鹿児島県議会 2007-06-26
2007-06-26 平成19年農林水産委員会 本文
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 七、審査経過
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午前十時開会
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◯武 委員長 定足数に達しましたので、ただいまから
農林水産委員会を開会いたします。
本日は、
林務水産部関係の審査を行います。
ここで、傍聴について一名の方から申し出がありましたので、許可いたしました。
それでは、初めに、
林務水産部長の総括説明を求めます。
2
◯上園林務水産部長 それでは、お手元に配付いたしております「平成十九年第二回
県議会定例会農林水産委員会資料」に基づきまして、御説明を申し上げます。
一ページでございます。
林務水産部関係の主要施策の推進状況のうち、主なものにつきまして御説明を申し上げます。
まず、林業関係一の森林の整備・保全の推進のアのみどりの感謝祭の開催につきましては、県民に森林を守り育てていくことの大切さを認識してもらい、かけがえのない森林を支えていく機運の醸成を図るため、去る四月二十九日に県民の森で開催したところでございます。
イの森林の
体験活動支援事業の推進につきましては、
森林環境税を活用いたしまして、公募方式により県民みずから企画・実施する森林・林業学習や森林の
整備保全活動等に対しまして支援を行うことにしておりまして、去る四月一日から五月三十一日まで事業を公募し、四十四件の応募があったところでございます。今後、外部委員を含む
事業選定委員会で審査を行いまして、対象事業を選定することにいたしております。
ウの春期松くい虫防除の実施につきましては、去る五月十六日から六月二十七日にかけまして、鹿児島市を初め県内十一市町の保全松林におきまして、松くい
虫被害予防のための春期の
薬剤空中散布を実施しているところでございます。
二の
担い手づくりと
林業経営対策のアの
林業作業士養成研修の実施につきましては、将来の地域林業を支える
若手林業就業者を対象に、
伐木造材等の技術を習得するための研修を実施し、優秀な
基幹的林業技術者を育成することにいたしております。
次は、二ページでございます。
三の木材の供給・利用対策のアの
原木流通情報センターの設置につきましては、
原木需要者の
個別ニーズにより分類した各市場の
原木在庫情報を把握し、定時、定量、定価格での原木供給を行うことによりまして、安定的な取引体制を確立するため、本年三月、
県森林組合連合会に
原木流通情報センターを設置したところでございます。
イの木材加工の高度化につきましては、県産材の利用拡大を図るための二事業体の
プレカット加工施設が完成したところでございます。これらの施設の整備によりまして、
本県森林資源の有効活用が一層推進されることを期待しているところでございます。
次は、三ページでございます。
ウの木材製品の販路拡大につきましては、県内企業七社で構成いたします団体が、
かごしま材を使用した住宅の韓国への輸出に取り組んでおりまして、平成十八年度には十棟の住宅を建築をいたしております。
また、県内の企業が県産材を使用いたしまして、北京市郊外に建設をしておりました
モデル住宅が完成したところでありまして、今後、県産材の需要の拡大につながることを期待しているところでございます。
さらに、
かごしま材を使用いたしまして、県内各地で木造住宅の建設に取り組んでおります十二の
地材地建グループが連携して取り組んでいくため、去る五月二十九日に
かごしま地材地建グループ連絡協議会を設立したところでございます。
次に、四の
特用林産物の
産地づくりのアの第三十回
竹製品まつりの開催につきましては、全国一の竹資源を生かしてつくられる竹製品や
タケノコ等を広く県民に紹介し、その需要拡大と
本県竹産業の振興を図るため、六月三十日から七月五日にかけまして、山形屋で
竹製品まつりを開催することにいたしております。
次は、四ページでございます。
五の技術開発と普及のアの
森林技術総合センターの設置につきましては、森林・林業に係る研究開発、普及指導、
技術研修等につきまして、総合的かつ体系的に実施するため、
林業試験場の組織を見直し、去る四月一日に
森林技術総合センターを設置したところでございます。
次は、五ページでございます。
次は、
水産業関係でございます。
一のつくり育てる漁業の推進のアのモジャコの採捕実績につきましては、平成十九年度は十漁協、百十九隻にモジャコ特別採捕を許可したところでございます。今年度は、四月五日から二十三日間で、計画尾数に対しまして九二%となります五百五万尾が確保され、関係の養殖業者に供給できたところでございます。
イの豊かな
海づくり放流祭の開催につきましては、水産資源の保護培養や漁場環境の保全等に係る意識の高揚を図るため、七月十九日に鹿屋市で豊かな
海づくり放流祭を開催することにいたしております。
次に、二の
漁業経営対策と
担い手づくりのアの「
ザ・漁師塾」の実施につきましては、
新規漁業就業者の確保のため、
漁業就業希望者や漁業に関心のある方を対象にした「
ザ・漁師塾」の入門研修を実施することにいたしております。
次は、六ページでございます。
イの
離島漁業再生支援事業活動事例報告会の開催につきましては、去る五月十七日に、市町村、漁協、漁業集落の担当者を対象に
活動事例報告会を開催し、今後の円滑な活動の推進を図ったところでございます。
次に、三の水産物の流通・加工対策のアの
水産物販売施設の整備につきましては、水産物の地産地消を推進するため、市来町漁協、
北さつま漁協におきまして、
地域水産物の加工・
販売施設等を整備したところでございます。
次は、七ページでございます。
四の漁港・漁村の整備のアの
古仁屋漁港新埠頭の完成につきましては、瀬戸内町
古仁屋漁港大湊地区におきまして、旅客機能を集約するため整備を進めてまいりました新しい埠頭が、平成十八年度事業をもって完成し、瀬戸内町が同漁港内に整備をいたしました
総合旅客ターミナルビル「せとうち海の駅」のオープンとともに、去る五月一日に供用を開始したところでございます。
次に、五の水産技術の開発と普及でございます。アの
ビンナガ調査の実施につきましては、
水産技術開発センターが五月十七日から北太平洋で
ビンナガ調査を実施し、
遠洋かつお船を対象に開発をいたしました
漁場探索支援システムを活用いたしまして、水温や
海面高度等の情報と漁場形成に関する研究に取り組んだところでございます。
イの奄美海域の栽培漁業の推進につきましては、奄美海域の栽培漁業を推進するため、
シラヒゲウニ放流技術開発調査により生産した稚ウニを供給いたしましたほか、
奄美水産資源有効活用推進事業で取り組んでおりますヤコウガイの
放流技術開発のための稚貝放流を行ったところでございます。
次は、八ページでございます。
ウの
モクズガニの人工種苗の放流につきましては、内水面漁業の振興を図るため、
モクズガニ種苗を川内川など三河川に約四万一千五百尾放流したところでございます。
エの
水産研究交流セミナーの開催につきましては、去る六月七日に第七回目のセミナーを開催し、
鹿児島大学水産学部との水産研究の情報交換や共同・連携研究の
充実強化等を図ったところでございます。
以上で説明を終わらせていただきます。
3 ◯武 委員長
部長総括説明に対する質疑につきましては、県政一般でお願いいたします。
続いて、陳情の審査をお手元の請願・
陳情文書表により行います。
林務水産部関係の陳情は、新規二件でありますが、陳情第二〇〇一号と陳情第二〇〇二号は同一内容でありますので、一括して議題といたします。
森林整備課長の説明を求めます。
4
◯竹ノ内森林整備課長 それでは、陳情第二〇〇一号及び陳情第二〇〇二号について、御説明を申し上げます。
件名は、松くい虫の撲滅及び予防についてでございまして、提出者は、
大島本島南部議会連絡会会長昇清隆氏及び大島郡
町村議会議長会会長町田末吉氏でございます。
陳情の趣旨を要約いたしますと、平成二年に瀬戸内町で発生した松くい虫被害は年々被害が減少していたが、平成十七年度に
加計呂麻島南側の一部の被害木が、また、十八年度には五千立方メートル以上の松くい虫被害木が駆除されずに放置されており、今年度はさらに
大島本島側にも被害が広がることが予想され、南部大島の豊富な森林形態に悪影響を及ぼすことは避けられない状況である。
このようなことから、瀬戸内町
加計呂麻島南側を
被害防止対策区域から外すとした、平成十九年度からの松くい
虫被害対策事業推進計画の見直しを求め、被害木の徹底駆除と健全松への
樹幹注入等の予防措置に対する予算措置を要望するというものでございます。
執行部の意見でございますが、奄美大島の松林は県内の松林の約六割を占めておりまして、重要な森林資源でございます。このようなことから、県といたしましても、
大島本島への松くい虫被害の蔓延防止が重要であると考えております。
松くい虫被害の防止につきましては、薬剤の空中散布、いわゆる特別防除と伐倒駆除とを組み合わせて実施するのが最も効果的な手法でございますけれども、奄美大島ではルリカケスやアカヒゲなど
希少野生動物保護等の観点から特別防除が実施できませんため、
被害防止対策につきましては、専ら伐倒駆除によらざるを得ない状況にございます。このようなことから、県ではこれまで地元町村との連携のもとで被害量の正確な把握に努めながら、伐倒駆除の徹底に努めてきたところでございます。
このような中で、このたび策定いたしました平成十九年度からの県松くい
虫被害対策事業推進計画では、
加計呂麻島南部を防除区域から除外し、
大島本島への
被害蔓延防止を最重点に取り組むこととしたところでございます。この計画の策定に当たりましては、これまでの被害の発生状況や
広葉樹林化が進みつつある森林の現状、さらには、現下の厳しい予算状況や、国との協議結果等を踏まえまして総合的に判断したものでございまして、計画の見直しを行うことは困難であると考えております。
なお、
加計呂麻島南部におけます景観上重要な松の保全につきましては、
森林環境税関連の
地域提案型事業を活用しました
集落環境保全のための森林整備、その取り組みの中で対応するという方向で検討してまいりたいと考えております。
以上で説明を終わります。よろしく御審議くださるようお願い申し上げます。
5 ◯武 委員長 説明が終わりましたので、質疑をお願いいたします。
6
◯上村委員 加計呂麻島の松くい虫については、何年か前に台風の復旧資材が
加計呂麻島に持ち込まれて、それで発生したというふうに認識しています。そういう認識でいいかということが一つと、それから、そのとき松くい虫を絶対撲滅して見せるということで、
大島本島のほうには絶対広げないという決意で、当時画期的な、今覚えているのでは、一億円を超える駆除の予算が
加計呂麻島の駆除のために組まれたというふうに記憶しております。そういう非常に強い決意で取り組みがなされたわけですけれども、その取り組みの結果がどうなったかは聞いたことがないわけで、今この松くい虫の陳情を見ますと、簡単に言えばその当時の事業は失敗したということですよね。そういうふうに認識していいのかどうか。
加計呂麻島島内に封じ込めるという、
林務水産部のもくろみは残念ながら失敗したというのをどこで確認されたのか。それを我々は聞いていないわけですけど、その辺をお聞きしたいと思うんですけど。
7
◯竹ノ内森林整備課長 資料によりますと、大島南部の松くい虫被害が平成四年ごろから確認されております。その当初の原因がはっきりと何だったかというのは、私も承知しておりませんが、多分台風等の復旧資材かれこれが原因になったんだろうという予測はされておりました。
それで、平成七年に一万立方メートルを超える大被害が発生しまして、それに対しまして
県林務水産部としましては、何とかこれを撲滅したいというような考えのもとに予算を投入しまして、徹底駆除に取り組んだわけでございます。その後、平成七年に一万一千立方ありました被害が、平成八年には五千立方と漸次低減してまいりまして、平成十一年には一千四百立方というような状況で、随分被害が減少しております。ここ七、八年、二千立方程度の被害量で推移してきていたわけでございますけれども、平成十六年の二千立方を境に平成十七年に八千五百立方、それから平成十八年に一万二千立方という被害が発生したわけでございます。
平成十六年度までは駆除対策というのが、かなりうまくいっていたと思うんですが、その平成十七年の突発的な被害発生に十分対応し切れなかったということで、予算的にもそうなんですが、被害木を一〇〇%駆除し切れなかったというようなこともあります。それから、いろいろ気象条件が悪かったというようなこともあろうかと思いますが、平成十七年、十八年、どうしても駆除し切れない部分が残ってしまったというようなことで、今回のような陳情につながったものと考えております。
松くい虫対策の評価については、私ちょっとコメントできる立場にないような気がいたしますので、控えさせていただきます。
8
◯上村委員 だから、
森林整備課長がそもそも
加計呂麻島の松くい虫被害の発端を認識していらっしゃらないということ自体が問題なんですよ。それはそんなに前の話じゃないですよ。相当議会でも議論され、執行部も答えて、意気込んでですね、意気込みを持って取り組んだはずですよ。
だから、そういうことをしっかり踏まえて
加計呂麻島島内に封じ込めるんだと。封じ込めが失敗したら何が失敗の原因かというのを、しっかり総括して次に取り組むということが必要だと思うんですけど、何かだらだらとやられているような気がするわけですけどね。
それと、私は平成十六年に奄美復帰五十周年に参加した折に、レンタカーを借りて大島南部をちょっとドライブして、
加計呂麻島も実久までずっと行ってみたんです。調査というよりもドライブですけれども。そのときに、今二千立方メートルとおっしゃったけど、幾らかぽつぽつと松くい虫の被害木が見られて、多くじゃないですよ、ぽつぽつですけれども、その中には今枯れたなというのと、赤茶けたのと、大分古くなってちょっともう葉っぱが落ちかかっているなというのとありましたけど、あれをなぜ伐倒駆除しないのかなというのを非常に不思議に思ったんですよね。
だから、事業の進め方が、方針を決めて業者に頼んで、面的に伐倒駆除されてその年度はそれで終わりと。その後また被害が出てもそれは来年度までほうっておくと。実際そうですよね。予算がついたらまたやると、つかなければやらんという感じで、事業の仕方を、特にここまで拡大すればそうもいかんかもしれませんけれども、例えば、一本幾らの単価でその地域の業者に頼んどって、実績主義で被害木が見つかったらすぐはせ参じて伐倒駆除してもらうというような取り決めなどできないものかなと、
加計呂麻島に行ったときにそう思いました。平成十六年秋ですけれども。
だから、今、課長がおっしゃったのは、十六年は二千立方メートルだったから、そのときしっかりやっておれば抑え込めたかもしれませんよね。何かその辺のめり張りをきかせて抑え込むぞという意気込みと、そのために何ができるか、何で拡大蔓延を許したのか。何かその辺の総括がないような気がするんですけどね。それを非常に私は不満に思っていますけど、それをどう考えておられるかということと。もうこれで終わりますけれども、今後どうされるのかですね、今後はどうしようと思っていらっしゃるのか。
奄美大島の木工の里というんですかね、
林務水産部の事業でしょう、恐らく。そのきれいなパンフレットを見せてもらいましたけど、その製品はすばらしい製品ができていますけど、ほとんど八、九割
方リュウキュウマツの製品でございました。だから、
リュウキュウマツを失えばそれこそ木工の里もないんじゃないかと思うような、私は気持ちを持っているんですけど、非常に大事な事業だと思いますので、御答弁をいただきたいと思います。
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◯竹ノ内森林整備課長 今回策定しました計画では、とにかく本島の方にかなりの松資源が未被害のまま残っておりますので、それを何とかして守りたいということで、まず許される条件の中で、まず本島側を徹底的にやって、その後、
加計呂麻北側、東側、そういったところをやっていきたいと考えております。
それで、昨年度駆除を実施したわけですけれども、まず本島側に駆除残しがないかどうかを確認したいということで、三月末にセスナから撮った航空写真を購入いたしまして、それで被害木を確認いたしました。それによると百何本かだったんですが、確認した結果を大島支庁の方に渡しまして、春駆除、十九年度予算を一部配分いたしまして、五月までにその写真で確認できた被害木を駆除をいたしたところです。そういうことで、昨年度発生した
大島本島側の駆除はほぼ一〇〇%近く駆除できたのかなというふうに考えております。そういった取り組みをその被害量をきちっと把握しながら、徹底した駆除をやっていきたいと考えております。
委員御指摘のとおり、本島のほうの松というのは、今後環境資源としてももちろんですけれども、林業の資源としても非常に重要なものでございますので、まずは本島側への
被害蔓延防止を図るということで取り組んでまいりたいと考えております。
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◯上村委員 私の質問はこれで終わりますけど、ぜひ機動的な、今そういう御答弁の方向で結構かと思いますけれども、面を一回やったら、そのやった後何本出ようがその年度は終わりだということじゃなくて、やっぱり補充的な、機動的な伐倒駆除の体制ができるようにぜひよろしくお願いします。
11 ◯山田(国)委員 上村先生がおっしゃったように、一年の中で一回駆除をすれば次にはもう進まないんだというような、被害を及ぼすそういう原因もあると思うんですけど、この松くい虫の場合には、松が赤くなったときに初めて目でとらえることができるわけですよね。それをもとに伐倒して駆除をしていく、焼くなり、小さく刻むなりされるんだと思うんですけど、非常にいいことだと思うんですよね。
例えば、先生が御提案をされたように、業者さんに委託をして、実績主義で何月の何日にこういう状況で、写真でも添えてですね、一本一本毎日というわけにはいかないんでしょうけど、可能な限りそういう対応をしていくことが、ひいては効果を上げることになるんじゃないかと思いますが、一年間に松くい虫にやられた松を駆除をして、そしてまた来年度予算がついて、被害が出ていたらまた来年対応をするというのじゃなくて、やっぱり早い対応が大事で、洋服のほころびと一緒で、早く縫えば一針で済むものを、やっぱり時間がたってしまえば幾針も幾針も縫わないと修復できないというようなことに私はなるんじゃないかと思います。
したがいまして、業者に委託して、業者とは限らないんですけど、何かあなた方の方で知恵を出して、即応体制が、あれ、これは松がおかしいねというときにすぐ対応ができるような、そういう方法というのを考えるべきじゃないかなと思うんですけど、ここで即答というわけにはいかないんでしょうけど、何らかの機会で、これは陳情のこの地域だけではなくて、全県下というか広く言えば日本全体で松くい虫というのは頭を痛めていることなんですけど、とりあえず、本県のそういう部分だけでも試験的にやってみることというのも大事だと思いますので、答弁は要りませんけれども、何らかの機会をとらえて、みんなで知恵を出してみてください。
12 ◯武 委員長 はい、よろしいですか。
いいですね。
ほかにございませんか。
[「なし」という者あり]
13 ◯武 委員長 それでは、なければ、本件の取り扱いについての意見を求めます。
14 ◯山田(国)委員 陳情第二〇〇一号及び陳情第二〇〇二号につきましては、当該地域における被害の発生状況や森林の対応、そして厳しい予算状況や国との協議等を踏まえ総合的に判断した上で、先ほど御答弁もありましたが、推進計画は作成されているということでありますが、これにつきましての計画の見直しを行うことは困難であるというような執行部の考え方であります。
松くい虫被害が懸念されます
加計呂麻島南部における景観上重要な松の保全については、
森林環境税関連の
地域提案型事業を活用した取り組みの中で対応するとのことでありますが、さらに検証が必要なことでありますので、継続審査の取り扱いをお願いをいたします。
15 ◯武 委員長 ほかにはございませんか。
[「なし」という者あり]
16 ◯武 委員長 継続審査との御意見ですが、継続審査すべきものと決定することに御異議ありませんか。
[「異議なし」という者あり]
17 ◯武 委員長 御異議なしと認めます。
よって、陳情第二〇〇一号及び陳情第二〇〇二号は、継続審査すべきものと決定いたしました。
以上で、陳情の審査を終わります。
次は、県政一般であります。
初めに、特定調査から行います。
まず、森林資源の活用についてであります。
それでは、林業振興課長の説明をお願いいたします。
18 ◯亀澤林業振興課長 それでは、特定調査項目、森林資源の活用につきまして御説明いたします。
資料は、一ページでございます。
まず、資料左の本県の森林・林業、木材産業の現状の主な項目につきまして、御説明いたします。
まず、1)の民有林資源につきましては、本県の民有林資源も着実に成熟・増加してきており、平成十八年度の杉・ヒノキ人工林の蓄積は、平成十年度に比べて約一千四百万立方メートル増加しました五千八百八十万立方メートル余りとなっております。
2)の森林の所有形態につきましては、県内の森林所有者が保有する森林面積は、一戸当たり二・四七ヘクタールと、全国に比べて半分以下であり、非常に小規模・零細な所有形態となっております。
また、3)の山元立木価格につきましては、杉の一立方メートル当たりの立木価格は、平成十年の七千九百二十八円から、平成十七年は二千六百十六円と、約三割まで下がっております。
4)の林業就業者数につきましては、高齢化等により離職される数より新規就業者数が少ないこと等により、森林組合と素材生産業者を合計した就業者数は、平成十年の二千三百二十六人から平成十七年は一千七百七十人と、約八割に減少しております。
一方、林業就業者のうち六十歳以上の割合は、近年の緑の雇用担い手対策事業等の実施により就業者の若返りが進んでおり、森林組合におきましては、平成十年の五六%から平成十七年は三三%と減少しており、高齢化に対する改善が見られます。
5)の県産材の供給量につきましては、製材用原木の供給量が減少してきており、平成十七年の供給量は二十七万八千立方メートルと、平成十年の約七割となっております。
6)の県内の製材工場の規模につきましては、二百四十ある県内製材工場のうち、約七〇%が年間原木消費量一千立方メートル未満の小規模工場となっております。
7)の県内で必要な製材品に占める県外製品の割合は、平成十年度の二七%から平成十七年度は四〇%となっており、増加傾向にあります。
8)の新設住宅着工数につきましては、県内の新設住宅着工戸数は、平成十年度の約一万五千戸から、平成十八年度は約一万四千戸と減少しております。また、木造住宅着工戸数も減少しており、平成十八年度の木造率は五〇%を下回っております。
以上のような現状から、森林所有者の経営意欲が減退しておりますとともに、製材工場や工務店などのニーズに即応できない原木の供給体制となっております。県といたしましては、このような状況を打開するため、
かごしま材の新たな安定供給体制づくりと利用の推進を課題としてとらえ、充実する森林資源を地域振興に積極的に生かしていく新しいシステムづくりを目指して、平成十八年度から林業・木材産業再生プランの着実な推進に向け、施策を展開しているところでございます。
この再生プランにおきましては、新生産システムの推進、原木の生産・流通・加工、各段階のコストダウン、
原木流通情報センターを核にした定時・定量・定価格の木材安定供給体制づくり、そして
かごしま材の利用推進に取り組むこととしており、これらを総合的に実施して、中ほどの下に記載してありますが、森林所有者の収益の増加による経営意欲の向上と
かごしま材の利用を拡大し、ひいては、「力みなぎる林業・木材産業」の実現を図ろうとするものでございます。
再生プランのそれぞれの取り組み内容を説明するに当たりまして、まず、
原木流通情報センターを核にした定時・定量・定価格の安定供給体制づくりについて、先に御説明をいたします。
現在の原木の流通は、森林組合等が伐採した材を木材市場に集荷し、競りにより製材工場等需要者が購入するといういわゆる市場流通が主となっておりますが、今回の新たな供給体制づくりは、市場流通に加えまして、山土場から製材工場等に直接納入する、それを
原木流通情報センターがコントロールして行うシステムの構築を目指すものであり、この新しい供給体制について、資料中央のフロー図で情報と木材の流れを御説明いたします。
まず左側の緑の矢印1)により、森林組合等が森林所有者に間伐等の施業提案を行い、交渉し、了解が得られた森林の位置、樹種、伐採可能量等のデータを、2)のブルーの矢印で伐採可能な森林情報としてセンターに報告し、センターはそのデータを管理し、ホームページ等で公表する。また、木材市場の在庫情報も随時センターへ登録する。次に3)ピンクの矢印ですが、センターは、公表された情報等を見た製材工場等需要者からの受注に際し、樹種、量、時期、価格について交渉し、協定を締結する。協定が締結されますと、左側の4)の紫の矢印で、センターが森林組合等へ伐採・納入時期等の指示を出す。5)の黄色の矢印で、森林組合等は指示に従い伐採を行い、生産された原木を6)の赤の矢印により製材工場等へ山から直接納入する。また、出荷に際し、需要者との協定の内容によりましては、市場へ出荷指示し、製材工場等へ配送するケースも出てまいります。
なお、伐採いたしましても協定以外の材につきましては、フロー下の赤の波線になります。
以上が、これから取り組もうとしている
原木流通情報センターを核にした定時・定量・定価格の安定供給体制づくりの概要でございます。
なお、
原木流通情報センターは、本年三月に
県森林組合連合会内に設置されております。
次に、再生プランでのほかの取り組みについて御説明いたします。
新たな供給体制づくりを実現するためには、新生産システムの推進や原木の生産・流通・加工、各段階のコストダウン及び
かごしま材の利用推進を同時に取り組んでいくことが重要でございます。
資料右のそれぞれの取り組みについて御説明いたします。
まず、新生産システムの取り組みですが、この事業は、輸入材が主流となっている現状におきまして、国産材の活用を促進するためには、大手のビルダー等に対し、低コストな製品を定時・定量に供給できる体制を整備することを目的に、国が鹿児島や宮崎など全国十一カ所をモデル地域として定め、平成十八年度から五年間取り組む事業でございます。この事業では、県内の川上から川下までの意欲ある約六十の林業事業体等が参加して、鹿児島大学の指導のもと、大型の製材工場の整備や原木の生産・流通・加工、各段階においてコストダウンを図るための実証試験等を行っております。
平成十八年度は、小規模な森林を数多くまとめて森林施業を進めるための森林施業の集約化の実証を二事業体が、また、伐採可能な森林資源情報のデータベース化の実証試験に、
県森林組合連合会が取り組みました。このほか、革新的な森林整備や生産流通の実証として、路網整備や高性能林業機械を活用した効率的な生産に係る取り組みや、木材を山から直接納入するのに必要な山土場における径級選別、検収、販売先までの経費の調査等に七事業体が取り組んだところでございます。
製材工場の規模拡大につきましては、平成二十年度に実施する予定でございます。
県におきましては、このほか新たな木材の供給体制づくりに必要な次の取り組みを行っております。
まず、生産の段階でございますが、先ほどのフロー図の矢印の1)で、森林組合等が森林所有者へ施業提案を行い交渉すると申しましたが、その内容は、森林所有者に施業の方法や費用、収益等を提示して交渉することとしており、その交渉に当たる人材を施業プランナーと呼んでおり、この施業プランナーを育成する研修を行うこととしております。
また、これまでも林道や作業路などの路網整備を行っておりますが、さらに効率的な木材生産を行うための路綱として、低コストで低規格な林道である森林施業道の開設を行いますとともに、県林業担い手育成基金や補助事業等を活用した高性能林業機械の導入促進、また、高性能林業機械のオペレーターなど、中核的な林業技術者の養成等に取り組んでいるところでございます。
次に、流通・加工の分野では、新しい供給体制の核となる
原木流通情報センターの体制整備を進めますとともに、山土場からの工場への直送を県内十カ所で試行し、問題点の整理やその解決策について検討することとしております。また、製材工場等の整備につきましては、引き続き製材工場や集成材工場などの新設、規模拡大につきまして、国庫補助事業や制度資金の活用等により支援をすることとしております。
最後に、
かごしま材の利用推進につきましては、現状で述べましたように、製材品需要に占める県外産等の割合が増加しており、今後
かごしま材の利用を促進するためには、需要の大宗をなす
かごしま材による木造住宅の建設促進や公共施設、公共事業において
かごしま材を活用していくことが重要となっております。
このため、県におきましては、
かごしま材による家づくりを具体的に目に見える形で推進するためには、住宅建築に直接携わる工務店や
かごしま材を供給する製材工場等のグループ化を図る必要があることから、
かごしま材を使って家づくりを行う
地材地建グループの育成と、グループが行う研修会や販売促進活動等への支援、また、県外で
かごしま材を使った家づくりを推進している産直住宅グループが行う販売促進活動等を支援しております。
また、韓国及び中国へ
かごしま材を使って住宅の輸出等に取り組んでいる民間企業の団体が行う現地セミナー等に対して支援を行っております。
このほか、
森林環境税を活用した木造施設等の整備や、副知事を会長とする木材利用庁内推進会議を設置して、公共施設、公共事業への木材利用を全庁的に推進しておりますほか、木材まつりの開催等を通じた
かごしま材の普及推進を行っております。
以上、林業・木材産業再生プランにおける新たな安定供給体制づくりと、
かごしま材の利用推進に係る取り組み等について説明させていただきましたが、県といたしましては、新生産システムの推進とその成果の活用など、再生プランの実現に向け、林業関係者と一丸となって積極的に取り組んでいくこととしておりますので、委員の皆様には、大所高所からの御指導、御協力をお願いいたします。
以上で、特定調査項目、森林資源の活用についての説明を終わります。
19 ◯武 委員長 以上で説明が終わりましたが、質問等がありましたら、お願いいたします。
この件に関しまして質問はありませんか。
20
◯上村委員 資料の一ページの新生産システム、そして、新たな安定供給体制づくりというので、いろいろ御説明をいただいたわけですけれども、率直なところ、思うようなときに思うような県産材が手に入らないという声を聞くんですけれども、そのための
原木流通情報センターの設置であるかというふうに思うんですけれども、そういうこの消費者があるいは建設業者が必要なときに必要な県産材が手に入るという、そういう体制になっているんでしょうかね。
21 ◯亀澤林業振興課長 先ほども現状の中で申し上げましたけれども、製材工場等につきましては、小規模零細でございます。逆にビルダーの方々はできるだけ多くの製材品等の供給を望んでおりますが、本県の場合はそのようなことから、なかなかそれに対応できないという現在の供給体制になっております。
22
◯上村委員 そのためのこの新たな体制づくりだというふうに思うんですけれども、外材が中国、インド等の需要の強化とか、国際的な原木不足傾向の中で上がっているというふうにお聞きしているんですけれども、そういう林家の認識というのは、さらにこれから五年、十年たてば本県材も外材に太刀打ちして競争力がついていくんだという、そういう将来展望というのはしっかり、植え込まれているのか。つまり、そういうPR、啓発はされているのかということと、そういう時代に備えた林家の、特に新しい林家の経営者たちの意欲、構えというのはできつつあるのかどうか。その辺はどんなものでしょうか。
23 ◯亀澤林業振興課長 林家の方々につきましては、やはりこれまでの国産材は安いんだということで、例えば間伐等をいたしましても、なかなかお金にならないというような認識をまだ持っておられるのではないかと考えております。
しかしながら、先ほどから申し上げましたように、今回のこの取り組みにより、幸いにいたしまして、国産材の値も上がってきておりますので、施業提案という言葉で申し上げましたけれども、積極的に費用や収益を提示して森林施業を進める中で、森林所有者の方々の意識も変わってくるのではないかと。また、各段階のコストダウンを図ることによりまして、それが最終的には森林所有者への手取りの増加につながるというようなことを一生懸命やっていけば、その辺の認識は持っていただけるものと考えております。(「はい、わかりました。結構です。よろしくお願いします」という者あり)
24 ◯武 委員長 ほかにありませんか。
[「なし」という者あり]
25 ◯武 委員長 ほかに質問がありませんので、引き続きまして、養殖業の振興について、水産流通対策監の説明をお願いいたします。
26 ◯柳原水産流通対策監 養殖業の振興について、お手元に配付してあります資料で御説明申し上げます。
ページは二ページでございます。
養殖業の販売・流通対策について、現状、課題、取り組みの三つに分けて整理してございます。
現状の1)のブリ類を主体とする養殖業ですが、表にありますように、本県の海面養殖業の生産量は、平成十七年は六万三千八百五十七トンで全国第十位、生産額にして約五百億円ございます。表にはございませんが、全国順位は第二位となっております。
漁業種類ごとの内訳は、ブリ養殖業の生産量が二万八千八百三十トンで全体の四五%を占め、全国第一位、生産額は百六十七億円となっています。カンパチ養殖業の生産量は三万六百九十七トンで全体の四八%を占め、全国第一位、生産額は二百三十三億円となっています。このカンパチとブリを合わせたブリ類養殖業の生産量は、本県海面養殖業全体の九〇%以上を占め、ブリ類を主体とする生産構造となっております。
マグロ養殖については、業界紙のデータを掲載してございますが、平成十六年の生産量は千百七十トンで、全国第一位で、近年増加傾向にあります。
表の下に、ウナギ養殖を掲載してございます。本県の生産量は七千四百十二トンで全国第一位、生産額は百二十五億円となっています。国産ウナギの根強い需要を受けて、経営は堅調に推移しているところでございます。
以上のように、本県は全国有数の養殖県となっておりますが、主力であるブリ類養殖は、価格低迷やえさ高騰などで経営的に厳しい環境下に置かれておりますので、以下の資料はブリ類を念頭に置きまして作成いたしておりますので、御了承いただきたいと思います。
2)の産地魚価の低迷ですが、現在、ブリ、カンパチとも原価割れの厳しい状況が続いております。生産者価格と消費者価格を比較するために、ブリの単価と鹿児島市の刺身の小売価格の推移を対比させてあります。左の図ですが、ブリの生産量は、近年増加しておりますが、単価は平成十二年のキログラム当たり九百八十七円を境に減少し、平成十七年は五百八十一円となっています。この傾向はカンパチも同様でございます。右の図ですが、ブリの刺身の消費者価格は百グラム当たり三百五十円前後で、ほぼ横ばいで推移しておりまして、産地価格の低迷に対し、消費者価格はほとんど変わらないという状況になっております。
3)には、養殖魚の流通形態を記載してございます。養殖ブリやカンパチなどが産地市場で取り扱われることは少なく、図の中央の青の矢印のルートのように、漁協が集荷して直接大都市の消費地市場に出荷され、量販店等を通じて消費者に販売される場合と、赤の矢印のルート、ここでは中間業者としてありますが、商社などが、直接生産者や漁協などから荷を買い取って出荷する場合で、生産者は販売にかかわらず中間業者任せという実態が一部には見られております。一方、図の下の青い矢印のルートですが、漁協が組合員の魚を取りまとめ、量販店などと直接価格交渉して販売するなど、漁協が積極的に販売に関与している状況も少しずつふえてきております。
4)の消費をめぐる環境の変化としては、欧米での健康志向の高まりや、中国の経済発展等を背景としまして世界的な水産物の需要の増大と、一方、国内ではすべての年齢階層で魚介類の摂取量が減少しているなど、我が国消費者の魚離れの二つの変化を掲げております。
課題につきましては、資料の真ん中に縦書きで整理してございます。産地価格の低迷や世界的規模での消費をめぐる環境変化等を踏まえ、生産者がみずからの魚の販売にさらに積極的にかかわっていく必要があり、また、養殖経営が成り立つような価格形成がなされる必要があると思われることなどから、生産者の意向が反映される価格の形成と消費拡大の二つの課題を掲げてございます。
これらの課題に対する取り組みは、資料の右側に、大きく三つに分けて整理してあります。
まず、競争力ある
産地づくりですが、1)として、ブリ・カンパチのブランド化の推進に取り組んでおります。安心・安全で、環境に配慮しながら、他の養殖の模範となる先進的な取り組みのもとで生産されているブリ・カンパチを、かごしまのさかなとしてブランド認定しておりまして、現在、東町漁協のブリや垂水市漁協のカンパチなど四件を認定しております。今後さらに認定魚を拡大することといたしております。
2)の産地における一次加工等の支援については、調理の容易さなどからフィーレなどが量販店などから望まれており、また、産地においては付加価値を高めることで販路拡大にもつながることから、漁連や漁協等の加工場の整備に対して助成し、その取り組みを支援しているところでございます。
3)の需要に即した計画生産の推進については、全国海水養魚協会でもブリやカンパチの全国的な養殖計画を取り決めておりますので、養殖業者が連携して需要に即した計画生産へのさらに徹底した取り組みを期待しているところでございます。
4)のコスト削減については、養殖業者みずからの生産経費削減の努力は不可欠ですが、県としても製氷貯氷施設等の流通関連施設や養殖生けすの係留施設等の整備に対する助成を行うとともに、カンパチの人工種苗量産化技術開発等に取り組んでいるところでございます。
次に、新たな販売ルート開拓ですが、ブリ・カンパチは生産量が多いため、県外や海外市場にさらに販路拡大を図っていく必要があると考えております。県外市場の上段には、ビジネスパートナーと連携した販売拡大として整理してあります。漁協等の販売への積極的な取り組みを促進するため、平成十九年度はかごしまのさかな販売促進事業の一環として、県漁連と関係漁協が一体となって、カンパチやカツオなどを対象に、大手量販店などビジネスパートナーと強力な連携のもとで、北海道における市場の拡大や中国地方等の県外市場の開拓を図っていくこととしています。
県外市場の下段には、ネット販売・PR等の取り組み促進として、漁協や県かん水養魚協会等による県外でのPR等の取り組みの必要性を記載してあります。
海外市場についてですが、水産物の輸出については、現在、県漁連や県などが出資して設立しました鹿児島産業貿易株式会社や商社などを通じて、養殖ブリ等がアメリカ向けに出荷されているのがほとんどです。経済成長が著しい中国も有望な輸出市場と考えられ、平成十八年度に県漁連を事業主体とするかごしまのさかな輸出促進事業を創設し、香港・上海の市場の開拓を促進しているところでございます。平成十八年度は、香港においてかごしまフェアや商談会等を開催した結果、ブリやカツオのタタキについて一部取引が継続しておりますが、本年度は、国の事業も活用して新たに上海においても商談会等を開催し、輸出の拠点づくりをする計画で、漁連と協議を進めているところでございます。
次に、魚食普及・食育についてですが、漁協の直売所や食堂等の整備に助成するなど、地産地消の取り組みを支援しているところでございます。また、魚食は子供のころからなれ親しむことが必要なことから、体験学習や学校給食での活用等を通じて食育を推進しているほか、一般消費者を対象とした料理講習会や、将来の家庭の食事の担い手である高校生を対象とした料理コンクール等を開催しているところでございます。さらに、県広報媒体やパンフレット等を活用して、本県のおいしい魚や料理等について、広くPRに努めているところでございます。
以上の施策については、県漁連等関係団体と一体となって取り組みまして、養殖業の販売・流通対策に取り組んでいるところです。
以上で、説明を終わります。よろしくお願いします。
27 ◯武 委員長 この際、養殖業の振興について委員として質問したいので、暫時副委員長と交代いたします。
よろしくお願いします。
[委員長退席・副委員長着席]
28 ◯外薗副委員長 それでは、暫時委員長の職務を行いますので、よろしくお願いします。
質疑はありませんか。
29 ◯本坊委員 今回、販売、流通についてお互い勉強しようということで、この前も垂水市漁協を視察させていただきましたが、要は、おいしい魚を育てる、それをどのような形で販売するかということが、これは第一次産業それぞれすべてにおいて関係することであるわけでありますが、そのような視点から、今回勉強をさせていただくわけでありますが、先ほど産地の魚価の低迷のところで、本県ブリの単価の推移をお聞かせいただいたんですが、平成十二年にお幾らと言いましたかね、平成十七年は五百八十一円でしたが、ちょっと教えてください。
30 ◯柳原水産流通対策監 平成十二年のブリの単価は九百八十七円となっています。
31 ◯本坊委員 この平成十二年の九百八十七円、平成十年、十一年、十二年、この辺は大体九百円台であるわけでありますが、この背景というのはどのように分析をされておりますか。いわゆるこのころが九百円台であったということ等を考えましたときに、その背景についてお聞かせいただけませんか。
32 ◯柳原水産流通対策監 現在のブリの生産原価は六百五十円と言われていますので、五百八十四円は原価割れの状態と。それ以上の価格であれば経営的によかったわけですが、一方、鹿児島の場合はブリ、あとカンパチは載せておりませんが、ブリとほぼ似たような傾向でございまして、ブリ類養殖生産量の伸びからしますと、ここ数年はずっと伸び続けております。
ただ、全国的なブリ類養殖業については、十五万トン前後で横ばい傾向になっています。天然物も含めましても二十一万から二十二万トンで推移しておりまして、全体的には漁獲量、ブリ類生産量につきましては、天然物を含め横ばいなんですが、そういう中で単価が下がってきているという状況がございます。一つは生産過剰の問題、あと輸入魚、特にサケ、マス類との競合というのがよく言われるわけですが、やはりブリ類と競合する、供給量全体が増加傾向にあると、過剰状態にあるというのが推定されるところでございます。
ちなみにサケ、マス類につきましても、二十五、六万トンでございますけれども、かえってここは、最近買い負け現象で魚の輸入量は減少傾向、単価の方は若干上がりぎみになっているんですけれども、数量的には減少傾向というところでございます。
そういうことで、価格形成の背景につきましては、やはり生産過剰状態の中で、数量的にはだぶつき状態にあるのではないかと考えております。
33 ◯本坊委員 生産過剰であるということでありますが、これを見てみますと、平成十四年、十五年なんですが、それから平成十三年とかというのは、余り生産量としては前年と変わらないわけでありますが、このグラフで見ますとですね。過剰ということはどう分析すればいいんですかね。それじゃ十二年と十三年でこんなに単価が落ちてきたのに生産量は余り変わらんじゃないかと。
34 ◯佐野水産振興課長 ブリ、カンパチも含めてですが、魚全般にも及ぶかもしれませんけれども、魚がどんどん安くなっていく、その背景ということに話がつながるかと思いますけれども、魚の販売の主体が鮮魚小売店から量販店、スーパーなどに移ってきておりまして、スーパーの経営としては、大規模店の競争ということでコスト高になっていく。それからそれまでの収益のメーンであった衣料品とか、そういったものの比率が下がってきて食料品に収益の比重が移ってきている。そういう面で水産の方から収益をとろうという量販店の経営のあり方があると。
それから、もう一つは、安心・安全とか表示とかございまして、消費者が求めるもの、丸いままの魚ではなくてより切り身、刺身の方になっていく。それからそれをパックする、表示する、中身をきちっと表示する、そういったことに対してコストがかかってきて、どうしても魚を売るコストがふえてきている。一方では、消費者の方が安いものを求めますのでなかなか高くはできないといったことから、消費者価格は変わらないんだけれども、コスト高からしわ寄せを生産者の方に求めていくという状況があるというふうに聞いております。
そういうこともありまして、生産量は変わらないんだけれども、ブリの単価が下がっていっているという状況がここにも出ているものと考えております。
35 ◯本坊委員 切り身等でということはわかるんですが、この十二年、十三年で生産量は変わらないのに、こんな落ちた背景というのはどういうことだったんですかということをちょっと今尋ねている。一方では過剰だから、過剰になったから安くなったと言いながら、これを見る限り、生産量は余り変わらないんじゃないかな、横ばいじゃないかなと、このグラフじゃそう感じるものですから、その辺をどういう分析をしているのかなと。
極端に言えば、過剰だったらいわゆる生産調整をすればいいんじゃないか、調整といいますかね、一定の需要と供給のバランスが崩れているのであれば、それはそれでこんな原価を割るか割らんぐらいの価格で、養殖業の皆さん方も対応するんじゃなくて、ちゃんと経営の安定化を考えれば、そういう指導をすればいいんじゃないかなと思うんだけれども。
やっぱりこの分析はどうなんですか。十二年から十三年に、今、水産振興課長さんがお答えになったように、スーパーがそういう態勢になったわけじゃないんでしょう、これは。
36 ◯佐野水産振興課長 委員おっしゃいますように、先ほど申し上げたのは、長いスパンでの話でございまして、十二、十三年の話ではございません。
37 ◯本坊委員 だからこの十二年、十三年は、このころはどうして、いわゆる十三年ぐらいからぐっと落ちたわけだから、このころ、どういうことがあってこんなに価格が低迷したのかという、その分析はしていらっしゃいませんかということなんですが。
値段が安いのは生産量が過剰だからということだけれども、生産量は一定じゃないかと、なぜ落ちたのかと。急に魚離れが始まったのかと。その辺はやっぱり流通面で戦略的に分析もしながら何かあっていいはずなんだけどなと思って、その辺の背景をお尋ねしている、どうですかね。
38 ◯外薗副委員長 暫時休憩いたします。
午前十一時五分休憩
────────────────
午前十一時九分再開
39 ◯外薗副委員長 再開いたします。
40 ◯佐野水産振興課長 お手元にお配りしてございますこの生産量、単価のグラフでございますが、これは本県のブリに限った話でございまして、このグラフからは生産量の増加と単価の減という関係がちょっと読み取れませんけれども、全国の生産量、ブリの生産量ということで比べてみますと、平成十二年の十三万六千トンが平成十三年は十五万三千トンというふうにふえております。そして、単価の方が一千四十六円から七百七十四円に下がっておりまして、この年、生産量がふえたことによる価格の低下が起きたのではないかというふうに考えております。
41 ◯本坊委員 それじゃ全国的に過剰ぎみだということであれば、全国の協議会等でそのような互いに生産量を抑えていきましょうやとか、そういう検討とか、水産庁からの御指導とかはどうなんですか。
42 ◯佐野水産振興課長 昔、全国かん水養魚協会という名称でしたけれども、最近全国海水養魚協会と名称を変えておりますが、養殖業者の団体がございます。そこの団体でそういう生産を計画的にしようじゃないかという話は時々出ているんですが、はっきり打ち出してきましたのが平成十七年度に、平成十八年度の数量をブリは何トンにしよう、カンパチは何トンにしようじゃないかという話し合いをしておりまして、十九年度においてもそういった数字を打ち出して、その会議の席上で決議しているという状況がございます。
県のかん水養魚協会がございますけれども、その数字を受けましてまた自分たちで話し合い、決議していくというような取り組みをやっております。
43 ◯本坊委員 やはりこういう価格低迷にはいろんな要素がありましょうが、刺身の価格が変わらないのに生産者にしわ寄せがきているということもありましょうが、生産過剰が原因ならば、やっぱりそうやって全国の中で十九年度についてはお互いが一定の目標数値を設けて生産に取り組みましょうと、そういう協議がなされるのが当然だなと思っております。そういう方向が経営安定のための一つの策ではあるのではないかなと思っておりますが、一方では、また先ほどお話がありました普及についても、魚を食べていただく努力もしていかなければならないということもこれは理解いたすわけでありますが。
もう一つ教えていただきたいのは、魚を輸出する時代を迎えましたが、かえって日本人は魚離れが進み、海外の特に中国を含めた豊かな生活を好む人たちは日本食に関しての関心が、魚に対しての関心がすごく高まっていると。やはり、健康にいい、体にいいというお話をよく聞くわけでありますが、海外出荷の場合は大体どれぐらいの値段で取引されるのか。そして、今後の見通し等についてもお聞かせをいただけませんか。
44 ◯柳原水産流通対策監 現在、水産物の輸出に関しましては、先ほども御説明申し上げましたが、鹿児島産業貿易などを通じましてアメリカに輸出しているのがほとんどです。全体の九割ぐらい、東町で申し上げますと、約九億円余りをアメリカに輸出しているという状況でございまして、ただ、最近香港、上海等で経済成長が進んでいるということで、平成十八年度から県漁連を事業主体とするかごしまの魚輸出促進事業を創設し現在取り組んでおりまして、香港につきましては、徐々にではございますが、取引が継続しています。
養殖ブリ、東町のブリなんですけど、それにつきましては、取引は築地渡しが八百五十円ですか、原価以上の取引でされております。あと、ただ中国市場についてはまだこれからですので、今後香港市場、あと上海市場もことしから輸出の拠点づくりをしようということで、今動いているところでございます。
45 ◯本坊委員 海外市場のところに中国の旗しかなかもんで、アメリカの旗も書いとけばよかったのになと思ったり、アメリカに出していらっしゃるということでありますが、今後も海外の市場開拓というのは大変重要なことでありますし、本県も取り組んでいるわけでありますから、今後とも積極的に取り組みをお願いをいたしたいと思います。
以上です。
46 ◯山田(国)委員 ブリをですね、市場価格といろいろすり合わせをしたときに、大体えさ代とか手間暇、一匹を出荷できるような大きさにするのに、どのくらいの経費を見ればできるものですか。
47 ◯佐野水産振興課長 カンパチを一匹生産する経費でございますが、鹿屋のある漁協によりますと、一匹当たり、通常三・五キロですので、カンパチ一尾つくるのに三千百五十円、そのうちコストですが、えさ代が二千百円、それから種苗代が七百三十五円と、あとは人件費とか燃料代とか、そういったもろもろでございます。
48 ◯山田(国)委員 細かい数字でちょっと並べられてもちょっとわかりにくいんですけど、大体一キロを生産するのに幾らかかって、販売価格が幾らあったときが大体この均衡がとれるのかちょっと教えてください。
49 ◯外薗副委員長 暫時休憩いたします。
午前十一時十七分休憩
────────────────
午前十一時十七分再開
50 ◯外薗副委員長 再開いたします。
51 ◯佐野水産振興課長 キログラム当たりで申しますと、カンパチの生産の原価が七百八十円から八百円ということでございます。えさ代がほぼ六、七割でございますから、五百円前後が必要であるというふうに思っております。
52 ◯山田(国)委員 一キロ当たり最低七百八十円から八百円かかると、このときが均衡がとれるというような値段なんですけど、今どのぐらいの価格で推移していますか。
53 ◯外薗副委員長 暫時休憩いたします。
午前十一時十八分休憩
────────────────
午前十一時十九分再開
54 ◯外薗副委員長 再開いたします。
55 ◯佐野水産振興課長 失礼いたしました。
先ほどの数字はちょっと生産原価とそれから販売価格とを入れ違っておりました。大変失礼いたしました。
先ほど申し上げた七百八十円から八百円というのは、現在の販売の価格でございます。
それから、生産の原価でございますが、一キロ当たり九百円、うちえさ代が六八%というふうに聞いております。
56 ◯山田(国)委員 普通はこの生産原価が八百円で、販売価格が九百円、これが常識なんですよ。これが逆ということになれば、キロ当たりこれで計算しますと百円の差額が出るわけですかね。三・五キロということになれば、三百五十円、一匹ブリを出せば出すたびに三百五十円ずつ赤字が出ているんですよ。この現状をどう思われますか、ちょっとお聞かせください。
57 ◯佐野水産振興課長 経営的に大変厳しい状況、幾分自家労賃の部分とか、そういったところで少しはゆとりあるかもしれませんけれども、それも食い込むような厳しい状況にあって、資金繰り大変であろうというふうに考えております。
58 ◯山田(国)委員 先ほどの説明の中で、産地価格と消費者価格、この消費者価格というのが、産地価格には変動があっても消費者価格は余り変わらないということ、そういう説明を受けましたけど、この理由はどう分析されていますか、原因は。
59 ◯佐野水産振興課長 消費者価格が変わらない理由についてでございますが、今、魚の販売がスーパーなどの量販店がメーンになっておりまして、量販店の売る値段、その通常売れる値段、それにコストを差し引いた残りが生産者の方に回るという、消費者、売る側の主導の価格形成が今行われているということが、消費者価格は変わらないんだけれども、産地価格は下がっているという状況になっているものと思っております。
60 ◯山田(国)委員 あなた方はですね、この海外進出などという、非常に目をそらすような施策をされていますけど、この部分が問題なんですよ。産地価格は安い、生産者の価格はですね。一匹売れば三百五十円ずつ損をするというそんな商売というのは成り立たないわけですよ、やめた方がいいですよ。
しかしですね、消費者が買っておられるその価格が、産地価格と連動して安くなっていればこれは仕方がないんですよ、やめないといけない、業者はですね。一匹売って三百五十円損をして、消費者の方がもっと安くでそれを消費されている、これであれば納得がいくんですよ。消費者が買われる価格は変わらない、生産価格というのは変わっている。ここにメスを入れずしてですね、この業界の浮揚策というのは私はないと思うんです。
それを量販店が進出してきたからとか、あるいは大手のスーパーが云々と、これに何とかメスを入れない限りは、この養殖業者の浮かばれる日は私はないと思うんですよ。あなたたちが海外にちょこまか持っていって、それはするなとは言わないですよ。しかし、中国にしても、どこにしてもカンパチとかブリとか幾らでもいるわけだから、天然のものが。そんなところに目を向けるより、まず、この量販店とか大手のそういうスーパー、そういうところが生産者に安いものをつくらせていて、消費者に売るときには価格が変わらないと、あなたたちがここに徹底してメスを入れない限りは、あなたたちの役目は何もないでしょう。水産振興課なんか、名前ばっかり水産振興課で全然振興課になってないんだから、名前だけで。
だから、この状況をわかっていて、あなたたちがそこに手を突っ込まないのであれば、もう我々は水産振興課というのは返上しますと、だから養殖業者はやめてくれと。でないと海外に販売して販路を拡大するとか、全く実績が上がらないようなことをやっていて、現実で言えば一匹売れば三百五十円損をするような現状にあなたたちが真剣に取り組んで、これにメスを入れようという気がない以上は、養殖業者はかわいそうなものですよ。
部長、ちょっと答えてみて。
61
◯上園林務水産部長 今、委員がおっしゃられることはまさしくそのとおりというか、日本の場合は価格の形成というのはいわゆる市場経済主義、需要と供給の基本的なバランスで決まるということになっておりますので、行政としてそこにどういう形でメスを入れられるかということになりますと、非常に難しい問題もございますが、ただ、我々が問題意識として持っておりますのは、先ほどの資料の一番下にございますけれども、生産者がいわゆる加工するなり、そういった形で買ってくれる相手を自分で見つけるといいますか、そうしますと、そこでは価格交渉がちゃんとできるわけでございまして、幾らで売りますから買ってくださいというようなそういう形でですね、徐々にではありますが、先ほど言いましたけれども、ある漁協においてはいわゆる販路拡大といいますか、そういった取り組みをやっておる漁協もございます。
ただ、今はそこにありますように中間業者、そこには商社等と書いてございますけれども、ここに基本的には市場価格がどうであろうが出しているというか、そういう実態もあるわけです。また、逆に言いますと、お聞きするところによりますと、この中間業者からえさ代であるとか、種苗代であるとか、こういったものをその業者に依存をしていると。そういうことですから、こちらもある程度現金がほしいとなりますと、値段がどうであろうとある程度出さざるを得ないと、そういった実態もあるやに聞いております。だったら、それを急激に変えるというのも大変非常に難しい問題かなと思っております。
ただ、確かにおっしゃるとおり、養殖の場合はコストが幾らというのがはっきりわかっているわけでございますから、これを割って売るということ自体をまずやめない限り、なかなか改善しない部分もある。逆に言うと、そういった値段でも買ってくれるところを見つけてくる、そういった努力を地道にですけれども、やっていかんといかんのではないかなと。
そういったことで、ことし新規事業で、額的には微々たるものでございますけれども、新たにそのビジネスパートナーといいますか、そういったところを探す努力をして、できるだけ中間業者との取引から消費者に直結する形での取引になるよう、そういったことに我々としてもぜひ取り組んでいきたいと考えておるところでございます。
62 ◯山田(国)委員 生産過剰で値崩れをする。これは打つ手があるんですよ。先ほど言われるように、ブリであれば匹数を減らす、野菜であれば反別を減らす。
生産過剰になっているから価格が低迷しているというわけじゃないわけですよ。価格は低迷していないわけだから、消費者に行く価格は。消費者の口に入る価格が下がっていれば、それはどっかに原因があるということは結構早くわかるんですけれども、生産現場ではうんと値崩れを起こしているのに、消費者の口に入るときに価格が変わらないというこの状況で、あなた方は生産者と一緒になってこの壁を打ち破る努力を徹底してすべきで、つくったものが適正価格で消費者の口に入るよう、これを行政がしないといけないんですよ。
これを生産者が高くで買ってくれるところを見つけてそこと取引をすれば、そういう努力をしている人もいるというけど、それだったら行政は要らないんですよ。やはり、行政というのは、つくった人が報われるように、そしてまた、食べる人が値段に合ったような価格で自分の口に入るように。これがスムーズにいかないときに、行政はやはり生産者の立場が不利であれば生産者の立場に立って努力をしてあげる。消費者のほうの口に入るのが高すぎれば、またそこはあなたたちが行政という立場で、あなたたちはいろんな権限を持っているわけだから、そういうものを駆使して、やはり原因がわかっていればわかっているほど早急に対応しないと、だれが考えてもカンパチを一匹売って三百五十円赤字が出るような今の養殖業者の現状を大変じゃ大変じゃと、火事をよそから見とって大変じゃらいなというような見方であなたたちがいたら、それならだれがそういう人たちの立場を考えて本気になってやってくれるの。それをやるのはあなたたちよ。それはつくる人たちが努力をせんこてと言われても、今までのいろんな負債が累積していましてやめるにやめられん。しかし、一匹カンパチを売れば三百五十円損をすると、こんな話がまかり通っていいはずがないんですよ。しかし、現実はそうでしょう。計算をすれば。
だから、これ以上は言いませんけど、その現場の状況というのを、養殖業者に原因があるなら養殖業者にしっかりそれを伝えて、そして行政の側もメスを入れないといけないところがあれば、さっき量販店という話が出ていますけど、これは国を動かしてでもこういうところにメスを入れて、生産したものが適正価格で消費者の口に入る、その努力を昼夜を分かたずあなたたちがしないと、ほかにする人はいないわけだから。ぜひともですね、今までも努力をされているかもしれないんですけど、さらに今の現状を踏まえて努力をお願いをいたします。
以上です。
63 ◯外薗副委員長 ここで、武委員から資料の配付を求められておりますので、これを許可します。
暫時休憩いたします。
午前十一時三十三分休憩
────────────────
午前十一時三十三分再開
64 ◯外薗副委員長 再開いたします。
65 ◯武 委員 今、山田委員からもありました。
日本一の生産量のブリ類の養殖をやっているということ自体が、今の価格の全く逆転現象を見ると大変な悲劇を生んでいるわけです。この前もかん水養魚協会の会長と話したら、もう自殺者が出ましたよということでありました。二億円ぐらいの負債があったということですけれども。
この原因の一つであるえさの高騰は、彼らの、養殖業者の予測できる範囲を超えてしまっている価格なんですね。例えば、魚粉でいいますと、二〇〇四年の十二月がトン当たり六十五万四千円が、二〇〇五年には八十五万二千円、さらにまた上がってきていまして、結局今逆転現象で、今ありましたように毎日毎日が赤字を積み上げているわけです。これを何とかしなくてはいけないということが、今の私たちに課せられた仕事だというふうに思います。
そこで、彼らに対してどうすればいいかということでありますので、一つは、漁業近代化資金等の増枠ができないかなと。そして、これを乗り切れないかなということが緊急な課題ではないかなというふうに思います。できる、できないはあると思いますけれども、大変厳しいでしょうけれども、そういう状況が一つ。
それから二つ目に、今、魚粉が相当値段が上がっていまして、大豆ミールを使おうということで一生懸命努力していますけれども、大豆ミールでやっておりますと、御存じのごとく、魚に緑肝症が出てきて死んでしまうわけですね。そこでタウリンを入れるとこれは死なないわけです。
そこで、一つお伺いしたいのは、このタウリンというのは天然物は物すごく高くて使えませんので、合成タウリン、これを使用許可をしてほしいという要望があるんですが、今、この合成タウリンの許可は世界的に見て、日本は許可をまだされていませんけれども、外国はどういう状況であるかをまず教えてほしいと思います。
66 ◯外薗副委員長 暫時休憩いたします。
午前十一時三十六分休憩
────────────────
午前十一時三十六分再開
67 ◯外薗副委員長 再開いたします。
68 ◯佐野水産振興課長 合成タウリンの話でございますが、外国がどのようになっているかということにつきましては、申しわけございませんけれども、手持ちの資料がございません。ただ、日本の場合ですと、合成タウリンは医薬品扱いとなっておりまして、ドリンク剤、こういったものに使われております。
以上でございます。
69 ◯武 委員 アメリカでは許可されているわけですね。これが許可をされますと、大豆ミールが使えるようになります。これはたくさん安くでありますので、大豆ミールの価格はほとんど上がっていませんので、それを使うことによってえさの価格を引き下げるということができるものですから、ぜひですね、議会の方でも、ぜひこれを審議していただきまして、そして国の方でも一日でも早い許可をしていただいて、えさの高騰を抑えるということをぜひしていただきたいというふうに思いますので、そこのところは一つはよろしくお願いします。
それからもう一つは、今度は魚自体、今のえさ自体のことですけれども、特に長崎県はえさに出しているサバを中国にどんどん輸出していますですよね。そういう中で、ことしのこのサバがカンパチやブリのえさに確保できるのかどうか、それを心配しておられるようですけれども、そのような状況を教えてほしいと思います。
70 ◯佐野水産振興課長 サバでございますが、サバはこれまで大きいものは食用として回りますけれども、小型のサバはえさ用として養殖業界の方に回っていましたけれども、中国の需要がふえたために、今盛んに中国の方に輸出されているという状況にございます。
水産資源の
TAC法と申しますけれども、アジ、サバ、イワシ類の漁獲可能量制度がございまして、ことしはそれがもう上限に近づいているために、今サバの漁獲が少なくなっているというふうに聞いておりますが、また七月で一たん切れて、サバのTAC類は七月をもってまた次の年度が始まるということになっておりますので、またそれがあけたときにまたどうなるか、そこもまた注意していきたいというふうに考えております。
71 ◯武 委員 まだわからなくて、もしかするともうカンパチとかブリが十分飼えないという状況に陥りかねないというふうに思っているんです。そういうことで、そこのところも国とも協議してこれを十分確保できるよう、もしくはこういう突発的なものですから、何らかの支援体制をしないことには今度はカンパチ、ブリを持っていても育てられないということに陥る可能性が高いんですよ。それを心配しているわけです。そういうことで、そこのところも一層真剣に協議していかないといけないんじゃないかというふうに思っているところであります。
それからもう一つは、ブリのことしの稚魚について、これが先ほど御説明ありました、つくり育てる漁業の推進の中でのモジャコのところで、平成十九年度は好漁量で五百五万匹、平成十八年度は三百八十六万匹でそれを供給されたとありましたけれども、昨年よりも供給量がふえているわけですが、実際にお話をしてみますと、もうこのままではえさも高騰しているしやっていけないので、もう半分ぐらいまでブリも減らさんといかんじゃないかと、もうこういう状況でやっていけないというような話もあるんですが、この供給量がふえているわけですけれども、それは話し合いの中で昨年以上に育てるという考えがあってのことでしょうか。
五ページのところでありますね。
72 ◯坂口資源管理監 この本年の五百万尾につきましては、養殖する漁協とモジャコを採捕する業者の方々とが、事前に需給契約を結ばれまして、それに基づきまして県が特別採捕の許可を出しておりますので、業界の自主的なそういう制度を受けての許可、実績ということでございます。
73 ◯武 委員 私が心配しましたことは、昨年からブリの生産量も減らしているんですね、努力されているんです。ところが、今でもまだ過剰だというふうに私たちも認識しているわけですが、その中でその辺の話し合いがどうなっているのかなということで、これを減らそうという動きと、ことしはよかったよねという動きと両方あるものですから、その辺のまた整合性をきちっとして、計画生産できるようにじっくり話して、本当に価格が上がるような仕組みをぜひつくっていっていただきたいと思います。
それから、もう一つは、今加工の中で微弱な磁気をつかったアビーですかね、細胞が死なない加工、冷凍、ありますよね。食べてみられましたか。
74 ◯佐野水産振興課長 まだ、申しわけございませんが、CAS凍結されたカンパチは、食べたことございません。食べた方によると、おいしかったというような話は聞いております。
75 ◯武 委員 先週山形屋の方で三日間販売があったんですよ。お客さんがすごく多くて、一日目が千五百人、二日目が千八百人、多分三日目は二千人を超えたと思いますけれども、大変おいしくて人気がありました。細胞が壊れてないんですよ、微弱な磁気によって。だから、実際もう生に近いような形ですね、味があって。
そういうのがありますが、今、各地区でそういうものを作り始めてきているわけです。そうすると、お客さんは来ていまして、それをちゃんとつくってありますので、冷凍してありますので、食べたときにおいしいということと、買いやすいということで、私はこれはすごいこれから伸びると思いますし、また垂水市漁協さんの方でも一生懸命やっておられますので、これはこれからの通販も含んで、直接消費者に渡すという意味でも、私は大変これは今後の大きな戦略になるんじゃないかなというふうに思っていますので、ぜひですね、食べてみてください。もうお客さんはすぐ食べられ、そして冷凍してありますので長くもつわけですね。ぜひまた、今度皆さんに食べてもらうように交渉してみようかなと思っています。
そういうことで、私たちが言いたいのはもう本当はですね、危機宣言を発してもいいんじゃないかと。もうカンパチ業者はいつつぶれてもおかしくないですよ、このような状況では。そういう非常に厳しい状況ですから、これを真剣に考えないといけないし、今先ほどありましたカンパチが七百八十円から八百円と、もう少し下がってきていますよ、七百五、六十円ですよ。それからブリも下がってきていますよね。五百五十円ぐらいでしょう。あれも七百円ぐらいじゃないと合わない。
そういうことで、ブリ、カンパチ業者はもう本当に首をつるんじゃないかと思うぐらい、それぐらいの状況にありますので、その辺をもう少し一緒になって、真剣になって政府にも交渉して、できるだけ合成タウリンも一日でも早く許可していただいて、少しでもえさを安くできる、そういうような状況にしていきたいなと思いますので、皆様方の御協力、真剣になっての御審議をよろしくお願いいたします。
以上です。
76 ◯外薗副委員長 ここで、委員長と交代いたします。
[副委員長退席・委員長着席]
77 ◯き久委員 ちょっと済みません、ちょっと一点だけなんですが、教えてください。
現状の中のマグロ養殖業の今行われている地域と、もし地域別漁獲生産高がわかればお願いします。
それとクルマエビ養殖業、この二点の地域と地域による漁獲高、もしわかったら教えてくれませんか。
78 ◯佐野水産振興課長 マグロについてのお尋ねでございますが、現在マグロ養殖が行われているところは奄美がメーンになっております。ちょっと生産量まで正式な統計がないもので、ちょっと手持ち資料がございませんけれども、瀬戸内の方に三業者、宇検村の方に二業者、それから笠沙の方で、笠沙の野間池でございますが、ここは中核的協業体という漁業者がグループでやっているものが一カ所、それから上甑島に一業者ございます。
それから、クルマエビの生産地でございますが、ちょっとこれは数字わかっておりますが、ちょっと若干古いんですけれども、平成十六年の数字で申し上げますと、一番多いのが宇検村七十九トン、二番目に姶良六十三トン、姶良は加治木姶良の姶良でございます。三番目に中種子の六十トン、四番目に西之表の四十四トン、五番目に瀬戸内の四十四トンという数字が出ております。
79 ◯武 委員長 ほかにありませんか。
80 ◯吉永委員 先ほどからいろいろお話を聞いておって、何か市場経済だから行政が介入することはできないという、いわば逃げの姿勢だけで今推移をしているような感じを受けるんですよ。
だから、もう漁業者にとっては今生きるか死ぬかという、この間、もう既に自殺をされた方もいらっしゃるという話もお聞きして、大変痛ましい思いをしたわけですが、先ほど部長の方でも、生産者みずから市場を開拓していかんないかんとか、既にやっている人がいるとか、そういう話もございましたが、やっている人がおって、その人が成功しているのであれば、そういうことをやっぱり県内の漁業者全体にきちんと、こういう方法でやったらきっとうまくいきますよと、やっている人はこういうふうに成功していますよという、指導をきちんと広げていく必要があるんじゃないかということと。
それから、やっぱり生産者が販売するのは安くて、消費者が食べるのはやっぱり下がっとらんということは、中間搾取ですよ。やっぱりこの中間搾取にある程度行政も踏み込んでいって、これじゃ生産者がもうそれこそ廃業しなきゃならん状況になると。そうなったらやっぱりそういう量販店なんかにしても、売る物がなくなったらかえって困るわけだから、そういうことをきちんと考えて、ある程度やっぱりそういう市場経済だからといって逃げの一手じゃなくて踏み込んでいって、やっぱりそこら辺についてはもうちょっと生産をされる、生きるか死ぬかの苦闘されている方々の立場に立って、やっぱり行政は動いてもらわんと私はいかんと思いますよ。
だから、その辺のことはきちんとやってほしいなということを要望をしておきますから、よろしくお願いします。
81 ◯武 委員長 この件に関して御質問はほかにありませんか。
[「なし」という者あり]
82 ◯武 委員長 ほかに質問がありませんので、特定調査についてはこれで終了いたします。
ここで、暫時休憩いたします。
午前十一時五十二分休憩
────────────────
午前十一時五十四分再開
83 ◯武 委員長 再開いたします。
それでは、カンパチ、ブリ類の価格安定と経営安定についての取組を執行部に対する当委員会としての要望とし、委員長報告において取り上げることで御異議ありませんか。
[「異議なし」という者あり]
84 ◯武 委員長 御異議ありませんので、そのように決定いたします。
次は、県政全般にかかわる一般調査についてであります。
質問がありましたら、お願いいたします。
85
◯上村委員 鹿児島県が購入した種子島の環境の森林用地に関して質問いたします。
これは、青木議員も本会議で質問をしているところでございますけれども、平成十三年に、県は新種子島空港用地西側に位置する森林三百五十七万九百二平方メートルを、二十四億二千二百四十三万九千七百八十五円で購入しております。それらの土地がすべて市丸氏と親族の皆様の土地だったということであります。このことについてまず確認をしたいと思います。
その前に、私どもは新種子島空港の事業そのものは大変高く評価しておりますし、まだ東京との直行便等は実現していませんけれども、新しい東京国際空港の滑走路の供用開始等を機会に、ぜひ実現していただきたいというふうに思っております。
また、青木議員の質問に対して、執行部の方はいろいろ答弁されましたけれども、その中心は鹿児島県議会でも議決していただいた内容であるというのがポイントではなかったろうかというふうに思っております。ただ、その後いろいろ情報の提供等がございまして、それらを見た限りでは、私どもが県議会で知り得た情報以上のものがあるようだということで、その点を確かめる意味で質問すると、こういう立場でございますので、率直なところを御答弁をいただきたいというふうに思います。
まず、先ほど申し上げました三百五十七万余平方メートルの用地が、市丸氏と親族等の土地だったかどうかということと、もう一点は、周辺に全く同じ条件の森林が虫食い状態のように隣接、点在しているという指摘がございます。そうであるならば、環境の森林整備事業の趣旨からするならば、隣接、点在する地権者にもその事業を周知をして、同様に購入すべきであったというふうに思うわけでございますけれども、それらはどうであったのかということでございます。
ちなみにここに、執行部の方は持っていらっしゃると思いますけれども、黄色い部分が県が購入した三百五十七万余平方メートルの土地でございます。そうしますと、この間等も当然購入対象になるべき土地であるということでございますので、その辺はどうであったのかということを、まず質問いたします。
86
◯上園林務水産部長 ただいまの御質問でございますが、種子島の環境の森林につきましては、知事が本会議で答弁をしたとおりであると思いますが、購入したときの当事者では我々もございませんので、もちろん承知をいたしておりませんけれども、環境の森林の土地の購入に当たっては、いわゆる譲渡意思というんですか、これを売っていいというか、そういった意思が示されたものについて購入をしたというふうに伺っております。
87
◯上村委員 そのときの県議会の審議の中で、この地域は流域の保全の必要性が高い地域であると、これは議事録を見たわけじゃないですけど、多分書いてあると思います。流域の保全の必要性が高い地域であるというふうに執行部は答弁しているわけですよ。
そうしますと、これは、要するに水資源涵養と防災機能強化というのが環境の森林整備事業の趣旨ですよね、二つの大きな目標ですね。水資源涵養ということと、防災機能強化ということですから。その二つの事業の目的からするならば、これは用地購入の要請があったものだけを買ったとおっしゃってみても、知らなければ要請のしようがないわけですから、その辺はきちんと周知をされたんですか。
88
◯上園林務水産部長 今おっしゃったとおり、当時の委員会でも、この当該森林は種子島の中央部に建設中の新種子島空港の西側周辺に位置する森林で、この森林を水源とする脇之川、大蟹川等の下流に集落水源等があり、森林の持つ水源涵養機能の保持、向上が強く求められておることから、今回この流域の森林所有者からの譲渡申請のあった森林を、環境の森林の整備事業として取得すると、こういうふうに説明をされておりまして、先ほど来言いますように、譲渡意思の示された山林を購入したものでございまして、今現在、県が所有している環境の森林につきましては、今この二つの目的といいますか、これに沿ってといいますか、この機能を果たしているというふうに私どもはそのように理解をいたしております。
89
◯上村委員 環境の森林整備構想の当時の資料がありますよね。「環境の森林整備に関する基本方針」というのがございますけれども、もちろん、先ほど申し上げました水資源の涵養と防災機能というのがうたってあります。
そして、ここに一覧表がございます。これは県本土の適用条件に該当する河川及びその流域が書いてあるわけですよね。川内川から天降川から肝属川、万之瀬川、甲突川等々が書いてあるわけですけれども、その工事の際は、どうなんでしょうか、環境の森林整備構想は平成九年に始まったと聞いているんですけど、全く何も周知しないで、買ってくれと申し出が県のほうにあった山林だけを買われたんでしょうか。
90 ◯脇 県営林管理監 今、委員のお尋ねの件なんですが、周知といたしましては、林業関係の「林業かごしま」という冊子等で周知したり、離島が入りましたときは「議会だより」の中で、きちっとそういう記事も出ておりますので、それで周知しております。
91
◯上村委員 市町村役場等を通してほかのところは知らせたというような、県の答弁があったやに聞いていますけどね。本当に何も具体的に知らせないで、今おっしゃったような、県の周知程度で買ってくれといったものだけを、県内のこの三十の河川の流域の環境の森林整備構想では買われたんですか。何か積極的にこういう事業をしますよという周知は全くなかったんでしょうかね。
92 ◯脇 県営林管理監 先ほど申しましたことにつけ加えますと、市町村等を集めました会議等で、こういう事業が始まるということは周知しておりますが、委員がおっしゃる、わかるような周知というのがどういうものかわかりませんけれども、林業関係団体を通じての周知は十分図ったというふうに承知しております。
93
◯上村委員 もう一回具体的に、項目ごとにどういう周知をされたか、おっしゃってもらえませんか。
94 ◯脇 県営林管理監 まず、平成九年の三月に基本方針ができまして、それに基づきまして事業の概要というものを平成九年度に入りましてから市町村を集めてやったと。それと林業関係の冊子であります「林業かごしま」に、こういう事業が始まりますということを載せていただいたと。
それとあと、離島が該当地区になるということは「議会だより」で周知されたというふうに考えております。
95
◯上村委員 「林業かごしま」と概要を市町村に周知したということですから、その概要を市町村に周知されたんであればそれをいただきたいし、「林業かごしま」の原本がなければコピーでもいただきたいし、そこははっきりしていただきたいというふうに思うんです。
これは週刊朝潮の二〇〇六年十二月二十一日の記事の中に、「俺のとこには、そんな買取りの話なんか全然なかったよ。七、八年前かな、隣接する市丸の土地との境界をはっきりしたいからと、県庁の依頼で測量士がやってきて、俺にも立ち会ってくれと言ってきた。でも、何で市丸の土地だけ買うのかまったく説明はなかったよ。聞いてたら、そりゃ俺だって買ってもらいたかったよ」という七十代男性の声。もう一人は、「うちは空港用地にも土地を持ってたから、そこは買い上げてもらいました。だから、隣接する森林も県の人に全部買ってやと頼んだんです。でもそんなのいらんと言われただけでしたよ」、これは八十代女性ですね。それから、隣接する広大な土地を持つ神社の宮司という方の発言として、「市丸さんの土地が買い上げられたことも、そんな事業があることも知らなかった。もちろん、私どもに県から何の話もなかったですね」というのがありますよね。
だから、やはりこういう発言を、それは一々きちんとやろうと思えば、これはあとを確かめていかなくちゃいけないと思うんですけれども、どうしてもですね、やはりおかしさがありますよね。しかも、繰り返しますけれども、水資源涵養と防災機能ということから見れば、こんなふうに買ったってしょうがないわけですよね。これはこれでむだじゃないと思いますよ、これはこれで。しかし、あいている部分をやっぱり買った方が防災機能、水資源涵養としてはいいわけですよね。そこはやはり、そこの疑問というのはもう裁判にかけられているから、余り詳細に言いたくない面もあるかもしれませんけれども、やはりそこの疑問は残るんじゃないかというふうに思います。
それと、選定基準を変えられましたよね、選定基準を。平成九年から環境の森林整備事業が始まって、平成十二年に選定基準が変わって、そしてその中に、ただし、離島はこの限りではないという項目が一項目あったわけですよね。複数市町村にわたる一、二級河川の流域沿いに存在することというのが条件だったんですよね。だから、私の地元の新川は該当しなかったと、鹿児島市の新川はこの一覧表に入っていないようですよね。
ところが、ただし、離島はこの限りではないということで、平成十二年四月十七日に改正されたということですけど、これはどういう経過なんですか。
96 ◯脇 県営林管理監 今、委員がおっしゃったように、十二年度に入りまして見直したんですが、十二年三月の議会で一般質問と、それから余り言うのはどうかと思いますが、
農林水産委員会で上村委員の御質問もありまして、離島についても広葉樹等についても入れるべきではないかという意見が議会からも出たと。
それと、渇水被害が平成六年から十年にかけまして県内で十四地区、出ておりますが、そのうち十二地区は離島であったという事実もございまして、そういうことから、最初の選定基準では今委員がおっしゃったように、複数市町村ということがネックになってなかなかできない、だけども非常に水需要が高いのに困っていらっしゃる地区が多いということで、新たに離島も入れていただいたというふうに聞いております。
97
◯上村委員 環境の森林整備構想というのは、平成五年の八・六水害、八月六日ですね、あるいは平成五年のその前の七月三十一日から八月一日にかけて姶良方面で大水害がございましたよね。その一連の水害のある意味では反省といいますか、結果を受けて導入されたということで、この事業自体には私ども大変関心を持ち、期待をしてきたわけですよね。だからその事業がどういうふうに展開したかというのには関心があるわけです。
今お答えいただいたそのことを踏まえ、それじゃ結果的にどうなっているかということを質問いたしますと、そういう離島はこの限りでないということで、一、二級河川でなくても購入ができると、そうおっしゃいますけれども、それじゃこの辺はどうなんでしょうか。市丸さんの土地購入に関する測量開始は平成九年から開始されていますよね。そういうその環境の森林整備構想の基準を変える以前から、平成九年十二月から測量を開始されて、平成十一年九月に測量が終了している。これは通算、計約九千三百万円の経費がかかっていると思いますね。この測量はもちろん、この市丸さん及びその親族の皆さんの関連の土地のみが測量されているわけです。
時間がありませんので進めますけれども、皆さんの
林務水産部の経費で事業として測量されたんではなくて、ここに県の資料がございますけれども、新種子島空港測量委託として、平成九年度から十一年度にかけて土木部の事業として測量がされている。この辺はどういうふうに理解すればよろしいんですか。
98
◯上園林務水産部長 確かに私もそのように土木部の方でされたということはお聞きしておりますが、なぜそういうふうになったかということについては、申しわけございませんが、承知をいたしておりません。
99
◯上村委員 これだけの大事な環境の森林整備構想、これは終わりましたけど、始まって以来の比較にならないような大きな購入事業が行われている、部長が知らないということでは済まされないですよね。ぜひそれは調査して御報告をいただきたいと思うんですけど、よろしいでしょうか。
100
◯上園林務水産部長 先生も御承知のとおり、今この事案につきましては係争中でございまして、当然向こう側の主張と我々の主張と、ある意味では我々も整理をしながら主張していくということになりますので、それに支障がない範囲の中でまた御答弁をさせていただければと思っておりますので、よろしくお願いします。
101
◯上村委員 向こう側の主張を見ながらとおっしゃってみても、もう訴状に全部出ていますよね。大体提訴者が何を言いたいかということはもう出ているわけですよね。
ですから、それはそれで、議会は議会で、私どもの場合は二元性の議会の制度、地方自治の制度で、県議会は国の議員内閣制みたいに議員が内閣に入るという状況でもないので、執行部のやることをしっかり知るということは非常に大事なことで、そういう意味ではちゃんと裁判とはまた別な問題として、議会への説明責任があると私はこう考えます。それはその資料をいただいてまた判断したいと思います。
それとですね、この環境の森林整備構想は、何回も申し上げますけど、平成九年から始まって、平成十年度が大体八十ヘクタール、平成十一年度が七十五ヘクタールなど二けた台の山地の購入で推移してきたものが、平成十二年になって種子島が対象になり、このくだんの山林が平成十三年度に約三百六十八ヘクタール購入されたわけです。そして翌年は約五・九ヘクタールの購入に終わって、その平成十四年度をもってこの事業は廃止になっておりますよね。その辺の経過はどうなんでしょうか。
この環境の森林整備構想の当初の資料、当初の方針ですね、これですね、端的にいいますと。一級河川、二級河川、計三十の河川プラス離島を除くですから、種子島の河川流域、屋久島の河川流域、奄美大島の河川流域、名瀬市では永田川のはんらんもございましたよね。だから、そういう意味では、事業目的としては終わっていないはずなんですけど、それが三百六十八ヘクタールを購入した翌年をもって終わったということは、どういうことなんでしょうか。
102 ◯脇 県営林管理監 今おっしゃったように、確かに平成十四年度をもって終わっております。これは、一つには平成九年から平成十三年度までは有利な起債がきいておったということもありまして、十三年度までの起債というのは、カバー率が非常に高い有利な起債であったということもございまして、平成十四年度からその起債がカバー率が半分になったということもあります。
それと一応県内八流域にモデル林としての整備が終わったと、そういうことで十四年度をもって終わったというふうに聞いております。
103
◯上村委員 どうもその御答弁は釈然としないですね。財政状況云々は理解できるんです。だけど、こういう事業は息長くこつこつとうまずたゆまずやるものですよね。大体山林の整備というのはそういうものらしいですね。
だから、これだけの恐らく三十の河川プラス離島であれば、この三十の河川だけを見てもまだ一つも買っていない土地もあるはずですよ、この流域の。そうじゃないでしょうか、どんなものなんですか。何河川ぐらい買われましたか。
104 ◯脇 県営林管理監 八流域でございます。
105
◯上村委員 だからそんなものでしょう。
三十河川のうち八河川しか購入されていない。流域を見ればまだ荒れた山があるはずですよね。本来の意味から言えば、この趣旨から言えば、人工林が多いところというのがありますけれども、だんだん環境の時代になって照葉樹林が見直されてくる傾向の中で、それじゃまた照葉樹林も買おうかという話にもなるしですね。事業自体としては終わっていない、事業目的はまだ達していないという中で、これが二十四億円も使ってこの市丸さんの土地を買って、翌年には終わったというのはどうしても釈然としないですね。これはもう少し環境の森林の八河川でどういうところでどういうふうに買われたか、その辺を調べさせてもらってまたお聞きしたいと思います。
次に、購入価格の件ですけれども、相手方市丸さん関連の山林の購入価格は、一平方メートル当たり五百六十二円と聞いています。そういうことであるのか確認をお願いします。
そして、これは高過ぎるのではないかという声があります。というのが、県本土の同様の山林の購入価格は二百十円と聞いております。これは鹿児島市郡山町の価格が二百十円ということでございます。だから、一平米当たり五百六十二十円はどういう判断から出てきたのかということですね。
それから三点目に、基準地の変更までされていますよね、種子島の中で。種子島の林地の基準地である鹿児島(林)─十九に関する資料がございますけれども、この中で基準地の変更がされています。平成二年七月一日段階で、中種子町納官字檜山五千十一番という基準地であったのが、平成三年から平成十一年までは西之表市古田字石ノ本千三百七十七の二十一となっていますね。そして平成十二年七月一日以降は、西之表市国上字赤木嵐千五百五十六の一となっています。そして、最初の中種子町納官は価格が一平米百四円、ところが、西之表市古田になりますと三百円、それから西之表市国上になりますと九十七円、あるいは十八年になりますと九十二円、こういうものでございます。この基準地の変更をされた理由、この三点をお聞きします。
106 ◯脇 県営林管理監 今、委員がおっしゃった購入価格の五百六十二円、一平米当たりはそのとおりでございます。
それから、内地の方の二百十円というのは、委員がおっしゃったとおり、郡山町の一地区の単価でありまして、その他内地はまだ価格的にはいろいろ変動はございます。
それから、この基準地の変更というのは、これは私も詳細には存じておりませんが、企画部の地域政策課が行うことでありまして、これにつきましては私どものほうではちょっとわかりかねます。
以上であります。
107
◯上村委員 この購入は一平米当たり五百六十二円で購入されたという、購入そのものは
林務水産部がしたわけですよね。この同様の種子島の周辺部の土地と比較してどうですか。私どもは高いと思うんですけれども。
108 ◯脇 県営林管理監 今、詳細な資料を持っておりませんけれども、土木部が空港で買ったのは九百円だとお聞きしております。
それで、私どものほうは面積が広いということもございまして、十地区を三つの不動産鑑定士に依頼してですね、そこの十点の平均単価をしたものが五百六十二円だということで鑑定を受けたものですから、それを価格として用いて購入したということでございます。
109
◯上村委員 それもですね、そういう執行部の御答弁もここだけじゃなくて、幾らかの場所でされていると見えて、それに対する意見もございまして、本当に鑑定士にきちんとした実勢を県は示したんだろうかという声もあります。
それから、空港が九百円、これはやはり空港用地の中には人家もあるしですね、畑もある。だから空港用地の場合は生活の再建という、これはダムの購入の場合もそうですよね。生活の再建というのがあるから、やっぱり再建できるような資金で買ってやるというのがこれはあるわけですよ、それは。だから、私はこのことは申しません。
だけど、この空港用地九百円と環境の森林が連動するというのはおかしいことですよ、やっぱり。それは違うんだから、目的が。しかもそこは空港用地でもないわけですから。おっしゃるように買ってくれと言われたから買いましたとかいうこともおっしゃったしですね。だから、そんなに高々と買う必要はないわけです。そこのところはですね、ぜひもう少し状況を説明していただかないと、ある意味では一番肝心なところですよね。
だから、再度申し上げますが、空港用地が九百円というのはわかります。私も西之谷ダムの用地買収の状況を地元でつぶさに見せてもらっていましたから、それはいろいろ議論をして一定の基準を決めて、地権者代表と折り合いをつけて、だれが購入しても損得が余り出ないように、そして、そこの村を出ていった場合に一定の建物を建てて、畑を買って生活再建ができるように、そういうことですから。
だから、空港の九百円を基準にしてもらっちゃ困るわけです、理由にですね。だから、やっぱり五百六十二円というのは高いんじゃないですか、余りにも。
もう一回その辺をお願いします。
110 ◯脇 県営林管理監 九百円と言ったのは、別にこれを参考としたわけじゃなくて、ただそこの近辺の価格はとおっしゃったから九百円と申したまでで、それを参考にしたわけではございませず、県に登録している不動産鑑定士二十五名の中から三名を選んで、これは客観的に選んでやっております。そして十地区無作為にとってその平均ということで出した価格でございますので、第三者的にやられたと私どもは承知しております。
111
◯上村委員 そうすると、そういう御答弁がありましたけど、そうであるならばこれから県が購入する、種子島地域における山林購入等も大体こんなものにはなるということですよね。そう理解していいですね。
112 ◯脇 県営林管理監 今の質問にはちょっと何とも、買うときのやはり基準価格というものがベースになって決まっているというふうに承知しております。(「関連」という者あり)
113 ◯山田(国)委員 あなた方が勝手に値段を決めていればこれは問題がある。だけど、県内の土地を購入する場合には、大体同じ土地というのはないわけですので、二十五名なら二十五名おられる中でそれで最も信頼に足る不動産鑑定士というのを、その地域に詳しい方が鑑定して、その値段というのが出てきたと思うんですよね。
しかし、今、係争中のその場所については、内地がこのぐらいなのにといういろいろ問題があると思いますので、今、上村先生もおっしゃっているのは、内地に比べてちょっと高いんじゃないかなと。
それで、あなた方に私が聞きたいのは、鑑定士がしっかりした形で鑑定をされたものを、県はそれに基づいて購入したと、それは胸を張って言えるということなんでしょう。私の質問も加味した上で、ちょっとしっかりした答弁をお願いいたします。
114
◯上村委員 県は三名の不動産鑑定士に資料提供の機会があったんですか。大体こんなもんですよと、こういう資料ということで。それとも全く県とは関係なく鑑定されたんですか。その辺をお願いします。
115 ◯脇 県営林管理監 今、申されたことなんですが、これにつきましては、その当時の詳細なことは知っておりませんが、聞いたところによりますと、不動産鑑定士にすべてをお任せして得られた価格だというふうに聞いております。
116
◯上村委員 私が先ほど聞いたのは、客観的に三名の不動産鑑定士が鑑定してこの価格が出たんだから、県が今後同様の、同様というか違ったのでもいいですけど、事業を種子島でする場合は、この五百六十二円というのが大体参考になりますよねということを言ったんですけど。
117
◯上園林務水産部長 今の委員の御質問でございますが、それは今後もし山林を我々が購入するとすれば、また改めて不動産鑑定士、そういった方々にお願いをして評価をしていただいて、その価格に基本的には基づいて買うということになろうかと思います。
118
◯上村委員 いろいろ質問し、答弁いただきましたけれどもですね、やはり特定の方々の土地を買ってですね、まだお聞きしたいことはありますけれども、その直後にまたこの環境の森林整備構想をもうやめられたということ等、不自然な点があるということが巷間言われているわけです。それは現に今裁判になっているわけです。
私どもは環境の森林整備構想にしても、私も新川流域に住んでいますから、皆さんが考えられる以上にその事業そのものに期待していたわけですよ。ところが、何かおかしなふうにこれがねじ曲げられてしまったということ。あるいはこのくだんの市丸さんの土地の購入については、今るる質問したことから大体皆さん、私の気持ちはおわかりのようにですね、これは環境の森林整備構想などではなく、空港建設事業の一環ではないのかと。
この新聞もたくさんございますけど、当時のですね。平成四年ごろこういう、県がなかなか土地を買えなくて行き詰まっていると。四億円のお金を継続継続で、これ以上長引けばもう国にお金を返して、抜本的に白紙に戻さんないかんというのが平成四年段階の新聞に出ていますよ。相当言われているわけです。
そういう経過の中で、市丸さんが難しいことを言って一向に土地を売ってくれないと、事業が進まないと。このままでは減額補正を組まねばならないということの打開策として、一種のつかみ金としてこの山林を買ってやって、市丸さんに不当な利益を上げ、そして一方では県が不当な損害をこうむったんじゃないかということの疑問が出ているわけです。
そのことについて一通り質問をしたということでございまして、あともう一回皆様の御答弁を検討して、また資料もいただいて、また御質問をしたいと思います。
私はこれで終わります。
119 ◯武 委員長 ほかに質問はありませんか。
[「なし」という者あり]
120 ◯武 委員長 ほかにないようですので、これで県政一般の調査を終了いたします。
以上で、当委員会に付託されました陳情等の審査はすべて終了いたしました。
委員長報告につきましては、特定調査事項を含み、文案は当席に御一任願いたいと思いますが、御異議ありませんか。
[「異議なし」という者あり]
121 ◯武 委員長 御異議ありませんので、そのようにいたします。
次に、鹿児島県議会会議規則第七十五条の規定に基づく閉会中の委員会活動についてお諮りいたします。
請願・陳情以外の案件に係る閉会中の継続審査事件については、農業振興対策について、林業振興対策について、水産業振興対策についての三項目としたいと思いますが、御異議ありませんか。
[「異議なし」という者あり]
122 ◯武 委員長 御異議ありませんので、そのように決定いたします。
以上をもちまして、
農林水産委員会の日程はすべて終了いたしました。
これで、閉会いたします。
御苦労さまでした。
午後零時三十五分閉会
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