私
ども県民連合は、知事が県民党の立場を堅持し、県民の総力を結集して、
マニフェストに基づいた県政の推進に果敢に挑戦されることを期待いたします。私ども自身も、県民の声を踏まえ、積極的な政策提言に努め、議員としての責務を果たしてまいりたいと思います。
戦乱と貧困にあえぐアフガニスタンで農業技術の指導を続けていた
NGOペシャワール会の伊藤和也さんが殺害されました。伊藤さんは生前、両親に「アフガンの土になってもいい」と決意を語っていたそうです。八月三十日、ひつぎにおさめられて帰国した息子に、父親の正之さんは「和也は本望だったと思う。ここでNGO活動がストップしたら和也の志が頓挫することになる」と話し、
ペシャワール会の中村代表も「何かあったからといって逃げない」と、伊藤さんの志を引き継ぐ決意を強調していました。
人道支援活動を行う外国人をねらった犯罪に怒りが込み上げてきます。伊藤さんの死を無駄にしない活動の継続と、御冥福を心からお祈り申し上げます。
一方、日本では九月一日、余りにも唐突に福田首相が辞任を表明しました。安倍前首相の突然の辞任劇から一年足らずで、一国の首相が二代続けてみずから政権を投げ出したことは極めて異常であり、無責任としか言いようがありません。
二度あることは三度あると言われます。自民党の総裁選には五名の方が立候補しました。よもや、政権運営に行き詰ったらやめればいいと思って立候補されたのではないと思いますが、総裁選に対する国民の関心が高まったところで解散するしか、次の首相の選択肢は残されていません。国民の関心が高まれば次期政権への支持も高まるとの戦略のようですが、総選挙に勝てそうな顔だけで判断するほど国民は愚かではありません。
米国大手証券会社の破綻と世界的金融不安、事故米の不正転売による被害の拡大、領海侵犯の潜水艦を見失う失態など、政治の機敏で具体的な対応が求められているときに、まるで再放送のような総裁選挙に明け暮れている場合ではないのです。
私どもは、政権交代を実現するための決意を新たにしていることを申し上げ、県民連合を代表して質問を行ってまいります。
まず、知事の政治姿勢についてであります。
今回の知事選は、現職と新人候補の一騎打ちとなりましたが、投票率は過去二番目に低い数字にとどまり、前回投票率を下回る結果となりました。六割を超す有権者の意思が示されず、相手候補が十五万票近くを獲得したことは、伊藤知事を推薦し、応援した私どもも含めて厳しく受けとめる必要があります。
知事は選挙後の記者会見等で、「投票率は想定の範囲内、有力候補が立っていないので伸びないと考えていた」「投票に行かなかった人の中にも、まだ任せてみようという人はいる」と、六割の棄権者がいても信任を得たと前向きの解説をされています。
しかし、選挙によって有権者の審判を仰ぐのであれば、圧倒的な信任を期待して選挙運動をするのが当然であって、初めから「今回は投票率を無理して上げなくてもいいと考えていた」「棄権した有権者からも信任を得た」というのは、謙虚さに欠けると言わなければなりません。県政運営の責任者としては、むしろ県政への関心の低さ、批判票であるとの認識を持って、今後の県政運営に臨む姿勢が重要であると思います。知事の見解をお伺いいたします。
「今回の選挙戦を通じて、二期目への課題が見えたか」との記者の質問に対して、知事は「路地裏や介護施設の現場、消費者の動向などを目の当たりにすることで、見えてきたものもある」と述べておられます。
本県財政は、この四年間の伊藤知事の努力によって改善が図られつつありますが、依然として国の
財政再建至上主義のもとで厳しい現状にあり、
マニフェストの推進も困難さが控えています。伊藤知事は、二期目の県政をどのような姿勢で運営されるのか、基本的考えをお伺いいたします。
今回の伊藤知事の
マニフェストは、「新たな未来への挑戦」として百三十項目の施策が盛り込まれています。第一期目に比べて具体的な数値目標や期限設定が乏しく、どのような工程で施策の実現を図るのか、その道筋が見えにくい面があります。一期目の
マニフェストは、
具体的数値目標に基づいて、その進行管理と達成度の評価が可能でありましたが、今回は、それは何によって行うことになるのかお伺いいたします。
また、今回の
マニフェストには、人工島の今後について、
マリンポート一期は
クルージング時代の大型船の停泊地の活用とともに、緑地空間や災害発生時の対応空間として活用するとしていますが、残り二期事業四十二ヘクタールについては触れていません。これまで二期事業は、
社会経済情勢の推移を踏まえ、県民や県議会の意見などを聞きながら判断するとされてきていますが、今日の情勢からして、伊藤知事の二期事業中止の英断を求めるものです。いかがでしょうか。
法政大学の杉田敦教授は、福田首相の辞任劇について「大統領と議会多数派が別の党派であることなどは、諸外国ではむしろ常態である。一筋縄ではいかない困難な状況の中で、さまざまな交渉によって、何とか物事を決めていくというのが政治家の腕の見せどころではないのか。長期にわたって衆参で圧倒的な多数派を制した、かつての自民党政権のような状態を前提とするのがおかしい」と語っています。まさに同感です。粘り強い交渉能力と強固な意思を持った政治家が求められているのであります。
衆議院と参議院の多数派が異なる「ねじれ国会」は、どちらも民意であります。衆議院で多数を占める政府・与党の法案が、参議院の野党の多数の前で反対され、立ち往生するのは当然であり、そこで行き詰まったから政権を放り出すというのは、余りにも短絡的で自爆的な行動としか思えません。それをとめられなかった
自民党国会議員であるならば、総裁選でだれが首相についても同じ轍を踏むことになるのではないでしょうか。もはや自民党に
政権担当能力はないと言えます。
知事は、日本の
最高権力者である首相の責任、組織のトップの責任はどのようにあるべきと考えておられるのか、見解をお伺いいたします。
福田首相は辞任表明のときの記者会見で、「国民生活のことを考えるのであれば、政治の空白をつくり、政策の実行をとめることはできない」と語りました。原油や穀物価格の高騰等の影響によって、生活関連商品の値上げが家計を直撃し、農林水産業や中小企業の経営悪化が深刻になってきており、一日も早い緊急かつ抜本的な対策が求められています。
福田首相は八月二十九日に、これに対応する
総合経済対策を取りまとめましたが、首相の退陣表明と自民党の総裁選挙で九月十二日開会予定の臨時国会は延期となり、今後の政治日程は不透明感が増してきています。
知事は、今日の政局と国民生活の現状にどのような思いを持ち、何を望まれるのか、率直な考えをお聞かせください。
この九月議会に、原油や飼料価格の高騰対策に要する経費として、農業施設の省エネ化や漁船建造等の導入に係る利子補給、
生産コスト低減の
マニュアル作成費等を計上されています。県として、厳しい財政事情の中で精いっぱいの措置かと思いますが、事業を廃止せざるを得ない状況も生まれています。実際どれだけの効果を見込んでおられるのか、知事の見解をお伺いいたします。
次に、二〇〇九年度の
予算編成方針についてお尋ねいたします。
八月二十八日に発表された国の二〇〇九年度予算の概算要求は、一般会計で二〇〇八年度当初予算に比べ三兆七百億円増の八十六兆千三百億円程度となっており、この概算要求に合わせて総務省は、来年度の
地方財政計画の試算をまとめました。それによると、地方交付税は今年度より六千億円少ない十四兆八千億円、
地方財政計画総額も六千億円減の八十二兆八千億円としています。また、昨年度創設された
地方再生対策費は今年度と同額の四千億円を計上しています。歳出面では、引き続き公共事業などの投資的経費を三%減らし、職員削減による
給与関係経費も抑制するものの、社会保障費が伸びるため
一般行政経費は五千億円増額となっています。
国の二〇一一年のプライマリーバランスの黒字化の方針によって、地方においては国以上に血のにじむ行財政改革に取り組んでいるものの、依然として厳しい財政運営が続いています。それだけに年末の国の予算編成に向けては、本県の実情を十分踏まえた地方交付税の確保と
地方再生対策費の重点的な配分、税制改正における地方税財源の拡充などが図られるよう強く要請すべきでありますが、今後の取り組みと決意をお伺いいたします。
伊藤知事はこの四年間、
県政刷新大綱に基づく財政改革に努力し、県職員や事業者、県民の痛みを伴う人件費や
普通建設事業費、
一般政策経費等のあらゆる歳出の削減を実施してこられたところです。しかし、県債残高と公債費は高水準で推移し、一方、財政調整に必要な基金は底をつく状況にあり、一段と厳しい財政運営を迫られています。
このような中にあって、伊藤知事が目指す「力みなぎる・かごしま」の実現のためには、都市と地方の格差や雇用と所得の二極化の改善、少子・高齢化の進行や地球温暖化への対応など、中長期の新たな県政の将来ビジョンを見据えた取り組みが必要であります。また、最近の原油や穀物価格の高騰等に対する抜本的な対策が求められています。
以上のような状況を踏まえた二〇〇九年度の本県予算の基本的な編成方針をお示しください。
十年後のあるべき財政構造を示した
県政刷新大綱に基づいて進めた歳出削減は、平成十六年度比で人件費一〇・六%、
普通建設事業費三八・八%、
一般政策経費二二%と、いずれも目標値内に入っています。また、地方をめぐる財政制度も、
地方再生対策費、ふるさと納税、
道路特定財源の一般財源化など大きく変化してきています。これらを踏まえるならば、
県政刷新大綱のフレームを抜本的に見直す必要があると思います。
特に人件費については、ここ九年間賃金の引き上げがない中で、四年間の給料二%カットに続いて、今年度はカットが六%に拡大し、県職員の生活への影響は著しく、また、士気の面からしても大きな問題と言えます。人件費総額は、この賃金カットと
給与制度改革、組織の統廃合等による定数の大幅削減によって、今後も確実に減少していくことからすれば、来年度の賃金カットは回避すべきであります。それぞれ見解をお伺いいたします。
次に、
鹿児島県立短期大学の充実についてお尋ねします。
「県短」と親しみを持って呼ばれている
鹿児島県立短期大学の運営についてお伺いいたします。
県短は、本県唯一の公立短大として一九五〇年(昭和二十五年)に新制大学として発足し、六十年近くの歴史を刻み、これまでに一万二千人以上の卒業生を社会に送り出し、県内を中心に民間企業や公共団体の一員として社会の幅広い分野で活躍しています。県短の卒業生に対する評価は高く、厳しい就職戦線にあっても高い就職率を誇っています。
このようなすぐれた実績は、中留武昭学長がモットーとしておられる「地域に貢献する学びの共同体としての県短」づくりに向けて、「二十一世紀において最も必要視されている課題探求・解決の能力を培うために、教養教育を基本において、専門教育との統合化を目指した
カリキュラム開発や授業の創意・工夫を行ってきている」ところにあると思います。
しかし、このような地域貢献に大きな役割を果たしてきた県短の学生の教育内容や教員の研究活動に、本県の財政状況の厳しさから年々予算が削減されて、深刻な影響が出ています。
学内外からも高い評価を受けているインドネシア、ハワイ、中国の各大学で二週間程度の語学研修や学生との交流を実施し、異
文化コミュニケーション等の授業として二単位が認定される
国際学術交流事業の二十年度の事業費は前年度から半減したために、一カ国は中止せざるを得なくなり、断念した学生もおり、予定していた授業が実施できない事態も発生しています。
教員の
教育研究活動費は、五年前から四割減の約千八百万円となり、一人当たり年間十四万円あった出張費は半減し、東京に一回行く程度しかなく、複数所属している学会への出席や
調査研究活動にも支障が出ています。
また、
海外留学制度も昨年度から休止となり、研究費を外部の研究機構からの委託事業として導入するなど努力されているものの、教員の研究活動はもちろん、学生への講義内容の充実にも影響が出てきています。
このような予算削減が続くことになれば、これまで地域の人材育成と教育・研究の向上に貢献してきた県立短大の役割が低下し、入学志願者が減少することも予想されます。
県としては、県短をどのように位置づけておられるのか。今後も地域に貢献する公立短大としての役割を担っていくには、予算の拡充が必要であります。また、魅力ある県短づくりとして今後どのようなことを取り組もうとしておられるのか、それぞれ見解をお伺いいたします。
予算削減の影響は、県短の施設整備の面にも及んでいます。体育館については、災害時の避難場所になっていることもあり、
耐震補強工事も実施されていますが、昭和三十五年建築の一号館の耐震診断が実施されたのみで、二号館と三号館、本館と附属図書館は耐震診断も実施されておりません。施設が老朽化していることから、早期耐震化を急ぐべきであります。また、
食品加工学実習室や
食品学実験室などにはエアコンも設置されておらず、これらの施設整備も必要でありますが、今後の
整備スケジュールを明らかにしてください。
次に、科学捜査の推進と警察への信頼についてお尋ねします。
警察庁は八月二十二日に、「変革を続ける刑事警察」を特集した平成二十年版の警察白書を公表しました。白書は、「裁判員制度の導入で、犯行の裏づけとなる客観的証拠の収集を徹底する必要があるほか、裁判員が理解しやすいような簡略明瞭な捜査書類の作成、捜査の適正の一層の確保等が課題となる」と指摘しています。そして、志布志事件や富山の氷見事件などで、取り調べのあり方が問われる深刻な無罪判決が相次いだことも取り上げて、「取り調べの適正化指針」とともに、その具体的な施策として、有形力の行使など不適正な取り調べの未然防止のための監督の強化、深夜・長時間など取り調べ時間の管理の厳格化等が制度化されたことを紹介しています。
そこで、一点目にお伺いいたします。
志布志事件の反省及び「取り調べの適正化指針」を受けて、県警では全国に先駆けて監督官制度を導入し、この九月議会には取調室への透視鏡設置の補正予算が提案されていますが、取り調べ適正化の具体的施策の取り組み状況と今後の推進方策をお示しください。
第二点は、県民の捜査への協力についてです。
白書では、「個人情報の保護に対する関心の高まりもあって、聞き込み捜査を端緒とした
刑法犯検挙件数が、平成五年の一万四百六十四件から平成十九年には四千八百二十件と大幅に減少している。捜査員約二千五百人へのアンケートでも、七九・二%が市民から協力を得ることが困難だと感じている」と回答しています。
そこでお伺いいたします。
鹿児島において、刑法犯の発生と検挙率の推移、聞き込み捜査を端緒とした検挙の状況はどのような傾向にあるのか。また、犯罪捜査における県民の協力は、犯罪の未然防止の上からも重要です。そのためには何よりも警察への信頼が不可欠ですが、どのような姿勢のもとでこの取り組みを行っておられるのかお示しください。
第三点は、科学捜査についてであります。
白書では、携帯電話やインターネットの普及が犯罪の温床となるケースが増加しており、情報社会の著しい進展が犯罪の質と量に大きな影響を与えているとして、これらに的確に対処するために、最先端の科学技術を鑑識技術へ導入するなど、科学捜査の強化を図ってきていると述べています。そして、現在では約四兆七千億人に一人の確率で個人識別を行うことが可能となったDNA型鑑定や
防犯カメラ等からの三次元
顔画像システムの導入、
プロファイリングや
自動車ナンバー自動読み取りシステムの整備の状況などが紹介されています。
匿名性の高い犯罪の出現や裁判員の的確な心証形成の上からも、従来以上に
客観的証拠収集の重要性が増していますが、本県における取り組みの現状と活用の成果はどうであるのか。また、今後の科学捜査の導入と運用計画についてお伺いいたします。
[
知事伊藤祐一郎君登壇]
4 ◯知事(伊藤祐一郎君)知事選挙の結果を踏まえた今後の県政運営についてのお尋ねがありました。
今回の知事選挙につきましては、当初から投票率の低下が懸念されていたところでありますが、私といたしましては、二期目に果たすべき政策を明示し、できるだけ多くの方々が投票に参加され、私への御支持をいただきたいという思いを選挙期間中一貫して訴えてきたところであります。結果的に過去二番目に低い投票率になったことは、まことに残念であったと考えております。
また、棄権という批判票にあわせまして、私の県政運営を見守っていただいている方々の中には、今回は投票行動という形をあえてとらなかった方も少なくなかったのではないかと考えており、それが結果として今回の低い投票率にあらわれているのではないかと考えているところであります。
いずれにいたしましても、私は、県政の主人公はあくまで県民の皆様であるという立場を明確にしているところでありまして、県民への徹底した情報公開を行い、説明責任を果たすとともに対話や協働を通じまして、なるべく多くの県民の方々に県政に参加していただき、県民の総力を結集するということを基本として、県政を推進してまいりたいと考えております。
二期目の県政運営についてのお尋ねがありました。
現在、我が国は、国・地方とも大変厳しい財政状況にあり、また
グローバル化の進展や本格的な人口減少、超高齢化社会の到来など、社会のあらゆる面で大きな変革期を迎えているところであります。本県におきましても、全国に先駆けて過疎化や高齢化などが進行し、危機的な財政状況に直面いたしております。
一方、本県は、豊かな自然や個性ある歴史・文化、多様な食材など、他県に誇れる本物の素材に恵まれております。また、アジアの時代を迎えた今日、急速な成長を続ける中国を初めとする東アジアに近接しているという地理的な優位性を有しております。
さらに、本県は、県民の暮らしやすさや暮らしへの満足度という点で、全国で最も住みやすい県としての評価もなされているところであります。私は、県民の皆様方と力を合わせて、このような可能性に富んだ鹿児島の個性と魅力を十分に発揮し、県民の方々が郷土に誇りを持ち、生涯を安心して過ごせるような「日本一のくらし先進県」づくりに取り組み、「力みなぎる・かごしま」を築いてまいりたいと考えております。また、時代の趨勢をいち早くつかみながら、鹿児島の将来を信じて、さまざまな課題に果敢に挑戦してまいりたいと考えております。
このような観点から、私は
マニフェストにもお示しをしたとおり、「大胆改革の継続」と「子どもからお年寄りまですべての県民にとって優しく温もりのある社会の構築」を二期目の課題として掲げたところであります。
今後、さまざまな機会をとらえまして、県民の皆様方と対話をし、説明責任を果たしながら、「持続可能性への挑戦」、「産業おこしへの挑戦」、「鹿児島おこしへの挑戦」の三つの挑戦に引き続き取り組みますとともに、二十一世紀における人類の共通課題であります「環境」、「食料」、「医療・福祉」に重点を置きつつ、本年三月に策定いたしました「かごしま将来ビジョン」や百三十項目の
マニフェスト「新たな未来への挑戦」の実現に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。
マニフェストの進行管理等についてのお尋ねがありました。
数値目標につきましては、二期目の
マニフェストにおいても農業産出額の二〇%アップや食料自給率の一〇〇%、また、鹿児島空港における年間の
国際線利用者数の倍増を目指すなど、前回と同程度の項目を掲げているところであります。
また、一期目の
マニフェストにおきましては、直ちにやるもの、一年以内にやるもの、四年間でやるものという期限設定をしたところでありますが、私の県政運営の根幹となる施策など、私自身が知事として早期に実施すべきと考える施策の多くは、既に一期四年間の間で取り組んでおりますので、今回の
マニフェストにおきましては、あえて前回のような期限設定は行っていないところであります。
今回の
マニフェストの実現に当たりましては、関連する各分野の事業計画等の中で的確に進行管理を行いますとともに、毎年度の予算編成を通じて適切に対応し、その進捗や達成状況につきましても、これまでと同様に毎年公表してまいりたいと考えております。
マリンポートかごしまの二期計画についてのお尋ねであります。
マリンポートかごしまにつきましては、
マリンポートかごしまの
在り方検討委員会を設置し、その提言等を勘案して整備方針を決定し、それに基づき事業の展開を図っているところであります。二期計画につきましては、当面凍結することといたしておりますが、一期事業の埋め立て完了後において、
社会経済情勢の変化や財政状況を十分勘案し、議会を含めて、県民の意向を十分踏まえて改めて検討することとしているところであります。
首相の責任、組織のトップの責任についてのお尋ねがありました。
去る九月一日の福田総理の辞任表明につきましては、突然のことで私としても大変驚いたところでありますが、我が国の行政の長として、その責任の重みを十分に自覚しつつ、さまざまな状況に熟慮された後に決断されたものと考えております。
県政を預かる私といたしましては、今後、行政組織の運営に当たりまして、次の三点が重要と考え、二期目の就任に当たり、私の心構えとして職員の皆様方に披露したところであります。
まず第一に、説明責任を果たす必要があると考えております。
現在、我が国が大きな変革期を迎える中で、社会保障や社会福祉、財政など、これまで社会の各面において有効に機能していたさまざまなシステムが十分に機能しなくなってきており、将来に対して不透明感が増しつつあります。そのような中、漠然とした不安に駆られていらっしゃる方々に対しまして、施策の現状や、とるべき政策について十分に丁寧に説明し、いわゆる説明責任を十分に果たすということが重要であると考えております。
第二に、行政執行に当たりましては、これから臨機応変な対応が求められると考えております。
行政の継続性は重要でありますが、大きく制度の見直しが求められる中で、単なる過去の延長の上には行政が成り立たなくなるような時代状況になってきております。したがって、行政の継続性に配慮しつつも、時代の趨勢をいち早くつかみ、臨機応変にさまざまな課題に果敢に挑戦していくことが求められております。
第三に、熟慮・決断も必要であると考えております。
政策の決定過程におきましては、さまざまな議論や手続を経ることになりますが、最終的には熟慮した上で行政としての判断を明確に示す必要があり、その上でそれを最後までやり抜くことも、これから多くなるものと理解をいたしております。そして、これからの行政組織のトップは、強いリーダーシップを持って、こうしたことを率先して果たしていくことが必要であると考えております。
今日の政局と国民生活の現状についてのお尋ねがありました。
グローバル化の急速な進展や本格的な人口減少、超高齢社会の到来、地域間格差の拡大など、時代が大きく変革期を迎え、原油、食料、飼料、原材料などの価格の高騰や非正規雇用の増加など、経済状況や社会構造の不安定化が顕在化する中で、将来に対する漠然とした不安を持ち、みずからの暮らしに明確な見通しや希望を持てない人々がふえてきております。
このような状況の中で、国民のさまざまな不安を払拭し、国民生活の安定を図っていくためには、マクロ政策全体の調和を図りながら、すべての分野で将来に向けた持続的かつ安定した国づくりを進める必要があると考えております。
また、現在のような社会経済の状況にかんがみますと、改めて安定的な経済成長とあわせまして、社会的公正をいかに達成するかが課題であり、その点からは、地域間の不均衡や社会的格差などが固定することのないような社会づくりに取り組む必要があると考えているところであります。
衆参両議院の多数を占める政党が異なるという現下の不安定化した状況におきましては、さまざまな改革の基本的方向性を議論するに当たりまして、政治的に緊張する場面が生じることもありますが、国民の暮らしに直結するさまざまな課題への早急な対応が求められる中、こうした視点を踏まえ、実効ある施策が展開されることを強く望んでおります。
二〇〇九年度の
予算編成方針についてのお尋ねであります。
過疎地域、離島などが多く、税収面での自主財源が乏しい本県にとりまして、地方交付税等の確保が極めて重要であり、これまでさまざまな働きかけにより、離島関係経費の算定の充実や
地方再生対策費の創設などを見たところであります。他方、国と地方を合わせた長期債務残高は七百七十兆円を超える中で、国は、来年度の概算要求基準におきましても、引き続き地方財政の歳出規模を抑制する方針を示しているところであります。
このような状況の中で、私は、長期的な観点からは、今後、確実に増嵩が見込まれる医療、福祉等の社会保障や住民生活に必須の行政サービスを安定的に供給していくため、景気の状況に配慮しつつ、国・地方を通ずる消費税を含む税体系の抜本的な改革が不可欠であり、地方にとって税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方消費税の充実が必要であると考えているところであります。
当面の対策といたしましては、来年度の税制改正や地方財政対策の動きに対応いたしまして、地方交付税の確保や
地方再生対策費の充実などを含め、本県に必要な地方税財源の確保を図ることが重要であると考えております。
二十一年度の県の予算の編成方針についてのお尋ねがありました。
我が国の経済情勢は、六年ぶりに景気の後退局面に入ったとされており、今後、税収につきましては、相当の規模での落ち込みが懸念される一方、少子・高齢化の進展による社会保障費の増などによる行政ニーズは増大していく傾向にあります。
他方で、国は、基本方針二〇〇六などにのっとりまして、地方公務員人件費や地方単独事業等の徹底した見直しを行うことなどにより、
地方財政計画の歳出規模を引き続き抑制するとしておりまして、今後の本県財政を取り巻く環境はさらに厳しさを増してきており、今後、国の動向にも十分に留意していく必要があると考えております。
このような中で、平成二十一年度の当初予算に向けては、現段階では不透明な要素が大変多いわけでありますが、私といたしましては、
県政刷新大綱を踏まえた行財政構造改革の着実な進展を図りますとともに、「力みなぎる・かごしま」を推進する観点から、三つの挑戦に引き続き取り組み、また、環境、食料、医療・福祉に重点を置きつつ、
マニフェストの実現にも着実に取り組んでまいりたいと考えております。
そのため、引き続き、徹底した事務事業の見直しを通じまして、あらゆる歳出や歳入の見直しを強力に推進していく必要があると考えているところであります。
県政刷新大綱の見直しについてのお尋ねがありました。
現在、本県におきましては、財政再建団体への転落を回避し、財政構造の弾力性を回復いたしますため、
県政刷新大綱を踏まえたあらゆる歳出項目の抑制や、さらなる歳入確保に取り組んでおり、平成二十年度当初予算における財源不足額は、大綱策定前の平成十六年度と比較いたしますと、四百五十一億円から百五十七億円にまで圧縮したところであります。
しかしながら、我が国の景気が六年ぶりに後退局面に入ったとされる中で、本年度の県税税収につきましては、その三割弱を占める法人二税が減少傾向にあり、今後、景気がさらに悪化した場合、県税収入の大幅な落ち込みは避けられないものであると考えております。これに加えまして、少子・高齢化の進展等に伴う扶助費の増、高水準で推移する公債費の状況を考慮いたしますと、本県は、本年度後半から来年度にかけて、これまで以上に厳しい財政運営を強いられる状況になるものと考えております。
したがって、引き続き、
県政刷新大綱の基本的なフレームに沿って、徹底した事務事業の見直しや予算執行の効率化による歳出削減を図りますとともに、未利用財産等の売却のさらなる推進、公の施設の売却を含めた県有施設の抜本的な見直し、未収債権解消のさらなる推進を図るなど、その取り組みを一層強化する必要があると考えているところであります。
また、今後の職員給与の抑制の取り扱いにつきましては、これまで以上に厳しい現下の財政状況を踏まえまして、来年度の予算編成の中で、その具体的な取り扱いを検討してまいりたいと考えております。
5 ◯総務部長(篠原俊博君)県予算における原油価格等高騰対策の効果についてでございますが、今回の補正予算は、国の補正予算の内容や動向が不透明な中で、県として当面なし得る原油価格等高騰の緊急対策経費として計上したものであります。
このうち、各制度資金につきましては、県中小企業融資制度資金につきまして、最近の経済変動等により経営に影響を受けた事業者に運転資金等を融資するための資金が、今年度前半で昨年度同期を大きく上回る資金需要がありましたことから、今後の需要見込みも踏まえた融資枠の拡大を図ったものであります。
また、漁業近代化資金や沿岸漁業改善資金、家畜飼料特別支援資金などにつきましても、今後の資金需要が見込まれますことから、利子補給枠や貸付枠の拡大を行うことといたしたものであります。
さらに、農作物
生産コスト低減対策推進事業におきましては、作物ごとのマニュアルを作成することにより、生産コストの低減策を普及させるものでありまして、長距離物流効率化の検討につきましても、関係団体からの要望を踏まえまして、関係者による会議を設置することなどによりまして、具体的方策を取りまとめようとするものであります。
このように、今回の予算措置は、いずれも各事業者への資金供給の円滑化や負担軽減、コスト低減等を促進するものでありまして、これらにより、中小企業者、農畜産業者、漁業者、物流関係者等の経営安定に資するものとなるものと考えております。
鹿児島県立短期大学の充実についてでございますが、県立短期大学は、南九州唯一の公立の短期大学として開学以来数多くの人材を輩出し、卒業生も広く県内外で活躍するなど、教育水準の向上はもとより、地域の発展に大きく貢献してきていると考えております。こうした県立短大の役割を引き続き担っていくため、厳しい財政状況ではございますが、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。
魅力ある県立短期大学づくりに当たりましては、教育内容の充実や外国の大学との学術交流による国際感覚の醸成等を進めまして、課題探究・解決能力を有し、地域社会に貢献できる人材の育成に努めるなどの取り組みを行ってまいりたいと考えております。
また、厳しい財政状況ではありますが、耐震化につきましては、耐震診断を行った上で、緊急性の高いものから優先的に実施することといたしておりまして、冷暖房設備につきましては、順次整備に努めてまいりたいと考えております。
6 ◯警察本部長(藤山雄治君)最初に、取り調べ適正化への取り組み状況などについてであります。
県警察では、御指摘の取り調べ適正化指針などに基づきまして、全国に先駆けて被疑者取り調べの監督制度を五月二十六日から試験運用し、また、取調室の整備のための経費を今議会に提案をしているところであります。
また、捜査に携わる者の意識の向上が重要であるという考えから、刑事部幹部による全警察官に対する巡回指導や、捜査幹部を対象とした捜査指揮専科、捜査員を対象とした取り調べ実践塾などを開催したほか、各警察署においても、署の実情に応じた取り組みを強化しているところであります。引き続き、取り調べの監督制度を適切に運用するとともに、各種指導や研修等の充実・強化を図り、緻密かつ適正な捜査を推進してまいりたいと考えております。
刑法犯の発生と検挙状況等についてでありますが、本県の刑法犯の認知件数は、平成十四年から平成十八年まで五年連続で減少、平成十九年は一万三千六百件余りと前年よりわずかに増加いたしましたが、平成十三年に比べますと約六千件の減少となっております。過去五年間の検挙率の平均は三八%で、全国平均を約一〇ポイント上回っております。また、過去五年間の聞き込みを端緒とした検挙率の平均は二・八%で、全国平均の三倍余りとなっております。
警察の捜査では、県民の理解と協力を得ることが極めて重要であることから、今後も、県民が不安を覚える殺人、強盗等の重要犯罪や県民の身近で発生している犯罪を着実に検挙・解決し、県民の信頼と期待にこたえてまいりたいと考えております。
次に、科学捜査の現状等についてでありますが、県警察におきましては、広域化・功妙化する犯罪に的確に対応するため、DNA型鑑定、指紋・掌紋の自動識別システム、
自動車ナンバー自動読み取りシステムなどの科学技術を積極的に活用しているところであります。例えばDNA型鑑定では、平成十二年の出水市における女性殺人事件、本年四月の姶良町におけるタクシー運転手殺人事件等の重要凶悪事件を初め、各種犯罪の被疑者の特定、身元不明遺体の身元確認等で成果を上げております。
今後も、これら科学捜査システムの充実・強化を図りながら、適正かつ緻密な捜査を推進してまいりたいと考えております。
[柳 誠子君登壇]
7 ◯柳 誠子君 それぞれ御答弁をいただきました。
知事は二期目の
マニフェストで、「県民の方々の声を直接お聞きし、地域の実情に触れ、勇気をいただいた」と述べておられます。県民の総力を結集する県政運営とは、常に県政の主人公である県民の目線に立ち、県民の声に謙虚な気持ちで臨む姿勢が大切であります。伊藤知事には県政のトップとして、どのような困難に遭遇しても決して逃げ出さず、県民の声をしっかり受けとめ、強い信念と気概を持って県政運営に当たっていただくようお願いいたします。
マリンポートかごしまの二期事業は、財政的にも、施設整備の上からも困難をきわめます。いつまでも物事を凍結という言葉であいまいにするのではなく、勇気ある知事の事業中止の決断を求めるものであります。
来年度の
予算編成方針については、
地方再生対策費が来年度も今年度と同額の三十八億円が措置されれば、
県政刷新大綱決定時には予定されなかった財源であります。地方における歳出削減は限界に来ております。もっと今日の財政赤字の責任を負うべき、国に対して行財政改革を強力に迫り、地方の税財源を確保し、いっときも早くいびつな賃金カットはもとに戻すべきであります。
次に、総合体育館構想と土地の有効活用について質問いたします。
県庁舎東側隣接地の購入については、県議会においても議論が展開されましたが、その後の景観条例の制定、景観形成ガイドラインや公共事業景観形成基準の策定、市町村の景観行政団体の増加など、景観に関する取り組みが相次ぎ、県民の意識も高まってきている状況を見ると、土地の購入自体は適切な判断であったと思います。
ここの土地利用について、知事は六月県議会で、「周囲の民有地も取得した上で、体育館・武道館などの運動施設を整備する」旨、答弁されました。県立体育館の老朽化は以前から指摘されてきたことであり、整備の必要性は認めます。しかし、次期国体への県民を挙げた議論抜きに施設建設から話を進めることは、いかにも唐突な感じがします。
今、全国的に国体改革の議論が行われており、過去、四国では四県と二県の共同で、また東北では三県で開催されたこともあり、一九七二年の太陽国体と同じように本県単独開催と決まっているわけではありません。加えて、県の財政状況も検討しなければなりません。これら国体の現状を、太陽国体の総括とあわせて県民の議論に付し、「二巡目の国体をどうするか」「あるべき国体像は何か」についてコンセンサスを得る必要があると思います。知事の見解を求めます。
第二に、知事は、「現県立体育館敷地と交換で民有地二万五千平方メートルを取得し」と言っておられますが、とても交換にはならず、大きな不足額が生ずると思いますが、財源をどうするのか。そもそも地権者の協力を得られる可能性があるのか。現県立体育館の面積、与次郎の民有地との価格比率とあわせてお聞かせください。
第三に、県庁舎東側隣接地と民有地二万五千平方メートルをあわせて建設することの是非であります。広島県の県有施設の総面積は三万八百六十五平方メートルで、建設面積が一万三百平方メートルですから、民有地二万五千平方メートルの中に、駐車場を含めて建設できないことはありません。本県国体は、多分節約国体になるでありましょうから、施設の規模、財政面から十分な検討が必要であると思いますが、見解をお伺いいたします。
第四に、私
ども県民連合は、県庁舎東側隣接地の購入段階から現在の産業会館の入居事務所移転を前提とする「産業観光物産センター」──これは仮称でありますが──の建設を提案しております。現在の産業会館「特産品売り場」の機能は、観光振興や情報発信にとって全く不十分であります。県経済連の農林水産物販売施設や県行政との連携を含め、本県の県内外への一体的情報発信センターとしての活用が有効であると考えますが、見解をお伺いいたします。
次に、地域振興局の役割と課題についてであります。
地域振興局が設置されて一年半がたち、職員も新しい仕事の形態に沿って努力し、合同庁舎がなくなった地域もその不便さ、寂しさに何とか耐え、与えられた条件の中で新たなまちづくりに邁進しております。
過日の新聞に、「県地域振興局に存在感」との記事が出ておりました。児童扶養手当、産業廃棄物収集運搬業などの許認可事務五十八件が権限委譲され、公共工事の起工決定権も大幅に広がった。また、予算要求権もソフト事業一千万円、ハード事業一億円と、従来の出先機関にはなかった権限が与えられるというものであります。
知事は、地域振興局の役割強化に大変意欲を持っておられますが、これまでに課題は生じていないのか、従来の縦割り行政の弊害をなくし、地域の県行政の拠点としてどのような展望を持っておられるのか、お伺いいたします。
次に、地域振興局ごとの将来を見通した戦略的ビジョンづくりがなされていますが、大変重要なことと思います。ビジョンなしには施策は一貫性を欠いたものになり、場当たり的になるからであります。これらビジョン作成の進捗状況と、作成に当たっての統一的な視点はどのようなものか。また、振興局・支庁内はもとより、管内市町村の声をどのように反映されるのか、お伺いいたします。
平成二十年度の「地域振興推進事業」の一覧表を見ますと、長期見通しに立ったものもあるようですが、一方では、案内標識、展望台が多いなど、場当たり的感をぬぐえないものもあります。きちんとしたビジョンの上に立った、真に効果的なものとなるよう十分な検討が必要でありますが、見解をお伺いいたします。
第四に、今回の地域振興局設置に当たっては、暫定的に支所が設置されるなど、一定の配慮がなされました。この支所が果たしている役割は、地域住民や市町村にとって大変大きなものがあります。これら出先機関も平成二十一年度をもって廃止になる予定となっております。指宿、曽於、出水、大口地域などは、廃止になれば地域振興局への用務は広大な地域を端から端まで行かねばならなくなり、その不便さははかり知れません。ここは単に県にとっての効率一辺倒ではなく、支所の利用状況や道路交通体系の整備状況を見ながら、県民の利便性も考慮して慎重に判断すべきであると考えます。見解をお伺いいたします。
次に、非常勤職員の処遇改善について質問いたします。
自治体で働く職員は、一般的に「雇用が保障され、生活が安定している」と思われがちですが、その一方で、財政難の中、低賃金で不安定な非正規雇用の職員がふえております。本県もその例外ではありません。公務員だからとパート労働法などが適用されず、非正規だからと雇用の保障もない「法の谷間」で働く「官製ワーキングプア」と呼ばれる人たちです。非常勤職員といっても、特定の資格を持ち、非常に高いスキルを求められる職種についている方々もおられます。
本県の消費生活センターには、現在、八名の消費生活相談専門員が非常勤で働いておられます。不当請求や架空請求、訪問販売やクレジット被害、多重債務被害などの複雑で困難な相談事例が年々ふえており、法的な専門知識も幅広く必要であります。年間一人当たりの相談件数は、平均千百六十二件にも上ります。
また、県の相談員は、各市町村で出された相談内容の集約や啓発活動も行っており、資料作成等は持ち帰って仕事をしている状況です。相談内容によっては、時に身の危険を感じながらも、強い責任感と誇りを持ち、日々県民のために頑張っておられるのです。相談員の方々の専門性に合った賃金の見直しなど、処遇改善を早急に行うべきであると思いますが、見解をお伺いいたします。
また、その相談室は、狭く窓もあかない劣悪な環境となっており、早期の執務環境の改善が望まれておりますが、移転費用がなかなか予算措置されないため、計画は中断されております。その一方では、七地域振興局・支庁にハード事業費としてそれぞれ一億円もの予算が組まれ、「とりあえずの事業」が実施されたり、鹿児島地域振興局は、総務企画部長の部屋がないからと個室をつくったりしているのです。果たしてこれほどの予算に緊急性、重要性があるのでしょうか。
本県の厳しい財政状況を考えると、非常勤という厳しい労働条件のもと、県民のために一生懸命頑張っている方々のためにこそ予算は使われるべきであります。早急に改善を図るべきと思いますが、知事の決断をお願いします。いかがですか。
また、消費生活センターのほかにも、県民交流センターのハーモニー推進課に三名の男女共同参画相談員が、そして女性相談センターには四名の婦人相談員が同じように非常勤で働いておられます。
いずれも専門性を必要とされる職種であり、その使命感から、通勤手当も支給されない中で残業もこなすなど、職員同様、それ以上に働いておられます。しかし、幾ら経験を積み、専門性を磨いても、十年たつと雇いどめとなってしまうのです。この雇いどめについては、人材育成という視点から見ても継続的雇用に見直すべきであると思いますが、賃金引き上げとあわせて見解をお伺いいたします。
次に、県福祉施設のあり方と障害者福祉についてお尋ねします。
現在、三光学園には聴覚に障害を持つ七名の児童が在籍しており、園長を初め、三十名の職員が、子供たちを聾学校に通学させながら、一般生活における生活習慣や学習指導等の援助を行っておられます。聴覚障害児の社会自立には早期訓練が最も重要であるとして、この三光学園では未就学児三名に特別指導等を行ってこられたのです。今、この三光学園が廃止されれば、本県には聴覚障害児を受け入れる施設がなくなることになり、まさに福祉の切り捨てと言わざるを得ません。
隣接する聾学校に寄宿舎がありますが、寄宿舎はあくまでも学校の施設であり、福祉施設とは根本的に異なるのです。土日や長期休暇中は寄宿舎を出なければならず、自宅へ帰れない子供たちはどこへ行けばいいのでしょうか。県は、通所施設などの利用を言っているようですが、近くの施設へ行けるかどうか保証はなく、子供たちにしてみれば、時に何カ所もの施設を利用しなければならないような状況にもなり、その精神的苦痛を思うと胸が痛くなります。
県としては、この子供たちの福祉施設の利用の権利をどう保障されるおつもりかお伺いいたします。
また、現在の周産期医療の技術向上に伴い、重症心身障害児は確実に増加する傾向にあり、肢体不自由児のみでなく、発達障害や不適応などの障害児も多様化している状況があります。県が廃止を提案している整肢園は、隣接して桜丘養護学校があり、さらには大学病院と、まさに本県の肢体不自由児の医療・福祉・教育の総合的ケアを行うには最適な環境にあります。
先日の代表質問で、「整肢園の利活用を含めて検討をする」との答弁がありましたので、現在入所している子供のサービスの継続も含めて、十分な検討を要望いたします。
私たち県民連合は、先月、会派として北海道立子ども総合医療・療育センターを視察してまいりました。また文教商工観光労働委員会も、石川県立総合養護学校を視察されたと伺っております。北海道では、一〇%も職員給与を削減するような厳しい道財政の中で、決して少なくない赤字を出しながらも、施設の必要性を訴える説明に強い感銘を受けました。
青木議員にお聞きしますと、石川県の総合養護学校の構想は、平成十三年に県教委により基本計画が策定され、ことし三月に完成されたそうです。総工費は八十二億三千二百万円で、厳しい財政状況の中、それを決断し、推進できた原動力は知事であったということです。また、ここには隣接して金沢子ども医療福祉センターがあり、現在、地域ごとに配置されている養護学校についても、順次総合化していく方針であるとのことでした。
本県では、この九月議会に、今後の特別支援教育のあり方を外部委員も含めて検討するための委員会設置予算が計上されていますが、この委員会はどのようなことを検討の対象に、またどのような方をメンバーにして、いつまでに結論を出すのか明らかにしてください。
また、福祉施設のあり方で廃止の方針が出された整肢園の廃止後の土地・建物の有効利用については、桜丘養護学校との関連も考慮して検討することになっておりますが、桜丘養護学校を含めた特別支援教育施設整備のあり方も検討するのであれば、整肢園の廃止条例が十二月に提案されることからすると、桜丘養護学校の方向性を十月、十一月の短期間で検討するには期間が短過ぎます。
ここは、先ほど申し上げた整肢園の医療機能の継続、拡充を含めた抜本的な検討期間も考慮した十分な時間が必要だと思いますが、知事の見解をお伺いいたします。
次に、薬害B型・C型肝炎被害者の救済についてお尋ねします。
鹿児島県内の肝炎患者や家族の方々が、いろいろな困難を乗り越えて七月二十一日、「薬害C型肝炎問題に取り組む県民の会」を結成しました。
肝炎問題は、薬害C型肝炎訴訟によって、ようやく国と製薬会社が、汚染された血液製剤フィブリノゲンなどの投与との因果関係と、被害の拡大を防止し得なかった責任を認め、ことし一月に薬害被害者救済特別措置法が成立しました。
訴訟が提起された当初は、国も製薬会社も責任を認めようとせず、特に厚生労働省は、血液製剤に関する資料の存在を否定し続けました。この患者を無視した姿勢が、現在、法律は成立したものの、患者救済に必要なカルテの保存年限や医師等の証言を困難にする原因となっていると厳しく指摘しなければなりません。
厚生労働省は、平成十六年のフィブリノゲン納入医療機関の公表に続き、先般、B型・C型肝炎ウイルス混入が指摘される血液製剤投与の可能性がある医療機関を公表しました。県内の三十一施設が含まれています。
そこでお伺いいたします。
本県における肝炎検査の受検者とB型・C型肝炎ウイルス感染者はどの程度と見ておられるのか。また、薬害肝炎被害者の実態をどのように把握しておられるのか明らかにしてください。
B型肝炎は、集団予防接種での注射器の使い回し等が原因と見られるものがあるものの、国は、最高裁判決確定の五人だけの救済しか認めていません。国や医療機関は、血液製剤投与の実態を解明するとともに、C型肝炎患者と同様の救済措置を講ずる必要があります。
また、薬害C型肝炎患者の救済給付金の支給は、裁判所に訴えを提起して、カルテ等の証拠書類によって因果関係が認定されなければなりません。ところが、カルテの保存年限が五年間のため、県立病院を初め、ほとんどの医療機関で廃棄されており、それにかわる医師や看護師による投与記録、またはその証言に頼ろうとしても、調査が困難な面があります。このことが、患者の皆さんの救済を難しくする最大のネックとなっています。
薬害肝炎は、国のずさんな薬務行政と製薬会社が第一義に責を負うべきであり、患者には何の責任もありません。被害者の掘り起こしに行政と医療機関は可能な限り最大限の協力をすべきでありますし、みずからの生命の問題として組織を立ち上げた「県民の会」の活動に対しても財政的支援を行う必要がありますが、見解をお伺いいたします。
薬害肝炎患者には何の責任もない中で、肉体的苦痛だけでなく、経済的負担や差別に苦しんでいる方々の救済を一日も早く実現すべきであります。そのために、血液製剤投与等の証明がない場合の救済措置、検査や治療体制の整備、薬害の根絶と差別・偏見の一掃など、抜本的な法整備がなされるよう国に要請すべきでありますが、考えをお伺いいたします。
[
知事伊藤祐一郎君登壇]
8 ◯知事(伊藤祐一郎君)次期国民体育大会のあり方に関連いたしましての御質問をいただきました。
総合体育館構想に関連して、まず、次期国民体育大会のあり方について検討すべきであるという御指摘をいただきました。
現在、国民体育大会は、国民体育大会開催基準要領で各都道府県持ち回りで開催することとなっており、同一都道府県内の開催を原則といたしております。
二巡目の国民体育大会の開催時期につきましては、今のところ十二年後と想定されているところでありますが、その受け入れや開催方式を検討するに当たりましては、県民や各競技団体、関係機関等の意見を広く聞きながら、県の財政状況や現在、国が進めております国民体育大会運営の簡素・効率化の国体改革を視野に入れ、総合体育館のグランドデザインの作成とあわせて、幅広く検討してまいりたいと考えております。
総合体育館建設のための財源等についてのお尋ねでありますが、
マニフェストにおきまして、「将来の本県での国民体育大会の開催もにらみ、新たな総合体育館、武道館、弓道場の整備について、県庁東側の土地を含む地区の一体的な利活用を図るなど、グランドデザインを作成します」と記述したところであります。
総合体育館建設の構想につきましては、これまで、その具体的な概要はお示しをしていないところでありまして、土地の一体的活用、施設の規模、財源の問題等につきましては、今後、グランドデザインを作成していく中で検討してまいりたいと考えております。
9 ◯観光交流局長(椿 哲哉君)物産観光センターにつきましては、これまでの他県の類似施設調査や関係業界の意見によりますと、観光ルート内の交通アクセスや集客ロケーションのよいところが立地場所として望ましいとの指摘がございました。
一方、産業会館につきましては、現在、特産品協会や観光連盟など十四の団体が入居し、本県の観光や特産品等の情報発信や商工活動の拠点としてその機能を果たしてきており、当分は入居団体の業務に支障が生じないよう維持管理に努めることとしております。
御提案の産業観光物産センターにつきましては、他県の類似施設が採算性などの課題も抱えておりますことから、どのような施設の可能性があるか、今後とも研究を続けてまいりたいと考えております。
10 ◯総務部長(篠原俊博君)地域振興局の課題と展望についてでございますが、地域振興局・支庁につきましては、組織機構改革方針及び総合事務所設置計画に基づきまして、平成十九年四月に、従来の縦割りの専門的出先機関につきまして、所管区域を県下七区域に広域化するとともに総合事務所化を図ったところであります。
所管区域が広域化したことによりまして、不便、問題があるとして、地域住民や関係団体等から寄せられた意見等を踏まえまして、支所における出張入札の実施や申請手続の簡素化、各種会合等における地域振興局の業務等のPRを行うなど、住民サービスの低下をできるだけ招かないよう必要な業務の改善などに取り組んでおります。
一方、総合事務所化によりまして、災害を初めとする危機事象に対して、これまで以上に一元的な対応が可能となるとともに、農林水産事務所、農業改良普及センター、耕地事務所を統合したことによりまして、農家への対応がスムーズになったことなど、地域振興局を設置したことによる効果も出てきているものと考えております。
道州制にも対応できる分散型の県土を形成するためには、今後とも、地域の総合行政拠点としての地域振興局の機能や権限の強化を図る必要があるものと考えておりまして、引き続き、本庁から各地域振興局・支庁への権限委譲を進めるとともに、地域別将来ビジョンの策定等を通じまして、それぞれの地域特性に即した総合行政を推進していくための機能の強化を図ってまいりたいと考えております。
地域振興推進事業につきましては、各地域振興局・支庁が各地域における県政の総合行政拠点としてその機能を発揮し、地域固有の課題解決や地域活性化策に迅速かつ柔軟に取り組むため、平成二十年度当初予算におきまして、枠予算として地域振興局・支庁当たり、ソフト事業一千万円、ハード事業一億円の合計一億一千万円を措置したところであります。
事業の推進に際しましては、地元の市町村や民間団体等の意見を十分伺いながら進めているところでありまして、観光施設の整備につきましては、地域資源の発掘や有効活用、地域の活性化といった観点から、それぞれの地域における長年の要望が実現されたもので、大きな効果があるものと考えております。
現在、各地域振興局・支庁におきまして、地域別将来ビジョンの策定に着手したところでありますが、その検討過程における議論等を踏まえながら、それぞれの地域の特性に即した事業展開を図っていく必要があると考えております。
地域振興局の支所の廃止についてでございますが、地域振興局・支庁につきましては、総合事務所設置計画等に基づき、平成十九年四月に設置したところでありますが、総合事務所の組織体制を県民の方々に十分周知する必要があることなどから、最終的な組織体制の確立は平成二十二年度とし、総合事務所を設置しない地域につきましては、三年間は支所を設置する経過措置を講じたところであります。
平成二十二年度以降につきましても、県民への行政サービス水準の維持、効率的な業務執行、危機事象発生時における迅速な対応等の観点から、旅券業務や納税証明書の発行業務、保健所の業務の一部、営農指導業務、公共土木施設の維持管理業務等を所管する駐在機関等を設置することといたしております。
今後とも、住民ニーズに即した県政の総合拠点としての機能を発揮できますよう、本庁各部局からの権限委譲や県政に関する各種相談や申請等への一元的な対応等の取り組みを進めますとともに、住民に身近な行政サービスにつきまして、権限移譲プログラムに基づく市町村への権限移譲を進めてまいりたいと考えております。
11 ◯企画部長(山田裕章君)地域別将来ビジョンにつきましては、各地域振興局・支庁が地元市町村や関係団体と連携しながら、地域の特性に応じた課題や将来に向けた取り組みの方向性などを明らかにするものであり、この七月に策定作業に着手し、おおむね一年半程度の期間をかけて策定することとしております。
その内容につきましては、かごしま将来ビジョンの「安心・安全」「活力・快適」「共生・有徳」、この三つの視点を踏まえることとしております。
今後の策定過程におきましては、各地域振興局・支庁内にワーキンググループを設けますとともに、管内市町村との意見交換会や地元有識者との懇談会の開催等を通じまして、さまざまな御意見をいただき、その反映を図っていくこととしております。
12 ◯環境生活部長(高山大作君)消費生活相談専門員の処遇につきましては、これまで、相談件数の状況を勘案して増員を図りますとともに、資格取得の専門性や業務の見直しに応じた報酬額の増額見直し、県人事委員会勧告に基づく一般職員の給与改定に対応した報酬改定を行ってきたところでありまして、今後とも同様に対応してまいりたいと考えております。
執務室につきましては、増員等により手狭になっていたこともありまして、本年三月にレイアウトの見直しを行いまして、OA機器の配置変更による業務スペースの拡充を行ったところでございまして、消費生活センターの移転につきましては、当面、現在の施設を利用していきたいと考えているところでございます。
消費生活相談専門員等の非常勤職員の委嘱に関しましては、基本的には単年度雇用を前提としておりますが、引き続き雇用する必要がある場合には、広く人材を求めて適任者を委嘱する必要があること、業務内容や職種によっては確保が困難な場合があることなどを総合的に判断し、原則として更新回数の上限を九回と規定しているところであります。ただし、適任者の確保に支障を生じるなど特別の事情がある場合は、更新回数の特例を承認してきているところでございまして、今後とも現行の取り扱いで対応していきたいと考えております。
また、男女共同参画相談員、婦人相談員の報酬等の処遇につきましても、消費生活相談専門員と同様の考え方で対応してまいりたいと考えております。
13 ◯保健福祉部長(岩重秀人君)三光学園の利用者の権利の確保についてでございます。
三光学園につきましては、利用児童が極めて少なくなっていることや利用児童に対する処遇については、聾学校の寄宿舎等での対応が可能であることなどから、基本方針において、今年度末をもって廃止することとしております。
利用児童につきましては、基本的には、聾学校の寄宿舎は障害のある児童の指導経験が豊富な指導員等が処遇に当たりますことから、引き続き適切に対応できると考えておりますが、特に未就学児の保育など、三光学園の対応と異なる点につきましては、どのような体制をつくれば適切な処遇ができるか、さらに教育委員会とも連携しながら検討してまいりたいと考えております。
肝炎検査の受検者と被害者の実態についてでございます。
肝炎ウイルス検査につきましては、旧老人保健法により、平成十四年度から各市町村で実施してきておりますが、平成十八年度までにB型・C型肝炎ウイルス検査合わせまして、約三十五万人が受検されており、陽性率は一・二%となっております。また、本年一月のいわゆる薬害肝炎被害者救済法の成立以降は、保健所や委託医療機関で無料検査を開始してきており、八月末までに約三千人の方が受検され、陽性率は約二・九%となっております。
県としましては、この機会に多くの方に無料検査を受けていただき、早期発見による早期治療につなげていただきたいと考えており、引き続き、医師会等の関係機関の協力を得て、受検者の増加に努めてまいりたいと考えております。
薬害肝炎被害者の実態把握につきましては、国によると、全国で約二十九万人がフィブリノゲン製剤等の投与を受け、うち感染者は一万人以上としているところでございます。各都道府県ごとの実数は不明でございますが、国の患者状況から推計いたしますと、本県では約百五十名の方々が感染しているものと思われます。
なお、平成十九年十月に国が公表した患者リスト四百十八人の中には、本県関係者が四人含まれているところでございます。
薬害被害者の救済措置等についてでございます。
国におきましては、平成十九年十一月に、フィブリノゲン製剤等の投与によりC型肝炎ウイルスに感染した可能性のある方々に対しまして、納入先医療機関の名称等を公表いたしますとともに、医療機関に対しましては、カルテ、手術記録、分娩記録等の調査と保管、患者等への情報提供などについて、適切に対応するよう依頼を行っているところでございます。
県におきましては、本庁及び保健所に相談窓口を設けまして、母子手帳や医師、看護師の記憶等による投与確認、裁判所への手続に対する弁護士会の紹介など、相談者に対しましてきめ細かに助言を行ってきているところでございます。
なお、「県民の会」に対します財政的支援は困難でございますが、県としましては、肝炎に対して適切に対応するために、肝炎対策協議会を設ける一方、無料検査及びインターフェロン治療助成を行うなど、肝炎患者の方々の支援に今後とも努めたいと考えております。
現在、国におきましては、薬害の根絶や偏見・差別の一掃、検査・治療体制の整備等を内容とした肝炎対策基本法案が継続審議中であり、フィブリノゲン製剤等の投与を受けた患者の方々が適正に救済されますよう、法案の審議状況を注視してまいりたいと考えております。
県といたしましては、今後、酒造組合など関係団体とも連携をとりながら、物産展などのあらゆる機会をとらえまして、本県の焼酎や菓子の安全性を広くPRするとともに、県商工会連合会等による経営相談や県制度融資による支援などを通じまして、企業の経営不安の解消に努めてまいりたいと考えております。
また、あわせまして、国に対して、今後十分な対応が図られるよう、関係団体と連携しながら働きかけてまいりたいと考えております。
22 ◯農政部長(弓指博昭君)WTO農業交渉についてでございますが、今回は、最終合意の骨組みとなりますいわゆるモダリティの合意には至りませんでしたが、いずれ交渉は本格的に再開されるものと考えておりまして、その際、国におきましては、国民の理解を得ながら交渉を進めますとともに、食料安全保障の観点に留意し、本県の基幹作物でありますサトウキビなどを初め、国内農業の発展に支障が生じないよう十分配慮することが重要であると考えております。
また、あわせまして、我が国として、国際的な情勢変化等に対応し得るよう農業の一層の体質強化を進めていく必要がありますことから、県といたしましては、交渉終了直後に、国に対しまして、今後の交渉におきましても、多様な農業の共存を基本理念といたします我が国の考え方を十分に主張いたしますとともに、本県の基幹作物に十分配慮するよう要請を行ったところでございまして、今後とも、さまざまな機会をとらえまして国へ働きかけてまいりたいと考えております。
また、本県農産物が国内外との競争に打ち勝っていくため、安心・安全な生産を基本としつつ、消費者が求める食料を安定的に供給できる担い手の確保や育成、ブランド化の推進による付加価値の高い農産物の生産など、各般の施策を積極的に推進し、安心・安全・新食料供給基地の実現を目指したいと考えております。
23 ◯保健福祉部長(岩重秀人君)事故米穀の県内事業者への流通につきましては、随時農林水産省から情報を得ており、県内には、焼酎関係で米穀仲介業者一社、酒造会社四社、米粉関係で食材卸三社、和菓子製造十二社の合計二十社に流通していることを把握しておりますが、その後においても農林水産省から情報を得ているところでございます。
食の安全に関する事案が発生した場合は、関係する部局間の連携をとりながら対応しているところでございますが、今回の事故米穀の不正流通問題につきましては、庁内関係部局間での連携や情報交換等を行いますため、副知事を会長とする事故米穀問題連絡会議を九月十二日に設置したところでございます。
県としましては、今後とも、国及び関係部局との連携を図るとともに、適切な情報収集や製品の検査を行いますなど、県内産食品の安全性の確保に努めてまいりたいと考えております。
24 ◯柳 誠子君 自席から質問します。
教育長に質問いたします。
これまでにさまざまな、文科省そしてまた県教委から通知を出しているわけですけれども、学校現場のほうからはどのようなことを改善したというような回答がなされているのでしょうか、質問いたします。
25 ◯教育長(原田耕藏君)先ほども答弁申し上げましたけれども、学校におきましては、会議等の見直しあるいは行事の精選、校務処理を簡素・効率化したというようなことにつきまして、県教委のほうへ報告が上がってきております。
26 ◯柳 誠子君 その返事が返ってきたというのは、割合にして小・中・高、どれほどの回答があったとみてよろしいでしょうか。
27 ◯教育長(原田耕藏君)校長等からの報告でございまして、その具体的な数につきましては把握いたしておりません。
[柳 誠子君登壇]
28 ◯柳 誠子君 それぞれ御答弁いただきました。
公立学校における労安体制につきましては、教職員が心身ともに健康な状態で日々子供たちと向き合え、豊かな教育実践を行うためにも、早急な対応が求められています。
このほど発表された経済協力開発機構の調査で、教育への公的支出の国内総生産比が二十八カ国中、最下位という劣悪な環境の中で、もっと子供たちと一緒の時間が欲しいと訴える先生方の声をどうやって実現していくのか、通知を出して終わりではなく、すべての学校において改善が図られたという声が上がるまで、確実な取り組みを要望いたします。
また、毒入り米事件については、その真相究明と被害に遭われた焼酎や菓子業界への迅速な対応を要望いたします。
また、三光学園の問題についてでありますが、委員会等もございますので、これからまたその議論を深めていきたいと思っております。
伊藤知事におかれては、今後も、常に県民の目線に立ち、県民の命と暮らしを守る県政運営に臨まれることを要望いたしまして、質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
29 ◯議長(
金子万寿夫君)ここで、休憩いたします。
再開は、午後一時十五分といたします。
午前十一時五十八分休憩
─────────────
午後 一時 十五分再開
30 ◯議長(
金子万寿夫君)再開いたします。
松田浩孝君に発言を許可いたします。
[松田浩孝君登壇](拍手)
31 ◯松田浩孝君 平成二十年第三回県議会定例会に当たり、公明党県議団として県政の重要課題について代表質問を行います。
先日台風が接近しましたが、避難勧告や自主避難により家屋等の被害はあったものの、人命に及ばなくて安堵しています。被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げるとともに、早急な災害復旧に努めていただきますよう、まずもって要望をいたしておきます。
世界を震撼させた九・一一、アメリカ同時多発テロから七年目を迎えました。テレビでは何回も航空機がビルに突入する場面が映し出され、三千人の犠牲者が出たことは今でも私たちの脳裏に残っております。ところが、この九・一一ショックを上回るようなリーマンショックがこの九月十五日に起こり、世界に衝撃が走りました。経営危機に陥っていたアメリカ証券大手リーマン・ブラザーズが官民による救済協議が不調に終わり、十五日、アメリカ連邦破産法十一条の適用を申請、負債総額六千百三十億ドル、約六十四兆円でアメリカ史上最大の経営破綻が起きました。日本の金融機関も経営を圧迫され、中小企業向けの貸し付け、貸し出しなどを絞り込む懸念もあり、燃油高騰や円高進行も加わって景気低迷の長期化、そして、国民生活への影響も深刻であります。
また、国内では米粉加工販売会社による残留農薬やカビ毒に汚染された事故米の不正転売問題が、焼酎から和菓子と日を追うごとに拡大して県内企業にも大きな影響が出ています。国は食の安全確立に向け、省庁間の縦割りの弊害打破のために、消費者庁設置に向けたテストケースとしても、消費者行政担当大臣に情報の一元化を決定いたしました。この問題に対して公明党は、九日に党農林水産部会の西部会長が副大臣に申し入れ、十一日には太田代表が町村官房長官に徹底調査と実態の公表、風評被害を受けた事業者への救済措置、事件を起こした責任者に対する刑事告発などを要請いたしました。さらに、十六日には西部会長が我々県議団三名とともに西酒造を訪問し、社長から風評被害などについて要望を伺いました。ネットワーク政党公明党の素早い対応に驚かれていました。国内外とも課題山積の中ではありますが、県政の重要課題について質問いたします。
代表質問で質疑が交わされて重複することもありますが、御理解をいただき、初めに知事の政治姿勢について伺います。
知事は、一期目の四年間において「知事と語ろ会」等を通して常に県民の声を聞いてこられました。今回の選挙においては、「力みなぎる・かごしま」の第二ステージとして百三十項目の
マニフェスト「新たな未来への挑戦」を掲げ、県内各地で県民に直接訴えてこられました。これまで取り組まれてきたことに対する手ごたえを直に感じ取られたことと思います。
そこで、県民の声をどのように受けとめられたのか。また、これから四年後を見据えて何を重点的に取り組まれるのか、お伺いします。
また、今回の
マニフェストでは、我が会派が訴えてきたドクターヘリの導入、学校施設の耐震化、第三子以降の保育料等の無料化を含めた減免も盛り込まれましたが、これらに対する具体的な取り組みについて、スケジュールも含めてお伺いいたします。
次に、九月一日、福田首相が突然辞任されたことには大変驚かされました。ねじれ国会の中で国会運営の難しさのゆえなのかもしれません。人事同意案への反対を初め、与野党の協議で合意するも野党第一党の党首の一言で合意できず、全く話し合いができない事態に温厚な福田さんもキレたのではないでしょうか。しかしながら、石油高騰、生活用品の値上げの中で国民の不安や将来への不安が充満している今こそ、国民の消費拡大を図る景気対策が必要だと考えます。また、離島を有する本県にとっても地方格差の是正に対して新しい総理が力強いリーダーシップを発揮されることを望むものであります。二十四日には新総理が決定する予定ですが、知事は、この新総理に対してどのような期待をされるか伺います。
次に、公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場についてお聞きします。
知事は、昨年八月と本年六月、八月に直接地元住民との対話を重ねてこられました。環境影響調査の終了とともに、薩摩川内市長の同意も得たとして、去る八日に候補地から整備地に決定されました。しかし、地元には協議に応じることなく、反対を訴える住民もおられます。
そこで伺う一点目は、知事はこれまで対話を重ねる中で、住民の理解がどのように推移してきたと考えておられるのか。また、今後どのようにしてさらなる理解を求めていくのか、伺います。
また、会派や委員会で視察した京都、岩手、青森のそれぞれの処分場では、建設に当たり地元住民との信頼関係を構築するための対話を大変重視されておられました。
二点目は、環境影響調査は現時点での分析であります。今後は処分場建設を進める過程や運用開始後の安全確保こそ重要であると考えますが、どのように取り組まれるか伺います。
次に、財政問題について伺います。
県財政は伊藤知事の一期四年間で二百九十四億円の収支改善が図られたものの、借金に当たる県債残高は一兆六千億円に上り、貯金に当たる財政調整に活用可能な基金の残高も本年度末九十一億円まで目減りする見通しであります。大きな災害など不測の事態に備えるためにも、この基金は常時四十億円程度は必要とされているだけに厳しい財政状況が続きます。また、二〇〇七年度決算に基づく自治体財政健全化法で導入された四つの財政指標によりますと、いずれも財政破綻のイエローカードである早期健全化基準はクリアしたものの、将来の負担規模を示す将来負担比率は二六九・六%と高い数値となっております。
そこで伺う一点目は、本県の厳しい財政状況について知事はどう認識し、今後どのように財政運営していく考えか伺うとともに、県民へのメッセージをどう発信されるのか、お伺いします。
次に、九月補正予算において原油価格高騰対策経費を計上されました。原油の高騰による農業・漁業や中小企業に対する影響は、基礎体力の小さな農家や事業主にとってはこれからますます深刻化していくのではないかと心配しております。
伺う二点目は、この原油価格高騰対策経費のそれぞれの事業における昨年の実績を示すとともに、農家や事業主がもっと融資を受けやすい制度の弾力的運用に努めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。
「庶民の生活は、今、大変な状況です。定額減税を一日も早く実施してほしい。これだけ庶民が苦しんでいるのですから、定額減税は大ヒットです」等々、公明党の粘り強い主張で今年度の実施が決まった定額減税についての期待の声が寄せられています。日本経済新聞社の世論調査でも「定額減税を評価する」との回答が六一%にも上り、民主党支持層の五八%、無党派層の五三%も評価しています。まさに定額減税への評価は党派を超えた広がりを見せ、その期待の高さが客観的に裏づけられた格好になりました。定額減税は所得税や個人住民税から一定額を差し引く単年度の措置で、所得の低い人ほど支援が手厚くなっています。食品、生活用品の値上げラッシュが続く中、定額減税で可処分所得がふえれば国民生活が潤うことは明らかであり、生活現場からの期待が高いだけに早期実施が強く望まれます。
そこで三点目は、政府与党合意された定額減税に対する知事の率直な見解を伺います。
次に、総務警察行政について伺います。
まず、市町村交付金制度について伺います。
大阪府では橋下知事のリーダーシップのもと、財政再建に向けた具体的な取り組みが実施されております。補助金制度を再構築した市町村交付金制度もその一つであります。この制度は、地域に密着した市町村が創意と工夫を凝らして住民サービスを提供できるように現行の補助金制度を見直し、自由度の高い交付金制度に改めるという画期的な試みです。事業の選択や制度設計などは市町村が責任を持って行い、府の役割を最小限に抑えるのが特徴です。この制度の成否は市町村と十分に協議し、府民にプラスになることが重要であります。七月の府議会で橋下知事は、市町村補助金の交付金化は、府から市町村への分権を強力に進めるための有効な手段との認識を示した上で、精力的に市町村との協議を進めると述べております。
そこで伺う一点目は、本県の市町村への補助金制度の現況について伺います。
二点目は、本県でも市町村のやる気を育成し、市町村への分権を進めるためにも市町村交付金制度を検討すべきと提案いたしますが、いかがでしょうか。
次に、災害対策について伺います。
我が国では、毎年のように地震や台風、豪雨、火山噴火などによる災害が発生しています。本年は局地的な集中豪雨による事故や災害が都市部で相次いでおります。震度六を記録しながら住宅の全壊がなく、死者も出なかった岩手県沿岸北部地震の教訓は、過去たびたび大地震に見舞われて建物の耐震化や被害を小さく食いとめる工夫が広がっていることを物語っています。
一方、二〇〇八年度版防災白書では、地震などの災害に対する国民の関心は高いものの、それが防災行動に結びついていない点が指摘されています。内閣府の調査では、地震に備えて家具などを固定している人は全体の二四・三%しかいないのであります。こうした自然現象をとめることはできませんが、災害の未然防止、被害軽減を図ることはできるのではないでしょうか。
その大事な取り組みとして、行政による公助、自分の身は自分で守る自助、地域や身近にいる人で助け合う共助が大事であると考えます。災害による被害を少なくするためには公助はもとより、自助、共助こそが大きな力となるとされています。災害が起きてからでは間に合わないし、普段できていないことを災害時に行うことはなおさらできません。九月の「防災の日」を迎えた今こそ、災害時に自分でできること、家族でできること、地域の人と協力してできることなどについて考えるいい機会ではないでしょうか。
そこで伺う一点目は、自助として防災意識を高め、具体的な防災行動に結びつける取り組みについて伺います。
二点目は、共助として地域の防災活動と住民や企業との接点をふやし、地域が助け合う体制づくりこそ急務であると考えますが、具体的な取り組みについて伺います。
先日訪問した新潟県では、県民の意識の醸成を図るためのにいがた防災戦略を策定中でした。その中で注目した点は、ワーキンググループとして被災者や被災経験企業を交えての会議が行われていたことです。また、都市部では共助の取り組みを強化しなければならないが、地方の集落ではお互いの顔が見えるつながりの中で互助、いわゆる地域力が既に存在していることを踏まえて、自助、互助、共助、公助の四助で取り組むとのことでした。これらのことを受け、住民、地域、企業、行政でできることの役割のルールの形成を基本方針に掲げておられました。
そこで伺う三点目は、最近の災害に対して被災者や被災企業の意見などを取り入れることや、住民、地域、企業、行政の役割についてのルールをつくることなどの見直しが必要と考えますが、見解を伺います。
次に、警察交番に女性安全ステーションの設置について伺います。
凶悪犯罪の報道が毎日のようにマスコミに取り上げられ、県民の体感治安はますます悪くなっていると思います。中でもDV、配偶者などによる暴力やストーカー行為などは、明るみになる件数よりも表面化していない件数はさらに多いと考えられます。それは、被害者となる女性からの相談がなされないことが原因の一つと考えられます。その意味においては、女性が相談しやすい環境づくりが重要であります。
広島県では、女性警官が二十四時間常駐し、DVやストーカー行為など女性が受けやすい被害の相談を受ける女性安全ステーションを県内の十七交番に設置しました。相談者のプライバシーを確保するために交番内の一角をパーテーションで区切り、相談コーナーも設けています。また、女性警官の仮眠室、シャワー室なども完備されています。DVやストーカーなどへの対応は、初期段階で相談者が何を求めているかを適切に判断することが重要です。女性警官が常駐することにより、相談後のフォローアップができると期待されております。
そこで伺う一点目は、本県の女性警官の割合と配置場所について伺います。
二点目は、女性が被害者となる事件や相談が増加していますので、本県でも交番に女性警官を配置して女性の相談のバリアフリーを目指すべきと提案いたしますが、県警本部長、いかがでしょうか。
以上で、一回目の質問といたします。
[
知事伊藤祐一郎君登壇]
32 ◯知事(伊藤祐一郎君)今後四年間の中での重点的な取り組みについてのお尋ねがありました。
私は、今回の選挙期間中改めて県内各地を回ったところでありますが、多くの県民の方々と直接お会いしてお話をする中で、時代の傾向として最近の我が国の政治状況や経済状況、社会構造の不安定化を感じますとともに、その顕在化によって将来に対する漠然とした不安を持ち、みずからの暮らしに明確な見通しや希望を持てない人もふえているのではないかと感じたところであります。こうした県民の不安を払拭するためには、子供からお年寄りまですべての県民が生涯を通じて安心して暮らすことができ、自分の人生やふるさとに夢と誇りを持てる、優しくぬくもりのある地域社会を実現することが、何よりも大切であると考えているところであります。このため、さまざまな機会をとらえ県民の皆様と対話をし、説明責任を果たしながら三つの挑戦に引き続き取り組みますとともに、二十一世紀における人類の共通課題であります環境、食料、医療・福祉に重点を置きつつ、「力みなぎる・かごしま」づくりに果敢に挑戦してまいりたいと考えております。
ドクターヘリについてのお尋ねであります。
ドクターヘリにつきましては、二期目の
マニフェストで県民の皆様方にお約束したとおり、早期導入を進めますため条件整備に取り組むことといたしております。そのため、本定例会に医療機関や市町村、消防機関の代表等で構成する検討委員会の経費につきまして補正予算案を提出しているところであり、当該検討委員会においてヘリポートの整備やシステムをどのように動かすかなどのさまざまな課題や、導入スケジュールなどについて検討していただくことといたしております。今後検討委員会での検討や県議会での御議論を踏まえ、またあわせて関係者との協議も進めながら、本年度中には本県のドクターヘリ導入計画として取りまとめたいと考えております。
学校施設の耐震化についてでありますが、その早急な耐震化を図る必要があると考えているところであります。県立学校施設につきましては、耐震診断の結果、緊急性の高いものから優先的に耐震化を進めているところであります。公立小・中学校につきましても、地震防災対策特別措置法改正によります国庫補助率の引き上げなどを受けまして、大規模な地震により倒壊等の危険性の高い施設について、今後三年を目途に耐震化を推進するよう、市町村に要請してきているところでありますが、先般、政府において安心実現のための緊急総合対策が取りまとめられまして、その中で公立小・中学校施設等の耐震化事業の加速化が盛り込まれたところであります。耐震化計画の前倒しを図るようさらに要請し、大規模地震発生時の児童生徒及び地域住民の安全確保に努めてまいりたいと考えております。
三人目以降の保育料等の減免についてでありますが、第三子以降の保育料等の減免制度につきましては、少子化対策の一環として、多子世帯の子育てにかかる経済的負担の軽減と、安心して子供を産み育てられる環境づくりという観点から、市町村と協力して実施してまいりたいと考えております。具体的には、認可保育所と私立幼稚園に入所・通園している第三子以降の児童を有し、経済的負担が大きいと思われる世帯を対象に、現在の保護者負担額の状況に応じまして市町村がその三分の一から全額を助成する場合に、県が市町村助成額の二分の一を補助するという仕組みを考えているところであります。今後のスケジュールにつきましては、来年度からの実施に向け、実態調査や市町村説明会を開催することといたしておりますが、国におきまして保育料等の軽減制度の拡充等も検討されておりますことから、今後国の制度改正の動向や市町村との協議を踏まえ、制度の具体的内容を詰めてまいりたいと考えております。
新総理に期待することについてのお尋ねがございました。
現在我が国は国、地方とも大変厳しい財政状況にあり、また
グローバル化の急速な進展や本格的な人口減少、超高齢化社会の到来など、社会のあらゆる面で大きな変革期を迎えております。本県におきましても全国に先駆けて過疎化や高齢化等が進行し、危機的な財政状況に直面している状況にございます。このような状況の中、国民のさまざまな不安を払拭するためにはマクロ政策全体の調和を図りながら、すべての分野で将来に向けた持続的かつ安定した国づくりを進めるべきであると考えております。
また、現在のような社会経済の状況にかんがみますと、改めて安定的な経済成長とあわせ社会的構成をいかに達成するかが課題であり、その点からは地域間の不均衡や社会的格差などが固定化することがないような社会づくりに取り組むことが必要であると考えております。今後就任される新総理におかれましては、こうした視点を踏まえ国政運営を行っていただくとともに、原油、食料、飼料、原材料の価格の高騰など、国民の暮らしに直結するさまざまな課題への対応に当たっては、地方や国民生活に対する十分な配慮のもとで実効ある施策を展開していただきたいと考えております。
公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場の整備に当たりましては、関係地域の方々の理解を得ることはまことに重要なことであると考えているところであります。このため、関係自治会などの方々に対しまして、候補地選定の経緯や立地可能性等調査の結果について説明会を開催いたしますとともに、関係自治会の全世帯の戸別訪問や先進地視察、産業廃棄物セミナーなどを行ってきたところであります。また、私自身も去る六月と八月に関係自治会などの方々に、管理型処分場の安全性や施設を整備する場合の環境保全協定の締結、県の責任のあり方、さらには地域振興策などにつきまして県の考え方を説明し、意見交換を行い、管理型処分場についての理解を求める努力を重ねてきているところであります。
このような取り組みを通じまして、川永野自治会では建設に賛成していただくなど、関係自治会の方々の管理型処分場に対する理解は深められてきているものと考えております。今後とも地域住民の方々に対しましては、安全性などについての説明会を要請に応じて、また定期的に開催し、基本計画や基本設計、実施設計の各段階におきましても説明会を開催いたしますとともに、引き続き先進地視察や産業廃棄物セミナーなどを行い、一人でも多くの方に管理型処分場についての理解を深めていただけるよう、十分な説明責任を果たしてまいりたいと考えております。
今後の財政運営等についてのお尋ねがありました。
本年度の県税収入につきましては、その三割弱を占めます法人二税が減収傾向にあり、今後景気がさらに悪化した場合、県税収入の大幅な落ち込みは避けられないものと考えているところであります。これに加えまして、少子・高齢化等の進展に伴う扶助費の増、高水準で推移いたします公債費の状況を考えますと、本県は本年度後半から来年度にかけてこれまで以上に極めて厳しい財政運営を強いられる状況になるものと考えているところであります。
このような中、来年度以降につきましても「力みなぎる・かごしま」を推進する観点から、三つの挑戦に引き続き取り組み、二十一世紀の人類の共通課題であります環境、食料、医療・福祉に重点を置きつつ、本年三月に策定いたしました「かごしま将来ビジョン」や百三十項目の
マニフェスト「新たな未来への挑戦」の実現に着実に取り組んでまいりたいと考えており、そのためにも引き続き
県政刷新大綱の基本的なフレームに沿って徹底した事務事業の見直しなどを通じ、あらゆる歳出や歳入の見直しを強力に推進していく必要があると考えているところであります。また、このような県財政の状況や財政健全化の取り組みにつきましては、さまざまな機会を通じて県民にわかりやすい説明をしてまいりたいと考えております。
33 ◯環境生活部長(高山大作君)管理型処分場の建設や管理運営に当たっての安全確保につきましては、施設建設の段階から関係自治会の方々や学識経験者などで構成いたします安全管理委員会による施工状況の確認や、設計施工の二重チェックなどを行うこととしております。また施設の管理運営に当たりましては、受け入れる廃棄物の搬入管理を行いますとともに、地下水の水質調査の結果などの情報公開や住民による立入調査、災害時等のリスク管理マニュアルの作成などを行うこととしているところであります。これらの取り組みにつきましては、今後環境保全協定に盛り込み、十分な安全確保を図ってまいりたいと考えております。
34 ◯総務部長(篠原俊博君)原油価格等高騰対策についてでございますが、今回の補正予算に計上している各種制度資金の昨年度の融資実績につきましては、中小企業融資制度資金は三百二十二億円の融資枠に対し約三千九百件、融資額約三百二十二億円、農業近代化資金は三十五億円の融資枠に対し約三百四十件、約三十三億円、家畜飼料特別支援資金は昨年度については貸付限度額以外に融資枠はなく十件、約一億六千万円、漁業近代化資金は三十五億円の融資枠に対し約二百九十件、約三十三億円、沿岸漁業改善資金は二億円の融資枠に対し約四十件、約一億一千万円となっております。
これらの制度資金につきましては、それぞれの趣旨、目的に沿った対象者や利用目的などに係る一定の要件が定められているところでありますが、例えば家畜飼料特別支援資金につきまして、今年度から畜種ごとの貸し付け限度額が倍増されているほか、基準金利の上昇に伴い県の利子補給率を増加しており、また、沿岸漁業改善資金につきましては、今回の対策に当たり、沿岸漁業者の省エネ機器等の導入に関しまして、従来原則として一回限りとしていた貸し付け回数に係る制限を撤廃するなど、一定の要件緩和を図っているところであります。今後とも各制度において運用状況を把握しながら、必要に応じ国への要望等も行うなど、事業者の利用しやすい制度運用に努めていく必要があるものと考えております。
定額減税の実施についてでございますが、国において取りまとめられた安心実現のための緊急総合対策におきましては、定額控除方式による所得税、個人住民税の特別減税を単年度の措置として平成二十年度内に実施するため、減税の規模や実施方式等について財源を勘案しつつ、年末の税制抜本改革の論議にあわせて引き続き検討することとされております。県といたしましては、石油・食料価格高騰や景気悪化に対応し、県民生活の安定を図るため、早急に実効ある施策が展開されることが必要だと考えておりまして、この定額減税につきましても家計への緊急支援として検討されているものと認識をしております。なお、実施に際しましては、特別減税により地方の一般財源総額が減少することのないよう、新たな地方特例交付金の創設や地方交付税率の引き上げなど、国による確実な財源措置が必要であると考えております。
市町村交付金制度についてでございますが、本県におきましては、現在重度心身障害者医療費助成事業、特定離島ふるさとおこし推進事業、合併処理浄化槽設置整備事業など、今年度当初予算ベースで五十九事業、約七十億円の県単独の市町村補助事業を実施しているところであります。大阪府においては御指摘のような市町村交付金制度の検討がなされておりますが、これは行財政改革の一環として、市町村の自己決定と自己責任の拡大を図ることを目的としているものと認識をいたしております。本県といたしましては、それぞれの補助制度の趣旨、目的に沿って運用することが重要であると考えておりまして、現時点では市町村補助金を交付金化する考えはないところであります。
35 ◯危機管理局長(内門公孝君)災害対策についてでございますが、防災対策を進めるに当たりましては、県民みずからがその主体であることを認識し、日ごろから災害に備えることが重要でございます。このため五月の第四週を「県民防災週間」と定め、防災シンポジウムや防災訓練等の実施、県防災研修センターによる出前講座の開催等により、県民の防災意識の高揚に努めているところでございます。また、地域防災力の向上のためには、住民や自主防災組織、企業等がお互いに助け合って地域の安全を確保することが重要でございます。このため、地域防災推進員による自主防災組織の活性化を図りますとともに、企業に対し従業員の自主防災組織への参加促進や避難所としての施設提供を要請するなど、地域が一体となった防災対策の推進に努めているところでございます。
また、防災対策基本条例につきましては、パブリックコメントなどにより広く県民の意見をお伺いして制定しておりまして、また、自助、共助、公助を基本として県民と市町村、県等がそれぞれの役割を果たすとともに、相互に連携、協働して防災対策を行うことを基本理念としたところでございます。県といたしましては、まずは県民の方々に対しこの基本理念を普及、定着させることが重要と考えておりまして、今後とも各種研修会等を通じ、その普及啓発に取り組んでまいりたいと考えております。
36 ◯警察本部長(藤山雄治君)最初に、DVやストーカー行為等の相談体制でございますが、県警察におきましては、平成十三年三月、警察本部にストーカー対策室を設置、十七年四月には主要七警察署にストーカー対策室の分室を設置して体制の強化を図っておりまして、現在女性警察官八名を含む十八名を配置をしております。今後とも相談体制の充実とともに、自治体が設置する配偶者暴力相談支援センター等との連携を強化し、相談者のプライバシーの保護にも配意しつつ、不安の解消と身辺の安全確保のために迅速な措置を講じてまいりたいと考えております。
交番への女性警察官の配置状況についてでありますが、現在県警察には全警察官の定数の約三・六%に当たります百六名の女性警察官がおりますが、本年八月末現在で県下二十八名の女性警察官が十九交番に配置されておりまして、女性からのDV、ストーカー相談等に対して女性警察官によるきめ細かな対応に心がけているところでございます。特に、平成九年からは鹿児島中央警察署地蔵角交番など三交番に女性被害相談所を開設をいたしまして、女性警察官が女性からの相談等に対応しているところであります。今後とも女性警察官の配置につきましては、女性の特性を生かしやすい部門への配置に努めてまいりたいと考えております。
[松田浩孝君登壇]
37 ◯松田浩孝君 それぞれ御答弁いただきました。
ドクターヘリについては、公明党が一貫して法整備を推進してまいりました。南北六百キロの県土に二十八の有人離島を抱える本県にとりましては、命を守るドクターヘリが必要であることは言うまでもありません。さまざまクリアしなければならない課題もあると思いますが、導入に向けて知事の強いリーダーシップに期待いたします。
公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場につきましては、我が会派は、さきの議会で住民の理解がまだ進んでいない、環境影響調査が完了していないなどから、賛成陳情、反対陳情について継続すべきとの判断をいたしました。今議会では環境影響調査の結果を踏まえ、知事が整備地とされたことなどを総合的に判断し、処分場の建設に賛成を表明するものであります。ただ、私たちは住民の安全・安心を最も第一に考えた取り組みを、今後も監視してまいりますことを申し添えておきます。
緊急経済対策の定額減税についてばらまきなどの批判がありますが、筋違いも甚だしいと言わざるを得ません。今回の物価高は過去のオイルショック時とは違い、賃金低迷の中で起こった非常事態なのです。物価高と賃金低迷のダブルパンチを受けた家計はまさに火の車であり、生活費の切り詰めに追われているのであります。経済専門家の永濱氏は、景気悪化の中で定額減税はしわ寄せを受けている人たちに、直接手を差し伸べて支援するという意味でベストの対策と高く評価しています。これに対するばらまき批判は、庶民の苦悩に対する危機感が欠如していると強く訴えたいのであります。
災害対策については、「天災は忘れたころにやってくる」と言ったのは、地球物理学者でもある作家の寺田寅彦でありますが、今の日本は、「天災は忘れぬうちにやってくる」と言いかえる必要があります。今後の防災対策で自助、共助、公助を県民に周知徹底するためにも、市町村任せではなく、県としてしっかり取り組んでいただきたいことを再度要望いたしておきます。