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2001-09-26 平成13年第3回定例会(第7日目) 本文
2001-09-26 平成13年第3回定例会(第7日目) 名簿

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  1. 鹿児島県議会 2001-09-26
    2001-09-26 平成13年第3回定例会(第7日目) 本文


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    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(溝口宏二君) ただいまから、本日の会議を開きます。  本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。      ━━━━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    奥 山 恒 満 君    田 原 鉄 可 君    谷 川 洋 造 君    牟田神   基 君  一、議案第八七号から議案第一一二号まで(議案第九    七号及び議案第一〇六号を除く。)及び報告第三    号の委員会付託  一、決算特別委員会の設置、議案第九七号及び議案第    一〇六号の同特別委員会付託並びに決算特別委員    の選任
     一、散  会      ━━━━━━━━━━━━━━━━    △ 一般質問 2 ◯議長(溝口宏二君) まず、一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。  奥山恒満君に発言を許可いたします。    [奥山恒満君登壇](拍手) 3 ◯奥山恒満君 おはようございます。  昭和二十六年(一九五一年)の九月八日土曜日、今からちょうど五十年前のこの日を皆さんは何の日だと認識しておられるでしょうか、御記憶があるでしょうか。この本会議場にはまだ生まれていなかったお若い方もおられると思います。  昭和二十六年、それからさかのぼる六年前、昭和二十年八月十五日は、私たちの国が屈辱的なとも言えるポツダム宣言を受諾し、無条件降伏を余儀なくされた日であります。そして、やっとその昭和二十六年九月八日、サンフランシスコで世界四十八カ国と講和条約を締結したのであります。また、同日の午後は日米安全保障条約にも調印いたしました。全権大使は、時の内閣総理大臣吉田茂さんでした。両条約の締結によって、占領軍の統治から離れて、私たちの国は晴れて国家主権を回復し、国際社会に復帰したのであります。その記念すべき節目の年、五十周年がことしなのであります。  締結の翌月十月十四日、未曾有と言われた風速七十メートル、死者・行方不明者九百名を超える超大型のルース台風が襲来したことを思い出します。またその二年後、昭和二十八年十二月二十五日、日米協定の調印によって、午前零時を期して我が奄美群島の返還が実現したことも、その運動の激しさを知る者の一人として、ついきのうのように思い起こされます。  今回、考えもしなかった同時多発テロがアメリカで発生しました。多くの犠牲者に対して心からお悔やみ申し上げます。  いろいろなメディアを通じて、日々刻々の情報に接する今日でありますが、同時に多くのことをまた考えさせられる毎日でもあります。事件発生直後から危険を顧みず職務に徹する警察官や消防士たち、献血の長い列に並ぶ若者たち、何か手伝わせてほしいとアメリカ全土から集まるボランティア、大リーガーたちの募金活動、大スター三十名による四大ネット同時放送チャリティーコンサートなど、アメリカ国民の大きな勇気と愛と善意に深い感動を覚えます。そして、いろいろな場面で目に映るのは大小とりどりの星条旗であり、耳にこだまするのは「ゴッド・ブレス・アメリカ」の国歌であります。  ことしは、講和条約、日米安保条約を締結して五十周年と申しました。それは国家としての主権を取り戻して五十年、国際社会に仲間入りして五十年なのであります。「平和、平和」と口ずさんでいれば平和が続くのでしょうか。「護憲、護憲」とお題目だけをとなえてばかりでいいのでしょうか。お金で済むことならと、お金で解決する方法で本当に済むのでしょうか。決してそうではありません。国家とは一体何でありましょう。国民とはどうあるべきなのでしょうか。あの規模のテロがもし我が国であったらと思うと、我が国家、国民はどう対処したのでしょうか。  戦後の混乱から脱却し、経済の繁栄を謳歌した私たちの国は、今、新しい方法で、新しいルールを決めて、新しい道を進む以外にあしたはありません。明治維新ならぬ平成維新であります。二つの条約締結五十周年のことしは二十一世紀の始まりの年でもあります。この二十一世紀を生きる私たちの子や孫のため、国際社会で尊敬される国「日本」、誇りの持てる国「日本」、頼りにされる国「日本」に変身しなければなりません。そのためにも、国民・県民の皆さんと一緒に、それぞれの地域で、それぞれの職場で、それぞれの家庭でこのことを考える機会にしてほしいと心から願うものであります。  この機会に少し最近の所感を述べましたが、我が議長室に、墨痕鮮やかに西郷南洲遺訓が掲げられております。すなわち「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、仕末に困るもの也。此の仕末に困る人ならでは、艱難を共にして国家の大業は成し得られぬなり」と書かれております。私たちの先祖薩摩藩士を率いて、近代日本の幕あけ、明治維新をなし遂げた西郷南洲翁が五十一歳で城山の露と消えたのは、百二十五年前のおととい、九月二十四日午前七時でありました。  そこで、質問に入ります。  公共事業と我が県政についてでありますが、報道によると、我が国の完全失業者は、七月ですが、前年同月比で二十三万人ふえて過去最悪の三百三十万人、我が県の新規求職者数は同年同月比で一五・七%と、十二カ月連続でふえております。それに対しまして新規求人者数は一一・九%減と、二カ月連続で減っております。  私はかつて紬の不況を取り上げ、福沢諭吉先生が七つの教えの中でそのトップに、「人生で一番楽しく立派なことは、一生続けられる技術を手に持つことだ」と言われております。さて、どうでしょうか、皆さん。紬技術者あるいは伝統工芸師、あるいは電気その他の難しい高度な技術をもつ者であっても、四十過ぎればうかうかとして会社にとどまれない昨今、ましてや窮乏県と言われる我が鹿児島においては、私が発言通告書に「公共事業と我が県政」と「我が」をあえて入れてありますのは、「我が」は、「窮乏県の」という意味を指して私は入れておるんですが、知事も言われておられるように、今まさに我が県政においては、並行在来線も大事ですけれども、何といっても雇用の問題だと思っております。  本県の九月補正において、公共事業費は前年度比で九八・一%、うち県単公共事業が九一・五%と前年度比を下回っています。国においては、小泉内閣は「聖域なき構造改革」を打ち出しており、来年度以降、本県の財政や地域振興に大きな影響を及ぼすと思われる公共事業、なかんずくその業者が雇用する人的な問題を最も心配するところであります。このような状況下に、県として国に対してどのように働きかけ、またどのような知恵を出して対応されようとしているのかお尋ねいたします。  次は、離島振興の課題についてでございますが、先日の松里議員の御質問で、離島の振興法の延長へ向けての知事の意気込みがわかりました。しかし、法の期限は半年後にせまっています。延長になるかならないかの大変大事な時期であります。ぜひひとつ、知事は「頑張る」と言われましたけれども、延長をかち取れるとは言われておりませんので、かち取られるように頑張っていただきたいと思っております。  次は、本県の市町村合併についてでございますが、地方分権の推進や国・地方を通じて厳しい財政環境など、近年の市町村を取り巻く情勢に有効に対応するための手法として、最近、市町村合併が大きくクローズアップされているところでありますが、合併特例法の措置などさまざまな支援策や特例を受け入れるためには、平成十七年三月までの合併が必要であります。しかし、この期限内に合併するためのさまざまな議論・検討・調整などを行う時間はあと三年半しかないわけでございますが、残された時間は決して多いとは言えないと私は思っております。  本県の市町村においてもさまざまな取り組みがなされておりますが、全国及び九州の市町村の取り組みと比較した場合、我が県はどのような状況にあるのか、課題や対応策を含めて近況を示していただきたいと思います。また、県内で、他地域と比べ取り組みが特に進んでいる地域がありましたら教えてください。  次に、離島地域にある市町村は、少子・高齢化の進行や脆弱な行財政基盤など大きな課題を抱えており、これら課題を解決する上で、合併という選択肢について今後さらに真剣に議論・検討する必要があり、しかもなるべく早くと考えております。離島地域にある市町村においても合併に対する取り組みが進められてはいますが、全般的に低調なように私には見受けられます。このような取り組み状況は、他県の離島市町村及び本県本土の市町村の取り組み状況と比べてどのような状況にあるのか教えていただきたいと思います。  次は、サトウキビの問題でございます。  陳情第二〇三六号として、これは農林水産委員会の審査になると思いますが、その中に「カンショ糖の入札取引について」、「土地基盤整備について」、「トラッシュ除去などの省力化について」、「病害虫防除対策について」、「砂糖の需要拡大対策」などの要望が盛られております。  私は、松里議員とともに九月四日、五日に農林水産省などの関係省庁に、そしてまた県選出の国会議員等に、沖縄県の副知事や沖縄県議団といっしょに陳情してきました。また、それに続いて九月十九日には、我が県のJAを中心にした地元関係者、そしてゆうべのテレビ報道によりますと、沖縄県はキビ作農家隊が大挙して、きょう、上京しております。情報によりますと、あしたの二十七日の午後、価格の決定がなされるということでございますが、そこで、サトウキビの生産振興対策について、県はどのように考えているか、また、生産者価格等の見通しについてどのように予見・予想されているのかお尋ねします。  次は、離島の定住促進のための公営住宅建設についてお伺いします。  七月三十日、私も所属しております鹿児島県観光議員連盟が口永良部島で交流会を開いております。その席上、「I・Uターンが増加しているけれども、受け入れ住宅がなく、町は、けなげにも空き家を補修し賃借などを検討したい」と答えております。今ごろ、三十年か四十年前の古家を改修しても、近代若者は果たして入居するでしょうか。離島の中の離島の住宅について陳情があれば当然でしょうけれども、いわゆる声なき声を、行政当局は吸収して、対策を講じていただきたいと思っております。そのことについてお伺いします。  それから次は、この前、知事、溝口議長も御出席いただきまして、奄美本島の国道五十八号の和瀬バイパスの開通式がありました。大変便利になり、行政視察などが二班ぐらい予定されているようです。ぜひ通っていただきたいと思っております。県の課長級のある職員が、自分は開通後、車で通ったけれども、車をゆっくり運転してみたら、今まで奄美の熱帯植物であるヘゴを横と上から見たことはあるけれども、道路の下の方から眺めたのは初めてだと、すばらしいエコロードだと言っておられました。  また、我々古い連中は、あの道路が未舗装で、幅員も半分、また、ガードレールもない時代の生まれです。近代の若者が和瀬バイパス開通前の旧和瀬道路、そして峠、それに続く網野子峠とタクシーに乗れば、タクシーをとめてちょっと気分をいやさないと乗っておられないというような道路でございます。国道五十八号に残る問題はもはや網野子峠だと思っております。  私は、今から二代前の横田土木部長さんを、現地に御案内したことがあります。もしトンネルをあけるとすればこっちかなあということを言われておりましたが、これが解決すると、さらにこの前オープンした和瀬バイパスが加わり、笠利町から瀬戸内町に至る国道五十八号の価値があがると思っております。この網野子トンネルについての現時点における県の対応はどうなっているのか伺います。  次に、市町村合併がいろいろ言われておりますけれども、そのパターンの中に入っておる南部大島の大和村と住用村、その両村を結ぶ俗に言う「スーパー林道」があります。この前の議会で述べましたように、四市村が分け合って管理を分担しており、市道、村道になっております。尾根は荒れ放題でございます。そこで、その峠に向けて大和村側から、そして住用村側から改良拡幅して県道に格上げするか、またはトンネルを開削したらという陳情がなされております。  御承知のように、奄美大島は台風常襲地帯であり、特に大和村では、あの主要地方道ががけ崩れなどで交通不能になります。市町村合併の促進のためにも、また条件の中にも入っておりますし、この道路の県道認定あるいはトンネル開削をどう考えておられるのか伺います。  次に、同じくこれは前々横田土木部長と前板垣土木部長も御案内しましたが、和光トンネルの国立和光園側じゃなくて、大熊漁港の大熊側と唯一のゴルフ場を通って有良-通称「あった」と言いますが-有良へのトンネル開削について伺います。地元に期成会が十年前からできて、今の名瀬市長が市議会議員時代から運動しております。ここにも前・元の両部長に同道して現地を見ていただき、地元の熱意にも触れられております。このトンネル開削について土木部長はどのように考えていらっしゃるかお尋ねいたします。    [知事須賀龍郎君登壇] 4 ◯知事(須賀龍郎君) いわゆる骨太の方針に基づきまして、国が経済や財政、行政などの各分野における「聖域なき構造改革」を進め、二十一世紀にふさわしい経済・社会システムを構築されることは大事なことであると考えております。ただ、今回の構造改革が都市部と地方などの地域間の格差をさらに拡大することがあってはならないと考えておりまして、それぞれの地域が協調と連携のもとに国土の均衡ある発展という観点にも十分配慮しながら進められるべきであると考えております。  したがいまして、これまでも地方交付税や道路特定財源等の問題につきましても、国に対し主張すべきことは十分主張してきたところであります。このような認識のもとに、今後とも、国に対しましては、県議会を初め、関係機関・団体や県選出国会議員の皆様方の御協力もいただきながら、また全国知事会や県開発促進協議会などのあらゆる機会を通じまして、多くの離島や過疎地を抱え、社会資本整備がおくれております本県の実情も強く訴えながら、「国土の均衡ある発展に向けた公共事業予算の確保」や「雇用対策の推進」などにつきましても、強く要望を行ってまいりたいと考えております。 5 ◯総務部長(佐々木敦朗君) 総務省が六月末現在で取りまとめました市町村合併に関する全国の市町村の取り組み状況によりますと、四割近くの市町村が複数の市町村間で合併協議会や研究会などの組織を設置し、広域的な調査研究等の取り組みを進めております。また、九州各県においては、状況はさまざまでございますが、全体としては本県と同様、約五割の市町村で広域的な取り組みが進められているところでございます。  しかしながら、法定合併協議会の設置状況に限ってみますと、全国では二十五の協議会が、また九州でも七つの協議会が設置されておりますが、本県ではまだ法定協議会の設置に至った例はございません。このため県としては、各地域における取り組みが今後できるだけ早期に進められ、合併協議会の設置など、より具体的なものとなりますよう、さまざまな面で支援に努めているところでございます。  このような状況の中で、最近、中薩地域など幾つかの地域で、県事業を活用して、「財政シミュレーションを含む地域の将来像等に関する調査研究」を実施する計画を進めておりますほか、国分・隼人地域において、合併協議会の設置に向け、青年会議所を中心に住民発議の動きが始まるなど、進んだ取り組みが展開されている地域も出てきており、県としてもさらに積極的な支援に努めてまいりたいと存じます。  本県の離島市町村におきましても、熊毛地区、甑島などの十一の市町村が広域的な研究会による取り組みを始めているほか、多くの市町村において基礎的な調査研究や地域住民の方々に対する広報啓発活動などがさまざまな形で取り組まれてきておりますが、県本土の市町村の取り組み状況と比較した場合、広報・啓発の面などでやや低調なところも見受けられるところでございます。  他県の離島の市町村を見てみますと、例えば長崎県において、離島市町村により四つの法定協議会が設置されておりますほか、全国的にも二割を超えます離島の市町村が法定協議会に参加しているところでございます。  本県の離島地域におきましては、地理的・地形的条件から来る制約が、合併によって過疎にさらに拍車がかかるのではないかというような懸念などもありましてか、取り組みがおくれている面も見られますが、広域的な研究会が未設置の奄美地区におきましても、研究会設置に向けた活発な議論が行われるなど、最近徐々に取り組みが本格化してきております。県としても、今後、これらの取り組みが着実に進展するよう積極的な助言・支援に努めてまいりたいと存じます。 6 ◯農政部長(福元 紘君) サトウキビは、本県南西諸島の六割以上の農家が生産している基幹作物でありますが、近年、高齢化や労働力不足が進む中で、生産力低下等が懸念されておりまして、担い手を中心とする効率的・安定的なサトウキビ生産体制の構築を図ることが重要であると考えております。  このため、農地の流動化による経営規模の拡大や農作業受委託組織の育成等を通じた担い手の育成を図りますとともに、畑地かんがい等の土地基盤の整備、地域の実情に即した機械化一貫体系の確立、優良品種の育成・普及、有機物資材の投入による土づくり等を推進しているところでございます。今後とも、サトウキビ・糖業が地域の基幹産業であるとの共通の認識のもと、地域一体となった取り組みを基本に、島ごとに策定されました「新さとうきび・糖業再活性化計画」に沿った積極的な施策の推進に努め、生産の安定、品質及び生産性の向上、農業経営の安定に努めてまいりたいと考えております。  本年のサトウキビの生産につきましては、種子島において台風十一号や集中豪雨、与論島及び沖永良部島において七月から八月にかけての干ばつ等の影響が見られますものの、その他の地域では全般的に天候にも恵まれましたことから、平年を上回る作柄が見込まれまして、九月一日現在の農林水産省の調査によりますと、県全体では作況指数一〇二、生産量六十一万七千トンの生産が見込まれております。  また、平成十四年産のサトウキビ生産者価格については、現在、国において検討が進められておりまして、今月の二十七日には決定されると聞いております。県としましては、他の畑作物と同様、全般的に厳しい状況にあると考えておりますが、農家が意欲を持って生産に取り組み、再生産可能な価格水準が確保されるよう、県選出の国会議員や県議会の御支援をいただきながら、沖縄県や農業団体とも一体となりまして、国に要請を行っているところでございます。 7 ◯土木部長(直江延明君) 過疎地域の定住促進につきましては、公営住宅や町村単独住宅の建設も有効な手だての一つと考えておりまして、既に一部離島におきましては、公営住宅や町村単独住宅が建設されているところでございます。県といたしましては、公営住宅建設事業特定離島ふるさとおこし推進事業などの制度を活用いたしまして、良好な住宅・住環境の整備が図られますよう適切に対応してまいりたいと考えております。  奄美本島地区の国道五十八号につきましては、現在、名瀬市の和光バイパス、住用村下役勝拡幅など、六地区の整備を進めているところでございます。住用村から瀬戸内町に至ります網野子峠の整備につきましては、平成六年度から基礎的調査に着手しているところでございまして、また、計画地区周辺には特別天然記念物のアマミノクロウサギなどが生息いたしますことから、本年度より、学識経験者等から成ります検討会を設けまして、道路整備が自然環境へ与えます影響や必要な保全対策等の検討を行っているところでございます。  今後とも、これらの調査を進めますとともに、事業化につきましては、トンネルを含む大規模な事業となることが予想されますため、事業効果や事業中箇所の進捗状況等を見きわめながら検討してまいりたいと考えております。  県道の認定につきましては、道路法等に示されました認定要件を充足する路線のうち、特に必要な路線で条件の整ったものについて認定することといたしております。大和村-住用村間の県道の認定につきましては、今後の全県的な県道網見直しの中で検討することといたしております。  県道名瀬龍郷線につきましては、現在、龍郷町の円地区などの整備を進めているところでございます。名瀬市大熊から有良間のトンネル構想につきましては、大規模な事業となりますことや、この区間がほぼ改良済みでありますことなどから、今後の長期的な課題として研究してまいりたいと考えております。    [奥山恒満君登壇] 8 ◯奥山恒満君 私は「公共事業」と言えばかつては「経済浮揚、景気浮揚のためには」とよく言っていましたが、今は私は「雇用」だと言っています。奄美の場合、紬の生産は昭和五十六、五十七年のころの三十万反から、現在はその十分の一を割って四万反前後になっています。それからその紬従事者の九〇%以上が、公共事業という土木にすがって何とか生計を営んでいるのが現状です。国・県も通常的には小泉構造改革の大波をこうむる宿命にあると思いますが、私は知恵を絞ればほかの方法があるんじゃなかろうかと思います。  まず第一点は、平成三年度から始まった新幹線、その中の平成十二年度まで、十三年度はまだ発注しておりませんから、総事業費三千七百九十五億円、その中の県内事業費が二千三百十九億円で、県内受注額が百二十九億円です。これは、平成十三年度はこれからですが、残り総事業費で二千六百六億円、うち県内事業費で千四百九十七億円を費やして、完成になるわけでございますが、その千四百九十七億円すべてとは言いません。それにはレール代とかいろんなものがあるでしょう。箱物などがあるでしょうけれども、現在の県内発注総額の七%の百二十九億円しか受けていない受注額をせめて五〇%ぐらい県内業者が受注できるように、鉄建公団などに土木部長、知事みずから交渉すればどうかと思います。  私は、かつて建設問題調査会長として、議長さんやその他の議員の方々と一緒に福岡の支店に乗り込みまして、一遍本会議で言ったことがありますが、当時は、数ある鹿児島県の業者の中で指名に入れる千四百五十点以上をもっているのはただ一社です。鹿児島県では、その一社しか鉄建公団のあるいは道路公団の指名には入らないのです。金持ちの福岡県までを国が全部やって、貧乏な熊本、鹿児島あるいは東北、北陸、そしてまた近くは長崎あたりにいくに従って貧乏県は負担せよと、県の自治体に負担をさせておいて、工事は九〇%以上が中央のいわゆるゼネコンということです。福岡で、「奥山というけんか大将があした上るから本社は待っておけ」と目の前で電話をさせて、東京の鉄建公団と道路公団本社まで行きました。そのため、一社しか入らなかった千四百五十点の点数を、千百点まで下げたので、その次の年から二十八社、二年後には千点まで下げたので三十二社の県内業者が指名に入るようになりました。  私は、許されるのであれば残る二千六百六億円、県内事業費だけで、熊本県がありますから、千四百九十七億円の中の五〇%ぐらいは我が鹿児島県の業者を指名せよと言いたい。正面からやわらかくお願いする知事あるいは土木部長もいいけれども、私みたいに向こう意気の強いやつに行ってくれんかと陰で言えば、私は行って乗り込む気持ちがあります。事実、そういう事実がありますから。そういうことでないと、県内の建設業者による雇用、それによる経済浮揚、景気浮揚は難しい。  これから一〇%前後、国は予算を削減します。県もそれに右へ倣えと言ったんでは、鹿児島県内の公共事業、それに従事している県民はどうして生活していけばいいかということを思うときに、私は残された十五年度までの二千六百六億円の事業費を、その中の県内事業費の千四百九十七億円を、どんなにしても七%じゃなくて五〇%ぐらい県内業者に受注できるような、しかも点数を言うと、あるいは国に言うと、技術力とかそれから金銭的な資本力とか言います。こと鹿児島県土における公共事業は、例えばトンネル工事の場合、シラス台地である鹿児島は東京の中央のゼネコンよりも鹿児島県の業者の方が私は技術的には上だと思います。そういったことでだまされて、ああそうですかわかりましたということでは、私はあくまでも国の言いなりになっていると思います。  特に私は議員になってすぐ、当時県内に入るときに、また市内に入るときに、途中で、公共事業の看板に中央の業者の名前があって、鹿児島県はどうしたのかと思っていました。その当時とは、今から二十年近く前ですが、ほとんど中央のゼネコンに大きな仕事をとられていました。もはや私が議員になって十八年過ぎますが、もう鹿児島県内の業者も県内の工事は、たとえ鉄建公団であろうと、道路公団の工事であろうと、我が鹿児島県の業者を指名しなければ、実施せんでもいいというぐらいのひとつ当たり方をしなければならんというふうに思いますので、これは答弁は要りませんけれども、そういう気持ちで当たってください。  それから、この前の代表質問でも、また、ただいまも総務部長が答えられました市町村合併についてです。今現在、職員研修会が鹿児島県で四一・七%、市町村の議員研修会が三九・六%、住民説明会・集落座談会がわずかに二五%、市町村広報誌登載が四四・八%、市町村合併に対するリーフレット全戸配布が二二・九%、ホームページ登載が四・二%、住民意向調査は三市町村のわずか三・一%、特別委員会設置は六市町村で実に六・三%という数字があります。私は、今のこの数字からくる趨勢では一体、総務部長のおっしゃるように、三年半後の平成十七年三月までに実現するパターンが幾らあるだろうかと。  総務部長は、ただいまの答弁もですが、二十一日の一般質問に答えて、県内八地区で複数市町村による研修会が設置される、五十六市町村がとか、四十近い市町村がとか言われておりますが、割に楽観的とも私には見える、今もですが、答弁されておりますが、私の調べではこういう数字ですが、果たしてあと三年半後ということで、我が県の市町村合併が期限内に何割実現するかということは、けだし心配であります。さらにひとつ県の市町村合併支援本部を中心にした強力な指導をお願いします。  先ほどの答弁は離島についてでありました。奄美は出てきませんでした。私は奄美に住んでいますので、どうも他の県本土、他の離島から比べると、奄美の市町村は何かしらまだ全県並み、他の離島並みにはいってないように私は感ずるもんですから、ひとつふんどしのひもを締め直して、知事は各市町村の主体性を見てというようなことを言っておりましたが、余り強制はしないということにもとれると思いますが、ある意味では私はもうちょっと指導力を発揮しなければ事は運ばないと思っております。  それから網野子トンネル、大和-住用間の道路、それから最後の大熊-有良間道路については、私からすれば全く期待外れでございます。この前の地元の新聞によりますと、名瀬市の汚泥再処理センターの候補地に有良、芦花部がなっております。瀬戸内町、宇検村を除くあとの五つの大島本島の市町村は、汚物・ごみ処理に一緒のセンターを設置して運んでおりますが、そういった意味でも少しそっちを進めていただきたいと思っております。  次は、栄和弘議員の御質問で県立奄美図書館について大方はわかりました。私は好んでじゃなくて招かれて四回、彼の言葉をかりれば利用代表チームといいますか、読書会とか短歌会とか、それから奄美の歴史研究会とか、四つぐらいあり、呼ばれて行っております。ただ聞くだけじゃなくて、県議会議員というのは弱いものでありますが、私は言うことも言います。あたかも五十五、六名の集まりで自分たちの声がすべてみたいなことを言われますが、市民の声というのであれば、市長あるいは名瀬市議会の声が市民の声じゃないのと、あんたたちの声は、市議会議員や市当局に訴えて、「よし」となって、市長が了となったときに市民全体の声だよという厳しいことも私は言います。それは別として、この前の質疑応答で答えられなかった分についてお伺いします。  わかったようでわからんような答弁が「複合的な建設」ということです。私は、どういうのが複合なのかよくわかりません。そのことと、「奄美高校の老朽化が著しい」ということですが、何年ごろに着工して、何年ごろに完成されようという計画なのか伺います。  それから奄美高校の図書室と、いわゆるつくろうとする図書館とのすみ分け、言葉では言わないけれども、高校生は十五、六歳から十七、八歳まで、いわゆる思春期、そこに不特定多数の市民・県民が県立高校内の図書室に伺うとなれば、おのずからいい影響も悪い影響もあると思う。そういった面からすると、学校長の声も存分にお伺いし、割に奄美高校はこれまでの間、そう不良行為というのが表にはそう出てないからですけれども、こういう思春期の高校生男女と不特定多数の一般社会人の利用する図書館とのすみ分けをどのように考えておるのか伺います。  それから名瀬市有地に、奄美県立高校が立地しています。全部ではありませんが。朝日小学校の隣に県有地があるということで、この問題も話題になって市議会でも尋ねられておりますが、現時点で答えられる範囲でお答えをひとつ願いたいと思っております。  最後に、映画「ホタル」に次ぐ観光施策についてであります。私の持論でありますが、東京のアンテナショップやポスターというのは、通常どこの県でもやっておる観光宣伝です。「あれっ、まさか、ほんと」というようなアイデアを出さなければついてこんのじゃなかろうかと。鎌田知事時代に、「知事、あんたは頭がいい。東大卒業の頭じゃが、作詞してごらん」と。当時の原田健二郎議長はよく歌っていたので、「あれに歌わせなさい」というような、「あれっ」と思うような手法を用いなければだめだと質問したことがあります。その証拠に、その質問があった五、六年後に「翔ぶが如く」が放映されたときに、今日この十数年の間では最高の観光来県者があり、九百万人を超えました。全国的な不況もありますけれども、ほとんど今、八百万人から七百万人に下がってきております。  そういったことで、私は「ホタル」が、中身もですけれども、鹿児島を地盤にした映画でありましたので大いに期待をいたしました。ほとんど県内は上映が終わり、全国的にも終わったと思いますが、その影響がどうなっておるのか伺います。  そして、屋久島が世界自然遺産に登録され、二年半後には我が奄美が登録されようとしております。後ほど言いますが、奄美パーク、田中一村館、住用のマングローブの里、ありがたいことでございますが、その田中一村あるいは椋鳩十先生、島尾敏雄さん、今もってばりばりの現職の須賀知事物語など、題材は幾らでもあります。  それで、議長も唄はなかなか上手ですが、知事作詞、溝口議長作曲、歌い手は祝迫かつ子、あの先生は歌がうまいんです。そういう形で、「あれっ、まさか」とそういう手法を用いることも大事じゃなかろうかと、ありきたりの宣伝、アンテナショップはどこでもやっていることです。そういったことでひとつ映画「ホタル」の鹿児島県観光にとっての影響とその後に次ぐものについてお尋ねいたします。 9 ◯教育長(脇田 稔君) 県立奄美図書館の整備につきましては、「二十一世紀新かごしま総合計画」の中で平成十三年度から平成十五年度までの第一期実施計画期間中に基本構想の策定を行い、第二期以降に施設整備を行うとこういう形になっております。  また、学校の図書室との関係でございますが、学校の図書室につきましては、高等学校設置基準や学校図書館法の中で各学校ごとに設置義務が課せられておりまして、改築に当たりましては、県立奄美図書館とは別に奄美高校の図書室を整備したいと考えております。  県教委におきましては、老朽化している奄美高校を現地で建てかえるため、現在、名瀬市有地であります奄美高校敷地を県有地化することについて、名瀬市と協議をしているところであります。この県有地化に当たりましては、これまで名瀬市内にある県有地と奄美高校敷地との交換等を前提に協議してきておりまして、県立図書館奄美分館の敷地についても交換協議の候補地の一つとして考えております。また、お話のありました朝日小学校隣接地の県有地につきましても、農政部所管ではございますが、交換協議の候補地として考えております。県有地と名瀬市有地の交換等につきましては、今後とも、関係部局とも相談しながら、名瀬市と協議を進めてまいりたいと考えております。 10 ◯商工観光労働部長(富岡忠勝君) 映画「ホタル」は、この九月二十一日現在で、県内で約九万三千人、全国で約二百十万人の観客を動員する大ヒットとなりました。ロケ地となりました垂水市、知覧町等におきましては、映画の舞台にもなりました「富屋食堂」の復元や記念モニュメントの設置、ロケ地「海潟漁港」マップの作成など、地元住民と一体となった受け入れ体制の整備が進められております。  また、県におきましては、旅行エージェントに対し誘客促進活動を行いました結果、関東、中部、北九州地区等からのロケ地ツアーが企画され、八月末までの三カ月間に、知覧町の平和会館等に前年比三割増の約二十万人が、また垂水市海潟漁港にも二千人以上が訪れており、今後、秋の旅行シーズンへ向け、さらに増加するものと見込まれております。  県としましては、映画「ホタル」を初め、「男はつらいよ」「釣りバカ日誌」などの映画への支援、インターネットを通じた県観光・特産品情報の提供、県出身俳優を活用した広報宣伝などに努めておるところでございます。また、奄美パーク宮崎緑園長をイメージキャラクターとして全国紙で本県離島の魅力をPRしたところ、全国から多くの葉書、メールが寄せられ、大きな反響がございました。さらに、この秋には主要航空会社の国際線や国内線において、機内映画や機内誌で本県の魅力を大々的に取り上げてもらうこととなっております。  今後とも、九州新幹線の開通などを踏まえながら、今年度策定いたします新たな観光戦略を定める計画の中で、より効果的な観光かごしまのイメージ発信のあり方について検討してまいりたいと考えております。    [奥山恒満君登壇] 11 ◯奥山恒満君 商工観光労働部長、なかなか私の意に沿うような答弁でした。やっぱり映画、マスコミ、メディアの効果というのは大きいということをわかってもらえばそれでいいのです。  代表質問で須賀知事は奄美群島振興開発基金について、「奄美群島の産業経済にとって極めて重要な役割を果たしている」と、「国や関係機関と連携を図り、群島の金融政策が後退しないように」、「後退しないように」と答えられておりました。  松里議員が求めた離島振興法のあり方、奄振並みに内容を充実した上での補助率の高い離島振興法延長ということを言われました。県下の離島、特に口永良部島、奄美の加計呂麻島、請島、与路島、三島・十島村、甑島など、あるいは獅子島あたり、地域の首長が陳情することも大事ですけれども、たまには県みずからこういったところに一棟や二棟の県営住宅あるいは公営住宅の補助などをリードしてつくってもいいじゃないかと思います。国際・国防ということでは、離島・南西諸島は大変重要な地位を占めておるわけですから、心していただきたいと思っております。  さて、今月三十日、奄美パークが開園されます。黎明館や長島美術館で二十日間ぐらいで実に三万人以上、田中一村の絵にお客さんが動いております。この三十日には、「田中一村 絵にかける」という歌ができておりまして、「夢追い人」、いわゆる絵の夢を追った人ということでできております。これは歌謡曲ですが、私は、この歌謡曲に、その開園の日は奄美の八月踊りを振り付けてあります。島の新民謡、中学生で九州一になった子供さんの歌と私の八月踊りと、近代歌謡曲に奄美の八月踊りを、歌謡曲ということは、民謡ではわからない部分があるからということで、皆さんにわかるような歌ということで八月踊りを振り付けてありまして、その準備をしております。きのうも打ち合わせしましたが、宮崎緑さんも喜んで輪に入ると思います。ひとつ議員さんもかなりおいでのようですが、ぜひいらして、県立の奄美パークの開園を祝っていただきますとともに、知事以下県当局の執行部の皆さんの御健闘を願いまして、終わります。  ありがとうございました。(拍手) 12 ◯議長(溝口宏二君) 次は、田原鉄可君に発言を許可いたします。    [田原鉄可君登壇](拍手) 13 ◯田原鉄可君 自由民主党の田原鉄可であります。  去る、九月十一日に発生したアメリカ合衆国での同時多発テロ事件に関しまして、まず一言申し上げたいと思います。  何よりも初めに、被害を受けた方々に対しまして、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。そして、合衆国において、この犯罪行為が法的にしっかりと裁かれ、二度と再発することのないよう願うものであります。  さらに、我が国・日本においても、このようなテロ行為が絶対に起こることのないよう願っております。国家という意識、社会を守り、よくしていこうという意義を全体が持てば防げることであると、私は信じます。日本人として正しく対応していけるように、この事件をしっかりと見守っていきたいものであります。  次に、去る七月二十九日に行われました参議院議員選挙におきまして御当選なさいました方々にお祝いを申し上げたいと存じます。  さらに、断固とした改革の意思が国民に受け入れられた結果としての自民党圧勝であったととらえ、国会議員の皆様方には、今後とも国政の場におきまして二十一世紀の日本をよりよいものとするために御努力をいただきたいと願っております。  早速質問に入ります。  まず、先般、マスコミにおいて連日のように報道された教科書問題についてであります。この問題は、複雑な内容をはらんでおりますので簡単ではないことは承知しておりますが、それにしてもこれほどまでに内政干渉の様相を呈しますと、一日本人として、また県議会議員として疑問を呈したくなるのであります。  さらに、八月十五日の靖国神社参拝問題も同様であります。毎年八月になると論議されるこの問題も、小泉総理の発言から物議を醸し、十三日の日に前倒しして参拝という、わかりにくい結果に終わりました。  外交問題の一つにすぎないと言えば言い過ぎでありましょうが、これらの問題に対しては国内でもさまざまな意見があり、さらなる論議を尽くさねばならないことではあるにもかかわらず、既に結論が出ており、政府の対応はおかしいともとれる論調のマスコミ報道もあったように聞いております。もとより、戦時中のことは、日本がアジア諸国に御迷惑をおかけしたという事実はあったと私も認識しております。  しかしながら、それは戦争、しかも外交の問題であり、貿易や経済やODAを通じて国際貢献することで、国際的信用を回復しようと戦後日本は努力し続けてきたところなのであります。公式参拝ならいけないとか、私的ならよいとか、八月十五日が十三日ならいいとか、一般の日本人には意味のわからない議論が毎年なされます。  ことしは特に、教科書問題と小泉人気が連動して議論が激しかったわけですが、国民は、うんざりするばかりではないでしょうか。一体どういう理由で他国が日本の教科書にまで介入することが正当なことであると言えるのでしょうか。姉妹盟約を結んでいる韓国の学校などが教科書問題を理由に交流を見合わせたりなどと、私には理解できません。  また、韓国や中国の行う文部科学省への批判を後押しするような報道がなされておると聞きましたが、日本の中に日本国を誹謗するような思想があるのではないか。中国は、共産党一党支配の国であります。その体制を維持するために、独特の歴史観が必要であることは理解できるところでもございます。したがって、日本史について、日本観が異なってもそれは理解の範囲内であります。しかしながら、その独自の歴史観を日本の教科書にまで掲載するよう求める必要があるとは、到底私には思えないのであります。
     さらに、韓国にODAを通じて、我が国は大きな貢献をしてまいってきております。国際法にのっとって、国は自国の教科書を保護すべきであります。日本国として、日本人としての誇りはどこにあるのか、国益はどこにあるのか考え直す必要があります。  扶桑社の「新しい歴史教科書」を読むと、西郷隆盛など鹿児島県にゆかりの人物が、従来の教科書より詳しく紹介されてございます。  さらに、「新しい公民教科書」を読みましても、元日本人代表のサッカー選手として活躍されたラモス瑠偉さんの国旗・国家に対する思いを紹介するなど、中学生にわかりやすいように、さまざまな表現が工夫されており、おもしろい教科書であると私は思いました。  教育は、国家百年の計であります。二十一世紀の県民をつくる作業なのであります。我々は戦前の教科書で教育を受けました。それでも敗戦後の日本を復活させ、現在の繁栄を築いてきたのであります。知事並びに教育長にお聞きしたいのですが、昭和二十年以降の現憲法下、一体日本が外国の教科書に意見をしたことがあったのかどうか。  さらに、韓国・中国から教科書問題で批判されているような状況で、中学校の生徒たちが自国に誇りを持つことができると考えているのかどうか。  さらに、教育を通しどのような教育が得られるか、また失われると考えているのかお聞きしたい。  さらに、従来の歴史教科書より、明治維新の偉人たちの説明の多い「新しい歴史教科書」について、鹿児島県民として率直にどういう感想を持たれたか、知事にお聞きしたい。  引き続きまして、農業問題についてであります。  「国家繁栄の基礎は食糧問題であり、それは農業すなわち第一次産業である」これは私が政治家として、常々訴え続けてきた政治信条でもございます。フランスの元大統領ドゴール氏は、「食糧自給率のない国は、独立国家とは言えない」とまで明言いたしております。  日本の食糧自給率は、カロリーベースで四〇%、これを国は四五%まで持っていく方針であると言います。現在、地球上で百九十カ国ほどある中に、百六十番目程度だとお聞きしておりますが、日本の食糧自給率は先進諸国では最低、スイスよりも低いのであります。  英米仏など先進国は、農業国です。旧ソ連は、冷害でダメージを受けた結果、国が傾きました。農業はそれほど重要な産業なのであります。国も県も積極的に育成を図らなければならないはずであります。  本年五月でありましたか、青少年に人気のあるスナック菓子の有名なポテトチップス商品に遺伝子組換えジャガイモが使用されているとの報道がありました。こういう報道に接しまして、私が何よりも先に感じますのは、なぜ今までわからなかったのかという素朴な疑問であります。人の生命、将来的な日本の遺伝にかかわることなのに、何とも無責任な無神経な話でありませんか。何のための物議や作戦なのか。国の検疫体制を問うとともに、生活厚生の上からも重要であると思われますので、遺伝子組換え食品に関して、国はどのような対応をとっているのか。  また、県としての対応について質問いたしたいと思います。  北朝鮮の金正日氏の息子と思われる人物が入国していたという報道もありました。人もわからないし食べ物もわからない。商品の輸出に関して許可を得るのは難しいが、輸入業務はいいかげんであると言われるゆえんではないでしょうか。率直な意見をお願いいたします。  次に、畜産関係についてであります。それも畜産王国鹿児島県の計画性を問いたいのであります。  現在、飼料穀物の自給率は一%しかありません。鹿児島県の多くの農家が家畜を飼っております。先ほどから申し上げていますように、防疫体制の不備を指摘される現状で、増頭計画を打ち出し畜産振興を図りますと、その飼料はどうするのか、動物は食べていかなければなりません。  増頭計画に当たっては、飼料の自給率についての議論をしなければ自立した畜産とは言えません。防疫体制が不備な状況では不安が募る一方なのです。オレゴン州から輸入した牧草によるエンドハイド事件や口蹄疫問題も記憶に新しいところであります。また、先般国内で初めて狂牛病の牛が見つかったとの報道もなされ、物議を醸しております。飼料の手当てもせずに、増頭計画ばかり立てているのでは無防備にすぎます。  自給率の怖さというものは、自給率が下がると売り手市場になるということであります。ないとなると、高くても悪いものでも買わざるを得ません。畜産ではございませんけれども、葉たばこの自給率も五〇%を切ってございます。けれども、たばこが売れる以上制限はできます。飼料は食糧がありませんでは済まない、必要なものは必要なのです。特に、粗飼料について自給対策を講ずるべきです。畜産の比重が高い市町村ほど財政が苦しいという現状を、このあたりの無策に原因があるのではないかというのは考え過ぎでしょうか。飼料自給率に関する県としての対応を質問いたします。  本県は、国内でも有数の野菜生産県ですが、今、生産者や関係者は苦悩にあえいでいる状況です。この三月に発表されました「かごしま農業・農村ビジョン21」によると、本県平成十一年度の総農業生産額のうち、野菜は一四%を占め、肉用牛、鶏に次いで三番目の地位にございます。重要な作物であるとともに、将来とも発展が期待されております。しかしながら、近年、野菜の販売価格が低迷し、産地間競争も激化しております。とりわけ輸入野菜の増大は、市場価格の低下に拍車をかけておる状況にあります。  このような中、国はとりあえずの対策として、ことし四月二十三日、ネギ、生シイタケ、畳表の三品目について一般セーフガードを暫定発動いたしまして、期間は十一月八日までの二百日間となっております。野菜農家からは、発動は当然という声やもう少し早く取り組んでほしかったという声もありますが、一応は評価したいと考えております。  そこで質問いたします。  セーフガードが発令されて五カ月が経過し、暫定期間も残り少なくなった今、心配なのは発動の効果がどのようにあらわれているかであります。本県のネギの生産地、金山ネギの伊佐地域では、輸入攻勢で栽培面積の減少や価格低迷による赤字経営を余儀なくされたと聞いております。農家の生産意欲や経営状態は好転しているのかどうか、現状をお聞かせください。  さらに、暫定期間の二百日間は瞬く間に経過をいたします。これからの需要期を前にして、やはり心配なのは、中国産のネギがどれだけ輸入されるのか、価格はどうなるのか、暫定的な発動はしたけれども本格的な発動はどうなるのかということであります。先行きには不安がいっぱいであります。これらの見通しについてお尋ねいたします。  次に、今後の野菜振興策についてでありますが、仮に本格セーフガードが発動されても、その発動期間は一般的には四年間で、また同一品目を二度の一般セーフガードが発動された例はないと聞いております。そうすると、この期間中に産地が生き残れる体制を整えることが必須であるわけでございます。さまざまな対応が考えられるところでありますが、産地は高齢化が進んでおります。省力化や高品質化だけでは、なかなか農家の経営は難しいものがあります。流通過程の改善も同時に進めなければ、生産現場の負担ばかりが大きくなるのではないかと思います。  そこで質問いたしますが、野菜の振興策について、今後の施策の展開方向と具体的な対策及び農家が安定生産に取り組むための経営安定化への支援策等について、お示しいただきたい。    [知事須賀龍郎君登壇] 14 ◯知事(須賀龍郎君) 教科書問題につきましては、この教科書は国の責任において検定を経たものでありまして、また教科書採択につきましては、市町村教育委員会がみずからの責任で、適正かつ公正に判断をしたものでございます。既に採択結果も出ておりますことから、個々の教科書につきまして、私が感想を述べますことは差し控えさせていただきたいと存じます。  いずれにいたしましても、各国の主権の尊重は、世界平和の実現にとりまして極めて大事なものであると考えております。なおまた、私といたしましては、学校や地域におきまして、子供たちが郷土の伝統や文化、先人などに対します理解を深め、郷土を愛し、郷土の発展に尽くす心をはぐくむことは、極めて大切なことであると考えております。  本県におきましても、これまで西郷隆盛や大久保利通、薩摩義士等の郷土の先人につきまして副読本を作成し、すべての小・中学校に配布し、活用を図ってきておるところであります。今後とも、このような教育が本県で行われてまいりますことを大きく期待いたしておるところでございます。 15 ◯教育長(脇田 稔君) 今回の本県の教科書採択につきましては、採択権者であります各市町村教育委員会がみずからの責任で真剣に取り組み、適正かつ公正に行ったものであると認識いたしております。教科書の内容は、国の責任において検定を行ったものであります。国がどのような認識のもとに検定を行っているのか、外国の教科書についてどのような見解を持ち、意見を述べたことがあるかどうかは残念ながら承知いたしておりません。  いずれにしましても教育は、国家の礎をなすとともに国家百年の計であると言われます。将来の日本を担う子供たちが、日本人としての自覚を持って国を愛し、国家の発展に努めるとともに、国際的な相互依存関係が深まる中で、世界平和の実現や人類の福祉の増大のために、各国の主権の尊重と各国民の協力が必要であることの認識とともに、国際社会の一員としての自覚を持ち、行動できるような人材を育成するための教育を行うことは大切であると考えております。  また、本県におきましては、今知事の方からお話がありましたとおり、郷土のよさを生かした教育により、郷土への理解を深め、郷土への愛情を培う教育を着実に推進してまいりたいと考えております。 16 ◯保健福祉部長(中村健二君) 食品として利用される遺伝子組換え作物の安全性審査につきましては、平成十三年四月から法的に義務化され、未審査のものは輸入・販売が禁止されております。また、遺伝子組換え食品及びその加工品につきましては、遺伝子組換え食品である旨などの表示をすることが義務づけられております。  国は、先般、安全性未審査のジャガイモ加工品が輸入された事例を踏まえ、輸入業者に対して輸入作物の分別流通管理の徹底を指導するとともに、輸入時のモニタリング検査等のチェック体制の強化を図っております。  県としては、本年七月に遺伝子組換え食品の安全性を確保するため、その取り扱い等について食品の製造、販売施設の一斉点検を実施するとともに、適正な表示の指導を行うなど、監視指導を強化しているところであります。今後とも、国と連携を図りながら適切に対応してまいりたいと考えております。 17 ◯農政部長(福元 紘君) 飼料自給率と粗飼料確保対策についてでございますが、我が国の平成十二年度の濃厚飼料の自給率は約一〇%で、粗飼料の自給率は七八%となっております。本県の飼料作物の作付面積は二万八千ヘクタールでありまして、粗飼料の確保が重要なことから、県では、平成十二年度に「県飼料増産推進計画」を策定しまして作付面積の拡大、単収の向上、栽培管理技術の改善等によりまして、粗飼料自給率の向上に努めることとしておりまして、今後ともこれらの取り組みを推進し、畜産経営のコスト低減と経営安定を図ってまいりたいと考えております。  ネギなどの三品目に対するセーフガード暫定措置の発動は、生産者の先行き不安感を緩和するとともに、発動後はネギの輸入量が抑制されまして、市場価格も回復しております。ネギはこれからが需要期でございまして、暫定措置が切れるとしますと、また輸入がふえるのではないかと懸念しております。  なお、セーフガードの本格発動につきましては、国が十一月八日までに結論を出すものと考えております。今後の野菜振興に当たりましては、早急に県内の野菜産地を国内外の産地と競争できる足腰の強いものにする必要がございます。このため、県園芸振興協議会活動を充実・強化し、栽培管理技術の改善や機械化一貫体系の確立などを進めまして、単収や品質の向上を図りますとともに、出荷容器を全県統一して共同購入するなど、流通コストの削減、野菜農家の経営安定を図る野菜価格安定制度の有効活用などを積極的に進めてまいりたいと考えております。    [田原鉄可君登壇] 18 ◯田原鉄可君 いろいろと御答弁をいただきました。  まず、教科書問題についてでありますが、問題点を整理したいのであります。「新しい歴史教科書」は全国的にもほとんど採択されなかったとの結果でありました。  本県におきましても、教科書の採択につきましては、教育長も記者会見をなさいましたとおり、公平な審査が行われたとのことでありますので、その結果に敬意を持っておりますし、結果そのものを問うているわけではございません。問題は、なぜ自国の教科書の採択に他国が発言権を持つのかということなのであります。  私の友人に中学生の子供さんを持つ方がございます。その友人のお子さんは、歴史の授業と聞くと、また日本の悪口かと言ったそうでございます。私が問題視しているのは、唯一その点であるわけでございます。戦争の議論をすれば右傾化、天皇制の話をしても右傾化、日本人としての誇りを語ればこれも右傾化、とてもまともな議論ができません。戦前の日本は軍国主義である、戦後は民主主義で自由、そう言わねば外国から批判される。マスコミがキャンペーンを行う。実態がそんなものでなかったことは、戦前生まれの方々なら御存じのはずでございます。しかし議論ができない。そんな風潮に一番嫌気がさしてうんざりしているのは、ほかならぬ生徒たちなのであります。  今の中学生の父親の世代は大体四十歳代、その親すなわち祖父は七十歳代、戦争の世代でございます。中学生の視点に立った今回の教科書採択を考えれば、自分をかわいがっている、お小遣いなどもくれているこのおじいちゃんが戦争で侵略を行ったんだ、従軍慰安婦にむごいことをしたと教科書に載せなさいと外国に言われていると、そういう議論なのであります。自己批判すべきことがあるのならば、日本人の口で、みずから自己批判をしようではございませんか。  思春期のこれからの人格形成を行おうとしている中学生たちに、日本人としての誇りを教えることは重要でございます。軍国主義などでは決してございません。この点をあえて申し上げておきたいと思います。  農業問題につきましても、申し上げておきたいと思います。  昨今、WTOが加盟国保護への特例を掲げ、対中セーフガードを創設したと報道がなされました。輸出国である中国は、WTOに加盟するということがいかに輸入国の生産体制に影響を与えるかということをどの国も危惧しているということであると考えております。セーフガードとは、GATTウルグアイ・ラウンドで認められたものでありますが、WTOはGATTより拘束力が強く、国内法にも優先されるといいます。  関税と貿易をめぐる議論の中に、どの国も自国の国益を守るべきで、懸命の努力を払っております。その闘いは熾烈で、兵器を使わない戦争であると言っても過言ではございません。日本はネギを初め、三品目に暫定セーフガードの発動を行いましたが、中国はいまだWTOに加盟しておりませんので、いろいろな面から本格発動は交渉も難航しているようでございます。しかしながら、これは国益をめぐる闘いであります。自国の利益のために頑張ってもらいたいと切に願っております。  農業において、生産者の考え、流通機構である消費者の考えなど、施策が一枚岩でないことは承知いたしております。その点が私の政治信条なのでございます。  例えば種苗組合が自主的に、種苗を外国に売らない方針を打ち出したりなど、国益を守る国民的な自覚を促すような方向性を打ち出すべきであります。  後ほど質問いたしますが、中国から輸入される農作物は、日本で研究・開発された作物が少なくないのであります。まさに矛盾した話です。一商社、一交流企業の利益より国益を優先させるべきなのであります。国益優先のルールを機能させた後に、企業間の自由競争があるのでございます。諸外国はもちろんその方針です。セーフガードにつきましても、一般セーフガードと特別セーフガードに分かれており、豚肉などは特別セーフガードに含まれております。したがって、輸入量が急増した場合には自動的に関税を上げられる仕組みになってございます。WTOは国際的な取り決めでありますが、なぜ、ネギやシイタケには特別セーフガードが適用されないのかどうかというようなことも、国際舞台でどんどん主張していかなければならないはずでございます。  さらに、国内法で行われる輸入対策につきましても、さらに積極的に行うベきであります。  八月には、原料の原産地表示につきまして、ラッキョウ漬けと梅干しに続いて漬物全品目について、来年四月より表示が義務化される旨決定されました。関係者の御努力に感謝を申し上げたいと存じます。このように、国際法でできる対策は積極的に行っていただきたい。  例えば、お茶について義務化が決められておっても、ドリンク缶入りやペットボトル入りのお茶飲料は義務化されてございません、缶入りの野菜ジュースについても同様でございます。国内で需要のあるものについては丹念に調査し、消費者の知る権利、選択の需要を守るためにも義務化を推進していただきたい。これができなければ四五%の自給率など、ほど遠い目標でございます。  繰り返し申し上げますが、これは国内法の範疇なのでございます。自由化の流れが国際化であるならば、正当に品質と信用で勝負したい。これは正当かつ当然のことでございます。  畜産の場合、飼料のほかに排せつ物の問題もございます。できることは速やかに実行していただきますよう強く要望いたしまして、引き続き質問をいたします。  農業の国際化や産地間競争、さらには消費者の食料に対する嗜好の動向は、我々の予想を上回るスピードで変化してございます。農業をめぐるこのような内外の変化に対応するため、近年、各試験場でさまざまな品種や技術等が研究されてございます。  そこで問題になっているのが、本県などで育成された新品種や技術の流出の問題でございます。せっかく育成した品種や改良された家畜が他地域や他国に持ち出される状況があると聞きます。最近、国外で日本の品種が多量に生産され、日本向けに輸入されております。中国の白ネギも日本の品種が栽培されており、日本のネギ生産農家は大変な脅威にさらされているのであります。海外の農業への技術協力の面も配慮すべきことは理解するものでございますが、このような野菜の種子について、育成者の権利を持って流出を防止する方法はないものかどうか、お尋ねいたしておきたいと思います。  次に、最近、脅威になっておる中国茶業の問題について質問いたします。  国内の緑茶の輸入量は、鹿児島県茶業会議所の資料によりますと、昭和六十年に二千二百十五トンであったものが、平成元年には二千八百五十四トン、平成五年には五千四百八十一トン、平成十一年には一万二千四十七トン、昨年度平成十二年度には一万四千三百二十七トンに達し、国内自給率の実に一三・八%になってまいりました。この輸入量の九割近くは、中国産で占められております。昭和六十年の全国の茶の生産量は、県別に多い順から静岡、鹿児島、三重、京都、奈良の順で中国は八位であったものが、昨年は静岡、鹿児島、中国、三重の順でございます。  本年平成十三年度は、現在の輸入量で推移していくならば、本県を抜いて第二位の産地になるのではないかと危惧されております。その背景には、優良品種、製茶機械、技術指導の日本からの支援・導入により、生産量の増大、品質の向上などから輸出力ができたためと見られております。  この実情を確認するために、本県茶業関係者が中国調査視察団を派遣するなど、本県はもとより全国の茶業者が中国茶業に脅威を持っているのが実情です。農業関係者は、さきにセーフガードが発令され、ネギ、シイタケと同様の結末になるのではないかと危惧しておるわけでございます。特にセーフガードが発令されても、その期間は一般的に四年間であります。生産体制の立て直し、強化は非常に難しく、特に茶業のように栽培してから収穫するまでの期間が長く、生産加工施設に多大な投資が必要な作物では、産地が弱体化して枯死した段階で、幾ら再生を図ろうとしても困難であります。  私は熊本に行く機会がありました。JR鹿児島本線の車窓から八代地方の風景を眺め、その変貌に驚きました。あのイグサの大産地が見るも無惨に、イグサはぽつんぽつんと点在しているだけでございました。このようになりましてから、幾らセーフガードを発令して農地の再生を図ろうとしても不可能でございます。  ここが政府・行政の対策の本領の発揮であろうと思います。急増する中国茶の現状を見て、本県の考え方をお聞かせ願いたい。  次に、茶業振興についてお伺いいたします。  全国茶生産団体連合会の調査によりますと、加盟二十八府県すべてにおいて、面積、生産量ともに減少の傾向にございますが、本県の茶業は県の振興計画に沿って、面積、生産量ともに着実に増加しており、順調に進行してございます。これも県を初め関係機関・団体の支援・指導はもとより、生産者の懸命な努力によるものであります。  さらに、特筆されるべきことは、生産量の拡大だけでなく品質においても全国お茶まつり実行委員会が主催する全国茶品評会において、煎茶の部で平成八年から本年まで連続六年、最高の「農林水産大臣賞」及び「産地賞」を本県が獲得していることであります。このことから、本県の茶業は品質、量ともに、全国のトップレベルにあると言っても過言ではございません。  そこで、これら品評会を主要行事とする「第五十六回全国お茶まつり鹿児島県頴娃大会」が、来年、平成十四年十一月に主会場を頴娃町で開催することとし、その準備を鋭意進めておるところでもございます。  第四十回大会を昭和六十一年に鹿児島市で開催以来、実に十六年ぶりの開催で、関係者は、飛躍した鹿児島茶業情報を全国に発信できる絶好の機会と期待しております。  数字で見ますと、昭和六十一年の本県茶園面積は七千六百二十ヘクタール、荒茶生産の一万三千百トン、昨年の本県茶園面積は八千四十ヘクタール、荒茶生産量一万八千九百トンで、面積で四百二十ヘクタール、生産量で実に五千八百トンの増加を達成できました。全国の緑茶生産量の占有率も昭和六十一年の一四・〇%から二一・三%まで引き上げることができました。  このように、本県の茶業は、昭和四十年台初め紅茶生産から緑茶生産に転換して、三十数年にして全国の主要三県まで生産を拡大したことは、全国の生産者や関係者が注目してございます。また、茶業が本県農業の中で主要な地位を占めるに至ったこの時期の全国大会開催であります。  ただ、本県の茶業の弱点は、後発産地がゆえに、その商品知名度が全国ブランドとしてまだ低く、広がっていないという点でございます。この時期にお茶まつりを鹿児島で開催することは、鹿児島県の広報宣伝を全国に展開する絶好の機会と考えておるわけでございます。  そこで、県は、全国お茶まつりをどのように位置づけ、また、いかなる支援を考えておられるのか、本県茶業の振興の今後の基本方針とあわせて知事の御所見を承ります。さらに、本県は、平成二十二年度は茶園面積にして一万町歩、生産量にして二万五千トンを想定いたしておりますが、現状の市場体制では限りがあるものと考えられます。それにつきましての対応をどのように考えておられるのか、お伺いしておきたいと思います。    [知事須賀龍郎君登壇] 19 ◯知事(須賀龍郎君) 本県の茶業振興に当たりましては、まずは担い手農家を中心とした経営規模の拡大や大型機械化体系の確立、荒茶工場の近代化や仕上茶加工技術の向上、適正な施肥や減農薬栽培など環境に配慮した茶づくりを推進し、「低コスト・高品質・クリーンな茶づくり」を進めることとしております。  また、統一シンボルマークの普及・定着や消費宣伝活動の実施、お茶どころにふさわしいふるさとづくりなど、「かごしま茶」のイメージアップと販路拡大に積極的に取り組みながら、全国に飛躍する「かごしま茶」の銘柄確立を目指すこととしております。  来年度本県で開催されます「第五十六回全国お茶まつり」につきましては、県内茶業関係者の方々の「低コスト・高品質・クリーンな茶づくり」に向けました意識高揚を図りますとともに、御指摘のとおり、「かごしま茶」を県内外にPRする絶好の機会であると考えております。  県といたしましては、この大会の開催に向けまして、来月に県並びに関係機関・団体等から成ります「全国お茶まつり実行委員会」を設立することとしておりまして、今後、大会の実施計画の検討や運営体制の整備など、その準備に万全を期してまいりたいと考えております。 20 ◯農政部長(福元 紘君) 野菜の新品種を育成した者の権利は、種苗法に基づく品種登録制度によりまして、「育成者権」としまして、生産、販売、輸出等の各段階で保護されることになっております。しかしながら保護される期間は二十年に限られることから、この期間を経過しますと自動的に権利が消滅し、だれでも自由に取り扱うことができるようになっております。  また、保護期間内であっても、育成者権を有する種苗会社が商社等に販売した種子については、自由に国外に持ち出して栽培できることになっております。このため、現在の我が国の法制度のもとでは、種苗業界等の自主的な規制以外には、海外への種子流出を防止することは困難な状況にございます。  なお、種苗業界では、本年三月に「国内野菜産地振興のための宣言文」を発表しまして、種子輸出に当たっては、ともに発展共栄を図るべきパートナーである国内野菜産地への悪影響を回避する決意を明らかにするなど、業界みずから適切に対処されると聞いております。  近年緑茶の輸入が増大しておりますが、その多くは中国からの輸入でございます。緑茶の増量材や玄米茶、ほうじ茶、緑茶ドリンクなどの原料に使用されていると考えられます。  こうした輸入茶に対応するため、県としましては、温暖な気候や広大な畑地を活用しまして、複数の品種を適切に組み合わせた栽培や、一番茶から秋冬番茶までの収穫による幅広い用途の茶の生産、それから機械化一貫体系の確立や荒茶加工場の再編整備等によります一層のコスト低減、栽培技術や加工技術の向上等による良質茶の生産、クリーンな茶づくりなどを推進しまして、消費者や加工業者等の多様なニーズにこたえる産地づくりを進め、本県茶の輸入茶に対する優位性を確立してまいりたいと考えております。  県茶市場は、県茶生産協会、県茶商業協同組合、県経済連の三者で設置されまして、本県荒茶生産量の約六割に相当する約一万二千トンを取り扱っておりますが、今後の茶栽培面積の拡大によりまして、取扱量の増加が予想されております。  これに伴います茶市場運営上の諸課題を調査・研究するため、県経済連、県茶生産協会、県茶商業協同組合等の関係者で構成します「かごしま茶・生産流通改善研究会」が昨年八月に発足しまして、今後の生産量の増加に応じた市場運営や買受体制のあり方、流通施設の整備などについて検討が進められておるところでございます。  県としましては、当市場を構成する関係者で十分な論議を尽くすことが基本的に重要なことと考えておりまして、この研究会での今後の検討状況を見守ってまいりたいと考えております。    [田原鉄可君登壇] 21 ◯田原鉄可君 いろいろと御答弁をいただきました。  希望の二十一世紀が始まっております。農業の世界でも明るく未来を切り開いていきたいものであります。  中国茶輸入の急増につきまして質問いたしましたが、聞くところによりますと、EU諸国が中国から輸入していたお茶の農薬基準が当てはまらないという理由で、EUから輸入を断られたという事実があり、そのお茶が日本に入ってきているのではないかと言われております。私自身強く危惧しておるところでもございます。日本は、輸入に関して農薬基準も甘く、検疫措置も不完全です。国益のため、生活厚生のためにも確固たる態度が必要でございます。  先ほどの熊本県のイグサの問題ではございませんが、元気のあるうちに手を打たねば間に合わないのであります。枯れてしまってから慌てて水やりをしても手おくれなのでございます。日本の農業については、今がぎりぎりの時期でございます。今、手を打たねば枯れてしまいます。そうなってからではどうにもなりません。  茶業におきまして、本県は平成二十二年度に二万五千トンの生産量を想定いたしております。これは明らかに現在の市場体制ではさばき切らないようでもございます。また、鹿児島県の流通体制でさばけるのかという不安もございます。これらの問題は茶業界の問題であり、業界内部で解決すべき問題であるのは原則であるでしょうが、お茶という鹿児島県の特産品を育成し、物流のルートを確立することは雇用の創設を初めとして、鹿児島県に多くの利益を与えることであります。県としても、全力を尽くしてくださいますよう心より希望いたします。  先ほど申し上げました種苗組合が自主的に輸出を自粛し、みずからの利益追求よりも国益を優先させたという行動に私は感動いたしました。日本国に誇りを持ち、国を愛し、その中で自分たちも幸せになろうとすることが大切だと思うのであります。  多くの皆様方が日本人としての誇りと愛国心を持って、胸を張って邁進することをお願いいたしまして、質問を終わらさせていただきたいと思います。(拍手) 22 ◯議長(溝口宏二君) ここで休憩いたします。  再開は、午後一時十五分といたします。        午前十一時五十五分休憩      ────────────────        午後 一時 十六分再開 23 ◯議長(溝口宏二君) 再開いたします。
     谷川洋造君に発言を許可いたします。    [谷川洋造君登壇](拍手) 24 ◯谷川洋造君 第三回定例会での一般質問も本日で最終日となり、残すは次の牟田神議員一人となりましたが、私は通告による六項目の議題について、以下順次質問をいたしてまいりたいと思います。  初めに、去る九月十一日の米中枢同時多発テロ事件でとうとい生命を絶たれた犠牲者に対し、心から御冥福をお祈りし、予想を絶する、これもまた多数の被害が出たわけでございますが、被害者に対しましても心からお見舞いを申し上げます。  まず最初に、財政改革のもとにおける県土保全と都市河川対策についてお伺いいたします。  政府の経済財政運営の基本方針で、二〇〇二年度予算編成の基本的考え方を示し、来年度の国の予算編成に当たっては、世界最先端の情報技術、IT国家の実現など、七分野に特に重点配分することを打ち出し、また一方では、公共投資関係予算の削減、道路特定財源や公共事業計画などの見直し、地方交付税の見直しなど、社会基盤整備のおくれている本県にとって大変危惧いたしておるのであります。  小泉内閣が進めている聖域なき見直しの一環として、国の来年度概算要求基準では、公共事業一〇%の削減の方針が示されておりますが、シラス土壌に覆われるなど自然災害に弱い本県において、治水対策や砂防など今後の砂防対策への影響が懸念されておるところであります。  県では、ことし策定した「二十一世紀新かごしま総合計画」で、災害から県民の生命や財産を守るため、引き続き災害に強い安全な県土づくりを推進するとともに、現在主要プロジェクトとして住宅浸水被害解消対策などを実施しておりますが、国の公共事業費削減によって、川内川・肝属川の直轄河川を初め、万之瀬川・花渡川の河川改修事業や、桜島を初め各地の砂防事業などにおくれが生じないのか、危惧いたしておるのであります。  県民が安心して生活できる鹿児島づくりを推進する上で、今後とも防災対策に取り組む必要があると考えますが、国の動向を踏まえ、災害に強い安全な県土の形成を図るための各種事業がおくれることのないよう、どのように取り組んでいかれるおつもりか、お伺いいたします。  次に、県都鹿児島市では、甲突川が激特事業で立派に整備され洪水に対する不安も解消されましたが、新川・稲荷川などの都市河川については、いまだ改修の途上にあり、中でも新川は唐湊地区を中心に、平成五年以降、十回以上の浸水被害を繰り返し、また、去る六月と九月にも新川は唐湊地区を中心に警戒水位を超え、住宅の一部が床上・床下浸水し、道路も冠水いたしたところであります。  新川につきましては、床上浸水対策特別緊急事業により、市道涙橋から唐湊-涙橋間の千六百メートルの区間の改修を進めており、現在移転対策家屋九十八棟のうち九十三棟の移転と、また、市道十一橋のうち九橋のかけかえを終え、残る市道二橋も本年度中にかけかえて、平成十六年度には拡幅工事が完成すると聞いておるのであります。鹿児島市唐湊地区の方々の一日も早い浸水被害の解消が図られなければなりません。さらにまた、これより上流の田上地区にも浸水被害が生じており、引き続き新川上流部の改修も緊急の課題であると考えておりますが、今後、新川の改修をどのように進めていくおつもりか、お尋ねいたします。  また、現在用地買収を進めている新川上流の西之谷ダムは、聖域なき見直しや公共事業の削減が言われておる中で、今後の進捗のおくれも懸念されておりますが、西之谷ダムが完成することにより、田上地区の治水対策にどのように役立つこととなるのかお伺いいたします。  次に、海砂採取における県の規制と振興策でございます。  道路や港湾など社会資本づくりや住宅やマンションなどの建設に不可欠な海砂採取についてお伺いいたします。  強度や耐久性に富んだコンクリート構造物をつくるには、骨材として良質の砂が必要であり、現在では海砂が最もすぐれていると伺っておりますが、本県では高速交通網の整備を初めとする各種プロジェクトの推進や良好な住環境をなすために、コンクリート骨材用の砂は民間需要を含め年間三百四十万平方メートルが必要で、そのうちおよそ半分の海砂を、残りは丘砂や岩を砕いた砕砂などを用いておると聞いておるのであります。しかしながら、近年海砂採取による海砂の侵食や水産資源への影響が危惧されておることから海砂の確保が難しくなってきており、社会資本整備のまだまだ必要な本県にとっては、良質な骨材である海砂の供給を図るため、県民や漁業関係者の一層の理解を得ることが必要であります。  そこで、県では現在、海砂採取の規制や取引業者に対する指導をどのように行っているのか、採取海域の地先自治体に対する地域振興や漁業振興策について、どのように対応されているのか、また、採取の適正化を図るため要綱などの見直しをするお考えはないのか、お伺いいたします。さらに、外国からの輸入砂の状況と問題点などについても、あわせてお尋ねいたしたいと思います。  次は、国と地方都市における都市再生での職・住整備のあり方や容積についてお伺いいたします。  県では、「二十一世紀新かごしま総合計画」において、県内各地の一定規模以上の都市を中心とした都市圏における、にぎわいと魅力のあるまちづくり、交通拠点施策の整備、産業拠点の形成など、都市機能の集積を促進し、これらの圏域と周辺地域との交流連携の促進などにもより、県土の均衡ある発展を図る鹿児島中核都市構想を推進することといたしております。県都鹿児島市においては、北部九州に匹敵し得る南九州の中核として、新幹線の開通などによる都市間競争の時代を踏まえ、交流人口の増加に資するまちづくりを進めているところであります。  都市は、経済・社会・文化の活力の源泉であると言われておりますが、近年、大都市・地方都市を問わず、都市の中心部では都市の拡大の一方、モータリゼーションの進展への対応のおくれ、商業を取り巻く環境の変化、人口の減少と高齢化などを背景にその活力が低下し、各地の中心市街地の空洞化が進んでおるのであります。このような趨勢の中で、一方で、中・高年層が買い物や病院、また交通事情など、生活の利便性を優先し、都市のマンションへ移る例がふえるなど、都市回帰の現象が生じておるのであります。  こうした状況から、国土交通省では、都心部で道路幅員があり、交通の便がよい中心市街地の容積率を緩和することにより、建物の高度利用を進め、さらに土地の効率的活用により職・住近接を図りつつ、都市の活性化を目指す都市居住を推進することといたしております。  鹿児島市においては、中心市街地の商業業務地や周辺では一部に建築物の老朽化や人口減少、高齢化が進展し、都市部の空洞化とコミュニティーの活力の低下が見られておるのであります。  このような中、九州新幹線が西鹿児島駅から新八代間で平成十五年末に完成の予定であり、西鹿児島駅は県都鹿児島市の陸の玄関口として、その役割を増すことが考えられます。このようなことから、都心部の再整備を行い、また、交通渋滞、交流拠点都市としての都市機能を高める上でも、都心部の商業地域の高度利用を図ることが必要であります。  東京都など他の都市では容積率が一〇〇〇%で指定されておる区域もあると聞いており、都心部の職・住環境の促進を図っているとのことであります。地方分権の観点から、地域の特性に応じた容積率の引き上げ、土地の高度利用を図る必要があると考えるのであります。  そこで、中核都心部や主要幹線沿道の容積率を引き上げる制度はどのようなものがあるのか、また、容積率を見直して容積率の引き上げができないか、九州南部の都市の構想の中で将来の都市像をどのように描こうと考えておられるのか、また、県・市の連携を深め、活気あふれるまちづくりに取り組んでいかなければならないと思慮いたすのであります。今後の取り組みについての御見解をお聞かせいただきたいと思います。  次に、PFI導入の検討方についてであります。  地方分権が進められている中で、地方自治体における責任と自主性はますます高まってまいりますが、財政力の乏しい本県における諸施策、事業への取り組みに要する財源については、国庫補助制度などの有効活用はもとより、種々の制度・施策の活用も積極的に検討していかなければなりません。  国においては、いわゆる骨太の方針の中で、新世紀型の社会資本の整備を手法として、「PFI」、いわゆるプライベート・ファイナンス・イニシアチブ事業の活用をあげるとともに、都市再生本部は、今後本格化する都市再生プロジェクト案の第二次をまとめたところであり、この中で民間資本を活用してPFIの手法の一層の展開により、社会資本整備を進めることといたしておるのであります。  これまで我が国の公共事業は、「公共の手で公共の資金により公共により管理・運営されたもの」というのがその原則であり、民間の経営ノウハウ、資金力の社会資本整備への投入は十分に行われてきていないように思われるのであります。その結果と言えるかどうかわかりませんが、現在、国・地方とも深刻な財政危機に陥っていることから、小泉内閣は「聖域なき構造改革」を推進し、公共事業の削減を図る一方で、PFIの導入を進め、民間の創意工夫を生かし、民間事業者に新たな事業機会をもたらすことにより景気を拡大し、経済構造改革を進めようとされているようであります。  PFIは、一九九〇年代初頭の英国において、時のサッチャー政権が行財政改革の一環として導入したものが始まりで、英国では、これまで道路・鉄道・有料橋・学校・病院、さらには刑務所などの公共施設などが整備されており、聞くところによりますと、これまで実施された英国のPFI事業は、公共事業全体の約二〇%を占めるに至っているとのことであります。  民間の資金やノウハウを広く導入することにより、財政資金を将来にわたって効率的に使用でき、また、同じ支出でもより質の高い公共サービスの提供が可能となるこのPFIの事業手法は、今まさに新しい財政状況の中で効率的な行財政運営が求められている現在の我が国において極めて有効な手段であり、国レベル、地方レベルにおいて活用の検討が必要な施策であると考えるのであります。  PFIそのものの歴史がまだ浅いこともあって、我が国における取り組み事例はまだ数えるほどしかないようでありますが、県内の市町村にあってもPFIまたはPFI的な手法を取り入れて公共施設の整備などを進めようとする動きがあるようであります。  こうした状況の中で、本県におきましても本年一月に策定された「二十一世紀新かごしま総合計画」の第六章計画実現の方策や、先般発表された「鹿児島県財政改革プログラム骨子」の四の歳出削減策についての中で、PFIの導入について検討する旨、言及されているところであります。  そこでお伺いいたしますが、本県における現在のPFIについての検討の中身や状況について、再度お聞かせいただきたいと思います。    [知事須賀龍郎君登壇] 25 ◯知事(須賀龍郎君) 本県は、県土の大半がシラスなどの特殊土壌に覆われており、これまでも集中豪雨や台風等によります多くの人命や財産が失われるなど、幾度も甚大な被害を受けているところであります。したがいまして、災害に強い県土づくりを県政の重要な課題として、治水対策や土砂災害対策等に積極的に取り組んできておりまして、「二十一世紀新かごしま総合計画」におきましても主要施策として位置づけているところであります。  国の公共事業の一〇%削減など厳しい状況の中ではありますけれども、所要額の予算の確保に努めますとともに、事業実施に当たりましては、工法や手順等の創意工夫やコスト縮減などを図りながら、今後とも河川改修やダム等によります水害の防止や土砂災害対策などを引き続き積極的に推進をしながら、県民が安心して安全に暮らせるような県土づくりに努めてまいりたいと考えております。 26 ◯土木部長(直江延明君) 新川上流部の田上地区の改修につきましては、同地区が狭隘な地域に河川と県道が並行しておりますことから、川幅の拡幅等につきましては周辺市街地の面的整備とあわせまして検討する必要がありますことから、これまで護岸を補強しますとともに、河床の掘削等により流下能力の向上に努めてきたところでございます。  今後における同地区の治水対策といたしましては、現在、新川上流に西之谷ダム建設を計画しているところでございまして、このダムの完成によりまして同地区の治水安全度が大幅に向上するものと考えております。  本県におきましては、国土及び環境の保全を図りながら、骨材資源として適正かつ円滑な供給を図りますため、採取資格、採取区域、採取量の検収などにつきまして規定いたしました県の海砂採取要綱を昭和五十七年に制定し、海砂採取の指導を行っているところでございます。また、平成十一年度には、研修体制の強化、採取船へのGPS装置の導入、海砂の販売先の明確化などを盛り込みました改善策を講じた結果、現在、秩序ある採取が行われておりまして、引き続き、現要綱を適切に運用してまいりたいと考えております。また、海砂採取への理解と協力をいただきます観点から、海砂採取地先の関係市町村が行います海岸清掃等につきましては、一定額の交付金を交付し、支援をしているところでございます。  なお、海砂採取にかかわります漁業振興策につきましては、現在、海砂採取にかかわります漁業影響調査を実施しているところでございまして、これらの調査結果を踏まえ、関係部とも連携を図りながら、漁業振興を含めた海砂採取の諸問題について検討してまいりたいと考えております。  一方、輸入砂につきましては、砂の品質、価格などの問題も指摘されておりますが、本県におきましては、平成十一年度から海砂の輸入が行われておりまして、今後とも海砂への依存を軽減するため、輸入砂の利用促進を図る必要があるものと考えております。  容積率につきましては、従来国の指定基準で定めることになっておりましたけれども、平成十二年十二月に都市計画運用指針が示されまして、地域の実情に応じて市街地における建築物の密度、高さ、敷地の状況、道路の整備状況、公園その他の有効なオープンスペースの状況などを勘案いたしまして、用途地域ごとに市町村が適切に定めることとなったところでございます。このうち特に街区を単位といたしまして、市街地環境の向上や地域の整備改善に寄与する場合や、商業地域において他の敷地の未利用容積の活用ができる場合などにつきましては、さらに容積率を割り増しすることができることとなっております。  鹿児島市の都心部の容積率につきましては、鹿児島市におきまして、本年度都心部の土地利用や建物現況の実態調査等を進め、その結果を踏まえ、容積率の見直しなどを検討すると聞いております。  市町村におきましては、市町村が当該市町村の都市計画区域における市町村マスタープランを定めることとなっており、鹿児島市におきましては、本年三月に市町村マスタープランであるかごしま都市マスタープランを策定したところでございます。県といたしましては、今後これと整合を図りながら、本県都市計画区域マスタープランの策定に取り組んでまいりたいと考えております。 27 ◯企画部長(迫田 昌君) 民間資金の活用により公共施設の整備等を行います、いわゆるPFIにつきましては、「二十一世紀新かごしま総合計画」におきましても計画の円滑な推進を図りますため、その導入について検討を進めることといたしておりまして、現在庁内におきまして情報収集や事例研究等を行っているところであります。  PFI導入に当たりましては、行政財産の利用制限に関する課題のほか、本県のような人口集積が少なく社会経済基盤が十分でない地域におきましては、事業コストの回収の問題など、なお検討すべき課題があると考えております。いずれにいたしましても、今後とも国や他の地方公共団体等の取り組み状況、本県の実情なども踏まえながら、PFIの導入について検討をしてまいりたいと考えております。    [谷川洋造君登壇] 28 ◯谷川洋造君 知事並びに土木部長、企画部長の御答弁をいただきました。  都市河川対策については、九月初めには西之表市の現和で時間百四十四ミリ、三時間三百五十五ミリのかつてない集中豪雨が発生し、とうとい人命など大きな被害を受け、これまでに予想できないような自然災害が発生しております。県民が安心して暮らせる県土づくりを厳しい財政事情の中で、創意と工夫で着実に進めていかれるよう強く要望いたしておきます。  また、新川では、去る二十一日の局地的集中豪雨で十数棟が床上・床下浸水に遭いましたが、新川の整備については集中的に事業が進められ、唐湊地区の方々も次第に安心して住めるようになりつつあり、用地交渉に御協力いただく多くの地権者の皆様に対し、当席から厚く御礼を申し上げますとともに、鹿児島市におきましては、橋のかけかえ工事や、いつも浸水する右岸の堤防に沿ってバイパス水路を新設するなど、県と連携して取り組んでいただいていることに敬意を表する次第であります。  新川上流の田上地区については、河川沿いに住宅が立ち並び、抜本改修には課題も多いと思いますが、今後も鋭意改修に努めるとともに、西之谷ダムについては自然災害や治水対策として効果も大きいようでございますので、ダムの建設を急いで進めていただきますよう強く要望いたしておきます。  海砂採取については、県として海砂の採取に当たり、環境保全に配慮しつつ、秩序ある採取ルールの形成に努めている点については、全国でも例のないものと高く評価をするものであります。粘り強い良質なコンクリートを用いれば、地震や厳しい気象条件の中で百年以上耐えられる公共施設や建築物をつくることができますが、そのためには海砂の採取が不可欠であり、今後も漁業関係者を初め県民の理解を得て厳正に採取を進め、安定した砂の供給ができるよう要望いたしておきたいと思います。  都市再生や職・住整備の中での容積率の見直しの関係については、土木部長からるる説明があったとおりであります。地方分権、地方自治確立のもと、北九州・福岡に匹敵する南九州の中心市街地の土地の高度利用と活性化の都市像を目指し、将来のまちづくりの形成を願っておるところであります。  PFIの導入検討については、今日深刻な財政危機の中で本県でも検討に値する事業もあるかと思慮いたしますので、各面での事業の取り組み方の御検討をお願いいたしておきます。  次の質問に入ります。  鹿児島港本港区ウオーターフロントの開発についてであります。  鹿児島港本港区のウオーターフロント開発については、開発基本計画の中で、中央ゾーン、南ゾーン及び本港区線隣接ゾーンでは、生活者や観光客が楽しみ、快適で高質なウオーターフロントを創出することを目的に計画されたものでありますが、中央緑地ゾーンの三・五ヘクタールについては、イベントなどが開催できる憩いの空間として着実に整備が進んでおるところでございます。  一方で、再開発地区として位置づけられているホテル・複合ビル・商業施設などの中央ゾーンの三・三ヘクタールや南ゾーンについては遅々として整備が進展せず、空き地利用のままイベント広場としてだけに使われておるのが現状でございます。言うまでもなく、あるべき都市像は時の経済情勢の動向だけに左右されるものだけでなく、本港区は県民・市民・観光客が名所として好んで集まる施設を整備すべきであります。また、本港区ゾーンは離島航路の本土の玄関口として、さらに上町地区や市街地の活性化という立場からも、そういった整備促進が望まれるところであります。  そこで、以下数点についてお伺いいたします。  まず、昨今の県の説明によりますと、本港区の再開発については、現在の経済状況下では、ウオーターフロントの開発計画に沿った一体的な開発は困難とする企業の意見や、土地の定期借地による商業施設などの施設を希望する企業もあるとのことでありますが、一体的開発を前提とした分譲規模や面積など基本計画に問題はないのか、私は危惧をいたしておるところであります。また、土地の定期借地を希望する企業は、どのような規模でどのくらいの期間を希望しているのか、今日までのヒアリングやアンケートの内容について、お伺いいたしたいのであります。  二点目に、鹿児島港ポートルネサンス21事業推進協議会で検討されている中で、鹿児島市は「現在イベント広場として利用していることを踏まえ、現状どおりの利用が望ましい」との意見であると聞くのでありますが、平成七年三月に策定された本港区ウオーターフロント開発計画との整合性を県はどのようにとらえ対応していくのか、その御見解をお聞きしたいのであります。  次に、観光クルーズ船「スーパースター・トーラス」の鹿児島港への寄港継続に向けた取り組みについてであります。  本年一月から鹿児島港に定期寄港している観光クルーズ船「スーパースター・トーラス」については来年一月の初めまで鹿児島港に寄港し、その後、来年一月から三月までは気象条件の関係で長崎に寄港することが決まっておると聞いております。クルーズ観光船の寄港は、本県の観光振興やイメージアップに大きく寄与するものであり、来年四月以降についてもぜひとも鹿児島港への寄港が再開されることを期待いたしておりますが、クルーズ観光船の利用者が満足のいく変化のある企画なども含め、県としてはどのように対応していくおつもりか、お伺いしたいのであります。  次に、商店街の行政の取り組みの矛盾点とTMO構想についてお尋ねいたします。  今まさに県下各地の商店街の衰退は深刻さを増し、空き店舗やシャッター通り化し、地域商業の活性化を問われているときでもあります。これはバイパスの新設や駐車場問題など、都市構造の変化、情報やライフスタイルの多様化、消費者の意識変化など、流通をめぐる環境変化によるものであり、中小小売業者は適切に対応していかねばなりませんが、今日の大型店舗の進出、デフレや不況が重なり、自助努力だけでは限界を超える状況であると思慮いたしておるのであります。  国においては、中小企業金融制度の充実、中心市街地活性化法の施行など、数々の施策が図られながらも厳しい経営環境が強いられているのが現状でございます。  そこで、このような県下各地の商店街の実態をどのように認識され、どのような振興策を考えておられるのか、その御見解をお尋ねしたいのであります。  また、中心市街地活性化法の施行後三年を過ぎ、県内では国分・川内・鹿屋・名瀬・鹿児島の五つの市と宮之城町でTMO構想が認定されておりますが、県内におけるそれぞれの地域の取り組みの現状と、今後県下各地の核としての形成を目指す地域活性化のまちづくりの中で、関係機関との間でどのように助言・指導・調整を図っていかれるのか、県の対応と御見解をお伺いしたいのであります。  さらに、安らぎが求められる県下商店街での環境整備でアーケードの整備は、TMO構想でもプロジェクトとして位置づけをされており、商店街の利便性を高める公益性の高い施設となっているのであります。アーケードについては、県内各地の市道におけるアーケードの道路占用料は、県下各市とも全額免除されているにもかかわらず、県道部分におけるアーケードについては道路占用料の徴収がなされています。  同一アーケード内の市道部分の組合員は占用料は全額免除され、県道部分の組合員は占用料を徴収されているという矛盾があります。沿線店舗にとっては道路管理者が市・県・国のいずれであれ関係はなく、総合的・一体的な行政が望まれるところであります。  地方自治の確立と自主性が問われている今日、この件について環境整備と商工振興の上から、政策的課題として県としてはどのような見解を持ち、この矛盾を今後どのように対処していくのか、土木部長並びに商工観光労働部長の御見解をお伺いいたします。  次は、衛生食品対策についてお尋ねいたします。  日常生活を支える衣食住の中に食べ物は最も重要で必要な不可欠なものであります。安全な食品は、すべての国民生活、社会経済の基礎であることは論をまたないところであります。経済発展に伴い衛生水準も飛躍的に向上し、コレラ、赤痢、腸チフスなどの伝染病は激減しておりますが、平成八年大阪堺市でO157、平成十年には和歌山砒素カレー事件、平成十二年の雪印の事件その他、異物混入、腐敗、カビ、未承認遺伝子組み換え食品の回収などの全国的な事例、県内においても営業施設や家庭での食中毒は、依然として発生しているのが現状であります。  食品による事故が発生しないように、製造過程、販売業者はもとより、任意団体である食品衛生協会の努力と、それに発生を未然に防ぎ、発生した場合その原因を調査し、再発しないよう一年三百六十五日頑張っておられる食品行政関係者に対し、敬意を表し質問に入りたいと思います。  和歌山の砒素混入事件は、夏祭りに地域の方々がカレーを調理し提供した-営業でない行為-の中で発生し、また、雪印の事件はブランド性が非常に高く、しかも国が衛生的施設として認めているいわゆるHACCP施設で発生したと伺っておるのであります。  そこで一点目に、運動会、体育祭、夏祭り、海水浴場、縁日など、臨時的・季節的・一時的な営業に対する指導はどのような方法でなされているのか。二点目に、総合衛生管理製造過程、いわゆるHACCPの基本的考え方、県内の承認施設、それに対する指導はどのようになっているのか。  また、消費者自身の自覚にかかわる食品衛生知識の普及・広報などについてどのようにされておられるのか、本県での取り組みについてお尋ねいたします。    [知事須賀龍郎君登壇] 29 ◯知事(須賀龍郎君) 観光クルーズ船「スーパースター・トーラス」につきましては、本年一月から鹿児島港へ寄港を開始されて以来、四月以降は鹿児島からの乗船も可能となっております。一月から九月までの乗船客数は全体で約一万五千名でありますが、そのうち鹿児島港から乗船されました方々は約四千名に上る見込みとなっております。  観光クルーズ船の寄港は、本県の観光振興やイメージアップにつながり、また、県民の方々にクルーズ観光を楽しんでいただく絶好の機会になるものと考えております。このため、来年四月以降の寄港再開につきましてもスタークルーズ社への要請を続けているところでございます。そのためには、とりあえずこの十二月までの集客実績を上げることが極めて大事ではなかろうかと考えております。  現在、商工会議所・県観光連盟・旅行業界等と協力をいたしまして、県民の方々への広報・宣伝や韓国旅行業界等への鹿児島の魅力のプレゼンテーション等を行っているところでありまして、今後とも関係団体等とも一体となりまして積極的にこの問題には取り組んでまいりたいと考えております。 30 ◯土木部長(直江延明君) 鹿児島港本港区中央ゾーンなどの開発につきましては、進出についての企業の意向などを把握いたしますために、平成八年以来、県内外六十五社に対しましてヒアリングやアンケートを実施してきたところでございます。これまでのところ、基本計画に沿った形での一体的な開発を具体的に提案できる企業はなく、一方で、定期借地等によります商業施設の整備に強い意欲を見せている企業が数社ございます。  また、定期借地の規模等につきましては、中央ゾーン全体の三ヘクタール程度を希望する企業が多く、その期間は十年間から二十年間となってございます。  これまでのヒアリング等の結果や類似事例におきます全国的な動向等を勘案いたしまして、本年六月の鹿児島港ポートルネサンス21事業推進協議会におきまして、本計画を一層推進いたしますため、基本方針は変更しないが、暫定的に事業用定期借地方式等によります部分的な開発も認めるなど要件を緩和して、企業提案募集を実施してはどうかと提案を行ったところでございます。  この提案につきましては、協議会メンバーでございます鹿児島市からは、御指摘のとおり、「イベント広場として利用されていることを踏まえ、当分の間は現状どおりの利用が好ましい」という意見が出されているところでございます。  また一方では、「新幹線の開業も間近であり、当ゾーンを積極的に開発すべきである」という意見もございます。当ゾーンの開発は、これからの鹿児島の発展に重要な役割を担っておりますことから、今後とも企業の意向や経済情勢等を慎重に見きわめますとともに、県議会の御意見も伺いながら協議会での議論を進め、円滑な民間活力の導入が図られるよう努めてまいりたいと考えております。  道路占用料につきましては、他の使用料と同じく、受益の程度に応じまして占用者に負担していただくものでございます。商店街アーケードにつきましては、小売活動等の利便性を支えることとあわせまして、歩行者の利便を図るという高い公共性を有している面もございます。このため、県管理道路におきます商店街アーケードの占用料につきましては、県内一律に九州各県同一の八〇%の減額を行っているところでございます。さらなる占用料の減額につきましては、財政改革プログラム骨子において受益者負担の適正化の観点から、県有財産の使用料等の減免措置の見直しを行うこととしておりますことから、難しい状況にありますことを御理解いただきたいと思います。 31 ◯商工観光労働部長(富岡忠勝君) 中心市街地の活性化につきましては、これまで六市二町で九件の基本計画が作成されており、うち六件につきましてTMO構想が市・町により認定されております。これらの構想に基づき、TMOである商工会議所等により、電子商取引などの調査研究やタウン情報誌の発行等が行われております。  県としましては、かごしま産業支援センターに設置しているTMO基金や本年度新たに設けたリノベーション補助金により、地域の合意形成のための各種ソフト事業や商店街のアーケード等の施設整備に対しまして助成を行っているところでございます。中心市街地の活性化の推進は、「二十一世紀新かごしま総合計画」の主要プロジェクトに位置づけられておりますことから、県としましては、今後とも市町村の基本計画策定等への助言に努めますとともに、TMO等の取り組みに対して積極的に支援してまいりたいと考えております。  空洞化が進むなど厳しい状況下に置かれております商店街の振興を図りますためには、中心市街地活性化法に基づく施策を初め、さまざまな手法により振興策を検討する必要があると考えておりますが、商店街アーケードの道路占用料の減免につきましては、道路占用料の負担のあり方を十分に踏まえた上で検討なされるべきものであると考えております。 32 ◯保健福祉部長(中村健二君) 運動会、海水浴場、縁日などの臨時営業などにつきましては、県の「臨時営業等の取扱要領」により、施設構造、取扱設備、給水及び汚物処理に係る施設基準を定めており、この基準に基づいて、営業者に対して保健所が適切な指導を行っているところでございます。また、学校等でのバザーにつきましては、実施責任者に保健所への届け出をさせ、責任の所在を明確にするとともに、食品の衛生的な取り扱いについて事前指導などを行っております。  次に、HACCP、ハサップでございますが、これは、食品の製造工程中の危害要因を分析し、最も重要な工程を常時モニタリングすることで高度に食品の安全性を保証する、国際的に認知されている衛生管理手法でございます。本県においてこの衛生管理手法の導入による安全施設としての承認状況ですが、乳処理業五施設、食肉製品製造業一施設、対米輸出水産食品、また、対米輸出牛肉を取り扱う施設、それぞれ一施設でございます。県においては、これらの施設に対してこの衛生管理手法が適正に運用されているか、定期的な監視指導を実施しております。  次に、消費者に対する食品衛生知識の普及・広報につきましては、平成八年のO157集団食中毒事件を契機とし、毎年各家庭に「家庭でできる食中毒予防の六つのポイント」のチラシを配布するとともに、保健所・市町村の広報誌及びマスコミ等を活用し、正しい食品衛生思想の普及啓発を図っております。県としては、今後とも食品の安全確保を図るため、営業者に対する監視指導及び消費者に対する普及・広報を推進してまいりたいと考えております。    [谷川洋造君登壇] 33 ◯谷川洋造君 それぞれ御答弁をいただきました。  臨港地区の見直しについては、できるだけ早く見直しの検討を進めるよう要望いたしておきたいと思います。  また、鹿児島本港区の開発につきましては、現在の経済情勢から考えて大変厳しい状況にあり、当局の御苦労も察しておるところであります。しかしながら、この土地は鹿児島の発展に重要な役割を担う地域であり、後世に悔いを残さないよう十分に検討され、鹿児島の海の玄関口にふさわしい整備促進が図れるように期待いたします。  「スーパースター・トーラス」については、「スーパースター・トーラス」の鹿児島寄港は、本年一月から始まってこの十二月で満一年間続くということになるわけでございますが、国際観光船が一年間も地方港湾に定期寄港するということは、これまでの歴史から見てもまれなことでないかと思うのであります。そういう意味で、この「トーラス号」の誘致や利用促進に努めておられる県当局や商工会議所など関係団体の皆様に深く敬意を表するものであります。  観光クルーズ船の寄港は、観光県鹿児島を国内外にPRする絶好の機会でございますので、今後とも県内外の方々に大いに利用していただくことにより「トーラス号」の鹿児島港寄港が長く続くことを期待するとともに、我が国の南の玄関口として観光船の受け入れにふさわしい港の整備が進められていくことを要望いたしておきます。  なお、アーケードの占用料の問題についてはそれぞれ御答弁があったわけでございますが、私が申し上げておるのは、その行政の不統一性、県下の全市は全額免除という取り扱いをしておる中で、県は占用料を徴収しておると、こういうことになっておるわけでございます。一つの通り会の中で、半分の市道の部分は全額免除、同じ組合員で半分は占用料を払っておると、こういう矛盾があるわけでございますので、公益性の高いアーケードが道路管理者の違いで不公平がないようにすべきと考えますので、知事の英断を心から求めるものであります。
     食品衛生行政については、食品の安全性・重要性については、だれもが理解しながらも当たり前という認識があります。一方では、科学技術の進展とともに、その製造も複雑かつ高度化し、大量生産、広域流通、遺伝子組み換え食品など、新しく開発される食品添加物や残留農薬、化学物質の問題など、消費者の要求も年々厳しくなり、適切に対応するためにはいろいろと困難が予想されますが、さらなる御努力をお願いしておきたいと思います。  以上、限られた時間で私は当面の課題について質問してまいりましたが、今日、国・県を問わず、政治・経済・社会ともに今まさに大きな課題に直面し、変革期を迎えておるのであります。県政も須賀知事を先頭に、百七十八万人余の県民の期待にこたえる県政推進を願い、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 34 ◯議長(溝口宏二君) 次は、牟田神基君に発言を許可いたします。    [牟田神 基君登壇](拍手) 35 ◯牟田神 基君 牟田神でございます。  質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。大変眠たい時間でございますけれども、しばらくの間、御清聴をお願いいたします。  「災害は忘れたころにやってくる」のことわざどおり、九月二日、種子島で発生した集中豪雨は、午後五時までの時間雨量が中種子町で百六十二ミリ、西之表市で百二十六ミリと観測史上全国で三位の記録が発表されました。県民にとりましても、全く考えに及ばない気象のいたずらとしか言いようがありません。  県におきましては、雨量、水位、潮位、さらには土石流発生予測等の観測、情報通信機器の整備も完了して情報サービスに手抜かりはないのでありますが、県民の自主防災意識の不徹底から、あってはならない人身被害が発生しております。御遺族の御心痛を察する余り、まことに悲しく、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。  また九月十一日、アメリカではニューヨーク市内の世界貿易センタービルと首都ワシントンのアメリカ国防省ビルに、ハイジャックした旅客機で乗客もろとも自爆テロに使う信じがたい事件が発生いたしました。犠牲者は六千数百人とも言われ、うち二十余名の邦人がいまだに行方不明、史上最大規模の惨事となった今回の同時無差別大量殺人テロ事件は、絶対に許しがたい野蛮な行為であり、犠牲となられた多くの方々に心から哀悼の意を表します。  私も二週間前、ニューヨーク市内の視察の中で巨大なツインビルの説明を受けたばかりで、その偉大な風景に圧倒され、思わず切ったシャッターが、写真が最後のツインビルの姿になろうとは夢にも考えられず、驚きと深い悲しみとともに怒りが込み上げてなりません。平和を願う気持ちを後退させない心構えが必要であるのではないでしょうか。  質問も最後になりますと、重複する項目もたくさんございます。できるだけ重複を避けながら、地元中心に質問させていただきますので、御清聴よろしくお願い申し上げます。  まず初めに、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。  十一月十七日から十九日にかけて、加世田市で開催される世界室内自転車競技選手権大会に、加世田市ゆかりの小泉純一郎首相が出席される見通しになったことは大変喜ばしいことであり、本大会を成功させるためにも、県民挙げて小泉首相の来鹿を確実なものとしたいところでございます。  そこで、改めて須賀知事から小泉首相に対して、本大会に出席していただくよう御要請をお願いしたいと思いますが、知事の御所見をお聞かせください。  次に、財政改革推進と知事の決意についてお伺いいたします。  本県財政は自主財源に乏しく、地方交付税や国庫支出金、さらには県債などの財源に依存する割合が高いことは御案内のとおりでございます。平成十一年度決算において、普通建設事業費の投資的経費の占める割合が四二・〇%と全国平均の二八・九%を大きく上回っております。  これはもちろんおくれている社会資本の整備を全国並みに引き上げるべく計画的な事業の実施に努められたことによるものでありますが、経常収支比率も公債費等の義務的経費の増大により極めて高い水準にあり、財政の硬直化が高まってきていることから、財政立て直しのための財政改革が立案されたのも、当然のことと評価するものであります。  そこでお尋ねいたしますが、知事は今回財政改革プログラム骨子において、「二十一世紀新かごしま総合計画」の着実な推進を図ると財政改革の目標に掲げておられますが、知事が進めようとしている財政改革計画期間は平成十四年度から平成十八年度までの五年間であります。我が国の景気が低迷しているこの時期に、単年度の財源に不足を生じない財政構造を構築するには、知事の強力なリーダーシップを発揮しながら真剣に取り組まなければならない高いハードルであり、昭和年代の財政再建に匹敵する一大事であると私は思っております。  須賀知事の任期は計画半ばの平成十六年まででありまして、「二十一世紀新かごしま総合計画」を着実に推進する財政構造を構築するためには、県政史上類を見ない行財政経験豊富な須賀知事の力がぜひとも必要であります。  ここで、財政改革プログラムの策定に当たり、計画をなし遂げようとされる知事の決意をお聞かせください。  次に、高等学校制度改革について、お伺いいたします。  脇田教育長の行政手腕と、これからの高等学校教育改革に多くの県民が期待しております。これまで二十数年にわたり日置郡内で声を大にしてお願いしてきた高等学校通学区域の見直しの問題でございます。  現行の通学区域制度によって鹿児島市に隣接しながら日置郡の過疎化、高齢化は予想以上に進み、少子化時代の到来でますますこの傾向は顕著なものとなっております。このことから、日置郡町長会、議長会挙げて高等学校通学区域の緩和について陳情を重ねておりますが、私も議員として六年にわたり、他県と比較しての高等学校通学区域の見直しについて質問させていただき、その趣旨は脇田教育長も十分認識されておられるものと思います。  また、この経過として、通学区域の設定は各県の自主判断にゆだねる方向で法律が改正され、東京都においても通学区域廃止がなされたところであります。  脇田教育長におかれましては、本年第一回定例会の私の質問に対して、本年度設置予定の県高等学校改革推進協議会におきまして、通学区域設定の意義やその果たす役割等について抜本的御議論をいただき、公立学校で学ぶ生徒にとって真に望ましい通学区域はどうあるべきか、全県的な視点に立って検討していただいて、本県の実情にあった方向を見出していきたいと考えているとの御答弁でございました。  そこで、脇田教育長にお尋ねいたします。  県高等学校改革推進協議会の概要について、例えば、設立年月日、構成メンバー、現在まで開催された協議内容等、差し支えのない範囲でお示しいただきたい。また、新しい通学区域案など、いつまでに結論を出されるおつもりか。さらにまた、財政改革を推進する中で、小規模高等学校の改革についてもお聞かせください。  次に、児童・生徒の安全確保対策には非常警報装置や侵入防止施設等の整備を進め、部外者による犯罪防止に全力で取り組んでおられますが、一方では教育の立場にある教職員による児童・生徒に対するわいせつ行為や暴力行為などあってはならない犯罪事件が多発しているようでございます。  事件のたびに、一方ではまじめでいい先生と高く評価されており、関係者の管理能力を疑いたくなるのも私だけではないと思いますが、また、教員としての不適格な教員も増加していると聞かれます。  そこで、お尋ねいたしますが、指導が適切でない、日常勤務ができない等の不適格教員の実態について、どのように把握しておられるか。また、これら教員への対応は、どのようになされておられるのかお聞かせください。    [知事須賀龍郎君登壇] 36 ◯知事(須賀龍郎君) 世界室内自転車競技選手権日本大会には、世界二十一カ国から選手・役員が参加されると伺っており、本県のスポーツ振興に大きく寄与すると同時に、世界に向けて本県の豊かな自然や歴史、文化などの情報を発信できる絶好の機会であると考えております。  この大会には、地元ゆかりの小泉首相が、加世田市を初め関係者の皆様方の御努力によりまして出席されることとなりましたことは大変喜ばしく、心から歓迎申し上げますとともに、この大会に大きな弾みがつくものと期待いたしております。  県といたしましては、大会の成功と小泉首相の御来鹿の実現に向けまして、でき得る限りの支援・協力をしてまいりたいと考えております。  次に、財政改革プログラムは、「二十一世紀新かごしま総合計画」を着実に推進してまいりますために、将来にわたって弾力的で足腰の強い財政構造を構築するために策定するものであります。  計画に盛り込まれております個別の施策・事業の中には、財政改革プログラムの推進によりまして、その時々の社会経済情勢に対応しながら事業実施期間の調整など弾力的に対応していくものも出てくることは考えておりますが、計画全体といたしましては効率化・重点化を図りながら計画の実現に向けまして積極的な推進に努め、県民の一人一人が鹿児島に誇りと希望を持って、県内のどの地域に住んでいても生涯にわたり安心して心豊かで活力あふれる生活ができる新しい鹿児島づくりに全力を傾注してまいりたいと考えております。 37 ◯教育長(脇田 稔君) 県公立高等学校改革推進協議会は本年三月三十日に設置し、学識経験者や産業・経済、学校教育・社会教育及び地方行政関係者など二十名の委員から構成をされております。  協議会は現在まで三回開催をされました。本県公立高等学校の現状・課題や再編整備の取り組みの経緯などの実情把握、あるいは県内外の視察、全国の動向等について理解を深めながら、主として学校の適正な規模のあり方等について協議が進められております。  その間、過去に整理統合され学校がなくなった地域の状況、県境を越えた生徒の出入りの状況等について議論がなされますとともに、これまで学校の適正規模とされてきました一学年五学級から八学級が今後も妥当であるのか、離島、僻地への配慮が必要ではないのか、また、高等学校の専門性を重視しつつ、総合的な高校づくりが必要ではないかといった意見が出されております。  協議会で協議される事項は、通学区域の見直しなど、本県公立高等学校の将来のあり方の基本にかかわる問題でございまして、さらにこれから県民意識調査を行いましたり、県民のさまざまな意見も聞いたりしながら本格的な議論を尽くしていただきたいと考えておりまして、現在のところ中間報告を平成十四年秋に、最終的な報告を平成十四年度末までにお願いしたいと考えております。  小規模校のあり方につきましては、今後、中学校卒業予定者の減少により、学校の小規模化が一層進むと考えられますことから、協議会におきまして、各地域における将来の児童生徒数の推移や地域の実情等を踏まえつつ、高等学校としての一定の教育水準の維持あるいは適正な学校の配置はどうあるべきかといった観点から、離島、僻地等への配慮も含めて検討していただきたいと考えております。  休みが多く授業に影響が出るなど、日常勤務に問題がある教諭については、その原因が病気等によると考えられる場合は医師の診断を受けさせ、病気休暇や休職等の措置を講じて治療に専念させておりますが、状況によりましては退職を選択をいたしましたり、定年を待たずに退職するケースもございます。  また、まともに授業ができない、不適切な発言が多い、児童生徒や保護者からの苦情が絶えないなど、教員としての資質に問題がある場合は、校長や市町村教育委員会が繰り返し指導を行い、それでも改善が見られない場合には教育センター等で特別に研修をさせております。こうした例は過去にも幾つかございましたが、このような措置でも効果があらわれず、教員としての適格性を欠くと認められる場合には、県教委といたしましては分限免職などを行うなど、厳しい措置で対処いたしてきております。  指導力等に問題を抱える教員への対応は、全国的にも重要な課題となってきておりまして、本県でも本年度から「指導力不足等教員の人事管理に関する調査研究委員会」を設置し、判定方法や事後措置のあり方等について研究を進めているところでございます。    [牟田神 基君登壇] 38 ◯牟田神 基君 知事さんと教育長さんに御答弁をいただきましたが、加世田市で開催される世界室内自転車競技選手権大会は国際競技大会でございまして、加世田市のみならず県においても大会の成功と、各国選手団の安全対策に努めなければならないと思います。  財政改革プログラム骨子に対する知事の御決意を聞き、県民も須賀知事の施策に期待されていると思います。自信を持って「二十一世紀新かごしま総合計画」を推進していただくようお願いいたします。  高等学校通学区域の見直しでございますが、日置郡南部に建設中の農業大学校の開校は、平成十五年の春でございます。さらに、農業試験場は十七年度の供用開始となっております。二百七十四名の教職員が家族同伴で安心して居住できる地域づくりのためにも、早急に結論を出していただきたいとお願いを申し上げるところでございます。  次に、農業振興についてお伺いいたします。  県は安心、安全な農畜産物の安定供給と消費拡大を推進するため、毎月二十九日を「かごしま畜産の日」として畜産物の消費拡大に努めるとともに、さらに環境美化、衛生強化運動の実践など、地域住民と共生する二十一世紀型畜産の推進に努めるとしておりますが、昨年宮崎県で発生した口蹄疫に引き続き、ことしは千葉県の酪農家でBSE(狂牛病)に感染した疑いがあると報道され、本県においてもいち早くBSEの防疫対策がとられたようであります。  BSEについては、代表、一般でも質問されておりますが、重ねてお伺いいたします。  まず一点、BSEは牛以外の家畜に感染しないのかというのが一点でございます。  それから、二点目は、なぜ肉や牛乳は食べても飲んでも安心なのかが二点目でございます。  三点目は、口蹄疫も狂牛病も輸入飼料に関係していると言われておりますが、本県は昨年の口蹄疫を教訓に、飼料稲の普及・生産拡大に取り組んでおられると思います。高齢化の進む畜産農家にとりましては、国産粗飼料の確保は負担が重く大変厳しい対応と考えられますが、十二年度の稲わらの自給率と肉骨粉の生産状況についてお聞かせください。  また、近年、国際化の進展、担い手農家の減少、高齢化の進行などにより、年々肉用牛の飼養戸数は減少しておりますが、全国と本県の状況並びに今後の県肉用牛振興対策について、お聞かせください。  次に、水田等における航空防除の計画や実施に対する規制についてお伺いいたします。  農林水産省は、四月から改正JAS法が施行され、有機農産物の検査認定制度も動き出しましたことから、水源など防除対策外の区域に加え、有機農業を営む圃場にも農薬が飛散しないよう防止策を講じ、有機農業者の合意を得て航空防除を勧めるよう注意を促したところであります。  さらに、松くい虫防除に当たりましても、林野庁から同様の指示がなされたものと聞いておりますが、農業従事者の高齢化や後継者不足などから個別防除も不可能に近く、従来どおり空散実施に対する要望が高まっております。今後の薬剤散布の指導についてお聞かせください。  次に、イヌマキの被害についてお尋ねいたします。  薩摩半島を中心に新たな異変が起こっております。吹上浜の松くい虫被害に続いて、近年イヌマキの立ち枯れが発生しております。イヌマキは加世田市木にも指定され、薩摩半島を中心に県内全域で古くから建築材として、また、庭園内の庭木や防風垣等に植林されており、神社仏閣や旧家の庭先など、樹齢四、五百年の銘木を見ることができます。  ところが最近、松くい虫の被害が減少した南薩地方でイヌマキの立ち枯れが至るところで発生しており、住民はその対策に苦慮しております。県として、その被害の状況や原因について把握しておられるのかお伺いいたします。  また、被害が広域にわたり集団で発生していることから、松くい虫被害対策と同様、県において何らかの防除対策はできないか、被害の状況もあわせてお伺いいたします。  また、吹上浜松林を中心に県内全域に発生した松くい虫被害も、県・町一体となって駆除対策に取り組み、一応松くい虫被害は終息したかにみえますが、吹上浜の松林を初め県内の被害状況と今後の防除対策についてお伺いいたします。  次に、警察問題についてお伺いいたします。  第一回定例会の一般質問で、交通安全協会の組織、警察との関係、事業の内容、さらに交通安全協会の必要性について県警本部長にお尋ねいたしました。  本部長の答弁は、「交通安全協会は道路交通の安全と円活を図り、もって交通秩序の確立と交通に寄与することを目的に設立されている」と大変明確な御答弁をいただきました。  今年の交通死亡事故は、八月末現在で県下八十七名で、対前年比プラス十五名と聞いております。このような厳しい状況で地域交通安全協会では、秋の全国交通安全運動に事故防止のパレード、街角立哨、指導、高齢者安全運転実技講習会、さらには各分会法令講習会など計画しているところであります。  中でも毎回行われている交通法令講習会は、地元における交通事故の実例など交えた講習内容であり、出席されたドライバーの皆さんは分かりやすいと好評をいただき、大変熱心に受講されておられます。  しかしながら、法令講習は免許更新時も受講が義務づけられていることから、受講者の集まりが低調で、いま一つ盛り上がりに欠ける状況にあるのも事実であります。  そこで、お尋ねいたします。  交通事故対策において警察と交通安全協会とは車の両輪の関係にあります。交通安全協会が所期の効果を上げるために、警察は協会に対してどのような協力と指導・助言を行っておられるのか、お聞かせください。  次に、テロ対策についてお尋ねいたします。  アメリカでの同時多発テロ事件後、複数の外国人テロリストが危機管理の薄いアメリカと友好同盟国である日本国内でテロを敢行する可能性が高いとの情報を入手して、検察庁は、我が国においてアメリカ関連施設などの警戒を徹底するよう全国の警察本部長に指示したと聞きますけれども、警察はどのような対策を講じておられるのか、警戒対策についてお聞かせください。  また、十一月十七日に加世田市で行われる世界室内自転車競技選手権大会に出席予定の小泉首相や、十一月十八日に牧園町で開催される「全国育樹祭」に御列席の皇族殿下の警備には万全の対策を講じなければなりません。警察はどのような警備体制をとられるおつもりか、警察本部長の決意をお聞かせください。  次に、県道整備でございます。  日置郡南部吹上町永吉地区や日吉町の吉利地域方面から、松元町を経て鹿児島市谷山方面に通ずる最短路線として、県道田之頭吹上線と県道松元川辺線があります。  地域の生活幹線道路として、また、吹上町上田尻地内にある南州採石場の骨材搬出道路として、大型トラック等の往来が激しく危険なため、早くから改良拡幅整備促進の要望が多く、私も本会議の一般質問の中でこの問題に取り組んできたところであります。  早速土木事務所で調査をしていただき、ただいま県道田之頭吹上線と県道松元川辺線の田之頭分岐点から松元町四元交差点までの隘路区間について、それぞれ道路の拡幅や突角芟除、待避所等の工区を設定していただき、段階的な整備促進が図られております。  地元の方々も、戦後半世紀を過ぎた今、やっと日の目を見ることができたと大変喜んでおります。財政的にも厳しい時ではありますが、引き続き整備促進をお願いいたします。  問題は県道松元川辺線の終点、県道谷山伊作線分岐点から田之頭までの四キロメートル区間でございます。うち二・二キロメートルは二車線の改良済みとなっておりますが、残り一・八キロが未改良で、幅員も全幅三メートル以下、おまけに屈曲が多く、離合もできない大型交通不能区間でございます。  道路網的にも大変主要な県道でありますので、早急に調査されて、整備区間に計画していただきたい。土木部長の意のある御回答をお願いいたします。 39 ◯農政部長(福元 紘君) 牛海綿状脳症、BSEは、「異常プリオン」が原因であるとされており、この病気に感染した牛の脳・脊髄・眼・回腸の遠位部等を含む飼料を摂取することにより感染するとされ、これまで豚・鶏等の牛以外の家畜が感染したという事例は報告されておりません。  また、食肉については食肉衛生検査に合格した安全なものが流通しており、牛乳・乳製品についても安全であるとされております。  なお、この病気については、英国で実施されたBSE感染牛の材料を用いたマウスへの接種試験で、病原体の移行が明らかとなった脳・脊髄・眼・回腸遠位部以外からは感染性は認められていないとされております。  したがいまして、これらの部位を含まない食肉や牛乳・乳製品等については、家畜衛生措置に関する国際機関で、パリにございます国際獣疫事務局OIEの基準でもBSE感染性がある危険部位として除外すべき対象とされておらず、人が食べても安全であるとされております。  本県の平成十二年二月現在の家畜頭数は、繁殖牛二十万二千頭、肉専用種が十万九千頭及び乳用種が三万七千頭であり、これらの年間稲わら必要量は十一万五千トンであります。県内産の稲わら利用量は七万五千トンであることから、稲わらの自給率は六五%であります。  県としましては、平成十二年度に行政、農業団体等からなる「鹿児島県国産稲わら等確保対策協議会」、これを設置しまして、さらに稲わらの生産・流通対策に有利な事業であります「国産粗飼料緊急増産対策事業」及び「飼料増産受託システム確立事業」にも取り組んでおります。  また、わら専用稲が「水田農業経営確立対策」の対象作物の中で飼料作物として認められておりますことから、これらの積極的な活用を指導し、国産稲わらの自給率向上に努めてまいりたいと考えております。  肉骨粉等の動物性飼料原料は、食肉・食鳥の処理過程で発生する骨、羽毛等の不可食部分を原料としまして、本県では平成十二年度には七万六千トンが生産され、牛以外の豚、鶏などの飼料原料として利用されております。  牛海綿状脳症は、異常プリオンが混入した肉骨粉の給与が原因とされておりますが、県内配合飼料工場においては、操業以来、牛用飼料への肉骨粉等の使用はなく、さらに国は平成八年に牛用飼料へは牛の組織を用いた飼料原料を使用しないよう指導・通知をし、その徹底を図っているところであります。  全国の肉用牛は平成十三年二月現在、十一万戸で二百八十万頭が飼養され、戸数・頭数ともに減少傾向にあります。本県では一万八千六百戸で、三十三万八千六百頭が飼養され、戸数は小規模層を中心に減少しておりますが、飼養頭数は増加傾向にございまして、一戸当たりの経営規模は着実に拡大してきております。  県の肉用牛振興につきましては、本年三月に策定しました「かごしま農業・農村ビジョン21」に基づき、ほ育・育成・肥育などの生産段階別分業型経営体の育成を推進しますとともに、産肉能力にすぐれた繁殖雌牛の導入や低コスト牛舎の整備・普及等による生産基盤の強化を図り、肉用牛経営の維持・拡大に努めることとしております。  今後ともこれらの取り組みを通じまして、地域住民と触れ合い共生する「二十一世紀型畜産」の確立を目指してまいりたいと考えております。  航空防除につきましては、「県農業航空事業推進方針」に基づきまして、市町村や農協などが事業主体となりまして地域住民の理解を得るとともに、関係機関・団体とも十分連携を図り、人や家畜等に悪影響を与えないよう、安全性に十分留意しながら実施しております。  また、JAS法改正に基づく有機農産物の検査認証制度の創設に伴いまして、国から農林水産航空事業の留意事項が示されたことから、防除区域の近くに有機農産物の生産圃場がある場合は、生産者とも十分に協議を行い、区域の見直しを行うなど、被害発生の未然防止に努めております。  航空防除は、農業者の高齢化や担い手の減少など、労働力の確保が困難になる中で、農家が個々に行います「地上防除」に比べ、省力・低コストで防除効果が高いことから、今後とも地域住民の理解と協力を得ながら安全対策に十分配慮して実施するよう指導してまいりたいと考えております。 40 ◯林務水産部長(中村治人君) 南薩や北薩を中心に平成六年度ごろから被害が確認されておりますイヌマキの立ち枯れは幹や枝を食害するケブカトラカミキリによるものでございます。  被害の多くは、宅地内の庭木、生け垣等の緑化木や畑地の防風垣等の森林以外で発生いたしておりまして、森林病害虫等防除事業の対象にならないことから、県といたしましては市町村と連携し、地域の防除意識の啓発を図るため、防除対策のポスターの配布、市町村広報誌への掲載等を行いますとともに、庭木の所有者や緑化樹業者等に対し、予防のための薬剤散布と被害木の伐倒焼却の技術指導を行っているところでございます。  今後とも地域の住民と行政が一体となった取り組みを推進いたしまして、被害の終息に努めてまいりたいと考えております。  本県における平成十二年度の松くい虫被害は、被害が最も大きかった昭和四十七年度当時の十万二千立米と比較いたしますと、一万一千立米余りと十分の一程度まで大幅に減少してきておりますが、垂水市牛根地区や桜島地区などで被害が拡大していることから、前年度比では一一九%と増加いたしております。
     なお、吹上浜の被害は、平成六年度に一万五千立米余りと最悪の事態となりましたが、森林管理局、地元市町並びに地域住民と連携して、その被害軽減に努めてまいりました結果、平成十二年度は八立米と被害が目立たない状況にまで減少してまいっております。  今後の松くい虫被害対策につきましては、被害の拡大が懸念される地域、被害が減少している地域など、地域の被害の実態に応じて薬剤の空中散布や伐倒駆除等の事業を効果的に推進いたしまして、できるだけ早い時期の終息を目指して取り組んでまいりたいと考えております。  また、薬剤の空中散布につきましては、松くい虫の県防除実施基準に基づきまして、農業、漁業等への被害防止、環境保全等に留意し、県及び市町村が実施しておりますが、JAS法改正に基づく有機農産物の検査認証制度の創設に伴い、国から松くい虫特別防除事業の留意事項が示されましたことから、散布区域周辺の有機農家の実態を把握し、有機農産物の圃場に薬剤が飛散しないよう十分な間隔をとるなど、関係機関との連携を密にして、これまで以上に慎重に対応してまいりたいと考えております。 41 ◯警察本部長(久保潤二君) 交通安全協会は交通事故を防止するため、ドライバーを初めとするすべての道路利用者の交通安全意識の普及等に献身的に活動している交通安全活動の中核的団体であると認識しているところであります。  具体的な活動としては、各種交通安全運動における街頭キャンペーンや、各地区における法令講習会、高齢者等に対する参加・体験型交通安全教室などを行っていますが、警察としましても交通安全協会に対しまして各種情報を提供するなど、同協会と一体となった活動を進めているところでございます。  また、公益法人である交通安全協会の活動が設立目的に沿って適正かつ積極的に行われるよう指導助言をしているところでございまして、今後とも協会の果たす役割・重要性を認識しつつ緊密な連携を取りながら、なお一層の成果が上がるよう努力してまいりたいと考えているところでございます。  次に、テロの関係でございますが、県内には米国権益に関する関連施設はございませんが、県警としましてはハイジャック防止対策を最重点として、警察官の空港への増強配置を行い、空港内・外における警戒や不審者の発見活動など警備を強化しているところでございます。  また、川内原子力発電所に対しては、警察官を常駐配置し、施設管理者等と緊密に連携をしつつ警戒をしているほか、空港保安施設等の重要施設に対する警備を強化しているところでございます。今後ともハイジャック防止に努めるとともに、テロ対策に万全を期す所存でございます。  最後に、本年十一月に予定されております全国育樹祭や世界室内自転車競技選手権大会開催に伴う、皇族殿下及び小泉総理大臣の御来県に伴う警備につきましては、県外からの応援部隊を含めて所要の警備体制を確保し、県警の総力を挙げてその万全を期しているところでございます。  一方、警備期間中においても、県内治安にいささかの間隙も生じないよう、万全を期してまいる所存でございます。 42 ◯土木部長(直江延明君) 県道松元川辺線の松元町田之頭地区から県道谷山伊作線との交点までの約四キロメートルのうち未改良区間約一・八キロメートル区間につきましては、御指摘のとおり幅員が狭い上、急カーブが多く、交通の隘路となっているところでございます。  一方で、この県道松元川辺線につきましては、現在緊急性の高い松元町四元地区など三地区で整備を進めているところでございまして、御指摘のこの区間の整備につきましては、こうした周辺地域の道路整備の進捗状況等も見きわめながら今後検討してまいりたいと考えております。    [牟田神 基君登壇] 43 ◯牟田神 基君 BSEは病原体である異常プリオンが混入した肉骨粉を介して牛に感染するとされていることから、今後は引き続き牛などを原料とする肉骨粉を牛の飼料として与えないよう厳しく行政指導していただきたいと思います。  また、三十カ月齢以上の牛に対する生産者の自主的な出荷繰り延べの取り組みに対する支援や国産牛肉の消費減退、出荷繰り延べによる影響の緩和、利子補給については早急に必要な措置を講じていただきたい。このことが本県への当該疾病の侵入防止に対する万全の対策と考えられることから、強く要望しておきます。  アメリカ中枢同時多発テロへの報復に対する日本国内で予想されるテロ対策としては、アメリカ関連施設だけでなく、県庁舎や川内原子力発電所など、主要な施設の警戒も必要ではないでしょうか。  県庁舎についてですが、警察棟につきましては、警察本部長さんの指示で玄関に警察官が立っております。私ども議員でも、あそこは素通りはできないような状況で、いちいち手続して入っておるような状況で、あそこまでする必要はないですけれども、行政棟それから議会棟、それぞれ管理者の立場でひとつ警戒も怠ってはならないんじゃないかというふうに思う次第でございます。  財政的にも大変厳しい時期でございますが、県道整備の新規着工が困難であることはよく理解できますが、これからは構造改革に伴う失業者救済対策や景気対策に伴う新しい事業も必要であることから、公共事業の推進については、県政の主要施策の国道・県道だけでなく地域の住民に直接利益のある一般道路の整備が必要であると考えられます。要望の県道松元川辺線についても格段の対策を講じていただきますようお願い申し上げます。  この四キロの区間のうち改良済みの二・二キロでございますが、この区間は私が道路建設課の係長をしているときに、この道路の重要性からあそこに特殊改良一種事業を設定した区間でございまして、私が県庁から出て行った途端にその事業をやめて、今までに至っております。その時代から私はあの道路については本当に必要な事業だということは認識していたわけです。  今、地元の要望がないからと申す方もおられますけれども、実際松元町では、今、IC関連などたくさんほかに事業やってるんですよ。そういうことから、町長さんもなかなかあそこをしてくれよという要望、欲張ったようなふうでできないような状況でございますので、私の方からひとつよろしくお願い申し上げます。  特に、日吉町や東市来町の神之川あの一帯から来る人は全部あの道路を通って、そして谷山の方に抜けて行くというようなことになるわけでございます。ましてや今、採石場の運搬車両が一日三百台から四百台通っております。  私もこの前四元の方を通ってみました。あそこは一キロちょっとしかないのです。その間に、五、六台行き会い、離合が大変でございます。道路建設課の方にも一遍見に行ってくれんかということで、現場を見ていただいておりますので、ひとつ土木部長さんも一遍お暇を見つけて現場を見ていただきたいと、そのようにお願い申し上げておきます。  以上、七項目について質問をさせていただきましたが、知事初め教育長、警察本部長、関係部長の熱心な御答弁をいただきました。  知事におかれましては、大変厳しい難題を抱えての激務のため、くれぐれも健康に留意されまして県政推進に努めていただきますようお願いを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。  御清聴ありがとうございました。(拍手) 44 ◯議長(溝口宏二君) 以上で、通告による質問は、全部終了いたしました。  これで、質問は終結いたします。      ────────────────    △ 議案第八七号-議案第一一二号(議案第九七      号及び議案第一〇六号を除く)及び報告第三      号委員会付託 45 ◯議長(溝口宏二君) 次に、今回提出されました議案第九七号及び議案第一〇六号を除く、議案第八七号から議案第一一二号まで及び報告第三号は、配付いたしております議案等付託表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。      ────────────────    △ 決算特別委員会設置(議案第九七号及び議案      第一〇六号同特別委員会付託) 46 ◯議長(溝口宏二君) お諮りいたします。  議案第九七号「平成十二年度鹿児島県病院事業特別会計決算について認定を求める件」及び議案第一〇六号「平成十二年度鹿児島県工業用水道事業特別会計決算について認定を求める件」については、十四人の委員をもって構成する決算特別委員会を設置し、同特別委員会に付託することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり] 47 ◯議長(溝口宏二君) 御異議なしと認めます。  よって、議案九七号及び議案第一〇六号は、決算特別委員会を設置し、同特別委員会に付託することに決定いたしました。      ────────────────    △ 決算特別委員の選任 48 ◯議長(溝口宏二君) 次に、決算特別委員の選任を行います。  お諮りいたします。  決算特別委員の選任については、委員会条例第六条第一項の規定により、配付いたしております決算特別委員名簿のとおり指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。    [「異議なし」と呼ぶ者あり] 49 ◯議長(溝口宏二君) 御異議なしと認めます。  よって、決算特別委員は、ただいま指名いたしましたとおり選任することに決定いたしました。      ━━━━━━━━━━━━━━━━  決算特別委員名簿 決算特別委員会委員    大 園 清 信     桐 原 琢 磨    寺 田 洋 一     外 薗 勝 蔵    高 橋   稔     鶴 薗 真佐彦    栄   和 弘     鶴 田 孝 雄    上 村 勝 行     中 村   眞    田 畑 誠 一     上 野 新 作    山 本 孝 一     増 留 貴 朗                     (十四人)      ━━━━━━━━━━━━━━━━ 50 ◯議長(溝口宏二君) これで、本日の日程は終了いたしました。      ────────────────    △ 日程報告 51 ◯議長(溝口宏二君) 十月二日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、議案等及び請願・陳情の委員長報告、質疑、討論並びに表決などであります。      ────────────────    △ 散  会 52 ◯議長(溝口宏二君) 本日は、これで散会いたします。         午後三時七分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...