宮崎県議会 > 2022-09-08 >
09月08日-03号

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  1. 宮崎県議会 2022-09-08
    09月08日-03号


    取得元: 宮崎県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-20
    令和4年 9月定例会  令和4年9月8日(木曜日)                午前10時0分開議 ───────────────────  出 席 議 員(37名)    2番  坂 本 康 郎  (公明党宮崎県議団)    3番  来 住 一 人  (日本共産党宮崎県議会議員団)    4番  山 内 佳菜子  (県民連合宮崎)    5番  武 田 浩 一  (宮崎県議会自由民主党)    6番  山 下   寿  (  同  )    7番  窪 薗 辰 也  (  同  )    8番  佐 藤 雅 洋  (  同  )    9番  安 田 厚 生  (  同  )   10番  日 髙 利 夫  (  同  )   11番  川 添   博  (  同  )   13番  中 野 一 則  (  同  )   14番  図 師 博 規  (無所属の会 チームひむか)   15番  有 岡 浩 一  (郷中の会)   16番  重 松 幸次郎  (公明党宮崎県議団)   17番  前屋敷 恵 美  (日本共産党宮崎県議会議員団)   18番  岩 切 達 哉  (県民連合宮崎)   19番  井 本 英 雄  (宮崎県議会自由民主党)   20番  徳 重 忠 夫  (  同  )   21番  外 山   衛  (  同  )   22番  山 下 博 三  (  同  )   23番  濵 砂   守  (  同  )   24番  西 村   賢  (  同  )   25番  右 松 隆 央  (  同  )   26番  日 高 博 之  (  同  )   27番  井 上 紀代子  (県民の声)   28番  河 野 哲 也  (公明党宮崎県議団)   29番  田 口 雄 二  (県民連合宮崎)   30番  満 行 潤 一  (  同  )   31番  太 田 清 海  (  同  )   32番  坂 口 博 美  (宮崎県議会自由民主党)   33番  日 髙 陽 一  (  同  )   34番  横 田 照 夫  (  同  )   35番  野 﨑 幸 士  (  同  )   36番  星 原   透  (  同  )   37番  蓬 原 正 三  (  同  )   38番  丸 山 裕次郎  (  同  )   39番  二 見 康 之  (  同  ) ─────────────────── 地方自治法第121条による出席者  知     事   河 野 俊 嗣  副  知  事   日 隈 俊 郎  副  知  事   永 山 寛 理  総合政策部次長   川 北 正 文  政 策 調整監   吉 村 達 也  総 務 部 長   渡 辺 善 敬  危機管理 局長   松 野 義 直  福祉保健 部長   重黒木   清  環境森林 部長   河 野 譲 二  商工観光労働部長  横 山 浩 文  農政水産 部長   久 保 昌 広  県土整備 部長   西 田 員 敏  会 計 管理者   矢 野 慶 子  企 業 局 長   井 手 義 哉  病 院 局 長   吉 村 久 人  財 政 課 長   高 妻 克 明  教  育  長   黒 木 淳一郎  警 察 本部長   山 本 将 之  選挙管理委員長   茂   雄 二  代表監査 委員   緒 方 文 彦  人事委員会事務局長 日 高 幹 夫 ─────────────────── 事務局職員出席者  事 務 局 長   渡久山 武 志  事 務 局次長   坂 元 修 一  議 事 課 長   鬼 川 真 治  政策調査 課長   伊 豆 雅 広  議事課長 補佐   関 谷 幸 二  議事担当 主幹   佐 藤 亮 子  議 事 課主査   川 野 有里子  議 事 課主査   内 田 祥 太  議事課主任主事   山 本   聡──────────────────── △代表質問 ○議長(中野一則) これより本日の会議を開きます。 本日の日程は、昨日に引き続き代表質問であります。 ただいまから代表質問に入ります。まず、県民連合宮崎山内佳菜子議員。 ◆(山内佳菜子議員) 〔登壇〕(拍手) おはようございます。県民連合宮崎立憲民主党山内佳菜子です。 まずは、知事、お誕生日おめでとうございます。日々県民のために御奮闘いただき、誠に感謝申し上げます。ありがとうございます。今後ともぜひ、今、コロナ禍、物価高で苦しい思いをされている県民の皆様のために御奮闘いただきますようお願い申し上げます。 本日は、会派を代表してしっかりと質問してまいります。大きなテーマとしましては、国葬、統一教会問題、教育など皆様の関心が高く生活に直結した大きなテーマとして11問、また小さな質問としましては43問を、11時半頃まで質問させていただく予定です。知事、関係部局長の皆様におかれましては、県民の皆様に納得いくような御答弁をお願いいたします。 1問目は知事の政治姿勢についてです。このテーマについて、知事に3つ質問いたします。 まずは、最低賃金についてです。私は、最低賃金については少なくとも、働いているのに貧困、つまりワーキングプア水準と言われる年収200万円を上回るべきだと考えます。それを実現することが厳しい小規模事業者などには公費支援を行うことも、政治判断としてあり得ると考えます。 一方、先日、宮崎労働局長が決定した最低賃金は時給853円で、過去最大の32円の上げ幅だったとはいえ、法定労働時間いっぱい働いても年収170万円と、ワーキングプア水準以下です。東京は、宮崎より200円以上高い時給1,072円。高い賃金を求めて、労働力が都市部に流れることも懸念されます。 そこで、知事に伺います。今回の最低賃金の引上げについての感想を聞かせてください。 2問目は、国葬への知事の認識です。 私は、9月27日に予定されている安倍晋三元首相の国葬については、反対の立場であります。 1点目は根拠の問題。内閣府設置法を根拠に閣議決定を経て、国の儀式として行うとのことですが、それを根拠として認めてよいのかという点に関しては、国民や研究者の間でも賛否は分かれており、議論や研究が不十分だと感じています。 2点目に、憲法が保障する内心の自由が保障されないおそれがある点です。前回、1967年の吉田元首相の国葬の日は、学校は休校、一般家庭には弔旗掲揚と黙祷を要請したようです。安倍元首相の政治姿勢に対する評価が分かれ、それぞれ宗教、政治思想、価値観も多様化する今の社会で、黙祷を求められたり、ほかの形でも弔意を表せざるを得ない状況に置かれたりしないでしょうか。 政府は、「地方公共団体教育委員会弔意表明協力要請はしない」「国民一人一人に弔意を求めるものであるとの誤解を招かないよう対応する」と方針を示していますが、まだ概要は分かりません。 また、弔意を求めないならば、国葬の形を取る意義とは何なのか。16億円以上の国費を使うことにも、私自身はまだ納得できるに至っていません。 ここで、知事に伺います。国葬に対する知事の認識を聞かせてください。 最後、3問目は、国葬当日の県の対応についてです。政府は国葬当日、各府省庁で弔旗を掲揚し、葬儀中の一定時刻に黙祷することを決定しました。他県には、独自の判断で、半旗掲揚や職員の黙祷を行う自治体もあるようです。県職員や県民の中にも、今後どのような対応になるのか、不安を抱えている方もいらっしゃると思います。 そこで、国葬に対して、県としてどのように対応するのか、知事に伺います。また、知事は参列する意思があるのかも併せてお聞きします。 以上、壇上からの質問は3問として、以下は質問者席から行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 おはようございます。朝一番で誕生日のお祝いを賜り、心から感謝を申し上げます。58歳になったその自覚を持って、しっかりと仕事に取り組んでまいります。 お答えします。まず、最低賃金の引上げについてであります。 最低賃金の引上げは、労働者の所得の拡大や地域格差の是正など、労働者の生活の向上を図るためには、大変重要であると認識しております。 本県の最低賃金は、宮崎地方最低賃金審議会において、中央最低賃金審議会が示した目安額30円に2円上乗せし、過去最大となる32円の引上げが答申され、853円となり、昨年度に続き大幅な引上げとなったところでありますが、都市部と比較するとまだ開きがあると承知しております。 一方で、長引くコロナ禍原材料価格等の高騰の影響を受ける中小企業などにとっては、事業の継続や雇用の維持に影響が及ぶことを懸念しているところであります。 このため、県といたしましては、引き続き国に対し、全国知事会などを通じて、事業者への支援や雇用対策に万全を期していただくよう要望してまいりますとともに、最低賃金額の遵守についての周知広報を図りながら、厳しい経営環境にある中小企業等の経営基盤の強化や生産性向上に向けた支援などに取り組んでまいります。 次に、国葬に対する認識についてであります。 国におかれては、安倍元首相が、憲政史上最長となる8年8か月にわたり内閣総理大臣の重責を担われたことや、東日本大震災からの復興、地方創生への尽力、日米関係を基軸とした地球儀を俯瞰する外交など、極めて重要な役割を果たされたものと評価をされており、私としましても、同じ思いを持っているところであります。 また、本県にとりましても、霧島連山、硫黄山噴火の際の生産者に向けた激励や、宮崎牛や完熟マンゴー宮崎キャビアなど本県農畜産物のPRについて、とても力強い支援をいただいておりまして、その御貢献に対し、深い感謝と敬意の気持ちを持っております。 このたび、安倍元首相の御功績等を踏まえて国葬を行うことを、国において決定されたものと理解しておりますが、その経緯や進め方について、国民の間でも様々な議論があることを承知しております。 今日、国会においても、説明及び議論がなされるということでございます。国におかれては、より多くの国民の理解が得られるよう、丁寧な説明に努めていただきたいと考えております。 最後に、県としての対応についてであります。 9月27日に執り行われる予定の安倍元首相の国葬の実施に当たりましては、地方公共団体教育委員会に対する弔意表明協力要請は行わないとの方針が示されております。また、国の実施概要によりますと、地方公共団体代表の参列が予定されております。これを受け、県内での対応におきましては、「国民一人一人に弔意を求めるものであるとの誤解を招かないよう対応する」との政府の方針や趣旨を踏まえた上で、適切に対応してまいります。 一方、国葬への参列につきましては、安倍元首相に多大な御貢献をいただいた自治体の長として、感謝と哀悼の誠をささげたいという気持ちはございますが、現時点で正式な案内が来ていないものですから、案内が参りましたら、今日の国会での議論等も踏まえながら、適切に対応してまいります。以上であります。〔降壇〕 ◆(山内佳菜子議員) 御答弁ありがとうございました。 知事は国葬に参列する意向であると受け止めましたが、県民の中でも、国葬については意見が分かれるところであります。丁寧な説明と県民に理解を求める姿勢を求めたいと思います。お願いいたします。 続きまして、国葬について最後に、教育長に伺います。 2020年の故中曽根元首相の内閣と自民党による合同葬の際は、文部科学省弔意表明に関する通知を出し、強制ではないとしながらも、弔旗掲揚と黙祷を求めました。安倍元首相の国葬が行われる9月27日は火曜日です。小中学生、高校生などが集まる学校で、本当は嫌なのに、先生やみんなの前で黙祷を断れないなど、子供たちの柔らかい心や将来にわたる政治思想に影響を及ぼすようなことがあってはいけないと思います。 ここで伺います。国葬について、教育委員会の対応を確認させてください。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 安倍元首相の国葬の実施に当たりましては、永岡文部科学大臣からも、教育委員会等への弔意表明の協力方の要望は行わないとの発言があったところであります。 県教育委員会といたしましては、この大臣発言も踏まえ、学校や市町村教育委員会に対する要請は考えておりません。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 市町村や各学校で、もしかしたら不当に、個別に独自にそのようなことが行われるおそれもありますので、慎重な対応を求めたいと思います。お願いいたします。 これで、知事の政治思想や国葬に関する質問を終わります。 2つ目のテーマは、旧統一教会関連についてで、5問伺います。 1問目は、後援名義についてです。安倍元首相銃撃事件をきっかけに、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)や関連団体による、いわゆる霊感商法や高額献金が問題視されています。 そのような中、朝日新聞は7月30日の新聞で、宮崎県が7月に宮崎市などであった関連団体イベントピースロード2022in宮崎」を後援していたことが分かったと報じました。県が後援することでも、県民や参加者にお墨つきのような安心感を与えてしまう面があったのではないでしょうか。 このことにつきまして、後援名義の承認に至った経緯を商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 県が後援を行いました「ピースロード2022in宮崎」につきましては、今年6月初めに後援名義の使用に係る承認の申請があり、承認基準に基づき、当イベントの趣旨や内容等の審査を行いました。 当イベントは、複数の個人や団体等が組織する実行委員会の主催によるものであり、旧統一教会と接点のある団体が共催しておりましたが、「心に国境のない平和な世界をめざす」という趣旨や、「国内外の青年が地域社会を自転車で走る」という内容のほか、当イベントが政治的、宗教的なものではないことなどについて、申請書類や実行委員会への問合せにより確認を行った結果、承認基準を満たしていると判断して、後援名義の使用を承認したところでございます。 ◆(山内佳菜子議員) 御答弁ありがとうございます。 今回のような案件を繰り返さないために、県としての承認手続の見直しなどの対応はないのでしょうか。総合政策部次長に伺います。 ◎総合政策部次長川北正文君) 今回の案件につきましては、行事の内容につきまして、政治的、宗教的なものでないことを確認し、承認を行ったものでありますが、昨今の状況を踏まえますと、今後は、より厳格・慎重な審査が必要と考えております。 これを受け、総合政策部におきましては、各部に示しております承認基準の標準例の中で、主催者及び共催者の審査をより慎重に行うよう見直しを行うなど、事務取扱要領を整備し、全庁的に周知を図ったところでございます。 ◆(山内佳菜子議員) 御答弁ありがとうございます。 その判断もまた非常に難しいところはあると思いますが、県民の信頼や安心を損なわないよう、今後も慎重な対応をお願いいたします。 3問目です。改めて、今後の名義後援の在り方について、知事にお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 本県の後援名義につきましては、県の基本方針に合致し、福祉・文化の向上や地域振興等に寄与する公益性の高い行事に対しまして、主催者の申請に基づき、承認をしているものであります。 この趣旨を踏まえますと、その手続に当たりましては、今回のような社会的に問題が指摘されている団体との関係につきましては、県民に疑念や不信を抱かれることのないよう十分留意する必要があると考えております。 そのため、今後の承認につきましては、今回、見直しを行いました承認基準等も踏まえながら、より慎重な審査に努めてまいります。 ◆(山内佳菜子議員) どうもありがとうございます。 4問目は、接点についてお伺いしたいと思います。銃撃事件後、教団と政治家との接点が次々と明らかになりました。政治家が行事に出席したり、政策や条例に意向を反映したりする一方で、教団から選挙支援を受けるなどしていたとも報じられ、批判が高まっています。 これほど社会的な信用問題に発展している事態ですので、接点のある政治家は、有権者に何らかの説明が必要だと思います。知事はこれまでの記者会見で、「イベントへの参加要請はあったが、参加はしなかった」と発言されているようですが、改めて議場の場で、知事御自身、旧統一教会との関わりや接触はないか、お伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 以前、旧統一教会関係団体から、後援会事務所のほうにイベントへの出席などの案内があり、これについてはお断りをしたことがあるようでありますが、私としましては、一切当該団体との関わりはございません。 ◆(山内佳菜子議員) 御答弁ありがとうございます。 5問目は、いわゆる霊感商法の相談についてお伺いいたします。消費者庁は8月29日、霊感商法についての検討会を設置。これから被害や支援の議論が本格化する中、県内の被害者についてもフォローが必要だと感じています。 霊感商法に関して、過去5年間で県消費生活センターにはどれぐらい相談が来て、どのように対応しているのか。また、銃撃事件後、相談が増えているのかを総合政策部次長に伺います。 ◎総合政策部次長川北正文君) 霊感等によって消費者の不安をあおり、高額な契約等を締結させる、いわゆる「霊感商法」について、平成29年度から令和3年度までの5年間に、県消費生活センターに寄せられた相談や問合せの件数は、39件であります。 その内容としましては、印鑑等の開運商品を高額で購入させられるもの、また、占いや運勢鑑定をきっかけに有料の鑑定を受けさせ続けるものなどが多くなっております。 センターにおきましては、相談者に対して、必要な情報提供や助言、あっせんを行うほか、県警や弁護士会等の窓口を紹介するとともに、県民に対し、出前講座やラジオ番組等を通じて注意喚起を行い、被害の未然防止に努めているところであります。 なお、本年7月の事件以降に受け付けた相談は、1件となっております。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 まだ相談にたどり着いていない方もいるかもしれませんので、丁寧な対応を引き続きお願いしたいと思います。また、国に対しても、子供の頃からの教育や取消権の拡充を含めた契約法などの法整備を求めたいと思っております。 以上で、旧統一教会関連の質問を終わります。 3つ目のテーマは、新型コロナ対策で、9問お伺いします。 1問目は、全国ワーストになったことへの分析と対応です。本県の直近1週間の10万人当たりの新規感染者数は、8月24日までの6日連続で全国ワーストとなりました。第7波以降、重症化率は低いと言われているものの、感染者の母数が増え、亡くなった方の人数が毎日発表されることは危機的な状況だと感じます。 そこでお伺いします。本県の人口10万人当たりの新規感染者数が全国最多になるまで増えたことへの分析と、今後の対応について確認させてください。 ◎知事(河野俊嗣君) 本県では、8月上旬にオミクロン株BA.5系統に感染がほぼ置き換わった中で、お盆休みの人流増加の影響も加わり、8月中旬には、人口10万人当たりの新規感染者数が、一時全国で最多となるなど、過去に例を見ない爆発的な感染拡大に至ったものと認識をしております。特にこの第7波では、九州・沖縄各県が、人口比で全国トップ10に常に入っているというような状況があります。これについては、なかなか専門家もその背景、事情の分析ができていない状況がございます。 新型コロナへの対応につきましては、ウイルスの変異に加え、検査体制やワクチン、治療薬等の各対策の進展も踏まえつつ、国において、その方針も適宜変更されているところであります。 この第7波におきましては、オミクロン株の特性を踏まえ、従来のような強い行動制限による感染防止対策ではなく、国全体として、社会経済活動の維持と医療逼迫の回避の両立に向けた対応が行われているところであります。 県では、こうした国の基本的な方針も踏まえつつ、第7波の対応を進めてきたところであります。引き続き、県民の日常生活や社会経済活動を維持しながら、医療提供体制のさらなる強化や保健所機能の維持、ワクチン接種の一層の進捗等を図り、早期の鎮静化に向けて、全力で取り組んでまいります。 ◆(山内佳菜子議員) 御答弁ありがとうございます。 感染者が増える中で、感染症法上の位置づけの見直しも今、行われている真っ最中です。県民にとって大きな影響のあるテーマだと思うので、確認させていただきます。 感染症を重症化リスクや対応に応じて1類から5類に分類する感染症法では、現在、新型コロナを「新型インフルエンザ等感染症」に分類し、2類相当の対応が行われていますが、季節性インフルエンザと同等の5類に引き下げてはどうかという声も上がっています。 5類になった場合、県民は、国や自治体からの入院勧告や行動制限がなくなる一方、治療の費用は自己負担になるかもしれません。変更については、時期尚早であるとか、引き下げても治療費は国が負担すべきであるなど、いろいろな御意見があります。 ここで、新型コロナ感染症法上の位置づけの見直しについて、現時点における知事の認識を伺います。
    ◎知事(河野俊嗣君) 現在、新型コロナ感染症法上の位置づけにつきまして、国において見直しの検討がなされております。今回、国が示した全数把握の見直しの対応につきましても、将来的な位置づけの変更に向けて、2類相当から5類といったような変更に向けたプロセスの一つであると受け止めております。 私としましても、「コロナと共に生きる社会」の構築に向けまして、今後の位置づけの変更はいずれ必要と考えておりますが、現時点では、感染者等に対する行動制限の扱いや治療薬の開発・普及、そして、一般外来による診療体制への移行など、順を追って物事を進めていく。そして、国において整理すべき様々な課題があると認識しております。 今後、リスクの高い強毒性の変異株が出現する可能性もありますことから、その時々の感染状況等に応じて、臨機応変に対応できる仕組みも求められております。 まずは、国において、これまでの科学的知見を集約し、専門家や地方とも議論を重ねた上で、感染症法上のあるべき姿を目指し、それに向けたロードマップをどのように順序立てて進めていくのかということを、できるだけ早期に策定すべきと考えておりまして、今後とも国に対し、引き続き、そのように要望、提言をしてまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 私も、段階的に見直しが必要なのかなと思っております。御答弁ありがとうございます。 3点目、入院について伺います。8月以降は、本県の病床使用率が50%を超え、県独自の警報では最高レベル医療非常事態宣言が継続中です。自宅療養者も2万人を超えています。これほど多くなると、本当は入院が必要なのに入院できないケースはないのでしょうか。自宅療養中に症状が悪化して、救急車を呼んだけど、入院ではなく自宅療養を継続してくださいと判断されたと、そういう問合せもいただいております。 ここで伺います。入院の判断はどのように行っているのでしょうか。また、本来は入院が必要と判断された方が入院まで至らないケースがあるのか、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 新型コロナにつきましては、診断した医師が、患者の症状や基礎疾患などの重症化リスクの有無、診断時点の重症度や入院の必要性について、保健所へ報告することになっております。 保健所では、こうした情報を踏まえて、地域の医療提供体制の状況や、患者本人の緊急度、優先度等を総合的に判断し、直ちに入院が必要とされた方については、入院対応での調整を行っているところであります。 県としましては、引き続き、病床の確保はもとより、宿泊施設、自宅を含め総合的な医療提供体制の充実強化を図りながら、必要な方が十分な医療を受けられるよう、取組を進めてまいります。 ◆(山内佳菜子議員) 御答弁ありがとうございます。 入院が必要なのにできないというケースはないということを確認させていただきました。ただ、一方で、以前より入院のハードルが上がっているようです。必要な人に医療を届けるためにも、医療現場の負担軽減が必要だと感じております。 その点から伺います。医療現場が逼迫する中、その負担軽減のために県が設置した陽性者登録センターと自宅療養者初期治療センターの実績と効果を、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 発熱等の有症状者のうち重症化リスクの低い方を対象に、抗原検査キットを用いた自己検査等に基づき医師が陽性を確定させる陽性者登録センターは、9月4日現在、5,106名の方の登録を行っております。 陽性者登録センターは、医療機関を経ず陽性者の登録を行い、健康観察につなげる仕組みであることから、発熱外来をはじめ診療検査医療機関の負担軽減につながるほか、特に医療機関の対応が少ない日曜日には、受診を希望される方のニーズを一定程度受け止めているところであります。 また、自宅療養中に症状悪化を訴える方に対し、診療や処方、点滴を行う自宅療養者初期治療センターにつきましては、9月4日現在、延べ96名の方を受け入れております。 初期治療センターにおいて必要な医療を提供することで、安心して自宅療養できる体制を確保するとともに、症状悪化による救急要請を減らすなど地域医療体制を守ることにもつながっていると考えております。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 初期治療センターは県独自の取組だとも伺っています。皆様の知恵と工夫に感謝いたします。ありがとうございます。 続きまして、自宅療養者への対応について確認いたします。自宅療養者の増加で、「県が配付する食料品、日用品の送付時期が遅くなっている」「コールセンターがつながりにくい」という声もいただいています。 現状と対策を福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 本県では、フォローアップセンターにおいて、自宅療養者への健康観察及び生活支援を行っており、24時間体制で症状悪化時の相談に応じるほか、食料支援の受付や配送について対応しているところであります。 自宅療養者の急増に伴い、症状悪化を訴える方の相談も増え、一時的に電話がつながりにくくなったり、支援物資が届くまでに期間を要する状況が生じましたことから、電話回線や対応人員を増やしたほか、物資を調達する業者を新たに確保するなどの取組により、現時点では大きな遅れは生じておりません。 県といたしましては、必要な人に必要な支援が届けられるよう、引き続き適切に取り組んでまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 6点目に、救急搬送についてお伺いします。 新型コロナに関連して、救急搬送困難事案が増えているとの報道もありました。その事案の数について、危機管理局長に伺います。 ◎危機管理局長(松野義直君) 消防庁におきましては、救急隊による「医療機関への受入れ照会回数が4回以上」かつ「現場滞在時間が30分以上」の事案を「救急搬送困難事案」としております。 本県で新型コロナウイルス感染または感染が疑われ、救急搬送が困難となった事案は、各消防本部・局からの報告によれば、令和2年度が74件、令和3年度が57件、令和4年度は、8月末時点で149件であります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 既に前年度の2.5倍以上に達している状況を確認いたしました。 それでは、救急搬送困難事案が増えていることへの受け止めと対応の状況について、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 新型コロナの爆発的な感染拡大によりまして、救急要請の件数も急増し、救急搬送が困難な事案が生じていることは、大きな課題として受け止めております。 コロナ患者に対応可能な救急医療機関は限られているため、保健所等による受入れ調整に時間を要した事例や、自ら救急要請し待機時間が長くなった事例があるものと認識しております。 このため、県としましては、感染急拡大を受けて開催しました救急告示医療機関との会議の中で、特に受入れ医療機関が少なくなる夜間や休日の体制強化の協力を求め、対応できる医療機関が少しずつ増えてきたところであります。 また、県民に対しても、できるだけかかりつけ医の受診や、検査のためだけの救急外来受診を控えることなどをお願いしているところであります。 ◆(山内佳菜子議員) 御答弁ありがとうございます。 夜間や休日でもコロナ患者に対応していただける救急医療機関につきましては、県央地区では当初4か所だけだったものが、現在では11か所に増やしていただいたと聞きました。関係者の皆様の御協力に心より感謝申し上げます。また、今後とも関係機関との一層の連携を求めたいと思います。 続きまして、患者さんを支える方々について伺いたいと思います。 感染判明後の不安でいっぱいの患者さんを支え続けている保健所職員の皆さん、その御家族の皆さんの御労苦には、察するに余りあるものがあります。 そこで、保健所職員の時間外勤務の状況と負担軽減に向けた取組について、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 保健所は、新型コロナ対策を最前線で支える機関として、県民からの相談をはじめ、疫学調査や患者搬送、自宅療養者の健康観察等、広範かつ重要な役割を担っております。 このため、オミクロン株による感染急拡大の中で、令和3年度の職員1人当たりの時間外勤務時間は、月によって大きく変動しておりますが、月平均で16.1時間であり、令和2年度と比較して、約6割増加したところであります。 これまで、職員のほか外部委託の活用等により、必要な人員体制を確保するとともに、疫学調査のハイリスク者等への重点化や、軽症者の健康管理等を行うフォローアップセンターの設置、陽性者情報の自動読み取り等といった業務のデジタル化など、各種対策を講じてきたところであり、引き続き保健所業務の軽減に努めてまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 多忙な時期や部署、職員に偏りがあるので、年間平均ではなかなかつかめない過酷な状況もあるのではないでしょうか。過重労働にならないよう、引き続き調整をお願いいたします。 9問目は、県民の「命のとりで」である県立病院の看護師について伺います。 子育てや介護などの両立が難しく、定年前に退職してしまう方も多いと聞いています。 そこで、病院局長に伺います。県立病院における看護師の定年前の退職の状況と、これを防止するための取組内容を確認させてください。 ◎病院局長(吉村久人君) 県立病院におきましては、近年、自身の体調や育児・介護といった家庭の事情などを理由に、年間40名程度の看護師が定年前に退職しており、その過去5年間の割合は平均で約4.1%、定年退職を含めると約4.8%となります。 なお、日本看護協会が実施した令和2年度の調査によりますと、定年退職を含む看護師の離職率の平均は、全国の病院で10.6%、本県で8.1%となっております。 県立病院看護師の離職率は全国平均等と比べ低い水準にあるものの、看護師の確保が厳しさを増している中、高度・急性期医療を支える看護師の離職防止は大変重要であると考えております。 このため、体調や育児・介護といった個別の事情に応じた柔軟な病棟配置、院内保育をはじめとする子育て支援や職員相談の充実など、職員が安心して働き続けられる環境づくりにしっかりと取り組んでまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 子育てがあるから、働きたいけど働き続けられないということは、本当にもったいない事態だと思います。子育て中で夜勤ができない看護師さんが増える中、短時間勤務制度の運用の見直しも行われているとも聞いています。看護師さんなどが安心して働き続けられる仕組みづくりを切に願います。 以上で、コロナ対策についての9問を終わります。 引き続き、4つ目のテーマ、学びを止めない教育の冒頭でも、コロナに関連した質問から始めたいと思います。 早い学校では、8月25日から新学期がスタートしました。先生方から、「本人や家族の感染で来られない子供たちも結構いた」との声を伺い、感染爆発が子供たちを中心に起きている中で、学校や家庭の大変さを痛感いたしました。 そこで、夏季休業明けの児童生徒の新型コロナによる欠席状況と、学びを止めないための取組について、教育長に伺います。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 県教育委員会で把握しております児童生徒の感染者数は、8月15日から10日間で、全体のほぼ3%に当たる約3,200人でありまして、療養期間が原則10日間となることから、夏季休業明けのコロナによる欠席者は同程度になったものと考えております。 感染が拡大する中、学校教育活動を継続するためには、集団感染の発生を防ぐことが大変重要であります。 このため、県教育委員会では、県立学校に対しまして、基本的な感染防止対策に加え、行事のリモート開催等による人との接触機会の低減や、健康観察を徹底し、少しでも体調に異変がある場合は登校を控えるなど、「感染を拡大させない対策」を取るよう通知し、市町村教育委員会にも周知しております。 また、学校内で感染が拡大した場合も、行事等は中止せず、延期して開催するなどしております。今後とも、子供たちの学びを止めることのないよう、しっかり取り組んでまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 3%も休んでいる子供さんたちがいらっしゃるというのは、非常に大きな数字だと思います。その中で、現場の先生方にも毎日たくさんの御苦労をいただいていると思います。本当にありがとうございます。 ここで、あるお母さんからの声を届けさせていただきたいと思います。「自分に重症化リスクがあるため、コロナ感染が始まった2年前からずっと子供たちに学校を休んでもらっている。―自分たちの子供さんということです―週1回、オンラインで30分ほど先生が指導してくださっていて、本当にありがたいです。ただ、一方で、様々な家庭があります。学びの選択肢を今後も増やしていただきたい」という声をいただいております。学びの選択肢が行き届いているか、今後も丁寧な対応をお願いいたします。 続きまして、2問目は、県立学校の1人1台端末の保護者負担について伺います。 県内のある工業高校に通うお母さんは、「高校の3年間のために5万円以上の端末を買わなければいけないのは非常に高額である」とお話しされています。 実は、端末の負担方法は自治体によって違います。九州7県のうち、福岡、佐賀、長崎、熊本の4県は県が負担するため、保護者負担はありません。本県を含む残り3県は保護者負担ですが、鹿児島県では、1年生時は県が購入して貸与する、そして、2年生になってから保護者負担で購入するという形です。沖縄県では、1万5,000円を一人ずつ補助しています。宮崎は完全に自己負担です。 県立高校の1人1台端末の保護者負担について、全国の状況はどのようになっているのでしょうか。購入について、一部でも公費で負担する考えはないのでしょうか。教育長に伺います。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 今年2月に文部科学省が全国の都道府県を対象にした調査によりますと、保護者負担を原則としているのが23自治体、公費負担を原則としているのが24自治体であります。 端末は、学習に必要なアプリケーションを自主的にインストールするなど、個人専用端末として持ち帰り、学校以外でも積極的に活用することが望ましいことから、本県では、利用に制限のかかる公費負担ではなく、保護者負担としたところであります。 なお、各学校には、生徒が既に所有しております端末の活用を認めたり、端末の導入により不要となる辞書などの副教材費を削減したりして、保護者の負担軽減に取り組むよう依頼するとともに、端末の準備が困難な御家庭につきましては、公費で導入した端末を貸し出すなどの対応をしております。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 文部科学省のGIGAスクール構想は、「1人1台端末は令和の学びのスタンダード」を掛け声に、全国の小中学生に公費による1人1台端末を実現しましたが、それが高校進学になる段階で、突然の全額自己負担です。まるではしごを外されたような形になっているのではないかと感じております。 自治体の財政力による格差、それが公教育を受ける子供たちにのしかかるのでは、さらに地域間格差、教育格差は拡大するばかりです。 高校進学時は、制服や教材など出費が重なる中で、プラス5万円の端末購入は大幅な増額です。進学を断念する子供も出てくるのではないかと危惧しています。 まずは、GIGAスクール構想を掲げた国が責任を持って整備すべきではないでしょうか。県には、国に対して財源確保を強く求めていただくとともに、県による支援の検討もお願いしたいと思います。 3問目、端末の整備状況も確認します。6月にNHKで、宮崎では7割の高校で端末がまだ届いていないというニュースが報じられました。手元に届く時期の違いで、子供たちの間で教育を受ける期間に差が生じてしまうのではと心配になりました。納入時期、端末の選び方など、端末の整備状況について、教育長に伺います。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 1人1台端末の整備につきまして、その機種の選定に当たっては、推奨機種を複数提示する方式、特定の機種を指定する方式、家庭で所有している端末の活用を含め自由に選定する方式がありまして、どの方式にするかは各学校で決定しているところであります。 また、納入時期につきましても、各学校の教育課程の実施状況等を踏まえ、計画的に進められているところでありまして、今月までに、約9割の学校が整備を終える予定であります。 さらに、2年目を迎えます来年度の整備につきましては、今年度の整備状況を踏まえまして、各学校にしっかりと助言してまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ぜひ、今年度の整備状況ですとか、生徒さん、保護者さんの意見もしっかりと聞いて、来年度以降の対応もお願いしたいと思います。今後もまた、家庭の経済状況に関係なく学び続けられる選択肢の模索も、併せてお願いいたします。 4問目は、特別支援学校への看護師の配置について伺います。県内のある特別支援学校に医療的ケアが必要な子供さんを通わせているお母さんからの御意見です。「学校から「看護師が確保できないので、保護者が学校に来てくれないか」と打診があった。共働きなので、子供は学校を休ませて施設に預けるしかない。他県のように、看護師を常勤で確保してもらえないか」というものでした。 結局、看護師は確保できて事態を回避できたようですが、障がいの有無にかかわらず、学びの機会は全ての子供たちに保障されるべきです。 ここでお伺いいたします。特別支援学校における看護師の配置状況と、医療的ケアが必要な児童生徒の宿泊が伴う修学旅行への対応について、教育長、お願いいたします。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 特別支援学校におきましては、今年度、8校に61名の医療的ケアの必要な児童生徒が在籍しておりまして、看護師を30名配置しております。 医療的ケアが必要な児童生徒の修学旅行につきましても、看護師や医師の同行で対応しておりますが、夜間につきましては、より安全への配慮としまして、学校が保護者に相談して、同行をお願いしております。 県教育委員といたしましては、引き続き、保護者や学校の意見を伺いながら、医療的ケアの必要な児童生徒が、安全で安心な環境の中で、充実した学びが可能となるよう支援するとともに、保護者の負担軽減にも努めてまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 現在は過不足がないというふうには伺っていますが、今後も、看護師の常勤化の検討も含めて、御対応をお願いいたします。 5問目、教育職員の休職者について伺います。共同通信は8月、「全国で公立小中学校教員の勤務状況が過酷になり、精神疾患による休職者が5,000人の高止まりが続いている」という記事を配信しました。少子化が進んでいるものの、デジタル対応などで業務は拡大、教員の半数は勤務時間中の休憩時間がゼロという調査結果も紹介されました。教員の疲弊は、子供の教育や成長にも悪影響を及ぼしかねません。 そこで、本県の教育職員の休職者数の推移と精神疾患による休職者への対策について、教育長に伺います。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 令和2年度の教育職員の休職者数は、全国で7,635名で、うち精神疾患は67.8%に当たる5,180名でありました。本県は95名で、うち精神疾患は55.8%に当たる53名でありました。また、本県の過去10年間の休職者全体数の平均は102.7名で、横ばいの状況で推移しております。 次に、精神疾患による休職者への対策としましては、まず、予防や早期対応のために、心の健康状態を把握するストレスチェックや、管理職を対象とした研修を実施しているほか、専門医等による相談窓口を設置しております。 また、休職中の対応としましては、円滑な復帰を目的としまして、職場での復帰トレーニングを実施しております。復職後は、保健指導員が継続して支援に努めているところであります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 宮崎でも高止まりの状況が続いているようです。そこで、学校での働き方改革についてお伺いいたします。 文部科学省は、2016年に勤務実態調査を行い、学校の働き方改革を本格化させました。宮崎でも、2018年度に調査を実施し、「毎日忙しいと感じている」「どちらかというと感じている」と答えた教員は全体の88%にも達し、2021年度時点でも、過労死ラインと呼ばれる1か月当たりの時間外業務時間が80時間以上に上る教員は、小学校で0.8%、中学校15.3%、高校では22.4%と厳しい現状が続いています。 今後の学校における働き方改革の方向性について、教育長に伺います。 ◎教育長(黒木淳一郎君) 本県の学校における働き方改革のこれまでの取組の成果といたしまして、校長のリーダーシップを促し、教職員一人一人の意識改革や、会議の削減などの業務改善に取り組むとともに、スクールサポートスタッフや部活動指導員などの拡充、校務支援システムの導入などの環境が整備されたことによりまして、時間外業務時間は着実に減少してまいりました。 一方で、副校長や教頭をはじめとして、今、議員からもありましたように、いまだ長時間業務に従事している教職員が一定程度いる状況にあることから、今年度も引き続き、その改善に向けて取り組んでいるところであります。 県教育委員会といたしましては、勤務実態調査の結果を踏まえながら、今後とも、教職員の負担軽減に向けた取組を積極的に推進してまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 現在、教員の働き方改革、そして教員確保問題は喫緊の課題であり、抜本的な改革が必要なテーマだと感じております。宮崎の子供たち一人一人が尊重され、心豊かに学ぶことができる教育を止めないためでもあります。子供たち、先生たちが「宮崎で学びたい」とわくわくするような、全国初の全く新しい取組が宮崎から始まることに期待して、学びを止めない教育についての質問を終わります。 5つ目のテーマは、持続可能な農業を目指す視点から、5問伺います。 1問目は、生産拡大に向けた戦略についてです。宮崎市内で農業を営む40代と50代の方から、「頑張っても野菜の単価が上がらない。補助金が欲しいのではない。努力が報われる仕組みが欲しいだけ」「多額の補助金で立派な設備をつくった彼らの5年後10年後が心配。問題はランニングコスト。自死に追い込まれた知人もいる」という声が寄せられています。私と同じ年代の、これからの宮崎の農業を担う方々が、意欲があふれているのに、厳しい現状に胸が締めつけられます。県議の立場から、持続可能な農業、努力が報われる農業について、粘り強く取り組みたいという思いを強くしました。 まずは、農畜産物の生産拡大に向けた今後の戦略について、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 県では、令和3年3月に策定した第八次農業・農村振興長期計画に基づき、農業産出額を平成30年度の3,429億円から、令和7年度までに3,569億円とする目標を掲げております。 この目標の実現に向け、耕種部門では、デジタル技術を活用した施設園芸の生産性向上、大規模水稲経営体の育成、産地加工機能の強化による露地園芸の作付拡大等の取組を進めているところです。 また、畜産部門では、家畜防疫の強化を図りつつ、繁殖センターの活用や飼料生産の外部化などの分業システムの構築や、搾乳ロボットの導入等による生産性向上等に取り組んでおります。 今後とも、本県の畜産物の生産拡大に向け、関係機関と一体となって推進してまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 デジタルやロボット技術などのスマート農業を進めていくというお考えを確認いたしました。 それでは、今後、県はスマート農業をどのように推進していくのか、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 県では、令和元年度にスマート農業推進方針を策定するとともに、第八次農業・農村振興長期計画において、計画の最終年度の令和7年度に環境制御機器や発情・分娩関連機器等の導入する農家戸数を目標に掲げ、スマート農業の推進に取り組んでいるところです。 令和3年時点で、耕種部門で1,120戸の目標に対し615戸、畜産部門で2,000戸の目標に対し1,405戸という導入状況となっております。 これまでの取組により、専門知識を有する指導者の不足や、設備投資に係る農家負担の増加、圃場の条件等の課題が見えてきたことから、今後とも、人材育成をはじめ、品目や経営規模に見合った適正な機械導入、農地の集約大区画化等を促進し、スマート農業の普及拡大に取り組んでまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 初期費用が非常に高額などの課題も伺っています。返済も含めた経営管理や農家、生産法人、それぞれの規模や方向性に寄り添った上での推進の判断をお願いしたいと思います。 3問目は、作った後に、いかに賢く稼ぐか、販売対策について伺います。共働きが増え、消費者は現在は、多少高くても手早く料理に入れられるカット野菜や総菜をコンビニで買う時代に変化しました。そのような変化に対応して、他県では、市場の近くに野菜のカット・加工・包装などを行う施設を整備して、細かな注文にもその場で応えてくれるところもあるようです。 消費者ニーズや時代の変化に対応した販売戦略について、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 県の販売対策につきましては、これまで、おいしさや品質などの消費者ニーズを踏まえ、完熟マンゴー「太陽のタマゴ」や「宮崎牛」など全国に誇れるブランド品を創出してまいりました。しかしながら、近年では健康志向に加え、カットサラダや冷凍総菜の普及、ネット販売の拡大など消費者を取り巻く環境が大きく変化しております。 このため、県では「新しい価値観に対応した商品づくり」を販売戦略の一つに掲げ、栄養機能食品など消費者志向を捉えた商品開発、デジタルメディアを用いたネット販売等を展開しているところであります。 今後とも、時代の変化に対応した商品の創出と販売対策について、関係機関・団体と一体となって取り組んでまいります。 ◆(山内佳菜子議員) 県内の方からも県外の方からも、宮崎の野菜は本当においしくて、本当に安いということをよく伺っております。ポテンシャルが非常に高い野菜、宮崎の農産物だと思っております。伸び代があると期待していますので、今後ともお願いいたします。 4問目は、焦点を絞って伺います。2019年の特産果樹生産動態等調査によると、本県のマンゴーの収穫量は1,183.7トン。沖縄の1,837トンに迫る勢いですが、「生産量、情報発信量を、宮崎ももっと増やせるのではないか」という御意見もお聞きします。 そこで、マンゴー、日向夏、キンカンの生産量の推移と情報発信について、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(久保昌広君) マンゴー、日向夏、キンカンの生産量は、平成25年産と令和2年産とを比較すると、マンゴー、日向夏がそれぞれ110%、キンカンが103%となっており、いずれも増加しております。 県では、関係団体と一体となって、出荷の解禁日やピークとなる時期に合わせた量販店や飲食店でのフェアの開催や、県にゆかりのある方々のSNSによる情報発信、LINE等を活用した販売キャンペーンなど、消費者に直接訴えかけるような取組を進めているところであり、引き続き、県産農産物の魅力発信に努めてまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 生産者は減少していると伺っていますが、生産量自体が増えているということは、関係者の皆様の御努力のたまものだと思います。ありがとうございます。今後もさらなる収益アップ、県の取組をお願いいたします。 農業の最後の5問目では、運ぶことについてお尋ねします。 日本の食料供給基地ともなっている本県の農業のネックは、消費地から遠いことです。青果物の6割以上は、大消費地である関東、関西、中京に出荷されますが、その輸送手段の94.3%はトラックに依存しています。 このトラック運送業界で今、喫緊の問題となっているのが、2024年問題です。2年後の2024年度からは、トラック業界にも時間外労働時間の上限規制が運用され、常態化していた長時間労働が改善される一方で、人手と時間が限られ、従来の運送方法、運ぶ場所の在り方の見直しが迫られています。 ここで質問です。本県農産物の安定的な輸送体制の構築に向けた取組について、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(久保昌広君) 大消費地から遠い本県にとって、持続可能な輸送体制を構築することは、大変重要な課題であると認識しております。特に、お話にありましたように、2024年度からは、ドライバーの時間外労働の上限規制が適用されることから、物流の効率化をさらに進める必要があります。 このため、県と関係団体等で構成する「みやざき農の物流DX推進協議会」では、荷下ろし箇所数の削減に向けた物流拠点の活用や共同輸送の実施、積卸し時間を短縮できるパレット輸送の実証、ドライバーの休息時間を確保できるフェリーの利用推進等に取り組んでおります。 県としましては、引き続き、関係機関と一体となって、魅力ある宮崎の農産物を消費地にしっかりと届けられるよう努めてまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 今後も、本県の農家の努力が報われ、日本の安全でおいしい食卓を守るためにも、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。ありがとうございます。 以上で、持続可能な農業をテーマにした質問を終わります。 6つ目のテーマは、誰もが暮らしやすい宮崎づくりに向けた視点から、4問伺います。 1問目は、子供の貧困についてです。宮崎県は、宮崎大学や民間団体、企業とともに協議会を設置するなど、子供の貧困に特に力を入れてきましたが、実態調査はこれまで行われていませんでした。今回の9月議会に事業費が提案されている子どもの貧困実態調査の内容と、今後も定期的に実施する考えはないか、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 今回の調査は、新型コロナの長期化による生活困窮世帯の子供への影響が懸念されることから、今議会に必要な予算をお願いしているものであり、全市町村を対象とする、本県初の子どもの貧困に関する実態調査であります。 この調査の対象は、県内の中学2年生とその保護者の半数とし、国が示した共通調査項目に加え、市町村や関係団体からの意見を取り入れ、県独自の調査項目を追加して実施する予定としています。 調査結果につきましては、行政や関係団体と共有し、さらなる施策の展開につなげるとともに、今後予定している子どもの貧困対策推進計画の改正に向けた資料として活用いたします。 なお、今後の調査の必要性につきましては、今回の調査結果を踏まえて検討したいと考えております。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 沖縄県では、毎年調査を行って、各年の比較や政策への反映も行っているようです。例えば、5年に一度などでも実施して、実態をつかみ、事業を効率化するためにも御検討いただきたいと思います。 2問目に、女性の管理職について伺います。意思決定の場に女性が足りないことが指摘されています。そのような中、本県が作成する男女共同参画プランの県の女性管理職の目標は、副主幹級以上の目標しか設定されていません。 一方、内閣府が毎年公表している「都道府県別全国の女性の参画マップ」では、副主幹級よりもクラスが上の課長級以上の数値で比較されており、2021年4月時点の調査で、本県は7.0%、秋田県に次いで全国ワースト2位と、非常に低い水準です。他県と客観的に比較するためにも、目標も課長級以上にそろえるべきではないでしょうか。 そこでお伺いいたします。知事部局の職員について、女性登用の現状と将来的な女性管理職の目標設定ついて、県の認識を総務部長に伺います。 ◎総務部長(渡辺善敬君) 知事部局における女性登用については、管理職に占める女性の割合は、10年前の4.4%に対して今年度は8.5%、また副主幹以上の割合では、10年前の9.3%に対して今年度は17.5%となっておりまして、着実に進んでいるものと考えております。 女性管理職の登用目標につきましては、大変重要であると認識しておりますが、現段階では、職員の年齢や男女の構成比の関係から、まずは管理職となり得る人材を育成し、将来の管理職の増加につなげていくことが重要です。 このため、副主幹以上の割合について、令和8年度までに20%とする目標を設定しまして、働きやすい職場づくりや様々な研修機会の提供、企画・管理部門を含め幅広い分野への配置などに努め、意欲と能力のある職員の登用を進めております。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 女性の母数が少ないので、まずは副主幹級から増やすという趣旨は理解できますが、課長級以上の目標を設定しないという理由にはならないと思います。ぜひ、御検討をお願いいたします。 3問目は、男性も相談しやすい環境づくりに向けた質問です。DVや性暴力の被害者は、女性だけではありません。被害者も相談員も女性が多い中、男性が相談窓口に行くことは、女性の場合よりもハードルが高いかもしれません。 そこで伺います。現在、県男女共同参画センターに男性職員がいませんが、男性も相談しやすいように、どう取り組んでいるのでしょうか。また、今後どう取り組むのか、総合政策部次長に伺います。 ◎総合政策部次長川北正文君) 県男女共同参画センターにおいては、家族関係や職場環境、DVに関する悩みなど、幅広いテーマについて、電話や面接での相談対応を行っており、令和3年度の相談実績は1,676件、うち男性からの相談は218件、13%となっております。 相談対象者については、ホームページなどで、性別や年代等にかかわらず、どなたでも相談できる旨を周知しているほか、毎週水曜日は「男性相談日」と定めるなど、男性も気軽に相談できるよう取り組んでいるところです。 男女共同参画を推進するためには、性別による固定的役割分担意識の見直しなど、男性への働きかけや支援も必要でありますので、男性がより利用しやすくなるよう、どういった工夫ができるのか、検討してまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 男女共同参画センターさんは、私も講座に参加させていただくなど、非常によい取組をなされていると思います。ただ、もう少し工夫もいただけるとありがたいなと思います。他県では、男性相談日に男性の公認心理士が対応する取組もあるようですので、御検討をお願いいたします。 4問目は、LGBTQの相談窓口についてです。当事者の方から、「相談窓口が分かりづらい。他県のように相談窓口を設けてほしい」という御意見もいただきました。宮崎県人権啓発センターへのLGBTQに関する相談は、年間でわずか2件程度です。他県では、月1回、専用相談日を設けたり、弁護士会と連携したりして、無料相談も行っています。 そこで、お伺いいたします。LGBTQに関する専用の相談窓口について、県の考えを総合政策部次長に伺います。 ◎総合政策部次長川北正文君) 県では、LGBTQなどの性的マイノリティーに関する相談については、総合的な人権相談に対応する宮崎県人権啓発センターや宮崎県男女共同参画センターなどの相談窓口において対応しております。 これらの相談窓口においては、まずは、相談者が抱える問題についてしっかりとお聞きし、適切な助言を行うほか、相談内容に応じ、専門の相談・支援機関等を案内しております。 県としましては、県民が性的マイノリティーに関する悩みや困り事を抱えたときに、迅速に問題の解決や困難の軽減を図ることができるよう、関係機関や当事者団体の御意見を伺いながら、相談しやすい体制づくりに努めてまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 窓口の分かりやすさや体制について、ぜひ今後も御検討を進めていただくよう、お願いいたします。 以上で、誰もが暮らしやすい宮崎についての質問を終わります。 7つ目のテーマは、コロナ禍の観光について、3問伺います。 1問目は、観光戦略についてです。宮崎大学の杉山智行教授は、1月、新型コロナによる九州内地域観光の変化に関する研究結果をまとめました。九州内の233市町村にアンケート調査を実施。密集を避けて、健康的なイメージのアウトドア体験やサイクリングなどが注目され、各自治体も注力する一方、宿泊料金や飲食費の公的補助など対症療法が中心になりがちで、根本的な解決の決め手に欠く施策が目立つことを懸念されています。 その上で、移動が制限されるコロナ禍では、行きやすさよりも、まずは観光地に行きたいと感じてもらえることが重要で、そのためには、ぐっと人を引き寄せるための戦略、つまりブランド戦略が必要と訴えておられます。 調査結果では、2022年1月時点で観光ブランド戦略を策定済みの市町村の割合が高いのは、隣接する大分県で33.3%、宮崎県は九州で最も低い5.6%という結果でした。 ここで、お伺いいたします。ウイズコロナの県の観光戦略について、どのように考えているのか、商工観光労働部長にお願いいたします。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 県では、令和元年度に策定しました観光振興計画に基づき、様々な観光施策に取り組んでいるところでありますが、今年度が最終年度であることから、現在、市町村や観光事業者等と意見交換を行いながら、改定作業を進めております。 コロナ禍におきまして、本県観光を取り巻く環境は大きく変化しており、自然の中での体験を楽しむアウトドアレジャーやワーケーションへの関心の高まりなど、本県の観光資源の魅力を一層生かせる旅行ニーズも生まれてきております。 新しい計画では、ウイズコロナ時代における旅行ニーズの変化に的確に対応しながら、食や自然、神話、スポーツをはじめとする本県の魅力を生かし、国内外から選ばれる「観光宮崎」を実現することができる観光戦略を検討してまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 今年度が見直しの年度だと伺っておりますので、ぜひ市町村とも連携して、行ってみたいと思っていただけるような宮崎の観光戦略づくりをお願いいたします。 2問目は、団体旅行についてです。県内の観光業界の皆さんとの意見交換の中で、県の「ジモ・ミヤ・タビ」などの県民宿泊割引に大いに助けられているというお話も伺いました。 一方、その利用者は個人や家族など、少人数がメインなので、団体旅行の誘致にも取り組んでほしいとの御意見もありました。 そこで、お伺いいたします。ウイズコロナにおける団体旅行誘致に、どのように取り組んでいくのか、商工観光労働部長、お願いいたします。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 団体旅行は、観光事業者にとりましては、一定規模の集客が見込め、観光客にとりましては、添乗員の案内等により、その土地ならではの魅力をより深く感じることができるなど、重要な旅行形態の一つでございます。 一方で、旅行の形態は、団体旅行から個人旅行にシフトしてきており、特にコロナ禍により、この傾向はより一層強まるものと考えております。 そのような中、教育旅行や企業研修は今後も高いニーズが見込まれることから、本県では、教育旅行につきましては、貸切りバスの費用などを支援するとともに、企業研修につきましても、市町村における研修メニューの構築を支援しながら、受入れ体制の整備を図っているところでございます。 今後とも、市町村や観光事業者等と連携しながら、本県の強みを生かした観光・体験メニューの磨き上げやセールス活動により、団体旅行の誘致に取り組んでまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 「本県の強みである農業、サーフィンなどの体験とSDGsを絡めては」などの御意見もいただきましたので、御検討をお願いいたします。 3問目は、ダムについてです。「ダムカード、ダム旅、ダムカレー。ひそかに人気を集めるダムも、さらなる誘客に活用できるのでは」との御意見をいただきました。 県内には40基を超えるダムがあります。椎葉村の上椎葉ダムは、完成当時、放水の高さ日本一を誇り、ダム愛好家からは「閣下」と呼ばれていることを初めて知りました。 ダムを活用した観光振興策について、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 本県には、優れた技術力と歴史的価値を有する魅力的なダムが中山間地域を中心に各地にありますことから、観光資源の一つとして捉え、ダム管理者の協力を得て、ダムを生かした観光誘客を図っているところでございます。 具体的には、ダム及び周辺観光地をまとめたマップの作成や、周遊を促すためのスタンプラリー等を実施しますとともに、県内で実施される教育旅行では、ダムの側壁に設置されました「キャットウォーク」と呼ばれる作業用通路の歩行体験を取り入れるなど、ダムを活用したプログラムの掘り起こしを進めております。 今後とも、ダム管理者や市町村等と連携し、ダムや周辺地域の魅力を広く発信することにより、認知度向上を図り、ダムの愛好家はもとより、一般の観光客の誘客につなげてまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 ダムについて私は不勉強で、まだまだ魅力を勉強していかないといけないなと感じた次第でございます。 それでは、コロナ禍の観光について、質問を終わります。 8つ目のテーマは、誰もが親しみやすいスポーツで4問お尋ねします。 私も8月に、41歳にしてようやくサーフィンデビューを果たしました。「波に乗るのもいいが、思いどおりにならない波にもまれるのも、またいい体験だよ」と、先輩からアドバイスをもらったことがきっかけでした。宮崎は、私のような初心者から世界のプロまで楽しめる絶好の場所です。 1問目は、4月に開所した木崎浜サーフィンセンターの利用状況と、サーフィンを活用したスポーツランドみやざきの推進に係る今後の取組について、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 「ソラシドエアサーフィンセンター木崎浜」につきましては、令和元年に開催されましたワールドサーフィンゲームスのレガシーとして整備し、今年4月に供用を開始しております。 当センターの利用者数は把握できておりませんが、昨年度のサーフポイントの調査では、年間約21万人が木崎浜を利用していると推計しておりますことから、シャワーやロッカー等を備えた当センターは、多くのサーファーに利用いただいているものと考えております。 サーフィンは、スポーツランドみやざきの大きな柱の一つであり、今後とも、恵まれた環境を生かし、市町村や関係団体と連携・協力しながら、国際大会の誘致をはじめ、国内外へのPRや体験教室を通じて、一層のブランド力向上に努め、サーファーや観客の増加を図るとともに、移住の促進にもつなげてまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 先日、私も初めてサーフィンセンターにも伺いましたが、非常にすてきな施設でした。サーフィンをしていなくても、例えば、絶好のロケーションですので、お茶を飲んでゆっくりしたりですとか、あと、コワーキングスペースとして仕事をしての活用もどうかという御意見もいただきました。あとは、海岸部が減り続ける中で、環境保全の問題を指摘される方もいらっしゃいますので、安全に楽しめる環境づくりも、ぜひお願いいたします。 2問目以降は、2027年に本県での開催が内定した国民スポーツ大会・障がい者スポーツ大会、いわゆる国スポ・障スポについて伺ってまいります。 会場となる施設について、障がい者や高齢者も利用しやすいユニバーサルデザインになっているのか、総合政策部次長に伺います。 ◎総合政策部次長川北正文君) 現在、県が整備を進めております、陸上競技場、体育館及びプールにおきましては、障がい者関係団体等との協議を重ねながら、車椅子使用者の駐車場、多目的トイレやエレベーターの設置など、誰もが利用しやすい施設となるよう整備を進めているところであります。 また、障スポの競技会場につきましては、今年度から来年度にかけて、バリアフリーに関する調査を行うこととしており、競技団体や障がい者関係団体等の御意見を踏まえながら、移動時における安全性の確保や、音声・点字案内といった情報支援の充実など、大会参加者に配慮した会場づくりに努めてまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 調査結果によっては、既存の施設の改修をしたり、仮設トイレを設けるなど、設置して対応することも検討されていると伺いました。空港やホテルなどからの動線も含めて、当事者の声をしっかりと反映していただきたいと思います。 3問目です。国スポ・障スポ開催に向けた宿泊や輸送・交通に関わる本県の受入れ体制について、課題と現在の取組状況を、総合政策部次長に伺います。 ◎総合政策部次長川北正文君) 大会期間中は、選手・役員をはじめ、県内外から多くの来場者が見込まれますことから、宿泊施設や輸送交通手段の確保など、受入れ体制の準備は大変重要な課題となっております。 現在、宿泊につきましては、大会参加者の宿舎として使用可能な施設に対し、設備の状況や受入れの意向を把握するための宿泊施設基礎調査を実施しているところです。また、輸送・交通につきましては、貸切りバス・タクシーの県内保有状況や開閉会式会場周辺の臨時駐車場及び輸送ルートに関する輸送・交通基礎調査を実施しております。 今後、これらの調査結果を踏まえ、それぞれの課題を明確化させるとともに、関係機関・団体と十分連携しながら、その対応策について検討を進めてまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 宿泊や交通、弁当業界の関係者の方からも御意見をいただいているのですが、「現在、コロナ禍で非常に打撃を受けている。閉店や、さらなる人手不足に追い込まれているところもあります」ということでした。 「5年後の国スポ受入れのためにも、今を持ちこたえるための方策が必要です」という御意見もいただいています。早い段階からの連携をお願いいたします。 4問目は、国スポ後の運用についてです。今回、延岡市に新設する体育館については、合宿などの利用を優先されると、これまでの市民体育館のように利用できなくなるのではないかという心配の声があると聞いています。体育館、プール、陸上競技場、いわゆる主要3施設について、「プロスポーツの誘致だけがスポーツランドみやざきではない。県民がもっとスポーツしやすい環境づくりを」「プロや大型大会が優先され、市民、県民が使いづらくなってしまうのではないか」という心配の御意見もいただいています。 そこで、お伺いいたします。国スポ・障スポ後も、競技者だけではなく県民が使いやすい施設となるかどうか、総合政策部次長に伺います。 ◎総合政策部次長川北正文君) 主要3施設につきましては、大規模な大会やキャンプ・合宿としての活用とともに、広く県民の皆様に利用していただける身近な施設となるよう、整備を進めているところであります。 それぞれの施設におきましては、メインとサブの2つの競技エリアがあり、競技者と一般利用者が同時に利用することもできることから、利便性の向上が図られるものとなっております。 議員から御指摘のありました体育館につきましては、廃止される延岡市民体育館の機能が担えるよう、設計の段階から延岡市や競技団体とも協議を重ねて整備を進めているところであり、具体的な管理・運営方法につきましても、さらに検討を進め、地元にも幅広く利用される施設となるよう努めてまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 「キャンプシーズン以外にも盛り上がるために、通年型の実現をしてほしい」という御意見もいただいています。県民が予約しやすい、利用しやすいための仕組みといったソフト面も含めた対策をお願いいたします。 以上、親しみやすいスポーツについての質問を終わります。 9つ目のテーマは警察です。 現在、建設候補地の調査を行っている高岡警察署の建て替えの進捗状況と今後のスケジュールについて、警察本部長に伺います。 ◎警察本部長(山本将之君) 高岡警察署建て替えの進捗状況につきましては、管轄区域内の住民の皆様の利便性、あるいは過去の災害の発生状況、こうしたものを勘案いたしまして、移転候補地として複数を選定いたしました上で、現在、不動産コンサルタント事業者と委託契約を行い、候補地やその周辺状況に関する調査を行っております。 今年度中には、この調査結果などを踏まえまして移転先を決定した後、来年度から移転先となる土地の取得手続を始めることとしております。その後、設計、建設工事などを経まして、令和12年3月末での新しい警察署の供用開始を目指しております。 なお、管轄区域内の住民の皆様に対しましては、土地を取得する過程の中で、今後丁寧に説明を行ってまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 住民の方への説明もいただけるということで、皆様、本当に今後どうなっていくのか期待を持って見ていらっしゃると思いますので、丁寧な説明をお願いしたいと思います。 現在、候補地としては、宮崎市と国富町の5か所を調査しているようです。供用開始までの約8年間、宮崎西警察署構想と併せて、エリアも人口も広範な宮崎北署、南署を含む県央部の各警察署の役割を整備する重要な時期でもあると考えます。高岡警察署の地元住民の方はもちろん、北署管内の関係者にも丁寧な説明や議論を行う機会を持ち、身近な警察であり続けるための御尽力を求めたいと思います。 10個目のテーマは自然を生かす観点で、質問は1問です。 霧島ジオパークの対象エリアの拡大を申請中と聞いています。現在の状況をお尋ねします。また、拡大による効果と地域資源に対する県の考えを、総合政策部次長に伺います。 ◎総合政策部次長川北正文君) 本県と鹿児島県の5市2町で構成される霧島ジオパークは、現在、日本ジオパーク委員会に、対象エリアを霧島山を中心とした周辺地域から関係自治体全域まで広げることについて申請中であり、審査結果は9月中に発表されると伺っております。 エリアの拡大が認められた場合、地質学的な見どころを意味するジオサイトとして、火山と関係の深い地形、植生、文化などをこれまで以上に活用することができますことから、広く情報発信をしていく必要があるものと考えております。 県としましては、ジオパークの魅力を十分に引き出すことができますよう、地域住民の意識醸成やガイド等の人材育成、情報発信など、広域的に連携する関係市町の取組を、引き続き支援してまいります。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 霧島ジオパークが認定されたのが2010年で、もうすぐ12年になります。新燃岳噴火からの復興とともに歩んできたこれまでの活動を検証し、ステップアップにつなげていただきたいと思います。 最後のテーマ、11個目は、移動できる故郷を守るということについてです。これまで当たり前に私たちの生活を支えてきたバスや鉄道が、少子高齢化、コロナ、災害で、存続の危機に直面しています。通勤通学、通院など、運転できない子供もお年寄りも障がい者も、移動できる権利が保障され、住み慣れた場所にいつまでも住み続けられる宮崎を守りたいという願いを込めて、質問いたします。 6月議会で県バス対策協議会のことを質問しましたが、その後、鉄道存続をめぐる議論があったほか、9月2日には本県の公共交通の活性化に向けた県地域公共交通協議会が発足するなど、交通政策をめぐる動きがありました。 これから地域公共交通計画を策定するとのことですが、今後、具体的にどう取り組んでいかれるのでしょうか。総合政策部次長に伺います。 ◎総合政策部次長川北正文君) 今回策定します地域公共交通計画につきましては、まずは、昨年来大きな課題となっております地域間幹線バスについて、利用者数の目標やその達成に向けた取組等を定めることとしております。 また、鉄道を含め、その他の公共交通機関につきましても、バスとの乗り継ぎの円滑化など、利用促進の観点から計画に盛り込む予定としており、今後必要となるデータの収集等に取り組みながら、来年6月をめどに計画案を取りまとめ、修正を加えた上で、来年末までに完成させたいと考えております。 なお、現在、地域間幹線バスの在り方について議論しているところでありますが、協議会に設けた地域分科会等におきまして、計画の策定と並行しながら、引き続き検討を進め、本年度内に基本的な考え方や方向性を整理する予定としております。 ◆(山内佳菜子議員) ありがとうございます。 今回は、利用者の方々も入られる団体も協議会に加わると伺っております。この問題は、国だけでもなく県だけでもない。事業者だけでもなく、県民も一緒になって考えるべきテーマであると思います。その過程こそが、皆様と思いを一つにするための大事な時期でもあると思いますので、今後も丁寧な御議論をお願いいたします。 以上で、43問の質問は終わりました。 知事、執行部の皆様、丁寧な御答弁をいただき、誠にありがとうございました。また、昼夜を分かたず日々御奮闘いただいている職員の皆様にも、心より敬意と感謝を申し上げます。 冒頭では、現在、国民の間でも議論が分かれているテーマを取り上げましたが、知事、執行部、県議、立場や主義、主張の違いはあっても、宮崎を思う気持ちは同じであると信じています。 コロナや銃撃事件など、思いも寄らない災害、病気、事故に私たちは直面していますが、県民の皆さんが少しでも心穏やかに過ごせるよう、知恵と汗を出し合って、県民生活を一緒に支えていけたらと思っております。 以上で、私の代表質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(中野一則) 以上で午前の質問は終わります。 午後は1時再開、休憩いたします。   午前11時24分休憩────────────────────    午後1時0分再開 ○議長(中野一則) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次は、公明党宮崎県議団、坂本康郎議員。 ◆(坂本康郎議員) 〔登壇〕(拍手) 公明党宮崎県議団の坂本康郎でございます。 去る8月4日に宮崎市で開催されました「第27回NIE全国大会」の開会式におきまして挨拶に立たれた、黒木教育長のお話が心に留まりました。 少し引用させていただきますと、「最近、私たちは物事を判断するときに、あまり時間をかけないことに価値を見いだしているように私は感じます。手際のよさとか効率とか、時間をかけないことのほうがすばらしいという考えです。そういうことに社会が重きを置いている気がしてなりません。それはそれとしていいのですが、一方で、時間をかけるということも、とても大事な気がするんですね。若い皆さんは好きとか嫌いとか、面白いとか面白くないとか、そんなことだけで判断をしていないですか。楽しいとか楽しくないとか、あまり時間をかけないで判断してしまう。でも私たちはきっと、正しいのか正しくないのかとか、自分にとって大切なのか大切でないのかとか、このことは効果があるのか効果がないのか、そんなことを考えることも、とても大事ではないでしようか。そして、そのような物の見方や考え方、価値の判断には時間がかかります。時間がかかっていいんじゃないでしょうか。あるいは時間をかけるべきではないでしょうか。」と、そのような内容であります。 教育長御自身の思いを、実にストレートな表現で若い世代へ向けて呼びかけられていますが、それは私たちにも通じる、大変示唆に富んだお話だとお伺いしました。改めまして、私も大局を見、県政のため、県民の利益につながることを心がけて質問に入らせていただきます。 県の総合計画「未来みやざき創造プラン」の新しい長期ビジョンが今議会に示され、本県が目指す将来像について、展望する先が現行の2030年から2040年へと改められました。 今回の県総合計画長期ビジョンの見直しに当たり、まず現行の長期ビジョンをどう総括されるのか。また、次期長期ビジョンに示される県の新たな将来像の方向性について、知事にお伺いします。 壇上の質問は以上とし、以降は質問者席にて行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。 現行ビジョンの策定から約10年が経過し、この間、口蹄疫からの復興や人口減少問題への対応など、県政が直面する諸課題に全力で取り組んでまいりました。 その結果、フードビジネスなどの成長産業の育成をはじめ、農畜水産物の輸出拡大や大型企業の立地、スポーツや文化を生かしたブランド力の向上、さらには、防災庁舎、新県立宮崎病院の整備など、全体として一定の成果が出ているものと考えております。 一方で、出生数の減少や若者の県外流出、中山間地域の維持など、取り組むべき課題は多々残されております。また、これからの10年20年は、高齢化のさらなる進展やデジタル化・ゼロカーボンへの対応、国際情勢の変化など、世の中が大きく変わっていく節目となります。 このため、新たな長期ビジョンでは、2040年を展望し、大局的な観点から、人口減少下にあっても誰もが幸せや豊かさを実感できる社会を築き上げることに軸足を置いて、「持続可能性」や「人材力」「きずな・つながり」など「未来に必要な5つの要素」を掲げ、今後の方向性を整理したところであります。 今後は、実行計画となりますアクションプランを策定し、安心と希望ある未来の実現に向けて、しっかりと取り組んでまいります。以上であります。〔降壇〕 ◆(坂本康郎議員) 次期長期ビジョンにつきましては、私も時間をかけてじっくりと読ませていただきました。 2040年の宮崎の未来社会について、どうありたいか、理想の将来像を示しながら、県民が理解し、共有できるよう、課題や方向性をできる限り細部にわたって具体的に示そうとされており、よく練られたビジョンだと理解しております。 今回示された新しい長期ビジョンが目指す先は2040年、今から18年後の宮崎の将来の姿であります。私が今年57歳になりますので、18年後、このままいけば後期高齢者の仲間入りをして、まず間違いなくここにはおりません。恐らくは、この議場にいらっしゃる皆さんの多くも、県政に直接携わる立場ではなくなっているものと思われます。 知事の御答弁にありました2040年の「人口減少下にあっても誰もが幸せや豊かさを実感できる社会」「安心と希望ある未来」について、私たちにはそれを見届けることぐらいしかできないのが、残念ながら現実であります。 今回、長期ビジョンに示されました理想の宮崎の将来像を実現していく上で、必然として、いずれ次の世代の人たちにバトンを渡さなければならないわけですが、知事は、県政の課題や目標を次世代へ受け継いでいくことについてどのようにお考えか、お伺いします。 ◎知事(河野俊嗣君) この長期ビジョンは、安心と希望ある未来を築く上で、本県がこれから進むべき道筋を示す県民共有の指針であります。特に、これからの社会の中心となる若い世代の方々には、このビジョンの内容を御理解いただいて、積極的に県政に参加していただくことが大変重要であると考えております。 そのため、今回の長期ビジョンの策定に当たりましては、高校生や大学生、企業の若手社員との意見交換を実施するなど、若い世代にも策定作業の段階から参画していただいたところであります。 今後は、分かりやすい概要版パンフレットの作成をはじめ、ホームページや広報紙など様々な媒体を活用した広報、さらには、出前講座や意見交換の場などを通じまして、若い世代の方々と本県の課題や目標等をしっかりと共有しながら、将来像の実現につなげてまいります。 ◆(坂本康郎議員) この新しい長期ビジョンの実現に向けて、知事におかれましては、就任4期目になります次の4年間をどう位置づけておられるのか、お伺いします。 ◎知事(河野俊嗣君) 本県を取り巻く社会経済情勢は、世界人口の増加等に伴います食料、エネルギーの問題をはじめ、デジタル化の急速な進展や、気候変動問題など、世の中が大きく変わっていく節目を迎えているものと考えております。 このような変化の著しい時代だからこそ、長期ビジョンにも示しておりますとおり、誰もが安心して暮らすことができ、楽しさや幸せを実感できるような社会をしっかりと次の世代に引き継ぐ必要があります。 しかしながら、現在本県は、コロナ禍や原油価格・物価高騰の影響によりまして、未曽有の難局に直面しております。次の4年間は、そうした危機を乗り越え、さらなる成長のきっかけにしていく上でも、また長期ビジョンで目指す将来の道筋づくりに向けまして順調なスタートを踏み出していくためにも、極めて重要な期間になるものと考えております。 このため、県民の皆様から次期県政を負託いただけるのであれば、次の4年間を宮崎再生の期間と位置づけ、県民の力を一つにしてこの難局を克服し、本県を次のステージへと飛躍させるための取組を進めてまいります。 まずは、コロナ禍等からの力強い復興を着実に進めていくとともに、人口減少対策をはじめ、総合交通網の整備や防災・減災、国土強靱化対策、医療や福祉、教育の充実など、本県の持続的な発展の土台づくりに努めてまいります。 また、豊かな自然や食、スポーツ環境、地域の絆など、全国に誇れる本県の強みや資源を生かしながら、農林水産業の成長産業化をはじめ、地域経済を支える力強い産業構造を構築していくこと。そして、デジタル社会、ゼロカーボン社会へ向けた取組の加速、「スポーツランドみやざき」のさらなる発展などの取組を進めてまいります。 何としても県民の命と暮らしを守る、そして明るく活力あふれる未来を切り開いていく、そのような強い気概と覚悟を持って、宮崎再生に取り組み、私はその旗振り役としてしっかりと結果を出してまいりたい、そのように考えております。 ◆(坂本康郎議員) 大変具体的な御答弁をいただきまして、ありがとうございました。 次に、若者の政治参画について質問いたします。 近年の国政選挙、地方選挙における本県の10代、20代の投票率の状況を、選挙管理委員長にお伺いします。 ◎選挙管理委員長(茂 雄二君) 年代別投票率は、各市町村から一つの投票所を選定した抽出調査によるものですが、今回の参議院選挙におきましては、18歳・19歳が26.37%、20代前半が26.05%、20代後半が35.51%となっており、3年前の参議院選挙もほぼ同じ傾向にある中で、今回は、各世代で5ポイントほど高くなっております。 また、昨年の衆議院選挙、3年前の県議会議員選挙、4年前の県知事選挙におきましても、20代前半が最も低く、次いで18歳・19歳、そして、20代後半以降、年代が上がるにつれ投票率も上がる傾向にあり、総じて10代、20代の投票率は、30代以降と比較して低い状況にあります。 ◆(坂本康郎議員) 次に、県内の若者の投票率が低い要因について、どう認識し、取り組んでおられるのか、選挙管理委員長にお伺いします。 ◎選挙管理委員長(茂 雄二君) 若者の投票率が低い要因の一つとして、自分の1票が、選挙結果や政治につながっている感覚を持てないこと等が考えられ、令和2年に県が行った調査でも、投票に行かない若者の約2割が、「投票しても政治や社会は変わらない」ことを理由に挙げています。 このため、県と宮崎大学の共催による政治や選挙を学ぶ講座では、昨年度、「若者と世の中をつなぐ」というテーマで、身近な例を基に「政治とは何か」を考えるワークショップを行いまして、講座のまとめでは、政治に参加しても必ずしも自分の思いどおりの結果が得られるわけではないが、参加しなければ確実に自分の意見は反映されないことを、受講者と共有したところです。 このように、若者の投票参加のためには、政治が自分たちの生活の延長上にあるということを認識してもらうことが重要と考えておりますので、各種講座や出前授業等の内容を工夫しますとともに、教育委員会との連携をより強化し、若い世代の主権者意識の醸成や、家庭教育の推進に向けた親世代への啓発にも努めてまいりたいと考えております。 ◆(坂本康郎議員) 若者の声を政策に反映させる活動に取り組んでいる「日本若者協議会」の室橋祐貴代表理事が、若者の低投票率について公明新聞の取材に答えています。「そもそも世代別の人口が違いすぎて若者の声が政治に届きにくい。ある調査では、日本の18歳は『自分の行動で、国や社会を変えられると思う』が26.9%で、諸外国の半分以下」と数字にも表れていること。「投票に行っていない若者の声を聞くと、自分たちが投票しても意味がないと諦めている人が非常に多い。実際に投票に行った人でも、現実は変わらないという感想も耳にする。」など、若者の投票率が低い要因を分析しています。 この見方は、NHKで紹介された旭川大学の「投票率考えてみた。」という学生座談会の中で学生たちから出された、「そもそも高齢者と若者の母数が違うので、結局高齢者の投票が勝つのではないかと思ってしまう。若者は自分の1票ぐらい入れても入れなくても結果が変わらないと思ってしまうのでは。」という意見とも重なります。 若者世代は、ひょっとすると私たち以上に、自分たちの世代に対して集団意識が高いのかもしれません。 これらの分析や意見が示している、若者の意見が反映されていないことへの反発として、その意思表示が低投票率に表れているとすれば、人口構造はますます少子高齢化が進んでいくわけですから、少なくとも向こう18年間、2040年までは若者世代の低投票率が続いていき、さらに同時並行で10代、20代から30代、40代へと低投票率傾向が一緒に持ち上がっていくことになります。低投票率の年齢層が、今後さらに広がっていく可能性が考えられます。 若い世代の意識をどうやって政治に向かわせるか、私どもも日頃から思案し、試行錯誤を重ねているところで、これは各政党共通の課題のようであります。 選挙管理委員長の御答弁にありましたように、県の選挙、知事選、県議選においても明らかな、10代、20代の若者世代の低投票率の傾向について、知事はどうお考えかお伺いします。 ◎知事(河野俊嗣君) 若者の投票率につきましては、平成27年の選挙権年齢引下げを受けて、これまで選挙管理委員会や教育委員会が選挙啓発や主権者教育等に取り組んできたところでありますが、他の世代に比べて低い状況にありますことは、大変残念に受け止めているところであります。国政であろうと地方であろうと、今、なされる政治的な決定というもの、その影響は、若い世代であればあるほど、より長い期間、また大きく受けるわけであります。 選挙は、国民が主権者として政治に参加し、その意思を反映させることのできる基本的かつ最も重要な機会であります。また、地方選挙につきましては、地域を取り巻く様々な身近な課題につきまして、各候補者の主張を通して、選挙人である住民が、自分事として再認識する機会でもあります。こうした意義というものをしっかり啓発に努めるとともに、一政治家としても政治に関心をより持っていただけるような取組というものを、これからも進めてまいりたい、そのように考えております。 今後、12月の県知事選挙、来年春の県議会議員選挙をはじめとした統一地方選挙が予定されておりますので、特に若い世代の皆様には、10年後、20年後の本県や地域の姿を思い浮かべながら、積極的に投票参加していただきたいと考えております。 ◆(坂本康郎議員) 若者の低投票率につきましては、今に始まったことではなくて、これまでも、議会において度々取り上げられてきました。本県の改善すべき重要な課題の一つという認識に異論はないと思います。 今回、県の長期ビジョンと現行のアクションプランに目を通しながら、選挙や投票率について一切記載がないことに気づきました。 東京都中野区では、全体の投票率と若者の投票率の格差を指標として、「何%以内に縮めていく」と数値目標化し、行政評価してきた例がありますので、今後、より効果的な取組の在り方についてよく検討していただきますよう、要望いたします。 私ども公明党は、党の青年委員会が聞き取りをして集めた若者の声を基に、「青年政策2020」を策定し、一昨年、政府に提出いたしました。 この中で、「若者政策担当大臣」の設置や、政府や地方自治体が政策について意見を聞く審議会に若者を参加させ、その声を反映させる環境を整えることなど、「若者が行政や政治に自ら関わることができる社会」の実現を訴えてまいりました。 さらに、昨年10月の衆院選の重点政策には、政府や地方自治体の審議会に「若者枠」を設けること、生徒自らが校則や学校行事などの内容を決めていく「学校内民主主義」の実現を、そこに追加いたしました。政策決定の際に、若者が関与する度合いをもっと高めていくことが重要だと考えております。 知事の御答弁にありましたが、本県の次期長期ビジョンの検討過程では、「高校生、大学生、若手事業者との意見交換会」や「県民、若者との意見交換会」が実施されていますが、この詳細を総合政策部次長にお伺いします。 ◎総合政策部次長川北正文君) 意見交換会には、4回にわたって、高校生や大学生など計75名に参加いただき、「ひと」「くらし」「産業」の3つのグループに分かれて、20年後に実現したい将来像や課題の解決策について議論を行いました。 「ひと」のグループでは、高等教育の充実による誰もが挑戦できる社会や、子供から高齢者まで一人一人がデジタル化に対応した社会を実現したいといった意見、「くらし」のグループでは、若者が魅力を感じられる社会、そして自然豊かで、どの世代も暮らしやすい社会に向け、娯楽やアクティビティーが必要などの意見がありました。また、「産業」グループでも、ワーク・ライフ・バランスの取れた社会や、デジタル化など便利な機能を取り込んでいる社会にしたいなど、若者目線の将来像やその実現に向けた取組が示されたところでございます。 ◆(坂本康郎議員) 次期アクションプランの策定におきましても、若い世代の意見を積極的に取り入れてもらいたいと思いますが、県の考えを総合政策部次長にお伺いします。 ◎総合政策部次長川北正文君) 新たなアクションプランは、今回の長期ビジョンに掲げる将来像を実現するための4年間の実行計画であり、その策定に当たっては、若者をはじめ、幅広く県民の意見を伺う必要があります。 中でも、本県では、若者の県外流出や出生数の減少が大きな課題となっており、若い世代が宮崎で暮らし、働き、そして子供を産み育てたいと思えるような魅力ある県づくりを進めていくことが重要であると認識しております。 こうした課題については、今後も意見交換の場を積極的に設けるなど、ターゲットとなる若い世代の声をしっかりと伺い、アクションプランへの反映や効果的な施策の構築に努めてまいります。 ◆(坂本康郎議員) 私どもから提案が一つあります。 本県の若者の積極的な県政参画を進めていくために、ぜひ、若者政策担当部局の新設を御検討いただけないでしょうか。ここでは、若者を取り巻く状況の調査・研究や、調査に基づく政策のフォローアップ、若者の団体への支援事業、若者向けの広報、学校における主権者教育のコーディネートなど、若者に関わる一切の政策を一元的に取り扱うことを想定しております。 先ほどの若者の投票率の向上についても、ここに担当させればよいと思います。大変先進的な取組になると思いますが、県の新しいビジョンに沿って、宮崎の将来を担う若者を積極的に支援するための一つの取組として、ぜひ御検討いただきますよう、お願いいたします。あわせて、県の審議会における「若者枠」の設置につきましても、前向きな御検討をお願いいたします。 次に、超高齢化社会への対策について質問をいたします。 世界に類を見ない急速な少子高齢化が進む日本社会は、2025年に「団塊の世代」560万人全員が75歳以上になり、さらに2040年には、70年代前半に生まれた「団塊ジュニア世代」183万人が65歳を迎え、高齢者人口は約4,000万人とピークに達します。この人口構造の変化は「2040年問題」と称され、日本社会に大きな影響を及ぼすことが予想されております。 私どもも、この2040年をどう乗り越えるか、「2040年問題」を我が国の最重要課題と位置づけて、「公明党2040年委員会」を2019年に設置いたしました。また、公明新聞・ビジョン検討チームでは、「2040年問題 新たな社会保障への一考察」と題した小論を発表し、社会状況がどんなに変化しても大衆福祉の理念を貫いていくこと、そして、それを具体化する一つの政策指標として「大衆幸福度」を策定し、社会保障制度の拡充と個人が実感できる幸福感を連結させることを提唱いたしました。 これからの超高齢化社会においては、3つの視点、1つ目は、真に支援が必要な弱者を把握するという視点、2つ目に、分断や格差、孤立や孤独を防ぐという視点、3つ目に、個人に軸足を置いた制度設計を行うという視点、この3つの視点をこれからの政策に反映させていくことが大変重要だと考えております。 希望と安心が持てる本県の未来を思い描きながらも、一方で、これから私たちが直面する厳しい現実も直視しなければなりません。そこで、支援を必要とする弱者を把握するという視点から、高齢者の生活困窮化の実情についてお伺いいたします。 本県の生活保護受給世帯のうち、高齢者の生活保護受給世帯数と全体に占める割合、今後の見通しについて、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 本県の生活保護の受給世帯数は、10年前の平成24年度には全体で1万3,203世帯、うち高齢者世帯数は6,062世帯で、全体の45.9%でありましたが、令和4年5月現在では、全体で1万3,918世帯、うち高齢者世帯は8,446世帯で、全体の60.7%と増加してきております。 このような中で、平成31年度の国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によりますと、本県の高齢世帯数は、当面、増加することが予測されております。 このように高齢者世帯全体が増加する中で、高齢者の雇用環境は総じて厳しく、一般の方々と比較して経済的な自立が困難なケースが多いことから、生活保護を受給している高齢者世帯についても同様に、一定程度増加するものと考えております。 ◆(坂本康郎議員) 御答弁いただきましたように、生活保護受給世帯に占める高齢者世帯の割合が6割という数字を見ますと、大変厳しい現実を感じます。下の世代同様に、生活保護を受けていない世帯の中にも、実態としてそれに近い経済状態の高齢者も相当数いるものと思われます。 直近では、物価高騰の影響が大変懸念されますので、今後も引き続き、高齢者世帯の生活実態の把握に努めていただきますようお願いいたします。 超高齢化社会の課題の一つに、多死の問題があります。戦後、日本の年間死亡者数が最も少なかったのは、1966年の約67万人。その後、高齢化を反映して増加傾向に転じ、2040年頃に約168万人とピークを迎えると見られています。 2019年の県の平均寿命、男性が81.25歳、女性が87.62歳とのデータを基に、本県の今後の見通しを質問いたしますが、本県の2040年時点の高齢者のうち、85歳以上の高齢者人口の見込み数を、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、本県の2040年時点での85歳以上の高齢者人口は、令和2年(2020年)の約6万8,000人から約10万3,000人に増加することが見込まれております。 ◆(坂本康郎議員) 今後増加する死亡者の大部分を85歳以上の高齢者が占めると見込まれることから、今後、終末期ケアの需要が急増することが予想されます。これは、人としての尊厳を守るという点からも、大変大事な問題であります。そのために、早くから計画的に体制整備を進めておくことが必要と考えますが、福祉保健部長に御見解をお伺いします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 高齢化の進展に伴い、医療と介護の両方のニーズを有する高齢者の増加が予想されることから、医療・介護サービスが相互に連携して提供される体制の構築が重要だと認識しております。 国民の約7割が自宅で最期を迎えることを希望しているのに対し、本県の在宅での死亡率は約2割となっており、特に終末期におきましては、訪問診療、訪問看護、訪問介護等が連携して在宅での療養生活を支えるとともに、在宅でのみとりを行うことができる体制を整備する必要があると考えております。 このため県では、在宅医療を担う医師や看護師の育成に努めるとともに、入退院時に医療側と介護側で情報共有するためのルールを定めているところであります。また、今年度から、望む医療やケアについて、前もって本人と家族等が話し合うアドバンス・ケア・プランニングの普及啓発を行うこととしております。 今後とも、高齢者自身が望む医療・介護サービスを受けながら、安心して、人生の最後まで自分らしい暮らしを続けることができるよう、必要な体制整備に努めてまいります。 ◆(坂本康郎議員) 同様に、多死社会の課題として、死亡者数がピークを迎えたときに、火葬場の稼働が間に合わなくなることを危惧する見方がありますが、県内の火葬場の整備状況を、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 県内の火葬場につきましては、事業主体である市町村や一部事務組合等が、地域の実情に応じて11か所を設置しております。 また、県が把握しているところでは、事業主体である市町村等において、将来的な高齢化人口の推移を見ながら、必要に応じて火葬炉の増設や改修による火葬能力の向上、また、業務体制の見直しなど、将来亡くなる方が増えると言われている多死社会に向けた検討を進められているところでございます。 ◆(坂本康郎議員) 私にも104歳になる祖母がおります。その祖母からすると、おまえは罰当たりだと言われかねない質問をしておりますけれども、今年も間もなく敬老の日を迎えます。人生の大先輩の皆様には改めまして敬意を表し、御健康と御長寿を心から願うものであります。 次に、高齢者の独り暮らしなど、高齢者世帯の実態について質問いたします。 宮崎市内でも地域を訪問していますと、仕事をリタイアされたと思われる高齢の御夫婦、御家庭が多くなっていることを実感しています。また、高齢者の独り暮らしのお宅も少なくなく、その雑然とした玄関回りの様子から、ふだんの生活にも不便を来しているのではないかと思わされることも多くなりました。 そこでまず、本県の高齢者世帯数について、世帯主が75歳以上の世帯数と今後の見通しを、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、本県の2040年時点での世帯主が75歳以上の世帯数は、令和2年(2020年)の約10万世帯から11万9,000世帯に増加することが見込まれております。 ◆(坂本康郎議員) では、世帯主が75歳以上の高齢世帯のうち、夫婦のみの世帯及び独り暮らしの世帯数と今後の見通しについて、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 同じく、国立社会保障・人口問題研究所の推計によりますと、本県の2040年時点での世帯主が75歳以上の世帯のうち、夫婦のみの世帯数は、令和2年(2020年)の約3万3,000世帯から3万7,000世帯へ、単独世帯数は、約4万世帯から5万2,000世帯に増加することが見込まれております。 ◆(坂本康郎議員) 高齢者をめぐる世帯構成の変化、特に独り暮らしの高齢者の増加に伴う課題と取組について、県の見解をお伺いします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 高齢者が独りでも、住み慣れた地域で安全・安心に暮らし続けるためには、在宅での介護サービスの利用のほか、生活面での様々な課題を解決するための支援を行うことが重要と考えております。 このため、市町村におきましては、地域の支え合いを促進する「生活支援コーディネーター」を配置し、庭掃除やごみ出し等の生活上の困り事や買物等のための移動の支援について、住民やNPO法人等の団体が地域で支える仕組みづくりに取り組んでおります。また、県では、生活支援コーディネーター向けの研修やNPO法人等への支援を行っております。 高齢者がいつまでも住み慣れた地域で自分らしく暮らし続けられるよう、医療、介護、生活支援等が一体的に提供される地域包括ケアシステムを、引き続き推進してまいりたいと考えております。 ◆(坂本康郎議員) 高齢者の独り暮らしや、高齢夫婦だけの世帯の増加は、災害発生時にも影響が懸念されます。高齢化の進行を踏まえた地域防災について、県ではどのように取り組んでいくのか、危機管理局長にお伺いします。 ◎危機管理局長(松野義直君) 高齢化の進行に伴い、災害時に高齢者の避難支援を行う人材の不足が予想されることから、地域においては、住民間の連携を深め、高齢者世帯の情報共有を図ることなどにより支援体制を構築し、共助を強化することが重要であると考えております。 このため県では、地域における防災のリーダーとなる防災士を養成するほか、市町村が選定した地区に防災士を派遣し、市町村の一定の区域内の居住者や事業者による、地域の特性に応じた「地区防災計画」の策定を支援しております。 今後も、市町村や防災士と連携しながら、地域防災力の向上につながる取組を進めてまいります。
    ◆(坂本康郎議員) 以前、一般質問でも取り上げさせていただきましたが、避難行動要支援者名簿及び個別避難計画の作成について、県内の進捗状況をお伺いします。 特に、要支援者ごとの個別計画につきましては、以前の一般質問に対する御答弁で、各市町村の取組が遅れている状況にあると伺っていましたが、高齢化の進行に伴う要支援者の増加を考えると、早急に進めるべき喫緊の課題であります。 次期アクションプランの指標として目標設定し、進捗に対して評価していってはどうかと考えますが、県の御見解を含めて、危機管理局長にお伺いします。 ◎危機管理局長(松野義直君) 避難行動要支援者名簿につきましては、令和4年7月1日時点で、県内全ての市町村で作成を完了しております。 個別避難計画につきましては、一部の避難行動要支援者分について、作成済みが14市町村、今年度中に作成に着手予定が8市町村となっておりますが、避難行動要支援者は、災害で犠牲となる可能性が高いことから、県では、市町村において速やかに個別避難計画が作成されるよう、研修会などを実施しているところです。 次期アクションプランの指標とすることにつきましては、避難行動要支援者の名簿登載の基準が市町村で異なるなどの課題もありますので、その妥当性などについて、今後検討してまいります。 ◆(坂本康郎議員) 次に、男性介護者の孤立の問題を取り上げます。 山梨県が、親や妻を介護する県内の男性の多くが孤立して、一人で悩みを抱えている実態を把握し、支援の強化に動き出しました。実態調査は、男性介護者がつくる「山梨やろうの会」に委託して、昨年12月から今年1月にかけて実施され、山梨県内のケアマネジャー143人と男性介護者268人が回答。ケアマネジャーに対する調査では、「担当する男性介護者の中で、介護のために孤立していると思われる人がいるか」との問いに対して、「いる」または「以前いた」を合計して65.1%に上り、孤立の原因としては、「一人で抱え込む」「弱音を言わない」「プライドがある」などが挙げられています。 一方、男性介護者に対する調査では、全体の63.1%が60歳以上であり、介護する人の高齢化が浮き彫りになっております。 山梨県は、今年度補正予算で「孤立防止支援事業」に着手し、男性介護者の意見交換会や、ケアマネジャーによる企業訪問を実施し、男性介護者が気兼ねなく相談できる環境づくりに取り組むとしております。 一人で抱え込む、弱音を言わない、または言いたくない、プライドがあるなど、男性の私にはよく理解できますし、県内でも同様に、家族の介護や仕事との両立などで悩んでいる男性が既に多く存在しているのではないかと思います。 この男性介護者の孤立という問題について、県内の状況をどのように認識されているか、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 国の調査によりますと、同居している主な介護者のうち男性の割合は、平成13年の23.6%から令和元年には35.0%と、年々増加してきております。 市町村では、介護者が集まり、語り合う交流会を開催しておりますが、西都市におきましては、認知症の家族を介護する男性から「同性同士で語り合いたい」といった声を受けまして、男性介護者の交流会も開催しておりまして、同じ境遇の人が自らの経験を語り、共有することは、介護者の精神的負担の軽減等につながるものと考えております。 介護者には、様々な悩みや御苦労があると思われますが、一人で抱え込み、孤立しないためには、交流会のほか、地域包括支援センター等での相談により、介護者自身の負担軽減を図るとともに、要介護者が適切な介護サービスにつながることが重要であると認識しております。 ◆(坂本康郎議員) 次に、新型コロナ対策について質問いたします。 今年の6月議会の一般質問で、私も、その時点の県の感染症対策について質問いたしました。6月の時点では、全国的にも県内においても、感染状況は減少傾向が続いているさなかでありましたので、世間でもコロナ禍の長いトンネルの先にようやく出口の光が見えてきた、ほっとしたような、そのような空気の時期に、今さらワクチンの接種状況や検査体制について質問すべきかどうか、直前まで迷った記憶があります。ですから、その後の爆発的な感染の再拡大は、まさに思いも寄らなかったという印象であります。 7月12日に県内の新規感染者は1,000人を超え、8月に入ると4,000人を記録。以降、1,000人、2,000人と、それまでとは次元の異なる高止まりで、感染爆発の状態が続いています。8月以降、全国的にも、人口10万人当たりの新規感染者数で、10歳未満が最も高く、10代の感染も高い水準という傾向が見られました。 そこでまず、本県における10代及び10歳未満の子供の新規感染者数の状況をお伺いします。また、第7波におきましては、子供の重症化が増加傾向にあることを懸念していますが、本県の子供の重症化の状況についても、併せて福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 本県において第6波が始まった今年1月から8月末までの時点における10代以下の感染者数は、10代が2万6,951人、10歳未満が2万6,790人で、合わせて5万3,741人となっており、これは、同じ時期における全感染者の約3割を占めております。 子供の場合は、無症状者や軽症者が多いとされていますが、感染者が激増する中で、全国では子供の重症者や亡くなる方が増えてきております。 本県におきましては、これまで10代以下で亡くなられた方はおりませんが、ICUでの入院管理や人工呼吸器が必要となった重症者は2名おられます。 ◆(坂本康郎議員) ワクチン接種について、私どもは、ワクチン接種感染拡大を抑える重要な手だての一つと考え、「打つリスクよりも、打たないリスクのほうが高い」との判断から、これまで接種を推進してまいりました。 9月からの国の小児接種の努力義務化に先立ち、日本小児科学会は、ワクチンの5歳から17歳への接種について、従来の「意義がある」との見解から「推奨する」へと改めました。 小児科学会によれば、5歳から11歳では、オミクロン株も含めた重症化の予防効果が40%から80%程度に上がるなど、有効性が確認されたとして、「重症化予防などのメリットが、副反応などのデメリットを大きく上回る」との判断を示しています。本県でも、小児接種用のワクチンバスの県内派遣や集団接種の実施をはじめ、ホームページ等で積極的な広報が行われています。 そこで、本県の5歳から11歳までの小児接種の状況と、同じく感染者の割合が高い10代の接種状況についてお伺いします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 本県の5歳から11歳のいわゆる小児のワクチン接種率は、対象人口約7万人に対しまして、令和4年9月5日現在で、2回目の接種率が22.0%となっております。また、12歳から19歳の10代の3回目の接種率は、2回目接種完了者約6万人に対しまして、52.6%となっております。 ◆(坂本康郎議員) 子供のワクチン接種につきましては、あくまでも本人と保護者が納得した上で判断するものでありますから、そのためには丁寧な情報の周知が必要です。 県の取組をお伺いします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 小児のワクチン接種につきましては、県ではこれまで、その意義や効果、副反応等につきまして、ラジオや新聞、雑誌等での広報や、教育委員会と連携した、保護者へのチラシの配布等により、周知を図ってまいりました。 第7波では、子供や10代の感染が多く、家庭から全体へ広がったこと、また、小児接種の努力義務化を踏まえまして、県では、9月を「小児ワクチン接種促進月間」に設定し、SNS等を活用した広告などによる広報の強化に取り組んでいるところであります。 加えて、国に対しまして、先般の全国知事会におきましても、小児のワクチン接種に関する分かりやすい情報発信を求めたところであり、引き続き、市町村及び教育委員会と連携しながら、接種率の向上に向け、積極的な支援を行ってまいります。 ◆(坂本康郎議員) 今、御答弁にありましたが、学校を通じた保護者への情報周知については、教育委員会からも説明をいただきました。 ワクチン接種など感染症対策に関する情報が常に更新されていますので、現場の先生方も含め、最新の情報共有に努めていただきますようお願いいたします。 6月議会でコロナの後遺症について質問し、県内の後遺症の実態把握と、積極的な情報発信を要望しました。 改めまして、県内の新型コロナ感染症の後遺症の発症状況と県の取組状況について、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) コロナ後遺症につきましては、倦怠感や息切れ、睡眠障害などが挙げられており、県内の医療機関におきましても、このような症状により受診している方がおられます。 このため県では、これまで県医師会と協議を進めてきたところであり、8月31日から、県医師会が取りまとめた、コロナ後遺症を診療していただける医療機関をホームページで紹介しております。 後遺症が疑われる場合、まずはかかりつけ医などに相談することをお願いしておりますが、県のホームページにおきましては、かかりつけ医がない方等のために、受診の目安や、どの診療科を受診すればよいかを確認できるセルフチェックシートを掲載しておりまして、症状に応じた診療科のある医療機関を検索できるようにしております。 当初、82の医療機関を紹介しておりましたが、その後も新たな医療機関からの協力の申出をいただいておりまして、引き続き、県医師会と連携しながら、コロナ後遺症に悩む方への医療提供体制の充実に取り組んでまいります。 ◆(坂本康郎議員) 県のホームページ上で、大変詳しく情報発信をしていただいております。ありがとうございます。 8月になりまして、アメリカでは後遺症のために最大400万人が働けないというニュースが入ってきました。NHKのニュースWEBによりますと、アメリカのワシントンにあるシンクタンク、ブルッキングス研究所は、アメリカ国内で新型コロナウイルスに感染した後、息が続かないなどの後遺症に苦しむ人の数がおよそ1,600万人に上り、このうち最大で400万人が仕事ができない状態に陥っているという分析を発表しております。 後遺症につきましては、国内でも実態が明らかになっていない面が多いようでありますが、症状で日常生活に支障を来している人が県内にも一定数いると考えると、例えば後遺症で仕事ができないケースなど、後遺症の情報提供によって、本人だけでなく、周囲や職場の理解にもつながることが期待されますので、その点も踏まえて、広く情報が行き届くよう努めていただきますよう、お願いいたします。 次に、宿泊療養施設について質問します。 県内のホテルなど、民間事業者の協力を得て借り上げている宿泊療養施設の開設地域と施設数、借り上げ期間について、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 県では、新型コロナの軽症者向け宿泊療養施設を、ホテル関係者の御協力の下、宮崎市に3施設、都城市、延岡市にそれぞれ1施設の計5施設、開設しているところであります。 その借り上げ期間は、8月末時点で、最も長い施設で約2年4か月、短い施設で約1年1か月となっております。 ◆(坂本康郎議員) コロナ禍の影響が、当初の予想以上に長引いているため、それに伴って宿泊療養施設としての借り上げ期間も、期間延長を何度か繰り返し、長期間になっているものと思われます。 コロナ禍によって、本県でも旅行者、宿泊者の大幅な減少により、ホテルなど県内の宿泊業も大変な打撃を受け続けていますので、御協力いただいている事業者にも、県からの借り上げによるメリットもあるものと考えていましたが、これだけ長期間になりますと、本来のホテルとしての業務への影響や従業員への影響が気になります。 県では、長期化による施設等への影響について、どのように認識し対応しているのか、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(重黒木 清君) 宿泊療養施設については、全体を借り上げておりまして、継続的に使用していない箇所や機能等もあることから、ホテルの機能を維持するための定期的な点検、整備等が十分に行き届かないところもあり、建物や設備に一部、劣化等が見られるところであります。 また、宿泊療養施設となったホテルにおきましては、従業員の雇用の維持に努めていただいておりますが、中には、本来の業務以外に従事されている方もおり、現場を長く離れることによるスキルの低下を心配される声もあると伺っております。 県といたしましては、借り上げ終了後の営業再開時におきまして、ホテル本来の機能が再び発揮されるよう、借り上げに伴い生じた課題等につきましては、関係者の皆様と協議を行い、適切に対応してまいりたいと考えております。 ◆(坂本康郎議員) 一般的にホテルは、正社員の方のほかに、清掃や調理、駐車場係やフロント業務などパート・アルバイトで勤務する従業員で業務が成り立っています。宿泊療養施設として使われている間は、その人たちの仕事が基本的にないわけですから、終わりが見えない長期間になると、やむを得ず離職する人も出てきているようであります。御協力いただいている事業者、関係者からよく状況を聞いていただき、適切な対応に努めていただきますようお願いいたします。 次に、県の経済対策について質問いたします。 半導体の最大手メーカーTSMCの熊本県への新工場建設をはじめ、半導体製造の関連企業が、相次いで九州への新規進出や事業拡大を打ち出すなど、動きが活発化しております。 半導体関連産業の集積が一段と進むことで、関係者の往来や製品輸出に伴う空港の活性化など、波及する経済効果に期待する声も多く上がっております。 九州の半導体関連企業の投資が活発化する動きの中で、本県はどのように取り組んでいるのか、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) デジタル化の進展に伴う様々な分野での半導体需要の増加や、世界的半導体メーカーの熊本県への進出などをきっかけとした九州全体における半導体関連企業の投資活発化の動きは、本県への新たな投資や県内企業の取引拡大等につながる好機と捉えております。 このため県では、県内外の半導体関連企業を訪問し、新規投資計画に係る情報収集を行うとともに、本県の立地環境のPRや支援制度の紹介などを行っているところでございます。 このような中で、本県の半導体関連企業におきましても生産拡大等の動きがあり、それらの企業の設備投資や雇用等に応じて、市町村と連携した支援を行っております。 また、県内企業に対し、技術力向上のための情報提供や商談の場を提供するなど、取引拡大にも取り組んでおり、県といたしましては、引き続き、半導体産業全体の動向を注視しながら、企業誘致及び県内企業の振興につながる取組を積極的に進めてまいります。 ◆(坂本康郎議員) 半導体関連企業の工場新設や増設が相次ぎ、それに伴って必要な人材の獲得競争が予想されています。 本県にとりましても、今後、半導体人材の育成が重要な課題になるものと思われますが、「九州半導体人材育成等コンソーシアム」の目的と、本県はそこにどう関わっていくのか、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 「九州半導体人材育成等コンソーシアム」は、半導体産業の復活に向けた国策としての取組を九州から推進し、九州における半導体産業のさらなる発展、言わば「シリコンアイランド九州」の復活に向けて、半導体人材の育成・確保やサプライチェーンの強靱化を図ることを目的としまして、九州経済産業局が事務局となり、今年3月に設立されたものでありまして、本県からは、県、宮崎大学、ラピスセミコンダクタ株式会社宮崎工場が参画しております。 県といたしましては、県内の半導体関連企業におきましても、人材育成・確保等は大変大きな課題であると認識しておりますので、今後の半導体をめぐる動きや、当コンソーシアムでの議論を踏まえまして、県内の産業界、教育界等と情報共有、意見交換等を重ねながら、当コンソーシアムの活動も含め、人材育成・確保等につながる取組を進めてまいりたいと考えております。 ◆(坂本康郎議員) 新型コロナウイルスの水際対策が緩和され、昨日7日から、1日当たりの入国者数の上限が、それまでの2万人から5万人へと引き上げられました。他県でもインバウンド需要を見込んだ支援策を打ち出す動きがあり、外国人観光客の誘客に、地域間競争も予想されます。 本格的なインバウンド再開に向けて、県はどのようなインバウンド戦略を描いているのか。目標や対象地域など、県のインバウンド対策の方向性について、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 本県のインバウンド対策につきましては、これまで、宮崎空港に国際定期便が就航している韓国や台湾、さらに鹿児島空港に路線のある香港などを重点的な対象地域として誘客に取り組んでまいりました。 その結果、本県を訪れる外国人観光客は、3つの国・地域を中心に増加し、令和元年には35万人を超えたところでございます。 コロナ禍により、本県を訪れる外国人観光客は実質ゼロとなりましたが、今後、入国制限の緩和により増加が見込まれておりますことから、コロナ以前を上回る誘客を目指し、本県ならではの強みを生かしながら、韓国、台湾、香港などに加え、訪日観光に関心が高いタイなどの東南アジアや欧米豪からの誘客に取り組んでまいります。 ◆(坂本康郎議員) 観光庁が、「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくりに向けたアクションプラン」をまとめ、発表しました。この中で、「人口減少・少子高齢化を迎えている我が国において、インバウンドの重要性に変わりはない」こと、「今後のインバウンド戦略において(訪日旅行1回当たりの総消費額が100万円以上の)高付加価値旅行者の誘致は重要な柱である」とし、コロナ禍前に大都市圏に集中していた高付加価値旅行者の地方への誘客を重点的に促進するとし、今後、全国で10か所程度のモデル観光地を選定し、集中的な施策の実施を行うとしております。 県では、高付加価値旅行者、言わば富裕層の誘客について、今後どのように取り組んでいくのか、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(横山浩文君) 本県におきましても、観光消費額の増加が期待される海外の富裕層を対象とした誘客は、大変重要であると考えております。 国の調査によりますと、100万円以上を消費する訪日外国人旅行者の訪問先は、その大部分が大都市圏であるという状況でありますが、欧米豪の旅行者につきましては、日本独自の文化やアクティビティーなどが最大の魅力となっていることから、本県の豊かな自然や文化を生かすことができるアドベンチャーツーリズムの推進に取り組んでいるところでございます。 今後、市町村や観光事業者等と連携しながら、質の高いガイド人材の育成などサービスの高付加価値化を図るとともに、欧米豪にセールス拠点を置く九州観光機構とも連携しながら、富裕層の誘客に取り組んでまいります。 ◆(坂本康郎議員) 次の質問に移ります。 今年、日本は77回目の終戦記念日を迎えました。また、ちょっと家族の年齢を申し上げますが、私の父は昭和12年、1937年生まれで、8歳のときに終戦を迎えています。私が子供の頃は、「戦時中はこうだった、ああだった」とよく聞かされたものでありますが、この父の年頃が、自分の戦争体験を語れる最後の世代、年代ではないかと思います。その父も今年85歳になりました。戦争経験者が年々減少していく中で、県内の戦時中の記録や記憶をどのように次世代に継承していくか、一度見直してみる時期に来ているのではないかと思っています。 戦争遺品の展示や平和学習の拠点になる施設の充実が必要と考えますが、いかがでしょうか、知事にお伺いします。 ◎知事(河野俊嗣君) さきの大戦から77年が経過しまして、戦争の記録、そして記憶を風化させることなく、次世代に継承していくことは大変重要であると考えております。 私も軍港だった呉に生まれましたので、度々空襲に見舞われて、その中を逃げ惑ったという祖父母の話でありますとか、列車が港のそばを通るときは、機密を守るために海側のブラインドを下すように指示されたとか、そんな話を聞いたところでありますが、戦争を直接体験した祖父母のような世代も、そういう直接の体験者から直接話を聞いた私のような世代も、いずれいなくなる。その中で、平和の尊さ、戦争の悲惨さをいかに継承していくか。大変重要な課題だと認識しております。 県では、遺族会館内に宮崎県平和祈念資料展示室を整備しまして、戦争に関する資料や遺品など約300点を展示しております。新型コロナ感染拡大以降は、県内修学旅行の平和学習の場としても多くの児童等が訪れておりまして、受入れの際は、見学だけではなく語り部講話と組み合わせるなど、子供たちへの確実な継承に取り組んでいるところであります。 一方で、この施設の周辺の道路事情や施設の収容人数の関係から、大型バスの乗り入れや多くの来場者を一度に受け入れることが困難な状況にもありますので、学校等へ出向いて、語り部講話や朗読劇上演を行うなど、取り組んでいるところであります。 こうした様々な工夫を重ねながら、平和学習の拠点としての機能を高めていくことで、多くの県民の皆様に御利用いただけるよう、取り組んでまいります。 ◆(坂本康郎議員) 今、知事の御答弁にありました、平和祈念資料展示室に私も足を運びました。私も、展示された遺品や遺書などを拝見し、大変心を打たれました。ただ、展示室が少し手狭で、職員の方に話を聞きますと、一度に20人程度しか入れないため、訪れる学校も限られてしまっているとのことあります。新しく建てるとまでは申しませんが、県内外から訪れやすい環境整備が必要ではないかと思っております。 また、展示できる展示品がスペース的に限られている上に、保管する場所も限られているため、新たに遺品の提供をしたいという申出があっても、やむなくお断りしているという状況もあります。 また、今、お話にありました語り部の方の高齢化で、学校等へ出向いていくにも体力的に限界にきているため、御本人が元気なうちに映像などで記録・保存することも考えていく必要があります。 加えて、教育旅行の県内誘致を進めていく上でも、充実した平和学習のための施設があるほうが、旅行先として選ばれやすいと思いますが、平和祈念資料展示室は、現状のままではその役割を果たせないでいます。こうした状況を踏まえて、今回、提案をいたしました。 遺族会館の展示室を訪れた際に、この宮崎から3万7,601人もの多くの方が出征し、お亡くなりになったことを、改めて認識いたしました。戦争の記録と記憶を大切に次の時代へ残し伝えていくことで、それが多くの戦没者への追悼になるものと思います。一度調査をしていただき、御検討いただきますようお願いいたします。 以上で、用意しました全ての質問を終わります。御答弁いただきまして、ありがとうございました。(拍手) ○議長(中野一則) 以上で代表質問は終わりました。 明日の本会議は、午前10時から、一般質問であります。 本日はこれで散会いたします。   午後2時6分散会...