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1986-12-08 昭和61年第4回定例会(第2日目) 本文

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  1. 鹿児島県議会 1986-12-08
    1986-12-08 昭和61年第4回定例会(第2日目) 本文


    取得元: 鹿児島県議会公式サイト
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    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  午後一時三十分開議    △ 開  議 ◯議長(原田健二郎君)ただいまから、本日の会議を開きます。       ─────────────    △ 総括質問(代表) 2 ◯議長(原田健二郎君)本日の日程は県政一般に対する代表質問であります。  山崎茂君に発言を許可いたします。    〔山崎 茂君登壇〕(拍手) 3 ◯山崎 茂君 ことしも余すところ二十数日で、やがて一九八七年の新春を迎えようとしております。この一年を回顧しますと、歴史的にはいろんなことがありました。中でも、全国民の注目を集めた三原山の噴火は、多くの火山専門家の予想をはるかに上回る規模となり、一万三百人の島民や観光客に避難命令が出され、全島民が島を脱出するという大噴火となりました。世界有数の活火山を持っている本県にとっても他人事ではなく、桜島に対しては日常十分な監視と万全の対策を怠ってはならないという教訓を与えてくれました。  一方、海外におきましても、さまざまな出来事がありました。特に我が国の友好国であり、最大の貿易国でもありますアメリカのイランに対する秘密工作や中間選挙における自由貿易主義的色彩の強い共和党の敗北は、レーガン大統領の指導力低下を招き、自由貿易主義の堅持が困難となり、米の貿易自由化を初め、我が国に対する市場開放の動きが一段と高まることが懸念されます。また国内の経済動向も、円高、デフレの浸透が進み、輸出産業も不振に陥り、GNP三%成長も困難な情勢で、景気は一段と厳しい環境下にあり、内需を中心とした景気の拡大が強く望まれるところであります。  このような中で、本県におきましては去る十一月十日、鹿児島本港改修工事の起工式が挙行され、本港背後地区総合整備構想とあわせ、二十一世紀に向けた南の玄関口としての本格的な国際都市基盤の整備が可能となりました。  また本日、九州新幹線鹿児島ルート駅周辺環境整備事業の起工式がありました。国土の均衡ある発展と地方の活性化、特に新幹線の着工を待望している本県にとりましては画期的なことであり、六十二年度予算において本格的な工事予算が計上されますことを切望する次第でございます。  以上のような国内外の事情を踏まえまして、私は自由民主党県議団を代表いたしまして、当面する県政の重要課題につきまして、知事並びに関係部長に質問をいたします。  初めに桜島火山対策について、お尋ねをいたします。  桜島の噴火活動は依然として活発であり、火山れき、降灰等により周辺地域に多大の被害をもたらしているところでありますが、去る十一月二十三日、伊豆大島の三原山の大噴火に時あたかも呼応するがごとく、本年二百六回目の爆発で直径二メートルという巨大な焼けた噴石が古里温泉のホテルを直撃、屋根、ロビーを突き破って地下倉庫に落下、六名の方々が重軽傷を負われるという災害が発生しました。噴石により負傷者が出たのは、昭和三十年以来のことで被災された方々に対し、心からお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い全快を願うものであります。  翌十一月二十四日には、火山噴火予知連絡会の下水流会長は、桜島火山活動は引き続き活発で爆発力が強く、今後も噴石が山ろく付近にまで落下するなど、重大な被害が発生する恐れがあるので、引き続き厳重な注意が必要であるとのコメントを発表されたところであります。関係者は、桜島は三原山とその成因が異なり、別の火山帯に属して関連はないと否定されてはいますが、三原山の噴火が今までの観測結果を越えて発生しており、また今回の噴石はまさかと思われていた古里に落下しております。このため県においては、早速関係機関と桜島爆発対策細部計画について検討されたと聞いておりますが、この検討の結果、現行の計画を見直す必要がないのか、お尋ねいたします。  次に、財政問題について、お尋ねをいたします。  政府は去る九月十九日、我が国経済が物価の安定が続く中で景気は底がたさはあるものの、その足取りは緩やかなものとなっていること、またこれまでの急速な円高の進展等により製造業を中心に企業の状況判断に停滞感が広がり、中でも中小企業の状況感は後退し、雇用面にも影響が及んでいることなどの情勢を踏まえ、内需を中心とした景気の着実な拡大を図り、雇用の安定を確保するための総合経済対策を決定しました。この総合経済対策は、三兆円の公共投資等の拡大を初め、住宅建設、民間設備投資等の促進、規制緩和等による民間活力の活用の推進、中小企業対策、雇用対策、円高及び原油価格低下に伴う差益の還元と価格の適正化などの八項目からなっており、事業規模は三百六十億円で、景気対策としては過去最大のものであります。国においては、総合経済対策の着実な実施を図るために、債務負担行為を含めた公共事業一兆四千億円を骨格とした補正予算を編成、去る十一月十一日の国会で成立したところであります。本県においても、これを受け債務負担行為百二十四億三千万円を含む総額百八十九億五千万円の昭和六十一年一般会計補正予算第六号について、知事は十一月十三日に専決処分をなされたところでありますが、本県経済の最近の動きを見ると、個人消費関連は引き続き堅調に推移しているほか、建設関連も持ち直しの傾向がうかがわれるものの、依然として大島つむぎやしょうちゅうなど製造業の生産、出荷活動の後退が業種的にも広がりを見せており、全体として景況に停滞感を抱かせております。
     このような情勢の中で、景気の早期浮揚を図るためにも、このたびの知事の専決処分は時宜を得たものと思うものであります。  そこで、総合経済対策並びに今後の財政の見通し等について、お伺いをいたします。  初めに、総合経済対策についてであります。我が党は、内需振興による景気の活性化を図るため、建設国債の発行による公共事業の積極的な導入を政府に働きかけて実現したところでありますが、知事は今回の景気対策及びこれを受けて専決処分された本県の補正予算について、どのように認識されておられるのか。  さらに、専決処分のうち債務負担行為の占める割合が高いわけですが、景気に対する効果について、どのように考えておられるのか、お聞かせを願いたいと存じます。  第二に、本年度の財源確保についてであります。国においては、円高デフレのあおりを受け、所得税、法人税、酒税の国税三税について一兆四千七十億円の減額補正がなされたところであり、これに伴う地方交付税の減額四千五百二億四千万円については、交付税特別会計からの借入金で全額補てんされることになっているものの、池方税の減収見込み五千五百七十一億円については、減収補てん債により補てん、また公共事業の追加に伴う地方負担増については、地方債により処置することになるなど、地方財政を取り巻く環境はさらに厳しいものとなっております。本県における具体的な財源の確保については、これからの課題と思いますが、県税を初め地方交付税、県債等の財源確保の見通しはどうなのか。特に県税については、当初予定どおりの額の確保ができるのか。また給与改定等の補正要因の財源見通しについても、あわせてお尋ねをいたします。  第三に、来年度の予算編成についてであります。国の来年度の予算編成もいよいよ大詰めを迎え、各省庁と大蔵省の間でぎりぎりの折衝が続けられているようであります。聞くところによりますと、大蔵省は国の財源確保を図るため、補助金整理一括法で本年度から三カ年間固定されている公共事業の補助率の再引き下げ、あるいは公立小中学校事務職員、栄養士に係る義務教育費国庫負坦金のカット、あるいは国民健康保険に対する補助金の県への一部肩がわりなど、地方への負担転嫁が検討されているようでありますが、この動きをどのように受けとめておられるか、お聞かせいただきたいと思います。  またこれから知事は、来年度の県予算編成に取り組まれるのでありますが、厳しい財政運営が迫られる中で、県民の新総合計画に対する期待は大きく、これが着実な推進を図るため、御苦心の多いことをお察し申し上げるものであります。  まだ国の地方財政対策は未確定でありますが、来年度の子算編成に当たっての基本的な考え方、特に景気の浮揚対策について、どのような方針で臨まれるのか承りたいのであります。  さらに、国の予算獲得に当たって、九州新幹線本格的工事費の確保を初め、九州縦貫自動車道など高速自動車道の建設促進、空港、港湾、漁港や農林水産業の生産基盤の整備促進、桜島火山対策の拡充強化並びに離島、奄美振興関係などの主要事業について、どのような取り組みをなされるのかお尋ねをいたします。    〔知事鎌田要人君登壇〕 4 ◯知事(鎌田要人君)お答えを申し上げます。  桜島の大爆発に備えての防災、避難対策の問題でございますが、これにつきましては、かねてから大正三年の大噴火規模のものを想定をいたしまして、全島民の島外避難を前提とした計画を策定をしておるところでございます。この計画を立てるに当たりましては、桜島の噴火記録、噴火諸現象の想定、防災環境、災害応急対策災害予防対策等について、細部にわたりきめ細かな対策を講ずることとしておりまして、基本的には現計画で警戒時緊急時の情報伝達、避難誘導等の諸対策を講ずることができると考えているところでございますが、御指摘のとおり、この十二月二日に伊豆大島噴火の事例、あるいは桜島で起こりました噴石の事例等も踏まえまして、県、鹿児島市、桜島町、鹿児島地方気象台、第十管区海上保安本部等の業務担当者で、この計画を再検討をしたところであります。今後、船舶運航責任者も含めまして、海上輪送時の安全航行体制をさらにチェックをしてまいりますとともに、来年一月に桜島総合防災訓練を実施することといたしておりますので、この訓練の中で現在の細部計画、実施細目の各項目につきまして、これをチェック、確認をしながら住民の避難体制に万全を期してまいることといたしております。  なお噴火予知は、大変学者の間でも今度の三原山の事例でも明らかになりましたように困難なところでございますが、桜島の火山観測研究体制につきましては、国の噴火予知計画の中でも、特に重点的に観測研究を行うべき火山として位置づけをされておりまして、鹿児島地方気象台京大桜島火山観測所の観測機器の整備がなされておるところでございますが、今後さらにこれが一層の充実強化方につきまして、他の火山も含めまして、国に対して強く要請をしてまいりたい。またそのような意味でも、明後年計画をいたしております鹿児島国際火山会議の成果にも、大きな期待を持っておるところでございます。  次に、総合経済対策の関連で先般専決処分をさせていただいたところでございますが、今回の専決処分のうち歳出予算分につきましては、これが大体六十六億七千五百万円ぐらいになりますが、この面につきましては、十月補正をお願いしました分、当初予算の下半期の分、こういったものを含めまして、大体この年度内で消化を急いでまいると、また債務負担行為分につきましても、できるだけ早期発注を行うことによりまして、今年度末から来年度の当初にかけまして、切れ目なく執行ができる、こういうことで、県内景気の下支えの効果を発揮するものと期待をいたしておる次第でございます。  次に、大蔵省の明年度の予算編成に関連をいたしまして、またもや地方に負担転嫁を求めてきておるということがございます。これにつきましては、私ども地方自治体、六団体一致いたしまして、六十一年度の予算編成に当たりまして、この国庫補助負担率の引き下げの問題がございました。それに先立って昭和六十年度にも、まさにこの予算編成のぎりぎりの段階でこれが出てまいりまして、六十年度は緊急の措置ということで自治体としても、これを何と申しますか、まことに苦しいところでありますが、協力をしたわけでありますが、六十一年度の問題といたしまして、一年間補助金問題関係閣僚会議等の検討が行われまして、それで例のことしの予算編成に当たりまして、大蔵、自治両大臣の間で今後三年間は国、地方間の財政関係を基本的に変更するような補助負担率の引き下げ、こういったことはやらないという覚書を自治、大蔵両大臣の間で交わされておるわけであります。この覚書の重みというものをどう考えるのかと、特に十二月、もう予算編成が目睫の間に迫っておるときに、国民健康保険市町村負担に加えて、国の負担の一部を都道府県に肩がわりをさせる、こういった、これはまさに地域保険あるいは社会保険というものの制度の基本に触れる問題でありまして、この覚書に抵触するようなことを早急の間に言ってくると、あるいはまた義務教育の関係あるいは人件費の関係、あるいは公共事業の補助率カットの問題、およそ考えられる限りをなりふり構わずもってきた感じでありまして、これは要するに国の一般会計の伸びを抑えるために地方に負担を転嫁すると、しかもその前提は地方は国に比べて余裕があるという過った前提でございますので、私どもとしては、これにはどうしても応ずるわけにはいかないということでございまして、この点につきましては、これからまさに歳末予算編成の前提として大きな問題になるわけでございますので、なお注意おさおさ怠りなく関係地方自治体、自治団体とも一体となって、国と地方の信頼関係というものを失っちゃいかんと、こういうことで対応をしてまいりたいと思っておりますす。  次に、明年度の本県財政でございますが、税収の伸びが期待をできない、交付税も国税三税の伸びのいかんによりましては、これも非常に窮屈と、また国庫補助負担金につきましても、ただいま申しましたような一連の負担転嫁の動きというものがあるわけでございますし、他方におきまして、公債費あるいは人件費等の義務的経費はさらに増高すると、こういうことで今年度にもまして一段と厳しい財政状況に相なろうかと思います。  そういう中で、六十二年度の予算編成に当たりましては、県の新しい総合計画の三年度目でありますので、どうしてもこれの計画的な進捗を図ってまいらなければならないと、こういう中で既存事務事業の徹底した見直しと歳出の整理合理化、当然のことでございますが、またこの歳入の確保を図ることによりまして、財源の重点的かつ効率的な配分に努めてまいりたいと、特にこの景気対策につきましては、本県の場合には公共事業依存度が非常に高いわけでありますので、この公共事業等の確保ということと、これに伴う裏負担の確保と、こういったことに引き続いて努力をしてまいりたいと存じます。  そのような中で、この九州新幹線鹿児島ルートの問題、あるいは東九州縦貫自動車道南九州西回り自動車道、こういった高速自動車道の建設促進、奄美、離島あるいは半島振興対策、こういった面の充実強化と、特土法あるいは松くい虫法の延長の問題、また空港につきましても、新奄美空港が現在着々と進捗中でありますが、新しいいわゆる五次空整、これで新種子島空港が取り上げられておりますし、港湾、漁港等の整備と並びまして、このような基盤整備、それからおくれております農林漁業の生産基盤の整備、桜島火山対策の充実強化など、県の開発促進協議会でもお取り上げいただきましたこれらの課題を満額確保に目指して年末の予算編成に取り組んでまいりたいと、これにつきましても、皆様方初め県選出の国会議員の皆様方、さらには九州一体という面から九州地方知事会あるいは九経連等も一体となりまして、最大限の努力を払ってまいりたいと考えておる次第でございます。 5 ◯総務部長(澤井安勇君)昭和六十一年度の収支見通しにつきましては、依然として大変厳しい状況にございますが、今後とも歳出の削減、県税、交付税、県債等の歳入の確保に努めてまいりまして、収支の均衡を図ってまいりたいと存じます。  なお歳入のうち、県税につきましては、十月末段階で計上予算の約六割が収入されておりますが、これまでのところ、おおむね当初見込みどおりの推移となっております。今後ともさらに予算計上額の確保に向けまして、努力いたしたいと存じます。  また今後の補正要因として、近日中に追加提案をお願いすることを予定してございます給与改定に係ります財源、さらには退職手当の財源等がございますが、これにつきましては、普通交付税の留保分などの財源で対応していく考えでございます。    〔山崎 茂君登壇〕 6 ◯山崎 茂君 桜島火山対策並びに財政問題について、御答弁をいただきました。  本県の景気対策につきまして、知事が並み並みならぬ御努力を積み重ねておられることを高く評価するものであります。県民のこのたびの景気対策に対する関心は非常に高いものがあり、公共事業等の執行に当たっては地元中小企業の受注機会の増大を図りながら、地域の活性化についての取り組みをなされるよう強く要請をいたしておきます。  来年度の予算編成につきましても、さらに財源の確保と事務事業の見直しなど整理合理化に努め、厳しい財政環境の中でありますが、着実な県勢の発展のため、より積極的な取り組みをお願い申し上げます。  また桜島は、今後とも活発な活動を続けると思われるので、今回の三原山噴火の避難事例を教訓として、関係機関と緊密な連携を保ち、火山活動の予知、観測体制の一層の充実とあわせて防災対策に万全を期せられるよう強く要望いたします。  次に、九州新幹線鹿児島ルートの建設促進についてお尋ねいたします。  第一点は、今日着工の運びとなりました西鹿児島駅周辺環境整備事業についてでありますが、国鉄が施行する待合室新設と鹿児島市が受け持つ西鹿児島駅の東西を結ぶ自由通路建設について、工事等のスケジュールから現実に利用できるようになる見通しはどのようになっているのか。  第二点は、本格着工の見通しについてであります。鹿児島ルートなど整備新幹線の建設については、国鉄の分割民営化を来年四月に控えていること、さらには国の財政事情が来年度もさらに厳しい状況にあることなどから、建設等の先送り論が取りざたされるなど、その取り扱いについては予断を許さぬものがありますが、本県としては、一歩も引けないところまで来ており、まさに正念場を迎えているのであります。これから国の財源問題等検討委員会における早急かつ適切な財源処置等の確立と、年末の六十二年度政府予算編成における本格着工予算の獲得、さらに一日も早い本格着工に向け、百八十万県民が一体となった挙県的体制はもとより関係県ともさらに結束を固め、不退転の決意で促進運動を展開、邁進していかなければならないのでありますが、知事はこれまでの運動等を通じ、九州新幹線鹿児島ルート建設について、どのような感触をつかんでおられるのか。また今後どのように取り組まれていかれるおつもりか、お伺いいたします。  第三点は、西鹿児島駅総合交通ターミナルの整備促進についてであります。西鹿児島駅総合交通ターミナルの整備については、鹿児島都市圏交通対策協議会での基本的な方向づけを踏まえ、鹿児島市で策定された西鹿児島駅地区総合整備構想に基づいて、現在市において総合交通ターミナルの設置を含めた西鹿児島駅前広場整備基本設計等の策定について、最終的な調整を図られていると聞いております。これらの整備は、鹿児島都市圏全体の交通体系の基本になることはもとより、今回実施されるようになった西鹿児島駅周辺環境整備事業新幹線乗り入れに伴う駅舎、駅ビル等の建設促進上からも、極めて重要な事業であり、いつにでも着工できるよう十分な準備と対応が必要であると思うのでありますが、これらの基本設計等策定の状況と、その促進体制はどのようになっているのかお尋ねいたします。  次に、国鉄改革八法案も十一月二十八日の参議院本会議で成立し、来年四月一日の国鉄の分割民営化へ向け、いよいよ大詰めを迎えており、百十四年という長い歴史を持つ日本国有鉄道が解体され、六つの旅客新鉄道会社等へと衣がえしようとしているときに当たり、国鉄の改革に関連する事項についてお尋ねいたします。  まず、特定地方交通線対策についてであります。特定地方交通線対策につきましては、昨年七月四線合同による第一回の対策協議会会議が開催されて以来、これまで各線ごとに数回にわたって協議がなされており、宮之城線については、去る十一月二十五日の第七回対策協議会会議において、来年一月九日をもって廃止し、翌十日からバス輸送に転換されることが決定されたわけでありますが、長年地域住民に親しまれてきた鉄道が、いよいよ廃止されるとなると感無量のものがあります。  さらに、大隅線について七月二十九日の第六回対策協議会会議で、山野線についても去る三日の第五回対策協議会会議において、それぞれ地元の意見が集約され、廃止はやむなしとしてバス転換への方向づけがなされたのでありますが、地元としては、先人たちの血と汗がしみ込んだ鉄道を廃止されることは、断腸の思いで決断されたことであったろうと思うのであります。  大隅線については、代替バス輸送計画案が示され、地元で協議検討がなされているようでありますが、同線は鹿屋市等を中心とする千数百人に上る通学生の足の確保や百キロメートル近くに及ぶ長い区間であるなど、多くの問題があるようでありますが、バス転換後における地域住民の足は十分に確保されようとしているのか。なおバス転換の時期はいつになるのか。  また山野線については、山間部等が多くバス運行に支障を来す時期、区間等の問題が考えられるのでありますが、今後地元住民の十分な足の確保について、どのように対処されていかれるおつもりか。  さらに、志布志線についてのこれまでの経緯と今後の対応についても、あわせてお聞かせ願いたいのであります。  第二点は、国鉄在来線機能強化等対策についてであります。  県内には、特定地方交通線のほか鹿児島本線、日豊本線、肥薩線、指宿枕崎線等の在来線がありますが、これらは国鉄が分割民営化されても、産業発展の基盤、地域住民の足を確保する公共交通機関として果たす役割と使命は不変のものであり、特に鹿児島本線と日豊本線は九州地域の交通の基盤的な幹線であり、またこれらと指宿枕崎線の三線については、県内交通の基盤をなすものであることはもちろん鹿児島都市圏と、その周辺地域間の多量輸送機関として重要な交通網であり、十一月からのダイヤ改正において列車増発やスピードアップなど、地域に密着したサービスの向上が図られたところであります。今後、来年からの民営化後も地城に密着した地域とともに発展する鉄道として存続させていくためには、これらの複線化、電化等機能強化を図っていく必要を痛感するものでありますが、知事は来年四月発足することになった新鉄道会社への期待とこれらの対応について、どのように考えておられるか、あわせてお尋ねいたします。  次に、半島地域の振興についてお尋ねいたします。  半島地域の振興については、半島振興法によって指定された薩摩半島、大隅半島ごとに、今後おおむね十年間における振興計画を作成、内閣総理大臣の承認を受けることになっており、この場合の振興計画策定の基本方針としては、半島地域を一体の圏域としてとらえ、広域的かつ総合的な計画であること、また長期的視点に立ち、地域の特性に応じた重点的計画であることが、国土庁の半島振興計画策定指針の中に示されているところであります。  県では、両半島ごとに市町との意見交流会を開いて緊密な連絡調整を図り、全島的体制のもとに両半島独自のカラーのあるものを計画することとして、交通通信基盤の整備を初め、産業の振典や教育、文化の振興まで鋭意取り組んでいただき、前議会でその基本的な考え方をお聞かせいただきましたが、その後計画策定作業も進み、関係方面との調整を行いながら、国への提出の準備をされているものと思いますが、薩摩、大隅両半島の振興計画案の中に盛り込まれている主要プロジェクトや、その内容はどのようなものであるのか。  またこれら半島振興計画は、当初六十一年内に内閣総理大臣の承認を受け、六十二年度から事業を実施していく予定になっていたのでありますが、最近の情報では計画の承認は、六十二年にずれ込むようでありますので、その時期はいつごろになるのか。さらに年内に承認ができない場合は、六十二年度からの事業実施に支障を来すことが懸念されるのでありますが、どのように対処されていかれるおつもりか、あわせてお尋ねいたします。  第二点は、東九州縦貫自動車道及び南九州西回り自動車道の建設促進についてであります。  高速自動車道の整備は、地域間の時間、距離を飛躍的に短縮させ、また走行費用を節減させ、諸産業の活性化、物流の効率化、経済活動圏の拡大等をもたらし、その沿線地域における工業団地、商業流通団地、住宅団地等の開発を促進させることにより、就業機会を増大させ、地域の振興及び人口の地方定住に大きく役立っているのであります。  さらには、国民の高度化、多様化しているレクリェーション活動や都市的サービス機会の享受等の要求にこたえるなど高速自動車道は、国民生活や地域産業、経済の振興発展に欠かすことのできない大きな基盤となっているのであります。本県においては、九州縦貫自動車道の建設により、姶良、鹿児島地方等において、このような直接的な効果が期待されているのでありますが、我が出水市を含む北薩地方を初め薩摩半島、大隅半島など過疎化が進行している地域を含めた県土の均衡ある発展を図っていくためには、東九州縦貫自動車道及び南九州西回り自動車道は不可欠なものであり、一日も早い整備が強く願望されているのであります。  これら両自動車道の連設促進を図っていくためには、第四次全国総合開発計画の中での明確な位置づけ、高規格幹線道路網計画への取り入れや国土開発幹線自動車道建設法に基づく予定路線としての指定などが必要であり、現在国土庁においては、来春に予定されている第四次全国総合開発計画策定の最終調整が行われており、また建設省においては、高規格幹線道路網計画を第九次道路建設五カ年計画期間内の六十二年度内に作成することとし、現在最終的な諸調査、調整が実施されているなど、重要な時期に差しかかっており、タイミングを失することなく、これら両自動車道の建設について、国に対し強く要請していく必要があると思うのでありますが、知事はどのように取り組まれていかれるおつもりか。また知事は、これまでの国のヒヤリング等を通じ、これらの実現について、どのような感触を得ておられるのか、あわせてお伺いいたします。  次に、企業誘致対策についてお尋ねをいたします。  一九八〇年代も半ばを過ぎた現在、大都市への集中や地域格差、過疎問題など一時影を潜めていた古い地域問題が、再び息を吹き返したような状況が訪れております。昭和五十年代に叫ばれた地方の時代という新しい変革の理念は、地方が主役として登場する新しい時代の潮流を示すスローガンとして受け入れられ、あれほど熱意をもって語られた地方の時代という言葉も、近ごろは人の口の端にも上ることが少なくなり、その輝きも色あせ、新聞紙上の活字も小さくなっているようであります。確かに一九六〇年代の終盤に入ってから、地方経済は急速な成長を遂げ、人口の定住化も進み、雇用機会の増大により若者の流出にも歯どめがかかり、労働集約型の工場進出だけではなく、シリコン・アイランドの言葉に代表されるように、ハイテク型の成長産業の地方立地も進んできたところでありますが、最近においては、地方の時代を具体化していく新しい流れとして期待されている国際化、情報化、ハイテク化の動きが、全く皮肉なことに地方の期待を裏切る形で、新しい東京集中の時代、新しい中央の時代の到来という現実になってきております。  また四全総の策定作業の過程で、景気対策のための民活の一方法として東京圏の充実が課題になっておりますし、さらにこの夏の財界セミナー等では東京圏再開発を目指す民活論でにぎわい、事実東京近辺の千葉、埼玉、神奈川の人口増加率は全国最高となっております。その上、九月十九日に決定した総合経済対策の中に、民活法対象プロジェクトに対する新たなてこ入れ策が盛り込まれ、六十一、六十二年度に着工される事業に対して、用地取得費や造成費などを除いた事業費に五%の助成措置が行われることになり、現在千葉の幕張メッセとか、神奈川サイエンスパークのプロジェクトが認定申請中であるほか、数多くの巨大プロジェクトが計画中であり、ますます東京圏の集中が進みそうであります。地方経済は産業基盤が弱く、東京圏のように民間資金は集まりそうもなく、また財政絡みの需要に依存する体質にあり、当分の間、苦難の道が続くものと思われることから、各自治体は再び企業誘致に力を入れ始め、とりわけハイテク型の成長産業をねらって厳しい誘致競争が繰り広げられているところであります。  そこでお尋ねをいたしますが、第一点は、通産省がまとめたことし上半期の工場立地動向を見てみますと、九州地区では百二十八件の工場立地があり、前年同期に比べ九%増加している反面、ICなど電子機器部品の立地が十六件から四件に激減するなど、今後の動向に不安を残しておりますが、本県における企業の立地の状況はどうか。またその特徴をどのようにとらえておられるのか。  第二点は、昭和六十年における九州地区と東北地区の工場立地状況を比べてみますと、九州における三百五件の立地に対し、東北は五百三十六件と一・八倍、中でも先端技術業種は、九州四十二件、東北百四十件、三・三倍とかなりの差が出ております。しかも生産されるICの平均単価は、九州の百五十一円に対し東北は二百五十六円と、北で生産されるIC単価は九州の一・七倍に相当しておりますが、これらについては、どのように受けとめておられるのか。さらにICを初め電気、機械、自動車、プラスチックなど数多くの産業に欠かせない金型治工具は先端産業を誘致し、育成していく基礎となるものでありますが、本県の金型治工具業界について、今後どのような対応が必要と考えられるのか。  第三点は、円高の定着、アジア新興工業国等の躍進等により、国内の企業は海外へ生産をシフトさせている中で、九州でも産業の空洞化が懸念されております。九州経済調査協会によりますと、海外に進出している九州、山口地区の企業は、三月末で九十二社、進出件数は百三十九件に上り、進出状況は韓国、台湾が十七件ずつ、中国十四件、香港十二件、タイ、マレーシアが九件ずつとアジアが九十六件と最も多いのですが、本県関係企業の海外進出の動きの状況はどうか。  また地域密着路線を掲げ、九州の代表的な輸出企業である九州松下電気も最近になって、初めてOA機器の実国生産を決めたことからもわかるように、企業の誘致は厳しい状況に置かれておりますので、企業立地のための環境整備、優遇措置について抜本的に見直す必要はないか。さらに製造業に限らず、研究型企業、試験研究機関、ソフト産業、観光レジャー産業、大学誘致など幅広い対応が必要ではないかお伺いをいたします。  次に、池田製菓の倒産関連の問題についてであります。池田製菓の再建については、負債額が大き過ぎることや金融機関が態度を硬化させていること、管財人探しが容易でないと見られていたことから、更生手続の開始が認められるかどうか、予断を許さない状況にありましたが、地域経済に与える影響が大きいことや最大手の山崎製パンから管財人として山田常務が選任されたことなどから、今月の三日鹿児島地方裁判所は、池田製菓が七月十日に会社更生法適用を申請してから百四十七日目にして更生手続の開始決定を下したところであります。更生開始決定の知らせは、たちまち加世田市内を駆けめぐり、歳末商戦に入った商店街も久しぶりに明るさがよみがえったところであります。  そこでお尋ねをいたしますが、池田製菓の従業員は十一月末で九百六十六人、販売会社を含めると千六百四十四人となっており、山田管財人は記者会見で具体的な再建策に触れ、原材料費を切り込むにも限界があり、人員整理が最大のポイントになることを示唆したところで、今後合理化案が計画されるのは必至であると思われますが、雇用安定対策等どのように対応されるのか、お伺いをいたします。  また債権者等は、更生計画ができるまで長期間権利が凍結されやさらに更生計画で権利の内容に変更が加えられるなど厳しい面もありますので、特に関連取引中小企業の経営安定対策をどのように進めるのか、あわせてお伺いをいたします。    〔知事鎌田要人君登壇〕 7 ◯知事(鎌田要人君)九州新幹線鹿児島ルートの建設促進に関連しての問題でございますが、ただいまお述べになりましたように、九州新幹線西鹿児島駅周辺環境整備事業の起工式が本日行われたわけでございまして、新幹線の早期実現に向けて、大きな弾みとなるものと受けとめておるところでございまして、県議会の皆様方を初め、関係の各位に深く厚く御礼を申し上げる次第でございます。  さて、このお尋ねの供用の時期でありますが、国鉄が実施します待合室の建設は六十一年度の事業でございますし、鹿児島市が実施します自由通路の建設は六十一、六十二の二カ年間にわたる事業となっておりますので、待合室は六十二年度の始めごろ、また自由通路は六十三年度の始めごろに利用できる予定でございます。  次に、本格着工の問題でありますが、これにつきましては、現在国の財源問題等検討委員会で、その前提となる財源問題、建設主体等について鋭意検討がなされているところでありますが、去る五日開催されましたこの委員会では、慎重な意見も出されたように報道をされているところでございます。いずれにいたしましても、私どもはこれだけの長い間、整備計画が決まりましてからでも十三年間ということでございまして、これまでのこの長い間のおくれ、さらに一方におきまして、御指摘のとおり鹿児島県、あるいは九州地域におきまして、新たな過疎が始まるおそれもあるということでございますし、国においても四全総で多極分散型の国土の形成、あるいは定住と交流、国民の一日日帰り圏というものをできるだけ拡大をしていくと、こういったことをうたっておるわけでございますので、これについては来年度の予算編成が決着を見る年内が正念場と、こういうことでございまして、この整備新幹線関係県とも一体となり、全国的な規模で、この財源問題等検討委員会の速やかな、かつ適切な結論を出していただきまして、この六十二年度本格着工予算の確保に向けて、予算編成のぎりぎりの段階まで、県民の熱意を総結集した一大要望活動を展開をいたしまして、これが実現に最大限の努力を注いでまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、総合交通ターミナルを含む西鹿児島駅地区の整備の問題でございますが、これについては御指摘のとおり、昭和五十八年の八月に鹿児島都市圏交通対策協議会の基本的な方向づけをいただいておりますし、これを踏まえて鹿児島市を中心に、経済団体等で組織する西鹿児島駅地区整備推進協議会において駅舎、駅ビル、あるいは新幹線の乗り入れ、駅前広場等を内容とするこの西鹿児島駅地区総合整備構想が昨年の二月に策定をされているところでございます。  その後、この西鹿児島駅前広場整備基本設計と、これについての検討も進められておるところでございますが、今後新幹線の乗り入れ、駅舎、駅ビルの計画との調整を図りながら、基本設計を固めまして、具体的な推進を図ってまいりたいと、県といたしましては、これに積極的に協力をしてまいりたいと、それによりまして文字どおり陸の南の玄関口としての鹿児島市の整備というものが図られることを期待をいたしておるところでございます。  次に、特定地方交通線の問題でありますが、提案理由でも申し上げましたように、大隅線につきましては既に、バス転換の方向づけがなされているところでございまして、現在沿線市町において代替バスの輸送計画、これに関連した事業計画等について、慎重な協議検討が重ねられているところでございますし、山野線につきましては去る十二月三日の対策協議会会議でバス転換への方向づけがなされ、今後代替バスの輸送計画等の具体的内容についての協議検討が行われると、こういうことに相なっております。  私どもといたしまして、この二線がこれまで地域住民の足として果たしてまいりました役割を踏まえ、御指摘のような点も十分に勘案しながら、地域に密着したバス輸送体系の確保、あるいは円滑なバス転換の条件整備、道路整備等の問題も含めまして、今後対策協議会会議の場で十分に議論を尽くして、住民の足確保のための努力をしてまいりたいと。  また、志布志線でありますが、これはこれまで五回対策協議会会議が開かれておりまして、地域交通の実態把握、あるいはは臨時に列車を運行すると、その効果を見ると、こういったような協議検討も重ねてまいっておるところでございますが、前回の対策協議会におきまして国鉄側から第三セクターになった場合の試算、バス輸送の試算と、これについて提示がなされ、これをもとにいたしまして、今後地元の集約がなされてまいるということになろうかと思います。県といたしましても、引き続き地域住民の足確保の観点からこれに参加をし、意見をし、適切な結論が出されるように努力をしてまいるつもりでございます。  次に、国鉄の民営分割に伴います鹿児島県内の鹿児島本線、日豊本線、指宿、枕崎線等の機能強化の問題でございますが、御指摘のとおり新しく来年四月から発足します九州旅客鉄道株式会社、これの運営につきましては、何よりもやはり安定した経営のもとで、将来にわたって末長く住民の足としての役割を果たしていただきたい。  また我々県民一人一人も新会社をマイレールという認識を持って、利用促進等によりまして、これを支援していくことが必要であるというふうに考えるわけでございまして、このような観点から在来線の複線化、あるいは電化等の機能強化につきましては、これまでも機会あるごとに要望してまいったところでありますが、新会社へ移行後も鹿児島都市圏と、その周辺地域とのアクセス手段と、こういった重要な役割がございますので、この輸送サービスの改善につきまして、今後とも関係機関へ粘り強く要請をしてまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、薩摩、大隅両半島の振興計画案の中に織り込まれる主要プロジェクトでありますが、ただいま関係方面との調整を続けておりまして、その過程で一部変更の可能性もございますが、現段階での内容といたしましては、薩摩半島につきましては、産業振興の面から南薩畑かんの早期完成、あるいは松元、金峰地区の総合土地改良事業、南薩日置の広域営農団地農道の整備等の推進と、水の高度利用による農業の展開、あるいは栽培漁業の推進や、水産技術のハイテクノロジー化を進めるハイテクマリン構想の推進、西薩地域の工業開発の拠点となります西薩中核工業団地の早期完成、また地域内全般にわたる企業立地の促進、串木野地下備蓄基地の建設、さらには特にこの地域で重点を置いてまいりますものといたしまして、国民の生活時間の態様の変化に対応いたしまして、南薩西岸地区、指宿地区における海洋性のリゾート基地の建設、あるいは南薩地区の少年自然の家の建設、交通通信基盤の整備につきましては、南九州西回り自動車道の建設促進、南薩横断道路の早期完成、南薩を縦貫する道路の建設の促進、国道二百二十五号の川辺地区の改良などを考えておる次第でございます。  次に、大隅半島につきましては、産業振興の面から現在計画、あるいは今後着手してまいります大規模土地改良事業、農地開発の推進あるいは農産物輪送基地の建設などによりますバイオも含めての畑作農業の展開と、あるいはこの栽培漁業の推進、海洋牧場の建設、あるいは志布志の国備基地の建設、臨海内陸部におきまする新規企業立地の推進と、こういったことを考えておりますし、また志布志湾地域、半島南部地区、高隈地区等におきますレクリエーションゾーンの形成、交通通信基盤の整備といたしましては、東九州縦貫自動車道、大隅縦貫道の建設促進や、国際物流基地港湾の建設構想の推進、さらに大隅バイオポリス構想の推進などを内容として策定作業を進めているところであります。  次に、これの承認手続についての見通しでありますが、御指摘のとおり若干の国の方でずれ込んでまいりまして、国土庁といたしましては、今後の取り扱いにつきましては、関係各省庁との調整を行った上で、六十一年度中承認を目途として、作業を進める考えであると伺っております。  県といたしましては、六十二年度からの事業実施に向けまして、現在策定中の振興計画ができるだけ早い時期に承認が得られるように、これが努力をしてまいりますとともに、これが中身になる事業につきましては、先取り的にこの事業化を図っていくと、それとやはりこの振興法でおくれておりますのが財政的な支援措置の充実ということがおくれておりまして、これをやはり並行して国会の御援助もいただきながら、要請をしてまいらなければならない、この財政援助措置等の問題の検討が大きな今後の課題でございます。  次に、東九州縦貫自動車道南九州西回り自動車道の建設促進の問題でございますが、これにつきましても、これまで皆様方関係議員の方々の大変な陳情要請活動等の御参加方をいただいておりまして、かなり地元は燃えておるなと、こういう感触を得ているところでございますが、再三申し上げておりますように、問題は現在の一万キロのこの枠を四全総でどれだけ広げるかと、広げられるかと、こういうことでございまして、この枠の拡大と、それをまず図って、その中に東九州縦貫自動車道、あるいは西回り自動車道、これを突っ込んでいかなければならないということでございます。  仄聞しますというと、大体仮に一万が、一万四千という説もありますが、四千になった場合に志願者は約その倍あるということでございまして、これにつきましては激烈な受験競争に打ち勝つために、さらに私ども新幹線ともども、全力を挙げて要請活動をしてまいらなければならないと、最後まで努力するものが結局勝ちと、こういうことであろうと思います。  次に、本県の企業立地の動向でございますが、通産省取りまとめの昭和六十一年上半期の工場立地動同調査によりますと、本県の工業立地は十六件、前年同期に比べ三件の増加となっておりますが、これは御案内のとおり志布志港の臨海工業用地の分譲開始による飼料工場や、機械、電気等の工場立地によるものでございます。  ここ数年の傾向を見ておりますと、電気、機械あるいは金属製品等の付加価値の高い産業の立地が増加しておりますし、これらの産業は雇用力も大きく、地場産業への技術移転効果などもございますので、今後とも工業団地の説明会等も先般やったところでございますし、いつも申し上げておりますように、各県間の競争激化の中でございますので、それこそ金のわらじを履きつぶすぐらいのつもりで努力をしなければいけないと、またそのような努力を展開してまいりたいと考えております。  東北に新幹線ができましたときに、九州はぼやぼやしておって、結局ひかりは北へ行ってしまったと、私が嘆いたことを皆様方御記億であろうと思いますが、事実はそのとおりでありまして、新幹線が東北に行ってから東北と九州の地域別の立地動向というのは、ちょっと後の方はごらんになられないかと思いますが、上が東北、南が九州でありまして、開く一方であります。東北は昨年の七月に六百五十キロの東北縦貫道も通ったということでありまして、今や私はかつては自河以北一山百文ということで、東北の人は嘆いておりましたが、今や私どもは博多以南一山百文の時代になったということで、これではいけない。九州も一丸となってこの新幹線、高速自動車道に、一体となって取り組んでまいろうと、こういう機運も出てきておるところでございまして、やはりこのような高速交通手段というものによりまして、人、物、金というのが動くわけでありまして、そういうものは要らんというところは、永久にこれは発展をしない、若い人たちが出ていくということでございまして、これに全身全霊を傾けてまいりたいと考えておる次第でございます。  なお、東北で生産されておるICの価格が九州に比べて高いのは、東北では首都圏に近いもんでありますから、家庭、電気などの組立工場が立地をしておると、そういうことで、九州の場合には、いわゆる汎用品でございますが、九州の場合にはこのオーダーメイドの高価格専用品が多いためであるということでございます。  次に、企業立地のための環境整備優遇措置でございますが、これにつきましては、本県といたしましても他県に見劣りをしない対応というものをしてまいりながら、さらに先ほどから申しておりますような基幹的な交通体系の整備、あるいは試険研究機関の充実、地元の協力企業の整備育成、こういったこと等の協力の面、特にこの高度の技術者を含めての人づくりという面での協力ということが必要になってまいると思います。  さらに、企業誘致につきましては、今年度から試みておりますように、市町村と県と一体となって進めてまいるということが必要かと存じます。  優遇措置等につきましては、随時見直しをしながら、これが効果的に働くように努力をしてまいりたいと存じます。  また、研究開発型企業、あるいは特に地方において大事なのは、今後試験研究機関これの誘致、あるいは観光レジャー産業、それから大学等の誘致と、こういったこと等も地域の特色ある発展を図るためには必要なことでございますので、あらゆる機会をとらえて、これが誘致に努めてまいりたいと考えておる次第でございます。 8 ◯商工労働部長(落合俊雄君)本県の金型治工具工業についてのお尋ねでございますが、本県金型治工具工業界の技術高度化を促進いたしますために、昭和五十八年度から昭和六十年度まで金型治工具振興対策事業を実施いたしまして、加工技術、熱処理、材料選択に関します基礎技術の向上に努めてきたところでございます。  また、昨年十一月には鹿児島県金型治工具工業会が設立されまして、業界におきましては、自主的な技術向上や、経営合理化等の各種事業を実施しているところでございまして、今後さらに特殊加工や高精度加工技術の高度化、コンピューターの利用技術の向上、生産管理技術、品質管理技術の高度化を図る必要があるかと存じます。  県といたしましても、本年度から高精度金型治工具加工技術推進事業を実施いたしまして、県内企業がすぐれた固有技術を確立いたしますよう指導をいたしているところでございます。  次に、本県関係企業の海外進出の動きでございますが、六十一年三月末までに県内企業の海外進出は六社ございますが、その内訳は製造業が二社、商業が二社、建設業が二社となっております。  最近の円高等に関連いたしまして、県内企業で海外進出をする動きは見られておりません。  次に、池田製菓株式会社従業員の雇用安定についてのお尋ねでございますが、池田製菓株式会社の会社更生法の手続開始によりまして、来年十一月三十日までに管財人によりまして更生計画が策定されることになったわけでございますが、従業員の雇用問題につきましては、不安の起こることのないよう配慮されることを期待しているところでございます。  次に、池田製菓関連の取引中小企業の経営安定についてでございますが、池田製菓株式会社につきましては、去る七月二十四日に大型倒産といたしましての国の指定を受けまして、それによりまして取引中小企業を信用保証協会の特例保証の対象といたしまして、融資期間、貸付金利が有利な県制度資金など、これまで十八企業に対し三億三百万円の融資が実施されております。  今後とも、これら制度の積極的な活用を促進いたしまして、関連取引中小企業者の経営安定を図ってまいりたいと存じます。    〔山崎 茂君登壇〕 9 ◯山崎 茂君 それぞれ御答弁をいただきましたが、九州新幹線鹿児島ルートの建設につきましては、本日の起工式を弾みに、県民の熱意を結集し、九州が一体となって本格着工に向けて、最大限の努力を傾注されますようあわせて出水駅並びに川内駅の早期着工についても要請いたしておきます。  特定地方交通線につきましては、関係地域住民の足が十分確保され、地域産業の振興と人口の定住が促進されるように、今後一層積極的な取り組みをお願いいたします。  東九州、南九州西回り両自動車道並びに大隅縦貫道の建設促進につきましては、県土の均衡ある発展を図っていくためには、不可欠なものでありますので、国に対してさらに積極的に要請していかれるよう、強く要望するものであります。  企業誘致対策につきましては、東北地方への集中に加えて、最近では海外進出の動きなど、情勢の厳しさを痛感するものであります。テクノポリスの進展など、今からが本番であります。十分な情報の収集と分析、それに基づく対策の見直しなど、積極的な対応とあわせて地場産業の育成にも特段の努力をされますよう要望いたしておきます。  次に、農業問題において、まず米の市場開放要求についてお尋ねいたします。  本年は四月に日米の残存輸入制限十二品目の期限が切れて、ガット理事会に提訴された上に、今まで聖域とされてきた米の輪入自由化まで持ち出されるなど、日米の農産物貿易交渉は一段と厳しさを増した年でありました。中でも米の輸入については、全米精米業者協会が我が国の食糧管理体制による輸入制限が不当だとして、アメリカの国内法である七四年通商法三百一条に基づき、通商代表部に提訴した問題は、農産物の輸入自由化を求める声がどんなに高まっても米は大丈夫であろうと信じてきた稲作農家のみならず、一般国民もびっくりさせられたところであります。  一方、国内的にも四月の前川レポートに続き、先月には社会経済国民会議が農産物自由化や食管制度の改革を求めるなど、米をめぐる問題については内外から圧力が強まってきているところであります。しかしながら、現在各方面で論議されている米の自由化論の中では、日本人の好みに合う中粒種、短粒種に対し、アメリカや東南アジア等の米は長粒種であるという品質上の違いは余り問題とされず、アメリカやタイの生産者価格水準と、我が国の生産者価格水準のみを単純に比較して、この価格差があたかも消費者価格差であるかのごとく受けとめ、自由化されれば米の値段が八分の一程度にも下がるといった誤解が見受けられるのであります。食糧庁の調査によれば消費者価格べースで比較すると、品質上の差などを度外視しても、米国の一・九倍程度であるとされております。もちろん自由化により消費者価格、そして生産者価格も下がることになり、足りなくなったら輸入すればよいという人も少なくありませんが、主食を輪入に依存するのは国家の安全保障面でも大きな問題であり、先進国はどこも食糧の自給を守り、主食を他国の輸入に頼っている国はないのであります。  国内的にも農家経済の三分の一を支えている稲作が減退すれば国内の過密、過疎がますます進み、地域の活性化や大都市の過密解消のため、これまで以上の国民的負担が必要となることは必至であります。  その上、水田は保水、貯水、水資源の涵養など、国土保全にも重要な役割を果たしており、我が国水田の多くは先人たちの血のにじむような努力によって開田され、整備されてきたのであります。本県でも先ごろ県教育委員会から出版された小学校の道徳の副読本「郷土の先人」という本に、薩摩町の清左衛門、竜郷町の田畑佐文二、有明町の野井倉甚兵衛など、寝食を忘れて開田に努力された人々の話が納められております。私の地元出水におきましても荘の開田や、「味噌なめて晩飲む焼酎に毒はなし、煤け嬶に酌をさせつつ」の碑で有名な小原台地があり、開田の苦労を今に伝えているところであります。  また、開田した水田の用水路やため池の維持管理のためには地区民の協力が不可欠であり、水田稲作に特有の作業形態は、長い年月にわたって日本人の生活様式や物の考え方に影響を与え、日本人の協調性や同質性は米によって形成されたといっても過言ではなく、日本の社会も文化も稲作を抜きにしては考えられないなど、我が国における米は極めて重要な役割を担っているものであり、当面米作の体質強化、生産性向上を急ぎながら、自給力の維持、強化に努める必要があると思料するものでありますが、全米精米業者協会の要求に端を発した米の市場開放要求について、知事はどのように受けとめておられるのかお尋ねいたします。
     なお、このように農産物輸入自由化の要求が一段と強まる中で、先月二十八日農政審議会は二十一世紀に向けての農政の基本方向と題する農政長期ビジョンを農林水産大臣に報告したところでありますが、その中で需要の動向に即した生産性の高い農業構造の改善により、産業として自立し得る農業の確立を目指すこととし、特に地域の農業生産の担い手として中核農家の育成が必要であるとしておりますが、これらの点について、本県としてどのように取り組まれるおつもりかお伺いいたします。  農業問題の第二点は、水田農業確立対策であります。米の需要に即応した生産を計画的に調整するとともに、需要の動向に安定的に対応し得る農業構造の確立を図る目的で、昭和五十三年から本年まで水田利用再編対策事業を実施してきたところでありますが、天候に大きく左右される稲作は需給調整が難しく、五十五年から四年連続して不作であった米が、この三年は連続して豊作となり、来年十月末の米の在庫水準は、このままでは計画を五十万トンも上回る見込みであります。  一方、米の輸入自由化や食管制度の廃止などが内外から要求されているところでもあります。こうした点等を踏まえ、さきの農政長期ビジョンの中でも生産性の高い水田農業の確立のためには、農地流動化等による経営規模の拡大と、作業の受委託を含めた作業規模の拡大を図るとともに、稲作と転作作物を組み合わせた水田の有効利用による水田全体としての生産性向上を図ることを強調しているほか、米の流通面、価格面において一層の市場メカニズムの導入をうたっているのであります。この長期ビジョンを受け、先日国が示した来年度からの次期対策では、転作面積は七十七万ヘクタールと、現在の六十万ヘクタールを大きく上回り、一方転作奨励補助金は二〇%もの減額となり、新たに飼料用米が導入されています。  今や米をめぐる内外の諸情勢や、水田農業の占める重要な役割を考えるとき、単に減反に協力し、奨励金をもらうという受け身の考え方でなく、対策の名称も水田農業確立対策とかえられたように、転換を契機に地域の生産構造を積極的に改造し、知事がいつも言われる足腰の強い水田農業を早く樹立しなければならない大事な時期に差しかかっていると思うのでありますが、知事はこの水田農業確立対策をどのように評価し、本県としてどのように取り組んでいこうと考えておられるのか。  さらには、これから市町村別の転作面積、事前売り渡し申し込み限度土の配分などが始まるわけでありましょうが、今後どのように対処されるのかお聞かせ願いたいのであります。  次に、第三点として農業の情報化についてお伺いをいたします。  二十一世紀は情報化社会であると言われております。農業においても技術が高度化し、経営が専門化する中で、情報の内容が多様化し、情報源が多元化しつつある現在、地域の実情を踏まえ、コンピューター、ニューメディア等の効率的な活用による生産、流通、消費、各般にわたる情報の収集、分析、活用等を図り、情報化社会における近代的農業確立の必要性が盛んに言われております。  このような時期に出水における農村地域の情報化を推進することとし、グリーントピア構想が策定されますことを高く評価するものでありますが、まず構想が策定されました後、農家の利用が実現するのはいつになるのか。期待の大きい地元でも関心の的になっておりますので、今後のスケジュールについてお聞かせ願いたいのであります。  また、出水地域だけでなく県内の農村地域でも情報化時代への対応は不可欠でありますので、今後県内の農村地域の情報化について、どのように取り組んでいかれるのかお伺いいたします。  次に、林業問題であります。  国の林政審議会は去る十一月十七日、二十一世紀に向けた我が国の林業施策のあり方をまとめ、林政の基本方向として報告しておりますが、それによりますと、森林、林業及び木材産業を取り巻く情勢が厳しい中で、このまま推移するならば、国産材時代の実現が期待できないばかりでなく、森林の維持管理が一層困難となり、国土保全等、森林の公益機能の発揮にも重大な支障を及ぼすことが懸念されるといたしております。  そこでこれらの危機を克服し、森林に対する多様な要請にこたえるとともに、二十一世紀初頭における国産材時代を現実のものとするためには、これまでの天然林を人工林にするための拡大造林を主体とした造林施策を見直すなど、森林整備の体質改善、林業経営の活性化、山村の振興と森林の総合的利用の促進、森林の有する地面的機能の維持増進と、緑資源の確保などの施策を強力に推進する必要があると報告しております。  本県におきましても、戦後拡大造林を中心に積極的に造林事業を進め、ピーク時の年には一万ヘクタールを超える造林を実施した結果、現在では人工林率が五三%と全国の四〇%を上回り、おおむね森林造成の基盤は樹立されるとともに、これらの人工林の大部分は育成途上におるものの、今後保育、間伐等の適正な維持管理を行っていくならば、近い将来県産材の供給能力は飛躍的に増大することも期待されております。  しかしながら、先ほど申し上げました報告書にもありましたように、森林、林業及び木材産業を取り巻く情勢は長期にわたる木材価格の低迷、林業経営諸経費の増大、住宅建設の不振と木造率の低下や、木材の代替材の進出等による木材需要の停滞、林業担い手の減少や高齢化、さらには最近の円高等も加わり、一段と厳しい状況にあります。  加えて、本県は林家の保有規模が極めて零細で、資産保有的傾向が強く、林業への依存度の低い林家が多いなど、国産材時代を現実のものとするには克服しなければならない課題を数多く抱えているのが実情であります。  そこでお尋ねする第一点は、林政審の報告にもありますが、本県においても去る五十八年に策定された地域森林計画による七十年度目標の人工林率六〇%を見直し、今後はこれまで造林された人工林の適正管理に重点を置くなど、造林施策の転換を図る必要があるのではないかということであります。  第二点は、広葉樹についてであります。  本県にはまだ多くの広葉樹があり、これらの有効利用を図るとともに、森林の文化的、教育的利用に対する要請にこたえる意味からも、杉、ヒノキなどの針葉樹だけでなく、広葉樹の植栽を進める必要があるのではないかということであります。  第三点は、林業労働者の高齢化が進行し、その質的低下と減少が懸念される中で、十年後、二十年後の国産材時代に対応する林業労働者の育成、確保が急務と思われますが、どのように育成、確保されていかれるのかお尋ねをいたします。  次に、教育改革についてお尋ねいたします。  幼稚園から高校までの教育課程改定に取り組んでいる教育課程審議会は、十一月二十日「教育課程の基準に関する基本方向について」と題する中間まとめを公表いたしました。この中間まとめは、改定方針について総論的に審議した結果を集約したもので、二十一世紀に向かう時代の変化に積極的に対応することを月指して、個性と創造性の育成を最重点に掲げ、同時に社会の中の日本人つくりを重視したものとなっており、教育課程として科目の編成、授業時間等の改善を提示しております。  ところで、今回の中間まとめは、幼稚園教育と高校教育の普及を踏まえて、初めて幼稚園、小学校、中学校、高佼の教育を一貫してとらえる考え方を掲げているのが新しく、とりわけ中学、高校では基礎、基本の共通履修は中学校段階までにとどめるとともに、中学校教育に前期中等教育としての性格を強く持たせ、高学年から生徒の能力、適正等に対応する選択履修幅を拡大、これを受けて高校一年の段階から弾力化を図っていくことにし、一方幼稚園、小学校では小学校低学年の社会科、理科を廃止して、生活科を新設するのを基軸に、体験的、総合的な活動を拡充することを中心としていますが、今回の見直しの最大の改正点は中学校高学年からの選択制の拡大でないかと思います。中学校の総授業時数に変化はないとしても、各教科の時間数に上限と下限を示して幅を持たせ、選択科目の種類をふやすとともに、必修教科でも教科内選択ができるようにすることとし、また教育方法面では教科によっては習熱の程度に応じた指導について検討する必要があると指摘し、これに伴って共通履修の最終段階となっている高校一年では、必修科目指定の枠を広げ、高学年まで全体的に一段と弾力化する、こうして生徒の能力、適正等により、一層対応する道を広げることにしていますが、これは画一より多様を、硬直より柔軟をという臨教審の個性重視の原則の流れに沿うものと考えられるのであります。  また、世界の中の人づくりとも関連して、徳育の充実も中心課題の一つで、小、中学校の道徳はより構造化、重点化し、高校では社会科の倫理的内容を改善充実して、人間としての生き方を含む指導を重視し、道徳副読本の使用を奨励する処置や、校長、教頭による道徳授業の実施を提言し、また道徳教育は学校の教育活動全体を通じて行うとの視点から、生活科、国語科、特別活動などの対応に言及し、また特別活動では基本的生活習慣の形成や、奉仕の精神、愛国心の涵養などの指導を重視し、入学式や卒業式など、儀式的行事における国旗、国歌の取り扱いを明確にすることを検討する方針を明らかにしているのであります。  そこでお尋ねいたしますが、今回の教育課程の基準の改善に関する基本方向についての中間まとめについて、どのように受けとめておられるのか、教育長の率直なお考えをお聞かせください。  また、関連してではありますが、来春の本県における中学校卒業予定者の進路希望調査にょりますと、卒業予定者は前年より千人余り多い二万七千六百六十人、うち二万六千九百八十二人が進学を希望し、率としては過去最高の九七・五%に達し、県内公立高校進学希望者二万四千七百六十二人のうち、普通科希望者は一万四千三百九十六人と五八・一%と過去最高を示しており、普通科志向が強まっているようでありますが、来年の公立高等学校募集定員の策定について、その基本的な考え方を示していただきたいのであります。  次に、地域福祉の推進についてお伺いいたします。  今日、諸外国に例を見ないほどの急速な高齢化社会への進展を背景に、我が国の社会福祉は大きな転換期を迎えていると言われております。すなわち国民の生活水準の向上や、年金、医療保険制度の充実等に伴って、これまでの貧困者等に対する経済給付を中心とした福祉から、国民のだれもが必要に応じて利用できる福祉へと幅広く対応することが求められているのであります。このような観点から、最近の福祉施策は在宅福祉を基調として展開されており、この在宅福祉を中核とした地域福祉の必要性が強調されているのであります。  ところで、地域福祉を推進していくためには、福祉に携わる者だけでなく、社会福祉への広い関心と深い理解による地域住民の協力と参加が期待されており、中でも民生委員やボランティアの役割が重要であると考えるのであります。民生委員については十二月一日をもって改選が行われたところであり、本県でも三千四百九十四人の方々が、今後三年間にわたってその職務を遂行されるのでありますが、民生委員の方々の御活躍を心から願うものであります。  特に、住民の社会福祉活動への積極的な参加や、福祉制度等の複雑化、多様化に対応して、地域福祉の担い手として民生委員の期待はなお一層高まっておりますので、従来にも増して広範な知識と技術の習得がなされる必要があります。また今回の改選による本県の新任民生委員の割合は二〇%であり、民生委員の平均年齢は六十一・六歳で、改選ごとに高くなっております。このことは社会奉仕の精神をもって職務を遂行することが強調されているとはいえ、活動費が十分でないことや、苦労の割に社会的評価が高くないこともあり、若い世代が積極的にその職を引き受けるような魅力に欠けているのではないかと思われるのであります。  そこで、今後どのようにして地域福祉の担い手としての民生委員の育成、指導に取り組んでいかれるのかお尋ねするものであります。  第二点は、ボランティアの掘り起こし、育成、強化についてであります。福祉社会を実現するためには、行政が大きな役割を果たすべきであることは当然でありますが、地域住民自身が果たすべき役割もまた大きいものがあります。  最近、所得水準の向上や自由時間の増大等に伴い、家庭の婦人や高齢者を中心としてボランティア活動に対する関心が高まっております。このことは総理府のボランティア活動に関する世論調査でも六一%の人がボランティアに関心があると答えていることからもうかがえるのであり、全国の社会福祉協議会に設置されているボランティアセンターに登録されているボランティア数も昭和五十五年の百六十万人から六十二年には二百八十万に急増しており、本県でも個人、団体合わせて八万七千人近くが登録されております。このボランティアの行う活動は老人、障害老等への社会福祉活動や、地域の美化活動などさまざまでありますが、昨年、県社会福祉協議会が行った調査では、回答のあった養護老人ホームや児童福祉施設の入所者の七八%がボランティアの奉仕や慰問を楽しみにしており、二二%の人が一番うれしかったことは話し相手になってくれたことだと回答しております。  県では広く県民のすべてがボランティアであるという自覚と誇りを持って、その担い手となるようボランティアの育成や推進体制の整備を図ってこられているところでありますが、ボランティア活動は自主的な活動であり、他から強制や拘束を受けないところに意義があるだけに、ややもすると恣意的な活動になりがちな傾向にあるのではないかと思われます。  また、歴史的、社会的にボランティア思想が定着し、日常的に実践されている欧米諸国とは異なり、我が国ではようやくその緒についたばかりであり、ボランティア活動が計画的に責任を持って継続されるためには、それなりのシステムも必要であると考えるのでありますが、今後における福祉施策、特に地域福祉の推進に占めるボランティア活動の重要性にかんがみ、どのようにしてその掘り起こしや育成強化に取り組んでいかれるのかお尋ねいたします。    〔知事鎌田要人君登壇〕 10 ◯知事(鎌田要人君)米の市場開放要求問題についてでありますが、国においては米は国内産で賄い、国の責任で管理し、再生産を確保しつつ消費者に安定供給を図っていくと、こういう食管制度の基本は今後とも堅持するという見解を示しておるところでございまして、私といたしましても、これと同じ立場で受けとめ、対処してまいるべきであると考えておる次第でございます。  なお米国政府は、全米精米業者協会の提訴は却下いたしましたものの、今後ガット、新ラウンドの場等で米の輸入制限の撤廃を迫る方針であると、こういうことを表明をしておるところでございまして、今後とも予断を許さない情勢にあるというふうに存じます。  私といたしましては、この米につきましては、先ほども申しましたように、いわゆる国家品目と、この立場を国においても堅持をしていただく、それと同時にやはりこの内外の厳しい諸情勢も十分注視しながら、国の施策に沿って生産性の高い水田農業の確立を期するということで、関連諸施策の推進を図ってまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、先般の農政審議会の中間取りまとめ、あるいはそれに引き続くポスト三期対策等の中で、水田農業確立対策という考え方が打ち出されてまいったわけでありまして、これは水田を活用して生産される作目の生産性の向上、それから輪作農法の確立、需要の動向に応じた米の計画生産、こういったことを主軸としながら、水田農業の体質強化を主眼として構造政策的な観点から実施しようと、こういうことでございまして、長期的な観点に立って農業の将来を見通した場合におきまして、その対策としての方向性というものについてはこれを評価すべきものと存じます。  問題は、この対策というものを早急に実施をすると生産現場では混乱が起こってまいる。なぜか。何よりも本県の場合におきましては、まだ水田の汎用化を含む基盤整備が非常におくれておるわけでありまして、このような水田農業の確立ということにつきましても、やはり水田の汎用化等の基盤整備を急いでいかなければならない。これにつきましてはい公共事業のマイナスシーリングと、こういうことであればこれはもうどうにもならないわけでありまして、そういった面で、国に対しまして、基盤整備の予算等の確保をさらに図ってまいりたいと考えておる次第でございます。  そのほかに、県としての取り組みといたしましては、担い手を中心とした生産組織の育成、あるいは農地流動化を通ずる規模拡大、こういったことを初めといたしまして、地域輪作農法の確立の促進を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  また、明年度の転作等目標面積限度数量の配分に当たりましては、市町村並びに県食協中央会等と連携をしながら、地域の実態を踏まえ、稲作農家の理解と納得が得られるように十分配意をしてまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、林業の問題でありますが、御指摘のとおり、本県の造林事業は、針葉樹を中心にした拡大造林にウエートを置いて推進してきたところでございますが、本県の民有林の人工林率、五十九年度末で五三・四%というところまでなってきております。県といたしましては一国一産材の供給基地づくりということを目標といたしまして、除間伐の推進あるいは造林保育の推進、森林保護の強化など、優良材の生産を目指して、これが管理の適正化の指導をしてきておるわけでありますが、御指摘のとおり、国の林政審議会の報告等もございまして、来春の閣議決定を待って全国森林計画が策定をされると、改定をされると聞いておりますので、これらを踏まえまして、本県における人工林目標面積の見直しを行ってまいりたい。  次に、天然広葉樹林の活用の問題でありますが、これらにつきましては、近年家具材、内装材など、広葉材の需要が増加してきておりますので、これら資源の有効利用を図りますと同時に、施業面におきまして、従来の天然林改良に加えまして、今年度から新たに広葉樹林の整備事業を導入したことは御案内のとおりでございますが、特にこの造林に当たりましては、これまでのクヌギ、シャリンバイ主体のものに加えまして、それ以外のシイ、カシ等の有望樹種についても普及定着を図ってまいりたいと考えておる次第であります。  次に、国産材時代に対応する林業労働者の育成、確保の問題でありますが、これにつきましては、一つは、何といいましてもやはり若い人たちを中心に山村、林業というものを魅力あるものにしていかなければならないわけでございまして、そのためには、林業生産基盤の整備、あるいは構造改善施策等の各種の林業振興策を講じながら、生産から流通加工に至る林業経営の近代化を図ることが必要でございますし、また農業振興運動等を通じましての魅力ある村づくりを進めていく、あるいは本県で他に先駆けてやっております青年林業士、あるいはグリーンワーカーと、こういった地域の中核となる青年林業労働力確保のための施策の強化を図ってまいりますし、林業事業体の雇用体制整備のための施策、あるいは労働安全衛生確保のための施策、こういったこと等の就労条件の改善を図りながら、林業労働者の確保育成に当たってまいりたいと考えておる次第であります。  次に、民生委員の今後のあり方、指導の問題等でございますが、これにつきましては御案内のとおり、この十二月一日三千四百九十四名の民生委員、児童委員、それに本県の場合におきましては国民年金の委員もお願いをいたしておりますが、この委嘱がなされたところでございます。かねてから本県の民生委員活動は全国的にもトップクラスと、こういう高い水準にあるという高い評価をいただいておるところでございまして、これも民生委員の皆様方の昼夜を分かたぬ献身的なボランティア活動のたまものであると、心から感謝を申し上げておる次第でございます。  御指摘のように、平均年齢が高まる傾向にございますが、これは何と申しましても基本的に平均寿命が延びておる、あるいは市町村における推薦の段階で、豊かな人生の御体験を生かしていこうと、こういう配慮に基づく人選の結果であるというふうに私ども理解をいたしておる次第でございます。  また、民生委員の研修につきましては、県あるいは県の社協、あるいは民生委員・児童委員協議会等の計画的な実施によっておるわけでございますが、特に新任の方方につきましては、来年一月から研修を実施する予定でございます。活動費、あるいは社会的な評価と、こういった面等から、若い人たちが民生委員になりたがらないのではないだろうかと、この背景にあります事情につきましては、先ほど申し上げたとおりでございますが、これの活動費につきましては、交付税等の財源措置というものと連動する形になっておるわけでございまして、この面からの充実というものも図ってまいらなければならないと思いますし、また社会的評価という面につきましては、かけがえのないこのボランティアの中核になられる方でございますので、やはり県民の広い意味での福祉の心の育成を図っていく中で、このような大事な仕事をしていただいておる文字どおりありがたい方々でございます。そういう方々に対する私どもの感謝の気持ちを持つことによって、おのずからそのような評価も高まってまいるものだと存じます。御注意の点は十二分に頭に置いてまいります。 11 ◯農政部長(日高一夫君)中核農家等の育成等についてでございますが、今日の農業、農村を取り巻く厳しい環境下におきまして、需要の動向に即しました生産性の高い農業構造を確立してまいりますためには、経営感覚にすぐれ、革新的な技術導入にも積極的に対応し得る意欲的な中核農家を育成することが重要でございます。県といたしましては、今後とも県立農業大学校の整備充実、Uターン者を含む農業後継者や中核農家に対しまして教育研修を充実強化し、技術、経営能力にすぐれた農業者の育成を確保いたしますとともに、土地基盤整備を進めながら、中核農家へ農用地を集積して経営規模の拡大を図り、これら中核農家を中心といたしました地域農業集団等を育成いたしまして、農作業の受委託とか、機械施設等の有効利用を進めまして、地域全体として生産性の向上が図られるよう努めてまいりたいと考えます。  それから、農業の情報化についてでございますが、出水地域におきますグリーントピア構想につきましては、現在出水地域農業情報化検討委員会におきまして、地元のニーズ調査を踏まえまして、システムの概要設計等の作業を進めているところでございます。本年度末までにはこの構想全体が明らかになる予定でございます。構想を策定しました後のスケジュールにつきましては、策定されましたグリーントピア構想の啓蒙普及と、構想実現に向けての地元体制の一層の充実強化を図りますとともに、国に対しまして、既存の施策の活用も含め、新規施策の創設を強く働きかけ、構想の早期実現に向けて努力してまいりたいと考えております。  また、出水地域外の農村地域の情報化推進につきましては、出水地域グリーントピア構想をモデルといたしまして、各地域ごとの農業、農村の実態でございますとか、あるいは情報化への熟度の問題等を十分踏まえまして対応してまいりたいと存じております。将来にわたりましては、県全体としての農村地域の情報化を推進してまいりたいと、かように考えているところでございます。 12 ◯教育長(山田克穂君)教育課程の基準の改善についてのお尋ねでございますが、今回の中間まとめにおきましては、二十一世紀に向かって国際社会に生きる日本人を育成するという観点に立って、国民として必要とされる基礎的、基本的な内容の重視や、個性を生かす教育の充実、社会の変化に主体的に対応できる能力の育成など、初等、中等教育の教育内容のあり方について幅広い提言を行っております。県教委といたしましては、これらの提言の背後にあります国民の教育への期待、あるいは要望というものを真剣に受けとめまして、日々の教育活動の中で生かしていくことが最大の課題であると考えております。  これらの提言の実施に当たりましては、学習指導要領の改訂をまたなければならないものもございますが、本県におきましては、既に学習指導において小、中、高連携や郷土に根差した学習の重視、学校における、パソコン等の活用、あるいは国際理解教育の推進など、この改善の趣旨に沿った取り組みを進めているものもございます。今後これらについて、さらにその充実を図りますとともに、教育課程審議会の動向を見守りながら、改善の趣旨が生かされるように対処してまいる所存でございます。  それから、来年の公立高等学校の募集定員の策定の基本的な考え方についてでございますが、昭和六十二年三月県内中学校卒業予定者の進路希望状況調査の結果によりますと、これまで減少傾向にございました中学校卒業者が、来年は一千三十二人ふえることになっておりまして、これは今後昭和六十四年度までは引き続いて増加していく見込みでございます。  このような状況の中で、昭和六十二年度募集定員策定に当たりましては、生徒及び父母の希望、社会的要請等を考慮しまして、公私相携えて県民の期待にこたえるという基本的な考え方のもとに、十月十五日現在の進路希望状況調査の結果を踏まえ、さらに過去におきます進路希望調査の段階から出願、受験に至るまでの推移や、また定員に対する欠員の状況、地域、学校の実態などを総合的に勘案しながら、全県的な観点から慎重に策定してまいりたいというふうに思っているところでございます。 13 ◯県民福祉部長(松林康文君)地域福祉の推進にボランティア活動が不可欠であるというお話でございますが、私どもも全く同感に存じております。この活動の中枢となって運動を進めております県社協のまとめによりますと、本県には八十六市町村ボランティアセンターに八万七千人が登録されておりますが、実質四万六千人程度が活動している状況でございます。  これの発掘についてのお尋ねでございますけれども、県といたしましては、ボランティアスクールやボランティア協力校への指定、高校生ワークキャンプ等により意識啓発に努めているところでございます。ボランティアを提供する側だけでなく、受け入れる側の指導も含めまして、ボランティアの自覚意識の向上にも努めているところでございます。  また、本年度からは、ボランティア活動の連絡、調整、指導などに専門的に取り組む人間、すなわちボランティアコーディネーターと申しておりますが、こういう方々を新たに設置する市町村社協に対しましては、新たに補助金を差し上げて、この設置の奨励を始めたところでございます。今後ともボランティアの調整機能を整備し、活動の定着促進を図ってまいりたいと考えているところでございます。    〔山崎 茂君登壇〕 14 ◯山崎 茂君 それぞれ御答弁をいただきありがとうございました。  飲用水の安全確保対策については、時間の都合で割愛をさしていただきたいと存じます。  米を初め、我が国の農業を取り巻く環境は、内外ともに極めて厳しい情勢にあります。我が国の農業を守り、食糧の自給率を高めていくためには、国民の深い理解と協力が必要と思います。そのためには生産者も、行政側も、受け身から主体的な取り組みにより、生産性の高い農業構造の改善、中核農家の育成が急がれるところであります。今回新しく出発することとなりました水田農業確立対策の精神もそこにあると思います。道は遠く険しいと思いますが、精力的に根気強く推進されますよう要望いたします。  教育改革につきましては、これから二十一世紀を担う世界の中の日本人として恥ずかしくない人間性豊かな、たくましい青少年育成のため、より一層の御努力を要望いたしておきます。  最後に、今議会が終わりますと、直ちに知事を初め開促協の皆様には年末ぎりぎりまで大変な御苦労をなさるわけでありますが、皆様の御苦労に感謝申し上げますとともに、県民の皆様がお元気で、よい年をお迎えくださいますよう御祈念申し上げ、自由民主党県議団を代表しましての私の質問を終わります。(拍手) 15 ◯議長(原田健二郎君)ここで休憩いたします。  再開は、おおむね午後三時四十五分からといたします。         午後三時三十一分休憩       ─────────────         午後三時四十五分開議 16 ◯議長(原田健二郎君)再開いたします。  浜田みのる君に発言を許可いたします。    〔浜田みのる君登壇〕(拍手) 17 ◯浜田みのる君 私は、鎌田知事が一九七七年県政に登場以来、十年目の節目に当たる一九八六年を締めくくることし最後の県議会におきまして、ここに日本社会党を代表して、知的水準の高さはともかくとして、政治的情熱を込めて質問をいたします。知事初め執行部の皆さん方の誠意ある的確なる答弁を要請をいたします。  国内外ともに激動を続けたこの歴史的な年も、昨年秋からの円高不況が定着したまま、やるせない不景気の中で、やがて幕を閉じようとしておりますが、駆け足でやってきた冬の寒さが、県民にとってひとしお身にしみる師走でこそあります。  さて、まず初めに、鎌田県政十年目を振り返ってみますと、ぬくもりに満ちた偉大な鹿児島の創造というキャッチフレーズで就任をされ、県民のだれもが大きな関心を持つと同時に、ほのぼのとした未来像を描いたのであります。しかし本県は、中央政府からの遠く位置する地理的な面もありまして、依然として足踏み状態、手詰まり状況を続けております。県民所得も低く貧之県、過疎県としての低迷、他県に追いつき追い越そうとしても、他県が常に先を走っている現実に立ってみますときに、残念ながらぬくもりに満ちた偉大な鹿児島の創造に充実した足取りを見出せないのでありますが、このことにつきまして、まず知事の見解を伺うものであります。  これまで鎌田知事が一貫して県政の骨格づくりと見られた点でありますが、第一は、農業だけでは県民所得の向上が望めないことから、工業開発に視点を置き、農工併進をねらいとして、臨海内陸工業団地を造成した開発計画がいろいろと作成されてまいりました。さらに最近に至りまして、技術立県の旗印のもと、必死の企業誘致策が続けられてきました。その努力は多とするところでありますが、要した多くの努力と使った予算の大きさに比べてみますときに、石播を初め、多くの誤った予測に厳しい総括を求めざるを得ません。  第二に、中央経済圏域と直結をする遠くない鹿児島ということで、交通基盤の整備に力を入れてきたところでありますが、九州縦貫道及び新幹線にも、行く先多くの障害が横たわっております。大変難しい時期ではありますが、十年を節目とする回顧と、この一年を締めくくっての感想、そして新しい年に向かっての決意において、鎌田県政の総論としてお尋ねをいたします。  次に、我が党は鎌田知事の出身地である日置地区で、第三回一日県民議会を開きました。重大な時期を迎えている今日、地域住民の抱える問題に対しまして、多くの貴重な御意見をいただきましたが、その中から、特に強調をされました二つのことについて紹介をし、知事からも回答を求めたいと存じます。  その一つは、高齢化社会の対応を急げということであります。鹿児島県は、全国平均より二十年も早いペースで老齢化現象が進んでおります。世紀が変わるころには、五人に一人はお年寄りになってしまう。その際、県民の生産力、福祉負担能力をどうするのかということなのであります。このことに関しまして、県民の問題意識は非常に高まっております。鹿児島県政の重要な課題として、その対応策を樹立してくださいという御意見であります。  第二点は、鹿児島県の命運を握る農業の位置づけをしっかりせよという要求であります。後の各論の質問の中で、米の自由化、ポスト三期水田利用再編対策など、具体的な点はお尋ねをいたしますから、ここでは農業の経済的地位と基盤について、つまり仕事はつらくとも農業はいいと思えるような農業政策を考えてくれと訴えられたのであります。農家の方のこのような切実な願いについて、知事としてのお答えをいただきたいと存じます。  次に、去る十月二十四日、二十五日、福岡で「わが地域、わが都市」をテーマにして、西日本フォーラム86が開かれ、九州七県の知事が全員出席をされまして知事サミットを持ち、県境を越えて九州は一つ、競争と協調による新しい九州づくりの理念を語り、各県共通の現状認識として、二十一世紀へ向けての課題、目指すべき方向について気勢を上げ、その中で鎌田知事も、我が県の浮揚戦略について情熱を発揮されていますので、質問をいたします。  九州の全県知事が公開の場で真剣な論議をしたことはまことに結構なことであり、特に東京一極集中が進められ、四全総も民間活力に基づく首都圏改造に傾斜しつつあるとき、九州のどの知事も九州の地盤沈下を憂い、一致結束の共通認識を持たれたことは画期的なことであり、我が党としても期待をするところであります。  ところで、鹿児島県鎌田知事は、鹿児島県は九十六市町村のうち七五%が過疎地だ、高齢化は日本の平均より十年も先に進んでいる。南の果てというイメージも強い。マイナス要素をどう克服して地域発展につなぐかに腐心をしていると語り、第一に取り組んでいるのが発想の転換だと強調をされています。知事の発想の転換、県政の軌道修正こそ、我が党が主張し続けていることでありますが、知事の発想の転換とはいかなるものか、そしてこの知事サミットにおける成果を、今後の県政にどう生かされていくか、お尋ねをいたします。  きょう十二月八日は、一九四一年、昭和十六年、それまで四年半にわたる日中戦争から、さらに米、英という大国を相手にして、かっての日本帝国が、狂気のさたと言われる大東亜戦争の名による太平洋戦争の火ぶたを切り、奇想天外なハワイ真珠湾攻撃で、一億国民が歴史的修羅場に引きずり込まれたことになった、忘れることのできないのろいの日であります。  そして十二月四日から十日までは、人権週間とし、平和憲法を日本の基本に据え、その精神の高揚と達成に努め、反安保、非武装中立の外交路線に立ち、非核三原則を堅持し、核兵器廃絶と軍縮による恒久平和の実現及び人種差別撤廃条約の早期完全批准を行い、一切の差別と人権侵害のない社会を目指して、きょうのこの今、東京の日比谷公会堂では、世界人権宜言三十八周年記念東京集会が開かれております。また全国各地でも、広範な人々が平和人権の集いを持って、機運を盛り上げております。しかし、七月の衆参同日選挙で自民党の圧勝に思い上がりの中曽根総理大臣は、その差別体質をあらわにして、米国の少数民族に対する知的水準発言や、日本は単一民族国家であると、アイヌ民族などの存在を否定するなどの差別発言を繰り返しております。知的水準発言では、国際的な批判の世論が巻き起こり、中曽根首相お得意の陳謝をしましたけれども、単一民族発言に関しましては、北海道ウタリ協会などから抗議されると、宥和的で差別的な法律である北海道旧土人保護法の名称変更でお茶を濁そうとしている態度に対しまして、中曽根人種差別発言糾弾の声は高まっております。そこで鎌田知事に、この日の質問として、十二・八不戦の誓いと人権週間に当たっての知事の毒務をどのようにお考えか、お尋ねをいたします。  防衛庁は、海上自衛隊鹿屋航空基地のある鹿屋市に対しまして、同基地の対潜哨戒機P2Jの後継機として、P3Cを六十四年度当初約十機、最終的には約二十機配備することを申し入れております。アメリカの核戦略は核抑止力ではなくて、敵の軍事力も国土も一挙にたたき、反撃を許さない核先制攻撃能力を目指しております。トライデント潜水艦の登場と、敵のすべての潜水艦を常時監視をし、これを同時に破壊してしまう対潜水艦作戦能力の向上は、核戦略上重要な任務を持っております。P3Cは最新鋭の対潜哨戒機であり、対潜水艦作戦の任務が最終的には敵潜水艦の破壊にある以上、当然P3Cにも核弾頭をつけられるMX57型爆雷などを装備しています。P3Cは現在アメリカ、オーストラリア、カナダ、在日米海軍の嘉手納基地、海上自衛隊の厚木、八戸基地などに二百機以上が配備をされ、それぞれの基地が連動して、対ソビエト原潜の封じ込めというアメリカの核戦略の一翼を担っており、政府が日本への核持ち込みを否定しようとも、対潜水艦作戦の任務上、攻撃用の核弾頭を装備して初めて相手がその威力を認めるのであり、鹿屋基地に核が持ち込まれることは現実と言わなければなりません。喜界島、馬毛島に建設が予定されるOTHレーダー基地と、喜界島の象のおりと呼ばれる軍事通信傍受信用の巨大アンテナは、相互に機能を分担するものであり、これら一連の動きは、専守防衛を逸脱して憲法違反を犯すとともに、鹿児島が対ソ核戦略の最前線基地として、その軍事的機能を一気に高めるものであります。我が党は、このような核戦争に巻き込まれる危険が大きいP3Cの配備、OTHレーダー基地と象のおり建設に強く反対するものでありますが、これに対して知事の見解を伺います。  最近、民間活力の活用論が時流に乗って、あたかも民はよいが官はだめだとすることが世論のように流布されていますので、この際知事の見解をただしておきたいと存じます。  民活論の根拠は、不況対策、内需拡大のために、金のない政府にかわって仕事は全部民活でやれという、いわばていのいい財政の肩がわり論のようであります。その最初の大型事業として、東京湾横断道路計画が浮上していますが、この法案は、漁業補償や用地買収の難しいところは官が持ち、企業はでき上がった舞台で仕事をする。その上、赤字になったときは道路公団が責任を持つというもので、企業本位であります。きょう九州新幹線西鹿児島駅周辺環境整備事業の起工式と祝賀会がありましたが、来年の四月一日以降民間会社となる国鉄が、赤字だ、赤字だと言いながら、後の会社のために駅をよくしたり、ホームを直したり、周辺の整備を行っていますが、大きな矛盾であります。我が党としても、民間活力の活性化を図ることについて否定はしませんが、臨調行革路線で資本の自由をやり、資本は自由にこれまでの守備範囲を越えて羽ばたいてよろしいということを国是にして、すべての公共事業を民営化していく。このことはつまるところ、今でさえ我が国は財界の力が強過ぎるのに、その力をさらに強くする方法でありますが、果たしてそれが必要でしょうか。また民活といっても、採算の合わないところには出てくるはずがないので、結局都市に集中して、地方との格差をさらに広げることになります。ですから、鹿児島県の場合、民間資本が健全な投資にまわる情勢ではないこともあり、民間の力をどのようにして社会資本の整備のための公共投資に導入するかを考えることが、より基本的な課題であると思いますが、知事の見解を伺います。  次に、本県経済の行方と雇用対策について質問をいたします。今、世界じゅうの経済が非常にぐあいが悪くなっていますが、その原因についてであります。おかしくなっている世界経済の根本にあるのは、結局レーガン大統領がやった経済政策がめちゃくちゃで、そのアメリカのやり損ないでできた大きな攪乱状況に、日本を初め各国が引きずり込まれているのが現状であると見られています。昨年アメリカは七十年ぶりに債務国に転落をし、かわって日本が最大の債権国になりましたが、経済的覇権国家アメリカに陰りが生じたからといって、覇権を握っている側は簡単に覇権を譲ろうとはいたしません。そこに国と国との摩擦が生まれ、火花が散り、貿易摩擦というものは起こるべくして起こり、円高もやむを得ない必然的なものだったと思われますが、知事はどのように認識されていますか。そして、今起こっている円高や貿易摩擦はいつまで続くとお考えでしょうか。経済学者の中には、この現象は避けて通ることのできないすれ違い現象のほんの始まりにすぎない、多分五十年ぐらい続くと見ていますが、知事の見解を伺うものです。  次に、日本の経営者は、今一挙に多国籍企業化を始めていますが、労働市場に与える影響についてお尋ねをいたします。本県は企業誘致に取り組んでおりますが、しかし日本の経営者は、国内設備投資か、外国での設備投資かの選択では多国籍企業化を考え、現に円高による輸出不振をカバーするために、電子機械メーカーが今ぞくぞくと韓国に生産拠点を移しており、自動車なども含めて、貿易摩擦に対抗して、貿易よりも海外進出に考えを改め、日本企業のとうとうたる外国への大移動が始まり、国内における産業の空洞化が進んでおります。また、どうしても国内で設備投資をしようとする場合、省力化した企業にするため、機械化、ロボット化が全面的に採用されるため、国内の労働市場は厳しい状態に置かれ、五十歳以上の高齢化した労働者などの賃金構造は二極化するだけでなく、コンピューターに順応できない者はポストを失い、そして、既に年功序列制の崩壊という現象が既に始まっております。年功序列制が崩れて能率給が支配的になれば、会社に居残っておればポストが保障されるという時代は終わり、企業と運命をともにしてきた猛烈社員型のサラリーマンでも、才能がなければその存在を失うという時代となり、かくて働く者はロボットにかわり、多国籍企業は現地での生産を確立して、国内の操業を短縮をする。この産業空洞化現象を円高がさらに加速をして、失業者を再生産しております。円高が産業に与える影響について、日経ビジネスがまとめたものでは、昭和六十年から六十五年にかけて、円高が各産業に与える影響を試算をし、全体では約九十万人の雇用減となると見ております。これは、円高により貿易が伸び悩むという論点で予測したものであり、資本の移動、ロボット化の進行による雇用の減少を加えれば、日本では来春にも失業二百万人時代が到来する状況にあります。こうした動きの中で、結局本県経済はどうなるのでありましょうか。大企業には円高デフレではない、円高をむしろプラスに転じて、海外にどんどん進出をする。海外の方が賃金は安くつくし、ドル表示の土地代は割安になるので、工場を進出させやすい。しかし鹿児島の中小企業、下請企業はなかなか産業転換できる体質にはありません。国はこの百七国会で、景気対策として補正予算を組み、本県としても公共事業の追加などを、本十二月県議会を待たずに専決いたしております。歳末の乗り切り策を含めて、どれだけの影響があると見るのか、本県経済への波及効果についてもお伺いをすると同時に、日本資本主義の国際的位置、それと多国籍企業が台頭する時代によって、空洞化の進む日本経済の中で、本県への影響をどのように踏まえて対処されるおつもりか、特に雇用状況についても答弁をいただきたいと存じます。    〔知事鎌田要人君登壇〕 18 ◯知事(鎌田要人君)お答えを申し上げます。  知事就任以来十年間をどう総括をするかという、何か試険問題を受けたような感じでございますが、いつも申し上げておることでありますが、私が知事に就任いたしまして最初に申し上げましたことは、やはり今お述べになりましたように、鹿児島県は日本有数の過疎・後進県である。この過疎・後進県からどのように一日も早く鹿児島県を脱却させ、浮揚させるかと、これにこの十年間の私の歩みというものは尽きると思います。またそのために、この発想の転換ということは何だとおっしゃったわけですが、一つはやはり県民に誇りを持って、百十年前は日本で最も技術立県の進んだ国であり、積極進取、英明闊達な県民性を擁したこの先人の教えに学び、業績に学んで、今日それをどう現代的に展開をしていくかと、これが青少年自立自興運動の基礎にもあったわけでありますし、技術立県、あるいは広く鹿児島ルネッサンスということを申しておりますのも、それが一つ。  それからもう一つは、やはりそれに関連しますけれども、この鹿児島は日本の南の果てなどというようなものではないと、日本の南の起点であると、終点思想から起点思想へと、これがまあ私の最も訴えたい発想の転換でありまして、やはりそういう意味で、日本の南の玄関口として大いに頑張っていかなければならない。国際化の時代の先頭を切ってやらなければならない、こういうことがございました。  また、この高度成長の波に乗り切れなかったといいますか、乗れなかった。後遺症としては、若年層の県外流出という問題がありますが、いい面ではまたこの豊かな自然が残っておると。これをどのように今後テクノポリス、あるいはバイオポリス、あるいはアトムポリスと、こういったようなもの等と結びつけながら、この技術立県によって地場産業への波及効果も考えながら、若い人たちを引きとめていくかと。農林漁業の面におきましては農村振興運動と、またサンライフ運動、青少年自立自興運動、この三大県民運動を軸にしながら、今日まで県政を進めてまいりながら、その中でまた懸案事項も解決をしながらやってきまして、皆様方初め県民の皆様方の御協力、御理解によって、大体、自己採点をするのは僭越かもしれませんが、よかとこいでいたちょっとじゃなかかという感じがあると。またそうでないとですね、これは皆さんもそうだし、私もこれはやれませんよ。やはり、みんながやっぱり一歩は一歩ずつですね、歩みはたとえのろくても、着実に一歩ずつ進んでいるということでなければですね、議員をしていらっしゃる皆さん方もむなしい感じがされるでしょうし、知事もまた同様でありまして、常に前途に希望を持ちながら、勇気を持ってチャレンジを持ってやっていくということではなかろうかと思います。  本日、新幹線の駅周辺整備事業もめでたく起工式になったわけでありますが、ちょうど知事になって十年目それから、ことしの夏に鹿児島空港がいわゆる幹線空港、主要空港化が実現しました。これも十年間。やはり大体十年ぐらいのテンポでですね、今の世の中の難しい問題というのは進んでいくわけでありますので、やはり短気を起こしちゃいかん。やはりあくまでもこう粘り強く食らいついてですね、頑張らなきゃいかん。そういうことで、常に我々は前途に明るい希望を持ちながらですね、やっていきたいと。まあとにかく今、私が大体知事になったときに考え、あるいはこの引き継いだ事項でですね、軌道に乗らなかったのがまさに新幹線でありましたが、これもまあ十年かかってここまでやってきたわけでありますので、まあ新幹線が入りですね、縦貫自動車道が入り、この鹿児島空港、離島も含めて、この交通の便が進み、通信の便が進めばですね、私はやはり鹿児島に明るい展望、舞台が回ってくる時代が来ると、こういう確信を持って頑張ってまいりたいと存じますので、これからもひとつよろしく御指導をお願いいたします。  それから、高齢化社会への対応の問題でありますが、これは御指摘のとおり、鹿児島県は高齢化社会の到来が全国よりも大体十年ぐらいサイクルが早いと、こういうことでありまして、これの原因といたしましては、やはり高度成長以来引き続いた若年層の県外流出と、これによりまして若い世代の層が少ない。まあ最近の統計の人口を私も把握しておりませんが、去年調べてみましたときには、二十歳から四十九歳まで、一番この働き盛りのところですね、これが日本列島全体では三八%、本県がちょうど三三%と、三分の一ということでありまして、まあその分だけは結局上の方に行っておるわけでありまして、それが今私どもが非常に心配しておりますのは、五十五、六年のころから九州全体で社会減が始まっております。で、それを自然増がカバーをしておるわけですが、今度は高齢化が進んでいってですね、この自然増加ということがこれに追いつかなくなると人口減少と、こういうまた再び過疎が起こると、これを非常に心配をしておるわけでありまして、そのためには何といってもやはり地域の活性化を一日も早く図ってですね、若い人たちが定住ができて、その若い人たちとお年寄りとのこのつながり、連携と、こういうものを考えていかないと、地域のやはり将来的な発展というのは難しい。  それと同時に、今おられる高齢者の皆さん方につきましても、これは人生が五十年という時代の社会のシステムというのが、今大体まだ大部分残っておる。そういう中で八十年時代を迎えておるわけですから、国全体としての、やはりいわゆる社会の組織の問題、こういった面等も含めましての国の施策も必要でございますが、私ども県の段階ではやはり、この高齢者の方々がこれからどういうふうにして社会の戦力として、さらにこの豊かな人生経険を生かしながら頑張っていただけるか、そのためのいわゆる労働力の活用の場と、こういうものを、今は農林漁業等ではございますが、一般の雇用の場ではない。そういう雇用の場にこの方々が適応できるための、そういったいわゆる適応訓練の問題、そういう職種を探していくという問題、これでやはり働ける方はですね、やはり何らかの形で社会に自分が寄与しているという、そういう意識を待たれるような、やはりこの雇用の問題、あるいは能力開発の問題、当然これは生涯教育という問題も出てまいると思いますが、それとあわせまして、残念ながら健康、心身に健康面で故障のあられる方々に対しまする対応としては、やはり一つは在宅福祉の充実と、それから施設面におきまして特老、あるいは老人ホーム、あるいは中間施設、こういった面の整備ということでですね、基本的にはやはりいつも私申し上げておりますように、この高齢者の方、あるいは体の不自由な方、母子家庭、こういった方々を真ん中において、県民がそれを外からこうくるんでいくと、こういういわゆる自立と連帯という、こういう社会が必要であろうと思います。  次に、農政の問題でございますが、これは本県におきまして、農業はこれは基幹産業であるわけでありますし、私も知事就任以来、農村振興運動というものを御提唱申し上げまして、これもちょうど十年になるわけであります。やはりこの農業というものが生産性を高め、今度の農政審議会の答申の中間取りまとめの中にもございますように、産業として農業が自立できる、この方策というのは、やはりこれからの国際競争時代において基本的に必要でありますので、そういう自立できる農業というものをどう組み立てていくかと、それを自立自興の精神でまず地元から組み立てていくというのがこの農村振興運動でございますが、その中で私どもが期待をいたしておりますことは、一つはやはりいわゆるこの中核農家が核になって、地域農業集団をつくっていく。また中核農業の農家に対して、経営面積の拡大ができるように、農地の流動化というものを進めていく。こういうことが一つでございますし、あるいはまたその中で価格政策等にも十分な配慮を持ちながら、もうかる農業と、これをやはり進めていかなけりゃいかん。コストを下げ、収益が上がるような農業というものをやっていかなければならない。これでありませんというと、やはりこれからの農業の前途というものはなかなか大変である。したがいまして、水田の問題でも、先ほど御質問にお答え申し上げましたように、総体的にやはり足腰の強い農業、農家というものをつくっていくということにつきまして、さらに力を注いでまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、発想の転換の問題につきましては、先ほど冒頭で一緒に申し上げましたので、不戦の誓いと人権擁護の問題でございます。これは、本日は太平洋戦争開戦の日でありますが、我が国は太平洋戦争で負けまして、平和憲法のもとで、今日いわゆる経済的な繁栄、あるいは平和、何でも物が言えると、こういう地球上におよそ珍しい自由と平和というものを満喫をしておる。この状態をやはり健全な意味で将来とも持続をしなければいけないと思いますし、国民の間でもまた平和と安全を願う気持ちというものは、これは広く浸透、定着をいたしておると思います。そういう中で、私は先ほど鹿児島は南の玄関口ということを申し上げましたが、そういう地理的な利点というものを生かしながら、また既に整備されておる交通基盤等の整備をさらに進めながら、東南アジア,中国、あるいは韓国、あるいはオセアニア、あるいはアメリカと、オーストラリアと、環太平洋の国々と県のレベル、あるいはからいも交流等のようなまさに住民のレベル、こういったところでやはり交流を進めていく。これが一番平和の基本でありまして、お互いにこれは同じことを考え、同じ痛みを持ち、同じことに喜ぶと、こういうやはりまさにピープルとしての交流というものをですね、これをいろんな面で促進をしてきておりますが、こういったことが我が国の平和の実践ということに、地方レベルにおいても大きく貢献しておるのではないかという気持ちもいたします。
     また、この人権問題でありますが、これにつきましても、県民生恬にとって重要な問題でございまして、県といたしましても、人権擁護行政の促進を図っているところでございますが、今後とも自由、人権思想の原点に立って、関係行政機関等とも連携をとりながら、これが一層の推進に努めてまいりたいと考えております。  それから、喜界島通信所の整備、あるいは鹿屋基地へのP3Cの配備計画の問題でありますが、これにつきましては、いずれも現存施設等の老朽化、陳腐化、あるいは減耗に伴いまして、これが更新、近代化を図るというものでありまして、既に整備済みの他地域の施設等と同様の施設レベルに整備しようという計画で、その目的はこれまでと亳末も変わらないというふうに聞いておるところであります。県としましては、再三申し上げておりますように、地元市町の意向も十分に踏まえながら、適切に対応してまいりたいと考えておるところでございます。  次に、民間活力の導入の問題でありますが、これにつきましては、住宅投資、あるいは都市再開発、あるいは有料道路の建設など、行政と民間とが協力して行う事業、あるいは行政と、何も行政が国民の税金を使ってやらなくても、民間の金余りの中で民間活力を活用して行う事業、こういったものも増大をしておるわけでありまして、いわゆる規制の緩和ということを図りながら、民間活力を図っていくということは、これは私は基本的に否定すべきものでも何でもない。問題は、例えば鹿児島、あるいは九州の大部分の県、こういうところでありますというと、民間活力といいましても、これはやはり力がまだ伸びておらないところもあるわけでありますし、例えば東京近辺、あるいは大阪近辺等で行われるような規模、あるいは事業というものについて、この民活が導入されるような形のプロジェクト、あるいはまたそのプロジェクトに対する民活の導入ということはなかなかできない。そういうことになりますというと、まあ早い話がこちらは新幹線もまだできない、高速自動車道もまだ整備ができない、そういう状態、一方におきましては、いわゆる湾岸道路ができる、あるいは関西新空港ができると、こういうこと等を中心にしまして、社会資本の整備に今でも格差があるものがさらに開いていく。こういうことになるわけでありますので、民活の入りにくいところについては、公共事業を重点的に投資配分をしていくと、傾斜配分をしていくと。またそういう中で、いわゆる中、小規模の民活の導入ができるものについては、我々としてもこれを積極的に考えてまいるということも必要であろうと思います。  次に、今回の補正予算の問題でございますが、これにつきましては、先ほども申し上げましたように、今回の補正予算プラスこの九月県議会におきまする補正をいただきました予算と、それと今年度の当初予算の中の七割は前倒し執行ということでやっておりますので、残りの三割と、これでかなりの事業量になると思います。これを進めていく。それと百二十九億円余りの債務負担行為がございますので、これで契約を早くやることによって、この年度末。初めのこのブランクがつながると、こういうことで、本県の場合におきましては、かなりの経済に及ぼす効果というものを期待をしておる次第でございまして、特に県内業者の活用等のお話もございますが、その点にも十分配慮をいたしまして、県内の景気の維持、あるいは浮揚に資してまいりたいと考えておる次第であります。 19 ◯商工労働部長(落合俊雄君)円高について、今後の認識はどうかというお尋ねでございますが、御承知のとおり、六十年九月末から始まりました急激な円高は、一時一ドル百五十円台まで進んだわけでございますが、六十一年十月末からおおむね百六十円台で推移いたしております。先般の日本銀行総裁の見解におきましても、今後は落ち着いた動きが続くという見通しが出されているところでございます。  また、円高が本県経済、企業にどういう影響を与えるかという点でございますが、円高の県内企業への影響につきましては、これまで十月の中小企業情報センターの調査を含めまして、四回ほど調査を行っておりまして、実情把握に努めているところでございます。これらの調査結果によりますと、県内への影響は明暗がございまして、輸入原材料主要型、エネルギー消費型製造業でございますとか、運送業、卸小売業等の一部に、原価の引き下げなどによる好影響の面が見られますけれども、電子・機械等の輪出関連の製造業、それから大島つむぎ、製材等の輸入品と競合する製造業などを中心にいたしまして、売り上げの減少、収益性の悪化、競争の激化というような影響が出ております。さらに円高が景気に及ぼします影響についての懸念が広がっている状況でございます。  また雇用面におきましては、人員削減等の動きは極めて少ないものの、中途採用でございますとか、新規採用の手控え、残業の規制というような動きが見られるところでございます。このため県といたしましては、商工労働部に円高相談窓口などを設置いたしまして、各種相談業務の実施、財政金融上の対策など、各般の措置を講ずるとともに、直接企業を訪問するなどして、雇用の安定確保に努めているところでございます。今後とも景気の動向に十分配慮しながら、関係機関・団体との連携を密にして、適切に対処してまいりたいと思います。  さらに、失業二百万人時代が来るというお話があったわけでございますけれども、最近におきます経済情勢を反映いたしまして、本県におきましても有効求人倍率は、昨年に比較いたしまして若千の低下を見ておりまして、当面厳しい雇用情勢が続くものと見込まれます。さらに石炭、造船、鉄鋼関連企業等からの離職者がUターンすることも予想されるわけでございます。このため、地域におきます雇用機会確保のための各種助成金制度の活用、地域の失業を防止するための雇用調整助成金等を活用いたしますとともに、積極的な求人開拓、地場産業の振興、企業誘致等によって、企業の雇用対策を進めてまいりたいと存じております。 20 ◯議長(原田健二郎君)本日の会議時間は、議事の都合によりあらかじめ延長いたします。    〔浜田みのる君登壇〕 21 ◯浜田みのる君 鎌田県政十年の総括につきましては、よかとこいいっているんだと、こういうお話でございます。まあなるほど希望と勇気を持っていこうという意味では、私も同感でございます。知事から短気を出すなとたしなめられて、やや私は気が長い方だと思っておりますが、知事もひとつ短気をお出しにならんように頑張ってもらいたいと思います。  私はですね、この鎌田十年の総括という意味では、なかなか農業にいたしましても、工業にいたしましても、農工併進の受難の時代だというふうに見ております。そういった意味ではですね、必ずしも客観情勢が味方をしなかった時代ではなかったかと、こうも思います。まあそういった意味では、よかとこいいっているという、これは心情はわかりますけれども、私はやはり新しい時代の踏み台にするためにも、厳しい謙虚な戒めもまた必要だと、こういうふうに思って質問もした次第であります。  国土庁が地域開発計画基礎調査というものをやりまして、その報告書を去る八月に出しました。これは地域の産業振興の社会資本を、産業基盤という項目については十一項目、産業と生活の共通基盤という項目で十七項目、生活基盤というので十九項目にわたりまして、社会資本の整備状況を調査をしたのがございます。これによりますというと、水準が全国平均を下回っている地域として、鹿児島県を初め十八県が指摘をされております。私は、こういった産業振興のための社会資本が全国平均よりも下回っているという現実は、今後県の振興のためにしかと受けとめておかなくちゃならん問題だというふうに思います。決してよかとこいでいっていないと、こう思う次第であります。これは知事一人を責める気持ちは毛頭ありません。三全総が定住圏構想を柱にいたしまして、地域の格差解消という点につきまして巨大な行政投資をしてきたわけでありますけれども、依然として鹿児島は全国の中では地域格差の大きい県としてこれがあるという位置づけは、厳粛にこれを受けとめていかなくちゃならないと、こう思う次第であります。  なお、円高につきましては明暗あると、これはもうもっともなことでありましょう。ただこれもですね、これは自治省が調べたやつですか、法人事業税の前年同期を割り込んだ県として、鹿児島県を含む二十五団体が挙げられておりますが、そういった意味では、先ほどの総務部長の自民党の代表質問に対する答弁では、十月時点ということでしたか、県税の徴収状況はほぼ当初予算見込み並みと、見込みどおりだと、こういう言い方をされておりましたけれども、ほかの県民税はともかくといたしまして、法人事業税はかなり落ち込んでいるというのが現実のようであります。なおそういった意味では、鹿児島のような下請企業の多い地域では、特に下請企業の振興法、あるいは下請代金遅延防止法というような、下請中小企業を保護するための法律があるわけでありますが、これの厳正な運用が求められているのではないかと、こういうふうに思いますので、申し添えておきたいと思います。  次に、財政問題についてお尋ねをいたします。  今や国及び地方公共団体の財政は、昭和五十年以降の石油ショック以来巨額の財源不足を来しておりまして、この不足を莫大な公債の増発に次ぐ増発で補ってきたため、国は昭和六十一年度末の国債残高が約百四十三兆円、また地方財政の借入金残高が五十八兆八千億円に達することが見込まれているのであります。昭和五十年以降このように累積をした莫大な借入金の償還が大きな負担となり、国、地方自治体の財政を圧迫していることは周知の事実であります。  国は、防衛費のみは国民世論を無視して毎年度突出をさせ、その他の国民生活関連の予算はことごとく削減をし、事もあろうに、地方自治体への補助金の一律カットに見られるように、国の財政難を自治体への負担転嫁で切り抜けようとたくらむ動きがますます顕著になりつつあります。地方自治体としての我慢は許容の限界に達しているのであります。地方自治体への補助金の一律カットは昭和六十年度一年限りと約束をしながら、これをほごにして、さらに昭和六十一年度より向こう三年間引き続き一律カットの方針をなし崩しで強行をし、我が財政力に乏しい鹿児島県ですら、六十一年度単年度で二百三億円もの負担増を強いられたのであります。全く許すことのできない暴挙であります。そこで知事にお尋ねいたしますが、大蔵省は六十二年度予算編成に当たり、来年度の公共事業の地方向けの補助金をさらに削減をし、それによって浮いた財源を総事業量の増加に振り向ける方針を固めたようであります。本県への特に財政面からとらえた場合の影響をどのように推定されるか、見解を伺います。  次に、公立小、中学校の事務職員、栄養士給与に関する国庫負担金の削減問題が、来年度の文教予算の焦点として浮上し、六月の行革審の最終答申を受けて全額カットを検討し始めたと報道がなされています。さらに大蔵省は去る十一月二十六日、国民健康保険の医療給付費の一部を、六十二年度から新たに都道府県に負担を求める方針を固め、厚生、自治両省と折衝に入っているようであります。これは医療保険制度の基本にかかわる問題であり、自治体の一般財源を大きく圧迫するものであります。今でさえ財政的ピンチに陥ろうとする本県にとって重大問題であります。  次に、本県財政の現状を具体的に分析をしながら、直面する問題点について逐一質問を展開してまいります。  まず第一点は、本県財政の構造を見てみますときに、県税の場合、昭和五十年以降徐々にではありますが増加をしてきましたが、この昭和六十一年度下半期に法人県民税は対前年度マイナスになっているのではないか、円高デフレの影響が徐々に本県経済をむしばんできている前ぶれではないのかと思いますが、特に滞納の目立つ個人県民税、自動車税、料理飲食税、消費税等を含めて、本県景気の動向の絡みで見解を伺いたいのであります。  第二点に、普通交付税決定状況を見ますと、六十一年度の決定額は一千七百三十三億六千八百万円で、昭和六十年度の決定額一千七百三億七千万円に対し、わずか一・八%の伸びでしかありません。日本経済の中における円高不況の進行で国税三税の増収は到底見込めないのではないか、さらに税制改革がどうなるのか、甚だ不透明であります。知事は現時点での見通しをどのように立てておられるのかお尋ねをいたします。  第三点に、県税について見ますと、昭和六十一年度予算規模に、九月補正の現計六千五十五億七千八百万円中、県債が五百八十億八千五百万円であり、構成比で約九%に達しております。昭和六十一年度の県債残高は、今回専決処分報告にある分を含めまして三千八百一億二千七百万円であります。一方、公債費も年々増高をたどり、昭和五十九年度が五百二十一億四千八百万円、六十年度は五百七十一億九千一百万円、六十一年度が九月補正現計六百六十五億五千一百万円、歳出総額の中に占める構成比が一一・一%であります。この数字でわかりますように、公債費が歳出総額の中に占める比率が一割を超え、要注意ラインと言われる一五%に突入するのは、六十二年度か六十三年度ではないかと危惧する向きもあるのであります。公債費の年度ごとの推移を分析をし、今後の国の自治体に対する財政転嫁を予想するとき、その危惧が杞憂であると果たして言えるのでしょうか。昭和五十年からこの十年間の一般会計の歳入の伸びは約二・二倍、公債費の伸びは約十・四倍であります。慢性的財政硬直化の傾向が、財政運営の柔軟性を損なっているのではないかと考えますが。知事の見解を承りたいと存じます。  第四点に、基金の積み立て及び取り崩しの状況を見てみますと、本当に心もとない気持ちがするのであります。昭和五十七年度の三基金のうち、財政調整積立金が百四十四億九千三百万円もあったのが、昭和六十年度末の財調基金は六十八億七千万円と急激に減少をし、昭和六十一年度は三基金合計で百三十億円取り崩さないと六十一年度予算が編成できないところまで、財政は窮迫してきているのであります。したがって、昭和六十一年度十一月末の三基金の残高は六十八億三千万円にすぎません。これは一般会計総額のわずか一・一二%にすぎず、全くないに等しいと思うのであります。知事はこの財政の実態をどのように認識しておられるのでしょうか。  さらに、政府は内需拡大のための補正予算を組み、本県では公共で三十二億九千九百万円、七月十日の鹿児島市集中豪雨災害予算三十二億二千百万円、計六十五億二千万円、債務負担行為として百二十四億三千万円、合計百八十九億五千万円を十一月十三日付で専決処分をし、今議会に議決を求める報告がなされております。公共六十五億二千万円の財源内容を内訳を見ますと、国庫支出金が四十二億九千万円、県債二十億八千万円、分担金一億四千九百万円、その他百万円となっております。先ほど指摘しましたように、三基金のうち財調が十一月末でわずか十八億七千万円しか残っていない、結局公共事業の裏負担は県債に頼るしかなく県債に依存したのであります。本県財政は、国庫支出金を起債に依存する財政構造に陥っているのであります。財政構造がラヒ」までくると大変だと思います。知事にここでお尋ねをしておきますが、本県のごとく財源に乏しく、国への依存度の高いところでは、勢い国への予算配分についての陳情では傾斜配分を要求することになります。しかし、我が鹿児島県の財政事情では、今後一般財源の負担を伴う事業の配分については、遠慮申し上げることになるのではないかと心配するのでありますが、いかがでしょうか、見解をお示しいただきたいと存じます。  第五点に、今後志布志湾国家石油備蓄基地、テクノポリスの関連施設整備、鹿児島本港改修、県立公園、西薩中核工業団地など、財政事情の厳しい中で大きな事業を推進するということになれば、その反面、県民生活に直結をするきめ細かな行政サービスの低下など、歳出の抑制が行われ、県民生活へのしわ寄せが当然の流れとして出てくることが予想されるのであります。例えば事務事業の見直し、既存事業の見直しの名目で徹底した合理化を行い、当面県民にとって必要であると思われる補助率を県みずからカットしたり、受益者負担の適正化の名のもとに県が市町村住民に負担増を強要したり、高校、短大等の授業料値上げを含む使用料、手数料の値上げにかかってくるのであります。当面、県が新総合計画の実施の段階で企画をし、年度計画で進めているビッグプロジェクトは、主に大企業を中心にした第二次産業のための基盤整備に対する投資的経費が重点となっており、本来県がその固有の義務、または委任事務として行うべき福祉、教育、衛生、医療の行政水準が低下するようでは、到底我々としては我慢できないのであります。市町村は既に県の補助金カットが国と同じようなべ―スで来るのではないかと大変心配している向きもありますので、知事の見解を明確にしておく必要があろうと思うのであります。  次に、来年度の本県予算編成作業に入るに当たりまして、去る十月十三日県財政課が提出をした昭和六十二年度当初予算編成要綱、この基本的事項の第二項に、昭和六十二年度の予算要求については次のとおり要求枠を設定するので、枠外の要求が出ないよう留意することとして、公共事業については、六十一年度九月現計予算額地方負担べ―スの範囲内で、県単公共事業については、六十一年度九月現計予算額の範囲内で年間所要額を要求すること、また経常経費その他の経費については、六十一年度九月現計の九五%の範囲内で年内所要額を要求するよう指示されているのであります。裏金のない本県の財政事情のもとでは、公共事業においては、昭和六十二年度は六十一年度並みで結構ですと言っているのに等しい感じがいたします。知事のお考えをお尋ねをするものであります。  一方で、景気対策のための公共事業の拡大が言われながら、国が窮乏県に対する特別の地方財源対策を講じない限り、鹿児島県としては公共事業の拡大を受け入れる財政的余裕が、余地がほとんどないと言われても過言ではなく、将来に向けて数字的には暗い材料しか山積みしていないのでありますが、知事の見解を承りたいと存じます。  次に、農政問題についてお尋ねをいたします。  農政審議会は去る十一月二十八日、新しい農政へのビジョン、二十一世紀に向けての農政の基本方向をまとめて加藤農相に報告をいたしました。これによりますと、昭和五十五年のビジョン八十年代の農政の基本方向が、自給率の向上、日本型食生活の定着を重点に置いたのに対しまして、価格政策の見直しに力点を置いております。円高で農産物の内外価格格差が急拡大したことや、自給率確保だけでは産業界や消費者の理解を得にくくなったことなどから、生産者にコスト引き下げの努力を呼びかけたのであります。このための価格政策は、一つは、生産性の高い中核的な農家層の生産性をもとに決める。二つ目は、市場原理の大福導入を進めるよう見直すべきだとしています。加藤農林大臣は答申を受けて、もう血の出るような努力だけでは許されない時期に来た。農林水産省も、生産者も、血を流さなくてはすべて破産してしまうと語り、農政改革実践への強い意思表明をされております。  また、この提言に沿って農水省は十二月三日、来年度から始まる次期水田利用再編対策、ポスト三期対策を、都道府県別転作目標面積などを盛り込んだ水田農業確立対策及び食糧管理制度の運営改善大綱の骨子をまとめて発表いたしました。これによりますと、実施時期を六年とし、三年を区切って前期、後期に分けて、最初の三年間は、これまで最大の七十七万ヘクタールの減反、転作奨励金は水田農業確立助成補助金という名目に改めて、今年度当初予算より約二割少ない一千七百五十億円とするとなっております。転換作物別の支給単価を決めておるわけであります。  本県の場合、田んぼは四万八千五百ヘクタール、畑は九万六千七百ヘクタールで、畑率が六六・六%と高い比率を示していますが、稲作と畑作に加え畜産の複合経営が主体であり、これ以上の減反政策及び転作奨励金の削減は、本県農業にとっても決定的な打撃を与えることが十分予想されるところであります。幸いに、これまでの割り当て比率に比べて二四%増と、他県に比べて幾らかの配慮はなされているようであります。また専業農家比率では、全国に比べて高いとはいえ、兼業農家が六八・三%も占めております。県総合計画では、高齢化、兼業化及び混住化の進行に合わせて、力を合わせて村づくりに取り組むとしており、今後価格改策が中核農家の生産費をもとに決めるという答申は、本県農家経済に重大な影響を与えると思われますが、ここで知事にお尋ねをいたします。  第一に、今次農政審の答申をどのように受けとめておられるのか、知事の見解をお伺いをいたします。また、農水省に対しまして、どのように物を申していかれようとしているのか、農民にどのような血が流れると判断をされているのか、お答えをいただきたいと存じます。  第二点は、土地基盤整備が極めておくれており、しかも山間部や離島を数多く抱えている本県農業への影響と、今後の方針について見解を明らかにしてください。  第三は、新総合計画との整合性についての見解を伺います。  第四点は、ポスト三期対策の本県に与える影響と今後の対処方針をお示しください。  第五点に、ポスト三期対策の減反面積目標一万六千一百六十ヘクタール、二四%増に対する実施の可能性について、話し合い活動を中心に自立自興による村づくりを進めようとしていますが、減反目標消化に当たっての農家の意思尊重のあり方についてどうされようとしているのか伺います。  第六点に、穀物の自給率よりコスト政策を中心に打ち出したことは、いよいよ工業製品中心の輸出型産業のいけにえに農業を追い込み、農畜産物の輸入自由化、とりわけ米の輪入制限取り崩しへの下地づくりと思われますが、どうでしょうか。また食管制度への空洞化へいよいよスタートしたとも受け取れますが、知事の見解を伺います。    〔知事嫌田要人君登壇〕 22 ◯知事(鎌田要人君)明年度の国の予算編成に当たりまして、地方への負担転嫁をもくろんでいるということに対しましての私どもの考え方、あるいはこれに対応するアクションにつきましては、先ほども自民党の代表質問にお答え申し上げたとおりでありますが、私どもといたしましては、まず御指摘になりますように、地方への負担というのはもう許容の限界を超えておる、この事実認識は全く同じであります。  それともう一つは、昨年、一昨年等の経過で、特に六十一年度の補助負担率の地方への負担転嫁につきましては、少なくとも一年間にわたって関係閣僚会議等で検討が行われて、その結果これだけのものは三年間固定しようよと、もう三年間そのかわり物を言いませんと、国と地方とが予算編成のたびにこういう補助負担率をめぐって攻防戦をやるということは、まことに国と地方との間の財政秩序という面から見ても、国と地方との信頼関係から見ても、地方が安定して予算を組むという面から見ても、どっからもプラスがないわけで、そういう手続をとって、それで補助負担率の特例法が国会で成立をしたわけでありますが、その経過というものを全く無視するものであるということから、我々としてはこれを断固反対ということでやっておるわけでありまして、それに対しまして、国の方はもうお願いであると、理屈はもうとにかく言っても負けですと、お願いでありますと、国の一般歳出を何としてもプラマイゼロに迎えたいと、しかし一方で内需拡大をやって事業を膨らませたい、そういうことになるとその、これは手品というほどのことでもありませんが、国の補助負担率を下げて、その分だけ国の出し前が少なくなりますので、事業費を広げて、そのけつは全部、──非常に下品な表現で申しわけありません。──そのしりは全部地方に持っていくというだけのことでありますから、これは全く国の歳出のつじつま合わせのために地方を犠牲にするもの、しかもその結果は、今お述べになりましたように、六十一年度でも非公共、公共合わして二百二十億円のこの鹿児島県の場合でありますと影響を受けておる。これは全体一兆七千百億円という中で二百二十億円の負担転嫁が行われておる。来年の予算編成に当たりまして、国がどれだけの規模のものを言っておるのか、まだ最終的な案というものを持ってきておらないわけでありますけれども、いずれにしましても、これの影響というものがさらに地方財政に大きな影響を与える。  それから、義務教育費国庫負担金の事務職員、栄養職員につきましても、これもまた昨年一応けりがついたものに、また持ち出してきておるわけでありますし、特に先ほども申しましたが、国民健康保険の一部都道府県負担の導入ということにつきましては、地域保険、社会保険というものについての全体的な制度の基本に触れる問題でありますが、それを小手先だけで既成事実をつくるような負担転嫁と、こういうことについても、これはどうしても我々としてはこれに同意することはできない。あくまでもこれにつきましてはつぶすべく努力をいたしておるというところでございます。  次に、鹿児島県の財政構造に即してのお話でありますが、全くおっしゃるとおりでありまして、大ざっばに言いまして、県の六千億円のこの財政の一般会計の中で、七五%は国に結局根っこを押さえられておる財源、いわゆる依存財源ということでありまして、税等の自主財源は二五%しかないところでございまして、その依存財源の中核をなしておるのが国庫補助負担金であり、交付税であり、あるいは地方債でありということになるわけでありますが、その国庫補助負担金を減らそうと、交付税も今の見通しでありますというと、国税三税が伸びませんので、来年度の税制改正の絡みもありますけれども、今のところでは交付税が今年度より出口べ―スでも減るんじゃないかということになりますというと、本当にこれはいわゆるマルビ団体と、こう申しておりますけれども、財政力の弱い団体というのは息の根がとまるような状態になっておるわけであります。  ところが、奇妙なことに、国全体の地方財政計画では、昭和六十一年度でも一兆七千百億円の国から地方への負担転嫁をしなければ、財政は、財政計画は収支償うという、まあおよそ我々からいえば非現実的なものになっておるわけです。これはまあ言い出すれば、時間がもう何時間かかっても、言いたいことは山ほどあるわけですけれども、地方財政計画もきっちりしたものにしてもらう、それからやはり個々の団体の財政に即した国の財源措置というものをやらないと、これはもう御指摘のとおり、せっかく公共事業をふやして、中央は民活だから地方に傾斜配分してやるよといっても受け皿がないということになる。そういう意味で財源の確保にはこれは私も渾身の努力をもって進めてまいりたいと思っておるわけでございますし、また積立金、なけなしの貯金も、今御指摘のとおり、七十億円足らずというところまで落ち込んできまして、どうして来年の予算を組もうかということで苦慮をしておるところでございまして、どうしても、しかし赤字を出すわけにはいかんということでありますし、一方におきまして県新総合計画の三年度目でありますので、ひとつこの知恵を、金のないときには知恵を出せというのが私の主義でございますが、ひとつ大いに頑張ってまいりたいと思います。  それから、各種プロジェクトの問題でありますが、これはいろいろと価値観、価値判断の問題があると思いますが、公園でありますとか、あるいは新奄美空港でありますとか、あるいは港湾、こういったもの等につきましては、これはやはり住民のザービスそのものでありますし、あるいはまた西薩工業団地、あるいは国家石油備蓄とテクノポリス、こういったようなものはやはり長い目で、住民の所得が豊かになり、それが回り回って生活水準、福祉の財源にも回っていくと、こういう意味でありますので、こっからここは何か資本に奉仕すると、こっからここは住民サービスだと、そういうものではなかろうと思うわけでありまして、これにつきましては御理解をいただきたいと思いますし、また受益者負担、使用料、手数料等の問題につきましても、これはあくまでも受益者負担の適正化を図るという観点から、おのずからそのロジックに基づいての財源の確保ということになるわけでございます。  次に、農政審議会の中間報告の問題でありますが、これにつきましては、私も農政審議会の委員の末席を汚さしていただいておりまして、やはり足腰の強い農業というものを二十一世紀に向かって展開するという観点から、このたびの報告につきましては、基本的には私も賛同をいたしておるわけであります。ただ問題は、ここで書いてあります例えば農業政策については、産業政策的な面もある、社会政策的な面もある、国土政策的な面もある、いろいろの面があるという御指摘で、その中で産業として自立できるような農業のために生産性を高めていく、その生産性を高めていくためには、例えば規模の拡大を図って、中核農家を中心にした規模の拡大を図っていく、あるいは市場原理というものも導入した価格というもので、一方ではやはり生産性の向上を図り、コストの軽減を図りながら国際競争力にもたえ得るような、あるいはまた納税者が、国民が納得し得るような価格での農産物の生産、こういったことをねらいとしておるものでありまして、農業が二十一世紀に向かって展開をしていくためには基本的な方向だと思いますが、私がそこで、この審議会の席でも申しましたのは、そういう目標は正しく、またそれに向かっていくにしても、一挙動でそこまでいくということになると、これはやはりショックは余りにも大き過ぎると、やはりそのためのいろいろな手だてを講じながら進んでいくということであって、性急にそこまで目標がいいからということで進むということになれば、余りにもやはりアクションも大きいのではなかろうかと、そのための条件整備をいろいろ考えていきながら持っていくということを、私としては申し上げておる次第でございます。  また、ポスト三期対策の問題でありますが、このポスト三期対策の問題につきましても、先ほど申しましたような水田農業というものを確立するという観点から、このポスト第三期を進める。またその場合におきまして、今まで例えば米がつくれないからかわるものをつくると、そのために奨励金を出すという、いわば後ろ向きではなくて、そのような水田農業を確立していくために交付金を出すと、こういう文字どおり発想の転換のもとにこの交付金制度も立てられておるわけでありますが、これにつきましても十二分にやはり生産者、あるいは農業団体の理解と協力が必要であります。本県に割り当てになりました一万六千百六十ヘクタール、これの消化につきましても県段階で、県と中央会との間で十分な合意を遂げ、それを県から市町村、市町村農業団体のレベルにおろして、それと生産者との間ということにありまして、農業団体、行政表裏一体となって進めるということになっておりますので、十二分にその辺につきましてはそごのないように進めてまいりたいと存じます。 23 ◯総務部長(澤井安勇君)円高等の税収への影響についてでございますが、これにつきましては当初予算編成の段階で、法人関係税の動向を見込む中で相当程度厳しく織り込んでございます。その結果といたしまして、対前年度マイナスの予算を計上いたしたわけでございます。したがいまして、御指摘がございましたが、法人関係税につきましては、十月末現在で対前年同期比ではなおマイナスの状況になってございますが、当初予算との関係で申し上げますと、県税収入につきましては、当初予算のほぼ見込みどおりの推移となっておるということを申し上げているわけでございます。なお今後とも、円高等の影響も含めまして景気動向を十分見きわめまして、引き続き予算の確保に努めてまいる考えでございます。  次に、交付税の問題でございますが、昭和六十一年度の普通交付税の伸びの問題がございましたが、この点につきましては、六十年度におきます税収の伸びが大きかったということ等によりまして、このような結果になっておるわけでございますが、この点につきましては、別途減収補てん債が認められることとなっておりますことにつきましては、これまでも申し上げているとおりでございます。また、今年度の国税三税の減額に伴います地方交付税の減収分については、交付税特別会計におきます借入金によりまして全額補てんされることとなっておりますので、直接的な影響はないと考えております。  来年度以降の税制改革等に伴う問題につきましては、先ほど知事から申し上げたとおりでございますが、今後とも完全なる財源措置がとられますように働きかけてまいる考えでございます。  次に、県債の問題でございますが、最近におきます公債費の状況につきましては、金額、構成比ともに依然として増加傾向にあるわけでございますが、これは昭和五十年代に発行されました財源対策債等の償還がピークを迎えつつあるためでございます。このような状況に対処いたしまして私どもといたしましては、今後とも低利、有利な起債の導入にさらに努めまして、また県債管理基金の適切なる活用と、こういうこと等を行いまして、公債費の増加抑制にさらに努めてまいる所存でございます。  最後に、昭和六十二年度の予算編成要領についてでございますが、昭和六十二年度の本県財政は、御案内のとおり、税収の伸び悩みや国庫補助負担金の削減の動きが見られるなど、また一方で公債費等の義務的経費がさらに増高するなど、今年度にもまして一段と厳しい状況が予想されておるわけでございます。このようなことから、各経費につきまして要求枠の設定をいたしたところでございますが、このような厳しい状況ではございますが、今後の予算編成におきまして、国の地方財源対策も含めまして、一方では財源の確保に最大限の努力を払いますとともに、先ほど知事からも申し上げましたが、従来以上に創意工夫に努めまして、また、スクラップ・アンド・ビルドの考え方をさらに徹底してまいるなど行いまして、新規の施策にも十分配慮いたしまして、三年目を迎える新総合計画の円滑なる推進に努めてまいる考えでございます。    〔浜田みのる君登壇〕 24 ◯浜田みのる君 伝えられるところによりますというと、今年度国税三税は、およそ一兆円を超える歳入欠陥が出るのではないかと言われております。大蔵省は去る年度途中にこの交付税の減額を自治省に打診をしたという情報も伝えられておりまして、年度途中で交付税の修正をするなどというようなことが起こっておるというのは、もうまことに遺憾な財政状況だと言わざるを得ないと思います。  去る八月に、財政力が〇・四以下の十八県が財政窮乏対策県議会議長会というのを組織をいたしまして、その中で地方交付税による地方団体間の財源調整機能の強化を決議をされたという経緯があります。まあいってみれば、さもしい話ですが、よその県はどうでもいいからおれの県に余計金を寄こせと、こういうような決議ではありますけれども、自治省はこれにやや反応を示しておりまして、来年度予算ではこのような財政窮乏県に対して何らかの、交付税の交付の中で措置をするような動きをしております。大変さもしい話ながら、そういう措置にも期待をつながなくちゃならんという状況だと思います。  ぜひひとつ財政の効率的な運用に格段の努力をしていただきたいもんだと、お願い申し上げたいと存じます。  農政問題についてでありますが、これは土地の流動化によって規模の拡大を図るということを言っておるわけでありますけれども、これは経営規模を大きくすれば事足りるかということになりますというと、あの広大な規模を持っておるアメリカの農業がピンチに立っていることを思いますというと、必ずしも規模を拡大するだけで農業問題は片付くことにはならんと思うわけです。そういった意味では、この九年間で生産者米価というのはわずか八%しか引き上げられておらないわけでありますが、その間に生産費は約四〇%上がっております。そういった意味では、農産物のコスト引き下げという問題は、単に農家努力だけではどうにもならんと思います。そういった意味では、農業の機械機具もそうでありますし、農薬等もそうでありますが、生産資材のコスト減を産業界に強く求めていかなければ、農家努力だけではどうにもならんと、こういう気がいたします。そういった農家を取り巻く諸情勢についての努力が必要だと、こういうふうに思えるわけです。  次に、医療福祉関係について御質問を申し上げます。  昭和五十八年二月に、老人保健法は、国民の老後における健康の保持と適切な医療の確保を図るため、疾病の予防、治療、機能訓練等の保健事業を総合的に実施することを目的としてスタートをいたしました。しかし現実には、それまで無料化されていた老人医療費が一部自己負担となり、さらに今国会では一部負担の増額が行われようとしております。また老人保健事業の実施主体は市町村にあると規定をされておりますため、財政基盤の弱い市町村においては、市町村保健センター等の施設整備や保健事業を中心的に担う保健婦の確保など、大変苦労が多くなっております。このような中で厚生省は、六十二年度から六十六年度にかけて保健事業第二次五カ年計画を実施するとして、がん、心臓病、脳卒中の成人病に関して壮年期から健康管理に重点を置いた対策を強化することとし、それに必要な事業計画とマンパワーの確保及び施設等の整備目標を示しております。そこでお尋ねいたしますが、第一点は、保健事業第一次五カ年計画の実施と問題点。  第二点は、保健事業の中心を担う市町村保健婦の設置状況と、未設置町村の保健事業対策の現状について伺います。  第三点は、保健事業第二次五カ年計画の実施に当たって重点施策をどこに置くのか。  第四点は、計画実施に伴って必要となる市町村保健婦の確保及び施設等の整備のための対策。  第五点は、保健事業の実施に当たって協力、援助の義務がある保健所の機能をどのように充実しようとしているのか、それぞれ明らかにしていただきたいと存じます。  次に、高齢者の福祉対策についてであります。  六十年度の国勢調査によりますと、六十五歳以上の高齢化比率は、本県が一四・二%、全国は一〇・三%であり、本県が四十五年に一〇・一%であったのを見ますと、全国平均より十五年ほど先行し高齢化が進行していることを示しております。大浦町の二八・六%を初め、二十五の町村が二〇%を超しており、ますます人口構造の高齢化が進展をし、それに伴い寝たきり老人やひとり暮らし老人、あるいは身の回りのお世話をする人のいない老人が必然的に増加していくことは確実であります。それだけに全国に先駆けて長期的展望に立つ在宅福祉の充実、老人福祉施設の整備、生きがい対策など、計画的な推進を図ることが重要であります。  今国会では、老人保健施設、いわゆる中間施設の創設を盛り込んだ老人保健法改正案の審議中でありますが、厚生衿の青写真によりますと、老人保健施設入所者の場合、保健財源から月額約二十万円の医療介護費用が支給をされ、食費等の生活費相当分として五万円程度を自己負担する。これに対し特別養護老人ホーム等の場合は、月額二十万円の措置について、入所者と家族が収入に応じてそれぞれ十万円を限度に費用負担をしなければならない。また、老人保健施設の入所手続は、一般病院と向様保険証を提示するだけであり、福祉事務所の審査を経て行政措置される特老の入所手続より簡単なものと言われます。また厚生省は、改正老人保健法の成立をまって、老人保健施設を六十二年度中に百カ所、七十五年度までには三十万床にまで整備する計画と言われます。特老の入所者、家族からの徴収月額の上限は現在十万円でありますが、年々増加傾向にあり、老人保健施設が当面五万円程度の自己負担で済み、入所手続が簡単となれば、お年寄りは老人保健施設を選び、特老の存在が脅やかされるのではないかと懸念が出ております。そこでお尋ねしますが、第一点は、老人保健施設、いわゆる中間施設構想が具体化しつつある段階にあって、本県としてはこれにどう対処されるのか。  第二点は、県の新総合計画によりますと、特老の建設は年に二施設程度、十年間で二十二施設を予定していますが、中間施設との関係で計画どおり整備が進むのか。  第三点は、在宅福祉重視へ政策転換が図られつつある今日、特老などの施設と併設したディ・サービス、ショート・ステイセンターの整備促進も重要でありますが、当面の計画と、どのように将来展望を持つのか。  第四点は、在宅サービスの柱ともいえる家庭奉仕員の拡充は極めて重要でありますが、当面の増員計画と将来構想はどうか、知事の答弁を求めます。  次に、九州新幹線鹿児島ルートについて質問をいたします。  国鉄を解体して、切り売り民営化する関連法案の成立を待ちかねていたように、慌ただしく動き始めたのが九州新幹線の建設促進運動であります。来春九州に移管される国鉄を、九州は一つを考える上で大きな契機にしようとか、眠れるウサギの九州はカメの東北に追い越されたとして気勢を上げ、中央に陳情攻勢をかけたことによってかどうかは別として、政府自民党で構成する整備新幹線財源問題等検討委員会幹事会が駅周辺環境整備事業として、西鹿児島駅の改良工事にゴーサインを出したことから、待合所新設の起工式と祝賀会が、本日の県議会本会議に先駆けて行われました。このことによってまだまだ残る問題点として、以下質問をいたします。  その第一は財源問題であります。整備新幹線五線の建設費用は、五十四年度単価で五兆二千三百億円、うち九州新幹線福岡―西鹿児島間の工事延長二百五十キロメートルが、建設費用八千六百億円という運輸省試算となっておりますが、着工直前の見込み額が、実際には三倍以上に膨れ上がった東北新幹線、上越両新幹線の前例から見ましても、大蔵省も指摘しておりますように、数倍になると思われます。  また、自民党内部で出ている公共事業方式をとり、建設国債で財源を賄うとすれば、六十年間の元利償還の総額は国債発行額の三・七倍という試算が出されております。これでは国債減額、歳出削減など国民に多くの犠牲を強いて行われた行財政改革は水泡に帰してしまうものであります。そして建設費を全額建設国債で賄うということも財政再連をやめてしまえということにつながることで、緊急避難的な措置だからといっても、今後同建設国債増発を続けなければならないことになり、それこそ日本の財政は、覚せい剤中毒同然で再起への復元力を失なってしまいます。特に、財源問題で目が離せないのが地方負担であります。公共事業方式といっても受益者負担としての裏負担があり、関係市町村の負担金が絡んでまいります。その心配はないのかお尋ねをいたします。  また、あるとすれば一体その額はどれほどに見込まれるのか、明らかにしていただきたいと存じます。  第二点として、鹿児島本線は生き残れるかどうかという問題です。  新幹線の建設は、並行する在来線をいつかは廃止することが条件であります。つまり、停車する県内の出水、川内、西鹿児島のほかは、今の在来線、鹿児島本線に接続して中間駅に、鉄道で運ぶのではなくて、新幹線の停車駅以外は自動車輪送にするというのが原則でありますから、新幹線ができると、今の路線はなくなることが建前なのです。  中曽根首相も国会審議の中で、並行在来線の廃止は地元と十分協議する必要があると言っているだけで、今の鹿児島本線存続の保証は全くありませんが、知事はあくまで残すことに自信があるのかどうか伺います。  次に、第三点として新幹線を開業した場合の経営見通し、収支採算の問題であります。つまり、九州新幹線を鹿児島まで延ばした場合に、採算見通しがあるのかどうかであります。  自民党建設特別委員会と沿線期成会が作成した新幹線パンフは、私鉄並みの運営をすれば黒字になるとしていますが、太蔵省が建設費を全額建設国債で賄い、公共事業方式で賄ったとしても、整備新幹線五線はいずれも赤字経営となるとして、政府自民党を牽制しておりますが、我が党も同じ懸念を持つものであります。いまのところ建設した場合、国鉄分割、民営化後の沿線旅客会社が営業する予定になっていますが、赤字の新幹線になれば新会社も結果的には第二の国鉄となり、国鉄再建監理委員会が十六兆七千億円という膨大な国民負担を求めて、国鉄改革を行うこと自体、意味を失うことになりますが、知事の見解をお尋ねいたします。  第四点として、これが魅力だとされている新幹線建設に伴う本県経済に及ぼす影響、波及効果についてであります。一キロメートル当たり建設費が、現在価格で三十億円から五十億円かかると言われ、建設投資により、建設部門のほか、県内のどの産業部門の生産性をどれほど誘発をし、県内の内需拡大に寄与し、本県経済が潤うのかについての所見を伺いたいと存じます。  これは、先ほどの自民党の代表質問でもございましたが、第五点として、総合バスターミナル西鹿児島駅ビルの建設及び周辺の都市再開発についてお尋ねをいたします。今回の西鹿児島待合所と、自由通路の建設開始によって弾みをつけようとする新幹線建設は、来年度予算編成を正念場に急速に政治課題として浮上してきましたが、そのことは、別に我が党が主張し続けてきた総合交通体系を確立するためのバスターミナルの建設や、西駅周辺都市開発の計画は一体どうなっているのか、具体的な回答をいただきたいと存じます。  答弁の時間を考えますと、時間が途中になると思いますので、残されておる教育問題については割愛をし、個人質問の方に譲らしていただきたいと存じます。    〔知事鎌田要人君登壇〕 25 ◯知事(鎌田要人君)保健所の機能充実の問題でありますが、疾病の予防、あるいは健康増進、環境衛生、こういった公衆衛生活動の中心的な機関といたしまして、保健所の役割は極めて重大でありますので、これがこれまでも専門技術職員の確保、あるいは研修等を通じての資質の充実、施設設備の計画的な整備等を図ってきたところでありますが、今時多様化する保健需要に的確に対応できますように、さらに専門技術職員の資質の向上や施設設備面での整備を図ると、また市町村地域医療機関、福祉施設等との連携を強めまして、積極的な地域保健活動を推進してまいる方針でございます。  次に、いわゆる中間施設に対する本県の対応の問題でありますが、中間施設は御案内のとおり病院の治療を終えて症状の回復期や安定期にある寝たきり老人等に対して、軽度の治療、看護、あるいは医学的管理下の介護、機能訓練を行うとともに、日常生活のサービスを提供する施設でございます。これにつきましては、現在国会で審議中でありまして、私どもといたしましては、その動向を見守りながら適切に対応してまいりたいと。  また、開発促進協議会の要望事項といたしましても、これにつきましては、老人保健施設制度の確立を図るとともに、箇所の決定に当たっては本県に特段の配慮をしてほしいと、こういうことをお決めいただいたところでございます。  次に、特別養詮老人ホームの整備計画でありますが、これにつきましては、おのずから中間施設とこの役割分担が別でございまして、この特老につきましては、新総合計画に沿って整備を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。  次に、新幹線の財源問題でありますが、御案内のとおり新幹線につきましては、私どもこれが一日も早い早期建設ということを念願いたしまして、今日まで取り組んできておるわけでありますが、この財源問題に関連をいたしまして、地元負担の問題が数年前に出たことは御案内のとおりであります。私どもといたしましては、新幹線というのは国家的な社会資本であり、その利用者も特定の地域に限定できないわけであるし、これまでの新幹線は地元負担なしでやっておるんだから、地元負担ということにつきましては、消極的な姿勢でありました。それに対しまして、北陸、東北新幹線は踏み絵をあえて踏んで、それで鹿児島以下をけ飛ばしたわけであります。その結果は、北陸、東北が非常に熱心であると、愛いやっじゃということで、さきに新幹線のこの整備計画というものが進んでまいりました。それで、私もここで何遍も、ちょっと口にするのははばかるような口汚いことも言って反省をしておりますけれども、けしからんやつらだと、一緒に新幹線を、そのおくれたところでですね、地域開発をやっていこうというのがですね、そういうことをやるというのはまことに遺憾であると、しかしながら、そういうことで敵が先に行くということになりますと、これは鹿児島はこれはいつまでもほっとかれると、過疎後進のままほっとかれると、そういうことで、ここからも申し上げたと思いますが、応分の地元負担というものは、これはやむを得ないと、こういうことで今日まで進んできておるわけであります。  また、この財源問題検討委員会の論議の際に、大体この九割が、いわゆる国の投資と、地方負担一割程度と申しますのは、駅舎、あるいは駅周辺、これを全部積み重ねますと、大体総工事費の一割ぐらいになると、その分はやはり地元の、また地域開発にも直接資するんだから地元負担を求めていいのではないかと、こういう論議もあるわけでありまして、これらの点も含めまして財源問題等検討小委員会での結論待ちということであります。ただその場合に、やはり財政力の弱い団体が多いわけでありますので、これにつきましては、しかるべき地方財攻措置というものが一緒でなければ困るということでございます。  次に、今お述べになりました並行在来線の問題でありますが、これにつきましては、これまでも再三申し上げておりますように、在来線は新幹線とは違った役割というものを持っておる。あるいは、通勤でありますとか、通学でありますとか、あるいは貨物輸送でありますとか、こういういわゆる近距離の都市間輸送といいますか、こいう役割を持っておるわけでありまして、これらの在来線の問題についてはですね、新幹線が出来上がり、これが運営をしておる段階において、おのずから在来線のまた意義、役割というものも決まってきましょうから、今ここで性急に我々として在来線がどうこうということにはならないと。  それから、収支計画の問題でありますが、これにつきましても、今お述べになりましたように、国の財政当局ではこれをつくらせたくないもんですから、結局今の建設費を、今は五兆三千億円と言うちょっが、そいも二十兆円ばっかいなっどと、これも余り根拠はないわけです。そういうことを言ってですね、それで黒字にはならないと、つくってもお荷物になると、こういうことで先に引っ張りたい一心なわけです。これに乗っちゃそれはだめですよ。これに乗っちゃそれは永久にできない。できない。何のためにきょう祝賀会をやったか、社会党の皆さんも出ておられた。そういう国民的な県民の全体のやっぱり要望というものは、それはおっしゃることは大事ですけれどもね、そういうことで後ろ向きという印象を与えたらこれはもうぼっですよ。そういうことでありますので、これについては、やはりさっき言った勇気と英断と希望を持って頑張りましょうよ、ということで、あと言うことをひっき忘れっしもた。  それから、その経済効果の問題でありますが、これについては、三菱総研が昨年試算をいたしました中で、これは鹿児島線、長崎ルートもひっくるめてでありますが、投資額一兆三千百億円の投資に対して、生産誘発効果が二兆四千七百五十五億円と、一・八七倍の誘発効果があります。県別で、鹿児島県の場合でありますれば、新幹線がありの場合と、なしの場合とのこの差し引きの県内総生産が約六百億円と、こういうことでございますので、やはりこの効果というもの、あるいは同じく国の運輪、あるいは三菱総研等の試算でも、借入金なしの場合であれば、鹿児島ルートは在来線を含めて開業初年度から黒字になるということでございますので、今私もただ、当てなしに行きゃ行きゃどんどんではありませんで、こういう数字もあるというものを前提に置きながら、ひとつ頑張っていこうじゃありませんかと申し上げておる次第であります。  次に、西鹿児島駅の総合ターミナル等の再開発の問題でございますが、これにつきましては、先ほどの御質問にもお答え申し上げましたとおり、総合整備構想の策定がなされておるところでございまして、これにつきましては県といたしましても、鹿児島市、あるいは地元経済界等とも緊密な連携をとりながら、西鹿児島駅地区の総合的な整備が図られるように、積極的に協力をしてまいりたい。やはりこれはまちづくりの大きな契機になるわけでございますので、西鹿児島駅のあの周辺の整備、あるいはまた県が事業をやっております鹿児島本港の改修に伴うこの地区の整備、やはり鹿児島市の近代都市としての整備に大きく貢献をするものと存じます。 26 ◯保健環境部長(有川 勲君)老人保健事業、いわゆるヘルス事業の推進につきましておただしでございますが、保健事業の第一次五カ年計画の実績と問題点という点につきましてですが、老人保健事業は市町村が実施主体となりまして取り組んできておりますけれども、これまでの実績を見ますと、健康手帳の交付、健康教育、健康相談、あるいは訪問指導と、こういった点につきましては着実に伸びが見られております。こういった事業につきましては、おおむね定着したものと考えております。  また、健康診査のうち一般診査につきましては、ほぼ国の実施基準に到達いたしております。一方、がん検診につきましては、全国水準にございますものの、受診率は伸び悩みという状態にございます。このため、今後未受診者の対策の促進を図る必要がございます。  なお、機能訓練につきましては、訓練施設の未整備、あるいは保健婦などのマンパワーの不足などによりまして、実施市町村が少ないため、これらの施設の整備、あるいはマンパワーの確保について市町村を指導してまいりたいと思っております。  それから、市町村保健婦の設置状況、あるいは施設の整備等についてでございますが、地域保健活動におきましては重要な役割を担います市町村保健婦につきましては、市町村の大変な努力によりまして年々その数が増加いたしてきております。しかし中には保健婦が設置されていない市町村もまだございます。未設置の市町村は離島、僻地等を有する町村がほとんどでございます。  保健事業におきましては、保健婦の果たします役割が大変大きく、保健事業の実施状況を見ましても保健婦を設置していない町村におきましては、県の平均と比べまして低調にあるという傾向でございます。こういった未設置の町村に対しましては、その設置を働きかけますとともに、在宅保健婦などの積極的な活用を図りながら、保健事業の推進を図ってまいりたいと考えております。  また、施設面での整備でございますが、市町村保健センターの整備を促進いたしますほか、母子健康センター、老人福祉センターなどの活用を図りまして、施設面での保健事業の推進を図ってまいりたいと考えております。  次に、これからの第二次の五カ年計画の重点施策という点でございますが、保健事業の第二次の五カ年計画はこの老人保健事業の量的な拡大と質的な充実を基本といたしておりまして、施設の推進に当たりましては、検診の制度管理の強化に努めながら、また基本検診、あるいは乳ガン検診、肺ガン検診などを加えまして魅力ある検診にするといったこと、また健康教育、健康相談、機能訓練、訪問指導、あるいは老人精神衛生相談などの保健事業を実施することといたしております。  県といたしましても、第二次五カ年計画の実施に当たりましては、本県の実情に即しながら、また国のこの計画に沿った保健事業を積極的に推進してまいりたいと考えております。
    27 ◯県民福祉部長(松林康文君)在宅の高齢者に入浴、給食等のサービスを提供しますディサービス事業でございますとか、あるいは在宅寝たきり老人等を一時的に預かりますショートステイ事業などにつきましては、既存の特別養護老人ホームや老人福祉センター等の社会福祉施設の機能を活用して実施しているところでございます。今後とも老人福祉センターや養護老人ホーム等、社会福祉施設の機能をより一層活用いたしまして、事業の振興を図りますとともに、新たに特別養護老人ホーム等の施設整備等に際しましては、このような機能が十分発揮できるように指導を強化してまいりたいと考えているところでございます。  次に、老人家庭奉仕員は、現在県下に四百五名が配置されておりまして、ひとり暮らしや寝たきりのお年寄りの家庭を訪問していただいて、日常生活のお世話や介護を行ってもらっているところでございます。高齢者の多くは住みなれた地域社会の中で、できるだけ家族や近隣の人たちと暮らしていくことを望んでおられますので、在宅での介護を支援するニーズはますます高まってくると思われます。このために今後とも、家庭奉仕員につきましては、需要に応じた適正な配置を図りますとともに、研修会等を通じまして、資質の向上に努めてまいりたいと考えているところでございます。    〔浜田みのる君登壇〕 28 ◯浜田みのる君 この中間施設についてでありますが、この国が財政負担を軽くするという発想が基本にあるわけでありまして、いわゆる特老よりも医者や看護婦の少ない施設、そして特老よりも寮母の少ない施設というのが中間施設と、こういうふうに見られておりまして、いよいよ年をとっていく私どもにとりましては、妙なものが待ち構えているという感じが消えません。そして、この在宅福祉重点でいくというのであれば、特老にはそれなりの介護人がいらっしゃるわけですけれども、そうでない在宅福祉重点ということになりますというと、従来以上にこのマンパワー整備が急がれるということが伴わなければ逃げ道だと、こういうふうにいわざるを得ないと思います。  老人医療が無料化を有料化するための名分として、この老人保健法がスタートしたことを考えますというと、この一次五カ年計画の保健事業というのが円滑に整備がされておらないという現状は、まことに遺憾だと思います。  なお、未整備のところにつきましては、数が明示されませんでしたが、これはまたいずれ所管の委員会でそれぞれただしてまいりたいと思うところでございます。  新幹線でございますが、なるほど不明なところは勇気と英断ということで抜けていけば結構なんでございますが、大変心配をされているのも事実でございます。私は、けさの起工式を見まして、ある人は西駅の整備というのは、これが民活、民営化されるためのドーラン化粧直しだと、こういうふうな言い方をされている向きもありましたが、起工式を見ておりますというと、念が入っておりまして、かま入れ、くわ入れ、スコップ入れ、つるはし振るいと、さまざまな手法がとられたようであります。あれを見ますというと、必ずしもその化粧直しだけじゃなくて、荒野を切り開いて新幹線を通して行くという、あのかま入れなどはカヤを刈っておるわけでありますから、いよいよ原野を開拓していくという心意気が込められているのだろうなあと思うことでしたが、ひとつぜひとも在来線の問題は、これはきょうの新聞でありますけれども、新幹線につきましては、竹下、宮沢両氏が金沢市内で記者会見をいたしまして、新幹線の着工問題については、そろって慎重な姿勢を示されたと、特にこの在来線についてはですね、非常に難しい問題だということがきょうの新聞にも出ておりますんで、必ずしも勇気と英断だけで抜けるわけにいかない気もするわけでございます。  それじゃ、私はこれで社会党を代表しての代表質問を終わりますが、この暗い不況のトンネルを抜けて来年はいよいよ私どもも皆さん方の審判を受ける状況にあります。決意も新たに、来年度からまた新しい年度をスタートしたいもんだと思います。  以上をもちまして、代表質問を終わります。(拍手) 29 ◯議長(原田健二郎君)これで、本日の日程は終了いたしました。       ─────────────    △ 日程報告 30 ◯議長(原田健二郎君)明日は、午前十時から本会議を開きます。  日程は、県政一般に対する個人質問であります。       ─────────────    △ 散  会 31 ◯議長(原田健二郎君)本日は、これで散会いたします。         午後五時五十分散会 鹿児島県議会 ↑ ページの先頭へ...