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09月11日-04号

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  1. 宮崎県議会 2020-09-11
    09月11日-04号


    取得元: 宮崎県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-20
    令和2年 9月定例会令和2年9月11日(金曜日)                 午前10時0分開議 ───────────────────  出 席 議 員(39名)    1番  有 岡 浩 一  (郷中の会)    2番  坂 本 康 郎  (公明党宮崎県議団)    3番  来 住 一 人  (日本共産党宮崎県議会議員団)    4番  岩 切 達 哉  (県民連合宮崎)    5番  武 田 浩 一  (宮崎県議会自由民主党)    6番  山 下   寿  (  同  )    7番  窪 薗 辰 也  (  同  )    8番  脇 谷 のりこ  (  同  )    9番  佐 藤 雅 洋  (  同  )   10番  安 田 厚 生  (  同  )   11番  内 田 理 佐  (  同  )   12番  日 髙 利 夫  (  同  )   13番  丸 山 裕次郎  (  同  )   14番  図 師 博 規  (無所属の会 チームひむか)   15番  重 松 幸次郎  (公明党宮崎県議団)   16番  前屋敷 恵 美  (日本共産党宮崎県議会議員団)   17番  渡 辺   創  (県民連合宮崎)   18番  髙 橋   透  (  同  )   19番  中 野 一 則  (宮崎県議会自由民主党)   20番  横 田 照 夫  (  同  )   21番  外 山   衛  (  同  )   22番  西 村   賢  (  同  )   23番  山 下 博 三  (  同  )   24番  右 松 隆 央  (  同  )   25番  野 﨑 幸 士  (  同  )   26番  日 髙 陽 一  (  同  )   27番  井 上 紀代子  (県民の声)   28番  河 野 哲 也  (公明党宮崎県議団)   29番  田 口 雄 二  (県民連合宮崎)   30番  満 行 潤 一  (  同  )   31番  太 田 清 海  (  同  )   32番  坂 口 博 美  (宮崎県議会自由民主党)   33番  日 高 博 之  (  同  )   34番  濵 砂   守  (  同  )   35番  二 見 康 之  (  同  )   36番  星 原   透  (  同  )   37番  蓬 原 正 三  (  同  )   38番  井 本 英 雄  (  同  )   39番  徳 重 忠 夫  (  同  ) ─────────────────── 地方自治法第121条による出席者  知     事 河 野 俊 嗣  副  知  事   郡 司 行 敏  副  知  事   永 山 寛 理  総合政策 部長   渡 邊 浩 司  総 務 部 長   吉 村 久 人  危機管理統括監   藪 田   亨  福祉保健 部長   渡 辺 善 敬  環境森林 部長   佐 野 詔 藏  商工観光労働部長  松 浦 直 康  農政水産 部長   大久津   浩  県土整備 部長   明 利 浩 久  会 計 管理者   大 西 祐 二  企 業 局 長   井 手 義 哉  病 院 局 長   桑 山 秀 彦  財 政 課 長   石 田   渉  教  育  長   日 隈 俊 郎  警 察 本部長   阿 部 文 彦  監査事務 局長   横 山 幸 子  人事委員会事務局長 小 田 光 男 ─────────────────── 事務局職員出席者  事 務 局 長   亀 澤 保 彦  事 務 局次長   内 野 浩一朗  議 事 課 長   児 玉 洋 一  政策調査 課長   日 吉 誠 一  議事課長 補佐   鬼 川 真 治  議事担当 主幹   関 谷 幸 二  議 事 課主査   川 野 有里子  議 事 課主査   井 尻 隆 太──────────────────── △一般質問 ○議長(丸山裕次郎) これより本日の会議を開きます。 本日の日程は一般質問であります。 ただいまから一般質問に入ります。 質問についての取扱いは、お手元に配付の一般質問時間割のとおり取り運びます。〔巻末参照〕 質問の通告がありますので、順次発言を許します。まず、岩切達哉議員。 ◆(岩切達哉議員) 〔登壇〕(拍手) 県民連合宮崎、社会民主党の岩切達哉でございます。 質問に先立ち、本日も議会傍聴にお越しいただいた多くの皆さん、さらにはネット配信で御覧いただいている方を含め、県政に対する関心をお寄せいただいていますことに感謝申し上げたいと思います。 また本日も、さきの台風災害に関連して懸命な捜索が継続されているところでございます。一刻も早い救助をお祈り申し上げたいと思います。 加えまして本日は、アメリカで発生しました9・11テロから19年目の日であります。全ての暴力に反対し、平和を求める立場から、犠牲者に対し、改めて哀悼の意を表させていただきたいと思います。 では、通告に従い質問させていただきます。 最初に、反人種差別の闘いを指導したキング牧師の言葉を引用いたします。「人の真価が問われるのは、満ち足りた状況下にいるときではない。困難や論争が起きたときにどう行動するかである。」 コロナという困難の中、医療や検査機関、保健所など現場第一線の職員たち、また県本庁の健康増進課や感染症対策室などをはじめとした、それぞれの部署の皆さん、県民生活を支え、経済を止めないよう尽力された各部の皆さん、そしてそれらを束ねる知事、いずれも困難の中、感染拡大防止に奮闘していただいたそれぞれの行動に、敬意を表したいと思います。 その上で知事に伺います。 コロナ対策に尽力、また協力いただいた県民の皆様への言葉、懸命に働いた職員への言葉としてどう発していかれるか、お聞かせいただきたいと思います。 また、今後も困難が続きます。経済的な復興が求められていますが、対応に対する御決意のほどを伺いたいと思います。 加えて、2020年度の予算における歳入見通し、自主財源の県税収入は、予定を下回る可能性が大きいと考えます。備えが必要であると思いますが、対策の状況を伺いたいと思います。 さらに、代表質問でも議論されましたが、歳入は厳しくなる、経済は厳しいという状況であります。その中で、コロナ前に意思決定された県立プールの件で、今議会に債務負担行為の御提案でございます。 県土の均衡ある発展を願う立場で、山之口運動公園、延岡への体育館建設となり、それはよかったと思っておりますが、今般のプールに関しては、相当節約した形で検討されると期待していたのですが、167億円という莫大な費用であります。先日オープンした防災庁舎も115億円、それを超える額であります。 率直に申し上げますが、ウイズコロナという時代の変化もあります。もう一度考え直す必要があるのではないでしょうか。近隣の県のプール設備をお借りして、国民スポーツ大会の水泳競技を開いてもいいのではないでしょうか。 コロナという困難の中で、経済は著しく後退しています。県民が期待する政策、支援策もたくさん要望がございます。 このプール建設の政策を変更して、その対応をする。そのようなことがあってもよいと考えます。御答弁を頂きたいと思います。 以上を壇上からの質問とし、以下の質問は質問者席から行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 おはようございます。お答えします。 県民や県職員に対する思いについてであります。 新型コロナウイルスとの闘い、まさに不安との闘いであると感じております。感染への不安、またなりわいが立ち行かなくなる不安、そして先が見えない将来への不安。そうした中で、県民、そして飲食業をはじめとする事業者の皆様には、休業要請、また外出自粛の要請などにより、大変な不自由や御負担をおかけしたものと考えております。 医療や福祉関係者におかれましては、最前線の現場で、高い志と強い使命感を持って、命を守る任務に、ぎりぎりのところで力を尽くしていただきました。 また、県職員におきましても、最前線の保健所や衛生環境研究所をはじめ、福祉保健部を中心とした関係部局、学校、警察、加えて軽症者を受け入れる宿泊施設の運営に携わった職員など、市町村や関係機関と連携して、懸命に業務に当たってもらったものと考えております。 私も、この第1波、また第2波、それぞれ現場を訪問しまして、医療機関、市町村の役場、保健所、衛生環境研究所、飲食店、学校、それぞれの過酷な現場での大変な御苦労は、鬼気迫るものがありました。切実な事情、悔しい思い、そして、ぎりぎりのところでの頑張り、胸に刺さるものがありました。 県民のお一人お一人が、いかに苦しまれ、懸命に取り組んでおられるか、また、コロナへの対応ということで、それぞれの職員がどれだけ頑張りを見せてもらっているか、肌身で感じたところでありますし、次なる感染の波に備えて、こうした負担、そして不安というものを少しでも軽減をすること、それが大変重要であると考えております。 コロナの感染状況につきましても、直近1週間当たりの10万人当たりの感染者数、一時は12.02人まで行きましたが、直近の数字では0.09まで減少してきたところでありまして、こうして感染を抑えることができておりますのも、全て県民の皆様の御尽力、御協力のたまものと、重ねて心からの感謝を申し上げます。 次に、今後の経済的な復興についてであります。 新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、本県では、観光業や飲食業を中心に社会経済の様々な分野で、極めて深刻な影響が生じております。ホテル・旅館や飲食店の経営者、さらには経済団体や金融機関の皆様から、大幅な売上げの減少や資金繰りの懸念など、切実な声を伺っているところであります。 このため本県では、今議会に提案しております補正予算と合わせて、これまでに累計で598億円余のコロナ対策事業を構築してきたところであります。 現在、県内の感染状況は落ち着きを見せておりますため、これから観光需要の回復や消費喚起に向けた取組を本格的に展開していくこととしております。「コロナとともに生きていく社会」を前提に、強化してまいりました医療検査体制や、これまでの経験を基盤としながら、感染拡大防止と社会経済活動の両立が図られる社会を築き上げ、本県の経済復興を進めてまいりたいと考えております。 次に、今年度の県税収入見込みについてでありますが、コロナによる経済活動の停滞によりまして、減収は避けられないものと考えており、今後、厳しい財政運営となることが見込まれます。 これまで、一連のコロナ対策の予算として、先ほど答弁しましたような598億円余の対策を講じたところでありますが、4月補正におきましては、早急に対応するため、67億円の残高がありました財政調整積立金を、48億円取り崩すなどをしたところであります。 その後、地方創生臨時交付金などを歳入として受入れ、ほぼ、当初予算編成後の水準まで積み戻しているところでありますが、今後も引き続き、突発的な危機事象の発生等に対応するため、財政関係2基金の残高を確保するなど、財政の健全性を維持し、中長期的なコロナ対策に備えてまいります。 最後に、プール整備事業についてであります。 新型コロナウイルス感染症により、財政状況も厳しさを増す中で、改めて、施設の必要性や今後の財政負担についても考慮を重ねたところであります。 国民スポーツ大会等の開催基準を満たす屋内プールの整備は、競技力向上を図る上での長年の課題であるということ、また、生涯スポーツの振興や健康づくり、合宿誘致など、多くの県民が利用するスポーツランドみやざきの新たな拠点となるものでありますことから、当初の計画どおり、令和7年度の供用開始に向けて取り組むこととしたところであります。 このようなことから、今議会において、債務負担行為の予算案をお願いしているところでありまして、プールの整備に当たりましては、PFI手法の導入や、余剰地を活用した民間収益事業を一体的に実施することにより、可能な限り財政負担の軽減に努めることとしております。以上であります。〔降壇〕 ◆(岩切達哉議員) 壇上からの質問に対し、特に県民の皆様や職員に対して、御自身の言葉で感謝の言葉がありました。危機に際し、職員全体で、さらに関係市町村や県民とともに乗り越え、そのような感謝の言葉を発せられる知事に対して、改めて敬意を表したいと思います。県内経済の復興に、しっかり取り組んでいただきたいと存じます。 プールの件について、改めて質問をさせていただきます。歳入の減収は避けられないという御答弁を頂きました。その中で、プール建設についてでありますが、15年間の維持費を含む167億円の巨額投資ということでございます。プールは、当然15年目以降も、維持費として3億円程度かかるのではないでしょうか。 県議会では、過去から、先輩方が特別委員会などを設置するなどして丁寧に議論いただいておりましたけれども、いずれもコロナ前の状況下で、誰しも、今日の状況は予想できなかったところであります。 今議会の冒頭、提案理由説明の中で、コロナについては長きにわたる課題と、このように知事はおっしゃいました。時代は変化したと思います。見通しを誤ってはいけないという立場で申し上げたいと思います。 オリンピックも1年延びました。国体も1年延びた、再考する時間を頂いたというふうに思います。歳入見通しや国内外の経済見通しがはっきりしない中で、決断を急ぐ必要はないと考えます。 もろもろのことが―そういう経済的なこと、そういった面が―はっきりするまで、この課題の方針決定を半年、1年、繰り延べることも可能ではないかと思います。ぜひ、再検討を重ねて知事に求めたいと思いますが、御答弁をお願いしたいと思います。 ◎知事(河野俊嗣君) 昭和54年の第1回国体のときに整備しました施設が、その後、30年、40年にわたりまして、スポーツランドみやざきの大きな礎になったところであります。 今回新たに整備するプールにつきましては、先ほど申し上げましたような、スポーツランドみやざきのさらなる発展に向けた新たな拠点として、大変重要な施設であると考えております。 御指摘のとおり、今後の税収への不透明な部分、大変厳しい状況ということもあるところであり、今考えるべきは、将来世代に対する我々現役世代の責務ということであろうかと考えております。 今回はPFI手法でありますが、通常、県債などを使いながら多額の事業費を要するハード整備を行っていくというのは、将来世代の公平な負担ということから、負担の均衡化を図っていくということでの財政手法であります。 今回のプール整備に当たりましては、PFI手法の導入や民間収益事業との一体的な実施によりまして、一定程度、財政負担の軽減が図られるということもあります。 また今回、債務負担行為として19年間で167億円の予算を提案しているところでありますが、具体的には、令和4年度までの財政支出はまだ小さいものでありまして、その後の期間において、財政支出の平準化を図ることができることなどから、当初の計画どおり、令和7年度の供用開始に向け、また将来のスポーツランドみやざきのさらなる発展を支える施設として、しっかり整備を進めてまいりたいと判断したところであります。 ◆(岩切達哉議員) 今後も、委員会での議論などを通じて、私どもの心配な思いは訴えさせていただきたいと思います。 それでは、全く話題を変えまして、障がい者福祉に係る質問をさせていただきます。 JR川南駅を利用している、車椅子利用者である高校生を、駅の管理を委託されている団体の職員の方が乗車介助を行うということで、いつでも電車を利用できていたのですが、その介助行為がJRの規定に反するということで、その職員には介助をするなと、事前予約制にして、高校生が駅を利用する際には南宮崎駅から職員を派遣しますというJRの対応があったそうであります。 そういうJRに対して、高校生が、いつでも利用できるようにしてほしいということで、8,000名もの署名を添えて申入れを行ったところ、JR側が、駅の管理を委託している団体の方に介助方法の研修を行って、それまで同様にいつでも乗車できるように検討を始めたという新聞報道がございました。 改善の方向に進めばよいと思うのですけれども、この事案について、県としての対応はいかがだったでしょうか。総合政策部長にお聞きしたいと思います。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 日豊本線における車椅子介助につきましては、県民から介助方法が変更されたとの御相談がありましたことから、JR九州に確認し、説明を求めたところであります。 JR九州によりますと、車椅子利用者の介助につきましては、本来、研修を受けたJR職員が行うこととなっておりますが、便宜上、川南駅では管理委託先の方が介助をしておられたため、安全性の観点から、利用者が事前に南宮崎駅に連絡をし、JR職員が対応する方法に変更を行ったとのことでございました。 安全性を確保することは大変重要でありますが、県といたしましては、バリアフリー法の趣旨を踏まえ、JR九州に対し、駅の管理状況に応じて、車椅子利用者等の利便性にしっかりと配慮されるよう、必要な対応を要請したところであります。 現在、JR九州では、改善に向けて検討を行っていると伺っております。 ◆(岩切達哉議員) 福祉保健部長にお伺いしたいと思いますが、この事案は、「障がいのある人もない人も共に暮らしやすい宮崎県づくり条例」、いわゆる障害者差別禁止条例との関係からどのような所見を持たれるか、お伺いしたいと思います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 本条例につきましては、障がいのある人が、人間としての尊厳が守られ、障がいの有無によって分け隔てられることなく、共に生きる社会を目指すものです。 条例は、事業者が、サービス提供時に負担の重過ぎない範囲で合理的な配慮をする努力義務を定めております。御指摘のJR九州における検討は、この趣旨に沿ったものと認識しております。 これまで県では、シンポジウムの開催、テレビ等による広報など、広く条例の周知に取り組んでまいりました。 今後とも、この合理的配慮の取組が広がるよう、あらゆる機会を活用し、普及啓発してまいります。 ◆(岩切達哉議員) この条例の存在が、JRも前向きに対応することを決断せざるを得ない背景になったというふうにも理解しているところであります。結論はまだのようでございますけれども、ぜひ結論までしっかりと見守っていただきたいと思います。 次に、県広報8月号についてですけれども、そこに特集記事で、「手話は言語です」というものがございました。このような特集をしていただいて、大変ありがたいと思います。 手話の普及も、手話通訳者の養成確保も、大変な課題だというような記事内容でございました。 ぜひ、しっかり取り組んでいっていただきたいと思いますが、同様に、障がい者の意思疎通手段である点字のことで伺いたいと思います。 県の広報を視覚障がい者にお届けするためには、点訳が必要ですけれども、その実情はいかがな状況でしょうか。総合政策部長にお伺いしたいと思います。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 「県広報みやざき」の点字版につきましては、県視覚障害者福祉協会に点訳と配付を委託しておりまして、毎号220部発行し、希望者に配付を行っているところでございます。 ◆(岩切達哉議員) 次いで、市町村も様々な通知を行っておりますけれども、ここでは市町村の発行する市町村の広報に限って伺いますが、市町村の広報では点訳という作業をどれほど実施されているか、福祉保健部長にお聞かせいただきたいと思います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 現在、点字版の広報を発行しているのは、県内で6自治体です。 点字のみならず、音訳等による視覚障がい者向けの広報誌を発行している市町村は、全体で12自治体ございます。 ◆(岩切達哉議員) 26分の12という御答弁でございました。 点字にする、点訳するには、点訳者という技能を持った方が必要でございます。現状はボランティアに頼る状況だと、当事者団体の方から伺いました。 手元に新聞記事があるんですけれども、ちょっとだけ触れさせていただきます。京都外国語大学に入学したばかりの全盲の男性の若者が、教科書が届いていないと大学の職員から言われたと。3日後には、その課題の講義があるんだけれども、教科書が間に合わなかったと。つまり、なかなか教科書の点訳がされないので、本人は教科書を持たずに講義を聴くことになったというような内容の記事であります。さらには、参考書については、故郷が広島だそうですが、広島のボランティアに点訳を頼んで、1冊目が届くのに1~2か月かかったと。 こんな話で、視覚に障がいのある方は、一生懸命自ら勉強するにも、また大学に入って講義を受けるにも、情報取得手段としての点訳に頼っていらっしゃるわけなんですけれども、点訳者が十分な数いらっしゃらないということが、現状として報道されておるところであります。 このように、必要な量の点訳作業ができない状況でございます。県視覚障害者センターにある点訳センターの点訳能力の向上、量的な向上のためには、点訳者の確保が必要ですけれども、仕事として生活がしっかりできるほどのものになっていかないといけないということでございます。 そういう手話等言語条例を根拠としての実効ある施策が今、大切だと考えますけれども、福祉保健部長の見解をお聞きしたいと思います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 点訳等の作業の多くは、ボランティアの方々が担っておられます。点訳等のサービスが安定的に提供される体制の整備は、重要な課題であると認識しております。 県では、点訳等のボランティアの養成や、宮崎県立視覚障害者センターにおいて、点訳等を自動化できる機械・設備を導入しているところでありまして、引き続き、点訳等の提供サービスの充実を図ってまいります。 ◆(岩切達哉議員) 機械に頼れる部分が相当広くはなっていますけれども、それに従事する方を含めて、その方の生活が営めるような雇用の仕方が必要であって、昭和の時代から、「こういう作業はボランティアに」という風習がどうしても抜け切れていない。そのことを、障害者基本法などが制定された日本においては考え直さなくてはいけない、そういうタイミングが来ていると思います。 ぜひ、点訳者、さらには手話通訳者、そういった方々が、その技術をもって生活が営める、そのことで十分に確保できる。そんな施策を研究していっていただきたい。よろしくお願いしたいと思います。 次いで、第4次宮崎県障がい者計画について伺います。 障がい者が地域で安心して暮らしていくことができるようにということで、その支援体制を形成する目的で、本年度中に7福祉圏域に地域生活支援拠点を整備する方向となっておりますけれども、その進捗はいかがな状況でしょうか。よろしくお願いします。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 地域生活支援拠点等につきましては、障がい者の重度化・高齢化や親亡き後を見据え、施設や親元からグループホーム、一人暮らし等へ移行するための体験機会の提供や緊急時の相談支援、一時的な生活の場の提供など、障がい者を地域全体で支えるものです。 計画では、各障がい保健福祉圏域に1つ以上を整備することにしておりまして、既に3つの圏域で整備済みで、令和3年4月1日までに、さらに3つの圏域で整備を予定しております。 いずれも、相談支援事業所グループホーム短期入所施設等、既存の機関が役割を分担してサービスを提供する「面的整備型」で進めております。 ◆(岩切達哉議員) いずれも面的整備型と、今御答弁を頂きました。どこかの施設にその役割を求めることは可能だと思いますけれども、面的整備でありますから、それぞれの支援機関がそれぞれにできることを持ち寄って地域で暮らす、当事者を支える、こういう形になるということでありまして、密な連携が必要になってまいります。 協議会みたいなものが常時、活発に議論されていくことが必要だと思うんですけれども、議論するには当事者の参加が欠かせないというふうに認識しております。この協議会的なものに対する障がい当事者の参加は保障されているのか、御答弁を頂きたいと思います。
    福祉保健部長(渡辺善敬君) 地域生活支援拠点等の整備につきましては、市町村または障がい保健福祉圏域ごとに、自立支援協議会において検討が進められております。 御質問の当事者の参加ですが、障害者総合支援法の規定により、自立支援協議会には当事者等が構成員として参画することが求められておりまして、県としても、当事者等の意見が反映される体制づくりを推進しているところです。 ◆(岩切達哉議員) 障がい者福祉に対する体制ということで、地域でもこのような形で進捗しているんですけれども、県庁内の体制について伺いたいと思います。 やはり、県庁が専門性を持つことが必要だと思います。県の障がい者福祉に対する体制について、私なりの意見を述べて、お考えを伺いたいと思います。まず、国の令和元年度版障害者白書によれば、手帳を所持しない方を含め、障がいのある人の数を推計し、人口の7.6%ということが報告されています。 厚生労働省の「生活のしづらさなどに関する調査」などから推計した数字だと伺いますが、この国の白書が用いた推計の方式によれば、県内では約13万人と推計されるところであります。 それに加えて、認知症の方は県内に5万人から7万人、さらに難病の方は1万人ほどいらっしゃると伺います。発達障がいで悩んでいる方や、ひきこもりの方、そして、精神保健福祉分野に密接な課題であります自死の問題、ギャンブル依存症や薬物依存症などの様々なアディクション問題など、生きづらさや生活のしづらさを抱えている方が多くいらっしゃいますし、そこには家族がいらっしゃる。 県人口でいえば、4人に1人という数字かもしれませんけれども、さらには、支える側を含めますと、全ての県民の課題だというふうに私は認識しています。 多数派のテーマなんですけれども、特に、これから心の問題というのが増える一方で、精神保健福祉分野は、現在、福祉保健課、健康増進課、障がい福祉課、さらに保健所、精神保健福祉センターなど、広い体制で行われているところであります。 障がい当事者や、その家族に対する偏見も強いという課題もあります。啓発などに力を入れる必要があると思います。 日本では、障害者総合支援法施行から7年経過しています。障がいのある人の望むような支援を行うことができる総合的な推進力を、県が持つ必要があると考えます。執行部に体制の強化を提案したいと思いますが、障がい者福祉分野を1つの局として、政策分野と直接支援、指導分野で局を編成して対応するべきであると考えますが、部長としての見解を伺いたいと思います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 県では、国における各種法令改正や、障がいのある方々が置かれる環境の変化に対応するため、宮崎県障がい者計画の策定や条例の制定など、「障がいのあるなしによって分け隔てられることなく、地域でともに生きる社会づくり」の実現に向け、様々な見直しを行ってまいりました。さらに、市町村や民間事業者等との連携も強化してまいりました。 今後とも、依存症対策、ひきこもり支援など、ニーズの広がりに迅速かつ的確に取り組むため、その推進体制について、社会情勢などを踏まえながら、適宜検討してまいります。 ◆(岩切達哉議員) 社会情勢の変化に伴って、適宜お考えいただきたいと思いますけれども、今の体制は相当年数がたっている理解していまして、ニーズに対応し切れていない、また、課題を少し横に置いておかざるを得ない、そんな場面をちらちらと感じるところでありますので、ぜひ、時代の要請に先手を打つ姿勢で、知事を含めて御議論いただきたい、そのようにお願いしたいと思います。 次いで、子供虐待の問題でございます。 6月の事件でありますけれども、子供を8日間、家に置いたままで出かけてしまい、その間に3歳の幼子は死んでしまったという事件がありました。関心を呼んだ事件であります。詳しく述べたくはありませんけれども、この事件に関して、福祉保健部長はどのような思いを持たれましたでしょうか。どのように捉えているかをお聞かせいただきたいと思います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 子供たちにとって、最も安心して生活できる場所であるはずの家庭において引き起こされる児童虐待、まして、死亡事件の発生につきましては、子供を実際に持つ親として、言葉もないほどに胸の痛む思いであります。 こうした事件が繰り返されないよう、周囲から孤立しがちな若い世代はもとより、不安や悩みを抱える全ての妊婦や子育て中の保護者を地域全体で見守り、できるだけ早く適切な支援につなげることが重要だと考えております。 ◆(岩切達哉議員) この虐待死事件の加害者に対して、厳しいバッシングと同時に、その加害者の生い立ちに思いをはせる意見など、多くの議論がありました。 私たちは、この社会は3歳の女児も救える社会であるべきだと考えますし、加害者となってしまった母親も救える社会をつくっていくことが責務だと思うところであります。 相談機関に対する利用者の声を聞く機会がございました。相談に行くと、まず住所氏名を聞かれることから始まる、まさに相談を受ける側の都合ということでの相談業務、そういうところから少しずつ変わっていかなければならないと思います。 まず、相談に来られた方に、「どうされましたか」「どうしたの」というふうに始まる相談。その中から信頼関係をしっかりとつくって、相談機関として「力になりたい」という思いが相談者に伝わっていく、そんなことが大事なんだなと、この当事者の声を聞きながら学んだところであります。 多くの事件に至る保護者に、助けを求めるスキルがなかったという評価もございます。また、根強い自己責任論の下で、自己解決を求められていって苦しんでいたという評価もございます。その下で育つ命があるという現実でございますので、相談しやすい雰囲気、アクセスのよさ、その上で高い相談支援技術を備えた相談員が配置されているという相談場所の設置が急がれます。福祉保健部長の御見解を頂きたいと思います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 妊娠・出産・子育てに不安や困り事を抱える方々を必要な支援につなげ、寄り添った相談対応を行うためには、市町村との連携はもちろんのこと、相談員の資質向上が大変重要だと考えております。 このため県では、母子保健、子育て支援のワンストップ拠点となる「子育て世代包括支援センター」と、学校や警察、児童相談所などと連携して相談対応や調査、訪問等を行う「子ども家庭総合支援拠点」を、それぞれ全市町村に設置するよう支援をしております。また、相談員の資質向上を図るための研修を、児童相談所や保健所等と合同で開催する予定にしております。 今後とも、関係機関が連携を密にし、相談者が安心して相談ができ、しっかりと支援を受けられるよう取り組んでまいります。 ◆(岩切達哉議員) ぜひ十分な対応をいただきたいと思います。 話題を替えまして、環境問題について環境森林部長に伺います。 宮崎県環境基本計画策定がなされています。来年以降10年に及ぶ環境行政の基本となるものと思いますが、その基本的な姿勢を伺いたいと思います。 まず、計画の骨子が報告されていますけれども、環境省は令和2年版環境白書に、初めて「気候危機」という言葉を盛り込んでまいりました。気象災害が激甚化し、さらに今後も頻発化していくことが予測されるということであります。 部長に伺いますが、気候変動ではなく、気候危機への問題提起の受け止め、いかがなものでございましょうか。 ◎環境森林部長(佐野詔藏君) 近年、世界各地で猛暑、洪水などが起きておりまして、海外の都市を中心に、気候変動への危機感を示し、緊急行動を呼びかける「気候非常事態宣言」を行う動きが広がっております。 こうした中、国では、環境大臣が今年6月、環境白書の記者会見で、地球温暖化の進行に伴って、豪雨災害や猛暑のリスクがさらに高まることを指摘し、「気候危機宣言」により危機感を共有し、社会変革を促したいと発言しております。 本県や近隣県におきましても、記録的な大雨の発生や、先日の台風10号のような強い台風の増加、気温が35度を超える猛暑日も頻発しておりますことなどから、県といたしましても、国と同様の危機感等を持つべきものと考えております。 ◆(岩切達哉議員) 次いで、7月からのレジ袋有料化のことを取り上げたいと思います。 これは、4Rのリフューズ―断るという手法でございますけれども―を加速させたと思います。 同様に、プラごみ減のためには、食品トレーなどを廃止する取組をしているとか、製造段階からプラを使わないという選択をするなど、努力している環境対応企業への応援が必要だと考えます。部長の御見解を頂きたいと思います。 ◎環境森林部長(佐野詔藏君) 本県では、プラスチック容器等をはじめとする廃棄物の削減と再利用、再資源化による循環型社会の形成を目指し、リフューズ、リデュース、リユース、リサイクルの4Rの推進に取り組んでおります。 こうした中、国は昨年、プラスチックの資源循環を総合的に推進するため、プラスチック資源循環戦略を策定しております。 この戦略の中で、国は、プラスチックごみ削減対策として、レジ袋の有料化、石油由来プラスチックの代替品開発と利用の促進などに取り組むこととしております。 県といたしましては、引き続き4Rの推進に取り組みますとともに、国の動向も踏まえながら、企業の支援の在り方についても検討してまいりたいと考えております。 ◆(岩切達哉議員) ストローを紙製にするとか、企業は努力しておられますので、ぜひ行政としても、様々な支援をお願いしたいと思います。 昨年9月議会で安田議員が熱心に取り上げておられました海洋プラスチックの問題でございます。 その際の答弁でございますが、海岸漂着物対策推進地域計画の改定に取り組むということで、その計画は、自然災害に起因する海岸漂着物の処理を推進する対策に力点が置かれているものでありますけれども、海洋プラスチック問題に対する具体策について、「市町村や漁業関係団体等の意見を伺いながら検討を進め、漂流ごみ等の効果的な回収・処理体制の構築に努めてまいりたい」という御答弁がありました。 改定中の海洋漂着物推進地域計画では、海洋プラスチック問題の対策はどのようになっていくのか、お伺いしたいと思います。 ◎環境森林部長(佐野詔藏君) 現行の海岸漂着物対策推進地域計画は、本県の海岸の良好な景観や環境を保全するため、海岸に漂着する廃棄物の円滑な処理とその発生を抑制することを目的に、平成22年度に策定いたしましたが、海洋プラスチックごみ対策につきましては、特に触れておりませんでした。 海洋プラスチックごみ対策は、世界共通の課題となっておりますので、今回の改定において、新たに項目立てをし、対策を記載することといたしております。 その内容につきましては、本県の海岸漂着物の種類や量など、その発生の状況や原因について調査し、国のプラスチック資源循環戦略や専門家の意見なども参考にしながら取りまとめたいと考えております。 ◆(岩切達哉議員) それでは、漁業者等が海洋上で回収した漂流ごみや海中から拾い上げたごみを海に戻さないため、環境省では、適正に処理するための政策を行っていると伺っておりますけれども、宮崎県での状況をお聞かせいただきたいと思います。 ◎環境森林部長(佐野詔藏君) 環境省では、海岸に漂着したごみについて、集積場から処分場までの運搬費や処分場での処分費を、自治体に支援する制度を設けております。 また、今年度からは、漁業者等がボランティアで回収した洋上を漂流するごみについても、対象に追加されました。 今年度、漂着ごみにつきましては、県及び宮崎市、高鍋町、川南町の3市町が、漂流ごみにつきましては串間市が、それぞれ制度を活用し、事業を実施する予定であります。 県といたしましては、今後とも、プラスチックをはじめとする海洋ごみの削減を図り、海洋環境保全に資するため、沿岸自治体に対して、積極的な制度利用を働きかけてまいりたいと考えております。 ◆(岩切達哉議員) まさに、海岸のごみではなくて、海の上を漂っているごみ、海水の中にある、海底にあるごみなど、海洋プラスチック問題は、生物保全、食物連鎖に基づく人の命の問題とも認識しているところですけれども、これは水産資源を守る立場でもあるというふうに思います。農政水産部長はどう受け止めていらっしゃいますでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。 ◎農政水産部長(大久津 浩君) 海洋プラスチックごみは、長期にわたって分解されずに海面や海中を漂ったり、海底に堆積したりすることから、漁業者の操業に支障を来すとともに、海洋生態系に悪影響を及ぼし、水産資源の減少にもつながることから、深刻な問題であると認識しております。 このため県では、市町と連携して、水産庁の水産多面的機能発揮対策事業を活用いたしまして、漁業者が主体的に行うごみの回収などの漁場の回復活動を支援しているところでございます。 県としましては、引き続き、宮崎の豊かな水産資源を守るため、県民の皆様の御協力もいただきながら、漁場環境の保全に取り組んでまいります。 ◆(岩切達哉議員) 海のプラスチックは、いずれ人間の口に入ってくる、こういう御指摘があります。大変重要な問題だと思います。 環境問題のまとめなんですけれども、環境省は6月19日、2050年までに二酸化炭素の排出を実質ゼロにすることを表明する自治体「ゼロカーボンシティ」が100自治体に達したと発表されました。 地球温暖化に歯止めをかけるため、自治体も脱炭素へとかじを切っています。 拡大する2050年までにCO2排出ゼロを目指す宣言を行う自治体が増加している中で、宮崎県も宮崎県環境基本計画策定の中で、積極的に宣言して取り組んでいただきたいと思います。 知事のお考えをお聞かせください。 ◎知事(河野俊嗣君) 国連の気候変動に関する特別報告書によりますと、世界の気温を産業革命前と比べて1.5度の上昇に抑えるには、今御指摘ありましたように、2050年までに二酸化炭素の実質排出量をゼロにする必要があるとされております。大変高い目標だというふうに受け止めておりますが、そのための取組の一つとして、環境省は、全国の自治体に対し、実質ゼロ表明に向けての動きが広がるよう協力を依頼し、現在、都道府県では21団体が表明しているところであります。 県としましても、実質ゼロに向けて取り組むことは重要であると考えており、省エネの推進や再生可能エネルギーの導入などの施策を実施するとともに、本年8月に全国知事会に設置されました「ゼロカーボン社会構築推進プロジェクトチーム」に本県も参加いたしまして、問題意識の共有や情報収集、国への提言に努めているところであります。 実質ゼロ表明につきましては、第四次宮崎県環境基本計画の策定を進める中で、環境審議会での意見等も踏まえながら検討してまいりたいと考えております。 ◆(岩切達哉議員) ぜひ、前向きな取組をお願いしたいと思います。 話題を替えまして、総務部長に伺いたいと思います。県職員に対する働かせ方について、何問か伺います。 改正労働施策総合推進法―「パワハラ防止法」というふうに表現されていますけれども―が施行になりました。 パワハラ防止法を受けて、加害者側の懲戒処分基準の変更があったようでございますけれども、その前の段階の対応、発生予防こそが大事だというふうに私は思うところであります。対策はどのような状況でしょうか。総務部長に御答弁を頂きたいと思います。 ◎総務部長(吉村久人君) パワーハラスメントは、職員の尊厳を不当に傷つけるだけでなく、職場環境を悪化させ、組織活力を大きく低下させる、決してあってはならない行為であります。 このため県では、ハラスメント事案が発生した際の相談体制を整備するとともに、例示集や各種研修等を通して、職員の意識啓発を図っているところであります。 また、本年6月に、いわゆるパワハラ防止法が施行されましたことを受け、パワーハラスメントを懲戒処分の対象として規定したほか、改めて所属長を対象とした研修や服務規律通知の中で、ハラスメント防止の徹底を呼びかけたところであります。 今後とも、職員が安心して働くことのできる良好な職場環境づくりに積極的に取り組んでまいります。 ◆(岩切達哉議員) ハラスメントの理解は、被害の関係で非常にナイーブな問題を含みますので、ぜひ、繰り返し繰り返し研修をすることによって、仲間内の心がお互い理解し合えるような職場づくりをお進めいただきたいと思います。 続いてコロナ対策で、この間、県の職員において時間外労働が大量に必要になったという実態はないか、お伺いをしたいと思います。 ◎総務部長(吉村久人君) 知事部局における時間外勤務の実績につきましては、今年4月から7月までの実績として、職員1人当たり月約12時間と前年度並みとなっておりますが、このうち福祉保健部につきましては、約14時間となっており、前年度の約11時間と比べて3割程度増加しております。 今後とも、コロナ対策に取り組む中、職員の健康の確保や働きやすい職場環境づくりを進めるため、時間外勤務の縮減や年休の取得促進等に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(岩切達哉議員) 平均の数字でありますけれども、それが全体として伸びたということが分かりました。 次いでコロナ対策で、県の執行部、特に保健所や衛生環境研究所は多忙を極めたと思いますけれども、そのような中でも、総務部長は職員の働かせ方に対して目を配る立場でございます。 例えば、3歳に満たない子のある職員は、時間外が断れるという制度がございますけれども、県の職場はこの間、大変な状況があったのですが、そのような環境でも、請求すれば断ることができるという認識でよいということか、伺いたいと思います。 ◎総務部長(吉村久人君) 時間外勤務を縮減して、子育てしやすい環境を整備することは、職員の健康の確保や公務能率の向上等の観点から大変重要であると認識しております。 3歳に満たない子を養育する職員から時間外勤務制限の請求があった場合には、条例の規定によりまして、当該職員の業務を処理する措置を取ることが著しく困難な場合を除き、時間外勤務をさせてはならないこととしておりまして、業務多忙となる中においても認められるものであります。 今後とも、所属や職員に対し、本制度をはじめとした仕事と子育ての両立支援策の積極的な活用を呼びかけることにより、働きやすい職場環境づくりに努めてまいりたいと考えております。 ◆(岩切達哉議員) 総務部長に最後の質問なんですけれども、今回8月に、職員のコロナ感染症への感染がございました。それぞれ回復されて安心しておりますけれども、これから先の問題として、県庁の職場でのクラスター発生も想定して、職員感染時のBCP(業務継続計画)が必要ではないかと考えますけれども、いかがでしょうか。 ◎総務部長(吉村久人君) 県では、様々な危機事象が発生した場合に、災害への対応や県民生活の安定を確保するため、BCPを策定しており、感染症対策についても、この計画に基づき対応することとしております。 御質問にありましたように、県庁内でクラスターが発生した場合には、感染防止対策も含め、職員の出勤を制限する事態も想定されます。 このため、各所属において、業務の優先度の整理を行い、県民生活への影響が大きく、継続の必要がある業務については、非常時に備えた業務執行体制を構築しているところであります。 ◆(岩切達哉議員) ぜひ、目配りをいただきたい。部長を頼りたいと思いますので、これらの課題については、引き続き議論をさせていただきたいと思います。 次に、教育長に伺いたいと思います。 特別支援学級の運営についてであります。 昨年11月議会、髙橋議員の質問で、小中学校の特別支援学級を担う先生方で、特別支援学校教諭免許状を保有されている方は4割、39.9%と答弁されていました。 そのことを踏まえて質問いたしますけれども、特別支援学級に、正規雇用ではなく臨時雇用の先生が配置されている比率はいかがな状況でしょうか。 また、その臨時雇用の先生については、特別支援学校教諭免許状の保有状況はどのような状況なのか伺いたいと思います。 ◎教育長(日隈俊郎君) 本年度の小中学校における特別支援学級の担任及び通常学級の担任の臨時的任用講師の比率は、特別支援学級は32.7%、通常の学級が10.5%となっております。 各学校におきましては、特別支援学級担任の講師を任用する場合、できる限り当該免許状を有する人材の確保に努めているところではございますが、講師の当該免許状の保有率は30.5%となっております。 県教育委員会といたしましては、昨年度の教員採用試験から、小学校に特別支援採用枠を新設し、実施を始めたところであります。 また、今年度の採用試験からは、特別支援学校教諭免許状を有する者について加点したりするなど、専門性の高い教員の人材確保に向け、積極的に取り組むこととしたところでございます。 ◆(岩切達哉議員) 特別支援教室は、臨時の先生が担うことが3倍高い。そして、その臨時の先生が特別支援学校教諭教育免許状を保有する率は3割低い、こんなことだったと思います。どうにかしなくてはいけない課題だと、共通理解をさせていただきたいと思います。 当面の対策として、支援学級における教育の質を向上させるということで、特別支援教育コーディネーターが配置されていると思いますけれども、どのような配置をしておられるのか、どのような効果を得ているのか、お聞かせいただきたいと思います。 ◎教育長(日隈俊郎君) 特別支援教育に関しましては、まず、各学校で校長が特別支援教育コーディネーターを指名しまして、校内支援体制の充実を図っております。 しかしながら、より高い専門性を必要とする事例も多いことから、特別支援学校に、豊富な知識と経験を有したチーフコーディネーターを配置して、小中学校を中心に計画的に派遣し、助言を行っているところであります。 さらに、県内7つのエリアに設置しました小中学校の拠点校にも、専門性を有するエリアコーディネーターを配置いたしまして、特別支援学級担任を対象とした研修を実施しているところでございます。 これらの取組によりまして、特性に応じたきめ細かな児童生徒の指導や、保護者や関係機関との連携など、指導力及び専門性の向上を図っているところでございます。 ◆(岩切達哉議員) 特別支援教育の質的・量的向上というのが、本当にこの社会では大事だというふうに思っておりますので、これからも注目して、繰り返し議論させていただきたいと思っております。 さて、県教育委員会の障がい者雇用の問題でございます。 文部科学省が今年7月10日に発表した資料がございまして、全国の教育委員会の障がい者雇用状況がありました。宮崎県は、昨年6月1日現在で2.23%。これは、法定雇用率の2.4%を下回っている状況でございます。 おととし、2018年9月の議会で、当時の教育長は、2.52%と法定雇用率を上回っていると答えられました。 そんな中で、1年後には2.23%と法定雇用率を下回る状況になったということでございます。 教育長にお伺いをいたします。 さらに1年経過した本年6月の障がい者雇用率の状況について、どのようになっているのか。また、これまでの、そしてこれからの対策についてお答えを頂きたいと思います。 ◎教育長(日隈俊郎君) 障がい者雇用率につきましては、令和元年から算定の対象範囲が拡大され、言わば制度改正が行われまして、臨時職員等も対象となったことから、法定雇用率を下回る状況となり、今年の雇用率は、現時点で国へ報告している速報値でありますけれども、2.19%となっております。 県教育委員会では、これまで教員採用試験において、全ての校種で、障がいのある者を対象とした特別選考を行い、また、平成26年度からは、実習助手・寄宿舎指導員の採用試験においても特別採用枠を設け、障がい者雇用に努めているところでございます。 今後は、これらの取組に加え、さらに先進県の事例等も参考に、障がいのある方が活躍できる雇用の創出などの新たな検討も進め、取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(岩切達哉議員) 障がい者雇用率については、2年ほど前より大変注目を集めている課題でございまして、不適切な算定があったという指摘を受けて、国の各省庁や県庁各部局でいろいろ反省すべきところもありました。3年目でございます。今年の雇用率がまた下回っている、こういう御答弁でございました。 県内民間企業は、雇用率2.45%で全国9位の高さだと。法定雇用率を達成している企業の割合は全国3位だということで、宮崎の企業は努力されている。民間企業からすれば、公務部門はペナルティーもなく、のんびりやっているねというようなことを言われかねない課題だと思います。 去年達成できていないなら、来年は達成する。これが大事ではないかと考えます。各部局の御様子もいろいろあろうかと思いますが、ぜひ、御尽力をいただきたいと思います。 県土整備部長に質問させていただきます。 これまで何度も取り上げておりますが、道路の除草、草刈りについてであります。予算が厳しいということですが、機械化、合理化を研究していく必要があると思います。 路面清掃車を工夫して、縁石やガッターの除草をする手法が研究されていると思いますが、宮崎県でもその導入について御検討をいただきたいと思います。部長の見解を伺いたいと思います。 ◎県土整備部長(明利浩久君) 道路の除草、草刈りは、道路利用者の安全確保と良好な沿道環境を形成する観点から、重要な取組であります。 このうち、縁石周りの作業につきましては、特に人手と手間がかかることから、作業の効率化が課題となっており、現在、除草剤を併用し、対応をしているところです。 議員御指摘の、除草機能を持つ路面清掃車の利用につきましては、有効な手法の一つでありますが、現在のところ、一般的に普及していないことから、費用や性能などの課題を検討する必要がありますので、まずは、路面清掃車を保有する企業等と、効率的な除草作業について意見交換を行ってまいりたいと考えております。 ◆(岩切達哉議員) 最後の質問になります。 お金がないなら知恵を使うしかないというふうに思いますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。宮崎県は、全国に先駆けて、沿道修景美化条例、さらには今日、「美しい宮崎づくり推進条例」ということで、景観に対する認識の高い県だ、道路が美しいと、このように言われてきました。7割の観光客が自家用車で宮崎県を訪れているというデータもございます。その道中利用する道路環境が大変気になっています。 国管理路線の景観、先ほど除草剤の併用というお話がありましたが、茶色になっている道路がございます。 商工観光労働部長に伺いますが、観光客がドライブを楽しんでいる中、このような道路景観をすてきな宮崎だなと思っていただけるでしょうか。再び宮崎を目的地として選んでいただくために、どのような対応をするべきか、観光客誘致の立場からの所見を伺いたいと思います。 ◎商工観光労働部長(松浦直康君) 県外観光客の中には、例えば、空港から市街地に向けた道路に立ち並ぶワシントニアパームなどの南国情緒を感じさせる景観に強い印象を受け、感動される方も多いのではないかと思っておりまして、このような美しい景観は、本県の観光を推進していく上で重要な要素であると認識しております。 景観につきましては、「美しい宮崎づくり推進条例」を定め、各部局が連携して取り組んでおりますので、商工観光労働部としましては、そういった景観も生かしながら、観光誘客に努めてまいります。 ◆(岩切達哉議員) 全ての質問を終わりました。ありがとうございました。(拍手) ○議長(丸山裕次郎) 次は、右松隆央議員。 ◆(右松隆央議員) 〔登壇〕(拍手) おはようございます。県議会自由民主党の右松隆央でございます。 まずは、このたびの台風10号で被災された方々に、心からお見舞いを申し上げます。 代表質問の二見議員とかぶってしまいましたが、リーダーシップの在り方で、示唆に富む内容でありますので、あえて再度、取り上げさせていただきたいと思います。 月刊「致知」の9月号で、「先人が教える日本の生き筋」と題して元拓大学長の渡辺利夫氏が語った文脈の中で、目を引く内容がありました。今回のコロナ禍で、平時には見えなかったものが、有事になると突如として社会の表面にあらわになってくる。そして、過去に感染症の脅威から日本を守ってきた先人たちの歴史的事例として、日清戦争後、戦地から凱旋してくる数多くの兵士に対して、国内各地に帰還する前に実施した検疫事業の陣頭指揮を執った児玉源太郎と後藤新平を引き合いに出し、危機に際しての指導者の立ち居振る舞いという観点から、日本人が改めて思い起こすべき教訓と示唆が、そこにあると述べております。 その後の日露戦争を前に、ドイツのメッケル参謀をもってして、「児玉がいる限り、日本が勝つ」と言わしめた、その児玉が、内務省の衛生局長を務めた後藤の行政的手腕に着目し、帰還兵24万人の検疫事業に抜てきし、その任務を果たす中で見えてくる明治の教訓を主に2つ挙げております。 1つには、コレラという当時はまだ有効な治療法がなかった感染症に対して、限られた資源を能う(あたう)限り、迅速果断に凝集し、事態に対処することで、共通の危機意識をつくり出すリーダーシップ、この人ならついて行きたいと思わせる人間力が指導者に備わっていたこと。 そして2つに、事態の対処に当たる指揮官には、専門知識と行政能力を兼ね備えた人物を抜てき、配置し、現場の判断を信じ切り、任せ切る、そこには、自らの判断が正しいかどうかは後の歴史が証明するといった気概と豪気があったと述べております。 今の民主国家とは、当然時代背景が違うとはいえ、そこには、危機対応において大局を見る明があって、決断にちゅうちょしない、有事に必要とされる人物像の一端をかいま見ることができるわけであります。 今まさに有事のときであります。県民の声をしっかりと耳に入れ、顔の見える決断と積極果断が、トップリーダーには求められていると認識しております。 新型コロナウイルスによる、先の見えない混迷と不安の時代をどう生き抜くのか。新型コロナウイルスといかに向き合い、克服するまでいかに共存していくか。同じく、氏は、いたずらに不安や恐怖をあおったり、誰かを非難・攻撃するのではなくて、ファクト(事実)とエビデンス(証拠)に基づいて粛々と行動することが極めて大事だと述べております。と同時に、この不安を常態のものとしてありのままに見詰める、こうした心の姿勢こそ、コロナ以後の世界で何より求めらているものだとも述べております。 そのことを踏まえて、本題に入っていきたいと思います。 国は、新型コロナウイルス対策として、第1次で1兆円、第2次で2兆円の地方創生臨時交付金を創設しました。この臨時交付金の特徴は、自治体ごとの配分額の上限を意味する交付限度額が設定されているとともに、各自治体は第2次補正の2兆円においては、7月の1次と、今月の2次締切り、9月の末までに、この限度額に応じた事業実施計画を国に提出し、支給額が決定されるスキームとなっていることであります。 本県において、本交付金の趣旨と極めて幅広い事業メニューを十分に踏まえた上で、最大限に活用し、本県のコロナ対策として有効な事業の実施に取り組んでいかなければならないことは、言うまでもないことであります。 本県への交付限度額は、第1次の1兆円においては、55億6,650万8,000円でありました。そして、第2次の2兆円においては、129億7,110万4,000円が交付限度額となっております。同様に、県内26市町村においても、合わせて138億6,129万5,000円の交付限度額が設けられております。 本県も、厳しい財政状況の中で、新型コロナの打撃は極めて甚大なものとなっております。県民の命や健康、仕事を本当に守り抜くためには、リーマンショック時の臨時交付金を上回る規模とはいえ、まだまだ財源としては十分ではないと私は認識いたしております。 そこで知事に、地方創生臨時交付金が創設され、本県への配分額と事業メニューの通知が届いたとき、部局長会議等において、どのような指示を出されたのか伺います。 あとは、質問者席にて行わせていただきます。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。 新型コロナウイルス感染症による影響が広がる中で、県民の皆様の暮らしや経済を下支えし、先行きに対する不安を取り除いていくために、必要な対策を迅速かつ的確に講じていく上で、地方創生臨時交付金は中核となる重要な財源であります。 この交付金を有効に活用するため、私自身、新型コロナウイルス感染症対策本部会議や庁議等の場におきまして、商工、観光、飲食など影響の大きな分野はもとより、幅広く、きめ細かな対策を講じること、応急的なもののみならず、将来を見据えた事業構築を図ること、事業の構築から予算の執行までスピード感を持って取り組むことなどについて指示をしてきたところであります。 これまで、この臨時交付金も活用し、コロナ対策事業を構築してきたところでありますが、影響の長期化も見込まれる中、引き続き、感染拡大防止や経済の再生・復興に向けて、手を緩めることなく対策を講じる必要があると考えております。 これまで、このコロナ対策で地方が果たしてきた役割をしっかりと訴えるとともに、国に対して、その財源の確保に向けて、本県の実情も踏まえながら要望し、貴重な財源の確保に向けて、さらに努力を重ねてまいりたいと考えております。以上であります。〔降壇〕 ◆(右松隆央議員) 本交付金は極めて多彩な事業メニュー、しかも事業の具体例とともにQ&Aまでもが作成され、コロナ対策でぜひ有効に活用してもらいたいとの国の意向が読み取れるものとなっております。 具体的には、109にも及ぶ事例集と、かつ全ての項目において、国の担当部局名と連絡先までもが掲載されております。私も目を通しましたが、これだけ多くの事業メニューとなれば、関係する各部や課に個別に下ろしていかないと、とても効果的に対応できないと感じた次第であります。 そこで総務部長に、本県の地方創生臨時交付金の活用状況について、1次と2次補正の交付限度額に対して、事業計画の提出期限の最終が、先ほど申し上げましたように今月末まででありますが、今現在の具体的活用状況と、また残余がどうなっているのか伺います。 ◎総務部長(吉村久人君) 地方創生臨時交付金の単独事業分は、1次補正分と2次補正分を合わせまして、185億円余が本県の限度額として示されており、一連のコロナ対策の財源としまして、今議会で提案しております補正予算案も含め、169億円を活用しているところでございます。 その内訳を、コロナ対策の4つの柱で整理しますと、飲食店等に対する休業要請等協力金及び感染防止対策支援金として10億9,000万円など、感染拡大防止対策に33億円、小規模事業者事業継続給付金として15億6,000万円など、雇用維持・事業継続の支援に47億円、プレミアム付商品券発行支援として16億4,000万円など、地域経済の再生・復興に向けた支援に54億円、県立学校における代替実習に必要となる機器の整備やICT環境の整備として8億8,000万円など、本県の成長へつなげる取組に35億円となっております。 なお、9月補正予算案後では、16億4,000万円の残額がございますが、現在作成中の地方創生臨時交付金実施計画に基づき、全額を活用してまいります。 ◆(右松隆央議員) 新型コロナのダメージは、まだまだ回復傾向にない状況でありますので、今回の臨時交付金も配分限度額を、当然でありますが余すことなく、そして大事なことは、やはり県民にあまねく、そして最大に効果を得るような活用をお願いします。 今回の臨時交付金においては、どれだけの分野に、どれだけの事業計画を立てられるかが問われていると、私は認識しております。したがって、交付金の一部を数千万、あるいは数億、場合によっては数百万単位に細分化してでも、広く県民生活や県経済を救うべきとの活用理念が、私は必要だと考えております。 そこで、総合政策部長に改めて、この残額の分も含めて、臨時交付金をいかに有効活用していくのか、交付金の一部を細分化し、幅広く地域経済、県民生活の支援ができないものか、本交付金の活用方針について伺います。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 国の地方創生臨時交付金の活用につきましては、議員がおっしゃいましたように、活用事例集が示されております。その中で、県や市町村が取り組むことが考えられる事業が幅広く例示されているところでございます。 本県におきましては、感染拡大防止の徹底を図るとともに、大きな影響を受けた地域経済の再始動やさらなる活性化、持続可能な経済・社会づくり等に向けて、この事例集を重要な資料の一つとして参考にしながら、対策を講じてまいっているところでございます。 議員御指摘のとおり、この臨時交付金を有効に活用しまして、幅広く地域経済や県民生活の支援を行うことは重要でございますので、引き続き、必要な事業の構築にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(右松隆央議員) この交付金は、活用自由度の高い交付金でありますので、できるだけ多くの項目を申請していただいて、県民生活と地域経済の支援に、より一層取り組んでいただきますようお願いします。 引き続き、新型コロナによる影響と今後の見通しについて伺ってまいります。 まずは、財政への影響についてであります。 今年度、既に半期を過ぎるところでありますが、コロナによって中止や延期を余儀なくされた、または、今後も実施の見通しが立たない様々な事業があろうかと考えています。この予算執行ができない事業費をどう扱っていくか、振り替えをどうしていくのか。あるいは、コロナ対策の財源として確保していけるのか。総務部長に、今年度全体を見通して、全部局で新型コロナによって事業ができなかったものが事業費ベースでどれほどあり、その財源をどのように有効活用していく考えであるのか伺います。 ◎総務部長(吉村久人君) 全部局に確認をしましたところ、総合政策部において、宮崎国際音楽祭第25回記念事業など1,900万円余、商工観光労働部において、東京オリパラ等合宿受入推進事業など1億700万円余、教育委員会において、国民体育大会派遣補助金など1億7,600万円余など、事業の中止や規模縮小などにより執行が困難な事業費が4億4,000万円ほど見込まれております。 予算計上した事業につきましては、その事業効果を発揮するため、可能な限り執行に努めているところでありますが、今後、執行困難となる事業費の増も見込まれるところであります。 これらにつきましては、コロナの影響が長引くことによる県税の歳入減や、コロナ対策に伴う新たな財政需要の発生による歳出増など、今後、厳しい財政運営となることが見込まれますことから、有効に活用してまいりたいと考えております。 ◆(右松隆央議員) 今後の財政運営の見通しも、また改めて伺います。今年度の歳出においては、地方公務員法の改正で、人件費の伸び率が前年度を上回ることとなります。また、歳入においても、昨年10月の地方税法の改正により、法人住民税などで一部国税の比重が増えまして、減少しておりますけれども、この再配分により、都市部との偏在の是正措置がきちんと行われているのかどうか。さらに今年度、新型コロナの影響で地域経済が大きく疲弊し、県民生活に甚大な影響が出ている中で、来年度の歳入の見通しがさらに厳しさを増すのは必至と考えられるわけであります。 そこで総務部長に、今年度並びに来年度の財政運営について、先ほど申し上げました様々な大きな影響を及ぼす要素を通して、どのような見通しを立てているのか。そして、近年、地道に地方債を圧縮する傾向を続けていく中で、財政運営をどう図っていくのか伺います。 ◎総務部長(吉村久人君) 令和2年度当初予算におきましては、地方公務員法改正による会計年度任用職員制度の導入などに伴い、人件費は前年度比17億3,000万円余、率にしまして1.1%の歳出増となっております。 また、地方税法改正による税率引下げの影響によりまして、法人県民税は前年度比8億6,000万円余、率にして25.2%の歳入減となっておりますが、税率引下げ分につきましては、議員御指摘のとおり、国税化され地方交付税の原資となり、税の偏在是正のために活用されております。 今後、コロナの影響による税収減が見込まれるなど、大変厳しい状況にありますので、地方が必要とする財源が確保されるよう、国へ強く要望してまいります。 また、今後の予算編成に当たりましては、地方財政措置のある起債を可能な限り活用するとともに、安定的な資金調達のため、今年3月に初めて100億円を発行した市場公募債に引き続き取り組むなど、健全な財政運営を図ってまいります。 ◆(右松隆央議員) 今後も財政運営の見通しをしっかり立てていただきますよう、お願いします。 引き続き、新型コロナ患者を受け入れるための空床確保に対する補助についてであります。 さきの6月議会前になりますけれども、6月1日に、監査の公営企業会計状況聴取で、病院局の経営状況について聴取を行いました。その際、第1波の2月中旬から3月だけでも、空床確保などで2億5,000万円の収入源となり、非常に厳しい経営状況となっていることを伺いまして、その補償がないのはあり得ないことだということで、国にもしっかりと要望を出す必要があるといった意見交換をさせていただいたところでありました。 その後、国において第2次補正予算が成立し、その中で、病院経営の安定化を図るために、空床確保への補助が盛り込まれたところであります。 そこで、国の2次補正における空床確保の補助金を活用し、どれほどの金額が協力医療機関並びに県立病院に補助ができたのか、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 新型コロナの入院患者を受け入れる医療機関におきましては、病床を確保するため、一般の入院患者の受入れを制限するなど、経営上大きな負担となっております。 そのため、国の新型コロナ緊急包括支援事業を活用し、患者の受入れに必要な病床を確保する医療機関に対し、4月1日に遡りまして、空床としている期間に応じて、その経費を支援することとしております。 現在、4月から7月までの期間の補助について、協力医療機関には、概算で約10億円の空床確保料の支払いを見込んでおり、既に申請の整った医療機関に対して、支払いに向け最終調整中です。 また、県立病院につきましては、空床確保料として15億円余を、今議会に県立病院会計の補正予算として計上しておりますが、議決後に、まずは4月から7月までの空床確保料として、概算で約7億円を支出することで調整をしているところであります。8月以降分につきましても、今後、手続を進めてまいります。 その他、新型コロナ対応の影響による受診控えもあり、医療機関の経営が一層厳しくなっておりますので、医療機関の経営悪化へ歯止めをかけ、戦略的かつ継続的に対処するよう、様々な機会を通じて国に要望しているところです。 ◆(右松隆央議員) 空床確保等、新型コロナの対応によって、病院経営が不安定にならないように、その対応に報いる上でも、最大限の支援をよろしくお願いします。 新型コロナウイルス感染症のワクチン開発が待たれております。製薬会社がこぞって開発を進めており、一部では、臨床試験を開始し、順調に進めば、それでも来年度にようやく臨床試験が終了するとも言われております。一般に流通するには、さらに時間がかかることになります。 そのような中、厚労省の通知に加え、日本感染症学会でも、今年の冬に新型コロナウイルスと季節性インフルエンザの同時流行を最大限に警戒すべきだとし、主に外来診療の在り方について提言書をまとめております。 そこで、この冬に新型コロナとインフルエンザの同時流行が懸念される中で、新たな検査対応の在り方、そして、今後の外来診療の在り方について、どのように対応されていく考えであるのか、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 冬場の新型コロナとインフルエンザの同時流行に向けた検査・診療体制づくりにつきましては、大変重要であると認識しております。 先日、国からも、発熱患者等が帰国者・接触者相談センターを介することなく、かかりつけ医などの地域で身近な医療機関等を相談・受診し、必要に応じて検査を受けられる体制を本年10月中を目途に整備することなどが通知されたところであります。 県では、この通知に基づきまして、医師会・市町村とも協議しながら、体制づくりを検討しております。 診療時の院内感染を防ぐため、事前に電話予約の上、受診することを徹底することや、個人防護具の確保とともに、厚生労働省は、専門家や現場の意見を踏まえて、中長期的には、情報通信機器を用いた診療の抜本的な拡大など、外来診療の在り方がこれまでと大きく異なる可能性も示しております。 県では、国からの通知等を踏まえ、適切な外来診療体制を構築していくこととしております。 ◆(右松隆央議員) 新しい外来診療の在り方においては、様々な対応が必要とされますので、よろしくお願いします。 引き続き、新型コロナについて、政府は3月に、公文書管理法に基づく行政文書の管理指針で、「歴史的緊急事態」に指定し、政策の決定を行う関連会議で、議事録の作成を義務づけております。同法はまた、地方自治体にも、文書の適正な管理について必要な対策を講じる努力を求めているところであります。 そこで、執行部における政策の決定過程を検証したり、その経験を後年に引き継ぎ、様々な危機管理に生かしていく上でも重要となる、本県の専門家会議に当たる新型コロナウイルス感染症対策協議会の議事録の作成について、どのように対処しているのか、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 新型コロナウイルス感染症対策協議会につきましては、新型コロナ対策について協議するため、医師等各分野の有識者等を委員として設置したものです。 この協議会では、これまでに、PCR検査体制の拡充や、入院病床・宿泊療養施設等の確保、感染拡大期の警戒水準や、県民に対するアラートの仕組みなどについて、様々な御意見を頂いたところであり、貴重な意見を施策に生かし、また今後の検証に生かすためにも、議事録は重要でございますので、開催ごとに作成しております。 県では、協議会での意見を踏まえ、圏域ごとの検査体制の拡充や、症状に応じた医療機関等の役割分担など、感染拡大防止や医療体制の整備等の対策を実施してきたところであります。 今後とも、協議会の議事録につきましては、関係機関との情報共有等を通じ、歴史的緊急事態に位置づけられた新型コロナ対策の立案に役立ててまいりたいと考えております。 ◆(右松隆央議員) 引き続き、適切な対応をよろしくお願いしたいと思います。 次に、コロナ禍において、従来と変わってきた災害対応における、本県の進捗状況について伺ってまいります。 中央防災会議は、新型コロナの感染拡大を受けて、国の防災基本計画を修正しております。それを受けて、各自治体も、地域防災計画の見直しを進めることになるわけでありますが、その中で1点、本県の取組状況を伺いたいと思います。 それは、被災者が集まる避難所についてであります。3密を満たす条件下で感染リスクが高まる中、体育館などに多くの人が身を寄せることは重大な懸念を生むことに鑑みまして、修正された防災基本計画では必要に応じて―今回の台風10号でも見られましたけれども―ホテルや旅館などの宿泊施設の活用を検討することが盛り込まれております。 それを受けて、例えば神奈川県では、県旅館ホテル生活衛生同業組合と協定を結び、被災した市町村が迅速に宿泊施設を避難所として活用できることとしたところであります。 そこで、新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた国の防災基本計画の修正を受けて、特に、避難所の増設のためのホテルや旅館等の活用が、本県においてはどこまで進捗しているのか、危機管理統括監に伺います。 ◎危機管理統括監(藪田 亨君) 議員御指摘のとおり、5月の国の防災基本計画の見直しにおきまして、避難所としてホテルなどの宿泊施設を活用することなどが、新たに計画に追加をされたところでございます。 このことは、避難の分散につながり、避難所における新型コロナウイルス感染症の拡大防止に有効であるとともに、高齢者など要配慮者が利用する上でも、環境面で優れているものと考えております。 このため県では、市町村の避難所確保支援に向け、新型コロナウイルス感染症対策に加え、大規模災害発生時にホテルなどの宿泊施設を避難所として活用できるよう、県内の関係団体との協定締結に向け、協議を開始したところでございます。 今後とも、関係機関と連携を図りながら、各種の防災・減災対策にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(右松隆央議員) ぜひ、いち早く協定まで進めていただきますよう、よろしくお願いします。 また、今回の台風10号において、停電が広範囲にわたって発生して、これは大きな課題だなと感じたところでございます。教訓を生かしていく上でも、その対応についての検証も、また求めていきたいと思っております。 引き続き、新型コロナ対策において、介護職員の相互派遣について伺ってまいります。 先月、宮崎市の有料老人ホームでクラスターが発生したのは、記憶に新しいところであります。どの施設も、最大限の感染防止を行っても、またいつ、どこでクラスターが発生するか分からない状況にあります。 そういった中、北海道では、高齢者介護施設等で万一、クラスターが発生しても介護崩壊を招くことを防ぐため、施設事業者の間で介護職員を派遣し合う、助け合い制度を導入することとなりました。具体的には、施設事業者による共同体を新たに組織して、事前に各事業者が派遣できる人数などを取りまとめておき、万一、施設で集団感染が確認された際には、協議体や道が派遣の調整を行うものであります。北海道では、以前にクラスターが発生したいずれの施設でも、感染や退職で施設の介護職員が不足したことから、同制度によって、万一感染などで施設職員が不足した場合には、必要な人員を直ちに送り込めるようにしたところであります。 これは福島県でも取り組んでおりまして、650施設に呼びかけて、約250施設が登録し、計370人の職員派遣が可能となっているところでございます。 これは非常に有効な事前策と考えておりまして、こういった制度がなければ、やはり相互派遣など即座に対応することは難しいと考えられるわけであります。 そこで、介護施設等で万一、集団感染が発生した際、介護崩壊を防ぐために、今のような新たな制度を、本県でも取り入れることはできないものか、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 介護施設等におきまして新型コロナの集団感染が発生した場合、多くの職員が感染し、入院や自宅待機等となり、事業所内での勤務体制の変更や同一法人内での職員の調整等を行ってもなお、職員が不足する場合が想定されますので、議員御指摘のとおり、平時より、事業者間で応援体制を構築しておくことが重要だと考えております。 このため、県内外での集団感染の事例も踏まえまして、約2,200の入所施設や介護事業所に対して応援派遣等の協力を依頼したところであり、今月末を目途に、応援派遣が可能な職員や介護事業所の名簿を作成いたします。 また今後、実際に入所施設等で感染者が発生し、職員が不足する場合には、関係団体の協力をいただきながら、名簿に基づく派遣調整を行う予定にしております。 緊急時には迅速な対応が求められることから、市町村や関係団体と密接に連携し、介護サービスが継続して提供できる、実効性ある応援体制を構築してまいりたいと考えております。 ◆(右松隆央議員) 取組を高く評価させていただきます。どうぞよろしくお願いします。 引き続き、コロナ禍での雇用情勢と雇用シェアリングの事業化について伺ってまいります。 新型コロナウイルスの影響に伴う需要の急減で、全国的に雇用情勢の悪化は極めて緊迫した状況となっております。 御承知のとおり、コロナ禍の外出抑制は、飲食、宿泊、旅客運送など、各業界を直撃し、他県では、有効求人倍率の低下幅がリーマンショック以来の大きさというところも出てきております。多くの識者が、雇用は当面厳しい状況が続くと指摘しており、極めて深刻な経済・雇用情勢と認識しているところであります。 そこで、まずは県内の雇用情勢について、有効求人倍率の推移、そして、コロナによる直近の失業者数が、業種も含めてどのような状況にあるのか、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(松浦直康君) 県内の有効求人倍率は、国内で初めて感染者が確認されました本年1月からの半年間で、1.34倍から1.10倍へと、0.24ポイント低下をしており、全国では、1.49倍から1.08倍へと0.41ポイント低下しております。 一方、平成20年のリーマンショックの際は、現在とは背景が異なりますけれども、半年間で、県内では0.12ポイント、全国では0.31ポイント低下でありましたので、下げ幅では今回のほうが上回っております。 次に、新型コロナウイルス感染症の影響により、解雇や雇い止めを受けた本県の労働者数は、直近の9月4日現在でありますけれども、見込みを含めて483人となっており、全国的にも、製造業を中心に宿泊業や飲食業など、様々な産業に広がっております。 こうした中、県内企業においては、特例措置が12月末まで延長されました雇用調整助成金や、本議会で増額をお願いしております融資制度などを活用しながら、雇用の維持に努めていただいているところであります。 ◆(右松隆央議員) コロナ禍で悪化する雇用情勢の中、失業者の増加を防ぐため、労働力を一時的に移転させ企業の雇用維持を支える取組が、全国で始まっております。 例えば、京都府では府と京都市、並びに京都労働局、京都経営者協会、そして連合京都などが参画し、人材を受け入れたい企業と送り出す企業の橋渡しをする内容で、府が「雇用シェアリング」として事業化しております。人材不足の企業から短期の求人情報を募り、府のホームページにそれを掲載するとともに、臨時休業や縮小営業、売上げの減少などで雇用維持に苦しむ企業が、従業員を在籍させたまま、出向やアルバイト、副業などの形態で送り出す仕組みとなっております。 そこで、こういった従業員過剰の企業と従業員不足の企業による短期雇用のマッチングを図って、いましばらくは、コロナ禍で悪化する雇用情勢をしのいでいくとともに、大切な人材をコロナ禍で手放すことのないように企業支援をしていくことが可能となる「雇用シェアリング」の本県での取組状況はどうなっているのか、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(松浦直康君) 雇用シェアリングは、企業間の出向や移籍を支援することを目的として、全ての都道府県に事務所が設置されております、公益財団法人産業雇用安定センターがマッチングを行っております。 特に今年は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた企業を対象として、「雇用を守る出向支援プログラム2020」が展開されておりまして、全国ではマッチングの事例が幾つか出てきているようでありますが、本県での実績は、現時点ではないと伺っております。 雇用シェアリングは、今回のような状況の下で一時的に業績が悪化した企業が、労働者の雇用を守りながら事業継続を図る上で有効な手段であると考えておりますが、一方で、制度の認知度などに課題もあると認識をしております。 このため、県といたしましては、企業にとって大切な人材の雇用を維持する本制度の普及や利用促進に向け、関係機関や経済団体等とも連携しながら取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(右松隆央議員) ぜひ、これからの取組の中で実績を積み上げていただければと思います。 新型コロナウイルスによる経営への打撃は、様々な経済分野に及ぶわけでありますが、その中の1つ、タクシー業界も、極めて大きなダメージを受けている経済分野であります。 県のタクシー協会の調べでは、4月、5月は売上げが前年比5割を切っており、6月、7月で少し回復傾向が見られた中、8月に第2波の対応に伴い、また5割程度に悪化している状況にあります。 そのような中、直接的な現金給付とは一線を画しつつ、コロナ禍の直撃を受けた市民県民と苦境に立つ業界を同時に支援する理想的な取組が、各地で進められております。 例えば姫路市では、一石四鳥の効果を狙った取組として、まずは市が地元の農産物を買い取って生産者を支え、発送用の荷造りをイベント業者らに委託し、続いてタクシー会社に配達を任せ、その配達先は、困窮するケースが相次いでいる独り親家庭の食卓へ届けるという内容であります。一つの事業で、より広範囲に効果を及ぼせるよう、独り親家庭に食材を送る過程において、コロナ禍で苦境に立つ業界を巻き込んだ事業概要となっております。各家庭への配送は、客足が大きく減ったタクシー会社に依頼し―ここで大事なことは、貨物ではなくて職員も同乗し、旅客扱いとして届けております。配達は6月、8月、10月の3回で、1回当たり1万2,000円の食材を詰め合わせ、対象となるのは、児童扶養手当を満額受給する約2,700世帯とし、経費として約1億4,000万円が6月補正で提案され、可決されております。 そこで、本県においても、新型コロナで極めて甚大な影響を受け苦境に立つタクシー業界、並びに各経済分野も巻き込んで県民生活を支えていく、新たな事業スキームを構築できないものか、総合政策部長に伺います。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 御紹介のありました姫路市の取組につきましては、コロナ禍で影響を受けております生産者、イベント会社、タクシー事業者をマッチングし、独り親世帯を支援するという大変工夫された事業であると考えております。 県といたしましては、タクシー業界をはじめとする公共交通機関が厳しい状況にある中、安全・安心の確保を図り、その利用促進に取り組むことは極めて重要であると考えておりますことから、交通事業者が行う感染防止対策への支援を行っているところであります。 御紹介の姫路市の取組につきましては、一つの事業で幅広い分野を支援することにつながる取組であり、非常に意義のあるものと考えておりますので、今後、この取組を含めて関係団体と意見交換を行いますとともに、市町村に対しても、このような取組事例等を積極的に情報提供してまいりたいと考えております。 ◆(右松隆央議員) ぜひ、よろしくお願いします。 新型コロナウイルス感染拡大に伴う教育への影響について、伺ってまいります。 コロナの影響は各分野に及ぶところでありますが、教育に与える影響も極めて大きくなっております。 文科省の調査では、臨時休業期間中に学校が課した家庭における学習内容は、同時双方向型オンライン指導が、小学校では8%、中学校では10%との結果を公表しております。また、全国の小学生の保護者を対象とした民間調査においては、約35%の子供がスマートフォンやパソコンを新たに使い始め、約9割の子供が自宅でネットに触れるようになったとのことであります。さらに、約55%は、学校や民間オンライン学習に取り組んでいることから、先ほどの文科省の数字から鑑みれば、多くの子供たちが、学校とは関係のないところでも積極的にオンライン学習を利用するようになったことがうかがえるものであります。 そこで教育長に、コロナでの休校中において、本県の小中学校でのオンライン指導はどのような状況であったのか、また家庭ではどういった状況が見られたのか伺います。 ◎教育長(日隈俊郎君) 臨時休業中における同時双方向によるオンライン学習につきましては、県内市町村においては、これまでICT機器の整備が十分に進んでいなかったということから、西米良村を除いて、ほとんどの市町村が実現できていない状況にありました。 それに対し、保護者や学校からは、「テレビで報道されているようなオンライン学習を行ってほしい」「オンライン学習が実施できる環境を整えてほしい」といったシステム構築を求める意見や、「自分のペースで学習ができる動画の配信等を増やしてほしい」といった意見が、市町村教育委員会に寄せられたところであります。 県教育委員会といたしましては、このような状況を受け、オンライン学習の必要性について認識を深め、今後は、その実施方法等の研究を進め、取組の充実にしっかりと努めてまいりたいと考えております。 ◆(右松隆央議員) 分かりました。今後は、可及的速やかに、GIGAスクール構想に基づいて学校のICT環境の整備も進める中で、児童生徒1人に1台タブレット端末を整備することとなります。仮に、新型コロナなどの感染症の蔓延や大規模災害などが発生して学校が閉鎖されたとしても、授業や学ぶ機会を変わりなく提供していくことは、欠くことのできない教育管理者の義務となってまいります。 そこで、GIGAスクール構想に基づき、小中学校においてタブレット端末をどのような計画で整備し、また、家庭でのネット環境が十分でない児童生徒にはどのような対応をされていくのか、教育長に伺います。 ◎教育長(日隈俊郎君) まず、端末につきましては、お話のありましたように、GIGAスクール構想の小中学校において1人に1台、高等学校において3人に1台の目標値の下、加速度的に整備が進んでおりまして、8月時点の調査によりますと、公立小中学校においては、本年度末までに目標値の約99%が整備され、残りの分も、令和3年度末までに整備される見込みであります。高等学校におきましては、本年度末までに整備が完了する予定となっております。 次に、家庭でのネット環境が十分でない児童生徒に対する対応でありますが、今年度につきましては、国の補助金や交付金等を活用し、小中学校では、ルーターを家庭へ貸し出している市町村もあります。また、高等学校では、生活保護世帯及び非課税世帯を対象に、通信費について支援を行っているところであります。 今後におきましても、このような事態が起こることが十分考えられますので、全ての子供の学びを止めないために、家庭の通信環境の確保に向けて財政措置を講じていただくよう、国に要望するとともに、高等学校におきましては、万一、新型コロナや災害等で休業となった際にも、学校を開放し、端末等を利用できるように、今後とも環境整備を進めてまいりたいと考えております。 ◆(右松隆央議員) 計画に沿って、よろしくお願いします。 さらに重要なことは、1人に1台タブレット端末が整備された後に、その端末をどのように使い切るか。オンライン学習システムによって、各自治体に大きな差が出てくる可能性が指摘されております。 政府は、人工知能(AI)を使って、全国の小中学校で児童生徒の理解度に合わせて授業内容を組み替える「個別学習計画」の支援に乗り出しました。エドテックと言われる、情報技術(IT)など先端技術を使った教育サービスを、学校現場に導入する足がかりにしていくとしております。 この個別最適化学習に先進的に取り組んでいるのが、御承知の奈良市でございます。平成28年度のモデル校による実証から、現在は全市立小学校の4年から6年生を対象に展開しており、また、小学校での成果を踏まえて、現在、中学校への展開も進めているところであります。 具体的には、例えば教員が、算数のテストの答案を民間企業の学習クラウドに送り、AIでデータを分析し、その分析結果を基に、児童一人一人の学習度や苦手分野に応じた復習教材が自動で作成され、学校に提供される仕組みとなっており、このサイクルを、年14回の単元テストと3回の期末テストごとに実施されております。従来の採点作業では読み取れなかった正確な習熟度が分かる分析結果により、教員は、その児童に合ったきめ細かい指導ができるようになります。また、児童のほうも、復習教材で効率的に自分の強み・弱みを見直すことができ、自分の能力に合った問題が個別に提供されることから、学習意欲の向上にもつながっているといった報告が、教育現場からも届いているとのことであります。中学校においては、ペーパー(紙)ではなくてAIドリルの教材「キュビナ」を活用した実証を開始しております。 エビデンスを活用して学習の定着を図る取組は非常に注目されており、今後、児童生徒1人に1台の端末の整備が加速されると、より一層、スタディ・ログと言われる学習履歴をどう活用していくのか。スタディ・ログに基づき個別最適化された学習は、極めて重要になってくると認識しております。 学校教育に、教育とテクノロジーを組み合わせた造語となる「エドテック」を取り入れた背景には、経験豊富な教員の大量退職に伴って、指導技術の継承が困難な状況を迎えていること、そして、一人一人に最適な学びを提供していくためには、データに基づいて正確な児童の見取りを行うことや、様々なデータを活用した指導法の改善が必要であるとしたからであります。 さらに、一人一人の学習状況を見取る教員の負担を軽減するとともに、その分の時間を、本来目指すべき主体的・対話的な学びに向ける取組につながっていくことにもなります。 そこで、Society 5.0に向けた人材育成が重要となる中、未来型教育を実践していくために、クラウド活用やビッグデータの分析など、AIを活用した児童生徒の個別最適化学習に、本県として今後どのように取り組んでいく考えであるのか、教育長に伺います。 ◎教育長(日隈俊郎君) Society 5.0と言われる新時代の到来を見据え、これからの時代に必要な基礎的読解力や情報活用能力などを児童生徒に身につけさせることが、学校に求められていると考えております。 また、議員の御指摘のとおり、教育用AIの発達、普及に伴いまして、インターネットのクラウド上に集められました児童生徒の一人一人の学習履歴や学習到達度などのビッグデータをAIが解析し、個々の習熟に応じた復習問題の提供を行うなど、先端技術が、子供の学びの質や教員の指導法を変えていくことも考えられます。 国は、このような未来型教育の実施が可能となるGIGAスクール構想の実現に向けまして、積極的にICT機器の整備を進めるとともに、企業や研究機関等と連携しながら、データを基にした理解度分析が可能な教育用AIなどの開発を進めているところであります。 県教育委員会といたしましては、未来型教育に向けた国の動向をしっかり把握し、冒頭述べました、これからの時代に必要な資質・能力や学力向上を目指し、個別最適化学習の研究の進め方について検討してまいりたいと考えております。 ◆(右松隆央議員) 本県における未来型教育を大いに期待させていただきますので、よろしくお願いします。 最後の質問となります。 アフターコロナはどういった時代になるのか、そしてどういった価値観が新たに生まれてくるのか、コロナ後、私たちはどのように生きていくのがよいのか。知事に、コロナ後の社会をどう予想し、また、どういった価値観が生まれてくると考えておられるか、所感を伺いたいと思います。 ◎知事(河野俊嗣君) 私は、今回のコロナ危機は社会の在り方に様々な影響を及ぼしておりまして、その中で一つの見方としましては、これまで我が国が抱えておりました問題に気づきを与える機会となり、必要な社会の改革、変化を進めていく上で大きなチャンスになるものとも考えております。 例えば、都市部における感染リスクがクローズアップされたことなどを背景としまして、東京一極集中の社会構造や価値観から抜け出し、都市集中型から分散型への地方回帰の動きが生まれるとともに、私たちの暮らしにおきましては、デジタル化の加速によりまして、テレワーク等を通じて従来よりも自由で弾力的な働き方が可能となり、仕事と家庭、子育てなど両立しやすい社会が一層身近なものとなることが考えられます。 このような社会のありようや価値観の変化は、私たちの働き方や住む場所、生き方の自由度を高め、それが結果として、地方にとって経済や人口にプラスに働くことが期待されるという面もありまして、社会の持続可能性を高めていくことにもつながるものと考えております。 私は、こうした様々な変化や動きというものを的確に捉え、またしっかりと予測をしながら、コロナ禍の先を見据えた宮崎づくりに取り組んでまいります。 ◆(右松隆央議員) この質問は、知事自らが政務扱いにされております。私が求めていた答弁は、実はそういうのではないんですね。やはり質問で申し上げましたけれども、新たな価値観、そしてコロナ後の社会の在り方、これをもっと具体的に私としては聞きたかったわけであります。 様々な考えがあろうかと思いますので、知事が言われた発言も、これも正しい方向だとは思っておりますけれども、私はその中で1つのキーワードとして、冗長性に大きな関心を持っております。 冗長性とは、ゆとりや余裕のある状態といった意味を持ち、それを唱えているのが東京工業大学の西田亮介准教授でありまして、1970年代末頃から、無駄を取り、徹底的な効率性や選択と集中、行財政改革、そしてグローバル化の名の下に、社会と政治の冗長性を排除してきたと。冗長性があれば、緊急時の資源の組み替えであったりとか、あるいはイレギュラーな対処を容易にする。そしてまた、イノベーションの源泉も余剰と余力だと言われているわけでありますけれども、日本社会は、この冗長性をある面削り過ぎてきたのではないかと。過剰なダイエットによって、基礎的な体力が損なわれているようにも見えると、今回のコロナ禍のありようを見て警鐘を鳴らしておられます。 私は今年度、監査委員を拝命しておりますけれども、どこの部署でも監査で必ず最初に質問で聞いていることがあります。それは、業務量に対して今の人員配置が適正であるのかどうか。そして、特定の担当者に負担が偏っていることはないか。そして、新型コロナの影響で拡大する―間違いなく拡大していますので―業務量が今の人員体制でこなし切れているのかどうか。残業や、先ほどありましたけれども、休日出勤の状況なども伺っているわけであります。その答えは、「多くの部署が、今ぎりぎりの業務をこなしているんだ。余裕がある状態ではない。コロナで業務量は確実に増えていっている」といった声であります。県職員のマンパワー一つにおいても、冗長性がない状態だと言えるのではないでしょうか。 公衆衛生、それから医療の分野も同様であります。費用抑制の下に、一気に今、改革を推し進めているわけでありますけれども、そういった中で、今回のコロナ有事であります。余力がない中、非常に難しい対応を迫られていたというふうに私は認識しております。私は、このゆとりや余裕のある状態を指す、決して無駄とは違った新しい冗長性を、アフターコロナにおける1つのキーワードとして、今までの政治や、あるいは社会の在り方、これをいま一度立ち止まって考え直してもよいのではと、そのように感じているところであります。 以上で、私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手) ○議長(丸山裕次郎) 以上で午前の質問を終わります。 午後は1時再開、休憩いたします。   午前11時53分休憩────────────────────   午後1時0分開議 ○副議長(徳重忠夫) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次は、佐藤雅洋議員。 ◆(佐藤雅洋議員) 〔登壇〕(拍手) 皆さん、こんにちは。自由民主党の佐藤雅洋です。 まず初めに、コロナ禍の中、さきの台風10号で被害に遭われた方々にお見舞いを申し上げますとともに、いまだ不明の方々の一刻も早い救出をお祈りいたします。 それでは、通告に従って、中山間地の土を踏み続ける者の代弁者として質問を進めてまいります。 まず、口蹄疫終息からの10年についてお伺いします。 新型コロナウイルス感染症の拡大で、県全体が大きな打撃を受けておりますが、くしくも10年前、本県では口蹄疫ウイルスが猛威を振るい、29万7,808頭もの貴い家畜の命が犠牲となり、畜産業のみならず、地域経済や県民生活に大きな影響を与えました。 当時の試算で、県内経済への影響額は2,350億円ということでありましたが、一方で、感染力の強い口蹄疫ウイルスを県内で食い止めたことや、その後の畜産の再生・復興、新生を計画的に進めるなど、和牛を飼っている私としても、これまでの県の取組に一定の評価をしております。 10年前の発生当時、河野知事は、副知事という立場から、その後、知事に就任されて以降も、常に先頭に立って、宮崎の畜産を引っ張ってこられたわけですから、この10年の節目の年を特別な思いで迎えられたのではないかと思います。 そこで、口蹄疫終息から10年を振り返り、これまでの畜産振興の総括と今後の展開について、知事のお考えをお伺いします。 壇上からの質問は以上とし、以下の質問は質問者席から行わせていただきます。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。 私は、この10年間、口蹄疫を二度と発生させないという強い決意の下、「忘れない そして前へ」を合い言葉としまして、畜産の再生・復興に向けた方針等を明らかにし、先頭に立って取り組んでまいりました。 特に、全国のモデルとなる防疫体制の構築を基本としまして、肉用牛や酪農、養豚の生産基盤の強化や、輸出拠点となる最新鋭の食肉処理施設等を整備し、口蹄疫発生前と比べますと、畜産産出額が約1.3倍の2,208億円に、牛肉の輸出量も約8.6倍の483トンに達しております。 さらに、全国和牛能力共進会での3大会連続となる内閣総理大臣賞受賞や、養豚法人の天皇杯受賞など、明るい話題も続いております。本県の畜産は、着実に前進していると考えております。 また、現在のコロナ禍での対応等につきましても、この口蹄疫での経験が生かされているものと考えております。 一方で、近隣諸国で続発します口蹄疫やアフリカ豚熱への対策、高齢化等による生産基盤の脆弱化への対応など、引き続き取り組むべき課題も数多くあります。 今後とも、宮崎の先人が築き育ててきた「畜産王国みやざき」を、次の世代にしっかり継承し、家畜防疫の徹底をはじめ、スマート農業の推進、多様な担い手の確保など、生産者が夢と誇りを持って邁進できるよう取り組んでまいります。以上であります。〔降壇〕 ◆(佐藤雅洋議員) 畜産王国みやざきのために、どうぞよろしくお願いいたします。 次に、中山間地域についてお伺いします。 まず、中山間地域の農業振興についてであります。 私は、今後の中山間地域の農業や農村の行く末を考えるに当たり、これまで以上に高齢化が進み、地域に残る働き手はますます少なくなっていくことは避けられず、地域の行事だけでなく、人と人のつながりさえも薄まって疲弊していくのではないかと、心配でなりません。 この地域を今後も守っていくためには、地域に人が住み続けることが不可欠であり、そのためには、産業の振興と雇用の場の確保が重要であります。 一方で、本県の中山間地域は、県土の9割、農地・販売農家数の約7割を占めており、農業は、産業基盤・人材の両面から地域を支える重要な役割を担っています。私は、こうした待ったなしの今だからこそ、地域と県が議論を尽くし、創意工夫を凝らしながら、所得と雇用が確保される、中山間地域ならではの仕組みづくりを進める必要があると考えています。 現在、県では、今後10年先を見据えた第八次となる新たな農業・農村振興長期計画の策定を進められていると聞いております。 そこで、第八次計画で中山間地域の農業振興にどのように取り組んでいくのか、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(大久津 浩君) 第八次計画におきましては、農の魅力を「産み出す」「届ける」「支える」の3つの仕組みを構築いたしまして、持続可能な魅力あるみやざき農業を目指すこととしております。 特に中山間地域におきましては、基幹産業である農業の活性化と所得の確保とともに、地域を支える担い手の育成とその支援体制の強化が重要と考えております。そのため、地域の特性を生かした稼げる品目の導入や、農作業受託等のサポート体制の強化、スマート農業技術の導入による作業の効率化などを進めることとしております。 さらに、6次産業化や農泊等の推進、世界農業遺産などの中山間地域の価値の発信にも積極的に取り組みまして、次世代に引き継ぐ魅力あふれる農山村の実現を目指してまいりたいと考えております。 ◆(佐藤雅洋議員) 続いて、スマート農業についてお聞きいたします。 現在、農業分野では、ロボット技術や情報通信技術を生かして、省力化や生産性向上を目指すスマート農業が推進されています。 急傾斜で圃場が狭い、筆数が多い、また、高齢化が進み労力に限界があるなど、様々な条件が不利な中山間地域の農業には、中山間地域の実情に合わせたスマート農業を導入する必要があると考えていますが、中山間地域におけるスマート農業の取組について、農政水産部長にお伺いします。 ◎農政水産部長(大久津 浩君) 県では、スマート農業による省力化や生産性の向上等を図るため、昨年12月に策定いたしました「みやざきスマート農業推進方針」に基づき、円滑な導入促進に向けた技術開発や実証を展開しております。 特に中山間地域におきましては、今年度、国の事業に採択されました、高千穂町における棚田の取組において、ドローンによる施肥や防除、水田の水管理の自動化等の様々な新技術を組み合わせながら、山間部でも使えるスマート農業のモデルづくりに、集落や関係機関等が一体となって取り組んでいるところでございます。 県におきましては、これらの成果を早急に普及させていくとともに、農業大学校のスマート農業の技術研修による人材育成にも取り組みながら、条件不利な中山間地域の農業の生産性向上や効率化を進めてまいりたいと考えております。 ◆(佐藤雅洋議員) 続いて、多面的機能を有する農業用水路についてお聞きします。 本年7月の豪雨や今週襲来した台風10号など、今後、気象災害は甚大化すると懸念され、さらなる防災対策と備えが求められます。これまで、このような災害に対して、とりわけ中山間地域では、農林業の営みが、防災機能に大きく貢献してきたのではないかと考えます。 例えば私の地元では、農業用水を確保するため、先人たちが数十キロメートルに及ぶ用水路を山肌に沿って建設し、現在の農地を潤しています。その苦労は、想像に堪えません。 このような水路は、農業用水の確保のみならず、大雨のときには災害を防止する排水路としての役割も持っており、地域の集落や川下の生活基盤を守っています。そして、これらは、農家の皆さんの日々の維持管理で機能が保たれています。私も、地元での維持管理活動に参加していますが、草刈り作業や、水路に入り込んだ土や大きな石の除去など、機械も使えない中、大変な労力が必要です。 しかし、参加者は年々高齢化し、あと何年この活動が続けられるのか心配です。そこで、多面的機能を有する農業用水路の維持管理を軽減するための今後の方策について、農政水産部長にお伺いします。 ◎農政水産部長(大久津 浩君) 農業用水路の維持管理につきましては、多面的機能支払制度等により、草刈りや水路の泥上げなどの共同活動を支援しているところでありますが、高齢化や後継者不足などにより、地域住民の負担も年々大きくなっているものと認識しております。 このため、中山間地域における用水路の改修整備事業におきまして、新たな管理用通路の確保や、落石が水路内に入ることを防ぐ蓋かけなど、維持管理がしやすい整備に努めているところでございます。 今後とも、未整備区間のさらなる事業推進や、草刈り作業の省力化に向けた取組を推進しますとともに、農業用水路の維持管理が安定的に継続され、多面的機能が引き続き発揮されますよう、共同活動組織の広域化などにつきましても、市町村と連携しながらしっかり推進してまいります。 ◆(佐藤雅洋議員) 続いて、担い手の確保についてお聞きします。 県によると、平成元年の本県の新規就農者数は418名で、平成に入って以降、最多となったようであります。 しかしながら、地域別に見てみますと、私の地元、西臼杵地域は7名にとどまるなど、中山間地域での担い手の確保の難しさがうかがえます。 「農は国の大本なり」と言いますが、農を支える担い手の減少は、地域、ひいては国の基盤の崩壊にもつながる大変重要な問題であります。 そこで、高齢化が進み、担い手が不足している中山間地域において、どのように農業の担い手を確保していくのか、農政水産部長にお伺いします。 ◎農政水産部長(大久津 浩君) 議員御指摘のとおり、中山間地域の農業や集落機能を維持していくためには、担い手確保は大変重要であると認識しております。 県では、市町村等の移住部門と連携しまして、都市部での情報発信やUIJターン者を対象としたお試し就農等によりまして、担い手の確保を図るとともに、今後は、定年帰農者等も担い手として捉え、農業改良普及センターのリカレント教育等により支援することとしております。 また、ひのかげアグリファームや各JAの出資法人など、市町村やJA主導の担い手組織の設立が進むとともに、農業収入以外に多様なライフスタイルを求める、いわゆる半農半X等の新たな就農ニーズも生まれていることから、中山間地域の多様な担い手が、年間を通じ安定した所得を確保し、安心して就農できる環境整備に努めてまいりたいと考えております。 ◆(佐藤雅洋議員) ありがとうございました。中山間地域が継続し、そして次世代、後に続く後継者のために、引き続き県の支援をお願いいたします。 続いて、本県における「特定地域づくり事業協同組合」制度についてお聞きします。 本年6月に、地域人口の急減への対策の一つとして、「特定地域づくり事業協同組合」制度が創設されました。この制度は、新たに設立した組合において、人材を雇用し、時期によって労働力が不足する事業者に人材派遣をすることで、安定的な雇用を確保しながら、地域の労働力不足を解消することを目的とするものであります。このような制度を効果的に活用し、地域産業の活性化につなげていくためには、地域内だけではなく、地域外からの人材確保も必要ではないでしょうか。 地方移住などに関心が高まっている今、地元人材はもとより、他県からの移住者らとこのような制度を有効活用し、地域づくり、地域活性化へつなげていかなくてはならないと考えます。 本県では、「特定地域づくり事業協同組合」制度の推進についてどのように取り組んでいくのか、総合政策部長にお伺いします。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 「特定地域づくり事業協同組合」制度につきましては、今年6月に施行された新たな法律に基づくものであり、人口が減少している過疎地域におきまして、地域の産業を支える人材を地域内外から確保するための有効な施策の一つになるものと考えております。 そのため、県では今年度、調査希望のありました県内の3つの町村におきまして、季節ごとの労働力の不足状況や、運営にかかる経費などについて調査をし、運営モデルを作成することとしております。 その上で、採算性や継続性についても分析を行い、実施可能と判断された場合には、組合の設立に対して支援を行いますとともに、あわせて、今後、県内において制度の活用が進むよう、他の市町村とも情報を共有することで、人材確保の取組を後押ししてまいりたいと考えております。 ◆(佐藤雅洋議員) 続いて、地方移住の取組についてお聞きします。 ここ数年、全国的にも、地方への移住希望者が増加の傾向にあります。宮崎も同じく、移住先としてクローズアップされるようになりました。最近では、新型コロナ感染症の影響でリモートワーク、テレワークなどの需要も高まり、なおさら地方での生活が関心を集めております。 全国的に見ても、空き家を利用した移住者支援や、子育てしやすい施策、県主催の移住フェアなど、地方での生活を望んでいる方々に移住先に選んでもらおうと、様々な対策が見られます。一足先に、青島地区の開発などで移住者増加の傾向にありましたが、さらに移住を希望する皆さんが、その地を県内の中山間地域としていただけるような取組を進める必要があると考えます。 コロナ禍における地方回帰の流れがある中で、本県の中山間地域の魅力をどのように発信していくこととしているのか、総合政策部長にお伺いします。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 新型コロナウイルスの感染拡大に伴うテレワーク等の定着で、働く場所の選択肢が広がる中、密になりにくい地方移住への関心は高まってきておりまして、いわゆる田舎暮らしを希望する方を呼び込む好機であると考えております。 このため、県では今年度、コロナ禍の中での中山間地域への移住促進を目的として、移住希望者に高い発信力を有する専門誌と提携し、都市部の移住希望者との意見交換会やフィールドワーク等を行いながら、中山間地域のゆったりとした生活環境や自然と共存する暮らしの魅力を発信する「ひなた移住プロモーション事業」を実施することとしております。 今後とも、地方回帰の流れを取り込み、市町村等と連携しながら、本県への移住促進に努めてまいりたいと考えております。 ◆(佐藤雅洋議員) さらなる中山間地域への移住促進に努めていただきますよう、要望いたします。 次に、林業施策についてお伺いします。 まず、県産材輸出の状況についてであります。 宮崎県の森林面積は約58万6,000ヘクタールであり、県土の約76%が森林です。民有林と国有林の割合は7対3となっています。素材生産は、北海道に次いで全国2位であり、杉の素材生産量は、平成3年から連続第1位を続けています。その中で一番植林されているのが、飫肥杉です。県内、特に県南では、昔から植林されていた飫肥杉は、油分が多く粘りがあるため、木造船を造る弁甲材として、国内はもとより海外でも有名になり、杉の一大生産地の基礎を築き上げました。 かつて戦前から戦後にかけて、弁甲材が韓国や台湾へ出荷されたのが、県産材輸出の先駆けになりました。弁甲材輸出は、新しい船舶材料の普及により途絶えましたが、平成20年頃から、韓国や中国向けの原木輸出が再興しました。 そこで、今現在のコロナ禍の中、県産木材の海外輸出の状況について、環境森林部長にお伺いします。 ◎環境森林部長(佐野詔藏君) 県産材の輸出についてでありますが、昨年度の輸出額は46億4,000万円と推計しており、その割合は、原木が96%、製材品が4%となっております。 原木につきましては、主に中国向けで、梱包材などの材料として輸出されており、今年2月には、新型コロナウイルス感染症の影響により一時的に出荷延期などが生じたものの、現在は感染拡大前に近い状況に戻っております。 一方、製材品につきましては、主に台湾や中国向けで、建築用の下地材などとして輸出されておりますが、韓国向けの高度加工を施したプレカット部材等は、韓国の景気低迷などから減少傾向となっております。 ◆(佐藤雅洋議員) 続いて、県産材輸出の今後の取組についてお聞きします。 輸出額に占める割合は、原木が96%、製材品が4%とのことですが、原木丸太中心の輸出から、付加価値の高い製品輸出への転換を推進することも重要だと考えます。 そして、我が国日本の加工技術を生かし、特に宮崎県は、製材業もトップクラスであり、その木材製品のブランド化の推進を進め、日本木材製品の世界的認知度を高め、杉生産日本一の宮崎県で加工された製品の輸出を図るため、県としてはどのように今後取り組むのか、環境森林部長に伺います。 ◎環境森林部長(佐野詔藏君) 県では、本県の有する木材加工技術を生かし、より付加価値が高い製材品の輸出に向けまして、まず、韓国につきましては、「材工一体」による木造軸組構法の普及に取り組んでおり、今後、韓国での新たなパートナー企業の開拓など、輸出の拡大を図ることといたしております。 また、台湾につきましては、近年、木造建築に対する関心が高まっておりますことから、木造建築セミナーの開催や、研究機関との相互交流などの取組を始めており、今後、台湾の企業や団体等とのパートナーシップを構築できるように取り組んでいくことといたしております。 さらに、これ以外の国におきましても、相手国の木材需要の動向等を調査しながら、輸出の可能性について検討してまいりたいと考えております。 ◆(佐藤雅洋議員) 続いて、みやざき林業大学校についてお伺いします。 全国でもトップクラスの林業県であります宮崎にふさわしい、みやざき林業大学校は、既に長期課程の1期生が、与えられた1年間の研修を終え、それらを生かした活動の場へ進んでいることと思います。 全国でも数少ない林業大学校で知識を学ぶことが、どのような将来へつながっているのか、長期課程における昨年度の成果について、環境森林部長にお伺いします。 ◎環境森林部長(佐野詔藏君) 林業大学校の長期課程では、昨年度、全国の林大校では最多となる16の資格取得や、ICTを活用した最新技術の習得などの研修に取り組んでおります。 また、研修生の視野を広げるため、行政や林業団体による講演会等への参加や、志布志港における木材輸出の現地研修も、柔軟にカリキュラムに盛り込んだところであります。 さらに、郷土愛にあふれ、地域林業を牽引する人材の育成に向け、飫肥林業の歴史などの学習や、美郷町の御田祭などへの参加による地域との交流も積極的に行っております。 こうした多様な研修を終えた研修生21名全員が、県内の森林組合や民間事業体、木材市場などに就業したところでありまして、本県林業・木材産業の将来や地域の活性化を担う人材が輩出できたものと考えております。 ◆(佐藤雅洋議員) 宮崎林業界の将来を担う若人が1人でも多く育ち、また、それに続きたくなるような大学校の魅力をさらに高める必要があると思いますが、林業大学校長期課程の魅力を高めるために、県はどのように取り組んでいるのか、環境森林部長にお伺いします。 ◎環境森林部長(佐野詔藏君) 林大校の長期課程では、今年度、フォークリフト運転の資格取得や風倒木処理技術の習得を追加するなど、昨年度よりさらに充実した実践的な研修を実施しております。 また、研修生20名のうち4名が女性となりましたことから、男女別のシャワー施設の整備や女性の研修指導員の配置など、研修環境の改善にも取り組んでいるところであります。 さらに、従来は11月に行っておりました、林業団体による就業説明会や企業ガイダンスを、それぞれ6月と9月に前倒しして実施し、林業事業体とのマッチング機会の十分な確保を図っております。 今後とも、こうした取組を積み重ねながら、市町村や林業団体など86者から成るサポートチームと連携しまして、魅力向上に努めてまいりたいと考えております。 ◆(佐藤雅洋議員) 林業県宮崎ならではの林業大学校の今後ますますの発展を祈念いたします。 続いて、森林経営管理制度についてお聞きします。 森林資源は、長い時間と人手をかけて育てられたものです。先人たちの血と汗とたゆまぬ努力が、今の宮崎県の森林資源を、宝をつくったと考えます。その森林資源を中心に循環利用していく時期になっていますが、所有形態は零細で、分散された森林所有者の不在村化や高齢化が進む中、担い手の不足や境界明確化が進まず、適切な森林管理が行われないなどの課題への対応が必要となっています。 このような状況を踏まえ、林業の成長産業化と森林資源の適切な管理の両立に向け、間伐などの適正な管理が行われていない森林について、市町村が経営管理を担う森林経営管理制度を規定した「森林経営管理法」が、令和元年度に施行されました。 この制度は、森林所有者に適切な森林管理を促し、その責務を明確化するとともに、森林所有者が自ら経営管理できない森林について、市町村が経営管理を担う仕組みになっています。 そこで、森林経営管理制度を担う市町村の体制について、環境森林部長にお伺いします。 ◎環境森林部長(佐野詔藏君) 市町村の体制についてでありますが、本年7月に行いました市町村へのアンケート調査では、林業を担当する係長以下の職員数は、全市町村の平均で2.3人となっており、こうした体制で伐採届出制度や有害鳥獣対策、そして、新たに加わった森林経営管理制度などの林業行政を行っております。 また、4市4町では、正規職員以外に森林組合OBの方などを、地域林政アドバイザーとして確保し、体制強化を図り、森林経営管理制度の業務などを行っているところであります。 しかしながら、森林経営管理制度につきましては、県内7地区の「山会議」におきましても、「その推進を図る上で、林業に関する専門的知識や経験を有する職員が、市町村には不足している」と指摘されているところでありまして、その実施体制の強化が重要であると認識しております。
    ◆(佐藤雅洋議員) 昨年度の質問で、森林経営管理制度の市町村支援について問うたところ、「市町村の要望を踏まえながら、きめ細やかに支援に努める」とのことでありました。 しかしながら、専門職がいない市町村では、いまだ制度の進捗が遅れているところもあり、県が把握している令和元年度の県内市町村決算見込みでは、譲与税の64%が基金に積んだままとなるとのことであります。 基金積立ての目的は、今年度に本格化する森林経営管理制度事業負担に備えてとのことでありますが、しっかりと制度を前に進めていかなければ、今後さらに増額が見込まれる、せっかくの森林環境譲与税が、基金に積んだままの状態となりかねません。 先ほどの部長答弁では、市町村に林業の専門技術者が不足しているとのことでありましたが、私もそれが最大の課題ではないかと考える次第であります。市町村における制度の円滑な推進のため、他県で取り組まれているような森林経営管理制度についての市町村支援センターを設置するなど、抜本的な支援策の充実が必要ではないでしょうか。 林業経営が可能なのに経営管理されずに放置されていた森林が、経済ベースで活用されることで、地域経済の活性化に寄与し、間伐手後れ林の解消や伐採後の再造林が促進され、国土保全などの森林の持つ多面的機能が発揮され、地域住民の安全・安心に寄与します。 そこで、制度の推進に向けて、市町村支援の強化が必要と思いますが、県の考えを環境森林部長にお伺いします。 ◎環境森林部長(佐野詔藏君) 森林経営管理制度の推進に向けた市町村の支援につきましては、県ではこれまで、市町村職員に対する制度説明会や研修会の開催、所有者情報を管理する林地台帳や森林情報のデータ提供、モデル地区で実施しました所有者意向調査などのノウハウ提供に加えまして、県に配置した森林管理推進員による相談対応などを、きめ細やかに行ってきたところであります。 しかしながら、議員御指摘のとおり、市町村の実施体制が課題となっておりますことから、市町村の意向や他県の取組状況、関係団体の意見等を踏まえ、市町村支援の在り方等について、具体的に検討しているところであります。 ◆(佐藤雅洋議員) 続いて、有害鳥獣捕獲対策についてお聞きします。 鳥獣被害対策については、県の鳥獣被害対策特命チームや支援センターを中心に、市町村等が行う有害鳥獣の捕獲や、侵入防止柵の整備等に対して支援を行うとともに、地域で対策を担うリーダー等の育成、住民への研修会の開催などに取り組んでいるところであります。 しかしながら、被害は依然として深刻であることから、集落内への作物等の放置、いわゆる「無自覚の餌づけ」をやめるとともに、人なれをさせないための追い払いを行うなど、集落ぐるみでの鳥獣を近づけない環境をつくることを基本に、今後とも市町村や関係機関と連携し、対策を進める必要があります。 特にイノシシについては、これから稲作等の収穫期を迎え、被害が懸念されます。そこで、イノシシ捕獲対策について、環境森林部長にお伺いします。 ◎環境森林部長(佐野詔藏君) イノシシにつきましては、農林作物等の被害額が1億円を超え、深刻な事態でありますことから、電気柵の設置などの被害防止策に加え、個体数を減らすための積極的な捕獲対策が必要であると考えております。 このため、有害鳥獣捕獲として、市町村と連携し、イノシシ1頭当たり7,000円から9,000円を助成しますとともに、有害鳥獣捕獲班の活動費への支援を行っております。 また、捕獲班員等への研修会を開催し、捕獲技術の向上など、人材育成に取り組んでいるところであります。また、狩猟期間を1か月以上延長し、11月1日から3月15日とするなど、捕獲体制の強化や規制の緩和も行っているところであります。 今後とも、市町村や猟友会などと連携しながら、捕獲対策を推進してまいりたいと考えております。 ◆(佐藤雅洋議員) 一方、鹿は造林した杉の食害など林業への影響が大きなことから、生息数の削減が重要であります。 さらに、鹿は行動範囲が広いことから、近隣県との連携が必要と考えますが、鹿の捕獲について、近隣県との連携はどのように行っているのか、環境森林部長にお伺いします。 ◎環境森林部長(佐野詔藏君) 鹿の捕獲における近隣県との連携につきましては、本県を含む関係5県及び九州森林管理局で「九州シカ広域一斉捕獲推進会議」を設置し、生息状況などの情報共有や、捕獲の実施に係る調整等を行っているところであります。 これに基づきまして、毎年、9月の2週間と3月の1週間、一斉捕獲に取り組んでおりまして、令和元年度は、全体で2,087頭を捕獲したところであり、県内では高千穂町、日之影町など10市町村が参加し、294頭を捕獲しております。 行動範囲が広い鹿の捕獲につきましては、広域的な取組が重要でありますことから、今後とも、近隣県と連携した、効果的な捕獲対策に努めてまいりたいと考えております。 ◆(佐藤雅洋議員) 中山間地で生きる者にとって、有害獣被害は大きな問題であります。効果的な対策を要望いたします。 次に、高齢者の制限運転についてお伺いします。 公共交通機関の少ない中山間地域の日々の生活には自動車が欠かせません。そして、高齢者の自動車運転の問題も必ずついてまいります。 以前も一度質問させていただきました高齢者の制限運転について、前回は取組が始まったばかりであり、高齢者が安全に運転を継続するための制限運転を県内に広めてほしいと要望したところですが、その進捗状況として、現在の市町村における実施状況やコロナ関連による影響、今後の実施予定について、警察本部長にお伺いします。 ◎警察本部長(阿部文彦君) お尋ねの制限運転は、昨年の9月以降、宮崎市、高千穂町、五ヶ瀬町においても取組を開始し、現在6市町において実施されているところであります。 本年春以降も、他の多くの市町村において取組が開始される予定でありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期となっております。このため、制限運転の宣誓式や講習会を実施せず、参加者を集めない方法に変更し、今月以降、都城市、日南市、小林市など6市3町でも取組を開始する予定と聞いております。 今後とも各市町村と協力し、制限運転の周知と定着を図ってまいります。 ◆(佐藤雅洋議員) 人口過疎地域においては、危険を伴うことは分かっていても、高齢者でも運転をしなくてはならないのが現状であります。 その高齢者を支え、その周囲を守る制限運転の推進のために、県はどのような取組を行っているのか、総合政策部長にお伺いします。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 制限運転を推進するために、知事を本部長とする県交通安全対策推進本部におきまして、啓発ポスターやチラシを作成し、市町村や構成102団体を通じて県民に配布するなど、その普及に取り組んでおります。 また、高齢運転者が、その居住する市町村長に対して、制限運転を宣誓する際に提出していただきます宣誓証書の台紙を作成し、配付するなどの支援を行っているところであります。 さらに、市町村が行う高齢運転者を対象とする講習会や、運転能力診断などの取組についても、支援していくこととしております。 今後とも、これらの取組を進めるとともに、関係機関・団体と連携を図りながら、制限運転の推進に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(佐藤雅洋議員) 自分自身を律し、社会のためにと自ら声を上げている制限運転宣誓者の移動手段確保のため、県はどのような支援を行っているのか、続けて総合政策部長にお伺いします。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 制限運転を推進する上では、自家用車の代替となる移動手段の確保が重要であると考えております。 このため県では、広域的な移動手段を確保するため、今年9月1日から、70歳以上でおおむね1時間以上の連続した運転を控えることを宣誓された方に対し、高齢者用定期券「悠々パス」の取得費用を支援しております。 また、地域内の移動における利便性向上のため、市町村に対し、コミュニティバス等のオンデマンド化や運行情報のデータ化などの支援も行っているところであります。 今後とも、市町村や交通事業者と連携しながら、地域内外における円滑な移動手段の確保に、総合的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(佐藤雅洋議員) 全てのドライバーに、いずれ訪れる制限運転であります。総合的に進めていただきたいと思います。 次に、道路整備についてお伺いします。 まず、九州中央自動車道の早期整備についてであります。 九州中央自動車道法定路線名は、「九州横断自動車道延岡線」、延長95キロメートルです。宮崎県内の事業中の区間は、国道218号高千穂日之影道路、同じく五ヶ瀬高千穂道路、そして、本年度新規事業化されました国道218号蘇陽五ヶ瀬道路の3道路です。 そのうち、日之影深角インターチェンジから平底交差点2.3キロメートルが、令和3年内に開通予定で、国土交通省延岡河川国道事務所、甲斐靖志所長以下、一日も早い開通に向けて、トンネルの仕上げやインターチェンジ付近の改良工事を順調に進めていただいています。この区間が全線開通すれば、救急医療支援体制が強化され、搬送時間も短縮、搬送患者への負担が軽減され、救われる命が増えます。 さらに、大分、宮崎方面とのアクセス向上により、観光地高千穂の入り込み客数も増加し、熊本、阿蘇方面との観光連携強化が進展し、大いなる観光振興が期待されます。 そこで、「人々の暮らしへ大きなインパクトを与えるのはインフラの整備だ」と実感をされ、国土交通省への入省を志したとお聞きしました、永山副知事にお伺いいたします。先日は、西臼杵にもおいでいただき、ありがとうございました。 宮崎県の発展、県北の中山間地域の人々の暮らしに大きな恩恵とインパクトを与える、九州中央自動車道の早期整備に向けた永山副知事の思いを伺います。 ◎副知事(永山寛理君) 私は、副知事就任に当たりまして、高速道路の早期整備や南海トラフ巨大地震、そして度重なる風水害、そういったものに備えた防災・減災、国土強靱化対策など、インフラ整備への期待が大きいことを強く感じたところでございます。 そして、県内各地を訪問する中で、本県の豊かな自然、食、県民性に秘めるポテンシャルの高さに触れる機会が多く、これらを最大限に生かし、県政の課題である地方創生と国土強靱化を推進していくためにも、九州中央自動車道をはじめとする高速道路の早期整備が必要であると、強く感じているところでございます。 先週、西臼杵をはじめ、現地も確認させていただきましたが、今年度は、県境区間の蘇陽-五ヶ瀬東間が新規事業化され、五ヶ瀬東-高千穂間においては、用地取得の着手が予定されるなど、着実に整備が進められており、今後は、事業中区間の事業推進とともに、まずは、未事業化区間の早期事業化が非常に重要であると認識しております。 私としましては、これまで培ってきた経験や人とのつながりを最大限生かしまして、本県の高速道路が一日も早く全線開通するよう、県議会の皆様の御協力をいただきながら、全力で取り組んでまいる所存でございます。 ◆(佐藤雅洋議員) 宮崎県の道路啓開計画を見ると、南海トラフ地震発生の際、九州地方において震度6強以上の震度が観測または大津波警報が発表された場合、全国及び九州各地からアクセスが可能となる高速道路、国道、県道等を活用し、九州東側沿岸に向けて一斉に出動するとともに、緊急輸送ルート等の道路啓開を実施することとなっています。いわゆる「九州東進作戦」ですが、それによると、西臼杵郡では、高千穂総合運動公園が「進出拠点」、高千穂家畜市場が「広域物資輸送拠点」に指定されているようで、国道218号が緊急輸送ルートの広域移動ルートになっています。 そこで、国道218号において進められている橋梁の耐震対策の状況について、県土整備部長にお伺いします。 ◎県土整備部長(明利浩久君) 国道218号は、南海トラフ地震など大規模災害発生時に救助・救援活動や緊急物資の輸送を行うため、九州の東西を結ぶ、極めて重要な広域的な支援ルートであります。 このため、当路線に架かる橋梁の耐震対策につきましては、現在、「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」の予算を集中的に投じ、青雲橋など大規模で構造が複雑な橋梁7橋において、優先的に進めているところです。 昨年度までに、干支大橋など5つの橋の工事に着手しており、本年8月には、新たに雲海橋に着手したところであります。 県としましても、引き続き必要な予算の確保に努め、7橋の一日も早い耐震対策の完了に向け、しっかり取り組んでまいります。 ◆(佐藤雅洋議員) 次に、地元建設業者の災害対応への評価についてお伺いします。 度々の台風や大雨災害等でも分かるように、自然に恵まれた宮崎では、自然災害への悩みが事欠きません。 特に、中山間地域での災害時には、地元企業の存在が極めて重要です。夏場の台風災害時や冬場の積雪、凍結時など、地元の建設会社の活動が必要不可欠で、災害発生時には昼夜を問わず現場へ駆けつけ、地域のためにと尽力いただきます。 今回の椎葉の会社も、災害対応のための事務所待機中に被災されたとのこと。命を守るために住民が避難をする中、地元を守るためにその場を離れずに与えられた使命を全うしてのことだと私は思っています。 自然災害の多い地域では、それらの企業に助けてもらうしかありません。地元に根を張り、居を構え、地元とともに地域を見守り、それだけ重要な役割を担う地元建設業者の災害対応について、入札制度などにおいてどのように評価しているのか、県土整備部長にお伺いします。 ◎県土整備部長(明利浩久君) 地域の建設業者は、社会インフラの整備や維持管理はもとより、平時から道路パトロール等を行うほか、災害発生時には、いち早く現場に駆けつけ応急工事を行うなど、地域の安全・安心の確保を担う、なくてはならない存在です。 このため、防災協定に基づく協力体制や、災害発生後の緊急対応、災害を未然に防ぐための日常の巡視及び応急的な維持管理業務などの地域貢献に対して、総合評価落札方式等による入札や建設業の格付審査において評価しているところであります。 地域に根差す地元建設業者は、県土整備行政を推進する上で、かけがえのないパートナーでありますので、県といたしましては、引き続き、地域の守り手となる建設業者とともに、安全で安心な県土づくりにしっかりと取り組んでまいります。 ◆(佐藤雅洋議員) 中山間地域の地元建設業者を、その地域を守るためにもしっかり育てるよう要望します。 次に、神楽のユネスコ無形文化遺産登録についてお伺いします。 昨年度の質問でも問わせていただきました、神楽のユネスコ無形文化遺産登録についてであります。 神楽は、県内各地の集落で伝承されてきた、誇りと絆の伝統文化であり、国内外を問わず、多くの人々を魅了する貴重な資源、宝であります。これからもしっかり守っていかなければなりません。 そのためにも、ユネスコ無形文化遺産への早期登録が必要と考えますが、この取組を始めてから既に10年もの年月が経過をしております。 今年3月11日、無形文化遺産代表一覧表への記載に向けて、ユネスコへ提案することが決定されました「風流踊」の事例を調べますと、香川県まんのう町の佐文綾子踊保存会は、当初、ユネスコ無形文化遺産への登録を目指していましたが、単独での登録は難しく、文化庁からの指導もあり、グルーピングをしての登録を目指すこととなりました。 まんのう町は、文化庁の支援を受け、平成29年11月より、風流に属する全国の団体に声かけを開始し、平成31年2月1日には、「全国民俗芸能「風流」保存・振興連合会」が設立され、今年3月末にユネスコへ提案書が提出されたと聞いております。 県としては、早期の登録を国に要望しているとのことですが、その後の状況と今後の取組について、教育長に伺います。 ◎教育長(日隈俊郎君) 神楽のユネスコ無形文化遺産登録に向けましては、九州にある10の国指定神楽により「九州の神楽ネットワーク協議会」を組織いたしまして、国へ要望書を提出するなどの活動を行ってきております。こうした取組は、全国の神楽関係者にも高く評価されているところでございます。 今後は、ユネスコへの提案に関する国の方針を踏まえまして、全国38の国指定神楽でまとまって登録を目指す必要があると考えておりますので、九州以外の保存団体へ呼びかけを行い、神楽公演や国への働きかけに、連携して取り組んでいくこととしております。 ユネスコ無形文化遺産については、近年、ユネスコの審査が実質2年に1件となっておりまして、見通しが立ちにくい状況にはありますが、神楽の保存・継承という大きな目的の下、登録実現に向けて一層の取組を進めてまいります。 ◆(佐藤雅洋議員) 早期の登録申請に努力をいただきますよう、お願いいたします。 最後に、新型コロナウイルス感染症関連についてお伺いします。 まず、コロナ禍におけるスポーツ合宿の状況についてであります。 年間を通して様々なスポーツ団体が県内各地で合宿を行っている宮崎ですが、今年に入ってからは、新型コロナウイルス感染症の影響で、その数は激減していると聞きます。 ここ宮崎では、恵まれた気候が、それぞれのスポーツに適した環境をその時々でつくり上げているわけで、剣道、柔道などの武道やサーフィンなども含め、ほかにはない、この恵まれた環境に、スポーツランドみやざきのにぎわいを呼び戻す必要があると考えます。 それには、今回の減少原因のコロナ対策が大きな鍵を握っているとも思われます。これを機に、これまで宮崎での合宿を行っていなかった団体へのPRも含め、今後の合宿誘致に取り組んでいく必要があると考えます。 そこで、コロナ禍におけるアマチュアスポーツ合宿の状況と今後の取組について、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(松浦直康君) 学生や社会人等のアマチュアスポーツ合宿は、地域の活性化等に寄与するものでありますが、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、今年は、2月から7月までの間に267件の合宿が中止または延期となっております。 このため、落ち込んだ県内宿泊需要の喚起に向けまして、これまで県外に限っておりましたアマチュアスポーツ合宿支援につきまして、今年度においては、県内も対象に加えたところであり、現在までに、県内外のスポーツ団体から55件、4,000泊を超える多くの申請をいただいております。 今後とも、市町村と連携し、感染防止対策の徹底や合宿支援の取組を積極的に進めてまいります。 ◆(佐藤雅洋議員) 最後の質問になります。新型コロナウイルス感染者の情報の公表についてお聞きします。 先月は、連日のように新型コロナ感染者情報の発表が相次ぎ、それらの発表を踏まえ、県民は、自分で自分の身を守るように努めたと思います。 しかしながら、発表の内容では、感染者の具体的な状況が分かりにくく、情報不足が県民の不安を増幅させていることもあると思います。 また、感染を恐れて、各所でのにぎわいが戻っていないことも事実です。行政と県民の情報の共有が有益性を生む場合もあると思います。 一方で、世間では、感染者への誹謗中傷が発生するケースも見受けられ、感染者の人権を守ることも大事です。そこで、今回の感染状況の中で、職場・施設の名称を公表した事例がありますが、どのような場面で公表したか、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 感染者の職場・施設の名称につきましては、個人情報保護の観点から、非公表を基本としております。 しかし県では、疫学調査の結果、不特定多数の方が利用している場合に、事業主等の理解を得て職場・施設の名称を公表することで、接触等の疑いがある方に注意を呼びかけ、濃厚接触者の特定につなげております。 その他、職場・施設が自ら名称等を公表される場合がありますが、感染者本人及び事業主が一定の必要性を理解して、例外的に行っているものです。 県としましては、今後とも、感染者への不当な差別や偏見が生じないよう、個人情報保護に留意しながら、感染症の蔓延防止のために、必要な範囲で情報の公表に努めてまいります。 ◆(佐藤雅洋議員) 執行部の皆様には、丁寧なお答えをありがとうございました。県民生活、県内経済に大きなダメージを与えている新型コロナウイルス感染症の一日も早い終息を心から願いまして、私の質問の全てを終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(徳重忠夫) 停電の状況が確認されておりませんので、しばらくお待ちいただきたいと思います。 暫時休憩いたします。   午後1時59分休憩────────────────────   午後2時3分開議 ○副議長(徳重忠夫) それでは、支障がなさそうなので、会議を再開いたします。 次は、窪薗辰也議員。 ◆(窪薗辰也議員) 〔登壇〕(拍手) 突然のハプニング、びっくりしましたけれども、何とか再開できるようでございます。 それでは、一般質問を行いたいと思います。通告に従いまして、質問を進めてまいります。 まず初めに、新型コロナウイルス感染症対策についてお尋ねいたします。 7月末から8月にかけて県内で確認された新型コロナ感染者数は、7月25日の新規感染者数は1日当たりとしては最大となる26人が確認され、この間の感染者は300人を超えました。 また、お一人の方が症状が重症化し、医療従事者の懸命な治療のかいもなく、お亡くなりになりましたこと、改めて御冥福をお祈り申し上げたいと思います。 本県では4月12日以降、しばらく感染者は発生しておらず、このまま秋のシーズンを迎えるのかと思っておりましたが、人の往来が徐々に活発化してくる夏休みを前にしての出来事でありました。 新型コロナは、治療法やワクチンが確立されていないため、息の長い対策が必要となってきますが、一方で、経済も回していかなければいけません。このため県では、新型コロナ感染予防対策と社会経済対策の両立を図っていくという方針を立て、様々な対策や政策を実行されておりますが、私自身も、うまく両立されれば一番よいと考えているところでございます。 しかしながら、経済を回していけばいくほど、人の移動もだんだん多くなり、県外から新型コロナが持ち込まれる可能性も高まってくるわけであります。このため、コロナゼロを目指し、県民一人一人が正しく理解し、きちんと行動していくしかありません。経済の復興を進めるためには、その基盤となる感染予防が大事であることは、間違いありません。 県は、県内での感染拡大の急増を受け、県では7月26日に、県独自の警報である「感染拡大緊急警報」を発令し、県をまたぐ不要不急の往来の自粛を県民に要請いたしましたが、これも8月31日に警報を解除しております。 そこで、新型コロナの「感染拡大緊急警報」を解除した後の行動要請や予防対策について、知事にお伺いいたします。 壇上からの質問は以上で終わります。あとは質問者席で行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。感染拡大緊急警報解除後の対応についてであります。 7月26日に発令しました、本県独自の警報レベルであります「感染拡大緊急警報」につきましては、県の警報レベルではレベル3に当たるものであります。感染者の発生状況等が、発令時の水準を下回っていることを踏まえ、9月1日から、その1つ下のレベルであるレベル2「特別警報」へと移行したところであります。ただ、これは安全宣言ではないわけでありまして、県民の皆様には、引き続き、持続的な警戒態勢の下、新しい生活様式の実践をお願いしているところであります。 このレベル2の特別警報が、いずれレベル1の警報、さらにはその下のレベル0になったとしても―このレベル0も持続的な警戒と位置づけておりまして―新しい生活様式の実践は大変重要なことであります。具体的には、マスクの着用や手洗いの徹底、3つの密を避けた行動を心がけること、感染流行地域との往来は、必要性を十分に判断の上、往来先では慎重な行動を心がけること、そして、会食をする際は、感染リスクの高い行動とされる大人数や大声を上げること、長時間、できるだけこうした行動を控えることなどであります。 また、事業者の皆様には、感染拡大防止のためのガイドラインを遵守していただくことをお願いしているところであります。 県としましては、今後とも、県民や事業者の皆様の御理解・御協力をいただきながら、その時々の県内または県外における感染状況を十分踏まえながら、感染拡大防止と社会経済活動の維持・再生の両立にしっかりと取り組んでまいります。以上であります。〔降壇〕 ◆(窪薗辰也議員) 本県の第2波の感染拡大で、7月26日には県内感染拡大緊急警報、7月30日には県全域に休業要請を行うなどで、一時は、一体どうなることかと大変心配いたしましたが、8月になってからは、事業者の皆さんなどの感染拡大防止のためのガイドラインを遵守されるなどで、少しずつではありますが、休業要請の効果が出始めてきました。今月になってからは、新規の感染者もほとんど出ておりません。とは言っても、感染者がゼロになったわけではございません。事実上の第2波における教訓を今後に生かすためにも、新しい生活様式の実践に努め、持続的な警戒態勢を継続することが最も重要であると思います。 第3波の感染が出ないことを願いながら、今後とも関係者の皆さん方には御尽力賜りますよう、よろしくお願い申し上げておきたいと思います。 それでは、国文祭及び芸文祭についてお伺いいたします。 今年10月17日から12月6日までの51日間で開催が予定されていた国文祭・芸文祭につきましては、今般の新型コロナウイルス感染症による感染リスクに加え、開催準備が十分に整わないことを理由に、来年7月3日から10月17日の会期に延期となったところでございますが、開催に向けて準備を進めていただいた各文化団体においては、再度実施に向けた準備が必要となり、苦労が絶えないところであると思います。新型コロナウイルス感染症の感染リスクを考えると、苦渋の決断ではなかったかと思われます。 本県の国文祭・芸文祭は、キャッチフレーズに「山の幸 海の幸 いざ神話の源流へ」を掲げ、記紀編さん1300年記念事業の集大成として取り組んできたところでございます。これらの大会の根幹をなす部分も含め、大会の全体像がどうなるのかは、今後の準備を進めるに当たって大変重要だと考えているところでございます。 そこで、来年度に延期になった国文祭・芸文祭の全体像について、総合政策部長にお伺いいたします。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 国文祭・芸文祭につきましては、大会の名称、テーマやキャッチフレーズ、フォーカスプログラムにおきます「記紀・神話・神楽」といった4つの柱については変更することなく、当初の計画どおり実施することとしたところでございます。 現在、県及び市町村では、当初計画の160を超えるプログラムにつきまして、事業内容等の再構築に取り組んでいるところでありますが、出演者の確保等の理由から、今年度に実施するプログラムもございまして、これらを、来年の大会に向け、機運醸成を図る目的に、「さきがけプログラム」として新たに位置づけたところであります。 今回の会期変更を、大会に向けた準備を通して文化芸術に親しむ時間や機会が増えたものと前向きに捉え、引き続き、市町村や文化団体などの関係機関と連携を図りながら、大会の成功に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(窪薗辰也議員) 今の答弁にもありましたが、大会に向けての機運の醸成が大変重要であります。市町村及び文化団体等と十分な連携を取り、準備を進めていただきますよう、お願いしておきたいと思います。 さて、本県の国文祭・芸文祭が来年に延期となった結果、来年は本県と和歌山県の同年開催となります。さらに、次期開催県となる和歌山県の国文祭・芸文祭は、本県の国文祭・芸文祭が終了した2週間後の10月30日に開幕するということになっております。 先に7月に開幕した本県での盛り上がりを和歌山県につなぎ、例年にない、県を超えた文化の祭典を一体的に盛り上げていく必要があると考えますが、そのためには、本県として和歌山県に働きかけ、文化的な連携を図る必要があるのではないかと考えるところでございます。 そこで、同年開催となる和歌山県と連携した取組について、総合政策部長にお伺いいたします。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 来年の国文祭・芸文祭は、同年2回の開催となりますが、県といたしましては、これをチャンスと捉え、和歌山県と連携し、両大会の成功に向けて盛り上げていくことが重要であると考えております。 本県と和歌山県とは、食や歴史など連携しやすい文化資源もありますことから、現在、和歌山県の担当部局と、具体的な取組について協議を始めたところでございます。 今後、お互いの大会テーマとしております、食文化を切り口としたイベントの開催や、両県の文化プログラムを楽しめるツアーの造成などの検討を進め、国文祭・芸文祭を契機とした文化交流にもつながるよう、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(窪薗辰也議員) 連携した取組の一例として、本県と和歌山県には、神武東征にゆかりのある土地がそれぞれ存在しており、これらを活用した文化的なイベントも可能性があるのではないかと思っています。 神武天皇は、宮崎では神武様として親しまれておりますが、記紀の日本神話では、45歳のときに東征を決意し、舟軍(ふないくさ)を率いて日向美々津から筑紫に向かったと言われております。そのときに「つき入れ団子」を作り、「起きよ、起きよ」と寝ている家々を起こして回ったということから、「おきよ祭」が今にも伝わっているところでございます。 美々津を出港した天皇は、筑紫、瀬戸内海を経て浪花(大阪)に着き、ここから大和に入ろうとしましたが、ナガスネヒコの抵抗に遭い、紀州に回って熊野から吉野山を越えて大和へ入り平定した後に、初代の天皇、神武天皇になったとされています。 このことからも、和歌山県熊野を経由して日本の建国を成し遂げたという神話をたどれば、宮崎から和歌山と一つの物語が成り立つのではないかと思いますが、検討してみてはいかがでしょうか。 いずれにしても、和歌山県と協議・検討の上、進めていくことになると思いますが、本県と和歌山県との文化的連携により、「文化的な絆」が生まれることを期待したいところであります。よろしくお願い申し上げておきたいと思います。 次に、今回の家畜改良増殖法違反の関連でお伺いいたします。 本県の肉用牛の改良は、昭和48年から、全国で類を見ない、家畜改良事業団における種雄牛一括管理という制度の下に、生産者、関係者団体が一体となって、宮崎県肉用牛改良方針に基づき取り組まれてまいりました。 この間、二度の口蹄疫に見舞われ、順風満帆とは言えませんでしたが、全国和牛能力共進会における3大会連続の内閣総理大臣賞を獲得するとともに、アカデミー賞アフターパーティーに宮崎牛が3年連続で採用されるなど、国内外において知名度を上げてきたところであります。 しかしながら、今般、不幸にも県有種雄牛の凍結精液の県外流失という事態が発生してしまいました。私としても、非常に残念な限りでございます。 本県の凍結精液の管理システムは、全国から注目を集めるモデル的なシステムであったと考えております。ただ、適正に運用していくのは、何と申しても人であります。今回の4人の処分は、家畜人工授精師が、家畜改良増殖法第14条の「精液証明書が添付されていない精液を譲渡したり、注入したりしてはならない」との規定に対して、具体的にどのような違反があったのか、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(大久津 浩君) 家畜改良増殖法第14条では、凍結精液の譲渡等に関する規定が定められておりまして、精液証明書を添付せずに譲渡することや、人工授精をすることが禁じられております。 今回の4名は、本来の証明書を添付せずに譲渡していたことから、譲渡本数等に応じまして、授精業務を3か月から1年間、停止処分したところでございます。 そのうち、県外へ譲渡した2名は、後々不正に利用されることを認識した上で、県内で既に使用されていた証明書を添付して譲渡しておりまして、これは、同じ第14条違反の中でも、より悪質性の高い行為であることから、授精所を1年間の使用停止とし、凍結精液等の保管や流通を制限したところでございます。 ◆(窪薗辰也議員) これまで県は、家畜人工授精師及び家畜人工授精所に対し、凍結精液の適正な管理についてどのように指導を行ってきたのか、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(大久津 浩君) 県では、家畜人工授精所に対し、定期的に立入検査及び台帳検査を行い、家畜改良事業団と連携しながら、凍結精液等の管理状況や家畜人工授精簿の記載状況につきまして、確認を行ってきております。 また、授精師などの関係者に対しまして、授精所以外では凍結精液等の保管や譲渡ができないことにつきましても、啓発チラシ等により広く周知をしているところでございます。 さらに、自らの農場で取り扱う授精師に対しましても、新たに授精所の開設を促し、立入検査の対象とするなど、授精業務の適正化や適正管理について、継続して指導してまいりました。 しかしながら、今回、家畜改良増殖法に違反する事案を防止できなかったことは、県による監視体制に不十分な点があったものと反省し、課題等を検証した上で、再発防止の取組をしっかり進めたいと思っております。 ◆(窪薗辰也議員) 授精師への指導については、一定程度のレベルで行っていたかと思いますが、現実としてこのような事態が生じてしまったことは、指導する立場であった県にも、ある程度の責任があるかと思います。 次に、家畜遺伝資源の不適正な流通を防止するため、10月から、「改正家畜改良増殖法」と「家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律」が施行されることとなりますが、どのように和牛精液等が保護されるのか、農政水産部長にお伺いします。 ◎農政水産部長(大久津 浩君) 議員御指摘のとおり、「家畜改良増殖法」の改正によりまして、精液等の保管や流通の規制が強化されますとともに、和牛精液等に関して、国が、不正流通に係る回収や廃棄の命令を新たにできるようになり、違反に対する罰則も、より厳しくなります。 また、「家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律」によりまして、譲渡契約等に反し取引された精液等につきましては、差止め請求や損害賠償請求ができるとともに、不正な利益を得る目的で取引等を行った者に対し、10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金といった、厳しい罰則が科されることとなります。 来月から施行予定であるこれら2つの法律につきましては、精液等の不正流通に対する大きな抑止力となり、和牛の精液等が知的財産として保護されることとなりますので、県内の関係者へ内容を広く周知しますとともに、法令遵守と不正流通の防止を徹底してまいります。 ◆(窪薗辰也議員) これまで法的な罰則がなかったというようなこともございますが、これらの法律により、和牛精液が知的財産として保護されることになります。法律や制度を運用する関係者全ての人が、同じ思いで、同じ目線で法律や約束事を運用していかなければ、今回のような事案が繰り返されると考えております。 そこで、今回の事件を踏まえ、本県の貴重な肉用牛遺伝資源を守るためには、県の指導力と関係機関一体となった取組が必要だと思いますが、今後どのように取り組んでいかれるのか、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(大久津 浩君) 再発防止のためには、県の指導・監視体制をより強化しますとともに、家畜改良事業団や和牛登録協会、畜連、JA、家畜改良協会など関係団体と一体となって、不正をさせない環境を整えることが大変重要と考えております。 現在、関係団体と連携しながら、今回の事案を踏まえた課題等を整理・検討しておりまして、具体的には、事業団の精液管理システムの改良や、家畜改良協会と連携した各授精師の在庫調査など、チェック体制をより強化することに加えまして、県の立入検査方法の見直しなど、監視体制を厳格化することとしております。 今後、「家畜改良増殖法」や「家畜遺伝資源に係る不正競争の防止に関する法律」の趣旨等も踏まえまして、県はもとより、県内の和牛関係者が、本県独自の精液管理の意義や目的を再認識しながら、県全体で再発防止に向けた取組をしっかり進めてまいります。 ◆(窪薗辰也議員) 県民の財産である県有種雄牛の凍結精液が大量に持ち出されたことに加え、県外に転売されていたこと、また、授精師本人が証明書なしで精液のみを移動したこと、さらには、第三者が所有する精液証明書を切り取り、不正に使用されることを認識した上で転売するなど、不正の限りを行った行為は、悪質というほかございません。 今回の事の重大さを考えるとき、不正を働いた4人の行政処分については、大変軽い処分だという声もありますが、不正を働いた4人については、どのような認識であったのか、事の重大さに気づいているのか、知る由もございません。県内の授精師のほとんどが、正しい認識を持って、真面目に取り組んでいるところでありますが、正直者がばかを見るようなことがあってはなりません。ぜひとも、二度とこのような事案が発生しないよう、県のリーダーシップと、関係機関一体となったチーム宮崎で取り組んでいただくことを要望いたしておきます。 次に、肉用牛肥育経営安定交付金(牛マルキン)についてでございます。 さて、コロナ禍において、子牛価格につきましては、ある程度落ち着きを見せているところでございますが、少し安心しているところでもございます。肉用枝肉価格につきましては、回復基調にあるものの、肥育農家にとりましては、非常に厳しい状況が続いております。 本県では1年4か月ぶりに、今年の2月販売分から法制化後初めての発動となりましたが、5月販売分(7月交付)からは、財源である生産者負担金の4分の1が枯渇したため、現在では、国の交付額4分の3相当額のみが交付されております。収入が生産費に追いつかない状況は、今後も続くものと考えております。 そこで、肥育農家に少しでも安心していただくために、7月議会で可決されました、県の肥育経営の支援対策である「県産牛肉増産支援事業」の内容について、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(大久津 浩君) 御指摘のとおり、コロナ禍の影響で肥育経営は大変厳しい状況ではありますが、今後の国内需要の回復や輸出の再開を見据えまして、県では、肉用牛肥育素牛の導入を促進し、生産基盤の維持・強化を図ることを目的に、7月補正として、8億166万円の支援対策を措置したところでございます。 具体的には、7月から来年3月までの間、牛マルキンが発動された場合、毎月約5,000頭の肉専用種や交雑種に対しまして、その交付単価に応じまして、1頭当たり最大2万円の素牛導入奨励金を交付するものでございます。 現在、宮崎県畜産協会を事業主体として、早期の執行に向けまして事務手続を進めております。生産者の皆様が引き続き安心して肥育経営に取り組んでいただけるよう、しっかり取り組んでまいります。 ◆(窪薗辰也議員) 早期に対応をよろしくお願いしたいと思います。 中山間地域の多い本県にとりましては、貴重な収入源でもあります。肉用子牛生産者補給金制度では、黒毛和種子牛についても54万1,000円が補償されるなど、牛マルキンも含めて、他品目に比べても経営安定対策が充実しております。今後とも、こうした経営安定対策を活用しながら、アフターコロナの牛肉の需要を見据え、さらに本県の肉用牛生産基盤の維持強化が図られますよう、お願いいたします。 次に移ります。 新型コロナウイルス感染症の拡大は、様々な分野に影響を及ぼしているところでございますが、高校生の県内就職活動はどのような影響を受けているのか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(日隈俊郎君) 新型コロナウイルス感染症の拡大により、本年度の高校生の就職試験の開始日は、例年より1か月遅い10月16日以降となりましたことから、各学校では、現在、ようやく三者面談や校内での就職選考会が本格化してきた状況であります。 また、本年度の県内新規卒業者の求人数につきましては、就職試験開始日の違いもあり、単純な比較はできませんが、宮崎労働局の調査では、7月末時点で、前年度比約2割の減少となっていますことから、高校生の就職活動に少なからず影響が出てくるのではないかと心配しているところでございます。 ◆(窪薗辰也議員) それでは、大学生の就職活動はどうでしょうか。経済状況の先行きが見通せない中、企業の採用意欲低下も懸念されるところでございますが、新型コロナウイルス感染症が大学生等の就職活動に与える影響について、商工観光労働部長にお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(松浦直康君) 大学生等の就職活動につきましては、例年3月以降に活動が本格化するところでありますけれども、今年は、新型コロナウイルス感染症の影響によりまして、対面式の就職説明会の中止が相次いだことから、全国的に、インターネットを活用した説明会や面接の導入が進んでおります。 県でも、新規学卒者等に県内企業の魅力を広く知ってもらう機会を提供するため、7月にウェブ企業説明会を開催し、2日間で51社、視聴者数では、延べ2,000人を超える参加があったところであります。 一方で、全国的には、採用活動を中断する企業も出てきておりまして、民間の調査によりますと、本年8月1日現在、全国の大学生の就職内定率は、前年同月比で10ポイント低下をして、81.2%となっております。 このため県では、7月に予算化されました「新卒採用企業応援事業」を活用しながら、大学生等の早期就職内定を後押ししてまいりたいと考えております。 ◆(窪薗辰也議員) 一時的には、高校生や大学生等の新規卒業者に対する求人の減少が見込まれますが、経済が回復すれば、労働力不足の問題は再び表面化するものと考えます。 人口減少問題への対応、とりわけ若者の県内就職・定着の促進は、県政の最重要課題の一つであります。コロナ禍で地方への関心が高まっている今こそ、しっかりと取り組んでほしいと考えているところでございますので、よろしくお願いいたします。 次に、生活福祉資金貸付金と休業要請等協力金につきましては、昨日からいろいろと質問がございましたので、この2点については割愛させていただきたいと思います。 続きまして、森林、山でございますけれども、木材の輸出につきましては、先ほど佐藤議員から、質問がるるあったところでございますので、私のほうからは、県産木材の県外出荷拡大についてお伺いしたいと思います。 木材需要の落ち込みが懸念される中、木材需要の維持・拡大に向け、県内外における需要喚起策は非常に重要であると考えております。 県内に向けては、今回の補正予算において、県産材消費緊急支援事業など様々な取組が実施されると伺っておりますが、木材の需要の維持には、出荷の7割以上を占める県外出荷の回復が重要であります。 現状のコロナ禍においては、県外に向けての取組は難しい状況にあると思いますが、県産木材の県外への製材品の出荷拡大にどのように取り組んでいかれるのか、環境森林部長にお伺いいたします。 ◎環境森林部長(佐野詔藏君) 本県の製材品は、議員からもありましたが、県外出荷が全体の7割以上を占め、その出荷拡大は重要な課題でありますことから、これまで、大消費地での建材展示会への出展や、県外の設計士等へのセミナーの開催、県内企業が行う商談などへの支援を行ってきております。 しかしながら、議員御指摘のとおり、木材需要の落ち込みが懸念されておりますことから、県外の新たな需要先の開拓や、非住宅分野での木材利用を推進していくことが、一層重要になっております。 このため、これまでの取組に加えまして、大阪万博の開催で、商業施設の建設など新たな需要が期待できる関西圏域をターゲットとして、県産材のプロモーションや、企業等との県産材利用に関する協定締結などにも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(窪薗辰也議員) 何としても、県外出荷の回復・拡大が本県の林業の喚起策であるということから、新たな需要先の開拓、販路拡大を進めるために、展示会への出展やセミナーの開催、2025大阪・関西万博による好景気が見込まれる関西圏のハウスメーカーとの連携、売り込み、外材から国産材への転換のPR、公共施設・商業施設など建築物への木材利用の推進、県内企業が行う商談やプロモーションへの支援、都市との協定・連携による商品開発など、日頃から木材の販路、需要の喚起が必要だと思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。 次に、小規模事業者事業継続給付金についてお伺いいたします。 今年の1月から4月のいずれかの月で、売上げが前年同期比75%以上減となった事業者を対象に、商工会連合会・会議所を通じて1者当たり20万円の給付金を支給する、事業継続給付金については、4月、5月、6月の3回の補正で15億4,000万円となっておりますが、現在までの総支給件数と総支給額、さらには支給の多かった業種などはどうなっているのか、商工観光労働部長にお尋ねいたします。 ◎商工観光労働部長(松浦直康君) 小規模事業者事業継続給付金につきましては、全体で7,620件、金額にして15億2,400万円を給付したところでございます。 支給の多かった上位3業種につきましては、最も多かったのが飲食業で、2,831件で全体の37.2%、次いでサービス業が、1,464件で全体の19.2%、次いで建設業が、1,068件で全体の14.0%となっており、この3業種で合計5,363件、全体の約7割を占めております。 ◆(窪薗辰也議員) 昨日の渡辺議員の代表質問において、持続化給付金で2万7,600円を事業収入で確定申告したために、申請しても僅かな額しか給付されなかったといった発言がありました。 私にも、当事業において売上げが75%減に満たず給付の対象にならなかったといった相談がありました。本人は71%減ということですが、僅か4%の差で、受けられる人と受けられない人が分かれてしまうということは、何とも不合理な事業であると思いました。確かに、どこかで線引きは必要であることは分かりますが、このような事業は少しでも弾力的な運用ができないものかと考えさせられました。適正な事業の運用をお願いしたいと思います。 次に、離職者採用企業応援事業については、先日、代表質問で山下議員から、るる質問がございましたので、割愛させていただきたいと思います。 次に、県産農畜水産物応援消費推進事業について伺いたいと思います。 県産農畜水産物において、価格低下や出荷量の減少などで、牛肉、水産物などの在庫が増えるなどの影響が出ております。 このような状況から、県では、県産農畜水産物応援消費推進事業を創設し、影響を受けた品目を対象に、学校給食への提供や地域応援活動の支援などの地産地消対策、及びキャンペーンや消費拡大フェアなどの販売拡大に取り組んでいます。 この中で、県産の和牛肉や水産物などが県内の小中学校の学校給食へ提供されたことが報道されました。また、高校3年生へ特製弁当が贈られたことは、コロナで学校行事の中止などつらい思いをしていた子供たちに元気を届けるとともに、県産農畜水産物の理解醸成につながる大変よい取組だと思っています。 また、私の地元でも応援消費の機運が高まり、市町村やJA等が各種の取組を展開しており、私自身も、県やJA等の事業を活用して、牛肉などを様々な方に贈ったところ、値頃感と品質の良さから、大変喜ばれたところでございまして、県産食材の良さを再認識したところでございます。 また、私の地元小林市でも、牛肉消費拡大ということで、おととい、牛肉300グラムと地元野菜をセットにして、ドライブスルー方式で畜連の広場で一般の消費者を対象に2,000円で提供するということで、大変好評であったということでした。 県産農畜水産物応援消費推進事業のうち、「お届けキャンペーン」の取組と事業効果について、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(大久津 浩君) 県におきましては、県内外の消費者や本県ゆかりの企業等に対しまして、県産農畜水産物の消費拡大を図るため、JA宮崎経済連等と連携し、宮崎牛など5品目の送料助成やプレゼント企画を実施しているところであります。 これらの取組によりまして、宮崎牛では、約17万パック、85トンを販売し、在庫の解消に貢献するとともに、マンゴーでは、プレゼント企画に約7万5,000件の応募があるなど、購入促進に大きな効果があったと考えております。 また、消費者等からは、おいしさを絶賛する多くの声が寄せられておりまして、リピーターの獲得につながるなど、大きな反響があったところでございます。 県といたしましては、現在、みやざき地頭鶏や水産物等のネット販売の取組まで拡大しているところでございまして、今後は、大都市圏でのフェア等も支援しながら、新しい生活様式に対応した消費・販売対策にしっかり努めてまいりたいと考えております。 ◆(窪薗辰也議員) ぜひ、今後とも、必要に応じてこういった対策を打っていただくと、大変ありがたいかなと思っているところですので、よろしくお願いいたしたいと思います。 次に、高校総体等の代替大会において、新型コロナウイルス感染防止対策についてどのように取り組まれたのか、お伺いいたします。 現在、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、東京オリンピックや鹿児島国体など、様々なスポーツ大会が延期や中止になっております。その中でも、私も毎年楽しみにしている県高校総体や夏の甲子園予選が中止になったことは、大変残念でありました。 最後の大会にかける中学生や高校生の思いや願いを少しでもかなえてもらいたいと思っていたところ、本県においても、部活動の夏の大会として代替大会が開催され、新聞やテレビで、中高生のはつらつとしたプレーや、お世話になった方々への感謝の気持ちを伝える姿に、胸が熱くなりました。成果を発表する機会を設けていただいたことに、大変感謝いたしております。 しかしながら、大会を開催するに当たっては、選手や保護者、審判などの役員の多くの人が関わることになるため、選手等の健康と安全面を考えると、大会運営には相当の苦労があったのではないでしょうか。このような大会関係者の努力により、現時点では1人の感染者も出ておりません。今回の感染防止対策下での代替大会は、子供たちの活躍の場が、私たち一般の経済活動にも通ずるものがあるのではないでしょうか。 高校総体の代替大会において、新型コロナウイルス感染防止対策にどのように取り組まれたのか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(日隈俊郎君) 「特別スポーツ大会2020」でございますが、開催に当たりまして、感染防止対策は大変重要でございました。選手や役員などに対しまして、大会前からの健康観察や、大会当日のサーモグラフィー等を使った検温を実施いたしまして、健康状態の把握に努めたところであります。 また、競技で使用します道具やベンチ等の消毒、屋内競技における試合間の換気等の対策を行ったところでございます。 さらに、応援につきましては、原則、部員とその保護者に限定させていただきまして、事前に名簿を提出いただくなど、参加者の把握に努めるとともに、座席の間隔を空けるなど、密を避ける対策を講じたところであります。 今後開催される大会につきましても、引き続き感染防止対策を徹底いたしまして、安心安全な大会運営に努めてまいりたいと考えております。 ◆(窪薗辰也議員) これから秋の大会、ウインタースポーツへとつなぐ大会であったかと思います。これまでの感染防止対策を大いに生かし、スポーツや文化活動など、子供たちが活躍できる環境を整備し、対策をしっかりと取りながら、選手にとって安心な大会運営に努めていただきますよう、お願い申し上げたいと思います。 次に、道路行政でございます。 小林のひなもり台県民ふれあいの森オートキャンプ場は、九州で唯一、4つ星の認定を受けており、利用者は年々増加傾向にあります。 今回、新型コロナウイルス感染症の発生で、県内外の企業等では、ワーケーションへの関心が高まるなど、テレワークなどの環境整備も必要となり、地元小林市では、ワーケーションによる地域創生も検討しているところだと聞いております。 今回、オートキャンプ場の木造キャビンの再整備とテレワーク対応の通信環境の整備を実施されますが、このひなもり台にたどり着く途中には、大きなカーブと、その先の道が狭くなっているところなどがあり、道路の整備も必要と思われます。 県道霧島公園小林線竹山地区の道路整備について、どうなっているのか、県土整備部長にお伺いいたします。 ◎県土整備部長(明利浩久君) 県道霧島公園小林線につきましては、小林市街地とひなもり台を結ぶ観光道路でございまして、本年度、宮崎自動車道をまたぐ、前の山橋から南側の約350メートル区間につきまして、用地取得のめどが立ちましたことから、竹山工区として整備に取り組むこととしたところであります。 現在、調査設計や用地買収を進めておりまして、来年度、工事に着手することとしております。 当工区は、通学路としても利用されておりますことから、今後とも、地元の皆様の御協力をいただきながら、早期完成に向け、しっかりと取り組んでまいります。 ◆(窪薗辰也議員) ひなもり台の県民ふれあいの森の整備と併せて、アクセス道路の整備を進めることなどで、ぜひ5つ星を取得していただきまして、全国に誇れる県営施設になりますよう、整備をよろしくお願いしたいと思います。 以上で私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(徳重忠夫) 以上で本日の質問は終わりました。 次の本会議は、14日午前10時から、本日に引き続き一般質問であります。 本日はこれで散会いたします。   午後2時51分散会...