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1989-09-27 平成元年第3回定例会(第4日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 1989-09-27
    1989-09-27 平成元年第3回定例会(第4日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-18
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午前十時開議    △ 開  議 ◯議長(五領和男君)ただいまから、本日の会議を開きます。       ─────────────    △ 総括質問(代表) 2 ◯議長(五領和男君)本日の日程は、代表質問及び一般質問であります。  まず、代表質問であります。  山口優君に発言を許可いたします。    〔山口 優君登壇〕(拍手) 3 ◯山口 優君 平成元年第三回県議会定例会に当たり、公明党県議団を代表して質問を行います。  激動の昭和から平成へと元号も改まり、平穏豊穣な国土と活力に満ち満ちた国民生活が期待された平成の年も、元号とは裏腹に外には中国の動乱、内には参議院選挙における自民党の大敗北、そして参議院における保革逆転の政治変革へと、激動に次ぐ激動の連続であります。  昨年、国民の反対を押し切って強行した公約違反の消費税の導人、戦後最大とも言われる疑獄事件に発展し、自由民主党首脳ニューリーダーまでなぎ倒してしまったリクルート事件、その直撃であっけなく倒れてしまった竹下内閣、その後を受けて、宇野内閣も参議院選挙の敗北で、わずか二ヵ月足らずで退陣を余儀なくされました。かわって登場した海部内閣も、来るべき総選挙を目前にして、党勢立て直しに躍起になっているところでありましょう。このことは、日本の憲政史上まれに見る異常な政治現象ではないでしょうか。  前鎌田県知事は、自民党公認の知事としてはばからず、十二年間鹿児島の県政に君臨されたのでありますが、最後は、よかこっもわいこっもなかったといって、後進県に対する政府自民党切り捨て政策に反旗を翻し、中央政府に尋問の筋これありとばかりに、無所属で参議院選挙出馬の決意をされたのであります。  土屋知事も自民党公認の知事でありますので、将来このような道筋をたどるやもしれませんし、またたどらないかもしれませんが、知事就任はや七ヵ月、県政のかじ取りもほぼならし運転を終えられたところではないかと思料するところであります。参議院選挙における自民党の敗北と、また県政に与える影響はないものか、心の内をお聞かせ願いたいのであります。  次に、新長期計画につきましては、各派代表よりあらゆる角度からのお尋ねがあり、策定の手順、次期の基本的な内容などについても開陳されましたので、私は一点だけお尋ねをいたします。  現在は二十世紀の残された十年間であり、二十一世紀という新たな時代を迎える十年間でもあります。二十世紀のこの百年間は、世界的規模の戦争に次ぐ戦争の連続であり、人類史上最大の人間同士の抗争の世紀でもありました。  今や米ソの冷たい戦争も終結の方向にあり、一部には核戦争の不安を抱きながらも、東西両陣営の各国首悩たちも、世界の恒久平和の道を模索しつつあります。また各県とも、長期計画につきましては、独自の県勢浮揚、活性化、県民福祉の向上を目指すものと思われます。  今日我々の目指す二十一世紀は、国と国との国境も県境も必要もないとする時代かもしれません。宮崎県で計画しております有機農業のあり方につきましても、宮崎、熊本、長崎、高知、奈良県にわたって広域化されたものであり、沖縄県の観光は中国、朝鮮半島、ソ連を臨んだものであります。台湾などは県内感覚でとらえているようであります。鹿児島県の長期計画も、もはや県内を中心とした考え方ではなく、隣県との整合性や世界的視野に立って策定すべきではないかと思います。知事の御見解を承りたいのであります。
     次に、難民対策についてお尋ねいたします。  招かざれる客、ベトナム難民に加えて偽装中国難民、最近日本を目指す難民船が急増し、ついに本県でも上陸し、緊張と困難の対応に賛否両論の意見が出されております。当初の政治難民から経済難民、加えて偽装難民も相次いで発覚し、対応も複雑化しておりますが、選別して救済すべきもの、本物の難民には、国際人道上の寛容な対応が必要であり、種々の問題点がひそんでおります。  そこでお伺いいたしますが、第一に、難民対策は当然国で対策を確立すべきものであり、国の対応のあり方が強く指摘されるところでありますが、ボートピープルについての知事の御所見をお聞かせいただきたいのであります。  第二点は、今回の対応について、人道的な衛生的な観点から、すばやく温かい対応ができなかったのはなぜでしょうか。  第三に、今後とも偽装も含めて難民ラッシュは続くことが予想されますが、今後の対応について、明らかにしていただきたいのであります。  次に、行財政問題についてお尋ねいたします。  本県の財政状況は、県税などの自主財源率は極めて低く、地方交付税国庫補助金などの依存財源比率は七割を超えるなど、極めて厳しい財政運営を余儀なくされているのが現状であります。今後法人税等を中心とする自主財源の確保と涵養に努めることが必要であります。厳しい中での計画的な財政運営の観点に立って、以下数点お伺いいたします。  まず第一に、知事は提案理由の説明の中でも、本県経済は全体としては依然堅調に推移しておりますと述べておられますが、県税の調定状況は余り思わしくないと聞くのでありますが、前年同期と全国比も明確にしながらお示しいただきたいのであります。  次に、県税の滞納整理状況はどのようになっているものか、主な税目ごとに明らかにしていただきたいのであります。  第三点に、普通交付税の決定額と留保額を明らかにしていただきたい。人事院勧告等によるアップも含めて、今後の財政運営の見通しをお聞かせいただきたいのであります。  第四点は、今回の補正予算でも県内景気へ大きな影響を与える公共事業、県単事業、前年度九月現計比それぞれ二・三%、九・五%の伸びと、いずれも地方財政計画を上回る伸びとなっておりますが、県内景気の今後の見通しをお聞かせいただきたい。  第五に、政府自民党は、公約違反の消費税を国民の反対を押し切って強行導入しましたが、さきの参議院選挙では、消費税の見直しを伝えた自民党は大敗北に終わりました。消費税の欠陥はすべて指摘し尽くされているにもかかわらず、政府自民党はこの期に及んで、非課税品目の拡大や内税の変更という小手先だけの国民だましの見直しをしようとしています。不公平税制の是正や、高齢化社会に対応したビジョンの伴う抜本的な税制改革は必要であると思いますが、知事の御見解と、あわせて地方財政の硬直化を助長する消費税絡みの財政運営にどう対応されるのかも、お聞かせいただきたいのであります。  次に、台風十一号対策について、お尋ねをいたします。  去る七月二十七日、二十八日に鹿児島を直撃した台風十一号は、死者二名、負傷者十五名といういたましい人的被害をもたらし、さらには住居、農林水産業公共土木施設に五百億円を超える極めて甚大な被害をもたらしたのであります。とうとい人命を奪われた二名の方々の御遺族を初め、被害を受けられた方々に心からのお見舞いを申し上げ、一日も早い復帰をお祈り申し上げる次第であります。  災害救助法を適用された垂水市、法外援護の適用された栗野町を初め、甚大な被害を受けられた農林水産業の方々には、あらゆる手段を駆使して速やかに救済策を講じ、公共施設等の復旧に全力を挙げて取り組むべきであります。特に七十万匹以上のブリが逃げ出した、壊滅的とも言える被害を受けられた垂水地区の養殖漁業者垂水漁協等には、経営再建への救済の手が望まれるところであります。  そこで、台風十一号に関連しましては、昨日来災害の未然防止と災害復旧の観点から種々論議されておりますので、数点に絞ってお尋ねをいたします。  第一点は、今回の被害について、生けすの避難方法や過密養殖等に問題はなかったのか、今後の対策も含めて明らかにしてもらいたいのであります。  第二点は、地震や台風等の被害発生時には、正確な情報伝達の手段が不可欠であります。今回の補正予算にも、老朽化している現在の防災行政無線を更新して、新しいシステムアップの基本構想を作成するための予算が計上されておりますが、我が党は、これまでも防災マップの作成と公表が肝要であると本議会でも申し上げてきたところでありますが、災害を未然に防止、あるいは被害を最小限に食いとめるためにも、防災マップの作成と住民への周知徹底が必要であると思いますが、知事の御所見を承りたいのであります。  さらに、過去の台風情報等の蓄積データを解説して、速やかにテレビ等で情報として流すことは可能であります。極めて重要なことであると考えますが、あわせてお答え願いたいのであります。  第四に、本県は全国に比して自主防災組織率は極めて低いのでありますが、現況と対策、特に組識率目標についても明らかにしていただきたいのであります。  次に、過疎対策についてお尋ねいたします。  昭和五十五年制定の現行過疎法は、本年度末をもって失効となることになっていますが、過疎市町村におきましては、人口の減少率の鈍化やインフラ面の整備等の前進は見られるものの、依然として厳しい現状にあります。本県は九十六市町村のうち七十三市町村、七六%が過疎地域であり、人口の三九・九%、面積も七四・五%と、いずれも全国一の過疎県であります。過疎法の期限切れを前にした新たな視点に立った総合的な振興策が必要不可欠であります。  そこで、一点だけお伺いいたします。  日本一の過疎県として、新しい過疎法の新しい視点についての知事の御所見を承りたいのであります。  次に、建設行政についてであります。  県道谷山・小山田線の南高校前から山田農協間の道路整備についてでありますが、本議会でもたびたび論議されてきたところでありますけれども、局部的改良ではなく、抜本的な街路整備はできないものかと思うのでありますが、街路整備計画はなぜできないのか、土木部としてはどのような考えを持っていらっしゃるのか、お聞かせいただきたいのであります。  次に、甲突川、田上川上流防災ダム建設について、お尋ねをいたします。  ダム建設の調査は、現段階ではどのようになっているのか。聞くところによりますと、シラス土壌であるからダムはつくれないということも聞くのであります。建設省は熊本県で、熊本市に隣接する益城町と西原村に百四十万トンの地下浸透ダムの建設を計画し、実施調査を行おうとしているのでありますが、同じ火山灰土壌地帯でありますから、鹿児島市と似通った地質ではないかと思うのでありますが、その整合性についてもあわせてお答えいただきたいのであります。  以上で、第一回の質問といたします。    〔知事土屋佳照君登壇〕 4 ◯知事(土屋佳照君)まず、今回の参議院議員通常選挙におきます国民の選択につきましては、国民の国政や昨今の政治的土壌と申しますか、政治姿勢に対する厳しい考え方を示したものとして受けとめたところでございますし、また内閣の交代を初め政治情勢の推移につきましても、大きな関心を持って見守ってまいりました。  私といたしましては、内外に幾多の厳しい課題が山積しております中で、早急に国民の政治に対する信頼を回復するための努力がなされるとともに、それぞれの課題に対する適切な対応と我が国の発展を目指した的確な国政の運営がされなければならないというふうに考えております。  また、県政は一日の停滞も許されないものでございまして、国政の動向はそれといたしまして、県といたしまては、地方自治の本旨にのっとり、県議会を初め広く県民の意向を酌み取りながら、県勢の浮揚発展のために最大の努力をしてまいりたいと考えておるところでございます。  また、長期計画についてのお尋ねでございますが、昨今の経済活動は、県境、さらには国境を越えて展開をされておりまして、いわゆるボーダーレスエコノミーの時代を迎えておると思います。より広域的で国際的と申しますか、世界的な視野に立った行政というものが求められておると認識をいたしております。したがって、新たな長期計画の策定に当たりましても、国際社会における我が国の役割を踏まえつつ、本県の現状の的確な把握の上に立ちまして、国や隣県の計画も考慮しながら、新たな視点、新たな発想を積極的に取り入れた計画にしていきたいと思っておるところでございます。  難民問題でございますが、外務省の調査によりますと、本年一月以降三十三件、二千九百五十名に上る過去最高の難民が我が国に上陸をしておるようでございます。今回このように難民が急増しております背景には、いろんな事情があるとは思いますけれども、その一つには、我が国が高い経済成長を遂げて、アジアの国々の中でも非常に生活水準が高い、また就労の機会が多いということが挙げられるのではないかと思います。近年、国際化が著しく進展してまいっております中で、我が国の地位はますます高まってきておりますが、この問題に関して、今後我が国がどのような役割を果たしていくべきかという点につきましては、広く外国人労働者の取り扱いの問題を含めて論議をして、国全体として基本的な考え方を整理していく必要があるのではないかと思っております。  県といたしましては、今回の難民の到来に対しては、ふなれな点もあったかもしれませんけれども、できる限りの対応はしたと考えております。  この問題は、基本的には国の責任で対応されるべきものではございますが、今後の難民対策については、先般国においても方針が示されたところでございまして、今後県といたしましても、国、市町村など、関係機関とも十分連携をとりながら、迅速に、また適切に対応できるように、できるだけの協力をしてまいりたいと思っておるところでござます。  それから、景気対策に関連しての御質問でございましたが、本県の経済は、御承知のように大島つむぎ、しょうちゅうの減産傾向は続いておりますものの、もう民間設備投資、個人消費が好調に推移しておりまして、全体としては昨年度の景気の拡大によって達成された高い生産水準は、ほぼ維持されているものと認識をいたしております。  こうした中で、公共投資につきましても、今回の補正予算における公共事業、県単公共事業の追加計上をいたしました結果、前年度九月現計予算額を上回る事業費を確保しておりますことから、県経済の現況から見ますと、当面大きな事態の変化がなければ、県経済は全体として堅調に推移していくものと考えております。  また、現行の消費税につきましては、実施後間もないこともございまして、そのあり方について多くの意見や論議があり、いろいろな批判などもあることも承知をしておりますが、政府においては、そういうことを踏まえて、税制調査会を中心に、見直しの検討を始めたところでありますし、また明日からでしょうか、召集されます臨時国会におきましても、種々論議されるものと考えられますことから、こうした論議の動向を慎重に見守りたいと考えておりまして、その中で適切な結論が得られることを期待をいたしておるところでございます。  過疎対策についてでございますが、御承知のように、過疎地域の現状は、全体としては人口減少が緩和されましたものの、長期にわたる若年層を中心とする人口流出によりまして、人口の自然減少や地域社会の担い手層の減少をもたらしておりますとともに、高齢化が著しく進展をいたしまして、地域の活力が低下するなど、新たな過疎問題が生じつつあるわけでございます。  これに対応しますためには、新たな視点に立った立法措置がぜひとも必要であると私は考えております。  こうしたことから、県といたしましても、次期過疎対策につきましては、一つには若者の定住促進のための産業振興や雇用機会の確保対策、また高齢化の進展に対応した関連施設の充実、さらに交通基盤や生活環境の整備促進などを重要な課題としてとらえまして、適切な措置を講じる必要があると考えておりまして、関係方面にもかねがね要請をしてきておるところでございます。  また、過疎地域の指定要件などにつきましても、現行の財政力指数人口減少率以外に、例えば高齢化率といったようなことなどが議論をされておるようでございますけれども、まあそこらがどういう要件になっていくかということは、これからの新過疎立法制定の過程で具体的に検討されていくと思います。私どももその行方を見守りながら、適切な方向へいくように、我々の意見も反映さしていただきたいと思っておるところでございます。 5 ◯総務部長(襲田正徳君)まず、難民対策の関係でございますが、今回このように短期間に大量のいわゆる難民が我が国に到来したのは初めてのことでございまして、国、地方を問わず対応にとまどったのではないかと思います。  今回の難民対策につきましては、県としても人道的な立場から日本赤十字社にお願いいたしまして、肌着等の救援物質を提供していただいたところでございますが、今後の対応といたしましては、国、県、市町村、関係機関等十分連携をとりながら、迅速かつ適切に対処できるように、できるだけの協力をしてまいりたいというふうに考えております。  財政関係の質問のうち、まず県税の滞納状況等についてでございますが、六十三年度の決算見込みにおきます県税の収入未済額は、前年度の四十億三千万円を一億五千二百万円下回る三十八億七千八百万円となっております。  税目別に主なものを申し上げますと、個人県民税が十一億七千五百万円、自動車税が十億二千五百万円、料飲税では九億円ということでございまして、これら三税で三十一億円となっておりまして、全体の七九・九%となっております。  このため、各税目ごとに滞納原因に対応いたしました給与、預金、あるいは不動産等の差し押さえ電話加人権差し押さえ、公売など、きめ細かい対策を進めてきたところでございます。この結果、一定の成果が上がったものと考えておりまして、今後とも租税負担の公平公正の確保を図るため、納税思想の高揚に努めながら、関係職員一丸となって、徴収対策に努めてまいりたいと考えております。  次に、県税の調定状況についてのお尋ねでございますが、この七月末現在の県税の調定状況は、対前年同月比で九九・二%となっております。これは全国平均に比べますと四・八%低いものとなっております。伸び率が全国平均に比べまして総体的に低い要因といたしましては、景気の拡大によりまして、全国的には特に法人事業税を中心に、都道府県税収入が伸びておるわけでございますが、本県の場合には、その法人事業税の構成比が低く、また伸び率も全国平均に及んでいないためではないかというふうに考えております。  それから、普通交付税決定状況等についてのお尋ねでございます。平成元年度の本県分の普通交付税の決定額は、二千百九十九億八千三百余万円というふうになっておりまして、九月補正後の計上額との差額、いわゆる留保額でございますが、これは七十九億一千六百余万円となっております。  で、今年度の財政面につきましては、今後の補正見込み等が全般的に流動的な段階でございますが、昨年度は大きな伸びを示しました県税が、現時点ではそれほどの伸びは期待できない状況にありますことから、今後とも国庫支出金、県債など、財源の確保並びに経費の節減合理化に努めまして、収支の均衡が図られるように努力をしてまいりたいと思っております。  次に災害関連でございまして、防災マップについてのお尋ねでございます。防災マップにつきましては、防災対策の上で有意義な点もあるということから、昭和六十一年度から国土庁におきまして、そのあり方に関する検討が行われており、地震、津波災害に対するモデルマップや土砂災害に関するモデルマップなどが作成される予定でございます。  で、防災マップは過去の災害歴、災害危険箇所、避難場所など、防災対策の上で有意義な情報が表示される反面、地域にとりまして不利益を生むおそれがある情報も含んでおりまして、公表のあり方について、現在検討中であると聞いております。  今後国土庁の検討結果を踏まえまして、市町村など関係機関とも協議しながら、住民にわかりやすい防災広報のあり方について検討してまいりたいと考えております。  台風情報の提供についてでございますが、台風情報の提供につきましては、気象業務法に基づき、鹿児島地方気象台が所管をいたしまして、台風接近時に必要に応じ、県内防災関係機関を集め説明会を開催するなど、県民に対するわかりやすい情報の提供に努力されているところでざいます。  県におきましても、気象台等から提供される台風、大雨などの注意報、警報に関する情報や、台風の位置、進路方向図、雨量表等の情報のほか、必要に応じ水防情報、気象衛星ひまわりからの情報を市町、地域振興連絡協議会を経由し、随時ファックスによりまして市町村に伝達をし、地域の実情に応じた防災対策に利用されるよう対処をいたしておるところでございます。  自主防災組織率についててございますが、本県の組織率は、昭和六十三年四月一日現在で、全国平均の三七・一%に比べまして、八・七%と低い水準にあるわけでございますが、平成元年四月一日現在は一一・二%と、徐々にアップをしてきております。県におきましては、昭和六十三年度から自主防災組織育成事業を実施をいたしまして、組織率の目標を当面全国平均におきまして、モデル市町村の育成や町内会、小学校区を対象としたリーダー研修会を開催をいたしまして、自主防災組織の育成を図ってきているところでございます。  特に、自主防災組織の育成の取り組みに当たりましては、本県の災害特性に対応いたしまして、当面土砂災害に対する早期警戒体制の確立に向けまして、土石流危険急傾斜地など、災害危険箇所を有する地区の組織化に重点的に取り組みまして、組織率のアップに努力する考えでございます。 6 ◯林務水産部長(有水弘明君)垂水地区における生けすの避難につきましては、台風十一号が上陸の可能性が強くなった七月二十七日の朝、県としては漁協に対しまして避難状況を聞くとともに、適切な避難対策をとるよう指導をいたしたところであります。しかし、避難漁場での酸素欠乏のおそれがあり、避難をちゅうちょしたこと、生けすの避難の必要性を感じたときは夕刻で、既に漁船を避難係留されており、避難作業は人命の危険を伴うと判断したこと等により、避難ができなかったと聞いております。  養殖施設が沈んだ原因につきましては、ただいま申し上げましたとおり、生けすの避難ができなかったことや、台風の中心の通過後の強い南風の吹き返しによる波浪、異常な速さの北方向への潮流、異常潮位等により、生けすは係留施設ともども連鎖的に海中に沈んだものと考えております。  現在垂水市漁協では、今回の教訓をもとに、専門家、学識経験者等の指導を得ながら、係留施設の構造、方式について検討を進めておりまして、県といたしましても安全性に配慮した施設が早期に復旧できるよう、漁協と連携をしながら努めているところでございます。  なお、養殖状況の件についてお尋ねがありましたが、魚類養殖業の健全な振興と漁場環境の安全を図るため、魚類養殖指導指針を策定し、これまで適正な放養量や投餌量等について指導をしてきたところでありまして、漁業関係者の理解も得られていると考えております。今後とも指針が守られ、養殖業が健全に発展するよう、関係団体と連携をとりながら指導に当たってまいりたいと考えております。 7 ◯土木部長(興 信雄君)県道小山田・谷山線の整備についてでございますが、この道路の山田から鹿児島南高校付近間の整備につきましては、沿道の地域の市街化が進展しておりまして、全面的な整備は現時点におきましては困難な状況にございます。したがいまして、交通の隘路となっております区間につきましては、逐次その解消が図られるよう、その整備について検討してまいりたいと考えております。  それから、次に新川の防災ダムの計画でございますが、御承知のとおり、本県はシラス地帯であることから、シラスの特性に合ったダム建設の調査を現在新川上流田上地区において建設省の指導を受けながら鋭意行っておるところでございます。  なお、熊本で計画されております地下浸透ダムの予定箇所は、本県のシラス地帯と異なっておりまして浸透性が高く、地下に貯留できる地質構造となっていることから、地下浸透ダムの調査が進められていると聞いております。    〔山口 優君登壇〕 8 ◯山口 優君 るる御答弁をいただきましたけれども、時間の関係で先に進みます。  次に、農政について伺います。  我が国農業は、昨年の日米、日豪交渉の結果、牛肉・かんきつなど農産物十二品目の輸入自由化の決定に加えて、米に対する市場開放圧力の増大、輸入農産物の増加、食糧消費の減退、農家の老齢化など厳しい諸問題に直面しております。  土屋知事は二十一世紀を目前に、最も重要な時期に県政を担当されたのであります。かかる深刻な状況の中で、本県の基幹産業である農業の振興をどのように推進されるのか、所信表明の中で、攻めの農業を展開することにより、国際化に対応した足腰の強い農業の確立に努めていくと述べておられますが、具体的に攻めの農政とはどういうふうに進めていかれるのか。  第二点は、我が国の食料の自給率についてでありますが、昨年末に農水省が発表した数字によりますと、六十二年度の食糧の自給率は、カロリー換算でついに五割を割って四九%に落ち込み、また穀物の自給率も三〇%と、両方とも先進諸国の中でもまことに異例な状況となっております。その取り組みについて、お示しをいただきたい。  また、国際化の中の鹿児島農業をどのように分析されておられるのかも、あわせてお尋ねをいたします。  食糧の安全保障の問題は、国際社会の場で我が国が主張し続けるほど重要な問題であり、このことにつきましては、政府も国民もともに重大な関心を持って取り組まなければならない問題だと思います。しかも相次ぐ農産物輸入自由化攻勢、そして今や日本農業の最後のとりでと言われる米にも激しい風圧がかかっていること等を考えますとき、大変不安を感ずるわけであります。  自給率の問題は、農政の根幹の問題でもありますので、自民党に籍を置く知事としての所見を伺っておきたいのであります。  第三点は、水田農業確立後期対策についてであります。いよいよ来年度から水田農業確立後期対策が始まるわけで、農水省では既に後期対策の具体的検討に入っておりますが、現在本県の転作面積は、一万六千百六十ヘクタールとなっています。実質には自給均衡化緊急対策の分もあり、一万七千ヘクタールを超えており、農家の持ち分は大変な部分がかなりあります。そこで、さらにまた転作面積が上乗せされるようなことになれば、県内の農家も大変なことだと思います。来年度からの後期対策の転作面積については、現行面積を固定し、それ以外の面で消費拡大に努めるべきなどの意見等も出ているようであります。  そこで、後期対策の目標面積や転作助成金の現行確保などの見通し、またこれまで二十年間実施してきた転作の実績はどのようになっているのか、何をつくったら採算が合うのか全く見当がつかないと多くの農家から声を聞くのでありますが、転作の定着状況はどういうふうになっているのか、また転作の定着を図るための条件整備の推進状況についてもお知らせいただきたいのであります。  第四点は、土地改良事業の農家の負担についてであります。  経営規模の拡大という重要問題に直接つながる土地改良事業などの基盤整備の負担金が、現在農家負担の中の最たるものとなり、大きな重圧となっておるところであります。事業費単価はここ十年間に二倍から四倍になっており、厳しい農家の負担となっているのであります。基盤整備が促進されることにより、おのずからそこに経営規模の拡大が図られ、コスト低減につながるわけであります。参議院選挙後の閣議で宇野前総理が、農業の生産基盤整備にかかわる農家の負担軽減対策を政府全体で取り組むよう検討を指示しております。また農水省は、来年度の予算要求で、土地改良負担軽減として百億円の資金の要求をしております。これは時宜を得た取り組みを評価するものであります。  そこで農家負担でありますが、例えば県営圃場整備の場合、県や市町村が農家負担の措置をとっている例が多く、一般的に二割程度が農家負担であるようであります。地域によっては事業の重なりもありまして、負担にたえがたい場合もあると言われていますが、本県農家の土地改良事業による農家負担の状況、償還状況等はどう把握されているのか、土地改良負担金の問題は今後の農政の方向を占う大事な問題だと思いますので、お尋ねをいたします。  第五点は、田畑輪換を可能とする生産基盤の整備についてであります。  水田の利用については、水稲と畑作物を輪作として組み合わせた田畑輪換による水田利用が農家によって自主的に導入されるよう条件づくりが必要だと思うのであります。これまでも大規模な転作、いわゆる減反が余儀なくされてきたのでありますが、今後も減反傾向は、米の消費減退や土地の生産性向上などから当然強まりこそすれ、弱まることはないと思います。その上、近年起きています異常気象の発生、地球を取り巻く気象環境など、世界の食糧事情はいつどうなるかわからない、不安定要因が多い状況であります。したがって水田というのは、将来農業事情がどう変わろうとも、いかなる事態にも対応できるよう、いわゆる水田の有効利用という方向での整備が必要だと思います。  そこで、本県における田畑輪換を可能とする基盤整備をどのように進められているのか、整備状況と今後の対応について、お答えいただきたいのであります。  次に、サトウキビ生産についてお尋ねをいたします。  当局は平成元年から、三月十日をキビの日と定めるなどして、栽培管理の向上を図るとしているのであります。キビの日といいますと、何か桃太郎でも出てきそうな感じがするのでありますが、岡山県のことではなく、奄美大島のサトウキビの生産性向上のための日でありますので、犬、猿、キジでも従えて、鋭意推進されるよう要望いたしておきます。  資料によりますと、キビ作農家の最高は、昭和二十九年度二万六千八百十八戸、作付面積は四千ヘクタール、当時は十アール当たりの収量は四・一トンであります。十アール当たりの最高収量は、昭和五十三年度七・八トン、六十年度七・三トン、この二年間だけが七トン以上の収量となっています。六十二年度は五・七トン、六十三年度は六トンとなっておるようであります。収穫面積の最高は、五十六年度九千八百三十五ヘクタール、六十二年度は九千四百六十二ヘクタール、六十三年度は九千四百五十五ヘクタールとなっています。  産糖量の最高は、六十年度八万九千トンであり、六十二年度は六万四千トンであります。サトウキビ生産量の最高は、六十年度七十万二千四百トンであり、六十二年度は五十四万三千トン、六十三年度は五十七万五千四百トンであります。  島別の生産実績は、十アール当たり平均でありますが、種子島七・七トン、喜界島六・七八トン、徳之島五・七三トン、大島本島は四・九三トンとなっており、大島郡の平均は六トンであります。  奄美群島における主要農作物の作付面積は一万七千百ヘクタールであり、そのうちサトウキビの占める割合は六八%の一万一千六百三十三ヘクタールとなっているようであります。六十二年度実績によりますと、年産額にして百十三億八千二百万円で、四二・三%の割合となっているようであります。  また、郡内十四市町村における主要作物のうちサトウキビが第一位を占めているのが七町、二位と三位が一町ずつの計九町に及んでいます。今回平成元年度サトウキビ生産振興施策として、土地基盤整備の推進、土づくりの推進等七つの大綱が掲げられて、具体的な実践目標が設定されておりますが、品質向上と八トンどり実践促進のスローガンが掲げられているのであります。サトウキビづくり六十年の統計の中でも、十アール当たり平均八トンを超したことは一度もないのでありますから、今回はぜひとも目標を達成してもらいたいものであります。  そこでお尋ねをいたしますが、第一点は、土づくりの推進の中で、堆肥、緑肥の増施とありますが、いかなる方法によって堆肥、緑肥の増産をされるものか、お聞かせをいただきたい。  第二点目は、実証展示圃の設置とありますが、どこにどれぐらいの面積に、どのような実証圃をばつくられているものか、お示しをいただきたい。  次に機械化の促進でありますが、全体の二〇%に小型脱葉機や中型ハーベスターなどが導入されているとしているのでありますけれども、いまだ能率のよい実用型機械が開発されない理由はどこにあるのか、お知らせをいただきたいのであります。  さらに今年度、瀬戸内町に堆肥舎等を設置されようとしていますが、設置場所と事業費並びに堆肥の生産量についてお知らせをいただきたい。  次に、大島支庁管内三町二村に八つの堆肥舎がありますが、その現状についてお知らせをいただきたいのであります。  次に、サトウキビの品質取引についてであります。農水省は昨年、六十三年のキビ価格の決定の際、国、県、生産者、団体などの関係機関が、平成元年度のキビ価格決定時において品質取引の移行時期を明示できるよう努めることを提示しており、県は去る十八、十九日の沖縄県との両県合同のサトウキビ価格陳情の際、品質取引への移行時期の明示については、関係者から十分実情を聴取するなど、適切な生産条件の整備を講ずることを要請していますが、移行時期についてのめどや生産条件の整備について、具体的にどのように考えておられるものか、また沖縄県ではサトウキビの品質取引への生き残り策として、県糖業条例の制定に向けて条例案の検討を進めていると聞くのでありますが、本県のこれに対する対応についてもお聞かせいただきたいのであります。  次に、新規学卒者の就農状況と青年就農者の確保対策についてであります。  農業後継者不足は深刻化している中で、農水省がまとめた今春の学校卒業者の進路動向調査によりますと、中学、高校、大学の新規卒業者の農業への就農状況は、卒業者五十六万三千人のうち、わずか二千百人で〇・三七%で、前年比四割減となり、史上最低の惨たんたる状況であります。同調査は、昭和三十四年からスタートしており、これまでの最高は三十八年度の九万人で、その後農業離れが続き、五十年には一万人を割り込み、六十年には四千二百人と激減しており、ことしの農業就業者は十六万九千人、専業者は六十年の半数の二千百人と、過去最低となっております。  そこで、本県の新規就農者対策でありますが、昨年から新たにUターン青年や農業外からの新規参入青年の就農対策として、国の施策に基づき、県農業会議に就農相談センターを設置し、全国農業会議とも連携を図りながら就農相談業務を行っていますが、相談センターの利用状況はどのようになっているのか。またこの際、新規就農者の確保問題は思い切った対策を講ずべき時期に来ていると思いますが、知事の所見をあわせてお聞かせいだだきたいのであります。  次に、イグサの生産についてお尋ねをいたします。畳表の原料となるイグサの生産は、六十三年度面積にして全国で約八千二百ヘクタールと言われ、九州では熊本県六千六百三十ヘクタール、福岡県一千百六十へクタールであり、昨年は熊本県四%、福岡県で二%の増産となっております。収量においては、熊本県七万五千八百トン、昨年より一六%の増加、全国の八三%の生産量であります。福岡県一万二千百トン、八%の増加、収量において全国の一三%、熊本、福岡両県で九六%を占めております。収量の合計は八十七万九千トンであり、昨年より一五%の増加となっています。十アール当たりの収量は一千百三十キロ、一二%の増加となっているようであります。
     畳表の需要は、全国で約八千万枚と言われており、中国や台湾からの原草や畳表の輸入も行われておる現状であります。  そこでお尋ねいたしますが、本県でイグサを生産しようとされた目的はどこにあるのか。品質、販売先、価格の問題、将来畳表の生産を考えておられるのか。また、イグサ生産の産地形成はどこを考えておられるものか、お示しをいただきたい。  戦後、県下においてもイグサの生産が行われていたのでありますが、製品の品質や価格の点で失敗したと聞くのでありますけれども、今後の見通しなどについてもあわせてお答え願いたいのであります。  次に、かんきつ園地再編成対策について、お尋ねをいたします。  本県の転換割り当て面積は、六百三十ヘクタールと言われていますが、六十三年度の実績について、その区分ごとの内訳と助成金額について、お知らせをいただきたい。  また、六百三十へクタールに及ぶミカンの他への転換によるミカン農家の収入減はどれぐらいになるのか。  さらに転換作物としては、どのようなものが考えられているものか、あわせてお答え願いたいのであります。  次にマングローブ林についてお尋ねをいたします。  マングローブ林は熱帯地域の海岸線に分布しており、国際的にも注目されている樹木で、世界全体では千五百万ヘクタールに布存すると言われており、国内では沖縄県に西表島を中心におおむね四百ヘクタール、奄美大島の住用村に五十ヘククール以上の面積に広がっております。東南アジアの海岸線で開発による乱伐で激減してきているマングローブの保護育成を図ろうと国際的研究機関の設置が検討され、今年中にも沖縄県に設置される見通しとなっております。マングローブの調査で沖縄を訪れた外務省の担当官は、日本への研究機関の設置は既に決定しており、十二月開催予定の連合マングローブ会議で沖縄誘致を提案することを述べており、沖縄への設置はほぼ確実となっております。  そこでお尋ねをいたしますが、県はマングローブ林についてどのように認識をされているものか。またマングローブを何らかの形で育成、植栽することはできないものか。また緑化事業や造林事業の対象にはならないものかお尋ねをいたします。  次に奄美大島におけるバナナ栽培についてお尋ねをいたします。  最近、農薬づけで栽培されている輸入バナナにかわって、奄美大島で昔から栽培されていた小笠原種、いわゆるモンキーバナナを栽培する人たちが増加しており、市場でも人気が高いようであります。しかしながら栽培技術とか、施肥管理、病害虫の防除など、研究しなければならない点が多いのであります。大島農業試験場あたりでの試験研究などできないものか。また奄美大島の特産品としての価値は認められないものか、見通しについて御見解を承りたいのであります。  以上で第二回の質問といたします。    〔知事土屋佳照君登壇〕 9 ◯知事(土屋佳照君)農業は将来にわたって本県の重要な基幹産業であるという認識に立ちまして、輸入自由化や産地間境争の激化の状況の中で、ただ守勢に回るだけでなくて、国内外に対して本県農産物のイメージアップと販路拡大を図りますなど、国際化に対応した積極的な農政を展開する考えでございまして、その意味で攻めの農政と、こう申し上げているわけでございます。  具体的には、まず本県の地域特性を生かしながら適地適作を基本とした戦略的農業を展開するための農業メッシュ情報やバイオテクノロジーなど、新技術の研究開発を推進する大隅バイオ研究所を──まだ仮称でございますけれども、この研究所の設置など、基本条件の面での整備を進めているところでございます。そしてまた本県農産物のイメージアップを図り、国内の産地間競争に打ちかつための方策といたしまして、鹿児島ブランド確立運動を展開することといたしまして、九月八日にはこの推進母体でございます鹿児島ブランド推進本部を設置したところでございまして、これを中心に積極的な運動を展開したいと思っております。  さらに来月西ドイツのケルンで開催されます国際総合食品見本市への参加をする予定にいたしておりますし、新たに香港、ロサンゼルスに海外アンテナショップを設置するということにいたしまして、こういったことで海外への販路拡大策についても積極的に取り組んでいきたいと思っておるところでございまして、そういう意味で繰り返しになりますが、攻めの農政をしたいと、こういうことを申し上げておるところでございます。  また、御指摘のように自給率は大分減ってまいりました。カロリーベースで四九%ということになりますと、先進国の中で五〇%あったのは日本だけじゃないかと思っておりますけれども、大変気になることでございます。しかしながら、食糧は国民生活にとって最も基礎的な物資でございまして、国際化時代の中にありましても米など基礎的な食糧については国内で自給する体制をとりますとともに、自給率の低い品目につきましても生産性向上とコストの軽減に努めながら自給率を高めていくことが農業政策の基本的な役割であると私は考えております。  今後とも我が国の南の食料供給基地としての実力を高めて、食料を安定的に供給できるよう新技術の開発、普及や農業生産基盤の整備など、生産性の向上に努めてまいりたいと考えております。  全体的に、申し上げるまでもないことでございますが、本県は全国有数の農業県でございまして、畜産、園芸など、本県の特性を生かした農業の振興が今日までも図られてきたところでございますが、牛肉、かんきつの輸入自由化の決定とか、行政価格の引き下げ、産地間競争の激化など大変厳しい農業情勢の中で当面の課題といたしまして経営規模の拡大や、生産の組織化によりますコスト低減を図るとともに、本県独自の特色ある畜産や園芸などの産地づくりを一層推進をいたしまして、積極的に販路拡大を進めることが極めて肝要なことであると認識をいたしておるところでございます。  このため低コスト、高品質農業生産を基本としながら経営規模の拡大など、構造政策の推進、それからまたバイオテクノロジーなど新技術の開発普及、積極的な流通加工対策の推進や鹿児島ブランドの確立など、各般の施策を総合的に関連を考えながら推進をしてまいりまして、国際競争力のある足腰の強い農業の確立に努めたいと、そのように考えておるところでございます。 10 ◯農政部長(山中 正君)水田農業確立後期対策に関連いたしまして四項目ほどのお尋ねでございますが、まずこれまでの二十年間の水田転換の取り組みでございますが昭和四十四年から二十年間にわたりまして基盤整備、生産流通施設の整備などの各種事業を活用いたしまして、水田の条件整備を進めながら農業者、農業者団体、行政など、関係機関団体等が一体となりまして推進を図りまして、平成元年度の目標面積一万六千百六十ヘクタールを達成してきておるところでございます。  水田農業確立を円滑に推進するための条件整備の現状につきましては、水田の基盤整備を推進いたしまして、その整備水準が昭和五十五年度二〇%でございましたが、六十三年度には四五%と逐次上がってきておるところでございます。  また、地域におきましては市町村、水田農業確立対策協議会を設置いたしまして、転作の推進、地域営農のあり方などの基本課題を協議いたしますとともに、集落におきましては話し合い活動によりますブロックローテーション作物団地の育成、地域輪作農法の確立など条件整備に努めてきておるところでございます。  転作作目の定着状況についてでございますが、南薩地域のサツマイモ、出水地域の豆類、川薩地域のイチゴ、伊佐地域のネギなど定着化が進みますとともに、有畜農家と結びつきました飼料作目の団地化等も図られておるところでございまして、現在転作面積における定着化状況は四九%となっておるところでございます。  後期対策につきましては、水田農業の確立を進めながらも米は全国的な消費の減退、生産性の向上などから、依然として過剰傾向にございます。国は水田農業確立後期対策の検討を始めておるところでございますが、現行の水田農業確立前期対策の枠組を維持することは厳しい状況にございます。  県といたしましては地域農業の健全な発展のため、また転作に対しまして県下の稲作農家が限界を感じていることなどの観点から、転作等目標面積につきましては拡大をしないこと、地域間格差を是正すること、助成補助金等の現行水準を維持すること等につきまして、引き続き国に対して強く要請してまいりたいと考えておるところでございます。  次に、土地改良事業の農家負担等についてでございます。  土地改良事業の農家負担につきましては、御指摘もございました、お話の中にもございましたように、農家負担の軽減を図るために県がかさ上げ助成を行っておりますほか、市町付段階でも道・排水路等、公共的性格の大きい工種を公的負担とするなど、種々の軽減対策がとられておるところでございまして、他県と比較いたしましても過超な負担とはなっておらないところでございます。  また、農家負担金は農林漁業金融公庫の農業基盤整備資金を借り入れておりまして、昭和六十三年度の返済分につきましても完納されておるところでございますが、農産物の行政価格の引き下げなど、農家経営をめぐる環境が厳しい状況の中でございますので、農家負担の償還が円滑に行われるよう営農指導等を通じまして、農家所得の向上に努めてまいりたいと考えておるところでございます。  田畑輪作を可能とする基盤整備推進状況でございますが、ただいま稲作の中で申し上げましたように県営、団体営及び県単の各種事業を積極的に推進してまいっておりまして、整備率は四五%と、ほぼ全国水準並みとなっておるところでございまして、今後とも水田農業確立に資するため事業予算の確保に努めながら、これらの事業の積極的な推進に取り組んでまいりたいと考えておるところでございます。  次に、サトウキビの八トンどりに関連いたしまして七項目ほどのお尋ねでございます。堆肥づくりにつきましてはキビのはかまや、島内に豊富に産出されますチップかす及び家畜ふん尿等を主原料といたしまして、農協や生産組合の堆肥センター等で生産を行ってきておるところでございます。  実証展示圃につきましては、サトウキビ生産総合改善事業等によりまして種子島及び奄美群島におきまして奨励品種を中心に三十六ヵ所設置いたしておりまして、一ヵ所当たりの面積は十アールから三百アールと規模がいろいろございます。  サトウキビの機械化につきましては、倒伏によります曲りキビが多いこと、刈り取り、脱葉に複雑な行程があることなどから、この機械化がおくれておるところでございます。現在本県の実情に即した小型収穫機械の実用開発に向け鋭意努力を重ねておるところでございます。  次に瀬戸内町が計画しております堆肥舎は年間五百六十トンを目標とした製造施設として、現在国と協議中でございます。  堆肥センターについてでございますが、原料の調達時期等から一部において計画をやや下回っておるところも見られておりますので、有効利用が図られるよう今後とも指導してまいりたいと考えております。  サトウキビの品質取引の移行時期でございますが、本年産価格決定時に国が明示するということになっておるところでございまして、県といたしましては生産条件の整備等に適切な措置を講ずるとともに、生産者、糖業者から十分意見を聴取して調整できる余裕期間を設けるよう国へ強く要望をいたしておるところでございます。  沖縄県におきます条例についてでございますが、糖業振興の基本計画づくりが骨子であると承っておるところでございまして、本県におきましてはサトウキビ生産振興基本計画策定事業によりまして、県及び市町村の基本計画を策定をいたしておるところでございます。  次に、農業後継者の確保対策についてでございます。  最近五ヵ年間の新規学卒就農者は、中学、高校、大学及び各種研修施設等を含めまして、年平均百四十名程度でございまして、Uターン者を含めました新規就農者数は二百三十名程度となっておりまして、本県担い手農家の育成目標に対しまして充足率は四八%という状況にございます。このため昭和六十二年度から各農業改良普及所に就農相談センターを設けまして、担い手農家の子弟訪問や声かけ運動、学校教育との連携活動を実施いたしておりますほか、Uターン青年等、新規就農者に対します技術、経営、資金等の就農相談に応ずる相談活動を実施いたしまして、毎年百八十件程度の相談を受けておるところでございます。  担い手の確保につきましては、農業青年が希望を持って就農できる環境をつくり上げることが基本であると考えておるところでございますが、農村の高齢化、過疎化の進展に対応いたしまして農業青年が農作業の受委託、農用地、機械施設の有効利用などの集落農業の中心となって意欲的に取り組めるような働く場を提供するなどの対策が必要であろうと考えておるところでございます。  次にイグサについての取り組みでございます。  イグサにつきましては、過去川内市等一部地域におきまして取り組まれた経緯がございますが、収穫作業が夏場に当たりまして重労働であったことや、栽培技術が確立していなかったこと等もございまして、産地として定着しなかったところでございます。しかしながら近年、収穫作業、乾燥機等の開発で省力化が相当進んだことや、消費者の本物志向等から市況が堅調なこともございまして、本県でも一部市町で栽培に取り組む機運が生まれてきておるところでございまして、本年度から新規に実施いたしております特用作物育成事業の対象として取り扱うことといたしておるところでございます。  なお、流通等につきましては、当面生産規模が一ヘクタールと小さい状況でございますので、原草のまま八代郡にあるイグサセンター等へ出荷いたしまして、市場での商品としての評価を探ることにしていると聞いておるところでございまして、その結果を見守ってまいりたいと考えておるところでございます。  次に、ミカンの転作についてでございます。  昭和六十三年度のミカンの転作実績は四百六十九ヘクタールでございまして、その内訳は他果樹への転換が二十九・九ヘクタール、他作目への転換が三十五・三ヘクタール、植林が百一・九へクタール、廃園が三百一・九へクタールとなっておるところでございまして、約十億円の助成金が支払われたところでございます。  今回の転換に当たりましては、低位生産園を対象に転換を指導したところでございまして、農家の収入減等につきましては対象園地の生産性が掌握されておらないこともございまして、把握が困難なところでございます。  転換作目といたしましては野菜、花卉、花木、飼料作物等のほか、本県ではポンカン、タンカン、ボンタン等の特産かんきつが特例として承認をされておりますので、今後ともこれら作目への転換を進めまして、農家の経営安定に努めてまりたいと考えておるところでございます。  次に、バナナの栽培でございます。  本県におきますバナナ栽培につきましては、ここ数年台風による大きな被害を受けていないというようなこと等から生産が増加の傾向にございますものの、主として奄美地域での庭先販売という形で消費されておるところでございます。  バナナは木が高くなり、台風に弱いということ、それからゾウムシの防除が困難なこと等から、奄美群島復帰の際に産地化を図って導入されましたが、定着しなかったという経緯もございます。また、外国産の安いバナナが大量に輸入されること等から、大消費地向けの産地育成は現在のところ厳しい環境にあろうと考えております。しかしながら、バナナ栽培の重要な害虫でございますゾウムシにつきまして、農業試験場大島支場におきまして現在防除確立試験を行っておりますので、この試験結果を待ちまして特産品として成り立つかどうか、改めて検討してまいりたいと考えておるところでございます。  以上でございます。 11 ◯林務水産部長(有水弘明君)マングローブ林についてでありますが、申し上げるまでもなくマングローブ林は熱帯、亜熱帯地域の海水と淡水の混合する湿地帯に広範に繁殖するヒルギ科を主要樹種とする常緑低高木群落の総称であります。  本県でのマングローブ林は、お話にありましたように奄美群島の住用村に見られ、そのほかメヒルギの自生地が屋久島、種子島、喜入町等にあり、これらは貴重な植生として自然公園法等により保護されているところであります。  ところで、マングローブ林は世界的にはこれまで重要な森林資源として活用されてきておりますが、近年東南アジアなどでは伐採等による急激な減少が国際的に大きな問題となっておりまして、我が国におきましても関係者によりマングローブ林の保全等につきまして国際協力を推進するため、今月日本国際マングローブ協会が設立されたと聞いております。  この協会では国の協力も得ながら、現在未解明でありますマングローブ林の生育環境、生態、造成技術等の研究にも取り組むこととされておりますので、今後これらの成果などにも注目しながら、本県におけるマングローブ林の造成の可能性等について検討していきたいと考えております。    〔山口 優君登壇〕 12 ◯山口 優君 サトウキビ八トンどりに対する施策を伺いましたが、長年の施策を講じても成果が上がらない、役場や農協が言うとおりにした、しかし生産が上がらないと、どうしたらよいかというのが奄美大島のキビづくり農家の実際の声であります。バカスやあるいは畜肥を堆肥に利用すると言いますけれども、バカスはこれは製糖工場の燃料になっていたり、あるいはまたヒラタケの生産のために使われておりまして、なかなか堆肥に回ってこない、いわゆる奄美大島においては堆肥の原料がないと、こういうことで大変県が考えていることと実際とは、現地に行きますと違ってくると、こういう実情であります。  御案内のように、私は生産性向上の第一番は土づくりにあると思います。奄美大島の農地はPHが三とか四とか言われている強酸性の赤土であり、雨が降ると粘土のようになり、日照りが続くとれんがのように固くなる、通気性や弾力性のない土壌であります。これには徹底した有機性の高い堆肥を大量に投入して土壌改良を行うことが最も必要であると思います。  ここに沖縄県で下水道汚泥でつくった堆肥をサトウキビに施した沖縄県経済連の具志川製糖工場における栽培試験結果報告書があります。試験は六十一年三月から六十二年二月までの約一年間のものであり、元肥えとして一アール当たり有機堆肥を三トン、あとは耕種基準どおりであります。十二月三日の調査時点では茎数試験区は〇・一アール当たり百十三本、対象区百十六本、茎の直径は双方とも二・二センチ、茎の長さは試験区二百十四センチ、対象区百二十七センチで八十七センチも長く、収量は試験区十アール当たり九・一九トン、対象区は五・一トンであり、約四トンの増収となっています。ブリックスは十二月二十日で試験区十八度、対象度十六度で二度高くなっています。一月三十一日では十九・五度と十八・三度で一・二度高く、二月一日の石川地域のキビ搬入実績の平均が十八・三二度でありましたところからいたしましても、地域の平均ブリックスよりも一・八度高くなっているようであります。  この試験結果を見ますと、収量で約八〇%、ブリックスで〇・六%高いことになります。この地域の二市四町二村の平均収穫は夏植え六・八五トン、春植え四・三トン、株出し六・六トン、平均六・三三トンでありますから五トンの増収となり、十アール当たり十一・三トンとなるようであります。したがいまして沖縄県経済連は下水道汚泥堆肥による施肥効果が極めて有効であることが確認されたとしているのであります。このことについての御見解を承りたいのであります。  奄美大島の堆肥舎に対するお答えがありました。多くを申し上げません。ただいま差し上げました写真一、二のとおりであります。昭和五十四年、五十七年の地域農業生産総合振興事業としてつくられた有機質造成施設でありますが、送風施設も壊れたままで稼働率は三〇%の老朽施設となっています。地域の農家は堆肥が欲しいにもかかわらず、良質の堆肥ができない、一トン七千円は高過ぎるということであります。  写真三を見ていただきたい。最近財部町にできました堆肥場であります。地元の養豚家の豚ふんと、サツマソイルと五対五の比率でつくったものであります。写真四のとおり三要素は三・六、六・一、一・六であります。同様のものが三年前から屋久島にもできており、農家の方々に大変喜ばれています。私は昨年この議場で県下に百十八ヵ所ある堆肥場の総点検と地元の農業に役立つ堆肥づくりにしてもらいたいと要望いたしたところでありますが、その後の対応についてお知らせをいただきたいのであります。  次に、保健環境部長にお尋ねいたします。  ただいまサツマソイルを発酵原料として畜産排せつ物で立派な有機堆肥が生産されているのでありますが、このことは産業廃棄物の再利用であり、産業廃棄物交換制度にマッチするものと思われます。産業廃棄物の六〇%を占めている家畜ふん尿による環境汚染を防止、さらには農地の肥沃化と農産物の生産性の向上にもつながり、まことに一石二鳥にも三鳥にもなると思われますが、御見解を承りたいのであります。  次に農政部長にお尋ねいたしますが、奄美大島の老朽化した堆肥場の更新とサツマソイルを発酵原料としたバークや、バカス、畜産排出物により有機肥料の生産と有機肥料を主体としたサトウキビ実証圃場による試験をされるお考えはないものか見解を承りたいのであります。  次に輸入自由化と農産物の安全性についてお尋ねをいたします。  農産物の輸入自由化という国際情勢の変化により、日本の農業も大きく変わらざるを得ない状況になっております。鹿児島県におきましても低コスト、高品質農業の確立へとあらゆる施策が講ぜられているところであります。このことは輸入自由化という嵐の中で県の基幹産業である農業を守り、農村の衰退を防ぎ、農村のさらなる発展のためには必要欠くべからざる当然の施策であると思うのであります。しかしながら、今日問題にされているのは輸入農産物は価格が安いから国内農産物の端境期に安定した農産物の供給ができるからとか、珍しい食べ物であるとか、価格や流通の面からの経済的な論議が多いように思われるのであります。これらのことは生産者、いわゆるつくる立場、売る立場の人たちの論理であって、食品の安全性という面について食べる人の立場、いわゆる消費者側からの声も取り入れられるべきではないかと思うのであります。いわゆる消費者のニーズに合った農産物、食糧を生産するということであります。  今日、低農薬、有機農業が言われていることも消費者側からの強い要望によるものであります。何でも腹いっぱい食べることができればよいとされた時代ではなく、みずからの生命を維持し、健やかで長生きのできる楽しい食生活を満喫し、さらには子孫へ健全なる生命体を引き継ぐためにも消費者は農薬や食品添加で汚染されない安くて新鮮なおいしい栄養豊かな安全な食品を望んでいるのでありますが、御見解を承りたいと思います。  次にアメリカにおけるポストハーベスト、いわゆる収穫後の農産物に食品添加物や農薬などの薬剤を使用することであります。アメリカの農産物には日本ではとっても信じられないような十倍、百倍という高濃度の残留農薬が検出されているのであります。それは収獲後の農産物に農薬を直接使用しているからであります。日本で言うならば食品添加物のような使い方がアメリカでは強い毒性を持つ農薬に認められているとされています。いわゆるポストハーベストと呼ばれるものであります。  アメリカではポストハーベストとして認められている五十八種類で、そのうち日本国内で認められているのは二十一種類しかありません。なぜアメリカではポストハーベストが許されているのか、それはアメリカの農産物は輸出を目的として生産されるものが多いからだと言われています。外国までの長い輸送の途中で腐ったり、穀物の害虫に食い荒らされないための対策であります。ポストハーべストに使用される化学物質には薫蒸剤、防カビ剤、漂白白色剤などがありますが、近くでとれたものを収穫されてすぐ食べれば、このような薬剤の必要はないのであります。輸入農産物のように世界の各地から何時間もかけて輸送したり、見ばえをよくし、見せかけの新鮮さで売ろうとすると、このような薬剤の必要性が生じてくるのであります。  先日も新聞に出ておりましたが、例えば輸入小麦には貯蔵中や輸送途中にざまざまな殺虫剤が使用されています。まず輸出するときに虫がいたら薫蒸する。薫蒸剤はその場にいる虫を殺すことはできますが、輸送の途中で発生する虫には残効性がないために効果がありません、そのために今度はスミチオン、マラソンや、マラチオンなどの有機燐系農薬や殺虫剤が穀物に直接混入されるので、小麦には必ず残留しているのであります。日本ではこうした使用方法は許可されていませんが、アメリカやオーストラリアでは許可されているのであります。残留農薬の基準値で日本と十倍以上の差のあるものは例にとりますとキャプタンがあります、残留基準値はレタス、生プルーン、サクランボ一〇〇ppm、アンズ、セロリ、マンゴー、タマネギには五〇ppmであり、日本はいずれも五ppmであります。マラソン剤はアーモンド、麦、トウモロコシ、ピーナツ、米、ヒマワリの種などで八ppm、日本では〇・五ppmであります。ベンレートはサクランボ、アンズ、ネクターに生プルーン一五ppm、パイナップル三五ppm、日本では〇・七ppmであります。  一九八九年五月二十一日付のワシントンポスト紙は、アメリカの科学アカデミー農薬部会の農薬の使用と農業分野における技術革新に関する科学的、法律的諸問題検討委員会が発表した食品中の残留農薬の危険性に関する研究論文を掲載しています。  それによりますと、使用されている農薬二十八種類で、平均二万人の人ががんになると言っています。アスベストによる肺がんの発生が九千人と言われていますから残留農薬による二万人の発がんの危険性はまことに大きいと言わねばなりません。そして発がんのリスクが一番高いのがトマト、二番目が牛肉、ジャガイモ、オレンジと続き、十五品目を挙げているようであります。  国民の生命を危険な輸入食品から守るために輸入農産物の残留農薬の基準値を設定すべきであります。  また、収穫後に農薬を使用するのを禁止したり、食品添加物として食品衛生法によって規制すべきであると思うのであります。このことは当局におかれまして十分御承知のことと思いますけれども、アメリカにおけるポストハーベストのあり方、本県の農業生産物の生産過程における農産物の安全性の面から、人が生きるために絶対必要な食糧を生産する農業の立場から農政部長、また県民の健康と生命を守るという安全性の面から保健環境部長、さらに県の最高責任者の立場から知事のそれぞれの御見解を承りたいのであります。  次に有機農業のあり方と、その実情についてお尋ねをいたします。  九州、山口各県の平成元年度における有機農業への助成事業内容を見ますと、まず山口県でありますが、有機農業の里づくり推進モデル事業は村ぐるみで有機農業を実践する試みで、栽培技術だけでなく、村内で生産する有機農産物の認証制度の確立も目標とした県単事業であります。熊本県は農薬、化学肥料の使用量減と、収穫量の相関関係を実証し、流通システムの組織化を目指す熊本型有機農業確立事業であります。あえて熊本型としたのは有機がありふれるほどあるのに、定義すらないので、独自の農法確立を意図したものであります。大分県は諸化学肥料栽培における地力維持と野菜の品質向上、技術の確立であります。宮崎県では県単事業で水稲の無農薬栽培の有機農業技術解析試験事業のほか、奈良県、高知県と合同でトマト、キャベツ、ホウレンソウの有機省農薬栽培、長崎、熊本県と共同でピーマン、キュウリのハウスを使った有機栽培の研究事業を考えているとされています。  また、宮崎県綾町では、自然生態系農業の推進に関する条例をこの十月から施行し、町が安全な農産物を保証する制度を実施することとしています。本県は有機農業の実態調査として百四十二万七千円が予算化されているのでありますが、他県よりも一歩も二歩もおくれているという感がするのであります。実態調査は現在どこまで進んでいるのかお知らせをいただきたい。  また、六十三年度、国から調査委託を受けて農協を通じて行った実態調査はどのようであったかについてもあわせてお知らせをいただきたいのであります。  次に、下水道汚泥を発酵させてつくられたサツマソイルの重金属の含有については特殊肥料としての届け出がなされており、肥料販売取締法に基づく特殊肥料等指定基準及び総理府令の別表第二の基準を下回っている。したがって、また安全性確認のため自主的な定期検査を指導しているとのことでありましたが、指定されている基準値とサツマソイルの重金属含有率についてお示しをいただきたい。  次に、化学肥料の重金属の含有率についてでありますが、通常使われている苛性肥料や硫安、尿素等の重金属の含有率はどのようになっているものか、お示しをいただきたい。  さらに町村役場職員や農協役員の中にサツマソイルは重金属が含まれているから使ってはいけないという人たちがいるのでありますが、このことに関しての御見解も承りたいのであります。  次に、酸性雨についてお尋ねいたします。  森林が枯れたり、湖沼の魚が死滅するなど、欧米で深刻な問題となっている酸性雨が鹿児島にも降っており、環境庁の発表によりますと霧島山系の湯之池、新燃池、大浪池の三つの湖沼が酸性化しており、屋久島の太忠岳は硫酸イオンの効果は全国最高であったとしています。鹿児島は全国でトップクラスの自然環境に恵まれたところだと思っていたのでありますが、大変な驚きであります。  三つの湖沼はもともと火山の近くにあり、酸性雨によって酸性化したものとは考えられないと思います。薩摩湖など火山と余り関係のない湖沼などの調査を独自で行ってはいないのか。また行っていないとすれば今後調査されるお考えはないものか。  もう一点は漁船の船底や漁網などに使われている有機すず化合物、TPTでありますが、これは強い毒性を持った有害物質が含まれており、イギリスやアメリカでは使用禁止や規制がされているものでありますが、環境庁の調査によりますと、博多湾のスズキから一・七ppm、有明湾のボラから〇・九五ppmのTPTが検出されたとしているのでありますが、鹿児島県の現状についてお知らせをいただきたいのであります。  次に、高齢者福祉対策についてお尋ねいたします。  総務庁の発表によりますと六十五歳以上の高齢者人口が一千四百二十九万人という総人口に占める割合は一一・二六%の過去最高にあり、高齢化社会が急ピッチで進行しているとか、データの上からも立証されたのであります。  現在、日本の寝たきり老人は約六十万人と推計され、高齢化が成熟する二〇一〇年には約百四十万人に達し、年間ざっと二十万人ずつ増加していくことになります。痴呆性老人も五十九万人から百六十万人に迫ると見込まれており、在宅福祉の拡充が急務とされております。要介護老人の急増により、施設では需要を賄い切れないという現実的な理由に加え、老後は気心の知れた近親者との生活を望む人間的欲求によるものであり、福祉のノーマライゼーションの理念からも在宅介護の充実が望まれるものであります。  また、我が国の寝たきり老人の割合は欧米に比較しますと三倍から四倍も多くなっており、欧米各国では国を挙げて自立を助ける方向できめ細かな医療介護策がとられております。厚生省も寝たきり老人ゼロ作戦を予定中と聞いています。  そこで高齢化社会対策についてお尋ねいたします。  まず第一に、二十一世紀を目前に控え国際化、情報時代、ハイテク時代、高齢化が既に始まっておりますが、高齢化対策は土屋知事の長期計画の中でもかなりのウェートを占めるものと思いますが、高齢化県としての知事の所見をお伺いいたします。  次に我が党は昨年の臨時国会において、国民生活向上のためホームヘルパー、ショートステイ、デイ・サービス、いわゆる在宅福祉の三本柱の急増を政府に約束させましたが、本県における三本柱の現状と今後の見通しを明かにしてもらいたいのであります。  第三に、在宅福祉の先進国では介護や看護は要請すれば二十四時間対応する体制であり、すなわち福祉の出前の時代に入ったと言われております。縦走的な在宅介護の実現にはマンパワーが必要であり、ボランティアによる地域ネットワークづくりや専門的スタッフの配置、地域福祉センターなどの機能づくりが肝要であると思いますが、御見解を承りたいのであります。  第四点は、寝たきり老人減少への取り組みが肝要になりますが、本県寝たきり老人の実態と機能回復を担当する作業療法士や理学療法士の実態と今後の対応について明らかにしていただきたいのであります。    〔知事土屋佳照君登壇〕 13 ◯知事(土屋佳照君)急速に進む高齢化の中で、特に高齢化の進行が国よりも先行しております本県におきまして、経済社会の活力を維持し、県民が健康で、安らぎと生きがいのある老後生活を送りますためには、経済、生きがい、健康、福祉といったようなあらゆる分野にわたりまして人生八十年時代にふさわしい社会の仕組みをつくり上げていかなければならないと思っております。そのために高齢者の方々にも長年の経験の中で培った知識や技能を生かしながら地域社会の重要な担い手として活躍していただけるような環境づくりを進めますとともに、本年度からスタートいたしました健やか長寿社会運動を中心として、生きがいづくりや健康づくりのための各般の施策に取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。  一方では高齢化の進行に伴いまして何らかの援護を必要とする高齢者も増加をいたしております。介護ニーズの増大、多様化ということが見込まれますことから、慣れ親しんだ家族や地域で生活ができるよう保健、医療、福祉の連携のもとにデイ・サービスとか、家庭奉仕員などの在宅福祉サービスの充実を図りますとともに、特別養護老人ホームなどを初めとする福祉施設の整備に努めてまいりたいと考えておるところでございます。  また、このような高齢化社会におきましては、地域の人々が思いやりと助け合いと申しますか、そういった心を持って高齢者を支援するという社会連帯意識に立脚した地域社会づくりというものが極めて重要なことであると思っております。その意味でボランティア活動の振興とか、福祉教育の充実、県民意識の啓発などの施策を今後とも積極的に推進してまいりたいと考えております。
     なお、先ほどはアメリカの実情なども交えて食品の安全性などについて御指摘をいただいたわけでございますが、豊かな生活のために安全食品の確保ということは極めて大事なことだと私も思っております。  輸入食品につきましては、国でいろいろと検査などもし、監視もされておるわけでございますが、県内では保健所などで監視指導もしておりますし、収去検査なども実施するとともに、営業者、消費者に対して衛生知識の啓発などしておるわけでございます。事柄は極めて大事なことでございますので、私自身も今後ともその点には十分配意してまりいたいと思っております。 14 ◯農政部長(山中 正君)下水道汚泥の有効利用のことでございますが、例えば鹿児島市公共下水道処理施設で処理加工いたしておりますサツマソイルのようなものにつきまして、特殊肥料として届け出がなされておるものを、これを堆肥として、あるいは他の有機物と混合して堆肥をつくって施肥するということは、このことにつきましての農薬、肥料取締法上、特に問題はないところでございまして、沖縄県でそのようなケースがあるということでございますので、地域におきまして可能なところはそのような取り組みをしていくことになろうかと思います。  また、堆肥づくりにつきましては、先ほども申し上げましたように、奄美群島におきましてはキビのはかまと、あるいはチップかす等を主な原料にいたしておりますが、最近特に畜産の振興も図られてきておりまして、徳之島等におきましては家畜ふん尿を主原料とする堆肥センターもできておりますし、また一方バカスが燃料としてほとんど使用されておりますが、沖永良部ではこれの有効利用等も図られておるようでございまして、今後とも堆肥センターの施設の利用の促進につきまして指導を重ねてまいりたいと考えておるところでございます。  次に農薬使用にかかわります留意点でございますが、農産物の生産に当たりましては、消費者の本物指向、健康、安全性への関心の高まりなど、多様なニーズに対応しながら消費者の納得のいく高品質の農産物を供給することが基本であるというふうに理解をいたしておるところでございまして、県といたしましてはただいま申し上げましたような堆厩肥等の利用によります土づくりの一層の推進を図りながら、気象衛星ひまわりを活用した精度の高い発生予察情報に基づきます適期、適正な防除、天敵フェロモン利用等を組み合わせました総合防除の推進等を行いまして、農薬の安全使用基準に基づきます適正使用を図ることによりまして、良質で安全な農産物を供給する農業生産に努めてまいりたいと考えておるところでございます。  なお、ポストハーベストにつきましては、我が国におきましてはごく限定されたものにのみ使用が認められておるものでございまして、外国から輸入されてまいります輸入農産物につきましては、輸送上の問題等から御指摘のようなことでポストハーベスト剤の使用のケースが見られるところでございます。  我が国におきましては残留農薬の厳しい規制もございまして、農薬の使用につきましてはこれらを勘案いたしました上で農薬の安全使用基準に基づきましての使用を行ってきておるところでございます。  次に有機農業の実態調査結果でございますが、県が実施いたします調査につきましては、本年度から二ヵ年で実施するということになっておるところでございまして、現在準備を進めておるところでございます。  農水省が行いました調査でございますが、日本植物防疫協会に委託をして行っておる調査でございまして、昭和六十三年度から平成元年度まで調査をすることになっております。六十三年度の調査結果では、全国四千九十五農協で調査をいたしておりますが、そのうち三割の農協が有機農業に取り組んでおるということになっております。  この中で無農薬で無化学肥料という形態は三一・六%ということでございまして、その他につきましては何らかの形で農薬や化学肥料を使用しておったようでございます。  作物といたしましては、水稲、野菜、果樹、茶などでございまして、中でも野菜への取り組みが最も多かったというふうに聞いております。  なお、農林水産省は平成元年度まで調査を行いまして、これらの調査結果に基づきまして有機農業の技術指針を作成し、地域の特性を生かしました有機栽培技術の普及に取り組む予定と承っておるところでございます。  次にサツマソイルの重金属含有等についてのお尋ねでございます。  まず、化学肥料につきましては、肥料取締法に基づきまして、重金属の規制値がございます。例えば硫安では砒素が〇・〇〇四%以下、過燐酸石灰では砒素が〇・〇〇四%以下、カドミウムは〇・〇〇〇一五%以下となっておるところでございまして、市販されておるものは、この規制値以下でございます。  サツマソイルなど特殊肥料についての規制値は乾物一キログラムにつきまして砒素は五十ミリグラム以下、カドミウムは五ミリグラム以下及び水銀で二ミリグラム以下となっておるところでございます。  サツマソイルは肥料取締法に基づきまして、特殊肥料として届け出もされておりまして、定期的な重金属の含有分析結果でも規制値以下でございまして、使用に当たりましては施肥基準を遵守することによりまして、特に問題は生じないものと考えております。 15 ◯保健環境部長(中原俊隆君)まず、家畜ふん尿の肥料化、あるいは下水汚泥の肥料化、これらは産業廃棄物の有効利用、再資源化という観点から非常に望ましいことでありまして、関係部局とも連携をしながら推進をしてまいりたいと考えております。  それから産業廃棄物に関しましては、御承知のとおり廃棄物交換制度の導入についても現在取り組んでおるところでございます。  次に食品の安全性につきましてでございますが、国内で流通する食品のうち輸入食品につきましては、国において全国二十ヵ所の検疫所で監視及び収去検査が実施されておるところでございます。  また、県内で流通する食品につきましては、保健所の食品衛生監視員によりまして監視指導、収去検査等を実施しております。営業者、消費者に対して衛生知識の普及啓発を図り、安全確保に努めてまいりたいと考えております。  また、ポストハーベストにつきましては、厚生省でポストハーべスト農薬残留基準を整備するということで、現在作業が開始されていると聞いております。  それから次に酸性雨につきましてですが、酸性雨の県単独の調査は昭和五十八年から五十九年にかけまして県内八ヵ所で実施をいたしました。さらに雨水、雨の自動測定器による継続的な調査を昭和六十三年度から喜入町で、本年五月から県の環境センターで実施しているところでございます。  また、県内の代表的な湖沼については、池田湖、鰻池、薩摩湖等で水質調査を実施しているところでございます。  これまでの調査結果では雨水のPHの平均値は桜島周辺で四・一ないし四・三、これ以外の地点で四・四ないし五・四が観測されております。全国の雨水のPHの平均値は四・四から五・五でございまして、本県の雨水のPHは桜島周辺以外では全国レベルでございますが、桜島周辺では火山活動の影響を受けて、若干低い状況にございます。  また、湖沼につきましては、PHが七前後であり、酸性化現象は認められていないところでございます。今後とも雨水の自動測定器による調査並びに代表的な湖沼の水質調査を継続的に実施してまいりたいと、こう考えております。  それから、TPT等の有機すず化合物でございますが、これは漁網防汚剤、船底塗料等に使用されておりまして、この物質による環境汚染実態につきましては、本県においても、環境庁の委託を受けまして、昭和六十年度から魚類について調査を実施してきております。  その調査結果では、魚体中濃度は、昭和六十年度以降減少傾向にございまして、また全国と比較しても低いレベルにあります。この物質につきましては、国の中央公害対策審議会では、この程度の濃度では、現時点で直ちに人体の健康に影響を及ぼす可能性は少ないと評価しておりますが、県では、化学物質による環境汚染の未然防止という観点から、これまで関係団体等に対して使用の自粛等の要請を行ってきているところでございまして、今後とも国の動向を見きわめながら、関係部課と連携を図りまして、環境汚染の未然防止に努めてまいりたいと考えております。 16 ◯県民福祉部長(松元 剛君)まず、在宅福祉の三本柱の現状と今後の見通しについてのお尋ねでございますが、この三本柱のうち、ホームヘルパーの設置数は六十三年度末で約三百八十名で、全国上位の水準にございますが、平成元年度末には約四百三十名となる見込みでございます。  また、ショートステイ事業につきましては、現在九十床でございますが、今年度末には百床、それから、デイ・サービス事業につきましては、現在十一施設でございますデイ・サービスセンターが、年度末には十八施設に整備をされることになっております。  県といたしましては、この高齢化の急速な進行に伴いまして、在宅福祉サービスに対するニーズはますます高まるものと思っておりまして、現在、在宅三本柱の整備を中心とした在宅福祉推進計画を策定中でございまして、この計画に基づきまして、今後在宅福祉対策の一層の拡充に努めてまいりたいと考えております。  次に、ボランティアの地域ネットワークづくり等についてのお尋ねでございますが、在宅福祉サービスの充実を図ります上で、ボランティアを初めとするマンパワーの確保は、極めて重要な課題であるということで、現在市町村にボランティアセンターを設置をし、それぞれコーディネーターや福祉活動専門員を配置をいたしまして、ボランティア活動の育成組織化を進めているところでございます。今後さらに、ボランティアの育成、家庭奉仕員の増員等によりまして、在宅福祉を支えるマンパワーの整備、ネットワークづくりに努めてまいりたいと考えております。  また、現在在宅福祉を支援する施設といたしましては、老人福祉センターを初めデイ・サービスセンター、老人ホーム、老人保健センター、市町村保健センター等があるわけで、大体百六十五施設ほどが設置をされておりますけれども、今後ともこの整備充実を図ってまいりたいと考えております。  それから、寝たきり老人の実態等についてでございますが、本県の寝たきり老人は、在宅の方が平成元年の三月末の市町村推計によりますと約六千人、そのほか老人ホーム等に入所しておられる方が約二千人ほどおられまして、合計約八千名というぐあいに推計をいたしております。今後も高齢化が進行いたしますと、後期の高齢者がふえていくということから、その数はさらにふえてまいると考えております。  現在、県内の社会福祉施設及び医療施設に勤務をいたしておられるこの作業療法士、理学療法士の方々が百五十四名いらっしゃいます。今後このリハビリテーション体制の充実がさらに必要になってまいるというぐあいに考えておりまして、これらの方々の活用を図りますとともに、県内にも養成機関ができておりますので、県単の修学資金貸付制度等も活用して、その養成確保に努めてまいりたいと考えております。 17 ◯山口 優君 自席から農政部長にお尋ねいたしますけれども、沖縄県の具志川の製糖工場のいわゆる下水道汚泥によるサトウキビの栽培試験ですね、これについての御見解をもう少しちょっと詳しくおっしゃっていただけませんか。 18 ◯農政部長(山中 正君)沖縄のケースを承知いたしておりませんので、コメントすることは事実上不可能でございますけれども、下水道汚泥を特殊肥料として加工したものを肥料として使って有効利用をしていくということにつきましては、地域にあります有効資源を活用するという意味で好ましいことだろうと思っております。    〔山口 優君登壇〕 19 ◯山口 優君 今、農政部長から農業問題についていろいろと御返事がございましたが、やはり抜本的に本県の農業のあり方というものをもう少し考え直す必要があるんじゃないかと思います。今、有機農業あるいは減農薬ということが強く言われているということは、戦後四十年間の日本の農業のあり方というものに対する反動、いわゆる反省と、こういうものじゃないかと思うんです。つくれば幾らでも売れた時代から、やはり消費者の指向に応じたものをつくっていくと、こういう時代に移り変わりつつあるわけです。  アメリカの農産物の輸入が安いからということで、いろいろあったんだけれども、バナナにいたしましても、最近はモンキーバナナはいいと、これは味と安全性をみんなが確認をしているからであるわけです。したがいまして、今、全国で有機農業と言われているのは、その辺に、いわゆる国際市場、あるいはまた日本のそういった農産物の市場において、やはり各県、地域が優位性を保つために一歩も二歩も早く出ているわけでありまして、やはり鹿児島県は重厚長大農業といいますかね、いわゆるそういった点はおくれているというふうに私は考えるわけであります。  百十八ヵ所のこの堆肥場はあるんですけれども、これが地域になかなか機能してないと。たくさんの有機畜産排出物がありながら、有効な堆肥が生産されてない。完熟された堆肥ができないということであります。これは知事も車座でいろいろと地方を回られますが、今後は農政部長がこっちと言われたらあっちの方に行かれた方がいいですよ。これは余りいいところしか見せない、土木の場合は悪いところを先に行きますので、これはいいんですけど、農業の場合はこっちと言ったらあっちの方に行かれた方が、私は一番いいんじゃないかと、こう思っているわけです。  この前瀬戸内に行かれたんですけれども、住用を通られたすぐ横に堆肥場があったと思いますけれども、これはバークと人ぷんでつくっていますけれども、腐らないから畑に入れたらシロアリがつくと、どうしても困っていると。今度は村が補助を出して、トン四千円にしようという、こういう話でありますけれども、大変有機質の堆肥がないところでは困っておりますので、今、私がいろいろとるる申し上げましたが、そういった点について今後御研究をいただきたいと思います。  それから、サツマソイルの重金属の含有量についてでございますけれども、私が実際に調査いたしましたところが、カドミウムは〇・〇〇五ppmですね。それから水銀が〇・〇〇〇二一です。砒素は〇・〇〇三なんです。それから、化学肥料の重金属の含有量でありますけれども、商品名を申し上げるわけにいきませんけれども、飼料のAですね、これは三要素が四・四・三です。サツマソイルと比較いたしますと、カドミウムで二十倍、水銀で四十七倍、砒素が何と百八十六倍であります。Bの方は、燐酸が十七、加里が十七でありますけれども、カドミでサツマソイルの百九十倍、水銀で四十二倍、砒素で百七十倍です。それから硫酸アンモニアですね、これはやはりサツマソイルのカドミで二十倍、水銀で四十七倍、砒素で六十六倍と。それから尿素、これはカドミでサツマソイルの二十倍、水銀で四・七倍、砒素で六十六倍と、こういう高濃度の含有率になるわけであります。したがいまして、やはり堆肥というものの生産がいかに安全であるかと、こういうことが言えるかと思います。  したがいまして、沖縄県でもそういった方向でやはり下水道汚泥によって有機堆肥をつくって、大量にサトウキビ畑に投入をして生産を上げていると、こういうことが言えるわけであります。  したがいまして、私もこのオイルショックの時代にローカルエネルギーということがさんざん言われましたけれども、やはり地域にあるもので、そこでその地域に還元できる有効な堆肥を生産していくと。いわゆるお金をかけて金肥を輸入して、そして地力を吸い上げて、あとはもうだんだんやせていくわけですから、そういうことじゃなくして、少しでもお金がかからない、そして有効な堆肥をその地元でつくると、こういう私はやり方を奨励していかないと、やはり農業をしていらっしゃる方々は、県や町や、あるいは農協の言うとおりにしたんだけれども、この二十年間どうしても生産性が上がらないと、そして作物が弱いからまた農薬をふらなきゃならないと、こういうような悪循環を繰り返すわけであります。  ことし菱刈町でコシヒカリの早期栽培をいたしました。八十五ヘクタールでありましたけれども、農薬を一回しかふらなかったと、今までは十回ふったんだそうですね。で、一回ふっただけで、やはり十アール当たり四百五、六十キロの米が取れているわけですね。そういうわけで、やはり今までの何か神話みたいな感じで、決められたようにずうっと農薬を散布しないといかないとか、あるいは決められたように化学肥料を入れないといいのができないと、こういうことで農協が言うとおりやってきたんだけれども、やらなくてもできたということをはっきりと実証をしているわけであります。  有機農業の実態につきましてもお答えいただいたんですけれども、九州各県で既に事業を行っておりまして、鹿児島県の有機農業の取り組みのおくれを指摘せざる得ません。有機農業とは、農薬、化学肥料、人工添加物などの使用を避け、堆厩肥等の天然産物の利用により、作物栽培を行い、環境を良好に維持しながら、健全なる食品を生産、供給しようとする様式であるとされています。  宮崎県綾町は、化学肥料、農薬などの合成化学物質の利用を排除すること、本来機能すべき土などの自然生態系を取り戻すこと、食の安全と健康保持、遺伝毒性を除去する農法を推進することとする条例を制定し、この十月から施行することにしています。そして、生産管理検査を行い、合格したものには合格証票を交付して、農産物品質保証を自治体みずから行うことにしているのであります。有機農業への取り組みの立ちおくれは、市場における本県農産物の競争力の低下を招くおそれも出てくるかもしれません。早急な取り組み方について、強く要望をいたしておきます。  通告をいたしておりました東洋ハウスの件でございますが、昨日も質問があり、また明快な御答弁をいただいたわけでございますけれども、さらに、我が党の方からも、頭金を取られ、またローンを払えないと、しかも家は建たないと、こういうような建築主の現在の立場というものをよく認識をされまして、下請を初めこういった方々が再び泣き寝入りをしないように、十分なるひとつ御配慮方を申し上げまして、公明党を代表する質問を終わります。(拍手) 20 ◯議長(五領和男君)これで代表質問は終わりました。  ここで休憩いたします。  なお、午後からは一般質問であります。  再開は、おおむね午後一時十分からといたします。         午前十一時五十四分休憩       ─────────────         午後 一時  十分開議 21 ◯議長(五領和男君)再開いたします。       ─────────────    △ 一般質問 22 ◯議長(五領和男君)一般質問であります。  通告に従って、順次発言を許可いたします。  まず、松村武久君に発言を許可いたします。    〔松村武久君登壇〕(拍手) 23 ◯松村武久君 質問に入る前に、あらかじめ質問事項の順序を違わせますので、お許しを賜りたいと思います。  一番はそのままですが、最近における建設業の問題点を最後にいたしまして、二番目に県庁舎整備問題は慎重に。三番目にビルの安全な飲料水の確保のために。四番に十一号台風から学んだこと。最後が最近における建設業の問題点、こういうぐあいで進めさせていただくことをお許しいただきたいと存じます。  さらに質問の前に、各答弁されます県当局の皆様に、耳の痛いことを一つ申し上げておきます。  これは今まで私が十年半前、本県議会に登壇してからずっと胸中にありまして、のど元につかえていたことでありますので申し上げますが、答弁なさるときには、ただ部下の書いた答弁書を棒読みするんでなくて、やはり誠意を込めて質問者に対して、時折顔を見て、やはり答弁をしていただかないとわかりにくいときがあります。そういうことで、このことを特に要望しておきますが、その場合のやはり利点として、これは答弁される側もいいことだと思います。と申しますのは、要点を頭に入れて答弁に臨むのでありますので、これはいつまでも記憶に残りまして、県政の課題としていつも頭に置いておくということで、行政の熱意というものも感じ、また部下に対する指導性も発揮できるというふうに思います。  ただやはり権威ある議場でございますので、それなりに準備を万端、そして丁寧に答弁されることが妥当かもしれませんが(発言する者あり)余計なことは言わんでください。やはり、そういう誠意のあらわれという受けとめもありますけれども、真面目な態度かもしれませんが、どうも例えば謝るときにも棒読みで謝るというのは、本当に謝っているのかわからない。謝るときは深々と謝るべきじゃないでしょうか。そういった点を感じたから、あるいはまた棒読みでばーっとやればいいというもんじゃないと思うんです。だからこれは、それこそ国会討論会の答弁等を聞いていても全然そういうのはないし、県議会だから慣習かもしれません。外国の例を見ても、国際化といいますけれども、外国の国会とか議会ではそういったことはないです。それはそういうことで、私は特に御要望しておきます。議員の中から、茶々を入れないでください。  次に、質問をいたします。  新長期計画策定に当たっての知事の基本方針についてお伺いいたします。  前鎌田知事は、ぬくもりに満ちた偉大な鹿児島の創造をメインテーマとして、昭和七十年すなわち平成七年に一人当たりの県民所得を、国民所得の九〇・二%までに押し上げるとの目標を立てて努力されたのでありますが、実態は現時点で八〇%にも達せず、偉大なる鹿児島の創造はまさに想像であり、言葉のみが先走り県政の期待は薄れつつあります。  そこで県民が期待する土屋知事に対し、新長期計画策定に当たっての基本方針について、代表質問からいろいろありましたので、私は以下三点に絞ってお尋ねをいたします。  まず第一点でありますが、本県が抱える新幹線問題、九州縦貫道、企業誘致、リゾート開発、さらには宇宙産業開発などの重要課題を、どのような手法で具体化していかれるか。文化、教育、政治、経済、すべてにおいて中央集権、あるいは中央陳情政治では、鹿児島の将来が望めるのか。みずからの努力で、活路を開いていくべきであると思うのであります。  そこで、九州は一つと言われるが、観光客の誘致、先ほど申します新幹線問題等々におきまして、九州知事会等で協議し一体化した推進がなされるべきであります。これは十分そういう方向でやっているとおっしゃるかもしれませんけれども、かけ声だけに終わっている感なしとしません。よって、現状どのようになっているのか。今後どのように、この点について一体化を図っていかれるか、知事にお尋ねします。  二番に、新長期計画の期間内に、新幹線が鹿児島まで開通することを前提とした計画であるべきですが、新幹線全線開通を前提とした新長期計画となるのか否か、お尋ねをいたします。  最後に、二〇〇一年に向けての鹿児島像をどのように描いているのか。それを長期計画の中にどのように盛り込んでいかれるか、知事の指導性と基本方針をお示しください。  次に、県庁舎問題についてでございます。  庁舎整備問題は、県政の重要課題であります。それだけに、昭和六十一年五月には、庁内に庁舎整備調査委員会を、そして六十三年六月には、民間有識者からなる二十三名による庁舎整備検討協議会を発足し、さらには県議会としても県庁舎整備問題特別委員会を構成、鋭意検討を続けつつ、過ぐる九月十一日には二十八年ぶりの公聴会を開くなど、慎重な対応がなされているところであり、したがって、本日我が党として本問題に言及することは、いささか気がとがめますけれども、六月の特別委員会での論議経過及び庁舎整備検討協議会の結論、そして公聴会を傍聴した経緯を踏まえ、慎重の上にも慎重を期する必要があると判断し、疑問点を明確にすべく、以下八点について、知事並びに出納長及び関係部長にお伺いいたす次第であります。  まず第一点は、九月十一日に開催された県庁舎の移転整備についての公聴会の結果を、知事はどのように受けとめておいでかということであります。また、建設地の選定に当たって、庁舎整備検討協議会では、建築基準法の制約により、新庁舎としての必要規模の建物を確保できないとの理由により、初めから現在地での建てかえは論外とされておりますが、このことは大きな問題でございます。現在地でも用途地域の変更を行えば、建築基準法の制約は緩和されるはずであります。用途地域の変更は鹿児島市が起案し、申請に基づき知事が許可することになっております。  そこで、現在鹿児島市が進めている都市計画区域と用途地域の見直し作業の中で鹿児島市と協議し、現在地を商業地に変更すべきと思うのでありますが、特別委員会においては、当局答弁は変更することは極めて困難であるとのことでありますが、その理由を明確にしていただきたいのであります。  次にその二としまして、現在地の用途地域を商業地域に変更した場合、高さ制限はどうなるのか。また、庁舎整備検討協議会の結論である鴨池県有地の場合、建築物の高さ制限等はどうなるのか。景観上の問題及び道路網、公共交通体系の整備が前提であると聞いておりますが、具体策があるのか。例えば、モノレールとか地下鉄とかそういった長期計画の構想の中で、そういったものもあるのかどうか。  次に三番目は、新しく県庁舎をつくるとした場合、敷地面積及び床面積はどの程度必要になるのか。すなわち、建ぺい率とか容積率から生み出した他県との例を引き合いにした、県が考えておられる必要最小限の面積等をお尋ねします。  また、現在の調査費の中に、交通量調査費も計上されておりますが、現在の状況は調査すれば結果が出るわけでありますが、鴨池県有地へ移転した場合、いわゆる移転後の交通量推計ですか、そういったものも当然加味しなければならない重要課題です。その辺をどう思われるか。  四番に、現在地で建てかえをするとした場合の問題点として、鎌田前知事は現在地の庁舎に余裕がないことから、仮庁舎を必要とするとのことで、行政需要の煩雑さと仮庁舎建設費八十億円から九十億円を算定しておられますが、これらの積算根拠を示してください。  次に五点目ですが、六十一年五月に庁内に庁舎整備調査委員会が発足しております。委員会での検討結果をまとめたものがあれば教えていたたきたい。  六番目に、公聴会で国立南九州中央病院を用地交換により、鴨池県有地に移転してもらうことはできないかという意見もありましたが、この場合のネックは何か。この点についての知事の御所見を伺いたい。  なお、過去のことになりますが、国立南九州中央病院計画時点において、本県に対し土地利用計画について意向打診はあったのかどうか。さらに、県当局として県議会への対応はどうであったか伺います。  七番に、知事は六月議会において、本年度中に基本構想をまとめるという答弁をされております。建設場所まで構想の中に入れるのか。また地方公共団体の事務所の設定、または変更については御案内のとおり地方自治法第四条の規定により、条例でこれを定めることにされており、当該地方公共団体の議会において出席議員の三分の二以上、本県の場合は四十名の者の同意がなければならないとなっているが、この条例案件についての議会にいつごろ提案される予定になるのか伺います。  最後に、公聴会を聞きまして、反対、賛成あるいは総論賛成、各論反対、それぞれの立場での主張は理解できますものの、歴史と伝統を持ち、文化ゾーンでもある現在の行政官庁街に建設することをまずは第一義的に考えるべきではないか。そのことが、調和のとれた都市づくりでもあり、文化財保護の精神に反しないものと思うのであります。あらゆる角度から熟慮検討し、万策尽きて現在地が不適当という結論が出された場合、二次的に新移転地を選定すべきであります。百年の計に立って、禍根を残さないために、まだまだ慎重な検討が必要と思います。(「そのとおり」と呼ぶ者あり)ありがとうございます。  初めに移転ありき、初めに鴨池ニュータウンありきといった消費税ではありませんが、そのようなムードが県知事以下当局に漂っているのはよろしくないと思います。そこで広く県民の意見を聞くために、アンケート調査をするとか、県下のブロック単位ででもミニ知事対話等を実施して生の声を聞くなど、知事の御所見をお伺いしたいわけでありますが、この点についても明快な御答弁をお願いを申し上げます。    〔知事土屋佳照君登壇〕 24 ◯知事(土屋佳照君)最初に、東京一極集中が見られます中で、地域の振興を図ってまいりますためには、ただいまも御意見がございましたように、地域がみずからの創意や努力によって地域を浮揚させるように、積極的に取り組んでいくことが重要であり、新たな長期計画を作成するに当たりましても、こういった観点から私も検討していきたいと思っておるところでございます。  しかしながら、現在の地方公共団体にとりましては、自助努力だけではできない分野と申しますか、限界もございまして、財政基盤の強化や産業基盤の整備など、国の協力を得なければならないものも多々あるわけでございまして、そういったものについては、あるいは機会をとらえて要望活動も実施することが必要であると私は思っております。近年九州各県の間では、九州の一体的な浮揚発展のためには、共同で取り組んでいかなければならないという機運が醸成されてきておることは事実でございます。私もいろいろな会合に出まして、そのことを痛感をしておるわけでございます。現に、高速交通体系の整備や農産物輸入自由化対策などの重要課題につきましては、従来から九州地方知事会や九州地方開発推進協議会などの決議要望事項として、各県共同で国に対して要望活動を行いまして、それなりの成果を上げておると私は認識をいたしております。  最近でも宮崎県との間で、共同で観光を推進しようという協議会などもつくったりしておりますし、いろいろな面でもそういった機運が今後進んでいくものだと思っておるところでございます。今後とも九州一体としての浮揚発展に向けて、九州各県と提携して重要事項の実現を図ってまいるための努力をしたいと思っておるところでございます。  また、新しい長期計画をつくる際に、新幹線の取り扱いをどうするかということでございまして、これは重要な課題でございまして、私自身もその位置づけを今後検討していきたいと思っております。私自身としましては、計画の目標年次ごろまでの完成を強く希望しておりまして、その前提で対応したいなと、こう思ってはおりますが、建設に関連して必要となる施策施設等につきましては、今後の建設の状況を見ながらローリング方式の実施計画の中で検討していくというふうにしていきたいと思っておるところでございます。  それから新長期計画についての基本的な考え方はどうかと、こう言われました。なかなか一言では言いにくいのでございますけれども、私は端的に言えば、田園と緑の中にハイテク企業が立地をして、それを快適なリゾートが取り巻くという形での、ゆとりのある心豊かな独自の文化圏域、先進地のような喧騒過密でないような、そういったゆとりのある文化圏域というものを築くことによりまして、若い人が希望を持って定住できて、県民だれもが健やかで充実した人生を送ることのできる、活力にあふれた社会といいますか、郷土を建設したいと考えておるのでございます。このため具体的には、輸入自由化など、国際化に対応した足腰の強い、いわゆる攻めの農業の確立、それからハイテク時代、情報化、サービス化の時代にふさわしい産業の高度化、またそれを支えるための頭脳集団の育成といったようなことも考えなければなりませんし、本県独特の観光リゾートの開発、またウォーターフロントを活用いたしました快適な空間づくりなどを推進いたしますとともに、高速交通基盤、新幹線、高速道路、それから空港、それに加えて港湾、そういったような基盤整備というものを図りまして、日本の南の拠点としての発展を図っていきたいと、かように考えておるところでございます。新たな長期計画での取り扱いにつきましては、こうした私なりの端的に申し上げましたけれども、鹿児島像を踏まえまして、今後計画を作成していく過程で、皆様方とも十分協議をしながら進めていきたいと、かように考えておるところでございます。  それから庁舎に関連して、幾つか御質問がございました。私から若干のお答えを申し上げておきたいと存じます。  先般県議会で開催をされました県庁舎移転整備についての公聴会は、今後県議会での御論議の参考とされるために県民の方から広く意見を聞くということで開催をされたものと理解をいたしておるのでございます。当日、整備移転については、賛成、反対の両方の立場から御意見をそれぞれ述べていただいたわけでございますが、これらの方々の公述は、それぞれの立場で感じておられることを率直に述べられたものと私は受けとめております。また、それぞれの立場からおっしゃったことについて理解できる点もあるし、いろいろ私についてもう少しそこらはどういうものかなと、疑問に思うものもございますけれども、まさに率直に自分の御意見を述べられたと私は受けとめております。  私としては、こうしたことも参考にされての県議会のこれからの御論議を踏まえて、私なりの判断をしながら適切に対処していきたいと、かように思っておるところでございます。  それから庁舎について、いろいろ御議論がございましたが、最終的に基本的な考えとして私に聞かれたことについてのみお答えを申し上げておきますが、県庁舎の整備につきましては、昨年の六月広く県内の各界各層の方々から御意見を承る意味で、県庁舎整備検討協議会を設置をして、基本的な事項についての御協議をいただき、また提言をいただいたわけでございます。  また、いろいろな今後そういった面で県民の意見も聞く機会があろうかと思いますけれども、例えば本日の地元紙にアンケート調査の結果が出されておりますけれども、それによりましても、県庁舎の整備について県民の関心も極めて高いというふうに出ておるようでございます。
     また、現庁舎の老朽化、狭隘化などから、整備の必要性についても非常に多くの方に御理解をいただいておると拝見をいたしました。県議会におかれましては、これまでも種々御論議をいただいてきておるところでございますが、本年三月県庁舎整備問題特別委員会を設置されまして、先般は公聴会も開催されたところでございまして、それを踏まえての御論議もこれからされることだと思っております。私どもといたしましては、今後こういったまさに住民代表としての県議会の御論議を踏まえまして、適切に対処してまいりたいと考えておるところでございます。 25 ◯出納長(須賀龍郎君)県庁舎の整備に関連しまして、六点ほど御質問でございますので、順次お答え申し上げます。  まず、新庁舎の規模と敷地面積でございますが、規模につきましては、これは施設設備の内容いかんによりまして変動はございますけれども、先発県の例から見ますと、職員一人当たりの単純な計算でいきますと、平均値でみてまいりますと、本県の場合は十万三千平方メートル程度が必要であると考えております。ただし、この数値につきましても、今後検討過程におきまして変動があるものと考えておりますので、その点は御理解を賜りたいと存じます。  それから敷地面積でございますが、これは建設の場所によりまして、その地域の用途指定なり容積率なりあるいは建ぺい率なりによりまして変わってまいりますが、私といたしましては、駐車場スペースも含めまして、やはりゆとりのある敷地が確保できることが一番望ましいと考えております。  それから次の仮庁舎の建設費でございますが、この費用につきましては、おおよそこれは大まかでございますが、現在地に建てかえをするといたしました場合には、仮庁舎が必要でございまして、その場合の大まかな費用は大体八十億円から九十億円と考えております。その積算根拠といたしましては、プレハブ構造の仮庁舎をリースする費用と、それに伴います水道工事等の関連工事費、これが七十億円から八十億円でございます。それから行政無線なり、あるいはその他の機器の施設整備、それから移転費、これらで十億円程度かかりますので、合計いたしまして大体八十億円から九十億円と、このように見込んでおるところでございます。  それから次が、県庁舎整備調査委員会でございますが、これは御指摘のとおり副知事をキャップといたしました庁内のプロジェクトチームでございます。この中で検討いたしましたのは、現庁舎の現状と問題点並びに他県の実態、これは先発県でございますが、それから今後の庁舎建設の整備のあり方等につきまして検討を加えてきたところでございます。その中で、やはり現在の庁舎につきましては、狭隘化、老朽化いたしておりますし、駐車場スペースも極めて狭いということから、全面整備が必要であるということになっております。ただし、その場合であっても、今後の行政需要への対応並びに先発県の事例等から見まして、現在地におきましては、建築基準法等との制約もございまして、建てかえが困難であると、無理であるという検討結果を得ております。  それからその次が、県庁周辺の土地利用についてでございますが、ただいま中央病院の土地利用について御指摘ございましたけれども、この中央病院につきましては、昭和四十八年に県の開発促進協議会等を通じまして、南九州の中核医療施設としての設置を強く要請を国にしてまいったところでございます。同じく四十八年に、厚生省内におきまして、南九州中核医療施設検討会というものが設置されまして、その中で数回にわたり慎重に検討されました結果、五十三年に中央病院として着工され、そして五十六年に完成しオープンをしたところでございます。現在まで八年経過いたしておりますが、南九州の中核医療施設として定着しておるところは御案内のとおりでございます。  したがいまして、こういう経緯がございますので、県庁舎の問題で市内中央病院に移転を要請するということは、県の立場としてはなかなかできにくいものであるということを御理解いただきたいと存じます。  それから基本構想の内容でございます。これにつきましては、県庁舎の建設に当たりましての基本理念、それから建設の規模、それから建物の配置計画、設備計画等、これは建設にかかわる基本的な事項を明らかにするものでございまして、当然その中には建設の場所も含まれてくるものでございます。  それから条例の問題でございますが、この問題につきましては、仮に庁舎が移転建設となりますと、これは条例の制定が必要でございます。ただし現在、県議会におきまして、現在地か、移転かにつきましていろいろ御議論いただいているさなかでございますので、その結論を待ちましてから、適切に対応してまいりたいと考えております。 26 ◯土木部長(興 信雄君)同じく県庁舎問題で現在地を商業地域に変更することが困難な理由でございますが、用途地域は都市の健全な発展と秩序ある市街地の形成を図るため、総合的な土地利用計画のもとに、建築物の用途や形態についての規制を行い、良好な都市環境を確保するため、都市計画法に基づく手続を経まして、都市計画として定めているものでございます。変更に当たりましては、当該地域の総合的な土地利用計画に整合させるべきものでありまして、周辺の土地利用動向に変化のない現状では、個別の建築物の要請によるスポット的な変更は地域全体の観点からすべきではないと考えておる次第でございます。  次に高さの制限でございますが、建築基準法上の建築物の高さにつきましては、住居地域あるいは商業地域のいずれにありましても、容積率、それから構造、それから地盤の状況など、これらの総合的要因によりまして、おのずから決まってくるものでございます。  したがいまして、高さ制限につきましては、庁舎の規模あるいは形態が決まらなければ現時点では何とも申し上げられませんので、御理解のほどお願いしたいと思います。  それから三番目でございますが、交通量の推計につきましては、現庁舎におきます職員あるいは来庁者の利用交通手段等に関する現況調査を行うとともに、移転後の誘発交通量あるいは一般交通量、これらの調査結果などを考慮しながら、将来交通量を推計することとなります。 27 ◯企画部長(中村利雄君)現在鴨池地区につきまして、公共交通網の整備について検討いたしておりまして、具体的には鹿児島市内主要団地からの直通系統の乗り入れでございますとか、ターミナルの整備等について検討を進めているところでございます。今後さらに利用者の利便性の向上を勘案しまして、県内各方面からの直通系統の設定など、公共交通網の整備をさらに検討していく考えでございます。  また、具体的な路線設定に当たりましては、需要動向とか道路網の整備計画等を十分見極めまして、検討していくこととなりますが、仮に県庁舎が移転することとなりましたら、その需要を踏まえまして、関係機関と調整してまいることになると思います。    〔松村武久君登壇〕 28 ◯松村武久君 それぞれ御答弁いたただきました。特に出納長は棒読みでない発言されると、実に説得力がありましてまいります。  まず、私はここにこの近辺の図面を持ってまいりましたが、この中で御案内のとおり自治会館の方は商業地域で建ぺい率、容積率の状況、八十分の五百となっております。そこでさらに、土木部長、一つだけあなたがおっしゃることと矛盾することがあるんですね。というのは、この赤で記したところは、五十八年十二月の用途地域の見直しのときに、スポット的に用途地域の見直しはなされているんですね。おたくなんかはいつもおおむがえしにできない、できない、極めて難しい、スポットはだめとおっしゃるけれども、実際五十八年の十二月の時点で住居地域から商業地域に変わっているんですよ。場所は長田中学校の向こう側のいわゆるJRを渡ったところです。その一画。それで、何か当局側の答弁が悪いようです。国道十号線のこのあたりだってですね、この一画が住居地域になっております、六十分の二百。ここだって、既に商業地域だと私は思うんですよ。どうも県庁付近を商業地域にすればなんとか二万三千平米がありますし、出納長がおっしゃるように四〇〇%ですから二万三千に四〇〇%とすると、十万三千近くなるわけですよね。だから、そういうことでいかにもためのできないというふうにしかとれないところがあるわけです。これを後で明らかにしていただきたい。  それと、私は逆に、その住居地域の変更というのは確かに難しいことかもしれません。現況主義でありますし、しかし、よしんばそれができたとしても問題が一つあるような気がします。と申しますのは、ほかの先発県、全国で敷地そのものはほとんど三万五千平米以上、一番低いので二万九千というのがありますけれども、二万三千というのは全国で一番狭いような気がするんですね。そのことが私はもちろん問題だと。そこで私が苦肉の策でこれは全然対応はしてないことですけれども、検討がなされたかどうかお尋ねしたいのは、長田中学校が二万二千平米近くございます。平方メートルぐらい。さすれば、ここの県庁の量を入れますと、四万五千ぐらいなるわけですね。そこで、これは長田中学校を動かすのは大変なことだと、最初からあきらめておいでなのか、それとも対応はなさらなかったのか、やはりそういう原点に立った、ただ初めに向こうに用地があるからということで、どうも十分な検討がなされていないような気がするので、その辺のことは検討に値しないかどうか。そうすれば用途地域は場合によっては、住居地域のままでも場合によっては高度利用という意味で四〇〇%もできるわけでございますね。三〇〇%もできます。そういうことから、そういった論議あるいは経過はあったのかなかったのか、この点を尋ねます。  それから出納長がおっしゃいました、国立病院の件はまさにそのとおりだと思います。ですが、そこで言わせていただきますが、お亡くなりになられた前原議員が昭和五十年九月に、次のような質問をしております。中核医療センターをつくるに当たり、知事並びに衛生部長は、県医師会長と話し合ったとは聞いておりますが、近接の市医師会支部との話し合いはもたれたのでしょうか。おおよそ一年ほど前、大学病院跡地はどのように利用したらよかろうと相談があったとき、医師会支部は公園にとかあるいは県庁の駐車場にといった意見などが出されましたが、その後何らの返答もなく、突然中核医療センターなるものが打ち出されたのであります。  これに対して、当時の金丸知事いわく、地域中核医療センターの建設は、鹿大の附属病院の移設が段々と追ってまいりましたので、三年ほど前、私と鹿大の学長、医学部長で相談をし、県の医師会の御意見もお聞きいたしまして、もったいない土地でございますので、あの跡地に国立の地域の中核医療センターと申すようなものをつくっていただけないかという要望をすることに意見が致したのが端緒であります。  したがいまして、国の考えではなく、むしろ地元の要望として今日までお願いをしてまいったのであります。私が言いたいことは、このときに既にもう金丸知事も過去の方ですけれども、やはり継続性という立場から、この時点からもう県庁の頭の中には県有地は鴨池ニュータウンだというふうに思っていたんじゃないかなという気がしてならない。この点が私は地元の感じを逆なでしている向きもなしとしないというふうに思うわけです。ですから、これは今となってはおっしゃるように、本当に地下道を通してもあそこがよかったあそこが残っておればよかったということが今悔いられるわけです。後悔先に立たずとは、まさにこのとおりでございます。そこで長田中学校、これはまた大変なことでございますが、そういったひとつ鹿児島市とあるいは地域と、そういった対応策とか検討は今からでもできないのか、やってもむだなのか、そこら辺の考え方をお尋ねします。  私は冒頭申しましたとおり、もう何が何でもここにつくらないかんということは申し上げておりません。ただ、できたら文化ゾーンであるし、歴史と伝統に輝くここにできたら、そういう苦肉の策で万策尽きてどうしてもできんというなら、もうしようがないと、できればそういう対応はできないものかということを申し上げておるわけです。そこを御理解いただきたいということです。  それと私が申しますように、とにかく敷地面積が現在のこの地域は二万三千しかない。これから百年の計に立てば、やはりおっしゃるようにゆとりのあるところは必要である。が、しかし、その近辺をなんとかできたら不可能ということはないと。結構先発県並みの敷地も確保できるんじゃないかと。十万三千それは基本ではなくて変動あることですけれども、十万三千とは言わず、五万平方メートルぐらいのあれがとれますと、ちょうど三〇〇%になれば十五万ですね。そういうあれができるわけです、敷地が。だから、結構そういった対応ができれば、しかしそれはもうどうしても地域との関係、鹿児島市との関係ですから、今後の協議、だからそういった十分なる協議もしていただきたいなというのが私の願いです。後は、特別委員会もあることですから、そういったことも踏まえて、時間の関係もこれありです。  それと、一つ私が参考までに申しますが、九州各県の庁舎の状況ということで、用途地域別に調べてみました。そうすると九州八県のうちに、五県までが商業地域もしくは近隣商業地域に建てられております。そういったことも踏まえるときに、やはりかたくなに住居地域これはだめだめということでなしに、そういった点をもっと勘案しながら御検討していただくベきじゃないだろうかなというふうに思います。そういうことで、ここにわざわざ図面もこしらえてきました。しかし、長田中学校のエリアを見るときに、確かにどこにもあいた土地がないので移れるところがあればいいけれども、この点も厳しいなというふうに自問自答しながら、質問しているわけです。しかし、あくまで申し上げたいことは、そういった万策尽きて仕方ないというところまで、まだ論議がいってないんですね。できん、できんというのではなくて、そういった面も考えなさいということです。 29 ◯出納長(須賀龍郎君)長田中学校の問題が今提起されておりますが、御案内のとおり長田中学校は、これを鴨池にというわけにまいらないと思います。したがいまして、この周辺に二万二千平方メートルのような土地があるのかどうか。これはおのずからおわかりいただけると思います。それとまた、これは市の教育施設でございますし、現在立派な施設も整備され、そして教育施設として御利用いただいておるわけでございますから、これを県庁の用地として使うということは私は極めて困難なお話しではなかろうかと、このように考えております。 30 ◯土木部長(興 信雄君)昭和五十八年の見直しでスポット的に商業地域に変更したじゃないかというお話しでございますが、先ほどの図面ですが、上本町公園の東側の国道十号、それとJR鹿児島線に挟まれたところでございますが、面積約一・二ヘクタールの区域でございます。確かにスポット的ではございますが、この地域は商業地域に接しておりまして、この地域の中のいわゆる商業系建物の立地率といいますか、割合が約八〇%になっていたと、そういう現況がございましたので、今後高度な土地利用が進んでまいりますので、近隣地区の商業地域と一緒にしたらどうかということで、そういうことで商業地域に変わったところでございますので、御理解いただきたいと思います。 31 ◯松村武久君 知事に自席から、一点だけこの件についてお尋ねします。  冒頭申しましたとおり、歴史と文化に、そして伝統に輝くこの周辺、県庁も文化施設でございます。そういった面で知事は、鹿児島の文化施設あるいはそういった文化保護という立場で、この文化施設である県庁がどちらに移転するかわかりませんが、あるいはしないかわかりませんけれども、見当ですけれども、これをどのような文化施設というかそういった面で、この近辺を位置づけていこうと考えておいでなのか伺います。 32 ◯知事(土屋佳照君)庁舎を今後どういう形で整備をしていくかということは、まさにこれからの問題でございますが、県庁舎というものが今現にこういう形でございまして、周辺を含めていろいろな文化的な施設としてそれなりの位置づけがされておるわけでございますけれども、今お尋ねは今後の庁舎をつくるときにどういう考え方でいくかということでございますれば、私は新しい県庁舎はまさに県をシンボライズしたものである、そういうものであり、かつまた都市環境の向上にも寄与すると、そういう形ですばらしいものをつくるべきであると、こう思っております。ただ、今のお尋ねがこの地域をどうするんだということでございますれば、それなりで仮に移るとした場合は、この跡をどうするかということは、まさにここらの地域全体の問題を非常に幅広い角度から考えて検討するということになると思いますけれども、まだまさにそこのところ、これからの議論になるわけでございます。何か方向が決まればそれなりの私としては考え方ははっきり出したいと思っております。    〔松村武久君登壇〕 33 ◯松村武久君 私が自席から知事にあのような質問をしたのは、どうも出納長の御答弁ではどうももうだめだなという気がしたから、後はどうなるのか、どっか行かざるを得ないと、そうなるとどうもこのすばらしいこの地域が寂しくなるなという感じが先走って、あえて質問したわけです。出納長は鴨池に伝々という、中学校はもちろん言わんでもそういうことはわかっていますよ。だって考えることは、成せば成る何事もという言葉もありますが、市農協もできた問題もありましたけれども、市農協の跡地の問題もちょこっとあった。まだ今から港湾の整備もなされますね。広大な海を眺めながら、それは港湾用地に限定せずともですよ、苦肉の策であそこに中学校を持っていくという点もないではないじゃないですか。そういうものも検討には値しないですか。そういうことで、もっともっと今後そういうことの検討もきょうは質問しません。だからそういった問題で、いろいろまだまだ検討してほしいと、市とも対応してほしいという切なる願いを込めてのことでございますから、特別委員会でもありますから、論議してほしいということです。(「そうだ、そうだ。」と呼ぶ者あり)それでいいです。次にまいります。(発言する者あり)はい、わかりました。きょうの新聞でも幅広い論議をと大見出しで南日本が出していましたし、そのことを言っているんですよ。  次に、ビルの安全な飲料水の確保のために。  去る九月七日、健康管理の一つとしてコップ一杯の水を飲むことが、私の一日の始まりとなっております。ところが、南日本新聞でこの九月七日に、ビルの飲水が危ないとの記事が目にとまりました。飲み水に取りつかれて以来、調査を始めたのでありますが、法の盲点、県当局の対応の不備、法に定められたことだけをやっておればよいという消極的な態度もわかってまいりました。同じ県民、市民であり、同じ人間でありながら、法の恩恵を受けない大きな矛盾を感じたのであります。  日本国憲法第二十五条、申すまでもありませんが、すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。同二条に国はすべての生活部門において、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならないとなっております。そこで、ビルの安全な飲料水の確保のために、法の規制を受ける施設設備の管理について、現状はどうなっておるか、対策はどうか。法の規制を受けない施設整備の管理について、現状、対策。他県では要綱をつくり、行政指導しておりますが、本県の現状はどうなのか。県、市町村、ビル管理者、業界などの連携について、現状はどうであるか、またその対策は。  次に、十号台風から学んだこと、二点あります。  一点は、養殖係留施設の浮きの役目をしている発砲スチロールが、いわゆる黒潮、波等の圧力、錦江湾の波にもまれて圧縮されてロープから外れたということであります。これはまさに、国の方の指導に基づく対応だったらしいですけれども、被害を大きくしたのであります。そこでこの対策について、自信を持ったその対応策、二度と起こってはなりません。このことについて伺います。  いま一つは、道路情報の把握、規制、状況の早期把握による、いわゆるこの決壊箇所等の伝達の体制の確立、これが何よりも重要であります。先般、自民党の代表質問の中で、台風時におけるいわゆる停電の復旧のために、地下地中線化の問題も取りざたされておりますが、大体鹿児島県下の配電線というのは、四万四千キロに及んでおりますが、地球を一回ちょっと周ります。そのくらいの長さの配電線でありますが、これはまず大事なことは、早期発見ができて早期発見をすることがまず第一ですが、いわゆる自動化によってある程度早期発見は可能であります。その早期発見後の問題が問題であります。すなわち、道路の決壊状況等が把握できなければ、どうしようもないわけであります。そこでこの道路決壊状況、そして復旧時間等の状況次第で、これは資材の運搬が可能であるか、あるいはヘリコプターでの運搬になるか、自家発電になるか、海上からの輸送になるかということがございます。したがって、情報が入らなければ、手をこまねいているしかありません。そこで、提言を交えて二つほどお願いをいたします。  まず、総務部長に伺います。  一つは、生活安定、早期復旧、停電も含めたいろんな電話もそうでしょうけれども、水道にしてもですが、そういった関係の箇所と、県あるいは警察の御当局、土木の方もそうでしょう。そういった防災課と一体となった、できれば防災課が先頭を切って、中心になってイニシアチブをとって、何らかの協議会なるものをつくっていただけないものだろうかということが一つ。  いま一つは、へリコプターの活用でございます。これは警察本部長にぜひともお願いをいたしますが、台風が過ぎ去った後に、静かになりますが、ならない場合は危ないからだめですけれども、その静かになった後に、安全を重視しながら、いち早く県にありますヘリコプターを飛ばしていただきたい。そして、その情報を提供していただいたならば、スムーズにその復旧もできるということになりますので、提言を交えてお願いしておきます。  次に、最後になります。  最近の建設業の問題点。これは、前語りはよしまして、問題点だけを申し上げます。  まず、現業技術者不足の問題です。次に、建設単価の見直し等のお願いです。さらに公共事業の平準化についての御要望。さらに、これも県当局でどうにもできないことですが、最近のマンション建設反対運動についての御所見。非常に建設業者の方も法律を守っていても、これは住民運動などの御指摘によりまして、なかなか建築が進まない。六階を五階に設計変更をやったにしても、まだ裁判にかけられるという状況。これについて、関係部長の御所見を求めます。要望をしながら質問をしております。 34 ◯保健環境部長(中原俊隆君)ビルの安全な飲料水の確保についてのお尋ねですが、まず第一点目、受水槽の容量が十立方メートルを超える、いわゆる簡易専用水道については、水道法により設置者に対して一年一回の法定検査、貯水槽の清掃が義務づけられておりまして、厚生大臣の指定機関及び清掃専門業者により、その実施がなされております。  また、延べ床面積三千平方メートル以上の店舗や事務所等の特定建築物の飲料水供給施設については、水道法とともに建築物における衛生的環境の確保に関する法律も適用されることになっておりまして、両方の法律に基づきまして、水質検査、貯水槽の清掃等を衛生上必要な措置の徹底を図っているところでございます。  県及び鹿児島市におきましては、これまでも啓発用のパンフレット等を作成しまして、設置者個別に配付するなど、簡易専用水道の適正な維持管理についての周知徹底を図ってきたところであり、法定検査の受検率も向上してきているところでございます。今後は、未受検者を重点に設置者に対する指導啓発に努めまして、簡易専用水道の安全確保にさらに万全を期してまいりたいと考えております。  第二点目でございますが、容量十立方メートル以下の小規模受水槽水道につきましては、現在法の規制を受けていないところでございます。その適正管理については、設置者の衛生思想の高揚が第一義と考えられます。このため今後とも市町村と関係者と緊密な連携を図りながら、ダイレクトメール等を活用し個別に指導するほか、他県の実情も調査して、指導要領の作成など、有効な対策を検討し、その指導強化に努めてまいりたいと考えております。  第三点目でございますが、ビル給水に関する受水槽等の適正管理につきましては、市町村を初め社団法人鹿児島県薬剤師会、法律に基づく登録業者等、関係団体とも連携を図りながら推進しているところでございますが、今後ともこれら関係団体等と一体となって、ビル設置者に対する指導強化、立入検査の徹底、飲料水、貯水槽、清掃業者への研修強化等によりまして、ビル給水の適正管理を図るよう努めてまいりたいと考えております。 35 ◯林務水産部長(有水弘明君)養殖施設の復旧に当たりましては、今回の教訓をもとに例えば経費は高くなりますが、耐圧性のすぐれた浮きを導入するなど、専門家の意見も聞きながら検討してまいりたいと存じております。 36 ◯総務部長(襲田正徳君)防災対策に関連いたしまして、関係機関連携をよくするために、何か協議会をつくったらどうかという御提案でございます。  先生お話しのように、台風時にはいろいろな機関で情報を集め、また対処いたしているわけでございますが、お話しのように、電力関係早急に故障の箇所を発見し、復旧するということになりますと、道路、その他関係機関そろって対策を講じていかないと、なかなか早急な措置はできないという現実もあるわけでございます。  私どもといたしましては、事前からそうした面につきまして、いろいろ連携に心がけておるわけでございますが、去る七月の台風十一号に関連をいたしましても、相当停電の事故もございまして、その際の経験も踏まえまして、九月の初旬でございましたか、NTTを初めといたしまして、九電あるいは庁内の土木、その他関係課等々関係者集まりまして、いろいろと情報交換なり今後の対応策について、協議をいたしたわけでございます。  私どもといたしましては、災害情報の迅速かつ的確な把握あるいは交換、さらに早急な応急対策ということからいたしますと、随時こうした機会を持ちまして、より防災対策が万全を期して行われるように、さらに工夫を重ねていきたいというふうに思っております。 37 ◯警察本部長(緒方右武君)台風災害後におけるヘリコプターの活用でございますけれども、これまでこのような災害の時後に、ヘリコプターによる災害被害状況、調査をやったことはありますけれども、先般の十一号台風のときは、おっしゃられるとおり台風通過後も静かになりませんでしたので、ヘリコプターによる情報収集できませんでしたけれども、おっしゃられるとおり、今後ともヘリコプターによる被害状況の調査、人命救助、それから情報収集をやりまして、関係機関に伝達したり、早く県民生活の安全確保に努めてまいりたいと思います。 38 ◯土木部長(興 信雄君)最近におきます建設業の問題点でございますが、まず最初の建設技術者それから技能者の不足でございますが、これは全国的な傾向で、特に大都市中心に深刻な問題になっておりますが、本県では年度末の忙繁期には若干不足する傾向がございますけれども、公共事業執行に大きな影響はないものと考えております。  しかしながら、やっぱり若年技術者あるいは技能者の不足する傾向は、今後続くだろうと思われますので、建設省で今指導しております、建設業構造改善プログラムというのがございますが、こういうものにのっとりまして建設事業のイメージアップを図り、魅力ある建設事業へ脱皮することを目的に、本格的に取り組んでいるところでございます。いずれにしましても、関係機関団体と密接な連携を図りながら、建設技術者、技能者の確保を側面的に支援してまいりたいと考えております。  それから建設単価の見直しでございますが、二つございまして、まず建設資材単価につきましては、これは地域別の市況調査あるいは物価資料等に基づきまして、実勢単価に著しい変動が生じた場合、適時適切に見直しております。  それからもう一つの労務単価でございますが、これは建設省あるいは運輸省、それから農水省の三省協定でもございますが、これに基づき毎年一回全国一斉に実態調査を実施して、各種職種別にその単価を定めているところでございます。いずれにしましても、建設資材、労務単価は妥当なものであると、現時点では考えております。  それから平準化の問題でございますが、 39 ◯議長(五領和男君)時間がきておりますので、答弁は簡潔に願います。 40 ◯土木部長(興 信雄君)(続)これにつきましては、債務負担制度とか早期発注で努力しておりますが、現場の状況をその他で年度末に工事が集中するようでございますので、そういうものは適正円滑な進行管理を図って、今後とも発注の平準化に努めてまいりたいと考えております。  それからマンションの問題でございますが、これは建築基準法に基づきまして規制されておるいろんな要素がございますが、そういうことで規制されておるところでございます。それで、こういう問題が起きておりますけれども、鹿児島市におきましては、このような紛争をなくすために、鹿児島市民の環境をよくする条例というのがございますが、これの施行規則が平成元年九月一日から施行されておりますので、これで建築主への指導を行っているところでございます。    〔松村武久君登壇〕 41 ◯松村武久君 終わります。(拍手) 42 ◯議長(五領和男君)次は、祝迫かつ子君に発言を許可いたします。    〔祝迫かつ子君登壇〕 43 ◯祝迫かつ子君 私は、日本共産党を代表し、以下質問してまいります。  まず、知事の政治姿勢についてであります。  歴代知事の欺瞞的な平和論のもと、我が県においても平和どころか、一歩間違えば郷土鹿児島が核攻撃の標的にされかねない状況が広がってきております。七月からついに自衛隊鹿屋基地に核攻撃機P3C対戦哨戒機が配備され、飛行訓練を続けております。また、去る八月十三日には、米第七艦隊の指揮艦ブルーリッジが谷山港に入港いたしました。核攻撃能力を持つ空母機動部隊、潜水艦その外七十隻を指揮する旗艦ブルーリッジの入港は、平和を願う県民にとって許せることではありません。  日米安保条約という軍事同盟によって、我が国は際限ない軍事力増強を押しつけられ、今や日本の軍事費は世界第三位、自衛隊は世界でも有数の軍隊となり、日本はアメリカの不沈空母化への道を突き進んでおります。一たん有事となるならば、P3C配備基地を持つ我が県が核攻撃の的にさらされないとだれが言えるでしょうか。鎌田前知事は、安保条約があるから日本の平和が守られていると平然と言い放ちました。しかし、あのタイコンデロガの一件を見るだけでも、安保条約があるから日本が戦争に巻き込まれる危険にさらされているのであり、非同盟中立の日本の実現こそ、真の平和への道であります。そこでお尋ねいたします。  土屋知事も鎌田前知事と同様、安保平和論に立っておられるのかどうか、簡潔にお答えください。  次に、海部首相は、就任後早速行ったアメリカもうでで、米国を我が国にとって死活的に重要な安全保障を支える盟友とたたえました。そして、訪米の土産として、日本の輸入大国化の約束を持ち帰り、これは米の輸入自由化に大きく道を開くものと各方面から懸念の声が上げられております。改めて知事にお伺いいたします。  知事はいかなる場合でも米やでん粉の輸入自由化には断固反対し、鹿児島の農業を守り抜くために全力を尽くす御決意がおありかどうか、はっきり答えていただきたいのであります。  さて、政府自民党は、さきの参院選で歴史的な敗北をいたしました。リクルートに象徴された金権腐敗政治、農産物の輸入自由化など農業つぶし、こうした悪政への怒りとともに、あわせて国民は、弱い者いじめの大衆課税、公約違反の消費税にきっぱりと廃止せよという審判を下したわけであります。  ところが、政府自民党はこうした国民の明確な審判にもかかわらず、思い切った見直しなどと、国民への欺瞞的宣伝を強めながら、部分修正で目先を変えて、あくまで消費税を維特、定着させようとしております。ところが、内税方式への統一にしても、福祉目的税化といっても、国民だましの手口でしかなく、これまで福祉に使ってきた予算を軍事費につぎ込み、しかも福祉の向上を口実に、税率アップがまかり通りかねないというものであり、非課税品目の拡大もほとんど期待できるものではなく、実現できるかどうかもわからない代物であります。国民は、消費税に部分的欠陥があるから消費税ノーの審判を下したのではなく、公約違反の消費税そのものに廃止の審判を下したのです。そこでお尋ねいたします。  知事は、参議院選の結果は、明確に消費税ノーの審判が下ったのだということをお認めになるのかどうか、はっきり答えてください。  第二に、県民生協の家計簿調査でも、四月から七月までの四ヵ月間に、一世帯平均三万五千六百七十二円の消費税を支払ったという結果が出ております。減税はごくわずかと、とんでもない大増税、毎日毎日消費税には本当に腹が立つと、これが家計を預かる主婦の偽らざる実感であります。実施されて既に半年が過ぎました。知事は、消費税の県民生活への影響をどのように見ておられるのかお答えください。  第三に、ことしの六月議会で、徳島県は一たん導入した使用料、手数料への消費税の上乗せを、県営住宅家賃など、県民生活に影響の多い十二のものについて見直しました。本体の料金を三%下げるという形はとったものの、実質的に消費税上乗せを一部廃止したわけであります。知事選目当てではあったとしても、消費税ノーの県民の声を無視できなくなったということであります。知事も参院選の結果を謙虚に受けとめるならば、県民の声を大切にするという知事の県民への約束が口先だけではないということを示す絶好の機会であります。使用料、手数料への消費税の上乗せを直ちに廃止すべきと考えますが、いかがでしょうか。  自治省の元事務次官ということでなく、県民の代表としての知事の明確な御答弁をお願いいたします。  次に、国立阿久根病院の問題であります。  行政改革という名の医療切り捨ての一環として、国立病院の統廃合計画を打ち出してきた政府自民党は、ついに来る十月一日、我が県の国立療養所阿久根病院を全国第一号として民間に譲渡しようとしております。地元住民及び県民の圧倒的反対があるにもかかわらず、市長と議会の意思を地元の意向として、政府と一体となって国立病院つぶしに手をかしてきた県当局の責任は、極めて重大であると言わねばなりません。  お尋ねいたします。まず第一に、民間病院においては、どうしても採算がとれるかどうかがまず問われます。たとえ、初めは結核療養部門を引き継いだとしても、やがてはこうした結核、老人などの不採算部門は切り捨てられていくのではないかという住民の不安は大きいものがあります。新病院の開設を許可した当事者として、知事は結核部門などの切り捨ては将来にわたってないと断言できるのか、その保証はどこにあるのか、お答えください。  第二に、九月三十日までは国立病院、十月一日からは医師会病院、果たして譲渡はスムーズに行われるのか。患者への医療サービスに支障が生れるのではないかという問題であります。我が党の児玉健次衆議院議員を団長とした調査団に対し、林院長は、患者から直接声を聞いたことは一度もないと述ベ、患者八十五名が院長あてに出した要望書も院長に届いてすらいないことが明らかになりました。国立病院に入院したのだから、このまま国立病院で安心して治療を受ける権利があると患者さんたちは今身分保全の訴えまで起こしております。患者の声も聞かず、一方的に安心せよと言ってもできない相談であります。今回もし譲渡となっても、医療サービスに支障は全くないという保証など、どこにあるのか、明らかにしてください。  第三に、県の策定した鹿児島県医療計画でも、出水保健医療圏では五百四十六もべッド数が不足しており、医療過疎の状況は深刻であります。国の圧力に屈することなく、国立病院は国立病院として残し、医師会病院建設については別途指導援助する、これこそが県民の医療を守り、充実させるという観点に立った県行政のあるべき姿ではなかったのか。阿久根市長も我が党の調査団に対し、国立病院の存続と充実を一貫して訴え続けてきた。今回の選択は苦しい選択だ、残念でならないと、苦渋に満ちた思いを語っておられるのであります。知事は、この出水保健医療圏の医療の充実について、いかなる展望と計画をお持ちであるのか、お示しいただきたいのであります。  今、連日阿久根病院を国立として残せという抗議の行動が存続させる会などによって繰り広げられております。知事にこの声が届いていないはずはありますまい。鹿児島県の知事が全員の国立病院つぶしの突破口を開いたという汚名を後々までに残すことになるのか、それとも知事として県民の医療を守るために、ここで改めて政府に対し、存続を断固要求し、国立病院つぶしと闘うのか、今まさにその最後の選択が問われております。我が党は、国立病院の統廃合という医療破壊を平然と推し進めてきた自民党政府と、これに実質的に手をかしてきた自民党県政に、心からの憤りと抗議の意思を表明し、知事の明快なる答弁を求めるものであります。  次に、県庁舎整備問題についてお尋ねいたします。  現在地での建てかえか、それとも移転か、九月十一日に開かれた県議会での公聴会を見ても、この問題は県民の重大な関心事であり、慎重な上にも慎重な検討が必要であることは言うまでもありません。  ところで、昭和四十八年以来の県議会での論議に改めて目を通して感じることは、県民の総意云々を口では言うものの、県庁舎の位置については、最初から鴨池グリーンセンターが県当局の頭にあり、その方向で今日まで事が進められてきたということであります。  鎌田前知事は、現在地での建てかえについて、建ぺい率六〇%、容積率二〇〇%の住居地域であり、物理的に不可能だと言い切っておられます。そして、県庁舎整備検討協議会にも、現在設けられている議会特別委員会にも、現在地では四万六千三百四十平方メートルの建物しか建てられない、駐車場も十分にとれない、こうした資料が提出されてきており、検討協議会は、こうした県の提出した資料に基づいて論議した結果、鴨池への移転を打ち出したわけであります。  そこで、お尋ねしたい第一点は、建ぺい率七〇%、容積率三〇〇%と仮定した場合、総合設計制度を活用し、公開空地を四〇%とり、さらに駐車場緩和を最大限に活用した場合、現在地で総面積幾らの建物を建てることができるのか。そのうち駐車場面積が幾らで、駐車場を除いた面積が幾らであるのか、土木部長にお答えいただきたいのであります。  第二に、上町振興を含め、鹿児島市の総合的まちづくりをどうするのか。県庁の位置については、将来の鹿児島市の全体的な発展の方向を展望し、その中での県庁の地位づけも十分検討しながら考えていくことも大切でありますが、今日までこうした問題について鹿児島市との間に全く協議もされていないことは問題であります。鹿児島市との間の協議についてどのようにお考えなのか、お答えいただきたいのであります。    〔知事土屋佳照君登壇〕 44 ◯知事(土屋佳照君)まず最初に、日米安保条約は、国の防衛上の重要な問題でございますが、国民の平和と自由を守るために、必要最小限の自衛力を整備するとともに、米国との安全保障体制によって我が国の安全を確保することは必要であり、かつ賢明な方法であると考えております。  それから、米及びカンショでん粉は、本県において農業生産の上から、いずれもおっしゃるように重要な作物でございますので、米の市場開放及びでん粉の自由化は阻止するよう、今後とも県議会の皆様方の御協力を得ながら、関係機関、団体と一緒になって、強く国に要請をしてまいりたいと思っております。  それから、今回の参議院議員通常選挙における国民の判断の基礎には、最近の国政や政治のあり方についての種々の議論があったわけでございますが、この中で税制のあり方についても議論がなされたことは、御指摘のとおりであると存じます。  消費税は、国民の税に対する不公平感を払拭するとともに、所得と消費と資産間の均衡のとれた安定的な税体系を確立するという趣旨で創設をされたものと私は受け取っておりますけれども、この制度をどう評価するについては、多くの意見や論議があることも事実でございます。こうしたことから、政府においては税制調査会を中心に見直しの検討を始めたところでございます。あすから召集されます臨時国会においても種々議論をされるものと考えられますので、こうした論議の動向を私としては慎重に見守りたいと考えておりまして、その中で適切な結論が得られることを期待をいたしておるところでございます。  また、消費税について、その影響をどう見るかについては、いろいろな議論があることは承知をいたしております。生活上のわずらわしさとか、どうとかといろんなことがあるんだろうと思いますけれども、が、この制度そのものは、所得税の減税や物品税の廃止に伴う効果などもあわせて、全体として私は判断していかなければならない問題であると考えております。なお、現状は、県内の個人消費は堅調で、また物価も安定的に推移していると認識をいたしております。  それから、消費税の導入に伴う関連の使用料、手数料の改定は、基本的に消費税法に準拠し、受益者負担の公平、財政運営上の観点から、関連条例について県議会の議決を経て行ったものでございます。現行の消費税の具体的なあり方については、今後政府の税制調査会での見直しの検討がなされ、また、間もなく召集されます国会においても論議をされて、適切な結論が得られるものと考えますが、県は新税制の円滑な実施について協力をする立場にあるわけでございまして、県としては、今後税法がどのような形になるかは別といたしまして、現に法律として存在するものでございますから、現行法による税制及びそれを前提とした地方財政計画を基本に財政運営を行うべきものであると考えております。
    45 ◯保健環境部長(中原俊隆君)国立療養所阿久根病院の出水郡医師会への経営移譲につきましては、国立療養所阿久根病院の経営移譲の意向を持っていた厚生省と地域の医療の確保を図り、住民の医療需要にこたえようという観点から、同病院の譲り受けを希望する出水郡医師会との間で協議が重ねられた結果、合意に達したものでございます。  この経営移譲については、地域の医療を確保するという観点から、賛意を表する市議会の再度にわたる議決や市長の意向表明等がありまして、出水市郡の市町長等と構成する出水地区医療問題協議会の了承も得られております。経営移譲後は、出水郡医師会により診療機能の充実が図られるため、地域の人々により高度な医療が提供されることとなると認識しております。  したがって、医師会病院は現在の国立病院の診療機能をすべて引き継ぐということにしておりますので、結核等の医療が疎外されるというようなことはないと考えております。また、診療科目や、医師、薬剤師、看護職員等の医療従事者は、国立病院に比べてかなり充実されることとなっておりまして、患者の医療サービスは総合的に見てむしろ向上すると考えております。  また、出水地域の医療体制につきましては、出水市立病院や新しく発足いたします出水郡医師会立阿久根市民病院の中核的な医療機能の充実をさらに促進するとともに、地域内の開業医との緊密な連携のもとに、病院病床の充実を図るなど、地域住民が必要とする医療供給体制の確立に努めてまいりたいと考えております。 46 ◯土木部長(興 信雄君)県庁舎整備問題で、現在地で建設した場合の床面積についてでございますが、現庁舎の敷地は住居地域に指定さており、建ぺい率六〇%、容積率二〇〇%と定められております。仮にお尋ねのように建ぺい率が七〇%、容積率が三〇〇%、さらに公開空地として四〇%を開放するということですが、ということで容積率の割り増しが受けられます総合設計制度を適用して、屋内駐車場面積、これは全床面積の五分の一に当たりますが、これを加算した場合の延べ面積を試算いたしますと、一般庁舎用の面積は八万一千六百七十四平方メートル、それから、屋内駐車場の面積は二万四百十八平方メートル、これは普通乗用車に直しますと、五百十台分でございますが、となります。しかしながら、現庁舎の敷地は、容積率が二〇〇%と定められておりますことから、現実にはこのような面積は得られないものであります。現在の容積率二〇〇%のもとで、先ほど申し上げました総合設計制度の特例を適用した場合でも、屋内駐車場面積を除く、一般庁舎用面積は五万五千二十八平方メートルしか確保できません。さらに敷地については、その四〇%を公開広場としてしか利用できない、いわゆるオープンスペースとして一般に開放しなければならず、残りの敷地内に庁舎を建設することになり、全くゆとりのない窮屈な状況の中で建設することになります。 47 ◯企画部長(中村利雄君)鹿児島市のまちづくりでございますが、この件につきましては、まずもって地元鹿児島市が主体的に取り組むべき問題でございまして、同市におきましては、その振興のための施策の推進を図っていると聞いているところでございます。県としましても、上町地区の振興を含めまして、県都鹿児島市のまちづくりは非常に重要な問題であると認識いたしております。これまでも、県市協議会の場などを通しまして、鹿児島市との連携協力を図り、その振興に努めてきたところでございます。 48 ◯祝迫かつ子君 自席から何点かお尋ねいたします。  私は、知事に、国民は参議院選挙で消費税ノーの審判を下したと認めるかどうかというふうに質問したわけですから、簡潔にノーの審判を下したと認めるか認めないかと、それで答えていただければいいわけでございまして、よろしくお願いいたします。  それから、県庁舎問題でありますけれども、今土木部長が答弁をくださいましたように、仮にこの住居地域ですね、住居地域というのは、現在ここの県庁所在地は、容積率が二〇〇%ですけれども、しかし、照国神社付近、あの辺は容積率が三〇〇%の地域です。で、先ほど松村議員の質問にお答えをいただいたように、仮に百歩譲って商業地域への変更が難しくても、この庁舎をここで建てかえると、県が決意するならば、どうせ警察の、県警のあそこも、あそこで建てかえると、こういうことにもなってくるわけですね。この地域でそういうふうに計画のあるところが、県庁舎以外にも出てくる、あるいは文化センター、それからあそこの中央公民館ですね、こういうところも数年の後には建てかえの可能性が出てくるかもしれない、こういうことを総合的に考えますと、三〇〇%への容積率の変更というのは、これは難しいことではない、やろうと思えばやれることであります。  そうしますと、先ほど土木部長が言われましたように、この建ぺい率というのは、角地緩和というのがありますから、もう当然一〇%と、プラスされて七〇%になるわけですから、そうしますと、建物の面積だけで八万一千六百七十四平方メートル、これを建てることが可能なんですね、ここでも。そうしますと、これは、議会棟とそれから行政棟でこの広さ、駐車場というのは何も路上につくらなければならないという決まりはないわけです。地下に駐車場をつくっている例はいっぱいありますね。しかも、地下の面積、地下に駐車場をつくるとして、その面積は建ぺい率によっては規制されないわけです。そうしますと、可能性としては、やはり全部で十万二千九十二平方メートル、そして建物だけでも八万一千六百七十四平方メートル、この建設がこの現在地で可能になるということです。公開空地を四〇%とるということはそう難しいことではありません。どこの県庁を見ても、公園のように緑豊かなところが、敷地が残されて、そこに県民が自由に出入りをしております。こうした十分な資料も全くこれまで出されてきていない、そしてやたらに四万六千三百四十平方メートルしか建てられないんだから、ここじゃ不可能だという論議ばかりが、県の提出した資料によってつくられていっていると、私はこうしたことは大問題であるというふうに思います。  そこでお尋ねいたしますが、どうして、もっとあらゆる方面から検討ができるように、あらゆる資料が提出をされ、検討の機会が検討協議会にも与えられていなかったのか。また、今つくられている特別委員会にも、なかなかこうした資料は県の方から出てこないわけです。私たちは勉強して初めてこういうことを知ることができる、見過ごすならば、こういうことを知ることもできないという状況であります。ここには、やはり初めに移転ありきと、こういう世論づくりを県が率先してやっているとしか言いようのない状況があると言えると思うんです。なぜ、こうした資料がこれまで提出をされてきていないのか、このことについてお尋ねいたします。 49 ◯知事(土屋佳照君)消費税が選挙の一つの争点として扱われたことは事実でございまして、また消費税へのいろいろな批判があったことも、そのとおりでございますが、その結果についての受けとめ方は、さまざまでございます。いろいろな新聞でのアンケートなどを見ましても、ノーの場合もあれば、見直しの場合もあれば、いろんなことがございますから、一概には言えないわけでございます。いずれにしても、消費税のあり方については、議論がされて、これはもう国会のマターでございますから、国会で結論が出されると思いますので、その動向を私は見守りたいと、こう申し上げておるのでございます。 50 ◯土木部長(興 信雄君)建ぺい率の割り増しの件でございますが、調査委員会におきましては、現在地における建てかえの場合、建物の規模、あるいは床面積等を検討するに当たりまして、先ほど来から申しておりますように、住居地域の建ぺい率、容積率による検討を行ったほかに、容積率の割り増しができないかどうかという総合設計制度の適用についても、検討を行ったその結果、大幅な床面積の増は望めないとの結論に至った次第でございまして、したがいまして、そういう資料は出していないということでございます。    〔祝迫かつ子君登壇〕 51 ◯祝迫かつ子君 次に、環境問題について質問いたします。  まず、産業廃棄物問題についてであります。  最近も鹿児島市内の特殊環境開発株式会社という業者が、事業所から集めたグリストラップなどの産業廃棄物を市の下水道に流し込み、不法投棄をしていたということが明らかになり、また喜入町では、山中に鹿児島ドックの鉄くずが不法に投棄され、あるいは県に正式な届け出もしないまま、廃棄物処理場の建設工事が実質的に進められるなど、業者のモラルと行政の指導責任が問われるような事件が相次いでおります。産業廃棄物対策の抜本的強化は急務であり、積極的取り組みが求められております。  ところで、我が党は昨年九月議会において、県内唯一と言ってよい管理型処分場を経営する環境美化センターが不法投棄をしていた実態を取り上げ、対策の強化を要求いたしました。そのときにも明らかにしたように、昭和五十七年度の調査において、管理型処分場で最終処分しなければならない産業廃棄物のうち、汚泥だけでも四十万トンも出ており、そのうち処理業者の埋め立て処分地に運んだとするものだけで十二万トン近くになっております。現在ではこれがさらにふえていると考えなければなりません。環境美化センターはその後、ことしになって二万九千四百八十三立米の処分能力を持つ管理型処理場を増設したということでありますが、六十三年度の美化センターの処理量の報告は、二万一千四百トンということからみても、早晩この新しい処理場も満杯になることは明らかであります。しかも、ここで処理できないものがどこに運ばれているのか、追跡調査をしたものは皆無であり、県外の処分場に運ばれているのか、不法投棄もされているのか、状況はつかまれておりません。県産業廃棄物処理基本計画においても、県は産業廃棄物の発生から最終処分に至るまでの実態を的確に把握するとともに、情報管理の体制を整え、産業廃棄物の適正な管理体制、及び県内処理体制の確立に努めるものとするとうたっております。  そこでお尋ねいたしますが、こうした実態の把握などをどのような方策で、どういう体制のもとに進めようとしておられるのか、お答えいただきたいのであります。  第二に、管理型処分場は施工費が高くつくということもあって、安定型よりも一層建設が困難であり、県内の処分場が絶対的に不足していることは、先ほど述べたとおりであります。県としても、企業誘致は積極的に進めながら、こうした問題は民間任せというのでは、行政としての責任は果たせないわけであります。第三セクター方式などによる処分場の建設を真剣に検討すべき時期に来ているのではありませんか、お尋ねいたします。  第三に、最初に述べたような最近の違法行為についての県の調査はどうなっているか。業者への厳しい行政指導と、こうした不法行為などに対するチェック体制を強化することが必要と考えますが、お答えください。  さて、リゾートブームがあおり立てられている中で、今、全国的にゴルフ場の建設ラッシュが進み、規制緩和以後、我が県においても既存の十八ゴルフ場に加え、既に一ゴルフ場が吹上町にオープン、工事中が七、申請中が九に上っており、自然破壊、環境破壊とともに、ゴルフ場の農薬汚染問題が住民に不安を与えてきております。  我が県のゴルフ場建設に関する取り扱い方針では、ゴルフ場の建設は、原則として今一市町村につき一ゴルフ場となっており、乱開発を防止する上で一定の歯どめになってはおりますが、それにしても、すべての市町村にもし計画されると仮定するなら、既設のものと合わせて百十四ゴルフ場が我が県に建設されることも数字的には可能になるわけであり、単に新設は一市町村一ゴルフ場という規制では、県土の乱開発は免れません。総数の規制、あるいは総面積の規制を盛り込んだ方針に改正するお考えはないか、明らかにしてください。  第二に、今ゴルフ場建設など開発ラッシュが進んでいる中で、環境影響評価条例がいまだ策定されていないというのは重大であります。現在、公害審議会に諮問中であるということでありますが、県としていつまでに条例なり要綱なりを策定される計画であるのか、この問題も久しく取りざたされながら一向に進まない状況できております。はっきりさせていただきたいのであります。  次に、ゴルフ場の農薬汚染についてでありますが、この問題は既に何回もこれまで取り上げられてきております。しかしながら、ゴルフ場建設に関する取り扱い方針の事前指導申し出書の審査事項の中身は、農薬の大量散布による環境汚染を念頭に置いたものとなっておらず、極めて不十分であります。水源地には建設を認めないなど、より厳しい規制が必要になっていますが、取り扱い方針にはっきりとうたうべきと考えます。お答えください。  次に、農薬の安全使用に関する指導指針がつくられておりますが、この指針はまだ極めて不十分であり、農薬の使用状況の報告義務、報告された資料の公表、水質測定や周辺環境の影響調査等を義務づけ、知事の調査、指導助言及び勧告の権限など定めた実効ある条例の制定が必要であります。要綱あるいは条例の制定について、また、その内容についてどのような取り組みがされているか、お答えください。  さらに、県としても農薬汚染の不安にこたえるためゴルフ場の調整池を初め、河川の水質検査など、十分行う必要があると考えますが、その計画があるかどうか。また、農薬汚染調査の一つとして、キャディーの健康調査なども行うべきではないかと考えますが、御答弁をお願いいたします。  最後に、ゴルフ場だけでなく、広い公園などでの農業使用についても対策をとる必要がありますが、当面、指導指針をこうしたところにも準用すべきであります。御答弁をお願いいたします。  さて、政府自民党は、行政改革という名のもとに、相次ぐ医療制度の改悪を行い、さきに述べました国立病院つぶしもその一つであります。  国民の医療に責任を持つべき政府の責任を放棄し、国民健康保険への国庫負担を限りなくゼロに近づけ、最終的には、医療保検制度の一元化を目指す方向へ一層の医療改悪が進められてきております。国保安定化計画の押しつけもその一つであります。  これは、全国平均より、特別事情を考慮しても、なお医療費の高い市町村を指定市町村とし、医療費削減の計画をつくらせ、目標が達成できない市町村には、ペナルティーとして自治体負担をふやすという、ただでさえ苦しんでいる自治体と国保加入者に追い打ちをかける過酷なものであります。  ところで、我が県では、本年度郡山町が国の指定を受け、安定化計画の実施をいや応なしに迫られているわけでありますが、郡山町としては、国がしろと言っているレセプト点検の強化、医療通知の発行などは、既に可能な限りやってきており、保健婦も臨時を含めて三名雇用、町内に五十名を超える保健推進員を配置するなど、予防や健康審査の推進の面でも、他の市町村以上に努力してきているのが実情であり、これ以上どうすれば医療費を下げられるのかと関係者は頭を痛めておられるのであります。どうしても医療費を下げるとなれば、やはり長期入院者の家庭復帰促進に着手しなければならない。しかし、受け入れ態勢はありません。まさに、この国保安定化計画の押しつけは、政府による医療、福祉の切り捨てのしわ寄せを、すべて自治体と国保加入者に押しつけるという許すべからざるものであり、何が経済大国日本かと、心からの憤りを禁じ得ません。そこでお尋ねいたします。  県としても国の言いなりでなく、国保安定化計画の押しつけに反対し、これ以上の国保改悪は絶対に許さず、国保制度の充実強化を国民の立場から政府に強く要求すべきではありませんか、御答弁を求めます。  第二に、事もあろうに、県独自でも厚生省に見習い、鹿児島市など医療費の高い県内十市町村を指定し、安定化計画づくりを強制しておりますが、県民の医療を受ける権利の抑制につながる安定化計画づくりの強制は、直ちにやめることを要求するものであります。考えをお聞かせください。  第三に、聞き捨てならないことに、このほど高過ぎる国民健康保険税を、一定財政に余裕ももたらされたということから、引き下げようとした志布志町に対し、県が値下げは望ましくないと圧力をかけ、町民の願いである値下げが挫折したという話であります。  志布志町としても、値下げしても十分やっていけるという見通しを持ったからこそ、高負担にあえぐ町民の暮らしを守るためにも値下げに踏み切ろうとしたわけで、このような県の圧力は絶対に許せるものではなく、反県民的なやり方と言わねばなりません。あくまで、国民健康保険事業の実施者は市町村長であり、こうした値下げについても権限は町長にあるのであり、県の指導は絶対的なものではないと考えますが、御答弁を求めます。  さて、台風十一号による災害問題については、これまでの各党代表質問などで取り上げられました。亡くなられた二名の方と家族の皆さんに、心から哀悼の意を表するとともに、被災者の方に、共産党を代表してお見舞いを申し上げる次第であります。  早速質問に入ります。第一に、あれほど被害のあった垂水市に、県が災害救助法の適用を決定したのは八月二日になってからであり、対応が極めておそくなったというのは否めません。被災状況の把握のおくれはどこからきたのか、問題点はどこにあったと考えておられるのか、お尋ねいたします。  第二に、垂水、牛根の漁業被害について、融資枠の拡大などの手だては今回の補正予算にもとられておりますが、短期返済の負債を抱えている漁業者にとって、何とか長期分割返済に変更できないかというのが切実な要望になっておりますが、この点についての具体的な見直しはあるのかどうか、お答えいただきたいのであります。  第三に、土石流によって壊滅的な被害を被った田神地区、浦谷地区などの惨状は、まさに息をのむばかりでありましたが、この復旧については圃場整備事業とあわせてやっていきたいとの方針だと伺っております。被災農家の負担が最小限で済むように、また一日も早く復旧作業に取りかかれるように、国との協議も強めながら、全力を尽くしていただきたいと心から要望したいのであります。これら農地の復旧についての見通しについてお伺いいたします。  さらに、高齢化が進み、細々と米や野菜をつくって生計を立ててきた農家にとって、ここしばらく米を買い、野菜も買って生活しなければならない。わずかな農業収入の道は当面閉ざされ、少しばかりの年金しかないと、途方にくれている家庭も見られるのであります。生活保護を含め、こうした家庭に行政の温かい手を差し伸べることが求められております。県としても、生活保護の適用などが適切に行われるよう援助していくことをお願いするものでありますが、お答えください。  さらに、下伊敷ニュータウンの災害については、昨日御答弁がありましたが、土砂流出に対応できない不十分な防災対策しかとってこなかった責任は、厳しく問われなければなりません。県としての、こうしたずさんな防災対策への監督指導はどうなっていたのか、県の責任の所在も含めてお答えいただきたいのであります。  最後に、今回の台風では、県営住宅にも雨漏りなど被害が多数見られております。雨戸をつけて、こうした被災を防ぐなど、災害に強い県営住宅をつくっていく必要があると考えますが、御答弁をお願いいたします。  次に、すべての障害児に後期中等教育を保障する問題について質問いたします。  去る九月十六日には、鹿児島県障害児の後期中等教育を考える会も結成され、この問題での県民の声も大きく高まってきております。  ところで、教育長は、六月議会では既存の養護学校の高等部で受け入れる、新たな高等部や高等養護学校の設置は考えていないと、このように答弁され、また本議会では、さきの自民党の質問に対し、長期的に考えていくなどという答弁をされております。極めて冷たい答弁としか言いようがありません。政府でさえ、県がやると言えば国は積極的にこたえていくと、国会答弁の中で答えているのであります。養護学校教育の義務化が実現して十年、どのように障害の重い子供にも生きる権利、発達する権利は保障されなければならないのは当然であります。ところが、今なお障害を持っているがゆえに後期中等教育を受ける権利が阻まれている、しかもそれを阻んでいるのが行政であります。子供たちは、親たちは、今この権利を保障してほしいのです。長く待てなどということは、今必要な子を切り捨てることではありませんか。実際にこれまで多くの子供たちが、地理的な条件、あるいは寮生活にたえられない重度だという身体的な条件などによって進学を阻まれてきました。障害のある子供たちだからこそ、なるべく近くて、親の元から通いながら、安心して教育を受けることが保障されなければならないのではありませんか。教育に差別を持ち込むことは許されないはずであります。  教育長、すべての養護学校に高等部を設置するというのは、教育長の言われるようなのんびりした話では間に合わない緊急の課題ではありませんか。直ちに本腰を入れて実現に取り組むべきでありますが、いかがですか。  第二に、中学校の特殊学級からの入学も近年ふえており、高等部に来る子供たちも多様化しております。実情に即した教育内容の充実が求められていますが、どのように考えておられるか、お示しください。  第三に、行政の対応が不十分なために、在宅を余儀なくされている障害児がたくさんおります。在宅障害児ヘの後期中等教育の保障についての考えもあわせてお伺いしたいのであります。  最後に、かつてアメリカは、べトナム戦争に送り出す兵士にホラー映画を連続して、徹底して見せることで、人間を野獣化させ、最後には良心の苛責もなく人を殺すことかできるようにする訓練を重ねたとの証言があります。  私も先日、同僚議員の皆さんと御一緒に「血肉の華」というホラービデオを見る機会をつくっていただきました。人間の命も、命の尊厳も全く否定し、人肉を切り刻んでいく残虐性だけを、これでもかこれでもかと見せつけるビデオを目の当たりにし、命を産み、育てる母親として、このような代物がためらいもなくつくられ、いとも簡単に子供たちの手に届くところに置かれている現実に、改めて肌に泡立つ思いを禁じ得ません。第二、第三の宮崎勤が生まれても不思議ではない状況が身の回りに転がっているということを、我が子も決して安全圏にはないということを、世の母親たちは今戦慄の思いで感じ取っているのではないでしょうか。県としても、これまで関係業界にホラービデオの自主規制を要請され、ビデオレンタル協会としても「ギニーピッグシリーズ」など、十一本のビデオについて青少年への貸し出しを自粛するよう決定し、それを受けて、県民福祉部長名でビデオレンタル業者に通知されたところであります。  そこでお尋ねいたしますが、ますますふえる有害図書等やビデオなど、青少年を取り巻く実態について、県として改めて実態調査をしていただきたいと思うわけでありますが、そのお考えはないか。また、業界業者への協力要請を一層進めるとともに、自主規制が実際に守られるのかどうか、行政としても関心を持ってチェックしていくことが求められていると思いますが、御見解をお示しください。県としても、世論喚起の先頭に立つ決意で御答弁をお願いするものであります。    〔知事土屋佳照君登壇〕 52 ◯知事(土屋佳照君)基本的な点だけお答えを申し上げたいと存じます。  国民健康保険制度は、国民皆保険の柱をなす制度でございまして、現在そういうことから社会保障制度審議会で制度の長期安定方策について検討が行われておるところでございまして、県といたしましても、全国知事会を初め市長会、国保連合会など、関係団体ともども経営基盤の安定化と健全化が図られますように、国に対して要望しているところでございまして、今後とも引き続き国保運営の健全化について国に対して要請してまいりたいと思っておるところでございます。具体的な問題については、担当部長からお答えを申し上げます。  なお、最後に指摘をされましたホラービデオ等の問題でございますが、青少年の有害環境の浄化対策につきましては、例年、非行防止キャンペーンとか、環境浄化ブロック会議など通じまして、関係機関とか、団体と一体となって取り組んでいるわけでございますが、今回の御承知のような事件を契機にいたしまして、市町村に対し、有害環境浄化対策の一層の推進をさらにお願いをいたしたところでございます。また、関係業界、団体に対しましては、自主規制を要請しますとともに、懇談会を開催いたしまして、有害出版物について、青少年への配慮を強く求めたところでございまして、業界、団体における自主規制もかなり進んできておる状況にございます。今後とも、市町村を初め関係業界、団体と連携を密にしながら、浄化対策にできるだけの私としても努力をいたしたいと思っておるところでございます。  また、有害出版物等の実態把握については、これまでアダルトものを中心に行ってきておりましたが、現在ホラーものも含めて実態調査を行っておるところでございます。 53 ◯保健環境部長(中原俊隆君)産業廃棄物問題についてでございますが、まず、その実態把握についての御質問でございますが、産業廃棄物の発生状況や処理状況につきましては、すべての産業廃棄物処理業者と有害な産業廃棄物を排出をするおそれのある排出事業者等から毎年度報告書を徴取するとともに、必要に応じて関係職員による立入調査や収去試験等を実施するなど、その実態把握に努めておりますほか、本年度から年次計画で業種ごとに廃棄物の処分過程の各段階における実態を把握し、その適正処理に資する調査を開始しているところでございます。今後とも関係機関団体等々の緊密な連携を図りながら、立入調査等を計画的に実施するなど、産業廃棄物処理の実態把握に努めてまいりたいと考えております。  次に、最終処分場の建設問題でございますが、産業廃棄物の処理につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律によりまして、その排出者たる事業者がみずから処理しなければならないこととされておりまして、排出事業者自身の責任と負担において適正に処理することが基本でございます。  したがって、県としては、まず排出事業者等による共同処理処分場の確保等について指導をしてまいることとしております。また、既存の施設の延命化を図るため、産業廃棄物の発生量の抑制や、減量化、再生利用等について、事業者、処理業者等の指導を行っておりますほか、現在廃棄物交換制度の導入に鋭意取り組んでいるところでございます。  次に、違反行為についてでございますが、御指摘の違反行為につきましては、事情聴取や現地調査等を行いまして、実態把握を行い、その調査結果等を踏まえまして、厳正に対処してまいりましたし、これからも対処してまいる所存であります。  違反行為の再発防止につきましては、産業廃棄物処理業者はもちろん、排出事業者も含め、既に文書で指導を行っておりますが、今後とも関係機関、団体等とも緊密な連携を図りながら、講習会等の開催や立入調査等を計画的に実施するなど、違反行為の再発防止に努めてまいりたいと考えております。  なお、国におきまして、不法投棄等を防止するため、産業廃棄物の排出から運搬、処分に至る流れを伝票で確認いたしますマニフェストシステムの導入に向けて試行を行っておりまして、これにつきまして、国の動きを見守りながら、適切に対応してまいりたいと考えております。  次に、ゴルフ場の農薬にかかわる御質問でございますが、県下のゴルフ場周辺におきます水道水源や主要河川等での水質につきましては、昨年以来調査を実施しておりますが、農薬による異常は認められておりません。今後とも引き続き関係機関との連携を図りながら、ゴルフ場周辺の水質環境について、農薬の使用実態を踏まえた所要の調査を実施するなど、適切に対処してまいりたいと考えております。 54 ◯企画部長(中村利雄君)ゴルフ場の建設につきましては、昭和六十年十月に凍結を解除いたしまして、新規に係る申請は原則として一市町村につき一ゴルフ場の建設を限度として受理しているところでございます。この取り扱い方針は、集中立地の防止、自然環境の保全、県土の適正利用等に一定の効果を上げているものと考えておりまして、現在この方針を変更する必要はないものと考えております。  なお、事業実施段階におきます県との土地利用協議や各種許認可等を通じまして、また地元市町村とも一体となりまして、水源池に対する対策を含め、環境保全や乱開発防止の指導を行っているところでございます。 55 ◯農政部長(山中 正君)ゴルフ場におきます農薬の安全使用につきましては、国の通達に基づきまして、六十三年十二月十五日に指導指針を策定いたしまして、これに基づき指導をしてきたところでございますが、このたび関係部局と協議の上、水質検査等内容を強化いたしました鹿児島県ゴルフ場農薬安全使用指導要綱を策定いたしまして、十月一日から施行することといたしたところでございます。今後は、この要綱に基づきまして、関係部局と一体となりまして、ゴルフ場における農薬安全使用について指導してまいりたいと考えております。  なお、ゴルフ場以外の公園等におきます農薬使用につきましては、農薬取り扱い業者、施設の管理者、防除業者等に対しまして、農薬取締法に基づく安全使用基準を遵守するよう指導してまいりたいと考えております。  それから、農地の災害復旧でございますが、災害によりまして、埋没や流失いたしました農地につきましては、一般的には原形に復する工法がとられるところでございます。しかしながら、御指摘のように、垂水市の今回の災害につきましては、被害が広い範囲に及んでおるために、地域によりましては、区画整理をあわせた復旧の要望がなされておるところでございます。したがいまして、これら地元の意向を踏まえながら、復旧工事にできるだけ早く着手できるよう準備を進めまして、早期復旧が図られるよう努めてまいりたいと考えておるところでございます。 56 ◯商工労働部長(元井達郎君)キャディーの健康調査の問題でございますが、労働者の安全対策と労災事故防止の業務は、労働基準局が中心となり指導監督を行っておりまして、同局では、従来から労働安全衛生対策を最重点項目として取り組んでいると伺っております。なお、労働基準局におきましては、ゴルフ場における農薬使用に関する労働災害は発生しないと見ておるようでございますが、県としては、同局に対して適切な対応方を要請してまいりたいと思っております。 57 ◯県民福祉部長(松元 剛君)まず、国保問題についてのお尋ねでございますが、安定化計画というのは、医療費の高い市町村に対しまして、国保運営の安定化を図りますために、高医療費の要因、分析を行いまして、それからレセプトの点検の充実だとか、あるいは健康づくり等の保健施設活動の推進、そのような諸対策を進めるものでございまして、県といたしましては、この計画に従って、着実に国保運営の安定化のための対策が進めるように適切な指導助言をいたしてまいりたいと考えております。  二番目に、国保税の引き下げの問題でございますが、これは御指摘のとおり、市町村でお決めになることではございますが、県といたしましては、国保財政の状況のほかに医療費の推移、見通し等もあわせまして、慎重に検討した上、それぞれ市町村の国保運営協議会等の御意見も伺って決めるように指導しているところでございます。  次に、台風十一号に関連をしてのお話でございますが、御承知のとおり、災害救助法の適用は、市町村長からの災害発生報告に基づきまして、災害救助法施行令で定めた基準に基づいて行うものでございます。今回の場合は、垂水市の災害対策本部と逐次連絡をとりながら対処してまいりましたが、七月の二十九日に当初の報告が参りまして、法外援護適用基準に達しておりましたので、直ちに法外援護の措置を適用したと、その後被害状況の調査が進みまして、八月の二日に法適用基準に達したので、直ちに災害発生時の七月二十八日に遡及をしまして、災害救助法を適用したと、そういう経緯がございます。  なお、今回の災害の場合には、垂水市は全域にわたりまして同時多発的な災害が起こったということで、道路通信網が断たれたために、この被害状況の調査は非常に困難であったと、そのために手間がかかったというような事情のようでございます。  それから、被災者への生活保護等の積極的な援助の問題でございますが、私どもの方といたしましても、今回の台風による被害のために生活に困窮し、最低限度の生活を維持できない世帯の方々につきましては、生活保護の申請についての相談を積極的に受けるようにということで、直ちに各福祉事務所、民生委員等に指導を申し上げ、また、災害援護資金なり、世帯更生資金制度についても、その周知方について、市町村に対して文書をもって直ちに要請をいたしております。 58 ◯議長(五領和男君)残り時間が少ないので、答弁は簡潔にしてください。 59 ◯林務水産部長(有水弘明君)被害漁業者が現在借り入れております資金の条件緩和措置についてでありますが、制度資金につきましては、個々の状況に応じて償還期限を制度の限度いっぱい延長したり、償還途中において、据え置き期間を設け、返済を猶予するなどの償還条件の緩和措置を講じてまいることとしております。  また、一般金融機関に対しましても、猶予措置について協力をお願いしたところであります。今後さらに関係機関とも連携しながら、経営状況の把握に努め、必要に応じましては、長期低利の制度資金への借りかえを指導してまいりたいと考えております。 60 ◯土木部長(興 信雄君)まず、伊敷ニュータウンの災害でございますが、従来から宅地造成等規制法の許可基準に即した防災指導を行ってきたところでございます。特に梅雨時期前に防災計画書の提出を求め、これに基づく防災施設の見直しや防災点検の実施など、災害防止について万全を期すよう開発者を指導するとともに、市や消防部局と合同で工事現場の防災パトロールを実施しながら指導してきたところでございます。なお、今回の台風災害を踏まえまして、防災対策の強化を指導したところ、開発者におきましては、九月中旬までに防災施設や防災体制の拡充、改善が講じられたところでございます。  それから、県営住宅でございますが、これの設計建設に当たりましては、台風等に対しまして、建物が十分安全であるように努めているところでございます。また、雨戸にかえて、強度や機密性、あるいは水密性の高いアルミサッシ、あるいはガラス面の大きな部分につきましては、網入りガラスなどを採用するなど、台風対策に配慮しているところでございます。  なお、今回被害を受けました箇所につきましては、屋根の補修や木制窓枠の取りかえなど、緊急性、安全性に係る工事を優先的に実施してまいりたいと考えております。 61 ◯教育長(濱里忠宣君)養護学校の教育について三点ほどのお尋ねでございますが、第一点は、すべての養護学校に高等部を直ちに設置すべきだと、どう思うかということでございますが、養護学校は、設置の目的や性格でございますとか、生徒の障害の種類でございますとか、また進学希望状況等々さまざまでございますので、すべての養護学校に直ちに高等部を設置するということは考えておりません。ただ今将来的な展望に立って、見直しを進めているところでございまして、さまざまな角度からその設置について検討してまいりたいと考えております。  第二は、高等部の教育内容についてのお尋ねでございますが、これまでも生徒の障害の程度、あるいは発達段階、そういったものに即して個々に応じた指導に努めているところでございまして、今後とも障害の多様化に一層配慮してまいりたいと考えております。  第三点は、在宅障害児の後期中等教育の保障ということでございますが、在宅障害児につきましては、その心身の障害の程度が極めて重度でございまして、かつまた、障害が重複している場合が多いわけでございますが、在宅のままの高等部教育の履修につきましては、制度面を含めまして課題が多く、後期中等教育を行うということは困難な問題であると考えております。  以上でございます。    〔祝迫かつ子君登壇〕 62 ◯祝迫かつ子君 いろいろ御答弁をいただきました。  濱里教育長のすべての養護学校に今すぐできないと、これは当然と言えば当然のことでありまして、それはやっぱり揚げ足取りとしか思いようがありません。私も今すぐつくれと言っていると、こういうことではなくて、将来のことではなくて、やはり年次的に計画も立てながら、積極的につくっていただきたいと、こういうことを言っておりますので、その辺はよろしくお願いをしたいと思います。  終わります。 63 ◯議長(五領和男君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ─────────────    △ 日程報告 64 ◯議長(五領和男君)明日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、一般質問であります。       ─────────────    △ 散  会 65 ◯議長(五領和男君)本日は、これで散会いたします。         午後三時十八分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...