一、散 会
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△ 一般質問
2 ◯議長(溝口宏二君) まず、一般質問であります。
通告に従って、順次発言を許可いたします。
奥山恒満君に発言を許可いたします。
[奥山恒満君登壇](拍手)
3 ◯奥山恒満君 おはようございます。
昭和二十六年(一九五一年)の九月八日土曜日、今からちょうど五十年前のこの日を皆さんは何の日だと認識しておられるでしょうか、御記憶があるでしょうか。この本会議場にはまだ生まれていなかったお若い方もおられると思います。
昭和二十六年、それからさかのぼる六年前、昭和二十年八月十五日は、私たちの国が屈辱的なとも言えるポツダム宣言を受諾し、無条件降伏を余儀なくされた日であります。そして、やっとその昭和二十六年九月八日、サンフランシスコで世界四十八カ国と講和条約を締結したのであります。また、同日の午後は
日米安全保障条約にも調印いたしました。全権大使は、時の
内閣総理大臣吉田茂さんでした。両条約の締結によって、占領軍の統治から離れて、私たちの国は晴れて国家主権を回復し、国際社会に復帰したのであります。その記念すべき節目の年、五十周年がことしなのであります。
締結の翌月十月十四日、未曾有と言われた風速七十メートル、死者・行方不明者九百名を超える超大型のルース台風が襲来したことを思い出します。またその二年後、昭和二十八年十二月二十五日、日米協定の調印によって、午前零時を期して我が奄美群島の返還が実現したことも、その運動の激しさを知る者の一人として、ついきのうのように思い起こされます。
今回、考えもしなかった同時多発テロがアメリカで発生しました。多くの犠牲者に対して心からお悔やみ申し上げます。
いろいろなメディアを通じて、日々刻々の情報に接する今日でありますが、同時に多くのことをまた考えさせられる毎日でもあります。事件発生直後から危険を顧みず職務に徹する警察官や消防士たち、献血の長い列に並ぶ若者たち、何か手伝わせてほしいとアメリカ全土から集まるボランティア、
大リーガーたちの募金活動、大スター三十名による四大
ネット同時放送の
チャリティーコンサートなど、アメリカ国民の大きな勇気と愛と善意に深い感動を覚えます。そして、いろいろな場面で目に映るのは大小とりどりの星条旗であり、耳にこだまするのは「ゴッド・ブレス・アメリカ」の国歌であります。
ことしは、講和条約、日米安保条約を締結して五十周年と申しました。それは国家としての主権を取り戻して五十年、国際社会に仲間入りして五十年なのであります。「平和、平和」と口ずさんでいれば平和が続くのでしょうか。「護憲、護憲」とお題目だけをとなえてばかりでいいのでしょうか。お金で済むことならと、お金で解決する方法で本当に済むのでしょうか。決してそうではありません。国家とは一体何でありましょう。国民とはどうあるべきなのでしょうか。あの規模のテロがもし我が国であったらと思うと、我が国家、国民はどう対処したのでしょうか。
戦後の混乱から脱却し、経済の繁栄を謳歌した私たちの国は、今、新しい方法で、新しいルールを決めて、新しい道を進む以外にあしたはありません。明治維新ならぬ平成維新であります。二つの条約締結五十周年のことしは二十一世紀の始まりの年でもあります。この二十一世紀を生きる私たちの子や孫のため、国際社会で尊敬される国「日本」、誇りの持てる国「日本」、頼りにされる国「日本」に変身しなければなりません。そのためにも、国民・県民の皆さんと一緒に、それぞれの地域で、それぞれの職場で、それぞれの家庭でこのことを考える機会にしてほしいと心から願うものであります。
この機会に少し最近の所感を述べましたが、我が議長室に、墨痕鮮やかに西郷南洲遺訓が掲げられております。すなわち「命もいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、仕末に困るもの也。此の仕末に困る人ならでは、艱難を共にして国家の大業は成し得られぬなり」と書かれております。私たちの先祖薩摩藩士を率いて、近代日本の幕あけ、明治維新をなし遂げた西郷南洲翁が五十一歳で城山の露と消えたのは、百二十五年前のおととい、九月二十四日午前七時でありました。
そこで、質問に入ります。
公共事業と我が県政についてでありますが、報道によると、我が国の完全失業者は、七月ですが、前年同月比で二十三万人ふえて過去最悪の三百三十万人、我が県の新規求職者数は同年同月比で一五・七%と、十二カ月連続でふえております。それに対しまして新規求人者数は一一・九%減と、二カ月連続で減っております。
私はかつて紬の不況を取り上げ、福沢諭吉先生が七つの教えの中でそのトップに、「人生で一番楽しく立派なことは、一生続けられる技術を手に持つことだ」と言われております。さて、どうでしょうか、皆さん。紬技術者あるいは伝統工芸師、あるいは電気その他の難しい高度な技術をもつ者であっても、四十過
ぎればうかうかとして会社にとどまれない昨今、ましてや窮乏県と言われる我が鹿児島においては、私が発言通告書に「公共事業と我が県政」と「我が」をあえて入れてありますのは、「我が」は、「窮乏県の」という意味を指して私は入れておるんですが、知事も言われておられるように、今まさに我が県政においては、並行在来線も大事ですけれども、何といっても雇用の問題だと思っております。
本県の九月補正において、公共事業費は前年度比で九八・一%、うち県単公共事業が九一・五%と前年度比を下回っています。国においては、小泉内閣は「聖域なき構造改革」を打ち出しており、来年度以降、本県の財政や地域振興に大きな影響を及ぼすと思われる公共事業、なかんずくその業者が雇用する人的な問題を最も心配するところであります。このような状況下に、県として国に対してどのように働きかけ、またどのような知恵を出して対応されようとしているのかお尋ねいたします。
次は、離島振興の課題についてでございますが、先日の松里議員の御質問で、離島の振興法の延長へ向けての知事の意気込みがわかりました。しかし、法の期限は半年後にせまっています。延長になるかならないかの大変大事な時期であります。ぜひひとつ、知事は「頑張る」と言われましたけれども、延長をかち取れるとは言われておりませんので、かち取られるように頑張っていただきたいと思っております。
次は、本県の市町村合併についてでございますが、地方分権の推進や国・地方を通じて厳しい財政環境など、近年の市町村を取り巻く情勢に有効に対応するための手法として、最近、市町村合併が大きくクローズアップされているところでありますが、合併特例法の措置などさまざまな支援策や特例を受け入れるためには、平成十七年三月までの合併が必要であります。しかし、この期限内に合併するためのさまざまな議論・検討・調整などを行う時間はあと三年半しかないわけでございますが、残された時間は決して多いとは言えないと私は思っております。
本県の市町村においてもさまざまな取り組みがなされておりますが、全国及び九州の市町村の取り組みと比較した場合、我が県はどのような状況にあるのか、課題や対応策を含めて近況を示していただきたいと思います。また、県内で、他地域と比べ取り組みが特に進んでいる地域がありましたら教えてください。
次に、離島地域にある市町村は、少子・高齢化の進行や脆弱な行財政基盤など大きな課題を抱えており、これら課題を解決する上で、合併という選択肢について今後さらに真剣に議論・検討する必要があり、しかもなるべく早くと考えております。離島地域にある市町村においても合併に対する取り組みが進められてはいますが、全般的に低調なように私には見受けられます。このような
取り組み状況は、他県の離島市町村及び本県本土の市町村の
取り組み状況と比べてどのような状況にあるのか教えていただきたいと思います。
次は、サトウキビの問題でございます。
陳情第二〇三六号として、これは
農林水産委員会の審査になると思いますが、その中に「カンショ糖の入札取引について」、「土地基盤整備について」、「
トラッシュ除去などの省力化について」、「
病害虫防除対策について」、「砂糖の需要拡大対策」などの要望が盛られております。
私は、松里議員とともに九月四日、五日に農林水産省などの関係省庁に、そしてまた県選出の国会議員等に、沖縄県の副知事や沖縄県議団といっしょに陳情してきました。また、それに続いて九月十九日には、我が県のJAを中心にした地元関係者、そしてゆうべのテレビ報道によりますと、沖縄県はキビ作農家隊が大挙して、きょう、上京しております。情報によりますと、あしたの二十七日の午後、価格の決定がなされるということでございますが、そこで、サトウキビの
生産振興対策について、県はどのように考えているか、また、
生産者価格等の見通しについてどのように予見・予想されているのかお尋ねします。
次は、離島の定住促進のための
公営住宅建設についてお伺いします。
七月三十日、私も所属しております鹿児島県観光議員連盟が口永良部島で交流会を開いております。その席上、「I・Uターンが増加しているけれども、受け入れ住宅がなく、町は、けなげにも空き家を補修し賃借などを検討したい」と答えております。今ごろ、三十年か四十年前の古家を改修しても、近代若者は果たして入居するでしょうか。離島の中の離島の住宅について陳情があれば当然でしょうけれども、いわゆる声なき声を、行政当局は吸収して、対策を講じていただきたいと思っております。そのことについてお伺いします。
それから次は、この前、知事、溝口議長も御出席いただきまして、奄美本島の国道五十八号の
和瀬バイパスの開通式がありました。大変便利になり、行政視察などが二班ぐらい予定されているようです。ぜひ通っていただきたいと思っております。県の課長級のある職員が、自分は開通後、車で通ったけれども、車をゆっくり運転してみたら、今まで奄美の熱帯植物であるヘゴを横と上から見たことはあるけれども、道路の下の方から眺めたのは初めてだと、すばらしいエコロードだと言っておられました。
また、我々古い連中は、あの道路が未舗装で、幅員も半分、また、ガードレールもない時代の生まれです。近代の若者が
和瀬バイパス開通前の旧和瀬道路、そして峠、それに続く網野子峠とタクシーに乗れば、タクシーをとめてちょっと気分をいやさないと乗っておられないというような道路でございます。国道五十八号に残る問題はもはや網野子峠だと思っております。
私は、今から二代前の
横田土木部長さんを、現地に御案内したことがあります。もしトンネルをあけるとすればこっちかなあということを言われておりましたが、これが解決すると、さらにこの前オープンした
和瀬バイパスが加わり、笠利町から瀬戸内町に至る国道五十八号の価値があがると思っております。この
網野子トンネルについての現時点における県の対応はどうなっているのか伺います。
次に、市町村合併がいろいろ言われておりますけれども、そのパターンの中に入っておる南部大島の大和村と住用村、その両村を結ぶ俗に言う「スーパー林道」があります。この前の議会で述べましたように、四市村が分け合って管理を分担しており、市道、村道になっております。尾根は荒れ放題でございます。そこで、その峠に向けて大和村側から、そして住用村側から改良拡幅して県道に格上げするか、またはトンネルを開削したらという陳情がなされております。
御承知のように、奄美大島は台風常襲地帯であり、特に大和村では、あの主要地方道ががけ崩れなどで交通不能になります。市町村合併の促進のためにも、また条件の中にも入っておりますし、この道路の県道認定あるいは
トンネル開削をどう考えておられるのか伺います。
次に、同じくこれは前々
横田土木部長と前
板垣土木部長も御案内しましたが、
和光トンネルの国立和光園側じゃなくて、大熊漁港の大熊側と唯一のゴルフ場を通って有良-通称「あった」と言いますが-有良への
トンネル開削について伺います。地元に期成会が十年前からできて、今の名瀬市長が
市議会議員時代から運動しております。ここにも前・元の両部長に同道して現地を見ていただき、地元の熱意にも触れられております。この
トンネル開削について土木部長はどのように考えていらっしゃるかお尋ねいたします。
[知事須賀龍郎君登壇]
4 ◯知事(須賀龍郎君) いわゆる骨太の方針に基づきまして、国が経済や財政、行政などの各分野における「聖域なき構造改革」を進め、二十一世紀にふさわしい経済・社会システムを構築されることは大事なことであると考えております。ただ、今回の構造改革が都市部と地方などの地域間の格差をさらに拡大することがあってはならないと考えておりまして、それぞれの地域が協調と連携のもとに国土の均衡ある発展という観点にも十分配慮しながら進められるべきであると考えております。
したがいまして、これまでも地方交付税や
道路特定財源等の問題につきましても、国に対し主張すべきことは十分主張してきたところであります。このような認識のもとに、今後とも、国に対しましては、県議会を初め、関係機関・団体や
県選出国会議員の皆様方の御協力もいただきながら、また全国知事会や
県開発促進協議会などのあらゆる機会を通じまして、多くの離島や過疎地を抱え、社会資本整備がおくれております本県の実情も強く訴えながら、「国土の均衡ある発展に向けた
公共事業予算の確保」や「雇用対策の推進」などにつきましても、強く要望を行ってまいりたいと考えております。
5 ◯総務部長(佐々木敦朗君) 総務省が六月末現在で取りまとめました市町村合併に関する全国の市町村の
取り組み状況によりますと、四割近くの市町村が複数の市町村間で合併協議会や研究会などの組織を設置し、広域的な調査研究等の取り組みを進めております。また、九州各県においては、状況はさまざまでございますが、全体としては本県と同様、約五割の市町村で広域的な取り組みが進められているところでございます。
しかしながら、
法定合併協議会の設置状況に限ってみますと、全国では二十五の協議会が、また九州でも七つの協議会が設置されておりますが、本県ではまだ法定協議会の設置に至った例はございません。このため県としては、各地域における取り組みが今後できるだけ早期に進められ、合併協議会の設置など、より具体的なものとなりますよう、さまざまな面で支援に努めているところでございます。
このような状況の中で、最近、中薩地域など幾つかの地域で、県事業を活用して、「
財政シミュレーションを含む地域の将来像等に関する調査研究」を実施する計画を進めておりますほか、国分・隼人地域において、合併協議会の設置に向け、青年会議所を中心に住民発議の動きが始まるなど、進んだ取り組みが展開されている地域も出てきており、県としてもさらに積極的な支援に努めてまいりたいと存じます。
本県の離島市町村におきましても、熊毛地区、甑島などの十一の市町村が広域的な研究会による取り組みを始めているほか、多くの市町村において基礎的な調査研究や地域住民の方々に対する広報啓発活動などがさまざまな形で取り組まれてきておりますが、県本土の市町村の
取り組み状況と比較した場合、広報・啓発の面などでやや低調なところも見受けられるところでございます。
他県の離島の市町村を見てみますと、例えば長崎県において、離島市町村により四つの法定協議会が設置されておりますほか、全国的にも二割を超えます離島の市町村が法定協議会に参加しているところでございます。
本県の離島地域におきましては、地理的・地形的条件から来る制約が、合併によって過疎にさらに拍車がかかるのではないかというような懸念などもありましてか、取り組みがおくれている面も見られますが、広域的な研究会が未設置の奄美地区におきましても、研究会設置に向けた活発な議論が行われるなど、最近徐々に取り組みが本格化してきております。県としても、今後、これらの取り組みが着実に進展するよう積極的な助言・支援に努めてまいりたいと存じます。
6 ◯農政部長(福元 紘君) サトウキビは、本県南西諸島の六割以上の農家が生産している基幹作物でありますが、近年、高齢化や労働力不足が進む中で、
生産力低下等が懸念されておりまして、担い手を中心とする効率的・安定的な
サトウキビ生産体制の構築を図ることが重要であると考えております。
このため、農地の流動化による経営規模の拡大や
農作業受委託組織の育成等を通じた担い手の育成を図りますとともに、
畑地かんがい等の土地基盤の整備、地域の実情に即した
機械化一貫体系の確立、優良品種の育成・普及、有機物資材の投入による土づくり等を推進しているところでございます。今後とも、サトウキビ・糖業が地域の基幹産業であるとの共通の認識のもと、地域一体となった取り組みを基本に、島ごとに策定されました「新さとうきび・糖業再活性化計画」に沿った積極的な施策の推進に努め、生産の安定、品質及び生産性の向上、農業経営の安定に努めてまいりたいと考えております。
本年のサトウキビの生産につきましては、種子島において台風十一号や集中豪雨、与論島及び沖永良部島において七月から八月にかけての干ばつ等の影響が見られますものの、その他の地域では全般的に天候にも恵まれましたことから、平年を上回る作柄が見込まれまして、九月一日現在の農林水産省の調査によりますと、県全体では作況指数一〇二、生産量六十一万七千トンの生産が見込まれております。
また、平成十四年産の
サトウキビ生産者価格については、現在、国において検討が進められておりまして、今月の二十七日には決定されると聞いております。県としましては、他の畑作物と同様、全般的に厳しい状況にあると考えておりますが、農家が意欲を持って生産に取り組み、再生産可能な価格水準が確保されるよう、県選出の国会議員や県議会の御支援をいただきながら、沖縄県や農業団体とも一体となりまして、国に要請を行っているところでございます。
7 ◯土木部長(直江延明君) 過疎地域の定住促進につきましては、公営住宅や
町村単独住宅の建設も有効な手だての一つと考えておりまして、既に一部離島におきましては、公営住宅や
町村単独住宅が建設されているところでございます。県といたしましては、
公営住宅建設事業や
特定離島ふるさとおこし推進事業などの制度を活用いたしまして、良好な住宅・住環境の整備が図られますよう適切に対応してまいりたいと考えております。
奄美本島地区の国道五十八号につきましては、現在、名瀬市の
和光バイパス、住用村下役勝拡幅など、六地区の整備を進めているところでございます。住用村から瀬戸内町に至ります網野子峠の整備につきましては、平成六年度から基礎的調査に着手しているところでございまして、また、計画地区周辺には
特別天然記念物のアマミノクロウサギなどが生息いたしますことから、本年度より、
学識経験者等から成ります検討会を設けまして、道路整備が自然環境へ与えます影響や必要な保全対策等の検討を行っているところでございます。
今後とも、これらの調査を進めますとともに、事業化につきましては、トンネルを含む大規模な事業となることが予想されますため、事業効果や事業中箇所の進捗状況等を見きわめながら検討してまいりたいと考えております。
県道の認定につきましては、道路法等に示されました認定要件を充足する路線のうち、特に必要な路線で条件の整ったものについて認定することといたしております。大和村-住用村間の県道の認定につきましては、今後の全県的な県道網見直しの中で検討することといたしております。
県道名瀬龍郷線につきましては、現在、龍郷町の円地区などの整備を進めているところでございます。名瀬市大熊から有良間のトンネル構想につきましては、大規模な事業となりますことや、この区間がほぼ改良済みでありますことなどから、今後の長期的な課題として研究してまいりたいと考えております。
[奥山恒満君登壇]
8 ◯奥山恒満君 私は「公共事業」と言えばかつては「経済浮揚、景気浮揚のためには」とよく言っていましたが、今は私は「雇用」だと言っています。奄美の場合、紬の生産は昭和五十六、五十七年のころの三十万反から、現在はその十分の一を割って四万反前後になっています。それからその紬従事者の九〇%以上が、公共事業という土木にすがって何とか生計を営んでいるのが現状です。国・県も通常的には小泉構造改革の大波をこうむる宿命にあると思いますが、私は知恵を絞ればほかの方法があるんじゃなかろうかと思います。
まず第一点は、平成三年度から始まった新幹線、その中の平成十二年度まで、十三年度はまだ発注しておりませんから、総事業費三千七百九十五億円、その中の県内事業費が二千三百十九億円で、県内受注額が百二十九億円です。これは、平成十三年度はこれからですが、残り総事業費で二千六百六億円、
うち県内事業費で千四百九十七億円を費やして、完成になるわけでございますが、その千四百九十七億円すべてとは言いません。それにはレール代とかいろんなものがあるでしょう。箱物などがあるでしょうけれども、現在の県内発注総額の七%の百二十九億円しか受けていない受注額をせめて五〇%ぐらい県内業者が受注できるように、鉄建公団などに土木部長、知事みずから交渉すればどうかと思います。
私は、かつて
建設問題調査会長として、議長さんやその他の議員の方々と一緒に福岡の支店に乗り込みまして、一遍本会議で言ったことがありますが、当時は、数ある鹿児島県の業者の中で指名に入れる千四百五十点以上をもっているのはただ一社です。鹿児島県では、その一社しか鉄建公団のあるいは道路公団の指名には入らないのです。金持ちの福岡県までを国が全部やって、貧乏な熊本、鹿児島あるいは東北、北陸、そしてまた近くは長崎あたりにいくに従って貧乏県は負担せよと、県の自治体に負担をさせておいて、工事は九〇%以上が中央のいわゆるゼネコンということです。福岡で、「奥山というけんか大将があした上るから本社は待っておけ」と目の前で電話をさせて、東京の鉄建公団と道路公団本社まで行きました。そのため、一社しか入らなかった千四百五十点の点数を、千百点まで下げたので、その次の年から二十八社、二年後には千点まで下げたので三十二社の県内業者が指名に入るようになりました。
私は、許されるのであれば残る二千六百六億円、県内事業費だけで、熊本県がありますから、千四百九十七億円の中の五〇%ぐらいは我が鹿児島県の業者を指名せよと言いたい。正面からやわらかくお願いする知事あるいは土木部長もいいけれども、私みたいに向こう意気の強いやつに行ってくれんかと陰で言えば、私は行って乗り込む気持ちがあります。事実、そういう事実がありますから。そういうことでないと、県内の建設業者による雇用、それによる経済浮揚、景気浮揚は難しい。
これから一〇%前後、国は予算を削減します。県もそれに右へ倣えと言ったんでは、鹿児島県内の公共事業、それに従事している県民はどうして生活していけばいいかということを思うときに、私は残された十五年度までの二千六百六億円の事業費を、その中の県内事業費の千四百九十七億円を、どんなにしても七%じゃなくて五〇%ぐらい県内業者に受注できるような、しかも点数を言うと、あるいは国に言うと、技術力とかそれから金銭的な資本力とか言います。こと鹿児島県土における公共事業は、例えばトンネル工事の場合、シラス台地である鹿児島は東京の中央のゼネコンよりも鹿児島県の業者の方が私は技術的には上だと思います。そういったことでだまされて、ああそうですかわかりましたということでは、私はあくまでも国の言いなりになっていると思います。
特に私は議員になってすぐ、当時県内に入るときに、また市内に入るときに、途中で、公共事業の看板に中央の業者の名前があって、鹿児島県はどうしたのかと思っていました。その当時とは、今から二十年近く前ですが、ほとんど中央のゼネコンに大きな仕事をとられていました。もはや私が議員になって十八年過ぎますが、もう鹿児島県内の業者も県内の工事は、たとえ鉄建公団であろうと、道路公団の工事であろうと、我が鹿児島県の業者を指名しなければ、実施せんでもいいというぐらいのひとつ当たり方をしなければならんというふうに思いますので、これは答弁は要りませんけれども、そういう気持ちで当たってください。
それから、この前の代表質問でも、また、ただいまも総務部長が答えられました市町村合併についてです。今現在、職員研修会が鹿児島県で四一・七%、市町村の議員研修会が三九・六%、住民説明会・集落座談会がわずかに二五%、市町村広報誌登載が四四・八%、市町村合併に対するリーフレット全戸配布が二二・九%、ホームページ登載が四・二%、住民意向調査は三市町村のわずか三・一%、特別委員会設置は六市町村で実に六・三%という数字があります。私は、今のこの数字からくる趨勢では一体、総務部長のおっしゃるように、三年半後の平成十七年三月までに実現するパターンが幾らあるだろうかと。
総務部長は、ただいまの答弁もですが、二十一日の一般質問に答えて、県内八地区で複数市町村による研修会が設置される、五十六市町村がとか、四十近い市町村がとか言われておりますが、割に楽観的とも私には見える、今もですが、答弁されておりますが、私の調べではこういう数字ですが、果たしてあと三年半後ということで、我が県の市町村合併が期限内に何割実現するかということは、けだし心配であります。さらにひとつ県の市町村合併支援本部を中心にした強力な指導をお願いします。
先ほどの答弁は離島についてでありました。奄美は出てきませんでした。私は奄美に住んでいますので、どうも他の県本土、他の離島から比べると、奄美の市町村は何かしらまだ全県並み、他の離島並みにはいってないように私は感ずるもんですから、ひとつふんどしのひもを締め直して、知事は各市町村の主体性を見てというようなことを言っておりましたが、余り強制はしないということにもとれると思いますが、ある意味では私はもうちょっと指導力を発揮しなければ事は運ばないと思っております。
それから
網野子トンネル、大和-住用間の道路、それから最後の大熊-有良間道路については、私からすれば全く期待外れでございます。この前の地元の新聞によりますと、名瀬市の汚泥再処理センターの候補地に有良、芦花部がなっております。瀬戸内町、宇検村を除くあとの五つの大島本島の市町村は、汚物・ごみ処理に一緒のセンターを設置して運んでおりますが、そういった意味でも少しそっちを進めていただきたいと思っております。
次は、栄和弘議員の御質問で県立奄美図書館について大方はわかりました。私は好んでじゃなくて招かれて四回、彼の言葉をかりれば利用代表チームといいますか、読書会とか短歌会とか、それから奄美の歴史研究会とか、四つぐらいあり、呼ばれて行っております。ただ聞くだけじゃなくて、県議会議員というのは弱いものでありますが、私は言うことも言います。あたかも五十五、六名の集まりで自分たちの声がすべてみたいなことを言われますが、市民の声というのであれば、市長あるいは名瀬市議会の声が市民の声じゃないのと、あんたたちの声は、市議会議員や市当局に訴えて、「よし」となって、市長が了となったときに市民全体の声だよという厳しいことも私は言います。それは別として、この前の質疑応答で答えられなかった分についてお伺いします。
わかったようでわからんような答弁が「複合的な建設」ということです。私は、どういうのが複合なのかよくわかりません。そのことと、「奄美高校の老朽化が著しい」ということですが、何年ごろに着工して、何年ごろに完成されようという計画なのか伺います。
それから奄美高校の図書室と、いわゆるつくろうとする図書館とのすみ分け、言葉では言わないけれども、高校生は十五、六歳から十七、八歳まで、いわゆる思春期、そこに不特定多数の市民・県民が県立高校内の図書室に伺うとなれば、おのずからいい影響も悪い影響もあると思う。そういった面からすると、学校長の声も存分にお伺いし、割に奄美高校はこれまでの間、そう不良行為というのが表にはそう出てないからですけれども、こういう思春期の高校生男女と不特定多数の一般社会人の利用する図書館とのすみ分けをどのように考えておるのか伺います。
それから名瀬市有地に、奄美県立高校が立地しています。全部ではありませんが。朝日小学校の隣に県有地があるということで、この問題も話題になって市議会でも尋ねられておりますが、現時点で答えられる範囲でお答えをひとつ願いたいと思っております。
最後に、映画「ホタル」に次ぐ観光施策についてであります。私の持論でありますが、東京のアンテナショップやポスターというのは、通常どこの県でもやっておる観光宣伝です。「あれっ、まさか、ほんと」というようなアイデアを出さなければついてこんのじゃなかろうかと。鎌田知事時代に、「知事、あんたは頭がいい。東大卒業の頭じゃが、作詞してごらん」と。当時の原田健二郎議長はよく歌っていたので、「あれに歌わせなさい」というような、「あれっ」と思うような手法を用いなければだめだと質問したことがあります。その証拠に、その質問があった五、六年後に「翔ぶが如く」が放映されたときに、今日この十数年の間では最高の観光来県者があり、九百万人を超えました。全国的な不況もありますけれども、ほとんど今、八百万人から七百万人に下がってきております。
そういったことで、私は「ホタル」が、中身もですけれども、鹿児島を地盤にした映画でありましたので大いに期待をいたしました。ほとんど県内は上映が終わり、全国的にも終わったと思いますが、その影響がどうなっておるのか伺います。
そして、屋久島が世界自然遺産に登録され、二年半後には我が奄美が登録されようとしております。後ほど言いますが、奄美パーク、田中一村館、住用のマングローブの里、ありがたいことでございますが、その田中一村あるいは椋鳩十先生、島尾敏雄さん、今もってばりばりの現職の須賀知事物語など、題材は幾らでもあります。
それで、議長も唄はなかなか上手ですが、知事作詞、溝口議長作曲、歌い手は祝迫かつ子、あの先生は歌がうまいんです。そういう形で、「あれっ、まさか」とそういう手法を用いることも大事じゃなかろうかと、ありきたりの宣伝、アンテナショップはどこでもやっていることです。そういったことでひとつ映画「ホタル」の鹿児島県観光にとっての影響とその後に次ぐものについてお尋ねいたします。
9 ◯教育長(脇田 稔君) 県立奄美図書館の整備につきましては、「二十一世紀新かごしま総合計画」の中で平成十三年度から平成十五年度までの第一期実施計画期間中に基本構想の策定を行い、第二期以降に施設整備を行うとこういう形になっております。
また、学校の図書室との関係でございますが、学校の図書室につきましては、高等学校設置基準や学校図書館法の中で各学校ごとに設置義務が課せられておりまして、改築に当たりましては、県立奄美図書館とは別に奄美高校の図書室を整備したいと考えております。
県教委におきましては、老朽化している奄美高校を現地で建てかえるため、現在、名瀬市有地であります奄美高校敷地を県有地化することについて、名瀬市と協議をしているところであります。この県有地化に当たりましては、これまで名瀬市内にある県有地と奄美高校敷地との交換等を前提に協議してきておりまして、県立図書館奄美分館の敷地についても交換協議の候補地の一つとして考えております。また、お話のありました朝日小学校隣接地の県有地につきましても、農政部所管ではございますが、交換協議の候補地として考えております。県有地と名瀬市有地の交換等につきましては、今後とも、関係部局とも相談しながら、名瀬市と協議を進めてまいりたいと考えております。
10 ◯商工観光労働部長(富岡忠勝君) 映画「ホタル」は、この九月二十一日現在で、県内で約九万三千人、全国で約二百十万人の観客を動員する大ヒットとなりました。ロケ地となりました垂水市、知覧町等におきましては、映画の舞台にもなりました「富屋食堂」の復元や記念モニュメントの設置、ロケ地「海潟漁港」マップの作成など、地元住民と一体となった受け入れ体制の整備が進められております。
また、県におきましては、旅行エージェントに対し誘客促進活動を行いました結果、関東、中部、北九州地区等からのロケ地ツアーが企画され、八月末までの三カ月間に、知覧町の平和会館等に前年比三割増の約二十万人が、また垂水市海潟漁港にも二千人以上が訪れており、今後、秋の旅行シーズンへ向け、さらに増加するものと見込まれております。
県としましては、映画「ホタル」を初め、「男はつらいよ」「釣りバカ日誌」などの映画への支援、インターネットを通じた県観光・特産品情報の提供、県出身俳優を活用した広報宣伝などに努めておるところでございます。また、奄美パーク宮崎緑園長をイメージキャラクターとして全国紙で本県離島の魅力をPRしたところ、全国から多くの葉書、メールが寄せられ、大きな反響がございました。さらに、この秋には主要航空会社の国際線や国内線において、機内映画や機内誌で本県の魅力を大々的に取り上げてもらうこととなっております。
今後とも、九州新幹線の開通などを踏まえながら、今年度策定いたします新たな観光戦略を定める計画の中で、より効果的な観光かごしまのイメージ発信のあり方について検討してまいりたいと考えております。
[奥山恒満君登壇]
11 ◯奥山恒満君 商工観光労働部長、なかなか私の意に沿うような答弁でした。やっぱり映画、マスコミ、メディアの効果というのは大きいということをわかってもらえばそれでいいのです。
代表質問で須賀知事は奄美群島振興開発基金について、「奄美群島の産業経済にとって極めて重要な役割を果たしている」と、「国や関係機関と連携を図り、群島の金融政策が後退しないように」、「後退しないように」と答えられておりました。
松里議員が求めた離島振興法のあり方、奄振並みに内容を充実した上での補助率の高い離島振興法延長ということを言われました。県下の離島、特に口永良部島、奄美の加計呂麻島、請島、与路島、三島・十島村、甑島など、あるいは獅子島あたり、地域の首長が陳情することも大事ですけれども、たまには県みずからこういったところに一棟や二棟の県営住宅あるいは公営住宅の補助などをリードしてつくってもいいじゃないかと思います。国際・国防ということでは、離島・南西諸島は大変重要な地位を占めておるわけですから、心していただきたいと思っております。
さて、今月三十日、奄美パークが開園されます。黎明館や長島美術館で二十日間ぐらいで実に三万人以上、田中一村の絵にお客さんが動いております。この三十日には、「田中一村 絵にかける」という歌ができておりまして、「夢追い人」、いわゆる絵の夢を追った人ということでできております。これは歌謡曲ですが、私は、この歌謡曲に、その開園の日は奄美の八月踊りを振り付けてあります。島の新民謡、中学生で九州一になった子供さんの歌と私の八月踊りと、近代歌謡曲に奄美の八月踊りを、歌謡曲ということは、民謡ではわからない部分があるからということで、皆さんにわかるような歌ということで八月踊りを振り付けてありまして、その準備をしております。きのうも打ち合わせしましたが、宮崎緑さんも喜んで輪に入ると思います。ひとつ議員さんもかなりおいでのようですが、ぜひいらして、県立の奄美パークの開園を祝っていただきますとともに、知事以下県当局の執行部の皆さんの御健闘を願いまして、終わります。
ありがとうございました。(拍手)
12 ◯議長(溝口宏二君) 次は、田原鉄可君に発言を許可いたします。
[田原鉄可君登壇](拍手)
13 ◯田原鉄可君 自由民主党の田原鉄可であります。
去る、九月十一日に発生したアメリカ合衆国での同時多発テロ事件に関しまして、まず一言申し上げたいと思います。
何よりも初めに、被害を受けた方々に対しまして、心よりお悔やみとお見舞いを申し上げたいと思います。そして、合衆国において、この犯罪行為が法的にしっかりと裁かれ、二度と再発することのないよう願うものであります。
さらに、我が国・日本においても、このようなテロ行為が絶対に起こることのないよう願っております。国家という意識、社会を守り、よくしていこうという意義を全体が持てば防げることであると、私は信じます。日本人として正しく対応していけるように、この事件をしっかりと見守っていきたいものであります。
次に、去る七月二十九日に行われました参議院議員選挙におきまして御当選なさいました方々にお祝いを申し上げたいと存じます。
さらに、断固とした改革の意思が国民に受け入れられた結果としての自民党圧勝であったととらえ、国会議員の皆様方には、今後とも国政の場におきまして二十一世紀の日本をよりよいものとするために御努力をいただきたいと願っております。
早速質問に入ります。
まず、先般、マスコミにおいて連日のように報道された教科書問題についてであります。この問題は、複雑な内容をはらんでおりますので簡単ではないことは承知しておりますが、それにしてもこれほどまでに内政干渉の様相を呈しますと、一日本人として、また県議会議員として疑問を呈したくなるのであります。
さらに、八月十五日の靖国神社参拝問題も同様であります。毎年八月になると論議されるこの問題も、小泉総理の発言から物議を醸し、十三日の日に前倒しして参拝という、わかりにくい結果に終わりました。
外交問題の一つにすぎないと言えば言い過ぎでありましょうが、これらの問題に対しては国内でもさまざまな意見があり、さらなる論議を尽くさねばならないことではあるにもかかわらず、既に結論が出ており、政府の対応はおかしいともとれる論調のマスコミ報道もあったように聞いております。もとより、戦時中のことは、日本がアジア諸国に御迷惑をおかけしたという事実はあったと私も認識しております。
しかしながら、それは戦争、しかも外交の問題であり、貿易や経済やODAを通じて国際貢献することで、国際的信用を回復しようと戦後日本は努力し続けてきたところなのであります。公式参拝ならいけないとか、私的ならよいとか、八月十五日が十三日ならいいとか、一般の日本人には意味のわからない議論が毎年なされます。
ことしは特に、教科書問題と小泉人気が連動して議論が激しかったわけですが、国民は、うんざりするばかりではないでしょうか。一体どういう理由で他国が日本の教科書にまで介入することが正当なことであると言えるのでしょうか。姉妹盟約を結んでいる韓国の学校などが教科書問題を理由に交流を見合わせたりなどと、私には理解できません。
また、韓国や中国の行う文部科学省への批判を後押しするような報道がなされておると聞きましたが、日本の中に日本国を誹謗するような思想があるのではないか。中国は、共産党一党支配の国であります。その体制を維持するために、独特の歴史観が必要であることは理解できるところでもございます。したがって、日本史について、日本観が異なってもそれは理解の範囲内であります。しかしながら、その独自の歴史観を日本の教科書にまで掲載するよう求める必要があるとは、到底私には思えないのであります。
食品衛生行政については、食品の安全性・重要性については、だれもが理解しながらも当たり前という認識があります。一方では、科学技術の進展とともに、その製造も複雑かつ高度化し、大量生産、広域流通、遺伝子組み換え食品など、新しく開発される食品添加物や残留農薬、化学物質の問題など、消費者の要求も年々厳しくなり、適切に対応するためにはいろいろと困難が予想されますが、さらなる御努力をお願いしておきたいと思います。
以上、限られた時間で私は当面の課題について質問してまいりましたが、今日、国・県を問わず、政治・経済・社会ともに今まさに大きな課題に直面し、変革期を迎えておるのであります。県政も須賀知事を先頭に、百七十八万人余の県民の期待にこたえる県政推進を願い、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
34 ◯議長(溝口宏二君) 次は、牟田神基君に発言を許可いたします。
[牟田神 基君登壇](拍手)
35 ◯牟田神 基君 牟田神でございます。
質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。大変眠たい時間でございますけれども、しばらくの間、御清聴をお願いいたします。
「災害は忘れたころにやってくる」のことわざどおり、九月二日、種子島で発生した集中豪雨は、午後五時までの時間雨量が中種子町で百六十二ミリ、西之表市で百二十六ミリと観測史上全国で三位の記録が発表されました。県民にとりましても、全く考えに及ばない気象のいたずらとしか言いようがありません。
県におきましては、雨量、水位、潮位、さらには土石流発生予測等の観測、情報通信機器の整備も完了して情報サービスに手抜かりはないのでありますが、県民の自主防災意識の不徹底から、あってはならない人身被害が発生しております。御遺族の御心痛を察する余り、まことに悲しく、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
また九月十一日、アメリカではニューヨーク市内の世界貿易センタービルと首都ワシントンのアメリカ国防省ビルに、ハイジャックした旅客機で乗客もろとも自爆テロに使う信じがたい事件が発生いたしました。犠牲者は六千数百人とも言われ、うち二十余名の邦人がいまだに行方不明、史上最大規模の惨事となった今回の同時無差別大量殺人テロ事件は、絶対に許しがたい野蛮な行為であり、犠牲となられた多くの方々に心から哀悼の意を表します。
私も二週間前、ニューヨーク市内の視察の中で巨大なツインビルの説明を受けたばかりで、その偉大な風景に圧倒され、思わず切ったシャッターが、写真が最後のツインビルの姿になろうとは夢にも考えられず、驚きと深い悲しみとともに怒りが込み上げてなりません。平和を願う気持ちを後退させない心構えが必要であるのではないでしょうか。
質問も最後になりますと、重複する項目もたくさんございます。できるだけ重複を避けながら、地元中心に質問させていただきますので、御清聴よろしくお願い申し上げます。
まず初めに、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。
十一月十七日から十九日にかけて、加世田市で開催される世界室内自転車競技選手権大会に、加世田市ゆかりの小泉純一郎首相が出席される見通しになったことは大変喜ばしいことであり、本大会を成功させるためにも、県民挙げて小泉首相の来鹿を確実なものとしたいところでございます。
そこで、改めて須賀知事から小泉首相に対して、本大会に出席していただくよう御要請をお願いしたいと思いますが、知事の御所見をお聞かせください。
次に、財政改革推進と知事の決意についてお伺いいたします。
本県財政は自主財源に乏しく、地方交付税や国庫支出金、さらには県債などの財源に依存する割合が高いことは御案内のとおりでございます。平成十一年度決算において、普通建設事業費の投資的経費の占める割合が四二・〇%と全国平均の二八・九%を大きく上回っております。
これはもちろんおくれている社会資本の整備を全国並みに引き上げるべく計画的な事業の実施に努められたことによるものでありますが、経常収支比率も公債費等の義務的経費の増大により極めて高い水準にあり、財政の硬直化が高まってきていることから、財政立て直しのための財政改革が立案されたのも、当然のことと評価するものであります。
そこでお尋ねいたしますが、知事は今回財政改革プログラム骨子において、「二十一世紀新かごしま総合計画」の着実な推進を図ると財政改革の目標に掲げておられますが、知事が進めようとしている財政改革計画期間は平成十四年度から平成十八年度までの五年間であります。我が国の景気が低迷しているこの時期に、単年度の財源に不足を生じない財政構造を構築するには、知事の強力なリーダーシップを発揮しながら真剣に取り組まなければならない高いハードルであり、昭和年代の財政再建に匹敵する一大事であると私は思っております。
須賀知事の任期は計画半ばの平成十六年まででありまして、「二十一世紀新かごしま総合計画」を着実に推進する財政構造を構築するためには、県政史上類を見ない行財政経験豊富な須賀知事の力がぜひとも必要であります。
ここで、財政改革プログラムの策定に当たり、計画をなし遂げようとされる知事の決意をお聞かせください。
次に、高等学校制度改革について、お伺いいたします。
脇田教育長の行政手腕と、これからの高等学校教育改革に多くの県民が期待しております。これまで二十数年にわたり日置郡内で声を大にしてお願いしてきた高等学校通学区域の見直しの問題でございます。
現行の通学区域制度によって鹿児島市に隣接しながら日置郡の過疎化、高齢化は予想以上に進み、少子化時代の到来でますますこの傾向は顕著なものとなっております。このことから、日置郡町長会、議長会挙げて高等学校通学区域の緩和について陳情を重ねておりますが、私も議員として六年にわたり、他県と比較しての高等学校通学区域の見直しについて質問させていただき、その趣旨は脇田教育長も十分認識されておられるものと思います。
また、この経過として、通学区域の設定は各県の自主判断にゆだねる方向で法律が改正され、東京都においても通学区域廃止がなされたところであります。
脇田教育長におかれましては、本年第一回定例会の私の質問に対して、本年度設置予定の県高等学校改革推進協議会におきまして、通学区域設定の意義やその果たす役割等について抜本的御議論をいただき、公立学校で学ぶ生徒にとって真に望ましい通学区域はどうあるべきか、全県的な視点に立って検討していただいて、本県の実情にあった方向を見出していきたいと考えているとの御答弁でございました。
そこで、脇田教育長にお尋ねいたします。
県高等学校改革推進協議会の概要について、例えば、設立年月日、構成メンバー、現在まで開催された協議内容等、差し支えのない範囲でお示しいただきたい。また、新しい通学区域案など、いつまでに結論を出されるおつもりか。さらにまた、財政改革を推進する中で、小規模高等学校の改革についてもお聞かせください。
次に、児童・生徒の安全確保対策には非常警報装置や侵入防止施設等の整備を進め、部外者による犯罪防止に全力で取り組んでおられますが、一方では教育の立場にある教職員による児童・生徒に対するわいせつ行為や暴力行為などあってはならない犯罪事件が多発しているようでございます。
事件のたびに、一方ではまじめでいい先生と高く評価されており、関係者の管理能力を疑いたくなるのも私だけではないと思いますが、また、教員としての不適格な教員も増加していると聞かれます。
そこで、お尋ねいたしますが、指導が適切でない、日常勤務ができない等の不適格教員の実態について、どのように把握しておられるか。また、これら教員への対応は、どのようになされておられるのかお聞かせください。
[知事須賀龍郎君登壇]
36 ◯知事(須賀龍郎君) 世界室内自転車競技選手権日本大会には、世界二十一カ国から選手・役員が参加されると伺っており、本県のスポーツ振興に大きく寄与すると同時に、世界に向けて本県の豊かな自然や歴史、文化などの情報を発信できる絶好の機会であると考えております。
この大会には、地元ゆかりの小泉首相が、加世田市を初め関係者の皆様方の御努力によりまして出席されることとなりましたことは大変喜ばしく、心から歓迎申し上げますとともに、この大会に大きな弾みがつくものと期待いたしております。
県といたしましては、大会の成功と小泉首相の御来鹿の実現に向けまして、でき得る限りの支援・協力をしてまいりたいと考えております。
次に、財政改革プログラムは、「二十一世紀新かごしま総合計画」を着実に推進してまいりますために、将来にわたって弾力的で足腰の強い財政構造を構築するために策定するものであります。
計画に盛り込まれております個別の施策・事業の中には、財政改革プログラムの推進によりまして、その時々の社会経済情勢に対応しながら事業実施期間の調整など弾力的に対応していくものも出てくることは考えておりますが、計画全体といたしましては効率化・重点化を図りながら計画の実現に向けまして積極的な推進に努め、県民の一人一人が鹿児島に誇りと希望を持って、県内のどの地域に住んでいても生涯にわたり安心して心豊かで活力あふれる生活ができる新しい鹿児島づくりに全力を傾注してまいりたいと考えております。
37 ◯教育長(脇田 稔君) 県公立高等学校改革推進協議会は本年三月三十日に設置し、学識経験者や産業・経済、学校教育・社会教育及び地方行政関係者など二十名の委員から構成をされております。
協議会は現在まで三回開催をされました。本県公立高等学校の現状・課題や再編整備の取り組みの経緯などの実情把握、あるいは県内外の視察、全国の動向等について理解を深めながら、主として学校の適正な規模のあり方等について協議が進められております。
その間、過去に整理統合され学校がなくなった地域の状況、県境を越えた生徒の出入りの状況等について議論がなされますとともに、これまで学校の適正規模とされてきました一学年五学級から八学級が今後も妥当であるのか、離島、僻地への配慮が必要ではないのか、また、高等学校の専門性を重視しつつ、総合的な高校づくりが必要ではないかといった意見が出されております。
協議会で協議される事項は、通学区域の見直しなど、本県公立高等学校の将来のあり方の基本にかかわる問題でございまして、さらにこれから県民意識調査を行いましたり、県民のさまざまな意見も聞いたりしながら本格的な議論を尽くしていただきたいと考えておりまして、現在のところ中間報告を平成十四年秋に、最終的な報告を平成十四年度末までにお願いしたいと考えております。
小規模校のあり方につきましては、今後、中学校卒業予定者の減少により、学校の小規模化が一層進むと考えられますことから、協議会におきまして、各地域における将来の児童生徒数の推移や地域の実情等を踏まえつつ、高等学校としての一定の教育水準の維持あるいは適正な学校の配置はどうあるべきかといった観点から、離島、僻地等への配慮も含めて検討していただきたいと考えております。
休みが多く授業に影響が出るなど、日常勤務に問題がある教諭については、その原因が病気等によると考えられる場合は医師の診断を受けさせ、病気休暇や休職等の措置を講じて治療に専念させておりますが、状況によりましては退職を選択をいたしましたり、定年を待たずに退職するケースもございます。
また、まともに授業ができない、不適切な発言が多い、児童生徒や保護者からの苦情が絶えないなど、教員としての資質に問題がある場合は、校長や市町村教育委員会が繰り返し指導を行い、それでも改善が見られない場合には教育センター等で特別に研修をさせております。こうした例は過去にも幾つかございましたが、このような措置でも効果があらわれず、教員としての適格性を欠くと認められる場合には、県教委といたしましては分限免職などを行うなど、厳しい措置で対処いたしてきております。
指導力等に問題を抱える教員への対応は、全国的にも重要な課題となってきておりまして、本県でも本年度から「指導力不足等教員の人事管理に関する調査研究委員会」を設置し、判定方法や事後措置のあり方等について研究を進めているところでございます。
[牟田神 基君登壇]
38 ◯牟田神 基君 知事さんと教育長さんに御答弁をいただきましたが、加世田市で開催される世界室内自転車競技選手権大会は国際競技大会でございまして、加世田市のみならず県においても大会の成功と、各国選手団の安全対策に努めなければならないと思います。
財政改革プログラム骨子に対する知事の御決意を聞き、県民も須賀知事の施策に期待されていると思います。自信を持って「二十一世紀新かごしま総合計画」を推進していただくようお願いいたします。
高等学校通学区域の見直しでございますが、日置郡南部に建設中の農業大学校の開校は、平成十五年の春でございます。さらに、農業試験場は十七年度の供用開始となっております。二百七十四名の教職員が家族同伴で安心して居住できる地域づくりのためにも、早急に結論を出していただきたいとお願いを申し上げるところでございます。
次に、農業振興についてお伺いいたします。
県は安心、安全な農畜産物の安定供給と消費拡大を推進するため、毎月二十九日を「かごしま畜産の日」として畜産物の消費拡大に努めるとともに、さらに環境美化、衛生強化運動の実践など、地域住民と共生する二十一世紀型畜産の推進に努めるとしておりますが、昨年宮崎県で発生した口蹄疫に引き続き、ことしは千葉県の酪農家でBSE(狂牛病)に感染した疑いがあると報道され、本県においてもいち早くBSEの防疫対策がとられたようであります。
BSEについては、代表、一般でも質問されておりますが、重ねてお伺いいたします。
まず一点、BSEは牛以外の家畜に感染しないのかというのが一点でございます。
それから、二点目は、なぜ肉や牛乳は食べても飲んでも安心なのかが二点目でございます。
三点目は、口蹄疫も狂牛病も輸入飼料に関係していると言われておりますが、本県は昨年の口蹄疫を教訓に、飼料稲の普及・生産拡大に取り組んでおられると思います。高齢化の進む畜産農家にとりましては、国産粗飼料の確保は負担が重く大変厳しい対応と考えられますが、十二年度の稲わらの自給率と肉骨粉の生産状況についてお聞かせください。
また、近年、国際化の進展、担い手農家の減少、高齢化の進行などにより、年々肉用牛の飼養戸数は減少しておりますが、全国と本県の状況並びに今後の県肉用牛振興対策について、お聞かせください。
次に、水田等における航空防除の計画や実施に対する規制についてお伺いいたします。
農林水産省は、四月から改正JAS法が施行され、有機農産物の検査認定制度も動き出しましたことから、水源など防除対策外の区域に加え、有機農業を営む圃場にも農薬が飛散しないよう防止策を講じ、有機農業者の合意を得て航空防除を勧めるよう注意を促したところであります。
さらに、松くい虫防除に当たりましても、林野庁から同様の指示がなされたものと聞いておりますが、農業従事者の高齢化や後継者不足などから個別防除も不可能に近く、従来どおり空散実施に対する要望が高まっております。今後の薬剤散布の指導についてお聞かせください。
次に、イヌマキの被害についてお尋ねいたします。
薩摩半島を中心に新たな異変が起こっております。吹上浜の松くい虫被害に続いて、近年イヌマキの立ち枯れが発生しております。イヌマキは加世田市木にも指定され、薩摩半島を中心に県内全域で古くから建築材として、また、庭園内の庭木や防風垣等に植林されており、神社仏閣や旧家の庭先など、樹齢四、五百年の銘木を見ることができます。
ところが最近、松くい虫の被害が減少した南薩地方でイヌマキの立ち枯れが至るところで発生しており、住民はその対策に苦慮しております。県として、その被害の状況や原因について把握しておられるのかお伺いいたします。
また、被害が広域にわたり集団で発生していることから、松くい虫被害対策と同様、県において何らかの防除対策はできないか、被害の状況もあわせてお伺いいたします。
また、吹上浜松林を中心に県内全域に発生した松くい虫被害も、県・町一体となって駆除対策に取り組み、一応松くい虫被害は終息したかにみえますが、吹上浜の松林を初め県内の被害状況と今後の防除対策についてお伺いいたします。
次に、警察問題についてお伺いいたします。
第一回定例会の一般質問で、交通安全協会の組織、警察との関係、事業の内容、さらに交通安全協会の必要性について県警本部長にお尋ねいたしました。
本部長の答弁は、「交通安全協会は道路交通の安全と円活を図り、もって交通秩序の確立と交通に寄与することを目的に設立されている」と大変明確な御答弁をいただきました。
今年の交通死亡事故は、八月末現在で県下八十七名で、対前年比プラス十五名と聞いております。このような厳しい状況で地域交通安全協会では、秋の全国交通安全運動に事故防止のパレード、街角立哨、指導、高齢者安全運転実技講習会、さらには各分会法令講習会など計画しているところであります。
中でも毎回行われている交通法令講習会は、地元における交通事故の実例など交えた講習内容であり、出席されたドライバーの皆さんは分かりやすいと好評をいただき、大変熱心に受講されておられます。
しかしながら、法令講習は免許更新時も受講が義務づけられていることから、受講者の集まりが低調で、いま一つ盛り上がりに欠ける状況にあるのも事実であります。
そこで、お尋ねいたします。
交通事故対策において警察と交通安全協会とは車の両輪の関係にあります。交通安全協会が所期の効果を上げるために、警察は協会に対してどのような協力と指導・助言を行っておられるのか、お聞かせください。
次に、テロ対策についてお尋ねいたします。
アメリカでの同時多発テロ事件後、複数の外国人テロリストが危機管理の薄いアメリカと友好同盟国である日本国内でテロを敢行する可能性が高いとの情報を入手して、検察庁は、我が国においてアメリカ関連施設などの警戒を徹底するよう全国の警察本部長に指示したと聞きますけれども、警察はどのような対策を講じておられるのか、警戒対策についてお聞かせください。
また、十一月十七日に加世田市で行われる世界室内自転車競技選手権大会に出席予定の小泉首相や、十一月十八日に牧園町で開催される「全国育樹祭」に御列席の皇族殿下の警備には万全の対策を講じなければなりません。警察はどのような警備体制をとられるおつもりか、警察本部長の決意をお聞かせください。
次に、県道整備でございます。
日置郡南部吹上町永吉地区や日吉町の吉利地域方面から、松元町を経て鹿児島市谷山方面に通ずる最短路線として、県道田之頭吹上線と県道松元川辺線があります。
地域の生活幹線道路として、また、吹上町上田尻地内にある南州採石場の骨材搬出道路として、大型トラック等の往来が激しく危険なため、早くから改良拡幅整備促進の要望が多く、私も本会議の一般質問の中でこの問題に取り組んできたところであります。
早速土木事務所で調査をしていただき、ただいま県道田之頭吹上線と県道松元川辺線の田之頭分岐点から松元町四元交差点までの隘路区間について、それぞれ道路の拡幅や突角芟除、待避所等の工区を設定していただき、段階的な整備促進が図られております。
地元の方々も、戦後半世紀を過ぎた今、やっと日の目を見ることができたと大変喜んでおります。財政的にも厳しい時ではありますが、引き続き整備促進をお願いいたします。
問題は県道松元川辺線の終点、県道谷山伊作線分岐点から田之頭までの四キロメートル区間でございます。うち二・二キロメートルは二車線の改良済みとなっておりますが、残り一・八キロが未改良で、幅員も全幅三メートル以下、おまけに屈曲が多く、離合もできない大型交通不能区間でございます。
道路網的にも大変主要な県道でありますので、早急に調査されて、整備区間に計画していただきたい。土木部長の意のある御回答をお願いいたします。
39 ◯農政部長(福元 紘君) 牛海綿状脳症、BSEは、「異常プリオン」が原因であるとされており、この病気に感染した牛の脳・脊髄・眼・回腸の遠位部等を含む飼料を摂取することにより感染するとされ、これまで豚・鶏等の牛以外の家畜が感染したという事例は報告されておりません。
また、食肉については食肉衛生検査に合格した安全なものが流通しており、牛乳・乳製品についても安全であるとされております。
なお、この病気については、英国で実施されたBSE感染牛の材料を用いたマウスへの接種試験で、病原体の移行が明らかとなった脳・脊髄・眼・回腸遠位部以外からは感染性は認められていないとされております。
したがいまして、これらの部位を含まない食肉や牛乳・乳製品等については、家畜衛生措置に関する国際機関で、パリにございます国際獣疫事務局OIEの基準でもBSE感染性がある危険部位として除外すべき対象とされておらず、人が食べても安全であるとされております。
本県の平成十二年二月現在の家畜頭数は、繁殖牛二十万二千頭、肉専用種が十万九千頭及び乳用種が三万七千頭であり、これらの年間稲わら必要量は十一万五千トンであります。県内産の稲わら利用量は七万五千トンであることから、稲わらの自給率は六五%であります。
県としましては、平成十二年度に行政、農業団体等からなる「鹿児島県国産稲わら等確保対策協議会」、これを設置しまして、さらに稲わらの生産・流通対策に有利な事業であります「国産粗飼料緊急増産対策事業」及び「飼料増産受託システム確立事業」にも取り組んでおります。
また、わら専用稲が「水田農業経営確立対策」の対象作物の中で飼料作物として認められておりますことから、これらの積極的な活用を指導し、国産稲わらの自給率向上に努めてまいりたいと考えております。
肉骨粉等の動物性飼料原料は、食肉・食鳥の処理過程で発生する骨、羽毛等の不可食部分を原料としまして、本県では平成十二年度には七万六千トンが生産され、牛以外の豚、鶏などの飼料原料として利用されております。
牛海綿状脳症は、異常プリオンが混入した肉骨粉の給与が原因とされておりますが、県内配合飼料工場においては、操業以来、牛用飼料への肉骨粉等の使用はなく、さらに国は平成八年に牛用飼料へは牛の組織を用いた飼料原料を使用しないよう指導・通知をし、その徹底を図っているところであります。
全国の肉用牛は平成十三年二月現在、十一万戸で二百八十万頭が飼養され、戸数・頭数ともに減少傾向にあります。本県では一万八千六百戸で、三十三万八千六百頭が飼養され、戸数は小規模層を中心に減少しておりますが、飼養頭数は増加傾向にございまして、一戸当たりの経営規模は着実に拡大してきております。
県の肉用牛振興につきましては、本年三月に策定しました「かごしま農業・農村ビジョン21」に基づき、ほ育・育成・肥育などの生産段階別分業型経営体の育成を推進しますとともに、産肉能力にすぐれた繁殖雌牛の導入や低コスト牛舎の整備・普及等による生産基盤の強化を図り、肉用牛経営の維持・拡大に努めることとしております。
今後ともこれらの取り組みを通じまして、地域住民と触れ合い共生する「二十一世紀型畜産」の確立を目指してまいりたいと考えております。
航空防除につきましては、「県農業航空事業推進方針」に基づきまして、市町村や農協などが事業主体となりまして地域住民の理解を得るとともに、関係機関・団体とも十分連携を図り、人や家畜等に悪影響を与えないよう、安全性に十分留意しながら実施しております。
また、JAS法改正に基づく有機農産物の検査認証制度の創設に伴いまして、国から農林水産航空事業の留意事項が示されたことから、防除区域の近くに有機農産物の生産圃場がある場合は、生産者とも十分に協議を行い、区域の見直しを行うなど、被害発生の未然防止に努めております。
航空防除は、農業者の高齢化や担い手の減少など、労働力の確保が困難になる中で、農家が個々に行います「地上防除」に比べ、省力・低コストで防除効果が高いことから、今後とも地域住民の理解と協力を得ながら安全対策に十分配慮して実施するよう指導してまいりたいと考えております。
40 ◯林務水産部長(中村治人君) 南薩や北薩を中心に平成六年度ごろから被害が確認されておりますイヌマキの立ち枯れは幹や枝を食害するケブカトラカミキリによるものでございます。
被害の多くは、宅地内の庭木、生け垣等の緑化木や畑地の防風垣等の森林以外で発生いたしておりまして、森林病害虫等防除事業の対象にならないことから、県といたしましては市町村と連携し、地域の防除意識の啓発を図るため、防除対策のポスターの配布、市町村広報誌への掲載等を行いますとともに、庭木の所有者や緑化樹業者等に対し、予防のための薬剤散布と被害木の伐倒焼却の技術指導を行っているところでございます。
今後とも地域の住民と行政が一体となった取り組みを推進いたしまして、被害の終息に努めてまいりたいと考えております。
本県における平成十二年度の松くい虫被害は、被害が最も大きかった昭和四十七年度当時の十万二千立米と比較いたしますと、一万一千立米余りと十分の一程度まで大幅に減少してきておりますが、垂水市牛根地区や桜島地区などで被害が拡大していることから、前年度比では一一九%と増加いたしております。
なお、吹上浜の被害は、平成六年度に一万五千立米余りと最悪の事態となりましたが、森林管理局、地元市町並びに地域住民と連携して、その被害軽減に努めてまいりました結果、平成十二年度は八立米と被害が目立たない状況にまで減少してまいっております。
今後の松くい虫被害対策につきましては、被害の拡大が懸念される地域、被害が減少している地域など、地域の被害の実態に応じて薬剤の空中散布や伐倒駆除等の事業を効果的に推進いたしまして、できるだけ早い時期の終息を目指して取り組んでまいりたいと考えております。
また、薬剤の空中散布につきましては、松くい虫の県防除実施基準に基づきまして、農業、漁業等への被害防止、環境保全等に留意し、県及び市町村が実施しておりますが、JAS法改正に基づく有機農産物の検査認証制度の創設に伴い、国から松くい虫特別防除事業の留意事項が示されましたことから、散布区域周辺の有機農家の実態を把握し、有機農産物の圃場に薬剤が飛散しないよう十分な間隔をとるなど、関係機関との連携を密にして、これまで以上に慎重に対応してまいりたいと考えております。
41 ◯警察本部長(久保潤二君) 交通安全協会は交通事故を防止するため、ドライバーを初めとするすべての道路利用者の交通安全意識の普及等に献身的に活動している交通安全活動の中核的団体であると認識しているところであります。
具体的な活動としては、各種交通安全運動における街頭キャンペーンや、各地区における法令講習会、高齢者等に対する参加・体験型交通安全教室などを行っていますが、警察としましても交通安全協会に対しまして各種情報を提供するなど、同協会と一体となった活動を進めているところでございます。
また、公益法人である交通安全協会の活動が設立目的に沿って適正かつ積極的に行われるよう指導助言をしているところでございまして、今後とも協会の果たす役割・重要性を認識しつつ緊密な連携を取りながら、なお一層の成果が上がるよう努力してまいりたいと考えているところでございます。
次に、テロの関係でございますが、県内には米国権益に関する関連施設はございませんが、県警としましてはハイジャック防止対策を最重点として、警察官の空港への増強配置を行い、空港内・外における警戒や不審者の発見活動など警備を強化しているところでございます。
また、川内原子力発電所に対しては、警察官を常駐配置し、施設管理者等と緊密に連携をしつつ警戒をしているほか、空港保安施設等の重要施設に対する警備を強化しているところでございます。今後ともハイジャック防止に努めるとともに、テロ対策に万全を期す所存でございます。
最後に、本年十一月に予定されております全国育樹祭や世界室内自転車競技選手権大会開催に伴う、皇族殿下及び小泉総理大臣の御来県に伴う警備につきましては、県外からの応援部隊を含めて所要の警備体制を確保し、県警の総力を挙げてその万全を期しているところでございます。
一方、警備期間中においても、県内治安にいささかの間隙も生じないよう、万全を期してまいる所存でございます。
42 ◯土木部長(直江延明君) 県道松元川辺線の松元町田之頭地区から県道谷山伊作線との交点までの約四キロメートルのうち未改良区間約一・八キロメートル区間につきましては、御指摘のとおり幅員が狭い上、急カーブが多く、交通の隘路となっているところでございます。
一方で、この県道松元川辺線につきましては、現在緊急性の高い松元町四元地区など三地区で整備を進めているところでございまして、御指摘のこの区間の整備につきましては、こうした周辺地域の道路整備の進捗状況等も見きわめながら今後検討してまいりたいと考えております。
[牟田神 基君登壇]
43 ◯牟田神 基君 BSEは病原体である異常プリオンが混入した肉骨粉を介して牛に感染するとされていることから、今後は引き続き牛などを原料とする肉骨粉を牛の飼料として与えないよう厳しく行政指導していただきたいと思います。
また、三十カ月齢以上の牛に対する生産者の自主的な出荷繰り延べの取り組みに対する支援や国産牛肉の消費減退、出荷繰り延べによる影響の緩和、利子補給については早急に必要な措置を講じていただきたい。このことが本県への当該疾病の侵入防止に対する万全の対策と考えられることから、強く要望しておきます。
アメリカ中枢同時多発テロへの報復に対する日本国内で予想されるテロ対策としては、アメリカ関連施設だけでなく、県庁舎や川内原子力発電所など、主要な施設の警戒も必要ではないでしょうか。
県庁舎についてですが、警察棟につきましては、警察本部長さんの指示で玄関に警察官が立っております。私ども議員でも、あそこは素通りはできないような状況で、いちいち手続して入っておるような状況で、あそこまでする必要はないですけれども、行政棟それから議会棟、それぞれ管理者の立場でひとつ警戒も怠ってはならないんじゃないかというふうに思う次第でございます。
財政的にも大変厳しい時期でございますが、県道整備の新規着工が困難であることはよく理解できますが、これからは構造改革に伴う失業者救済対策や景気対策に伴う新しい事業も必要であることから、公共事業の推進については、県政の主要施策の国道・県道だけでなく地域の住民に直接利益のある一般道路の整備が必要であると考えられます。要望の県道松元川辺線についても格段の対策を講じていただきますようお願い申し上げます。
この四キロの区間のうち改良済みの二・二キロでございますが、この区間は私が道路建設課の係長をしているときに、この道路の重要性からあそこに特殊改良一種事業を設定した区間でございまして、私が県庁から出て行った途端にその事業をやめて、今までに至っております。その時代から私はあの道路については本当に必要な事業だということは認識していたわけです。
今、地元の要望がないからと申す方もおられますけれども、実際松元町では、今、IC関連などたくさんほかに事業やってるんですよ。そういうことから、町長さんもなかなかあそこをしてくれよという要望、欲張ったようなふうでできないような状況でございますので、私の方からひとつよろしくお願い申し上げます。
特に、日吉町や東市来町の神之川あの一帯から来る人は全部あの道路を通って、そして谷山の方に抜けて行くというようなことになるわけでございます。ましてや今、採石場の運搬車両が一日三百台から四百台通っております。
私もこの前四元の方を通ってみました。あそこは一キロちょっとしかないのです。その間に、五、六台行き会い、離合が大変でございます。道路建設課の方にも一遍見に行ってくれんかということで、現場を見ていただいておりますので、ひとつ土木部長さんも一遍お暇を見つけて現場を見ていただきたいと、そのようにお願い申し上げておきます。
以上、七項目について質問をさせていただきましたが、知事初め教育長、警察本部長、関係部長の熱心な御答弁をいただきました。
知事におかれましては、大変厳しい難題を抱えての激務のため、くれぐれも健康に留意されまして県政推進に努めていただきますようお願いを申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。
御清聴ありがとうございました。(拍手)
44 ◯議長(溝口宏二君) 以上で、通告による質問は、全部終了いたしました。
これで、質問は終結いたします。
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△ 議案第八七号-議案第一一二号(議案第九七
号及び議案第一〇六号を除く)及び報告第三
号委員会付託
45 ◯議長(溝口宏二君) 次に、今回提出されました議案第九七号及び議案第一〇六号を除く、議案第八七号から議案第一一二号まで及び報告第三号は、配付いたしております議案等付託表のとおり、所管の常任委員会に付託いたします。
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△
決算特別委員会設置(議案第九七号及び議案
第一〇六号同
特別委員会付託)
46 ◯議長(溝口宏二君) お諮りいたします。
議案第九七号「平成十二年度鹿児島県病院事業特別会計決算について認定を求める件」及び議案第一〇六号「平成十二年度鹿児島県工業用水道事業特別会計決算について認定を求める件」については、十四人の委員をもって構成する
決算特別委員会を設置し、同特別委員会に付託することにいたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり]
47 ◯議長(溝口宏二君) 御異議なしと認めます。
よって、議案九七号及び議案第一〇六号は、
決算特別委員会を設置し、同特別委員会に付託することに決定いたしました。
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△
決算特別委員の選任
48 ◯議長(溝口宏二君) 次に、
決算特別委員の選任を行います。
お諮りいたします。
決算特別委員の選任については、委員会条例第六条第一項の規定により、配付いたしております
決算特別委員名簿のとおり指名いたしたいと思いますが、御異議ありませんか。
[「異議なし」と呼ぶ者あり]
49 ◯議長(溝口宏二君) 御異議なしと認めます。
よって、
決算特別委員は、ただいま指名いたしましたとおり選任することに決定いたしました。
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決算特別委員名簿
決算特別委員会委員
大 園 清 信 桐 原 琢 磨
寺 田 洋 一 外 薗 勝 蔵
高 橋 稔 鶴 薗 真佐彦
栄 和 弘 鶴 田 孝 雄
上 村 勝 行 中 村 眞
田 畑 誠 一 上 野 新 作
山 本 孝 一 増 留 貴 朗
(十四人)
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50 ◯議長(溝口宏二君) これで、本日の日程は終了いたしました。
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△ 日程報告
51 ◯議長(溝口宏二君) 十月二日は、午前十時から本会議を開きます。
日程は、議案等及び請願・陳情の委員長報告、質疑、討論並びに表決などであります。
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△ 散 会
52 ◯議長(溝口宏二君) 本日は、これで散会いたします。
午後三時七分散会
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