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1995-09-27 平成7年第3回定例会(第5日目) 本文
1995-09-27 平成7年第3回定例会(第5日目) 名簿

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  1. 鹿児島県議会 1995-09-27
    1995-09-27 平成7年第3回定例会(第5日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(鶴田辰巳君)ただいまから本日の会議を開きます。       ─────────────    △ 一般質問 2 ◯議長(鶴田辰巳君)本日の日程は、配付いたしております議事日程のとおりであります。       ━━━━━━━━━━━━━  議 事 日 程  一、開  議  一、一般質問    上 村 勝 行 君    山 本 求 之 君    徳 留 のりとし 君    吉 永 守 夫 君    尾 辻   義 君  一、散   会       ━━━━━━━━━━━━━ 3 ◯議長(鶴田辰巳君)一般質問であります。
     通告に従って、順次発言を許可いたします。  上村勝行君に発言を許可いたします。    [上村勝行君登壇](拍手) 4 ◯上村勝行君 私は、四年ぶりにこの壇上に登壇させていただきまして、感無量でございます。四年間の間にブランクが非常に大きいということを、この半年痛感しておりまして、同僚、先輩議員、執行部の皆様の御援助、御助言をよろしくお願い申し上げます。  私の質問は、大方皆さんがもう触られた質問でございますけれども、地元の要望かれこれもございますので、続けさせていただきます。  なお、県立四年制大学に対する質問は割愛させていただきます。松村議員と全く同じ意見でございますので、ぜひ知事におかれましては、時期を失せず御検討をよろしくお願い申し上げます。  まず八・一水害について質問いたします。  八・一水害は、二年前の八・六水害を上回る床上浸水をもたらし、地域住民に大きな被害をもたらしました。私もまだ水も引かぬうちから地域を回りましたが、たび重なる浸水に住民の怒りと怨嗟の声にあちこちで囲まれ、まことにつらい思いをしたものであります。今回の水害は、いつもの唐湊地域のみでなく、これまで一回も床上浸水のなかった田上小学校周辺も床上浸水となり、いよいよ新川も末期的症状だなという印象を強くしました。しかしながら、今回は、特に県には機敏に対応していただきまして、涙橋から聖明橋を越えて湊橋までの千六百メートルの抜本的改修の方針をいち早く決定していただきまして、住民の声が県に届いたと一同喜んでおります。上山建設政務次官の努力もこれありますが、土屋知事の決断にとりわけ感謝申し上げます。これらを踏まえて、以下、何点かにわたって質問いたします。  一つは、田上ダムの建設でございます。今回の県の決断、涙橋から湊橋までの改修を平成十二年までにやり遂げるという県の意気込みは多としますが、田上ダムはまた別問題であります。田上ダムは、出水抑制対策として河川河道改修とあわせて大きな決め手になると期待しております。私は地元議員ですから、この田上ダム建設の困難な面はよく承知しているつもりであります。しかし、田上ダムの建設についての知事及び関係部長がこの困難を克服して、どうしてもつくってやるぞという情熱が伝わってこないというのが、私ども地元の率直な実感でございます。ぜひとも強力に推進されたいわけですが、知事及び部長の決意のほどをお聞きいたします。  同様に、大峯流通業務団地武岡団地洗出口について、調整池の拡大をやっていただきたい旨要請しましたが、そして県も前向きの返事をしたところでございますが、しかし、私どもは鹿児島市に陳情に行って関係者に聞いてみるのですが、そのことがしっかりと県の方から市に伝わっているように見えない、この二つの調整池の実施主体は市であります。ぜひとも河川の責任者たる県の方からしっかりと具体的に再要請していただきたいのですが、いかがでしょうか。  次に、新川の出水は、八月十一日でことしは四回目であります。頻繁に水が出る状況でございます。これは未曾有の雨量もありますが、新川流域は既に市街化率四〇%になっております。これは甲突川流域の二七%の市街化率に比べますと、どれほどのものかおわかりいただけると思います。新川流域については、来年四月は鹿児島市でも線引きの見直しが行われるそうでありますが、新川流域については線引きの見直しはやっていただきたくない、すなわちこれ以上の開発はやっていただきたくないというのが住民の率直な気持ちでありますが、いかがでしょうか。  第四は、公共施設等の雨水貯留施設の建設を現在県は行っていますが、県民総ぐるみの雨水対策を講ずるため、トイレ等に雨水を活用する、いわゆる雨水貯留装置を取りつけた個人住宅あるいは企業に対して助成措置を、県単あるいは鹿児島市と共同して行う気持ちはないのか、御見解をお聞かせください。これは現在東京都の墨田区がやろうとしている事業だそうでございます。  次に、銃器取り締まりについて質問いたします。  遠洋マグロ漁船の船員らの密輸グループが、南アフリカ共和国から短銃百九十五丁を国内に密輸入していたことが、静岡県警によって摘発されたことは、国民に大きな衝撃を与えました。このグループは、五年間に計一千数百丁を密輸していたと推定されること、その一部が九二年の金丸信元自民党副総裁の襲撃事件などに使用されたこと、またグループの中に鹿児島県出身者が二名いたことなどから、事態の深刻さを強く県民に印象づけました。これら短銃の密輸の増加は、端的に国内の治安の悪化となってあらわれ、本年七月末現在の発砲回数とそれによる死傷者数の増加、しかも一般市民が巻き込まれている例がふえてきているとのことであります。また八王子市のスーパーバイト女高生ら三人が射殺されるという痛ましい事件も印象に新しいところでございます。まさに銃汚染は国内の隅々にまで及ぼうとしており、手おくれにならないうちに国を挙げての取り組みが必要ではないかと思うのであります。  そこで県警本部長にお聞きいたします。  県警本部は、警察庁の方針を踏まえて銃器取締総合対策本部を設置され、水際対策の徹底強化を基本に、六月に改正された銃刀法の規定を活用する等して取り締まりに当たられるということですが、まずその決意のほどをお聞きしたい。さらにこの短銃密輸入問題に関して、我が県の置かれた位置を、あるいは特徴をどのようにとらえられ、具体的にどのような対策をとられようとしているのかお聞きいたします。  第二に、県民の啓発に関して、先般、国松警察庁長官はテレビで、警察のみでは万全を期しがたいことから、市民の方々の御支援、御協力をお願いしたいと言われましたが、県民への普及啓発、協力要請をどのようにしようとされているのかお答えください。  第三に、暴対法という、暴力団に対する切り札とも言える法律ができたのですから、もっと積極的にこの法律を活用して暴力団の壊滅作戦、ひいては短銃取り締まりに当たっていただきたい。私はもっと踏み込んでこの法律を活用した方がいいと思うのですが、県警本部長の見解をお伺いいたします。  最後に、コンビニエンスストア、スーパー等が襲われましたが、私の町にもコンビニが二つありますが、一様に従業員、経営者とも不安を訴えております。警備警護を強化していただきたいと思うのですが、今後特段の措置をとられるおつもりかどうかお聞きいたします。  次に、高齢者福祉について数点お伺いいたします。  我が県の平成六年に策定された鹿児島すこやか長寿プランは、一応順調に実施に移されているとのことであり、ホームヘルプデイサービスショートステイ等の、いわゆる在宅三福祉の利用率も全国一とかで、高く評価しますとともに、さらなる努力をお願いする次第でございます。しかし、鹿児島市等を見た場合、何回も指摘されますように、特別養護老人ホームの建設がおくれ、相変わらず多くの待機者がいます。家族はやむなく病院のたらい回しや中間施設を点々として特養のベッドのあくのを待っている状況であります。早急な取り組みを県市一体となって行われますよう、特段の努力を要請いたしますが、執行部の考え方を明らかにしてください。  この際特にただしたいのは、いわゆるマンパワーの養成であります。これからさらに高齢者の福祉ニーズの増大が要請される中で、それを支える福祉マンパワーの養成と配置は極めて重要な焦眉の課題でありますが、現在の取り組みで本当に時代の要請にこたえるのか、その基本的戦略と現状を教えてください。とりわけ、二十四時間ホームヘルプ事業がこれから拡大していくと、深夜業務がふえてくるわけですが、これら夜勤を遂行できる力量と使命感を持ったホームヘルパー、もちろんこれには身分、待遇面の裏づけがないといけませんが、これらホームヘルパーの養成ははっきりした目標と計画を持って養成されているのかお答えください。  なお、二十四時間ホームヘルプ事業の内容を具体的に聞いた範囲では、これはある面では介護福祉士の仕事でもあると思うのであります。これは現在せっかく養成されつつある介護福祉士をも活用しつつ、二十四時間ホームヘルプ体制をつくっていくべきだと思うのですが、いかがでしょうか。  次に、社会福祉協議会について質問いたします。  福祉の実施主体が市町村に移るに伴って、市町村社協の育成、体制整備は極めて大切だと思うであります。とりわけ、在宅福祉の直接の担い手としての同協会の役割は大きいと思うのであります。この問題は県社協の方でも重点的に取り組んでいるとのことでありますが、あちこちで聞いてみますと、市町村の問題意識にアンバラがあるようであります。現在の福祉ニーズでよしとして、将来に向けての体制整備に余り積極的でない市町村も見受けられるとのことです。社会福祉の基本は、どこにいても同じような介護を受けられることが原則であります。したがって、ある程度平均的な力量を市町村社協に持ってもらわないと困るわけですが、これら高齢者福祉の拠点としての市町村社協の現状を県としてはどのようにとらえ、指導しようとしているのかお尋ねいたします。  最後に、介護保険制度についてお尋ねいたします。  この介護保険制度については、六月の県議会でも取り上げられましたが、その後急速な展開を見せておりますので、あえて質問いたします。  最近の経過をたどってみますと、ことし七月四日、総理府の社会保障制度審議会から、次いで厚生省の老人保健福祉審議会から、七月三十一日には労働省の介護労働研究会から勧告ないしは報告が出されました。いずれも介護保険制度の積極的な採用を提起しております。そして厚生省は、早くも次期通常国会公的介護保険法案を提出し、平成九年度の制度の実施を打ち出しております。自民党の加藤政調会長(当時)も同様の考え方を明らかにしました。このように、介護保険制度の動きは急ピッチでありますが、その青写真は皆目国民には見えてまいりません。国民は消費税導入の際、高齢者福祉のためと説得されてきたわけですから、今後さらに介護保険料、または税を支払うには納得できる説明がなければなりません。まだ、青写真を前にしての国民的討論が必要になります。今国民が知っていることは、介護保険制度は細川内閣時の国民福祉税構想の失敗に端を発しているということだけであります。  そこで、現在検討中であることを前提に質問いたしますが、この介護保険制度の中央段階の議論がどのようになっているのか、わかっている範囲でお答えください。また、それが実施された場合、我が県の医療保険制度にどのような影響を及ぼすのか、新ゴールドプランは、県計画はどのようになるのか、介護保険制度に対する見解を県はどのようにお持ちなのか。そして高齢者を含む国民の費用負担はどのようになる見通しなのか、お答えください。    [知事土屋佳照君登壇] 5 ◯知事(土屋佳照君)一昨年の水害において、鹿児島市内における都市河川問題というのは、極めて大きな課題を持っておるということを痛感しておるわけでございますが、お尋ねのように新川におきましても、本当にあそこはびっちりと市街化しておるといいますか、人が住んでいるためになかなか工事もはかどらないということなどがございまして、大変な御迷惑をかけております。たびたび浸水をして、私もその都度心を痛めているわけでございます。そういう中で、八月十一日の水害がございました。これはまた朝七時から八時までがもう九十九ミリという、かつてない大量の雨を一時的に降らしたせいもあるわけでございますが、本当にお気の毒なことをしたと思っているわけでございます。  私どももこれにはできるだけの努力をしていきたいと思っております。幸い下の方から順次仕事をやっておりますが、国道のところの土地問題も解決をいたしましたし、そしたまた聖明橋から湊橋の間も思い切って公共事業でやっていこうという方向も決まったわけでございます。お尋ねの田上ダムにつきましても、鋭意、部長の方から答弁をいたしますけれども、努力をしておりますが、なかなかいろいろ手順があるようでございます。できるだけ早くこれが着手できるように努力をいたしたいと思っております。  次に、過疎化、高齢化が進んでおります本県にとりまして、高齢者介護の問題は大きな課題でございまして、社会全体で高齢者の介護を支え合うという公的介護保険制度の導入は基本的には望ましいものであると考えております。新たな高齢者介護システムの確立についての老人保健福祉審議会の中間報告では、基本的な考え方や今後の検討における主な論点について示されております。今後、介護サービスや費用負担のあり方とともに、保健、医療、福祉にわたる総合的なサービスの提供体制のあり方などが具体的に論議をされるということになっており、県や市町村の行政にも大きな影響を与えることが予想されますので、制度の導入に当たりましては、地方公共団体の意見を十分踏まえていただくようにしていただきたいということで、全国知事会を通じて国に要望をしているところでございます。また、中間報告では、介護保健制度の導入による介護需要の増大に対応して、新ゴールドプランの見直しを含めた対応のあり方についても論議されることになっておりますので、県としては、国のこうした検討状況などを注意深く見守りながら適切に対処してまいりたいと思っております。 6 ◯土木部長(横田穰二君)新川の田上ダムにつきましては、上流地域の洪水を低減させる効果が大きく、水害対策の一つとして鋭意取り組んでいるところでございます。平成四年度から治水ダム建設事業として採択され、これまでいろんな項目について調査検討を行ってきております。今後、これらの結果を取りまとめ、ダム全体の設計を行い、移転対象者の生活再建など鹿児島市と十分連携を保ちながら、早い時期に具体的な計画を地元にお示しし、理解と協力を得て建設に着手できるよう努力してまいりたいと考えております。  武岡団地や大峯団地の調整池の改善につきましては、総合治水対策の一環として、現在、鹿児島市において構造上可能な範囲で調整機能が図られるよう改善するための調査を進めていると、かように聞いております。県といたしましても、調整容量の拡大や吐け口の改造など、総合治水対策推進協議会など鹿児島市との協議の中で十分調整してまいりたいと考えております。  新川流域の線引き見直しの問題でございますが、鹿児島市の線引き見直しに当たりましては、市街化区域の規模は将来の人口や産業が適切に配置される範囲にとどめたいと考えておりまして、市街化区域への編入は、既に面整備が完了した住宅団地の区域等について行うとともに、計画的な市街地整備の見通しが明らかになった時点で、保留人口の範囲内であれば随時市街化区域に編入する人口フレーム保留制度を採用することとしております。新川流域につきましても、このような基本的な考え方に立って線引きの見直しを行ってまいりたいと考えております。  各戸貯留につきましては、流域住民が自主的に行う雨水の流出抑制や有効利用として、また住民の皆様の意識啓発という観点から大切なことであると考えております。各戸貯留に対する行政側の助成措置につきましては、全国では市町村による助成事例がございますが、行政側の助成導入は市町村の判断によるものと考えております。今後、各戸貯留につきまして、どのように取り組んでいくかということにつきましては、総合治水対策推進協議会の中で検討させていただきたいと考えております。 7 ◯警察本部長(吉村博人君)銃器対策の問題でありますが、県内におけるけん銃の発砲事件は、この二十年間で二回を数えるのみであります。しかしながら、全国的にはけん銃を使用した凶悪犯罪が多発しておりますのは御指摘のとおりでありまして、治安上極めて重大な事態であると認識をしております。このため、社会に潜在をしております銃器の摘発が第一であろうかと考えておりますが、銃器摘発強化のために今般銃刀法が改正をされまして、クリーン・コントロールドデリバリーを実効あらしめるための規定や自主減免規定が整備をされたところであります。  ちなみのこのクリーン・コントロールドデリバリーとは、けん銃の密輸入者本犯を捕まえますために、水際でけん銃が発見されたとして、そのけん銃を受け取りに来た者を捕まえてしまうということはなくて、けん銃をその時点で別の物に差しかえて、そのけん銃類似品が最終的にどこに到着するかと、その最終到着者が密輸入の本犯でありますので、その本犯を捕まえるための手法でありますが、総じて摘発のための法制度は整備をされてきているところであります。この上は、銃器の危険性を機会あるごとに県民に広報いたしますとともに、皆様方の協力を得ながら、警察の組織を挙げて銃犯罪の防止と摘発に取り組む方針でございます。  本県は、御承知のとおり、日本で海岸線が第三位で長い県でもありますので、水際対策の重要性は言うまでもないと思います。近々、本部の生活案全部内に水際対策のための特別な対策班をこしらえることも検討しておりまして、ただその摘発のためにはいろいろな情報を、お話を寄せていただくことが必要であり、その過程で県民の御協力をいただかなければならないのではないかというふうに考えております。  次に、深夜スーパーの防犯対策の問題でありますが、県内では深夜スーパーマーケットを二百店余りを把握をしておるところであります。深夜スーパーを対象としました強盗事件は、本県内では一昨年は発生を見ておりません。昨年は三件発生をしております。ことしはこの七月に鹿児島中央署管内下荒田で一件発生をしておりますが、昨年の三件あるいはことしの一件は、いずれも検挙しているところであります。ちなみに、いずれの事件も凶器は刃物が使われております。  ただ、最近全国的にけん銃使用の強盗事件が発生をしている折でもあります。深夜における警察官の定期的な立ち寄りと警戒活動の強化を図りまして、未然防止に努める一方、一たびその種の強盗事件が発生した場合には、素早い立ち上がりによって迅速な検挙活動を行ってまいりたいと思っております。  今後とも業者に対しましては、深夜スーパー等防犯対策協議会を中心としまして、自主警戒体制の強化、あるいは防犯ビデオカメラ等資機材の整備を働きかけるとともに、県警としても深夜スーパーに対する防犯診断、あるいは強盗訓練の実施も必要によっては実施するというようなことで、防犯対策を強化をしてまいりたいと考えております。 8 ◯県民福祉部長(岡元杉夫君)特別養護老人ホームの整備に当たりましては、これまで未設置町村を優先しながら整備を進めてきましたが、今後は鹿児島すこやか長寿プランに基づき、未設置町に加え、待機者が多くベッド数の不足している都市部や地域的な配置状況にも十分配慮して整備を進めることといたしております。  鹿児島市につきましては、現在までに九施設六百六十七床を整備していますが、待機者の状況を考慮いたしまして、本年度一カ所の整備を進めております。今後とも老人保健福祉計画に基づく県全体の整備目標について整備を行いまして、平成八年度以降も同市に計画的に整備していきたいと考えております。  高齢者の福祉の増進を図りますためには、マンパワーの養成確保が重要であると考えています。県といたしましては、社会福祉事業従事経験者講習会ホームヘルパー人材確保研修による潜在マンパワーの就労促進、また福祉人材情報研修センターにおける就労希望者の登録あっせん、さらに介護福祉士理学療法士等への修学資金の貸与などを行いまして、マンパワーの養成確保に努めているところでございます。  平成六年度からは、社会福祉士及び介護福祉士の国家試験の会場を本県にも誘致し、受験者の負担軽減を図り、資格取得の促進を図っているところでございます。また、優秀なマンパワーの確保を図るため、市町村や施設の理事長、施設長等に対し、労働条件の改善等についても指導を行っています。今後とも、市町村や関係団体とも協力しながら、マンパワーの確保に努めてまいりたいと考えております。  ホームヘルプサービスについては、これまでの家事援助中心から身体介護に対するニーズが増大してきておりまして、これに対応するヘルパーには専門的な知識や技術が必要となっています。このようなニーズの変化に対応するため、県としては本年度から市町村においてリーダー的な立場にあるヘルパーを対象に、身体介護を中心とした高度で専門的な研修を行うホームヘルパー専門技術向上研修を実施いたしますとともに、新任や現任のホームヘルパーに対する研修の充実を図るなどいたしまして、その養成確保と質の向上に積極に取り組んでいます。  二十四時間巡回型ホームヘルプサービスでは、特に身体介護の必要度が高く、専門的知識及び技術を持った介護福祉士がこれに従事することは、サービスの質の向上を図る上から有益でございますので、市町村社会福祉協議会特別養護老人ホーム等サービス提供主体に対しまして、その活用を図るよう指導してまいりたいと考えております。  社会福祉協議会は、地域社会において住民の福祉活動を推進し、また社会福祉事業を企画実施する中核的な団体として活動しており、新ゴールドプランを推進する上で重要な役割を果たしています。これまで県としては、市町村社会福祉協議会の法人化を進めるとともに、民間としての機動性を生かした細やかな地域福祉活動に取り組んでいただくため、福祉活動専門員ボランティアコーディネーターの設置や各種活動に要する経費の助成を行っています。また市町村においても、ホームヘルプサービス事業デイサービス事業等の委託を進めておりますが、市町村間の取り組みにはやや差はありますものの、年々市町村社協の組織の拡充や事業の充実が図られてきているところでございます。今後とも、これらの事業を充実拡充するなどいたしまして、市町村社会福祉協議会を地域福祉推進の中核的な担い手として育成強化してまいりたいと考えております。  国の老人保健福祉審議会においては、本年二月以来新たな高齢者介護システムの確立についての審議を行い、去る七月二十六日に厚生大臣に対し中間報告を行っております。  それによれば、一、高齢者介護に対する社会的支援体制の整備、二、利用者本位のサービス体系の確立、三、高齢者及び現役世代による社会全体での介護費用の確保の三点を基本的考え方としております。方向といたしましては、適切な公費負担を組み入れた公的介護保健システムの具体的な検討を加えていくことが適当であるといたしております。  また、今後の主な論点といたしまして、一、新システムがカバーする介護サービスの範囲や水準、二、具体的な費用負担のあり方、三、サービスを担う施設の整備や人材の確保などを挙げております。これらの論点について、国におきましては、国民各層の議論や意見等を踏まえながら、今後さらに具体的に検討を進める予定となっております。    [上村勝行君登壇] 9 ◯上村勝行君 お答えをいただきましたが、ぜひ新川問題についてはよろしくお願いします。  私どもが市に陳情に行った際には、市の責任者が、どうも現場を見た形跡がないということから、非常に話がかみ合わずに困ったわけでございますけれども、県の強い姿勢が示されましたから、そういう方向でよろしくお願いします。  銃問題につきましては、私、この事件の被逮捕者といいますか、友達が私のおいっ子でございまして、静岡市に呼ばれまして、一日じゅう検察庁、警察、弁護士の間を走り回ったことがあるわけですけれども、銃問題は非常に重要な深刻な問題で、本当に身近に起こり得る問題であるということと、若い純真無垢な青年がそういう事件に巻き込まれる可能性があるということをぜひ認識をいただきまして、特段の取り組みをお願い申し上げます。  介護保険の問題につきましては、知事の答弁は望ましということでございました。しかし、これは重要な国民負担を含む内容でございますから、最大限県民全体に青写真を示していただきまして、討論に付していただきたいと、このようにお願い申し上げる次第でございます。  次に、県立病院の経営健全化計画について質問いたします。  県立病院は歴史も古く、地域住民に親しまれ、自治体からも頼りにされ、その思い入れもひとしおのものがあります。その県立病院の経営健全化を図るとして、高度医療の推進、外来患者の待ち時間の短縮等の多くの提言がされております。一読して感じましたことは、多くの有用な提言もありますが、正直言ってかなりの痛みを伴う提言だというのが印象であります。私は地域住民のニーズにこたえ、しかも健全な経営ができるようにとの立場から、以下、質問いたします。  まず、今回の経営健全化協議会に、県立病院の利用者や地域代表が入っていないというのはどのような理由によるものでありましょうか。すなわち、県立病院改善対策協議会の設置の経緯は、提言によりますと、県立病院事業への抜本的経営健全化を図るため、あるいは知事から委嘱を受けた専門家で構成され云々となっておりますが、実際に日常的に同病院を利活用している人や病院所在地の地域代表者は入っていないのであります。利用者や地域の住民の声が反映されていない提言が、果たして県立病院の役割と公共性を検討したものと言えるかどうか。結果とするところ、効率性に余りにも比重を置いた提言になってしまったのではないか。初めに病棟の削減ありきという提言になっているように思うのですが、いかがでしょうか。  提言によりますと、協議会では、検討に当たっては現地調査や病院長からのヒアリングを行ったとされているが、現地調査はどのようなものであったか、具体的に明らかにしていただきたい。また、利用者や地域住民の意見聴取はなされたのか、なされたとすればいつどのような方法でなされ、そしてどのような意見が出されたのか明らかにしていただきたい。  今回の九月議会では、その経営健全化計画を進めるため、既に四億二千六百余万円が提案されております。これは提言を受けて県が経営健全化計画を策定し、それに基づいて提案しているものと思います。私はこれほど大きな問題、しかも県民生活に極めて密着し、県の機構改革をも伴うような施策は提言が出されたら、はい予算、すぐ予算ということではなく、公聴会等をも開きながらしっかりと議論し、当初予算の第一回定例県議会で最終的に決めるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。補正予算にはなじまないと思うのであります。  次に、今回の計画の柱とも言える病床削減について質問します。  まず提言では、一般病床を縮小する根拠として、病床利用率を挙げていますが、縮小しなければならないほどの患者減とは思えません。患者数に比べて過大となっているという表現もあいまいで、計算の根拠をお尋ねしたい。病院利用率は、昭和六十二年度を一〇〇として、平成五年度は九四・八、しかしこの平成五年度は対前年度比では〇・四%増加しています。しかも、これから、優秀な医者の確保や高度専門医療の充実等によって患者の利用増を病院を挙げてやろうというわけですから、その矢先に病床を減らすという計画は納得がいきません。次に、その中で結核病床の減少について質問いたします。  病床利用率が極めて低いという、これまたあいまいな表現になっておりますが、計画病床数がどのような試算のもとになされたのかお聞きしたい。さらに平成五年度の結核患者の延べ入院者数では、鹿屋は千八百二十一人、北薩は千七百三十五人の入院患者がいるわけですから、この現実を考えれば、そして公立病院の使命を考えれば、廃止全廃ということにはならないと思います。また薩南病院については、平成五年実績の一日平均の入院患者数三十六人を十六人も下回る計画でありますが、まことに乱暴な根拠のないものと言わざるを得ません。この点に関しても考え方をお聞きしたい。  さらに精神病棟について申し上げますと、これまた平成五年度一日平均の入院患者数三百人を下回る二百九十人という病床計画が出されています。ここは閉鎖病棟という特殊な治療行為をする病棟があり、単純な数字だけの比較では現在入院している患者を大幅に強制退院させなければならない事態も想定されます。すなわち、姶良病院の短期治療型への転換と病床縮小という提言の内容では、二十年以上の患者を含めて長期入院患者の追い出しにならないのか危惧されますが、執行部の考えをお聞きしたい。  また提言では、姶良病院に関して民間での処遇困難者や重篤な痴呆性老人患者を積極的に受け入れるとしていますが、精神疾患の特性からいって、これは必然的に長期入院につながるものであり、短期治療型への転換と病床縮小という、もう一つの方針と明らかに矛盾するものではないかと思うのですが、いかがでしょうか。  次に、患者の入院日数を短縮するため、患者の紹介構想体制づくりを進め、地域の医療、福祉機関と協議会をつくられるとのことですが、これはいわゆる患者の追い出し、たらい回しにならないか、介護体制が十分でない今日の日本の現状では危惧されるところであります。具体的な構想を含めてお答えください。  また、優秀な医師の確保と定着を図ることは賛成であります。鹿児島大学医学部医局との連携を強めるとのことでありますが、具体的にはどのような方法を考えられておるのか。鹿大には鹿大の都合があります。ですから、私は本気で公募制を思い切ってやっていただきたいのであります。この公募制をどのような具体的構想でやられようとしているのかお聞きいたします。  次に、収支目標についてお聞きいたします。  提言によりますと、平成五年度は実質的な赤字は約四十五億円に達しており、一般会計から四十二億円繰り入れても、決算でなお三億六千七百万円の赤字が発生し、経営は極めて困難な状況に陥っているとあります。  一方、結核、精神、救急、高度医療など業務の性質上、その収入のみをもって充てることが適当でない経費、能率的な経営を行ってもなおその収入のみをもって充てることが困難と認められる経費については、地方公営企業法に基づき一般会計が負担することになっておるが、本県の県立病院については、この国の指導基準に加え、県からも繰り入れているとあります。しからば、平成五年度繰入金四十二億円余のうち、国の指導基準に基づく繰入額は幾らなのか。これは前の質問者の答弁で三十一億円ということでありましたが、できれば大綱的な費目ごとにお答えいただきたい。また、県の繰り入れ額は幾らか教えていただきたい。  提言の収支目標は、この県の独自の上乗せ繰入金を経営努力によって解消していくことを目指しているものと思います。国の繰入額は、地方公営企業法上の精神からして、私は一般的なことであると考えます。別にこの国の繰入金を赤字赤字と騒ぐ必要はないと思います。執行部もそのように受けとめておられるのかお伺いいたします。 10 ◯保健環境部長(安達一彦君)昨年五月に設置いたしました県立病院経営改善対策協議会には、経営的に極めて厳しい状況にございます県立病院の今後のあり方及び役割と抜本的な経営改善方策につきまして、提言を取りまとめていただきますようお願いいたしました。このため、その委員につきましては、県立病院の問題点や課題、改善方策等につきまして、客観的な視点から御意見をいただける方に委員として御就任いただくことといたしまして、医療及び経営の分野で専門的なお立場にある六人の方々に委員をお願いしたものでございます。  県立病院の経営健全化のためには、病院の現状や問題点を一番把握しておりますそれぞれの病院の主体的な取り組みが重要でありますことから、病院長からのヒアリングの場を設けまして、それぞれの病院のあり方や経営健全化にどのように取り組むかといったことなどにつきまして意見の聴取を行っていただきました。また、委員の方々は手分けして五つの病院すべてを訪問され、その際、病院の概況のみならず、地域の医療環境や患者さんの意向などにつきましても、病院長や事務長、総婦長などからの説明を受けておられます。  県立病院の経営健全化につきましては、これまでも県議会のたびことにさまざまな御論議をいただき、また抜本的な経営健全化への取り組みを強く要請されてまいりました。平成六年度には県議会からの強い要請を受けまして、外部有識者によります県立病院経営改善対策協議会を設置し、本年五月に同協議会からの御提言をいただきましたが、同協議会での審議の経過につきましては、県議会でもたびたび御論議をいただいているところでございます。私どもといたしましては、極めて厳しい状況にございます県立病院の経営健全化に早急に取り組む必要があると考えており、協議会からの御提言を真摯に受けとめまして、経営健全化計画の実施を進めてまいりたいと考えております。このため、今議会に平成八年度からの計画の実施に備えまして、病棟、病室等の改修や医療機器の整備等を図りますための補正予算をお願いしているところでございます。  本県の県立病院における結核病床及び精神病床を含みます全病床につきましての入院患者数は、昭和六十二年度から平成五年度までの間に五・二%減少しております。また、精神病院であります姶良病院、それから一般病床を増床する予定の大島病院を除きます鹿屋、薩南、北薩の三病院の入院患者につきましては、八・四%の減少となっており、その病床利用率も昭和六十二年度の八八・八%が平成五年度には八一・三%と大きく落ち込んできておりますことから、病床の効率的な運用を行いますことにより、医師や看護婦など貴重な医療資源の有効活用によります医療機能の充実とともに、費用の節減を図るという観点から病床削減を行う必要があると考えております。  医療技術の向上に伴いまして、結核の入院期間はどんどん短くなっており、県全体でも平均五カ月前後となっております。鹿屋病院及び北薩病院に現在入院しておられる結核患者さんにつきましては、七年度末までには全員退院あるいは通院治療が可能になるものと病院からの報告を受けております。また、薩南病院につきましては、予防対策の充実や医療技術の向上などから、在院日数の短縮や通院治療によります対応が可能となっておりますことなどを勘案いたしまして、病床の縮小を行うものであります。なお、平成六年十二月末の本県における結核病床数六百二床に対しまして、入院患者数は二百二十六名と、三七・五%の病床利用率となっており、県内の結核病床の確保につきましては支障はないものと考えております。  姶良病院の平均在院日数は近年短くなってきており、作業療法などリハビリテーション機能の一層の充実や家族会の協力等によります社会復帰機能の強化及び通院治療の拡充によりまして、全国の自治体立精神病院の約一・六倍となっております平均在院日数の短縮をさらに図ることによりまして、病床の縮小を行うことといたしております。また、処遇困難患者や重篤な患者の受け入れにつきましては、応急入院や措置入院、あるいは精神科救急など、民間病院では対応が困難な急性期の患者さんにつきまして緊急的な受け入れを行い、症状が安定した段階で必要に応じまして他の民間精神病院で対応していただくということでございます。こうした連携を強化することによりまして、県内唯一の公立精神病院としての役割が確立されていくものと考えております。  県立病院と他の医療機関等との役割分担につきましては、それぞれの患者さんの病状に応じまして、例えば十分なケアの提供が行えるような地域の他の医療機関や老人保健施設等を必要に応じ紹介しようというものでございます。県内の老人保健施設につきましては、県立病院がほぼ現在の体制となりました昭和六十一年には、そもそのそのような制度がなかったわけでございますが、平成七年度中、今年度中には二千八百床、平成八年度中には三千五百八十二床となる見込みであり、まだ十分とは言えないものの急速に増加してきております。いずれにいたしましても、患者や家族の方々の御理解を得ずに転院させるようなことは考えておりませんので、お話にあるようなたらい回しや追い出しにつながるようなことはないと考えております。  県立病院では、医師の安定供給という観点などから、その勤務している医師のほとんどを鹿児島大学医学部の医局のローテーションに頼っている状況にございます。県立病院の診療機能の充実強化のためには、それぞれの県立病院の医療実態に応じました優秀な医師の確保が必要であり、それぞれの医局に対し強く要望いたしますとともに、研修制度の充実等によりまして、意欲ある医師にとりまして魅力のある病院にしてまいりたいと考えております。なお、こうした取り組みを進めますとともに、鹿児島大学では供給が困難な分野につきましては、医師の公募制も必要であると考えており、他県の状況も参考にさせていただきながら、採用後の具体的な処遇等をどうするかといったことなど必要な検討を行ってまいりたいと思います。  地方公営企業法におきましては、御指摘のように、効率的な運営を行いましてもなお不採算となる経費等につきましては、一定のルールのもとに一般会計からの繰り入れが認められておりますが、これには国の指導基準という一定の限度がございます。平成五年度の一般会計からの県立病院事業の収益的収支への繰入金約四十二億一千万円のうち、国の指導基準内の分は約二十億六千万円でございますが、その内訳は、高度特殊医療に要する経費約四億七千万円、救急医療に要する経費約二億円、精神病院運営に要する経費約五億三千万円、結核病院運営に要する経費約二億五千万円、企業債利息約五億円などでございます。また、国の指導基準を超える繰入金につきましては、先日、三十一億円というお話がございましたが、これは平成七年度予算におけるものでございまして、お尋ねの平成五年度につきましては約二十一億五千万円でございます。その内訳は、看護料で賄えない看護婦人件費約九億五千万円、立地条件による不採算経費等約二億五千万円、それから企業債利息の不足分約二億五千万円、それから共済組合追加費用約五億九千万円などでございます。  なお、最後のこの共済組合追加費用につきましては、指導基準の改正によりまして、現在は国の指導基準の範囲内ということになっております。  このように、平成五年度の一般会計からの繰入金は国の指導基準内の部分を差し引きましてもなお多大であり、経営健全化計画の着実な実施に努めることによりまして、合理的、能率的な経営に一層努力し、一般会計からの繰入金に大きく依存いたしました現在の病院経営体質から早急に脱却しなければならないと認識しております。 11 ◯上村勝行君 たくさん再質問を予定しておったんですけど、時間もございませんので、簡単に二、三質問いたしますから、部長さんも簡単に明確に御答弁をいただきたいと思います。  結核に関して考えますのは、鹿児島県保健医療計画で第二次医療圏をつくっていますよね。その第二次医療圏から、今回、北薩、南薩は結核病床がなくなるということでございますが、そのことについての問題点はないのか。せっかく自分たちでつくった保健医療計画ですから、確かに採算はとれないかもしれませんけれども、二次医療圏に最低結核病床は残すというのが、基本的な県の構えでなくちゃいけないと思うんですけど、それはどうでしょうか。  それから菱刈町議会から意見書が出ております。これはやはり計画を確定する前に市町村等の意見を聞かなかった結果ではないかというふうに思っております。読む時間はございませんけれども、計画書は経済性のみを追求しとか、地域住民の声を聞くことなくとか、かなり激しい言葉で書かれております。これから先、地域住民、自治体等の意見を積極的に聞いていく構え、計画があるのかどうか、それをお聞きいたします。  あと薩南病院につきましては、お聞きするところによりますと、現在入院患者の待機者がいると、四十数名いらっしゃるそうでございます。それじゃ満杯かというと、女部屋、男部屋のあれがありまして、満杯じゃないと、しかし待機者はいるということなんですが、そういう非常に利用率が高いのに病床を削減されるということは納得がいかないという声が出ているんですけれど、どうでしょうか。  以上。 12 ◯保健環境部長(安達一彦君)まず、結核病床と地域医療計画との関係でございますが、ちょっと手元に資料がないんで、第何条であったかは明確に覚えておりませんが、地域医療計画の中では、結核、精神等につきましては、県全体での必要病床数を定めるということになっておりまして、二次医療圏ごとでの必要病床数という規定はございません。また今回の削減につきましては、先ほど御答弁させていただきましたように、病床利用率が県全体でも三七・五%ということで、本県の結核対策に支障はないものというふうに考えております。  次に、市町村の意見ということでございますが、これまで私どもできる限り考え方を外部にお示ししてきており、特に市町村に対しましては、去る五月の県政説明会の場で提言について説明を行いました後、全市町村に提言、計画案骨子及び計画書をそれぞれ送付いたしますとともに、また県立病院が立地する市や町には保健環境部、あるいはそれぞれの県立病院から直接伺って、計画案骨子及び計画について説明を行うなどの対応を行ってきております。いろいろな方々の御意見があれば、それにも耳を傾けながら、県民の方々や関係者の御理解と御協力を得て計画が円滑に実施できるよう努めてまいりたいというふうに考えております。  それから、薩南病院で待機患者がいるんではないかというお話でございますが、待機ということには、例えば手術待ちとか、さまざまな理由があるかと思います。それだけをもってベッド数が足らないんではないかということにはならないというふうに思っています。先ほども申しましたように、薩南病院、北薩病院、それから鹿屋病院につきましては、病床利用率が低く使われない病床もあるということで、それらの有効的活用を図ると、効率的な運用を図ると、また、そこについておられる医師や看護婦といった貴重な医療資源の有効活用を図ることによりまして、診療機能の向上を図るといった観点から、今回病床の削減を行おうというものでございます。    [上村勝行君登壇] 13 ◯上村勝行君 お答えをいただきましたけれども、やはり計画案を固めてから市町村に説明するという基本的なスタンスに私は大きな問題があると、このように考えます。したがって、これからもぜひ自治体及び利用者の意見を積極的に聞きながら対応してもらいたい思います。  結核病床につきましては、例えば、笠沙から指宿か鹿児島に結核病棟に入院する、これは家族にとりましても非常に大変でございます。佐多町から志布志の有明町の国立志布志療養所に通院をする、あるいは入院をするという事態も考えなければなりません。先ほど申し上げましたように、思い切った計画であることは間違いございませんが、非常に出血を伴うといいますか、痛みを伴う計画でございますので、ぜひさらに県民の意見を聞きながらこの問題は対処していただきたいということをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手) 14 ◯議長(鶴田辰巳君)次は、山本求之君に発言を許可いたします。    [山本求之君登壇](拍手) 15 ◯山本求之君 早いもので、平成七年も残すところあと三カ月余り、ことしは年明けの阪神・淡路大震災に始まり、地下鉄サリン事件、景気の沈滞など暗いニュースが続きました。海外へ目を向けてみましても、民族紛争、国際世論を無視した核実験など、平和とはほど遠いことばかり起こりました。  そんな中、唯一私たちに夢と希望を与えてくれた出来事といえば、そう、あのトルネード投法で大リーガーをきりきり舞いさせたドジャースの野茂英雄投手であります。独特のフォームから繰り出されるストレートやフォークボールが決まるたびに、日米の野球ファンは熱狂の渦に包まれています。昨年、大リーグはストライキに入り、国技であるベースボールのないアメリカは沈み切っていました。それが、四月の開幕を迎え、海を渡ってきたトルネードに目を見張り、野茂の一挙手一投足にアメリカ中がくぎづけになりました。
     そうしたトルネード旋風は、野球人気のみならず、経済への貢献も大きなものがありました。まさに沈滞し切った日本の経済にも、このような野茂投手の活躍が欲しいものだと思わずにはおれません。一人の若者の勇気ある決断が大国に一つのうねりを起こしたように、起爆剤がタイムリーであれば、思わぬ効果があらわれてきます。しかしながら、そのためには、国であれ地方であれ、また景気であれ思想であっても、その土壌づくり、環境づくりがなされていればこそと思うのであります。人の意識や行動が常に前向きであるからこそ、あしたが開けてくると思いますが、この偶発的な起爆剤を待つだけでなく、積極的につくっていくことこそ大切であり、私はここに政治の役割があるのだと信じています。  そこで、大変気になることがあります。七月に行われた参議院選挙を振り返ってみますと、投票率が非常に低いということが言えます。県としても文書による啓発、広告塔などによる啓発、新聞、テレビ、ラジオによる啓発、自動車、軽飛行機等による啓発などこれまでの啓発事業に加え、今回は新規に一定規模以上の企業に対する依頼や海の祭典会場でのアドバルーンの掲揚など取り組まれてまいりましたが、結果は県平均で五一・二〇%、最も低い鹿児島市で四〇・六四%と、史上最低の投票率でありました。  この投票率低下の一つの原因に、近年、無党派層、無関心層と呼ばれる有権者が若者を中心に増加していると言われております。憲法に保障されている参政権を「棄権も一つの意思表示である」として解釈し、みずから意思表示する権利を放棄する有権者がふえているのです。「投票する権利」という言葉があります。その権利と同時に、私たちは「投票する責任」ということを思い出す必要があるのではないでしょうか。権利があるところには、必ずその行動への責任があります。権利を放棄するということは、つまり責任を放棄するに等しいのです。  今回の参議院選挙投票日の翌々日の朝刊に、「政治不信、失望感 「静観」で意思示す」、こういうタイトルで、投票に行かなかった五十名の県民のコメントを載せています。しかも、氏名、年齢、職業、住所を載せてであります。  さまざまな意見が出されておりますが、少し紹介してみたいと思います。  鹿児島市の三十四歳、衣料店店長、「一票の重みがない。忙しい中、無理してまで行こうと思わなかった」。川内市の主婦、三十六歳、「入れる人がいなかった。選挙カーも来ないし、身近でなく、関心もなかった」。菱刈町の三十三歳、会社員、「初の棄権。政治家に期待が持てず、政治不信の意思表示だった」。和泊町、喫茶店経営、五十歳、「忘れていた。政治家に興味を失ったからだろう。低投票率で、妙に安心した」、こういった意見が出されております。  この新聞を読むと、選挙を棄権することが、あたかも良識の行動であるように読者は受け取りかねないように思われてなりません。私は唖然としてしまいました。私も含め政治に携わる者の責任は、今こそ最も問われているときであるということは十分に認識しております。しかしながら、政治不信と投票棄権をそのままつなげてしまうことが一般的になってしまえば、さらに政治と有権者が離れてしまい、政治の本来の姿が見失われてしまうのではないでしょうか。支持者がないということであれば、それなりの手段は別にあると思います。政治に、また行政に対しての批評、批判は大いに結構でありますが、責任の放棄は真の声とは認められないように思われます。一人一人の県民、国民の責任ある行動は、どうあるべきかということが問題なのであります。  さて、投票義務違反、つまり棄権した場合、制裁のある強制投票制を採用している国があることを御存じでしょうか。アルゼンチンでは約二十ドルの罰金及び三年の公職・公務就任の禁止、その他イタリア、オーストラリア、スイス、ギリシャ、シンガポールを初め、罰金または自由刑という制裁が行われている国が、私が調べただけでも十六カ国あります。我が日本において、すぐさま罰則を制定することは憲法上無理でありますが、ただ、投票という行為が、それらの国では国家体制の最も根幹をなすものとして、国民の権利とともに使命であるという考え方を持っています。これは十分に学ぶべき点であると思います。  単なる無党派層であるとか、政治不信といったあいまいな流行語で片づけられない政治への責任の重みを感じさせるような施策が今後求められるのではないでしょうか。このような世情をどのようにお考えか。自治省で選挙部長をお務めになるなど、長年選挙関係に携わってこられた専門家である知事の見解をお伺いしたいと存じます。  もちろん、こうした意識改革こそ大前提ではありますが、まずは少しでも投票に行きやすい環境づくりから始めなくてはいけないと思います。その理由として、投票率低下のもう一つの原因に、投票に行くのが面倒くさいという感覚を持っている方々がいるということが、現実の問題としてあるのではないでしょうか。私は、この面倒くさくて投票に行かないという部分を解決することによって、幾らかでも投票率を向上させることにつながるのではないかと思うのであります。  まず、投票所でありますが、現在、ほとんどの投票所が、小・中学校あるいは公民館となっております。もう少し人の集まりやすい場所、例えば駅だとかデパートであるとか、繁華街でも投票ができたらと思います。公職選挙法第三十九条で「投票所は、市役所、町村役場又は市町村の選挙管理委員会の指定した場所に設ける」となっておりますから、その「指定する場所」ということで融通がきくと思うのでありますが、いかがでしょうか。  もう一つは、不在者投票であります。実際に不在者投票に出かけた人の話を聞くと、それぞれの市町村で差はあるものの、中には「選挙当日どこへ行かれるのですか。何の用事ですか」と厳しく聞かれ、「それなら時間内に帰ってこれるでしょう」、そこまで言われたところもあるそうです。これも当然、公職選挙法第四十九条で、不在者投票のできる者は、投票区の区域外において職務または業務に従事中であるべきこと、あるいはやむを得ない業務または事故のため、その属する投票区のある市町村の区域外に旅行中または滞在中であるべきことなどと定められているのでいたし方ないとしても、一々プライベートなことを聞かれると、いい気持ちはしないものであります。私に言わせると、どんな用事であれ、不在者投票でもきちんと投票をする人は立派だと思うのでありますが、いかがでしょうか。  次に、我が県の基幹産業である農畜産業がいよいよ転換期を迎えた今、その問題点についてお伺いいたします。  農林水産省は、新食糧法施行へ向けて、生産、流通、各面においての調整スケジュールを設定いたしました。その運用面では生産調整などの助成金確保、政府買い入れ価格の算定方式、出荷業者と生産調整との関係など残された課題も多く、我が国あるいは我が県農業の本当の生き残りをかけた戦いもまさに始まってきている現実を直視しなければなりません。まず、新食糧法においては、産地、品種、生産年の精米表示が義務づけられる方向で検討されております。集荷業者が登録制になることにより、競争力のある業者は競争力のある商品、つまり米を選定することは必然であり、もちろん消費者も今以上に厳しい目を持って商品を選ぶことになります。生産者にとっては、品質向上や生産効率を上げることが急務となります。  鹿児島県産米の現在の競争力、つまり品質やPRなど新法施行に対応できるのか、不安は隠せない思いがいたします。早期米のPRだけでは、例えばオーストラリア米など二月から四月には新米が入ってまいります。国際競争力という問題も起こってくるのです。県産米の視点を変えたPR、あるいは我が県の地域性を生かした新品種開発など、指導や補助などどのようにお考えか、お伺いいたします。  集荷業者が登録制に変わることにより、そして集荷業者が主として生産調整を行うようになることで、確実な生産調整ができるのかどうか、大きな問題とされております。これは国家的な問題でありますが、これまでどおり市町村も生産調整に積極的に取り組むことが肝要であり、県としても指導が必要と思われますが、どのようにお考えでしょうか、お聞かせください。米の備蓄、調整保管においても、長期保管施設、低温倉庫の増設を、県としては助成金を含めどのような支援を行うのか、お示しください。  次に、畜産についてお伺いします。近年、輸入牛の国内消費がふえたことにより、国産牛価格低迷が続き、畜産農家の存続まで危惧される現状であります。何とかしなくてはいけない。これは私の理想論でありますが、肥育農家と生産農家、飼料担当農家がそれぞれ個別の経営体として、おのおのが分業化した上で契約、情報交換等によって結びつき、肉用牛ネットワークを形成することによって作業の軽減、規模の拡大、専門技術の向上など合理的作業、あわせて品質向上、コストダウン等が図れると考えますが、このような体制づくりを検討研究され、実際に取り組まれるおつもりはないのでしょうか。少なくとも国内市場において国際競争力を問われてきた今、基本的な畜産構造改善が必要であると言われています。現実に自由化の後、かなりの畜産農家が赤字経営と言われていますが、その負債農家の救済も我が国畜産業、ことさら畜産県鹿児島の発展のために急務であります。畜産を守り育てるために、目をそむけてはならない現実があることを認識し、本当の営農指導がなされることを、私は多くの方々の苦しみを聞き、今切望するものであります。  そこで、県内の負債農家の実情はどうなっているのか、お聞かせください。  さらに、負債の累積が懸念される状況にあることから、固定化債権の棚上げ制度の創設並びに債務保証制度の充実強化を図ることはできないのか、また再建困難な農家について、どのような対策を講じていかれるのか、お伺いいたします。    [知事土屋佳照君登壇] 16 ◯知事(土屋佳照君)先般行われました参議院議員通常選挙では、投票率が全国で四四・五二%、本県でもお示しのように五一・二〇%と史上最低となり、国民の投票参加が極めて少なかったことは、これが極めて特徴的なことであり、また大変残念なことだったと思っております。  私は、たびたび申し上げておりますように、かねてから政治のあり方として、政党がその機能を十分発揮をして、国民の信頼と共感を呼ぶ政策のもとに国民の政治的意思を結集していくと、そういった政党本位、政策本位の選挙を通じて政治が行われるべきものであると思っております。そういった意味から言えば、投票率低下の原因については、いろいろな指摘がありますけれども、これほど投票参加が少なかったことは、我が国の議会制民主主義にとって極めて大きな問題を投げかけたものと受けとめております。私は、無党派層の広がりや、投票を棄権するという行為が広がってきておりますことは、決してよい方向への流れではない、むしろ我が国の政治にとって極めて懸念すべき現象であると思っております。  このような状況を打破するためには、いろいろなことがありましょうが、まずはやっぱり政党が国民の政治的意思を吸い上げるのに十分機能を発揮しているのかどうか、そういうことについて強く反省する必要があるのではないかと思っておりますが、同時に有権者が一票の持つ重みを十分に再認識をして、一方では一票の重みについて訴訟まで行われておる。その一票を行使しないということは残念でございまして、もっと積極的に国政に参加する姿勢を示してもらいたいと念願をいたしております。  このためにも、選挙管理委員会において、選挙に関する啓発活動等にいろいろと熱心に取り組んでいただいておりますし、いろいろな工夫もございました。私がまだ選挙部長以前の選挙課長をしておった時代ですね、ある町の選挙管理委員会で、入場者に番号を付して、それで当選すればすばらしい商品が当たるということまでやられ、それをどうかと聞かれて、私は「そこまでは」と言って答えたところが、国会で「それぐらい努力しておるのに、おまえは水を差すな」と怒られたような経験もございましたが、みんなそれぞれに苦労をしておられるような実態もあるわけでございます。  これは選挙管理委員長からお答えになることですが、例えば不在者投票にいたしましても、前は書面できちっとしたものを持っていっておったやつを、大変忙しいときに一々できないから、その事情を疎明すればいいというのは、私が選挙課長のときにそういうことをしたわけであります。いろんな、これは小さいことでありますけれども、制度的なことをあれこれやってみたのでございますけれども、なかなか難しいと。やっぱり要は有権者自身の判断の問題だろうと私は思っております。  と同時に、私は世論の形成に大変大きな役割を果たしておられます報道機関の力というのは、これからもますます大きくなると思いますので、今後さらにこの選挙の啓発活動といったような点にお力添えをいただきたいものだと思っております。 17 ◯選挙管理委員長(松村仲之助君)投票率の低下の原因については、なかなか一概に申せませんが、一つには選挙人の政治に対する関心の低下が、その原因であると考えております。特に若者や都市部の選挙人にこの傾向が強く見られますことから、青年リーダーの研修会及び新有権者の研修会に特に力を入れまして実施するなど、選挙啓発の充実に努めているところであります。  投票する権利が、権利であると同時に責務を伴うことは、おっしゃるとおりであります。投票率向上のための啓発を今後とも有効に進めまして、努力していきたいと思っております。  投票所の設置でありますが、現行の選挙制度は、選挙の適正な管理執行及びその公正を確保する観点から、一投票区に一投票所ということになっておりまして、投票区の区域内外にさらにもう一個の投票所を設けるということは認められていないところであります。  次に、不在者投票でありますが、選挙人が公職選挙法に定められた幾つかの正当な事由によって、選挙の日に投票所に行って投票することができない場合、または身体に重度の障害がある者について認められている制度でありますけれども、あくまで一般投票に対する例外的な取り扱いでありますので、これもちょっと先ほど知事さん申し上げましたように、大分制度のやり方も緩やかにして、しやすいような制度の改正も行われましたけれども、その運用が安易に行われますと、不正行為が行われたり、その乱用があったりしまして、選挙の公正が損なわれますおそれがありますので、また過去においては、当県においても、この不在者投票の管理執行をめぐって選挙争訟が幾たびか提起されていることなどを考えましても、私どもはやはり法にのっとった厳正な対応が必要であると考えているところでございます。 18 ◯農政部長(松本浩二君)銘柄米として売れる米づくりでございますけれども、国においては消費者が米の品質を客観的に判断できるように、産地、品種、産年、これを三点セットと申し上げておりますが、三点セットを基本にいたしまして、精米表示の見直しを検討をいたしておるところでございます。今後、米の産地、銘柄を確立することがますます重要になってくると考えておりますので、県といたしましては、他県に先駆けた早期出荷、県内外の卸売業者への産地情報の提供、主要消費地における新米のキャンペーンなど、PR、宣伝活動を強化することによりまして、県産コシヒカリ、ヒノヒカリなどの販路拡大に努めてまいることといたしております。  また、品種育成につきましては、自主流通米主体の流通に対応できる競争力のある産地づくりと銘柄米の確立を主眼にいたしまして、本県の地理条件に合った収穫時期の早い早期水稲や食味にすぐれた本県独自の普通期水稲の新品種育成に努めているところでございます。  なお、米の長期保管庫につきましては、品質の保持が極めて重要であることから、低温貯蔵施設の整備、これにつきましては融資制度などが既にございますけれども、助成対象となるように国に要請をしておるところでございます。  米が過剰基調の中において、今後の米の需給と価格の安定を図る観点から、実効ある生産調整を実施することが必要でございます。このため、県といたしましては、生産者団体、市町村、県に加え、集荷業者、集荷団体も含めた推進体制を県段階、地域段階に整備し、生産調整の円滑な推進が図られるように努めてまいることといたしております。  肉用牛生産は、その大半が子牛生産部門と肥育部門に分離されておりまして、経営に必要な粗飼料は個々の農家で生産され、不足分を流通粗飼料で確保している現状にございます。肉用牛生産を分業化し、各部門がそれぞれの業務に専念することは効率的であり、県内にも集団活動によりまして乾草生産を行いまして、地域内の小規模の高齢肉用牛農家に供給している、そういった例もございますけれども、大規模専業農家に必要な粗飼料を生産供給する体制を整備することにつきましては、土地の集積とか経営相互のリスク負担などの面で難しい点もございますんで、御提案の生産体系についてはさらに研究をしてまいりたいと、こういうふうに考えております。  県といたしましては、肉用牛経営の生産技術の向上等を推進しつつ、家畜の出荷や飼料作物生産等の作業受委託組織の育成を図りながら、子牛の価格変動に左右されない経営内一貫生産体制を推進してまいりたいと考えております。  高額負債畜産農家対策でございますけれども、畜産農家の一戸当たり平均負債額でございますけれども、約二千五百六十万円で、このうち固定化負債額は八百三十万円となっております。これはいずれも平成五年度の農協を通じて調査をいたしました結果でございます。こういった畜産農家の負債対策につきましては、昭和六十三年度から畜産特別資金が融通されてきたところでございまして、さらに平成五年度には大家畜及び養豚経営活性化資金が創設をされておりまして、加えて本年度から農家負担軽減支援特別資金が創設をされているところでございます。  これらの資金の融資実績でございますけれども、昭和六十三年から平成六年度までに百三十三億円に上っているところでございます。県といたしましては、これらの融資制度の実施にあわせまして、経営改善・管理指導の徹底を図りますとともに、債務保証制度の充実・効果を図ってきておるところでございます。  なお、固定化負債の棚上げ、償却制度等につきましては、県農協中央会が農業経営再建特別対策事業を平成二年度に創設をいたしておりまして、系統農協みずからが畜産農家の経営安定と経営転換、更生対策等を講じておるところでございまして、県もこれに対し利子補助を行うなどの支援を行ってきておるところでございます。    [山本求之君登壇] 19 ◯山本求之君 それぞれ御答弁をいただきました。  不在者投票の手続は同じでも、対応がそれぞれの市町村で、あるいは担当者で異なっているということは、いかがなものでしょうか。法律に基づいて職務を果たされている選挙管理委員会としては、ただいまの委員長の答弁になるのはいたし方ないと思います。これは法律に定められている以上、この場でとやかく言ってもどうにもならないことでありますが、ただ社会は変わり、人々の生活も大きく変わってきた今、公職選挙法の投票所や不在者投票のあり方を初め、大きく見直しをしなければならない部分もあると考えます。どうか機会あるごとに、私が申し上げたような意見もあるということを御認識いただき、取り上げていただきますようお願い申し上げます。  負債農家の現状を知れば知るほど、何とかしてここで歯どめをしなければと思うわけであります。県当局の苦しみもよくわかります。しかし、農政部長、本県畜産の将来を考えたときに、今やらなければ、いつやるんだ、自分がやらなきゃ、だれがやるんだ、そういう気持ちで堂々と取り組んでいただき、そうすることによって、必ずや解決するものと確信をいたします。  新食糧法、まだこれからでありますが、不安の募る本県稲作農家にとって、当局の御努力のもと、いい意味での新ショック療法にならんことを願ってやみません。  次に、本県の温泉資源を活用した地域活性化調査事業についてお尋ねします。  皆様御案内のとおり、本県は源泉総数が二千六百余りで、大分県に次いで全国第二位、総湧出量でも毎分十九万二千リットル余りで、北海道、大分に次いで全国第三位、温泉を利用した公衆浴場数では四百三カ所と全国第一位となっているなど、全国有数の温泉県であります。  また、総理府の観光白書によりますと、人々が思っている旅行の目的としては、第一位が「温泉に入る」となっており、以下「のんびりとくつろぐ」、そして「美しい自然景観を見る」などとなっております。また、一定期間滞在型の旅行先に求める機能としては、やはり「温泉を利用した施設、クアハウス等の施設がある」が第一位に挙げられているなど、観光立県を目指す我が鹿児島県としては、温泉資源の最大限の活用が大きな課題であるということは言うまでもありません。私の地元でも、例えば宮之城町では、高校生のラグビーの合宿に温泉を活用したり、薩摩町や樋脇町ではホテルやゴルフ場で温泉を活用しているなど、さまざまな取り組みが進められているところです。  しかしながら、また一方で、県民の方々自身による温泉の活用状況や活用に向けての県民の意識は、どのような状況でしょうか。残念ながら、余りに温泉が豊富で余りに身近にあり過ぎるためか、一部の方々を除いては、このすばらしい資源を十分に活用できていないというのが実情ではないでしょうか。あえて言えば宝の持ちぐされであり、灯台もと暗しといった状況であるとも言えるかもしれません。  また本県では、霧島や指宿といった全国に名の通った温泉地があるわけですが、昨今、ふるさと一億創生資金以来の地域興し関連施策による温泉の掘削が大いに進み、二十を超える市町村で、既に老人福祉センターや温泉つき分譲住宅、さらには道の駅などさまざまな用途に活用されているところであります。さらには、鹿屋市における県民健康プラザ予定地や根占町での宿泊保養施設予定地など、従来、温泉が余り開発されていなかった大隅地方においても、掘削技術の進歩のおかげもあり、新たに泉源が掘削されるなど、温泉の活用の可能性は、今や地域的にもかなりの広がりを見せています。  また、角度を変え、この夏に開通した九州縦貫道の効果をさらに高め、今後整備が進んでいく東九州自動車道や南九州西回り自動車道、あるいは九州新幹線の整備効果を最大限に引き出すためにも、ぜひとも今回の調査は全国に誇ることのできる、また今までにない視点から温泉活用を総合的にとらえることのできるすばらしいものとしていただきたいと考えておる次第でございます。  そこで、まず第一点として、今回の調査を行うとされた背景や調査の目的を改めてお聞きしたいと思います。また、資料によりますと、中薩地域をモデル研究地区と設定しているようですが、中薩地域をモデル研究地区と選定した理由及びモデル研究地区では、どのような研究を行われる予定であるのか、あわせてお伺いいたします。  次に、先日、第一回目の有識者による懇話会が開かれたとのことでありますが、報道によりますと、各分野の専門家から非常に有意義な意見がさまざまに出されたとのことであります。この有識者から成る懇話会は、どのようなメンバー構成から成っているのでしょうか。また、今後の運営のスケジュールはどうなっているのでしょうか。第一回目の懇話会で披露された主な意見とあわせてお伺いいたします。  次に、地域高規格道路について質問をいたします。  地域高規格道路は、県土の均衡ある発展を図るとともに、半日あるいは一日行動圏の拡大を図る観点からぜひとも必要な道路であり、早期整備を望むものであります。本年度、北薩横断道路など四路線について新たに地域高規格道路としての道路規格や比較ルートの検討、整備効果や沿線地域の地域活性化策の検討等の調査を進め、それぞれの地域にとってどのようなルートや規格及びインターチェンジの設置がふさわしいか検討するとのことでありましたが、いまひとつイメージがはっきりしないので、この際構造や規格、出入り制限があるのかないのかなど、現時点での基本的な考えをお聞かせください。  また、国道五〇四号の出水郡野田町から宮之城町、薩摩町を経由し、空港までのいわゆる北薩横断道路の紫尾道路と北薩空港道路のそれぞれ六キロ区間が、鹿児島県で初めて整備区間として指定されたわけですが、北薩地域の住民にとっては、空港までの最短道路として、一刻も早い完成を望むものであります。  この北薩横断道路は、同じ地域高規格道路である島原・天草・長島連絡道路や西回り自動車道、もちろん鹿児島空港や現在の九州縦貫道、ひいては九州新幹線という南九州一円にわたる交通アクセスの利便性につながる極めて重要な位置づけがなされるものであります。この道路の完工によって、はかり知れない経済効果も予想されるのであります。  このように、広い視点から見ても、我が鹿児島県の活性化に大きく寄与すると思われるこの整備区間の今後の整備状況と見通しについてお聞かせください。  また、この地域高規格道路は、いわゆるバイパスとなるわけでありますが、沿線住民にとっては、旧道こそが生活路線として最も大切であることは少しも変わることはありません。この生活道路の整備改良が地域高規格道路建設によっておくれるようなことになっては、地域の方々の本来の要望にはそぐわないことであります。  そこで、お伺いいたします。旧道の整備、中でも宮之城・高尾野線と十文字・永野線の未改良部分の整備について、どのような取り組みをされるのか、お聞かせください。  最後に、地域特産品の開発と販路開拓について通告をいたしておりましたが、我が党の代表質問と重なりますので、販路の開拓について質問をいたします。  先日の代表質問の中でもありましたように、順調な滑り出しを見せた遊楽館など、県外に対する県特産品のPRは徐々にその形を見せ始め、これからの効果に大きな期待が寄せられています。翻って、県内に対するPRはいかがでしょうか。先ほど農政問題の中で触れました米しかり、日本一早いコシヒカリと銘打ちながらも、店頭を見ますと県外ブランドに圧倒され、本来、地元米として大手を振るう立場の県産米が肩身の狭い思いをしているようです。  この例はほんの一例で、各地域で生産・加工業者が汗水を垂らして開発した特産品が、PR不足という理由でその努力が報われないことも多いのではないでしょうか。特産品とは、そもそも地元にあって最も愛され、親しまれているものであります。県民が自慢し、誇りを持って初めてたえ、伝播する力も強まります。また、県民がまず最初のお客さんとして購買することにより、地域経済の円滑な循環も生まれるのです。  そこで、地域特産品の県内PRをさらに促進し、県民の特産品に対する需要を掘り起こすようなコンベンションやフェアを、民間レベルだけでなく官・民一体となって開催するなどの施策はないものでしょうか。  また、県外において、鹿児島県はPR下手、売り方下手などとやゆされることがままあります。これは、販売戦略や企画力といったソフト面の展開の弱さを突かれてのことであります。例えば、ピカソの絵がここにあったとしましょう。ピカソの絵の価値をわからない者にとっては、ただの落書きです。しかし、一たんその価値を知ると目の色を変えて、もしかしたらよだれを流しながらその絵を見ることでしょう。鹿児島県の特産品も、まさにピカソの絵なのです。中身は本物、一度手にしたら、もう手放せません。しかし、手にするまでが問題です。ネーミング、パッケージなどの企画から告知、販売というマーケティングの重要性が問われるわけです。  そこで、平成四年、鹿児島県でもブランド支援センターを開設しました。この支援センターこそ、その名のとおり、地域の生産加工業者の応援団として、県ブランドの販路開拓をトータルに進める役割を担っているとの認識をしておりますが、開設以来、その活用状況はいかがなものでしょうか。また、成果としてはどのようなものがあるか、お教えください。    [知事土屋佳照君登壇] 20 ◯知事(土屋佳照君)温泉資源につきましては、高齢社会や余暇時代を迎えまして、ますます貴重な地域資源として、県民生活や産業振興、地域づくりなどさまざまな面での活用が考えられますし、県の総合基本計画の基本理念でございます「すこやかな郷土、ゆとりの文化圏域」と、この基礎にあります健康といった点を強調していく上からも、欠かせない重要な地域資源だと思っております。もっともっと活用すべきであるというのが私のかねがねの気持ちでございます。しかしながら、全国有数の温泉県であると、今お示しのございましたように、北海道、大分と並んで、まさにビッグスリーだと思っておりますが、この本県におきましては、平成六年十一月の実態調査によりますと、過去一年間に旅館やホテルなどの温泉を全く利用していない県民が約四〇%となっておりますなど、必ずしも身近な温泉資源が十二分に活用されているとは言えない状況にあると思っております。  こうした背景を踏まえまして、豊富な温泉の潜在的な利用可能性を最大限に生かしますために、今回の調査では温泉資源を活用した地域活性化方策等を体系的に研究をして、その結果、市町村において地域活性化に取り組む際の指針としてもらうことにしておるわけであります。  また、調査におきましては、既に全国的に有名になっておりますような地域以外のある程度広域のモデル研究地域というものを設定をいたしまして、地域資源と温泉との組み合わせによる活性化事例など、地域特性を生かした事例研究を行うこととしているわけでございまして、一つには、温泉資源が偏在することなく広域的に存在をし、郷土観光案内板の設置など広域連携の実績を持っておるといったこと、それから二つには、多様な自然環境や歴史資源があり、スポーツ合宿の推進など特徴のある取り組みが行われておるといったこと、また三つには、将来の交通アクセスの改善によりまして、より広域的な集客、お客さんを集めることができると、そういう見込みがあるような地域といった観点から、モデル研究地域として、宮之城町など七町から成る中薩地域を選定をした次第でございます。今後さらに、有識者から成る懇話会での御意見も参考にしながら調査検討を進めまして、せっかくの温泉県でございます鹿児島で、温泉が多様に活用されていくことを心から期待をいたしております。 21 ◯企画部長(中野敦嚴君)温泉資源活用調査のための懇話会の委員といたしましては、国内外における温泉活用の先進事例に詳しい専門家を初め、温泉を活用した医療、リハビリテーションやエネルギー活用についての専門家、それから健康づくりやスポーツ活動、観光、地域興しなどに取り組んでおられる方々、それに中薩地域の行政機関や商工関係者などにお願いをいたしておるところでございます。  去る八月三十日に開催をいたしました一回目の懇話会での意見といたしましては、近年、単に温泉を楽しむということよりも、健康とか郷土料理とか文化などとの組み合わせの中で温泉を活用する傾向に変わってきているということ、それから温泉の存在だけでなくて、周辺の街並み整備とかイメージづくり等が大切であるということ、そして農業など産業面での利用に当たっては、温泉水の効率的な利用にも十分配慮していかなければならないというようなこと、本県が温泉に恵まれているというようなことを情報発信に努めていくことが大事だというようなことなど多くの意見が出されております。  今後、懇話会を二回程度開催いたしまして、委員の方々からいただいた意見等を参考にしながら、調査報告書にまとめてまいりたいと考えております。 22 ◯土木部長(横田穰二君)地域高規格道路についてでございますが、この道路は、活力ある地域づくりを促すため、高規格幹線道路と一体となって地域間の交流を促進するとともに、地域構造を強化する道路でございます。その構造等につきましては、原則として四車線以上でインターチェンジによる出入り制限を行う自動車専用道路、またはそれと同等の機能を有し、時速六十ないし八十キロの高い速度サービスを提供する道路でございます。なお、整備につきましては、既存の道路におきましてバイパスや拡幅等を行う際に、質の高い道路として整備するものでございます。  次に、北薩横断道路については、去る四月に、北薩空港道路及び紫尾道路のそれぞれ六キロメートルが整備区間の指定を受けたところでございます。整備方針につきましては、当面、暫定二車線を基本としまして、本年度は調査及び用地買収を進めることとしております。  また、将来旧道となる区間のうち、幅員狭小部につきましては、地域の生活道路としての機能確保が図られるよう努めてまいる所存でございます。  今後とも地元の皆様の協力を得ながら予算確保に努め、早期整備に努力してまいりたいと考えております。 23 ◯商工労働部長(濱田隆道君)特産品の振興につきましては、県外はもとより、県民自身に特産品のよさを知ってもらい、愛用してもらうことが必要であるということは、委員御指摘のとおりと存じます。  したがいまして、県内におきましては、毎年十一月を県産品愛用運動推進月間として定めまして、新ふるさと特産品コンクールや産地工場見学会などを行いますとともに、かごしまブランドショップでの展示販売や県政番組での広報宣伝、鹿児島空港などでの展示を行っております。また、関係業界と一体となりまして、薩摩焼や川辺仏壇などにつきましては、フェスタの開催にも取り組んでおるところでございます。特に本年は、九州各県商工会連合会主催によります九州沖縄むらおこし物産展が鹿児島で開催することといたしておりますことから、県内からも多数の特産品が出展をされる予定でございます。  今後とも関係団体等とも連携をとりながら、これらの施策の積極的な推進により、特産品に対する県民の理解を深めてまいりたいと考えております。  かごしまブランド支援センターは、個性化、多様化していく消費者ニーズに的確に対応し、売れる商品づくりを促進するため、平成四年度に設置をいたしました。同センターは、これまで県内外におきまして、商品求評会や商談会、展示会を開催するとともに、商品開発やパッケージにつきましてもアドバイザーの派遣等を行ってきております。  こうした取り組みの結果、吉田町の乾燥レイシやサツマイモの蒸しパン、黒豚の焼き豚、西之表市のアザミのつくだ煮など数多く商品化されてきておりまして、これらの中には量販店等との取引が開始されたものもございます。また、本年度ブランド支援センターでは、かごしま遊楽館を活用いたしまして焼酎の販売拡大に取り組むほか、工芸品の展示販売会を開催して販路拡大に努めることといたしておりまして、これらの事業を積極的に展開することにより、消費者ニーズに的確に対応した商品づくりを進めてまいりたいと考えております。    [山本求之君登壇] 24 ◯山本求之君 温泉資源を活用した地域活性化調査事業で、中薩地域をモデル研究地区と選定していただいた理由もよくわかりました。地元の人間として、心から感謝を申し上げます。地元は地元で、これを機会に、宮之城温泉、市比野温泉、入来温泉、紫尾温泉を中心に幅広い温泉資源活用の研究がなされ、霧島、指宿に次ぐ全国に名の通った温泉地になることも間近であると確信いたしました。  地域高規格道路については、これは要望として申し上げておきますが、インターチェンジの設置については、地域の利便性や将来の発展等を十分勘案して御配慮していただくようお願い申し上げます。  特産品の開発、販路拡大ということで触れてきましたけれども、今、商工労働部長からお話がございました。今度、十月六日から八日までの三日間、九州沖縄むらおこし物産展が鹿児島港本港区で開催なされます。ことしが第十一回目でございます。私も、幾度か他県で開かれたときも行ったことがございますが、本当に他県の特産品とも比べてみたり、勉強になると思います。知事以下、執行部の皆さん、そしてまた議員の皆さん方も、ぜひお越しいただきたいと思います。  最後に、けさの新聞で紹介ございましたけれども、県庁農政課の佐野課長補佐さん、教育委員会学校施設課の福満課長補佐さん、それぞれが薩摩郡宮之城町、そして鶴田町の助役として、十月一日から御就任いただきます。いろいろ御配慮いただきました県当局の皆様方に心から御礼を申し上げます。  地域の抱えているいろんな問題がございますけれども、地域の皆さん、県とのパイプ役として役割を果たしていただくよう、大きな期待をいたしております。私ども地元県議として、鶴薗県議と私、ともに力を合わせて地域のために頑張ってまいります。お二人の御活躍と県当局のさらなる御指導、お力添えを心からお願い申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 25 ◯議長(鶴田辰巳君)ここで、休憩いたします。  再開は、おおむね午後一時十分からといたします。        午後零時三分休憩       ─────────────        午後一時十分開議 26 ◯議長(鶴田辰巳君)再開いたします。  徳留のりとし君に発言を許可いたします。    [徳留のりとし君登壇](拍手) 27 ◯徳留のりとし君 九月議会に当たりまして、二期目に向け曽於郡区の皆様方の温かい御理解ある御支持をいただき、ここに再び登壇の機会を与えていただきありがとうございます。県勢、曽於発展のために微力を尽くしてまいりますので、よろしくお願いいたします。  去る九月四日、東九州自動車道、串間鹿児島線の隼人、末吉間の二十七・七キロメートルの起工式が行われました。東九州の発展はもとより今後は早期完成を期していただきますよう土屋知事初め国、県、関係当局、議会の皆様方になお一層のお願いと、ここまでの喜びを分かつものであります。さらに、建設省から地域高規格道路であります都城志布志道路のうち末吉町、有明間八キロメートルも計画路線から調査区間に格上げされましたことに対しましても、確実な歩みを続けていますことに心にとめるものであります。  そして、九月十六日、十七日にかけ曽於郡におきまして、ここ白砂青松の地、志布志町総合グラウンドで開会式が行われました。「感動の汗、さわやかな風になれ、きらめく大地に」第四十九回きらめき県民体育大会が開催されました。土屋知事初め関係役員、選手団、地元のボランティアの皆様方に心から感謝いたします。おかげをもちまして曽於郡ははえある躍進賞の栄誉をいただき、前年度との得点差三十三・一〇上回りました。そして来年度の川辺地区五十回大会へとさらに夢をふくらましたのであります。ここに曽於大会の盛会に感謝しながら。  さて、ことしは黄金の波漂うさわやかな秋、農村、農家は充実そのものでありましたが、台風十四号で被災されました皆様方に心からお見舞いを申し上げます。時として農村の風景は中山間地、迫田の谷合いに過疎、高齢化と、しかし時の流れを時として感じさせない農村の移ろいの中に、自然の四季折々の野鳥のさえずりや春夏秋冬の田園の風景にほっとさせられ、郷愁を感じさせてくれるのであります。農村の魅力ある自然の素材が生きているのであります。串田孫一の随筆の雨音で雨のイメージ、雨といえば東京では傘にレインコート、そういうことが頭に浮かんでまいりますが、田舎の長野の郷里に帰り、軒下に落ちる雨音に幼い日に雨にぬれた黒光りのアリ、ケンスガイを思い出し、生まれ故郷はやんの夜もつまずかんという言葉がありますが、時計の針をおくらす懐かしさと久しぶりに帰郷された串田氏を通して、雨音一つに農村ののどかなキャンパスを見事にとらえているのであります。
     私は、第一回かごしまフォト農美展からことしで四回目の応募がなされておりますが、農村風景の知事賞の「里の春」は、朝の光のそれこそ満開の八重桜を中心に、丘陵地帯に広がる薄緑色の茶畑のS字型のうねりをとらえた美しい作品であります。手入れの行き届いた茶畑はまさに農業の美しさと汗と汗で育てる自然はうそをつかない渾然一体そのものであります。「農村の暮色」、「収穫の家族」、夕日の中に金色に染まる農民一家の姿が自然の恵みに感謝し、豊作の秋を見事なモチーフとコントラストでとらえているのであります。また、「若年労働者の活躍」、「実りの秋」など自然の豊かさを大切に受けながら、純粋な生きがいを求めて静かにもくもくと、たんたんと汗と汗のつぶしの中から知恵あるものは知恵を、農家の力強い顔々に一日の流れを味わうことができるのであります。  そこで、限りない農家のやんわりとした人情と、伝統の薫り高い魅力ある農家農村をモデル地区の家屋として何らかの形で保存対象として考えていただき、例えば第二回かごしま農美展の知事賞受賞の「里の愛」などの家屋など、農村の貴重な足跡を有形、無形の財産として守り育てていくべきと思いますが、いかがでしょうか。  こうした農村の自然環境は、貴重なかえがたいすばらしい田園の中にありながら、残念なことに営農活動によって生み出される多量のふん尿、ビニール、空き缶、ポリ瓶、テロン使用済みの缶など、適当な処理施設、回収ルート、廃棄方法がないため、圃場や周囲の山林に放棄され環境汚染の一因になっているのであります。まさにやいちらかしの状況でうっすいとこいがないのであります。また柿の木の枝や電線にひっかかり、寒風北風に吹きさらされているビニールなど、これまた田園の風物詩でもあり、見るも哀れな農村周辺の一面も出てきているのであります。したがって、農業に従事されている農家の方々が、少なくとも将来にわたって農村環境破壊の加害者とならないためにも、自分たちが作物誕生のために使用いたしました農薬の容器や廃ビニールなどの処理方法につきまして、具体的にマニュアルを作成しますとともに、処理につきましての指導の徹底を図っていきますことが、農村環境保全のためにも喫緊の課題であると思います。いかがですか。  次に、平成四年三月に作成されました県農業・農村ビジョンの見直し作業が進められているようですが、従来この種の計画は生産目標の設定であり、生産対策の具体化であり、これらの事項が重要であることは申すまでもなく、早急に策定していただきたいと思うのであります。こうした中で、農業、農村の文化につきましては水、土などの地域資源の保全や景観の整備が直接的にかかわりますとともに、農業、農村に対する学習、交流などの活動がより重要であると考えられます。そこでビジョンの見直しに対しまして、農業、農村文化にかかわる事項をどのように考えられておられるのか、お伺いいたします。  この三月まで土改連の理事をしておりました関係で、一年後の平成八年十月に本県におきまして県内外から多くの出席者を得て、全国土地改良大会が開催されると聞いております。せっかくの機会でございますから、本県農業、農村のPRはもちろん県政のPRにもなりますように、話題性のある明るい大会に取り組んでいただきたいと思うのであります。そこで大会の趣旨、テーマをどのように考えられておられるのか。スケジュールはどうなのか。また県とされましては県土地改良事業団体連合会への支援を含めまして、どのような取り組みを行う所存であるのか、お尋ねをいたします。  次に、今年度に入り、食肉の輸入量は牛、豚、鶏など増大しておりまして、この第一・四半期にウルグアイ・ラウンド農業合意内容で、輸入量が一定基準をオーバーした場合に、関税などを約束の水準まで上げられる緊急調整措置、セーフガードが去る七月二十八日、四八・一%の関税率から昨年の関税率五〇%に戻ったのであります。したがって、引き上げ率が一・九%と小さいことから発動による心理的な影響はあるかもしれませんが、直接影響は少ないものと考えておりました。また先般の県政調査会での農政部長の答弁でもありました。しかし冷蔵牛肉や豚肉は第一・四半期まで発動に至らなかったことは最近の新聞報道によりますと、豚肉につきましては第一・四半期までの発動を回避しようと、輸入業者が六月に日本に到着しました豚肉の輸入手続を先送りしたとのことであります。しかしながら、第二・四半期の七月に入り、輸入業者が手続を控えた分を一気に通関させたため、前年同月比の約四〇%増の五万八千トンが輸入され、過去の豚肉の月間輸入量の最高を記録したのであります。そうなりますと、第二・四半期のセーフガードの発動によります関税引き上げは確実と見られますが、豚肉につきましては牛肉の一律関税と違い、政府が決めています基準輸入価格より安くでは輸入できない仕組みになっていると聞きますが、発動された場合、基準輸入価格が幾らに引き上げられるのか。また引き上げられることによります本県への影響をどのように考えておられるのか、お聞かせください。  次に、道路の環境浄化の整備というソフトな面から考えてみたいと思います。私は県庁から二百六十九号線、そして六十三号線、そして十号線、隼人道路、そして九州自動車道路、そして二十五号線と、こういうふうにして県庁へと来ておるわけでございますけれども、普段よく利用しております路線は国道二百六十九号線と五百号線でございます。それぞれの路線におきまして四季折々の道路の事情の変化があります。特に県道五百号線につきましては、夏場に話題を絞ってまいりますと、歩道と道路の境界に水のはけ口が、つまり歩道の下へU字型に側溝が入っているわけでありますが、水の側溝に沿って雑草が生えて、水が側溝へ入りにくくなっているのであります。側溝に水が入りにくくなっているのはこういうことであります。水じゃ高けとこいから低いところへ流れていくのが自然の摂理であり、おともれと喜ばわいいけち、よかこちゃ、うっくだくわを引っきゃげじ、しょゆとくんだい坂を見て走らんたあおらん、こいのこっであります。水じゃ高けとこいから低いところへ流れるというのを、今こういうふうに説明したわけです。梅雨時期は既に終わりましたが、集中砲火を浴びるさだっのとき、水のはけ口の穴がうっつまっているものだから、道路が一面大川の状態になり、自動車の離合のときなどフロントなどにお互いに水をかぶり、運転上危険を伴うのであります。夏草はあとをよいのったとか、またおえちょというぐらい茂りが早いわけであります。道路整備の職員の方も真夏の暑さの中に一生懸命作業に努力していらっしゃる姿に、ドライバーたちから無造作に放り出された空き缶がビーバーにかむなど、その御苦労に大変敬服いたしておるのであります。しかしながら、道路清掃作業がなかなか追いつかず、雨による道路の水びたしは路面の再舗装への緊急性を余儀なくされ、思わぬ予算の計上になると思うのであります。水のはけ口から道路沿いの雑草を除去するために季節的に道路整備委託を業者にゆだねられていますが、定期的に夏場はいま少し人員をかけて行き届いた側溝沿いの快適、安全の清掃まで、そして鹿児島県というデリニエーターが──視線誘導標識でございます。道路境界柱のくいがしっかいと見える姿が必要であろうと思いますが、いかがですか。  そして、この際、赴任されて間もない横田土木部長、県下土木関係職員にしおんかれわろ、青竹を割ったよな土木部長というしこ名をいただきますように、本県産業の振興の動脈であります道路の整備維持管理に取り組む必要があると思いますが、がっついの姿勢をお伺いいたします。  雇用保険法の第六十四条によりまして、政府は被保険者等に関しまして、職業生活上の環境整備改善、また福祉増進を図るために雇用福祉事業を行っていますが、その一環として勤労者共同福祉施設が、ことし三月末吉町と入来町に建設され、末吉町におきましては九月二十一日濱田商工労働部長の出席をいただき、盛大な落成式が行なわれました。設置目的などを伺いますと、勤労者の教養文化、体育などの施設として郷土に誇りを持って働き、魅力ある地域社会づくりのために勤労者の研修並びに健康づくりの場として大変ありがたい施設であると思っております。そこで本県におきまして若年労働者の定着を図る上からも、またそれぞれの地域活性化のため、これらの諸施設の整備が急がれると思いますが、県としてこれまでの勤労者の体育施設などを初めとする設置状況と、平成七年度以降の勤労者のための福祉施設の設置状況の見通しなどについてもお聞かせください。    [知事土屋佳照君登壇] 28 ◯知事(土屋佳照君)お示しのように本県において農村伝統文化の継承や新たな農村文化の創出など、地域の共同活動や農村景観を維持形成することは大変大事なことだと思っております。そのため新農村振興運動の柱の一つといたしまして、地域住民が主体となった美しい潤いのあるむらづくりを推進しているところでございまして、その中で農村景観の保全などに力を入れて活発な活動を行っている優秀な地区の表彰を行う制度も設けているわけでございます。また、農業、農村に関する写真コンクールでございます農美展を開催し、農業、農村の多様な役割等につきまして一般住民に広く理解してもらいますとともに、関心を高めてもらうといったことなども行っております。また、今日農村に古くから伝わる有形、無形の伝統文化や資源の保存、継承に対する取り組みが県下に高まってまいっております。私もただいま述べられた御意見と同感でございますので、今後とも地域におけるこれらの自主的な取り組みに対し、可能な限り県単むらづくり整備事業や県単の農業農村整備事業等によって支援をしてまいります。今お示しのようなことが着実にあらわれていくように努力をしたいと思っております。  次に、第十九回全国土地改良大会が平成八年の十月に鹿児島県におきまして、全国と本県の土地改良事業団体連合会主催で開催されることになっているわけであります。これには約四千名の関係者の参集を想定をしておりまして、「あすの夢求めて」をテーマに意見交換や交流を行い、農業、農村の果たすべき役割などを県民はもとより広く全国に向けてPRすることを目的にいたしております。またこの大会の関連事業として、地元が主催する鹿児島アジア太平洋農業・農村整備会議を通じまして、アジアモンスーン地域を視野に入れた鹿児島らしい国際色が出せる有意義な大会にしたいと考えております。私も土改連の責任者といたしまして、できるだけの努力をしたいと思っております。このため関係者によりまして大会に向けての準備委員会も設置をされまして、今、準備を進めているところでございますが、県といたしましても、この大会が円滑に実施できますよういろいろな面で積極的に支援してまいりたいと思っております。 29 ◯農政部長(松本浩二君)農業廃棄物対策でございますけれども、農業用のビニール、ポリエチレンフィルムの廃棄量は年間約八千トンございますけれども、その九割強が再生加工、埋め立て及び焼却により処理されておるところでございます。また農薬容器につきましては使用者が容器の種類に応じまして個別に処理をしているのが実情でございます。廃ビニール等につきましては、マニュアルによりますところの意識啓発や市町村協議会の設置による処理体制の整備を指導しておりまして、現在二十二市町村で協議会が設置をされておりまして、市町村などにより廃ビニールなどの回収日や集積場所が設定され、共同処理に取り組まれておるところでございます。農薬の容器につきましては毎年市町村、農協、農薬販売店等を対象とする農薬安全管理研修会を郡単位に開催をいたしまして、容器ごとに適正な処理がなされるように指導を徹底をいたしております。また、一部市町村ではプレス機の導入や回収日の設定などの取り組みも行われておるところでございます。これらの適正な処理については使用者の自覚や地域における取り組みによるところが大きいわけでございます。安全性と農村環境の保持の両面から広くこうした取り組みが普及するよう市町村、農協等を指導をしてまいりたいと、このように考えておる次第でございます。  農業・農村ビジョンの見直しについてでございますけれども、現在市町村農業団体や学識経験者等から幅広く意見をお聞きをいたしながら本県農業、農村の展望や進行方向について検討を重ねているところでございまして、本年度末をめどに作業を終えたいと、このように考えております。農業、農村は長年の農業生産や農村生活を通じた営みの中で美しい景観や固有の文化、伝統などを培ってきておりまして、それらを維持増進することは活力と安らぎのある農村を形成していく上で重要であると、このように考えておりますので、このビジョンの見直しに当たりましては、農村地域に根差した文化伝統の継承や美しい農村景観の形成等についても方向づけを検討してまいりたいと、このように考えております。  豚肉輸入のセーフガードについてでございますけれども、四半期ごとに算出される輸入数量が過去三年の平均輸入量の一一九%以上になった場合にこれが発動されまして、基準輸入価格を毎年定められたセーフガードの水準まで引き上げることができることになっておりまして、平成七年度に発動されますれば、現在四百六十円である枝肉の基準輸入価格を五百六十九円まで、それから部分肉につきましては六百十三円を七百五十九円まで引き上げることになります。セーフガードが発令されました場合、豚肉輸入量の急激な減少により国内肉豚価格の一時的な上昇が見込まれ、短期的には国内養豚農家の経営が環境が好転するものと考えられますけれども、一方では豚肉価格が高騰することによりまして、現在でも伸び悩んでおります肉豚消費量の減少が懸念をされまして、食肉消費が割安感のある輸入牛肉や鶏肉へシフトすることも考えられるわけでございます。セーフガードの発動期間は発動日から当該年度末までとなっておりまして、翌年度からはさらに基準輸入価格が段階的に引き下げられることとなるわけでございますので、基本的には養豚農家のさらなる経営体質の強化が必要であると、このように考えておる次第でございます。 30 ◯土木部長(横田穰二君)県道の整備維持管理についてでございますが、道路交通の安全を確保し、道路環境の整備を図るため、道路沿いの草刈りや側溝の清掃等の作業については、現在道路整備員による直営作業及び一部委託作業により実施しているところでございます。特に夏場は草も成長期で繁茂いたしますので、交通の安全に支障がないように適切な時期に作業を行うとともに、今後とも道路の維持管理につきましては一生懸命に取り組んでまいりたいと考えております。 31 ◯商工労働部長(濱田隆道君)勤労者福祉施設は勤労者の福祉の増進を図り、もって雇用の促進と職業の安定に資するため、市町村からの要望に基づきまして県が推薦をし、国が設置決定をいたすものでございます。現在県内には霧島ハイツ、憩いの村藺牟田池を初めといたしまして勤労者体育施設が三十三カ所、共同福祉施設が六カ所、勤労者総合福祉センターが五カ所の計四十六カ所が設置されておりまして、十月には四十七番目の施設として入来町に共同福祉施設が落成することとなっております。また平成七年度設置決定のものといたしまして開聞町に共同福祉施設が近々着工の予定でございます。本県の勤労者福祉施設の設置状況は、九州管内では福岡県に次いで多く、中でも共同福祉施設は全国で年間三カ所程度しか予算枠はないわけでございますが、過去数年間年一カ所程度のペースで整備が行われてきているところでございます。今後も国の予算枠の厳しい制約はありますものの、市町村からの要望を踏まえできる限り勤労者福祉施設の整備拡充に努めてまいりたいと考えております。    [徳留のりとし君登壇] 32 ◯徳留のりとし君 第二回かごしま農美展の知事賞「里の愛」、ほていわたの家屋のもとで熟年の夫婦が午後の西日をいっぱい浴びて、満面の笑みの中からトウモロコシをこえじょけに盛って、来年へのトウモロコシの種を保存しようとしてのほっと一息の姿に何とも言えぬ感動を覚えるのであります。まさに農業、農村の文化が静かに育っているのであります。戦後五十年の中にふのわり、からいもは米んつっじゃかるちゃおらん、そういうことにならんように、本県の農業の未来にほのぼのとした明かりを何とか有形の財産の家屋として結びついていくようにさらに期待をいたします。  ビニールなどの事後処理につきましては、県としても産廃等を踏まえまして市町村におきましても大変困っている大きな課題であります。生き残れる農業発展のために県としても市町村行政一体となって取り組んでいただきまして、最善の策を積極的に講じてください。  全国土地改良大会につきましては、大会の盛会を祈念いたしたいと思います。  セーフガードが発動された場合、豚肉の輸入価格が高くなりますことから、輸入量が減り、国内産の価格が一時的には上がるということでございますけれども、発動期間が切れます来年度以降はますます安い豚肉が輸入されるということでありますので、県におかれましても農家の方々が引き続きコスト低減などの経営努力をされ、一時的にも所得がふえましても負債の整理や次の投資資金などに有効に利用していただき、世界に目を向けた養豚経営の指導が図られるように要望いたしておきます。  土木部長の土木行政に取り組む青竹を割ったよな、しおんかれわろというのが、少し理解されていなかったようでございますけれども、ひとつよく鹿児島の言葉を勉強していただきまして、土木行政に取り組むしこたまのこまめに努力をしていただきたいと、こういうふうに思っております。  勤労者に対して若人の健康なエネルギーの発散の集いの場として、その笑いの言動があすからのそれぞれの職場での活力の源泉になることを期待いたしたいのであります。  次に、いじめや体罰の問題は本県をも含め全国的に憂慮すべき状況にあり、学校、家庭、地域社会、行政一体で真剣に取り組んでいかなければならない重要な課題であります。いじめは体罰によって青少年の純粋な魂を摘み取る結果となってはなりません。県外の事例でありますが、教師の体罰による事故が出てまいりました。福岡県飯塚市で起きました体罰事件は、聞くところによりますと、簿記テストの際に亡くなった二年生の女子生徒が教室に入室したところ、簿記担当の先生からテストに関係ないから教室の外に出るようにとの指示があったにもかかわらず出ようとしなかったこと、またかねてからスカートの丈の問題でも再三の注意を受けていたことなど、結果として取り返しのつかない事件が起きてしまったことは、教師を経験したものとして実に残念でなりません。学校教育法の第十一条の校長及び職員は教育上必要と認めたときには、児童生徒に対して懲戒を加えることができる。ただし体罰を加えることはできないと明記されておるのであります。体罰は法で禁止されておりますが、では子供たちにいわゆる愛のむちが全く必要でないかどうかは論の分かれるところであります。  私は、男子生徒であろうと女子生徒であろうと、いわゆる体罰ではありませんが、愛のむちという形での指導を行ってまいりました。そのとき私は教師として責任が負えない事態が発生した場合、いつでも教師をやめる、責任をとる覚悟をしての愛のむちで、自分の信念に基づく子供と同じ思いをしての、しかも首をかけての行為でありました。ところが最近先生方が愛のむちなるものを子供たちに与えましたとき、よく新聞、テレビ等で教師自身の反省や弁解として、興奮してわかりませんでした、大変済みませんでした、などの言葉を耳にしたり読んだりしていますが、私自身教師をやめる、飯の種を失ってもいいという覚悟での行為でありましたので、弁解などさらさら考えていませんでした。弁解を必要とする程度のことであれば愛のむちの条件が整っていないのであります。したがって、私の愛のむちは、この子供の将来のためにそのとき、その場で絶対に必要な時間であると確信しておりました。「やがて大海となるべき真清水も、しばし木の葉の下をくぐるなり」、先人の歌でございますが、やがて大海となるべき青少年の将来のために、教師自身がみずからの信念で愛のむちを、反省や弁解をしない毅然たる姿こそ教師の真実の魂が入っているし、子供たちは必ずついてきてくれるものと確信しておりました。教師が弁解の余地をはさむなら完全に敗北であり、子供と教師と父母の信頼関係が崩れたものとなるのであります。  私は、夏休みに入る直前の七月のころでありましたが、当時K大学の教授の息子さんで、現在は市内で病院を開業しておりますけれども、その息子さんが中学二年のときの作業時間に、担当の便所の作業はせず女子便所の天井を目がけてホースでやんやんと水をかけているところに出くわしたのであります。当時私は部活動で剣道の顧問をしておりましたので、考えました。そこで生徒に剣道の防具を完全につけさせまして、私はノー防具で、中庭におきまして、さあ、どっちからでもかかってこいと向き合いました。剣道の経験のない生徒でありましたので、不格好な構えで縦、横、縦横無尽に竹刀を振り回して私を攻めてまいります。防具をつけてない私はなたぎりの戦法の生徒からわき腹から太ももと何回となく面でもない、胴でもない、小手でもないところを攻め立てられました。御承知のように剣道に限らず強いものに幾ら向かっていっても突き放され、押し返されるものですが、やがてその生徒は私から面、胴、小手と決められ、へとへとになってついにかがみ込んでしまいました。それでもまだまだ、さあ、先生の面に向かってこいという私の声に懸命に振り絞ってかかってまいりますが、また押し返されふらふらになっていることはわかっておりました。作業時間中の中庭は生徒たちが集まって異様な雰囲気になったことも記憶しております。参ったかの私の声に、参ったと言いましたので、参りましたという言葉の訂正をさせ、その後、静かに防具をとってやりました。生徒は額からの汗なのか、涙なのか、すすりのおえつがありました。そしてこのとき既に私と生徒との教育の環境は整っていたのであります。夕方私の下宿に夫婦で子供を連れておわびに来られました。こういう家庭の生徒は父兄がしっかりしているし、先生うちの子はきかんとかたたいてくれと、おやじの背中を見てみろと子供に言える父兄であります。家庭の中での親のてげてげのしつけは学習環境である学校をも破壊するのであります。今日の風潮はすべてのことに我が誠の足らざるを責めずして、人をとがめることに終始し、全く言語道断であります。  したがって、教師自身も児童生徒指導に対して、命をかける意気込みを忘れて、かからんハチゃささんという主義に終わってしまいますと、二十一世紀を背負っていく子供たちの将来は期待できないのであります。私はそういう意味で一昨年から始まりました教職員採用試験の二次試験における模擬授業は、従来の筆記試験や面接だけではとらえにくい教師としての人間観、指導力、情熱、使命感などを多面的にとらえるものとして大変意義あるものと高く評価しております。私は先生方に特に生徒指導の取り組みの中で、なぜここで愛のむちを必要とするかというぎりぎりの接点をしっかりと認識し、教師自身のたゆまない児童生徒との自信に満ちた心のキャッチボールがほしいのであります。いじめや校内暴力など多発している深刻な状況にありまして、父母が学校を畏敬の念を持って受けとめ、学校は校長先生を中心に厳しさ、優しさを備えた指導で、学校経営方針にのっとり、校則に従い、自信を持って児童生徒を導いていただきたいのであります。戦後五十年、今日の連立内閣を通じて、また先般開催されました日教組定期大会八十回大会におきまして、日の丸、君が代の取り扱い一つとりましても、この社会の大きなうねりの中で運動方針の転換を見つつあるのであります。「船頭多くして船山に上る」と申しますが、このような時代こそ学校、父兄、教育委員会が一体となりまして、ぜんざいの中にも一さじの塩があってこそ本当の味が引き立つように、少しぴりっとした教育があっていいのじゃないかと思うのであります。現在のいじめや校内暴力など、大きな問題がおきます背景には、父母自身の姿や我が子の姿を見つめたり、教師としての自覚や行政としての現場への溶け込みなどが不足しているところに大きな原因があると考えます。三者がそれぞれの立場で考え、歯車がかみ合うように。  そこで、教育長にお尋ねいたしますが、先ほど申し上げましたように、ぜんざいの中に一さじの塩があってこそぴりっとした教育があることにつきましての感想と、今後力強い自分の指導に自信のもてる教師づくりに対する教育長の考え方と、教師みずからが子供たちのために真摯に取り組んでいくようにするためにはどのような手だてをお考えか、お聞かせいただきたいと思います。 33 ◯教育長(有馬 学君)いじめや校内暴力などの解決を図っていくためには、学校、家庭、地域社会が密接な連携を保ちながらかけがえのない子供たちのために、それぞれの役割を果たしていくということが肝要であろうと思っています。とりわけ学校におきましてはいじめや校内暴力等の問題を重大な課題として真剣に受けとめ、校長のリーダーシップのもとに教師一人一人が情熱を持って一体となって対応していく必要がございます。教師は問題行動に対して真正面から毅然とした態度で対処し、真に教育愛に裏打ちされた厳しさと優しさを備えた指導を行うということが大切でございます。今後とも教師が常にみずからの人格、識見の向上に努め、愛情を持って適切な指導を行うとともに、厳正な態度を持っていじめ問題等の解決に取り組んでいくよう指導してまいりたいと考えております。  学校教育は教師と親や子供との深い信頼関係の上に立って行われるべきものであるというふうに考えております。そのためには教員には教育者としての使命感、人間の成長、発達についての深い理解、厳しさと温かさを兼ね備えた教育的愛情、教科等に関する専門的知識、広く豊かな教養、そしてそれらを基盤といたしました実践的な指導力などの資質が必要でございます。県教委では教職員の採用に当たっては単に知識のみでなく、幅広い人間性、行動力などを重視して採用いたしますとともに、教員の資質向上のため初任者研修や経験年数に応じた研修、管理職や教務主任等の職務別研修、生徒指導等の課題別研修、さらには大学院や海外への派遣、企業等におきます研修などを体系的、計画的に実施をいたしております。今後とも子供の心に届く実践的な指導力と職責感にあふれ幅広い知見を持つ人間性豊かな教師の養成、確保に努めてまいりたいと存じます。    [徳留のりとし君登壇] 34 ◯徳留のりとし君 教育長の本県教育に対します考え方を示していただきましたが、私は教え子と教師を囲んでの同窓会に招かれることがございますけれども、もう今はおじさん、おばさんになってしまって、もうわいはだいけね、えー、じゃらよ、おまえは、ほんのこて年をとったねと、お互いにこういう機会があるわけでございますけれども、その中ですべての同窓会に来ておる諸君に声をかけてあげたいわけでございますけれども、平等に声をかけてあげたいわけだけれども、時間が許されない。このような席では特に自然と社会の中で何らかの形で心配している子供たちに時間をかける時が多くなってしまいました。時をまた再会を期して話のできなかった子供たちには大変もどかしい時間を与えるわけでございますけれども、そういう中での同窓会の一面でございます。現場のそれぞれ先生方もそれぞれの子供たちの将来を見据え、見て見ぬふりを捨てて、子供たちの将来のために積極的にかかわっていただくなど、日々の教育実践をしっかりやっていただきたいと思うのであります。先生方の教育実践をおてんとうさまはしっかいと見ているのであります。県下の先生方が日々自信を持って子供たちと同じ目の高さになって頑張ってくださることを希望いたしまして、九月定例議会における個人質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) 35 ◯議長(鶴田辰巳君)次は、吉永守夫君に発言を許可いたします。    [吉永守夫君登壇](拍手) 36 ◯吉永守夫君 私は六月に引き続き二回目の登壇をさせていただき感謝申し上げているところであります。  質問に入ります前に、一言お礼を申し上げさせていただきたいと存じます。  去る、九月四日、関係地区住民が待望久しかった東九州自動車道の起工式を盛大に挙行していただき、ようやく大隅に向かって高速道路と名のつく道路がスタートをいたしました。記念すべき日となりまして、まことに喜ばしい限りであります。心からお礼を申し上げたいと思います。  せっかく着工をされました以上は、一年でも早く完工し、次へとこまを進めていただき、全線完工の日が早からんことを願いつつ、関係者を代表してお礼を申し上げるわけでありますが、どうかひとつできるだけ早く完工しますように、この機会をかりてお願いを申し上げておきたいと思います。  ところで、今回はお家の事情もあって急遽再登壇をすることになった関係もございまして、ほとんど政務調査もできず、日ごろ感じておりますことを地域の問題だけに絞って御質問を申し上げますので、よろしくお願い申し上げます。  それでは、通告をしておきました順序に従いまして、質問をさせていただきます。  まず、市道東南中央線の県道昇格についてお尋ねをいたします。  本路線は、吾平、高山、南隅四カ町から鹿屋牧之原に通じる国道五〇四号線の最短距離になる直線道路で速やかな拡幅整備が強く望まれる重要幹線道路であります。  また、国際交流の拠点として整備をしていただき、昨年四月オープンいたしましたアジア農村研修センターもおかげさまで会館利用も初年度としては利用者、研修生も多く、一年間に七千六百八十九名、うち外国人研修生が二千五百九十二名で設置の意義が評価をされているところであります。さらに水辺べの環境事業等の導入整備が図られますと、利用者、研修生も倍増するものと思われますし、ところが十キロをはるかに超える直線道路でありながら、通学路でもある関係から、四十キロに速度制限がなされ、ドライバーたちにとっては悩みの道路でもあります。ところが最も利用度の高い幹線道路であるだけに地域振興の上から速やかに整備が強く望まれるところであります。それで一日も早い県道昇格について鹿屋市からも強い要望が出されているはずでありますから、どうかできるだけ早い機会に県道昇格ができますように、お取り計らいを賜りますことをお願いを申し上げたいと思います。知事の見解を求めます。  次に、健康プラザ設置に伴う周辺道路の整備についてであります。平成九年度着工、十二年オープンというスケジュールで県民健康プラザの建設を計画していただき感謝申し上げる次第であります。温泉つき医療センターとして、大隅住民はもとより、県民の健康増進の立場からまことに喜ばしい限りだと存じます。  ところが、御承知のように、設置予定周辺の道路は国道二百六十九号線を除いては極めて狭隘で、しかも住宅の密集地区で拡幅整備にも時間を要する場所であります。健康プラザオープン後は通行量は倍増し、交通渋滞を初め、当然のことながら事故等も予想しなければならず、一日も早い周辺整備が不可欠であります。おかげさまですばらしい施設ができるわけでございまして、できるだけ快適に利用ができるように速やかな整備を強く望むものでありますが、知事の御所見をお聞かせください。  次に、国道五〇四号線の整備促進について、六月に引き続き再度見解と取り組みについてお伺いいたします。  理由は、前回るる申し上げてございますから、詳しくは申し上げませんが、一つは前の奥田土木部長の答弁が、東回り自動車道の方針が決定しなければ、何とも言えないと言ったような答弁をいただいておりましたが、東回り自動車道も起工式を終え、国分-末吉間が八年後をめどということ、末吉-志布志間は施行命令が出るまで相当な期間が予想され、全線開通は我々の時代には間に合わないのではなかろうか、など気の遠くなるような想像しかできないことが一つ。  あと一つは、鹿屋を初め、南隅四カ町、東隅、すなわち吾平、高山、内之浦、東西串良、輝北までは五〇四号の整備が、この地区の盛衰を決めるといっても過言ではなく、まさに大隅の命ともいうべき重要路線であるからであります。知事は串良町の出身、幼少のころは鹿屋で育ったと言われておりますから、今、私が申し上げていることは痛いほどおわかりのはずであります。前にも述べましたように、知事のふるさと大隅が四十年間に十二万人も人口が減ったわけであります。さぞかしこれらのことをお考えになって知事も胸を痛めておいでではなかろうかと同情したくもなりますが、国分は十年間に二万人も人口がふえたと聞いております。あくまでも空港との距離以外の何物でもないと思うとき、何とかしなければ、ここで大隅が沈没、このままでは大隅が沈没すると官民一体でわらをもすがる思いで嘆願していることは、鹿屋、大隅経済同友会の陳情、あるいは先般行われました期成会においての市町長、議長さん方による陳情等々大隅住民のそれが一日も早い整備にかける情熱、決意に、そして願いを込めておりますことは十二分に御理解をいただいているものだと思います。  そこで次の二点についてお伺いをいたします。  一つは、現在進行中の高隈地区のバイパスは、いつ完成するのかということであります。  二つ目は、経済同友会が要請している牧之原までの残り四カ所についてはいつ着工し、完工がいつになるのかということであります。ぜひこれには明快な御答弁を求めるものであります。  次に、鹿屋港の整備についてお尋ねをいたします。  鹿屋港の整備についても市を初め関係者の方々からその必要性について、八年前から陳情もしてあるとのことであります。ちなみにこの十年間の各地区の港の整備状況を投資額で見てみると、鹿児島港が五百五十八億八千万円、志布志港が二百十億四千万円、川内港が百三十六億四千万円、西之表港が百三十四億五千万円、名瀬港が百六十億八千万円、枕崎漁港が百五億六千万円、残念ながら鹿屋港は十八億六千万円であります。  さらに高須港、大根占港、根占港まで四港トータルしても、わずかに三十一億三千万円の投資となっております。これら投資の状況から判断しても、おのずから整備のおくれは御理解いただけるものと思いますが、いかがでしょうか。  残念ながら、この整備のおくれが、たまにとはいえ、専業漁業者と遊漁船組合の方々とのトラブルにもなっているのであります。整備の必要を唱える二つ目の理由は、平成八年十月県庁が鴨池に移転をしますと、大隅半島の車両、住民すべてが垂水港を利用することになり、利用者は倍増し、大変な混雑が予想されるわけであります。多少遅きに失した感はありますけれども、備えあれば憂いなし、転ばぬ先の杖と言いますから、どうかひとつ鹿屋港をフェリーの発着が可能となるような港の整備が急がれるわけであります。今後の取り組みについてぜひお聞かせをいただきたいと存じます。    [知事土屋佳照君登壇] 37 ◯知事(土屋佳照君)県民健康プラザは鹿児島県の重要なプロジェクトの一つとして鹿屋市の寿地区に整備をすることといたしましたが、吉永議員の方がはるかに御承知でございますけれども、鹿屋市の寿地区は近年の市街化の進展や県民健康プラザの設置に伴いまして、交通量の増加も予想されるわけでございますことから、現在、市において周辺地域の街路網の見直しを行い、県民健康プラザにアクセスする市道東南中央線と市道農高笠之原東西一号線につきましては、幹線道路として位置づけて、都市計画決定に向けて準備を進めていると伺っております。  これらの道路は、県民健康プラザにとっても非常に重要な道路であると私も思っておりますので、県としてはその整備が円滑に推進できますよう努力をしてまいりたいと思っております。 38 ◯土木部長(横田穰二君)県道の認定につきましては、道路法等に示されました認定要件を充足する路線のうち、特に必要な路線について認定する方向で、現在検討しているところでございまして、要望の路線につきましても、今後の全県的な見直しの中で検討することとさせていただきたいと思います。  次に、五〇四号の整備についてでございますが、五〇四号は鹿屋大隅方面と空港とを結ぶ幹線道路であり、このうち鹿屋市-福山町間につきましては、現在、鹿屋市高隈地区において高隈バイパスの整備を進めているところでございます。このほか輝北町百引地区など急カーブ等走行性の悪い箇所につきましても、構造ルート、整備手法などについて調査を進めているところでございます。  また、本区間は災害に強い道路としても位置づけており、今後とも予算の確保に努め整備推進に努めてまいりたいと、かように考えております。  鹿屋港の整備につきましては、現在、防波堤や漁船対策としての物揚げ場の整備を進めております。本港は大隅半島の中心地である鹿屋市の市街地に近いことから、鹿児島市へのフェリー構想や、遊漁船対策など、その整備についてはさまざまな要請が出されてきております。これらの要請を踏まえまして、鹿屋港の開発整備のためのマスタープランを策定するため、来年度国県及び鹿屋市との共同調査の実施につきまして、現在、国と協議している段階でございます。    [吉永守夫君登壇] 39 ◯吉永守夫君 それぞれ御回答をいただきましたが、今土木部長の方で回答をいただきました五〇四号線の問題で、できれば、ここで再度再質問をいたしたいわけですけれども、高隈が今仕事を始めていることはよく承知をしているわけですよ。ところがそれがいつ終わるのかということについて、お尋ねをしたいんだけれども、この間の質問に対しても土木部長は高隈は今工事をやっておると、こういう答弁をされていたようです。できれば大体いつごろには終わるのかということと。さらにまた、先ほど来申し上げておりますように、何と言ってもやっぱり五〇四号を整備をしていただかん限り、大隅には夜明は来んと、こういうふうに私は感じておるし、その証拠が、この間も土木部長さん方に市長とか、あるいは期成会の方々が全員でお願いをされておるわけです。知事さんもそのことについちゃ百も承知をしておられるわけですから、もうちょっとでも早く整備ができますようにお願いを申し上げたいわけです。  もう委員会のときにいつごろでくっちゅうとを考えておってください。もうきょうのところは一応それだけの回答しか部下の方からもらっておられないだろうと思いますので、一応きょうはそれでいいことにしたいと思います。  次に、圃場整備についてお尋ねをいたします。今日の農村・農業・農民を取り巻く環境の厳しさについては、今さら申すまでもないところであります。好むと好まざるとにかかわらず農業従事者は年とともに減少し、国際競争が激化の一途をたどることは言を待たないところであります。しかるに急速に進むかかる現実にどう対処し、後世に悔いを残さない、万全の対策を確立することは、言うまでもなく行政為政者の当然の責務と思料いたしますが、いかがでしょうか。  十年後、二十年後の農業、農村を考えるとき、今すぐよほど思い切った圃場整備、あるいは団地化の促進に着手しない限り、年々それが実施は困難を極めるものと思われます。  例えば、水田は最低でも五反歩以上、畑は三ヘクタールぐらいの区画に整備をするぐらいの思い切った取り組みが時代の要求であり急務だと考えます。幸い国としてもウルグアイ・ラウンド農業合意の関連対策として、非常にあちゃらの言葉は難しいです。六兆百億円の農業関係予算を発表いたしましたし、農業県鹿児島を語るなら、これら国の方針とも呼応し、食の創造拠点づくりの上からも最大限の活用、取り組みが望まれるところであります。基盤整備にかける、あるいは圃場整備かける情熱、決意のほどを伺いたいわけであります。  次に、農振法、農地法の見直しと取り組みについてお尋ねをいたします。  農業、農村がかつてだれも想像しなかった大きな変化をし、国内における産地間競争、それどころか国際競争の時代へと変わった今日、五十年前の農地法、二十年前の農振法で今なお厳しくチェックをしている事実があります。行政も中央集権、一極集中から地方の時代へと流れを変えつつあり、しかも規制緩和を声高らかに吹聴しながら、実質は一歩も前進していないのが今日の実態であります。  すなわち、転用手続をしてから十カ月、いや一年以上も経過しないと許可にならない。申請者から見ると自分の土地を転用するのに、なぜ一年もかかるのだ、なぜもっと早くできないのかと、すべての申請者たちが疑問と不満を持っているのが現実であります。中には、まじめに申請をすると時間がかかる、不許可になるからとして、決して許されることではないにしても、つい無断転用をしてしまう、今日まで県下全体では相当数あるのではなかろうか。ところがすべてとは申しませんが、先日来の当局の答弁で感じられるように、世の中にはそれぞれに事情があるということであります。ところが法律という二の字でどんな事情をも無残に砕いてしまう。  例えば、農地法第三条で交換もしくは取得したい土地はいかなる理由があろうとも一年経過しないと転用の手続すらできないという。さらに農振除外の手続中の過程には、四十五日間という公告縦覧期間が設定されております。説明では、農振法そのものが個々に除外をするという法律ではなく、公共の要に供するとか、国、県道沿い等で五年ごとに見直しをするとき以外は除外申請すらできない。そういう法律だと説明されているのでありますが、そのとおりかもしれない。ところが、現実は農振地域内でも、農業用施設化あるいは農家住宅であれば対応しているのが実情であります。そこで自分の土地を転用するのに、なぜ四十五日間もの縦覧期間が必要なのかという疑問、不満が出てくるのも至極当然と思われるのであります。  知事は、自民党の代表質問に対する答弁の中で、こうお答えになったと思います。  住民の身近なところで行政が進められることが望ましい立場から、できるだけ市町村に権限移譲をする努力をすることを行政の基本としたいと結ばれたように思います。行政の円滑、あるいはスピード化を図る上からも可能な限りそのように願うものであります。そこで、次の三点についてお尋ねをいします。  一つは、転用、除外等の事務を出先か市町村に権限を移譲する考えはないか。  二つ目は、四十五日間という長期の縦覧期間を短縮することができるように国に働きかけをする考えはないか。  今日まで相当の無断転用があったと思うが、どのような指導をされてきているのか。以上、三点についてお尋ねをします。。  次に、猿害対策についてであります。  知事も県下随所で猿害対策をという悲痛な叫びを耳にされたことがあるだろうと思うんです。鹿屋地区でも山手を中心に猿害は予想をはるかに超え、我慢も限界という実情にあります。少なくとも五、六十匹の集団が点在し、至るところで相当の被害を出しているのであります。つい先日も農協の地区の座談会が開かれた席上、七十歳の高齢者が三十アールの甘しょが全滅でした。二度と甘しょを植える気にはなりませんと嘆いておられたし、また、ほかにも飼料用のトキビが全滅でしたと言われるし、既に山手のみならず笠之原台地まで集団で手当たり次第に荒らしているという、今は集会があれば必ず猿害の話が出ます。何とか捕獲する方法はないのですか、しかも最近は人家まで出てくることも少なくないという。県としても市町村に捕獲許可を出してあると言っておられますが、許可さえ出せばそれでよいというものではないと思います。知事、あなたも四月から五月にかけてからいも植えつけをし、農薬散布から除草に至るまで半年間、管理をし収穫を間近にして、畑に行ってみると甘しょは全滅、憎さとやるせない思いで我が家へ帰る、年老いた農家のこの現実を想像してみていただきたいのであります。どうか、県とされても事務的に処理するだけでなく、本腰を入れて猿害対策を検討してほしいと思うのでありますが、知事のお考えをお聞かせください。  次に、国立療養所星塚敬愛園の展望についてお尋ねをいたします。  厚生省保険医療局国立病院部が所管する星塚敬愛園は昭和十年十月二十八日に創立され、本年十月二十八日はいよいよ創立六十周年を迎えることになっているのであります。  ところがハンセン病、患者として入園された方々も今は一〇〇%完治され、地域住民との交流も隔壁なく行われつつある現状であります。ところが入園者の方々も七十一・二歳という平均年齢が示すとおり、かなり高齢となられ、中でも八十歳以上が百二名で、毎年二十名ぐらいの方々が逝去されているというのであります。すなわち、創立当時千三百八十名の入園者がおられたわけでありますが、九月二十五日現在五百三十五名と激減しているのであります。  ところが厚生省においても、入園者が完治したことを理由にハンセン病予防法の廃止について法案作成の検討中で、十二月中には厚生省案が提示され、来年五月に国会への提案が予定されているとのことであります。もちろん当然のことながら、国としても現在の入園者が最後の一人になるまでは現法で擁護していくことを確認しているとのことであります。問題はその後であります。三十七万三千四百二十二平米、すなわち、四十ヘクタールに近い広大な敷地や医師、看護婦、ヘルパーの方々を含めて約四百名の方々の将来、これらの方々はお年寄りを介護する知識、技術ともに他にまさるとも劣らない貴重な宝というべき方々ばかりであります。それらの方々が入園者の減少に伴い、他県へ転勤でもされることになれば、高齢化が急速に進む今日、貴重な宝を失うことになり、鹿屋にとっても大きな損失であります。さらにまた六百床を超えるベッド、至れり尽くせりの立派な施設など、考えると園の将来のあるべき姿をきちんと絵にかくことが、当然のことながら行政の責務と考えるのであります。  幸い入園者と地域住民との交流は年々盛んになっておりますし、入園者の方々が待遇面でいささかでも不利になるようなことのないような十分な配慮をしつつ、高齢化対策として活用していくことは考えられないものか。また、平成十二年、オープン予定の健康プラザは利用者が多く、不足している現在の特老や老人ホームと同様、待機者をつくる結果が十分予想されるところであります。  そこで、敬愛園を健康プラザの副園的な活用は考えられないものか、など地元でも将来のあるべき方向への話題がうねりとなる日が近いような気がするのであります。国の施設でありますから、今すぐ知事がどうするということを言える立場でないかもわかりません。そのことは百も承知をしておりますけれども、しかし、鹿児島県の最高責任者として、あの広大な敷地、立派な施設、優秀な人材の有効活用を考え、悔いのない方針を立ててほしいと思うのでありますが、展望について知事のお考えをお聞かせください。  次に、総合教育センターにおけるバイオ教育の推進についてであります。  鹿児島県は農業県、食の創造拠点ということで、それが振興のために鋭意努力が払われていることには衷心から敬意を表する次第でございます。ところが環境急変、つまり自給自足から国際競争へと変化の激しさにどう対処するかが行政の当面する大きな課題と思料します。もちろん県としても、先行する形でバイオ研究所を設置をされたり、県立の農業高校においても積極的な取り組みをされていることはまことに喜ばしい限りであります。しかし、一部の学校、機関のみの教育だけで事足りるだろうか、基幹産業としての本県農業の二十一世紀を展望するとき、バイオ抜きでは語れない時代であり、将来をつくる教育者がバイオに対する基礎知識を持つことは、本県の農業振興の立場からも極めて大事なことと考えるのであります。かかる観点から、研修機関としての吉田の総合教育センターにおいてのそれぞれの研修機関内にぜひバイオの基礎知識を与えるための対応をしてほしいと思うのでありますが、教育長の御所見を伺いたいのであります。    [知事土屋佳照君登壇] 40 ◯知事(土屋佳照君)いろいろとお尋ねがございました。非常に具体的な数字等につきましては部長の方から申し上げたいと思っておりますが、一つ、野猿による被害につきましては、屋久島を初めいろいろなところで私も話を聞いておりまして、非常に難しい問題だなと、こう思っております。その対策につきましては、これまで電気さくとか、啓発普及用の看板の整備や有害鳥獣駆除に対する助成などを行ってまいっております。特に、電気さくにつきましては、平成六年度に新しい電気さくの実証試験を行い、高い進入防止効果などが確認をされましたので、平成七年度から野猿等総合防除対策事業において事業費の枠を大幅に伸ばしまして、この電気さく等を早急に整備をすることといたしております。  また、国庫事業によります猿害対策につきましては、本県が中心となり十一県で組織しております全国猿害対策協議会等を通じまして、国に対して、その充実強化を要望してきたところでございますが、現在、中山間地域総合整備事業や果樹産地緊急対策事業におきましても、電気さくの整備が行えるようになっております。鹿屋市周辺など猿害の発生地域におきましては、今後ともこれらの国や県の事業を有効に活用しながら、地元と一体となって駆除を含め被害防止対策に取り組んでまいりたいと思っております。  御承知のようにいろんなことをやってみるのでありますが、非常に知能の発達した猿でございまして、何かあるとすぐ覚え込んでしまって、また次の対策をというようなことへなってまいります。若干、競争的な面がございますけれども、この電気さくはかなり有効な感じもいたします。しかし、これで終わりというわけでもないと思います。いろいろ今後問題が出てくると思いますが、それに応じて私どもいろいろ猿に負けないような知恵を出して対応していかなきゃならんと思っております。 41 ◯農政部長(松本浩二君)本県の農政におきまして、これまでもこれからも土地基盤整備というのは重要な柱でございます。国、受益者、市町村、土地改良区などの御理解、御協力をいただきながら、しっかりこれからも取り組んでまいりたいと存じます。  本県の圃場整備についてちょっと申し上げますと、これまでに水田で五六・八%、畑地で四七・七%の整備がなされておる状況にございます。お話あっております国のウルグアイ・ラウンド関連農業農村整備緊急対策なども積極的に導入、活用をいたしまして、一層の整備に努めてまいりたいと考えております。  農地法、農振法の関係で市町村等への権限移譲等についてのお尋ねでございますけれども、まず、出先機関への農地等の許認可権限の委任につきましては、どの権限をどの範囲まで委任するか、どういう体制がそのために整えられるかなどの問題を総合的に検討いたしまして、可能であれば委任する方向で対処をしてまいりたいと存じます。  それから、農振法、農地法の許認可権限の市町村への移譲につきましては、開発主体とそれから許可権者が同一になる、こういうことから所管の農水省は適当でないと、そういう見解でございますので、現段階では、農地法等の許可事務の処理につきましては、現行の法律に基づきまして、法律の趣旨に沿って可能な限り地域の実情や地元の意見を十分尊重をいたしまして、迅速かつ適切な処理に努めてまいりたいと、このように考えております。  なお、市町村への権限移譲については、地方分権推進法が制定をされ国において検討がされておりますので、今後方向づけがされるものと考えております。そういった動きも見守ってまいりたいと、このように考えております。  それから、農振法の公告縦覧異議申し出の四十五日間ということにつきましてでございますが、これは開発行為の制限、農地等の転用制限等の一定の制約を農振法というのは伴います関係上、計画の策定変更についての異議の申し出を認めることによりまして、地元住民の意向を十分反映させるために必要な期間として定められておりますし、それから昭和四十四年の法施行後これが全国的に定着化してきておる状況にあるわけでございます。そのようなことで、これについては四十五日ということについての御理解を賜りたいと、このように考えておる次第でございます。  それから、異議申し出についてでございますけれども、最近では平成三年に四件ございます。それから平成四年に一件、平成七年に四件と、こういうことになっておりまして、住宅地や駐車場等への転用目的のための農用地区域からの除外を認めるものが主な理由となっておるところでございます。 42 ◯保健環境部長(安達一彦君)国立療養所星塚敬愛園は昭和十年十月に開設されて以来六十年間、ハンセン病患者の療養といたしまして重要な役割を果たして来られました。戦前には千三百名以上の患者さんが入院しておられ、その後減少してきておりますものの、現在でも五百名以上の方が療養中であると聞いております。
     また、星塚敬愛園は国立病院療養所の再編計画の対象外でございまして、現在も国が運営している重要な施設でございます。県といたしましては星塚敬愛園の今後につきましては、まず、国の方針が示されることが第一であると考えており、また、同療養所におきましては、現在も多くの方々が実際に生活しておられることでもありますことから、この段階でその活用方策等につきまして検討を行うことは考えておりません。 43 ◯教育長(有馬 学君)新しく教員に採用されましたときは一年間かけまして、学校内外で初任者研修を行っておりますけれども、その初任者研修は実践的指導力と使命感を養いますとともに、幅広い知見を得させるということで目指しまして実施をいたしてございます。  農業関係の教員につきましてはバイオテクノロジーに関する事項を校内研修の中で取り上げまして、またその他の講師の教員につきましては、企業研修等の中でバイオテクノロジーを含めました先端技術に触れ、学習する機会の充実に努めているところでございます。  また、このほか県教委では、農業に関する学科を紹介いたしますビデオや冊子を全中学校に配布するなどいたしまして、バイオテクノロジー等も含め新しい農業の現状について生徒とともに教師も学習し認識を深めるということに努めているところでございます。    [吉永守夫君登壇] 44 ◯吉永守夫君 いろいろ答弁をいただいてありがとうございました。  いろんなことを申し上げたいわけでありますが、できるだけ早い機会に転用の処理等もできるようにさらに工夫をしてほしいと、今、大体一年近くやっぱりかかっておって、申請した者にとってはですね、何でち、その間に経済変動でもあれば、やっぱりなお気になるところですから、許可があるまでは、着手するわけもいかんといったようなこと等で、非常に申請者としては期間が長くかかることにいら立ちを持っておるわけですから、できるだけ簡素化できる部分については、最大限簡素化の方向でひとつ取り組みをいただきたいと。  それから、教育長さん、いろんなところでビデオ等を通じてバイオの研修もやっておるということでございますが、できればですね、やっぱり研修センターあたりできちんとした指導をしていただくことがより効果を高めるんじゃないかなと、こういうふうに考えますので、ぜひひとつ検討をしていただきと。  それから、大隅のことについては、先ほど来ずっと申し上げておるんですが、保健環境部長の方でも、今ですね、それは確かにおっしゃるとおり、国立の施設であるから、県が今どうこうということはできないだろうとは思うんです。思うんだけれども、国が一たん方針を出してしまって、あそこをぱっと廃止をするとか、そしてあそこにいる園の方々を全部どっかに移すとかいったようなことになってから、さあ、ほんなら、あしこをいけんすっとよと、まあ、あしこといってもわかるんですかね、すぐ、さっき徳留先生がやっぱり鹿児島語をちょっと教えていただいたものだから、私もすぐそういうことになって申しわけないと思うんですが、できるだけ国が方針を出す前にできることなら、国にも折衝をしていただく等のいろんな努力をしていただいて、そしてあそこが、また、いかんですね、こら。あそこの、療養所のあそこはですね、あいだけ広大な土地、あいだけ立派な施設を持っておるわけだから、あれを有効活用する方向でぜひ検討していただくようにお願いを申し上げておきたいと思うんです。  それから、先ほどちょっと申しおくれたんですが、土木部長さん、恐らく先ほどもちょっと申し上げましたけれども、土屋知事さんも地元のことであるから、余りそんなに皆さん方に、あそこをいけんかしっくれんかよと、こういうことは言いにくいだろううと思うんです。だから、ところが、やっぱり、こらほんのこて、地元んしが言うごっ、いけんかせんないかんという気持ちではおいやっじゃろうから、だから、親の心子知らずじゃいけませんので、その親の心を必ず子が察していただいて、ぜひひとつ五〇四号の整備については、さらに努力をしていただくようにお願いを申し上げたいと思うんです。そうしていただくことが、地元ん人たちはですね、どっちかというと、こら、土屋知事さんは地元から出ちょったっで、まちっと、いけんかなればねえと、こういうことをみんな言うんですよ。だから、ぜひひとつ、その辺が何とか一年でも早く整備ができますように重ねてお願いを申し上げ、私もかねて知事さんが、県土の均衡ある発展ということを行政の理念にしていると言うておられるから、共感をして、もうこらやっぱいよか知事じゃと、こういうふうに考えておるわけですから、ぜひひとつ県土の均衡ある発展のために大隅半島が陸の孤島で取り残されることのないように特段の計らいをいただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。  ありがとうございました。(拍手) 45 ◯議長(鶴田辰巳君)ここで休憩いたします。  再開は、おおむね午後三時からといたします。        午後二時五十分休憩       ─────────────        午後三時   開議 46 ◯議長(鶴田辰巳君)再開いたします。  尾辻 義君に発言を許可いたします。     [尾辻 義君登壇](拍手) 47 ◯尾辻 義君 本日のラストバッター、そして一般質問も十三番目にもなりますと、皆さん大変お疲れで、「尾辻さん、もうよかが、もうわかっちょっが、一分でもはよ終わいやんせ」という声が聞こえてくるような気がいたしますが、私はしつこさが取り柄の人間ですので、しつこく質問をさせていただきますことをお許しいただき、早速質問に入らせていただきます。  産後ケア事業について質問いたします。  「さんば」という言葉があります。先輩の方はすぐ漢字を思い浮べると思います。若い人は辞書を引いてみる方がいらっしゃるかもしれません。しかし手元の辞書には「サンバ」という片仮名が一つだけ出ていて、ブラジルの陽気な音楽という意味だそうです。漢字のさんばは「産婆」さんのことです。辞書からは消えても今も健在です。ただ現在は助産婦と名が変わっています。最近、この助産婦さんの出番がまた多くなってきております。出産直後の母親の体に関するトラブルがふえているからです。  二十七歳のある女性の話です。病院で長女を無事に出産したのですが、赤ちゃんに黄疸が強く出て、光線治療を受けることになりました。そのため母乳を赤ちゃんに飲ませることができなくなって、搾乳ということになりました。自分で乳を絞り出してはそれを捨てなくてはならないのです。しかし、その都度絞り切れなくて、乳房がかたくなり、熱まで持つようになったのです。触られると飛び上がるほどの痛みが走ります。退院し、痛みを我慢し授乳をしてみても、哺乳瓶の乳首になれてしまっている赤ちゃんは、お母さんのかたくなっている乳首に吸いつくことができなくなっているのです。また痛みがぶり返してきました。針で刺されるような痛みが走ります。赤ちゃんどころではありません。このおっぱいを何とかしてください、とこの女性が駆け込んだのが町の小さな助産院でした。一日一回の通院では無理とのことで、その日から八日間入院することになりました。助産婦の指導で授乳ごとに一時間ほどかけて乳首を赤ちゃんに吸わせる練習が始まりました。やがて赤ちゃんは吸えるようになり、それとともに痛みとしこりがうそのように消えてきました。  この母親は言っています。一時はパニック状態で子供のことまで考える余裕がありませんでした。長女をかわいいと思えるようになったのは乳首のトラブルが解消してからです。同じ悩みを持つ母親はほかにもいっぱいいるはずです。私の場合、地域の助産婦さんに専門的ケアを集中的にしてもらって本当に助かりました。今は母乳も順調で子育ての喜びを実感しています、と述べておられます。  もう一つ例を挙げますと、実家への里帰り出産のできない核家族の例です。この女性は、こう述べています。産んだ翌日の夜、これからの育児がうまくできるかと涙が出ました。最初の三日間はお乳が出なくてどうしようかと思いました。しかし、この女性は町の助産院で出産していました。そこを選んだ理由は、産褥入院制度があったからです。  出産に続いて産褥期という期間があります。出産した後母体がもとの状態に戻るまでの期間のことです。普通、出産後六週間から八週間です。現在、国内の九九%の妊婦は病院や診療所で子供を産んで、四、五日程度の入院で家庭に戻っているということです。これに対し産褥入院は、病院を退院した後さらに一週間ほど地域の助産院に入院するというものです。今の例のように、助産院で出産から産褥まで丸ごとケアしてもらうという例もあります。この高齢出産の母親は、最初の三日間はお乳が出なくて大変だったけど、助産婦さんが夜中まで指導してくださって乗り越えることができました、と述べておられます。  産褥入院のケアというのは、具体的には母乳の吸わせ方と乳房の管理、赤ちゃんの体の洗い方、夜泣きの対処法などです。これらを助産婦が事細かに指導するというものです。核家族化と少子化が急速に進んでいる現代の日本です。これまで赤ちゃんを抱いたことすらない女性もふえて、そんな女性がいきなり赤ちゃんと対面するのです。未知の遭遇といいますが、しかし遭遇とは、災害や事件などに思いがけなく出遭うことです。赤ちゃんとの出会いは決して遭遇などではありません。しかし昨今では、赤ちゃんと遭遇してしまった母親がふえているような気もします。その証拠の一つとして、乳児、幼児の虐待がふえていることを挙げたいと思います。  鹿児島県児童総合相談センターに寄せられる幼児虐待の例は、身体的暴行や置き去りや保護の怠慢などが挙げられるそうです。相談件数としては、平成二年度が二十九件、三年度が二十三件、四年度が三十一件、五年度が二十二件となっています。ここの中村所長は、全国的な傾向として実の親による虐待がふえており、鹿児島でも表面化しつつあると話しておられます。以上、挙げた数字などは氷山の一角だと思います。家庭内での幼児虐待は外にはなかなか漏れないからです。子供本人が外に訴えるということはほとんどしないからです。  乳幼児虐待の研究調査を二十年続けておられる大阪府立母子保健総合医療センターの小林道子医師は、先ごろ鹿児島市の講演で語っておられます。欧米では虐待のハイリスクは新生児期にほぼ把握できると言われているそうです。虐待のハイリスクとは、やがて虐待に至りそうな高い危険性とも言いかえることができましょうか。つまり望まぬ妊娠や十代の妊娠、未熟児、発達の遅れた子供などを小林医師は挙げておられます。親の側からの離婚や再婚で子供が邪魔になるケースも私は挙げたいと思います。  虐待発生予防に最も有効なのは、ハイリスク児に対して出産後すぐから保健婦や助産婦が身を乗り出して指導に当たることと小林医師は語っておられます。育児する親をサポートする母子保健機関の充実が大事と語っておられます。また、病院より退院三日間が親も子もパニック状態だと新生児を訪問している助産婦さんたちも言っておられます。虐待されている子供はまだまだ存在し、子供たちは発見され、助け出されることを待っています。そして親も本当は実は助けてほしいと思っています。虐待される子供とその家族を救うシステムづくりを急がなければなりません、と小林医師は声を大にして訴えておられます。この世に産まれてくる子供たちすべて、大事に大事に守り育てなければなりません。乳幼児虐待などとんでもないことです。乳幼児虐待をなくすためにも、子育てで最も大変な時期である産褥期の母親の介護というのをみんながもっと真剣に考える必要があると考えます。  そんな母親のために、最近では産褥入院というのがあるという話をさきに述べたのですが、実はこれにはお金が随分かかるのです。乳房のトラブルで助産院に入院した女性の場合、十日間で約二十万円かかっています。保険の対象外のため入院費は全額自己負担なのです。一般にいって、産褥入院は一日当たり二万円ほど自己負担しなくてはならないのだそうです。経済的な事情でだれでもが利用できるわけではありません。  というわけで、厚生省が今年度から産後ケア事業というのを導入しております。産褥期入院への財政支援です。産後の肥立ちが悪い人、産後家事や育児の世話をする人がいない人、産後のトラブルで日常生活に支障を来した人などが対象で、各市町村が地域の助産院と契約して、これらのお母さんを一週間ほど入院させるものです。入院費の必要経費の半分を国と都道府県、市町村の三者で三分の一ずつ補助するというものです。  この産後ケア事業というのは、平成六年六月に厚生省が打ち出した子供にやさしいまちづくり事業の一つとして挙げられている事業です。厚生省が全国の自治体に呼びかけている事業の一つです。子供は全国民の宝です。子供を大事にする政策ほど大切なものはないと思います。厚生省の声かけに我が県も十分応じてほしいと思います。この点に関して知事はどう対応しようと思っておられるのか、お聞かせください。  平成六年度の人口動態調査の結果が発表されました。出生数が二十一年ぶりに上向いております。前年より五万人ほどの増加です。いわゆる出生率も史上最低だった平成五年の一・四六人から一・五〇人まで回復しております。出産をおくらせてきた三十代女性の駆け込み出産の増加が出生率を押し上げた要因だろうと分析されています。つまり高齢出産がふえているということです。これは出産や産後のトラブルがふえるということにもつながると思います。この点から見ても、産後ケア問題はますます重視されるべきと考えます。産後ケア事業導入について、県当局の前向きの御答弁をお願いいたします。  次に、高齢者問題について、寝たきり介護問題に絞って質問をさせていただきます。  厚生省の発表によりますと、日本人の平均寿命は男女ともに世界最高記録を再新し、女性が八十二・九八歳、男性が七十六・五七歳、ともに過去最高で、女性は十年連続、男性は九年連続の世界一です。総務庁が敬老の日現在で推計した六十五歳以上の人口は一千八百二十一万人で、昨年より約六十万人ふえています。総人口に占める割合も〇・四ポイントふえて一四・五%です。人口も人口比でも過去最高となっております。高齢者のうち何らかの介護を必要としている人が、現在約二百七十万人いるという推計があります。高齢化のピークは二〇二五年あたりと見られていますが、そのころには寝たきりと痴呆老人だけで五百万人以上になるだろうと言われています。鹿児島県内は、寝たきり、痴呆で在宅介護を受けている高齢者は、平成六年度は七千二百六十三人となっております。寝たきりと痴呆以外も含めた在宅の高齢要介護者は現在八千人余りと言われています。  全国に話を戻しますが、ことし三月、総務庁が六十五歳以上のひとり暮らし、または夫婦だけの世帯を対象に意識調査を実施しています。それによりますと、介護が必要になった場合、どうしたいですかという設問では、自宅で介護を受けたい四一・八%、病院などの医療機関に入院したい二七・一%、老人ホームなどの福祉施設に入りたい一一・七%となっております。また介護が必要になった場合、だれに介護してほしいですかの設問に、一九%が家族だけ、三五・八%は主として家族だが、介護疲れのときなどは市町村のホームペルパーも利用すると答えておられます。五四・八%が家族中心の在宅介護を希望しておられるのです。  では、在宅で介護に当たっていらっしゃる方々の実態はどんなものなのでしょうか。鹿児島県地域婦人団体連絡協議会が、昨年九月に集めた介護者の手記で八人の方が介護の体験を語っておられますが、それはもうすさまじいものです。へとへとになりながら歯を食いしばって介護に奮闘しておられます。そして介護を全うしておられます。本当に立派、見上げたものでありますが、痛々しい、限界ぎりぎりという感じがいたします。ぎりぎりを超えると、ことしの六月二十九日に鹿児島市で発生した介護殺人事件のようなケースが起こってしまうのです。  日本労働組合総連合会が、要介護者を抱える家族の実態調査を実施しています。在宅介護者が対象です。設問の一つは、要介護者に憎しみを感じることがありますか。回答を寄せた三分の一の人が、いつも感じている、時々感じていると答えています。また、要介護者を虐待したことがありますかという質問には、何と半分以上の人があると答えています。いろいろ述べてまいりましたが、高齢者の介護については、さまざまな統計調査の結果も示しているように、在宅介護を望む高齢者が多くて、政府の方針もそれに沿うようにして、病院や施設から在宅へと重心が移っております。それに従い、ホームヘルパーなどの増員や二十四時間ヘルパーの導入など次々と対応策を重ねてくださっています。また、国は公的介護保険の導入を進めておられますが、本当に現実化し、定着するのは何年先になるのかわかりません。とすれば、今も日々年を取っていき、日々弱っていかれるお年寄りのことをまず考えなくてはならないと思います。  県地婦連が昨年七月に行った介護者手当受給者聞き取り調査報告書によりますと、介護者手当を支給されたときどんなに思いましたかという質問に、介護のために仕事をやめていたのでうれしかった、うれしくて介護に一段と力を注ぎたいと思いましたとあります。そして一番多い要望は、介護者手当を増額してほしいという要望だったそうです。県地婦連の皆様の御努力と市町村の御理解のおかげで、介護者手当が県内ほとんどの市町村で支給されるようになりました。市町村も精いっぱいの努力をしていただき、これ以上の増額は不可能と言っておられます。この際、在宅介護手当の支給に県当局が踏み切るときだと思いますが、いかがでしょうか。  私は、この壇上で何度も訴え続けてまいりましたが、そのたびに知事は家族による扶養が一般的な状況の中で、この制度をどう位置づけていったらいいのか、またその効果がどのように及ぶかなど基本的な問題があり、国でもこういった問題がいろいろ検討されているようです。今後、そういった国の動向などを十分見守りながら対処してまいりたいと考えております、と言い続けてこられました。その間に二十三の都道府県、八市の政令都市で在宅介護手当の支給を開始しているようです。この現状を知事はどのように受けとめられるかお聞かせください。高齢者率三位の鹿児島県です。私は鹿児島県が先頭に立って積極的に心のこもった福祉立県としての行政を行うべきだと思います。絵にかいたもちではなく、鹿児島県に住んでいるからこそ食べられるおいしいおもちにすることはできないのでしょうか、お聞かせをください。    [知事土屋佳照君登壇] 48 ◯知事(土屋佳照君)厚生省が平成七年度から市町村を実施主体とする補助事業として始めた産後ケア事業につきましては、鹿児島市は地域保健施行令第一条に定める政令都市でありますから、独自に事業の実施について判断することになりますが、その他の市町村につきましては、県からの補助を前提に事業を実施するということになるわけでございます。現在、鹿児島市以外の市町村では、二つの助産所が事業を受託する意思があると表明をしておると聞いておりますけれども、これらの助産婦の立地する二つの市においてはいろいろ協議をされていると伺っております。ただいまのお話を伺いましても、産褥期の母親の介護は極めて重要な問題だというふうに私も感じておりますが、この産後ケア事業につきましては、ただいまの二つの市の状況とか、あるいはまた助産所の状況等の実態を踏まえた市町村の意向もありましょうから、そういったことを聞きながら、制度の導入について研究をしてみたいと思っております。 49 ◯県民福祉部長(岡元杉夫君)介護手当につきましては、現在、全国で二十三の都道府県、県内においては九十三の市町村で実施されておりますことは承知いたしておりますが、その内容はそれぞれ異なっておりまして、各自治体の事情によるものと考えています。  県といたしましては、介護者の精神的、肉体的負担の軽減を図ることが最も重要であると考え、ホームヘルパーの大幅な増員やデイサービス、ショートステイの拡充などのほか、本年度からはショートステイの無料体験利用をセットにいたしました生き生き介護者交流会やホームヘルパー専門技術向上研修を新たに実施するなどいたしまして、在宅福祉の充実に積極的に取り組み、介護者の負担軽減に努めているところでございます。  介護手当につきましては、現在国におきまして、平成九年度の導入を目指しまして公的介護保険制度が検討されておりまして、その中で在宅介護については、ホームヘルプサービスなどの現物給付とともに、介護者に対する現金給付についても議論されておりますので、県としてはその動向等を見守ってまいりたいと考えております。    [尾辻 義君登壇] 50 ◯尾辻 義君 それぞれに御答弁をいただきました。  女性にとって出産は何にもかえがたい大切な大切な命をかけた務めであります。私は経験がありませんので偉そうなことは言えませんが、女性の一人としてお願いをいたしましたが、大変消極的な答弁、残念に思います。  例えとしては少し違うようにも思いますが、聖書の中に、一匹の子羊を見失ったら九十九匹の子羊を荒れ野に残して一匹を見つかるまで探し回る、そして見つかったらみんなで大喜びをするという教えがあります。助産院が二地区しかないからというのでなく、一つの命のために温かいお心を差し伸べてくださる真の行政を心からお願いをいたします。  在宅介護手当については、知事のお気持ち、そして御答弁もわかっていながらしつこく質問をいたしました。同じ答弁をいただきましたが、公的なサービスで精神的安らぎを与えることこそ真の行政であり、政治であると私は思っております。「気は心」と申します。知事の温かいお心を期待しつつ、次の質問に入ります。  教育問題について質問をいたします。  先月二十四日、私の住むマンションで火災が発生しました。それも私の住む同じ二階でのことでした。火元は九十二歳のひとり住まいのおばあさん方で、このおばあさん、足が不自由ということもあって逃げ遅れていたのです。そのころ火災発生に気づいた四人の中学生がいました。市立甲東中学校三年生の四人ですが、この少年たちは火元の部屋に入りました。煙の立ち込める中おばあさんは腰を抜かしていたのでしょう。壁にもたれかかって震えていらしたそうです。腰が痛いというおばあさんを注意深く運び出す一方、消火器を使って火も消しとめました。中学三年生たちの的確な機敏な行動によって一人の命が助かり、延焼も免れたというわけです。  この少年たちは、九月一日の始業式の日、学校の体育館で全校生徒の見守る中、中央消防署の署長から感謝状が贈られました。署長さんは、煙の立ち込める部屋に入るのは勇気が要る。そしてタイミングを図る判断力も必要、四人はそれを見事にやってのけてくれましたと、その勇気をたたえています。四人の少年たちは、怖かったけどとにかく必死だった。おばあちゃんが無事でよかったと述べておりました。夏休み鹿児島ではこんないい話があったのに、山口県ではかわいそうな水死事故がありました。  七月二十八日のことです。中学二年生の兄と小学校五年生の弟が兄の同級生三人と海に泳ぎに行きました。ところが、小学五年の弟の方が岸から五メートルのところでおぼれかけたのです。おぼれかけた弟を中学二年生の兄は救助に向かいました。そしてお弟をおんぶして岸に向かって泳ぎ始めました。しかし、兄の方が途中で力が尽きて沈んでしまったのだそうです。弟の方は自力で岸まで泳ぎ着いで無事でした。おぼれかけた弟を助けようとした兄の方が反対におぼれてしまった事故です。  これらの出来事を振りかえってみて、今の子供たちはエゴイストだけかと思っておりましたが、彼らだっていざというときには人間愛にあふれた行動を自然にとることができるのです。山口県の水死事故の場合は、結果として痛ましいことになってしまいましたが、弟は一生兄の命を掛けた愛を忘れることはないでしょう。  ことし一月十七日に発生した阪神大震災のときにも、若い人たちがボランティア精神を発揮して大活躍し、世の大人たちを大いに驚かせたものです。これらのことからもわかるように、子供たちというのは本来いいものを持って生まれてくるのだと思います。つまり、人間性のよきもの、温かい心、優しい気持ち、思いやりというものはだれもが持ち合わせているのです。それに加えて、自己実現の要求というものもだれもが持ち合わせています。一つずつ成長したい、上の段階に上がりたい、何かができるようになりたい、なったという実現の喜びを感じる、そういうふうに人間は生まれついています。そして、それらは一人一人の子供たちの心の奥でいつでも外にあらわれる機会を待っているのです。普通の生活の中で自分を生かす機会、自分を生かせる機会、人に役立ってそれを喜んでもらえる機会、できたとか、やったとか大声で叫べる自己実現の喜び、達成感といったものを味合う機会を待っているのです。そしてそれらを通して親や友達や先生に褒めてもらいたいという気持ちを持っているのです。つまり、身近な人たちに自分を認めてもらいたいと切に願っているのです。一人一人の子供の年齢や性格や能力や体力、知力などに合ったその子にふさわしい機会づくり、場づくりというものをさりげなく与えていく、それが大人の役目だと思います。  言いかえれば、一人一人に合った段階的な目標をさりげなく与えていく、それが肝要かと思います。そんなことはわかっている、それを踏まえてこそ学校教育というものが体系づけられているのではないかと言われると思います。しかし、ではどうしてこんなにも登校拒否の子が多かったり、いじめによる自殺事件が頻発したりしているのでしょうか。なぜ学校に行きたくなくなるのでしょうか。その理由、原因は、決して単純な画一的なものではなく、一人一人微妙に違うのだと思います。その子の性格や家庭内での事情、学校でのかかわり方、友情関係などさまざまな要因が複雑に絡み合っていて、とてもとてもこれが原因だなどど一言で言い切れるものではありません。子供たちのいじめの問題、不登校、校内暴力など、どれも家庭や社会と関係がある。特に原因の大半は家庭にあるという意見も根強いものがあります。確かにうなずける面は多々ありますが、しかし大抵の御両親は教育のプロではないのです。しかし、学校の先生は教育の専門家として、一人一人の子供を大切にする指導のプロとしてよき指導を期待したいと思うのは、私ばかりではないと思います。  今でも小学校の先生は地域社会の行事、何々町はだれ先生の係と決めてあって、その町内の行事にも先生方が顔を出してくださっているようです。そんな関係をもっと強めてほしいと私は思います。今の仕事だけでも大変、これ以上はと学校の先生方はおっしゃることでしょう。規制緩和ならぬ省力化を図っていただき、先生本来の仕事に返っていただきたいと思います。子供一人一人を大切にして、自己実現の希望を与えてください。同時に地域と密着して人間育てのノウハウを大いに発揮してほしいと思います。そのためには、小中学校の先生方はその校区に実際移住してもらうこととして、十年間ほどは異動がないようにしてもらうという方策なども議論の余地があると考えます。いかがでしょうか。  そこでお尋ねいたしますが、県教委としては、登校拒否、学校嫌いの原因をどのようにお考えでしょうか。それに対する即効的な対策があるとお考えでしょうか。また現実にどのような対策を講じておられるかをお伺いいたします。  学校と地域社会と家庭の三者の関係について言えば、ここに新たに学校の週五日制の問題が生まれてきます。学校週五日制がことし四月から月二回にふえました。完全な週五日制実施に向けて二年後に指導要領が改訂される予定とのことですが、それまでは年間総授業時間数が千五十時間というのは変わりません。平成四年九月から週五日制の月一回実施が始まって、そのとき以来土曜日休業分の授業時間数を他の曜日に上乗せする学校が多くあって、その確保に現場の学校では苦労してきました。さらにことし四月から月二回土曜休業になって、ますます総授業時間数の確保が窮屈になってきているそうです。学校行事を再検討し、質量ともに削除しようというのがどこの学校でも実施しておられる対策のようですが、ことしから家庭訪問を中止するという学校も出てきました。川内市の川内北中学校がそれです。  お隣の宮崎市では、ことしから市内十九中学校のうち十四校が、一斉の短期間に時間を定めた家庭訪問を廃止し、夏休みまで期間を広げて行う自由なスタイルに変えています。これにより、授業時間数を約二十時間捻出できたそうです。好評を得ているとも聞いています。  川内北中の場合は、家庭訪問から三者面談に切りかえるというもので、実施後の保護者へのアンケート調査によれば、賛成五五%、反対四五%という結果だったそうです。これは試しにやってみたというものだそうで、来年度からは宮崎方式の方向へ転換しそうにも思われますが、どうでしょうか。わかっていたらお聞かせください。川内北中が先鞭をつけて宮崎方式への方向へ向かう、これはとてもいいことだと私は思います。期間を定めた半強制的なものを排して、随時の家庭訪問は今後もっと行わるべきだと私は考えるのです。さきにも述べたように、学校の先生にもっと地域や家庭にかかわってほしいと考えているからです。県教委の家庭訪問に関する考え方をお聞かせください。  経済同友会がことし四月十九日に次のような提案をしております。「学校から合校へ」という提案です──初めの方のがっこうは学ぶところ、今までどおりの「学校」です。後のがっこうは合唱の合と学校の校が組み合わせって「合校」です。合わさった学校という意味です。何が合わさっているかというと、学校と家庭と地域社会のこの三つです。学校、家庭、地域社会が一致協力して合校、合わさった学校をつくろうという提案です。  第十五期中央教育審議会の会長である前東京大学学長の有馬先生は、強力に学校五日制を進め、この経済同友会の「合校」構想にも大いに賛同の意をあらわしておられます。五日制導入を急げ、と有馬先生は号令をかけておられますが、その理由は三つと、七月一日の日本経済新聞紙上でも持論を展開しておられました。  第一の理由は、生徒、学生に余裕を与えるべきだからだということです。第二の理由は、家庭教育の復活のためということです。第三の理由は、地域社会の教育への参加を復活させるためということです。「学校から合校へ」の提案を県教委はどのように受けとめておられるか、お聞かせください。  しかし、実態の方はどうなのでしょうか。子供たちには確かに余暇と呼んでもいい時間ができました。しかし、その過ごし方ときたら、だらだらだったり、ごろごろだったり、ぶらぶらだったりすることが多いという話です。それでいいではないか、それがゆとりというものだと考える人もいることでしょう。私もうなずきたい気もします。しかし、それは半分の気持ちで、残り半分の気持ちは、あり余っているはずの若いエネルギーがもったいない、もっといい過ごし方があるのではないかという気持ちです。学校週五日制は、本県ではどのように受けとめようとなさっているのか、私学ではどのような状況になっているのかお聞かせください。  最後に、知事にお伺いをいたします。  こんな時代だからこそ、全県民が一体となって鹿児島の教育をどうするべきかを考えるときであると思います。校長を中心とする全職員の一致協力、学校、地域、家庭の連携協力、行政への的確な協力、支援が必要と思われますが、鹿児島県の教育をどのように進めていくおつもりなのか、明治の維新をなし遂げた逸材を輩出しましたが、我が鹿児島県が将来を見通した人間の育成に努め、偏差値重視の教育を脱して、自主性と創造力を有するやる気のある子供たちを育てるための教育の実現のため、他県に先駆けて先進的な教育改革を目指される必要があると思いますが、いかがでしょうか、お伺いをいたします。  最後に、スポーツ問題について質問いたします。  ユニバーシアード福岡大会が大成功のうちに幕を閉じました。史上最多の百六十二の国と地域が参加しました。これほどの規模の総合スポーツ大会は九州では初めてのことでした。このため福岡市は、七つの競技施設を新設するなどして、どんな世界大会でも開催可能な体制を整えたということです。ユニバ福岡大会の最大の特色は、市民総参加ということでした。大会を支援する市民の会が結成されて、一人千円という会費まで払って、それが積み重なり一億円を突破したといいます。福岡市内の百四十四の校区ごとに、それぞれが分担して担当国の面倒を見るという方式も極めてユニークな試みでありました。  例えば、A小学校地区の住民はケニアの国の選手と役員の世話に当たるという方式です。担当国はくじ引きで決めたそうです。それも一年前の夏にくじがあり、担当国が決まったそうで、それぞれの校区では独自に担当国の歴史や文化、料理などの勉強会を重ねたということです。そしてその国からの視察団がやってくると成果を披露したり、続いては相手国を訪問したりと、スポーツを通じて民間外交、国際交流が自発的に始まったのです。校区の子供会と老人クラブが一緒になってお土産づくりに一生懸命励んだ校区もありました。人間ならだれしも、子供も大人もお年寄りも生きがいというものを必要としています。子供は特に意識はしていませんが、何かおもしろいことはないかという目でいつも生きがいを探しています。高齢者の方々にケニアの人たちの土産づくりという目標が与えられたのです。病院をはしごばかりしていた御老人が、急に病院など忘れて土産づくりに熱中し始めるのです。それも孫たちと同年齢の子供たちと一緒にやるのですから、これほど楽しい生きがいはなかったのではないでしょうか。子供たちへの教育効果、高齢者への元気づけ効果、これらは計り知れないものがあったろうと思います。それからボランティアが一万人以上集まったそうです。福岡市内、福岡県内ばかりでなく、鹿児島県からも通訳係として十八人、一般ボランティアとして十三人が駆けつけたそうです。このようにして、小学校校区を単位とする市民総参加、加えて多数のボランティア参加によりユニバーシアード福岡大会はかつてないスケールになり、スポーツ大会という枠を越えて大規模なお祭りとして盛り上がっていったのでした。  日本銀行福岡支店の推計によると、ユニバ福岡大会がもたらす経済効果は一兆円を超えるだろうということです。  以上のように、大きなスポーツ大会が地元にもたらす効果は各分野にわたって絶大なものがあると思います。知事は、この事実を前にして県の振興策と観光立県としての総合的な立場からどのように考えておられるものかお聞かせください。ユニバーシアード福岡大会を大成功に導たのは確かに市民総参加によるエネルギーだったのでしょうが、ハード整備、基本的な整備面はやはり行政側がやってくれたのです。福岡市は七つの競技施設を新しくつくりました。そんなハード整備があった上での市民総参加なのです。我が鹿児島では、県と市が協力し合って谷山中山地区において、まだ仮称ですが、ふれあいスポーツランドという総合スポーツ施設をつくる事業が始まっています。鹿児島市がつくるのは、あらゆる世代の人々が気軽にスポーツやレクリエーションを楽しみながら交流を図れるふれあいスポーツゾーンの方です。  一方、鹿児島県がつくるのは、国際的なスポーツイベントにも対応できる本格的球技場を中心とする専用球技場ゾーンです。この施設づくりは、私が八年間一生懸命訴え続けてまいりましたので、今年度から実現化に向かい始めたということで大変感激をいたしております。  そこでお尋ねいたしますが、現在の進捗状況はどうなっているのでしょうか。規模や内容についてどの程度まで固まりつつあるのか、そこまで含めて御答弁をお願いいたします。  専用球技場ゾーンのイメージとして、県はことし七月二十四日の第一回県スポーツ振興審議会において、次のように述べておられます。国際的なスポーツイベントを開催できる三万人程度の収容規模を有する多目的な球技施設を整備する。また人々の多彩な交流、集いの場となるとともに、文化・スポーツの情報発信もできる魅力ある施設を整備すると述べておられます。収容人数の三万人規模という点についてお伺いをいたしますが、ここに「都市公園におけるサッカー競技場の整備及び管理運営に関する研究会」という会が出した報告書があります。これによりますと、サッカー場の種別を施設規模、競技水準に基づき六段階に区分すると出ております。六段階のうち、最上級レベルの施設は収容人数が六万人以上のものです。上から二番目が三万人から六万人収容の施設です。続いて一万五千人から三万人収容施設です。この上から二番目レベルのものをつくるか、三番目レベルのものをつくるかというのが我が鹿児島県の問題だと思います。三万人から六万人のものは、一定レベルの国際試合などの開催が可能な競技場となっています。一万五千人から三万人のものは、国内の一定レベルの大会、地方ブロック大会等の開催が可能な競技場としてあります。三万人規模というのはどちらかになる可能性があると思うのですが、どうでしょうか。  たしか県は、国際的なビックイベント開催可能なスポーツ中核施設をつくると言ってこられました。第一回県スポーツ振興審議会でも国際的なスポーツイベントにも対応できるものと述べておられます。国際試合もできるものとしては三万人から六万人規模のものが望ましいと思いますが、県はこの点をどう考えておられるのでしょうか、お聞かせください。    [知事土屋佳照君登壇] 51 ◯知事(土屋佳照君)戦後五十年を経過をいたしまして、御承知のように、国際化、情報化、高齢化が進み、また産業就業構造の変化など、いろいろな面で急速に社会が変化をしております中で、このような変化に積極的に対応し、我が国の発展はもとより国際社会にも貢献し得る立派な人材の育成が求められておるわけであります。その意味で、これからの教育におきましては、学校、家庭、地域社会が一体となって子供たちにみずから考え、主体的に判断をし、行動のできる資質や能力を身につけさせますとともに、豊かな人間性をはぐくみ、いわゆる知・徳・体の調和のとれた全人教育を推進することが極めて重要だと思っております。教育改革そのものは教育委員会でおやりになることでありますから、私がそこまで踏み込んで申し上げることはできませんが、今申し上げたようなことを頭に置いて、今後とも先人たちが築いてまいりました郷土の教育的な伝統を基盤に、主体性、創造性、国際性を備えた人材の育成が図られることを期待し、またそれが推進されるように私としても努力をしてまいりたいと思っております。  それから、スポーツ大会、ユニバーシアード福岡大会の状況などを含めていろいろお話を伺いました。スポーツ大会を含めて大規模なイベントの開催は、観光を初め開催地の産業、経済、社会、文化などはもとより、対外的にも知名度やイメージが向上するといったような大きな波及効果があると思っております。そういった意味で、県の総合基本計画の中でも戦略プロジェクトの一つとして大規模イベントの開催を、いずれかの適当な時期に開催したらということで取り上げている次第でございます。本県における大規模なイベントは、率直に申し上げまして、その効果とかイベントが済んだ後の使い方、そこへのつながりをどうするかといったようなことをいろいろと研究していかなければならないわけでございまして、いろんな例も私も聞いたりしておりますが、一過性に終わってしまって後でちょっと困っておるところがないわけでもございません。なかなかそこらのことをよく考えていかないと難しい問題だなと思っております。特に私個人の気持ちとしては、全国の中で、どちらかというと外れた方には人が集まりにくいという面もあるもんですから、そういう地理的な問題等もよくよく考えて、季節も含めて構想をつくらなければならないなといったような感じがいたしております。  本県における大規模イベントを、どのような内容で、いつごろ開催するかといったことにつきましては、私としては、例えば九州新幹線の開通、あるいはまた鹿児島港ウオーターフロントの整備とか、いろいろ大規模なプロジェクトを抱えておりますから、その整備の状況とか完成時期、あるいはまた景気が落ち込んだときでも困りますし、景気の動向などいろんな要素を考えながら、また国のイベント等の誘致といったことも念頭に置きながら、いろいろ考えていかなければならないと思っております。  今申し上げたような意味からすれば、恐らく総合基本計画に打ち出しておりますけれども、時期的に見ればやっぱり後期なると言わざるを得ないと思っておりますが、本県が将来に向かって飛躍するための契機となるよう、適切な時期に、適切な内容のものを開催していきたいと考えております。いろいろな調査はやっておりますが、ちょっと今まだ私がここと踏み切っていけるほどの材料が集まっていないというのが率直な気持ちでございます。もとより、大規模なイベントを実施いたしますとなりますと、相当の準備期間と資金、財源等含めて周到な準備を要することになりますので、今後ともどのような形で盛り上げていくかなども含めて、また各界のいろいろな方々の御意見も伺いながら、引き続き検討を進めてまいりたいと思っております。  それから多目的球技施設につきましては、お示しのように、鹿児島市が整備するふれあいスポーツランド予定地内に県が建設をするということにしておりまして、鹿児島市ともいろいろ話をしております。現在鹿児島市におきまして、県や学識経験者等で構成する、県も入ってという意味でございます、基本構想等検討委員会を設置をして、ふれあいスポーツランド全体の基本構想策定作業を進めておられるわけであります。ただ、今も申し上げましたように、県も参加しておりますので、その中でいろいろ意見を申し上げながら、そしてまた買収がこれからであるもんですから、具体的なことはなかなかまだ決め切らないわけでありますけれども、そういう、そこでできた基本構想を踏まえて、できれば本年度内に基本計画を県として策定をしたいと、こういうふうに思っております。  この施設は、かねて申し上げておりますように、三万人程度の収容規模を有するものと考えておるわけでございますが、施設内容につきましては、今後、関係団体等の意見を幅広くお聞きしながら、国際試合も十分開催できる立派な施設にしたいと考えております。お示しのいろんな基準は、それはそういうものでなければならんという規格が決まっておるわけではなくて、一つの基準として示されております。私の気持ちとしては、三番目じゃなくて、二番目レベルの方の三番であって、内容は国際試合もできるものと、そういったような気持ちでおることを御理解願いたいと思います。 52 ◯教育長(有馬 学君)お示しにもございましたけれども、登校拒否は、学校、家庭、社会、児童生徒自身の要因が複雑に絡み合って生じておりまして、それらの要因といたしましては、友人関係や学業の不振など、学校生活での影響、それから親子関係や家庭内の不和などの家庭生活での影響、都市化の進行によります連帯感などの希薄化など、地域社会への影響などが考えられます。  登校拒否問題の解決に当たりましては、学校を児童生徒が自己の存在感を感じ、生き生きと活動できる場としていくことが大切でございまして、県教委といたしましては、いじめ、校内暴力等に対する生徒指導の充実やチームティーチング等によるわかりやすい授業の推進に努めますとともに、集団生活を通しまして、心身ともにたくましい児童生徒を育成するため、自然教室授業でございますとか、そういうものの体験活動の推進に努めております。また、保健室登校講座や登校拒否カウンセラー養成セミナーなどにより、教員の指導力の向上に努めたり、心の教育推進校指定等により学校の指導体制の確立を図りますとともに、県総合教育センター等で教育相談などの取り組みを行っております。登校拒否問題の解決は困難な面もございますが、今後とも家庭や関係機関と十分連携を図りながら、解決にさらに努力をしてまいりたいと思っております。  それから家庭訪問の件でございますが、川内北中学校では本年度家庭訪問の実施の方法を見直し、試行として一斉の家庭訪問は実施をせずに、三者面談あるいは地域の懇談会、その他必要に応じた随時の家庭訪問を実施するということにいたしております。来年度以降の家庭訪問については、現在、本年度の取り組みの成果や課題を集約しながら検討していくということをお聞きをいたしております。  県教委といたしましては、家庭訪問は担任の教師が保護者の家庭を直接訪問し、子供の置かれている生活環境を理解いたしますとともに、学校や家庭における教育方針や抱えている問題等について相互に話し合い、認識を深めて今後の教育指導に資するという意味で大変重要な意義を有していると考えております。このようなことから、各学校においては家庭訪問の重要性の認識に立って、効果的な実施が図られるよう指導していきたいと思っております。  それから「学校から合校へ」の御提言の問題でございますが、お示しにもございましたが、経済同友会の「学校から合校へ」という提言は、学校のスリム化、多様な人々の教育への参加、多様な集団づくりなどの必要性を求め、その上で基礎基本を学ぶ学校と体験教室、自由教室とのネットワークづくりを提唱しております。  これは、学校、家庭、地域社会の教育に対する役割と責任を見直し、新たな連携のあり方についての提言と受けとめております。これからの教育において、時代や社会の変化に対応いたしますとともに、問題行動等に適切に対処していきますためには、学校、家庭、地域社会が連携しながら、それぞれの持っている教育的機能を最大限に発揮していくということが重要であると考えておりますが、経済同友会の提言を具体化するには、これまでの教育に関する役割、認識の抜本的な変革でございますとか、あるいは多くの制度上の問題がございまして、そういうことから、中央教育審議会など国レベルの論議が必要であるというふうに考えております。  それから学校週五日制の問題でございますが、学校週五日制は、学校、家庭及び地域社会の教育全体のあり方を見直し、社会の変化に主体的に対応して、これからの時代を生きる子供たちの望ましい人間形成を図るということを目指して実施をされております。  平成六年度月一回実施の際の子供の状況を調査した結果では、子供たちは学校週五日制をおおむね歓迎をいたしておりまして、休日となった土曜日には、一般的に家庭での読書、スポーツ活動や自然と親しむ活動、団らんや家事手伝い等で過ごしている者が多うございました。  また、この四月からは月二回ということで実施に移行しておりますところでございますが、開始されまして半年間が経過をいたしておりますことから、近くその実施状況を調査をいたしまして、さらに円滑な実施が図られますよう努めてまいりたいと存じます。 53 ◯総務部長(白崎徹也君)私立学校の休業日でございますが、学校教育法の施行規則によりまして、当該学校が学則で定めることとされております。学校週五日制も基本的には各学校の自主性にゆだねられておりますが、県としましては、各学校に対しまして積極的に取り組むよう要請をしてきております。  この平成七年四月現在の私立学校の週五日制の実施率でございますが、小中高全体では八七・九%、幼稚園では九八・八%となっております。このうち月二回実施している学校でございますが、小中高全体では三九・四%、幼稚園では八〇・三%となっております。また、未実施の学校があるわけでございますが、これらの学校におきましても、実施に向けて方法や時期等を検討していると聞いているところでございます。    [尾辻 義君登壇] 54 ◯尾辻 義君 それぞれに御答弁をいただきました。  教育というのは、何よりもまず人間を人間らしくすることであると言われています。人間としての強さ、あるいは優しさと若者らしい気概に富む、そういうものを持ち合わせる青少年の育成になお一層御尽力をいただきますようお願いいたします。  そして、スポーツ中核施設は、思い切って五十年後でも鹿児島の施設でプレーしたいと言われるようなものをつくっていただきたいと思います。鹿児島県の体育館も三十五年前は九州一だったそうであります。今では九州一、いや、全国一貧弱な体育館になっております。今はぜいたくな、大き過ぎる、立派過ぎると思われるかもしれませんが、五十年後にも通用する立派な施設の建設に踏み切っていただきますよう心からお願いをいたしまして、私の一般質問を終わります。(拍手)
    55 ◯議長(鶴田辰巳君)これで本日の日程は終了いたしました。       ─────────────    △ 日程報告 56 ◯議長(鶴田辰巳君)明日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問及び議案の委員会付託などであります。       ─────────────    △ 散  会 57 ◯議長(鶴田辰巳君)本日は、これで散会いたします。         午後四時散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...