンポートの定期借地権はあと五年で切れることから、その後を考えないといけないとしていますが、ドルフィンポートは、鹿児島の食材や特産品を時代の目でセレクトし、あたらしい&なつかしいふるさとを発信する施設として、年間利用客も約二百万人に達するなど一定の役割を果たしてきていますが、現在のドルフィンポートについて県としてはどう評価しているのか。また、今回の表明に関して、運営主体である鹿児島ウォーターフロント株式会社との協議等はなされているのか、お聞かせください。  さらに、知事は、新たな検討会を設置し、そのメンバーの方々の扱い次第としていますが、ドルフィンポート、住吉町十五番街、七千人規模のコンサート、五千人規模の国際会議場と議論の素材を明言していることからも、そういう場所や建物が主役になった空間づくりや建物が想像されます。このような提起の仕方では、箱物行政の再来との批判も免れません。もっと自由に、中央地域北部、上町地域のにぎわい空間づくり、鹿児島駅・天文館周辺の活性化策と連動した議論をしていく必要があると考えます。  そこで、今回の検討会メンバーの選出について、どういった方々を考えておられるのか、公募による選出も考えているのか。さらに、広く県民から意見を募集するということは考えていないのかどうか、お聞かせください。  県単三医療費助成制度については、厳しい財政状況にありながらも、医療費の負担軽減を図り、疾病の早期発見や早期治療など大きな役割を果たしています。特に、乳幼児医療費助成事業は、育児の経済的負担軽減や子供の健康保持・増進、少子化対策としての政策効果が期待されています。  しかし、支給方式は、全国的に現物給付が大勢となる中、本県においてはいまだに自動償還払いとなっています。その理由としては、受診される方々に受診に伴うコスト意識を持っていただくという健康保険制度の趣旨を踏まえて、償還払い方式を導入している。現物給付方式を導入した場合、医療費助成額の増嵩が見込まれることや、市町村の国民健康保険に対する国庫負担が減額されるため、県、市町村、国保保険者への影響が予想されると、これまで本会議で繰り返し答弁をしておられます。  厚生労働省も、法定どおり医療費自己負担を徴収している市町村との間に不公平が生ずるため、国庫負担の調整をしているとの見解を示しております。  しかし、一方で政府は幼児教育無償化について段階的に進める方針であることなど、国民の負担のあり方が変化してきていること、市町村間の不公平については、今や現物給付が主流になっていることから、情勢は大きく変わっていると考えます。  そのような中、新聞報道によりますと、九月二日に厚生労働省の有識者検討会において、子供の医療費助成のあり方について、国庫補助金のあり方の議論を始めたとのことであります。安易な受診を防ぎつつ、助成額に応じて補助金が減るルール、いわゆるペナルティーを緩和する方法なども議論していくことになると仄聞しています。  今回、厚生労働省が方針を打ち出したその背景と検討の内容、今後のスケジュールについてどのように把握しているか、お示しください。  また、これまで、県市長会や県内八市議会などから現物給付導入について要望がなされていますが、厚労省が議論を始めたこの機会に、現物給付の導入に向けて、課題等を市町村と十分に意見交換、協議を始めるべきだと思いますが、見解を伺います。  現物給付を実施するためには医療機関や調剤薬局などの協力が必要になってまいります。手続的にも解決すべき多くの課題があると考えます。具体的にお示しください。  以上で、二回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 9 ◯知事(伊藤祐一郎君)沖縄県知事への評価についてのお尋ねであります。  米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題におきまして、沖縄県知事が移設反対を訴え、政府との協議・調整を行い、国への辺野古埋め立ての承認を取り消すことを表明されましたが、自分の信念や考え方に基づき行動を起こしておられることに関しまして、私がコメントすることは差し控えたいと考えております。 10 ◯企画部長(岩切剛志君)エネルギー基本計画の見直しについてであります。  国は、昨年四月に閣議決定されたエネルギー基本計画において、原発依存度については、再生可能エネルギーの導入などにより可能な限り低減させることとし、さらに、去る七月に取りまとめた長期エネルギー需給見通しの中で、震災前をさらに上回る自給率の確保、電力コストの引き下げ、欧米に遜色ない温室効果ガスの削減等を政策目標として定め、これらを同時達成する中で、二〇三〇年度時点のあるべき姿として、原発を二二から二〇%、再生可能エネルギーを二四から二二%とする電源構成の比率を示したところであります。  このことを踏まえますと、県としましては、当分の間原子力発電を活用しつつ、再生可能エネルギーの導入拡大に努め、おおむね二〇三〇年代の時点において、将来のエネルギー基本政策を検討すべきであると考えているところであります。  また、その際には、再生可能エネルギーの普及状況や産業社会への影響、エネルギーの安全保障等を考慮し、どのようなエネルギーミックスが可能かを国を挙げて検討することが重要であり、いわゆる脱原発の方向を模索しつつ、国の最も基幹的な政策の一つであるエネルギー政策として、その時点での最善の方策を検討すべきであると考えているところであります。  県内における防衛施策の展開と県の対応についてであります。  これまでも申し上げておりますとおり、防衛・安全保障政策については国の専管事項でありますが、国が、米軍再編など安全保障上の施策を進めるに当たりましては、地域住民の間に、事故の危険性の増大や騒音、治安に対する不安や懸念が生じることに対して説明責任を果たすとともに、地域の方々の意向を十分に踏まえて対応する必要があるものと考えております。  なお、国は、空中給油機訓練の移転など、本県における防衛施策関係の動きに対して、住民への説明会などを実施しているところであります。  また、防衛施設や訓練などの受け入れについて、それぞれの地域においてさまざまな意見や動きがありますが、まずは地元においてさまざまな観点から議論が行われることが重要であると考えています。  県としましては、地元と歩調を合わせて対応してまいりたいと考えております。 11 ◯危機管理局長(永野 司君)川内原発再稼働に関連して、まず、復水器への海水混入等についてでございます。  川内原発一号機の復水器につきましては、放射性物質を含まない二次冷却水の復水ポンプ出口で警報が発信され、運転に影響のない微量の海水の混入が確認されたことから、今後の運転に万全を期すため、出力上昇を一時延期し、点検を実施するとの報告を八月二十一日に九州電力から受けております。その後、漏えいが確認された細管及び予防的に周辺の細管に栓をする措置を行ったとの報告を八月二十六日に受けております。  また、黒煙につきましては、八月十六日に住民から、川内原発で黒い煙が上がったとの通報があり、九州電力に確認したところ、原子炉起動の際に二次冷却水の水質調整に伴い、通常発生する水蒸気であり、問題ないとの回答があったところであります。  避難計画の説明や避難訓練の実施等についてでございます。  避難計画の住民説明会につきましては、昨年四月から八月にかけて、UPZ内の九市町において合計二十五回開催しますとともに、昨年十月末の補足的な住民説明会におきましても避難計画について説明しておりますほか、原子力だよりかごしまにも避難計画等に関する情報を掲載し、三十キロ圏内の全世帯に配布しております。  原子力防災訓練につきましては、事業者はもとより、国や関係市町、住民の方々等に参加いただき、その体制を整えて実施する必要がありますことから、十二月二十日に実施することとしたところであります。  自然災害との複合災害への対応につきましては、地域防災計画原子力災害対策編におきまして、原子力災害に係る防護対策の実施に支障が生じることがないよう、複合災害に備えた体制の整備や災害応急対策等について定めております。  万が一、原子力災害が発生した場合には、内閣総理大臣を本部長とする原子力災害対策本部が設置されるとともに、現地のオフサイトセンターにおきましては、国と県、関係市町により原子力災害合同対策協議会が開催され、対策が協議されることとなっております。これらの協議結果を踏まえ、本部長は、必要な対策を講じるため、関係機関への指示や自衛隊への派遣要請をすることとなっております。  原子力災害対策の要員についてでございます。  原子力災害発生時には、避難誘導、警戒警備、緊急時モニタリング、救難救助等の業務があり、その要員は主として警察、消防、県、市町及び自衛隊等の職員であり、被曝線量限度は、国際放射線防護委員会─ICRP─の勧告を踏まえ、百ミリシーベルトを超えないこととなっております。また、避難用のバスの運転手につきましては、六月に締結した協定の内容等につきまして八月二十六日に研修会を開催したところであり、被曝線量限度は、一般公衆の被曝線量限度である一ミリシーベルトを超えないこととしております。  桜島火山に関連して、まず、噴火警戒レベルが四に上がった経緯と成果等についてでございます。  桜島につきましては、八月十五日午前七時ごろから、島内を震源とする地震が多発するとともに、山体膨張を示す急激な地殻変動が観測されたことから、気象庁は午前十時十五分、噴火警戒レベルを入山規制の三から、避難準備のレベル四に引き上げたところであります。これを受け、鹿児島市は避難勧告を発令し、有村地区など対象となった住民七十七名全員が、日ごろの避難訓練への参加や防災意識の高さなどから、大きな混乱もなく速やかに避難できたところであります。  一方、結果的に大きな噴火が起こらないままレベルが引き下げられたことや風評被害が発生したことなど、火山災害への対応の困難さを改めて認識したところであります。  住民説明会の実施及び情報発信についてでございます。  鹿児島市におきましては、防災行政無線や広報車等により、島内全域でレベル引き上げの噴火警報や避難勧告等の広報を行い、特に、避難者へは、避難された翌日の八月十六日に、避難所となった高齢者福祉センター桜島及び白浜温泉センターの二カ所で、火山の状況や市の対応等について説明会を行ったと聞いております。  なお、島内他地域からの要望を踏まえ、八月二十二日と二十三日には、島内の全ての校区で町内会長等を対象に説明会を開催したと聞いております。  県におきましては、市町村が避難勧告等を発令した場合、ホームページやツイッターを通じて広く情報発信を行っており、今回の鹿児島市の避難勧告の内容につきましても速やかに発信したところであります。  今後の桜島防災対策についてでございます。  桜島につきましては、鹿児島市の地域防災計画において、大規模な噴火が発生するおそれがあるとして避難指示等が発令された場合、住民は、桜島フェリーや漁船等を使用し、島外へ避難することを原則としております。また、桜島火山防災訓練につきましては、県と鹿児島市の共催により、毎年住民や防災関係機関が参加して実施しております。  鹿児島市におきましては、桜島の噴火警戒レベルが四の状態のままで台風が接近したことを受け、複合災害を想定した避難計画について改めて検討すると聞いております。  県といたしましては、桜島火山防災連絡会等を通じて、防災関係機関と連携しながら必要な助言を行いますとともに、市の検討結果を踏まえ、今後の避難訓練のあり方等について検討してまいりたいと考えております。 12 ◯土木部長(久保田 一君)川内原発再稼働に関連した御質問のうち、久見崎海岸の占用不許可についてです。  海岸は、公共用財産として一般公衆の利用に供することが原則であることから、特定の者が占用しようとする場合は、管理者である県が、海岸法及び鹿児島県海岸占用許可実施要領に基づき、限定的に占用許可を行っております。今回のコンサート及び集会のためのステージ等の設置につきましては、当該要領に規定する占用許可施設に該当しないことから、占用許可申請を不許可としたところであります。  スーパーアリーナ構想についての御質問のうち、ドルフィンポートに対する県の評価についてです。  ドルフィンポートは、鹿児島ウォーターフロント株式会社により、桜島の景観を生かした憩いの場の創出をコンセプトに、平成三十二年六月末までの事業用借地権を利用して整備されたものであり、暫定開発として一定の活用をされていると考えております。 13 ◯警察本部長(種部滋康君)川内原発再稼働に伴う警備についてでございます。  川内原子力発電所につきましては、重要防護対象施設の一つとしてテロ等からの警戒のため、警察において常時、警戒警備を行っているところであります。  今回、川内原子力発電所において、新規制基準施行後、全国初となる再稼働が計画されておりましたことから、県警察では、原発周辺における警戒を強化し、公共の安全と秩序の維持を目的に所要の警備体制をとったところであります。その一環として、原発周辺において自動車検問を行ったところでありますが、本人確認のため運転免許証の提示の御協力をお願いするとともに、事案発生時に備えて車両ナンバー等を控えさせていただいたところであります。なお、警察官が控えた記録につきましては、既に廃棄したところでございます。 14 ◯観光交流局長(長野信弘君)桜島の火山活動による観光産業への影響、軽減の取り組みについてでございます。  桜島の噴火警戒レベル引き上げに伴う影響につきましては、桜島地域の宿泊施設や土産・飲食店における予約キャンセルに加え、県内の他地域でも修学旅行等のキャンセルが発生しているところです。  県といたしましては、これまで、風評被害の軽減を図るため、県のホームページで観光施設の開館状況等の情報発信に努めるとともに、旅行エージェントや学校向けの説明会等において、現地の正確な情報提供を行っているところです。  今議会に提案しております補正予算案においては、桜島及び口永良部島の火山活動に伴う風評被害に対応するため、テレビ等のメディアを活用したPR、修学旅行対策として、学校や旅行エージェントの訪問及び担当者の本県への招請等に要する経費を計上しており、県としては、風評被害を最小限に抑えられるよう、今後とも関係団体等と一体となって全力で取り組んでまいります。 15 ◯知事公室長(福壽 浩君)スーパーアリーナ構想についてでございます。  まず、県体育館の取り扱いについてでございますが、スーパーアリーナ構想につきましてはゼロベースで検討することとし、ドルフィンポート敷地や住吉町十五番街においてどのような機能を持つ施設が必要か、今後、検討会を設け、論議することといたしております。  体育館機能に関して申し上げますれば、現在の県総合体育センター体育館は築五十年余りを経過し、老朽化が見られますところではございますが、耐震性には問題はないとされており、幅広く利用されている状況を踏まえ、当面は補修等を適宜行うなど、その機能の維持に努めてまいりたいと存じます。  鹿児島ウォーターフロント株式会社との協議等についてでございますが、去る八月二十八日の知事定例記者会見における知事発言は、記者の質問に対して答えたものであったことから、ドルフィンポートの運営会社でございます鹿児島ウォーターフロント株式会社に対しても、会見後速やかにその内容をお伝えしてございます。  検討会のメンバーや委員の公募等についてでございます。  県有地であるドルフィンポート敷地や住吉町十五番街におきまして、どのような施設が必要かなどについて議論をする検討会につきましては、都市計画やまちづくりの専門家などの学識経験者、有識者を初め、地元の経済界や関係団体、行政関係者などがメンバーとして考えられますが、今後、具体的に検討してまいります。  なお、御指摘のございました上町地域のにぎわい空間づくり、鹿児島駅・天文館周辺のホテル・飲食街活性化策などにつきましては、これまで鹿児島市において論議され、中心市街地活性化基本計画を策定されるなどの取り組みがなされてきているものと承知いたしております。 16 ◯保健福祉部長(古薗宏明君)乳幼児医療費助成事業に関連して、国の検討会設置の背景等についての御質問がありました。  国におきましては、少子高齢化が進む中、子育て支援、地方創生、地域包括ケア等に関して実効性のある施策の展開が求められており、子供の医療分野においても、そうした観点から今後のあり方等について検討を行うため、子どもの医療制度の在り方等に関する検討会が設置されたところであります。検討会における検討事項は、子どもの医療に関する現状、課題、対応とされておりまして、その中で、子どもの医療の自己負担のあり方、国保の国庫負担のあり方についても検討が行われ、来年の夏ごろを目途に報告が取りまとめられることとなっております。  県といたしましては、検討会における検討状況を見きわめた上で、市町村との意見交換等を行う考えはありますが、当面はその状況を見守ってまいりたいと考えております。  現物給付を実施するための手続的な課題についてであります。  乳幼児医療費助成制度に現物給付方式を導入する場合の手続上の課題といたしましては、市町村においては、例えば現物給付方式に対応したシステム改修や新たな受給者証の発行が必要になりますことや、現物給付に係る自己負担金を徴収する場合は、その徴収方法などがあるのではないかと考えております。また、審査機関である国民健康保険団体連合会や社会保険診療報酬支払基金におきましても、現物給付方式に対応した新たなシステム開発や、市町村、医療機関等との十分な協議・調整などが必要であると考えております。  このほか、医療機関等におきましては、窓口での患者負担が減額または免除されることによる一時的な収入減が生じますほか、医療関係者の中には、受診増に伴う医療従事者の業務負担の増加を懸念する意見もあるところであります。
    17 ◯ふくし山ノブスケ君 自席から再質問させていただきたいと思います。  今、乳幼児医療の現物給付についてお答えいただきました。  この件につきましては、昨年の九月議会におきましても、我が会派の代表質問で伊藤知事にも考えをお聞かせいただきました。その中で知事は、「問題は、現在の制度で医療に本当にお困りになっている方がいらっしゃるかどうかというところがポイントだろうと思う。お金がないがために、もしその診療を受けられないような方がいたら、そういう方は行政の我々としては当然に救済の対象にすべきだと思うが、どういう方々をそういう方々として認証するかは、これからの作業が必要だろうと思う。どういう方々に医療が不足するような事態が生じているかどうか、これをもう少しきちっと調べた上で全体の制度の構築を図りたいと思う」と答弁しておられます。  私は、このときの知事の答弁から、この件については、本当に困っている人がいれば何とかしなければいけないと前向きに真剣に考えておられると確信したところであります。しかし、今、御説明がありましたように、手続などクリアすべき課題等もあり、そういった関係で、この時点まで実現の方向性をなかなか示していただけていないのだろうとも思っているところです。  今回、厚生労働省が方針を出し、議論を始めるということを新聞報道等で知りましたので、厚労省に問い合わせをして正確な話を聞いてみましたら、今、部長の説明にあったとおりでございまして、その中の一つとして国保の国庫負担のペナルティー、こういったことも検討されるのではないかといったようなことでございました。  改めて知事にお伺いをさせていただきたいと思いますけれども、今回、厚労省の第一回の検討会も既に開催されました。この際、今、答弁にありましたように、これからの問題かと思いますが、市町村や関係機関との協議も含め、現物給付の実現に向けて、取り組みを少し加速させていただく作業はできないものかと思いますけれども、知事の見解をお聞かせいただきたいと思います。 18 ◯知事(伊藤祐一郎君)乳幼児医療制度、特別の医療制度が三つほどあろうかと思います。重度心身障害者、それからひとり親ですね、それからこの乳幼児で一定の金額を現在使っております。  乳幼児に関しまして、従来から申し上げておりますように、これを全部現物給付したときに増嵩する一般財源ベースが約十数億円という計算があります。また一方、特別の三事業について全体の金額を換算いたしますと、鹿児島県の場合には特に重度の心身障害の場合には全く自己負担がない形で、償還払いというか、申請しなければだめなんですけれども、自己負担がない形で運営していますので、標準財政規模に占める三事業の構成割合は全国でも高いほうじゃないかと思うんです。  したがって、一般財源を全体的にどういう形で振り分けるかという話でありますので、乳幼児医療だけでなく、重度心身ないしはひとり親等々も含めて、全体の中で解決を図るべきかと思いますが、皆さん方の御指摘がありますように、やはり何といっても少子化対策が一番大切なので、国もやっと腰を上げたかなという感じなんです。  そうすると、国民健康保険制度のペナルティーがない。それから全国である程度現物給付が進んでいますので、それを踏まえて制度設計するとなると、今よりは少々変わった形の制度設計がなされるかと思いますので、とりあえず、まずは国においてしかるべき対応をしていただき、それに従って我々としては速やかにしかるべき対応をとるというのが今後の方向ではないかと思います。  一つのテーマについてだけ言えば確かに現物給付だけれども、全体を見たときの財源負担の問題。何といっても財源は限られていますから、いろんな意味での一般財源を使うべき用途はありますので、全体を見ての判断、それから何といいましても国を含めた現在の動向の中での的確な対応、ここらあたりを念頭に置いて今後、検討することになると思います。  今の段階で、今のままでずっと将来にわたって固定させるつもりはありませんが、ただ、やはり財源的にいうと、先ほど申し上げましたように、ばらつきがありますものの、標準財政規模に占める割合が三医療において結構な金額になっているというのは、やはり一つの判断要素にはなっているということは申し上げたいと思います。いずれにしろ、しっかりとした取り組みをしたいと思います。    [ふくし山ノブスケ君登壇] 19 ◯ふくし山ノブスケ君 川内原発の再稼働についても御答弁いただきましたが、安全確保策のさらなる強化はもちろん、トラブルなどの発生時には速やかに正確な情報の開示がなされるように御要請をいたしておきます。  また、原発停止の間、再生可能エネルギーの果たした役割は大変大きなものがありました。原発再稼働で再生可能エネルギーの推進にブレーキがかかることがないように、本県の地域特性を生かした太陽光、小水力、バイオマス等の再生可能エネルギー導入促進を今後も進めていかれるように御要望を申し上げておきます。  桜島につきましては、噴火警戒レベル引き上げにより、防災対策や避難のあり方など新たな教訓も明らかになりました。また、観光では、風評被害も含め大きな打撃を受けていますので、どうぞ軽減策をこれからも積極的に講じていただきたいと思います。  スーパーアリーナ構想に関連してでありますが、この際、是非も含めてさまざまな観点からの検討がなされるべきだと思います。今後、検討会の設置がなされるということですが、中央地域北部のにぎわい空間創出の観点があるのであれば、これからも、鹿児島市の仕事と言わずに十分な意見交換を図っていかれるようにお願いを申し上げておきたいと思います。  乳幼児医療費の助成事業については、知事並びに部長から御答弁をいただきました。  診療費が払えなくて子供に治療を受けさせることができないなど本当に困っているところからでも、そういった必要なところからぜひスタートしていただくという考え方もあるのではないかと思いますので、今後とも御検討をお願い申し上げておきます。  新しい質問に入ります。  入札・契約制度のあり方等につきましては、昨年の三月議会でも議論させていただきました。議会としてもこれまで、政策立案推進検討委員会として二〇〇八年と二〇一〇年、二度にわたって、公共事業、業務委託、物品調達、公契約条例等について政策提言もしてきております。  その中において、いわゆる公契約条例は、二〇〇九年に千葉県の野田市が全国で初めて条例を制定したのを機に、首都圏の各市区を初め各自治体で条例制定あるいは検討がなされています。本県においては、国が公契約法と労働基準法、最低賃金法との関係をどう考えるかという課題があり、各自治体の条例を情報収集し、検討することとしたいという状況にあることから、国の動向を注視しているとのことであります。  公契約法並びに公契約条例は、労働条項や賃金条項に焦点が当てられがちでありますが、例えば障害者雇用や環境問題への取り組み、男女平等参画など、社会的価値を判断して組み込む政策入札を一歩進める上で有効だと考えます。  まず、現在の公契約条例の制定状況など各自治体の取り組みについての現状を示していただき、国における検討はどのようになっているのか、お示しください。  また、条例制定の動きを加速させた背景として官製ワーキングプアの問題などがありますが、実態についての認識をお聞かせください。  昨年の三月議会で、業務委託等に係る入札・契約の現状・課題について、部局横断的に検証していただくようお願い申し上げましたが、この一年半にわたり検証と改善に熱心に取り組んでいただきましたことには敬意を表する次第でございます。  検証の結果として、現状と課題を明らかにしていただきたいと思います。特に、雇用の安定にかかわることから、最低制限価格制度の導入・活用状況や長期継続契約の実施状況等については具体的に明らかにしてください。  さて、今回は、公共工事品質確保法のガイドライン─ビルメンテナンス業務に係る発注関係事務の運用に関するガイドライン─が、この六月に厚生労働省健康局長名で各省庁の発注担当部局と都道府県知事に通知されているということでありますので、何点かお聞きいたします。  ガイドラインは、ビルメンテナンス業務固有の事項について発注者が考慮すべき事項を示しているようですが、今回のガイドライン作成の趣旨についてお示しください。  ガイドラインの項目は、発注関係事務の適切な実施、発注体制の強化で構成されているようですが、それぞれの内容とこれまでの本県としての取り組み状況、課題等について明らかにしてください。  特に、入札方式については、業務によっては総合評価方式が適している場合もあるとされていますが、現状と今後の取り組みについてどのように考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。  本県の教育の課題について伺います。  子供の貧困が問題視されて久しいわけでありますが、状況は一層深刻化しているのではないかと思われます。ことしの賃金改定などでは所得が改善しているという報道もありますが、同じ記事の中に、非正規の所得は伸びずとも記されています。農業や中小自営業者にとっては、消費増税や円安などで極めて厳しい経営状況が続いています。特に、離島や中山間地では家計に占める教育費の割合が高くなっています。  六月議会で、経済的理由で修学旅行に参加できなかった高校生は二〇一三年が七十七人、二〇一四年五十二人との回答がありました。高校教育の一環としての修学旅行に経済的理由で参加できないということはあってはならないと考えます。  さて、義務教育の小・中学校ではいかがでしょうか。小・中学校で過去二年間に経済的な理由で修学旅行に参加できなかった子供の人数を示してください。  家庭の教育費についての統計では、幼稚園から大学まで全部公立の場合で総額一千万円ほど、全てを私立の場合は三千万円近く必要となっています。本県は地理的条件からも、より多額になります。それでも多くの先人たちが、地理的・経済的な逆境を越えて向学心に燃え、世界遺産につながるような偉業をなしてきたことは県民の誇りでもあります。現在の奨学金制度では、卒業した時点で数百万円の借金を背負うこととなり、モチベーションが低下し、返済が滞る実態もあります。有利子化の動きもありますが、極めて愚かな施策と考えます。  今般、本県独自の大学等入学時経費への奨学金制度を新設し、一部は給付型としたことは一定の評価をするところでございます。  そこで、大学等入学時奨学金貸付事業について伺います。  人数枠の設定の根拠、奨学金の貸与額の根拠を示してください。そして、成績条項の緩和と人数枠・貸与額・償還不要枠の拡大を図るべきと考えますが、考え方についてお伺いいたします。加えて、既存の高校・大学等の奨学金についても給付型に移行するべきと考えますが、今後の方向性についてお示しください。  楠隼中高一貫教育校のあり方についてはこれまでたびたび意見を申し上げてまいりましたが、本県が示した教育目標などに期待して全国から中・高生が入学しておりますから、誠意を持ってその期待に応え、送り出していかなければならない責任があります。現地の教職員もその責任を全うするべく努めていると聞いておりますが、くれぐれも、高い教育目標から個々人に過重な負担がかかり過ぎることがないよう留意していかなくてはなりません。  さて、楠隼と他の公立学校との格差については六月議会でも議論いたしました。とりわけ、他の学校でも学級定員を引き下げること、特に教室の冷暖房設備の充実、寄宿舎の充実の必要性について要請を申し上げています。  改めて、他の県立高校の学級定員の改善や空調、寮など、施設整備の改善の方向性を示してください。  女性活躍推進法の推進について伺います。  女性の登用を促すため、大企業や国・地方自治体に数値目標の設定を義務づける女性の職業生活における活躍の推進に関する法律、いわゆる女性活躍推進法が、八月二十八日の参議院本会議で与野党賛成多数で可決・成立いたしました。採用や昇進の機会をふやして女性に力を発揮してもらい、人口減少による労働力不足が懸念される中、社会の活力を維持するのが狙いのようであります。  これにより、来年の四月一日から、従業員三百一人以上の企業に、男女による労働時間や勤務年数の差、採用者や管理職に占める女性比率などの現状を把握・分析し、数値目標や取り組む内容を行動計画にまとめ、情報の公表を義務づけました。  国は、その情報をもとに、すぐれた取り組みをしている企業を認定し、事業入札で受注機会をふやす優遇策も盛り込んでいますが、本県においてこれに該当する企業はどれくらいあるのか、お示しください。  今回の推進法では、従業員三百人以下の中小企業については数値目標の義務化は見送り、努力義務としています。中小企業が、女性の働きやすい職場環境の整備等を図っても、数値目標等を情報公開できなければ国の恩恵は受けられないことになります。中小企業がほとんどを占める本県においては、大企業との格差がますます拡大するのではないかと危惧するものです。また、働く女性の約六割を占める非正規労働者への対応も示されておらず、どう実効性を持たせるのかといった課題もあります。  そこでお尋ねいたします。  中小企業が多く、非正規で働く女性も多い本県において、女性活躍推進法がどこまで成果を上げられるのか、見解をお示しください。  次世代育成支援推進法に基づく一般事業主行動計画を策定し、労働局に届け出ると、県では、建設工事入札参加資格審査における加点や、庁舎等の清掃業務委託に係る競争入札参加資格審査における加点があります。  また、同行動計画を策定し、国に届け出るのにあわせて、県に申請することにより、かごしま子育て応援企業に登録され、企業名や主な取り組みなどが県の広報紙やホームページへの掲載、若者就職サポートセンター等での窓口紹介などにより広くPRされます。  このように、次世代法に基づく一般事業主行動計画の策定・届け出を行った企業には、県において幾つかの優遇措置が与えられますが、策定義務が課されている従業員百一人以上の企業では九七・二%策定されているのに対して、努力規定にとどまる従業員百人以下の中小企業ではわずか〇・八%しか策定されていないのが現状であり、規模が小さな中小企業ではこのような恩恵を受けられない状況にあります。  そこでお尋ねします。  まず、一般事業主計画を策定することにはどのような意義があるのか。  次に、特に、規模の小さな中小企業の策定を推進するためには積極的な支援が必要ではないかと考えますが、考えをお聞かせください。  日本では、管理職・役員に占める女性の割合が二〇一四年時点で一一・三%と、諸外国に比べ極めて低い水準です。保育所整備や男性の育児休業取得など就労継続のための環境整備も不十分であり、女性の約六割が第一子の出産を機に退職しています。  先日、鹿児島県警の男性警察官が初めて育休を取得したことが話題になりました。大変喜ばしいことですが、本人の決断と職場の理解があって実現したものであると思います。  女性が就労継続できる社会の実現と男性の働き方を見直すためにも、まずは県が率先して男性の育休取得を推進していただきたいと思いますが、知事部局及び教育委員会の現状と今後の取り組みについてお伺いいたします。  犯罪被害者支援体制について伺います。  かごしま犯罪被害者支援センターが発足から十年が経過し、相談員はこれまで、被害者や家族の叫びに耳を傾け、負担の大きい事情聴取や裁判に付き添うなど、常に被害者に寄り添った活動を続けてきておられます。地道な活動が評価される一方、県民の認知度はまだ低く、運営費やスタッフの確保が課題とのことであります。  支援センターへの相談件数は一昨年度四百件、昨年度が四百二十三件と多くの相談が寄せられており、これまでの受理件数も約四千八百件に及んでいます。電話相談が主で、性的被害や傷害関連の内容が多いとのことであります。  被害者支援を継続していくには運営費の確保が重要ですが、センターの今年度の予算は二千百万円となっていますが、県からの委託金以外に、一般や賛助会員からの寄附に頼ってやっと運営できており、大変苦しい状況にあります。ボランティアの相談員は発足当初の六十人から半減しており、認知度向上に向けた広報活動も十分とは言えないのが現状であります。  ボランティアの相談員が半減している理由と相談員の確保はどのようになされているのか、お示しください。  センターにおける被害者支援をさらに充実させるためには、予算の拡充が必要だと思いますが、県としてどのように認識しておられるのか。また、今後どのように対応していかれるのか、お聞かせください。  県警察ではこれまで、新あんしん・かごしま創造プログラムにおいて、各市町村に犯罪被害者等支援条例の制定を促すなど、各市町村における相談・支援対応強化にも努めてきていますが、現在の市町村における取り組み状況はどのようになっているのか、示してください。  私ども県民連合はこれまで、犯罪被害者等の権利擁護と相談・支援体制の拡充を盛り込んだ県条例を制定すべきであると訴えてまいりましたが、知事部局と連携しながら、条例を制定する考えはないか伺います。  二〇一二年三月、内閣府は、性犯罪における二次被害を防ぐため、一元的に被害情報を集約するワンストップ支援センター設置を促す通知を出しました。この手引書によりますと、将来的には各都道府県に少なくとも一カ所はワンストップ支援センターを設置することが望ましいとされており、地域の実情に応じ、その持てる資源を有効に活用していくことが適当であるとされています。  ワンストップ支援センターは、性犯罪・性暴力被害者に被害直後からの総合的な支援、産婦人科医療、相談、カウンセリングなどの心理的支援、捜査関連の支援、法的支援等を可能な限り一カ所で提供することにより、被害者の心身の負担軽減、警察への届け出の促進、被害の潜在化防止を目的とするものです。全国では宮城、秋田、神奈川、愛知などの県に設置されています。中でも、愛知県は県警が、佐賀県は県が主体となって運営しているとのことであります。  そこで伺いますが、本県における性犯罪被害者支援の取り組みはどのようになっているのか、現状についてお示しください。  ワンストップ支援センターの開設には、拠点病院や運営団体、予算の確保などさまざまな課題があるようですが、本県の場合、何が課題なのか。また、ワンストップ支援センターの必要性等についての協議はなされていないのか。今後どのように検討を進めていかれるおつもりか、お聞かせください。  以上で、三回目の質問といたします。 20 ◯会計管理者(久木田義朗君)公契約に係る現状等についてでございます。  最低賃金を上回る一定の雇用条件を保障する公契約条例につきましては、現在、全国において、千葉県野田市など十二市、四特別で制定されており、また、都道府県におきましては、県が発注する契約に係る基本方針等を定め、県及び受注者等の責務を明らかにするなどの公契約に関する条例が、奈良県など四県で制定されているところであります。国におきましては、現在も引き続き、各自治体の条例について情報収集し、分析・検討を行っていると聞いています。  労働者の賃金など、適正な労働条件の確保は重要な課題であると考えており、このため、本県の事業執行におきましては、公共工事や業務委託に係る入札・契約に当たって、最低制限価格制度の導入や労務単価の引き上げ、労働関係法規の遵守指導など、対策を講じてきているところであります。  入札・契約の改善に向けた取り組み等についてでございます。  業務委託等に係る入札・契約につきましては、各部局等における執行状況の調査を行い、改善検討委員会等において全庁的に課題を検討し、適正な執行に取り組んでおります。具体的には、各部局等において、入札の透明性、競争性の向上を基本としつつ、地元業者の受注機会の拡大に努めるとともに、最低制限価格制度や長期継続契約の適用拡大、労務単価の引き上げ措置のほか、業務の品質確保のための履行確認の徹底などに取り組むこととしたところでございます。  業務委託におきましては、清掃や警備、給食業務など、労働集約型の契約につきまして最低制限価格制度を導入しており、本年度の件数は、昨年の七十八件から八十三件に増加しております。また、新たな取り組みとしまして、今年度から、本庁発注の印刷物の請負契約につきましても最低制限価格制度を導入したところでございます。さらに、長期継続契約につきましても適用拡大に努めておりまして、本年度の件数は、昨年の四百四十八件から四百八十件に増加してきているところでございます。  今後とも、業務委託等に係る入札・契約について、適正な制度の運用及び執行が図られるよう取り組んでまいりたいと考えております。  ガイドライン作成の趣旨についてでございます。  ビルメンテナンス業務に関するガイドラインにつきましては、公共建築物の建設後の維持管理の重要性が増す中、公共工事の品質確保の促進に関する法律の改正等を踏まえ、清掃などのビルメンテナンス業務につきまして、ダンピング受注の排除、担い手の中長期的な育成・確保の促進を通じて健全な育成を図っていくことが不可欠であるとし、発注関係事務の適切な実施等について留意すべき事項を国が取りまとめたものでございます。  ガイドラインの内容と今後の取り組みについてでございます。  ガイドラインでは、発注関係事務に関し、入札・契約や業務実施などの各段階ごとに発注者が留意・検討すべき事項が具体的に例示されております。本県では、これまでも、清掃業務委託に関しまして、最低制限価格の導入や社会保険の加入状況等の入札参加資格の評価項目への追加など、ダンピング防止や担い手の確保の促進等に努めてきております。また、発注体制の強化につきましても、会計事務職員研修に加え、今年度から、契約事務に従事する一般職員に対しまして契約事務担当者研修会を開催するなど、積極的に取り組んでいるところでございます。  入札方式の現状と今後の取り組みについてでございます。  本県の清掃業務委託につきましては、県内業者の育成、労働者の適正な労働条件の確保及び品質確保を図るため、入札参加資格審査によりまして業務の履行能力等を評価した上で、価格競争方式による入札を実施してきております。  ガイドラインにおいては、総合評価落札方式は、技術等によって業務の成果に相当制度の差異が生ずることが期待できる業務がふさわしいとしつつも、技術的な工夫の余地が小さい清掃などの業務においても、業務の性格等から見て、より適切な入札手続を実施できると認められる場合には、総合評価落札方式において技術提案を求めることも考えられるとしております。  今後、改正品確法やガイドライン等も踏まえ、庁舎や病院など各施設の特性や規模、業務内容や量、地域の状況、県内業者の育成等を勘案しながら、総合評価落札方式も含め、検討してまいりたいと考えております。 21 ◯教育長(古川仲二君)修学旅行の不参加者についてでございます。  平成二十五年度において修学旅行に参加しなかった児童生徒数は、小学校二十九人、中学校百三十九人、また二十六年度においては、小学校四十一人、中学校百七十人となっております。不参加の理由は、小・中学校とも病気や不登校などがほとんどであり、経済的な理由による不参加の児童生徒はございません。  次に、大学等入学時奨学金貸付事業についてでございますが、大学等入学時奨学金の人数枠につきましては、一般枠は、全国調査の結果に基づき算出いたしました本県の高校卒業生のうち、経済的理由で進学が困難であると推計される者のおおむね二分の一である五百人、地方創生枠は、本県卒業生の進路状況等を踏まえ、成績要件に該当し、卒業後県外に就職すると推計される者のうち、おおむね三割を地元に確保することを目標に三百人、明治維新百五十周年記念特別枠は、将来、社会のさまざまな場面で真のリーダーとなり得る人材の育成を支援したいという思いから、百人と設定いたしたところです。  また、貸与額及び給付額の八十万円は、入学時に必要となる入学金、前期授業料及びその他経費相当額の平均的な額に基づき定めた額でございます。  成績条件の緩和並びに人数枠、額及び償還不要枠の拡大につきましては、まずは制度を軌道に乗せた上で、今後、ニーズ等を的確に把握してまいりたいと考えております。  なお、奨学金の貸付原資は奨学生からの返還金及び県からの貸付金で賄われていること、高校においては高等学校等就学支援金制度等既存制度があること、また大学においては、在学時奨学金について、卒業後県内に就業した場合に返還を免除する制度の創設を今後、検討することとしていることなどから、既存奨学金の給付型への移行については、現時点では考えていないところでございます。  次に、楠隼以外の県立高校の学級定員等についてでございます。  楠隼以外の県立高校の学級定員につきましては、国が定める標準法の教員定数との関係から四十人としており、学級定員の引き下げは考えていないところでございます。  空調設備につきましては、楠隼を除く県立高校の普通教室につきましては六十三校中三十八校で、また寄宿舎を設置している県立高校十八校中九校の舎室で、同窓会やPTA等により設置がなされているところでございまして、今後、県といたしましては、既に県において設置した保健室、図書室、寄宿舎、食堂等の空調設備の老朽化に伴う改修を行うことにいたしております。  なお、学習指導員の配置、舎室の個室化は全寮制である楠隼のみであり、他の県立高校の寄宿舎については考えていないところでございます。  教育委員会における男性の育児休業取得についてでございます。  教育委員会における男性職員の育児休業取得者数は昨年度九名、二・三%となっており、本年度は現時点で六名が取得いたしております。  県教委では、今年度改訂いたしました特定事業主行動計画において、男性職員の育児休業取得割合を平成三十七年三月までに一〇%にする数値目標を今回新たに設定いたしまして、取得の促進を図ることとしたところです。  今後とも、男性職員の育児休業制度のさらなる周知と育児休業を取得しやすい環境づくりに努めてまいります。
    22 ◯商工労働水産部長(武盛武士君)女性活躍推進法におけるすぐれた取り組みを行う一般事業主の認定についてでございます。  一般事業主行動計画には、いわゆる次世代法に基づくものと女性活躍推進法に基づくものの二つがございます。  そのうち、女性活躍推進法に係る一般事業主行動計画の策定・届け出を行った企業は、国への申請により、取り組みの実施状況等が優良な企業である旨の認定を受けることができることとされました。その具体的な認定基準はことし十月ごろ示される予定でありますことから、現段階では優良企業の数についてはわからないところです。  なお、行動計画の策定義務がある従業員数三百一人以上の本県内の企業数は、ことし六月末現在で百六十一社となっております。  中小企業の一般事業主行動計画の策定推進についてです。  いわゆる次世代法に基づく一般事業主行動計画は、企業が労働者の仕事と家庭の両立を支援するための雇用環境の整備等に取り組むために策定するものです。また、同計画を策定することにより、労働者だけでなく、人材の確保・定着や企業の生産性の向上が図られるなど、企業側にとっても大きなメリットがあります。これは、この計画の策定義務のない従業員百人以下の中小企業においても同様です。同計画の策定については、基本的には国がモデル計画の提示や相談などの支援を行っています。  県においては、これまで義務の有無にかかわらず計画を策定した企業について、入札における優遇や子育て応援企業登録によるPR等を行ってきたところです。今後は特に、策定義務のない中小企業の計画策定が進みますよう、策定のメリットや国の支援について一層の普及啓発に努めてまいります。 23 ◯県民生活局長(三角浩一君)女性活躍推進法の成果についてでございます。  いわゆる女性活躍推進法は、女性の力が必ずしも十分に発揮されていない中で、女性の働く意欲を実現につなげ、ひいては日本の持続的成長を実現し、活力ある社会を維持していくことを狙いとするものです。  この法律では、女性に対する採用、昇進等の機会の積極的な提供及びその活用、性別による固定的役割分担等を反映した職場慣行が及ぼす影響への配慮などの基本原則とともに、国の基本方針や地方公共団体の推進計画、事業主行動計画の策定等について定められており、今後、国から、基本方針や事業主行動計画の策定指針等が示されることになっています。具体的には、これらの基本方針等や県内の職場状況なども踏まえながら、今後、検討することとしておりますが、本県における女性の活躍推進が図られるよう取り組んでまいります。  性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターの開設についてでございます。  ワンストップ支援センターの開設・運営に当たりましては、開設・運営経費等の財源確保や産婦人科医、支援活動員等の人材確保、離島を有する地理的特性を踏まえた設置場所等の課題があると考えています。  現在、性犯罪被害者等に対しては、犯罪被害者支援センターにおきまして、電話や面接での相談対応や、医療機関、法律相談への付き添いなどの支援を行うとともに、男女共同参画センターや性犯罪被害一一〇番などにおきましても相談対応を行うなど、県警察等とも連携を図りながら、途切れのない支援を実施しているところです。  県としましては、これらの支援がより効果的に実施されるよう、関係機関・団体との連携強化に向けて、現在、県警察や県医師会等と協議を行っているところです。 24 ◯総務部長(寺田雅一君)知事部局における男性職員の育児休業の取得についてでございます。  知事部局における男性職員の育児休業取得者数は昨年度で四名、四・一%となっておりまして、本年度は現時点で二名が取得する見込みでございます。  平成二十七年三月に改訂しました鹿児島県特定事業主行動計画では、男性職員の育児休業取得を促進するため、平成三十七年三月までに育児休業取得者の割合を一〇%にする数値目標を新たに設定したところでありまして、今後とも、制度のさらなる周知を図りますとともに、育児休業を取得しやすい環境づくりに努めてまいります。 25 ◯警察本部長(種部滋康君)ボランティア相談員の半減理由と確保についてでございます。  かごしま犯罪被害者支援センターの相談業務に携わっているボランティア支援活動員登録者数は、平成十七年の発足当初からしばらくの間、六十人前後で推移し、これらの方々によって相談業務などの活動に対応しておりましたが、平成二十五年度に登録者数が四十人を下回ったことから、平成二十二年度から中止していた新規の募集を昨年度再開したと承知しております。現在、三十一名のボランティア支援活動員が登録され、本年度は来月から一カ月間を募集期間として、登録に向けた作業を開始する予定になっております。  支援センターがより充実した支援活動を行うためには、ボランティア支援活動員による積極的な活動が大きな力になると考えており、県警察といたしましても、県民に広く被害者支援活動への関心を持ってもらうため、支援センターの必要性や活動内容等の広報を行うほか、支援センターが行うボランティア支援活動員募集への協力、ボランティア支援活動員に対する研修への講師派遣等の支援を行っているところであります。引き続き、支援センターと連携して、ボランティア支援活動員の活動に対する関心が広まるよう努めてまいりたいと考えております。  犯罪被害者支援センターの予算拡充に対する見解についてでございます。  かごしま犯罪被害者支援センターの財政基盤は、県からの業務委託費、警察協会等からの寄附金、個人や団体の賛助会員の会費、市町村からの助成金等によって成り立っているものと承知しております。  支援センターは、被害者支援に重要な役割を果たしており、その財政基盤の強化は、被害者支援の充実に向けて必要なことであると認識しております。そのため、県警察といたしましては、今後とも、被害者支援活動に必要な経費の確保に努めるとともに、被害者支援の必要性や支援センターの活動に関する広報を充実させるなどして、支援センターと連携しながら、支援センターの諸活動に対する賛同がより一層得られるよう努めてまいりたいと考えております。  市町村に対する働きかけについてでございます。  犯罪被害者やその家族が平穏な生活を取り戻すためには、犯罪被害者等が住んでいる身近な地域の支援体制の充実が必要であると認識しております。犯罪被害者等基本法では市町村の責務が示されているところであり、県警察といたしましては、市町村と連携した取り組みを実施しているところでございます。具体的には、県下各警察署ごとに、各市町村を初めとした関係機関・団体で構成する被害者支援地域ネットワークを構築して、犯罪被害者支援に当たっており、このネットワークの中で、会議の開催や想定事例に基づいたシミュレーション訓練を実施して、連携を深めているところでございます。  今後とも、犯罪被害者支援活動がより地域に根差したものとなるよう、市町村との連携に努めてまいりたいと考えております。  犯罪被害者支援条例の制定についてでございます。  県警察においては、現在、犯罪被害者等基本法や同法に基づく基本計画に示された施策を推進しているところであり、これら施策を今後も着実に推進し、途切れのない被害者支援を実施していくことが重要であると考えております。条例制定につきましては、このように既に基本法が制定され、県警察ではこれを踏まえて支援を行っていることなどから、関係部局と連携し、その意義や他県の状況を見つつ、その必要性について検討してまいりたいと考えております。  性犯罪被害者支援の取り組みの現状についてでございます。  性犯罪被害者は、心身に大きなダメージを受けることが少なくなく、被害後間もない時期からの適切な支援が重要であると認識しております。このような観点から、県警察におきましては、性犯罪被害者一一〇番での相談への対応、女性警察官等による病院への付き添い、捜査経過等に関する情報提供などのほか、性犯罪被害者の経済的・精神的な負担を軽減するため、治療や緊急避妊等に要する経費や、緊急の場合に使用する宿泊施設代金の公費負担、臨床心理士によるカウンセリングなども実施しているところでございます。  今後とも、性犯罪被害者の心身の早期回復を図るため、警察による直接支援のほか、早期援助団体である犯罪被害者支援センターを初め関係機関と連携して、より充実した被害者支援を推進してまいりたいと考えております。 26 ◯ふくし山ノブスケ君 自席から再質問させていただきたいと思います。  入札・契約制度について御答弁をいただきました。  先ほどの答弁で、業務等を検証しながら、改善に向けて大変さまざまな取り組みを進めていただいていることがよくわかりました。その御苦労には、また御努力には敬意を表したいと思います。  今回、厚労省から、ビルメンテナンス業務に特化した品確法のガイドラインの通知がなされていますので、幾つかお尋ねをさせていただいたわけでありますが、ビルメンテナンス業務は幅広いわけでありまして、少し気になるところを再度お聞きしたいと思います。  清掃業務や受付業務、警備業務については単年度契約がほとんどで、毎年年度末になれば入札が行われ、翌年度からの新たな業務委託先が決まることになります。ですから、そのような現場で働いている方々は二月から三月ごろになりますと、新年度に今の仕事が継続してやれるのだろうか、会社あるいは雇用主が変わればどうなるのだろうか、職を失うのではないだろうかと、毎年その時期になると気をもむことになります。  県も、雇用確保、雇用の安定のために多額の経費を要してもさまざまな施策を展開しているわけでありますけれども、一方で、単年度の契約が繰り返されることによって、雇用の安定どころか不安定要素を行政みずからつくり出していることにもなっています。清掃業務もそうでありますが、特に受付業務や警備業務は、その職場、現場での経験が必要であり、それが求められておりますので、少なくとも複数年雇用を継続する契約であるべきだと思います。  これらの業務における長期継続契約の現状となかなか長期継続契約が進まない理由、今後どのように取り組んでいかれるつもりか、お聞かせいただきたいと思います。 27 ◯知事公室長(福壽 浩君)まず、県庁舎の総合案内業務は広報課で所管しておりますので、まず、そちらから私のほうで答えさせていただきたいと思います。  総合案内所等の管理運営業務委託に係る入札・契約につきましては、平成十六年度から最低制限価格を設けてきておりまして、平成二十五年度にはその算定方法の見直しを行い、適正な契約の確保がなされてきているものと考えております。また、受付案内業務の内容、それから県庁見学者等の変動等もございますので、こういうことも踏まえながら、毎年度委託内容の仕様の見直しを行っていることから、単年度契約としているところでございます。 28 ◯会計管理者(久木田義朗君)議員のお話にもありましたが、長期継続契約については、契約締結後、原則として価格や仕様等に変更が予定されないこと、経費の節減が期待できることなどが条件とされている部分がございます。行政庁舎の警備業務につきましても、効率的かつ効果的な庁舎警備を図る観点から、毎年度、警備のあり方等について検証いたしまして仕様の見直し等を行ってきたため、単年度契約としているところでございます。  今後、課題を整理した上で、長期継続契約の導入の可能性等について検討してまいりたいと考えております。    [ふくし山ノブスケ君登壇] 29 ◯ふくし山ノブスケ君 女性の活躍推進法については、各企業が男女間の格差の状況を把握することも必要になってまいります。そのことによって、推進のために、長時間労働の是正など、仕事と家庭生活を両立しやすい職場づくりのための働き方の見直しなども必要になってまいります。小規模の企業等には積極的な支援をしていただきたいと思います。  また、男性の育休取得については、職場の上司らが妨げるパタニティーハラスメントというのが問題になっているということであります。育児参加を否定するような言動はくれぐれも慎んでいただくと同時に、パタハラ防止の取り組みにも取り組んでいただきたいと思います。  今、入札・契約制度についての答弁もいただきました。  業務によっては、長期継続の契約の制度を積極的に取り入れていく必要があると思います。公共サービスは多くの場合、経験が大きな比重を占めます。一年程度の短い契約期間によって入札が行われ、そのたびに担当者が変わることは、働く者としての雇用・生活の不安定化をもたらすことになります。また、仕事の経験が蓄積されず、サービスの継続、安定性、効率性に欠け、その都度教育や研修が必要になり、経費もかかってくるわけであります。当然、一年ごとの契約となれば仕事に対するモチベーションも上がりにくく、職場への愛着も湧きにくいという悪循環になりかねません。確かに長期契約になるとダンピングなども懸念をされますが、こういったことは最低制限価格の設定のあり方などの工夫でカバーできるのではないかと思います。  また、答弁にありましたように、仕様書の見直し等があると、そのことが一つのネックになるということでありますけれども、こういったことも一定のカバー、一定の許容範囲を持たせて取り組めば、結果として雇用の安定を念頭に取り組むことにつながると思いますので、ぜひ実現していただきたいと思います。  また、総合評価方式の活用についても答弁がございました。引き続き、業務や規模の検証をしながら、改善に努めていただきますようにお願い申し上げます。  冒頭、知事の政治姿勢として、安保法案、戦後七十年、アベノミクス、県政運営、知事発言等について見解をお聞かせいただきました。知事として、国の問題も多くありましたので、答えにくいというところもありましたでしょうけれども、もう少し率直な答えをいただきたかったなと思います。  今回の安保法案は、世代を超えた人々が廃案を求めています。そうした反対の声に菅官房長官は、「一部の野党、マスコミから戦争法案などと言われ、誤解が生じている」と反論してきていますが、どこかの動員ではなく、自然発生的にこんなに多くの国民から相次いで反対の声が上がるということは、国会審議を通じて法案の危険性を感じるからにほかなりません。衆議院の審議で示した具体例や総理がパネルで例示したことが中谷防衛大臣の答弁で覆ることもしばしばで、参議院の審議は大きく揺らぎ、何のために集団的自衛権が必要かという根拠が崩れ、納得のいく説明にはなりませんでした。  防衛省の宣誓には「憲法を遵守し、国民の負託に応える」と書かれているそうでありますが、国民の半数以上が違憲と言っている法案を成立させ、命をかけて任務に当たる自衛官を現地に送り出せるでしょうか。安倍首相も国民の理解が進んでいないのは認めている中で、強行に進められていくことが民主主義の王道とは思えません。歴史的大転換であり、一定の国民の理解を得て進めることこそが王道であると考えます。  私自身、政治にかかわりちょうど三十年、議員になり二十年目を迎えようとしています。議員とはどうあるべきか常に自問自答しながら、人々が個人として尊重され、平和で人間らしく安心して生活でき、希望の光が見える社会をつくるため、平和、自由、平等、共生の理念を具現化するための政策実現に努めていく決意を申し上げ、質問を終わります。(拍手) 30 ◯議長(池畑憲一君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午後 零時  一分休憩       ─────────────        午後 一時 十五分再開 31 ◯議長(池畑憲一君)再開いたします。  成尾信春君に発言を許可いたします。    [成尾信春君登壇](拍手) 32 ◯成尾信春君 平成二十七年第三回定例会に当たり、公明党県議団を代表して質問を行います。  まず、本県においては、桜島の噴火活動や台風十五号による被害など、災害が発生いたしました。被災された皆様にお見舞い申し上げるとともに、早期復旧に御尽力いただきたいことを強く要望しておきます。  一方、本県の種子島から打ち上げられた、こうのとりが八月二十五日、国際宇宙ステーションに接近し、無事ドッキングしました。二〇〇九年の打ち上げから五回連続の成功で技術力の高さを世界に示し、その壮挙を喜び合いたいと思います。  さて、通告に従い質問いたします。  初めに、知事の政治姿勢、戦後七十年について伺います。  ことし七十回目の終戦記念日を迎えました。さきの大戦で三百万人以上もの日本国民のとうとい命が奪われました。また、日本は国策を誤り、植民地支配と侵略により多くの国々、とりわけアジアの人々に対して多大な苦痛と損害をもたらしました。終戦から七十年を経て、戦前・戦中世代は日本人の総人口の二割以下まで減っている今こそ、私たちは戦争の悲惨さ、残酷さを語り継ぎ、戦争体験を後世に引き継いでいく努力をさらに強めていくとともに、改めて戦後七十年の歴史から学ぶべき教訓を心に刻んでいく必要があります。  劇作家の山崎正和氏は、戦後について、「戦後七十年とは日本が本来の姿に戻った時代ということだ。何もアメリカに無理やり変えられたわけでもなければ、日本人が嫌々従った体制でもないということだ」と述べた上で、「次の七十年に向けて私が描く日本の将来像は、人口が一億ないし九千万人くらいの小さいところで安定するということ。一歩ずつ進歩はするが、慌てはしない。私は、そうした行き方こそが日本の本来の保守主義だと思っている。そもそも戦後七十年目の日本はそう悪くはないはずだ。格差はあるが、アメリカや中国ほど極端ではないし、治安もいい。急な変化や大きな冒険物語を求めるのではなく、いい意味で、守る努力こそすべきだろう。これから否応なく起こる気候変動と人口減少という二つの荒波に対しても、地道な科学的解決を探求するほかないのであって、ばっさりと切れるような天下の名刀はない。だましだましやるのみだ」と述べています。  そこで、伊藤知事は、戦後七十年を迎えた鹿児島県の姿をどのように捉えておられるのか伺います。次の七十年に向けた鹿児島の将来像をどのように描かれるのか伺います。  次に、平和安全法制関連法案について伺います。  きょうの読売新聞に載っておりましたけれども、安全法案可決については、「言うまでもなく国会は審議・言論の場であり、国会議員には、一定のルールに基づく、品格と節度ある行動が求められる。民主党議員らの言動は、国会外のデモと連動し、法案設立をあらゆる手段で阻止する姿勢をアピールするための政治的パフォーマンスと言うほかない」というような記事がありました。いろいろな意見がありますので、法案の必要性について各方面からの御意見を紹介いたします。  熊本県立大学の五百旗頭真理事長は、平和安全保障法制の必要性について、抑止力として重要なのが日米同盟だとして、アメリカとの同盟関係がしっかりしている日本には手が出しにくいと指摘しています。  また、元国連事務次長の明石康氏は、「憲法の精神は大事ですが、九条を守り、平和を祈っていれば平和が保たれているわけではありません。日本は、そうした祈るだけの平和ではなく、途上国の開発や人道支援、PKOへの積極的な参加を通じた、つくる平和を目指すべきである」と述べております。  太田清彦元第五次イラク復興支援群長は、「イラクやカンボジアでの活動を通して、正しいと思っていることは、状況を的確に把握し、柔軟にやれと言っても、事前の準備をしていないことは実際にできない」と述べた上で、「安保法制はこれから活動するための準備だと思っている」と。  我が党の山口代表は、「野党の中では、自衛隊そのものが憲法違反という考えから、自衛隊をどう活用し、活動に歯どめをかけるかといった議論に至らない。だから、戦争法案などとレッテル張りしかできない。同法案は、決して戦争法案ではなく、戦争を防ぐための仕組みをつくる戦争防止法案であり、対話促進法案である」と訴えています。  そこで、平和安全法制関連法案が成立すれば、日本への攻撃を未然に防ぐ抑止力を高め、安易に軍事力に頼るのではなく、対話を促す推進力になると考えますが、伊藤知事の率直な感想を伺います。  次に、県立総合体育館等の整備について伺います。  知事のマニフェスト、ナンバー百二十九には「平成三十二年度の国民体育大会の開催もにらみ、新たな総合体育館・武道館・弓道場の整備を推進します」とあります。  総合体育館建設の話が、いつの間にか鹿児島市北部の都市構造の再構築という議論になっています。そもそもは、現在の県体育館が老朽化しており、国際大会や全国大会等も開催できないので、県立の新たな総合体育館整備が必要ということから始まった議論でした。スポーツ関係者からは、国体を絶好の機会にして県立総合体育館を整備してほしいという強い要望が多く寄せられています。  第一点、全国で都道府県立の総合体育館のない自治体は何県あるのか伺うとともに、新たな県立総合体育館整備の必要性について見解を伺います。  第二点、先日、スーパーアリーナについて、ドルフィンポートと住吉町十五番街を含めた都市構造の再構築ということで、今年度中に検討委員会を編成する旨の発言がありましたが、スポーツ関係者がメンバーとして参画する予定があるのか伺うとともに、今後のスケジュールについて伺います。  第三点は、鹿児島市北部の都市構造の再構築ということであれば、鹿児島市との連携が不可欠であると考えますが、鹿児島市との協議の進め方についても伺います。  次に、総務行政について伺います。  初めに、本県の来年度予算について伺います。  政府は六月三十日、経済の好循環を着実に動かし、日本経済に力強さを取り戻すための成長戦略と経済財政運営と改革の基本方針─骨太の方針─、規制改革実施計画を閣議決定しました。  成長戦略の中で、第二次安倍政権の経済財政運営によって経済の好循環は着実に回り始めているとする一方、人口減少社会の到来により生産性が向上しなければ、いずれ成長の限界にぶつかってしまうと指摘いたしました。  一方、骨太の方針は、経済成長の目標をGDP成長率で実質二%程度、名目三%程度を上回るとする一方、財政健全化に向け、プライマリーバランスを二〇二〇年度までに黒字化させる道筋をつくりました。二〇一五年度で三・三%のプライマリーバランスの赤字幅を二〇二〇年度にはゼロにするとの目標のもと、二〇一八年度に一%程度に圧縮する中間目標を設けました。  また、二〇一六年度予算の概算要求がほぼ出そろいました。安倍政権が成長戦略の柱と位置づける地方創生に要望が集中しました。医療や年金などの社会保障費が膨らみ、一般会計の要求総額は百二兆円を上回り、過去最高を更新する見通しです。  国は、地方財政抑制による財政再建基調は強まっていると思います。特に、地方の一般行政経費─単独事業─に対する国の歳出が減少している一方、地方の一般行政経費─単独事業─は増加しており、抑制のターゲットになっています。国の取り組みと基調を合わせた歳出削減が求められるのではないかと懸念いたします。  そこで、国の来年度予算による本県予算への影響について伺います。特に、一般行政経費の削減が求められると考えますが、どのように認識しているのか伺います。  次に、未利用財産の活用について伺います。  ファシリティーマネジメントを都道府県レベルで初めて実施した青森県を視察いたしました。同県では、二〇〇三年度に、職員提案を事業化する庁内ベンチャー制度があり、導入が始まったようであります。そして、ファシリティーマネジメントにより、維持管理コストが一億一千万円削減ができ、その後三年間で全庁的なものとするところまで発展させました。  同県では、県有財産の保有総量縮小を推進する県有不動産利活用推進会議を設置し、全庁横断的に利活用及び共同利用の総合調整を図っていました。その中で、不用施設の売却に当たり、売却窓口の一本化、入札物件情報の積極的な広報、最も注目したのが、包括的に宅地建物取引業者への業務委託を行っていることでした。  公共施設等の再編には、人口変化や財政状況の観点から、行政効率的な公共施設の再編・運営を進めること、さらに、公共施設等を使う主体である地域住民の暮らしや経済活動の観点から、維持可能な地域社会の特性を見据えた再編・運営を進めることが重要です。  そこで、未利用財産の売却に当たり、青森県が実施していた宅地建物取引業者への業務委託の考えはないのか伺います。  次に、マイナンバー制度について伺います。  社会保障と税の共通番号─マイナンバー─制度が来年一月から実施されます。内閣府は九月三日、マイナンバー制度に対する世論調査結果を公表しました。「制度内容まで知っていた」と答えた割合は四三・五%となり、前回調査よりは上昇しました。依然として、運用開始が始まる中で、国民の過半数が制度の中身を理解していない。日本年金機構へのサイバー攻撃によって百二十五万件に上る個人情報が流出した問題を受け、制度に関して不安に思うことは、「不正利用による被害」が三八・〇%、「情報漏えいによるプライバシー侵害」が三四・五%を占め、ともに前回の調査よりふえました。  内容を知らない国民が多い中で、十月からのマイナンバー通知を行えば、行政への問い合わせが殺到し、制度運用に支障を来すおそれもあります。制度を円滑に始めるために、生活の利便性向上につながる点を広報し、その意義を国民に理解してもらう努力が必要です。  先日の地元紙の調査では、県内の六割以上の自治体が、「安全対策にやや不安」とのこと。回線の安全性は確保されていますが、安全を脅かすような技術的問題が起きないか常時点検すべきであり、制度開始に向け万全の体制を整えるべきであります。  そこで、マイナンバー制度の周知についてはしっかり取り組んでもらいたい。その上で、政府が市町村の情報管理を調査しましたが、本県における県並びに市町村のセキュリティー対策の状況を伺います。
     次に、川内原子力発電所の再稼働について伺います。  川内原子力発電所一号機は、八月十一日深夜、核分裂反応が連鎖的に起こる臨界に達し、九月十日に通常運転を開始いたしました。そうした中、川内原子力発電所では八月二十一日、トラブルが発生し、そして九月十日に原子力規制委員会の検査を通過して、営業運転に移行しました。また、二号機については、九月十一日から燃料を装荷いたしました。  今回の原子力規制委員会が策定した新規制基準の適用について、山口彰東京大学大学院教授は、川内原子力発電所の安全対策について、「重大事故の防止対策と万が一事故が起きてしまった場合の影響緩和対策がうまくかみ合っている」。また、火山対策が不十分との指摘には、「自然災害対策は、発生の頻度や発生した場合どんな影響が出るかなど、さまざまな視点を持って適切にリスクを管理することが大事です。そして、現実的に可能な対策を一つずつ着実に行う。その意味で川内原子力発電所の火山対策は適切な内容であり、現時点では合格点だと思います」。さらに、避難計画の実行性の疑問については、「どんなによい計画を立てたとしても、批判しようと思えば幾らでもできてしまいます。それよりも、皆でつくった避難計画の改善を関係者で力を合わせて行ってほしいと思います。そのためにも、実現が難しい完璧な計画よりも、実際に起き得る事故を想定した、役に立つ計画にしていく必要がある」と述べています。  住民理解のためには、事故時の避難訓練が重要であります。川内原子力発電所から三十キロ圏内にある九市町は、既にそれぞれ避難計画を策定しています。その避難計画の実効性を高めなくてはなりません。  さらに、原子力発電所を利用し続けるためには、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルや放射性廃棄物の最終処分場選定に国が積極的に関与し、道筋をつけることが重要であります。  そこで伺う一点は、原子力防災訓練について、知事は提案理由の中で、十二月に行うと説明されました。公明党県議団が経済産業省に申し入れた折には、「国の責任で実施する」との高木副大臣の発言がありましたが、国の関与はどのようになるのか伺います。  第二点は、国が行う、使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルや、放射性廃棄物の最終処分場選定の現状に対する県の認識について伺い、第一回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 33 ◯知事(伊藤祐一郎君)戦後七十年を迎えた鹿児島の姿と将来像についてのお尋ねであります。  戦後我が国は、不戦の誓いを堅持し、戦争の惨禍を繰り返すことがないよう、国民のたゆみない努力により今日の平和で豊かな社会を築いてきたところであります。  現在、本県は、豊かな自然や個性ある歴史・文化、多様な食材など全国に誇れる本物の素材、今後の経済発展が期待されます環黄海経済圏の中心地でありますソウル、上海、台北、香港と直接結ばれるなど、南に開かれたアジアの玄関口としての地理的な優位性、我が国の食料供給基地として役割などの多くの発展可能性を有しているものと考えております。  一方で、グローバル化の急速な進展、本格的な人口減少や少子高齢化の進行など、時代の大きな変革期を迎える中にありまして、県民一人一人が生涯安心して働き、安定した生活を送ることができますよう、県民生活に直結する医療、福祉、介護や教育などの分野に特に重点を置いて、県民の暮らしの安定を図ることが重要であると考えておりまして、本県の地理的優位性や発展可能性を最大限に生かしながら、まずは生活の安定を確保し、子どもからお年寄りまですべての県民にとって優しく温もりのある社会の形成を目指し、引き続き、「力みなぎる・かごしま」、「日本一のくらし先進県」の実現に向けて全力で取り組むことにより、鹿児島の新たな未来をつくっていきたいと考えているところであります。  平和安全法制関連法案についての御質問がございました。  我が国周辺の安全保障環境が一層厳しさを増す中におきまして、政府が、国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制と位置づける平和安全法制関連二法案は、本年五月に閣議決定された上で国会で審議され、七月に衆議院本会議で可決されたところであります。現在、参議院におきまして関連二法案は審議されており、昨日、平和安全法制特別委員会において可決され、本日、本会議で審議が予定されているところであります。  今回の安保法案につきましては、有識者などから、集団的自衛権の行使容認は違憲である、海外で戦争ができるようにする法律であるなどの否定的な意見がある一方で、日米同盟の抑止機能を格段に向上させる、PKO活動を拡大することで国際社会での評価向上にもつながるなどの肯定的な意見もあるところであります。  安全保障政策につきましては、国が一義的な判断主体でありますので、引き続き、国会を初め、政党及び国民の間で幅広い議論が行われますとともに、国として十分に説明責任を果たすことが重要であり、国は、より丁寧な説明を、より広範な国民を対象として行う必要があると考えているところであります。 34 ◯知事公室長(福壽 浩君)県体育館の整備等についてでございます。  まず、都道府県におきまして設置・管理している体育館がないのは、新潟県と香川県の二県となっております。  本県の県総合体育センター体育館につきましては、築五十年余りを経過し、老朽化が見られるところでございますけれども、耐震性には問題はないとされており、幅広く利用されている状況を踏まえ、当面は、補修等を適宜行うなど機能の維持に努めてまいりたいと考えております。  今後、ドルフィンポート敷地や住吉町十五番街において、既存施設との整合を図りつつ、屋内スポーツ競技の関係も含め、どのような機能を持つ施設が必要かなどを論議する検討会を設けることといたしております。  その検討会につきましては、今年度中に立ち上げたいと考えており、メンバーについては、都市計画やまちづくりの専門家などの学識経験者、有識者を初め、地元の経済界やスポーツなどの関係団体、行政関係者などが考えられ、具体的には今後、検討してまいります。  また、鹿児島市とは、これまでもスーパーアリーナ構想等に関し、事務レベルを含め、意見交換や情報提供等を行ってきているところでございまして、今後とも必要に応じ、協議・連携を図ってまいります。 35 ◯総務部長(寺田雅一君)国の来年度予算の本県への影響についてでございます。  ことし六月に閣議決定されました骨太の方針で示されました経済・財政再生計画におきましては、基本的考え方として、歳出全般にわたりこれまでの取り組みを強化し、聖域なく徹底した見直しを進めるとされており、平成二十八年度予算編成に当たりましては、その考え方にのっとった歳出改革を反映するとされているところでございます。  地方財政につきましても、地方一般財源総額について、平成二十七年度地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するとされております一方で、歳出の重点分野として、国の取り組みと基調を合わせて徹底した見直しを進めるとされていることなどから、今後、地方単独事業も含めまして、地方交付税などについて厳しい調整が行われることが予想され、本県財政への影響が懸念されるところでございます。  県といたしましては、地方単独事業は、今後とも地方自治体の主体的な取り組みが求められる中で、その重要性はますます高まっていくと考えておりまして、地方単独事業を含めて、地方における必要な歳出を適切に地方財政計画に反映した上で、安定的な財政運営に必要な地方一般財源総額の確保を図る必要があると考えております。  県開発促進協議会や全国知事会等を通じまして、引き続き国に対して強く要望してまいります。  次に、未利用財産の売却に関する業務委託の活用についてでございます。  未利用財産の活用につきましては、平成二十年度に策定した県有財産有効活用方策の基本的な考え方を踏まえまして、全庁的に積極的な売却や空き庁舎の利活用などを進めてきたところでございます。宅建業者による購入希望者の掘り起こしを図る県有地売却媒介制度や、売却が進んでいない物件等について不動産鑑定士に助言や提案をいただく県有財産売却アドバイザリー制度なども活用しているところでございます。  今後とも、民間ノウハウの活用やさまざまな媒体を利用した広告、経済団体等への情報提供などに取り組み、積極的な売却に努めてまいりたい考えております。 36 ◯企画部長(岩切剛志君)マイナンバー制度に係るセキュリティー対策についてであります。  日本年金機構の個人情報流出問題や十月からのマイナンバー制度の施行を踏まえ、国は、情報セキュリティー対策の強化について、自治体に対し助言を行っているところであります。対策の主なものとしては、情報システムが攻撃を受けた際の被害拡大の防止等を迅速かつ的確に行う組織体制の再検討や訓練の徹底、不正通信の監視機能の強化、成り済ましメールなどインターネットリスクへの対応などを求めているところであります。  一方、県におきましては、これまで、電子計算機室へのICカードによる入退室管理などの物理的な対策、成り済ましメール対応訓練などの人的対策、ウイルス対策や不正アクセスの監視などの技術的対策を講じてきているところであります。今後、国の助言も踏まえながら、緊急時の対応を迅速かつ的確に行うため、最高情報セキュリティー責任者の設置など組織体制の再検討や、外部からの攻撃に強いネットワークの再構築によるシステム全体の強靱性の向上に努めることとしております。  また、各市町村においても、ウイルス対策や不正アクセスの監視などに取り組んでおり、マイナンバー制度の施行を控え、専門の事業者などとも連携しながら、情報セキュリティー対策の一層の強化を進めているところであります。  今後とも、国や市町村と十分に連携しながら、情報セキュリティー対策に努め、マイナンバー制度が円滑に導入されるよう取り組んでまいります。  核燃料サイクル等に対する県の認識についてです。  我が国は、使用済み燃料を再処理し、プルトニウムなどを燃料として再利用するとともに、後に残る廃液をガラス固化した上で地層処分することとしております。青森県六ヶ所村で整備中の再処理工場については、平成二十八年三月の竣工を目指しており、他方、ガラス固化した高レベル放射性廃棄物の最終処分施設については、建設地が決定していないところであります。  このような状況を踏まえ、国は、本年五月に閣議決定した特定放射性廃棄物の最終処分に関する基本方針において、最終処分施設について、国が科学的により適性が高いと考えられる地域を科学的有望地として提示するとともに、関係する地方自治体に対し、調査等の理解と協力を申し入れることや、使用済み燃料の貯蔵能力の拡大のための取り組みを強化することなどを定めたところであります。  県としましては、使用済み燃料対策が計画的かつ確実に進められるためには、まずは国がこれらの対策を着実に実施することが必要であると考えており、今後の国の動向等を十分注視してまいりたいと考えております。 37 ◯危機管理局長(永野 司君)原子力防災訓練への国の関与についてでございます。  国が主催する原子力防災訓練につきましては、原子力発電所のある十三地域の持ち回りで実施されており、本県では、新規制基準施行後の初めての訓練として平成二十五年度に実施されております。  今年度の原子力防災訓練は、県などの主催により、国等と連携して実施することとしておりますが、内閣府からは企画段階から協力いただいており、今後も、訓練に向けた職員研修などの支援等を受ける予定であります。  今回の訓練では、国におきましては、原子力災害現地対策本部の立ち上げや要員の派遣訓練のほか、自衛隊や海上保安庁などの実動組織による避難住民の搬送や海上の警戒警備訓練などを実施する方向で検討をしております。    [成尾信春君登壇] 38 ◯成尾信春君 それぞれ御答弁いただきましたが、コメントは最後にまとめていたしたいと思いますので、質問に入ります。  企画建設行政、初めに、地方創生について伺います。  政府は、自公政権が最重要課題に位置づける地方創生関連施設の方向性を示した、まち・ひと・しごと創生基本方針二〇一五を閣議決定しました。基本方針には、地方創生を本格的に推進する具体策を提示し、地域の課題解決に積極的に取り組む自治体を対象とした新型交付金を二〇一六年度に創設することを明記しました。支給対象は、地方創生に関する今後五年間の政策と数値目標を盛り込んだ地方版総合戦略を二〇一六年三月までに策定した都道府県と市町村です。  地方創生とは、地方の三つの力を引き出すことが最大のポイントです。一つ目は、稼ぐ力です。低水準にある地方の労働生産性を高めるため、地域の観光・ブランド戦略の司令塔となる日本版DMOという新たな事業体制などを構築する。二つ目は、地域の総合力です。従来の縦割り行政を廃止した上で、官民連携、地域間連携などを進め、都市部から地方に移住する高齢者が生きがいを持って生活する拠点となる日本版CCRCなどを整備する。三つ目は、民の知見で、公共施設の建設・運営を民間に委ねるPFIなどの活用を推進することです。  地方創生の実質的なスタートに活用されるものですが、一千億円という金額に戸惑う自治体は少なくありません。なぜなら、二〇一四年度補正予算で先行的に盛り込まれた交付金は千七百億円でしたが、事業が本格化する今後、予算が減ると心配しているからであります。  また、新型交付金が使えるのは先駆的な事業に限られることを踏まえれば、国は市町村を全面的に支援してほしい。特に、小規模な市町村は地方版総合戦略に携わる人材が限られるため、交付金が使える事業を考案できるか不安であります。  我が会派は、第三者委員会の立ち上げを提案しておりましたが、本県でもようやく鹿児島県地方創生有識者懇話会を設置されました。  そこで伺う一点は、本県の人口ビジョンの作成状況と総合戦略の策定状況について伺います。  第二点は、地方創生による地域のあちこちでの取り組みが、住民全体に元気と自尊心をもたらすことが期待されますが、本県の総合戦略の目指す方向性についてお示しください。  第三点は、県地方創生有識者懇話会が設置されましたが、先日の懇話会で出された意見や今後のスケジュールについて伺います。  次に、エネルギー対策について伺います。  政府が昨年決定したエネルギー基本計画で、導入を最大限加速とした再エネの割合は、平成二十七年七月の長期エネルギー需給見通しにおいて、同計画で示された目標を上回り、二二から二四%程度となりました。  九州地域戦略会議では、平成二十五年四月に、再生可能エネルギー産業化に向けた検討委員会を立ち上げました。九州では、再生可能エネルギー及び水素でさまざま取り組みが始まっていますが、エネルギー分野を初めとして、産業化まで至っておりません。再生可能エネルギー産業の現状と課題を踏まえ、九州での産業化が有望な分野として、地熱・温泉熱エネルギー、海洋エネルギー、水素エネルギーの三つに絞り込み、九州の目指すべき産業化の姿を描き、産学官が一体となって取り組むべき施策を九州モデルとして策定されました。  二〇三〇年における目指す姿として、九州地域の産学官の広域ネットワークの形成や連携強化のため、再生可能エネルギー産業の関係者が結集できる組織体を形成し、九州産業のエンジンとすることなどが盛り込まれました。  私は、長崎県の五島市沖での浮体式洋上風力発電の調査や大分県の温泉を生かしたバイナリー発電、北九州市の水素タウンや福岡市の下水処理場で汚泥から水素を生産する世界初の取り組みなど、再生可能エネルギーの先進地視察を行ってまいりました。  八月には参議院会館で、経済産業省、国土交通省、農林水産省、環境省の職員から、再生可能エネルギーをめぐる現状と課題等についてのヒアリングを受けました。その後、下水熱を有効利用している芝浦水処理センターを視察いたしました。  九州内での再生可能エネルギーの現状を調査するにつけ、本県の取り組む本気度に疑問を抱いております。  そこで伺う一点は、本県における地熱・温泉熱エネルギー、海洋エネルギー、水素エネルギーの三分野での取り組みの現状と今後の取り組みについて伺います。  先日の農林水産省のヒアリングにおいて、バイオガスについて伺いました。バイオマスを原料とし、微生物により生産されるガスのことです。メタン発酵ガスはその潜在量が生かされていない。発電コストの内訳を見ると、設備費の減価償却費が六割を超えており、高い初期費用に対応できるよう、必ずしも畜産農家等が単独で取り組むのではなく、地域ぐるみで取り組むことが重要であり、今後、地域活性化を進める観点から推進していくことが肝要とのこと。また、メタン発酵の過程で発生する消化液の処理方法は重要な課題であり、消化液の有効利用が鍵となる。発酵後の消化液の処理プロセスをいかに全体のスキームの中に取り込んでいくかが、採算性を確保する上の重要な要素となると説明がありました。  第二点は、本県のメタン発酵ガス化発電について、今後の取り組み状況とスケジュールについて伺います。また、県内で適地と考えられるところはどこか、お示しください。  次に、馬毛島問題について伺います。  馬毛島における米軍の空母艦載機着陸訓練の移転について、防衛省が十月上旬にも馬毛島の航空測量と気象海象調査の入札を行うとの報道がありました。  防衛省は、平成二十四年度当初予算に、航空測量経費として五千万円、気象海象調査費として一億七千四百万円を計上していましたが、地元において、治安悪化や騒音、漁業への影響などの懸念などから反対運動が起きて、予算の執行に至らず、繰り越してきています。  マニフェスト等で知事は、「馬毛島へのFCLP施設の移転問題は、何よりも地域の方々の意向が大切です。地元の理解が到底得られる状況にないため、国にFCLP施設の馬毛島への移転は行わないよう繰り返し求めてきました。今後とも、地元と歩調を合わせて対応します」と述べています。  この間、南種子町議会は、地元一市三町の首長と議会で構成されている反対組織から離脱するとともに、中種子町の町長は「中立の立場で受け入れを検討する」と発言するなど、地元の受けとめ方にも変化や温度差が見られるようになりました。  そこで第一点、今回のFCLP移転を検討する調査の入札について、国から県へは、いつどのような連絡があったのか伺います。  第二点は、知事は、地元の意向が大切との姿勢でありますが、変化する地元の意向をどのように受けとめていらっしゃるのか伺うとともに、今後の対応について伺います。  第三点、馬毛島は、林地開発などの確認のための現地調査が実施されず、県としてしっかり調査するように指摘があったと認識しておりますが、現地調査は行ったのか。また、今後の対応について伺います。  次に、災害対策について伺います。  台風被害と桜島の噴火問題については議論が交わされましたので、重複を避けて要望といたします。  台風十五号は、三島村の黒島や県内各地で、人的被害、住家被害、土砂崩れ、停電による被害や、漁業や農業など各方面に大きな被害をもたらしました。各自治体や関係機関と連携して、復旧に向けた迅速な対応を要望しておきます。  また、桜島の噴火問題では、避難者から、農業、漁業への影響、風評被害による観光への影響等の懸念が聞かれます。県として、鹿児島市等とも連携して積極的な支援を要望しておきます。  次に、土砂災害警戒区域の指定について伺います。  国は、昨年の広島における土砂災害等を教訓に、都道府県に土砂災害警戒区域指定を促進するように求めていますが、地価の下落や風評被害を懸念する住民の思いもあり、土砂災害警戒区域等の指定が進んでいないと仄聞しております。ハザードマップを作成し、避難体制の充実を図るためにも、実情に即した土砂災害警戒区域指定がなされるべきであると考えますが、本県における、土砂災害が起こる危険性があると見られる場所のうち警戒区域指定の現状と今後の取り組みについて伺います。  次に、先日、関東・東北地方を襲った集中豪雨について伺います。  鬼怒川の堤防決壊など、茨城県、栃木県、宮城県を中心に甚大な被害が出ました。亡くなられた方に哀悼の誠をささげ、また、被害に遭われた皆様にお見舞いを申し上げます。  本県においても、平成五年の八・六水害や平成十八年七月の川内川氾濫による被害など、河川決壊による被害を経験しました。  水害の怖さは、地域全体に壊滅的な被害をもたらすことであります。一方で、堤防建設等のハード対策は多額の予算を要することから進んでいません。減災の観点からは、的確な災害情報の提供、ハザードマップの作成と避難計画、避難訓練、さらには住民の防災意識の向上、長期的には防災教育も重要であります。  そこで第一点、本県の管理する河川の整備率を示すとともに、今後の取り組みについて伺います。  第二点、河川の水位等についての情報収集と住民への情報提供について伺います。  第三点、水害を想定した避難計画、避難訓練の現状について伺います。  第四点、住民の防災意識の向上についての取り組みと本県の公立学校における防災教育の現状について伺い、二回目の質問といたします。 39 ◯企画部長(岩切剛志君)地方創生に関しまして、本県の人口ビジョンと総合戦略の策定状況についてであります。  地方創生に取り組むためには、本県の実情に沿った実効性を伴う施策の展開を図ることが重要であり、現在、本県の成長・発展につながる具体的なプロジェクトの検討を進めているところであります。  総合戦略の策定に向けては、その構成等について、本県の人口の現状等を分析する人口ビジョンの観点も含め、その概要を骨子案として取りまとめ、今議会において、所管の特別委員会にお示しすることとしております。今後、県議会における御議論や外部有識者の御助言も踏まえながら、総合戦略を今年度中に策定することとしております。  本県の総合戦略の目指す方向性についてです。  総合戦略の策定に当たりましては、本県の地域特性や可能性を最大限に生かしながら、全ての県民が郷土に夢と誇りを持ち、県民一人一人が生涯安心して働き、安定した生活を送ることができるよう、従来の少子化対策や産業振興対策、定住や移住の推進など、地域経済の活性化のための諸施策の充実を図るとともに、本県の基幹産業である農業を初めとする第一次産業や観光産業などの重点的な振興を図ることが重要であると考えております。  県としましては、このような観点から総合戦略を取りまとめ、市町村とも連携を図りながら、本県の将来を見据えた実効性の伴う施策の展開に努めてまいりたいと考えております。  有識者懇話会における意見と今後のスケジュールについてであります。  有識者懇話会については、県議会の場でいただきました御意見を踏まえ、本県の地方創生への取り組みなどについて助言を得るため、農業や観光などの地域の産業や経済等に知見を有する専門家を初め、医療・福祉や結婚、子ども・子育てなど各分野で活躍されている方々を幅広く委員に選任し、鹿児島地区及び東京地区に設置したところであります。  鹿児島地区については、第一回懇話会を今月十一日に開催し、農業者の育成や農畜産物の付加価値向上の取り組みによる地域経済の活性化、本県の自然資源を活用した観光振興、地域を経営できる人材の育成、子育て支援や教育の振興などについて意見が出されたところであります。  今後、地方創生に取り組むに当たり、本県の基幹産業である農業や観光産業の重点的な振興を図るとともに、地域の活性化のための諸施策の充実を図る観点から、鹿児島地区では、農業、観光、社会・まちづくりの三つの分科会を開催し、それぞれ助言をいただくほか、東京地区においても、全国の地方創生への取り組みなどを承知されている外部有識者から、より広い視点で助言をいただくことを考えております。  地熱・温泉熱エネルギー等の取り組みの現状等についてであります。  地熱・温泉熱エネルギーについては、本年二月に指宿市で出力千五百八十キロワットの発電施設が運転を開始し、指宿市や三島村等において、具体的なプロジェクトの検討が進められているところです。  地熱発電等については、建設費用が大きく、環境等にも配慮する必要がありますことから、今後とも、県としては、事務手続や国の規制緩和の動きなどについて必要な情報提供や助言等を行い、導入を促進することとしています。  また、海洋エネルギーについては、昨年二月に海流・潮流発電の有望地として県内二海域を選定し、現在、事業者への情報提供等を行っているところであります。このうち、口之島、中之島周辺海域について事業者が興味を示しており、この事業者に対し、十島村とともに、実証試験の実施について要望を行っているところであります。
     水素エネルギーについては、将来の水素社会の実現を見据え、先月、水素エネルギーの普及促進等を図るための協議会を設置し、今後、県が取り組むべき方針等の検討を行っているところであります。また、水素は、貯蔵・運搬が可能であることから、本県離島地域への再生可能エネルギーを活用した実証実験等の導入について、事業者等に働きかけを行っているところであります。  今後とも、本県の地域特性を生かした再生可能エネルギーの普及拡大に向け、再生可能エネルギー導入ビジョン等に基づく各般の施策の推進に努めてまいります。  メタン発酵ガス化発電の今後の取り組み状況等についてです。  家畜排せつ物等によるメタン発酵ガス化発電については、畜産業を初めとする農林水産業の盛んな本県の地域特性を生かし、その導入を目指して、先月、有識者等から成る協議会を設立したところであります。この協議会においては、先進地の事例等も参考にしながら、施設導入の効果や課題、採算性、発電等の過程で発生する排熱や消化液の活用など、導入に当たって解決すべき事項などを取りまとめた取り組み方針を本年度中に策定することとしております。  本県にはメタン発酵ガス化発電に適した地域が多いと考えており、今後、市町村等が計画する具体的なプロジェクトの実現に向け、必要な助言等も行うこととしております。  馬毛島問題についてであります。  防衛省では、平成二十四年度予算に馬毛島の航空測量調査、気象海象調査の費用を計上し、その後、予算の繰り越し等を行ってまいりましたが、今回、施設の運用による周辺への影響や施設の配置を検討するための基礎的な調査として、本年八月二十八日に入札公示したものであります。国からは、その前日の夕刻に地元自治体及び県に、翌日午前九時に入札公示を行うこと、今回の調査は基礎的資料の収集であり、現地調査は行わない予定の旨の連絡があったものであります。  防衛施設や訓練などの移転について、さまざまな意見や動きがありますが、まずは地元において、さまざまな観点から議論が行われることが重要であると考えており、県としましては、今後とも、地元と歩調を合わせながら対応してまいりたいと考えております。  馬毛島における現地調査については、これまでの県議会における御議論等を踏まえ、現在、担当課と所有者であるタストン・エアポート社との間において、継続的に再調査の実施について調整を行っております。調査が実施できますよう引き続き努力してまいりたいと考えております。 40 ◯土木部長(久保田 一君)土砂災害警戒区域の指定の取り組み等についてです。  本県の土砂災害警戒区域につきましては、八月末現在で三十五市町村、一万四千六百二十六カ所を指定しており、うち八市町で指定が完了しております。また、指定に必要な基礎調査は、これまでに十市町で完了し、本年度は二十三市町村、約一千六百カ所について実施し、うち七市町村で完了予定であります。  改正土砂災害防止法に基づく国の基本指針では、おおむね五年程度で基礎調査を完了させることを目標とするとされており、県としては、今後とも、基礎調査に積極的に取り組むとともに、関係市町村と連携を図りながら、土砂災害警戒区域等の早期指定に努めてまいります。  県管理河川の整備率と今後の取り組みについてです。  県管理河川におきましては、現在、鹿児島市の新川や龍郷町の大美川、戸口川など四十一河川において整備を進めているところであり、整備率は、平成二十七年三月末現在で約四六%となっております。  県としては、今後とも、安心・安全な郷土づくりのため、近年発生した著しい住宅浸水被害の解消を第一に、引き続き、川幅の拡幅や護岸の設置等の河川整備を進めるとともに、河川情報の提供などのソフト対策も含め、総合的な治水対策の推進に努めてまいります。  河川水位等の情報収集と住民への情報提供についてです。  河川水位等の情報につきましては、県や国等において、県内四百カ所に設置した雨量計や水位計等の観測データをリアルタイムで収集し、鹿児島県河川砂防情報システムのホームページやNHKのデータ放送等を通じて、県民や市町村、報道機関等に広く提供しているところです。  また、河川砂防情報システムにつきましては、本年四月に、県内十一カ所に設置した河川監視カメラによる静止画像の提供を開始するとともに、スマートフォン向けの専用画面を構築するなど、より使いやすく改善したところです。  今後とも、市町村の防災活動や住民の円滑な避難に生かされるよう、的確な防災情報の提供に努めてまいります。 41 ◯危機管理局長(永野 司君)水害を想定した避難計画等の現状についてでございます。  市町村におきましては、国の避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドラインや県地域防災計画等を踏まえ、市町村地域防災計画の中に、避難勧告等の判断基準のほか、住民への伝達方法や避難所の設置、避難誘導方法などの避難計画を定めております。  特に、水害を想定して、避難所等につきましては、想定される洪水の水位以上の場所を指定することや、避難経路につきましては、浸水や斜面崩壊等を予測して安全なルートを複数選定しておくこと、避難の際は自主防災組織や消防団員等の中から誘導責任者を定め、できるだけ集団で避難することなどを規定しております。  また、避難計画の実効性を高めるため、さまざまな避難訓練が実施されておりますが、水害を想定した地元消防団による水防工法訓練や、ロープ等を利用した集団での避難訓練なども実施されております。  住民の防災意識の向上への取り組みについてでございます。  災害を未然に防止・軽減するためには、住民みずからが日ごろから災害について備え、適切な対応をとる自助や、自主防災組織など地域の住民が互いに助け合って地域の安全を確保する共助が極めて重要であると考えております。  このため、県におきましては、市町村と連携して、地域における防災活動の指導的役割を担う地域防災推進員を養成しておりますほか、県防災研修センターでの各種研修や県防災アドバイザーによる出前講座の実施、さらには、防災情報を掲載した県政かわら版の全戸配布や防災気象講演会等の開催などを通じまして、広く県民に防災意識の高揚や防災知識の普及啓発に努めているところであります。 42 ◯教育長(古川仲二君)本県の公立学校における防災教育の現状についてでございます。  県内の公立学校では、各教科や学級活動等において、地震や台風、火災などの学習を行うとともに、学校の立地環境等を考慮し、毎年避難訓練を行い、実効性のある避難ができるよう避難経路、避難場所等の見直しを行っております。また、児童生徒による安全マップの作成や危険予知トレーニング等を通して、危機回避能力の育成にも努めております。  さらに、防災教育モデル校を指定し、専門家等の協力を得て、津波や土砂災害、火山災害の学習と、これらの災害を想定した危機管理マニュアルの見直し、小・中合同の保護者への引き渡し訓練、地域住民と連携した合同避難訓練等を実施し、その成果は県のホームページや研修会において各学校に周知いたしております。  今後とも、児童生徒に対し、災害に応じた避難のあり方を理解させ、みずから状況を判断し、自分の命は自分で守る行動がとれるよう防災教育の充実に努めてまいります。    [成尾信春君登壇] 43 ◯成尾信春君 それぞれ御答弁いただきました。  次に、産業経済行政の農業政策について伺います。  九州農政局は、二〇一四年度農業白書を公表しました。雇用創出や六次産業化への期待がある一方、農地確保が課題となっています。農地改革の柱として、農地中間管理機構、いわゆる農地集積バンクを本県でも立ち上げて、農地を所有者から借り受けて意欲ある農業者に貸し付ける農地中間管理事業を進めてきました。全国的には、農地集積バンクを活用した農地の貸し付けが進んでいない現状であります。  小針美和農林中金総合研究所研究員は、農地集積バンクの課題について、「昨年度、担い手に集積された農地が前年度より約六万ヘクタール増加したにもかかわらず、バンクを通じた新たな担い手への集積された農地は約七千三百四十九ヘクタールと少ない。農地集積の動き全体がどう変化し、それにバンクがどうかかわってきたか分析する必要がある」として、「バンクと現場との連携を深めることが重要である。また、県が取り組む新規就農者や企業参入への支援などの事業と、バンクによる農地のあっせんをセットして進めていく」などを指摘しております。  そこで伺う一点は、本県の農地中間管理事業の現状と今後の取り組みについて伺います。  次に、電気柵の対策について伺います。  先般、静岡県の電気柵に感電した男性二人が死亡した事故を受けて、農林水産省が緊急点検を行って、その結果を発表しました。調査によると、全体の七%に当たる七千九十カ所で必要な安全対策がとられていないことが明らかになりました。本県では、三十七市町村の千五十三カ所を点検し、二六%に当たる二百七十九カ所で不備がありました。農水省は、各都道府県に対して、電気柵を設置した農家などへの改善指導を求める通知を出して、改善指導の結果を九月末までに報告するように求めています。  二度とこうした事故を起こしてはならないと思いますが、電気柵は、電気柵用電源装置を使って高圧でごく短いパルス電流を発生させて、ショックはあるが命に別状はないという衝撃を与えて動物を追い払うという装置なわけで、本来、危険は少ないのであります。今回の事故は、そういう安全装置がとられてなかった。  中山間地等における野生動物による被害は年々拡大していて、極めて深刻になっています。特に、中山間地では高齢者の皆さんの農作業は生きがいにもなっているわけであって、それを奪うことにもなります。電気柵は必要不可欠で、恐らくこれからも拡大していくと思われます。正確な知識をきちんと普及して、安全な電気柵をこれから普及していくように、県としてもしっかり取り組んでいただきたい。電気柵は危険だということになると非常に大きな問題になるので、電気柵についての正確な知識を県民の皆さんにもよく理解していただきたいと思います。  第二点は、電気柵の不備への対応策をどのようにするのか伺います。  第三点は、電気柵についての正確な知識を県民に理解していただくことが必要であると考えますが、周知徹底について伺います。  次に、雇用対策について伺います。  公明党が提唱しています地方版政労使会議─仮称─について、安倍総理は、「労使を初めとする地域の関係者が集まる会議を設置する検討を進めたい」と明言しました。政労使会議は、政府、労働界、経済界の各代表で雇用環境の改善などを話し合うための場であります。国レベルでは二〇一三年に設置されて以来、着実に企業の賃上げを促してきました。連合が七月にまとめた春闘の最終結果によると、定期昇給を含む賃上げ率は二・二%、二年連続で前年同時期を上回りました。  ところが、景気回復の効果は家計や地方にまで行き渡っているとは言えない状況です。四月から六月期のGDP速報値は、企業業績が過去最高水準にあるにもかかわらず、個人消費などが振るわず、実質で三四半期ぶりのマイナス成長でした。確かに賃上げ内訳を見ると、組合員数が千人以上の組合の賃上げ率は二・三一%でしたが、九十九人以下の小規模組合は一・七六%と、規模によって賃上げの幅に開きがあります。小規模企業が全企業の八七・五%を占める地方圏では、東京などの都市圏と比べて景気回復の実感が乏しいのもうなずけます。  地方版政労使会議を設ける素地はできつつあり、一月から各都道府県労働局に設けられた働き方改革推進本部は、関係者と協力し、長時間労働の削減に力を入れ始めております。事例として、神奈川県が二〇〇九年三月、独自の政労使会議を設置しております。  国の主導で賃上げの大きな流れはできました。今後は、地域の実情を誰よりも知る地元の政労使が力を合わせて、賃上げ、雇用環境の改善に取り組むべきであります。  そこで伺う一点は、鹿児島県版政労使会議─仮称─を創設し、若者の所得拡大や処遇改善を細かく進めるべきと考えますが、いかがでしょうか。  また、女性の活躍推進は、政府・与党が一体となって政策を推進すべきです。今後、政府が基本方針やガイドラインを策定した後、国や地方自治体、従業員三百一人以上の民間事業者は、来年四月一日を目指し、事業主行動計画の作成を急ぐことになります。特に、女性が非正規労働者の七割、雇用者全体の四分の一を占めている現状を踏まえ、短時間労働者の雇用管理の改善に関するガイドラインを策定するなど、処遇改善への取り組みが急がれます。  妊娠・出産した女性に対するマタニティーハラスメントの防止も課題であり、事業主の措置を促すため、マタハラやセクシャルハラスメントなど、あらゆるハラスメントに一元的に対応する企業の体制を整えるべきであります。  ことし六月には、政府のすべての女性が輝く社会づくり本部が、女性の活躍加速のための重点方針を決定しました。これを来年度予算案や政策に反映させる形になっていきますが、こうした連動した取り組みも重要となります。女性が生き生きと社会で活躍できる環境を実現するため、あらゆる手だてを講じていく必要があります。  そこで伺う二点は、女性活躍推進法の成立を受けて、本県ではどのように取り組むのか伺います。  次に、観光振興について伺います。  国民文化祭・かごしま二〇一五の開催を記念したプレミアムお得旅促進事業で、本県への来訪者に対して、旅行費用を最大二万四千円補助する取り組みが始まりました。国民文化祭は、離島を含む県内各地の四十三全市町村で開催されることもあり、イベントも百五十五あります。ぜひ鹿児島の多彩な文化と魅力を感じていただき、リピーターになっていただきたいと期待するものであります。  ところで、ホテル関係者の方と懇談の折、「鹿児島県では平成二十四年度、約八千組の婚姻届があり、結婚式は約四千二百組が行っており、半分になっている」と話をされました。一方、アジアに目を向ければ、人口増による婚礼や挙式が増加し、ブライダル市場が拡大しています。そこで、結婚式の前に好きなスポットに出かけて婚礼写真を撮影するフォトウエディングがアジアを中心にブームになっているとのことです。本県でも、鹿児島ウエディング協議会が行っているようであります。  そこで伺う一点は、本県はアジアに近く、屋久島の世界自然遺産などの資源も豊富であります。海外から目的を持ったフォトウエディングに積極的に取り組むべきだと考えますが、いかがでしょうか。  また、大隅への観光誘客の観点から、有明高校敷地の大隅地域スポーツ合宿拠点施設の整備について伺います。  県は、陸上競技場を中心としたグレードの高いトレーニングの拠点施設で、魅力ある特徴的な施設を整備します。さらには、交流人口の増加等に伴う地域活性化や本県スポーツ界の競技力向上にも寄与する方針で整備されています。陸上競技場初め、投てき練習場や室内直走路なども整備することとなっています。  管理棟には、現校舎を活用した管理事務所、シャワー室などが整備されます。合宿練習に来て練習時間を多く確保するため、宿泊できるようにしてほしいと私の地元も要望しております。ただし、ホテル・旅館等の宿泊施設の民業圧迫になるとの声もあるようです。  伺う二点は、大隅地域スポーツ合宿所に宿泊施設を設置する考えはないのか伺います。課題についてもお示しください。  次に、福祉行政、地域医療構想について伺います。  団塊の世代が七十五歳以上を迎える二〇二五年にどのような体制で医療を提供するのかを示す地域医療構想の策定作業が、都道府県で本格化しております。都道府県は、病床機能の転換を促すため、調整会議で医療関係者と協議した上で、昨年十二月に設置した基金を活用して支援を行います。ただ、病床の再編は医療機関の経営にかかわり、容易に結論を出しにくい問題です。医療機関と粘り強く協議を重ね、構想の実現を目指してほしいと思います。  一方、一部のマスコミには、再編に伴って病床が減り、行き場のない患者が相次ぐと不安視する報道が見られます。当然ながら、そのような事態があってはならない。地域医療介護総合確保基金などを使って、在宅医療の推進はもちろん、介護分野との連携強化など、さまざまな形で患者の受け皿を用意することが重要です。複数の病院などをグループ化し、病院間でベッド数を融通できるようにする地域医療連携推進法人の創設も、円滑な再編に向け活用していくべきであります。  そこで伺う一点は、地域医療構想の現状については昨日ありましたが、本県でも病床再編を促すための調整会議が実施されますが、今後の取り組みと基金の活用についてお示しください。  次に、地域包括ケア病棟について伺います。  日本は既に、六十五歳以上の人口が三千万人を超える高齢社会に突入しました。団塊の世代が七十五歳以上となる二〇二五年以降には、医療や介護の需要がさらに増加します。このシステムを構築する中でかなめとなるのが、地域包括ケア病棟であります。高齢化が進む中で、現状の医療の提供体制と、患者の疾患や年齢構成にミスマッチがあり、大きな問題になっています。これを解消する切り札が地域包括ケア病棟であります。医療、介護のかけ橋であり、地域包括ケアシステムを構築するかなめであり、地域医療構想をつくる柱でもあります。  国民の医療に対するニーズは、病院で医師にきちんと診てもらうことができ、退院後も安心して暮らせることであります。患者、家族から、治療後の生活まで視野に入れ、必要なケアをしてくれる病院だと思ってもらえることが大切になります。  第二点は、本県における地域包括ケア病棟の現状と今後の取り組みについて伺います。  次に、介護保険について伺います。  政府は、日本再興戦略改訂二〇一四で、介護の質の評価に触れ、「今年度末までに検討し、その結果を公表する」としました。これを受け、厚生労働省は、制度導入へ向けた議論に本腰を入れています。  そうした中、品川区の特別養護老人ホームかえで荘では、入所する高齢女性は自力で食事ができず、食べる量も減っていたので、職員間で検討を重ね、食べ物を刻むなど飲み込みやすい食形態への変更や高カロリー補助食品の提供を実施、毎回の食事で水分や食事量の確認を継続したところ、自力で全量を摂取できるまでに回復しました。昨年六月、要介護度を五から四に変更したそうであります。また、寝たきりに近かった別の女性は、利用者同士で談笑する機会をふやし、離床時間を延ばしていった、その結果、体幹機能が向上し、施設内を歩行器で移動できるようになった。要介護度は四から一に改善しました。  同区では、こうした要介護度を改善させた施設を評価し、奨励金を出す事業を平成二十五年度から実施しております。一人が一段階改善したら月二万円、二段階改善したら月四万円を一年間支給。昨年度は十二施設を対象に八十六人分、千二百四十六万円を交付しました。施設の収入に当たる介護報酬は、要介護度が軽い人ほど低くなります。要介護度が改善しても施設は収入が減ってしまうので、奨励金はこの減収分を補うのが目的であります。  そこで伺う三点は、介護施設は、施設入所者の自立支援を図ることが目的の一つであり、その観点から品川区の取り組みはすばらしいと思います。本県でも、要介護度の改善に奨励金を出すようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。  次に、大人の救急電話相談#七〇〇〇について伺います。  埼玉県で昨年十月にスタートした大人の救急電話相談事業が成果を上げています。同事業は、夜間に急な病気やけがをした際、救急車を呼ぶべきか、すぐに病院に行くべきかの判断や、家庭での適切な対処方法について電話で相談できます。県民の緊急時の不安を解消するとともに、近年ふえ続ける救急出動件数を抑制し、重症患者の迅速な搬送につなげることが狙いであります。  受け付け時間は、午後六時三十分から同十時三十分まで、年中無休であります。相談員は三人から五人体制で、救急医療に携わるベテラン看護師が対応する。判断が難しい事案については、看護師が自宅待機の医師に助言を求めます。この半年間─二〇一四年十月一日から一五年三月三十一日─の相談件数は一万七百八十件で、一日に平均すると約五十九件であります。内訳は、救急車対応要請が六百九十五件、六%、一時間以内緊急受診が三千百四十二件、二九%、翌日受診が四千四十五件、三八%、家庭で対応可能等が二千八百九十八件、二七%、全体の六割以上は当日受診が必要のない事案でありました。  県の担当者は、「どこまでの人が救急車を使う予定だったのかはわからないが、最大でそれだけの人が、救急車を含めて、当日の医療機関への受診をせずに済んだと推測できる」と指摘しております。  そこで伺う四点は、本県でも、県民の不安の解消と救急医療機関の負担軽減のため、大人の救急電話相談#七〇〇〇を導入すべきと提案いたしますが、積極的な答弁を求め、三回目の質問といたします。 44 ◯農政部長(福田博史君)農地中間管理事業についてでございます。  県におきましては、農地中間管理機構や市町村等と連携しながら、農家等への制度の理解促進や、地域集積協力金などのメリット措置を活用した貸し出し農地の掘り起こしに取り組むとともに、市町村の推進員や、本年度から設置した機構の地域事業推進員の活動を支援し、現場段階での取り組みを強化しているところであり、平成二十七年度におけるこれまでの貸し付け面積は、二十七市町村で四百八十三ヘクタールとなっております。  県としましては、今後とも、関係機関・団体と一体となって、農家等に対するさらなる制度の周知と貸し出し農地の掘り起こしを推進するとともに、推進チームによるモデル地区等に対する重点支援など、地域別推進計画の達成に向けた取り組みを進め、担い手への農地集積・集約化に努めてまいりたいと考えております。  また、条件不利地域においては基盤整備が必要であることや、相続未登記農地においては権利調整が煩雑であることなどから、国に対して、中山間地域等における担い手に負担が伴わない基盤整備の創設や相続未登記農地の貸借手続の簡素化、安定的な予算の確保などについて、引き続き要請してまいりたいと考えております。  電気柵の安全確保対策等についてでございます。  本年七月に静岡県で発生した獣害対策の電気柵の感電事故を踏まえ、県におきましては、電気柵の安全確保について関係者へ通知するとともに、ラジオや市町村の広報誌等で周知したところであります。  また、家畜用牧柵も含めた電気柵について調査した結果、危険表示板のないものが二百七十二件、電流を制限する電源装置のないものが一件、漏電の際に電流をとめる漏電遮断器のないものが九件あるなどの不備が確認されたところであります。このうち、電気柵用電源装置や漏電遮断器のない危険性の高い電気柵については、設置者に対し指導を行い、既に改善されているところであります。  電気柵は、イノシシやシカなどの侵入を防止し、農作物の被害を防ぐためには欠かせないものであり、正しい方法で設置し、使用することが事故防止につながることから、今後とも、電気柵の安全確保対策について、ラジオやポスターなども活用しながら、広く県民に周知してまいりたいと考えております。 45 ◯商工労働水産部長(武盛武士君)鹿児島県版政労使会議の創設についてです。  これまで、県では、処遇改善を初め、総合的な雇用施策を示した雇用創出プラン二〇一三の策定や推進に当たりまして、政労使で構成する会議を開催し、関係者の意見を反映させてきております。  国においては、御指摘がありましたとおり、内閣総理大臣が、「都道府県において地域ぐるみで働き方改革を推進するため、労使を初めとする地域の関係者が集まる会議を設置していくことについて検討を進めてまいりたい」と答弁されたことを受けて、現在、内部的な検討を行っていると聞いております。  県としては、今後、国の動向を注視してまいりたいと考えております。 46 ◯県民生活局長(三角浩一君)女性活躍推進法に基づく取り組みについてでございます。  いわゆる女性活躍推進法は、女性の力が必ずしも十分に発揮されていない中で、女性の働く意欲を実現につなげ、ひいては日本の持続的成長を実現し、活力ある社会を維持していくことを狙いとするものです。この法律では、女性に対する採用、昇進等の機会の積極的な提供及びその活用、性別による固定的役割分担等を反映した職場慣行が及ぼす影響への配慮などの基本原則とともに、国の基本方針や地方公共団体の推進計画、事業主行動計画の策定等について定められており、今後、国から、基本方針や事業主行動計画の策定指針等が示されることになっています。  具体的には、これらの基本方針等を踏まえながら、今後、検討することとしていますが、本県における女性の活躍推進が図られるよう取り組んでまいります。 47 ◯観光交流局長(長野信弘君)フォトウエディングについてお尋ねがございました。  御指摘がありましたように、現在、アジアの国々におきましては、結婚式の前に国内外の海岸、史跡、街中など、さまざまなロケーションで婚礼写真の撮影を行うフォトウエディングが人気となっております。ことし七月、鹿児島ウエディング協議会は、上海でウエディング事業を展開する会社と合同で、上海のブライダル団体の関係者やカップルを鹿児島へ招請するフォトウエディングモニターツアーを実施いたしました。このツアーでは、仙巌園、知覧武家屋敷、知林ヶ島など本県の魅力ある観光地で撮影を行いましたほか、食事や買い物も楽しみ、好評を得たところです。  フォトウエディングは、単に婚礼写真を撮影するだけでなく、親族や友人等を伴った宿泊滞在、訪問地での観光、ショッピング、食事など波及効果も期待できますことから、豊かな自然や個性ある歴史・文化、良質の食材といった本県の本物の魅力をPRするなど、関係団体とも連携して積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  大隅地域スポーツ合宿の拠点施設についてでございます。  大隅地域スポーツ合宿の拠点施設につきましては、平成二十六年十二月に策定した整備基本計画において、宿泊、食事、送迎などの各種サービスの提供は、民間を初め地域全体で受け入れ、サポートする協力体制を構築することとしております。同施設利用者の宿泊につきましては、近隣の同業者への影響等も考慮し、地元の既存のホテル等において対応することといたしております。  こうしたことから、先月、地元の宿泊施設など民間事業者を対象として、各種サービスの提供等に関する説明会を開催したところであり、今後、これらの事業者に地元の市町なども加えた官民一体の連絡会を設置し、既存の宿泊施設の機能充実やアスリート向けの食事メニューの開発、空港等からの送迎、また、先日、スポーツパフォーマンス研究棟が竣工した鹿屋体育大学との連携による専門的なサポートのあり方などについて、具体的に検討を行うこととしております。 48 ◯保健福祉部長(古薗宏明君)地域医療構想についてであります。
     昨年六月に成立いたしました医療介護総合確保推進法におきまして、都道府県は、地域の医療提供体制の将来のあるべき姿を示した地域医療ビジョンを定めることとされたところであります。  県では、現在、地域医療構想検討委員会と地域振興局・支庁ごとに設置いたしました地域医療構想懇話会を順次開催しているところであり、来年十月ごろを目途に、地域ごとにバランスのとれた医療機能の分化と連携を推進するための地域医療ビジョンを作成したいと考えております。  地域医療ビジョンの策定後におきましては、医療関係者等との協議の場であります地域医療構想調整会議を設置いたしまして、医療機関の自主的な取り組み及び医療機関相互の協議によりまして、その推進を図りますとともに、地域医療介護総合確保基金を活用して、引き続き、病床の機能分化・連携、在宅医療の推進及び医療従事者の確保に取り組むこととなります。  地域包括ケア病棟についてであります。  国は、平成二十六年度の診療報酬改定におきまして、入院医療の機能分化・連携に向けまして、七対一入院基本料の要件を、急性期のより複雑な病態の患者に見合ったものに見直しますとともに、急性期後の受け皿病床の充実等を図りますため、地域包括ケア病棟入院料の創設等を行ったところであります。  本県では、本年一月現在、県内の三十二医療機関から合計六百八十床について、九州厚生局に対し届け出がなされております。  地域包括ケア病棟は、急性期からの受け入れや在宅復帰支援、在宅療養者の緊急時の受け入れなどの役割が期待されておりますことから、県では、地域医療介護総合確保基金を活用いたしまして、急性期病床から地域包括ケア病棟への機能転換を支援しているところであります。  介護施設への奨励金の支給についてであります。  東京都品川区が実施しております品川区要介護度改善ケア奨励事業につきましては、入所者の要介護度が軽減された場合に、その軽減に至ったサービスの質を評価して、当該施設に対し奨励金を支給するものであります。  国の社会保障審議会介護給付費分科会におきましては、介護報酬に介護サービスの質の評価を適切に反映させることで、効果的・効率的な介護サービス提供が促進されるという基本認識のもと、これまで導入した介護報酬におけるアウトカム評価の検証を行いますとともに、サービスの質を踏まえた介護報酬のさらなる導入を目指し、多角的な視点からサービスの質の評価手法を検討することとしております。  介護保険制度におきましては、介護保険事業所は基本的には介護報酬で運営されるものでありますことから、県としては、国における検討の状況を見守ってまいりたいと考えております。  大人の救急電話相談についてであります。  現在、大人の救急電話相談につきましては、埼玉県など五県で実施されていると聞いております。  救急医療の適正利用は、緊急度の高い重症患者への医療の確保、医療従事者の負担軽減などの面で極めて重要であり、救急医療の課題の一つであると考えております。このため、県ではこれまで、子供を対象とした小児救急電話相談事業を実施しており、また、市町村や医師会と一体となり、それぞれのホームページや救急医療週間の行事等を通じて、適正利用の啓発などにも努めております。さらに、本年十月からは精神科救急医療電話相談窓口を新設することとしております。  小児科や精神科の救急電話相談につきましては、症状の確認や医療機関を受診する判断が難しいため、事業実施の効果は高いと考えておりますが、御指摘の大人の救急電話相談につきましては、他県の実施状況を踏まえながら、その必要性も含めて検討してまいりたいと考えております。    [成尾信春君登壇] 49 ◯成尾信春君 それぞれ御答弁ありがとうございました。  次に、教育行政について、初めに、全国学力・学習状況調査の結果について伺います。  文科省による二〇一五年度全国学力・学習状況調査の結果が公表されました。本県においては、中学生の学力低迷が大きな課題だと考えます。  県教委は、平成二十一年度からは中学校学力向上総合プラン、平成二十四年度からの鹿児島県授業力向上プログラムに取り組み、平成二十七年度からは、かごしま学力向上プログラムに取り組む計画となっています。効果的な学力向上策が喫緊の課題であると思います。  そこで第一点は、全国学力・学習状況調査結果をどのように受けとめられているのか、伺います。  第二点は、これまで取り組んできた学力向上策に対する成果と課題について伺います。  次に、文科省の諸調査に関連して伺います。  二〇一四年度に病気や経済的理由以外で年間三十日間以上欠席した不登校の小・中学生は、前年度より三千二百八十五人増の十二万二千九百二人で、二年連続で増加しました。小学生では、千六百九十一人増の二万五千八百六十六人で、全児童に占める割合は〇・三九%と過去最悪の結果になりました。鹿児島県では、小学校が八人減少の二百二十九人、中学校が十六人増の千三百五十一人です。  そこで第一点、本県における不登校対策の取り組みの現状と課題について伺います。  文科省は、不登校の小・中学生に学習指導などを行う民間施設フリースクールに関する初めての実態調査を公表しました。全国では、四千百九十六人の児童生徒がフリースクールに在籍し、授業料は月平均三万三千円に上ります。文科省は、この結果を踏まえ、運営事業者や保護者への支援策を検討する方針としています。  そこで第二点は、本県のフリースクールの現状について伺うとともに、学校とフリースクールの連携の現状と課題、今後の取り組みについて伺います。  平成二十六年十一月に実施された教職員の業務実態調査を受けて、この七月、文科省は、学校現場における業務改善のためのガイドラインを発表しました。この実態調査の中で、教職員が負担を感じる業務について、教育委員会等からの調査への回答などが挙げられています。また、負担軽減の取り組みについて、校務の情報化、校務支援システムの導入などが提示されています。  そこで第三点、本県教職員の業務量についてどのように認識しているのか。また、本県小・中学校における業務改善に向けた積極的な実践事例を伺うとともに、県教育委員会としての今後の取り組みにおける課題について伺います。  次に、公立高校の進路希望状況調査に関連して伺います。  二〇一六年三月に卒業予定の県内の国公立中学校三年生を対象にした進路希望状況調査が公表されました。希望者が前年度の募集定員に届かなかった公立高校は、六十七校百十六学科のうち、五十四校八十三学科となりました。また、卒業予定者一万五千五百八十人のうち、県内公立高校を目指す生徒の割合は八一・七%で過去最低、私立高校や高専等は一六・四%と最高を更新しました。  そこで第一点は、公立高校六十七校百十六学科中、五十四校八十三学科が前年度の募集定員に満たなかった結果を受けて、今後の高校再編が喫緊の課題であると考えますが、どのように高校再編を進めようと考えているのか伺います。  第二点は、大隅の検討会を経て曽於高校、楠隼高校ができました。今回の進路希望状況調査の結果にどのように反映していると考えるのか伺います。  文教警察委員会で視察した楠隼中学・高校では、地元肝付町による生徒への支援があり、商工会などによる応援団が活躍しておられました。また、伊佐市や垂水市等では、地元の県立高校に対し、大手予備校との連携による学力向上策や大学進学奨励金等の支援を行っています。  そこで第三点、自治体支援による学力向上策や大学進学奨励金について、どのように評価されるのか伺います。  次に、警察行政について、初めに、うそ電話詐欺の被害について伺います。  電話を悪用して現金をだまし取る、うそ電話詐欺の被害がとまりません。警察庁によりますと、ことし上半期の被害額は約二百三十六億五千万円に上ります。認知件数は前年同期と比べて八百五十二件増の七千七件、被害を未然に防止したのは約百四十二億二千万円で、上半期としては過去最高でありました。  鹿児島県内では、前年同期よりも八件、五千三百万円増の三十一件、約一億三千六百六十万円。限度額がない送付や手渡しがふえ、一千万円を超える被害額が目立ちます。また、未然に防止したのは三十二件で、四千四百万円の被害を食いとめたと報道がありました。現金の振り込みをめぐる異変を察知し、声かけをする活動が浸透してきた結果と考えます。巧妙な詐欺行為に対して、さらなる水際対策を徹底していただきたいと考えます。  そこで第一点、鹿児島県内でのうそ電話詐欺を未然に防止した事例について御紹介いただくとともに、取り組みの現状と課題について伺います。  福岡県、福岡市、北九州市では、県警、各種団体などで官民組織ニセ電話気づかせ隊推進委員会を発足させ、金融機関や配送業者、コンビニエンスストアなどの企業・団体に対し、気づかせ隊への登録を呼びかけています。参加申し込みは県警ホームページや最寄りの警察署ででき、隊員が福岡県内で五十万円以上の被害を防いだ場合、感謝状に加え、三千円相当の品物を贈呈。被害の未然防止や広報啓発ですぐれた取り組みをした団体を表彰する。今年度中に五千団体、十万人の参加を目指して取り組んでおられます。  第二点は、本県においても、官民組織ニセ電話気づかせ隊のような対策を提案いたしますが、いかがでしょうか。  次に、高齢運転者の事故防止に関連して伺います。  高齢化の進展とともに、認知症のドライバーによる交通事故の増加が大きな問題となっています。事故を防ぐには、高齢ドライバーの判断力や記憶力などの変化を早期に見つけ、的確に対処することが求められます。全国の交通事故死亡率は減少を続けていますが、六十五歳以上の高齢者では運転中の交通事故死亡者がほぼ横ばいの状態にあります。高齢運転者は六百人で、全体に占める割合は十年前に比べて約五ポイントふえ、一四・六%となりました。  高齢者の交通事故死亡者数を押し上げる背景の一つに、認知症の増加があります。現行の道路交通法では、認知症の人に運転免許を認めておらず、七十五歳以上の免許更新者に判断力などをはかる認知機能検査を義務づけています。  本年六月に改正道路交通法が成立し、免許更新時の認知機能検査で認知症のおそれがあるとされた段階で、医師の診察を受けることが義務づけられました。一定の交通違反を犯した場合も、臨時に検査を受けなければなりません。改正法の施行に向けて、全国の県警本部では、認知症のチェック体制の強化を図らなければなりません。  熊本県では、運転免許センターの運転適性相談窓口に看護師二名を配置し、高齢ドライバーの相談や医療機関への受診勧奨を行っています。本年二月から相談業務が始まり、認知症の疑いのある人が二十一人判明し、このうち八人が医療機関を受診したようであります。  そこで、本県における高齢ドライバーの認知症チェック体制の現状と、改正法施行に向けて、運転免許センターへの看護師配置を提案し、第四回目の質問といたします。 50 ◯教育長(古川仲二君)教育行政についてのお尋ねのうち、まず、全国学力・学習状況調査結果につきましては、小学校の一部にやや改善の兆しが見られたものの、全体としては、知識に関する問題や活用に関する問題に課題があり、特に、中学校につきましては厳しく受けとめております。今後とも、結果を詳細に分析し、学力向上に成果があらわれるよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  これまでの学力向上策に対する成果と課題についてでございます。  県教委では、平成十八年度から、中学校教員一人一人に研究授業を義務づけ、授業力を高める取り組みを進めてきた結果、中学校では不十分であった授業研究等の校内研修が定着し、教員の意識改革が進んだと捉えております。しかしながら、小規模校が多い本県の中学校においては、教科によっては教員の複数配置が難しく、他の教員の授業を参観したりする機会が少ないという課題が見られたところでございます。そのため、平成二十五年度から二カ年、地区ごとに指導力向上研修を実施いたしましたところ、参加した教員の評価が高いなど、協働的な研修の場の必要性が明らかになったところでございます。  このようなことから、県教委といたしましては、今年度から新たに、学力向上推進担当を二人配置し、指定した中学校に継続的に学校訪問を行い、授業づくり等の支援を行う授業サポートプロジェクトを実施いたしております。また、地区ごとに、中核となる教員によるプロジェクトチームを設け、モデル授業づくりや評価問題の作成などに取り組んでいるところでございます。  今後とも、教員同士が協働して授業改善に取り組む体制を積極的に推進してまいりたいと考えております。  次に、本県における不登校対策についてでございます。  県教委では、不登校対策として、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによる支援、電話相談などを行っております。各学校では、担任を中心とした支援チームを編成し、児童生徒の状態に応じて、電話連絡や迎え等により登校を促したり、家庭訪問での相談、保健室を活用した個別相談等を行っております。これらの結果、平成二十六年度の本県公立小・中学校の不登校児童生徒一千五百四十二人のうち、小学生六十六人、中学生三百四十三人の合計四百九人が同年度中に登校できるようになったところでございます。  不登校の要因、背景は多様で複雑になってきておりまして、長期化すると一層、学校復帰が難しくなることから、児童生徒の実態や心情に寄り添った丁寧な対応が重要であると考えております。  県教委といたしましては、各種研修会を開催し、教職員の資質向上にも努めるなど、不登校の解消に向けた取り組みを推進してまいりたいと考えております。  次に、本県におけるフリースクールの現状についてでございます。  フリースクール等は、一般的には、不登校などの子供を受け入れ、学習などを行う民間の教育機関と言われておりますが、運営の方針や形態も多様であり、定まった定義もないため、その数についても確実なものはお答えはできませんが、本年四月に文部科学省が、義務教育段階の子供が通う民間の団体・施設を対象に実施いたしました全国調査によりますと、調査対象となった県内の十六施設にうち、調査に回答した七施設の児童生徒の在籍数は六十人となっております。  次に、フリースクールとの連携の現状と課題及び今後の取り組みについてでございます。  学校においては、不登校などの子供を受け入れるフリースクール等の民間施設で相談・指導を受けている児童生徒に対しましては、学校復帰を目指しているなどの一定の要件を満たす場合に、施設において相談・指導を受けた日数を出席扱いといたしております。  県教委としては、フリースクール等と学校、市町村教育委員会、関係機関が相互に連携し、児童生徒の個々の状況に応じた丁寧な対応に努めるとともに、今後とも、学校とフリースクール等の連携や支援のあり方についての国会における議員立法の動きや、文部科学省における検討の状況等を注視してまいりたいと考えております。  次に、教職員の業務改善に向けた取り組みについてでございます。  学校においては、授業改善や学力向上はもとより、特別な支援を必要とする児童生徒や不登校の児童生徒への対応、保護者や地域活動への対応など、求められる役割は拡大・多様化しておりますことから、業務量も増加していると認識いたしております。各学校では、校内LANの活用、行事の精選、校務分掌の見直し、地域人材等の活用等の工夫・改善が行われてきたところでございます。  本県は多くの離島を有し、複式学級を有する学校が多いなど、学校規模もさまざまでありますことから、業務の負担軽減においても、学校の実態に応じた取り組みを進めることが課題であると考えております。  県教委といたしましては、先般、文部科学省がガイドラインで示した先進的な実践例を参考に、本県の実態に応じた業務改善の一層の推進に向けて、市町村教育委員会と連携しながら、各学校を支援してまいります。  今後の高校再編についてでございます。  県立高校のあり方につきましては、各学区ごとに学科の選択肢を提供することや、高校としての教育水準や専門性を確保し、生徒が互いに切磋琢磨できる学校規模を確保することが必要であると考えております。しかしながら、進路希望状況調査において、希望者数が定員に満たない学校が多くなっていることにつきましては、一学年三学級以下の小規模校が公立高校全体の四割にまでふえたこと、専門学科においては募集定員の削減が即学科自体の廃止になる場合もあるなど、生徒数の減少に応じて募集定員を減らすことが容易でないことが主な要因であると考えております。  今後九年間で、さらに中学校卒業予定者数が約六百人減少することが予想され、県立高校の再編整備は避けて通れない喫緊の課題であると考えております。再編整備に当たりましては、各学校や地域の実情がそれぞれ異なりますことから、画一的に対応するのではなく、地域の実情を考慮しながら、地元と十分協議し、個別に検討を進めることとしているところでございます。  次に、曽於高校及び楠隼高校の進路希望状況調査結果についてでございます。  曽於高校については、統合前の三校を希望する曽於市内の中学生の割合は三〇%台でありましたが、統合後の今年度は四六・二%となったところでございます。これは、学校規模が大きくなることで教員数もふえ、教科指導や部活動、学校行事の充実が図られたことが地元中学生に評価されたものと考えております。  楠隼高校につきましては、昨年度、十二人の希望者でありましたが、前期入学者選抜では県内外から八十八人の志願者があり、楠隼の特色である教育活動が評価されたものと考えております。また、今年度の調査では十八人の希望者でございましたが、八月に実施した寮の見学会には中学三年生五十名が参加いたしたところでございます。  県教委といたしましては、新設した両校について、魅力ある学校づくりや入学者確保の取り組みがより一層充実するよう支援してまいります。  地元自治体からの支援についてでございます。  県立高校六十五校のうち三十五校が地元市町村等から、生徒の通学費や入学準備の経費、資格試験の費用、部活動費、大学進学のための費用などについて支援いただいており、学校では、教育活動の一層の充実や生徒募集活動に活用させていただいているところでございます。  県教委といたしましては、地元と県立高校の連携・協力体制が今後も深まることを期待いたしますとともに、各学校がそれぞれの特色を生かして、地元の期待に応える学校づくりを一層進めていくよう指導してまいります。 51 ◯警察本部長(種部滋康君)うそ電話詐欺の未然防止についてでございます。  うそ電話詐欺を未然に防止した事例といたしましては、金融機関職員が高齢女性の定期預金解約理由に不審を抱き説得した事例、商業施設の店員が携帯電話で話しながらATMを操作している男性に声をかけ、還付金等詐欺を阻止した事例のほか、配送業者が荷受人連絡先等の記載のない伝票を発見して不審に思い、出荷を中断し、被害を防止した事例などがございます。  うそ電話詐欺の未然防止の現状と課題についてでございます。  県警察では、水際対策として、各金融機関とうそ電話詐欺の被害防止に関する協定を締結しているほか、各警察署において、管内の金融機関を集めての声かけ訓練などを実施しているところであります。また、コンビニエンスストア及び宅配業者と合同研修会を開催し、利用客への積極的な声かけと警察への通報を要請しているところであります。  課題といたしましては、犯人側が市役所、警察等の公的機関や弁護士などを名乗って相次いで電話をかけ、被害者を冷静に判断できない状態にして、現金の引き出し時や送付時に金融機関等の窓口職員から不審に思われないよう具体的に指示するなどして、窓口職員等からうそ電話詐欺とは見抜けないよう仕向ける事案が見受けられることであります。  県警察では、うそ電話詐欺の水際対策をより効果的なものとするため、最新の手口や阻止事例を金融機関等に周知を図るとともに、訓練等を通じた声かけ技術の向上を働きかけているところであり、引き続き、水際対策の強化を図ってまいりたいと考えております。  官民一体による電話詐欺抑止対策についてでございます。  本年六月に発足した、御指摘のありました福岡県のニセ電話気づかせ隊の取り組みについては、私どもも承知しているところでございます。  県警察におきましても、同様な取り組みとして昨年、県医師会、歯科医師会及び薬剤師会から成る三師会と犯罪被害等の防止に関する協定を締結し、高齢者への一口アドバイス等を要請するなど、各種団体への働きかけを行っているところであります。  警察署においては、平成二十年から、民生委員、乳飲料販売員等をうそ電話詐欺防犯アドバイザーに委嘱し、アドバイザーが高齢者宅訪問の際、犯行手口等の情報発信や注意喚起を行っているところであります。また、うそ電話詐欺の被害未然防止に貢献した方々に対しては、本部長感謝状や署長感謝状にあわせ、記念品を贈呈し、積極的に表彰しているところであります。  今後とも、自治体、民間企業から成る被害防止ネットワークやアドバイザーなどとの情報の共有化を図りながら、被害防止のための広報啓発活動を積極的に推進してまいりたいと考えております。  高齢ドライバーの認知症チェック体制の現状についてでございます。  県警察では、免許更新時の認知機能検査のほか、家族等からの相談、交通事故・交通違反取り扱い時、保護活動時など警察活動の機会を通じて、認知症の疑いのある高齢運転者を把握した場合には、医療機関の受診を勧奨しているところであります。また、医師が認知症の高齢運転者を診察し、運転に支障があると思われる場合には、道路交通法に基づき、警察に任意に届け出ることができることとなっております。  更新時の認知機能検査で記憶力、判断力が低くなっていると判定された高齢運転者が一定の違反行為をして、認知症と診断され、運転免許の取り消し処分となったのは、本年八月末までに十五人で、昨年同期より四人増加しているところであります。また、認知機能検査以外の警察活動の機会を通じ把握した運転者について、本年は八月末までに、認知症との理由により高齢者二十一人を含む二十四人を運転免許の取り消し処分としており、昨年同期より十五人増加しているところであります。  免許センター内の看護師配置についてでございます。  本県の免許センターにおける運転適性相談窓口では、専従の警察職員二名を配置し、警察庁が関係学会と協議の上作成した対応マニュアルに従い、認知症を含む一定の病気等にかかわる運転適性相談に応じているところであります。  認知症の疑いのある運転者の運転適性相談に当たっては、対象者の表情、言動等を観察するほか、簡易検査を実施し、その結果、認知機能の低下が疑われる場合は、医師による診断を勧奨しているところであります。  担当職員は、日ごろから医師と連絡を取り合うなどしているため、一定程度の認知症の専門的知識を有してはおりますが、高齢運転者は年々増加傾向にあることから、今後とも、警察職員の能力向上に努めるとともに、医師や看護師等、医療関係者からの助言を受けながら、改正道路交通法施行に向けて適切に対応してまいりたいと考えております。 52 ◯成尾信春君 自席からお願いします。  先ほど、ずっと話をしましたけれども、県立総合体育館についてなんですけれども、最初の出始め、二年前だったと思いますが、ちょうど上海職員派遣と一緒になったころでして、あのころに知事は、熟慮を重ねて、もう前から考えていたとおっしゃったと、私は答弁されたと思っております。  今お聞きすると、どうも県立総合体育館は、あれは県立じゃありませんから、県体育館も今、いっぱい使っていますので、そのままで使えるんじゃないかという話をされたように思うんですが、そこについてはもうあのままの、今の施設をそのまま使ってもいいんですよという感じになるのか、そこのところだけ教えていただきたいんですが。 53 ◯知事(伊藤祐一郎君)たしか上海のときと同じような時期だったかと思いますが、この場でもたくさん質問をいただきました。特に成尾議員からいただいたのではないかと思いますが、一番最初にスーパーアリーナ構想の概要について説明したのはそのときでした。当時は、三つの要素ですね、ともかく大きなコンサートホール、それから国際会議場、あわせて総合体育館等々の機能として説明したと思います。  ところが、その後、なかなか概念が最終的にまとまりませんでした。何といってもアンケートの調査が大きかったと思います。総合体育館については、ある新聞社のアンケートにより、その正当性が否定されるような報道がなされました。そこからいろいろと改めての検討が始まりました。  あわせて、いろんな過程がありましたが、きょうの午前中でも申し上げましたように、いろんな考え方がありますけれども、まとまりませんので改めて、場所は特定した上で、ドルフィンポートにどういう施設を現時点においてつくれば適当かという形での検討会をやらせていただきたいと思います。  その検討会の中で、施設の内容について検討していただくわけでありますが、それが最終的にどういう形になるかはもう少し議論の推移を見たいと思います。皆様方がどういう施設が必要かということを収れんした上で、必要な施設をつくるという考え方でありますので、最終的に、一定の空間であり、その空間をどういう形で使うかという観点からのアプローチになろうかと思います。それが体育館としても機能するような施設になるかどうかはこれからの議論をまちたいと思います。
     したがって、今は我々としては「フリーの立場で、白紙に戻して」と言っていますが、一旦全部撤回した上で白紙に戻して、これからまた新しい積み上げ作業をやったほうが、全体としてのまとまりは早いと思います。今までいろんな議論がありまして、少々皆さん方の概念がぼやけていますので、もう一回ゼロから積み上げることによって、きちっとしたコンセプトをつくるというのが、今回の検討会を設置した上での具体的な姿を探ろうということであります。  したがって、最終的にどういう形になるのかはもう少し時間をいただければと思います。    [成尾信春君登壇] 54 ◯成尾信春君 それぞれ御答弁ありがとうございました。  今お話ししましたように、県立総合体育館整備というのは、先ほどあったように、全国でも県立がないのが少ないわけですので、そこはしっかり見据えて、今、知事からお話ありましたけど、あのときあり方検討委員会からやっていけばよかったんですよ。それが今になって、またさらに考え直すということなので、ぜひ県立体育館、総合体育館等が鹿児島にないのは寂しいと思います。また、スポーツ関係者の方々も大変それを望んでいらっしゃると思いますし、国体のときにそういうのをしないと、ふだんはできないということで、スポーツ関係者が非常に整備のチャンスと思っていらっしゃいますので、よろしくお願いしたいと思っております。  それから、地方創生については、地方再生マネジャーである斉藤俊幸さんという方がこんなお話をされています。「他の地域と異なる競争力のある事業であることが重要である。地方創生戦略はエッジをきかさなければ意味がない」と述べておられますので、ぜひとも本県浮揚に寄与する戦略に期待したいと思っております。  それから、女性の活躍推進については、衆参両院ではそれぞれ附帯決議が盛り込まれ、政府や地方自治体に講ずべき措置を求めました。法の実効性を高めるため、その実行に期待いたします。  雇用対策については、先ほど申し上げましたけれども、様子を見ます、ひょっとしたらないかもしれませんじゃなくて、地元からそういう声を上げていただき、県として前向きに取り組んでいただきたいと思います。  それから、大隅の陸上競技施設については、もう一回、再度話をするということでございましたけれども、昨年度、整備をしないと決定しましたのでではなくて、先ほどあったように、ゼロベースでもう一回考えてもいいかなというのもあると思いますので、しっかりお願いしたいと思っております。  伊藤知事に一言。対話で大切なのは、言葉に込めた思いが相手にきちんと伝わるかどうか。言いっ放しではなく、相手への思いやりや相手の状況に応じた話題、話す側の熱意があってこそ、聞き手の心に届くんだとあります。ぜひ伊藤知事におかれては、記者会見や各種会合で、思いを相手に通じるように発言されることを苦言しておきます。  最後に一言。「人間、負けるようにはできてねえ。戦う。おれは死ぬまで戦う」。ヘミングウェイ著の「老人と海」の中で語られた老漁夫の言葉であります。小舟に乗り、たった一人で巨大なカジキを獲得し、さらにそれを狙うサメとの壮絶な闘いを展開する老漁夫。目標を見失わず試練に立ち向かう力強い生き方が伝わります。  世界に類を見ない早さで高齢化が進む日本。総人口に占める六十五歳以上の高齢者の割合が二六%と過去最高を更新する中で、日本老年学会は先月、高齢者の身体や知的機能、健康状態について、現在の高齢者は、十年から二十年前に比べて、五歳から十歳は若返っていると想定されるとする声明を発表しました。高齢者を社会で支えるべき対象から、経験や知識を持つ貴重な社会的資産、社会を支える人材と見る視点が必要だと説いております。  公明党は、健康であることに加え、生涯現役として生きがいにあふれた生活を営む活動寿命を延ばす取り組みを提唱しています。元気に働き、地域にも貢献していく、そうした人が主役の地域社会を築くことが地方創生の鍵を握ると思っております。  人が輝く鹿児島県の構築を期待し、質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 55 ◯議長(池畑憲一君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 56    △ 日程報告 ◯議長(池畑憲一君)九月二十五日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問及び請願・陳情の委員会付託であります。       ───────────── 57    △ 散  会 ◯議長(池畑憲一君)本日は、これで散会いたします。        午後三時十六分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...