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2007-09-27 平成19年第3回定例会(第3日目) 本文
2007-09-27 平成19年第3回定例会(第3日目) 名簿

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  1. 鹿児島県議会 2007-09-27
    2007-09-27 平成19年第3回定例会(第3日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(金子万寿夫君) ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、代表質問    上 村 勝 行 君    持 冨 八 郎 君  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━ 2    △ 代表質問 ◯議長(金子万寿夫君) 代表質問であります。  上村勝行君に発言を許可いたします。    [上村勝行君登壇](拍手) 3 ◯上村勝行君 おはようございます。  第二次安倍内閣は、臨時国会の所信表明演説を行って、代表質問を受ける直前になって瓦解しました。まさにほうり投げたという状態で、憲政史上まれに見る汚点と言わねばなりません。もともと参議院選挙で国民の不信を突きつけられた安倍総理でありますから、組閣などできるはずはなかったのであります。それを自民党は雪崩を打って安倍続投に賛成し、そして今回は安倍総理に批判的と言われた福田氏に乗りかえたのでありますから、不見識と言わねばなりません。
     今になって思えば、安倍内閣は野に咲く一輪のあだ花でありました。安倍氏は、国政の責任ある立場に立つべき人ではなかったと思います。「戦後レジームの転換」とは、さきの大戦のとうとい犠牲と戦後六十二年間にわたる国民の血と汗の結晶を皆無に帰する言葉であります。安倍氏が国会を手足のように使って、重要法案を審議不十分のまま強行採決させる姿を見て、この人は戦後民主主義というもの、戦前と戦後の区別というものがわかっているのだろうかとの疑念を持ったものであります。安倍内閣が強行採決させた教育基本法や国民投票法などは見直すべきであります。  さて、九月二十五日に福田総理が実現しました。民主党が参議院で勝利し、第一党の座を確保しているのでありますから、福田総理といえども政権運営は至難のわざでありましょう。何よりも、民意は参議院選挙の結果にあるのであって、福田内閣が代表しているとは思われません。民意を代表している内閣をつくるためには、衆議院を速やかに解散すべきであります。  郵政の民営化が十月一日に迫ってまいりました。不在の書留の受け取り方が変わり、一つの郵便局舎が会社ごとに間仕切りされ、一つの郵便局に責任者が三人も四人もいる局が出てきます。志布志郵便局国分郵便局の出先になり、宮之城郵便局加治木郵便局の出先となるなど、大変使い勝手が悪くなります。  このような愚をあえてする理由は、アメリカの対日年次要望書に沿って、十年後にゆうちょ銀行、かんぽ生命会社の株式を売り渡すこと以外に考えられません。今回、仮にこのまま民間会社に移行したとしても、必ずや見直し、郵便局を国民の手にしっかりと取り戻すべきであると確信します。  さきの参議院選挙の結果、自民・公明が惨敗し、民主党が第一党となり、参議院では与野党が逆転、衆議院では与党が三分の二以上を占める新しい状況が生まれ、政治は激動の時代に入りました。自民党は、新しい福田内閣のもとにおいても、これまでのような数の力で法案を成立させる強引な国会運営は、やりたくてもできませんし、民主党を中心にして、野党による参議院での議員立法の提出が活発化してくることが予想されます。  この衆参ねじれ国会に期待するのは、与野党の白熱した論争であります。民主党が攻勢をかける中で、福田新内閣が民意にこたえられなければ、解散・総選挙に追い込まれるでありましょう。そうした緊張感のある国会運営によって、国民の目線に立つ、真に国民のための政治が実現していくことを望むものであります。  臨時国会で取り組むべき課題は山積しています。この間の政府による市場原理主義がもたらした都市部と地方の格差、企業間格差や雇用と所得の二極化の是正、政治と金や年金問題の解決、国の財政再建を優先した地方交付税の削減への対応と地方分権の推進など、喫緊の課題であります。  そこで伺います。  衆参両院で主導権を与野党が分かち合う国会運営においては、知事が参議院選挙自民党公認候補の集会で言われた「政権政党の国会議員だから、最大限の敬意を払うのは当然だ」というような姿勢で対応されるのは一方的であります。県民党の伊藤知事としては、民意をしっかり受けとめた対応が必要だと思います。  知事は、参議院選挙の結果と安倍首相の突然の辞任、福田新首相の誕生をどのようにごらんになったか。新内閣に何を期待されるか。また、与野党が衆参でそれぞれ多数を占める政治状況に対して、どのような姿勢で臨まれるか、見解を伺います。  知事は六月議会で、現在の二十一世紀新かごしま総合計画にかわる新たな県のあるべき姿や進むべき方向性を示した中長期的な将来ビジョンを、二〇〇七年度末をめどに策定する方針を明らかにされ、その策定のための予算が今議会に提案されております。  これまで我が会派は、伊藤知事がマニフェストに掲げる政策によって「力みなぎる・かごしま」の確かな土台を築くとともに、伊藤県政四年間の次の時代をも展望した新しい鹿児島の方向性を示す責任があるとして、伊藤知事のカラーを打ち出した(仮称)新しい県政ビジョンを策定されるよう要望してきたところであります。  そこで、将来ビジョンの策定に当たっては、一層の地方分権の推進、自治体の税財源の基盤強化と厳しい本県の財政状況の克服、都市と地方の格差の是正、雇用と所得の二極化の改善など十分留意するとともに、高齢化と少子化の進行への取り組み、顕在化する地球温暖化への対応、鹿児島の特性の伸長など、県民全体の目標となるよう求めるものであります。  現時点において、今日の時代潮流をどのようにとらえ、どのような将来ビジョンを描いておられるのか、そのビジョンの期間と政策課題はどのようなものがあると認識されているのか、基本的な考え方をお聞かせください。  将来ビジョンの策定に当たっては、二十一世紀新かごしま総合計画の進捗状況と総括の上に立った課題とともに、この間の知事のマニフェスト推進の成果と、目標を十分に達成できなかった課題の今後の取り組みを含め、次期四年間の知事選マニフェストとの整合を図る必要があると考えますが、見解を伺います。  今議会に、将来ビジョン策定事業として四百万円余が計上されていますが、今後、ビジョンの策定はどのような手法で行われるのか。  伊藤知事就任直後に設置された百人委員会は、各テーマごとに、日本一のくらし先進県を目指した政策提言を行っていますが、これはどのように反映されるのか。また、改めて百人委員会の活用や県民各層の意見を聞く会議等を設けられるのか、今後のスケジュールとあわせて伺います。  八月二十四日、県は平成二十四年度までの財政収支の見通し(仮試算)を示しましたが、それによると、「財源不足の圧縮は進んでいるものの、依然として二百億円を超す財源不足が当面続く厳しい状況にあり、来年度においても百億円程度の歳出削減が必要」としています。伊藤知事が就任直後策定された県政刷新大綱の示す、あるべき歳出構造どおりの歳出削減がなされつつある今日、平成二十四年度には目標をほぼ達成できる見込みであります。なのに、なぜ多額の財源不足が生じるのか。その原因と責任をしっかり分析し、明らかにしなければなりません。  給与カットを初め給与構造改革、定数削減、普通建設事業費一般政策経費の大幅削減など懸命の努力にもかかわらず、さらに追い打ちをかけた二〇〇六骨太方針の地方公務員の定員五・七%削減に相当する地方交付税のさらなる削減が、その後の見通しを狂わせたとも言えます。  そもそも原因をたどれば、他の類似県より四千億円も多い一兆六千億円も借金しながら公共事業を推進してきたツケ、大綱が策定された平成十六年の三位一体改革で三百十五億円の地方交付税が一方的に減らされ、四百五十一億円もの収支差が生じ、いまだにそのときの減額が続いていることに起因するものであります。  そこで、原因について知事はどのように見ておられるのか、見解をお聞かせください。  次に、責任であります。  まず、国に肩を抱かれてその気になって、言われるままに身の丈を超えた公共事業と借金を重ねた執行部、これを承認した県議会、さらにそそのかした国は、教唆犯どころか、共謀共同正犯とも言える立場であります。そういう意味では、知事には過去の重い責任もあるのであります。もちろん、国会議員の責任も重大です。  それなのに、国・国会議員の責任感が余りに希薄であります。国政の財政再建を優先して地方交付税を削減し、国の借金返済に充てる前に、総理大臣初め閣僚の給料の大幅カット、国会議員の歳費や使い道をただされることもない文書通信滞在費立法事務費等を徹底的に見直すべきでありますが、なされているとは聞いておりません。知事、責任についてどのようにお考えか。もう国の役人ではないのでありますから、ずばっと言ってください。  もう一つの要因として、大綱が前提とした「地方交付税が一定水準で確保されること」が崩れ、大綱策定以降の地方行財政制度の変更に伴う影響が想定されていなかったこともあると思います。今後の対応を考えますと、短絡的に財源不足だからどこを削るかという議論だけでは財政再建の方策は見出せません。地方の事情を無視した交付税の一方的削減が最大の要因である以上、これをもとに戻させることが最も重要であります。小泉、安倍と続いた都市重視・地方軽視の政権が終わった今こそ、新しい政権に声を大にして地方の役割と実情を訴え、財源確保に全力を尽くすべきであります。  そこで知事、国に対する主張はこれまで何を言われ、何を勝ち取ってきたのか。また、今後国にどのような姿勢で臨まれるのか、お聞かせください。  原因と責任を明らかにしても、来年度以降の財源不足は明らかであり、税財源移譲交付税確保、県税収入の増大などの歳入確保と、事務事業の見直しや定数削減による総人件費の縮減で歳出の圧縮を図るべきであります。  人件費については、一昨日、一般職員の給与を来年度から五年間、六%カットするとの方針が示されましたが、財政収支見通しによると、平成二十年度以降は二%をカットしなくても、刷新大綱のおおむね十年後の平成二十六年度には人件費の削減目標一三%を達成することが可能であります。平成十六年度から三年間の二%カットの約束も破られ、一年更新がさらに六%へ拡大されれば職員の士気にもかかわります。九州でも、給与カットを行ったほとんどの県が復元しており、本県でももとに戻すべきだと思いますが、知事の考えをお聞かせください。  次に、志布志事件について質問いたします。  まず、本部長にお聞きしますが、本県の本部長に就任する前から志布志事件のことは知っておられたでしょうが、本部長就任に当たり、どのように事件の経緯や問題点を把握されたのか。また、その結果、本部長はプロの警察官として、どのような認識に達したのかお聞かせください。  前任の久我本部長は、県議会や記者会見の場で「結果として元被告の皆さんに迷惑をかけた。申しわけない」と陳謝されましたが、志布志の元被告の皆さんには一言もありません。また、新本部長も「前任者が謝罪済み」と、改めて直接謝罪をする考えのないことを記者会見で表明しています。これには元被告、関係者のみならず、県民は怒り、あきれています。知事も以前、定例記者会見で「既に本部長が議会で謝罪しており、組織的にはこれ以上の謝罪は必要ないと思う」との趣旨の発言をされました。余りにも官僚的な発想で、もう少し庶民の目線でとらえてほしいと思います。  そもそも、悪いことをしたら相手に直接謝るのは当たり前、これは法律や制度以前の条理、道理、人の道ではないですか。もし相手に直接謝らなくてもよいんだなどとあしき手本を大人が示せば、子供の教育上も大変困るのではないでしょうか。元被告の皆さんも、何より一番望んでいるのは、「申しわけありませんでした。御苦労をかけました。二度と過ちは犯しませんから」という一言を、直接訪ねてきて言ってもらうことなのであります。県民・市民のための警察行政を進める最高責任者として、そういった人情の機微が理解できないようでは、失格と言うほかありません。  そこで、本部長みずから出向かなくても他に方法もあるはずですが、それでも直接謝罪をする考えはありませんか。  また、今まで直接謝罪を拒んできたのはなぜですか。直接謝罪をしない理由は県警本部独自の判断ですか、それとも警察庁など上部機関の意向が働いているのですか。  また、久我前本部長は、無罪判決を受けて「捜査のあり方について内部検証すること」と、「結果はできるだけ議会に報告する」と明言されました。  そこで、内部検証はどのような点を検証してきたのか。買収会合はなかったのに、こんな事件がなぜ起きたのか。特に、事件の端緒は何だったのか。本当に一本の匿名電話はあったのかどうか。中山信一氏のアリバイは、どの時点で把握し、どのように裏をとったのか。なぜ軌道修正できなかったのか、どこに原因と責任があるか等を明確にしないと、再発防止対策も立てられないはずであります。検証は既に終わったのか、また議会への報告のスケジュールはどうなっていますか、明らかにしてください。  最高検察庁が志布志事件について、検察庁としての取り調べ、捜査のあり方、公判維持、身柄拘束について、実に詳細に率直に検証して文書で公表しています。検察として主体的にかつ踏み込んだ検討が足りず、どうも鹿児島県警の口車に乗せられたというような思いが行間ににじみ出ているような気がしますが、評価していいと思います。  最高検が検証結果を公表した際、県警は「コメントする立場にない」と報道陣に答えていますが、無責任、無反省のきわみであります。そもそも警察の強引な手法がなく、アリバイ等の裏づけ捜査、供述の任意性、信用性の吟味が十分なされていれば起きなかった事件で、鹿児島地検が最低限のチェック能力も欠き、黒元署長や磯部警部らに言われるままに踊ってしまった結果とも言えるのであります。いわば最高検の検証は、身内のふがいなさを残念がりながら、そんな泥沼に引っ張り込んだ警察にも非難を向けていると読めなければ、これまた失格です。  県警は、最高検の検証結果をみずからの捜査に置きかえて、何も感ずるところはありませんか。県警も最高検に見習って検証を行い、結果を公表すべきでありますが、どう対応されるのか伺います。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 4 ◯知事(伊藤祐一郎君) 参議院の与野党逆転下での政治展開についてのお尋ねがありました。  さきの参議院議員通常選挙の結果につきましては、政治資金の問題や閣僚の不規則発言、年金問題等に対する国民の批判にあわせまして、現在の構造改革がもたらした地域格差の顕在化に対する地方の不安が表明されたものと受けとめております。  一昨日、新たに福田自民党総裁が総理大臣に指名されたところであります。本格的な人口減少、超高齢化社会の到来やグローバル化の進展などの時代潮流に適切に対応するため、持続可能な社会保障制度の構築や行財政改革など各般の改革を進めるということは、我が国の基本的な方向であると考えておりますが、これらの改革を進めるに当たりましては、社会的格差や地域間格差の拡大・固定化が進むことのないよう、地方に対する十分な配慮のもとで行われることが極めて重要であり、新しい内閣には、このような観点に基づく施策の展開を強く期待しているところであります。  衆参両議院における多数を占める政党が異なるという状況におきましては、さまざまな改革の基本的方向性を議論するに当たり、極めて緊張する場面が生じることも予想されるところでありますが、国政が停滞する、あるいは方向性を失うという事態にならないよう、国民の意思を十分に踏まえた対応をとっていただきたいと考えております。  かごしま将来ビジョンについてのお尋ねがありました。  国・地方とも大変厳しい財政状況や本格的な人口減少、超高齢化社会の到来など、社会のあらゆる面で大きな変革期を迎えている中、将来ビジョンにつきましては、百人委員会等において論議されましたかごしま・くらしスタンダードや共生・協働の地域社会づくりなどが議論されておりますこと、また、今後アジアの時代を視野に入れた戦略的な展開が必要となることなどに十分に留意をいたしまして、おおむね十年程度の中長期的な観点から、本県として挑戦すべき課題や取り組みの方向性等を盛り込みまして、目指すべき鹿児島の姿を描いたものにしたいと考えております。  二十一世紀新かごしま総合計画につきましては、策定後、長期間が経過しており、その時代性や実効性についての見直しの必要性を否定できないところでもあります。  また、マニフェストに掲げた取り組みにつきましては、私といたしましては、全体としておおむね順調に進めることができているのではないかと考えておりまして、加えて、この間、時代潮流や本県を取り巻く環境の変化にも対応いたしまして、マニフェストには明示されていない新たな施策にも積極的に取り組んできているところであります。  こうしたことも踏まえまして、将来ビジョンにつきましては、持続可能な行財政構造改革の構築、少子・高齢化や高度情報化、環境問題への適切な対応、足腰の強い産業基盤の確立など、引き続き、さらに取り組まなければならない課題も盛り込んだ形で策定したいと考えております。  なお、一般的にマニフェストは、各候補者におきまして、四年の任期中に実現を図る公約として、主に具体的事業や項目を中心として示されるものと理解をいたしております。  ビジョン策定の手法及び今後のスケジュールにつきましては、県議会を初め、さまざまな御意見をいただきながら、十二月ごろに骨子案を公表し、その後、パブリックコメント等を経て将来ビジョン案を作成の上、今年度末までに策定したいと考えております。  県財政につきまして、財政危機の原因と責任についてのお尋ねがありました。  本県におきましては、これまでおくれていた社会資本の整備や九州新幹線建設事業費、平成五年の八・六水害対策、国による経済対策への対応など、公共事業等に多額の予算が計上されておりまして、平成七年末の約八千六百億円の県債残高が平成十五年度末には約一兆六千億円になるなど、毎年県債残高が一千億円程度積み上がったところであります。  また、厳しい財政環境に対応するための行財政改革への取り組みが、他県に比べて少なくとも三年程度はおくれたのではないかと考えております。このため県債残高が累増し、類似の県と比較いたしまして四、五千億円多額となっており、そのため、一般財源ベースで公債費が毎年度四百億円程度多額になっているところであります。  加えて、御指摘にもございましたが、平成十六年度には三・二兆円の地方財源不足が国によって一方的に削減されまして、その結果、地方交付税につきましても、地方財政全体で二・八兆円、本県では三百十五億円もの大幅な削減が行われたことも大きく影響いたしております。  このようなことから、本県は極めて厳しい財政運営に迫られているところであり、私といたしましては、これを現実に解決すべき課題としてとらえまして、引き続き県政刷新大綱を踏まえ、歳入・歳出両面にわたり、財政健全化に向けた一層の取り組みを進めていくことが必要であると考えているところであります。  このような状況に至った責任につきましては、既に上村議員が指摘されたとおりでありますが、国の責任にあわせまして、他県に比べて当県の財政状況がさらに悪化していることから見て、従来の財政運営が余りにも大胆であったことも現在の財政状況を招いた一つの要因であると考えております。  財源確保に係る国等への主張でありますが、本県は過疎地域や離島等が多く、県・市町村とも歳入全体に占める税収の割合が低く、自主財源に乏しいことから、地方交付税等の依存財源に頼らざるを得ないという財政構造になっているところであります。  このため、昨年の五月及び十一月、それから本年の六月に、本県・地方六団体で行った地方分権推進のための地方財政構造改革に関する緊急アピール県開発促進協議会によります要望活動などを通じまして、このような地域や小規模自治体においても最低限のナショナルミニマムが確保されるよう、国において十分な財政的配慮が必要であることを特に主張してきているところであります。そして、ここ三年は、地方財政の一般財源は安定的に確保されていると考えております。  今後とも、地方自治の安定的な財政運営に必要な一般財源総額を確保いたしますため、全国知事会、地方六団体等とも連携を図りつつ、国に対しまして引き続き主張してまいりたいと考えているところであります。  職員給与の二%カットの復元についてのお尋ねがありました。  人件費につきましては、県政刷新大綱に基づき、職員数の縮減と職員給の見直しの両面から取り組みを進め、平成十九年度までの三年間で百三十八億円の削減を図ったところであり、今後もさらなる職員数の縮減や給与構造改革の効果などにより、徐々に圧縮が進む見込みであります。  しかしながら、大綱策定以降の国の財政運営の方針等の変化に伴い、地方公務員の定数の五・七%減などの歳出の抑制に対応して、地方交付税を含む地方公共団体の歳入も、その分減少することが予想されているところでありまして、人件費につきましても、さらなる取り組みが必要であると考えております。  県職員の給与につきましては、平成十四年度から管理職手当の減額、平成十六年度からは給料月額の減額を行ってきているところであります。しかしながら、今回お示しをいたしました当面の財政収支の見通しにおける歳出削減等目標額は、毎年度百億から百十五億円程度という多額に上っており、これを達成し、財政再建団体への転落を回避いたしますためには、あらゆる歳出項目の厳しい抑制を行う中で、平成二十年度以降につきましても、やむを得ず職員給与の減額を行わざるを得ないと判断したところであります。  今後、職員団体との協議を進め、職員の理解と協力のもとに財政の健全化が図られますよう、努力してまいりたいと考えております。 5 ◯警察本部長(藤山雄治君) 最初に、志布志事件についての認識についてでありますが、就任に当たりまして、事件の経緯や当時の捜査の状況、判決の具体的内容、判決を受けて講じた施策の内容等について、関係資料等に基づき説明を受けたところであります。私としましても、当該事件に関し、起訴された十二名全員の無罪が確定いたしましたことを重く受けとめているところでございます。  県警察におきましては、判決内容や当時の捜査状況の検討を踏まえ、反省教訓事項といったものを今後の捜査に生かしていくなど、今回の事件を風化させることなく、緻密かつ適正な捜査の推進に向けて不断の取り組みを進めていくことを通じて、県民の信頼回復に努めてまいりたいというふうに考えております。  謝罪についてでありますが、県警察といたしましては、当該事件に関し、無罪が確定したことを重く受けとめており、県警察の判断において、県議会等の場で謝罪を申し上げてきたところであります。改めて私としても、無罪となった方々を初め県民の皆様に対して、組織を代表しておわびを申し上げます。  次に、内部検証についてでありますが、事件の端緒や裏づけ捜査の状況等といった点も含め、必要な確認を行ってきたところであります。その上で、供述の内容及び供述の変遷という点に関し、供述の信用性の吟味が十分でなかったこと、供与金の原資が全く解明されていないなど客観的証拠等による証拠の裏づけが十分でなかったこと、さらには判決において長期間・長時間にわたる追及的・強圧的な取り調べ、あるいは取調官による不適切な言動の存在が強くうかがわれ、自白の信用性に疑問が残ると判断されたことについて反省教訓事項を抽出し、これらを踏まえ、緻密かつ適正な捜査の推進に関する通達の発出、特別巡回指導の実施等による指導教養の強化、刑事企画課の新設及び指導体制の拡充等の対策を講じてきたところであります。  今後は、これらの施策の推進状況について検討を継続しつつ、その検討内容についても、これまでどおり、必要に応じて、公表できるものは議会等の場において適宜適切に御説明をしてまいりたいというふうに考えております。  検証の公表についてでありますが、検討した内容については、個別具体的な捜査手法、捜査運営の中身にわたる事項や個人のプライバシーに関する事項が多分に含まれており、すべてを公表することは控えてきたところでありますが、これまでも公表できる部分は可能な限り公表してきたところであります。  また、最高検察庁において抽出した捜査上の反省すべき点については、警察において検討・抽出した問題点と基本的には同一種であると認識をしており、県警察としては、これまでの検討結果を踏まえて、緻密かつ適正な捜査のより一層の推進に向けて取り組んでまいりたいというふうに考えております。 6 ◯上村勝行君 自席から県警本部長に質問いたします。  前回の県議会で、前久我県警本部長は議会答弁で、志布志事件について、「検討結果につきまして、できる限り議会等の場において明らかにしてまいりたい」と明言されております。今、県警本部長から何がしかの説明がございましたが、私どもとしては、しっかりと文書で最高検のように公表することを求めております。  そもそも、この事件を引き起こしたのは鹿児島県警でございますから、この点についてはしっかりけじめをつける意味でも、文書できちんと県議会に明らかにする。もちろん、プライバシーかれこれの問題は配慮していただいて結構でございます。そのことを再度要求したい。議事録にもちゃんと載っている前県警本部長の約束でございますから、それを覆すようなことはやってほしくないということで、再度見解をお聞きいたします。 7 ◯警察本部長(藤山雄治君) 調査結果の公表についてということで再度のお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたとおり、県警察として検討した内容につきましては、捜査の内容、捜査手法等にかかわる部分について多分に含まれておるということで、すべてについての公表は控えてきたところでありますけれども、前本部長が在任している際から、これまでも公表できる部分は可能な限り公表するという姿勢で臨んできたところでありまして、その姿勢については今後も変わりがないということでございます。ですから、県警察としましては、今後もこれまでどおり、公表できるものは可能な限り公表していくということで御理解をいただきたいというふうに思います。    [上村勝行君登壇] 8 ◯上村勝行君 御答弁をいただきましたが、新しい県警本部長がみずから謝罪を再度されたということはしっかり受けとめますが、その余の県警本部長の答弁は、志布志事件の被疑者の人権と今後の鹿児島県警察の立て直しにとって配慮を欠いたものである、このように考えます。身内内だけに通用する、まるで内弁慶のような答弁であります。県民はとても納得できません。  県警が志布志事件の結果に大きな衝撃を受けていることは、いろんな情報から容易に推測できます。県警の立ち直りは、内部調査の結果をしっかりと公表して、世間の批判を受け、また主張すべきはきっちり主張し、生まれ変わったつもりで再出発する以外にありません。硬直した組織でなく、世間の批判を受けとめられる柔構造の組織へとつくり変えていただきたい、こういうことを要望いたします。  また、財政につきまして知事から御答弁がありましたが、本県は財政再建に向けた懸命の努力によって県政刷新大綱の十年後の歳出削減目標を達成できるのに、なぜ今後、毎年百億円を超す財源不足が生じるのか。最大の要因は、地方の実情を無視した交付税の一方的な削減であります。知事は議会のたびに、交付税制度の堅持と財源確保の決意を答弁してこられました。県議会も政府への意見書を出してきました。しかし、削減を食いとめることはできなかったわけであります。その責任をしっかり自覚すべきであります。  国の財政再建を優先し、地方へ負担を転嫁する同じ手法が繰り返されれば、人件費を何%カットしても地方の努力は水泡に帰し、地方財政は破綻の道しかありません。国への一大反撃によって地方財源を確保することなしに財政再建の展望を開くことはできないことを強く申し上げておきます。  次の質問に入ります。  近年、本県における交通ネットワークの確保が危うくなり、安定性を欠いて、県民の足の確保や利便性を確保することが大変難しくなってきました。利潤を追求しなければならない企業の論理が働く中で、もともと採算性が低い路線が多い上に、燃料の高騰が追い打ちをかけているような状況に見えます。しかし、陸・海・空の交通ネットワークの確保は、県民にとっての最も重要な生活や経済活動の基盤であり、県政の推進に当たっても大切な政策課題であります。  そのような中で、まず陸の交通であります。  岩崎グループの赤字路線バス廃止に伴い、関係市町が運行する代替バスの利用が低迷し、補助金を出す側の県や地元自治体の財政を圧迫し続けています。県を初め関係市町は、運行業者とともに抜本的な利用促進策や運行形態の見直しを行わなければ、地域のバスの存続は危うい状況に立ち至っています。  このような中で、県は県単独で行っているバス補助制度の見直しの検討を始めていると伺っております。従来の廃止路線代替バスによる赤字補てんは要件を厳しくし、乗客ゼロで運行するような系統への補助を打ち切る一方、新たな補助制度の導入で、より効率的なコミュニティバスなど、住民ニーズに見合った輸送システムへの転換を図るとする新しい試みであります。来年度から三年間を地域交通体系の集中改革期間と位置づける新しいこれら取り組みのねらいと、その成果の見通しについて教えていただきたい。  次に、自家用自動車の増加は、バスなど公共交通を利用する人々がこれまで比較的多いとされていた地域においても不採算路線を増加させ、便数の見直し、利便性の低下、乗客離れと負の連鎖を拡大している状況にあることは御承知のとおりであります。  このたび県が取り組むことになった公共交通の利用向上を目指すエコ通勤社会実験について、その概要と、今回の結果を今後どのように生かすつもりか伺います。  次は、海の交通であります。  去る八月二十一日に、鹿児島・屋久島航路のフェリー「屋久島2」を運航する折田汽船などグループ三社が民事再生法の適用を申し立て、保全命令が出されました。このことは、屋久島の住民にとどまらず、本県のさまざまな分野に大きな影響を及ぼす、大変深刻な事態であると憂慮するものであります。  もともと厳しい状況の中で運営せざるを得ない地方の公共交通産業に、このところの原油の高騰が追い打ちをかけた一方で、屋久島航路への高速船の過剰就航の現状も悪い影響を与えたことが今回の事態を招いた原因との見方が専らであります。  そこでお尋ねします。  当面は運航存続の見通しとはなっておりますが、島民の足として、また物流の大動脈としての航路存続のために県はどのような対応をしていくつもりか、明らかにしてください。  種子島航路についても、高速船の激しい競争は航空路にも影響を及ぼしています。地元紙が「稼げないフェリー。稼げるとされながら、実際は低価格競争で赤字の高速船という展開はだれのためにもならない。離島航路維持のためにも市場調整が求められる」と指摘しています。伊藤知事は、この指摘をどのようにお考えか、現状についての認識と今後の対応について明らかにしてください。  近年、本県における陸・海・空の交通ネットワークの確保は危うくなり、安定性を欠いています。スカイマークの撤退とスカイネットアジア航空の参入、岩崎グループなどの赤字バス路線撤退、山川・根占フェリーの休止と再開、フェリーさんふらわあの宮崎港へのシフトの動き、折田汽船の事実上の倒産と種子・屋久航路における激しい競争の継続等々。交通政策における規制緩和の進展など国の政策が、本県のような地方に少なからず悪い影響を与えていますが、鳴り物入りで参入した業者が採算性だけでいとも簡単に撤退していく現状は、企業の社会的責任を考慮しているのだろうかと思われます。事が起きて、慌てて対応策を練るのではなく、交通需給の正確な見通しの上に立った交通政策の確立や日常的な利用促進の取り組み、事業者との信頼関係の醸成、無秩序な競争を排除していくための方策、新しい発想での支援策の推進など、総合的な交通政策の早急な確立が今求められていると思うのでありますが、伊藤知事の率直な見解を伺います。  九月十一日に、九州電力川内原子力発電所一号機で、放射性物質を含む排水二百リットルが漏れる事象が発生しました。私たちは、徹底した原因究明と再発防止を強く要求するものでありますが、まず、このことに対する県のとった九州電力への対応について伺います。  また、今日までに事故の原因、再発防止策について、どのような報告があったのかについてもお答えいただきたい。  次に、今回の事象において見逃すことのできないことの一つは、九州電力からの通報のおくれであります。報道によりますと、漏水が発見されたのは九月十一日午前三時三十五分で、原子力安全・保安院に報告されたのが四時間以上おくれて七時四十六分、県と薩摩川内市にはさらに二十分後の八時五分とされています。九電は、「法定の報告義務がある事象でなかったため、放射能量の測定結果を待って報告した」と説明しているようですが、保安院が指摘しているように、「結果的に報告義務はなくても、発見直後には判断できないはず。放射性物質が濃縮された液体であり、漏れた量も少なくはない。速やかに報告すべきだった」のであります。  この通報のおくれと九電の釈明について、伊藤知事はどのようなお考えをお持ちなのか。また、どのように対処されたかについてお聞かせください。  見過ごすことのできない二つ目は、県議会及び県民に対する対応であります。今回の異常事象は、九月十一日の午前八時過ぎには九電から県に報告されたとしておりますが、私たち議会がそのようなことを知ったのはマスコミ報道によってでありました。十一日には、九月県議会に向けての県政調査会が開かれており、危機管理局を初め県当局は、議会に対してそのことを知らせる機会は幾らでもあったはずであります。
     また、県が今回の異常事象をどのようにとらえ、九電に対してどのような対応をしたのか、県民に情報発信をしたようには見えないのでありますが、県の今回の件についての議会や県民に対する姿勢についてどのような認識をお持ちであるか、お伺いいたします。  本年七月に発生した新潟県中越沖地震による東京電力柏崎刈羽原子力発電所の相次いだトラブルは、原子力発電所を抱える地域の行政や住民に大きな衝撃を与えました。川内原子力発電所三号機増設の可能性調査が行われている最中の本県にとっても、大きくて新たな課題や問題点が突きつけられておりました。県民の命に直結する安全の問題でありますので、想定外では済まされない重要事であります。  そこで伺います。  まず、新潟県中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原発が設計時に想定した揺れを超えるなど、トラブルが相次いだことを受けて、国の原子力安全委員会は、昨年策定した新しい国の原発耐震指針に基づいて、電力各社が既存原発の耐震安全性を確認する作業を前倒しするように要求したと言われておりますが、九州電力の川内原発一号機、二号機の確認作業はどのようになっているのか。また、それに基づく耐震補強対策は必要となるものか、その見通しについても教えてください。  今回の柏崎刈羽原発の事例は、設計時の断層の調査に疑問符をつけた格好になっていますが、川内原発に係る断層の調査は十分であったのか、検証及び地質調査の追加は生じてこないのか、現状についての認識をお聞かせください。  なお、海底断層調査を三号機増設のための環境影響評価の一環として実施中とのことでありますが、この調査でわかるのは、比較的浅い表層の断層のみとのことであります。より深く詳細に調べるべきとの専門家の指摘もありますが、県としてこのような調査を実施するよう、国と九電に対し要請すべきだと思いますが、どうでしょうか。  最後に、九州電力は川内原発三号機の増設を検討するための立地可能性調査を行っておりますが、今回の柏崎刈羽原発のトラブルを受けて、これまで以上の詳細な調査が求められていると考えますが、今後の調査への影響はないのか、見解をお示しください。  いわゆる限界集落について質問します。  全国の限界集落は、六万二千二百七十三集落のうち、一二・七%を占める七千八百七十八集落あるとのことであります。ちなみに、九州では一〇・七%で、全国十ブロック中、少ないほうから四位とのことであります。これが本県では九十五カ所あり、うち五十四カ所は今後十年以内になくなってしまうと見られております。  限界集落がなくなると、耕作放棄のみならず、道路や山林、田畑や河川、用水路等の手入れもなされない状況となり、防災上も影響は甚大であります。  国も自治体も、これまで六十二兆円もの資金を投入し、過疎対策事業を中心に対策をとってきましたが、過疎を食いとめることはできませんでした。今日言われていることは、「箱物や道路を中心とした過疎対策であった。これからソフト、なかんずく人材育成を中心とすべきである」ということであります。そのとおりだと思いますが、言うはやすく、実効性を上げるのは難しい問題でもあります。  知事は、これら限界集落の問題をどうとらえておられるのか、現実の問題として、放置すればなくなる集落が多数あり、しかもそれが拡大する状況の中で何らかの対応をとらねばなりませんが、この問題に対する基本的認識についてまずお聞きします。  次に、県はこれまで限界集落の調査をしてきませんでしたが、今からでもやるべきだと考えます。いかがでしょうか。その上に立って基本方針をつくり、これまでの施策を網羅するとともに、新たな観点から施策を加えてマニュアル的なものを出すべきだと考えますが、見解をお聞きいたします。  国道五十八号おがみ山バイパス、名瀬港本港地区港湾整備事業、奄美市開発公社による埋め立て事業の三つを検討の対象とする奄美のまちづくりのあり方検討委員会が設置され、去る九月十日までに、二回の会合と住民の方々からの意見聴取が一回行われたと聞いております。  このあり方検討委員会は、その設置の理由に、一、計画策定後、相当の年月が経過して、二、人口減少社会の到来や世界自然遺産登録に向けた取り組みなど環境への関心が高まり、さらには地方財政の悪化など、事業を取り巻く社会経済情勢に大きな変化があること、三、おがみ山バイパスのルートの一部となる配田が丘について、野生生物の生息地であり、児童の体験学習の場となっていて、校歌にも歌われ、市民に親しまれているなど、自然環境と教育・文化的な観点からさまざまな意見があること、四、港湾整備事業と一体的に整備する市開発公社の背後埋立地に関する将来の土地需要動向をしっかり見きわめる必要があることが挙げられています。  どれも納得のいくもので、一つ一つの項目についての検討が十分なされる必要があると思うのでありますが、一方では、そもそも奄美市街地の交通や港湾を一体的に整備するとした三事業は必要なものであったのかという基本的な問いもわいてくるのであります。検討委員会の中でも、各委員から「渋滞緩和が目的の事業なのに、具体的なデータがない」、「つくる必要がなかったと将来指摘されるおそれがある」、「地元民の意見を取り入れていない計画ではないか」など、事業そのものへの疑問が出されたり、住民の意見陳述においても、要らないものをつくろうとしていることに反対しているのだという意見が出されております。  そこで、まず基本的なことについて質問いたします。  この三事業の目的と費用対効果について教えていただきたい。  次に、なぜ今、見直し案の検討かということであります。検討委員会の設置の理由については、さきに述べたとおりでありますが、端緒は一体何だったのでありましょうか。伊藤知事の真意も含めてお答えください。  次に、バイパス計画については、原案を含めて四案、港湾については三案が事務局から提示されておりますが、このほかの案がさらに検討案として出てくるとも聞くのでありますが、いかがでしょうか。  次に、仮にバイパス計画を中止した場合には、既に買収済みの用地や補助金の取り扱いなどの問題が生じることが想定されますが、事業を中止した場合の課題についてお伺いいたします。  さらに、名瀬港においては、岸壁の耐震性に問題があるとの指摘や港湾道路の必要性が言われていますが、仮に港湾整備事業を中止した場合の影響について、想定されることを教えていただきたい。  最後に、一連の事業にかかる費用は二百億円に上ると試算されておりますが、厳しい県財政への影響について、知事の率直な見解を伺うものであります。  先般発表された九州農業白書によりますと、二〇〇五年の九州の農家数は、十年前に比べ一七%減り、農業の就業人口も二〇・七%減少していること、そのため伝統芸能や集落機能が停滞していること等を挙げております。  一方、団塊世代が大量退職を迎える中で、都市から農山漁村へ移住し、ゆっくりと暮らすスローライフへの関心が高まり、それらの定住を促そうとする情報発信も活発になっていること、また、九州農業の位置づけとして、九州から輸出する農林水産物は着実に増加し、金額ベースで全国一二%を占めていること、生産額ベースの食料自給率は一二〇%であるが、カロリーベースでの自給率は四八%にとどまっていること、さらに、家畜の排せつ物や焼酎かすから生じるバイオマスを有効利用しようと、九州各地でバイオマスタウン構想の取り組みが進んでいることも明らかにしております。  これら九州農業白書に示された九州農業の実態を一口で言うと、大変厳しい状況であるが、頑張りようによっては可能性も大きく開けているというところではないかと思います。九州農業白書を一読されて、知事はどのような見解を持たれたのか、まず感想からお聞きいたします。  次に、各論のスローライフの取り組みについてお聞きします。  この件に関しては、団塊の世代受け入れやグリーン・ツーリズムの観点から、本議会でもるる議論されてきましたが、白書では活用されていない資源の掘り起こしや定住者が生計を立てる就業の場の確保、空き家情報の発信の必要性、民家宿泊で食事を提供する場合の道府県条例改正の必要性を指摘しております。  本県でも、川辺町の廃校を拠点にした田舎体験ツアーを初め、各地で取り組みが始まっており、また農家体験宿泊や民宿の開業もふえつつあります。これらスローライフについての考え方について、知事の見解をお聞きいたします。  また、鹿児島に住みたいと思う人が、県下農村の空き家、宅地などを気軽に照会できるようなNPOの育成や農家体験宿泊に向けた環境整備など、早急に手がけるべきだと思いますが、いかがでしょうか。  また、グリーン・ツーリズム協会の設立を行って、農村レストランや民宿等のグレードアップと支援を行うとともに、グリーン・ツーリズムの所管を観光交流局に移して、観光という視点から一元化するとともに、農政との連携を図る形にすべきではないかと思いますが、見解をお聞きいたします。  耕作放棄地については、時間の関係で、一般質問ないし常任委員会の議論にゆだねます。  次に、林務行政についてお聞きいたします。  先日の新聞に、「もうかる林業見えた」と称して、林業に追い風が吹いているとの記事がありました。その追い風とは、一つには地球温暖化対策の一環としての林業政策の強化であり、二つには中国・インド等の経済成長による輸入材の高騰による国産材の値上がり傾向であります。これら追い風を受けて、県としても林業再生に向けてアクションを起こさねばなりません。事実、動きは既に始まっておりますが、再生に当たっての課題について、以下質問いたします。  まず、森林整備推進について、林野庁が新法を準備中であります。これによると、市町村が間伐の必要な区域を指定し、間伐目標などを盛り込んだ計画を策定すると、国が間伐の作業網の整備を一体的かつ効果的に行うに必要な経費を市町村に直接交付する。これによって、二〇一二年度までの六年間に間伐面積を年二十万ヘクタール追加し、計三百三十万ヘクタールを実施する計画とのことであります。これは、市町村が主体的な取り組みをしていただく上で、またコスト削減で林家の手取りをふやす上で効果的な政策であり、ぜひとも推進すべきであると考えますが、県の見解をお聞きいたします。  次は、林野庁があわせて打ち出している加工段階の集約化についてであります。一次加工は、零細企業が大半の製材工場で行い、合板や建材に仕上げるプレカットは大規模工場で行うとの構想であります。確かに効果的な方針ではありますが、県下にそのような体制があるのか、どのように対応するお考えか、お答えください。  次に、県産材の大量出荷体制についてであります。  県森林組合連合会は、九月四日に全国初の原木流通情報センターを開設しました。このセンターは、県下各地のみならず、全国からの木材需要に速やかに、かつ安定的に対応する上で画期的な組織であると高く評価いたします。  ただ、このセンターが有効に機能するにはまだまだ多くの努力が必要であり、実証経験を繰り返しながら軌道に乗せていくとのことであります。  このセンターは、設立までに県もかかわっており、それだけに期待もされていると思いますが、今後どのような課題を克服し、原木流通を軌道に乗せようとしておられるのか、見解をお聞きします。  また、日本農林規格に基づいて製材加工された認証かごしま材が、価格の高さや認知不足などがネックとなって販売が低迷しているとのことであります。昨年一年間に着工された木造住宅六千八百二十六戸のうち、認証材が使用されたと確認されたのは、わずか〇・五%の三十四戸であります。業者との提携のあり方、PRの仕方に一工夫必要な気がしますが、現状と今後の考え方についてお答えください。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 9 ◯知事(伊藤祐一郎君) 種子島・屋久島航路の市場調整についてのお尋ねがありました。  鹿児島と種子島・屋久島航路における高速船事業につきましては、「コスモライン」の参入前に比べて、運賃は最大で二〇%安くなり、便数は二倍に増加したところでありますが、利用者の伸びは一五%の伸びにとどまっております。そのため、現在の競争の状況は、競合のフェリー事業者や航空会社を含め、関係事業者各社の経営に深刻な影響を与えていると考えております。  県といたしましては、この状況が続けば、安定的な輸送サービスの保持や地域経済の活動に大きな影響を与えることになるのではないかと懸念しているところでありますが、サービス基準の設定を含めて、航路に関する権限はすべて国土交通省が所管していることもあり、当面は、関係事業者の間で航路の持続的な運営に資する自発的・建設的な話し合いが行われることを期待しているところであります。  川内原発の県への通報漏れについてのお尋ねがございました。  川内原子力発電所一号機廃棄物処理系統からの水漏れにつきましては、九州電力からは「漏えい水は管理区域内にとどまっていることから、法律に基づく国への報告事項に該当しないと判断し、県への通報がおくれた」と聞いております。しかしながら、漏えい水が管理区域内にとどまったとはいえ、放射性物質を含む水が漏れたという事象につきましては容認できないものであり、発見した時点で速やかに連絡すべきであったと考えております。  なお、このことにつきましては、九月十一日に九州電力に対しまして危機管理局長から厳重に注意をしております。  情報発信についての議会や県民に対する姿勢についてでありますが、川内原子力発電所におけるトラブル事象の概要等については、九州電力の責任において発表されるべきものと考えておりますが、県といたしましては、これまでも、九州電力から提供のあった情報のうち、法律に基づき国への報告が必要な事象につきまして公表してきたところであります。  原子力発電所の運営・管理につきましては、安全性はもとより、県民の信頼確保が何よりも重要であると考えており、川内原子力発電所で発生したトラブル事象につきましては、そうした観点からの公表の方法も含め、今後検討してまいりたいと考えております。  奄美国道バイパス・名瀬港港湾計画の見直し案の検討の時期についてでありますが、奄美のまちづくりに係ります一般国道五十八号おがみ山バイパス事業、名瀬港本港地区港湾整備事業及び奄美市開発公社における埋め立て事業につきましては、計画策定後、相当の年月が経過し、事業を取り巻く社会経済情勢が大きく変化いたしますとともに、おがみ山バイパスのルート上にある配田が丘につきましては、児童の体験学習の場となっていることなど、自然環境、教育・文化的な観点からさまざまな意見がございます。  さらに、奄美群島において世界自然遺産登録に向けての環境への関心が高まっていることもあり、経済、環境等の有識者や地元代表から成る委員会を県と奄美市の共同で設置をいたしまして、時のアセスメントの趣旨を十分に踏まえ、現時点における適切な事業の執行の方策について再検討することとしたものであります。  本県財政への影響についてでありますが、今後、現在の計画に沿って、おがみ山バイパス事業及び名瀬港整備事業を継続したときの総事業費は約二百十五億円で、うち県の総負担額は四十七億円程度となり、今後必要となる事業費は約百五十四億円、県の負担額は三十四億円程度となる見込みであります。  本県におきましては、県政刷新大綱を踏まえた行財政構造改革を推進しているところであり、引き続き、普通建設事業費を含むあらゆる歳出項目につきまして、聖域を設けずに厳しい抑制に努めざるを得ない状況ではありますが、本県は地理的・自然的に大変厳しい条件下にあることから、地域の事情や市町村の意向を十分に勘案をしながら、めり張りをつけた社会資本の整備を図る必要があると考えているところであります。  奄美市におけるこれらの事業につきましては、奄美のまちづくりのあり方検討委員会の検討結果を踏まえまして、事業のあり方について判断した上で、普通建設事業費の総枠の中で調整を図っていくことになるものと考えております。  順番が前後いたしましたが、限界集落に対してのお尋ねもございました。  本県におきましては、これまで、国・県・市町村の過疎対策計画に基づきまして、集落の振興に対しまして、社会基盤の整備や中山間対策のほか各般の施策を推進してきたところでありますが、近年、全国的に人口減少や高齢化の進展等により、消滅が危惧される集落の問題が顕在化していることは、本県の振興を図る上からも大変重要な問題であると認識をしているところであります。  このため、まずは市町村との連携を図りまして実態の把握に努めますとともに、国が今年度実施しております維持・存続が危ぶまれる集落の実態調査等の動向も踏まえながら、県の各般の施策との連携を図り、今後、どのような対応をすれば効果的な限界集落の対策になるか、総合的な観点から検討してまいりたいと考えております。  「九州農業白書」についてのお尋ねがありました。  九州食料・農業・農村情勢報告、いわゆる「九州農業白書」を読んだ所感といたしましては、さまざまな課題に直面している中で、スローライフに着目をいたしましたグリーン・ツーリズムや農産物輸出など、新たな取り組みが芽生えていることが記述されており、九州の農業・農村の将来にわたる発展に向け、これらの分野における取り組みも一つの活路ではないかと考えているところであります。  一方、本県農業をめぐる状況を踏まえますと、温暖な気候や広大な畑地など地域特性を生かして、我が国の食料供給基地として、安心・安全で良質な農産物を大都市圏を初めとする消費地に安定的に供給できる産地を形成していくことがまずもって基本であり、こうした観点に基づいて、各般の施策をバランスよく展開していくことが重要であると考えているところであります。 10 ◯企画部長(篠原俊博君) バス補助制度の見直しについてでございますが、廃止路線代替バスにつきましては、多くの路線で利用者の減少が見られ、安定的な運行の確保の観点から、現状を懸念しております。そのため、県といたしましては、補助の対象を一定の利用があるものに限定することで運行体制の効率化を促すとともに、利用者ニーズを踏まえ、コミュニティバス等、新たな運行形態への転換につきましても積極的に支援をしてまいります。  このうち運行形態の転換支援につきましては、来年度から三カ年に限った措置とすることで地元自治体の取り組みを強力に促し、将来に向け、持続性の高い地域交通体系の構築を図ってまいりたいと考えております。  エコ通勤社会実験についてでございますが、県では、十月中旬より、国の機関の支援を得て、鹿児島市中心部の事業所にマイカーで通勤している方などを対象に、公共交通機関の利用を促す社会実験を行う予定であります。この社会実験におきましては、公共交通機関への転換効果が大きかった事業所に対する表彰等により企業の自主的な取り組みを促しつつ、バス路線図等の配布、鹿児島中央駅前及び天文館地区における街角交通案内所の開設、天文館の商店会との連携によるICカードを活用したエコポイント制度の導入等の取り組みを総合的に行うこととしております。  県といたしましては、今回の社会実験の効果を検証した上で、今後の鹿児島都市圏における公共交通の活性化のために必要な施策について、関係者と協議を進めてまいります。  屋久島航路に対する今後の対応についてでございますが、折田汽船によりますと、鹿児島地方裁判所の保全命令を受け、ひとまずキャッシュフロー上の心配はなくなっており、民事再生手続の期間中はフェリーの運航が継続される見通しとのことであります。しかし、債権者から再生計画案の承認が得られない場合には、会社及びフェリー航路の存続が危うくなるため、民事再生手続の動向には重大な関心を持っております。  県といたしましては、折田汽船は、鹿児島・屋久島航路で唯一のフェリー事業を営んでおり、屋久島の日常生活や産業活動にとって重要な役割を担っていることから、地元自治体による利用促進の取り組みを促すとともに、民事再生手続が円滑に進むよう、鉄道建設・運輸施設整備支援機構や国等に対して協力を求めてまいります。  総合的な交通政策の確立についてでございますが、交通の分野におきましては、その運営の大半を民間企業に依拠している現状下で、国による規制緩和が進行し、一方で競争の激化が、他方で休・廃止の動きが広がる等、その動向の長期にわたる予測がつけがたい状況になってきております。その中で、県といたしましても、広域的な交通ネットワークを整備するとともに、地域の必要な足を守るといった基本的視点に立って、諸課題に対応してきております。  こうした状況におきまして、長期的な交通計画を取りまとめることにつきましては、その実効性の確保が課題となりますが、今後、必要性も含め、研究をしてまいりたいと考えております。  川内原発三号機増設調査への影響についてでございますが、国におきましては、中越沖地震による柏崎刈羽原子力発電所への影響等について検証が行われておりますが、現段階ではその結果は示されていないところであり、九州電力は、地質調査につきましては、昨年九月に改訂された国の耐震設計審査指針を踏まえて行っているところであります。今後、九州電力は、新たに得られる科学的知見は必要に応じて適切に反映していくとしていますことから、地震の影響等を考慮した調査がなされていくと考えております。 11 ◯危機管理局長(内門公孝君) 川内原子力発電所一号機廃棄物処理系統からの水漏れにつきましては、九月十一日、九州電力に対し、早急な原因究明と再発防止策の実施等につきまして文書で要請するとともに、翌十二日には発電所の立入調査を行い、漏えい箇所等の確認等を行ったところでございます。  また、漏水の原因は、放射性廃棄物を貯留するタンクの水系フランジ部の不均一な締めつけによるものであると推測されましたことから、同フランジ部のガスケットを直ちに取りかえるとともに、取りかえ時の作業要領を見直すなどの再発防止策について、九月十八日に九州電力から報告を受けたところでございます。  川内原子力発電所の耐震安全確認作業についてでございますが、新耐震指針に照らした川内一、二号機の耐震安全性評価につきましては、現在、九州電力は、活断層等に関する各種文献等の収集、ボーリング調査、海上音波探査などの地質調査を実施しており、平成二十年十二月をめどに評価を行う予定と聞いております。また、地質調査結果、基準地震動の策定結果及び川内一号機の安全上重要な機器の耐震安全性評価結果につきましては、平成二十年三月に中間報告を行う予定でございます。  なお、耐震補強対策の必要性につきましては、耐震安全性の評価の中で検討されることになると聞いているところでございます。  川内原子力発電所に係る断層の調査についてでございますが、川内原子力発電所につきましては、建設時に陸域・海域とも活断層等の調査を厳正に行い、国の安全審査を経た上で設置されております。  また、現在、九州電力は、新耐震指針に照らした耐震安全性の評価作業を進めておりますが、一、二号機建設時の調査より広範囲に、かつ詳細に、地震及び活断層に関する各種文献等の収集、発電所周辺のボーリング調査、海上音波探査等の地質調査等を行っているところでございます。  なお、これらの調査は、一般的に用いられ、認知されている最新技術に基づく専門的な調査手法であり、適切に断層などを把握できるものとされております。 12 ◯土木部長(真下和彦君) 国道五十八号おがみ山バイパス事業につきましては、奄美大島南部と奄美市、さらには空港・港湾を結ぶ広域的な幹線道路ネットワークの形成や、奄美市名瀬市街地における交通の円滑化を目的とするものであります。  全体事業費は約百五十億円でありまして、名瀬市街地の交通混雑を緩和し、奄美大島における骨格道路としての機能向上を図るため、計画したものであります。  名瀬港本港地区における港湾整備事業につきましては、生活密着型港湾としての機能向上を目的とするもので、事業費は約六十五億円であります。  この事業は、岸壁の耐震化と緑地や臨港道路を整備し、防災対応空間の確保や定期航路の円滑な運航、臨港交通の円滑化を図るため、計画したものであります。  港湾事業と一体となって進められている奄美市開発公社による埋め立て事業につきましては、まちづくりと連携した都市機能用地の確保を目的としておりまして、街路等を整備するとともに産業用地などが確保され、港湾関連機能の充実と都市機能空間の確保を図るため、計画されたものであります。  おがみ山バイパスにつきましては、現計画のほか、配田が丘をトンネルで通過する案など三案を提示し、また、港湾事業及び埋め立て事業につきましては、一期、二期の全体計画を実施する現計画のほか、土地需要動向を考慮して一期計画のみを実施する案などの二案を提示し、奄美のまちづくりのあり方検討委員会の場で検討していただいているところであります。このほかの案についても、必要があれば今後、委員会の場で検討されるものと考えております。  おがみ山バイパス事業につきましては、市街地の交通混雑の解消や、奄美大島南部から空港・港湾へのアクセス改善をどのように図るかについて、今後、委員会において検討されるものであります。  なお、補助金等につきましては、国からの通達によりますと、適正な手続を経て公共事業再評価を行い、かつ補助金等適正化法上の義務違反がない限り、返還の必要がないものとされております。  港湾事業及び埋め立て事業につきましては、防災機能をあわせ持つ港湾機能の充実と都市機能空間の確保を目的としておりまして、防災対応空間の確保や定期航路の円滑な運航とともに、多様な都市機能を配置するための新たな用地の確保をどのように図るかについて、今後、委員会において検討されるものであります。 13 ◯農政部長(北薗幸夫君) グリーン・ツーリズムを通じましたスローライフへの取り組みについてでございますが、県では、スローライフを含めた七つのSをキーワードとして鹿児島の魅力を情報発信してきたところであり、鹿児島ならではのスローライフの体験の場としてグリーン・ツーリズムの取り組みを進めているところでございます。  県は、これまで、都市農村交流活動への支援や農家民宿についての研修会等を開催してきたところでございます。平成十九年度からは、農家民宿に関する専門家の派遣、NPO等が参加した情報交換会の開催等により、各地域のグリーン・ツーリズム実践者や観光関係者が連携したネットワークの形成を目指すこととしております。  また、グリーン・ツーリズムは農村活性化の役割を果たしており、観光資源としての要素も多く含むことから、今後とも、農政部と観光部局との連携を図ることといたしております。  今後とも、農業・農村が持つ豊富な地域資源を生かしました特色ある活動が県内各地で展開されるよう努めてまいりたいと考えております。 14 ◯林務水産部長(上園 淳君) 国が平成二十年度に創設を予定しております市町村への交付金制度につきましては、市町村が主体的に地域の課題に即した森林整備を進めることが可能となるなど、評価できる面はあると考えておりますが、現在、国におきまして詳細の作業を行っているところでありまして、今後、国の動向を注視し、的確な情報収集に努めますとともに、市町村の意見等を踏まえながら対応を検討してまいります。  本県の木材の加工段階におきます集約化の取り組みにつきましては、現在、各地域の実情に即しまして、共同で木材乾燥施設を利用する取り組みや、プレカット加工施設を共同利用して生産する取り組みなどが行われております。林野庁が打ち出しております集約化構想につきましては、事業内容の詳細が明らかになった段階で、県内の木材業界の意見を聞きながら対応してまいりたいと考えております。  原木流通情報センターにつきましては、森林から製材工場等へ定時・定量・定価格で原木を供給できる体制づくりの拠点として機能することが求められておりまして、正確な森林情報の集積や低コスト素材生産への取り組みなど、克服すべき課題を抱えております。  このため、県といたしましては、本年度森林所有者に収支を示し、間伐を実施する提案型施業や、その推進役となる施業プランナーの育成研修を実施いたしますとともに、県内十カ所にモデル団地を設定し、森林の情報の集積から素材生産及び製材工場等への納入を行い、問題点を抽出するなど、同センターが有効に機能するための支援を行っているところであります。  認証かごしま材は、日本農林規格を満足した高品質な木材として、現在二十二の工場で生産をされておりますが、住宅建設の低コスト競争の激化などから、平成十八年度の生産量は約二千立方メートルにとどまっております。  このような中、建築用材につきましては、本年六月に建築基準法が改正をされ、より一層高品質なものが求められておりまして、かごしま材認証工場連絡協議会におきまして、生産体制の充実などの検討を行っております。  また、かごしま材取扱店と認証工場との連携強化を図りますとともに、木材まつりや工場見学会の開催などを通じまして、認証かごしま材の利用拡大に努めてまいりたいと考えております。 15 ◯上村勝行君 自席から一点だけ質問をいたします。  グリーン・ツーリズムに関しまして、現在、農政部にあるわけでございますけれども、質問の趣旨としては、観光局に統合して、その上に立って農政部とも連携して事業を進めたほうがより盛り上がる、効率的ではないかという趣旨の質問をしたわけでございます。  私どもの問題意識としては、農政部は一生懸命やっていただいているけれども、もう一歩、熊本のような大衆運動的な手法といいますか、盛り上がりがもう一歩見られないことへの問題意識を持っておりまして、ぜひその辺、農政部長が答えるのが適当かどうかわかりませんけれども、よろしくお願い申し上げます。
    16 ◯農政部長(北薗幸夫君) グリーン・ツーリズムの所管についてのお尋ねでございますが、グリーン・ツーリズムは、都市農村交流の一環として農村活性化の役割を果たしておりますほか、観光資源としての要素も多く含んでおりますことから、県においては、農政部で所管をしておるところでございますが、今後とも、農政部と観光部局の連携を図りながら取り組みを進めてまいりたいと考えております。    [上村勝行君登壇] 17 ◯上村勝行君 御答弁をいただきましたが、地域交通ネットワーク等の再構築については、効率化という観点から検討することもやむを得ないと思いますが、ぜひ地域の通学・通勤あるいは病院通い等々の最低限度の足が確保されますように、また、使い勝手のいい体系を市町村とも協議して進めていただきたい、このようにお願い申し上げます。  原発の放射性廃棄物を含む排水二百リットルの漏水問題については、前向きの答弁をいただきましたから、ぜひそのように進めていただきたい。  また、九州電力が現在、国の原子力安全委員会等の指導も含めて、各種調査に取り組んでいるということにつきまして、平成二十年度の段階で大体調査結果が出そろうようでございますから、ぜひとも県民に対する詳細な公表等をお願いしたいと、このように思います。  また、おがみ山バイパスについては、知事の答弁では、全くなくなるわけではない。新しい時代と財政の観点から再検討しようということでございますので、ぜひ進めていただきたいと思いますが、私も当時、県議会から選出されている都市計画審議委員の一員としてこの審議に参加し、この世界自然遺産時代に、バイパス建設で切り通しをかけて名瀬市内の山を切り崩すという手法はまずいのではないかという意見、したがってトンネル方式にすべきである等々の意見を展開した記憶がございます。  そういう意味で、ぜひ財政あるいは新しいまちづくりの観点からこの御検討をお願いしたい。また、県議会もこの問題について無関心であってはならない、このように考える次第でございます。  グリーン・ツーリズムにつきましては、農政部長の答弁をいただきました。  そういう方向で進められるということでございますが、熊本の状況を見た場合、民宿、農家レストラン、直売店、NPO、農協、行政等が一体となって、一種の大衆的な運動として盛り上がっている。趣味半分、金もうけ半分という気持ちで大変活発な意見を交互にやり合いながら、芦北、水俣、人吉、阿蘇、天草等々でグリーン・ツーリズムの運動が盛り上がっております。ぜひその点も参考にしながら、ぜひ強化していただきたいと、このように期待いたします。  次の質問に入ります。  総務省が発表した七月の完全失業率は三・六%で、前月より〇・一ポイント改善し、四カ月連続で四%を下回りました。厚生労働省は、企業に採用意欲があり、雇用情勢は改善が着実に進んでいると分析しております。しかし、本県の求人倍率は〇・六四倍で、前月に比べ〇・一ポイント上回っただけで依然として厳しい状況にあります。  県は、昨年三月に、ふるさとの人材がふるさとで活躍できるようにと、鹿児島県総合的雇用対策を策定しました。さらに、本年八月には地域雇用開発計画を策定しました。これは、雇用情勢の地域差を是正するため、国が、雇用情勢が特に悪い地域と雇用創造に向けた意欲が特に高い地域に支援を重点化する方向で、地域雇用開発促進法の見直しを行ったことによるものであります。  この地域雇用開発計画では、三年間で三千七百七十人の雇用を生み出すとしています。これは、鹿児島市を除くほぼ全域が対象になっており、農林水産業や地域資源を生かした新規開業や企業立地、観光や高齢者福祉、介護分野等での雇用開拓を進め、新たな雇用を生み出すというものであり、事業主に雇用開発奨励金や中核人材活用奨励金といった国の助成措置の効果的活用を図るとしています。  そこで伺いますが、まず、計画案に当たって十地区に区分した意義と計画の目的はどこにあるのか、お答えください。  県総合的雇用対策では、平成二十年度までに新規雇用一万五千人を創出するとしていますが、現在までの実績はどうなっているのか。また、地域雇用開発計画では、本年十月一日から平成二十二年の九月までに三千七百七十人の雇用を創出するとしていますが、県総合的雇用対策との整合性について伺います。  地域別に雇用創出人数が示されていますが、その根拠はどこにあるのか。  地域の雇用創出の特徴を踏まえた雇用開拓は企業の努力だけでは困難であり、行政や地域一体となった取り組みが不可欠でありますが、どのような推進体制を考えておられるのか、お示しください。  今や働く人の三人に一人は非正規雇用で、女性では五割を超えていると言われています。同等の仕事内容にもかかわらず、正規と非正規は労働市場が分かれ、処遇に大きな格差が生じ、このままでは貴重な人材を漏れなく活用できず、経済成長の制約要因にもなりかねないとも言われております。今回の雇用計画の中で正規雇用化や均等待遇に向けてどのような取り組みがあるのか、お答えください。  かごしま活力ある高校づくり基本計画、以下、高校再編基本計画と言います、について、四点質問します。  県教委が平成十五年度に策定した高校再編基本計画では、高校の適正規模は四ないし八学級と定められています。計画策定時点で適正規模に満たない三学級以下の再編対象校は全日制八十二校中二十九校ありましたが、その後の相次ぐ再編で十七校に減りました。ところが、新たに七校ふえたために、十九年度現在では差し引き二十四校の再編対象校がまだ残っております。  少子化のさらなる進行と、地元との協議期間を考慮すると、平成二十二年度に再編を完了して六十五校程度にする基本計画は実現不可能であります。今のままでは、再編整備が完了するのは当初計画より五年おくれの平成二十七年以降にずれ込むことになります。  現行の適正規模を抜本的に改めない限り、再編対象校は今後もふえ続け、際限なく再編整備を続けなければならなくなると思われますが、このような状況をどのように認識しておられますか。また、この現状を今後どのように打開するお考えですか。  伊藤県政になってから、高校再編問題は、従来の説明会方式にかわって協議会方式を取り入れ、地元との協議による解決を志向するようになりました。徳之島地区の平成十七年度実施計画では、地元の要請により県教委案を一部修正するなど、協議を重ねた末、関係者の合意が成立しております。また、姶良地区の十八年度実施計画では、関係者の協議が不十分だとして実施計画を先送りする柔軟な措置がとられ、協議会方式の面目はどうにか維持できました。  ところが、十九年度実施計画では、県教委は、県教委案の事前提示も地元案とのすり合わせも一切拒否、地元との協議や合意もないままに実施計画案の策定を強行し、伊藤知事の再編公約は三年目にして有名無実と化してしまいました。  そもそも知事の公約は、一、地方分権に基づくもので、県と市町村が対等・協力の関係に立って、二、地元との率直かつ十分な協議によって再編問題を解決すること、三、協議とは、県教委と地元が相互の考え方をすり合わせる中から接点を見つけることであったはずですが、なぜ今回の十九年度実施計画では伊藤知事の公約を遵守できなかったのか。その理由と、今後の方針について、お聞かせください。  伊藤知事は、今年四月の鹿屋市における「知事と語ろ会」で、高山高校と南大隅高校を「当面再編の対象とせず」と言明されました。これは、現行の適正規模や再編整備指針を地域の実情に即して柔軟に運用するという地元重視の方針を提起されたものと理解いたします。ただし、この種の特例措置は、他地区の再編整備に著しい不公平を来すことにもなります。この際、県教委は、知事の意向も踏まえて、現行の適正規模や再編整備指針そのものを見直すべきだと考えますが、いかがでしょうか。  高校再編基本計画がスタートして四年、県教委は、これまで毎年、二地区、四ないし五校の統廃合計画を発表してきました。ここ数年は、八月末に関係自治体の首長に再編整備対象校を提示しています。しかし、ことしは九月中旬になってもその動きがありません。  そこで伺います。  平成十二年度実施計画は見送るのか、これから地元に提示されるのか、あるいは高校再編基本計画そのものの抜本的見直しなり軌道修正を考えておられるのか、お聞かせください。  産業廃棄物管理型処分場について、私どもの基本的立場は、県内に管理型処分場が一カ所もない現状は、持続的産業活動を進めるためには正常とは言えず、県内の企業誘致や地域振興を図り、資源管理型社会を構築していく上からも、地域で発生した廃棄物はその地域内で処理するという原則を踏まえ、一日も早く県内に管理型処分場を建設することが不可欠であり、その県民合意を形成することが重要であるとの考えであります。  今回、県は、これまでの産廃行政の謙虚な反省の上に立って、県の責任において主体的に処分場の候補地を選定されました。今後、住民の意見も踏まえて、あらゆる角度から立地可能性調査を行うとともに、調査の結果、安全性が得られる場合は、十分な情報公開のもとに地域住民との合意形成に努力し、住民の理解を得て建設を推進する必要があります。  そこで、以下四点について伺います。  第一点は、立地可能性調査についてであります。  八月二十一日にボーリングによる地質調査が始まりましたが、予定されている調査項目には住民からの要望のあったものはすべて含まれているのか。また、井戸水の利用状況調査に関係四自治会のうち大原野自治会は調査を拒否していますが、今後どのように対応されるのか。  第二点は、先進地視察についてであります。  八月二十四日に川永野自治会、二十八日に木場茶屋自治会が「エコクリーンプラザみやざき」を視察しておりますが、視察参加者の感想はどうであったのか。処分場の理解は深まったのか。また、他の自治会や薩摩川内市民を対象とした視察はどのように計画されているのか。  第三点は、施設構造の検討についてであります。  ボーリング調査の結果等を踏まえて、履蓋施設や遮水構造、水処理施設等の検討を来年二月までに行うとされています。そこで提案でありますが、処分場がどのようなものか理解を深めるためには、施設の構造模型等を作成し、視覚に訴える説明が重要と考えますが、どうでしょうか。  第四点は、住民との合意についてであります。  川永野地区への処分場建設については、絶対反対を表明している自治会や団体等があり、市内全域での反対署名や街宣活動などが行われていますが、立地可能性調査を踏まえ、住民への理解を求めるために今後どのような取り組みを行っていかれるのか。また、薩摩川内市当局、市議会に対してはどのような対応をされるのか、伺います。  八月初めに政府は、地球温暖化の防止を目指す京都議定書の削減対象期間が来年に始まるのを前にして、二〇一〇年の温暖化ガスの排出量が一九九〇年と比べ〇・九%から二・一%ふえるとの見通しを発表しました。見通しによると、二〇一〇年の温暖化ガス排出量は十二億七千三百万トンから十二億八千七百万トンで、直近の実績である二〇〇五年の十三億六千万トンを下回るものの、国際公約である六%減の目標達成より約一億トンふえる見込みとなっています。  本県の場合、温室効果ガスの排出量は、現状のまま新たな対策を講じない場合には二〇一〇年は二〇〇二年比七・八%増が予測されることから、各部門ごとに排出抑制策を講ずることにより、二〇〇二年比で一・一%削減する目標を掲げた地球温暖化対策推進計画を策定して、抑制策を推進しているところであります。しかしながら、具体的な削減対策も事業所や家庭は努力目標として取り組みが期待されるものにとどまっており、どれだけの実効性があるか疑問であります。  そこで、ことし三月、静岡県が制定した地球温暖化防止条例に倣って、本県でも(仮称)地球温暖化対策推進条例を制定し、実効ある措置がとられるよう求めるものでありますが、見解を伺います。  静岡県の条例によると、知事は、温室効果ガスの排出抑制及び吸収の目標量と、それを達成するために必要な措置の実施計画を定め、毎年実施状況等を報告・公表する。事業者の排出削減計画書の作成と知事への報告・公表、通勤用自動車や建築物に係る環境配慮計画の作成と知事への報告・公表を義務づけ、正当な理由なく報告等をしない場合には、停止等を勧告することができるようになっています。  本県においても、このような条例を制定し、県民の地球温暖化防止への意識を高め、実効性のある効果的な削減対策を推進すべきと思いますが、いかがでしょうか。  県では、現在、改正医療法に基づいて地域保健医療計画の策定作業が進められていますが、これまでの医療計画は、二次医療圏の設定と、その圏域における病床規制の役割しか果たしていないとの批判がありました。  この点について、今回の計画においては、特にがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病の四疾病、救急、災害、僻地、周産期、小児医療の五事業ごとに、急性期から回復期の病院を経て自宅に戻るまでの治療計画を、地域ごとに医療連携体制を構築することによって適切な医療サービスが切れ目なく提供されるよう、具体的な医療機能を明示することになっており、計画内容が豊富化されるものと期待しております。  そこで、現在検討されている本県の二次医療圏については、現行の十二圏域から九圏域に見直す案が示されましたが、今回の見直しの基本的な考え方について伺います。  地域における疾病別、事業別の医療連携体制の構築に向けては、医療機関や患者の理解をいただくことが重要でありますが、どのような取り組みをされているのか、本県における地域的課題をどう分析されているのか、お聞きします。  厚生労働省は、これまで、医師の全体数は長期的には足りており、医師不足の問題は地域や診療科ごとの偏在によるものとの立場で対応してきていました。しかし、全国的に小児科医や産婦人科医が不足し、診療科の休診や大学病院からの医師派遣の引き揚げなど、地域の医療提供体制そのものが崩壊する深刻な事態が拡大しているため、政府もようやく来年度から大学医学部の入学定員を最大各都府県で五名、北海道で十五名ふやす方針を固めたと言われます。九年間の僻地勤務拘束など、実効性を疑問視する声もありますが、政府が医師の増加対策にかじを切った意味は大きく、県としても、大学や医師会とも連携して効果の上がるものとしなければなりません。今後の対応策について伺います。  県においては、平成十八年度から、鹿児島大学医学部の僻地医療を希望する地域枠入学者二名を対象に、市町村と共同して、一人当たり九百四十万円を貸与する修学資金貸与事業をスタートさせていますが、対象者の拡大や一人当たりの貸与額を少なくして対象者をふやすなど、制度拡充はできないか、伺います。  医師不足に悩む地方に対して国が示した拠点病院への集約化・重点化については、医師が集まる側は歓迎されるものの、逆の側の医療の空白化など拡大するとの懸念もあるため、容易に結論を出せない自治体も多いようです。本県においては、今回の地域医療計画見直しの中で集約化を行う圏域等を検討されているようでありますが、本県の課題と方向性について明らかにしてください。 18 ◯議長(金子万寿夫君) 答弁者に申し上げますが、答弁は簡潔にお願いを申し上げます。 19 ◯商工労働部長(時田光一君) 地域雇用開発計画案の意義等についてでありますが、県地域雇用開発計画案は、雇用機会が不足する地域について、雇用機会の創出により雇用構造の改善を図ることとし、具体的には、雇用を伴う事業所の設置や拡張に対して助成金を支給し、雇用創出を図るものであります。  計画案の地域設定に当たりましては、国が示した指針において、ハローワークの管轄区域を原則とすることや、有効求人倍率が全国平均の三分の二以下となっていることなどから、計画地域の要件を満たさない鹿児島市郡を除いた県下一円の地域を設定しているところであります。  総合的雇用対策につきましては、これまで約一万人の雇用が創出され、二年間の数値目標の一三七%と着実な成果を上げております。この目標は、県や国等の各般の施策により創出される県下一円の雇用創出者数を集計したものであります。  一方、地域雇用開発計画案の雇用創出数は、過去三年間に国の助成金を活用して創出された雇用者数から算出したもので、期間の一部が総合的雇用対策と重複するため、雇用創出者数も一部重複することとなっております。  地域雇用開発計画案の推進につきましては、労使団体、行政機関等と連携を図り進めることとしております。総合的雇用対策の推進に当たりましては、県、国、経済団体、労働団体から成る推進会議で進行管理等を行っており、地域雇用開発計画案の推進につきましても、同会議を活用しながら進めていきたいと考えております。  地域雇用開発計画に盛り込む事項としまして、その目標や促進方策が挙げられており、非正規労働者の正規雇用化や均等待遇に向けた取り組みは示されていないところでありますが、正規労働者への転換や均衡ある待遇の確保は重要であり、国においては、パートタイム労働法の改正や助成金の交付などを実施しているところであります。  県といたしましても、広報紙「労働かごしま」等について、企業者に対しまして非正規労働者の雇用環境の整備に関する普及啓発や、若者就職サポートセンターにおける就業支援を行っているところであります。今後とも、非正規労働者の処遇改善等への支援に努めてまいりたいと考えております。 20 ◯教育長(岡積常治君) 再編対象校がふえる現状についての見解でございます。  本県の中学校卒業者数は、学校基本調査によりますと、十八年三月は一万九千五百三十五人であり、ピーク時である昭和三十九年三月からは約三万九千人減少しております。この減少傾向は今後も続き、平成二十七年三月にはさらに三千五百六十一人の減少が予測されており、全国一の減少率となっています。この減少数は、単純に四十人学級に換算しますと、約八十九学級、三学年で二百六十七学級に相当します。このような本県の大幅で長期的な生徒減少は、高校教育の大きな課題であると認識しております。  こうした生徒減少に対応するため、平成十三年三月には県内各界の有識者二十人から成る県公立高等学校改革推進協議会を設置し、二年間にわたる協議の結果、高校の活力や専門性、教育水準の維持・向上を図るため、一学年四学級から八学級を適正規模とする最終報告が取りまとめられたところであります。  これまで、この最終報告を踏まえて、平成十五年十月に策定したかごしま活力ある高校づくり計画に基づき、学校規模の適正化を図るため、地域や学校の実態等を勘案して再編整備を進めてきたところであります。生徒減少がさらに進む現状では、高校再編は避けて通れない課題であると考えておりまして、今後とも、引き続き、この基本計画の考え方に基づき、全県的、長期的視点に立って再編整備を進め、本県高校教育の充実・振興を図ってまいりたいと考えております。  平成十九年度実施計画の地元との協議についてでございます。  平成十九年度実施計画を策定するに当たりましては、姶良地域、中・南種子島地域の関係する市や町の地元関係者から成るそれぞれの協議会で、新設高校の学級数、学科、学校のタイプ、設置場所の四項目について一年半にわたって協議がなされ、県教委としても地元の意向に沿って協議会に出席してきたところであります。  姶良地域では、それぞれの協議会で協議をしていただいた上で、合同協議会の場で協議を尽くしていただきました。結果として、学級数は四学級とし、その他の三項目については、それぞれの協議会の意見を集約し、併記する形で取りまとめられたものでございます。  また、中・南種子島地域では、両町の協議会において同様に四項目についての具体的な協議がなされ、最終的には合同協議会で、学級数については四学級、学科については、普通科三学級、情報処理科一学級、学校のタイプとしては総合選択制、設置場所についてはそれぞれの意見を併記する形で集約し、県教委に提出があったものであります。これらの協議の取りまとめや経緯を踏まえて、本年二月の教育委員会臨時会において実施計画が決定されたところであります。  現在、両地域では、PTA、同窓会など地元関係者から成る開校準備委員会を設置し、地域の協力を得ながら、来年四月の開校に向けて準備を進めているところであります。  今後とも、急激に進む生徒減少の中では、高校再編は避けて通れない課題でありますことから、地域の意見もお聞きしながら、活力ある高校をつくっていきたいと考えております。  適正規模等の見直しについてでございます。  知事は、教育水準を維持するためには高校には一定の規模が必要だとされた上で、具体的な再編整備を進めるに当たっては、単純に生徒の数だけでは判断できないのではないかという考え方を説明されており、県教委の考え方と異なるものではないと認識しております。  中学校卒業予定者数が大幅に減少する中で、高校としての専門性や教育水準の維持・向上を図るためには、再編整備は避けて通れない課題であり、それぞれの再編整備対象校については、かごしま活力ある高校づくり計画に基づき、年度ごとに実施計画を策定する中で検討を進めているところであります。  具体的な推進に当たりましては、急激に進む少子化の中で、長期的・全県的な視点に立って、地域の実態や学校の実情等を考慮するとともに、地域の御意見をお聞きしながら進めてまいりたいと考えております。  今後の高校再編の実施などについてでございます。  県立高校の再編整備については、年度ごとに検討しながら進めていくこととしており、これまで、平成十五年は十一月に、十六年は九月に、十七年は八月に地元に再編する高校の組み合わせを提示し、地元との協議を進め、それぞれ、十六年二月、十七年二月、十八年三月、十九年二月に実施計画を策定しております。  今年度も早い段階から、小規模校のある市・町の関係者との高校のあり方に関する意見交換会や、県内十二地区において、募集定員説明会等で地域関係者と意見交換を行いますとともに、小・中・高の保護者や学校関係者を対象に、高校の状況等に関する説明会を実施するなど、それぞれ地域関係者の御意見を伺ってきたところであります。  具体的な実施計画については、現在、学校・学科の配置バランス、社会情勢の変化、地域や学校の状況の推移等を見守りながら、全県的・長期的な視点から検討しているところであります。今後とも、地域の御意見も踏まえながら、引き続き検討を進めてまいりたいと考えております。 21 ◯環境生活部長(高山大作君) 地域の方々から要望のあった調査項目は、現在使われている井戸や簡易水道の水質調査、採石場のダイナマイトによる振動や騒音調査でありました。これらについては、立地可能性等調査の中で調査することとしております。  現在、井戸水の利用状況の聞き取り調査ができない自治会がありますが、今後とも、調査の目的や必要性について十分説明し、調査が実施できるよう粘り強く取り組んでまいります。  先進地視察につきましては、これまで、二自治会の四十三名の方々が参加して、宮崎県の処分場の視察を実施したところでございます。視察後のアンケートでは、七割を超える方々が「施設に対するイメージがよいほうに変わった」としており、また、九割を超える方々が「有意義であった」と回答されております。実際の施設を見ていただくことは、管理型処分場について理解を深めていただける機会であると考えておりまして、引き続き、多くの方々に参加いただけるよう努めてまいりたいと考えております。  処分場につきましては、県としては、管理型処分場の整備に当たりましては、最新の技術によって、安全性の高い全国でもモデルとなるような施設を目指しておりまして、現在行っている調査の中で具体的な施設構造や施設の配置などについて検討することとしております。これらの検討結果を地域の方々に説明するに当たりましては、御提案のありましたような模型等を活用することも検討してまいりたいと考えております。  住民との合意形成につきましては、今後、しっかりした調査を行った上で、具体的な施設計画などについて十分説明しますとともに、セミナーを開催するなど、管理型処分場への理解が得られるよう努力を重ねてまいります。  また、薩摩川内市に対しましては、これまで、候補地選定の経緯や調査の内容等について説明しますとともに、同市議会に対しましても、特別委員会に県として出席をいたしまして説明しているところでございます。今後とも、同市や市議会に対し、調査結果などの説明に努めながら、理解をいただけるよう取り組んでまいります。  地球温暖化につきましては、現在、県は、県地球温暖化推進計画に基づき、省エネ・リサイクル推進等の普及啓発、省エネを実施する事業所や家庭の募集、エコドライブの講習会の開催など、各種事業を展開しているところでございます。  地球温暖化対策を推進するためには、県民、事業者、行政がそれぞれの立場で取り組んでいくことが重要であり、現在、地球環境を守るかごしま県民運動として全県的に取り組んでおりますが、条例を制定しますことにつきましては、今後の検討課題として考えたいと考えております。 22 ◯保健福祉部長(吉田紀子君) 二次医療圏の見直しにつきましてでございます。  二次保健医療圏につきましては、入院医療の充足に主眼を置いた従来の考え方に加え、健康寿命の延伸や医療機能の連携などの新たな観点から、効率的で適切な医療を提供する体制を確保するための圏域として設定したいと考えております。  具体的には、健康寿命などの健康指標、入院患者の流入・流出状況や救急患者の搬送状況などを総合的に勘案した上で、現行の十二圏域を九圏域に変更する案を取りまとめたところでございます。  医療連携体制の構築に向けた取り組み等についてでございます。  医療連携体制の構築につきましては、医療機関や住民などの理解を得るとともに、地域の実情も踏まえつつ検討を進めることが重要であると考えております。このため、県では、本年度県医師会などと協力して、川薩、肝属及び奄美の三地域においてそれぞれ協議会を設け、脳卒中、心筋梗塞などの疾病に係る医療連携体制の構築に向けたモデル事業を実施しているところであります。今後、モデル事業の成果を県内全地域に普遍化がなされるよう努めてまいりたいと考えております。  本県の保健医療に係る地域的課題につきましては、今回の計画の見直しに当たり分析を行いました結果、本県の平均寿命は、男性が全国平均より〇・七歳短く、男性の早世への対応が課題の一つと考えております。また、全国と比較いたしまして、脳血管疾患の死亡率が男女とも高く、そのほか悪性新生物、精神及び行動の障害、循環器系の疾患、骨折などの受療率が高いことから、こうしたことへの対応が課題と考えております。このほかに、本県では高齢単身世帯や高齢夫婦世帯が多いこと、離島・僻地を多く有している地理的特性なども本県の課題であると考えております。  政府の大学医学部入学定員増への対応策についてでございます。  今回の国の大学医学部の定員増につきましては、国立大学の場合は当面平成二十一年度から九年間とされております。県といたしましては、医師の確保は極めて重要な課題でありますことから、鹿児島大学に対し、医学部の定員増を要請したところであります。今後、鹿児島大学、県医師会等とも緊密に連携をとりながら検討を進め、二十一年度から円滑な実施ができるよう取り組んでまいりたいと考えております。  医学就学資金貸与制度の拡充につきましては、国の緊急医師確保対策に基づく医学部の定員増につきましても、就学資金の貸与が要件とされているところでありますことから、今後、地域医療対策協議会等において、現行の制度内容も含め、就学資金貸与制度の見直しを検討いたしますとともに、市町村等とも一体となって就学資金貸与制度などを活用した医師確保対策に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。  拠点病院への集約化、重点化についてでございます。  小児科、産科の集約化・重点化は、単に医療機能を移転集約するものではなく、連携体制の構築も含めて、限られた医療資源の効率的な活用を図り、各地域において住民が適切な医療を受けられる体制の確保を目指すものであります。このため、現在、県におきましては、県医師会、大学病院等で構成する検討委員会を設置し、地域における課題や開業医の協力、医療施設の共同利用などを含めた連携体制のあり方などについて議論をいただいているところであります。  県といたしましては、今後、こうした検討結果等を踏まえて、必要な対策に取り組み、県民の方々が適切な医療を受けられる体制づくりに努めてまいりたいと考えております。    [上村勝行君登壇] 23 ◯上村勝行君 懇切丁寧な御説明をいただき、ありがとうございました。
     一言だけ要望申し上げますと、高校再編については、この一年間はとても協議会方式と言えないような、つまり、地元との意見をすり合わせていくような取り組みではなかったと私は考えています。教育長も南種子町長の抗議の会見を受け入れられまして、そのことはよくおわかりだと思います。その辺を十分今後の再編等に当たっては配慮してやっていただきたいし、また、四学級から八学級というこの基準が果たして適正なのかどうか、その辺を含めて十分吟味をされるように要望いたしまして、民主・社民・無所属連合を代表しての代表質問を終わります。  どうもありがとうございました。(拍手) 24 ◯議長(金子万寿夫君) ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午後零時 一分休憩       ─────────────        午後一時十五分再開 25 ◯議長(金子万寿夫君) 再開いたします。  持冨八郎君に発言を許可いたします。    [持冨八郎君登壇](拍手) 26 ◯持冨八郎君 平成十九年第三回県議会定例会に当たり、公明党県議団として県政の重要課題等について代表質問を行います。  我が国の経済は、企業収益の改善等により景気拡大期が続き、いざなぎ景気を超えたところでありますが、地方にとっては依然として極めて厳しい状況であります。また、県内の景気動向も、国の構造改革により、地域間格差や所得格差、業種間格差が拡大し、依然として厳しい状況にあります。  本県財政は、県政刷新大綱に基づき行財政改革を行い、「力みなぎる・かごしま」の実現へ向け、持続可能性への挑戦、産業おこしへの挑戦、鹿児島おこしへの挑戦の三つの挑戦を掲げて、重点的かつ戦略的な取り組みがなされておりますが、それでもなお十九年度末県債残高は一兆六千百十七億円が見込まれ、財政の健全化、財政運営の効率化が一層求められております。  さらには、共生・協働の地域社会づくり、県民福祉の充実、環境問題や情報化に伴う新社会資本の整備、教育問題等々、課題山積でありますが、人と地域が輝く社会を目指して、県民の目線に立って、通告に従い質問をしてまいります。  初めに、知事の政治姿勢について。  開会冒頭の提案理由でも触れられましたが、知事のマニフェストについてであります。  知事は、この七月で就任三年目を迎えられました。「力みなぎる・かごしま」の構築に向けて、九十九事項、百十二項目にわたるマニフェストを発表し、県財政が厳しい中、さまざまな改革に取り組んでこられました。知事は、現時点でマニフェストの成果と課題についてどのように認識しているのか。また、この一年、残された課題にどのように取り組んでいかれるのか伺います。  さらに、現在、中長期ビジョンの策定中と聞いておりますが、まだ知事の二期目の出馬表明は聞いていないところでありますが、報道によりますと、支持率も高く、ほかに適任者が見当たらないということであります。知事にとって、この中長期ビジョンが二期目のマニフェストになるのか、中長期ビジョンとマニフェストの整合性についても伺います。  次に、参議院選挙の結果と新内閣について伺います。  さきに行われた第二十一回参議院選挙は、年金問題、政治家と金の問題、閣僚の不祥事などにより、民主党が議席を伸ばす一方で自民党が大きく議席を減らしました。我が党も、国民の目には自民党の補完勢力としての姿が映り、比例区七名、選挙区が二名の当選でありました。愛知、埼玉、神奈川選挙区では、大きく票を伸ばしながら惜敗するというまさに逆風の選挙でありました。  そこで第一点は、知事は、今回の参議院選挙の結果をどのようにとらえ、結果に反映された民意をどのように認識しているのかお尋ねをいたします。  第二点は、安倍内閣がスタートしたものの、新閣僚の政治と金の問題や本人の健康問題等もあり、退陣を余儀なくされ、福田内閣が新しく誕生いたしました。知事は、新しい内閣をどのように評価し、何を期待されているのかお聞かせください。  次に、総務警察行政について。  まず、行財政問題について伺います。  地方分権改革により、官から民へ、国から地方へという大きな政策転換の中で、財政の厳しさを反映して公共事業は一気に減少いたしました。受注高は、ピーク時の一九九三年度は年間二十兆円近くありましたが、二〇〇六年度は九・三兆円と半分以下になっております。その結果、人口一人当たりの都道府県の地方税収の格差は拡大して、二〇〇五年度決算では三・二倍にまで広がっております。  政府は、地方の活性化なくして国の活力なしと、特区構想や地域再生、頑張る地方応援プログラムや中小企業地域資源活用法などを掲げて地域活性化に取り組んできましたが、何がどこまで成果を上げているのか検証しなければなりません。これらは、公共事業のばらまきを封印しながら、地域のやる気を支援する枠組みでありますが、地方の地場産業の改革には時間がかかり、政策効果があらわれていないということだけでは済まされないと思います。  地方は、長年にわたり、国の経済財政運営方針に従って財政運営を行ってまいりました。しかしながら、三位一体改革地方交付税が減り、財政力の弱い自治体からは悲鳴が上がっております。結果として、地方の活性化には結びつかず、それが今回の参議院選一人区での地方の反乱になったのだと思っております。  地方の活性化には、住民の創意工夫を生かして民間の活力を引き出すことが何より重要であります。そのキーワードは、地方分権と税源移譲であります。全国知事会は、国から地方への六兆円の税源移譲を提言いたしましたが、具体案はこれからであります。政府の地方分権改革推進委員会も、国の仕事をどこまで地方に渡すのか、肝心の仕分け作業にはまだ本格的に取りかかっておりません。  そこで、地方分権と財源問題について、地方財源の確保の観点から知事の見解を伺います。  次に、事業仕分けについて伺います。  今月七日、佐賀県は三年後に、長崎県も五年後に財政再建団体に転落するという報道がなされました。本県も去る八月二十四日に、当面の財政収支の見通しを発表され、仮試算が示されました。二百五十二億円の財源不足になる見込みで、財政調整基金などを活用しても毎年百億円の改善が必要で、さらなる改革が求められております。知事も今議会で、「今後とも、あらゆる歳出項目の厳しい削減や歳入確保努力を行うことにより、一層の財源不足の圧縮を図り、財政改革をさらに前進させてまいります」と強い決意を述べられました。  千葉県では、行政改革に関する行動計画の中で、県の事業を外部の視点を入れて見直しました。堂本知事は事業仕分けについて、事業や制度について本当はおかしいが仕方がないと思っていた部分に納税者の視点で厳しく切り込まれ、県庁職員も本音で議論をしていいと、意識改革としての効果も大きいと強調しております。  そこで、もう何回も提案しておりますが、民間委員も入れた事業仕分けの導入が財源不足に悩む本県にとって今こそ必要と考えますが、前向きな答弁を期待いたします。  次に、参議院選挙の開票事務と選挙公報について伺います。  さきの参議院選挙の開票作業の効率が、本県は全国で最低の結果であったとの報道がありました。全国千九百七十三自治体を対象にまとめた参議院選挙開票事務作業調査で、都道府県別平均所要時間では鹿児島県は四十二位であり、開票効率、いわゆる職員一人一分当たりの処理票数は全国最下位との結果でありました。  調査では、全国の市区平均所要時間は四時間四十分だったのに対して、県内では十七市中、十一市が五時間を超えたことが原因のようであります。開票作業の迅速化が全国的に広がる中で、処理票数が少ない小規模町村を多く有する鹿児島県は開票スピードが上位になると思っていただけに、残念であります。  そこで、選挙管理委員会はこの結果をどのように受けとめ、また今後の取り組みについて伺います。  さらに、選挙を実施するに当たり、有権者の参考材料となるのが選挙公報であります。公職選挙法百七十条には「選挙の期日前二日までに配布するものとする」と、選挙公報の全戸配布が定められております。ところが、さきの参議院選挙において県内三町で配布漏れが発生したとの報道がありました。  そこで、今回の選挙公報の配布漏れの原因と今後の取り組みについて伺います。  次に、共生・協働の地域社会づくりの進捗状況についてお聞きします。  財政が厳しく、ますます少子・高齢化が進む中で、持続可能な県政運営にとって、鹿児島県が取り組んでいる共生・協働の地域社会づくりは時宜を得た政策であると思っております。先日視察した北海道恵庭市では、地域活性化のためにミニFM局を開設する苦労話を市の生活部長から伺いました。その中で、行政が主導して市民、企業、商店街を巻き込み、地域の力を引き出す大変さと難しさを強く訴えておられました。本県も、共生・協働推進室をつくり体制を強化し、賢明に取り組んでいるところでありますが、お伺いいたします。  共生・協働の担い手でありますNPO認証法人の数の推移と各助成事業の進捗状況、また、その成果と課題について伺います。  報道では、消滅のおそれのある集落が九十五カ所、限界集落が二百四カ所あるとのアンケート結果が発表されました。便利な市街地に人口が集中する反面、過疎地では現役世代がいなくなり、地域行事の消滅、道路整備などもできない状況が発生し、ますます住民がいなくなるという悪循環を招いております。  そこで、全国のモデル地域でもある柳谷集落の地域づくりの取り組みを参考にしながらも、共生・協働の観点から、県は、市町村と連携して、集落が自立し発展できる過疎化対策を推進すべきであると考えますが、いかがでしょうか。  次に、災害時における防災協力・連携について伺います。  地震や集中豪雨などが多発する中で、災害時の地域防災力の強化は喫緊の課題であります。また、災害時において、自助、公助とともに共助の重要性が叫ばれている今こそ、住民、自主防災組織、ボランティア、事業所等が助け合う仕組みの構築が重要であります。特に、事業所は、地域の防災力の担い手として、被災地の近くに所在したり、専門的なスキルを保有したりしていて、地域の防災力強化のかぎを握っております。そうした中、本県においても、今月コンビニエンスストアとの協働事業の協定を締結されましたが、その具体的な内容と期待する効果と今後の取り組みについて伺います。  また、宮城県では、大規模災害の初動時における物資調達に関しては、協定の締結等を中心に対応してきましたが、十五年五月の宮城県沖地震や十六年十月の新潟県中越地震の際、初動時における物資確保に資するための方法が協定による対応に限定されていたこともあり、必要な物資の調達に困難をきわめたとあります。特に、新潟県中越地震の際は、応援協定に基づき職員や物資の支援を行いましたが、被災地のニーズに関する情報がなかなか把握できず、大変苦労したようであります。そこで、応援協定に基づく対応以外に、新しい対応の形として災害支援目録制度を十七年六月に施行をしております。  災害支援目録は、災害の初動期に発生する多様な物資調達に当たって、これまでは電話帳から取り扱い企業等を調べ、協力を求めてきたものを、宮城県では宮城県総合防災情報システムに電子ファイルとして登録し、支援項目別に表示できる目録という形でわかりやすくしております。現在、公益団体二百六十二団体が登録をしております。登録した企業等の名称は県のホームページにも公開しており、登録していない企業にはさまざまな機会を通して登録の働きかけを行っているようです。  そこで、今回のコンビニエンスストアとの協働事業に関する協定の締結を契機に、さらに踏み込んで、宮城県が施行している災害支援目録制度を本県にも導入すべきではないかと考えますが、見解を伺います。  次に、原子力発電所の事故に関連して伺います。  東京電力柏崎刈羽原子力発電所の事故をきっかけに、原子力発電の安全性と事故に対する会社の対応に不安と不信が広がっております。我が国のエネルギー供給における原子力発電の占める割合は三割を超え、原子力発電の果たす役割はますます大きくなっており、原子力発電への安全性と信頼性が一層強く求められております。  既に代表質問で質疑が交わされましたので、多くは要望にかえます。  想定外であったという声もありましたが、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の事故を教訓として、県は、安全確保のために監督、指導にしっかり取り組んでいただきたいと要請をしておきます。  また、先日、川内原子力発電所一号機で放射性物質を含む排水二百リットルが漏れた事故に、地元の皆さんは大変な不安を持たれております。今後とも、県は、九州電力に対して迅速な報告を求めるとともに、徹底した情報の公開をし、安全確保の徹底をお願いしておきます。  一点だけ確認をいたします。原子力発電所の環境影響調査と三号機増設については、従来県は、調査と増設は別という方針でありましたが、この方針に変更はないのか。また、三号機増設についての知事の見解をお聞かせください。  次に、警察行政について伺います。  「目指そう犯罪のない安全で安心な鹿児島」を目指して、県警察においては、「あんしん・かごしま」創造プログラム二〇〇七の推進に取り組まれており、そのかいあってか全国でも犯罪率の低い結果が出ております。  しかしながら、県民の体感治安は依然として厳しい現状にあります。さらに、東京都立川で起きた巡査長による女性射殺事件は、市民に最も身近な交番の警察官がストーカー行為を繰り返したあげくに、勤務中にけん銃で殺害し、自殺するという前代未聞の警察官の不祥事であります。信頼回復のために警察改革要綱など再発防止対策を打ち出したにもかかわらず、警察官による不祥事や凶悪犯罪が起きております。  そこで、これらのことに対する県警本部長の所見を伺い、本県での不祥事防止の取り組みについて伺います。  次に、警察白書の中に「暴力団の資金獲得活動との対決」との項目があります。長崎市長射殺事件は、暴力団の要求に行政が応じないため犯行に及んだとのことでありました。暴力団の資金獲得活動も巧妙になり、白書によれば、元構成員に建設業や不動産業を行わせる傾向を強めていると指摘しております。  そこで、暴力団の資金源を徹底的に断つべきだと考えますが、本県での具体的な事例を挙げるとともに、その根絶への対応策について伺い、一回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 27 ◯知事(伊藤祐一郎君) マニフェストについてのお尋ねがありました。  マニフェストに掲げました取り組みにつきましては、九十九のすべての項目につきまして積極的に推進をしてきているところであります。私といたしましては、全体としておおむね順調に進めることができているのではないかと考えております。  また、この間の時代潮流や本県を取り巻く環境の変化に対応いたしまして、マニフェストには明示されていない新たな施策にも取り組んでいるところであります。  今後、一年間で力を入れて対応しなければいけない課題につきましては、個別にはさまざまなものがありますが、大くくりに言いますと、三つの挑戦の必要性を改めて痛感しているところであります。厳しい財政状況をいかに乗り越えるかという意味での持続可能性への挑戦、アジアの時代を見据えて産業構造・経済基盤の強化を図りますための産業おこしへの挑戦、品格ある鹿児島らしい地域社会づくりを目指す鹿児島おこしへのこの三つの挑戦であります。  私といたしましては、これまでの三年間の取り組みや経験を踏まえながら、この三つの挑戦を含め、引き続き、「力みなぎる・かごしま」の実現のために、職員とともに県庁一丸となって、大胆でスピード感あふれる改革に全力を傾注してまいりたいと考えているところであります。  今後、策定することといたしております将来ビジョンにつきましては、このようなことも踏まえまして、持続可能な行財政構造の構築、少子・高齢化や高度情報化、環境問題への適切な対応、足腰の強い産業基盤の確立など、引き続き、さらに取り組まなければならない課題を盛り込んだ形でまとめたいと考えております。  なお、一般的にマニフェストは、各候補者におきまして、四年間の任期中に実現を図る公約として、具体的な事業や項目を中心に示されるものと理解をいたしております。  参議院選挙の結果と新内閣についてのお尋ねがありました。  さきの参議院議員通常選挙の結果につきましては、政治資金の問題や閣僚の不規則発言、年金問題等に対する国民の批判にあわせまして、現在の構造改革がもたらした地域格差の顕在化に対する地方の不安が表明されたものと受けとめております。  一昨日、新たに福田自民党総裁が総理大臣に指名されました。本格的な人口減少、超高齢化社会の到来やグローバル化の進展などの時代潮流に適切に対応いたしますため、持続可能な社会保障制度の構築や行財政改革など各般の改革を進めるということは、我が国の基本的な方向であると考えておりますが、これらの改革を進めるに当たりましては、社会的格差や地域間格差の拡大、固定化が進むことのないよう、地方に対する十分な配慮のもとで行われることが極めて重要であり、バランスのとれた保守本流の伝統を受け継ぎ、新しい内閣にはこのような観点に基づく施策の展開を強く期待しているところであります。  地方分権と財源問題についてのお尋ねであります。  今後の地方分権改革が真に自主性、自立性を高めるような改革となりますためには、地方の税財政基盤を確立することが何よりも重要であると考えております。  近年、大都市圏を中心とした景気回復に伴います法人二税の増収等を背景に、地域間の税収格差が広がり、大都市圏と地方圏の財政力格差は拡大傾向にあることなども踏まえますと、法人二税と消費税の交換や法人事業税の分割基準の見直しなどが必要であると考えているところであります。  また、どのような税制といたしましても、最終的に財源の地域偏在性を解消することは困難であると考えており、地方の財源不足は国が責任を持つという現行の地方財政制度の基本的な仕組み自体は堅持することが必要であると考えているところであります。  特に、過疎地域や離島等が多い本県にとりましては、どのような地域におきましても最低限のナショナルミニマムが確保されますよう、国において十分な財政的配慮が必要であり、地方自治体の安定的な財政運営に必要となる地方税、地方交付税等一般財源総額を確保いたしますとともに、地方交付税の財源保障機能、財源調整機能を堅持することが必要であると考えているところであります。  川内原発の増設についての見解についてのお尋ねがありました。  原子力発電につきましては、安全運転の実績を積み重ねていくことが極めて重要であり、またあわせて、徹底した情報公開をすることにより、国民の信頼を得ながら原子力の有効活用を図ることが最も大切であると考えております。  現在、九州電力は、川内原子力発電所の増設を検討するための環境調査を行っているところでありますが、増設の問題につきましては、県といたしましては、要請があった時点で、徹底的な情報公開のもとに、安全性の確保や環境保全の問題も含めまして十分な議論を尽くした上で、地元の意見も十分に聞いて判断してまいりたいと考えております。 28 ◯総務部長(原田耕藏君) 事業仕分けにつきましては、行財政改革の一手法として、岐阜県を初め、九県九市で導入されていると伺っております。  本県におきましては、これまでも、毎年事務事業総点検を通じて、すべての事業を対象として見直しを行いますとともに、外部の有識者で構成をいたします行政評価監視委員会における行政評価の結果を予算に反映した上で、県として実施すべき事業を予算に計上しているところでございます。さらに、行政需要がこれからますます複雑多様化していく中で、地域社会の構成員が行政サービスを協働して提供する共生・協働の仕組みづくりにも積極的に取り組んでいるところでございます。  このように、さまざまな手法で事業仕分けと同様の趣旨の取り組みを行っているところでございますが、今後も厳しい財政状況が続くと見込まれますことから、これらの取り組みをさらに徹底してまいりたいと考えております。  共生・協働の地域社会づくりの進捗についてでございますが、本県におけるNPO法人の認証数は、平成十六年度末が百七十一法人、十七年度末二百七十四法人、十八年度末は三百七十六法人と、ここ数年、毎年百件程度ふえてきております。  また、共生・協働の地域社会づくり助成事業につきましては、在宅の高齢者や障害者の支援、子育てサポート、地域の交流人口増加へ向けた取り組みあるいは河川環境保全への取り組み等さまざまな分野において、自治会やNPO等の活動に対し幅広く助成をいたしておるところでございます。  企画公募事業につきましては、九州新幹線全線開業に向けた観光客受け入れ体制づくりや近代化遺産に対する認識の醸成等に対して企画案を募集し、協働で実施をいたしております。  こうした取り組みによりまして、NPOや自治会等の主体的な活動の範囲が拡大し、事業実施能力の向上につながっておりますとともに、NPO法人の飛躍的な増加や市町村における協働の視点に立った施策の展開など、共生・協働の地域社会づくりの重要性が県民の間に徐々に理解されてきているものと考えております。  今後の取り組みについてでございますが、共生・協働の地域社会づくりを進める上で、地域コミュニティの再生は重要な課題であると認識しておりますが、一方で、高齢化・過疎化により地域コミュニティの維持が難しくなっている状況もございます。このため、市町村におきましては、集落を超えた広域コミュニティの構築や職員の地域担当制への導入など、地域コミュニティ再生のためのさまざまな手法が講じられておるところでございます。  一方、お話にありましたように、鹿屋市柳谷町内会のように、住民総参加の生産活動を基本に自主的な共生・協働の地域社会づくりを進めている集落もございます。  県といたしましては、現在進めております共生・協働型の地域コミュニティのあり方に関する研究会におきまして、こうした県内の状況や活動事例も参考にしながら、コミュニティ活動のあり方や活性化の方策につきまして検討を進め、今後の市町村と連携した施策に反映してまいりたいと考えております。 29 ◯選挙管理委員会委員長(鎌田六郎君) 開票事務の迅速化・効率化につきましては、これまでも、各市町村選挙管理委員会におきまして、作業環境の改善などさまざまな取り組みがなされてまいっております。  今回の参議院議員通常選挙におきましては、前回に比べ全体といたしましては改善が見られたところでございますが、一部に改善のさらなる努力が必要な市町村も見られました。  また、全国の状況と比較いたしますと、本県におきましては、比較的小規模な開票区が多く、それぞれ一定数の事務従事者は必要な中で人員の削減ということにも限界があるなど、効率化を図りにくい状況にございました。ただ、これからもさらなる努力が必要であると考えております。  今回の開票事務の状況を踏まえまして、迅速化・効率化についてさらに改善の余地のある市町村を中心に、その実情に応じながら、開票所のスペースの拡充あるいは冷房などの環境の整備、それから投票用紙読み取り分類器の活用、さらには先進的な事例の紹介や開票事務従事者への研修の充実など、具体的な改善策につきまして市町村選挙管理委員会に助言を行ってまいりたいと考えております。  選挙公報についてでございますが、選挙公報の配布につきましては、各市町村選挙管理委員会が自治会等組織の活用や業者への委託、郵送などにより行っておりますが、今回の参議院議員通常選挙におきましては、一部の市町村で、自治会等への未加入世帯など約五百五十世帯に配布漏れがあったところでございます。  原因といたしましては、自治会等を通じた配布におきまして、各世帯への配布が必須であるという認識や行政連絡員等に対する指導が不足していたことなどが挙げられると思います。  このため、県選挙管理委員会では、直ちに当該市町村選挙管理委員会に対しまして、行政連絡員等に対する指導の徹底や必要に応じた郵送などによる配布など、今後、選挙公報の配布漏れが生ずることのないよう要請したところでございます。  県選挙管理委員会といたしましては、今後とも、市町村選挙管理委員会と協力し、選挙公報の各世帯への配布が徹底されるよう努めてまいりたいと考えております。 30 ◯企画部長(篠原俊博君) コンビニエンスストアとの協働事業についてでありますが、企業の社会的責任に対する認識が高まる中、行政との協働により社会貢献活動に取り組む企業があらわれておりますが、本県におきましても、今月十四日にコンビニエンスストア二社と協働事業に関する協定を締結したところであります。本協定におきましては、災害時の対応を含めた地域の安全・安心の確保、地産地消、観光や県産品の情報発信など、九つの分野で協働事業を実施することといたしておりまして、その内容につきましては、県の広報媒体等を通じまして県民に周知してまいりたいと考えております。  県といたしましては、今後とも、社会貢献活動に取り組む企業との協働を進め、地域活性化や県民サービスの向上に努めてまいります。
    31 ◯危機管理局長(内門公孝君) 宮城県の災害支援目録制度は、大規模災害発生時に各自治体及び防災関係機関が応急活動に必要となる物資や資機材等を円滑に調達できるよう、あらかじめ企業等が仮設住宅やトイレの供給、医療技術者の派遣等の支援できる項目を登録するものであります。  本県におきましても、民間事業者などとの災害時における協力体制を構築しておくことは防災対策上重要なことと考えており、現在、応急仮設住宅の建設、生活物資の供給、救援物資等の輸送など、十五項目四十一件の協定を締結しております。  今後とも、災害時に必要な物資等の確保に向けて、民間事業者等の協定の締結を推進するとともに、災害支援目録制度の導入についても検討してまいりたいと考えております。 32 ◯警察本部長(藤山雄治君) 警察職員による不祥事案は、法秩序の維持を任務とする警察にとって、これまで積み上げてきた県民の県警察に対する信頼を一瞬にして失わせる結果をもたらすものであり、決してあってはならないものと認識をしております。  不祥事案防止の取り組みにつきましては、これまで、業務管理の徹底や適正な職務執行等、不祥事案の防止に関する各種通達・教養資料を発出し、指示・教養を徹底しているほか、各所属に対する監察、巡回指導の実施、職務倫理教養や個々の職員に対する身上把握、指導等に取り組んでいるところであります。  また、今般の警察官による女性射殺事案を受けて、身上把握及び業務管理の徹底についての通達を発出し、不祥事案防止を指示したところであります。  今後も、こうした対策を充実・強化し、業務管理の徹底と職員の資質の向上や士気の高揚を図るなど、職員による不祥事案を防止するための諸対策に万全を期してまいりたいと考えております。  県内における暴力団の資金獲得活動については、従来からのみかじめ料の要求、賭博、覚せい剤の密売といった違法行為のほか、最近は、金融、不動産、建設等の表社会での事業活動への進出が見られるなど、資金獲得活動を多様化させている実態にあります。  最近検挙した事例としましては、幹部組員による賭博事件、県外暴力団組長等による覚せい剤密売事件、幹部組員による公共事業に絡む労働者派遣事業法違反事件、右翼標榜団体による企業対象暴力事件等があり、これらはいずれも資金獲得を目的として敢行された事件であります。  県警察としましては、引き続き、ヤミ金融事犯、覚せい剤等密売事犯、社会運動を装った資金獲得事犯等、多様な資金獲得活動の取り締まりを強化するとともに、暴力追放推進センターとの連携による各企業に対する暴力団排除取り組みへの支援、自治体との連携による公共工事等への下請参入阻止等、各種事業活動からの暴力団の排除を強力に推進してまいりたいと考えております。    [持冨八郎君登壇] 33 ◯持冨八郎君 それぞれ御答弁をいただきました。  マニフェストについてはおおむね順調ということで、残された一年については三つの挑戦にしっかり力を入れると、県庁一丸となって大胆にスピード感を持って頑張ると、こういうことでございました。大変厳しい現状でありますけれども、一年一年が大事ですのでよろしくお願いしたいと思います。  参議院選挙後、また自民党の総裁選の間でも地方では、「改革の痛みがあらわれた」、「改革の陰の部分に光を当てなければならない」と、そういう声がたくさん聞かれました。国と地方の行財政改革について、改革は進めなければならないが、一方、改革に伴う陰の部分である負担増による痛みや格差の緩和など、国民生活に重きを置いた方向に政策を修正する必要があります。政府に対して、我々も地方の声を率直に届けてまいりたいと思いますので、知事におかれましても、地方交付税のことなど国に強く要望をしていただきたいと思います。  選挙開票事務については、選挙管理委員会としても一生懸命取り組んでいるということでございますけれども、自治会の未加入世帯ということは当然これは想定できることでありますので、全戸配布がしっかりなされますように取り組んでいただきたいと思います。  共生・協働の社会づくりは、行政の皆さんが知恵を絞り、汗を流した分だけ地域の方々のモチベーションが上がると、そのように思っております。住民の地域力が薄れている中で、本当に地域が元気が出るようにリーダーシップを発揮されるよう、よろしくお願いしたいと思います。  災害時の防災協力につきましては、本県は台風や豪雨災害により毎年多大な犠牲が出ております。危機管理局を設置して万全な体制づくりに鋭意取り組んでいるところでありますが、先ほど宮城県の例も検討していきたいということでありますけれども、しっかりと災害に対する備えをしていただきたいと、このように思います。  川内原子力発電所の件につきましては、改めて環境影響調査と増設は別であることを確認をさせていただきました。原子力行政は、国民の信頼を得ながら進めることが大事であると、こういうことでありますけれども、しっかりと情報公開し、議論をし、そして納得がいく結論を出されますようによろしくお願いしたいと思います。  次に、企画建設行政について。  まず、奄美群島振興開発特別措置法に関連して質問をいたします。  平成十六年四月に施行された新しい奄美群島振興開発特別措置法に基づき策定した奄美群島振興開発計画では、地元の創意工夫を生かして奄美群島の自立的発展と豊かな住民生活を実現することを目標に掲げて、延長がなされました。しかしながら、住民の反応は、自立とはかけ離れているのではないかという声を聞くことがあります。  そこで、自立に向けたこれまでの取り組みと成果についてお聞かせください。  また、自立のためには、奄美の観光と農業を伸ばすことが重要であると考えます。奄美では、近年、各種団体のスポーツ合宿が盛んに行われております。平成十八年度は奄美市に一万四千百十一人が訪れ、県内でも断トツの受け入れ人数であります。さらに利用者増を図るために、プロ野球、Jリーグ等の合宿誘致やそのためのグラウンドや競技場の整備が必要だと思いますが、見解を伺います。  また、振興開発では、自立的発展のために各市町村の意向を聞くことを重視しております。その上で、広域的な観点から、今後の奄美の方向を県がコーディネート役として指導力を発揮すべきであると考えますが、考えをお聞かせください。  次に、奄美の農業の主軸であるサトウキビ栽培は一月から三月が農繁期でありますが、ちょうど公共事業の繁忙期と重なっております。奄美における公共工事を十二月に完了すれば、農繁期と公共工事の繁忙期をずらすことで地元の雇用促進にもつながると考えます。  そこで、北海道や東北などでは、降雪のため公共工事を十二月までに終える配慮がありますが、奄美地域振興のためにも、十二月までに工期を終える対策をすべきであると思いますが、見解を伺います。  次に、二〇〇九年皆既日食についてお尋ねをいたします。  二〇〇九年七月二十二日に、今世紀最大の皆既継続時間と言われる皆既日食がトカラ列島を中心に観測でき、まさに世界的な天文イベントが展開をされます。日本で次に観測されるのは二十六年後の二〇三五年です。二〇〇六年に観測された皆既日食では、エジプトのサルームで日本人約三百人を含む七万人が訪れました。また、リビア南部のワウアナムス村には日本人六十人を含む二千人が訪れたと言われております。  これまでも本会議で質疑が交わされておりますが、いよいよ二年後に控え、県として具体的な対策を打ち出さなければならない時期と思います。十島村では、現在、最大三千人が受け入れできる限度のようであります。そこで、県として、輸送、宿泊、水、トイレ、ごみ処理等についてどのように対応を考えておられるのでしょうか、お聞きします。  また、種子島、屋久島、奄美大島、喜界島等でも観測できるようであります。奄美では、カウントダウンのレイブパーティー、いわゆる音楽イベントの開催も企画されているようであります。二〇〇六年のトルコのアンタリアで開催されたレイブパーティーには、観客一万五千名を集客いたしました。悪石島での開催の申し出もあったと聞いております。  そこで、この世界的なイベントを本県の情報発信に活用するために、県が中心となって市町村と連携すべきであると思いますが、見解を伺います。  次に、農林水産行政について伺います。  初めに、食の安心・安全についてであります。  ミートホープの食肉偽装事件、チョコレート菓子「白い恋人」の賞味期限改ざん等、食品の安心・安全に対する信頼が大きく損なわれております。全国的には、利潤追求が優先し、消費者を裏切り、結果として会社も壊滅的な打撃を受けております。長期間にわたって偽装や改ざんがなされていたにもかかわらず、監視の目が行き届かず、内部からの通報によって発覚したことを考えると、監視体制が機能していなかったのではないかと思わざるを得ません。決して他県のこととして済ますわけにはまいりません。農業立県鹿児島にとって、安心・安全な農産物を届けることこそ消費者の信頼を得ることにつながります。  そこで第一点は、昨今のコンプライアンスの欠如について、知事の認識をお聞かせください。  次に、都市と農村の交流による農山漁村の活性化について伺います。  国立社会保障・人口問題研究所の統計によれば、既に日本の人口は減少に転じ、二〇五五年には約九千万人になると予想をされております。また、二〇三〇年には我が国の人口の三人に一人が高齢者になるなど、高齢化が急速に加速をしております。人口の減少と高齢化は農山漁村では特に顕著で、深刻な問題であります。  国としても、農業者の高齢化や後継者不足の深刻化により地域農業が脆弱化しないよう、活性化に向けた取り組みが進められているところでありますが、同じ業種でも地域によって状況は異なり、それぞれの地域がそれぞれの特徴を生かした独自の取り組みが求められております。  農水省では、具体的な政策目標として、平成二十八年度までに農産漁村への定住者百五十万人増、二地域居住者三百万人増を掲げ、国を挙げて農山漁村と都市の交流を図る方針を決めております。農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律に基づき、農山漁村活性化プロジェクト支援交付金とあわせて、制度面、資金面でも農山漁村の活性化を強力に促進することにしております。  そこで第一点は、本県における農山漁村活性化のために、これまで実施された元気な地域づくり交付金による活性化の取り組みと農山漁村活性化プロジェクト交付金について、今後どのように取り組み、地域の活性化につなげていくのか伺います。  第二点は、スローフードやスローライフなど農村の持っているゆとりや安らぎといった価値が見直され、都市と農村の交流による農山漁村の活性化のために、グリーン・ツーリズムが盛んになってきております。本県におけるグリーン・ツーリズムの現状と今後の取り組みについてお聞かせをください。  次に、森を守り育てる事業について伺います。  森林は、木材の生産はもとより、地球温暖化の防止、土砂流出・崩壊の防止、水源の涵養、良質な景観の形成、生物の多様性の保全、健康の増進など、私たちの安全で快適な生活に欠かせないさまざまな働きを持っております。  一方で、林業従事者の高齢化や経費の高騰で、放置された森林がふえ、森林所有者による自助努力だけでは森林を守り育てるには限界があります。こうした現状を打開するため、地域や企業の力をかりて森林の再生を図ろうという試みがなされております。  先日、視察で訪問した京都では、モデルフォレスト事業として、住民、ボランティア、企業、行政一体となって森を守り育てる事業に取り組んでおりました。会派で北海道を視察した折にも、森の恵みに感謝し、木に親しむ「木育」という言葉で、道民の森林、緑を育てる事業に取り組んでおりました。  そこで、森林を守り育てる事業は今後ますます重要になると考えますが、本県の取り組みについてお伺いをし、二回目の質問といたします。 34 ◯企画部長(篠原俊博君) 奄美群島振興開発計画の成果についてでございますが、現行の奄美群島振興開発計画におきましては、和光バイパスや名瀬港の客船専用バース等の交通基盤の整備のほか、平張り施設等の園芸農業基盤の整備、大和ダム等生活基盤の整備など、自立的発展を支える基礎条件の改善が図られてきております。  また、将来の奄美の農林水産業等の担い手の育成を進めるとともに、タラソテラピー施設の整備、世界自然遺産登録を目指した取り組みなど、奄美の魅力や資源を活用した癒しの島づくりのための産業・観光等の諸施策の展開を図ってきております。  さらに、民間におきましても、企業立地や黒糖焼酎産業の進展、NPO等による地域づくりなどの動きがあらわれてきております。  奄美の自立的発展のコーディネートについてでございますが、奄美群島の自立的発展を目指すために、県は平成十六年度に、国の基本方針を踏まえ、市町村の計画案の反映に努めながら、奄美群島振興開発計画を策定したところであり、現在、同計画に基づき、各市町村及び奄美群島広域事務組合等におきまして、社会基盤整備や産業振興等の各般の施策、取り組みを展開しております。  また、現行特別措置法の延長に向けまして、現在実施している総合調査におきましても、県といたしましては、市町村等と一体となって、今後の奄美群島の振興方策等を検討しております。  今後とも、奄美群島の振興開発につきましては、地域の個性と地元の創意工夫を生かした主体的な地域づくりが不可欠であると考えておりますが、県といたしましては、広域的な観点から必要な助言・調整を行い、地元市町村等と緊密な連携を図りながら、群島の自立的発展に向けた取り組みを積極的に推進してまいりたいと考えております。  二〇〇九年の皆既日食についてでございますが、二〇〇九年七月二十二日の皆既日食は、皆既継続時間が今世紀最大であるなど、世界的に注目されておりまして、観測条件のよいトカラ列島を中心とする島嶼部には、国内外から多数の観測者や観光客等の来訪が予想されることから、県といたしましても、観光振興や地域振興などにつながるものと考えております。  一方、陸域での観測地はこれら島嶼部に限定され、この地域では、交通や衛生、環境などさまざまな分野にわたる課題への対応が求められることから、県といたしましては、去る六月、関係市町村と二〇〇九皆既日食関係自治体連絡協議会を設置したところでありまして、今後想定される課題への対応について検討を進めるとともに、各地域における受け入れ体制の状況等についての情報発信を適切に行ってまいりたいと考えております。 35 ◯観光交流局長(庭田清和君) 奄美群島のスポーツ合宿の誘致等についてでございますが、奄美地域は、冬場の温暖な気候や起伏に富んだ地形から合宿地としての評価も高く、また、行政と民間が一体となって積極的な誘致活動を行っている県内でも有数のスポーツキャンプ地でございます。  平成十八年度におきましては、奄美群島全体で百三十九団体、延べ約二万二千人が合宿を行っておりまして、県内随一の実績となっております。また、受け入れ施設につきましても、名瀬運動公園や天城クロスカントリーパーク等、各市町村に各種施設が整備され、一層の充実が図られてきております。  県といたしましては、今後とも、スポーツキャンプ対策県連絡会や大島支庁に設置をいたしました地域連絡会を通じまして、地元市町村などと一層の連携を図りながら、受け入れ体制の整備を促進いたしますとともに、プロを初め、学生や社会人などを対象とした誘致活動を進めるほか、スポーツ施設の整備につきましても関係市町村と連携を図ってまいりたいと考えております。 36 ◯土木部長(真下和彦君) 公共工事の執行に当たりましては、これまでも、地域経済や雇用の安定にも配慮し、早期発注や債務負担行為の活用を図りながら、上半期での事業量確保に努めてきたところであります。  奄美地域におきましては、社会基盤整備を着実に推進するため計画的に公共工事を進める必要があると考えておりまして、今後とも、早期発注に努めるとともに、地域雇用の形態にも配慮しながら適切な執行に努めてまいりたいと考えております。 37 ◯農政部長(北薗幸夫君) 食の安心・安全についてでございますが、今般の食肉偽装事件や賞味期限の改ざん等につきましては、消費者に信頼されるべき食品業界全体に対し不信感を持たれかねない不適切な事態であると認識しております。  食の安心・安全の確保を図りますためには、食品業界全体において、食品表示に関する法令の遵守や企業倫理の確立に向けた取り組みを改めて徹底していただく必要があると考えており、今回の自体を踏まえ、県下の食肉業界や菓子業界等に対し、関係法令の遵守、内部管理体制等の確立などの指導を行ったところでございます。  県におきましては、国と連携し、食品表示が適正に行われるよう、これまで、立入検査員による小売店舗や製造・流通業者の表示実態調査を行いますとともに、食品表示一一〇番や食品表示指導員の設置、さらには一般消費者から成る食品表示ウォッチャーを配置して、表示に関する情報の収集と、それに基づく確認調査や立入検査を行うなど、監視・指導に努めているところでございます。今後とも、関係機関・団体と連携を図りながら、食品表示の適正化に努めてまいりたいと考えております。  農山漁村活性化のために、これまで実施してまいりました元気な地域づくり交付金につきましては、平成十七、十八年度の二カ年間にわたり、県内六十六地区におきまして、都市と農村の交流や耕作放棄地の発生防止、景観に配慮した農地と用水路の整備等が進められてきたところでございます。平成十九年度からは、団塊の世代や若者の活力を取り込んだ農村地域への定住及び都市農村交流の増加等を目的とした農山漁村活性化法に基づく新たな交付金に移行したところでございます。  事業の実施に当たりましては、定住人口の確保や交流人口の増加等を目標とする活性化計画を策定することとなっており、現在、県内では六市町において、農林水産物直売施設や市民農園等の整備を内容とする計画を国に提出しているところでございます。  県といたしましては、地域の実情に応じた農山漁村の活性化が図られますよう、必要な支援に努めてまいりたいと考えております。  グリーン・ツーリズムにつきましては、県は、これまで、曽於市坂元地区のソバのオーナー制度など、市町村等による都市農村交流活動への支援や、農家民宿の開業希望者等を対象とした各種規制緩和措置の研修会等を開催してきたところでございます。平成十九年度からは新たに、年間を通じての農作業体験や地域ぐるみでの都市住民の受け入れ等を促進するため、農家民宿や農家レストランの運営等に関する専門家の派遣、団塊世代の受け入れを支援するNPO等が参画した情報交換会の開催等により、各地域のグリーン・ツーリズム実践者や観光関係者等が連携したネットワークの形成を目指すことといたしております。  今後とも、農業・農村が持つ豊富な地域資源を生かした特色ある活動が県内各地で展開されますよう努めてまいりたいと考えております。 38 ◯林務水産部長(上園 淳君) 森を守り育てる事業についてでございますけれども、森林所有者の高齢化、不在村化等が進行する中で、県といたしましては、森林組合等の林業事業体を森林整備の中核的担い手として位置づけまして、森林施業の団地化や森林づくり推進員による督励等により、森林所有者の施業意欲の喚起や森林整備への助成、林内路網や林業機械の整備への支援を行うなど、各般の施策を積極的に講じているところでございます。  また、多面的機能を持った健全で多様な森林づくりには、広く県民の理解と協力が必要でありますことから、森林環境税を活用いたしまして普及啓発に取り組んでいるところでございまして、最近では、地域や企業による森林づくりへの参加事例も見られるようになってきております。  今後とも、森林組合等林業関係者のみならず、ボランティア、企業なども含めた多様な主体による森林整備が一層促進されるように取り組んでまいりたいと考えております。    [持冨八郎君登壇] 39 ◯持冨八郎君 それぞれ御答弁をいただきました。  奄美にとって奄美群島振興開発特別措置法の延長、奄振は死活問題であります。奄美の持続的発展のために奄振延長を実現しなければならないと思っておりますし、我が党も奄美ティダ委員会を中心に尽力したいと思います。  奄美の持続的な発展のために地元の自主性は尊重しながらも、先ほど申し上げました公共事業の時期の問題や世界自然遺産登録を含めた広域的な活性化策につきましては、県のリーダーシップを期待しておきます。  食の安心・安全につきましては、企業体質が一番であると思いますが、偽造や改ざんが食品表示一一〇番に情報が寄せられていたにもかかわらず、長く放置されてきたことが問題であります。制度があってもしっかりと機能しなければ何もなりません。食の安全は人の命に直結するという緊張感を持って、厳しい調査と監視に努めていただきたいと要望をしておきます。  森を守り育てる事業につきましては、森林が木材の供給もさることながら、環境保全の側面で見直さなければならないと考えております。  地球の平均気温が、十八世紀工業化以前に比べて二度以上上昇すると気候変動が大きくなり、社会や生態系が壊滅的な打撃を受けると言われております。脱温暖化社会の大きな役割を果たすのが森林でありますので、しっかりした取り組みをお願いしたいと思います。  次に、環境生活厚生行政について伺います。  初めに、文化芸術振興についてであります。  二〇〇一年文化芸術振興法が制定されてから、文化芸術振興に関する文化庁の予算は大幅に増額をされました。我が党は、文化芸術立国を訴え、同法の制定と予算の増額に尽力をしてまいりました。それでも諸外国と比べて予算全体に占める割合は大変低いと言わざるを得ません。昨今の殺伐とした世相を考えると、長期的に見ると、文化芸術の振興は心を耕すという意味で大変大切な事業であると考えております。  平成十六年第三回定例会において、私は文化芸術振興条例の制定を提案いたしました。本県においても同条例が策定され、文化芸術振興指針が策定されております。  文化芸術振興に取り組む理念はすばらしいわけでありますが、予算の裏づけはどうなっているのでしょうか。  お尋ねする第一点は、文化振興に関する予算と具体的な取り組みについてお示しください。  第二点は、文化芸術の活動者を把握し、その活動内容を周知するとともに情報を提供するといういわゆるアーティストバンクについて伺います。  本県の文化芸術振興指針にも取り上げられておりますが、本県の取り組み状況をお聞かせください。  また、先日、会派の視察で訪問した小樽市では、行政が芸術家の選考や格付をするのではなく、芸術家の価値は利用者である住民に任せて、アーティストバンクには芸術家本人が登録をする。施設の利用等の割引はするけれども、行政は芸術家と住民のパイプ役に徹しており、まちづくりのイベント等に活発に活躍されておりました。このような小樽のアーティストバンクの取り組みを採用する考えはないか伺います。  次に、がん対策について伺います。  がんは、我が国の死亡原因の第一位であり、近い将来、三人に二人はがんになり、二人に一人はがんで死亡するようになると言われております。政府においても対がん十カ年総合戦略を展開し、がん撲滅に力を入れております。  一方で、がん患者や家族は良質な医療あるいは的確な情報がほしいなどがん診療への不満を持っております。地域によっては治療成績に格差があることから、病院を転々とするがん難民が生まれております。  どこでもがんの標準的な専門医療を受けられるよう医療技術等の格差是正を図るいわゆるがん医療水準の均てん化が求められております。  がん対策については、何回も本会議で質問をしてまいりましたが、本年六月に国のがん対策推進基本計画が閣議決定されました。今後、本県においても県がん対策推進基本計画を策定することになると考えますが、以下、質問をいたします。  第一点は、県には、今年度中に県がん対策推進計画を策定することが求められておりますが、どのようなスケジュールでどのような点に力を入れ、策定するのか、その方針をお聞かせください。  第二点は、県がん対策推進計画の策定に当たっては、がん患者の家族の声を取り入れる必要があると思いますが、どのようにしてがん患者の声を取り入れようとしているのかお聞かせください。  第三点は、本年度から開始される国立がんセンター等における指導者向けの研修会に県がん診療連携拠点病院の医師を派遣することになると思いますが、どのように認識しているのかお聞きいたします。  第四点は、国立がんセンター等における研修会の受講者を講師としてがん診療を行っている一般の医師を対象として緩和ケア等の研修会を行わなければならないことになっております。通常業務で忙しい中で、医師は時間を工夫し、研修をしなければならないわけですが、研修会をどの程度、またどのように開催していくのか伺います。  第五点は、県としては、がん診療連携拠点病院機能強化事業等を活用して、がん診療連携拠点病院に対する財政的な支援を充実させるべきではないかと考えますが、見解を伺います。  第六点は、がん検診の受診率五〇%を達成させるためには、がん検診ごとにきめ細かな取り組みを行う必要があると考えますが、各市町村においては現在どのような取り組みが行われているのか。また、どのような理由で受診率がなかなか上がらないのかお伺いをいたします。  次に、小児救急電話相談事業について伺います。  小児救急電話相談事業が八月二十日からスタートいたしました。この事業は、子供の急な発病に対する親の不安を解消するために夜間に看護師や医師が電話でアドバイスをする事業であります。幼い子供を抱える保護者にとっては、大変心強い見方になると思っております。  私は、お母さん方からの要望を受けて、平成十五年の六月議会で大分県の取り組みを紹介し、相談事業の整備を提案いたしました。その後、平成十六年度からは、厚生労働省の小児救急電話相談事業がスタートして、全国的な広がりを持つようになっております。
     私は、平成十八年三月議会でも再度取り上げ、本県もこの相談事業に取り組むべきであると要請をしてきたところであります。  そこで、ようやくスタートした小児救急電話相談事業の現状と県民への広報・周知についてお聞かせください。  次に、児童虐待防止対策について伺います。  児童虐待による痛ましい事件が頻発しております。平成十八年度の児童相談所における児童虐待相談対応件数は全国で三万七千三百四十三件に上り、年々ふえる傾向にあります。悲惨な事件から子供を守るためにも児童虐待を未然に防ぐ対策が急務であります。  通常国会では、虐待のおそれがある家庭に対して児童相談所の立ち入りを認めた改正児童虐待防止法が成立をいたしました。虐待防止に向けた取り組みが期待されております。  また、児童虐待防止ネットワークなど地域の各機関が連携して取り組むことが重要であると考えております。  さらに、厚生労働省は、深刻化する児童虐待について、虐待を受けて死亡に至った子供の事例を検証したところ、死亡した子供の四割が零歳児で、零歳児の中の八割が四カ月以下ということがわかりました。  また、行政がすべての子供に最初にかかわる機会が四カ月健診であることから、厚生労働省は、ことし四月から生後四カ月まで全戸訪問事業をスタートさせました。また、これと連動する事業として育児支援家庭訪問事業があります。  そこで、第一点は、本県における児童虐待の現状と傾向についてお示しください。  第二点は、本県における地域と連携を含めて児童虐待防止の取り組みについて伺います。  次に、「健康かごしま21」について伺います。  急速な高齢化と食生活の変化等で生活習慣病や要介護高齢者が増加する中で、県民一人一人が健康で生き生きと生活できるようにと、健康寿命を延ばし、生活の向上を目的として、平成十三年度から「健康かごしま21」の運動がスタートしております。  健康の実現は、個人の健康感に基づき、一人一人が主体的に取り組む課題であることが基本でありますが、住民が主体的に健康づくりを実践できる環境整備や情報の提供等を行い、個人の健康づくりを社会全体で支援することが重要であり、その成果を大いに期待しているところであります。  そこで、第一点は、この中間評価が発表になりましたが、これまでの成果と課題についてお示しいただくとともにセカンドステージの取り組みについてお聞かせください。  第二点は、鹿児島県地域・職域・学域連携推進委員会について伺います。  今日まで体力の向上は、体育の授業やスポーツ大会等学校と地域が中心であったように思います。企業すなわち職域が入ったことは、実効性を上げる上で大変大事な視点であると思っております。  そこで、鹿児島地域・職域・学域連携推進委員会のねらいと取り組みについてお聞かせください。  第三点は、健康で長生きしたいというのはみんなの願いであります。本県は、既に長寿県であり、奄美の例を出すまでもなく、自然の食材やタラソテラピーなど健康によい取り組みをいろいろとしておるところであります。健康長寿県鹿児島、暮らしやすさ日本一を全国に発信するためにも県民、学校、地域、企業など県民総ぐるみで健康増進に取り組み、実効性を上げることが大事だと思います。  既に三重県、秋田県が条例を制定しているようでありますが、実効性を上げるために(仮称)健康長寿鹿児島づくり条例の制定を提案したいと思いますが、見解をお聞かせください。  次に、障害者自立支援について伺います。  平成十八年四月から、障害者が地域で安心して自立して生活できるサービスの基盤整備を目指して障害者自立支援法が施行されました。  精神障害者の方も含めて一元的にサービスを受けられるようになったこと、財力差による自治体間の不公平も解消され、どこでもだれでも必要なサービスを公平に利用できるという法の趣旨はよかったのですが、障害者の方々からは厳しい現実の声をお聞きいたします。  そこで質問いたします。  第一点は、本県における授産施設利用者の勤労収入と食費等の自己負担の現状について示すとともに、この現状をどのように認識しているのかお答えください。  第二点は、授産施設での工賃増のためには、付加価値の高い売れる商品の開発、販路の開拓、宣伝・広報等助言や支援が必要と考えますが、本県における授産施設の勤労収入の増加に向けた支援の取り組みについてお聞かせください。  愛知県では、中小企業診断士による工賃倍増アドバイザー制度を設けて授産施設での勤労収入増加に取り組んでおりますが、本県にも導入する考えはないかお尋ねをいたします。  第三点は、授産施設での経験を生かして企業で働きたいとの希望もありますが、本県の障害者雇用の現状と雇用促進に向けた取り組みについてお聞かせください。  次に、文教商工行政について伺います。  初めに、中小企業対策について伺います。  最近は、大企業の好業績を背景に景気回復が進んでおりますが、その恩恵を大都市から地方へ、大企業から中小企業へ、中小企業から家庭へという波を確実にするための政策が重要であります。  景気回復の恩恵を十分に受けられず厳しい経営を余儀なくされている中小企業にとって、事業再生のニーズは依然高いのが現状であります。  具体的には、企業立地を促進する税制の検討や中小企業に対する金融経営支援の強化、高齢化した中小企業者が後継者に容易に事業を託すことができるようにすることなどであります。  昨年七月に政府・与党が決定した経済成長戦略大綱を具体的に進めるための関連三法が今国会で成立をいたしました。その具体策として、地域経済の成長力向上に向けて、それぞれの地域の企業、金融機関等が自治体と連携して支援する地域力再生機構が創設されました。  産業再生機構の地方版とも言える地域力再生機構と経済産業省が主導する県の中小企業再生支援協議会との業務分担を図る上での課題と今後の取り組みについて伺います。  次に、中小企業庁によれば、中小企業向けの融資総額は二百五十兆を超す中で、担保となる土地の資産規模は八十六兆円と、融資総額の三分の一程度であります。  一方、中小企業が保有する売り掛け債権の資産規模は九十一兆円で、在庫品は四十七兆円と、合わせれば百四十兆円近くに達します。  そこで我が党は、中小企業の資金調達手段の多様化のために、流動資産を担保として活用できる信用保証制度を創設すべきと主張して、中小企業に対する流動資産担保融資保証制度の拡充を促進してまいりました。  そこで、この制度に対する見解と本県の利用件数、利用額をお示しいただくとともに、今後、事業者に対して周知徹底を必要と考えますが、対応策をお示しください。  次に、キャリア教育について伺います。  二〇〇七年度青少年白書によると、二〇〇三年の新卒者の三年以内の離職率が、中卒で七〇・四%、高卒で四九・三%、大卒で三五・七%と高く、中・高・大の順に七・五・三現象として定着しつつあることを指摘しており、職業感を身につけ、主体的に進路を選択する能力を育てるキャリア教育強化の必要性を強調しております。  先日、北海道の小樽商業高校を視察した折、キャリア教育の取り組みとして、小樽の観光資源を見直し、魅力ある観光都市のための調査・研究を行い、新たなまちづくりを提案できる人材育成を目的に一生懸命に実践されておりました。  生徒たちが外国人旅行者や高校生などの見学旅行者を対象とした調査・分析を行い、旅行者の希望や目的に合ったモデルコース及び観光パンフレットの検討を行っておりました。  小樽市内の観光資源となり得る小樽運河等について、その歴史的な背景を含めて実態調査を行っておりました。地元新聞にも「小樽観光PRに高校生が知恵を発揮し」と題して取り組みが紹介されておりました。高校生に意欲を持たせるすばらしい取り組みであると思いました。  そこで、キャリア教育の本県における現状を示すとともに、自分の地域を活性化する人材育成を目的とした取り組みを行うべきと考えますが、いかがでしょうか。  また、この事業には専門高校を活性化するというねらいもあるようですが、本県では、専門高校を活性化するためにどのような取り組みを行っているのか、現状と今後についてお伺いをいたします。  次に、不登校対策について伺います。  一緒に遊び学ぶよき兄、姉の存在は、子供たちに安心感を与えるとともに、いじめに遭ったり、不登校傾向にある子供のよき話し相手、相談相手となることで子供たちの人間関係を修復する役割も期待できます。  そのために心理や教育関係の学科に通う大学生などを学校や家庭等に派遣し、子供や保護者を支援する取り組みがなされております。  滋賀県のスクーリングケアサポーター事業は、費用の半分を県が、残りの半分を市が負担して、小学校の不登校児童の相談相手として、大学生を児童の家庭や学校、学校への復帰を促すための適用指導教室などへ派遣するものであります。  滋賀県がスクーリングケアサポーターの前進であるメンタルフレンド事業を三年間の試験事業としてスタートさせたのは六年前のことであります。  こうした結果、県は二〇〇四年度から正式にスクーリングケアサポーター事業として立ち上げ、予算も大幅に増額をいたしました。二〇〇四年度は、七十七人の大学生を延べ二千五百回、二〇〇五年、二〇〇六年度は、八十人以上の大学生を延べ四千回ずつ派遣をしてきました。  その結果、昨年度はケアサポーターがかかわった三百十一人の児童のうち九割以上の二百八十六人に好転が見られ、教室に行けなかった百五十二人の児童のうち四割近い五十八人が教室に行けるようになったそうであります。ケアを受けた児童からも「先生に言えないことを気軽に話せるケアサポーターがそばにいると、教室に入れたり、皆と遊んだりできる」など好意的な反響が寄せられております。  私は、この事業により、子供たちが教室へ復帰することももちろん大事でありますが、もう一つは、教員を目指す大学生等がもっと子供たちの心を開く作業に汗を流しながら一緒に悩んだりする経験を積むことで、将来教員になったときの教員の資質向上にも結びつくと考えております。  そこで、本県においてもメイクフレンズ事業として取り組んでおられますが、その取り組み状況と今後の展開について伺います。  次に、モンスターペアレント対策について伺います。  常識を逸脱した保護者からの苦情に学校教員は悩まされております。モンスターペアレントという造語の生みの親である日本教育技術学会の向山洋一会長によると、その存在が目立つようになったのは五年前からのことであります。  向山さんの話によりますと、「中には職員室で何時間も怒鳴った後、『土下座して謝れ』と詰め寄る親もいて、精神的に追い詰められた教師の中には、自殺まで至ったケースもあります。こんな親が乗り込んできたら、先生たちは対応に追われ、とても正常な授業どころではなくなってしまいます。結果、子供たちが最大の犠牲になるのであります。そして学校全体の動きがぎくしゃくしていき、最後には学校そのものも疲れ果て、崩壊してしまう。それがモンスターペアレントの恐ろしさなのです」と語っておられます。  また、諸富明治大学教授は、こうした親たちの言動の特徴を二つに分類し、「一つは人騒がせ型。よくあるのが、『どうして仲のよい子とクラスを別にしたんだ』、『何でうちの子が写真の真ん中に写っていないのか』という親、そういうたぐいのもの。もう一つ深刻なのは、教師を本気でつぶしにかかるタイプであります。臨時の保護者会を開き、全員でやめろコールを大合唱、その場で退職願いを書かせるという保護者もいました。このタイプの親に目をつけられるとノイローゼ状態になり、退職させられるケースも少なくない」と述べております。  そうした理不尽な要求やクレームで教員が法的なトラブルに巻き込まれることを防ぐために、東京都港区は、契約した弁護士に区立の小・中学校などが直接相談できる制度を始めております。  さらに、向山さんは「地域のコミュニティーをもう一度きちんと機能させることこそ最大の対策」と訴えております。  「昔の大人の人には教育力があった。地域のコミュニティーがあったからであります。でも、これだけ地域社会が崩壊すると、一人一人の親の頑張りにも限界があります。だからこそ、家庭、学校、そして地域で子供をサポートしていく体制、例えば学校内にPTA会長や地元の医師などをメンバーとしたクレームの受付や処理をする機関をつくることも一つの方法である。実は地元の著名人には弱いんです。これだけでも非常識なクレームはかなり減少します」と述べております。  そこで、東京都港区で行われているように理不尽な要求やクレームで教員が法律的なトラブルに巻き込まれるのを防ぐために弁護士事務所などと契約して電話などによる相談窓口を設置すべきと考えますが、見解をお聞かせください。  さらに、地域コミュニティーの機能強化のため、学校内にPTA会長や地元などのメンバーによるクレームの受付や処理を行う体制をつくるべきと思いますが、見解を伺い、三回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 40 ◯知事(伊藤祐一郎君) 県がん対策推進計画の方針等についてのお尋ねであります。  本県におきましてもがん死亡者は年間五千人を超え、さらに毎年八千人から九千人の新たながん患者が発生していると推計され、がん対策は極めて重要な健康問題であると考えております。  今回、がん対策基本法に基づきまして、本県のがん対策推進計画の策定を進めておりまして、がん診療連携拠点病院、医師会及び患者団体等から成ります鹿児島県がん対策推進協議会の御意見も踏まえまして、さらにはパブリックコメントも通じて県民の意見も反映をし、本年度中に策定し、公表することといたしております。  当計画の策定に当たりましては、食生活や禁煙等によるがん予防の普及の徹底、がん検診の受診率及び制度管理の向上による早期発見体制の強化、さらには、がん診療連携拠点病院の整備や緩和ケアを含めた在宅医療などがん患者及び家庭の意見を反映した医療相談支援体制の充実等を盛り込んだ計画としたいと考えております。  県といたしましては、今後ともがん患者を含む県民の視点に立ったがん対策を実施し、各地域において安心してがん医療や相談を受けられる体制づくりに努めてまいりたいと考えております。 41 ◯環境生活部長(高山大作君) 本県の文化振興につきましては、平成十八年三月に策定いたしました県文化芸術振興指針に基づき、文化芸術の創造活動の促進と鑑賞機会の充実、地域文化の継承発展と地域づくりへの活用、また、文化芸術に係る人材の育成などに取り組んでいるところでございます。  平成十九年度の文化振興に係る県予算額は、約六億六千万円を計上いたしておりまして、具体的には、霧島国際音楽祭の開催、若き音楽家の育成、文化芸術によるまちづくりの支援、小・中学校等でのすぐれた舞台芸術の講演、また、本県文化芸術の情報発信の拠点となっております黎明館や霧島アートの森、美山コンセールや宝山ホールの運営など文化振興のための施策に取り組んでいるところでございます。  本県におきますいわゆるアーティストバンクの状況につきましては、鹿児島県民交流センターにおきまして、音楽、美術、文学など文化芸術関係のアーティストを登録いたしまして、インターネットで情報提供を行っております。  登録は、県文化協会や各種文化芸術団体等を通じて得られた情報につきまして、県などの公的機関が申請をして行い、県民から講師等の派遣要請があった場合は、申請者であるその公的機関が仲介する仕組みとなっております。  今後とも現行制度の運用によりまして、県内のアーティストの活動が促進され、県民が身近に文化芸術に触れる機会が拡大するよう努めてまいります。 42 ◯保健福祉部長(吉田紀子君) 県がん対策推進計画への患者等の声の反映についてでございます。  がん対策推進計画の策定に当たり、これまで本年六月から七月にかけ、がん診療連携拠点病院の協力を得て、がん患者及びその家族に対するアンケートを実施し、約百二十名の方から回答をいただきますとともに、八月には、大腸がんや乳がんなどの患者団体から具体的御意見をいただき、計画素案に意見を反映したところであります。  また、計画策定に当たり設置いたしました鹿児島県がん対策推進協議会にも二つの患者団体に御参加いただき、患者の立場から貴重な御意見をいただいております。  県といたしましては、今後ともがん診療連携拠点病院で受療中の患者やがん患者団体、さらには多様ながん患者から成る「つなげよう命のリレー実行委員会」などの協力も得て御意見をお聞きし、がん患者及びその家族の声を反映した計画を策定したいと考えております。  指導者向け研修会等についてでございます。  本県におけるがん対策を推進する上で、がん医療に携わる者への研修は極めて重要であると考えております。特にがん診療連携拠点病院は、がん医療の均てん化において中心的役割を担うこととなっておりますことから、国立がんセンターなどが開催する指導者向け研修会へは積極的な参加をお願いしているところであります。  この十月に同センターで開催される精神腫瘍学の基本教育及び緩和ケアの基本教育の指導者研修会にがん診療連携拠点病院等の御協力をいただき、定数限度の二名ずつの計四名を派遣することとしております。  また、受講された医師を活用した一般医師向けの研修会につきましては、がん診療連携拠点病院や県が実施する医療従事者研修会などへの積極的活用を考えており、より多くの医師が参加できるよう、今後、がん診療連携拠点病院とも協議の上、具体的に計画をしてまいりたいと考えております。  がん診療連携拠点病院の財政的支援についてでございます。  現在、がん診療連携拠点病院に対しましては、専門医等の要請、がん医療の均てん化研修、院内がん登録の促進、がん相談支援等の機能強化などの経費について、国、県を合わせて県がん診療連携拠点病院に一千七百万円、地域がん診療連携拠点病院に九百万円を限度として、実績に応じて財政措置される仕組みとなっております。  県といたしましては、今後ともがん診療連携拠点病院がその機能を十分発揮されるよう支援を継続し、地域でのがん医療相談の充実に努めてまいりたいと考えております。  がん検診の市町村の取り組み等についてでございます。  平成十七年度の市町村のがん検診受診率は、肺がん検診約二四%、大腸がん検診約一九%など全国を上回って推移しております。  市町村におきましては、受診者増を図りますため、各種広報媒体等を活用した住民への普及・啓発を行うほか、地域行事を勘案した検診日の設定や基本健康診査とのセット検診及び休日検診などを実施しております。  受診率が伸びない理由といたしましては、平成十六年度に県が実施した調査結果によりますと、必要性の認識不足、検診機会の少なさ、検診拒否、受診料などが上位を占めております。  県といたしましては、医師会や県民総合保健センター等と連携し、がん検診の意義を一層啓発いたしますとともに、市町村がん検診担当者研修会を初めさまざまな機会に市町村に受診率の一層の向上を助言しており、今後、より多くの県民が受診できる環境づくりに努めてまいりたいと考えております。  小児救急電話相談事業についてでございます。  八月二十日に開始いたしました小児救急電話相談事業につきましては、九月十九日までの一カ月間に百二十九件、一日平均約四件の相談が寄せられております。  相談件数の内訳を見ますと、小児患者の年齢が三歳代以下が八割以上を占めており、また、離島を含め県下全域から相談が寄せられております。  相談内容は、病気に関するものが七割余り、けがに関するものが約二割となっており、応急処置等を助言したもの、翌日の医療機関の受診を助言したもの、緊急ではないが、心配ならば受診するよう助言したものがそれぞれ三割弱、直ちに受診するよう助言したものが約一割となっており、救急車を呼ぶための一一九番通報を助言したものはありませんでした。  また、この電話相談事業につきましては、これまでも県政広報番組を活用した広報や医療機関、市町村等へのポスター配布などを行ってきておりますが、小児患者を持つ保護者などに有効に利用していただけるよう、引き続き県民の方々への周知に努めてまいりたいと考えております。  児童虐待防止対策についてでございます。  まず、本県における児童虐待の現状と傾向でございます。  本県における平成十八年度の虐待認定件数は、児童相談所が認定したもの八十四件、市町村で認定したもの百八十件、計二百六十四件であり、平成十七年度の三百六十九件に比べて百五件減少したものの、児童虐待防止法施行の平成十二年度以降、二番目に多い件数となっております。  児童相談所が認定いたしました八十四件の年齢内訳は、小学生が二十三件と最も多く、以下、三歳から学齢前二十件、三歳未満十六件などとなっており、また、虐待の内容は、身体的虐待三十七件、養育の放棄・怠慢二十四件、心理的虐待十四件、性的虐待九件でありました。  本県の児童福祉司の数は二十七人で、地区担当者一人当たりが受け持つ虐待件数は、現在約四十件であります。
     県では、児童虐待に関するさまざまな問題について協議検討する県レベルの子供虐待防止ネットワーク会議や地域単位の子供SOS地域連絡会議を開催するなどして、関係機関や地域との連携強化を図っております。  また、平成十八年四月には、児童総合相談センターに地域支援指導班を設置し、処遇困難なケースへの対応や市町村に対する後方支援等を行ってきております。  次に、本県における児童虐待防止の取り組みといたしまして、県児童総合センターに子供やその保護者からいじめや子育てなどの悩みについての電話相談を受ける「子ども・家庭一一〇番」を設置するなど相談援助体制の充実を図っておりますほか、心理相談員などが育児不安を持つ母親等にカウンセリングを行う健やか育児サポート事業などを実施しております。  また、市町村におきましては、関係機関が要保護児童に関する情報交換や支援内容の協議を行う要保護児童対策地域協議会等を三十二市町で設置しておりますほか、生後四カ月までの乳児がいるすべての家庭を母子保健推進員等が訪問する「こんにちは赤ちゃん事業」を二十三市町村、子育て経験者や保健師等が児童養育の支援を行う「育児支援家庭訪問事業」を十市町村が実施することとしております。  県といたしましては、今後とも引き続き関係機関や地域との連携のもと、迅速・適切に児童虐待防止が図られるよう努めてまいりたいと考えております。  「健康かごしま21」の中間評価の成果と課題等についてでございます。  県の健康増進計画である「健康かごしま21」の中間評価におきましては、中学生の肥満、全年齢期の歯科保健指標、喫煙、多量飲酒等について改善しているものの、成人の肥満、糖尿病や高血圧など生活習慣病は増加しております。  また、平成十八年度に実施いたしました県民を対象としたメタボリックシンドローム調査によりますと、その該当者または予備軍は、全国に比べると若干少ないものの、男性は四割、女性は二割という結果でありました。  このため、セカンドステージでは、糖尿病や脳卒中等の疾病と関連が深いメタボリックシンドロームの予防対策に重点的に取り組みますとともに、県民の死因の第一位でありますがんの予防や早期発見の一層の強化、さらに、がんに次いで早世の原因となっている自殺について、うつ対策を含め、総合的に推進する環境づくり等を中心に取り組むこととし、現在「健康かごしま21」の見直しを進めているところであります。  地域・職域・学域連携推進委員会についてでございます。  従来、健康づくりは、地域保健、職場、学校の分野でおのおの取り組まれてきておりますが、効果的・効率的に推進するためには、生涯を通じて一貫した継続的な取り組みが不可欠でありますことから、県では、平成十八年度に地域・職域・学域連携推進委員会を設置したところであります。  現在、この地域・職域・学域のネットワークを活用し、子供から大人までのすべての県民を対象に肥満及び糖尿病等生活習慣病の予防を主眼とした「かごしま健康イエローカードキャンペーン」を積極的に展開しており、各領域がその特性を踏まえて適切な食生活や運動などの普及啓発及び疾病の早期発見等に取り組んでおり、また、うつを含めた心の健康づくりについても連携による取り組みを検討しているところであります。  今後とも地域・職域・学域の連携体制の一層の強化を図り、県民の健康課題及びその対処法を共有化し、協力・協同して取り組むことにより、県民の健康寿命の延伸、QOL─生活の質─の向上に努めてまいりたいと考えております。  健康づくりに関する県条例の制定についてでございます。  県民の健康づくりの推進に当たりましては、平成十四年に施行されました健康増進法に基づく法定計画として、「健康かごしま21」を県民を初め関係団体の意見を反映して策定し、推進を図っているところでございます。  健康増進法では、国民、地方公共団体、健康関連団体等の健康づくりに関する責務や健康づくり施策の基本事項が規定されており、これらに基づき「健康かごしま21」におきましては、基本方針、施策の方向性、関係団体の連携体制、さらには、食生活、運動、糖尿病等九領域百十二の目標項目を具体的に提示しているところでございます。  県といたしましては、今後ともこの総合的な健康づくり計画である「健康かごしま21」を基本に、県民一人一人の主体的な健康づくりを支援してまいりたいと考えております。  授産施設利用者の勤労収入と自己負担の状況等についてでございます。  県内の授産施設で働く利用者の平成十八年度の勤労収入、すなわち工賃は、月平均で、入所施設が約一万五千円、通所施設が約一万三千円であります。  また、利用者負担金は、平成十八年度月平均で入所施設が約五万一千円、通所施設が約一万六千円でありましたが、本年四月から国の特別対策が講じられ、さらなる軽減策として、月額上限額の引き下げや工賃控除の見直しが行われております。  その結果、本年四月から三カ月間の利用者負担は、月平均で入所施設が約四万七千円、通所施設が約一万円とそれぞれ減少しており、利用者負担がさらに軽減されていると考えております。  授産施設の勤労収入増に向けた支援についてでございます。  授産施設等の工賃水準は、一般就労収入の場合と比べて低い状況にありますことから、障害者の生活向上や自立等のためにも工賃水準を向上させることは重要な課題であると認識しております。  このため、県といたしましては、特別対策事業において就労支援に関するネットワークの構築や職場実習設備整備の事業等で一般就労への移行を促進いたしますとともに、授産施設等で働く障害者の工賃水準の向上を図りますため、今年度中に工賃倍増計画を策定し、計画に基づく取り組みを促進することとしております。  なお、御提案のありました工賃倍増アドバイザーの派遣につきましても、計画を策定する中で参考にしてまいりたいと考えているところでございます。 43 ◯商工労働部長(時田光一君) 障害者の雇用対策についてでありますが、県内の障害者の雇用状況につきましては、鹿児島労働局によりますと、平成十八年度中の新たな求職申し込み者は千八百五十人で、就職決定者は七百三十九人となっております。  障害者雇用促進法で義務づけられている企業の障害者雇用率は、平成十八年六月現在で一・八八%と、法定雇用率の一・八%を上回っておりますが、未達成企業の割合は四四・一%となっております。  県といたしましては、障害者の雇用をさらに促進するため、今年度から企業による障害者雇用体験事業の実施や県障害者職業能力開発校における障害の程度や特性に応じた職業訓練の実施、障害者就業開拓推進員による求人の開拓、就職面接会の開催等を行っているところであります。  今後とも国や関係機関と連携を図りながら、障害者の一層の雇用促進に努めてまいります。  地域力再生機構の課題等についてでありますが、地域力再生機構については、今年六月に閣議決定されたいわゆる骨太の方針二〇〇七においてその設置が盛り込まれ、来年度創設されることとなっております。  同機構の業務内容や組織体制等については、現在、国の地域力再生機構研究会において種々検討がなされている段階であり、地域経済に大きな影響力を持つ中規模企業や第三セクターを支援の対象とすることなどについて、本年八月の中間報告で示されたところでありますが、組織体制や各地域における役割などその詳細は明らかになっていない状況であります。  県といたしましては、既に各県に設置されております中小企業再生支援協議会との業務分担も含め、県内中小企業等の再生に向けて、両機関が連携しながら適切に機能することが必要と考えており、今後とも国の動向を注視してまいりたいと考えております。  次に、流動資産担保融資保証制度についてでありますが、県信用保証協会においては、平成十三年十二月創設の売り掛け債権を担保とする売り掛け債権担保融資保証制度の担保対象を拡充し、在庫商品等の棚卸資産についても担保とできるようことし八月に制度改正を行い、新たに流動資産担保融資保証制度としたところであります。  この改正により、担保範囲が拡大され、中小企業の資金調達の円滑化・多様化が図られるものと考えております。  なお、平成十三年十二月からこれまでの保証承諾実績は、百七十二件の三十一億九千八百万円余りとなっております。  今回拡充された棚卸資産を担保とする保証については、制度改正後間もないことから、実績はないところであります。  県と県信用保証協会といたしましては、これまで地元紙等を通じ制度の周知を図ってきたところであり、金融機関や商工団体とも連携して、今後とも同制度の周知をさらに図ってまいりたいと考えております。 44 ◯教育長(岡積常治君) キャリア教育の実態についてでございます。  本県の高校では、キャリア教育の一環として、全体で八三・五%、専門高校ではすべての学校でインターンシップを実施するなど、みずからの進路について具体的に考えさせるとともに、第一線で活躍する経営者の方々による講話や資格取得などを通して、高校生活の早い段階から進路決定を促す指導を行うなど、社会人、職業人として自立した人材の育成に努めております。  まちづくりや地域の活性化につながる取り組みとしまして、指宿商業高校では、地元特産品を使ったオリジナル商品を地元菓子店と共同開発し、販売実施を行ったり、奄美高校では、商店街の空き店舗を利用し、地元特産品の委託販売を行ったりしております。  また、山川高校では、バイオ技術で栽培したベニサツマの苗を地域の農家に配布し、加世田常潤高校では、未利用資源を活用した完熟堆肥の生産に取り組んでおります。  また、専門高校の活性化のための全県的な取り組みとしては、毎月一回開催される「青春市場inドルフィンポート」で各農業高校生が輪番で農産物の販売実施を行い、コミュニケーション能力の育成を図りますとともに、県下の工業高校生が電気工事や測量など八部門で技術・技能を競い合う「ものづくりコンテスト県大会」等を通して若手技術者としての育成に努めております。  今後ともそれぞれの高校の特性を生かし、地域や学校の活性化につながるような取り組みを進めてまいりたいと考えております。  大学生等を活用した不登校対策についてでございます。  本県の不登校対策における大学生の活用については、平成十五年度から不登校児童生徒支援員派遣メイクフレンズ事業として実施してきており、これまで教職や心理士などを目指す学生二百八十一人を適応指導教室や総合教育センターの教育相談室に派遣しております。  派遣先では、児童生徒と年齢の近い学生が話し相手になるなどさまざまな触れ合い活動を行い、学校生活への復帰に成果が上がっております。  適応指導教室からは「学生は子供たちにとって身近に感じられ、共通の話題も多く、信頼関係が構築されやすい」。また、学生からは「児童生徒を理解する貴重な機会になった。この経験を将来の職業に生かしたい」などの感想が報告されております。  今後とも各大学や各市町村教育委員会と連携を図りながら、大学生を活用した不登校対策に取り組んでまいりたいと考えております。  学校に対する理不尽な要求への対策についてでございます。  学校に対する意見や要求の中で対応が困難なものについては、PTAや地域の方々、関係機関の協力を得るとともに、必要な場合は市町村教諭を通じて市町村などの顧問弁護士に相談しながら対応している事例もございます。  県教委としては、明らかに理不尽と思われる要求に対しては、校長を中心に毅然とした対応をとるよう指導するとともに、学校に対するさまざまな意見・要求に適切に対応するための研修資料を作成することとしております。  学校に対するさまざまな意見や要求は、一面、保護者や地域の方々の学校に対する期待のあらわれでもあり、誠実に対応する必要があると考えます。  しかしながら、対応が困難な事例については、法的な面も含め、市町村教委と学校が一体となって対応する必要があります。  体制の整備など学校運営が円滑に推進されるよう、今後とも指導・助言に努めてまいりたいと考えております。    [持冨八郎君登壇] 45 ◯持冨八郎君 それぞれ答弁をいただきました。  文化芸術振興については、やはり行事をするにも何にしても予算は大事であります。大変な状況でありますけれども、充実をお願いしたいと思います。  また、アーティストバンク、これは本県の場合はいろいろとオーディションをしたりとかいうようなことのようでありますけれども、やはり多くのまちの芸術家がしっかりと活躍できる場をつくる。また、市民との交流が行われるという、そういうことを観点に置いて工夫をしていただければと思います。  がん対策につきましては、重要な健康の問題であると。そしてまた、県民の意見も取り入れて安心できる治療体制をつくっていくという、そういう答弁だったと思いますが、六月に策定されたがん対策推進基本計画では、放射線治療の推進や専門医の育成、あるいは緩和ケア等が重点的に取り組む課題として挙げられているようであります。ここは今までおくれていた分野でもあり、国としっかり連動して取り組んでいただきたいと思います。  小児救急電話相談事業は、やっと実現したという思いでありますが、県の予算から見ると、もっともっと早く実現できたのではないかなと思います。まだまだ相談件数は少ないようでありますが、しっかりと県民へ周知をしていただいて、お母さん方の応援をしていただければと思います。  児童虐待対策については、児童虐待はどこにでも起こり得るという認識で、虐待予防に全力を挙げていただきたいと思います。  地域の連携については、それぞれの機関に機能と限界があることをお互いが理解し合い、お互い批判し合うのではなくて、児童のためにできることを確認し合うことが大事であると思っております。  「健康かごしま21」については、日本は世界一の長寿国である一方で、生活習慣病が増加し、死因の六割、医療費の三割を生活習慣病が占めるに至っております。健康増進の面からも医療費削減の面からも県民総ぐるみで計画の実効性を上げるということが大事だと思いますが、健康増進法によるこの「健康かごしま21」の中でそういう規定がなされている責務もあるということでありますけれども、心を一つに取り組むという意味で条例の提案をいたしました。  障害者自立支援については、施行後、利用者負担やサービス退化等障害者の生活実態がサービス現場の実情に合わないという声を聞いて、ようやく国も見直すようであります。県も現場の声をよく聞き、支援の充実に努めていただきたいと思います。また、障害者の雇用促進にも努めていただきたいと要請をしておきたいと思います。  流動資産担保融資保証制度につきましては、まだ制度が始まったばかりということでありますけれども、やはりこういう制度というのは、企業の方はなかなか情報が届いていないという声を聞きますので、企業への周知方をよろしくお願いをいたします。  教育の問題については、文部科学省のアンケート調査では、日本の教育が悪い方向に向かっていると感じている人が五割に達するという結果がありました。日本の教育の将来に対して悲観的な見方が広がっていることが非常に残念でなりません。  キャリア教育については、いろいろと取り組んでいただいているようであります。子供たちの体験する職場捜しに現場が大変苦労しているということも承知しておりますが、やはり職業意識を育てるということは大変大事なことであると思いますので、しっかりとした取り組みを要請しておきたいと思います。  また、不登校対策につきましては、心の病気を持つ子供たちにとって、年の近い大学生に触れ合いを求めるいい機会なので、さらなる取り組みに期待をしたいと思います。  また、教員等を目指す学生にとって、現場で学級担任をする前にこういう経験をするということはいいチャンスでありますので、県教育委員会が大学との連携を密にしながら、各市町村の教育委員会が取り組めるように積極的に努力をしていただきたいと強く要請をしておきたいと思います。  モンスターペアレントについては、報告を取ると、恐らく余りないんだろうと思います。しかし、実際にはそういう相談を受けます。ということは、表に出てきていなくても現場では必ず起きていると、そういう感覚が大事じゃないかなと思っております。  学校の管理職に任せず、教育委員会としてバックアップ体制を確立することが大事であると思いますし、東京都杉並区の例を出しましたけれども、参考に努力をしていただければと、そういうふうに思います。  教育について一言申し上げたいと思います。  時代を変えるのは教育であり、青年であると、そういうふうに思っております。ことしも教員採用試験の合格発表の時期になりました。私どもは、子供たちにとって最大の教育環境は教師自身であると、そういう信念のもとで、教師改革こそ必要であると考えております。  いじめや不登校等山積する課題に体当たりで取り組んでいけるようなファイトあふれる人材の確保をお願いしたいと思います。  吉田松陰の松下村塾における塾生との交流は、まさに人格と人格の触発であり、松陰の情熱が塾生たちの志を刺激し、優位な人材を生んだと言われております。教育は心と心の触発でなくてはなりません。単に知識を授けるだけなら、教はあっても育はないのであります。人間を育てることはできないと考えます。何のために学ぶのか。子供たちの心に向学の灯をともせる情熱の人でなくてはならないと思います。  また、松陰は「人間は皆いかほどかの純金を持っている」─純金というのは長所という意味でしょうか─とすべての塾生に光を当てて塾生の可能性を信じ、励ましの言葉をかけております。  さらに「青年は教えられることより刺激されることを欲する」というのはゲーテの言葉であります。教育長には、教育現場の閉塞感を変革できるような人材確保をお願いいたします。  最後に、我が党は、新内閣発足を前に自民党と政策協議をいたしました。負担増の問題、格差是正の問題、地方活性化に向けた問題など我が党の主張をいたしました。  具体的には、中小零細企業に対する金融経営支援の強化、あるいは地方コミュニティー再生、地方自治体の財政力格差の是正、ドクターヘリ整備促進など救急医療体制の整備、高齢者の医療制度の見直し、後期高齢者の負担増の凍結など、また、障害者自立支援の見直し、児童扶養手当の一部削減の凍結、また、政治と金の問題など国民の目線に立った合意ができたと考えております。  私どもはネットワーク政党であります。地域の地方議員が国会議員にネットワークを生かし、地方から国へ物を言い、今後とも県勢の発展と県民の福祉向上のために懸命に働いてまいることをお約束をし、公明党県議団としての代表質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)       ───────────── 46    △ 日程報告 ◯議長(金子万寿夫君) これで、本日の日程は終了いたしました。  十月一日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問及び請願・陳情の委員会付託であります。       ───────────── 47    △ 散  会 ◯議長(金子万寿夫君) 本日は、これで散会いたします。         午後三時十五分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...