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02月27日-02号

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  1. 宮崎県議会 2020-02-27
    02月27日-02号


    取得元: 宮崎県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-20
    令和2年 2月定例会令和2年2月27日(木曜日)  午前10時0分開議 ───────────────────  出 席 議 員(39名)    1番  日 髙 利 夫  (東諸の未来を考える会)    2番  有 岡 浩 一  (郷中の会)    3番  坂 本 康 郎  (公明党宮崎県議団)    4番  来 住 一 人  (日本共産党宮崎県議会議員団)    5番  岩 切 達 哉  (県民連合宮崎)    6番  武 田 浩 一  (宮崎県議会自由民主党)    7番  山 下   寿  (  同  )    8番  窪 薗 辰 也  (  同  )    9番  脇 谷 のりこ  (  同  )   10番  佐 藤 雅 洋  (  同  )   11番  安 田 厚 生  (  同  )   12番  内 田 理 佐  (  同  )   13番  丸 山 裕次郎  (  同  )   14番  図 師 博 規  (無所属の会 チームひむか)   15番  重 松 幸次郎  (公明党宮崎県議団)   16番  前屋敷 恵 美  (日本共産党宮崎県議会議員団)   17番  渡 辺   創  (県民連合宮崎)   18番  髙 橋   透  (  同  )   19番  中 野 一 則  (宮崎県議会自由民主党)   20番  横 田 照 夫  (  同  )   21番  濵 砂   守  (  同  )   22番  西 村   賢  (  同  )   23番  外 山   衛  (  同  )   24番  日 高 博 之  (  同  )   25番  野 﨑 幸 士  (  同  )   26番  日 髙 陽 一  (  同  )   27番  井 上 紀代子  (県民の声)   28番  河 野 哲 也  (公明党宮崎県議団)   29番  田 口 雄 二  (県民連合宮崎)   30番  満 行 潤 一  (  同  )   31番  太 田 清 海  (  同  )   32番  坂 口 博 美  (宮崎県議会自由民主党)   33番  二 見 康 之  (  同  )   34番  蓬 原 正 三  (  同  )   35番  右 松 隆 央  (  同  )   36番  星 原   透  (  同  )   37番  井 本 英 雄  (  同  )   38番  徳 重 忠 夫  (  同  )   39番  山 下 博 三  (  同  ) ─────────────────── 地方自治法第121条による出席者  知     事 河 野 俊 嗣  副  知  事   郡 司 行 敏  副  知  事   鎌 原 宜 文  総合政策 部長   渡 邊 浩 司  総 務 部 長   武 田 宗 仁  危機管理統括監   藪 田   亨  福祉保健 部長   渡 辺 善 敬  環境森林 部長   佐 野 詔 藏  商工観光労働部長  井 手 義 哉  農政水産 部長   坊 薗 正 恒  県土整備 部長   瀬戸長 秀 美  会 計 管理者   大 西 祐 二  企 業 局 長   図 師 雄 一  病 院 局 長   桑 山 秀 彦  総務部参事兼財政課長            吉 村 達 也  教  育  長   日 隈 俊 郎  警 察 本部長   阿 部 文 彦  代表監査 委員   緒 方 文 彦  人事委員会事務局長 吉 村 久 人 ─────────────────── 事務局職員出席者  事 務 局 長   片 寄 元 道  事 務 局次長   和 田 括 伸  議 事 課 長   齊 藤 安 彦  政策調査 課長   日 髙 民 子  議事課長 補佐   鬼 川 真 治  議事担当 主幹   山 口 修 三  議 事 課主査   井 尻 隆 太  議事課主任主事   三 倉 潤 也──────────────────── △代表質問 ○議長(丸山裕次郎) これより本日の会議を開きます。 本日の日程は代表質問であります。 ただいまから代表質問に入ります。 質問についての取り扱いは、お手元に配付の代表質問時間割のとおり取り運びます。〔巻末参照〕 質問の通告がありますので、順次発言を許します。まず、宮崎県議会自由民主党、蓬原正三議員。 ◆(蓬原正三議員) 〔登壇〕(拍手) おはようございます。3年ぶりにこの壇上に上がりました。質問者席に最初に座っておりましたら、最初そこから始めるのかということでございまして、自席に帰ったということでございました。多少緊張いたしております。 宮崎県議会自由民主党を代表して質問をいたします。大方針を聞き、ただすという代表質問の趣旨にのっとり、今議会は、特に、新年度予算が主たる議案となりますので、各部門の新年度の基本的な運営方針等について質問してまいります。 二見政審会長と質問部局を分担し、私は総合政策部、総務部、商工観光労働部、農政水産部、そして企業局に質問をいたします。なお、新型コロナウイルス対策につきましては、福祉保健部に一部質問いたします。 まず、知事の政治姿勢についてお尋ねいたします。 知事は、文化やスポーツに造詣の深い方だと認識しております。私が議長のときに、2年間各種会合に同席して感じたことでございました。文化やスポーツについての話が多いわけであります。 新聞に例えますと、政治・経済・文化・社会・スポーツ面のうち、総じて政治・経済面についての話は少ないように感じました。県民の多くは、文化やスポーツ面の関心もさることながら、まずは、経済、あすの「自社の経営の見通し」や「なりわい」、そして「生活」に強い関心があり、加えて経済と密接不可分の関係にある政治についても、知事の生の声を聞きたいわけであります。 そこで、以下4点ほどお尋ねをいたします。 まずは、政治面の「憲法」についてであります。 自民党は、憲法改正を党是としております。 憲法改正にはさまざまな意見があり、時には議論することさえタブー視されておりますが、憲法を知り、理解し、そのありようを議論することは、改正のいかんを問わず、大いに結構なことではないかと思われます。 先般、自民党本部は、党派を超えて議論すべきとして、たたき台を示しました。1、9条への自衛隊明記、2、緊急事態条項の新設、3、参院選の合区解消、4、教育の充実を掲げております。悩ましいのは、1の自衛隊の明記であります。自民党は、左から右までウイングの広い政党だとよく言われます。鳥に例えれば、ハトからタカまでいる大変柔軟性に富んだ政党でありますので、今後党内、特に地方においても活発な議論が進むものと思われます。 知事は、法律を専攻されたと聞いております。また、宮崎県防衛協会の会長でもございます。そこで、自衛隊を憲法に位置づけることについて、知事の御見解を伺います。 次に、経済面について2点伺います。 1点目は、景気の見通しについてであります。 内閣府が発表した2019年10月~12月期のGDP速報値は、物価変動を除く実質で1.6%減、年率換算で6.3%減になるとの報道がありました。前回消費増税時の7.4%以来の大きさであり、昨年10月の消費増税に伴う駆け込み消費の反動で個人消費が落ち込んだほか、台風19号などの自然災害が影響したとのことであります。年を越してからは暖冬があり、加えて新型コロナウイルスの影響で、20年1月~3月期もマイナス成長になるとの予測もあり、先行きが懸念をされております。 これまで、オリンピック効果もあり、景気の「気」もそれなりに持続してきた本県経済でありますが、果たしてオリンピックパラリンピック後の本県の景気はどうなるのか、県民にとって大変関心の高いところであります。そこで、東京オリンピックパラリンピック終了後の本県の景気について、どのような見通しを持っておられるのか、知事の御見解を伺います。 2点目は、長期的な産業構造についてであります。 知事は、3期目の「政策提案」集の中で、「私の政策~次の4年間で何をするのか」の地域経済に関する項で、「外貨を稼ぐ産業を育成し、地域経済循環の仕組みづくりを行う」と述べておられます。 このことは、これまで議会でも十分議論してきたことであり、異論を挟む余地はありません。あとは、具体策であります。具体的にどのような産業を育成し外貨を稼ぐのか、どのような仕組みで経済循環をよくするのかということであります。 内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局発行の「地域経済循環マップの概要」という冊子があります。県議会自民党では、昨年8月の中央研修会において、この冊子をもとに地域活性化センター理事長の椎川忍氏から御講演をいただきました。 内容を平たく言えば、地域のお金の流れを生産(付加価値額)、分配(所得)、そして支出の3段階で「見える化」することで、地域経済の全体像と各段階におけるお金の流出・流入の状況を把握し、地域の付加価値額をふやし、地域全体の好循環を実現する上で改善すべきポイントを検討できるというものであります。外貨を稼ぎ、循環をよくすることと同じ意味を持つものと考えます。 都道府県、市町村単位でマップが作成されており、地域経済循環率もそれぞれ分析されております。ちなみに、本県の地域経済循環率は88.3%であり、約12%が域外に流出していることになります。循環率向上のためには、これまでの基幹産業である農業を初めとする第1次産業に加え、第2次産業、とりわけ製造業など工業部門の振興を図り、産業構造に厚みを増すことも効果的であるとの指摘もあります。そこで、知事にお尋ねいたします。 地域経済循環率を向上させる観点から、長期的に本県の産業構造をどのようにすべきか、知事の御見解をお聞かせください。 壇上での終わりになりますが、次に、社会面・人口減少問題について伺います。 日本は、国難とまで言われるほどの人口減少社会に突入をいたしました。知事も徹底的に取り組むとして、人口減少対策を公約の一丁目一番地に掲げておられます。 興味深い文章を目にしましたので紹介します。経済学者の吉川洋氏が「人口と日本経済」と題した本の中で、西洋古代史の村川堅太郎教授の「ギリシアの衰退について」という論文を引用して、次のように述べておられます。 「衰退、滅亡というと、ローマ帝国が有名であるが、この論文は古代ギリシアの都市国家ポリスの衰退について諸説を検討した論文である。そこには、紀元前2世紀半ばに生きたポリビオスが当時のギリシアについて書き残した文章が引かれている。」ここからであります。 「現在では全ヘラス(ギリシア)にわたって子供のない者が多く、また総じて人口減少が見られる。そのため、都市は荒廃し、土地の生産も減退した。しかも我々の間で長期の戦争や疫病があったというわけでもないのである。―中略―人口減少のわけは人間が見えを張り、貪欲と怠慢に陥った結果、結婚もせず、結婚しても生まれた子供を育てようとせず、子供を裕福にして残し、また放縦に育てるために、一般にせいぜい1人か2人きり育てぬことにあり、この弊害は知らぬ間に増大したのである。」2世紀半前の言葉であります。 続けて吉川氏は、「歴史は繰り返すということか」と結んでおります。 本県の将来人口推計では、2020年の106万7,000人が、2040年には87万7,000人と20年で19万人減少します。1年当たり1万人近い減少が見込まれております。これを単純に計算するならば、100年少し先に、本県人口は「ゼロ」ということになります。 人口減少対策はまさに喫緊の課題、将来「日本の衰退・滅亡論」なる論文が執筆されることのないよう、しっかり取り組まなければならない大問題であります。 知事は、令和4年度の合計特殊出生率1.8台を公約として掲げられました。人それぞれの生きざまにもかかわることであり、特効薬はありません。そこで、人口減少対策において、合計特殊出生率の向上にどのように取り組んでいかれるのか、お考えをお聞かせください。 以上で壇上からの質問を終わり、以下の質問は質問者席で行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 おはようございます。お答えします。 まず、自衛隊の憲法への位置づけについてであります。 自衛隊は、我が国の平和と独立を守るという重要な使命を担いますとともに、大規模災害での救援活動におきましても大きな役割を担っておりまして、多くの国民の支持や信頼を得ているものと認識をしております。 私も、本県での口蹄疫や鳥インフルエンザ、さらにはさまざまな風水害の発生時などの支援を通じて、自衛隊の存在を大変頼もしく感じ、また感謝の思いで防衛協会会長として、関係諸団体と連携をしながら、その支援に努めているところであります。 憲法9条の議論につきましては、自衛隊の存在を憲法に位置づけるのか否か、あるいはどのように位置づけるかなど、多岐にわたる論点があろうかと考えております。 私としましては、平和主義の根幹たる憲法9条の理念を踏まえつつ、我が国を取り巻く安全保障環境の変化なども考慮しながら、国会や主権者たる国民の間で、幅広い視点からの十分な議論が尽くされるべきものと考えております。 次に、本県の景気の見通しについてであります。 現在、新型コロナウイルス感染の拡大が、国内経済に影響を及ぼし始めるとともに、オリンピックパラリンピック終了後には、施設整備や大会開催に伴う消費需要もなくなることから、景気の減速を心配する見方も出てきているところであります。 その一方で、本県におきましては、10月から国民文化祭と全国障害者芸術・文化祭が開催予定であります。また、2026年の国民スポーツ大会等に向けた県内各地での施設整備や、国土強靱化を初めとする国の経済対策、さらには宮崎駅西口の再開発など、活発な投資が続いておりまして、消費拡大等も期待されるところであります。 現時点で、国内において、経済活動に影響を及ぼすさまざまな要因が生じておりますことから、先を見通すことは難しい状況ではありますが、新型コロナウイルス感染症の動向も注視しつつ、本県経済が安定的に成長していけるよう、必要に応じて的確な対応を行ってまいりたいと考えております。 次に、地域経済循環率の向上についてであります。 地域経済循環率は、県内での支出額に対し、県内生産が占める割合を示すものでありまして、本県経済のあり方を考える上で、大変重要な指標であると認識をしております。 この数値を上昇させるため、本県では、これまでも豊富な農林水産物を生かし、県内で素材を加工して出荷するフードビジネスの推進や6次産業化、さらには地域中核企業の育成などにより、本県経済を支える産業づくりに取り組んできたところであります。 今後は、これまでの流れを着実に前進させるとともに、医療機器関連産業自動車関連産業を初めとする製造業、また、ICT産業の振興などにもさらに力を入れ、本県の産業構造に厚みを持たせることで、地域経済循環率の向上につなげてまいりたいと考えております。 最後に、合計特殊出生率の向上についてであります。 本県の合計特殊出生率は、全国でも2位ないし3位ということで上位にあるわけでありますが、本県の人口減少に歯どめをかけるためには、より多くの県民の皆様が、「宮崎で暮らし、働き、そして結婚して子供を産み育てたい」と望むこと、そして、その願いを実現するための支援体制や社会環境を整えることが、何よりも重要であると考えております。 このため、これまでもライフステージに応じた切れ目のない支援、働き方改革等とも連動した子育て・保育体制の充実、児童手当や医療費助成等の経済的支援など、さまざまな対策を講じているところでありますが、あわせて、これらの支援をしっかりと利用していただき、子育ての不安や負担感の軽減につなげること、さらには、子育てのすばらしさを発信していくことが重要であると考えております。 こうした観点から、令和2年度予算におきましては、人口減少対策基金も活用しながら、母子保健と児童福祉の一体的な支援体制づくりと情報発信などに新たに取り組むこととしておりまして、引き続き合計特殊出生率の向上に全力を傾けてまいりたいと考えております。以上であります。〔降壇〕 ◆(蓬原正三議員) 次に、令和2年度の当初予算について伺います。 知事は、人口減少下にあっても、地域の活力が維持されるように、「持続可能な宮崎県の土台づくり」を進めるための予算として令和2年度の当初予算を編成したとのことでありますが、総額6,127億8,800万円の予算に、知事の思いがどのように施策として反映されているのか伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 当初予算の編成に当たりましては、直面する課題に的確に対応しますとともに、将来を見据えた施策や多額の財政負担が見込まれる事業につきましても、計画的に予算計上を行ったところであります。 まず、人口減少対策につきましては、移住等をさらに後押しするために、支援金の支給などに加えまして、受け皿となる地域の生活環境の充実等を図りますとともに、国土強靱化対策には、引き続き上乗せして予算措置を行い、インフラ整備を積極的に進めてまいります。 また、ことし開催されます「国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭」や「東京オリンピックパラリンピック」を通した国内外へのPRや地域活性化に取り組みますとともに、令和8年度開催の「国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会」に要する財源を計画的に確保するために、新たな基金の設置も行うこととしております。 これらの施策に加え、防災拠点庁舎や県立宮崎病院県有スポーツ施設など、将来に向けた礎となる拠点の整備も着実に進めることによりまして、宮崎の将来を見据えた「持続可能な土台づくり」に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 予算規模を見てみますと、一般会計は対前年度比で3年連続のプラス予算となっております。さらに、国土強靱化対策として、令和2年度予算に公共事業費を220億円、平成30年度からの3年間で総額538億円、さらに今年度2月補正に157億円と、いずれも通常分に加え、上乗せして措置をされております。 社会基盤整備が他県に比べて大きくおくれている本県にとって、また、消費税引き上げ後の景気を下支えするためにも喜ばしいことだとは考えますが、一方で、国土強靱化対策に係る3年分の予算規模は、昨年の11月議会で示された国民スポーツ大会開催に要する経費に匹敵する規模となります。 そこで、公共事業費の上乗せ措置については、財政の健全性という観点から問題はないのか、総務部長に伺います。 ◎総務部長(武田宗仁君) 国土強靱化対策につきましては、国の3か年緊急対策に合わせて実施しているところであり、他県に比べ社会基盤の整備がおくれていることも踏まえ、近年頻発化・激甚化する災害への対応を早急に進める必要があります。また、消費税引き上げに伴う景気の下支えという側面もありますことから、3年総額で約695億円の公共事業費を別枠で確保することとしております。 予算総額は多額になりますが、国費の積極的な確保に努めますとともに、県負担分については、手厚い地方財政措置のある起債を可能な限り活用しますので、実質的な負担額は抑えられることから、財政の健全化は維持できるものと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 昨年示された令和2年度の予算編成方針では、国民スポーツ大会に係る経費など、多額の財政負担が見込まれる事業は、将来にわたる財政負担の平準化のため、計画的に予算計上を行うとあります。 今回、新たに国民スポーツ大会等開催基金を設置されるのも、将来を見据えた計画的な予算計上だと思われます。 県債が活用できないソフト経費の財源として、2年度に10億円、3年度にも10億円と、企業局の先人の方々が確保してこられた貴重な財源を使わせていただくことになりますが、現在20億円しかめどが立っておりません。 競技力向上や大会開催経費として、最低でも100億円程度必要になると考えられますが、今後、不足する財源をどのように確保していかれるのか、総務部長に伺います。 ◎総務部長(武田宗仁君) 「国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会」に要する経費のうち、大会運営経費競技力向上対策などのソフト事業については、起債が活用できないため、多額の一般財源が必要になりますことから、今回新たな基金を設置し、計画的に財源を確保していくこととしております。 基金設置に当たっては、2カ年にわたり、企業局電気事業会計地方振興積立金を活用させていただきますが、来年度以降は、これまで財政関係基金に積み戻しを行っておりました、決算剰余金などの一部を積み立てていくこととしております。 将来にわたり財政の健全性を損なうことがないように、今後の財政見通しも踏まえた上で、計画的に財源確保及び予算計上を行ってまいります。 ◆(蓬原正三議員) 次に、新型コロナウイルス対策について伺います。 現時点で、本県では感染者の発生はありませんが、国内各地で感染確認が相次いでおり、毎日感染者が増加している状況にあります。 2月20日には福岡市、21日には熊本市在住の方への感染も確認されました。九州で相次いで発生しており、本県でも、いつ感染者が発生してもおかしくない状況にきております。 そこで、本県で新型コロナウイルス感染症が発生した場合の対応について、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 県では、感染を疑う患者が発生した場合、保健所、医療機関、衛生環境研究所等と連携しまして、速やかに検査を行い、陽性を確認する体制を整えております。今後、県内に検査を必要とする方が増加した場合でも、必要な検査が確実に実施できるよう、国と連携をしているところであります。 また、陽性が確認された場合は、二次医療圏ごとに指定している県内7カ所の第二種感染症指定医療機関におきまして治療を行うとともに、濃厚接触者に対しては、健康観察を行い、外出自粛等を要請するなど、感染拡大の防止に取り組むこととしております。 県としましては、新型コロナウイルス感染症対策本部において、各部局内で情報共有するなど、全庁的な協力体制のもと、県民の命と健康を守ることを最優先に、国や関係機関などとも密に連携しながら、全力を挙げて取り組んでまいります。 ◆(蓬原正三議員) 万全の体制でお願いしたいと思います。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、訪日外国人観光客の中でも3割を占める中国からの観光客が大きく減少していることから、ホテルなどの宿泊施設や土産物販売店などに大きな影響が出ているとのニュースが報じられております。 また中国は、製造業における一大生産拠点でありますことから、日本から進出している企業も多く、また、中国から原材料等を輸入している企業も多いところですが、現地の工場の操業停止や物流の停滞などにより、サプライチェーンに大きな影響が生じており、日本国内でも生産活動に支障を来す事例も出ているところであります。 そこで、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、県内の商工観光分野への影響とその対応について、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 先月末から中国では海外への団体旅行が禁止となるほか、旅行マインドの低下などにより、県内のホテル・旅館においても、国内外から宿泊予約のキャンセルが出ております。 また、中国にある県内企業の生産拠点で、操業停止による生産活動への影響が出ているほか、県内においても、部品調達への影響が懸念されております。 このため県では、関係団体等と情報共有を図るとともに、「中小企業特別相談窓口」や「労働相談窓口」を設置し、企業や労働者の相談に応じているところであります。 また今般、国では、政府系金融機関による資金繰り支援などの対策を講じるとしていることから、それらの周知も図りながら、引き続き、状況の変化や影響を注視し、適切に対応してまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) ありがとうございました。 ウイルス対策は、また別な、形を変えた経済対策でもあろうかと思いますので、全庁を挙げて万全の対策でお願い申し上げたいと思います。 次に、第35回国民文化祭みやざき2020、第20回全国障害者芸術・文化祭みやざき大会について伺います。 本県で初めて開催するこの大会は、全国最大規模の文化の祭典であり、多くの参加者、観覧者が見込まれる大会であります。 私も、本年度の開催県である新潟県の閉会式に参加しましたが、新しい文化と伝統文化が見事に融合し、若者を中心とした躍動感あふれるステージに深く感動をいたしたところであります。 また、この閉会式では、新潟県の花角知事から郡司副知事へ、大会旗の引き継ぎもあり、いよいよ本県での開催を迎えるという、身の引き締まる思いも共有したところであります。 さて本県では、10月17日から12月6日までの51日間にわたり、県内各地で約150を超える文化プログラムが開催されますが、これほどの規模のイベントを実施し、成功させるためには、さまざまな関係者等との連携・協力が必要であります。 また、大会への参加を通じて、県民が地域の文化資源について再認識し、県民の文化活動がより活発化するためのまたとない機会になると考えます。 大会を契機として、その成功はもとよりでありますが、プロセスを通じて生まれるさまざまな成果を、その後の地域の発展につなげていくことが重要と考えます。 そこで、国文祭・芸文祭の成功にかける知事の思いと、大会の成果を今後どのように生かしていくのか、知事にお伺いします。 ◎知事(河野俊嗣君) まさに、東京オリンピックパラリンピックと同じ年に国文祭・芸文祭を開催できますことは、国内外に宮崎を広くアピールできる大きなチャンスであると考えておりまして、多くの方に、本県のすばらしい伝統・文化を味わっていただきたいと考えております。 また、若者から高齢者まで多くの県民の皆様にも、地域の特色にあふれたプログラムを堪能していただきまして、それぞれの地域で伝承されてきた文化を、本県の宝として再認識する大会にしたいと考えております。 国民スポーツ大会などと比べますと、認知度が低いという状況でありますが、これまで実施してきたプレイベントなどを通じて、大会の認知度が徐々に高まってきているのではないかと実感しているところであり、大会本番に向けまして、市町村を初め関係機関と一体となって、さらなる全県的な盛り上がりを図ってまいります。 そして大会終了後も、この機運を地域の連帯感の高揚や郷土愛の醸成につなげるとともに、大会を通じて構築されました関係者の連携体制の強化や、次世代の文化を担う人材の育成など、文化を起点とした魅力ある地域づくりに生かしていきたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 来年度、全国障害者芸術・文化祭が開催されますと、当然、全国から障がいのある方が多数お見えになります。特に本県においては、令和8年度には全国障害者スポーツ大会も開催されることとなっております。 そこで、観光の分野においては、これらの大会を契機として、高齢者も含め、車椅子を利用される方や、視覚・聴覚等に障がいのある方を初めとした、全ての人を受け入れる体制の整備が必要であると考えますが、県の考えについて商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 高齢者や障がい者、ベビーカーの家族連れなど、誰もが制約を感じずに気兼ねなく楽しむことができる旅行、いわゆる「ユニバーサルツーリズム」への対応を進めることは、大変重要であると考えております。 このため、県といたしましては、来年度、県観光協会内にユニバーサルツーリズムセンターを設置し、宿泊施設や観光施設のバリアフリー情報の収集や相談対応を行うとともに、観光事業者等を対象とした研修会を実施することとしております。 また、宿泊施設や公衆トイレにおけるユニバーサルデザイン化の改修等に対する支援も引き続き行うこととしており、これらの事業により、ユニバーサルツーリズムをより一層推進していくこととしております。 ◆(蓬原正三議員) 次に、外国人観光客誘致について伺います。 中国を中心とした新型コロナウイルスによる肺炎の拡大や、日韓関係の悪化などの影響で、国内における外国人観光客の誘致は非常に厳しい状況だと認識しております。 一方で、こうした状況ではありますが、今後、人口減少により国内需要が減っていくことが予想される中、観光分野においてインバウンド需要を取り込んでいくことも極めて重要であります。 ことしは、東京オリンピックパラリンピックが開催され、インバウンド需要が拡大すると思われます。大会が開催されることしの7月には、新型コロナウイルスも鎮静化することを期待しておりますが、東京オリンピックパラリンピックの開催を契機に、今後、観光客誘致にどのように取り組むのか、商工観光労働部長に伺います。
    商工観光労働部長(井手義哉君) ことしは、いよいよ東京オリンピックパラリンピックが開催され、日本が世界から注目されることが見込まれております。 県といたしましては、この機会を捉え、重点的に取り組んでまいりました韓国・台湾・香港等に加え、ASEANなどの新規市場に対して、新たにデジタルプロモーションの手法等も活用しながら、誘客に取り組むこととしております。 また、欧米豪については、九州観光推進機構が現地にセールス拠点を設置するなど、事業の強化を図りますことから、連携して本県への誘客に取り組んでまいります。 大変心配されております新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、国内外の状況を注視してまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 次に、産業人財の育成・確保について伺います。 知事は、就任以来、「県づくりは人づくり」「人は財産」という信念に基づいて、「人財づくり」を基本政策の柱に掲げ、さまざまな施策に取り組んでこられました。 このことについては十分理解し、また、評価するところでありますが、県内の人口流出に歯どめがかからない中、重要課題の一つである本県の産業振興をさらに進めていくためには―要は人材、「企業は人なり」と申します―高校生・大学生等の若者の育成や地元定着に一層力を入れていく必要があるのではないかと考えます。 そこで、将来の本県産業を担う人材の育成・確保について、今後どのように取り組んでいくのか、知事の考えを伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 産業人財の育成・確保につきましては、これまで、産学金労官で構成します「産業人財育成プラットホーム」を基盤としまして、キャリア教育の推進や企業説明会の開催など、さまざまな取り組みを展開してきているところであります。高卒者の県内就職率の上昇といった成果も、徐々に出始めているところであります。 しかしながら、県内産業における人材不足の状況や、今後の労働力の見通しは依然として厳しいことから、未来の宮崎をつくり支える人材を県内で育て、定着していく取り組みを、一層強化する必要があると考えております。 このため、私自身も大学や産業界等のトップの方々と直接議論をしながら検討を重ねてきたところでありまして、その結果、来年度から、宮崎大学の中に人材育成を担う新たな組織を県と大学とが連携して立ち上げることとしております。ここに産業人財育成プラットホームの機能も統合することによりまして、関係機関の力を結集し、一体的に推進できる体制を構築したいと考えているところであります。 今後は、この組織を中心として、産業界のニーズを踏まえた新たな取り組みを積極的に展開し、大学生を初めとする本県の次代を担う人材が育ち、若者に選ばれる地域づくりに、全力で取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 全国の完全失業率は12月末現在で2.2%、有効求人倍率は1.57倍となっております。 本県の有効求人倍率は1.37倍と、前月より0.04ポイント低下しておりますが、54カ月連続で1倍台を維持しております。また、正社員有効求人倍率は1.1倍であり、宮崎労働局が統計を取り始めた平成16年11月以降で最高となるなど、雇用・失業情勢は着実に改善が進んでおります。 一方で、これまで人手不足が言われてきた「介護・福祉」「建設」などの分野に限らず、全産業分野に人手不足が及びつつあり、企業活動への影響が憂慮されているところであります。 県内企業における人材確保について、県ではさまざまな取り組みがなされており、徐々にではありますが、県内就職率が改善傾向にあるものの、依然として、多くの若者が就職や進学で県外に流出しております。 そこで、若者の県内就職促進に向けた県の取り組みについて、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 若者の県内就職を促進するためには、県内企業の魅力や、宮崎で生き生きと働く先輩たちの姿をしっかりと伝える必要があると考えております。 このため、高校生に対しましては、教育委員会と連携し、学年ごとに企業ガイダンス等を開催するほか、県内で活躍する社会人を紹介する冊子を新たに作成し、配布することとしております。 また、大学生等に対しましては、インターンシップや就職説明会を通じて、県内企業の魅力に直接触れる機会を提供するとともに、ひなた暮らしUIJターンセンターや県外大学等を訪問するコーディネーターの活動などを通じて、UIJターンの促進にも努めております。 今後とも、さまざまな取り組みを通じて、若者の県内就職を促進してまいります。 ◆(蓬原正三議員) 高校生など若者の県内就職を進めることはもちろんでありますが、本格的な人口減少時代を迎え、若者の雇用拡大だけでは産業界からの人材確保に対する要請に応え切れないことは明らかで、だからこそ、働く意欲のある女性や高齢者、さらには外国人材をどう活用するのかという視点も非常に重要であると考えます。 そこで、女性などの多様な人材の活躍に向けた県の取り組みについて、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 労働力人口の減少が見込まれ、人材の確保が喫緊の課題となる中、若者の県内就職促進に加え、女性や高齢者、障がい者、外国人など、多様な人材の就業を促進することは大変重要であります。 このため、県におきましては、来年度から「女性・高齢者就業支援事業」において、就業を希望する女性や高齢者のための相談窓口の設置や、総合情報サイトの構築などに取り組むほか、「外国人雇用・就職支援事業」において、外国人雇用を希望する企業の個別相談対応や留学生とのマッチング支援等に取り組むこととしております。 県としましては、労働局や関係団体との連携を図りながら、多様な人材が活躍できる社会づくりを進めてまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 一方で、一旦雇用した貴重な人材が働き続きることも、大変重要な視点であります。 せっかく採用した人材が職場を去ることは、企業にとって大きな損失になります。本県における新規学卒者の3年以内の離職率は、高校卒業者で41.2%、大学卒業者で36.9%と、いずれも全国平均と比べ高い状況にございます。近年、就職先を決めるポイントとして、土日が休める、休暇がとれるといった福利厚生面での待遇が挙げられるようになってきており、県内企業の対応が求められております。 国においては、働き方改革関連法により、働く人がそれぞれの事情に応じた多様な働き方を選択できる社会の実現を目指しておりますが、県内企業の働き方改革促進に向けた取り組みについて、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 働き方改革関連法は、昨年4月から順次施行されておりますが、ことし4月からは、時間外労働の上限規制が中小企業にも適用されるほか、同一企業内における正社員と非正規社員との間の不合理な待遇差の禁止、いわゆる同一労働同一賃金についても順次施行されることとなっております。県としましては、労働局と連携し、県庁ホームページや広報紙等での周知を図っております。 また県では、働き方改革に関する講演会の開催や、ワーク・ライフ・バランスに係る認証制度の運用などにより、企業での働きやすい環境づくりの普及定着を進めているところであります。 今後とも、誰もが安心して働き続けることができる環境整備の促進に、取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 続いて、事業承継対策について伺います。 民間調査会社の昨年の調査によりますと、県内の中小企業で後継者が決まっていない「後継者不在率」は、50.1%でありました。 後継者が決まらないまま経営者の高齢化が進めば、事業が黒字でも廃業を選択する企業はふえると思われ、地域活力の維持が困難になるのではと、憂慮いたします。 中には、後継者候補がいても、会社の債務に対する個人保証を後継者が引き継ぐという融資慣行が負担となり、承継の妨げとなっているケースもあると聞いております。 そのため、国としてもその対策も講じるとしておりますが、喫緊の課題である事業承継を円滑に進めるため、今後どのように取り組んでいくのか、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 御指摘のとおり、会社の債務に対する経営者個人の保証が、事業承継の阻害要因の一つとなっており、このため国は、来年度から、個人保証を必要としない、新たな信用保証制度を創設することとしております。 県では、この制度の利用促進を図るため、県中小企業融資制度に、さらに保証料率を引き下げた「事業承継特別対策」メニューを設けることとしております。 また、事業承継ネットワーク事務局に、既往の借入金に対する個人保証について、解除に向けた支援を行うコーディネーターを配置することとしております。 これらの取り組みにより、引き続き、円滑な事業承継の推進に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 次に、交通・物流ネットワークの構築について伺います。 東九州自動車道については、昨年末に、清武南―日南北郷間が令和4年度中に供用開始されることが発表され、細島港についても16号岸壁の整備に着手されることとなりました。 また、宮崎カーフェリーの新船建造や油津港のファーストポート化、台北線や関空線の増便など、陸・海・空それぞれに動きが活発化しております。 その一方で、人口減少が進む中で、路線バスや地域鉄道などの地域公共交通の利用は減少傾向にあり、加えてバス運転士の不足の問題もあり、過疎化や高齢化が進行している地域では、日常生活に必要な移動手段の確保も難しい状況になりつつあります。 また、物流においては、大消費地から遠方にあり、地理的に不利な条件にある本県にとって、農畜産物を初めとする県産品を大消費地に輸送し、「外貨」を獲得し続けることが何より重要であり、そのためには、物流を維持・充実していくことが大変重要でありますが、トラックドライバー不足や長時間労働の規制など、新たな課題が出てきております。 さらに、ICTやAIなどの技術革新等により、社会・経済は今後大きく変わっていくことが予想され、こうした変化に本県の交通・物流も的確に対応していく必要があると思います。 そこで、今年度検討を進めてきた交通・物流ネットワーク戦略において、どのようなことに重点的に取り組んでいかれるのか、知事の考えを伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 新たな交通・物流ネットワーク戦略におきましては、さまざまな環境の変化等に対応するため、交通、物流それぞれに関して優先的に取り組むべき課題を設定し、その対策に重点的に取り組むこととしております。 まず、交通に関しましては、人口減少により、地域公共交通の維持が困難化していることを踏まえまして、MaaSなど新モビリティーサービスの活用等により、持続可能な地域交通網の構築を図ることとしております。 また、物流に関しては、人手不足により、県産品の長距離輸送が困難化していることを踏まえ、トラックドライバーの労働環境改善やパレット活用による省力化、大都市圏からの下り荷の確保等により、長距離輸送ネットワークの維持を図ることとしております。 本県経済の持続的な発展のためには、陸・海・空の総合的な交通・物流ネットワークの維持・充実が不可欠でありますので、引き続き、国や市町村、関係団体等と連携を図りながら、しっかりと取り組んでまいります。 ◆(蓬原正三議員) 次に、地域交通ネットワークの構築について伺います。 交通・物流のネットワークは、県民生活や地域を支える需要なインフラであります。さまざまな交通手段を利用して人の往来が盛んになれば、地域が活気づくことにつながります。地域に暮らす高齢者の方々も、通院や買い物はもちろんのこと、お子さんやお孫さんの顔を見に、同じ趣味を持つお友達に会うために、文化活動やスポーツを楽しむためにと、御自分の意思であちこちに出かけてこその、地域の元気であります。 その移動に必要な交通手段については、中山間地域を多く抱え、大都市のように公共交通機関が発達していない本県では、どうしても自動車の役割が欠かせません。 しかしながら、近年、みずから自動車を運転する高齢ドライバーによる交通事故のニュースを聞く機会が多くなっているのは、大変気になるところであります。 そこで、高齢者の安全運転対策をどのように進めようとしておられるのか、総合政策部長に伺います。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 高齢ドライバーによる交通事故を減らすために、本県ではこれまで、高齢者マークの普及啓発を初め、抜本的な対策として、免許返納の呼びかけなどを行ってきております。 また、新たに今年度からは、「制限運転」と呼んでおりますけれども、高齢者自身が、体調や運転能力を踏まえまして、運転しない時間帯や地域等のルールをみずから決める運転、そういった普及にも着手しておりまして、現在、宮崎市を初め2市3町で取り組みが始まっております。 今後、この「制限運転」を全県に広げるとともに、これまでの取り組みにもさらに力を入れ、自動ブレーキを備えたいわゆる「サポカー」の購入助成などの、国が新たに開始した対策と合わせて、関係機関・団体と連携を図りながら、高齢ドライバーの事故防止に、全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 運転寿命が延びた高齢者にも、いずれ免許を返納せざるを得なくなる時期はやってまいります。 また、免許返納した高齢者に限らず、住みなれた地域で暮らし続けていくために、移動手段としての地域公共交通は、道路のような社会インフラと同様、不可欠なものであります。 そして、地域内や地域間を結ぶ県内全体の交通ネットワークの維持・確保に当たっては、交通事業者や市町村、そして県の3者が一体となってしっかりと取り組んでいく必要があると考えます。 地域で安心して暮らしていくためには、移動手段をしっかりと確保していく必要があると考えますが、今後、県は具体的にどのような取り組みを進めていくのか、総合政策部長にお伺いします。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 人口減少や少子高齢化が今後も進行していく中にありまして、地域交通ネットワークを持続可能なものにするためには、市町村や交通事業者とも一緒になって取り組んでいく必要があります。 このため県では、来年度の新規事業で、地域間を結ぶバス路線の運行に対する支援の強化や、制限運転を宣誓された方への支援等を通して、路線バスの利用促進と路線の維持・確保を図ることとしております。 また、複数の交通手段の予約や決済を一括で行えるMaaSなどの新モビリティーサービスの導入や、スクールバス等の効率的な活用、バスの運行情報を利用者にわかりやすく届けるためのバスロケーションシステムの導入支援などによって、コミュニティバス等を含めた県内全体の交通ネットワークの利便性向上や最適化を図ることとしております。 これらの取り組みによって、安心して地域で暮らすことのできる持続可能な地域交通ネットワークを構築してまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 次に、移住・UIJターンの促進について伺います。 全国で人口減少が大きな問題となる中、本県の中山間地域の人口も、昭和55年から減少傾向にあり、将来推計においても、平成27年の40万6,000人に対し、令和27年には24万3,000人と、約4割の人口減少が見込まれております。 こうした人口減少の結果、中山間地域においては、高齢者のセーフティーネットや地域の伝統文化の継承、国土の保全や水源の涵養等の機能維持など、さまざまな課題が起きているのが現状であります。 2014年の「日本創成会議」の発表では、2040年には全国で896の市町村が消滅する可能性があるとされております。「消滅可能性都市」という言葉の持つセンセーショナルな響きもあって、大きくマスコミでも取り上げられたわけでありますが、こうした現状を踏まえつつも、手をこまねいているのではなく、課題に前向きに取り組み、根本原因の人口減少をどうやったら食いとめることができるのか、その行動を起こすことが何より大切ではないかと考えます。 例えば、移住・UIJターンをいかにふやしていくかということであります。 昨年、人口より牛が多いと言われる沖縄県の黒島を視察に参りました。移住者が大変多くおりました。実情をよく聞いてみますと、親であったり本人が黒島出身であったり、いわゆるUターン、ゆかりの人が多く、また、Iターンの女性もおりました。 また、畜産農家が多いわけでありますが、行政が移住者の就農をしっかりサポートしており、なりわいの大切さということも印象に残ったところであります。 豊かな自然の中で、人と人が密につながりながら、牛を飼い、子育てをするという具体的な島暮らしのイメージを持つことで、失礼ながら、生活の便がよいとは言えない地域であっても、多くの方が移住にチャレンジしておりました。 この沖縄の黒島の例にありますように、ターゲットを絞りつつ、本県ならではの魅力や特性をPRしていくことが、移住者の獲得につながるのではないかと思います。 そこで、本県の特性を生かした移住・UIJターンの促進と効果的な情報発信について、どのように取り組んでいくのか、総合政策部長に伺います。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 県では、東京・大阪・福岡・宮崎に設置しておりますUIJターンセンターにおける相談対応や、市町村、関係団体と連携したイベント等の実施によりまして、地域の魅力や暮らし、仕事等の情報を提供し、移住・UIJターンの促進に努めているところであります。 また今年度は、本県の特性をターゲットを絞って効果的に発信するため、本県出身者が多数参加する「ひなたフォーラム」を東京で初めて開催するとともに、サーフィン愛好者が多数来県されましたワールドサーフィンゲームスにおきまして、移住のPRを実施したところであります。 今後は、特に人口減少の進む中山間地域の市町村への移住を促進するため、移住関係の専門誌と連携して、温暖な気候を生かした農林漁業や、豊かな自然の中で楽しめるアウトドアスポーツなど、それぞれの市町村が持つ魅力を磨き上げるとともに、情報をターゲットにしっかりと届けられるよう、PR手法の向上に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 次に、中山間地域の産業振興について伺います。 先ほども述べましたが、人口減少を食いとめるためには、地域で暮らしていくための「なりわい」が必要であります。「なりわい」がないと、Uターンしようにもできないわけであります。 そこで、中山間地域の産業振興ということについて、県としてどのように取り組んでいかれるのか、総合政策部長に伺います。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 中山間地域におきましては、県の平均よりも早く進む少子高齢化の中で、農林水産業を初め、さまざまな産業の担い手不足がより顕著になっておりまして、やむを得ず廃業するケースの増加が予想されるなど、担い手対策の重要性は高まってきております。 このため、昨年6月に改定しました中山間地域振興計画におきましては、計画の柱の一つとして「なりわい」を位置づけまして、担い手の確保策を初め、中山間地域の産業振興に取り組んでいくこととしております。 具体的には、就農トレーニング施設との連携や林業大学校での研修等による担い手の確保、集落ぐるみで農業に取り組む組織の育成やICTなどの先端技術を活用したスマート農業の展開など、時代に合った経営形態の創出や、地域資源を生かした6次産業化など稼ぐ力の向上にも取り組むこととしております。 今後とも、関係部局や市町村などと連携しながら、中山間地域の産業振興を図ってまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 次に、情報化推進について伺います。 近年、AIやIoTを初めとした情報通信技術が急速に進歩してきており、こういった技術革新を背景に、先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り込んで、さまざまな課題を解決する社会である「Society5.0」が、我が国の目指すべき未来の姿として提唱されているところであります。 このような中、国においては、昨年6月、IT新戦略を閣議決定し、「全ての国民が安全で安心な暮らしや豊かさを実感できるデジタル社会の実現」に向けて、政府全体で取り組まれているところであります。 このIT新戦略によりますと、今後、IoTを活用した生産工程の高度な管理や、自動運転の実用化等による移動弱者の解消、ICT教育の充実、遠隔診療、また、次世代の情報インフラとなる5Gの整備など、さまざまな分野でこれまでにない技術革新が次々に実現されると言われております。 人口減少の進む本県のような地方にとって、こうした先端技術を上手に活用していくことは、産業や経済の活性化を図るとともに、利便性の向上や、労働力不足への対応を初めとした社会的な課題を解決する上で重要ではないかと考えております。 本県においても、スマート農業など一部の分野では取り組みが進んでいるところでありますが、多くの県民が「豊かさ」を享受できる社会とするためには、さまざまな分野と積極的に連携し、先端技術の利活用を全県的に進めていくべきだと思いますが、知事の考えを伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 人口減少が進む中、本県の産業や地域社会の活力を維持し、県民が豊かさを享受するためには、その時々の先端技術を活用しまして、生産力の向上や省力化、利便性向上につながる取り組みを、さまざまな分野において進めていくことが大変重要であると考えております。 このため、今、スマート農業についての御指摘がありましたが、農林水産業や商工業、建設業等での取り組みを進めているところでありまして、来年度からは、MaaSなどの新モビリティーサービスやローカル5Gなど、新しい技術の導入・活用にも積極的に取り組むこととしております。 また、こうした取り組みを全県的に進めるため、各地域のニーズを踏まえた上で、AIやIoT、ビッグデータ、ロボット技術などのさらなる利活用を促進すべく、既存の計画を改定するとともに、推進体制の整備を行うこととしております。 今後とも、市町村や大学、企業等と幅広く連携しながら、先端技術を一層活用して、産業や経済の活性化を図り、安心して暮らし続けることができる宮崎県の土台づくりに取り組んでまいります。 ◆(蓬原正三議員) 国のIT新戦略では、将来にわたって全ての国民が不安なくデジタル化の恩恵を享受できるための基盤づくりとして、超高速・超低遅延、多数同時接続といった特徴を持つ5G等によるインフラの再構築を掲げております。 携帯電話事業者が全国展開を計画している5Gは、来月以降、商用サービスが始まる予定となっており、国は、来年春ごろまでの全都道府県でのサービスの開始や、都市部、地方部を問わずニーズのある場所への普及といった整備方針を示しております。 また、昨年12月には、企業や自治体などが主体となり、5Gの技術を使って、みずからの建物内や敷地内といった特定のエリアで構築する超高速の無線ネットワーク、いわゆるローカル5Gが制度化されたところであります。 このローカル5Gは、地域版5Gとも言われており、携帯電話事業者の5G整備を待つことなく、企業や自治体等が柔軟に構築できることから、地域の活性化やさまざまな課題への解決への活用が期待されております。 しかしながら、これまでの携帯電話エリアなどの整備状況から見ると、採算性などから都市部での整備が先に進み、地方での整備がおくれるのではないかと心配をしております。 そこで、5Gなど新たな情報通信基盤の整備促進に、県としてどのように取り組んでいかれるのか、総合政策部長に伺います。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 5Gやローカル5Gは、農林水産業や商工業、交通、教育など、幅広い分野での活用が見込まれる次世代の情報通信基盤であり、人口減少が進む本県のような地方にこそ、早期に整備が進むことが必要であると考えております。 このため、5Gにつきましては、これまで他県とも連携した要望活動を行ってきたところでありますが、今後は、具体的な活用策の提案も含め、国や携帯電話事業者に対する働きかけを強化していくこととしております。 特に、ローカル5Gにつきましては、全国に先駆けて中山間地域に導入し、担い手不足や地域の活力低下など、さまざまな課題の解決に活用していく新規事業を、今議会に提案させていただいているところであります。 5G、そしてローカル5Gは、地方創生を推進していく上で重要なインフラでありますことから、市町村や大学、企業などとも連携し、その利活用の促進に向けて、積極的に取り組みを進めてまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) えてして他県よりおくれがちな本県にとって、先駆けてローカル5Gをやるという、そのことを評価しておきたいと思います。 次に、国民スポーツ大会について伺います。 令和8年の本県での国民スポーツ大会の開催まで、あと6年となりました。現在、競技会場となる会場地の選定が進められておりますが、競技会場となった施設についても、今後、改修等が必要となることも考えられます。また、大会運営に必要な競技役員の養成や、競技会場までの交通アクセスなど、大会の成功に向けて、多岐にわたるさまざまな準備が必要になると考えます。 開催まであと6年といいましても、その前年の令和7年にはリハーサル大会を実施する必要がありますので、もう既に、準備を加速すべき段階に入っているのではないかと受けとめます。そこで、大会開催に向けた準備状況について、総合政策部長に伺います。 ◎総合政策部長(渡邊浩司君) 国民スポーツ大会の開催に向けましては、現在、県準備委員会で決定した開催準備総合計画に基づき、会場の選定や競技役員等の養成のほか、県有スポーツ施設の整備などの準備を進めております。 また、先般は、大会の愛称として「日本のひなた宮崎国スポ・障スポ」、そしてスローガンとして「紡ぐ感動 神話となれ」を決定したところであります。 今後は、この愛称とスローガンを、ポスターなどの広報媒体で幅広く活用しながら、大会の周知や開催機運の醸成に積極的に取り組みますとともに、競技会の運営や大会式典の企画、選手・役員等の宿泊、輸送・交通手段の確保など、さまざまな検討・準備を進めていくこととしております。 引き続き、市町村を初め、関係機関・団体とも十分に連携を図りながら、大会開催に向けて、官民一体となって、必要な準備を着実に進めてまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 50年に一度の大規模な大会を開催するわけでありますから、さまざまな取り組みを総合的に、総力を挙げて進めていく必要があると考えます。 大会を成功させることは当然でありますが、肝心なことは、大会の開催を契機として、宮崎県がいかに発展していくのかということであります。 そこで、国民スポーツ大会の開催を、本県の将来にどのようにつなげていかれようとしているのか、知事に伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 国民スポーツ大会は、全国から選手・役員を初め多くの方々が来県される国内最大のスポーツの祭典であります。全県的な開催準備や施設整備などのさまざまな対応が必要となりますが、スポーツランドみやざきを掲げる本県としましては、さらなる発展に向けた絶好の機会であると認識をしております。 まず、大会に向けて新たに整備するスポーツ施設等を中心に、スポーツランドみやざきの新たな拠点づくりを進めますとともに、競技力向上に向けた取り組み等によりまして、県内の競技スポーツの推進を図ってまいりたいと考えております。 また、各種競技会や合宿等の誘致を図り、スポーツによる誘客や観光など、全県的な地域振興にもつなげてまいります。 また、大会の準備や開催を通して、県民のスポーツに親しむ機運を高めるとともに、人生100年時代を迎える中で、県民の健康づくり、生きがいづくりの契機とするなど、全国をリードするような、スポーツを活用した県づくりを進めてまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 次に、県職員の働き方改革についてお伺いします。 我が国は人口減少社会を迎えており、あらゆる産業で人材不足が問題となる中で、公務における人材確保もまた同様であります。 このような中で、現在、国を挙げて働き方改革が進められておりますが、県庁における働き方改革は、勤務環境の改善とともに、限られた職員と財源の中で、公務の生産性を高め、人材を確保し、県民サービスの向上を図る上でも、大変意義のあるものと考えます。 現在、知事を先頭に、平成30年度からの3年間を重点的推進期間として働き方改革に取り組んでおられますが、改革が丸2年を迎える中で、県職員の働き方改革について、現在の取り組み状況と、今後どのように取り組んでいかれるのか、総務部長に伺います。 ◎総務部長(武田宗仁君) 知事部局における働き方改革につきましては、公務能率の向上や長時間勤務の是正などを図るため、平成30年3月に策定いたしました働き方改革の方針、「かえるスイッチ!プロジェクト2018」に基づき、共通事務の一元化やテレビ会議システムの利用拡大、さらには、RPAやAI等の最先端のICTを活用した業務の効率化を推進しますとともに、県民サービスの向上にも努めているところであります。 また、夏季の朝型勤務の期間拡大やサテライトオフィスの利用促進、年次休暇の取得促進など、職員が働きやすい職場環境の整備を図ることによりまして、県庁の魅力向上による人材確保にも努めているところであります。 今後とも、庁内の働き方改革推進会議を中心としました推進体制のもとで、職員一人一人の意識改革を図りながら、さらなる業務の効率化と県民サービスの向上にしっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 次に、内部統制制度についてお伺いします。 限られた職員と財源の中で、県民サービスの向上を図るためには、先ほど「働き方改革」で述べましたように、県庁の業務の生産性を高め、効率的で効果的な行政運営を行う必要がありますが、その一方で、効率化を急ぐ余り、事務処理の誤りやおくれなど、県民の信頼を損ねかねない事例の発生を防ぐため、適正な事務の執行を確保する体制づくりも非常に重要なことだと考えます。 県では、これまでも法令や規定等にのっとった適正な事務が行われてきたものと理解しておりますが、今般、地方自治法が改正され、都道府県と政令指定都市に、新たに「内部統制制度」の導入が義務化されたところであります。 そこで、令和2年4月から施行される内部統制制度について、どのように取り組まれるのか、総務部長に伺います。 ◎総務部長(武田宗仁君) 内部統制制度は、重大な不祥事を未然に防止するためのリスクへの対応策を準備し、その運用状況等を評価するもので、県では、昨年3月に決定いたしました「内部統制に関する方針」に基づきまして、庁内の内部統制推進会議を設置しますとともに、現在、リスク対応策の検討や職員への周知、課題抽出のための試行を行っているところであります。 制度が始まります令和2年度からは、毎年度、各所属でリスク対応策に基づいた適正な事務の執行と自己点検を行い、その点検結果を踏まえまして、翌年度に内部統制評価報告書を作成し、監査委員の意見を付して、県議会に報告することとしております。 県としましては、内部統制制度の円滑な導入と効果的な運用を図ることにより、事務の適正な執行を確保し、より県民に信頼される行政運営に努めてまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 次に、防災・減災対策について伺います。 平成23年3月に発生した東日本大震災は、今でも当時の映像が脳裏に焼きついており、大変な衝撃を受けたことが思い出されます。 そして、この大災害を踏まえて国は、歴史上たびたびマグニチュード8クラスの地震が発生している南海トラフ沿いにおいても想定外をなくすために、科学的に考えられる最大クラスの地震予測、いわゆる「南海トラフ巨大地震」の想定を発表されました。 県は、この国の想定を受けて、平成25年に県としての「南海トラフ巨大地震」の想定を行い、建物被害が最大で8万9,000棟、人的被害である死者数が最大で3万5,000人と公表しております。 こうした中で、国では「南海トラフ巨大地震」の想定後も、南海トラフ地震の30年以内の発生確率が「70から80%」であるとしている中で、最近では、「30年以内に3メートル・5メートル・10メートル以上の津波が26%以上の確率で発生する地点」などの情報を発表されており、あたかも南海トラフ地震の発生確率が低下したような印象を与えかねないものでありました。 このように、国からさまざまな情報が発表されることは、ありがたいことではありますが、その意味をしっかり理解しなければ、いたずらに混乱を招く可能性があり、まさに「正しく恐れる」ことの重要性が問われるものだと強く感じます。 そこで、南海トラフ地震の想定が公表されて以来、国からさまざまな情報が発表されておりますが、改めて南海トラフ地震をどのように理解すればよいのか、また、対策の基本的な考え方は何か、危機管理統括監に伺います。 ◎危機管理統括監(藪田亨君) 南海トラフ地震は、駿河湾から日向灘までの南海トラフと呼ばれる区域で発生するマグニチュード8から9の地震で、30年以内の発生確率が70%から80%となっております。 このうち、南海トラフ全域で連動して発生する最大クラスの地震を南海トラフ巨大地震と呼び、1,000年に一度、あるいはそれよりも低い発生頻度と言われております。 このような中、本県では、想定外をなくす観点から、被害想定においては、この最大クラスの地震・津波を想定し、「新・宮崎県地震減災計画」におきまして、地震に対しては建物の耐震化の推進、津波に対しては住民の早期避難の推進による被害の軽減を対策の大きな柱としております。 今後とも、県民に対し正しい情報の周知に努めるとともに、引き続き最悪の事態を想定し、ソフトとハードの総合的な防災・減災対策に取り組んでまいります。 ◆(蓬原正三議員) 続いて、住民の避難について伺います。 近年、平成29年の九州北部豪雨、平成30年の西日本豪雨、北海道胆振東部地震、昨年の台風第19号など全国各地で大規模災害に見舞われ、多数の死者・行方不明者が生じるなど甚大な被害が発生しております。 自然災害の中でも、台風や大雨などによる風水害については、災害の発生する前に、国や県、市町村からの防災気象情報や避難情報などの発表・発令により、あらかじめ対応が可能であります。 しかし、実際には避難情報が発令されても避難する人の割合は少ないとの報道をよく見聞きしており、県民がその情報を正しく理解し、適切な避難行動をとることが重要であり、このことが人的被害の軽減につながるものだと考えます。 そこで、風水害による人的被害を減らすためには、防災関係機関が適切な情報発信を行い、県民の早期避難を促すことが重要だと考えますが、県の取り組みを危機管理統括監に伺います。 ◎危機管理統括監(藪田亨君) 全国各地で毎年のように台風を初めとする大規模災害が発生しておりますが、避難勧告や避難指示の発令等にもかかわらず、避難しない、あるいは避難が遅い人が多いことなどが課題となっております。 このため昨年から、住民がとるべき行動を5段階に区分した「警戒レベル」の運用が開始されたところであり、県におきましても、県防災の日フェアや出前講座などを通じて、その周知に取り組んでおります。 現在、甚大な被害をもたらした昨年の台風第19号等を教訓といたしまして、国において、この警戒レベルの見直しが検討されておりますので、県といたしましては、その状況を注視しながら、引き続き市町村と連携して、警戒レベルや早期避難の重要性につきまして、県民の理解促進に努めるとともに、多様な情報伝達手段の確保にも取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 続いて、防災啓発について伺います。 本県では、南海トラフ地震や台風・大雨による風水害などの自然災害が懸念されておりますが、災害は、規模が大きくなればなるほど、社会基盤の機能喪失などにより、救命・救助活動などの公助が届くまでに相当の時間を要するということになります。 実際に阪神淡路大震災では、倒壊した家屋等から救助された人の約98%が、自力での脱出や地域住民による救出であり、消防や警察など「公助」により救助されたのは2%程度にすぎないという報告が出されております。 また、東日本大震災では、釜石市内の小学生が率先して避難を行い、地域住民も一緒に避難したことにより、多くの人命が助かった「釜石の奇跡」の例もあります。 このように、災害時、県民の命を守るためには、自助・共助の取り組みを促進することが重要だと考えますが、県の取り組みを危機管理統括監に伺います。 ◎危機管理統括監(藪田亨君) 大規模災害が発生した場合、自分の命は自分で守る「自助」、地域で支え合う「共助」の取り組みが大変重要となります。 このため県では、県民に対し、命を守る「耐震化」「早期避難」「備蓄」、この3つの減災行動に取り組んでいただくよう、呼びかけをしております。また、共助による地域防災力の向上を図るため、地域防災のリーダー的役割を担う防災士の養成や、自主防災組織の資機材整備への支援、さらには地域における研修会の開催や避難訓練への支援などを行っているところでございます。 災害による被害の最小化を図るためには、県民一人一人の備えが何よりも重要となりますので、引き続き、市町村を初め関係機関等と連携しながら、自助・共助による防災力向上に取り組んでまいります。 ◆(蓬原正三議員) 次に、製造業の振興について伺います。 本県は、農林水産業などの1次産業が基幹産業であり、この強みを生かした施策推進や取り組みに対し、十分評価しているところではありますが、一方、産業全体を俯瞰しますと、産業に厚みを増すという観点から、製造業などの2次産業の振興が、今後さらに重要になると考えており、また、2次産業の盛んな県は所得なども総じて高い状況にございます。 精密機器や航空機関連の大きな企業の誘致もあり、本県の付加価値額等は上がってきているとは思いますが、一方で、中小企業においては、人材確保が厳しくなっていく中で、どのようにして生産性を上げていくのかが課題であります。 この課題解決のためには、生産現場などにIoT等の新たな技術を導入し、生産性向上を図ることが重要と考えますが、中小企業の生産現場等へのIoT等の先端技術導入をどのように後押ししていくのか、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 県におきましては、これまでIoT導入に関するセミナーの開催や人材育成の研修、専門家派遣などの事業を実施してきたところでありますが、企業の生産現場におけるIoT等の先端技術導入は、まだ十分に進んでいない状況にあります。 そのため、これまでの取り組みに加え、工業技術センターが大学や企業等と連携し、実際の企業の現場において、IoT等先端技術導入による生産工程の改良・効率化や、工場内の環境改善等について共同研究開発を行い、その成果を県内企業に普及してまいりたいと考えております。 これらの取り組みによりまして、県内中小企業への先端技術導入を促進し、生産性や付加価値の向上を図ってまいりたいと考えております ◆(蓬原正三議員) 続いて、東九州メディカルバレー構想について伺います。 本県と大分県では、旭化成メディカルや東郷メディキットなどの血液や血管に関する医療機器メーカーが集積しているという強みを生かし、医療関連機器分野への一層の集積とこの産業集積を生かした地域活性化、さらには医療の分野でアジアに貢献する地域を目指し、平成22年10月に「東九州メディカルバレー構想」が策定され、産学金官が連携した取り組みが進められております。 このような中、「東九州メディカルバレー構想」策定から10周年という節目を迎えますが、これまでの成果について、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 県では、「東九州メディカルバレー構想」に基づき、医療関連機器分野を本県の成長産業とするため、これまで参入から機器開発・販路開拓までの一貫した支援を行ってきたところであります。 この結果、「宮崎県医療機器産業研究会」の会員企業が、設立当初の32社から94社に増加するとともに、新たに医療機器製造業の登録をした企業も10社となるなど、医療関連機器分野への参入が進んでまいりました。 また、会員企業により、近年、高機能プラスチック製の手術器具が市場化され、輸出にもつながってまいりました。このほか、市場化が近い段階にまで開発が進展しているものも複数出てきており、これまでの取り組みの成果が着実にあらわれてきているものと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 県内のものづくり企業の医療関連機器分野への参入が進み、新製品の開発も進展してきているとのことであります。 医療関連機器分野の振興は、ものづくり企業の新分野進出の促進や付加価値の向上という観点から、本県の第2次産業の厚みを増す大切な方策の一つだと考えます。 今後とも引き続き、東九州メディカルバレー構想で掲げる、「研究開発の拠点づくり」や「医療機器産業の拠点づくり」などを推し進めていくことが必要だと思います。構想の策定から10周年という節目を迎える中、「東九州メディカルバレー構想」の取り組みを今後どのように進めていくのか、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 医療関連機器分野の市場は、高齢化の進展や新興国の需要増大を受け、今後も拡大する見込みとなっております。 このため、県としましては、これまでの取り組みの蓄積を生かしながら、大学病院に配置しました「医工連携コーディネーター」の活用など、医療現場のニーズと企業の技術シーズとのマッチング等によりまして、多くの開発案件の創出を図ってまいりたいと考えております。 また、来年度は、構想策定10周年の年となりますことから、記念大会の開催等を通じて、これまでの成果を広く紹介してまいります。 これらの取り組みによりまして、医療関連機器分野の育成の加速化や、さらなる参入・集積を図り、本県産業の一層の発展につなげてまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 次に、スマート農業の推進について伺います。 本県の重要な産業である農業を取り巻く環境は、農業従事者の減少や高齢化の進行による生産力の低下が危惧されるとともに、日本全体の人口減少・高齢化が進み、国内の食市場も縮小すると見込まれております。 一方、世界に目を向ければ、アジアを中心に経済成長、人口増加が進み、世界の食市場は拡大すると見込まれており、これらの構造的な変化に対応した政策が求められます。 そのような背景の中、令和2年度の国の農林水産関係予算案では、「スマート農業の実現」と「輸出力強化の体制整備」の2項目が重点施策として挙げられております。 「スマート農業」については、昨年10月に、情報化推進対策特別委員会で、国立研究開発法人農研機構に伺い、ロボットトラクターなどの最先端の農業機械・機器開発や現場実証の取り組みを視察してまいりました。 製造業などでは、いち早くロボット技術の導入等が進められ、生産性の向上や省力化を実現しておりますが、農業従事者の減少や高齢化が進む農業分野においても、ICTやロボット技術を活用したスマート化の動きが加速化しており、今後、生産現場や物流等の姿も大きく変わっていくことを実感したところであります。 しかしながら、本県のような中山間地域が多く、大規模な農地の確保が難しい条件不利な地域では、北海道のような広大な農地で展開されるスマート農業はイメージできません。 本県では、今月、スマート農業推進大会を2日間にわたり開催し、農業者や農業大学校生、そして県議会からの出席も含め、延べ800人が参加し、スマート農業に関する認識を深める機会になったようでありますが、今後、宮崎らしいスマート農業をどのように推進していかれるのか、知事に伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 県では、本県が目指しますスマート農業の将来像と推進方策を示した「ひなたスマートアグリビジョン」を策定しまして、その考え方を農業者や関係者等と共有するための推進大会を今月5日、6日に開催したところであります。 このビジョンにおきましては、3つの柱を重点事項として掲げております。1つには、年齢や性別、経験、国籍、障がいの有無等にかかわらず、誰もが取り組める農業環境の整備、2つ目には、ICTやロボット等を活用した超省力で高収益な農業の実現、3つ目として、中山間地域など条件不利地域でも取り組めるモデルの確立であります。 それらの実現に向けましては、農業大学校などで実践的にスマート農業を学べる環境の創出や、技術を使いこなせる農業者や指導者の育成、そして、スマート農業に対応した農地の集積や基盤整備などを一体的に進めていくことが極めて重要であると考えております。 推進大会で御講演をいただきました北海道大学の野口先生からも、「宮崎県こそスマート農業が生かせる」という大変心強いお言葉をいただいたところであります。私も先日、現場での取り組みを視察し、ドローンやロボットトラクター、また環境制御のハウスなども見たところでありますが、おもしろいなと思いましたのは、乳牛の性質を生かして、自動搾乳機に乳牛がみずから入っていく、外で乳牛が順番待ちをしているということで、本当にさまざまな技術があるものだと感心しました。まさに、本県に適したスマート農業を賢く使いこなしていくことが必要不可欠であると実感したところであります。 今後とも、本県らしいスマート農業の定着・普及を加速しながら、「持続可能な魅力あるみやざき農業」の実現に向けて、積極的に取り組んでまいります。 ◆(蓬原正三議員) スマート農業に関しては、多種多様な技術や機械・機器が開発され、日々進化しております。農業者がスマート農業技術を導入するに当たっては、導入に見合うだけの効果があるのかなどのコスト面も含めた見きわめが必要であります。 そのためには、農業者がそれぞれの経営条件に応じて導入を選択し、効果的に活用していくための人材の確保と指導体制が重要であると考えます。 そこで、スマート農業の推進に向けた人材育成の取り組みについて、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(坊薗正恒君) 県では、農業大学校のチャレンジファーム等でのスマート農業技術の体験、実演会や農研機構、宮崎大学と締結しました連携協定に基づく取り組み等によりまして、スマート農業の推進に向けた人材育成を図ってきております。 今後は、農業者みずからが、経営に必要な技術を適切に選定、活用することが重要になりますことから、農業大学校において、学生に加えまして、農業者や農業技術者等が先進技術等を学ぶ場を、「みやざきアグリビジネス創生塾」と位置づけ、人材育成の総合拠点として機能強化する事業を、本議会にお願いしているところでございます。 具体的には、学生が先進技術を体系的に学べるカリキュラムを構築した上で、農業者等が必要な講義を選んで受講できる、リカレント教育の場とする予定でございます。 県といたしましては、今後とも、宮崎らしいスマート農業に積極的に挑戦していく人材の育成に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 次に、農林水産物の輸出拡大の取り組みについて伺います。 本県農業が持続的に発展していくためには、スマート農業のような生産技術の革新に加えて、多様化する需要にいかに対応していくかが重要であると思います。 先ほど申し上げましたように、今後、国内では需要の縮小が一層進む一方で、海外では、人口増加や所得の向上により、マーケットの拡大が見込まれるところであります。 このような中、国は、本年4月に「農林水産物及び食品の輸出の促進に関する法律」を施行し、農林水産省内に新たに創設する「農林水産物・食品輸出本部」を司令塔に、政府一体となって戦略的に輸出を促進するとしております。まさに、新たなマーケットの獲得に向けたオールジャパンの輸出体制が整ったところであり、本県においても、「農業県みやざき」の強みを生かした積極的な取り組みが求められております。 そこで、本県農畜水産物の輸出の取り組みの現状について、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(坊薗正恒君) 平成30年度の本県の農畜水産物の輸出額は、香港やアメリカ向けを中心に、過去最高の約55億4,000万円で、牛肉が全体の7割以上を占め、次いで、養殖ブリやカンショが主要品目となっております。 輸出促進の取り組みにつきましては、最新鋭の食肉処理施設や集出荷貯蔵施設の整備を初め、物流や産地育成等に係る各種実証試験や、官民一体となったプロモーション活動などを支援しているところでございます。 今後、昨年5月に策定いたしました「農畜水産物の輸出拡大に向けた取り組み方針」に基づきまして、輸出先や品目ごとにターゲットを明確にしながら、EUや中国など新しい市場での販路拡大を、関係団体・企業と連携し、進めてまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 本県の輸出額の大半は、畜産物が占めているとのことでありましたが、今後、輸出をさらに伸ばしていくためには、本県の強みである耕種部門の取り組みを強化することも重要であると思います。 これまでには、国内では「裾物」と言われた小さいサイズのカンショが、東アジアの嗜好に合った商品として人気を得ているといった成功事例もありますが、次の主力商品を戦略的に生み出すことが求められております。 そのためには、単に物を供給するのではなく、各国の食文化や消費者のライフスタイルなどを十分に分析した上で、ニーズを的確に捉えた商品づくりや効果的なプロモーション活動を行っていく必要があると考えます。 そこで、耕種部門における輸出拡大に向けた考え方について、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(坊薗正恒君) 平成30年度の耕種部門の輸出額は、約5億7,000万円となっておりまして、本県輸出額の1割程度でありますことから、さらなる推進が必要と考えております。 このため、主要品目のカンショでは、拠点施設を整備するとともに、お茶では有機栽培を推進するなど、海外ニーズに合った産地づくりを進めているところであります。 また、香港や台湾、シンガポールで縁起物とされておりますキンカンを有望品目に位置づけ、輸出専用の栽培技術を実証するなど、輸出促進を図っております。 今後はさらに、冷凍ホウレンソウなどの保存性にすぐれた加工品についても、輸出先のニーズに基づく、食べ方提案などの効果的なPRを展開するなど、耕種部門の輸出品目・産地の育成・拡大に努めてまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 次に、沿岸漁業者の経営安定対策について伺います。 昨年の本県漁業は、カツオ一本釣り漁業がまれに見る不漁となった一方で、マサバは豊漁といった状況でありました。 漁業は天然資源に頼っているため、その年々の海の状況によって大きく左右されるという宿命ではありますが、持続的に漁業を営んでいくためには、不漁の際の対策が重要であります。 特に、本県漁業経営体の約8割を占めている沿岸漁業者は、操業範囲も限られ経営規模も小さいため、不漁の影響を最も受けやすいと思います。 そこで、不安定な沿岸漁業者の経営の安定を図るため、どのような対策を講じておられるのか、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(坊薗正恒君) 沿岸漁業者の経営を安定させるためには、収入の減少やコストの増大への対策並びに一年を通じて安定した水揚げを確保することが重要であると考えております。 このため県では、不漁時の減収補?や燃油高騰時の差額補?を行う国の経営安定対策の活用を推進しますとともに、浮き漁礁等の設置などの漁場整備に取り組んでおります。 これらに加えまして、漁獲量の変動が大きい回遊魚のみに頼らない、新たな漁業を創出するため、本議会において、現在余り利用されていないアカムツなどの深海資源について、新たな漁場を探索する事業をお願いしているところでございます。 県としましては、このような対策を通じまして、沿岸漁業者の経営力の強化に努めてまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 次に、家畜防疫について伺います。 国内で発生が継続している豚熱(CSF)については、当初発生が集中していた岐阜県や愛知県を初めとした中部地方から関東地方などにおいて、予防的ワクチンの接種が開始されるなど、新たな防疫対応へと進み、発生も鎮静化傾向にありました。 しかしながら、本年1月に沖縄県で発生が確認され、国内のどこで発生してもおかしくない状況になったと思われます。 一方、海外に目を転じますと、アフリカ豚熱(ASF)が東アジアで猛威を振るっており、特に韓国では野生イノシシでの感染が多数確認される状況となっており、本県への侵入リスクが非常に高くなっていると感じます。 本県は豚に関しては、飼養頭数全国2位の一大養豚地帯であることから、CSFやASFの発生は、本県経済に大きな影響を及ぼすことが想定されます。 そこで、本県におけるCSFやASFの発生防止のための取り組みについて、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(坊薗正恒君) ASF等を進入させないためには、まずは水際防疫が重要なことでありますので、県では、動物検疫所と連携し、検疫探知犬やチラシによる出国者への啓発に加えまして、本年度の緊急対策事業により、空海港での消毒体制を強化するとともに、ホテル、ゴルフ場に改めて消毒資材を配布するなど、靴底消毒の徹底に取り組んでいるところであります。 また、野生イノシシの浸入を防止するための防護柵につきましては、市町村からの支援により、生産者負担がさらに軽減されましたことから、現在、対象となる全ての養豚場で設置を進めているところであります。 さらに、本年に入りまして、沖縄県でもCSFが発生しましたことから、緊急防疫会議を開催し、改めて、外国人労働者への啓発や残渣飼料を十分に加熱するなどの農場防疫の徹底を指導したところであります。 県といたしましては、引き続き、ウイルスを進入させないよう、防疫体制の強化に緊張感を持って取り組んでまいります。 ◆(蓬原正三議員) ことしは、平成22年の口蹄疫の発生から10年目を迎える年であります。 29万7,808頭の家畜のとうとい命が犠牲となり、畜産業のみならず、地域経済や県民生活に大きな影響を及ぼしたあの悲劇は、今でも忘れることはできません。 あれから10年、口蹄疫からの再生復興、そして、畜産新生に向けた取り組みを、畜産農家の皆様を初め、JA、畜産関係団体、商工関係団体など、そして県議会も含め、県民一体となって進めてまいりました。 その成果は、農業産出額の伸びや輸出量の増加などに着実にあらわれているものと考えます。 この間、坊薗農政水産部長は、口蹄疫の発生当時には、対策本部と現地との調整役として、また、口蹄疫からの再生・復興、畜産の新生に向けた取り組みでも、常に先頭に立ってその手腕を発揮してこられました。 その功績は誰もが認めるところでありますが、一方では、相当な御苦労もあったものと推察をいたします。 今後、さらなる畜産の振興を図るためには、その経験を、後々に引き継いでいくことが重要であります。 そこで、口蹄疫の発生から10年を迎えるに当たり、これまでの畜産の再生・復興・新生に向けた取り組みの総括について、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(坊薗正恒君) 口蹄疫終息後、県では、二度と発生させないという強い決意のもと、「忘れない そして前へ」を合い言葉に、県内外多くの方々の御支援に支えられながら、生産者を初め関係者一丸となって、畜産の新生に全力で取り組んでまいりました。 中でも、全国のモデルとなる防疫体制の構築を基本に、宮崎牛ブランド維持のための早急な種雄牛づくりや、畜産クラスター事業を活用した生産基盤の強化、最新鋭の食肉処理施設の整備による販売力の強化などを進めてまいったところであります。 この結果、全国和牛能力共進会における3大会連続の内閣総理大臣賞獲得を初め、本県畜産は、口蹄疫発生前の約1.3倍まで産出額が伸び、輸出量も年々増加してきているところであります。担い手の確保や生産性の向上など、まだまだ課題はございますが、復興から新たな成長への道を着実に進んできているものと考えております。 本年8月には、口蹄疫の終息から10年の節目となる大会を開催し、改めて、県民の防疫意識の向上と本県畜産業の成長産業化への機運を高め、宮崎の畜産のさらなる発展に努めてまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 次に、本県農業の振興について伺います。 口蹄疫からの再生・復興、畜産の新生は、着実に進んでいるのを感じておりますが、近年の農業・農村を取り巻く情勢を見ておりますと、農業従事者の減少や高齢化を初め、国際競争の激化、地球温暖化による相次ぐ気象災害等の発生など、これまでに経験したことがないほど大きく変化しており、まだまだ課題は山積みであります。 このような状況にしっかりと対応していくためにも、本県の農業は次の新たなステージに進んでいかなければならないと考えます。 そこで、今後、どのような考え方で本県農業の振興を図っていくのか、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(坊薗正恒君) 本県農業は、昭和35年にスタートしました防災営農計画を原点に、畜産や施設園芸などに特化した生産振興に加え、宮崎ブランドづくりやフードビジネス振興等の取り組みによりまして、平成26年以降、農業産出額が全国5位になるなど、基幹産業として発展してまいりました。 しかしながら、議員御指摘のとおり、昨今の農業情勢の変化もございますので、これに的確に対応していくため、現在、新しい農業・農村振興長期計画の策定を、農業者等と意見交換を重ねながら進めているところであります。 今後、これまでの成果と課題をしっかりと検証した上で、基本となります生産基盤の強化に加え、流通・販売までをスマート化する体制の構築や、雇用人材なども含む多様な人材の確保・育成、次世代に引き継ぐ人と環境に優しい農業・農村の実現など、新しい視点も取り入れることが大変重要と考えております。 そして、これらの取り組みを通じまして、農業者が将来に夢と希望を持ち、県民の皆様とも農業・農村の重要性を共有していただける「持続可能な魅力あるみやざき農業」の実現に向けて、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) あと3件で終わりになります。 企業局長にお尋ねをいたします。企業局の経営ビジョンについてであります。 水力発電を初めとする再生可能エネルギーは、国の第5次エネルギー基本計画において、今後の主力電源とされており、本県企業局は、全国有数の公営電気事業者として、地域へ電力を供給する重要な役割を担ってきております。 また、企業局は、独立採算のもとで電気事業を中心に、電力システム改革を初めとする社会情勢の変化に的確に対応し、将来を見通した経営戦略を立て、これを着実に実行していかなければなりません。 現在、企業局では、この3月をめどに、経営戦略として位置づけられる、第6期の「宮崎県企業局経営ビジョン」を策定されると伺っておりますが、この中でどのような将来像を描かれているのか、企業局長に伺います。 ◎企業局長(図師雄一君) 水力発電に適した本県の豊富な降水量と高低差のある地形は、まさしく天が本県に与えてくれた宝であり、80年以上にわたり継続され、公営電気事業者の中で第3位の規模にまで成長した本県の水力発電事業は、全国に誇れる財産であると考えております。 また工業用水道事業は、全国的にも非常に低廉な料金で運営しており、県北地域の産業振興に寄与しております。さらに地域振興事業は、30年間で累計117万人以上に利用されるなど、県民の健康づくりに寄与してきました。 今、企業局を取り巻く状況は、電力システム改革が進行し、施設の大規模改良工事が連続するなど、大きな節目を迎えております。今回の新しい経営ビジョンの策定により、先人たちが築き上げてきた財産をしっかりと将来に引き継ぎながら、「地域社会の持続的な発展と県民福祉の増進に貢献する公営企業」を目指してまいります。 ◆(蓬原正三議員) 次に、企業局の地域貢献について伺います。 地方公営企業は、健全経営のもと、企業としての経済性を発揮するとともに、公共の福祉の増進に貢献していくことが求められます。 これまでも、県の重要施策を支える形で、一般会計への貸し付けや30億円の繰り出し、緑のダム造成事業等により貢献いただいているところでありますが、県民福祉の向上を図り、企業局の存在意義を高めるためには、さらなる地域貢献に取り組んでいただきたいという思いがあるわけであります。 そこで、今回提案のありました令和2年度の公営企業会計当初予算において、電気事業会計から一般会計へ資金を繰り出す「企業局地域貢献事業」の予算が計上されておりますが、この事業の目的や概要について、企業局長に伺います。 ◎企業局長(図師雄一君) 企業局では、その設置目的である「本県産業経済の振興と住民福祉の増進」に資するため、電気事業の利益の一部を「地方振興積立金」に積み立て、地域貢献のための財源としております。 この積立金につきましては、平成28年度から3年間にわたり、一般会計へ合計30億円を繰り出し、「県営電気事業みやざき創生基金」として、地方創生を加速化するための事業などに活用されているところであります。 今回、令和8年度開催の国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会に向けて、競技力向上や大会運営等の経費の確保に資するため、この地方振興積立金を活用し、令和2年度及び3年度に、それぞれ10億円、合計20億円を一般会計に繰り出すものであります。 今後とも、企業局を取り巻く諸課題に的確に対応しながら、健全経営を維持するとともに、地域貢献に努めてまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 最後の質問となります。 企業局は、今後、数年間、渡川発電所や綾第二発電所などの大規模改良工事が行われるため、多額の費用が必要になるものと承知しておりますが、このような中で、一般会計への繰り出しを行い、積極的に県政への貢献をいただく決断をされたことについては、高く評価をいたしたいと考えます。 さらには、企業局の取り組みを、県民により広く認知していただくことも、非常に重要なことであると考えます。 そこで、企業局としての事業や取り組みのPRについてどのように考えておられるのか、企業局長に伺います。 ◎企業局長(図師雄一君) 企業局では、県民生活や企業活動に欠かせない電力や工業用水の安定供給を行うとともに、県民の健康づくりなどにつながるゴルフ場の運営を行っております。 こうした企業局の事業や果たす役割を、広く県民の皆様に御理解いただくことは、大変重要であり、ひいては、企業局の円滑な事業の推進につながるものと認識をしております。 これまでも、小学生等を対象として、発電所や工業用水道施設の見学会のほか、企業局庁舎1階ギャラリーでのパネル展などを行っておりますが、さらに今年度からは、ツイッター等のSNSを活用した情報発信も開始したところであります。 また、新規事業として、発電所などの施設が所在する市町村に対して、地域活性化等の取り組みに助成を行うことや、発電所やダムをめぐる見学バスツアーを実施することとしております。 今後とも、企業局の事業や取り組みについて、積極的に情報発信やPRに努めてまいりたいと考えております。 ◆(蓬原正三議員) 最後になりますが、一言お礼を申し上げておきたいと思います。 3月末をもって退職される各部局長を初め、職員の皆さん、本当に長いこと御苦労さまでございました。また、大変お世話になりました。ありがとうございました。 今後とも、県政発展のため、引き続き御尽力をいただきますよう、よろしくお願い申し上げ、以上で、私の代表質問の全てを終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(丸山裕次郎) 以上で午前の質問は終わります。 午後は1時再開、休憩いたします。   午前11時46分休憩────────────────────   午後1時0分開議 ○議長(丸山裕次郎) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次は、宮崎県議会自由民主党、二見康之議員。 ◆(二見康之議員) 〔登壇〕(拍手) 自由民主党を代表しまして、通告に従い代表質問をさせていただきます。 まずその前に、9年前にここに初登壇してから、あっという間に時間が過ぎてしまったなという感じがいたしております。 私も初当選したとき30歳だったわけなんですけれども、当時、まだ子供も1人でした。現在は2人ふえました。 しかしながら、この9年の間に育児休暇をとることはなかったわけなんですけれども、今回、本県で初めて、幹部職である渡辺福祉保健部長が約3週間の育児休暇をとられたということで、その背景には、河野知事の背中を押してくれた一言もあったというふうに伺っております。 ただ、一つ気になるのは、知事の政策提言集ですか、前回の選挙のときにつくられたものだと思うんですが、過去にはずっと「子育て日本一みやざき」というところがあったと思うんですけれども、あそこの言葉がなくなっていたような感じを受けます。 人口減少社会に対する取り組みというものを一丁目一番地に据えられたことでの、いろいろな再編だったのかと思いますが、そういう言葉の旗印だけではだめで、やっぱり各施策にしっかり取り組まれることが大事だとも思いますけれども、御旗がなくなるのも、ちょっと寂しいものもありますし、それもいかがかなと思っております。今後も、子育て日本一の思いを、継続して取り組んでいただきたいなとも思っております。 また、これまでの2期8年の間には、各常任委員会の委員長・副委員長を務めさせていただきました。本当に多岐にわたり、県政全般に対していろいろな角度から御指導いただき、また調査・研究してまいりました。 本年度は、会派の政審会長として、全般的なことの調整並びに各種施策の窓口として、いろんなお声に耳を傾けてまいったところです。 また、自民党県連の政調会長として、同じような役目を受けてきたわけなんですけれども、ここ数年間で一番よく耳にする言葉は「人手不足」、そして、この1年の間では「働き方改革による影響」、こういったものが、やはり本県の地域経済に大きく影響を及ぼしているところではないかなと思います。 蓬原会長のもと、自民党会派一丸となって現場の声に改めて耳を傾けるということで、各種団体との意見交換会を積み重ねてまいりました。その中で、現場で起こっていることのいろいろな課題についても、会派の議員の皆様も一緒になって認識を深めたところでありますけれども、やはりこの人手不足、そして働き方改革に対する取り組みが、全体として求められているものだというふうに感じております。 やはり、現場の声に耳を傾けることが一番大事。知事が言われる「対話と協働」をもっと大事に、県政運営に努めていただきたいと思うところです。 また、現場の声としましては、平成30年の11月定例県議会に、重度障がい者(児)医療費公費負担制度の現物給付化についての請願がなされ、全会一致で採択されたところでありました。 自民党としましても、執行部のしっかりとした対応を求めるため、平成31年2月定例会や令和元年9月定例会の代表質問において、実施に関する知事の考えや検討状況などを問うてきたところであります。 今回、令和2年度当初予算案に、外来の現物給付化に関する予算が上程されておりますが、重い障がいのある方の思いに応えられたのではないかと考えております。 そこで、まず知事に、この予算化に当たって、改めて現物給付化の意義をお伺いするとともに、今後の課題についてお伺いいたします。 次に、先ほども申し上げましたが、渡辺福祉保健部長は、先月27日から今月14日までの約3週間、育児休業をとられたと伺っております。 私も以前、パパクオータ制について提言させていただいたこともあり、男性の育児参加しやすい環境整備につながればと、今回のことについては大変うれしく思っているところです。 本県では、幹部職員の育児休暇取得は初めてということですが、部長自身も、いろいろと考えられるところも多かったことだろうと拝察しております。 しかしながら、現在復職されて、滞りなく県政運営がされているので、しっかりとした組織体制がとられていたということだと考えております。今後、県庁内のみならず、県内企業等にも、今回の渡辺部長の英断の効果が広がっていけばと願うところでございます。 そこで、今回、育児休業を取得された感想につきまして、福祉保健部長にお伺いいたします。 次に、新型コロナウイルス感染症対策について伺います。 新型コロナウイルスの感染が国内で広がっており、県内での発生が懸念されています。 国のほうでは、先日25日に新型コロナウイルス感染症対策の基本方針が出されましたが、現時点で把握している事実、感染経路や感染力、治療方法等についてもいまだ不明確な状況にあり、また日々、関連情報が更新される中、県民への不安も大きく広がっております。 まずは、県内で感染者の発生を予防することが大事であると考えます。そこでまず、県民が知っておくべき新型コロナウイルス感染症の予防対策について、福祉保健部長にお伺いします。 次に、全国障害者スポーツ大会について伺います。 6年後の令和8年に、本県で全国障害者スポーツ大会が開催されます。 大会開催を一過性のものとするのではなく、開催を機に、県内の障がいのある方々がスポーツの楽しさを体験するきっかけになったり、社会参加につながるような大会にする必要があると考えておりますし、そのように今、準備を進めてこられていることと思います。 そこで、全国障害者スポーツ大会開催の狙いと、現在、その成功に向けてどのように取り組んでいるのか、福祉保健部長に伺います。 以上で壇上からの質問を終わり、以下は質問者席から行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。重度障がい者(児)医療費公費負担制度についてであります。 この制度の現物給付化につきましては、県議会における請願採択等を踏まえ、市町村等との調整を経て、令和2年8月に早期実現を図るための予算案をお願いしているところであります。 これまで利用者は、一旦、病院等の窓口で医療費を支払い、後日、市町村から助成を受ける仕組みでありましたが、今後は、一定の負担額を窓口で支払えば済むことになりますので、金銭的負担感が相当少なくなるほか、毎月の市町村への申請手続も不要となり、利用者の負担軽減が図られるものと考えております。 一方で、本制度は多額の財政負担を伴う地方単独事業でありまして、将来に向け安定的な制度運営等が課題となります。 このため、諸制度の活用など、市町村とともに財政負担の軽減にも取り組むことで、重い障がいのある方が住みなれた地域で安心して暮らせる社会づくりにつなげてまいりたいと考えております。 なお、日本一の子育て・子育ち立県について御指摘があったところであります。高い目標を掲げて、県民の皆様と一緒になって県を挙げて取り組んでいくこと、これからも大変重要なことだというふうに考えておりますので、そういう発信のあり方についても、十分意を用いてまいりたいと考えております。以上であります。〔降壇〕 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 〔登壇〕 お答えいたします。育児休業取得の感想についてであります。 私は、昨年生まれた次男の育児に携わりたいという思いと、男性の育児休業取得・子育て支援に対する機運醸成の一助になればという思いから、3週間の育児休業を取得いたしました。取得に当たり、御理解、御協力をいただいた県庁の皆様には、心から感謝をしております。 取得してみると、24時間、子供の面倒を見ながら、料理や洗濯等の一通りの家事をすることの大変さを実感しました。一方、子供の生活リズムに合わせて、一緒に入浴や散歩をすることで、子供のことがよりわかるようになるなど、取得しなければできないたくさんの経験や発見がありました。 育児休業については、こうした個人の経験はもちろんのこと、働き方改革につながる組織面、少子化対策にも資する社会面での意義も意識しながら、子育て支援策の充実につなげていきたいと考えております。 次に、新型コロナウイルス感染症についてであります。 新型コロナウイルス感染症は、季節性インフルエンザと同様に、感染している人のせきやくしゃみによる飛沫や接触によって、ウイルスが体内に入ることで感染いたします。 そのため、季節性インフルエンザの予防と同様に、日ごろから、小まめな手洗いの徹底やアルコール消毒など、一般的な予防策を行うとともに、ふだんから栄養と睡眠を十分にとり、抵抗力を高めることが有効です。 特に、重症化が心配される持病のある方、御高齢の方は、できるだけ人混みを避けるなど、より一層注意していただくとともに、発熱等の風邪症状が見られるときは無理をせず、学校や会社を休むことが重要です。 県民一人一人が正しい予防法についての理解を深め、「かからない」「うつさない」対策を実践できるよう、さまざまな機会を通して周知に努め、感染予防の徹底を図ってまいります。 次に、全国障害者スポーツ大会についてであります。 本県の全国障害者スポーツ大会は、障がいのある方の社会参加を推進するとともに、誰もが互いに尊重し、支え合って生きる社会づくりに貢献する大会を目指しております。 その成功に向け、大会における人と人との触れ合いや関連イベントでのおもてなし等を通じ、交流の拡大を図るとともに、チームが編成できない団体競技の育成や競技役員の養成、用具の整備など、障がいのある方がスポーツに親しむことができる環境整備に取り組むこととしております。 これらに加えまして、誰もが利用しやすい会場づくりや、手話や点字による会場案内など、バリアフリーに配慮した大会運営を図ってまいります。 これらの取り組みが、障がい者に対する理解を深め共生社会の実現につながるよう、着実に準備を進めてまいります。以上です。〔降壇〕 ◆(二見康之議員) 新型コロナウイルス感染症のおかげで、いろんな地域の方々も、手洗い・うがい等に本当に真面目に取り組んでいらっしゃるんだなと。学校のほうでは、インフルエンザがことしは少ないというような話も伺っております。これは、やっぱり手洗い・うがいを励行した結果なんじゃないかなと。やはり、日ごろのこういうちょっとした取り組みいかんによって、この感染症関係というのも大分影響してくるのかなと、改めて感じました。 まだまだ24時間体制で、担当課の方も大変だと思いますけれども、毎日更新される情報を的確に、速やかに各市町村関係に回していただきますように、よろしくお願いいたします。 また、この障害者スポーツ大会も、いろいろと課題があると思いますけれども、本県開催というのは、非常に大きな転機であって、これを機に、宮崎県において、生涯暮らしやすい、生活しやすい環境が整えられればなと。今、いろんなユニバーサルデザインとかもありますので、そういったものが一般の方々にも浸透していくような取り組みを、ぜひお願いしたいと思います。 次に、多胎児家庭に対する支援について伺いますが、私も子育てはしてきましたけれども、これは本当に盲点でした。 1人育てるのも大変だけれども、双子、三つ子で生まれてくれば、もっと大変。これは当たり前のことなんですけれども、実際にされている家庭でなければ、なかなか実感が湧かないところでもあるのかなと。例えば、おむつがえや授乳、夜泣きのタイミングが違って、なかなか眠ることができないとか、外出しても、2人が同時に泣き出したらどうしようかとか、周囲に迷惑をかけるのではないかといった不安で、気軽に外出できないというような声があるそうです。 また近年、多胎児の育児に関する報道を目にする機会がふえ、県民の関心も高まっている中、厚生労働省は、2020年度、多胎児の子育てに特化した支援を実施することとされました。 実施主体となります各市町村における取り組みとしましては、例えば大津市では、3歳未満の多胎児を養育している家庭に、最大100時間を上限に無料でホームヘルパー等を派遣したり、佐賀県では、令和元年5月に県内の3サークルが中心となって「さが多胎ネット」を結成し、現在、8名ほどによるピアサポーター活動で後輩ママを支えているというような事例もあります。 しかしながら、このような多胎児世帯への支援制度がある自治体は、まだまだ少ないというのが現状だということです。 そこで、県の多胎児家庭に対する認識と支援の考え方について、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 平成30年人口動態統計によりますと、本県の出生数に占める双子や三つ子などのいわゆる多胎児の割合は約2%で、全国平均と同程度となっております。 多胎児の子育ては、議員御指摘のとおり、授乳などの身体的負担、外出がしにくく孤立しやすいなどの精神的負担に加え、経済的な問題など、さまざまな困難に直面することも多いものと認識をしております。 このため県内でも、子育て世代包括支援センター等を活用しまして、多胎児家庭の交流会等を実施している市町村等もあるところです。 国においても、来年度から多胎児家庭に特化した支援に取り組むことから、その活用を含め、市町村等とさらに連携し、必要な取り組みを進めたいと考えております。 ◆(二見康之議員) いろいろ交流事業を行って、悩みを共有したり、そういう話をすることで、ある程度の負担感というか、胸の中に詰まっていたものがとれるというようなこともあると思うんですが、実際に、まだ生まれたばかりの子供というのは、3時間置きに授乳したり、また1歳になれば歩きだし、2~3歳になれば走り回る。2人の子供があっちとこっちに行ったら、1人じゃ、どっちも捕まえることができなくなったりするというような、やっぱり1人ではどうにもできないというところが大きいんだろうなと思います。 そういう意味では、いろんな家事サービス等の支援もされているところもありますので、いろんな取り組みについて調査されて、県内の各市町村にいろんな情報を提供し、その実施に向けて前向きに検討していっていただきたいと思います。 次に、妊婦健診の費用負担について伺いますが、妊婦の方が安心して妊娠生活を送り、健康な赤ちゃんを産むためには欠かせない妊婦健診です。安心して出産に臨むためにも、全員に受診してもらいたいところであります。 そのためには、経済的な負担を軽減し、健診をしっかり受けてもらうため、健診費用を全額公費負担することが有効だという御意見もございます。 現在は、一部自己負担を徴収している市町があります。そこで、県内での妊婦健診の受診費用が、市町村によって全額公費と一部自己負担に分かれている状況であるそうですが、今の状況について、福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 妊婦健康診査につきましては、安心・安全な出産のために必要とされるものでありまして、妊娠期を通じて14回実施することが望ましいとされております。 母子保健法の改正により、平成9年度に実施主体が県から市町村へ移行しておりますが、妊婦健康診査に係る公費負担については、地方交付税措置されております。 現在、14回全額を公費で負担している市町村が15市町村、14回中8回分に一部自己負担として1回当たり1,500円徴収している市町が、11市町となっております。市町村と県医師会との公費負担額の統一に向けた協議の中で、出生数が多い市町を中心として、財政負担を勘案して一部自己負担となったのではないかと考えております。 ◆(二見康之議員) 一部負担、1回大体1,500円の年間といいますか、全部で1万2,000円の個人負担になるんだろうなと思います。 自己負担分も必要だろうなとも思うんです。しかし、年間1,000人を超えるようなところで1万2,000円を負担するとなれば、1,000万を超える予算を組まないといけない。市町村によっては、非常に大きな財政負担にもなるんだろうなと思うんですが、県内の子育て環境をひとしくしていくためには、やっぱりそこへのアプローチも必要なのかなと。ましてや、妊娠・出産に係る経済的な不安、県民アンケートの結果でも、子育て―出産にはとは書いてありませんけど―にはお金がかかるというような御意見もあるようですから、こういった少子化対策の一助になるとも思われます。 先ほどの部長が答弁された市町村の状況においては、一部自己負担を徴収している市町村が11市町あるということでしたが、この状況を知事としてどのように受けとめていらっしゃるのか、伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 県内どの地域に住んでいましても、ひとしく、次世代の社会を担う子供を安心して産み、育てることができる環境を整えることは重要な課題であると認識をしております。 その中で、妊娠中においては、母体や胎児の健康の確保を図る上で、ふだん以上に健康に気をつける必要がありますことから、経済的な事情等にかかわらず、定期的な妊婦健康診査を受けることが重要だと考えております。 今、部長が答弁しました、一部自己負担を徴収している市町につきましては、これまで県として、国と連携して公費負担の一層の充実についてお願いをしてきたところでありますが、その重要性を踏まえ、今後ともさまざまな機会を捉えて、市町村に働きかけてまいりたいと考えております。 ◆(二見康之議員) なかなか難しい課題かなと。できれば、国のほうできちんとした制度を設けてもらえればいいんだろうなと思うんですけど、やっぱり県内市町村間の競争化、これだけは何とかして避けていきたいなと。宮崎県として、他県に発信できるような制度になればいいなとも願っているところです。 また、本県では、ほとんどの方が受診していらっしゃるということでいいんでしょうけれども、以前のたらい回し事件とか、ああいったものにひっかかるのは、やっぱり健診を受けていないから医療機関も受診できなかったというようなことが発生しないように、今後も追跡して調査していただきたいと思います。 次に、医師確保に向けた取り組みについて伺います。 平成16年度から臨床研修制度が開始され、平成23年に本県で臨床研修を開始した医師数は、制度開始以来、過去最低の29人でした。 これを受けて、平成23年度に県、宮崎大学医学部、県医師会及び市町村から成る「宮崎県地域医療支援機構」が設置されるなど、関係機関が一体となって医師確保に取り組んでいます。 また、県が平成29年度に定めた宮崎県医療計画では、「若手医師の養成」に重点的に取り組むこととし、中高生の段階から働きかけを行うとともに、宮崎大学医学部地域枠や地域特別枠といった推薦入試枠の設置等の施策に取り組んだ結果、令和元年度に本県で臨床研修を開始した医師数は57人で、ここ数年ではそれぞれ60人弱となっております。 今後取り組むべきことは、臨床研修、専門研修段階の医師確保のみならず、その後も県内の医師少数区域の医療を支え、若手医師が県内に定着していく仕組みづくりであると考えます。 中でも、推薦入試枠で入学した医師等は、将来にわたって継続的に本県の医師少数地域の医療を支えるという県民の大きな期待を背負っており、これらの医師が本県で勤務する仕組みづくりが必要です。 そこで、この医師確保の現状と今後の対応について、福祉保健部長にお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 平成30年12月の国の調査によりますと、医師総数は2,810人で、10年前と比較すると、208人、約8%増加しておりますが、国から示された医師偏在指標では、下位3分の1に位置する医師少数県とされております。 そこで、新しい取り組みとしまして、宮崎大学医学部の本県出身者を対象とする「地域特別枠」の募集定員を10名から15名に増員するとともに、県内で9年間勤務し、そのうち4年間は医師少数区域等で勤務するキャリア形成プログラムの適用を開始することとしております。 また、今議会には、宮崎大学医学部におけるキャリア支援体制の整備に対し支援を行う、新規事業等をお願いしているところであります。 御指摘のとおり、今後、プログラムの適用を受ける医師が県内に定着していく仕組みづくりが重要ですので、他県の例も参考にしながら研究してまいるとともに、今後とも、宮崎大学、医師会、市町村等と連携しながら、医師の育成・確保にしっかりと取り組んでまいります。 ◆(二見康之議員) 国の調査によりますと、本県の女性医師数は、平成20年は総医師数2,602人のうち375人で、その割合は14.4%でしたが、平成30年は総医師数2,810人のうち524人となり、その割合は18.6%となり、医師数でも、割合でも増加しております。 宮崎大学医学部でも、女性の入学者が年々増加しており、110人の入学者のうち、令和元年度は53人が女性となり、割合は48.2%となっております。 先ほど答弁いただきました「宮崎県医療計画」でも、「女性医師の就労環境整備及び医師の勤務負担の軽減」にも取り組むこととされていますが、今後増加が予想される女性医師の支援体制についてどのように取り組んでいくのか、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 県では、女性医師を支援するため、県医師会に委託して、仕事と家庭の両立を図り、医師として働き続けられる環境づくりを支援しているところです。 具体的には、県医師会に「女性医師相談窓口」を設置するとともに、勤務環境を改善するために、日当直の免除、短時間勤務制度の導入等の支援を行っております。 また、昨年10月には、県医師会と連携して、女性医師の復職等を支援するホームページサイト「みやざきドクターバンク」を開設し、支援を強化したところです。 今後とも、女性医師がライフイベント等に応じて安心して働き続けられる環境づくりを、県医師会等、関係機関と一体となって進めてまいります。 ◆(二見康之議員) この短時間勤務制度の導入というのも非常に大事なことかなとも思うんですが、一方で専門研修の機関の間では、そこで短時間であれば、いわゆる実数としてカウントされないというような話も伺っているんですね。そういった、これはもう県独自の施策でなくて国の方針でしょうからあれなんでしょうけれども、やはりそういう現状もよくよく調べながら―部長の場合、奥様にお聞きになるのが一番いいと思いますので―またそちらのほうも取り組みを進めていただきたいと思います。 次に、看護師特定行為指定研修機関について伺いたいと思います。 医師確保が困難な中、人手が足りない中で、胃ろうチューブの交換やインスリン投与の調整などの特定行為を行うことのできる看護師の養成が必要だと考えます。県内には、研修を受講できる研修機関がありません。このことについては、過去にも質問されてきております。 研修機関としての指定は、機関側が直接国に申請し、指定を受ける仕組みとなっておりますが、県によると、昨年度の調査では、指定を受ける意向のある機関がなかったと伺っております。 今後、在宅医療等の需要増大を見込み、全国では、令和元年8月時点で、40都道府県に134機関の特定行為指定研修機関が設置されていますが、本県の進捗状況と今後の方向性についてどのようになっているのか、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 特定行為ができる看護師の県内での養成については、何より、県内では制度の理解が十分ではないという現状があったところです。そのため今年度は、7月と10月に各研修会等において、関係者への制度の意義や仕組みについて周知を図りました。 また、県看護協会と連携しアンケートを実施するなどしたところ、県内の研修機関での受講希望に応えるためには、看護師にとっての受講時の業務の融通や経費負担、特定行為の生かし方の整理が必要である、研修機関として指定を受けるための特定行為の区分の選定や、指導者及び指導体制の確保が必要である、こういった課題が明らかになりました。 そうした課題に対応するため、現在、宮崎大学、県立看護大学、県看護協会等の関係団体と協議を進めておりまして、今後は、指定研修機関の設置に向けて、関係団体で構成する新たな協議会等を早期に立ち上げ、より具体的な検討を進めてまいります。 ◆(二見康之議員) 本県の特性に合った機関というのがあるでしょうから、よく関係機関と協議の上で進めていただきたいと思います。 次に、医療機能の確保について伺いますが、人口減少や高齢化が進む中、いわゆる「団塊の世代」が全て75歳以上となる2025年を見据え、平成28年10月に宮崎県地域医療構想が策定され、取り組みが進められております。 地域医療構想では、2025年における病床数の必要量が定められていますが、例えば都城北諸県地域では、2017年度病床機能報告における病床数は2,932床、一方、病床数の必要量は1,911床で、約1,000床も少ない数字となっております。 こういう数字を見て、地域医療構想で病床を減らしていけば、経営が成り立たなくなり、やめてしまう病院も出てくるのではないかと懸念する声もあります。 これからの地域医療は大丈夫なのかという不安の声に対して、地域で必要とされる医療機能を確保し、安心して住み続けられるようにするのが、県の大きな役割だと思います。 とりわけ、中山間地域では極めて厳しい状況にあります。例えば、小児医療の機能が弱い地域があれば、計画的に小児医療機能の強化を図っていくなど、県が積極的に進めていくべきではないかと考えます。 そこで、地域医療構想で病床削減の懸念もある中、中山間地域などで必要な医療機能が確保できるよう、県がもっと主体的に取り組むべきと考えますが、知事のお考えを伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 地域医療構想につきましては、現在、各地域の調整会議におきまして、「2025年における病床数の必要量」である推計値を目安としながら、地域の実情に応じた医療提供体制の構築に向けて、具体的な協議が進められているところであります。 中山間地域における医療機能の確保は積年の課題でありまして、私としても、強い危機感を持って取り組んできたところであります。 このたびの当初予算では、人口減少対策基金等を活用し、効率的で持続可能な医療体制の整備、救急医療の充実、医師の養成・確保という観点から、パッケージで公立病院等を中心とした医療体制の確保を図る新規事業を提案しているところであります。 具体的には、中山間地域の公立病院等が行うICTの活用や、県北地域へのドクターカーの導入、女性医療従事者に配慮した勤務環境整備への支援に取り組むこととしております。これに加えて、宮崎大学地域特別枠に係る貸与者数を5名増員するなど、支援の拡大を図っております。 今後とも、医療計画を着実に進め、「安全で質の高い医療を切れ目なく効率的に提供する体制の確立」の実現に努めてまいります。 ◆(二見康之議員) やはり、都市部にはない宮崎の特性というか地域性がありますよね。訪問診療にしても、人口密度が低いところは移動時間がかかったりとか、コストが余計にかかると。都市部と中山間地域のこういった差をよくよく調べていただいて、やっぱりそういうのに合った制度設計にしていかなければならないんだなと思います。なかなか中央だけではわからない状況でしょうから、宮崎とかほかの都道府県知事とも連携して、地域の実情を国のほうにも訴えていただきたいと思いますし、我々も努力していきたいと思っているところです。 次に、殺処分ゼロと多頭飼育問題について伺います。 動物愛護センターが平成29年度に開設され、本年度で3年になろうとする中、昨年6月に動物の愛護及び管理に関する法律が改正され、所有者の遵守すべき責務規定の明確化など見直しが行われました。 犬猫の殺処分ゼロは究極の目標と思われますが、現在の宮崎県の殺処分の現状と取り組みについて、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 県では、平成26年度に「動物愛護管理推進計画」を策定しまして、殺処分数を令和5年度までに、平成24年度比で3分の1に減少させることを目標として取り組んできたところです。 平成30年度の殺処分数は、犬猫合わせて624頭であり、これは、平成24年度の3,025頭から約80%減少しております。 取り組みとしましては、保健所等で引き取り・保護された犬猫の数を減らす一方で、保健所等に引き取り申請に来られた飼い主に対する、死ぬまでの飼育のお願い、動物愛護センターでの毎週日曜日の譲渡会の開催、小学生を対象とした「いのちの教育」などを実施しております。 県としましては、これからも動物愛護団体等と協力し、殺処分ゼロに近づけるよう取り組んでまいりたいと考えております ◆(二見康之議員) 私も先日、センターに視察に行かせていただきましたけれども、現場の職員の方々は、本当に犬猫を大事に大切にしていただいているのがよくよく伝わってきました。 中には、どうすることもできなくてという残念な結果になった案件もあるかもしれませんけれども、この取り組みというのは他県からも注目されている部分もありますので、今後もしっかりと取り組んでいただきたいと思います。 また今年度は、都城市において多頭飼育崩壊事案に関する報道がありました。 この事案について、県として、事前に多頭飼育とかいう情報を得ることはなかなか難しいことかもしれませんけれども、そういう中で、県では、多頭飼育崩壊事案をどのように把握して対応を行っているのか、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 多頭飼育崩壊事案につきましては、警察や市町村、動物愛護団体等から、保健所または動物愛護センターへの情報提供により把握をしております。 今年度、都城市での、飼育者失踪による飼い犬の放置事案につきましても、警察からの情報提供を受け、保健所が立ち入りを実施し、動物愛護団体の救助活動を支援いたしました。 このように、動物愛護団体等の協力が必要な場合もありますことから、今年度、多頭飼育現場での犬猫の保護などを行った団体には、餌やペットシーツ等を交付するなど、新たな支援策を講じたところです。 県では、引き続き、飼育者への適正な飼育について啓発するとともに、市町村や動物愛護団体等としっかり連携をしてまいります。 ◆(二見康之議員) 現状としては、関係団体・関係機関と連携して、速やかに対応するということが一番大事だなと思ったところでした。 続きまして、私もいろいろと野良猫等の相談を受けたりすることがあるんですけれども、生活環境の中においての被害、鳴き声とか衛生面だとか、そういった苦情や相談が保健所等に寄せられていることと思いますが、このような問題への対応として、本県での地域猫対策の取り組み状況と今後の課題についてどのようにお考えなのか、福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(渡辺善敬君) 御指摘の地域猫対策についてでありますが、野良猫の問題を抱える地域住民や支援する動物愛護団体が野良猫を保護し、不妊去勢手術を経て、もといた場所に戻す活動であります。 その目的は、地域住民への危害防止、無秩序な繁殖等による生活環境の悪化防止、猫の殺処分の減少であります。 取り組みとしましては、2月17日現在、保健所等が窓口となり、地域猫対策を行うため4市4町で20地域を指定し、動物愛護センターで169頭を不妊去勢したところです。 県としましては、野良猫によって起こる問題の対応について、飼育者に対する室内飼育等を含めた、適正な飼育に係る啓発を推進しますとともに、他自治体での取り組みを調査・研究してまいります。 ◆(二見康之議員) よろしくお願いします。 次に、林業について伺います。 近年、県内では、大型製材工場の進出や木質バイオマス発電施設の稼働などにより、木材需要が高まっており、それに合わせて本県の杉を中心とした森林の伐採が進んでおります。 製材工場などが安定的に稼働するためには、コスト面から考えても、原料となる原木を県内近くから安定的に確保できることが、本県の製材工場の強みになっているのではないかと思います。 そのためには、今後も県内の森林資源を有効に活用しながら、将来にわたって本県の豊かな森林資源をしっかり維持していくことが、大変重要であります。 伐採が進められている中、本県の森林資源を維持していくためには、伐採した後、再造林を積極的に推進していく必要があると考えますが、県は、再造林対策に今、どのように取り組んでいるのか、環境森林部長に伺います。 ◎環境森林部長(佐野詔藏君) 本県では、木材価格の低迷や森林所有者の高齢化などにより、再造林意欲が減退しており、平成30年度の再造林率は73%で、目標の80%を下回っている状況にあります。 このため、国の事業や県の森林環境税を活用しまして、森林所有者の負担軽減を図りますとともに、伐採後、直ちに造林を行う一貫作業や優良苗木の安定供給体制の整備等により、再造林を積極的に推進しているところであります。 今後は、これまでの取り組みに加えまして、成長が早く短期で収穫可能な早生樹の導入や、林業・木材産業関係者の協力によります再造林支援の仕組みづくりを目指すなどによりまして、森林所有者の意欲を喚起し、再造林対策のさらなる充実を図ってまいりたいと考えております。 ◆(二見康之議員) 再造林には、地形が急峻な山林で行われる作業が多く、また現場条件がさまざまであることから、機械化がなかなか進んでおりません。いまだ人力による作業が中心となっております。 特に、植栽木の成長を促進するため、植栽後は6年間ほど下刈りを行う必要がありますが、下刈り作業は、通常雑草が繁茂する夏の暑い時期に行う作業であることや、急傾斜など現場条件が悪いだけでなく、蜂刺されなどにも注意する必要があり、大変過酷な作業となっております。 労働力がなかなか確保できない中、せっかく若い作業員が入ってきても長続きせず、やめていく人もいると聞いております。この下刈り作業の省力化が大変重要であると考えられます。 そこで、労働力確保が困難になっている中で、下刈りの省力化に向けた県の取り組みについて環境森林部長に伺います。 ◎環境森林部長(佐野詔藏君) 下刈りの省力化につきましては、現在県では、苗木の周りを部分的に刈り払う坪刈りや筋刈り、夏場を避けた下刈りなどの実証を行いますとともに、無人航空機と林地除草剤を組み合わせた技術開発について、試験結果等を検証しているところであります。 また、来年度は、今議会でお願いしております「みやざきの林業省力化推進モデル事業」によりまして、レーザー計測による地形情報を活用した作業プランに基づく、下刈り省力化機械の実証にも取り組むこととしております。 なお、国においても、エリートツリーなど成長の早い優良品種の開発や、先進的な低コスト造林の実証試験に取り組まれております。 今後とも、こうした取り組みを進めますとともに、国との連携も図りながら、下刈りの省力化を積極的に推進してまいりたいと考えております。 ◆(二見康之議員) 再造林対策に対する取り組み、循環型林業を実現するためには、現場を支える人材の確保が重要でありますが、平成27年の国勢調査によりますと、本県の林業就業者数は2,222人で、前回調査から17%減少している状況にあります。 これまでもさまざまな取り組みを行ってきていることとは思いますが、現在、林業担い手の確保に向けて、県はどのように取り組んでいるのか、環境森林部長に伺います。 ◎環境森林部長(佐野詔藏君) 県では、林業担い手の確保に向けまして、就業相談会の開催や移住相談会へのブース出展により、本県林業の魅力を積極的にPRし、林業就業への働きかけを行っております。 また、高校生向けのキャリア教育の一環として行います高性能林業機械操作研修会の実施や、「みやざき林業大学校」における実践的な人材の育成にも取り組んでおります。 さらに、林業事業体に対して、学生等のインターンシップ受け入れや、新規就業者を継続雇用するための助成を行いますとともに、林業が働きやすい職場となるように、森林作業の軽労化にもつながる資機材や福利厚生施設の導入への助成も行っているところであります。 今後とも、関係機関との連携を一層強化し、担い手の確保にしっかり取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(二見康之議員) 今お話にも出ました、昨年4月に開校しました宮崎林業大学校では、現在、長期課程の第1期生21名が研修を受講しており、座学だけでなく、実際に山林に入って下刈りやチェーンソーを使った流木の伐倒作業など、現場での学習にも積極的に取り組まれているそうです。 また、来年度の長期課程の研修受講生については、既に募集も終わり、今年度と同程度の研修生が受講する予定であり、その中には女性も含まれていると伺っております。 今後も地域林業のリーダーとなる人材を育成する林業大学校に大変期待を寄せているところでありますし、林業先進県と言われる本県ですから、全国的にも注目されていると思います。 そこで、来年度の林業大学校の研修をどのように充実させていこうと考えているのか、環境森林部長に伺います。
    ◎環境森林部長(佐野詔藏君) 林業大学校につきましては、受講生等からの要望や女性の受講が予定されていることなども踏まえまして、今議会でお願いしております「「みやざき林業大学校」担い手育成総合研修事業」により、研修等の充実に取り組むことといたしております。 具体的には、研修内容の充実としまして、業界等から要望のありましたフォークリフト運転の資格取得や、台風等による風倒木処理技術の習得などを追加することとしております。 また、研修環境の改善として、実習時における一層の安全確保に必要な指導員の増員や、衛生面向上のためのシャワー施設整備などに取り組むこととしております。 今後とも、さまざまなニーズを踏まえながら、市町村や関係団体等と連携し、林業大学校の研修等のさらなる充実を図ってまいります。 ◆(二見康之議員) また一方で、平成30年の全国の労働災害発生率について、厚生労働省の「労働災害統計」によりますと、1年間の労働者、1,000人当たりに発生した死傷者数の割合は、農業5.2、建設業4.5を初めとして、全産業の平均は2.3であるのに対し、林業は22.4と圧倒的に高くなっております。 本県における令和元年の休業4日以上の林業労働災害の発生件数は、速報値ではありますが86件、そのうち死亡災害は5件発生しており、その防止は、林業県である本県にとって喫緊の課題であります。 そこで、林業労働災害の防止に向けた県の取り組みについて、環境森林部長に伺います。 ◎環境森林部長(佐野詔藏君) 林業労働災害を防止するためには、林業に携わる一人一人が高い安全意識を持つことや、現場において安全作業の徹底を図ることが大変重要であると認識しております。 このため県では、県内全域の林業関係者が一堂に会する林業労働災害防止大会での啓発や、県内8名の労働安全衛生指導員による現場の巡回指導を行っているところであります。 また、死亡災害の多くは、伐採作業時に発生しておりますことから、安全な実技を学ぶ研修を実施しますとともに、チェーンソーから身を守る防護服の導入を支援しておりますが、来年度からは、安全に伐採するための電動式くさび等の導入も支援してまいりたいと考えております。 今後とも、宮崎労働局を初めとする関係機関と連携し、対策の充実を図り、労働災害の防止に努めてまいります。 ◆(二見康之議員) 私も、同級生が一人、災害で亡くなっています。これは、切り倒した木が滑り落ちてきて、下で休憩していた車に突き刺さったみたいで、現場の中でいかなることが起こるのかというのは、本当によくよく注意されて、現場への安全、そういった注意喚起に取り組んでいただきたいなと思います。 次に、食品ロスについて伺います。 食品ロス削減については、食料の多くを輸入に依存している我が国において、真摯に取り組んでいかなければならない課題であると思いますし、また道徳、モラル的なものもあると思います。 県では、平成28年度から宮崎県4R推進協議会を中心に、「食べきり宣言プロジェクト」として、フォーラムの開催や啓発CMの放送などさまざまな取り組みを行ってきていますが、このような中で、昨年10月に「食品ロス削減推進法」が施行され、来月には、国の基本方針が示されることとなっています。 法では、この国の基本方針を受け、都道府県は「食品ロス削減推進計画」を定めるよう努めることとされていますが、本県におきましては、今後どのように対応していくのか、環境森林部長に伺います。 ◎環境森林部長(佐野詔藏君) 来月示されます予定の国の基本方針は、食品ロス削減の推進の意義及び基本的な方向等に関する重要な事項を定めるものであります。 この方針に基づく都道府県等の食品ロス削減推進計画は、地域における食品ロスの削減にとって、消費者教育、環境、廃棄物処理、産業振興等の観点から、重要な位置づけを有するものでありますので、本県としましても、来年度、計画を策定することといたしております。 策定に当たりましては、関係部局や市町村、関係団体等と連携を図りながら、これまでの取り組みを検証しつつ、国が方針で示す基本的施策を踏まえ、地域の特性に応じた取り組みを盛り込むなど、食品ロス削減効果が一層上がるような計画にしてまいりたいと考えております。 ◆(二見康之議員) わかりました。 それでは次に、国土強靱化対策について伺います。 近年、気候変動の影響等により、自然災害が激甚化、頻発化しているところですが、特に、昨年発生した台風15号や19号では、全国各地で河川が氾濫するなど、広範囲で甚大な被害をもたらしており、本県においても、自然災害から事前に備える国土強靱化のさらなる推進が喫緊の課題となっております。 このような中、国が推進する「防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策」については、昨年度の補正予算、今年度の当初予算で予算措置され、3か年緊急対策の最終年となる令和2年度当初予算案にも、補助公共・交付金事業、県単独公共事業等の公共3部の合計で、約220億円が防災インフラ等を対象として計上されております。 そこで、県土の強靱化対策として、インフラ整備を集中的に実施しておりますが、防災・減災、国土強靱化のための3か年緊急対策に関する県土整備部の来年度の取り組みについて、県土整備部長に伺います。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 県土整備部では、令和2年度当初予算におきまして、3か年緊急対策に関する予算として、今年度を27億円上回る約198億円を計上したところであります。 来年度は3か年緊急対策の最終年度となりますが、これまでに引き続き、河川内の樹木伐採や掘削、堤防強化を行うほか、橋梁の耐震補強や道路のり面の防災対策及び無電柱化、加えて、港湾の岸壁の耐震強化や砂防堰堤の整備などを集中的に実施することとしております。 さらに、今回創設されます起債事業を活用し、新たにダム等のしゅんせつを行うこととしております。 県としましては、3か年緊急対策を初めとした防災・減災対策を着実に推進してまいります。 ◆(二見康之議員) 防災・減災のさまざまな取り組みが進められているとのことですが、国の緊急対策も、令和2年度までの予算措置であります。 県が試算しました県土の強靱化の実現には、国土交通省所管の県事業で、少なくとも1兆1,000億円以上の予算が必要とされており、3か年緊急対策完了後も、多額の予算が必要であります。 このため、県議会におきましても、国に対し、「国土強靱化対策の更なる推進を求める意見書」を、昨年6月に引き続き、12月にも提出し、令和3年度以降の予算確保等をお願いしたところであります。 そこで、県土の強靱化の実現に向け、令和3年度以降の社会資本整備の予算確保が必要と考えますが、河野知事、いかがお考えでしょうか、その意気込みをお伺いします。 ◎知事(河野俊嗣君) 南海トラフ地震や頻発化、激甚化します豪雨などの大規模自然災害から、県民の生命、財産を守り、社会機能を維持するための社会資本整備は喫緊の課題でありまして、県土の強靱化の実現には、多額の費用と期間を要しますことから、予算の安定的・継続的な確保が重要であると考えております。 このような中、県議会におきまして、国土強靱化対策の推進に関する国への意見書を今年度2回提出していただいたというのは、県土強靱化の実現を後押しするものでありまして、深く感謝を申し上げます。 これまでも、県としましては、全国知事会等とも連携を図りながら、防災・減災対策の着実な推進を繰り返し要望しているところでありまして、先月29日にも、私自身、国に対しまして、令和3年度以降の必要な予算や新たな財源の確保につきまして、強く要望してきたところであります。また、具体的な需要額を積み上げて、より強く国に要望していくために、市町村に国土強靱化計画の策定を要請しておりまして、現在、全ての市町村で、その作業が進行しているところであります。 今後とも、県議会や市町村、関係団体等と連携しながら、県土の強靱化の実現に向けて全力で予算確保に向けて取り組んでまいります。 ◆(二見康之議員) では次に、建設業界における働き方改革について伺います。 国土交通省は、平成30年3月に「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定し、大きく3つの取り組みの柱として、ICT活用工事による生産性向上や施工時期の平準化などの「仕事の効率化の取組」や、給与・保険などの「処遇改善の取組」、週休2日制の導入などの「長時間労働の是正の取組」を推進することとされております。 このような中、昨年4月からは、労働基準法の改正に伴う時間外労働の上限規制が施行されており、建設業においては、上限規制の適用が5年間猶予されているものの、5年間の猶予期間内に早期に働き方改革を進める必要があります。 建設業界の話によりますと、入札制度改革以降、公共工事の受注のために、企業がさまざまな努力をされており、その中でも、工事書類の作成にかなりの手間と時間を費やしていると聞いております。これが現場技術者の負担となって、若年技術者の担い手確保にもつながらないのではないかと考えられます。 建設業界の働き方改革のためには、まずは現場業務を効率化し、現場の技術者の負担を軽減する必要があり、公共工事の発注者である県が、率先した取り組みを実施すべきと考えます。 そこで、建設工事における業務の効率化や生産性向上が必要と考えますが、これにどのように取り組んでいくのか、県土整備部長に伺います。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 建設工事の業務の効率化や生産性向上は、働き方改革を推進する上で大変重要であると認識をしております。 このため県では、まず、工事書類の簡素化の取り組みとして、県と建設関係団体でワーキンググループを設置し、新たに簡素化ガイドラインを策定したところであり、ことし4月から運用することとしております。 また、中間検査の実施基準を緩和するとともに、余裕期間を設定した工事の発注など、引き続き施工時期の平準化の取り組みを推進します。 さらに、生産性向上を図るICT活用工事につきましては、対象工事の適用範囲の拡大を図るとともに、必要経費の割り増しを行うこととしております。 県としましては、今後とも、関係団体と十分な意見交換を行いながら、より一層、現場技術者の負担軽減に努めてまいります。 ◆(二見康之議員) 県と関係団体で意見交換を行いながら、簡素化のガイドラインを策定し、書類の削減に取り組んでいきたいということでありましたので、今後も、このような取り組みを継続していかれることをお願い申し上げます。 本県の建設業就業者数については、平成27年の国勢調査によると、50歳以上が全体の約52%を占める一方、29歳以下が全体の約9%であり、若年技術者の不足が深刻な状況であります。 建設業の担い手の育成・確保のためには、何よりも、給与や保険などの処遇を改善することが必要であります。 そこで、公共工事において、現場技術者の処遇改善にどう取り組んでいくのか、県土整備部長に伺います。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 現場技術者の処遇改善は、建設産業の中長期的な担い手の育成・確保のため、大変重要であると認識しております。 このため県では、改正品確法に基づき、適正な予定価格を設定しているところであり、最近の労働市場の実勢価格を踏まえ、8年連続となる設計労務単価の引き上げを、来月から行うこととしております。 また、災害時の緊急対応など、法定休日に作業を伴う場合、労務単価の休日割り増しを新たに導入するとともに、労災補償に必要な保険料を上乗せする措置を講じてまいります。 県としましては、引き続き現場技術者の処遇改善に向けて、積極的に取り組んでまいります。 ◆(二見康之議員) 設計労務単価の引き上げがされるということですので、これが現場で働く労働者の賃金に反映されるよう、引き続き取り組みを進めてもらいますようにお願い申し上げます。 次に、生産性向上などの業務の効率化、適正な賃金とあわせ、休暇の取得が若年技術者の確保につながるものと考えます。 建設現場においては、週休2日を積極的に推進する必要がありますが、週休2日を取得しても給与が補償されることが前提であります。 また、週休2日を取得すると、工期が間に合わないといった事態も懸念され、結局、現場では週休2日が取得できず、悪循環となっている建設産業への若者の入職が減少することにつながっているのではないでしょうか。 そこで、建設産業において長時間労働を是正するため、労働環境の改善に取り組む必要があると思いますが、いかが取り組んでいくのか、県土整備部長に伺います。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 県では、長時間労働を是正するため、平成28年度から週休2日工事の試行を開始し、これまで、実施に伴い増加する人件費等を計上するなど、週休2日の推進を図ってきたところであります。 さらに、ことし4月から、週休2日の対象工事を拡大するとともに、人件費の実態調査を踏まえ、経費の引き上げを行うこととしております。 また、週休2日の実効性を確保するため、より適切な工期の設定を行うとともに、設計業務等の業務におきましても、休日や時間外の作業が生じないよう、受発注者間でルールを定める、いわゆる「ウイークリー・スタンス」を導入するなど、労働環境を改善する取り組みを行ってまいります。 県としましては、今後とも、関係団体と十分に連携を図りながら、建設産業における働き方改革の推進にしっかりと取り組んでまいります。 ◆(二見康之議員) では次に、ダムの事前放流について伺います。 近年、台風等の異常豪雨による洪水被害は全国的に激甚化しており、昨年の台風19号では、東日本を中心とした記録的な豪雨により、各地で甚大な被害が発生しました。 このような異常豪雨が頻発化・激甚化する中、ダムの治水効果が注目されており、中でも、ダムの事前放流が最近話題となっています。 ダムの事前放流は、洪水の発生が予測された際、発電やかんがい用水等のために、ダムにためている利水容量の一部を事前に放流し、洪水時にダムにためられる治水容量を一時的にふやす操作とされ、洪水時の治水容量がふえることで、ダム下流の浸水被害の軽減に期待できるとされておりますが、一方で、事前放流実施後に貯水位が回復しないおそれがあることなど、利水者の合意を得る上でさまざまな課題があるようです。 このため政府は、近年の水害の激甚化を踏まえ、緊急時に既存ダムを最大限活用できるよう、「既存ダムの洪水調節機能の強化に向けた基本方針」を昨年12月に定め、「水系ごとに事前放流を含めたダムの統一的な運用に向けた協議の場を設ける」としています。 そこで、宮崎県におけるダムの事前放流に向けての現在の取り組み状況と今後の予定について、県土整備部長に伺います。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 事前放流につきましては、緊急時において既存ダムの貯水機能を洪水調節に最大限活用するものであり、治水上有効な手段であると考えております。 昨年12月に国が定めた基本方針では、全てのダムを対象に検討を行うこととされており、まずは、国管理の1級河川であります大淀川、小丸川、五ヶ瀬川の3水系で、国、県、発電やかんがい用水等の関係利水者による協議会が、ことし1月に開催されたところであります。 対象となるダムにつきましては、事前放流の実施方針や緊急時の連絡体制等を盛り込んだ治水協定を締結し、ことしの出水期から運用していく予定としております。また、耳川や一ツ瀬川など、県管理の2級水系につきましても、1級水系の検討状況を踏まえながら、順次取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(二見康之議員) よろしくお願いします。 では次に、病院局について伺ってまいります。 昨年9月に厚生労働省が、「再編・統合の議論が特に必要」として、400を超える公立・公的病院リストを公表し、大きな波紋を呼びました。 その地域における公立・公的病院の位置づけは、都市部から地方まで、全国さまざまであると思いますが、本県のように、医療資源が少なく医師不足等の課題を抱える地域において、公立・公的病院は大変重要な存在であると考えております。 現在、地域医療構想に基づいて、将来の目指すべき地域の医療提供体制の姿が議論されていると聞いておりますが、人口減少や少子高齢化の急速な進展により、医療需要が大きく変化することが見込まれる中、県民の安心・安全につながる医療提供体制の構築において、公立・公的病院は不可欠であると考えます。 中でも、県内において有数の診療機能を備え、医療スタッフも多い県立病院については、地域医療に果たす役割も大きく、県民も頼りにしていることと思います。 最近では、宮崎県立病院の再整備という大型プロジェクトが進行しており、来年度予算では、県立延岡病院に専用のドクターカーを導入するということで、積極的な設備投資もなされているようであります。 そこで、県立病院はどのような役割を果たそうとされているのか、将来ビジョンについてどのようにお考えなのか、病院局長に伺います。 ◎病院局長(桑山秀彦君) 我が国の医療環境は、急速な高齢化等に伴う医療ニーズの多様化や日進月歩の医療技術、さまざまな医療制度改革など、目まぐるしく変化してきております。 これまで各県立病院では、多数の診療科の連携による救急医療やがん治療、腎臓移植などの高度医療、脳・循環器疾患に対する急性期医療などを提供してまいりましたが、引き続き良質な医療を提供するためには、医療環境の変化に的確に対応していく必要がございます。 このため、施設や機能の充実はもとより、質の高い医療を支える医療スタッフの確保・育成、地域の医療機関との連携強化などに一層取り組んでまいります。また、持続的に医療を提供するための経営の健全性の確保についても、大変重要であるというふうに考えております。 こうした取り組みにより、全県レベルあるいは地域の中核病院としての役割・機能をしっかり果たしてまいりたいと考えております。 ◆(二見康之議員) 延岡、宮崎、日南のそれぞれの地域という見方もありますでしょうし、宮崎県という全体の地域としての見方もあるでしょうから、その辺のところも忘れず見ていただきたいと思います。 次に、県民が安心できる医療提供体制の整備や地域医療機関との連携強化の取り組みについて、御答弁いただきましたが、それに関することです。先般、医師会の方々と話をする中で、県立病院が医師を一定数確保して、そこから県内の各病院に医師を派遣する制度を構築してはどうかとの提案があったところであります。 このような取り組みは、将来ビジョンで述べられていることを達成するためには必要だと考えます。そこで、県立病院における医師確保や医師派遣についてどのように考えているのか、病院局長に伺います。 ◎病院局長(桑山秀彦君) 県立病院では、医師の多くを大学からの派遣に頼っておりますが、診療科によっては、いまだその数が十分ではないことから、あらゆる機会を通じて、大学医局に増員の要請を行うなど体制充実に努めているところでございます。 そのような厳しい状況ではありますけれども、県内で医師不足が生じている地域を対象に、具体的には、昨年度から小林市立病院に、今年度からは串間市民病院に、それぞれ県立病院の地域医療科に所属する医師を、宮崎大学とも連携を図りながら、定期的に派遣する取り組みを行っております。 今後とも、県立病院自体の医師確保に努めますとともに、医師の派遣についても、県立病院として可能な限りの対応を行ってまいります。 ◆(二見康之議員) 医師確保については、現在再整備中の宮崎病院に最先端の医療機器を導入すれば、患者のためによい医療を提供できますし、また、当該機器を売りに医師を集めることができるのではないかとも考えます。 再整備の事業費340億円のうち、65億円余が医療機器に充てられるとされていますが、この事業費の中で、最先端の医療機器の導入について検討するには、難しいところもあるのではないかと思います。この最先端の医療機器の導入について、病院局としてどのように考えているのかお伺いします。 ◎病院局長(桑山秀彦君) 宮崎病院新病院での医療機器整備につきましては、購入費用、さらにランニングコストを含めると多額の費用が必要となりますので、現在、費用対効果について十分検討しながら、機器の選定作業等を行っているところであります。 その際、「効果」という点につきましては、高度で先進的な医療の提供など医療機能の充実はもとより、医師等の人材確保につながるといった視点も重視する必要があると思っております。 今後とも幅広い視点から医療機器の選定、導入について検討を進め、県立病院に求められる役割、機能が十分果たせるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆(二見康之議員) 経営の健全性も確保しながら、難しいところもあると思いますれども、どうぞ前向きに検討をよろしくお願いします。 次に、教育関係について伺います。まず、教員の人材確保について伺います。 全国的に、さまざまな職種で人手不足が大きな社会問題となっています。加えて、教員の長時間労働がマスコミ等で取り上げられたことで、教員を志望する学生が減少しているという問題も生じているようです。 うちの近くにも南九州大学があって、人間発達学部の学生たちともよく話をするんですけれども、小学校、幼稚園教諭、保育、幼児教育の免許は取るけれども、そっちの方面には行かないという学生が結構いるということに、意外な思いがしました。本人がもともとやりたかった目標というのが別にあるということもあるんでしょうけれども。個人それぞれの思いが、夢があるでしょうから。 しかし、そのような中で、教員採用試験の受験倍率が下がっているというのは、全国的な状況でもありますが、倍率が下がるということで、優秀な人材が確保できないというおそれもあります。また、このままでは本県の教育の質が低下するのではないかと危惧しております。これは、教育委員会のほうも同じだと思いますが。 新聞報道では、全国的に公立小中学校の教員の数が足りていないという報道がされていますが、本県の採用状況と、採用後3年以内に教員という職を離職する者がどのくらいいるのか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(日隈俊郎君) 令和2年度の教員の採用者数は358名を予定しておりまして、ここ10年間で最も少なかった平成24年度の120名と比較しますと、約3倍とふえております。 また一方、採用試験受験者数は減少してきておりますので、受験倍率は低下傾向にありまして、平成24年度の14.2倍に対しまして、令和2年度は3.7倍まで下がってきております。 なお、今後も定年による退職者数が多い状況が続くことが見込まれますので、当面は、同程度の採用者数になるものと考えております。 また、離職者の状況につきましては、過去3年間の状況を見ますと、採用3年以内の早期離職者数は、年平均5名程度で推移しております。 ◆(二見康之議員) 近年、景気がよくなったのか、多くの企業で採用が好調なこともあって、どの業種・職種においても、人材の確保が大きな課題となっています。 一方で、せっかく採用されても、さまざまな理由により早期に離職する者がいるのも現実であり、このことは、今の教育長の答弁のように、教職員も例外ではないようであります。 教職員は、子供たちの教育に携わる者として、より厳格な適格性を有する者を採用しなければなりません。まずは、この採用試験でしっかりとそのような適格性を判断されていると、今現在でも思いますが、さらによりよい人材を確保するために、採用試験のあり方をどのようにしていったらいいのか、どのように考えているのか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(日隈俊郎君) 教員採用選考試験でございますが、1次試験においては、関係法令や専門知識などを問う筆記試験を行いますが、2次試験においては、校長や民間企業の人事担当者、PTAの代表者などさまざまな分野の方々が面接員を努めておりまして、受験者の指導力やコミュニケーション力、社会性など多面的に評価し、人間性にあふれ、専門性の高い人材の確保という観点から努めているところであります。 また、より多くの受験者を確保するため、来年度は、小学校教員などの受験区分における実技試験廃止や、特別選考試験の改善、県外の試験会場の設置など、大幅な改善を図ることとしております。 今後も引き続き、人材の確保につながるような教員採用試験の実施に努めてまいりたいと考えております。 ◆(二見康之議員) 県外での試験会場の設置などをされるということですが、いかに宮崎県の教育の現場の魅力をつくり上げて、それを都市部の方に伝えられるかというところが、非常に大事なポイントになってくるんじゃないかなと思います。 先ほども述べましたけれども、マスコミの報道で、学校の長時間勤務の実態などが取り上げられ、一般の方々にも学校の状況が伝わるとともに、「先生というのは大変だ」というイメージが広がっていると感じます。まずは、こういうイメージを変えていくことも大事ではないでしょうか。 学校の先生は、宮崎の未来をつくる、担う子供たちを育てるすばらしい仕事でもあります。子供たちのために働きたいという人材を確保するためには、「教員の仕事が大変だ」というイメージを変えていくことが必要であり、そのためには、先生という仕事のすばらしさや、やりがいをもっとアピールするとともに、学校における働き方改革を積極的に進めることが必要であると考えます。 うちの子供が通っている小学校も、校時を変えて先生たちが働きやすいようになる改革、働きやすいというか、しっかり授業の準備ができるように、とれるようなカリキュラムに変えていくんだというようなことを、先日、お話を伺いました。 こういった取り組みを、学校ごとであるんでしょうけれども、働き方改革にどのように取り組んでいくのか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(日隈俊郎君) 学校における働き方改革は、教職員が授業中心とした質の高い教育活動に専念できる環境を整えることにより、児童生徒の教育の充実につなげることを目的としております。 そこで、本年度新たに、教職員の事務負担軽減のためのスクール・サポート・スタッフや、部活動指導員などの専門スタッフの配置を行いました。 また、働き方改革モデル校における効果的な取り組みを全学校に紹介するなど、教職員が確実に能力を発揮できる環境づくりにも取り組んでおります。 今後は、家庭や地域に対して、学校が行う業務改善についての理解や協力を求めるメッセージを配布する予定としておりまして、引き続き、教職員が働きやすく、やりがいのある職場環境づくりに努めてまいります。 ◆(二見康之議員) 学校における働き方改革を進めていく一環として、本年度から、教員の事務負担軽減のためのスクール・サポート・スタッフを配置しているとのことですが、この配置事業の取り組み状況について、今どのようになっているのか、また今後どのようにしていくのか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(日隈俊郎君) スクール・サポート・スタッフは、採点業務の補助や学習プリント等の印刷などの業務を行いまして、教職員が授業を中心とした教育活動に専念できる時間の確保を目的として配置しております。 本年度は、県内全ての市町村の小中学校30校に配置しておりまして、配置校からは、児童生徒と向き合う時間がふえた、時間外業務時間の縮減が図られたなどの報告を受けております。 このような状況を踏まえ、来年度は30名から53名と、23名を増員することとしておりまして、本議会に関係予算をお願いしているところであります。 今後も、スクール・サポート・スタッフの配置を推進し、教職員が授業の改善や児童生徒の指導に専念できる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。 ◆(二見康之議員) 先生にしかできない仕事、そうでない仕事をいろいろと振り分けながら改善を図っていくことは、非常に大事だと思います。さらにこの取り組みが進んでいけばなと思うところでございます。 続いて、2015年9月に国連サミットにおいて採択されたSDGs(持続可能な開発目標)は、17のゴールと169のターゲットから構成されており、経済・社会・環境をめぐる広範囲な課題を解決することを目指す、国際社会共通の目標となっております。 我が国においても、2016年12月に「持続可能な開発目標(SDGs)実施指針」が策定され、地方自治体にも、各種計画等にSDGsの要素を最大限反映し、取り組みを推進することが奨励されております。 今年度改定されました「宮崎県総合計画 未来みやざき創造プラン」の中でも、「持続可能な社会を目指して-SDGsの実現-」として取り上げられており、今後さらに、本県の施策にも取り込んでいくことが重要であります。 そこで、SDGsに対し、学校現場ではどのような取り組みをしているのか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(日隈俊郎君) お話にあったとおり、国連サミットで採択されましたSDGsは、経済・社会・環境等をめぐる広範囲な課題の解決を目指す、国際社会共通の目標であります。 小中学校におきましては、例えば社会科において、SDGsの意義や目的を学んだり、国連の仕組みなどを理解したりするなど、基礎的な学習を行っております。 高等学校では、総合的な探求の時間において、SDGsの実現を目指す意識を高めるための課題研究等に取り組んでおります。また今年度から、県内の高等学校等を対象に「みやざきSDGs教育コンソーシアム」を設置し、課題研究の指導方法などを学校間で共有しまして、教員の指導力を向上させる取り組みを行っているところであります。 ◆(二見康之議員) この17のゴールは、「誰一人取り残さない」という考え方に基づいて定められているそうです。学校の現場において、生徒、児童の一人も取り残さない、そのような視点で先生方にも取り組んでいただきたいなと思います。 次に、教職員の指導力向上について伺います。 「教育は人なり」と言われるように、学校の先生方の存在は、子供たちの成長にとりまして大きな影響を与えます。 子供たちは、日々の学校生活において、学力や体力を伸ばし、豊かな心を育て、最近ではキャリア教育や情報教育など、これからの時代を生き抜くために必要なことをたくさん学びますが、どのような内容をどのような方法で教えるか、教職員の一人一人の指導力にかかっていると言っても過言ではないと思います。 そこで、県教育委員会では、教員の指導力向上に対してどのように取り組んでいるのか、教育長に伺います。 ◎教育長(日隈俊郎君) 学校における教育を推進する上で最大の教育環境は、教職員であると思います。このため教職員には、絶えず研さんに励み、資質や能力を向上していくことが求められております。 そこで、県教育委員会におきましては、教職員一人一人の経験年数に応じて、授業力や児童生徒理解力、学級経営力などの基本的な指導力を計画的に高めるための研修を体系的に見直し、本年度から新たに実施しているところであります。 あわせて、特別支援教育やプログラミング教育など、さまざまな教育的ニーズに対応するための指導力向上を目指した研修の構築にも取り組んでいるところであります。 今後とも引き続き、教職員の指導力の向上が効果的に図られるよう、研修体制の整備に努めてまいります。 ◆(二見康之議員) 絶えず研さんに励んでもらう、非常に厳しい道のりになるんだろうなと思うんですけれども、働き方改革の一環で、ワーク・ライフ・バランスをとるというのも大事だし、若い先生、ベテランの先生がいる中で、同じような指導をしていくこともできないでしょうから。しかしながら、そこで学ぶ子供たちのことを考えると、しっかりとした先生方に成長していっていただきたいなと願うところです。 続いて、指導力に関するところなんですけれども、本県の子供たちの学力について伺ってまいりたいと思います。 全国的な児童生徒の学力や学習状況を把握・分析し、教育指導等の充実を図ることを目的に、「全国学力・学習状況調査」が平成19年度から行われております。 この調査は、学力に関する調査と、生活習慣なども含めた意識調査を実施しているようですが、「全国学力・学習状況調査」からわかる本県の児童生徒の状況について、教育長に伺います。 ◎教育長(日隈俊郎君) 「全国学力・学習状況調査」では、学力に関する調査と、生活習慣に関する調査が行われております。 まず、学力に関する調査についてでございますが、基本的な知識に関する問題と、活用に関する問題が出題されますが、本県の児童生徒の状況を見ますと、基本的な知識の定着に比べて、活用する力の定着に課題が見られます。 生活習慣に関する調査につきましては、毎日の朝食の摂取や、起床・就寝時間など、ほとんどの項目で全国平均を上回っておりまして、本県の児童生徒の生活習慣については、おおむね望ましい状況にあるものと考えております。 ◆(二見康之議員) 望ましい生活習慣を身につけているということは、学校や家庭における指導の成果があらわれている、いい傾向にあると思います。 ただ、学力に課題があるようですが、本県は、県独自で作成した学力調査も行っていたと思います。「みやざき小中学校学習状況調査」だと思いますが、この結果の分析についてどのような見解を持っていらっしゃるのか、教育長に伺います。 ◎教育長(日隈俊郎君) 本県独自で学力調査を行っておりますけれども、これまで、小学校4年生と5年生において、国語と算数の2教科で、中学校1年生と2年生において、国語・社会・数学・理科・英語の5教科で実施してきたところであります。 これまでの調査結果を分析しますと、小中学校ともに、基本的な知識の定着については、おおむね良好な状況にあるものの、長文やグラフなどの資料を読み取って、自分なりの考えを表現する力など、いわゆる活用する力については、全国調査と同様、十分な定着が図られていない状況が見られるかと考えております。 ◆(二見康之議員) これからの時代を生きていくための、学んだ知識を実生活の中で生かす「活用する力」が、ますます必要になっていく時代なんだというふうに思うところです。そのような学力調査等の結果を受けて、県教育委員会としても、これまでさまざまな対策を講じられてきたと思います。 これまでの調査結果の分析から、県教育委員会としてどのように取り組みを行ってきたのか、教育長に伺います。 ◎教育長(日隈俊郎君) 県教育委員会では、調査結果の分析から明らかになった課題を解決するため、学力上位県と言われる岩手県や石川県などの視察や調査を踏まえまして、対策を講じてまいりました。 例えば、各学校の学力向上担当者を対象とした研修会を実施しまして、新聞記事やグラフなどから必要な情報を読み取ったり、表現したりして、活用する力を高める指導力の向上に取り組んでいるところであります。また、県教育委員会と市町村教育委員会が一体となってチームを組みまして、学校訪問の上、授業力を高めるための支援を行ってきたところであります。 その結果、「授業がわかる」と答えた生徒児童の割合が向上するなどの成果が見られております。 ◆(二見康之議員) わかりました。 本県の現状について、この傾向というのはずっと変わらない傾向が続いているんだと思うんですよね。 生活態度については、先ほどいい傾向があると言われました。よく、学校教育の中で大事にされる知・徳・体ですか、知識と道徳、そして体をつくること。知識を高めるには、早寝・早起きという習慣がいいとか、道徳的なものを学ばせるためには、お手伝いをするのがいいとか、また体をつくるのは、朝御飯が大事だと。 長野県の、ある小学校では、朝御飯といったら、パンじゃなくて御飯というものをやっているそうです。完全米飯給食を実施しているというようなところもあるそうです。 そういったものがあるわけなんですが、ただ、それをしていれば、実際にいい子供が育つかといったら、そうでもない。 先日、「教育格差」という本を読みましたが、いろんな傾向について、それぞれの子供の傾向、学力とかをグラフにするわけなんですけれども、これはある一定の比例していく傾向はあるにしても、絶対条件ではない、いわゆる環境が大事なんだなというところですね。 しかしながら、こういう環境が大事というところもあるけれども、じゃ、何が今足りないのかといったら、子供たちに、学力テストを解けるだけの解く力ができていない。問題を解決する、解く力がないんだということ。 その中で先日、熊本県の小学校の先生なんですけれども、椿原先生という方の、小学校6年の全国学力テスト国語B問題に対する指導方法についてのセミナーを受けてきました。 非常に細かいところまで精査された指導方法だなと。いろんな過去問を取り入れて説明されたわけなんですが、現在、PISA型の学力調査である中で、このPISA型の何をはかっているかといったら、情報を探し出して、理解して、それを再評価し、熟考することができる、いわゆる活用することができる。 この現代社会の中において、昔と違ってインターネットやいろんなメディアも発展して情報があふれる時代になった。その中で、自分が必要とする情報にたどり着く力、もしくは見つける力がまず必要なのではないかと。これは、情報を探し出すことですね。 例えば、平成30年の国語Bの問題なんですけれども、「かみかみあえ」と言われても何のことかさっぱりわからないと思いますが、これは「かみかみあえ」という題があり、まず開くとリード文が、どういうものか、「かみかみあえ」というものを紹介する文章があって、それをお勧めする文章というものを載せてある。そしてまた1ページ開くと、今度は問題が載っている。この問題を解くときに、子供たちは、この問題文と本文を見開きしながら解かないといけないわけです。 普通の国語の学校でのテストというと、1枚紙に載っていて、それをずっと順番に解いていくんだけれども、この試験になった途端に、めくりながらやらないといけない。こういったものが、子供たち、生徒に非常にストレスになっているんだというようなところも分析されておりました。 例えば、この「かみかみあえ」の構成は、まずリード文があって本文がある。この「「かみかみあえ」というものは、するめが入っているものです」という説明文があります。 じゃ、この文章は、物語文でしょうか、説明文でしょうか。物語文だと思う方。説明文だと思う方。どっちでしょうか。 「物語文ですか」と言ったときに、「うん」と言う方はいなかったです。「説明文ですか」と言ったときには、子供たちに問いかけるわけです。 そのときに反応していなかった子供たちを見きわめる授業の仕方とか、そういった本当に細かなところ、この先生がこの指導方法をつくり上げてこられた中で、特別支援学級の子供たちと一緒に学んできたみたいです。 あの子供たちが「何で理解できないのか」「何がわかっていないのか」「どうやったらわかるようにできるのか」というところを突き詰めてこられたのが、椿原さんの指導方法なんですけれども。これは、この問題文を見ても、活用する能力というより、6年生の問題文は、どちらかというと、この問題を解くのに必要な情報にたどり着けるかどうかというところを問われている問題なんですね。 中学校3年のほうを見てみると、もっと自分の意見を言うような、そういう文章問題になってきています。今の6年生の中では、この問題文の中に答えがほとんど書いてあるんですよね。要するに、これが解けていないということは、まずその解き方がわかっていない。 先ほど、新聞等を使ってのお取り組みもある、これも大事なことだと思います。現代社会におけるいろんな事情について、子供たちが勉強していくことも大事だと思うんですが、それ以前に、必要な情報にたどり着く方法を知らないから、そのまま大きくなっていってしまっている。解けないまま、試験を受けている。まず、ここをしっかり考えていかないといけないんじゃないんでしょうか。問題が解けるようになるために、いろんな過去問をたくさんやりなさい。しかし、先生たちは、それを子供たちができるようになるための教え方がわかっていないんだったら、何もならないわけですよね。ただただ、「問題をこなしなさい」「正解にたどり着くまでやり直しをしなさい」と言うのは、いわゆる根性論みたいなやり方になってくるわけなんですが、これからの時代を生きていく子供たちに必要な、たどり着くやり方というものを教えていくということも、非常に重要なことだと思います。今までなかったところでしょうけれども、この全国テストの成果を出していくためにも、間違いなくクリティカルヒットするような対応が必要だと思います。今すぐ取り入れるということは、なかなかできないかもしれませんが、どこかモデル校をつくるとか、そういった調査をしながら取り組みを進めていく必要があると思いますので、今後の御検討をぜひお願いしたいと思うところです。 これはちょっと私見が入っているので、また今後、私も調査・研究していきますので、よろしくお願いします。 続きまして、人手不足の中で、日本で働く外国人の方がふえているわけなんですが、私の近所のコンビニでも、留学生の方が仕事をされたりしております。県内では、確実に外国人労働者や留学生が増加していると感じております。この人材不足の著しい現代、ますます日本で生活する外国の方がふえていくことが予想されます。 そのような中、外国人の方々の御家族、またお子さんたちで、県内でも生活していらっしゃる方がいらっしゃると思いますが、県内の小中学校においても、なかなかまだ言葉がうまく伝わらないとか、日本語を使って生活したり、学習したりすることが困難な児童生徒が増加するのではないかと思います。 そこで、今、本県の小中学校における日本語指導が必要な児童生徒の現状はどのようになっているのか、また、そういう児童がいた場合、どのように支援しているのか、教育長に伺います。 ◎教育長(日隈俊郎君) 答弁の前に、先ほど私、間違いの答弁をしましたので訂正させていただきます。 学力上位県の視察調査の先が、岩手県と石川県と申し上げましたが、秋田県と石川県の間違いでございました。おわびして訂正いたします。正しくは秋田県と石川県でございます。申しわけございません。 日本語指導の御質問でございますけれども、本県の公立小中学校における日本語指導が必要な児童生徒数は、令和元年11月末現在で、7市町に59名でございまして、その子供たちの出身は、中国やアフガニスタンなどのアジア地域が多くを占めております。 このような児童生徒に対しましては、市町村教育委員会からの要望を聞きながら支援員を配置し、授業中に児童生徒のそばで通訳をしたり、教科書の言葉の意味を伝えたりするなどの、子供の実態に応じた支援に努めているところであります。 ◆(二見康之議員) よりよい環境をつくっていくのに、今後ともよろしくお願い申し上げます。 では次に、国民スポーツ大会について伺います。 まず、2026年に開催される第81回国民スポーツ大会における目標であります、天皇杯獲得についてです。 本県の開催並びに天皇杯獲得に向け、準備が着々と進んでいることと思います。ただ、一言で天皇杯獲得と言いましても、なかなか容易なものではないと認識しております。 昨年10月に開催された茨城国体におきましても、天皇杯順位が41位と苦戦を強いられている現状を踏まえますと、大変厳しい課題であると思いますが、天皇杯獲得に向けた見通しについて、教育長にお伺いします。 ◎教育長(日隈俊郎君) 現在40位前後にある競技力を着実に向上させるためには、中長期的な視点からの対策を、官民が一体となり、計画的に進める必要があると考えております。 そのため、競技力向上対策本部を中心に、開催年度までを育成期、充実期、躍進期と区切りまして、各期ごとに掲げた目標の実現に向け、それぞれの時期に必要となる、具体的かつ効果的な対策を講じているところであります。 大変厳しい道のりでありますが、県はもとより、競技団体や市町村、県民の皆様など、関係者全ての総力を結集した取り組みにより、必ずや天皇杯獲得を実現できるよう、積極的に取り組んでまいります。 ◆(二見康之議員) 天皇杯を獲得するためには、全競技での競技得点の獲得が必要で、その対策が求められていると思います。 すぐに整備しなければならない取り組みもあれば、既存事業の中でもさらに充実させていかなければならないものもあると考えておりますが、例えば、競技用具等についても、購入後相当年数が経過しているものや、ルール改正によって、現在の規格に合っていない備品、競技人数に対して数量が不足しているものなど多数あると思います。 これらの競技用具等の整備に加え、各競技団体の強化費等についても拡充を図っていく必要があると思いますが、天皇杯獲得に向けた競技力向上対策についてどのように取り組んでいくのか、教育長に伺います。 ◎教育長(日隈俊郎君) 天皇杯獲得を実現するため、現在、競技力向上基本計画に掲げております「選手の発掘・育成・強化」や「指導体制の充実」などの総合的な対策を積極的に推進しております。 そのような中、指定校等への強化支援を初め、指導者育成・養成、競技用具等の整備など、継続的に取り組んでおりますが、そのさらなる充実はもとより、特に「育成期」においては、天皇杯獲得に向けた基盤づくりの対策にも取り組んでいく必要があります。 このため、必要な練習施設の整備や有望社会人アスリート等の確保、未普及競技を中心とした少年競技力の向上や、医科学的分野の支援充実など、新たな事業として、本議会にお願いしているところであります。 今後、これらの取り組みを通じて、着実な競技力向上につなげてまいりたいと考えております。 ◆(二見康之議員) 宮崎県を挙げて、ぜひ天皇杯獲得に向けて頑張っていただきますように、よろしくお願いします。 次に、警察行政について伺いますが、まずは警備計画についてです。 ことしは、いよいよ7月24日から東京オリンピックパラリンピック競技大会が開催される予定となっております。ぜひとも、無事開催できればと願うところでありますが、まずは、それに先立ちまして、4月にはオリンピックに伴う聖火リレーが本県を通過するとともに、夏にはオリンピックパラリンピック出場国の事前合宿も行われると聞いております。 さらに、オリンピック終了後の10月には、国民文化祭、全国障害者芸術・文化祭が開催されるなど、本年は大規模行事の開催が相次いで予定されております。 過去、海外においては、オリンピックを標的としたテロ事件が発生したり、聖火リレーにおいては、ランナーのトーチを奪おうとした事案やトーチの火を消そうとした事案など、さまざまな妨害行為が発生しています。 このような情勢を見たとき、本県で開催される各種大規模行事でも、テロの危険性や妨害行為等の発生が懸念されるのではないかと考えます。 そこで、このような国家的イベントや重要な県内行事など、大規模行事に対する警察としての対応についてどのように考えているのか、警察本部長に伺います。 ◎警察本部長(阿部文彦君) 国家的イベント、あるいは重要な県内行事等の安全を確保し、交通規制もあわせて、その円滑な運営に貢献することは、警察の責務であり、県警の総力を挙げて取り組んでいく必要があると考えています。 そのため、県警におきましては、県内外の関係機関や事業者等とも緊密な連携を図りながら、テロ等不法行為に関する情報の収集分析に努めるとともに、治安の情勢を踏まえた的確な警備計画の策定、警備部隊の訓練、交通対策その他の準備を進めているところであります。 今後とも、これら警備の完遂に向け、県警が一丸となって、各種対策を推進してまいります。 ◆(二見康之議員) 次に、高齢者の交通安全対策について伺います。 平成29年3月に、改正道路交通法が施行され、高齢運転者の交通事故抑止対策として、新しい認知機能検査や高齢者講習が導入されました。 また近年、高齢運転者の増加に伴い、高齢運転者による重大交通事故が多発しており、昨年は、4月に東京都池袋で、6月には福岡市で高齢運転者による凄惨な交通事故が発生しました。 このような情勢の中、近年では、高齢運転者が運転免許証を自主的に返納し、その数は増加していると聞いておりますが、昨年と約5年前、どれくらい自主返納の状況が変わっているのか、警察本部長に伺います。 ◎警察本部長(阿部文彦君) 昨年の県内における免許返納件数につきましては、過去最高の5,110でありました。 5年前の平成26年が1,750でありましたので、3倍近い数にふえております。 ◆(二見康之議員) 自主返納数が増加しているということですけれども、本県では、公共交通網の整備がなかなか厳しい地域がたくさんあります。 生活のために運転免許の自主返納が困難で、運転を継続せざるを得ない高齢運転者も多数おられることと思います。 このような運転免許の自主返納が困難な高齢運転者の事故防止策として、昨年から制限運転という取り組みを自治体とともに推進していると思いますが、この制限運転の取り組みについて、本県の実施状況と今後の方針を、警察本部長に伺います。 ◎警察本部長(阿部文彦君) 「制限運転」につきましては、高齢運転者が、加齢に伴う身体機能の低下による交通事故を避けるため、時間帯や場所等の運転条件をみずからの意思で選択し、運転を自己制限する自主宣言運動であります。 県内におきましては、昨年5月に延岡市が導入し、本年1月末現在、このほか宮崎市、美郷町、日之影町及び五ヶ瀬町の計2市3町におきまして、高齢者クラブあるいは地域単位で実施されているところであります。 県警といたしましては、来年度以降、さらに多くの市町村において実施されるよう、必要な取り組みを進めますとともに、制限運転を宣言された高齢ドライバーの方々に対しましては、参加体験型の交通安全教育、自動車教習所での運転講習会、サポートカーの体験試乗会等の支援を行うことで、安全運転技能の維持・向上を図ってまいります。 ◆(二見康之議員) よろしくお願いします。 次に、警察行政のICT化について伺います。 警察におきましては、サイバー犯罪や人身安全関連事案、テロの未然防止などへの対応に加え、激甚化する自然災害への迅速・的確な対応など、新たな治安課題に直面しております。 このような課題がある一方、少子高齢化や人口減少時代における厳しい人材確保や、ワークライフバランスの推進など、時代の要請を踏まえた対応が求められていると思います。 これらの課題への対応策として、警察業務の高度化・効率化の実現に向けたICTの活用、特に先端技術の利用は有効であると考えております。 警察のICT活用に関する取り組みの現状について、警察本部長に伺います。 ◎警察本部長(阿部文彦君) 警察といたしましては、ICTを活用した警察業務の高度化・効率化の実現に向け、例えば、カメラ映像中の特定の人物等をコンピューターで自動的に識別・抽出して捜査に活用するようなシステムの導入につきまして、ICT企業とも連携しながら、技術的な検討・検証を実施しております。 また、県の取り組みであります「みやざきICT活用促進研究会」にも参加し、例えば、犯罪統計資料に係るデータの入力を、現在は職員が手作業で行っているところ、これを機械で自動化するようなRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の導入について、協働で研究を実施しているところであります。 今後とも、関係機関等と連携を図りながら、ICT活用に向けた検討を推進してまいります。 ◆(二見康之議員) 次に、人材確保について伺います。 昨今の少子高齢化や民間企業の採用意欲の高まりを受け、公務員の受験者数が減少していると聞いております。犯罪認知件数が減少傾向にあるとはいえ、交通事故やうそ電話詐欺の被害は後を絶たず、本県の治安維持に当たる宮崎県警察においても、よりよい人材の確保は喫緊の課題だと思われます。 まず、本県における警察官採用試験の競争倍率についての推移を、警察本部長に伺います。 ◎警察本部長(阿部文彦君) 県警の大学卒の男性警察官A採用試験の競争倍率は、平成に入って以降、最も高かったのが平成12年度の約14.5倍で、このときの受験者数は538名、最終合格者は37名でありました。 令和元年度の競争倍率は約2.2倍で、受験者は118名、最終合格者は54名であり、競争倍率は年々減少傾向にあります。 ◆(二見康之議員) 続けて、本県の警察官の退職状況並びに辞職理由等について、警察本部長に伺います。 ◎警察本部長(阿部文彦君) 定年退職者は、例年50名前後で推移しております。また、定年退職者を除く早期退職者数につきましては、20名から30名前後で推移しているところであります。 早期退職者の状況といたしましては、20代までの若手警察官が占める割合が高いことが挙げられ、平成30年度の早期退職者に占める若手警察官の割合は約54.5%となっております。 早期退職者の辞職理由は、「仕事よりプライベートの時間を優先したい」ですとか、「警察官として必要な体力・精神力に自信がない」「ほかの仕事をやってみたい」など、さまざまであります。 ◆(二見康之議員) 最後に、よりよい人材を確保するためには、警察においても働き方改革を進めることが重要だと思いますが、県警で取り組んでおられる働き方改革について、警察本部長に伺います。 ◎警察本部長(阿部文彦君) 県警では、魅力ある職場を目指して、さまざまな取り組みを行っております。 まず、これまで原則管轄区域内居住であった警察官の居住地規制を見直し、職責に応じて、管轄区域外の自宅から通勤できるよう、規制の緩和を行っております。 さらに、育児や介護で負担を抱えている職員の勤務時間を短縮して負担軽減を図る両立支援制度、男性の育児休業取得促進、休暇取得促進など、職員一人一人が仕事と家庭を充実させ、生き生きと生活できるよう、職場環境の整備に取り組んでおります。 ◆(二見康之議員) 最後になりますけれども、今、働き方改革等、人材確保について、いろいろ伺ってきました。やっぱりこれからは、本県内だけではなくて―もちろん人口流出を防ぐための取り組みも必要でしょう―他県から宮崎の魅力を理解してもらって、共感してもらって、本県に来てもらえるような人の流れづくりが必要だと思います。 CMといいますか、いろんなこれからのキーワードは「共感」だというようなことを言われていました。今、SNSで「同じだね」「いいね」とかいろんなものがあると思いますけれども、共感を生むからこそ、人の注目が集まる。 宮崎のよさというのはたくさんあると思いますが、それを他県の方々にも共感してもらえるような仕掛けづくりが必要なんだと思います。 本県の独自の魅力を高めて、それを効果的に発信していくことが、今、本県にとって一番大事なんだと思うんですが、人材確保のためにも、県外に本県の魅力を戦略的に発信していく必要があると思います。 これにつきましては最後なんですが、知事のお考えをお伺いして終わりたいと思います。 ◎知事(河野俊嗣君) 人口減少の時代を迎えまして、大都市圏などから人材確保を図るという観点からも、本県の魅力を戦略的、効率的に発信していくことが、大変重要であると考えております。 これまで県では、温暖な気候や美しい自然、豊かな食、スポーツや伝統文化など、本県の魅力をわかりやすく伝えるということで、本県のキャッチフレーズを「日本のひなた宮崎県」と定めて、官民一体となって積極的にPRしてきたところであります。 また、世界農業遺産の認定やユネスコエコパークへの登録、ワールドサーフィンゲームスの開催、アカデミー賞のアフターパーティーにおける3年連続での宮崎牛の採用など、国内外に向けた情報発信にも取り組んできているところであります。 今後、社会のグローバル化、デジタル化の進展に合わせまして、デジタルマーケティングなどの新たな手法も取り入れながら、より効果的、戦略的な情報発信に努めてまいりたいと考えております。 ◆(二見康之議員) いろんな節目節目があったと思います。そこでいろんなPRもされたと思います。しかし、そこで終わることなく、これでもか、これでもかと、どんどんどんどん次から次に、矢継ぎ早に打っていくという熱意が欲しいなと思うところですので、執行部の皆様も含め、今後の対応をよろしくお願い申し上げまして、私の質問の全てを終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(丸山裕次郎) 以上で本日の質問は終わりました。 あすの本会議は、午前10時から、本日に引き続き代表質問であります。 本日はこれで散会いたします。   午後2時53分散会...