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2009-02-26 平成21年第1回定例会(第3日目) 名簿
2009-02-26 平成21年第1回定例会(第3日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 2009-02-26
    2009-02-26 平成21年第1回定例会(第3日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
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    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(金子万寿夫君) ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、代表質問    上 村 勝 行 君    持 冨 八 郎 君  一、議案議第一号の質疑    大 園 清 信 君    柳   誠 子 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 代表質問 ◯議長(金子万寿夫君) まず、代表質問であります。  上村勝行君に発言を許可いたします。
       [上村勝行君登壇](拍手) 3 ◯上村勝行君 おはようございます。  県民連合を代表して代表質問をさせていただきます。  ろれつが回らない状態で記者会見し、貴重な文化施設に侵入するなど、醜態を世界にさらした中川前財務金融大臣の言動は言語道断であります。また、この事態を未然に防げず、日本の信用を失わせ、国益を損なった恥ずべき行為の重大さに気づかないまま、迅速な処理ができなかった麻生首相自身の判断の甘さは情けない限りであります。自民党内でもだれも責任を持って収拾に動かなかった危機管理能力の欠如は、政権の末期的症状と言わなければなりません。  さきの十九日に発表された共同通信の世論調査では、「麻生内閣を支持する」が一三・四%へと下落し、「支持しない」は七六・六%へと急増しました。百年に一度の危機とも言われる経済と雇用の深刻化の中で、麻生政権に何を期待できるのか、いつまで続けるつもりなのか、もはや自民党による政権のたらい回しは許されません。ここまで来れば、早期に衆議院を解散し、国民の信を問うのが筋であります。  知事は、国民の支持を得られなくなった麻生内閣と政治に何を期待されるのか、率直な見解を伺います。  郵政民営化法に基づき、郵政三事業は日本郵政株式会社のもとに、郵便事業会社・ゆうちょ銀行・かんぽ生命・郵便局会社の四つに分社化されました。しかし、民営・分社化後の状況を見ると、非効率的な業務内容や利用者の利便性の低下、簡易郵便局の閉鎖などが発生しており、ネットワークの維持の面でも厳しくなってきています。また、ゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式は十年以内に完全売却が予定されており、郵便局への業務委託が民営化法に明記されていない中では、不採算地域から撤退していくことは明らかであります。そうなると、他に金融機関のない地域の利用者には大変な不便となります。このため十二月県議会では、将来的に郵便局において確実にサービスを受けられ、ユニバーサルサービスを義務づけるなどの見直しを求める政府等への意見書を提出しました。  郵政民営化法は、「三年ごとに民営化の進捗状況について総合的な見直しを行う」と規定しており、最初の見直し時期がことし三月末であります。四社間の統合や合併をするには民営化法の改正が必要となります。我々はユニバーサルサービスの維持のためには法改正が必要だと考えます。  知事は、民営化後の郵政事業の現状をどのようにとらえておられるのか。民営化の見直しについてどのような見解をお持ちか。今後の対応についてと、あわせてお答えください。  平成二十一年度の地方財政計画の規模は八十二兆五千五百五十七億円で、今年度比一・三%の減少となり、八年間の規模縮小に歯どめがかからず、一般財源規模も五十九兆八百億円、一・三%の減となっています。しかし、国税・地方税の大幅な減収が見込まれる中、地方交付税を地域雇用創出推進費や地方の元気回復財源として一兆円上積みし、地方交付税総額は増額され、臨時財政対策債五兆一千五百億円を含めて、実質的には今年度比二兆七千三百億円増の二十兆九千七百億円となっています。この結果、地方一般歳出規模は今年度比〇・七%増の六十六兆二千二百億円となり、十年ぶりに増額となりました。  他方、二十一年度の地方財源不足額は、歳入面での大不況を反映して地方税が大幅に減収していることと、歳出面では給与関係経費を削減したものの、社会保障関係経費や経済・雇用対策経費等の増加から十兆四千七百億円に上りました。これは臨時財政対策債や地方債などによって補てんされましたが、これら借金の一定割合は後年度基準財政需要額に算入されるとはいえ、借金であることに変わりありません。過去の例から見ても、その分交付税が増額されるとは限らず、自治体は将来にわたって借金の償還に追われることになります。このような財源不足対策では、地方歳出に対する地方歳入が構造的に財源不足に陥ることになり、交付税率の引き上げなど抜本的な改革が求められます。知事の見解を求めます。  二点目は、地方財政計画への財政需要の適切な積み上げについてであります。  全国知事会の資料を見ると、骨太方針二〇〇一による構造改革が始まって以降の六年間で、基準財政需要額は七兆七千億円と一七・九%減少しており、特に平成十八年以降、骨太方針二〇〇六の歳出・歳入一体改革の推進により大幅に減少しました。また、道路・河川の維持管理にかかわる単位当たり経費が、国直轄道路負担金交付税算入額は単価ベースで負担実績額の八割弱しか措置されておらず、河川の維持管理にかかわる算入額に至っては約三割にとどまるなど、全く実績を反映していないとしています。  したがって、骨太方針二〇〇六に固執することなく、全国知事会の要求である地方にとって重要課題となっている医師不足への対応、少子・高齢化対策、教育や地域振興、安全・安心のための社会資本の維持・整備費など、今後増加が見込まれる財政需要や必要経費が基準財政需要額に適切に積み上げられるために、伊藤知事としても積極的に取り組むべきでありますが、決意を伺います。  三点目は、国直轄事業負担金制度の廃止についてであります。  大阪府の橋下知事は、国が行う道路や河川の整備などで地元自治体に負担が義務づけられている国直轄事業負担金の二十一年度分を、「僕の責任で二割ストップさせてもらう」と支払い拒否を宣言しました。また、新潟県の泉田知事は、北陸新幹線の建設負担金二百二十億円の増額について、国の十分な説明がないとして、来年度の予算措置に応じられないとの見解を表明しました。橋下知事は、職員の給与カットを初め福祉や教育分野にも切り込んで財政再建に取り組み、地方が乾いたタオルを絞るような節約努力を強いられているときに、一方的な負担のつけ回しは納得できないと、頑強な姿勢であります。  この国直轄事業負担金の廃止や国庫補助負担金の原則廃止は、地方六団体の「地方分権の推進に関する意見書」で提言されているものであります。しかし、国交省などは受益者負担の原則から、地方も負担するのが当然として譲る構えを見せていません。また地方の姿勢も、片山前鳥取県知事が指摘するように、「江戸のかたきを長崎で討たれかねない」という心配があり、廃止を要求してはいるものの、唯々諾々と支払いに応じているのが現状だと言われても仕方がありません。受益者負担を言うのであれば、権限と財源を地方に渡す分権を徹底し、広域的な利害にかかわる案件には関係する首長が相談して負担額を決めるなど、地方自治の観点から廃止することがむしろ重要であります。  分権推進論者である伊藤知事も、ここは橋下知事や泉田知事、石原知事など強力な自己主張者とともに先頭に立って廃止を勝ち取る戦いを国に挑むべきだと思いますが、知事の決意のほどを伺います。  本県の平成二十一年度予算案の特徴は、深刻化する雇用情勢に対応して、国の経済・雇用対策に伴う基金造成による雇用機会の創出を初め、離職者向けの研修や職業訓練助成金の支給などに四百四十九億円を計上し、補正予算と合わせて七百億円を超す措置がなされている点であります。これらは我が会派が昨年末と一月末に提出した要請にも積極的にこたえられたものと評価いたします。  二月十六日、内閣府が発表した国内総生産速報は、年率換算で一二・七%の減と三十五年ぶりに二けた減となりました。日本経済の牽引役であった自動車や電機などの輸出企業は、販売不振で在庫が積み上がり、大幅な減産と雇用調整の動きが広がる一方です。特に雇用環境は急速に悪化しており、昨年末の派遣や期間工など非正規労働者の解雇から、ことしに入って正社員の早期退職や人員削減計画の発表が相次いでおります。また、二〇〇七年の労働者派遣法の改正に伴う製造業への派遣期間三年の契約が、三月で一斉に切れる「二〇〇九年問題」に直面します。  そこで、伺います。  一点目は、県として主体的に県内における企業の業績と雇用の動向を把握し、景気変動に伴う業績悪化や雇用情勢の変化に迅速に対応できる体制を築くとともに、国や都道府県、市町村、教育機関等との連携の強化を図ることが重要でありますが、どのように取り組んでおられるのか、お伺いいたします。  二点目は、「二〇〇九年問題」における派遣労働者の一方的な契約解除、雇いどめ等が行われないように企業に要請するとともに、継続雇用に向けた支援策を講じる必要があると思いますが、どのように対応されるのか伺います。  三点目は、トヨタやキャノンなど日本を代表する大手製造業十六社が大規模な人員削減を進める一方で、内部留保が十六社合計で三十三兆六千億円に上ることが明らかになりました。過去の好景気による利益が社員の人件費に回らず、株主配当や財務基盤強化対策として企業内部にため込まれているのであります。自動車や家電などこの三月期決算が赤字になることを理由に、非正規労働者の大量解雇に続いて正社員も大幅なリストラ計画が次々に発表されています。しかし、大企業の赤字額の規模から見ると、当面内部留保を吐き出して一年間でも雇用を維持し、業績の回復に一丸となって当たるべきだと考えますが、見解を伺います。  四点目は、産業構造の転換と雇用創出についてであります。  世界同時不況の中で、過去において不況脱出の起爆剤であった輸出に復調が見込めない事態は、日本経済にとって危機的な状況であります。これまでの外需依存から国内の需要を掘り起こし、景気刺激と雇用機会の創出を図っていく経済産業構造の抜本的な転換が必要であります。このため、日本版グリーンニューディール政策や農林水産業への就労などが打ち出され、各分野での取り組みが進みつつあります。  本県においては、先般、新雇用創出プランの素案が発表されました。この中に、本県の基幹産業である農林水産業や観光産業、次世代の基幹産業となる自動車・電子・食品や、今後成長が期待される環境・バイオ関連の新産業、医療福祉・介護事業の振興、地域の特性を生かした取り組み支援等により、雇用の量的拡大を図るとの基本的方向と具体的対策が示されております。現在、急激な雇用悪化による離職者の増加で農業や介護関係に雇用の場を求める傾向が強まり、人手不足に悩んできた現場では歓迎の声が上がっており、まことに喜ばしいことであります。  しかし、このような求職希望が単に不況下での一時的なものであってはなりません。外需依存から国内需要を掘り起こす長期的な視点を踏まえた産業構造の転換を図る戦略の上に立った雇用の創出に結びつけることが必要であると思いますがいかがでしょうか。そのための施策を重点的に取り組む仮称「産業雇用企画課」を設置して推進すべきと考えますが、あわせてお答えください。  五点目は、自動車関連産業についてであります。  本県では、新時代に対応した戦略的重点業種として自動車・電子・食品関連の三分野の振興を位置づけていますが、今回の世界的景気後退で自動車産業を取り巻く環境は加速度的に悪化し、その影響は部品メーカーや鉄鋼・電気など関連産業にも大きく波及してきており、終息の気配は見えない状況です。  そこで、自動車不況の影響は本県の関連企業にどのようにあらわれているのか。今後の重点業種としての位置づけと、具体的展開の展望をどのように見ておられるか、伺います。  六点目は、県の試験研究体制の充実であります。  県農業開発総合センターを初め森林・水産分野の試験研究機関では、本県の財政難から県単独事業研究費の縮減が続いており、昨年度は一億三千万円余、この三年間で見ると縮減率四〇%となっております。これに対して、国庫補助や委託、公募などの外部資金を活用したケースが増加し、研究費に占める割合は六五%に及びます。外部資金の活用は、最先端技術を持つ外部機関との連携で研究成果を高める上で有効ではありますが、本県における新たな分野の産業振興と事業の創出のためには、地域の資源や特性を生かした独自の試験研究が何よりも重要であります。  そこで、農林水産系と工業技術系との連携を含めて、本県の試験研究の有用性を高めるために、試験研究費の予算の増額と体制の強化を図る必要がありますが、見解を伺います。  本県の当初予算案の一般会計総額は、今年度当初比〇・一%増となり、緊縮予算が八年ぶりにプラスに転じました。その内訳は、本県の厳しい財政状況の中にあっても深刻化する景気と雇用に重点的に配慮し、「安心・活力・改革継続予算」と名づけて時宜を得た施策が盛られております。県税収入が一五・二%も落ち込むという大変な経済環境にあるだけに、「力みなぎる・かごしま」の実現に向けた産業基盤の強化と県民生活の向上のため、着実な施策の推進が図られるよう期待するものであります。  本県の財政再建に向けては、県政刷新大綱に基づくあるべき歳出構造を目指した人件費や公債費、普通建設事業費一般政策経費などの削減と、県有財産の売却など歳入確保に努めてきているところであります。その結果、平成二十一年度では二百三十八億円の財源不足見込みを、歳入歳出両面での取り組みによって百四十八億円にまで抑制し、十六年度の四百五十一億円の不足から三百三億円の収支改善が図られたところであります。  一方、平成十六年度を基準とした歳出合計は五千四百二十八億円であったものが、二十一年度には四千九百二十七億円と五百一億円減少しています。十六年度時点の財源不足が四百五十一億円でありましたが、二十年度までに四百六十九億円減少しておりますから、既に財源不足額は解消していなければならないのであります。また、あるべき歳出構造の削減目標から見ると、十六年度に比較し人件費は既に一一・四%、普通建設事業費は四七・五%、一般政策経費は一九・七%減少しており、それぞれ目標値を達成しています。しかし、現状維持を想定していた扶助費は、後期高齢者医療制度の導入などによって二九・一%増加しています。  では、なぜ四百五十一億円の歳出削減目標を達成しているにもかかわらず、来年度のさらなる歳出削減によっても百四十八億円もの不足額が生じるのか。これは明らかに国の財政再建至上主義による骨太方針二〇〇六によって、削減が固定化された地方自治体の人件費と投資的地方単独事業費の削減によるものと言わなければなりません。  知事は、このような地方の財政再建に向けた懸命の努力と、その結果にもかかわらず依然として改善されない今日の財政の窮状をどのように総括されているのか、率直な見解を伺います。  厳しい本県の財政の再建のために、知事も職員も議員も県民も身を削り、血のにじむような削減努力をしても、国による地方への一方的な負担転嫁の財政運営に翻弄されて、ますます財政の硬直化が進む状況にあり、これ以上歳出削減を続けるのは無理があります。伊藤知事は本県の財政運営のあり方を質問されると、いつも「引き続き県政刷新大綱を踏まえた歳出削減や、歳入確保の努力を行うことによって財源不足額の圧縮に努め、歳入歳出のバランスのとれた持続可能な行財政構造の構築を目指す」と答弁されますが、もはや歳出削減は限界です。先ほど申し上げた地方財源の確保対策、抜本的な地方への権限と財源の移譲こそ必要であります。今後の財政運営についての考え方と財政再建への決意を伺います。  来年度の県職員の給与については、本年度に引き続き若年層は五%、それ以外は六%を一年間カットするとした給与条例案が今議会に提案されています。給与カットをしなければならない理由として、本県の厳しい財政状況が挙げられますが、財政赤字の原因はバブル崩壊後の身の丈を越えた多額の公共事業と、その借金返済、三位一体改革による平成十六年度三百十五億円の交付税の一方的削減であります。県政刷新大綱に基づく人件費の削減は、職員の縮減と二%カットの四年間に加え、本年度も六%カットと続いており、これ以上の給与カットは実質的な生活の切り詰めで職員に多大な犠牲を負わせ、士気にも影響が出かねない状況です。  県政刷新大綱による財源不足の圧縮を目指す人件費削減は来年度までで二百三十三億円に達する額であり、二十一年度までの歳出削減額五百一億円の四六・五%を占めます。このように財政再建に大きく寄与しているにもかかわらず、政府の骨太方針二〇〇六による地方公務員の定数削減目標に沿った交付税の削減が重くのしかかり、地方が人件費削減に努力すればするほど交付税が削減されていく状態は、まさに国によるアリ地獄にはまり込んでいくのと同じであります。  人材の確保を図る公務員制度と適正な職員給与の支払いを求めた人勧制度を守っていくべき知事としては、本来職員の給与カットは禁じ手であります。地方への財源確保のために国と真正面から渡り合うとともに、事務事業の峻別や県有財産の早期売却などによって一%でも二%でも、十億円でも二十億円でも財源を捻出し、少しでもカットを回避する努力を行うことこそ知事の責務であります。見解を求めます。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 4 ◯知事(伊藤祐一郎君) 麻生内閣の政治に期待することについてのお尋ねであります。  あらゆる経済活動がさらに急激な下降局面に陥っている異常な情勢におきまして、国民の暮らしに直結するさまざまな課題への対応が求められる中、国民の不安を払拭し、国民生活の安定を図るため諸般の政策を講じるとともに、既存の経済システムが崩壊しないよう、大胆な政策を講ずることが当面の最大の政治課題であると考えており、麻生総理が日ごろから発言しておられるように、景気対策、雇用対策について、早急に短時間で最大限の努力をしていただきたいと考えているところであります。  郵政事業の現状認識等についてのお尋ねがありました。  郵政民営化につきましては、郵便局において郵便・貯金・保険サービスが確実に提供されるよう、関係法令の適切かつ確実な運用を図り、現行水準が維持され、国民の利便に支障が生ずることのないよう万全を期すことなどを内容とする附帯決議が行われ、関連法が成立した経緯があります。一方、県内におきましては、民営化に際しまして三十二の郵便局の集配機能の廃止、集約がなされましたほか、現在簡易郵便局六局が一時閉鎖となっているところであります。郵便事業は、郵便・貯金・保険の三事業を通じ地域に密着したサービスを提供しておりまして、特に、本県のような離島や過疎地域の多いところにおいてはなくてはならないものであると考えております。  今回の見直しに当たりましても、当初の附帯決議の内容がしっかりと全うされるべきであると考えております。このため、九州地方知事会等を通じまして郵政民営化における条件不利地域への最大限の配慮を要請いたしておりますほか、郵便局株式会社が主催する会議等の場において、本県の離島や過疎地域のサービス低下につながることがないよう求めているところであり、今後とも地域の実態に根差した主張の展開に努めてまいりたいと考えております。  平成二十一年度の県当初予算に関連いたしまして、財政運営の考え方と財政再建への決意についてのお尋ねがありました。  本県におきましては、県政刷新大綱に基づき徹底的な歳出の抑制に努め、職員給与を含めたあらゆる歳出の見直しを図ってきているところでありますが、社会保障関係経費が増加傾向にあることや、過去の大胆な県債の発行に伴います公債費が高水準で推移することなどによりまして、引き続き多額の財源不足額が見込まれるところでもあり、このような状況が直ちに改善するとは考えられないところであります。このような状況にありましても、将来の鹿児島の発展を図り、県民の生活を守りますためには、大胆改革を進め、持続可能性への挑戦を継続すべきであると考えており、国はこのような地方財政が置かれている状況を踏まえ、特に自主財源比率の低い団体を対象として地方財源をさらに充実すべきであると考えております。  職員給与カットの回避についてのお尋ねがありました。  県職員は一人一人が「力みなぎる・かごしま」の実現を目指す県政の担い手でありまして、それぞれの職場で県勢発展のため、さまざまな努力をしていただいているところであります。県職員の給与につきましては、これまでも人事委員会勧告を尊重するという基本的姿勢をとっているところでありますが、本県の極めて厳しい財政状況を踏まえると、あらゆる歳出項目の厳しい抑制を行う中、歳出の中で最大の項目であります人件費につきましても最小限度の減額は避けられず、来年度につきましても本年度同様の職員給与の減額をお願いすることとしたところであります。 5 ◯総務部長(篠原俊博君) 交付税率引き上げ等の抜本改革についてでありますが、平成二十一年度の地方財政における財源不足額は、景気後退に伴う税収減などにより十・五兆円に上り、臨時財政対策債の発行や国の一般会計での加算措置等により、所要一般財源の確保がなされているところであります。地方の財源不足額に対処するためには地方交付税の法定率の引き上げも一つの議論でありますが、そもそも法定率のベースとなる国税が大幅な減収となっている一方で、国家財政自体一般会計予算八十八・五兆円のうち、三七・六%に当たる三三・三兆円を国債に依存し、そのうち赤字国債が二十五・七兆円に上る状況を考慮いたしますと、より根本的には我が国の国、地方を通ずる財政全体における歳出と歳入面のギャップについて、抜本的な改革を行うことが必要になっていると考えております。  このような観点から、昨年七月の全国知事会におきましては根本的な解決のためには歳入増が必須であり、単に赤字を減らすための増税ではなく、住民が安心して暮らすことができるサービス水準を、地域の現場において今後とも支えていくための財源確保が可能な税財政制度を構築することが必要であるとして、地方としては税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方消費税を充実すべきであり、国、地方を通ずる消費税を含む税体制の抜本的改革の中で検討し、実現を図るよう提言がなされたところでありまして、このような観点から真摯な議論が行われるべきであると考えているところであります。  基準財政需要額の適切な積み上げについてでありますが、過疎地域、離島等が多く、税収面での自主財源が乏しい本県にとりましては、地方交付税等の確保が極めて重要であり、これまで本県を初めとする地方団体の働きかけにより、離島関係経費の算定の充実や地方再生対策費の創設などを見たところであります。県といたしましては、これまでさまざまなルートや機会を通じまして国に対し地方の実情を主張してきたところでありますが、特に昨年十二月には、本県六団体で構成する鹿児島県地方自治推進代表者会議におきまして、地方税財源の充実強化等に関する緊急アピールを行い、早急に一兆円の地方交付税の復元、増額を図るよう、国に対し強く要請したところであります。  この結果、平成二十一年度の地方財政対策におきましては、地方財政として大幅な税収減等による財源不足が見込まれる中で、地方交付税の一兆円増や地方再生対策費の維持などを含めて所要一般財源の総額が確保されたところであります。しかしながら、基本方針二〇〇六等に沿った定員の純減、給与構造改革等による給与関係経費の抑制や地方単独事業費の抑制は引き続き行われているとともに、今回の地方交付税の増額等の財源措置はその全額が恒久的なものではないことから、今後とも雇用創出のための経費や社会保障関係経費、地方の実情に即した地域再生の取り組みに要する経費など、地方における必要な歳出を適切に地方財政計画に積み上げ、本県の基準財政需要額に反映するよう、国に強く求めてまいりたいと考えております。  国直轄事業負担金制度の廃止についてでありますが、直轄事業負担金制度につきましては、従来より国と地方の役割分担を明確にし、国の役割と整理される事務の財源は全額を国が負担すべきであり、責任の明確化のためにもこれを廃止すべきという議論がなされてきたところでありまして、本来的には地方分権改革の中で、国と地方の役割分担とそれに応じた税財政制度の整理とあわせて、直轄事業負担金制度の廃止を目指して改革をすべきであると考えているところであります。このような中で、先般、直轄事業負担金制度に関しまして、全国知事会として国土交通省との間で合理的なあり方について協議の場を設けたい旨の申し入れを行ったところでありまして、また政府・与党も新たな経済対策の中でその取り扱いを検討せざるを得ない状況でありますので、本県といたしましては引き続き全国知事会等とも連携しつつ、直轄事業負担金制度の改革がなされるように取り組んでまいりたいと考えております。  今日の財政の窮状についてでございますが、平成十六年度に策定をいたしました県政刷新大綱におきましては、おおむね十年程度の中長期的な視点に立ちまして、あるべき行財政構造の姿やその実現に向けた改革の方向性を示したところでありまして、その実現に向けて懸命の努力を続けてきたところであります。この結果、一般財源ベースで見た平成二十一年度の歳出構造は、扶助費が大幅増となっているものの、その他の項目につきましてはおおむね削減目標圏に到達しつつあり、合計で平成十六年度と比較をいたしまして五百一億円の歳出削減を行っているところであります。  一方、歳入につきましては、三位一体改革とあわせて行われました地方財政計画の抑制や、基本方針二〇〇六等に沿った定員の純減、給与構造改革等による給与関係経費や地方単独事業費の抑制等に加えまして、昨今の景気後退に伴います県税等の減収に伴いまして、平成二十一年度の歳入一般財源の総額は、平成十六年度と比較をいたしまして百九十八億円減少しているところであります。  したがいまして、本県は引き続き極めて厳しい財政運営を迫られているところでありますが、平成二十一年度におきましても、平成十九年八月に策定をいたしました当面の財政収支の見通しでは、二百三十八億円と見込んでおりました財源不足額を、景気後退による大幅な税収減が見込まれる中で約九十億円圧縮をしたところでありまして、財政健全化の取り組みは着実に進んでいると考えているところであります。 6 ◯商工労働部長(六反省一君)  景気変動に対応できる体制の構築等についてであります。  企業業績と雇用動向の把握につきましては、これまでも商工団体等との間で情報交換に努めておりますが、今般の急速な景気悪化に対しましては、県内企業への直接訪問による情報収集を行い、当面の緊急雇用等対策を直ちに実施するとともに、政・労・使による県緊急雇用対策会議を開催するなど迅速な対応に努めているところであります。さらに二十一年度におきましては、雇用労政課に緊急雇用対策担当参事を設置するなど組織強化を図ることとしております。また、国と連携し、地域共同就職支援センターを開設するなど、国や関係機関との連携にも努めているところであり、今後とも一層の連携強化に努めてまいりたいと考えております。  二〇〇九年問題についてであります。  いわゆる二〇〇九年問題につきましては、主として製造現場において派遣期間が満了する労働者が大量に発生し、失業者の増加等が懸念されている問題でございます。国におきましては、派遣先における直接雇用を奨励するために、一人当たり最高百万円を支給する奨励金制度を二月に創設したところであります。県としては、この奨励金制度の活用による派遣先での直接雇用や派遣元での新たな就業機会の確保が図られるよう、国と連携しながら周知、広報や要請に努めるとともに、離職者に対する職業訓練の大幅拡充など、再就職が円滑に図られるよう支援してまいりたいと考えております。  内部留保と雇用維持についてであります。  急速な景気悪化に伴い雇用情勢は大変厳しい状況にあり、県内においても非正規労働者の雇いどめや正社員の解雇、休職などの雇用調整が発生しております。大手製造業の内部留保については、雇用維持への活用を求める意見があることは心情的に理解できるところでございますが、その使途につきましては、個々の企業経営者が高度の経営判断、経営計画に基づき決定されるべきものと考えております。  産業構造の転換と雇用創出等についてであります。  本県の産業構造につきましては、食品関連産業の割合が高くなっておりますが、雇用創出や産業構造の高度化のためには、研究開発や設備投資が期待できる環境関連分野など雇用効果が大きく、付加価値生産性の高い第二次産業の振興に引き続き取り組む必要があると考えております。また、地域特性を生かした新たな産業の創出や地場産業の振興も重要であり、今後とも技術開発や販路拡大にも取り組み、雇用の創出につなげてまいりたいと考えております。  産業雇用企画課設置の御提言につきましては、これまで商工労働部全体で産業振興、雇用対策に取り組んでおり、今後とも一体的な対応に努めてまいりたいと考えております。  自動車不況の影響等についてであります。  世界的な景気の悪化による自動車産業の不振の影響は、電子関連産業など他産業にまで広がっており、本県の関連企業におきましても工場の閉鎖や大幅な受発注の減少など、非常に厳しい状況となっております。しかしながら、自動車関連産業につきましては、世界規模でのCO2排出削減に向けた取り組みを背景に、電気自動車やハイブリッドカーなどの環境関連分野を中心に活発な研究開発や設備投資が期待されるほか、雇用効果や県内企業の取引拡大といったメリットも大きいことから引き続き重点業種に位置づけ、県内企業の取引拡大とあわせて企業誘致活動も展開してまいりたいと考えております。  県試験研究機関の予算と体制についてであります。  県の各試験研究機関におきましては、相互に連携しながら地域の課題や地域産業の多様なニーズに即した研究開発を行いますとともに、成果の迅速な普及、定着に努めているところであります。厳しい財政状況の中で県単独事業の試験研究費は年々減少いたしておりますが、国の公募提案型研究事業などの活用や研究テーマの選定など一層の峻別と重点化を図り、効率的な試験研究の実施に努めているところであります。県の各試験研究機関は今後とも本県の産業おこしの技術的なよりどころとして重要な役割を果たすべきものと考えており、日々変化している市場ニーズや生産現場に的確に対応した研究開発を進め、本県産業の振興、創出に寄与してまいりたいと考えております。    [上村勝行君登壇] 7 ◯上村勝行君 るる答弁をいただきました。  今日の政治に関する見解は、若干知事と異にします。今日の国民の窮状を救い、新しい日本の進路を確立するためには、今何よりも国民の信託を受けた強力な政権をつくる必要があるというところから出発すべきであると思います。オバマ大統領の強力な指導性は選挙によってもたらされたものであります。このようなとき、一国の総理が自分の党が選挙に勝てるか勝てないかで解散時期を判断してよいとは思えません。麻生さんがかねがね主張してやまない愛国心が今こそ発揮されるべきだと思います。愛国心とは、すなわち自己の利害を越えたところにある精神だと思います。国民に愛国心を説くならば、もっと気高い気持ちで出処進退を判断してほしいものであります。それができないところに現在の日本の不幸があると思います。  郵政に関しては、かんぽの宿のオリックスへの売却問題が政治問題にまで発展しておりますが、国民が長年にわたって築いてきた財産を二束三文で売るようなことをさせてはなりません。売却の本丸はゆうちょ銀行とかんぽ生命をアメリカにたたき売ることであります。アメリカの対日年次改革要望書には、そのようなねらいが隠されております。プラザ合意以降、日本はアメリカに搾り上げられてばかりおります。今回のドル安・円高もそうです。これ以上日本の富をアメリカに貢ぐ必要はないと思います。三事業一体化による経営の安定化と地方の郵便局の存続を図るために、郵政民営化法の抜本的な見直しを求めます。知事も県内各地の声を受けとめて努力されるようお願いいたします。  平成二十一年度県予算編成についての御答弁をいただきました。今回の予算編成に対する知事の努力は多とします。しかし、地方財政の悪化は、ひとえに経済財政諮問会議の決定、なかんずく骨太方針二〇〇六によってもたらされたものであり、地方の冷えもここから出たものと思います。したがって、これらの方針の見直しと基準財政需要額の積み上げなどを、全国知事会一体となって要請されるよう重ねて強くお願いいたします。  次の質問に入ります。  去る一月八日、九州電力は鹿児島県と薩摩川内市に川内原子力発電所の三号機増設の申し入れを行い、環境影響評価準備書を経済産業省に届け出ました。今回の三号機は二〇一九年度の運転開始を目指し、国内最大級の百五十九万キロワットで、建設費は五千四百億円に上ることが明らかになりました。原子力発電の燃料は天然に存在するウラン鉱石ですが、有害な放射線を出すため「致死性の物質」とも呼ばれています。採掘労働者やウランが運ばれる精錬所の労働者は、粉じんとなって飛散するウランの吸入と放射線被爆の危険に常にさらされながら働いております。世界各地の被害はほとんど知られておりません。しかも、原発は刻一刻と変化する電力需要にあわせて発電量を調整する能力がないため火力発電所が必要になり、結局原発をふやすということは、火力発電所の増設によって大量の炭酸ガスを発生させることにもなるのであります。  そんな原発に依存しないエネルギーの開発に、ガスや石油会社または大手電器産業が研究開発に乗り出しております。本県においても、日本ガスがこの秋から次世代エネルギーとして注目される家庭用燃料電池の販売を始めると地元紙で紹介されました。この家庭用燃料電池の研究開発は世界各国で進められており、温暖化対策の切り札として期待されております。資源エネルギー庁は二〇三〇年には千二百五十万キロワット、原発十基分にも相当する導入目標を定めております。ドイツでは、電気会社の買い取り義務の設定と買い取り価格を長期にわたり高い水準で固定した結果、新エネルギーの導入が急激にふえました。また、風力や木質・生物資源を活用したバイオマス発電が加速しています。  このような原発に依存しない自然エネルギー開発に予算を投じ、国の原発を基幹電源と位置づけ推進するとしたエネルギー政策を転換していくことが、今まさに重要なことだと思いますが、知事の見解を求めます。  次に、原発の使用済み燃料からウランとプルトニウムを取り出して再処理をした後に残る高レベル放射性廃棄物は最終的に捨てられるわけですが、その最終処分のあり方もいまだに決まっておりません。処分地の見通しはどうなっているのか、お伺いします。  九電の二〇〇八年の電力供給計画では、川内三号機が運転に入るとされる二〇一九年の最大電力を千八百十八万キロワットと見込んでおります。十年前の一九九八年の計画では、二〇〇七年度の見通しがほぼ同じ千八百十七万キロワットで、十二年も先送りされたことになり、二〇〇七年の実績から見ても百二十四万キロワットの過大見積もりであることがわかります。現在九電では、松浦火力発電所で百万キロワットを建設中であり、大分一、二号機で五十万キロワット、唐津二、三号機で八十七・五万キロワット、合計で二〇一七年度までに二百三十七・五万キロワットが稼働可能な状態で計画停止となっております。世界的な金融危機による景気低迷、人口の減少、新エネルギーの導入促進で電力需要は減少していくことは確実です。つまり、十分に電力は足りているはずですが、三号機を増設するという九電の根拠をお示しください。  また、本県は平成十一年度で県内発電電力量の四〇・九%を県外へ移出している中で、九電は平成十五年で三十万キロワットを九州外の電力会社に電力を融通してきていますが、現在の県外移出、九州外への融通は幾らか。なぜ国内最大級の原発というリスクを抱えながら県外へ電力を移出し続けなければならないのか。このままでよいと考えておられるのか、見解を求めます。  知事は定例記者会見で環境影響評価準備書について、「県民の縦覧終了後に県の環境影響評価専門委員から技術的意見を聞きたい」との考えを示されましたが、これは県の環境影響評価条例に基づく当然の手続であります。条例第二十条には「公聴会を開催することができる」と規定されています。準備書に肯定的及び批判的な意見を有する学識経験者や環境影響評価専門委員、九州電力の担当者が出席し、広く県民の参加を求めて質疑に答える公開検討会を県が主催して開催し、県民の理解を深め、合意形成の努力をすべきと思いますが、見解をお示しください。  次に、温排水の影響調査についてお伺いします。  三号機増設では放水が水中放水となっておりますが、環境影響評価準備書は水温の鉛直断面分布評価だけであり、海底地形変動と漁場に及ぼす影響等の調査検討がなされておりません。これら調査の不備は厳しく指摘されなければなりません。考え方をお示しください。  最後に、増設の是非の判断の時期についてお尋ねします。  環境調査と増設は切り離すという本県や旧川内市の方針は、環境調査を終えてから増設を考えるという意味だったはずです。環境調査は住民の意見や知事の意見を踏まえて国が審査し、準備書を確定してから評価書の作成に入る手順になっているはずであります。九電が環境調査の途中にもかかわらず増設を申し入れたことは民意の軽視であり、地元自治体の方針を無視した拙速な振る舞いであると考えます。知事は、増設の是非の判断の時期はいつであるとお考えでしょうか。  新年度予算案には、今年度に引き続きドクターヘリ導入検討事業の予算、さらには県内本土の救急患者を含めて、病院に搬送する消防・防災ヘリコプター医師搭乗システム整備事業として七百十五万二千円が計上されています。以前からドクターヘリの導入を和歌山、高知など他県の先進事例を挙げて訴えてきた私どもとしては大変喜ばしく思っております。  私どもは十一月に沖縄県に行き、北部地区医師会病院、浦添総合病院にお伺いし、ドクターヘリの運用状況について視察してきました。北部地区医師会病院の方は運用経費の都合等で現在休止中とのことでしたが、浦添総合病院は、「有人離島の多い沖縄県には医療用ヘリが絶対に必要だ」との理事長の信念のもと、二〇〇五年七月から開始した搬送システムの実績が国にも認められ、昨年十二月から正式なドクターヘリ運用となっています。全国で十四道府県目、十五番目のドクターヘリ事業で、約二カ月間の搬送実績が四十四件とのことです。与論・沖永良部・徳之島からの搬送も行われております。鹿児島県にとっては大変ありがたいことであります。  さて、本県でのドクターヘリ導入の検討委員会での議論について伺います。ヘリコプターの運航は直営で行くのか、ヘリ運航会社に委託するのか。それらの経費はどのくらいになるのか。ヘリポートは病院併設か、それとも最も近いところに整備するのか。ドクターヘリを運航させるためのスタッフ体制はどのようになるのか。またその経費をどの程度見込んでおられるのか。現在の検討状況と課題を含めて考えをお示しください。  ドクターヘリは何といっても離島の急患搬送に最大の強みを発揮しますが、救命救急センターの医師が搭乗して救命救急センターに搬送することが条件となっております。そうなると、唯一の救命救急センター鹿児島市立病院と離島間の往復時間だけでも大きなロスになり、どうしても奄美地区の中心である県立大島病院が救命救急センターの指定を受けてもらわなければなりません。また、救命救急センターは受け入れ態勢が磐石でなければ安心できませんが、浦添総合病院はベッド数三百床、医師百人の病院で、病院近くに患者を乗せたヘリが着くや、あらゆる準備が整う状況になっております。鹿児島市立病院の体制強化と県立大島病院救命救急センター指定への見通しと課題についてお示しください。  消防・防災ヘリによる県内本土での急患搬送にも道が開かれようとしておりますが、医師はどの病院から搭乗するのか、そのためのヘリポートはどうするのか。また県内各地に急患をヘリに搭乗させるためのヘリポートの整備も急がれますが、市町村との協力を含めた準備状況を御説明ください。  県都鹿児島市の都市基盤整備、なかんずく道路整備についてお聞きします。  まず、鹿児島東西幹線道路について質問します。  現在、南九州西回り自動車道路鹿児島インターから建部インターまでのトンネル工事が進行中であります。この新武岡トンネルが開通しますと、南九州西回り自動車道等からの鹿児島市街地へのアクセスは改善されるものと期待しております。また、このトンネルの供用開始は平成二十一年度中とのふれ込みでありましたが、工法等の変更によりおくれるとも言われております。現在どのような進捗状況なのか、供用開始は当初予定どおりなのか、お聞きします。  次に、建部インターから甲南インターまでの事業についてでありますが、この二期工事は県下有数の交通量を誇る曙陸橋やJR線、鹿児島市電の下を通るだけに難工事が予想されます。しかしながら、私どもは甲南インターまで開通して初めて渋滞解消の実が上がるものと考えており、期待もしているところであります。二期工事に対する技術的検討はどのようになっているのか。工事開始はいつごろになるか、お聞きいたします。
     次に、国道十号鹿児島北バイパスについてお聞きします。  鹿児島北バイパスのうち祇園之洲から磯海水浴場付近を経由して、磯川もしくは花倉川までを海浜ボックス方式によって建設するとのPI委員会提言が出されてから既に六年がたとうとしております。磯庭園前の渋滞を毎日経験するドライバーたちは「国は一体何をしているか」との不満の声を上げております。この区間が工法の問題や工事中の海水浴場の扱い、防災面など多くの問題を抱えていることはわかりますが、それにしても時間を使い過ぎているような気がします。検討状況はどのようになっているのか。課題はクリアされつつあるのか。工事着手の見通しはどうなっているのか、お聞きします。  また、県としても早期着工の要請をするべきと考えますが、いかがでしょうか。  次に、錦江湾横断交通ネットワーク可能性調査について質問します。  この可能性調査は、鹿屋市と垂水市の経済団体等で組織する桜島架橋推進協議会が、要請を続けてきたことに対する知事の現時点における一つの回答であると理解します。知事は知事と語ろ会を含むこれら陳情に対して、桜島の噴火の可能性、地球温暖化による台風の強さ、観光資源としての桜島の景観保全等の観点から架橋については否定的なようであり、トンネルなら可能性がある旨の答弁をされております。その中で、事業主体や利用頻度、現行のフェリーや鹿児島市との関係等について言及されております。  そこで質問しますが、まず、桜島を経由して陸路で大隅半島を結ぶことについて、知事の考え方を改めてお聞かせください。一般的に調査費がつくということは、その事業をやろうという意思を行政が示したと理解されておりますが、今回二千万円の調査費がついたことをそのように理解してよろしいか、お聞きします。  第二に、現在東九州自動車道を建設中であります。この道路は、紛れもなく鹿屋市を含む大隅半島のための道路でもあります。東九州自動車道建設たけなわというこの時期に、二重投資との見方も出てくると思われますが、見解をお聞きします。  次に、九州・山口の近代化産業遺産群の世界遺産登録について質問します。  この件に関しては、先般みなみホールにおいて九州各県等主催のシンポジウムが開催されました。その中で印象的であったことは、「世界に対して教訓化したいテーマを明確にすること」、「それらストーリーを確立したら、一番ふさわしいコア─核になる場所─を選び取ること」、「日本が西欧文明を導入して新しいモデルをつくることができたことを示すべきであること」という識者の指摘でありました。つまり、九州・山口の近代化産業遺産群が世界に向かって発信する物語性、ストーリー性が問われていると感じました。  このシンポジウムは、世界遺産登録に向けた今日段階における課題を明確に示したと思うのでありますが、知事はこれらをどのように受けとめられたのか。これら示された課題にどう対応しようとされているのか、お聞きします。  また、これら課題に沿った取り組み、すなわち明治維新前後の産業化がなし得た歴史的意味を、世界的視野に立ってわかりやすくユネスコ等に指し示す作業が必要であります。これらの取り組みを九州・山口一体となってやるべきだと考えますが、今後の具体的取り組みとスケジュール等について明らかにしてください。  食糧政策の基本は、安全で安心な食料の安定的な供給を確保するとともに、食料供給基地としての農村地域の健全な発展を図りつつ、可能な限り自給率を高めることにあります。  石破農水大臣の「米政策をあらゆる角度から抜本的に見直す」との発言を契機に、食料自給率の向上に向けた農政改革の最大のテーマとして、生産調整・減反政策の見直し論議が食料・農業・農村政策審議会でスタートしました。価格維持を目指した生産調整は、米の消費減と価格下落に歯どめがかからず、転作も思うように進まず、つくりたくてもつくれない現状は農家の意欲を減退させ、耕作放棄地がふえる一因にもなってきました。外国産米の輸入を阻止する代償として輸入されたミニマムアクセス米は、余剰米や汚染米の問題を発生させました。減反が本格的に始まって四十年、七兆円の巨額を投じながらも、結果、食料自給率は主要国で最低水準の四〇%に落ち、耕作放棄地と休耕田を合わせた面積は東京都の三倍近くにまでふえております。  先般、市町村が実施した耕作放棄地全体調査で、県内の耕作放棄地は二万ヘクタールに上ることが明らかになりました。調査は市町村の農地基本台帳上で「農地」と記載された土地を、直ちに耕作可能、基盤整備後に耕作可能、農地復元は不可能の三種類に分類し、このうち森林や原野など「非農地」と判断される土地も少なくないようであります。  そこで伺います。  減反政策が始まって以降、本県における減反の取り組みと、それに伴う転作はどのように進んできたのか。また、高齢化や採算性の悪化等によって耕作放棄地はどのように推移してきたのか。それぞれ実績を明らかにしてください。  私どもは、今日の農業・農村の現状を踏まえるならば、今こそ減反政策をやめて米の増産にかじを切る時期に来ていると思いますが、知事の基本的な考えをお聞かせください。  市町村においては今回の耕作放棄地全体調査をもとに、来年度内に具体的な解消計画を作成することとなっていますが、県としては二万ヘクタールのうち、どの程度の耕作放棄地の解消を目指しておられるのか。また、そのための生産品目、農地の集積、担い手育成、企業の農業参入など、どのような戦略と展開を描いておられるのか伺います。  その中で、米の減反政策の見直しによる食料の自給率向上への転換が不可欠です。主食として米の消費拡大とともに、小麦のかわりとしての米粉等の加工米や飼料米の生産拡大など、積極的な農政の展開が求められますが、今後の具体的取り組みについて伺います。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 8 ◯知事(伊藤祐一郎君) 川内原発に関連いたしまして公開討論会の開催についてのお尋ねがありました。  九州電力におきましては、環境影響評価準備書を県に提出をいたしまして、薩摩川内市といちき串木野市において県民を対象とした説明会を開催いたしますとともに、現在薩摩川内市の全四十八地区のコミュニティーを初め、いちき串木野市や阿久根市を含めた七十二地区を対象に説明会を順次開催しているところであります。県といたしましては、環境影響評価準備書につきましては、関係法令により九州電力に寄せられた住民等の意見及びそれに対する九州電力の見解を文書で送付を受けますとともに、薩摩川内市長及びいちき串木野市長の意見を求めた上で、経済産業大臣に環境保全上の見地からの意見を述べることとされており、今後、県環境影響評価条例に基づき環境影響評価専門委員の意見を伺い、所要の手続を進めてまいりたいと考えております。  増設の是非の判断の時期についてのお尋ねであります。  去る一月八日に、県に対し九州電力株式会社から、環境影響評価法に基づき川内原子力発電所三号機増設計画に係る環境影響評価準備書が提出されるとともに、増設の申し入れがあったところであります。大規模な電源開発の場合、電気事業者は経済産業大臣に対し重要電源開発地点としての指定申請を行うこととされて、国が指定するに当たってはあらかじめ知事に意見の照会がありますことから、その際に増設に対する知事としての意見を申し上げたいと考えております。増設の問題につきましては、徹底的な情報公開のもとに安全性の確保や環境保全の問題等について十分に議論し、県議会の御意向も踏まえますとともに、地元の意見も十分にお聞きして判断してまいりたいと考えております。  九州・山口の近代化産業遺産群についてのお尋ねであります。  去る一月十二日に、鹿児島市で開催されました世界遺産シンポジウムには多くの県民の方々にも御参加をいただき、明治維新及びその後の殖産興業の大きな原動力となった九州・山口地域の近代化産業遺産について理解を深めていただいたところであります。また、本遺産群につきまして海外の専門家から日本の近代化を的確に示す遺産を選定すべきでありますこと、ユネスコの登録基準に沿って具体的に検討すべきであることなどといった見解が示されたところであります。このため、世界遺産登録推進協議会のもとに国際的な専門家委員会を設置したところであり、この中で当提案の主題や構成資産の内容、構成資産の保存のための措置などについて検証を深めるなど、世界遺産登録に向けた具体的な取り組みを進めているところであります。今後構成資産の確定や遺産の保存管理計画の策定など推薦の条件が整い次第、我が国政府からユネスコ世界遺産委員会に推薦書が提出され、諮問機関による現地調査などを経て登録の可否が決定されることになります。本県といたしましては、国や関係自治体などと連携をしながら、県民の皆様とも一体となって歴史的意味を改めて指し示すことにより、世界遺産登録に向け全力で取り組んでまいりたいと考えております。 9 ◯企画部長(山田裕章君) エネルギー政策の転換についてでありますが、国におきましては、原子力発電は国内に有力なエネルギー資源を持たない我が国にとって、経済活動や国民生活を支える上で極めて重要なエネルギー源であり、安定供給に資するほか、地球温暖化対策の面でもすぐれた特性を有しておりますことから、安全確保を大前提に基幹電源として位置づけ推進しているところであります。一方、新エネルギーにつきましては、エネルギーの自給率の向上や地球温暖化対策に資する貴重なエネルギー資源としつつも、現時点ではコストや出力の安定性の面などで課題を有しますことから、当面は補完的なエネルギーとして位置づけ、コスト低減や性能向上のための技術開発等に戦略的に取り組むこととしております。今後とも原子力発電を基幹電源として安定した電力の供給を図りますためには、安全運転の実績を積み重ねていくことが極めて重要であり、またあわせて徹底した情報公開をすることにより、国民の信頼を得ながら原子力の有効利用を図ることが最も大切であると考えております。  また、新エネルギーにつきましては、我が国のエネルギー需要の多くを新エネルギーに依存していくことは、現段階では困難ではないかと考えておりますが、新エネルギーの導入は低炭素社会の実現にとっても重要でありますことから、国において技術開発や導入支援対策などについて、一層の充実強化を図っていく必要があると考えております。  高レベル放射性廃棄物の最終処分場につきましては、平成二十年三月に閣議決定されました特定放射性廃棄物の最終処分に関する計画におきまして、平成四十年前後を目途に最終処分施設建設地を選定し、平成四十年代後半を目途に最終処分を開始するとしております。現時点では候補地を決めるに至っていない状況であると聞いております。国では、エネルギー基本計画におきまして最終処分候補地の選定に向けた取り組みを強化することとし、地域支援措置の大幅な拡充や広聴・広報活動の強化に重点的に取り組むとしているところであります。  三号機増設の根拠についてでありますが、九州電力によりますと、川内原子力発電所三号機の増設につきましては、エネルギーセキュリティの確保や地球環境問題への対応、及び今後の電力需要の増加に対する電力の安定供給の確保を図るために必要としております。特に電力需要につきましては、エネルギー消費の伸びは将来的には鈍化または減少するという見方もありますが、エネルギー消費に占める電力の比率が年々高まっており、今後も電力へのシフトが進むと考えられること、またこれまでも石油危機等により経済のマイナス成長時などにおきまして、電力需要が前年割れとなることがあったものの景気回復に伴い再び増加に転じてきたことから、長期的には着実に増加が見込まれるとしており、このため二〇一〇年代後半には新たな電源の手当てが必要としております。  なお、現在計画停止となっております発電所につきましては、老朽化や発電効率等の課題もあり、長期にわたり安定した供給力として利用することはできないが、急激な需要変動などに備え一時的な供給力として保有しているものであるというふうにお聞きしております。  電力の県外移出、九州外への融通についてでありますが、九州電力によりますと、平成十九年度の県内における発電電力量のうち、県外へ移出した割合は約三二%となっております。また他電力会社への融通につきましては、平成十九年度に東京電力からの緊急的な要請を受けて最大電力で四十万キロワットを融通したと聞いております。本県が電力移出県であることにつきましては、国内や県内それぞれの地域の住民生活の向上や産業振興を図る上で必要なものについて、本県は他県から多くのものを移入していると同時に、他県へ多くのものを移出している状況にあるということを踏まえ考えることも必要ではないかと考えております。  いずれにいたしましても、原子力発電につきましては安全運転の実績を積み重ねていくことが極めて重要であると考えておりまして、先般九州電力から増設の申し入れがあった際にも、知事から同社社長に対し、一、二号機の安全運転についてこれまで以上の配慮を行うよう要請したところであります。 10 ◯環境生活部長(高山大作君) 温排水の影響調査についてでございます。  九州電力は、通商産業省令の定める環境影響評価項目に基づいて、水中放水に伴う温排水の漁場に及ぼす影響について、水環境及び海生生物に係る調査、予測及び評価を行い、その結果は準備書の水環境、動物及び植物の項目に記載し、お尋ねの漁場に及ぼす影響についても調査されているものと考えております。また海底地形の変動に関しましては、先行発電所の事例等をもとに放水口の構造や海底面からの高さを工夫することにより、海底面の洗掘や濁りの発生による影響を低減するようにしております。 11 ◯保健福祉部長(岩重秀人君) ドクターヘリの運航につきましては、実施主体である医療機関が運航会社にヘリの操縦や整備、運航管理などを委託いたしますとともに、ヘリに搭乗する医師や看護師等のスタッフも確保して実施するものでございます。これらの委託費用や人件費等を含めて運用経費として年間一億七千万円程度を見込んでおりまして、国と県が二分の一ずつ実施主体である医療機関に補助することとなっております。なお、ヘリポートにつきましては救命救急センターの医師が直ちに搭乗できる場所に確保することが国庫補助の要件とされており、鹿児島市立病院の移転予定地や既存のヘリポートなどを含めて、現在検討しているところでございます。  救命救急センターについてでございますが、鹿児島市立病院は現在県内唯一の救命救急センターとして他の医療機関と連携し、県内全域からの重症患者を受け入れているところでございます。ドクターヘリによる受け入れにつきましても、複数の医療機関の協力を得た体制づくりなどを含めて、今後ドクターヘリ導入検討委員会等で検討を行うこととしております。  県立大島病院への救命救急センターの設置につきましては、建物の増改築や医師等の確保などの課題がありますことから、県立病院局とも連携し、平成二十一年度に地域内救急搬送の実情等を踏まえながら、整備する場合の規模や体制、費用等について専門的な調査を行い、その結果を踏まえ設置基準の緩和などについて国とも協議してまいりたいと考えております。  消防・防災ヘリによります急患搬送につきましては、搬送もとの医師が搭乗できない場合や事故現場等へ直接出動する場合などに対応するため、鹿児島市内の複数の医療機関の協力を得て、浜町へリポートや谷山救難用ヘリ広場から医師をピックアップし、目的地に向かうシステムを平成二十一年度に整備することとしておりまして、現在鹿児島市医師会や関係医療機関に協力要請を行っているところでございます。また県内には百十六カ所の場外離着陸場と二百七十カ所の緊急時離着陸場がありますが、これらも含めまして適当な場所を確保するよう、各市町村や消防機関等に要請を行っているところでございます。 12 ◯土木部長(河瀬芳邦君) 鹿児島東西幹線のうち新武岡トンネルにつきましては、一部が予想以上の軟弱な土壌で、崩落の可能性があるとして行っておりました地盤改良工事が昨年末に完了いたしました。引き続きトンネルの掘削作業を再開したところでございますが、工事工程がおくれていることから、現在早期供用が図られるよう工程の見直しなどが行われております。また、甲南インターまでの区間につきましては、市街地部の地下トンネルであり、地下水位の高い軟弱なシラス地盤であること、JRを地下で横断することなどから施工方法などの検討が進められております。県といたしましても、建部インターまでの区間の早期供用並びに甲南インターまでの区間の早期着工がなされるよう、国に対して要請してまいりたいと考えております。  鹿児島北バイパスにつきましては、PI委員会から海水浴場から花倉川、または磯川までをボックスとする二案が提言され、現在環境調査や道路構造の検討が行われております。本ボックスのような海浜部におきます延長が極めて長い現場打ちコンクリート構造物は、国内外でも施工例が少なく漏水や浮揚防止対策並びに施工方法などの技術的課題が多数あることなどから検討に時間を要していると聞いております。県といたしましても、本バイパスが早期に工事着手されるよう国に対して要請してまいりたいと考えております。  錦江湾に浮かぶ雄大な桜島の景観は世界に誇れるものではございます。反面、錦江湾が薩摩・大隅両半島を隔てており、両半島の一体的な発展のために架橋を強く望まれる要望をいただいてございます。錦江湾を横断する道路の建設には雄大な眺望の中に人工物をつくるという景観の問題、桜島の火山活動や台風など自然災害の問題、さらには既存のフェリーとの競合などさまざまな課題を整理する必要がございます。このようなことから、錦江湾を横断する交通ネットワークにつきまして、東九州自動車道との関連も含め整備コストや投資効果などを検討し、どのような条件のもとにプロジェクトが成立するのかということにつきましての詳細な可能性調査を行うものでございます。 13 ◯農政部長(弓指博昭君) 米の減反政策の見直しに関する基本的な考え方についてでございますが、米の大幅な生産過剰基調を受けまして、国民の基礎的食糧であります米の需給均衡と米価の安定を図ることを目的に、昭和四十六年度から本格的な生産調整対策が講じられたところでございます。しかしその後も消費の減少傾向に歯どめがかからず、依然として米需給の不均衡が存在いたしますことから、生産調整の基本的な枠組みは維持されているところでございます。長年にわたりますこうした生産調整制度の継続は、国民の基礎的な食糧でございます米価の安定などの効果をもたらしてきました反面、農家の生産意欲の減退や不作付地、耕作放棄地の増大などに拍車をかけたのではないかという見方もございます。  こうした中、近年の国際的な穀物需給の逼迫、あるいは価格の高騰や輸入農産物の安心・安全、我が国の食料自給力に対する国民の不安などを踏まえまして、国におきましては食料自給率の向上などを目的に、米粉や飼料用米等を活用した水田のフル活用に向けた取り組みを打ち出しますとともに、現在進めている農政改革の議論の中でも、水田の有効活用方策などの米政策を主要な論点としているところでございます。我が県におきましても水稲生産農家は全農家の六五%を占めておりますことや、全国有数の畜産県でございます本県の飼料自給率の向上、あるいは安心・安全な食料の安定供給を図る観点から、水田営農の安定化に向けました取り組みは重要であると認識をいたしております。  こうしたことから、県といたしましては、国の施策や見直しの議論について注視しながら、関係機関・団体と一体となって引き続き計画的な米の生産や飼料用米など、新規需要米を含めた転作作物の定着による水田営農の確立に努めますとともに、国に対しまして稲作農家が安心してこれらの生産に取り組み、経営の安定が図られるような施策を講じるよう強く要請をしてまいりたいと考えております。  本県におきます減反の取り組みとそれに伴う転作の実績についてでございますが、米の生産調整は年々拡大をされておりまして、平成二十年度の本県の転作面積は水田面積の約三七%、一万四千七百ヘクタールとなっておるところでございます。これまで本県では計画的な米の生産に努めますとともに、技術実証圃の設置などや圃場整備、営農施設や機械等の整備支援など各般の施策を講じまして、野菜や飼料作物など転作作物の定着に取り組んできているところでございます。この結果、東串良町のピーマンなどの施設園芸団地、伊佐市のたばこ団地、鹿屋市の集落営農による飼料用稲の生産など、県下各地で地域の特性を生かした営農が定着してきております。しかしながら、中には排水不良による作柄の不安定や高齢化による水田の遊休化が進んでいるところもあり、これら地域におきます水田の有効活用が課題となっております。  食料自給率の向上に向けた米の消費拡大と米粉・飼料用米の取り組みについてでございますが、県では食料自給率の向上を図りますため、主食用米について新品種「あきほなみ」の普及や、適切な栽培管理などによる高品質で売れる米づくりを推進いたしますとともに、地産地消推進店を活用した県産米のキャンペーンや学校給食への利用促進などの消費拡大に取り組むことといたしております。また飼料米について種子の確保や畜産農家の需要に対応できる生産を促進いたしますとともに、焼酎こうじ用米につきましても加工適性の高い品種の選定や生産者と実需者とのマッチングを推進することといたしております。さらに米粉用米につきましては、パン製造業者などを対象に研修会や試作用米粉の提供などを行うことといたしておるところでございます。  耕作放棄地の推移と対策についてでございますが、本県における耕作放棄地面積は農林業センサスによりますと、農家の高齢化や農村の過疎化の進行によりまして、平成七年の約九千ヘクタールが平成十七年には約一万二千ヘクタールと増加をしてきております。また本年度耕作放棄地の詳細な現況把握をするため、市町村において一筆ごとの耕作放棄地全体調査を実施しました結果、耕作放棄地はおおむね二万ヘクタール程度と見込まれておりまして、このうち約半分は既に山林化しているなど耕作不可能な状況となっております。県といたしましては、残る耕作放棄地のうち農業振興上特に重要な地域でございます農用地区域内の約五千ヘクタールの耕作放棄地を中心に、当面その解消を目指すこととしておりますが、地域により担い手の状況や立地条件などがかなり異なりますことから、各市町村におきましてだれがどういう作物を植え、年次別にどのような施策を活用するかなどを定めました解消計画の策定を支援をいたしているところでございます。今後この解消計画を実践していくため、耕作放棄地の基盤整備や担い手への農地の集約を進めますとともに、企業などの農業参入を積極的に進めるなど、耕作放棄地の解消と発生防止に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。 14 ◯上村勝行君 自席から知事に対して重ねてお聞きいたします。  錦江湾横断ネットワーク可能性調査についての質問は、この錦江湾横断の道路あるいは架橋等をやろうという意志、決意をされてこの調査をされるのかという質問をしたはずでございます。その点について明確な御答弁がありませんので、この可能性調査の位置づけというものについてしっかり御答弁をお願いします。 15 ◯知事(伊藤祐一郎君) ただいまの点についてお答えをさせていただきたいと思います。  大きなプロジェクトをこれから実施することになります。したがって、先ほど部長から答弁いたしましたように、いろんな問題があります。まずフィージビリティースタディーと今回やりましたのは、果たしてこのプロジェクトが経済的に成功するかどうかという問題もあります。それからいろんな工事の手法等々の問題もありまして、今回のプロジェクトについては今後検討しなければいけない大きな問題があるんだろうと思います。そういう意味でとりあえずその技術的な可能性、経済的な可能性を含めて、プロジェクトの可能性について最大限の調査をするというのが今回の趣旨であります。もとより調査をするわけでありますから、うまく経済的な仕組みができ、技術的な可能性がありますれば実施することになろうかと思いますが、まだいずれにいたしましても大変大きな事業でありますので、少々の時間は要することになるんだろうと思います。  いずれにしろ、きちっとしたプロジェクトのフィージビリティースタディーをやりまして、その可能性を最大限に調査をし、そして具体的に実施できるようになれば、具体的な事業として取り組むという段取りで進めてまいりたいと思います。    [上村勝行君登壇] 16 ◯上村勝行君 川内原発三号機問題に関し答弁いただきました。  世界の原発に対する最大の関心事は、放射性廃棄物の取り扱い方がまだ決まってないことにあると思います。全国の原発の放射性廃棄物貯蔵プールはほぼ満杯状態だと聞いております。大変深刻な状態だと思っています。また六ヶ所村の再処理工場は故障続きで、本格稼働に向けたアクティブ試験運転は停止されていると聞いております。まさにふん詰まりの状況だと言ってよいと思います。アメリカの原子力規制委員会は、今回、今後百万年単位で放射性廃棄物の取り扱いを規制すると表明しております。つまり百万年後の安全が確保されなければ許可しないということを表明しております。オバマ大統領は就任演説で、「太陽と風と大地の力を利用して自動車と工場をつくる」と表明しております。こういうことから判断しますと、世界で原子力容認の流れが強くなっているとの見方は違うと私は判断しております。答弁にもありましたように、政府あるいは世論の中には、新エネルギーについて原発の代替エネルギーになるほどの規模が見込めないとの見方もありますが、私は原発に投入しているような予算を新エネルギーに投入すれば、新エネルギーは各家庭を含めて燎原の火のように広がっていくと、有効な代替エネルギーになると、こういうふうに判断しております。ぜひとも認識を改めていただきますようにお願いいたします。今後安全性、温排水、放射性廃棄物等々を重点に議論をしていきたいと、このように考えております。  ドクターヘリについては意欲ある答弁をいただきました。ドクターヘリは離島こそ早急に整備されるべきであります。奄美南部三島の場合、現に沖縄頼みになっているのでありますから、奄美大島を含めた整備方針を早急に確立されますよう強く要望いたします。  錦江湾横断ネットワーク可能性調査について申し上げますと、環境負荷や景観、財政負担を考えれば、東九州自動車道が全線開通してもなお錦江湾横断道路をつくる価値があるようには私には思えません。まだ団で会派で協議したわけではございませんが、そう考えます。新しい革袋に新しい酒を盛るのたとえがありますが、それを引用するならば、せっかく新しい革袋、すなわち九州新幹線や東九州自動車道、新若浜港をつくり、畑地かんがいを曽於、肝属等でやっているのでありますから、それに新しい酒を盛る仕事に努力を傾注すべきではないかと私は考えます。すなわち大隅半島は今大隅広域観光圏の形成や企業誘致、それに農業、食品製造業の一大産地の形成等に努力を集中する時期ではなかろうかと、このように考えます。  次の質問に入ります。  来年度当初予算には、老朽化の著しい鹿児島盲学校、鹿児島養護学校の移転整備費用、桜丘養護学校の改修費用が計上されていますが、厳しい財政状況下での県当局の英断を評価したいと思います。一方、特別支援教育の名のもと、障害のある多くの子供たちが親元を離れ、生まれなじんだ地域とも、なれ親しんだ友達とも離れて学ばなければならないのも現実であります。本来ならその地域の同じ学校、同じ学級で、その子供に必要な個別の支援を受けながら、ともに学ぶインクルーシブ教育が理想であります。インクルーシブ教育とは、初等教育や中等教育段階で障害を持った子供が大半の時間を通常学級で学ぶ実践で、英和辞典では「統合教育」と訳されております。アメリカの全障害児教育法のもとで特別教育を受ける権利を認められる子供は、一週間のうち三分の二以上を通常学級で学習できるとのことであります。  日本の場合は、個別支援の体制が十分でないためそこまでは実現していませんが、小・中学校においては特別支援学級という形で同じ学校に通い、授業内容によっては一緒に学び、学校行事などは一緒に参加している場合が多いようです。このことは健常児にとっても障害児をごく自然に受け入れ、優しさや思いやりをはぐくむきっかけにもなり、ともに認め合い、ともに育っていくという意味でも極めて重要であります。ところが高校になった途端、完全に分離されてしまいます。養護学校高等部に行くか、訪問教育を受けるか、いずれにしろ健常児と障害児の接点は極端に少なくなります。それは高校に特別支援学級がないからです。  では、なぜ高校に特別支援学級がないのか。学校教育法第八十一条では、幼稚園から小・中・高校まで特別支援学級を設置できるとしながら、同法施行規則の中に、高校の特別支援教育課程に関する規定がないからだと指摘されています。高校に特別支援学級ができれば、離島においても親元を離れて養護学校高等部に通ったり、あるいは家族ともども引っ越したりする必要はないわけであります。  そこでお伺いしますが、教育長のインクルーシブ教育に対する考え方をお聞かせください。また、高校に特別支援学級が設置できるように関係法令の整備を文部科学省に働きかけていただくことを強く求めます。特に離島に住む障害のある子供たちと、その保護者の悲願をお聞き届けくださるようお願いいたします。  肢体不自由児の機能回復などに大きな役割を果たし、利用者減とは言いながら、障害児の親からはなお強い存続要望と期待の声を受けつつ、県立整肢園が三月末で四十八年の歴史に幕を引き廃止されようとしています。その後、整肢園は一年かけて改修され、平成二十二年からこども総合療育センターとして発達障害児や知的障害児、そして肢体不自由児に対する外来治療、療育等を行うとされています。近年、発達障害児の割合は多くなっており、早期の発見・治療が極めて重要で、そのための常勤の児童精神科医の配置は不可欠です。どのような方針で臨まれるのか、お示しください。  また、手術後を含めた肢体不自由児の入所リハビリは難しいとのことであります。しかし、これでは手術後の回復期など、ある時期に集中的にリハビリを継続したほうが効果的な場合などに、遠方や離島から外来リハビリに通うことは困難であります。親も子も一緒に泊り込んでリハビリに集中できる方策を考えるべきでありますが、リハビリのためのスタッフはどうするのか。遠方からの利用者のための宿泊設備を用意する考えはないのか、お聞きします。  これまでは、近くに桜丘養護学校があり、手術後も勉強のおくれを心配しないでよかったのにという親の声は最大限尊重すべきだと思います。整肢園を廃止して、その後にできたこども総合療育センターが児童総合相談センターの機能を一部移しただけでは話になりません。私どもが視察した北海道のこども総合療育センターは、診断、治療も充実し、リハビリも理学療法士がゆとりを持ってマンツーマンで対応しておりました。職員の皆さんは、「この施設も大きな赤字を抱えながらの運営ですが、子供たちの幸せのために、私たちの給料一〇%カットが使われていると思えば納得できます」と笑顔で答えられたのが印象的でした。  知事は昨年十二月議会で、青木議員の質問に対し、「本県の小児医療・療育体制は、国、大学、鹿児島市、民間施設などで対応されており、整備されている」趣旨の答弁をされていますが、それはないでしょうとの思いであります。どこにも遜色のないこども総合療育センターの整備に向けての決意をお聞かせください。  教員免許更新制に関しては、昨年制度の試行が行われ、一月からは免許更新講習の認定も始まり、本年四月一日より本格実施となります。しかし、試行講習を受講した先生方からは、さまざまな不安や問題点が指摘されています。免許管理者の県教育委員会、そして予備講習を実施した鹿児島大学においては、これら不安解消と課題解決にどう対応されるのかお伺いします。  まず、夏季休業中を中心に行われた予備講習を通して、県教委と鹿児島大学においてどのような課題が出てきたのか。そして、それら課題解決に向けどのような協議を行ってきているのかお聞きします。  本県は多くの離島を抱えており、勤務地の地理的条件、勤務場所によって受講に伴う費用負担に格差が生じたり、受講機会の不平等が起きたりすることが懸念されます。国が更新講習受講を義務化した経緯から、受講に伴う費用負担軽減など国及び県による支援策を検討する必要があると思いますが、いかがでしようか。  交通費等の受講に伴う自己負担は、勤務地・居住地により不公平感が大きいようであります。今回の予備講習では離島での出張講座が奄美大島と種子島の二カ所で行われましたが、本格実施になったときの受講機会の確保はどのようになっているのかお尋ねします。  子供と向き合う時間の確保、多忙化解消の点から、これまで行われている研修と講習の整理・統合は不可欠であります。今回の予備講習は子供に影響を及ぼさないようにするために、土・日、夏季休業中、お盆の時期に行っています。夏季休業中も校内外の研修が集中し、特に十年経験者研修とも重複します。国会の附帯決議にある「現職研修と免許状更新講習との整合性の確保、特に十年経験者研修のあり方について検討する」ことに関して、文科省では五日間程度短縮するとの方向性を示し、各県では日数短縮を打ち出していると聞いています。あわせて、事務所・地教委単位で行われる現職研修の整理・統合の見直しが必要不可欠であります。これらの抜本的見直しについては、どのように行われているのかお尋ねします。  四月からの本格実施は全国で約十万人の教職員が受講対象となり、百を超える大学やその他の教育機関で講習が行われるようですが、平成二十一年度政府予算では、文科省による制度の整備・充実のため四十七億円余りの要求額に対し、十億円程度しか認められませんでした。この金額は講習の開設者に対する補助、山間僻地、離島における更新講習の開設者に対する補助となっています。鹿児島のように山間・離島僻地を多く抱える県に対して、文科省はこの十億円の予算をどの程度重点配分するのか、現時点でわかっている予算措置の方針について明らかにしてください。  次に、本県の海外展開の戦略について質問します。  去る一月二十六日に鹿児島市において、九州各県議会議員研究交流大会が開催されました。ことしの研究交流大会のテーマの一つに「地方からの海外戦略について」が選定されました。その視点は、本格的な人口減少・超高齢社会の到来や長引く経済不況等から都市部と地方の格差が一段と加速する中、地方においては地域産業の生き残りをかけたさまざまな取り組みが進められている。その中でも特にものづくりを初め、農林水産物等の海外進出で大きな成果を上げている元気な企業や生産者団体が脚光を浴びているとされ、本県からは海外展開している事例として株式会社エルムと東町漁協からの報告、福岡県、長崎県及び鹿児島県の各県議会からの報告が行われ、活発な議論が交わされたところであります。  それぞれの県で海外展開を意欲的に取り組んでおられ、その相手国も欧米ほか世界各地に広がっていますが、とりわけ九州各県の今後の展開地は東アジア、特に中国が最も大きなターゲットになっていることが明らかになっております。本県においても、これまでシンガポール、香港、韓国、台湾等との定期的な交流や商談会開催などを行ってきており、上海等には事務所を置いて海外展開の事業を取り組んでまいりました。  そこでお伺いいたしますが、平成二十年度から始まった上海アンテナショップ整備調査事業について、二十一年度は上海マーケット開発推進事業との名称で二千十万円余の予算になっておりますが、昨年予算化された事業と二十一年度事業との関係について御説明ください。  また、上海マーケット開発推進事業では、上海の流通業者などと人的ネットワークを有し、中国ビジネスについての豊富な経験を持った仮称「上海マーケット開発プロデューサー」の設置に向けた検討を進めるとされています。本県の事業者への聞き取りを行いますと、海外展開への意欲はあるものの、商慣行の違い、為替・関税など決済の実務へのふなれ、需要調査など事前の準備など専従の人的配置を行うほど体力がないことなどがネックになっているようであります。また納期を守ること、継続した取引ができるのかなど信頼関係の構築などへの不安もあるのでありますが、プロデューサーはこのような要望にこたえられるのか。また人数は何人か。いつごろまでに設置されるおつもりか、お答えください。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 17 ◯知事(伊藤祐一郎君) こども総合療育センター整備の決意についてのお尋ねがありました。  障害児の療育を取り巻く環境は、診断法や早期療育法の開発、医療技術の進展などにより大きく変化をしてきており、障害の早期発見のための体制づくりや地域を含めた療育体制の整備・充実、発達障害などの分野における子供たちの成長発達に合わせた専門的な療育体制の整備が求められているところであります。他県の例を挙げてのお尋ねをいただきましたが、障害児の療育に関する各県の状況はそれぞれ異なっておりまして、国や市町村、民間等との連携の中で県に求められている役割も違っていると考えております。県といたしましては、本県の障害児療育の現状を踏まえて、障害児全般にわたる相談・支援機能を備えますとともに、主に発達障害児、知的障害児及び肢体不自由児に対しまして医療機関などとの連携のもと、専門的な診断及び療育指導機能を持ち、さらには家庭、保育所、学校等地域での療育を支援する県こども総合療育センターを整備することとしたところであります。厳しい財政状況でありますが、限られた財源を必要な分野へ重点的に配分をしながら、今後とも本県の障害児が早期に必要な相談、診断、療育を受け、住みなれた地域で安心して健やかに成育できる環境づくりを積極的に推進してまいりたいと考えております。 18 ◯教育長(原田耕藏君) インクルーシブ教育の考え方についてでございます。  現在、国におきましては、障害者基本法等に基づきノーマライゼーションの理念に基づく障害者の社会参画に向けた総合的な施策が推進されておりまして、学校におきましても障害の有無にかかわらず、すべての人が相互に人格と個性を尊重し、支え合う共生社会の実現を目指す教育が求められていると考えております。このため、県では障害者の自立と社会参加に向け特別支援教育に必要な高い専門性などを考慮しながら、特別支援学校における教育の充実を図りますとともに、小・中学校、高等学校等における特別支援教育を推進しているところであります。今後とも一人一人の教育的ニーズに配慮した教育ができるよう努めてまいりたいと考えております。  高校における特別支援学級の設置についてでございます。  高校段階における特別支援教育の充実方策につきましては、国におきまして特別支援教育の推進に関する調査研究協力者会議を設置をいたしまして、調査研究が行われているところでございます。現在、特別支援学校高等部が設置されていない離島などの生徒につきましては、寄宿舎を設置しております特別支援学校への受け入れや、教員を家庭等に派遣して訪問教育を実施するなど必要な対応を図っているところであり、今後とも一人一人の教育的ニーズに応じた教育が受けられるよう努めてまいりたいと考えております。  教員免許更新制度についてでございますが、本年度鹿児島大学が実施をいたしました予備講習では、受講定員に限りがあったことや周知から申し込みまでの期間が短かったこと等により受講申し込みができなかった、あるいは希望する講座を受講できなかったという課題が明らかになっております。県教委といたしましては、これらの課題解決も含め講習の円滑な実施に向けまして鹿児島大学と協議する一方、県内のすべての大学等に対して講習の開設及び十分な受講定員の確保等を要請したところであります。来年度の講習につきましては、既に鹿児島大学と鹿屋体育大学が講習開設のための文部科学大臣の認定を受けておりますほか、複数の大学が講習の開設準備を進めていると聞いております。また、受講申し込みまでの周知期間も約二カ月確保されておりますことから、この課題も解決されると考えております。  講習受講の負担軽減と受講機会確保についてでございます。  更新講習の受講費用につきましては、教員免許が個人の資格でありますことから本人負担とされておりまして、国からの補助は離島僻地などで講習を開設する大学等に対して行われることになっております。県教委といたしましては、離島に勤務する教員の費用負担が大きくなりますことから、その軽減や受講機会の確保を図る必要があると考えておりまして、県総合教育センターで実施しております十年経験者研修を更新講習としても利用できるよう、文部科学大臣に申請を行ったところでございます。申請が認められた場合、離島に勤務する教員が、当該研修を受講することで宿泊料等の負担軽減が図られますとともに、受講機会も確保されるものと考えております。  さらに、鹿児島大学では奄美大島と種子島で講習を開設する計画を持っておりますほか、放送大学や県外の複数の大学がインターネット等による講習の開設を計画しており、自宅において講習を受講することも可能となってございます。今後とも免許更新制の円滑な実施に向けまして、鹿児島大学を初め各大学と連携を図りながら適切に対応してまいりたいと考えております。  現職教員研修との関係についてでございますが、同一年度において免許状更新講習と十年経験者研修の両方を受講しなければならないものにつきましても、現行の十年経験者研修を受けることによりまして、更新講習を受けたものとして取り扱えるよう文部科学大臣に申請を行ったところであります。さらに初任者研修につきましては、一年間で集中的に行っていた研修を三年間で実施することとし、教員の負担軽減を図りながら計画的に初任者の指導力向上を図るなど、他の研修につきましても見直しを行いまして、教員の負担軽減と研修の充実が図られるよう改善を行ったところでございます。  講習開設に対する国の補助金についてでございますが、文部科学省は全国各地域におきまして、多様で質の高い免許状更新講習が開設され、受講の機会均等が図られるよう更新講習を開設する大学に一定の補助を行うことといたしております。当該補助制度につきまして、今月二十日に九州地区の大学に対する文部科学省の説明が行われたところでありますが、各大学に対する補助金につきましては、今後それぞれの大学からの申請に基づきまして決定をされるものと聞いております。 19 ◯保健福祉部長(岩重秀人君) こども総合療育センターへの児童精神科医の配置についてでございますが、本県におきましては、児童総合相談センター療育指導部に小児の神経発達系に関する医療研究に長年従事し、発達障害児の症例も数多く持つ小児科医を複数配置するとともに、児童の精神発達分野を専門とする精神科医の協力も得ながら、発達障害児の総合的な診断に対応しているところでございます。こども総合療育センターの設置に当たりましては、引き続きこのような専門医の活用を図りますとともに、心理士や保育士等のスキルアップを図ることによりまして、発達障害児の相談、診断、療育等により的確に対応する体制をつくりたいと考えております。  こども総合療育センターにおきます肢体不自由児リハビリのためのスタッフと宿泊設備についてでございます。  ペルテスや内反足等の手術適応となる疾患につきましては、県内の医療機関で対応可能でありますことから、こども総合療育センターでは医療機関で対応困難な脳性麻痺やダウン症など、長期的な維持リハビリが必要となる肢体不自由児を対象とすることとしております。手術後の急性期・回復期リハビリにおきましては、一定期間入院して集中的に行われておりますが、こども総合療育センターで行うこととしております維持リハビリは、各成長発達期に応じまして定期的な外来リハビリを行いますことから、宿泊設備の整備をすることは考えていないところでございます。  なお、センターで行いますリハビリにつきましては、知的障害を合わせ持つ重複障害にも対応できますよう、例えば整形外科医のほか作業療法士、理学療法士、保健師等専門の職員が総合的に対応を行うことが考えられますが、今後具体的な組織体制等について検討を行ってまいりたいと考えております。 20 ◯観光交流局長(椿 哲哉君) 上海マーケット開発推進事業でございますが、中国・上海市場は食の生産県である本県にとりまして将来性の見込める魅力的な市場でありますが、現状では農畜産物の輸出規制や異なる商習慣、頻繁な法制度改正など、県内事業者にとって中国への輸出等を展開していくことは容易ではない状況にございます。今年度の調査事業はこのような現状を踏まえまして、拠点整備の前提となる上海市場を取り巻く課題抽出と、その対応策を明らかにするため実施した基礎的調査であり、その成果としておおむね十年間を見据えた活動の指針として、上海マーケット戦略ロードマップを取りまとめることとしております。来年度はこれらの調査結果を踏まえまして、上海マーケット開発プロデューサーの設置に向けた検討のほか、上海から輸入事業者を招聘した商談会の開催を盛り込んだ上海マーケット開発推進事業を通じまして、PR拠点の整備に向けて上海市場への足場を確保するための取り組みを展開してまいりたいと考えております。  上海マーケット開発プロデューサーは、今年度の調査事業の中で設置した検討委員会や県内企業経営者に対するヒアリングにおいて、上海での人的ネットワークを有する人材を中心として、県産品の優位性等を売り込む市場開拓が重要との意見が多く寄せられたことなどを踏まえ、来年度設置に向けた検討を進めることとしたところであります。御指摘のとおり、県内事業者の多くは中国展開に当たっての種々の不安から躊躇しているとの声もお聞きしているところでありまして、上海現地の市場情報の収集や市場開拓、市場流通関係者などとの人的ネットワーク構築の中核を担う人材としてプロデューサー一名を設置し、その活動の中から得られた最新の市場情報等を県内事業者に還元することにより不安が解消され、上海市場への展開が促進されるものと考えているところであります。なお、設置の時期については今後引き続き検討してまいりたいと考えております。    [上村勝行君登壇] 21 ◯上村勝行君 るる御答弁をいただきました。  こども総合療育センターについては、脳性麻痺、ダウン症等を中心に整備されるということでございますが、宿泊施設を設置しない考えであるというその辺がもう一歩納得ができない気持ちでございます。やはり離島等から治療とかリハビリに通うとなればどうしても必要であるというのが頭から離れないわけでございますが、この件については今後委員会等で意見反映をさせていただきます。
     また、高校の特別支援学級の設置については、文科省で今研究中とのことで、具体的な前進的回答ではありませんでしたが、ぜひともノーマライゼーションの精神に基づいて特別支援学級の設置等々を積極的に今後検討していただきたいと、このようにお願いを申し上げます。  教員免許更新については、十年講習をあわせて利用できる、あるいはインターネットで講習を受講できる等々、大変前進的な回答をいただいて力強く思っております。文科省はこの制度を導入した目的として、教員が必要な資質・能力を保持するよう定期的に最新の知識、技能を身につけることで自信と余裕を持って教壇に立ち、社会の信頼を得ることを目指すものであることを挙げております。この方針に沿ってぜひ今後とも格段の御努力をお願い申し上げます。  また、よい教育をしようと思ってもなかなかできない先生方の多忙化の実態、精神的、身体的疲労の蓄積といった学校現場の問題に、もっと関心を払って対応していただきますようにお願い申し上げます。  鹿児島県企業・団体等の海外展開の戦略についても御答弁をいただきました。上海マーケット開発プロデューサーが配置されることは画期的なことであると評価しております。中国との商取引の成功例を聞きますと、ほぼ例外なくいろんな情報通信等の把握もありますが、中国の業者との人的なつながり、人的な信頼関係を築いた結果であることが報告されております。今回配置されるプロデューサーがこれら課題に向けた任務をしっかり果たすことができますように、財政的裏づけと格段の配慮をお願い申し上げます。  以上、私は県民連合を代表してるる質問をさせていただきました。平成二十一年度県予算はなけなしの財布をはたいた予算であります。また景気、雇用も財政再建もといういわば二正面作戦の予算でもあります。それだけに後がないこの予算で景気回復、雇用回復の端緒をしっかりつかむように願っております。  なお、今回の過剰生産不況は百年に一度の不況だとよく言われることであります。不況ではいつも多くの生産資産が廃棄されております。工場設備、労働者等々が廃棄されております。現にそれが今劇的に日本国内で行われております。日本は今後どのように生きていくのか。世界の中のどのような位置を占めていくのか。アメリカ一辺倒のままでよいのか。今何を我々は新しい産業育成で始めなければならないのかという掘り下げた議論と決定がなされなければならない時期だと思います。この期に及んで理念なき予算のばらまきは避けなければならないと思います。その方針を決めるのは国会の場でありますが、地方自治の一端を担う私どもも全力でこの問題に当たり、解決に向かって努力していく決意を述べまして、県民連合を代表しての質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 22 ◯議長(金子万寿夫君) ここで休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午前十一時五十九分休憩       ─────────────        午後 一時 十五分再開 23 ◯議長(金子万寿夫君) 再開いたします。  持冨八郎君に発言を許可いたします。    [持冨八郎君登壇](拍手) 24 ◯持冨八郎君 平成二十一年第一回県議会定例会に当たり、公明党県議団として県政の重要課題等について代表質問を行います。  百年に一度の危機、GDPマイナス一二・七%と衝撃的なニュースが続く中で、緊張感を欠く大臣の記者会見。「飲んだのか飲まなかったのか」、「ごっくんはしていない」など、これが本当に予算委員会かと疑いたくなるような空虚な議論。国民の生活が逼迫しているときに政治家は何をしているのか、国民の怒りが聞こえてまいります。  経営の神様と言われ、日本の将来を憂えて「松下政経塾」をつくり、晩年は人材育成に情熱を注がれた松下幸之助氏の言葉を紹介いたします。  「私は、このままでは日本はますます混迷の度を深めていくことになると思っております。それは、日本の政治に国家経営の哲理がないからです。企業の命運は経営者の経営理念で決まってまいりますが、国家も原理は同じではないでしょうか。ところが、今の政治家は、大多数は国家百年の大計もなく、その時々の利害で動いているような現状です。これでは国家の経営がうまくいくわけがありません。企業ならとうにつぶれております。今こそ国家の経営哲学を持った、いい政治家をつくらなければなりません。それにはいい人を育てることです。そのための塾をつくろうと計画しています」と、松下幸之助氏の国を憂える心が伝わってまいります。  政治の場に身を置く者として、県民の暮らしを守り、県勢の発展のため、県民の声を届けるとの緊張感を持って代表質問に入ります。  初めに、知事の政治姿勢について伺います。  三段ロケットと言われる国の景気対策についてであります。  経済の急速な悪化を受けて、与党は、国民の生活を守り、景気回復のために、一次補正予算、安心実現のための緊急総合対策十一・五兆円、二次補正予算、生活対策等二十七兆円、二〇〇九年度予算並びに税制改正等三十七兆円の景気対策三段ロケットとして、合わせて七十五兆円規模の経済対策を発表いたしました。約二兆円の定額給付金ばかりが注目され、議論されておりますが、生活者支援・雇用対策・中小企業支援・地域活性化を柱に国民の生活に身近な予算が多く含まれております。  世界第一の経済大国のアメリカが七十二兆円規模の経済対策を発表いたしましたが、アメリカは、人口三億五百八十二万人、日本の二・三倍もある大国であります。それを上回る七十五兆円規模の経済対策であり、切れ目なく対策を打ち、国民の生活を守るとともに一刻も早く不況を脱出することが肝要と考えます。  しかるに、二次補正予算までは成立いたしましたが、二次補正の関連法案は、政局が優先して国民の生活実感とはかけ離れた議論ばかりで、国民に失望と不信感と閉塞感ばかりが広がっております。  そこで、三段ロケットと言われる国の景気対策に対する知事の見解と国の景気対策に対応した県の雇用・経済対策をどう考えているのか伺います。  次に、当初予算について伺います。  「難局の中にあっても向かう未来に結ぶ夢」として七千七百二十六億三千六百万円の本県の当初予算案が提出されました。〇・一%とはいえ、一般会計の総額は八年ぶりに増額となりました。  一般会計予算案は、歳入・歳出の収支差を五年連続で改善したとはいうものの、歳出削減は人件費にまで切り込み、財政調整に利用可能な基金の年度末残高見込みは四十九億円となり、依然として厳しい現状であります。  今回、国も地方に約二兆円の予算を渡しました。これを契機に税収減を埋めるというだけでなく、県民の生活を守るためにセーフティーネットをしっかりと張ると同時に、将来に向けて鹿児島発展の種も植えていかなくてはならないと思います。今後は、将来に向けて地域活性化の知恵比べになり、まさに知事の腕の見せどころであります。  そこで、新年度予算に込めた知事の考えを伺います。  また、アメリカに端を発した世界的な経済の悪化は、我が国にも深刻な影響を与えております。国は、新年度予算の財政に関して三十兆円を超える新規国債を発行するということで、財政の再建より景気対策を優先する方針を決めました。  本県は、財政が非常に厳しい状況の中で、県政刷新大綱に基づき、財政再建に取り組んできたところでありますが、知事の改革の現状に対する認識を伺うとともに、景気対策、雇用対策等喫緊の課題山積の中で、改革継続についての見解を伺います。  次に、九州電力川内原子力発電所三号機増設について伺います。  九州電力は、環境影響評価法及び電気事業法に基づき、川内原子力発電所三号機増設計画に係る環境影響評価準備書を経済産業大臣に届け出るとともに、県に、増設可能とした同準備書を提出いたしました。資源の乏しい我が国は、エネルギーセキュリティーの確保が重要な課題であります。今後ともアジアを中心にエネルギー需要はふえると考えられますが、化石燃料には限界があります。  原子力発電については、エネルギーの安定供給、CO2削減という地球温暖化対策の面からも貴重な資源である一方で、事故により大きな被害が出るのではないかという懸念があります。九州電力も各地域で住民説明会を開催しておりますが、発電所の地元薩摩川内市の市民の意見も、地域振興等に役立つという賛成の意見と事故や環境汚染等を心配する反対の意見とに分かれております。  県は、従来、調査と増設を切り離して議論してまいりましたが、調査の結果が公表された現在、準備書の提出を受けて、調査結果をどのように受けとめているのか伺います。  また、今後の電気消費量の見通し、安全対策、住民の理解等を検討した上で、三号機増設について判断が求められると考えますが、知事の三号機増設に対する見解を伺います。  次に、総務警察行政について伺います。  まず、国の第二次補正予算関連で伺います。  昨年十二月時点の経済指標は、軒並み予想以上に悪化しておりました。日本経済は、輸出が大幅に減少したため、生産を縮減し、雇用の悪化を招き、個人消費が冷え込み、さらなる生産の縮減をするという負の連鎖に陥り始めております。まさに非常時にあって、財政、金融などあらゆる経済政策を総動員し、まずは急激な景気悪化にブレーキをかけなければなりません。  政府は、生活防衛のために緊急対策として第二次補正予算二十七兆円を計上いたしました。この補正には、今できることがすべて網羅されていると思います。例えば、生活支援には、定額給付金に加え、子育て応援特別手当、妊婦健診の無料化などが含まれております。さらに、雇用に関しては、非正規雇用者への支援策や自治体による雇用創出のための基金、中小企業支援では、緊急保証貸付枠の三十兆円への拡大など盛り込まれております。地域活性化の分野では、高速道路料金の大幅引き下げなどが入っております。  そこで、一点目は、地方公共団体支援対策として地域活性化等に資するきめ細やかなインフラ整備などを進めるために、地域活性化・生活対策臨時交付金が六千億円計上されましたが、本県並びに県下市町村への交付額と地域活性化のためにどのような事業に使われる計画なのか伺います。  二点目は、生活対策及び雇用対策のために緊急雇用創出事業臨時交付金やふるさと雇用再生特別交付金など四千億円、子育て支援として千七百九十億円などが盛り込まれておりますが、本県のそれぞれの交付金の額や具体的な対応策についてお示しください。  三点目は、定額給付金の本県での進捗状況についてであります。  定額給付金は、景気後退下での生活者の不安にきめ細かく対処するため、家計への緊急支援と経済対策として実施されるものであります。全国各地で給付期間に合わせて割り増しのプレミアつき商品券を発行し、給付金を地域経済の活性化につなげようとする取り組みが始まっておりますが、全国での取り組み状況と本県での取り組み状況をお示しください。  また、定額給付金の給付に要する経費は、国が全額補助することになっており、事務経費は交付決定前に執行した経費も事務補助金の対象となると思いますが、いかがでありますか。  さらに、県下の市町村での給付に向けての準備状況について伺います。  次に、職員の意識改革について伺います。  知事は年頭に、雇用対策などの県民生活を守る予算や鹿児島の発展につながる予算に重点配分し、明るい予算を強調されましたが、一方、財源不足に給与カットで対応されており、「職員に協力をお願いせざるを得ない」と定例記者会見で述べられました。  県民の奉仕者たる職員のやる気と意識改革については、知事と職員の間に距離があってはならないと考えます。そのために、職員とのコミュニケーションを十分図ること、知事の考えが隅々まで行き渡ること、職員が意見を言いやすい環境をつくることが肝要であります。  法政大学とING生命保険の中小企業に対する合同調査によると、従業員の意欲が業績とも密接に関係しており、社員のモチベーションが高い企業は業績も高いことがわかりました。勤労意欲を高めるのに効果的だった制度については、「何でも言える組織」がトップであり、勤労意欲の高い企業では六〇%が実施されておりましたが、低い企業では三七%どまりでありました。逆に従業員の意欲が低下するのは、「経営者、上司への信頼をなくしたとき」というのが六三%との結果が出ています。調査委員会は、業績を上げるには、企業のトップが信頼性を高めるのが第一であり、中間管理職や従業員の意欲を高める制度の充実も必要であると結んでおります。  そこで、本県の職員について、知事は、客観的にどのように受けとめておられるのか伺います。  また、職員のモラル向上が極めて大事と考えますが、ここ五年間で交通事故や不祥事などによる懲戒処分の件数をお示しください。  さらに、職員のモラル向上への決意を知事、教育長、警察本部長に伺います。  次に、公益法人について伺います。  国においては、公益法人改革が進められ、二〇〇六年度に比べ、二〇〇九年度は公益法人への支出額を三千五百億円削減いたしました。地方自治体でも、外郭団体の効率的運営、経営改善を進める改革が待ったなしの状況であります。  そこで、一点目は、本県での外郭団体への支出削減にどのように取り組まれたのか伺います。  二点目は、国では、特に公益法人との随意契約が見直され、契約金総額二兆三千億円のうち九五%が随意契約であったものを、二〇〇七年度実績で五二%にまで縮小しております。本県における公益法人等との随意契約の現状と対応策について伺います。  次に、警察行政について。  初めに、交通事故対策について伺います。  二〇〇八年は、全国の交通事故死亡者数は、前年比五百八十九人減の五千百五十五人となり、八年連続で減少していることが警察庁のまとめでわかりました。これは、二〇一〇年までに死亡者数を五千五百人以下とすることを目標とした第八次交通安全基本計画を二年早く達成したことになります。  本県においても、交通事故死亡者数が前年に比べて八人減少し、八十八人となり、五十一年ぶりに九十人を下回りました。もちろんゼロであることが理想ではありますが、これまでの県警の取り組みが功を奏したものと評価をいたしております。  そこで、本県の死亡者数の減少になった要因をどのように考えているのか伺います。  次に、振り込め詐欺について伺います。  警察庁のまとめでは、昨年一年間の振り込め詐欺による被害は二万百二十四件、被害総額は約二百七十六億円に上り、過去二番目に多かったようであります。  本県においても、昨年の振り込め詐欺認知件数は、前年同期比三八%増の九十八件、被害総額は五四%増の一億四千二百万円に上っております。架空請求詐欺も二・八倍と急増しております。  そこで、振り込め詐欺防止の広報啓発活動や相談体制について伺います。  また、今後、定額給付金の支給が近づくにつれて、定額給付金の支給に伴う振り込め詐欺を懸念いたしますが、被害防止にどのように取り組むのか伺い、一回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 25 ◯知事(伊藤祐一郎君) 国の景気対策に対する知事の見解と県の雇用・経済対策についてのお尋ねがありました。  国といたしましては、これまで御指摘のありましたように三つの予算等を通じまして、合計七十五兆円程度となる緊急経済対策を実施することといたしておりまして、これらの予算総額はGDPの一五%程度に相当し、他国と比べて手厚いものとなっており、日本経済を守ることを最優先として対処をしているものと認識しているところであります。  本県におきましても、このような国の動向や県内の経済情勢に応じた措置を適宜講じてきているところでありますが、特に昨年末には、急激な雇用情勢の悪化を受け、離職者等に対します当面の緊急雇用対策を講じますとともに、平成二十年度三月補正予算におきましては、国の第二次補正予算で措置された各種交付金や補助金を活用した雇用・経済対策を約二百九十四億円計上したところであります。  また、平成二十一年度当初予算におきましては、平成二十年度三月補正予算と連携し、約四百四十九億円の雇用・経済対策関係経費を計上いたしますとともに、投資的経費につきましても、平成二十年度三月補正予算と平成二十一年度当初予算を合わせて、平成二十年度を上回る事業費を確保し、地域の雇用・経済の下支えにできる限りの措置を講じているところであります。  平成二十一年度当初予算についての考え方についてのお尋ねがございました。  国におきましては、地方に対しまして、地方交付税の増額など約二兆円の財源手当てがなされたところであります。私といたしましては、平成二十一年度当初予算を「安心・活力・改革継続予算」として、国の第二次補正予算で措置された各種交付金をもとにした基金も含め、今回措置された財源を有効に活用しながら、雇用・経済対策に積極的に取り組みますとともに、百三十のマニフェスト「新たな未来への挑戦」を初め、「力みなぎる・かごしま」の実現に向け、「三つの挑戦」と「三つの課題」への重点的な予算配分を行いながら、八年ぶりのプラス予算とすることにより、厳しい経済情勢の中にありましても、鹿児島が明るい展望を持って着実に歩みを進める予算を編成したところであります。  三号機増設に対する知事の見解についてのお尋ねであります。  去る一月八日に、九州電力株式会社から川内原子力発電所三号機増設の申し入れがあり、その際、出力規模の考え方や今後の電力需給の見通しにつきまして九州電力から説明を受け、また、私から同社の社長に対しまして、まず第一に、準備書に関する手続を進めるに当たっては、住民説明会の開催など関係法令に基づく手続を適切に実施すること、二番目といたしまして、安全運転の積み重ねが極めて重要であるので、一、二号機の安全運転についてこれまで以上の配慮を行うこと、三番目といたしまして、県民の原子力発電に対する理解を深めるため積極的に情報提供に努め、九州電力としての説明責任を果たすことについて要請したところであります。  増設の問題につきましては、徹底的な情報公開のもとに、御指摘の点も含め、安全性の確保や環境保全の問題等について十分議論し、県議会の御意向も踏まえますとともに、地元の意見も十分に聞いて判断してまいりたいと考えております。  県政運営は、現在、大変厳しい状況の中にありますが、私は、年末年始等のあいさつで私の考えを自分の言葉で話をさせていただいておりまして、例えば二期目の就任式におきましては、これからの行政運営に当たっては、県民の方々に対して十分に説明しなければならないという説明責任、それから、行政の継続性は重要でありますが、過去の延長の上に未来はないので、常に状況を判断し、新たな決断をしなければならないという臨機応変、それから、政策の決定過程においては十分に考え抜いた上で決断をし、鬼手仏心の心で判断せざるを得ないという熟慮決断の三点が重要であることなど、いろんな機会を通じまして職員に私の考えを伝えているところであります。また、職員からの意見にも耳を傾け、談論風発の職場をつくりたいとも考えております。  職員は、大変現在厳しい状況の中でその能力を十分に発揮し、県政に邁進していただいておりますが、今後とも、職員すべてがそれぞれの持ち場で最大の能力を発揮し、その力を結集することが重要であると考えておりますので、そのための努力を私としても十分に重ねてまいりたいと考えております。 26 ◯総務部長(篠原俊博君) 財政再建の現状と改革継続の見解についてでございますが、県では、これまで懸命の努力を続けてきた結果、一般財源ベースで見た歳出は、おおむね県政刷新大綱の削減目標圏に到達しつつあるところであります。  他方で、歳入一般財源の総額は、「基本方針二〇〇六」等による地方財政計画の抑制や税収減等に伴い、平成十六年度と比較し、百九十八億円減少しているところでありますが、平成二十一年度当初予算の財源不足額は、前年度よりも九億円圧縮した百四十八億円となり、平成十六年度の財源不足額と比べまして三百三億円の圧縮を図ったところであります。  また、臨時財政対策債等を除く県債残高は、着実に減少し、財政健全化の取り組みは着実に進んでいると考えているところであります。  それと同時に、現下の厳しい雇用・経済情勢に対応するため、国の第二次補正予算や平成二十一年度の地方財政対策で措置をされた各種財源を活用しながら、雇用・経済対策と改革継続を両立させた「安心・活力・改革継続予算」としての編成を行ったところであります。  地域活性化・生活対策臨時交付金についてでありますが、国において措置をされました地域活性化・生活対策臨時交付金につきましては、地方再生対策費の算定額を基礎に有効求人倍率や財政力指数等を加味して配分され、本県分は九十億一千五百万円の交付が見込まれているところであります。  これにつきましては、平成二十年度三月補正予算におきまして、県立学校の耐震化や離島航路活性化対策、道路、河川等の防災対策などの事業に活用いたしますとともに、その一部を一たん基金に積み立て、平成二十一年度当初予算におきまして、「かごしま産業おこしフェア二〇〇九」の開催や農畜産物等の輸出拡大、企業誘致、鹿児島空港の国際化促進などの事業に活用することといたしております。  また、県内市町村分につきましては、合計で百二十五億二千万円の交付が見込まれておりまして、道路や耐震化を含めました、学校、施設、公営住宅等の公共施設の整備のほか、農林水産業の振興やプレミアム商品券の発行、雇用対策など、各市町村できめ細やかな地域活性化のための事業が計画されているところであります。  プレミアムつき商品券についてでありますが、これにつきましては、定額給付金の目的の一つが地域の経済対策に資することであることを踏まえまして、商工関係団体が単独または市町村と共同いたしまして発行を予定しておりまして、その数は総務省の一月下旬時点の調査によりますと、全国で県内七市町を含む百二十九市区町村とされております。  また、本県の二月二十三日時点の調査によりますと、県内では数がふえまして、十四市町において市町の補助を受けた商工関係団体等がおおむね一〇%から二〇%のプレミアムつきの商品券を発行する予定であります。  県といたしましては、定額給付金の給付やプレミアムつき商品券の発行によりまして、個人消費が喚起され、地域の消費拡大、ひいては地域経済の活性化に一定の効果があることを期待しております。  市町村の定額給付金給付の準備状況でございますが、給付に要する事務経費につきましては、国庫補助金の交付決定前に執行した経費でありましても、昨年十月三十日に政府・与党が決定した生活対策を受けて開始したものであれば、補助金の対象として差し支えないものとされております。  県内市町村におきましては、事前準備といたしまして、申請・給付方法の検討、給付リスト作成に係る電算プログラムの準備、口座振り込みに関する金融機関との調整などを進めているところでありますが、今後、定額給付金に係る市町村の補正予算が成立をすれば、給付リストの作成、申請書の印刷、郵送、受理などの準備が進められる見込みであります。  県といたしましては、説明会の開催など必要な情報提供を行っているところでありまして、実施となれば確実かつ迅速に住民一人一人に給付されますよう助言等を行ってまいりたいと考えております。  懲戒処分の件数と職員のモラル向上についてでございます。  知事部局におきます懲戒処分の件数は、平成十六年度から今年度までの五年間で二十二件、二十五人となっております。  職員の綱紀の保持につきましては、これまでも全職員に対しまして、毎年度年度当初と年末に依命通達等を行いまして、服務規律の厳正確保について強く指示をしているほか、おのおのの職場研修や各種会議の席等、機会あるごとに徹底した注意喚起を行ってきております。  今後とも、職員一人一人が全体の奉仕者としての本分を十分に自覚して、誠実、公正に職務に精励するよう服務規律の厳正確保にさらに努めてまいります。  公社等外郭団体の見直しにつきましては、平成十七年三月に策定いたしました見直し方針に基づきまして、徹底して取り組んできたところでありまして、平成二十年度までに廃止・統合等により、団体数は五十三団体から四十一団体に減少し、運営費補助は、平成十六年度の二億二千三百万円から平成二十一年度には一億三千七百万円まで削減をしたところであります。  このほか、公社等外郭団体に対する公の施設への管理運営委託や各種事業実施に係る補助金までを含めました支出につきましては、指定管理者制度の導入や事務事業の見直し等によりまして、平成十六年度の百一億円から平成二十一年度には五十億円に縮減をしているところであります。
     県といたしましては、今後とも、公社等外郭団体の意義、役割について絶えず検証を行いまして、見直しに取り組んでまいりたいと考えております。 27 ◯環境生活部長(高山大作君) 環境影響評価準備書につきましては、県としては、関係法令により、九州電力に寄せられた住民等の意見及びそれに対する九州電力の見解を文書で送付を受けるとともに、薩摩川内市長及びいちき串木野市長の意見を求めた上で、経済産業大臣に環境保全上の見地からの意見を述べることとされております。  今後、このような手続を進め、県としての立場から必要な意見を述べることとしたいと考えております。 28 ◯商工労働部長(六反省一君) 緊急雇用創出事業臨時交付金の額等についてであります。  国の交付金により、ふるさと雇用再生特別基金として七十億円、緊急雇用創出事業臨時特例基金として二十五億円を平成二十年度三月補正予算で計上し、平成二十三年度までの三年間、県と市町村において雇用機会の創出のための各種事業を展開することとしております。  これらの基金事業により、県事業分として平成二十一年度は六百人程度の新規雇用の創出を図りますとともに、ふるさと雇用再生特別基金事業では、医療・介護・福祉・環境・食の分野における民間企業等からの提案に基づく事業を実施することとしております。  今後とも、これら基金事業も活用しながら、離職者等の雇用機会の創出に努めてまいりたいと考えております。 29 ◯保健福祉部長(岩重秀人君) 国の生活対策の子育て支援についてでございます。  国は、出産・子育て支援の拡充の取り組みとして、一千億円の子育て支援対策臨時特例交付金及び七百九十億円の妊婦健康診査臨時特例交付金を第二次補正予算に措置したところでございます。  各県への交付額は、就学前児童数や妊娠届け出数等に基づいて算定され、本県へはそれぞれ、約十六億六千百万円、約十億五千四百万円が予定されております。  県としては、これらを財源として、安心こども基金及び妊婦健康診査支援基金を造成し、保育所の計画的な整備等に対する支援、妊婦健康診査の公費負担を拡充する市町村への助成を行うこととしております。  このほか平成二十年度には、小学校就学前三年間の第二子以降の子一人につき三万六千円の子育て応援特別手当が、国から市町村を通じて世帯主に支給されることになっております。 30 ◯教育長(原田耕藏君) 懲戒処分の件数と職員のモラル向上についてでございます。  県教委におきましては、平成十六年度から今年度までの五年間で四十八件、四十八人の職員に対し、懲戒処分を行っております。  職員の綱紀の保持につきましては、全職員に対し、年度当初と年末に通知を行いますとともに、教育者としての使命感、職責感を高めるようあらゆる機会を通して指導を行っているところであります。  今後とも、教育に携わる者にはより高い倫理感が求められることを十分に自覚させ、教育に対する県民の期待や信頼にこたえることができるよう、職員のモラルの向上に努めてまいりたいと考えております。 31 ◯警察本部長(藤山雄治君) まず、警察職員の懲戒処分の件数でございますが、平成二十年までの五年間において二十二件、二十五名でございます。  県警察では、昨年、重大な不祥事案が発生いたしましたことから、従来にも増して職員の職務倫理意識の向上に努めております。  具体的には、郷土史家などの外部講師による講演、具体的事例を題材とした小グループによる討論、職務倫理論文の作成などを通しまして、職員のモラル向上に努めております。  今後とも、県民の期待と信頼にこたえられるよう職務倫理の保持に努めてまいりたいというふうに考えております。  次に、交通事故死者数の減少要因についてでございますが、これは、交通安全教育の推進、交通安全施設の整備、交通指導取り締まり、その他の街頭活動の対策が効果を上げているほか、道路環境の整備、車両の安全性の向上など総合的な諸施策の結果であるというふうに認識をしております。  特に死者数減少の主な要因としましては、シートベルトの着用率の向上、歩行者の法令遵守などのほか、飲酒運転根絶に向けた取り組みにより、県民の交通安全意識が高まったことも挙げられるのではないかというふうに考えております。  振り込め詐欺防止についてでございますが、県内の振り込め詐欺の被害の件数は、融資保証金詐欺が五割、架空請求詐欺が三割を占めております。  これらの被害防止のためには、被害の対象となりやすい事業者やインターネットのサイト利用者などに対する広報が極めて重要であります。  このようなことから、県商工会連合会やネットカフェなどの協力を得まして啓発活動を強化しているほか、テレビ、新聞などのマスコミの活用、劇団を活用した防犯講話などを実施しているところでございます。  被害相談の受理体制でございますが、本部に警察安全相談係五名を配置しているほか、県下各署に四十四名を配置しておりまして、捜査係と連携して口座凍結依頼などの初動捜査を迅速に推進をしているところでございます。  最後に、定額給付金に伴う振り込め詐欺の被害防止についてでございますが、定額給付金の交付に当たりましては、関係者を装った詐欺や口座番号など個人情報の不正入手が懸念されますことから、市町村の担当者に情報を提供するなど連携を強化し、被害防止広報の徹底を図っているところでございます。  今後とも、関係機関と連携した被害防止のための広報を強化してまいりたいと考えております。 32 ◯会計管理者(坂口眞理子君) 公益法人等との随意契約の現状と対応策についてでございますが、本県における公益法人等との随意契約は、そのほとんどが業務委託契約であり、これまでも地方自治法等に基づき、厳正な随意契約の執行に取り組んできたところでございますが、国における取り組みを踏まえ、さらに随意契約の適正化に努めたところ、平成十八年度は、指定管理者制度の導入もございまして、件数で前年度比一九%減の百六十七件、金額で四八%減の二十三億三千九百万円となっております。  今後とも、契約事務については、地方自治法や県契約規則等に照らして適正に対処してまいりたいと考えております。    [持冨八郎君登壇] 33 ◯持冨八郎君 それぞれ御答弁をいただきました。  国の景気対策については、手厚くされているという評価でありました。また、地域経済の下支えになっているということでもあります。ただ、七十五兆円規模の経済対策の全容がよく理解されていないと思います。  景気後退は、既に十六カ月目に入り、今、経済対策を速やかに発動しなければ、不況が長引き、苦しむのは国民であります。地方交付税法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案が提出され、一月十三日に衆議院で可決されたものの、一カ月も引き延ばされたあげく、ようやく参議院で二月九日に審議入りとなりました。  ことしのサラリーマン川柳の入選作品に「ばらまきを批判しつつも待ちわびる」というのがありました。まさに国民、県民は定額給付金を待ち望んでおります。答弁にもありましたが、交付決定前の事務費も対象となるということでありますので、市町村への万全の準備をするよう再度要請をしておきます。  既に交付決定をしたところが、福島県の大玉村、東京都の葛飾区。準備を進めているようでありますけれども、万端の準備をよろしくお願いしたいと思います。  また、参議院の野党では、第二次補正予算関連法案についての態度を早く決めるべきであります。この未曾有の経済非常事態にどの政党が何を主張し、どう行動したのか、国民、県民はしっかりと見届けていただきたいと思います。  三号機増設については、知事の判断はもう少し先になるかと思います。先ほど、住民への説明、また安全確保の要請、そして情報提供とお話がありましたけれども、私どもの会派で茨城県の東海発電所を視察いたしました。徹底した安全対策の確立と徹底した情報公開により、地域の皆さんとともに生きるという信頼関係が築かれておりました。調査結果を精査し、判断に当たっては、安全確保、情報公開、信頼関係の構築を心がけていただきたいと要請をいたします。  職員の意識改革については、説明責任、臨機応援、熟慮決断というお話がありましたけれども、汚染米問題の対応を話し合う有識者会議の報告書で、官僚の姿勢を「いかなる制度や仕組みをつくっても、職員の意識が変わらない限りその制度や仕組みは作動しない」と指摘しておりました。制度や仕組みを有効に機能させる根本が意識改革であると指摘して、次の質問に入ります。  企画建設行政について伺います。  初めに、国際線の利活用についてであります。  世界経済の悪化や円高の影響もあり、国際線の搭乗率が低下しております。韓国からの観光客もウォン安・円高で減少していると聞きます。また、香港エクスプレスは、搭乗率の減少を理由に三月二十九日から鹿児島・香港線の運休を発表いたしました。一年前に関係者の懸命な努力の結果、再開していただけに残念な結果となりました。  ほかの航路も、搭乗率の低下が続けば航路廃止につながるのではないかと懸念しております。一度廃止した航路については、復活に大変な労力が必要になるばかりでなく、航路廃止によって本県の商工、観光等に大きな影響が出ることは必死であります。  知事は、かねてより鹿児島空港をアジアの主要都市を結ぶ南九州のハブ空港に育てるということを言っておられたと思います。県も一月二十六日、国際線利用を高めるための緊急対策会議を開き、国際線の利用促進について協議をしたと聞いております。  そこで、国際線の利用状況を示すとともに今後の国際線の利活用にどのように取り組んでいくのか伺います。  次に、九州・山口の近代化産業遺産群について伺います。  国は、昨年十二月、九州・山口の近代化産業遺産群を世界文化遺産候補としてユネスコの暫定リストに掲載することを決めました。県も、世界文化遺産登録推進室を設置し、登録に向けた準備を進めておられます。  世界文化遺産に登録されることで鹿児島の歴史が世界に発信できるとともに地域振興や観光振興等にも貢献するものと期待をしております。  そこで、世界文化遺産に登録されるための課題と取り組み、あわせてスケジュールについて伺います。  次に、離島航路等への補助について伺います。  離島航路は、国民に必要な海の道であり、生活道路と同じであります。離島の暮らしをしっかり守るべきであるとの立場から、我が党では、離島航路やフェリー航路への支援を国土交通大臣に申し入れをいたしました。  さらに、フェリー航路は、環境負荷が低く、国内交通の幹線機能を果たしております。高速道路料金が大幅に引き下げられると、高速道路のない離島住民は、ガソリン税を払っていても高速道路料金の引き下げの恩恵を受けないことになりますし、また、離島観光、地域振興にも影響が及ぶと考えられます。モーダルシフトの観点からも離島振興の観点からも、離島航路やフェリー航路への支援をすべきと考えますが、知事の見解を伺うとともに、積極的に国に働きかける考えはないか伺います。  次に、浄化槽の普及促進について伺います。  限りある自然を大切にしようとの考えから、環境問題に対して県民は高い関心を持っております。循環型社会の形成に大いに役立つとして、環境省は浄化槽の普及促進に力を入れております。浄化槽整備区域促進特別モデル事業として、国は補助率を三分の一から二分の一に引き上げる予定であります。下水道整備に比べて工事期間が短く、工事費用も安価で、地震にも強いなど多くの利点があり、積極的に普及促進に取り組むべきであると考えます。  そこで、初めに、県の汚水処理人口普及率の現状についてお示しください。  また、従来、市町村では、裏負担が浄化槽普及促進の足かせになって普及促進の進まないところもありました。国の二次補正における生活対策における浄化槽の普及促進事業の取り組みと二十一年度の浄化槽整備区域促進特別モデル事業の取り組みについて伺います。  次に、農林業の振興について伺います。  初めに、農業の振興についてであります。  一月二十六日に発表された二〇一八年における世界の食料需給見通しによれば、二〇〇九年以降において、耕種作物、畜産物、乳製品、いずれも上昇基調で推移すると予測されております。国際的な食料危機が叫ばれ、食料輸出国と輸入国の需給バランスをいかに保つのか、まさに世界規模で農業の転換点を迎えております。  そうした中で、政府は、農政の中期展望を示す食料・農業・農村の基本計画の改訂作業に着手をいたしました。食料自給率の向上や担い手確保、農地制度の見直しなど課題山積の中で、今後の日本の農業を活性化する議論に期待をしたいと思っております。  今回の見直しに当たり、農水省は、およそ十年後の食料自給率の目標を五〇%とした場合の取り組みのイメージを行程表として初めて提示をいたしました。現在、四〇%程度にとどまっている食料自給率を五〇%に引き上げることについては、我が党がかねてから強く主張していたことであり、その具体的な取り組みの第一歩と言える行程表の見直し作業の着手を大いに歓迎するところであります。  二〇〇五年に策定された同計画は、情勢変化を踏まえておよそ五年ごとに変更することになっており、新たな計画は、二〇一〇年度からおよそ十年にわたる食料自給率の強化を柱に据える内容で策定されます。  そこで、伺う一点は、食料自給率の向上のために作物の生産拡大の支援や米粉、飼料用米等による生産調整の対応などについて、本県の今後の取り組みについて伺います。  二点目は、耕作放棄地の有効活用についてであります。  国内の農地面積は、一九六一年の六百九万ヘクタールをピークに、二〇〇七年に四百六十五万ヘクタールと百四十四万ヘクタールも減少しております。耕作放棄地面積は十三・五万ヘクタールに増加し、埼玉県とほぼ同じ面積まで拡大しております。一方、耕作放棄地の発生要因については、約五割が高齢化による労働力不足で、そのほかに、生産性が低い、農地の受け手がいない、農地条件が悪いなどの要因が挙げられます。  そのため、政府は、二〇〇七年から耕作放棄地対策に本腰を入れ、五年程度をめどに農業上重要な地域を中心に耕作放棄地ゼロを目指すことを決定いたしました。さらに、二〇〇九年度予算案には、耕作放棄地を再生・利用するための活動を手厚く支援する新たな取り組みが盛り込まれております。  そこで、本県の耕作放棄地の現状と取り組みについて伺います。  また、これからの農地改革のかぎは、所有者主義から利用者主義への制度の転換であります。経営感覚のすぐれた企業などの積極的な農業参入を含め、意欲ある担い手のもとに農地の集積を進めることが必要であります。そこで、集積化を進めるためにも農地情報のデータベース構築を急ぐべきと考えますが、いかがでしょうか。  さらに、耕作放棄地を営農可能な状態に回復するための取り組みや必要な基盤整備にどのように取り組んでいかれるのか伺います。  次に、林業の振興について伺います。  製材品や合板などの原料となる外国からの丸太輸入が減少傾向にあります。日本の経済悪化に加えて、環境保護のための天然林の伐採規制や資源を国家戦略の武器にしようとするロシアなどの動きが要因と考えられております。そのために国内合板産業は、将来をにらんで原材料を国内産に転換し始めております。自給率が二二%まで減少している国内林業にとって、丸太輸入の減少は追い風になると考えます。  一方、県内の林業就業者は、二〇〇五年時点で千百七十五人であり、就業者は年々減り続け、一九六〇年から一九七〇年代のピーク時と比べると約八割の減になっております。また、高齢化や後継者不足の問題もあり、放置され、荒れた森林も多い現状です。  そこで、伺う一点目は、県は、林業再生に向け、森林整備や担い手育成事業にどのように取り組んでおられるのか伺います。  二点目は提案であります。  高知県では、地球温暖化防止への環境意識を啓発して、県産材の利用促進を図るために、「高知県CO2木づかい固定量認証制度」をスタートさせました。同制度は、樹木が成長する過程でCO2を吸収、固定する特性に着目したもので、木造住宅の建築に使用する県産材の使用量や樹木ごとの、種類によってですけれども、CO2の固定量を算出して地球温暖化防止へ貢献度を数値化するものであります。申請した建築主には、有識者や木材業界代表らによる専門委員会の審査を経て、「CO2木づかい固定証書」が発行されます。  そこで、「高知県CO2木づかい固定量認証制度」は、住宅では全国で初めての取り組みのようでありますが、国の当初予算で住宅ローンが引き下げられているこの機会に、本県材の利用促進のためにも導入を提案しますが、見解をお伺いし、二回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 34 ◯知事(伊藤祐一郎君) 九州・山口の近代化産業遺産群についてのお尋ねがありました。  九州・山口の近代化産業遺産群の世界遺産登録に向けましては、国際的な専門家会議の開催等を通じて、「本資産が持つ顕著な普遍的価値について、国内外の幅広い専門家との連携のもとで十分な検証を図ることが必要である」等の文化庁からの指摘があったことを受けまして、昨年十二月に、世界遺産登録推進協議会のもとに国際的な専門家委員会を設置したところでありまして、現在、当提案の主題や構成資産の内容、構成資産の保存のための措置等につきまして検証を深めるなど、世界遺産登録に向けて具体的な取り組みを進めているところであります。  今後、構成資産の確定や遺産の保存管理計画の策定など推薦の条件が整い次第、我が国政府からユネスコ世界遺産委員会に推薦書が提出され、諮問機関による現地調査等を経て、登録の可否が決定されることとなります。  明治維新及びその後の殖産興業の大きな原動力となった九州・山口地域に数多く残されている近代化産業遺産は、日本人みずからの手で世界史的にもまれな早さで近代化をなし遂げた歴史を示す重要なものであり、このような遺産群が世界遺産に登録されますことは、我が国近代化の先進地として、九州ひいては鹿児島の発信力をさらに高めることになるものと考えており、できるだけ早期に世界遺産登録が実現するよう、国や関係自治体などと連携をしながら、県民の皆様とも一体となって全力で取り組んでまいりたいと考えております。 35 ◯企画部長(山田裕章君) 国際線の利活用についてでありますが、鹿児島空港の国際定期航空路線につきましては、昨年秋以降の世界的な景気後退や急激な円高等の影響を受け、昨年の各路線の利用率が五〇%台にとどまりましたため、一月に対策会議を開催し、関係者が一丸となって、鹿児島発、海外発の双方向での利用促進に取り組んでいくことを確認したところであります。  昨年秋以降は外国人利用者数が大幅に減少をしている反面、日本人利用者数は堅調に推移しており、当面はかごしま海外旅行博の開催や「鹿児島からもっと海外へ!」キャンペーンの展開、利用促進助成事業の拡充等により、県民の海外旅行需要の創出に重点的に取り組むことで、国際定期航空路線の安定的な運航の確保に努めてまいりたいと考えております。  離島航路やフェリー航路への支援についてでありますが、離島航路につきましては、航路維持に係る安定的な予算の確保に努めますとともに、国に対して、県開発促進協議会等を通じて支援制度の拡充を要望してきているところであります。  国では、こうした要望を受け、燃料油価格高騰に対応して補助金の大幅な増額を行ってきているほか、県におきましても、欠損金に対する補助を確実に行っているところであります。また、今年度の補正予算には、国の第二次補正予算を活用した離島航路の活性化のための特別事業も盛り込んでいるところであります。  県といたしましては、新たに創設される地域活力基盤創造交付金の対象に離島航路の船舶購入費等を加えることとするなど、引き続き国に対して支援制度の拡充を要望しつつ、離島航路の維持・確保に万全を期してまいりたいと考えております。  志布志・大阪航路を初めとする長距離フェリー航路につきましても、各種の利用促進事業や長距離物流の効率化方策の検討等を通じて、その維持・確保に努めてきているところであります。  しかしながら、運航会社は、近年の経済活動の低迷により輸送需要が伸び悩んでいることに加えて、今般の高速道路料金の大幅な引き下げがさらなる輸送需要の低下につながることを懸念していると聞いております。  今後とも、運航会社や関係自治体とも連携して、航路の維持に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 36 ◯土木部長(河瀬芳邦君) 本県におきます平成十九年度末の汚水処理人口普及率は、下水道三七・八%、合併処理浄化槽二四・一%など、合計で六四・七%でございまして、全国平均の八三・七%に比べますと低い状況でございます。  国の二次補正による事業につきましては、長島町におきまして、災害時に避難所となる施設へ浄化槽を整備することとしております。  また、来年度からのモデル事業につきましては、現在、要望はございませんが、補助率が高いことなどから、導入につきまして引き続き市町村と協議するとともに、県民の皆様に普及・啓発を図りながら、浄化槽の整備に努めてまいりたいというふうに考えております。 37 ◯農政部長(弓指博昭君) 食料自給率の向上に向けた取り組みでございますが、本県では、これまでも、安心・安全な生産を基本としつつ、消費者の求める食料を安定的に供給できる担い手の確保・育成、畑かん事業の着実な推進や生産性の高い産地の形成などのほか、食育や地産地消の取り組みも推進してきているところでございます。  さらに、今後は、こうした取り組みに加えまして、耕作放棄地の解消などによります優良農地の確保に努めますとともに、耕畜連携の強化による自給飼料の生産・利用の拡大や、転作作物でございます飼料用米等の実需者と稲作農家とのマッチングを進め、水田の有効活用を図るなど、「安心・安全・新食料供給基地」の形成を目指した農業の振興に努め、食料自給率の向上を図ってまいりたいと考えております。  次に、耕作放棄地対策についてでございますが、本県におきます耕作放棄地面積は、本年度市町村において一筆ごとの耕作放棄地全体調査を実施した結果、おおむね二万ヘクタール程度と見込まれておりまして、このうち約半分は、既に山林化しているなど耕作不可能な状況となっております。  このため、県といたしましては、農業振興上特に重要な地域でございます農用地区域内の約五千ヘクタールの耕作放棄地を中心に当面解消を目指すこととしておりまして、現在、解消計画を策定しております各市町村に対し、各地域の特性を踏まえた推進品目の選定を指導しながら、担い手への農地の集約や、新たな担い手として企業等の農業参入を積極的に推進することといたしております。  また、耕作放棄地の解消に必要な基盤の整備につきましては、現在、国の補正予算を活用し、県内二十一市町村におきまして、障害物除去等の再生実証などに取り組んでおり、まずは年度内に約五十四ヘクタール程度を解消する予定でございます。  さらに、来年度からは、実証等の取り組みの成果も踏まえまして、障害物除去や深耕、営農定着に対する支援などの再生・利用活動、あるいは用排水施設や鳥獣被害防止施設等の整備を進めることといたしております。  農地情報のデータベースの構築につきましては、平成十八年度から二十三年度にかけまして、国の補助制度により、基盤となります地図及び農地関連データの整備を進めておるところでございます。  構築されましたデータベースは、鹿児島県水土里情報推進協議会が農地情報として管理運営し、平成二十二年度から一部供用開始することといたしておりまして、県といたしましても、関係機関などと一体となって、データベースの構築を推進してまいりたいと考えております。
    38 ◯林務水産部長(白尾國豊君) 森林整備の取り組みについてでございますが、森林の持つ多面的機能を総合的かつ持続的に発揮させるためには、多様で健全な森林を育成していくことが重要でありますことから、県としては、造林を初め、下刈り、間伐等の森林整備を計画的に実施しております。中でも、地球温暖化対策や木材の安定供給の観点からも特に重要な間伐については、間伐推進五カ年計画を策定し、計画的に推進しているところでございます。  なお、間伐の実施に当たりましては、施業の集約化や林内道路網の整備を進めるとともに高性能林業機械の導入を図るなど、労働生産性の向上や作業の省力化、あるいは林業事業体等の担い手の育成に努めながら取り組んでいるところであります。  今後とも、これらの施策を総合的に推進し、多様で健全な森林の育成に努めてまいりたいと考えております。  高知県の「CO2木づかい固定量認証制度」についてでございますが、これは、木材利用が地球温暖化防止に貢献していることを消費者等へわかりやすく身近なものとして感じさせ、木材利用の促進を図ることを目的としたもので、高知県産材を使用した新築木造住宅が蓄えているCO2の量を県が認証する制度であり、住宅ローンの金利優遇措置を受けることができるものと聞いております。  本県におきましても、県産材の利用促進につきましては、「認証かごしま材」を一定量以上使用するなどの基準を満たす住宅に対し、金利優遇措置等を講じているところであります。  現在、国において、木材利用によるCO2削減の環境貢献度の評価システムの開発が検討されており、県としては、国の動向を注視しながら対応を検討してまいりたいと考えております。    [持冨八郎君登壇] 39 ◯持冨八郎君 それぞれ御答弁をいただきました。  国際線の利活用につきましては、県としても対策を発表し、取り組んでいるということでありますけれども、同時多発テロ以前は多くの高校生が海外に修学旅行に行っておりました。先ほどは鹿児島からもっと海外へというお話もありましたけれども、円高で出国しやすい環境になっているかと思います。誘客とともにアウトバウンドにも力を入れることが大事かと思います。  また、九州・山口の近代化産業遺産群につきましては、昨年でしたか、平泉が残念ながら登録されなかったという例もありますけれども、万全な準備が必要かなと思います。鹿児島において国内外の専門家委員会を開いたということで、課題を明確にしながら、関係自治体と連携をしっかりとり、世界遺産の登録に万全の準備を要請したいと思います。  農業の活性化につきましては、昨年十二月の農地改革プランの着実な実施と現行の経営所得安定化対策などの支援策を充実させ、新たな担い手育成、就農支援の強化を図ることが急務だろうと思います。農家の所得が向上すれば、魅力ある職業として農村へのUターン・Iターン・Jターンも促進され、雇用促進にもつながりますので、積極的な取り組みを期待します。  また、浄化槽の普及促進につきましては、処理人口普及率が全国が八三・七%で、鹿児島は六四・七%ということでありました。市町村からまだ申し込みがないというようなことでもありますけれども、どうかしっかりと働きかけて、推進できますようによろしくお願いしたいと思います。  また、県産材利用促進のために高知県の取り組みを御紹介いたしましたけれども、今後、国の動向も踏まえてということでありましたが、ぜひ参考にして取り組んでいただきたいと思います。  それでは、次の質問に入ります。  次に、環境生活行政について質問をいたします。  まず、グリーン産業革命の展開について伺います。  オバマ大統領は、エネルギーや環境分野で重点的に投資を行い、新しい産業や雇用を生み出すグリーン・ニューディール政策を発表いたしました。我が党の太田代表は、一月二十三日、グリーン産業革命への提言を麻生首相に申し入れをし、「日本経済の全治三年が国民に忍耐を求めるだけの三年であってはならない。新しい成長への力を蓄え、国民の未来へ希望をはぐくむ新しい日本へのスタートにしなければならない。限られた財源や人材をどこに投入すれば経済再生につながるのか、そのかぎを握るのが環境と農業である」と指摘をしました。  そこで、第一点は、当面の重要課題である雇用創出において、そのかぎを握る環境ビジネスの創出・拡大が期待されますが、新設された環境部の意義と環境分野における雇用創出のビジョンをお示しください。  第二点は、太陽光発電について伺います。  太陽光発電は、環境にやさしい再生可能エネルギーとして期待をされております。従来は、住宅などの屋根に設置するのが主流でありましたが、近年、メガソーラーと呼ばれる大規模な太陽光発電が注目をされております。欧州ではここ数年、買い取り制度に後押しされて導入が急速に進みました。  一方、これまで世界のトップの座にあった我が国は、今後も需要量が見込まれる中、停滞を余儀なくされている現状であります。国も今後、力を入れていくようでありますけれども、本県の住宅用太陽光発電の設置状況をお示しいただくとともに、今後の設置目標をお示しください。  また、国の補助金制度の受け付けが一月十三日から始まりましたが、その受け付け状況をお示しください。  さらに、三月末で受け付けは終了するようですが、今後、県も積極的に広報・周知すべきであると考えますが、具体的な取り組みについてお伺いをいたします。  第三点は、新エネルギー対策について伺います。  新エネルギーへの関心は急速に高まっております。会派で視察した福岡県では、鉄工所等から発生する膨大な副生水素、九州大学の知的資源、エコタウンなどの実証実験場の整備と地の利を生かして、水素エネルギー戦略会議が推進されておりました。大事なことであると思いました。  そこで、本県では、新エネルギー対策について、今後何を重点にどのように取り組むのかお伺いをいたします。  次に、消費者対策についてお伺いをいたします。  「県民が安心して消費生活を営むことができる環境整備は県の義務である。そのための消費者被害救済及び違法業者の規制に自治体はどのような責任があるのか真剣に考えるときに来ているのでしょう」というのは、日本女子大学の細川教授の指摘であります。  また、野田消費者行政推進担当大臣は、「地方消費者行政が日本の消費者行政のかぎを握っています。国としても全面的に、頑張る地方を応援するその一つのあかしとして三年間有効に使える基金を提供することで、まずは集中的に育成・強化していただきたい」と言われ、今回、第二次補正予算で地方消費者行政活性化基金を計上をされました。  そこで、伺う一点目は、国の第二次補正予算にある地方消費者行政活性化基金の本県における積立金額をお示しいただくとともに、消費者行政の充実・強化をどのように進めるのかお示しください。  第二点は、多重債務者の救済について伺います。  我が会派で視察したグリーンコープふくおかでは、県の委託を受け、多重債務者生活再生支援事業を行っておりました。これは、県とグリーンコープがそれぞれ持っているノウハウや資源を生かして協力しながら、多重債務者の支援に当たるという共同事業であります。  特に、債務整理後の生活再生支援のカウンセリングや定期面談、また、生活再生に取り組む中での臨時的出費に対応する生活再生貸付事業に取り組み、二〇〇七年度開業から二千五百九十三件の相談、二百件、一億八千万円の貸し付けをされたと言っておられました。所長は、「相談件数がどんどんふえており、当初相談員一人に一件担当だったのが、現在、一人で九件ぐらい抱えております」と話されておられました。  宮城県栗原市では「命を守る緊急総合対策事業」、熊本県天草市では、納税者に対する消費者金融への過払い金の返還差し押さえ等の取り組みがありますが、本県の取り組みについてお示しください。  また、今後、このような相談事業と融資事業の充実が必要と考えますが、いかがでしょうか。  次に、介護サービスの充実について伺います。  深刻な人手不足が続くホームヘルパー等介護職員の待遇改善を目的に、この四月から介護報酬が三%引き上げられ、二〇〇〇年度の介護保険制度スタート以来初めてプラス改定になりました。  今回は、団塊の世代が全員六十歳以上となり、介護のニーズは一層高まっております。厚生労働省は、今後五年間だけで介護従事者を四十万人から五十万人ふやさなければならないと推計しております。派遣切りなど雇用情勢の悪化に伴い、介護分野はその受け皿としても期待されております。三%の報酬引き上げを契機として、職員の賃上げを最優先にして、介護人材確保につなげてもらいたいと考えております。  そこで、第一点は、本県における介護職員数と介護職員の不足数をお示しください。  第二点は、第二次補正予算で介護福祉士等修学資金貸付制度の拡充がなされましたが、本県での取り組みをお示しください。介護報酬三%アップとあわせて、介護人材確保の目玉として大いにPRをして活用すべきと考えますが、今後の人材確保策についてお伺いをいたします。  第三点は、要介護認定について伺います。  要介護認定について、四月から新システムが稼働する予定です。状態が変わらないのに判定が軽くなったとか、認知症の人が日ごろできないことも調査時にはできると言い、同居家族から相談をされることがあります。  そこで、要介護認定について、不服審査請求の件数と内容についてお伺いするとともに、新システムの変更点や周知についてお示しください。  次に、女性の健康支援策について伺います。  「婚活」「アラフォー」など女性に関する流行語が次々に生まれることに対して、「女性の品格」の著者である坂東眞理子さんは、「女性が元気になったからこそ出てきた言葉というだけでなく、生き方の選択肢が広がってきているから」と評されております。しかし、性差医療の面から見ると、日本の医療は男性をモデルに展開されていたため、アメリカと比べると十年はおくれているとも言われております。  公明党女性委員会は、昨年四月、性差医療の調査研究を進める女性健康研究ナショナルセンターの設立、女性の健康パスポートの発行、女性総合カウンセリング窓口の設置などを盛り込んだ政策提言「女性サポートプラン」を発表いたしました。その成果として、二十一年度予算に女性の健康支援対策事業委託費が計上されております。女性特有の疾病に対応する対策が課題となっております。  そこで、第一点は、本県における女性外来の設置状況をお示しいただくとともに、女性医師の確保策について伺います。  第二点は、予防接種や治療歴、健康診断などの情報を記載し、健康管理の手助けとなり、医療機関にとっても大きな参考となる女性の健康パスポートについて、本県においても研究すべきであると考えますが、見解を伺います。  第三点は、妊婦健診の無料化についてであります。  第二次補正予算で財政措置されていない残りの九回分の健診費用を支援することによって、十四回分の妊婦健診が無料になる道筋がつけられました。しかし、期間限定であるため、二〇一一年度以降のことを懸念する市町村があると仄聞をいたします。妊婦健診無料化を全市町村が実施するために、県としてどのように取り組まれるのかお伺いいたします。  次に、商工観光労働行政について伺います。  初めに、中小企業支援についてであります。  年度末を控え、中小企業の資金繰りは一層苦しい状況であります。昨年十月末に実施された緊急保証制度では、銀行の保証負担がなくなるとともに対象業務も拡大され、前年を大きく上回る相談や申し込みがあったと聞いております。我が会派も、昨年十一月に知事と県信用保証協会に同制度の運用等について申し入れをいたしました。  そこで、本県の緊急保証制度の相談や融資の現状と効果、あわせて今後の中小企業支援の取り組みについて伺います。  次に、雇用対策について伺います。  雇用環境が急速に悪化をしております。自動車関連、家電など、派遣労働者の雇いどめや内定取り消し、さらには正社員まで解雇の対象になるなど、日々刻々深刻になっております。  国は、雇用維持対策、再就職支援、内定取り消し対策等に取り組むこととしておりますが、昨年十二月、我が会派も緊急雇用対策等について申し入れをしたところであります。  本県の緊急雇用対策の現状と今後の雇用対策の取り組みについて伺います。  次に、新雇用創出プランについて伺います。  平成十七年度から二十年度まで取り組んできた県総合的雇用対策を継続する形で、新雇用創出プランの案が示されました。同プランは、平成二十一年から二十四年までの四年間を推進期間としております。  そこで、これまで県総合的雇用対策で取り組んできた四年間をどのように総括しているのか伺います。  また、昨年後半の急激な経済悪化、雇用環境の変化の中で、新雇用創出プランはどのような取り組みに力点を置くのか伺います。  次に、ポスト篤姫戦略について伺います。  昨年は、篤姫効果で大きな経済波及効果がありました。この篤姫ブームを一過性のブームに終わらせてはならないと思います。平成二年の「翔ぶが如く」のときは反動がありました。今回は、新幹線全線開通まであと二年となり、観光振興の大きなチャンスであります。海外からの観光客の誘客に力を入れるとともに、島津斉彬生誕二百年などの歴史や豊かな自然を生かしたツーリズム、スポーツ合宿など全県的に観光資源を掘り起こし、県民のおもてなしの心を醸成することが肝要であります。  そこで、観光立県・鹿児島を構築するためにも、今後のポスト篤姫観光戦略についてお示しください。  また、新幹線全線開通により、会社の拠点を県外に移すところがふえると考えられます。観光客よりビジネス客のほうが経済効果があるという報告もあります。ビジネス客に焦点を当てて誘客するとか、また、横浜市では、政策視察の目的で訪れるビジネス客の誘客に力を入れております。魅力ある政策を観光資源として、視察の受け入れを有料化して誘客する観光政策について取り組んではどうかと提案いたしますが、見解を伺います。  最後に、教育行政について伺います。  初めに、幼児期の教育についてであります。  教育基本法が改正され、第十一条には、幼児期の教育の充実について示されました。幼児期の教育については、幼稚園は文部科学省、保育園は厚生労働省と所管が異なることから、それぞれ独自の取り組みがなされてきました。一方で、小学校に上がる前の教育が重要視されております。  そこで、本県の幼稚園児と保育園児の在園の現状と認定こども園の現状についてお示しください。  また、幼稚園児も保育園児も、所管は違いますが、鹿児島の子供という点では同じであり、小学校に入学する前の大事な時期に基本的なことを同じように身につけることが必要であると考えます。  そこで、本県の幼児期の教育の充実のためにどのように取り組まれているのか伺います。  また、保護者からは、この時期の負担軽減を求める声がありますが、負担軽減策にどのように取り組んでいくのか伺います。  さらに、会派で訪問しました高知県では、県教委の中に幼児教育の窓口をつくるとともに、市町村と連携して幼児教育の窓口一元化を進めておりました。本県においても大事な取り組みと考えますが、見解を伺います。  次に、私学振興について伺います。  教育基本法が改正され、第八条には私学振興について示されました。私立学校は、本県の学校教育の一翼を担っていることは間違いありませんし、私学に学ぶ生徒が三割いるという現実を考えますと、私学を支援するとともに、私学の建学の精神を尊重するのは当然でありますが、公立・私立がお互いに連携・協力していくことが肝要であると思います。  そこで、まず、本県における私学振興の取り組みについてお示しください。  また、公私立高等学校協議会が開催されたという報道がありました。昨年の九月議会での私学と教育委員会の間でハイレベルな協議の場を設けたいという知事の意向を受けたものと理解をしておりますが、以前にも議長を中心に公私立高等学校連絡協議会がありました。大事なのは、公立・私立所管が違う中で、鹿児島の教育の課題を共有し、率直に意見交換をすることであります。  神奈川県では、当面の課題等について事前に幹事会を開いて十分な意見交換をし、公開で公私立高等学校設置者会議を開き、協議をしております。大事な取り組みであり、本県でも公私立高等学校設置者会議を設置する考えはないか、見解を伺います。  次に、生涯スポーツの推進について伺います。  国は、スポーツ振興基本計画の中で、生涯スポーツ社会の実現のため、できるだけ早期に成人の週一回以上のスポーツ実施率が五〇%となることを目指すとして、地域スポーツ環境の充実を目指しております。  本県も生涯スポーツの推進として、県民が主体的・継続的にスポーツ・レクリエーション活動に親しむことを目指して、健やかスポーツ百日運動を推進しております。  生涯スポーツの推進のための環境整備の一つとして、総合型地域スポーツクラブの育成は喫緊の課題であります。国も、二〇一〇年までに各市町村に総合型地域スポーツクラブを育成し、将来には各中学校校区に育成しようとしております。私も地元で地域スポーツクラブの準備の会合に何回も出席いたしましたが、中心になるクラブマネージャーさんは大変苦労をしておられました。クラブ設立には、中心になる人材の確保と的確な情報、そして何より経済的な支援が必要であると痛切に感じました。  そこで、本県における総合型地域スポーツクラブ育成のための予算確保についてお示しください。  また、本県における総合型地域スポーツクラブの現状と課題をどう認識し、あわせて今後の取り組みについて伺います。  情報教育につきましては、通告しておりましたけれども、要望にかえたいと思います。  昨日も議論がありましたけれども、今、大変いじめが多くなっております。県教委の調査でも一・五倍になっているという調査がありました。やはりこれは、子供、そして親、そして学校としっかりと連携をとって、同じ認識に立って取り組まなければならないと思っております。特に親御さんの考え方というのが大変影響するかと思っております。情報教育についてはしっかりとまた取り組んでいただきたいと思います。  もう一点伺います。  高校生の教科「奉仕」の必修化について伺います。  県教育振興基本計画の中に今後五年間に取り組む施策として、「規範意識を養い、豊かな心と健やかな体をはぐくむ教育」とあります。昨今の世相を見ると、規範意識の養成は喫緊の課題であります。  会派で東京都教育委員会を視察いたしました。東京都では、規範意識の公共心を有する人間、他人に共感し、社会の一員であることを実感し、社会の役に立つ喜びや勤労の大切さなどを知る人間となる資質を育成することを目的にして、すべての都立高校で在学中に教科「奉仕」として三十五時間以上の学習を義務づけておりました。座学ではなく体験を通して規範意識等を身につけることは重要であると思いますが、本県でも、教科「奉仕」の必修化に取り組む考えはないかをお伺いし、三回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 40 ◯知事(伊藤祐一郎君) 新設された環境部の意義と環境産業の雇用創出についてのお尋ねであります。  環境は、二十一世紀における人類の共通課題であり、今後さまざまな行政展開が集中的に求められると考えており、地球温暖化対策推進のための条例制定や、世界自然遺産の島・屋久島における低炭素社会づくりのモデルとなる取り組み、産業廃棄物管理型最終処分場の整備に向けた取り組みを進めるなど、ふるさと鹿児島のかけがえのない環境を守り育て、次世代へ引き継いでいくための施策を展開いたしますため、環境部を新たに設置することとしたところであります。  環境産業の活性化による雇用創出につきましては、公明党太田代表の「グリーン産業革命への提言」におきまして、環境技術を駆使して環境産業の活性化を促すこと、太陽光発電や電気自動車の普及を急ぐこと、バイオマス活用を促進することなどが提案されておりますが、現在、国におきましては、緑の経済と社会の変革を通じて、二〇一五年までに環境ビジネスの市場規模を百兆円規模に拡大し、二百二十万人の雇用確保を目指す構想が三月末を目途にまとめられると聞いているところであります。  県といたしましても、本年度中に策定いたします新雇用創出プランにおきまして、環境に配慮した産業の創出を位置づけますとともに、太陽光発電等の新エネルギーや農業系廃棄物や焼酎廃液のバイオマス等を生かした環境に配慮した産業の創出に努めてまいりたいと考えております。 41 ◯企画部長(山田裕章君) 太陽光発電の導入状況等についてであります。  平成十三年度に策定いたしました県新エネルギー導入ビジョンにおける住宅用太陽光発電の導入目標は、平成二十二年度で約八万キロワットで、平成十九年度末で約四万五千キロワットが導入されております。  今回再開されました太陽光発電に対する補助申請は、本県分は百九十六件となっております。補助制度の周知広報につきましては、太陽光発電協会等においてパンフレットの作成・配布や新聞広告などが行われておりますが、県におきましても、これまでホームページ等での紹介等を行ってきております。今後とも、県の各種広報媒体を活用した広報に努め、この制度が十分に活用されるよう努めてまいりたいと考えております。  新エネルギーの導入につきましては、本県の恵まれた日射量や風況、豊富な木質資源、畜産廃棄物などの未利用資源の有効活用を図ることとし、引き続き、太陽光、風力、バイオマスエネルギーを中心に導入を促進することとしております。
     新エネルギーにつきましては、さらなる導入促進を図りますため、平成二十一年度には、セミナーの開催に加えまして、太陽光発電機器の展示や導入のための相談窓口を設置いたします新エネルギーフェアをかごしま環境フェアと同時開催するとともに、多くの入園者がありますフラワーパークかごしまへの太陽光発電の設置などに新たに取り組むこととしております。 42 ◯環境生活部長(高山大作君) 消費者行政活性化基金につきましては、今議会に平成二十年度補正予算案として消費者行政活性化基金の積立金額三億一千六百九十一万七千円を計上しているところでございます。  当該基金を活用した消費者行政活性化のための施策としましては、市町村の消費生活センターの設置や消費生活相談窓口の拡充のほか、弁護士等の専門家を活用した相談窓口の高度化、研修の充実・強化による相談員の資質向上、消費生活相談を担う新たな人材の育成、県民に対する消費者教育・啓発などを考えておりまして、具体的には、今後、県消費者行政活性化計画及び市町村プログラムを策定しまして、平成二十一年度からの三年間に重点的に取り組むこととしております。  多重債務者対策でございます。  多重債務者への取り組みといたしましては、県消費生活センターや市町村、弁護士会など関係機関に相談窓口が設置されておりまして、多重債務相談に対応いたしますとともに、国の多重債務問題改善プログラムに基づき、福祉や税部門などから成る庁内連絡会議を設置し、連携強化を図っているところでございます。  さらに、弁護士会、司法書士会など十五機関から成る県多重債務者対策協議会を設置し、相談体制の充実などについて協議を行い、本年度は県内四地区において弁護士会や司法書士会、市町村の協力により無料法律相談会を実施したところでございます。  なお、多重債務者向けの融資制度の新設につきましては、実施主体や運営方法の面に課題もあると聞いておりまして、県としましては、今後とも、市町村や弁護士会など関係機関と連携をいたしまして、無料法律相談会の開催や既存の融資制度などによりまして多重債務者対策に取り組んでまいりたいと考えております。 43 ◯保健福祉部長(岩重秀人君) 介護職員数と不足状況についてでございます。  国の調査によりますと、平成十八年十月の本県の介護サービス施設・事業所の職員総数は三万六千九百九人で、うち介護業務に直接従事する介護職員は二万一千三十一人、介護支援専門員は二千五百二十二人となっております。  また、鹿児島労働局の調べでは、平成二十年十二月の介護関係新規求人倍率は一・六六倍となっておりまして、同時期の全産業の新規求人倍率〇・六〇倍と比較すると、介護職場は人材確保が難しい状況にあると認識しております。  介護福祉士等修学資金貸付制度についてでございます。  福祉・介護職場につきましては、常態的に人材不足の状況にあることや、介護福祉士等養成施設の入学者等が減少しておりますことから、介護福祉士等修学資金貸付制度を創設いたしますとともに、貸付枠の一部を昨今の経済状況による離職者に優先して配分することとしております。この貸付制度を、離職者を含め、一人でも多くの学生の方が利用できますよう県内の養成施設に説明を行ったところであり、今後、高校等への制度の案内や県の広報媒体によるPR等を行いまして一層の周知を図ることとしております。  また、新たに創設する福祉・介護人材確保緊急支援事業によりまして、高校生等を対象とした就職選択説明会などを実施し、若い世代等の参入促進を図りながら、福祉・介護職場の人材確保に努めてまいりたいと考えております。  要介護認定システムについてでございますが、認定を不服とする審査請求件数は、平成十八年度十件、平成十九年度七件、平成二十年度はこれまで五件と減少してきております。請求内容としましては、心身の状態等は変わっていないのにもかかわらず、前回に比べ認定結果が軽度になったことを不満とするものがほとんどでございます。  本年四月からの要介護認定システムの主な変更点は、より精度の高い審査判定を行いますため、新たに収集したデータに基づき、全体的な要介護度を判定するための一次判定ソフトが見直されたこと、及び認定調査の負担軽減の観点から、調査項目が八十二項目から七十四項目となったところでございます。  県としましては、今回の要介護認定の見直しにつきまして、市町村や認定調査員、介護認定審査会委員等の関係者に対する研修会を実施するなどしまして、要介護認定が円滑に実施されるよう努めてまいりたいと考えております。  女性外来設置状況及び女性医師確保策についてでございます。  県におきましては、女性が受診しやすい医療環境を整備するため、女性のための特別な外来の設置や女性医師による対応などを行います「女性にやさしい医療機関」を指定しておりまして、本年一月末現在で、病院・診療所二十七カ所、歯科診療所二十四カ所、合計五十一カ所となっております。  また、年々増加する女性医師は、医療現場に欠くことのできない貴重な担い手であると認識しておりまして、県では、病院内保育所の運営費に対する助成を行っておりますほか、今年度から、出産・育児等により離職した女性医師の再就業を支援するため復職研修の実施体制を整備したところでございます。さらに、県内すべての医療機関を対象に、短時間勤務の導入など女性医師に対する就業支援状況を調査し、その結果を県のホームページに掲載するなど、女性医師の確保対策を推進しているところでございます。  女性の健康パスポートについてでございます。  女性の生涯にわたる病歴、妊娠・出産歴、健康診断の結果等を記録していくことは、健康管理上意義があると考えております。現在、市町村におきましては、四十歳以上の方を対象に健康手帳を交付いたしますとともに、妊娠の届け出をした方に対しましては母子健康手帳を交付するなど、ライフステージに応じた女性の健康づくりを支援しているところでございます。  また、若い世代からの健康情報の記録を活用していくことも重要でありますことから、県におきましては、市町村等との連携のもと、若い女性の健康支援の観点も取り入れながら、母子健康手帳等の有効な活用方法について研究し、女性の生涯を通じた健康づくりを推進してまいりたいと考えております。  妊婦健診につきましては、国は第二次補正予算におきまして、妊婦が健診費用の心配をせず十四回程度の健診を受けられるよう、平成二十二年度までの間、公費負担の拡充を図ることとしているところでございます。  これを受けまして県としては、平成二十年度三月補正予算におきまして、国から交付される妊婦健康診査臨時特例交付金を活用して妊婦健康診査支援基金を造成し、公費負担を拡充する市町村を支援することとしております。現在、平成二十一年度において約九割の市町村が十四回の妊婦健診の公費負担を実施予定と聞いておりますが、県としては、すべての市町村で実施されますよう制度の周知徹底に努めてまいりたいと考えております。  また、平成二十三年度以降につきましても引き続き実施できますよう、必要な財源の確保について、県開発促進協議会等を通じ、国に対して要望してまいりたいと考えております。  幼稚園、保育所及び認定こども園の現状につきましてでございます。  本県におきます保育所の在園児数は、平成二十年四月一日現在で三万一千六百三十一人で、このうち三歳以上の児童は一万九千九百八十人となっております。また、幼稚園の在園児数は、平成二十年五月一日現在で一万九千三百十四人となっております。  認定こども園の認定状況につきましては、平成二十一年二月一日現在で、幼保連携型が四施設、幼稚園型が三施設、保育所型が三施設の合計十施設となっており、在園児数は八百五人となっております。  幼稚園や保育所の保護者負担の軽減につきましては、少子化対策の一環として、多子世帯の子育てに係る経済的負担の軽減と安心して子供を産み育てられる環境づくりという観点から、認可保育所や私立幼稚園に入所・就園している第三子以降の児童を有し、経済的負担が大きいと思われる世帯を対象に、現在の保護者負担額の状況に応じまして市町村がその三分の一から二分の一を助成する場合に、県が市町村助成額の二分の一を補助することとし、平成二十一年度から新たに実施することとしております。  県としては、今後とも、安心して子供を出産し、健やかに育てられる環境づくりを進めるため、各般の少子化対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 44 ◯商工労働部長(六反省一君) 緊急保証制度の実施状況等についてであります。  緊急保証制度につきましては、二月十三日現在の県信用保証協会への申し込み件数は三千四十七件、審査済み二千五百九十九件で、そのうちの九四%に当たる二千四百四十三件が保証承諾され、金額では約三百九十四億円となっております。  昨年十一月から本年一月までの三カ月間の県信用保証協会全体の保証承諾実績は、緊急保証分を含めまして約四百八十四億円で、前年同時期に比べ、約三倍に拡大をしております。緊急保証制度は、県内中小企業者の資金調達の円滑化に大きく寄与しているものと考えております。  このような中、年度末を控え、中小企業者の資金需要が増大することが見込まれますことから、県としては、今後とも、緊急保証制度の円滑な推進に努めますとともに、金融機関や商工団体等が連携して、きめ細やかな経営支援に取り組むよう要請してまいりたいと考えております。  雇用対策の取り組みについてであります。  雇用対策の取り組みについては、昨年末からの当面の緊急雇用等対策によりまして、臨時職員の直接雇用や道路・河川の維持管理等でこれまでに六百人の雇用を確保したところであり、一定の成果をおさめつつあると考えております。また、平成二十年度三月補正予算において、雇用・経済対策として、ふるさと雇用再生特別基金の造成に要する経費など二百九十四億円を計上しており、継続的かつ機動的な雇用の創出に取り組むこととしております。  平成二十一年度当初予算におきましても、雇用・経済対策として四百四十九億円を計上しておりまして、基金を活用した緊急の雇用創出に引き続き取り組みますとともに、離職者を対象とした短期の職業訓練の拡充や雇用保険のない求職者に対する県独自の訓練助成金の支給を通じた再就職支援など、切れ目のない雇用対策に取り組むこととしております。  県総合的雇用対策の総括についてであります。  県総合的雇用対策につきましては、雇用の創出、雇用の支援、雇用の維持の三つの基本的方向のもとに、企業誘致や産業おこし等による雇用の創出や求人開拓ローラー作戦、就職面接会などによる雇用の支援等に取り組んできたところでございます。  その結果、新規高卒予定者の県内求人倍率は三年連続で目標の一倍を超えますとともに、新規雇用創出数についても、目標の一万五千人を超える一万九千人余りの雇用が創出される見込みとなるなど、一定の成果をおさめているものと考えております。  新雇用創出プランにつきましては、県総合的雇用対策の基本的な方向を継承しつつ、非正規雇用対策や仕事と生活の調和等に配慮した雇用環境づくりの視点から、新たに雇用の改善という基本的な方向を追加することとしております。また、現下の急速な景気の悪化に伴う厳しい雇用情勢を踏まえ、緊急的な雇用の創出を初め、職業訓練の拡充などによる雇用の支援、中小企業対策の強化などによる雇用の維持にも配慮することとしております。  今後とも、本県の厳しい雇用環境の改善に資するプランとなりますよう、年度内策定に向け取り組んでまいりたいと考えております。 45 ◯観光交流局長(椿 哲哉君) ポスト篤姫の観光戦略につきましては、昨年の大河ドラマの放映効果を生かし、ことし生誕二百年を迎える、篤姫の養父島津斉彬や近代化産業遺産の集成館事業、全線開通百年の肥薩線など、「篤姫から始まる歴史物語」を視野に入れた観光PRを展開したいと考えております。  また、鹿児島の地域資源を生かした着地型観光メニューや「よかとこ百選」で発掘した新たな観光資源を磨き上げることなどにより、将来ビジョンに掲げた「世界を魅了する観光地”KAGOSHIMA“の形成」に向けてさまざまな取り組みを進めてまいりたいと考えております。  九州新幹線の利用者は、現在でも観光目的よりビジネス目的の利用者が若干上回っている状況にありますが、全線開通により、さらにさまざまな目的を持った本県への来訪者がふえると予想されます。こうした交流人口の増加を宿泊客の増加につなげるためには、観光かごしまの情報発信に加え、ソフト・ハード両面からの魅力ある観光地づくりにさらに努める必要があると考えております。  御提案の政策観光につきましては、誘客の一つの手法として今後、研究してまいりたいと考えております。 46 ◯教育長(原田耕藏君) 幼児教育の充実のための取り組みについてでございます。  幼児期における教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、新しい教育基本法、学校教育法におきましても、幼児教育の重要性や目的が明確に示されたところであります。また、これを踏まえまして、幼稚園教育要領及び保育所保育指針が改訂されまして、幼稚園、保育所等と小学校との連携、保護者への情報提供や交流の機会の設定などの子育て支援、預かり保育の充実等が掲げられたところであります。  県教委といたしましては、幼児教育全体の質の向上を図る観点から、例えば各種研修会を幼稚園の教員だけでなく、認定こども園や保育所の保育士、小学校の教員も対象として開催することとしたところであり、今後とも、関係部局との連携を密にして、本県幼児教育の充実を図ってまいりたいと考えております。  総合型地域スポーツクラブ育成のための予算確保についてでございます。  県では、国のスポーツ振興基本計画に基づきまして、生涯スポーツ社会の実現を図るため、平成二十二年度までにすべての市町村において総合型地域スポーツクラブを育成することを目標に取り組んでおります。  総合型地域スポーツクラブは、地域の学校や公共の体育施設を拠点として、地域住民が主体的に運営する会費制のスポーツクラブでありますが、県といたしましては、その設立や運営につきまして支援しているところであり、来年度は、未設置市町村への設置支援や連絡協議会、研修会の開催等に必要な予算を計上いたしますとともに、財団法人日本体育協会や独立行政法人日本スポーツ振興センター等の助成事業の活用を指導しているところでございます。  総合型地域スポーツクラブの現状等についてでございます。  現在、十二市七町に三十七のクラブが設立されておりまして、四市二町で八つのクラブが設立準備を進めております。設立されたクラブの中には、指定管理者として市や町のスポーツ施設の管理運営や地域のスポーツ行事の運営など、生涯スポーツの振興に中心的な役割を果たしているところもある一方、設立後、会員不足や指導者及び財源確保に悩みを抱えているクラブもございます。また、リーダーの不在や運営に対する不安などから、設立に踏み切れないといった課題もございます。  今後、県といたしましては、クラブ連絡協議会や研修会、リーダー養成講習会等を開催いたしまして、指導者の育成や運営の指導を行いますとともに、各クラブが主催する事業への支援等を行うことといたしております。また、未設置市町村への働きかけを行いまして、クラブの設立や育成支援に努めてまいりたいと考えております。  高校生の教科「奉仕」必修化でございます。  高校生が地域の中でさまざまな奉仕体験活動を通して、自分と他者や社会との関係について深く考えることは大切なことであります。本県公立高校では、これまで、総合的な学習の時間や特別活動等を通して、地域の清掃活動や伝統行事への参加、老人福祉施設等における交流活動など、学校や地域の特色を生かしてさまざまな奉仕体験活動に取り組んでいるところであります。  活動に参加した生徒たちは、相手のことを思いやる気持ちの大切さを学んだとか、人の役に立っていることが実感できてうれしかったなど、社会貢献ができた達成感を感じております。  県教委といたしましては、今後とも、高校生が奉仕体験活動を通して、地域社会の一員であることを自覚し、公共心や規範意識の醸成が図れるよう努めてまいりたいと考えております。 47 ◯総務部長(篠原俊博君) 幼児教育の行政窓口の一元化についてでございますが、私立幼稚園と保育所は異なる目的、役割のもと充実に努めておりますが、両施設とも就学前の子供を対象としているため、連携等を促進し、平成十八年度に教育と保育を一体的に提供する認定こども園制度も設けられたところであります。  県といたしましては、来年度設置される県民生活局の青少年男女参画課におきまして、私立幼稚園と保育所にかかわる業務を集約し、窓口を一元化することとしておりまして、今後とも、幼稚園と保育所の一層の連携を進め、子供に対する教育、保育の充実に取り組んでまいりたいと考えております。  私学振興の取り組みについてでございますが、私立学校は独自の建学の精神に基づき、個性豊かな特色ある教育活動、研究活動を展開しておりまして、県内の高校生の約三割が修学するなど、本県教育の向上・発展に重要な役割を果たしているところであります。  昨年三月に策定をいたしました「かごしま将来ビジョン」に、「公立学校とともに本県の学校教育の重要な一翼を担っている私立学校の健全な発展の維持・継続及び教育条件の向上を図る」としておりまして、これを基本といたしまして、今後とも私学の振興に努めてまいりたいと考えております。  公私の高等学校の連携についてでございますが、少子化の進行に伴いまして、中学卒業者数の長期的な減少が今後も続くと予想されておりまして、公立・私立高等学校とも大変厳しい状況になっているところであります。  このような状況などにつきまして、公立・私立高等学校の関係者が認識を共有し、今後の高等学校教育に係る諸問題につきまして協議を行う場として、公私立高等学校協議会を新たに設置をし、今月十九日に第一回目の会議を開催したところであります。今後、公立・私立双方が引き続き協議を行い、本県高等学校教育の振興につなげていただきたいと考えているところであります。 48 ◯持冨八郎君 自席からお願いします。  公私立の連絡協議会、また今回は名前が変わって公私立高等学校協議会とそういうことでございますけれども、以前も議長を中心に五十一年度からそういう連携がとられたと思っております。今回新しくやるに当たっては、やはり公私立できちっとした打ち合わせをする機関、神奈川県の例を出しましたけれども、神奈川県では幹事会というのをやって積み重ねて、一つの結論を出すような積み重ねをしていると思いますけれども、その辺についての取り組みはどのように考えておられますか。 49 ◯総務部長(篠原俊博君) 今回の公私立高等学校協議会につきましては、前回の連絡協議会の状況等を踏まえまして、ある程度ハイレベルの形での公私のメンバーということで設置をしたものでございます。中身につきましては、公私の双方が忌憚のない意見をこの場において出すことによって、引き続き協議を行い、本県の高等学校の振興につなげていただきたいというふうに考えているところであります。    [持冨八郎君登壇] 50 ◯持冨八郎君 それぞれ御答弁をいただきました。  環境問題につきましては、環境は公共の財産であるという認識に立って、責任の共有が大事だと思います。新エネルギーの開発、利用促進は、先ほどもありましたように雇用や新しい産業振興のチャンスにもなりますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  消費者行政につきましては、よりアンテナを高く張って民間のノウハウやアイデアを取り込んで、新しい取り組みでありますので、消費者のためになる取り組みをよろしくお願いしたいと思います。  中小企業の支援・雇用については、スピードと細やかな対応が大事であります。国の対策に呼応して、迅速かつ丁寧な対応を要請したいと思います。  それから妊婦健診につきまして、せっかく十四回までの道筋ができたわけですけれども、市町村によってはまだできていないと、先ほどは九割というお話がありましたけれども、県内どこにいても安心して産み育てられるようなそういう取り組みをぜひお願いをしたいと思います。  それから、今、私学振興につきましてちょっと再質問したわけですけれども、余り答弁になっていなかったんじゃないかなとそういうふうに思っております。  なぜこの公私立の話が出てきたかというと、昨年の九月のときに学区編成があったけれども、私学協のほうは何も聞いていなかったというお話があって、こういう問題が出てきたと。  しかし、現実には、昭和五十一年からそういうことを取り組むようにという文科省の通達もありました。また、五十七年には丙午で生徒数が減るということで、何とか対応しようということで再度通達が出ました。今度もまたこういうふうにやろうとしているわけですけれども、大事なことは二点ありまして、教育委員会のほうが本当に相談する、あるいは一緒になってやろうという思いがあるのかというのが一つ、そして、だれがそこを先導してやるのかということがあると思います。  もう一点は、やはり集まって話をしただけではだめで、やはり具体的に詰めていかなきゃいけないわけですから、詰めていく場所が必要なんですね。だから、幹事会という話を私は出して、神奈川県の例を出したわけですけれども、集まって情報交換をしますと、今までも毎年一回から二回はやってきたんではないかなと、そういうふうに思っております。  名前が変わっただけではお互いの理解が進むとは思えません。そういった意味では、教育委員会の考えを伝達徹底する会合ではなくて、本当に、例えば私学の場合でありますと学芸高校がなくなりました。また薩摩川内の純心高校もなくなるという話も聞いておりますけれども、私学にとっては非常に死活問題ですし、今までともに教育を支えてきたところがそういう状況でありますので、そこは本当にしっかりとした連携をとりながら、議論を積み重ねてやっていただきたいなと思っております。  最後に、一言申し上げたいと思います。  年頭から暗いニュースが多い中で、県民に大きな喜びをプレゼントしてくれたのが鹿児島城西高校のサッカー部の活躍でありました。私も準決勝を応援に行きましたが、一対三から四連続得点をして五対三の逆転勝利でありました。決勝戦では惜しくも負けてしまいましたが、見事な準優勝でありました。心からエールを送りたいと思います。  城西イレブンのあきらめずひたすらにボールを追いかける姿、またスタンドでは控え選手と保護者、県人会の人たちが一体となって応援する姿に深い感動を覚えました。また、スポーツのすばらしさを再認識するとともに、青年は活躍の舞台を提供すれば大きく成長するものだと感じました。青年の持つ無限の力を引き出して社会を元気にする取り組みが必要であると感じた次第であります。  先ほど教科「奉仕」の必修化の話をしましたけれども、そのときに出た話でもありますけれども、若い高校生が奉仕活動をすると、まず親御さんが喜びます。またおじいさん、おばあさんが喜びます。そして地域の皆さんが喜ぶとともに、地域が明るく元気になります。知事も有徳ということを言われましたけれども、有徳を百回口にするよりも、高校生の一回の奉仕活動で地域が明るく変わります。  「新しき世紀をつくるものは、青年の熱と力である」と言った人がおりますが、明治維新の中心になった志士たちも、若き薩摩の群像の留学生たちも高い志を持った若者たちでありました。若者が希望を持てる社会に、そして高齢者の方々の経験が生かされる社会に、そして女性が活躍できる社会に、そしてみんなが生きがいを持って、また生きがいを実感できる社会の実現のために今後とも懸命に働いていくことをお約束をしまして、代表質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)       ───────────── 51    △ 議案議第一号の質疑 ◯議長(金子万寿夫君) ここで、議案議第一号について質疑の通告がありますので、順次発言を許可いたします。  まず、大園清信君に発言を許可いたします。    [大園清信君登壇] 52 ◯大園清信君 まず、観光立県かごしま県民条例案につきましては、平成十九年度の鹿児島県議会政策立案推進検討委員会からの提言を受け、昨年五月九日の条例案調整会議を経て設置された観光立県条例案作成委員会の八名の委員の方々が多大なる御努力を重ねられ、今定例会に提案されたことに敬意を表します。  観光立県条例案作成委員会からは、検討途中での御報告を何回もいただいておりますが、条例案についてもう少し詳細を教えていただきたいので、以下四点について質疑をいたします。  まず、第一点は、今定例会において条例案を提案した理由についてでございます。  先日の提案理由説明では、条例制定の目的として、近年の体験、本物志向といった観光旅行者の需要の高度化などの観光をめぐる状況が主たる要因のようにも思えたのですが、本県では、平成二十三年春の九州新幹線鹿児島ルート全線開業を控え、これによる観光に対する影響は非常に大きいと思われます。このことについていかがお考えでしょうか。  二点目は、観光立県の意義についてでございます。  条例案の名称が「観光立県かごしま県民条例」とございます。観光立県と言われますが、県民にとっては「観光立県」という言葉は余り聞きなれない言葉ではないかと思われます。観光立県とはどのような意義、意味を持つのか、いま一度御説明をお願いいたします。  三点目は、この条例案の特徴についてでございます。  国において平成十八年十二月に観光立国推進基本法が制定され、また昨年十月に観光庁が発足したのを受け、他の道県でも観光の振興に関する条例が制定されているようでありますが、この観光立県かごしま県民条例案の特徴はどのようなものでしょうか。  第四点目は、この条例制定による効果についてでございます。  この条例が制定された場合、どのような効果があるとお考えでしょうか。
     以上、四点についてお伺いいたします。    [日高 滋君登壇] 53 ◯日高 滋君 大園議員にお答えをさせていただきます。  今定例会において条例案を提案した理由に関連して、九州新幹線鹿児島ルートの全線開業についてのお尋ねであります。  今回の条例案は、平成十九年度の政策立案推進検討委員会から議長になされた提言が端緒であるわけですが、このとき提出された報告書でも、「本県が国内外の誘客競争に打ち勝つには、九州新幹線鹿児島ルートの全線開業を大きな好機ととらえる」と、そのようにされております。  御指摘のとおり、九州新幹線鹿児島ルートが全線開業いたしますと、福岡までの所要時間が約一時間二十分、大阪まで約四時間となるなど、本県の経済活動に大きな影響を及ぼすものと思われます。本県の観光にとっても看過できない重要なものでございまして、今回条例を制定しようとする主たる要因の一つでございまして、御指摘のとおりでございます。  現在、九州新幹線鹿児島ルートの全線開業に向け、執行部でも、かごしまPR基本戦略や新幹線効果活用プランを策定いたしまして、いろいろな取り組みが行われているところでございます。今回、県民が一体となって観光立県の実現を図っていくための基本指針となるこの条例を制定することで、これまでの取り組みと相まって、観光において、本県が国内外の誘客競争に打ち勝つことができるものと確信をいたしているところでございます。  次に、観光立県の意義についてお尋ねでございますが、国においては「観光立国」という言葉を用いております。「観光立国」とは、そこに住んでいる人がその地に住むことに誇りを持つことができ、幸せを感じることによって、その地を訪れる人にとっても魅力を感じる、「住んでよし、訪れてよし」の国づくりを実現しようというものでありまして、地域の方々が知恵を出し、工夫して内外の旅行者に向けた観光地づくりに取り組むことが、地域の交流人口を拡大し、魅力ある地方をつくることにつながるものと考えられております。  「観光立県」とは、同様に、これからの県政で観光のみを推進しようというものではなく、条例案にもありますように、観光産業がほかの産業とも密接な関係を有する総合的な産業であること、また、平成十九年の本県の観光消費額は四千六百二十七億円で、県内の農業産出額四千五十三億円を超える規模となっておりまして、観光は本県の重要な産業となっていることから、観光を県政の重要な施策の一つとして観光の振興を図ることによって、活力のある地域社会づくりをしようというものであります。  例えば、観光旅行者が県内の各地を訪れることによって、ホテル・旅館での宿泊、バス・タクシーの利用やお土産の売り上げがふえるという直接的な効果だけではなく、地産地消を進めることによって、農業や林業、水産業への波及効果が期待ができ、また昨年の指宿での観光ボランティアの方々と観光旅行者との交流などのように、地域住民の方々の生き生きとした生活と地域の活性化につながることを目指すものであります。  なお、参考までに申し上げますと、昨年末までにほかの十二道県で観光振興に関する条例が制定されておりますが、七県で「観光立県」という言葉が使われております。  次に、この条例案の特徴についてのお尋ねでございます。  条例案の特徴といたしまして幾つかございますが、まず、観光産業を他の産業と密接な関係を有する総合的な産業と位置づけたことでございます。  観光産業は、観光旅行者と直接関係する宿泊業や旅行業者だけに限らず、かごしま食と農の県民条例でもうたわれている地産地消等を通して、本県の基幹産業である農林水産業など多くの産業とも関係するものでありまして、観光関係事業者と観光関係団体の役割にこの地産地消への取り組みを規定したところでございます。  次に、観光立県の実現に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、基本方針を条例の施行後一年以内に策定することとし、議会の議決と成果の報告を義務づけたことでございます。  そして、観光ボランティアなど観光を担う人材の育成を図るとともに、経済、文化、スポーツ等による国際交流や県内外の相互交流を促進することとしたことであります。  また、新たな分野の普及等として、県内各地での取り組みが進められつつあるエコツーリズム、グリーン・ツーリズム、ヘルスツーリズム、スポーツキャンプ等を明文化し、それらの促進を行うこととしたことであります。  また、鹿児島は豊かな自然にめぐまれ、それが観光においても重要な資源であると考えており、基本理念において「自然との共生に配慮すること」としておりまして、それを受け、観光旅行者も環境保全に関する施策への協力を規定したことであります。  それに、観光立県の実現のためには、県民一人一人の理解と人材育成が必要不可欠であることから、観光に関する啓発や学校教育、社会教育の推進をうたっているところであります。  最後にもう一つ、施策を着実に推進するために、新たに二十名以内の委員から成る鹿児島県観光立県推進会議を設置することといたしました。この推進会議の委員の任命に当たっては、男女の多様な意見が適切に反映されるように配慮することといたしております。  次に、条例が制定された場合の効果についてお尋ねでございます。  国において平成十八年十二月に観光立国推進基本法が制定されてから、昨年四月一日時点で観光振興に関する条例を制定していたのは八道県でしたが、それ以降十二月までの間に四県で条例が制定され、さらにはパブリックコメント等の手続を進め、あるいは検討をしている県が五県ほどあると聞いております。そういたしますと、本県を含め、約四割の道県で観光振興に関する条例が制定されることとなり、国際的な競争だけではなく、国内各地での観光客の誘客に関する競争が激化していくものと考えられます。  この条例は、国内外で激化する競争も見据え、県民が一体となって観光立県の実現を図っていくための基本指針を示すものであり、県民一人一人に観光立県に対する理解を深め、その重要な担い手であるという思いを持っていただくとともに、条例で定めた競争力の高い魅力ある観光地の形成を図るためなどの施策を総合的かつ計画的に推進することにより、これまでも各種の取り組みがなされてきました。世界を魅了する観光地”KAGOSHIMA“の形成がより一層進められものと考えるものでございます。  以上でございます。 54 ◯大園清信君 条例の趣旨は大変よくわかりました。また、県民の皆様もこの条例をしっかりと理解していただいて、今後、私どももこの条例を基本として、観光立県鹿児島に向かって一生懸命努力してまいりたいと思います。  大変親切な御答弁ありがとうございました。 55 ◯議長(金子万寿夫君) 次は、柳誠子君に発言を許可いたします。    [柳 誠子君登壇] 56 ◯柳 誠子君 観光立県かごしま県民条例につきましては、本県において観光立県の実現を推進するためにはぜひとも必要な条例であると考え、条例制定には賛同するものでございますが、県民にもその真意を御理解いただくためにも、条例案について少し質疑をさせていただきます。  まず、観光立県の実現のためには県民の果たす役割が重要でありますが、この条例案では第四条に県民の役割が規定されております。県民には具体的にどのようなことが期待されているのでしょうか。  次に、観光立県推進会議の委員の任命に当たって、男女の多様な意見が適切に反映されるよう配慮するとの規定についてでございます。  「観光立県推進会議の委員の任命に当たっては、男女の多様な意見が適切に反映されるよう配慮するものとする」とありますが、他の条例ではこのような規定は見られないようでありますが、これはどのような考えから規定されたものでありましょうか。  以上の二点につきまして御答弁ください。    [日高 滋君登壇] 57 ◯日高 滋君 柳議員の御質疑にお答えをさせていただきます。  まず、観光立県の実現のための県民の役割についてのお尋ねでございますが、御承知のとおり、条例案の第四条では県民の役割として、観光立県に対する理解を深め、取り組みに積極的に参画することと、地域の観光資源に関する理解を深め、おもてなしの心を持って観光旅行者を迎えることとしております。  観光立県とは、観光の振興を図ることで活力ある地域社会づくりを行うものであり、そのためには県民一人一人に、自分たちの仕事や暮らしが観光につながるものであり、観光に従事する方々だけではなく、自分も観光の担い手であるという思いを持っていただくことが大切であります。  そして、自分の暮らす地域の観光資源に目を向け、例えば自分たちの周りには観光の対象となるものが何もないと決めつけるのではなく、これまでの伝統行事等を大切にし、それらを観光に生かすといった観点から見直し、これまでも鹿児島で培われてきた、観光旅行者を温かく迎え入れる「ようこそおいでいただきました」、すなわち鹿児島弁の「ゆくさおじゃいもした」という気持ちで迎えていただくようにしていただくことだと考えております。  次に、お尋ねのありました「観光立県推進会議の委員の任命に当たっては、男女の多様な意見が適切に反映されるよう配慮するものとする」というのは、今回新たに設置する鹿児島県観光立県推進会議の委員の構成についての規定でございます。  観光においては、集客に関して女性の意見の影響が大きいと言われ、また観光旅行者と直接接する女性の観光従事者が多いのも現実であります。激化する国内外の誘客競争に打ち勝っていくためには、観光に関する女性の意見を反映した活発な議論を踏まえ、施策を推進していくことが重要であります。  これまで設置されている県の審議会等を見渡しますと、男女共同参画推進条例に基づき積極的に今、取り組みもなされているところではありますが、いまだ男性が多くなりがちであるのが現状であると思っております。  私ども観光立県条例案作成委員会では、多くの意見交換会を開催いたしましたが、そこでいただいた御意見を踏まえて検討する過程におきまして、委員の構成は、女性の意見をよりよく反映するためにも男女同数にするべきであるとの強い意見などが出されたことから、あえて規定したものでありまして、この条例案の大きな特徴となったものと考えております。よって、今後の委員構成は、申し上げましたことに沿って任命されるものと思っております。  この規定につきましては、観光立県の実現に向けた熱い思いを込めたものでありますことを御理解賜りますようにお願い申し上げます。  大園議員と柳議員からお尋ねのありましたことは、いずれもこの条例案の要点に関するものであり、私の答弁で条例についてのより一層の御理解をいただけたと思っております。  観光立県かごしま県民条例案は、何度も申し上げておりますが、今後、観光立県の実現を図っていくための基本指針となるものであり、この条例に魂を入れ、その真価を発揮させるためにも、我々県議会はもちろんでございますが、執行部、県民の方々にも一体となった取り組みを賜りますようにお願いをいたしまして、回答といたします。(拍手) 58 ◯柳 誠子君 ただいまの御答弁で大変よくわかりました。  観光立県の実現に向け、この条例の真価が発揮されるように取り組んでまいりたいと思います。  御答弁いただきましてありがとうございました。(拍手) 59 ◯議長(金子万寿夫君) 以上で、質疑は終結いたしました。  これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 60    △ 日程報告 ◯議長(金子万寿夫君) 三月二日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問及び請願・陳情の委員会付託であります。       ───────────── 61    △ 散  会 ◯議長(金子万寿夫君) 本日は、これで散会いたします。         午後三時三十五分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...