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2008-09-22 平成20年第3回定例会(第3日目) 本文
2008-09-22 平成20年第3回定例会(第3日目) 名簿

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  1. 鹿児島県議会 2008-09-22
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    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(金子万寿夫君)ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、代表質問    柳   誠 子 君    松 田 浩 孝 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 代表質問 ◯議長(金子万寿夫君)代表質問であります。  柳誠子君に発言を許可いたします。    [柳 誠子君登壇](拍手) 3 ◯柳 誠子君 おはようございます。  二期目の当選を果たされた伊藤知事に改めてお祝いを申し上げます。
     私ども県民連合は、知事が県民党の立場を堅持し、県民の総力を結集して、マニフェストに基づいた県政の推進に果敢に挑戦されることを期待いたします。私ども自身も、県民の声を踏まえ、積極的な政策提言に努め、議員としての責務を果たしてまいりたいと思います。  戦乱と貧困にあえぐアフガニスタンで農業技術の指導を続けていたNGOペシャワール会の伊藤和也さんが殺害されました。伊藤さんは生前、両親に「アフガンの土になってもいい」と決意を語っていたそうです。八月三十日、ひつぎにおさめられて帰国した息子に、父親の正之さんは「和也は本望だったと思う。ここでNGO活動がストップしたら和也の志が頓挫することになる」と話し、ペシャワール会の中村代表も「何かあったからといって逃げない」と、伊藤さんの志を引き継ぐ決意を強調していました。人道支援活動を行う外国人をねらった犯罪に怒りが込み上げてきます。伊藤さんの死を無駄にしない活動の継続と、御冥福を心からお祈り申し上げます。  一方、日本では九月一日、余りにも唐突に福田首相が辞任を表明しました。安倍前首相の突然の辞任劇から一年足らずで、一国の首相が二代続けてみずから政権を投げ出したことは極めて異常であり、無責任としか言いようがありません。  二度あることは三度あると言われます。自民党の総裁選には五名の方が立候補しました。よもや、政権運営に行き詰ったらやめればいいと思って立候補されたのではないと思いますが、総裁選に対する国民の関心が高まったところで解散するしか、次の首相の選択肢は残されていません。国民の関心が高まれば次期政権への支持も高まるとの戦略のようですが、総選挙に勝てそうな顔だけで判断するほど国民は愚かではありません。  米国大手証券会社の破綻と世界的金融不安、事故米の不正転売による被害の拡大、領海侵犯の潜水艦を見失う失態など、政治の機敏で具体的な対応が求められているときに、まるで再放送のような総裁選挙に明け暮れている場合ではないのです。  私どもは、政権交代を実現するための決意を新たにしていることを申し上げ、県民連合を代表して質問を行ってまいります。  まず、知事の政治姿勢についてであります。  今回の知事選は、現職と新人候補の一騎打ちとなりましたが、投票率は過去二番目に低い数字にとどまり、前回投票率を下回る結果となりました。六割を超す有権者の意思が示されず、相手候補が十五万票近くを獲得したことは、伊藤知事を推薦し、応援した私どもも含めて厳しく受けとめる必要があります。  知事は選挙後の記者会見等で、「投票率は想定の範囲内、有力候補が立っていないので伸びないと考えていた」「投票に行かなかった人の中にも、まだ任せてみようという人はいる」と、六割の棄権者がいても信任を得たと前向きの解説をされています。  しかし、選挙によって有権者の審判を仰ぐのであれば、圧倒的な信任を期待して選挙運動をするのが当然であって、初めから「今回は投票率を無理して上げなくてもいいと考えていた」「棄権した有権者からも信任を得た」というのは、謙虚さに欠けると言わなければなりません。県政運営の責任者としては、むしろ県政への関心の低さ、批判票であるとの認識を持って、今後の県政運営に臨む姿勢が重要であると思います。知事の見解をお伺いいたします。  「今回の選挙戦を通じて、二期目への課題が見えたか」との記者の質問に対して、知事は「路地裏や介護施設の現場、消費者の動向などを目の当たりにすることで、見えてきたものもある」と述べておられます。  本県財政は、この四年間の伊藤知事の努力によって改善が図られつつありますが、依然として国の財政再建至上主義のもとで厳しい現状にあり、マニフェストの推進も困難さが控えています。伊藤知事は、二期目の県政をどのような姿勢で運営されるのか、基本的考えをお伺いいたします。  今回の伊藤知事のマニフェストは、「新たな未来への挑戦」として百三十項目の施策が盛り込まれています。第一期目に比べて具体的な数値目標や期限設定が乏しく、どのような工程で施策の実現を図るのか、その道筋が見えにくい面があります。一期目のマニフェストは、具体的数値目標に基づいて、その進行管理と達成度の評価が可能でありましたが、今回は、それは何によって行うことになるのかお伺いいたします。  また、今回のマニフェストには、人工島の今後について、マリンポート一期はクルージング時代の大型船の停泊地の活用とともに、緑地空間や災害発生時の対応空間として活用するとしていますが、残り二期事業四十二ヘクタールについては触れていません。これまで二期事業は、社会経済情勢の推移を踏まえ、県民や県議会の意見などを聞きながら判断するとされてきていますが、今日の情勢からして、伊藤知事の二期事業中止の英断を求めるものです。いかがでしょうか。  法政大学の杉田敦教授は、福田首相の辞任劇について「大統領と議会多数派が別の党派であることなどは、諸外国ではむしろ常態である。一筋縄ではいかない困難な状況の中で、さまざまな交渉によって、何とか物事を決めていくというのが政治家の腕の見せどころではないのか。長期にわたって衆参で圧倒的な多数派を制した、かつての自民党政権のような状態を前提とするのがおかしい」と語っています。まさに同感です。粘り強い交渉能力と強固な意思を持った政治家が求められているのであります。  衆議院と参議院の多数派が異なる「ねじれ国会」は、どちらも民意であります。衆議院で多数を占める政府・与党の法案が、参議院の野党の多数の前で反対され、立ち往生するのは当然であり、そこで行き詰まったから政権を放り出すというのは、余りにも短絡的で自爆的な行動としか思えません。それをとめられなかった自民党国会議員であるならば、総裁選でだれが首相についても同じ轍を踏むことになるのではないでしょうか。もはや自民党に政権担当能力はないと言えます。  知事は、日本の最高権力者である首相の責任、組織のトップの責任はどのようにあるべきと考えておられるのか、見解をお伺いいたします。  福田首相は辞任表明のときの記者会見で、「国民生活のことを考えるのであれば、政治の空白をつくり、政策の実行をとめることはできない」と語りました。原油や穀物価格の高騰等の影響によって、生活関連商品の値上げが家計を直撃し、農林水産業や中小企業の経営悪化が深刻になってきており、一日も早い緊急かつ抜本的な対策が求められています。  福田首相は八月二十九日に、これに対応する総合経済対策を取りまとめましたが、首相の退陣表明と自民党の総裁選挙で九月十二日開会予定の臨時国会は延期となり、今後の政治日程は不透明感が増してきています。  知事は、今日の政局と国民生活の現状にどのような思いを持ち、何を望まれるのか、率直な考えをお聞かせください。  この九月議会に、原油や飼料価格の高騰対策に要する経費として、農業施設の省エネ化や漁船建造等の導入に係る利子補給、生産コスト低減マニュアル作成費等を計上されています。県として、厳しい財政事情の中で精いっぱいの措置かと思いますが、事業を廃止せざるを得ない状況も生まれています。実際どれだけの効果を見込んでおられるのか、知事の見解をお伺いいたします。  次に、二〇〇九年度の予算編成方針についてお尋ねいたします。  八月二十八日に発表された国の二〇〇九年度予算の概算要求は、一般会計で二〇〇八年度当初予算に比べ三兆七百億円増の八十六兆千三百億円程度となっており、この概算要求に合わせて総務省は、来年度の地方財政計画の試算をまとめました。それによると、地方交付税は今年度より六千億円少ない十四兆八千億円、地方財政計画総額も六千億円減の八十二兆八千億円としています。また、昨年度創設された地方再生対策費は今年度と同額の四千億円を計上しています。歳出面では、引き続き公共事業などの投資的経費を三%減らし、職員削減による給与関係経費も抑制するものの、社会保障費が伸びるため一般行政経費は五千億円増額となっています。  国の二〇一一年のプライマリーバランスの黒字化の方針によって、地方においては国以上に血のにじむ行財政改革に取り組んでいるものの、依然として厳しい財政運営が続いています。それだけに年末の国の予算編成に向けては、本県の実情を十分踏まえた地方交付税の確保と地方再生対策費の重点的な配分、税制改正における地方税財源の拡充などが図られるよう強く要請すべきでありますが、今後の取り組みと決意をお伺いいたします。  伊藤知事はこの四年間、県政刷新大綱に基づく財政改革に努力し、県職員や事業者、県民の痛みを伴う人件費や普通建設事業費一般政策経費等のあらゆる歳出の削減を実施してこられたところです。しかし、県債残高と公債費は高水準で推移し、一方、財政調整に必要な基金は底をつく状況にあり、一段と厳しい財政運営を迫られています。  このような中にあって、伊藤知事が目指す「力みなぎる・かごしま」の実現のためには、都市と地方の格差や雇用と所得の二極化の改善、少子・高齢化の進行や地球温暖化への対応など、中長期の新たな県政の将来ビジョンを見据えた取り組みが必要であります。また、最近の原油や穀物価格の高騰等に対する抜本的な対策が求められています。  以上のような状況を踏まえた二〇〇九年度の本県予算の基本的な編成方針をお示しください。  十年後のあるべき財政構造を示した県政刷新大綱に基づいて進めた歳出削減は、平成十六年度比で人件費一〇・六%、普通建設事業費三八・八%、一般政策経費二二%と、いずれも目標値内に入っています。また、地方をめぐる財政制度も、地方再生対策費、ふるさと納税、道路特定財源の一般財源化など大きく変化してきています。これらを踏まえるならば、県政刷新大綱のフレームを抜本的に見直す必要があると思います。  特に人件費については、ここ九年間賃金の引き上げがない中で、四年間の給料二%カットに続いて、今年度はカットが六%に拡大し、県職員の生活への影響は著しく、また、士気の面からしても大きな問題と言えます。人件費総額は、この賃金カットと給与制度改革、組織の統廃合等による定数の大幅削減によって、今後も確実に減少していくことからすれば、来年度の賃金カットは回避すべきであります。それぞれ見解をお伺いいたします。  次に、鹿児島県立短期大学の充実についてお尋ねします。  「県短」と親しみを持って呼ばれている鹿児島県立短期大学の運営についてお伺いいたします。  県短は、本県唯一の公立短大として一九五〇年(昭和二十五年)に新制大学として発足し、六十年近くの歴史を刻み、これまでに一万二千人以上の卒業生を社会に送り出し、県内を中心に民間企業や公共団体の一員として社会の幅広い分野で活躍しています。県短の卒業生に対する評価は高く、厳しい就職戦線にあっても高い就職率を誇っています。  このようなすぐれた実績は、中留武昭学長がモットーとしておられる「地域に貢献する学びの共同体としての県短」づくりに向けて、「二十一世紀において最も必要視されている課題探求・解決の能力を培うために、教養教育を基本において、専門教育との統合化を目指したカリキュラム開発や授業の創意・工夫を行ってきている」ところにあると思います。  しかし、このような地域貢献に大きな役割を果たしてきた県短の学生の教育内容や教員の研究活動に、本県の財政状況の厳しさから年々予算が削減されて、深刻な影響が出ています。  学内外からも高い評価を受けているインドネシア、ハワイ、中国の各大学で二週間程度の語学研修や学生との交流を実施し、異文化コミュニケーション等の授業として二単位が認定される国際学術交流事業の二十年度の事業費は前年度から半減したために、一カ国は中止せざるを得なくなり、断念した学生もおり、予定していた授業が実施できない事態も発生しています。  教員の教育研究活動費は、五年前から四割減の約千八百万円となり、一人当たり年間十四万円あった出張費は半減し、東京に一回行く程度しかなく、複数所属している学会への出席や調査研究活動にも支障が出ています。  また、海外留学制度も昨年度から休止となり、研究費を外部の研究機構からの委託事業として導入するなど努力されているものの、教員の研究活動はもちろん、学生への講義内容の充実にも影響が出てきています。  このような予算削減が続くことになれば、これまで地域の人材育成と教育・研究の向上に貢献してきた県立短大の役割が低下し、入学志願者が減少することも予想されます。  県としては、県短をどのように位置づけておられるのか。今後も地域に貢献する公立短大としての役割を担っていくには、予算の拡充が必要であります。また、魅力ある県短づくりとして今後どのようなことを取り組もうとしておられるのか、それぞれ見解をお伺いいたします。  予算削減の影響は、県短の施設整備の面にも及んでいます。体育館については、災害時の避難場所になっていることもあり、耐震補強工事も実施されていますが、昭和三十五年建築の一号館の耐震診断が実施されたのみで、二号館と三号館、本館と附属図書館は耐震診断も実施されておりません。施設が老朽化していることから、早期耐震化を急ぐべきであります。また、食品加工学実習室食品学実験室などにはエアコンも設置されておらず、これらの施設整備も必要でありますが、今後の整備スケジュールを明らかにしてください。  次に、科学捜査の推進と警察への信頼についてお尋ねします。  警察庁は八月二十二日に、「変革を続ける刑事警察」を特集した平成二十年版の警察白書を公表しました。白書は、「裁判員制度の導入で、犯行の裏づけとなる客観的証拠の収集を徹底する必要があるほか、裁判員が理解しやすいような簡略明瞭な捜査書類の作成、捜査の適正の一層の確保等が課題となる」と指摘しています。そして、志布志事件や富山の氷見事件などで、取り調べのあり方が問われる深刻な無罪判決が相次いだことも取り上げて、「取り調べの適正化指針」とともに、その具体的な施策として、有形力の行使など不適正な取り調べの未然防止のための監督の強化、深夜・長時間など取り調べ時間の管理の厳格化等が制度化されたことを紹介しています。  そこで、一点目にお伺いいたします。  志布志事件の反省及び「取り調べの適正化指針」を受けて、県警では全国に先駆けて監督官制度を導入し、この九月議会には取調室への透視鏡設置の補正予算が提案されていますが、取り調べ適正化の具体的施策の取り組み状況と今後の推進方策をお示しください。  第二点は、県民の捜査への協力についてです。  白書では、「個人情報の保護に対する関心の高まりもあって、聞き込み捜査を端緒とした刑法犯検挙件数が、平成五年の一万四百六十四件から平成十九年には四千八百二十件と大幅に減少している。捜査員約二千五百人へのアンケートでも、七九・二%が市民から協力を得ることが困難だと感じている」と回答しています。  そこでお伺いいたします。  鹿児島において、刑法犯の発生と検挙率の推移、聞き込み捜査を端緒とした検挙の状況はどのような傾向にあるのか。また、犯罪捜査における県民の協力は、犯罪の未然防止の上からも重要です。そのためには何よりも警察への信頼が不可欠ですが、どのような姿勢のもとでこの取り組みを行っておられるのかお示しください。  第三点は、科学捜査についてであります。  白書では、携帯電話やインターネットの普及が犯罪の温床となるケースが増加しており、情報社会の著しい進展が犯罪の質と量に大きな影響を与えているとして、これらに的確に対処するために、最先端の科学技術を鑑識技術へ導入するなど、科学捜査の強化を図ってきていると述べています。そして、現在では約四兆七千億人に一人の確率で個人識別を行うことが可能となったDNA型鑑定や防犯カメラ等からの三次元顔画像システムの導入、プロファイリング自動車ナンバー自動読み取りシステムの整備の状況などが紹介されています。  匿名性の高い犯罪の出現や裁判員の的確な心証形成の上からも、従来以上に客観的証拠収集の重要性が増していますが、本県における取り組みの現状と活用の成果はどうであるのか。また、今後の科学捜査の導入と運用計画についてお伺いいたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 4 ◯知事(伊藤祐一郎君)知事選挙の結果を踏まえた今後の県政運営についてのお尋ねがありました。  今回の知事選挙につきましては、当初から投票率の低下が懸念されていたところでありますが、私といたしましては、二期目に果たすべき政策を明示し、できるだけ多くの方々が投票に参加され、私への御支持をいただきたいという思いを選挙期間中一貫して訴えてきたところであります。結果的に過去二番目に低い投票率になったことは、まことに残念であったと考えております。  また、棄権という批判票にあわせまして、私の県政運営を見守っていただいている方々の中には、今回は投票行動という形をあえてとらなかった方も少なくなかったのではないかと考えており、それが結果として今回の低い投票率にあらわれているのではないかと考えているところであります。  いずれにいたしましても、私は、県政の主人公はあくまで県民の皆様であるという立場を明確にしているところでありまして、県民への徹底した情報公開を行い、説明責任を果たすとともに対話や協働を通じまして、なるべく多くの県民の方々に県政に参加していただき、県民の総力を結集するということを基本として、県政を推進してまいりたいと考えております。  二期目の県政運営についてのお尋ねがありました。  現在、我が国は、国・地方とも大変厳しい財政状況にあり、またグローバル化の進展や本格的な人口減少、超高齢化社会の到来など、社会のあらゆる面で大きな変革期を迎えているところであります。本県におきましても、全国に先駆けて過疎化や高齢化などが進行し、危機的な財政状況に直面いたしております。  一方、本県は、豊かな自然や個性ある歴史・文化、多様な食材など、他県に誇れる本物の素材に恵まれております。また、アジアの時代を迎えた今日、急速な成長を続ける中国を初めとする東アジアに近接しているという地理的な優位性を有しております。  さらに、本県は、県民の暮らしやすさや暮らしへの満足度という点で、全国で最も住みやすい県としての評価もなされているところであります。私は、県民の皆様方と力を合わせて、このような可能性に富んだ鹿児島の個性と魅力を十分に発揮し、県民の方々が郷土に誇りを持ち、生涯を安心して過ごせるような「日本一のくらし先進県」づくりに取り組み、「力みなぎる・かごしま」を築いてまいりたいと考えております。また、時代の趨勢をいち早くつかみながら、鹿児島の将来を信じて、さまざまな課題に果敢に挑戦してまいりたいと考えております。  このような観点から、私はマニフェストにもお示しをしたとおり、「大胆改革の継続」と「子どもからお年寄りまですべての県民にとって優しく温もりのある社会の構築」を二期目の課題として掲げたところであります。  今後、さまざまな機会をとらえまして、県民の皆様方と対話をし、説明責任を果たしながら、「持続可能性への挑戦」、「産業おこしへの挑戦」、「鹿児島おこしへの挑戦」の三つの挑戦に引き続き取り組みますとともに、二十一世紀における人類の共通課題であります「環境」、「食料」、「医療・福祉」に重点を置きつつ、本年三月に策定いたしました「かごしま将来ビジョン」や百三十項目のマニフェスト「新たな未来への挑戦」の実現に全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。  マニフェストの進行管理等についてのお尋ねがありました。  数値目標につきましては、二期目のマニフェストにおいても農業産出額の二〇%アップや食料自給率の一〇〇%、また、鹿児島空港における年間の国際線利用者数の倍増を目指すなど、前回と同程度の項目を掲げているところであります。  また、一期目のマニフェストにおきましては、直ちにやるもの、一年以内にやるもの、四年間でやるものという期限設定をしたところでありますが、私の県政運営の根幹となる施策など、私自身が知事として早期に実施すべきと考える施策の多くは、既に一期四年間の間で取り組んでおりますので、今回のマニフェストにおきましては、あえて前回のような期限設定は行っていないところであります。  今回のマニフェストの実現に当たりましては、関連する各分野の事業計画等の中で的確に進行管理を行いますとともに、毎年度の予算編成を通じて適切に対応し、その進捗や達成状況につきましても、これまでと同様に毎年公表してまいりたいと考えております。  マリンポートかごしまの二期計画についてのお尋ねであります。  マリンポートかごしまにつきましては、マリンポートかごしまの在り方検討委員会を設置し、その提言等を勘案して整備方針を決定し、それに基づき事業の展開を図っているところであります。二期計画につきましては、当面凍結することといたしておりますが、一期事業の埋め立て完了後において、社会経済情勢の変化や財政状況を十分勘案し、議会を含めて、県民の意向を十分踏まえて改めて検討することとしているところであります。  首相の責任、組織のトップの責任についてのお尋ねがありました。  去る九月一日の福田総理の辞任表明につきましては、突然のことで私としても大変驚いたところでありますが、我が国の行政の長として、その責任の重みを十分に自覚しつつ、さまざまな状況に熟慮された後に決断されたものと考えております。  県政を預かる私といたしましては、今後、行政組織の運営に当たりまして、次の三点が重要と考え、二期目の就任に当たり、私の心構えとして職員の皆様方に披露したところであります。  まず第一に、説明責任を果たす必要があると考えております。  現在、我が国が大きな変革期を迎える中で、社会保障や社会福祉、財政など、これまで社会の各面において有効に機能していたさまざまなシステムが十分に機能しなくなってきており、将来に対して不透明感が増しつつあります。そのような中、漠然とした不安に駆られていらっしゃる方々に対しまして、施策の現状や、とるべき政策について十分に丁寧に説明し、いわゆる説明責任を十分に果たすということが重要であると考えております。  第二に、行政執行に当たりましては、これから臨機応変な対応が求められると考えております。  行政の継続性は重要でありますが、大きく制度の見直しが求められる中で、単なる過去の延長の上には行政が成り立たなくなるような時代状況になってきております。したがって、行政の継続性に配慮しつつも、時代の趨勢をいち早くつかみ、臨機応変にさまざまな課題に果敢に挑戦していくことが求められております。  第三に、熟慮・決断も必要であると考えております。  政策の決定過程におきましては、さまざまな議論や手続を経ることになりますが、最終的には熟慮した上で行政としての判断を明確に示す必要があり、その上でそれを最後までやり抜くことも、これから多くなるものと理解をいたしております。そして、これからの行政組織のトップは、強いリーダーシップを持って、こうしたことを率先して果たしていくことが必要であると考えております。  今日の政局と国民生活の現状についてのお尋ねがありました。  グローバル化の急速な進展や本格的な人口減少、超高齢社会の到来、地域間格差の拡大など、時代が大きく変革期を迎え、原油、食料、飼料、原材料などの価格の高騰や非正規雇用の増加など、経済状況や社会構造の不安定化が顕在化する中で、将来に対する漠然とした不安を持ち、みずからの暮らしに明確な見通しや希望を持てない人々がふえてきております。  このような状況の中で、国民のさまざまな不安を払拭し、国民生活の安定を図っていくためには、マクロ政策全体の調和を図りながら、すべての分野で将来に向けた持続的かつ安定した国づくりを進める必要があると考えております。  また、現在のような社会経済の状況にかんがみますと、改めて安定的な経済成長とあわせまして、社会的公正をいかに達成するかが課題であり、その点からは、地域間の不均衡や社会的格差などが固定することのないような社会づくりに取り組む必要があると考えているところであります。  衆参両議院の多数を占める政党が異なるという現下の不安定化した状況におきましては、さまざまな改革の基本的方向性を議論するに当たりまして、政治的に緊張する場面が生じることもありますが、国民の暮らしに直結するさまざまな課題への早急な対応が求められる中、こうした視点を踏まえ、実効ある施策が展開されることを強く望んでおります。  二〇〇九年度の予算編成方針についてのお尋ねであります。  過疎地域、離島などが多く、税収面での自主財源が乏しい本県にとりまして、地方交付税等の確保が極めて重要であり、これまでさまざまな働きかけにより、離島関係経費の算定の充実や地方再生対策費の創設などを見たところであります。他方、国と地方を合わせた長期債務残高は七百七十兆円を超える中で、国は、来年度の概算要求基準におきましても、引き続き地方財政の歳出規模を抑制する方針を示しているところであります。  このような状況の中で、私は、長期的な観点からは、今後、確実に増嵩が見込まれる医療、福祉等の社会保障や住民生活に必須の行政サービスを安定的に供給していくため、景気の状況に配慮しつつ、国・地方を通ずる消費税を含む税体系の抜本的な改革が不可欠であり、地方にとって税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方消費税の充実が必要であると考えているところであります。  当面の対策といたしましては、来年度の税制改正や地方財政対策の動きに対応いたしまして、地方交付税の確保や地方再生対策費の充実などを含め、本県に必要な地方税財源の確保を図ることが重要であると考えております。  二十一年度の県の予算の編成方針についてのお尋ねがありました。  我が国の経済情勢は、六年ぶりに景気の後退局面に入ったとされており、今後、税収につきましては、相当の規模での落ち込みが懸念される一方、少子・高齢化の進展による社会保障費の増などによる行政ニーズは増大していく傾向にあります。  他方で、国は、基本方針二〇〇六などにのっとりまして、地方公務員人件費や地方単独事業等の徹底した見直しを行うことなどにより、地方財政計画の歳出規模を引き続き抑制するとしておりまして、今後の本県財政を取り巻く環境はさらに厳しさを増してきており、今後、国の動向にも十分に留意していく必要があると考えております。  このような中で、平成二十一年度の当初予算に向けては、現段階では不透明な要素が大変多いわけでありますが、私といたしましては、県政刷新大綱を踏まえた行財政構造改革の着実な進展を図りますとともに、「力みなぎる・かごしま」を推進する観点から、三つの挑戦に引き続き取り組み、また、環境、食料、医療・福祉に重点を置きつつ、マニフェストの実現にも着実に取り組んでまいりたいと考えております。  そのため、引き続き、徹底した事務事業の見直しを通じまして、あらゆる歳出や歳入の見直しを強力に推進していく必要があると考えているところであります。  県政刷新大綱の見直しについてのお尋ねがありました。  現在、本県におきましては、財政再建団体への転落を回避し、財政構造の弾力性を回復いたしますため、県政刷新大綱を踏まえたあらゆる歳出項目の抑制や、さらなる歳入確保に取り組んでおり、平成二十年度当初予算における財源不足額は、大綱策定前の平成十六年度と比較いたしますと、四百五十一億円から百五十七億円にまで圧縮したところであります。  しかしながら、我が国の景気が六年ぶりに後退局面に入ったとされる中で、本年度の県税税収につきましては、その三割弱を占める法人二税が減少傾向にあり、今後、景気がさらに悪化した場合、県税収入の大幅な落ち込みは避けられないものであると考えております。これに加えまして、少子・高齢化の進展等に伴う扶助費の増、高水準で推移する公債費の状況を考慮いたしますと、本県は、本年度後半から来年度にかけて、これまで以上に厳しい財政運営を強いられる状況になるものと考えております。  したがって、引き続き、県政刷新大綱の基本的なフレームに沿って、徹底した事務事業の見直しや予算執行の効率化による歳出削減を図りますとともに、未利用財産等の売却のさらなる推進、公の施設の売却を含めた県有施設の抜本的な見直し、未収債権解消のさらなる推進を図るなど、その取り組みを一層強化する必要があると考えているところであります。  また、今後の職員給与の抑制の取り扱いにつきましては、これまで以上に厳しい現下の財政状況を踏まえまして、来年度の予算編成の中で、その具体的な取り扱いを検討してまいりたいと考えております。 5 ◯総務部長(篠原俊博君)県予算における原油価格等高騰対策の効果についてでございますが、今回の補正予算は、国の補正予算の内容や動向が不透明な中で、県として当面なし得る原油価格等高騰の緊急対策経費として計上したものであります。  このうち、各制度資金につきましては、県中小企業融資制度資金につきまして、最近の経済変動等により経営に影響を受けた事業者に運転資金等を融資するための資金が、今年度前半で昨年度同期を大きく上回る資金需要がありましたことから、今後の需要見込みも踏まえた融資枠の拡大を図ったものであります。  また、漁業近代化資金や沿岸漁業改善資金、家畜飼料特別支援資金などにつきましても、今後の資金需要が見込まれますことから、利子補給枠や貸付枠の拡大を行うことといたしたものであります。  さらに、農作物生産コスト低減対策推進事業におきましては、作物ごとのマニュアルを作成することにより、生産コストの低減策を普及させるものでありまして、長距離物流効率化の検討につきましても、関係団体からの要望を踏まえまして、関係者による会議を設置することなどによりまして、具体的方策を取りまとめようとするものであります。
     このように、今回の予算措置は、いずれも各事業者への資金供給の円滑化や負担軽減、コスト低減等を促進するものでありまして、これらにより、中小企業者、農畜産業者、漁業者、物流関係者等の経営安定に資するものとなるものと考えております。  鹿児島県立短期大学の充実についてでございますが、県立短期大学は、南九州唯一の公立の短期大学として開学以来数多くの人材を輩出し、卒業生も広く県内外で活躍するなど、教育水準の向上はもとより、地域の発展に大きく貢献してきていると考えております。こうした県立短大の役割を引き続き担っていくため、厳しい財政状況ではございますが、必要な予算の確保に努めてまいりたいと考えております。  魅力ある県立短期大学づくりに当たりましては、教育内容の充実や外国の大学との学術交流による国際感覚の醸成等を進めまして、課題探究・解決能力を有し、地域社会に貢献できる人材の育成に努めるなどの取り組みを行ってまいりたいと考えております。  また、厳しい財政状況ではありますが、耐震化につきましては、耐震診断を行った上で、緊急性の高いものから優先的に実施することといたしておりまして、冷暖房設備につきましては、順次整備に努めてまいりたいと考えております。 6 ◯警察本部長(藤山雄治君)最初に、取り調べ適正化への取り組み状況などについてであります。  県警察では、御指摘の取り調べ適正化指針などに基づきまして、全国に先駆けて被疑者取り調べの監督制度を五月二十六日から試験運用し、また、取調室の整備のための経費を今議会に提案をしているところであります。  また、捜査に携わる者の意識の向上が重要であるという考えから、刑事部幹部による全警察官に対する巡回指導や、捜査幹部を対象とした捜査指揮専科、捜査員を対象とした取り調べ実践塾などを開催したほか、各警察署においても、署の実情に応じた取り組みを強化しているところであります。引き続き、取り調べの監督制度を適切に運用するとともに、各種指導や研修等の充実・強化を図り、緻密かつ適正な捜査を推進してまいりたいと考えております。  刑法犯の発生と検挙状況等についてでありますが、本県の刑法犯の認知件数は、平成十四年から平成十八年まで五年連続で減少、平成十九年は一万三千六百件余りと前年よりわずかに増加いたしましたが、平成十三年に比べますと約六千件の減少となっております。過去五年間の検挙率の平均は三八%で、全国平均を約一〇ポイント上回っております。また、過去五年間の聞き込みを端緒とした検挙率の平均は二・八%で、全国平均の三倍余りとなっております。  警察の捜査では、県民の理解と協力を得ることが極めて重要であることから、今後も、県民が不安を覚える殺人、強盗等の重要犯罪や県民の身近で発生している犯罪を着実に検挙・解決し、県民の信頼と期待にこたえてまいりたいと考えております。  次に、科学捜査の現状等についてでありますが、県警察におきましては、広域化・功妙化する犯罪に的確に対応するため、DNA型鑑定、指紋・掌紋の自動識別システム、自動車ナンバー自動読み取りシステムなどの科学技術を積極的に活用しているところであります。例えばDNA型鑑定では、平成十二年の出水市における女性殺人事件、本年四月の姶良町におけるタクシー運転手殺人事件等の重要凶悪事件を初め、各種犯罪の被疑者の特定、身元不明遺体の身元確認等で成果を上げております。  今後も、これら科学捜査システムの充実・強化を図りながら、適正かつ緻密な捜査を推進してまいりたいと考えております。    [柳 誠子君登壇] 7 ◯柳 誠子君 それぞれ御答弁をいただきました。  知事は二期目のマニフェストで、「県民の方々の声を直接お聞きし、地域の実情に触れ、勇気をいただいた」と述べておられます。県民の総力を結集する県政運営とは、常に県政の主人公である県民の目線に立ち、県民の声に謙虚な気持ちで臨む姿勢が大切であります。伊藤知事には県政のトップとして、どのような困難に遭遇しても決して逃げ出さず、県民の声をしっかり受けとめ、強い信念と気概を持って県政運営に当たっていただくようお願いいたします。  マリンポートかごしまの二期事業は、財政的にも、施設整備の上からも困難をきわめます。いつまでも物事を凍結という言葉であいまいにするのではなく、勇気ある知事の事業中止の決断を求めるものであります。  来年度の予算編成方針については、地方再生対策費が来年度も今年度と同額の三十八億円が措置されれば、県政刷新大綱決定時には予定されなかった財源であります。地方における歳出削減は限界に来ております。もっと今日の財政赤字の責任を負うべき、国に対して行財政改革を強力に迫り、地方の税財源を確保し、いっときも早くいびつな賃金カットはもとに戻すべきであります。  次に、総合体育館構想と土地の有効活用について質問いたします。  県庁舎東側隣接地の購入については、県議会においても議論が展開されましたが、その後の景観条例の制定、景観形成ガイドラインや公共事業景観形成基準の策定、市町村の景観行政団体の増加など、景観に関する取り組みが相次ぎ、県民の意識も高まってきている状況を見ると、土地の購入自体は適切な判断であったと思います。  ここの土地利用について、知事は六月県議会で、「周囲の民有地も取得した上で、体育館・武道館などの運動施設を整備する」旨、答弁されました。県立体育館の老朽化は以前から指摘されてきたことであり、整備の必要性は認めます。しかし、次期国体への県民を挙げた議論抜きに施設建設から話を進めることは、いかにも唐突な感じがします。  今、全国的に国体改革の議論が行われており、過去、四国では四県と二県の共同で、また東北では三県で開催されたこともあり、一九七二年の太陽国体と同じように本県単独開催と決まっているわけではありません。加えて、県の財政状況も検討しなければなりません。これら国体の現状を、太陽国体の総括とあわせて県民の議論に付し、「二巡目の国体をどうするか」「あるべき国体像は何か」についてコンセンサスを得る必要があると思います。知事の見解を求めます。  第二に、知事は、「現県立体育館敷地と交換で民有地二万五千平方メートルを取得し」と言っておられますが、とても交換にはならず、大きな不足額が生ずると思いますが、財源をどうするのか。そもそも地権者の協力を得られる可能性があるのか。現県立体育館の面積、与次郎の民有地との価格比率とあわせてお聞かせください。  第三に、県庁舎東側隣接地と民有地二万五千平方メートルをあわせて建設することの是非であります。広島県の県有施設の総面積は三万八百六十五平方メートルで、建設面積が一万三百平方メートルですから、民有地二万五千平方メートルの中に、駐車場を含めて建設できないことはありません。本県国体は、多分節約国体になるでありましょうから、施設の規模、財政面から十分な検討が必要であると思いますが、見解をお伺いいたします。  第四に、私ども県民連合は、県庁舎東側隣接地の購入段階から現在の産業会館の入居事務所移転を前提とする「産業観光物産センター」──これは仮称でありますが──の建設を提案しております。現在の産業会館「特産品売り場」の機能は、観光振興や情報発信にとって全く不十分であります。県経済連の農林水産物販売施設や県行政との連携を含め、本県の県内外への一体的情報発信センターとしての活用が有効であると考えますが、見解をお伺いいたします。  次に、地域振興局の役割と課題についてであります。  地域振興局が設置されて一年半がたち、職員も新しい仕事の形態に沿って努力し、合同庁舎がなくなった地域もその不便さ、寂しさに何とか耐え、与えられた条件の中で新たなまちづくりに邁進しております。  過日の新聞に、「県地域振興局に存在感」との記事が出ておりました。児童扶養手当、産業廃棄物収集運搬業などの許認可事務五十八件が権限委譲され、公共工事の起工決定権も大幅に広がった。また、予算要求権もソフト事業一千万円、ハード事業一億円と、従来の出先機関にはなかった権限が与えられるというものであります。  知事は、地域振興局の役割強化に大変意欲を持っておられますが、これまでに課題は生じていないのか、従来の縦割り行政の弊害をなくし、地域の県行政の拠点としてどのような展望を持っておられるのか、お伺いいたします。  次に、地域振興局ごとの将来を見通した戦略的ビジョンづくりがなされていますが、大変重要なことと思います。ビジョンなしには施策は一貫性を欠いたものになり、場当たり的になるからであります。これらビジョン作成の進捗状況と、作成に当たっての統一的な視点はどのようなものか。また、振興局・支庁内はもとより、管内市町村の声をどのように反映されるのか、お伺いいたします。  平成二十年度の「地域振興推進事業」の一覧表を見ますと、長期見通しに立ったものもあるようですが、一方では、案内標識、展望台が多いなど、場当たり的感をぬぐえないものもあります。きちんとしたビジョンの上に立った、真に効果的なものとなるよう十分な検討が必要でありますが、見解をお伺いいたします。  第四に、今回の地域振興局設置に当たっては、暫定的に支所が設置されるなど、一定の配慮がなされました。この支所が果たしている役割は、地域住民や市町村にとって大変大きなものがあります。これら出先機関も平成二十一年度をもって廃止になる予定となっております。指宿、曽於、出水、大口地域などは、廃止になれば地域振興局への用務は広大な地域を端から端まで行かねばならなくなり、その不便さははかり知れません。ここは単に県にとっての効率一辺倒ではなく、支所の利用状況や道路交通体系の整備状況を見ながら、県民の利便性も考慮して慎重に判断すべきであると考えます。見解をお伺いいたします。  次に、非常勤職員の処遇改善について質問いたします。  自治体で働く職員は、一般的に「雇用が保障され、生活が安定している」と思われがちですが、その一方で、財政難の中、低賃金で不安定な非正規雇用の職員がふえております。本県もその例外ではありません。公務員だからとパート労働法などが適用されず、非正規だからと雇用の保障もない「法の谷間」で働く「官製ワーキングプア」と呼ばれる人たちです。非常勤職員といっても、特定の資格を持ち、非常に高いスキルを求められる職種についている方々もおられます。  本県の消費生活センターには、現在、八名の消費生活相談専門員が非常勤で働いておられます。不当請求や架空請求、訪問販売やクレジット被害、多重債務被害などの複雑で困難な相談事例が年々ふえており、法的な専門知識も幅広く必要であります。年間一人当たりの相談件数は、平均千百六十二件にも上ります。  また、県の相談員は、各市町村で出された相談内容の集約や啓発活動も行っており、資料作成等は持ち帰って仕事をしている状況です。相談内容によっては、時に身の危険を感じながらも、強い責任感と誇りを持ち、日々県民のために頑張っておられるのです。相談員の方々の専門性に合った賃金の見直しなど、処遇改善を早急に行うべきであると思いますが、見解をお伺いいたします。  また、その相談室は、狭く窓もあかない劣悪な環境となっており、早期の執務環境の改善が望まれておりますが、移転費用がなかなか予算措置されないため、計画は中断されております。その一方では、七地域振興局・支庁にハード事業費としてそれぞれ一億円もの予算が組まれ、「とりあえずの事業」が実施されたり、鹿児島地域振興局は、総務企画部長の部屋がないからと個室をつくったりしているのです。果たしてこれほどの予算に緊急性、重要性があるのでしょうか。  本県の厳しい財政状況を考えると、非常勤という厳しい労働条件のもと、県民のために一生懸命頑張っている方々のためにこそ予算は使われるべきであります。早急に改善を図るべきと思いますが、知事の決断をお願いします。いかがですか。  また、消費生活センターのほかにも、県民交流センターのハーモニー推進課に三名の男女共同参画相談員が、そして女性相談センターには四名の婦人相談員が同じように非常勤で働いておられます。  いずれも専門性を必要とされる職種であり、その使命感から、通勤手当も支給されない中で残業もこなすなど、職員同様、それ以上に働いておられます。しかし、幾ら経験を積み、専門性を磨いても、十年たつと雇いどめとなってしまうのです。この雇いどめについては、人材育成という視点から見ても継続的雇用に見直すべきであると思いますが、賃金引き上げとあわせて見解をお伺いいたします。  次に、県福祉施設のあり方と障害者福祉についてお尋ねします。  現在、三光学園には聴覚に障害を持つ七名の児童が在籍しており、園長を初め、三十名の職員が、子供たちを聾学校に通学させながら、一般生活における生活習慣や学習指導等の援助を行っておられます。聴覚障害児の社会自立には早期訓練が最も重要であるとして、この三光学園では未就学児三名に特別指導等を行ってこられたのです。今、この三光学園が廃止されれば、本県には聴覚障害児を受け入れる施設がなくなることになり、まさに福祉の切り捨てと言わざるを得ません。  隣接する聾学校に寄宿舎がありますが、寄宿舎はあくまでも学校の施設であり、福祉施設とは根本的に異なるのです。土日や長期休暇中は寄宿舎を出なければならず、自宅へ帰れない子供たちはどこへ行けばいいのでしょうか。県は、通所施設などの利用を言っているようですが、近くの施設へ行けるかどうか保証はなく、子供たちにしてみれば、時に何カ所もの施設を利用しなければならないような状況にもなり、その精神的苦痛を思うと胸が痛くなります。  県としては、この子供たちの福祉施設の利用の権利をどう保障されるおつもりかお伺いいたします。  また、現在の周産期医療の技術向上に伴い、重症心身障害児は確実に増加する傾向にあり、肢体不自由児のみでなく、発達障害や不適応などの障害児も多様化している状況があります。県が廃止を提案している整肢園は、隣接して桜丘養護学校があり、さらには大学病院と、まさに本県の肢体不自由児の医療・福祉・教育の総合的ケアを行うには最適な環境にあります。  先日の代表質問で、「整肢園の利活用を含めて検討をする」との答弁がありましたので、現在入所している子供のサービスの継続も含めて、十分な検討を要望いたします。  私たち県民連合は、先月、会派として北海道立子ども総合医療・療育センターを視察してまいりました。また文教商工観光労働委員会も、石川県立総合養護学校を視察されたと伺っております。北海道では、一〇%も職員給与を削減するような厳しい道財政の中で、決して少なくない赤字を出しながらも、施設の必要性を訴える説明に強い感銘を受けました。  青木議員にお聞きしますと、石川県の総合養護学校の構想は、平成十三年に県教委により基本計画が策定され、ことし三月に完成されたそうです。総工費は八十二億三千二百万円で、厳しい財政状況の中、それを決断し、推進できた原動力は知事であったということです。また、ここには隣接して金沢子ども医療福祉センターがあり、現在、地域ごとに配置されている養護学校についても、順次総合化していく方針であるとのことでした。  本県では、この九月議会に、今後の特別支援教育のあり方を外部委員も含めて検討するための委員会設置予算が計上されていますが、この委員会はどのようなことを検討の対象に、またどのような方をメンバーにして、いつまでに結論を出すのか明らかにしてください。  また、福祉施設のあり方で廃止の方針が出された整肢園の廃止後の土地・建物の有効利用については、桜丘養護学校との関連も考慮して検討することになっておりますが、桜丘養護学校を含めた特別支援教育施設整備のあり方も検討するのであれば、整肢園の廃止条例が十二月に提案されることからすると、桜丘養護学校の方向性を十月、十一月の短期間で検討するには期間が短過ぎます。  ここは、先ほど申し上げた整肢園の医療機能の継続、拡充を含めた抜本的な検討期間も考慮した十分な時間が必要だと思いますが、知事の見解をお伺いいたします。  次に、薬害B型・C型肝炎被害者の救済についてお尋ねします。  鹿児島県内の肝炎患者や家族の方々が、いろいろな困難を乗り越えて七月二十一日、「薬害C型肝炎問題に取り組む県民の会」を結成しました。  肝炎問題は、薬害C型肝炎訴訟によって、ようやく国と製薬会社が、汚染された血液製剤フィブリノゲンなどの投与との因果関係と、被害の拡大を防止し得なかった責任を認め、ことし一月に薬害被害者救済特別措置法が成立しました。  訴訟が提起された当初は、国も製薬会社も責任を認めようとせず、特に厚生労働省は、血液製剤に関する資料の存在を否定し続けました。この患者を無視した姿勢が、現在、法律は成立したものの、患者救済に必要なカルテの保存年限や医師等の証言を困難にする原因となっていると厳しく指摘しなければなりません。  厚生労働省は、平成十六年のフィブリノゲン納入医療機関の公表に続き、先般、B型・C型肝炎ウイルス混入が指摘される血液製剤投与の可能性がある医療機関を公表しました。県内の三十一施設が含まれています。  そこでお伺いいたします。  本県における肝炎検査の受検者とB型・C型肝炎ウイルス感染者はどの程度と見ておられるのか。また、薬害肝炎被害者の実態をどのように把握しておられるのか明らかにしてください。  B型肝炎は、集団予防接種での注射器の使い回し等が原因と見られるものがあるものの、国は、最高裁判決確定の五人だけの救済しか認めていません。国や医療機関は、血液製剤投与の実態を解明するとともに、C型肝炎患者と同様の救済措置を講ずる必要があります。  また、薬害C型肝炎患者の救済給付金の支給は、裁判所に訴えを提起して、カルテ等の証拠書類によって因果関係が認定されなければなりません。ところが、カルテの保存年限が五年間のため、県立病院を初め、ほとんどの医療機関で廃棄されており、それにかわる医師や看護師による投与記録、またはその証言に頼ろうとしても、調査が困難な面があります。このことが、患者の皆さんの救済を難しくする最大のネックとなっています。  薬害肝炎は、国のずさんな薬務行政と製薬会社が第一義に責を負うべきであり、患者には何の責任もありません。被害者の掘り起こしに行政と医療機関は可能な限り最大限の協力をすべきでありますし、みずからの生命の問題として組織を立ち上げた「県民の会」の活動に対しても財政的支援を行う必要がありますが、見解をお伺いいたします。  薬害肝炎患者には何の責任もない中で、肉体的苦痛だけでなく、経済的負担や差別に苦しんでいる方々の救済を一日も早く実現すべきであります。そのために、血液製剤投与等の証明がない場合の救済措置、検査や治療体制の整備、薬害の根絶と差別・偏見の一掃など、抜本的な法整備がなされるよう国に要請すべきでありますが、考えをお伺いいたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 8 ◯知事(伊藤祐一郎君)次期国民体育大会のあり方に関連いたしましての御質問をいただきました。  総合体育館構想に関連して、まず、次期国民体育大会のあり方について検討すべきであるという御指摘をいただきました。  現在、国民体育大会は、国民体育大会開催基準要領で各都道府県持ち回りで開催することとなっており、同一都道府県内の開催を原則といたしております。  二巡目の国民体育大会の開催時期につきましては、今のところ十二年後と想定されているところでありますが、その受け入れや開催方式を検討するに当たりましては、県民や各競技団体、関係機関等の意見を広く聞きながら、県の財政状況や現在、国が進めております国民体育大会運営の簡素・効率化の国体改革を視野に入れ、総合体育館のグランドデザインの作成とあわせて、幅広く検討してまいりたいと考えております。  総合体育館建設のための財源等についてのお尋ねでありますが、マニフェストにおきまして、「将来の本県での国民体育大会の開催もにらみ、新たな総合体育館、武道館、弓道場の整備について、県庁東側の土地を含む地区の一体的な利活用を図るなど、グランドデザインを作成します」と記述したところであります。  総合体育館建設の構想につきましては、これまで、その具体的な概要はお示しをしていないところでありまして、土地の一体的活用、施設の規模、財源の問題等につきましては、今後、グランドデザインを作成していく中で検討してまいりたいと考えております。 9 ◯観光交流局長(椿 哲哉君)物産観光センターにつきましては、これまでの他県の類似施設調査や関係業界の意見によりますと、観光ルート内の交通アクセスや集客ロケーションのよいところが立地場所として望ましいとの指摘がございました。  一方、産業会館につきましては、現在、特産品協会や観光連盟など十四の団体が入居し、本県の観光や特産品等の情報発信や商工活動の拠点としてその機能を果たしてきており、当分は入居団体の業務に支障が生じないよう維持管理に努めることとしております。  御提案の産業観光物産センターにつきましては、他県の類似施設が採算性などの課題も抱えておりますことから、どのような施設の可能性があるか、今後とも研究を続けてまいりたいと考えております。 10 ◯総務部長(篠原俊博君)地域振興局の課題と展望についてでございますが、地域振興局・支庁につきましては、組織機構改革方針及び総合事務所設置計画に基づきまして、平成十九年四月に、従来の縦割りの専門的出先機関につきまして、所管区域を県下七区域に広域化するとともに総合事務所化を図ったところであります。  所管区域が広域化したことによりまして、不便、問題があるとして、地域住民や関係団体等から寄せられた意見等を踏まえまして、支所における出張入札の実施や申請手続の簡素化、各種会合等における地域振興局の業務等のPRを行うなど、住民サービスの低下をできるだけ招かないよう必要な業務の改善などに取り組んでおります。  一方、総合事務所化によりまして、災害を初めとする危機事象に対して、これまで以上に一元的な対応が可能となるとともに、農林水産事務所、農業改良普及センター、耕地事務所を統合したことによりまして、農家への対応がスムーズになったことなど、地域振興局を設置したことによる効果も出てきているものと考えております。  道州制にも対応できる分散型の県土を形成するためには、今後とも、地域の総合行政拠点としての地域振興局の機能や権限の強化を図る必要があるものと考えておりまして、引き続き、本庁から各地域振興局・支庁への権限委譲を進めるとともに、地域別将来ビジョンの策定等を通じまして、それぞれの地域特性に即した総合行政を推進していくための機能の強化を図ってまいりたいと考えております。  地域振興推進事業につきましては、各地域振興局・支庁が各地域における県政の総合行政拠点としてその機能を発揮し、地域固有の課題解決や地域活性化策に迅速かつ柔軟に取り組むため、平成二十年度当初予算におきまして、枠予算として地域振興局・支庁当たり、ソフト事業一千万円、ハード事業一億円の合計一億一千万円を措置したところであります。  事業の推進に際しましては、地元の市町村や民間団体等の意見を十分伺いながら進めているところでありまして、観光施設の整備につきましては、地域資源の発掘や有効活用、地域の活性化といった観点から、それぞれの地域における長年の要望が実現されたもので、大きな効果があるものと考えております。  現在、各地域振興局・支庁におきまして、地域別将来ビジョンの策定に着手したところでありますが、その検討過程における議論等を踏まえながら、それぞれの地域の特性に即した事業展開を図っていく必要があると考えております。  地域振興局の支所の廃止についてでございますが、地域振興局・支庁につきましては、総合事務所設置計画等に基づき、平成十九年四月に設置したところでありますが、総合事務所の組織体制を県民の方々に十分周知する必要があることなどから、最終的な組織体制の確立は平成二十二年度とし、総合事務所を設置しない地域につきましては、三年間は支所を設置する経過措置を講じたところであります。  平成二十二年度以降につきましても、県民への行政サービス水準の維持、効率的な業務執行、危機事象発生時における迅速な対応等の観点から、旅券業務や納税証明書の発行業務、保健所の業務の一部、営農指導業務、公共土木施設の維持管理業務等を所管する駐在機関等を設置することといたしております。  今後とも、住民ニーズに即した県政の総合拠点としての機能を発揮できますよう、本庁各部局からの権限委譲や県政に関する各種相談や申請等への一元的な対応等の取り組みを進めますとともに、住民に身近な行政サービスにつきまして、権限移譲プログラムに基づく市町村への権限移譲を進めてまいりたいと考えております。 11 ◯企画部長(山田裕章君)地域別将来ビジョンにつきましては、各地域振興局・支庁が地元市町村や関係団体と連携しながら、地域の特性に応じた課題や将来に向けた取り組みの方向性などを明らかにするものであり、この七月に策定作業に着手し、おおむね一年半程度の期間をかけて策定することとしております。  その内容につきましては、かごしま将来ビジョンの「安心・安全」「活力・快適」「共生・有徳」、この三つの視点を踏まえることとしております。  今後の策定過程におきましては、各地域振興局・支庁内にワーキンググループを設けますとともに、管内市町村との意見交換会や地元有識者との懇談会の開催等を通じまして、さまざまな御意見をいただき、その反映を図っていくこととしております。 12 ◯環境生活部長(高山大作君)消費生活相談専門員の処遇につきましては、これまで、相談件数の状況を勘案して増員を図りますとともに、資格取得の専門性や業務の見直しに応じた報酬額の増額見直し、県人事委員会勧告に基づく一般職員の給与改定に対応した報酬改定を行ってきたところでありまして、今後とも同様に対応してまいりたいと考えております。  執務室につきましては、増員等により手狭になっていたこともありまして、本年三月にレイアウトの見直しを行いまして、OA機器の配置変更による業務スペースの拡充を行ったところでございまして、消費生活センターの移転につきましては、当面、現在の施設を利用していきたいと考えているところでございます。  消費生活相談専門員等の非常勤職員の委嘱に関しましては、基本的には単年度雇用を前提としておりますが、引き続き雇用する必要がある場合には、広く人材を求めて適任者を委嘱する必要があること、業務内容や職種によっては確保が困難な場合があることなどを総合的に判断し、原則として更新回数の上限を九回と規定しているところであります。ただし、適任者の確保に支障を生じるなど特別の事情がある場合は、更新回数の特例を承認してきているところでございまして、今後とも現行の取り扱いで対応していきたいと考えております。  また、男女共同参画相談員、婦人相談員の報酬等の処遇につきましても、消費生活相談専門員と同様の考え方で対応してまいりたいと考えております。 13 ◯保健福祉部長(岩重秀人君)三光学園の利用者の権利の確保についてでございます。  三光学園につきましては、利用児童が極めて少なくなっていることや利用児童に対する処遇については、聾学校の寄宿舎等での対応が可能であることなどから、基本方針において、今年度末をもって廃止することとしております。  利用児童につきましては、基本的には、聾学校の寄宿舎は障害のある児童の指導経験が豊富な指導員等が処遇に当たりますことから、引き続き適切に対応できると考えておりますが、特に未就学児の保育など、三光学園の対応と異なる点につきましては、どのような体制をつくれば適切な処遇ができるか、さらに教育委員会とも連携しながら検討してまいりたいと考えております。  肝炎検査の受検者と被害者の実態についてでございます。  肝炎ウイルス検査につきましては、旧老人保健法により、平成十四年度から各市町村で実施してきておりますが、平成十八年度までにB型・C型肝炎ウイルス検査合わせまして、約三十五万人が受検されており、陽性率は一・二%となっております。また、本年一月のいわゆる薬害肝炎被害者救済法の成立以降は、保健所や委託医療機関で無料検査を開始してきており、八月末までに約三千人の方が受検され、陽性率は約二・九%となっております。  県としましては、この機会に多くの方に無料検査を受けていただき、早期発見による早期治療につなげていただきたいと考えており、引き続き、医師会等の関係機関の協力を得て、受検者の増加に努めてまいりたいと考えております。  薬害肝炎被害者の実態把握につきましては、国によると、全国で約二十九万人がフィブリノゲン製剤等の投与を受け、うち感染者は一万人以上としているところでございます。各都道府県ごとの実数は不明でございますが、国の患者状況から推計いたしますと、本県では約百五十名の方々が感染しているものと思われます。  なお、平成十九年十月に国が公表した患者リスト四百十八人の中には、本県関係者が四人含まれているところでございます。  薬害被害者の救済措置等についてでございます。  国におきましては、平成十九年十一月に、フィブリノゲン製剤等の投与によりC型肝炎ウイルスに感染した可能性のある方々に対しまして、納入先医療機関の名称等を公表いたしますとともに、医療機関に対しましては、カルテ、手術記録、分娩記録等の調査と保管、患者等への情報提供などについて、適切に対応するよう依頼を行っているところでございます。  県におきましては、本庁及び保健所に相談窓口を設けまして、母子手帳や医師、看護師の記憶等による投与確認、裁判所への手続に対する弁護士会の紹介など、相談者に対しましてきめ細かに助言を行ってきているところでございます。  なお、「県民の会」に対します財政的支援は困難でございますが、県としましては、肝炎に対して適切に対応するために、肝炎対策協議会を設ける一方、無料検査及びインターフェロン治療助成を行うなど、肝炎患者の方々の支援に今後とも努めたいと考えております。  現在、国におきましては、薬害の根絶や偏見・差別の一掃、検査・治療体制の整備等を内容とした肝炎対策基本法案が継続審議中であり、フィブリノゲン製剤等の投与を受けた患者の方々が適正に救済されますよう、法案の審議状況を注視してまいりたいと考えております。
    14 ◯教育長(原田耕藏君)特別支援教育施設整備検討委員会についてでございます。  同検討委員会におきましては、盲・聾・養護学校の移転整備のあり方、高等特別支援学校の整備のあり方、それから特別支援学校の過密化・過大規模化の解消のあり方、鹿児島市内特別支援学校における複数の障害種別への対応のあり方など、こういった課題につきまして総合的に検討したいと考えております。  なお、検討委員会の委員としては、学識経験者、保護者代表者、学校関係者、行政関係者を予定をいたしておりますが、検討内容に応じまして、関係の特別支援学校の校長や保護者などからも意見を聞くことと考えておりまして、できるだけ早い時期に具体的な方向性を見出していただきたいと考えております。  桜丘養護学校のあり方の検討につきましてでございますが、桜丘養護学校は、これまで整肢園に入所していた児童生徒を対象に受け入れておりましたため、本年度中に整肢園が廃止されることになれば、来年度桜丘養護学校に通う児童生徒がいなくなることになります。  一方、鹿児島市内の特別支援学校では、過密化や近隣の学校への通学希望など、早期に解決すべき課題もありますことから、来年度以降の桜丘養護学校のあり方につきましては、早急な検討が必要だと考えております。  その際には、現在、保健福祉部で検討されております整肢園の廃止後の土地・建物の有効利用の方策を十分に勘案した上で、桜丘養護学校のあり方について具体的に検討する必要があると考えております。 15 ◯柳 誠子君 議長、自席から質問します。  御答弁いただきました。  地域振興局独自事業である観光案内板・標識の設置はあるにこしたことはありませんが、現在はカーナビの時代でもあり、また不便さの中に道を訪ねる旅の楽しみ方もあり、旅行者の事前の準備で解決できる問題でもあります。  消費生活専門相談員、男女共同参画相談員、婦人相談員の方々には、法律的な専門知識をみずから習得してスキルを高め、複雑・困難な相談に安い賃金ながらも使命感を持って賢明に頑張っておられるのです。このように経験を積み上げた人材を十年で雇いどめにするのは、人材の育成と活用の面から余りにも県政の損失であります。このような方々の処遇改善こそ、案内板・標識より優先すべき緊急かつ重要な予算措置だと思われませんか。  知事、本日は七名の相談員の方々が傍聴に来られておいでです。知事の一言一句しっかりと聞いていらっしゃることでしょう。知事の誠意ある答弁を求め、再度質問いたします。  それと、三光学園についてでありますが、これから十分な検討をしていくということでありましたが、児童の送迎また長期休暇中の対応は、これまでと同様にできると考えていいのでしょうか、質問いたします。 16 ◯総務部長(篠原俊博君)地域振興推進事業、特に観光施設の整備につきましては、先ほども御答弁申し上げましたとおり、地元の市町村や民間団体等の意見を十分伺いながら進めているところでありまして、各地域における要望が実現されたものというふうに考えております。  消費生活相談専門員の処遇改善等についてでございますが、先ほど環境生活部長から答弁がありましたとおりでございまして、すべての非常勤職員に共通する取り扱いであるという原則を踏まえつつ、特例承認を判断するに当たりましては、今後とも、それぞれの実情などを十分に勘案して対応してまいりたいと考えております。 17 ◯保健福祉部長(岩重秀人君)三光学園についてでございます。  聾学校の寄宿舎につきましては、土曜・日曜や夏休み等は原則として閉舎されるなど、三光学園とは対応が異なる点がございますが、家庭の事情でやむを得ない場合等につきましては、児童養護施設等への短期入所や移動支援など、障害福祉サービス等の制度も組み合わせながら必要な対応を検討することといたしまして、利用児童、保護者の方々が困ることのないように、教育委員会とも連携し、適切に対応してまいりたいと考えております。    [柳 誠子君登壇] 18 ◯柳 誠子君 それぞれ御答弁いただきました。  総合体育館構想は、まずその前提である鹿児島国体のあり方について県民の合意形成を図る必要があります。民間地権者の同意、施設整備の対象や内容、既存施設の利活用との関係、財政状況と事業費の規模など、具体的な検討がないまま構想だけが進むのは拙速過ぎます。知事の発言は重いものがありますので、物事を進める際は、もっと慎重な検討の上に立って提案すべきであります。  三光学園の幼稚部に入所し、聾学校に通う三名の児童の保護者からお手紙をいただきました。本日も傍聴席にお見えです。その一部を紹介いたします。  「三歳で親元を離れ、寂しさと不安に耐えて同じ部屋で支え合い、生活してきました。二年目に入り、入浴時には頭も洗えるようになり、精神的には落ち着きが出てきました。このような大事な時期に三光学園から寄宿舎へ移ったとき、環境の変化についていけるか心配です。児童の迎えの時間は、寄宿舎では六時までに必ず行かなくてはならず、三家族とも自宅や職場から片道二時間以上かかります。体調不良など緊急時に、三光学園では医師の受診後の経過観察や定期的検温、職員の部屋も子供たちの隣にあり、夜のケアもしてもらえます。夏休み・冬休みの預かりは、寄宿舎では基本的にできないということです。三光学園に比べ、寄宿舎では幼稚部子供の受け入れ体制ができていない現状です。このまま寄宿舎に子供たちを預けることは無理だと考えます。二家族は職場が鹿屋であり、都城の聾学校へ、もう一家族は熊本に職場があり、熊本への転校を検討しています」というものです。  このような保護者と子供たちの現状をしっかり受けとめていただき、答弁があったように、これまでと同様のサービスが受けられるよう、障害児の福祉の権利が保障されるよう再検討をお願いいたします。  続きまして、大分県教委不祥事と本県の対応についてです。  大分県教育委員会による教員採用、昇進試験をめぐる汚職事件は、社会に大きな衝撃を与え、教育への信頼も大きく失墜させました。  本県においては、過去においても不正行為はないとのことですが、私に「鹿児島でも絶対にあるよ」と言い切った人もいました。多くの県で、試験の合否が事前に県議や国会議員・秘書、教員OB等に通知されていたことが報道されるや、そういった見方はさらに強くなった気がします。地元紙の取材に、十五人の県議が「合否の事前通知を依頼した」と答えたとのことですが、私の友人から「たった十五人だけなの」と言われ、その顔は「信用できない」という表情でした。  他県の不祥事が発端となり、本県の人事行政まで疑われるのは残念でなりませんが、そのような疑念を払拭する不正防止と透明性確保に向けた取り組みが求められると思います。筆記試験の結果まで改ざんする不正は論外として、複数の目で点検するなど、本県では適切に実施されているとのことでありますが、面接は主観的な評価の要素が多く、そこに恣意的評価が入り込む余地がありますので、今後の改善の取り組みをお示しください。  今回の事件を機に、「議員の口きき」ということが議論され始めました。「口きき」の定義がよくわかりませんが、県民から選ばれた議員である以上、県民のさまざまな声を県政の場に届けるのは当然の責務であります。それは、議会での発言はもちろん、直接執行部にさまざまな働きかけ、照会、時に依頼を伝える形をとることもあるわけです。それは公正かつ透明でなければなりません。  また、私たちは、県民の皆さん、労働組合を含めた諸団体と県執行部の皆さんとの意見交換の場に同席させてもらうこともあります。これも、県民のニーズをしっかり把握し、まずは現状の認識のために必要なことであります。  長野県などでは、議員からの働きかけ、照会をすべて記録、保存するよう制度化するとのことであります。本県においても、議員からの依頼や照会等を記録する制度化をすべきものと思いますが、知事の見解をお伺いいたします。  次に、公立学校における労働安全衛生管理体制についてであります。  労働安全衛生法の一部改正により、本年四月から、常時五十人未満の労働者を使用する事業場においても、長時間労働者への医師による面接指導が義務づけられることから、本年三月十七日、県教育長より「公立学校における労働安全衛生管理体制の整備及び適正な勤務時間管理について」の通知が、各市町村教育長と各県立学校長あてに出されました。このことについて質問いたします。  指導内容は、一、校長は、みずから校務について種々の改善を行うなど、校務能率の向上への自覚を高めるとともに、職員一人一人の意識の向上を図ること。  二つ、校長は、勤務時間を超えて長時間に及ぶ業務が予想される場合、当該職員に事前に申し出をさせるなど、職員の勤務の状況を十分に把握するとともに、校務の優先順位を意識し、計画的な職務遂行に努めること。  三、生徒指導の問題など今日的課題に対応するため、児童生徒と触れ合う時間を確保するとともに、校務処理の簡素化・合理化を図るなど、適正な勤務時間管理に努めること。  四、校長は、職員が気軽に相談できるよう、より一層配慮するとともに、長時間の勤務により疲労の蓄積が認められる職員に対しては、県及び各市町村教育委員会が策定した面接指導実施要領に基づいて適切に対応することとなっております。  また、本年四月十日には、「学校職員の服務規律の厳正確保と校務処理の改善等について」の通知が、県教育長から出されております。そして文科省からは、二〇〇六年と二〇〇七年の通知文書、それに続いて二〇〇八年五月十五日付で、労働安全衛生管理体制確立の促進を周知徹底する通知文書が出されました。  体制の整備は、教職員が意欲と使命感を持って教育活動に専念できる適切な労働環境の確保と、学校教育全体の質の向上に寄与する重要なものであります。なぜこのように県教委や文科省など、次々と通知を出さなければならなかったのか、お伺いいたします。教育長はこの背景をどのように認識されているのか、お伺いいたします。  二〇〇六年文科省の教員勤務実態調査では、昼休みの平均休息時間はわずか八分となっており、二〇〇六年労働科学研究所の教職員の健康調査委員会が行った調査では、何と九割の教職員が、「もっと子供たちと一緒の時間が欲しい」「授業の準備の時間が不足している」と回答しています。  教員の通常の勤務時間を超えた勤務の実態については、小・中・高とそれぞれの学校において、十分に把握できているところが何校あると県教委では承知しておられるのか。また、教員には原則として超過勤務を命ずる制度はないということですが、教員が通常の勤務時間を超えて業務を行っている場合、管理職はどのような対応をとっているのか、そのような長時間勤務の実態はないのか、お伺いいたします。  本県においては、このような多忙な勤務実態の中で、校務処理の簡素化・合理化等について、現場の教職員からは、その対応策が全く見えてこない、実感がないとの声が聞かれますが、県教委として今後どのように取り組んでいかれるおつもりか、お伺いいたします。  次に、新・観光振興推進計画の策定について質問いたします。  私ども県議会は、現在、「かごしま観光立県基本条例」──仮称でありますが──の来年三月議会での制定を目指して、条例作成委員会を中心に、観光関連業界や市町村の担当課の意見をお伺いしながら作業を進めております。  本県の観光振興の道しるべと言える「かごしま新観光戦略21」の計画期間が平成二十二年度まで、また「かごしまPR基本戦略」が二十三年度までとなっていることから、平成二十三年度以降の中長期の観光振興を展望した新しい観光振興推進計画の策定が必要であります。  最近の観光動向調査によると、NHK大河ドラマ「篤姫」の好調な視聴率に支えられて、ことし一月から五月の宿泊観光客数は前年比三・三%増で推移しているものの、このところのガソリンや物価高騰で今後の伸びは厳しいとの見方が示されています。  市町村のお話をお伺いしますと、篤姫と関連のある史跡等を持つところは篤姫を意識した取り組みを行い、成果を上げているようでありますが、そうでないところは篤姫効果もいま一つのようであります。  そこでお伺いいたします。  「篤姫」後や新幹線全線開通後を見据えた今後の中長期の観光振興の課題について、どのような問題意識をお持ちか、また、新・観光振興推進計画の策定にどのような展望を持って取り組んでいかれるのか、お伺いいたします。  さて、県議会には超党派の観光振興議員連盟があり、これまで、南九州三県連携による広域観光の取り組みについて、意識的な連携による共同の企画などを模索してきておりますが、よくよく考えてみますと、本県はあと一県、沖縄と隣接していることに気づかされるのであります。  今日、観光客のニーズに十分対応するためには、広域的な連携・協力が不可欠となっています。特に沖縄から奄美、九州本土の観光ルートは、世界自然遺産への登録を目指す上からも重要であります。県においては、沖縄県をどのように位置づけておられるのか、今後の展開も含めてお示しください。  国土交通省と農林水産省は、観光圏整備法に基づいて、隣接する複数の自治体と観光事業者らが共同で、二泊三日以上の滞在が可能なエリアとして「観光圏」の整備計画を作成し、国の認定を受ければ、国の補助や税制優遇などの特例措置が講じられる制度をスタートさせています。既に計画の募集が始まったと聞きますが、本県の取り組みについてお伺いいたします。  次に、WTO交渉再開に向けた戦略についてであります。  七月二十一日からスイス・ジュネーブで開かれた世界貿易機関新多角的貿易交渉閣僚級会合は、最終合意には至らず決裂しました。合意を目指して歩み寄った日米欧の前に立ちふさがったのが中国、インドであり、先進国が主導してきたWTO交渉は新興国の台頭に揺さぶられ、新たな貿易秩序を生み出すことはできませんでした。  しかし、皮肉にも、サトウキビ、でん粉原料用カンショを基幹産業としている本県農業の危機は回避されました。  交渉を現地で取材していた記者は、「貿易交渉は、農業、鉱工業品が両輪で、主要国は総合戦略でしのぎを削った。日本は、農業は農林水産省、鉱工業品は経済産業省と分かれ、拠点のホテルも別で重要情報を交換しない。どうしようもない縦割りで総合戦略以前の状態に見えた。まるで別々の政府のようだった。日本も他国のように交渉を一元化しないと太刀打ちできない」とコメントしています。  知事も定例会見で、「まとまっていればサトウキビなどは壊滅的打撃が予想された。交渉で日本は相手にされていなかった。情報収集能力が劣っていたと言われても仕方がない」と苦言を呈しておられます。  情報収集能力以前の問題で、政府としての統一した交渉戦略が欠落しているのであります。いずれは交渉が再開されるわけで、今回の交渉によって、高い関税を維持していた重要品目削減の流れは明確になったと言えます。交渉の決裂だけを願っていても解決できるものではなく、工業製品を売って稼いだお金で食料は輸入をすればいいという国策では日本の農業は守れません。  今後の交渉に当たっては、本県のサトウキビなどの農産品と日本の農業を守るための明確な交渉戦略とともに、国民全体の理解を得るための取り組みや競争力のある農業経営の展望を示すよう、国に強く求めるべきでありますが、具体的行動と決意をお伺いいたします。  また、本県としては、国内外を視野に入れた「安心・安全・新食料基地」の実現を目指すとともに、輸入農産物との競争に打ち勝つための施策の展開が重要でありますが、今後の取り組みについてお示しください。  次に、毒入り米事件への認識と対応についてであります。  殺虫剤メタミドホスや猛毒のアフラトキシンを含み、食用にできない事故米を三笠フーズなどが、焼酎や菓子の原料、給食用米として転売していたことが発覚し、消費者の食の安全・安心に対する信頼がまたも裏切られました。三笠フーズは、帳簿を改ざんするなど会社ぐるみで隠ぺい工作をしており、食べ物を扱う業者としては悪質きわまりない背信行為であります。  三笠フーズをめぐる疑惑は、昨年一月に農水省東京農政事務所に不正提供の告発情報が寄せられて、繰り返し工場に職員が足を運びながら、見破ることができなかったわけです。三笠フーズの冬木社長は、みずからの指示で五、六年前から始めたことを認めています。食の安全を揺るがす事件が相次ぎ、農水省は、食品業界への監視を強めていたはずなのに、健康被害を及ぼしかねない不正を長く見過ごしてきたと言わざるを得ません。  今回の事故米事件の背景と農水省の責任をどのように考えておられるのか、知事の率直な考えをお聞きします。  地元紙の門田記者は、「中国製ギョーザ中毒事件で、メタミドホスは日本人によく知られた農薬名になった。あのとき日本中が『毒入りギョーザ』と大騒ぎした。同じ農薬に汚染された米なら、やはり『毒入り米』と呼ぶべきだ」と述べています。同じ事象については、政府部内における発表も、マスコミにおける報道も同じように取り扱うべきであります。門田記者の主張に大いに賛成するものです。  今回の事件によって、本県の重要な産業である焼酎業界に大きな打撃を与えた「事故米」は、正確に「毒入り米」と呼称してもらうように政府に要求すべきだと思います。その危険性を明確にし、責任の所在と対策を明らかにする上で必要なことであります。見解をお伺いいたします。  先日辞任した太田農水大臣は、「毒性の量から健康への被害はほとんどない。じたばた騒いでいない」と発言していますが、毒入り米で製造されたものを口にしてもよいような発言は、食の安全への認識が欠如しています。三笠フーズの不正転売は、五、六年前から行われていたと社長みずから認めていますが、県としては、これまで県内事業者への流通をどのように把握されているのか明らかにしてください。  今回の事件については、鹿児島県は、当初事態を把握できず、事故米の販売先は、熊本・宮崎両県の担当者からの連絡で初めて知ったと報道されていますが、このような事件が発生した場合の食の安全に関する危機管理体制は万全に機能しているのか、お伺いいたします。  今回の事故米の転売先として、いち早く公表した西酒造の西陽一郎社長は、「製造責任を免れるつもりはないが、私たちも被害者であることをわかってほしい」と、涙ながら取材に答えていました。その損失額は四億円以上と言われています。そのほかにも、西平本家、喜界島酒造や菓子業者など、安全性が証明されたとはいえ、自主回収によって経営危機が深刻になっています。  今後、焼酎や菓子業界全体の経営・業績にも大きな影響が予想されます。この責任は、毒入り米を不正販売した業者と、その不正を見抜けなかった国の責任です。経営危機に対する救済策を国に対して要請すべきです。また、県としても検討すべきだと思いますが、見解をお伺いいたします。  最後の項目は、時間の関係上、割愛させていただきます。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 19 ◯知事(伊藤祐一郎君)議員からの働きかけの記録の制度化についてのお尋ねがありました。  議会におきましては、多様な民意の反映、さまざまな利害の調整、住民の意見の集約などの役割を担われているところでありますが、議員の皆様方からは日ごろより日常的な政治活動の一環として、執行部に対し、いろいろな照会、現状説明、意見、要請等がなされているものと考えており、現時点では、それらを記録し、保存する必要性は本県においてはないものと考えております。  事故米事件の背景と農水省の責任についてのお尋ねがありました。  食の安心・安全に関する関心が高まっている中で、本来食用として流用してはならない事故米穀が偽装され、酒造会社のみならず和菓子メーカーなど約三百七十社に転売され、国民の間に大きな不安を招いたことは、まことに遺憾であり、原因企業及び国の責任は重大であると考えております。  今回の事案につきましては、まずは事故米穀について、横流しを行った企業の責任であることは言うまでもありませんが、農林水産省が工業用の用途に限定していたとはいえ、事故米穀を売却し、業者の横流しを長期にわたって見逃したことも大きな要因であると言わざるを得ないと考えております。  先般、国におきましては、再発防止策として食品衛生上問題のある事故米穀につきまして、販売をやめ、輸出国等への返送や焼却等廃棄処分を行うこと、さらに米トレーサビリティーシステムや原料米原産地表示制度の確立という方向性を示したところでありますが、県といたしましては、今後二度とこのような事態が発生しないよう、早急な全容解明と再発防止策を確実に実施してもらいたいと考えております。  なお、事故米穀の呼称についてのお尋ねもございましたが、今、国に求められておりますのは、流通を含めた実態の早期解明と再発防止策の確立及びその徹底した実施でございまして、一刻も早く国民の不安を解消することが先決であると考えております。 20 ◯教育長(原田耕藏君)教員採用、昇任試験の改善の取り組みについてでございます。  教員採用試験等の実施に当たりましては、これまでも、問題作成や採点のすべての過程で、複数の者で複数回確認をいたしますとともに、成績の入力や一覧表作成を民間委託するなど、厳正に実施してきているところでございます。さらに、面接試験におきましても、企業やPTA関係者、学識経験者等に委員を依頼し、公正・公平な評価がなされるよう努めてきたところでございます。  本年度は、特に採用試験におきまして、不合格者に対し、順位ランクの開示に加え、総合得点も開示する。最終合格者の受験番号を県教委のホームページ等で公表する。来年度から試験問題を持ち帰るようにできるようにするなどの改善を行ったところでございます。  今後とも、より一層厳正で公平・公正な試験の実施に努めてまいりたいと考えております。  労働安全衛生管理体制についてでございますが、学校の労働安全衛生対策につきましては、平成二十年度からすべての学校に長時間労働者への医師による面接指導が義務づけられ、面接指導体制を速やかに整備するよう指導がなされてきたところでございますが、昨年度の文部科学省の調査で、全国的にまだ十分整備されていない状況にあったことから、繰り返し整備促進のための文書が出されたものであると考えております。  県教委といたしましても、労働安全衛生対策は、職員の安全と健康を確保し、快適な職場環境を整える上で重要であると認識しておりまして、今後も、労働安全衛生管理体制を一層充実させるよう指導してまいりたいと考えております。  教員の時間外勤務の実態等についてでございます。  県教委といたしましては、これまでも、校務処理改善等の通知や、管理職研修会等におきまして適正な勤務時間管理に努めるよう指導をしてきておりまして、各学校においては、個々の教職員の実態が把握され、状況に応じた指導がなされているものと認識をいたしております。  教員の時間外勤務につきましては、校長は、やむを得ない場合を除き命じられないこととなっておりますが、実際は、勤務時間を超えて自主的に教材研究や生徒指導等を行う場合があることは承知をいたしております。  各学校におきましては、効率的な校務分掌や計画的な職務執行とともに、長時間の時間外勤務が予想される場合には、事前に申し出をさせるなどして、教職員の勤務状況を十分に把握し、適切な対応に努めてまいりたいと考えております。  校務処理の簡素化・合理化への取り組みについてでございます。  県教委といたしましては、これまでも、研究指定校の削減や学校への調査物について整理統合を進めるなど、学校の負担軽減に努めますとともに、学校に対しても、会議等の見直しや行事の精選、校務処理の簡素化・合理化等を図るよう指導をいたしているところでございます。  これを受けまして、各学校におきましては、それぞれの実態に応じて校内行事等の見直しや会議の整理統合、コンピューター活用によるデータの共有化等に取り組んでいるところでございます。  今後とも、市町村教育委員会や各学校に対しまして、校務処理の合理化等とともに、適正な勤務時間管理に努め、教育活動が一層充実するよう指導してまいりたいと考えております。 21 ◯観光交流局長(椿 哲哉君)観光振興計画の策定についてでありますが、本県の中長期の観光振興上の課題につきましては、かごしま将来ビジョンにおいて取り上げておりますように、本県のそれぞれの地域の自然や人、文化などの総合的な魅力の活用や、シニア層を中心とする長期滞在などの新たな旅行需要への対応、海外における知名度向上や広域的な誘客対策など、鹿児島の持つ潜在的な魅力をどうアピールしていくかが今後の重要な課題と考えております。  今後、中長期的な観光振興に係る計画を策定する場合には、これらの課題等を踏まえ、基本的には、将来ビジョンに掲げている大きな目標である「世界を魅了する観光地“KAGOSHIMA”の形成」を目指したものになると考えております。  広域観光の取り組みにつきましては、沖縄県を除く九州七県及び民間で九州観光推進機構を設立し、九州一体となった各般の事業を実施しているところであります。  一方、本県は、沖縄県と隣接しておりますことから、九州観光推進機構の広域観光モデルルート「九州うんちくの旅」に沖縄と奄美を結ぶルートを入れ込むなど、沖縄と奄美群島との広域観光の推進にも努めているところであります。  地理的、歴史的、文化的なつながりが深い沖縄と奄美との交流・連携を進め、交流人口の拡大を図ることは、両県にまたがる世界自然遺産登録を進める上でも重要であることから、今後とも、教育旅行商品の造成など、両県一体となった取り組みを推進してまいりたいと考えております。  観光圏整備についてでありますが、国におきましては、二泊三日以上の滞在型観光を促進するため、地方自治体や観光関係団体等の関係者が一体となって取り組む観光圏の整備に向けて、総合的に支援する制度を今年度創設したところであります。  この制度は、地域の関係者による協議を踏まえて、県または市町村が観光圏整備計画を作成し、次に、この計画に沿って事業を行う者が作成する具体の実施計画が、国の認定を受けて、各種補助事業等を実施する仕組みとなっております。  現時点では、県内では具体的な動きはございませんが、今後、市町村や観光関係団体等に対しまして、この事業の周知に努めますとともに、県内における導入可能性についても検討を行ってまいりたいと考えております。  事故米穀対応でございますが、今回の事故米穀の不正流通に係る対策につきましては、国は、政府系中小企業金融機関等を通じた経営相談や金融支援を始めたところであります。
     県といたしましては、今後、酒造組合など関係団体とも連携をとりながら、物産展などのあらゆる機会をとらえまして、本県の焼酎や菓子の安全性を広くPRするとともに、県商工会連合会等による経営相談や県制度融資による支援などを通じまして、企業の経営不安の解消に努めてまいりたいと考えております。  また、あわせまして、国に対して、今後十分な対応が図られるよう、関係団体と連携しながら働きかけてまいりたいと考えております。 22 ◯農政部長(弓指博昭君)WTO農業交渉についてでございますが、今回は、最終合意の骨組みとなりますいわゆるモダリティの合意には至りませんでしたが、いずれ交渉は本格的に再開されるものと考えておりまして、その際、国におきましては、国民の理解を得ながら交渉を進めますとともに、食料安全保障の観点に留意し、本県の基幹作物でありますサトウキビなどを初め、国内農業の発展に支障が生じないよう十分配慮することが重要であると考えております。  また、あわせまして、我が国として、国際的な情勢変化等に対応し得るよう農業の一層の体質強化を進めていく必要がありますことから、県といたしましては、交渉終了直後に、国に対しまして、今後の交渉におきましても、多様な農業の共存を基本理念といたします我が国の考え方を十分に主張いたしますとともに、本県の基幹作物に十分配慮するよう要請を行ったところでございまして、今後とも、さまざまな機会をとらえまして国へ働きかけてまいりたいと考えております。  また、本県農産物が国内外との競争に打ち勝っていくため、安心・安全な生産を基本としつつ、消費者が求める食料を安定的に供給できる担い手の確保や育成、ブランド化の推進による付加価値の高い農産物の生産など、各般の施策を積極的に推進し、安心・安全・新食料供給基地の実現を目指したいと考えております。 23 ◯保健福祉部長(岩重秀人君)事故米穀の県内事業者への流通につきましては、随時農林水産省から情報を得ており、県内には、焼酎関係で米穀仲介業者一社、酒造会社四社、米粉関係で食材卸三社、和菓子製造十二社の合計二十社に流通していることを把握しておりますが、その後においても農林水産省から情報を得ているところでございます。  食の安全に関する事案が発生した場合は、関係する部局間の連携をとりながら対応しているところでございますが、今回の事故米穀の不正流通問題につきましては、庁内関係部局間での連携や情報交換等を行いますため、副知事を会長とする事故米穀問題連絡会議を九月十二日に設置したところでございます。  県としましては、今後とも、国及び関係部局との連携を図るとともに、適切な情報収集や製品の検査を行いますなど、県内産食品の安全性の確保に努めてまいりたいと考えております。 24 ◯柳 誠子君 自席から質問します。  教育長に質問いたします。  これまでにさまざまな、文科省そしてまた県教委から通知を出しているわけですけれども、学校現場のほうからはどのようなことを改善したというような回答がなされているのでしょうか、質問いたします。 25 ◯教育長(原田耕藏君)先ほども答弁申し上げましたけれども、学校におきましては、会議等の見直しあるいは行事の精選、校務処理を簡素・効率化したというようなことにつきまして、県教委のほうへ報告が上がってきております。 26 ◯柳 誠子君 その返事が返ってきたというのは、割合にして小・中・高、どれほどの回答があったとみてよろしいでしょうか。 27 ◯教育長(原田耕藏君)校長等からの報告でございまして、その具体的な数につきましては把握いたしておりません。    [柳 誠子君登壇] 28 ◯柳 誠子君 それぞれ御答弁いただきました。  公立学校における労安体制につきましては、教職員が心身ともに健康な状態で日々子供たちと向き合え、豊かな教育実践を行うためにも、早急な対応が求められています。  このほど発表された経済協力開発機構の調査で、教育への公的支出の国内総生産比が二十八カ国中、最下位という劣悪な環境の中で、もっと子供たちと一緒の時間が欲しいと訴える先生方の声をどうやって実現していくのか、通知を出して終わりではなく、すべての学校において改善が図られたという声が上がるまで、確実な取り組みを要望いたします。  また、毒入り米事件については、その真相究明と被害に遭われた焼酎や菓子業界への迅速な対応を要望いたします。  また、三光学園の問題についてでありますが、委員会等もございますので、これからまたその議論を深めていきたいと思っております。  伊藤知事におかれては、今後も、常に県民の目線に立ち、県民の命と暮らしを守る県政運営に臨まれることを要望いたしまして、質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 29 ◯議長(金子万寿夫君)ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午前十一時五十八分休憩       ─────────────        午後 一時 十五分再開 30 ◯議長(金子万寿夫君)再開いたします。  松田浩孝君に発言を許可いたします。    [松田浩孝君登壇](拍手) 31 ◯松田浩孝君 平成二十年第三回県議会定例会に当たり、公明党県議団として県政の重要課題について代表質問を行います。  先日台風が接近しましたが、避難勧告や自主避難により家屋等の被害はあったものの、人命に及ばなくて安堵しています。被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げるとともに、早急な災害復旧に努めていただきますよう、まずもって要望をいたしておきます。  世界を震撼させた九・一一、アメリカ同時多発テロから七年目を迎えました。テレビでは何回も航空機がビルに突入する場面が映し出され、三千人の犠牲者が出たことは今でも私たちの脳裏に残っております。ところが、この九・一一ショックを上回るようなリーマンショックがこの九月十五日に起こり、世界に衝撃が走りました。経営危機に陥っていたアメリカ証券大手リーマン・ブラザーズが官民による救済協議が不調に終わり、十五日、アメリカ連邦破産法十一条の適用を申請、負債総額六千百三十億ドル、約六十四兆円でアメリカ史上最大の経営破綻が起きました。日本の金融機関も経営を圧迫され、中小企業向けの貸し付け、貸し出しなどを絞り込む懸念もあり、燃油高騰や円高進行も加わって景気低迷の長期化、そして、国民生活への影響も深刻であります。  また、国内では米粉加工販売会社による残留農薬やカビ毒に汚染された事故米の不正転売問題が、焼酎から和菓子と日を追うごとに拡大して県内企業にも大きな影響が出ています。国は食の安全確立に向け、省庁間の縦割りの弊害打破のために、消費者庁設置に向けたテストケースとしても、消費者行政担当大臣に情報の一元化を決定いたしました。この問題に対して公明党は、九日に党農林水産部会の西部会長が副大臣に申し入れ、十一日には太田代表が町村官房長官に徹底調査と実態の公表、風評被害を受けた事業者への救済措置、事件を起こした責任者に対する刑事告発などを要請いたしました。さらに、十六日には西部会長が我々県議団三名とともに西酒造を訪問し、社長から風評被害などについて要望を伺いました。ネットワーク政党公明党の素早い対応に驚かれていました。国内外とも課題山積の中ではありますが、県政の重要課題について質問いたします。  代表質問で質疑が交わされて重複することもありますが、御理解をいただき、初めに知事の政治姿勢について伺います。  知事は、一期目の四年間において「知事と語ろ会」等を通して常に県民の声を聞いてこられました。今回の選挙においては、「力みなぎる・かごしま」の第二ステージとして百三十項目のマニフェスト「新たな未来への挑戦」を掲げ、県内各地で県民に直接訴えてこられました。これまで取り組まれてきたことに対する手ごたえを直に感じ取られたことと思います。  そこで、県民の声をどのように受けとめられたのか。また、これから四年後を見据えて何を重点的に取り組まれるのか、お伺いします。  また、今回のマニフェストでは、我が会派が訴えてきたドクターヘリの導入、学校施設の耐震化、第三子以降の保育料等の無料化を含めた減免も盛り込まれましたが、これらに対する具体的な取り組みについて、スケジュールも含めてお伺いいたします。  次に、九月一日、福田首相が突然辞任されたことには大変驚かされました。ねじれ国会の中で国会運営の難しさのゆえなのかもしれません。人事同意案への反対を初め、与野党の協議で合意するも野党第一党の党首の一言で合意できず、全く話し合いができない事態に温厚な福田さんもキレたのではないでしょうか。しかしながら、石油高騰、生活用品の値上げの中で国民の不安や将来への不安が充満している今こそ、国民の消費拡大を図る景気対策が必要だと考えます。また、離島を有する本県にとっても地方格差の是正に対して新しい総理が力強いリーダーシップを発揮されることを望むものであります。二十四日には新総理が決定する予定ですが、知事は、この新総理に対してどのような期待をされるか伺います。  次に、公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場についてお聞きします。  知事は、昨年八月と本年六月、八月に直接地元住民との対話を重ねてこられました。環境影響調査の終了とともに、薩摩川内市長の同意も得たとして、去る八日に候補地から整備地に決定されました。しかし、地元には協議に応じることなく、反対を訴える住民もおられます。  そこで伺う一点目は、知事はこれまで対話を重ねる中で、住民の理解がどのように推移してきたと考えておられるのか。また、今後どのようにしてさらなる理解を求めていくのか、伺います。  また、会派や委員会で視察した京都、岩手、青森のそれぞれの処分場では、建設に当たり地元住民との信頼関係を構築するための対話を大変重視されておられました。  二点目は、環境影響調査は現時点での分析であります。今後は処分場建設を進める過程や運用開始後の安全確保こそ重要であると考えますが、どのように取り組まれるか伺います。  次に、財政問題について伺います。  県財政は伊藤知事の一期四年間で二百九十四億円の収支改善が図られたものの、借金に当たる県債残高は一兆六千億円に上り、貯金に当たる財政調整に活用可能な基金の残高も本年度末九十一億円まで目減りする見通しであります。大きな災害など不測の事態に備えるためにも、この基金は常時四十億円程度は必要とされているだけに厳しい財政状況が続きます。また、二〇〇七年度決算に基づく自治体財政健全化法で導入された四つの財政指標によりますと、いずれも財政破綻のイエローカードである早期健全化基準はクリアしたものの、将来の負担規模を示す将来負担比率は二六九・六%と高い数値となっております。  そこで伺う一点目は、本県の厳しい財政状況について知事はどう認識し、今後どのように財政運営していく考えか伺うとともに、県民へのメッセージをどう発信されるのか、お伺いします。  次に、九月補正予算において原油価格高騰対策経費を計上されました。原油の高騰による農業・漁業や中小企業に対する影響は、基礎体力の小さな農家や事業主にとってはこれからますます深刻化していくのではないかと心配しております。  伺う二点目は、この原油価格高騰対策経費のそれぞれの事業における昨年の実績を示すとともに、農家や事業主がもっと融資を受けやすい制度の弾力的運用に努めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。  「庶民の生活は、今、大変な状況です。定額減税を一日も早く実施してほしい。これだけ庶民が苦しんでいるのですから、定額減税は大ヒットです」等々、公明党の粘り強い主張で今年度の実施が決まった定額減税についての期待の声が寄せられています。日本経済新聞社の世論調査でも「定額減税を評価する」との回答が六一%にも上り、民主党支持層の五八%、無党派層の五三%も評価しています。まさに定額減税への評価は党派を超えた広がりを見せ、その期待の高さが客観的に裏づけられた格好になりました。定額減税は所得税や個人住民税から一定額を差し引く単年度の措置で、所得の低い人ほど支援が手厚くなっています。食品、生活用品の値上げラッシュが続く中、定額減税で可処分所得がふえれば国民生活が潤うことは明らかであり、生活現場からの期待が高いだけに早期実施が強く望まれます。  そこで三点目は、政府与党合意された定額減税に対する知事の率直な見解を伺います。  次に、総務警察行政について伺います。  まず、市町村交付金制度について伺います。  大阪府では橋下知事のリーダーシップのもと、財政再建に向けた具体的な取り組みが実施されております。補助金制度を再構築した市町村交付金制度もその一つであります。この制度は、地域に密着した市町村が創意と工夫を凝らして住民サービスを提供できるように現行の補助金制度を見直し、自由度の高い交付金制度に改めるという画期的な試みです。事業の選択や制度設計などは市町村が責任を持って行い、府の役割を最小限に抑えるのが特徴です。この制度の成否は市町村と十分に協議し、府民にプラスになることが重要であります。七月の府議会で橋下知事は、市町村補助金の交付金化は、府から市町村への分権を強力に進めるための有効な手段との認識を示した上で、精力的に市町村との協議を進めると述べております。  そこで伺う一点目は、本県の市町村への補助金制度の現況について伺います。  二点目は、本県でも市町村のやる気を育成し、市町村への分権を進めるためにも市町村交付金制度を検討すべきと提案いたしますが、いかがでしょうか。  次に、災害対策について伺います。  我が国では、毎年のように地震や台風、豪雨、火山噴火などによる災害が発生しています。本年は局地的な集中豪雨による事故や災害が都市部で相次いでおります。震度六を記録しながら住宅の全壊がなく、死者も出なかった岩手県沿岸北部地震の教訓は、過去たびたび大地震に見舞われて建物の耐震化や被害を小さく食いとめる工夫が広がっていることを物語っています。  一方、二〇〇八年度版防災白書では、地震などの災害に対する国民の関心は高いものの、それが防災行動に結びついていない点が指摘されています。内閣府の調査では、地震に備えて家具などを固定している人は全体の二四・三%しかいないのであります。こうした自然現象をとめることはできませんが、災害の未然防止、被害軽減を図ることはできるのではないでしょうか。  その大事な取り組みとして、行政による公助、自分の身は自分で守る自助、地域や身近にいる人で助け合う共助が大事であると考えます。災害による被害を少なくするためには公助はもとより、自助、共助こそが大きな力となるとされています。災害が起きてからでは間に合わないし、普段できていないことを災害時に行うことはなおさらできません。九月の「防災の日」を迎えた今こそ、災害時に自分でできること、家族でできること、地域の人と協力してできることなどについて考えるいい機会ではないでしょうか。  そこで伺う一点目は、自助として防災意識を高め、具体的な防災行動に結びつける取り組みについて伺います。  二点目は、共助として地域の防災活動と住民や企業との接点をふやし、地域が助け合う体制づくりこそ急務であると考えますが、具体的な取り組みについて伺います。  先日訪問した新潟県では、県民の意識の醸成を図るためのにいがた防災戦略を策定中でした。その中で注目した点は、ワーキンググループとして被災者や被災経験企業を交えての会議が行われていたことです。また、都市部では共助の取り組みを強化しなければならないが、地方の集落ではお互いの顔が見えるつながりの中で互助、いわゆる地域力が既に存在していることを踏まえて、自助、互助、共助、公助の四助で取り組むとのことでした。これらのことを受け、住民、地域、企業、行政でできることの役割のルールの形成を基本方針に掲げておられました。  そこで伺う三点目は、最近の災害に対して被災者や被災企業の意見などを取り入れることや、住民、地域、企業、行政の役割についてのルールをつくることなどの見直しが必要と考えますが、見解を伺います。  次に、警察交番に女性安全ステーションの設置について伺います。  凶悪犯罪の報道が毎日のようにマスコミに取り上げられ、県民の体感治安はますます悪くなっていると思います。中でもDV、配偶者などによる暴力やストーカー行為などは、明るみになる件数よりも表面化していない件数はさらに多いと考えられます。それは、被害者となる女性からの相談がなされないことが原因の一つと考えられます。その意味においては、女性が相談しやすい環境づくりが重要であります。  広島県では、女性警官が二十四時間常駐し、DVやストーカー行為など女性が受けやすい被害の相談を受ける女性安全ステーションを県内の十七交番に設置しました。相談者のプライバシーを確保するために交番内の一角をパーテーションで区切り、相談コーナーも設けています。また、女性警官の仮眠室、シャワー室なども完備されています。DVやストーカーなどへの対応は、初期段階で相談者が何を求めているかを適切に判断することが重要です。女性警官が常駐することにより、相談後のフォローアップができると期待されております。  そこで伺う一点目は、本県の女性警官の割合と配置場所について伺います。  二点目は、女性が被害者となる事件や相談が増加していますので、本県でも交番に女性警官を配置して女性の相談のバリアフリーを目指すべきと提案いたしますが、県警本部長、いかがでしょうか。  以上で、一回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 32 ◯知事(伊藤祐一郎君)今後四年間の中での重点的な取り組みについてのお尋ねがありました。  私は、今回の選挙期間中改めて県内各地を回ったところでありますが、多くの県民の方々と直接お会いしてお話をする中で、時代の傾向として最近の我が国の政治状況や経済状況、社会構造の不安定化を感じますとともに、その顕在化によって将来に対する漠然とした不安を持ち、みずからの暮らしに明確な見通しや希望を持てない人もふえているのではないかと感じたところであります。こうした県民の不安を払拭するためには、子供からお年寄りまですべての県民が生涯を通じて安心して暮らすことができ、自分の人生やふるさとに夢と誇りを持てる、優しくぬくもりのある地域社会を実現することが、何よりも大切であると考えているところであります。このため、さまざまな機会をとらえ県民の皆様と対話をし、説明責任を果たしながら三つの挑戦に引き続き取り組みますとともに、二十一世紀における人類の共通課題であります環境、食料、医療・福祉に重点を置きつつ、「力みなぎる・かごしま」づくりに果敢に挑戦してまいりたいと考えております。  ドクターヘリについてのお尋ねであります。  ドクターヘリにつきましては、二期目のマニフェストで県民の皆様方にお約束したとおり、早期導入を進めますため条件整備に取り組むことといたしております。そのため、本定例会に医療機関や市町村、消防機関の代表等で構成する検討委員会の経費につきまして補正予算案を提出しているところであり、当該検討委員会においてヘリポートの整備やシステムをどのように動かすかなどのさまざまな課題や、導入スケジュールなどについて検討していただくことといたしております。今後検討委員会での検討や県議会での御議論を踏まえ、またあわせて関係者との協議も進めながら、本年度中には本県のドクターヘリ導入計画として取りまとめたいと考えております。  学校施設の耐震化についてでありますが、その早急な耐震化を図る必要があると考えているところであります。県立学校施設につきましては、耐震診断の結果、緊急性の高いものから優先的に耐震化を進めているところであります。公立小・中学校につきましても、地震防災対策特別措置法改正によります国庫補助率の引き上げなどを受けまして、大規模な地震により倒壊等の危険性の高い施設について、今後三年を目途に耐震化を推進するよう、市町村に要請してきているところでありますが、先般、政府において安心実現のための緊急総合対策が取りまとめられまして、その中で公立小・中学校施設等の耐震化事業の加速化が盛り込まれたところであります。耐震化計画の前倒しを図るようさらに要請し、大規模地震発生時の児童生徒及び地域住民の安全確保に努めてまいりたいと考えております。  三人目以降の保育料等の減免についてでありますが、第三子以降の保育料等の減免制度につきましては、少子化対策の一環として、多子世帯の子育てにかかる経済的負担の軽減と、安心して子供を産み育てられる環境づくりという観点から、市町村と協力して実施してまいりたいと考えております。具体的には、認可保育所と私立幼稚園に入所・通園している第三子以降の児童を有し、経済的負担が大きいと思われる世帯を対象に、現在の保護者負担額の状況に応じまして市町村がその三分の一から全額を助成する場合に、県が市町村助成額の二分の一を補助するという仕組みを考えているところであります。今後のスケジュールにつきましては、来年度からの実施に向け、実態調査や市町村説明会を開催することといたしておりますが、国におきまして保育料等の軽減制度の拡充等も検討されておりますことから、今後国の制度改正の動向や市町村との協議を踏まえ、制度の具体的内容を詰めてまいりたいと考えております。  新総理に期待することについてのお尋ねがございました。  現在我が国は国、地方とも大変厳しい財政状況にあり、またグローバル化の急速な進展や本格的な人口減少、超高齢化社会の到来など、社会のあらゆる面で大きな変革期を迎えております。本県におきましても全国に先駆けて過疎化や高齢化等が進行し、危機的な財政状況に直面している状況にございます。このような状況の中、国民のさまざまな不安を払拭するためにはマクロ政策全体の調和を図りながら、すべての分野で将来に向けた持続的かつ安定した国づくりを進めるべきであると考えております。  また、現在のような社会経済の状況にかんがみますと、改めて安定的な経済成長とあわせ社会的構成をいかに達成するかが課題であり、その点からは地域間の不均衡や社会的格差などが固定化することがないような社会づくりに取り組むことが必要であると考えております。今後就任される新総理におかれましては、こうした視点を踏まえ国政運営を行っていただくとともに、原油、食料、飼料、原材料の価格の高騰など、国民の暮らしに直結するさまざまな課題への対応に当たっては、地方や国民生活に対する十分な配慮のもとで実効ある施策を展開していただきたいと考えております。  公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場の整備に当たりましては、関係地域の方々の理解を得ることはまことに重要なことであると考えているところであります。このため、関係自治会などの方々に対しまして、候補地選定の経緯や立地可能性等調査の結果について説明会を開催いたしますとともに、関係自治会の全世帯の戸別訪問や先進地視察、産業廃棄物セミナーなどを行ってきたところであります。また、私自身も去る六月と八月に関係自治会などの方々に、管理型処分場の安全性や施設を整備する場合の環境保全協定の締結、県の責任のあり方、さらには地域振興策などにつきまして県の考え方を説明し、意見交換を行い、管理型処分場についての理解を求める努力を重ねてきているところであります。  このような取り組みを通じまして、川永野自治会では建設に賛成していただくなど、関係自治会の方々の管理型処分場に対する理解は深められてきているものと考えております。今後とも地域住民の方々に対しましては、安全性などについての説明会を要請に応じて、また定期的に開催し、基本計画や基本設計、実施設計の各段階におきましても説明会を開催いたしますとともに、引き続き先進地視察や産業廃棄物セミナーなどを行い、一人でも多くの方に管理型処分場についての理解を深めていただけるよう、十分な説明責任を果たしてまいりたいと考えております。  今後の財政運営等についてのお尋ねがありました。  本年度の県税収入につきましては、その三割弱を占めます法人二税が減収傾向にあり、今後景気がさらに悪化した場合、県税収入の大幅な落ち込みは避けられないものと考えているところであります。これに加えまして、少子・高齢化等の進展に伴う扶助費の増、高水準で推移いたします公債費の状況を考えますと、本県は本年度後半から来年度にかけてこれまで以上に極めて厳しい財政運営を強いられる状況になるものと考えているところであります。  このような中、来年度以降につきましても「力みなぎる・かごしま」を推進する観点から、三つの挑戦に引き続き取り組み、二十一世紀の人類の共通課題であります環境、食料、医療・福祉に重点を置きつつ、本年三月に策定いたしました「かごしま将来ビジョン」や百三十項目のマニフェスト「新たな未来への挑戦」の実現に着実に取り組んでまいりたいと考えており、そのためにも引き続き県政刷新大綱の基本的なフレームに沿って徹底した事務事業の見直しなどを通じ、あらゆる歳出や歳入の見直しを強力に推進していく必要があると考えているところであります。また、このような県財政の状況や財政健全化の取り組みにつきましては、さまざまな機会を通じて県民にわかりやすい説明をしてまいりたいと考えております。 33 ◯環境生活部長(高山大作君)管理型処分場の建設や管理運営に当たっての安全確保につきましては、施設建設の段階から関係自治会の方々や学識経験者などで構成いたします安全管理委員会による施工状況の確認や、設計施工の二重チェックなどを行うこととしております。また施設の管理運営に当たりましては、受け入れる廃棄物の搬入管理を行いますとともに、地下水の水質調査の結果などの情報公開や住民による立入調査、災害時等のリスク管理マニュアルの作成などを行うこととしているところであります。これらの取り組みにつきましては、今後環境保全協定に盛り込み、十分な安全確保を図ってまいりたいと考えております。 34 ◯総務部長(篠原俊博君)原油価格等高騰対策についてでございますが、今回の補正予算に計上している各種制度資金の昨年度の融資実績につきましては、中小企業融資制度資金は三百二十二億円の融資枠に対し約三千九百件、融資額約三百二十二億円、農業近代化資金は三十五億円の融資枠に対し約三百四十件、約三十三億円、家畜飼料特別支援資金は昨年度については貸付限度額以外に融資枠はなく十件、約一億六千万円、漁業近代化資金は三十五億円の融資枠に対し約二百九十件、約三十三億円、沿岸漁業改善資金は二億円の融資枠に対し約四十件、約一億一千万円となっております。  これらの制度資金につきましては、それぞれの趣旨、目的に沿った対象者や利用目的などに係る一定の要件が定められているところでありますが、例えば家畜飼料特別支援資金につきまして、今年度から畜種ごとの貸し付け限度額が倍増されているほか、基準金利の上昇に伴い県の利子補給率を増加しており、また、沿岸漁業改善資金につきましては、今回の対策に当たり、沿岸漁業者の省エネ機器等の導入に関しまして、従来原則として一回限りとしていた貸し付け回数に係る制限を撤廃するなど、一定の要件緩和を図っているところであります。今後とも各制度において運用状況を把握しながら、必要に応じ国への要望等も行うなど、事業者の利用しやすい制度運用に努めていく必要があるものと考えております。  定額減税の実施についてでございますが、国において取りまとめられた安心実現のための緊急総合対策におきましては、定額控除方式による所得税、個人住民税の特別減税を単年度の措置として平成二十年度内に実施するため、減税の規模や実施方式等について財源を勘案しつつ、年末の税制抜本改革の論議にあわせて引き続き検討することとされております。県といたしましては、石油・食料価格高騰や景気悪化に対応し、県民生活の安定を図るため、早急に実効ある施策が展開されることが必要だと考えておりまして、この定額減税につきましても家計への緊急支援として検討されているものと認識をしております。なお、実施に際しましては、特別減税により地方の一般財源総額が減少することのないよう、新たな地方特例交付金の創設や地方交付税率の引き上げなど、国による確実な財源措置が必要であると考えております。  市町村交付金制度についてでございますが、本県におきましては、現在重度心身障害者医療費助成事業、特定離島ふるさとおこし推進事業、合併処理浄化槽設置整備事業など、今年度当初予算ベースで五十九事業、約七十億円の県単独の市町村補助事業を実施しているところであります。大阪府においては御指摘のような市町村交付金制度の検討がなされておりますが、これは行財政改革の一環として、市町村の自己決定と自己責任の拡大を図ることを目的としているものと認識をいたしております。本県といたしましては、それぞれの補助制度の趣旨、目的に沿って運用することが重要であると考えておりまして、現時点では市町村補助金を交付金化する考えはないところであります。 35 ◯危機管理局長(内門公孝君)災害対策についてでございますが、防災対策を進めるに当たりましては、県民みずからがその主体であることを認識し、日ごろから災害に備えることが重要でございます。このため五月の第四週を「県民防災週間」と定め、防災シンポジウムや防災訓練等の実施、県防災研修センターによる出前講座の開催等により、県民の防災意識の高揚に努めているところでございます。また、地域防災力の向上のためには、住民や自主防災組織、企業等がお互いに助け合って地域の安全を確保することが重要でございます。このため、地域防災推進員による自主防災組織の活性化を図りますとともに、企業に対し従業員の自主防災組織への参加促進や避難所としての施設提供を要請するなど、地域が一体となった防災対策の推進に努めているところでございます。  また、防災対策基本条例につきましては、パブリックコメントなどにより広く県民の意見をお伺いして制定しておりまして、また、自助、共助、公助を基本として県民と市町村、県等がそれぞれの役割を果たすとともに、相互に連携、協働して防災対策を行うことを基本理念としたところでございます。県といたしましては、まずは県民の方々に対しこの基本理念を普及、定着させることが重要と考えておりまして、今後とも各種研修会等を通じ、その普及啓発に取り組んでまいりたいと考えております。 36 ◯警察本部長(藤山雄治君)最初に、DVやストーカー行為等の相談体制でございますが、県警察におきましては、平成十三年三月、警察本部にストーカー対策室を設置、十七年四月には主要七警察署にストーカー対策室の分室を設置して体制の強化を図っておりまして、現在女性警察官八名を含む十八名を配置をしております。今後とも相談体制の充実とともに、自治体が設置する配偶者暴力相談支援センター等との連携を強化し、相談者のプライバシーの保護にも配意しつつ、不安の解消と身辺の安全確保のために迅速な措置を講じてまいりたいと考えております。  交番への女性警察官の配置状況についてでありますが、現在県警察には全警察官の定数の約三・六%に当たります百六名の女性警察官がおりますが、本年八月末現在で県下二十八名の女性警察官が十九交番に配置されておりまして、女性からのDV、ストーカー相談等に対して女性警察官によるきめ細かな対応に心がけているところでございます。特に、平成九年からは鹿児島中央警察署地蔵角交番など三交番に女性被害相談所を開設をいたしまして、女性警察官が女性からの相談等に対応しているところであります。今後とも女性警察官の配置につきましては、女性の特性を生かしやすい部門への配置に努めてまいりたいと考えております。    [松田浩孝君登壇] 37 ◯松田浩孝君 それぞれ御答弁いただきました。  ドクターヘリについては、公明党が一貫して法整備を推進してまいりました。南北六百キロの県土に二十八の有人離島を抱える本県にとりましては、命を守るドクターヘリが必要であることは言うまでもありません。さまざまクリアしなければならない課題もあると思いますが、導入に向けて知事の強いリーダーシップに期待いたします。  公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場につきましては、我が会派は、さきの議会で住民の理解がまだ進んでいない、環境影響調査が完了していないなどから、賛成陳情、反対陳情について継続すべきとの判断をいたしました。今議会では環境影響調査の結果を踏まえ、知事が整備地とされたことなどを総合的に判断し、処分場の建設に賛成を表明するものであります。ただ、私たちは住民の安全・安心を最も第一に考えた取り組みを、今後も監視してまいりますことを申し添えておきます。  緊急経済対策の定額減税についてばらまきなどの批判がありますが、筋違いも甚だしいと言わざるを得ません。今回の物価高は過去のオイルショック時とは違い、賃金低迷の中で起こった非常事態なのです。物価高と賃金低迷のダブルパンチを受けた家計はまさに火の車であり、生活費の切り詰めに追われているのであります。経済専門家の永濱氏は、景気悪化の中で定額減税はしわ寄せを受けている人たちに、直接手を差し伸べて支援するという意味でベストの対策と高く評価しています。これに対するばらまき批判は、庶民の苦悩に対する危機感が欠如していると強く訴えたいのであります。  災害対策については、「天災は忘れたころにやってくる」と言ったのは、地球物理学者でもある作家の寺田寅彦でありますが、今の日本は、「天災は忘れぬうちにやってくる」と言いかえる必要があります。今後の防災対策で自助、共助、公助を県民に周知徹底するためにも、市町村任せではなく、県としてしっかり取り組んでいただきたいことを再度要望いたしておきます。
     警察行政については、鹿児島県はいまだに男尊女卑の傾向が強いと指摘されており、女性が悩みを相談しやすい体制づくりは喫緊の課題であります。何とぞ前向きに取り組んでいただきますよう要望いたしておきます。  次に、企画建設行政について質問いたします。  通告しておりました新エネルギーについては、時間の関係で割愛いたします。  次に、道路特定財源の一般財源化による本県の道路整備への影響については、代表質問で質疑が交わされましたので、要望に変えます。  道路特定財源は、本来道路利用者が道路整備費を負担するという受益者負担という考えに基づいた制度であります。受益者負担ということであれば、地方ほど自動車を多く所持し、使用しております。一般財源化され、道路関係予算がほかに流用されることで受益者負担の考えから外れるのではないかという思いと、結果として県内の道路整備がおくれるのではないかとの懸念があります。地域間競争に勝ち抜くためにも道路整備がおくれることのないように要望をしておきます。  次に、県営住宅の諸問題について伺います。  県営住宅は多くの入居希望がある中で抽選で入居者を決めるルールになっており、なかなか入居できない状況にあります。  そこで一点目は、以前にも提案いたしましたが、少子・高齢化が進む中で新婚、子育て世帯を応援するとともに、地域の活性化を図るために新婚、子育て世帯枠を設けて優先的に入居させる考えはないか、見解を伺います。  二点目は、県営住宅の退去者の滞納家賃の収納業務を民間会社に委託されましたが、昨年までの未収債権の額と実績、あわせて民間委託の経費について伺います。  三点目は、県営住宅の共益費の徴収に苦労する例があります。兵庫県では、自治会の負担を減らして住民同士の人間関係の摩擦を軽減するため、家賃と共益費を一括徴収する取り組みを始めております。本県でも取り組んではどうかと提案いたしますが、見解を伺います。  次に、農林水産行政について伺います。  初めに、食の安全・安心についてであります。  まず、汚染米事件について伺います。  食用に適さないため工業用に限定された、いわゆる事故米が食用に不正転売されていた事件は、国民の健康を損ねかねない卑劣な行為であり、所管である農林水産省の対応はもちろん、取り締まり当局にも全容の早期解明と断固たる処置を求めてまいりたいと思います。米粉加工販売会社三笠フーズが、少なくとも過去五年間で基準値を超えた有機リン系農薬メタミドホスなどに汚染された事故米を政府から購入し、約三百トンを焼酎や米菓などの原料として転売していた問題は、県内の焼酎メーカーや菓子店等に大きな衝撃を与えました。焼酎会社では商品の回収を迫られ、甚大な被害を受けました。ようやく全国区になってきた焼酎が風評被害の長期化でさらなる影響を受けることは必至であります。一方で、不正転売の汚染米があられなどの米菓の原料だけでなく、新たに二業者が事故米を転売したことも判明し、幼稚園の子供の口に入るなど、事件はさらに広がりを見せ始めています。  そこで伺う一点目は、この事件による県内関係業者に対する影響をどのように認識しているのか、伺います。  二点目は、今後の本県の対応策について伺います。  次に、農業生産工程管理手法、GAP手法については時間の都合により要望に変えたいと思います。  食品安全に関する内閣府の調査では、生産段階に不安を持つ消費者は八割に上っています。食品の安全確保の取り組みは喫緊の課題であり、消費者にGAP手法の有効性が認知されることは、生産側の取り組みを促進することにもつながりますので、GAP手法に対する消費者へのさらなる周知徹底の取り組みを要望いたします。  次に、ウナギの信頼回復について伺います。  マスコミの第一報から次々と明らかになるウナギの産地偽装問題にあきれて物が言えません。ウナギ輸入販売業者魚秀は、中国産ウナギを三月から四月にかけて、東京都の複数の中間流通業者を経由して神港魚類に二百五十六トン、約二百五万匹を出荷したのであります。悪質なのは製造や販売に実態のない架空会社をでっち上げ、この架空会社名で産地証明を発行していたことであります。偽装の理由もうその疑いが濃厚であります。中国産ギョーザ事件以前の一月ごろから偽装販売の準備を進めていたというから話になりません。さらに、外国産のウナギを鹿児島県産と偽装した販売も発生いたしました。本県は全国有数のウナギの生産地であり、ウナギに対する消費者の関心が高まる中で信頼回復に努めなければならないと考えます。鹿児島県産ウナギを守るためにはDNA検査や販売先証明など、トレーサビリティの管理体制を強化する必要があると考えます。  そこで伺う一点目は、本県でのウナギの産地の監視体制はどのようになっているのか、伺います。  二点目は、地域特産品の信用を守る防衛策を図りながら、消費者に対して本県産ウナギの安全・安心を積極的にPRすべきと考えますが、取り組みをお示しください。  次に、米粉の消費拡大について伺います。  本年四月から九月期の輸入麦政府売り渡し価格は、昨年同期の約四〇%高となり、本年十月から三月期もさらに引き上げられると予想され、パンやめん類などの値上げに拍車がかかりそうです。反面、こうした現状を追い風にして、小麦粉にかわって米粉を使ったパンやめん類などが注目を集めています。低迷している米の消費の拡大につながるとの期待も高まっています。  政府も米粉の普及を重視し、今後の農政の指針となる「二十一世紀新農政二〇〇八」の中で、食料供給力の観点から米粉の活用が明記され、今後さらに力を入れていく方針です。また、来年度の方向性を示す骨太の方針二〇〇八にも新たな米利用の本格化が盛り込まれました。我が党も昨年の参議院選挙でもマニフェストに米粉の拡大を掲げ、本年六月には米粉の普及拡大を盛り込んだ「食料自給率五〇プラン」を農水大臣に申し入れしました。先日視察しました新潟県では、小麦粉消費量の一〇%以上を米粉に置きかえることを目指す「R10プロジェクト」を取り組みの柱に位置づけ、米の消費拡大を通じて日本の食と環境を守る運動を展開されておりました。  そこで伺う一点目は、本県の米粉の消費拡大の状況について伺います。  二点目は、新潟県が小麦の一〇%を米粉に転換する「R10プロジェクト」を展開しておりましたが、本県でも具体的に数量を明記して取り組むべきと考えますが、見解を伺います。  次に、環境問題について伺います。  七月に開催された北海道洞爺湖サミットのG8首脳宣言には、二〇五〇年までに世界全体の温室効果ガス排出量の少なくとも五〇%削減を達成すると明記され、昨年の「真剣に検討する」から大きく前進しました。その後、七月二十九日には低炭素社会づくり行動計画が閣議決定され、洞爺湖サミットの議長国の責務として、また世界をリードする環境大国の歩みとして、日本の排出量を二〇五〇年までに六〇から八〇%削減するという福田ビジョンの行程表が示されました。中長期目標については来年のしかるべき時期に発表するとしていましたが、斉藤環境大臣は「削減目標量は、当然二五%以上でなければならない」と明言し、今後は具体的な目標値を示すとともに、その実現への取り組みを進めなければなりません。  そこで、本県の中長期のCO2削減の目標値と、その実現への対策をお示しください。  次に、洞爺湖サミット開催日を記念して七月七日を我が公明党青年局が推進した「クールアースデー」に制定され、全国各地で七夕ライトダウンキャンペーンが実施されました。全国の約七万六千の施設で照明が消され、環境省によると、今回のキャンペーンによって午後十時までの二時間で百二十二万キロワットの消費電力が削減され、四百七十五トンのCO2削減に効果があったとされています。  そこで、本県におけるクールアースデー、ライトダウンキャンペーンについて、公的機関、民間、そして各家庭での取り組みについて伺うとともに、今後のあり方について伺います。  次に、大分県では、環境を守る身近な取り組みとして、二〇〇六年より「めじろん」を通貨単位としたエコマネーに取り組んだ結果、マイバッグ運動が促進され、少なくとも約二百三十万枚のレジ袋が削減され、約百四十トンのCO2削減に結びつきました。また、新宿高田馬場商店街の「アトム通貨」、北海道富良野市の「ふらのeco・ひいきカード」など、市民に身近でわかりやすい形で一人一人の取り組みを促すエコポイント事業が広がりつつあります。県内でもスーパーやデパート等で取り組みが始まっています。  そこで、エコポイントの県内での取り組み状況をお示しいただくとともに、県としてのさらなる促進策について伺います。  次に、地球の未来を考え、環境を考えながら行動する子供たちを育成する環境教育については、時間の都合で割愛いたしますが、大量生産、大量消費の高度成長時代の負の遺産とならないためにも環境教育の充実が必要と考えます。今後の取り組みに期待いたします。  次に、食料の大量廃棄について伺います。  農水省の食品ロス統計調査によると、二〇〇五年度の小売業や外食産業、家庭からの食品廃棄物の排出量は、国内で流通した食品の二割に当たる約千九百万トンに達しています。内訳は、関連業界から出る売れ残り商品などが約八百万トン、一般家庭の食べ残しなどが約一千百万トンで、うち五百から九百万トンはまだ食べられる売れ残りや食べ残しと推測されています。まさに我が国の米の年間収穫量八百七十万トンのすべてが廃棄されていることと同じになるのです。  食品廃棄物の発生抑制と有効活用を目指して施行された食品リサイクル法により、食品産業全体で二〇〇一年度に三六%だったリサイクル率が、二〇〇六年度は五九%と着実に増加している傾向にあります。反面、手つかずのままなのが家庭生ごみであり、家庭生ごみの三八・八%が食べ残しで、そのうち一一・一%は手をつけないまま廃棄された食品であるとの調査報告もあります。  そこで、本県における生ごみの量と家庭生ごみの推計量を伺うとともに、食料の大量廃棄の削減を県民へどのように周知徹底するのかお伺いし、二回目の質問といたします。 38 ◯土木部長(河瀬芳邦君)県営住宅におきましては、新規入居世帯のうち世帯主が四十歳未満の世帯が約七五%を占め、現行制度におきましても相当数の子育て世帯などが入居できている状況にありますが、少子化対策の一環といたしまして、平成十九年九月から新築の住宅に限り子育て世帯に優先枠を設け募集を行っているところであり、今後とも引き続き取り組んでまいりたいと考えております。一方、新婚世帯に優先枠を拡充することにつきましては、入居希望が非常に多いことなどから慎重な検討が必要であると考えております。  県営住宅使用料につきまして、平成十九年度決算で徴収率が九三・三%で、未収債権額は年々減少しているものの二億二千七百万円となっております。退去された方の中にも約一億六千万円の未収があり、平成十九年度の回収実績は約一千百万円となっております。今回その中でも退去後一年以上納入がないなど、徴収が非常に困難な債権につきまして徴収業務を委託し未収債権解消を進めるもので、委託料につきましては完全成功報酬であり、回収した額の四二%を支払うこととしております。  県営住宅の共益費についてでございます。  共益費は、階段の電気料金や浄化槽の清掃など入居者が共同して負担すべき費用であり、県が徴収することは徴収に新たな費用が発生するとともに、未収金が生じた場合には県の負担となるおそれもあるなど、さまざまな課題がありますので、難しいものと考えております。 39 ◯観光交流局長(椿 哲哉君)焼酎業界における事故米穀使用問題でありますが、今回の事故米穀の不正流通により、本県の代表的な特産品である本格焼酎が、長年にわたって培ってきました消費者に対する安心・安全で健康にもよい本物の商品であるというイメージが傷つけられることになり、まことに残念であると考えております。県では消費者の不安を早急に払拭するため、事故米穀を原料とした焼酎、菓子の検査を実施し、安全性を確認し、その旨公表したところであります。県といたしましては、今後あらゆる機会をとらえて焼酎などの安全性について広くPRするとともに、国に対して今後十分な対応が図られるよう、関係団体と連携しながら働きかけてまいりたいと考えております。 40 ◯農政部長(弓指博昭君)ウナギの産地など食品の適正表示に関する監視体制についてでございますが、県におきましては、これまでも立入検査員による表示実態調査を行いますとともに、食品表示一一〇番や食品表示指導員を設置いたしまして、情報の収集とそれに基づく確認調査あるいは立入検査など、監視指導に努めてきたところでございます。しかしながら、依然としてウナギの産地偽装などの全国的な不祥事が相次いでおりますことから、本年四月には鹿児島食品表示監視協議会を設置いたしまして、食品表示に関する法律を所管する機関相互の連携を強化し、悪質な違反に迅速に対応する体制を整備したところでございます。今後とも関係機関・団体などと連携を図りながら、食品表示制度の啓発普及や事業者などの監視指導に努めてまいりたいと考えております。  米粉の消費拡大の取り組みについてでございますが、県といたしましては、米粉食品普及推進協議会を中心に、親子米粉パンづくり教室や米粉セミナーの開催、あるいは県農産物加工研究指導センターによります企業等への指導・助言や、ホームページを活用した米粉パン販売店の紹介などの取り組みを行っているところでございます。今後とも県民や食品業界に普及啓発を行うなど、米粉の消費拡大に取り組んでまいりたいと考えております。  なお、米粉の需要拡大に向けた数値目標の設定につきましては、米粉と小麦粉との価格の開きがまだ依然として二・五倍もありますことや、米粉製品の消費者あるいは食品業界の浸透がいまだ十分でないということなどから、まずは米粉に対する理解を深めていただく取り組みを重点的に推進してまいりたいと考えております。 41 ◯林務水産部長(白尾國豊君)ウナギの信頼回復についてでございますが、本県養鰻業界におきましては、これまで良質で安心・安全なウナギの生産に積極的に取り組み、全国的にも高い評価を得ているところでございます。近年輸入ウナギに係る産地偽装が頻発し、本県産ウナギの信用を損なうおそれが生じてきておりますことから、県といたしましては、国に対し、原産地表示の適正化や監視体制の強化などを要請しているところであります。また、養鰻業者等に対しましては、より安心・安全なウナギの生産に向け、生産段階での医薬品の適正使用や流通段階での産地伝達の適正化などの指導を行っているところであります。  本県産ウナギのPRにつきましては、かごしま旬のさかなの一つとして関係団体と連携しながらその消費拡大についてPRしてきておりますが、今後は安心・安全面も含め、そのPR強化に努めてまいりたいと考えております。 42 ◯環境生活部長(高山大作君)本県のCO2削減の目標値といたしましては、鹿児島県地球温暖化推進計画におきまして、平成二十二年を目標年度として平成十四年レベルから一・一%削減する目標を掲げているところであります。この目標を達成するため、平成十八年から地球環境を守るかごしま県民運動を展開し、省エネライフや省エネルギー型事業活動の推進、また、行政としても事務事業に係る排出削減の率先実行や、県民、事業者に対する普及啓発に取り組んでいるところであります。今後とも地球環境を守るかごしま県民運動を通じてCO2削減に向けた取り組みを促進してまいりたいと考えております。  クールアースデーの取り組みといたしましては、北海道洞爺湖サミットの初日であります七月七日がクールアースデーとして設定され、全国一斉のライトダウンキャンペーンが行われたところであります。これに呼応しまして、県としましても市町村に対しても取り組みを依頼するとともに、かねてライトアップしております五施設についてライトダウンし、また、鹿児島市など三市町四十施設においても取り組みがなされ、合わせて二百五十五キログラムのCO2削減につながったところであります。さらに、民間企業でも百八の施設において取り組まれるなど、CO2の排出削減や県民への意識啓発が図られたものと考えておりまして、今後とも家庭や企業における取り組みを促進してまいりたいと考えております。  エコポイントの取り組み状況につきましては、県内のスーパー等がマイバッグを持参した来店者に、ポイントなどの得点を付与する取り組みが大手スーパーを中心に広がってきておりまして、本年度はマイバッグ運動への一斉行動参加店の募集を行いましたところ、応募店舗のうちエコポイント等に取り組む店舗は十社、百三十五店舗となっております。県としましては、このような取り組みは県民の環境に配慮した行動を促進するものと考えておりまして、今後ともマイバッグ運動の展開や県ごみ減量化・リサイクル推進協議会の開催などを通じまして、多くの事業所において取り組みがなされるよう促進してまいりたいと考えております。  本県におきます家庭から出る生ごみ等の量は、環境省が行いました家庭ごみの組成割合の調査結果をもとに推計した場合、平成十八年度で約十三万六千トンと推計されます。生ごみ等の削減に係る県民への周知徹底につきましては、市町村等を対象に研修会を開催し、ごみの減量化への取り組みについて情報提供を行いますとともに、ホームページ等によります広報や、かごしまの“食”推進員等による食生活指針の普及活動におきまして、無駄なものは買わない、食べられる分だけつくる、食べ残しはしない等の啓発を行っているところであります。今後ともこのような取り組みを通じまして生ごみ等の排出抑制に努めてまいりたいと考えております。    [松田浩孝君登壇] 43 ◯松田浩孝君 それぞれ御答弁いただきました。  県営住宅の問題については、子育て支援のためにも、地域活性化のためにも新たな新婚世帯枠の創設も再度要望しておきます。  食の安心・安全につきましては、農水省の立入検査が九十回以上実施されたにもかかわらず、不正が見抜けなかった農水省の監視体制の不備を厳しく指摘しておきます。公明党の農林水産部会長の西衆議院議員とともに訪問した西酒造では、いち早く商品名を公表し、対象商品の出荷停止と自主回収の対策に取り組んでおられました。席上、西社長は「農林水産省の検査の結果、残留農薬が基準値以下であった」としながらも、製造者の責任として自主回収を続けている。自主回収分は約三十万本、損失額は、四、五億円に上ることを明らかにされました。  しかし、「全銘柄に汚染米が混入されているとか、あえて安い米を買ったように誤解されているのがつらい」とおっしゃり、まさにものづくりの姿勢まで疑われていると風評被害の実情を語り、真実を伝えてほしいと涙ながらに訴えられました。消費者の不安を払拭するために、国の責任において厳正な検査方法の見直し、風評被害の防止に努めていただきたいと強く要請いたします。  環境問題については、エコポイントにしても食料の大量廃棄の削減にしても、行政がどう危機感を持ち、現状を把握し、県民に届く情報を発信し続けるかということが肝要であります。  次に、医療に関する諸問題について。  まず、発達障害についてお伺いします。  自閉症など脳機能の障害により、社会生活への適応などにさまざまな困難を抱えている発達障害者を支援する発達障害者支援法が、二〇〇四年公明党が中心となり議員立法で成立いたしました。これにより、発達障害者の支援策は大きく前進しました。本県においても二〇〇六年二月に県発達障害者支援センターが設置されました。また、先日の代表質問で総合療育センターの設置が検討されるとのことで、さらに前進することに期待いたします。  先日、発達障害児を持つ保護者の集まりに参加いたしました。そこで、「相談窓口に行っても発達障害をよく理解されていない担当者の対応で困った。ぜひ専門の方を配置してほしい」と訴えられました。  そこで伺う一点目は、県発達障害者支援センターの相談件数とその内容についてお示しください。  二点目は、各市町村における担当者の設置状況について伺います。  また、乳幼児医療の対象である就学前までは三千円以上の自己負担はないものの、就学後は全額負担となります。療育手帳ではIQが高いために認定されず、特別児童扶養手当もないとのことでした。現在、県としては知能指数、社会生活能力評価点、介護度を総合判定されていますが、横浜市等ではIQが非該当であっても、判定機関の長が特に認めた場合は軽度と認定することができるとしています。  そこで伺う三点目は、療育手帳の認定について、神奈川県等で自閉症枠についての規定を設けた上で認定を行っていますが、本県の現状と今後の対策について伺います。  次に、はしか予防接種について伺います。  はしかは麻疹ウイルスによる感染症で感染力が非常に強く、風邪のような症状を経て全身に発疹が広がり、通常は七日から十日で回復しますが、まれに重症化し死亡することもあります。特効薬はなくワクチンによる予防が有効とされています。しかし、全国の十三歳と十八歳全員を対象にしたワクチンの追加接種を受けた人は、六月までに十三歳が対象者の三八・八%、十八歳は二九・六%と低迷していることが厚生労働省の集計でわかりました。流行の抑止には九五%の接種率が必要で、七〇%以上を超える自治体もあった中で、鹿児島がワーストワンになりました。  そこで、本県のはしか予防接種の実施率の低迷をどのように認識をしておられるのか。また、今後の改善策をお示しください。  次に、うつ病について。  本県六月に警察庁から発表になった平成十九年中における自殺の概要資料によれば、我が国の年間自殺者は三万三千九十三名と高水準で推移しており、このうちうつ病が原因動機と見られる人が最も多く、うつ対策は喫緊の課題であります。うつ病を含む気分障害の患者は、この十年間で四十三万人から九十二万人と倍増し、我が国におけるうつ病の生涯有病率は六・三%と、国民十五人に一人が経験するいわば国民病となってきています。また、うつ病患者の一年以内の受診率は二割にとどまっていること、さらに、中途半端な治療に対しては再発率が極端に高いことなどが報告されています。  東京障害者職業センターでは、精神障害者職場復帰支援として、うつなどの理由で休職中の人と主治医、事業主の三者が連携して職場復帰の支援を行っていました。さらに深刻なのは、子供のうつ病が高頻度に起きていることです。子供の不登校の半数はうつ病と診断されていると言われています。患者は十二歳以下の小児期で二%、思春期で四から八%発生すると言われ、五年間で約七〇%の再発があるとも言われています。  そこで一点目は、本県におけるうつ病の罹患者の推移についてお示しください。  二点目は、うつ病患者のリワーク支援の具体策を伺うとともに、相談窓口体制などの状況について伺います。  三点目は、子供のうつ病の実態と今後の対策について伺います。  次に、女性の健康支援について伺います。  少子・高齢化の進展による人口減少社会の中では、女性の社会参画がより期待され、女性の社会進出が進んでいくと予想されます。しかし、女性は男性に比べて結婚や出産、子育てにより就業や社会参画が制約されることも少なくありません。また、働く意欲があるのに働けない、あるいは低賃金や不安定な就業を余儀なくされるなど、こうした社会環境により女性の晩婚化、非婚化が拡大しています。そうした中、女性の健康についての支援は重要だと考えます。  そこで伺う一点目は、本県では女性の生涯にわたる健康サポート事業として、性差医療推進研修会や女性の健康支援セミナー等に取り組まれていますが、その実績について参加者数及び反響について伺います。  二点目は、乳がん検診の受診率について経年の変化を示すとともに、受診率を上げるための対策について伺います。  ヨーロッパでは、妊娠等の診察に対して医師から「あなたが生まれてからこれまでに受けた予防接種や病歴、治療歴の情報などが記載されている書類を提出してください」と求められます。なぜなら、女性としての特徴が明らかになるのが思春期であり、この年代から女性特有の疾病の情報、知識を得ることができれば、安全な出産や女性特有の疾病の予防など懸命に対応することが可能となるからであります。そのため、公明党女性委員会は、女性の生涯にわたる健康を守るために、女性の健康パスポートの発行を提案しています。  そこで三点目は、この公明党女性委員会の女性の健康パスポートに対する見解と、本県独自に取り組む考えはないかお伺いします。  次に、難病対策について伺います。  難治性疾患克服研究事業の対象に、新たにクッシング病など七疾患が追加されました。我が公明党は難病対策の拡充を一貫してリードしてきました。特にHAMについては、二〇〇四年に鹿児島市在住の全国HAM患者友の会の菅付会長と意見交換や署名活動を展開し、同年十一月に当時の尾辻厚生労働大臣に申し入れ等の活動を経て、今回の難病指定の追加に結びつきました。厚生労働省の予算概算要求ではこの難治性疾患に関する調査研究に前年度比四倍増の百億円が計上されました。  そこで伺う一点目は、県はHAMと同じヒトT細胞白血病ウイルスI型─HTLV‐I─によって発症するATLについて、平成九年から制圧委員会を組織し、鹿児島ATL制圧十カ年計画を策定し取り組んできましたが、現在の状況について伺います。  二点目は、今回難病指定に追加されたHAMに対する今後の取り組みについて伺うとともに、我が党が積極的に取り組んでいる脳脊髄液減少症、線維筋痛症、遠位型ミオパチーへの今後の取り組みについて伺います。  次に、児童虐待について伺います。  一昨年、相次いで起きた京都府や秋田県での虐待死事件がきっかけとなり、本年四月より改正児童虐待防止法が施行されました。ポイントは、児童虐待への対応で中心的な役割を担う児童相談所の権限を大幅に強化した点にあります。児相が民生委員などから虐待の疑いを伝えられた際、子供の安全確認が義務化されました。子供を取り巻く環境は年々厳しさを増しています。二〇〇六年度に児相が対応した虐待相談件数は三万七千三百二十三件に上ります。十年前と比べると十三倍近くも増加しています。その内訳を見ると、全体の四一・二%を身体的虐待が占め、次いでネグレクト三八・五%、心理的虐待は一七・二%、性的虐待も三・二%に上っています。  児童虐待の早期発見を目指し、児相よりも身近な市町村が家庭への介入や虐待の認定を始めて四年目に入りましたが、市町村には児相のような専門職はおらず、一般職員が日々の業務で経験を重ねているのが現状ではないでしょうか。  そこで伺う一点目は、県児童総合相談センター、大隅児童相談所、大島児童相談所の通告数、認定数及び処理数の現状について伺います。  二点目は、市町村での専門職の配置状況及び現状とともに担当者の資質向上策について伺います。  三点目は、本年四月より要保護児童対策地域協議会、子どもを守る地域ネットワークの設置が努力義務化されましたが、各市町村における設置状況について伺うとともに、設置推進への取り組みについて伺います。  次に、文教商工観光労働行政について伺います。  初めに、教員採用、管理職登用については、代表質問で質疑が交わされましたので要望にかえます。今回の改善策を基本に、次代を担う人材を育成しているとのプライドを持って教育行政への信頼回復を図られることを期待いたします。  次に、不登校に対する諸問題について伺います。  県の学校基本調査によると、三十日以上学校を欠席した不登校がふえているという報告がありました。不登校の増加は将来のひきこもりやニートにつながります。不登校を一つの選択肢と考えることもできるかもしれませんが、文部科学省の不登校への対応のあり方についての通知の中で、「不登校という状況が継続すること自体は、本人の進路や社会的自立のために望ましいことではなく、その対策を検討する重要性について認識を持つ必要がある」と述べているように、児童生徒の将来の自立的生活等を考えると、不登校は本人にとっても不幸なことであり、社会にとっても大きな損失であると考えます。不登校の問題は青少年の健全育成という観点からも喫緊の課題であり、実効性のある対策が求められています。  そこで一点目は、本県の不登校の現状と主な理由についてお示しください。  二点目は、本県もスクールカウンセラーの配置等さまざまな不登校対策を実施しておられますが、取り組みの成果について伺います。  また、登校した子供が一日保健室で過ごしたり、特定の授業だけ出席し、後は保健室にいるという不登校の前段階とも言える保健室登校もふえています。学校に登校しているということで保護者は安心する面もあるようです。また小・中学校では出席扱いとなり、児童生徒にとっても居場所ができることになります。学校においても形としては不登校が減ることになりますが、保健室登校により不登校の改善につながっているのか、疑問を感じております。  そこで伺う三点目は、保健室登校についての県教育委員会の認識について伺います。
     また、不登校の受け入れ先の一つとしてフリースクールがあります。不登校児童生徒の居場所として、貴重な役割を果たしている反面、先日、他県のフリースクールで虐待事件がありました。多くのフリースクールはボランティアやNPO等の方々が運営し、不登校やひきこもりなど親身になって取り組んでおられると思いますが、フリースクールの位置づけは社会的にいま一つ明確ではありません。さらに、校長の判断によってフリースクールに通うことで出席扱いになることもあります。  そこで伺う四点目は、県教育委員会としてフリースクールの位置づけをどう認識しているのか。また連携をどうとっているのかお伺いします。  次に、特別支援教育の充実について伺います。  十九年四月より特別支援教育が本格的に実施されました。法改正により従来の特殊教育で対象としていた盲・聾・知的障害などに加えて、発達障害も特別支援教育の対象として位置づけられました。文部科学省の調査によると、発達障害の児童生徒は約六・三%の割合で存在する可能性があるとされ、大変身近な問題であることがわかります。特別支援教育において、特に大事なのは人的体制の整備であります。今回の改正により、教員とは別に発達障害を含むさまざまな障害のある児童生徒に対する学校生活上の介助や学習活動上の支援などを行う特別支援教育支援員を配置することになりました。この支援員を計画的に配置するためには、専門的な知識を持つ人材の育成確保が重要であります。  そこで伺う一点目は、本県における特別支援教育支援員の配置の現状と、人材の育成確保にどのように取り組んでいるのか伺います。  先日、会派で埼玉県を訪問し、全国で初めてという支援籍という取り組みを視察いたしました。支援籍とは障害のある児童生徒が必要な学習を行うために、在籍する学校・学級以外に置く学籍のことであります。例えば、特別支援学校に在籍する児童生徒が居住地の小・中学校に支援籍を置くことにより、同じ学校のクラスメイトとして一定程度の学習を行うことができるのです。また、小・中学校の通常の学級に在籍する児童生徒が、特別支援学級や特別支援学校に支援籍を置いて、必要な支援を受けるケースもあります。児童生徒は専門的な指導を受けられると同時に、地域においても交流を持つことができると保護者からも大変喜ばれております。  伺う二点目は、このような支援籍の取り組みを本県でも実施してはどうかと提案いたしますが、見解を伺います。  次に、若年者の雇用対策について伺います。  「人間が幸福であるために避けることのできない条件は勤労である」とは、トルストイの言葉であります。安心な暮らしの根幹をなすのが職の確保であると思います。最終的には本人の選択の問題でもありますが、安定した職業につき、家庭を持ち、次の世代をはぐくんでいけるよう、国がその環境を整えることは大事であると考えます。次の世代を担う未来の宝とも言える若者に希望を与え、活躍の場をつくることが社会に活力を生むことになると考えます。その意味でもフリーターの増加が社会の大きな不安要因となっている今こそ、若年者の雇用対策は喫緊の課題であると言わなくてはなりません。  そこで伺う一点目、公明党は一貫して若者就職サポートセンター、いわゆるジョブカフェの拡充を主張してきたところでありますが、本県における若者就職サポートセンターの利用状況と成果についてお示しください。  二点目は、活用促進のためには利用時間の延長や土・日・祝祭日のオープンなど、利用者に配慮した対策と周知徹底が大事であると考えますが、今後の取り組みを伺います。  次に、観光振興について伺います。  初めに、フィルムコミッションについてであります。  全国で県のイメージアップや地域活性化のために、映画、テレビドラマ、CMなどのロケ撮影の誘致からエキストラの手配などの撮影支援などを行うフィルムコミッションの取り組みが行われております。全国フィルム・コミッション連絡協議会によると、二〇〇八年六月現在で百の団体が加盟しており、二〇〇六年に公開された邦画百五十九本のうち百十七本がフィルムコミッションの支援を受けたとのことです。茨城県では、県フィルムコミッション推進室を中心にロケ地に適した場所の開拓をするとともに、フィルムコミッションのホームページを開設し、制作会社等へ積極的に売り込みを図っております。二〇〇五年、二〇〇六年の実績は全国一位だったとのことであります。また、二〇〇二年十月からの五年半の経済効果を二十一億円と見ているようです。これは大きな効果であります。  そこで伺う一点目は、観光立県鹿児島を目指す知事のフィルムコミッションに対する認識を伺います。  二点目は、本県でもようやく民間主導でかごしまフィルムオフィスが発足しましたが、県として今後どのように取り組んでいくのか伺います。  次に、皆既日食について伺います。  来年七月二十二日、世紀の天体ショーである皆既日食があります。県のホームページによると、国内の陸地で皆既日食が観測されるのは一九六三年北海道で観測されて以来四十六年ぶりで、次に陸地で皆既日食が観測されるのは二十六年後の二〇三五年、北陸から関東にかけて観測されるそうです。また、これまでの例では全国各地から多くの皆既日食ハンターと呼ばれる熱心なファンが訪れているようであります。十島村を初め、関係の市町村にとって観光振興、地域振興の絶好のチャンスであり、本県にとっても世界に向けて鹿児島のすばらしさを情報発信するチャンスであります。一方で、受け入れる各自治体は規模も小さく、人材的にも経済的にも限られておりますし、地元住民の生活や自然環境への影響などが心配されます。  そこで伺う一点目は、受け入れ態勢整備の進捗状況と想定される課題、対応策について伺います。  二点目は、複数の自治体にまたがるとともに、交通、環境、警察等多方面にわたり対策が必要であると考えますが、県としてどのように取り組むのか伺い、三回目の質問といたします。 44 ◯保健福祉部長(岩重秀人君)県発達障害者支援センターの平成十八年二月の開設から本年七月末までの二年六カ月間の相談件数は二千三百十二件で、相談内容につきましては、発達障害ではないかという不安や総合診断希望など健康医療に関するものが最も多く、次いで学校生活や学習面など教育に関するもの、家庭における療育のあり方などとなっているところでございます。市町村につきましては、発達障害者支援法において、発達障害の早期発見や家族への支援等に関する相談及び助言、その他の支援を適切に行うよう努めることとされており、各市町村におきましては、乳幼児健診や家庭訪問等を通じて、地域の子供たちの心身の状況を把握している保健師等が中心となって対応しております。なお、県ではこれらの市町村職員を含む地域の支援担当者等に対しまして、県療育講演会や県発達障害者支援センターが実施する研修会等を通じて資質の向上を図っているところでございます。  療育手帳制度は、国の通知に基づく知的障害者を対象とした制度でございますが、対象となる障害程度については明確な基準が示されておらず、具体的な認定基準は各県の判断にゆだねられているところでございます。本県の場合、学術的な定義のもとに一定のIQ以下の方を対象としており、この取り扱いは、全国的にほぼ同様でございますが、一部の県等では発達障害者を対象にIQの上限を引き上げて手帳を交付していると聞いております。  本県におきまして同様な取り扱いをすることにつきましては、療育手帳制度は知的障害を前提として創設されていることを考えると、慎重な取り扱いが必要であると考えております。県としましては、発達障害者についても、障害の特性に応じた適切なサービスが受けられるようにすることが必要と考えており、発達障害者を障害者自立支援法等の対象として明確に位置づけるよう、九州地方知事会を通じて国に要望することとしているところでございます。  麻疹の予防接種についてでございます。  国は、麻疹ワクチンを二回接種していない年齢層を対象としまして、中学一年生と高校三年生相当の年齢時に、本年度から五年間麻疹ワクチンを接種することとしたところでございます。この制度の導入に当たりまして、県では県予防接種対策協議会等で接種率の向上策等を検討するとともに、市町村担当課長会議等により事業の周知を図ってきたところでございます。県では今回の国の発表を受け、実施主体の市町村に積極的な対策を講じるよう文書で指導するとともに、接種率の低い要因を聞いたところ、対象者への通知のおくれ、接種を年度後半に計画などが上げられております。このようなことから、引き続き保健所を通じた啓発や、教育委員会、市町村等と連携して保護者への啓発や未接種者の正確な把握による接種勧奨の強化に努めてまいりたいと考えております。  うつ病の患者数についてでございます。  国が三年ごとに行います患者調査によりますと、本県のうつ病を含む気分障害の患者数は、平成八年の六千人から平成十七年の約一万一千人に増加しているところでございます。  子供のうつ病についてでございます。子供のうつ病についての認識が広まりましたのは最近のことであり、我が国の小・中学生の有病率につきましては、児童精神科医等からは二から四%という報告もなされておりますが、専門家の間でも多くの議論があり、実態については明らかでない部分が多いところでございます。県におきましては、うつを含む青少年の精神保健対策としまして、精神保健福祉センター等において思春期相談等を行っておりまして、今後も家庭、学校、医療機関等との連携を一層密にしながら、子供のうつ病の予防に努めてまいりたいと考えております。  女性の生涯にわたる健康サポート事業では、女性の健康を支援するための総合的な対策を推進することを目的に、平成十八年度から女性の健康サポート推進協議会で協議しながら、女性の健康問題に関する正しい知識の普及啓発や女性にやさしい医療機関、女性の健康サポート薬局の指定、女性の健康づくり協力店の登録などの女性の健康づくりを支援する環境整備などに取り組んでおります。これまで、広く県民を対象としたセミナー等を五回、医療保健関係者を対象とした性差医療推進研修会を二回実施し、それぞれ約一千五百名、約百四十名と多数の参加があったところでございます。参加者からは、「健康診断受診による乳がんなどの早期発見の重要性を認識できた」、「女性特有の疾患の知識を深められた」といった感想が寄せられております。今後とも、市町村、医師会及び健康関連団体と連携しながら女性の健康を支援する環境づくりに努め、女性の生涯を通じた健康づくりを推進してまいりたいと考えております。  本県におけます市町村実施の乳がん検診受診率は、平成十七年度が一七・六%、十八年度が一八・四%、十九年度が一九・八%と上昇傾向にあり、全国の受診率を上回っているところでございます。県では平成十七年、十八年度にマンモグラフィの機器整備を行いましたほか、平成十八年には十月を鹿児島県ピンクリボン月間に制定し、患者団体等との連携や各種媒体の活用による普及啓発、啓発講演会の開催等、乳がん死ゼロ促進事業を実施し、乳がん検診受診率の向上に取り組んでいるところでございます。  女性の健康パスポート制度についてでございますが、女性には乳がんや子宮がん、更年期障害などの女性特有の疾患があるため、女性がみずからの心身の状態について正しい知識と情報を得て、健康を享受できるようにすることは大変重要な課題と認識しております。そのためにも生涯にわたる病歴、妊娠出産歴、健康診断の結果等を記録していくことは健康管理をしていく上で意義があると考えております。現在、市町村におきましては、健康増進法に基づく健康手帳や母子保健法に基づきます母子健康手帳を交付し、ライフステージに応じた女性の健康づくりを支援しているところでございます。県としましては、市町村、医師会、看護協会及び健康関連団体等と連携しながら、女性の生涯にわたる健康サポート事業を着実に推進していくとともに、健康手帳等の交付や適切な手帳の活用方法などの普及啓発を促進し、女性の生涯を通じた健康づくりを推進してまいりたいと考えております。  ATL制圧十カ年計画の具体的な成果としましては、ATLの主な感染経路として、母子感染を防止するため、妊婦等への短期授乳や断乳を指導した結果、母子感染率は計画当初の約二〇%から三・二六%に低下し、目標の五%以下を達成したところでございます。また、献血者における抗体陽性率も普及啓発等の取り組みによりまして、計画当初の三・五二%から〇・五九%に低下し、目標の一%以下を達成したところでございます。  なお、本県のATLによる死亡率は、ここ数年、人口十万人当たり七から八人で推移しておりますが、感染者数や発症者数については、国が本年度から全国調査を開始したところでございます。  HAM等に対する今後の取り組みについてでございますが、これまで県におきましては、難病相談支援センターを健康増進課や各保健所等に設置し、お尋ねのHAM、脳脊髄液減少症、線維筋痛症、遠位型ミオパチーなどを初め、各種の難病に関する専門的医療機関の情報提供や福祉サービスの紹介等を実施し、患者や家族の方々の療養、日常生活等に関する悩みや不安の解消を図ってきたところでございます。また、HAMにつきましては、特定疾患治療研究事業による医療費助成の対象とすること、脳脊髄液減少症については、治療法等の早期確立を図ることにつきまして国に要望を行っているところでございます。今後とも病気に関する情報収集を行いながら、正しい知識の普及啓発や患者の方々の支援に努めてまいりたいと考えております。  児童虐待についてでございますが、県内三児童相談所が平成十九年度に受理しました児童虐待の通告件数は二百二十四件、認定件数は百四十件となっており、認定後の処理状況としましては、児童相談所による継続指導六十六件、市町村等関係機関による見守り・助言三十六件、児童養護施設への入所措置二十七件などとなっております。  市町村が平成十九年度に受理した虐待の通告件数は三百五十四件、認定件数は二百六十七件となっており、これらの認定したケースにつきましては、市町村が中心となって助言・指導や見守り等を行っているところでございます。市町村における専門職の配置状況につきましては、非常勤職員を含めますと、二十七市町村において児童福祉司、保健師、保育士等の職員を相談窓口に配置しているところでございます。また、市町村の担当者に対しましては、児童相談に関する市町村の担う役割が法律上明確にされた平成十七年に、子供虐待防止ハンドブックの改訂版を配付しますとともに、毎年子供虐待に関する実務研修会や児童福祉事務事業説明会を開催するなどして、担当者の資質向上や児童相談業務の円滑な推進に努めているところでございます。  子どもを守る地域ネットワークである要保護児童対策地域協議会につきましては、現在三十五市町村において設置されておりまして、そのほか三市町村において任意の虐待防止ネットワークが設置されております。県では、これまで市町村への通知等により設置促進を図りますとともに、児童総合相談センターの地域支援指導班が各市町村を個別に訪問し、同協議会の設置について助言等を行ってきているところでございます。今後とも引き続きあらゆる機会を通じまして協議会の設置促進に努め、児童虐待防止体制の一層の充実・強化を図りますとともに、関係機関等との緊密な連携のもと、迅速適切に児童虐待防止が図られますよう努めてまいりたいと考えております。 45 ◯商工労働部長(六反省一君)精神障害者の職場復帰支援につきましては、独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構の鹿児島障害者職業センターにおいて、関係機関で構成いたします精神障害者雇用支援連絡協議会を設置し、支援ネットワークの構築にも努めながら、職業相談、職業リハビリテーション計画の策定、リワーク支援など、精神障害者の総合的な雇用支援を行っております。平成十九年度の同センターの精神障害者への支援実績は、相談百二十九人、リワーク支援十七人となっております。今後とも、精神保健福祉センターや保健所等関係機関と連携を図りながら、精神障害者の職場復帰支援に努めてまいりたいと考えております。  若者就職サポートセンターの利用状況でございます。  若者就職サポートセンターの利用者は年々ふえており、平成十九年度においては約四万人、登録者は四千七百人で、利用状況の内訳は、職業適性診断・指導が一千人、カウンセリングが二千人、各種講座が一千四百人、職業相談・紹介が約三万五千人となっております。また昨年六月、カウンセリング中心の施設として開設いたしました鹿屋分室の利用者は七百六十八人で、カウンセリングのほか就職支援講座や就職面接会等を実施いたしております。これらの取り組みの結果、平成十九年度の就職決定者は、登録者の三七%に当たります一千九百人となっております。  若者就職サポートセンターの利用時間は、開設当初は八時三十分から十七時まででございましたが、午後の利用者が多かったことから、平成十七年九月から一時間繰り下げて九時三十分から十八時としたところでございます。また、土曜日については、同じビル内のワークプラザ天文館の利用を案内しているところでございます。これまでの利用者の実態から判断いたしますと、現行の運用時間で利用者のニーズに対応できていると考えておりますが、今後とも国等と連携を図りながら、利用者の実態に応じた改善や施設の周知・広報に努めてまいりたいと考えております。 46 ◯教育長(原田耕藏君)不登校の現状等についてでございます。  本県公立小・中学校の不登校児童生徒数は、平成十九年度千六百四十一人で、前年度より七十三人増加し、公立高等学校の不登校生徒数は、平成十八年度で七百三十三人で、前年度より百二人増加しておりまして、極めて憂慮すべき状況でございます。不登校の理由は、周囲とのコミュニケーションがとれないなど本人にかかわる問題や、友人関係及び親子関係など家庭、学校にかかわるさまざまな要因が複雑に絡み合っている場合が多くなっております。  県教委では、不登校対策としてスクールカウンセラーの配置やかごしま教育ホットライン24の整備など、相談支援体制の充実や関係機関との連携体制の強化に取り組んでおりまして、平成十九年度はスクールカウンセラーでは二千七百七十三回、ホットライン24では五百回の不登校に関する相談に対応をしております。また本年度は、既存の取り組みの充実に努めますとともに、新たに社会福祉等の専門家をスクールソーシャルワーカーとして十二市町に配置したところでございます。今後とも、学校、家庭、関係機関と密接な連携を図りながら、各学校での取り組みを一層充実させ、不登校の未然防止及び早期解決に努めてまいりたいと考えております。  保健室登校についてでございます。  財団法人日本学校保健会の平成十八年度の抽出調査によりますと、保健室登校の児童生徒数の割合は、小・中・高等学校全体で〇・三六%であり、前回調査の平成十三年度に比べまして〇・一二ポイント増加をいたしております。保健室登校を行う要因や背景は、生活のリズムが崩れていたり、対人関係がうまく築けなかったりするなどさまざまでございますが、通常の学級での生活になじめない児童生徒につきましては、保健室や相談室等におきまして養護教諭や関係教職員の個別・具体的な対応がなされることにより心身が安定し、不登校の未然防止や解決につながることも考えられます。このため、県教委といたしましては、このような学校内での居場所活用も図りつつ、学校全体での支援体制の整備とともに、関係機関との連携が図れるよう指導しているところでございます。  フリースクールについてでございます。  事業運営のあり方や透明性の確保など一定の要件を満たし、学校復帰を前提として不登校児童生徒の自立を助ける上で有効適切であると判断される場合には、校長は不登校児童生徒がフリースクールに通うことについて出席扱いできることとなっておりまして、このような学校外での居場所の活用も不登校の対応に一定の役割を果たしていると考えております。各学校の校長が出席扱いとするに当たっては、フリースクールへの訪問等を通じて、施設の運営状況等を継続的に把握するとともに、児童生徒の活動状況について情報交換を行うなど、学校と施設とで連携を図っているところでございます。  県教委では、他県での事件も踏まえまして、市町村教育委員会を通じ、フリースクール等民間施設に通っている児童生徒が在籍している学校に対しまして、改めて施設の実態等の把握に努めるよう指導したところでございます。  特別支援員、教育支援員の配置につきましては、本年度五月時点で百九十六人が配置されておりまして、年度内には二百九人になる予定でございます。今後も対象児童生徒の障害の程度やその児童生徒数などを考慮しながら、順次配置が進められていくものと考えております。各市町村におきましては、教員や福祉施設等での勤務経験者など専門性のある人材の確保に向けて、職務内容をわかりやすく示すなど広報に努めますとともに、支援員に対しましては、特別支援教育の基本的な考え方や理念、障害の特性、子供へのかかわり方など専門性を高めるための研修会を実施をいたしております。今後とも学校の実態を踏まえて、専門性のある人材の配置がなされるよう、各市町村教育委員会を指導してまいりたいと考えております。  支援籍の取り組みについてでございます。  支援籍制度は、障害のある児童生徒と障害のない児童生徒が一緒に学ぶ機会を拡大することなどに向けた取り組みでございますが、本県では各学校におきまして、これらの趣旨を踏まえた実践を進め、学校・学級間の連携を深めているところでございます。例えば、特別支援学校と地域の小・中学校の児童生徒が、夏祭りや学習発表会等で交流を図ったり、特別支援学級と通常の学級の児童生徒が音楽や給食の時間に一緒に活動したりして、ともに学ぶ機会を計画的に設けております。また、通常の学級の児童生徒が、特別支援学級や特別支援学校で必要な支援を受ける取り組みも進められております。  県教委といたしましては、今後とも児童生徒のニーズに応じた交流を深めることができるよう、さらなる支援体制の充実に努めてまいりたいと考えております。 47 ◯観光交流局長(椿 哲哉君)フィルムコミッションへの取り組みについてでございますが、映画やテレビドラマのロケ地は全国に向けた情報発信効果が高く、県外観光客の誘致に大いに効果があると考えております。一方、フィルムコミッションは基本的には作品の内容を問わず、要請があれば無条件かつ無償で協力することを原則としており、そのあり方や具体的な対応に係る人的・物的負担などさまざまな課題がありますことから、県としてはこれまで、映画「ホタル」や「まんてん」、「篤姫」など誘致も含め個別具体に協力支援を行ってまいりました。  今回、民間主体でかごしまフィルムオフィスが発足し、県はオブザーバーとして参加しているところでございますが、県といたしましては、これまでの基本的な考え方のもとに緊密に連携・協力しながら、できる限りの支援を行いたいと考えており、今後ともロケ地を活用した観光客の誘致について積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 48 ◯企画部長(山田裕章君)平成二十一年七月の皆既日食は、継続時間が今世紀最大でトカラ列島を中心とする本県島嶼部が最も条件のよい観測地となりますことから、国内外から多数の来訪者が予想され、これらの地域では交通や衛生、環境、治安など、さまざまな分野において対応が求められております。このため、県におきましては関係市町村や海上保安本部、県警本部、県関係課で構成いたします皆既日食関係自治体連絡協議会を開催し、各地域における受け入れ態勢等に関する情報交換や各種課題への対応策の検討を行いますとともに、県のホームページにより、各島の受け入れ態勢や交通アクセス、観光イベントなどを紹介をしております。  また、各地域におきましても、受け入れのための協議会が設置され、宿泊施設や飲料水、トイレの確保、島へのアクセス、島内の移動手段、救急医療への対応、廃棄物の処理等について、各島の実情に応じた対応策の検討が行われているところであります。今後とも皆既日食を契機として、本県離島の魅力を国内外に情報発信いたしますとともに、来訪者等の受け入れが円滑に行われますよう、地元市町村や関係機関と緊密な連携をとりながら取り組んでまいりたいと考えております。    [松田浩孝君登壇] 49 ◯松田浩孝君 それぞれ御答弁いただきました。  発達障害児を持つ保護者の願いは、経済的支援等さまざまありますが、中でも相談を受ける担当者の対応も大きなウエートを占めています。一般にはまだまだ理解が進んでいない中で、相談窓口で対応する担当者の心ない一言に大きく落ち込みます。担当者の資質向上について、県発達障害者支援センターがより強くリードしていただきたいと要望いたします。  HAMの難病支援について、全国HAM患者友の会の菅付会長は、「五年間の長い道のりでしたが、難病指定を有言実行してくれた唯一の政党が公明党です。本当に感謝しています」と述べられました。県におかれましても、その他の疾患も含めてさらなる対策を要望いたします。  不登校の問題については、さまざまな対策が進められてきた中で、不登校がふえている原因はどこにあるのかしっかり分析するとともに、不登校の原因が多岐にわたる実態を直視し、不登校児童生徒への対処も一人一人に応じたきめ細やかな支援が必要であります。実態に合ったサポート体制を整え、児童生徒が生き生きと学べるように尽力していただくよう要請いたします。  特別支援教育については、専門性のある教員の育成確保が急がれるとともに、周囲の人たちの理解が進むことも大切であります。提案した支援籍についてでありますが、教育長は今行われている交流学習のことをおっしゃったと思いますが、この支援籍では、普通学校に通うサリドマイド児が支援籍によって発達支援学校の先生から指導を受け、保護者が特別支援学校についての理解を深めたというケースがありました。そういう意味では、この支援籍については地域に溶け込む上でも専門の支援を受けるためにも、障害を持つ児童生徒にとっては、有効な制度であると考えます。ぜひ検討していただきたいと要請いたします。  若年者の雇用対策については、我が党は若者の味方として若年者雇用に力を入れ、ジョブカフェの拡充に力を入れてまいりました。私が訪問した青森県や群馬県のジョブカフェでは、土・日のオープンや若者が入りやすいように受付・案内は学生アルバイトにさせるなどの工夫がありました。職を求める若者へのきめ細やかなカウンセリングによりミスマッチをなくすとともに、利用時間の拡充など利用者の利便性の向上に一層の配慮を要請いたします。  フィルムコミッションについては、大河ドラマ「篤姫」の例を出すまでもなく、映像の持つ情報発信力は大きいものがあります。鹿児島もようやく取り組みが始まったところですが、茨城県の例を紹介したように、県の役割が重要であります。ぜひ積極的な取り組みを要請いたします。  自己中心的、言葉が通じない、何を考えているかわからないと、今の若者に対してよく言われます。彼らがアフターファイブのつき合いまでも断る背景には、高度成長期の働きバチを彼らが斜めに見ているところがあると思います。父親が団塊の世代やその下の世代に当たる彼らは、「父親のことを尊敬している」と言いながら、必ずと言っていいほど「ああはなりたくない」と言います。団塊ジュニアまでは競争をあおられ、いい学校、いい会社で一生安泰と、終身雇用制度と年功序列を信じてきました。  しかし、一九九〇年代後半以降の長期にわたる不況により、企業はリストラと新卒採用の縮減を進め、非正規雇用で補ってきました。終身雇用制度と年功序列の神話が崩れ、それが長期の就職氷河期を生み出しました。フリーター、ニート、ひきこもり等、働かない若者がふえているのは若者に元気がないからではなく、元気のやり場がないだけだと感じます。若者に問題があるんじゃなくて、若者に働く場を提供できない社会に問題があります。しかし、社会はこれらの働かない若者に対して、自己中心的、わがまま、甘えなど自己責任として個人の資質や能力に求める傾向が強くあります。つまり、通常の社会生活を行っている人にとっては、フリーター、ニートは自業自得でそうなった人であり、苦しんでいても仕方がない人ととらえやすいのではないでしょうか。  かつて、「どうしても働きたくないなら公共サービスは一切受けず、無人島にでも行けばいい」と民主党の小沢代表が発言しましたが、愕然といたします。日本の未来を担うのは今の若者です。彼らが幸福になり社会を支えられるようになるためにも、上の世代がもっと若者と対話をする必要があります。本県の有効求人倍率は、〇・五と大変厳しい状況ではありますが、知事は二期目のマニフェストの中でも雇用促進を全面に挙げておられます。だからこそ、目の前の若者に努力すれば道は開けるという思いを伝え、最後まで励まし続けることによって、元気の出る鹿児島を構築していただきたいと強く訴えます。  最後に、今回ぐらい民主党にやらせたらという声もありますが、大連立構想のときには小沢代表みずから「民主党には政権担当能力はない」と断言したことを忘れたのでしょうか。前原副代表のコメントさえ打ち消すこともしないでのうのうとしている。NHKの調査で、「民主党政権に期待しない」五九%、そのうち無党派層は六一%は期待していない。首相にやめろと問責決議していながら、辞任したら責任感の欠如と酷評、それまで解散総選挙と言いながら話し合い解散を持ちかけたいと、何が根本にあるのか全くわからない。実際に国会が始まったら選挙、選挙と騒ぎ出すのは目に見えています。まさに世界も日本も空白を許さないこの時期に実験などやっておられないのであります。その意味でも、自公連立でしっかりとした経済対策、国民の生活向上に向けて取り組むことをお誓いし、代表質問を終わります。  以上です。(拍手) 50 ◯議長(金子万寿夫君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ───────────── 51    △ 日程報告 ◯議長(金子万寿夫君)九月二十五日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問及び請願・陳情の委員会付託であります。       ───────────── 52    △ 散  会 ◯議長(金子万寿夫君)本日は、これで散会いたします。         午後三時十二分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...