[上村勝行君登壇](拍手)
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◯上村勝行君 おはようございます。
一般質問をさせていただきます。
まず
地域再生計画につきましては、昨日鶴田議員が詳細に取り上げられましたので、執行部に御連絡を申し上げて取り下げさせていただきます。
山川・
根占フェリーの運航再開について質問いたします。
代表質問でも取り上げましたように、私どもは会派視察で山川・根占両町を訪問し、いろいろ
ヒアリングをするとともに施設も改めて見てみました。訪問して得た確信は、
フェリー再開という一点においては二市七町は一致している。また、これら二市七町の中には広く
フェリーへのニーズがあるということでありました。
ただ置かれている条件の違いや余りにも堂々めぐり的な
いわさきコーポレーションとの交渉、そして、いわさきとの過去のマイナス的なしがらみによって一致できないだけである。条件整備によっては団結して取り組める日が必ず来るということでありました。
また、
フェリー廃止による影響が各方面に
ボディーブローのようにきいてきている一方、
新幹線開業の結果として、山川・
根占フェリーを活用した広域観光の可能性が一層高まっていることを感じました。それだけに現状が残念であり、何とかしなければとの気持ちを強くしたところであります。
この間の県と
いわさきコーポレーションとの関係がぎくしゃくしてきていることは、私どもも承知いたしております。
いわさき側がここ数年どのような情勢認識のもとに、どのような要求を県に行ってきたかも詳細に承知しているつもりであります。
私どもは、この件については法の安定性、行政の一貫性という観点から、知事初め執行部のとられた態度を支持しております。困っている企業には応援していただきたいのですが、それは県民に説明できるやり方でなければならないと思うからであります。
そこで、数点質問いたします。
第一に、根占港の県有地内にある
いわさきコーポレーション所有の
港湾施設撤去要請の件であります。県の要請は十分根拠があることであり、当然だと思います。ところが、三月十七日の聴聞会で、
いわさき側が根占・指宿・鹿児島を結ぶ航路を検討しているとの意思表示をしたため、県有地の貸与を一年更新したとのことであります。私はこの新聞報道を見て、県は手玉に取られているのではないか。
フェリー再開を目指して刻苦精励している方々は、歯がゆい思いをしていることであろうと思いました。一体いかなる判断で一年更新されたのか。そして、
いわさき側の新航路開設の検討状況は現在どうなっているのかお答えください。
次に、南九船舶の指宿―
大根占間就航の件について質問いたします。
お聞きするところによると十九トンほどの新造船で、乗用車八台、乗客六十人ほどを約二十五分で運ぶ予定とのことであります。これに関して大根占・指宿両港の大規模な改修工事や
港湾施設の改良工事はあり得るのか、県はそれを考えているのかお聞きいたします。
私どもは、この南九船舶の就航自体はありがたいことであるし、また、指宿―大根占間の海上バスに乗ってみて、その盛況ぶりから一定のニーズはあると思ったところであります。しかし、貨物、バス等が積載できないことから、山川・
根占フェリーにとってかわることはできない、あくまで山川・
根占フェリーの再開を追求すべきであると考えておりますが、県の基本姿勢をお聞きいたします。
次に、地元では、根占港の県有地内にある
いわさきコーポレーションの
フェリー関連施設が撤去された後、県は新たに
港湾施設をつくってくれないのではないかとの気持ちを持っているようでありますが、どうなのか。
フェリー埠頭を使う第三
セクター等の動きが出ればつくる用意があるとのメッセージをきちんと伝えるべきではないかと思いますが、見解をお聞きいたします。
次に、
改正奄振法と基本計画について質問いたします。
五月三十一日、県は、
改正奄振法に基づく基本計画を発表しました。それらを見ると、新たな
自立的発展への意欲を随所に読み取ることができます。この
奄振計画案をより豊かな実り多いものにする立場から、意見を交えつつ、以下、質問いたします。
第一に、この
基本計画策定に当たって住民参加はどのように保障されたのかということであります。
公共事業中心の奄振の時代は、さほど必要なかったかもしれませんが、
自立的発展の時代では必須事項だと思います。そのことが今回市町村でどのように行われたのか、明らかにしてください。
第二に、国は、「癒し」、「自立」をキーワードとする法律をつくったわけでありますが、県や市町村の発想は本当に切りかわったのだろうかということであります。五十一年間続いた格差是正を中心とする復興・
振興開発事業の惰性をいかに克服して新しい奄振計画をつくるのかということであります。
この件に関して、過日、転任された前
日銀鹿児島支店の
大川支店長は、「今後の問題は、
地元市町村がどのような提案を行い、県がこれらを受けていかなる
奄美群島振興開発計画を策定するかであり、まさに新しい革袋にどのような新しい酒を盛ることができるかにかかっている」と述べ、さらに「
世界自然遺産への登録も検討されている奄美の自然の中に、コンクリートのビルをこれ以上建設する愚は避けねばなるまい」と述べておられます。これは一つの重要な識見だと思うのであります。
今日、県、市町村の事業計画や展開を見ると、旧来の発想によるものと思われるようなものが散見されますが、知事は新しい奄振計画のあり方をどのように考え、どのように計画策定を指揮してこられたのか。復帰後五十一年間の
奄振事業総括を含めてお答えください。
第三に、計画の独自性と統一性ということであります。
各島、各市町村の独自性を今回は特に尊重されているようであります。事実、計画案を見るとかなりユニークなものが出ているようであり、評価できると思います。しかし、観光にしても、農産物にしても、ある程度の統一性とか
ネットワーク化が求められるのではないかと思います。この辺は県としてどのようにされたのか。また、計画についての
全島的話し合いの場はあったのかお聞きいたします。
第四に、交付税化の問題について質問いたします。
平成十六年度の奄振予算を見ると、
国費ベースで三百五十六億円中三百五十一億円が公共工事であります。非公共事業は、二・五%ふえたとは言ってみても五億円にとどまっております。これでは奄振事業を地元の主体性で
ソフト中心にと言ってみても限界があるのではないでしょうか。やはり
国庫補助事業中心の奄振事業を交付税化しないことには、本当の主体性、本当のソフト化はできないのではないかと思います。
この件に関しては、三月末に開かれた
衆議院国土交通委員会で、党派を超えて多くの議員から交付税化を求める意見が出されたとのことであります。しかし、
石原国土交通大臣は、「地元の論議が盛り上がっている状況にはない。まず地元で議論してほしい」と答弁されたとのことであります。
マスコミの中には県は権限を取られたくないのではないかと論評しているものもあります。このことは、かつて当県議会でも議論されたことではありますが、国会の議論の状況を踏まえて改めてお聞きいたします。
第五に、計画の具体的な質問をいたします。
現在国会において景観法が審議中であります。この景観法は市町村が景観地区を定めることができるなど、奄美の自然、風物を保存する上で重要な法律になるものと思われます。
もう一つは、自然保護、グリーン・
ツーリズムということであります。このグリーン・
ツーリズムも地産地消と相まって今後の奄美観光・農業の重要な要素になるものと思われます。
お聞きしたいことは、県庁の各部間の連携は十分かということであります。景観形成に関して言えば、主管の企画部と
公共事業関連各部との連携は図られているのか。グリーン・
ツーリズムについて言えば、現在農政部がやっているようでありますが、これは
商工観光労働部や
林務水産部もかかわって一体的に展開すべきものではないかということであります。
私は、過日、水俣市で開催された
全国グリーン・
ツーリズム大会に参加してみたのでありますが、この取り組みは、今や各セクションを超えて官民一体となって大きく広がりつつあります。現状と今後の方向性についても見解をお聞きいたします。
最後に、奄美の歴史、伝統、文化は計画の中にどのように位置づけられているのかということであります。
格差是正を求める奄振の時代は、同時に画一化の時代でもあったと思います。それが今回変わったのであります。独自性に自信を持ち、誇りを持つ時代になったのだと思います。それは何も奄美に限らず、県内全域の傾向として見ることができます。したがって、奄美の伝統、歴史、文化を尊重し、後世に伝える方針が計画の中に確固としてなければならないと思いますが、それがどのように盛られているのか。また、これら人材の育成方針はどのようになっているのかお聞きいたします。
[
知事須賀龍郎君登壇]
4 ◯知事(須賀龍郎君)
奄美群島は、
特別措置法に基づきまして各種の施策が講じられ、これまで道路、空港、港湾など交通基盤の整備や
畑地かんがい施設並びに地下ダムなど産業基盤の整備、上・
下水道施設等生活環境の改善が図られますなど、各面におきまして相応の成果を上げてきているところであります。しかしながら、
奄美群島は外海離島、台風常襲地帯という地理的、自然的に大変厳しい条件下にありまして、さらには依然として過疎・高齢化も進んでいるところであります。
改正されました
奄美群島振興開発特別措置法におきましては、
奄美群島の
自立的発展に資することが法の目的として明記されますとともに、これまで不利性としてとらえられてまいりました地理的・
自然的条件など、
奄美群島の特性を優位性として伸ばしていくという方向性が示されたところであります。
このため、計画の策定に当たりましては、法に基づき国が定めました基本方針を踏まえまして、
奄美群島の
自立的発展に向けて温暖な気候や豊かな自然、個性的な文化など、奄美の魅力や資源を活用した施策の展開に配慮いたしますとともに、地域の創意工夫によります
ソフト施策も積極的に取り入れるなど、
地元市町村と緊密な連携を図りながら、それぞれの島ごとにその特性に応じた
振興開発が図られるよう計画を策定してまいりたいと考えております。
それから奄美の補助金の
交付金化の問題でありますが、奄美の振興にかかわります補助金の
交付金化の問題につきましては、地元を初めといたしましていろいろな論議があることは私も承知いたしております。しかしながら、昨今の国における
三位一体改革の中での
国庫補助金等にかかわります議論を見てみましても、奄美だけがすべての補助金を廃止して
交付金化するということは極めて難しい問題であると私は認識いたしております。
昨年の
奄美群島の
特別措置法の改正、延長を図ります場合にも、各省庁間の中におきましては、「奄美は既に五十年間特別措置でやってきた。この際、
離島振興法に移行すべきではないか」という意見も相当あったわけであります。これは
交付金化の問題に絡んでのことでもありますが、私はそういう状況も見ながら、やはり奄美の
自立的発展を図りますために、今回は
特別措置法の改正、延長を強く申し上げ、
交付金化の問題は、今後の国の
三位一体改革の状況等も見ながら奄美としては対応していくことが適切であると、このような判断から、今回はこの
交付金化問題は私としては見送ったというところでございます。
5
◯土木部長(加藤憲一君) 根占港の
港湾施設用地の使用につきましては、許可の取り消しにかかわる聴聞を行いました際に、
いわさきコーポレーションから根占・鹿児島・指宿を結ぶ航路の開設を検討中であり、継続して使用したい旨の意向が示されました。また一方、山川町、根占町で構成されております山川・
根占航路調査研究会から、県に同社所有の
港湾施設にかかわる使用許可の更新についての要望書も提出されたところでございます。
県といたしましては、これらのことを総合的に勘案して、一年に限って更新することとしたものでございます。また、同社による
フェリー関連施設の具体的な利用計画につきましては、本年九月末までに明らかにするよう求めているところでありまして、その内容を踏まえて今後の使用許可について検討してまいりたいと考えております。
次に、
有限会社南九船舶が指宿―大根占間に新たに
フェリーによる航路の開設を計画していることにつきましては、情報としては承知しておりますが、まだ同社から具体的な計画の内容について示されていないところであります。県といたしましては、大規模な改修工事や
港湾施設の改良工事は考えていないところでございます。
山川・根占航路の再開につきましては、現在山川町、根占町において山川・
根占航路調査研究会を発足させ、調査研究を進めていると聞いております。山川、根占両港における新たな
フェリー埠頭の整備につきましては、今後の両町の取り組みも見きわめながら、同航路の再開が具体化した段階で検討してまいりたいと、このように考えております。
6
◯企画部長(岡積常治君) 山川・根占航路につきましては、現在、山川、根占の両町で構成する山川・
根占航路調査研究会におきまして対象船舶の調査を行うなど、同航路の再開に向けた調査研究を進めているところであります。県といたしましては、この航路は観光振興や産業活動の面で重要であると認識し、これまで関係市町とともに航路再開に向けた取り組みを進めてきたところであります。今後とも山川、根占両町の取り組みに対し、できる限り協力してまいりたいと考えております。
新しい
奄美群島振興開発計画の策定に当たりましては、
地元市町村が計画案を作成し、県が計画を策定することとなっております。市町村におきましては、住民意見を計画案に反映させることとし、集落の嘱託員や区長との
意見交換会、
町政懇談会での住民との
意見交換会、全世帯に対する
住民ニーズ調査の実施、農協、漁協など各種団体との
意見交換会、
ホームページ等による意見募集など、さまざまな方法により、すべての市町村において住民参加のもとに計画案の策定がなされているところであります。
奄美群島振興開発計画については、
奄美群島の
自立的発展に向けて
地元市町村と緊密な連携を図りながら、それぞれの島ごとにその特性に応じた
振興開発が図れるよう計画を策定しているところであります。また、各島の魅力や資源を有機的に結び、観光や産業などを総合的に振興する
奄美ミュージアム推進事業や、長寿・子宝の特性を生かした総合的な
地域社会づくりを進めるためのあまみ長寿・
子宝プロジェクトなど、群島全体または複数の島が関係する事業につきましては、関係する市町村が一堂に会し、全島的な話し合いの場を持ちながら
計画づくりを進めているところであります。今後とも
地元市町村と緊密な連携を図りながら、計画の策定を進めてまいりたいと考えております。
奄美群島振興開発事業の推進に当たりましては、県庁各部間の連携を密にしながら、その執行を図っているところであります。例えば景観形成につきましては、
景観形成推進連絡会議や、土木部、農政部、
林務水産部の三部を中心とする
公共事業景観形成推進部会を設置し、情報交換や横断的な調整を図っているところであります。また、グリーン・
ツーリズムにつきましても、
学識経験者、消費者、
観光事業者及び
県関係部局等から成る推進会議を設置し、総合的な推進に努めているところであります。今後とも事業の実施に当たりましては、関係部局はもとより、
地元市町村や関係団体とも緊密な連携をとりながら効率的・効果的な推進に努めてまいりたいと考えております。
奄美群島には島唄や八月踊り、
諸鈍シバヤ、宇宿貝塚などの豊かな伝統・文化や文化財等があり、これらを保存・伝承し活用していくことは個性ある
地域づくりを進め、観光や地域内外との交流拡大を図る上で重要なことであると考えております。このため、今回の計画におきましては、
奄美群島が世界に誇れる自然や文化、
地場産業等を有機的に結びつけて、観光や文化、産業等を総合的に推進する
奄美ミュージアムの取り組みを初めとして、
学校教育等における伝統・文化の保存・伝承の促進、すぐれた芸術文化や固有の伝統・文化に触れ合う機会の創出、
史跡整備等による
地域文化財の保存・活用を図りますとともに、地域が一体となった保存会や青年団等による保存・伝承活動を通じた人材の育成などの施策を盛り込むこととしております。
[上村勝行君登壇]
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◯上村勝行君 山川・
根占フェリーの運航再開に向けての土木部長の答弁は、私が聞いてないこともございまして、改めて聞かせてもらいまして了とするところでございます。一年に限ってということでございますので、その辺の九月末までの利用計画の提出など、しっかり推移を見ながら対応していただきたいということをお願い申し上げます。
なお、山川、根占両町の不安と申しましょうか、撤去した後、
フェリー埠頭施設がどうなるかということの不安から、両町は自分の位置を計っているという感じがいたしましたので、ぜひしっかり県は不退転の決意を持って、関係市町の支援をしていくという態度に徹していただきたいという要望を申し上げておきます。
奄振計画については、知事の交付税化の判断等御説明いただきましたが、了といたします。各市町村の創意性を生かし、そして住民参加を積極的に活用しながら展開していただきたいというふうに思います。
ここで、自然保護について、ある植物学者から聞いた話を一つだけ御紹介申し上げます。
奄美の固有種である
アマミリンドウを
絶滅危惧種に指定しようと思って、改めて奄美本島に調査に行ったら、文字どおり絶滅していて一株も見つからなかったということでございます。なぜそうなったかというと、
アマミリンドウという奄美の固有種は道端にしか生えないそうで、道路の
草刈り作業でそうなったんではないかと。それも新しい
ナイロンロープ式の草刈り機で、年二回までならまだしも、年三回も四回もそれこそ丁寧に草刈りをされて絶滅したんではなかろうかということでございます。
それから、湯湾岳の頂上付近にありました、奄美のこれまた固有種のジンチョウゲの一種も、これは環境庁の草刈りの際に切られていたそうでございます。今、奄美にふえ出しているのは
西洋タンポポであるということでございます。
私は別に市民派でも
自然保護主義者でもございませんが、やはり奄美の観光というからには本物を見ていただくということが必要ではなかろうかという意味で、デリケートな自然に対しては、やはり細心の注意を払って対応すべきではなかろうかということを指摘しておきたいと思います。
質問に移ります。
新幹線の開業効果が光であるとすると、武岡団地の振動・騒音問題は、その影の部分だと思います。このトンネルから地上に伝わってくる振動や騒音が、住民の平穏な日常生活を大きく阻害しており、問題となっております。私は、せっかくの新幹線の開通に水を差すつもりはありませんが、近くに住んでいる者としての使命感からこの問題を取り上げ見解をただしますので、知事初め執行部の善処をお願いする次第であります。
まず、振動、騒音の実態でありますが、当然ながら新幹線の上にある家屋、特に新幹線との距離が近い武岡一丁目や線路の上り勾配がきつくなり、かつ家屋に比較的近い四丁目、五丁目付近がひどいようであります。私も
ヒアリングに行きましたが、「
目覚ましがわりに朝六時に起こされ、夜の十二時まで続く。十二時以降も音がして眠れない」、「太鼓をたたくような音が急にやってきて昼寝中でも起こされる」、「雨の日が特に響く」、「開業後は振動、騒音は小さくなりますと文書まで配っておきながら逆に大きくなり、全く無責任である」等々の声を聞かされました。四丁目の家の中で実際に聞いてみましたが、サーっという音が地底から急に迫ってくる感じで、これでは眠れない方が多いのも当然だというふうにうなずいた次第でございます。さらに指摘しておきたいことは、既に武岡団地の資産価値が下がり出しているという団地住民の声であります。そのことは、何件かの物件の売買価格にはっきりとあらわれているとのことであります。
以上、武岡団地の状況を簡単に申し上げました。
鉄道建設・
運輸施設整備支援機構では
現地説明会を開催し、六月十五日をめどに本格的な振動、騒音の測定を実施中で、その
データ解析の上に立って、七月上旬に再度説明会を開催されるとのことであります。
そこで、質問いたします。
第一に、県は今申し上げました
武岡団地住民の声をどの程度把握しておられるのか。また、どのように受けとめておられるのか。
第二に、これまで県としてどのような調査や対応をされたのかお聞かせください。
第三に、これらの問題に対する対応や保障は、どこがどういう形でどのように行うのか。その仕組みについて明らかにしてください。
第四に、
新幹線騒音にかかわる
環境基準についてお聞きいたします。
昭和五十年の
環境庁告示第四十六号「
新幹線鉄道騒音にかかわる
環境基準」によりますと、新幹線の騒音の基準値は、地域の類型一で七十デシベル以下、類型二で七十五デシベル以下となっております。ところが、これが新幹線を離れて、
環境基本法に基づいて鹿児島市が定めた騒音にかかわる
環境基準値は四十五から五十五デシベルであり、七十デシベルよりはるかに低い基準値になっております。また、
新幹線振動対策にかかわる指針値は七十デシベルとなっており、鹿児島市が
振動規制法に基づき定めた規制値五十五から六十デシベルは指針値より低い値となっております。
このような一般的な基準値によりますと、三月二日の
営業運転開始前に支援機構が仮測定した数値によっても
環境基準を超えているのであります。どうして新幹線だけが高い規制基準値になっておるのか、その経過がわかっておれば明らかにしてください。
第五に、新幹線トンネルの振動・騒音防止策は、技術的に可能なのかどうかということであります。支援機構の方はこれ以上できないと言っているとのことですが、JRの方はまだ方法があるようなことを言っております。知り得ておられるところを教えてください。
また、県としては、振動・騒音防止策を要請するつもりなのかどうか、明らかにしてください。
第六に、減速の問題であります。住民の第一の希望は減速であり、スピードダウンであります。補償金は要らないと言っておられます。具体的には、鹿児島中央駅を出てからの加速をトンネル内において少し加減してほしいとの要望であります。このことは、説明会の中でも異口同音に要望が出されております。地元マスコミも、JRは思い切って減速するぐらいの姿勢がほしいと社説で言っておりますが、県としても団地住民の生活の安寧を守る立場から、JRに対し減速要請すべきだと考えますが、見解をお聞きいたします。
小泉内閣発足以降、郵政の民営化問題がかまびすしく議論されてきました。それらの議論の結果として公社化が行われたにもかかわらず、第一回目の郵政公社の決算が出る前に、またもや民営化論議が蒸し返され、去る六月三日の経済財政諮問会議で出されたいわゆる骨太方針では、郵政民営化を最優先課題とする旨、位置づけられております。まことに遺憾であります。
公社化のもとで生田総裁初め幹部職員は必死に働いてまいりましたが、その結果、郵便は黒字に転じ、貯金も大きな黒字を出し、公社経営に一定の展望を見出しつつあります。日本の郵政事業に対する国内外の期待にこたえるには、三事業一体の公社化のもと、経営基盤を固める以外にないと思うのであります。
くらいまでかかると言われております。それまでは国債はふ政府の言う郵政民営化の根拠は、日本の構造改革、なかんずく財政改革であります。財政赤字を後世に残さないというプライマリーバランスを回復させることが当面の目標ですが、それはうまくいっても二〇一〇年代半ばえ続けざるを得ません。
公社発足後の郵貯、簡保の資金総額は三百五十五兆円であります。この九割に当たる三百十五兆円が国債と地方債に回っております。それが今のような小泉内閣と銀行による郵便局いじめが続きますと、公社化十年後の二〇一三年の郵貯、簡保資金は、合わせて二百四十兆円になるものと見込まれております。国債の個人購入と言っても限界がありますから、これでは国債、地方債の消化はできないのであります。それどころか国債の繰り上げ償還をしてもらわないと、郵貯、簡保は資金ショートを起こす可能性すらあります。やらねばならないのは郵貯、簡保の資金を確保する政策であるのに、小泉内閣は逆のことをやっております。民営化問題をこれらの財政改革との整合性の上で考えているのか、甚だ疑問であります。
また、日本はメール便を運送会社などに民間開放しているため、事業者が需要の多い地域だけにサービスを提供する、いわゆるクリームスキミングが起きております。これは本当に大きな問題であります。なぜなら、万国郵便連合においては、条約で郵便局に対し、国内のどの地域においても一定のサービスを提供するユニバーサルサービスを義務づけておりますが、諸外国ではその見返りとして、随分国内マーケットを守ってやっております。民営化の先輩格のドイツポストですら、百グラム以下の郵便物の独占が守られております。したがって、ただやみくもに競争原理を打ち出すのではなく、海外の現実をきちんと見て、国家戦略として産業論的に日本の郵便事業を見るべきだと思います。
離島や山間僻地を大きく抱え、高齢化社会の先端を行く本県にとって、郵便局が必要不可欠なものであることは言うまでもありません。そのことは、本県議会でも繰り返し指摘されてきました。市町村合併が進むにつれて、その必要性はますます高まるでしょう。郵便局の安易な統廃合につながる民営化ではなく、公的経営を残すことが必要であると思います。退任の近い知事に、この件につきまして重ねて見解をお聞きするのはまことに恐縮でありますが、県民へのメッセージと思ってお答えください。
新幹線で観光客が増加しておりますが、中でも鹿児島の温泉を目的として来られる観光客、なかんずく台湾、香港、韓国といったアジアのお客さんにとって、鹿児島の温泉は大きな魅力となっております。我が県の昨年三月末の源泉数は二千八百二本で、大分県の四千八百七十八本に次いで全国第二位、湧出量は北海道、大分に次いで全国第三位となっております。
温泉は貴重な観光資源であり、県民・国民の健康を維持増進する保養資源でもあり、本県でも鹿児島大学医学部リハビリテーションセンターのように医学的に活用されている例もあります。また、地熱発電のようなエネルギー源としての利用法もありますが、我が国で古くから一般的に親しまれている利用法は、何と言っても入浴としての利用であります。
ところで、県民の温泉利用や観光客の動向などが極めて似ている大分県は、観光地域振興局景観自然班が温泉行政を担当し、大分県温泉調査研究会なるものも昭和二十四年以来あって、継続して県内の温泉湧出メカニズムや温泉の心身に与える影響など、地球物理学的、地質学的、医学的科学調査を続けております。箱根、湯河原といった有名な温泉地を持つ神奈川県も、県の組織として温泉地学研究所を有し、さまざまな研究を行っております。
そこで、お尋ねいたします。
まず、昨年の県議会でも触れられた、霧島地区の皆さんが少なからず心配しておられる地熱発電と温泉の関係について、改めて県の考え方をお聞きいたします。
次に、大分県、神奈川県や群馬県、北海道のように、本県でも温泉の利用や管理に関して調査なり、これに基づく計画を策定されたことがあるのかお聞きいたします。また、あるとすればそれがどのように活用されたのか、今後の計画はあるのか、あわせてお答えください。
第三に、本県でも大分県のように温泉の主管を観光部局に置き、衛生管理や掘削の許認可という視点だけでなく、広く観光、保養、リハビリの資源として鹿児島の温泉を活用する視点をもっと強めるべきだと思うのでありますが、どうでしょうか。
また、温泉ブームや温泉開発技術の向上で温泉資源の制約も必要になってくると思いますが、温泉の持続的活用に向け、どのようにすべきと考えておられるのか明らかにしてください。
最後に、温泉の質や衛生面では国民の安全・安心を高めるために何をなすべきか。また、温泉施設の増加、ニーズの多様化に対し、本県の温泉が県民はもとより県外、国外の人たちから魅力を持ち続けてもらうには何が必要と考えておられるのか、お答えください。
[
知事須賀龍郎君登壇]
8 ◯知事(須賀龍郎君) 郵政事業の民営化につきましては、去る四月二十六日に民営化の具体案及びその後の法案の作成業務を行います国の郵政民営化準備室が発足したところであります。また、去る六月四日に決定されました経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四の中におきましては、平成十六年秋ごろに民営化の基本方針を取りまとめ、平成十七年に民営化法案を提出するとされているところであります。
私は、この郵政事業は郵便、貯金、保険の三事業を通じまして地域社会に密着したサービスを提供しておりまして、特に本県のように離島や過疎地域の多い県におきましては、県民生活と密接にかかわっておりますことからなくてはならない機関であると考えております。このため、今後国が民営化案を検討するに当たりましては大きな関心を持ちますとともに、県民へのサービス低下につながることがないように、適切に対処していく必要があると考えております。
9
◯企画部長(岡積常治君) 新幹線の振動・騒音についてでございますが、鉄道・運輸機構とJR九州により、ことし三月と五月に開催されました地元説明会で出されました
武岡団地住民の方々の御意見等や説明会の模様につきましては、同機構から聞いているところでございます。新幹線の騒音・振動につきましては、まず事業主体の鉄道・運輸機構とJR九州が対応すべき問題であると認識しております。
なお、県としましては、環境省からの委託を受けまして、今後
新幹線鉄道騒音に係る
環境基準達成調査を行う予定となっておりまして、その結果につきましては、環境省が鹿児島・熊本両県の結果を評価して公表することとなっております。
新幹線騒音・振動に係る補償につきましては、鉄道・運輸機構が同機構の
新幹線鉄道騒音・振動障害防止対策処理要綱に基づきまして、騒音・振動について、
環境基本法に基づく
環境庁告示に定められました基準等を超えた地域において補償を行うこととなっております。具体的には、建物の所有者が騒音・振動障害の防止または軽減に必要な工事を行う場合、その者に対し、工事費用の全部または一部を同機構が助成するものであります。
新幹線トンネルの騒音防止策につきましては、鉄道・運輸機構等に対し、これまでも適切な取り組みを要請してきたところであります。鉄道・運輸機構としては、住民要望や意見を踏まえて測定箇所をふやすなど、さらに詳細な測定調査を五月二十四日から実施しているところであります。この測定結果や住民からの要望・意見に対する対応等についての地元説明会が、七月上旬に開かれると聞いております。県としましては、同調査の測定結果や地元説明会の状況等を見守ってまいりたいと考えております。
地熱発電と温泉の関係でございますが、霧島地区の地熱開発につきましては、九州電力の大霧発電所が稼働しているほか、新エネルギー・産業技術総合開発機構等により、地熱開発調査が烏帽子岳地域と白水越地域において行われております。県としては、本県に存在する地熱エネルギーの有効利用を図ることは、新エネルギーの導入促進や地球環境問題への対応という面からも重要なことであると考えておりますが、その開発に当たりましては、既存の温泉など周辺環境への影響等に十分配慮するとともに、地元の理解を得ながら進められる必要があると考えております。
10 ◯環境生活部長(假屋基美君)
新幹線騒音に係る
環境基準につきましては、新幹線の通過速度が時速二百キロメートルで高速であること、騒音の継続時間は約七秒と短時間であることから、最大値で評価することとされておりまして、その基準値は七十から七十五デシベルと設定されているところであります。これを継続的レベルの平均値で評価する一般
環境基準で見ますと、四十五から五十デシベルに相当する値であります。
また、新幹線の振動につきましては、沿線の地中構造物等が影響するため、
振動規制法による定めはございませんが、圧縮機などを設置する特定工場・事業場や、道路交通の振動に係る
振動規制法の基準値を参考にして七十デシベルの指針値が定められております。
11 ◯保健福祉部長(千村 浩君) 本県におきましては、温泉の保護や利用に関する計画は特段策定しておりませんが、温泉資源の永続的な利用のため、温泉の新規掘削等の申請に対しましては、県環境審議会温泉部会におきまして、県内主要温泉地ごとに既存泉源からの距離や井戸の口径、温泉をくみ上げる際の揚湯量等の審議基準に照らして、適切と認められるもののみを許可しております。
また、地熱開発につきましては、温泉部会の中に設けました専門部会におきまして、周辺地域への影響などを考慮して、地域ごとに調査研究の上、掘削深度等の基準を定めており、この基準に照らして適切なもののみを許可しております。今後とも温泉を永続的に利用するため、これらの基準に基づき厳正に審議の上、許可するなど、温泉の保護や利用の適正化に努めてまいりたいと考えております。
温泉利用施設の安全性等を確保するためには、施設管理者におきまして、温泉法や県条例等で規定されている温泉利用上の遵守事項及び入浴施設の構造設備や、衛生管理基準が確実に実行されることが最も重要であると考えております。
県といたしましては、毎年九月の温泉立入調査強化月間における重点的監視指導のほか、平成十五年度から県内主要五保健所に配置いたしました公衆浴場等監視指導員による、すべての公衆浴場及びホテル、旅館に対する計画的な巡回指導を行い、県民の健康保護のため、温泉利用施設における衛生面でのさらなる安全・安心の確保に努めることとしております。
12 ◯
商工観光労働部長(原田耕藏君) 温泉資源につきましては、これまで資源の保護及び利用の適正化に努めながら、関係部が連携して観光、保養、健康増進面等への活用を進めてきており、今後ともさらに連携を密にして、温泉資源の幅広い利活用の推進に努めてまいりたいと考えております。
また、本県は個性豊かで豊富な温泉資源を有しており、これまでもその魅力を広く国内外に広報宣伝してきたところでございますが、近年温泉に対するニーズも多様化してきており、健康づくりやリハビリ面で温泉を活用しようという動きも広まってきておりますことから、本県の温泉の魅力を維持するため、さまざまなニーズに応じた温泉の効能や温泉地の紹介など、さらにきめ細かな情報発信に努めてまいりたいと考えております。
[上村勝行君登壇]
13
◯上村勝行君 るる御答弁いただきました。
新幹線の騒音問題については、説明を受けた限りではわかりました。しかし、若干、他人事のような感じを受けます。確かに新幹線そのものは県の所有ではありませんが、新幹線の実現に向けて全県的な運動を展開してきたのは県であります。
新幹線の成果もそれなりきに上がっているわけですから、それなら影の部分ともしっかり向き合って言うべきことは言う、やるべきことはやる、そういう態度が必要ではなかろうかというふうに私は思います。そういう意味では、今、地元住民は鉄道・運輸機構が平成十六年度の補償予算として持っている四十億円、それは欲しくないというわけでございます。スピードを落としてほしいと。武岡団地の下は薩摩田上トンネルというトンネルが通っておりますから、そのトンネルの通過時間を一分間おくらせるだけで私どもは相当な効果があるものと思っております。
新幹線はスピードが生命線だということもわかりますけれども、全国広しと言えども一カ所しかない団地の下を通っている新幹線でございますから、一分なりとおくらせてみて、その騒音がどうなのかということをしっかり把握する、そういうことをぜひ県としては我が身のこととして要請すべきではなかろうかというふうに思いますので、いろんな法令なり、国と県のこの位置づけの中で、今一生懸命やっていらっしゃるということは理解しますけれども、なお一歩踏み込んだ対応をお願いしたいと思います。
郵政民営化についての知事の見解は、よくわかりました。ぜひ、そういう姿勢で鹿児島県の離島、山間僻地の郵便局を守るために、格段の御配慮をお願い申し上げます。
温泉資源の積極活用については、いろいろ御答弁いただきました。努力いただいていることもよくわかりました。ただ、私はこの質問の過程でいろいろ資料を読ませてもらったんですけれども、平成二年と五年に霧島火山地域の温泉に関する調査を県はやって、かなり詳しいレポートも出しておられます。
質問の趣旨は、それから先のことを、もっと長期的、具体的な温泉の効能なり、各温泉の泉源の質なり、そういうものを調べて、そしてそのことを具体的にPRできる材料として提供していただくとか、いろんなことを恒常的な研究体制をとっていただきたいもんだという趣旨でございまして、今、各部長さんが答弁された、それから先のことをやっていただきたい。そのために、観光関係のところに部局を集中して、担当を集中していただきたいと申し上げましたが、それが当面できないとすれば、庁内連絡組織をしっかりつくってやっていく等の踏み込んだ対応をお願い申し上げる次第でございます。
以上、質問に対するコメントを終わります。
さて、須賀知事は今回をもって退任の御予定とのことであります。思えば平成八年に就任されてから八年間、その間、二回の手術を乗り越えて、渾身の力を込めて県勢の浮揚発展のために邁進していただきました。知事の功績については大方もう触れられましたが、私なりに各論的に述べてみたいと思います。
第一の私の印象は、知事がアジアに目を向けていただいたということでございます。薩摩焼四百周年と日韓閣僚懇談会や中国、韓国、東南アジアとの交流活動、そして積極果敢なポートセールス活動など進めていただきました。おかげさまで志布志港がアジア各国と多くの定期航路を持ち、文字どおりアジアのゲートウェイとなりつつあるのを初め、上海、ソウルに定期航空便が開設されました。
また、鹿児島市内では上町の皆さんの待望久しかった県民交流センターを非の打ちどころなく立派につくっていただきました。建設費が高過ぎるとの批判もありましたが、メンテナンスをよくして、百年、百五十年使っていけば安い買い物だと思います。上町の皆さんは、これを励みとしてみずからのまちづくりを推進していかれるものと確信いたしております。
不況下の雇用問題では、緊急雇用対策本部を全国に先駆けて設置していただき、政労使の常設的な雇用対策の場をつくっていただきました。また、縄文の森建設は、文字どおり知事の即決でありました。古代のいざないが青少年の夢をはぐくみ、健全育成に大きな成果を上げております。県内外の考古学ファンにとっても縄文の森はなくてはならない施設になりつつあります。
さらに、曽於南部・東部・北部、肝属中部、そして徳之島の畑かん事業に並々ならぬ努力を傾注していただきました。干ばつに泣いた日々が過去のものとなるよう、本県畑作農業のさらなる発展を目指して、だれが後の知事になってもこれをやり遂げねばならないと思います。
あれこれ申し上げましたが、人工島と原発を除いては意見が一致し、文字どおり、まごころ県政であり、ひびきあう県政であり、挑戦する県政であったと思います。心から感謝申し上げます。
須賀知事の五十七年の行政経験に裏打ちされた古刀の切れ味を思わせる弁舌や、いぶし銀のような風貌に、これから余り接することができなくなることはまことに残念でありますが、長年の県庁生活から解放されて、ゆっくりお休みになり、県政の御意見番として御助言を賜りますようにお願い申し上げまして、私の一般質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
14 ◯議長(川原秀男君) 次は、永田けんたろう君に発言を許可いたします。
[永田けんたろう君登壇](拍手)
15 ◯永田けんたろう君 自民党鹿児島県議団の一人として質問させていただきます。
早速、質問に入らせていただきます。
地方分権一括法から
三位一体改革に至るまで、この間の国の施策の流れを見てみますと、私は地方に対する国の意思というものが、何かはっきりと見えてきたような印象を受けます。国の意思とは、つまるところ小泉政権と国会と、そして霞ケ関を舞台とする、その議論の対立と妥協の中で決定されていった政策の意味するところであります。私は、これに四点ほどの印象を昨今、持つものであります。
第一点は、つまるところ、これらの流れは国の借金減らしと、そしてそれの地方へのつけ回しにすぎないんじゃないかという印象であります。
また第二点は、結局は地方財政の規模縮小でしかないのではないかという印象であります。
そして第三点は、小規模自治体、条件不利自治体を切り捨てる、そういう方向でしかないのではないかという印象であります。
第四点は、国による地方へのコントロールの堅持という、そういった意欲が並々ならぬものであるということを知らされたという印象であります。
このような印象とともにはっきりと見えてきましたのは、結局現行の地方交付税制度はもう破綻しつつあるのではないかということです。さらに、補助金制度は省益が優先であって国民生活の側に立った、立場に立ったものではないということであります。
このことを考えますときに、私は昨年の地方分権推進会議における答申の状況を思い起こします。いわゆる税源移譲の先送り、そして実現不可能な地方共同税の盛り込み、このようなことに反発いたしまして、このときの地方分権推進会議の委員は、委員としての意見の一致を見るに至らず、そういった意見の分かれた中で答申をしたという異常な会議であったと思います。
この会議の委員の一人であった鹿児島市の赤崎市長が、「国あるいは中央は、地方に対して理解もない、愛情のかけらもない」と吐き捨てるように申されたのを本当に印象深く思い出すのであります。地方分権とは夢のまた夢、いわゆる地方の政策権、決定権の自由度というものは、結局幻想にしかすぎないのじゃないかといったような思いをいたします。
全国の自治体の数多くが、財政再建団体への転落というこの影に恐れおののいて、そしてこの危機感の中で財政改革を進めようとしておりますが、しかし、率直に申し上げまして、国にとって地方の財政再建団体への転落など痛くもかゆくもないのじゃないかと思います。国のぜい肉の部分はできるだけ温存しながら、むしろ青息吐息になって、そして汗だくになって財政再建団体への転落の危機を逃れようとして努力している地方が、徐々にそのぜい肉をそぎ落としていくさまを、冷たく冷静に観察しているにすぎないのじゃないかといったような思いもするわけであります。
私は、地方分権の確立、そして地方財政の確立というのは、今までもこの議場で申し上げてまいりましたけれども、国との対話というものではもう成り立たないのじゃないかと思うんです。戦い取って奪い取ってくるものというそういう気概がなければ、本当の地方の分権というものは確立しないんじゃないかといった思いに駆られます。
このような思いを披瀝申し上げまして、質問に入らせていただきたいと思いますが、私は、この間の
三位一体改革による国庫補助金、そして地方交付税の縮小・削減というこの部分を、数字で整理していただきたいという思いで質問いたします。
第一点は、
三位一体改革に伴う国庫補助負担金の廃止・縮減の総額及び内容。これをそれぞれ国全体及び本県分についてお示しいただきたいと思います。また、それに伴うところの税源移譲された総額と内容、税源移譲されなかった総額と内容をお示しいただきたいと思います。
さらに第二点、
三位一体改革に伴う地方交付税の削減額及び交付税の振りかわりが財源である臨時財政対策債の削減額、この二つをお示しください。並びにこれらを合わせた削減額を、それぞれ国全体及び本県分についてお示しいただきたいと思います。
第三点、国庫補助負担金の廃止・縮減の中には税財源を伴えないものがあり、また地方交付税等も大幅に削減されるということになれば、これまで地方が実施してきた事業について廃止・縮減せざるを得ない。つまるところは、先ほど申し上げましたけれども、
三位一体改革は財政規模縮小以外の何物でもないということを心配いたしますが、知事のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
次に、財政問題について公社・公団等の見直しについてお尋ねしたいと思います。
全国多数の自治体でいわゆる公社・公団等の見直しが進められております。お隣の宮崎県でも多額の財政支出を伴う公社・公団などへの関与、見直しを進めているとお聞きしております。宮崎県では、経営が軌道に乗っている法人から出資金を引き上げるということや、あるいは派遣職員を引き上げる、あるいはまた公社の廃止を含めた総合的検討を行うなどとメニューを上げておられます。そして、これに県民の意見を募集する、「パブリックコメント」というお言葉をお使いでございますけれども、県民の意見を募集する中でコンプリートしていきたいと言っておられます。
私は、本県も財政改革プログラムの中で公社等への支援を見直しするということは、当局が言っておられることをこの間見させていただいてまいりましたし、また、さきの予算特別委員会でもこの件について質問させていただいておりますが、二点について御質問させていただきたいと思います。
地方公社等への貸付金、人的支援は、平成十五年度と比較いたしましてどのようになったのでしょうか。また、財政改革プログラムで公社等への支援の見直しを上げておられますが、今回支援が増減したものについて、その理由は何であったのかお聞かせいただきたいと思います。
私は、宮崎のパブリックコメントですか、この手法をお聞きしまして、また全国のいろいろな県において、いわゆる県民の意見を聞きながら、この公社・公団の改革の見直しをやっていくといった手法を見ますときに、身内での改革というのにはやっぱり限度があるんじゃないかと思うんです。ですから、中立的な第三者機関を設置して公社等のあり方、これは二五%以上出資している団体というふうに受けとめていただきたいんですけれども、このことを検討すべきではないかということを考えますが、この件についての見解をお聞かせ願いたいと思います。
また、このことはやはり知事が一肌脱いでいただかないと、何ともやっぱりできないのじゃないかといったような印象を持ちます。須賀知事におかれましては、本当に引退が間近でございますけれども、ぜひ御在職中にその道筋だけでもつくっていただけないだろうかということを、予算特別委員会のときに申し上げておきましたが、これにつきましての知事の御所見をお伺いしたいと思います。
次の質問に入ります。
この前、霧島の山間地で農業を営む方とお話をする機会がございました。シカの話をされました。シカが出てきて本当に農作物を荒らすんだそうでございます。獣害駆除ということでシカの捕獲をされるんだそうですけれども、しかしながら、この方の言葉をお借りいたしますと、「都会の方」というお言葉でございましたけれども、都会の方は、このシカの駆除ということを理解していただけない、かわいそうだといって批判されることに本当に困惑している、こういったことでございました。私は、中山間地で劣悪な条件のもとで暮らす方々の本当の悩みというものは、第三者にはわかりづらいんだなということをつくづくと感じたことであります。
今日の中山間地直接支払制度は、獣害対策としても、その支援をされておられます。本当にありがたい政策だと、こんなふうに思います。二〇〇〇年にスタートいたしまして、五年計画で進められてきたこの制度が見直しの時期に来ておりまして、また見直しの危機に瀕していると思います。
ことしの五月十七日に財政制度調査会は、谷垣財務大臣に対しまして、平成十七年度予算編成の基本的考え方について答申し、その中で、中山間地域等直接支払制度の見直しについても触れておられます。中山間部における耕作放棄地の発生防止等を目的とした中山間地域等直接支払制度は、平成十六年度に対策期間が終了する。自立的な農業生産活動によって、農用地の維持、保全が行われる姿を基本に、廃止を含め、抜本的な見直しを行うべきであるといった答申がなされております。
これは御承知のように、食料・農業・農村基本法に位置づけられた重要施策でございます。この支援策がなければ、過疎・高齢化に悩む地域は崩壊したところもあるかもしれないと言われております。
また、耕作放棄地の防止やあるいは集落が地域を活性化する地域力を醸成する意味において、本当に貢献したと評価されてもおられます。私は、「自立的農業生産活動によって農用地の維持、保全が行われる姿を基本」という言葉に、先ほど冒頭申し上げましたように、劣悪な条件の中で農作業等をして暮らしておられる方々の本当の姿というものがわかっていないんじゃないかといったような気がいたします。
このようなことを踏まえまして、二点質問いたしたいと思います。
第一点は、中山間地域等直接支払制度、これは我が国農政史上初めての制度として平成十二年度からスタートし、先ほど申し上げました、耕作放棄地の発生防止、多面的機能を増進するための農業生産活動を、五年間継続して実施する場合に交付金が交付されております。
そこで、本県における耕作放棄防止対策に取り組んでいる集落協定の割合や、農振農用地への編入面積など、具体的な取り組みはどういうものであったのか、お聞かせいただきたいと思います。
また、この制度は平成十二年度から十六年度までの五年間の計画であり、農林水産省は現在、第三者機関である中山間地域等総合検討委員会でこの制度の検証、評価を行っており、夏までにはその結果を出すと言っております。本県におきましても、県の第三者機関である中山間地域等直接支払制度運営検討委員会というところで制度の検証、評価を実施し、国に報告するようになっておりますが、その評価はどのようなものであったのか、お伺いいたしたいと思います。
また、今、国の財政制度審議会の見直し議論の背景といたしまして気になりますのは、中山間地域以外を含む本格的な所得補償制度の、いわゆる担い手農家への所得補償制度の導入を求める声に対し、財務省がばらまき型の助成に反対していく姿勢を示したとの論評もあります。
本制度の見直しは、現場からの意見や要望、制度の効果などを検証した上で行うべきと考えますが、県はどのように考えておられるのか。また、廃止された場合、どのような影響が予想されるのか、お伺いいたしたいと思います。
これで、第一回の質問といたします。
[
知事須賀龍郎君登壇]
16 ◯知事(須賀龍郎君) 平成十六年度の
三位一体改革につきましては、国庫補助負担金が廃止・縮減されますとともに、地方交付税等につきましても大幅に削減されますなど、本県はもとより各地方自治体にとりましても大変厳しいものとなったところであります。
国におきましては、去る六月四日に経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四が閣議決定され、平成十八年度までの
三位一体改革の全体像につきましては、ことしの秋に明らかにされるということであります。
県といたしましては、国庫補助負担金改革につきましては、地方への負担転嫁を伴わない確実な税源移譲につなげていく必要があると考えておりまして、そのためにも、交付税についても引き続き地方の実情を十分考慮の上、地方交付税の財源調整機能や財源保障機能を確保されることを、国に対しまして強く主張してまいっているところであります。
次は公社の問題でありますが、公社等の見直しにつきましては、これまでも職員数の削減など公社独自の取り組みが進められてきているほか、県といたしましても、財政改革プログラムに基づきまして社会経済情勢の変化等を勘案しながら、その役割や目的の達成状況、経営管理の状況などを検証いたしまして、運営費に対する補助金、貸付金等の財政支援の廃止・縮減を行いますとともに、職員派遣の見直しも行ってきているところであります。
また、関係部局におきましても、個別の団体につきまして、県議会における論議や公認会計士など外部の専門家の御意見も踏まえながら、現在経営改善策の策定など、具体的な見直し作業を進めているところであります。したがいまして、まずは個別の団体につきまして検討を行いました上で、ただいま御指摘のありました中立的な第三者機関の設置を含めた公社の見直しにつきましては、その後、検討してまいりたいと考えているところであります。
17 ◯総務部長(境 勉君)
三位一体改革に伴います国庫補助負担金の改革によりまして、国全体では、義務教育費国庫負担金等の一部や公共事業関係補助負担金など一兆五千九百億円程度が廃止・縮減されたところでございまして、このうち公共事業関係補助負担金等を除きます七千百億円程度に対しまして、所得譲与税及び税源移譲予定特例交付金によりまして、六千六百億円程度が税源移譲されることとなったところでございます。
また、本県におきましては、義務教育費国庫負担金等の一部や軽費老人ホーム事務費補助金など、公共事業関係補助負担金を除き八十七億円程度が廃止・縮減されまして、これに対しまして六十四億円程度が所得譲与税及び税源移譲予定特例交付金により税源移譲されるものと見込んでおります。その残額につきましては、地方交付税により対応されることとなっております。
次に、
三位一体改革に伴います地方交付税等の削減につきましては、国全体で地方交付税が一兆二千億円程度の減、同じく地方交付税の振りかえでございます臨時財政対策債が一兆七千億円程度の減となっておりまして、合わせまして二兆九千億円程度の減となっております。また、本県の平成十六年度当初予算編成におきましては、
三位一体改革に伴いまして地方交付税が百九十一億円程度の減、同じく臨時財政対策債が百二十四億円程度の減となっておりまして、合わせまして三百十五億円に上る大幅な削減となったところでございます。
18 ◯農政部長(山田裕章君) 地方公社等に対する支援についてでありますが、地域振興公社は、農地保有合理化事業を核としながら、畜産環境施設の整備や県立公園等の管理を行っております。県は、同公社に対しまして平成十五年度に十二名の県職員を派遣しております。平成十六年度においても同様でございます。なお、県から同公社に対する貸付金はございません。
本県の中山間地域等直接支払制度につきましては、平成十五年度は七十五市町村において集落協定等が一千十二件、協定面積約八千三百六十ヘクタールで取り組まれており、約九億三千五百万円の交付金を見込んでおります。この交付金を活用いたしまして、集落ぐるみによる耕作放棄地でのソバの栽培、機械の共同利用による農作業受委託など、集落協定の約六割で耕作放棄地の未然防止や、耕作放棄されている農用地の復旧に取り組まれております。なお、平成十五年度までに二百三十四ヘクタールが新たに農振農用地に編入されております。
昨年十一月に開催いたしました
学識経験者や消費者等で構成する県の検討委員会におきましては、集落で助け合い耕作する取り組みや、交付金の活用によります集落活動の活性化などが高く評価されまして、今後とも国民の理解のもとに制度を継続すべきであるとの結論をいただいております。
中山間地域等直接支払制度につきまして、国は都道府県からの報告を受けますとともに、中立的な第三者機関における交付金に係る効果等の検証を踏まえまして見直しを行うことといたしております。このため、県といたしましては、検討委員会での評価、それから市町村からの改善要望等を取りまとめまして、国に対し報告したところでございます。
なお、現行制度への取り組みにより、耕作放棄地の発生防止や集落の活動が活性化するなどの効果がもたらされております。仮に制度が廃止された場合、耕作放棄地の増加や集落活動の衰退など、農業・農村の多面的機能の低下が懸念されるところでございます。
19
◯土木部長(加藤憲一君) 土木部所管の公社等への貸付金は、平成十五年度は住宅供給公社に二十一億七千万円、道路公社に十四億円となっておりましたが、住宅供給公社につきましては、賃貸住宅建設資金の一部返済等によりまして、平成十六年度は二億七千万円削減いたしまして十九億円の貸し付けとなり、道路公社につきましては、民間金融機関からの借り入れを低利に借りかえましたことから、県からの貸し付けを廃止したところでございます。
また、職員の派遣につきましては、平成十五年度は土地開発公社に五名、住宅供給公社に二名、道路公社に三名、建設技術センターに十名の計二十名を派遣していたところでございますが、住宅供給公社の二名につきましては建築技術指導の業務などを終え、派遣をやめましたことから、平成十六年度は全体で十八名の派遣となっております。
県といたしましては、公社などを取り巻く社会経済情勢の変化に伴い、一層の合理化、事務事業の適正化に向けた取り組みを行う必要があると考えており、今後とも適切に対応してまいりたいと考えております。
[永田けんたろう君登壇]
20 ◯永田けんたろう君 それぞれ御答弁いただきました。
公社、公団等への見直しの第三者機関の設置につきましては、まずは個別に検証を行った上で、その後で検討するということでございました。願わくば、個別の検討の中で具体的な成果というものが、お互いに確認できたらいいなというふうに思っております。
また、
三位一体改革に伴う補助金削減、地方交付税等の推移についても御答弁いただきました。私は繰り返し申し上げますけれども、補助金、交付金は、これはもらうものではないということをはっきりと認識しておくべきだと思います。当然の権利として配分されるわけでございます。そして、今日のような状況の中では、むしろ戦い取って持ってくるものといったほどの気概がなければ、本当に地方の確立というものはないような気がいたします。
私は、昨年の第二回定例会の本会議、この席におきましてこの
三位一体改革の税源移譲等に触れまして、私たちは本当に他府県の議会議員の方々とも連携する中でこのことについて研究していく、そういった姿勢が本当に今こそ必要じゃないかといったことを訴えたことを思い出します。そして、今こそ私どもはそのことの必要性があるんじゃないかと思います。そして、この件についてだけは、私たちは党派を超えて地方人という立場で手を握っていけるんじゃないかと、こんなふうに思います。
中山間地域等直接支払制度に関してでございますけれども、それなりの成果があったということでございます。そしてまた、これは堅持していただきたいといったことの要望をされていくということでございます。ぜひ強く主張していただきたいと思うのであります。
日本の食料自給率は四〇%、米の九六%を除くと、畜産物が一六%、小麦が一三%、大豆三〇%、果実四一%であります。しかしながら、皆、毎日肉やパンや納豆や豆腐を食べております。食料自給率を押し上げるということについてはだれも反対しません。皆、賛成します。しかしながら、総論賛成各論反対のたぐいに漏れず、じゃあだれが大豆をつくるんですか、だれが小麦をつくるんですか、だれが豚や牛や鶏を養うんですかということになりますと、だれもそれをしようとはしないんです。これが我が国の実態であります。
私たちは、この現実を厳しく見詰め直すべきだと思います。そして、自分たちが腰を下ろしているこの枝が、一体何によって支えられているのかということを厳しく問い直すべきだと思うのであります。
次の質問に入らせていただきたいと思います。
今日、国・地方の財政事情の悪化の影響をまともに受けているのは建設業界でございます。公共事業に依存する建設業界は、本当に構造的不況の真っただ中にあります。
私は、ここに土木部発注工事のランク別発注状況と、そしてランク別の入札参加資格業者数の資料をいただいております。これによりますと、平成十五年度で見ますと、Aランクの建設業者数は千五百十八件、Bランクは千七百四十件、Cランクは二千五百八十八件、Dランクは二千四百八十四件となっています。それに対しまして発注状況はと申しますと、平成十五年はAランクで二千百五十一件、Bランクで千九十一件、Cランクで千十五件、Dランクで千百五十四件となっております。ちなみに平成十三年度の発注の総数は六千九百三十七件、十四年度は六千百二十四件、十五年度は五千六百六十一件と減少してきております。
それでは、各格付ごとの受注件数はどういうふうになっているかということを計算してみますと、平成十五年度でAランクは二千百五十一件の発注に対して千五百十八社でございます。一社に約一・四件の受注をしている計算になります。Bランクは、一千九十一件の発注に対して業者数は千七百四十件でございます。十社に六社しか受注しておりません。Cランクは、一千十五件の発注件数に対して三千五百八十八社でございますので、何と十社に二社しか受注いたしておりません。Dランクは、千百五十四件の発注に対しまして二千四百八十四社でございます。十社に四件の受注といった状況になっているみたいでございます。
この状況は今後も好転しないというふうに予測するわけですが、この状況を考えまして、今日、当局におかれましては建設業界の構造的不況を脱却して、そして個々の余剰的な雇用を、何とか新しい分野に誘導しなければならないといったようなことで、
地域再生計画を発表されました。いわゆる「建設業の経営革新、新分野進出による活力ある地域の創造」というプログラムでございます。
きょうの新聞によりますと、二十一日にも国によってこの計画は認定されるといった報道がなされております。本当に安心いたしました。これが認定されますと、来年から五年間の計画で実施していくわけでございますけれども、建設業界の雇用の余剰人員を福祉とか漁業とか農業とか、あるいはほかの多面的な分野に誘導することによって、そして業界の健全な発展、経営体質の改善を目指すということ、私は当局に対しまして本当に時宜を得た計画をつくっていただいたと感じております。心から感謝申し上げたいと思います。
そして、この件については、昨日、鶴田志郎議員から細かに質問がございました。私は重複を避けまして少し質問させていただきたいと思います。
当局にお聞きいたしたいことの第一点は、この数年、公共工事の減少が顕著に進んでいますが、このことが建設業界に与えている状況はどのような状況であるのか。倒産、廃業など、具体的状況をお示しいただきたいと思うのであります。
また、今回の
地域再生計画の目的に建設業界の体質改善があると思いますが、建設業界を取り巻く厳しい環境の中で、当局といたしましては、発注者として建設業界の健全な経営とは、どのようなイメージを持っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
昨今の発注状況を考えますとき、業者数のあるべき姿をどのように考えられておられるのか、ぜひ聞きたいと思います。今回の
地域再生計画は、あるべき姿に向かって施策を進めながら、業者の需要と供給のバランスを適正に保とうとする意味が含まれていると思いますが、適切な業者数をどのようにシミュレーションしておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
また、今回の
地域再生計画は、建設業界の雇用の余剰人員を異業種へ誘導するねらいであります。今後業界で設置を予定されている、多分建設協会等を中心にして設置されていくんでしょうが、その研究グループに対する支援、これは建設業経営革新・新分野進出支援チームというものが県庁の内外の関係機関で設置されるそうでございますが、この支援はどんな内容になるのか、お伺いいたしたいと思います。
地域再生計画と構造改革特区制度は、どうも似て非なるものという印象があります。加えて、その違いが明確に理解しがたい面もあります。この際、この二つの制度の違いについてもお聞かせいただきたいと思います。
また、特区制度と
地域再生計画と複合的に進めておられる面もあるように受けとめていますが、この点についての当局の取り組みの姿勢をお聞かせいただきたいと思います。加世田市や西之表市や大口市などにおきまして、既に建設業の方々が農業分野への参入について意思を表示されております。大口市では既に一社の建設業が確定しておるとお聞きいたしております。お聞かせいただきたいと思います。
それから第六点に、私は、指定管理者制度を活用することによって、建設業界の方々の新しい分野への雇用の誘導ということはできないのか。特に、都市公園における指定管理者制度の活用はどうなのかということをお聞きする予定でございましたが、これは昨日、鶴田志郎議員の御質問の中で詳しく御答弁いただきましたし、また、これにつきましては前向きな御答弁もいただきましたので、割愛いたしたいと思います。
次に、指導力不足教員について質問いたしたいと思います。
このほど指導力不足教員について、報道がなされておりました。全国で四百八十一人の指導力不足教員が発生しているとのことでございます。本県は四人と報道されました。文科省の指導力不足の定義を見てみますと、いわゆる教科に対する知識、技術が不足している、音楽の教員でありながら楽器を使えない、英語の教員でありながら英会話ができないなどといったことが言われておりますし、また、指導方法が不適切であるといったことを言っております。ひたすらに板書するだけで、子供の質問を受けることができない、あるいはまた子供と対話することができない、こういった定義をつくっております。
そしてまた、本県におきましては、この文部省の定義に基づきまして、指導力不足教員の人事管理に関する調査研究について報告を作成し、その認定に至るまでのフローチャートをおつくりになっておられます。市町村立学校においては市町村教育委員会と、県立学校は県教育委員会と連携、そして相談しながら調書を作成し、県教育委員会において申請する。この申請に基づいて審査委員会が設立され、そこで指導力不足教員の認定と人事上の措置を決定するというふうになっております。
今後とも学校、家庭、地域社会、さらに企業等が一体となって、PTA活動の充実が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
学校では、児童生徒等の健康問題を研究協議し、それを推進するため、学校保健委員会を設置し、学校、家庭、地域が一体となった取り組みを推進しておりまして、学校医は、そこで専門的な立場からの指導を行うなどの重要な役割を果たしております。
しかし、学校によりましては、学校医が多忙なため、学校保健委員会等になかなか出席できないという実情もあると聞いております。このため、学校医が来校しやすい日程を調整したり、必要によっては、電話等でアドバイスを受けたりするなど、各学校の状況に応じて学校医からの指導・助言を得られるよう努めております。
今後とも各学校が学校医との連携を深めながら、適切な学校保健活動が推進されるよう、市町村教委等を指導してまいりたいと考えております。
本年四月に発生しました高校三年生と小学三年生の二件の突然死は、体育授業終了後の移動中と、スポーツ少年団活動中に起こったものでありますが、事前の健康観察では、いずれも異状は見られなかったと聞いております。
一般的には、突然死の原因につきましては、気象条件や体調の変化などさまざまな要因が考えられるとされておりますが、今回の場合は、いずれも特定されておりません。
県教委は、今回の事故を受けまして、各学校に対しまして、運動等を行う場合の留意事項や緊急連絡体制の整備など事故防止対策等について通知し、指導の徹底を図ったところでございます。
今後とも健康診断の事後措置に万全を期するとともに、家庭、学校医、主治医等と密接な連携を図り、適切な学校生活の管理指導が徹底されるよう指導してまいりたいと考えております。
[大園清信君登壇]
39 ◯大園清信君 それぞれお答えいただきました。
駐在所の件につきましては、地域では必要と思っても、なかなか県警の方針との食い違いがあろうかと思いますけれども、いろんな意見を聞きながら、また今後、検討していただければと思っております。
少年サポートセンターにつきましては、私、奄美大島の少年支援センターの頑張りに大変興味を示しております。教育委員会もことしは補助予算をつけて、この奄美の「ゆずり葉の郷」の活動に大変興味を持っているとのことですので、今後ともよろしくお願いいたします。
さて、学校保健についてですけれども、突然死については、私たちもいろんなところで話を聞くわけですけれども、実際、突然死は、ほとんどが心臓疾患に起因するんじゃないかと思っております。そういうときにこそ実際は、心肺蘇生を含めて、除細動、そういったものが一番役に立つんだろうなと。
今後は、養護教諭を含めて、そういったものをもう少し医療技術として底上げする必要があるのではないかと思いますので、今後、私たちもその点については勉強してまいりたいと思います。
さて、私は、現在、いろんな活動を通じながら、人の出会いということに大変興味を持っております。人の出会いによって、自分の人生が大きく変わるような気がいたします。出会った相手を認め、知ることが、自分を高めることだと感じているきょうこのごろです。
最近、一人の出会いのおかげで鹿児島県の新発見をしました。教育現場では、青少年の健全育成、いじめの問題など多くの課題を抱えております。そういう教育現場に生きた教材があることを初めて知りました。「出水兵児修養の掟」です。大変含蓄のあるものですので、御披露いたします。
「士は節義をたしなみ申すべく候。節義のたしなみと申すものは口にいつわりを言わず身に私を構えず、心直にして作法乱れず、礼儀正しくして上にへつらわず下をあなどらず人の患難を見捨てず、己が約諾をたがえず、甲斐がいしくたのもしく、かりそめにも下様の賎しき物語り悪口など話の端にも出さず、たとえ恥を知りて首はねらるるとも、己がなすまじき事をせず、死すべき場を一足も引かず、その心鉄石のごとく、また温和慈愛にして、物の哀れを知り人に情あるをもって節義のたしなみと申すものなり。」
私は大変感動いたしました。そしてこのことに出水の田島秀隆先生が、「教育は、百年の計と言われますが、学校教育が制度としてなかったころ、薩摩藩では子弟たちは、郷中教育で心身を鍛えていました。私たちの出水市でも郷土の先輩たちの手により、独特の学風や士風が醸成され、伝統として受け継がれ、県下に名だたる出水兵児たちを育んできたようです。薩摩の代々の藩主たちは、薩摩を守るのは、城でなく人であると考え、国防の重点を士民の訓育に置いてきました。このことが江戸時代の末期から明治維新の大業を推進する最大の原動力となり、天下が羨望する幾多の人材を我が鹿児島から輩出したことにつながっていったと言われています。
時代は変わりましたが、この掟の『士』を『人』に置きかえてみると、現在でもなお、生き生きとした私たちの処世の道を示してくれるようです。」と大変現在の教育に私たちが感じている文章ではないかと思います。
この「出水兵児修養の掟」によって、幼少時を過ごした出水出身の方々から多くの偉人を輩出しています。
また、この掟によって、多感な少年時代を出水で生活し、東京に出て東京で活躍していた本県出身者が、今の県の置かれた危機存亡のとき、帰りなんいざ、田園まさに荒れんとす、何ぞ帰らざるという思いで、本県に熱い思いを持って帰ってきておられます。
私は、U・Iターンの促進を推進していただき、本県に在住している県民とひとしく百八十万の本県出身の皆様にもひとしく愛情を注げる温かい鹿児島県政でありたいと願うものであります。
日産自動車は、外国人のゴーン社長を迎えて会社を再生しております。
知事がいつも言われてきたように、県政の主役は県民です。県民の幸せを考えるとき、県の置かれた厳しい状況を打破できる人こそ、県政のこれからのかじ取りにふさわしいものではないかと考えます。
最後に、知事に、支持者の一人の方から、「知事は、二期八年、いい仕事をしていただいた。ただ、財政悪化は県のトップとして、議会とともに責任を感じてもらいたい。そして、知事におかれては、残された五十日を県民の皆様が注視している中、大所高所から頑張っていただきたい。」とのことでした。
そして私も、知事の支持者の一人として、知事の長年の御功績に対し、深い敬意をあらわし、勇退後は、ゆっくり県政の足跡を須賀履歴書にしたためていただき、今後、県政の指標としていただきたく、ぜひ執筆していただきたくお願い申し上げます。
いつまでも御健勝にて県政の行く末を見守っていただきますように御祈念申し上げます。
ありがとうございました。(拍手)
40 ◯議長(川原秀男君) 次は、宇田隆光君に発言を許可いたします。
[宇田隆光君登壇](拍手)
41 ◯宇田隆光君 須賀知事には、県政に携わってこられて五十五年、そのうち八年は知事として、しかも百三十年の歴史を刻む県政史上初めての国の省庁出身者でない県庁生え抜きの知事として、この厳しい時代の地方政治のかじ取りをしてこられました。本議会が最後の議会となられるわけでありますが、このような機会に質問ができることを光栄に感じていますし、私の今後の政治活動を支えてくれる大きな誇りになると思っています。
さて、このような思いで準備しました今回の質問でありましたが、一般質問も後半になってきますと、さきの質問者と重複する項目が出てくるものです。しかし今回の私の場合、一部重複というより、ほとんどが重複してしまいました。特に、本日午前中の永田議員とは、原稿をコピーしたのではないかと思われるのではないかと心配になるぐらい似ておりまして、重複部分を割愛したら質問は五分で終わってしまう可能性があります。
そこで、気持ちを思い直しまして、それだけ今の県政にとって重要な課題だと、だれもが考えていたんだと思い、私なりの思いを込めて質問いたします。
まず、
三位一体改革と県の対応について伺います。
三位一体改革で、国から地方への交付税、
国庫補助金等が大幅に減額されています。それでなくてもここ数年、国の税収減の影響で、交付金や補助金は減り続けていました。このような地方の現状にかんがみ、全国知事会が国に申し入れされた文章がありましたので、読まさせていただきました。須賀知事も十分承知されている申し入れですが、地方で苦悩されている知事の怒りにも似た叫びがこの文章にあらわれています。私は、何回もうなずきならが、一節一節に、そうだ、そうだと声を発しながら読みました。
一部を紹介しますと、こう書いてあります。
平成十六年度の
三位一体改革は、
三位一体改革のそもそもの理念や趣旨が財政当局を初めとする政府、各省庁に全く理解されておらず、また国の財政再建が優先され、本来の地方分権推進のための
三位一体改革にはほど遠い内容であると言い切っています。また三位一体の改革は、地方分権の理念、目的に基づき、あくまで三位一体で行われるべきであり、税源移譲等の財源措置を伴わない国の財政再建のみを優先した単なる国庫補助負担金及び地方交付税の削減は行われるべきではないとも言っています。また三位一体の改革は、地方公共団体、国民にいかなる影響を与えるのかを明らかにするためにも、単年度ごとにその場しのぎの数字のつじつま合わせで終結するのではなく、三位一体の改革の全体像と工程表を早急に示し、地方団体と協議すべきであると言っています。国に対しての知事さんたちの怒りに満ちた思いが表現されています。
地方団体と協議すべき国の窓口はどこなのか。地方の立場をよく知り、国の他の省庁、特に財政当局に対して、地方の壁になり、体を張って地方を守ってくれる省庁がなくなっています。私が地方政治に参加させていただいた二十数年前は、自治省がその役割を担っていると教えられていましたが、自治省はなくなりました。今、地方公共団体の窓口となるべき省庁はどこのなのか。本来の役割を果たしているのかと言いたくなってまいります。
さらに、全国知事会の申し入れを紹介します。
税源移譲については、平成十七年度の予算編成において、基幹税、つまり所得税、消費税のことでありますが、この基幹税による所要の規模の税源移譲を実行すること、また税源移譲等を前提とした国庫補助負担金の廃止を原則とすべきであることと言っています。さらに税源移譲等の財源措置を伴わない国の財政再建のみを優先した単なる国庫補助負担金の削減は行われるべきではないことと重ねて述べています。
また、国と地方の役割分担という観点から、地方公共団体が行うべきとされている事務事業及び住民サービスの提供に関する経費について、的確な財源保障を行うべきことは言うまでもないことであり、この点からも地方交付税の一方的な見直しは看過できないものであることとも述べています。
また、三位一体の改革により、公的部門のスリム化が図られたとの評価があるが、その実態は地方公共団体へのつけ回しによる削減に過ぎないと厳しく批判しています。
そこで伺います。
まず第一点として、本県の二〇〇四年度当初予算で、二〇〇三年度予算と比較して、
三位一体改革の影響と判断される歳入の減額は幾らになるか示してください。
また、税源移譲によって新たに歳入が増加した額は幾らになるかも示してください。
次に、国が
三位一体改革を実施する以前より、国の歳入減を理由に、地方交付税の減額が続いていたわけですが、本県への地方交付税は近年の最高交付年度と比較して、どの程度減少していますか。
また、本来、国が責任をもって財源を確保し、地方に渡すべき交付税でありますが、国は原資を確保できず、一部を地方に肩代わり借金させています。それが臨時財政対策債でありますが、この臨時財政対策債の本県分の残高は幾らになっていますか。
また、同様な理由で本県への国庫補助金も減り続けています。近年の最高交付年度と比較して、どの程度減少しているか伺います。
三位一体改革とはかけ離れ、国の財政再建が優先され、地方対策は後回しで、減額分を地方に押しつけ、地方が徴収できる税源は移譲されていない現実をはっきりしなければなりません。
これまでの我が党の代表質問や一般質問に対して、知事は、九州知事会や全国知事会への対応を述べてこられましたが、ここは地方政治の最高責任者として、長年苦労を強いられてきた須賀知事御自身の思いも込めて述べていただけたらと思います。
次に、中山間地域等直接支払制度の見直しについて伺います。
中山間地域等直接支払制度は、過疎、高齢化が深刻な中山間地域の営農の継続や荒廃農地の発生防止、集落の活性化に高い効果を発揮しています。このように地方では、事業の成果が高く評価され、事業期間が終わる二〇〇五年度以降の継続、制度の充実・強化が望まれている中で、五月には財務省の財政制度審議会が廃止を含め抜本見直しを建議しています。これを受けて財務省は、継続の是非や事業内容を厳しく査定する姿勢を示しています。一つの事業がその目的とする成果を十分に発揮して、高く評価されているわけで、単に財政的理由だけで廃止または縮小が検討されていること自体がおかしく、今や国には、我が国土、特に地方の条件の不利な地域を健全な状態で維持発展させるという理念はないのかと腹立たしい思いが生まれてきます。
さきの
三位一体改革で述べましたように、地方を守ることが使命であることを忘れた総務省と同様な対応を農林水産省が農村に対してとられないよう願うだけであります。
この中山間地域等直接支払制度が設立された目的と理念は、次のようなものでありました。
中山間地域が持つ多面的な機能は、そこに住む人々のみのものではなく、広く国民がその恩恵を享受しており、単なる一部地域の、一部の関係者のためだけにできた制度ではないということです。私は昭和五十八年に当時の農林水産省構造改善局の方に質問したことがあります。ヨーロッパ諸国が条件不利地域で農林業を中心に生活している人に支給している所得補償制度デカップリングを日本でも導入できないかと聞いたのです。そのときの答えは、一部地域の特定の人に所得補償として補助金を出すのは、一般消費者や都市住民の理解を得るのが難しく、ヨーロッパ並みの国民的理解を得るにはあと五十年以上、百年はかかるでしょうねという答えでした。それが二十年後には、中身に不満はたくさんありますが、我が国でも始まっていたのです。ところが実施後二、三年過ぎたら、単に財政上の理由でやめると言い出しています。悲しくなります。
そこで伺います。
まず二〇〇三年度の本県における中山間地域等直接支払制度の実績はどのようになっていますか。
また、私は二〇〇五年度以降も事業を継続すべきという強い思いがありますが、県の考えと国に対する対応について伺います。
さらに、対象農用地の要件を緩和することや地域の特性に応じた取り組みができるように内容を充実強化することも望んでいますが、県の考えを伺います。
次に、今検討が始めれらたばかりの大規模経営育成対策の目的で設置されようとしている直接支払制度について伺います。
国には、WTO、FTAなどの進捗によっては、海外からの輸入農産物が増加する見通しがあることや、それを受けて日本から海外へ輸出できる農産物の生産と、経営体の育成が必要との考えから、大規模経営農家を育成する目的で、新たな直接支払制度が検討されています。今WTO、FTAは、我が国の最重要課題になっています。私たちは、一歩も譲るなという思いで農政運動を続けていますが、輸入農産物の関税の引き下げや、輸入枠の拡大は進むという残念な予測があります。特にFTA交渉の当面の相手国であるメキシコが重視している農産物は第一が豚肉であり、次にはオレンジジュースであります。また次のFTA交渉相手国になっているタイが重視している農畜産物は鶏であり、タピオカでん粉であります。いずれも本県を直撃する作物であります。全国的に見ても本県だけが直撃を受ける作物であります。国がある時点で妥協してから、本県農業対策を模索しても遅すぎます。そこで今、国が検討しようとしている力強い経営体を育てる目的の、この新しい制度を県はどうとらえ、政府の取り組みに対して、どう対応する考えか伺います。
[
知事須賀龍郎君登壇]
42 ◯知事(須賀龍郎君) まず、三位一体に対する国への対応でありますけれども、国におきましては、去る六月四日に、経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四が閣議決定され、
三位一体改革の全体像の決定に当たりまして、地方の意見に十分耳を傾けること、税源移譲はおおむね三兆円規模を目指すこと、国庫補助負担金改革につきましては、地方がとりまとめた具体案を踏まえること、地方交付税については、地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額を確保することなどが盛り込まれたところであります。今後平成十八年度までの
三位一体改革の全体像をことしの秋に明らかにし、年内には決定するということでありますが、県といたしましては、今後とも全国知事会並びに九州地方知事会などとも十分連携を図りながら、あらゆる機会を通じまして、交付税の財源調整・財源保障機能の確保につきましては、引き続きまして国に対し、強く主張してまいりたいと考えております。
次は、中山間地域等直接支払制度につきましては、
学識経験者や消費者等で構成しております県の検討委員会や集落代表者等へのアンケートでも高く評価され、制度の継続が強く望まれているところであります。
また、対象農用地が一ヘクタール以上という団地要件につきましての弾力化や畑の交付単価及び傾斜基準の見直しが求められているところであります。このようなことから県といたしましては、引き続きまして、県開発促進協議会や九州地方知事会等を通じまして、来年度以降の制度の継続とあわせまして、畑の交付単価及び傾斜基準の見直し、一段の農用地の要件緩和など内容の充実強化が図られますよう、国に対しまして強く要請してまいりたいと考えております。
43 ◯総務部長(境 勉君) 平成十六年度当初予算編成におきましては、
三位一体改革に伴う地方交付税等の削減が三百十五億円、国庫補助負担金の廃止・縮減に伴う本県への影響額が八十七億円程度となっているところでございます。
一方、国庫補助負担金の廃止・縮減の対象事業のうち、税源移譲予定特例交付金及び所得譲与税により移譲される額につきましては六十四億円程度と見込んでおりまして、その残る額につきましては地方交付税により対応されることとなっております。
平成十六年度当初予算編成における地方交付税等につきましては、平成十年度以降の最高額である平成十五年度の額に比べまして、年間見込みで三百十五億円減少しているところでございます。
また、臨時財政対策債の残高につきましては、平成十五年度末で八百二十二億円程度となっているところでございますが、その元利償還金については、全額交付税で措置されることとなっております。
平成十六年度当初予算における国庫補助負担金の計上額につきましては、同じく平成十年度以降の最高額であります平成十二年度の額に比べまして約四百四十七億円減少しているところでございます。
44 ◯農政部長(山田裕章君) 本県の中山間地域等直接支払制度につきましては、平成十五年度は七十五市町村において、集落協定数が一千十二件、協定面積約八千三百六十ヘクタールで取り組まれており、約九億三千五百万円の交付金を見込んでおります。県内ではこの交付金を活用いたしまして、集落での共同作業の実施、機械の共同利用による農作業受委託などが行われております。本制度への取り組みが地域ぐるみの営農活動に大きく貢献しているところでございますし、既存組織の活動が活性化するなど、地域によりましては、新たな組織が発足するなど、集落営農への取り組みが進みつつあるところでございます。
次は、大規模経営育成対策の直接支払制度についてでございます。
現在、国におきましては、食料・農業・農村基本計画の見直し作業の中で、北海道や東北に代表されます大規模な水田営農や畑作などを視野に、担い手への施策の重点化・集中化と従来の個別品目ごとの価格支持政策から、担い手に対します品目横断的な政策への転換などについて検討がなされております。
近年、本県農業・農村を取り巻く環境は、WTO農業交渉の進展、高齢化や担い手不足の進行、耕作放棄地の増加など厳しい状況にありますことや、農家一戸当りの経営耕地面積が北海道や東北に比べて小規模でありますことから、県といたしましては、品目横断的な政策への転換の検討に当たりましては、これまで品目別価格政策が果たしてきた役割、それから地域の実情等に十分配慮されるよう、県開発促進協議会等を通じて、国に対しまして強く要望してまいりたいと考えております。
[宇田隆光君登壇]
45 ◯宇田隆光君 それぞれ答弁いただきました。
答弁に対します要望等につきましては、後ほど述べることにしまして、質問を続けさせていただきます。
次に、公共事業費の削減と建設業界の苦悩、さらに建設業の経営革新、新分野進出による活力ある地域の創造について伺います。
この件についても何人かの方が質問されました。そこで私は、建設業の経営の現状と公共事業費の削減がもたらす地域活力への影響の角度から伺います。
水田を二、三反つくりながら建設現場に行く。牛を二、三頭飼いながら大工さんとして建築現場で働く。生コン車の運転で生計を支える息子夫婦を中心に親、子、孫の三世代が生活している。つまり公共事業費削減による建設業問題は、建設業界だけの問題ではなく、地域の農業、集落の維持・活性化の問題であるのです。単に建設業救済、経済効果のためだけに公共事業費の確保を言っているわけではないのであります。また、公共事業そのものを批判的に言う声がありますが、私はむだな公共事業はないと常に思っております。公共事業の工法の検討を初め、コストを落とす努力の余地はあると思いますし、これは永遠に追求し続ける必要があるという課題だと思っています。しかし国も県も市町村も財政難の中、大幅な公共事業費の削減を続けています。本県でも公共事業の発注量、事業費の急激なかつ大幅な減少が続いています。
そこで、まず県発注工事の近年の推移をケース、事業費別に示してください。
また、国、県、市町村発注、民間発注工事を含む本県建設関連業者の受注量はどの程度の減少になっていると判断しているか。数値として把握することは難しい面もあると思いますが、調査されている範囲でよろしいですので示していただきたい。
また、建設業界が厳しい経営を強いられている中、建設業の経営革新、新分野進出による活力ある地域の創造を目指して、県は国の
地域再生計画に基づく申請をなされましたが、この計画の基本的な考えと今後どのように指導、支援していく考えか伺います。
最後に、教育委員会に伺います。
スポーツ振興の視点から、中学校、高校の職員採用、異動等に配慮してほしいという思いをこれまでも訴えてきていますが、県教育委員会の基本的な考え方について、またどのように配慮されたか伺います。
例えば、中学校で、一日二時間、年三百日練習したとしたら六百時間を部活動に費やしているわけです。部活動の先生は、どの教科の先生より生徒たちと接する機会が多く、指導している時間も長いのです。スポーツ種目競技では、人間育成と同時に勝つこと、強くなることを教えます。そして特に高校スポーツではインターハイ、国体の上位入賞を求めています。しかしその底辺づくりには努力も工夫も感じられず、スポーツ関係者は何かむなしさだけを感じています。
そこで、まず学校教育におけるスポーツ、部活動の位置づけと効果をどのように考えているか伺います。
次に、前年度まで県内であるいは全国的に優秀な成績を上げている学校に、教職員の異動により専門の監督がいなくなる事例は山ほどあります。また優秀な指導者がその種目がない、設立も難しい学校に配置されるなどの例も山ほどあります。このことに関しても配慮してほしいという現場の願いを、たびたびスポーツ振興議連の議員から申し入れてきていますが、今回の職員の異動ではどのような配慮がなされたのか伺います。
また、前年度、また近年と比較して、配慮された成果があるのか。実施例、善処された成果を示していただきたい。
また、県内のスポーツ関係者と学校現場の関係者は、優秀な指導者の確保を望んでいますが、ことし配置された新規採用者の採用では、どのような配慮がなされたか伺います。
また、新規採用の試験において、部活指導の意思を面接等で確認したことはないか伺います。
最後に、学校職員以外の指導者等の活用について、近年どのような実績があるか。実施数と変化を数値で示していただきたい。
46
◯土木部長(加藤憲一君) 県におきます最近五カ年の公共事業の発注状況でございますが、最も多かった平成十一年度が件数で九千五百五十一件、工事費で二千六百九十六億二千三百万円となっております。平成十五年度はこれに比較しますと件数で八一・一%の七千七百四十七件、工事費で六六・三%の千七百八十七億一千五百万円となっております。
また、県内における最近五カ年の建設投資額は、国土交通省の建設総合統計によりますと、最も多かった平成十一年度が一兆六百五億円となっており、平成十五年度はこれに比較しますと八〇・二%の八千五百億円となっております。
今回、申請いたしました
地域再生計画は、経営革新や新分野進出に取り組もうとする建設業者を支援することによりまして、建設産業の経営体質の強化や雇用の維持・拡大などを通じて、地域の活性化を図ろうとするものでございます。
地域再生計画の円滑な推進を図るため、国の支援措置であります経営革新方策の調査・検討に対するモデル事業や新分野進出の手法などについて助言を行います建設業再生アドバイザーの適切な活用を図りますとともに、庁内の関係課、中小企業団体等で構成いたします支援チームを設置いたしまして、建設業者からの相談に対応することといたしております。今後、認定になり次第、この計画の円滑な推進を図り、県内建設業者の経営安定と地域産業の振興に努めてまいりたいと考えております。
47 ◯教育長(福元 紘君) 運動部活動の位置づけと効果についてでございますが、学校における運動部活動は、学校教育活動の一環として行われておりまして、生徒がより高い水準の技能や記録に挑戦する中で、健康の増進と体力の向上を図ることはもとより、スポーツの楽しさや喜びを味わうとともに、みずからを律し、ルールを守る心、それからお互いに協力する心、仲間を思いやる心、目標を持って挑戦し、最後までやり遂げる心を培うなど、心豊かでたくましい人間を育成する上で極めて重要な役割を担っております。
このような運動部活動は、学校を活性化し、生徒がいきいきとした学校生活を送るようになるなど、教育活動に大きな役割を果たしていると考えております。
中・高等学校における部活動指導者の異動に当たりましては、これまでも競技力向上など、スポーツ振興にも配慮しながら、全県的な立場で人事異動を行い、特に競技力の維持・向上のための指導者を必要とする学校には、すぐれた実績を有する者を配置してきております。また後継者が得がたい場合は、標準勤務年数を超えてもとめ置いたり、校種間交流によりまして、他の校種から異動させたりするなどしまして、部活動指導者の確保に努めてきております。今年度もこのような考え方に立ちまして、各学校の教科構成を考慮した上で人事異動を行ったところであります。今後ともスポーツの振興により、学校や地域の活性化が図られるよう、各学校の実情を十分に把握しながら、きめ細かな配置に努めてまりいたいと考えております。
教員選考試験におきましては、すべての受験者が願書にスポーツ歴や部活動経験を記入することとなっておりまして、個人面接において、部活動指導への意欲や情熱等について全員に確認しております。特に保健体育科教員の採用に当たりましては、全国レベルの実績を持つ受験者には、実技試験を免除し、すぐれた競技力を有する者や優秀な指導者の確保に努めております。また保健体育科以外の教科におきましても、本年度は柔道、テニス、バレー、野球などの種目で全国レベルの実績を持つ者を採用しております。今後とも、意欲と情熱にあふれ、各競技種目に実践的な指導力を有する教員の確保に努めてまいりたいと考えております。