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2010-09-21 平成22年第3回定例会(第3日目) 本文
2010-09-21 平成22年第3回定例会(第3日目) 名簿

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  1. 鹿児島県議会 2010-09-21
    2010-09-21 平成22年第3回定例会(第3日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
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    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(金子万寿夫君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、代表質問    上 村 勝 行 君    持 冨 八 郎 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 代表質問 ◯議長(金子万寿夫君)代表質問であります。  上村勝行君に発言を許可いたします。    [上村勝行君登壇](拍手) 3 ◯上村勝行君 おはようございます。  県民連合を代表して、代表質問をさせていただきます。
     民主党の代表選挙が終わり、改造菅内閣が発足しました。代表選挙では小沢、菅双方とも政治主導を強調するとともに、速やかな円高対策、景気対策を訴えました。内閣発足後、早速強力な為替介入が行われ円高は是正されました。国家戦略室国家戦略局に格上げされ、司令塔役に回帰することになりました。補正予算も臨時国会への提出を目指して、編成作業がスタートしました。  民主党の代表選挙は、結果としてポジティブな役割を果たし、政治はダイナミズムを取り戻しつつあるようです。しかし、アジアやブリックス諸国の台頭と世界に網の目のように張りめぐらされた各国のFTA、EPA等の経済協定を見ると、日本の立ちおくれを痛感します。今私どもに求められているのは、政局絡みの議論ではなく、国民生活を優先した景気、雇用、農業などの国内対策とあわせた対外対策に、一丸となって取り組むことであるとの所感を申し述べ、以下質問をいたします。  平成二十三年度から本格実施される予定の一括交付金について伺います。  民主党は昨年の総選挙に当たり、そのマニフェストや政策集において、ひもつき補助金の廃止と一括交付金化を約束しています。地方向けの補助金等は中央官僚による地方支配の根源であり、利権の温床になってきたとの現状認識で、真の地方自治を実現するために補助金等を廃止して、基本的に地方が自由に使える一括交付金に改めるとしています。また一括交付金のうち、現在の義務教育や社会保障等に関する補助金に対応する部分は必要額を確保した上で、さらに現在の公共事業等の補助金等に対応する部分は、格差是正の観点から、財政力の弱い自治体に手厚く配分するとし、中央、地方ともに補助金等にかかわる経費と人件費を大幅に削減して、財政健全化にもつなげると主張しております。  これに対して、全国知事会一括交付金の制度設計に当たっては、かつて地方における財源総額が大幅に削減され、地方の権限、裁量の拡大につながらなかった三位一体改革の二の舞になることを強く懸念し、一括交付金化が国の一方的な財源捻出の手段となってはならないと主張しています。我々もこの主張には賛意を表するものですが、なぜ小泉政権時代にこのような主張が大合唱として沸き起こらなかったのか不思議でなりません。  このような中で、一括交付金に対する伊藤知事の発言について、その真意をお聞きしなければなりません。知事の言動は一括交付金への批判的なものが多いように感じるのでありますが、知事はひもつきと呼ぼうが呼ぶまいが、従来の補助金が制度としてすぐれている、続けるべきだとのお考えでしょうか、伺います。  次に、知事会の大原則の中にある一括交付金化に当たって対象となる事業が滞りなく執行できるよう、必要な予算総額を確保するということについてであります。これには地方の意思を十分反映し、必要な予算総額を決定できる仕組みを確保するとの添え書きが書いてありますが、国や地方の財政状況が厳しさを増す中で、事業の選択もあれもこれもではなく、あれかこれかという選択を迫られていると思うのであります。知事会の言う必要な予算総額とはどのような意味なのか、伊藤知事の認識をお聞かせください。  三点目に、一括交付金化に当たっては、地域における県民ニーズの的確な把握に基づく将来のあるべき県土づくりを踏まえた総合的な視点の確立と、事業の優先度による選択と集中が不可欠でありますが、知事の考えと取り組みへの決意を伺います。  最後に、我々県民連合は、知事の予算編成権を侵すつもりは毛頭ありませんが、現行の二元代表制のもとで住民ニーズの把握は首長と議会の両方に課せられていることからすれば、一括交付金の予算編成に当たっては、県議会と協議の場を設けることが望まれます。知事の見解を伺います。  伊藤知事は、本県の危機的な財政状況の改革のために、県政刷新大綱に基づく財政運営に努力されてきました。あるべき財政構造に向けた歳出削減は、平成十六年度から二十二年度までに人件費で二百三十二億円、普通建設事業費で二百三十億円、一般政策経費で百二十八億円であり、合計五百九十億円となっております。この五百九十億円は、平成十六年度の財源不足であった四百五十一億円を百三十九億円も上回る額であり、目標以上に削減されていることになります。それでも二十二年度に四十八億円もの財源不足が生じるのは、後期高齢者医療や介護保険など制度の創設や改正等による地方への負担転嫁によって扶助費が増加したことによるものです。  刷新大綱では、扶助費は十六年度の水準を維持するとされたものが、二十二年度までに百七十五億円、三六・六%も増加しております。人件費、普通建設事業費一般政策経費のいずれも削減の目標値を達成しています。人件費はこの間の県職員の千三十四名の縮減や二%、六%カットという多大な協力によって、本県財政の改善に大きく貢献してきました。また普通建設事業費一般政策経費も、事業者や県民に大きな犠牲を強いてきました。これ以上の削減は限界であります。  今日の本県の財政赤字の原因と責任は、国の財政運営とそれを認めてきた知事と我々議員にあり、県職員にも県民にも責任はありません。平成十六年度の財源不足額四百五十一億円のうち、三百十五億円を占めた地方交付税は地方からの復元要求にもかかわらず、十六年度の水準のままであり、交付税の振替分である臨時財政対策債の措置によって県債残高がふえ、借金返済の公債費も高水準で推移しております。このように人件費、普通建設事業費一般政策経費歳出削減目標を達成していること、扶助費は今後も増加する傾向にあること、県債の償還も高水準で推移すること等を踏まえれば、県政刷新大綱に基づいたこれ以上の歳出削減は限界にあると言えます。知事はどのように認識されていますか、見解を伺います。  したがって、歳出削減を目的とした県政刷新大綱を見直し、国と地方の税財源配分の抜本的改革による歳入確保への努力とともに、その歳入に見合った事務事業しか実施しないという思い切った事務事業の凍結・廃止を行うべきと思いますが、見解を伺います。  県職員の月額給のカットは七年目になっており、職員の生活と士気の上から、これ以上のカットの継続は行うべきでありません。公表されている給料表と実際の支給額が毎年異なる中で、人事委員会勧告がなされるというのは、人勧制度の形骸化につながります。働いた分の賃金はきちんと支給するという給与支払いの原則に基づいて、本来の支給額に戻すべきであります。知事の決断を求めるものであります。  旧農業試験場跡地の利活用方策については、六月議会における自民党の代表質問への答弁で、歳入確保の観点から、開陽高校南側の二つの街区について、四十億円の目標額の確保に向けて重点的に売却手続を進める考えが示され、本年三月に病院、老人福祉センター等のサービス施設の誘導を図る必要があるとして、鹿児島市の都市計画の用途地域が変更されたこと等を踏まえ、医療・福祉施設等の用地として提案公募方式による売却手続を進めることが明らかにされました。その後、具体的なスケジュールについても示されたところであります。  これら一連の動きは、谷山地域を初め鹿児島市民や医療・福祉関係者には唐突感と驚きを持って受けとめられました。何よりの驚きはそのスピードであります。六月に売却の具体的な考えが示され、八月には提案公募を行い、十一月に売却先を決めるという報道もありましたが、仮に当該土地を購入しようとする者がいたとしても、慎重な計画設計や資金計画が求められる大規模な事案であることから、余りにも拙速であるとのそしりを免れないのであります。  次に理解しがたいことは、当該土地が鹿児島市街地に残された、一定規模を有する数少ない公有地であるにもかかわらず、その売却先の利用形態について、地域住民はおろか、医療・福祉の関係者すら何らの打診もなく、都市計画に責任を持つべき鹿児島市との協議もないことであります。さらに、医療・福祉施設等の用地として売却したいとする根拠となった鹿児島市の都市計画の用途地域の変更については、必ずしも医療・福祉施設に特化したものではなく、現に鹿児島市議会においては、県の売却方針やその推移を見守るべきであるとして、谷山文教福祉地区の鹿児島市地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例案を、継続審査案件としているのであります。  以上の三点について、どのような見解をお持ちか、県の明確な答弁を求めます。  当該土地の十・八ヘクタールに及ぶ鹿児島市街地に残された貴重な県民の財産であります。その利活用に当たっては歳入の確保の視点からだけではなく、県有財産を県民の利益のために還元するという本来の目的に加え、鹿児島市域全体のまちづくりに資する対応が行われるべきであると考えます。本県においては、過去に埋め立てによって造成された鹿児島港本港区ウォーターフロント開発計画を、ポートルネッサンス21事業推進協議会において、また農業試験場跡地より面積の小さい県庁跡地については、県民共有の貴重な財産であり、その利用案は鹿児島上町地区の発展に配慮しつつ、県勢発展に役立つものでなければならないとの基本理念のもとに、跡地利用協議会で協議が行われたと記録されております。  まさに農業試験場跡地の利活用は、このような考え方に立つべきであると信じるものですが、何らかの利活用検討委員会を設置して、県民の意見を聴取するお考えはないか、お尋ねいたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 4 ◯知事(伊藤祐一郎君)県政刷新大綱による歳出削減の限界についてのお尋ねがございました。  本県におきましては、平成十六年度に策定いたしました県政刷新大綱に沿って、これまで歳入歳出両面にわた懸命の努力を続けてきたところであり、その結果、普通建設事業費等につきましては、一般財源ベースでおおむね削減目標圏に入ってきておりますとともに、人件費につきましては、給与減額措置を講じた後の額で目標圏に入ってきている状況であります。  他方で、社会保障関係経費につきましては増加傾向でありまして、県債の償還も高水準で推移すると見込まれること、また政府が六月に決定いたしました財政運営戦略に基づく歳出抑制策や、国庫補助金等一括交付金化の具体の制度設計の動向等によりましては、今後の本県財政の見通しについては、全く予断を許さないと考えておりまして、現時点では県政刷新大綱に基づく基本的なフレームに沿って、一層の財政健全化に向けた取り組みが必要であると考えております。  県政刷新大綱におきましては、歳入面での取り組みも掲げ、国における地方歳出の大幅な抑制の中で、地方交付税における離島関係経費の充実など、一定の成果が得られるとともに、地方税財源の充実確保につきましては、全国知事会等とともに働きかけているところであります。また、未収債権の縮減や県有財産の売却などにも努めつつ、歳入に見合った歳出となるよう事業の峻別と重点化や、事務事業の見直しにも取り組んできたところでありまして、引き続き歳入歳出両面にわたる一層の努力を行ってまいりたいと考えております。  職員給与の抑制につきましては、基本的には当該年度の収支バランスや中長期的な本県の財政構造を踏まえ、職員団体との協議を経て行っているところであります。現時点におきましては、来年度の収支を具体的に見通すことは困難でありますが、来年度の職員給与の取り扱いにつきましては、依然として厳しい本県の財政状況を踏まえ、予算編成の過程で諸般の事情を考慮して検討してまいりたいと考えております。 5 ◯総務部長(三橋一彦君)一括交付金化につきましてのお尋ねがございました。  まず、従来の補助金等との比較でございますが、国庫補助金等一括交付金化は地方の自由度の拡大を図るという点で、地方分権の推進に資するものでございますが、具体の財政需要を直接反映しなくなるということで、その総額の確保や配分に当たりまして、本県に必要な歳入総額が十分確保できるか懸念があるところでございます。  本年六月に閣議決定されました地域主権戦略大綱におきましては、全国知事会の提言等を踏まえ、総額は一括交付金化の対象となる補助金、交付金等の必要額により設定するとの記述や、現行の条件不利地域等に配慮した仕組みを踏まえた配分とするとの記述が盛り込まれたところでございますが、具体の制度設計につきましては、国の予算編成過程を通じて決定することとされておりまして、今後の具体化の動きを注目していく必要があると考えております。  本県は、厳しい財政状況にあることに加え、離島や半島などの条件不利地域を多く有していること、おくれた社会資本整備の推進を図る必要があることから、必要な歳入総額が確保されることが何よりも重要だと考えておりまして、引き続きこうした観点から全国知事会等とも連携しながら、必要な措置を行ってまいりたいと考えております。  知事会の言っております必要な予算総額についてのお尋ねでございますが、地方公共団体は厳しい財政状況の中で、公共事業等投資設計費を大幅に縮減してきておりまして、本県におきましても限られた財源の中で投資的経費を抑制しつつ、事業の峻別や重点化・効率化等を進めているところでございます。  このような中、離島や半島などの条件不利地域を多く有し、社会資本の整備がおくれている地方におきましては、その整備を進めるため国庫補助金等の確保に努めているところでございますが、菅総理大臣も財務大臣当時、国会審議の中で、一括交付金化すれば二割ぐらい減っても市民のニーズにこたえることができるという趣旨の発言をされておりまして、一括交付金化により歳入総額が減少することになりますれば財源が確保されず、必要な各種事業の推進に支障が生じる懸念もあるところでございます。全国知事会の提言は、こういった懸念をもとに、地方が必要とする予算総額が十分に確保されるべきことを、端的に主張したものであると考えております。  事業の優先度による選択と集中についてのお尋ねでございます。  国庫補助金等一括交付金化につきましては、その総額確保の仕組みや配分方法、申請手続等の具体的な制度設計は、今後の予算編成過程を通じて決定するとされているところでございますが、一括交付金が制度化された場合におきましても、限られた財源の効率的な活用の観点に立ちまして、県民の安全・安心な生活を確保し、「力みなぎる・かごしま」を構築するため、県土をつなぐ陸・海・空の交通ネットワークの構築、農林水産業の基盤の整備、魅力ある観光かごしまづくり、県民の生活と暮らしを守る安全な国づくりを図る事業等を重点事業として、引き続きその集中的な整備に努めてまいりたいと考えております。  一括交付金の予算編成についてのお尋ねがございました。  予算編成につきましては、経済情勢を初め国の予算や地方財政対策の内容、税収等の動向を踏まえつつ、総合的に調整する必要がございまして、当該団体の総括的代表者とされている首長に、一元的な編成権が認められているところでございます。その上で議会におきましては、常日ごろから予算編成に向け、住民ニーズを踏まえたさまざまな御意見や御提言等をいただいているところでございまして、こうした御意見等を踏まえて長の責任で予算編成を行った上で、これを議会に御提案し、その審議の過程でも議会からさまざまな角度から御議論をいただくとともに、予算の執行段階におきましても、十分な議論が行われることを前提としているものと考えております。  したがいまして、一括交付金が導入された場合における住民ニーズの的確な反映につきましても、この過程の中で行われていくことになると考えているところでございます。  農業試験場跡地の売却についての県の見解についてのお尋ねがございました。  まず、拙速じゃないかという点でございますが、農業試験場跡地につきましては、平成十七年度に農業開発総合センターへ移転した後、本県の厳しい財政状況等を踏まえまして、売却を含めて検討してきたところでございまして、県議会の御議論もいただきながら、平成二十年度に策定した県有財産有効活用方策において売却する方針をお示ししていたところでございます。  さらに、本年三月に決定されました鹿児島市の都市計画等を踏まえまして、当該跡地にかかります売却の考え方を六月議会でお示ししたところでございますが、その後県議会での御議論を初め、県に対しさまざまな御意見をいただいたところでございます。その中には、今回の県の方針にいまだ十分な御理解を得られていないと思われるものもありますことから、関係の方々に丁寧に説明する必要があると考えておりまして、当面これらの方々への説明に努めたいと考えておりますことから、現時点では必ずしも御指摘のようなスケジュールを念頭に置いているものではないところでございます。  利用形態につきましてでございますが、当該土地につきましては、平成二十年度に県有財産有効活用方策において売却する方針をお示ししておりまして、また都市計画上の用途地域につきましては、昨年来住民への説明会や公告・縦覧、鹿児島市都市計画審議会等の手続を経て決定されたものでございます。このような経緯を踏まえまして、県としては、同地域の都市計画の考え方に沿って、提案公募方式により売却する方針を六月議会でお示ししたところでございますが、その後さまざまな御意見をいただいておりますことから、当面これらの方々への説明に努めてまいりたいと考えているところでございます。  農業試験場跡地の用途地域についてでございますが、法律上は医療・福祉施設のほか業務施設、居住施設等の建築も可能とされておりますが、本年三月の鹿児島市の用途地域変更計画書におきまして、病院、老人福祉センター等のサービス施設の誘導を図る必要があるとされたことなどを踏まえまして、医療・福祉施設等の用地として、提案公募方式により売却するものとしたところでございます。  なお、鹿児島市の条例改正につきましては、地区計画の決定を踏まえて必要な規定の整備を行うものであると伺っておりますが、市議会の審議状況につきまして、県としてコメントできる立場にはないと考えております。  利活用委員会の設置についてのお尋ねがございましたが、農業試験場跡地につきましては、平成十七年度に現在の農業開発総合センターへの移転が完了した後、普通財産として管理してきておりまして、開陽高校と鹿児島盲学校の建設用地以外につきましては、県として特段の利用計画を有していなかったところでございます。これを踏まえまして、本県の置かれている厳しい財政状況のもとで、歳入確保を図る観点から平成二十年度に県有財産有効活用方策を策定し、県として利用計画のない部分につきましては、売却する方針をお示ししているところでございまして、現時点で改めて利活用のための検討委員会を設置することは考えていないところでございます。    [上村勝行君登壇] 6 ◯上村勝行君 御答弁をいただきました。  一括交付金に関しましては、条件不利地域の配慮の件は、民主党のマニフェストにもしっかりうたってあります。知事から、本県は三百億円の削減とかいう数字がたびたび強調されますと、一括交付金に反対との印象を受けるということを申し上げておきます。この一括交付金を予算化するに当たっては、二元代表制のもとでの住民ニーズの把握は、首長と議会の双方に課せられている任務でありますので、ぜひとも協議の場が必要であります。その協議の場として県予算の概算要求が出た時期、十二月の第四回定例会で予算特別委員会を前倒しして開催し、議論するのがよいのではないかとの提案をいたします。  県職員の給与カットの復元については、知事は来年度の国の動向を見てと言われます。また来年度の収支を見通すことは困難と答弁されましたが、来年度政府予算の概算要求を見ると、交付税は本年度とほぼ同じ十六兆九千億円が確保され、一般会計からの別枠加算約一兆五千億円も二十二年度と同様に行われ、交付税率の引き上げは向こう三年間固定となり、二十四年度以降の財源不足額臨時財政対策債で調整することとなっております。概してよい方向に向いております。加えて、本県の平成二十一年度実質単年度収支は三十九億円の黒字となっています。これらの状況を見ると、県財政は節度ある運営をしていけば好転していくものと思われます。したがって、職員給与カットの復元はできると確信しますので、本来の支給額に戻すよう、ぜひとも検討をお願いいたします。  県農業試験場跡地利活用策については御答弁がありましたが、平成二十二年度に県有財産の活用方策を決めたとのことであります。しかし、紋切り型ではなく、地元や鹿児島市、医療・福祉団体の意見をさらによく聞いて取り組んでいただくよう要望しておきます。  次の質問に入ります。  川内原発三号機増設の問題については、九月県議会での陳情の取り扱いによって、知事が増設の是非を判断されることになると思います。この間、陳情者や経済産業省、九電を参考人として意見聴取した結果等も踏まえ質問いたします。  まず、三号機増設を必要とする九電の電力需給計画についてであります。  環境影響評価準備書が提出された平成二十年度の経営計画における最大需要電力の伸びは、二十年度から二十一年度に十三万キロワット、二十二年度以降は毎年九万キロワット増で、三十一年度までの平均伸び率は〇・五三%であり、二十一年度計画では毎年十五万キロワットの増で、平均伸び率は〇・八九%、二十二年度計画では毎年十五万キロワットの増で、平均伸び率は〇・八七%となっております。  九電は先般の参考人質疑で、九州の世帯数は二〇二〇年まで横ばいで推移すると説明しましたが、人口問題研究所の推計によれば、沖縄を除く九州管内では、二〇一〇年度と二〇二〇年比較で十一万七千世帯の減、二〇三〇年比較では三十七万七千世帯の減で、佐賀県全域の二十九万世帯以上が減少することとなり、このことを指摘すると、「毎年〇・一%の減である。減るというのか変わらないというのか」と答えました。  また、経済産業省の長期エネルギー見通しにおいては、二〇〇五年を基準にした二〇二〇年、二〇三〇年時点のエネルギー消費量は産業部門、家庭部門、業務部門など、いずれも最先端技術の導入等によって減少するとしています。これに対して九電は、「最大限導入して以降、もしうまくいかなかったときにはどうするんだ」と答え、予測数値を正確に読もうとしない御都合主義の姿勢を示しました。  そこで、県としては今後の世帯数の伸び、エネルギー消費量の伸びをどのように見られるのかお答えください。  また、世帯数の減少やLEDなど省エネ製品の普及、太陽光発電や燃料電池等の普及拡大を考慮すれば、九電の最大需要電力の年間十五万キロワット、〇・八%以上の伸びはあり得ないと思いますが、県としては確実に伸びると判断されるかどうか。伸びるとすれば、根拠は何か明らかにしてください。  二点目は、スマートグリッドの実用化と電力供給力についてであります。  国内の電力各社はスマートグリッドの実用化に向け、二〇二〇年ごろに国内全世帯の約五千万世帯をスマートメーターに切りかえるとし、国のエネルギー基本計画においても、二〇二〇年代の早い時期にすべての需要家に導入を目指すとしています。今後十年から二十年の間に太陽光や風力発電、燃料電池の普及拡大が急速に進み、スマートグリッドが実用化されれば、電力を安定して効率的に供給することが可能な社会が構築されます。九電もスマートグリッドの開発とスマートメーターの導入を始めており、国の太陽光発電出力データ収集実証事業にも参加しています。九電は平成二十九年度までに太陽光、風力、バイオマスなどで合計二百二十四万キロワットの設備量を見込んでいますが、太陽光、風力発電については、気象条件によって出力が左右されるとして、供給量に加算していないとの説明であります。  先般の参考人質疑で、九電は「太陽光は何%かは見込める。燃料電池は低廉化で本格普及が進む」としているものの、九電の供給量には加算されておりません。これらを供給量に加算することがスマートグリッドの実用化によって可能になりますが、県としては何%ぐらいを見込めると思われますか。仮に三十二年度時点で一〇%を加算できれば、供給予備率は九%となり、九電が必要とする八%以上を確保でき、三号機増設の根拠はなくなると思いますが、見解を伺います。  三点目は、核燃料サイクルについてです。  青森県六ヶ所村の使用済み核燃料の再処理工場は、試験運転でトラブルが相次ぎ、ようやくことし十月から本格稼働を予定していましたが、高レベル放射性廃液をガラスに閉じ込めるガラス固化溶融炉の不具合でつまずき、本格運転の開始時期を二年程度延期することになりました。延期は十八回目で建設費は既に当初計画の約三倍の二兆一千九百三十億円に膨らんでおります。国内五十四基から出る使用済み核燃料は年間約一千トンであり、今年度末までには百七十トン分の受け入れ余地しかないと言われておりますが、県としては現状をどのように見ておられるのか。再処理の見通しがない中で、増設を認めることになるのか、見解を伺います。  また、再処理の過程で発生する高レベル放射性廃棄物のガラス固化体は、三十から五十年間冷却貯蔵した後、地下三百メートル以下の岩盤に最終処分することになっておりますが、いまだに決定していません。調査に二十年、建設に十年かかり、二〇四〇年代後半に操業開始と言われますが、ここ数年で調査が始まらなければ四〇年代の操業開始はできません。最終処分場が決まらなければだれがどう責任をとるのか。県としては見通しのない中で増設を認めることになるのか、見解を伺います。  最後に、これまで述べたように世帯数の減少とエネルギー消費量の削減で、九電の見込む電力需要の伸びは期待できないこと、新エネの普及とスマートグリッドの実用化で電力供給量には余裕が出てくること、使用済み核燃料の再処理と高レベル放射性廃棄物の最終処分場の見通しが立たない中にあって、知事の意見としては三号機増設の必要性はないとの立場で臨むべきと思いますが、見解を伺います。  政府においては、国の財政状況が厳しさを増す中で、公共事業の選択と集中の考え方のもとに、全国の港湾整備のあり方が大きく変化しつつあり、今年度の国直轄事業費をめぐる全国の予算配分は、港によって明暗が分かれました。先月の鹿児島港の重点港湾の選定、志布志港の国際バルク戦略港湾への立候補がありますが、国内最多の百三十一もの港を抱える鹿児島県にとって、今後の港湾整備の行方は重要な課題であります。  県内の重要港湾五港のうち鹿児島、志布志、名瀬の三港を重点港湾に要望していましたが、鹿児島港一港が選ばれました。名瀬港については、離島の生活インフラ港の役割が考慮され、特別枠で最小限の新規直轄事業が担保されることになりました。鹿児島港新港区については、国の来年度概算要求において複合一貫輸送ターミナル改良事業、総事業費百八億円の新規事業化が盛り込まれており、県が目指す平成二十五年度の一部供用に向けて大きな弾みとなるものであります。既に本年度国の調査費が計上され、県においても旅客ターミナルや貨物上屋の基本設計など準備中であります。  そこで伺います。  新港区における今年度事業の進捗状況及び来年度以降の整備計画と、事業費確保の取り組みについてお示しください。  志布志港については、国が公募した国際バルク戦略港湾の選定を目指して計画書を提出し、八月二十日には第一次のプレゼンテーションがなされたと聞いています。バルク戦略港湾構想は資源や食糧の確保をめぐる国際競争力の強化のために、穀物、石炭、鉄鉱石の三品目を大量輸送できる港を整備しようとするもので、穀物拠点港には志布志港など六者七港が応募しています。選定されれば二〇二〇年までに世界最大の十万トン級の貨物船が接岸できる岸壁、停泊地等の整備に百億円規模の事業費が見込まれております。志布志港は後背地に大隅地域や宮崎など国内有数の畜産地帯を抱え、全国二位の飼料用穀物の輸入があり、バルク貨物を取り扱う流通業者や飼料生産工場が集中しています。  今回の応募は、九州からは志布志港が唯一であります。当時の前原国交大臣は、九月四日、バルク港に応募した山口県の徳山下松港を視察後、十三港の計画案は企業間の連携による効率的運用が不十分として、選定ゼロもあり得るとの考えを示したと報じられております。  そこで伺います。  今後、国交大臣の指摘や九州各県との連携など、選定に向けて志布志港の優位性、重要性をどのようにアピールし、官民一体となった取り組みを行うつもりか、明らかにしてください。  九州における物流拠点港としての志布志港の戦略性を高めるためには、アクセスとして東九州自動車道及び都城志布志道路の一日も早い完成が望まれます。戦略港としての機能強化の上から早期完成のために、集中的な投資を宮崎県とも連携して進めるべきと思いますが、見解を伺います。  霧島市霧島永水に豚房面積二十二万八千平方メートル、常時飼養頭数約十五万頭の養豚場建設計画があり、現在県環境影響評価条例に基づく環境影響評価準備書作成に向けた調査が進められております。私どもの会派は、先日養豚場建設に反対する住民の皆さんから話を聞きましたが、ホテルやゴルフ場、別荘地から四キロメートル以内の近距離にあり、風向きによっては臭気が到達することが、他の大規模養豚場の事例からも容易に予測されるとのことでした。霧島といえば有名な観光地であります。十五万頭飼養の養豚場から臭気など連想されることから、観光客の足が遠のくことが予想され、観光推進に力を置く本県にとっても大きな痛手となりますが、大気や水質環境に少なからず負荷を与えると思われる大規模な養豚場が、観光地霧島に建設されることについて、県の見解を伺います。  この養豚場建設予定地は、株式会社キリシマがゴルフ場建設を計画している場所で、工事は中断されたままですが、本年一月にはできるだけ早くゴルフ場を完成させたいと県に報告しております。土地利用協議や林地開発許可の面でも事業廃止や変更の手続はなされておりません。その同じ場所に昨年十一月、株式会社鹿児島農畜産研究公社が養豚場の建設申請をするというのは理解できません。このゴルフ場計画と養豚場計画の両会社は、経営者も所在地も全く同じであります。ゴルフ場と養豚場、どちらが本当なのか。県は事業者のこのような姿勢を容認されるのですか、見解を伺います。  また、この予定地三十一万七千平方メートルは、昨年十二月に南九州畜産興業株式会社、通称ナンチクとの間に所有権移転請求権の仮登記がされており、事業者がみずから養豚場を経営すると反対住民に話している言葉と矛盾します。ナンチクの四十九万株中九万株を出資している県は、その事実を把握しておられるのか。その経緯は何なのか御説明ください。  また、十一万頭ともいう多頭飼育は口蹄疫に限らず、家畜伝染病の危険性や環境対策に要するコスト、豚肉価格の低迷など、総合的に見てリスクが高いと思いますが、本県の畜産振興に責任を持つ県の見解を伺います。  現在、環境影響評価準備書作成に向けた調査がなされているとのことですが、住民の皆さんからは、どの調査項目をいつ、どの時点で、どの地点でするのか、具体的に知らされていない。これでは調査が適正にされているか確かめようもないし、目隠しをされた状態で「環境への負荷はさほど大きくありません」という結論が出されかねない。もっと細かく丁寧に説明をして立ち会いや調査項目、調査地点、調査時期について、追加や変更の要望を受け入れてほしいとの切実な声があります。県は今からでも住民の要望を受け入れるよう、事業者を指導すべきでありますが、考えを伺います。  社会福祉法人北薩福祉会の事業運営について伺います。  北薩福祉会は、平成十一年四月、阿久根市脇本に施設名文旦保育園として開設されております。経営母体は大阪府の寝屋川福祉会であります。実質経営者である森川氏は、大阪で三保育園を運営していた寝屋川福祉会理事長時代の不正経理などで、業務上横領と背任容疑で大阪府から刑事告発されるとともに、理事長を罷免され、文旦保育園職員として勤務しております。森川氏は平成八年に廃業したテール書店を介した保育材料の取引で生み出した利益や、私的保育児の保育料を着服した疑いがもたれている人です。北薩福祉会は、阿久根市と出水市の公立保育園の民間譲渡先として決まっていましたが、いずれも議会で否決されております。  県は、北薩福祉会が経営する文旦保育園を、平成二十年二月二十二日に指導監査を実施し、不適切な支出があったと判断され、三月二十四日に費用返還等の改善指導を行っております。この案件は我が会派のくしげ勝美議員が、第二回定例会の環境厚生委員会で質問しています。指導に従って施設会計に入金されたとの答弁でしたが、これで指導は完結したとの判断なのか。指導監査の経緯等についてお聞かせください。  寝屋川福祉会と同じ手法で、実態のない会社を介した取引によって私的に利益を得たという案件については、法人が会計担当理事の不正経理によって損害を被ったということであるので、全容について過去にさかのぼって調査するという答弁でありました。私どもに、大阪の事件発覚後すぐに鹿児島にも捜査の手が及ぶかもしれないということで、早急にテール書店と思われる領収書を書きかえるように指示され、一人の職員によって書きかえが行われたとの情報が寄せられております。その後の調査結果と対応についてお聞かせください。  私どもの会派は、先日大阪府庁に出向き、寝屋川福祉会の不適正な会計処理にかかわる府の対応について調査をしてまいりました。平成二十一年十月九日付で大阪府警察本部に、前理事長を約二百九万円の業務上横領罪及び三十九万円の背任罪で、前理事を六十二万円の背任罪の共同正犯の疑いで告発しています。また、この法人には三人の仮理事を派遣して、全理事を解任し、新たな理事を選任して運営に当たっているとのことでした。  寝屋川福祉会の大阪での事業運営について、率直な感想を申し上げれば、社会福祉法人の経営資格の全くない人だと感じました。大阪府は少額でも犯罪であるとの厳しい姿勢で臨んでおり、本県の監査結果と比較してみますと、本県の甘さを指摘せざるを得ません。一時保育の十五日を超えた場合の保育料の行方がわからないとの情報も寄せられています。実態のない会社を介した取引で私的に利益を得たという案件とともに、たとえ少額であったとしても犯罪であると思いますが、見解と対応を伺います。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 7 ◯知事(伊藤祐一郎君)川内原子力発電所三号機増設の必要性についてのお尋ねがありました。  川内原子力発電所三号機増設計画につきましては、去る六月に薩摩川内市におきまして、市議会の賛成陳情採択及び市長の同意表明がなされ、いちき串木野市におきましても、市議会の賛成陳情採択及び市長の増設容認表明がなされたところであります。  また、国におきましては、第一次公開ヒアリングが実施されますとともに、県議会におきましては陳情者、国及び九州電力に対する参考人招致がなされ、県におきましても先月二十七日、専門家の知見に学ぶ会を開催したところであります。増設の問題につきましては、徹底的な情報公開とともに、県議会や地元の御意見を十分に踏まえながら、判断をしてまいりたいと考えております。 8 ◯企画部長(六反省一君)原子力発電所の増設計画に関連して、九州の世帯数やエネルギー消費量の減少についてでございます。  国立社会保障人口問題研究所の将来推計によりますと、九州七県の世帯数は平成十七年度から二十二年度にかけて増加し、その後は減少に転ずるとしておりまして、平成三十二年度は平成十七年度より七万四千世帯減少し、この十五年間の減少は一・四%となっております。一方で、長期エネルギー需給見通しによりますと、平成三十二年度の我が国のエネルギー消費量は、御指摘のとおり約四十九兆円のコストで最先端技術を最大導入するケースにおいて、平成十七年度に比較して約九%減少すると試算をしておりますが、このケースでも電力量はこの間約六%伸びると試算をされております。  また、本年六月に改定されましたエネルギー基本計画におきましても、電気につきましては民生部門を中心に電化のさらなる進展が見込まれ、エネルギー供給の中心的役割を担っていくと考えられるとしております。県といたしましても、当面は引き続き電力需要は伸びていくのではないかと考えております。  九州電力の最大需要電力の伸びについてでございます。  九州電力は、日本電力調査委員会の需要想定に基づき、毎年度供給計画を策定しており、同委員会の九州地域の平成三十一年度までの最大電力の伸び率年平均〇・六%に対しまして、九州電力の供給計画では伸び率は年平均〇・五%となっております。国によりますと、電気事業者は足元の電力需要の動向や最新の経済見通しをもとに行った需要予測に基づいて、電源開発等の設備形成を行っていくこととしておりまして、こうした観点から九州電力の需要想定は、現時点では適当なものと考えているとしておりまして、県としてもそのように理解しているところであります。  なお、九州電力によりますと、平成二十二年度の供給計画では、太陽光発電について余剰買い取り制度導入等による増加傾向を踏まえ、平成三十一年度には現状より三倍増の約十億キロワット時の発電量を見込んでいるとのことであります。一方、家庭用燃料電池は平成二十一年度から販売が開始されておりますが、販売台数がまだ少なく、今のところ需要想定に見込んでいないと聞いているところでございます。  スマートグリッドに関する供給力への加算についてでございます。スマートグリッドにつきましては、国は現在、天候と太陽光発電の発電量との関係を把握するために、全国三百カ所においてデータの収集を行っており、この結果等を踏まえてどの程度太陽光発電が安定的な供給力として見込めるのか、今後検討していきたいとしております。また家庭用燃料電池につきましても、本格的な実用化普及を図るためには、耐久性、経済性を初めとした乗り越えるべき課題が多く、導入支援や研究開発等を進め、引き続き燃料電池の開発に努めたいとしております。  県といたしましては、スマートグリッド関連の技術は実証試験や研究開発等の段階にあると認識をしておりまして、現時点で太陽光発電や燃料電池を安定的かつ確実な供給力として見込むことは、困難ではないかと考えております。  使用済み燃料再処理工場についてでございます。  六ヶ所再処理工場につきましては、日本原燃株式会社が九月十日に、竣工時期をことしの十月から二〇一二年十月まで二年間の延長を発表いたしております。その理由として、温度計の追加設置工事などの設備改善やガラス固化試験を慎重に進めるためとしております。一方、川内原子力発電所一、二号機は、使用済み燃料の貯蔵庫の容量を広げるリラッキング工事を、平成二十二年三月に完了しておりまして、使用済み燃料は平成二十二年六月末で管理容量の約六六%となっております。九州電力によりますと、川内原子力発電所においては再処理工場への計画的な搬出がない場合でも、二〇二〇年ごろまでは対応可能とのことでございます。  高レベル放射性廃棄物についてでございます。  高レベル放射性廃棄物最終処分施設は、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づき、原子力発電環境整備機構が処分施設の建設地の選定、建設、埋設、管理等を行うこととなっておりまして、建設地の選定については最終的には国の責任において決定されるところでございます。最終処分地につきましては、平成二十年三月の閣議決定により、最終処分地建設地を選定後、平成四十年代後半を目途に最終処分を開始するとしているところでございますが、現時点では候補地を決めるに至っていないところでございます。
     県としては、先ほどの使用済み燃料の再処理工場の問題を含めて、核燃料サイクルの確立は国の責任において行われるべきと考えておりまして、全国の立地道県等で構成する原子力発電関係団体協議会を通じて、早期確立に向けての取り組み強化を国に要望しているところでございます。国と関係事業者において、早期の対応が図られることを期待いたしております。  霧島の大規模養豚場建設計画に関連して、ゴルフ場計画と大規模養豚場計画のいずれが本当かというお尋ねでございます。  大規模養豚場建設計画につきましては、現在県環境影響評価条例に基づく手続が進められております。今後この手続終了後、事業者はその結果等から事業実施が可能と判断すれば、具体的な養豚場建設計画を策定し、土地利用協議や林地開発変更許可申請等の手続を行うこととなります。県としては、これまでも事業者に対してはゴルフ場建設中止が決定となった段階で土地利用承認の取り下げを行うこと、養豚場建設についての事業計画が明確になった段階で、新たに土地利用協議を行うことについて指導を行っているところでございます。 9 ◯土木部長(渡 正昭君)鹿児島港新港区の整備についてでございます。  鹿児島港新港区の整備につきましては、八月末に発表された国の平成二十三年度予算概算要求におきまして、複合一貫輸送ターミナル改良事業として新規事業化が盛り込まれたところでございまして、今年度は旅客ターミナル、貨物上屋等の調査設計を行うこととしております。来年度以降の整備計画としましては、耐震強化岸壁一バースと旅客ターミナル等の関連施設を、平成二十五年度までに供用いたしますとともに、残るフェリー岸壁一バースや臨港道路、緑地等の施設につきましても早期完成を図りたいと考えております。  県といたしましては、岸壁の整備について直轄事業として所要の予算が確保される必要がありますことから、県議会や県選出の国会議員、関係する皆様方の御協力もいただきながら、引き続き強く国に要望してまいりたいと考えております。  志布志港の国際バルク戦略港湾の選定についてでございます。  志布志港における飼料原料としてのトウモロコシの輸入量は、平成二十年で国内二位となる約一二%を占めておりまして、背後の農畜産地帯への飼料供給基地としての機能が発揮されておりますとともに、これらの原料は他県の港湾にも輸出されておりまして、九州地域における流通拠点港湾としても重要な役割を果たしているところでございます。国際バルク戦略港湾への応募につきましては、志布志港の地理的優位性や充実した港湾機能等をアピールしており、国、県、市と利用者から成る協議会におきまして課題等の整理を行いますとともに、他の港湾とも連携した効率的な運用等につきましてさらに検討を進め、年末の選定に向け、官民一体となって取り組んでまいりたいと考えております。  東九州自動車道及び都城志布志道路についてでございます。  東九州自動車道につきましては、現在曽於弥五郎インターから志布志間において用地買収や工事が進められているところでございまして、これに続く志布志から日南間につきまして、宮崎県などとともに整備計画区間への格上げを国に要望しております。  都城志布志道路につきましては、現在有明道路及び有明志布志道路において整備を進めており、これに続く志布志港までの区間につきましては、整備区間指定に向け調査を進めております。また末吉インターから県境までの区間につきましては、ルートなどの検討を行っており、宮崎県と連携を図りながら調査区間に指定されるよう、国に要望しているところでございます。両路線は中核国際港湾である志布志港へのアクセス向上に資する道路でありますとともに、本県の骨格をなす重要な道路でありますことから、引き続き宮崎県と連携を図りつつ、早期完成に向け重点的な整備に努めてまいりたいと考えております。 10 ◯観光交流局長(福壽 浩君)霧島の大規模養豚場建設計画についてでございます。  霧島地域は我が国で初めて指定された国立公園があり、豊かな自然、多彩な温泉群などに恵まれておりますほか、特色ある文化施設等を核として芸術性、文化性にすぐれた観光地としての特性を有しております。このように豊かで多彩な観光資源を有する地域における施設整備のあり方としては、環境影響評価制度や各関係法令に基づき周囲の良好な景観や環境等に十分な配慮がなされることが基本であると考えております。 11 ◯農政部長(弓指博昭君)霧島の大規模養豚場建設計画にかかわります所有権移転請求権の仮登記についてお尋ねがございました。  南九州畜産興業株式会社、いわゆるナンチクは我が国初の産地食肉処理企業として昭和三十八年に設立をされまして、安心・安全な食肉の供給を通じ本県の畜産振興に寄与しているところでございます。今回の大規模養豚場建設計画に関連した所有権移転請求権の仮登記につきましてナンチクに確認をいたしましたところ、近年の養豚経営者の高齢化を背景に、特にJA系列の肉豚の集荷が激減をしている状況などに対応いたしますため、自社農場の建設なども視野に入れていたところであるが、霧島市の当該用地においては、現在株式会社鹿児島農畜産研究公社が畜舎の建設とその運営を行い、肉畜の出荷先となるナンチクは、これに対する畜舎設計や家畜排せつ物処理にかかわる技術的な支援などを行うこととしており、将来にわたる両社の信頼関係を強固なものにいたしますとともに、円滑な事業展開に資するため、売買予約契約を締結し、所有権移転請求権の仮登記を行ったとの回答を得たところでございます。  次に、大規模養豚場建設にかかわるリスク等についてお尋ねございました。  養豚経営、特に大規模経営におきましては、飼養規模の拡大によるスケールメリットにより収益性の向上が期待できます一方で、お話ありましたように豚肉価格や配合飼料価格の動向にも十分留意する必要があることや、家畜排せつ物の適正処理を行い環境対策にも配慮する必要があること、さらには家畜伝染病の侵入防止や発生時における殺処分など、防疫上のリスクを回避する対策を講じておく必要があるなど、総合的な経営管理が求められております。したがいまして、県としてはこれらのメリットやリスク等を総合的に勘案し、飼養規模と施設のあり方については、最終的に経営者みずからが判断されるべきものと考えますが、事業者のほうから具体的に家畜排せつ物の適正処理や、防疫上の対策などについて御相談があれば適切に対処してまいりたいと考えております。 12 ◯環境林務部長(内門公孝君)大規模養豚場計画にかかわる環境アセスの実施に伴う事業者への指導についてでございます。  大規模養豚場建設計画につきましては、本年三月末、事業者に対しまして方法書に対する知事意見で、事業計画の内容や環境調査等に関する情報については、地域の意向を十分踏まえて市民や霧島市に対し積極的に情報公開や説明を行うことを書面で述べたところでございます。今度事業者は県環境影響評価条例に基づき準備書を作成して公告・縦覧するとともに、説明会を開催して住民等の意見を聞くことになっております。また評価書の作成に当たりましては、事業者は知事や住民等の意見を踏まえまして、調査の項目や手法等について修正が必要な場合は追加調査などを行わなければならないとなっております。  県といたしましては、事業者に対しまして、今後とも同条例に基づく一連の手続が適正に行われるよう指導してまいりたいと考えております。 13 ◯保健福祉部長(西中須浩一君)北薩福祉会への指導監査の経緯等についてでございます。  社会福祉法人施設につきましては、社会福祉法等関係法令に基づきおおむね年一回指導監査を実施しておりまして、社会福祉法人北薩福祉会及び同法人が経営する文旦保育園に対しましても、毎年指導監査を実施しております。平成十九年度、二十年度の指導監査におきまして、保育所の運営費に不適切な支出がありましたことから、同法人に対し不適切な支出相当額を回復するよう指導し、それに従い改善が確認されたところでございます。平成二十一年度の指導監査におきましては、当該法人の理事が実体のない会社を介した取引によって利益を得たことが判明しましたことから、過去にさかのぼって現在その全容を調査中でございます。  理事による不正取引の全容調査と対応についてでございます。  平成二十一年度の指導監査で判明いたしました内容は、北薩福祉会の理事が実体のない個人企業を介した取引によって、価格に上乗せを行うことにより私的な利益を得て法人に損害を与えたというものであります。県としましては、同法人に対して関係書類が存在する十年間にさかのぼって調査するよう指示し、先日報告を受け、現在同報告内容につきまして会計伝票、帳簿類、証憑書類等のすべてについて、実際に法人に出向いて照合を確認するなど精査を行っているところであります。今後この結果を踏まえ対応を検討してまいりたいと考えております。    [上村勝行君登壇] 14 ◯上村勝行君 川内原発三号機増設問題について知事の答弁をいただきました。自民党の代表質問と大体同じだったと受けとめております。重ねて申し上げたいことは、世帯数エネルギー消費量については、権威ある機関が減少すると言っているわけです。皆さんに配付したデータからもそれは明確であります。また使用済み核燃料の再処理と高レベル放射性廃棄物の最終処分が未確立であることは申し上げたとおりです。先般の「エコノミスト」には、再処理工場の前の社長をしていた関西電力社長が、再処理工場の増資の要請を渋っているということが報道として載っておりました。それぐらい費用はどんどん加算され増資をしなければならない、そういう状況にもなっていると思います。ここから言えることは増設は必要性がないし、増設容認は無責任だということであります。  原発依存のエネルギー構造から新エネルギーとスマートグリッドを活用したエコ社会への産業構造の転換を、世界に立ちおくれることなく一日も早く図るべきであります。私どもは日本が新エネルギーの技術では最先端をいっていると言われながら、戦略的事業展開の方針がないために、次々とその地位を奪われていることを心配しております。伊藤知事は巨大な政官業学癒着の構造の中で、一向に方向転換ができない原発シフトの体制を一日も早く変えるために、勇気ある決断をされるよう要請いたします。  なお、川内漁協が三号機増設でまとまっていない実態や、いちき串木野市の三つの漁協が県による温排水の独自調査を求める旨の陳情も出しております。これら地元世論に十分配慮すべきことを申し添えておきます。  志布志港の国際バルク港湾指定問題につきましては、志布志港の物流拠点としての戦略性を高める上から、東九州自動車道と都城志布志道路の早期全線開通に向けて集中投資を行うよう重ねて要請しておきます。  霧島市の大規模養豚場問題は、リスクが高いと思います。河川の汚染一つをとっても、例えば肝属川が九州でワースト一の汚染度であるのも、最大の原因は畜産だと思っております。国土交通省の説明によれば、肝属川が一番汚染している時間は午前四時だそうです。夜中の四時だそうです。つまり夜に汚濁物質を流すのではないかと、国土交通省の職員は言っておりました。また計画申請の姿勢が不誠実であります。ゴルフ場建設と養豚が同じ場所でやるのも同じ業者であり、自分で養豚場経営をやると言いながら、仮登記をナンチクにしている。こんないい加減な形でもって来た話をそのまま受け付ける県も県だと思います。最近めり張りのきかない県の対応があちこちで見られますので、毅然とした姿勢で対応されるよう要望します。  北薩福祉会については指導監査に入っていらっしゃるということで、現在この調査中であるということでございますから、ぜひともしっかりした調査をされていかれますように要望いたします。  次の質問に入ります。  ことしの夏は例年にもまして猛暑が続き、鹿児島県内でも、この五月から九月五日までの間に熱中症の疑いで救急搬送された人は五百八十九人となっており、中でも七十五歳以上が二百二十三人と圧倒的に多かったそうであります。また七歳以上十八歳未満の児童生徒も七十七人という数字が上がっております。その一方で、本県の観光名所である桜島の火山活動が活発化してきており、ことしの爆発回数は九月八日現在で既に七百八十回を超えるという記録的なものになっております。この爆発による桜島の降灰は教育現場にも大きな影響を及ぼしております。猛暑の中、窓を閉め切った教室に四十人もの子供たちが汗を流している状況を想像してみてください。考えただけでも息苦しくなってくるのではないでしょうか。降灰による劣悪な教育環境は、子供たちや教職員の健康にも影響を及ぼしているのではないかと思いますが、いかがでしょうか、見解を求めます。  先般、中井防災大臣が鹿児島を訪問された際、桜島の降灰被害に改めて驚き、学校への空調設備の設置を早急に行わなければならないとの見解を示されました。これを受けた鹿児島市においては、まず桜島に近い地域にある五つの学校の設置に対し、年度内にも予算化を図り、今後順次小・中・高百十四校、千八百三の普通教室すべてに設置するという決断をされました。降灰防除地域四市、鹿児島、垂水、鹿屋、霧島における県立学校普通教室への空調設備の設置状況はどうか。全教室設置へ向けて早急に取り組むべきではないかと考えますが、いかがでしょうか、見解を求めます。  現在、公立高校においては同窓会等の協力により普通教室にも空調設備が設置されておりますが、維持管理費は保護者負担であります。災害であるとの認識に立てば保護者負担はなくすべきと考えますが、教育長の見解を求めます。  鹿児島県開発促進協議会は、毎年国に対し予算編成に関する要望提案を行っており、桜島火山対策の充実強化として、文教施設等降灰防除事業等の拡充を求めております。これにより桜島の公立学校にはすべて空調設備が設置され、維持管理費に関しても保護者負担はありません。ところが桜島以外の降灰防除地域に指定されている四市の中でも、公立学校の空調設備の設置は十分でありません。空調設備の設置促進のためには現在の補助スキームは不十分であり、補助率のかさ上げ等が必要です。降灰防除地域の地域指定拡大とともに、自治体負担分についても必要な財源措置を講じるよう早急に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか、見解を求めます。  去る七月十一日、投開票の参議院鹿児島選挙区に立候補し、落選した候補者への投票を呼びかける文書を公示前に郵送したとして、鹿児島県警は公職選挙法違反の容疑で後援会の男性を書類送検し、この事件は九月初旬に略式裁判で終結しました。当該男性はいまだに違法性の認識もなく、候補者への投票依頼を行うための事前運動であったとの認識も全く持っていないとのことでありますが、公判で争った場合の裁判が終わるまでの間の精神的、肉体的苦痛、経済的負担、日常生活への大きな影響、公判に証人、参考人として呼び出される方々への配慮等々を熟慮した上で、やむを得ず略式を受け入れたとのことでありました。県民連合は今回の事案について当事者の意見、客観的状況の検証などを通じて、どうしても納得がいかないことが多く存在することから、以下警察本部長と選管委員長に質問してまいります。  まず、送検容疑は候補者が卒業した高校の同窓生数十人に、投票を呼びかける六月十二日付の文書を、公示日前に郵送した疑いによるものであります。公示日は二十四日であります。地元紙の報道によると、大量に郵送した点を悪質性が高いと判断したとなっておりますが、これは警察の判断によるものか、新聞社の評価なのか、警察本部長にお伺いします。  文書の内容についてでありますが、容疑事実となったのは同窓生として候補者を「必ず国会へ送り出すために、有志の会も全力をあげて活動を支えていく決意であり、皆様方のご指導とご鞭撻を心からお願い申し上げる」というものであります。投票依頼を伴う事前運動にも当たらないとの判断で文書を郵送したものであります。その判断のもとになったのは、二〇〇七年に行われた参議院選挙の候補者から出された同窓生への文書であります。当時は今回のものと同様の内容でありながら何の疑いもかけられず問題にもならなかったのであります。前回何の問題もなかったものが、なぜ今回は公職選挙法の文書違反容疑となるのか。またこの内容のどこに違法性があるのか、我が会派は納得がいきません。警察本部長、選管委員長、明確にお答えください。  一方、今回の選挙において他陣営の発送した文書をごらんください。配付してあります。六月一日付のこの文書では、「同窓生の当選を目指して、皆様方にご協力とご支援を此処にお願い申し上げます」とより強くお願いする表現となっておりますが、これこそ投票を呼びかける以外の何物でもありません。投票依頼行為の公選法違反に該当しませんか、警察本部長、選管委員長の見解を伺います。  来年四月には本議場に在席する多くの同僚議員が選挙を戦う立場になります。違反事案としてねらわれたら助からないということになりかねませんので、具体的にわかりやすく御説明をお願いいたします。  また、公示後の六月二十六日に行われたホテルでの支援決起大会においては、参加費用が一人五千円、同伴者は三千円となっております。この差額の二千円に関しては供応に当たるのではありませんか。警察本部長、選管委員長の見解を求めます。  この文書の内容について、我が会派は七月二十日、県警に申し出た際、情報提供しましたが、その結果、どう判断されたのか。捜査は行われたのか明らかにしてください。この支援決起大会は当選した候補者の高校の同窓生である不特定の人々に呼びかけられたもののようでありますが、この会合に同窓とは全く関係のないJA関係の責任者、自民党関係者も参加していたと聞くのであります。この集会の性格をどのように認識しているのか。支援決起大会が行われたホテルの入り口には、この大会の看板が設置されていましたが、公示後のこの種の看板は個人演説会の表示ならまだしも、合法的なものと言えるのか。警察本部長、選管委員長の答弁を求めます。  また、この明らかな違反と思われる文書に県が大株主であり、財政支援団体としてその選任に深くかかわっている社長の名前が記載されておりますが、このような立場にある人が特定の候補を支援するというのは、極めて問題であるということを指摘せざるを得ません。今回の事務所関係者への事情聴取において、警察での取り調べの様子をお聞きしますと、「逮捕してもいいんだぞ、何度でも呼んでやるぞ、早く終わらせたいのなら協力したらどうだ」など、長時間にわたり同じことを何回も繰り返し供述を誘導し、威迫を持って自白を強要するなど、いまだに自白偏重の取り調べが鹿児島県警において行われていることに驚きを禁じ得ません。志布志事件の反省と教訓には「長時間にわたる追及的、強圧的な取り調べ、あるいは取調官による不適切な言動の存在がうかがわれ、自白の信用性に疑問が残ると判断された。相手方の心情を理解しつつ真相を解明するという基本的な姿勢を堅持して取り調べを行う」という記述がありますが、全く生かされておりません。警察本部長の見解を伺います。  宮崎県に発生した口蹄疫は初動体制のおくれから急速に蔓延し、約二十九万頭もの牛、豚が処分される事態に発展して、畜産農家に甚大な打撃を与えるとともに、地域経済に未曾有の被害をもたらしました。これら口蹄疫が宮崎県県央域からえびの市、都城市に飛び火したために、本県は連日困難な防疫作業を強いられただけでなく、県内の畜産とその関連産業や地域経済が深刻な影響を受けました。幸いにして県境で防ぎとめ得ましたが、県境で阻止するために、連日防疫活動に従事された県を初めとする自治体関係者、畜産農家、農業関係諸団体の皆様に心から敬意を表しますとともに感謝申し上げます。  口蹄疫は八月二十七日の東国原宮崎県知事の安全宣言をもって終息したかに見えます。しかしこれだけ爆発的な感染を許したことで、宮崎県内には大量のウイルスがばらまかれていることや、この三年間に口蹄疫の発生が中国、韓国など六十余カ国・地域を超えることを考えますと、いささかも気を緩めることはできません。また観光など大きく落ち込んだ本県経済の再建、活性化も喫緊の課題であります。  そこで、今回の口蹄疫の教訓をいかに受けとめ、克服するかという問題意識で以下質問いたします。  まず、爆発的にかつ広範囲に広がった今回の口蹄疫から学ぶべきことは何かということであります。私どもは初期対応の強化に尽きる、すなわち口蹄疫及びその疑いを発見したときには迷うことなく覚悟を決め、農水省と連絡を取りつつ時間を置かずに果断に殺処分を行うことに尽きると考えております。巷間聞くところによりますと、宮崎県で口蹄疫かも知れない事例が最初に見つかったのは三月二十六日とのことで、公的に確認されるより二十日も前のことであります。宮崎県に口蹄疫を認めることへの迷いと対応の甘さがあったのではないか。それに県有牛を特別扱いとする二重基準がなければ、ここまで事態が深刻化することはなかったのではないかと理解しております。  本県が策定中のマニュアルには、これら初期対応の体制強化を精神的な面を含めてしっかりうたうべきであると考えます。また、防疫器材の前進基地への備蓄や埋設地の確保、飼料自給体制の整備などもしっかり織り込むべきでありますが、見解をお聞きします。  第二に、緊急事態の中で国と宮崎県が権限、判断をめぐって争い、いたずらに時間を浪費することになりました。教訓を受けて国の権限の強化を基本にした家畜伝染病予防法の速やかな改正を要請し、その実現に努力すべきと考えますが、見解を伺います。  第三に、今回精神的にも肉体的にも体力の限界にまで挑みつつ防疫作業に従事したのが県職員、なかんずく県職員獣医師であります。慢性的な定員割れ状態の中での長期にわたるたゆみない作業は、本県畜産業を守るとの使命感なくしてはできないことであります。同時に処遇の改善に本腰を入れ、定員充足に努力すべきであると考えますが、見解と取り組みをお聞きいたします。  第四に、国境措置の強化と国際協力についてであります。私ども県民連合は、来年度予算要求の中で豪州並みの国境措置の強化を要請しております。観光受け入れや飼料輸入などグローバル化した国際情勢の中にあっても、国境措置は豪州のように遠慮なく強化する必要があります。同時にひとり日本のみでなく、国際的な相互の理解と協力が必要であると考えます。政府への要請をしっかりと行うべきでありますが、考えを伺います。  第五に、今回の口蹄疫騒ぎの中、かのやバラまつり、志布志お釈迦まつり、霧島国分夏まつりなど各種イベントが中止され、何らかの形で県内企業の三四%が影響を受け、宿泊客が最大で二五%減少する地域が出るなど甚大な被害を受けました。これら疲弊している本県地域経済を活性化しなければなりません。これに対応して県では口蹄疫対策地域活性化基金百億円の創設を国に要望しておられます。私どもはぜひ基金は必要であるとの認識を持ち、設置に努力するものでありますが、事業内容を見ると、魅力ある観光地づくり事業など通常予算で対応してきているものや、部局間で同じような事業も見られることから、事業の精選によって説得力のあるものとする必要があると思います。見解と今後の取り組みを伺います。  七月下旬に八代海で大量発生した赤潮、シャトネラ・アンティカの被害は東町漁協と北さつま漁協の合計で百七十万三千尾、三十六億八千万円に及び、養殖漁業者のみでなく漁協の経営、地域経済にも深刻な影響を及ぼしております。七月十八日に私ども県民連合が現地調査に入った段階では、既に三十八万九千尾の被害が出ておりましたが、漁協組合長も組合員も町長も町民もまだ意気軒昂たるものがありました。しかしその後に大発生した二年連続の赤潮によって、本年出荷予定であったブリの半分を失うという事態となり、現地はうちひしがれております。行政として相当のてこ入れをしない限り、本県が世界に誇る北薩地域の養殖漁業は衰退しかねない危機的状況下にあります。  これらの状況に対して、知事はどのような見解を持っておられるのか。また、これら事態をどのように克服しようとしておられるのか、見解と決意をお聞きします。  次に、赤潮、シャトネラ・アンティカの大量発生のメカニズムはまだ完全に解明されていないと言われています。しかしながら、一定の水温上昇のほか長雨による塩分濃度の低下、陸地から流れ込む窒素や燐等の栄養塩類の存在などが研究成果として指摘されております。これら原因を政府、熊本県と共同して徹底解明し、防御技術を確立することが喫緊の課題であると考えますが、どのように考えておられるのか、見解をお聞きします。  また、すぐ手をつけられる八代海の富栄養化対策などは、本県は鹿児島湾ブルー計画の経験もあることですから、熊本県と共同して今の段階から取り組むべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。  第三に、養殖漁業者の経営対策支援として漁業損失を直接支援する制度の創設や、満額支給されても魚価の六割弱程度しか支給されない養殖共済制度の改善、融資保証制度の拡大と改善など支援策を強化すべきであります。私ども県民連合も連立政権に働きかけますが、知事としてどのように考え、どのように行動しようとしておられるのか、見解をお聞かせください。  第四に、この間の赤潮被害と養殖場の位置関係との分析に立って、赤潮の被害を受けにくい養殖漁場の開発、なかんずく水深の深い海域への養殖いかだの移動について支援を強めるべきと思います。相次ぐ赤潮被害によって借り入れも限界に来ていることから、新たな制度創設を含めて支援を強化すべきであると考えますが、見解をお聞きいたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 15 ◯知事(伊藤祐一郎君)北薩地域の養殖漁業者の危機的状況の認識についてのお尋ねがございました。  今回、八代海で発生いたしました赤潮は六月下旬から八月上旬までの長期間に及び、長島町では昨年を上回る過去最大の漁業被害をもたらしたところであります。被災された長島町の養殖漁業者の皆様方には心からお見舞いを申し上げたいと思います。  地元漁協におきましては、これまで長年の取り組みにより全国的にも知られております「鰤王ブランド」を築き、安心・安全な魚を生産いたしますとともに、アメリカを初めEU、中国への輸出に積極的に取り組むなど、国内養殖漁業のモデル的な存在となっているところであります。昨年に続く甚大な赤潮被害によりまして、現在長島町の養殖漁業者の経営は資金繰りの悪化や出荷計画の変更など危機的状況に直面していると考えております。このため、八月十一日に熊本、長崎の両県知事を初め本県議会議長等と一緒に農林水産大臣に対しまして、赤潮による漁業損失の直接補てんや、赤潮被害対策の技術の確立等を内容とする八項目につきまして要望を行ってきたところであります。  今回の赤潮による漁業損失のうち、養殖の共済による共済金を超える部分を直接補てんするなどの救済措置につきましては、養殖漁業を存続し経営の安定を確保する上で極めて重要でありますことから、国に強く要請しているところであります。県といたしましては、九月補正におきまして、へい死魚の埋設や塩、粘土の散布など被害防除対策に要した経費に要する助成や、養殖漁業者の資金繰りのため、国の漁業緊急保証制度を活用した金融対策に必要な利子補給金等の経費を計上しているところであります。  また、長島町におきましては県の基金事業を活用いたしまして、今回の赤潮被害により休業を余儀なくされている養殖漁業従事者や、ブリ加工工場の職員の雇用対策が始められたところであります。今回の赤潮発生以来、私も現地で赤潮被害に遭われた養殖漁業者の切実な声や訴えを直接聞いたところであり、若い担い手漁業者が多く携わり、長島町の基幹産業となっている養殖漁業の再建に取り組んでまいりたいと考えております。  なお、去る九月十五日でありますが、東町漁協のブリが五十一日ぶりに出荷再開されたところであり、これは長島町の養殖漁業の再建のスタートになるものでありまして、今後の力強い取り組みに期待しているところであります。 16 ◯教育長(原田耕藏君)桜島降灰による教室での健康への影響についてでございます。  学校環境衛生基準では、教室等の温度としては十度以上三十度以下であることが望ましいとなっております。夏場の降灰時に長時間窓を閉め切りますと、室温が三十度を超えることもありますことから、窓を開閉して風を入れたり、換気扇や扇風機等で対応するなどしているところでございます。各学校におきましては、熱中症対策として適度の水分補給をさせるなど、学校医と相談しながら健康管理に努めてきておりまして、これまでのところ児童生徒や教職員の健康に直接的な影響を及ぼしているとは聞いていないところでございます。  降灰地域における空調設備の設置等についてでございます。  活動火山防災対策特別措置法で、降灰防除地域と位置づけられました合併前の二市三町にある県立学校十九校のうち、特別支援学校七校はすべての教室に空調設備を設置をいたしており、県立高校におきましては、十二校中八校で同窓会等により普通教室への空調設備が設置されているところでございます。県といたしましては、これまで県全域の県立高校を対象に図書室や保健室、パソコン室等の空調設備の整備を行ってきておりましたが、これら既設の空調が更新時期を迎えることや厳しい財政状況の中で国からの支援が限定的な中、県立高校の普通教室への設置には相当な負担が見込まれることから、現時点で整備することは考えていないところでございます。  県立高校におきまして、同窓会等により整備された空調設備につきましては、同窓会等が自発的に設置経費や維持管理経費等の一切を負担することを条件に設置を認めているものでありまして、今後ともこの取り扱いで対応してまいりたいと考えております。  特別措置法に基づく現行制度の補助率等では自治体の負担が大きいことから、県としても鹿児島市などと連携して国に補助率のかさ上げ、降灰防除地域の指定拡大、地方財政措置の拡充などを要望しているところであり、今後とも県開発促進協議会などを通じまして国へ要望してまいりたいと考えております。 17 ◯警察本部長(笠原俊彦君)まず、新聞の掲載内容につきましてお尋ねがございました。  御指摘の新聞の記載内容につきましては、当方が公表したものではございませんので、県警察としてコメントする立場にはなく、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。  次に、文書の違法性や他陣営に関する事項について御質問をいただきました。特定の事案が特定の犯罪を構成するか否かにつきましては、具体的な事実関係に即して法と証拠に基づき判断されるべき事項でありますので、お答えは差し控えさせていただきたいと思います。なお、一般論として申し上げれば、警察といたしましては刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づいて適切に対処をしているところであります。  次に、七月二十日の情報提供後におきます県警察の捜査状況についてお尋ねがありましたが、個別の事案につきましてはこれを捜査したか否かなどにつきまして、これをお答えした場合、捜査上の支障が生ずるおそれや関係者の名誉等を侵害するおそれがありますことから、お答えを差し控えさせていただきたいと思います。なお、一般論として申し上げますと、警察といたしましては刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づいて適切に対処をしているところでございます。  次に、志布志事件の反省を踏まえた捜査についてでございますが、県警察といたしましては、志布志事件について反省し、教訓すべき事項があると認識しており、これまでこれらの点を踏まえまして各種再発防止策を講じてきたところであり、先般の参議院議員選挙違反取り締まりに当たっても、供述の信用性の吟味、相手方の事情等に配慮した取り調べなどの反省教訓事項をもとにして、適正に捜査を行ったと認識しているところであります。今後も事件を風化させることなく、緻密かつ適正な捜査をより一層徹底することにより、県民の信頼確保に努めてまいりたいと考えております。 18 ◯選挙管理委員会委員長(鎌田六郎君)県選挙管理委員会は、国及び県の各種選挙につきまして事務を管理しているわけでございますけれども、今回の参議院議員選挙につきましては、五月にその管理計画を策定し、立候補予定者、不在者投票指定施設、市町村選挙管理委員会などに対する説明会を開いたり、政党取り締まり機関等との打ち合わせを行うなど、選挙が公明かつ適正に行われますよう努めたところでございます。  こうした中にございまして、県選挙管理委員会に対しまして、候補者や選挙人などからの質疑、照会あるいは苦情などがございますが、そういうことがございましたときには、それに対しまして選挙法令の考え方などについて回答や説明を行いますとともに、必要に応じてポスターの除去を指導したりしたところでございます。  ただ、しかし御指摘の事案につきましては、県選挙管理委員会といたしまして質疑や照会、あるいは苦情等も全くございませんで、事実関係を承知いたしておりません。また、もとより捜査権限もないことでございますから、見解は申し上げかねるところでございます。 19 ◯農政部長(弓指博昭君)口蹄疫の関係で幾つかお尋ねございました。  このうちまず防疫マニュアルの策定についてでございますが、口蹄疫の防疫対策につきましては被害を最小限に食いとめますため、お話ありましたとおり、早期発見早期通報を含めた速やかな初動防疫対策が最も重要であると考えております。このため、現在作成中の県の防疫マニュアルにおきましては、国が先般示した口蹄疫実施マニュアルを踏まえまして、通報を受けた後の迅速な疑似患畜の診断や二十四時間以内の殺処分の完了、及び七十二時間以内の埋却の完了といった手順を定めることといたしております。またこうした初動防疫が迅速かつ円滑に行えるよう殺処分や埋却作業に必要な獣医師などの防疫要員や物資のリスト、及び消毒ポイントの設置場所などに関連する情報を可能な限り具体的に盛り込むことといたしております。特に埋却候補地につきましては、リストアップしております公有地約二百カ所と、現在取りまとめ中の農場所有の候補地を精査いたしますともに、初動防疫に必要となる防疫資材につきましても継続して適切な備蓄を行い、関連情報として整理することといたしております。  県といたしましては、引き続き生産者に対して侵入防止のための衛生管理の徹底を指導いたしますとともに、年内をめどに防疫マニュアルを作成し、初動防疫体制の整備を図ってまいりたいと考えております。  次に、家畜伝染病予防法の改正にかかわる要請についてでございます。  家畜伝染病予防法につきましては、昭和二十六年の制定から六十年余りが経過しておりまして、畜産経営の多頭化、大規模化が進展しております現在の状況におきまして、今回の口蹄疫のように爆発的な発生が見られた場合、埋却場所の確保や予防的な殺処分の対応などの面で現実にそぐわない点も多く見られたところでございます。こうしたことから、県といたしましては、万一の発生時には予防的殺処分や車両等の消毒、適切な埋却場所の確保などについて、現状に即した防疫対応が可能となるよう、家畜伝染病予防法を抜本的に見直すことを去る七月二十七日、国に対しまして県開発促進協議会を通じて要請したところでございます。なお、国におきましても、現在開催しております口蹄疫対策検証委員会での検証結果などを踏まえ、国の権限強化を含め家畜伝染病予防法を改正する予定であると聞いております。  次に、県獣医師の処遇改善等による確保対策についてでございます。  公務員獣医師につきましては、近年、小動物診療志向の獣医師がふえる中で、若い世代の早期退職が続いておりますことから全国的に減少してきております。このため、県といたしましては、平成二十年に取りまとめた獣医師の確保に向けた取り組みの基本的な考え方に基づき、平成二十一年度から初任給調整手当の支給やスキルアップを図るための職員立案型研修などの処遇改善、及び年齢などの受験要件の緩和を図るなど受験者数の増加対策にも努めてまいりました。その結果、平成二十年度には欠員が十四名でございましたが、本年四月一日現在では五名にまで改善されておりまして、さらに十月一日には三名となる見込みでございます。  県といたしましては、県獣医師は本県の畜産振興及び公衆衛生の向上を図る上で必要不可欠な専門技術職員でありますことから、引き続き大学訪問やインターシップの受け入れを積極的に行いますほか、地元鹿児島大学に職員を講師として派遣し、公務員獣医師の業務内容について理解を深めるなど、今後も県獣医師の確保対策などに努めてまいりたいと考えております。  次に、国境措置の強化と国際協力についてですが、口蹄疫などの海外悪性伝染病の侵入を防止するため、国におきましては発生地域からの動物や畜産物の輸入禁止、動物や畜産物の輸入検疫、食肉等の対日輸出施設の査察、あるいは海外渡航者に対する靴底消毒の実施など水際での防疫対策を実施しているところでございます。しかしながら、お話しありましたとおり、東南アジアにおいては現在も口蹄疫を初めとする海外悪性伝染病が流行している状況にありまして、また遺伝子学的に近縁な口蹄疫ウイルスが国内外で発生している事実を考えました場合、より徹底した国内侵入防止措置がとられるべきものと考えております。  このため、県といたしましては、国に対し口蹄疫などの悪性伝染病の国内侵入防止対策をさらに強化いたしますため、近隣諸国における口蹄疫の発生に関する情報収集と提供、それから動物や畜産物の輸入検疫体制の強化、並びに口蹄疫対策にかかわる近隣諸国との国際的な協議の場の設定などにつきまして、県開発促進協議会を通じて要請をしたところでございます。 20 ◯商工労働水産部長(白橋大信君)口蹄疫対策地域活性化基金の見解等についてでございます。  今回の口蹄疫は本県の畜産関係者はもとより商工業者や運輸業者、観光関係者を初め商店街など地域経済のあらゆる分野に大きな影響を及ぼしております。このような中で口蹄疫対策特別措置法第二十三条において、地域経済の再建及びその活性化を図るための基金の設置、その他の必要な措置を講ずるものとされており、県として基金創設のための財源措置を農林水産省など関係省庁に要望してきたところでございます。同基金による事業としましては、子牛競り市やイベントの中止、観光客の減等により影響を受けた地域経済の回復を図るため、畜産業、商工業、観光業の各分野において一定期間内に集中的、効果的に地域経済の活性化につながるものを想定しているところでございます。なお、同基金の枠組み等につきましては、いまだ国が示していないことから、県議会の皆様や県選出の国会議員の方々の御支援、御協力もいただきながら、引き続き要望を行ってまいりたいと考えております。  赤潮被害対策に関連いたしまして幾つかお尋ねがございました。  まず、赤潮被害対策の研究の取り組みについてでございます。赤潮被害対策につきましては、県水産技術開発センター等のこれまでの研究で、粘土散布による防除効果や水温、塩分濃度、栄養塩の状況など、赤潮が発生しやすい環境条件等は一部解明されているものの、いまだ発生防止や防除対策の確立には至っていないところでございます。このため県水産技術開発センターでは、独立行政法人水産総合研究センターや熊本県など関係機関と連携し、今年度から赤潮被害の軽減を図るためシャトネラ属による魚類へい死のメカニズムの解明や散布粘土の改良など、赤潮防除剤や防除技術の研究に取り組んでいるところでございます。  次に、八代海の海域の環境保全につきましては、有明海、八代海を再生するための特別措置に関する法律第五条に基づき、平成十五年三月に本県や関係県において海域の環境保全等による漁業振興に関する計画を策定しており、本県におきましては関係部局と連携しながら生活排水対策や漁場保全のための森林の整備などの対策を講じているところでございます。今後とも熊本県などの関係県とも連携しながら赤潮発生メカニズムの解明や防除技術の開発、並びに八代海の海域の環境保全に努めてまいりたいと考えております。  養殖漁業者の経営支援についてでございます。  今回の赤潮被害は過去最大の被害をもたらした昨年を上回り、地域の養殖業者の経営は資金繰りの悪化や出荷計画の変更など危機的状況に直面しております。二年連続の甚大な赤潮被害は養殖漁業者の自助努力により解決できる範囲を超えており、国の積極的な対応が望まれているところでございます。  このため、県におきましては、国に対し赤潮で発生した漁業損失のうち養殖共済による共済金を超える部分を直接補てんする漁業損失の直接補てんや、実損額をてん補するような養殖共済制度の見直し、漁業緊急保証制度の延長等について要望しているところでございます。国におきましては、来年度の概算要求において共済掛金の国庫補助の上乗せや無担保、無保証人型の融資を推進するための保証支援、種苗購入資金の無利子化等を盛り込んでおり、今後とも国に対しさらなる要望事項の実現に向けて働きかけていきたいと考えております。  養殖漁場の開発に伴う支援策についてでございます。  赤潮に対しては新たな養殖漁場の開発や沈下できる生けすの改良など、赤潮回避の対策が重要であると考えております。国の来年度予算の概算要求において赤潮緊急対策として、漁協が実施主体となり赤潮を回避するための養殖施設の設置や移動等の実証事業や、同じく漁協が実施主体となり赤潮発生に備えた代替の養殖漁場の整備のための事業が盛り込まれているところでございます。現在、県水産技術開発センターと漁協で、今回被害のあった三十八漁場ごとに赤潮の密度と漁場の地形、水深、潮流等との因果関係や生けすごとの沈下等の対策とその効果等について検証分析を行っているところであり、今回の概算要求に盛り込まれた実証事業等を活用し、効果的な赤潮回避の対策がとれるよう県としても漁協を指導してまいりたいと考えております。
    21 ◯上村勝行君 自席から。  選管委員長には事前に二つの文書をお示ししております。この文書内容の見方と公示後の看板の掲示、参加費等について、一般論として明確な答弁をいただきたい。  県警本部長の御答弁をいただきましたが、まさに徳川時代の御答弁だと思っております。知らしむべからず、よらしむべしという態度だと思います。我々は今後の選挙等の対応について判断を求めているわけです。そういう意味で文書の内容は把握できているはずでございますから、その文書のこの表現でいいのかと、こういうのを今後使っていいのかと、あるいは公示後に総決起集会の看板をホテルの前に出していいのかと、参加費に格差を求めていいのかと、そういう我々の今後のこの行動といいますか、運動等について判断を求めているわけです。そういう意味で、ぜひその辺のことはしっかり答弁していただかないと困るというのが私どもの態度でございますから、ぜひお願いします。 22 ◯選挙管理委員会委員長(鎌田六郎君)一般論でいいからとのお尋ねでございました。  県選挙管理委員会の立場は先ほどお話し申し上げたとおりでございますが、一般論としましては、例えば文書図画の頒布ということについてお話し申し上げますと、それが選挙運動に当たるのかどうかの判断につきましては、個々具体のその文書図画につきまして、その外形、内容、頒布の時期、数量、区域、対応、その他、(発言する者あり)さまざまな状況を見まして、総合的に判断すべきものと考えております。 23 ◯議長(金子万寿夫君)答弁中は静かにしておいてください。 24 ◯選挙管理委員会委員長(鎌田六郎君)(続)同様に強要に当たるか否か、決起大会が法にいう演説会に該当するか否か、看板が合法であるのか否かといったようなことも総合的に判断すべきものでありまして、個々の一枚の文書だけで判断はできないものと、一般論としては考えております。 25 ◯警察本部長(笠原俊彦君)警察でございますが、選挙の公正、公平を確保するという観点から、違反取り締まりを行っているところでございまして、これを通じまして社会や県民に対して注意喚起を行い、あるいは同種違反の抑止に努めているところでございます。法の解釈につきましてはお答えする立場にないというふうに考えております。  また、具体的な個別の事案についての捜査状況等につきましては、先ほどお答えをいたしましたが、これをお答えした場合、捜査上の支障が生ずるおそれ、関係者の名誉等を侵害するおそれがあるからお答えは差し控えさせていただきたいと思います。    [上村勝行君登壇] 26 ◯上村勝行君 県警本部長は個別的案件には答えられないとの態度に終止しましたが、私どもは県民の代表であります。県民の代表と議論をこの公式の場でしっかり切り結ぶこともせず、警察内部では内弁慶よろしく威圧的態度で県民に臨む方式は民主警察の姿とは言えません。そのようなやり方では、裁判員時代に求められている捜査能力の向上はいつまでも達成できないと思います。威迫による自白の強要は許されないし、不偏不党の捜査を要求するものであります。また、今回の事例が今後どのように適用されるか、しっかりと注視することを申し添えておきます。  口蹄疫対策については、私どもは増留貴朗元議員と県議団海外視察団としてオーストラリアを訪問した経験がございますが、訪問団が持参した食料は、かきもちとお茶漬けの袋を除いては全部没収されました。それぐらいの厳しい姿勢が国の末端まで行き渡っております。ぜひそういうやり方で今後の対応をとっていただきたい、このようにお願いを申し上げます。  時間がございませんので、これで終わりますけれども、多くの課題で国に対して要求する分については、私ども県民連合会派もしっかりとこれから意見を反映させてまいります。知事初め執行部の皆さんが地域主権の時代にふさわしく、積極果敢にこれら課題に取り組まれるよう期待いたしまして、県民連合を代表しての代表質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 27 ◯議長(金子万寿夫君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午後零時 一分休憩       ─────────────        午後一時十五分再開 28 ◯議長(金子万寿夫君)再開いたします。  持冨八郎君に発言を許可いたします。    [持冨八郎君登壇](拍手) 29 ◯持冨八郎君 平成二十二年第三回定例会に当たり、公明党県議団として代表質問をいたします。  地球温暖化による異常気象は世界各地で自然災害をもたらしています。我が国でも集中豪雨やゲリラ豪雨などにより土砂災害や家屋の浸水被害等が頻発するとともに、農産物等、各方面に大きな影響を与えております。  また、社会構造の変化により、うつ病などの心の病やドメスティックバイオレンス、児童虐待など、国民の健康や生命を脅かす深刻な事態が増加しております。  さらに、ふえ続ける高齢者のひとり暮らしとそれに伴う孤独死、景気の悪化による不安定な雇用など、これまでの制度では対応し切れない、社会や家庭における新たな課題も浮き彫りになっております。こうした国民の新たなリスクにこたえていける制度の創設、課題への迅速な対応が求められております。  世界の潮流、国の動向をしっかり見定め、視察や行政相談など現場の声に耳を傾け、県民の生活を守り、福祉の向上のため、以下、通告に従って質問をしてまいります。  知事の政治姿勢について。  初めに、政権交代一年の評価についてであります。  昨年八月、国民は大きな期待を抱いて政権交代をいたしました。しかし、相次ぐ政治と金の問題、子ども手当や高速道路の無料化等、国民との約束を簡単に破棄してしまったマニフェスト違反、日米関係を後退させるとともに沖縄県民の大きな期待を裏切った普天間基地移設問題、円高・株安の経済危機の中で有効な手を打つことなく政局を優先し、政治空白をつくるなど、余りの無為無策ぶりに国民は失望をしております。  菅代表が再選されましたが、菅代表の続投を主張する人たちの理由が、国の将来ビジョンや国民の生活を守る政策ではなく、一年に三人も首相がかわったら国際的な信用が落ちるという全く消極的な理由であり、国民不在のリーダー選択でありました。また、奇兵隊内閣は、国会論戦を避け、選挙と夏休みと代表選挙に終始して三カ月で消えてしまいました。有言実行内閣が誕生いたしましたが、党内で政策合意のできた有言であってほしいものであります。  知事は、政権交代後のこの一年をどのように評価されているのか。また、今後、新内閣に何を望むのか伺います。  次に、円高と経済対策について伺います。  一ドル八十四円台と十五年ぶりの円高水準を記録し、九月に入ると一時八十二円台まで高騰いたしました。行き過ぎた円高は、日本経済の好転を牽引してきた輸出関連企業の業績悪化を招き、株安を誘引しております。今回の円高は、欧米における景気の失速が原因と考えられますが、民主党政権の経済対策のおくれが景気の悪化を一層深刻にしております。  政府は、八月三十日になって「経済対策の基本方針について」を公表しましたが、市場は反応しませんでした。今月十日になってようやく予備費九千億円余りを活用した経済対策を閣議決定し、十五日には円売り・ドル買いの為替介入をいたしましたが、遅きに失したと言わざるを得ません。  公明党は、八月三日衆議院予算委員会で井上幹事長が、今すぐできる対策として社会資本の整備や学校の耐震化の前倒し、地デジ対策として省エネ家電のエコポイント制の延長、雇用対策として新卒要件の卒業三年間までの緩和などを提案、九月二日には、地域活性化策、公共投資の積極的な展開、防災対策、雇用対策、児童虐待対策、うつ病対策等を含んだ四兆円規模の緊急経済対策をまとめて政府に申し入れをしました。経済対策のポイントはスピードと強いメッセージ性であります。今般閣議決定された経済対策は時宜を逸し、メッセージ性も弱いものと考えております。  そこで、この間に進んだ円高により、中小企業など本県経済への影響も発生しているのではないかと考えますが、県の認識を伺います。  次に、普天間基地移設問題について伺います。  「最低でも県外」との約束を果たせず、鳩山元首相は沖縄県民の大きな期待を裏切り、退陣いたしました。政府は、八月末までに専門家による代替施設の位置や工法の検討を完了させるとしておりましたが、代替案として、二本の滑走路をV字型に配置する案と、一本の滑走路をI字型に配置する案が併記されましたが、飛行経路は明示されず、事実上先送りされました。世界一危険と言われる普天間基地の危険はそのまま残るという最悪の形になりました。さらに、十一月二十八日の沖縄県知事選まで結論は出せないという菅首相の姿勢は、沖縄に責任を負わせる無責任な対応であると言わなければなりません。  そこで第一点は、民主党の普天間基地移設のこの一年の取り組みをどのように評価しているのか伺います。  第二点、日米共同文書に明記された徳之島については概算要求に予算が計上されておりませんが、移設候補地徳之島について、県の認識と今後の対応を伺います。  次に、補正予算に関連して伺います。  口蹄疫対策、八代海の赤潮被害対策など、一般会計補正予算案八十六億三千九百万円が計上されました。口蹄疫対策は三億四百万円、口蹄疫関連の補正予算額は専決処分と合わせて二十二億円となりました。畜産農家を初め、地元自治体、執行部など関係者の懸命な努力によって県内への侵入を防いだことに安堵するとともに、関係の方々に敬意を表したいと思います。  一方で、畜産農家への支援や今後の防疫体制の確立、危機管理マニュアルの作成や周知など、課題も多く残っております。また、畜産のみならず、観光を含む商工部門など影響は各方面に及んでおります。今後の対応について伺います。  赤潮対策では、養殖業者の金利負担を軽減するため、融資機関に利子補給する緊急対策資金融通助成事業など三千八百万円が計上されております。二年連続での大規模な赤潮の発生で養殖業者は壊滅的な打撃を受けております。私も現地を視察し、関係者からお話を聞きましたが、原因の究明や経営支援を切実に訴えられておりました。  昨年の教訓を生かして共済への加入は進みましたが、損失補てんされるものは六割程度で、再建は厳しい状況であります。養殖業者の経営支援、赤潮発生の原因究明等、課題山積でありますが、今後取り組むべき課題と対応について伺います。  次に、安心安全について。  初めに、減災、防災対策について伺います。  地球温暖化の影響などで一時間に七十ミリや八十ミリを超える豪雨が増加する傾向にあり、土砂災害の発生件数も増加しております。集中豪雨や土砂災害の現状に的確に対応し、県民の生命と財産を守ることは喫緊の課題であります。六月から七月にかけて活発な梅雨前線の影響により、西日本各地で集中豪雨が発生し、土砂災害や家屋浸水の被害をもたらしました。本県でも霧島市や南大隅町等で甚大な被害が出ております。  会派で視察した南大隅町では、整備した二つのダムに大きな岩石が多数とどまっておりました。ダムがなければ下の集落は甚大な被害を受けていたと予想され、まさにコンクリートが人の命を救ったのであります。  そこで第一点は、本県における集中豪雨の発生と土砂災害の現状をお示しください。  第二点は、本年の梅雨期の集中豪雨による土砂災害の状況と今後の対応について伺います。  次に、国土交通省によると、土砂災害の危険箇所は全国に五十二万カ所ありますが、警戒区域への指定状況は十八万カ所、また警戒区域のある八百十四の市町村のうちハザードマップを作成しているのは三二%、さらに、消防庁の調査によると、災害時に避難勧告などの発令基準が策定されているのは四一%にとどまっております。警戒区域の指定、ハザードマップの作成、避難勧告の発令基準の策定等は、平時から備えておくことで減災、防災につながると考えます。  そこで第三点は、本県における警戒区域の指定状況、ハザードマップの作成状況、避難勧告などの発令基準の策定状況をお示しください。  第四点は、現在の治水整備は一時間当たり六十ミリの降水量を目安に進められておりますが、近年の集中豪雨に対応するために六十ミリメートル基準を見直すべきと考えますが、見解を伺います。  第五点は、現行制度では被害額の合計で激甚指定を行うため、対象とならない道路や河川の堤防などもあります。今後、激甚指定の基準緩和を国に要請する必要があると考えますが、見解を伺います。  次に、AED普及促進と保守点検等について伺います。  私は、平成十六年第三回定例会でAEDの導入促進と講習会の実施等を提案いたしました。そのときの総務部長は、「本県内の駅や空港にはAEDを設置しているところはない。講習会については検討する」との答弁でありました。その後、AEDは学校やコンビニなど急速に設置が進み、町内会やPTAなどさまざまな機会に講習会も開かれるようになりました。  厚生労働科学研究によると、国内の学校や駅、商業施設などへのAEDの設置数は約二十七万台で、医療・消防機関を除く市民が使えるAEDは二十万台余りであると報告をしております。まさにAEDは身近な救命アイテムとなりました。  そこで第一点は、本県におけるAEDの設置状況と講習会開催の現状を示すとともに、学校現場におけるBLS教育など、普及啓発の取り組みについて伺います。  第二点は、〇四年、医療従事者以外にもAEDの使用が認められましたが、八歳未満、二十五キロ未満の子供にはAEDの使用は推奨されませんでした。その後の研究により、子供でも心室細動は珍しい症例ではないことが明らかになり、全国的には小児用AEDの普及が進んでおります。本県における小児用AEDの設置の現状と今後の対応について伺います。  第三点は、設置から数年が経過し、AEDの保守点検が必要だと考えますが、法的整備がおくれている上、点検整備の費用が高額のため十分に行われているのか心配であります。法的整備と保守点検の現状について伺います。  第四点は、実際に倒れた人が心肺停止になったとき、AEDがどこに設置されているのかわからないという声にこたえて、愛知県では〇七年から、携帯電話のGPS機能を使って県内のAED設置場所を簡単に検索できるシステムを導入しております。埼玉県では、すぐに検索画面にアクセスできるように携帯電話のバーコードリーダー機能で読み取れるQRコード入りのカードをつくり、消防本部や日赤の支部講習会で配布して周知を図っております。このような携帯電話によるAEDの設置場所の周知を本県でも取り組んではどうかと提案いたしますが、見解を伺います。  次に、交通事故に関して伺います。  駐車対策を柱として改正道路交通法が施行された平成十八年六月以降、違法駐車などが原因で発生した事故が全国で四割減少したと警察庁が発表いたしました。平成二十二年七月末の本県における交通事故発生数及び事故死者数は同年同期と比較して減ってきております。一方、高齢者の死者数は二〇%近く増加しております。高齢化が一段と進む中、高齢者に対する安全指導が最重要課題となっております。  そこで伺う第一点は、本県における改正道路交通法による違法駐車検挙台数の変化と駐車車両が関係する道路での事故状況の変化についてお示しください。  第二点は、往来の頻繁な国道等で高齢者が横断歩道外で横断する姿を見かけることがありますが、高齢者の交通安全指導の現状と課題について伺います。  第三点は、電動車いすの事故が全国で多数発生していると報道がありました。本県の電動車いすの台数及び安全指導の取り組みについて伺います。  次に、地域振興策について。  初めに、新幹線全線開通に関連して伺います。  平成二十三年三月の新幹線全線開通まで半年、本県にとっても、各市町村にとっても大きなチャンスであるとともに、厳しい競争を強いられることになります。会派で視察した熊本では、関係者が熊本を通過点にしてはならないと観光振興策を熱く語っておりました。鹿児島―大阪間が四時間弱で結ばれ、関西・中国地方初め、アジアからの集客の可能性が広がるなど、各県、各自治体の意欲と知恵が試されると考えております。  そこで、新幹線全線開通の効果をどのように認識しているのか伺うとともに、観光スポット、特産品のPRや二次アクセスの整備など、全県に波及するための取り組みについて伺います。  次に、新幹線の騒音振動問題については要望にいたします。  平成十六年三月、県民の大きな期待と喜びの中で新幹線一部開通をいたしました。一方、武・田上地区の方々から、「新幹線の開通はうれしいのですが、騒音、振動に悩まされています」という相談を受け、私も実際に相談された方の家に行き、ごうごうという突き上げるような音と机の上のコップがかたかたと音を立てるなど、騒音振動の体験をし、改善を要請いたしました。その後、鉄道・運輸機構は、スピードを落とす、防音対策、軌道パッドの改良など改善の努力をされたと理解をしております。  先日、同地区の方々とお話をした際に、騒音振動について現在は落ちついておりますが、来年の全線開通を控え、スピードアップにより騒音振動が再発するのではないかと心配されておりました。騒音振動対策を継続していただくよう要望しておきます。  次に、明和土地区画整理事業について伺います。  鹿児島市明和三丁目及び小野四丁目の区域の一部において計画されている明和土地区画整理事業について、周辺の二町内会から鹿児島市議会及び本議会に対して、事業に反対する陳情が提出され、継続審査となっております。  同事業は、施行面積八・九ヘクタールで、平成二十四年までの期間に宅地二百十五戸を計画しているものであります。陳情提出から二年を経過し、同地区では、事業計画の進捗状況と今後の事業展開に大きな関心が寄せられております。  そこで第一点、住宅供給公社は、事業施行予定地の三分の一に当たる三・二ヘクタールの土地を所有しております。同事業の安全性や環境保全が懸念される中で、平成十八年六月、公社が民間業者と土地を譲渡する旨の覚書を交わしていることについて、結果として、県や公社が同事業計画に同意し、推進していると受けとめられておりますが、公社の当該土地の譲渡について、県の認識を伺います。  第二点、陳情から二年が経過して、事業者から鹿児島市に対して不作為の異議申し立てがあり、それを受けて二十二年五月二十七日、鹿児島市から事業計画の修正命令がなされました。修正命令の中に、砂防法の協議を成立させることが含まれておりますが、県と当該事業者との協議はどのように審査がなされ、今後の見通しはどうなっているのか伺います。  第三点は、事業計画予定地は急斜面で、砂防指定区域、急傾斜地崩壊危険区域であり、開発による災害が懸念されます。また、同事業により貴重なまとまった緑が失われるという心配もあります。「知事へのたより」の返事の中で知事は、「鹿児島市に残された貴重なまとまった緑は保全されるべきである」と答えております。土地区画整理事業の行政的な手続が進む中で、知事の景観形成、緑の保全というまちづくりについての考えも述べられております。地元の方々の中には、貴重なまとまった緑は保全されるべきという知事の言葉に期待している人もおります。当該土地区画整理事業に対する政策判断ではないかと受けとめている人もおります。  住民が心配する安全確保、環境の保全という観点を含めて、知事の当該事業に対する真意を伺い、一回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 30 ◯知事(伊藤祐一郎君)知事の政治姿勢についてのお尋ねがございました。政権交代一年の評価についてのお尋ねであります。  民主党政権におきましては、昨年九月の政権交代以降、鳩山前首相のもと、政治主導を掲げ、行政刷新会議による事務事業や予算等の見直し、子ども手当の創設、高校の実質無料化など、政権公約に基づく各種の施策の推進に取り組んでこられたところであります。  さらに、菅内閣におきましては、新成長戦略、地域主権戦略大綱、経済対策の基本方針などを策定し、鳩山内閣から引き継いだ諸課題も含め、新たな取り組みに着手しつつありますが、これらの取り組みがどのように展開するか、もう少し時間をかけ、推移を見た上で判断するのが適当であると考えております。  一方、普天間基地移設や口蹄疫等、個別の問題につきましては、その対応に改善の余地があったと思われる面もあると考えております。  現在、我が国は大きな変革期の中にありまして、円高・株安対策を初めとした経済対策や雇用対策、社会保障制度改革、行財政改革、地域主権改革の推進、普天間問題など、内政・外交に係る喫緊の諸課題が山積しているところであります。  新内閣におかれましては、我が国の持続的発展と国民の福祉向上のため、今回、民主党代表に再選された菅首相のもと、これらの課題に積極的に取り組まれますとともに、政権運営に当たりましては、地域の声を十分に聞き、地方や国民生活に配慮しながら進めていただくことを期待いたしております。  民主党の普天間基地移設への取り組みについてのお尋ねがございました。  普天間基地移設問題につきましては、前内閣におきましては、その過程におきまして数多くの地域が候補地として取りざたされ、かえって混乱をもたらしたことは否めないと考えております。さらに、五月末の日米共同文書の取りまとめの経緯から、結果的に、普天間基地の危険性の除去という本来の問題の解決を遠ざけてしまったのではないかと懸念しているところであります。  菅首相におかれましては、日米合意を踏まえて、普天間問題の解決に向け、みずからが先頭に立ち、官邸と外務、防衛両省が一体となって取り組む考えを表明されているところでありまして、今後の政府の対応を注視してまいりたいと考えております。  徳之島についての認識と今後の対応についてのお尋ねがございました。  徳之島への訓練移転につきましては、平成二十三年度概算要求におきまして調査費計上が見送られるなどの諸般の状況から勘案いたしますと、可能性は薄れてきているものと考えられますが、日米共同文書に徳之島が明記されており、国から断念の表明があるまでは、重大な関心を持って国の動向を見守る必要があると考えているところであります。  徳之島への訓練移転につきましては、地元の首長、議会がいずれも明確に反対され、島民挙げての反対集会が開催され、さらに、県や地元の首長を初め、数多くの県民が集まった総決起集会も開催されるなど、到底県民の理解が得られる状況にはないと考えており、今後とも、政府の対応を注視しつつ、地元や県議会と足並みをそろえて、徳之島への移転に反対してまいりたいと考えております。 31 ◯商工労働水産部長(白橋大信君)円高による本県経済への影響についてでございます。  円高の進行・長期化は、外需の減少、設備投資や雇用の停滞等を通じて、経済成長の下押し要因とされているところであります。  本県経済への影響につきましては、九月上旬に県内の自動車・電子関連の製造業等を対象に行った調査によりますと、回答があった二十七社のうち、輸出関連企業と取引のある中小企業など約三割が、受注量の減少やコストダウンの要請があったとされております。  県としましては、これまで、中小企業の生産性の向上や経営基盤の強化のための支援を行っていますほか、商工団体等に対し、今回の円高等に対応するため設置された特別相談窓口の運営に当たっては、きめ細やかな経営支援を実施するよう依頼したところであります。  今後とも、円高の推移や国の経済対策を注視してまいりたいと考えております。
     次に、口蹄疫の影響を受けた商工部門への対応についてでございます。  今回の口蹄疫による影響を受けた商工業者や観光関係者等への今後の支援につきましては、九月補正におきまして、商工団体等が行う総額三十億円規模のプレミアムつき商品券発行への支援や、口蹄疫経営再建支援資金の創設に要する経費のほか、観光関係者等とタイアップしたキャンペーンや地域の活性化と誘客の拡大を図るために開催される地域イベントを支援するための経費を計上しているところであります。  県としましては、こうした支援策により、市町村や観光関係団体等とも連携しながら、早急に地域経済の活性化が図られるよう努めてまいりたいと考えております。  次に、赤潮対策の取り組むべき課題と対応についてでございます。  昨年に続き八代海で発生した赤潮により、長島町の養殖漁業者の経営は、資金繰りの悪化など危機的状況に直面しております。このため、県としましては、国に対し、養殖共済による共済金を超える漁業損失の直接補てん等について要請するとともに、九月補正におきまして、養殖漁業者の資金繰りのため、国の漁業緊急保証制度を活用した金融対策に必要な利子補給金等の経費を計上しているところでございます。  赤潮発生の原因究明につきましては、県水産技術開発センターでは今年度から、独立行政法人水産総合研究センターや関係県と共同で、赤潮による魚類へい死のメカニズムの解明や散布粘土の改良、防除技術等の研究を進めており、今後とも、赤潮発生メカニズムの解明や防除技術の開発に取り組んでまいりたいと考えております。 32 ◯農政部長(弓指博昭君)口蹄疫の影響を受けた畜産部門への対応についてでございます。  県といたしましては、今回の口蹄疫の発生に伴う畜産農家の負担軽減などを図りますため、七月十六日に予算の専決処分を行わさせていただきまして、飼料代などの増加費用の一部助成や子牛価格の低落分の一部補てん、さらには、出荷適齢期を超えた子牛の購買を促進するための奨励金の交付などを行うこととしたところでございます。  また、今後、防疫体制の強化を図ります観点から、新たな家畜防疫マップシステムの整備や県独自の防疫マニュアルの作成、実演型の防疫演習の実施などを行うこととし、必要な経費について今回の補正予算にお願いしているところでございます。  今後とも、経営安定対策などの実施によりまして農家支援に努めますとともに、生産現場における防疫の徹底や、万一の発生に備えた初動防疫体制の整備を強化してまいりたいと考えております。 33 ◯土木部長(渡 正昭君)集中豪雨の発生と土砂災害の現状についてでございます。  本県においては、一時間に六十ミリを超える豪雨は、鹿児島地方気象台の資料によりますと、平成二十一年までの過去二十年間に百三十九回発生し、年平均発生回数は七回となっておりますが、本年八月末時点で既に十二回発生しております。  また、土砂災害は、同様に過去二十年間で千七百五十二件発生し、年平均発生件数は八十八件となっておりますが、本年は八月末時点で既に百七件発生しております。  梅雨期の集中豪雨による土砂災害についてでございます。  本年の豪雨に伴う土砂災害は、県内十九市町九十三カ所で発生し、死者一名、負傷者二名、家屋等の損壊二十六戸などの大きな被害が発生しております。  特に、船石川など被害の甚大な五カ所におきまして、被害の拡大を防ぐために応急工事などを実施しており、今後は、災害関連緊急事業により緊急工事に着手したいと考えております。  その他の災害箇所につきましては、今後、県単砂防修繕事業等により復旧を図ってまいりたいと考えております。  このため、これらの復旧に必要な費用につきましては、本議会に補正予算案として二十億二千余万円を計上しており、地域住民の御協力をいただきながら、市や町等と連携して早期復旧に努めてまいりたいと考えております。  土砂災害警戒区域の指定状況等についてでございます。  本県には、土砂災害危険箇所が一万六千二百四カ所あり、これまで、市町村と連携して十七市町九千四百九カ所におきまして土砂災害警戒区域の指定を行ってきたところでございます。  土砂災害ハザードマップの作成につきましては、この十七市町に対して地図データの提供など支援してきているところでございまして、約七〇%の十二市町において作成されております。  土砂災害に対する避難勧告などに係る具体的な発令基準につきましては、平成二十一年十一月現在で、県下全市町村の約七五%の三十四市町村において策定されております。  今後とも、市町村と連携し、土砂災害警戒区域などの指定や、市町村への支援により、警戒避難体制の整備の促進に努めてまいりたいと考えております。  治水整備における整備基準の見直しについてでございます。  本県における河川整備につきましては、これまでの降雨状況やはんらん実績などを総合的に勘案し、各河川ごとに計画規模を定めて進めております。県管理河川の整備率につきましては、時間雨量六十ミリメートルを目安にした場合、約四五%と低いことから、県といたしましては、現在の改修計画に基づいた整備を進めていく必要があると考えております。  今後とも、近年の局地的豪雨に対応するため引き続き河川整備を進めますとともに、河川情報の提供などのソフト対策も含め、総合的な治水対策の推進に努めてまいりたいと考えております。  激甚指定の基準緩和についてでございます。  激甚災害制度は、当該地方公共団体の災害復旧事業費の地方負担額と財政負担能力とを比較して一定の基準を満たす地方公共団体に対して、国庫負担率のかさ上げ等の実施される財政援助制度でございます。ことしの梅雨期における公共土木施設災害は基準に満たなかったことから、激甚災害には指定されておりません。  公共土木施設の激甚災害指定につきましては、基準の緩和を検討する方針との報道がなされておりますことから、今後とも国の動向を注視してまいりたいと考えております。  続いて、明和土地区画整理事業に関しましてでございます。  まず、事業に係る土地譲渡についてでございます。  明和土地区画整理事業の組合設立の認可は、関係法令に基づき、所管行政庁が事業の安全性等について厳格に審査することを前提といたしまして、当時公社は、認可のめどが立った時点で土地を譲渡する旨の覚書を交わしたものと認識しております。  事業の砂防法の協議についてでございます。  当該地の一部は砂防指定地に指定され、砂防設備が設置されております。砂防指定地内の開発行為につきましては知事の許可が必要であり、その許可に当たりましては、法令等に基づき、治水上、砂防に支障がないよう厳格に審査を行い、砂防設備の公用廃止を伴う場合はその代替機能を確保する措置を厳格に求めることとしております。  鹿児島市からの修正命令に基づく協議は、市が組合設立を認可する上で必要な事項となっており、現在、砂防法の観点からの事前協議を受け、厳格な審査を行っているところでございます。  事業に対する基本的認識についてでございます。  県といたしましては、鹿児島市に残された貴重なまとまった緑は保全すべきであり、このため、緑地における開発は慎重に対応すべきものであると考えております。この土地区画整理事業につきましては、施行地区に砂防指定地等を含みますため、安全性の確保や緑を含めた自然環境の保全の観点から、砂防法、宅地造成等規制法、景観法等の法令に基づく審査や、必要な経済的基礎が十分にあるかどうかなどの審査を県と鹿児島市が厳格に行うこととしております。 34 ◯危機管理局長(中西 茂君)AED設置の現状等についてでございます。  AEDにつきましては、県内でも年々設置が進んでおりまして、各消防本部等が行った調査によりますと、平成二十二年一月末現在で、公共施設や空港、主要駅、学校、大型集客施設など二千四百三十一施設に二千六百四十七台設置されているところであります。  また、住民に対するAEDの使用方法の講習につきましては、すべての消防本部が開催しております普通救命講習の中で心肺蘇生法の講習とともに実施されておりまして、平成二十一年中は九百十九回開催され、一万七千四百九十人が受講したところであります。  小児用AED設置の現状等でございます。  国の調査をもとに、平成二十年三月末現在の県内小児用AEDの設置状況を確認しましたところ、幼稚園は全体の二・九%、小学校は全体の八・二%となっております。  小児用AEDにつきましては、平成十八年に使用が推奨されたものでありまして、調査時点が二十年三月と間もないことなどから低い設置状況にありますが、今後、市町村や関係団体と連携を図り、設置促進に向けて取り組んでまいりたいと考えております。  AEDの設置場所の周知についてでございます。  AEDは、心肺停止者の救命率の向上に大きな効果があることから、その設置場所の情報をいち早く県民に提供することは重要であると考えております。各消防本部に照会したところ、AEDの情報を地図上やデータで把握しており、一一九番通報時に適切に提供できる体制となっているところでございます。  また、AEDの情報につきましては、救急医療財団がホームページ上で公開をしておりまして、県内の千六百施設が登録済みで入手が可能となっているところでございますが、お話のありました携帯電話のGPS機能を活用したシステムにつきましては、容易に設置場所の情報を入手できると聞いており、今後、研究してまいりたいと考えております。 35 ◯教育長(原田耕藏君)学校現場におけるBLS教育についてでございます。  学校におけるBLS―一次救命処置―でございますが、これに関する学習は保健学習で取り扱っておりまして、小学校では簡単なけがの手当て、中学校及び高校では止血法や心肺蘇生法等について学習をいたしております。  AEDに関しては、すべての公立高校に設置をされておりまして、約七割の学校で生徒に対し、操作の実習を行っております。教員に対しましては、初任者研修などの各種研修会でAEDの操作を含む応急手当ての研修を実施をいたしております。  また、小・中学校につきましては、小学校で約五割、中学校で約七割の設置となっておりますことから、未設置校への設置促進と校内研修の充実を市町村教育委員会へ依頼をいたしているところでございます。 36 ◯保健福祉部長(西中須浩一君)AEDの保守点検等についてでございます。  AEDの保守点検につきましては、法律上義務化されていないことから、すべての設置施設の保守点検の現状を把握することは困難でありますが、県有施設につきましては保守点検が実施されているところであります。  国におきましては、AEDが緊急時に正常に使用されるためには日常点検などが重要であるとして、各都道府県に対し、関係者へ周知するよう通知されたところであります。県では、これを受けまして、平成二十一年五月と本年六月に県内のAED設置者などへ管理を適切に行うよう通知しますとともに、県のホームページに掲載したところであります。  今後とも引き続き、AED設置者等に対し、保守点検を実施するよう指導してまいりたいと考えております。 37 ◯警察本部長(笠原俊彦君)まず、駐車車両が関係いたします事故状況等についてであります。  本県における違法駐車の検挙件数については、道路交通法改正前の五年間で、運転者に直接告知した件数は年平均で約八千百件でありましたが、使用者責任の追及を可能にいたしました法改正直後の平成十九年は約二万一千二百件に上ったところであります。しかしながら、近年の一年間では約八千九百件と大幅に減少するなど、改正道路交通法の効果があらわれ、違法駐車車両自体が減少してきているものと考えております。  これによって、安全な走行車線が確保され、視認性がよくなり、駐車車両脇からの歩行者の飛び出しや追突事故等の違法駐車関連事故は近年の一年間では七十九件と、全国と同様、改正前に比べ約四割減少したところであります。  次に、高齢者に対する安全指導の現状と課題についてであります。  県警察では、高齢者に対する交通安全指導として、高齢者いきいきクラブ等における交通教室の開催、参加・体験型の交通安全指導のほか、高齢者宅訪問活動による個別指導を実施しております。  また、課題でありますが、高齢者の歩行中死者のうち約八割が運転免許を取得していないため、更新時講習等の安全教育を受ける機会がないこと、高齢者クラブ等への未加入者が多く安全指導が徹底できないことなどが挙げられます。  このため、幅広く高齢者に対する個別指導を行うことが重要と認識しており、高齢者にかかわる各施策を実施している自治体に対して、その施策の中に交通安全指導を取り入れてほしい旨、協力要請を行っているところであります。  次に、電動車いすの台数及び安全指導の取り組みについてであります。  全国における電動車いすの関連する交通事故は、平成十七年から二十一年までの五年間で、発生件数千二百三十一件、死者四十九人となっております。本県におきましては、五年間で発生件数二十五件、死者四人で、本年八月末現在でも、発生件数三件、死者二名となっております。  電動車いすは、自動車等と異なり登録制度がなく、リース契約で利用している高齢者もおられるなど、利用者の把握は困難な状況でありますが、県警察におきましては、地域警察官の街頭活動時に安全指導を実施しているほか、利用者を集めた実技講習会を開催しているところであります。  今後は、市町村や販売業者等と連携し、電動車いす利用者に対する安全指導をさらに徹底してまいりたいと考えております。 38 ◯企画部長(六反省一君)新幹線全線開業効果の全県波及のための取り組み等についてでございます。  九州新幹線全線開業は、関西・中国方面等からの移動時間の大幅な短縮により、観光客やイベント開催の増加などさまざまな効果が期待されており、県としては、県内各地において全国に誇れる本物の素材を生かした取り組みを進めることにより、さらに魅力ある地域として発展していく絶好の機会と認識いたしております。  現在、全線開業効果を県下全域に拡大・波及させるため、新幹線効果活用プランに基づき、「増やす・広げる・活かす」の視点で本県の魅力の情報発信や二次交通アクセスの改善などを進めているところでございます。  取り組みの具体例といたしましては、県外へのキャンペーン隊派遣や本県のイメージアップ等につながる知事トップセールス、県内各地域における着地型観光メニューの商品化を目指す「かごしまよかとこ博覧会」などを実施しております。  また、鹿児島中央駅と鹿屋を結ぶ直行バスの実証運行がなされているほか、ことし十月からは、出水駅、川内駅を起点に観光周遊バスの実証運行などを実施することとしております。  さらに、全国都市緑化かごしまフェアの一環として、地域における花・緑豊かなまちづくりの促進等も行っているところでございます。  今後とも、新幹線効果活用プランに基づく取り組みを着実に進め、県下全域の活性化につなげてまいりたいと考えております。    [持冨八郎君登壇] 39 ◯持冨八郎君 それぞれ御答弁をいただきました。  政権交代から一年の評価あるいは菅新内閣へ望むこと、いろいろありますけれども、まず直近の課題は経済対策、雇用対策であり、また、来年度予算編成に向けた国の方針をしっかり決めることであると思います。さきの国会では強行採決を連発するようなこともありましたけれども、ねじれ国会の中でしっかり合意形成に努めて、国民のための政策を実現できるように望むものであります。  普天間基地移設問題については、菅首相は、まず党内の方針を固めて、与党の合意を得てからアメリカとの交渉をするのが順序であろうと思います。しかし、その前に沖縄の方々の信頼回復から始めるべきであります。  徳之島については、可能性は少しなくなったんじゃないかということでありましたけれども、反対という民意を伝え続けていかなければならないと、我々もそういうふうに思っております。  また、口蹄疫対策、赤潮対策については、何より畜産農家の方、養殖業者の方の経営支援をしっかりやっていただいて、そして、業として成っていくように力強い支援をお願いしたいと思います。  減災、防災対策について。九月一日は防災の日で各地で訓練が行われておりました。火山の噴火、地震、台風など、災害はいつ来るかわからないだけに、災害に対する日ごろの備えが重要であります。自助・共助・公助の総合力で減災、防災に取り組むためにも、県のリーダーシップを要請しておきたいと思います。  AEDの普及促進と保守点検については、人の命にかかわることでありますので、いざというときに使えるようにハード・ソフト両面にわたって整備を要請しておきたいと思います。  新幹線の全線開通については、県勢浮揚の絶好の機会ととらえ、関係機関と連携をとり、効果が全県に波及するよう万全の準備を要請いたします。  明和の土地区画整理事業については、鹿児島市と県で関係法令により厳正に審査すると、公式的なことであろうとこういうふうに思いますけれども、しかし、「鹿児島市に残された貴重なまとまった緑は保全されるべきである」という知事へのたよりへの返事には、やはりまちづくりに対する考えが述べられていたんじゃないのかなというふうに思います。後ほど触れたいと思いますが、あの地域をどういうふうにしていきたいのかという、そういう判断も必要なのではないかと思っております。行政手続と政策判断、非常に難しいところでありますけれども、知事の言葉のとおり、環境に配慮し、安全第一に心がけて審査を進めていただきたいと要請して、次の質問に入ります。  次に、社会基盤等の整備について伺います。  人口の減少と高齢化により、国も地方も財政が厳しい中で、道路、橋、下水道など、国民生活を支える社会資本の老朽化が課題となっております。これらの社会基盤の多くは一九五〇年代後半から高度成長期に集中して整備されたものであり、今後、耐用年数を超えるものが増加し、更新費用も急増するため、管理する国や地方自治体の財政を圧迫することが予想されます。計画的な維持管理、補修などの取り組みがおくれると、大事故の発生も懸念されます。  国土交通省によれば、建設から五十年以上を経過した社会資本基盤の割合は、二〇二九年度に道路と橋の五一%、河川管理施設の五一%、港湾岸壁の約四八%と全体の約半数に及びます。このため、今後五十年間で必要な費用は同省試算で約百九十兆円に上り、三十兆円が予算不足に陥ると見込まれております。既に先進的な自治体では、公共インフラを効率よく管理し、低コストで維持、補修、新築していく公共施設のアセットマネジメントという概念が導入され、長寿命化への取り組みも始まっております。  そこで第一点は、本県における老朽化した県管理の公共施設の現状認識とその対策について伺います。  第二点は、本県の公共施設の維持・更新に係る費用の概算とその確保について伺います。  第三点は、本県が取り組むアセットマネジメントについて、特に意を用いる点について伺います。  次に、老朽マンション対策について伺います。  政府の推計によると、昨年末現在で全国の分譲マンションは五百六十万戸を超えています。このうち一九八六年以前に建てられた旧耐震基準のマンションは百万戸を超えております。そのマンションが地震のときに倒壊をすれば、事故に巻き込まれ、犠牲になる人もいると思われます。人々の避難路をふさぎ、緊急車両の通行を妨げることも予想されます。  老朽マンションの建てかえ促進が必要なことは早くから懸念をされておりました。二〇〇二年にはマンション建替え円滑化法が制定されました。しかし、老朽マンション建てかえに対する法的整備、公的支援策のどちらもまだ不十分なためになかなか進んでおりません。大部分の人が建てかえに同意したとしても、非協力的な人がいた場合、その人の法的地位をどうするかということが問題であります。また、資金力が乏しく、高齢でローンを組む資格がない人が多く住むマンションの場合、仮に建てかえを望んでも資金面で挫折することになります。  そこで第一点は、県内における三十年以上経過したマンションの現状について伺います。  第二点は、千葉市においては、マンションの建てかえや改修などに向けた住民の合意づくりを支援するために、分譲マンション再生合意形成支援制度を四月に創設しています。具体的には、マンション管理組合が行う建物調査の費用を助成することで再生を検討するきっかけになればと期待しているわけであります。また、国土交通省も来年度、修繕や建てかえの支援を強化するようでありますが、本県も先取りしてマンションの建てかえの支援策をすべきと考えますが、見解を伺います。  次に、地上デジタル放送への対策については要望にかえます。  地上デジタル放送への完全移行まで一年を切りました。地デジによりテレビの視聴環境は格段に前進いたします。受信障害は、電波の届きにくい山間部だけでなく、高層ビルが林立する大都市圏のビル陰やマンション陰でも起こります。さらなる対策を要望しておきます。  次に、川内原子力発電所の増設について伺います。  現在、国内で運転する原子力発電は五十四基であり、そのうち十八基が運転開始から三十年を超えております。今後五年間に四十年を超えるのは八基あります。  ドイツでは脱原発法を改正し、十七基ある原発の稼働年数を平均で十二年延長すると報道されました。また、ニューヨークで開催された核拡散防止条約再検討会において、原子力の平和利用の分野で原子力技術者の不足が注目されました。情報技術などの新たな産業に押されて原子力を学ぶ若者が減る一方、近年の原子力発電所の建設ブームを背景に技術者の需要が増加しており、事態は予想以上だと報じられております。まさに、世界的に原子力発電の高経年化や原子力技術者不足が問題となっております。  また、政府は、二〇三〇年までのエネルギー政策の指針となるエネルギー基本計画をまとめました。これまでの原油の安定確保に力点を置いた計画から、地球温暖化対策を一段と重視する姿勢に転換する計画であります。さらに、環境に優しい次世代自動車や自然エネルギーの普及が盛り込まれております。  同計画で原子力発電については、「原子力は、供給安定性と経済性にすぐれた純国産エネルギーである。また、発電過程において二酸化炭素を排出しない低炭素電源である。このため、供給安定性、環境適合性、経済効率性を同時に満たす中長期的な基幹産業として、安全の確保を大前提に、国民の理解、信頼を得つつ、需要動向を踏まえた新増設の推進、設備利用率の向上などにより、原子力発電を積極的に推進する。そのために、二〇三〇年までに少なくとも十四基以上の原子力発電の新増設を行うとともに、設備利用率九〇%を目指す。これらの実現により、水力等に加え、原子力を含むゼロ・エミッション電源比率を二〇三〇年までに七〇%にすることを目指す」と明記されました。
     そうした流れの中で、九州電力は薩摩川内市にある原子力発電の三号機の増設を計画をしております。川内原子力発電所三号機増設については、薩摩川内市議会、鹿児島県議会へ増設賛成、反対の二つの立場から陳情が寄せられておりましたが、薩摩川内市議会は六月に増設に賛成を表明し、岩切市長も同意することを表明されました。県議会も閉会中委員会を精力的に開催して、陳情の趣旨などが議論されております。  我が会派は企画建設委員会に委員がおりませんので、懸案事項について以下、質問をいたします。  第一点は、チェルノブイリ原発事故以降は脱原発の流れが加速して、国内外の大学において学科の閉鎖が相次ぎました。その結果、技術者不足とともに高齢化問題が浮上しておりますが、現状をどのように認識しているのか伺います。  第二点は、原子力発電の高経年化について。国は原子炉等規制法施行規則を改正して、六十年までの安全性を義務づけましたが、地域住民の不安は残っております。安全は本当に担保されるのか、見解を伺います。  第三点は、日本原燃の川井吉彦社長は、青森県六ヶ所村で試運転中の使用済み核燃料再処理工場を二年延期する計画を知事に報告したと報道がありました。そこで、核燃料リサイクルの確立と高レベル放射性廃棄物の処分等に向けて、取り組み状況をどのように認識しているのか伺います。  第四点は、原子力発電の増設推進に当たっては、地域の実情等に応じたきめ細かい広聴広報などにより、立地地域の住民や地方自治体との相互理解を促進することが必要不可欠であります。そのためにも、九電は住民への丁寧な情報提供に努めるべきと考えますが、九電の対応をどのようにとらえておられるのか伺います。  第五点は、地元紙によると、川内市漁協で組合員の意見が対立し、漁業補償交渉が暗礁に乗り上げている。このままでは漁協の結論の見通しが立たず、増設スケジュールに影響を及ぼすと報道がありました。県はどのように把握しているのか伺います。  第六点は、三号機を増設するには大規模な工事を伴いますが、一、二号機の建設の際の地元業者の参入状況についてお示しください。  次に、高齢者対策について伺います。  厚生労働省は、ことしの七月、〇九年の日本人の平均寿命は男性が七十九・五九歳、女性が八十六・四四歳で、男女とも四年連続で過去最高を更新したと発表いたしました。そんな中、信じられないような出来事が相次ぎました。生存していれば百十一歳になる男性の白骨遺体が都内で発見されたことに端を発する高齢者の所在不明問題であります。背景には家族や地域関係の希薄さが指摘されておりますが、行政自身の課題も浮き彫りとなりました。  一つは、住民基本台帳の管理であります。同居しているはずの家族が高齢者の所在を知らず、台帳が放置されている事例が多数明らかになっております。台帳の記載内容の変更は、本人や家族からの申請を原則としておりますが、行政は職権によって台帳から削除する権限を持っておりますので、客観的に疑問が持たれる高齢者については、この権限を行使して実態に即した台帳管理をする体制を築くべきであります。  第二は、個人情報の保護であります。高齢者の所在確認は、プライバシー保護を優先する余り困難となっております。個人情報は守られるべきでありますが、高齢者保護を目的とする場合に限り、高齢者の情報を柔軟に利用することも検討すべきであります。  第三は、縦割り行政の弊害であります。この問題が起きた要因の一つに部署間の連携欠如が指摘されております。各地で戸籍上のみで生存している高齢者も続出していて、鹿児島市でも、本籍のある戸籍上生存している百二十歳以上が七十六人いることが判明しております。さらに、高齢世帯の孤立化防止などを定める地域福祉計画を、昨年末現在で全国で五一・四%の自治体が作成していないことも明らかになっております。  そこで第一点は、地域福祉の担い手である民生委員は、業務の増加と多様化、個人情報の入手、オートロックマンションの増加など、地域の状況変化に頭を抱えております。そこで、民生委員の待遇改善や定員増加、活動に必要な個人情報の提供への理解、業務負担軽減などを進め、その活動を強力に支援すべきと考えますが、本県の民生委員の現状と今後の対応について伺います。  第二点は、本県並びに県下市町村における地域福祉計画の策定状況と対策について伺います。  次に、孤立化対策について伺います。  政府の二〇一〇年度版高齢者白書によると、〇九年十月一日現在、六十五歳以上の高齢者は、前年比七十九万人増の二千九百一万人で、総人口に占める割合は〇・六ポイント増の二二・七%と過去最高となりました。六十五歳以上の高齢者がいる世帯は〇八年現在、千九百七十八万世帯と全世帯の四一・二%を占めております。最も多いのは夫婦のみの五百八十八万世帯で、これにひとり暮らしの四百三十五万世帯が続いております。三世帯同居は三百六十七万世帯でありました。  白書では、ひとり暮らしの高齢男性は近所づき合いが少なく、未婚者や離婚経験者にも孤立している人が多いと指摘しております。高齢化現象の中で、高齢者の孤独死に象徴される孤立化の問題など、社会変化に伴う新たな不安が増大しておりますので、以下質問をいたします。  第一点は、県営住宅における高齢化率と高齢単身世帯の現状をお示しください。  また、先日視察した神奈川県では、県営住宅における孤独死に関する調査を保健福祉局と県土整備局とが連携し、県営住宅モデルとして自治会長や民生委員等の協力を得ながら孤独死の実態調査を行うとともに、孤独死防止に向けた対策を始めるとのことでありました。  そこで、本県においても孤立化対策のための県営住宅における実態調査を実施すべきと考えますが、見解を伺います。  また、先日視察した久留米市の「青峰励ましサロン」では、団地内の集会所を利用して自治会がボランティアで運営し、高齢者同士の触れ合いの場づくりに汗を流しておりました。利用時間は平日の午前十時から十二時まで、利用料は百円払えばお茶やコーヒーなどを飲みながら将棋やおしゃべりを楽しめるというサロンでありました。高齢者同士のつながりができ、何でも話ができると好評でありました。  そこで、孤立化対策として、高齢者やひとり暮らしの方の触れ合い、交流の場として県営住宅団地内にサロンづくりを推進すべきと考えますが、見解を伺います。  次に、地方分権や地域主権の名のもとに自治体の仕事はふえておりますが、行政改革によって職員の数は減少傾向にあります。結果として、住民と基礎自治体の距離が遠くなっております。その解決策として、コミュニティー単位の自治を強化すべきと考えます。住民の把握、高齢者の福祉サービス、環境維持、防災などの地域活動について、町内会や自治会、商店街、さらにはマンション管理組合など自治権を強めることが大事であると考えます。  そこで第三点は、共生・協働の視点から、地域で低下しているコミュニティーを活性化することが大事でありますが、そのことに対する認識と高齢者の孤独死などが発生しないための見回りや声かけなど、今後の取り組みについて伺います。  次に、高齢者医療制度について伺います。  厚生労働省は七月、七十五歳以上を対象とした新しい高齢者医療制度の骨格をまとめました。財源や運営主体など基本的な問題が定まっていないために、実現を危ぶむ声が広がっております。  骨格案では、七十五歳以上の八割は国保に加入する一方、残りの二割の現役会社員らは被用者保険に移ることになり、現役世代と医療費がかさむ高齢者を別勘定で運営することになります。現行制度の導入のときに、うば捨て山といって乱暴な言葉で批判し続けたのはどの党でありましたか。長妻前厚生労働大臣はこの点について、年齢で区別するという問題を解消すると強気でしたが、結局、高齢者を別枠とする仕組みは残されました。  現高齢者医療制度は、約十年間与野党で議論して決め、改善を加えた結果、国保の保険料格差が五倍から二倍に縮小され、七割の世帯で保険料が下がっております。また、現医療制度に対して容認している高齢者も多いと聞きます。  新制度の問題は、同じ所得であっても、国保に入っている人は所得に応じて保険料を出しますが、被用者保険の被扶養者は保険料を払わなくてもよいことになり、旧老人保健制度のときに逆戻りすることになります。また、保険証を現役世代と同じにしただけで、財政運営は現在と変わりません。何のための改革かわかりません。旧老人保健制度と同じく、高齢者と現役世代の負担割合が不明確になるという問題もあります。  そこで伺う一点目は、新しい高齢者医療制度の中間報告がなされましたが、現制度との違いや課題について見解を伺います。  二点目は、この制度で課題となっている運営主体が、現在の市町村による広域連合とするか、都道府県とするか明確ではありませんが、本県は、運営主体をどのように考えておりますか。また、実施された場合の本県の国民健康保険への影響について伺い、二回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 40 ◯知事(伊藤祐一郎君)新しい高齢者医療制度についてのお尋ねがございました。  高齢者医療制度改革会議が去る八月二十日に示しました中間取りまとめでは、現行の後期高齢者医療制度の対象であります七十五歳以上の高齢者につきまして、サラリーマンの方とその被扶養者は被用者保険の、それ以外の方は国民健康保険の対象とすること、保険料の納付や軽減判定等は現行の個人単位から世帯単位で行うこととされているところであります。  また、財政運営単位につきましては、現行は都道府県単位の市町村広域連合でありますが、取りまとめでは、都道府県が担うべきとする意見が多数である旨が記述されているところであります。他方で、医療費の将来推計やそれに基づく財政負担、運営主体、各保険者間の財政調整、公費投入のあり方などの課題につきましては、引き続き検討するとされているところであります。  この問題につきましては、全国知事会におきましてもプロジェクトチームを設け検討してきておりまして、六月にまとめた中間報告では、運営主体は市町村広域連合が適当とする一方で、都道府県と市町村がそれぞれの役割を分担する意見についても触れられているところであります。  私といたしましては、将来にわたって医療保険制度の安定的運用を図りますためには、国の財政責任をまず明確にした上で具体の制度設計を行うべきと考えておりまして、今後の国の検討状況に応じ、全国知事会とも連携しながら、いずれにしろ大きな財政負担が都道府県に生じないよう必要な主張を行ってまいりたいと考えております。 41 ◯土木部長(渡 正昭君)社会基盤の老朽化対策についてでございます。  道路や港湾などの公共施設は、高度経済成長期に多くが整備され、今後、大量更新などによる事業費の増大が予想されますことから、公共施設の現状を的確に把握、評価し、中長期的に施設の状態を予測することにより、効率的かつ効果的に維持管理するアセットマネジメントの導入が必要であると考えております。  特に、橋梁につきましては、平成二十年度に長寿命化修繕計画を策定し、この計画に基づき、補修対策を順次実施しているところでございまして、毎年十億円程度の費用が見込まれております。  また、港湾や河川等の施設につきましても、現在、施設の点検を行いますとともに維持管理計画の策定を進めており、これらを含めた対策費用につきましては、コスト縮減を図りながら、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。  県管理の公共施設につきましては、限られた予算の中でこれまで以上に、更新費用の平準化やライフサイクルコストの縮減を図る必要がありますことから、今後とも、アセットマネジメントの考え方を導入した維持管理計画の拡充に努めてまいりたいと考えております。  老朽化マンション対策についてでございます。  本県における分譲マンションは、平成二十一年度末で約四百三十棟、二万三千戸あり、うち建築後三十年を経過しているものは約八十棟、四千三百戸でございます。  分譲マンションの修繕や建てかえなどへの支援につきましては、県において相談窓口を設置いたしますとともに、管理組合等を対象としたセミナーを開催しているところでございます。建物調査等の費用を補助する制度につきましては、国の制度を活用し、修繕や建てかえが計画的に行われますよう周知に努めてまいりたいと考えております。  高齢者対策、孤立化対策に関連した、県営住宅における団地内サロンづくりについてでございます。  県営住宅では、福祉施策と連携し、高齢者に配慮した住宅づくりや生活支援を行うシルバーハウジングプロジェクトを進めております。これまで本事業により十二団地において団らん室を設置し、高齢者等の交流の場として活用されております。また、これ以外に百十六団地において集会所を設置しておりまして、団地自治会等に高齢者等の交流の場として活用していただきたいと考えております。 42 ◯企画部長(六反省一君)川内原子力発電所の増設に関連して、まず、原子力技術者の不足についてでございます。  原子力に関して、安全の確保を図りつつ、その研究開発及び利用を進めていくために、優秀な人材を育成・確保する必要があると考えております。しかしながら、大学における「原子」という語を冠する学科は、学科の名称変更や統合等によりまして大きく減少している状況にございます。  このため、国におきましては、平成十九年度に原子力人材育成プログラムを策定し、学生のインターンシップ等への支援など、人材の発掘・育成等に努めております。また、小・中・高校において、来年度から小学校を皮切りに順次、改訂された新学習指導要領に基づく原子力やエネルギーに関する教育を行うこととしております。さらに、産学官による原子力人材育成関係者協議会におきまして、人材育成活動について検討を行っているところでございます。  県といたしましても、安全の確保を前提として原子力の有効利用を図るために、人材育成が重要であると考えておりまして、原子力発電関係団体協議会を通じて、原子力技術者養成のための教育と人材確保を国に要望しているところでございます。  原子力発電所の高経年化対策についてでございます。  原子力発電所の運転につきましては、定期検査によって次のサイクルの運転の安全を確認するという予防保全の仕組みによりまして、点検、部品・機器交換等を行い、安全性・信頼性の維持向上が図られております。  また、三十年を超えて運転を継続する場合は、事業者は事前に機器の経年劣化及び現状の保全活動の評価等を行い、保守管理方針を策定して、十年を超えない期間ごとに国の認可を得ることになっております。その上で、通常の定期検査に加え、保守管理方針に基づく国の保安検査や定期安全管理審査等により安全性を確保する仕組みとなっているところでございます。  次に、核燃料サイクルと高レベル放射性廃棄物についてでございます。  核燃料サイクル施設の一つでございます六ヶ所再処理工場につきましては、竣工時期がことしの十月から二年間延長をされております。また、高レベル放射性廃棄物の最終処分地につきましては、閣議決定によりまして、平成四十年代後半を目途に最終処分を開始するとしておりますが、現時点で候補地は決まっていないところでございます。  県といたしましては、核燃料サイクルの確立は国の責任において行われるべきと考えておりまして、原子力発電関係団体協議会を通じて、早期確立に向けての取り組み強化を国に要望しているところでございます。国と関係事業者において早期の対応が図られることを期待いたしております。  九州電力の地元住民等への情報提供等についてでございます。  九州電力は、ホームページに三号機増設コーナーを設け情報公開に努めておりますほか、薩摩川内市と周辺二市の計七十二地区で説明会を開催いたしますとともに、毎月、原子力情報紙を各戸に配布するなどの情報提供を行い、また、各地区のコミュニティー協議会長等への訪問活動や各種イベントへの参加など、地域に密着した理解促進活動を展開しておられます。  今後とも、原子力発電に対する地元住民の理解を深めるために積極的かつ丁寧な情報提供に努めていただきたいと考えております。  漁業補償についてでございますが、九州電力から川内市漁業協同組合に協議の申し入れをしたと聞いておりますが、その後の経過については承知いたしておりません。また、補償交渉の状況についても県としては把握していないところでございます。  一、二号機建設の際の地元業者の参入状況についてでございます。  九州電力によりますと、一、二号機の建設費はおよそ五千百億円でございまして、うち六百九十億円余りが旧川内市の企業に発注をされております。また、建設工事に係る従業者数は延べ約三百四十二万人であり、うち延べ約百二十一万人が旧川内市から雇用されているところでございます。 43 ◯保健福祉部長(西中須浩一君)高齢者対策についてお尋ねがありました。  まず、民生委員の現状と今後の対応についてでございます。  民生委員は、地域福祉の担い手として重要な役割を担っており、本県における現行の定数は、鹿児島市を含めまして三千八百五十名となっております。  近年、高齢世帯の増加、虐待事例の多発などによりまして、民生委員の業務は多様化してきております。このため、県におきましては、今回の改選で定数を十五ふやしますとともに、民生委員を対象とした相談・援助方法等についての研修会や活動の基礎となる情報を得るための意見交換会等の開催、さらには、活動の手引の配布等を通じまして、民生委員活動に対する支援を行うこととしております。  今後とも、市町村と連携して、民生委員が活動しやすい環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。  地域福祉計画の策定状況と対策についてでございます。  市町村が策定する地域福祉計画は、平成二十一年度末現在で、県内六市町村が策定し、策定率は一四%となっております。本県におきましては、地域福祉計画策定の趣旨であります高齢世帯の孤立化防止につきましては、県高齢者保健福祉計画や市町村総合計画等で対応できていること、さらには、全国に先駆けまして平成五年度から、市町村と連携いたしまして、高齢者等を地域全体で支える仕組みづくりに取り組み、自治公民館単位でほぼ全県的に見守り体制が整っていますことから、地域福祉計画を策定する市町村が少なくなっている状況にあります。  県といたしましては、市町村に地域福祉計画策定ガイドラインを提示し、助言をしているところでございます。  県営住宅における高齢者の現状と実態調査についてでございます。  県営住宅の入居者における六十五歳以上の高齢化率は、平成二十二年四月一日現在で九・九%であり、また、高齢単身世帯の比率は八・八%であります。  県営住宅における高齢者世帯の状況につきましては、県営住宅のある市町村、県営住宅の管理者等と連携し、その状況把握に努めてまいりたいと考えております。  高齢者の孤立化対策についてでございます。  本県におきましては、自治公民館単位でひとり暮らしの高齢者等を地域ぐるみで支援するため、自治会、老人クラブ、婦人会などの地域住民のネットワークを活用して、声かけや安否確認などの見守り活動を行ってきております。  県といたしましては、今後とも、高齢者が地域で孤立化しないよう見守り対象者を把握するための見守り台帳、見守りマップの作成を支援するなど、ネットワーク活動の充実を図りますとともに、地域包括支援センターを中心に地域の連携を深めることにより、高齢者を地域全体で支える仕組みづくりを進めてまいりたいと考えております。  新しい高齢者医療制度の運営主体と影響についてでございます。  運営主体につきましては、これまで、市町村広域連合が市町村との緊密な連携を図りながら、円滑な事務処理と安定経営に努めてきているところであります。新たな制度におきましても、蓄積されましたノウハウやシステムを十分活用し、現行制度の利点を引き継ぐ観点からも、運営主体は市町村広域連合が適当と考えております。  また、国民健康保険への影響につきましては、保険料の算定対象が個人から世帯単位へ変わることにより、賦課の算定や軽減適用の見直し、システム改修などの業務がふえますほか、被用者保険への移行に本人の新たな手続が必要となります。  なお、財政的な影響等につきましては、制度構築の根幹にかかわる部分につきまして引き続き検討するとされていますことから、現段階では判断できないところであります。 44 ◯県民生活局長(灰床義博君)地域コミュニティーの活性化についてでございます。  近年、少子・高齢化が急速に進行するとともに、住民ニーズが複雑多様化している中で、行政だけでなく、自治会やボランティア、NPOなど多様な主体が地域づくりの担い手となり、それぞれが連携し、支え合う共生・協働の地域社会づくりを促進することが極めて重要であると考えております。  こういう中で、地域コミュニティーは住民自治組織として重要な役割を担っております。  現在、薩摩川内市が自治基本条例により四十八のコミュニティー協議会を設置し、峰山地区などにおいて自主的な活動を展開されているところであります。また、志布志市などでは、条例に基づかない地域住民で構成する組織で同様の取り組みが行われているところであります。  県としましては、このような取り組みが全県的に広がるよう、県と全市町村で構成する自治体ネットワーク会議を開催し、研修や事例研究などを行ってきております。  今後とも、市町村において、近隣自治組織の一形態でありますコミュニティー・プラットホームの仕組みの導入・普及が進み、共生・協働の地域社会づくりが促進されますよう積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 45 ◯持冨八郎君 先ほど川内原子力発電所の漁業交渉について質問したわけですけれども、部長は把握していないと、こういう答弁でありました。  通告をしているわけですし、それを聞いて私どもも判断しなきゃいけないんですが、把握していないというのであれば、今後、こういうふうに掌握しますとか、何か答えをいただかないと判断ができないと思うんですが、答弁をお願いします。 46 ◯企画部長(六反省一君)事業者であります九州電力と川内漁業協同組合との交渉でございますので、県としては、その交渉の結果等について報告があるまで見守りたいと考えております。    [持冨八郎君登壇] 47 ◯持冨八郎君 驚きましたけれども、それによって三号機増設のスケジュールが延びるかもしれないわけでして、見守るということもですけれども、しっかり、どうせこうせということを言うわけではなくてですね、どうだったのかと聞くことはそんな大変なことではないと思うわけでありますけれども、もうちょっと誠実に対応していただきたいなと思います。  それぞれ御答弁いただきました。  社会基盤等の老朽化については、長寿命化により更新費を抑制する対策は取り組まれておるわけでありますけれども、〇八年現在、橋梁の長寿命化修繕計画の策定率は四一%にすぎず、河川管理施設は一五%、港湾施設は一三%と低い水準にとどまっております。本県でもしっかり取り組んでいただきますよう要望しておきます。  原子力発電所の三号機増設については、会派としてはこれまで、調査と増設は別として増設には反対してまいりました。質問した答弁や委員会での議論を考慮して、今議会で結論を出したいと考えております。  高齢者対策については、公明党が推進する新しい福祉の観点から、高齢者が安心して暮らせるよう地域で見守りサービスの拡充が必要であると思います。提案した実態調査や交流の場づくりなど参考にして、高齢者対策に県もしっかり取り組んでいただきますよう要請いたしまして、次の質問に入ります。  新たな社会問題について。  初めに、うつ病対策について伺います。  経済・社会の急激な変化等を背景に、うつ病患者が増加傾向にあります。厚生労働省が発表したうつ病に関する患者調査によりますと、全国の患者数の推移として、平成八年に四十三万人でありましたが、平成二十年には百四万人と推計され、約二・五倍に急増しております。また、統計にあらわれない潜在的なうつの有病者は二百五十万人、うつ病を含む気分障害者の有病者は一千万人以上と推計をされております。
     さらに、うつ病は自殺の主要な原因であるとともに、国の自殺総合対策会議が自殺・うつ病に起因する経済的損失は年間二・七兆円と発表したように、社会的損失が大きいことなど、対策が急がれます。  そこで第一点は、本県におけるうつ病患者の現状を示すとともに、関係機関との連携や全庁的な取り組みについて伺います。  第二点は、県民へのうつ病に関する情報の周知と相談窓口の充実、あわせて、早期発見・早期治療のための人材育成・確保について、取り組みについて伺います。  第三点は、うつ病患者の社会復帰に向けての取り組みについて伺います。  第四点は、うつ病対策の財源となる地域自殺対策緊急強化基金は平成二十三年度までとなっております。継続的な対策が重要であると考えますが、今後の対応について伺います。  次に、熱中症対策について伺います。  全国で梅雨明けした七月十七日から八月三十日までに、熱中症がきっかけとみられる死者が全国で四百九十六人に上ることが判明いたしました。被害はお年寄りや幼児だけでなく、成人でも脱水症状で倒れる場合が少なくありません。  消防庁は、八月に熱中症で病院に運ばれた人が全国で昨年八月の四・四倍、二万八千二百六十九人に上ったと発表いたしました。鹿児島県内では、七、八月の二カ月間で熱中症の疑いで救急搬送された人は百四十五人に上り、記録が残る〇六年以降、最多となりました。気象庁の統計で八月の平均気温がほぼ全国で戦後最高を記録する猛暑となったことが影響したようであります。しかし、この死者数は、〇四年新潟県中越地震や台風二十三号による死者数、行方不明者数をはるかに上回る数であります。  そこで第一点は、救急医療活動における熱中症対策として、通報時の応急処置に関する指示マニュアルを作成すべきと考えますが、取り組みについて伺います。  第二点は、希望者に対して熱中症注意情報を電子メールで送信するなど、熱環境の情報管理や周知を強化すべきと考えますが、いかがでしょうか。  第三点は、ヒートアイランド対策として、住宅や事業所などにおける屋上緑化や壁面緑化、雨水利用の普及・拡大に向けた助成制度が重要と考えます。そこで、本県の取り組みについて伺います。  次に、多剤耐性菌アシネトバクターの対策について伺います。  帝京大学病院は九月三日、入院患者ら四十六人が多剤耐性菌アシネトバクター菌に感染していると発表しました。次々と明らかになった院内感染問題は国内でも広まる可能性が指摘されております。  福岡大学病院では、〇八年十月から〇九年一月までに二十六人が感染したケースがありますが、韓国の病院から転院した患者が発端となっておりました。菌自体の病原性は弱いため一般の人には余り影響はありませんが、病院の外から持ち込まれて抵抗力の落ちている入院患者に感染すると、治療が難航するおそれがあります。  また、獨協医科大学病院で国内で初めて見つかったNDM1という遺伝子を持つ新型多剤耐性菌も国内での広がりが懸念されております。構造上、他の菌に移ることができるため、健康な人にも症状を起こす赤痢などの細菌が耐性を持ち、治療困難になる可能性もあると言われております。新たな対応が求められております。  多剤耐性菌アシネトバクターの拡大は約十年前から海外では問題となっておりましたが、日本では、病院で見つかった場合、国への報告が義務づけられておりませんでした。人間の命を預かる病院側の認識の甘さとともに、多剤耐性菌に対する政府の危機感の欠如も指摘されております。  そこで伺う第一点は、本県の医療機関での現在の予防対策について伺います。  第二点は、施設内での衛生管理、感染者が発生した場合の体制、患者の早期治療、拡大防止対策について、具体的な取り組みについて伺います。  次に、動物愛護センターについて伺います。  会派で視察した熊本市動物愛護センターでは、殺処分ゼロを目指す取り組みが効果を上げ、全国的にも話題になっておりました。動物園から異動したセンター所長は、動物を守る仕事から、処分しなければならない立場となり、連日のように行われる殺処分に心を痛めておりました。そんな中、獣医師、愛護団体、取り扱い業者、盲導犬使用者、公募等さまざまな関係者で構成した熊本市動物愛護推進協議会を設立し、行政と地域が一体となって殺処分ゼロを目指す取り組みを始めておりました。  センターでは、取引を依頼する飼い主に対して、最後まで責任を持って飼い続けるよう強く説得、やむなく引き取ったペットについては、性格や習性を写真とともに市のホームページで紹介し、新しい飼い主を探すことにも取り組んだ結果、平成十年に九百六十九頭の殺処分が平成二十一年にはわずか一頭に激減しておりました。  そこで伺う第一点は、平成二十年三月、動物愛護管理推進計画が策定されましたが、本県における動物愛護管理の現状について、また、殺処分数の推移について伺います。  第二点は、アニマルセラピーの研究・普及やマイクロチップの研究、終生飼養する教育の推進等を図るために、本県にも県立の動物愛護センター設置を提案しますが、見解を伺います。  次に、教育問題について。  初めに、学力向上策について伺います。  七月三十日文科省は、二〇一〇年度全国学力・学習状況調査の結果を公表しました。政権交代に伴い、従来の全員参加から、三一%の抽出校に変更されて初のテストとなりました。今回、中学三年生に対して、初回の〇七年度に小学六年生で受けた問題と類似する比較問題を出題した結果、円周率の問題では間違いが増加するなど、課題は解消されず、文科省は、改善は不十分、小学校、中学校の連携に工夫の余地があるとしていると報道されました。  本県では、抽出校を含む全公立小・中学校が参加いたしましたが、採点や分析方法は各市町村で異なり、全国との比較に賛否が分かれ、現場の教員からは採点業務の負担が大きいとの報道もありました。  そこで伺う第一点は、本県の全国学力テストの結果についてお示しいただくとともに、〇七年度テストを受けた小学六年生が今回、中学三年生となってテストを受けました。どのような結果になったのかお示しください。  第二点は、今回の予算が削られて抽出となった結果、教師の採点業務及び分析等にどのような影響があったのかお示しください。  また、二〇一一年度から新学習指導要領が実施され、小学校五年、六年生で外国語が必修化されます。本県においても、研究指定校を中心に研究が進められておりますが、先日、労働局から偽装請負の是正指導を受け、外国人講師の授業がストップしたとの報道がありました。  そこで伺う第三点は、本県の小学校におけるALT請負状況についてお示しいただくとともに、英語教育の実施状況、効果及び課題についてお示しください。  次に、教員の資質向上について伺います。  平成十九年三月に中央教育審議会の答申で、近年、教員は、学校の管理運営や保護者対応に追われる業務がふえており、結果として、子供たちと向き合う時間が少なくなってきていると指摘され、我が会派もこれまで何回となく取り上げて、議論してまいりました。教員の多忙化は、精神的病による休職者の増加にもつながっていると考えます。また、保護者からの理不尽なクレームなど、教員の職場環境も非常に厳しくなってきております。  視察した神奈川県では、平成十九年に県教育委員会の関係課長代理や副校長をメンバーとした教員の勤務実態に係る検討会を立ち上げ、報告書を作成、この報告書を踏まえて、教員の勤務実態改善に向けた取り組みについての教育長通知により、関係各課及び学校での取り組むべき内容を明確に明示して、子供と向き合う時間の確保の取り組みを進めておりました。この取り組みによって、平成二十年度三百六十件の調査件数が平成二十二年度には二百九十二件と、一八・九%の削減を実現しておりました。  また、同じく神奈川県教育委員会では、本年八月に弁護士を採用し、県立学校や教育委員会各課等に対し、法律問題に対する相談窓口を設置することにしておりました。さらに、東京では、うつ病などが原因で休職する教員のための職場復帰支援プログラムを実施しております。  そこで伺う第一点は、公立学校が依頼されて取り組む調査業務の現状についてお示しいただくとともに、神奈川県が取り組んで成果を上げた調査業務の縮減に取り組むべきと考えますが、見解を伺います。  第二点は、精神的病による休職者の状況と課題及び対策についてお示しください。  第三点は、訪問した神奈川県では、弁護士を採用し、学校や教員を法的面から支援する相談窓口が設置されておりました。本県においても、教師が自信を持って生徒や保護者に接することができるよう、弁護士などによる専門的な助言のできるサポート体制を築くべきであると考えますが、見解を伺います。  最後に、若者の就労支援について伺います。  長引く不況により、雇用環境、特に若い人の雇用環境はさらに悪化しております。公明党はこれまでも、ジョブカフェや地域若者サポートステーションの充実など一貫して若年者の雇用対策に取り組んでまいりました。昨年七月には、自公政権のもと、雇用対策としてフリーターやパート労働者などがパソコン講習など職業訓練の受講を条件に生活費を支給する訓練・生活支援給付金制度がスタートいたしました。月額、扶養者がいる場合は十二万円、単身者の場合は十万円が支給される制度であります。  若者の就労支援については、国の制度と同様の趣旨で本県独自の取り組みもなされております。また、本県の職員の企業訪問による雇用確保など努力されているところでありますが、本県におけるこれまでの若者の雇用対策の評価と今後の考えを伺い、三回目の質問といたします。 48 ◯保健福祉部長(西中須浩一君)うつ病対策についてお尋ねがありました。  まず、うつ病患者の現状と取り組みについてでございます。  国の患者調査によりますと、本県の平成二十年のうつ病を含む気分障害の患者数は約一万人と推計されております。  県におきましては、医療、労働、教育、警察などの関係機関・団体から構成されます県自殺対策連絡協議会及びその下部組織であります県自殺対策ネットワーク会議を設置し、官民一体となって、総合的な自殺・うつ病対策についての取り組み方策の検討や共同で事業を実施するなど、連携を図っております。また、施策の総合的な推進を図るため自殺対策庁内連絡会議を設置しており、この中で、自殺の主な要因であるうつ病対策につきましても、関係各課が連携して取り組んでおります。  うつ病に関する情報の周知、相談窓口等についてでございます。  うつ病に関する情報につきましては、県民がうつ病について正しく理解し、早く相談や受診につながるよう、相談窓口等を記載したリーフレットの配布やテレビ、ラジオ等の各種媒体の活用等により周知しております。また、保健所や精神保健福祉センター等におきまして相談窓口を開設し、相談技術向上のための研修会を開催いたしますとともに、ハローワークや多重債務者相談会へ心の健康相談員を派遣するなど、相談窓口の充実を図っております。  さらに、早期発見・早期治療のために、かかりつけ医や看護職員等を対象に、うつ病に関する研修会を実施しております。  うつ病患者の社会復帰の取り組みについてでございます。  うつ病患者の社会復帰支援につきましては、労働者の健康管理を所管する労働局などが中心となって取り組んでおりますが、在宅療養中は保健師が家庭訪問等により早期回復、再発予防等について支援を行うなど、職場復帰等に向けた支援に努めております。  今後とも、保健所や精神保健福祉センターによります相談支援、事業所向け広報紙等の活用による情報提供などを通じまして、職場復帰を支援してまいりたいと考えております。  地域自殺対策緊急強化基金終了後の対応についてでございます。  本県におきましては、地域自殺対策緊急強化基金の活用によりまして、自殺予防に係る県民への普及・啓発や早期対応のための人材育成などさまざまな施策に取り組んできたところでありますが、基金終期となります平成二十三年度までに、自殺対策連絡協議会等による協議を踏まえ、より効果的な自殺対策に取り組んでまいりたいと考えております。  なお、うつ病対策を含む自殺対策は継続的に取り組むことが必要なことから、平成二十四年度以降も自殺対策予算を確保できるよう国に要望してまいりたいと考えております。  次に、熱中症対策でございます。  まず、熱中症対策におけるマニュアルの周知についてでございます。  熱中症対策につきましては、例年梅雨明けをめどに、県医師会や報道各社に対する熱中症の予防に関する普及・啓発の協力要請や県ホームページへの情報の掲載などを通じまして、県民に対する注意喚起や情報提供を行っております。特に、ことしは報道各社の積極的な御協力により、県民への周知も進んでいるものと考えております。また、県では、水分補給や熱中症発生時の対応等を内容といたしました環境省の熱中症環境保健マニュアルを市町村及び保健所に配布しているところでございます。  今後とも、市町村や事業者と連携して、マニュアルにあります予防対応や応急処置内容等の周知に努めてまいりたいと考えております。  熱環境の情報管理や周知についてでございます。  熱中症対策におきまして、気温や湿度などの情報は極めて重要であり、県民一人一人がテレビなどの天気予報やデータ放送等から、これらの情報を日常的に取得していただくことが大事であると考えております。気象庁や環境省におきましても熱中症予防情報を公開しており、財団法人日本気象協会では熱中症予防情報を電子メールで配信しております。  熱中症予防対策につきましては、いろいろな情報媒体から直近の気象情報などを取得していただくとともに、小まめな水分補給による予防や熱中症についての理解を深めていただくことが大事であると考えております。  多剤耐性菌アシネトバクターの対策についてでございます。  医療機関におきましては、医師、看護師、薬剤師等から成る院内感染対策委員会を設置し、対応マニュアルも作成して具体的な対応を行っております。例えば、感染症患者の入院状況、抗菌剤の使用状況、薬剤耐性検査の実施結果等について情報を一元的に集約し、耐性菌患者等の早期把握に努めますとともに、医療従事者に対する手洗い・手指消毒等の徹底、院内の消毒・清掃等のチェックなども行って院内感染防止に努めております。  耐性菌を持つ患者が院内で発生した場合、まずは患者を個室で管理いたしますとともに、同室者等の感染状況の把握を行い、あわせて、院内の施設・器具等の消毒や清掃の一層の徹底に努め、感染防止対策に努めております。耐性菌を持つ患者に対しましては、効力のある抗菌剤による治療を行い、全身管理を含めた総合的な医療体制をとっているところでございます。  県といたしましては、国の方針に基づきまして、多剤耐性菌アシネトバクター等による院内感染が発生した場合は速やかに報告を求めますとともに、院内感染防止の徹底がなされるよう指導してまいりたいと考えております。  動物愛護管理の現状と課題についてでございます。  動物愛護管理推進計画では、取り組むべき施策や、平成二十九年度までに達成すべき具体的な数値目標を定めております。平成二十一年度現在、半減を目標といたしました犬・猫の捕獲、引き取り、殺処分頭数につきましては、約二三%減少しております。また、倍増を目標といたしました返還率、譲渡率も約一・六倍に増加しており、計画はおおむね順調に推移していると認識しております。  課題といたしましては、猫の引き取り頭数が横ばいで推移していることから、室内飼養など適正飼養のさらなる啓発が必要であると考えており、猫の飼い方ガイドを県のホームページへ掲載するなどの対策を講じているところであります。  動物愛護の推進についてでございます。  動物愛護の推進につきましては、動物愛護講習会、しつけ方教室及び動物触れ合い教室などを開催し、啓発を図りますとともに、動物との触れ合いによる効果が期待されておりますアニマルセラピーなどにつきましても普及・啓発を行っております。  今後、動物愛護の推進を図るためには、拠点となる施設の整備が必要であると考えており、現在、具体的な施設の整備について検討しているところでございます。 49 ◯環境林務部長(内門公孝君)ヒートアイランド対策についてでございますが、平成二十一年度から民間事業者等を対象に実施しております省エネ施設・設備等の助成事業におきまして、屋上緑化や壁面緑化等の整備に対し、事業費の三分の一を上限に助成を行っているところでございます。  また、地球環境を守るかごしま県民運動におきまして、月別の取り組みテーマとして、緑化活動や節水などを掲げ、地域や企業、家庭での実践活動を促進しておりまして、引き続きこうした県民運動による普及・啓発などを通じまして、ヒートアイランド対策の取り組み促進を図ってまいりたいと考えております。 50 ◯教育長(原田耕藏君)教育問題についてお答えいたします。  まず、本県の全国学力テストの結果についてでございますが、いずれの教科も、平均正答率が全国の平均正答率のプラスマイナス五ポイントの範囲内となっておりまして、全体としての本県の学力状況は、全国平均と同水準にあると考えております。  また、本年度は、平成十九年度に調査を受けた小学校六年生が中学校三年生で再度調査を受け、学習成果を把握できる最初の機会でございましたが、抽出調査への変更に伴い、厳密な比較は困難となったところでございます。  しかしながら、平成十九年度の小学校六年生の算数は全国平均を下回っておりましたが、三年後に受けた本年度の中学校三年生の数学も全国平均に到達していないなど、小学校段階での課題が改善されていないところでありまして、今後、一層の取り組みの強化が必要であると考えております。  採点業務及び分析等についてでございますが、抽出対象校以外の学校では、実施要領を踏まえ、市町村教委の責任のもとで採点等が行われたところでございます。採点につきましては、大半の市町村におきまして、文部科学省から示された具体的な採点基準に基づき、当該校の教員による採点等が行われており、これまでのところ問題等の報告は受けていないところでございます。  また、抽出調査への変更に伴い、昨年度に比べまして詳細な分析が困難になった面はありますものの、各学校に対しましては、文部科学省から集計・分析作業を支援する計算ソフトが配布されたところでありまして、各学校がこれらを活用して学習指導の改善・充実に取り組むよう指導してまいりたいと考えております。  小学校外国語活動の実施状況等についてでございますが、県内の各小学校におきましては、学級担任とALTによるさまざまな外国語活動が展開されておりまして、ALTにつきましては、平成二十二年八月現在、九十四人が市町村教委に直接雇用されておりますほか、八人が業務委託契約による勤務を行っているところでございます。  また、小学校外国語活動につきましては、既に県内の全小学校におきまして先行実施をされているところでありまして、子供たちは、外国語を用いたコミュニケーションを体験しますとともに、異なる文化についての理解等を深めているところでございます。  今後の課題といたしましては、授業を担う学級担任の資質向上や効果的な指導法の確立などがございまして、引き続き、教員研修等を通じましてこれらの課題に取り組んでまいりたいと考えております。  学校からの報告物の縮減についてでございますが、平成二十年二月に県教委が実施をしました実態調査によりますと、小・中学校対象のものが百三十七件、高等学校が八十四件、特別支援学校が二十五件、複数校種に及ぶものが百八十八件、総計で年間四百三十四件となっております。  これらの報告物のうち県教委が主体となって依頼したものは二百九十四件となっておりまして、これらにつきまして部内で検証し、五十三件を廃止をいたしますとともに、八件について調査回数を減ずるなど、見直しを図ったところでございます。  県教委では、これまでも、学校への調査物について整理統合を進めるなど負担軽減を図ってきておりますが、今後とも、調査物の整理等に努め、学校現場の負担軽減を図ってまいりたいと考えております。  精神疾患による休職者の状況等についてでございますが、平成二十一年度の教職員の精神疾患による休職者数は九十二人であり、年々微増しております。休職の要因としては、学習指導・生徒指導上の悩みや家庭的な問題などさまざまなものがあると思われます。  県教委といたしましては、校長や教頭に対して、不安や悩みを抱える教職員への対処方法やメンタルヘルスに関する研修を実施をいたしますとともに、市町村教委に対しては、心の健康のための研修や、相談しやすい環境づくりについて学校長を指導するように依頼をいたしております。  また、教職員に対しましても、医師によるメンタルヘルス相談や退職校長が相談に応じる教職員よろず相談などの相談窓口を設けておりまして、教職員が悩みを抱え込まず、日々の教育活動に取り組めるよう支援をいたしているところでございます。  学校に対する理不尽な要求への対策についてでございますが、学校に対する意見や要求は、基本的には保護者や地域の方々の期待のあらわれであり、学校経営上の貴重な情報ととらえております。しかし、その中には明らかに理不尽なものと思われる要求もありまして、これらに対しましては、校長を中心に学校全体で毅然とした対応をするとともに、必要な場合には、県教委や市町村等の顧問弁護士に相談しながら対応をいたしているところでございます。  県教委といたしましては、今後とも、市町村教育委員会や各学校に対しまして、県教委が作成をいたしました研修資料の一層の活用を促しまして、教職員が教育活動に専念できるよう指導してまいりたいと考えております。 51 ◯商工労働水産部長(白橋大信君)若者の雇用対策の評価と今後の考え方についてでございます。  若年者の就業支援につきましては、雇用確保ローラー作戦等による求人開拓や若者就職サポートセンターにおける職業適性診断等の実施、座学と実習を組み合わせた職業訓練などに取り組んでおりますが、今春の新規学卒者の就職内定率はこの五年間で最も低くなるなど、雇用情勢は依然として厳しい状況であり、引き続き積極的な支援を行う必要があると考えております。  このため、県としましては、今後とも、新雇用創出プランに基づき、産業おこしの推進等による新規雇用の創出に努めるとともに、国や関係機関と連携を図りながら、若年者の雇用対策に努めてまいりたいと考えております。    [持冨八郎君登壇] 52 ◯持冨八郎君 それぞれ御答弁をいただきました。  うつ病対策については、政策立案推進検討委員会で委員の皆さんと一緒に勉強をさせていただきました。  うつ病は風邪のようなもので、だれでもなる可能性があり、適切な治療により治癒すること、また、携帯電話のバッテリー切れのような状態で、睡眠や休養など適切に対応することで健康を取り戻せることなど、もっともっと県民に周知することが大事であり、早期発見・早期治療の体制づくり、あるいはそのための人材の育成等が急務であります。国も力を入れようとしている分野であり、動向を注視しながら、対応を要請しておきます。  熱中症対策については、公明党の斉藤政調会長が九月一日、猛暑対策ビジョン二〇一〇というのを発表いたしました。同ビジョンは、直接的な熱中症対策、ヒートアイランド対策などのまちづくり、温暖化対策の三つを視野に入れたものであります。政治はスピードが大事です。迅速な対応を要請しておきます。  また、本県においても、今後、運動会など猛暑の中で本番に向けての練習などが予想されますので、万全な体制でお願いをしておきます。  動物愛護センターについて。公明党はマニフェスト二〇一〇において、人と動物の共生社会の構築として、捨て猫殺処分ゼロ、動物看護士の資格化、アニマルセラピーの研究・普及の促進を挙げました。熊本市の取り組みもあるように、行政と地域が一体となって取り組むことが重要であり、県としても、先ほど検討するということでありましたけれども、動物愛護センターの設置も含めて強く推進していただきたい、このように思います。
     若者の就労支援につきましては、今いろいろと御尽力をいただいているところでありますが、社会進出の一歩目からつまずかないように、支援策等の一層の周知に努めるとともに、学校や関係機関ともしっかり連携をとって就労支援をしていただきますようにお願いをいたします。  最後に、一言苦言を申し上げたいと思います。県営住宅の建てかえについてでございます。  先ほど土地区画整理の話をしましたが、いろいろと話をする中で、「明和の県営住宅はなくなるんですか」という、そういう質問を受けました。担当課に確認をして、県営住宅の建てかえについての基本方針について説明を受けました。今後十年間で建てかえが必要な時期を迎える希望ヶ丘団地、紫原第二団地、原良団地は現在地での建てかえは行わないという説明を受けました。そして、住宅供給公社の松陽台等の郊外に移転をするという話でありました。  今まで、平成四十年までに順次そこで建てかえをすると伺っておりましたけれども、方針変更はいつ、どのような手続で決まったのか。また、方針変更によるまちづくりの変更、あるいは予算、それまでのスケジュール、これはどのようになるのか。「議会には説明したのですか」と担当の方に聞きましたら、「三月議会で企画建設委員会で少し話しました」ということでありましたけれども、私どもは企画建設委員会に入っておりませんので、大変不誠実な対応だと、このように思います。  現在の住民への説明はどのようになされたのか。また、現在の住民の学校、人間関係、高齢者の生活等、そのような事情はどのように考慮されるのか。何の説明もありません。新聞報道ばかりが先行して、一番大事な現在の入居者には何の説明もされておりません。まずは地元できちっとした説明会を開いていただきたいし、私ども議会にもきちっと報告をしていただきたい。そのように思います。  地元の方々は、県のやり方に不信と不満を持っておられます。昨日も明和地区を回りましたけれども、「私の生活はどうなるんでしょうか」と、そういうふうに言っておられました。  計画を見せていただきますと、いいことも書いてあります。低コストで家賃も安くなる。地産材を使う。あるいは子育て支援をする家庭を優先するとか、いいことも書いてありますけれども、現在地に必ずしも立地する必要がないというのが、その趣旨に書いてありますけれども、それは行政の立場であって、住民の立場から言えば、そこの場所に建てる必要がないなどということは言えないわけでありまして、非常にこれは住民の方に対しては不誠実であろうと思っております。  知事は常々、県政の主役は県民であると言われますけれども、県民不在の行政になってはいませんか。住民の暮らしに視点を置き、県民とともに歩む県政、オープンな県政を要請して、代表質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 53 ◯議長(金子万寿夫君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 54    △ 日程報告 ◯議長(金子万寿夫君)九月二十四日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問及び請願・陳情の委員会付託であります。       ───────────── 55    △ 散  会 ◯議長(金子万寿夫君)本日は、これで散会いたします。        午後三時十五分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...