宮崎県議会 > 2020-06-17 >
06月17日-06号

  • デジタル教科書(/)
ツイート シェア
  1. 宮崎県議会 2020-06-17
    06月17日-06号


    取得元: 宮崎県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-20
    令和2年 6月定例会令和2年6月17日(水曜日)  午前10時0分開議 ───────────────────  出 席 議 員(39名)    1番  有 岡 浩 一  (郷中の会)    2番  坂 本 康 郎  (公明党宮崎県議団)    3番  来 住 一 人  (日本共産党宮崎県議会議員団)    4番  岩 切 達 哉  (県民連合宮崎)    5番  武 田 浩 一  (宮崎県議会自由民主党)    6番  山 下   寿  (  同  )    7番  窪 薗 辰 也  (  同   )    8番  脇 谷 のりこ  (  同  )    9番  佐 藤 雅 洋  (  同  )   10番  安 田 厚 生  (  同  )   11番  内 田 理 佐  (  同  )   12番  日 髙 利 夫  (  同  )   13番  丸 山 裕次郎  (  同  )   14番  図 師 博 規  (無所属の会 チームひむか)   15番  重 松 幸次郎  (公明党宮崎県議団)   16番  前屋敷 恵 美  (日本共産党宮崎県議会議員団)   17番  渡 辺   創  (県民連合宮崎)   18番  髙 橋   透  (  同  )   19番  中 野 一 則  (宮崎県議会自由民主党)   20番  横 田 照 夫  (  同  )   21番  外 山   衛  (  同  )   22番  西 村   賢  (  同  )   23番  山 下 博 三  (  同  )   24番  右 松 隆 央  (  同  )   25番  野 﨑 幸 士  (  同  )   26番  日 髙 陽 一  (  同  )   27番  井 上 紀代子  (県民の声)   28番  河 野 哲 也  (公明党宮崎県議団)   29番  田 口 雄 二  (県民連合宮崎)   30番  満 行 潤 一  (  同  )   31番  太 田 清 海  (  同  )   32番  坂 口 博 美  (宮崎県議会自由民主党)   33番  日 高 博 之  (  同  )   34番  濵 砂   守  (  同  )   35番  二 見 康 之  (  同  )   36番  星 原   透  (  同  )   37番  蓬 原 正 三  (  同  )   38番  井 本 英 雄  (  同  )   39番  徳 重 忠 夫  (  同  ) ─────────────────── 地方自治法第121条による出席者  知     事 河 野 俊 嗣  副  知  事   郡 司 行 敏  副  知  事   鎌 原 宜 文  総合政策 部長   渡 邊 浩 司  総 務 部 長   吉 村 久 人  危機管理統括監   藪 田   亨  福祉保健 部長   渡 辺 善 敬  環境森林 部長   佐 野 詔 藏  商工観光労働部長  松 浦 直 康  農政水産 部長   大久津   浩  県土整備 部長   明 利 浩 久  会 計 管理者   大 西 祐 二  企 業 局 長   井 手 義 哉  病 院 局 長   桑 山 秀 彦  財 政 課 長   石 田   渉  教  育  長   日 隈 俊 郎  警 察 本部長   阿 部 文 彦  代表監査 委員   緒 方 文 彦  人事委員会事務局長 小 田 光 男 ─────────────────── 事務局職員出席者  事 務 局 長   亀 澤 保 彦  事 務 局次長   内 野 浩一朗  議 事 課 長   児 玉 洋 一  政策調査 課長   日 吉 誠 一  議事課長 補佐   鬼 川 真 治  議事担当 主幹   関 谷 幸 二  議 事 課主査   川 野 有里子  議 事 課主査   井 尻 隆 太──────────────────── △議案第12号及び第13号追加上程 ○議長(丸山裕次郎) これより本日の会議を開きます。 本日の日程は、一般質問及び人事案件の採決、議案の委員会付託でありますが、お手元に配付のとおり、知事から議案第12号及び第13号の送付を受けましたので、両案を日程に追加し、議題とすることに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(丸山裕次郎) 御異議ありませんので、そのように決定いたしました。 議案第12号及び第13号を一括上程いたします。──────────────────── △知事提案理由説明 ○議長(丸山裕次郎) ここで、知事に提案理由の説明を求めます。 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 おはようございます。ただいま提案いたしました議案の概要について御説明申し上げます。 まず、補正予算案についてであります。 今回、追加提案いたしました補正予算案は、緊急に必要とする新型コロナウイルス感染症対策に伴う経費について措置するものであります。 補正額は、一般会計193億9,338万7,000円であります。これに要します歳入財源は、国庫支出金133億9,338万7,000円、諸収入60億円であります。この結果、一般会計の歳入歳出予算規模は、6,530億9,478万6,000円となります。 今回の追加補正予算案は、6月12日に成立しました国の補正予算(第2号)や、県内における現下の状況を踏まえ、特に緊急的に実施すべき必要な事業を計上したものであり、財源として緊急包括支援交付金をはじめ、国の補正予算で措置された国庫支出金等を活用しております。 今回の追加補正予算案により、一連の県のコロナ対策として、総額341億円規模の事業を構築することになります。 以下、主な事業の概要について御説明いたします。 今回の追加補正予算案につきましては、さきに提案いたしました補正予算案の基本的な考え方の枠組みに基づき、1、感染拡大防止策と医療体制のさらなる強化、2、暮らしのセーフティーネットと事業継続のための支援、3、子供たちの学びを支える取組の3つの観点から、必要な事業を構築しております。 これらに沿って御説明申し上げます。 1点目が、感染拡大防止策と医療体制のさらなる強化であります。 今回、国の補正予算において、新型コロナウイルス感染症の拡大防止に取り組む医療や介護・障害福祉サービス等に従事している方々に対し、最大20万円の慰労金を支給する事業が措置されましたので、県といたしましても、医療機関や介護施設等の最前線で御尽力いただいております県内の医療従事者や感染症対策従事者の皆様に感謝と敬意を表し、その労に報いるため、速やかに慰労金を支給することといたします。 また、感染疑い患者の診察を行う救急・周産期・小児医療を担う医療機関をはじめ、一般の医療機関や薬局などにおける動線確保など、院内感染予防対策を支援するとともに、県内におけるPCR検査体制を強化するため、行政検査等を担う「地域外来・検査センター」を県内7か所に設置いたします。 さらに、県民生活と経済活動を支える交通事業のうち、国庫補助事業の対象とならない高速バスやタクシー、長距離フェリーなどの事業者における感染拡大防止対策の取組を支援いたします。 2点目は、暮らしのセーフティーネットと事業継続のための支援であります。 第1に、低所得の独り親世帯の方々へ給付金を支給するとともに、生活困窮に陥っている方々の自立支援に係る相談体制を拡充することにより、コロナの影響が長期化する中、一層厳しい状況に置かれている方々に緊急的な支援を実施いたします。 第2に、厳しい経営環境に置かれている中小企業・小規模事業者の方々の資金繰りや事業継続を強力に支援するため、340億円を確保しておりますコロナ対策の制度融資枠を1,000億円まで大幅に拡充するとともに、既に措置しております「小規模事業者事業継続給付金」の事業費を増額いたします。 3点目が、子供たちの学びを支える取組であります。 新型コロナウイルス感染症の影響で、例年どおりの開催が困難となった高校総体や高校野球、中体連の代替大会の開催を支援し、最終学年である3年生をはじめとする運動部活動に取り組む生徒が、これまでの成果を発揮する集大成となる機会を確保いたします。 主な事業の説明は以上でありますが、今後とも、感染拡大防止社会経済活動の維持との両立を図るため、県内の実情を見極めながら、迅速かつ的確に、必要な対策を講じてまいります。 次に、議案第13号について御説明申し上げます。 このたび、副知事、鎌原宜文氏より、令和2年7月11日付で辞職したい旨の申し出がありましたので、その後任として永山寛理氏を令和2年7月12日付で副知事に選任いたしたく、地方自治法第162条の規定により、県議会の同意を求めるものであります。 以上、追加提案いたしました議案の概要について御説明いたしました。よろしく御審議のほどお願いいたします。〔降壇〕 ○議長(丸山裕次郎) 知事の説明は終わりました。───────────────────── △一般質問 ○議長(丸山裕次郎) ただいまから一般質問に入ります。まず、田口雄二議員。 ◆(田口雄二議員) 〔登壇〕(拍手) おはようございます。県民連合宮崎の田口雄二です。一般質問最終日となりました。 この議会では、当然、新型コロナウイルス感染症に関する質問を予定しておりました。しかし、既にこれまで16人の議員がコロナ関連の質問を多数しており、重複はできるだけ避けますが、地元の要望として出ているものもありますので、重複することはお許しください。 まず初めに、知事の政治姿勢についてお伺いいたします。 さて、20世紀の後半頃、「21世紀はウイルスとの戦いである」と言われていました。私は漠然とそうなのかと思いつつも、当時はそれを深く考えることはありませんでした。 しかし、21世紀に入ると、SARS、MARS、エボラ出血熱等々、数多くのウイルスが人類を襲い、そして本県を襲った口蹄疫、鳥インフルエンザ等々の家畜関連のウイルス、まさに「21世紀はウイルスとの戦いである」を実感させられます。 もちろん、21世紀以前にも多くのウイルスに襲われているのですが、現在は、高速交通網の発展で地球のサイズがだんだん小さくなったように思えるほど、経済が最優先され、短時間で多くの人や物資が国境を越え、簡単に地球の裏側まで行けるようになり、その感染のスピードは驚くほどです。 昨年の暮れ、中国の武漢市で始まった新型コロナウイルス感染症は、実に短期間に先進国に広がり、多くの死者を出しました。 現在は、医療体制が脆弱な中南米やアフリカ諸国に爆発的に拡大しています。 先進国の感染症は少しずつ落ち着きを見せてきましたが、スペイン風邪のときは第2波のほうが被害が大きかったと報告されており、これからも気を緩めることはできません。 ただ、今回の感染症で、これまで進めてきた日本の政策を大きく見直すときが来たのではないかと思います。これまで一極集中の是正を地方は一貫して訴えてきました。人や企業の地方への分散がまさに喫緊の課題です。都会に流出した人材を地方に取り戻す大きな機会を頂いたとも言えます。高校生の都市部への就職の抑制、また、都市部に進学した本県出身の大学生や就職しているものを地元にいざなう、まさにチャンスです。 在宅勤務で場所を選ばずに仕事ができることも分かりました。都市部に不安を募らせ、地方へ、ふるさとに転職したいとの意識が広がりつつあると思います。 今回のコロナウイルス感染症の発生により、中央一極集中の弊害が大きく浮き彫りになる中で、再認識された地方のメリットをどう生かしていくのか、知事に思いを伺います。 次に、今回のコロナウイルス感染症の発症者を受け入れ、治療に当たり、自分自身の感染リスクがあったにもかかわらず、粉骨砕身の献身的な治療をしてくれたのは、その多くは公立病院でした。 しかし、昨年9月、唐突に厚生労働省が、再編・統合の議論が必要として、全国の424の公立病院リストが公表され、大きな波紋、地方の大きな反発を呼びました。本県では、7つの病院が再編・統合の対象になっています。中山間地を多く抱える本県においては、まさに死活問題です。 今回の事態を受けまして、新型コロナウイルス感染症対策に関して、厚生労働省が進めてきた公立・公的病院再編について、国にどのような対応を求めていくのか、知事に伺います。 次に、2025年までの子育て支援政策などの指針となる政府の新たな少子化社会対策大綱が、閣議決定されました。 昨年、国内の出生数は前年比で5.8%減、初めて90万人を割る約86万5,000人と、予測を大きく上回るペースで少子化が進んでいます。 最多の団塊の世代当時で約270万人の出生数でしたので、3分の1以下になっております。39年連続で子供が減少しており、若い世代や子育て世代の予算が非常に手薄な現実が招いた結果ではないかと思われます。 新たな大綱は、希望出生率1.8の実現に向け、若い世代が将来に展望を描ける環境を目指すとしていますが、ここ数年の合計特殊出生率が1.4ほどですので、かなり高いハードルになります。過去最少となった令和元年の出生数を公表しましたが、その結果をどう捉えているのか、知事に伺います。 次に、JR九州が、先日、在来線の利用の少ない12路線の17区間の2018年度の収支を初めて公表しました。そして、人口減少が顕著な地域のローカル線が、構造的な赤字になっていることが明らかになりました。 青柳社長は、収支を公表した目的を、あくまでも「路線維持のため」と繰り返したようですが、私の地元の延岡と佐伯間がワーストの6億7,400万円の赤字と公表されると、面白くありません。 高速化の声には全く耳を貸さず、年々ダイヤ改正ごとに減便されたり、利便性を悪くしておいて、しかも日豊本線全体で言うなら分かりますが、一部分だけを取り出して赤字を突きつけられても、納得いきません。 不採算路線が多いJR九州は、民営化したときに、経営安定化基金3,877億円を国民の税金から頂いておきながら、株式が上場されたときに心配したとおり、利用者よりも株主に顔が向いてしまいました。経営安定化基金は一体何に使われているのか、幾ら残っているのか、ベールに包まれたままです。 それに、本業の旅客部門に投資をせず、本業以外の不動産業や、ホテル・飲食店等々の売上げが過半数を超えています。地元自治体も、JRの利用者の自転車置き場の設置やバリアフリー化への協力は惜しんでおりません。もちろん、利用促進に我々も力を注がなければなりませんが、JR九州が先日公表した線区収支状況について、知事の所見を伺います。 以上で壇上からの質問を終了いたします。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。 まず、一極集中に対する地方のメリットについてであります。 今回の新型コロナウイルスの感染拡大により、グローバル経済の脆弱性や、効率性を高めた都市部の抱えるリスクなどが顕在化したことで、産業の地方回帰の動きが強まるとともに、ゆとりある暮らしや豊かな自然など、地方の有するメリットに光が当たり、人々の関心が高まるものと考えております。 また、デジタル化・リモート化が進み、働く場所や時間を選ばないテレワークの浸透などにより、都市部から地方に人や産業を呼び込む大きなチャンスが訪れるものと捉えております。 今後、本県でもこの流れを生かし、感染拡大防止にしっかりと取り組みながら、恵まれた食や自然、子供の産み育てやすさやスポーツ環境といった、経済指標だけでは表せない「新しいゆたかさ」など、本県ならではの価値や魅力をPRすることで、都市部からの移住や企業誘致の促進などにつなげてまいりたいと考えております。 次に、公立病院に関する国への対応についてであります。 国は、昨年、将来方針の再検証が必要であるとする公立・公的病院名を公表し、本年9月末までに再検証を行うよう求めておりました。 この再検証の期限や進め方について、厚生労働大臣は、今月の記者会見で、新型コロナウイルス感染症の状況を見据えながら、改めて整理する意向を示すとともに、これからの地域医療構想について、感染症への対応も取り込みながら議論する必要性があると言及しております。 本県といたしましても、地域全体の医療の将来像については、新型コロナウイルス感染症対策で明らかになったリスクへの対応も含め、関係者間で丁寧に議論を行うことが重要であると考えております。 県としましては、国に対して、今回の新型コロナウイルス感染症のような事象が発生した場合にも、県民が安心して暮らせる医療体制が維持されるよう、全国知事会とも連携をしながら、引き続き働きかけてまいります。 次に、出生数についてであります。 我が国の令和元年の出生数は、推計より2年早く90万人を切り、合計特殊出生率も1.42から1.36に低下するといった厳しい結果となっております。これまで国を挙げて少子化対策に取り組んでまいりましたが、まだまだ厳しい状況にある。我が国の将来に暗い影が投げかけられていると、大変憂慮しているところであります。 本県につきましては、合計特殊出生率は1.73と、平成30年より僅かながら増加し、全国でも数少ない増加県の一つとなりましたが、出生数は8,043人と、前年より391人少なくなっております。 これまでの取組に一定の手応えを感じつつも、将来を見通し、持続可能な宮崎県の土台づくりを進めることが私の使命でありますので、今回の結果にさらなる危機感を持って、人口減少対策に取り組まなければならないと、決意を新たにしているところであります。 最後に、JR九州における線区別収支についてであります。 新型コロナウイルス感染症の影響により、鉄道需要が大きく落ち込んでいる中、JR九州は、輸送密度の低い線区のみ収支を公表しており、これを契機に、今後、路線の在り方にまで議論が及ぶのではないかと危惧しているところであります。 今回の公表について、JR九州は、地方ローカル線の厳しい状況を地域と共有し、路線維持の取組を一緒に考えていきたいとしておりますが、県としましては、JR九州に対して、輸送密度の低い線区のみではなく、新幹線を含む全路線の収支を公表し、鉄道ネットワーク全体の維持・活性化を図る考えの下で、地域の公共交通機関としての責務を着実に果たしていくよう、これまで以上に強く求めてまいります。 また、国に対しましても、国鉄改革の際に設けられた経営安定基金の趣旨や、取り崩された経緯を踏まえ、路線の維持・存続が図られるよう、引き続き要望してまいりたいと考えております。以上であります。〔降壇〕 ◆(田口雄二議員) 中山間地を抱える本県においては、公立病院はまさに命のとりでです。地域のために守っていかなければなりません。 また、JRの佐伯と延岡間は東九州自動車道が無料区間で、利用増はかなり厳しいんですが、知恵を絞っていかなければならないと思っております。 引き続き、新型コロナ感染症について質問いたします。 まず、「ひなた創生のための奨学金返還支援事業」について伺います。 今後の地域や産業の担い手を確保し、本県の経済の活性化による真の地方創生の実現を図るため、県内企業に就職した大学生等の奨学金の返還を産業界とともに支援する事業です。 大学等の在学中に貸与を受けた奨学金の返還額の2分の1を上限に、県が4分の3を、就職した企業からは4分の1を負担していただきます。 奨学金に関しては、学費の高騰や長引く不況で、学生の2人に1人が借りておりますが、卒業後も非正規雇用の増加等により、返済ができなくなる事例が多く発生し、社会問題化しており、学生にとって非常にありがたい制度です。 また、県内企業においても、深刻な人材・人手不足の状況を打開するために、また、本県の人口減少対策にも大きく貢献してくれていると思います。 支援3年目になる「ひなた創生のための奨学金返還支援事業」について、認定企業や支援対象者の状況を、総合政策部長にお伺いします。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 本事業により奨学金の返還支援を行うものとして認定した企業は、平成29年度は35社でありましたが、今年度は92社と大きく増加している状況にあります。 また、これらの企業に就職された奨学金の返還支援対象者につきましても、平成30年度の12社19名から、今年度は25社の50名にまで増加しております。 なお、就職された方の約8割は県内出身者であるとともに、就職後1年経過時点の離職率も1割を下回るなど、Uターン者の確保や定着率の向上にも寄与しているものと考えております。 今後も、本事業の周知はもとより、宮崎の暮らしやすさや県内企業で働く魅力も効果的に伝え、若者の県内定着につなげてまいりたいと考えております。 ◆(田口雄二議員) 40名程度をめどにスタートした事業ですが、今年度は50名となり、認定企業も92社まで増加しており、返還支援対象者にも認定企業にも大きな期待が寄せられているのがよく分かります。離職率も非常に低く抑えられています。来年度はコロナウイルス感染症のこともあり、さらに希望者が増えるのではないかと思います。貴重な人材が本県にたくさん帰ってこられるように、よろしくお願いいたします。 次に、本年の10月に鹿児島県で開催が予定されている国民体育大会について、三反園鹿児島県知事が県議会で、コロナウイルス感染症の影響で、「本年秋の開催は困難」と述べ、予定された日程での開催を事実上断念し、報道によると、1年程度の延期を関係機関に要望しているようです。 国体はこれまで延期や中止されたことがないそうで、仮に延期になれば初めての事態です。「各地の予選会が実施できず、選手や観客ら約80万人と見込まれる大人数が参加することを想定して、第2波、第3波の発生も懸念される中、選手や県民の安全を一番に考えなければならない」として、秋の開催が難しいと判断したようです。 国体は、鹿児島県の開催後、三重県、栃木県等々を経て、2026年(令和8年)に、国民スポーツ大会と名称も変更後、本県で開催される予定です。鹿児島県の今後の開催の時期によっては、次年度以降の開催県に大きな影響を及ぼします。 スポーツ施設に関しては、時期がいつになろうと、施設の国体基準がありますので、変わりはないと思いますが、仮に本県の国民スポーツ大会の開催が1年延期された場合、県有主要3施設の整備計画に影響は出ないのか、総合政策部長にお伺いします。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 県有の主要3施設につきましては、国民スポーツ大会に向けた基幹となる施設であり、スポーツランドみやざきの全県展開に向けた新たな拠点としても、整備を行うものであります。 仮に国民スポーツ大会の開催が1年延期されましても、本県選手の競技力向上に向けた練習拠点として、これらの施設を活用することを考慮しますと、計画どおりに施設整備を進める必要があるものと考えております。 特に、陸上競技場と体育館につきましては、施設を使用できない期間を可能な限り短縮することが肝要と考えておりますので、予定どおり令和7年度の供用開始に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(田口雄二議員) 本県の国民スポーツ大会の開催時期がいつになっても、令和7年度の供用開始と聞いて安心いたしました。 先日の6月14日の毎日新聞の地域総合のページに、人口10万人当たりの体育館数のデータが公表されており、本県は18あり、全国で5位、九州ではトップでした。 体育館は床面積が132平方メートル以上ある施設で、屋内のスポーツやイベントや避難所として使われております。これらが、これまでのスポーツ合宿やイベントの誘致に大きな力を発揮してきました。国民スポーツ大会の施設整備も、さらにその推進に期待がかかります。県有主要3施設の完成を楽しみにしております。どうぞよろしくお願いいたします。 今回のコロナウイルス感染症において、PCR検査が県北部では実施できるところがなく、また、地域住民からの問合せ等が多く寄せられて、地域や住民のために健康を支える保健所の職員は、大きな負担がかかったことと思います。 PCR検査のために、検体を宮崎市木花の衛生環境研究所まで持参しなければならず、自分自身への感染の不安と闘いながら、オーバーワークになった職員もいるのではないかと想像されます。 今回のコロナウイルス感染症に係る対応について、保健所職員の負担が大きいと思いますが、今後の保健所の機能強化について、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 保健所におきましては、新型コロナに関して、県民からの相談への対応や、医療機関の医師がPCR検査が必要と診断した場合の行政検査の判断、さらには、衛生環境研究所までの検体搬送や、患者の行動履歴や濃厚接触者の調査など、多大な業務を担っております。 これらの増加した業務につきましては、これまで全庁的に対応してきたところであり、具体的には、検体搬送を農林振興局等他の出先機関の職員で実施するとともに、情報連絡員として本庁各課から職員を派遣しております。 そのほか、相談対応の外部委託による業務負担の軽減や、業務支援のための会計年度任用職員の任用も行っております。 今後の保健所の在り方、体制につきましては、その機能が十分果たされるよう、適宜、見直しを検討してまいりたいと考えております。 ◆(田口雄二議員) 保健所の本来の機能が十分果たせるよう、また地域や住民のために健康を支える面からも、体制機能強化の御検討をよろしくお願いいたします。 次に、小規模事業者事業継続給付金について質問します。 今回のコロナウイルス感染症の影響で、売上げが75%以上ダウンした小規模事業者に20万円が給付されるものです。 予想される県内の対象者は3,500を想定して、7億円の事業でスタートしましたが、すぐに3,500をクリアし、追加補正され、また今回の追加補正を合わせると、合計で約15億6,000万円の事業となりました。 大変困っている皆さんに救いの手が差し伸べられたと喜んでいました。私は地元で食堂や知人の自営業者に会ったとき、この給付金の申請をしたかと聞いております。その結果、居酒屋の店主からの「すぐに20万円が出て助かった」という声は1件のみで、あとは申請どころか、給付金のことさえ知らない人ばかりでした。 御夫婦だけや少数のパートを入れて経営している、本当に零細で小規模の事業者は、この制度のあることさえも知らない方ばかりです。 私はすぐに、延岡商工会議所のホームページから制度の概要や申請書を印刷し、持参しながら昼食等に行っている状態です。 この申請の期限は6月30日ですので、既に2週間を切ってしまいました。給付金以外にも多くの制度が用意されておりますが、PRがうまくなされているのかが心配になります。 小規模事業者事業継続給付金について、事業者に対してどのような周知を行ったのか、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(松浦直康君) 小規模事業者事業継続給付金につきましては、対象となる事業者が給付金を受け取り、事業を継続していただくことが何より重要であります。 このため、事業者の皆様に情報がしっかりと伝わるよう、新聞広告のほか、県ホームページや「県政けいじばん」、テレビやラジオの広報番組を活用するなど、様々な機会を捉えて、積極的に情報発信を行っているところでございます。 また、各市町村や商工団体におきましても、それぞれのホームページや広報紙への掲載、事業者への直接的な呼びかけなどにより、周知を図っていただいているところであります。 申請の締切りは6月30日までとなっておりますので、必要とされる方に情報が確実に届きますよう、引き続き事業者への周知に努めてまいります。
    ◆(田口雄二議員) 小規模事業者はネットを使っての情報収集が苦手な方が多く、また、各新聞等に「県政けいじばん」が出ていますが、多くの情報が小さな文字でびっしりと書き込まれており、なかなか目を通さないのではないか。もう少し必要な情報が届くような工夫をよろしくお願いいたします。 さて、この給付金は6月いっぱいが締切りです。制度を知らないまま締切りを迎える方が大勢出るのではないかと危惧しますが、締切りを延長できないか、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(松浦直康君) 小規模事業者事業継続給付金は、国の持続化給付金が給付される前に、休廃業が懸念されますような厳しい状況にある事業者に対しまして、緊急に資金を手当てするために措置したものでございます。 現在は、国の申請サポート会場なども設置が進んでおりまして、県の給付金の締切りにつきましては、当初予定どおり6月30日としたいと考えております。 なお、今後は、感染症対策を行いながら、いかに経済活動を回復させるかが大きな課題でありますので、プレミアム付商品券や県民向け宿泊プラン等による応援消費の促進、商店街や企業活動の再始動に当たっての支援等の取組を、市町村や経済団体と連携して進めていくこととしております。 ◆(田口雄二議員) 延長できないのは残念ですが、残された期間、小規模な経営者にも分かりやすい周知を、どうぞよろしくお願いいたします。 次に、これまで何度も質問してまいりました、企業の休廃業・解散について伺います。 本県は、倒産に至らなくても、事業継続を断念して休廃業や解散をする企業が実に多く、毎年300件を超えております。 帝国データバンクによりますと、2019年で315件、25件の倒産の12倍を超えています。後継者問題や代表の高齢化が深刻化しており、315件のうち、建設業が91件、次に小売業の64件、そしてサービス業が61件と続きます。特に、ネット通販に代表される個人消費の多様化や節約志向などを背景に、事業継続を断念する動きが続いているようです。 今回のコロナ感染症は、人と人が接触をしないことを求められるようになり、ネット通販等が拡大していき、地方の小売業はさらに窮地に追い込まれることとなります。地元の商店街でプレミアム付商品券等も活用し、地元消費を広げていかなければなりません。 事業承継を支援する県事業引継ぎ支援センターの昨年度の取引実績について、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(松浦直康君) 事業引継ぎ支援センターでは、後継者のいない県内の中小企業につきまして、第三者承継を中心に、個々の企業の状況に即したマッチング支援を行っているところでございますが、昨年度の実績は、新規相談件数が299件、成約件数が35件であり、平成27年8月に同センターが開設されて以降、相談、成約ともに過去最多となっております。 これは、金融機関や商工団体等の関係機関で構成する事業承継のためのネットワークを生かした相談体制の強化によりまして、支援対象者の把握が進んだこと、また、弁護士、公認会計士などの専門家の協力をいただきながら、丁寧な引継ぎ支援を行っていることなどが、成果につながっているものと考えております。 ◆(田口雄二議員) ネット通販がかなり拡大してきており、地元の商店街等がかなり疲弊してきております。 フランスではネット販売世界最大手のアマゾンの書籍の販売に規制を加えておりますが、日本にはまだそのようなものはありません。意欲を失い、後継者不在の経営者が休廃業・解散を考えることが懸念されます。 新型コロナウイルス感染症の影響により、事業引継ぎ支援センターに相談が増えているのではないかと思いますが、現状について、再度、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(松浦直康君) 事業引継ぎ支援センターでは、感染症拡大の影響によりまして、企業訪問等の活動が十分にできない状況に現在ありますけれども、そうした中にありましても、4月は13件、5月は11件の新規の相談がなされております。 同センターによりますと、現在のところ、感染症を直接の理由として廃業を検討しているような相談はないものの、今後増えるのではないかとのことでございました。 県では、融資制度や給付金の支給など、事業継続のための支援策を講じているところでありますが、後継者のいない事業者に、第三者等への事業承継を事業継続の有効な選択肢としていただくためには、同センターの認知度を高める必要があると考えておりますので、関係機関とも連携しながら、同センターあるいは制度の周知に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(田口雄二議員) 雇用や納税など、企業は地域の大事な宝です。事業承継の取組、よろしくお願いいたします。 次に、県立3病院の新型コロナウイルス感染症による経営の影響を伺います。 質問に入る前に、今年度予算で県立延岡病院に、動く診察室とも言えるドクターカーの導入が予定されています。県北地区の救命救急体制が大きく前進いたします。英断いただいたことに、心からお礼を申し上げます。 さて、私は近くのクリニックに、定期的に薬を頂きに行っておりますが、先日、診察に行ったときには、まさに驚きでした。いつもは待合室は満室のことが多いのですが、当日はがらがらで、名前を呼ばれ、すぐに診察となりました。いつもはわずかな時間しか会話できないのですが、このときは先生としばらく話をすることができました。ちなみにこの先生の息子さんは、この3月まで、県立延岡病院の研修医をしていただいておりました。 その後、隣の調剤薬局でも、あっという間に薬を頂くことができました。感染を恐れ、病院を敬遠する人が多いと聞いていましたが、ここまでさま変わりしている様子に、まさに実感させられる1日でした。 そんな中、感染症指定医療機関として、今回実際に患者を受け入れられた県立3病院の状況が心配になります。かなりの影響が出ているのではないかと思いますが、感染症指定医療機関として新型コロナウイルス感染症患者を受け入れた県立3病院の経営の影響について、病院局長に伺います。 ◎病院局長(桑山秀彦君) 各県立病院では、今年の2月以降、県内での患者発生に備えて、必要な病床と看護スタッフを確保するため、入院患者の受入れを制限してまいりました。 また、実際に患者を受け入れた3月以降は、宮崎、日南では1つの病棟を専用の病棟として、延岡では病棟の一部を専用の病床として対応してきたほか、院内感染防止の観点から、外来患者の受入れについても制限を行うなど、本来の診療機能の一部を抑制してきたところでございます。 その結果、患者が発生した3月から5月までの患者数は、前年の同時期と比較しまして、入院が約16%、外来は約14%減少しております。 また、現在取りまとめを行っております令和元年度の決算見込みでも、2月と3月の患者数を基にした試算によりますと、約2億5,000万円の収入減となっておりまして、今回の感染症により、相当な影響を受けているものと思っております。 ◆(田口雄二議員) 4月と5月の収入は相当な落ち込みが予想されます。国に手厚い支援をお願いしていかなければなりません。 さて、本県においては、17例の感染症患者が出ましたが、死亡に至らなかったことは幸いでした。今回の感染症は、ワクチンや治療薬がまだない中、疲弊している肺の負担を軽減する医療機器が注目されました。 県立3病院において新型コロナウイルス感染症対策に使用される人工呼吸器とECMOの配備状況について、病院局長に伺います。 ◎病院局長(桑山秀彦君) まず、人工呼吸器につきましては、宮崎病院に26台、日南病院に8台、延岡病院に23台を配備しております。台数の少ない日南病院では、今後、新たに2台を追加配備する予定にしております。 次に、今回の感染症対応のためのECMOにつきましては、延岡病院におきまして、入院患者が重篤化し、宮崎大学医学部附属病院などに搬送できない場合に備えまして、呼吸補助に用いる専用のECMOを1台、4月末に配備したところであります。また、広い意味でのECMOと言われます心臓と肺の循環補助に用いる装置を、宮崎病院にも2台配備しておりまして、超重症患者の治療に用いることにしております。 ◆(田口雄二議員) 延岡・日南の両県立病院の医療機器の充実を図っていただいておりますことに、感謝いたします。 次に、臨床工学技士について伺います。 2007年に、延岡の九州保健福祉大学の生命医科学部に臨床工学技士コースが開設されました。どんな技士を育成するのかと思っていましたが、最初の卒業生が出たときに、20名の卒業予定者に対し240名近い求人があったことが、地元でも話題になりました。 指導する竹澤教授は、臨床工学の日本の第一人者で、東九州メディカルバレー構想においても大きな存在となっています。 臨床工学技士とは、1987年に制度が制定された日本独自の国家資格です。現在の医療に不可欠な医療機器の専門医療職で、医師や看護師、各種の医療技術者とチームを組んで、生命維持装置の操作などを担当します。 また、医療機器がいつでも安心して使用できるように保守点検も行っており、安全性の確保と有効性の維持に貢献しています。 今回話題のECMOや人工呼吸器、また人工透析装置の医療機器を操作する臨床工学技士の県立3病院における配置状況について、病院局長にお伺いします。 ◎病院局長(桑山秀彦君) 現在、県立病院では、宮崎病院に9名、日南病院に4名、延岡病院に9名、合計で22名を配置しております。 臨床工学技士につきましては、医療機器の高度化等に伴い、御質問にもありましたように、その役割が大変大きくなってきておりますことから、この10年間で10名の増員を行っているところでございます。 ◆(田口雄二議員) 現在、医療は、医師をはじめとしてチーム医療で専門分野を分担しながら、患者に当たります。この10年間で10名増員されており、技師としての必要性と、いかに医療機器が増加しているかということだと思います。 ただ、ECMOはかなりの熟練の技量を求められるようです。研修等で技術の向上、よろしくお願いいたします。 次に、文部科学省が打ち出した、「学びの保障」総合対策パッケージについて伺います。 新型コロナウイルス感染症対策に伴う児童生徒の「学びの保障」について、基本的な考え方をまとめるとともに、子供たちの学びを支えるために、文科省としての支援策をまとめたものです。 「あらゆる手段で、子供たち誰一人取り残すことなく、最大限に学びを保障する。感染症対策を徹底しながら、まずはしっかりと学校での学習を充実させる。最終学年(小6・中3・高3)は優先的な分散登校等も活用し、学習を取り戻す。他の学年は、2~3年間を見通した教育課程編成も検討し、着実に学習を保障する」としています。 いかに総合対策を出しても、実施するには、マンパワーが現状のままでは厳しい状況です。人的・物的体制の緊急整備として、教員加配、学習指導員、スクール・サポート・スタッフの追加配置が求められています。 そこで、文科省が示した「学びの保障」総合対策パッケージの人的体制整備に向けて、県教育委員会の準備状況を、教育長に伺います。 ◎教育長(日隈俊郎君) 先日、文部科学省が示しました「学びの保障」総合対策パッケージでは、学習指導員や、お話にありましたスクール・サポート・スタッフなどを、さらに追加して配置できることとなっております。 スクール・サポート・スタッフの増員に係る予算につきましては、今回の補正予算案でお願いしているところでありますが、「学びの保障」総合対策パッケージにおける追加の増員につきましても、学校及び市町村教育委員会のニーズや、人材の確保について調査を行うなど、検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆(田口雄二議員) 文科省案には、退職教員や大学生等に協力をいただくための学校・子供応援サポーター人材バンク開設等が挙げられております。どちらにしても、最終学年は残りの期間が少なくなっております。人的体制の整備、迅速によろしくお願いいたします。 次に、高校生の県内就職率が全国ワーストとなって、人口減少・人材人手不足の対策として、県内定着のアップに取り組んできました。県内企業との接触の機会を増やすため、インターンシップや、親も一緒に企業見学のバスツアー、県内3か所での企業ガイダンス等々を実施し、県内就職率が向上してまいりました。 ただ、本年は長期間にわたり休校となり、これからの予定や授業が通常どおりに行われるのかが心配です。 県立高校生の県内就職に向けたインターンシップや企業見学の実施の状況について、教育長に伺います。 ◎教育長(日隈俊郎君) 県立高校生のインターンシップや企業見学につきましては、例年、それぞれの学校が適切な実施時期を決めまして、実施しているところであります。 しかしながら、本年度、各学校では、新型コロナウイルス感染症による臨時休業の影響もありまして、授業時数の確保や学校行事等の見直しを迫られているところであります。 このため、それぞれの学校におきましては、実施時期、あるいは内容などについて、現在、検討や調整を行っている状況でございます。 ◆(田口雄二議員) うまいことこのままコロナウイルスが収まれば、支障なく実施できそうではないかということを伺いました。体育祭や文化祭等の行事も無事に行われることを祈ります。 次に、医療福祉行政について伺います。 私が延岡市議会議員になったころは、県立延岡病院の麻酔科医の大量退職で、医療崩壊が心配された大変な時期でした。その頃から、研修医の確保、宮崎大学の本県出身者の比率を上げることが大きな課題でした。 そこで、今年度、本県で臨床研修及び専門研修を開始した医師数について、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 令和2年度に県内で臨床研修を開始した臨床研修医は、昨年度と比較しまして、1名減の56名となっており、県内で専門研修を開始した専攻医は、同じく7名減の45名となっております。 引き続き、宮崎大学医学部や県医師会、各研修病院など、関係機関と緊密に連携を図りながら、臨床研修医及び専攻医の養成・確保に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(田口雄二議員) 臨床研修医は1名減の56名ですが、ここ4年ほどは50名台の後半です。少し安定してきたのかなと思っているところであります。 本年は1名とはいえ、3年連続で県立延岡病院に研修医が来てくれています。ありがとうございます。 次に、鹿児島大学や琉球大学と比較すると、地元の大学の医学部に進学する率が、宮崎県は特に低い時期がありました。16%しかいなかった時期もあり、地域枠、地域特別枠を設けて、本県出身者の増加を図ってまいりました。 そこで、宮崎大学医学部の今年度入学者における本県出身者数及び地域枠等の入学者数について、福祉保健部長に再度伺います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 令和2年度に宮崎大学医学部に入学した111名のうち、本県出身者は44名で、昨年度と比較し3名増となっておりまして、そのうち地域枠が9名、本年度より定員が5名増となった地域特別枠が15名となっております。 なお、長崎大学医学部宮崎県枠の入学者は2名となっております。 ◆(田口雄二議員) 昨年より3名増加しましたが、まだ40%には届かないところです。 先ほどもありました鹿児島大学や琉球大学ははるかに50を超えておりますので、引き続き御尽力、よろしくお願いいたします。 次に、自殺に関する相談体制について伺います。 警察庁の統計によりますと、2019年の自殺者は、全国の確定値で2万196人と、もう少しで2万人を切りそうでした。2003年の最多のときは3万4,427人でしたので、大幅に減ってきております。10年連続の減少となりました。 本県においても、最多のときは40名近くおりましたが、昨年は201名まで減少しております。 自殺は健康問題、経済的な問題、家庭的な問題が三大要因になります。 今回のコロナウイルス感染症の件で、経済的に厳しくなった方がかなり増えてきています。パートやアルバイトを切られて困惑している人もいます。これから追い詰められていく人が増加すると思います。 そこで、自殺に関する電話相談体制について、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 県においては、様々な心の悩みや自殺予防のための電話相談窓口がございます。 県精神保健福祉センターの「こころの電話」に加えまして、精神保健福祉士を中心とした専門職の団体とNPO法人2団体の計3団体による電話相談で、役割分担をしながら対応しております。 基本的には平日午前9時から午前4時まで、休日は午後7時から午前4時まで、相談を受け付けております。 ◆(田口雄二議員) 計3団体でフォローしているようですが、まだ24時間体制にはなっていないようです。 そこで、自殺予防のための電話相談員の確保状況と県の支援について、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 本県におきましては、日中の電話相談に加え、団体による夜間の電話相談が平成19年に開始されて以降、段階的に相談日や時間帯の充実を図ってきております。昨年9月には、NPO法人により、新たに毎日深夜帯の午後11時から午前4時までの相談ができるようになったところです。 現在、3団体で約130人の相談員が活動しておりますが、さらなる相談員の確保に関しては、深夜の活動であることや、長期の研修及び研修料の負担があることなどが課題となっております。 このため県では、相談員養成のための研修経費や、相談に従事する際の旅費等の補助を行っていることに加え、募集についても、新聞各紙や情報誌への掲載、ポスターの配布などを通じて広報するなど、様々な支援を行っているところです。 今後とも、各団体と協力しながら、相談員の確保に向けて取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(田口雄二議員) 伺いましたら、相談員はボランティアで、研修もかなり受けなければならないようです。相談の中身も深刻な内容ですので、頭の下がる思いがいたします。貴重な命を守るための相談員への県の様々な支援、さらなる充実をよろしくお願いいたします。 次に、県土整備行政について伺います。 コロナの陰に隠れて、余り話題になっていませんが、道路に関してニュースがありました。 3月30日、長年の課題でした延岡南道路が値下がりしました。特に特大車や大型車のETC通行料金が大きく下がりました。まだ、国道10号の渋滞緩和や特大車の住宅街への流入が減少したかは、今後の調査を待たなければなりません。 もう一点は、これまで東九州自動車道の休憩施設の充実と増設を要望してきましたが、今回、川南町が、川南パーキングエリアに連結施設として「かわみなみPLATZ」を、4月19日にオープンしてくれました。 地元の食材を使った加工品や野菜など地場産品が並んでいます。また、レストランと軽食コーナーも併設されており、快適な時間が過ごせる空間になっております。ちょっと高いのですが、家族に大好評のケーキがあり、ここに寄るたびに購入しております。 延岡南道路、そして、かわみなみPLATZともに、実現に御尽力いただいた皆様に感謝いたします。 さて、質問に戻りますが、延岡南駅前の県道16号は、朝夕の渋滞が蔓延しており、渋滞解消が強く望まれていましたが、県は4車線化を計画しました。 ここ最近、対象となる事業所や住宅の立ち退きが進み、市民の期待が高まっております。安賀多通線構口工区の進捗状況と、その南側の国道10号までの区間の見通しについて、県土整備部長にお伺いします。 ◎県土整備部長(明利浩久君) 安賀多通線構口工区につきましては、渋滞対策や通学路の安全確保のため、延岡警察署交差点から南延岡駅前交差点までの区間を、都市計画事業により整備を行っているところであります。 進捗状況につきましては、取得が必要な用地のうち、約6割の契約をいただいており、今年度は、引き続き用地買収を進めるとともに、一部、工事に着手する予定としてしております。 また、国道10号までの区間につきましては、構口工区の進捗状況を踏まえながら、事業化に向けて、関係機関との協議を行ってまいります。 県としましては、安賀多通線全体の進捗を図るためには、現在整備中の区間の早期完成が極めて重要と考えておりますので、今後とも、必要な予算確保に努めるとともに、地元の皆様の御協力をいただきながら、事業を進めてまいります。 ◆(田口雄二議員) ありがとうございます。完成までにはもう少し時間が必要ですが、一部の工事に着手する上に、電線の地中化も予定されていると伺っております。用地買収、大変でしょうが、よろしくお願いいたします。 最後の質問になりますが、3年前に私は、NHKの「歴史秘話ヒストリア」という番組を見て、群馬県の榛名山で1,500年前に発生した火砕流の下から古代人の骨が発見され、DNAの分析から、現在の長野県南部の出身と分かったと放映されたのを見ました。今ではそんなことまで分かるのかと驚いたことを紹介し、同様の研究を警察本部が行うと、2017年度予算に上げていたことには、さらに驚きました。全国に先駆けての研究で、ちょっとしたニュースになったものです。それから3年経過いたしましたが、出身地推定のためのDNA研究の進捗状況と今後の予定について、警察本部長に伺います。 ◎警察本部長(阿部文彦君) お尋ねの研究は、県警刑事部に置かれた科学捜査研究所におきまして、平成29年度から実施している本県独自の研究であります。 その概要につきましては、県警職員と県内居住1,705名から任意で提供を受けたDNA検体を解析したところ、有意な地域差が確認されましたことから、これを基に出身地推定システムを構築し、DNA情報からある程度の出身地を推定することが可能となったものであります。 この成果につきましては、昨年の日本法科学技術学会で発表しましたところ、奨励賞を受賞するなど、全国的にも高い評価を受けており、また、本研究を論文にまとめた科学捜査研究所の職員は、博士号を取得しております。 現時点ではサンプル数が十分でないことから直ちに実用化はできないものの、将来的には、同システムの精度を向上させることで、現場に残された資料からの犯人の絞り込みや、身元不明の御遺体の身元確認などの警察活動に活用できるものと期待しております。 ◆(田口雄二議員) 学会で発表し、受賞した奨励賞は、大変名誉のある賞だと伺っております。 ただ、この今分かっているデータは男性だけだそうでございまして、今後はまた女性のデータの蓄積も考えているようです。 一応質問準備したものは全て終了いたしました。ちょっと時間が残っております。 いよいよプロ野球が、あさって19日から始まります。いろんなスポーツやイベントが少しずつ開催され始めます。もう二度と緊急事態に陥ることのないよう、気を許すことなく予防にしっかり努めてまいらなければならないと思っております。 ただ心配なのが、先月、埼玉県の熊谷市では10分間で50ミリというとんでもない雨が降っております。最近は、本当に雨の降り方が尋常じゃなくなってきておりますので、防災対策もしっかりやっていかなければならないと思っておりますし、自分の命は自分で守る、これはやはり県民として基本じゃなければならないと思っております。今年は大きな災害がないことを心から祈りまして、以上で質問を終了いたします。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(丸山裕次郎) 次は、安田厚生議員。 ◆(安田厚生議員) 〔登壇〕(拍手) こんにちは。自由民主党、安田厚生でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。 私の質問で18番目であります。新型コロナウイルス感染症関連の質問もしづらいところでありますが、質問させていただきます。 まず、様々な感染症の恐怖、プレッシャーと隣り合わせになりながら、新型コロナウイルスと最前線で戦っている医療関係者をはじめ、関係各位の皆様に、心から感謝を申し上げます。 目に見えないコロナという驚異との戦い、終わりの見えない不安な日々が続きますが、ソーシャルディスタンスが世界全体に浸透し、新たな価値観が生まれつつあります。 新しい生活様式に応じて新しい生活、新型コロナウイルス感染第2波拡大を防ぎながら経営をどう正常化させていくか、そのバランスを探るステージに入ったと思います。コロナ危機の長期化を前提に、経済の耐性を高めていく「ウィズコロナ」の戦略が問われています。コロナと共存していくという覚悟が、今後は求められているのではないでしょうか。 私も延岡市北浦町宮野浦の八十八ヶ所大師を、新型コロナウイルス感染症収束を願いながら巡拝してきました。大変苦しい88か所に、一体ずつコロナ収束をお願いしたところであります。おかげで、翌日から全身が筋肉痛に苦しめられました。特に足は、筋肉痛なのか痛風なのか、よく分からない状態でありました。これで県内の感染は収束すると思いますが、質問させていただきます。 感染症の情報を住民が納得する情報発信が求められています。住民間のうわさやSNSでの情報交換、様々な情報が飛び交う中で、信頼できる情報はどれか判断できないケースもあります。住民が知りたい情報は、感染症の特徴、感染情報など正しい情報であります。 また本来、住民が最も知りたい情報は、全国の情報よりも地域の情報であります。 そこで、新型コロナウイルス感染症対策に関する情報発信の在り方について、見解をお伺いいたします。 また、国内利用者数の多いLINEを新たな広報の媒体として活用していく考えはないか、知事にお伺いいたします。 以上、壇上からの質問とし、以下は質問者席から行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。 新型コロナウイルス感染症対策におきましては、子供から大人まで誰もが分かりやすい情報の発信によりまして、県民一体となった感染防止の取組につなげていくことが、大変重要であると考えております。 このため、私自身が、県政テレビ番組やテレビのCM、県ホームページでメッセージを発信するとともに―これは動画も併せてでありますが―記者会見やテレビの報道番組への出演を通じて県の取組を丁寧に説明するなど、様々な媒体を活用して、県民の皆様にしっかりと伝わる情報発信を心がけ、取り組んできたところであります。 議員から御提案のありましたLINEにつきましては、現在、国内利用者数が8,400万人を超え、幅広い年代に利用されているソーシャルメディアであり、非常に効果的な広報媒体であると考えております。 このようなことから、今後、導入に向けて準備を進めてまいりたいと考えております。以上であります。〔降壇〕 ◆(安田厚生議員) ありがとうございます。 LINEは、新型コロナウイルス感染症の情報を的確に発信することができ、信頼度の高い情報を得ることだけでなく、使い勝手のよいものであります。 また、第2波に備え、QRコードを活用して、イベントや店舗の利用者が感染した場合、その場所にいた人たちにLINEで速やかに知らせる、QRコード追跡システムを導入する県もあります。今後、情報発信に役立てていただきたいと思います。 新型コロナウイルス感染症拡大で心配されるのは、通学・通勤にJRを利用される方であります。不特定多数の人が触れたつり革や手すりにウイルスが付着し、それを握った手で口や鼻を触ると、口や鼻からウイルスが入って感染する可能性も高まります。その上、ソーシャルディスタンスが取れない超濃厚接触というべき空間でもあります。 列車での接触感染に対する予防策は確実に進めるべきだと思いますが、通学・通勤時におけるJR九州の新型コロナウイルス感染症対策について、総合政策部長にお伺いいたします。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 列車での通学・通勤時におきましては、多くの乗客が利用され、密閉、密集、密接の「3密」が発生しやすい状況となりますことから、列車内における感染予防対策の取組は、大変重要であると考えております。 このため、県といたしましては、JR九州に対して、先日公表されました感染症対策に関するガイドラインに沿った感染拡大防止対策の徹底について、要請を行ったところであります。 JR九州はこのガイドラインに従い、列車内の換気や手すり、肘かけの消毒等を行っており、また、利用者に対しましても、マスクの着用や列車内での会話についての配慮、時差出勤等の取組への協力などを呼びかけているところであります。 ◆(安田厚生議員) ガイドラインに従い、消毒の徹底はもちろんでありますが、感染を防ぐ対策もお願いいたします。 また、朝夕の通勤・通学時には各路線とも乗車率が高く、利用される方々から、列車の車両を増やしてほしいという要望も多く上げられているところであります。 先日、JR九州は、路線別の収支状況を公表され、本県の5区間で赤字ということが分かりました。通勤・通学時の普通列車の車両を増やしてほしいという利用者からの要望も出されておりますので、前向きに検討をしていただきたいと思います。 国の持続化給付金の支給対象は、売上げが50%以上減少の方であり、その支給を待つのが厳しい方への給付金として、県の小規模事業者事業継続給付金があります。その対象は、売上げが75%減少の方とあり、小規模事業者にとっては、とてもハードルが高いように思われました。売上げが減少しているのに給付金が受けられない事業者もたくさんいるようです。 緊急事態宣言の解除をされても、いまだなお先が見えず、苦しい日々が続いている方も多く、そのような中、給付金を待ち望んでいる方もいるようです。 新型コロナウイルス感染症の影響が拡大する中、国、県の給付金を受けられない方々への今後の支援について、商工観光労働部長にお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(松浦直康君) 感染症の拡大防止に優先的に取り組む必要がありましたこれまでの段階では、事業者の事業継続を中心に給付事業等を実施してまいりましたけれども、今後は、感染症対策を行いながら、いかに経済活動を回復させるかが大きな課題であると考えております。 また、そのような取組の中で、厳しい環境に置かれております事業者を支援していく必要があると考えております。 このため、まず、幅広い業種を対象にした約50億円のプレミアム付商品券の発行や、県民向け宿泊プラン等による応援消費の促進、また、商店街や企業活動の再始動に当たっての支援等の取組を、市町村や経済団体とも連携して進めながら、県内経済の回復に努めてまいりたいと考えております。 ◆(安田厚生議員) 各市町村では、売上げ30%減からなど、手厚い支援を行う自治体も出てきております。県におかれましても、今回補正で給付金の増額をしておりますが、心温かい政策を求められておりますので、よろしくお願い申し上げます。 また、アンケート調査によりますと、「既に影響が出ている」、また、「今後、影響が出る可能性がある」と回答した企業が97%となっており、県内経済に甚大な影響が出ています。 地域の消費喚起に向けた循環型経済は、いかに地域でお金を回すかが地域再生の鍵であります。県民の消費行動を促し、地域経済の活性化を図るため、市町村と連携したプレミアム付商品券、総額50億円を発行しますが、プレミアム付商品券の販売方法は、発行主体である各市町村で異なっており、密を防ぐ対策が必要と思われますが、販売方法について、商工観光労働部長にお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(松浦直康君) プレミアム付商品券の販売は、事業の実施主体となります市町村や、その委託先である商工会等が行うことになりますけれども、これまでの例を見ましても、購入に訪れた方の行列ができるなど、3密につながるおそれがあると考えております。 このようなことから、販売枚数が多い自治体では、混雑を避けるため、郵送やウェブ申込みによる抽せん販売などの方法を検討しているところもございます。 県といたしましても、3密や熱中症対策に配慮した販売方法について検討していただくよう、市町村にお願いしてまいります。 ◆(安田厚生議員) プレミアム付商品券の発売に当たっては、商工会議所、商工会等が販売することとなっているようであります。3密で感染症の心配や熱中症などで気分が悪くなった人が発生した場合、誰が責任を取るのかと心配しているところであります。 また、プレミアム付商品券、小規模事業者事業継続給付金、プレミアム付食事券、国の持続化給付金などの対応や一般業務に加え、中小企業の相談など、職員の負担も増えてきている状況であります。 職員には、商工事業者のために頑張るんだぞと伝えておりますが、その反面で、職員の負担などを心配しているところであります。 販売する際に行列ができることで、苦情等が大変多く、販売担当の商工会・商工会議所の職員も苦労しているところであります。一連の事業に対して、現場の声をしっかり聞いていただきたいと思います。 コロナ禍で、外出自粛や学校休業が続き、児童を取り巻く環境が複雑・多様化しています。児童虐待相談の対応件数は年々増加傾向にあり、平成30年度の本県の児童相談所における対応件数は、1,379件と過去最多となり、令和元年度も増えている状況であります。 また、生活不安や様々なストレスから、DV被害の増加や児童虐待等が深刻化することが懸念されています。 本県の学校休業等における児童虐待やDVの相談件数の状況と対応について、福祉保健部長にお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 本県の児童相談所における、学校休業が開始された今年3月から4月までの児童虐待相談対応件数の速報値につきましては285件で、前年同期間の258件と比べ、27件、10.5%増加しております。 また、女性相談所におけるDVの相談受付件数は、同じく3月から4月の期間で81件となっており、前年同期間の79件に比べ、2件、2.5%増加しております。 いずれも、新型コロナの直接の影響によるものかは、現時点では判断がつきかねますが、県としましても、引き続き、新型コロナによる社会環境の変化に留意しながら、家庭に身近な市町村や学校、警察などの関係機関と連携を図り、地域における子供の見守りや、DVに関する相談・支援体制の強化に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(安田厚生議員) 離婚した方々から話を聞きますと、「実は夫からのDVがあり、悩んでいた」と話してくれた方もいらっしゃいました。表に出てこない児童虐待やDVもあるようであります。地域の見守りが大切でありますので、支援の強化をお願いいたします。 日本の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響や昨年の消費税増税の影響もあり、相当厳しい状況となっております。 その結果、廃業や失業が増え、自殺者の急増も懸念されているところであります。 昨年度の全国自殺者数は1万9,415人となり、10年連続で減少しているようです。本県の人口10万人当たりの自殺者数を示す自殺死亡率は、全国平均を上回る状況にあり、全国でも自殺死亡率の高い県となっております。 新型コロナウイルス感染症の影響による経営破綻や解雇、収入減少により自殺者が増えることが懸念されますが、県の自殺対策の取組について、福祉保健部長にお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 県では、相談対応をはじめ、普及啓発や人材育成などの総合的な自殺対策に取り組んでおりますが、5月には、精神保健福祉センターの心のケア支援員を増員したところであります。 また、従来から、自殺予防ポータルサイト「ひなたのおせっかい」を開設して、「死にたい」などの検索ワードに反応するように設定し、相談機関へつながりやすい環境を整備するとともに、うつ病などリスクが高い方をかかりつけ医から精神科医へつなげるための、連携の強化などに取り組んでおります。 今後とも、関係機関・団体とより一層連携し、相談体制の強化などを図ってまいります。 ◆(安田厚生議員) 今後、新型コロナの影響で、経済的・精神的に追い込まれる自殺者も増加するのではないかと思っているところであります。私の周りでも、去年、今年と、50代の方々が亡くなりました。なぜ気づいてやれなかったのかとの思いであります。周りの方々の気づきが大切になると思いますので、相談しやすい環境も整えるようにお願いいたします。 また、子供の貧困にも大きな影響があると心配しているところであります。子供の貧困対策を進めるには、生活困窮者の支援が重要だと考えますが、各地域における生活困窮者の支援の取組について、福祉保健部長にお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 県及び各市におきましては、生活困窮者自立支援法に基づき、各福祉事務所等に相談窓口である自立相談支援機関を設置し、支援員が、生活に困窮する方々に対して、自立に向けた包括的・継続的な支援を行っております。 具体的には、就労の問題や住居の問題、経済的な問題など、一人一人の実情に即した自立支援計画を作成しまして、就労支援や住居確保給付金の支給などを行うとともに、地域の実情に応じて、家計管理に関する相談・指導や生活困窮世帯の子供の学習支援などを行っております。 県としましては、市町村や関係機関と緊密に連携を図り、地域において生活に困窮する方々の早期把握と、寄り添った支援に取り組んでいるところであります。 ◆(安田厚生議員) コロナ危機で追い詰められた人の事情に寄り添った支援をお願いいたします。 感染拡大の影響による失業や収入減によって、生活保護に頼ってくる県民も多いのではないかと思います。本県の生活保護受給者は、平成20年9月のリーマンショックからの経済悪化により、急増してきたと言われております。先行きが見えず、不安を募らせています。景気回復を図り、生活困窮者の下支えをすることが、何よりも重要であると考えます。 コロナ禍において、生活保護申請も増えると懸念されておりますが、生活困窮者の対策について、福祉保健部長にお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) コロナ禍におきまして、休業や失業等により収入が減少するなど、生活に困窮する方々からの相談が増加しております。 県としては、コロナ対策として拡充された、生活福祉資金や住居確保給付金の活用、県営住宅の家賃等の減免、県税に係る徴収猶予の特例措置などの支援を行うとともに、県の「新型コロナ対策特設サイト」やSNSなど様々な媒体を活用して、これらの取組の周知に努めております。 さらに、新たに今議会の追加補正でお願いしました「生活困窮者自立相談支援体制強化事業」によりまして、県の福祉事務所において支援員を5名増員し、支援の充実を図ってまいりたいと考えております。 ◆(安田厚生議員) コロナによる影響が長引けば、生活保護の申請も今後ますます増えてくる可能性もあります。生活困窮者への支援などの周知にも努めていただきたいと思います。 次に、県立学校の休業についてお伺いいたします。 長期の休業による子供の学習の遅れと格差の拡大、不安とストレスは大変深刻です。感染から子供と教育者の健康をいかに守っていくかは、重要な課題であります。 学年の締めくくりと新たな学年のスタート時期の3か月の休業は、子供に計り知れない影響を与えています。何よりも、長期に授業がなかったことで、子供の学習に相当な遅れと格差が生じると思います。 学校は、課題プリント等を配布し、家庭学習などを行いました。しかし、小学1年生の保護者からは、「まだ習っていない基本的な知識を、いろんなやり取りのある授業なしで理解させるのは無理がある」といった相談もありました。 臨時休業に伴う児童生徒の学習の遅れに対して、どのように対応していくのか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(日隈俊郎君) 各学校では、休業中の学習の遅れに対応するため、遠足や講演会等、いろいろな学校行事の見直しや、夏季休業期間等の短縮を行い授業日を設けるなど、可能な限り授業時数を確保できるよう工夫を行っているところであります。 その際、県教育委員会といたしましては、学校再開後、これまでの学習の遅れを取り戻すために、児童生徒や教職員の負担が過重とならないよう、非常勤講師やスクール・サポート・スタッフの役割の比重を増やすとともに、授業と家庭学習の効果的、効率的な組み合わせによる学びの確保といった取組を進めてまいります。 ◆(安田厚生議員) 学習の遅れを取り戻そうと、児童生徒の負担にならないよう、柔軟な教育が必要だと思いますので、よろしくお願い申し上げます。 休業中の学習の遅れを補うことで、教職員の負担が増えると思いますが、政府も第2次補正予算で、教職員や学習指導員などを増員する方針であります。 教職員の負担軽減と教職員の働き方改革は、教員の問題だけでなく、教員が向き合っている子供たちにとっても重要な課題であります。 教員の業務の一部を補うスクール・サポート・スタッフ事業は、教職員の負担軽減を図る上で意義のあるものと考えております。 スクール・サポート・スタッフ配置事業の取組状況と今後の事業拡大について、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(日隈俊郎君) スクール・サポート・スタッフにつきましては、現在、県内全ての市町村の小中学校64校に、52人を配置しております。 また、学校の再開に伴いまして、補充学習等による教員の事務負担の増加が見込まれますことから、既に配置されているスクール・サポート・スタッフの勤務時間増と、暫定的な人員増相当の補正予算を、本議会にお願いしているところであります。 ◆(安田厚生議員) 財政負担が大変厳しい状況ではありますけれども、県内全ての小中学校にスクール・サポート・スタッフを配置し、教員が子供たちと向き合う時間を確保してほしいと思います。 次に、部活動指導員についてお伺いいたします。 部活動指導員を配置し、部活動を担当する教職員を支援することで、業務負担の軽減が図られます。部活動指導体制が充実することや、部活動の質の向上につながると思います。土日の大会の引率や練習、部活動の管理や運営についても、教職員の負担軽減につながるため、部活動指導員の配置の拡充について、教育長のお考えをお伺いいたします。 ◎教育長(日隈俊郎君) 現在、県内公立中学校の教職員の負担軽減を目的に、専門的な知識や技能を有する地域の人材を部活動指導員として配置しております。 昨年度は、10市町に34人の配置でありましたが、今年度は、学校における働き方改革をさらに推進するため、当初予算に計上しておりますが、大幅に増員を図りまして、12市町に60名を配置することにしております。 今後は、教職員の負担軽減に加えて、競技力向上の視点からも、課題や効果を検証しながら、市町村教育委員会と連携し、部活動指導員の配置の在り方を検討してまいりたいと考えております。 ◆(安田厚生議員) 今年度は60名の配置ということで、大変ありがとうございます。国民スポーツ大会に向け、部活動指導員の配置で、技術力の向上に努めていただきたいと思います。 次に、各小中学校、県立学校のネットワーク環境の整備についてでありますが、休業中の小中学校の学習支援のためのICT環境の整備がより重要となり、子供たちの学びの機会の保障に効果的であると思われます。 国のGIGAスクール構想に基づき、児童生徒に1人1台のコンピューター整備を推進されているようですが、県内市町村の小中学校及び県立学校において必要な高速通信ネットワーク整備について、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(日隈俊郎君) 国が進めるGIGAスクール構想の実現に向けた、校内通信ネットワークの整備についてでありますが、まず、小中学校におきましては、23の自治体が今年度中に整備を完成する予定となっております。残りの3つの自治体につきましては、校舎新設等の時期に合わせるなど、自治体の実情に応じて整備を進めていく予定となっております。 また、県立学校につきましては、本年度、全ての校舎で高速・大容量化の整備を終えることとしております。 ◆(安田厚生議員) いよいよICT教育のスタートという思いであります。教育の分野で、ICTへの取組は遅れていると感じておりましたが、子供たちが好奇心を持って学力を伸ばしていける時代への第一歩だと思っております。 学校休業中の児童は、家庭で過ごす時間が長く、学習面でどのようなことに取り組むといいのか困ることもあると聞いております。今回の学校休業で、オンライン学習が重要であると再確認されました。県立学校におけるオンデマンドによる学習や、プロジェクター等のICT機器を使った授業の取組状況について、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(日隈俊郎君) 生徒個人のペースに合わせて、何度も視聴できるオンデマンド型の学習につきましては、今回の臨時休業に際して、一部の県立学校で独自に作成した学習動画の配信や、民間のオンライン学習教材の活用などの取組を行っております。 また、プロジェクター等のICT機器の活用につきましては、多くの学校で様々な実践が行われておりまして、授業の効率化や生徒の多様な学びにつながっております。 具体的には、数学のグラフや理科の実験動画を映しての授業や、生徒が作成したプレゼン資料を発表させて、協働学習を行う授業などの事例がございます。 ◆(安田厚生議員) 新しい教育のスタイルへの対応や、教育環境へ向けた取組が求められております。教職員の負担を軽減し、教育の質の向上に専念できる環境の構築が欠かせないと思います。 学校でも働き方改革が進められています。教職員は忙しく、残業の多さは特に問題とされています。学習指導以外でも、さきに質問いたしました部活動や学校行事など、多忙化しているところであります。 また、教育のICT化により、機器の活用や指導方法の改善等で労働時間が増えるなど、教職員の負担が予想されますが、負担軽減に向けた県としての取組について、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(日隈俊郎君) 教育のICT化は、授業や業務が効率化され、教職員の負担軽減につながるものと考えておりますが、議員の御指摘のとおり、当初は、機器の操作方法に戸惑いや不安等を持つ教職員が出てくることも予想しているところであります。 そのため、県立学校や市町村に対しまして、ICTの専門家を派遣し、ICTを活用した授業の在り方や機器の操作方法等に関する校内での研修などの業務支援を行うこととしております。 また、ICTに関する基礎知識の習得及び教職員の疑問や悩みの解決に向けた研修会を開催するとともに、問題の解決方法に関するマニュアルの作成・配付を行うことによりまして、教職員のICTに対する不安を解消し、負担感を軽減することに努めてまいります。 ◆(安田厚生議員) ICT化の専門家を派遣するということでありますので、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。 佐賀県武雄市は、数年前からICT教育を取り入れております。導入の際は、教職員が自ら学び、授業に取り入れるなど、大変だったと聞いております。ICT化で新たな負担が増えないようにお願いいたします。 休業中、子供たちが自宅にいる時間が長く、ゲーム利用時間が大幅に伸び、依存状態がかなり危険な状態となっております。ICT機器を導入する児童におけるゲーム等の対応はどうするのか、まず家庭での教育が必要であります。 児童生徒のゲーム障害を予防するための学校における指導はどのように行っているのか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(日隈俊郎君) 議員のお話にありましたように、ゲーム等の過剰な使用については、心身の健康や学習及び日常生活に悪影響を及ぼし、ゲーム障害に陥ることが懸念されております。 そのため学校では、特別活動や保健などの時間に、規則正しい生活の重要性や、ゲーム等に対する依存の影響及びその予防などについて、発達段階に応じて指導しているところであります。 また、外部講師による保護者を交えた講話や、生徒会が中心となりましてルールづくり等を行う取組事例もあります。 今後、情報化の進展とともに、ますます子供たちがゲーム等に集中していくことが危惧されますことから、このような指導の充実・強化を図りまして、ゲーム障害の予防に努めてまいりたいと考えております。 ◆(安田厚生議員) 休業中にゲームに熱中する子供が増えているようであります。ゲームに対する歯止めが利かず、日常生活よりもゲームを優先し、夜中までプレーするといったこともあるようです。 予防につきましては、学校での指導と家庭でのルールづくりが必要だと思いますので、よろしくお願いいたします。 また、SNSやネットでの言葉の暴力・誹謗中傷が問題となっております。ネット上での誹謗中傷によってストレスを抱えたり、心のバランスを崩している人は多いようです。 ICT教育を進める上で、学校・家庭でのネット教育が必要だと思いますが、SNS上での誹謗中傷に対する教育長の見解と、学校における指導についてお伺いいたします。 ◎教育長(日隈俊郎君) SNS上の誹謗中傷は、重大な人権侵害でありまして、決して許される行為ではありません。 子供たちには、規範意識や自他を大切にする心と、インターネットなどを利用する上でのルールやマナーを合わせた、情報モラルを身につけさせることが重要であると考えます。 現在、各学校では、道徳教育や「技術・家庭」及び「情報」の授業を中心に、全教育活動を通して、情報モラルの指導に取り組んでいるところであります。 県教育委員会といたしましても、情報モラルに関するリーフレットを作成し、公立学校の全生徒に配付したり、ネットトラブル等に関する専門家を講師として学校に派遣し、保護者を含めた講演会を実施したりするなど、学校における情報モラル教育の推進を支援しているところであります。 ◆(安田厚生議員) 県では、2018年度のいじめ件数を発表しました。ネット上でのいじめについては、県内公立高校の33.4%が、「インターネットで嫌な思いをしたことがある」と回答しております。このうち、「悪口や嫌なことを書かれた」が16.7%、「無断で写真を載せられた」が15.5%となっております。学校や家庭での教育が大事でありますので、情報モラル教育の強化をお願いいたしたいと思います。 次に、水産業について質問いたします。まず、学校給食について質問いたします。 学校給食は、安全でおいしく、必要な栄養のバランスが取れ、また、食の教育になり得る給食の提供が求められています。食育の観点から、旬の食材や地産地消を意識し、多少価格が高くても、地元の魚や旬の水産物を使うよう支援していくことが大事だと思います。 新型コロナウイルス感染症の影響を勘案して、学校給食において、積極的に地元の水産物を活用することはできないか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(日隈俊郎君) 学校給食に地場産物を活用することは、地域の産物への理解や、食料の生産等に関わる人々へ感謝する心の醸成など、食育の観点からも大変重要であると考えております。 本県では、毎月16日を「ひむか地産地消の日」と設定するなど、学校給食においても、地場産物を積極的に取り入れる取組を行っているところであります。 現在、農政水産部において、関連予算を今議会に上程され、今般の新型コロナウイルスにより影響を受けている地元の水産物を、学校給食に活用する事業が予定されていると伺っているところであります。 県教育委員会といたしましては、農政水産部や市町村教育委員会と連携しながら、学校給食における、水産物を含む地場産物のさらなる活用に努めてまいりたいと考えております。 ◆(安田厚生議員) 地元の食材を使用することは、鮮度がよいことや産地がはっきりしている点など、地場の水産物に対する保護者のニーズは高まっていると思います。 また、県内ブランド品に推奨されているにもかかわらず、食したことがない方々もたくさんいるようです。地場の水産物の消費を推進する上で、学校給食は重要な役割を果たしていると思います。学校給食における地産地消率は30%前後と聞いておりますが、本県においては少ない状況に思えます。県のほうでも、給食にさらに活用するようお願いいたします。 新型コロナの影響で、延岡市北浦町の養殖業では、国内外に出荷できず、餌代もかさむなど、悪循環に陥っています。養殖カンパチやタイの照り焼きなどを学校給食に提供できれば、水産物の消費も推進できるなど、学校給食は重要な役割を果たしていると思います。養殖カンパチ、タイなどを県内の公立学校の給食に提供できないか、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(大久津浩君) 養殖業は、消費減退による出荷の滞留などで、特に大きな影響を受けていると認識しており、今議会におきまして、県北地区で多く養殖されておりますカンパチやマダイなども学校給食へ提供いたしまして、地産地消による消費を喚起する補正予算をお願いしているところでございます。 これまで、県産水産物は、価格面等の制約で、学校給食での利用が少なかったことから、本事業の活用によりまして、学校給食向けの消費ニーズに対応できるよう、県漁連、水産加工業者、生産者等が一体となりまして、加工供給体制の強化に取り組んでいただいているところでございます。 県におきましては、多くの児童生徒の皆さんに、地元のおいしい魚をたくさん食べていただきますよう、今後、国庫補助金の追加要望も視野に入れ、県教育委員会等とも連携をしながら、学校給食における県産水産物の利用拡大を図ってまいります。 ◆(安田厚生議員) 学校給食での提供は、新たな需要先の確保に加え、水産物のおいしさを給食で実感してもらえれば、地産地消の食育や家庭での消費喚起につながると、期待しているところであります。 また、新型コロナウイルス感染症の影響により、魚価の低迷が問題視されているところであります。観光や飲食業など、需要が大幅に低下したことにより、魚の消費も低下し、魚価が値崩れをしています。そのため、収入が大幅に減少し、赤字になることから、漁に出られない漁業者もいます。 高級魚とされるイシダイやアラ、イサキなどが安値で、例年の相場の半値で取引されています。また、ハモの値段は、この時期、京都の祇園祭を前に、キロ700円前後で取引されるのですが、今年はキロ200円という状況で、収入が激減している漁業者もいます。 魚価の低迷で経営に不安を抱える沿岸漁業者に対し、どのように支援するのか、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(大久津浩君) 沿岸漁業におきましても、需要減退によりまして、高級魚を中心に、魚価が前年同期に比べ約3割から5割下落し、厳しい状況が続いております。 このため、県におきましては、運転資金の緊急融資を支援しますとともに、消費喚起のための水産物お届けキャンペーンとして、産地直送の送料助成を行っているところでございます。 また、持続化給付金の周知や手続のサポートに加えまして、休業中の漁業者による環境保全活動への参加等に対して日当等が助成される国の直接採択事業―今回、第2次補正予算で措置されますが―資源・漁場保全緊急支援事業の活用も推進してまいりたいと考えております。 県といたしましては、今後とも、関係団体と連携いたしまして、沿岸漁業の皆様が安心して経営が持続できますよう、しっかり支援してまいりたいと考えております。 ◆(安田厚生議員) 消費喚起に向けて、水産物のお届けキャンペーンや国の資源・漁場保全緊急支援事業などの周知も、しっかりとしていただきたいと思います。 ブリ大尽で有名な延岡市赤水沖の大型定置網漁が7年ぶりに再開したというニュースがありました。県漁連など地元漁協の協力で、今年から試験的に操業が開始しています。 県内の大型定置網漁の数が減っているようでありますが、最近再開した県内の大型定置網漁の現状と取組について、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(大久津浩君) 御質問のありました大型定置網漁につきましては、県漁連が設立した宮崎県漁業販売株式会社が、宮崎市内海地区に続きまして、本年1月末に、2か所目となる延岡市赤水地区で操業を開始したところでございます。 現在、この2つの定置網では、4人の新規就業者を含む19名を雇用いたしまして、本年1月から5月までに約1億円の水揚げがあり、地域の活性化に大きく貢献していただいております。 県といたしましては、新規就業者が経験を積み将来独立することによって、沿岸漁業の持続的な発展につながるといった大きな期待を寄せており、引き続き、新規就業者の確保などの取組を通じまして、大型定置網漁への支援を行ってまいりたいと考えております。 ◆(安田厚生議員) 県内における持続可能な水産業の振興に期待しておりますので、今後とも支援をお願いいたします。 今、漁業者の高齢化や若者の担い手不足が懸念されています。漁業全体として十分な生産量を確保していけるよう、漁業の新規就業者の確保を図りながら、同時に生産性を向上させていくことが重要であります。 漁業の新規就業者に対する県の支援策について、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(大久津浩君) 本県における新規就業者の確保・育成につきましては、県立高等水産研修所での育成や、宮崎県漁村活性化推進機構における研修及び就職先とのマッチングなどの取組支援を行っており、さらに、漁業者による直接雇用などを含めますと、毎年50人程度が新規就業しております。 そして、最近は新型コロナの影響による雇い止め者等からの就業相談もあることから、今議会におきまして、1週間程度の就業体験枠を拡大するとともに、1か月程度の実践的な研修を創設するための受入れ体制強化に向けた補正予算をお願いしているところでございます。 県といたしましては、今後とも、関係機関等と連携を図りながら、地域漁業をリードする将来の担い手の確保・育成に努めてまいります。 ◆(安田厚生議員) 本県の漁業就業者の年齢構成につきましては、10代、20代が非常に少なく、60代以上が約60%を占めており、年々高齢化が進むと心配しているところであります。若い新規就業者の確保と育成に努めていただきたいと思います。 先ほども申し上げましたが、魚価の低迷など、漁業への影響が出ております。県内の漁業にICTを導入し効率的な操業ができれば、燃料費の節約にもなり、漁業の収益にもつながると思います。 今後の漁業におけるICT活用の可能性について、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(大久津浩君) 県では、漁業者の操業効率化のために、水温や風向等の情報を提供する従来の「海の天気図」に加えまして、国内で初めて漁業への活用を目的とした海洋レーダーの整備によりまして、昨年度から、日向灘における広域的な潮の流れや波の高さなどの情報を、スマートフォン上で提供しているところでございます。 これによりまして、漁業者は、的確な出漁判断ができるとともに、燃油等のコストや労働時間の削減が可能であり、また、漁場予測の精度が上がり、水揚げや収益性の向上に役立っているとの評価を頂いているところでございます。 県といたしましては、ICTを活用した漁場の見える化をさらに推進いたしまして、もうかる漁業の振興を図ってまいりたいと考えております。 ◆(安田厚生議員) ICTを導入することにより、効果的な漁業ができるようになることが期待されておりますので、本県の漁業の振興を図っていただきますようお願いいたします。 次に、道路交通についてお伺いいたします。 昨年1年間に運転免許証を自主返納したドライバーは、全国で前年比42.7%増の60万人に上りました。制度が始まって以降、最多であったことが分かりました。 高齢者による事故などにより、運転免許証の自主返納が増えてきています。しかし、車を使って生活している人は、免許返納後の生活に不安を覚える方も少なくありません。 各自治体により格差があるものの、多くの自治体で、免許返納後に、タクシーやバスなど公共交通機関の利用が割り引かれる制度が導入されております。 免許返納者を増やして事故減少につなげるという取組もなされておりますが、本県の運転免許返納者数の推移と返納者に対する支援について、警察本部長にお伺いいたします。 ◎警察本部長(阿部文彦君) 昨年の運転免許返納者数は、過去最高の5,110人となっており、5年前の平成26年と比べますと、3倍近くに増加しております。 警察では、運転免許を返納された方の支援に関しまして、自治体と連携した取組として、平成30年2月から「情報連絡同意書制度」を運用しております。 この制度は、返納者やその御家族の同意を得た上で、そのお名前、住所等の情報を市町村に提供し、返納者への支援に役立てていただくものであり、昨年は、全返納者の約53%に当たる2,707人について情報提供をしております。 今後とも、免許を返納された方々に対する支援の充実に向けて、自治体等と連携を進めてまいります。 ◆(安田厚生議員) 様々な理由で免許を返納される方がいます。80代で免許返納する方が50%を占めているようであります。 返納後も生活に支障を生じないよう、各自治体と連携を深めながら、支援をお願いしたいと思います。 車の運転ができなくなると不便なことも多く、返納するか迷っているという人も多くいるようです。各地域では、コミュニティバスが巡回し、住民の足となっています。市町村を往来する際、移動の手段はバスでありますが、特に中山間地域におきましては、1日に数本ほど運行されているだけで、生活を送るには運転免許が必要不可欠であります。 免許証返納後の移動手段の確保については、バスやタクシー等がありますが、中山間地域においては移動手段が少なく、大きな課題となっております。免許返納者の移動手段確保のため、公共交通機関へどのような支援を行っているのか、総合政策部長にお伺いいたします。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 免許返納者の増加に伴い、その移動手段の確保は、ますます重要になってくるものと考えております。 このため県では、地域内移動の効率化や利便性の向上を図るため、市町村に対しまして、コミュニティバス等におけるオンデマンド交通の導入支援等を実施しております。さらに今年度からは、広域的な移動手段を確保するため、宮崎交通に対しまして、高齢者用定期券の購入費用の割引に対する補助を行うこととしております。 今後とも市町村と連携しながら、免許返納者等が、地域内外におきまして円滑な移動手段が確保できますよう、必要な交通対策について総合的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(安田厚生議員) 中山間地域におきましては、移動手段が限られてきます。宮崎交通に対し、購入費用の割引も大切でありますが、路線の存続もお願いしたいと思います。 次に、県道西都南郷線の整備状況についてお伺いいたします。 5月の連休中に、入郷地区、国道5路線をはじめ、県道現場を視察させていただきました。 この県道西都南郷線は道幅も狭く、峠辺りは路面もよくない状況であります。実際に通行することで、道路改良は喫緊の課題だと感じたところであります。 県道西都南郷線の改良率と整備状況について、県土整備部長にお伺いいたします。 ◎県土整備部長(明利浩久君) 県道西都南郷線につきましては、西都市八重から銀鏡を経由し美郷町南郷に至る、沿線住民の生活を支える重要な路線であります。 このため、これまでに、西都市の銀鏡工区や美郷町の渡川工区などにおいて整備を進めてきたところですが、地形条件が厳しいことから、未改良区間が多く残っている状況であり、本路線の改良率は、平成31年4月時点で約16%となっております。 現在、未改良区間のうち、美郷町南郷の延長約1キロメートルを、上渡川工区として整備を進めており、昨年度までに約760メートルを供用したところであります。 引き続き、事業区間の早期完成に努めるとともに、残る未改良区間につきましても、事業の進捗を踏まえながら、必要な整備に取り組んでまいります。 ◆(安田厚生議員) 本路線の改良率は16%と、ほかの地方道に比べて低い状況であり、余り進んでいない状況であると考えております。期成同盟会等の設立をしようという動きもありますので、早期整備に向けて取り組んでいただきたいと思います。 次に、国道327号の整備状況についてお伺いいたします。 国道327号は、日向市から美郷町、諸塚村、椎葉村を経由して熊本に至る一般国道であります。住友財閥が建設費として100万円を寄附したことから、「百万円道路」ということでも有名であります。開通と同時にバスも開通し、生活に欠かせない基幹道路になっていますが、急カーブの連続に加え、道幅も狭く離合もできない道路であります。 安全・安心な道路環境を求める地域住民もたくさんいます。耳川流域の豊富な森林資源をつなぐ重要な路線でありますが、この国道327号の整備状況について、県土整備部長にお伺いいたします。 ◎県土整備部長(明利浩久君) 国道327号につきましては、地域住民の生活や産業を支え、緊急輸送道路にも指定されている重要な幹線道路であり、県内区間約67キロメートルのうち約60キロメートルで、2車線の整備が完了しております。 残る未改良区間につきましては、その全区間において既に事業に着手しており、これまでに、諸塚と椎葉の村境に設定しております佐土の谷工区におきまして、4か所のトンネルのうち2か所が完成し、さらに椎葉村の尾平工区においては、1.8キロメートルのトンネルを含む全区間が、今年度、開通する予定であります。 また、日向市内におきましては、入郷地域から東九州自動車道や細島港へのアクセス強化を図るため、永田バイパス等の整備を進めております。 県としましては、今後とも、必要な予算の確保に努め、全線の早期完成に向け、しっかりと取り組んでまいります。 ◆(安田厚生議員) ありがとうございます。 本路線は、日向市、美郷町、諸塚村、椎葉村を結ぶ、真に必要な道路であります。安心・安全な交通の確保が求められております。東臼杵郡内の国道5路線は、いまだに整備がされていない区間がたくさんあります。 鎌原副知事におかれましては、国土交通省に戻られると聞いておりますが、本県の特にこの5路線の早期整備について、国からも温かい後押しをお願いしたいと思います。 先週、県内の経済界をリードしてきた清本会頭が亡くなりました。商工会議所、商工会、また、ひむか経済懇談会やいろんなところでお付き合いをさせていただきました。よき先輩であり、東九州自動車道、九州中央道の開通にかける思いが強く、また、幅広い分野で県北の地域振興に御尽力をされた方でありました。心より御冥福をお祈りいたします。 地域の発展には高速道路や道路整備が必要だという遺志を少しでもつなぐことができるようお誓いし、本日の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(丸山裕次郎) 以上で午前の質問は終わります。 午後は1時再開、休憩いたします。   午前11時56分休憩────────────────────   午後1時0分開議 ○議長(丸山裕次郎) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次は、渡辺創議員。 ◆(渡辺 創議員) 〔登壇〕(拍手) 県民連合宮崎、立憲民主党の渡辺創です。 新型コロナウイルスは、私たちに正体の見えない恐怖を与え、恐怖におののいた私たちは、混乱の中で、自らの乗る船を急激に止めようとエンジンを逆回転させて、社会活動にブレーキをかけました。 しかし、急激なブレーキは大きな波紋を生み、いつの間にかその波紋は大きな波やうねりに変わり、国民生活を飲み込もうとしています。感染症としての脅威や経済的なダメージのみならず、人々の価値観、社会の在り方にも大きな影響を与える事態です。 私たちは、今、命や健康の危機、生活維持の危機に向き合いながら、同時に価値観の揺らぎにも直面しているわけです。 坂口議員が一般質問で、現状について、「全てに経済を優先させることを求めた結果、たどり着いた世界であって、この道こそ、私どもが進むべき唯一の道と信じ、追い求めてきた、より広く、より速くの世界は終点とならなかった」と指摘されました。炯眼に感服したところです。これまでの歩みを懐疑的に捉え、新しい社会の在り方を模索する必要があるとの姿勢は、思いを同じくするところです。 さて、知事も同じ思いをお持ちなのだと思います。提案理由説明の最後で、コロナとともに生きていく社会への所信を述べられました。ポストコロナを構想し、脱グローバル、必要なゆとりの肯定、分散型への社会構造転換、デジタル化・リモート化に触れた上で、価値観や生き方の変容に言及されました。大変共感しました。 社会変化が自然に起きることを期待する状況ではありません。知事が所信で述べられたように、政治や行政が責任を持って方向性を指し示していくことが求められています。つまり、今、政治には、新しい社会や価値観を創り出していくエネルギーと意欲が必要です。 最近、私は、明治16年の宮崎県再置県に興味を持っています。いろいろな資料に当たると、再置県・分県の運動の中で、私たちの先達は請願書の中などで繰り返し、「日向人は進取の気性に乏しいので、分県で趣を変えたい」と訴え、再置県の決め手となった明治15年の国の地方巡察使、渡辺昇参事院議官が復命書をしたためるに当たっても、「原野を開墾するような進取の気性に乏しい」ことが挙げられ、「鼓舞奨励すれば、事業勃興して国家経済に益すること大」と、好意的な態度が示されました。 今こそ、進取の気性乏しいと言われる気風を変えるときです。最後を走っているのではない、トップランナーなのだという気概で、ポストコロナの社会を創造したい。 知事に、宮崎県という枠にとどまらず、一人の政治家として広い視野で、これからの政治は何を重視し、どんな社会を築くべきなのか、お考えをお伺いします。 残余の質問は自席から行いますので、御答弁よろしくお願いいたします。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。 新型コロナを経験した後には、これまでにないスピードで、新たな経済社会の変化が生じる可能性があると考えております。 そして、世界的には、これまでの過度のグローバル化や経済効率を優先した資本主義の拡大成長路線は転換や見直しを迫られ、国内的には、東京一極集中の社会構造や価値観から抜け出し、大都市集中型から分散型へと地方回帰の動きも生まれてくるものと考えております。 これらのことは、コロナ危機を契機として、我が国が必要な社会の改革・変化を進めていく上で、大きなチャンスであると捉えております。 そのような中で、本県が取り組む、経済的な豊かさとお金には代えられない価値が調和した「新しいゆたかさ」を実現していくことは、今後の持続可能な社会を目指す上で、政治に求められる最も大事なことではないかと考えております。 今を生きる私たちは、この新しい経済社会を切り開いていく歴史的使命を担っていくものと考えております。私はその使命を、知事として全力を挙げて果たしてまいりたいと考えております。以上であります。〔降壇〕 ◆(渡辺 創議員) 新型コロナという極めて大きな局面転換に向き合う知事は、その決意を所信で述べられたわけですけれども、そのためには、知事の視座は、県内だけを見詰めればいいというわけではないと思います。世の中を動かさなければなりません。積極的に幅広い議論を県内外に求め、時には国と向かい合う物言いも必要だろうと思います。 新しい社会の在り方を打ち出すというのは、それだけ迫力が必要なことではないかと思います。 県議会で河野県政と向き合って、10年目に入りました。私の同期当選はこの議場に5人いますけれども、私たちは、河野知事が誕生して数か月後に県議となりました。ですので、知事のルーキーイヤーは僕らのルーキーイヤーでもありましたし、10年目は我々の10年目でもあります。 知事は、分別があって、抑制的で行儀もいいので、国への物言いや議論を呼ぶような提起には慎重な印象も今まで持ってきました。それは賢いことかもしれません。 ただ、これからは価値観が揺らぎ、次のモデルをみんなが模索しようとする時代になるわけです。新しい社会構造や価値を創造しようという時代です。いわば、レッドオーシャンではなく、ブルーオーシャンに漕ぎ出すときだろうと思います。 宮崎県の「新しいゆたかさ」は間違っていないという、その自信に裏打ちされた姿を、ぜひ示していただきたいと思います。 さて、今回、知事は、特措法の制定で新しい権限と責任を背負い、休業要請という難しい判断も迫られました。リーダーとしての苦悩もあったことだろうと推察します。 コロナと向かい合う中で、知事は何を大事にしてきたのか、お伺いします。 ◎知事(河野俊嗣君) 新型コロナウイルス感染症対策に当たりましては、まずは、県民の皆様の命と健康を守ることを第一にということで、感染拡大防止の徹底と医療提供体制の強化・充実に努めてきたところであります。 そして、暮らしや雇用への不安が広がっていく中、経済活動の維持・活性化への対応も非常に重要と考えまして、感染拡大防止、それから社会経済活動の維持・活性化、そのバランスに苦心してきたところであります。 ただ、未知のウイルスとの闘いであります。県民の皆様には、それぞれの課題について様々な立場があり、そして不安・不満が広がる中で、大変厳しい御指摘もいただききました。 午前中議論がありましたが、SNSでの誹謗中傷、そのようなものもたくさんあったところであります。 恐らく、全国の知事も市町村長も、そのような厳しい状況にあったというふうに思いますが、その中でやはり大事なことは―今回のコロナ禍で、改めて注目を集めた小説に、カミュの「ペスト」があります。あの中で、主人公の医師リウーが言います、「ペストと闘う唯一の方法は誠実である」という言葉がありました。その言葉がずっと頭をよぎっておったところであります。 大変厳しい御指摘にさらされる中で、分かりやすさだとか目立つこととか、そういう誘惑に駆られるわけでありますが、本当に宮崎のためになることを、誠実に、また地道に取り組んでいく、そのような姿勢で進めてきたところであります。 ◆(渡辺 創議員) この間、議会から見ていても、知事は、なかなか難しい判断を迫られているなと感じる場面はたくさんあったわけです。 今議会でもいろんな声が上がりましたし、なぜ積極的に支援策を取らなかったのかという指摘もあります。 昨日、井上議員が指摘されていたように、もし早い段階から国の財政措置が今の時点と同じぐらいはっきりしていれば、もっといろんなことはやれたという本音も、きっとあることだろうと想像はします。 特に、知事の思いが―知事がよく言われる言い方ですが―適時的確にうまく伝わらなかったという場面がいろいろありました。先ほどもお言葉がありましたけれども、批判を受けたり、ジレンマに陥ったりして、知事も悩まれたこともあったと思います。 そういう中で、一連のコロナ禍において、知事が政治家として新たな気づきを得たことがあれば、お伺いしたいと思います。 ◎知事(河野俊嗣君) 今回の新型コロナウイルス感染症への対応としまして、改めて、こういう危機管理対応におけるリスクコミュニケーションの重要性、そして、その難しさということを感じたところであります。 感染症の対策、それから社会経済活動の維持・活性化、その両方のバランスを取る中で、私どもが伝えるべき情報というものが、今回、大変難しいものがございました。 1つには、時々刻々と状況が変化しているということ。それから、未知のウイルスであり、誰も対応のシナリオを描くことができないということである。そのことにより、県民の皆様に不安が広がっていく。 そして、幸い、県民の皆様の御協力により感染を抑制している状況の中で、県民の皆さんが日々触れ合える情報というのは、圧倒的に国内・国外における感染拡大の実態であり、そこで取られる、例えば休業要請であったり、様々な措置というものに、情報が、また意識が向かわれるわけであります。そのことにより、さらに不安が高まるということもあります。 例えば、休業要請などが典型でありますが、東京・大阪のように、感染が拡大した蔓延防止のための措置として行われたものであります。本県ではそこまで蔓延していない状況の中で、「なぜ本県でしないのか、遅い」という御意見もございましたし、休業要請に伴う協力金を経済対策というふうに捉える考え方からすると、これは本県として最大の反省点の一つでありますが、具体的な経済対策について、県民の皆様にお示しするのが遅かったことに絡めて、休業要請が遅かったというような御指摘に結びついていると考えております。 私どもは、これまでの災害対策のような形で、ある程度順を追ってこの経済対策も進めてまいったところであります。 振り返ってみますと、方針を示して、それに基づいて様々な団体との意見交換を行い、具体的な制度をつくり、臨時議会に提出し、そして、私どもが狙っておりました、国の給付金が届く前に―ゴールデンウイーク後、実際に5月8日以降には支給をされているわけですが―実質そのような形で支給はできたわけでありますが、情報提供というものが遅かったということと、休業要請を東京・大阪とは別の意味で、隣県からの感染拡大を防ぐという意味でせざるを得なかった、そのタイミングが重なったというのが非常に難しく、この実情なり経緯をお示しする、説明するというのが難しい課題であったと考えております。 ただ、今申し上げましたような経済対策も、情報提供にしましても、適時適切に、また早め早めにお伝えしていくということが安心につながるということもございます。また、県民の皆様がどういう情報に今接しているのかということもよく把握をした上で、どういう形で伝わっているのか、どう伝えるべきなのか、どうしたら正しく伝わるのかということを、これからもしっかりと対応してまいりたいと考えております。 ◆(渡辺 創議員) 今、知事からお話があったことをベースにして、今日の議論に進みたいと思います。ありがとうございました。 まず、今回は、新型コロナを受けてという内容が多いので、ベースを少し確認しておきたいと思います。 県民、特に事業者を守る経済的支援についてです。 県の小規模事業者事業継続給付金は、売上げ減75%と大変厳しい設定になりました。この件については、今議会でも複数回指摘をされていますが、改めて、厳しい設定となった理由と利用状況を、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(松浦直康君) 新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受けた事業者に対しましては、国の持続化給付金が設けられたところでありますが、その一方で、小規模事業者の中には、大幅な収入減により休廃業が懸念されるような厳しい状況もありましたことから、県では、こうした事業者に緊急に資金を手当てするため、売上げが75%以上減少した小規模事業者を対象として、事業継続のための給付金を創設したところでございます。 支給状況につきましては、5月末日時点で4,489件、金額では、8億9,780万円を既にお支払いしております。 ◆(渡辺 創議員) 苦しいところに目を向けるのか、それとも国の持続化給付金が届かないところに目を向けるか、これは判断が難しいところだろうと思います。 財政力の違いが、いろんな自治体の施策に色濃く出てきているような気がしていて、大変そこが気になるところであります。 次に、国の事業者向け支援策の柱である持続化給付金と雇用調整助成金ですが、県内での利用状況を、商工観光労働部長に伺います。 把握できていなければ、把握の必要性をどう考えているか、御答弁ください。 ◎商工観光労働部長(松浦直康君) 国の持続化給付金の支給状況につきましては、本県の状況を九州経済産業局に問い合わせておりますけれども、まだ確認できていないとのことでございます。 また、雇用調整助成金につきましては、宮崎労働局によりますと、5月29日現在の支給決定件数は、242件とのことであります。 今後の経済対策を進めます上で、国の給付金等の支給状況の把握は重要であると考えておりますので、引き続き、国に対し情報提供を求めてまいりたいと考えております。 ◆(渡辺 創議員) 両制度とも特徴は、幅広い業種での活用が可能ということだろうと思います。 適用される水準までの影響が出ているか否かというのは、それぞれの産業によって異なってくるわけですが、1次産業、特に農林水産業における利用状況と状況把握の必要性、さらには、どのようにして対象者へ情報提供を行ってきたのか、代表するような意味で、農政水産部長にお伺いします。 ◎農政水産部長(大久津浩君) 国の給付金支給等の状況の把握につきましては、先ほど商工観光労働部長が答弁で申し上げたとおりでございますが、今後、農業分野におきましても、しっかりと情報の収集等に努めてまいりたいと考えております。 また、コロナ禍で影響を受けている農業者や農業法人につきましては、この給付金等は、農業は対象外というような理解をされる方もあられたということで、これをしっかり周知するために、県庁ホームページでの掲載や、農業・畜産業・水産業ごとに詳しいチラシを作成・配布、そしてSNS・メール・市町村、農協等の広報誌など、様々な媒体を活用した情報提供を行うとともに、県、市町村、農協等で組織いたしました各地域における対策連絡会議、こういったものを活用して、しっかり連携しながら、農業者への迅速かつ確実な周知に今取り組んでいるところでございます。 さらに、普及センターに既に設置しております相談窓口と、各JAとが連携いたしまして、今後の申請手続に係るしっかり連携した支援体制を構築しようということで、今準備を進めておりますので、こうした形をしっかり踏まえながら、スムーズな給付金の支給を進めてまいりたいと考えております。 ◆(渡辺 創議員) スポーツ関連団体からも窮状を訴える声が上がっています。 例えば、県内の総合型地域スポーツクラブの実情をどのように把握しているでしょうか。教育長にお伺いします。 ◎教育長(日隈俊郎君) 総合型地域スポーツクラブの実情についてでありますが、市町村やクラブへの訪問における聞き取りによりまして、活動自粛等に伴い、会員数や収入が減少し、厳しい運営状況にあることについては把握しているところであります。 支援策につきましては、各種の支援策についてお知らせしているところであり、需要が高いと思われる持続化給付金について、幾つかのクラブが申請していることを把握はしておりますが、改めて、支援施策について丁寧に御紹介しているところであります。 現在、関係機関と連携し、調査を行っているところでありまして、活動の再開状況や運営面での問題点等について具体的な状況を把握した上で、各クラブの状況に応じて個別に相談に応じるなど、対応に努めてまいりたいと考えております。 ◆(渡辺 創議員) ありがとうございました。これから先、まだまだ新型コロナに関連する産業支援が必要になってくるはずです。 その際には、視点として、制度の谷間にはまり込んでいる方々がいないかということを考えなければならないと思います。そのためにも、ベーシックな産業支援策が県内にどの程度行き渡ったのかということを、きちんと把握することは不可欠だと思いますので、ぜひその点、お願いいたします。 加えて、制度の谷間といえば、今日提案された追加補正予算案では、国の補正予算を受けて、医療・介護・障がい福祉の従事者への慰労金の支給をされることが措置されています。対象となられる方々の貢献には、ただただ頭の下がる思いでございますけれども、この取組は、同じように社会を支えてきた、例えば保育であったり、社会的養護・児童福祉施設の従事者への視点が、残念なことに抜け落ちているというふうに思っています。 今後、県としても、国に向けてこのような実情をきちんと伝える努力を、ぜひ重ねていただきたいと思いますので、お願いいたします。 次に、テーマは変わりますが、久しぶりに広報戦略についてお伺いします。 ここでの広報とは、報道対応も含めた県の情報発信全般を指すというふうに理解してください。発信に関する厳しい指摘は、既にこの議会でも相次いでいますので、不要な具体的言及は避けながら、私の問題提起も織り込んで進めたいと思います。 さて、新型コロナ禍は、誰もが当事者であり、情報の真偽を見定めることが難しく、国や県がどのような判断をするかということに大変大きな注目が集まりました。それは、先ほど知事が御答弁でおっしゃったとおりだと思います。 そのような初めての状況において、県の広報部門は何を重要視してきたのか、総合政策部長に伺います。
    総合政策部長(渡邊浩司君) 新型コロナウイルス感染症は、全ての県民に影響を及ぼす、これまでに経験のない危機事象でありますことから、分かりやすく正確な情報を発信することにより、県民の皆様に冷静かつ正しい行動を取っていただき、感染拡大防止の徹底を図るとともに、状況の変化に応じた的確な対策を講じた上で、これをしっかりと県民の皆様にお伝えしていくことを重点に置きながら、広報活動を行ってきたところであります。 このため、県といたしましては、ホームページや県政テレビ・ラジオ番組、新聞、そして広報紙などの様々な媒体を活用するとともに、報道機関への速やかな情報提供などに努めてきたところでありますが、一方で、全ての県民に正しく情報を伝えることの難しさも実感したところであります。 今回の経験を生かしながら、今後とも適時適切な情報発信に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(渡辺 創議員) 特に休業要請をめぐっては混乱があったというのが、正直なところかと思います。ここは私の想像ですが、知事は、特措法によって新たに背負うことになった権限の行使に抑制的であられたんだというふうに思います。 これは、権力者の姿勢として、私権制限を伴うことを実施するに当たっては、慎重に検討し、自己の権限に常に抑制的であろうという姿は、実に健全だと思います。その基本姿勢は高く評価したいと思います。 その上で当時私が感じていたことは、当時のブログにも書きましたので、いつかお目通しいただければ幸いですが、この場では控えます。 いずれにせよ、知事なりの思いと工程表があった新型コロナウイルスの対応が、休業要請の是非をめぐって修正を求められた形になったかと思います。 その最大の原因は、知事の考えが県民にうまく伝わらなかったからだと思います。このことは、知事も既に議会等でもお認めのところですが、この一連の過程・経過を、広報をつかさどる総合政策部長はどのように振り返られますでしょうか。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 新型コロナウイルス感染症につきましては、県民の皆様が必要とする情報を分かりやすく、迅速に発信するとともに、その時々の状況に応じて、知事会見などによる報道機関への情報提供に努めてきたところであります。 議員から御指摘のありました休業要請につきましては、どのようなタイミングで、どのような情報を発信するのか大変苦慮したところでありましたが、県民の関心が極めて高い事柄につきまして、適時的確な情報発信を行うことの重要さを改めて強く認識したところであります。 今後とも、県民目線に立った、タイムリーで丁寧な情報発信に最善を尽くしてまいりたいと考えております。 ◆(渡辺 創議員) 私はこの間、感染者の確認や県の方針決定の機会に、県や宮崎市の会見をネットで視聴しました。 衝撃的だったのは、午後10時とか、そういう時間帯の同時配信であっても、3,000を超えるような同時配信へのアクセスがあっていたり、また、UMKやMRTという地上波のローカル局が、ユーチューブを使って同時配信をしているということです。 何が衝撃的だったかというと、その1次情報に接しようとする県民の皆さんの意識がかなり定着しつつあること、そして、メディアミックスというか、媒体の垣根はもうほとんど意味がないことに、私自身の意識がたどり着いていなかったということを実感したからであります。 さて、県は、通常は知事の定例会見だけをネット上では配信しています。ただ、3月17日の県内2例目、3例目の感染者確認会見以降は、緊急事態宣言解除時の会見など、12本の動画をホームページに上げています。5月29日以降は、それが特設サイトでも見ることができるようになっています。 その意味では、今、何が必要なのかという問題意識はあったのだろうと思います。ただ、残念だったのは、それが県の動画ポータルサイトである「楠並木ちゃんねる」に上がっていないということです。 ポータルサイトというのは玄関口ということなので、ここに来れば、県の動画全部にアクセスできるという場所でなければならないはずです。 提供する側の県と、情報を得たい県民、動画という1次情報を求めている県民が集まるプラットホームのようなものじゃないといけないわけですから、やはりそこで、その動画は上げられるべきだったと思いますが、その点について、総合政策部長のお考えを伺います。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 県のホームページに掲載しております動画ポータルサイト「楠並木ちゃんねる」におきましては、知事の定例記者会見のほか、県政テレビ番組やPR動画など、様々な動画に視聴者がアクセスしやすいよう、項目別に5つのチャンネルに分け配信しております。 現在、新型コロナウイルス感染症に関する知事会見やメッセージ動画などにつきましては、県のホームページの新型コロナウイルス感染症の対策特設サイトに掲載しているところでありますけれども、「楠並木ちゃんねる」にも掲載することが県民の皆様の利便性向上につながることから、今後は、知事の定例記者会見以外の会見動画などにつきましても、「楠並木ちゃんねる」への掲載を行ってまいりたいと考えております。 ◆(渡辺 創議員) 提案を取り入れていただきまして、ありがとうございました。 情報発信に関して、もう一つ提案があります。 県政記者クラブ所属の従来型のメディアへの取材対応と、県の動画配信を中心とした1次情報の発信を、この機会に思い切って連結させるべきだと思います。 今、県が動画として上げているのは、基本的に定例会見のみです。今述べてきたように、新型コロナ関係では一部例外がありましたけれども、これが収束すれば、恐らく元と同じ状態に戻ってしまうことになるだろうと思います。 知事は、通常、定例記者会見以外にも、例えば「ぶら下がり」や「囲み」と言われる、オンマイクでテレビカメラも入る取材を受けています。こういう情報発信も当然オンマイクですので、新聞やテレビではニュースの素材として取り扱われているわけです。 であれば、宮崎県庁では、もうそういう情報発信は全て県民にも公開するんだという姿勢を取るべきだと思います。 効用はあります。1つは、まず誤解を生みません。 例えば、新型コロナをめぐっても、知事が九州内の人の移動を早く解禁しようと提案されたと受け止められそうなニュースや、全国知事会で、海外との人の移動を早く促すべきだというようなニュアンスで伝えられたというニュースがありました。恐らく、きっと知事のニュアンスとは少し違った形での情報・報道になったのではないかと想像します。 しかし、その報道を見た県民は、間違いなく戸惑いを覚えていて、やっぱり私のところにも幾つか連絡がありました。 そういうときに、県の動画ポータルサイトを見ていただいて、知事はどんな流れでその発言をしたのか、そして、どんな質問にどんな表情で答えられたのか、そういうことも含めて、県民が直接1次情報に接することができる。そうすれば、もちろん報道機関のニュースの解説は解説としてそしゃくをしながらも、県民が自らその価値を判断できるようになっていくはずです。 今は、それができていません。だからこそ、先日の国文祭をめぐる混乱においても、私たち議会側は知事の発言を確認できていないまま、この間のような出来事も起きているというのが実情だと思います。 これは、県にとっても、「ニュアンスが違う」というような反論をする必要もなくなりますし、動画で確認してください、見ていただいて、御自分で受け取って考えてくださいということを、県民に直接言うことができるようになるわけです。 これは、メディアリテラシーがきちんと機能する環境を県が積極的につくるということにもなりますので、いかがでしょうか、ぜひやるべきだと思いますが、総合政策部長の見解を伺います。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 県政に対する理解や関心を高めるためには、県が発信する情報に速やかにアクセスできることが重要であると考えております。 これまで、知事の定例記者会見や新型コロナ関連の会見については、県のホームページに情報を掲載し、動画の視聴も可能でありましたが、今後は、県民の関心が高い事柄に関する、御質問にもございましたけれども、いわゆる囲み取材などの情報についても、幅広く発信することといたしまして、県民の皆様に必要な情報がしっかりと伝わる広報に努めてまいりたいと考えております。 ◆(渡辺 創議員) ぜひ頑張っていただきたいと思います。これこそ宮崎モデルと言われるような取組になるはずだと思います。 次は、地域経済懇談会についてお伺いします。 この議場での説明は不要でしょうが、知事や副知事が分担して、県内各市町村長と飲食を共にしながら意見交換を行うというものでした。5月20日の宮崎市が最初だったと思いますが、どのような経緯で実施に至ったのか、総合政策部長に伺います。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 地域経済懇談会につきましては、本県において繁華街の接待を伴う飲食店等の休業要請が終了いたしました5月11日に、知事が発案されたものであり、14日の本県の緊急事態宣言の解除決定を受け、19日の定例記者会見で発表を行ったところであります。 最初の懇談会となりました宮崎市とは、5月18日に調整を行い、開催に至ったところでありまして、他の市町村との間でも、必要な調整を進めながら順次実施したところであります。 ◆(渡辺 創議員) 私は、大分の県職員さんたちが5月15日の夜にフェイスシールドをつけて飲食をやっているという様子が配信されたので、そのあたりの時期の発案なのかと思っていたら、もっと早いということでしたので、宮崎県も負けず劣らずの着眼だったということには敬意を表したいと思いますが、この懇談会をめぐっては、初回を宮崎市からの要請で公開できなかったことや、費用負担をめぐって公費・私費というような話が転々としたことなどを受けて、ちょっと混乱含みのスタートとなりました。 また先日は、都城市長が、「市民感情を考えると時期尚早だ」というようなことを記者会見で述べたりと、さざ波が立っているという感じかと思います。 やはり、これも背景には、目的がうまく県民に伝わらなかった、もしくは、目的を伝わりづらくしてしまったということがあったのではないかと思いますが、知事は振り返って、どう思われますでしょうか。 ◎知事(河野俊嗣君) この取組でありますが、私は政治姿勢として、現場主義、それから対話と協働ということで、市町村の連携を大変重視している、それを具体化したものとして、大きくは3つの目的を掲げておったところでありますが、少し経緯を踏まえてお話をさせていただきますと、休業要請を解除して、5月11日から強い警戒態勢に移行したわけでありますが、そのときに、ガイドラインの遵守などをお願いしている、実際にそれが守られているんだろうか、そして、感染防止対策はどのようにとられているのか。そして、5月7日に、既に外出の自粛要請は解除されていますが、なかなか町なかに人の足が戻ってきていないという状況がありましたので、現場を見てみたい、現場の実態把握というのがまず1点でありました。 そして、26市町村、そういった繁華街に行くのであれば、せっかくであれば、市町村長と意見交換をしたい、恐らく市町村長も町なかの飲食店の利用が下がっている、それを何とか盛り返したいという思いで応じていただけるのではないかという思いがございました。 26市町村、全部自分が行くことができませんので、副知事と手分けをしてということでありますが、これには前段がありまして、3月の中旬に、両副知事に手分けして全市町村長に電話していただいております。 というのは、本県としては、「新型コロナウイルスの状況の中で、徹底的に地産地消の応援消費をやりたい。県としても取り組むので、ぜひ市町村としても事業に取り組んでほしい」という思いと、それから、「学校休業への影響というものがどのように現場に出ているのか」、そのようなコミュニケーションを図ったということであります。この地域経済懇談会に関しては、地域経済、それから町なかの飲食店の実態というのを知事・副知事が現場で、しかも市町村長と意見交換をしていきたいということであります。 私は、結果的に、8つの市町、感染者が発生したところ、それから近年災害が発生したというところで、竜巻被害の延岡市、さらには硫黄山噴火のえびの市に行って、その状況等も意見交換をすることができたわけであります。 そして、3つ目としまして、トップが動くことによりまして、県職員、市町村職員も町なかに出やすくなるいうことで、まずは公務員が動く、そして、そのことによって地域の皆さんにも広げていくということ、その3つを念頭に、この事業を発案したところであります。 それを事務方が整理して、まずは市町村長との意見交換は公務として整理し、そのあと何件か個人的に回るとして、「それは政務として整理をしましょう。これは意義ある取組でしょうから」ということで、1枚のペーパーにまとめて、記者会見で発表することになったということであります。 その記者会見の中で特に議論となったのが、「知事と市町村長がどのような形で懇談をするのか、絵が浮かばない」というような御指摘でありまして、たまたましょっぱな、その翌日でありましたが、宮崎市はその現場については御遠慮させていただきたいというような御意向でありましたので、その場を映すことができない、そのことで様々な御指摘もいただいたところであります。私自身は、知事と市町村長が会食をするところの映像を通してアピールをしたかったというよりも、実際に我々が動くことで、それぞれの職員が動いていく、そのことによって流れをつくっていきたいというところに―3つ目のさっきの点でありますが―力点があったというところであります。 ただ、一連の議員の御指摘にありますように、様々な取組を行うに当たって、それを適時適切に県民の皆様に広報するというところでは、動きながらつくっていった事業ではありますが、反省すべき点もあったと考えております。今の3つの目的に関して言いますと、それぞれ効果があったものと受け止めているところであります。 ◆(渡辺 創議員) それでは、今、知事の答弁の中でもいろんな理由が出てきましたが、その中で、新しい生活様式を県民に伝えたいという意味においては、知事が最初想定されていた効果と比べて、最終的に、現実にどのぐらいの割合の効果を生んだのか、当初知事が考えていた効果が100だとすれば、そのうちの何割の目的を達することができたとお考えですか。その前段の3つの目的の整理ではなくて、新しい生活様式を知事が姿としてさらすことによって、県民に理解をいただくという面の効果というだけで結構です。 ◎知事(河野俊嗣君) もともと自分が発案したときは、さっきの3点に力点がありましたので、新しい生活様式を実演してみせるところにそれほど大きなところがあったわけではありませんが、日南市の御理解をいただいて、そこについては公開をすることができた、それを報道等を通じて御覧いただくことができたと考えております。 そういう現場の実態であれば、大分のように、担当職員だけが開催をするというのも十分考えられたというふうには考えています。 ◆(渡辺 創議員) 知事のお考えはよく分かりましたが、やはり私は、あの時点で、あの行動で一番大切なことは、知事が先頭に立って、新しい生活様式を目に見える形で示していることだったんだと思います。 かつ、十分に注意を払えば、積極的に飲食店に出てもいいというメッセージを、その絵柄も通して示すことが知事の役割ではなかったかと思っています。 そういう思いも一部持っていらっしゃったことは高く評価したいんですが、結局、地域経済懇談会というのは、そのもっともらしいタイトルに表れていますが、ちょっと目的がごちゃ混ぜになり過ぎていて、何をアピールしたいのかというピントがぼやけてしまったという印象を僕は持っています。 今、答弁で聞いたように、知事はたくさんあることが目的だったというふうにおっしゃっていますが、広報戦略という観点に立って、あの状態の中で、県民に対して新しい生活様式を知名度のある知事が先頭に立って示して、そして、こうやって出ていって大丈夫なんです、注意をすれば大丈夫なんですよということを示すというところに主眼を絞って、あの行動があったらよかったのになと。意見交換は別個で考えていただいても結構で、それは十分にやっていただけばいいんですが、それが、知事という存在を生かす広報手段としては重要だったんじゃないかなと私は感じています。 加えて、あの段階で、知事が示してほしい姿勢は、市町村長との意見交換ではなくて、実際に繁華街で苦労をしている、例えば居酒屋の大将であったり、おかみさんであったり、従業員であったり、そういう方と言葉を交わしているという姿が大事だったんじゃないかなと感じていますので、それは外には発信されていませんから、お話を交わしたかもしれませんが、その姿勢をきちんと示すことのほうが、広報的には十分効果があって、県民にも、県の思いも知事の思いも伝わったというふうに思っているところです。 ここは私の考えですので、そう理解していただければいいですが、この指摘も含めて、知事は広報戦略の必要性をどう認識しているのかというのを、改めてお願いします。 ◎知事(河野俊嗣君) 今、新型コロナウイルス感染症対策の文脈での様々な御指摘でありますが、県政を進めるに当たりまして、やはり県政に関する情報を、しっかりと県民の皆様にお示しする、関心を持っていただく、そして様々な御指摘・御意見をいただく、そのことによって施策を立案していく、そのプロセス、相互、まさに広報広聴の取組というのは大変重要であろうかと思います。 御指摘ありましたように、今、様々な情報伝達手段が広がっている状況でありますので、それを有効に活用していく、そして効果的に使っていく、さらには、こういう新型コロナウイルスのような危機管理対応が求められているときは、先ほど申しましたような情報の混乱が生じる状況の中で、我々行政の情報提供の果たす役割はますます重要になってくる。 先ほど、カミュの「ペスト」の話を申し上げましたが、ペストにしても天然痘にしてもスペイン風邪にしても、感染症の歴史はあるわけですが、今回最も大きく違うのは、インフォデミックと言われるような情報が大量に急速に拡散する状況の中での対応が迫られているというところであろうかと思います。 るる御指摘がありました広報戦略、これからもしっかりと対応してまいりたいと考えております。 ◆(渡辺 創議員) ありがとうございました。 もう最後にしますが、その広報戦略を描くという意味では、やっぱり「攻め」と「守り」をきちんと意識して分けることが大事かなと思います。 「守り」は、誤解を生まないというメッセージをどうやって紡ぐかということだと思いますし、あとは、積極的に1次情報にアクセスしたいという県民の思いに応えることだと思います。 あわせて、「攻め」というのは、県が実現したい目的を明確にして、その実現のためには何を残して何を捨てるのかという取捨選択の判断。かなえたいものを絞って実現するためには、ぼやけないというための工夫をどうするかということも大事じゃないかなと思います。十分に広報戦略が生きて、県民に県政情報が届くというのは、県民の県政に対する満足に必ず直結することだと思います。おまけのような話ではなくて、ここがないと成り立たないということだと思いますので、ぜひそういう意識で考えていただきたいと思っております。 続けて、外部人材の登用についてお伺いいたします。 県は、中央省庁との人事交流を行っていますが、その目的と現状を、総務部長にお伺いします。 ◎総務部長(吉村久人君) 行政ニーズの多様化・複雑化が進む中、多岐にわたる県政の重要課題に的確に対応し、県民本位の県政を推進していくため、行財政運営について、豊富な知識と経験を有する人材を県庁内外から幅広く求めるとの考え方から、中央省庁との人事交流を行っているところであります。 本年4月1日現在で、11名の職員について国から派遣を受けているところであります。 ◆(渡辺 創議員) 間もなく本省に戻られる鎌原副知事にもお伺いしたいと思います。 まず、これまでの貢献に心から敬意を表します。 副知事を筆頭に、この議場にも、渡辺福祉保健部長や財政課長もいらっしゃいますが、国家公務員にとって、自治体での勤務経験がどのように生かされるのか、御自身の感想も含めてお伺いできればと思います。 ◎副知事(鎌原宜文君) 私自身、今回の宮崎県庁が初めての地方自治体での勤務となりましたが、この3年余りの間、高速道路網の整備や国土強靱化対策はもとより、少子高齢・人口減少問題への対応や、観光・スポーツを通じた魅力発信など、本県が抱える行政課題に真正面から向き合い、また、地方自治体の立場から国との交渉や連携に携わるという大変貴重な経験を積むことができました。 国家公務員におきましては、省庁別に所管が分かれており、また、全国や業界団体といった単位で課題を捉えることになります。つまり、本県で行っているような総合行政というものはなかなか経験する機会がございませんし、どうしても現場から離れたところで仕事をしているという実態がございます。そうした中で、地方自治体での勤務経験があることで、所管分野のみにとらわれない、より幅広い視野からの、また、地域住民の目線に立った細やかな施策の立案が可能になるものと考えております。 さらに今回、私自身も地方自治体の立場に身を置いたことで、国の仕事の進め方、特に国が地方自治体との連携を進める中では、事前の情報提供ですとか、自治体の執行体制への配慮など、より地方自治体の立場に立った対応がもっともっと必要であるということも痛感いたしましたので、今後、国に復帰してからの職務において、しっかりと生かしていきたいと考えております。 ◆(渡辺 創議員) どうもありがとうございました。どうぞこれからも御活躍を期待しております。 さて、外部からの人材登用という意味では、中央省庁以外にも、民間という発想もあると思いますが、知事部局における考え方と実績を、総務部長にお願いします。 ◎総務部長(吉村久人君) 知事部局におきましては、外部からの人材登用の手法の一つといたしまして、平成15年度に任期付採用制度を導入したところであります。 この制度につきましては、公務の効率的運営を確保することを目的として、専門的な知識・経験を必要とする業務について、当該知識・経験を有する人材を、任期を定めて外部から登用するものであり、これまで、情報システムの最適化業務に4名、工業技術センターにおける技術指導業務に5名の任期付職員を採用しております。 このほか、木材利用技術センターの研究部門や危機管理対策など、特定の行政分野において、高度な専門性や優れた識見を有する人材を外部から登用しているところであります。 ◆(渡辺 創議員) 県の守備範囲というのも、時代の変化に伴って大きく拡大していっていると思います。公務員の皆さんによる組織の得手不得手というのもあって当然だろうと思います。 例えば、先ほど扱った広報戦略というテーマも、不得手なほうの一つなのかなという印象があります。 そうであれば、思い切って、例えば広報分野に外部人材を登用して大きな環境変化を与えるというのも、現実的な手段・手法だと思います。もちろん丸投げするのではなくて、期間を区切って中に入ってもらって、そのノウハウを周りは学びつつ、マインドを県庁の中にしっかり定着させていく。これが大事なんだというふうに思いますが、その意味では、広報分野に、先ほど答弁のあった任期付採用制度を活用して、外の知恵とノウハウと発想を有効活用してはどうかと思いますが、知事、いかがでしょうか。 ◎知事(河野俊嗣君) 広報についての一連のお尋ねで、問題意識は全く同じでありまして、広報という部門に戦略という名前で広報戦略室を立ち上げたのは平成24年でありますが、そこの室長にぜひ外部人材をというようなことを検討した経緯がありますけれども、報酬の面、それからその人のキャリア形成も考えて、なかなか具体化は難しいなというところであり、県庁の中でしっかりと研修等を積み重ねる中で対応していこうということで、これまで取り組んできたところであります。 今回のコロナウイルスの対応を振り返ってみましても、私が一番職員に指摘をしたのは広報分野であり、資料の作り方、発出するタイミング、ホームページへの掲載の仕方、ここはかなり厳しく指摘したところでありまして、対応が手いっぱいになる状況の中で、実は途中で、人事異動で人員を1人増やす対応も図ってきたところであります。今御指摘のように、やはり高度な知識・経験・ノウハウの活用というのは大変重要になってこようかと考えておりますので、御提案のありました件も含めて、様々な手法につきまして、早急に検討してまいりたいと考えております。 ◆(渡辺 創議員) 前向きな答弁だったとお思います。ありがとうございます。 県庁の発信が変わるというのを、ぜひ楽しみにしていきたいと思います。 民間人の登用というのは、知事がおっしゃるように手法はいろいろあられるだろうと思いますので、そこは柔軟でいいと思うんですが、やはり一定の権限がないと、変化を起こすということはできないと思いますので、ぜひその点は意識をいただければと思います。 次に、教育の諸問題について伺います。たくさんありますので、教育長、よろしくお願いいたします。 まず、新型コロナを受けた学校休校から、県内の学校が完全再開となり、20日余りが過ぎました。気になるのは不登校のことです。 学校再開後、出欠状況などに変化がありますでしょうか。 ◎教育長(日隈俊郎君) 学校再開後の不登校などの欠席状況について、5月末から6月初めに、県立学校及び市町村教育委員会への聞き取りを行いましたが、不登校などの欠席者が増加しているという情報は入っておりません。 ◆(渡辺 創議員) 大きな変化はないということですが、注意が必要なことは間違いありません。今後どのように見守りを続けていくつもりでしょうか。 ◎教育長(日隈俊郎君) 臨時休業に伴い自宅での生活が長期化するなど、児童生徒にとりましては例年と異なる状況が発生したことによる影響で、今後、不登校などの欠席者が増加することも想定しておく必要があると思います。 各学校においては、アンケートや教育相談を充実させたり、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーと協力したりすることで、気になる児童生徒への早めの対応を行うようにしております。 県教育委員会といたしましては、各学校で子供たちの変化を適切に把握して、組織的な対応を行うよう通知文を出すとともに、市町村教育委員会とも連携して、各学校への支援に努めているところであります。 ◆(渡辺 創議員) 次は、県立高校の受検に関してお伺いします。 文部科学省は、休校による影響を考慮し、高校入試の出題範囲について、一定の配慮をしてもいいという趣旨の通達を出しています。先日、坂本議員も、「この際、入試を見合わせてはどうか」という提案もしていらっしゃったところでありますけれども、出題範囲がどうなるのかというのが、中学3年生や保護者にとって大変気になるところとなっています。 不安を取り除くためにも、一日も早くその答えを出すべきだと思います。 例えば長崎県は、既に範囲を狭めるというような決定をしているという報道等もありますけれども、教育委員会は、できるだけ早く方針を示すべきだろうと思いますが、具体的に御説明いただければと思います。 ◎教育長(日隈俊郎君) 来春の受検生においては、休業が長期化したため、高校入試に対する不安を抱えているものと推察しております。このような不安を考慮し、入試に関するきめ細かな情報提供が必要であると認識しております。 なお、出題範囲につきましては、各中学校での授業の進み具合を、まずは7月までに把握した上で、公平性が担保できるよう検討を行いまして、秋までには示してまいりたいと考えております。 ◆(渡辺 創議員) 秋までには答えをということでしたので、お待ちしておきたいと思います。 次は、教職員確保についてお伺いします。 新型コロナを受けて、学校の密状態を解消するためにも、そして子供たちに十分なフォローをするためにも、一日も早く学級の定員を少なくすることが重要だと思います。 そのことを真剣に考えていかなければ、国も地方も新型コロナから何を学び取ろうとしているのかということになると思います。 そのことは、先日の答弁でも、知事も積極的に国への働きかけを進めていくという姿勢を示されたところです。それでは、いざ、例えば35人学級などを実現しようという流れが出てきた場合、現実的な障壁となるのは、教員の確保ができるかという問題だと思います。 こういうトレンドの中で、教員の定数が増えるとなった場合に、宮崎県では必要な教職員数を確保できるのか、そこがポイントかと思いますが、教育長、いかがでしょうか。 ◎教育長(日隈俊郎君) 現在、本県では、国の加配を活用しまして、小学校1・2年生で30人学級、中学校1年生で35人学級を導入しておりますが、さらに本年度は小学校中学年―3年生、4年生になりますけれども―において、35人学級のモデル校の検証を行っているところであります。 仮に、小学校3年生以上の学年を35人学級とした場合、約200人の教員を増やす必要がありますが、臨時的任用講師の任用状況を踏まえますと、一度に全ての教員を採用することは難しいのではないかと考えております。 したがいまして、全ての学年に少人数学級を導入する場合には、小学校3年生から順次、段階的に進めていく方向で検討していくことになるものと考えております。 ◆(渡辺 創議員) この数年間、いろんな議論をしてきましたが、まさに先生方の確保というのが今、非常に難しい状況になっているということを象徴しているかと思います。 その上で、今度は入り口のほうを確認したいと思います。昨年度、小学校では採用の競争率が1.6倍、実質は1.5倍というところまで低迷した教員採用試験ですけれども、教育委員会でも様々な努力を積み重ねてきたのかと思いますが、今年度はどのようになっているか、御答弁いただけますでしょうか。 ◎教育長(日隈俊郎君) 教員採用選考試験の志願者数についてでありますが、お話のように、ここ数年、減少傾向にありましたけれども、本年度実施の試験におきましては、昨年度に比べ67人の増加となりまして、採用倍率は昨年度の3.6倍から3.9倍に上がっております。 中でも、志望者数の減少が顕著でありました小学校の受験区分につきましては、昨年度に比べ47人の増加となりまして、採用倍率も昨年度の1.6倍から1.8倍に上がっております。 ◆(渡辺 創議員) 小学校は1.8倍ということで、底を打ったというか、下げ止まったというか、安心はできませんけれども、少しずつ持ち直しの傾向に向かいつつあるのかなというふうに、希望的な思いも含めて理解したいと思います。 ただ、根本が変わっているという状況ではないと思いますので、2月議会の一般質問でも、かなりの時間を割いて議論をしましたが、やはり養成課程でいかに枠を広げるか、または先生になりたいという学生さんの率を高めるか、もしくは、もっと早い段階でのアプローチが必要なのか、いずれにしても養成をどう考えていくのかというのが鍵かと思います。 教育委員会でも様々な取組をしているかと思いますが、その点を確認させてください。 ◎教育長(日隈俊郎君) 県教育委員会におきましては、大学生を対象とした、教員の業務を体験する活動や、教員としての実践力を身につける研修会を実施してまいりました。 また、高校生につきましては、これまでの宮崎大学や商工会議所等との協働による人財育成セミナーの実施に加え、今年度からは、教員の魅力などを伝える出前講座を新たに開設いたしました。 さらに、宮崎大学との連携の下、令和3年度実施の宮崎大学の入学試験に、宮崎県教員希望枠を設ける制度を創設したところであります。 今後も、県内の各大学や高校と連携しまして、教員確保に向けた取組の充実・強化を図ってまいります。 ◆(渡辺 創議員) 次に、学校の校則について伺います。 NHK等で、高校生のコート着用を認めないなど「ブラック校則」ではないかというような報道が、県内でもありました。 校則の問題は、全国的にも様々な話題になっていますが、合理性のない、過度に厳しい校則というのは、時代に合わないという気がするところです。教育長がどのような印象を持たれているか、また、見直しに向けた動きがありましたら、現状を教えていただきたいと思います。 ◎教育長(日隈俊郎君) 県立学校では、生徒の実態や社会の変化などを踏まえて校則を定めいますが、学校の中には、過去に定めた内容が現状にそぐわないものとなっていたり、誤解を招く表現があったりするものなど、一部改善すべき部分があったというふうには感じております。 しかしながら、校則は、状況に合わせ適宜見直しが必要でありますことから、これまでも、生徒が話し合う機会を設けたり、保護者の意見を参考にするなどして、学校の実情に即した校則になるよう検討を行ってきた学校もあります。 県教育委員会では、各学校の校則が、教育的により意義のあるものとなるよう、県立学校長協会に働きかけを行いまして、検討を進めているという回答を得ているところであります。 ◆(渡辺 創議員) 次に、学校のICT化、オンライン授業等の関係についてお伺いします。 新型コロナにより、GIGAスクール構想がさらに加速したことによって、義務教育段階での端末整備はさらに加速されて、端末の1人1台の実現は、もう目の前に来ているというふうに思います。 それでは、県立高校の端末整備の状況を確認したいと思います。 ◎教育長(日隈俊郎君) 高校生のコンピューター端末につきましては、国が示した3人に1台の水準を本県の当面の目標として、令和4年度末までに整備することとしております。 この目標に対しまして、昨年度末の段階の整備率は81%でありました。 今回の新型コロナウイルス対策のため、緊急に546台のタブレット端末を整備することにより、目標の88%まで整備が進むことになるものと考えております。 ◆(渡辺 創議員) 整備状況については、よく理解できました。 高校生に関しては、今も答弁にあったように、この間ずっと、3人に1台の端末整備という基準を国も示していますし、県もそれに準拠するというか、その考え方だけを示しているところですが、私はやはり高校においても、全員に1台ずつという目標を明確に掲げるべきではないかというふうに思います。 少なくとも、GIGAスクール構想の進展によって、義務教育段階で1人に1台の端末を持つ教育課程で過ごしてきた子たちが高校生になる段階までには、やはり1人に1台という環境をつくるべきではないかなと思っています。そうしなければ、高校がICT化の谷間みたいになってしまう可能性があると思うからです。 ただ、高校は義務教育ではありませんので、端末の整備の在り方については、全てを公費整備ということではなくて、高校生が辞書を買ったり教科書を買ったりするのと同じように、個人で端末を購入するということも含めて考えていってもいいのかなと思うところですが、その点について、教育長のお考えをお伺いします。 ◎教育長(日隈俊郎君) 国は、昨年度発表したGIGAスクール構想におきまして、高校生用端末の整備目標は3人に1台としておりますが、小中学生用の端末については1人1台を整備するとしておりますので、将来的には、高校生用端末につきましても1人1台の環境となることが望ましいと思います。 端末整備の方法につきましては、高校生の端末所有率が高い状況を背景に、国のほうでは、BYODと申しますが、個人端末の活用も選択肢の一つとして示しているところであります。 本県でも、高校生の端末所有率は同様に高まってきておりますので、個人端末の活用につきましても、種々課題はありますが、検討してまいりたいと考えております。 ◆(渡辺 創議員) 教育長の御答弁にあったように、まさに種々課題はあると思います。 ノートや鉛筆とかという世界とは違いますので、高額なものですから、高校の進学率を考えれば、それを家庭で持つことができないという環境のお子さんたちもいると思いますので、そこは合わせ技で、いろんなことが考えられる環境をつくっていただきたいと思います。 次に、県立平和台公園についてお伺いします。 県立平和台公園には、3か所に展望台があります。宮崎市を見渡せる大変眺望のいい展望台でありますが、今、3か所のうち2か所が老朽化で使用禁止となっていて、もう1か所も大分古くなって心配な状況にありますけれども、観光資源でもあるわけですから、一日も早く安全性を担保して再開させるべきではないかと考えますが、県土整備部長の見解をお伺いします。 ◎県土整備部長(明利浩久君) 平和台公園の3か所の展望台のうち2か所につきましては、設置後19年が経過し、床や階段などが老朽化しておりますことから、利用者の安全確保が困難となり、現在、使用を禁止しております。 展望台につきましては、大変眺望のよい場所であり、県民の憩いの場として広く活用されてきましたことから、その改修について、整備箇所等も含め、検討を進めているところであります。 県としましては、展望台の早期の使用再開に向け、国への要望など予算確保に努めるとともに、引き続き魅力ある公園づくりに取り組んでまいります。 ◆(渡辺 創議員) 3か所を維持できるのか、いろんな考え方があると思いますが、環境を担保するというのは大事だと思いますので、一日も早く、ぜひ前向きな検討を進めていただきたいと思います。 次に、最後のテーマとなりますが、県立図書館についてお伺いします。 県立図書館は、新型コロナの影響で2度の休館を経験したわけでありますが、再開直後に図書の貸出しとか返却が相次いで、混乱があったというような話も聞いているところでありますけれども、実際にそういう混乱があったのか否か、返却冊数等を見ればうかがえるかと思うんですが、その辺りの変化はいかがだったでしょうか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(日隈俊郎君) 県立図書館では、新型コロナウイルス感染拡大防止のため、3月5日から26日までと、4月21日から5月11日までの2つの期間において、休館措置を取りました。 休館明けの貸出し、返却の状況につきましては、3月の休館明けからの1週間の状況を見ますと、前年と比べ、ほぼ同数でありました。 同様に、5月の休館明けでは、前年と比較しますと、貸出し・返却ともに約1.6倍となっております。 ◆(渡辺 創議員) 3月の再開後は、警戒感が強かったというのがまだあるのかなと思いますが、5月はやはり業務が集中したことがうかがえます。 そこで、新型コロナへの対応という意味だけではなくて、日常的な業務負担の軽減や蔵書管理の効率化という観点からも、ICタグを活用した図書の管理方法に切り替えていく必要があるのではないかと思いますが、教育長の見解を伺います。 ◎教育長(日隈俊郎君) 県立図書館では、現在、約80万冊の蔵書等について、バーコードを使ったシステムで管理をしております。 ICタグを使ったシステムでは、複数の本のデータを同時に読み込む機能があることから、貸出しや返却などの窓口業務や蔵書管理の面で効率化が図られるというメリットがありますが、導入費用が高額であることや、耐用年数などに課題もあると考えております。 図書館では、利用者へのサービス向上を図ることは重要でありますので、今後、他の図書館からの情報収集を行うなど、ICタグの導入も含め、業務の効率化と費用対効果の面から、図書館サービスの在り方について研究してまいりたいと考えております。 ◆(渡辺 創議員) ありがとうございました。今日、広報戦略についてるる申しましたが、繰り返しになりますが、知事の思っていること、県の思っていることが的確に県民に届く、極めて大事なことだと思いますので、ぜひ改めてお願いをしたいと思います。 私の質問も終わりますし、19人の質問予定者全員の質問はこれで最後かと思いますが、ありがとうございました。(拍手) ○議長(丸山裕次郎) 以上で一般質問は終わりました。──────────────────── △議案に対する質疑 ○議長(丸山裕次郎) 次に、今回提案されました、議案第1号から第12号まで及び報告第1号、第2号の各号議案を一括議題といたします。 質疑についての発言時間は1人10分以内といたします。 質疑の通告がありますので、発言を許します。前屋敷恵美議員。 ◆(前屋敷恵美議員) 日本共産党の前屋敷でございます。 本日、追加提案されました補正予算について、若干の質疑をさせていただきたいと思います。 1つに、新型コロナウイルス感染症対応従事者等慰労金交付事業62億4,314万6,000円についてです。 同事業は、医療従事者等へ1人当たり5万円から20万円の慰労金を支給するとしておりますが、条件が幾つかに分かれております。 まず、県が役割を指定した医療機関の従事者には20万円、もしくは10万円の支給です。県が役割を指定した医療機関はどれほどあって、そこに従事する支給対象者をそれぞれどの程度見込んでおられるのか。 また、その他の一般病院・診療所などの従事者には5万円の支給です。事業者数と対象者はどの程度見込んでいるのか伺いたいと思います。 またさらに、高齢者施設や障害児施設などの従事者には20万円もしくは5万円の支給となっています。それぞれ施設数と支給対象者数をどの程度見込んでいるのか伺います。 あわせて、慰労金の申請手続はどのようになるのか、一括してお伺いしたいと思います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 慰労金につきましては、医療や介護・障害福祉サービス等に従事する職員等を対象としまして、5万円から20万円の範囲で支給することとしておりますが、対象となる施設や職員等の詳細が、まだ国から明確には示されておりません。 このような中、事業費に不足が生じないよう、十分な職員数により予算を計上したところでありまして、具体的に申し上げますと、全体として医療関係で約2,300施設、約4万人を、介護関係で約3,100事業所、約4万人を、障害福祉関係で約1,500施設、約2万人などを見込んでいるところであります。 あわせて、申請方法についてでございますが、先ほどお答えしましたとおり、国から慰労金に関する詳細な情報が届いておりませんので、具体的な申請方法はまだ決まっておりませんが、詳細が判明しましたら、速やかに支給してまいりたいと考えております。 ◆(前屋敷恵美議員) 次に、新型コロナウイルス感染症対策体制確保事業、56億465万円についてです。 院内感染防止のための設備整備や診療体制確保を支援するとあります。どのような施設や事業所を対象に、どのような施設の整備や取組を支援するのか、また、どの程度の施設・事業所数を見込んでいるのか伺いたいと思います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 現時点の国からの情報によりますと、大きく2つの事業がありまして、1つ目は、救急・周産期・小児医療機関の院内感染防止につきまして、各救急医療施設等における簡易陰圧装置や簡易ベッド、パーティションの整備など最大で66施設に対する支援を見込んでおります。 2つ目は、地域医療を担う一般の医療機関や薬局等における感染拡大防止につきまして、病院、医科・歯科の診療所、薬局、訪問看護ステーション、助産所における予約診療の拡大、レイアウト変更、情報通信機器を用いたオンライン診療の取組など、最大で約2,200施設に対する支援を見込んでおります。 ◆(前屋敷恵美議員) 最後になりますけれども、ひとり親世帯臨時特別給付金給付事業の3億1,031万円についてです。 1世帯当たり5万円の給付金の支給となっているようですが、子供の多い世帯やどの時点での世帯が対象になるかなど、その支給内容について、もう少し詳しく御説明いただきたいと思います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 支給につきましては、令和2年6月分の児童扶養手当の受給者や、公的年金の給付等により同手当を受給していない方、あるいは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変し、収入が同手当の対象となる水準に下がった方が対象となります。 こうした方々への基本的な支給額につきましては、1世帯当たり5万円であり、第2子以降につきましては、1人につき3万円が加算されることになっております。 さらに、6月分の同手当の受給者や、公的年金の給付等により同手当を受給していない方の中で、家計が急変し、収入が大きく減少しているとの申し出があった方に対しましては、1世帯当たり5万円を上乗せして支給いたします。 ◆(前屋敷恵美議員) ありがとうございました。 以上で終わります。 ○議長(丸山裕次郎) ほかに質疑の通告はありません。 以上で質疑は終わりました。──────────────────── △議案第9号から第11号まで採決 ○議長(丸山裕次郎) ここで、公安委員会委員及び収用委員会委員の任命の同意についての議案第9号から第11号までの各号議案について、お諮りいたします。 各号議案については、会議規則第39条第3項の規定により、委員会の付託を省略して直ちに審議することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(丸山裕次郎) 御異議ありませんので、そのように決定いたしました。 討論の通告はありません。 これより採決に入ります。 議案第9号から第11号の各号議案について、一括お諮りいたします。 各号議案については、同意することに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○議長(丸山裕次郎) 御異議なしと認めます。よって、各号議案は同意することに決定いたしました。──────────────────── △議案第1号から第8号まで及び第12号、報告第1号、第2号委員会付託 ○議長(丸山裕次郎) 次に、議案第1号から第8号まで及び第12号、報告第1号、第2号の各号議案は、お手元に配付の付託表のとおり、それぞれ関係の委員会に付託いたします。 明日からの日程をお知らせいたします。 明日18日から23日までは、常任委員会、特別委員会等のため、本会議を休会いたします。 次の本会議は、24日午前10時から、常任委員長の審査結果報告から採決までであります。 本日はこれで散会いたします。   午後2時13分散会...