↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 午前十時開議
△ 開 議
◯議長(
原田健二郎君)ただいまから、本日の会議を開きます。
─────────────
△ 総括質問(個人)
2 ◯議長(
原田健二郎君)本日の日程は、県政一般に対する個人質問であります。
通告に従って、順次発言を許可いたします。
まず、
松村武久君に発言を許可いたします。
〔
松村武久君登壇〕(拍手)
3
◯松村武久君 おはようございます。
ただいまから、民社党を代表させていただきまして、当面の県政における重要事項について、我が党の所見、提言を申し上げつつ、以下六項目のうち、一項目は昨日の代表質問の中で論議されましたので要望にとどめ、五項目について、県御当局の基本姿勢及び
具体的対策について質問してまいりたいと存じます。
まず第一項目の、九月
補正予算案についてを要望といたします。
鎌田知事が調和のとれた定住社会の形成を、知事御就任以来、県政の重要課題としてとらえ、鋭意努力してこられたことは多といたすものでありますが、現実は過疎と過密の解消は困難を極め、永遠なる県政の重要課題とさえ思われます。したがって、今次
補正予算案でも、交通体系の整備、水及びエネルギーなどの確保、
国際交流の促進、都市と農山漁村の整備、離島の振興、環境の保全、県土の保全、海洋利用などの推進、以上八項目について補正予算の措置がなされておりますので、これが実効が上がるべく強く御要望いたしておきます。
次に、質問の第一は、
観光開発について質問いたします。
本県は、自然公園、文化財、民俗芸能、名所旧跡、温泉など、他県に比類なき豊富で多彩な
観光資源に恵まれていますが、この天から授かった貴重な宝である
観光資源を鎌田県政は十分生かし切っているでありましょうか。
観光推進のための総合対策、
観光鹿児島づくりとして、県、市町村、業界等々、官民一体となった取り組みにあと一歩の感を深くいたしているものであります。
観光業界は行政依存、行政は業界依存の体質はないか。
観光鹿児島づくりを目指して、官民一体となったユニークで、かつ積極的な観光行政を強く要望いたすものであります。
そこで質問の一点は、
長期滞在型観光客の
受け皿づくりとしての
リゾート建設構想が、本県を含め他県でも活発な動きを見せていますが、この構想の具体化のためには民間活力に期待せざるを得ません。したがって、行政と民間との
プロジェクトの構築が不可欠であります。そこで本県も、庁内に
学識経験者、地元経済、産業界から成る
リゾート構想推進本部を緊急に設置し積極的に取り組むべきであると思いますが、知事の御所見を求めます。
二点には、今日まで機会あるごとに
観光業界からも強い要望がなされている問題として、私自身も提言をしてまいりました
多目的使用の
国際コンベンションセンター構想についてであります。
県総合計画にはその必要性をお認めいただき、方向性は認識されましたが、今次補正予算でも残念ながら調査費はついておりません。調査費でも計上し、前向きな検討を強く要望いたしますが、
商工労働部長の御所見を求めます。
三点として、
観光標識、
観光案内標識の整備についてであります。
県外観光客、あるいは県外から本県に転任された方々から異口同音に、今苦情として賜ることは、観光県鹿児島としてふさわしくないものの一つに、大切な
観光案内標識及び
道路案内標識が不備であるとの苦言であります。さらには、
国際交流、
国際物流基地づくり、南の起点と言いながら、案内板とか解説板、あるいはバス、電車の停留所等に対する英文併記の少ないことも指摘されておるのであります。そこで実情を調査してみると、県単事業として、昭和四十八年度から六十一年度までに百二十六基、約九千百余万円が投資され、他に
市町村補助事業として、昭和五十六年度から二百九十六基、約七千万円が投資されてはおりますものの、まだまだ不備であります。県の
長期計画として、県単事業、
市町村補助事業合わせて、県内に未整備箇所をどの程度考えており、これが完備されるまで何年ぐらいを目途としておられるか、
商工労働部長の御所見を求めます。
なお、
道路標識も
観光案内としての重要な役割を果たすものであることから、これが完備のため土木部長は全力を尽くしていただくよう、本席より強く要望いたしておきます。私
自身企画建設委員でありますので、この問題は委員会において部長に質問をしてまいりますので、よく勉強しておいてください。
四点として、
エアコミューター構想についてでありますが、本県では南薩地域として枕崎地区が全国二ヵ所のうちの一ヵ所、概算要求の指定を受けておりますが、大隅地域あるいは北薩地域への
コミューター構想について、県当局としての対応策をお伺いいたします。
第二として、ここ数年来議会で問題となり、県民の
重要関心事となっております県庁問題についてお伺いいたします。
車社会の今日、
県庁利用者は二十分から三十分も県庁前道路で待たされ、県庁の駐車場は何とかならないものか、けさもまだ今二、三十台並んでおりますね、大変です。そしてまた、県庁舎内に一たん入ったら出口を探すのにひと苦労したとか、県民のひんしゅくを買っております。県庁問題については、私のみならず、各党からも再三再四取り上げられているのであります。満二年前の昭和六十年九月議会以降からでも、七回に及び各党、各会派より問題提起がなされているのであり、この間に私だけでも二回質問しております。今度で三番目であります。知事、仏の顔も三度までと言います。今度こそ具体的かつ明快なる御答弁をお願いします。
質問の一点は、昭和六十一年五月に発足していただいた
県庁舎整備調査委員会での論議経過についてお伺いいたします。
質問の二点は、六十年九月議会における自民党の森議員の質問であったと思いますが、この中で、
県庁舎整備には三百五十億円もの巨費を必要とする旨の知事からの答弁がなされております。これは
鴨池ニュータウンへの移転、新築を前提にした整備費であるのか、それとも現在地に建築した場合の整備費として算定したものであるのか明快にしていただきたいのであります。
三点としては、基金の造成を初め、県有地の処分等により建設費の捻出に努め、
具体的方向性を明らかにすべきであると考えますが、知事の簡潔にして明快なる御答弁を期待して、前段の質問を終わります。
〔
知事鎌田要人君登壇〕
4 ◯知事(鎌田要人君)
リゾート建設についてでありますが、御指摘のとおり、国民の自由時間がふえておりますし、また本県の特に多様な自然景観、あるいは文化、歴史資源と、こういったものを生かして長期滞在型の
リゾートということが必要でございます。先般、国においても
リゾート建設法を制定をしたところでありますが、これはもう北、南まで、また何たらおけさみたいにどこも
リゾート、
リゾートで、
全国リゾートだらけになるのではないかという懸念があるくらいであります。そういう中で、やはりこれこそはというユニークなものをつくっていかなければいけないということになりますと、やはり多方面からの知恵をいただくということも必要でございます。庁内におきましては、副知事をキャップとしまして、各関係部課の連絡会議で庁内体制は進めておりますが、時期に応じてこのような御提言の推進本部的なものも検討をしなければならない、そういう意味での研究課題としてひとつ考えさせていただきたいと思う次第であります。
次に、枕崎空港の問題でありますが、これにつきましては、先般来全国二ヵ所の一つとして運輸省が概算要求をしたわけでございますので、これが予算化されますように、引き続いて地元とも手を取り合って進めてまいらなければなりません。その他の地域につきましても、それぞれのお考えがおありでありますが、まだ現段階では構想の域を出ておらないわけでございます。この
コミューター航空につきましても、やはり最終的には、乗客の安全ということが必要でございますし、またそれと経営が安定的に続けられるということでありませんというと、せっかく飛行場はつくったわ、整備はしたわ、航空会社の方が採算がとれないということで撤退をするということになりますと、これは目も当てられないことになりますので、その辺のやはり見通しと、地元のいわゆるはまい方がこれは必要であるという状況で、その状況を見ながらやりませんと、県としてここで、あんたやんなさいと、こう言っても、それだけで片づく問題ではないということでございまして、地元の盛り上がり、取り組みの体制、ある程度はやはり地元も、これは大きな負担と犠牲を強いられることになりますので、慎重に取り組んでまいらなければならない課題というふうに考えておる次第でございます。
それから、県庁舎の整備につきましては、昨年の五月、庁内に
プロジェクトチームといたしまして
整備調査委員会を発足をさせまして、最近におきまして県庁舎をつくった県がございます。この近くでも山口県でありますとか、あるいは佐賀県は議会棟、警察棟をつくっておりますが、沖繩県と、こういったところ、あるいは北は宮城県、こういろんな県が最近つくっておりますので、そこの実情等も調べる。あるいは基本構想、
資金計画等についての基礎的なデータの調査、収集を行っておるところでありまして、今後これらの調査結果を踏まえまして、
学識経験者等含めた庁舎整備検討協議会的なものを設置をして、そこで御論議をいただきたいと思う次第であります。
なお、庁舎の建設はかなりの費用を必要としますし、丸々起債でこれができるわけではありませんので、最近は起債の
充当状況等から見ますというと、やはりかなりのこれは
手持ち資金を持って当たらなければならない。そうなりますと基金をやはり、今の
県有施設基金のほかに、やはりこの
庁舎建設のための基金をつくるということも含めまして、これもひとつ慎重な検討が必要であると。
なお、庁舎の建設費についてのお尋ねでありますが、これは山口県が五十九年の六月に庁舎をつくりましたが、これの
坪当たり単価に、今の面積を掛けた額が三百五十億円ということでありまして、お尋ねの前提になるようなことは一応頭に入れないで、よその県でつくったものの単価にこちらの所要面積を掛けたものと、これも五十九年六月でありますから、またその後の値上がりを見ますというと、最低三百五十億円と申し上げた方が妥当かと思います。
なお、建設の場所につきましても今後十二分に、この庁舎整備検討協議会的なもので十分な論議も重ねていただかなければならない。仏の顔も三度というお話がございましたが、庁舎の建設最低三百五十億円もかかる、これに取りかかるということになりますというと、やはりかなりの一般財源というものを、今申しましたように基金等の形で出すということになりますと、これはやはり県単の事業に、かなりこれはしわが寄ります。でありますから、やはり皆様方でも十分御論議をいただいて、県民の皆さん方がもう県庁舎をつくってもよかころじゃろと、こういうやはり御理解、私も含めましての大方の御理解をいただくということでないと、いつからやりますということは、もっと皆様方とも十二分に議論を尽くしてやるべきではなかろうかということで、時期を明確にできませんことを大変遺憾に存じますが、これだけの状況でございますので、やはり早急に目鼻をつけたい、こういう決意を持っておる次第でございますので、御理解をお願い申し上げます。
5
◯商工労働部長(落合俊雄君)
コンベンション機能の充実についてでございますけれどもで、これは南の
起点づくりでございますとか、観光の振興、地域経済の活性化というような点で効果をもたらすことが期待できますので、将来を展望いたしました場合には、本県におきましても、多目的な
コンベンション施設の整備、促進というものは課題の一つであると考えておりますけれども、その整備に当たりましては、設置主体、
資金手当て、採算性など慎重に検討を要する問題があるというふうに考えております。当面、県といたしましては、鹿児島市が
国際コンベンションシティとして指定されますように、
開発促進協議会などを通じまして、国に対して強く働きかけますとともに、鹿児島市において検討されております
国際コンベンション振興システム開発調査、これは事業主体は
国際観光振興会でございますが、このような調査の結果などを注目しながら対処してまいりたいと、かように考えている次第でございます。
次に、
観光標識の整備についてでございますけれども、
観光ルートや
観光資源の案内、解説などを行うための
観光案内標識につきましては、
観光案内道路標識、
観光案内地図板、
観光解説板などがございますけれども、これらの整備が
観光地づくりを進めるに当たりまして、
基本的事項であるというふうに認識をいたしております。このために県といたしましては、昭和四十八年から県事業、
市町村補助事業を通じまして、御指摘がございましたように四百十数基を整備してきているわけでございますが、このほかに
交通安全施設等整備事業によりまして、県内の各所に
道路標識の整備が行われております。今後とも、関係の部、市町村とも連携をとりながら標識の整備に努めてまいりたいと、かように存ずる次第でございます。
6
◯松村武久君 知事に恐縮ですが一点だけ、県庁舎問題で山口県を参考にされたとおっしゃいますが、山口県の場合は、これはもちろん上屋だけだろうと思いますが、この場合の面積等はどのくらいあったんでしょうか、その点お尋ねします。
7 ◯知事(鎌田要人君)山口県の県庁舎は、行政棟が
延べ床面積で七万二千九百三平米、それから議会棟も一緒にこれは入っているようですね、議会、警察一緒に入っているようです。七万二千九百三平米です。それで建築費が二百四十三億円かかったようでありまして、三十三万四千円という単価であります。本県の今先ほど申しました庁内の検討で進めておりますのは、議会棟、警察棟含めまして約十万平米でございますので、今の三十三万四千円を十万平米余りに掛けまして三百五十億円と、こういう数字になっております。
〔
松村武久君登壇〕
8
◯松村武久君 知事から、特に
リゾート構想については、検討会なるものを設置して鋭意検討をされる旨、前向きの御答弁がありましたので感謝をいたしますが、念のため、私が県外の状況を調査したことについて申し上げておきますので、参考にしていただきたいと思います。
まず、建設省が
複合リゾートカントリー整備計画調査実施ということをいたしまして、その指定を全国で十四県、十五地域を指定しております。そしてそれぞれ
計画作成費として三百万円を補助しているのでありますが、九州では福岡県の
玄海リゾート、熊本県の
天草海洋リゾートが指定されております。知事も御案内かと存じますが、ちょっとおくれをとったなあということで、建設省にちょっと知事が足を運ぶのが遠のいていたんじゃないかなという気もしますが、とにかくこういうことで既に他県はかなり、こう一歩先を、二歩先を行っているような気がしますので、さらにまた大分県については、既に
リゾート構想策定委員会をもう設置しております、八月ごろ。宮城県も
県リゾート地域整備推進本部を設置、千葉県も
リゾート連絡協議会を設置しております。福島県も
リゾート建設で推進本部を設置しているわけであります。このことを
十分他山の石としまして、一生懸命参考にしまして取り組んでいただきたいことを強く御要望いたしておきます。
さらに、商工部長から
コンベンションセンターについてのコメントがありました。確かに鹿児島市の財政事情かなりいいようでありますが、これは鹿児島市任せでなくてお互いにタイアップして、県勢浮揚にも
観光開発に大きく貢献するわけでございますので、
多目的使用ということでぜひとも力を入れていただいて、ベンチャーという気持ちぐらいでお互いに知恵を出し合って、そして熊本県が一歩先をいっていたようですけれども、調べてみると、まだ土地も物色できないということでございますので、むしろおくれをとらないように対応していただきたいと思うわけです。そういう意味で、これもさっきの
リゾートじゃないですけれども、やっぱり先手必勝ですから、おくれをとればもうそれだけ、何かせっかくつくったものが有効に利用、活用されないということでございますので、ぜひとも部長のお働きに期待をいたしておきますが、この点は知事にもあわせて御要望しておきます。
エアコミューターの問題は、確かに知事おっしゃいますように、厳しい問題でありましょうけれども、先般、国会陳情の際に
山中代議士より、本県出身のですね、言葉をいただいたわけですが、空港まで行くのに二時間、そして空港から東京まで一時間半と、これじゃいかないということで、非常に
コミューターの必要性を力説しておられました。そういうことで、枕崎も概算要求の指定を見たことは朗報であるわけでございますが、調和のとれた開発という意味で、やはり北薩、南薩、大隅地域とかいった点も、やはりこの推進に従ってアプローチをしていく必要があるんじゃないかなあというふうに思いますので、強く要望しておきます。
県庁問題でありますが、知事のずばり言えない立場もよくわかりますので、しかしながら、今この現在の県庁の敷地面積約七千坪、上屋が一万坪、まあ坪で言いましてですね、のようでございます。今の構想でいきますと十万平米といいますから、三・三で割っても約三万坪ですから、とてもじゃないけれども、この現在のところではだめだなという判断をしますので、知事としてはその辺は御想像に任せますということでしょうけれども、まあそういうことで、三百五十億円ということになりますと、言われますように六割を県債でやって、あと四割を一般財源という形になっても、まあ百四十億円ぐらいが要るわけでございますので、かなりの多額ですが、早く方向性だけはひとつ見出していただきたいということと、あわせましてこの
県庁舎整備という問題は、私が申すまでもありませんけれども、
地方自治法の第四条、
地方公共団体の事務所の設置又は変更で、
地方公共団体は、その事務所の位置を定め又はこれを変更しようとするときは、条例でこれを定めなければならない。これの三項に、第一項の条例を制定し又は改廃しようとするときは、
当該地方公共団体の議会において出席議員の三分の二以上の者が同意がなければならないというふうになっておるわけでございます。したがって、知事は提案権は持っておりますけれども、議会の同意を必要とするわけでございますから、ここで議長に対して、本席から提言をし、御要望しておきますので、対応くださるようお願いしておきます。すなわち、
特別委員会の問題が論議されておりますが、
県庁舎整備特別委員会の設置を提案しておきますので、よろしくお取り計らいくださるよう謹んでお願い申し上げます。
次に、質問の第三は、国際化への対応でございます。
昭和六十年で国外への旅行者は、全国台で百六十万人、本県でも約二万七千人にも達しています。私自身も数回にわたる
海外行政視察の機会を得ましたが、その都度痛感しますことは、英語が
あいさつ程度、道を聞く程度の語学力しかないということであります。英語を話し、聞き、理解することができたら、外国に友人もでき、その国を広く、深く、正しく理解でき、
国際交流及び世界平和に大きく貢献でき、行政視察の実を上げるであろうということに思いをはせるとき、話せる
英語教育の必要性を痛切に感じる次第であります。
中学校教育から大学教育まで、多額の教育費を投じて
英語教育がなされているにもかかわらず、話せる
英語教育が徹底しないのは一体なぜでしょうか。せっかく修得した英語も実際に使用する機会が少ないからであると、
英語教育関係者みずから問題点の一つとして挙げておられますが、中国の青少年は実に英語をうまく話せると聞いています。
教育内容に触れまして大変恐縮ですが、例えば中学、高佼において、週に一回は英語以外では話さない英会話の日を設けるとか、英会話の学科を独立させるとか、英会話のできない英語教師は再試験をするとか、話せる
英語教育を徹底することこそが国際化への対応の第一歩ではないでしょうか。ただしこの際、国際化への美名のもとに、我が国の正しい言葉、文化、歴史、教育をおろそかにしてはならないことは申すまでもありません。この点をしっかり正しく身につけ、日本人としての誇りのもとに、国際化への対応の基礎となる話せる
英語教育を身につけ、国際人として世界をまたに大きく羽ばたく青少年の育成に努めていただきたいものであります。そこで具体的に一点だけ質問いたします。
本県教育の柱として、五年ないし十年で話せる
英語教育に
長期計画でもって取り組む考えはないか、教育長の御所見を求めます。
次に、国際化への対応として重要なことの一つに、中国との交流があります。先般、知事も九州青年の船の団長として中国を訪問され、意義深く交流を深められたことはまことに慶賀にたえません。時あたかも本日は、
日中友好正常化十五周年の記念すべき日であります。正常化以来、六十一年で我が国における日中間の人的交流は何と四十五倍にも達し、貿易額では十四倍に飛躍的に拡大をなし遂げていると報道されております。本県でも、ことし四月に鑒真丸が川内港より直行便で初めて上海へ渡航し、あす三十日に鑒真丸が二百二十五名を乗せて上海に向け出帆するのであります。まさにことしは本県にとって中国への幕あけとも言えましょう。現在、神戸、上海が定期就便での就航となっており、神戸が日中物流の拠点でありますが、上海と最も近い本県川内港に立ち寄ってから神戸へと、いわゆる上海、川内、神戸の定期航路が実現したら本県が物流の基地となり、知事が言われますように名実ともに南の起点となり、本県はもとより、九州経済の浮揚に大きく貢献することは火を見るより明らかであります。新幹線の導入とまさるとも劣らぬ経済効果が期待できるものと確信してやみません。
そこで質問の一点は、中国との交流は目先のことだけにとらわれず、県政百年の計に立った県及び
民間レベルでの交流を促進すべきであると考えますが、いかがでしょうか。
二点は、中国との
農業技術者との交流を積極的に進めるべきであると考えますがいかがでしょう。
三点は、中国との
貿易拠点港として、川内港の機能整備と上屋等の整備促進を図るべきでありますが、いかがでしょうか。既に川内港はかなり整備もされまして、ハード的にも整備しつつありますけれども、さらなる対応をお願いしたいということでございます。
四点として、鑒真号定期便として来年から毎月一回の就航を、原田議長の出身地で地元であります川内市を初め、関係者は切望をいたしておりますが、その見通しはいかがでしょうか。
以上四点について、知事並びに関係部長の前向きな御答弁を求める次第であります。
質問の第四として、警察行政と都市圏交通体制についてお伺いいたします。
昨日も犯罪で、東京で痛ましい事件が起こりまして、寵城し、お手伝いさんが重傷と言っていましたけれども、もう既にゆうべ亡くなっておられます。そしてまた垂水出身の警察官も、今二ヵ月の重傷ということでございますけれども、命があればいいがなあと祈る思いですけれども、そのような悲しい事件が起きております。きょうはこの警察問題では、防犯問題だけに絞ってお尋ねしたいと思います。
去る九月十四日の夕刻、御両親にとっては目の中に入れても痛くない、かわいいかわいい五歳の功明ちゃんが誘拐され、三日後には無残にも死体となって発見されました。人の命は地球より重い。まして御両親の胸中を察するとき、私は涙せずにはおれませんでした。皮肉にもこれは中曽根総理の出身地群馬県高崎市での惨事であります。警察の対応は十分であったのか、本県でこのような事件が発生したらどうなったでありましょうか。胸痛む思いと無情さを痛感することでありました。と同時に、二度とこのような惨事が起こらぬよう祈る思いでいっぱいであります。そこでこの件に対し、一点だけ質問します。
万一誘拐事件が発生した場合の電話の逆探知のあり方はどうなっているのか。群馬県ではNTTに文書で逆探を要請せねばならず、そのためにおくれた。テレビでは七分あと早く対応ができたらと、その逆探の対応に一時間近くも要しているわけでありますが、本県の場合どうであるか。また誘拐犯罪の未然防止のため、具体的日ごろの対策はどのようになっているのか、警察本部長にお伺いいたします。
次に、銀行強盗事件についてでありますが、本県でも昭和五十五年以降六十二年九月まで、十八件の銀行強盗事件が発生しておりますが、このうち十三件は検挙し、検挙率七二%となっております。そこでこれも一点だけ質問しますが、銀行強盗に対する防犯体制は十分であるか、日ごろの銀行との密接なる連携が必要であると考えますが、その体制は十分であるのか、警察本部長に質問いたします。
次に、都市交通体制の問題として、以下二点お伺いします。
その一点は、鴨池バスターミナルの設置が強く望まれているのであります。特に
鴨池ニュータウン八号街区へ立地を決断する際に県から、八号街区のイメージとして、モロッコの城壁都市カスバに夢をはせ計画したものであり、カスバとはモロッコの砂漠地帯にあるオアシス都市の総称であり、隣にはバスターミナル、ショッピング地域があり、将来の夜間人口一万四百人、昼間人口一万七千五百人にも達し、店舗経営上、高立地環境にあると勧められ、大きな夢とロマンを抱いて、かなりの借金を抱えつつも信頼する鎌田県政のこと、信じて立地を決断したのであります。ところがどうでしょう。十年近くもたった今日、オアシスどころか人はまばら、店舗も昨日一軒、きょう一軒とくしの歯が欠けるがごとく店じまいをしているのが現実であります。しかも約束していたバスターミナルの設置は、いまだ話すらないのであります。鎌田県政に対する不信、不満は募り、やり場のない憤りに断腸の思いでいるのが八号街区商店街の皆さんであります。きょうも見えていると思います。オアシスとのプランはゴーストタウンと化しつつあるのであります。鎌田県政の責任は重大であります。知事も一度足を運んでみてください。いや、足を運ぶ責任と義務があるのです。そこで一点だけ質問します。
鴨池バスターミナルの設置がおくれているが、いつごろ設置されるのか、その予定はどうなっているのかお伺いします。もちろんこの問題ではバス会社等々の対応があり、行政だけではどうもできないとおっしゃるでしょう。しかしながら、県が誘致した土地であります。しかもバスターミナルといい、人口まで具体的に示しておきながら、夢とロマンをかきたたせて誘致しておりながら、もうああいう状態です。あとのフォローアップはほとんどしていない。かわいそうじゃありませんか。ぬくもりの行政の鎌田知事、よく聞いてください。
次に、都市圏交通体制に対する質問の二点目として、慈眼寺駅設置についてであります。この周辺地域には、谷山小学校、和田小学校、錦江台小、西谷山小と四つの小学校が隣接しているのに加えて、錦江湾高校及び指宿商業高等学校へ通学する児童生徒が多く、慈眼寺駅がないため、勢い坂之上駅まで自転車で厳しい坂道を上りつつ、しかもなおかつ交通の危険にさらされながらの通学を余儀なくされているのであります。谷山副都心構想もありますが、簡易駅の設置を強く望むものであります。郡元駅、宇宿駅も当然必要でありますが、それ以上に地域住民の要望が強いことであります。既に、郡元駅、宇宿駅はもうできております。このことを県としてJRに働きかけをする考えはないかお伺いいたします。
最後の質問として、腎臓病対策についてであります。
言葉に肝心かなめとの言葉もあるとおり、肝臓、腎臓は、人間が生きていくのに最も重要な役割を担っているのであります。本県において慢性透析患者数は、昭和六十年十二月において千百七十七名にも達し、福岡、熊本県に次いで三番目に多い患者数であります。六十二年六月の最近では千三百四十二名となり、年々増加の一途で全く深刻な問題でございます。患者の方々は、一日四時間から五時間の透析治療を週に三回受けつつも、医療制度の充実、鎌田県政のぬくもりに期待をかけ、生きる望みと社会復帰への夢を捨てずに、毎日懸命に自己との戦いを続けているのであります。しかしながら、人工透析は対症療法であり、根治治療ではないのであります。そこで腎移植の医療技術が確立し、患者の方々に大きなともしびとなっているのでありまするが、合併症、登録腎センターの問題等々、総合一貫システムの確立がいまだ不十分なため、抜本的総合対策の確立が希求されているのにもかかわらず、現実の姿は今申しましたように、一貫システムが確立されていないことでございます。そこで三点ほど質問いたします。
その一点は、腎疾患総合対策委員会の具体的活動の促進について御所見を求める次第であります。
二点としては、腎センター設置についての強い要望がありますが、その計画についての御所見をお伺いいたします。
三点は、国、公立病院における人工腎臓施設の拡充並びに離島における人工透析施設の拡充、さらには全般的に夜間透析施設の拡充について強い要望がありますので、前向きの御答弁を期待いたします。
鎌田知事は、どこに住んでいても、文化、教育、医療、生活環境等々ひとしく享受できる定住社会づくりを、知事御就任以来口にされております。もう十年近くなります。ぬくもりに満ちた偉大な鹿児島の創造、メーンスローガンとしておられますので、かけ声だけでは信頼を失うどころか県民をだますことになりますので、関係部長におかれては、このことを胸に銘じつつ御答弁されるようお願いいたします。
〔
知事鎌田要人君登壇〕
9 ◯知事(鎌田要人君)中国との交流の問題でありますが、これまで原油、あるいは飼肥料を中心とした貿易が行われておるわけでありまして、この喜入にも旧満州、東北の原油が入っておるわけでございまして、経済面でも密接な関係にございますが、特に県の農業試験場と江蘇省の農業技術に関する交流と、あるいは農業団体、経済団体によりますところの産業技術交流、鹿児島大学等による学術、文化交流、九州青年の船、婦人の船の事業、あるいは姉妹都市などの交流を通じましての親善交流が活発に行われておるところでありますし、またこの四月と九月には、川内市にフェリー鑒真号が寄港するなど、お互いの関係も深まりつつございます。また、先般の十四回日中友好九州青年の船の団長として参りました際にも、経済あるいは交通、文化、こういった各般にわたる交流拡大についての意見交換もしてまいったわけでございます。このような幅広い交流の実績、また、これまで県が実施してまいりました中国経済状況調査などの結果も踏まえまして、長期的な視野に立ちながら、中国との交流をより一層促進してまいりたい。特に何と申しましても、中国に近いところでありますので、定期航空路の開設、あるいは今お話がございました鑒真号初め船便の交流と、こういったものからとにかく実現に向かって努力をしてまいりたいと思っておる次第であります。
その鑒真号の定期寄港の問題でございますが、今日まで地元川内市、また県におきましても地元と一体となりまして、今日まで定期寄港実現のための実績づくりといたしまして、臨時寄港を働きかけてまいったわけであります。先般中国に参りました際に、公司と申しておりますが、この鑒真号を運営しておりますのは、公司という日本と中国との合弁の会社でありまして、それを監督しておるのが遠洋運輸コンスというところでございまして、そこに参りまして、この問題について関係者集まっていただいて話をしてまいったわけでありますが、向こうの申し分はこういうことでありまして、一つは、この鑒真号というが上海と神戸もしくは大阪、これを結ぶと、こういう政府間の合意でこれが始まっております。今、鑒真号一杯しか持っておらない公司でありまして、この一杯が神戸もしくは大阪でいっぱいに人なり貨物がなると、寄るにも寄れないという状態で、この今の定期寄港の話が川内のほかにも、横浜等が非常に強く要望しておるところでありますが、川内が非常に昔から熱心にこの問題に取り組んでこられて、その実績に、その御熱意におこたえする意味で四月とこの九月と、こういうことで寄ることにしたんですと。したがいまして、私は月一回と言いたいところでありますが、地元は当面年四回寄港ができないかという御要望を携えて行ったわけです。それにつきましても、そういった形での、今のような形の臨時寄港というものを積み重ねて、そのうちにまた公司も船をふやすという事態も出てくるであろうし、そういう事態になる過程で、この問題について相互にさらにひとつ緊密な連携をとりながら、広げる場合には川内が第一位と、こういうことでやろうよということで帰ってきた状態でありますので、いましばらく現在のような形での実績を積み重ねていくということが必要であろうと思います。
10 ◯教育長(濱里忠宣君)役に立つ
英語教育をどう進めるのかというお尋ねでございますが、現在の中学校、高等学校における
英語教育では、読む力、書く力とともに、聞く力、話す力の育成を重視いたしております。県教委といたしましても、LL設備の拡充、高校入学学力検査での聞き取りテストの実施、それから外国人英語指導助手の配置、教員の指導力の向上等に努めておりまして、その結果、県内の各中学、高等学校において生徒の聞く力や話す力は確実に向上し、日常的な会話のできる生徒がふえてきているところでございます。本年度からは、外国人英語指導助手を大幅に増員いたしまして、中学、高等学校への訪問指導を一層拡充し、生徒ができるだけ多く生きた英語に触れる機会を持つことができますように努めておりまして、今後御指摘のような方向に沿って、実用的な英語力の一層の向上が見られるものと期待しているところでございます。
11 ◯農政部長(日高一夫君)中国との
農業技術者の交流でございますが、先ほど知事からもお話し申し上げましたように、江蘇省科学技術協会からの申し入れもございまして、昭和六十年に中国側の農業研究者六名を本県に招聘いたしましたのを契機に交流を行っているところでございます。
昨年度は、本県の農業試験場長など四名を江蘇省に派遣をいたしまして、農業関係試験研究機関を中心とする交流を行ったところでございます。また本年度は、江蘇省から野菜、果樹、養豚の専門家等が本県を訪問することになっております。今後におきましても、中国の相互理解と親善を基本におきながら交流を図ってまいりたいと考えております。
12 ◯企画部長(笹田昭人君)川内港につきましては、港湾の整備にあわせて、
貿易拠点港としての機能を強化することとしまして、外航船の受け入れ態勢として、ことしの四月、念願の関税法に基づく開港指定が行われたところでありますが、今後とも地元と連携をとりながら、出入国港指定について国に強く要請し、実現を期してまいる考えでございます。
それから鴨池バスターミナルにつきましては、知事が会長であります鹿児島都市圏交通対策協議会において、鹿児島都市圏における総合的な交通体系を図る観点から、大隅地域と鹿児島市を連絡する鴨池フェリー利用客のアクセス及び鴨池地区の交通拠点として整備するため、西鹿児島駅の総合交通ターミナルのサブターミナルの一つとして、これまで調査検討を行ってきておるところであります。この構想の具体化に当たりましては、整備手法等、残された課題も多うございますが、バス事業者等関係者の意向も踏まえながら協議検討を行い、実現に向けて努力してまいりたいと考えております。
また鉄道輸送につきましては、県としてもスピードアップ、ダイヤ改善等による鉄道利用の促進及び利用者の利便性の向上はぜひ必要であると考えております。JRの新駅設置も、これらサービス改善方策の一環でございますが、この問題については、原則として地元の要望に基づきJRにおいて、立地条件、昇降客、採算性等、諸条件を勘案して設置されることになっておりまして、御質問の慈眼寺駅につきましては、今後関係方面の意向も踏まえて適切に対処してまいりたいと考えております。
13 ◯土木部長(内田勝士君)川内港の上屋の整備についてでございますが、川内港は現在のところ、取り扱い貨物の主なものがチップ、砂、砂利等でございます。上屋の整備につきましては、今後港湾地区の発展や取り扱い貨物の実態を児ながら、港湾機能の確保に支障のないよう対処してまいる考えでございます。
14 ◯警察本部長(山崎 毅君)電話の逆探知につきましては、御案内のとおり通信の秘密の保障との兼ね合いもありまして、慎重な取り扱いが要請されるところであります。具体的に電話の逆探知をNTTに依頼する場合には、捜査関係事項照会書に着信者の同意書を添えまして要請をすることとなっておりますけれども、この同意書は被害者の家族などが作成をされますために、若干の時間が必要でございます。しかし、本県におきましては、身の代金目的誘拐事件等の緊急かつ重要な事件につきましては例外として、あらかじめNTTに電話または口頭で依頼をいたしまして、逆探のための措置をしていただいた後で、その後速やかに書類を提出するように取り決めをしてございます。
次に、誘拐事件の未然防止の問題ですが、誘拐事件被害の対象になる方々というのは、幼稚園児、小学校低学年が多いわけでありますが、警察といたしましては、学校、幼稚園との各種会合等を通じまして保護者、児童生徒に対して、登下校時の注意事項等を指導しておりますほかに、各地区の防犯協会、派出所、駐在所、市町村の発行する広報紙などによりまして、この種事件の被害防止のための啓蒙活動に努めているところでございます。
また、検挙にまさる防犯なしという言葉がありますけれども、この種犯罪がいわゆる割に合わない犯罪であるということを実証するために、必ず解決をするということに努めておるわけでありますが、本県では戦後身の代金目的の誘拐事件、三件発生いたしましたが、幸い三件とも解決をいたしております。現在も特別の捜査班というものを設置をいたしまして訓練も重ねておりまして、この種事件は必ず解決するという意気込みで対応しているところでございます。
金融機関に対する防犯対策につきましては、警察署を単位として結成をされております地区金融機関防犯協議会、それからその上部組織の鹿児島県金融機関防犯協議会と警察とが一体となりまして、各金融機関に対する防犯設備、あるいは防犯体制の充実強化等につきまして巡回防犯指導、防犯訓練等を行って、防犯意識の高揚と有事に対する自主防犯体制を強化するように指導しておるところであります。また最近、現金輸送車襲撃事件などが発生をいたしておりますが、この種事件に対応しまして、特に現金の受け渡し時の警戒、それから現金輸送時の警戒につきまして現場指導を行って、これら事件の未然防止に努めているところでございます。
15 ◯保健環境部長(有川 勲君)腎疾患対策につきましては、予防、治療、また腎移植などに係ります総合的な対策について、国の腎不全対策推進会議というのがございますが、ここにおきまして鋭意調査検討が進められておりまして、去る六月にはその中間報告も出たところでございます。一方、県におきましては、県におきます必要な対応策につきまして、この国におきます会議の中間報告なども参考にしながら、鹿児島大学、医療関係団体、県で構成いたしております地域保健医療協議会の中に腎疾患総合対策委員会というのを設けておりまして、ここにおいて検討を進めていくことにしております。
次に、腎センターのことでございますが、腎移植の全国的なシステムは、ナショナルセンターとしてございます、千葉の桜病院のナショナルセンターを中心に全国を十四ブロックに分けまして、地方腎移植センター及びそれぞれの各県ごとに腎移植施設を整備するという体制づくりを進めてきておりましたが、ちょうどこれが完成したところでございます。県におきましては、鹿児島大学医学部の附属病院及び鹿児島市立病院が腎移植施設となっておりまして、既に六件の腎移植手術も行っておるところでございます。こういった体制が整った段階にきておりますけれども、国におきましては腎移植のなお一層の推進を図りますために、各県ごとに腎移植センターを整備する方向で検討いたしておりますので、その検討の結果を待ちまして、県としての対応も行っていきたいと考えております。
次に、腎透析施設の整備拡充についてのおただしでございますけれども、本県の人工透析施設は四十五医療機関ございまして、七百五十五台の整備がございます。こういった状況は、地域的な偏在という問題はございますけれども、全県的に見ますと、全国水準を非常に上回っておる状態にございます。また夜間透析は二十一医療機関で、四百五十七台がこれに対応いたしております。人工透析体制を整備いたすには、相当の設備投資と専門的な医療従事者の確保が必要でございます。こういった難しい面の問題がございますけれども、今後とも医療関係団体、あるいはその他の団体等の協力を得まして、整備充実に一層努めてまいりたいと考えております。
〔
松村武久君登壇〕
16
◯松村武久君 いろいろありがとうございました。
時間が残り少なくなってまいりましたので、
英語教育の問題、前向きに御答弁いただきましたのでありがとうございました。よろしくお願い申し上げます。
中国との交流についても、知事も前向きでございますので、今後とも知事のバックアップをいただきながら、あるいは民間も協力しながら、そしてまた日中友好協会もございますし、そういった面に対する知事、県御当局のお力添えもよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
警察本部長の御答弁も、非常に本県は安心して、いろんな意味で対応できるように対処しておいてくださるので安心しておりますが、何とぞまた大変でしょうけれども、よろしくお願いを申し上げます。
それから鴨池ターミナルの問題も、企画部長が前向きに対処する旨ですが、先ほど申し上げたのは、このようにすごく夢とロマンに満ちたパンフレットです。これでみんな借金して買ったんですけど、今借金にきゅうきゅういってつぶれております。不渡りを出しております。企画部長、よろしくお願いします。
それから、最後になりますが、腎臓のこれは有川部長ですね、これはきんちゃん一座大公開ということで、心温まる感動のステージ、またたび、マドロスとかいろいろやっておりますけれども、これは何かといいますと、二千円券ですが、私も十枚売ってくれといって頼まれましたけど、これはチャリティをやってですね、少しでも腎臓の患者の皆さんが資金をつくろうということでございます。どうか同僚議員の皆さんもひとつ一枚ずつまたよろしくお願いを申し上げます。ということで一生懸命自立自興で頑張っておりますので、こういうことでよろしくお願い申し上げ、きょうは非常に多岐にわたりましたけど、それぞれ鎌田知事を初め、各関係部長さん、教育長さん、誠意を持って対応していただきましたので心から感謝申し上げ、よか気分で降壇することを感謝いたしまして、終わらしていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
17 ◯議長(
原田健二郎君)次は祝迫かつ子君に発言を許可いたします。
〔祝迫かつ子君登壇〕(拍手)
18 ◯祝迫かつ子君 私は日本共産党を代表し、当面する県政の重要問題について質問いたします。
まず、平和と民主主義の諸問題についてであります。
去る八月長崎で開かれた原水爆禁止世界大会は、核戦争阻止、核兵器廃絶を呼びかけた広島、長崎からのアピールへの賛同署名を世界で十億集めること、国連軍縮週間の始まる十月二十四日、世界各国において、そのための平和の波を起こす行動を一斉に取り組むことを高らかに呼びかけました。我が党は、先般米ソ間で原則的合意に達したと言われるINF全廃が現実のものとなるよう心から願い、要求するとともに、今こそ核兵器緊急廃絶の世論と運動を一層強め、核兵器にしがみつく勢力を包囲し、孤立させ、地球上からすべての核兵器を一掃するために戦うことを改めてここに表明するものであります。
振り返って我が県の現状を見るとき、県民の平和への心からの願いにもかかわらず、錦江湾への米艦船の入港、核艦船の入港、ACMIの設置、鹿児島空港の新田原基地代替空港化への動き、喜界島への自衛隊の象のおりの建設計画、鹿屋基地へのP3C対潜哨戒機の配備計画などなど、郷土の核基地化への危険が一層強められていることは極めて重大であり、この問題に対する知事の政治姿勢が鋭く問われているのであります。
そこで、まずお尋ねいたしますが、喜界町では象のおり建設反対の地主に対して、防衛施設庁の執拗な工作が行われ、まさに札束でほっぺをひっぱたくような分断工作が行われており、農業委員会会長にまで地主工作に回ってくれというような働きかけも行われていると聞いております。知事は、地元住民の意思を尊重するためにも、防衛施設庁のこうした卑劣な工作に対し断固抗議し、この際象のおり建設について、いつまでもあいまいな態度ではぐらかしの答弁を繰り返されるのではなく、反対していくとのきっぱりとした態度を示していただきたいのであります。御答弁をお願いいたします。
次に、新聞報道された根占町への対潜哨戒機受信基地建設問題について、知事に対する防衛施設庁の打診、あるいは説明といったものがあったのかどうか。あったとすればどのような内容であったのか。P3Cの鹿屋基地配備にきっぱりと反対の態度を表明されるとともに、当然根占町への受信基地建設についても断固反対すべきでありますが、御答弁を求めます。
さて、去る十七日に行われた岸信介元首相の内閣自民党合同葬儀に際し、こともあろうに文部省は、各学校が弔旗を掲げ、子供たちに黙祷をさせるよう県教委にも通知をしてまいりました。我が党は直ちに文部省に通知の撤回を求めるとともに、県教委に対しても、憲法と教育基本法に照らして見識ある態度で望まれるよう強く申し入れを行いました。ところが県教委は、我が党を初め鹿教組、新日本婦人の会など、各界からの強い申し入れにもかかわらず、十二日、この通知を各市町村教委、県立高校、教育事務所などにおろされたわけです。教育基本法はその第八条で「法律に定める学佼は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治活動をしてはならない」とはっきりと規定しています。一時期首相の座にあったとはいえ、自民党という特定政党の長老あるいは党最高顧問であった人物の死去に際し、学校と児童生徒を動員するなどということは、この教育基本法の定めに真っ向から反する行為ではありませんか。しかも岸氏は、戦前東条内閣の商工大臣として、侵略戦争の最悪の火つけ役となり、国民の自由と権利を圧殺し、戦後A級戦犯容疑者としてその責任を追及された人物であります。この岸元首相の葬儀で、児童生徒に弔慰の表明を強要することは、故人が果たした歴史的役割、特に侵略戦争の責任者としての犯罪的役割を不当に美化し、それを無批判に礼賛することを意味します。まして法的強制力もない一片の通知によって、教育委員会や学校長が判断力、批判力も未熟な子供たちにこのような儀式を強要することは、教育基本法の根本精神から言って、断じて許されるものではありません。市町村教委や学校の対応はばらつきがあったものの、県教委が直接通知をおろした県立高校の多くでは弔旗を掲げ、県教育本庁の各課はもちろん、各教育事務所など県教委の出先では麗々しく黙祷まで行っております。教育長、あなたはどのような考えでこの通知をおろされたのか、文部省の言うことは御無理ごもっともと、この通知の内容を肯定した上でのことであったのかどうか、真意を明らかにしていただきたいのであります。
教育委員長にお尋ねいたします。教育委員長は、今回の通知の内容について、教育基本法に照らし、どのように判断されるのか。県教委が無批判にこの通知をおろし、みずからも黙祷などを行ったことに対し、どのような評価をされるのか、明確にお答えいただきたいのであります。
さて、平和と民主主義の問題の最後になりますが、一昨日、二十七日付の地元紙報道によれば、シーレーン防衛演習中の自衛隊艦隊が、二十五日午後から夜にかけて、奄美大島の東シナ海側を行き来し、その際横当島近海でイカ釣りをしていた地元漁船など約三十隻にニアミスする事態も発生し、地元民の大きな怒りを呼んでおります。訓練は十九日から二十八日まで、訓練海域は奄美群島近海を含め日本海沿岸、太平洋沿岸の主に日本南部海域、自衛艦約百隻、航空機約百十機、隊員約二万人を投入、日米共同訓練も行う大がかりなものであり、目撃した人の話によれば、「二十五日正午ごろから夕方にかけて、黒っぽい色の軍艦約十隻が二隻の貨物船を護衛するように取り囲み、大島本島の笠利町から竜郷町、名瀬市、大和村にかけての本島西岸沿い、南シナ海を南下していた。また、同二十五日午後九時二十分ごろ、横当付近の漁場でたまたまイカ釣りをしていたYさんの証言によれば、「停泊灯で操業中の約三十隻の漁船の間を黒い船隊が五、六隻、うねりを引きずりながら練り進んだ。船が揺れ、危険なため、すぐに港に引き返した」などと記されております。県民の全く知らない間に、郷土の海や空が軍事訓練の場として使用され、漁場にまで軍艦が我が物顔で入り込み、県民の平和と安全を脅かすという、全く許すことのできないことが、現実にこの県土内で起きているのです。
そこでお尋ねいたしますが、第一に、今回の訓練については、防衛庁から海上保安庁や県知事に演習についての通知は行っていると報道しています。知事はこの訓練について、いつどのような形で知らされたのか、その際防衛庁に対し、何らかの抗議なり申し入れはされたのかどうか。
第二に、知事が事前に知らされていたとするなら、直ちに地元に周知徹底を図り、安全が確保されるよう万全を尽くすべきであったと考えますが、なぜそうされなかったのか。
第三に、漁場にまで平然と押し入って訓練するなどは絶対に許せないことであり、知事としてこうした事態を重視し、直ちに防衛庁に抗議し、今後二度とこうした事態を招くことのないよう厳重に申し入れをすべきでありますが、そのお気持ちがあるのかどうか、お尋ねいたします。
次に、国民健康保険問題についてお尋ねいたします。国保をめぐってはかつてなく厳しい、いわば危機的といってもよい状況が広がっていると言っても過言ではありません。とりわけ保険証が交付されていない未交付世帯の広がりは深刻であります。例えば、名瀬市においては、現在千七百世帯を超える世帯が保険証を持っておりません。これは、国保加入世帯の約一五%、全世もの一〇%にも達する数字です。これだけの家庭が、今医療を受ける権利を奪われているのです。名瀬市におかれては、保険証を交付しているんだ、ただ呼び出しをしても市役所に取りに来ないんだと、このように言っておられるそうですが、しかしながら取りに行くにも行けないのです。窓口には、保険証と印鑑と滞納の税金を持ってきてくださいと書いてある。幸い最近から、滞納分は後回しでも認めることになったそうですが、現年度分の保険税一ヵ月分持っていって、ようやく一ヵ月の期限つき保険証がもらえるというのが実情なんです。お金を持っていかなければ保険証はもらえないので、持っていっても持参した額に見合った短期の期限つき保険証しかもらえない。昨年十一月、名瀬市内の病院に入院したある患者さんは、二週間の期限つき保険証しか持っていなかった。当然治らなくても中途退院をしたわけです。今、実費で病院にかかる人がふえています。しかし払えないものだから、病院への滞納もふえる。当然我慢して病院にもかからない病人もふえているということです。まさに国民皆保険制度はどこに行ったのかという状況が広がっているのです。貧乏人は医者にも行くな、金の切れ目が命の切れ目ということなのかと、心からの憤りを禁じ得ません。
そこでお尋ねいたします。
第一点は、国民健康保険法によれば、保険証はまず交付すること、滞納のいかんにかかわらず、交付が大前提でなければなりませんが、県当局の御見解をお聞かせいただきたいのであります。
第二点、昨年十月二十八日の衆院社労委、地行委連合審査会における我が党の経塚議員の質問に対し、下村保険局長は、今回の制度は、つまり資格証明書の発行のことですけれども、あくまでも悪質滞納者を対象にして設けられたものであり、納める意思があって納められないという事情が明らかな者については、保険証取り上げの対象とすることは絶対にないと明快に答弁をしておられます。保険税を払う意思があっても払えない人に保険証を渡さない。金を持ってこなければ渡さない。二週間、あるいは一ヵ月といった長短期の期限つき保険証が大手を振ってまかり通る。こうしたやり方は人道にも反するものであり、明らかな違法行為です。直ちに是正されなければならないと考えますが、いかがでしょうか。
第三に、県としても、目下県下の保険証未交付状況について調査をされているとお聞きしていますが、一日も早く実態をつかみ、まず交付が前提との立場に立って、未交付状況を早急になくすよう各市町村を指導されるべきと考えますが、前向きの御答弁をお顧いいたします。
第四に、保険税が高くて払えない、このような状況がかつてなく広がっています。各市町村の状況を見ながら、県としても、市町村への独自の援助をすべきではないか。また、国に対して国庫補助率を少なくとももとの四五%まで戻すこと、医療費の大きな部分を占める大企業本位の薬価基準、医療機器の高価格にメスを入れ、原価を公表させ、値下げさせることなど、強く要求していくべきだと考えますが、お答えいただきたいのであります。
次に、県営住宅の問題についてお尋ねいたします。
鹿児島県公営住宅管理条例第十条によれば、知事は入居者の収入が著しく低額であるとき、また入居者が病気になったとき、災害により著しく損害を受けたときなどには、必要と認める者に対し、家賃の減免、または徴収の猶予をすることができると定められております。ところが今日までこの条例を適用して家賃の減免を受けることができた者は、昨年の豪雨災害被災で入居された人たちを除き、一人もおりません。家賃の減免について、入居者に全く知らされていないばかりか、実施基準もつくられていない。窓口に申し込み用紙も置かれていないという状況であります。家賃の滞納も年を追ってふえています。家賃の値上げも行われました。値上げはしても、困っている家庭に減免は知らせない。これでは、ぬくもりに満ちた県政という鎌田県政の看板に背くのではないでしょうか。直ちに減免条項に基づき実施基準を作成し、必要な人たちに減免が適用できるよう、条件整備を図るべきではありませんか。
また、実施基準策定に当たっては、実効あるものとなるよう留意していただきたいのです。
昭和三十四年十二月八日付の建設省の通達、公営住宅の家賃の減免についての通達を見ても、当時の基準で収入が著しく低いという場合の目安として、生活保護基準額の約一・三倍の金額を示しています。少なくともこれを超える実施基準を早急につくるとともに、減免ができることを入居案内に刷り込む。既に入居している人たちには文書で配布をするなど周知させるとともに、申し込み用紙を土木事務所などの窓口や住宅管理人のもとに置くなど、必要な人が申し込みやすいよう手だてをとるべきであります。
以上について、ぬくもりのある答弁を期待するものであります。
〔
知事鎌田要人君登壇〕
19 ◯知事(鎌田要人君)喜界島通信所の整備でありますが、これにつきましては再三申し上げておりますように、現有施設が老朽化し、旧式化したということから、施設の更新、近代化を図ろうとするものでありまして、既に北海道の東千歳、鳥取の美保、こういったところは整備が終わっておりまして、これ等と同レベルの施設を建設するものであるということでございますので、全く新しいものを持ってくるということではなくて、今あるものの施設の更新と、こういうことで、私の方は受けとめておるわけでございまして、したがいまして、これについて知事として反対をするという気持ちは持っておりません。
次に、P3Cの問題でありまりが、これにつきましても、中期防衛力整備計画に基づきまして、現在鹿屋基地に配備されております対潜哨戒機P2Jの老朽、減耗化に伴い、代替更新、近代化の一環としてP3Cを配備すると、これに関連する通信施設を配置する計画であると聞いておるわけであります。
根占町への受信所の設置につきましては、去る九月二十二日に防衛施設局から町に対しまして、同施設の設置について申し入れを行った旨の連絡を受けております。県といたしましては、これら防衛施設の整備につきましては、地元市町の意向も十分に踏まえながら、適切に対処してまいりたいと考えておる次第であります。
次に、海上自衛隊の演習についてのお尋ねでありますが、これにつきましては、八月の二十八日付で県で受理をいたしましたが九月の二日であります。林務水産部長あてに海上自衛隊佐世保地方総監部防衛部長名で通知が参りまして、これは御案内のとおり、毎年一回、日本海沿岸、東シナ海沿岸及び太平洋沿岸の海域で行われておるわけでありまして、共同訓練は五十六年度から実施をされて、今回で七回目ということのようであります。この演習の実施につきましては、演習の計画及び実施に当たっては、民間の船舶、航空機の航行及び漁船の操業状況等を事前及び演習中に調査するとともに、民間船舶漁船等のふくそうする海域の使用を極力避けるよう配慮し、事故防止に万全を期するということになっておりますが、本県といたしましては、この通知を受けまして、九月五日付で沿海の奄美海域を含む沿海七十四組合、すなわち海に面した全漁協に対しまして、部長名で通知をいたしたところであります。
以上、全体を通じまして、私は国の自主独立と平和と安全、自由と、こういったことを守るのは、やはり自分の国は自分の国で守らなければならない。自分の国だけが丸裸でですね、先般私も中国に行ってまいりましたが、中国はただいま四つの現代化の中で、軍事の現代化を一生懸命やっておる。どこもやっておる中でですね、この厳しい国際政治の現実の中で、日本だけを丸裸に置くということが現実的かどうか、これは大いに議論をされるべき問題である。ただ何でもかんでもこういうものは平和と安全に反するということでですね、拒否することが果たして真に日本の独立と国民のかけがえのない自由と平和を守ることになるのかどうか、ここはよく議論をなされなければならないところであろう、一言つけ加えておきます。
20 ◯教育委員長(今村節子君)文部省の通知は、教育基本法違反ではないのか、またこれに基づいてとった県教育委員会の対応をどのように考えているのかとのお尋ねでございますが、一国の元総理大臣の逝去に際し哀悼の意を表することが、特定の政党を支持するための政治活動とは考えておりませず、教育の中立性を侵すことになるとは考えておりません。したがって、国の協力要請を受けまして、関係者に通知したところでございます。
21 ◯教育長(濱里忠宣君)文部省の通知は、一国の元総理の逝去に際し、広く哀悼の意を表するという趣旨のものであり、またその周知方を依頼する内容でございましたので、市町村教育委員会や関係機関に通知いたしました。
なお弔慰の表明は、通知の趣旨を受けて、それぞれ個人の意思で行ったものでございます。
22 ◯県民福祉部長(松林康文君)国民健康保険の加入者に対しましては、保険証か資格証明書のいずれかが交付されることになっておりますが、ほとんどの市町村におきまして、窓口や地区公民館等で直接手渡ししているところでございます。
資格証明書の発行は、滞納のみを事由とすることのないように、納付相談等を通じまして、実態を把握して納得の上交付するよう指導しているところでございます。しかし、市町村の呼び出しに応じない人でありますとか、あるいは所在不明等の事由により、未交付になっているものも見受けられますので、その点はさらに実情を把握し、未交付事由の解消に努めるよう指導しているところでございます。
国保財政は、医療の高度化、高齢者の入院の長期化等により、医療費が増大し、収支が悪化して、国保事業の運営は憂慮すべき状況となっております。このため、国におきましては国保問題懇談会を設置して、国保に関する諸問題について検討中でございます。国保制度を充実し、健全に推進しますことは、国の責任においてなされるべきことでありまして、市町村国保会計に対する県費の補助は考えておらないところでございます。
23 ◯土木部長(内田勝士君)県営住宅の家賃の減免につきましては、鹿児島県公営住宅管理条例並びに同施設規則に定めるところによりまして、特別な事情がある者につきましては、本人からの申請に基づき、家賃の減免を行うこととしているところでございます。
御承知のとおり、昨年七月の鹿児島市集中豪雨の被害者で県営住宅に入居された方に対しまして、同条例の規定に従い、家賃の減免を行ったところでございます。今後さらに家賃減免の適切な運用を図るとともに、不十分でございますれば周知徹底に努めてまいる考えでございます。
24 ◯祝迫かつ子君 まことに驚くべきような答弁が繰り返されておりますけれども、まず、知事にお伺いいたします。
さきのシーレーン防衛の訓練についてですけれども、これについては、九月二日に通知といいますか、受理をして、各漁協に通知をしたと、こういうことでございますけれども、その自衛隊から参りました通知の中身ですけれどね、話を聞きますと、今の知事の答弁にもありましたけれども、日本海の沿岸、太平洋沿岸と、今度は東シナ海の沿岸、非常に漠然としているわけですね。どの、ここのどこのところでどういう訓練をするのか、そういうふうなことについては何一つ触れられていないわけです。
また、漁民とかですね、そういうものに対しては、余り影響がないように配慮をすると、こういうことでございますけれども、今回の事態を見ますとね、まさに影響がないどころか、漁場にまで入り込んでですね、そしてまさに第二の日昇丸事件さえ起きかねないような、命が脅かされるようなね、そういう事態も引き起こしているわけです。この事態をまことにゆゆしいものと言わなくてはいけないわけですね。ですから、防衛庁に対してですね、知事として、県として、この事態に対しどういう態度で臨むのかというのが、今非常に問われているというふうに思うんです。
第一にはね、もっと防衛庁からも詳しい内容、どういう地域で、海域で、どういう訓練をするのか。その近くにはどういう漁場もあると、だからこの辺にはとりわけ周知徹底をしないといけないとか、そういう詳しいものを求めるべきですね。これについて、どのように考えらるのか。もっと基本的に言えば、やはり演習はするなと、鹿児島県内でですね。そういう申し入れが一番いいと思いますけれども、それとともにですね、もし演習をするときは、一般に影響のない、限られた範囲でしなさいと。その場合は、こういうふうに詳しい通知もよこせと、こういうことをですね、ちゃんと防衛庁に要求をすべきであります。
また、最も周知徹底をされなければいけないのは、各漁民であるわけですね。まあ漁協には通知をした、漁協から漁民にどのように徹底をされているか。その辺についてもよく調査の上でですね、可能な限りにおいてマスコミにも協力をしてもらう。また、漁協だけではなくて市町村役場ですね、そういうところへも周知徹底させながら、今回のようなことが二度と起きないように、防衛庁に対して知事としてですね、県民の立場から厳重な申し入れをすべきであるというふうに考えますけれども、その辺についての知事のお考えをもう一度お聞きしたいと思います。
25 ◯知事(鎌田要人君)事柄は防衛訓練の問題でありますので、全部それを公開をして訓練をするということでは、これは訓練の目的が果たせない。ある程度はやはり一般に公表できない前提の中でやられておることだと思いますし、こういった防衛訓練という問題につきましては、やはり漁業なり、あるいは住民の生業なり、生命、身体、こういったものを十二分に配慮すべきことは、これはもう当然のことでありまして、またそういうことに十全の配慮が行われておると思います。したがいまして、今後私どもといたしまして、この点について、御指摘の点は十分念頭に受けとめておきますが、今これでですね、具体的にどういうことを申し入れをするということは考えておりません。
26 ◯祝迫かつ子君 現にですね、今回の事態というのは、漁民が大変大きな影響を受けている。イカ釣りをしていた人たちが恐怖さえ覚えると。漁場に行くのに、この軍艦に妨げられて三、四十分も時間がおくれたとか、さまざまな影響が出ているわけですね。これはもう現実のことなんです。ですから、防衛庁が影響がないように配慮をするとか言いましても、現実に漁場にまで踏み込んできているというのは、もう事実として明らかになったわけですね。この事態に対して、やはり知事としては、防衛庁に厳重な申し入れをされるべきだと、この事実に基づいてですね。その点について、もう一度知事がどうされるのか、はっきりお答えいただきたいと思います。
27 ◯知事(鎌田要人君)どこの地点でどういうことがあったということを私に教えていただけませんか。具体的に。どこの海域で、どこの漁協のどういう漁船で、どういう人がどういう目に遭ったと、これを教えてください。それは、今そこでおっしゃらなくて、書いたものでください。
28 ◯祝迫かつ子君 これは、後でそれでは文書で差し上げますけれども、また現地の漁民の実際の名前も新聞に出ているわけですね。よく新聞など注意して見ていただいて、調査をしょうと思えばすぐにでも調査できるんです。私がここで質問したからといって、いかにも挑戦的にですね、私に対してそれを文書で出せと、こういうふうなことはですね、当然許されるようなことではありませんね。よく県として調査をしていただきたい。そしてその上で対処していただきたいと、こういうふうにお願いいたします。
それから(「いや、ちょっと、あなたのそこで具体的に事実をつかんでおられるわけですから、それを私に教えてくださいと」と呼ぶ者あり)
29 ◯議長(
原田健二郎君)ちょっ待ってください、知事、知事。
30 ◯知事(鎌田要人君)それに基づいて、私の方でこういう事実があったかどうか確かめますよ。だから、具体的な事実を私にくださいというお願いをしているわけです。誤解のないように。
31 ◯祝迫かつ子君 二十七日付の南海日日新聞に詳しく出ておりますので、ぜひそれも参考にしていただきたいと思います。(「いや、あなたの資料をくださいと」と呼ぶ者あり)
県営住宅の問題について、土木部長に、私は実施基準をぜひつくってほしいということでお願いをしましたけれども、この点についてのお考えが御答弁から漏れているというふうに思いますので、その点についてお尋ねいたします。
また、国民健康保険の問題ですけれども、自民党の方から大変やじが飛びましたが、金を払わないのに保険証をよこせとは何事だと、これが皆さんのお考えかもしれませんけれども、今ね、国民健康保険税で大きな問題になっているのは、高過ぎて払えないと、こういう状況なんですね。ですから、保険料の交付の保険税を納める問題については、各市町村で努力をされて、納付相談もされております。しかしながら、その納付相談がですね、納付相談を市に、市役所に行こうと思っても、お金がないとどうせ保険証はもらえないと。だからね、行けないという状況があるわけです。その点について、もうちょっとですね、関係部長の前向きの御答弁がいただきたいんですね。交付がまず大前提でなければならないと思うが、その点についてどう考えるのか、お聞きしておりますので、その辺についてはっきりと県の見解を示していただきたいと思います。
32 ◯土木部長(内田勝士君)ただいま答弁申し上げましたように、家賃の減免につきましては、周知徹底に努めてまいる考えでございますが、各県でもいろいろその点研究されておるようでございますので、今後研究してまいりたいと考えております。
33 ◯県民福祉部長(松林康文君)健康保険の保険証の交付につきましては、先ほども申しましたように、市町村におきましては窓口、あるいは地区公民館等で手渡しているわけでございます。しかしながら、呼び出しに応じない人、あるいは所在不明等の事由によって未交付の事例もあるということでございますので、なぜ呼び出しに出てこないのか、そして納税相談も十分やって、実情に応じて交付するように指導しているわけでありますから、その点をさらに応じていただくように、またその納税相談につきましても、実情をきちんとお話ししていただくように、その点を市町村にも指導してまいりたいと思います。
〔祝迫かつ子君登壇〕
34 ◯祝迫かつ子君 いろいろと御答弁をいただきましたけれども、特に国保の問題については、非常に今県民、もう安心して医者にかかれないと、こういう状況も広がっている、非常に憂慮すべき事態があるわけでございます。今、部長の方から御答弁ありましたけれども、やはりまず交付をして、そして納付相談をして、納税については相談をしていくと。悪質なものについては法律でも定められましたから、それは資格保険ということになるのかもしれませんけれども、とにかくまず交付が前提だと。その立場に立って、市町村を指導していただきたい。このように再度強くお願い申し上げ、この問題につきましてはまた委員会もございますので、委員会でも取り上げていきたいと思います。
次に、婦人問題であります。
政府は国連勧告を受けて、一九七七年に女性の地位向上のための十年計画、国内行動計画を策定したのに引き続き、この五月、西暦二〇〇〇年に向けての新国内行動計画を策定いたしました。この間、国民世論の高まりを反映して、女子差別徹廃条約の批准、民法の改正、男女差別、定年制の是正、国籍法の改正など、一定の改善が図られてきました。しかしながらその一方で、平等を口実にした労基法の改悪を初め、数々の反動的改革が行われ、保育所予算の大幅削減、福祉の切り捨て、賃金格差の拡大、パート、派遣労働者の増加など、女性を取り巻く状況が悪化してきております。我が県においても、一九八一年六月に鹿児島県婦人対策基本計画が策定され、男女平等への啓蒙、啓発の促進を初め、一定の取り組みが行われてきております。しかしながら一方では、妊婦検診の回数削減など、事務事業の見直しという名の施策の後退も行われ、婦人を取り巻く状況はまだまだ厳しく、本格的取り組みはまさにこれからと言っても過言ではありません。
そこでお尋ねいたしますが、第一に、県におかれましても基本計画の到達点を明らかにするとともに、その到達点に立ってのより発展的な立場から、西暦二〇〇〇年に向けての鹿児島県行動計画を策定すべきであると考えますが、お考えをお聞かせください。
第二に、婦人問題をより積極的に推進するために、以前も要求したことがあります専門窓口、婦人課の設置が重要であると考えるものであります。御答弁をお願いいたします。
第三に、各種審議会等における婦人委員の比率が一〇%という目標に対し、いまだ七%にとどまっていることは重要です。特に各種行政委員会においてはわずかに一・二%、婦人委員は教育委員会に一人のみというありさまであります。女性の県職員への採用をさらに進めるとともに、婦人の政策決定の場への参加促進の立場から、各種委員会、審議会の比率を一日も早く一〇%を超えるようにするとともに、県幹部への積極的登用を一層進めるべきでありますが、御決意をお聞かせください。
次に、パート労働問題についてお尋ねいたします。六十年十月一日から開設されたパートバンクは、ことし四月から八月までの新規求職申し込み件数が四千三百七十三件と、相変わらずの盛況ぶりを示しています。ところがこのパートバンクは、現在正規職員はわずか一名、相談員は全員嘱託で、しかも五名しかおりません。完全な人手不足であり、そのため本来の求人求職の業務さえ十分にできない、職業紹介がその場限りのものにならざるを得ず、求職者に対する十分なサービスができないと、現場でも悩みの声が聞かれております。職員の増員は急務であり、これなくしてパートバンクの開設の本来の目的も達成することはできません。
第一に、パートバンクの体制強化を国に強く要求するとともに、県としても県職員の配置を断行すべきであると考えます。
第二に、パートバンクが単に求人、求職の業務だけでなく、パート問題の総合的なセンターとしての役割を果たすことができるように、体制強化の上に立って、パート一一〇番の設置を強く要求します。
第三に、パートバンクの求人状況を見てみますと、パートで求人はしているけれども、そのほとんどは七、八時間の長時間労働の求人です。安く使うためにパートで募集するという、パートへの誤った理解に基づく求人となっていることがはっきりと示されています。こうした誤った通念を打破し、パートタイム労働者の諸権利を拡充していくための行政の責任は極めて重大であります。昭和五十九年に労働省が策定したパートタイム労働対策要綱の具体化が急務であります。
そこで、まず第一に、パートに対する正しい知識を普及するために、雇用者と労働者に対し、わかりやすいパートタイムハンドブックを作成し、普及すること。
第二に、婦人少年室などとも協力して、労務管理講習を実施すること、雇用労務相談の充実を図ること。
第三に、パートタイム職業教室の内容を一層充実し、開催ももっと広く周知徹底を図り、参加者をふやすなど、取り組みを強めるべきであります。
以上について、御答弁をお願いいたします。
次は、障害児問題に移ります。
まず最初に、鹿児島養護学校のスクールバスの件について、この件は、昨年六月議会でも取り上げましたが、再度質問いたします。
先日私は、このスクールバスに子供たちと一緒に乗せてもらい、一巡してみました。養護学校を出たのが朝六時五十分、七時に最初の子が乗り、途中で二十八名の子どもたちを乗せ、再び学校に着いたのが八時十分、最も長い子で一時間十分の乗車です。子供たちの中には、抱きかかえなければ乗れない、かなりの重度の子も多く、ある程度の慣れはあるかもしれませんが、やはり一時間もの乗車はかなり大変だ、せめてこの子供たちの通学時間が三十分以内で済むようになればよいのにと痛感いたしました。バス乗り場まで車で父母に連れられてくる時間も考えると、かなりの長時間、通学のためにかかることになるわけですから、肉体的ハンディを持った子供たちのことを考えると、何としても増車していただきたいと再度要求し、御答弁を求めます。
さらに、スクールバスの運転のためには、大型二種の免許のほか、安全管理と整備を加えて三種類の免許が必要であります。来年三月で退職が予定されている現在の運転手の方の後をどうするのか、今から準備をしないと、四月からバスが走れないということにもなりかねません。同乗してみて、養護学校のスクールバスの運転手さんの任務の重要さ、大変さも痛感したところですが、子供たち一人一人の体の具合をよく知りながら、乗りおりのときも適切な援助をしておられる。民間委託などということは絶対にしてはならないと考えるものですが、どのようにお考えなのか、教育長の御答弁をお願いいたします。
次に、伊敷養護学校と整肢園の改築移転が計画され、実施設計の段階になっていますが、後に憂いを残すことのないよう、でき得る限りのよい施設をつくっていただきたい。こうした立場から二点ほど要望し、御答弁を求めます。
一つは、スロープの取り着けについてであります。非常時の避難用には四ヵ所、らせん状の滑り台式のスロープを取りつけるとお聞きしておりますが、日常的に子供たちが車いすに乗ったまま、自由に外への出入りができる、非常時にももちろん役立つスロープの取りつけは、肢体不自由児の養護学校には欠くことのできない重要なものではないでしょうか。車いすの子供たちが、エレベーターの順番を待っているうちに休み時間が終わって、外に出て遊ぶこともできなかったなど、スロープがなければ日常的に子供たちが外に出て遊ぶ権利を奪うことにもなるのです。車いすで自由に外に出入りできる緩やかなスロープ、これはきれいな玄関より、立派な花壇より、何より優先して、そのための敷地を確保していただきたいのです。今のところスロープの計画はありません。大変片手落ちであり、現場の教師、専門家の意見などよく酌み上げて、ぜひとも取りつけていただきたい。
いま一つは、狭い敷地ではあるけれども、いかにして子供たちの教育の場、生活の場としての環境をつくるかということです。中庭は、子供たちが自由に出入りして遊べる場所にしてほしいと思います。砂場、小さな池、自由に寝転べる芝生、木一本回りに植えるにも、四季とりどり子供たちの生活と密着した木を選ぶなど、十分に、配慮して、長期間施設にいる子、ハンディを持った子の生活に色どりを与えてほしい。立派な花壇はなくとも、子供たちが自由にいろんなものを育て楽しめる学級園が少しでもあればと思うのです。狭い敷地だからこそ、子供たちの生活と教育にとって何が真に必要かという観点でつくっていただきたい。以上について、前向きの御答弁を求めるものであります。
農業問題につきましては、これまでの代表質問で各党多角的に取り上げられました。農業を取り巻く状況が厳しいだけに、農家の方たちの利益を少しでも守るよう、きめ細かな配慮が必要であります。この観点から、二点について質問いたします。
まず第一に、転作奨励金の支給についてであります。転作奨励金は、通常九月から十月にかけて概算が出され、十二月に精算、二月に必要があれば微調整が行われ、二回ないし三回に分けて支給されるとお聞きしております。ところが農協によっては、概算金の支払いをせず、十二月に一括支払うところがかなりある。しかも場合によっては、農協の御用納め、十二月二十八日以降に農家の預金通張に振り込まれるため、正月の費用に使おうと思っても使うこともできない、こうした状況が見られるというのであります。額はそれほどでなくても、農家にとっては貴重な収入であり、概算のときにもきちっと払う、十二月には少なくとも二十日ぐらいまでには振り込めるようにする、このように改善を図っていただきたい。必要な指導もしていただきたいのであります。
第二に、田んぼにかかる固定資産税についてであります。減反によって荒れ地同然になっているところでも、田んぼ並みの固定資産税がかけられているという状況が各地で見られます。地方財政法でも、現況に基づいて評価し、その権限は市町村長が持つと定められていますが、農地にかかる固定資産税は、たとえ地目は田になっていても、現況に基づいて、例えば原野同然であれば雑種地あるいは原野として評価し、税を軽くすべきだと考えますが、県としての御見解をお聞かせいただきたいのであります。
時間がございませんので、あとまとめて質問いたしますけれども、一点は市農協問題についてであります。大変な労働基準法違反の行為が、今労働強化のもとでまかり通っているともお聞きしておりますけれども、問題は、市農協にもと勤めていた職員、これで解雇された方もいますけれども、幾ら田上農協に途中であきがあっても、希望しても田上農協に入れていただけないと、こういう状況があるとお聞きしているわけです。希望者については優先して、これまでの事情からも田上農協に雇い入れるべきだと、これについて県の御見解をお尋ねいたします。
また、石播の問題ですけれども、これについて知事はいろいろと答弁をなさいました。この時点でまだはっきりしない、これではあまりだと思うんです。期限である来年三月までの進出のめどが立たないことはもはやはっきりしておりますので、県としては買い戻す、その立場に立って直ちに検討を始めるべきでありますが、御答弁をお願いいたします。
次に、国立病院の統廃合問題ですけれども、この法案が残念ながらさきの国会で通過をいたしました。しかしながら知事は、国立病院の統廃合については断固反対をしていく、このようにこれまで御答弁をされております。鹿児島県内の国立病院、この存続について知事として、国に対してもこれまで以上に強く働きかけていただきたい。その立場に立って、ぜひ前向きの御答弁をいただきたいと思います。
35 ◯議長(
原田健二郎君)答弁時間があと──答弁時間というわけじゃありませんけれども、限られた時間があと約十分でありますから、答弁される方は七名であります。配分をお考えいただいて、御答弁願いたいと思います。
〔
知事鎌田要人君登壇〕
36 ◯知事(鎌田要人君)簡単にお答え申し上げます。
西暦二〇〇〇年に向けての県の行動計画でありますが、これは国がつくりました新国内行動計画とほとんど同じ趣旨のものを、いち早く県では昭和六十年度の新総合計画の中で、百四十六ページ以下に、こういった行動計画に対応するものを既に定めておるわけでございまして、これに基づきまして、今後実施細目の中で適宜調整しながら、時代に対応した婦人対策の推進を図ってまいりたいと存じます。
次に、婦人課の問題でありますが、御指摘のようなこともありまして、青少年課を青少年婦人課に改組をし、婦人担当の専任職員を置き、また婦人担当参事を配置すると、婦人母子係を設置すると、こういった一連の機構改革も厳しい情勢の中で、婦人対策の総合的な推進体制をつくってまいっておりますので、課をふやすということよりも、現在の体制の中で、婦人対策の充実を図ってまいりたいと存じます。
次に、女性の県職員の採用につきましては、競争試験及び選考試験等の結果に基づきまして、性別を問わず職務ごとに最適の人材を確保することとしておりまして、昭和六十一年度でも百四十八名、全採用者の中の三四・七%が女子職員でございます。また、幹部職員の登用につきましても、同じく課長職以上が七名、係長補佐級が五百十九名、五百二十六名ということで、役付率は約一三%でございます。そういったことで、今後とも個々の職員の能力や経験等を総合的に勘案いたしまして、公平適正に処遇をしてまいりたいというふうに考えておる次第であります。
それから、石播の問題につきましては、再三お答え申し上げておりますように、現在石播側におきましても検討中でございますので、もうしばらく時間をかしていただきまして、私どもも石播との折衝を重ね、私どもの考えも整理をいたしまして、議会の御意向を伺いながら、最終的な判断を適切にしてまいりたいと考えておる次第でございます。
37 ◯県民福祉部長(松林康文君)婦人の各種審議会における参加につきましては、一〇%を目標に積極的登用を関係部局及び市町村に要請してきたところでございますが、その結果、五十七年、県における審議会の婦人委員は五・八%ありましたものが、六十一年には七%になりまして、同じく市町村でも五十九年三・三%から六十一年には三・五%と上昇してきております。今後ともあらゆる機会を通じまして、積極的に婦人の政策方針等決定の場への参加促進を図りたいと考えております。
整肢園の建設に絡みまして、スロープをつけろというお話でございますが、車いす等の利用の上下階移動を安全かつ容易にする方法といたしましては、エレベーター、エスカレーター、ステップリフト、スロープ等がありますけれども、お話のスロープは非常に広いスペースを要しますし、また児童の能力では利用上問題はなしとしない点がありますので、安全でかつ使いやすいエレベーターを設置することにしております。このエレベーターにつきましては、かごの寸法、出入り口の幅、押しボタン等、車いす利用者が利用しやすいように工夫して考えております。
また、整肢園と伊敷養護学校の間の中庭につきましては、これは単なる眺める空間ではなくて、子供たちが自由に出入りして憩い、遊べる空間、いわば屋根のないホールとして想定し、子供たちの施設の思い出をつくれるようなものをつくってまいりたいと考えておる次第でございます。
38
◯商工労働部長(落合俊雄君)パートタイマー労働者についての何点かのお尋ねでございます。
まずパートバンクの職員でございますが、鹿児島パートバンクは鹿児島公共職業安定所の内部組繊でございまして、年々パートの需要が高まりつつありますことから、これまでも必要に応じまして、国に職員の同意について要望をいたしているところでございます。
それから、パート一一〇番の設置をしろという御要望でございますが、パート問題をめぐります各種の問題につきましては、労働基準局、婦人少年室などと十分連携を図りまして、処理してまいりたいと存じます。
それから、次にハンドブック等を作成しろというお尋ねでございますけれども、五十九年十二月に、労働省が策定いたしましたパートタイム労働対策要綱に基づきまして、労働条件の明確化、労働時間などの適正化、雇用管理の適正化等につきまして、求人者及びパートタイム就業希望者に対しまして、パートバンク窓口での指導、パンフレットの配布等によりまして、啓発活動を行っているところでございます。
次に、雇用者への労務管理講習でございますが、パートタイム労働者とフルタイム労働者とは、労働基準法などの労働関係法令の適用について異なるものではございませんので、雇用主に対しましては、労働基準局、婦人少年室などの関係機関とも協力いたしまして、その趣旨の徹底については、これまでも努力してまいりましたけれども、今後とも努力してまいりたいと存ずる次第でございます。
それから、パートタイマーの職業教室についてでございますが、鹿児島パートバンクにおきましては、労働市場の状況、労働関係法令の知識、職業の選択方法などに関しますパートタイマー職業講習会を、労働基準局、婦人少年室の協力を得まして開催をいたしているところでございまして、今後とも本講習会の積極的活用を図ってまいりたいと存じます。
39 ◯教育長(濱里忠宣君)鹿児島養護学校の通学バスにつきましては、児童生徒の通学の状況等を考慮しながら運行しておりますが、送迎距離や通学所要時間等から、通学が困難な者には寄宿者の活用を図っているところでございまして、現在のところ通学バスの台数をふやす考えはございません。
なお、通学バスの民間委託の問題につきましては、諸般の事情を勘案して検討しているところでございまして運転手の補充につきましても、これとの関連において検討してまいりたいと考えております。
40 ◯農政部長(日高一夫君)転作奨励補助金の支払いにつきましては、お話のございましたように、概算払いを十月まで、残りは十二月に精算払いということで、例年支払いが行われておるところでございます。本年も年内のできるだけ早い時期に支払いがなされますように、県としても指導してまいりたいと存じます。
なお、田上農協への市農協職員の採用につきましては、組合員であると否とにかかわらず、採用に差別を行わず行われていたというふうに聞いております。
41 ◯総務部長(澤井安勇君)固定資産税の評価におきます地目の取り扱いについてですが、これについては土地の現況及び利用目的に重点を置きながら、土地全体としての状況を観察して、認定することとされております。
御質問の休耕または耕作している田の場合でございますが、これが仮に畑作物等に転作した場合におきましては、田の耕地設備の有無、それから植えられました作物の種類など、個別の土地の具体的状況によりまして、田であるか畑であるか認定することとなります。この場合に、一時的な休耕状態にあるものを含めまして、その耕地の形態が湛水設備や用水を供給し得るような設備がそのまま残っておりまして、いつでも田として利用し得る状態に置かれているときには、仮にそれが一時的休耕であったとしても、田として認定する取り扱いとなっております。
御質問の荒れ地云々ということでございましたが、休耕によりまして全く耕作がなされず、長期にわたって放置され、農地に再び復元し得ないような状態にある場合にのみ、雑種地として認定されることとなっております。
42 ◯保健環境部長(有川 勲君)さきの国会におきまして成立いたしました国立病院等の再編成に伴う特別措置法でございますが、これは国におきます再編成計画の実施の条件整備を行ったものでございますけれども、県としましては、従来どおりの方針を堅持いたしまして、地元市町とも連携をとりながら、引き続き国に対する要望をしてまいる考えでございます。
43 ◯祝迫かつ子君 一点だけお尋ねしておきますけれども、パートバンクの問題で、パートバンクに県の職員の配置を、ぜひお願いをしたいと、これについての御答弁はありませんでしたが、どのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。
44
◯商工労働部長(落合俊雄君)先ほど御答弁申し上げましたように、鹿児島パートバンクは、鹿児島市公共職業安定所の内部組織でございまして、必要に応じまして国の職員の増員を国には従来から要請しているところでございまして、国の職員の派遣ということをまずお願いをしたいと、我々考えておるわけでございます。
〔祝迫かつ子君登壇〕
45 ◯祝迫かつ子君 いろいろと御答弁をいただきました。非常にまだ御答弁も不十分であり、お聞きしたいことはたくさんございますけれども、時間もございませんので、きょうの質問はこれで終わらせていただきます。(拍手)
46 ◯議長(
原田健二郎君)ここで、休憩いたします。
再開は、おおむね午後一時十分からといたします。
午後零時 四分休憩
─────────────
午後一時十一分開議
47 ◯議長(
原田健二郎君)再開いたします。
小川久志君に発言を許可いたします。
〔小川久志君登壇〕(拍手)
48 ◯小川久志君 質問通告に従いまして、ただいまから個人質問をさしていただきます。
ぬくもりに満ちた偉大な鹿児島の創造をスローガンとされ、着々と実績を積み上げてこられた鎌田県政も発足十一年目に入り、今任期中の知事の政策予算の編成もあと昭和六十三年度の当初予算に限られることになりました。三期目、鎌田県政の締めくくりの意味で明年度予算編成に対する鎌田知事の積極姿勢と気配り県政の展開に大きな期待と関心を寄せるものであります。
国においては、八月末で昭和六十三年度予算の概算要求を締め切り、年末の予算編成まで査定作業が行われ、予算獲得の攻防戦が展開されるところでありますが、既に本県においては、県
開発促進協議会において明年度の重点要望事項を取りまとめ、中央省庁への陳情がなされており、知事もまなじりを決して要求実現に努力するという積極姿勢が示され、その成果を期待するものであります。
ところで、今日我が国をめぐる内外情勢は依然として厳しいものがあります。国民の生きがい志向、ゆとり志向、多様化、個性化志向などや日米貿易摩擦、円高不況、内需拡大方策の取り組みなど、日本が国際化という大きな底流の中で国際的にも国内的にも大きな転換期に立たされていることがうかがえます。特に、我が国当面の政策課題である内需拡大策につきましては、本年五月の六兆円規模の公共投資の拡大と減税を中心とした緊急経済対策が決定され、これまでの財政再建、緊縮財政路線の見直しによる積極財政への転換が示されたところであります。私は内需拡大策の経済的なメリットや政策理論の是非は別といたしまして、当今円高不況の強まる中で対外貿易不均衡の緩和、内需を中心とした景気の積極的な拡大、調和のある対外経済関係の形成はもちろんのこと、社会資本の整備促進、個人資産の充実の上からも国策として決定されたこのたびの緊急経済対策の推進に対し、強く賛意を表するものであります。そこで、私は国の緊急経済対策の柱である内需拡大策について本県の取り組みについてお尋ねをいたします。
第一点は、県は国の内需拡大策を受けて公共事業の拡大と推進を最重点とされ、本年度上半期公共事業の八〇%以上の前倒し執行を初め、九月補正予算で公共事業費、県単公共事業費及び災害復旧事業費、あわせて五百五十七億二千余万円、補正総額の九五・九%を計上され、九州七県の中でも群を抜く大型補正が行われており、県内景気の浮揚、社会資本の整備に向けて積極的な知事の姿勢がうかがわれ、県御当局の御努力を評価するものであります。
ところで、このたびの補正予算の公共事業費の確保に当たって、かねて知事が口癖のように言われている不況地域、後進地域に対する傾斜配分についてどのような対応をされ、その結果は知事として満足されるものであったか、またこのたびの公共事業費による県内景気、内需拡大の効果をどうとらえておられるかお伺いをいたします。
第二点は、内需拡大策の柱として住宅建設、住宅改良等、住宅投資の促進を図るため、住宅金融公庫の融資制度、助成措置の改善拡充、減税措置等が拡充されることと思われますが、本県ではさきに第五期住宅建設五ヵ年計画を策定され、今後五ヵ年間に総住宅建設戸数十一万五千戸、うち四万九千戸が公的資金による建設計画により県民の最低の居住水準の引き上げや、住環境の整備等が進められることになっております。
ところで、今般の内需拡大策による民間活力の導入、優遇措置の拡大、住宅のリフォームの推進指導等により、今後民間住宅の建設が大きく前進するものと建設業界、住宅産業界においては大きな期待が寄せられております。本県の五ヵ年計画の推進に当たって、現計画の変更、見直しは考えられないかお伺いをいたします。
第三点は、内需拡大の一環となる個人消費の拡大について、所得税の減税、賃金等の引き上げとあわせて余暇、休暇制度の積極的な活用が考えられます。本県においても県職員の週休二日制を前提とした四週六休制の試行を十月一日から一ヵ年間実施される模様でありますが、国家公務員、他の地公共団体の職員等の実施状況から見て、至極当然の措置と思われます。ただ実施に当たっては民間との均衡、県民感情等を配慮され、一層の行政能率化を図り、サービス低下にならないよう望むものであります。
ところで、県は個人消費の喚起、拡大について商業の振興、サービス機能の充実、規制緩和など、行政的な対応をどう考えておられるかお伺いをいたします。
第四点は、明年度も景気維持のため内需拡大策として緊急経済対策を着実に推進するため、引き続き国の積極的な行財政の運営が期待されるところでありますが、特に社会資本の整備が立ちおくれている本県においては、財政事情の厳しい中ではありますが、進んで公共事業の確保、民間活力の導入、本県独自の事業の掘り起こし等、積極的な内需拡大策の推進をされるべきと考えます。
明年度の県政運営に対する知事の基本的な考え方をお伺いいたします。
第五点は、内需拡大策と地域振興関連事業についてお伺いをいたします。
私は、冒頭申し上げましたように、もし鎌田知事が今期で知事職を転向されることになれば、知事の政策的な予算編成のチャンスは明年度の当初予算に限られることになります。知事は過去十一年間の実績として県内各地に大型
プロジェクトを設定され、記念碑的な足跡を数多く残しておられるところでありますが、もし、今私どもの北薩内陸部に鎌田知事の記念碑でもと考えてみましても、残念ながら現時点では記念碑につながる実績が全く見当たらないのであります。私は県土の均衡ある発展と鎌田知事の業績を北薩史の一ページにとどめるためにも、今期最後のチャンスである明年度予算において内需拡大、均衡ある県土の発展、辺地対策の大義名分に沿った特別の北薩内陸部の地域開発事業を次の三点に絞って提言をするものであります。知事の御英断を求めるものであります。
第一点は、本県の酪農振興を図るため昭和五十年に大口市山野地内に開設されている県営大口育成牧場を肉用牛のブリーディングセンターとして活用、強化方をお願いしたいのであります。大口育成牧場は、これまで乳用牛の改良増殖センターとして本県酪農振興の上に大きな役割を果たしてきておるところであります。
ところで、今日酪農経営の現状を見ますとき、牛乳消費の低迷、乳製品輸入自由化攻勢など、酪農の前途にも黒い雲がかかってきております。その反面、牛肉については一人当たり消費量は確実に伸びており、将来においてもその可能性があるのは牛肉だけだと言われており、その牛肉を我が国酪農部門で国産の七〇%、全体で五〇%を供給していると言われます。酪農経営の安定向上を考えるとき、乳肉一体で牛飼いの技術を乳牛だけでなく肉用牛にも広げていく必要があると指摘されており、肉用牛生産に対しても積極的な関心と経営改善が求められております。今後、本県の畜産振興の柱となる肉用牛の産地形成を図る上からも、この際大口育成牧場を肉用牛のブリーディングセンターとして活用され、受精卵移植技術等の活用による肉用牛の増殖、育成改良を進め、本県肉用牛生産の振興と当地域の活性化を図られるよう切望するものでありますが、知事の畜産振興と内需拡大の観点からの御所見をお伺いいたします。
第二点は、地方交通線山野線廃止後の敷地の有効利用についてでございます。
私は、さきの議会でもこのことについて大規模自転車道として整備方について当局の見解をただしたのでありますが、土木部長よりこれを自転車専用道路として整備することは採択基準の制約や財政上の問題から困難であると、極めて事務的な答弁をいただいたのであります。私はこのたび本年一月本県廃止地方交通線の第一号となった宮之城線の跡地について、その後の変貌ぶりや管理状況、住民感情等について現地の視察調査をいたしたわけであります。列車がとまって既に九ヵ月を経過していますが、線路は廃止当時に行われた踏み切道からの線路進入防止のさくが施されたままで、鉄路は赤さび、路床にはペンペン草が生い茂り、まことに惨たんたる状況で凋落の悲哀を痛感いたしました。ただ、私が救われましたのは、廃止前の沿線住民の強い反対苦情が現在では全く聞かれなかったことであります。これは、廃止後のバス転換等代がえ交通による足の確保が十分に図られていることはもちろんでありますが、やはり時代の流れで当然かくなるべきものがなったという事実を住民が冷静に受けとめ、観念されたものと思われます。
一次地方交通線の廃線敷地については、やっと売却処分がなされる模様でありますが、宮之城線跡地につきましては敷地の全体的な有効利用の乏しい路線敷地であり、結局は隣接地主に虫食いの状態で切り売りされる以外に方途はないものと思われます。それも、道床の高低の著しい箇所によっては全く使い物にならない部分も相当にあると思われます。今後、私は実にこれらの荒廃した鉄道の残骸跡地を見るに忍びない気持ちでいっぱいであります。
ところで、民営移管後曲折を経て、いまだ廃線になっていない山野線につきましては、跡地利用等を含めて協議会で協議中と承りますが、私は山野線が宮之城線のような無残な姿に放置されないためにも、さきの議会でも提言しましたとおり、地域住民の声として道路など直接有効利用の必要のない国道並行区間の栗野―大口間、二十三キロメートル部分を県または協議会で一括払い下げを受け、時代の要請するサイクリングロードとして衣がえされることを改めて提言するものであります。
自転車道は青少年の健全育成と安全な健康づくりの場として、また都市と農村の若者の交流の場として、将来ともにその効用が期待されます。本県におきましては、知事の御英断によって、既に肝属地区の肝属川河川堤防を利用した大規模サイクリングロードが建設されており、また南薩吹上地区にも海浜サイクリングロードが建設が計画されております。山野線跡地のサイクリングロードへの一部転換は、北薩地域という地域性から見ても、また将来、川内川上流、菱刈金山を取り入れた広域観光ゾーンの一環としても最も適当な跡地利用と信じて疑わないものであります。
知事の政治的な御英断により、この際内需拡大という連れ節でぜひこれが実現方を提言するものであります。
第三点は、大口、伊佐地区の営農改善、技術指導、普及センターの機能をもつ大口農業改良普及所の事務所移転と機能強化についてお伺いをいたします。
現在の大口普及所は、昭和四十五年に大口市有地の提供によって建設されたものでありますが、この敷地はもともと大口市の伝染病の旧避病舎跡地でありまして、文字どおり避病舎にはふさわしく、人里離れた出入り条件の悪い劣悪な環境にあったのであります。たまたま遊休市有地であったために敷地が容易に確保できたという理由だけで、ここに決定されたものと推察いたします。その後周辺開発も徐々に行われてはおりますが、肝心な場所、立地条件はいかんともしがたく、進入道路も現在でも市道三百五十メートル区間が幅員三・二メートルで小型車の離合すら困難な状況であります。これまで所員の普及活動はもちろん、普及所に所用のある車の進入に難渋いたしており、特に初めて訪れる人は、第一この場所を探すのに一苦労というまことに不利不便、非能率な普及所であります。今日、農業情勢の変化に対応して、普及所の役割もますます重視され、特に伊佐地区農業の新しい地域づくりへの取り組みによる普及所に対する期待は大きなものがあり、生産者はもとより管外からの農業事情視察者も累増いたしておりますとき、大口普及所の場所について内外からの苦情、不満が高まりつつございます。本来、普及所は農業者が気軽に立ち寄り、所員も機動的に対応できる環境施設、それに他の行政機関、農業団体、学校、試験研究機関等と隣接し、連携協調が密に行われることが普及効果も上がるものと思われます。これまで大口普及所を県の合庁、もしくは国道筋に移転することについて地元の意見集約もなされたのでありますが、県の財政事情で一蹴されているところでございます。
ところで、本地域には長い歴史と伝統を誇る伊佐農林高校があり、現在二十一世紀を担う農業後継者育成に新しい視点からの取り組みが行われております。この農林高校の周辺部に普及所を移設し、近くの蚕業指導所や落葉果樹、園芸等の試験研究の新たな機能を併設して、学校、行政機関連携による試験研究指導普及活動が行われることになれば、伊佐農業の展望は一段と開けるものと確信をいたします。財政的に厳しいときでありますが、幸いに内需拡大の経済対策が進められていますとき、普及所の移転は絶好の機会であろうかと思います。
以上、地域的な問題に絞って提言をいたしましたが、地域の均衡ある発展を図る上からも、ぜひとも前向きで取り組んでいただきたいと思います。知事の御所見をお伺いいたします。
前段の質問を終わります。
〔
知事鎌田要人君登壇〕
49 ◯知事(鎌田要人君)国の緊急経済対策の実施に伴います公共事業の確保に当たりましては、御指摘のとおり本県の社会資本の整備の立ちおくれを早急に回復すると、また県内景気の浮揚を図るという観点から、この傾斜配分につきましては、おおむね満足すべき予算の確保が図られたと思っております。これに加えまして、県単事業あるいは中小企業の融資等を通じまして県内の全体的な景気の早急な回復に資してまいりたいと考えておる次第であります。
また、昭和六十三年度の県政運営に当たりましては、引き続きまして新総合計画に盛り込まれました諸施策事業の積極的な推進を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございまして、国の内需拡大策、あるいは地方財源の確保にも努めながら道路、港湾、空港等の整備、あるいは河川改修、治山、砂防事業の推進、農林水産基盤の整備など、各種の公共事業の積極的な拡大を図ってまいりたいと思います。特に明年度の国の予算編成におきましては、今度こそ正念場と言われております九州新幹線の問題、あるいは九州縦貫自動車道の早期完成、国家石油備蓄基地、西薩中核工業団地、あるいはこの民間活力の活用も図りながら住宅建設、あるいは
リゾートと、こういった問題に取り組んでまいりますし、また国分・隼人テクノポリスを初めとする地域の企業立地にも積極的に取り組んでまいりたいと、いずれにいたしましても、当面年末の国予算編成に向けまして、県開促協等を通じまして本県県政の重点要望事項として取り上げておりますものの、実現に向けて例年以上に全力を傾注してまいりたいと考えておる次第でございます。
次に、個人消費の拡大の問題でありますが、これにつきましては、何よりも可処分所得をふやしてまいるということがこれが消費の、いわゆる動機づけということになるわけでございまして、これにつきましては、ことし、来年にわたって行われますところの所得税、住民税等の大幅減税、これによりますところの消費刺激効果と、他方におきましてやはりこの県内経済の景気拡大ということによりまする消費の拡大という問題がございますし、また特に県産品等を中心としましてのいわゆる消費しやすい、消費の意欲をそそるような商品の開発、これがセールスということを進めてまいらなければならないと思っておる次第でございます。現在のところは、消費につきましても拡大の傾向にありますし、自動車販売等につきましても、これまでの退勢を挽回しつつあるところでございますので、この勢いを落とすことなく進めてまいらなければならないと思っておる次第でございます。
また、内需拡大のための規制緩和の問題でありますが、これにつきましては、国レベルでの規制が多いわけでありまして、私どもはこの行政改革の中で、やはりこの規制の緩和と、このごろ片仮名ばやりでございまして、デレギュレーションというんだそうでありますが、これをやはり国においても思い切ってやるということが民活につながるわけでございますし、また
地方公共団体がいろいろのことをやります場合にやはり、国のがんじがらめの規制というものも、これが管轄をまた鈍くしておるところもあるわけでありまして、そういった意味での規制緩和ということについて、さらに国にもお願いをし、県の段階でできますものにつきましても、できるだけこれが緩和を図ることによりまして、民活の活用を図ってまいりたいと、これが特に
リゾート開発でありますとか、あるいは市街地の再開発にとりましては必須の前提でございますので、十分に配慮してまいりたい。
次に、大口の育成牧場でありますが、これが今日まで本県酪農の安定発展に貢献してまいりました功績は大きなものがございます。今後、肉用牛につきましては産乳能力の向上というものが要請をされておるところでありますし、肉用牛につきましても当然のことながら産肉能力の高い肉用牛の造成を図っていくと、こういうことでございまして、乳用牛につきましてもいわゆる八千キロ以上の乳用群の育成、いうことで乳量八千キロ牛の造成事業を今年度から県単で新規で始めておりますが、大口育成牧場はそのような環境の中で受精卵の移植技術を活用いたしました高能力の乳用牛の造成や、乳用牛によります肉用の双子生産の技術関発などを進めることによりまして、畜産振興の拠点としてこれが活用をさらに進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
次に、このJR山野線の廃線敷の跡地利用の問題でございますが、これにつきましては現在山野線特定
地方交通線対策協議会におきまして、関連道路の新設、各種施設等の検討が進められておるところであります。
御指摘の、お尋ねの廃線敷跡地のサイクリングロード建設の問題につきましては、御案内のとおり建設省の方で大規模自転車道整備事業につきましての基準がございまして、採択の基準といたしましては、延長とかあるいは自転車の経過交通量がピーク、一日当たり一千台以上あると、あるいは一番この場合に私どもといたしまして対応が難しいと思いますのは、建設は一県一路線ということで、現在東串良に続きまして吹上浜を建設中でありまして、一度に一県当たり二線が工事ができないと、こういう制約がございますので、いささかこの点につきましては、私どもといたしましても対応をしかねておる状態でございます。
なお、この廃線敷跡地の有効利用につきましては、先ほどお話し申し上げましたように関連道路などを初めとしまして、道路整備の促進に極力利用できるように進めてまいりたいと思いますが、この大規模自転車道につきましては、吹上浜ができ上がった段階でないと採択は難しいという状況にありますことにつきまして、御理解をお願いいたしたいと存じます。
50 ◯土木部長(内田勝士君)住宅建設五ヵ年計画についてのおただしでございますが、昭和六十一年度から六十五年度までの第五期住宅建設五ヵ年計画は、国の計画や鹿児島県新総合計画を踏まえ策定したものでございます。
計画戸数の目標としましては、総建設戸数を十一万五千戸と見込んでおります。これは本県の住宅需要の動向を踏まえ定めたものでございまして、適切な目標であろうかと考えております。
本計画は、昭和六十一年度からスタートしたばかりでございますが、六十一年度末の達成率は県営住宅につきましては二五・三%となっており、民間住宅につきましては若干下回っているところでございます。しかしながら、六十二年度に入りまして上向きの傾向になっております。県といたしましては、一連の内需拡大策に呼応しつつ、今後とも県の各種利子補給制度や公庫融資制度の活用等による住宅建設の促進を図り、住宅建設五ヵ年計画の着実な達成に努めてまいる考えでございます。
51 ◯農政部長(日高一夫君)大口農業改良普及所等の移転の問題でございますが、お話しにございましたように、当普及所は昭和四十四年度に大口・伊佐地域農業の指導機関として現在地に庁舎を設置したものでございますが、設置以来、農政の推進方向に沿いまして高度な農業技術の普及でございますとか、農業後継者の育成確保、生活改善等、重要課題を適切に対応してまいって来たところでございます。
ただいま、この落葉果樹の問題につきましてお話しがあったわけでございますが、北薩地域は今日落葉果樹の振興ということに大変熱心な取り組みをしていただいておるところでございまして、県も指導体制を強化する必要があるということを認めまして、本年四月に果樹専門の普及員を配置し強化を図ったところでございます。
ただいま、農業改良普及所、蚕業指導所、こういった機関の一体的な移転の問題につきまして御提言等をいただいたわけでございますが、この問題につきましては、今後のひとつ課題にさしていただきたいと、かように思っております。
〔小川久志君登壇〕
52 ◯小川久志君 第一回の質問に対しまして、知事及び関係部長から御答弁をいただいたわけでございますが、特に知事の方とされましては明年度の予算編成、公共事業の採択、こういうことについて全力を尽くして頑張っていただくというようなことで、大変心強く感ずる次第でございます。特に、明年度の内需拡大という柱に沿った事業採択の中におきましては、県の総合計画が既に示されておるわけでございますが、この総合計画をそのまま執行するというんじゃなくて、重点的に繰り上げ施行までしていただくというような考え方で対応をしていただきたいと思うわけでございます。
本県におきましては、既に農業振興運動ということによって、大きな地域開発、農業振興が図られておるわけでございますけれども、お隣の熊本県等におきましては、熊本日本一づくりというようなテーマのもとに、緑三倍増計画とかというような新しい地域的な運動を進めております。本県におきましても、この農村振興運動を軸として、特に内需拡大という旗印のもとに事業を強力に推進されるように心からお願いを申し上げたいと思います。
それから、内需拡大策において住宅建設というものは非常に景気の波及効果が大きいということで、業界とされましても大きな関心を持っており、今回の内需拡大策によって今までの計画に、さらに幾らかの積み上げがあるんじゃないかと、こういう淡い期待を持っておるわけでございますので、ひとつこの点も積極的に増進されるようにお願いをいたしたいものだと思うわけでございます。
それから、私が知事の記念碑でもつくろうかというような気持ちで三点を申し上げましたが、それまでに通ずるお答えがなかったことを非常に残念に思うわけでございます。しかしながら、サイクリングロードについては、私はこの山野線の廃線敷地に建設がなじまないということであるならば、あの川内川の上流流域というものが立派なサイクリングロード敷地があるわけでございますので、この吹上浜の方が済んだ暁にはぜひともこの北薩の方にひとつ事業を推進していただくようにお願いを申し上げて、その機会まで知事がいらっしゃるときには記念碑を必ずそうするようにいたしたいと思うわけでございます。
それでは、時間の関係がございますので、次の質問に移らしていただきます。
次に、道路交通体系の整備についてお伺いをいたします。第四次全国総合開発計画の決定に伴い、全国一日交通圏実現のために新たに高規格幹線道路網の整備がなされることになり、本県関係では既に御承知のとおり東九州縦貫自動車道と南九州西回り自動車道の組み入れが実現いたし、二十一世紀に向けて本県高速道路交通ネットワークの形成と南九州の経済浮揚発展の上で大きな前進となるもので、本路線の早期建設を心から期待するものであります。
ところで、日本列島を縦貫する高速自動車道は、去る九月九日青森から八代区間二千二キロメートルが三十年の歳月をかけてやっと一本化が実現し、北と南が二十五時間半で結ばれることになり、文字どおりハイウェー時代の到来となりましたが、九州縦貫道の八代―人吉―えびの間六十・八キロメートル区間が未完成のために、南九州は依然としてこの日本列島の大動脈から欠落するわけであります。九州縦貫自動車道八代―人吉間は最大難工事と言われながら、鋭意工事が進められており、昭和六十四年には完成の予定と言われ、これが早期完成に大きな期待を持つものであります。
なおまた、人吉―えびの間は現在地元と設計協議中と言われ、全線完成は七十年代にずれ込み、またこのたび高規格幹線道路網に決定された西回り自動車道もこれからということであります。南九州はそれまで完全に全国交通ネットワークの大動脈から取り残されることになり、南九州の立ちおくれはさらに大きなものと憂慮されます。
ところで、幸いに昭和六十四年に八代―人吉区間が開通することになりますと、私どもの大口市と熊本市は一時間半、北九州市とは二時間余りで結ばれることになり、私どもの大口市は本県の北の玄関口として縦貫道人吉インターへのアクセス道路となる国道二百六十七号線には南九州北薩地域の交通の流れが一斉にこれに集中し、さらに将来においては北九州ルートとしてこのルートが定着することが予測されるのであります。私はこれまで回を重ねて、国道二百六十七号線の早期整備、特に大口―人吉間県境部分のトンネル掘削について要請をいたしてまいっておるところであり、また県当局も前向きで取り組んでいただいておるところでありますが、いよいよ六十四年の八代―人吉間開通に伴う関連道路の整備のタイムリミットというものを考えますときに、改めて国道二百六十七号線の重要度、本県の産業、経済、地域開発に果たす役割を再認識していただいて、早急に対応をしていただかなければ、これが完成後においては手おくれになるんじゃないかというような気がしてならないので、改めてここに知事の御見解をお伺いいたします。
次に、JR山野線の廃止に伴う代がえ交通機関となるバス道路の整備についてお伺いいたします。
特定地方交通線対策につきましては、六十一年七月、四線合同による第一回協議会が開催され、以来各線ごとの対策協議会で協議が進められ、既に宮之城、大隅、志布志の三線は廃止されて代がえ輸送バスに転換されているところであります。残る山野線につきましては、昨年十二月第五回対策協議会において、バス転換やむなしとの意見集約がなされ、バス転換への方向づけがなされたところであります。
ところで、廃止後のバス輸送はより地域に密着し、利便性の高い輪送密度により通勤、通学、通院等の足の確保が図られるものでなければなりません。御承知のとおり、山野線にかかわる代がえ輸送道路といたしましては、本県関係では大口―布計間の県道布計―山野線、西菱刈駅に通ずる町道花北―下手線及び県道出水―菱刈線、下手地区が主な代がえ交通道路となっております。いずれも整備が未完成で交通渋滞等を来しておりますので、これが整備について今後の整備計画をお伺いいたします。
次に、教育行政について教育長にお伺いをいたします。
去る三月に行われました本県公立高等学校入学者選抜学力検査の結果についてでございます。教育委員会が発表いたしましたところによりますと、今回の受験者の総得点の平均点は二百五十三点で、前年度より十一・八点アップしたと言われます。また教科別で見ると英語以外の教科はすべて上昇し、低得点者も減少していることはまことに喜ばしいことであり、関係者の努力を評価するものであります。しかしながら、地区別に見た平均点数には依然として大きな地域間格差があることはまことに遺憾なことであります。もっとも、この地域間の格差は年々縮小してきているところではありますが、今年最高の鹿児島地区と最低地区とでは実に百一・六点もあることは看過できない問題でございます。特に英語、数学において地区間格差が大きくなりつつあるようでございます。標準案に基づき人事異動が行われ、同じ資格を持った教師が県内各地に公平に配置されているにもかかわらず、このような地域間格差が生ずることは、いろいろ原因や背景があろうかと考えます。しかし、この地域間格差を縮めていただくことは我々県民の大きな願いであります。
そこで、教育長にお伺いしますが、県教育委員会はこのような学力の地域間格差を縮めるために、今後どう対処されるお考えかお伺いいたします。
次に、県教育委員会におかれましては、公立高等学校再編整備計画に基づき、時代に即応した特色ある学校、学科づくりに努めてきておられるところでありますが、昭和六十三年度の実施計画案が発表されましたので、ここで要望意見を申し上げたいと思います。
私は、かねてから本県の農業教育の振興に強い関心と期待を持ち、特に昨年十二月議会におきましては、私の地元にあります伊佐農林高等学校の振興策についていろいろと要望、提言をいたしてまいったところであります。
ところで、昨日県教育委員会は公立高等学校再編整備第二次計画の昭和六十三年度実施計画を発表されました。その中で、私はもちろんのこと、学校当局、地元関係者の長年の懸案としてまいりました伊佐農林高校の学科再編計画が大口高校の普通科単独校の再編とあわせて、実現の方向が示されましたことに深い感概を覚えると同時に、改めて御当局の御努力に深甚の謝意を表するものであります。今回、新設されることになりました農業経営科や森林工学科、生活情報科では食品加工からバイオテクノロジー、情報処理の分野まで、幅広い領域にわたって学習し、新しい技術の習得もできるようになると伺っているところであります。当地域は県が進めておられるテクノポリス、バイオポリスやアトムポリス構想のはざまにあって、何かと地域振興策を模索してきておりますとき、今回の二つの高校の再編整備計画は地元の活性化に大きな役割を果たしてくれるものと大きく期待しているところであります。つきましては、今後地域の振興発展に貢献できる人材の育成を図る上からも、名実ともに魅力ある学科、充実した学校づくりとして広く全県からも農林業の自営を目指す若者たちが集まって来てくれるような学校づくりができますよう、特に施設設備の整備、優秀な教職員の確保に格段の御高配を賜りますよう要望いたしまして、私の後段の質問を終わります。
〔
知事鎌田要人君登壇〕
53 ◯知事(鎌田要人君)国道二百六十七号大口―人吉間の整備につきましては、今年度から道路改良事業によりまして大口市街地寄りの木ノ氏工区に着手をしたところでございます。年来の懸案でありますところの久七峠の改築につきましては、熊本、鹿児島の両県にまたがっておりまして、地形的、気象的にも、また利用上からも条件が異なっておりますために、両県で調査を行い、相互に調整を図ってきたところでございます。この改築には長大トンネル及び長大橋梁の構造物が必要でありまして、多額の事業費を要するために、整備手法といたしましては、県施行の補助事業、または国の直轄代行事業、この両面から建設省と協議を進めているところでございます。今後とも、引き続き早期に事業化が図られるように努力してまいります。
また、今年度から御案内のとおり国土総合開発事業調整費によりまして、この大口、人吉地域を含む南九州中部地域整備計画調査が国において実施されることになったところでございまして、本県といたしましてもこの中で、この路線の位置づけとその整備方策について成果が得られるように働きかけてまいりたいと考えておる次第であります。
54 ◯土木部長(内田勝士君)JR山野線廃止に伴いますバス転換の代がえ輸送道路につきましては、山野線特定
地方交通線対策協議会会議及びバス関係者と合同で全線にわたり現地調査を行いまして、バス運行上の問題点につきまして協議の結果、代がえ輸送道路整備事業で県道布計・山野線及び出水・菱刈線の必要な箇所に待避所設置を進めておりまして、工事は十二月中旬に完成の予定でございます。
また、県道布計・山野線につきましては、通常の道路整備事業として、県単道路整備事業による改良工事のほか特改四種事業による舗装等の整備促進にも努めているところでございます。
なお、町道花北・下手線につきましても、代がえ輸送道路整備事業による待避所等の整備が進められているところでございまして、今後とも代がえ輸送バス運行の安全と円滑化に努めてまいる考えでございます。
55 ◯教育長(濱里忠宣君)申し上げるまでもなく、児童生徒の学力の向上は何よりもまず教師の指導力によるものだと考えております。したがいまして、県教委はこれまで教員の適正な配置を進めますとともに、各種研修会を充実して指導力の強化に努め、県全体の学力水準の向上を図ってきたところでございます。
また、高校入学者学力検査結果を十分に分析いたしまして、それをもとに小、中、高等学校が密接に連携を取り合って、問題の発見とその解決に努め、指導法の研究改善を進めてきたところでございます。
今後は、これらの方策を進めながら、本年三月末に出しました学習指導の充実についての通知の趣旨を踏まえまして、基礎、基本を押さえたわかる授業の徹底に努めますとともに、それぞれの地域や学校の実態に即しまして、個に応じたきめ細かな指導を進め、児童生徒が充実感を持って学習できるような、生き生きとした学校の体制づくりを図り、学力の地域間格差の解消に努めてまいりたいと考えております。
〔小川久志君登壇〕
56 ◯小川久志君 知事初め教育長、関係部長の適切な御答弁をいただいて、すべて了解をいたしたところでございますが、知事の御答弁にありました、特に大口育成牧場を、今後北薩地域の肉用牛振興のセンターとして育成していくと、こういうようなお気持ちをいただきましたことについて心から敬意を表し、ありがたく思う次第でございます。今後とも大口、伊佐地域の農業発展の基盤となる畜産振興の上において、このせっかくある北薩地域の育成牧場を今後とも育成強化されることを心からお願いを申し上げる次第でございます。
それから、私が今一番危惧いたしておりますところの、いわゆる人吉―八代間の縦貫道完成の暁に、どうしても今後の突破口として大口を経由して二百六十七号線で人吉インターに交通が集中すると、これについて日夜私も心配をいたしておるわけです。行政の手落ち、手おくれというようなことで、六十四年の八代―人吉間の開通後にこの二百六十七号線が大きな停滞をいたして、地域の交通関係で大きな問題を起こすようなことにならなければいいがと、さようなふうに考えておりますので、どうかひとつこの整備については、重点的にあと十年間ぐらいの関係だとお考えになればそれまでですけれども、やはりその十年間の辛抱をするためには、さしあたり今、大きな公共投資というものをば重点的にやっていただかなきゃいかんと、もうその時期になってからは手おくれだというようなことにならんとも限りませんので、私は警告の意味を含めて、この二百六十七号線の早期整備を訴えておきたいと思います。
大変前向きの御答弁をいただきまして、どうもありがとうございました。
教育長さんの方でも、特に児童生徒の学力向上と地域間格差の解消、このことについてますます御努力していただくことを希望いたしまして、私の質問を終わらしていただきます。(拍手)
57 ◯議長(
原田健二郎君)次は南徹郎君に発言を許可いたします。
〔南 徹郎君登壇〕(拍手)
58 ◯南 徹郎君 代表質問の積み残しを含めて質問をしてまいります。
知事並びに関係部長よろしくお願いいたします。
まず、地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律に関してでございます。
この法律は、去る三月三十一日期限切れとなった地域改善対策特別措置法にかわり、四月一日施行された新法でありますが、この地対財特法はなお残されている差別の実態を省みることなく、労働、教育、人権に関する施策を大幅に打ち切ってきております。地域改善対策奨学資金等の給付制から貸与制への改悪はその最たるものであります。地域改善対策奨学資金等の給付制は同和地域の教育振興等として、基礎学力の向上を図り、教育の機会均等を保障するため、県内の対象地域に居住する子弟で経済的理由により進学の機会が阻害されている者に対して、奨学資金等が給付されている制度であります。したがって、この制度によって、対象地域の進学率も高まり、七〇%から八〇%と、その格差が縮まっています。こうした望ましい方向に進んでいるとき、地対財特法より地域改善対策高等学校等進学奨励費補助金交付要綱、実施要綱を策定し、給付制であった奨学資金等を貸与制とし、奨学資金の返還が義務づけられることになりました。このため県条例の改定が本議会に提案をされていますが、奨学資金が給付制から貸与制となることは、部落開放に逆行するものであると指摘せざるを得ません。
差別部落の問題解決は国の責務であり、同時に国民的課題であって、焦眉の急を要する課題であるとした内閣同和対策審議会答申に反するものであります。奨学資金の貸与制は所得制限の基準を国が定め、一定の所得以上の者は返済が余儀なくされますので、対象地域の住民は返済の可能性が定かでないのに、借金してまで進学することにはならないのであります。教育の機会均等が対象地域においても保障され始め、進学率も高まってきたばかりのときにその出ばなをくじかれる思いでございます。また一定の所得基準以下の免除制度が導入はされますが、返還か免除かの決定を見るために、二十年間に及ぶ家経状況が調査され、特に女性に対しては嫁ぎ先まで追いかけられ、奨学資金貸与者として追跡され、地名総鑑同様の状況が行政によってつくり出されることは明らかであります。一定の所得で同和対策事業の打ち切りの強行も危惧されるのです。部落差別の実態を抜きに貸与制を認めるわけにはまいりません。したがって、本議会に提案をしております地域改善対策専修学校奨学資金、地域改善対策職業訓練受講資金、地域改善対策大学奨学資金、それぞれの返還債務の免除に関する条例の一部を改定する条例案は撤回をし、国の措置についても給付制に戻すよう関係機関に強く要請すべきであると思いますが、本県の実態と同対審答申等を踏まえて、知事の御見解をお伺いいたします。
次に、義務教育費国庫負担制度に関してでありますが、大蔵省は国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律により、義務教育費国庫負担制度の見直しを行い、昭和六十年度は教材費と旅費を国庫負担対象から除外、さらに六十一年度は恩給共済費の追加費用等の補助率を引き下げるなど、地方への経費負担転嫁を強行しています。大蔵省は本年六十二年度の予算編成に当たって、公立小中学校の学校事務職員並びに学校栄養職員の給与費を国庫負担対象から除外する方向で検討を進めたのであります。しかし、自治省、文部省を初め、地方団体や地方教育団体等の厳しい反対の声によって、本年度は従来どおり国庫負担制度が存続されたところであります。
しかし、大蔵省は学校事務職員並びに学校栄養職員の給与費を国庫負担対象外とすることをあきらめたわけではありません。来年度予算編成の時期を向かえ、引き続き国庫負担対象外にする方向で検討されていることは間違いありません。学校事務職員や学校栄養職員の給与費を国庫負担対象から除外することは、今日の教育荒廃等の克服など、国民の教育に対する期待にこたえるため努力している教職員に新たな差別、分断を持ち込み、協力、共同の教育体制を否定することになります。
義務教育国庫負担制度は、義務教育無償の原則にのっとり、国民のすべてに対し、その妥当な規模と、内容を保障するため、国がその必要な経費を負担することにより教育の機会均等と、その水準の維持向上を図ることを目的としております。
学校事務職員は子供の学習権の保障を目指し、教育条件整備などの仕事を担当し、学校栄養職員は子供の健康を守るため学校給食の栄養管理等円滑な学校給食の実施のため努力をされております。このように基幹職員として、学校教育における重要な役割を分担している学校事務職員と学校栄養職員の給与費を国庫負担対象外として、地方にその経費を転嫁することをさせてはなりません。本県における学校事務職員と栄養職員の六十一年度の給与費は、人数で七百九十二名、金額で三十五億七千八百五十万六千円となっています。国庫負担対象徐外となりますと、財政力の弱い本県では、負担が大きく、したがって、定数削減への危惧も生じ、教育活動の低下につながり、本県教育の後退を免れません。知事は義務教育費国庫負担制度がつくられた目的、経緯について十分御承知でありますので、地方の財政圧迫となる義務教育費国庫負担制度の見直しがなされないよう関係各機関へ申し入れ、現行制度の堅持のため努力していただきたいのでありますが、知事の御所見と決意をお聞かせください。
次に、身体障害者の雇用促進についてであります。ことしは国際障害者の十年の中間年でございます。毎年九月は障害者の雇用促進月間であり、去る二十六日には知事も参加をされて、鹿児島県障害者雇用促進激励大会が時宜を得て開催されています。身体障害者の雇用状況は国際障害者年であって昭和五十六年には身体障害者雇用促進法による雇用率を上回る状況でありましたが、昭和五十八年から国際障害者の十年に入って今日まで、雇用率は毎年低下の一途をたどっています。昨年の
地方公共団体等における身体障害者の雇用状況は知事部局で一・九六%、県教委二・二四%、市町村二・二九%、地教委一・九六%、地方公営企業二・三九%といずれも法定雇用率である一・九%を上回っているものの、しかしながら、十三の市町村と三つの地教委で法定雇用率に達していない事実もまた指摘せざるを得ません。
一方、昨年度の民間企業における雇用状況は、国際障害者年の昭和五十六年には法定雇用率一・五%に対して、一・七二%の雇用率でありましたが、これまた年々雇用率は低下し、昨年はついに一・五%を割り、一・四五%となっています。昨年の雇用率適用企業数は四百四十五企業でありましたが、雇用率達成企業が五九・六%で、四〇・四%の企業は未達成となっております。また、企業の規模別の雇用状況を見ますと、六十七名から九十九名の規模の企業で一・四四%、百人から二百九十九人規模で一・五六%、この規模だけが一・五%をオーバーしておりますが、三百人から四百九十九人規模で一・三四%、五百人から九百九十九人規模で一・四二%、一千人以上が一・二九%となっており、規模が大きい企業ほど雇用率が低くなっております。また、産業別雇用率を見ますと、製造業で一・七九%、建設業が一・七六%、運輸通信業で一・六五%で法定雇用率を達成していますが、金融、保険業一・四一%、サービス業一・二八%、卸小売業が一・〇五%、法定雇用率を大きく下回っています。来年四月一日からは身体障害者雇用促進法は新たに障害者の雇用の促進等に関する法律と改められ、すべての障害者を対象とする雇用促進と安定を図ることになり、民間企業の法定雇用率も現行の一・五%から一・六%に引き上げられます。こうした情勢の中で、障害者の雇用状況はますます厳しいものが予想されますが、現在法定雇用率未達成の市町村、地教委、民間企業に対する今後の対応と障害者の雇用拡大の展望について、知事はどのようなお考えであるかお伺いいたします。
次に、身体障害者職業訓練校についてでありますが、ここでの訓練期間が一年間と短かく技術の習得が十分でないとの危惧から、修了しても就職できない状況があります。したがって、この訓練期間を一年延長し、二年とすることが望ましいと思料されますが、御所見をお伺いします。
また、養護学校の高等部卒業生の未就労者の数は年々増加の傾向であり、家族を含め大変な毎日を過ごしています。授産施設を希望してもなかなか入れないのが現状であります。
そこでお尋ねしますが、今後授産施設の増設は考えられないものですか、また小規模福祉施設として今県下に無認可の作業所も身体障害者関係で三作業所、精神薄弱者関係の作業所が六ヵ所ありますが、この施設では十分であるとは言えません。これらの施設を増設し、家庭に待機をしている障害者が働ける場を保障すべきであると考えますが、施設の増設等についてのお考えがないか、お伺いいたします。
次に、鹿児島本港整備計画と関連事業並びに鹿児島外郭環状道路整備についてであります。この件につきましては、昨日の公明党の代表質問と一部重複するところがあるかもしれませんが、確認の意味で尋ねさしていただきます。
鹿児島本港整備に関しては、昨年一月に南防波堤工事に着工、十一月十日に埋め立て工事起工式をもって本格的に整備工事が着工をし、現在早期完成へ向けて工事が進められているところであります。したがって、本港背後地区総合整備の見通しも明るく、上町地区住民も不安は残るものの都市再開発と地域活性化に期待をしていることと思われます。
また、本港整備と国道十号バイパスの建設は大きくかかわり、吉野町花倉から小川町間四・四キロメートルが祇園之洲埋立地を経て鹿児島営林署庁舎敷地を通り、小川埠頭用地に隣接し、市街地に入る計画ですので、国道十号バイパスが鹿児島本港整備完了時に供用開始となりますと、磯街道から清水町を経て柳町に至る国道十号線の交通渋滞が解消され、特に公共的役割を果たしている交通機関はもちろんのことスムースな交通の流れが実現でき、交通渋滞による諸問題解決に効果ならしめることになります。それだけに早期完了が望まれております。
また、農協連跡地問題について、鹿児島市はことし二月二十五日農協連跡地再開発計画について明らかにしたところであります。それによりますと、事業コンペ方式を採用し、ことしの七月までが募集期間であったわけですが、現在八月から十月にかけて審査期間になり、十一月には事業主体予定者を決定、十二月には土地売買の仮契約を結ぶことになり、本年度中には具体的に再開発の青写真が示されるものと地域住民の期待は大きいのであります。
したがって、このスケジュールでは既に応募者も出そろい、現在審査の途中であると思いますが、六十三年一月から実施設計に入り、六十四年二月に着工、鹿児島本港整備と同時完成を目指す計画となっています。
また、鹿児島外郭環状道路でありますが、九州自動車道路、国道三号バイパス、指宿有料道路三期工事は来年四月一日の供用開始を迎えますが、国道三号バイパスは入り口がどこにあるかは別としましても、あけぼの陸橋武トンネルを経て鹿児島インターでドッキングし、伊集院を経て国道三号線へ抜けることになるようでございます。コースは現段階では一心橋付近までしか明らかにされておりませんが、先日の知事の答弁をお聞きしますと、高規格幹線道路、すなわち南九州西回り自動車道に組み入れられたことにより新たな時期を迎えたことを答弁を承ったところでございます。国道三号バイパスは武トンネルを経て市街地に入るためあけぼの陸橋の改良が進められていますが、御承知のようにあけぼの陸橋は皇徳寺、星ケ峯団地を初め、田上、武方面さらに日置郡からの車が相当数この陸橋を経て市街地に入るため、特に朝夕のラッシュ時は大変なもので、早急な工事完了が望まれています。
そこで以下お尋ねいたします。
まず、国道十号バイパスの用地買収の進捗状況と買収完了の時期についてお尋ねします。
次に、鹿児島営林署移転との関係でありますが、営林署用地の埋め立てが完了し、移転し、さらに用地買収など解決すべき問題があるわけですけれども、今後のスケジュールはどうなっておるのかお伺いいたします。
三つには、農協連跡地再開発計画はスケジュールどおり進んでおり、本年度中に青写真が公開されると解してよいのか。また、本港整備完了は六十五年度と確認してよいのか、お伺いいたします。
四つには、本港背後地区総合整備構想が計画をされ、市役所前通りや、あるいは堅馬場、朝市のあの通り、あるいは海岸線一帯が整備されることが計画は立っているとお伺いしておりますが、この計画作業の進捗状況についてお伺いします。
五つには、あけぼの陸橋の工事の進捗状況と完了の時期を示していただきます。
六つには、国道三号バイパスが武トンネルを経てあけぼの陸橋につながるわけでございますが、既設の道路との関係もあろうかと思いますが、この道路整備計画はどうなっているのか、お伺いいたします。
さらに、鹿児島インターの大峯団地側九百メートルの供用開始時期がいつになっているのか明確にしていただきたいと思います。
最後に、玉取迫・鹿児島港線の工事について、進捗状況と完成時期をお尋ねいたします。
〔
知事鎌田要人君登壇〕
59 ◯知事(鎌田要人君)旧地域改善対策特別措置法が失効いたしました後の地域改善計画のあり方につきまして、昨年十二月十一日に地域改善対策協議会から、総理大臣及び関係大臣に意見具申がございましたことは御案内のとおりであります。
国におきましては、この意見具申の趣旨を踏まえつつ、今後の地域改善対策に関する大綱を策定をいたしまして、今後実施すべき事業は真に必要な事業に限定して行うべきであること、特に個人給付的事業については、原則として廃止すること等の見直し基準が定められまして、事業の見直しが行われたところであります。
高等学校等の進学奨励金、職業訓練受講資金につきましては、個人給付的事業ではありますが、同和問題の解決のために必要な事業であるとされておるところでありますが、同和関係者の自立向上を促進するという観点から、給付制より貸与制の方が望ましいということで貸与制に切りかえられたものであります。
県といたしましても、国の見直し基準に準じて検討を行いまして、給付制を貸与制に改めたところでありまして、これを貸与を給付に戻す考えはございません。
なお、真に経済的な理由により進学等の意欲を後退させることのないよう、学校における進路指導の充実等を図っていただきますとともに、奨学資金の返還が困難となったときは、その返還債務を免除できるように今回条例の制定をお願いしているところでありまして、これにつきましても撤回の考えはありません。
次に、学校事務職員、学校栄養職員は教員とともに重要な職責を担っておる職員でありまして、これらの職員を国庫負担の対象から除外するということは、義務教育の水準維持向上に支障を来すとともに、地方自治体の財政負担の増加をもたらすものでありまして、このような措置につきましては、県といたしましては、これまでも国に対して義務教育費国庫負担制度の維持確保について努力をしてまいったところでありますが、今後ともさらに全都道府県一丸となって、今後とも国の動きを注視しながら、またおかしな動きが出てまいりましたならば、これを破砕するために頑張ってまいりたいと考えておる次第であります。
次に、県内の障害者の雇用状況につきましては、御指摘のとおりでありますが、これが障害者の雇用促進対策といたしましては、これまでも雇用率達成指導や公共職業安定所による職業紹介、各種助成措置の活用等によりまして、雇用の場の確保を図ってまいりましたほか、特に障害者雇用促進月間であります九月には、集団就職選考会等の行事を行いまして、雇用の促進に努めてきたところでございます。今後は特に御指摘のように来年四月から精神薄弱者等が法律の対象になる。法定雇用率も〇・一%引き上げるわけでありますので、これが改正法の趣旨の周知徹底を図りますとともに、心身障害者雇用促進協会職業センターとの連携をさらに密にしながら、雇用の場の確保に努めてまいりたいと存じます。
特に未達成の市町村、企業につきましては、直接事業所訪問をする等によりまして、何よりもこれはトップの方々の理解と協力が必要でございますので、協力方につきまして強く要請し、また指導をしてまいりまして、雇用率の達成を果たせるように努力してまいりたいと存じます。
60 ◯県民福祉部長(松林康文君)障害者授産施設は県内に精神薄弱者授産施設十一施設、身体障害者授産施設二施設を整備いたしまして、施設福祉の充実に努めているところでありまして、今後とも県下各地域のニーズを勘案して、地域的な施設の適正配置という考え方に基づき施設整備を進めてまいりたいと考えております。
なお、在宅の障害者につきましては、十人から十五人程度の小規模福祉作業所を設け、基本的な生活訓練や、職場適応訓練、作業訓練等を行っているところでありますが、地域においてこの小規模福祉作業所をつくりたいという要望や御相談があれば前向きに検討いたす考えでございます。
61
◯商工労働部長(落合俊雄君)鹿児島身体障害者職業訓練校でございますけれども、この学校は職業能力開発法に基づきまして、国が設置いたしました公共職業訓練施設でございますが、県は国から運営の委託を受けて、職業訓練を実施しているものでございます。
訓練期間につきましては、身体障害者の職業の安定を図るための基礎的技能を習得させることを目的としていることから、国から示されております訓練基準は原則として、一年訓練でございまして、全国の身体障害者職業訓練校も、いずれも一年間の訓練を実施しているわけでございます。
一方で、鹿児島身体障害者職業訓練校の過去五ヵ年間の就業率は約七〇%前後で推移をいたしておりまして、この原因は入校者の高齢化が進み、障害の重度化の傾向にあるためというふうに考えております。しかしながら、身体障害者の雇用を促進するという観点から、これらの現状を踏まえました上で、訓練科目の整備、訓練内容の充実につきまして検討を進めますとともに公共職業安定機関との密接な連携を図りまして、身体障害者の雇用促進に努めてまいりたいと存じます。
62 ◯土木部長(内田勝士君)鹿児島本港の六十五年度完成につきましては、国の財政事情やこれまでの事業着工のおくれ等を考えれば非常に厳しい状況にございますが、事業費の確保につきましては、国に特段の配慮をお願いいたしまして、最善の努力をしてまいる考えでございます。
次に、国道十号鹿児島北バイパスについてのお尋ねでございますが、昨日の公明党の代表質問にもお答えしたごとく、本バイパスにつきましては、鹿児島市花倉から同市小川町までの四・四キロメートルを昭和五十六年に都市計画いたしまして、これまで建設省直轄事業として、祇園之洲以南の用地買収が進められてきたところでございます。現在祇園之洲内の用地買収を終えておりまして、今後建設省といたしましても、営林署用地の調査を進め、六十三年度から買収に入る計画であると聞いております。県といたしましては、今後とも鹿児島本港整備との調整を図りつつ、営林署移転及びバイパス工事など祇園之洲以南の整備を行い、できるだけ早期に部分供用が図られるよう、さらに国に要請してまいります。
農協連跡地の整備につきましては、鹿児島市が民間活力を活用した事業コンペ方式による再開発を導入することとしております。既に七月市が設定する再開発の趣旨条件に合致した建築計画、経営計画等の再開発計画を募集し、募集提案された複数の再開発計画案について八月から審査を行っているところでございます。本年十二月ごろにはその計画内容及び事業主体等が示されると聞いております。県といたしましても農協連跡地の再開発が円滑に推進されますよう指導助言を行ってまいります。
鹿児島本港背後地区の整備につきましては、鹿児島市が昭和六十一年五月鹿児島本港背後地区総合整備構想を策定したところでございます。これに基づき、市におきましては、個々の具体的な計画策定の作業を進めているところでございますが、その一つでございます市役所前通りの大通り公園化につきましては、現在基本設計の準備を進めていると聞いております。また滑川通りのマーケットストリート化など各種の事業につきましては、具体的な整備方策を検討するため地区更新基本計画を本年度作成する予定と聞いていますので、今後とも鹿児島市と緊密な連携をとりながら円滑な推進が図られるよう指導してまいりたいと思っております。
次に、国道三号鹿児島バイパスのうち、鹿児島インターから大峯団地側の約九百メートル間でございますが、現在全区間にわたりまして、工事が進展されております。今回の緊急経済対策による大型補正予算の投入によりまして六十三年度早期に完成できる見通しであると聞いております。
次に、昭和六十年度から整備を進めております中洲通り線、あけぼの陸橋の拡幅工事は昭和六十三年三月完成をめどに鋭意努力をしているところでございます。
また、中洲通り線に接続する武通り線等の幹線街路につきましては、武・田上地区土地区画整理事業により既に整備を終えているところでございます。
次に、県道玉取迫・鹿児島港線でございますが、谷山臨海工業地区と指宿有料道路の谷山ICを結び指宿有料道路三期並びに九州縦貫自動車道に接続し、これと一体となって、鹿児島市の外郭環状道路を形成します重要な道路でございます。
谷山IC側の二千五百メートルにつきましては、昭和六十年度から道路改良事業により用地買収を進めており、今年度も引き続き用地買収を進めるとともに工事にも着手する計画でございます。
またJR線から国道二百二十五号までの九百六十メートルを昭和五十九年度から鹿児島市が土地区画整理事業により整備を進めているところでございます。国道二百二十五号から産業道路までの四百七十メートルにつきましては、今年度から街路事業により事業を着手しているところでございます。今後の見通しにつきましては、各事業とも昭和六十五年度の完成を目標に、その進捗を図っているところでございまして、市の土地区画整理事業は順調に進んでいるものの道路改良事業区間につきましては、沿道の地域が市街化の影響を受け、地元との調整が課題となっております。用地買収等がございますので、今後とも地元の御理解と御協力を得て事業促進に努力してまいる考えでございます。
〔南 徹郎君登壇〕
63 ◯南 徹郎君 それぞれ答弁をいただきましたが、特に義務教育費国庫負担制度につきましては、知事の力強い前向きの御答弁をいただいたわけでございますが、知事も申されますように、学校における重要な役割を果たしております学校事務職員、学校栄養職員の安定した職場、安定した給与体系によって、そして学校の共同体制が確立されていきますよう、今後ともこの継続のために御努力をお願いしたいと思います。
昨日あるいはその前の自民党の代表質問では攻めの相撲や守りの相撲が出てきましたが、囲碁は先手、先手でございます。鎌田知事ひとつ先手、先手で今後の御努力をお願いいたしたいと思います。
それから、身体障害者の雇用問題につきましては、非常に温かい方向での御努力をばお伺いいたしました。地域の実態がそれぞれ出てくると思いますけれども、障害者の方々が家庭で厳しい条件を克服して生活をしている姿をかいま見るときに、何とか働く場所をという気持ちはこれはだれしも同じだろうと思います。ぜひひとつ授産施設の増設が困難であるならば、先ほども部長の方からありましたように十人から十五人程度の小規模福祉施設の増設に今後とも努力をしていただきたいということをお願いを申し上げます。
それから、一連の道路事業につきましては、大変な状況でございますが、一日も早く道路が整備をされ、そして鹿児島本港、さらにまた国道十号バイパス、三号バイパス、あるいは南九州西回り道路、こういうものが一連の間接幹線道路となって地域住民、県民の生活をさらに安定していくための道路行政を前進をさせていただきたいということをお願いをしておきます。
一つだけ、電車通りとあけぼの陸橋との交差点でございますが、ここの道路が大変な渋滞でございます。この国道三号バイパスがあけぼの陸橋を経て中洲通に入っていくわけでございますけれども、あの鹿児島・東市来線との関係、ここにつきましては、今後どのように整備をされていくのか、このこともひとつ交通渋滞を解消するためにも本腰を入れて解消への努力を要望しておきたいと思います。
次に、教育問題についてお尋ねをいたします。
まず、初任者研修制度についてであります。文部省は臨時教育審議会答申による初任者研修制度を積極的に取り入れ、六十四年度本格実施に向け六十二年度は国民の反対を押して試行を強行してまいりました。本県も五十六名の対象教師に三十七名の指導教員がついて試行中であります。文部省は六十三年度はさらに試行の拡大を企図し、六十二年度三十の県市、二千百九十名の試行に対しまして、六十三年度は五十七の県、市四千百六十人と倍増、五十六億六千百万円の予算要求をしております。試行中の初任者研修の実態は極めて不明であり、開かれているべき学校の中で初任者研修試行に関しては、秘密主義の学校もあるやに聞いています。現に八月に実施された一人五十万円の経費を要した洋上研修に参加された対象教師に、学校で職員会の折、大変御苦労さまでしたと労をねぎらい、洋上研修の内容についてお尋ねしたところ、秘密ですのでお話するわけにはまいりませんと答えております。教師を権力で支配し、一定の枠にはめ込む、いわゆる特定教師づくりにつながる初任者研修制度は民主教育の否定であり、反国民的であることは明らかであります。こうした初任者研修制度は国民の税金のむだ遣いであり、この財源を教育条件整備に充て、施設整備の充足率を高め、四十人学級の早期実現と、欧米諸国並みに三十五人から三十人学級へと展望し、ゆとりある教育の実現を目指すべきであるという当を得た世論もあります。
我が党は、今までも主張してまいりましたが、来年度初任者研修試行はもちろん、六十四年度本格実施もすべきではないことを再度主張するものでありますが、教育長の御見解と本県の初任者研修試行の実態をどのように把握されておられるか、お伺いいたします。
次に、同和教育の推進についてであります。鹿屋市のN小学校六年一組のクラスで担任教師が漢字テストの成績を将軍、大老、老中、えた、非人など差別語を使い、二十二段階のランクづけして教室に張り出していたことが明らかにされたのは昨年の十月のことであります。内閣同和対策審議会答申は部落問題の早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題であるとの認識に立ち、教育問題に関する対策を提起しています。すなわち同和教育の中心的課題は法のもとの平等の原則に基づき、社会の中に根強く残っている不合理な部落差別をなくし、人権尊重の精神を貫くことである。この教育では教育を受ける権利、及び教育の機会均等に照らして、同和地区の教育を高める施策を強力に推進するとともに、個人の尊厳を重んじ、合理的精神を尊重する教育活動が積極的に全国的に展開されなければならない。特に直接関係のない地域においても啓蒙的教育が積極的に行われなければならないとされています。本県教育委員会も教育行政の重点施策に同和教育の充実を掲げ、同和教育の正しい認識と理解を深めるため、学校教育における同和教育の推進を図るとして、同和教育推進加配教員等研修会、同和教育研究協議会への助成、同和教育啓発活動の充実、同和教育に関する調査の実施などが挙げられています。しかし、前述のような差別事件が生じたことは同和教育事業が展開されてかなりの年月が経過している今日、思いがけない出来事であり、この事件だけでも本県同和教育の実態がわかるような気がしてなりません。
と申しますのは、この事件発生後九ヵ月余り過ぎた去る七月二十二日に開かれた関係者による差別事件糾弾集会で、教育委員会や学校長は認識不足でしたなどの答弁に終始し、解決に努力する具体的施策も示し得ない状況であったからです。同和教育は単に研修会を開催すればよいというものではありません。差別される側に立ち、部落差別の実態に学び差別の痛みがわかり、あらゆる差別をなくす人権尊重の人間を育成する教育を推進しなければならないのではないでしょうか。教育長の同和教育に関しての御見解と本県同和教育の実態をどう把握されているか、お伺いいたします。
次に、長期休業中の課題についてでありますが、去る七月十二日付南日本新聞紙上に、守り育てようかごしまの教育文化の財産、夏・冬休みの友というタイトルの意見広告が紙面いっばいに記載された賛同者の氏名とともに載っていました。戦後三十九年の歴史の重みをつくづく感じたことです。さらに七月二十四日付の南日本新聞の社説は、夏休みの友に柔軟な解決策を、と題して次のように述べています。県教委は夏休み等の補助教材について、学校地域の実態に即して、学校が独自に作成するのが望ましいという方針だ。それは理想であろう、だが県議会で当時の教育長は現実的にも物理的にも無理と述べている。それが本音だったようだ。それにしても戦後四十年近くも使ってきた夏休みの友を上からの通達だけで無批判に捨てる教育界の体質には薄気味悪さを覚える。希望によって自主教材と夏休みの友の併用も選択できるようにすればどんなものかと述べ、教育する心が現場から失われていく、それが最も恐ろしいと、このように結んでいます。ことしの夏もPTAを巻き込んだ混乱が県下各地で見られ障害児へのプレゼントをした友を回収した事例に見られますように、子供を巻き込んだ不幸な事態が多く報道されました。新聞紙上に記載された声を持ち出すまでもなく、戦後三十九年間県民の間に親しまれてきた友に寄せる県民の思いは深く、先ほど紹介いたしました社説は大方の父母県民の声を代表しているものと思われますが、教育長はこのような声についてどのような御所見をお持ちですか、お伺いいたします。
また、新聞報道にもありますように、PTA一部の役員を巻き込んだ混乱の収拾を図るべきであるがどうお考えですか。
最後に、自作課題は県教委の意図するものと評価されているかということです。すなわち子供にとってどうなのかということです。市販テストのコピーが大半を占めている課題もあるやに聞いています。
また、自作課題作成のため子供たちに自習をさせ、あるいは短縮授業など本末転倒の事例も聞いていますが、実態と御見解をお聞かせいただきます。
64 ◯教育長(濱里忠宣君)初任者研修の試行は御案内のとおり、昭和六十四年度からの本格実施に向けまして、その円滑な実施を図るため研修内容や研修方法をどのようにした方がいいのかということを究明していこうとするものでございます。現在、試行実施後六ヵ月近くを経過したことになるわけでございますが、新任の先生方は教職に必要な基礎的、基本的な知識や実践力を確実に身につけつつありまして、ほぼ順調に成果をおさめております。今後は本格実施に向けまして、さらに充実した試行の実施に努めてまいりたいと考えております。
次に、同和教育の現状認識と同和教育に対する見解についてのお尋ねでございますが、県教委は同和教育の推進を県教育行教の重点施策に掲げまして、本県同和教育の基本方針に基づいて、すべての教職員が同和教育の充実を目指して、積極的に取り組むようあらゆる機会をとらえて指導を重ねてきたところでございます。
しかしながら、昨年十月県内の小学校において起きました差別事象につきましては、厳しく受けとめておりまして、教育関係者に対し、校内研修等同和教育に関する研修を一層充実し、教職員の深い共感的理解が得られますよう、きめ細かな指導を行っているところでございます。
申し上げるまでもなく、同和教育は同和問題について正しい認識と理解を深め、人権尊重の精神に徹し、偏見や差別をなくしていこうとする意欲と実践力を持った人間を育てることが基本でございます。この基本にのっとりまして、今後とも同和教育の推進充実に一層の努力をいたしたいと考えております。
長期休業中の学習課題のあり方につきまして、県教委といたしましては、児童生徒一人一人に着目し、基礎基本の徹底を図りますとともに、個性を伸ばすという観点から、画一的な市販教材に頼るのではなく、各学校の児童生徒の学習状況や地域の実態に即した課題を与えることが教育的に最も望ましいと考えております。しかしながら、一部の学校におきまして、一部の教職員が学校長の決定に反しまして、夏休みの友を無断で配布し、PTAを巻き込んだトラブルを引き起こしておりますことは、まことに遺憾でございまして、県教委は今後さらに自作課題の意義につきまして、教職員や父母県民の理解が一層深められますよう努めてまいりたいと考えております。
次に、自作課題の作成についてのお尋ねでございますが、県教委は課題作成のために自習をさせることがないように各学校におきまして、年度当初から計画的にゆとりをもって作成するよう指導を行っているところでございますが、教職員の意欲的、組織的な取り組みによりまして、現に多くの学校ですぐれた自作課題が作成されているところでございます。
〔南 徹郎君登壇〕
65 ◯南 徹郎君 教育長の御答弁をいただきましたが、納得する答弁がいただけなかったことを残念に思うのでございます。
自作課題につきましては、いろいろ論議され、あるいはいろんな混乱が生じて現在に至っております。学校の現場は大変多忙を極めております。果たして子供の実態に即し、地域、学校の実態に即した夏季休業中の自作課題がすべての学校で、すべての教師が取り組めるかというと物理的には大変困難な問題であると指摘せざるを得ません。本当に年間を通しての課題となるのか、夏休みに一学期を通して一学期の学習の復習をどうさせていったらいいのか、一学期の取りこぼしてきたことをどのように子供たちに学んでもらうのか、そういうことを配慮しながら夏休みの四十日間を過ごさせていく、そうした努力が払われなければならないわけでございますが、ややともすると、ある学校で学年ごとにまとめて、あるいは学校全体でまとめて、あるいは地教委段階でまとめてこれが何々町の夏休みの学習帳でございます。この実態があるから私は言っているのでございます。したがいまして、確かにこれは自作課題というのは私は否定しません。否定はしませんが、現在の状況の中で、そのことが可能であるのか、このことをもまた現在の状況を踏まえて判断をしなければならない問題ではないだろうかと思います。
先ほどから教育問題につきましては、いろいろと意見の違うところでございますが、初任者研修問題につきましても、私どもが聞いている範囲内では大変な状況が起こっております。小学校のクラスで担任の先生が、その学校その学級の自分の学級の子供と机を並べて、そして指導教員が授業をしている風景があるんです。そこに学校長も同席しております。そうした授業を進める中で、子供たちにあるいは子供たちの父母からはその教師に対する信頼感というものはどんなものでしょうか。そうした状況を見るときに、本当にそうしたのが初任者研修制度であるのだろうか。担任の先生としての位置づけ、そうしたものに問題を感じずにはおられないわけでございます。したがいまして、初任者研修制度が現在学校で本当にどのように試行されているのか、そのことを確実に情報をつかんでいただきまして、初任者研修制度の問題点を明らかにしていくべきだと考えるところでございます。
今、臨時教育審議会が解散をいたしましてから、二ヵ月ぐらいたっているわけでございますが、八月の七日に第四次答申、最終答申を行い、発足以来三年間の討議をまとめて八月末解散をいたしました。臨時教育審議会は第一次答申から最終答申まで四次にわたって答申を行ったのですが、父母、国民が最大の期待をかけていた教育の現状分析とその対応、すなわち校内暴力、登校拒否、自殺、陰湿ないじめなどの問題行動に見られる教育荒廃の原因の解明と、その克服の道筋を示す具体的改革案も示さず解散をしたのであります。今日の教育荒廃は複合汚染とも言うべき複雑な要因によるが、子供の理解度を無視した高度な教育内容、偏差値に示される点数序列主義と熾烈な受験競争、その背後にある学歴社会等に直接の原因があることは父母国民はよく知っているにもかかわらず、臨時教育審議会はこれらの課題に対し、極めて冷淡な態度で終始し、父母国民の期待を完全に裏切ったのであります。かつて東大の総長でありました南原繁先生は「一国の政治に大きな変革が加えられる前に必ず教育が侵される」このように述べています。今そうした時期にきているのじゃないかと大変危惧するものでございます。教師の自由を奪い、教育の権力支配を強行し、画一的教育の営みを答申している、臨教審答申はまさに憲法教育基本法を形骸化し、平和と民主主義を否定するものであると言わざるを得ません。本県教育現場においても昨今教育現場でまさかと疑いたくなることが余りにも多く聞かされています。教師の体罰、学校長の教職員に対する人権否定の言動、一部PTA役員の学校経営への介入などであります。県教育委員会は今冷静に県下の学校教育の現状分析を明確にし、子供の側に立つ教育の営みがなされる学校、全人教育が推進される学校づくりを目指さなければ禍根を残すでありましょう。
大いなる希望を抱き高校教育に期待をかけ入学した子供たちが、学業半ばで学園から去らなければならない状況を一日も早くなくするためにも九五・九%という高校進学率でもわかりますように、高校は準義務化の状況になっています。そうした父母県民の要求にこたえる高校教育のあり方を大胆に見直し、高校中退者が出ない学校、出さない高校教育を目指さなければなりません。また県教育委員会の民主的教育行政に期待をかけながら、本県教育発展のため子供の教育をつかさどる教師の声を大事にし、教育行政、管理職、教職員間の信頼関係が子供の教育に大きく影響することを踏まえた教育行政を進めていただくよう強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
66 ◯議長(
原田健二郎君)ここで休憩いたします。
再開は、おおむね午後三時半からといたします。
午後三時 六分休憩
─────────────
午後三時三十分開議
67 ◯議長(
原田健二郎君)再開いたします。
田之上耕三君に発言を許可いたします。
〔田之上耕三君登壇〕(拍手)
68 ◯田之上耕三君 私は、長年の念願でありました県政への道を、地域住民の御支援と御協力をいただきながらその志を果たし、今ここに晴れて県政壇上に立つことができますことを無上の光栄と存じておりますとともに、その責任と使命の重大さを痛感しながら身の引き締まる思いでいっぱいであります。先輩、同僚、知事初め当局の皆さんの御指導、御鞭撻をいただきながら、ともに県勢発展のために努力いたしてまいる所存であります。
県政究極の目的は、県民すべてが前途に明るい希望と自信を持ち、物心ともに充実した豊かで生きがいのある生活を送ることにあると思います。常に県民の声を謙虚に耳を傾け、県民の悩みを率直に肌で感じながら、県民の期待にこたえていくために微力ではありますが、渾身の力を込め、気迫と情熱を持って県政に取り組んでいくことをまず披瀝申し上げ、初めての個人質問に当たり、テクノポリス、観光、教育問題など数点について極めて率直に質問をさせていただきたいと存じます。
これまでに既に議論がなされた点もあろうかと存じますが、いま一度私の質問の内容に耳を傾けていただき、明快な答弁をお願いするものであります。
まず、テクノポリスについてであります。太陽と海と緑の臨空国際産業都市の実現を目指して、国分・隼人テクノポリスの建設を進めているところでありますが、地域指定後三ヵ年を経過し、既にその実現を見ているものも多くあるのではないかと思うのであります。この点につきましては、関係者の御努力に心から敬意を表するものであります。しかしながら、まだ実現されていない主要施策も数多くあると思われるのでありますが、今後の見通しなどについてお尋ねいたします。
知事初め執行部におかれては、テクノポリス建設の地域指定前から企業誘致に積極的に取り組み、また努力されたのでありまして、今臨空工業地帯と言われるように発展をしてまいっておりますことは、高く評価されるものであります。ここでその実態はどのようになっているのか。すなわち二市十二町に及ぶテクノポリス圏域におけるこれら企業の売り上げ、雇用者数など、地域にもたらす効果について業種別にお示しを願いたいのであります。
次に、国分上野原テクノパークについてであります。
国分上野原テクノポリス地域の中核工業団地として、交通、工業用水、動力等の立地条件に恵まれ、さらにすばらしい景観を持つ国際級工業団地として造成が行われているのでありますが、いよいよ六十二年度中には一部分譲を開始されるとの方針で、県におかれては東京初め大阪などの県事務所に企業誘致専任の職員を配置されるなど、また工業団地説明会を開催され、県外企業の担当者などを招待をされて現地視察を行うなど、常に企業誘致のために並み並みならぬ努力を傾けておられるところでございますので、さらに御努力をされまして、成功をいたすように御要望を申し上げたいと思います。
次に、テクノポリスセンターについてであります。
これにつきましては、当初新都市センターとしての構想が打ち出されたと記憶をいたしておりますが、ところが本年になりまして、リサーチコア構想を打ち出され、テクノポリスセンターを核とするリサーチコア構想の事業推進を図り、民間活力の導入による同構想の実現に資するとされておられますが、その実現のための基本計画の策定などはどのようになっているのかお聞かせをください。
次に、隼人ガーデンシティーの建設についてであります。
これにつきましては、開発体制、事業主体などその後の経過についてお尋ねをいたします。
次に、工業技術センターについてであります。
テクノポリスの中核的試験機関として建設を進めてこられまして、ほぼ完成を目の前にし十二月一日オープンを明らかにされたわけでございますが、同センターの位置づけと今後の活用について、さらには二十一世紀に向けた研究、技術開発を行い、新分野に対応できるようにされるお考えのようでございますが、研究員の資質向上についてお聞かせいただきたいと思います。
すばらしい同センター、広く県民に利用される施設であり、それ相当の交通量も増すことが予想されますが、交通網整備の点で現在の県道北永野田・小浜線及び十号線バイパスの問題、さらには隼人野久美田新駅の設置の状況についてもお聞かせください。
また、既存の三研究機関、工業試験場、木材工業試験場、機械金属センターの跡地利用計画についてもお聞かせください。
次に、テクノポリス関連についての最後の質問でございますが、新工芸の村建設についてであります。
これは、ガーデンシティーの一画に位置づけられているのでありますが、現在の状況と今後の見通しについてお聞かせください。
次に、観光問題についてお尋ねいたします。
まず最初に、本県を訪れる観光客の動向であります。観光客の本県への入り込み状況はどうなっているのか。急激な円高傾向による景気の不安などの影響はなかったのか。さらに今後の見通しなどについてもお聞かせください。
国民ひとしく心豊かな生きがいのある生活を求めるために、観光、レクリエーションに大きな期待が寄せられるとともに、地域においては民間活力による新たな需要づくりなど、観光の担う意義と地域活性化に果たす役割は極めて大きなものがあると思います。観光客の伸びる要素といたしましては、新幹線あるいは高速道など交通網の整備、あるいはすぐれた自然や文化遺産の活用、受け入れ態勢の整備充実などのほか、魅力あるイベントの実施などがあげられるところでありますが、本県においては、「列島南下気分上昇」のキャッチフレーズを中心に、多くのイベントを積極的に実施すべきであると思いますが、県として今後取り組んでいかれるイベントはどのようなものがあるのか。本年は西郷南洲没後百十周年に当たりますし、また来年は国際会議の開催など、本県の特性を生かしたルートや
観光資源を国内外に紹介し、本県の観光の浮揚、活性化を図る機会であると考えるのであります。
先般、県が策定され、国の認可を受けられた半島振興計画によりますと、滞在型
リゾートなど観光振興についての知事の並み並みならぬ熱意のほどがわかるわけでございますが、私どもの姶良・伊佐、あるいは国分地域におきます海浜地帯、山間地帯に滞在型
リゾートの具体的計画はないものかお聞かせをいただきたいと思います。
次に、教育問題について、知事並びに教育長にお尋ねいたします。
これは、教育一般論ではなく、先生と教え子のあり方、心の触れ合いをどう高めるべきかの点について、それぞれお聞かせ願いたいのであります。
実は、先般の南日本新聞の世論欄「ひろば」に、「あきれ果てた教育委員会」という記事が掲載をされておりました。人づくり、教育問題については、私もかねがね深い関心を持っている一人でもありますので、その投稿者をお訪ねしてお話を伺ったわけでございますが、その本が私にも関係のあることだと知ってびっくりいたしました。
「ああ師弟愛」と題されたこの本でございます。旧鹿児島二中の同窓会長であられる鎌田知事さんが刊行委員会の会長であり、またその本の主人公であります小浜先生の教え子でもあられるとのことであります。また、先生は、私の母校であります加治木高校でも教鞭をとられたのであります。この本を私も読ませていただきましたが、教育の原点であります師弟愛復活への道しるべとなるべき本であると知事さんも感想を述べておられますが、私も全く同感であります。
さらにお話を聞きますと、この本を県下九十六市町村の教育委員会に無料贈呈されたのでありますが、驚くなかれ、その中でわずか四ヵ町の教育委員会だけが受け取ったという返事があったそうであります。この本は、心ある人々の浄財で刊行し、教育委員会を通じて先生と教え子たちの心の触れ合いが少しでも高まればとの願いを込めて贈呈をしたのに、その心が通じなかった口惜しさをひろば欄に投稿されたとのことでした。
ところが、新聞掲載後、電話は来るわ、おわびの手紙は来るわで、中にはある町の教育委員会では教育長が先生方を集めてこの本をかざし、子供たちから慕われる先生になりましょうと訓示をされたとの報告もあったそうであります。しかし、それでも受け取った旨の返事があったのは、県下全教育委員会の半分にも満たなかったそうであります。
この本は、教え子からの書簡を収録し、恩師と教え子の心の触れ合いの尊さと大切さをもっと世に問うべき内容のものであり、今の教育にもそうあってほしい願いが込められているのであります。人間形成の基本でもあります人と人との心の触れ合いとともに、郷土のあすを担う人づくりの原点でもあります。教育のあり方について、先生と教え子の触れ合いがもっと深まればとの思いを抱いているのは、私一人ではないと思うのであります。
いじめ、暴力、非行、自殺などなど今の子供たちの世界は非常に悲しむべき現実が多いのであります。先生と教え子との触れ合いがもっと深まれば世の中はもっと明るくなるのではないでしょうか。その意味におきまして、純粋な師弟の心の触れ合いを収録し、刊行された委員の皆様方に心からの敬意を表します。本県教育の人づくりに寄与できることをこいねがいながら各教育委員会に贈呈された方々の意味を十分認識され、この本の刊行の意義が生かされるよう願うのであります。知事並びに教育長のお考えをお聞かせ願いたいのであります。
〔
知事鎌田要人君登壇〕
69 ◯知事(鎌田要人君)県工業技術センターにつきましては、再三申し上げておりますように、技術の先端化、複合化、高度化が進みます中で、既存技術の向上はもとより、先端技術の導入展開と、こういったことにつきましても十二分に対応できるように、既存の三つの工業系試験、試験研究機関を再編統合いたしますとともに、電子部門、あるいはバイオに関する開放試験室の新設、さらには工業技術に関する情報機能の充実強化などを図ることとして、その整備を進めてまいったところでありまして、十二月一日からいよいよ供用開始の運びとなっております。
このセンターに私どもが期待をし、またその役割として望んでおりますことは、何と申しましても、県内企業、特に中小企業の皆様方にとりまして総合的な技術拠点、技術の寄りどころ、あるいは技術のメッカとしまして広く十二分に活用していただきたいと。それと同時にまたこの工技センター自体におきましても、本県の工業技術水準の向上のために独自の研究開発機能の充実、向上のために奮励努力していただきたいと、こういう気持ちでございます。
この工技センターの建設に伴いまして、工業試験場、木材工業試験場及び機械金属センターの跡地につきましては、今後の行政需要も十分勘案しながら、現在慎重に検討を進めておるところでございますので、いましばらく検討の時間をちょうだいいたしたいと存じます。
次に、新工芸の村でありますが、これにつきましては、セラミック新製品開発事業ということで、国の助成もちょうだいをしまして、ファインセラミックス研究所を設置をいたしまして、いわゆる伝統的薩摩焼の技術と京セラが開発をいたしました着色アルミナの技術をドッキングをさせまして、高い熱で、この磁器の新製品ということで、私ども第二の薩摩切子、昭和の薩摩切子になるようなものの開発ということを目指して、期待をして、今日まで営々としてこの研究所で努力をしてきておられまして、ことしの一月には東京で、二月には鹿児島市で試作品の展示会も開催をいたしまして、大変好評を得たところでございます。私どもといたしましては、今後研究成果のPRや技術移転に努めまして、なるべく早く企業化のめどをつけたいと考えているところでございまして、その企業化の見通しが得られた時点で関係業界等の意向も踏まえて、新工芸の村の建設を具体的に検討してまいりたいと考えておる次第でございます。
次に、魅力あるイベントの実施でありますが、県内では思いつくままに申し上げましても、マラソンあるいは郷土芸能などのたくさんの観光イベントがございます。その中でも、例えば、フリージアマラソン、これが日本の春を告げるマラソン。また指宿菜の花マラソン大会は、約五千人の参加者がありまして、九州一の大会であると。そのほか桜島溶岩マラソンもございますし、各地でそれぞれの伝統的なものに加えまして、最近におけるこのようなイベントというものが育ちつつあります。
また、吹上浜、ここではユニークな砂のイベントとしまして、つとに東市来町の「こけけ王国」で国際サンド・アート・フェスティバルをやっておられますが、これに加えまして、今年度はサンジエゴから、例のカーク、キンセラ氏を呼びまして、加世田市で吹上浜砂の祭典が開催をされまして、これにつきましても、多くの参加者、観客が訪れますとともに、テレビ、新聞、あるいは週刊誌等のマスメディアを通じて大きく報道されたところでございます。
さらに、霧島国際音楽祭、これも八回目を迎えまして、県外からも、あるいは国外からも多くのファンを呼び、観光的にも注目を集めているところであります。これを初めといたしまして、各地でいろいろの魅力あるイベントというものを、それぞれの地域の知恵で出していただいて、できればこれのまた、先般はふるさと自慢のカタログづくりを申しましたが、そのようなイベントを一月から十二月までカタログにしまして、こういったものについて鹿児島へおさいやんせと、鹿児島よかとこと、こういうこともやらなきゃいかんということも考えておるわけであります。
来年度は、これは鹿児島県が主催をいたします画期的な国際火山会議がございますが、これにあわせまして、鹿児島市で、あるいは桜島町でヨットレース、あるいは触れ合いフェスティバル、噴火太鼓と、こういったような企画もあるように進められておるところでございますが、そういったことで、今後とも県、市町村、あるいは民間、民間活力、こういったものが一体となりまして、これからはやはり知恵とアイデアの時代でございますと同時に、これをやはり線香花火で終わらしてはいけないと、やはり継続は力なりという言葉がございますが、これを粘り強く続けてやっていくということで、鹿児島の名物をつくり上げていかなければいけないと考えておる次第でございます。
次に、「ああ師弟愛」の刊行をめぐってでございますが、これが御指摘のとおり、恩師と生徒との、しかもあの戦争という激烈な時代の中で、先生に対して、手紙を教え子たらが戦地にあって、あるいは学校にあって差し上げた、本当に純粋な気持ちでありまして、あれを読みますというと、本当に心が洗われる、涙が思わずこぼれるようなやはり師弟愛、本当に今日の教育界の一部に見られる現象から見ますというと、本当にオアシスのような感じがいたします。どうしてこうなったかと、やはり私は教育は人なりということは不変の真理であると思います。先生と生徒の間でお互いの心の琴線に響くような人間的な触れ合いと、こういうもの、師弟のつながりと、こういうものをやはり強めていくことは教育の原点というふうに考えるわけでありまして、ただ機械的な授業の繰り返し、時間が済んだらさっさと帰ると、こういったような状態では、これは師弟のつながりというのはやはりできないと、私どもやはり中学時代を顧みましても、時にはやはり先生が生徒を思う余りに愛のむちを食ったこともあります。それと同時にやっぱり我々もこれは悪かったということで、反抗期でありましてもやはり先生のそういう温かい気持ちというものが伝わってくると、こういうものを何とかやはり教育県鹿児島において復活をさせたいと、そういうふうに思うわけでありまして、先生、生徒、あるいは家庭、社会、やはりこのような師弟同行の精神を持って、子供たちの、厳しくもやはり、時に厳しさが必要であり、時にはやはり温かい思いやりが必要である。そういうけじめのある教育実践というものが、この「ああ師弟愛」というものを読まれた方々の間から広がっていくことを心から期待をいたしておる次第でございます。
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◯商工労働部長(落合俊雄君)国分・隼人のテクノポリスの圏域は、御指摘のとおり二市十二町にまたがるわけでございますが、この圏域の工業の現状を六十一年の工業統計で見てまいりますと、事務所数が千二百、従業員数が三万二千人、工業出荷額が約七千百億円となっておりまして、事業所数及び従業員数は県全体の約三割を占めておりますし、工業出荷額では約五〇%を占めております。
このテクノポリス圏域の工業について、事業所数についてのどういう比率のものが高いかというのを見てまいりますと、出版印刷業の占める割合が比較的高くなっております。それから、従業者数につきましては、県全体では食料品製造業が占める割合が高いのに対しまして、テクノポリス圏域では電気機械器具製造業の占める割合が最も高い状態でございます。また、工業出荷額につきましては、県全体では、食料品製造業の占める割合が最も高いわけでございますが、テクノポリス圏域では飲料等製造業の占める割合が最も高いという状況になっておりますけれども、これは統計上、この飲料等製造業の中には、飲料、飼料、たばこという分類のものが入ることになっておりまして、テクノポリスの母都市でございます鹿児島市におきます飼料製造業及びたばこ製造業が含まれるために、こういうような数字になるというふうに理解をいたしております。