宮崎県議会 > 2022-11-24 >
11月24日-02号

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  1. 宮崎県議会 2022-11-24
    11月24日-02号


    取得元: 宮崎県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-20
    令和4年11月定例会  令和4年11月24日(木曜日)                午前10時0分開議 ───────────────────  出 席 議 員(37名)    2番  坂 本 康 郎  (公明党宮崎県議団)    3番  来 住 一 人  (日本共産党宮崎県議会議員団)    4番  山 内 佳菜子  (県民連合宮崎)    5番  武 田 浩 一  (宮崎県議会自由民主党)    6番  山 下   寿  (  同  )    7番  窪 薗 辰 也  (  同  )    8番  佐 藤 雅 洋  (  同  )    9番  安 田 厚 生  (  同  )   10番  日 髙 利 夫  (  同  )   11番  川 添   博  (  同  )   13番  中 野 一 則  (  同  )   14番  図 師 博 規  (無所属の会 チームひむか)   15番  有 岡 浩 一  (郷中の会)   16番  重 松 幸次郎  (公明党宮崎県議団)   17番  前屋敷 恵 美  (日本共産党宮崎県議会議員団)   18番  岩 切 達 哉  (県民連合宮崎)   19番  井 本 英 雄  (宮崎県議会自由民主党)   20番  徳 重 忠 夫  (  同  )   21番  外 山   衛  (  同  )   22番  山 下 博 三  (  同  )   23番  濵 砂   守  (  同  )   24番  西 村   賢  (  同  )   25番  右 松 隆 央  (  同  )   26番  日 高 博 之  (  同  )   27番  井 上 紀代子  (県民の声)   28番  河 野 哲 也  (公明党宮崎県議団)   29番  田 口 雄 二  (県民連合宮崎)   30番  満 行 潤 一  (  同  )   31番  太 田 清 海  (  同  )   32番  坂 口 博 美  (宮崎県議会自由民主党)   33番  日 髙 陽 一  (  同  )   34番  横 田 照 夫  (  同  )   35番  野 﨑 幸 士  (  同  )   36番  星 原   透  (  同  )   37番  蓬 原 正 三  (  同  )   38番  丸 山 裕次郎  (  同  )   39番  二 見 康 之  (  同  ) ─────────────────── 地方自治法第121条による出席者  知     事   河 野 俊 嗣  副  知  事   日 隈 俊 郎  副  知  事   永 山 寛 理  総合政策 部長   松 浦 直 康  政 策 調整監   吉 村 達 也  総 務 部 長   渡 辺 善 敬  危機管理統括監   横 山 直 樹  福祉保健 部長   重黒木   清  環境森林 部長   河 野 譲 二  商工観光労働部長  横 山 浩 文  農政水産 部長   久 保 昌 広  県土整備 部長   西 田 員 敏  会 計 管理者   矢 野 慶 子  企 業 局 長   井 手 義 哉  病 院 局 長   吉 村 久 人  財 政 課 長   高 妻 克 明  教  育  長   黒 木 淳一郎  警 察 本部長   山 本 将 之  監査事務 局長   髙 山 智 弘  人事委員会事務局長 日 高 幹 夫 ─────────────────── 事務局職員出席者  事 務 局 長   渡久山 武 志  事 務 局次長   坂 元 修 一  議 事 課 長   鬼 川 真 治  政策調査 課長   伊 豆 雅 広  議事課長 補佐   関 谷 幸 二  議事担当 主幹   佐 藤 亮 子  議 事 課主査   川 野 有里子  議 事 課主査   内 田 祥 太  議事課主任主事   山 本   聡──────────────────── △議案第23号から第30号まで追加上程 ○議長(中野一則) これより本日の会議を開きます。 本日の日程は一般質問でありますが、お手元に配付のとおり、知事から、議案第23号から第30号までの各号議案の送付を受けましたので、これらを日程に追加し、議題とすることに御異議ありませんか。〔巻末参照〕   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(中野一則) 御異議ありませんので、そのように決定いたしました。 議案第23号から第30号までの各号議案を一括上程いたします。──────────────────── △知事提案理由説明 ○議長(中野一則) ここで、知事に提案理由の説明を求めます。 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 おはようございます。ただいま提案いたしました議案の御説明に先立ち、高病原性鳥インフルエンザの発生について御報告を申し上げます。 11月20日、新富町の約16万羽を飼養する採卵鶏農場において、高病原性鳥インフルエンザの疑似患畜が確認されました。 国や自衛隊に加え、JAグループ、県建設業協会、新富町をはじめとする多くの団体・企業等の御協力をいただき、延べ1,100名を超える態勢で発生農場の防疫措置を実施しました。その結果、国の特定家畜伝染病防疫指針では判定後72時間以内を目安に焼却または埋却完了とされているところ、62時間で迅速に防疫措置を完了することができました。関係する皆様の御尽力に深く感謝申し上げます。 今シーズンは、例年よりも早い時期から全国各地の農場で発生し、これまでに本県を含む11道県で16事例が確認されており、依然として感染リスクが高い状況にあります。 引き続き、関係団体等と緊密に連携し、農場へのウイルス侵入防止対策のさらなる強化を図るなど、危機感を持って発生を防止するための取組を進めてまいります。 それでは、ただいま提案いたしました議案の概要について御説明申し上げます。 今回、追加提案いたしました議案は、国の総合経済対策に係る第2次補正予算の公共事業に対応するもの、並びに先般の県人事委員会の勧告等を踏まえた一般職及び特別職の給与改定等を行うものであります。 初めに、補正予算案についてであります。 補正額は、一般会計が292億1,004万4,000円、公営企業会計が3億9,766万円であります。この結果、一般会計の予算規模は7,536億8,799万7,000円となります。今回の補正予算による一般会計の歳入財源は、分担金及び負担金6億8,674万1,000円、国庫支出金152億4,033万1,000円、繰入金7億5,431万4,000円、諸収入3億1,865万8,000円、県債122億1,000万円であります。 このうち、国の第2次補正予算に係る事業につきましては、いわゆる盛土規制法に基づき、規制区域の指定に必要な調査等を行う「盛土防災総合推進事業」をはじめ、防災・減災、国土強靱化のための事業等を行うものであります。 次に、予算以外の議案について御説明いたします。 議案第28号及び第29号は、県職員及び市町村立学校職員の給与を改定するとともに、職員の定年を引き上げることに伴い、60歳を超える職員の給与の取扱い等を定めるため、関係条例の改正を行うものであります。 議案第30号は、特別職の期末手当の支給月数を改定するため、関係条例の改正を行うものであります。 以上、追加提案いたしました議案の概要について御説明しました。よろしく御審議のほどお願いいたします。〔降壇〕 ○議長(中野一則) 知事の説明は終わりました。──────────────────── △一般質問 ○議長(中野一則) ただいまから一般質問に入ります。 質問についての取扱いは、お手元に配付の一般質問時間割のとおり取り運びます。〔巻末参照〕 質問の通告がありますので、順次発言を許します。まず、井上紀代子議員。 ◆(井上紀代子議員) 〔登壇〕(拍手) 通告に従い、一般質問を行います。 誰もが明日の未来を想像できた経済成長の時代が終わり、新聞を広げれば、ため息さえも出ないような記事が一面を覆う日々が続いています。一体いつから、平和憲法を持つこの日本がJアラートの警報に右往左往しなければならない国になってしまったのでしょうか。 世界はウクライナとロシア、中国と台湾に象徴される軍事的な緊張が高まる中で、海外のみならず、我が国も防衛力拡大に向けた議論が急速に進んでいます。しかしながら、そんな中でも、私たちが考え、行動しなければならない喫緊の課題は、1、生活を脅かす物価高騰など、行き詰まる資本主義経済、2、地球温暖化による洪水・干ばつに起因する飢餓人口の増加、3、化石燃料や核燃料を回顧するエネルギー情勢の3点ではないでしょうか。 さて、河野知事の3期の実績と、これから4年間の県政運営方針を問う知事選が目前となりました。予測不可能な時代、いわゆるVUCAの時代に本県が進むべき道を、姿を県民に示し、実現に向けたプロセスを説明することが知事選の大きな論点となるものと考えています。 今年度、県では、2040年を目標年とする総合長期計画の改定を進めておられますが、8月の審議会答申で本県の状況は分かるとしても、新しい宮崎づくりについて、県民が納得して共に歩めるよう、具体的説明が必要です。 人間は基本的にコンサバティブ(保守的)な生き物だと言われています。環境が厳しくなり答えに詰まったときは不安にもなるし、ほっておけば、何とかして変えないで済む部分を探しがちであります。コンサバの対義語はプログレッシブです。進歩的、斬新的という意味で、閉塞感を打ち破るような取組が求められています。 県は、コロナ禍で疲弊した産業を立て直すために、9月補正で30億円の宮崎再生基金を組みましたが、知事選は、県民が共感できる宮崎づくりを問う選挙になると考えます。 2040年の宮崎県をどう展望し、実現に向けどのようなプログレッシブな取組を展開していこうとしているのか、知事に伺います。 以上、壇上からの質問とし、あとは質問者席で行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。 デジタル化の急速な進展や深刻化する気候変動問題など、これからの10年、20年は、予想を超えるスピードで大きく変化していくものと認識しております。加えて、コロナ禍や物価高騰の影響により、現在の県民の暮らしや地域経済は大変厳しい状況に直面しております。 このような中、私は知事として、県民生活や県内経済に寄り添いながらこの難局を克服し、「ふるさと宮崎」の安心と希望ある未来を切り開いていくことが私の使命であると強く感じております。 このため、次の4年間を宮崎再生の期間と位置づけ、生活に困窮されている方々や事業者への支援をはじめ、本県の強みでありますスポーツや食といった魅力というものを生かした活性化に取り組むとともに、あらゆる分野におけるデジタル化や再生可能エネルギーの積極的な導入など、本県を次のステージへと飛躍させるための取組も進めているところでございます。 昨日はサッカーのワールドカップで、日本がドイツに勝利する、まさかと思うような歴史的な勝利でありました。このスポーツの持つ力、そして、このことにより、国民を鼓舞し、また経済効果も高まったのではないかなと考えておりますが、スポーツを地域振興の核と置いております本県にとりましても、やはりこれからの取組、スポーツへの大きな期待というものが感じられたところでございます。 変化の大きい時代にありまして、未来を切り開いていくのは、若者・子供たちであります。宮崎で生まれた若者が学び、働き、子育てしやすい環境づくりにも取り組んでまいります。 将来を担う若者をはじめ県民の皆様が、住んでよかった、いつまでも暮らし続けたいと実感できる宮崎の実現に向けて全力を尽くしてまいります。以上であります。〔降壇〕 ◆(井上紀代子議員) 今、知事も言われましたが、昨夜FIFAワールドカップで、日本代表がドイツに逆転勝利する快挙がありました。日本中、大喜びです。 我が宮崎県には、はっきりはしないけれども、うれしいニュースが飛び込んできました。それは、大谷翔平選手がWBCに参加の意向というものです。もしかすると、宮崎で大谷選手が見られるかも、それなら村神様との絡みもと、わくわくしたのは私だけではないと思います。 今回のWBC日本代表宮崎合宿は、2月17日から11日間と聞いています。キャンプに参加される選手など詳細な内容は分かっていませんが、もし大谷選手が宮崎合宿に参加すれば、多くのファン、観光客、マスコミ等々、大混雑が予想されるのではと考えます。 使用するスタジアムなどの施設運営や、観客を安全に移動させるための計画は、当然ながら県や宮崎市、主催者である日本野球機構が担当されると思いますが、県警察本部のサポート、連携、協力は不可欠です。WBC日本代表宮崎合宿における、警察が行う選手及び観客の安全確保と交通対策について、県警察本部長にお伺いいたします。 ◎警察本部長(山本将之君) WBC日本代表合宿では、県外からの方々を含む相当数の観衆が、ひなたサンマリンスタジアム宮崎などに集まることが想定されます。 県警察といたしましては、主催者である日本野球機構や、本県の受入れ機関である国内外代表合宿受入実行委員会に対し、自主警備員等による観衆の誘導、導線の分離、交通整理等による安全確保諸対策が十分になされているか、指導・確認等を行ってまいります。 その上で、雑踏事故防止対策交通渋滞対策といたしまして所要の警察官を配置し、交通・人流の整理や誘導を連携して行ってまいります。 過去の日本代表の合宿では、会場周辺を含め広範囲が渋滞したことを踏まえまして、会場外の臨時駐車場からのシャトルバスでの送迎、あるいはJRなど公共交通機関の利用、こうしたことを主催者等に要請するなどいたしました上で、警察官による信号操作等により、交通対策にも万全を期してまいります。 ◆(井上紀代子議員) WBCについては、まだ詳しいことは分かっていませんが、他国からも日本警察の警備力には定評があり、多くの方々に安心してWBCの日本代表宮崎合宿を楽しんでいただけますよう、よろしくお願いしておきます。 次に、県の推計では、今後の人口減少、高齢化の進行により、2040年には県内総生産額が3分の1減少し、1人当たりの県民所得も約9万円減少すると報告しています。 この推計は、産業連関を考慮したものではなく、人口減少だけに着目した単純推計なので、実際にはさらにぎくしゃくした産業構造になるものと考えられます。 私は、このように経済が行き詰まっていく中であっても、県民が住みやすさを感じられる宮崎をつくっていくことはできると考え、それは医療、教育、農業、つまり産業の充実・強化がポイントだと考えています。 人口減少が進んでいくと、中山間地域から徐々に社会・福祉サービスの提供が困難になってくることは、誰の目にも明らかです。特に医療については、県内のどこに住んでいても高度医療や救急医療サービスが受けられるだけでなく、2次救急医療や在宅医療、人工透析医療など、地域で安心して暮らせる医療インフラの整備が大変重要だと考えます。 現在、これらのサービスは公立病院や民間病院のボランティアで対応している状況にありますが、人口減少局面では、近いうちに限界が来ることは明らかです。 そこで、人口減少が加速する中で、本県の医療体制の課題をどのように捉え取り組まれるのか、知事にお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 急速な高齢化によります医療需要の増大が進む中で、人口減少の進展に伴いまして、医師や看護師等の担い手不足が深刻化しております。地域においては、必要な医療を提供していく体制の整備が大きな課題となっております。 このような中、限られた医療資源の中で、地域全体で医療や介護に取り組み、安全で質の高い医療を切れ目なく効率的に提供することが求められております。 このため県では、患者の疾患の状態に応じまして、必要な医療が行われますよう、病床の機能の分化や医療機関の連携の推進、ドクターヘリやドクターカーなどを活用した救急医療体制の整備、医療と福祉が連携した在宅医療や介護体制の整備などを図ってきたところであります。 さらに今年度は、宮崎大学と連携した地域枠の医師の拡充など、医療従事者の養成・確保の取組を推進したところであります。 今後とも、それぞれの地域の実情に応じた、予防も含めた医療や介護の総合的な体制整備を推進してまいります。 ◆(井上紀代子議員) 医療体制の中には県民も含まれますので、県民も自分たちの中でできることについてはしっかりやっていただくようにメッセージを発信することが必要だと思います。 中山間地域のこれからの医療を考えていくときに、美郷町の西郷病院を核とした地域包括医療体制の取組は、学ぶべきところが非常に多いと考えています。 美郷町役場には、地域包括医療局という組織があり、西郷病院、南郷病院、北郷診療所のネットワークが構築されており、西郷病院から診療所への代診医の派遣や、健康福祉課との連携による健康づくり事業、さらには研修医と地域の交流事業等が展開されています。 この取組は、市町村合併に端を発しているとはいえ、実際には広域合併をしなくても、それなりの支援と指導者がいれば、民間病院や福祉事業者も含めて、地域の医療資源に応じた体制が構築できるのではないかと考えられます。 市町村の垣根を越えた地域包括ケアシステムの構築に向けた、県の主体的な取組が必要と考えますが、県のこれからの取組について、福祉保健部長にお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 地域包括ケアシステムは、市町村が主体となり、地域の実情に応じてつくり上げていくものであり、県といたしましては、広域的な対応が求められる取組につきまして、必要な調整や支援を行っております。 具体的には、高齢者の入退院時に介護サービスとの連携が円滑に図られるよう、医療機関とケアマネジャーが情報共有を行うためのルールを各保健所単位で定めるとともに、市町村が高齢者の自立支援のために開催する「地域ケア会議」や運動教室等への専門職派遣を広域的に調整するなど、積極的な支援を行っているところでございます。 県といたしましては、今後とも市町村と連携しながら、医療、介護等が一体的に提供される地域包括ケアシステムの推進に取り組んでまいります。 ◆(井上紀代子議員) 平成29年3月に策定された西郷病院新改革プランには、「地域包括ケアの取組はまちづくりそのものであり、今後とも採算性の是非は問わず救急医療を堅持していく」と記載されています。 人口減少が進む中山間地域において、県民が安心して暮らし、さらには県外からの移住者を増やしていくためには、その基本インフラとして地域包括ケアを位置づけ、充実させていくことが必要であると考えています。 地域包括ケアシステムを中山間地域の振興対策の根幹に位置づけた上で、地域づくりを進めていく必要があると考えますが、総合政策部長にお伺いいたします。 ◎総合政策部長(松浦直康君) 高齢化が急速に進んでいる中山間地域におきまして、高齢者ができる限り住み慣れた地域で自分らしい生活をすることができるよう、介護、予防、医療、生活支援、住まいを一体的に提供する地域包括ケアシステムの役割は大変重要であり、中山間地域の暮らしを守る上で、欠くことのできない仕組みであると認識しております。 一方で、人口減少の進む地域では、公的支援だけで高齢者を支えることが困難になりつつあることから、地域住民が相互に助け合いながら、生活に必要な機能やサービスを維持・確保する取組が必要であり、県内においても、高齢者の見守り、ボランティア輸送、買物支援などの事例が増えてきております。 県におきましては、こうした地域住民や市町村の主体的な取組と併せて、市町村の枠を超えた連携についても支援し、それぞれの地域の実情に合った地域包括ケアシステムの推進につなげてまいります。
    ◆(井上紀代子議員) 今後、人口が急速に減少していく集落が加速度的に増える一方で、生まれ育った家で暮らし、終末を迎えたいという独り暮らしの高齢者もまた増加していきます。 この問題は、県の本気度が試される試金石ではないかと考えられますので、コンサバではなく、プログレッシブな対応をしていただきますようお願いいたします。 次に、教育についてお伺いします。 宮崎県は長年、学校給食に力を入れてきており、新鮮な県産農産物の利用率も35%と、全国平均より10ポイント近く高くなっています。しかしながら、長引く新型コロナ感染症の影響で、給食時間は黙食となり、給食は楽しい時間ではなくなってしまったようです。 人間は社会的動物だと言われます。学校は、様々なコミュニケーションを通じて人間性を磨いていく場だと信じています。新型コロナワクチンの小児接種も始まっています。学校給食については、対面での食事は無理だとしても、黙食の解禁など、給食の時間を楽しめる工夫をすべきだと考えますが、その方針について教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 県教育委員会では、県の感染レベルに応じまして、県立学校におけるコロナの対応について通知し、市町村教育委員会にも周知しております。 この中で、本年1月、県下全域がまん延防止等重点措置区域に指定されるなど、感染が拡大したため、黙食の徹底について適宜指導することとしましたが、その後の感染収束を踏まえ、6月の通知では「黙食の徹底」の文言を外したところであります。 学校給食は、学校給食法の目標の一つに、「学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと」とあり、ウイズコロナにおきましても、子供たちが楽しく給食の時間を過ごせるよう努める必要があります。 県教育委員会といたしましては、感染状況に応じた座席の配置や適切なマスクの着用など、感染防止対策と学校給食の目標の両立に向け、今後とも、市町村教育委員会と連携して、給食指導の工夫改善に取り組んでまいります。 ◆(井上紀代子議員) 「学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養う」、これが学校給食の目的だとすれば、ぜひ再考をよろしくお願いしておきます。 コロナ禍では、学校行事もかなり制限せざるを得ないことから、学校に興味の持てない不登校の児童も増加しています。来年4月には、こども家庭庁がスタートし、その支援部門では、虐待やいじめ、ひとり親家庭など困難を抱える子供や家庭を支援するとされています。 人権同和教育課の報告では、フリースクールと県や団体との連携を進めているとあります。フリースクールは、不登校やひきこもりをはじめ、軽度の発達障がい、身体障がいや知的障がいなどを抱える子供たちを受け入れ、小学校、中学校、高校の代わりに学びの場を提供するNPO法人やボランティア団体などの民間の教育機関です。 本県のフリースクールの現状と、これら組織との連携により、どういう学びの場を提供しようと考えているのか、教育長にお尋ねいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) フリースクールにつきましては、現時点で7つの市町に22の施設があることを把握しておりまして、視察や意見交換を進めております。 また、市町村教育委員会に対しましては、国の動向や県内の状況等につきまして情報提供を行い、フリースクールとの一層の連携を促しているところであります。 県教育委員会といたしましては、フリースクールも学びの場の一つとして捉え、不登校の児童生徒が、多様な学びの場の中から自らの状況やニーズに応じた選択を可能とし、将来の社会的自立につなげることができるよう、支援してまいりたいと考えております。 また、ウイズココロナの学校の在り方が問われる時代におきまして、これまでの学校の当たり前を見直し、学校だからこそできることを大切にしながら、魅力ある学校づくりに取り組んでまいります。 ◆(井上紀代子議員) フリースクールは、教育理念や方針の違いによって形態も、かかる費用も様々です。先日の報道では、宮崎市が、フリースクールでの登校を学校長の判断で出席扱いにできる仕組みの運用を開始しているとのことでした。フリースクールと学校の連携については、多様性を持つ子供たちの視点で行われることを期待しています。 さて、多様な学びの場として、本県には五ヶ瀬中等教育学校が平成6年に開学し、全国初の中高一貫校として注目を集めてきました。フォレストピア宮崎構想の実現を担う一翼として、「総合的な探究の時間」による地域と協働した探究活動(フォレストピア学習)を柱に、6年間の教育が含まれています。 この6年間の教育は、2学年単位で「郷土探究」から「実践探究」へ、さらに「実践探究・振り返り」へとステージを上げることで、論理的な思考と深い物の見方を育むプログラムとなっています。 かなり特色のある教育方法だと感じますが、30年が経過しようとする今、この教育方法をどう評価すればよいのでしょうか。1学年40名の定数は、県外からの入学生も含めて充足しているようですし、進学率も宮崎市内の進学校と同程度のようです。 そこで、これまでの五ヶ瀬中等教育学校の教育実績をどう評価し、本県教育に反映しようと考えているのか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 五ヶ瀬中等教育学校は、フォレストピア学びの森学校として、豊かな自然の中で「感動と感性の教育」の理念の下、中高一貫教育を実施し、国内外で活躍する多様な人材を育成してまいりました。 地域のフィールドを生かした五ヶ瀬ならではの「わらじ遠足」など、伝統的教育活動を継続する一方で、グローバルな視点での探究型学習や、ICTを活用した世界との交流学習など、先進的な教育活動にも取り組んでおりまして、その成果は国内でも高く評価されております。 また、五ヶ瀬中等教育学校の先生方は、転出後も、本校で培ったこれらの経験を生かし、引き続き県内各地で活躍しております。 今後も、これらの取組の成果や培った経験を県内に幅広く普及してまいります。 ◆(井上紀代子議員) 生徒たちは、中学、高校という多感な時期を五ヶ瀬町で暮らしています。先般、委員会調査をする機会がありましたが、30年という時間の経過の中で、その学びやはすっかり歴史を感じさせるたたずまいとなっています。 この五ヶ瀬中等教育学校の建学の志は大切に、地域との協働という特色ある教育とプロジェクト教育プログラムに対応できる教員を確保するとともに、学び場プラスアルファの楽しく学べる十分な施設整備が必要なときが来ているのではないかと考えます。 来年の4月には、隣町の熊本県立高森高校に「マンガ学科」が新設されます。元週刊少年ジャンプの編集長が率いる出版社コアミックスと高森町、熊本県の連携により開設される学科ですが、これまでの定員割れの高校から超難関校に変わったとのことです。 五ヶ瀬中等教育学校の今後の展望について、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 五ヶ瀬中等教育学校は、都市部とは異なる大自然を生かした教育環境の中で、最先端の学びを追求するとともに、6年間の長きにわたり、全員が寮生活を送る中で互いに切磋琢磨しながら、コミュニケーション能力、社会性、協調性、忍耐力などの人間力を育んでおります。 今後、多様化が進み、変化の激しい将来におきましては、身につけた学びや幅広い人間力を生かし、多様な他者を理解・尊重しながら、柔軟な社会の創り手として活躍することが求められております。 今後の五ヶ瀬中等教育学校につきましても、地域の皆様の御支援を受けながら、「感動と感性の教育」の理念の下、これら時代に求められる教育の実現に向け、取り組んでまいります。 ◆(井上紀代子議員) 続いて、同じく平成6年に施設をリニューアルした学びの場として、県立農業大学校があります。私は、農大祭や農大市、農業科学公園のブドウ園の大ファンで、よく訪ねます。 まず、農業教育面では、全国初の農薬散布ドローンの免許取得や、全ての農場管理にGAP管理システムを導入、充実したスマート農業機器・施設を使ったプロジェクトの発表では全国3位を獲得するなど、宮崎県地域力・魅力の高ポイントです。 県立農業大学校は、宮崎県農業のステータスであるべき学びの場です。グローバルな視点を持ち、新しい技術や機械・施設をしっかりと学ぶためには、国内外の大学や民間企業との連携によるプロジェクト学習の高度化・充実も大切な視点だと考えます。 県立農業大学校のプロジェクト学習の高度化に向けた大学や企業等との連携について、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 県立農業大学校では、学生の「課題を解決する力」の向上を図るため、地域の企業や大学などと連携して、生産技術の実証や商品開発等を行う「地域連携型プロジェクト学習」を実施しております。 具体的には、資材メーカーと連携した施設園芸における燃油使用量削減の実証や、食品加工・販売業者と連携し、学生が生産した農作物を原料としたアイスクリームの開発・販売等に取り組んでおります。 今後は、みやざきローカルフードプロジェクトに参画する企業等と連携した新商品開発の取組など、より高度な学習機会を創出し、高い技術と優れた経営感覚を有する人材の育成に努めてまいります。 ◆(井上紀代子議員) 県立農業大学校は全寮制ではなくなったとのことですが、ほとんどの学生が学内にある学生寮で寝食を共にしています。 この学校も五ヶ瀬中等教育学校と同様に、やはり30年が経過した校舎の劣化は目立ち、雨漏りも頻発しているようです。また、併設する農業総合研修センターの宿泊施設や公園施設も老朽化が進み、十分な研修環境を提供できない状況にあると思います。 県立農業大学校及び農業総合研修センターの施設改修について、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 県立農業大学校及び併設する農業総合研修センターの主要施設は、平成6年の完成から28年が経過したところです。 県ではこれまで、建築基準法に基づく定期点検などを実施し、劣化や損傷の著しい箇所などの早期把握に努めるとともに、計画的な改修を行ってきました。 また、施設園芸ハウスや畜舎につきましては、施設の改修と併せ、環境制御などの高度な技術を導入するなど、魅力ある学習環境づくりにも努めているところです。 今後とも、計画的な改修等を行いながら、学生に選ばれ、かつ安心して学べる環境整備に努めてまいります。 ◆(井上紀代子議員) ぜひ、この計画的な改修の速度を速めていただきたい、そのように要望しておきます。 これまでに何度か、学生寮のレストランで食事を頂きました。御飯や牛乳は、学生が自ら汗を流して作った食材を利用しているとのことでしたが、さらに、学生が自ら作った野菜やお肉、お茶を自慢しながら、味を覚え、食べる場とするために、また、給食費を値上げしないためにも、食材の校内調達率を上げられないのかと考えます。 県立農業大学校内食堂における校内食材の活用について、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 県立農業大学校の食堂は、外部業者への委託により運営されており、食堂で提供する食材のうち、米と牛乳については、全量、校内で生産されたものを活用しているところです。 一方、その他の食材につきましては、食堂で必要とする数量の安定的な供給が難しいなどの課題があり、現在、校内での加工実習に活用しているところです。 学生自らが生産した農畜産物を日々の食生活に取り入れ、味や調理法等を確認することは、重要な取組と考えておりますので、食堂における校内食材の活用拡大について、検討を進めてまいります。 ◆(井上紀代子議員) ぜひ検討していただきたいと思っています。 なかなか課題はあると思いますが、例えば農大レストランとの契約生産で、フードビジネスを教えるプロジェクトがあってもいいのではないかと思いますし、それによって食の分野では、冷凍方法やフリーズドライ等も学ぶことができるのではと考えます。 五ヶ瀬中等教育学校も県立農業大学校も、県外からの生徒を一定程度受け入れています。これらの若者が宮崎の魅力を知り、宮崎で働きたいという動機づけを、入り口であるこれらの学校が果たしていくことは、本県の人口減少対策の一翼を担っていると言っても過言ではありません。プログレッシブな対応をよろしくお願いしておきたいと思います。 次に、VUCAの時代は、私たちが不透明な時代の中に生きているということを自覚させられる時代ですが、このような時代には、本県の豊かなポテンシャルを生かした心と体と魂をリフレッシュする取組が、まさにぴったりではないかと感じます。 熊本県に、看護師さんたちで起業した会社があります。彼女たちは、みとりと福祉事業所を営んでおられますが、さきに述べました生活環境の変化を敏感に捉え、宮崎市で農福連携によるバナナリトリートの拠点づくりを、と取り組んでいます。 リトリートは、「静養先」とか「隠れ家」、「避難所」という意味ですが、最近は、仕事や日常生活から一時的に離れ、疲れた心や体を癒やす過ごし方のことを指します。既に昨年からバナナ栽培をスタートしており、もうすぐ収穫期を迎えますが、活動費を捻出するためのクラウドファンディングでは、目標を超える支援金が集まったようで、リトリートへの関心の高さを実感しました。 本県の農業や食が持つリトリート機能を生かした取組は、農家民泊という形で一部提供されていると思いますが、素朴ながらも洗練されたサービスの提供に向けた指導・支援も必要な時期に来ていると考えます。 農山漁村が持つリトリート機能に着目した農業の新たな展開について、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 本県の農業・農村には、世界農業遺産高千穂郷・椎葉山地域に代表されるように、農林業を通じて育まれた日本の原風景が多数残されており、これまで県では、こうした優れた価値を都市部との交流活性化や関係人口の創出に生かすため、農業体験のメニュー化や受入れ体制の整備等を支援しているところです。また、今年度からは、日頃の仕事や生活から離れ、農業体験を通じてストレス軽減を図るツアー構築にも取り組み始めたところです。 議員御指摘のとおり、リトリート機能に着目した取組は、本県の農業や農村の魅力をさらに高めることが期待できますので、そのような視点も踏まえながら、今後とも農業・農村の振興に努めてまいります。 ◆(井上紀代子議員) リトリートを移住にまで結びつけられたら、さらにすばらしい発展的な取組になると思います。これらの取組を支援し広げる取組に、「おてつたび」という仕組みがあります。 これは、例えば宮崎の農家民泊所で、農作業や調理等のお手伝いをしながら宿泊、旅を続けるというものです。お手伝いを通じて地域にぐっと入り込み、貴重な人材として歓迎され、気づいたら、本人にとっての特別な地域になって戻ってくる。そんな新しい旅を提案する取組です。 西米良村のワーキングホリデーと似ていますが、インターネットに登録された受入れを希望する農家や旅館等々の様々な事業者と旅行者を結びつける、かなり自由度の高い仕組みです。「宮崎で農業を」とまではいかないけれども、おいしいお芋を一緒に作ってみたいという人は多いのではないかと思います。 リトリートやおてつたびといった取組により、新たな関係人口を移住へと結びつけていけるのではと考えますが、総合政策部長にお伺いいたします。 ◎総合政策部長(松浦直康君) ストレス社会における新たなリフレッシュの方法として、リトリートを目的とした旅行に注目が集まっております。 こうした中、温暖な気候と豊かな自然に囲まれた本県は、都会からの旅行者が癒やしの時間を過ごすのに適した環境であり、特に農業・農村においては、自然の中での農作業など、都会では味わえない新鮮な体験に加え、長年にわたって築かれてきた暮らしの豊かさや固有の文化・伝統に触れることで、大きな癒やしの効果が得られるものと考えております。 御指摘のありました農業・農村のリトリート機能に着目した取組は、関係人口の拡大、さらには将来の移住にもつながっていくことが期待されますので、そういった視点も含めて、今後の移住の取組を進めてまいります。 ◆(井上紀代子議員) リトリートとか、おてつたびについても、やっぱり、もう一度検討するというか、取り入れていく力というのを宮崎も持ったほうがいいのではないかと思っていますので、よろしくお願いしておきます。 次に、エジプトで開催されていたCOP27が終わりましたが、各国政府の温室ガス削減目標が達成されても、地球の平均気温は今世紀中に2.8度上昇すると報告されています。 ウクライナからは、過去7か月の戦争で3,100万トンの二酸化炭素が排出され、環境被害は5兆円にも上るとの報告がありました。 COP事務局からは、「我々には気候変動を段階的に変えていく機会があったが、その局面は終わった。加速する気候災害から救うには、経済と社会を根本的に変革するしかない」との悲観的な報告もありました。 さて、本年9月18日に935ヘクトパスカルという非常に強い勢力で鹿児島県に上陸した台風第14号は、動きが遅かったこともあり、台風の東側に位置する本県では、18日の朝から翌19日の昼まで20メートル以上の風が吹き荒れ、大雨特別警報も出されました。 私はこの台風の中を、熊本県から高千穂を抜けて宮崎市へ戻ってきましたので、山間部の土砂崩壊の状況を直接この目で確認しながらの帰省となりました。 確かに久しぶりに強い台風ではありました。しかしながら、被害状況を聞くにつれ、災害を前提とした事前の準備がおろそかであったことが被害を大きくしているのではと疑問もありました。 例えば、排水門や排水機場の運用ですが、西都市や国富町の田んぼ等が大きく冠水した災害では、川の水位が上がったときの排水門を閉める順番が決められていなかったり、停電のために非常用電源に切り替えたものの、排水機場のポンプを全て動かせなかった等々です。 豪雨災害未然防止のための農業用排水機場の運用体制について、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 台風等の災害時に、被害を最小限に抑えたり未然に防止するためには、排水機場の適切な運用が必要と考えております。 これまでに、県では14か所の排水機場を整備し、地元の市や町に譲与または管理委託しております。市や町においては、土地改良区などの地域の方に操作を委託するなどの運用が行われており、台風などの豪雨が予想されるときは、操作要員を排水機場に配置するなどの体制が整えられております。 台風第14号では、停電時の非常用発電機の燃料確保など課題も確認されたことから、県としましては、適切な運用体制が確保できるよう、引き続き支援してまいります。 ◆(井上紀代子議員) 停電時の燃料確保、これはぜひ早く対応していただくよう要望しておきたいと思います。 地球温暖化が進むと、台風はより強く発達し、高温の海水温に支えられて、勢力を落とさず日本に接近すると言われています。 私は、木花地区の排水機場整備に、地元と県の間に入って随分と協議を重ねてきました。排水機を増設したことで、今回の台風では冠水被害は発生しなかったとのお礼の電話がありましたが、やはり停電対策に課題があったとのことでした。 道路が冠水し、強風で操作要員が近づけなかったという話を、台風第14号の後に多く聞いています。遠隔操作や操作を行うタイミングなどの見直しを行う必要があると考えます。 また、今回の県営工事の盛土の崩壊は、これまでの基準では対応できないところまで地球温暖化が進んでいるということを示しています。 そこで、それぞれの組織が取り組むBCP対策が連動する地域継続計画(DCP)を整備し、地域防災力を高める取組について、危機管理統括監にお伺いいたします。 ◎危機管理統括監(横山直樹君) 地域継続計画は、大規模な災害が起きた際に、企業や自治体だけでなく、学校、自治会など地域社会を構成する組織全体で地域機能の継続を図ることを目的とするもので、香川県や香川大学などが策定を目指しているとのことであります。その骨子は、物流、病院をはじめとする重要拠点、応援・受援などの機能の確保でございます。 本県では、応援部隊や物資輸送のルート確保、燃料・電力・ガスの供給、通信の確保などについて、「「南海トラフ地震における具体的な応急対策活動に関する計画」に基づく宮崎県実施計画」を策定するとともに、市町村や企業にも業務継続計画の策定を促し、地域機能の継続を図ることとしております。 このため、新たに地域継続計画を策定することは今のところ考えておりませんが、今後とも、市町村や企業、団体、地域と連携しながら、地域全体の機能の継続が図れるよう努めてまいります。 ◆(井上紀代子議員) 「備えあれば憂いなし」と言います。自然災害に打ち勝つことはできなくても、県民の憂いや不安を少しでも少なくできる取組には、県は緊張感を持ち、指導的立場で臨む必要があると考えます。 先ほど質問した県立農業大学校や西都の産業技術専門校等の施設は、広域災害の際には、児湯地区の県出先機関の業務継続のための代替施設と位置づけられています。 実際に大きな台風が接近するたびに、県立農業大学校の体育館に避難される県民の方が多数いらっしゃるようですが、非常用電源や十分な換気施設が整備されているわけではありません。 護岸工事や公共施設を整備し、耐震強度を上げていくことは大切ですが、BCPを確実に運用するための県施設の防災対応力の強化や、人材の育成を並行していかなければ、せっかくの防災投資を効果的に運営していくことができません。 BCPでは、被災時に県有施設に被災者が避難してくることが想定されていますが、その対応と人材育成についてどう取り組まれるのか、知事に考えをお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 御指摘のとおり、大規模災害時には、県有施設に周辺住民などの被災者が避難してくることも想定されます。 このため、県のBCPであります宮崎県業務継続計画に基づきまして、その対応を行う責任部局や、被災者を安全に誘導する方法を定めるとともに、毎年度、訓練を実施しております。 また、書棚等の固定や窓ガラスへの飛散防止フィルムの貼付け、非常用電源の高いところへの移設などによります施設自体の防災力の強化にも努めております。そして、やむを得ず避難してきた方のための一時的なスペースの確保や、避難できる人数の算定、毛布等の備蓄を行っております。 職員に対しましては、3日程度の食料の確保や家族との安否確認方法を決めておくことなどを求めるとともに、安否確認訓練や図上訓練、各所属に配置した危機管理推進員によります研修を毎年度実施し、防災対応力の向上を図っております。 今後とも、大規模災害時に、県の機能を維持しつつ災害対策を円滑に行うため、平時から様々な事態を想定しながら、取組を進めてまいります。 ◆(井上紀代子議員) 期待をしております。 次に、エネルギー問題について伺います。2018年の1月に、県は「みやざき水素スマートコミュニティ構想」を発表されています。宮崎大学の水素製造等の研究をさらに発展させようとする意欲的な構想です。 私は友人たちと、触媒を用いて水から水素を製造し発電を行う、山梨県の企業等の視察研修を行ったりしていますが、県内外では様々な水素製造技術が開発されています。また、多くの自治体がゼロカーボンを目指した構想を打ち出しており、国レベルでの官民推進の組織が立ち上げられるなど、いよいよ水素の時代が来るものと期待しています。 みやざき水素スマートコミュニティ構想の策定の背景と進捗状況について、総合政策部長にお尋ねいたします。 ◎総合政策部長(松浦直康君) 水素は、利用段階で温室効果ガスを排出しないことから、国の基本計画におきまして、将来、中心的な役割を担うエネルギーの一つとして位置づけられております。 こうした中、コスト面や技術面の課題はあるものの、長期的な視点から本県としても取り組む必要があると考えまして、平成29年度に「みやざき水素スマートコミュニティ構想」を策定したものであります。 現在の取組状況としましては、水素に関する県民への啓発や、都市ガス等から水素を取り出すエネファームの普及支援のほか、宮崎大学における水素製造装置の低コスト化や、水素を基にしたメタンの効率的な合成など、水素の実用化に向けた研究への支援を行っているところであります。 ◆(井上紀代子議員) 北海道では、酪農の排せつ物をメタン発酵させ、触媒を使って水素を製造するプロジェクトが進んでいます。 家畜の排せつ物は、本県にも豊富にあります。農林水産省では、温室ガスの20%削減を推進するために、来年度より三ツ星認証プロジェクトをスタートさせるようです。 コミュニティー単位での水素利用は、畜産農家レベルでの三ツ星認証推進は費用対効果の課題があるものの、プロジェクトとして取り組むことで、さらなる輸出競争力をつけることができるのではないでしょうか。 農業分野における水素利用の可能性と、脱炭素に着目した三ツ星認証の本県での可能性について、農政水産部長にお尋ねいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 本県での農業分野における水素利用は、宮崎大学が家畜ふん尿の処理工程で組み合わせた水素の活用を研究しておりますが、処理施設の経費など、実用化に向けては課題があると伺っております。 また、三ツ星認証は、国が、「みどりの食料システム戦略」を踏まえ、温室効果ガスの削減に取り組む農家に支援し、農業分野での脱炭素の取組を促進するもので、現在国は、米、キュウリ、トマトの3品目で実証試験やデータ収集を行っており、今後さらに対象品目を拡大していくと伺っております。 この取組は、昨年度から開始されたところでありますので、県といたしましては、国の実証結果を踏まえ、県内生産者への周知など、今後の取組について検討してまいります。 ◆(井上紀代子議員) 水素は最も軽い元素ですので、エネルギー密度が低く、1リットル当たりでは天然ガスの約3分の1、ガソリンと比較すると約2,900分の1の熱量しか持っていません。 純水素型燃料電池は、1965年にアメリカが打ち上げた有人宇宙船「ジェミニ5号」で実用化された技術です。トヨタ自動車が開発した水素自動車「MIRAI」は860万円で販売しており、また昨年10月にはパナソニックが、1台で5キロワットを発電する業務用の純水素型燃料電池「H2KIBOU」の販売を始めています。 確かにそれぞれに課題はあります。水素自動車用の商用水素ステーションは、22都道府県の92か所のみで、その建設には一般的なガソリンスタンドの4倍以上かかります。 また、業務用の純水素型燃料電池については、かなり小型で、停電時の非常用電源としても機能する優れ物ですが、販売開始から間もないこともあり、スーパーやマンション等での運用が広く周知されていない状況にあります。 持続可能なコミュニティーづくりのツールとして、燃料電池自動車や純水素型燃料電池の実証について、総合政策部長にお伺いいたします。 ◎総合政策部長(松浦直康君) 走行時に温室効果ガスを排出しない燃料電池自動車や、水素から直接熱を供給できる純水素燃料電池は、環境負荷が極めて少ないことから、持続可能な地域づくりを進める上で重要な手段の一つであると考えております。 全国的に見ますと、大手ガス事業者等を中心として積極的に取り組まれている地域がありますものの、水素の製造コストの高止まりや供給インフラの整備などの課題もあり、燃料電池自動車につきましては、国の2020年の導入目標4万台に対して5,000台程度にとどまるなど、まだ十分には進んでいない状況があります。 御提案の実証につきましては、水素エネルギー全体の動向を注視するとともに、導入に要するコストやその効果等も見極めながら、研究してまいります。 ◆(井上紀代子議員) 県のみやざき水素スマートコミュニティ構想は、太陽光を利用した水素製造に係る宮崎大学と東京大学の共同研究が大きく位置づけられています。 本県の基幹産業である農林水産業は、マンゴーにしても畜産にしても、加温や飼料輸送等で化石燃料に大きく依存していますし、水産・林業についてもしかりです。 今後、自治体ごとのSDGsの取組が厳しく問われる時代となる中で、脱炭素に向けた水素利用には大きな可能性があると考えており、県民や事業者の意識改革を図る上でも、これらの先進的な企業の目を本県に向けるためにも、本構想の具体化に向けた取組が必要だと考えます。 宮崎発の水素スマートコミュニティの実現に向けた今後の取組について、構想の生みの親である日隈副知事にお伺いいたします。 ◎副知事(日隈俊郎君) 水素エネルギーについてであります。 国においては、脱炭素化の重要なエネルギーの一つに位置づけ、研究開発や需要拡大に取り組んでおりますが、供給コストや社会インフラなどの課題があり、全国的にも、構想策定時の想定に比べて、利用がいま一つ進んでいない状況にあります。 しかしながら、長期的かつ大量に貯蔵が可能であるという水素の特性から、将来的には、発電や船舶など、大きな動力を必要とする分野での活用も期待されているところであります。 水素の普及には、いましばらく時間を要するものと考えておりますが、今年2月には、世界で初めて液化水素の海上輸送に成功するなど、関連技術が着実に進展しており、また、利用段階では二酸化炭素を排出しない、まさに今後目指すゼロカーボン社会の実現に向け、重要なエネルギーであると考えておりますので、県としましても、中長期的な視点を持って、今後、その利活用に向けた様々な取組の検討を進めてまいります。 ◆(井上紀代子議員) 予測不可能なVUCAの時代は、必然的にこれまでの常識は通用しなくなり、県民にも行政にも変化が求められることになります。 この変化への対応を、国の指示待ちのコンサバティブな行政姿勢で取り組むのと、多少は摩擦があっても、プログレッシブな行政姿勢で取り組むのとでは、本県の未来の輝きは大きく変わってくるのではないかと思います。 知事が就任当初から言われている「常在危機」は、常に変化が求められるチャンスの場面であると言ってもよいと思います。県民とともに汗をかき、明日の希望を分かち合える県行政のこれからの展開を強く願って、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(中野一則) 次は、有岡浩一議員。 ◆(有岡浩一議員) 〔登壇〕(拍手) 郷中の会の有岡です。通告に従い、質問させていただきます。 質問に入る前に、3件のお話をさせていただきます。 まず、今月20日、高病原性鳥インフルエンザウイルスが検出され、養鶏場の約16万羽の殺処分が、自衛隊や建設業協会などの協力をいただきながら行われました。御協力に感謝するとともに、周辺の防疫に携わる関係者や職員の皆様方に、さらなる感謝を申し上げます。 私の住む宮崎市高岡町でも、養鶏場で2011年と2014年に鳥インフルが発生し、県をはじめ地元の建設業協会の皆さんの素早い対応を記憶しております。今後とも、危機事象への備えとして、地域力の維持が大切だと考えます。 次に、高岡町の国指定天然記念物として、梅の名所月知梅と、去川の大イチョウがあります。樹齢800年以上の大イチョウが3年ぶりにライトアップされました。その大イチョウの存在感が地元の歴史を醸し出した空間となっています。薩摩街道の去川の関所を見下ろして、地域を見守ってきた去川の大イチョウです。国道10号で近くを通られるときには、ぜひお立ち寄りください。 私も、40年前に文化財担当として、地元の老人クラブの皆さんと共に去川の大イチョウを管理していたことを思い出しました。 「人は人によって磨かれる」と言いますが、高齢者の先輩方との交流や活動を通して得た経験は、人生において大変貴重だと感じています。 次に、800年の歴史に比べると僅かな時間ですが、36歳から地方議員となり、現在まで住民の代表として関わることができたことに感謝しています。 まず、議員は、議案の決定権者として責務を全うすることが必要です。これまで、高岡町議会、宮崎市議会、宮崎県議会において40回を超える一般質問を通し、現場の声を届けてきましたが、本日最後の一般質問として22問を質問してまいります。明快なる御答弁を求めます。 それでは、壇上より知事に、3期目の4年間を通した人材育成について、どのように取り組んでこられたのかをお伺いいたします。 4年前、県庁改革として、働き方改革や職員の育成などを公約として掲げておられます。「県職員には、本県の将来を見据え、今何をなすべきかを考える、そういう心構えや資質が求められます」とあり、「プロフェッショナル人財の養成に取り組みます」ともありました。さらに、「県民に信頼される行政運営に努めます」とあります。 そこで、職員の皆さんお一人お一人の力を最大限に発揮していただくために、知事は人材育成にどのように取り組んでこられたのかをお伺いいたします。 以上、壇上からの質問を終わり、以下の質問は質問者席で行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。職員の人材育成についてであります。 県庁にとって、職員こそが財産であります。職員一人一人が、県政を担うという自覚、高いプロ意識を持ちながら、その能力を最大限に発揮できるよう、人材の育成に取り組んでいくことが重要であると考えております。 このため、計画的なジョブローテーションの実施のほか、国や民間企業等への長期派遣研修、また、デジタル分野をはじめ専門的な知識・技術の習得に向けた各種研修の充実を図るなど、チャレンジ精神に富んだプロ意識の高い職員の育成に努めております。 また、東日本大震災や熊本地震、西日本豪雨など被災地への派遣を通じて、危機管理能力の向上にも努めてきたところでございます。 そして、一人一人が持てる力を十分に発揮できるよう、風通しのよい職場環境づくりも進めているところであります。 また、私自身も折に触れ、全職員に宛てたメッセージを発信するほか、機会あるごとに職員と直接意見を交わし、私の思いを伝え、やる気を引き出すよう心がけております。コロナ対策や鳥インフルエンザなど、職員の働きに対する評価の声を伺うこともあり、大変うれしく、手応えも感じているところであります。 今後とも、全ての職員が、私と思いを一つにしながら県政の推進に邁進できるよう、職員の士気高揚に努め、意欲と能力にあふれた職員の育成に努めてまいります。以上であります。〔降壇〕 ◆(有岡浩一議員) 御答弁ありがとうございました。 次に、人材育成について総務部長にお伺いいたします。 長野県総務部の今年3月のプレスリリースには、「職員の地域社会貢献活動の応援制度を充実します!」とあり、「平成30年9月から、「地域に飛び出せ!社会貢献職員応援制度」を運用し、現在29名が自らのスキルを活かして活躍している」とありました。 「今回、営利企業への従事許可(副業)が可能な範囲を明確にすることで、職員の活動参加を積極的に進めます」とあり、対象活動や許可要件を明確化しています。 そこで、本県においても、職員の持つスキルを生かした職員の地域社会貢献活動をより積極的に推進する必要があると考えます。県の考えをお伺いいたします。 ◎総務部長(渡辺善敬君) 職員が地域社会の一員として、地域の様々な活動に自主的に参加することは、地域の実情を知り、より県民の視点に立った職務を遂行する観点から、非常に有効な取組であると考えております。 これらの地域貢献活動につきましては、一定の条件の下、知事の許可を得ることにより、報酬を得て従事することも可能でありまして、部活動の指導やイベントでの手話通訳などが報告されておりますが、より一層、活動の幅が広がることを期待しております。 今後、人口減少を背景に、地域を支える担い手として、公務以外の分野でも職員の活躍が期待されますことから、引き続き、地域貢献活動に参加しやすい環境づくりに努めてまいりたいと考えております。 ◆(有岡浩一議員) 本県でも既に取り組まれているという報告がありました。 今回、長野県では、時間制限として、週8時間または1か月に30時間以内など明記しています。分かりやすく明記し、職員の皆さんの力を地域社会の元気につなげていただきたいと願っています。 次に、カスタマーハラスメントという言葉を最近耳にします。カスタマーハラスメント、略してカスハラとは、暴行、脅迫、暴言、不当な要求といった著しい迷惑行為であり、理不尽な要求や謝罪を強要するなどと紹介されています。 民間企業だけでなく、行政の現場でも業務に支障が出るカスハラが起きています。そのことが続くと、職員のメンタルヘルス不調となってしまいます。 そこで、カスタマーハラスメントにより職員が強い負担を強いられているケースがあると思いますが、対応状況について、再度、総務部長にお伺いいたします。 ◎総務部長(渡辺善敬君) 対話と協働による県政を推進する上では、県に対する様々な御意見をいただくことは極めて重要であります。 一方で、議員御指摘のとおり、一部の明らかに行き過ぎた言動を伴う悪質な苦情により、職員がその対応に極めて苦慮する事案も生じておりまして、職員を守ることも同様に重要であると考えております。 このため、職員の対応力を向上させるためのクレーム研修の実施をはじめ、複数職員での対応や上司への報告・相談を徹底するとともに、極めて悪質な事案につきましては、弁護士へ相談の上、特定の窓口での対応や法的手段を検討するなど、組織としてしっかり対応することにより、担当した職員の負担軽減に努めているところであります。 ◆(有岡浩一議員) 極めて悪質なカスタマーハラスメント、こういった場合には、ぜひ弁護士に相談できるなど職員の皆さんが安心して相談できる体制をつくり、そのことを若い職員の皆さんにもしっかり伝えていただきたいと思います。 次に、令和5年度の当初予算編成方針の中から、総務部長にお伺いします。 事業構築に当たっての留意事項の中で、毎回明記されているスクラップ・アンド・ビルドですが、事業の担当者の立場から、どのように新規・改善事業のスクラップ・アンド・ビルドの徹底に取り組んでいくのか、お伺いいたします。 ◎総務部長(渡辺善敬君) 本県では毎年度、全ての事業につきまして、必要性、実効性、費用対効果、役割分担等を検証する事務事業の見直しを実施しております。 この見直しにおきましては、スクラップ・アンド・ビルドを前提として、費用対効果の低い事業は原則廃止するとともに、継続事業についても、毎年度の成果を踏まえ、必要な改善を行っております。 加えて、当初予算編成に当たっては、見直しの際の目安の一つとなるKPI―重要業績評価指標でございますが―について、事業の効果がさらに見える化されるよう取り組んでまいります。これにより、事務事業の見直しの実効性を高めるとともに、KPIの活用についての職員の意識を高め、より効果的な施策を構築してまいります。 ◆(有岡浩一議員) KPIにより事業の効果がさらに見える化されるとありましたが、事業の構築においてどのようにKPI(重要業績評価指標)を設定し、どう生かしていくのか、再度、総務部長にお伺いいたします。 ◎総務部長(渡辺善敬君) KPIの設定につきましては、事業の計画、実行、評価、改善を行う、いわゆるPDCAサイクルの実効性を高める上で重要であることから、編成方針において、明確に示したところであります。 また、KPIは、事業の目的に沿った達成度を検証するものであり、事業との直接的な関連性や、客観的な効果測定の可否などについて担当部局としっかり議論し、設定することが大切であります。 その上で、毎年度の事務事業見直しや、その後の予算編成の際にKPIを有効活用し、課題等を分析するとともに、具体的な見直しの方向性を担当部局と共有することにより、事業のさらなる改善につなげてまいります。 ◆(有岡浩一議員) KPIのメリットを生かすことで課題の分析が行われるなどの、事業効果を期待します。 ただ、デメリットとして言われていることは、事業の目的を理解していないとプロセスを軽視してしまう傾向があり、考える力の低下も懸念されます。部長の答弁にありましたように、現場での議論や話合いが大切です。よろしくお願いいたします。 次に、9月の台風第14号で浸水被害が発生しました。河川の氾濫等、県内各地の河川による被害が毎年懸念されています。 その対策として、国土強靱化による河川掘削工事が進められてきました。これまでの状況と今後の取組について、県土整備部長にお伺いいたします。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 全国各地で頻発する甚大な災害を受けて創設された、国土強靱化3か年緊急対策や5か年加速化対策を活用して、県では、平成30年度からこれまでに、西都市の三財川など162河川において、約250万立方メートルの河川掘削工事を実施したところです。 今回の台風第14号における三財川流域の24時間雨量は、大きな被害をもたらした平成17年の台風第14号を上回ったところですが、西都市の岩崎橋水防基準点で比較しますと、ピーク時の水位が約70センチメートル低下するなど、河川掘削工事をはじめとする治水対策による一定の効果があったものと考えております。 一方、県内各地で浸水被害が発生している状況にありますことから、今後とも、国土強靱化予算の確保に努め、河川掘削工事を積極的に進めてまいります。 ◆(有岡浩一議員) 河川の掘削工事の効果が見られたということで、大淀川においても下流域の効果が見られたと私も理解しております。 その中で、一昨日の22日、国土交通省から、防災・減災対策等強化事業に基づき、本県河川掘削工事への予算の配分が発表されました。単年度ではなく、現状に合った事業の継続を期待しています。 次に、洪水を一時的に止めるものとして、遊水地があります。川沿いの低い農地などで、大雨のとき、川の水を一時的に流し込むもので、自然の状態で貯留機能を持つ地形になっているものもありますが、河川管理者が洪水対策として整備するものもあります。 一つの例ですが、神奈川県の事例では、県立境川遊水地公園があります。境川は2級河川で、横浜市と藤沢市にまたがり、河口から約12キロに位置し、3つの遊水地がある面積約27ヘクタールの公園です。 そこで、本県における河川管理者が整備する遊水地公園等の現在の取組状況について、お伺いいたします。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 河川管理者が整備する遊水地は、河川に隣接する土地に洪水を一時的に貯留することにより、下流に流れる水を減らし、被害を軽減するための施設であります。 県が設置した事例としましては、宮崎市内を流れる山内川の河川改修において、宮崎空港の北側に、面積約4ヘクタールの遊水地を整備したものがあります。 また、国においては、令和2年度から大淀川の治水対策として、都城市の下長飯町に、面積約9ヘクタールの大岩田遊水地の整備に着手されており、今年度は用地買収を進めていると伺っております。 ◆(有岡浩一議員) 今後は、線状降水帯の発生による記録的な大雨などが各地で懸念されます。排水門の排水ポンプだけでは対応ができない状況が起こります。治水力を高める意味からも、遊水地の検討が必要です。下流域に流れる水を減らし、被害を軽減する施設として有効な遊水地の整備を、国・県・市町村とで検討されることを強く望みます。 次に、高次脳機能障がいについて福祉保健部長にお伺いいたします。 9月の代表質問でもありました、見えない障がいとも言われる高次脳機能障がい者に対する県の支援について、お伺いいたします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 高次脳機能障がいは、交通事故や病気等で脳に損傷を受けたことにより、記憶や行動、感情のコントロール等の認知機能が低下する障がいで、日常生活への適応が困難なため、本人、御家族にとって大きな負担になっているものと考えております。 そのため県では、県身体障害者相談センターと宮崎大学医学部を支援拠点機関に指定し、当事者に対する専門的な相談支援を行うとともに、対応できる医療機関の拡充を図るため、医療従事者向けの研修等を行っているところであります。また、広く県民の理解促進を図るための普及啓発にも取り組んでおります。 さらに、今年度は新たに県身体障害者相談センターにおきまして、高次脳機能障がい者が社会参加に必要な知識や技能を訓練するための通所教室を開始したところであります。 ◆(有岡浩一議員) 先日、高次脳機能障がいの家族の会「あかり」の例会に参加させていただきました。あかりのホームページには、活動報告が詳しく紹介されています。 そこで、本年8月から取り組んでいる新規事業で、ただいま御紹介のあった高次機能障がい通所教室「結」の取組を今後どのように生かしていくのか、御所見を再度お伺いいたします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 通所教室につきましては、宮崎大学医学部や民間医療機関等の御協力の下、8月から来年2月までの全24回のプログラムにより、自らの障がいを認識し、社会生活に適応していくための基礎的な訓練を行っております。 今後、訓練の過程で蓄積されていく、支援手法やプログラムの実践例等のノウハウにつきましては、研修会等の機会を生かしながら、資料や記録等を紹介するなど、医療機関や障害福祉サービス事業所などの支援機関と共有することで、身近な地域で必要な支援を受けられる体制につなげてまいりたいと考えております。 また、8月の開所式が多数のメディアに取り上げられたところでありますが、引き続き通所教室の様子を広く発信することで、高次脳機能障がいに対する県民の理解や関心を高めていきたいと考えております。 ◆(有岡浩一議員) 見えない障がいで止まることのないよう、まず、障がい者への気づきのためにも実効性のある啓発が必要です。 また、3か年の通所教室事業の中で、医療機関との連携、関係者の理解を求めていく必要があります。対象者は3,000人から4,000人とも言われています。注意障がい、記憶障がい、遂行機能障がいなど、頭のけがや病気の後から起こる高次脳機能障がい者の社会復帰を目指すためにも、知事をはじめとして、民間医療機関への働きかけが必要です。 県内各地に理解ある医療機関等を増やしていただき、1人でも多くの、障がいに苦しんでいる皆さんの後押しを期待します。 次に、食品ロスについて環境森林部長にお伺いいたします。 新聞記事で、「やめよう!食品ロスやプラスチック廃棄」の見出しで、小学生への出前授業の紹介がありました。小学生にイメージしやすいように、「日本で1年間に捨てられる食べ物の量は25メートルプール何杯分でしょうか」というクイズがあり、答えはプール約2万杯でした。 学校にある25メートルプール2万杯には驚きがあったようです。また、「2100年の世界の人口は」という問題では、100億人以上という回答でした。これらは、SDGsプロジェクトの取組でありますが、本県においても、食品ロス削減にしっかり取り組むことが求められております。 そこで、食品ロスはどこから発生しているのか、また、まだ食べられるものも含まれているのか、環境森林部長にお伺いいたします。 ◎環境森林部長(河野譲二君) 全国の食品ロスについては、令和2年度の推計で、小売業や飲食業等の事業所から275万トン、家庭から247万トンの合計522万トンが発生しており、これは1人当たり1日にお茶わん1杯分の食品を廃棄している計算となります。 また、本県においては、令和3年度の推計で3万5,000トンの食品ロスが発生しており、このうち家庭からのものが、約7割の2万5,000トンを占めております。 なお、食品ロスの発生原因としましては、作り過ぎや注文し過ぎによる食べ残しのほか、賞味期限切れ等による廃棄や、流通過程における納品期限や店頭での販売期限を賞味期間の3分の1ずつとする商慣習、いわゆる「3分の1ルール」による賞味期限前の廃棄があり、本来食べられるはずの食品も廃棄されている状況にあります。 ◆(有岡浩一議員) 食品メーカーに賞味期限の3分の1ルールがあるように、この3分の1ルールの緩和も必要であります。さらに、賞味期限切れ間近の商品の活用が必要です。 そこで、食品ロス削減・未利用食品活用支援事業の概要を再度お伺いいたします。 ◎環境森林部長(河野譲二君) フードバンク活動団体は、県民や事業者等から未利用食品の寄贈を受け、子ども食堂や生活困窮世帯などに提供しておりますが、フードバンク活動の認知不足や団体内のコーディネーター等の人材不足、食品などの受入れ施設が十分でないといった課題があります。 このため、この事業においては、設立から3年以内のフードバンク活動団体に対し、県民や事業者等に対する啓発、関係団体との連携強化、団体内の人材育成といったソフト支援と、食品の保管倉庫の確保といったハード支援を行うことにより、団体の運営基盤を強化し、未利用食品の活用を促進することとしております。 県としましては、このような事業により、フードバンク活動団体への支援を通じて、食品ロスの削減に取り組んでまいります。 ◆(有岡浩一議員) 国連人口基金によると、世界の人口は80億人に達し、これからますます世界的な食料危機となっていきます。食べるという漢字は、人を良くすると書いて食となります。また、食は人と人をつなぐ心の栄養とも言われます。食料自給率の低い日本、食料基地としての宮崎県の役割等を考え行動すべきときです。また、来年の2023G7農相会合の盛会も期待しております。 そこで、食の大切さを考えたとき、子供の貧困対策を推進するためにも、フードバンクを広げていくべきと考えますが、知事の御所見をお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) フードバンクは、子ども食堂に対して食材などを提供しておりまして、子供の貧困対策においても大変重要な取組であると認識しております。 このため県では、これまでフードバンクをはじめとする子供の貧困対策に取り組む人材の育成や、支援者間のネットワークづくりを進めますとともに、令和元年度に「第2期宮崎県子どもの貧困対策推進計画」を改定し、県内で活動するフードバンクへの支援を盛り込んだところであります。 その結果、市町村が把握するフードバンクの数も、平成30年度の13団体から、令和4年度には30団体に増加するなど、活動の広がりも見えてきているところであります。 さらに、今年度からは、各地域において関係機関が連携する場としてプラットフォームを設けまして、フードバンクなどの取組を支援する事業も新たに実施しております。 今後とも、このような取組を通じ、フードバンクなどの民間団体の活動を広げながら、子供の貧困対策に積極的に取り組んでまいります。 ◆(有岡浩一議員) フードバンクの取組の中で、子ども食堂以外にも、各家庭に届ける取組があります。 各家庭に食材を運んだ際、利用者との会話があることで相談を受けるなど、食の安定、心の安定などの相乗効果を期待しています。 次の世代を担う子供たちの貧困対策は待ったなしの状態です。現在の県としての取組を、福祉保健部長にお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 将来を担う子供たちが夢や希望を持って成長するためには、子供の貧困対策は喫緊かつ重要な課題であり、生活、教育、就労などの幅広い支援が必要であります。 このため県では、「子どもの貧困対策推進計画」におきまして24の指標を掲げ、これを達成するため、知事を本部長とする推進本部を設置し、情報共有を図りながら、連携して全庁的な取組を進めております。 具体的には、進学や就職に関する支援制度をまとめた冊子を中・高校生に配付するほか、生活困窮世帯の子供への学習支援や修学支援金の給付、県内に就職する若者に対する奨学金返還支援などの施策に取り組んでおり、この結果、生活保護世帯の高校中退率や大学等進学率などに一定の改善が見られてきております。 今後とも、貧困の世代間連鎖を断ち切るため、子供の貧困対策をしっかりと推進してまいります。 ◆(有岡浩一議員) 取組の成果が少しずつ見えてきているということで、改善が見られるという報告をいただいております。大変ありがたいですし、今後とも、貧困世帯の世代間連鎖を断ち切るためにも、幅広い関係機関との取組の継続を強く望みます。 次に、危機事象への備えについて、具体的な取組をお伺いいたします。 宮崎県防災士ネットワークはどのような活動をしているのか、危機管理統括監にお伺いいたします。よろしくお願いします。 ◎危機管理統括監(横山直樹君) 県内に10の支部を持つNPO法人宮崎県防災士ネットワークでは、学校や自治会、企業、団体に出向いて、防災講義や、避難経路などを地図上で考える演習、カードを使っての避難所運営模擬体験などを行う出前講座のほか、地域の方と共に町を歩き、危険箇所や避難経路を確認しながら、一緒に地区の防災計画を策定する支援を行っております。 また、今年度は、これまでに5回、延べ350名の防災士を対象に、災害が迫ったときに取るべき行動を時系列にまとめたマイ・タイムラインや、地域住民が主体的に行う防災訓練、避難誘導、避難所運営などについて定めた地区防災計画をテーマとした研修会を実施するなど、県内各地で多様な活動を行っております。 ◆(有岡浩一議員) 宮崎県防災士ネットワークでは、910名の会員が活動されている中で、地区の防災計画策定にも協力していただくなど、幅広い活動が行われています。 県民の皆さんへ、宮崎県防災士ネットワークの皆さんの活動を広く周知していただき、県民の皆さんの危機事象への備えへとつながることを願っています。 次に、農業の担い手の確保について、農政水産部長にお伺いいたします。 全国的に農家の高齢化が進む中で、新規就農者の確保と育成は大きな課題です。本県の取組状況をお伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 本県では、新規就農者を幅広く確保するため、県農業振興公社のほか、市町村やJA等に就農相談窓口を設置し、就農から定着に至るまで、切れ目ない支援を行っております。 具体的には、県内外での就農相談会の開催、県内14か所の就農トレーニング施設等における技術習得や、経営発展段階に応じた体系的な研修を実施するとともに、国の事業を活用し、就農準備段階及び農業経営開始に必要な資金の交付などを行っております。 これらの取組の結果、令和3年は405人が新規就農しております。 ◆(有岡浩一議員) 農業法人が県内に886社ある中でも、やはり人的不足が懸念されています。 宮崎県は、1次産業、6次産業を伸ばすべき環境にあります。新規就農者へのUIJターンなど可能性を広げるとともに、農業を通して、生産活動のやりがいや夢が持てる仕事として伸ばしていきたいものです。 そこで、宮崎県の地理的条件として、中山間地域の農業振興が必要です。中山間地域における農業振興のこれまでの成果と今後の取組について、再度お伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 中山間地域の農業振興につきましては、これまで、気候特性を生かした産地づくりや、担い手の確保、6次産業化等による農業所得向上に取り組んできたところです。 具体的には、花のリンドウなど収益性の高い作物の導入や、JAと連携した就農トレーニング施設等での研修、地域の事業者と連携した6次産業化などの取組により、新品目の産地化や新規就農者の確保、産地型商社の設立などの成果が出ております。 一方で、高齢化等の進行により、農村集落の維持が困難な状況が懸念されることから、今後はさらに、生活支援など集落維持に必要な機能を有する農村型地域運営組織の形成などを支援し、中山間地域での持続可能な農業・農村の実現に取り組んでまいります。 ◆(有岡浩一議員) 大変おいしく良質な、お米やお茶、日本一おいしい牛肉など、中山間地域での持続可能な農業の姿が、宮崎県の力になると確信しています。 次に、屋外型トレーニングセンターについて、商工観光労働部長にお伺いいたします。 来年4月から利用が可能とされる屋外型トレーニングセンターは、どのような団体が利用するのか、また、年間の稼働日数をどのくらい想定しているのかお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 屋外型トレーニングセンターにつきましては、ラグビーの日本代表やリーグワン、サッカーのJリーグ、陸上競技の実業団チームなどのトップアスリートはもとより、社会人や大学等の県内外のアマチュアスポーツの競技団体のほか、県民の皆様など、プロ・アマを問わず幅広く利用していただける施設とし、年間の延べ利用者数は約1万7,000人を見込んでおります。 次に、施設の年間稼働日数につきましては、芝の養生期間を考慮しまして、サッカー・ラグビー場で230日程度、多目的グラウンドで280日程度、また、室内練習場やトレーニングルーム、ミーティングルームにつきましては、300日程度を見込んでいるところでございます。 ◆(有岡浩一議員) 施設を利用していただいた、そのトレーニングの成果として、宮崎で合宿するといい結果が出せる、そういう相乗効果を期待しておりますし、昨日のサッカーのように、いい結果が出ることによって、みんなが元気になれるという、スポーツの力を信じたいと思っておりますので、どうぞ屋外型トレーニングセンターの活用の充実をお願いしたいと思っております。 今回の屋外型トレーニングセンターを整備することで、スポーツランドみやざきにとってどのような効果が得られるのかを再度お伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 屋外型トレーニングセンターは、国内外代表やプロリーグに属するトップアスリート等のスポーツキャンプ・合宿を受け入れることができる施設として整備するものであり、スポーツランドみやざきのブランド力の向上はもとより、本施設への新たな誘致や、その波及効果としての周辺市町村へのキャンプ・合宿の拡大によって、観光振興や経済の活性化が図られるものと考えております。 また、トップアスリートのプレーを間近に見る機会の増加や、子供たちを含む県民の積極的な利用が図られることで、2027年に本県で開催される国民スポーツ大会や全国障がい者スポーツ大会に向けた機運の醸成や、県内アスリートの競技力向上にも資するものと考えております。 ◆(有岡浩一議員) 御答弁ありがとうございました。 知事の目指すスポーツランドみやざきのブランド力向上のためにも、このセンターの活用は大変重要だと思っておりますし、私も経験上、指導者の養成や確保などに活用できることはいいのではないかと思っております。 やはり指導者同士の連携、そして指導者の意識の高い中でこのトレーニングセンターが活用されることで、ブランド力の向上につながると、そのように思っております。 一つの例として、スポーツ指導者サミットのような新しい展開の取組に挑戦していただくことを考えております。今後とも、いろいろなアイデアを出していただきながら、すばらしい施設を十分活用していただくことを強く要望いたします。 次に、部活動における指導者について、教育長にお伺いいたします。 2017年4月1日から、学校教育法の一部改正により、部活動指導員が制度化されました。 そこで、公立中学校における部活動指導員と外部指導者との違いについてお伺いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 公立中学校における部活動指導員は、部活動の技術的な指導だけではなく、部顧問に代わり、大会や練習試合等の引率を行うことができる、市町村教育委員会が任命した会計年度任用職員であります。 それに対しまして、外部指導者は、校長からの依頼を受け、顧問の教諭等と協力しながら、主に技術的な指導を行う有償または無償のボランティアの指導者であります。 なお、外部指導者が中体連の大会にベンチ入りするためには、指定された講習会を受講することが条件となっております。 ◆(有岡浩一議員) それぞれの違いは分かりましたが、働き方改革の下、現場のニーズが見えてきません。そこで、部活動指導員の配置状況と外部指導者の現状について、再度、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 公立中学校における部活動指導員は、運動部、文化部を合わせまして、令和元年度に10市町、34名でスタートし、年次進行で配置人数を増やしており、本年度は16市町、64名を配置しております。 また、外部指導者につきましては、県中体連に登録されている人数は、年度によって多少の増減はありますが、本年度は396名となっております。 ◆(有岡浩一議員) 16市町、64名のうち文化部が6名と伺っております。今後、現場のニーズの把握や市町村の財政負担など広く周知すべきであります。今後の協力者の増加を期待し、この事業の取組を推進していただければと思っております。 次に、関連して文部科学省では、「学校の働き方改革を踏まえた部活動改革として、令和5年度から休日の部活動の段階的な地域移行を図る」とあります。 そこで、部活動が地域移行した際の指導者として、どのような人材を想定されているのか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 休日の部活動を地域に移行する際の指導者の確保は、国の有識者会議の提言におきましても、課題の一つとして挙げられております。 本県では、昨年度より取り組んでおりますモデル事業におきまして、指導者の確保についても検証を進めており、運動部の、小林市におきましては、平日に指導を行っている部活動指導員、競技団体に所属している方、休日の指導を希望する教諭が指導者となっております。また、文化部の、延岡市におきましては、吹奏楽の指導ができる地域の方が指導者となっております。 このような指導者に加えて、スポーツ少年団や総合型地域スポーツクラブの指導者等が、今後想定されるものと考えております。 ◆(有岡浩一議員) 今お話がありましたが、学校の現場では合同部活動の推進など、現状に合った提案ではありますが、様々な取組を工夫していただいていると聞いております。 大切なことは、先生方の働き方改革とともに、子供たちのスポーツや文化活動に親しむ機会の提供であり、生徒の皆さんにとって、成長につながる大切な時間と機会となることを強く希望いたします。 それでは、最後になりますが、知事の真贋として、知事の掲げる「現場主義」とはどういうものか、認識をお伺いいたします。 岡山県出身の片山善博氏の書かれた「知事の真贋」から紹介させていただきます。 まず、片山氏は自治省(今の総務省)の官僚から、鳥取県知事や総務大臣を歴任されました。「知事の真贋」という本の中に、「力の弱い人、声の小さな人への目配りこそ政治の仕事」とあり、「現場から遠いところで政策を決めると、本当に困っている人のことなどあまり気にしないで、政権の周りにいる人や親しい業界の人など、ごく一部の人たちで物事を進めようとする。新型コロナ対策の事業についても、当事者である国民や住民にとっては使い勝手が悪く、ピントがずれている」と指摘されています。現場のニーズをつかみ切れていない政策や事業が行われていることを指摘されています。 そこで、県政において河野知事が掲げる「現場主義」とはどのようなものなのか、認識をお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 私は知事就任以来、徹底した「現場主義」と「対話と協働」という基本姿勢の下で、宮崎県の発展のために全力を尽くしてまいりました。 主役は県民である、課題解決のヒントは現場にあるという強い信念に基づきまして、公務や政務、さらにはプライベートの機会も含めて、様々な機会を捉えて積極的に県内各地に足を運んで現場の実態を把握し、地域の皆様の様々な御要望や御意見に耳を傾け、可能な限り施策に反映させてきたところであります。 この地域に知事が来たのは黒木知事以来だとか、そんなことを言われて、非常に印象深いことも間々ありました。 新型コロナ対策や原油価格・物価高騰対策におきましては、医療機関や保健所、飲食店、学校等を訪問するとともに、医療・福祉関係者や商工関係団体をはじめ、様々な分野の皆様との意見交換を重ね、現場の実態に即した、早め早めの感染防止対策や、宮崎再生基金創設などの経済対策につなげてきたところであります。 台風第14号災害でも、台風通過直後から県内各地の被災地にも赴きまして、被災された多くの方々の生の声を聞き、激甚災害の早期指定に向けた働きかけや、復旧・復興を図るための迅速な予算措置を行ったところであります。 長引くコロナ禍や原油価格・物価高騰、台風災害によりまして、県民の暮らしや地域経済が極めて厳しい状況、未曽有の難局に直面する中で、今後とも不安や苦悩を抱えておられる県民の皆様一人一人に寄り添い、様々な意見に耳を傾けつつ、県民主体の県政運営に取り組んでまいります。 ◆(有岡浩一議員) 答弁をありがとうございました。 先ほどの真贋の意味は、本物か偽物か、または上辺を繕うという意味だそうです。現場である県民との関係を示す数字として、選挙の投票率を確かめてみました。 前回の知事選挙の投票率は33.9%、今年7月に行われた参議院選挙は47.52%で、都道府県別で40位、2019年前回の宮崎県議会議員選挙は39.76%でした。宮崎県の投票率の低さは、我々をはじめとして、声の小さな人への目配り、心配り、声かけなどが必要であり、県民に信頼されているとは言い難い数字です。「知事の真贋」の本の中に、「力の弱い人は手を引っ張ったり、背中を押してあげたりしなければ、自分だけでは前に進めない」とあります。一つの課題ではないでしょうか。 また、政治と金、旧統一教会との関わり、浅はかな発言など、議員の意識の低下が大変懸念される昨今、政治に対する信頼を大きく損ねてしまっています。それが今の現状です。 最後に、私から県庁の職員の皆さんへメッセージを送ります。 「県庁職員の皆さん、宮崎県の将来を託されていることの自覚と誇りを持って、英知を振り絞り、失敗を恐れず、難局に立ち向かってください」 以上です。エールを送り、終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(中野一則) 以上で午前の質問は終わります。 午後は1時再開、休憩いたします。   午前11時48分休憩────────────────────    午後1時0分再開 ○副議長(二見康之) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次は、山下博三議員。 ◆(山下博三議員) 〔登壇〕(拍手) 通告に従い、順次お伺いしてまいります。 早速ですが、知事の政治姿勢からお伺いしてまいります。 いよいよ知事選告示が近づいてまいりました。河野知事におかれては4度目の選挙であります。知事選に出馬を予定されている候補者の中には、多選を批判する方もおられるようであります。河野知事の前には1期目以内で退任された方が2人続きましたが、それ以前は黒木博知事、松形祐堯知事と、いずれも6期の多選知事でありました。 私は54年前の昭和43年に、都城農業高校を卒業と同時に就農いたしました。その後、農業経営者として、SAP活動や農業生産組織活動の地域リーダーの一人として、仲間と共に黒木県政、松形県政が進められる姿を間近で見てきました。 今この県議会の中にも、お二人がなぜ6期もの長期在任をされたのか、実績等もお分かりにならない方が多数だろうと思いますが、お二人の約50年の歴史を、この数分で語るのも失礼かと思いますが、在りし日のお二人の姿を思い出しながら触れてみたいと思います。 黒木知事は、昭和34年4月に知事に就任され、以来、農業はもとより本県の産業・生活基盤の充実、強化に取り組まれました。 中でも思い出すのは、昭和35年に提唱された宮崎県防災営農計画であります。御存じのとおり本県は、古くから農業の基幹作物として、食糧管理法に守られた米や麦の作付が盛んな一方、台風銀座と言われ、毎年9月から10月にかけて台風が襲来しておりました。一旦台風が襲来すると、収穫時期を迎えて黄金色の稲穂を垂れている稲が倒伏し水没するなど、大きな被害を受け、農業者は収入の柱を一日にして失うことが常態化しておりました。 台風の被害を避けるため収穫時期を前倒しするという、前代未聞でありますが、農業に防災の考えを取り入れた、いわゆる防災営農計画の取組を始めておられます。 防災営農計画は、本県県政の基本目標として未成長後進性の脱却を狙い、その躍進への方策として第1次産業を強化するため、昭和32年以来、防災営農計画という命題の下に、農業の近代化方策を進めるものでありました。 昭和32年3月に防災営農基本構想を策定し、新たな営農方式の導入に取り組み、昭和34年12月に生産計画と土地改良計画から成る防災営農計画を策定、昭和36年にはコシヒカリが本県の奨励品種となり、早期水稲を本県農業の核に据えた取組を加速されました。 早期水稲の導入は、単に米を台風前に収穫するという取組にとどまらず、田植や収穫の時期が重複しない施設園芸の拡大につながり、また、わらも確実に収穫できたことから、その後の畜産振興にも貢献されております。 この防災営農の取組が構築されたからこそ、これまでの60年の農家戸数が約4分の1にまで減少する中、昭和35年に271億円、全国30位だった農業産出額は、令和2年には3,348億円、全国6位と12倍以上になるなど、現在の本県農業の姿があります。 黒木知事は、その後は陸の孤島と言われていた宮崎の交通インフラの整備にも精力的に取り組まれました。 昭和54年、宮崎空港の滑走路の1,900メートルへの延伸や、昭和46年、宮崎カーフェリー就航、昭和41年、九州縦貫自動車道宮崎線の整備決定及び翌年の高速道路指定、昭和51年3月のえびの高原間の開通など、期を重ねるごとに、本県の産業・生活基盤の強化に向けて力強くリーダーシップを発揮してこられました。 一方、松形知事は、昭和54年に知事に就任後、黒木前知事が敷いたインフラ整備の道筋をさらに加速し、宮崎空港を2,500メートルに延伸され、宮崎港には、大型船の入港が可能となるための改良工事を実施されました。 また、平成3年には、現在の中山間地域等直接支払制度の基となった国土保全奨励制度の提唱、平成5年には、山間地域等における農道・林道整備を促進した「ふるさと農道・林道整備事業」の創設など、県政の重要課題の一つであった条件不利地域における生活産業基盤の強化に尽力されました。 お二人に通じるのは、知事就任直後から、県内各地域のそれぞれの立場で一生懸命に暮らしている県民と同じ目線で、どうすれば生活・産業基盤がよくなるかを考え、当選回数を重ねるごとに、それまでに培った県内外、国政レベルでの人脈を最大限に生かして実績を積み上げてこられたことであります。 今回、知事は4期目を目指して知事選への立候補を表明されました。知事がこれまで取り組まれた施策の中で、県民の生活環境、産業基盤に貢献できたと自負する取組にはどのようなものがあるのか、先人の知事たちの足跡を踏まえ、今後どのような取組を進めていこうと考えておられるのか、また、4期目に向けて取り組むべき課題としてどのようなものを考えておられるのかお伺いいたしまして、この後、質問者席から行ってまいります。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。 議員から御紹介のありました、黒木知事や松形知事をはじめ歴代の知事におかれましては、それぞれの政治理念に基づき県政の発展に尽くしてこられ、その御功績に対して改めて敬意の念を抱くとともに、感謝の意を表するところであります。 私が就任しましたのは平成23年、これまでの知事と比べますと、本格的な人口減少社会における県政運営というものが、私が直面した状況であろうかと思います。 その中で、人口減少が進む中にあっても、本県が持続的に将来に向けて発展していくことができるような、持続可能な宮崎の土台づくりというものに取り組んできた、そのような思いがございます。 知事就任以来、本県の安全・安心な暮らし、将来の発展の礎としまして、東九州自動車道をはじめとする総合交通網の大幅な整備や企業誘致、防災庁舎や県立宮崎病院の建設、国スポ・障スポ関連施設の分散整備、さらには本県の強みである食を伸ばすフードビジネスなどにも着実に取り組んできたところであります。 さきの和牛能力共進会では、前人未到の4大会連続での内閣総理大臣賞を獲得したほか、1人当たりの県民所得を見ますと、私が就任する前と比べて直近の令和元年度の数字では、基準改定等によりまして単純比較はできないものの、約30万円の増、16.5%の増となっておりまして、確実に伸びてきているところであります。 一方で、直近では、コロナ禍や原油・物価高騰に加え、台風第14号の影響等によりまして、県民の暮らしや地域経済は未曽有の難局に直面しております。中長期的にも、急激な少子高齢化、人口減少を背景として、人材の確保や中山間地域対策など多くの課題が山積しております。 このため、県民の皆様から次期県政を負託いただけるのであれば、まずは、コロナ禍等からの力強い復興を着実に進めるとともに、本県を再び元の成長軌道に戻していくための取組を進めてまいります。 具体的には、農林水産物を核としたフードビジネス等の産業振興や、充実したスポーツ環境を生かした、国際水準のスポーツの聖地宮崎としてのさらなる飛躍、そして、おいしさ日本一の宮崎牛などの豊かな食や、恵まれた自然環境を生かした観光誘客や移住の促進、コロナで一つストップがかかっておりましたが、グローバル戦略というものを再開する、その展開などに取り組みまして、確実に宮崎の暮らしや経済を取り戻す、宮崎再生を果たしてまいります。以上であります。〔降壇〕 ◆(山下博三議員) ありがとうございました。 つい先日、知事は選挙戦に向けての政策提案を示されておりました。私も一通り目を通させていただきましたが、当選の暁には、ぜひとも県民目線で、さらなる県政発展に頑張っていただきますよう、お願いしておきたいと思います。 去る10月6日から10日にかけて、全国和牛能力共進会が鹿児島県霧島市で開催されました。平成19年の鳥取全共以来、4連覇のかかる宮崎牛の歴史的瞬間に立ち会おうと、私も2日間にわたって大会に参加してまいりました。 最終日の成績発表の結果、県勢は、うまみを左右する指標である脂肪の質を審査する7区で優等首席となり、史上初の4大会連続内閣総理大臣賞を獲得し、宮崎牛のおいしさ日本一を証明することができました。 今大会に向けて出品された農家の皆さんに、そして登録協会、家畜改良事業団、JA、各市町村、関係者の皆様に、心より感謝を申し上げたいと思います。 9つの出品区のうち、鹿児島県が6部門、大分県が1部門、本県は2部門の優等首席でありましたが、今回新設された7区「脂肪の質評価群」を制したのは本県でありました。 翌日の南日本新聞では、6部門を制した鹿児島県勢に対して高く評価する一方、おいしさの部門で首席が取れなかったことに対する落胆ぶりがにじんでおりました。 今回の内閣総理大臣賞を受賞した最大の勝因は何だったとお考えか、また、今回の受賞を踏まえ、今後どのような取組を考えておられるのか、知事にお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 今回、4大会連続で内閣総理大臣賞を獲得できましたのは、これまで生産者や関係団体が長年にわたり県を挙げて取り組んできた肉用牛改良の成果に加え、肥育農家のたゆまぬ努力によって育まれた高い技術力、それを支えるきめ細やかな技術員のサポート、そして、着実に育ってきた若い世代の台頭と、そういったチーム宮崎が一丸となって取り組んだたまものであると考えております。 昨日、ワールドカップサッカーで日本がドイツに勝ったその状況を見ながら、改めて全共と対比して考えましたのは、4大会連続で勝ち続けることの意義は大変重いということと、若い世代が育っていることが勝利につながったということを感じております。 サッカーの世界では、ドイツは8年前にブラジル大会で優勝し、その前の2大会は準優勝で、非常にすばらしい育成システムということで、ドイツが世界にアピールしたわけでありますが、前回大会は予選敗退、そして今回、初戦で敗戦するということは、世代交代がうまくいっていないとか、ライバルに非常にマークをされて徹底的に研究されている。宮崎牛はそういう状況の中で、よくぞ4大会連続で、しかも若い世代が育っている。世代交代がうまくいっている、そこを改めて実感いたしました。 この受賞した第7区は、新たな牛肉の価値観として、おいしさに関係する脂肪の質を重視した区でありまして、おいしさ日本一、そういう評価、そして、そういうお墨つきを得たものと考えております。 県としましては、この強力なセールスポイントを最大限に活用して、関係機関と連携しまして、SNS等も活用した国内外への情報発信をはじめ、大都市圏でのインパクトのあるPRや、「日本一」を前面に押し出した海外での商談活動など、全共の成果を確実にブランド力向上へつなげて、さらなる販売力の強化や輸出の拡大を図ってまいります。 ◆(山下博三議員) ありがとうございます。肉牛で、実質通算20年間、日本一をPRできることになります。さらなる宮崎牛のブランドが期待されるところでありますので、よろしくお願いいたします。 次に、G7宮崎農業大臣会合についてお伺いいたします。 先進7か国による農業大臣会合の日程も来年4月22日、23日に決まり、順調に準備も進められているものと思います。2000年に開催された九州・沖縄サミット宮崎外相会合以来、23年ぶりの大きな国際会議となります。 今回の決定に伴い、鹿児島県出身の野村哲郎農林水産大臣から記者会見の中で、「宮崎はマンゴーや和牛、養豚など全国有数の食料基地。外相会合の実績もあり、開催地にふさわしい」と、期待の声もいただいております。 ウクライナ情勢もあり、食料安全保障問題などが議題となるそうでありますが、そのような中、本県は、全国和牛能力共進会の肉牛の部にて4大会連続内閣総理大臣賞を受賞、最高賞を獲得しており、宮崎牛をはじめとする食の宝庫宮崎を世界にPRできる、またとないチャンスと思っております。 また、開催前後に関連イベントや現地視察も行われるということでありますが、その内容と開催時における宮崎アピールについて、知事の見解をお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 来年4月に開催されます農業大臣会合は、日本を代表する農業県である本県で開催されることに非常に大きな意義があると考えております。世界をリードする主要国の要人に、本県の魅力を直接お伝えする貴重な機会をいただいたものと考えております。 具体的な会合の内容はまだ決まっておりませんが、前回の新潟県を参考にしますと、歓迎レセプションや昼食会のほか、農業技術や特産品を紹介する会場展示、生産現場等を訪れる現地視察が行われているところであります。 開催県といたしましては、国と緊密に連携しながら、おいしさ日本一の宮崎牛をはじめ、本県が誇る優れた食材の提供や展示等を通じて―本県には高千穂郷・椎葉山のような世界農業遺産もあれば、いわゆる大根やぐらのような日本農業遺産もある―こうした農業や食、伝統文化等の多彩な魅力を、しっかりと世界に向けて発信してまいりたいと考えております。 加えまして、在日大使館や海外マスコミ向けの事前視察など、あらゆる機会を捉えて情報発信に努め、本県農畜水産物の知名度向上や一層の輸出拡大につながるよう、そして本県自体の認知度向上、また魅力の発信につながるよう取り組んでまいります。 ◆(山下博三議員) G7加盟国は、アメリカ、カナダ、フランス、イギリス、ドイツ、イタリアなどです。宮崎県はアメリカ、EUの国々に向けて牛肉輸出に力を入れていますので、ぜひともアピールのほどをよろしくお願いいたします。 次に、警察本部長にお伺いいたします。 7月8日に安倍元総理が凶弾に倒れるという事件も発生しましたが、今回のG7農相会合における警備状況についてお伺いいたします。 ◎警察本部長(山本将之君) 広島でのG7サミット主要国首脳会合に向けまして、来年4月に本県で開催される農業大臣会合は、主要国の関係大臣が一堂に会するほか、世界的に重要な課題が議論され、国際的にも注目を集めますことから、テロ行為やサイバー攻撃等の脅威が高まると考えております。 県警といたしましては、各国要人を含む会合参加者の安全、そして行事の円滑な開催を確保するため、その総力を挙げて警備諸対策に万全を期してまいる所存でございます。 特に今回の警備では、議員から御指摘のありました、安倍元総理銃撃事件の発生、その警護に関する検証に基づき、警護の在り方が抜本的に見直されたことを踏まえまして、前例踏襲を排し、会合会場やその周辺の対策を含め、諸情勢に的確に対応した十全な警備を、関係機関と緊密に連携しつつ行ってまいります。 ◆(山下博三議員) 非常に緊張された中での警備になるだろうと思うんですが、ぜひともよろしくお願いしておきたいと思います。 次に、農政問題であります。農政水産部長に13問お伺いしてまいります。 10月18日、農林水産省は、本年度の米の取引価格について調査結果を公表しました。60キログラム当たりの玄米価格で、昨年より5%高い1万3,961円、30キログラムの出荷袋に直すと6,980円であり、3年ぶりの値上がりということでありました。 本県の普通期水稲の10アール当たりの収量や作況、本年の生産者への仮渡金はどれぐらいか、お伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 農林水産省が11月9日に公表した情報によりますと、本県の令和4年産普通期水稲の収量は、10アール当たり480キログラムで、作況指数は95の「やや不良」であります。 また、今年の生産者への仮渡金につきましては、普通期水稲「ヒノヒカリ」1等米が県平均で30キロ当たり約6,300円であり、昨年産と比べると約540円安くなっております。 ◆(山下博三議員) 今年の作況は、作況指数95の「やや不良」ということであります。私も20アールの水田で普通期水稲を生産しておりますが、今年の出荷量は30キログラム出荷袋35袋、10アール当たり収量で525キログラムと、昨年に比べ1割近く収量が減少しており、作況指数より悪い状況でありました。 一方、JA都城から届いたお米の仮渡金の通知によると、ヒノヒカリの1等米で5,250円、昨年より900円の値下げでありまして、国の発表する作況や販売価格を大きく下回っております。 先日、都城市内で4ヘクタールの主食用米を作付している30代の農業青年と意見交換をしました。地域の収穫量は、平年に比べ1割以上減少し、しかも販売単価も値下がりしたため、収入が大きく減少する中、資材価格は高騰し、来年以降の米生産に希望が持てないと、今後の稲作に強い不安感を抱いておりました。 本年産米の10アール当たりの生産コストや所得の見込みはどうなっているのか、また5年前と比較したらどうなっているのかお伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 令和4年産米の10アール当たりの生産コストは、燃油や肥料の価格高騰により、5年前と比べると約4,000円高く、約8万4,000円となっております。 所得につきましては、5年前は10アール当たり約3万3,000円でありましたが、本年産米は県平均の仮渡金を用いて試算しますと、生産コストの上昇と仮渡金の低下により、5年前と比べ約1万1,000円安くなり、令和4年産の所得は、10アール当たり約2万2,000円となっております。 ◆(山下博三議員) 普通期水稲でも、かつては30キログラム当たり6,000円から7,000円していたところ、10アール当たり10万5,000円程度の販売価格に対して、経営費は7万円から8万円程度、所得が3万円と言われました。 本年は30キロ当たり5,250円、作況が悪いことから、10アール当たり収入は9万2,000円ほどしか見込めない一方、ウクライナ情勢や円安等の影響により資材価格が高騰しているため、所得は県の見込みを大きく下回ることが懸念されております。 先ほどの農業青年は、「このままでは稲作に希望を持つことができない、そう遠くない時期に米生産を続けられなくなる時期が来るのではないか」と嘆き、懸念を示しておりました。 地域では高齢化が進み、今後の水田農業に不安を抱いている農業者がたくさんおり、水田を受託している地域の担い手ですら経営費が賄えず、いつまで続けられるのか、やめた後の農地が荒廃することが明らかな中で、大変厳しい選択を迫られているのであります。 米の消費量は年々減少し、販売価格の維持・確保が厳しく、さらには資材価格も高騰している中で、主食用米の生産で経営的に成り立つのはどれぐらいの規模なのか、お伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 県では、効率的かつ安定的な農業経営を目指すための年間所得目標として、1経営体当たり640万円を設定しています。 先ほどお答えしました主食用米の10アール当たりの所得額2万2,000円から考えますと、主食用米の生産のみでこの目標を達成するための経営規模としては、約30ヘクタールとなります。 ◆(山下博三議員) 10ヘクタールや20ヘクタールの主食用米生産では、たかだか300万から500万しか所得が見込めず、最低でも30ヘクタール以上の経営規模が必要ということでありました。 現在、本県において30ヘクタール以上の水稲生産者はどれぐらいおられるのか、また、大規模な水田農業経営体の育成目標についてどのようにお考えか、お伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 水稲作付面積が30ヘクタール以上の経営体数は、現在13戸となっております。 大規模な水田農業経営体の育成につきましては、今年度から取り組んでおります「土地利用型農業産地再編・強化対策事業」におきまして、30ヘクタール規模の大規模経営体のモデルを、令和6年度までに20戸に増やすことを目標にしており、意欲のある担い手への農地の集積・集約を図りながら、スマート農機の導入、オペレーター育成等への支援に取り組んでいるところであります。 ◆(山下博三議員) 経営体の育成目標20戸に対して、現状は13戸ということであります。 地域では既に、主食用米を基本としつつ、主食用米の生産調整の一環として、飼料用米や加工用米、WCS用稲など多様な稲を組み合わせ、1,000万円を超える所得を確保している経営体も多数見受けられます。 私は9月に、飼料用米を生産、利用している2戸の法人と共に、進藤金日子参議院議員や農水省農産局の三野企画課長と意見交換をしてまいりました。 農水省からは、現在3,050億円を措置している水田活用の直接支払交付金、いわゆる転作奨励金は、既に予算規模として上限に来ているということ、米消費は一層減少することが見込まれる中、転作面積が拡大すると、転作作物に対する助成単価を切り下げざるを得なくなるとの見解が示されました。 また、主食用品種も飼料用米の助成対象となっているため、主食用として作付した後、価格を見て仕向先を調整するなど、飼料用米の安定的な生産、利用が困難となる事例が見受けられるということでありました。 このため国は、来年度から助成対象を専用品種に重点化し、主食用の品種とは交付金単価に差を設ける方向で検討しているということでありました。 本県における水田活用の直接支払交付金の交付を受けた面積と交付額はどのようになっているのか、お伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 本県の令和3年度に水田活用の直接支払交付金の交付を受けた面積は、県全体の水田面積の約40%に当たる約1万4,000ヘクタールで、交付額は約95億3,000万円であります。 ◆(山下博三議員) 県内水田面積の4割が交付対象となっております。実に90億円を超える交付金が交付されているということでありました。 主食用米の所得は、10アール当たり2万円程度でありましたが、これら交付金を含めた加工用米、飼料用米の所得はどれぐらい見込まれるのか、また、飼料用米のうち専用品種と一般品種の面積はどうなっているのか、お伺いいたします。
    ◎農政水産部長(久保昌広君) 加工用米及び飼料用米の交付金を含めた所得見込みは、10アール当たり、それぞれ約4万円と約3万8,000円となります。 また、令和4年産の飼料用米の面積は687ヘクタール、このうち「ミズホチカラ」などの専用品種の作付面積は500ヘクタールで、残りの187ヘクタールがコシヒカリなどの一般品種となっております。 ◆(山下博三議員) 水田活用の直接支払交付金の対象でない主食用米に比べ、転作としての米のほうが収益性が高く、農業経営として取り組むメリットが高いということでありました。 人が食べられる米を生産するより、加工用や飼料用米を生産するほうが所得が高いということは、瑞穂の国に生まれ、自ら主食用米を生産している私としては、じくじたる思いであります。 農業経営の安定化を図る上で、既存の支援制度をフルに活用することは重要でありますが、本県米政策として、水田の機能を生かしながら、どのような用途や品種を組み合わせて水田農業の取組を進めていくべきか、お伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 本県の水田農業の今後の取組につきましては、需要に応じて、主食用米と加工用米、飼料用米等のバランスの取れた米の生産が重要であると考えております。 このため、加工用米については、県内需要量を確保すること、飼料用米については、主食用米からの転換や収益性の高い専用品種の導入等を進めることで、生産拡大を図ることとしております。 また、水田を長期間活用できる本県の特徴を生かし、主食用米をはじめ様々な用途の米と組み合わせて、計画的に作付する体制を構築することとしております。さらに、水稲と麦・大豆などを組み合わせて作付を行うなど、生産性の高い水田農業が実現できるよう取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 国との意見交換会に先立ち、私は生産者や行政、関係団体などと、都城市で飼料用米の現地勉強会を開催させていただきました。 令和4年度は全国で14万2,055ヘクタールの作付がなされておりますが、本県は687ヘクタールと、全国の0.5%であります。生産された飼料用米は、養豚や養鶏などの飼料として利用されており、聞き取り調査によりますと、県内では少なくとも1万6,000トンの需要があるということであります。作付面積から推計すると、供給量は3,500トン程度であり、まだまだ作付を拡大する余地は十分にあります。 そこで、このような需要が期待される中、県として生産目標をどれぐらい持っておられるのか、お伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 飼料用米につきましては、議員の御質問のとおり、県内の畜産農家の需要拡大が期待されることや、生産性の高い水田農業経営の実現のためにも、その生産拡大が大変重要であると認識しております。 このため、県としましては、5年後の令和9年産に1万トン生産する目標を揚げ、関係機関・団体と一丸となって進めてまいることとしております。 ◆(山下博三議員) 都城市における養豚生産法人は、平成26年から飼料用米の専用品種の栽培を始めるとともに、飼料用米を20%配合したライスミールペレットを肥育豚1万8,000頭に供給し始めて以来、徐々に生産、利用量を拡大してきたこと、飼料用米を中心に地域循環型農業を展開してきたことについて説明されました。 また、えびの市で母豚1,250頭規模の養豚一貫経営を行っている生産法人は、平成28年から、えびのエコフィード利用・増産推進協議会に参画し、地元産焼酎かすと飼料用米を使った取組を進めておられます。 県産米改良協会から専用品種を導入し、昨年度は135トンを生産するとともに、県外から75トンを受け入れ、合計210トンを供給しておられますが、今年度中には335トンを目標としているとのことでした。 飼料用米は配合飼料中に25%配合しておられますが、そのメリットも報告がありました。具体的には、配合割合を20%としていた昨年4月は、通常の配合飼料とほとんど変わらない、トン当たり4万2,000円程度の単価でありました。しかし、本年6月段階では、配合割合を40%に増やした結果、飼料用米配合飼料が4万5,000円、通常飼料が5万3,000円と、8,000円の単価差に拡大しており、飼料代が削減できるだけでなく、肉質アップの効果もあるということでありました。本年中には昨年の1.5倍に当たる335トンを目標に取組を強化するなど、なお一層の利用拡大を予定しているということでありました。 そこで、飼料用米を配合することにより飼料価格はどれぐらい削減できるのか、また、畜種ごとにどれぐらいの割合まで配合することが可能なのか、その場合の県内での需要量はどれぐらい見込まれるのか、お伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 飼料用米を配合することによる飼料価格への影響につきましては、直近8月の配合飼料価格で試算しますと、例えば、飼料用米を20%配合することにより、1キログラム当たりの単価は約14%の削減となります。 また、畜種ごとの飼料用米の配合は、国の研究機関のマニュアルによると、肉豚で40%、採卵鶏や肉牛で30%、乳牛で25%、ブロイラーで20%まで可能とされています。 県内の配合飼料の使用量は、国の統計で年間約180万トンありますので、この割合で飼料用米の需要量を試算しますと、約40万トンになります。 ◆(山下博三議員) ありがとうございます。需要量が40万トンということであります。先ほどの答弁では、5年後に1万トンの飼料用米生産計画ということでありました。 この格差というのは、本当に、宮崎県の水稲を全部作ってもなかなか追いつかないような数字だということが分かってまいりました。利用できる畜産サイドもメリットがあり、先ほどの聞き取り調査の結果を大きく上回る需要が期待できるということであります。 需要に応える取組を期待しておりますが、勉強会の中で、生産者からは、品種によって大きく収穫量が異なること、栽培する市町村によって産地交付金、いわゆる転作助成金の単価が最大で2万円近い格差があるなど、多くの課題が指摘されました。 飼料用米は県内では「ミズホチカラ」や「夏の笑み」等の多収系の品種が用いられ、平均的には550キログラムから650キログラム程度の収量ということでありますが、その生産者は、「北陸193号」を作付し、今年729キログラムの収量を上げられました。 超多収を上げられたことにより、助成金を最大の単価で受けられ、経営的にも助かったということであります。ぜひとも、その超多収技術を広く生産者に周知していただきたいと思います。 飼料用米や加工用米は単位面積当たりの収量を最大化できるよう、超多収な専用品種の育成が重要であります。超多収品種の育成状況はどうなっているのか、また現在使用されている品種と比べて収量性はいかがか、お伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 本県における加工用米は、早期栽培向けの「宮崎52号」と普通期栽培向けの「み系358」を総合農業試験場が育成し、広く普及しております。 令和3年産の10アール当たりの平均収量は、「宮崎52号」が536キロ、「み系358」が629キロで、加工用米としても作付されている「夏の笑み」などの主食用米と比べ、それぞれ112%、127%と収量が多くなっております。 また、飼料用米は、総合農業試験場が「南海飼190号」を育成し、現在、令和5年産からの現地普及に向けた準備を進めております。 その収量は令和4年産では、10アール当たり874キロと、既に普及している「ミズホチカラ」と比べ108%と多くなっております。 ◆(山下博三議員) 課題の2つ目は、産地交付金の地域間格差であります。 最も単価の高い宮崎市は、10アール当たり1万7,000円、最も単価の安い木城町では1,500円、ちなみに都城市は1万5,000円であります。そもそも産地交付金の対象となっていない市町村は、綾町、小林市、高原町など9つの市町村・地域となっております。 先ほど確認しましたように、飼料用米の産地交付金が最も低い単価の場合、10アール当たり10万5,000円程度と、主食用米に比べると収入は多いものの、翌年度の準備をするなど再生産に向けた投資は厳しく、安定供給が見通せないのであります。 私は、本県水田を有効に活用して、畜産業の発展にも貢献するため、飼料用米をはじめとする主食用以外の米の生産・供給、利用体制を早急に確立すべきであると考えます。そのためには、一定規模以上で飼料用米や加工用米と麦・大豆などを組み合わせて作付する、大規模土地利用型農業経営体を育成することが急務でありますが、いかがお考えかお伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 御質問にありました、水田を有効に活用する大規模土地利用型経営体の育成は、県としましても、担い手の減少等による生産力の低下や産地縮小が懸念される中、耕種農家の産出額アップのためにも重要と考えており、その規模拡大を促進する事業や、その育成を加速化させる事業に取り組んでいるところです。 これらの取組においては、飼料用米等は露地野菜等に比べ収益が低いことや、今後の国の交付金の大幅な伸びが期待できない状況も踏まえ、本県の温暖な気象条件を生かして、水稲と冬場の麦を組み合わせた1年2作や、大豆を加えた2年3作を大規模に行うなど、畜産農家等の需要にも応じられるよう推進してまいります。 ◆(山下博三議員) 本県は、昭和32年からの防災営農計画で早期水稲を導入し、盆前に出荷が可能な新米「コシヒカリ」は、県外で有利販売されてきました。 しかしながら、30ヘクタールもの大規模経営体が単一品種を栽培することは、販路の確保や作業の効率化等の面から到底不可能であり、様々な用途に向けて作型や品種を組み合わせて栽培することで、いかにして労力の平準化や機械等の有効活用等を図るかが、もうかる経営の鍵になります。 大規模経営体を育成する中で、早場米として有利販売が困難な水田には、飼料用米等の主食用米以外の米を作付し、所得を確保・向上させるといった新たな発想が必要であります。また、大規模経営体が効率化のメリットを最大限に生かすためには、農地の基盤整備や集積が不可欠であります。 現在、水田の基盤整備計画の内容や整備目標はどうなっているのか、大規模経営体がそのメリットを最大限に生かして経営を維持するためには基盤整備をどう進めていくべきか、お伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 水田の基盤整備につきましては、大規模な圃場整備に加え、より簡素な手続で実施できる畦畔除去等による簡易な整備にも取り組んでおりますが、令和7年度までの725ヘクタールの整備目標に対して、令和4年度までに107ヘクタールの整備予定にとどまっており、今後、さらなる推進が必要と考えております。 また、大規模経営体が効率的な土地利用型営農を実現するためには、営農計画に基づくゾーニングや農地の集積・集約化が大変重要であります。 このため、県としましては、市町村や関係団体と連携し、地域との意見交換を積極的に進めながら、人・農地プランの法定化に伴う地域計画等を踏まえた基盤整備の推進に、スピード感を持って取り組んでまいります。 ◆(山下博三議員) 令和7年度までの整備目標は、僅か15%です。私は今日まで、稲作のコストを下げるためには、やはり農地の集積、基盤整備を進めるべきと訴えておりましたが、さらなる努力をお願いしておきたいと思います。 次に、飼料用米の需要は、本県においては児湯地域や西・北諸県地域、南那珂地域など隔たりがあるということから、経済連などに生産・需要の窓口を一本化して、効率的で円滑な県内流通体制を構築することが必要でありますが、どのようにお考えかお伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 本県の飼料用米の多くは、現在、同一地域内での耕種農家と畜産農家との需給のマッチングにより流通しています。 しかしながら、県内各地域においても飼料用米の需要に偏りがあるとともに、今後は、飼料用米の生産の増加も見込まれますことから、効率的で円滑な県内全域での流通体制を構築し、地域間の調整を行う必要があると考えております。 そのため、県としましては、関係機関・団体等と連携しながら、県全域での生産と需要の窓口を明確にするなど、県内での流通拡大に向けた体制の構築に取り組んでまいります。 ◆(山下博三議員) これまで、本県水田農業の現状と今後の方向について質問してまいりましたが、これらの課題を解決して、地域に暮らす農業者や農業所得を確保、向上する観点から、本県ならではの水田農業の在り方について、根本から見直すことが必要な時期に来ていると考えますが、知事の認識についてお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) これまで、本県の水田農業は、米と米以外の品目との複合経営農家に支えられ、コシヒカリの早場米や、日本を代表する良食味米でありますヒノヒカリの産地を確立してまいりました。 近年、主食用米の国内需要の減少や、昨今の国際情勢等を背景としました飼料用米や麦等の需要の高まり、担い手の減少など、その取り巻く環境が大きく変化してきております。 このような中、本県の水田農業を維持・発展させていくためには、全国屈指の畜産業や焼酎醸造業など、本県ならではの需要に応じた多様な米の生産や、畜産農家との連携によります稲わらや堆肥の循環、さらには、米に麦などの冬作物を組み合わせて水田をフル活用する大規模な担い手の育成等の取組が、今後ますます重要になるものと考えております。 このような取組を通じて、若者が夢を持てる新たな水田農業の確立を目指してまいります。 ◆(山下博三議員) 江戸時代の俳人、松尾芭蕉が、「不易流行」という言葉を唱えております。 俳句の様式には、決して変わることのない不易性と、絶えず進展する流行性があり、その2つは根本的に一つであって、伝統を踏まえつつ、一方で新しいものを取り入れることが大切であると説いたものです。 全国有数の農業県である本県が、将来も変わることなくその地位を保つことができるよう、知事には本県水田農業の果断な改革をお願いして、次の質問に移ります。 森林行政についてお伺いしてまいります。 まず、外国資本による本県山林取得状況についてお伺いします。 今年9月20日から、重要土地等調査法の法律が施行されました。この法律は、外国資本による空港、自衛隊基地周辺の買収事案が懸念されており、有事の際に、思わぬ出来事の発生に不測を来さないための法律であります。 令和4年に林野庁が公表した資料の中に、国外居住者または外国法人による出資比率、または国外居住者の役員の比率が過半数を占める法人、つまり外資系企業による平成18年から令和3年までの買収事例266件、5,851ヘクタールとあります。 このような実情の中、本県において外資系企業による林地買収の事案はないのか、お伺いいたします。 ◎環境森林部長(河野譲二君) 本県において、外資系企業と思われる者による林地の買収は、平成27年6月に、宮崎市において2.56ヘクタールを取得された事案が1件と、令和元年7月に、延岡市において0.26ヘクタールを取得された事案が1件の、合わせて2件が判明しております。 これらの事案につきましては、森林法に基づく林地開発許可手続と、国土利用計画法に基づく届出により把握したもので、国の定期調査において報告しております。 ◆(山下博三議員) 私の地元で、外国資本による700ヘクタールに及ぶ山林の買収の実態がありました。このことは、地元住民をはじめ行政当局にも全く把握されておりません。 外国資本による水資源の山林買収の話は、北海道でのことだと思っておりましたが、こんな身近なところで起きていることとは予想だにしていなかったのです。 都城市における外国資本による林地買収について、県は把握しているのか、また林地買収に規制をかける手だてはないのか、お伺いいたします。 ◎環境森林部長(河野譲二君) 御質問のありました都城市の案件につきましては、届出がなく詳細を把握しておりませんので、速やかに情報収集を行ってまいります。 また、森林の土地売買につきましては、森林法や国土利用計画法等の規定により、市町村や県に届け出ることになっておりますが、これは、土地所有者の情報や土地の利用目的を把握することにより、適正な森林整備や土地の有効利用を図ることなどを目的としているため、これらの法令では、外国資本による林地の買収を規制することは難しいと考えております。 このため、県としましては、適正な森林整備・保全が図られるよう、引き続き、土地所有者の把握や林地開発許可制度等の適切な運用に努めるとともに、水源林の保全に向けた規制の在り方について、国と議論してまいります。 ◆(山下博三議員) 次に、教育委員会の所管する小中高の山林管理状況について、時間がなくなりましたけれども、教育長にお伺いさせていただきます。 私は都城農業高校在学中に、学校の教科の中で、学校の演習林に学校が所有している山小屋に、泊まりがけで実習に行っておりました。あれから50年以上がたち、管理状況がどうなっているのか、先日、母校の校長先生にお伺いいたしました。 学校要覧を見てみますと、大正15年当時の中郷村から―当時は都城農学校ですが―50ヘクタールを譲り受け今日に至っているが、長年の木材価格低迷の中、30数年、生徒による演習林としての活用はなされていないということでありました。 そこで、県立学校の演習林、分収林の面積、樹齢等についてお伺いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 農業の学びを行っている県立学校8校が保有している、かつて演習林実習を行っていた演習林につきましては、主に杉、ヒノキが植林されておりまして、令和4年9月末現在で、総計178.8ヘクタールの面積を有しております。 また、国有地で分収林契約を行い、伐採時に県の収入となります、いわゆる分収林につきましては、4校におきまして総計28.7ヘクタールの面積を有しております。 樹齢としましては、50年生以上のものが大半でありますが、中には樹齢100年を超えるものもございます。 ◆(山下博三議員) 小中学校の管理山林の状況についてお伺いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 小中学校の管理山林につきましては、公益社団法人国土緑化推進機構が5年ごとに調査集計している学校林現況調査によりますと、県内小中学校の学校林は、令和3年度末現在で、101校において総計383ヘクタールが管理されていると報告されております。 ◆(山下博三議員) 今の答弁では、県内の農業系県立学校8校で演習林178ヘクタール、分収林28ヘクタール、小中学校の管理山林で、101校で383ヘクタール、合計590ヘクタールになろうかと思います。 県立学校では門川高校が唯一、林業の科目に取り組まれておるようですが、今後の学校の演習林等の活用状況についてお伺いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 議員御指摘のとおり、現在、県立学校において演習林を活用しておりますのは、門川高校のみであります。 演習林は、先人の努力によって適切に維持管理されてきた貴重な宝であり、伐採、植林を繰り返しながら、次の世代に向けて循環的に活用していく必要があると考えております。 閉校になった日南農林高校の演習林につきましては、段階的に売却を進めておりまして、新たな管理者へ引き継がれているところであります。 一方で、活用されていない演習林の在り方につきましては、新たに審議の場を設け、関係部局と協議しながら、J-クレジット等の企業と連携した森林教育の在り方も念頭に、具体的な活用方法の検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 最後の質問になります。 学校と民間企業、例えばバイオ発電業界や、今日、カーボンニュートラル、ゼロカーボンが求められる中、J-クレジット制度、森林環境税等を使った地域に根差した民間企業との連携の下、どのような林業教育に取り組んでいかれるのかお伺いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 現在は、農業を学ぶ全ての高校で、農業の基礎科目であります「農業と環境」におきまして、森林の多面的機能や山林トラストに関する幅広い学習を行っております。 林業後継者の育成につきましては、関係機関や林業大学校とも一層の連携を図り、学校現場でも宮崎の林業の魅力を伝える機会を充実させ、次世代の宮崎の林業を担う人材育成に努めてまいります。 また今後、より多くの生徒に、地球規模で問題となっております温暖化対策としての森林の役割や森林保全の重要性についても、しっかりと学習させていきたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 今回、学校林の管理状況等についても、執行部の皆さん方とかなり議論をさせていただきました。 教職の皆さん方は、なかなか理解されないんです、山のことを。今、時代が求めておるわけですから、ぜひ地域との連携の下に、売るのか、お互いに山の教育をしていくのか、その辺も十分協議していただきますようお願い申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(二見康之) 次は、安田厚生議員。 ◆(安田厚生議員) 〔登壇〕(拍手) 自由民主党、安田厚生でございます。9月に上陸した台風第14号が県内各所に大きな爪痕を残しました。台風により被害を受けられた皆様方に、心からお見舞い申し上げます。 台風通過後、東臼杵郡内を回り被害状況を確認いたしました。土砂災害や浸水被害、国道・県道の崩落など、今回の災害による被害は極めて甚大であります。一日も早い復旧・復興が必要であります。 県議会の果たす役割は非常に大きなものと考えております。地域の課題を県政に届けることが私の仕事だと考えております。よろしくお願い申し上げます。 それでは、通告に従いまして質問させていただきます。 知事は、口蹄疫からの復興、鳥インフルエンザ、新燃岳の噴火など、県内で相次いだ災害を乗り越えてきました。近年では、新型コロナウイルス感染症対策や、9月の台風第14号災害で被災された県北地域の道路インフラ整備が喫緊の課題であります。 まず、台風第14号災害からの復旧・復興にかける知事の思いをお伺いいたします。 以上、壇上からの質問とし、以下の質問は質問者席から行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。 本県に甚大な被害をもたらした台風の襲来から2か月余りが経過しました。3名の貴い命が奪われる人的被害をはじめ、土木・農業関係被害などの総額が713億円に上り、平成以降では平成17年台風第14号に次ぐ2番目の規模となっております。被害に遭われた皆様に改めてお見舞いを申し上げます。 私も台風通過直後から県内各地の被災地に赴き現場を目の当たりにし、被災された皆様の生の声を聞いて、改めて災害の傷痕の深刻さを実感したところであります。何としても県民の命や暮らしを守らなければならない、そして早期の復旧に努めてまいらなければならない、そのように考えております。 こうした強い覚悟の下、機会を捉えて国への要望を重ね、激甚災害の早期指定や、本県で初となります権限代行の決定につなげることができ、県としましても、迅速な予算措置を行うなどの対策を講じてきたところであります。 被害に遭われた県民の皆様が、一日も早く元の暮らしを、そして日常を取り戻していただくことができるよう、これまで様々な危機事象を乗り越えてきた経験や、国とのネットワークというものをフルに活用して、また市町村や関係団体と連携しながら、復旧・復興に全力で取り組んでまいります。以上であります。〔降壇〕 ◆(安田厚生議員) ありがとうございます。私も台風通過後に東臼杵郡内を回りまして、甚大な被害が大変多かったなと思ったところであります。 その中で、なかなかクローズアップされない地域の建設業は、災害が発生すればいち早く現場に駆けつけ、最前線で復旧活動に従事する、いわゆる「地域の守り手」として重要な役割を担っています。また、地元の消防団は、「自分たちのまちは自分たちで守る」という使命感の下、消防団員も地域の守り手として幅広い活動をしています。 建設業の皆様の迅速な対応により、復旧作業が着々と進んでいるところであります。御尽力いただいている関係者の皆様にお礼を申し上げます。ありがとうございました。 今回の台風では、中山間地域で数多くの道路が寸断され、住民の生活を直撃いたしました。特に被害の大きかった国道327号は、日向市と椎葉村を結ぶ唯一の道路であります。地域経済を支える重要な幹線道路でありますが、台風第14号の影響により、大規模な道路の決壊が発生しており、諸塚村七ツ山と椎葉村松尾の2か所において全面通行止めとなっております。 また、県道上椎葉湯前線は、椎葉村中心部から熊本県水上村を結ぶ、住民生活に欠かせない道路でありますが、椎葉村不土野の県境付近の4か所においても同様に道路が決壊しております。 全面通行止めとなっている今回の被害については、国の災害復旧事業により復旧を行うことになると思いますが、この通行止め箇所の復旧状況について、県土整備部長にお伺いいたします。 ◎県土整備部長(西田員敏君) まず、国道327号の諸塚村七ツ山地区につきましては、県の災害復旧事業では初めて、国の権限代行により仮橋による応急工事を実施していただくことになり、現在、工事着手に向けた準備を進めていると伺っております。 また、椎葉村松尾地区については、災害査定前に復旧工事に着手できるよう、測量、設計を実施し、現在、国との協議を進めているところであります。 次に、県道上椎葉湯前線の不土野地区については、今月、3か所の災害査定が終了し、復旧工事に着手いたしました。被害の最も大きかった1か所については、まずは早期に通行ができるよう、現在、応急工事の設計を行っているところであります。 両路線とも住民生活や地域経済を支える重要な道路でありますので、引き続き、早期復旧に向けて全力で取り組んでまいります。 ◆(安田厚生議員) 復旧工事は災害の年を含めて3年以内で終わらせることが原則であることを踏まえ、県としても、一日も早い復旧に全力で取り組むとともに、今まで以上に強靱な国道・県道を整備し、復旧できるようお願い申し上げます。 次に、美郷町和田地区では耳川が増水し、川沿いの地域で浸水被害が起こりました。被災された方々は、「家の畳や生活品など全部駄目になった。元の生活に戻れるのはいつになるだろうか」とおっしゃっていました。 地域の方や地元の消防団など、共同で床を上げ、土砂の撤去、洗浄や床下の消毒など大変な作業をされていました。 和田地区の住民の方々は、「和田地区被災者の会」を立ち上げ、宅地のかさ上げなどを関係機関へ働きかけるよう要望書を提出したところであります。 この地区では、平成17年の台風でも大規模な浸水被害を受けていますが、その後、耳川の堤防の整備や周辺のかさ上げなどは行われておりません。地元の方は、「生まれ育った土地で暮らしたいが、また被災したらどうしよう―中には今回で4回目の浸水被害に遭った人もいます―行政は何もしてくれない」と肩を落としている方もいました。 地球温暖化の影響で、今後も猛烈な台風が本県を襲う可能性は十分に考えられます。耳川和田地区の浸水対策に今後どのように取り組んでいくのか、県土整備部長にお伺いいたします。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 耳川につきましては、平成11年度より、耳川河口から日向市東郷町の八重原橋付近までの約18キロメートル区間において、河川整備を進めております。 美郷町の和田地区につきましては、これまでに、河川の掘削を実施してまいりましたが、今回の台風第14号に伴う豪雨により耳川の水位が上昇し、浸水被害が発生したところであります。 このため、浸水状況調査を実施し、現在、測量を行っているほか、地元の皆様や県、美郷町、耳川にダムを所有する九州電力が一堂に会し、本日、浸水被害に関する意見交換を行ったところであります。 今後、まずは今回の出水で河川に堆積した土砂の除去を早期に行うとともに、和田地区の抜本的な浸水対策については、地元の皆様の御意見を十分伺い、国とも協議しながら、しっかりと前に進めてまいります。 ◆(安田厚生議員) 今日、意見交換を行うということで、私も今日の夕方に電話してみようかなと思っているところであります。 激甚化する水害対策を軸に、国土強靱化を計画どおりに遂行することや、期間終了後も必要な対策が講じられるよう、防災・減災、国土強靱化のさらなる推進をお願いいたします。 美郷町南郷区北又江の原では、県の治山事業の残土による盛土が崩れました。発生した土石流では、人的被害こそなかったものの、収穫目前の稲を刈り取ることができないなどの状況が生まれました。 今回の土砂の流出があった美郷町の残土処理場の崩壊について、県はどのような対応を行っていくのか、環境森林部長にお伺いいたします。 ◎環境森林部長(河野譲二君) 美郷町の残土処理場につきましては、近隣の治山工事で発生した4万2,500立方メートルの土砂を処理したものでありますが、今回の台風第14号豪雨により、その一部が崩壊し、下流にある治山ダムを押し流し、さらに下流の水田や農道等へ約3,000立方メートルの土砂や流木が流入したものであります。 このため、まずは、水田等に流入した土砂等について、来年の稲作に影響が出ないよう、県の単独事業により撤去するとともに、被災した治山ダムについても、国の災害復旧事業により復旧することとしております。 また、残土処理場については、今月4日に設置しました「林地及び林道災害原因究明調査検討委員会」において、被災原因等を特定するとともに、復旧に向けた設計の助言等をいただき、可能な限り早期に復旧してまいります。 ◆(安田厚生議員) 今回の崩壊の要因について、報道では、大雨によって地下水が増え、盛土部分を含めた斜面が不安定になり崩壊したのではないかとの見方を示しています。私も台風の2日後に現場に行きましたけれども、水分を大変多く含んだ土砂でありました。 委員会で原因の特定・分析を行った上で、早期復旧に向けて関係町村と協議をしていただきたいと思います。 次に、フェーズフリーについてお伺いいたします。 フェーズフリーは、日常の価値と非常時の価値の両方を高めようとするものであります。フェーズフリーのものを購入したり、使用したり、サービスを利用することで、自然に防災に参加して、結果として防災力を高めることにつながります。 日常の暮らしと災害が起きたときの非常時を区別しないという考えでもあることから、県が進める防災の日常化につながるものではないかと考えております。 県の防災・減災行政において、防災の日常化につなげる対策を推進していくことが重要であります。 防災の新しい概念であるフェーズフリーについて、県はどのように考えているのか、危機管理統括監にお伺いいたします。 ◎危機管理統括監(横山直樹君) 平常時と災害時の2つのフェーズの区別を取り払う「フェーズフリー」は、日常使用しているものを災害のときにも活用するなど、アイデアの力で防災力の向上を図ることができる新しい概念でございます。 これまで県では、災害時に備えて、レトルト食品などふだん使っているものを多めにストックし、使った分を補充するローリングストック法や、アウトドア用のカセットコンロやLEDライトを日常にも活用することを紹介しておりますが、これもフェーズフリーと言えるものであります。 今後、ホームページやSNSなど様々な広報媒体を活用しながら、フェーズフリーによる災害への備えが県民に浸透するよう努めてまいります。 ◆(安田厚生議員) 防災が特別なものではなく、日常生活に当たり前のように溶け込んでいく、日々の生活の中で県民の皆さんの防災力向上につながることを期待いたします。 今回の台風で、山林から流れ出した大量の流木が海岸に漂着したり河川にとどまったりと、市町村は処理に苦慮しています。 流木を放置すると、沖合に流れて船舶の航行を妨げたり、底引き網漁の網を傷つけるなど漁業への影響も生じます。 流木の処理については、流木を空き地に仮置きして、雨水にさらして塩分を抜いた後、一般廃棄物の処理場で処分されますが、甚大な費用がかかるようです。 9月の台風第14号により、河川やダム、海岸等に大量の流木が発生いたしました。10月に開催された宮崎県素連創立30周年記念の情報交換会の中で、災害被災木として森林外に流れ出した場合のバイオマス発電への利用についても話がありました。流木もバイオマス発電の燃料として利用できるのであれば、適正に利用すべきだと考えます。 そこで、台風等で発生した流木の木質バイオマス発電への利用状況について、環境森林部長にお伺いいたします。 ◎環境森林部長(河野譲二君) 台風等で河川や海岸等に漂着した流木は、塩分や泥等の付着により、燃焼炉等を傷めるおそれがあることから、木質バイオマス発電での利用は敬遠されておりますが、回収後に塩抜き等が行われたものであれば、受け入れる施設はあると伺っております。 また、木材価格の上昇により原料調達が厳しくなっていることなどから、塩分が付着したまま受け入れる施設も出てきております。 木質バイオマス発電では、流木であることの証明を受けて利用することで、建設資材廃棄物を原料とするより高い単価で売電ができるなどのメリットもありますので、その活用が図られるよう、引き続き、市町村や河川・海岸等の管理者などに対して、受入れ施設等の情報提供を行ってまいります。 ◆(安田厚生議員) ありがとうございます。流木がバイオマス燃料として活用できれば、各市町村や漁業関係者の負担も軽減できると思いますので、流木を有効活用していただけるよう情報提供をお願いいたします。 台風第14号が県内に最接近した9月18日、自宅においてパソコン2台で河川を監視できるよう、門川町と入郷地域8か所をいつでも監視できる状態で一夜を過ごしました。これから台風が最接近するというときに、夜間照明がないので、全く監視することができませんでした。河川の状況を見て避難する県民の方もいると思います。 そこで、台風など大雨のときに、河川監視カメラにある照明を点灯することはできないのか、県土整備部長にお伺いいたします。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 県では、住民の避難行動の目安となる河川の水位や雨量の情報とともに、カメラ画像もインターネット等を通じて提供しております。 河川監視カメラにつきましては、県内に147か所設置しており、照明機能を有するものが63か所、ズーム機能や照明をなくすことにより、低コストで設置できる簡易型監視カメラが84か所ございます。 現在、照明の点灯につきましては、周辺の住家や田畑などへの影響も懸念されることから、夜間に水位が上昇したときなどに、職員が河川の状況を確認するときにのみ行っております。 議員御指摘のとおり、一部で夜間の画像が見えにくい状況にありますので、照明機能を有する河川監視カメラについて、関係者や地元の御意見を伺いながら、台風などの大雨時の点灯について検討してまいります。 ◆(安田厚生議員) 河川カメラを見て避難する判断をしている方も多いようでありますので、台風や大雨のときにライトの点灯をお願いいたします。 小学生が津波から安全に避難するための地図作りをしているテレビを拝見いたしました。実用的な地図にするため、「逃げトレ」というアプリを使い、地域安全マップを作っていました。地震で津波が発生し避難する際、学校の周辺にどのような危険が潜んでいるのかをまとめた地図でありました。 また、そのアプリは、南海トラフ巨大地震で津波が発生した場合、自分が今いる場所にどのくらいの時間で津波が来るかが分かるようになっています。学校で実施する避難訓練や防災訓練に対して、市町村の防災や危機管理の担当者、地域防災の専門家などから評価を受けることも必要ではないかなと思っているところであります。過去に発生した自然災害の実情や教訓を、今の子供たちにしっかりと伝えてほしいと思います。 来年は関東大震災の発生から100年を迎えますが、学校における防災教育の取組について教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 防災教育には、防災に関する理解や、危険への主体的な行動、自他の生命尊重などの狙いがあります。 そのため各学校では、校区内の危険箇所を子供ならではの視点で確認した安全マップの作成や、地域住民や校種を超えた協働による避難訓練を実施したりするなどしております。 また、デジタル技術を駆使した防災教育として、例えば、佐土原高校でGPSを活用したスマートフォン向け防災アプリを独自に開発したり、五ヶ瀬中等教育学校では、GISを活用した避難経路についての学習をするなどの先進的な取組も見られております。 ◆(安田厚生議員) ありがとうございます。私も佐土原高校の防災アプリを入れました。今後、活用していきたいと思っております。 また、小学校・中学校では、タブレットを使った授業で防災教育を図っていただきたいと思います。中学生や高校生には、高齢者や障がい者など、いわゆる災害弱者とされる人たちに、支援者として手を差し伸べることの大切さを指導してほしいと思います。 災害時に、携帯電話といった情報通信サービスが利用できない場合があります。学校では、通信手段が絶たれた家庭への連絡方法の指導はどのようになされているのか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 学校におきましては、家庭と連絡が取れなくなった場合を想定し、児童生徒に対して、避難場所を事前に家族で話し合い決めておくことを指導したり、家族の安否確認を行うための方法として、災害用伝言ダイヤルや災害用伝言板があることを学ばせております。 さらに、学校での災害発生に備え、確実に保護者に児童生徒を引き渡すための訓練を実施しております。 自然災害は、いつどこで起こるか分からないことを前提に、日頃より家庭や地域と連携し、児童生徒の安心・安全の確保に向けた指導の充実に一層取り組んでまいります。 ◆(安田厚生議員) いわゆる災害用伝言ダイヤルを学ばせているということでありますので、ぜひお願いします。 地震が起きたとき、一般電話回線よりもつながりやすく無料で使える公衆電話は、避難所に指定されている学校や行政施設に置かれています。公衆電話の使い方を知らない子供も多いようでありますので、その使い方を教える防災教育も必要になると思いますので、よろしくお願いいたします。 災害が起きたとき、高齢者や障がい者といった災害弱者が逃げ遅れて犠牲になる状況を受け、昨年5月の災害対策基本法改正で、個別避難計画の作成が市町村の努力義務とされました。災害時に自分で逃げることが難しい高齢者や障がい者の避難手順を決めておく個別避難計画の作成の現状について、危機管理統括監にお伺いいたします。 ◎危機管理統括監(横山直樹君) 避難行動要支援者ごとの避難計画を定める個別避難計画は、令和4年7月1日現在で、一部の要支援者分について作成済みが14市町村、今年度中に着手予定が8市町村、次年度以降に着手予定が4町となっております。 県では、速やかな計画作成を後押しするため、昨年度、市町村職員や避難の支援者となるケアマネジャー、防災士、自治会役員などを対象に3回の研修会を実施しており、今年度も来年1月に開催を予定しております。 また、実際の避難では地域住民の理解と協力が不可欠でありますことから、県民に対し制度の周知に努めてまいります。 ◆(安田厚生議員) 独り暮らしの高齢者が増える一方で、地域のつながりは弱まっています。犠牲者を減らすためには具体的な避難計画が必要です。作成がゴールではなく、訓練を通じて絶えず見直すことも求められていますので、個別避難計画を進めていただきたいと思います。 本県において津波への備えは喫緊の課題であります。想定される被害については、甚大なものになると予測されております。 津波到達までに数分もかからない地域もあり、高齢者や障がい者など、高台まで走って逃げることが困難な方もおられます。津波避難タワーが設置されていない地域において、住民から避難タワー設置の要望がありますが、県としてどのように考えているのか、危機管理統括監にお伺いいたします。 ◎危機管理統括監(横山直樹君) 津波避難タワーや盛土高台などの津波避難施設は、津波による浸水が想定され、津波の到達予想時間までに住民等が安全な場所に避難することが困難な地域に、これまで26施設が整備されております。 議員御指摘のような住民からの声があるとは伺っておりますけれども、県としましては、沿岸市町に対し、地域での避難訓練を繰り返し行い、安全かつ迅速に全員が確実に避難できるか検証するよう求めているところであり、新たな津波避難タワーの設置につきましては、その結果を踏まえながら、地元市町と協議してまいります。 ◆(安田厚生議員) 大震災が発生した際、どこに逃げるか分からず、混乱する住民もいると思います。自治体が避難計画を整えておくことはもちろん、住民側も避難場所や経路を家族と事前に確認しておくことが大事であります。 私は、1人でも助かる命があれば、避難タワーは必要だと考えております。今後、避難タワーの設置が望ましい地域に、県のほうからアプローチしてほしいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。 次に質問いたします。国道・県道に、沿道の樹木等の管理が適正にされていない箇所があります。道路に張り出した枝に車が接触することや、道路側への倒木により自動車が通行できなくなることもあります。 これらが原因で自動車や歩行者等に事故が発生すると、樹木の所有者が責任を問われることがあります。 県が管理する道路に張り出した樹木の対応状況について、県土整備部長にお伺いいたします。 ◎県土整備部長(西田員敏君) 県が管理する道路については、道路利用者の安全かつ円滑な交通を確保するため、日常の道路パトロールなどにより状況の把握を行い、必要に応じて応急措置の作業を行っております。 道路に張り出した樹木についても、道路パトロールなどにおいて確認しており、車両通行の支障となる場合は、緊急の措置として枝の剪定などを実施しております。 また、老木化等により樹木の枝が落下したり、倒木による管理瑕疵事故が増加傾向にありますことから、道路パトロールに加え、主要な路線や倒木が懸念される路線については、昨年度から樹木等に着目した定期点検を実施し、緊急の処置や、所有者に対して伐採を要請するなど、必要な対応を取っているところであります。 県としましては、引き続き、道路パトロールや定期点検を通じて、適切な道路管理を行ってまいります。 ◆(安田厚生議員) 国道388号とか327号とか、そういうところを通りますと、樹木がちょうどこういう形になっていまして、トラックがうまく通るように剪定をしてくれているのかなと思っているところであります。自動車等の安全確保と道路の快適な利用のため、適正な管理をお願いいたします。 次に、持続可能な林業についてお伺いいたします。 宮崎県の面積の76%が森林です。ウッドショックに対応できる国産材の安定供給体制の確立を目指すなど、持続可能な森林づくりを進めることが大事であります。 入郷地域の再造林率は9割を超える状況であります。宮崎県の伐採跡地の7割以上で再造林が実現しているとのことでありますが、県は、持続可能な林業を確立するため、再造林にどのように取り組んでいるのか、環境森林部長にお伺いいたします。 ◎環境森林部長(河野譲二君) 県では、速やかな再造林に対し、森林環境税を活用した上乗せ補助を行うなど、森林所有者の負担軽減を図るとともに、伐採と再造林の一貫作業の実施促進に加え、ドローンによる苗木運搬や、自走式刈払機を用いた下刈りなど、再造林の省力化・低コスト化につながる実証事業に取り組んでいるところであり、林業イノベーションを進めてまいります。 また、再造林に必要となる、年間を通じて植栽可能なコンテナ苗による優良苗木の安定供給体制を構築してまいりたいと考えております。 今後とも、森林所有者に対し、座談会等を通じて再造林に対する意識の醸成を図るとともに、市町村や森林組合等と連携し、再造林対策にしっかりと取り組んでまいります。 ◆(安田厚生議員) 入郷地域では95%以上の再造林が行われているのです。ほかの地域でも、さらなる再造林を進めていただきたいと思っております。 次に、商工会の事務局体制強化についてお伺いいたします。 新型コロナウイルス感染症で、商工会が地域密着型の支援機関として地域で見直されています。県が定める商工会の事務局長設置基準に満たない商工会には、事務局体制強化事業で地域振興コーディネーターを設置いただいております。この地域振興コーディネーターについては、令和4年度までの事業となっていますが、令和5年度以降も継続できないのか、商工観光労働部長にお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 商工会の果たす役割は、地域の事業者の支援機関としてだけではなく、地域振興の担い手となるなど幅広く、その体制強化が大変重要でありますことから、商工会事務局体制強化事業によりまして、市町村と連携して、現在、11の商工会に地域振興コーディネーターを設置しているところでございます。 地域振興コーディネーターが設置された商工会からは、市町村をはじめとした関係機関との連携が強化されたことや、事業者に対して、より細やかな支援ができるようになったことなどを伺っており、このような実績等を踏まえた上で、令和5年度以降の事業の在り方について、市町村とも協議しながら検討を進めております。 ◆(安田厚生議員) 部長も商工会との意見交換会に出席した際、多くの商工会の会長から事務局長の設置の要望がありました。 特に、地域振興コーディネーター設置の継続をお願いされたと思います。2か年の計画ではなくて、5年ぐらいの長期の計画でコーディネーターの設置をお願いしたいと思います。できれば、全商工会に事務局長の設置をお願いしたいということです。 次に、人口減少についてお伺いいたします。 出生率の減少には生活の変化が挙げられます。価値観が多様化し、現代では結婚観が薄れ、晩婚、未婚の方が増えています。また、子供を持つことにこだわらないカップルも増えているようです。 加えて、経済的な理由や育児環境への不安も考えられます。特に、仕事や育児の両立ができる社会環境が十分と言えないことには注目すべきだと思います。 少子化を止めるには、若い方、特に女性の働き方改革が重要で、企業も当事者も意識を持つことが大事であります。産休・育休が実際に取得できる職場環境や、親が残業をせずに定時に保育園に迎えに行けるような時短勤務制度を積極的に利用するなど、仕事と育児の両立が大事であります。 子育てしやすい職場環境づくりの推進に向けた県の取組について、商工観光労働部長にお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 子育てをしながら安心して働き続けていくためには、育児休業の取得促進をはじめ、仕事と生活が両立できる職場環境づくりが重要でございます。 このため県では、企業のトップに、働きやすい職場づくりの取組を宣言してもらう「仕事と生活の両立応援宣言」や、ワーク・ライフ・バランスの推進に積極的な企業を認証する「働きやすい職場「ひなたの極」認証制度」を実施しており、多くの企業等に、子育てのしやすい職場環境づくりに取り組んでいただいております。 また、10月からは、男性の育児参加の促進を図るための「産後パパ育休」がスタートしたことから、宮崎労働局と連携し、広報紙等で周知を行っているところであり、これらの取組の普及、定着を図りながら、引き続き、県内企業の子育てしやすい職場環境づくりを進めてまいります。 ◆(安田厚生議員) 少子化の要因の一つは、仕事と子育ての両立が困難なため、若い世代が子供を持つことを経済的リスクと考え、不安に思っていることであります。妊娠・出産・育児を通じて切れ目なく、必要な社会的支援が提供される制度を構築することが課題だと思います。 子育てしやすい職場環境をつくることは、従業員だけではなく、企業全体にとっても利点がありますので、その推進をお願いいたします。 近くの高齢者から相談を受けました。その方が病気になったり、亡くなったりした場合のお葬式、お墓、家などの相続についての相談でありました。 独り暮らしの高齢者は、経済的にも厳しく、自分の死に不安を感じる人が多くなったことは事実であります。自分の死について考える必要があるため、とっさに避けたいと感じる人もいます。 終活が一般的に浸透し始め、自治体でも終活支援を行うようになってきました。身寄りのない高齢者に対する終活への支援の実施状況について、福祉保健部長にお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 高齢化の進展に伴い、独り暮らしの高齢者は年々増加しており、親族や身近に頼れる人がいない場合でも、医療や介護、葬儀、相続等に関し、できる限り不安を持たずに終末期を迎えられることが大事だと思っております。 県内におきましては、宮崎県社会福祉協議会が終活支援の検討に取り組んでおりまして、市町村や市町村社会福祉協議会の職員を対象とした研修会の開催のほか、高鍋町社会福祉協議会と合同で研究会を立ち上げ、事業実施に当たっての課題の整理を行っていると伺っているところです。 県といたしましては、県社協での検討状況や他県での事例等を参考にしながら、支援の在り方を研究してまいります。 ◆(安田厚生議員) 独り暮らしの高齢者が年々増加しています。老後の問題や亡くなった後の手続を任せる人がいないと悩んでいる方もいらっしゃいます。 自身の老後や亡くなった後のことについて準備しておく終活について、地域の支援ができると思いますので、前向きに御検討をお願いいたします。 次に、医療MaaSの取組についてお伺いいたします。 中山間地域において、過疎、少子高齢化、それに伴う医者不足は喫緊の課題であります。 先月、医療MaaS実証実験を行っている三重県多気町を調査いたしました。実験では、血圧計や聴診器、心電図などの測定機器や大型モニターを搭載し様々な用途に使える車両に、看護師を乗せて患者の自宅まで出向き、車内で、保健指導や健康相談、医師によるオンライン診察などを実施しています。 医療MaaSが実用化されれば、医師が遠隔地から診察を行うことが可能になり、中山間地域での医療問題を解決していくと考えられます。 そこで、看護師等が自宅等に出向き、車内で遠隔地にいる医師のオンライン診療を受けることができる医療MaaSの導入について、県の考え方を福祉保健部長にお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 医療MaaSは、医療機器などを搭載した車両で看護師等が患者の自宅等に出向き、患者は車内で遠隔地にいる医師による診察を受け、看護師から処置や検査などを受けることができるもので、複数の自治体で実証実験などの取組が進められております。 このような取組は、医師不足や地域偏在といった課題があり、また中山間地域を多く抱える本県の課題解消の有効な手段の一つになり得ますので、他の自治体の動向を注視しながら、必要な検討を行ってまいります。 ◆(安田厚生議員) 医療MaaSが過疎地域の問題を解消すると期待していますので、御検討のほどよろしくお願いいたします。 次に、骨髄移植等により免疫が低下した子供への予防接種再接種への支援についてお伺いいたします。 これまでにも何人かの議員から質問があったところでございますが、子供ががん治療で骨髄移植を受けると、定期接種のワクチンで得た効果が低下したり、抗体を消失することにより、再接種が必要となる場合があります。しかし、ワクチンの再接種は定期予防接種の対象とならず、再接種費用は全額自己負担となるため高額になり、保護者の経済的負担が大きくなっています。 予防接種の実施主体は市町村ではありますが、県が市町村への助成制度を整えることで、この再接種費用の助成を実施する市町村が増えると思われます。 そこで、骨髄移植等により予防接種で得た免疫が低下した子供への再接種費用の助成について、県としての考えを福祉保健部長にお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 議員の御質問にありましたように、骨髄移植は、治療経過において移植前の血液細胞を根絶するため、過去に行った予防接種の効果も消失すると言われており、関係学会におきましても、感染症の発症予防や症状軽減の観点から、再接種が推奨されているところであります。 一方で、再接種には多額の費用が必要となることから、保護者の経済的負担が大きいと考えております。 このため、実施主体となる市町村の意見を聞きながら、接種費用の助成について検討を進めているところであります。 ◆(安田厚生議員) ありがとうございます。抗体消失に対するワクチンの再接種は、あくまでも任意との位置づけになってしまい、費用は全て自己負担になっています。手術や入院に伴う経済的負担が大きい家庭は、さらに負担を強いられています。 経済的な理由によって再接種を受けられないことは、あってはならないと思っていました。今回、接種費用の助成事業について検討を進めているとの答弁をいただき、うれしく思います。各市町村と連携を図りながら、保護者の経済的な支援ができますよう、お願いいたします。 次に、本県の個人情報保護制度についてお伺いいたします。 来年から、法律に基づく国の制度に移行するとのことですが、どのように変わるのか、総務部長にお伺いいたします。 ◎総務部長(渡辺善敬君) 本県では、個人情報保護条例に基づき、個人情報の適正な取扱いに関するルールを定めまして、県政の円滑な運営を図りつつ、個人の権利利益の保護に努めております。 例えば、個人情報を取り扱う事務を委託する際には、秘密の保持や目的外利用の禁止などを特記事項として契約書に明示し、事業者に遵守させることとしております。 また、個人情報保護制度につきましては、御質問にありましたとおり、令和5年4月から、法に基づく全国共通の制度となりまして、施行に必要な開示請求手数料等の手続を規定するため、個人情報保護条例の改正を今議会でお願いしているところでございますが、個人情報の定義や取扱いなどに大きな制度変更はないものとなっております。 ◆(安田厚生議員) デジタル化に対応した個人情報の取扱いに対する社会の関心も高まっているところであります。 大きな制度の変更はないようでございますが、民間保有の情報についても、顧客データの流出防止、行政機関以外が保有する個人情報の保護が必要になります。県においても慎重な取扱いをお願いいたします。 次に、農畜産物のPRについてお伺いいたします。 9月に、農業者と意見交換を行いました。そのときに出されたのは、県に農産物のPRをもっとしてほしいとのことでありました。 農産物のPRを行うことにより、認知度が高まることや、生産者の生産意欲も向上いたします。このように農産物は、需要の拡大に加え、生産者は誇りを持って積極的に生産に取り組むことができるなど、本県農業の発展に向けて大きな効果が見込まれているところであります。 そこで、県産農畜産物について、知事にもっと先頭に立ってPRしていただきたいと思いますが、その思い、取組について知事にお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 本県農畜産物のPRにつきましては、私自身、これまで様々な機会を捉えて取り組んできたところであります。今後とも積極的に取り組んでまいりたい、そのように考えておりますが、それに加えて、様々なネットワークを持っている方々との連携でPRを図っていく、これも非常に重要な取組だと考えております。 これまで具体的には、大都市圏での量販店フェアやスポーツキャンプ、大相撲など、県内外に赴いて、安全・安心でおいしい本県農畜産物の魅力発信に努めてまいりました。 また、海外ではイタリア・ミラノ万博でありますとか、アメリカ、台湾、ブラジルなど、様々な場面で宮崎牛などのPRに努めました。それに加えて、海外の様々な関係者とのネットワークを活用することによって、アカデミー賞のパーティーだとか、マスターズのチャンピオンズディナーでの宮崎牛の提供だとか、ジェトロと連携した焼酎の海外へのプロモーション、そのような取組を進めてきたところであります。 おかげさまで今、10年連続で農畜水産物の輸出が右肩上がりで伸びているというような状況にもなっております。 先般の全国和牛能力共進会においては、史上初となる4大会連続の内閣総理大臣賞を―日本一おいしい宮崎牛、日本一おいしい和牛ということは、世界一おいしい和牛を我々は手に入れたということでありますので、特に世界も意識しながら、農畜水産物をPRする絶好の機会と考えております。 来年2月のWBC日本代表侍ジャパンの宮崎合宿、4月のG7宮崎農業大臣会合、さらには、10月の宮崎県人会世界大会ということで、国内外に向けて本県の食の魅力を発信することができる貴重な機会というものに恵まれております。 これらの機会を十分に生かしながら、私自らが先頭に立って、本県農畜産物のPRをさらに積極的に行っていく。そして、県人会の世界大会を行うことの意味は、国内外におけるさらなる情報発信のネットワークを強化するということでございまして、こうしたことも十分に活用してまいりたいと考えております。 ◆(安田厚生議員) ありがとうございます。県民の方が県産農畜産物の魅力を知り、楽しみながら食べてもらうことが必要だと考えております。また、国内外にもブランド化された農畜産物のPRをしていただき、来年、WBCの日本代表の合宿やG7宮崎農業大臣会合では、宮崎県の農畜産物のPRをするチャンスだと思いますので、知事にしっかりとPRをもっともっとしてほしいと思いますので、よろしくお願いいたします。 次に、Fresh Logi(フレッシュロジ)についてお伺いいたします。 宮崎の魅力ある農産物のブランド価値や、お客様の信頼を確保するためには、鮮度や品質を損なわずに届けることが大事であります。産地が果たすべき重要な責任であると考えております。 そのような中、旭化成株式会社が農産物の鮮度保持輸送を低コストに実現できる「Fresh Logi」を開発されたと聞いております。 Fresh Logiは、旭化成が持つ高機能断熱材を活用した密閉性の高い箱に農産物を入れて輸送するもので、冷蔵設備や電源がなくても、鮮度を一定期間保持できることから、農産物の品質低下を防ぐことができます。また、食品ロスの低減や効率的で環境に優しい輸送方法の実現にもつながる新しい技術として、本県でも活用できないかと期待しているところであります。 そこで、Fresh Logiなどの革新的な技術を使った輸送体系の実証試験の実施について、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 大消費地から遠い本県にとって、農産物の鮮度を維持しながら効率的に輸送することは、大変重要であります。 このため、県と関係団体等で構成する「みやざき農の物流DX推進協議会」では、農産物輸送をめぐる課題解決に向けて、ICT技術の活用や共同輸送等の実証に取り組んでいるところです。 御紹介のありましたFresh Logiは、冷蔵機能を持たないトラックでの輸送や、管理温度の異なる品目を混載して運べるなど、輸送コストの削減につながることが期待されております。 県としましては、引き続き関係団体と連携しながら、Fresh Logiなど農産物の品質確保や、輸送の効率化が期待できる技術の実証に取り組んでまいります。 ◆(安田厚生議員) 宮崎カーフェリーの新船就航により、新鮮な農畜産物を輸送することができるようになりました。革新的なFresh Logiの導入により、輸送環境の制御による鮮度保持力の向上、またCO2排出量の削減にも効果があると期待されていますので、御検討のほどよろしくお願い申し上げます。 次に、魚の消費拡大の取組についてお伺いいたします。 日本での魚の消費量は、年々減少する傾向が続いています。農林水産省が昨年度に行った消費者に対する意識調査では、水産物をあまり買わない理由について、「肉類を家族が求めるから」「調理が面倒だから」といった回答が多く、消費者の間で食の志向への変化が起きていることが大きな背景の一つと考えられています。 水産物の消費の拡大につなげようと、水産庁は、毎月3日から7日までの5日間を、新たに「さかなの日」と定め、今月からスタートしたところであります。 そこで、このような状況の中、本県の魚の消費拡大の取組について、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 国内における消費者の魚離れが進む中、本県水産物の消費拡大を図るためには、国内での消費喚起や販路の拡大に加え、水産物需要が増大している海外への輸出拡大が重要であります。 このため県では、関係団体と連携した宮崎初かつおフェアの開催や、県内外の学校給食への食材提供などのほか、輸出に取り組む流通加工業者の施設整備の支援などに取り組んでいます。 その結果、今年3月に宮崎市でカツオ購入金額が初めて全国で1位となったほか、本県水産物の輸出も大きく増加しているところです。 今後とも、関係団体等と一体となり、本県水産物の消費拡大に積極的に努めてまいります。 ◆(安田厚生議員) ありがとうございます。 先々週ぐらいに、大手回転ずしチェーンの「くら寿司」が門川で養殖している「ニザダイ」という、地元では「三の字」と言うんですけれども、そのニザダイを養殖してキャベツを与えて―本当はニザダイというのは身が臭いんです。だから鮮魚店ではなかなか扱いにくい魚だったんだけれども、キャベツを与えることによって臭みがなくなったということで、テレビに出ておりまして、くら寿司さんはすごいなと思ったところであります。 こういう今まで誰も利用しなかった魚も、これからはどんどん使っていただきたいと思っているところであります。 先ほど知事のほうからお話のありましたWBCの宮崎キャンプ、もし合宿中にみんなでパーティーというか、お食事をするときがありましたら、ぜひ魚のPRもしていただきたい。そしてまた、マグロの解体ショーができるなら、私を呼んでいただきたい。そういうことでありますので、県を挙げて「さかなの日」に合わせて消費拡大の取組を実施してほしいと思います。 以上、私からの質問は全て終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(二見康之) 以上で本日の質問は終わりました。 明日の本会議は、午前10時から、本日に引き続き一般質問であります。 本日はこれで散会いたします。   午後2時45分散会...