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2006-06-23 平成18年第2回定例会(第3日目) 本文
2006-06-23 平成18年第2回定例会(第3日目) 名簿

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  1. 鹿児島県議会 2006-06-23
    2006-06-23 平成18年第2回定例会(第3日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時一分開議    △ 開  議 ◯議長(金子万寿夫君) ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    黒 田 清 信 君    与   力 雄 君    藤 崎   剛 君    永田けんたろう 君  一、請願・陳情の委員会付託  一、散  会       ━━━━━━━━━━━━━    △ 一般質問 2 ◯議長(金子万寿夫君) まず、一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。
     黒田清信君に発言を許可いたします。    [黒田清信君登壇](拍手) 3 ◯黒田清信君 おはようございます。  私は、平成十八年第二回県議会定例会に当たり、公明党県議団として県政の重要課題等について一般質問を行います。  まず、イラク南部のサマーワに派遣している我が国の陸上自衛隊を撤収させることが決定いたしました。国際貢献策として我が国の自衛隊がイラクの人道復興支援に貢献し、無事に任務が遂行されたことに敬意を表しますとともに、心から安堵いたしております。今後は、イラク人によるイラクのための民主的な国づくりが進むことを願うばかりであります。  国の財政経済計画については、経済財政運営の基本方針、いわゆる骨太の方針二〇〇六の七月初旬の策定に向けて、さまざまな議論がなされております。地方交付税の法定税率の引き下げや交付税総額の削減、人口、面積のみを算定基準とする新型交付税の導入の検討など、地方の厳しい実態を無視した動きが見られるところであります。財源保障機能と財源調整機能を有する地方交付税制度は基本的に存続させなければ、地方が生き延びることは不可能になってまいります。知事を初め、我々も、地方の実態と状況をしっかりと訴えて、納得のいく解決をさせなければなりません。  早速質問に移りますが、九州経済産業局は、「活力ある豊かな九州経済の実現に向けて」と題する九州の新しい経済成長戦略を発表いたしました。全国平均を上回るスピードで人口減少が進む中、自動車や半導体などの九州のリーディング産業のさらなる飛躍と環境・リサイクルや観光など、九州の潜在力や地域特性を顕在化させる施策を強化する戦略であります。二〇一五年までの九州の実質総生産を年平均二・五%成長させる具体的な目標が提示されております。自動車と半導体を九州経済の牽引役と位置づけ、そのための企業集積と地場企業の参入促進策を展開し、環境や燃料電池、ロボットやバイオなどの新産業創出を図り、農工連携や観光産業など、地域の自立を支える施策を展開することが必要であるといたしております。  そこで、ライブドアやいわゆる村上ファンドなど、株の取引により成長し、羨望のまと的存在であった企業がインサイダー取引など、法を犯していた事件が発生をいたしました。私は決してマネーゲームを否定するものではありませんが、知事はこのような風潮をどのように考えておられるのか、まず知事の考えをお伺いをいたしたいと思います。  また、我が国や県にとって、額に汗して働くものづくり産業、いわゆる足腰の強い二次産業の振興が重要であると考えますが、知事の考えをお聞かせください。  次に、新経済成長戦略においては、地域産業の競争力強化と就業機会の増大を同時に達成する事業として、具体的に自動車と半導体を挙げており、知事も企業誘致としての自動車産業の振興を提案をされておりますが、本県におけるその振興策へ向けての具体的な取り組みについてお伺いをいたしたいのであります。  次に、景観行政については代表質問で既に議論が交わされましたので割愛をし、情報の流出防止策についてお伺いをいたします。  個人情報保護法の施行により、情報管理への関心が高まっております。急速なパソコンの普及とともに、民間企業、学校、警察、銀行等々、全国で情報の流出が多発いたしております。ファイル交換ソフト「ウィニー」を介した情報の流出やパソコン管理体制の不備から被害に遭っているケース等、情報の流出防止対策が喫緊の課題となっております。  かごしま産業支援センターの調べによりますと、従業員十五人以上の中小企業の九五・四%がインターネットを利用しており、「セキュリティー対策を特に講じていない」との答えが二四・九%もあります。また、「コンピュータウイルスの被害を受けたことがある」との回答が三〇・一%であり、インターネットの急速な利用拡大の中で情報管理が無防備である実態が浮き彫りになっております。  そこでお尋ねする第一点は、本県における情報流出の現状についてであります。  次に、国においては、パソコンに関する情報流出防止の行動計画「セキュアジャパン二〇〇六」を策定し、情報の漏えい防止に努めております。昨年十二月に策定をいたしました情報セキュリティーのための統一基準に基づき、ウイルス対策、情報の外部への持ち出しや私物パソコンの業務利用の厳格化などでありますが、本県はどのようなセキュリティー対策をとっているのか。また、民間企業において三〇・一%の企業がコンピュータウイルスの被害を受けたことがあるとのことでありますので、民間企業に対する情報流出防止対策の啓発についてお聞かせをいただきたいのであります。  第三点は、学校におけるセキュリティー教育についてお伺いいたします。  車を運転するときは試験に合格して初めて運転が可能になりますが、パソコンはだれでも簡単に利用できる利点があると同時に、思わぬ被害に遭うことがあります。その意味で、早い段階でのセキュリティー教育が大事でありますが、学校におけるパソコン普及の現状とセキュリティー教育についてお伺いをいたします。  第四点は、全国町村会が、自治体で個人情報の漏えいがあった場合に損害賠償金や訴訟費用などを補償する個人情報漏えい保険を六月から導入するという報道がありました。情報管理を厳格に行うとともに、万一に備え、都道府県においても個人情報漏えい保険制度の導入を働きかけていく必要があると思いますが、見解をお聞かせください。  次に、部長のマニフェストについてお伺いいたします。  隣県宮崎県は知事部局の部長に、部長として重点的に取り組む目標を盛り込んだマニフェストの提出を求める制度をスタートさせました。九州では長崎県に次いで二番目で、県の最上級幹部である部長に管理意識、目標達成意識の向上を促すのがねらいのようであります。各部長は、提出したマニフェストの達成に努め、年度末には達成状況を検証し、知事に報告するものであります。マニフェストによって、部長みずからの事業遂行責任に加え、事業を効率化させ、部全体の組織力を高め、結果として県民サービスの向上に寄与することを目指している制度であります。  そこで、本県においても、事業の効率化や県民サービスの向上に資するため、部長マニフェストを導入することを提案いたしますが、知事の見解を求めます。  次に、職員の時差出勤についてお伺いをいたします。  大分県では六月から、業務が夜間に及ぶことが多い農業改良普及員用地買収担当職員を対象に、出勤時間を最大四時間半遅らせることができる時差出勤制度を試験的に導入すると報道されました。都市部で渋滞緩和策の一環としてのフレックスタイムやサマータイムを導入している自治体はありますが、職種を限定して制度を導入したのは九州では初めてのようであります。農業改良普及員用地買収担当職員は、農業生産者や地権者との協議や会議が夜間に及び、残業が日常化しているのであります。時差出勤の導入で実質的な業務に合わせて勤務できることで、職員の負担軽減に加え、超過勤務手当の削減も図られることになります。  そこで、本県においても、職員の負担軽減のためにも、職種による時差出勤を検討する価値はあるのではないかと提案し、一回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 4 ◯知事(伊藤祐一郎君) マネーゲームコンプライアンス等についてのお尋ねがありました。  最近、ライブドアや村上ファンドなどの関係者が証券取引法違反の容疑で逮捕されましたことは、証券市場の健全性を損なうものとして憂慮すべきことと考えております。  証券市場は、株取引を通じまして企業の資金調達の場であり、今日の経済活動の大きな基盤であります。インサイダー取引等、公正な取引のルールを逸脱いたしましたいわゆるマネーゲームに陥った場合は、市場において到底受け入れられるものではないと考えております。  資源に乏しい我が国は、着実な経済発展を遂げてまいりましたが、製造業を中心とした第二次産業が基幹的な役割を担ってきたことによることが大きく、今後とも、ものづくりの分野の発展に取り組んでいくことは重要であると考えております。  本県におきましては、これまで、企業誘致や基幹産業である農林水産業、観光などの産業振興に努めてきておりますが、いまだに産業基盤が脆弱であり、地域間競争が激化する中、本県の産業振興を図りますためには、これからのアジアの時代を本県産業のさらなる発展を図る上での一つの好機としてとらえ、改めて、高い付加価値を生み出す第二次産業の集積を図っていく必要があると考えております。  このようなことから、県といたしましては、「産業おこしへの挑戦」を掲げ、次世代を担う自動車関連産業電子関連産業、食品産業などにつきまして戦略的な産業振興に取り組んでまいりたいと考えております。 5 ◯商工労働部長(時田光一君) リーディング産業の振興についてでございますが、本県におきましては、産業おこしへの挑戦といたしまして、自動車関連産業電子関連産業、食品産業につきまして戦略的な産業振興を図ることとしております。  このうち自動車関連産業につきましては、近く県内関連企業で組織する研究会を立ち上げるとともに、本年度から、付加価値の高い製品の開発に対する支援などを通して、将来に向けて集積の促進を図ることとしております。電子関連産業につきましては、今後とも、関連企業等を対象とする技術セミナー、講演会の開催や産学官の共同研究開発の支援などを進めることとしております。また、食品関連産業につきましては、本年度から、農林水産物を活用した機能性食品の研究開発を支援することとしております。  県としましては、このような取り組みを通しまして雇用の創出や技術の高度化を図り、本県産業の振興に努めてまいりたいと考えております。  民間企業へのセキュリティー対策についてでございますが、本県中小企業の情報化につきましては、インターネットの利用率が九五・四%で、電子商取引の割合も全国に比べ高い割合にあるなど、順調に進展しております。  県では、かごしま産業支援センターを通して情報化支援を行っているところでありますが、同センターでは各種相談や専門家派遣、セミナー等を実施する中でセキュリティー対策の指導・啓発を行っております。  今後とも、経営者を対象としたIT経営塾や電子商取引実践研修会など、あらゆる機会を通してセキュリティー対策の重要性を啓発してまいりたいと考えております。 6 ◯総務部長(原田耕藏君) 情報の流出対策についてでございますが、近年、県が保有する個人情報が流出した事例は発生しておりませんが、県におきましては、平成十五年四月に制定いたしました個人情報保護条例に基づき、個人情報の漏えい防止や利用・提供の適切な運用に努めますとともに、職員に対しましては、毎年度研修会を開催し、個人情報の保護や適切な取り扱いについて周知徹底を図っているところでございます。  また、県庁における情報セキュリティー対策につきましては、その基本方針や基準を定めたセキュリティーポリシーの遵守やウイルス対策の重要性の周知、パソコン及びデータの庁外持ち出し禁止等を職員研修や文書等により徹底させるとともに、ウイルス対策につきましても、最新プログラムを用いるなどさまざまな取り組みを行っているところでございます。  なお、御提案をいただきました個人情報流出に関する保険制度につきましては、不測の事態に対応するための手段の一つとして認識しておりますが、当面は、引き続き職員の意識啓発や情報セキュリティー対策の徹底に努め、個人情報の適切な取り扱いが図られるよう万全を期してまいりたいと考えております。  部長マニフェストの実施についてでございますが、効率的な行政運営を行いますとともに、大胆でスピード感あふれる改革を進めていく上では、部長初め、職員一人一人の意識の向上が必要であると考えており、現在、職員はそれぞれの持ち場で必要な改革に向けて取り組んでいるものと考えております。また、今年度から課長級以上の職員について実施いたします勤務成績の評定におきましても、あらかじめ業務目標を定め、その達成度を評価する仕組みを取り入れたところでございまして、これにより管理職員の一層の意識向上にもつながるものと考えております。  さらに、効率的で質の高い行政の実現を図ること等を目的に実施しております行政評価に外部有識者による評価の仕組みを導入し、制度の充実を図るなど、一層の業務の効率化に努めているところでございます。  今後とも、職員の意識啓発を図りながら、一層の行政サービスの質の向上と業務の効率化に努めてまいりたいと考えております。  時差出勤についてでございます。  大分県におきましては、公務能率の一層の向上を図るため、農業改良普及所の普及員や用地交渉担当職員の勤務時間を夜間業務の時間帯に移行するなどの時差出勤の試行がなされていると聞いております。  時差出勤制度の導入に当たりましては、公共交通機関の運行状況等を考慮する必要があるほか、業務体制の見直しや勤務時間の管理などの課題があり、今後、各県の動向等も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。 7 ◯教育長(岡積常治君) 学校におけるパソコンの現状等についてでございます。  パソコンの整備状況は、平成十七年九月現在、小学校では七・九人に一台、中学校では五・八人に一台、高等学校では五・七人に一台であり、本県の整備状況は全体として全国よりも進んでいる現状であります。  セキュリティーに関する教育につきましては、例えば、インターネット上のサイトに個人情報を書き込まない、ID、パスワードの管理をしっかりするなど、個人情報の保護やセキュリティーの配慮について、小学校から発達段階に応じて指導を行っているところであります。  個人情報の流出が社会問題となっておりますことから、今後とも、その教育内容の充実を図ってまいりたいと考えております。    [黒田清信君登壇] 8 ◯黒田清信君 それぞれ御答弁をいただきました。  九州経済産業局の新経済成長戦略は、自動車と半導体を基軸に据えて、環境とかバイオなどの新産業の創出を図り、農工連携あるいは観光産業の振興等、自立支援を行うという戦略であり、私も共感できるものとなっているところでございます。  知事の答弁にもありましたとおり、鹿児島としても、自動車など足腰が強く、雇用も見込める二次産業を振興するための具体的な取り組みを要請するわけでございますけれども、自動車産業振興のための研究会も発足をさせるということでございましたが、戦略性を持った具体的な取り組みにつきまして、その産業が立地できるように積極的な今後の対応を要請するものでございます。  情報の流出防止策につきましては、海上自衛隊の秘密事項でございますとか患者の個人情報、あるいは犯罪被害者の氏名と刑務所の受刑者の情報でありますとか、原子力発電所の耐震評価情報等々、情報流出はファイル交換ソフト「ウィニー」を介してさまざまな分野に広がっておりまして、調査によりますと、ウィニーの利用者はこの二年間で倍増したとも報道をされております。ウイルス対策を厳重にすることは当然のことでありますが、職場の重要なデータを持ち帰ったり、私物のパソコンを業務に使用する際の情報の管理等、重要な情報を扱っているという自覚が希薄であると言わざるを得ないのであります。  警察本部では、捜査資料が私物パソコンからインターネット上に流出する事態が全国で相次いだことを受けて、公務用に使用している私物パソコン約千三百台を一掃する方針を決定をされました。パソコンの取り扱いや公費による配備の問題も含め、今後の適切な対応を要請をいたしておきたいと思いますが、県におきましては、情報流出は決して対岸の火事ではなく本県にも起こり得ることであるとの自覚で、ハード、ソフト両面にわたる流出防止策の徹底をぜひお願いをいたしておきたいと思います。  部長マニフェストや職種によります時差出勤の実施につきましては、職員の業務の遂行責任やあるいは目的達成の意識変革、職員の職務の実態に即した効率化や負担軽減のためにも、今後、ぜひ何らかの形で検討し、実施されますよう要請をいたしまして、次の質問に移りたいと思います。  まず、少子化対策についてお伺いをいたしますが、初めに、ワーク・ライフ・バランス社会の構築についてであります。  過去最低を記録し続けている合計特殊出生率が一・二五になり、大きな衝撃を受けたところであります。政府が十年以上にわたって少子化対策に取り組んできたにもかかわらず、一向に成果が上がっていない格好になっております。少子化が進むことで最も影響を受けるのは、働く世代の負担で支えられている年金、医療、介護などの社会保障で、特に将来の人口推計などに基づき制度設計されている年金は深刻な影響を受けることは必至であります。  少子化の背景にはさまざまな要因が複合的に関連いたしておりますが、内閣府が四月に発表いたしました少子化社会に関する国際意識調査によりますと、「自分の国が子供を産み育てやすい国と思うか」という問いに対しまして、「そうだ」と答えた人は、スウェーデンが九七・七%、米国が七八・二%に対して、日本は四七・六%と半数に満たない結果となっております。また、「子供をふやしたい」との回答はスウェーデン、米国が八〇%を上回り、日本は四二・六%で、子育て世代が育児環境に不満を持ち、第二子以上の出産をためらっていることが証明された格好になっております。  子供をふやしたくない理由で、「子育てや教育に費用がかかり過ぎる」と回答した人は、韓国が六八・二%、日本も五六・三%で、フランスは一三・三%で、スウェーデンは回答の上位にランクされておらず、教育費の問題についてはほとんど不満はないといううらやましい結果になっているのであります。  近年、若者のフリーターを初め、パートや派遣社員などの非正規社員がふえております。一般的に非正規社員は賃金が低く、社会保険も未整備であったりし、不安定な身分から、将来への不安を理由に結婚に踏み切れない人も多くなり、結果として未婚や晩婚化を促進しているという現状があるのであります。  また、働く女性がふえている中で、中小零細企業では産休や育児休暇がとりにくい、あるいは出産すれば即失業という厳しい現実もあります。しかし、今や多くの女性が働く国の出生率が高くなり、女性に働きやすい環境が用意されている国の方が国際競争力もあるという調査結果も出ているのであります。国内でも、女性が活躍できる企業は競争力が高く、利益率も高くなってきているデータもございます。日本においても、だれもが仕事と結婚、育児を両立できる社会、つまり仕事と生活の調和─ワーク・ライフ・バランス─の実現が必要であります。  児童手当はことし四月から小学校六年生まで拡大され、所得制限も大幅に緩和されました。しかし、児童手当の実効性が上がっている欧州諸国では、額は日本の二倍以上、支給対象年齢は十八歳までが主流になっております。日本の将来を考えた場合、子育てを社会の中心に据え、社会全体で支援するチャイルドファースト社会を築くことが求められております。  そこでまず、合計特殊出生率一・二五への知事の率直な感想をお聞かせをいただきたいと思います。また、今後三十年間は人口の減少が続くと言われておりまして、現実を踏まえた人口減少社会における行政運営が必要であると思いますが、見解をお聞かせください。  次に、次世代育成支援対策基本法に基づく県や企業の行動計画策定についてお伺いいたします。  官公庁や三百人以上の社員を抱える企業に対して、行動計画の策定が義務づけられておりますが、県の計画策定とその実施状況、特に育児休暇の取得状況についてお示しください。また、県内で対象となる企業の事業主行動計画の策定状況をお聞かせください。  次に、少子化対策のための─仮称でございますが─、仕事と生活の調和推進基本法の制定についてお伺いいたします。  ことし四月に私ども公明党が発表いたしました少子社会トータルプランでは、仕事と生活の調和を実現する観点から、労働政策や税制、社会保障制度、保育、育児、キャリア形成支援などについて首尾一貫した政策を実施するための仕事と生活の調和推進基本法の制定を提案をいたしております。  そこで、県としても、総合的な少子化対策の一環として、仕事と生活の調和を求める法律の制定を国に対して働きかける考えはないか、見解をお伺いをする次第であります。  次に、マタニティマークの活用についてお伺いいたします。  妊産婦にやさしい環境づくりを推進するために、ことし三月に全国統一マークが決定をされました。埼玉県では、このマークが入ったキーホルダーを希望する妊婦に配布いたしております。マタニティマークは、妊産婦が身につけたり、ポスターなどで掲示して、妊産婦への配慮を呼びかけるものであります。外見だけではわかりにくい妊娠初期の妊婦に配慮した行動、例えば満員電車やバスで押されないそういうことや、あるいは席を譲るとか喫煙を自粛するとかのためにはマタニティマークの普及が望まれるところでありますが、本県においても、妊産婦を守るやさしい社会の実現のために、マタニティマークの活用についての見解を求めるものであります。  次に、企業の協賛によります子育て支援についてお伺いいたします。  子育て中の家庭の負担を軽減しようと、買い物や施設を利用する際に料金割引や特典を受けられるサービスを提供する自治体が広がっております。経済的支援と地域における子育て支援の両面から、有効な支援策の一つと考えられます。  昨年八月にスタートした奈良県に続き、石川県、静岡県、島根県等で実施され、好評を博しております。奈良県では、県が支援する「なら子育て応援団」が、子育てを応援する企業や店舗等を応援団として認定し、認定書やステッカーを交付し、十八歳未満の子供が三人以上いる多子世帯の保護者に対して、市町村が「なららちゃんカード」を交付し、利用者は加盟店などでそのカードを提示することにより、商品の割引や特典などのサービスを受けられるものであります。割引や特典の事例として、飲食店や美容室等での一〇%割引あるいは子供の入園無料の遊園地、珍しいものでは定期預金の金利が通常の五倍の信用金庫もあります。入会金無料のパソコン教室等もあると報道されております。  全国で子育て支援割引等が拡大する中で、九州におきましても、福岡、佐賀、長崎、熊本、大分の五県では連携して、広域で子育て割引を今年度中に実施する予定であると聞いております。  そこでまず、県が支援する子育て応援団の設置について伺うとともに、子育て支援策としての企業の協賛によるシステムの構築について、本県でもぜひ取り組んでほしいと思うのでありますが、見解をお伺いいたします。  次に、がん対策について伺います。  がん対策の一層の充実を図るためのがん対策基本法が今国会で成立いたしました。がん対策についての国や地方自治体の責任を明確化し、がん検診の受診率を向上させるとともに、全国どこでも同水準のがん治療を受けられるように、専門医の育成あるいは診断や治療法の研究の促進等がうたわれており、がん対策の大きな一歩が踏み出された意義は極めて大きいと評価いたしているところでございます。  日本における、一生涯のうちにがんに罹患する確率の推計値である生涯がん罹患リスクは、男性が二人に一人、女性は三人に一人とのデータがあります。年々がんの罹患率や死亡率は上昇を続け、一九八一年以降、死亡原因の第一位はがんで、年間の死亡者数約百万人のうち三十万人の死因はがんであり、三割にもなっているわけであります。十年後には何と二人に一人ががんで死亡するとも予想をされております。  国は、対がん十か年総合戦略を実施し、現在は第三次になっていますが、罹患率や死亡率は上昇し、一向に歯どめがかかっておりません。  そこでまず、今般成立をいたしました、がん対策基本法と本格的ながん対策推進への知事の見解についてお伺いをいたします。  次に、県がん対策推進計画の策定について伺います。  基本法によりますと、政府は、がん対策推進基本計画を策定し、都道府県においても、がん対策推進計画を策定することになりますが、県としての具体的な取り組みについてお示しください。  次に、県がん中核拠点病院や地域がん診療拠点病院の指定についてお伺いいたします。  国及び県は、がん患者がその居住する地域にかかわらず適切な医療を受けられるよう、県に一カ所のがん中核拠点病院、二次医療圏ごとに一カ所の地域がん診療拠点病院を指定し、医療従事者に対する研修やがん患者等に対する支援及び必要な情報の提供を行うサテライト相談室を設置することになっております。  我が県においては、このがんの医療水準の均てん化を図るために必要とされておりますこの指定がおくれていたのでありますが、指定の状況についてお聞かせをいただきたいのであります。  次に、終末期医療供給体制の整備について伺います。  がん治療の開始とともに、適切な緩和ケアが行われることが重要であり、緩和ケアに関する知識の普及、モルヒネ等の医療用麻薬の適切な使用により、がん患者の苦痛の軽減を図ることが求められます。がん患者がその人生の最後まで尊厳を保持することへの重要性にかんがみ、終末期において適切な緩和ケアを提供できる専門技術者や医療機関の整備等が必要であります。  そこで、外科手術や放射線治療でも治癒が困難な患者に対する終末期医療供給体制が不十分と言わざるを得ず、本腰を入れて取り組むべきであると思いますが、体制の整備について伺います。  次に、がん検診の精度向上のための県成人病検診管理指導協議会のあり方についてであります。  厚生労働省は、がんの早期発見に欠かせない検診の精度を高め、都道府県において差があるがん発見率や精密検査が必要とされる受診者の割合に基準値を設け、検診の効果や判定が適切かどうかを検証し、改善する体制整備を決定いたしました。  そこで、がん検診の精度向上に重要な役割を果たす県成人病検診管理指導協議会の開催状況をお示しいただくとともに、基本法制定を踏まえ、一層の充実が求められるところでありますが、対応をお聞かせください。  次に、がん検診の受診率向上策、特にマンモグラフィ検診の現状と今後についてお伺いをいたします。  がん対策は早期発見、早期治療が何よりも効果的でありますが、早期発見のための検診が重要であることは論をまちません。胃がんや肺がんなどそれぞれの検診を行っておりますが、受診率の現状をお示しいただくとともに、受診率の低いものに対する向上策についての取り組みをお伺いいたします。  特に乳がんの受診率が低いようでありますが、女性の受診者にとって乳房の視診や触診には抵抗があるのは当然であり、乳房X線検診すなわちマンモグラフィ検診が極めて有効であります。そこで、マンモグラフィ検診について、設備やマンパワーの現状と今後のマンモグラフィ検診の促進についてお示しをいただきたいと思います。  次に、訪問看護師の確保についてお伺いいたします。  在宅の末期がん患者などをケアする訪問看護師の確保のための研修が進んでいないという新聞報道がございました。厚生労働省は、二〇〇六年度から補助事業として二つの研修を盛り込んだ訪問看護推進事業を実施しております。痛みを和らげる技術や精神的ケアを身につける在宅ホスピスケア研修と、人工呼吸器患者の管理など最新の医療技術を磨く相互研修の二つであります。  医療制度改革による入院期間の短縮や在宅での看護推進などに加え、在宅の末期がん患者にとって、訪問看護師の役割は今後ますます重要になってくるものと思われます。全国的にこの研修が進んでいないようでありますが、本県の訪問看護師の数と在宅ホスピスケア研修と相互研修の実施状況を明らかにしてください。  また、医療制度改革による療養病床の削減等、今後、訪問看護師の必要性が高まるものと考えますが、マンパワーの充実、確保に向けた取り組みについてお伺いをいたし、二回目の質問といたします。
       [知事伊藤祐一郎君登壇] 9 ◯知事(伊藤祐一郎君) 少子化対策についてのお尋ねがありました。  平成十七年度の全国の合計特殊出生率は一・二五と過去最低を更新し、本県におきましても一・四四と過去最低となっているところであります。  少子化の急速な進行は、今後の労働力人口の減少による経済成長の鈍化、税や社会保障における負担の増大をもたらし、さらには地域における子供たちの健全育成への影響も指摘されるなど、鹿児島の社会や経済、地域の持続可能性を根底から揺るがす深刻な問題であると考えております。  県といたしましては、「力みなぎる・かごしま」を創造し、本県の未来を明るいものとするためには、ふるさとを担う人材であります子供たちの育成が不可欠であり、少子化対策は本県にとりまして極めて重要な課題でありますことから、本年度、児童福祉課の機能を強化した上で「子ども課」に改組するなど、組織体制の整備を図ったところであります。  今後、未婚・晩婚化対策や仕事と子育ての両立支援など、各般の少子化対策の充実に努めてまいりたいと考えております。  また、少子化により到来する人口減少時代におきましては、多様な主体が公共サービスを提供する共生・協働の地域社会づくりを積極的に推進いたしますとともに、その時々の行政需要に対応した組織機構の見直しを行うなど、簡素で効率的な行政運営に努める必要があると考えているところであります。  がん対策基本法についてのお尋ねがありました。  我が国のがん対策は、これまでの取り組みにより一定の成果をおさめてきておりますが、がん患者数はふえ続け、毎年三十万人以上が死亡するなど、国民の疾病による死亡の最大の原因となっており、がんが国民の生命及び健康にとりまして重要な問題となっております。今回、がん対策の一層の充実を図るため、がん対策基本法が制定されたところであり、高齢化の進展等を勘案いたしますと時宜を得たものであると考えております。  がん対策基本法に規定されましたがん予防の推進やがん医療の均てん化の促進などの基本的施策につきましては、いずれも重要なものであり、県としてもその趣旨にのっとり、今後とも、県民の自助努力を基本としたがんの予防、早期発見の一層の向上に努めますとともに、医師会や鹿児島大学医学部等との連携のもと、二次医療圏ごとに地域がん診療連携拠点病院を中心とした医療及び相談体制を整備・充実させるなど、総合的ながん対策を推進し、安心・安全な郷土づくりに努めてまいりたいと考えております。 10 ◯総務部長(原田耕藏君) 次世代育成支援対策推進法に基づく特定事業主行動計画につきましては、知事部局におきましては、平成十七年三月に作成をいたしております。同計画では、子供と接する時間をふやすなどの観点から、平成二十一年度までの数値目標として、配偶者の入院の付き添い等のための出産補助休暇の年間取得者数割合を一〇〇%とすること、年次有給休暇の平均年間取得日数を十五日とすることを掲げているところでございます。  平成十七年度は、出産補助休暇の取得者数割合八〇%、年次有給休暇の取得日数十二・一日となっているところでございます。また、育児休業につきましては、平成十七年度に希望した職員六十一人全員が取得しているところでございます。 11 ◯教育長(岡積常治君) 県教委におきましても、平成十七年三月に次世代育成支援対策推進法に基づく特定事業主行動計画を策定したところであります。計画における休暇の取得については、知事部局と同様の数値目標を掲げているところであります。  平成十七年度は、出産補助休暇の取得者数割合六七%、年次有給休暇の取得日数十三・〇日となっております。また、育児休業については、平成十七年度に希望した職員七十人が取得しております。 12 ◯警察本部長(久我英一君) 県警察では、平成十七年三月に策定した特定事業主行動計画におきまして、仕事と家庭の両立を支援するなどの観点から、平成二十一年までの数値目標として、出産補助休暇の年間取得者数割合を一〇〇%とすること、職員一人当たりの年次有給休暇の年間取得日数を十日とすることを掲げております。  平成十七年中は、出産補助休暇の取得者数割合は五六%、年次有給休暇の取得日数は五・三日となっております。また、育児休業につきましては、平成十七年中に希望した職員四人全員が取得しております。 13 ◯商工労働部長(時田光一君) 企業の行動計画の策定につきましては、子育てを行う労働者の職業生活と家庭生活との両立を支援するための一般事業主行動計画としまして、従業員三百一人以上の事業所が策定を義務づけられておりまして、平成十八年三月末現在で対象となる事業所数は百二十三社となっております。昨年十一月までにすべての事業所が同計画を策定し、鹿児島労働局に届け出がなされております。  なお、鹿児島労働局では現在、従業員三百人以下の事業所に対しましても行動計画策定の働きかけを行っておりまして、県としましても、同局と連携を図りながら、広報誌や各種会議等を通しまして、多くの事業主が計画策定を行うよう普及啓発に努めることとしております。 14 ◯保健福祉部長(吉田紀子君) 少子化対策のための仕事と生活の調和推進基本法の制定についてでございますが、現在、国におきましては、長時間労働の是正など、御提言の働き方改革を含む新たな少子化対策を経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇六に盛り込む方向で検討がなされていると聞いております。  県では、本県の少子化対策や子育て支援に関する総合的な指針であります「かごしま子ども未来プラン」におきまして、子育てしやすい職場環境づくりを推進しているところであり、今後、国の動向等も注視しながら、引き続き、男性の育児休業取得率の上昇など、子育てと仕事を両立させやすい環境づくりに取り組んでまいりたいと考えております。  マタニティマークの活用についてでございます。  本県の母子保健計画におきましても、「妊娠・出産に関する安全性と快適さの確保」を主要課題の一つとして掲げているところでありますが、特に妊娠初期の妊婦に対する受動喫煙の防止及び交通機関における優先的な席の確保等について、マタニティマークの普及啓発は社会的配慮を喚起するための方策として有効な手段と考えております。本県におきましても、県内の全市町村及び保健所と連携し、その普及啓発に努めているところであります。  県といたしましては、今後とも、このマークの普及啓発に積極的に取り組み、社会全体が妊産婦にやさしい環境づくりに努めてまいりたいと考えております。  企業の協賛による子育て支援でございます。  民間企業の協賛による子育て支援事業につきましては、経済的負担の軽減といった観点から一定の効果があるのではないかと考えております。  県といたしましては、今年度、鹿児島県少子化対策懇話会を開催することとしておりますが、こういった子育て支援事業につきましても、各界各層から具体的な御意見、御提言等をいただけるものと考えております。今後、関係機関との協議を進めながら、官民一体となって本県独自の子育て支援事業の推進に努めてまいりたいと考えております。  県がん対策推進計画の策定についてでございます。  がん対策基本法において、都道府県は、国が策定するがん対策推進基本計画を基本とし、がん医療の提供状況等を踏まえ、医療計画や健康増進計画等と調和の図られた県がん対策推進計画を策定することとされております。  県におきましては、今後、がん対策を総合的かつ計画的に推進いたしますため、法の基本理念や本県におけるがんの予防、早期発見、がん医療の均てん化などの実態を踏まえて、国や関係団体等とも連携を図りながら、県民が県内のどこに住んでいてもひとしく適切ながん医療等を享受できるよう、本県の特性に応じたがん対策推進計画を策定してまいりたいと考えております。  がん診療拠点病院の指定についてでございます。  がん診療拠点病院につきましては、本年二月国から新たな整備指針が示され、地域がん診療連携拠点病院の指定要件等の見直しとともに、新たに、各都道府県において中心的ながん診療機能を担う県がん診療連携拠点病院の整備を図ることとなりました。  県といたしましては、県医師会等を通じてこの整備指針の周知を図り、医療機関等と協議を進めてきており、県がん診療連携拠点病院及び地域がん診療連携拠点病院が今年度中に整備されるよう、国の指定に向けて必要な手続を進めているところであります。  終末期医療供給体制の整備についてでございます。  末期がんの患者さんがその終末期のQOL─生活の質─を高めることができますよう、痛みの軽減や精神的サポートなどのケアを行っていくことは重要な問題であります。  本県におきましては、今回のがん対策基本法の趣旨を先取りする形で、平成八年度から終末期医療への取り組みとしてターミナルケア懇話会を設置し、末期医療に対する県民意識調査、医療従事者研修会や県民フォーラムなどを実施するとともに、医療機関の協力を得て、緩和ケア病床の開設や在宅終末期医療に取り組む医療機関の整備などの取り組みを進めてきているところであります。  県といたしましては、これまでの取り組みを踏まえ、引き続き、関係機関の協力を得ながら、がん患者が自宅や施設において適切な医療や緩和ケアを受けることのできる体制の整備に取り組んでまいりたいと考えております。  県成人病検診管理指導協議会の充実についてでございます。  成人病検診管理指導協議会は、がん検診などの精度管理を行うため、県保健医療協議会の専門部会として設置し、このもとに大腸がんや乳がん部会など七つの部会を置いております。平成十七年度におきましては、成人病検診管理指導協議会及び各専門部会を合計三回にわたり開催したところであります。  県といたしましては、がん対策基本法にもありますように、がんの予防、医療の質の向上を図ることが重要であると考えており、その観点から、本協議会は検診の精度管理はもちろんのこと、今後は、検診後の受療及び治療状況、さらには五年生存率などを把握・評価し、本県における保健医療の総合的協議の場であります県保健医療協議会でのがん対策全般の充実強化に関する協議に資することができるよう、その機能強化に努めてまいりたいと考えております。  がん検診の受診率向上対策等についてでございます。  本県のがん検診の最近の受診率は、肺がんと胃がんが約一七%、子宮がんが約一八%、大腸がんが約一九%で推移してきております。マンモグラフィによる乳がん検診の平成十六年度の受診率は七・〇%であり、国の四・六%と比較して高い状況にあります。  県といたしましては、がん検診の実施主体であります市町村に助言・指導を行いますとともに、医師会や県民総合保健センター等と連携して普及啓発を行うなど、受診率の向上に努めているところであります。  乳がん検診につきましては、昨年、補助金による検診車を一台追加整備し、県全体といたしましては、検診車三台にマンモグラフィ五台となる一方、県内の各医療機関にも四十七台のマンモグラフィが整備され、また県内におきましては、マンモグラフィ検診精度管理中央委員会の認定による読影医師六十一名、撮影技師二十九名が検診に携わっております。  県といたしましては、増加傾向にある乳がん対策は女性の健康づくり上重要でありますことから、本年度から、「乳がん死ゼロ促進」をスローガンとして、乳がんに対する正しい知識の普及と早期発見、早期治療を促進するための強化月間として、十月を「ピンクリボン月間」として新たに設定し、啓発キャンペーンを実施いたしますとともに、乳がん講習会の開催、さらには認定読影医師等の専門家養成のための研修会開催など、乳がん対策の充実に努めることとしております。  訪問看護師の確保についてでございます。  訪問看護ステーションの訪問看護師等の数は、平成十六年十月一日現在、常勤換算で三百八十五人となっております。  本県におきましては、訪問看護師の資質向上を図りますため、国庫補助事業の在宅ホスピスケア研修及び相互研修事業としては実施しておりませんが、県単独事業といたしまして、県看護協会に委託して実施をしております訪問看護師養成講習会において、訪問看護師及び医療機関の看護師を対象に、在宅におけるターミナルケアに係る看護技術を習得させるための取り組みを実施しているところでございます。  訪問看護師の養成につきましては、今後、がん末期患者等の在宅におけるニーズを見きわめながら、関係団体とも連携を図り、訪問看護師養成講習会の内容を充実するなどして、必要な訪問看護師の養成、確保に努めてまいりたいと考えております。    [黒田清信君登壇] 15 ◯黒田清信君 それぞれ御答弁をいただきました。  少子化対策にかける費用を比較いたしますと、フランスが国内総生産─GDP─の二・八%、スウェーデンが二・九%であるのに対して、日本はわずか〇・六%であります。  児童手当にしても、先ほど述べましたとおり、日本では小学校六年生までで、第一子、第二子が五千円であるのに対し、スウェーデンは十六歳まで一万四千円、ドイツは十八歳まで二万一千円となっております。  出生率の低下を招いている原因の一つとして教育費の負担の大きさが指摘されております。特に大学教育にかかる負担割合は、OECD─経済協力機構─加盟の先進諸国の平均が二一・九%で、日本は五八・五%と極めて高くなっております。  少子化対策につきまして、企業支援による子育て支援策についても質問をいたしました。  少子化対策は一つの政策で解決する問題ではございません。小手先で解決できる問題ではなく、本腰を入れた複合的にして総合的な少子化対策の必要性を痛感をしているものであります。  次世代育成支援対策推進法に基づく育児休業制度等、形の上ではかなり進んでいると言えますが、問題はその実態であります。利用率が低く、単なる名目的な支援制度になっている懸念があります。例えば育児休業につきましては、育児休業の取得の状況についてただいま答弁もございましたけれども、希望する者の全員が取得したとかそういう答弁でございました。出産や育児に該当者の中で何名がその出産や育児休暇をとったかということが課題にならなければならないというふうに思うわけでございます。  民間企業への先導役として、警察や教育委員会を含む県職員が率先垂範して利用しやすい環境づくりに努めていただきますよう要請をするものであります。  仕事と生活の調和推進基本法の制定については、現時点における見解をお伺いをいたしました。骨太の方針二〇〇六にも盛り込まれる見込みであり、国の今後の動向を見ていきたいということではございましたが、仕事と生活の調和については、我が国が直面している喫緊の課題であり、ライフスタイルとしてごく近い将来に必ず実現するものと確信をいたしております。  がん対策につきましては、今般の対策推進基本法の制定に当たって、公明党ではがん対策推進本部プロジェクトを立ち上げ、まさに国民病とも言うべきがん対策のためさまざまな調査・検討を行ってまいりました。緩和ケアの充実、放射線治療医などの専門的スタッフの育成と並んで重要な三本柱と位置づけておりました「がん登録制度」が、プライバシーの問題で先送りされたことは残念でありましたが、将来は国民の二人に一人ががんで死亡すると予想されている中で、確実で大きな第一歩が踏み出されたことを評価するとともに、県としても、県がん中核拠点病院の活用等により、今後はより積極的に取り組んでいただきますよう切に要望するものであります。  がん検診の受診率は、我が国はおおむね二〇%前後であります。欧米諸国は何と八〇%から九〇%となっております。がん対策の決め手は早期発見であり、早期治療であります。そのためには検診がいかに重要かがわかるわけであります。  特に乳がんの受診率が低くなっておりますが、女性にとって視診や触診に抵抗があり、低くなっているものと思われます。そのため乳房X線─マンモグラフィ─の有効性が評価をされておりますが、マンモグラフィ検診の推進につきましては、乳がん撲滅は女性である吉田保健福祉部長の重要な使命なのではないかと私は思っているところであります。検診率と期間を明示した部長マニフェストを自主的に作成し、鹿児島県はマンモグラフィ検診によって乳がんが激減したと言われるような御奮闘を願ってやみません。  以上、私は今回、知事の政治姿勢に加え、少子化対策とがん対策に絞って質問をいたしました。骨太の方針二〇〇六で地方交付税のあり方が議論されている最中に、北海道の夕張市が財政再建団体に転落するということが伝わってまいりました。地方にとっては衝撃的なニュースであります。地方財政が全国でパンク寸前にあり、ぎりぎりの土俵際で粘ってきたにもかかわらず、ついに力尽きた例であります。  地方交付税の総額削減などが継続し、地方の財源保障や財政調整機能などの地方財政好転への打開策がないままだと、今後、第二、第三の夕張市が出てくることは目に見えているからであります。  知事におかれては、夕張市をよき警鐘として、地方が生き延びていけるような財政力強化に向けて、国に対してより強力に働きかけていただくことをお願いをいたしておきたいと思います。  先ほど、景観行政につきましては重複を避けるために質問をいたしませんでしたけれども、我が国は欧州等に比べますと、この景観行政、大変おくれていると言わざるを得ません。ヨーロッパに行きますと、歴史や文化、伝統に裏打ちされた誇らしげな建物や、まち全体が本当にすばらしい気品の漂うまちづくりになっているところでございますが、国におきましても、県におきましても、時の試練に耐え得る、気品の漂う風格あるまちづくりを推進をするために、県としてもより具体的なこの景観哲学、理念を持ち、景観条例あるいは景観計画の策定にもぜひ積極的に取り組んでいただきますように御要請をいたすところでございます。  私ども公明党は、少子・高齢化社会において、長年にわたって社会貢献をしてこられたお年寄りを大切にする社会、子供の幸せや子育ての安心が確保される社会こそ、国民すべてにやさしい社会であるとの考え方に立ち、今後とも、子育てを社会の中心軸に位置づけ、社会全体で支援するチャイルドファースト社会の構築を目指してまいります。  少子化対策は一つの政策で打開できる筋合いのものではありません。まさに複合的で総合的な少子化対策を国民的な運動にまで昇華させなければ、この難問は克服しがたいと思っております。我が国や県の当面する重要課題である少子化対策とがん対策の今後の拡充を心から願いつつ、質問を終わります。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 16 ◯議長(金子万寿夫君) 次は、与力雄君に発言を許可いたします。    [与 力雄君登壇](拍手) 17 ◯与 力雄君 おはようございます。  平成十八年第二回県議会定例会に当たり、奄美群島における地域課題について質問いたしてまいりたいと存じます。  質問に入ります前に、一言申し上げます。  戦後日本の平和と防衛に極めて深いかかわりを堅持してきた米国と日本、米国の世界的な基地の広がりの中で四十二に及ぶ主な基地の再編計画の一環として在日米軍再編問題も決着がつき、地元協議が課題であると考えます。  通常国会も終わり、政治の舞台は、九月の自民党総裁選に話題が集中するものと考えますが、この五年間の小泉改革の格差社会の是正と地方を大切にする日本の平和と安全を基本とした品格ある国づくりを選択の一つとしたいと思います。  初めに、海辺の再生と景観創造についてお伺いいたします。  海洋国日本は、四方を海に囲まれた国土であります。四季を通して浜辺や砂浜の変化は、自然界の芸術とも言うべき表情が見られます。私たちの先祖や海辺の近くに住む人々は、悠久のときとともに生活の中に一体的に位置づけられており、かつて海辺は貝をとり、海藻を拾い、生き物を見つけたり散歩をしたり、海を眺め精神的な開放感を得、子供たちの遊び、伝統的な祭りや行事、また、我々の先祖は漁労を通して日々の食糧を調達し、塩で物量の交換、経済の交流を行い、暮らしを支えてきた深いかかわりがありました。  第二次世界大戦前後、津波や高潮、高波によって毎年のように海岸災害があり、昭和三十一年度に海岸法が制定され、この法律は、海岸を保護することが目的で、海岸保全施設や護岸、堤防の建設がされ、堤防の前面には消波ブロックが置かれ、海と陸の仕切り線となって陸に住む人間や海や砂浜への行き来を妨げられ、ところによっては海を見ることさえできないところもあり、このように海と陸が切り離されては、そこに根づきすむ動植物や陸からアダン群生林と海辺を往来する生物にとっては致命的となっております。海辺は陸と海をつなぐスロープの役割を果たし、生き物や人々の生活を支える役割があります。特に、最近まで経済性優先で人や生物、自然、環境に配慮された事業推進ではなかったと思います。  一九九九年新海岸法が改正され、新しい世紀は、自然、環境、人、生物との共存共栄をもとに、海岸法が改正されたものと考えます。とりわけ本県は、東西が海に面し、南北六百キロに及ぶ四方を海に囲まれた奄美群島は最初の海岸法制定前に祖国復帰を果たし、当時の海岸法のもと、振興開発事業と相まって海岸災害を防ぐことが目的とされた事業が進められ、各集落海岸には、護岸、堤防、消波ブロックなどが建設されてきました。  近年、自然環境が地球規模で考えられるようになり、特に奄美群島の自然、環境、豊富な固有種の動植物の生態系など希少価値が高く、国内外から注目を浴びており、県においては県内二つ目の世界自然遺産登録を目指しており、奄美群島における海辺の再生は、生物との共存、自然環境の保全という観点から避けて通れない問題であると考えます。これまで建設されてきた護岸、堤防、消波ブロックなど今後も残すべきもの、海辺や海浜の再生をすべき地域などの調査を行い、奄美群島の海辺の再生と保全に取り組んでいただきたいと存じます。  奄美群島振興開発事業の自然環境配慮型公共事業実施の中で、多自然川づくり事業同様の観点での取り組みは考えられないか、お伺いいたします。  次に、奄美流域の木材産業の振興についてお伺いいたします。  奄美地域の林野面積は八万二千六百八十七ヘクタールで、民有林七万四千七百四十二ヘクタール、国有林七千九百四十五ヘクタールとなっており、国有林の占める県本土の二六・五%に比べれば低く、これらの森林は大島本島と徳之島に多く存在しております。  奄美流域の樹種は、シイを主体とする天然広葉樹が七二%を占めており、リュウキュウマツ二〇%、杉・ヒノキ一・六%と極めて低く、ほとんどが標準伐採期に達しているとのこと。平成十六年度林業生産総額は四億六千三十七万円で、素材生産が五千六百五十三万円、特用林産一億六千九十九万円、シャリンバイ四千八百四十三万円となっております。  奄美の林業は、天然広葉樹やリュウキュウマツなどを主体としたパルプチップ用素材の生産が主でありましたが、ほとんどのチップ工場が閉鎖をしております。近年国外産の木材やパルプチップの低価格輸入などにより国内チップの需要回復が見込めない現在、奄美産木材の需要拡大を図るため、建築内装材や家具などへの利用を促進するとともに、木工技術者の育成、木材の乾燥技術や製材技術の向上、木材加工施設整備など、奄美の木工の里づくり事業などを活用した総合的な取り組みが必要と考えられます。  奄美地域における林業経営は、本土の杉・松を主体とした林業経営とは根本的に樹種の要素が異なり、製品の曲がり、反り、ひねりが生じ、技術の向上と改善の必要があります。  奄美地域における林業振興や奄美木材の活用、改善の必要な課題について、どのように把握し取り組まれてこられたのか、お伺いいたします。  二点目は、奄美の木材は、加工を施し公共施設などの素材として、また、家具、学校教育現場の机、いすなど多くの活用方法を考えられますが、庁内ではどのような連携がとられておられるのか、お伺いいたします。  次に、奄美近海のサメ対策についてお伺いいたします。  近年奄美近海の沖合漁業や沿岸漁業の一本釣り漁業者の漁獲高が年々減少しており、漁業者の漁業離れ、専業漁業従事者の減少、後継者不足、長い間の赤土流出などの影響と思われる藻場の減少、沿岸域の磯枯れ、燃費の高騰、特に最近奄美近海における一本釣り漁業へのサメ被害は、漁業者の収益や生活に深刻な打撃を与えております。  平成八年度の名瀬漁協の水揚げ高は、七億七千六百五十六万一千円でありました。年々減少傾向にあり、平成十七年度は三億四千六百九十四万六千円と半減いたしており、サメは漁具のえさに食いつき、また釣れた魚に食いつき、漁具そのものを食いちぎり、何度漁具を海中におろしても繰り返しで、ときには魚の頭だけ上がってくることもあり、漁業者の意欲を失わせるものであります。  サメ対策は、喫緊の課題であります。過去奄美群島水産振興協議会の事業として、サメ対策は平成十年から平成十一年までの二年間に限ってサメ駆除事業が実施されておりますが、その後、事業の実施は見送られております。当時キロ当たり五百円で二年間の水揚げ量は一万七千九百三十七キロ、金額にして七百六十九万七千円の実績がありますが、この金額は、漁業中に時折釣れたサメの水揚げ額であるとのこと。平成十二年度以降サメ駆除事業がなくなり、サメは奄美近海に蔓延していると考えられております。  そこで、お尋ねいたします。  奄美地域の漁業振興と漁業従事者の生活を守り育てるためにも、奄美近海におけるサメ対策については、限られた資源の有効活用、離島の漁業の再生を図る上にもサメ対策は喫緊の問題であると考えます。県としてどのように取り組まれようとされておられるのか、お伺いいたします。  二点目は、他県のサメ対策などが把握されておりましたら、その実態をお伺いいたします。  次に、DV防止及び被害者支援対策についてお伺いいたします。  ドメスティック・バイオレンス法─配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律─この法律が制定されたのは二〇〇一年であります。アメリカでは、一九七〇年代からDVに対する本格的な取り組みを行い、社会全体が広く認識を共有していたと聞いております。  日本では、ようやく法的な制約が科せられましたが、これまでは配偶者からの暴力があっても、女性の場合顕在化しないままに我慢をするという風潮がありました。法制定後は、本人からの申し出や周囲からの通報などで顕在化した事案については、対策や支援がなされているものと考えます。しかしながら、専門家の不足や離島での適切な保護支援施設などが不足していると伺い、地域間の格差があると考えます。県においても配偶者からの暴力の防止及び被害者支援計画を策定をし、暴力を許さない安心・安全な社会を目指して、平成十四年四月には県婦人相談所、平成十八年度には県男女共同参画センターを配偶者暴力相談支援センターとして指定を行い、県警本部生活安全企画課、鹿児島市男女共同参画センター、各市町村福祉事務所や担当課、県下警察署などが相談機関として位置づけられております。  暴力には、配偶者からの家庭内暴力、親子、兄弟、姉妹、祖父母、インテイメット、パートナーバイオレンス、男女の親密なパートナー間における暴力、介護者による老人虐待などがあります。加害者の暴力には一定のサイクルがあり、初期の第一段階では加害者にさまざまなストレスがたまっている時期、第二期段階では加害者がたまったストレスを何らかのきっかけで怒りのエネルギーに変えて被害者への暴力として爆発させる時期、加害者は第二期の後、被害者を初め肉親関係者に謝罪をし、二度と暴力を振るわないと誓い、時には被害者を取り戻すため誓約書を書くこともあるとのこと。第三期段階は戻ってきた被害者との間に蜜月期が生まれ、被害者に対してしばらくは何もなかったかのように優しく振る舞う時期、被害者も余りの優しさに翻弄され、きずなが深まったと錯覚の時期があり、やがて二度目の暴力サイクルが起こり、このサイクルが幾度となく繰り返され、サイクルの時期が早まることによって被害者には危険度が増し、重大事件に発展していくことがあると、専門家の人たちは言われております。  大切なことは、被害者本人の危機予知能力と思慮深さの醸成であるが、一たん事が起きたときの被害者の安全確保と自立支援には個人支援と組織支援があり、組織支援には、都道府県、市町村、警察、裁判所、教育機関、企業、寺院、教会、宗教団体、児童相談所、女性センター、行政の被害者支援機関、シェルター、カウンセリングセンター、民間の支援機関などが考えられます。自立支援についても、母子生活支援施設、健康保険、生活保護、児童扶養手当、就労などがありますが、一時期の保護、安全を確保する施設、保護期間中の生活費、就労支援と就労対価までの金銭的支援などさまざまな支援とアドバイスがあります。心身ともに痛み、命の危険性を内包している被害者への対応は、援助者も言葉遣い、態度、事情を聴取する場所など被害者に二次災害を与えないためにも細心の注意が必要と考えます。
     とりわけ離島にあっては、県本土のように陸続きでないことや公共交通機関、他のアクセスなども限られており、被害を受けた時間帯によっては危険度が極めて高く緊急を要する事案もあります。適切な被害者支援施設の整備、事案の対応に詳しい専門家の養成など、県本土と異なった細かい支援体制とその対応には関係機関のさまざまな御苦労がうかがえますが、法制定後の奄美地域における被害状況と支援施設及び自立支援の件数、課題についてお伺いいたします。  以上で、一回目の質問といたします。 18 ◯土木部長(真下和彦君) 奄美群島の海辺の再生と保全についてでございますが、奄美群島は、亜熱帯、海洋性の豊かな自然や世界的にも貴重な動植物など、他の地域にはない魅力に恵まれておりまして、また、美しい砂浜やアダンなどすばらしい自然環境を有しておりまして、世界自然遺産候補地として選定されているところでございます。このようなことから、海岸の高潮対策事業等に当たりましては、グスク海岸等で既設の離岸堤を人工リーフに改造するなど、奄美の自然環境に配慮しながら取り組んできたところでございます。さらに、海岸法の改正を受けまして奄美の自然豊かな海岸と保全施設の調査を行いまして、海岸防護に加え、環境の整備と保全、適正な利用を目指した海岸保全基本計画を地元住民や学識経験者等の御意見を伺いまして平成十六年度に策定したところでございます。現在この計画に基づきまして、ウミガメなどの生息場やすぐれた景観の保全のため阿木名海岸や与論港海岸などで人工リーフや養浜などの整備を進めているところでございます。今後、さらに奄美の豊かな自然を生かしながら地域の方々に親しんでいただけるように、海辺の再生と保全に取り組んでまいりたいと考えております。 19 ◯林務水産部長(上園 淳君) 奄美地域の木材につきましては、これまでのチップ主体から家具や建築用材として活用する方向への転換が求められておりまして、乾燥によります品質の安定した製材品づくりが重要な課題であると考えております。このため、国庫補助事業等を活用いたしまして木材加工施設、乾燥施設等の整備や乾燥技術者等の養成に努めますとともに、需要拡大のためのフェアを群島内外で開催するなど、総合的な取り組みを推進してきているところであります。本年度は、奄美産材の住宅等への利用を一層促進するため、奄美地域の森林組合や木材及び住宅関係業者等で構成するグループによります住宅相談、完成見学会などの取り組みを支援することにいたしております。  木材の活用を図るための庁内の連携につきましては、平成十三年度に副知事を会長に、庁内の各部長等で構成する木材利用庁内推進会議を設置いたしまして、公共施設や公共土木事業、備品等への利用に全庁的に取り組んでいるところでございます。奄美地域におきましては、これまでリュウキュウマツやイタジイ、イジュ等の地元樹種が奄美パークなどの公共施設を初め公共土木事業におけるのり面パネル、丸太防風工や小学校の木製机、いすなどに利用されているところであります。今後とも、こうした取り組みを通じまして幅広い分野への奄美産材の利用促進に努めてまいりたいと考えております。  サメ対策でございますが、県では、平成十七年度から離島漁業再生支援事業を導入いたしまして、種苗放流、イカシバ設置による漁場造成やサメやオニヒトデの駆除など、漁業集落が行います漁場生産力の向上のための取り組みを支援しているところでございます。平成十七年度に西之表集落がこの事業を活用いたしまして、はえ縄によるサメの駆除に取り組んだところでございますが、水温等の自然条件や移動・回遊するサメの習性などもありまして漁獲することが難しいというふうに聞いております。今後大和村など五市町村の七漁業集落がサメの駆除に取り組むことにいたしておりますが、県といたしましては、これ以外の漁業集落につきましても希望があれば当該事業によるサメの駆除が実施できますよう、指導・助言をしてまいりたいと考えております。平成十八年度に九州沖縄各県におきましてサメの駆除事業を実施しておりますのは、大分県と沖縄県であると承知をいたしております。 20 ◯保健福祉部長(吉田紀子君) DV防止及び被害者支援対策についてでございますが、本県の中核的配偶者暴力相談支援センターであります婦人相談所におけるDVの相談件数は平成十三年度のDV法施行後急激に増加し、平成十二年度の百五十四件から平成十七年度は六百四十四件となっております。うち奄美地域につきましても、平成十二年度の五件から平成十七年度は四十件と大幅に増加をしております。緊急を要する相談につきましては、婦人相談所で一時保護することとしておりますが、交通アクセスの悪い奄美地域におきましては、一時保護するまでの間、地元警察やNPO法人等関係機関の協力を得て相談者の安全を確保しているところであります。  なお、平成十七年度中に奄美地域から一時保護した件数は四件となっております。また、相談者の自立支援につきましては、心理カウンセラーによるカウンセリングや相談員による助言指導、婦人保護施設や母子生活支援施設等への入所措置などを行っており、今後とも関係機関と緊密に連携しながら被害者の相談・支援の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。    [与 力雄君登壇] 21 ◯与 力雄君 それぞれお答えいただきました。  海辺の再生と景観創造につきましては、県内二つ目の世界自然遺産登録を目指す中で、奄美の多自然亜熱帯の温暖な気候、豊かな食文化に裏打ちされた長寿、子宝、スローフード、いやしの島としての観光振興などを考えますと、海辺の再生を図り、景観の創造と環境の保全は、避けて通れない課題と存じます。  奄美流域の木材産業の振興につきましては、奄美の木材は、天然広葉樹、リュウキュウマツが主な樹種のため、家具類を初め公共事業や学校施設などに広く活用されるように、庁内の連携、設計段階での指導体制もあわせてお願いいたします。  奄美近海のサメ対策につきましては、一本釣り漁業者の漁獲高の確保、漁業意欲の高揚、生活の安定のためにもサメ駆除は必要と考えます。対象事業を検討され、早急に取り組んでいただきたいと存じます。  DV防止及び被害者支援対策につきましては、今後法律の普及啓発の推進と相まって事案が顕在化するものと考えられます。地域間格差が生じないように特段の御配慮をお願い申し上げますとともに、女性や弱い立場の方々がDVなどによる事件からの予防、保護支援が適切に行われるようにお願いいたします。  次に、奄美の黒糖焼酎の振興についてお伺いいたします。  全国的な焼酎ブームの中で、県内焼酎の売れ行きが好調であることを歓迎するものでございます。県内焼酎には、大きく分けてサツマイモを原料とする焼酎、黒糖を原料とする黒糖焼酎とがあり、双方とも一級品であることは間違いありません。両焼酎生産地が連携をとり、他産地との地域間競争に打ち勝つためには、行政を含めたあらゆる努力が必要であります。  日本で初めて黒糖をもたらしたのは、今から千二百年前、八世紀、奈良時代であると言われ、当時は薬として用いられていたと言われております。また、奄美の古老の話では、身体の五臓六腑に効くという教えがあります。  黒糖焼酎の原料でありますサトウキビ生産の奄美での始まりは、今から四百年前、江戸時代初期、一六〇五年─慶長十年─、大和村の直川智翁が中国の福建省から黒糖製造技術とサトウキビの苗を持ち帰り、大和村戸円でサトウキビづくりを始め、慶長十五年、黒糖を製造したのが始まりであるとされております。その後、薩摩藩政や領主の糖業政策の奨励により黒糖生産が広められ、当時の生産物の中では最も高価な商品として取引され、江戸の商人、大阪商人、鹿児島商人、島津、島民をめぐる黒糖闘争は、生死をかけた壮絶なかけひきが繰り広げられたことは、黒糖の歴史からうかがえるものであります。黒いダイヤと重宝がられた黒糖は島民は食べるべからずで、ほとんどが藩の上納品でありました。  一七五三年、江戸幕府は薩摩藩に対し、御手伝普請、本来幕府が行う事業であるが、御手伝普請という幕府の命令によって木曾川治水工事が命じられ、当初十四万両か十五万両と言われた工事費も完成時には四十万両にも達したと言われており、藩財政や木曾川治水工事の費用に黒糖が大きく貢献したことは歴史が証明していることであります。サトウキビ生産、黒糖づくり、黒糖を原料としている黒糖焼酎づくりは、今も昔も国策の中にあって分みつ糖や含みつ糖づくりの現状は、政治的統治作物であると考えます。  平成五年度から平成六年度の奄美群島のサトウキビ生産実績は、前期を五千トン上回る三十四万四千九百二十九トン、生産内訳は、大型製糖工場の分みつ糖処理が三十三万六千八百八十八トン、含みつ糖八千四十一トンであります。二〇〇二年の統計によると、沖縄での黒糖生産量が一万二百八十八トンに対し、奄美の生産量は四百四十二トン、沖縄のシェア率九五%であります。奄美の黒糖焼酎の生産量や販売の伸びは平成七年ごろから順調に推移し、平成十五年度からは急激に増加し、平成十六年度の生産量は一万六千六百九十四キロリットル、出荷量も四%増しの一万六百六十六キロリットル、そのうち県内出荷四千二百五十一キロリットル、県外六千四百十五キロリットルで、一九八五年の二倍となっており、生産金額百十一億四千六百万円であります。今後も奄美の基幹産業に直接結びつくヒット商品として生産を高めていくためには、外海離島という条件のもとで、黒糖焼酎の原料となる黒糖の生産やサトウキビの安定した生産が必要であります。台風、干ばつ、後継者対策、省力化、肥培管理などが大切であります。  黒糖焼酎の振興には、島内黒糖の確保、アンテナショップ、ホームページなどのPR、輸送コストの軽減などが考えられますが、県として奄美の黒糖焼酎の振興と島内黒糖確保についてどのように考えておられるのか、お伺いいたします。  次に、奄美交通バス問題についてお伺いいたします。  奄美大島バス路線廃止問題は、平成十六年一月六日にいわさきコーポレーションから平成十六年九月末をもって奄美大島からバス事業を廃止撤退するとの発表があり、地元関係市町村では、奄美大島バス対策協議会を発足させ、道の島交通株式会社と瀬戸内タクシーに十七系統を委託し、平成十六年十月一日から代替バスが運行されております。  一年間の実績は、収益で約一千九百六十二万六千円、経費は六千九百万円で、赤字を補う行政の補助総額は四千九百七十七万九千円、赤字は各自治体で補い、その補助の二分の一を県が補助、競合十四系統の輸送人員は五万二千百三十二人で、競合路線を維持、存続させることは、双方の会社においても、財政の乏しい市町村においても大変憂慮している現状であります。  今年十月一日から三年目に入りますが、これまでも多くの党会派で議論をいただいており、知事にも強いリーダーシップをいただき、コーポレーション側との話し合いを促進させていただきたいとの要請もありましたが、また、コーポレーション側には、本年に入ってから県本土のバス問題もあり、現状の社会経済背景を考えれば理解できることもあります。コーポレーション側との話し合いはどのように詰められておられるのか、お伺いいたします。  次に、離島地域における測候所の廃止問題についてお伺いいたします。  気象庁は去る五月十二日、政府の行政減量・効率化有識者会議において、全国四十六カ所ある測候所を二〇一〇年までに原則廃止し、職員三百三十八人を削減するとのことで、同庁の公務員削減案が示されたところであります。  本県には、種子島、屋久島、旧名瀬、沖永良部に測候所がありますが、同庁企画課は人員削減を示したばかりで、どの測候所を廃止、縮小するかは具体的に決まっていないとしているが、六月中には最終取りまとめをするとしており、地域における防災対策を講ずるに当たっては、各種気象観測情報、地震、津波など海洋観測、台風情報、全国一早いヒカンザクラの開花宣言、生物季節観測、出張気象教室なども開かれており、特に名瀬、沖永良部測候所が廃止などとなれば、離島での生活は気象の影響を非常に大きく受けるものと考えます。気象観測技術が発達しているとはいえ、本県の離島地域は台風常襲地域であることなど考えると、今回の測候所廃止の影響は極めて大きく、到底看過できるものではありません。  そこで、今回の測候所廃止について、県防災行政の影響をどのように考えておられるのか。あわせて、名瀬、沖永良部においての測候所の存続を国にどのように働きかけていくおつもりか、お伺いいたします。  次に、中高一貫教育の導入についてお伺いいたします。  県教育委員会は、平成十二年度から与論高校と与論中学校において、また、平成十五年度から喜界高校と喜界第一、第二、早町中学校において連携型中高一貫教育を実施されてこられ、六年と三年が経過をしたところでございます。それぞれの学校において、教員の相互乗り入れ授業や六年間を見通した教科指導、総合的な学習の時間での特色ある郷土学習の実施、学校行事や部活動、講演会などの教科外活動の中での中高交流をされておられるようであります。  十八年度の中高一貫教育導入は、鹿児島市立玉龍中学校と同玉龍高校を初め、全国で連携型、併設型合わせて二十五の学校で導入されております。中高一貫教育の全国的流れの中でメリットとして、異年齢間集団による継続的な活動、中高連携による活性化、入試など子供たちの負担軽減、ゆとりある六年間を通した学習の教育、学校全体の雰囲気が和んでいる。また、学校諸行事に父母の出席率が高くなっているとのこと。デメリットとしては、中学校の生徒が勉強をしない、エリート意識の助長、一方では厳しい意見もあり、生徒の青田買い、六年間伸び伸びできるというわけではなく、多くの生徒が受験勉強をし続けるなどという批判もあります。奄美地域における連携型中高一貫教育導入後の成果と課題について、お伺いいたします。  二点目は、今後において中高一貫教育の導入の見通しについてお伺いいたします。  次に、金融経済教育についてお伺いいたします。  近年バブル経済崩壊後、特に最近において金融経済事件やトラブルが顕在化し、しかも、青少年まで金貸しやインターネットなどで株の売買をする極めて危険で不健全な風潮が見られ、大変憂慮するところでございます。米国やヨーロッパでは、小学校のころから金融経済教育や適切な勤労観、職業観の育成につなげる教育を授業に取り入れていると伺っております。日本では普及がおくれていると金融経済専門家の方々は言われており、金融経済に詳しい講師の授業実施や、義務教育の中にも金融経済に詳しい教職員の養成なども検討の余地はあると考えます。  国民生活センターによると、昨年一月から十月までに金銭にかかわる消費者生活トラブル相談件数は百十五万件、一昨年の同時期の相談件数七十二万件の六割増しと急増しており、オレオレ詐欺、悪質な訪問販売や勧誘のトラブル、消費者金融債務を抱えた人々からの相談が多く、これらのトラブルや事件に巻き込まれない予備知識の教育を充実させ、児童生徒が社会人となったときに適切な相談・選択ができる能力や知恵をどう身につけさせていくか、子供たちの発達段階に応じた金融経済システムの教育が必要と考えます。  金融教育のテーマには、貯蓄、投資、ローン、クレジット、年金、保険、証券、小切手、手形、相続、個人的会計全般、個人がお金と向き合う場面である稼ぐ、使う、ためる、借りる、返す、ふやすといった日常生活や行動の中から、金銭や経済、勤労、職業観、社会とのかかわりを教えていく教育が必要と考えます。本県教育の小・中・高の学校の中で金融経済教育をどのように進めておられるのか、お伺いいたします。  以上で、二回目の質問といたします。 22 ◯観光交流局長(庭田清和君) 奄美の黒糖焼酎の振興と島内黒糖確保についてでございますが、奄美の黒糖焼酎につきましては、近年の消費者の健康志向の高まり等によりまして首都圏等での需要がふえたことなどから、平成十六酒造年度の生産量は十年前と比べまして約三倍に増加し、生産額は約百二十億円となっており、奄美地域の主要な産品の一つとなっております。県といたしましては、これまでかごしま遊楽館における展示販売や首都圏等で開催する物産観光展の活用、県のホームページでのPRなどによりまして販路拡大に努めてきております。今後ともさまざまな機会をとらえまして宣伝、販売促進を図りますとともに、地域団体商標登録や地理的表示指定などブランド戦略の取り組みの促進や、鹿児島大学に設置された焼酎学講座等における人材育成など黒糖焼酎の振興に努めてまいりたいと考えております。  また、原料の島内確保につきましては、現在鹿児島県糖業振興協会の補給金制度によります生産奨励を行っている加計呂麻産の黒糖や島内の黒糖工場からの購入等により確保に努めているところでございますが、県といたしましては、地元業界等の御意見も聞きながら黒糖焼酎の振興に資するよう適切に対応してまいりたいと考えております。 23 ◯企画部長(篠原俊博君) 奄美大島バス問題についてでございますけれども、奄美大島におきますバス路線につきましては、昨年九月に開催されました県バス対策協議会路線確保対策部会におきまして、地元市町村と奄美交通との間で、二年目も地元市町村による廃止路線代替バスの運行を継続した上で、双方が信頼関係の再構築に努めることが確認されております。地元市町村による廃止路線代替バスの一年目の収支につきましては、約五千万円の赤字となるなど大変厳しい状況でありまして、奄美交通と廃止路線代替バスとの競合状態の解消は急務であると認識しております。県といたしましては、双方の信頼関係の回復に努めますとともに、奄美大島における安定的なバス路線の確保に向けまして地元市町村及びバス事業者と協議・検討を進めているところでありまして、今後とも奄美大島におけるバス事業のあり方を見据えながら、地元市町村とともに競合状態の解消等に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 24 ◯危機管理局長(高山大作君) 測候所につきましては、国の行政改革の一環として気象解説業務の円滑化や観測業務の自動化によりまして、今後五年間で全国の四十六カ所を原則廃止するという方針が示されたところでございます。本県には四つの測候所がありまして、これまで地域住民からの照会に応じた天気予報の解説業務や気象観測業務を行いますとともに、特に名瀬測候所におきましては警報・注意報を発表するなど、台風常襲地帯である本県の離島地域の防災対応に極めて重要な役割を果たしてきております。このため、県といたしましては、観測業務の合理化に当たっては、地域防災気象情報が的確に提供され、地域の防災対応力が維持されるよう、県開発促進協議会を通じまして国に対し要望してまいりたいと考えております。 25 ◯教育長(岡積常治君) 中高一貫教育についてでございます。  与論・喜界両地域の中高一貫教育の成果としましては、教員の交流事業によってわかりやすいと感じる授業やより専門性のある指導が行われ、生徒が積極的に授業に取り組むようになった。中高六年間の継続した郷土学習、与論の「ゆんぬ」、喜界の「きかい学」を実施することで郷土に対する興味、関心が深まり、地域行事にも積極的に参加するようになった。授業や部活動等の中高間の交流によって日常的なあいさつの習慣化など相手を思いやる態度が育成され、協調的な人間関係を築くことができたと地域にも評価されていると聞いております。一方、いかに六年間を見通した進路指導の充実を図り、確かな学力を育てていくかという課題もあると認識しております。県教委としましては、中高一貫教育の新たな導入につきましては、与論・喜界両地域の成果及び今年度設置されました鹿児島市玉龍中高一貫教育校の成果などを見きわめながら検討してまいりたいと考えております。  金融経済教育につきましては、学習指導要領に基づいて小学校六年生家庭科、中学校社会科公民的分野及び技術・家庭科、高等学校公民科及び家庭科等の中で、物やお金を大切にすることを通じて正しい金銭感覚を養うこと、消費者として各種の金融トラブルの未然防止や事後対応の能力を養うこと、経済・金融の仕組みや機能を理解することなどを発達段階に応じて指導しております。また、県、九州財務局及び銀行関係者等で組織された鹿児島県金融広報委員会におきまして、小学校、中学校、高等学校、各一校を金融教育研究校として委嘱し、健全な金銭感覚を身につけたり基礎的な金融知識を身につけたりするための、効果的な指導方法を研究しております。県教委といたしましては、今後とも金融経済教育が各学校において適切に行われるよう指導してまいりたいと考えております。    [与 力雄君登壇] 26 ◯与 力雄君 それぞれお答えいただきました。  奄美の黒糖焼酎の振興につきましては、サトウキビ生産、黒糖の製造、黒糖焼酎の生産と、トリプル的一体感があり、サトウキビの生産現状の認識も重要であります。  平成十六年度九州農政局名瀬統計情報センター資料によると、平成十六年度サトウキビの収益性の構成を見ますと、十アール当たりの収量は五トンから五・五トン、粗収益九万八千二円、所得二万八千八百二十四円、家族労働報酬一万四千二百六十九円、労働時間五十九時間、一トン当たり生産費三万五百六十一円、一日当たり家族労働費二千二百三十六円であります。サトウキビ農家の現状は極めて厳しい状況にあることが理解できます。今後も群島内の五つの製糖工場の分みつ糖製造のみの原料確保のサトウキビ生産をかたくなに堅持していくのか。  また、黒糖焼酎製成は奄美で、黒糖製造は沖縄で、しかもシェア率九五%、ちなみに、黒糖三十キロで焼酎十リットル製成できるようです。沖縄産黒糖三十キロが奄美への販売価格で七千九百円超、他の基金から数千円の補助もされており、何とも言いがたい政策的整合性のない問題であります。今後、島内黒糖の確保を課題と考えますと、サトウキビ生産と分みつ糖、含みつ糖と黒糖焼酎、沖縄産の黒糖の量、価格、総合的かつ構造的な問題に対し、国、県、生産者、製糖工場、政治が一体となって建設的、積極的な議論を真摯に行い、構造的隘路の改善を図り、島内黒糖の製造拡大条件の整備が望まれます。  奄美大島バス問題につきましては、双方赤字が大きく、公共交通機関とはいえ、現状のままでよしとは言いがたく、割り切れない部分もあり、気の毒にさえ思います。三年目に入る前に、県が調整役となり、関係機関、関係市町村、コーポレーション、委託バス、タクシー会社が一体的に話し合う機会を持ち、問題解決を図っていただきたいと存じます。  離島地域における測候所の廃止問題につきましては、近々県の開促協から国に対し存続についての要請が行われると伺っておりますが、名瀬、沖永良部測候所の存続は、外海離島生活者の生存と農林水産業の安定と振興に大きな影響が考えられますので、知事の特段の御尽力をいただきたいと存じます。  中高一貫教育につきましては、中高生、父母、学校もそれぞれおおむね成果を認識されているものと考えます。また、子供たちの教育は予算や新しい施策を講じて直ちに成果が出るものではなく、時間をかけて成果が出てくるものと考えます。課題については一つ一つの問題点を精査し、改善されることを期待いたします。  金融経済教育につきましては、最近の金融経済事件を見ますと、わずかな金額や些細なことで大きな事件となるケース、利益を追求する余りルールが守れず大損害や迷惑をかける、金さえあれば何でもできるという風潮が蔓延してはならないと考えます。  さて、九項目にわたって質問いたしました。県から見れば小さな問題であっても、地域の方々から見れば日常や将来に大きな問題と受けとめております。地域の方々と生活をともにしている私たち議員は、日々の地域活動や議員活動の中で問題解決の要請を受け、問題と思われる一つ一つの課題に対し聞き取りをし、直接現場を調査をし、地域のお一人お一人のお姿を思い浮かべながら何とか解決をし、地域に貢献をしたい熱い思いが質問として行動になります。  私も県議会に入り日も浅いのでありますが、常に感じていますことは、党会派の議員の皆様方が奄美の振興について私同様の情熱をお持ちになっていることは確かでございます。また、伊藤知事を中心に各部局、出先機関の職員、個々の質問や要請については即答はなくても、奄美全体の包括的な振興については大変な情熱がうかがえます。特に奄美勤務を経験された職員は奄美の現状や実態を把握されており、強い思いが感じられます。感謝と期待をいたすものでございます。  さて、来年度は奄振の総合調査も予定されておりますが、関係機関、地元、県議会と一体となって取り組んでいただきたいと存じます。  最後に、離島や奄美地域における地上波デジタル放送が二〇一一年までに予定されております。今年十二月までには県庁所在地を初め主要地域でスタートいたします。奄美群島においては、多くの中継局の整備を要するために二十八億円が見込まれております。どこの地域に居住しても国民等しく公共放送が見られるように、国の責任において整備することが成熟した国家としての使命と考えます。県においては、知事を先頭に県選出国会議員とも連携をとられて御尽力賜りますようお願いいたします。  以上で、質問を終わります。(拍手) 27 ◯議長(金子万寿夫君) ここで、休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午前十一時五十一分休憩       ─────────────        午後 一時 十五分再開 28 ◯議長(金子万寿夫君) 再開いたします。  藤崎剛君に発言を許可いたします。    [藤崎 剛君登壇](拍手) 29 ◯藤崎 剛君 自由民主党県議団の一員の藤崎剛でございます。お時間いただきましてありがとうございます。  「国家の品格」という本がブームになりまして、私も読ませていただきました。はっきりいって胸の突くようないい内容でして大変感銘を受けました。  ところでこの著者の藤原正彦さんの名前をどこかで聞いたことがございまして、ずっと考えていたのですが、この前思い出しました。岡積教育長、高校時代の課題図書でした。「若き数学者のアメリカ」というのを読んだというか、当時は読まされたという意識でいたのですが、その著者がまさに藤原正彦さんでございました。十数年の時を経て同じ著者の別の作品がブームになり、まさか再会するとは思っておりませんでした。今となってみれば、あのとき「若き数学者のアメリカ」を課題図書で選んだ当時の国語科の先生方の炯眼に驚くばかりであります。  さて、庭田観光交流局長、かごしま検定が大好評だったみたいですね。県の職員さんの中にも、このかごしま検定を受けられて合格したというお話を伺っております。先日、鹿児島市内のあるビジネスホテルのフロントで合格者証を胸にぶら下げて接客している方を見かけました。鹿児島のことを深く知ってこそPRに一役買うわけでありまして、このような動きを大歓迎したいと思います。  実は、私も受験しておりまして、先日結果の通知をいただきました。結果は合格でございました。正解率は九〇%でして、合格証こちらでございます。鹿児島マスター認定書というようでありますが、こちらの方をいただきました。本日は、かごしま検定合格者としての気概を持って質問させていただきたいと思います。  代表質問でありましたように、三位一体改革は第二ラウンドに入りました。竹中総務大臣が地方分権二十一世紀ビジョン懇談会で、人口と面積を基準に配分する新型交付税の提案をされました。一方、地方六団体が設立した新地方分権構想検討委員会では、交付税法定率を引き上げて地方共有税に衣がえさせ、自治体全体で共有している財源であることを明確化することを提案しています。最終的にどこで決着がつくのかはまだ不透明であります。  鹿児島県にとって税源をいかに確保するかが目下の課題であることは言うまでもありません。一つのアイデアにしかすぎないかもしれませんが、ふるさと納税についてお尋ねします。  昨年三月十七日の参議院総務委員会の審議の中で、個人住民税のうち一定割合を納税者が指定したふるさとの市町村に納税できる仕組みについて質疑がありました。質問と答弁合わせてわずか五分もないものでありました。この中で、当時の麻生総務大臣が徴税コストと理論つけの部分からふるさと納税は難しいという答弁をされております。  このふるさと納税については、ある民間シンクタンクが平成十四年に発表した道州制実現プランの中で提案しており、その提案理由も興味深いものがあります。「ふるさとなくして個人の現在の姿はない。人間形成、技能習得の大切な時期を過ごしたふるさとに、恩返しの意味で税の一定割合を納税することは理にかなったことであり、日本人の精神構造にも合致すると思われる。個人に対する人材育成のコストがかかっているのだから」と書かれております。  ふるさと納税については、現行制度の中でもやりくりできないわけではありません。住民票を移さずに全国を駆け回り、稼いだお金を故郷に納税する方がいらっしゃいます。アメリカ大リーグで活躍するイチロー選手は、オリックス時代に恩返し納税のため、ふるさと愛知県の豊山町に住民票を置いたままで、二〇〇〇年には五千万円を超える額を納税しました。また、巨人時代の松井秀喜選手が住民票を置いていた当時の石川県根上町では、松井のヤンキース移籍後一億円近い税収入が減少したという事例もあります。また、ユニマットグループの代表の高橋洋二社長は、沖縄への恩返しのために開発を進める自治体に転居し、住民登録した宮古島の上野村では住民税二十億円を納税し、税収入が三倍増し、名誉村民に選ばれたこともあります。  プロゴルファーの宮里藍選手が住む沖縄県の東村では、宮里選手の住民税が税収に大きく貢献している事実もあります。イチローや松井のように故郷に住民票を置き続けることは、この二人だからこそできたことで、日常生活を行う上での手続の煩雑さを考えれば一番長くいる場所に置くケースがほとんどかと思います。  テレビにもよく出演する外食産業の和民の社長の渡辺美樹氏が、月に一回別荘のある屋久島に行くそうでありますが、「屋久島見ずして死ぬべからず」とまで言っているそうです。このような鹿児島ファンの方にもぜひ住民票を移していただけないかなとも思います。  関東鹿児島県人会連合会によりますと、日本の税源の集中する関東地方には鹿児島県出身の方が約九十万人ほど住んでいるとのこと、このふるさと納税が実現すれば大幅な税収は間違いないと思われます。ふるさと納税は、鹿児島県にとってはメリットをもたらすものと思いますが、実現性も含めてその可能性を知事のお考えをお示しください。  次に、知的財産戦略についてお尋ねします。  我が国は、経済のグローバル化を背景にした競争の激化に見舞われています。このような中、国においては、平成十四年に知的財産基本法を制定し、地財立国を目指した取り組みを進めている途中であります。この法律の中では、地方公共団体の責務として地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策の策定・実施を求めております。  知的財産権は、産業財産権とそれ以外に分類され、産業財産権は一般に工業所有権とも言われます。産業財産権に属するものは、特許権、実用新案権、意匠権、商標権など、産業財産権以外の知的財産権には著作権、半導体回路配置利用権などがあるそうです。先日、花屋に行ったときに変わった色のバラの花を見かけました。一般の赤いバラに比べて値段が一・五倍もする高いバラでした。恐らく開発コストがかかっている分、知的財産が保護されていて、権利料が生じるからこの値段がするなと納得し、またこういうのが知的財産の保護、そして活用なんだと気づきました。  隣国に目をやりますと、中国は、映画などの知的財産権を侵害する海賊版DVDなどが横行しており、中国の国家版権局の幹部も「できるだけ早く知的財産の保護が徹底されるように努めるが、一夜にして達成することは難しい」と記者会見で述べております。いつコピー商品が出回るか、あるいは技術がいつの間にか利用されてわからない状態であり、こういった国際情勢も踏まえますと、国としては経済のボーダーレス化に対応する対策を早急に練らねばならないと思います。  一方、国内におきましては、規制緩和と自由化で地方経済が疲弊する中で、地方が努力をして開発した商品が大ヒットし、売れたとしても中央の大資本が参入してきて似たような商品をつくって大量販売してしまっては、せっかくの努力がむだになり、地方はますます疲弊するばかりです。  中小零細企業は、地域に根差して商売をするから植物的、大企業はもうかるものを求めて全国を動き回るから動物的との表現をされる方もいらっしゃいます。だからこそ鹿児島県においても知的財産を保護する仕組みが必要だと考えます。  知事は、鹿児島県の七つのSを提唱されておりますが、スローフードなどは特に国民的要請があるわけで、農林水産業などの鹿児島の産業を守り、また鹿児島発祥の商品を守ることは、まさに知事が選挙戦で掲げたスローガンである「守ろうふるさと」にも通じるものがあると思います。さらに、技術を守るだけでなく技術を活用してもうけてもらうことも大事なわけで、ビジネスチャンスが広がっている技術やブランドの知的財産を武器にもうかる鹿児島から「力みなぎる・かごしま」実現に向けてほしいと思います。そのためにも法と活用を定めた戦略が必要だといえます。  各都道府県では、知的財産推進戦略の策定に取り組んでおり、平成十八年二月現在では、福岡、大分、長崎県を含む十六の都道府県で戦略が策定され、これから十一県が策定予定にしております。鹿児島県における知的財産推進戦略の策定委員会が、先日第一回目の会合を開きましたのを新聞報道で拝見しました。それを踏まえてお尋ねします。  まず第一に、知的財産に関する知事の認識についてお聞かせください。  次に、鹿児島県内の知的財産権の現状についてお尋ねします。鹿児島県内における特許、実用新案、意匠、商標など産業財産権の出願状況について教えてください。  三番目に、県立の試験研究機関における特許の取得状況についてお示しください。  また、実施の許諾に伴う収入はどれだけあるのか教えてください。  四番目に、鹿児島県知的所有権センターというのがあるそうですが、どのような業務をされ機能を果たされているのか教えてください。  五番目に、鹿児島県の知的財産推進戦略の策定について、策定に向けた今後のスケジュールについてと議会への案の提示はいつごろの見通しかお示しください。  次に、フィルムコミッションについてお尋ねします。  「男たちの大和」、「リミット・オブ・ラブ海猿」、「ザ・ウインズ・オブ・ゴット」、「ライフ・オン・ザ・ロングボード」など鹿児島県内での映画の撮影と放映が続いております。昨年夏はちょうど総選挙の終わった翌週の九月九日から十四日までの六日間にわたり映画「海猿」のロケが錦江湾で行われました。この議会棟の隣の行政棟は、第十管区海上保安本部という設定になっておりました。恐らく人の少ない土・日にロケをしたものと思われます。  私自身は、青年会議所の一員としてエキストラの人員管理と連絡、弁当の手配などをお手伝いしました。エキストラで事前登録していただいた皆様方に、あすはどこどこに何時集合です。どのような撮影をしますといった感じで、一日中電話をかけまくって翌日には必要な人数をきっちりとそろえる役目でした。中には、県外からわざわざ駆けつけたエキストラの方もいらっしゃいました。撮影の方は、天候に左右されたりして撮影のスケジュールが予定どおりになかなか進まず、連絡役としては登録された方から苦情を受けたり、逆に励まされたりなど大変な作業でございました。この作業こそがフィルムコミッションの業務の一部なんだと実感いたしました。  この作業には、若きボランティアの部隊がいました。趣旨に賛同してくださった大学生の皆様でした。撮影を盛り上げようと必死に電話をかけてくださいました。その努力には頭の下がるものがありました。完成した「海猿」は、ことし五月六日よりロードショー、たった二日間で全国で約六十九万人もの観客を動員しました。大ヒットです。一方、「男たちの大和」も公開十二日目で観客が百万人を突破するなど好調です。  ここでもう一度、フィルムコミッションの必要性について考え直したいのであります。フィルムコミッションとは、映画やテレビドラマ、CMなどあらゆるジャンルのロケーション撮影を誘致し、実際のロケをスムーズに進めるための機関であります。それらの多くが自治体などが組織しており、国内ばかりでなく国際的なロケーションの誘致や支援活動の窓口として地域の経済、観光振興、文化振興に大きな効果を上げております。  全国のフィルムコミッション連絡協議会によりますと、フィルムコミッション設立には満たすべき条件がございます。非営利のサービス機関であること─日本での受け入れは自治体が多い─でございます。
     二つ目の条件、ワンストップサービスの提供であります。撮影の便宜を一括して図ってもらえることになっています。  三つ目の条件は、すべての映像撮影を受け入れることであります。この作品ならオーケー、この作品は嫌だということはできません。映画やCM撮影に伴う経済効果、ヒットすればまたロケ地ということで観光の上でも効果が見込まれます。このフィルムコミッションの必要性について前回質問しましたのが昨年の第二回定例会でございました。あれから一年です。前回の答弁では、「撮影に関する一切の便宜を無償で提供するなど相当量の業務に対応する必要があることなどから、その具体的なあり方については、今後関係団体とも研究してまいりたい」との答弁がされております。  そうこうしているうちにお隣の宮崎県では、五月二十四日に鹿児島に先んじてフィルムコミッションが設立されてしまいました。宮崎県議会でのフィルムコミッションについての質疑を調べて見ました。初めて本会議で取り上げられたのが平成十六年六月、その後九月にも取り上げられ、そのときの答弁は「検討してまいりたい」というものでした。その後、八カ月後の十七年二月の質問には、「十八年度には設置できるよう取り組んでまいりたい」と前向きな答弁が出されました。この間わずか八カ月であります。この差は何なのか、なかなか理解に苦しむところがございます。  ここで質問ですが、観光立県を掲げる鹿児島県として、このフィルムコミッションについて質問から一年たった研究の結果についてお示しください。  次に、フィルムコミッションが設立されていない今、現状としてフィルムコミッションにかわる機能をどの機関が果たされていて、その機能は十分であるのかどうかお示しください。  以上で、第一回目の質問を終わります。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 30 ◯知事(伊藤祐一郎君) ふるさと納税の可能性についてお尋ねがありました。  いわゆるふるさと納税は、都市住民がみずから指定するふるさとに納税する仕組みとして提言されているものでありまして、納税者の税の使途に関する関心を高めるための一つの方策でもあり、また納税者の選択の意思を尊重するという意味で検討が進められていると考えております。しかし、これを制度として確立いたしますためには、地方税はそもそも地域社会の費用を分担するという役割を持っていること、また全国に存在する納税者が他の団体を納付先として指定することに伴います徴税コストの面の問題などから、実現は直ちには難しいと考えております。  住民票の選択の問題も提言しておられましたが、住民票の住所の選択につきましては、住所の自主的要件として客観的な居住の事実ということが必要でもありますので、必ずしも簡単に住民票を選択できるということにはならないのではないかと考えております。  ある県の知事が自分の居住市から自分の好みの村に住民票を移そうとして、地元の居住している都市との間で問題になり、それが実現しなかったということは記憶に新しいところでもあります。なお、この制度と類似の効果を有する制度といたしまして、いわゆるふるさと寄付金控除の制度があります。都道府県や市町村に寄附を行った場合に、所得税や住民税の計算上、所得金額から一定の額を控除できるということでもありまして、これが現実的には一番近いやり方ではないかと考えております。  いずれにいたしましても、地方税財源の確保の問題でもありますので、今後さまざまな可能性を探らなければいけないのではないかと考えております。  知的財産に関する認識についてのお尋ねがありました。経済のグローバル化など内外の社会経済情勢の変化に伴いまして、我が国産業の国際競争力を強化することの必要性が増大している中で、活力ある経済社会を実現するためには、知的財産を創造し、効果的に活用していくことが重要であると考えております。  知的財産につきましては、国は、知的財産基本法を制定するなど知的財産立国に向けた取り組みを進めておりますが、本県におきましても、産業競争力の強化や地域経済の活性化を図りますために、知的財産の創造、保護及び活用を積極的に推進していくことが極めて重要であると考えております。このため発明やブランドなどの知的財産を活用することにより、本県の産業振興を図っていく基本的な戦略といたしまして、─仮称でありますが─鹿児島県知的財産推進戦略を今年度末を目途に策定することとしているところであります。 31 ◯商工労働部長(時田光一君) 県内における特許等の出願状況についてでございますが、県内の産業財産権の出願状況につきましては、平成十六年におきまして特許二百七十九件、実用新案三十二件、意匠三十五件、商標五百三十二件の合計八百七十八件となっております。  また、工業技術センターや農業試験場など県の試験研究機関におきまして特許を登録されているものは、平成十七年度末現在で三十六件、特許出願中のものが三十五件となっております。この中で特許等の実施許諾に伴う実施料収入は、平成十五年度が約二百二十五万円、十六年度約二百八十八万円、十七年度約三百十七万円となっております。  知的所有権センターは、中小企業等の技術開発や新規事業の創出を円滑に推進するため県工業技術センター内に設置され、特許情報の検索や閲覧、電子出願、特許流通に関する支援を行っております。  このような県内の知的財産に関する状況を踏まえまして、本県の産業競争力の強化及び地域経済の活性化を図るため、今年度─仮称でありますが─鹿児島県知的財産推進戦略を策定することとし、先般、知的財産の専門家等で構成いたします鹿児島県知的財産推進戦略策定委員会を設置したところであります。現在、年度末の策定を目途に鋭意作業を進めているところでありまして、概要がまとまり次第県議会にお示ししたいと考えております。 32 ◯観光交流局長(庭田清和君) フィルムコミッションについてでございますが、映画やテレビドラマ等のロケの誘致につきましては、情報発信効果が極めて高く、県外観光客の入り込み増に結びつくことから、県といたしましても関係団体等と密接に連携をとりながら積極的に取り組んでいるところでございます。  最近の事例におきましては、現在公開中の映画「海猿」の撮影に当たりまして、鹿児島青年会議所などと映画「海猿」を応援する会を立ち上げまして、関係機関等への撮影協力依頼やボランティアの募集、県庁舎におけるロケの実施など、さまざまな協力・支援を行ったところでございます。  さらには、県観光ホームページ等で紹介いたしますとともに、応援する会が中心となりまして今月十六日から県庁舎十八階ロビーにおきまして「海猿ロケ地展」を開催するなど、関係団体等が相互に連携をいたしまして実質的なフィルムコミッションとしての機能を果たしている状況にあると考えておりまして、本県の観光振興に寄与すると判断される作品につきましては、今後とも県としてできる限りの支援をしていきたいと考えております。  なお、フィルムコミッションにつきましては、作品の内容を問わず、すべて無条件かつ無償で協力しなければならないという条件がございまして、公的機関に設置することの是非や費用対効果等の面等さまざまな課題がありますことから、今後そのあり方について検討する必要があるのではないかと考えております。    [藤崎 剛君登壇] 33 ◯藤崎 剛君 それぞれ御答弁いただきました。  ふるさと納税につきましては、なかなか実現までは難しい過程がよくわかりました。ただ、ふるさと寄付金という現行制度があるようですが、なかなか世間では知られていないんじゃないかなというふうな印象を受けました。ただ、国民一人一人が自分のふるさとにお金を送金する、またこのふるさと貢献意識を養っていくためにも制度としてできないのかなというふうな思いがございます。  それから、知的財産推進戦略につきましては、産業振興の基本戦略にしたいというような知事の御答弁がありました。ぜひこれ来年二月に向けて頑張っていただきたいと思います。  フィルムコミッションにつきましても県の認識はわかりました。いろいろ課題があるので実質的にフィルムコミッションらしきものができているから、とりあえず名称を名づけた、きちっとしたかちっとした組織はつくらなくても、今のところはそれでやって研究を続けてまいりたいということでしたので、また研究を続けて、いい方向性が出るように努力していただきたいと思います。  あと「海猿」に関しては、ちょうど行政棟の十八階で今、ロケ地展をやっているようでございますので、時間があれば皆様もごらんいただけたらと思っております。  次の質問に入りたいと思います。  NPO法人と共生・協働についてお尋ねいたします。  この件につきましては、代表質問でも取り上げられましたが、私なりに別の角度から質問させていただきたいと思います。共生・協働の理念を実行するために、その公益活動の担い手にNPO法人がなるのは非常にいいことかと思います。最近では、NPO法人の活動が新聞記事にもよく掲載されるようになりました。ことしの二月十八日でしたが、鹿児島大学の稲盛会館で鹿児島大学大学院博士課程地域政策科学専攻で大学院生らが地域の課題について研究に取り組むプロジェクト研究の研究報告会がありまして、それを聞きに行きました。  この研究報告の中でNPOの声として、鹿児島県や市町村の行政に対して、あるいは行政職員に対して望むことが掲げてありました。  以下、御紹介したいと思いますが、「県でも市町村でもトップはNPOを必要とする時代潮流を認識しているが下におりるとまだまだ。市町村もNPOの担当窓口をつくるなり専任担当者を置くなりして、自分の地域のNPOのことを勉強してほしい。県がNPO法に基づいて法人を認証する以上、県がその法人の活動に理解を示すという意味であってほしい。今は単に手続上の問題となっている。NPOのことを安売りの下請け先と考えるのはやめてほしい。行政職員の一般研修項目に地域のNPO事情のことを加えること。NPO相互の交流、情報発信を媒介するための場を設定すること」などです。試行錯誤をされながらいろいろな思いがあることがわかります。こういった声にも真摯に耳を傾けていただきたいと思います。  ここで、NPO法人の設立の状況を確認しますが、法律が施行されましたのが平成十年、鹿児島県内にNPO法人が初めて認証されたのが平成十一年度で三法人、その後は十二年度に九、十三年度に二十二、十四年度に二十九、十五年度に四十八、十六年度に六十一、十七年度は百五と驚くべき増加ぶりであります。現在県内では、約三百三十のNPO法人がさまざまな分野で活動している状況にあります。  この数年でNPO法人が急にふえておりますが、その背景には、書類、書式さえ整えば縦覧期間を経て認証が出るという仕組みにあるかと思います。確かに、やる気のある人、やる気のある団体にとっては認証がおりやすいというのは非常にいいことかと思います。都合がいいです。確かにその一方で、任意団体としての活動実績はなく、法人認証をもらうことが目的のように人を集めてみて、法人化された後にその後の地道で計画的な活動が続かないところがあると聞いております。  質問に入ります。今年度の予算書を改めて見ますと、総務部の共生・協働推進室の行うNPO関係の事業のほかに、NPO法人との共生・協働を各部各課で行っているようですが、予定の事業、事業内容、NPO法人を選ぶ際の選択の基準について各部長よりお答えください。  次に、これまでに解散したNPO法人の数は、これまでにどれくらいあるのかお示しください。解散の理由につきましても、把握していればお示しください。  三番目に、NPO法人認証後も公益にかなう責任ある活動をしてもらうためには、任意団体としての活動実績が認証への作業過程の中で必要ではないかと考えますが、お考えをお示しください。  四番目に、共生・協働推進室所管の共生・協働の地域社会づくり事業には、選考委員会があって助成に当たっての審査があると聞いています。宮城県では、NPO法人とおつき合いするに当たって、NPO推進事業発注ガイドラインというのをつくっています。NPO法人との協働作業の際には、責任ある事業の執行体制を持つNPO法人を県としてどのような基準で判断し、選択をされているのかお示しください。  今申し上げた宮城県では、NPOの評価制度も進んでおります。NPO推進事業評価実施要領というのを作成し、委託者側の県と受託者側のNPOの事業を行った自己評価の概要を総括した実施報告書と評価集計表を作成し、評点の開きが大きな項目については問題点の整理と改善策を、県とNPO側がお互い集まって意見交換の場を持っております。  鹿児島県で行われた平成十七年度の共生・協働の地域社会づくり事業について、事業終了後の現在、その成果を客観的に評価する仕組みについてはどう考えているのかお示しください。また今後、この事業が拡大していく可能性を踏まえれば、評価制度の充実が必要かと思いますが、今後の見通しについてもお示しください。  次に、公益法人改革についてお尋ねします。  公益法人とは、民法三十四条に基づいて設立される社団法人または財団法人を指し、その設立には、公益に関する事業を行うこと、営利を目的としないこと、主務官庁の許可を得ることなどが必要となっております。現行の公益法人制度の新たな仕組みを法制化した一般社団財団法人法、公益のお墨つきを与える公益法人認定法に加えて、この二本に伴う民法改正などを盛り込んだ関係法律整備法が今国会に提出され、四月二十日に衆議院を、五月二十六日に参議院を通過しました。これにより、公益法人の新しい制度が動き出したことになります。  新制度では、社団法人と財団法人は、特例社団法人または特例財団法人、二つ合わせて特例民法法人というそうでありますが、そういう名称で一定期間使われることになります。特例民法法人は、移行期間の間、法施行五年後の平成二十五年までは現在の名称をそのまま使うわけでありますが、そのまま現在の規程、基準に基づいて現行の主務官庁が引き続き指導監督をするそうです。そして二十五年の移行完了日までには、公益性の認定の申請を行うか、または公益性の認定を受けない一般社団・財団法人への移行の認可申請を行うことになっています。もし満了日が過ぎても公益性の認定や移行認可を受けない場合には、その日をもって今ある財団法人、社団法人は解散することになります。  質問の第一に、この公益法人改革によって期待される行政改革の効果についてお示しください。  第二に、現在鹿児島県内には公益法人が全部で幾つあり、また所管部別には幾つあるのかお示しください。また、現在ある公益法人のその役割、とりわけ公益性についてこれまでの活動をどのように評価されているのかお示しください。  第三に、公益法人につきましては、以前基本財産の管理について問題になった法人がありましたが、公益法人の公益性を常に確保しながら活動していかなければならないわけですが、監査を含めて県としてこれまでどのような監督を行っているのかお示しください。  第四に、今後公益法人改革が進む中で、県内の公益法人にどのような影響が出てくるのか予想され、どのように対応していくのかお示しください。  次に、環境に優しいエネルギーについてお尋ねします。  原油の値上がりに伴って、ガソリン価格の高騰を初め石油製品全体が値上がりし、県民生活、経済活動におきましても多大な影響があるところであります。今だからこそ、現在のライフサイクルとエネルギーについて考え直す必要があると思います。  質問の第一に、原油価格の高騰に伴う県庁の業務への影響についてお尋ねします。  平成十八年度の予算編成をする際、基準単価におきましてガソリン代は一リットル当たりで税込みで百二十四・九五円と見込んでおりますが、その後もリッター単価がじりじりと上がってきております。このままでいくと、県の業務にかかわる公用車のガソリン代は、果たして計上しただけで足りますでしょうか、やりくりの工夫などがありましたらお示しください。  第二に、今ガソリン代の話をしましたが、自動車の排気ガスが地球温暖化へ影響があることは皆様御存じのとおりで、低排出ガスと低燃費を生み出す一定条件の車には、自動車税、自動車取得税の軽減が受けられるようになっております。  ここで質問ですが、県内にある総自動車数とグリーン税制を受けている車の台数、全体から見てグリーン税制車の占める割合についてお示しください。  第三に、さらにもう一歩踏み込んで、特にCO2の削減効果の高いのは、いわゆるエコカーとして呼ばれる低公害車であります。その種類として燃料電池自動車、電気自動車、天然ガス自動車、ハイブリッドカーなどがありますが、この議会の中にもエコカーに乗られCO2削減の実践に取り組まれている先輩議員がいらっしゃいますことに敬意を表するものでありますが、エコカーの県内における普及状況についてお示しください。  第四に、化石燃料にかわる植物燃料の利用促進についてです。この件は、第一回定例会において岩崎議員が質問しておられますが、私なりの視点でまた質問させていただきます。  この前見たのですが、鹿児島県トラック協会が自由民主党県議団を通じて要望したディーゼル機関燃料としての植物油の有効利用という要望項目がありました。その回答を見まして、もう少し工夫のある回答はできないものかと思いましての質問です。要望内容は、「トラック協会では、平成十二年に環境に優しいエネルギー源として植物油の有効利用を提唱してきて以来繰り返し要請してきたが、県においてはこれまで全く取り組む姿勢が見られない」、中略しまして、「遅きに失した感もあるが県当局においても前向きに検討していただきたい」というものであります。  これは原油価格の高騰に伴ってトラック業界が原料が上がって大変だから経営改善のための融資をくれというような内容ではなく、採算ベースに乗るようにするためにも長期間にわたって大変な努力が必要になるものであり、それに御理解いただけませんかというものであります。県民運動として啓発しながら育てていく必要があるものだと感じます。マニフェストに書いてある新規事業を打ち立てることも大事ではあるかと思いますが、長年にわたって要望活動をされている案件について、どう実現させていくか、複合的に考えていく必要があるかと思います。例えば、新規事業で昨年立ち上げたトライアル発注事業だとか、共生・協働の地域社会づくり事業に絡めていくなどいろいろな方策、助言は必ずあるはずです。  ここで質問ですが、植物性の廃食油から軽油代用燃料を製造するリサイクル装置についての設置状況、そして、現在の助成制度についてお示しください。また、軽油の代用燃料について、推進普及についての今後の見通しについてお示しください。  次に、太陽光発電と風力発電についてお尋ねします。  家庭の屋根に太陽電池パネルを設置したお宅をちらほら見かけるようになりました。太陽光で発電しながら電力の余りは九州電力に売り、足りない分は買うというシステムであります。もし台風などで災害のときには、九州電力からの送電がとまっても独立した電源として使うこともできます。必ずメリットがあるかと思います。農業大学校の学生寮の屋根にもパネルが設置されているのを発見しました。財政が許す限りもっと多くの施設に導入されてほしいと思うものです。  ここで質問です。  まずは、太陽光発電が導入されている県の施設、県営住宅についてお示しください。また、導入した施設への電気を売却した実績についてお示しください。それから、県内の一般家庭に設置されている太陽光発電の設置状況についてお示しください。  次に、県内の自治体における太陽光発電導入への助成制度についてお示しください。また、県内における今後の設置を目指す太陽光発電の台数を数値化するおつもりはないのかお示しください。  最後に、県内におきましては、近年風力発電も盛んになっておりますが、現在の設置台数とこれからの計画の予定を把握していればお示しください。 34 ◯総務部長(原田耕藏君) NPO法人と共生・協働につきましてでございますが、県では共生・協働による活力ある地域社会づくりを推進するため、昨年度の共生・協働の地域社会づくり助成事業に引き続き、今年度から県の既存事業や新たな行政課題についての企画案をNPO等から公募する企画公募事業を開始いたしますとともに、県政刷新大綱に基づく事務事業総点検におきまして、すべての事務事業を対象として共生・協働の観点から検証を進めるなど全庁的に共生・協働の取り組みを進めているところでございます。  総務部における十八年度のNPOとの協働事業といたしましては、設立間もないNPO法人等を対象とした各種講座の開催やNPOのさまざまな活動を紹介する情報誌の作成を内容とするNPO入門講座を実施することとしておりまして、現在企画案を広くNPO等に公募しているところでございます。  本県が認証した特定非営利法人いわゆるNPO法人は、平成十八年五月末現在二百九十法人あり、このうち四法人が解散をいたしております。解散理由は、会員不足や資金不足などによる活動困難によるものが三法人、残りの一法人は社会福祉法人設立のための解散となっております。  NPO法人の認証につきましては、特定非営利活動促進法、いわゆるNPO法にその要件が限定的に定められておりまして、法に定める特定非営利活動を行うことを主たる目的とすること、宗教活動や政治活動を主たる目的としないこと、社員数が十名以上であることなどの要件がございます。NPO法におきましては、市民の自由な社会貢献活動の健全な発展を促進するため、法人認証に必要な要件をすべて法律に記載し、行政の裁量の余地をできるだけ排除しているところでございます。したがって、法に定める要件を満たし、かつ申請書類等が法に定める認証基準に適合していると認められるときは、その設立を認証しなければならないとされておりまして、認証前の活動実績は、認証の要件とはされていないところでございます。  共生・協働の地域社会づくりの推進に当たりましては、まずはNPO等との協働の積み重ねが重要であると考えておりまして、平成十七年度から共生・協働の地域社会づくり助成事業を実施いたしますとともに、今年度から企画公募事業を開始したところでございます。これらの事業の実施主体であるNPO等の選定に当たりましては、NPO等の持つ先駆性、専門性などの特性を生かした提案内容であることに加え、その実現性、事業効果、収支計画の妥当性などについて審査することといたしております。  平成十七年度に実施した共生・協働の地域社会づくり助成事業につきましては、七月二十七日に開催いたします鹿児島県共生・協働推進大会におきまして、事業実施した十六団体の成果報告書や展示パネルを披露いたしますとともに、四団体から取り組みの内容について発表してもらい、その成果や取り組み手法を参加者に共有してもらうほか、参加者同士の意見交換の場を設けることといたしております。また、今年度の取り組みとして実施いたします企画公募事業につきましては、実施後に県及びNPO等が相互に事業評価を行うこととしているところでございます。  県といたしましては、今後ともこのような取り組みを通じまして共生・協働による活力ある地域社会づくりを積極的に進めてまいりたいと考えております。  公益法人改革についてでございますが、現行の公益法人制度につきましては、法人設立の許可や許可の前提となる公益性の判断等が各主務官庁の裁量により一体的に行われているため、法人設立が簡便でなく、また公益性の判断基準が不明確であるなどの指摘がなされているところでございます。今回の改革は、これらの指摘を踏まえまして、法人格の取得と公益性の判断を分離し、事業の公益性の有無にかかわらず法務局への登記のみで設立することができる一般社団法人等と、さらにこの中から公益性の高い法人として認定する公益社団法人等に区分し、その認定は、公益性等を中立的に判断する独立した委員会等の意見に基づき、内閣総理大臣または都道府県知事が行う制度にしようとするものでございます。  今回の制度改革により一般社団法人等の設立が簡便になりますとともに、透明性の高い制度が構築されますことから、民間団体が行う公益を目的とする事業の実施が促進され、活力ある社会の実現が図られるものと考えております。  本県が所管しております公益法人の数は、平成十八年四月一日現在で三百二十八法人となっており、このうち知事の所管に属するものが二百五十一法人、教育委員会の所管に属するものが七十七法人でございます。また所管部別では、保健福祉部が七十八、商工労働部が六十四、農政部が三十三、土木部が二十、林務水産部が十九、環境生活部が十一、県警本部が十一などとなっております。  公益法人の役割につきましては、学術・文化・福祉等さまざまな分野で行政や民間の営利部門では満たすことのできない社会のニーズに対し、多様なサービスを柔軟かつ機動的に提供しているものと考えております。  公益法人に対しましては、民法に基づき定款変更の認可等を行いますほか、各法人に毎年度の事業報告書、収支決算書等の提出を義務づけますとともに、鹿児島県公益法人検査実施要領に基づき、立ち入り検査を少なくとも三年に一回行うことといたしておりまして、これらを通じて各法人の財務状況の把握及び業務運営の適正な指導監督を行っているところでございます。  今回の新たな制度では、理事会を設置する社団法人には監事を、また財団法人には評議員、評議員会、理事会及び監事を必ず置かなければならないこととされ、さらに公益社団法人等の認定を受けるためには、公益を目的とする事業の占める割合が五割以上であることなど、現行法にはない規定が設けられておりまして、既存の公益法人が新制度に移行するに当たって、事業内容の見直しや定款の変更などを行う必要が出てくるものと思っております。  県といたしましては、県内の公益法人に対し、これらの内容に関する説明会などを通じ、制度改革の周知を図ってまいりたいと考えております。  グリーン化税車の占める割合でございますが、平成十八年四月一日現在における県内の自動車の総課税台数は六十万三千八百七台で、そのうちグリーン化税制に基づき税の軽減を受けている自動車は二万四千二百七台でございます。また登録から一定の年限を経過したことにより税が増額されている自動車は、九万七千四百六十四台となっております。総数に占める割合は、軽減分が四%で、増額分が一六・一%になっております。なお、自動車税が軽減されるのは新規登録の翌年度の一年限りとなっておりまして、平成十七年度における新規登録台数三万五千五百十七台のうち六八・二%を占めております。 35 ◯環境生活部長(西山芳久君) 平成十八年度の協働事業につきましては、環境生活部におきましては、男女共同参画学習・研修事業に取り組むことといたしております。この事業におきましては、女性に対する暴力に関する研修や女性の生き方に関する講座等を実施することといたしておりまして、その実施に当たりましてはホームページ等により公募を行い、企画コンペ方式により委託先を決定することにいたしております。 36 ◯保健福祉部長(吉田紀子君) 保健福祉部の今年度の協働事業は三つあります。  まず一つ目に、難病患者や家族の相談・支援等を総合的に行いますため、NPO法人等と連携して鹿児島県難病相談・支援センターを六月九日に県庁内に設置いたしました。  二つ目に、奄美地域における在宅障害児者の地域生活を支援いたしますため、七月から在宅心身障害児者療育等支援事業を地元奄美のNPO法人に委託することとしております。  さらに三つ目といたしまして、来年一月に開催予定の次世代育成支援推進大会について、昨年度同様、NPO法人等を対象に企画コンペを実施し、大会の企画・運営等を委託することとしております。 37 ◯農政部長(山田裕章君) 農政部における共生・協働の事業としては、かごしまの食総合推進事業におきまして、食べ物を残さないなどの食習慣を幼児期に身につけさせるための指導者向けの手引書の作成などをNPO法人等に委託することにしており、今後企画コンペを実施する予定でございます。  また、新たな村づくり運動構築事業におきまして、都市住民やNPO法人などが村づくり活動に参画する仕組みの構築をNPO法人等に委託するため企画コンペにより委託先の法人を決定したところでございます。 38 ◯土木部長(真下和彦君) NPO等との協働事業につきましては、今年度から新たにふるさとの道サポート推進事業及びみんなの水辺サポート推進事業に取り組むことといたしております。これらの事業では、道路や河川の清掃美化活動を行います自治会やNPO等に対しまして、傷害保険の加入やサインボードの設置等の支援を行うことといたしておりまして、対象団体につきまして公募し、県において選定することといたしております。 39 ◯副知事(假屋基美君) 公用車の燃料についてでございますが、公用車につきましては、同一方向への車両の乗り合わせなどによる計画的かつ効率的な運行やアイドリングストップ運動の励行など燃料の節減に努めるとともに、公用車の更新に当たりましては、車両の小排気量化及び低燃費車の導入を図っているところでございます。  また、公用車の燃料の購入に当たりましては、スケールメリットを生かしまして、年度初めに県石油販売業協同組合等との単価契約を締結しております。なお、最近の市場価格の急激な上昇に伴いまして、年度途中に単価増の変更契約を行っております。 40 ◯企画部長(篠原俊博君) エコカーの県内における普及状況についてでございますが、平成十八年三月末現在で電気自動車が二十三台、天然ガス自動車が五十三台、ハイブリッド自動車が二千八百八十五台、合計で二千九百六十一台が導入されております。  植物性廃食油の利用促進についてでございますが、廃食油から軽油代替燃料─BDF─を製造する装置につきましては、県内では霧島市や大崎町などに四基設置されております。  BDFの製造装置の整備に対しましては、平成十五年度からNEDOの補助制度が創設されておりまして、県としては、これまで新エネルギーセミナーや現地研修会等を開催し、普及啓発に努めてきているところでございまして、今後ともBDFの製造装置の導入促進に努めてまいりたいと考えております。  県有施設における太陽光発電の設置状況等についてでございますけれども、県の施設におきましては、かごしま県民交流センターや照葉樹林の森など二十四カ所でございまして、このほか県営住宅などにも太陽光発電を利用した外灯を二十九基設置しております。これらの施設におきまして電気を売却した実績はございません。  県内におきます住宅用太陽光発電におきましては、七千九百台程度設置されております。  続きまして、県内におきます太陽光発電導入の助成制度でございますけれども、これまで七市町におきまして実施されておりましたが、現在は鹿児島市が設けているところでございます。また、平成十三年度に策定いたしました県の新エネルギー導入ビジョンにおきまして、二〇一〇年度におきます太陽光発電の導入目標につきましては、八万三千キロワットとしておりまして、この中で住宅用太陽光発電設置を二万一千台と推計しております。  風力発電でございますけれども、県内におきます風力発電施設は、平成十八年三月現在七十五基でございます。九州電力と今後売買契約を予定しているのは五十基であると伺っております。    [藤崎 剛君登壇] 41 ◯藤崎 剛君 それぞれ御答弁いただきました。  NPO法人との共生・協働活動なんですが、NPOの募集に当たっては、企画コンペあるいは公募が多い実態がわかりました。NPO法人も県と一緒になって事業するに当たって、そういった事業を受けれることのできる体制の整っているところと、整っていないところもあるかと思います。そういうふうに企画コンペということで一定のふるいでフィルターがかけられるのはいいことじゃないかなと思います。
     それからNPO法人にかかわる皆様方の努力については大変存じ上げております。四法人の解散があったというお話がございましたが、その理由が会員不足、資金不足ということでございました。なかなか法人を立ち上げてから組織、人、金という体制を徐々に整えていくことはなかなかの作業でございますが、ぜひともNPO法人の皆様方には、共生・協働の受け皿になり得るための組織としての体力を十分蓄えていってほしいと思います。そして、担い手として力強く成長してほしいと思うところであります。  公益法人改革につきましては、これから公益性という別のチェック機関ができて、とりあえず二つに分けられる方向で制度が進んでいくわけでありますが、いわゆる県の出資する外郭団体も恐らくこの公益法人改革にかかってくるかと思います。民間主導の公益法人もありますが、法の趣旨を徹底されまして、移行期間に事務処理が速やかに進むように、県としての支援をよろしくお願いいたします。  それから環境に優しいエネルギーについてですが、今エコカーが全県で二千九百六十一台とお話がございました。最近よく見るなと思いましたけど、確かにその数のとおり、数がふえていると実感いたしました。県民への啓発が非常に大事ですので、これからも少しでも裾野が広がるような努力をお願いしておきます。  さて、当面する県政の課題につきまして、これまで質問に当たりました。質問に当たりましては、毎回納税者の一員、そして県民の代表としての視点をもともと持っているわけでございますが、先日県が発行する市場公募債を少々購入しまして、今度は新たに債権者としての意識も合わせ持って、質問、意見提言させていただきました。  最後に献血活動への御協力をお願いしたいと思います。  鹿児島県の赤十字社では、県内の献血活動の拠点としまして、この議会棟前の赤十字血液センター、それから献血ルーム天文館の二カ所で献血が行われております。そのうちの一つ、天文館の方が現在改装工事に入っておりまして片方が稼働できない状況となっております。いわば、片方のエンジンだけで稼働しているわけでございまして、血液不足が予想されております。熱血という看板を掲げる私自身は熱血であることを証明する意味も込めまして献血には協力をさせていただいておりまして、先日百六十六回目を迎えました。毎回針を刺す瞬間は、ぐっと痛みを我慢するわけで、気分のいいものではございませんが、人様に健康を少しでもお分けできればという気持ちでやっております。元気で血の気が多いと自負される方がいらっしゃいましたら、その元気さをまずこの質疑にぶつけていただいた後、その余力をぜひ献血に御協力をお願いします。  これから暑い夏を迎えますが、私自身熱い血をたぎらせて県勢発展のために、これからも頑張ってまいりたいと思います。御清聴いただきまして、ありがとうございました。(拍手) 42 ◯議長(金子万寿夫君) 次は、永田けんたろう君に発言を許可いたします。    [永田けんたろう君登壇](拍手) 43 ◯永田けんたろう君 第二回定例会に当たりまして、自由民主党県議団の一人として、知事並びに関係部長に質問をいたしてまいります。  まず、財政問題について質問いたします。  平成十三年でありました。財政改革プログラムを策定したわけでございましたが、このときに公表されました直近の経常収支比率は九二・六となっております。また、起債制限比率が一二・八、財政調整基金残高は六百六十億円、公債総額が一兆三千二百六十七億円、こういうふうに説明を受けました。  そして、平成十八年、ことしでございますけれども、このことを目途に改善していくということを定めたわけでございますが、この当初の平成十三年のときの計画によりますと、要調整額を三億円に縮小するとなっております。そして、財政調整基金残高を百二十六億円まで持っていくと。そして公債残高ですね、県債残高は一兆四千九百二十一億円に抑えるというふうになったわけでございます。  その後、平成十五年にこれは改定やむなきに至ります。そして、御存じ交付税ショック、このことでこの財政改革プログラムは本当大きな波にさらされてきたわけでございます。  そして、その後、伊藤県政が誕生いたしまして、この財政改革プログラムは、県政刷新大綱という形に衣がえして、県政の歳出歳入のあるべき姿を求めて、今、変革しているわけでございます。  このような背景を考えまして、私は、今現在のこの県政の財政が財政再建団体という私どもが平成十三年に危機的状況をもって受けとめましたこの状況を脱しつつあるんだろうか。それともいまだなお、この財政再建団体としての危機的状況の中にあるのであろうか。その傾向といったものについて非常に関心があります。  先般は、皆様御存じのように夕張市、ここが財政再建団体の申請をいたしたわけでございますが、こういうニュースを聞きますと、なおさらにそのことが感じられるわけであります。  そこで、質問の第一点でありますけれども、県では、平成十七年三月に策定いたしました県政刷新大綱で示されたあるべき歳出構造の達成に向けまして、人件費、普通建設事業費など一般政策経費について徹底した見直しを進めておられるところであります。  しかしながら、十八年度当初予算での財源不足は、依然として三百五億円に上っております。これは、いわゆる財政再建団体転落の目安となる標準財政規模の五%といたしますと二百億でありますので、まだなお、三百五億円というのは上回っているわけであります。  また、経常収支比率や起債制限比率などの財政指標につきましても、依然としてその悪化に歯どめがかかっていないのではないかというふうに危惧するわけであります。  さらに、現在国で取りまとめが進められております骨太の方針二〇〇六におきましては、地方交付税総額の抑制やあるいは人口と面積に応じて新型交付税を配分するといったような構想などが検討されておりまして、過疎地域や離島の多い我が県におきましては、非常に厳しい状況にあるように考えるわけでございます。  そこで、以下の点について伺います。  第一点、本県の経常収支比率や起債制限比率はどのようになっているのかお示しいただきたいと思います。  第二点、さらに、本県財源不足の状況や最近の地方交付税をめぐる動きなどを踏まえたときに、本県が財政再建団体へ転落する危機は脱しつつあると考えていいのか。あるいはまだ、依然としてその危機に瀕していると受けとめるべきなのか、お伺いいたしたいと思います。  財政問題につきまして、第二点、県税の収入未済額についてお尋ねいたしたいと思います。  自動車税の未収状況というのがいつも問題になるわけでございますが、その徴収対策はどういうふうになっているのかお聞かせください。  平成十八年度から開始いたしましたコンビニ納税の状況及び納期内納付率向上への影響はどういうふうになっているのかお聞かせいただきたいと思います。  さらに、個人県民税の未収状況とその対策についてもお聞かせ願いたいと思います。  この三月、日銀は、量的緩和の廃止をいたしました。考えてみますと、バブル崩壊後にさまざまな金融政策がとられてまいりました。不良債権処理、そして金利ゼロ政策。そういったようなことを踏まえまして、量的緩和策がこの五年間、続けられたわけでありますが、この量的緩和が廃止になりまして、今、思いますのは、ようやく日本の経済というものが普通の状態になってきつつあるんだろうかといったようなことを考えるわけでございます。  しかしながら、同時にこの量的緩和の廃止とともに、次は、ゼロ金利の解除といったことが市場の一つの注目になっているわけですね。  これは、現在のアメリカの景気動向とか、あるいはここ直近の株安の動向とか、そういったものに左右されまして、一進一退、日銀もその方針を明確にはいたしておりませんけれども、しかしながら、量的緩和が廃止されますと、市場に出回るお金の絶対量は当然のことながら収縮していくわけでございますから、これは金利は黙っていても自然に上がっていくというふうに考えるべきであろうと思います。  お金の流れの変化は、当然国や自治体の資金需要に対しましても影響が出てくるわけでございますが、そこでお尋ねしたいのは、第三点でありますけれども、県では、県債残高の増嵩に伴う公債費負担の増加によりまして、財政運営が非常に厳しくなっていることに加えて、今後、国のゼロ金利政策の見直しなどにより、長期金利のさらなる上昇も懸念されておりまして、金利負担軽減のための対策が極めて重要であると考えております。  いただいた資料によりますと、過去の金利の高い政府資金等につきましては、今後、数年間で順次償還が進んでいくみたいであります。  また、銀行等縁故債につきましても、繰り上げ償還等の対策に取り組んでこられた結果、今、平均いたしますと利率一・八二%にまで落ちているみたいであります。  今後とも県のみならず、公社、公団も含めまして、金利負担の軽減に対しましては、一層の取り組みを要望いたしておきたいと思います。  もう一つ懸念されるのが、いわゆる行政改革に伴うところの政府資金枠の減少による県債の資金調達の問題であります。十七年度末の県債残高一兆六千億円のうち、財政融資資金や郵便貯金を初めとする公的資金が約一兆円で、六三%を占めております。今後、十分な公的資金の配分が確保できるのかどうか非常に懸念されるところであります。今後の資金調達手法の多様化や安定的発行に向けまして、一層の取り組みを進めるべきと考えますが、お考えを伺いたいと思います。  次に、年金問題について質問いたします。  年金問題は、平成十二年の機関委任事務の廃止によりまして、これは県政の事務事業ではなくなってきているわけでございまして、実はこれを質問いたしましても、答弁をできるところはないわけでございます。  しかしながら、そうは言ってもやめるわけにはいきませんので、保健福祉部長、吉田部長にたってお願いをしているわけでございます。  私は、以前、香港に旅いたしましたときのことを思い出します。香港の方々と日本の物価と、そして香港の物価について話をしておりました。その話の行きがかり上、日本の保険と年金に話が及んだわけなんです。そして、香港の方々は、日本の皆保険・皆年金につきまして、本当に驚きの感想を持っておられます。  そのとき、その方々がおっしゃいましたのは、私たちは若いときは子供を産んで育てて学校を卒業させるのにお金がかかると。そして子供が就職して社会人になって結婚する。そこでようやく何とか一区切りついたねといったような時期には、実は自分たちの今度はお互いの両親が年とってきて、この両親のために病気の病院代とか、あるいは生活費のためにお金がかかる。そしてようやく両親がこの世を去りまして、本当にゆっくりなったなと、これは喜んで言っているわけじゃないんですけれども、事実としてですね、時間経過はそうなるわけです。そうなりますと、今度は自分たちが年老いてきて、自分たちの子供の世話にならないといけなくなっているというようなことをしみじみとおっしゃいました。  日本はいいですね。国民皆保険・皆年金、考えてみますと、数十年前まで、私どもの先輩は、田舎に置いた両親に生活費やあるいは病院、その他のお金として親への仕送りということをやっておりました。  今はどうでしょうか。親への仕送りという言葉自体が、今の日本では死語になりつつあると私は思います。これは、国民皆年金・皆保険が充実してきた結果だと思うんです。  しかしながら、その国民皆年金が、今、危機に瀕しています。これは一体どういうことなんでしょうか。  納付率の低下ということが一番大きな原因でありましょうけれども、そのほかにも社会保険庁の内部的な不祥事というものが噴出してまいりました。数年前には、グリーンピア等に象徴されるような施設建設に対するむだ遣い、それから、いわゆる年金の個人情報に対するのぞき見、こういうことを踏まえて、社会保険庁は出直しのために村瀬長官を民間からいただきまして、その改革に取り組んでいたはずでございますが、今回は、いわゆる免除申請の不正発覚。免除申請は大変な数ですよ。四十七都道府県、三百十二事務所のうちに三十六都府県、二百四事務所で行われていた。  免除申請ということは、これはBSEのときのいわゆる牛肉の食肉偽装事件、あれと全く一緒ですよ。我々は、これに対しては、本当に真剣に怒らないといけないと思う。機関委任事務が廃止されて、そして社会保険庁が直接年金を徴収するようになった。  しかし、そこで納付しない方々に対する対策として、どうしても個人の所得情報というものがないと、その対応ができない。そのために各市町村、自治体に対して、個人情報である所得情報というものを社会保険庁は入手しないといけない。そのための法改正をしたわけです。  そして社会保険庁は、個人の所得情報を手に入れることができた。だから、明らかに年金を納められるけれども、納めていない人は差し押さえしましょう。  しかし、そうでないけれども何とか納められるんじゃないかという人については、督促を強化しましょう。いろんな事情でこの方は納められないなという方は、免除申請をしていただきましょうということになった。その免除申請ということを悪用いたしまして納付率を上げようとするわけでございますから、これは本当に腹が立って仕方がないです。  社会保険庁のいわゆる事業の中で、納付率が下がっていることの一つには、私は内部の事情があると思います。一つには情報に対する不足があります。社会保険庁は、言えば失礼だけれども、厚生労働省とか国に対しては顔が向いているけれども、実際金を納めている国民に対しては顔が向いていないじゃないかと、私はそういうふうに言いたい。  情報不足の中で一つ申し上げておきたいのは、社会保険庁は、将来、年金給付ができなくなるんじゃないかといったような不安がありますけれども、そうではないんです。社会保険庁は百四十七兆円という基金を持っています。この基金を株式で運用し、そして国債、そういうもので運用しておりますし、あとは財政投融資ということで、特殊法人、公団に貸しております。  百四十七兆円というお金は、社会保険庁でどういったお金になるかといいますと、今、社会保険庁が年間国民に対して、国民年金、厚生年金、総支給額は四十一兆九千億円です。いいですか。国民が一人も厚生年金を払わない、国民年金を払わないとしても、約四年間は払っていけるんです。そういうことはないでしょうけれども、そういう状況にあるわけです。国民、県民の生活と密着している年金行政であるから、私は、看過できないのでありますが、そのことを踏まえまして、吉田保健福祉部長には大変これはもう申しわけありませんけれども、質問させていただきます。  本県の国民年金の納付率については、特に二十代、三十代の若年層の納付率が低いと聞いております。全国と比較して、本県の年齢階級別の納付率の状況がどんなふうになっているのかお尋ねしたいと思います。  質問の第二点は、本県は高齢化率が高いことなどもありまして、各種の年金受給者や受給額も大きいと思われます。それだけ生活に対する影響が大きいわけですね。年金所得の県民生活に対する影響が大きい。そこで、本県の年金受給者数、年金支給総額、そして年金の県民所得に占める割合をお尋ねしたいと思います。  第三点は、国民年金保険料の不正免除問題について、全国的に問題になっておりますが、本県でも多くの不正処理がなされたと聞いております。今回の不正免除申請にかかわる県内の状況をお尋ねしたいと思います。  さらに、年金業務につきましては、一部業務が社会保険庁から市町村に業務委託されている部分もありますが、業務内容について具体例をお聞かせ願いたいと思います。  最後は、知事にお願いの意味も込めましてお尋ねしたいと思います。  平成十六年度の年金積立金百四十七兆円、すごいお金です。これが株式運用やあるいは特殊法人等への貸し付けによって運用が図られているわけでございますが、年金はこのような巨額の資金が投じられておりまして、その制度設計や運用につきましては、県民、市民、国民全体の声が反映されるべきではないかと私は考えております。  そこで、県としては、例えば地方六団体やあるいはまた、開促協等を通じまして、年金についてもっと情報開示に努め、広く国民の目にその情報をさらしていただきたい。県民、市民の意見を反映するよう国へ要望すべきと考えますが、知事の見解を問うものであります。  これで第一回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 44 ◯知事(伊藤祐一郎君) 財政問題についてのお尋ねがありました。  本県におきましては、これまで県債発行額が高い水準で推移いたしました結果、県債残高が増嵩し、現在でも一兆六千億円を超える県債残高があり、そのため、公債費が急速に増加したことなどから、平成十六年度決算におきましては、財政運営の硬直度を示す経常収支比率は九八・五%、これは四十七都道府県中第二位であります。起債制限比率が一五・一%、これは第六位でありますが、そういう状況になっているところであります。  平成十八年度当初予算編成におきましては、引き続き県政刷新大綱を踏まえ、歳入歳出両面にわたる徹底した見直しを行い、財源不足額を前年度に比べ七十六億円縮小するなど、大綱でお示しをいたしましたあるべき歳出構造の実現に向け、着実な進展が図られたところではありますが、依然として三百五億円という多額の財源不足が生じており、厳しい財政状況に変わりはないと考えております。  平成十九年度以降の財政運営の見通しにつきましては、現在七月の上旬に閣議決定が予定されております骨太の方針二〇〇六の動向を注視しているところでありますが、地方歳出の抑制や地方交付税についての決着のいかんによりましては、本県の今後の財政運営については、さらに予断を許さないものになると考えております。  本県におきましては、まずは県政刷新大綱でお示しをした行財政構造の達成に向けて、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。 45 ◯総務部長(原田耕藏君) 県税の収入未済についてでございますが、平成十六年度末におきます自動車税の滞納額は十三億一千三百三十五万円で、滞納額に占める割合は三一・五%となっております。  このため、夜間電話催告と休日に個別訪問徴収を行う県下一斉休日徴収作戦及び夜間電話作戦を実施いたしましたほか、自動車税の徴収強化特別対策として、一斉に勤務先調査を行い、給与等の差し押さえを行うなど、税収の確保に努めているところでございます。  また、今年度から自動車税のコンビニ納税を開始したところであり、五月三十一日までの収納累計は五万八千五百三十件と、全体の約一五%の利用率となっております。  納期内納付率につきましては、現在精査中でございますが、先行県の昨年度実績では、約二%向上しており、本県におきましても同程度の向上が見込まれるところでございます。  また、平成十六年度末におきます個人県民税の滞納額は十四億七千三百二十九万円でありまして、滞納額に占める割合は三五・三%となってございます。  このため、市町村から滞納額を引き継ぎ、県が直接滞納処分を行う取り組みや、県職員が市町村職員の身分をあわせ持ち、滞納処分を行う取り組みなど、徴収対策を強化したところでございます。  今後とも収入未済の解消に向けた取り組みをより一層強化いたしまして、税収確保に努めてまいりたいと考えております。  県債の調達先といたしましては、これまで長期・低利で安定した公的資金が大きなウエートを占めておりましたが、地方分権の推進、財政投融資制度改革や郵政民営化等によりまして、その額が大きく縮減されているところでございまして、今後、長期的・安定的に資金を調達するためには、民間資金の調達手段の多様化が求められているところでございます。  このため、県といたしましては、地域の金融機関等からの借り入れのほか、平成十七年度から新たに個別発行方式による市場公募債を四百億円発行したところでございます。  さらに、平成十八年度は、発行時期の平準化や調達手段の多様化を一層推進いたしますため、新たに全国の市場公募団体と共同で発行する方式の市場公募債を五回に分けて百五十億円発行するほか、県民の皆様に県債購入を通して県政をより身近に感じていただくことを目的とした住民参加型市場公募債を二十億円発行することといたしております。  今後とも地方債をめぐる環境の変化等を踏まえまして、発行方法や資金調達先の多様化に取り組むことによりまして、県債の安定的発行に努めてまいりたいと考えております。 46 ◯保健福祉部長(吉田紀子君) 年金の納付状況等についてでございますが、社会保険庁の発表によりますと、平成十六年度国民年金の平均納付率は、全国六三・六%、鹿児島県六三・二%とほぼ同一となっておりますが、年齢階級別で見ますと、二十歳から二十四歳で全国四九・六%、本県三八・八%、二十五歳から二十九歳では、全国五〇・二%に対し本県四六・六%と、特に年齢が低くなるほど納付率が低くなっているところでございます。  本県の年金受給者数は約五十八万八千人で、総額約五千八十億円が支給されており、県民所得に対する比率は一二・七%となっております。  国民年金保険料の免除に係る不適正な処理につきましては、鹿児島社会保険事務局によりますと、六月八日時点で県内全体で一千九百七十九件の不適正な処理が確認されたと聞いております。  国民年金法により市町村が国から受託しております業務は、第一号被保険者に関する資格取得や種別の変更に関する届け出書の受理や所得証明書の発行等となっているところでございます。  社会保険制度に対する国への要望についてでございます。  社会保険制度につきましては、今後、国において基礎年金の国庫負担割合の引き上げや給付水準や保険料免除規定の見直し、保険料の徴収対策の強化などさまざまな制度改正が段階的に実施されることとなっております。  県といたしましては、世代間の公平性を図り、持続可能で信頼できる社会保険制度を構築することは極めて大事なことであると考えており、今後とも社会保険事務局に対し、市町村との連携を円滑に行いますとともに、県民への制度内容に関する広報や情報提供等がさらに適切に行われますよう要請してまいりたいと考えております。    [永田けんたろう君登壇] 47 ◯永田けんたろう君 引き続き厳しい財政状況に変わりはないという知事の御答弁でございました。骨太の方針二〇〇六の結果次第によっては、また新たな状況も生じてくるということでございますから、私どもはこのことはやはりしっかりと見守っていかないといけないことだというふうに考えます。  また、年金につきましては、納付率が非常に悪いですね。三十歳以下は半数も払っていない。これは皆年金と言えません。さらに県民の給付状況でございますけれども、五十八万の人が年金を生活の糧にしているわけなんです。五千八十億円。県民所得の一二・七%、一三%は年金に頼っているわけなんです。これは、だから、看過しちゃいけない、そんなふうに私は強く訴えたいわけであります。  三月五日の讀賣新聞の社説にこんなことが書いてありました。以前は、国保とともに国民年金も市町村が保険料の徴収実務を行っていた。それを二〇〇二年度からいわゆる機関委任事務の廃止ですね。社会保険庁が直接集金するようになったわけですから、未納者が一気にふえた。大体市町村民税を国が直接取るようなもんじゃないですか。こういうことは変えないといけないですよ。そして、これにより、社会保険庁の組織的欠陥が浮き彫りとなった。  しかしながら、こんなふうに書いています。「社会保障制度は、国と自治体が互いに協力しなければ立ち行かない」。年金保険料の徴収強化の取り組みは、自治体が社会保険庁と協力し合っていかないと立ち行かないと書いているんですよ。そして、「今回の事件はそれの試金石になるだろう」というふうに讀賣は書いています。讀賣は書いているからというわけじゃないけれども、私の考えと似ているもんだから御紹介申し上げましたけれども、これは、私どもがやはり一考するに値する社説じゃないかなというふうに思いました。  次に、少子化対策について質問をいたしてまいります。  合計特殊出生率が相変わらず下がっております。上がってこない。国がいろいろな少子化対策による施策を講じるけれども、上がってこない。合計特殊出生率というのは、御存じのように十五歳から四十九歳までの女性が一生の間に何人産むかということですよね。一・四四人、鹿児島県では。  ところで、私はここに別なデータを今、皆さんにお示ししたいと思うんです。合計特殊出生率と別に完結出生児数というデータがある。完結出生児数とは何かといいますと、これは国立社会保障・人口問題研究所がとったデータなんです。これは、一組の結婚した夫婦が、一生の間に何人子供をもうけたかということなんです。既婚者が何人子供をもうけたかということなんです。  そのデータによりますと、第一回の調査が昭和十五年になっています。十五年、戦前。このとき四・二七人、産んでおります。一組の夫婦が四・二七人。戦後、昭和二十七年、三・五〇人。そして昭和三十七年、これからがおもしろいんです。昭和三十七年、二・八三人。そして現在に至るまでほとんど変わっていない、この数字は。若干減少傾向にはあるけれども、あんまり変わっていない。これは一体何を意味するかといいますと、ここ三十年間ぐらい、結婚している夫婦の産んだ子供はあんまり変わっていない。  では、少子化対策というのは何を考えないといけないかというと、もちろん子育て支援、これは大きな柱です。とともに、結婚しない、未婚・晩婚の方々の婚姻率を引き上げる。ここの政策というものにもう一つの柱が立って、ここにその力点が置かれていかないと、少子化対策というものは、その実効性は上がらないんじゃないかというふうに思うわけであります。この未婚・晩婚に対することに対しましては、全国的にこのことをいろいろと気がつきまして、いろんな動きがあるみたいです。茨城の「出会いサポートセンター」というのがありますし、奈良県でも「結婚ワクワク子育てスクスク」というプログラムをつくっておりますし、それから兵庫県でも、やはり「出会いサポートセンター」というのをつくっております。  そして、兵庫県と神戸市では、新婚さんのために公的住宅ですよ、公営住宅。兵庫は県営住宅、神戸は市営住宅を優先的に入っていただきましょうといったような施策を考えてきております。これはやはり私どもが参考にすべきことじゃないかなというふうに思うんです。  それから、少子化対策であと一つ気になりますのが、厚生労働省が昨年の十一月に「成年者縦断調査」というのをやっているんです。これはどういうことかといいますと、いわゆる男女の結婚、出産、就業、仕事等に対する実績及びその意識調査ですね、これをやっているんですけれども、この中で二つ御紹介したいと思います。  一つは、出生の状況、子供を産んだか産まないか、そういう状況別に見た妻の仕事のあり方をした場合に、子供が産まれていない奥さんは、四三・五%が同じ仕事にずっと結婚してもついておられる。ところが、子供が産まれた奥さんは二六・二%しか同じ仕事についていない。  それから、妻の職場の育児休業後のいわゆる再就職につきましては、こんなふうになっております。妻の職場に育児休業制度があり、利用しやすい雰囲気がある場合は、八五・四%の奥様が再就職しているわけです。  考えてみてください。少子化の中で産まれてきて、豊かさの中で育った。そして男女共同、そういう常識の中で育ってきた方々が今、お母さんになっているわけなんです。自分の才能を子供が産んだ後もやっぱり社会で生かしていきたい。こういうお気持ちがあるのは、これはもう当然です。  ですから、ここのところを私たちはもっとしっかりサポートしていかないといけないんじゃないかというふうに思うわけでございますが、そういうことを踏まえまして、少子化対策につきまして質問をいたしてまいりたいと思います。
     先ほどの知事の提案理由説明の中で、少子化対策の推進というところで、民間企業やNPO団体、公募委員等で構成する県少子化対策懇話会を設置したと。そして七月に第一回目の懇話会を開くんだということをおっしゃいました。そして民間との協働のもとに何ができるかということを考えていただきたいというわけですね。  私はそのとおりだと思います。この民間との協働、いわゆる若い人の目線に立った、そういう政策提言というものが、ぜひなされていただきたいなと思うんですけれども、その少子化対策について、七月に少子化対策懇話会が開催されますが、そこで話し合われる内容、その後の具体的な展開はどのようになっていくのかお聞かせいただきたいと思います。  そして、先ほど申し上げました未婚・晩婚化対策についてでありますが、子育ての視点での取り組みは、これまでもいろいろ実施されているようでありますけれども、未婚・晩婚化への対応が重要であろうと考えております。先ほど説明いたしました茨城とか、あるいは埼玉ですか、三つぐらい御紹介しましたけれども、そういったような形でのサポートということが大事じゃないかと思いますが、これについてお聞かせいただきたいと思います。  そして、公営住宅の新婚家庭の優先入居についてでございますが、これは、ほかにも申し上げましたですね、二つ例があります。このことについては、実は昨年の十二月、公明党の成尾信春議員が、「県営住宅の諸問題に関して」ということで質問されましたですね。そして、高齢化が進む住宅団地内での活性化という観点から、県営住宅の新婚さんの優先入居はできないのかといったことを質問されたと記憶いたしておりますが、観点は違いますけれども、同じような質問になりますけれども、県営住宅への新婚さんの優先入居についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。  それから、先ほど資料を説明申し上げましたけれども、結婚した、そして再就職する若いお母さん方、これの雇用対策でありますけれども、子供を産み育てて、仕事、家庭が両立できる雇用環境の整備や育児等で退職した女性の社会復帰のためのいわゆる職業訓練的な意味なども含めて、再就職が必要であるし、これは本当に力を込めて支援していかないといけないと思いますが、どのように取り組んでいかれるかお伺いしたいと思います。  質問の第五番目は、あまみ長寿・子宝プロジェクトに関しまして、私どもは、今、あまみ長寿・子宝プロジェクト事業で検証された子宝の要因という一つの貴重なデータを持っているわけでございます。  このことを政策の中にどんなふうに組み込んでいくのか、具体的に取り組んでいかれるのか。そしてまた、このことは価値ある情報であれば全国に発信していってほしいと思うのであります。  以上で第二回目の質問といたします。    [知事伊藤祐一郎君登壇] 48 ◯知事(伊藤祐一郎君) 少子化対策についてのお尋ねであります。  「力みなぎる・かごしま」を創造し、本県の未来を明るいものとするためには、ふるさとを担う人材であります子供たちの育成が不可欠であり、少子化対策は本県にとって極めて重要な課題であります。  このため、今般、学識経験者やNPO団体、公募委員などから構成される「鹿児島県少子化対策懇話会」を設置をいたしまして、七月に第一回の懇話会を開催することといたしております。  懇話会では、未婚化や晩婚化への対策や子育てに対する支援策などにつきまして、結婚や子育てに関心のある方や現在子育て中の方々など各界各層から幅広く御意見や御提案をいただきたいと考えております。  これら懇話会の提言等につきましては、今後、施策として、実現性、有効性等を検討し、事業化が可能なものにつきましては、少子化対策の推進母体となります次世代育成支援対策協議会と協議しながら、早急に取り組みを進めることとしたいと考えております。 49 ◯保健福祉部長(吉田紀子君) 未婚・晩婚化対策についてでございますが、国勢調査によれば、本県の二十代、三十代の男女の未婚率は、ここ三十年ほど増加し続けており、少子化対策の観点から、未婚・晩婚化対策は喫緊の課題であると考えております。  県の実施いたしましたアンケートにおきましては、独身でいる理由として、適当な相手にめぐり合わないとの回答が圧倒的に多いことから、結婚、出産、子育てに肯定的な価値観を醸成するためのキャンペーンや若い人の出会いのきっかけづくりなどが効果的な施策の一つと考えられるところでございます。  県といたしましては、今年度、少子化対策懇話会を開催いたしますこととしておりまして、未婚・晩婚化対策についても若い方々など各界各層から幅広く御意見等をいただきたいと考えており、これらの御意見などを踏まえまして、官民一体となった実効性のある本県ならではの取り組みを検討してまいりたいと考えております。  あまみ長寿・子宝プロジェクトについてでございますが、あまみ長寿・子宝プロジェクトにおいて、奄美群島の子宝要因について調査・分析を行いましたところ、子は宝といった価値観や子育ては地域全体で支え合うといった共助の仕組み、豊かな自然など奄美が持つ地域の魅力などにあることがわかってまいりました。  県といたしましては、今後、これら奄美地域の子宝要因を県内各地の特性に応じて生かしていくこととしており、例えば「子は宝」という価値観を県内全域に醸成していくキャンペーンの実施や奄美の共助の仕組みを参考にした子育てしやすい地域システムの構築など鹿児島らしい取り組みを実施していきたいと考えております。  また、こうした事業の内容につきましては、本県独自の少子化対策として、本年度実施予定の各種の事業やあるいはメディア等を通じまして、広く全国に情報を発信してまいりたいと考えております。 50 ◯土木部長(真下和彦君) 県営住宅への新婚世帯の優先入居についてでございますけれども、県営住宅におきます平成十七年度の新規入居世帯のうち、世帯主が四十歳未満の世帯は約八割を占めておりまして、現行制度におきましても相当数の子育て世帯が入居できる状況にあると考えております。  さらに、本県では、近年、母子世帯や生活保護世帯など特に住宅に困っている世帯が増加しておりまして、こうした状況におきましては、県営住宅に新婚世帯の優先入居制度を設けることは、今のところ難しいと考えております。 51 ◯商工労働部長(時田光一君) 仕事と家庭の両立支援についてでございますが、仕事と家庭の両立支援につきましては、事業主の理解を得ながら、女性が働ける環境づくりを促進するために、県といたしましては、広報誌や各種会議の開催等によりまして、男女雇用機会均等法などの女性労働者に係る関係法令や育児休業や子育て支援に係る各種助成制度などについての普及啓発に努めるとともに、ファミリーサポートセンターの未設置市町村に対する施設促進に努めているところであります。  また、育児等を理由として退職した女性につきましては、一人一人の意欲や能力に応じて再就職できる環境づくりを図るために、再就職支援セミナー等の講座の開催、ハローワークなどによる就職相談の実施や情報提供など就職に結びつけた支援に努めております。  県といたしましては、今後とも鹿児島労働局や関係団体と連携を図り、関係法令や各種助成制度の周知・啓発に努めてまいりたいと考えております。    [永田けんたろう君登壇] 52 ◯永田けんたろう君 婚姻率の上昇につきましては、ぜひこれは個人の問題ではないというふうに受けとめていただきたいと思うんです。  かつて我が国では、いわゆる地域にはお世話役さんという方がいらっしゃいまして、そしていろいろと若い人の間を取り持つ方がいらっしゃいました。だけど、そういう時代でも「縁談をまとめるためには、げたを三足踏みつぶさないとまとまらない」とまで言われていたのを思い出します。  今、考えて見ますと、個人情報が非常に閉鎖的な社会になってきましたし、隣り近所とのいろんな人間関係が希薄になってきている。だから、若い人たちは本当は結婚したがっていると私はそんなふうに思います。いろんな話を聞きましても、そういうふうにおっしゃいます。おっしゃいましたように、「適当な人が見つからないんですよ」というのが本音だろうと思うんです。ならば、このことを社会の仕組みの中で受けとめて、社会の共通の課題として行政が政策の中に何かの形で切り込んでいくといったようなことが大事じゃないかと思うわけであります。よろしくお願いしたいと思います。  真下土木部長、非常につれない御答弁でございまして、ただ、これはそういうふうに杓子定規で考えないでいいじゃないですか。そういう県営住宅の優先入居ということを仮に小枠でも設けているということによって、鹿児島県も皆さんの結婚を応援しているんですよというメッセージになるんです。みんなはそれを喜んでいるんですよと、そうでしょう。(「じゃっど」と呼ぶ者あり)じゃっどと言うじゃないですか、みんな。  ですから、ぜひそういった観点からもひとつ考えていただきたいと、お願い申し上げたいと思います。  次に、第四番目に教育問題について質問させていただきたいと思います。  平成十三年に教育改革国民会議の提言を受けまして、いわゆる家庭教育というのが社会教育行政の中に組み込まれた。これはもう私ども記憶にあるところでございます。家庭のしつけや基本的生活習慣までもどうして行政が踏み込んでいかなければいけないのか。しかしながら、それほどまでに日本の国の国民のいわゆる家庭生活というものは歪みが生まれてきているし、病んでいる部分があるというふうに受けとめたわけであります。  私は、この点について過去にも何回か質問をいたしましたけれども、その都度申し上げてきましたのは、この種の家庭教育とか、あるいはこの種の青少年健全育成、これらは行政が直接事業を実施するという立場をとられるよりも、むしろ社会教育団体とか、そういう活動団体に活動してもらって動いていただいて、そしてそのことによって家庭教育とか、いわゆる青少年教育を取り込んでいく。そして行政はそのことをサポートする、応援する、そういう立場でこの行政は進めるべきじゃないかというふうに申し上げてまいりました。  本日もその観点からお聞きしたいんですけれども、質問に入ります前に、ひとつ事例を御紹介申し上げたいと思います。  「日本を美しくする会」、「掃除に学ぶ会」という活動団体があります。イエローハットといいますと、東証一部上場の会社でございますけれども、ここの鍵山秀三郎という会長、この方が主催している会合であります。  公共のトイレを素手と素足で掃除していきます。化学薬品は一切使わない。二時間かけて一人の人が一つの便器を磨きます。その磨き方が徹底している。裏から表から排尿口から排尿口のパイプの中まで磨きます。  鍵山さんはこんなふうにおっしゃるんです。「人の最も嫌がることを身を低くして汗を流すことによって、気づきの心が生まれてくるんだ。感謝の心が生まれてくるんだ。謙虚の心が生まれてくるんだ。感動の心が生まれてくるんだ」とおっしゃいます。  鹿児島県にもこの活動団体があります。本部というのか、中心になっておられる方は霧島市の鎌田善政さんという方であります。  そして、霧島市、薩摩川内市、鹿屋市、鹿児島市、曽於市、その他十数カ所で、この「日本を美しくする会」、「掃除に学ぶ会」の支部がございます。一昨年は国分市で全国大会が開催されました。約三千名の方々が全国から集まりました。伊藤知事もそのときにたしか御出席なされたんじゃないかと思います。  先般、六月十八日日曜日、鶴丸高校で、このトイレの掃除実習をいたしました。高田校長先生─この前まで教育次長であられましたけれども─高田校長先生が、この活動にいたく感動されまして、これを鶴丸高校の生徒指導の一環に取り入れておられるわけです。  生徒さんが二百名ぐらい集まりました。教職員、先生方が三十名近く来てくださいました。保護者が二十名ぐらい。そしてサポーターの方々が六十名ぐらい集まりまして、みんなで一斉にトイレ掃除をいたしました。  サポーターの方々には、若い女性も若い男性ももちろんおられるわけですね。女性の方々は、マニキュアもしているし、足の指にもマニキュアをしている。本当にかわいそうなぐらいきれいなんですね。だけど、本当にもう額に汗して一生懸命二時間かけて、それこそ素手で触ったらツルツル音がするぐらい磨いてくださいました。  最後に反省会をするわけです。その反省会の中で生徒さんの反省の弁があるんですけれども、「最初は引けた」というんですね。そりゃそうでしょう。素手素足ですよ。自分のトイレだってあんまりしたくないですよ。だけど、「最初は引けたが、磨くうちにだんだんきれいになって、素手素足が気にならなくなった。磨いているうちに不思議な感動が生まれてきた。自分の部屋も整理整頓しないといけないなというふうにつくづく感じた」その他いろんなことをおっしゃっておられました。  私は、この子供たちを、この若い人たちを見ながら、「今の若い子は」とか、私どもはそんな言葉を時折口にしますが、今の若い子供たちはしないんじゃないんだということをつくづく感じました。させてこなかったんだ、我々が。そこが問題なんだ。そういうふうに思うんです。そしてこれを教育委員会とか学校とかが声を出して旗を振れば強制になるけれども、いわゆる「この種のことは社会教育団体がやりましょうや」ということで声を出していけば、一つの大きな動きになっていくわけなんですね。  私が、家庭教育とか青少年教育については、行政が直接事業にかかわるのではなくって、その種の社会教育団体とか活動団体を育成して、これを支援することによってその効果を上げることができるんじゃないかというその一つの例を申し上げたわけであります。  このことに関しまして、以下、質問させていただきたいと思いますが、行政が直接そういう観点から、行政と信頼関係のある社会教育団体の育成をしていく必要があると思うんです。現在、県内の社会教育団体の活動状況がどういうふうになっているのか教えていただきたいと思います。  また、行政としてできない部分を社会教育団体に補完してもらっている部分もあるんじゃないかと思うんですね。そういう部分があれば教えていただきたいと思います。  文科省がこういう本を配布いたしております。「イキイキ子育て」という本でございます。「家庭教育手帳」というんですね。小学生高学年、中学年というふうになっているみたいでございます。幼児編もあります。  この手帳の中に、家庭教育に関係する社会教育団体を文部科学省が紹介しています。紹介している。本県でもこのような社会教育団体の情報をもとにそのような活動を積極的に県民に啓蒙していただきたいと思うんです。こういう団体があるよ、こういう活動をしているよ、啓蒙していただきたい。そして、学校での道徳授業や総合的な学習、あるいはPTAの講演会、あるいはまた、県教委や市町村教委が行う研修会等でその団体を活動を取り入れることはできないのか、お尋ねしたいと思います。  さらに、社会教育団体を育成・支援するために施設の開放、講演会や活動の助成などを進めるべきであると思いますが、お考えをお聞かせいただきたいと思います。 53 ◯教育長(岡積常治君) 心豊かな人づくりや住みよい地域づくりを目指して活動している県内の社会教育関係団体には、会員数約二十万人で構成するPTA連合会、全国二位の組織率を誇る子ども会育成会、地域ぐるみで青少年の安全・安心を支え続けている地域女性団体、地域の青年団等多くの団体があり、さまざまな活動を行っておられます。  毎年約十七万人が参加する「ふるさと美化活動」を初めとして、県内二十二市町村で実施され、異年齢集団で学ぶ「ふるさと学寮」、延べ四千百七十五人が参加した「かごしま地域塾」、家庭教育等に関する各種研修会や講演会、地域における子育て相談活動など地域に根差した活動が展開されており、家庭教育の充実や青少年の健全育成に努めていただいていると考えております。  家庭は、子供の教育の原点であり、子供に基本的な生活習慣や善悪の判断力を身につけさせる重要な役割を担っております。  しかしながら、近年の核家族化、少子化など家族形態の変化に伴い、本来、子供が身につけるべき礼儀、生活習慣や食習慣、規範意識や社会的マナーが十分備わっていないなど、家庭の教育力の低下が懸念されております。  このようなことから、地域社会全体が家庭における子育てや教育を支援していくために社会教育関係団体との密接な連携が必要であります。  各団体においては、食育、一家庭一家訓、「我が家の教育の日」の設定・普及や子育て支援講座の講師の派遣、地域ぐるみの美化活動などに取り組んでおり、家庭教育に果たしている役割は極めて大きいと認識いたしております。  現在、学校では、総合的な学習の時間などを活用して、地域の高齢者グループによる農業体験活動やボランティアサークルによる読書活動などを行っております。  また、PTA講演会など社会教育関係の研修会等におきましても、事例発表や講話を地域の団体のリーダーなどに依頼しております。  このような団体の活動状況については、県のホームページや広報誌等へ広く紹介しているところでもあります。  県教委としましては、今後も市町村教委と連携を図りながら、社会教育施設の開館時間等の弾力的な運用や団体主催の講座への協力、指導者の養成及び情報提供を行うなど、社会教育関係団体の育成・支援に努めてまいりたいと考えております。    [永田けんたろう君登壇] 54 ◯永田けんたろう君 社会教育団体等に対するいろんな理解というものは、私は行政としては御努力していただいていると思います。  先般も倫理研究所というこの先ほどの文科省の手帳の中に書いている紹介団体でありますが、これの「家庭教育講演会」というのがありましたときに、岡積教育長おいでいただきまして、七百名ぐらいの参加者の方々に励ましのお言葉をいただきました。  どうか各市町村に対してまで、特にお願いしたいのは、この方々が活動するに際しての施設の使用、これらについて弾力的な運用を心がけていくというふうにおっしゃいましたが、ぜひこのことはお考えになっていただきたいと思うんです。  社会教育団体の方々は、いろんな多種多様な活動をされますので、時間的な制約のある中でするというのがなかなかできない部分があるんです。朝早くから、倫理研究所の方々は朝の五時から朝の集いをいたしておりますからね。  そして、屋外の活動とか、いろんな施設使用の目的とか、あるいは費用の問題とか、いろんな課題を抱えておられます。解決することについては、簡単にはいかない部分もあるということはよく理解しておりますけれども、この方々の御要望というものを真摯に耳を傾けていただきまして、そして行政としての支援をしていただきたい。それがすなわち家庭教育の向上であり、そしてまた、青少年健全育成に直結していくことであるというふうに信じるわけであります。  このことをお願い申し上げまして、私の一般質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手)       ─────────────    △ 請願・陳情の委員会付託 55 ◯議長(金子万寿夫君) 次に、請願・陳情の委員会付託であります。  受理いたしました請願・陳情は、配付いたしております請願・陳情文書表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。  これで、本日の日程は終了いたしました。       ─────────────    △ 日程報告 56 ◯議長(金子万寿夫君) 六月二十六日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は一般質問であります。       ─────────────    △ 散  会 57 ◯議長(金子万寿夫君) 本日は、これで散会いたします。        午後三時十五分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...