鹿児島県議会 2004-06-07
2004-06-07 平成16年第2回定例会(第2日目) 本文
↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午前十時開議
△ 開 議
◯議長(川原秀男君) ただいまから、本日の会議を開きます。
本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。
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議 事 日 程
一、開 議
一、代表質問
外 薗 勝 蔵 君
桐 原 琢 磨 君
一、散 会
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△ 代表質問
2 ◯議長(川原秀男君) 代表質問であります。
外薗勝蔵君に発言を許可いたします。
[外薗勝蔵君登壇](拍手)
3 ◯外薗勝蔵君 平成十六年第二回定例県議会に当たり、
自由民主党県議団を代表して質問を申し上げます。
去る五月二十二日、小泉総理は、日朝関係の打開という大局的見地から訪朝し、両首脳は、日朝平壌宣言を履行していくことを改めて確認したところであります。全体として意義ある成果が得られたものと評価するものであります。
拉致問題については、被害者の御家族五人が総理とともに帰国できたことは、大変喜ばしいことであると同時に、曽我ひとみさんの御家族についても一日も早く再会できるよう願うものであります。
一方、本県出身の市川修一さん、増元るみ子さんなど十名の安否不明者については、新しい情報が得られず、御家族にとっては落胆も深かったと思うのであります。安否不明者の調査については、北朝鮮側が本格的な再調査を行うことを約束しており、今度こそ国民が納得できる結論が得られるまで引き続き全力を尽くしていただきたいと思います。
今後、今回の訪朝が契機となって、
正常化交渉再開に向けての協議が行われ、
日朝国交正常化実現へと前進していくことを望むものであります。
ところで、イラクにおいては、復興の妨害となるテロや戦闘が続き、また、イラクの武装勢力により民間の日本人が誘拐される、日本人の
フリージャーナリストが殺害されるなど世界が望んでいるイラクの復興と平和を回復する歩みは、決して平たんでないようであります。
国際社会は結束して、イラク国民の手による新しい政府を一日も早く樹立するため、粘り強く努力されることを期待するとともに、イラクに派遣されている自衛隊の皆様が復興のため安全に任務を遂行されることを祈るものであります。
また、夏の参議院選挙の前哨戦として注目されました
衆議院統一補欠選挙において、我が党公認の森山裕候補が圧倒的な得票で当選いたしました。この結果は、我が党に対する有権者の信頼と期待のあらわれと真摯に受けとめ、御支援をいただきました皆様に心から感謝を申し上げます。
さて、我が国の景気は、小泉改革の推進により、徐々に回復しつつありますが、本県のような地方に目を向けるとどうでしょうか。
最近の新聞報道によりますと、地方の景気にも明るさが広がり始めたものの、今回の景気回復を引っ張っている輸出型産業の集積度が低く、公共事業削減の影響を受けている地方や、中小企業の割合が高い地方の景況は、総体的に厳しいとしております。
また、国が進めている三位一体改革の中で、本県など全国の自治体では、厳しい財政状況に直面するなど私ども地方の実情は厳しいものがあります。
この三位一体改革をめぐり、全国知事会など地方六団体は、去る五月二十五日、「
地方財政危機突破総決起大会」を開き、補助金削減に先立つ税源移譲と地方交付税の維持を強く求めたところであります。
このほど決定いたしました骨太の方針第四弾が、地方の自立と再生につながることを望むものであります。
このような動きを背景に、以下、当面する県政の課題について質問いたしてまいります。
まず、行財政問題についてお尋ねいたします。
地方の権限と責任を大幅に拡大し、歳入歳出両面で地方の自由度を高めることで、真に住民に必要な行政サービスを地方が、みずからの責任で自主的、効率的に選択できる幅を拡大するとともに、国・地方を通じた簡素で効率的な行財政システムの構築を図るという三位一体改革の考え方、そのねらいは正しいと思うのであります。
しかしながら、十六年度の国の予算編成における三位一体改革は、国の財政再建が優先され、本来の地方分権推進のための改革にはほど遠い内容にとどまるものと言わざるを得ないのであります。
十七年度以降も三位一体改革の名のもとにこのような地方交付税等の大幅削減のみが行われた場合、十六年度当初予算一般会計において、依存財源が七二・五%という本県にあっては、特殊事情を有する行政サービスを求められる自然的・社会的諸条件が厳しい離島を抱え、また、過疎・高齢化が急速に進む中、県民に求められる県としての役割を持続的に果たしていくことが困難になるおそれがあります。
そこで、第一点は、三位一体改革二年目に向けた知事のお考えをお伺いいたします。
また、十四年度普通会計決算における市町村の依存財源の割合は、最も高い三島村が九二・八%、最も低い鹿児島市で四九・七%となっておりますが、都道府県以上に地方交付税等の依存財源に頼っている多くの県内市町村にあっては、三位一体改革の影響がさらに大きいものと考えざるを得ません。
平成十六年度の当初予算編成において、財源の確保に苦労した市町村が多く、約六割程度の団体が昨年に比べマイナスの予算になったとお聞きしております。
そこで、第二点は、三位一体改革に伴う
市町村財政運営について、県はどのように取り組んでいくのかお聞かせください。
第三点は、産業廃棄物税及び森林環境税の創設についてであります。
平成十四年三月策定の
県廃棄物処理計画によりますと、平成十八年度の県内の産業廃棄物の総排出量は九百二十四万九千トンと推計され、平成十三年度に比べ二%程度増加すると予測されておりますが、生活環境の保全を図り、地球環境への負荷を低減させるためには、さらに産業廃棄物の排出抑制、減量化、リサイクル等の推進を図る必要があります。
また、本県の森林面積は約五十九万ヘクタールであり、県土の六五%を占めております。
水資源の涵養や山地災害の防止、
地球温暖化防止など森林の持つ公益的機能を将来にわたり、維持・増進していくことが必要であります。県においてもこれらの観点から、これまで循環型社会の形成や森林の広域的機能の維持・増進のための税制の導入に関する構想等を発表してきたところであり、その構想等に対する県民や関係団体等の意見などを踏まえて、今般、
産業廃棄物税条例及び
森林環境税条例の制定について提案がなされたと承知いたしております。
なお、産業廃棄物が県境を越えて移動するため、広域的に対応するとして、九州七県が共通の制度として一斉に導入することを高く評価するものであり、条例が制定されますと徴収の準備に進むことになりますが、税額の未納や滞納を防ぐとともに、産業廃棄物税については、税の創設により不法投棄の増大につながることのないような意識啓蒙や徴収体制、さらには監視体制の強化も必要であると思うのであります。
そこで、それぞれの税について、税収の規模と使途を明らかにするとともに、徴収体制づくりをどのようにするのかお伺いいたします。
次に、市町村合併についてお尋ねいたします。
現在、県内では、二十二の
法定合併協議会、一つの
任意合併協議会が設置され、八十七市町村が参加している状況であります。
その中で、去る四月五日に川薩地区の一市四町四村が四月八日には、鹿児島地区一市五町が県に廃置分合申請を提出され、薩摩川内市については、四月二十八日付で市制施行に係る総務大臣の同意が得られたことを受け、今議会に鹿児島市とあわせて二件の廃置分合についての議案が提出されているところであります。
一方で、一部の市町村においては、合併協議会から離脱する動きや新たな
法定合併協議会の設置を問う住民投票が行われるなど合併に向けた動きが混沌としている事態も生じております。
このような状況において、市町村合併のトップを切って廃置分合申請を行った薩摩川内市、鹿児島市の動向は、他の合併協議会の今後に影響を与えるものと思うのであります。
そこで、第一点は、県として両市の合併が順調に行われるようどのような支援を行っていくのかお尋ねいたします。
また、県内には単独を表明している団体や合併の態度を明らかにしていない団体がありますが、国や地方を取り巻く厳しい財政環境の中で、果たしてこれからもこれらの団体が住民の期待にこたえる行政サービスを提供できるのか、大変憂慮されるところであります。
そこで、第二点は、今国会で成立した新
市町村合併特例法に基づき、知事が
合併協議会設置を勧告できることになったことを踏まえ、県は単独を表明している団体があることの現実をどのように受けとめ、今後どのように対処されるのかお答えください。
次に、防災対策についてお尋ねいたします。
本県は、地理的・自然的条件から、これまで集中豪雨や台風等により大きな被害を受けております。このような中にあって、県民みずからが自分の身は自分で守るという防災意識を持つよう指導・啓発することは非常に大切なことであります。
しかしながら、本県の自主防災組織の組織率は、平成十五年四月一日現在において三九・八%であり、全国平均の六一・三%を大きく下回っております。
また、二十一世紀新
かごしま総合計画における平成二十二年度の組織率目標は七〇%とされております。
そこで、第一点は、県内における自主防災組織の組織率の向上に向けた取り組みについてお聞かせください。
また、県では、災害の未然防止のため、
土砂災害発生予測情報システムの導入や
砂防事業等調査事業に取り組んでいるほか、平成十六年度からは新規事業として、
洪水予報システム整備事業に着手されるなど各種施策を推進しておりますが、今後とも県民の生命、財産を守るため、災害に強い安全な県土づくりの施策を強力に進める必要があると思うのであります。
そこで、第二点は、今後、
土砂災害防止対策と
住宅浸水被害解消対策をどのように推進するのかお聞かせください。
次に、警察行政についてお尋ねいたします。
近年、我が国では、犯罪件数が急激に増加し、つい先日、長崎県の小学校における同級生殺人事件の発生などその内容も凶悪化、低年齢化するなど治安は悪化の一途をたどり、国民の日常生活における安心・安全が脅かされております。
こうした中、犯罪被害者は、事件の当事者でありながら、刑事司法から除外されているなど、長い間、犯罪被害者とその家族は大きな痛手を受けながら、社会的に放置され、孤立し、正当で十分な支援制度もなく、極めて深刻な状態に置かれ、精神的・経済的苦痛を強いられているのが現状であります。
警察では、現在、
犯罪被害者給付制度の拡充、相談室の設置、相談窓口の開設や専門家によるカウンセリングの実施など犯罪被害者の支援に積極的に取り組んでいるところであります。
一方、犯罪被害者などからは、被疑者、被告人が重視されることを是正し、犯罪被害者の権利を認め、経済的・精神的支援など被害回復のための支援をより充実する声が高まってきておりますが、第一点として、これをどのように受けとめているのかお伺いいたします。
また、警察等法の執行機関による被害者支援には限界があり、多様な被害者のニーズにこたえていくためには、
民間支援ボランティア団体のような被害者やその家族が気軽に安心して相談できるような団体の存在が求められております。
このような民間支援団体の設立に当たっては、スタッフ面の整備はもちろんでありますが、被害者からの相談を受ける施設面とともに、運営に当たってのマネジメント面での基盤整備が不可欠であると思うのであります。
また、九州各県におきましては、県警察本部が中心となり、
犯罪被害者民間支援団体が設立されていると聞いております。
そこで、第二点は、本県における犯罪被害者への民間支援団体の状況についてお答えください。
次に、奄美群島の振興開発についてお尋ねいたします。
奄美群島の振興開発については、昭和二十八年、日本へ復帰して以来、数次の法改正に基づいて、これまで奄美群島の基礎条件を改善することを目的に各般にわたる施策、事業が実施されてまいりました。
奄美群島振興開発特別措置法は、本年三月末で期限が到来することとなっておりましたが、地元市町村などと一体となって、法に基づく特別措置の延長に向けて、国に対して強く要請したところ、去る三月に同法の五年間の延長が実現いたしました。
このことは、既に各位御案内のとおりであり、実に喜ばしいことであります。この改正法は、奄美群島の自立的発展に向け、地元の発意、創意工夫を発揮できるものとなっており、このため、地元市町村が計画案を作成し、県が計画を策定することに改正されております。
これを受けて現在、県においては、新しい
奄美群島振興開発計画を策定中でありますが、知事、これまでの計画と比較してどのような点に配慮し、策定されるお考えかお尋ねいたしますとともに、奄美に対する知事の熱き思いをお聞かせください。
次に、県内の交通政策についてお尋ねいたします。
まず、奄美交通の撤退問題についてであります。
今回の奄美交通の事業撤退は、島民生活に対する影響が大きいだけでなく、観光振興、産業活動などにも大きな打撃を与えるものであります。
また、事業撤退に伴い失業する従業員の雇用対策もまた、重要な課題であります。
県内におけるバス路線は、輸送人員が年々減少してきており、当然ながら私どもも地方バス路線の経営は厳しい状況であると再認識しているところであります。
このような厳しい経営状況等を踏まえつつも、島民の生活を守るためには、
奄美大島バス対策協議会を中心に一日も早く路線確保の方向が示されることを期待するものであります。
そこで、第一点は、奄美交通の撤退問題の現状と今後の県の対応についてお尋ねいたします。
第二点は、薩摩・大隅半島間の航路問題に対する県の考え方についてであります。
両半島南部を結ぶ航路については、平成十四年九月三十日をもって、山川・根占フェリーが廃止され、以来二年近く航路が途絶えたままとなっております。その間、関係市町で構成する連絡協議会において、第三セクターによる運航を初め、さまざまな検討がなされてまいりましたが、意見がまとまらず、現在は、山川町、根占町二町において山川・
根占航路調査研究会を発足させ、航路再開に向けて対象船舶の調査等を進められていると聞いております。
こうした中、昨年十一月には、県内の民間事業者が大根占・
指宿フェリー航路開設計画を発表、また、先般三月末には、県と
いわさきコーポレーションとの間における根占港県有地における港湾施設撤去問題で、
いわさきコーポレーション側が、根占─指宿─鹿児島を結ぶ新航路計画を検討している旨の意思表示があったとして、施設の使用・占用許可期限を一年間延長したとの新聞報道がなされました。
折しも三月十三日には、
九州新幹線鹿児島ルートが一部開業し、今後、県外の観光客の誘客に向け、種々の方策を推進するとき、両半島の観光地を結ぶフェリー航路は、大きなポイントとなることはもちろん、地域の振興を図るための重要な交通路線でもあるのであります。
そこで、薩摩・大隅半島間の航路問題について、最近の動向と県の考え方をお伺いいたします。
[知事須賀龍郎君登壇]
4 ◯知事(須賀龍郎君) 平成十六年度の三位一体改革につきましては、地方財政計画の歳出全体の抑制に伴いまして、地方交付税等が大幅に削減されますなど、本県はもとより、各地方自治体にとりましても大変厳しいものとなったところであります。
県といたしましては、今後もこのような交付税等の削減のみが行われました場合は、県としての役割を持続的に果たしていくことが困難になるおそれがあると考えておりまして、平成十七年度以降の三位一体改革におきましては、地方の意見が反映されるよう、
九州地方知事会におきましては、去る五月十九日に緊急決議を行い、また、全国知事会におきましても、五月二十五日に国に提言をそれぞれ行ったところであります。
この五月二十五日には、
地方自治体関係者七千六百名が参加いたしまして、「
地方財政危機突破総決起大会」も開催されたところであります。
国におきましては、去る六月四日に「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四」が閣議決定をされておりますが、これは、三位一体改革の全体像の決定に当たりましては、地方の意見に十分耳を傾けること、税源移譲はおおむね三兆円規模を目指すこと、
国庫補助負担金改革においては、地方が取り決めた具体案を踏まえること、地方交付税につきましては、地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額を確保することなどが盛り込まれたところであります。
今後、平成十八年度までの三位一体改革の全体像をことしの秋には明らかにし、年内には決定をすることとされておりますが、県といたしましては、今後ともあらゆる機会を通じまして、地方の実情を十分考慮の上、地方交付税の財源調整・財源保障機能を確保することなど、引き続きまして国に対しまして強く主張してまいりたいと考えております。
今国会で成立いたしました市町村の合併の特例等に関する法律におきましては、総務大臣が定める基本指針を踏まえまして、県が市町村合併に関する構想を策定し、その構想に基づいて
合併協議会設置等の勧告を行うことにより、合併を推進することとしておりますが、これはあくまでも自主的な合併を推進するためのものとされております。
県内の市町村におきましては、自主的な判断として、合併をしないという意向を表明されている市町村も一部には見られますが、県といたしましては、これらの市町村に対しましては、将来にわたって行政サービスを維持・向上するため、社会経済情勢の変化に対応できる行政体制のあり方や将来の財政見通し等を地域住民の方々に対して十分説明し、適切に対応していただくよう助言しているところであります。
市町村合併は、地域のあり方にかかわる重要な問題でありますことから、今後とも関係市町村の意見も十分お聞きしながら、地域における自主的な合併の取り組みを積極的に支援してまいりたいと考えております。
次は、奄美問題でございますが、改正されました
奄美群島振興開発特別措置法では、奄美群島の自立的発展に資することが法の目的に明記されますとともに、これまで不利性としてとらえられてまいりました地理的・自然的条件など奄美群島の特性を優位性として伸ばしていくという方向性が示されたところであります。
また、地域住民の意思を地域振興に反映させるため、島ごとの特性の違いを踏まえまして、地域の個性と創意を生かした地元の自助努力によります主体的な地域づくりを行うこととし、地元市町村が計画素案を作成し、県が計画を策定することとなったところであります。
このため、計画の策定に当たりましては、法に基づき、国が定めた基本方針を踏まえまして、奄美群島の自立的発展に向けて、温暖な気候や豊かな自然、個性的な文化など奄美の魅力や資源を活用した施策の展開に配慮いたしますとともに、地域の創意工夫によりますソフト施策も積極的に取り入れますなど地元市町村と緊密な連携を図りながら、それぞれの島ごとにその特性に応じた振興開発が図られるよう計画を策定してまいりたいと考えております。
奄美に対する私の思いでありますけれども、昭和二十八年に奄美群島が日本に復帰いたしました当時、私は、県職員として復興予算の編成に携わり、これまで五十年以上にわたりまして奄美に深くかかわってきたところであります。
振り返りますと、復帰当時の奄美群島は、八年間の行政分離のために戦災後の復興は進まず、道路、港湾等の公共施設の整備もおくれ、本土との交易が途絶えていたことなどから、経済状況も深刻な状況でありました。
復帰後、五十年経過いたしました今日、各島に空港が設置され、港湾は大型船舶が接岸可能となり、道路も国・県道のトンネルを初めとして整備が着実に進んでおります。
また、ウリミバエの根絶、農業試験場、農業用地下ダム、
大島紬技術指導センター、県立大島病院、奄美振興会館、奄美パークなど交通、産業、生活環境等あらゆる分野におきまして目覚ましく整備が進んできていると考えております。
さらに、昨年は、天皇皇后両陛下の御臨席のもとに、
奄美群島日本復帰五十周年記念式典が盛大に開催され、また、両陛下には、このように発展を遂げてまいりました奄美を御視察いただき、温かいお言葉を賜ったところであります。
奄美群島は、人情味にあふれ、豊かな自然に恵まれており、また、特色ある歴史や文化も伝承されておりますほか、健康、長寿、癒しなど優れた特性を持っております。
今後は、地元の主体的・自発的な取り組みによりまして、このような奄美の特性を生かして、人と自然が共生する癒しの島づくりを進めていくことが、奄美のさらなる発展につながっていくものと考えております。
次に、奄美大島におけるバス事業につきましては、去る一月六日に
いわさきコーポレーション株式会社から、本年九月末をもって奄美大島におけるバス事業を廃止撤退するとの申し出がありましたことから、県といたしましては、地元市町村、民間団体と一体となりまして、奄美交通撤退後のバス路線の確保について鋭意協議を進めてきているところであります。
このような中におきまして、去る三月三十一日には、
奄美交通株式会社から、現在運行しております五十四系統のうち二十九系統と自治体から委託をされておりますすべての路線につきまして九月末をもって廃止する旨の届け出が国になされたところであります。
これを受けまして、地元七市町村長で構成しております
奄美大島バス対策協議会におきましては、奄美大島全路線の運行の確保について、
地元バス事業者等に要請するとの共通認識のもと、各市町村が一体となって取り組んでいくことが確認されたところでありまして、現在、本島内全域でのバス運行の具体化に向けまして検討を進めているところであります。
県といたしましては、今後とも地元市町村や民間団体と十分連携をとりながら、引き続きバス路線の確保に向けまして積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
5 ◯総務部長(境 勉君) 初めに、三位一体改革に伴う
市町村財政運営についてでございますが、本県市町村の平成十六年度の当初予算編成は、三位一体改革に伴う地方交付税等の大幅な減額によりまして、ほとんどの市町村が歳入歳出面での見直しを行った上、なお不足する分については、基金取り崩し等で対応するなど大変厳しいものとなったところでございます。
県といたしましては、このような厳しい状況を踏まえまして、市町村に対し的確な財政見通しに基づいた従来以上の徹底した歳出の見直し、自主財源のより一層の確保、
地域再生事業債や財政健全化債の活用などにつきまして助言いたしますとともに、国に対しまして地方交付税の財源調整・財源保障機能の確保や地方の実情を無視した一方的な削減を行わないことなどを引き続き強く主張してまいりたいと考えております。
産業廃棄物税の税収規模については、平年度ベース約一億円を見込んでおりまして、使途といたしましては、産業廃棄物の適正処理やリサイクルについての普及・啓発、公共関与による産業廃棄物処分場の整備推進などを考えているところでございます。
徴収につきましては、最終処分業者及び焼却処理業者による特別徴収としているところでございまして、これらの特別徴収義務者はもとより、排出事業者など納税義務者に対しましても、広く税制の周知を行いますとともに、不法投棄対策など産業廃棄物の監視指導の強化を図りまして、円滑な徴収に努めてまいりたいと考えております。
また、森林環境税の税収規模につきましては、本年三月の地方税法の改正によりまして、平成十七年度から個人県民税均等割の納税義務者が拡大いたしますことから、改めて試算いたしましたところ、平年度ベースで約三億八千万円の税収が見込まれるところでございまして、使途といたしましては、水源涵養や
地球温暖化防止に貢献する森林づくり、森林に学び、森林を育てるための普及啓発などを考えているところでございます。
徴収につきましては、既存の県民税と同様に個人については市町村に徴収していただき、法人については各法人から県に申告納付していただくこととしているところでございますが、県民や法人に税制の周知を図りますとともに、市町村との連携も一層強化いたしまして、確実な徴収を図ってまいりたいと考えております。
合併市町村に対する支援につきましては、県市町村合併支援プランに基づきまして、合併特例交付金の交付や市町村振興資金の無利子貸し付けを行うこととしておりますほか、市町村建設計画に位置づけられた県事業につきまして、事業の優先採択、重点実施などを行うこととしております。
また、生活保護事務など合併に伴い県から市に移管される事務につきましては、円滑な事務引き継ぎが行われますよう、地域の要望に応じまして、市町村職員の研修や県職員の派遣を行うこととしております。
川薩地区や鹿児島地区につきましても、これらの支援を基本に新市の意見もお聞きしながら、地域における広域的・一体的なまちづくりを積極的に支援してまいりたいと考えております。
本県の自主防災組織の組織率は、平成十五年四月一日現在で三九・八%でございまして、全国平均には及びませんが、九州平均は上回っておりまして、年々着実に組織率も上がってきているところでございます。
県といたしましては、これまでも自主防災組織の育成指針や活動事例集の作成、リーダー養成研修会の開催などを行いますとともに、「県政かわら版」等を通じまして、組織の重要性について広く周知を図りますほか、市町村合併に際しましても、自主防災組織の結成促進を図るよう要請を行ってきているところでございます。
今後とも防災研修センターを活用した自主防災組織の普及・啓発に取り組みますとともに、市町村に対しまして、その結成促進を強く要請いたしまして、自主防災組織の組織率の向上と組織の育成・強化に努めてまいりたいと考えております。
6 ◯土木部長(加藤憲一君) 本県は、災害に強い安全な県土づくりを県政の重要な課題といたしまして、各種の施策を進めているところでございます。
この中で、床上浸水対策特別緊急事業などによります河川改修、雨水貯留施設等の整備、急傾斜地崩壊対策事業などの砂防施設の整備などハードの対策に合わせまして、河川情報システムや
土砂災害発生予測情報システムによる市町村などへの情報提供などソフト対策の充実・強化に取り組んできたところでございます。
今後とも厳しい財政状況ではありますが、コストの縮減を図りながら、浸水被害の解消や土砂災害の防止など河川改修、ダム・砂防施設などの着実な整備を進めますとともに、気象台と共同で作成します洪水予報や土砂災害警戒情報の県民への提供及び土砂災害防止法に基づく警戒区域などの指定のための基礎調査を進めるなどいたしまして、総合的な災害防止対策の推進に努めてまいりたいと考えております。
7 ◯警察本部長(稲葉一次君) 犯罪被害者などの支援状況についてでございますが、犯罪被害者の方々の支援充実を求める声の高まりは、犯罪被害者支援の重要性を示しているものと真摯に受けとめております。
また、こうした声を背景といたしまして、国におきましては、既に犯罪被害者保護法等犯罪被害者保護のための二法の制定や犯罪被害者等給付金支給法の充実に努めているところでございます。
こうした立法活動の経緯や趣旨にかんがみまして、県警といたしましても、これらの法律を適切に運用いたしますとともに、各種施策の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
次に、民間支援団体の状況についてでございますが、犯罪被害者の多様なニーズに十分にこたえていくためには、議員御指摘のとおり犯罪被害者やその家族が安心して相談でき、きめ細かな援助を受けることのできる民間の犯罪被害者支援団体の存在が重要であると考えております。
全国では、三十三都道府県に、九州管区内におきましては、本県を除くすべての県に民間の犯罪被害者支援団体が設立されていると承知しております。本県におきましても、弁護士、臨床心理士、県警担当者等で構成いたします設立準備委員会を設置いたしまして、作業を進めているところでございます。
8 ◯企画部長(岡積常治君) 薩摩、大隅両半島を結ぶ航路につきましては、現在、山川、根占の両町で構成する山川・
根占航路調査研究会におきまして、対象船舶の調査を行うなど同航路の再開に向けた取り組みを進めているところであります。
こうした中で、大根占―指宿間において、民間事業者が小型フェリーを運航する計画があると聞いておりますが、いずれにいたしましても、航路問題につきましては、関係市町間でよく協議・調整がなされることが大事であり、県といたしましては、今後の状況を見きわめながら適切に対応してまいりたいと考えております。
[外薗勝蔵君登壇]
9 ◯外薗勝蔵君 三位一体改革についてでありますが、税源移譲については、補助金削減より先行して実施するとともに、地方交付税の見直しに当たっては、交付税制度が有する財源保障及び財源調整の両機能の堅持と必要な額の確保を行い、今後、地方公共団体の財政運営に支障を来すことのないよう、国に対して強力に要望していただくことを要請いたします。
防災対策については、総合防災訓練の実施や危険箇所の点検も必要なことではありますが、何よりも求められることは、自然災害による死者をゼロにするということであります。防災気象情報を避難にどう生かすかなどネットワークの構築をもう一度点検していただくようお願いいたします。
奄美群島の振興開発計画の策定に当たっては、県と市町村が密に連携するとともに、奄美地域の自立発展に向けた産業振興や人と自然が共生する島づくりなど奄美の人々による奄美の人々のための計画となるよう強く要請してやみません。
次に、高速道路等の整備促進についてお尋ねいたします。
本県の高速交通網の整備については、二十一世紀新
かごしま総合計画の主要プロジェクトに位置づけ、南九州西回り自動車道、東九州自動車道など高規格幹線道路、北薩横断道路、南薩縦貫道等の地域高規格道路の整備や高規格幹線道路へのアクセス道路等の整備促進に積極的に取り組んでいるところであります。
県内各地を結ぶ道路網の整備促進を図り、ネットワーク化することは、産業活動の拡大、県民生活での利便性向上などにつながり、ひいては県内各地域の活性化に波及し、県勢の浮揚発展に大きく寄与するものと認識いたしております。
しかし、平成十六年三月末における高規格幹線道路の供用率を見ますと、全国平均が約六一%であるのに比べ、本県の場合は約五〇%であり、道路別では、東九州自動車道路の供用区間が、加治木から末吉財部間の三十五キロメートルで、県内域九十一キロメートルにおける供用率が約三八%、南九州西回り自動車道については、供用区間が鹿児島市から市来間の二十二キロメートルで、県域九十キロメートルにおける供用率二五%と、大変低い状況にあります。
高速交通体系の整備について、これまで県は国に対し、道路特定財源の安定的確保はもとより、その建設スピードを緩めることなく、また、新たに地方の負担増を求めることのないよう、計画どおりの整備促進を要望してきたところであります。
そこで、第一点は、東九州自動車道と南九州自動車道の整備について、今後どのように進めていくのか、本年度の予算状況を含めてお聞かせください。
また、東九州自動車道の志布志―末吉財部間の整備については、新直轄方式による整備を選択し、昨年十二月二十五日に開催されました国土開発幹線自動車道建設会議で、新直轄方式による整備区間の第一次区間に決定し、南九州西回り自動車道については、県境―阿久根間及び川内―隈之城間の早期着工を目指し、去る三月から四月にかけて、住民への道路計画説明会が開催されたとのことであります。
そこで、第二点は、新直轄区間に決定した東九州自動車道の志布志―末吉財部間は、将来無料で供用されることが予想され、人の交流や物流の大幅な拡大により、大隅地域の地域、産業等の活性化に大きく寄与するものと期待されますが、南九州西回り自動車道についても地域間の交流・連携や産業・観光の振興などがより活発化する方策を講じることが重要であると思うのであります。県の考えをお尋ねいたします。
さらに、第三点として、活力ある県土づくりのためには、地域高規格道路の整備も重要でありますが、県の厳しい財政状況の中、北薩横断道路、都城志布志道路、南薩縦貫道等の地域高規格道路の整備を今後どのように進めていくのかお答えください。
次に、農業の振興策についてお尋ねいたします。
第一は、高病原性鳥インフルエンザ対策についてであります。
今回の鳥インフルエンザは、アジア各国のほか、米国、カナダでも発生し、一億羽以上の鳥が死ぬかもしくは処分されたと言われております。日本でも七十九年ぶりの山口県での発生以来、大分、京都と発生が相次ぎ、国民の不安を増幅させてきたところでありますが、自治体や農家など蔓延防止策の徹底で、ようやく約三カ月後の四月十三日に京都府が終息宣言を出すところまでになったところであります。
しかし、感染源が特定されていないことや感染源として疑われている野鳥でウイルスが検出されていることなどを考えますと、終息宣言はウイルスの根絶とは言えず、再び新たな感染がいつどこで起きてもおかしくない状況であると思うのであります。
本県は、鶏肉、鶏卵とも日本一の生産県であり、もし発生するようなことがあれば、本県農業は壊滅的な打撃を受けることは必至であります。
外国で高病原性鳥インフルエンザが発生し、注意が必要となっていた段階で、国は防疫マニュアルを作成し、自治体や農家に注意を促してきたところでありますが、いざ我が国で発生が確認されますと、想定外のことや制度上の不備が現実のものとなってきております。
特に京都の例では、出荷制限を受ける周辺農家への補償が定められていなかったことにより、届け出がおくれたのではないかという見方もあり、制度上の問題点も指摘されております。
また、鳥インフルエンザが発生した場合には、地方自治体において多額の財政支出を余儀なくされることとなり、大分県の例に見ますように、農家等への補償に当たりましては、国の基準だけでは賄えないところもあり、県単独の予算を措置しなければならない状況にもあります。
そのような中、政府は、防疫マニュアルの改定や鳥インフルエンザ緊急総合対策を示し、さらに、今国会において、家畜伝染病予防法の一部が改正されております。
そこで、第一点は、本県での発生防止対策と万一発生した場合の初動防疫体制について。
第二点は、蔓延防止措置により影響を受ける農家等に対する経営支援対策並びに地方自治体の防疫措置及び農家等の支援に係る財政負担についてお伺いいたします。
第二は、地域農業のシステム化と耕作放棄地の防止対策についてであります。
本県の農業の維持・発展を図るためには、地域の農業生産活動を補完・支援する組織やシステムの構築が重要となっており、新たな農業の経営体として、農業経営の法人化や農業特区を活用した企業の農業参入、市町村農業公社や農作業受委託組織、集落営農組織の育成等に期待を寄せているところであります。
そこで、第一点は、地域農業のシステム化について、現在の取り組み状況と今後の方針についてお示しください。
また、農業生産条件が不利な中山間地域等での耕作放棄地の発生を防ぎ、農業の持つ多面的機能を維持することを目的として、平成十二年度から中山間地域等直接支払制度が導入されております。
この制度においては、県は、集落等の取り組み状況を市町村からの報告に基づいて中立的な第三者機関において検討・評価し、国に報告することとしており、国は全体的な実施状況を踏まえ、五年後に制度全体の見直しを行うとしております。
農水省が発表した集落協定代表者への意向調査によりますと、耕作放棄地の防止や集落機能の活性化など制度を高く評価し、来年度以降の継続を強く求めているようであります。
そこで、第二点は、本県の中山間地域等直接支払制度の取り組み状況と事業継続の取り組みについてお尋ねいたします。
第三点は、原料用サツマイモの確保対策についてであります。
焼酎の増産とともにでん粉用も含めた原料用のサツマイモの供給不足が心配されております。今年度の作付が十五年度並みの作付とされた場合、五万二千トンが不足すると見込まれており、これは栽培面積に換算すると千七百ヘクタールの不足となっております。この対策として、農家ごとの作付面積の拡大や単収向上、遊休農地の活用や水田転作の導入、農業特区の活用や契約栽培等の取り組みが期待されているところであります。
そこで、ことしのサツマイモの作付も終盤を迎えておりますが、需要に見合う原料用のサツマイモの確保に向けて、どのような対策がとられているのか明らかにしてください。
第三は、食の安心・安全確保連携プロジェクトについてであります。
県では、消費者の食の安全に対する関心の高まりに対応し、県内で生産される農林水産物と製造・流通・加工食品に対する食の安心と信頼を確保するため、新たに食の安心・安全基本方針の策定や外部委員で構成する推進会議の設置、新たな認証制度の導入、食品衛生監視指導計画の策定など全庁的な取り組みで食の安心・安全確保連携プロジェクトを推進することとし、平成十六年度当初から着手しているところであります。
これまで外部委員で構成された安心・安全な食推進会議を四月十四日及び五月二十六日に開催されるとともに、基本方針の策定や新たな認証制度に対する県民の声も施策に反映させようと県のホームページ等を通じ、県民から意見を募集しております。
そこで、推進会議や今回実施された意見募集の結果などを参考にしながら、食の安心・安全基本方針の策定へ向け、作業を進めていると思いますが、基本方針の概要についてお聞かせください。
次に、林業及び水産業の振興についてお尋ねいたします。
第一は、県産材の利用促進についてであります。
県では、昨年から、地域の木材を使って、地域の工務店、建設会社等が住宅を建設するといういわゆる地材地建を推進し、かごしま材の家づくりを通して県産材の利用拡大を進めるとともに、JAS規格を満足する高品質な木材をかごしま材として認証する制度の創設や乾燥施設の設置など供給体制の整備に努めてきたところであります。
このような中、昨年九月に韓国の関係業者とかごしま材等の輸出協定が結ばれ、このたび、首都ソウルでかごしま材利用の木造住宅第一号が完成いたしました。
国産材の需要が伸びずに出口をふさがれた感のあった日本の林業界にとって、海外市場の開拓は久々に吹く温かい風となっており、今後の進展を大いに期待するところであります。
このような動きを背景に県では、平成十六年度の新規事業として、かごしま材輸出促進事業を行おうとしております。
また、農林水産省では、農林水産物輸出促進のPR活動や調査のため、総額八億円の予算を組んでおりまして、自治体レベルでは、農林水産物輸出促進都道府県協議会が発足するなど、農林水産物を輸出しようとする機運は各地で広がりを見せようとしております。
そこで、第一点は、かごしま材輸出に係る取り組みと今後の展開についてお伺いいたします。
また、第二点として、日本貿易振興機構は、日本と海外の地域間の交流を支援する事業として、鹿児島木造住宅協議会の住宅資材をテーマにした韓国ソウル市と周辺地域との交流を採択したと聞いておりますが、この支援の内容についてお答えください。
第二は、漁場整備と栽培漁業の推進についてであります。
我が国水産をめぐる状況は、周辺水域の資源の状況の悪化などから、漁業生産量はピーク時の半分の水準までに減少し、水産物の自給率は五割近くまで低下しております。
こうした中、漁業生産の維持及び増大を図るためには、漁獲量及び漁獲努力量の管理により、資源の回復を図る一方で、積極的な種苗放流の推進、魚礁の設置、増殖場の造成等により資源の培養を図るとともに、水質の保全、藻場や干潟の保護及び造成等により、漁場環境の改善を図ることが大変重要であります。
そこで、第一点は、昭和五十一年度から水産庁補助事業として沿岸漁場整備開発事業が開始され、本格的な魚礁設置事業が始まりましたが、この沿岸漁場整備開発事業により県が事業主体となって設置した魚礁の設置実績とその効果についてお尋ねいたします。
また、
奄美群島振興開発特別措置法の改正、延長の中で、産業振興策の一つとして、奄美水産資源有効活用推進事業を行うとされており、豊かな奄美の水産資源を有効活用し、栽培漁業などの効果的な推進を図るためには大変重要な事業であると考えます。
そこで、第二点は、この事業をどのように進めていくのか、お考えをお聞かせください。
[知事須賀龍郎君登壇]
10 ◯知事(須賀龍郎君) 東九州自動車道の志布志から末吉財部間につきましては、国と地方の負担で整備する新直轄方式を、本県といたしましては選択したところでありまして、平成十六年度は昨年度に比べまして三〇%増となります約五十二億円の予算が配分され、大隅から末吉財部間において、引き続き用地買収や橋梁下部工の工事などを進めることとしております。
南九州西回り自動車道につきましては、本年度は約百五億円の事業費が配分されておりまして、串木野から市来間が平成十六年度の供用、隈之城から串木野間が平成十八年度の供用を目標に、用地買収と工事が鋭意進められているところであります。今後、東九州自動車道につきましては、コスト縮減等に伴う設計見直しが終わりました区間から、順次地元との協議に入る予定であります。
また、南九州西回り自動車道の県境から阿久根間及び川内から隈之城間につきましては、できるだけ早く都市計画決定の手続を進めまして、整備計画区間への格上げが図られますよう、さらに努力してまいりたいと考えております。
県といたしましては、これら高速道路の整備は県勢の浮揚発展を図ります上で極めて重要であると認識しておりまして、道路特定財源の安定的確保などによります建設スピードが緩むことなく、国の責任において整備が着実に推進されますよう、県議会を初め県選出国会議員、関係団体の方々と一体となりまして、国に強く要請してまいりたいと考えております。
次は、食の安心・安全基本方針につきましては、消費者、生産者、製造・加工業者等食品事業者、学識経験者など三十一名の方々で構成する「安心・安全な食」推進会議におきまして現在御協議いただいているところでありますが、消費者に顔の見える農林水産業の推進、消費者の視点に立った食品安全対策の推進、消費者への正確で確実な情報の提供など、五つの基本的な考え方に基づきまして、生産段階から製造・加工、流通・販売段階における安心・安全確保対策、情報等の確実な提供、推進体制の整備などに取り組むこととしております。
具体的な施策といたしましては、監視指導・検査の充実、正確でわかりやすい情報の提供、食品表示の適正化の推進、新たな認証制度の導入、リスクコミュニケーションの推進、地産地消や食育の推進等を位置づけますとともに、さらには生産者、事業者及び行政の責務と消費者の役割につきましても明確にすることとしております。今後県議会の御意見等も伺いながら、七月中には決定したいと考えております。
県といたしましては、今後とも関係機関・団体等と連携を図りながら、かごしまの食の安心・安全の確保につきましては、さらに積極的な取り組みをしてまいりたいと考えております。
11 ◯土木部長(加藤憲一君) 東九州自動車道の志布志から末吉財部間につきましては、早期かつ着実な整備が期待できまして、地域の経済、産業などの活性化に大きく寄与すると考えられる新直轄方式による整備を選択したところでございます。
南九州西回り自動車道につきましても、川内市を初めとする五市六町を中心とした沿線地域において、農林水産物の安定供給や市場の拡大、鶴を初めとする恵まれた資源を生かした観光産業の振興など、一層の活性化を図りますためには、本自動車道の利活用を促進しまして、人と物の交流を活発化させることが重要であると考えております。このため、国などに対しまして、供用を目前に控えた川内道路を初めとしまして、今後供用される区間の無料化などにつきまして、現在要望をいたしているところでございます。
地域高規格道路は、高規格幹線道路と一体となって広域的なネットワークを形成する重要な路線でありますことから、現在、県事業として北薩地域と空港を結びます北薩横断道路、九州縦貫自動車道と中核国際港湾であります志布志港を結ぶ都城志布志道路、大隅半島を縦貫する大隅縦貫道、南薩半島を縦貫する南薩縦貫道の四路線につきまして、重点的に整備を進めているところでございます。
今後の整備につきましては、厳しい財政状況を踏まえまして、これまでの一律四車線を交通量に応じて二車線とするなど、地域の実情に合った効率的な整備を進めまして、事業効果の早期実現を図りたいと考えております。県といたしましては、今後とも人や物の活発な交流を促進し、県民の生活や産業活動を支えます高速交通ネットワークの早期整備に、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
12 ◯農政部長(山田裕章君) 高病原性鳥インフルエンザの発生を防止するため、県といたしましては、養鶏農家等に対し、鶏舎などの消毒や立ち入り制限の徹底、野鳥等の侵入防止対策を呼びかけますとともに、県内へのウイルスの侵入状況を監視いたしますため、平成十二年度からは鶏ふんのウイルス検査を、平成十五年度からは血液検査等を実施いたしております。また、今回の国内での発生に伴い、養鶏農家への立ち入り検査や定期的な死亡状況報告を求めるなど、防疫対策の徹底に努めております。
なお、本年三月には、万一発生した場合に備え全庁的な初動防疫体制を整備したところであります。今後とも死亡鶏の病性鑑定やウイルスの侵入状況調査を強化するなど、本県での発生防止に万全を期してまいります。
国は、家畜伝染病予防法の一部改正を行い、出荷制限に協力した養鶏農家に対し、鶏肉、鶏卵の売上減少額や出荷延長に要した飼料費などを県が助成する場合には、国がその経費の二分の一を負担する経営支援対策を制度化いたしました。また、県が行います消毒薬等の購入経費や患畜等の焼却、埋却等の経費につきましても、国がその二分の一を負担することとなったところでございます。なお、市町村が行います消毒等については、全額市町村負担となっております。
このため、県といたしましては、県や市町村が負担した経費につきまして適切な財政措置を講ずるよう、県開発促進協議会等を通じまして国に対し強く要請してまいりたいと考えております。
県におきましては、集落での話し合い活動を通じ、担い手、高齢農家、兼業農家がそれぞれの役割分担のもとに、農地、機械、施設、労働力を効率的に使用する地域農業のシステム化を推進しており、平成十五年三月末で集落営農組織が三百七十五、市町村農業公社等が二十七育成され、農作業受託が延べ二万四千八百ヘクタールで実施されております。
今後とも集落営農組織等の育成を進めますとともに、受託作業に必要な機械、施設の整備等について支援するなど、地域農業のシステム化を積極的に推進してまいりたいと考えております。
本県の中山間地域等直接支払制度につきましては、平成十五年度は七十五市町村において約八千三百六十ヘクタールで取り組まれ、約九億三千五百万円の交付金が見込まれております。この交付金を活用し、機械の共同利用による集落営農の展開、農道や水路の維持や景観作物の作付などさまざまな取り組みが行われ、耕作放棄地の発生防止や農業・農村の多面的機能の維持が図られております。これらの取り組みは、学識経験者等で構成いたします県の検討委員会や集落代表者等へのアンケートでも高く評価され、制度の継続が望まれております。
県といたしましては、これまでも県開発促進協議会等を通じ、来年度以降も制度の継続や充実が図られますよう要望してきておりまして、引き続き国に対し要望してまいりたいと考えております。
原料用サツマイモの確保を図りますため、これまで県段階では、生産振興推進会議等を開催いたしますとともに、県内各地のサツマイモ等対策協議会に新たに焼酎メーカーも参加していただきまして、増産対策に取り組んできたところであります。具体的には、農家ごとの作付面積の拡大、遊休農地の活用や水田転作への導入、農業特区制度の活用による建設業者等の参入、植えつけに必要な苗の確保、契約栽培の推進など、作付面積の確保を中心とした取り組みを進めてまいりました。
今後は適期肥培管理や適期収穫の指導徹底など単収向上対策に取り組み、原料用サツマイモの安定確保に努めてまいりたいと考えております。
13 ◯林務水産部長(諏訪弘美君) かごしま材の輸出につきましては、昨年から県内の木造住宅関係者の団体が韓国への産直住宅という形で取り組んでおり、県としては県内における供給体制づくりやかごしま材輸出検討会の開催などを通して支援を行ってきたところであります。
県といたしましては、今年度から新たにかごしま材輸出促進事業を実施することとしており、輸出方策等の検討や木造住宅関係者を対象としたかごしま材輸出セミナーの開催、さらには、海外の建材展示会への出展等を行うなど、より一層のかごしま材の輸出を促進することといたしております。今後とも韓国を初め中国など、海外へのかごしま材の輸出についての取り組みを進めてまいりたいと考えております。
次に、本県で取り組んでおりますかごしま材の韓国輸出を支援するため、日本貿易振興機構は平成十六年度のローカル・トゥ・ローカル産業交流事業で、海外出張調査及びミッション派遣を実施することといたしております。海外出張調査では、県内の木材関係の専門家を本年八月下旬に韓国へ派遣し、住宅建設の動向や木材製品の生産状況等の調査が行われることとなっております。また、県内の木造住宅関係者をミッションとして派遣し、韓国の住宅関係企業等との商談会が計画されております。
県といたしましては、今後日本貿易振興機構と連携しながら、この事業が効果的に実施されるよう協力してまいりたいと考えております。
昭和五十一年度から平成十三年度までに、県が沿岸漁場整備開発事業により県内各地に設置いたしました魚礁は、大型魚礁が百十五カ所、人工礁が八カ所、海域礁が一カ所でございます。また、平成六年度以降、カツオ、マグロ等の回遊性資源の集魚効果が高い表層型浮魚礁六基と中層型浮魚礁六基を設置いたしております。なお、平成十四年度以降は、水産基盤整備事業により、中層型浮魚礁を二十六基、沈設型魚礁を七カ所で実施しております。
魚礁設置の効果は、魚群の集魚による効率的な漁獲、漁場の探索時間の短縮による燃料費の節減や漁獲物の鮮度向上など、漁業経営の改善に大きな効果をもたらしているところでございます。
奄美水産資源有効活用推進事業は、沿岸・沖合域の水産資源の有効活用を図るため、今年度から五カ年計画で実施するものでございます。沿岸域については、スジアラやヤコウガイの種苗の量産化や放流技術等の向上、藻場の造成試験に取り組むことといたしております。
沖合域につきましては、減少傾向が著しいホタやチビキ等の底魚資源の基礎的な生態調査や、クロマグロ養殖の種苗となる幼魚の資源調査と輸送試験を実施することといたしております。これらの水産資源の増殖試験や資源調査の結果を生かして、奄美地域の漁船漁業や養殖漁業の振興に努めてまいりたいと考えております。
[外薗勝蔵君登壇]
14 ◯外薗勝蔵君 東九州自動車道、南九州西回り自動車道については、計画どおり整備が進みますよう地域高規格道路の整備促進と合わせて、一層の取り組みを要請しておきます。
原料用サツマイモの確保については、芋が不足し、焼酎工場やでん粉工場が大きな影響を受けないよう、工場と農家との契約栽培をふやすことなど、作付面積の拡大になお一層の努力をお願いいたします。
県が今年度から推進する食の安心・安全確保プロジェクトについては、大きな期待を寄せるものであります。農業・林業・水産業にまたがる食の安全に関する幅広い施策を円滑に進め、県産農林水産物の評価を高めるとともに、産地の活性化につなげていただくよう要請しておきます。
かごしま材の輸出については、外材や県外産の木材に負けない高品質なかごしま材のブランド化を確立するとともに、輸出促進に向け外国での商談会の参加や、県産材の出展などの事業を積極的に進められるようお願いしておきます。
次に、石川島播磨重工業問題についてお尋ねいたします。
平成十四年三月末日を持って株式会社石川島播磨九州事業所が閉鎖されてから、既に二年余りが経過いたしましたが、百三十二ヘクタールに及ぶ広大な用地は、今日に至るまで何ら利用もされていないのであります。このまま利用されない状況が続くことは、本県の経済浮揚に何ら貢献もしないことになるわけで、工場用地の早期の活用が待たれるところであります。
知事は、これまで用地の取り扱いについて、「石播は利用の方法の検討を行っていると聞いている。また、石播は県とも今後十分協議したいとしているが、まだ具体的な提案はいただいていない」旨の答弁をしてこられましたが、今議会の冒頭における提案理由説明において、
石川島播磨重工業株式会社社長から、去る五月二十八日に用地の活用について協議があった旨を明らかにされるとともに、その内容についても説明されたところであります。石播用地の活用方策については、地域経済の浮揚につながるものと強い期待があり、県民も高い関心を持っているところであります。
そこで第一点は、石播からの要請はどのような内容のものであったのか。
第二点は、要請の内容について知事はどのように受けとめ、またどのように対応されるのかお伺いいたします。
次に、新幹線開業に伴う観光振興について、お尋ねいたします。
県民が長年待ちわびた九州新幹線の鹿児島中央―新八代間が、去る三月十三日に開業いたしました。このことにより、鹿児島中央駅から新八代駅までが四十分弱、熊本駅までが一時間、博多駅までが二時間十分で結ばれ、大幅に時間が短縮されたのであります。本県においては、これまで新幹線の開業に向け、熊本県やJR九州と一体となった九州新幹線開業記念観光キャンペーンなど、誘客のPR活動を展開されるとともに、多くの県民の参加のもと開業を祝い、本県の魅力的な情報を全国に発信する記念イベントを県内各地で開催されたところであります。
こうした取り組みもあり、九州新幹線の開業から一カ月間の利用客数は、前年同期比およそ二・四倍にふえており、鹿児島財務事務所、日本銀行鹿児島支店がそれぞれ実施した開業後一カ月間の九州新幹線開業に関する調査におきましても、入り込み客数の増加に伴い観光関連の交通機関、施設、ホテルの利用者などが増加しており、焼酎、製菓などの食品製造業、小売・飲食店などに好影響が出ているという見方がなされております。
九州新幹線の開業は、産業活動や観光などの面においてさまざまな交流を促進し、県内の地域活性化に大きな役割を果たすことが期待されており、これまでのところ新幹線は期待どおりの効果を上げているようでありますが、今後重要になってくるのは、この新幹線効果を県内全域に波及させていくことであると思うのであります。
そこで第一点は、観光客の動向も含めまして、新幹線の開業が本県に及ぼしたこれまでの効果を、知事はどのように評価しているのか。
第二点として、知事はこれまで新幹線の開業効果が県内全域に波及するよう努めていくと言っておられますが、例えば大隅半島、種子・屋久、奄美など直接的には新幹線沿線から距離のある地域に対して、波及効果を拡大するための取り組みをどのように考えているのかお伺いいたします。
次に、かごしま活力ある高校づくりの計画について、お尋ねいたします。
県教育委員会は、社会情勢の変化、多様な学習ニーズ、大幅な生徒減少などを背景とする本県高校教育の諸課題に適切に対応するため、県公立高等学校改革推進協議会の最終報告を踏まえ、昨年十月にかごしま活力ある高校づくり計画の基本計画を策定し、この基本計画に基づき本年二月平成十六年度の実施計画を決定されました。その後、本年四月一日付で宮之城地域と阿久根・長島地域の二地域に新設高校開校準備室が設置され、このたび新設高校の名称が「薩摩中央高校」、「鶴翔高校」と決定し、現在来年四月一日の開校に向けた準備が進められているところであります。
また、県教育委員会では、平成十七年度以降の再編整備の参考とするため、適正規模に満たない小規模校と関係市町を対象に、学校の状況や要望などを聞き取る教育事情調査を四月から実施していると聞いております。再編整備によりまして、長年親しんできた高校が廃止されるということは、地域や高校にゆかりのある方々にとっては大変つらいことであり、再編整備に当たりましては、実施計画策定の段階から地元関係者等の意見、要望を十分に伺う必要があると思うのであります。
そこで第一点は、薩摩中央高校、鶴翔高校、それぞれの新設高校開校準備室の今後の具体的取り組内容と今後のスケジュール、それから学校経営に地元の意見、要望がどのように反映されるのかお聞かせください。
第二点は、平成十七年度以降の県立高等学校の再編整備に、県教育委員会で現在実施している教育事情調査の調査結果を、どのように反映させていくお考えか明らかにしてください。
次に、公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場の整備について、お尋ねいたします。
これまで我が党代表質問で幾度となく申し上げてきたように、産業廃棄物の管理型最終処分場は、県民の生活環境の保全と健全な産業活動を維持していく上で必要不可欠な施設であります。現在、県内の管理型最終処分場で処分すべき産業廃棄物は、県外へ運搬され処理されている状況にあり、公共関与による産業廃棄物管理型最終処分場の一日も早い整備が望まれるところであります。民間業者による最終処分場建設計画や廃棄物の不法投棄問題、産業廃棄物税の導入の検討などにより、県民の廃棄物に対する関心も高まってきております。
このような中、昨年国分市が市議会の陳情採択を受け産業廃棄物管理型最終処分場の誘致を決定され、国分市において適地選考委員会を設置し、これまでに数回の会議を開催され、候補地選定に向けての検討を進めているところであります。
そこで、現在の進捗状況をどのように受けとめているのか、あわせて今後の見通しとスケジュールについてもお示しください。
次に、保健福祉行政についてお尋ねいたします。
第一は健康対策についてであります。
がんは昭和五十六年度以来死因の第一位を占め、死者の三人に一人はがんで亡くなっております。健康増進法では急速な高齢化とがんや糖尿病など生活習慣病の増加などに対応するため、国及び地方公共団体は国民とともに国民の健康の増進を図ることとされております。また、国におきましては、平成十六年度から五つの戦略目標を掲げた第三次対がん十カ年総合戦略を策定し、がんについて研究、予防及び医療の総合的な推進に取り組んでおります。
本県における死因の第一位もがんであり、死亡者総数に占める割合も約三〇%となっており、がん予防対策は重要であります。がん予防の推進には普及啓発やがん検診の受診率及び精度管理の向上を図る必要があると思うのであります。がん予防やがん攻略に向け、がん対策推進計画の策定やがん対策推進本部を設置することなどの取り組みを実施している自治体もあります。
また、厚生労働省は四十代以上の女性に実施する乳がん検診に、エックス線の撮影検査と、視触診を併用し、早期発見を図ることなどを盛り込んだ内容でがん検診指針を改正しております。本県におきましても、がんの罹患率、死亡率の減少に向けてのさらなる取り組みが必要と思うのであります。
そこで、本県のがん患者の実態及びがんに対する予防について、どのように取り組むのかお伺いいたします。
第二は、介護保険についてであります。
介護保険制度が開始されて既に四年が経過し、要介護認定者数及び介護サービス利用量も増加しております。しかしながら一方では、介護給付費の増加により介護財政の圧迫や事業者等の不正受給などが問題となってきております。
このような状況を踏まえ、現在国においては、介護予防など要介護者をふやさない取り組みや給付費の増加に対処するため、被保険者の年齢引き下げ等の検討とあわせて介護給付費の適正化の取り組みもなされております。特に、適正化の問題については厚生労働省内に介護給付適正化本部を設置するとともに、平成十五年度には介護費用適正化特別対策事業を実施し、介護サービス内容と介護費用の観点から適正化対策を実施され、平成十六年度は介護費用適正化緊急対策事業として、介護費用の適正化について、真に資するものに重点化して取り組まれると伺っております。
また、介護報酬の不正請求が疑われる事業者に対して、市町村が支払いを停止できることとされたことや、市町村が各事業所へ介護保険の指導を直接行うことへの検討もなされているなど、関係機関が介護保険の適正化に向けて積極的に取り組んでおります。
このような中、県が今回、在宅系のサービス事業所を対象とした介護保険自己点検を実施いたしましたが、新聞報道によりますと、多くの事業所に過誤請求による返還が生ずる結果となっております。本県は六十五歳以上に占める要介護認定者の割合が全国でも高位にあり、多くの県民が介護サービスを受けておりますが、今回の自己点検の実施で多くの過誤請求があったことが明らかになり、サービスを行う事業所に対し、介護保険の利用者である県民の不信感が生じ、利用に対する戸惑いが生ずるのではないかと懸念されるのであります。
そこで第一点は、今回の自己点検はどのような目的を持って実施されたのか、また、点検の結果はどうだったのか、あわせて今回自己点検を行ったことによってどのような効果が得られたのかお尋ねいたします。
第二点は、県の介護サービス事業者に対する指導についてであります。
介護保険制度は、要介護者の自立支援を基本理念として創設された制度であります。事業者は利用者との契約により自立を支援するサービスを提供する仕組みとなっており、これまでも事業者に対する県の指導は、これらの理念を踏まえさまざまな機会をとらえて実施されているとは思いますが、指導内容が事業者に十分理解されない面があったのではないかなどが、今回の自己点検により多くの返還が生じた背景と考えられるのであります。
県に対しては、今回の自己点検結果を今後の事業者指導に生かし、改めて事業者が責任と自信を持ってサービスの提供ができるように、必要な助言、指導を行うことが求められております。
そこで、今回実施された自己点検の結果を踏まえて事業者に対する指導をどのように図っていかれるのかお伺いいたします。
[知事須賀龍郎君登壇]
15 ◯知事(須賀龍郎君) まず、石播問題ですが、去る五月二十八日に
石川島播磨重工業株式会社から、長年の懸案でありました土地活用につきまして、県に文書による要請がなされたところであります。
その内容は、石播としては、これまでさまざまな方向から土地活用について検討してまいりましたが、百三十二ヘクタールという広大な土地を、みずから一括して活用することは、同社の経営環境から見て極めて困難な状況にあるとした上で、一点目は、当面の土地活用を推進するために用地を分割し、分譲や賃貸による活用を図りたい。二点目は、広大な土地の秩序ある土地活用を行いますためには、今後複数の区域に区分し、多目的な用途での計画的活用を検討する必要があると考えておりますので、協力をお願いしたいというものでありました。
なお、いずれにいたしましても、分譲や賃貸を行う相手企業や実際の用地区分など、具体的な内容につきましては、改めて事前に県に協議するということであります。
私といたしましては、四十八年の立地協定締結以来、これまで三十一年に及ぶ経緯を踏まえますならば、石播自身によります活用がなされないことはまことに遺憾であり、残念に存じております。しかしながら、現状のままでは何ら県勢の浮揚にはつながらず、若者等の雇用機会の確保を図るためにも、企業立地につながる用地の活用を進めることは大事なことであると考えております。
このような観点から、今回の石播からの申し入れにつきましては、その具体的内容について改めて事前に県に協議するということでありますので、この石播側の申し出につきましては了解を示したいと考えております。
次は、新幹線の開業効果でありますが、鹿児島県民の長年の悲願でありました九州新幹線が、一部開業して約三カ月近くになりますが、この間前年同期と比較いたしますと、二倍以上の方々に利用されており、大変順調なスタートが切れたものと考えております。
九州新幹線開業後の観光の動向につきましては、県内の主要なホテル、旅館、観光施設を対象に、四月と五月の入り込み状況の調査を行いましたところ、宿泊者数は昨年同期と比べまして一一%、観光施設につきましては一五・九%の増加となっております。観光客の動向につきましても、広島、岡山など中国地方からの入り込みが新たにあらわれておりますことや、福岡、熊本からの日帰り客が増加していることなど、新幹線による時間短縮効果が新たな観光形態を生み出しておりますことがうかがわれるところであります。また、日本銀行鹿児島支店が五月に地元企業百社を対象として実施いたしました九州新幹線部分開業に伴う影響度調査によりますと、開業後一カ月時点の開業効果につきましては、半数を超える企業が観光客の入り込み増に伴うプラス効果があると回答しております。
今、鹿児島は空前の焼酎ブームや黒豚、黒牛などの特色ある食材、豊富な温泉資源、緑豊かで癒しに満たされた屋久島、奄美大島など、広く全国的にも注目を集めているところでありまして、九州新幹線の開業はその話題性とともに、本県の持っております豊かな観光資源を生かしていく上で相乗効果を生み出し、今後大きな経済効果をもたらしてくれるものと期待いたしております。
次は、公共関与によります管理型最終処分場の整備につきましては、昨年十二月に国分市に設置されました適地選考委員会におきまして検討が進められ、現在十四カ所の候補地があり、今後現地調査を経て最終的な選考がなされると聞いております。県といたしましては、地盤が強固で安定していることや、一定量の埋め立て容量が確保できることなど五つの要件を示しまして、これに関する技術的な助言を行いますとともに、できるだけ早急に選考がなされるよう要請しておるところであります。
今後、国分市から適地の推薦があり次第、速やかに立地可能性調査が実施できますよう、国分市とも十分連携を図りながら、管理型最終処分場の一日も早い整備に向けまして取り組んでまいりたいと考えております。
16 ◯商工観光労働部長(原田耕藏君) 九州新幹線の開業効果を県内全域に波及させるためには、地域の特色ある自然、歴史、文化等を生かした多彩な観光ゾーン、観光ルートの形成を図ることが重要となってまいります。
このため、豊かな農林水産資源に恵まれた大隅地域につきましては、体験型観光地づくりの取り組みを進めますとともに、旅行エージェント招待事業の実施等を通じまして、新幹線を組み込んだ旅行商品化を働きかけているところでございます。また、ロケット基地を持つ種子島、世界自然遺産の島屋久島、長寿・子宝・癒しの島奄美群島につきましては、本県の離島が持つ多彩な魅力を情報発信するため、これまで観光かごしま大キャンペーン推進事業におきまして、集中宣伝事業等を展開してきており、種子・屋久地域につきましては既に新幹線を活用した旅行商品もつくられております。
今後とも県民を初め観光事業者や関係団体・業界、市町村等と一体となって、地域資源を生かした魅力ある観光地づくりや新幹線を活用した旅行商品化の支援、国内外に向けた観光情報の発信等の取り組みを積極的に推進し、新幹線の開業効果が県内全域に及ぶよう努めてまいりたいと考えております。
17 ◯教育長(福元 紘君) 新設高校につきましては、先般宮之城地域は「薩摩中央高校」に、阿久根・長島地域は「鶴翔高校」に校名を決定し、本議会に七月一日付で設置する旨の鹿児島県立高等学校の設置及び管理に関する条例の一部を改正する条例案を提出しているところであります。今後、平成十七年四月の開校に向けまして、教育内容について検討しますとともに、校歌、校章、制服の選定作業等を進めていくこととしております。また、中学生や保護者等に対しまして、学校内外で説明会等を行うとともに、さまざまなメディアを活用し広く県民に周知を図ってまいりたいと考えております。
地元の意見、要望につきましては、これまでも地域の関係者等から成る校名推薦委員会におきまして意見、要望もいただいておりまして、今後とも地域に開かれた学校づくり、地域と一体となった学校づくりを基本に、開校準備に万全を期してまいりたいと考えております。
現在、小規模高校がございます地元を訪問し、市長など関係者にかごしま活力ある高校づくり計画について説明しますとともに、地域の高校のあり方等につきまして、直接意見交換をするなどの教育事情調査を行っているところであります。主な意見、要望としましては、再編整備の必要性は理解するが、高校の存在は地域活性化に欠かせない、高校は廃止するのではなく近隣の高校と統合してほしい、地域の高校として活性化にこれまで以上に協力したい等がございました。
県教委としましては、これらの意見、要望等も参考にしながら、長期的・全県的な視点に立ちまして、今後の再編整備の実施計画を策定してまいりたいと考えております。
18 ◯保健福祉部長(千村 浩君) 本県におけるがんの平成十四年の人口十万人当たりの死亡率は二百七十六・八で、全国第十位となっており、部位別では、肺がん、肝臓がん、胃がんの順で多く、最近では大腸がん、乳がんが増加しております。また、高齢化による影響を調整した死亡率でも、経年的に見ますとがんの種類によっては増加傾向にあり、がん予防対策は本県の重要な課題でございます。
県では、市町村等と一体となって普及啓発や健康教育、健康相談等の一次予防対策に取り組むとともに、早期発見、早期治療のためのがん検診の受診率向上や検診従事者の研修、県成人病検診管理指導協議会による検診の精度管理など、二次予防対策に取り組んでいるところでございます。
介護保険制度施行後四年が経過し、介護報酬の不正請求による事業所の取り消しが相次いだこと、また、事業者に対する実地指導等において事業者の不注意や理解不足等が多く見られたことから、訪問介護等の居宅サービス事業者に対し、適正な自立支援サービス等について再認識し、介護保険の安定的運営に資することを目的に、自己点検の機会を提供することにいたしました。自己点検の結果、八百八十七事業所から約五億一千万円の請求誤りの報告がございました。自己点検によりまして、適正な介護サービスが提供できているかどうか、事業者みずからチェックを行うことが必要との認識が高まり、結果として、県民に信頼される自立支援のための適正な介護サービスを提供する環境づくりに役立ったものと考えております。
今回の自己点検におきましては、利用者の自立を支援するために、利用者との契約により、ケアマネジメントに基づく適正なサービスを提供するという介護保険の理念に基づいての認識と実践が事業者によっては不十分だったことが明らかとなりました。
県といたしましては、これまでも事業者に対しあらゆる機会をとらえ、介護報酬・運営基準に係る助言指導を行うとともに、法令等の遵守を目的として実地指導等を行ってきたところでございますが、今回の結果を踏まえ、さらに事業者が適正なサービス提供ができるよう、事業者からの相談に適切に対応するとともに、特に本年度は通所介護、居宅介護支援事業等の全事業所を対象に集団指導を実施するなど、事業者に対する指導等に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
[外薗勝蔵君登壇]
19 ◯外薗勝蔵君 石播用地の跡地利用についてでありますが、多くの県民が大変注目しております。分譲や賃貸その他の事前協議の折には、議会、県民が情報を共有できるよう最大限の努力をお願いしておきます。
観光の振興については、九州新幹線開業のにぎわいを一過性に終わらせることなく、民間、行政一体となって鹿児島の豊かな自然、歴史、文化など積極的に情報を発信し、観光かごしまの魅力をさらに全国に広めるようなお一層の努力を要請いたしておきます。
高校の再編を進めるに当たっては、地域の意見、要望を十分聞き、理解を十分求めていただくようお願いいたします。また、来年四月開校する新高校の開設準備に当たっては、生徒が行きたいと思うような魅力ある学校づくりに努めるとともに、新たな高校の具体像を早く示すよう要請しておきます。
産業廃棄物の管理型最終処分場の整備については、総論賛成、各論反対の声が強い中、長年にわたりその進展が見られなかったのでありますが、現在国分市において適地の検討が進められており、一日も早い処分場候補地の立地可能性調査の実施を要請するものであります。
介護保険については、事業運営の適正化にさらに努力されるとともに、事業所が運営基準の解釈に戸惑うことのないよう、県の指導方針を明確に示すよう要請いたします。
最後に、須賀県政二期八年の実績を踏まえ、県政当面の重要課題と将来展望についてお尋ねいたします。
須賀知事におかれましては、二期八年にわたる任期最後の議会となりました。私ども
自由民主党県議団といたしましても、まことに寂しく、感無量のものがあります。
さて、知事は、初当選後の平成八年第三回定例会における我が党の代表質問に答える形で、県政運営上の基本姿勢として三つの基本姿勢と五つの基本政策の推進を挙げられました。その後はこの基本姿勢を堅持しながら、基本政策実現に向け県内各地におけるふるさと座談会の開催あるいは各種懇談会など、いろいろな機会を通じ多くの県民の意見や提言などに耳を傾けながら、各種の施策を推進してこられました。しかしながら、県政の行く末には課題が山積しているのもまた事実であります。
国の三位一体改革の中で税源移譲の先送りなど、地方財政への負担転嫁の問題、財政健全化の問題、ほかにも少子・高齢化対策、雇用対策、中小企業対策、高速道路を初めとする社会資本整備、畜産・農業・林業・水産振興対策、教育問題、離島振興など、各分野において課題が残っております。具体的には、産廃処分場の建設、川内原子力発電所における環境調査、肥薩おれんじ鉄道の運営、さらにはマリンポートかごしまの活用などへの対応もこれからが本番であります。
そこで、お尋ねいたしますが、知事は昨年の第四回定例会の答弁において、みずからの任期を振り返り、県政は着実に進展してきていると判断されましたが、その実績と推移を踏まえ、当面する県政の重要課題と将来の展望について、率直な御所見をお聞かせいただくとともに、今後とも引き続き「心豊かで活力あふれるかごしま」創造実現のために、今後の県政に何を望み、何を期待されるのか、知事の御所見をお伺いいたします。
[知事須賀龍郎君登壇]
20 ◯知事(須賀龍郎君) 御指摘のとおり、今議会は私にとりまして二期八年の任期最後の議会でございます。
振り返ってみますと、平成八年七月に知事に就任いたしましてから、これまで「県民が主役のまごころ県政の推進」、「県民とひびきあう明るい県政の推進」、「新たな時代へ果敢に挑戦する県政の推進」、これを基本姿勢といたしまして、県民の一人一人が鹿児島に誇りと希望を持って、県内のどの地域に住んでいても、生涯にわたりまして安心して心豊かで活力あふれる生活ができる二十一世紀の新しい鹿児島づくりを目指して、「二十一世紀新
かごしま総合計画」の創造プログラムを初めといたします各般の施策を積極的に推進してきたところであります。
この間、県議会を初め、地元選出国会議員、県民の皆様方の温かい御支援、御協力によりまして、
九州新幹線鹿児島ルートの一部開業や東九州自動車道、南九州西回り自動車道の一部供用、鹿児島・上海定期航空路線の開設など、交通体系の整備やかごしまブランドづくりや農業生産基盤の整備促進、食の安心・安全の確保への取り組み、農業大学校や水産技術開発センターの整備などを通じました食の創造拠点かごしまの形成などにも取り組んできたところであります。
また、高齢者や障害者の保健福祉の拠点となりますふれあいプラザなのはな館やハートピアかごしまの開設、本県の歴史や自然、文化等を紹介いたします霧島アートの森や奄美パーク、上野原縄文の森などのオープンを初め、県民の生涯学習や国際交流等の拠点となります県民交流センターの開館、さらには災害に強い安全な県土づくりの推進などによります県民生活の向上を図るなど、県政は着実に進展してきているものと私は考えております。
また、薩摩焼発祥四百周年記念事業や日韓閣僚懇談会、世界自然遺産会議などの開催、さらには、昨年十一月に天皇皇后両陛下をお迎えして開催されました
奄美群島日本復帰五十周年記念式典などを通じまして、国内外への情報発信にも積極的に取り組んできたところであります。
一方、県政を取り巻く環境は長期にわたります景気の低迷や、国の三位一体改革に伴います厳しい財政環境への対応、地方分権や市町村合併の推進、さらには
九州新幹線鹿児島ルートの全線の早期整備や、高規格幹線道路の一層の整備促進、食の安心・安全などが求められております中での農林水産業の振興や競争に強い地域産業づくり、新幹線の一部開業を踏まえた観光の振興、環境問題や高度情報化への対応など多くの課題が山積している状況にあります。
一方、本県は、中国や韓国、東南アジア諸国に近接しているという地理的優位性や、温暖な気候、個性ある歴史・文化、広大な県土、緑豊かな自然環境、豊富な農林水産資源など有利な条件を持っておりまして、これらを有効に活用していくことは、本県の発展のためにも極めて大事なことであると考えております。
今後、県民の皆様方と一体となって、このような鹿児島の発展可能性を最大限に生かし、英知を結集して新しい時代のさまざまな課題に積極果敢に取り組むことによりまして、心豊かで活力あふれるかごしまの創造が実現するものと確信しておりまして、またそのことを心から期待を申し上げております。
私自身も任期まで余すところ五十日がございますけれども、この残された期間、県勢発展のためにさらに全力を尽くしてまいりたいと考えております。
[外薗勝蔵君登壇]
21 ◯外薗勝蔵君 ただいま知事から、あすの鹿児島づくりに向けての展望を示していただきました。
知事は、昭和二十三年四月に県職員として採用され、昭和五十八年五月総務部長を最後に県を退職、その後、出納長、副知事を歴任された後、平成八年七月三十一日、土屋前知事の病気引退の後を受け知事に就任されて以来、「心豊かで活力あふれるかごしま」の創造を目指し、県政の主役は県民であるとした一貫した認識のもと、みずから先頭に立ち、県民とひびきあう県政実現のため、積極的に取り組んでこられました。
中でも、
九州新幹線鹿児島ルートの部分開業、東九州自動車道、南九州西回り自動車道の一部供用開始など、高速交通体系の整備、マリンポートかごしまの整備や鹿児島・上海定期航空路線の開設、食の創造拠点かごしまの形成のためのかごしまブランドづくりや、食の安心・安全を確保するための鹿児島の農林水産物認証制度の導入及び農業生産基盤の整備促進、さらには災害に強い安全な県土の形成推進などが挙げられるのであります。
そのほか、平成十三年一月には、二十一世紀において本県の進むべき方向、課題、基本的施策を明らかにするために「二十一世紀新
かごしま総合計画」を策定し、その着実な推進に努められているところであり、こうした中、県民健康プラザ健康増進センター、奄美パーク・田中一村記念美術館、上野原縄文の森、農業大学校、県民交流センター、開陽高等学校新校舎、水産技術開発センターなど、数多くの施設がオープンしており、その成果は枚挙にいとまがありません。また、県政の重要課題でありました
奄美群島振興開発特別措置法の延長も実現いたしました。
このように、二十一世紀の鹿児島の発展につながる基盤づくりが着実に進みつつあることは、これはひとえに須賀知事の御尽力のたまものであり、二期八年の実績を改めて高く評価するとともに、その豊かな経験、幅広い人脈、そしてすぐれた政治力、行動力を十分発揮され、県政の重要課題に全力を傾注されたことに深甚なる敬意を表するものであります。
私どもはふるさと鹿児島の発展を願う知事のその熱き思いをしっかりと引き継ぎ、将来の目標に向かってさらにさらに鹿児島の飛躍のため、
自由民主党県議団一丸となって全力を尽くす決意であります。
最後に、須賀知事の御自愛をお祈りするとともに、今後とも温かい御指導、御助言を賜らんことをお願いいたしまして、
自由民主党県議団の代表質問を終わります。
ありがとうございました。(拍手)
22 ◯議長(川原秀男君) ここで、休憩いたします。
再開は、午後一時十五分といたします。
午前十一時五十六分休憩
─────────────
午後 一時 十五分再開
23 ◯議長(川原秀男君) 再開いたします。
桐原琢磨君に発言を許可いたします。
[桐原琢磨君登壇](拍手)
24 ◯桐原琢磨君 佐世保市の小学校女児殺害事件に大きなショックを受けているときに、国会では小泉首相がふまじめな答弁態度に終始したあげく、年金改正法案強行採決という醜態に言うべき言葉もないくらいです。
須賀知事には、二期八年の知事職、その間に御自身の手術も二回ありながら、超人的回復力で激務に復帰、本当に御苦労さまでした。
いよいよ最後の代表質問をお受けいただきますが、先日のテレビ取材に「いつもどおり淡々と」と言っておられましたが、そんなつれないことをおっしゃらずに、私も知事にお尋ねできるのはこれが最後ですから、知事の思い万感を込めた答弁をお願いして、社民・無所属連合を代表して質問いたします。
須賀県政の総括と新知事像ということでお尋ねいたします。
須賀知事のこの二期八年を総括すると、生え抜き知事として、県民とも可能な限り時間をとり、きさくにお会いいただき、県民に親しまれ、県民と知事の距離を縮めた役割、上野原縄文の森の整備を初めとする諸事業を推進、鹿児島・上海路線の開設、男女共同参画推進条例の制定など、評価できるものが多かったと思います。一方、川内原発増設の是非はともかく、原発初期交付金という国の制度を改めさせ、また、肥薩おれんじ鉄道の立ち上げに際しては国、JRから最大限の支援策を引き出すなど、その政治手腕は高く評価したいと思います。
しかしながら、国の経済政策に忠実につき合った結果として、今日の財政の危機を招いた財政運営の責任、これは何も知事だけではなく、県幹部、これを追認した議会も大きな責任がありますが、あれだけ反対の声のある人工島建設をなお強力に進めようとする姿勢はいただけませんでした。
しかしながら、人工島については、今、四人とも全員、凍結・見直しを打ち出しており、知事のお気持ちを察するとき、きょうはこれ以上は申し上げません。それを除けばウルトラC、今はスーパーEと言うんだそうですが、体操の難易度のわざでございますが、そんなわざも多かったし、個人的には九・九五くらいつけたい気持ちですが、知事は二期八年の県政をどのように自己評価されておいででしょうか。
七月には、新しい知事にこれからの県政のかじ取りを託されるわけでございますが、知事は、後任者には自分の政策を忠実に継承してくれることを期待されますか、それとも新しい感覚で大胆な見直し・改革をして、さらに県勢を発展させてくれることを期待されますか。
米軍によるイラク人の尊厳さえも傷つけるおぞましい虐待の数々、反米勢力との衝突の際の無差別攻撃や誤爆による多くの民間人殺害、イラク人の米国占領統治に対する反米感情は全土に広がり、各地での戦闘は激しさを増し、戦闘終結宣言から一年を経過した今日では逆に治安は悪化し、戦局は泥沼化の様相を呈しています。
アメリカは、そもそも何のために国連と国際法を無視してまでもイラクに侵攻し、占領したのか。「大量破壊兵器を廃棄する」「テロを根絶する」「恐怖のフセイン独裁から国民を解放し、民主化する」、ブッシュ大統領は繰り返し叫んできました。しかし現実はどうか。大量破壊兵器は発見されず、国際テロはむしろ広がりを見せ、今や解放と民主化という最大の大義も風前のともしびとなっています。
六月一日にはCIAの代理人と言われるアヤド・アラウィ氏を首相にした暫定政権が発足し、主権移譲まであと二十日余りとなりました。ブッシュ政権は、これまで拒んできた国連の関与を認め、暫定政府づくりの調整を国連に託したものの、主権移譲後も新生イラク軍の指揮や立法措置に関する権限を暫定政府に譲らず、実質的なアメリカ統治を続ける方針ですが、これでは国際協調の立て直しも困難と言わざるを得ません。
アメリカの大義なき戦争と占領への反省なくして、今日の事態を打開する糸口を見い出すことは困難です。その上で、国際協調を第一義とする国連主導の治安回復と復興支援体制の構築、イラク人自身による治安維持体制と統治機構の確立を図ること以外に、イラクに平和と秩序、そして繁栄が訪れることはあり得ないと思います。知事の見解を伺います。
今通常国会では、年金法改正審議がきっかけで、首相を初め多くの閣僚、議員の国民年金未納・未加入が判明、年金問題の本質ではないものの、彼らが年金の根幹である世代間相互扶助の精神を全く理解していないこと、みずからは国民年金に期待も関心も寄せていないことを露呈したと言えるのではないでしょうか。政治不信はもちろん、年金に対する信頼を失墜させた責任は大きいと思います。
小泉首相は、最初から本当のことを言わず、未加入判明後もその時々でさまざまな言いわけをし、勤務実態がないまま支援企業の厚生年金に加入、そのことを追及されるや、「勤務実態はあった」と言い、それもあやしくなると、「あんたの仕事は次の選挙に当選することだ。会社なんか来なくていいと言われた。太っ腹ないい社長だった。総理をやめたらお墓参りをしたい」などと詭弁を弄し、その後、この社長は健在であることも判明し、最近では「人生いろいろ、会社もいろいろ、社員もいろいろ」などと開き直り、まさに総理はぼろぼろ、破廉恥、無責任のきわみで、子供の教育上も好ましくありません。知事は、政治家としての自己責任を放棄したとも言える首相のこういう姿勢を見て、どう思われますか。
国民年金法第一条は、「国民生活の安定がそこなわれることを国民の共同連帯によって防止する」とその目的を規定しています。つまり、加入が任意とされている人でも負担能力のある人は加入して納めるべきなのです。それを「任意だから納めなくていい」などと言い張る国会議員は、年金の何たるかを知らないということで、こういう人たちが審議した年金法改正ですから、おかしいのは当然でしょうが、現役世代の手取り賃金の五〇%を維持するとした給付も、受給開始後徐々にダウンし、二〇%台まで落ちるケースや、保険料も、あくまでも賃金上昇をゼロとした場合の毎年二百八十円引き上げ、一万六千九百円で固定であって、賃金の上昇によっては三万円を超える場合もあるのですから、「看板に偽りあり」といいましょうか、無責任きわまりない内容であります。
未納・未加入を契機に、今また過去にさかのぼって未納分の納付を認める特例納付を創設しようという話が出ていますが、この特例納付は過去に何回か実施され、正規に納付している者との公平を失する、納付意欲の減退を招くなどの理由で今後はしないとされてきたものです。それを政治家がみずからの都合でやるというのはいかがなものでしょう。
むしろ、現行制度でも六十歳から六十五歳まで、二十五年の最低納付要件を満たさない場合はさらに特例的に七十歳まで納められる高齢任意加入という制度があるのですから、まずはこういった制度に沿って、過去に果たしていなかった責任を一般国民並みに果たしていき、その後、給付も受けるというのがあるべき姿ではないでしょうか。知事はどう思われますか。
二〇〇〇年に国民年金事務が国に一元化され、二〇〇二年には保険料徴収事務も市町村から離れ、一昨年の納付率は全国平均五二%という最悪の状態になり、坂口厚生労働大臣も「国一元化は失敗だった」「地方の方がはるかにきめ細やかだった」とも答弁しており、国民年金の空洞化は、当時の厚生省の省益最優先の国一元化が招いたと言って過言ではありません。
地方分権一括法は、附則第二百五十二条で「医療保険制度、年金制度改革に伴い、社会保険の事務処理の体制、これに従事する職員のあり方について、被保険者の利便性の確保、事務処理体制の効率化等視点に立って検討し、必要があると認めたときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとする」と定めており、今こそ、この規定に基づいて、社会保険事務は、きめ細かい対応が期待できる、被保険者に最も身近な地方に戻すことを国に強く求めるべきだと思いますが、いかがですか。
政府は、六月四日に来年度予算編成の指針を盛り込んだ「骨太の方針」を閣議決定しました。しかし、三位一体改革の詳細には踏み込まず、参院選後から秋にかけて全体像を示し、年内に決定するとしています。
三位一体改革をめぐっては、改革初年度となった今年度予算で、わずかな税源移譲と引きかえに補助負担金と地方交付税を大きく削減された地方の強い反発を受けて、総務省が、国から地方への三兆円の税源移譲の先行決定や一般財源総額を前年度と同程度とすることなどを提案し、これに対して財務省が、税源移譲を先行すれば不必要な補助金まで温存されるといって地方歳出の削減と交付税総額の抑制を主張し、せめぎ合いの構図となっていました。
全国知事会長の梶原岐阜県知事は、インタビューに答えて、「我々が求めているのは三位一体改革の全体像とその理念、さらに理念を貫徹するための方法である。昨年来の動きを通じて我々は、陳情とか要望とかでは物事は解決されない、もう力対力の対決しかないという教訓を学びました。総務省とも一線を画して、全国の首長や議員が主体的に調査研究し、あるべき方向を打ち立てて、独自の政治勢力として力を発揮していく必要がある」と、国と対峙していく自治体の立場を力強く語っています。
全国知事会など六団体でつくる地方自治確立対策委員会のワーキンググループが、三位一体改革について、国から地方への税源移譲の税目や総額、実施方法など全体像を政府が明示すべきだとの提言をまとめています。
総務省と財務省の対立や税源移譲をめぐる大都市と地方との対立もある中で、改革の第二ラウンドに向けて、地方の声をまとめ上げ、どこまで改革の道筋をつけられるのかが問われます。その結果いかんが、本県の来年度予算編成に大きく影響しますが、知事の三位一体改革に臨む基本的な考えと取り組みの決意について伺います。
地方交付税の大幅削減が突出した昨年度の改革に対する地方の批判、不満を和らげることをねらったと思われる「地方再生交付金」の創設も骨太方針に盛り込まれるとの報道もありましたが、「形を変えた補助金」「地方の自由度を増すことにはならない」「全くのつけ焼き刃」との批判があります。知事の評価を伺います。
三位一体改革の初年度は、いつの間にか国の財政赤字のツケを自治体に回すという国の財政再建策にすりかわってしまい、本県の財政改革プログラムも直撃を受けました。今後も財務省の方針が貫徹されるならば、一段と厳しい財政運営を余儀なくされることになります。このような中で懸念される議論の一つに、県の文化施設の効率性をめぐる問題があります。
霧島アートの森、みやまコンセール、文化センター、黎明館、あるいは山川フラワーパークなどなどは、県民にすぐれた芸術文化や身近に観察できる自然を提供し、心を癒す役割を担っています。これら施設の維持・運営は単に採算面からの価値評価にはなじまないと思います。これら施設の県政上の位置づけと運営のあり方についての見解を伺います。
次に、県警本部長に質問をする前に、私がある光景に出くわし、非常に感銘を受けたことを御紹介したいと思います。
時はことしの四月十二日午前八時ごろ、こうして日時の特定はしっかりしなければいけないと思います。場所は玉里中央の交差点。折しも交通安全運動期間中だったのか、一人の若い警察官が交通指導に立っていました。よく見ていますと、彼は指示棒と言うんでしょうか、あの赤い棒を持って歩行者を横断歩道の半ばまで実に優しく誘導し、歩行者が横断を終えるや、渡り終えるのを待っていた右折車にまた深々と一礼をしてこれを通過させる、こういう行動をずっと繰り返していたんですね。そこには権力をかさに着た横柄さなどみじんもなく、親切さと、どこか育ちのよささえ感じたほどで、この日一日が実にすがすがしく感じられたことは言うまでもありません。
このような多くのすばらしい警察官を配下に持たれる本部長にお礼を申し上げ、ただ一部には不心得者もいることを指摘しながら質問をしなければならないのが残念であります。県警本部には、裁判所でとっさのことでうそをつく警察官もいるようですが、私はとっさの質問はしませんから、どうか誠意のある答弁をいただけるようお願いして、以下お尋ねします。
警察の不正経理問題は、昨年十一月の北海道警の捜査報償費不正支出疑惑の発覚以来、他県でもOBや現職警察官の内部告発で他の警察本部にも拡大しました。警察庁は、この事態を重視して、ことし二月、内部監査強化の実施計画の作成や捜査協力者の架空名義領収書の廃止、都道府県監査委員の捜査員への聞き取り調査に応じることなど、適正化策を各警察本部に通知しています。
そのやさき、ことし三月末で保存期限の切れる平成十年度の会計文書が、警視庁など九つの警察本部と九州管区警察局で廃棄されたことがわかり、警察への不信が高まっています。ついせんだってはさらにまた本県警察本部を含めて、その廃棄があるいは紛失が拡大しているようでございますが。
警察内部の不正は、組織をむしばみ、第一線の警察官の士気をくじいていき、やがては社会の安全が揺らぐ一因にもなりかねません。今こそ警察組織の総力を挙げて予算執行の適正化を進め、国民の信頼回復に取り組まなければならないときです。本県警察本部においても、会計監査に関する国家公安委員会規則の制定を受け、公安委員会への結果報告を義務づける等の監査強化策を盛り込んだ本部長訓令が制定されたところであります。
本県における捜査報償費は適正に執行されていると答弁されていますが、実名以外の領収書があるかどうか実態は把握していないとのことであります。他県においては、平成十年度から十五年度分の調査を実施するところもありますが、本県ではどのように対応されるのか、また、今年度の監査実施計画の具体的内容・改善点について明らかにしてください。
県監査委員が行う捜査報償費に係る監査については、警察庁の検討委員会や他県の状況を参考にして監査方針を立てるとのことでありましたが、今年度の監査の実施方法はどのように充実・強化されたのか、領収書等の提示はあるのか、監査方法の見直しによって予算執行の適正化・透明性はどのように担保されるのか伺います。
昨年四月に行われた県議選において曽於郡区であったとされる公選法違反事件は、一年を経過した今日でも裁判が継続中で、起訴された十三名全員が無罪を主張し、取り調べに当たった警察官が公判に証人として出廷して尋問され、取調室での踏み絵事件と弁護士の接見交通権の侵害で国家賠償請求訴訟が提起されるなど、異常な事態が続いています。
また、中山信一氏は、昨年六月四日に逮捕されて以来今日まで保釈されずに、実に十二月にわたる勾留が続いています。罪証隠滅のおそれを具体的に明らかにしないまま、無罪を主張する被告人を検察の立証終了まで保釈を認めないという姿勢は、精神的にも肉体的にも追い込み、自白を強要するに等しい行為で、まさに人質司法と言われるそのものであります。
第一は、提起された二件の国家賠償請求訴訟に関してでありますが、県は、踏み絵事件について、五月十九日の第一回口頭弁論において請求の棄却を求めていますが、今後、接見交通権侵害事件を含めて、事実関係の有無まで全面的に争う構えなのか、その理由もあわせて知事の見解を伺います。
第二に、捜査人員と捜査費用について改めて伺います。
この点については、これまでも本会議、総務警察委員会でも質問しておりますが、「捜査体制なり、それに要した費用の詳細についてお答えすることは、捜査に支障を及ぼすおそれがある」として明らかにされていません。県財政に責任を持つ県議会議員としては、被告人の保釈によって罪証隠滅のおそれがあるような証拠固めしかできていない捜査がどのようなものであったのか、一部には一億円も使ったという声があるだけに、この際、具体的に内容を明らかにされる必要があると思いますのでお示しください。
第三は、取調室でのやりとりについてですが、外界から遮断された密室で警察官と一人で対面しての取り調べが、後々、自白の任意性・信用性に疑問を生じさせる大きな原因であります。そこで、任意性を担保する方法として、ビデオによる録画・録音、または弁護人等の第三者の立ち会いを認めることが考えられます。日米地位協定の見直しで、米軍関係者の取り調べに米軍の捜査関係者の立ち会いを認めるようになりました。
国家公安委員会規則の犯罪捜査規範第百八十条第二項には、「取り調べを行うに当たって弁護人その他適当と認められる者を立ち会わせたときは、その供述調書に立会人の署名押印を求める」旨の規定が既に定められています。これは、刑事訴訟法に先行して弁護人の立ち会いを予定しているものであり、今後の取り調べには一般的に弁護人の立ち会いを認めるか、最低でもビデオによる録音・録画をしておく必要があると思いますし、後々のもめごとの解決にも非常に役立つと思うのですが、いかがでしょうか。刑事司法制度を、適正手続を確保しながら、かつ迅速に真実を発見するという目的に近づけることができるかを考える立場での見解を伺います。
ところで、事件から一年余り、本部長は他県の捜査二課長も歴任されて、警察庁内部の評価もなかなか高いようですが、その鋭い眼力から見て、この事件、本当に県警の筋読みは正しかったんでしょうか、本当に事件はあったのでしょうか、良心に照らして本当の気持ちをお聞かせください。
これで、第一回目の質問を終わります。
[知事須賀龍郎君登壇]
25 ◯知事(須賀龍郎君) まず、私の県政の自己評価でありますけれども、私は、平成八年七月に知事に就任いたしましてから、これまで、ふるさと座談会や県政懇談会などあらゆる機会を通じまして、県民の方々の御意見をお伺いしながら、「県民が主役のまごころ県政の推進」など三つの基本姿勢のもとに、県勢発展のために全力を傾注してきたところであります。
この間、低迷する県内景気や厳しい財政環境のもとではありましたけれども、県議会を初め、地元選出国会議員、県民の皆様方の温かい御支援、御協力によりまして、「二十一世紀新
かごしま総合計画」の創造プログラムを初めといたします各般の施策を積極的に推進し、
九州新幹線鹿児島ルートや高規格幹線道路など高速交通体系の整備を初め、基幹産業であります農林水産業や商工業、観光の振興あるいは保健・医療、福祉の充実、災害に強い県土づくりなど、県政は各面におきまして着実に進展をしてきているものと考えております。
なお、本県におきましては、これまで自主財源に乏しい財政構造の中におきまして、おくれております社会資本の整備や災害に強い県土づくりを着実に推進してきたところでありますが、国の経済対策に呼応した公共事業の追加などもあり、また十六年度は国の予算編成に当たりまして交付税等の大幅削減等もあり、財政状況が一段と厳しさを増してきたことから、財政改革プログラムを策定し、歳入歳出両面にわたります徹底した見直しに取り組んできたところであります。現在のような極めて厳しい財政状況になりましたことは、県政を預かる責任者といたしましても、その責任は感じております。
一方、マリンポートかごしまなどを初めといたします社会資本の整備などは、県民が豊かな生活環境を享受するとともに、本県の持続的な発展を支えていく上におきまして極めて重要であると考えております。今後とも、厳しい財政環境は続くものと考えておりますけれども、足腰の強い財政構造を構築いたしますとともに、県内の経済、雇用環境等にも十分配慮しながら、県勢の浮揚発展を図るために必要となる施策・事業については着実に推進していくことは必要であると、このように考えております。
次は、次の知事選でございますけれども、私は、知事就任以来これまで、県政の主役は県民であるということを常に念頭に置きながら、歴代知事や県議会を初め、県民の方々が築いてこられました県政の基礎や実績を踏まえつつ、時代が求める新たな要請や課題に挑戦し、県勢のさらなる浮揚発展のために全力を傾注してきたところであります。
また、今日のように激動する社会経済情勢にありましては、中長期的な展望に立ちながら、常に時代の変化に的確に対応していく必要がありますことから、先見性、決断力、行動力というものが極めて大事であると考えております。私自身、このような考え方のもとに今日まで県政に携わってきたところでありますけれども、県民の方々お一人お一人によって選ばれて新しい知事になられた方には、その抱負、政策等に基づきまして、一層の県勢発展のために御尽力いただきたいものと期待いたしております。
次は、イラク問題でありますが、イラクの復興と民生の安定は国際社会全体にとりまして極めて重要な問題であり、我が国といたしましても、イラク人道復興支援特別措置法に基づきまして、自衛隊をイラクに派遣し、人道復興支援活動に取り組んでいるところであります。このような中におきまして、去る六月一日にはイラクにおいて暫定政権が発足し、来年一月の国民議会選挙へ向けた最終的な準備が行われているところであります。
私といたしましては、今後一日も早くイラク人自身によります速やかな国家再建がなされますとともに、我が国といたしましても、引き続き国連や関係の国々と協力しながら、国際協調の中でイラクの人々が希望と意欲を持って自分たちの国づくりに励むような人道支援、復興支援がなされることを期待しているところであります。
次は、年金問題でありますが、我が国の年金制度につきましては、少子・高齢化の進行などに対応いたしまして、時代に合った制度を目指した改革の議論がなされているところであります。こうした中に、一方では手続の複雑さなどが指摘されておりまして、今後、国において、年金の一元化問題も含む社会保障制度全般のあり方につきまして十分論議されていくものと考えております。
小泉総理大臣の国民年金の加入歴等につきましては、総理みずからが国会等におきまして説明がなされているものと私は理解いたしております。
次は、国におきましては、保険料の未納者等によりまして、将来、老齢年金等の年金を受給することができないいわゆる無年金者を救済するため、これまで三回特例納付が実施されてきているところであります。今回は、年金制度改革に関する三党合意に基づきまして、錯誤等による未加入、未納者について、今国会において、一定の条件のもとで事後納付ができるようにするための法的整備についての検討がなされるものと聞いております。
私といたしましては、今後とも、国会等におきまして広範囲な論議が進められ、国民的な合意のもとに、長期的に安定した信頼される年金制度が構築されることを期待いたしております。
次は、国民年金事務につきましては、地方分権推進委員会第三次勧告を踏まえた地方分権一括法の施行によりまして、原則として国が直接行うものとし、各種届出書の受理などの業務のみを法定受託事務として地方自治体が行うこととされているところであります。このような経緯を踏まえますと、ここでまた改めて国民年金事務を再度地方に戻すということは困難なことではないかと考えております。
次は、平成十六年度の三位一体改革につきましては、地方財政計画の歳出全体の抑制に伴いまして、地方交付税等が大幅に削減されますなど、本県はもとより各地方自治体にとりましても大変厳しいものとなったところであります。
県といたしましては、今後とも、このような地方交付税等の削減のみが行われました場合、県としての役割を持続的に果たしていくことが困難になるおそれがあると考えておりまして、平成十七年度以降の三位一体改革におきましては地方の意見が反映されるよう、
九州地方知事会並びに全国知事会におきましても、国に提言をそれぞれ行ったところであります。
また、同じく五月二十五日には、「
地方財政危機突破総決起大会」が開催されまして、
地方自治体関係者約七千六百人が参加してこの大会が行われたところであります。
国におきましては、去る六月四日に「経済財政運営と構造改革に関する基本方針二〇〇四」が閣議決定され、三位一体改革の全体像の決定に当たっては地方の意見に十分耳を傾けること、税源移譲はおおむね三兆円規模を目指すこと、
国庫補助負担金改革については地方が取りまとめた具体案を踏まえること、地方交付税については地方団体の安定的な財政運営に必要な一般財源の総額を確保することなどが盛り込まれたところであります。今後、平成十八年度までの三位一体改革の全体像をことしの秋には明らかにするとともに、年内には決定されるということであります。
県といたしましては、今後とも、あらゆる機会を通じまして、地方の実情を十分考慮の上、地方交付税の財源調整・財源保障機能を確保すべきであるという考え方のもとに、この点につきましては、国に強く要請してまいりたいと考えております。
次は、地方再生交付金につきましては、現段階では詳細が不明であります。本来、国庫補助負担金の廃止・縮減とあわせまして、国から地方への基幹税の税源移譲を進めますとともに、地方交付税の財源調整・財源保障機能の確保につきましては、先ほど申し上げましたとおり、三位一体改革の本筋であると私は考えております。
26 ◯環境生活部長(假屋基美君) 霧島アートの森、みやまコンセール、黎明館などの県の文化施設は、県民の芸術文化の振興や郷土の歴史、文化遺産等に対する理解と認識を深めることを目的として設置されており、新
かごしま総合計画の中で、「薫り高い地域文化の創造」を実現するための拠点施設として利用促進を図っているところであります。
これらの施設では、民間では開催機会の少ない海外オペラ公演等、国内外の芸術性の高い多種多様な事業の実施や歴史資料等の収集、学術研究等を行っております。また、施設や地域の特性を生かした音楽祭や展覧会等も実施しており、本県の観光や地域振興にも大きく寄与していると考えております。
なお、これらの施設の運営に当たっては、これまでも、財政改革プログラムに基づき事務事業の見直しや職員の削減などを行うとともに、民間事業者等との共同開催など創意工夫しながら、事業の実施に努めているところであり、今後とも、効果的・効率的な運営に努めてまいりたいと考えております。
27 ◯警察本部長(稲葉一次君) 犯罪捜査報償費の執行の確認につきましては、所属長による随時点検、本部担当官による監査のほか、県当局による監査も行われております。こうした中で、問題は全く指摘されていないところから、適正な執行がなされていたものと判断されます。したがいまして、現時点では改めて調査の必要性はないと考えております。
また、本県では、会計検査の実効性をさらに高めますために、新たに「鹿児島県警察の行う会計の監査に関する訓令」を定めまして、重点を示した会計監査実施計画を策定し、本年度から既に実施中でございます。また、その結果につきましては、県公安委員会に報告することといたしております。
次に、民事裁判についてでございますが、今回、二件の国家賠償請求事案を受理したところでございます。警察におきます捜査は、法と証拠に基づいて適正に行われたものと理解しておりまして、訴訟につきましては、そのルールに従って適切に対応してまいりたいと考えております。
なお、訴訟に関する事実関係につきましては、裁判の場で逐次明らかにしてまいりますので、御答弁は差し控えさせていただきたいと考えております。
捜査費用等についてでございますが、大規模な選挙違反取り締まりの事件捜査につきましては、事前取締本部を設置するなどいたしまして、期間を区切って行うものでございます。したがいまして、事件ごとの捜査体制や捜査費用を明らかにいたしますと、内偵捜査から本格捜査に移行する時期や捜査の対象、範囲などが推測されるということになります。そういたしますと、この種事案に対する逃走でございますとか証拠隠滅などの、捜査を免れる対策を講ずるということが非常に容易になるわけでございまして、そうしたことから一般的に明らかにしないところでございます。
また、個々の事件の捜査費用は個別に分類していないわけでございますが、直接関係のある警察活動旅費については、年額であれば部署ごとに公表しても支障はないと考えております。志布志署と捜査二課に限って申し上げますれば、本件捜査費用も含め、年額で志布志警察署が約九百万円で、前年比約二百二十万円の増、捜査第二課が約二千万円で前年比約一千四百七十万円の増となっております。
取り調べにおける弁護人の立ち会いと録音等についてでございます。被疑者の取り調べへの弁護人の立ち会い、録音・録画といった制度の導入につきましては、それが現実の取り調べに及ぼす影響というものを考慮した上で慎重に検討すべきものと考えております。
なお、これらの制度の導入につきましては、司法制度改革審議会の意見におきましても、刑事手続全体における被疑者の取り調べの機能、役割との関係で慎重な配慮が必要であることなどの理由から、現段階でそのような方策の導入の是非について結論を得るのは困難であり、将来的な検討課題ととらえるべきであるとされているところでありますことを承知しております。
それから、事件から一年、現在の見解ということでございますが、事件は、警察が法的確信を持って送致し、検察官もまた法的確信を持って公訴を提起し、公判を維持しているものでございます。選挙の公正を害する犯罪を取り締まるという国民から負託された警察の責務を全うするため検挙した事件の一つであり、あらゆる支障や困難を克服して捜査を遂げたものと認識しております。
警察といたしましては、公訴が提起された後においても、公訴を維持する過程において必要となる証拠などにつきまして、みずからに有利であるか不利であるかを問わず捜査を行っているものでございます。
28 ◯代表監査委員(小島政利君) 犯罪捜査報償費に対する監査委員の監査につきましては、これまで、経費の特殊性にかんがみ、権限と責任を有する所属長の支払い証明がなされているかどうかなど、経理手続が会計規則に基づき適切に行われているかどうかを監査してきたところでございます。
平成十六年度から行う監査につきましては、警察庁が各都道府県警察に対し、監査委員の監査に協力するよう指導したことなどを踏まえまして、これまでの監査手法に加え、現金出納簿や領収書を含む関係書類の提示を求めることとしましたほか、必要な場合には直接捜査員等の応対を求めることとするなどの見直しを行ったところであります。
監査委員としましては、今後とも、厳正な監査を通じまして、予算がその目的に沿って適正かつ効率的に執行されるよう期してまいりたいと考えております。
[桐原琢磨君登壇]
29 ◯桐原琢磨君 御答弁いただきました。
知事には、私は小泉さんのちょっとふざけた態度には少し何か言ってほしかったなあと思うんですが、いつもどおりまことに冷静で淡々と、それはそれ、私も見習わないといけないのかなと。最近私は、あの人のあの態度を見ると非常に腹が立って困るんですが、もう少し冷静になるように心がけましょう。
ところで、本部長、言いたくもない費用の点、大分、一歩前進かなとは思うんですけど、ただ、なぜそれを言うことがこの種の事件の捜査に支障になるのか。委員会でも言われておりますのが、「将来に起き得る同種の事件の捜査に支障になる」と言われているんだけれども、私は頭が悪いのか、どう考えてもならない。この種の事件は、およそお金のやりとりがばれないようにやるしかないんであって、警察が立ち上がってから、それをどうすれば捜査を免れるかというのは、これはどうも納得できないんですね。要はばれないようにやるしかないんだろうと思うんですがね、どうもよくわからない。
それで、民事訴訟の方の話も本部長の方からお答えをいただきましたが、これは被告は知事になっておりますよね。とすれば、これは知事が訴えられているんであって、しかし、その仕組みについては聞きました。警察職員を知事の指定代理人として、そして訴訟に当たらせている。
これは考えてみますとね、知事を一つの家のお父さんとしますとね、息子がどっかで悪いことをした。「おまえんちの息子が悪いことをしたから金払え」ということで、おやじのところに請求が来た。そうであれば、おやじがまず息子に「おまえはそんなことをしたのか」と、「おれはそんな息子に育てた覚えはない」と、「どうか」と聞いた上で、払うもんは払わなしょうがないだろうなというのが普通であって、今のやり方は、「お父さんは忙しいから、あんたが出ていって身のあかしを立てなさい」と、「その上で、金を払わにゃいかんときには払いましょう」というような、どうもそういうスタンスがですね、ちょっとそこあたりがもう少しどうなのかなと。
それで、これは知事は御存じかどうか知りませんが、この事件に関して、この踏み絵事件に関しては御本人たち、訴えられておられる方が九州管区警察局に苦情を申し立てに行かれた。その後、九州管区警察局から県警に対して、「どうなっているんだ」と照会があったらしいんですね。巷間言われているところ、県警は、その事実関係を認めて報告書まで出しているのかという話もあるんですけどね。こういうのが法廷でまた明らかになると、県の立場は極めて苦しくなるんじゃないかなと思いますから、おやじは早く息子に「どうだったの」ということを聞いた方がいいのではないかなというふうに思うんであります。
それと、本部長、一年たっての感想はああいう答えしかできないんですけどね、私もつまらんことを聞いたもんだなあとは思うんですが、ただ、いつかこの事件が終わって、どれだけ期間がたつかわかりませんけれども、私も「つまらん質問をしたなあ、ごめんな」と、本部長の方でも「やあ、あのときはああいう答えしかできなくて済みませんでしたね」というような話ができるような日が来ることを私は待ち望んでおります。
ところで、中山信一さん、今度の補欠選挙にお出になるということが報道されました。これは本人の思いからすれば当然だろうと思います。私どもは、人権の問題とかあるいは失われた正義の問題を考えても、そうだろうなと、頑張ってほしいなと思うんですね。孔子が論語の中で「義を見てなさざるは勇なきなり」と教えておりますし、あの与謝野鉄幹も「友の情けを求むれば義のあるところ火をも踏む」というふうに歌っております。
時間がございませんので、次に移らせていただきます。
去る三月十三日に開業した九州新幹線の部分開業から二カ月余りがたちました。開業祝賀ムードが冷めた後の利用客の落ち込みが懸念されていましたが、ゴールデンウイーク期間中の利用状況を含め、好調な滑り出しとの評価を受けています。
四月二十八日から五月五日までのゴールデンウイーク期間八日間に、上り下り合わせて十万一千人が鹿児島中央─新八代間を利用しています。これは昨年同時期の在来線特急の二・七倍、平均乗車率も五〇%と予想以上であります。ただ、この数字からは、県外から鹿児島を訪れた人がどの程度占めているのかということはわかりませんし、新幹線を利用して福岡に行く人がふえたかもしれませんが、それでも鹿児島を訪れた観光客は例年になく多かったようであります。
日銀鹿児島支店の調べでも、県内企業の約半数が「プラス効果が出た」と答えておりますし、業種別にも、食品製造業のうち焼酎がブームに加えて、県外観光客や卸売業者の買い付けがふえ、製菓も県外取引先との商談がふえるなど、飲食業、温泉などその効果は大きいものがあります。この効果を継続・発展させるためには多くの情報収集とその分析、課題への対策が必要であります。
今回、新幹線を利用して鹿児島に来られた方々の印象はどうだったか、期待どおりの鹿児島だったか、もう一回ぜひ来たいと思われたか、注文や要望はないのか、またショッピングや観光での福岡方面への利用客の動向はどうか、また鹿児島に支店・出張所などを持つ企業の福岡移転の兆しはないのか、これも気になるところであります。
県は、新幹線開業効果をどう評価されているのか。今後、全線開業も見据えながら、本県の観光振興と経済の浮揚につながる戦略を積極的に進めていかなければなりません。そのためには、動向調査などを実施して、情報を収集・分析することが極めて重要だと思いますが、見解をお聞かせください。
私ども社民・無所属連合は、地域交通のあり方について、先日、山川・根占フェリーと奄美大島の奄美交通問題の現地調査と地元の方々の意見を伺ってまいりました。
奄美では、行政側で構成する
奄美大島バス対策協議会や民間で構成する奄美大島バス対策民間団体協議会、さらに労働組合等との意見交換で感じたことをもとにして質問をいたします。
いわさきコーポレーションは、一月に奄美交通の清算とバス事業からの全面撤退を表明したものの、三月三十一日には、五十四系統のうち三十系統と、地元自治体から委託を受け運行している代替バス十系統を九月末で廃止することを鹿児島運輸支局に届けました。残り二十四系統については、
いわさきコーポレーションが他の事業者とつくる新会社に譲渡するとしています。廃止届を出したのは、奄美交通が営業する計三百十四・五キロメートルのうち赤字路線の百五十二・二キロメートルであり、全体のほぼ半分に当たる名瀬─古仁屋、空港など採算性の高い路線を中心に残すとしています。
しかしながら、地元関係団体では、全面撤退の表明を受けて、黒字路線だけでも残すように奄美交通側に申し入れ、協議がなされたが、全面撤退の意思は変わらないとはねつけられたことから、地元対策協議会を立ち上げて検討している中で、突然
いわさきコーポレーションの方針転換が行われたため当惑し、それが不信感と反発を増幅しています。
その後、地元市町村と民間団体は協力して、黒字・赤字路線を含めて、奄美本島全体のバス路線を三十二路線に編成して維持確保することを確認したとのことであります。したがって、地元では、この際
いわさきコーポレーションには全面撤退を望む声すら上がっています。
いわさきコーポレーションが他の事業者とつくる新会社設立の可能性はゼロに近く、黒字路線のみを対象としても、
いわさきコーポレーションが単独で新会社を設立して事業を行っても、地元住民の支持も期待できず、赤字は必至ではないでしょうか。また、両対策協議会が進めようとしている地元の岩崎バスを中心とした事業運営も、厳しい環境での経営となることが予想されます。百二十人にも及ぶ雇用問題や、奄美の住民生活や観光産業、通学、教育など全般に及ぶ奄美交通問題は早期の解決が求められています。
知事も定例記者会見で、
いわさきコーポレーションの対応を「真意が理解できない」とコメントされていますが、いずれにせよ県の対応が迫られています。公共交通を担う企業の社会的責任の希薄さが問題解決のネックになっていると思います。県土の公共交通の七〇%を占める企業の責任と、望ましい事業運営のあり方をどう認識されているのかお示しください。
また、五月三十一日の県バス対策協議会において、
いわさきコーポレーション側から県に対し、「休廃止を届け出た路線以外のバス路線について、なぜ
奄美大島バス対策協議会で話し合われるのか」という趣旨のクレームが出されたということですが、頭の中を拝見したい気がします。
一月の全面撤退の意思表明があった日から今日までの奄美交通問題のてんまつと、早期解決に向けてどのように対応されるのかお聞かせください。
次に、山川・根占航路問題について伺います。
県は、
いわさきコーポレーションに対して、同社が根占港の県有地に所有する港湾施設の撤去などを求めていた問題で、三月三十一日、同日で占用許可期限が切れた県有地の貸与を一年間更新されたそうです。港湾課によりますと、
いわさきコーポレーションから航路設定を考えているとの意思表示があり、原状回復した場合も今のところ使用する計画がないなどの判断だと聞いています。この新たな航路設定は、
いわさきコーポレーションが以前運航していた鹿屋─鹿児島─指宿を結ぶ航路のうち、鹿屋を根占に変えての再開航路であります。このことが山川・根占航路の存続運動に微妙な影響を与えています。
山川・根占航路は、平成十二年三月、いわさきグループ運輸部門の経営改善のための基本方針及び具体的施設の公表とあわせて、平成十二年十月ごろまでに廃止する表明がなされ、同年四月十日に二市八町、鹿屋市、根占町、大根占町、田代町、佐多町、指宿市、喜入町、山川町、開聞町、頴娃町で「山川・根占航路存続関係市町連絡協議会」が設立され、種々の航路存続検討がなされてきましたが、昨年八月解散、現在では、山川、根占両町でつくる「山川・
根占航路調査研究会」へ引き継がれています。この間、解決の糸口が見え隠れする中でも、
いわさきコーポレーションの姿勢が結果に大きくかかわってきました。
山川、根占両町は、山川・根占航路のカーフェリーによる航路再開を望んでおりますが、市町村合併問題や南九船舶が運航開始を始めた指宿─大根占間の海上タクシー、今回の新たな航路開設、二百トンクラスのフェリー就航には指宿・大根占港では水深が浅いことなどとも絡み、複雑な様相を呈しています。
薩摩半島と大隅半島を結ぶ産業や観光、文化の重要な海上航路として必要であり、県が持つべき広域交通政策上の観点からも、物流を基本に置いた航路再開に強いリーダーシップが求められていると思いますが、県の航路の位置づけと航路再開に向けた取り組みをお示しください。
吹上町の産廃処分場跡地問題で、滝之平・芋野処分場跡地を購入した久留米市の産廃処理業者栄和産業が、同処分場を引き継ぐ形で滝之平処分場を再開したい旨の意向を、県と町に打診しているとのことであります。
これらの地域は、芋野処分場跡地の野積みされている焼却灰撤去問題で長年にわたり地元住民を悩ませてきたところです。加えて、弦掛処分場跡地から掘り出されたトリクロロエチレンなどの有害物質問題が、吹上町民の産廃行政に対する不信を決定的なものとし、それが今日なお裁判闘争として継続されている地域でもあります。また、この芋野地区の焼却灰や弦掛処分場の有害物質の撤去については、県に代執行が求められていましたが、県が対応していないことも産廃行政への不信の原因となっています。これらの問題に県はどう対処しようとされているのか、考え方をお聞きします。
こういう状況下で業者が滝之平処分場の再開を求めていますが、芋野処分場跡地の四千五百立方メートルの焼却灰の撤去は再開の前提条件でしょうが、有害物質が今なお眠っていると見られる弦掛処分場が滝之平処分場と同じ安定型処分場であったこと、それに対する県の対応が消極的で、地元の評価は厳しいものがあり、この問題の処理は容易ではなかろうと思います。
また、栄和産業は「地元の理解が前提、強行はしない」と言っているようですが、企業ですから、そう長く土地を遊ばすこともできないでしょう。いずれ地元との関係調整など県の姿勢が試される日が来ると思いますが、具体的な対応をどう考えておられるのかお聞かせください。
世界自然遺産の島・屋久島に「屋久島水素ステーンョン」が建設され、屋久島はゼロエミッション時代に向けて大きくスタートしました。
今後、この「水素ステーンョン」を中心に、屋久島電工が提供する電力と、本田技研が提供する二台の燃料電池車が実験を重ね、二酸化炭素を出さない循環型社会のモデルシステムをつくっていくものと大いに期待されますが、クリーンな燃料電池のエネルギーである水素には多くの規制が立ちはだかり、このため屋久島電工は、屋久島を「新エネルギー構造改革特区」にし、燃料電池の普及をはばんでいる十五項目の規制を緩和するよう提案、うち四項目が認められ、あと七項目は現行制度でも可能とされたようですが、建設する水素タンクの容量が小さいため、今回は申請はしなかったとのことであります。知事は、これら屋久島における化石燃料を一切使わないいわゆる「水素社会」に向けた取り組みをどのように評価されていますか。
また、島内を走っている燃料電池車も二台、それも年四回程度、一回十日から二週間ぐらいでは少ないので、自動車業界を初め各方面に働きかけ、県や市町村、企業など積極的な導入をすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
さらに、家庭用燃料電池の実証実験が全国各社で行われており、コージェネレーション、熱電併給といいますが、コージェネレーションシステムとして、経費も安くクリーンなエネルギーとして大変期待されております。政府としても、本年度中に法の見直しを終え、来年度から全国的に規制緩和する予定とのことであります。鹿児島には屋久島があり、全国に先行しているわけですから、家庭への普及を積極的に取り組むべきだと考えますが、見解をお聞きいたします。
介護保険がスタートして四年余り、制度は、高齢社会を迎えた我が国社会にすっかり定着した感があります。介護の社会化、負担の公平化という当初の目的も達成されつつあるように見えます。ただ、予想をはるかに上回る要介護認定者数や在宅サービスの伸びを見ますと、保険財政の悪化ということも懸念されます。特に本県は認定率一七・九%で全国第一位、一人当たりの給付額が全国第五位という状況にあります。このことは決してこれが悪いということではありません。
また、全国的傾向として、軽度の介護サービスを受けている人が二年もたつと、要介護度五とかだんだんなっていくという、五割、六割の人たちがだんだん重くなっていくというそういった傾向もあるようでありまして、介護保険が本来の目的を達していないのではないかと言われているゆえんでもあります。
このような本県介護保険実施状況を知事はどのように受けとめられておられるのか、また、介護サービスを受けている方々が元気になっていくような本来の介護事業に向けて、今後、どのような改善充実策をとろうとしておられるのかお聞きいたします。
不正請求の件につきましては、午前中の自民党の代表質問に対して答弁されましたので割愛しまして、引き続き、事業所に対するきめ細かな御指導に力を入れていただくようにお願いしておきます。
厚生労働省は、五月十二日、不正請求が疑われる事業者に対して、市町村が支払いを停止できるような仕組みをスタートさせたとのことですが、県は、市町村をどのようにこの件で支援されようとしているのかお聞かせください。
次に、法改正についてですが、国は、来年の通常国会に改正介護保険法を提案すべく作業をスタートさせております。法改正の論点として、利用者負担の引き上げや被保険者年齢の引き下げを初め、さまざまな検討がされておるようであります。我が会派としては、やはり「本来の介護」すなわち「高齢者が生き生きと、なるべく自立的な生活を送る手助けをする」という介護の目的に沿って法改正をすべきであると考えます。利用者負担を引き上げることは、高い保険料負担の上にさらに負担を強いて、真に介護を必要とする人を遠ざけることになり、反対です。
知事は、介護保険制度の現状を踏まえ、将来を展望して、法改正がいかにあるべきとお考えですか、見解を伺います。
以上で、二回目の質問を終わります。
[知事須賀龍郎君登壇]
30 ◯知事(須賀龍郎君) 新幹線の開業効果でありますけれども、鹿児島県民の長年の悲願でありました九州新幹線が開業いたしまして、約三カ月近くがたちましたけれども、この間、前年同期と比較いたしますと、ただいま御指摘のとおり、二倍以上の方々に利用されており、大変順調なスタートが切れたものと考えております。
九州新幹線開業後の観光の動向につきましては、県内の主要なホテル・旅館、観光施設等を対象に四月と五月の入り込み客の状況の調査を行いましたところ、宿泊者数は前年同期と比べまして一一%、観光施設につきましては一五・九%の増加となっております。
観光客の動向につきましても、広島、岡山など中国地方からの入り込みが新たにあらわれておりますことや、福岡、熊本からの日帰り客が増加しておりますなど、新幹線によります時間短縮効果が新たな観光形態を生み出しているということもうかがえると思います。
また、日本銀行鹿児島支店が五月に地元企業百社を対象としまして実施した「九州新幹線部分開業に伴う影響度調査」によりますと、開業後一カ月時点の開業効果については、半数を超える企業が「観光客の入り込み増に伴うプラス効果がある」と回答しております。
現在、鹿児島は空前の焼酎ブームや黒豚・黒牛などの特色ある食材、豊富な温泉資源、緑豊かで癒しに満たされた屋久島・奄美群島など、広く全国的にも注目を集めているところでありまして、九州新幹線の開業は、その話題性とともに、本県の持っております豊かな観光資源を生かしていく上で相乗効果を生み出し、今後、大きな経済効果をもたらしてくれるものと期待いたしております。
次は、
いわさきコーポレーション株式会社は、本土を初め、奄美大島や種子島・屋久島におきましてバス事業を展開しておりますが、これらバス事業は、公共交通機関として極めて重要な役割を果たしており、社会的にも重い責任を持っているものと私は考えております。
その一方で、民間企業として、厳しい経営環境の中で経営していかなければならないことも事実でありまして、そのためにも、国・県の支援を受けながら効率的な経営を行いつつ、公共交通機関として地域住民のニーズに的確に対応した事業を行うことが極めて大事であると考えております。
奄美大島における事業につきましては、去る一月六日に
いわさきコーポレーション株式会社から、本年九月末をもって奄美大島におけるバス事業を廃止・撤退するとの申し出がありましたことから、県としては、地元市町村、民間団体と一体となりまして、奄美交通撤退後のバス路線の確保について協議を行ってきたところであります。
このような中、去る三月三十一日には
奄美交通株式会社から、現在運行しております五十四系統のうち二十九系統と、自治体から委託されておりますすべての路線を九月末をもって廃止する旨の届け出が国に出されております。
これを受けまして、地元七市町村長で構成しております
奄美大島バス対策協議会におきまして、奄美大島全路線の運行の確保について、
地元バス事業者等に要請するとの共通認識のもと、各市町村が民間と一体となりまして取り組んでいくことが確認されたところでありまして、現在、島内全域でのバス運行の具体化に向けまして検討が進められているところであります。
県といたしましては、今後とも、地元市町村や民間団体と連携を図りながら、引き続きましてバス路線の確保に向けました積極的な取り組みをしてまいりたいと考えております。
次は、介護保険法の改正でありますが、介護保険制度は、老後の最大の不安要因であります介護問題にこたえるために、高齢者が介護を要する状態になっても尊厳を持って自立した生活ができるよう、社会全体で支える仕組みとして創設されたものであります。制度が施行され四年余りが経過し、一部には不正請求など不適正な事案が見られますものの、全体的には大きな混乱もなく、制度の安定的な運営がなされているものと考えております。
本県におきましては、今後も一層高齢化が進むと見込まれておりますことから、介護保険制度を中心とする高齢者介護の仕組みを、給付と負担のバランスが確保された、将来にわたって持続可能なものとしていくことが重要であると考えておりまして、この見直しに当たりましては、十分な論議がなされ、よりよい介護保険制度となるように期待しているところであります。
31 ◯企画部長(岡積常治君) 九州新幹線の開業に伴い、その時間短縮効果により観光客の行動範囲が一層広域化し、またビジネス交流も活発になると期待されますことから、新幹線の開業効果を県内全域に波及させる必要があると認識しております。このため、新幹線開業後の観光需要動向や企業活動動向など、新幹線の開業効果の把握に努めながら、地域資源を生かした魅力あるまちづくりや観光地づくり、国内外に向けた観光情報の発信等の取り組みを積極的に推進し、本県経済の浮揚に取り組んでまいりたいと考えております。
山川・根占航路につきましては、現在、山川、根占の両町で構成する山川・
根占航路調査研究会におきまして対象船舶の調査を行うなど、同航路の再開に向けた調査研究を進めているところであります。県としましては、この航路は、観光振興や産業活動の面で重要であると認識し、これまで、関係市町とともに航路再開に向けた取り組みを進めてきたところであります。今後とも、山川、根占両町の取り組みを見きわめながら、できる限り協力してまいりたいと考えております。
屋久島水素ステーションプロジェクトは、鹿児島大学等の共同研究チームが屋久島電工、本田技術研究所の協力を得て、屋久島の水力発電の電力で水素を製造し、燃料電池車を走らせる実証試験を行うものでありまして、このような再生可能な自然エネルギーを活用したプロジェクトは、地球環境問題への対応という面から見ても極めて有意義なことであると考えております。
また、年四回走行試験が行われることになっております本田技術研究所の燃料電池車の屋久島常駐化につきましては、メンテナンス、また常駐のための経費が多額に上ることなどから、困難であると聞いております。
家庭用燃料電池につきましては、環境特性にすぐれた効率のよいエネルギーとして導入が期待されており、国におきましても、普及に向けて、安全性の確保を前提とした包括的規制の再点検を行っております。
県としましては、このような国の動向や実用化に向けた研究開発の動向等を踏まえながら、県民や事業者に対しまして情報提供などを行い、燃料電池の普及啓発に努めてまいりたいと考えております。
32 ◯環境生活部長(假屋基美君) 吹上町芋野地区の管理型最終処分場に野積みされた産業廃棄物につきましては、原因者である元経営者や平成十四年に同処分場を購入した久留米市の産業廃棄物処理業者に対し、再三にわたり早急に撤去するよう厳しく指導してきたところでございます。
こうした中で、久留米市の産廃業者は、同時に取得した滝之平安定型最終処分場の再開打診に当たり、あわせてこの野積みされた産業廃棄物の撤去の意向を示しており、県としては、地元町や地域住民の理解を得ながら、速やかにこの産廃が搬出されるよう引き続き指導してまいりたいと考えています。
また、弦掛の安定型処分場跡地につきましては、平成十四年九月に内容物の入ったドラム缶が発見されたことから、処分場の元経営者に、発見されたすべてのドラム缶を撤去させたところでございます。この処分場跡地につきましては、地元住民から、不法投棄があったとして廃棄物や土砂の撤去を求める民事裁判が提起され、現在、係争中でありますことから、その推移を見守ってまいりたいと考えております。
なお、芋野地区及び弦掛地区につきましては、処分場跡地周辺の地下水等の調査を実施しており、これまで、いずれの地区でも異常は認められていないところであります。県といたしましては、引き続き水質調査を実施してまいりたいと考えております。
久留米市の産廃業者による滝之平の安定型最終処分場の事業再開の打診に際しましては、県としましても、地元町と事業者とが話し合いの場を持つようにそれぞれに働きかけたところであります。
この最終処分場の再開につきましては、吹上町におけるこれまでの経緯を踏まえ、県としましては、同社に対し、地元町や地域住民に対する協議・説明を十分に行い、理解を得るよう指導しているところであります。
33 ◯保健福祉部長(千村 浩君) 平成十五年十二月末現在の本県の要介護認定率は一八・八%で全国二位、第一号被保険者一人当たりの支給額は約二万一千円で全国十位となっております。これは、高齢者単身及び高齢者夫婦世帯の割合が全国一であり、後期高齢者の割合も高いことなどに起因しているものと考えております。
介護保険は、要援護高齢者の自立支援を理念とした制度でありまして、介護サービス利用者が元気になっていくような適切なサービス提供が行われ、介護保険が適正に運営されるよう引き続き市町村への助言に努めるとともに、事業者に対しましても、適正なサービス提供ができるよう助言・指導を実施してまいりたいと考えております。
次に、介護報酬の支払い停止の仕組みにつきましては、不正請求の疑い等のある事業者からの請求について、市町村等の保険者が審査停止を国民健康保険団体連合会に求めた場合には、介護費用請求を差し戻すシステムが、今般厚生労働省から示されたところでございます。この場合、保険者は、不正請求の疑い等について調査するとともに、介護費用請求については直接審査することとなっております。
県といたしましては、これまでも保険者に対し、苦情の状況や介護報酬の請求状況等について照会・協議を行うなど、連携を図ってきたところでございますが、保険者からの情報提供があった場合には、今後とも、一層の連携を図りながら当該事業者の指導を行い、必要に応じて監査を実施することとしております。
[桐原琢磨君登壇]
34 ◯桐原琢磨君 奄美交通の問題につきましては、本当にこれはそこにおられる方々の足の問題でありまして、どうしても地元の取り組みに対して、県は本当に本腰を入れて支援をしていただいて、一日も早くちゃんとした受け皿が機能するようにお力を入れていただきたいと思います。
また、山川・根占航路も、「ぐるっと鹿児島」と言いながら、なかなかあそこがつながらないと、ぐるっとはいかないわけでございますので、薩摩半島と大隅半島を結ぶ物流という視点からも、この航路が再開されますように力を尽くしていただきたいというふうに思います。
さて、食料・農業・農村基本法は、これまでの農業基本法にかわって、二十一世紀の食料・農業・農村に関する施策の基本方針として九九年に制定されて、その基本法に基づいて、平成十二年に国が策定した「食料・農業・農村基本計画」、これが今、見直しが行われております。先般本県においても、鹿児島県の実情を反映させるために「農政課題検討会議」が開かれたところであります。計画の見直しは、現行計画の施策の実施状況を検証し、今後十年程度を見通した新たな目標年度を二十七年度とする方針であるように聞いております。
農業の持続的な発展と農村の振興を図り、将来にわたり食料の安定供給及び多面的機能の確保は国民的課題ですが、WTO等の国際的規律を踏まえて、自国の資源を有効に活用して、国民への食料の自給率を高め、安定的供給を確保することが緊急の課題であります。
国の財政事情が厳しさを増す中で、財務省は、中山間地域の農業補助制度を来年度廃止もしくは縮小の方針を明らかにしました。この制度の廃止は、農業の担い手・後継者不足に拍車をかけ、農村集落は維持できないばかりか、崩壊の危機さえはらんでいるのではないかと思います。県として、本県の実情をどのように認識され、新たな基本計画づくりに反映させようとしておられるのかお伺いいたします。
鹿児島の黒豚や黒毛和牛、焼酎など、全国的に高い評価を受けていますし、そのほかの野菜を初めとする県産品も、「鹿児島産」というだけで消費者が安心して買ってくれるそうであります。
しかしながら、その信用を大きく傷つける事件が相次いでいます。昨年も、カナダ産黒豚を鹿児島県産と偽って販売し続けていた県内業者が処分、摘発されたことは記憶に新しいですが、せんだっては焼酎「森伊蔵」のにせものをネット上で売る者があり、またもや「カナダ産黒豚を鹿児島県産と偽る」との報道が出たところであります。
御承知と思いますが、週刊「AERA」、この週刊誌でございます。この六月七日号に大きく取り上げられております。こういった感じで取り上げられております。六月七日号ですからまだ書店にあるかもしれません。お買い求めでない方はどうぞまた買って見ていただければと思いますが。
輸出業者は、カナダの「サスカトゥーン・スペシャリティー・ミート・リミテッド」─大変言いにくいんですが、SSM社と省略しております─SSM社で、輸入業者は、全農─全国農業協同組合連合会─が八一・三%を出資する子会社「組合貿易」で、輸入量は千二百トンを超えるとのことであります。この組合貿易の歴代社長、主要な役員は全農からの出向で、この取引を始めたときの組合貿易の担当役員、部長、社員ともすべて全農出身で、今は既に全農に帰っているそうです。
輸入された豚肉は、ある食肉商社が間に入って、あの処分、摘発された大隅産直センターに売却されているというではありませんか。鹿児島産として偽装して高値で売るための工作と見て間違いないと言えるでしょう。
この全貌が浮上した昨年二月、全農、組合貿易の役員らは協議に入り、全農は、組合貿易にすべての在庫の至急処分と、カナダSSM社との取引即刻打ち切りを指示しています。これで組合貿易は合計一億円台の損害をこうむったとのことです。また、全農、組合貿易の共通の顧問弁護士三人により、当時組合貿易に出向していた役職員から聞き取りをして、「捜査当局の捜査の成り行き次第では無傷では済まない」というような趣旨の報告をまとめたとのことです。
全農は、「管理体制の不備」とか「輸入・販売経路などについて詳細な検討に入った」などと新聞には悠長なことを述べていますが、最初からかあるいは少なくともある時点から、関与しながら隠ぺい工作をしたのではないかと疑いたくなります。
そこで、鹿児島黒豚などのブランドに責任を持つべき立場にある県としては、これらの報道内容にかかわる事実を全農に確認し、県民に対して明らかにすべきだと思いますが、いかがでしようか。
昨年十二月議会で、くしげ議員の質問に対して、「大隅産直センターが偽装して県外に売却した黒豚は十四・三トン」と答弁されていますが、これは昨年の五月、六月の二カ月分で県が確認できた限りですから、この分はもちろん、全農、組合貿易が関与しているほとんどが大隅産直センターを経由したものではないかと疑いたくなりますが、この十四・三トンもカナダSSM社からの輸入ですか。
全農と言えば、全国の農協の束ね役、つまり農家、生産者のために存在する組織の頂点でしょう。それを、くみあいチキンフーズにしてもそうですが、生産者を愚弄する行為を繰り返しており、憤慨にたえません。農林水産省のコメントは、「全農へは、お茶や米でもたびたび業務改善命令を出しており、監視しなくてはならない」、「偽装がなくても、国産品との競合品を輸入すること自体が不適切」と輸入拡大に強く反対してきた全農の背信的行為に不快感を示していますが、知事はどのように思われますか。
この報道が事実であれば、事件性はかなり高いと思いますが、県警は報道内容について把握しておられますか。また、今後どのように対応しようと考えておられますか。詐欺とすれば、これはかなり悪質で組織的、大規模なものになるのではないでしょうか。県警捜査二課の面目躍如といいますか、名誉挽回といいますか、大いに期待したいと思います。
先般発表された二〇〇三年度水産白書によると、世界の水産市場で中国が急速に存在感を増している現状を指摘し、特に中国の水産物生産量は現在、世界の三分の一を占めてトップ、輸入量も増加していますが、約三分の二はロシアやアメリカ、EU、日本などからの委託加工貿易となっており、中国で加工された後、輸出されています。輸入量は二〇〇〇年、二〇〇一年は日本に次いで世界第二位となっています。
我が国は、一九七六年にはカツオ・マグロ缶詰などを主な輸出品として、輸出金額で世界第一位の水産物輸出国でした。その後、原料魚の減少や円高による競争力の低下等により、一九八〇年代末ごろから輸出金額・量とも減少してきました。
一方、輸入は、外国の二百海里水域からの撤退と輸入品への代替などから増加を続け、一九八五年のプラザ合意後の為替レート変更後、一九九〇年代半ばにかけて急速に増加し、二〇〇二年の輸入は、輸出の十倍以上になっています。その最大の輸入先は中国で、ウナギなどの加工処理された商品の輸入量がこの十年で六倍近くに伸びております。
水産白書では、「今後とも我が国の水産業が健全な発展を続けていくためには、近年国民的関心が急速に高まっている食品の安全・安心の確保に努めるとともに、付加価値向上や低コスト化などに対する取り組みを一層強化し、消費者の期待にこたえ、国際的な競争力を高めていくことが課題である」と結んでいます。県は、このような課題についてどのように取り組んでいかれるのかお示しください。
また、中国の水産業の急激な成長に対して、特にウナギ生産高日本一を誇る本県にとっては大きな影響を受けると思われますが、現状と今後の具体的対策について伺います。
次は、高校再編計画についてお尋ねいたします。
高校再編に伴って、宮之城地域、阿久根・長島地域に新設される高校の名称が、それぞれ「薩摩中央高校」「鶴翔高校」と決まったようですが、そもそも県教育委員会の高校再編基本計画の高校再編の根拠は、少子化による生徒減で小規模校がふえる、そうすると学校活力が低下する、そうすると統合が必要という見事な三段論法で構成されており、生徒減少がそのまま高校の小規模化を招いているのか疑問になってまいります。
本質は、都市部に近い高校、国公立大学合格者の多い高校に進学希望者が集中する学校格差、学校序列があるからではないでしょうか。このまま今の再編計画を進めることは、この学校格差、学校序列を認め、さらに強化することになりませんか。むしろ小規模校に指導力のすぐれた優秀な教師を配置し、どこで学ぼうとも生徒の能力が十分に引き出せて、発揮させられるようにすべきだと思いますが、どうでしょう。
一学級四十人、一学年四ないし八学級という適正規模が真に適正規模と言えるか、大いに疑問であります。というのは、今や他県では高校も少人数学級が進んでおり、少子化の時代であります。四十人はやはり多いのではないでしょうか。また、「一学年四ないし八学級」という基準も、実は二十年前の一九八三年の「一学年五ないし八学級」という基準と大差がなく、時代の変化に対応した基準の緩和が必要ではないでしょうか。
高校の序列化、小規模校の定員割れを加速させている要因に、学区外からの通学を認める「五ないし一〇%枠」があります。通学上の利便性などによって例外的な扱いをするのはやむを得ないとしても、成績で特別扱いをするのは好ましくないのではないでしょうか。早急にこの「五ないし一〇%枠」を廃止し、「一校一学区」にすることが必要ではないでしょうか。
教育委員会は、再編整備の具体的な実施計画の策定に当たって、関係部局、地元関係者とも十分協議するとしていますが、実態は、策定そのものに地元がかかわるというより、再編整備計画、これに沿った実施計画を説明し、理解を求めて、既定方針を実行するということにはなっていないでしょうか。もっと白紙の段階から地元にも協議会の設置を求め、長い時間をかけて、地元関係者と具体的方向性を協議・検討する姿勢が必要ではないでしょうか。実施計画を一方的に示し、それから二、三カ月で決定するような性急な方法では、地元はもちろん県民からも支持を得られないと思いますが、スケジュール全体にもう少し時間をかけてじっくり取り組む考えはありませんか。
次に、県内景況と雇用対策について伺います。
全国的に景気回復の兆しが見られるというのがマスコミ初め大方の見方で、九州・沖縄の三月日銀短観でも業況判断指数が、製造業が十二年ぶりにプラスとなるなど好材料が見られます。背景としては、中国の急速な経済成長と国内デジタル家電の需要拡大が九州経済を引っ張っている格好になっています。景気回復自体が中国経済に左右される不安定な状況と、イラク情勢やテロなどによっては逆戻りしかねない、いわば弱い回復基調ではないかと思います。
県内的には、新幹線効果も出始め、観光面の持ち直しや電子部品など製造業にも回復の兆しが見られるようですが、今の県内景況をどのように見ておられるかお示しください。
景気回復となると、当然、雇用の改善を期待したいところですが、こちらは都市部や大企業を中心にした動きはあるものの、地方は依然として回復のおくれが見られ、有効求人倍率も全国平均〇・七七に対し、本県は〇・四七となっています。また、全体の失業率が四・七に対し、若年層はまだ九ないし一一%台の高水準が続いています。雇用でも、公共事業に依存してきた本県などは、産業構造の変革とこれに対応できる職業能力開発をしない限り、飛躍的な雇用改善は期待できないと思いますが、今後の中長期的雇用対策をどうしようとしておられるのかお尋ねいたします。
七月からオープンする「若者就職サポートセンター」には、若者の雇用改善に大きな役割を果たすように期待を寄せられていると思いますが、若者の雇用を改善するには、雇用のミスマッチの解消、親のすねかじりを続けるパラサイト意識、フリーター生活の根源にある「その日暮らし」の感覚からの脱却を促す取り組み、あるいは県内外の企業、学校と連携を密にすることも大事だと思いますが、若者就職サポートセンターが若者の雇用改善にどのように取り組もうとしておられるのか教えてください。
「健常者の雇用が厳しいのだから、障害者はなおのこと」というのでは困るのですが、現実には障害者の雇用はさらに深刻だと思います。昨年の障害者雇用率はどのようになっているでしょうか、また法定雇用率未達成企業はどの程度ありますか、それぞれ前年と比較の上でお示しください。同様に、障害者解雇の状況もお示しください。
全国的にも、本県でも、教育委員会の雇用率が非常に悪いのですが、これを何とか改善しようと、本県では来年から、教員の採用にも障害者枠を設定しての採用試験を実施されるようになりました。かねてからの私たちの要望に県教育委員会がこたえていただいたものと高く評価し、感謝申し上げる次第であります。
中国は、今、高度経済成長を続けており、九州の経済成長を引っ張っているくらいです。「中国特需」という言葉が生まれるほど、国内各企業の対中国輸出は伸びています。また、市場経済化が進み、あの人口に比べればまだごく一部とはいえ、多くの富裕層も生まれて、さながら日本のあのバブル期のような様相も呈していると言われています。
九州各県や北海道、東北の各県では、この機を逃してはならじと県産品や工業製品の販路開拓を急いでいます。特に果物などは富裕層向けにかなり高価なものも需要があると言われており、我が県でも、農産物、焼酎、加工食品、木工製品、陶磁器など可能性のある県産品は多いので、これらを分析して、他県におくれをとらないようしっかりした輸出戦略を立てるべきではないでしょうか。
徳川幕藩体制の時代から中国密貿易で藩の財政を潤し、明治維新の原動力ともなったこの鹿児島ならではの対中国、さらには対アジアの戦略を持つべきではないでしょうか。
[知事須賀龍郎君登壇]
35 ◯知事(須賀龍郎君) まず、黒豚でありますが、今回報道されました黒豚の偽装問題につきましては、これは、本県特産品であります黒豚に対する消費者の方々の信頼を大きく損なうものでありまして、極めて遺憾に存じております。
現在、県経済連から全農に対しまして、事実関係の解明の申し入れがなされておりますし、また、国は、全農に対しまして、組合貿易の点検結果の報告を求めているところであります。県といたしましては、これらの情報の収集に努めているところであります。
なお、国内生産農家の振興を図るべき全農が、本県のブランド品であります黒豚など、国産品との競合品を輸入することにつきましては、本県としては大きな問題であると考えておりまして、全農の考え方も今後よく聞いてみたいと、このように考えているところであります。
次は、景況の問題でありますが、本県の景気動向につきましては、百貨店・スーパーの売上高が二カ月連続で前年同月を下回っておりますなど、個人消費は力強さを欠いているところであります。一方、九州新幹線の開業に伴いまして、宿泊客の増加など観光面における明るい兆しが見え始めておりますとともに、生産活動につきましては、焼酎を初めといたします食料品製造業や電子部品関連産業の生産も順調に推移しているところであります。また、雇用情勢につきましては、新規求人数が増加いたしますなど、改善の動きがうかがわれるところであります。
このようなことから、県内経済は全体として、厳しいながらも回復に向けた動きが広がりつつあると考えております。今後とも、県内景気の動向につきましては注意深く見守ってまいりたいと考えております。
次は、若者就職サポートセンターは、県が若年者の厳しい雇用環境の改善を図りますために、若年者に対します雇用対策の新たな拠点施設として、七月一日に鹿児島商工会議所ビルに開設するものであります。同センターは、若年者が気軽に立ち寄り、ホームページを活用した就職に関する情報の提供、アドバイザーによりますキャリア・コンサルティング、若年者等のための求職活動支援セミナーなどや併設いたしますハローワークによります職業紹介等のあらゆるサービスを一元的に受けられる施設でございます。今後、同センターを拠点といたしまして、企業や学校、ハローワーク等とも連携しながら、きめ細かで効率的な雇用対策に努めてまいりたいと考えております。
36 ◯農政部長(山田裕章君) 食料・農業・農村基本計画についてでございます。
本県の農業は、温暖な気候、広大な畑地等の特性を生かし、畜産、園芸、茶、サツマイモなどの生産が行われ、食品加工業等とも結びついた本県の基幹産業となっております。しかしながら、近年、農業・農村を取り巻く環境は、WTO農業交渉の進展、高齢化や担い手不足の進行、耕作放棄地の増加など大きな課題を抱えております。このような中、国は、食料・農業・農村基本計画について平成十七年を目途に見直し作業中であり、特に品目横断的な政策への転換や中山間地域等直接支払制度の今後のあり方についても議論がなされていると聞いております。
このため、県といたしましては、基本計画の見直しに当たっては、これまで品目別価格政策が果たしてきた役割や地域の実情にも十分配慮するとともに、引き続き直接支払制度が継続されるよう、県開発促進協議会等を通じて、国に対し強く要望してまいりたいと考えております。
次に、輸入黒豚の関係でございます。
大隅産直センターがカナダから輸入した黒豚十四・三トンは、平成十五年五月から六月の二カ月間に限定し調査いたしました結果、すべてSSM社からのものと確認した数値でございます。
以上でございます。
37 ◯警察本部長(稲葉一次君) 週刊誌の報道の件でございますが、そうした報道がされたことにつきましては承知してございます。
なお、今後の事態の推移を注意深く見守ってまいりたいと考えております。
38 ◯林務水産部長(諏訪弘美君) 水産業の振興につきましては、有限である水産資源の持続的な利用の確保が基本であり、県におきましては、漁場の整備、資源管理型漁業や栽培漁業の推進、水産技術開発センターでの種苗生産や藻場造成などの技術開発に取り組んでいるところでございます。
また、収益性の高い競争力のある漁業の確立のため、意欲と能力のある中核的漁業者協業体の育成、制度金融による経営改善への支援等を行っているところでございます。さらに、養殖漁業におきます環境に配慮した適正養殖や水産用医薬品の適正使用の指導、衛生面に配慮した流通加工施設の整備など、安心・安全で高品質な水産物の供給体制づくりに努めているところでございます。今後とも、競争力の高い本県水産業の振興が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
次に、平成十五年の本県養鰻業の生産量は七千三百七十四トンで、三年連続で全国一位となっております。輸入ウナギにつきましては、平成十四年四月以降、相次いで医薬品の残留問題が起こり、消費者が安心・安全な食品を求めていることなどから、国産ウナギへの志向が強まってきております。
県といたしましては、平成十四年度には大隅地区養まん漁業協同組合のHACCP対応型加工場整備に補助するなど、養鰻業に対する支援を行ってまいりました。今後とも、医薬品の適正使用や原料原産地表示等の指導を徹底いたしますとともに、「かごしま旬のさかな」としてのPRをさらに進め、本県養鰻業の振興に努めてまいりたいと考えております。
39 ◯教育長(福元 紘君) 社会情勢の変化、多様な学習ニーズ、大幅な生徒減少などを背景としました本県高校教育の諸課題に適切に対応するために、子供たちにとって真に望ましい高校とはどのような学校かという視点に立ちまして、高校としての専門性、教育水準を維持・向上させる、生徒の学習ニーズに弾力的に対応することなどを基本的な考え方としまして、かごしま活力ある高校づくり計画の基本計画を策定したところでございます。今後とも、基本計画に基づき再編整備を進め、県民の信頼や期待にこたえる高校づくりに努めてまいりたいと考えております。
各学校ごとの教職員につきましては、国の標準法に基づきまして、普通科、農業科、工業科、商業科などの設置学科や学校の規模等に応じまして、地域や学校の実情を十分把握しながら、きめ細かな人事配置に努めているところでございます。
かごしま活力ある高校づくり計画、この基本計画は、県内各界からの二十人の委員から成る県公立高等学校改革推進協議会が、県民意識調査を実施するなど二年間にわたりまして調査・検討を行い、提出いただいた最終報告を踏まえまして策定したものであります。高校の適正規模につきましても、国の標準法に基づき「一学級四十人」とするとともに、また、全国の状況や県内の実情等も総合的に勘案しまして、「一学年四から八学級」を適正規模とした報告を踏まえたものでございます。
県教委としましては、この基本計画に基づき、活力ある高校づくりを推進するため、学校規模の適正化を進め、多様な個性を持つ生徒がお互いに切磋琢磨できる機会の確保に努めてまいりたいと考えております。
高校の普通科における五%から一〇%枠での学区外入学は、交通基盤の整備により通学可能な地域が広域化していること、通学区域に関する規制緩和など社会動向が変化していること、生徒や保護者の学習ニーズが一層多様化していること、こういうことなどから実施しているところでございまして、本県高校教育の振興に寄与するものと考えております。
また、本県では、現在、普通科については、一学区に複数の高校を配置する中学区制や大学区制を導入しておりまして、一校一学区のいわゆる小学区制につきましては、学校選択の自由がなく、学習意欲の低下につながるなどの問題もあり、また県民意識調査でも拡大を望む声が多かったことから、導入することは考えていないところであります。
再編整備を進めるに当たりましては、これまでも、毎年県内十二地区で開催しております募集定員説明会におきまして、地域の方々から地域の実情や高校に対する御意見をお聞きしますとともに、高校長から聞き取り調査をしてきております。また、現在、小規模高校があります地元を訪問し、市長など関係者にかごしま活力ある高校づくり計画について説明しますとともに、地域の高校の現状と今後のあり方等につきまして、直接意見交換するなどの教育事情調査を行っているところでございます。
今後とも、地域の方々の御意見を十分お聞きしますとともに、県教委としての考え方も十分説明しながら、活力ある高校づくりを進めてまいりたいと考えております。
40 ◯商工観光労働部長(原田耕藏君) 職業能力開発につきましては、第七次鹿児島県職業能力開発計画に基づく諸施策を推進しております。この計画におきましては、労働力需給の動向に対応した職業能力開発の展開を基本的な施策の一つに位置づけ、IT化の進展に対応した職業能力開発や、介護福祉分野など新規・成長分野を支える人材の育成確保に努めることとしております。
具体的には、産業構造の変化に対応して、高等技術専門校などにおきまして、訓練科目の見直しやIT機器の整備、介護福祉や情報ビジネスなどの委託訓練を実施いたしますとともに、離転職者につきましても、新たに若年者対象コースを設けるなど、訓練内容の充実を図っているところでございます。今後とも、国や雇用・能力開発機構等との連携を図りながら、雇用対策の一層の推進に努めてまいりたいと考えております。
次に、障害者の雇用対策でございますが、本県の民間企業における障害者実雇用率は、平成十五年六月一日現在で一・八七%で、前年を〇・〇二ポイント上回っております。また、法定雇用率未達成企業数は、前年に比べ二十四多い三百四十九でございますが、その割合は四五・四%で、全国平均よりも一二・一ポイント低くなっているところでございます。
なお、障害者の解雇状況につきましては、前年度の三十人に対し、七人減の二十三人となっているところでございます。県としては、国や関係機関とも連携を図りながら、障害者の一層の雇用促進に努めてまいりたいと考えております。
次に、中国市場への輸出促進につきましては、平成八年から十四年にかけまして上海で、農水産加工品等を中心とした物産展を開催してきたほか、平成十六年には中国でも最大規模の見本市である華東交易会への本県企業の出展支援などを行っておりますが、物価や商慣習が異なることなどから、長期的視野に立った取り組みが必要と考えております。
上海を中心とする華東地域は、中国の中でも経済発展が目覚ましい地域で、本県と定期航空路線や航路で結ばれておりまして、本県にとりましては大きな魅力を秘めた市場であることから、平成九年には上海に駐在員を配置し、現地の市場調査や県内企業の活動支援を行いますとともに、平成十二年には鹿児島市に「かごしま海外ビジネス支援センター」を設置し、企業等に対しまして、海外ビジネス展開に必要な情報提供など一元的な支援を行っているところでございます。今後とも、関係機関との連携を図りながら、中国市場の開拓に努め、本県の貿易振興を図ってまいりたいと考えております。
[桐原琢磨君登壇]
41 ◯桐原琢磨君 御答弁いただきました。
残された時間で若干コメントを述べさしていただきますが、まず、黒豚の問題でありますけれども、この黒豚のブランドに責任を持つ県として、やはり直接全農に事実関係をただす。東京は東京事務所もあるわけです。こちらは経済連に「ちょっと出てこい」と言って、「出てこい」ということではないですけどね、表現はね、「出てきてください」ですけれどもね、やはり聞くと、経済連が全農に今、確認しているのをだまって見ているんじゃなくてね、やっぱり聞くと、こういう強いやはり態度に出ないと、このままではやっぱりなめられる。「なめられる」とこれもまた下品な表現ですけどね、やっぱり行政としてしっかりやっていただきたい。
養豚もしていない私も腹が立って、本当に腹が立ってしょうがないんです。だからぜひこれは知事、本当にもう、さっきの体操九・九五、最後の着地点です。着地ですので、その仕事と思ってしっかりお願いいたしたいところでございます。
それと、本部長、「事態の推移を慎重に見守る」という御答弁でした。これは大体私もその種の業界用語としてよくわかります。それ以上の答弁を余りするとかえって、さっきの話じゃないけれども、向こうに出方を探られかねないんでね、よくわかるんですが、せめて「重大な関心を持って慎重に見守る」ぐらいのおつもりでやっていただきたい。私どもも、いつも批判ばっかりして、非難ばっかりするわけじゃない。今度のこの問題は我々も全面的に応援しますから、ぜひ取り組んでいただきたい。そのように思うところでございます。
若者就職サポートセンター、これは若者の方で、ここに来た人は「何が何でも就職させてやるぞ」というそこのスタッフの意気込みというのが私は必要だと思います。そういう意気込みでぜひこちらの方も頑張っていただきたいと思います。
高校再編の問題は、ちょっと私どもの考えとまだ認識にかなりずれがあるようで、またこれは委員会でじっくり時間をかけてやってみたいなあと思っております。
中国戦略の方も大いに頑張っていただきたいというふうに思うところでございます。
実は知事には本当に、私も議員になってまだ浅い、わずかのおつき合いでございましたが、大変お世話になりました。そこで、何も贈るものがないんで、ちょっと知事に歌を、これは替え歌ですけれども、お贈りしてみたいと思います。
知事よあなたは強かった。
知事よあなたは強かった。二回も手術を乗り越えて、常に県民とともにいて、たばこ、牛、豚、しょつ─焼酎─も飲み、多難な県政丸八年、よくこそきばってくださった。
どうも御苦労さまでした。
ありがとうございました。(拍手)
42 ◯議長(川原秀男君) これで、本日の日程は終了いたしました。
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△ 日程報告
43 ◯議長(川原秀男君) 明日は、午前十時から本会議を開きます。
日程は、一般質問及び請願・陳情の委員会付託であります。
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△ 散 会
44 ◯議長(川原秀男君) 本日は、これで散会いたします。
午後三時十四分散会
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