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03月01日-04号

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  1. 宮崎県議会 2019-03-01
    03月01日-04号


    取得元: 宮崎県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-20
    平成31年 2月定例会平成31年3月1日(金曜日)  午前10時0分開議   ───────────────────  出 席 議 員(36名)    1番  武 田 浩 一  (自由民主党くしま)   2番  有 岡 浩 一  (郷中の会)   3番  重 松 幸次郎  (公明党宮崎県議団)   4番  来 住 一 人  (日本共産党宮崎県議会議員団)   5番  岩 切 達 哉  (県民連合宮崎)   6番  西 村   賢  (宮崎県議会自由民主党)   7番  後 藤 哲 朗  (  同  )   8番  二 見 康 之  (  同  )   9番  日 高 博 之  (  同  )   10番  野 﨑 幸 士  (  同  )   11番  日 髙 陽 一  (  同  )   13番  蓬 原 正 三  (  同  )   14番  図 師 博 規  (愛みやざき)   15番  河 野 哲 也  (公明党宮崎県議団)   16番  前屋敷 恵 美  (日本共産党宮崎県議会議員団)   17番  渡 辺   創  (県民連合宮崎)   18番  髙 橋   透  (  同  )   19番  徳 重 忠 夫  (宮崎県議会自由民主党)   20番  丸 山 裕次郎  (  同  )   21番  中 野 一 則  (  同  )   22番  中 野 広 明  (  同  )   23番  横 田 照 夫  (  同  )   24番  黒 木 正 一  (  同  )   25番  松 村 悟 郎  (  同  )   27番  井 上 紀代子  (県民の声)   28番  新 見 昌 安  (公明党宮崎県議団)   29番  田 口 雄 二  (県民連合宮崎)   31番  太 田 清 海  (  同  )   32番  緒 嶋 雅 晃  (宮崎県議会自由民主党)   33番  右 松 隆 央  (  同  )   34番  山 下 博 三  (  同  )   35番  濵 砂   守  (  同  )   36番  坂 口 博 美  (  同  )   37番  星 原   透  (  同  )   38番  井 本 英 雄  (  同  )   39番  外 山   衛  (  同  )  欠 席 議 員(1名)   30番  満 行 潤 一  (県民連合宮崎) ─────────────────── 地方自治法第121条による出席者  知     事 河 野 俊 嗣  副  知  事   郡 司 行 敏  副  知  事   鎌 原 宜 文  総合政策 部長   日 隈 俊 郎  総 務 部 長   畑 山 栄 介  危機管理統括監   田 中 保 通  福祉保健 部長   川 野 美奈子  環境森林 部長   甲 斐 正 文  商工観光労働部長  井 手 義 哉  農政水産 部長   中 田 哲 朗  県土整備 部長   瀬戸長 秀 美  会 計 管理者   福 嶋 幸 徳  企 業 局 長   図 師 雄 一  病 院 局 長   桑 山 秀 彦  財 政 課 長   吉 村 達 也  教  育  長   四 本   孝  警 察 本部長   郷 治 知 道  監査 事務局長   郡 司 宗 則  人事委員会事務局長 原 田 幸 二 ───────────┴─────── 事務局職員出席者  事 務 局 長   片 寄 元 道  事 務 局次長   上 山 伸 二  議 事 課 長   齊 藤 安 彦  政策調査 課長   日 髙 民 子  議事 課長補佐   濱 﨑 俊 一  議事 担当主幹   山 口 修 三  議事課主任主事   井 尻 隆 太  議事課主任主事   三 倉 潤 也──────────────────── △一般質問 ○議長(蓬原正三) これより本日の会議を開きます。 本日の日程は、一般質問であります。 ただいまから一般質問に入ります。 質問についての取り扱いは、お手元に配付の一般質問時間割のとおり取り運びます。〔巻末参照〕 質問の通告がありますので、順次発言を許します。まず、黒木正一議員。 ◆(黒木正一議員) 〔登壇〕(拍手) 皆さんおはようございます。平成最後の一般質問のトップバッターを務めさせていただきます黒木でございます。私は、これまでどのような質問をしてきたのかということで、調べてみました。中山間地域の課題を繰り返し述べており、同じ質問を何度も何度もよくも続けてきたものだと、冷や汗の出る思いでありました。しかし、最後の質問も、やはり中山間地域の諸課題について伺ってまいります。 本県では、平成23年3月に「中山間地域振興条例」が制定され、それに基づき「中山間地域振興計画」を策定し、さまざまな取り組みを進めてきています。しかしながら、人口流出に歯どめがかからず、今後さらに見込まれる、急速な新たな人口減少から生じると見込まれる課題に対応するため、改定を行うことになっています。 中山間地域に該当する区域は、人口は約4割であるものの、面積は県土の約9割を占めており、その対策も総花的にならざるを得ず、地域のニーズに沿った具体的な課題に対応し切れていないのではと思います。 知事は「中山間地域振興計画」のこれまでの成果をどう考えているか伺います。 改定される振興計画は、人口急減地域に対象を絞り、真に必要な対策に具体的に取り組むべきと考えます。私は、所得対策、命と教育の格差是正、それらを支える交通ネットワークの整備ではないかと思います。 知事は所信表明の中で、「私が先頭に立って、人口減少問題などの困難な課題へも果敢に挑戦し、しっかり成果を出していく」と述べられました。「中山間地域振興計画」の改定方針についても伺います。 以下の質問は質問者席から行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 おはようございます。お答えします。 「宮崎県中山間地域振興計画」につきましては、地理的条件が厳しく、人口減少・高齢化が進む中山間地域の振興を図るため、平成23年度に策定したものであります。この計画に基づき、全庁を挙げて組織横断的に中山間地域の振興に取り組んできたところであります。 この間、例えば、ドクターヘリの運航開始や世界農業遺産などの地域資源ブランドの認定、鳥獣被害対策の進展等、一定の成果があらわれている一方で、人口減少が予想を超えて進んでおり、今後、地域活力の減退や生活サービスの維持・確保といった課題が一層深刻になることが考えられます。 私は、この中山間地域は、豊富な自然や伝統文化、豊かな食文化、そして温かな地域のきずななど、本県が大切に守り伝えるべきさまざまな大切な価値というものを有している地域であるというふうに考えております。 今回の計画改定におきましては、人口減少下においても、こうした地域というものを次世代に引き継いでいくことができるよう、担い手の確保や第1次産業に就業しやすい環境づくり、医療・介護、買い物といった生活に必要なサービスを、複数の集落間のネットワークで圏域全体として守る仕組みづくりなど、中山間地域の喫緊の課題に対応する施策に重点化する方向で検討してまいりたいと考えております。以上であります。〔降壇〕 ◆(黒木正一議員) これから具体的に伺っていきます。まず、農業振興について伺います。 中山間地域振興計画には、時代に合った経営、就業形態の創出として、集落営農組織などの育成を図るとあります。そこで、集落営農について伺います。 日本の農家数が急速に減少している中、担い手の一つとして期待されているのが集落営農であります。これは、集落で話し合い、各農家の役割を明確にして、集落を単位として営農に取り組むもので、中山間地域など条件の不利な地域では特に担い手が不足しており、地域の農業を維持するために不可欠とも言える仕組みであります。 全国的には、数は頭打ち傾向のようですが、本県の現状と今後どのように進めていくのかを、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 集落営農につきましては、地域農業を維持・発展させる本県農業の重要な担い手の一つであり、現在、県内で140の組織が活動しております。 特に、中山間地域は、平地に比較して狭い農地が多く、集落の営農におきましても、農業生産だけでは地域を維持することが困難でありますことから、農産物の加工など、地域の実情や特性を生かした組織体制や活動が必要と考えております。 このため、県といたしましては、今後も農業改良普及センターを中心に、市町村や関係機関・団体等と連携して、地域の実情に応じた集落営農の設立や組織運営、法人化等を支援してまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 所得向上対策について伺います。 今、狭い農地の多い中山間地域は、集落営農においても、農業生産だけでは地域を維持することが困難と言われましたが、集落営農が単なる中山間地域の人口減少と高齢化対策であるならば、それは持続することは難しいのではないか、積極的な中山間地域像を描き、それに向け持続可能な生産体制にしていくために、集落営農への支援を抜本的に強化する必要があると思います。 総務省の都市住民に対するウエブアンケートでは、移住で最も重視する条件において、仕事(収入)があることが、55.8%で最も多くなっています。零細、分散した農地でも収益の上がる作物の創出などに、一体となって取り組むことが必要と思います。 私は、平成23年6月議会以降2回にわたり、美郷町にある林業技術センターに、農業技術、鳥獣害対策、6次産業化への支援など中山間地域農業を総合的に支援する組織を併設した、中山間地域支援センターを設置すべきと訴えてきましたが、かないませんでした。 人口が急激に減少する中、思い切った所得対策をやらなければ手おくれになってしまう。ずるずると集落が消滅するのではないかという危機感からでありました。 改めて、中山間地域の特徴に応じた所得向上対策について、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 人口減少や高齢化が著しい中山間地域を守っていくためには、雇用の確保や所得向上につながる取り組みを進めていくことが大変重要であると考えております。 このため、県におきましては、「第七次宮崎県農業・農村振興長期計画」におきまして、「中山間地域農業所得向上プロジェクト」を設け、中山間地域の特性を生かした農業の振興と、他産業と連携した所得の確保に向けた取り組みを推進しているところでございます。 具体的には、夏季冷涼な気象条件を生かした収益性の高いカラーピーマンなどの園芸作物の生産拡大、ユズ、クリ等を活用した6次産業化など、地域の特徴を生かした付加価値の高い農業の振興、さらには、グリーンツーリズムなどの推進に取り組んでいるところでございます。 今後とも、市町村、関係機関・団体等と連携し、中山間地域の所得向上対策にしっかりと取り組んでまいります。 ◆(黒木正一議員) 次に、農泊について伺います。 グリーンツーリズムなどを推進しているということですが、民泊新法の施行により、一定の条件下で、住宅による民泊業が可能となり、旅館業法の許可による従来の農家民宿とあわせ、農泊などの取り組みに選択肢が広がり、国内旅行者はもとより、ふえ続けるインバウンドの受け皿としても、中山間地域の活性化、所得向上に生かせるのではないかという期待が寄せられています。 本県における農泊の現状、また新年度予算で支援事業に取り組むようですが、その概要についても農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 本県における農家民宿は、県内各地域にございまして、平成29年末で171軒と、年々増加している状況にございます。 農泊は、農林水産業などの地域資源を生かしたビジネスとして、中山間地域の所得向上を図る上で有効な手段の一つであると考えております。 現在、県内の農泊は、修学旅行など団体受け入れが中心でありますが、今後、インバウンド等の新たな旅行需要を取り込んでいくためには、個人旅行への対応をさらに強化していく必要があると考えております。 このため今後は、宿泊施設や農業体験等の情報のオンライン旅行予約サイトへの登録や、インターネットを活用したプロモーション活動など、旅行者目線での効果的な情報発信と利便性の向上に努めてまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 農水省は、農泊支援地域を500地域採択する予定ですが、現在までに採択した205地域のうち半分以上の104地域で外国人宿泊者がいなかったとのことで、農泊推進のための情報支援が必要だと思います。 次に、女性の農業進出について伺います。 中山間地域振興計画では、農業の担い手育成策として、女性、青年農業者が活躍できる場づくりを推進することになっています。集落営農、農泊などが展開することで、女性の活躍の場は広がっていますが、担い手としての女性の活躍が、本県の農村振興上重要ではないかと思います。 全国的には、女性の農業離れが進んでいると言われていますが、本県の女性農業者の活動の現状と今後の支援について、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 女性農業者が、女性ならではの知恵と感性を生かし、地域で生き生きと活躍することが、本県農業の成長産業化を図る上で大変重要であると考えているところでございます。 このため県では、農林漁業にかかわる女性組織6団体のネットワーク強化のための交流会の開催や、農業や地域の活性化に取り組むグループへの支援などを行っているところであります。 特に、中山間地域におきましては、女性加工グループが、加工品の開発・販売や農家レストランの経営など、女性ならではの視点を生かして活動し、地域の活性化等につながっている事例もございます。 県といたしましては、今後とも、このような事例が増加し、女性農業者がさらに活躍できるよう、市町村や関係機関・団体等と連携し、支援してまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 滋賀県では、女性農業経営者を育てようと、「女性のための農業経営塾」を開いており、今後広がるのではないかと言われております。 このような質問をなぜしたのかといいますと、2月の初め、熊本市であった農業関係の大会で、ニュージーランドに短期間の農業研修に派遣する事業に参加した4人の農業高校の女子生徒の体験発表を聞いたからであります。ニュージーランドは、世界最大の乳製品輸出国であり、男女平等を評価したジェンダーギャップ指数が世界144カ国中9位―日本は114位ですが―と女性就農者の活躍が目覚ましいことから選んだということです。 畜産は、農業でも人材確保が難しいことから、担い手の育成、女性の活躍の推進にスポットを当てた事業で、帰国後は報告会を行うほか、「輝く畜産アンバサダー」として学内外の発表会などに参加し、成果を広く伝える役割も担っています。 この4人は、2人が大学に進学し将来は畜産経営者になる、1人は県職員になり畜産振興に取り組みたい、もう1人は佐賀県の人だったと思いますけど、宮崎大学に進学し、農業高校の教師を目指すという発表を行いました。これを聞いて、10日間ぐらいの派遣でありますけれども、このような経験は、担い手の確保はもとより、若者に夢や可能性を与えるのではないかと感じました。 そこで、農業振興とは離れますが、本県における青少年の国際交流の現状と今後の取り組みについて、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 県では、青少年の国際理解の促進と人材育成の推進を図るため、県内の青少年を海外に派遣するとともに、海外の青少年にも本県に来てもらうという相互交流を行う事業に取り組んでおります。 韓国との間では、小・中・高校生のホームステイ等に平成20年度から取り組んでおりまして、これまでに本県から327名の児童・生徒を派遣しております。 また、香港は今年度から開始したところでありまして、5名の中学生を派遣いたしました。 来年度はこれらに加えまして、本県と協定を締結している都市との交流を深めるため、台湾との間での高校生の相互交流事業について、今議会にお願いしているところでございます。 ◆(黒木正一議員) 観光みやざき未来創造基金を活用した台湾の高校生との国際交流を、新規に始めるということでありますが、先ほどの農業高校の女子生徒に、何でその事業を知ったのかということを聞きましたら、4人の人全てが学校の先生から勧められたということでありました。その事業は、全国の農業高校の校長会に呼びかけて、全部で73名応募があり、20名が派遣されています。本県からも若干名応募があったものの、残念ながら20名には選ばれませんでしたけれども、先生方が積極的に背中を押す体制づくりも必要ではないかと思います。 今後、インバウンド外国人労働者増加など、さらに国際化が進む中、若いうちから国際交流の機会を経験することで、外国人への苦手意識の払拭、コミュニケーション能力の向上など、将来の宮崎県を担う人材育成のためにも、青少年の国際交流を積極的に進めるべきと考えますが、知事の考えを伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 青少年が海外を訪問し、多様な文化や価値観を持つ人たちと交流し、日本との違いなどを現地でじかに感じることは、今後ますますグローバル化が進展する中で、宮崎の未来を担う国際感覚豊かな人材を育成するといった観点から、また、改めて我が国や宮崎の魅力や価値を見詰め直す機会を提供するといった観点から、とても大事なことであると考えております。 このような考えに基づき、県では、青少年の国際交流事業に取り組んできておりますが、市町村や民間団体においても、文化・芸術、スポーツ、教育など、さまざまな分野で交流の取り組みが進められているところであります。 例えば、美郷町では韓国の中学生との交流事業―私も昨年、林川中学の子供たちと意見交換をいたしましたが―また、都城市では台湾の小中学生とのスポーツ交流が、それぞれ毎年実施されているところであります。 県としましては、こうした市町村や民間団体等の取り組みと連携して、若い世代が海外にも目を向けてみずから行動できるよう、青少年の国際交流に、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 予算をつけて、ぜひ積極的に進めていただきたいと思いますけれども、先ほどの農業高校の女子生徒の事業は、日本中央競馬会の事業でありまして、東京までの旅費ぐらいの負担でよかったということでありますので、ぜひいろんな派遣事業を後押ししていただくとありがたいというふうに思います。 次に、林業振興について伺います。 本年4月に「森林経営管理法」が施行され、新しい森林経営管理システムがスタートいたします。これは、森林所有者みずからが森林の経営管理を実行できない場合に、森林所有者の委託を受けて、市町村が伐採などを実施するための権利を設定し、その上で、林業経営に適した森林は、意欲と能力のある林業経営者に再委託し、伐採を実施するための権利を設定する。また、林業経営に適さない森林については、市町村みずからが経営管理を実施するというものだと思います。つまり、これは、森林経営計画が策定されているところは経営管理されているとみなされ、それ以外の森林に経営管理権が設定され、経営管理権集積計画の対象となるということであります。 全国的には、私有人工林のうち、経営計画が策定されている森林面積は約3分の1程度のようですが、本県の森林経営計画の認定率はどれぐらいか、環境森林部長に伺います。 ◎環境森林部長(甲斐正文君) 本県の平成29年度末における森林経営計画の認定率は、市町村ごとに開きはありますが、県全体では民有林面積の約43%となっております。 認定率の高い市町村では、適切に管理されている森林の割合が多く、新たな森林管理システムの推進に必要な所有者不明森林の確認や、今後の経営管理の意向調査等の作業は、相対的に少なくなるものと思われます。 ◆(黒木正一議員) スタートします森林環境譲与税は、森林経営計画の認定率が高い市町村においては使途が限られるのではないかという声もあるわけですけれども、ほかにどのような使途が考えられるのかを伺います。
    環境森林部長(甲斐正文君) 認定率の高い市町村では、適切に管理されている森林の割合が多いということで、新たな森林管理システムの対象の森林というのは、相対的に少なくなるものと思われます。このため、このような市町村では、現在、国会に提出されております森林環境譲与税の関連法案を踏まえますと、地域の実情に応じ、担い手の就業・定着、事業体の雇用改善や労働力確保への支援、それから、地元産の木材による公共施設等の木造・木質化などの施策の充実等に、森林環境譲与税の多くを充てることが可能と考えております。 ◆(黒木正一議員) 森林経営計画の認定率は、県内の市町村でも天と地の差ぐらい大きな差があります。そのような状況の中で、一律に画一的な制度を適用するというのはどうかとも思いますけれども、森林環境譲与税が目的に沿って有効に活用されるよう取り組まなければならないと思います。 次に、意欲と能力のある林業経営者について伺います。 市町村が経営管理権を設定し、林業経営に適した森林は、意欲と能力のある林業経営者に委託し伐採などを行うことになりますが、再造林や災害に強い施業など循環可能な林業の構築には、その選定が非常に重要と思います。 県が公募し、審査を行い決定するということですが、選定の基準と登録後の運用について、環境森林部長に伺います。 ◎環境森林部長(甲斐正文君) 森林経営管理制度における意欲と能力のある林業経営者について、本県では「ひなたのチカラ林業経営者」と名づけ、公募を行っているところであります。 この経営者には、森林所有者にかわり長期的に経営管理を行う能力が求められますことから、素材生産量の増加や再造林の取り組み、伐採・搬出等に関する行動規範の遵守などを選定基準としております。 また、登録後の運用については、毎年、事業の実施状況について報告を求めるとともに、コンプライアンス面を重視し、無断伐採や林業死亡、労働災害の発生などの事案を確認した場合には、登録を一時停止するなど、厳格に行うこととしております。 この3月には、第1弾として約50者に対し、登録証を交付する予定としており、引き続き、森林経営を任せ得る経営者の確保に努めてまいります。 ◆(黒木正一議員) 「ひなたのチカラ林業経営者」ということでありますけれども、登録後の運用が、循環型の林業を進めるためにはどうしても大事だというふうに思います。 さて、林業大学校がいよいよ開講いたします。初年度、長期過程の定数を大きく上回る入学者がいるということですが、部長以下熱心に募集を行ったというふうに聞いております。実践的な人材育成に取り組んでいただきたいと思います。 育林従事者の確保について伺いたいと思います。 先日、林業大学校の開講を前に、シンポジウムが行われました。そのときの基調講演では、「日本の林業の特徴は、下刈りなど初期保育に極めてコストがかかる。欧米と比べて造林コストは約10倍である」という話でありました。 全国の林業労働力の動向は、5年間で約1割減少しており、そのうち伐木・造林・集材従事者は1割の増加、一方、育林従事者は3割の減少となっております。最も生産コストがかかり、機械化も容易でない育林部門の従事者が大きく減少しています。 本県においても皆伐が進む中、この部門の人材確保が大きな課題であり、所得も高いとは言えず、ここに光が当たる仕組みをつくらなければ、次の世代に豊かな森林を残すことはできないと考えます。 本県の育林従事者の現状とその確保に向けた取り組みについて、環境森林部長に伺います。 ◎環境森林部長(甲斐正文君) 本県の資源循環型林業の確立を図る上で、造林・保育を担う育林従事者の確保は重要であります。その現状は、育林作業の大半を担う県内の森林組合における作業班員の推移で見ますと、平成25年度以降の5年間で約1割減少している状況となっております。 このため県では、就業相談会の開催や従事者が安心して働くことができるよう、福利厚生や労働安全衛生の充実、従事者の継続的雇用を行う林業事業体への支援に取り組んでおります。 特に、過酷な夏場の下刈り作業について、従事者の負担を軽減する装備などの導入に対しても支援を行っているところであります。 今後とも、働きやすい林業の職場環境づくりを通して、育林従事者の確保・定着に努めてまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 森林環境譲与税育林従事者対策に活用できないものかと、私は思います。 育林の省力化について伺います。 林業従事者が減る中、林業作業の中で特に人手が必要な下刈りなど育林作業の省力化対策は、各地でいろいろと試みが行われておりますが、本県の取り組みについて環境森林部長に伺います。 ◎環境森林部長(甲斐正文君) 育林作業の省力化は、施業の低コスト化や林業労働の軽減など、林業経営の改善や担い手を確保する上で重要な課題と考えております。 このため県では、コンテナ苗などを活用し、伐採後すぐに造林を行う一貫作業システムの実証事業に取り組み、地ごしらえや植えつけ作業において省力化、低コスト化が図られることが確認できたため、今年度から国の事業を活用し、普及していくこととしております。 また、夏場の厳しい環境条件の中で行います下刈りについて、部分的に行う坪刈りや筋刈りの導入、身体的負担の大きい夏から秋・冬への実施時期の移行、環境への負荷の小さい除草剤の使用など、労働軽減が可能な下刈りの有効性について実証を行っているところであります。 さらに、林業技術センターにおいて、育林期間が短縮できる早生樹の導入に向けた研究に取り組んでおり、このような取り組みを通じて、育林作業の省力化に努めてまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 育林作業の省力化に取り組んでいただき、ありがたく思います。 そこで、除草剤の使用について言われましたけれども、このことについては、さきの議会において坂口議員からも質問がありました。 私のほうには、山側の人たちから、「ベトナム戦争の枯れ葉剤使用、また富山県の草刈り十字軍を思い出す」というものから、「人が都会に出ていく中で、山で頑張っているのは水源地を守っているという誇りがあるからだ」といったものまで、実証実験に対する多くの批判的な意見が来ております。 下刈りは過酷な労働です。しかし、さまざまな懸念の声に応えて、慎重を期すべきだというふうに思います。 次に、何度取り上げたかわかりませんけれども、鳥獣害対策について伺います。 全国的に鹿、イノシシの捕獲頭数が増加しており、野生鳥獣の被害額はここ数年減少しているとされております。しかしながら、鳥獣被害は営農意欲の減退や耕作放棄の原因ともなっており、数字にあらわれる以上に深刻な影響を及ぼしています。 私は山の中に住んでおりますが、林道や作業道を通ると、鹿やイノシシが原因と思われる落石が毎日あります。以前はこれほどなかったことであり、鹿やイノシシが減ったという実感は全くありません。 先月、山道を軽トラで通っておりましたら、鹿かイノシシが落としたと思われる石がたくさん落ちておりまして、それをどけようと車からおりたら、下からガサガサと言わせてイノシシが1頭、飛び出てきました。慌てて山の上に逃げましたけれども、次から次に出てきて、9頭、群れをなして目の前を、すぐ近くを通っていきました。そういう状況でもありますし、鹿の群れにもよくあいます。そして、これまで諸塚村には定住しないと思われていた猿の群れが出てきまして、最近は小学校の校庭にまで出てきたということで、これが定住することにならなければいいがなと心配しているところであります。 被害防止策として、防護柵の設置が行われておりますけれども、さらに個体数を減少させなければ、防護柵では限界があるという声があります。これまでの本県の取り組みの効果と今後の対策について、農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 本県では、鳥獣による農林作物の被害軽減のため、鳥獣被害対策特命チームや鳥獣被害対策支援センターを中心に、市町村や関係機関とも一体となった取り組みを推進しております。 具体的には、国の交付金等を活用いたしまして、市町村等が行う有害鳥獣の捕獲や、野生鳥獣の侵入防止柵の整備等に対し支援を行いますとともに、地域の指導者育成や、住民への研修会の開催などに取り組んでいるところであります。 これらの取り組みによりまして、平成29年度の農林作物の鳥獣被害は約4億円と、年々減少してきている状況にございます。 しかしながら、被害は依然として大きいことから、今後とも市町村と連携し、野生鳥獣の生息状況や被害状況の実態把握に努めながら、地域が一体となった総合的な対策を進めてまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) ジビエ料理について伺いたいと思います。 きのう、重松議員が質問いたしましたけれども、近年、全国的に捕獲鳥獣を地域資源とし、ジビエとして利用する動きが広がっております。 本県においても、新たな処理加工施設の整備が行われるなどの動きがありますが、ジビエ利用が進むことは、捕獲圧を高めることにもつながり、所得の拡大も期待されております。本県の状況について農政水産部長に伺います。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 現在、県内のジビエは、精肉だけでなく、レトルトカレーなどの加工品として一部利用されておりますが、主要なイノシシ、鹿などにおきましても、捕獲頭数の約3%しか利用されていないなど、十分な活用がなされていない状況にございます。 このため県では、国の交付金を活用して、処理加工施設の整備を支援するとともに、処理加工従事者、調理師等を対象とした、衛生管理やジビエ調理等の研修会の開催、一般消費者への消費拡大を目的とした、「みやざきジビエフェア」などに取り組んでいるところであります。 今後とも、関係機関、団体と連携しながら、中山間地域の活性化を図るためにも、本県産ジビエの普及拡大に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 前にも言ったことがありますけれども、今から48年前の県議会において、椎葉村出身の議員が、「鹿を保護しなければ、ツキノワグマのように絶滅する。狩猟者も多く狩猟税も上げるべき」と、今と全く逆の意見を述べています。この50年で何が最も変わったのか。過疎の50年とも言われますが、山村から人が減ったことが一番ではないかと、私は思っております。 次に、教育政策。遠隔地域の高等教育に係る負担軽減策について伺います。 現在、僻地の小中学校においては、都市部と変わらない優秀な教師を配置していただいており、学習塾などなくても学力は劣っていないというふうに思います。 ただ、山間部における高等学校への進学は、地理的条件の厳しさ、公共交通機関の不便さなどから、自宅通学が困難な地域があり、寮や下宿生活を余儀なくされ、都市部とは違った高額な出費をしている現状であります。 その対策として、県では県内6カ所に地区生徒寮を設置、また「へき地育英資金」を貸与し、遠隔地に居住する保護者の負担軽減を図っていただいております。 そこで、この2点について伺います。 まず、生徒寮についてでありますが、本県は10年前から通学区域を撤廃しており、また中学校卒業生も減少していることから、その運営がどうなっていくのか心配する声も聞くところであります。現状と今後の方針について教育長に伺います。 ◎教育長(四本 孝君) 君) 中山間地域等出身生徒の進学促進と保護者負担の軽減を図りますために、県内6カ所に地区生徒寮を設けておりますけれども、平成30年4月における入寮率の平均は85.5%となっております。 今後の運営につきましては、少子化で生徒数が減少する状況の中でありますが、入寮者はここ数年、一定数を維持しており、今後も入寮希望者が見込まれますことから、引き続き、適正な管理、運営を行って、地区生徒寮の利用を促進してまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 中学校卒業生が減っているにもかかわらず、利用者はほとんど変わっていないということで、それほど依存度が高いということでありますので、今後も充実した運営をお願いいたしたいと思います。 次に、奨学金について伺います。高校生に対する奨学金については、市町村独自に設けているもの、また特定の職業に就労した者には返済免除があるもの、償還金が一部免除されるものなど多様化しておりますけれども、本県では、一般育英資金に貸与額を上乗せした、へき地育英資金を設けて対応しています。県へき地育英資金の貸与状況はどうなってるのかを教育長に伺います。 ◎教育長(四本 孝君) 君) 本県の育英資金におきましては、「一般育英資金」のほか、保護者が僻地に居住する高校生等に対し、貸与額を大きくした「へき地育英資金」の2種類を設けております。 近年、一般育英資金、へき地育英資金ともに貸与者数が減少しておりますが、高校生等の育英資金全体に占める、へき地育英資金の貸与者数の割合については、ここ数年、約6%となっておりまして、一定の割合で利用されている状況にございます。 県といたしましては、引き続き、制度の周知を図るとともに、しっかりとその運用に努めることによって、遠隔地域に係る教育費負担軽減に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 自宅通学困難地域において、定住者はもとより、移住してきた場合に突き当たるのが、一気に教育費がふえる―「高等教育の壁」と言いますけれども、それではないかというふうに思います。一定の貸与者がいるということで、一層の充実、周知の推進をお願いしたいと思います。 次に、医療・福祉政策。僻地の医師確保について伺います。 僻地における医師確保は、歴史的な課題であります。昭和40年代に県議会において、私の地元の議員は、「村長が何度も何度も足を運び、宿舎を整備し、高い給料を払い、苦労してようやく医師を雇ってもすぐに出て行ってしまう」と、その困難さを訴えております。また、椎葉村出身の議員は、「椎葉村の奥地の不土野というところに広大な県有林がある。それを処分して医科大学をつくって医師の確保をしてほしい」と訴えております。 県では、僻地における医師確保に、自治医科大学卒業医師の派遣を行っていただいておりますが、多い派遣要請に応えられていない状況と聞きます。 最近、「医師少数県」とか将来の医師不足予想などが報道され、僻地の将来はどうなるのか不安の声が大きく、根本的な対策が望まれます。本県の僻地における医師確保のこれまでの成果と今後の対策について、知事に伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) 僻地におきましては、地理的条件等から民間による医療提供も限られ、医師を初めとした医療従事者の不足が深刻で、医療の確保が大変厳しい状況にあります。住民が安心して医療を受けられるように体制を整えることが、何よりも重要な課題であると考えております。 このため、県としましては、自治医科大学卒業医師の計画的配置を行うとともに、都市部の病院の協力を得ながら、僻地の診療に協力をしていただける医師の派遣調整などにも取り組んでおり、その結果、人口減少が進む中でも、僻地における医師の体制を維持してきたところであります。 今後、これらの取り組みに加え、宮崎大学や県立病院等関係機関と連携し、来年度からスタートします医師のキャリア形成プログラムを活用して、若い医師が僻地医療に従事できる体制を構築し、僻地の医療体制の確保・充実に努めてまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) ひとつ抜本的な対策をとっていただくようにお願いしたいと思います。数日前の新聞に載っているのではっとしたんですけれども、医師に魅力を感じてもらう地域づくりが大切だということが書いてありまして、なるほどなというふうに思いました。ただ医師を派遣してくれ、派遣してくれではなくて、そういう地域づくりというのも、地方ではしっかり取り組まなければならないというふうに思います。 次に、山間部における地域包括ケアシステムについて伺います。 介護保険制度が開始され、もうすぐ20年になろうとしています。介護需要が拡大することから、政府は、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を推進しています。 しかし、医療や介護などのサービス資源が乏しく、ひとり暮らし、2人暮らしの高齢者世帯が点在する山間部では、既存の介護保険サービスだけでは高齢者を支え切れない状況になりつつあり、地域の力を活用しながら高齢者を支えていくシステムの構築が必要となっております。 私の地元、諸塚村では、特別養護老人ホームで働く介護職員の確保のために、勤続5年で100万円を補助するというような事業も始めているほど、介護人材も不足している状況にあります。 新年度予算に、「山間部における地域包括ケアシステム体制強化事業」がありますけれども、その概要について福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 山間部では、医療や介護サービス、人材などの資源が乏しい上、集落の規模が小さく、各地に点在するなどの地理的な制約もあり、高齢者を取り巻く環境は非常に厳しいものがございます。 一方で、昔ながらの助け合いの精神が残っているといった強みもございますので、このような強みを生かし、限られた資源をより効率的に活用しながら高齢者を支える仕組みづくりが、何より重要と考えております。 このため、県ではこれまで、「みやざき地域見守り応援隊」など民間活力を生かした、地域での見守りや支え合いを行う活動を支援してきたところでございます。 今後は、この取り組みに加え、今議会にお願いしております、来年度の新規事業「山間部における地域包括ケアシステム体制強化事業」によりまして、広域連携による効率的なサービス提供体制の検討など、山間部における地域包括ケアシステムの構築に、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 高齢者がそこに住んでよかったと思えるようなシステムづくりを、ひとつよろしくお願いいたします。 次に、結婚サポートセンターについて伺います。 中山間地域振興計画には、「出会いの場づくりと結婚支援を推進します」とありますけれども、中山間地域では、結婚願望がある独身男性は多いものの、若い女性が絶対的に少ない、その現実を何とかしなければと考えていたところ、ある新聞で、愛媛県が開設した結婚支援センターで裏方としてボランティアをしている方の「婚活イベントに携わって、自分の若かりしころを思い出し、そわそわする」という投書を目にして、平成26年6月議会で、本県でも取り組んだらどうかと取り上げました。それが早くも平成27年2月議会では、特に中山間地域の振興や後継者確保のためにも事業化したいとして、「結婚サポート事業」が始まりました。 このセンターは、都城・宮崎・延岡市にあり、その遠隔地は気軽に相談に行こうにも容易ではなく、会員数も少ないのではないか、また、裏方で支援する縁結びサポーターも限られるのではないかと思います。 中山間地域の市町村と連携し、会員の増加を図るために情報を強化する必要があると思いますが、今後の推進策について福祉保健部長に伺います。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 「みやざき結婚サポートセンター」は、宮崎、都城、延岡の3カ所に設置しており、本年1月末現在の会員数は1,114名でございまして、ボランティアとして、男女の引き合わせ等に御協力いただく「縁結びサポーター」には、62名の方に登録していただいております。 しかしながら、議員御指摘のとおり、中山間地域の多くの町村では、会員数はそれぞれ数名程度、また、「縁結びサポーター」も数名にとどまるなど、地域差が生じているのが現状でございます。 これまでも、市町村と連携を図りながら取り組んでまいりましたが、今後はさらに、中山間地域の市町村との連携を強化し、地域の隅々にまでしっかりと情報が届きますよう、広域活動の強化を図りますとともに、出張窓口の開設や事業所訪問等による、会員確保や利便性の向上に努めてまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 私の身近な人に登録を勧めましたところ、結婚まで至りました。制度の周知と会員の増加策を進めていただくように、よろしくお願いいたします。 次に、便利で安心な基盤づくりについて。まず、国県道の整備について伺います。 これまでの県議会議員生活で一番要望の多かったことは、国県道の整備促進でありました。国県道の改良率、宮崎県は九州で最も低く、中でも山間部は、その地形の悪さゆえ低い改良率となっております。しかし、昔と比べるとはるかに整備されており、かつて明治、大正、昭和にかけ困難を極めた末にようやく開設された、住友100万円道路とも言われた327号線も、着々と改良が進んでいます。 また昨年、美郷町南郷の388号線の一つの工区が完成し、地元の公民館主催による祝賀会が行われました。地元の住民による踊りあり、歌あり、郷土料理の振る舞いありで、にぎやかなものでした。 本県は、自動車保有率も運転免許保有率も九州一であり、特に公共交通機関の乏しい地域においては、自家用車依存度が高く、道路の改良は他人のためでなく、自分のためであり、それほどうれしいのです。喜ぶ姿を見ると、このような地域こそ整備を進めるべきというふうに思います。 中山間地域における国県道整備について、今後どのように取り組むのか、県土整備部長に伺います。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 中山間地域における国県道につきましては、住民の日常生活を支えるとともに、産業活動の支援、さらには災害時の孤立解消など、果たすべき役割は大変重要と考えております。 現在、国道につきましては、諸塚村から椎葉村間の国道327号や、西米良村から西都市間の国道219号などにおいて、重点的に整備を進めており、平成30年度には、美郷町の国道388号牛山2工区や諸塚村の国道503号八重の平工区などが完成したところであります。また、県道につきましては、2車線での整備に加え、椎葉村の上椎葉湯前線など、山間部の急峻な地形の箇所では、1.5車線的道路整備手法を取り入れるなど、工夫しながら整備に取り組んでいるところであります。 今後とも、安全で安心して暮らせる県土づくりに向け、予算の確保に努めるとともに、中山間地域の道路整備が着実に進むよう、しっかり取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 次に、耳川ダム通砂運用について伺います。 耳川水系は、平成17年の台風14号の大雨によって流れ込んだ大量の土砂によって氾濫し、地域の市町村は甚大な被害を受けました。私の地元の商店街は、2年連続の浸水被害であったことから再起できるか心配されましたが、国、県、九州電力など関係者一体となった水防災事業等により、再出発することができました。 このような甚大な被害を受け、国、県、市町村、関係団体、地域住民は、これら土砂に起因するさまざまな課題を流域全体で管理していこうと、平成23年に耳川水系総合土砂管理計画を策定し、河川改修工事などに取り組んでいただいております。 ダムの改造によるダム通砂運用は、国内では初めての取り組みでもあり、その効果が期待されます。取り組み状況について、県土整備部長に伺います。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 「耳川水系総合土砂管理計画」では、治水や河川環境改善を図ることを目的に、九州電力が西郷ダムと山須原ダムの改造を行うことで、台風などの大規模な出水時に、ダムの上流から流れ込む土砂を下流に流す「ダム通砂運用」が、重要な取り組みとして位置づけられており、全国的にも先進的な取り組みとして注目を集めております。 このような中、西郷ダムの改造工事が平成29年に完成したことから、段階的な通砂運用を2回実施しており、その後のモニタリング調査では、ダム下流への土砂移動により、一部、砂州の拡大や瀬・ふちが形成されるなど、良好な河川環境の再生が確認されております。 さらに、平成33年度に予定されております山須原ダム改造工事の完成により、通砂運用のさらなる効果が期待されますので、今後とも、九州電力や地域の方々と連携し、耳川の適切な管理に努めてまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 流域一体となったこの土砂管理事業は、今後の河川事業の模範となる取り組みとして高く評価され、土木学会環境賞も受賞しております。また、流域の個性豊かなダムが、観光資源としても今、見直されようとしており、今後が非常に楽しみであります。 最後に、過疎法について伺います。 過疎地域自立促進特別措置法、いわゆる過疎法が2年後に失効することから、今後の過疎対策に関する議論が始まっていると聞きます。 総務省が公表したアンケートによると、「日本にとって過疎地は大切だと思うか」の問いに、72%の人が「大切」と答え、「過疎地に対する支援や対策」には、74%が「必要」と答えています。 また、過疎地が果たしている公益的機能について、データ分析の結果、農業産出額の50%を占めるなど、食料供給や環境保全、多面的機能の維持など、幅広い役割を発揮していることを数値で裏づけています。 海外においては、それぞれ背景は違いますが、人口減少地域対策に予算、税制などで手厚く支援が行われている国があり、日本では、過疎法に基づく過疎債の発行等、地方財政措置などでの支援が行われております。 過疎法について、これまでの取り組みの評価と今後の対応を、知事に伺います。 ◎知事(河野俊嗣君) いわゆる過疎法は、昭和45年の施行以来、今日まで、4度にわたり制定されております。本県におきましては、過疎債や法に基づく各種支援制度を活用し、交通通信体系の整備、産業の振興、生活環境の整備など、総合的な過疎地域対策を進めてまいりました。 このように、過疎法の果たしてきた役割は大きなものがあったと考えておりますが、我が国全体が人口減少時代に突入した中で、過疎地域は、以前にも増して厳しい状況に置かれております。国土の均衡ある発展を図っていくためには、引き続き対策を講じていくことが必要であると考えております。 このため、県としましては、国等に対して、こうした地方の厳しい現状を訴えるとともに、新たな過疎法の制定や各種支援制度の維持・拡充を求めていくこととしております。 また、こうした動きとあわせ、県としましては、市町村と一体となって、地域の実情に応じた過疎地域の振興に努めてまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 新法へ向けて積極的に取り組んでいただくように、お願いいたします。 通告していた質問は全て終わりました。一言お礼を申し上げます。 私を県議会議員に引っ張り上げられたのは、北浦町出身の、もう亡くなりました松井繁夫議員であります。松井議員は、よく山奥の集落の祭とかにも参加しておりました。そこでいつも、「こういう山奥の集落の祭りがなくなったときが日本の終わりだ」というふうに言っておりまして、私はそれを胸に、これまで山村のことばかり取り上げてきました。それに対して執行当局の皆さん、本当に御支援、御協力いただきました。そして、先輩議員、同僚議員の皆さん、御指導いただき、ありがとうございました。感謝を申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(蓬原正三) 次は、横田照夫議員。 ◆(横田照夫議員) 〔登壇〕(拍手) 自由民主党の横田照夫です。きのう、おとといの代表質問と若干内容がかぶるところもありますが、改めて、またちょっと違った視点で質問させていただきますので、よろしくお願いいたします。 昨年の台風24号で、私の住む地域にある2つの神社も大きな被害を受けてしまいました。基本的には、憲法に政教分離がうたってありますので、神社などの修復には行政はかかわれないことになっています。 でも、こういう事例があります。平成16年に発生した新潟県中越地震では大きな被害が発生しましたが、国や県がする復興事業を補完する目的で、新潟県が3,000億円を貸し付けるなどして、「公益財団法人新潟県中越大震災復興基金」を設立しました。そして、その運用益によって、被災者への融資の利子補給や国の補助事業の対象とならない小規模な農地復旧への助成などが行われました。助成対象となる事業は、随時、追加・見直しが行われ、2年後の平成18年に、「地域コミュニティ施設等再建支援事業」の中に「鎮守・神社・堂・祠」の再建支援が追加されました。 神社は、地域コミュニティーの「心のよりどころ」「精神のよりどころ」だという捉え方があり、そうした認識に立って、「地域コミュニティ施設等」の再生事業の対象に神社・ほこらなどが追加され、社殿の再建を支援するという具体的方策が生まれてきたということです。つまり、神社再建が地域コミュニティー再生には不可欠だという考え方です。 この措置により、地震で倒壊した神社やほこらなどの再建・修復のために合計1,145件、総額約30億円が助成されました。総事業費の4分の3、上限2,000万円で助成されたそうです。 この基金では、被災者側が行う復旧・復興活動への支援を原則としているため、神社の再建・復旧の場合は氏子などによる寄附が前提となります。でも、この基金からの助成なしには社殿の再建は難しかったと言われています。 この中越大震災復興基金の場合、県が基金を出資・貸し付けただけでなく、県職員が出向するなどして、実質上は県が運営する財団だったんですけど、法律上は民間の団体でした。つまり、神社などの再建に助成金を出した主体は、法律的には民間団体であったため、憲法の「公金支出の禁止」をクリアして、神社仏閣への助成が可能だったと言えます。 本県でも南海トラフ地震の発生リスクが高まっていますが、災害後も地域コミュニティーを維持していくため、地域の「心のよりどころ」となっている神社等への修繕、復興等を支援できないか、知事の考えをお伺いします。 あとの質問は質問者席にて行います。よろしくお願いいたします。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。 阪神・淡路大震災を初め、過去の大規模災害では、地域コミュニティーが、避難生活における相互扶助や復興に向けたまちづくりなどに大きな役割を担っており、災害時において地域コミュニティーの維持・再生を図ることは、大変重要であると考えております。 議員から御意見をいただきました、地域の心のよりどころとなっている神社等の再建・修復につきましては、御紹介いただきましたような、新潟県中越地震や熊本地震においても、住民が参加する祭りや行事などのコミュニティー活動に活用される施設など、一定の要件を満たすものに対して、市町村を通して支援した事例があります。 本県におきまして南海トラフ地震等が発生した際には、こうした事も参考になるものと考えております。以上であります。〔降壇〕 ◆(横田照夫議員) 今、高齢化等人口減少の時代に入り、神社等への氏子の負担力はますます先細りになることが考えられます。2040年には、全国にある神社の約40%に当たる3万1,000社が消滅するおそれがあるとも言われています。 先ほどの中越地震の場合は災害時のことですが、今後、地域や地域コミュニティーを維持していくためには、「心のよりどころ」「精神のよりどころ」としての神社等が絶対必要だと考えますので、平時の場合においても、何らかの形で行政が神社仏閣の修復等へかかわっていくことはできないか、検討の必要性を感じております。 次に、「改正水道法」について、福祉保健部長にお伺いします。 昨年12月に「改正水道法」が成立しました。 我が国の水道事業は独立採算制をとっており、原則水道料金で運営されていますが、人口減少に伴い給水量は減少し、水道事業の収益が減少することによって経営状況が厳しくなることが予想されます。 水道管路は、法定耐用年数が40年であり、高度経済成長期に整備された施設の更新が進まないため、管路の老朽化はますます進むものと見込まれています。 こういう状況を受けて法改正が行われたのだろうと思いますが、報道では「水道民営化」が一番表に出ています。しかし、改正の概要を見ますと、民営化は5つある改正項目の中の1つであって、決してそれだけではありません。法改正を受けて、水道事業はどのように変わっていくと考えておられるのかを伺ってまいります。 まず、今回の改正法では、広域連携の推進がうたわれています。 水道広域化に関しては、全事業体の6割がその必要性を理解しているものの、その取り組みを行っているのは2割程度となっています。広域化が進まない要因として、料金や財政状況、施設整備水準等の事業体間格差が挙げられています。国は、事業体自身が広域化検討の契機を捉えられていない状況にあることから、広域化の足がかりを与える推進役として、都道府県の積極的な関与を望んでいるようですが、県は、県内水道事業における広域的な連携の推進についてどのように考えておられるのかをお聞かせください。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 県内の水道事業におきましても、人口減に伴う収益の減少や施設の維持・更新に係る経費の増大などの課題がございまして、今後もますます経営環境が厳しくなるものと予想されております。 県としましては、経営統合による広域化はもとより、施設の共同設置や管理業務の共同化などの広域的な連携は、これらの課題解決に向けた有効な手法の一つと考えております。 このため、市町村等との定期的な会議等におきまして、広域連携に関する意見交換や、先進事例の紹介などに努めてきたところでございます。 また、将来の目指すべき方向性を示す「宮崎県水道ビジョン」を来年度策定することとしておりまして、現在進めております課題抽出や現状分析を踏まえた上で、広域的な連携も含め、県内水道事業の今後のあり方について検討してまいりたいと考えております。 ◆(横田照夫議員) 水道事業者は給水装置の工事を施工する者を指定することができ、条例において、給水装置工事は指定給水装置工事事業者が行うことになっています。しかし、これまでは新規の指定のみで、休廃止等の実態が反映されづらく、無届け工事や不良工事も発生し、苦情件数も多くなってきているそうです。 そこで、今回の改正法では、給水装置工事事業者の指定の更新制を導入することとしています。給水装置工事事業者の指定更新制が導入されることによって、どのような効果が期待できるのかをお聞かせください。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 給水装置工事事業者につきましては、指定後の更新がないため、指定を行う市町村等において、休廃止等の実態を十分把握できず、事業者への適正な指導が難しいと伺っております。 このため、本県におきましても、御指摘のとおり、工事に対する苦情や無届け等の違反工事が毎年発生している状況にございます。 今回、5年ごとの更新制度が導入されることで、事業者の定期的な実態把握や適正な指導が可能となりますので、苦情の減少や違反工事の防止などの効果が期待できるものと考えております。 ◆(横田照夫議員) 私たち議員も、4年に一回選挙がありますので緊張感を持って仕事をするんだと思います。水道業者も、一回指定されればもう更新の手続はないということになれば、技術者がいなかったり設備を持っていなかったりなど、工事能力がないにもかかわらず工事を受けていたということもあったかもしれません。そういう不適切な業者を排除するためにも、更新制は大事だと思います。 さて、一番話題になっている民営化ですが、今回は、コンセッション方式という、水道事業の運営そのものを民間企業に委ねる新たな仕組みを選択肢の一つとして導入しようとしています。コンセッション方式では、水道施設の所有権は、国や県から認可を受けた水道事業者としての自治体が持っていますが、長期にわたる事業の運営権を民間企業に譲って、その対価を自治体が受け取ることになります。運営権を買い取った企業は、水道料金を設定して利用者から徴収し、そのお金で施設の維持管理や修繕なども含めて、水を供給します。 コンセッション方式をめぐっては、コスト削減につながるとして宮城県が導入を検討している一方で、ことし1月31日には浜松市が導入検討を延期し、新潟県議会などが反対の意見書を可決するなど、導入に慎重な自治体も少なくありません。民間に運営を委ねて災害時に対応できるのか、経営が破綻したときにどうするのか、業務や経営の状況を監視できる体制を整えられるのかなどの不安もあります。 水道事業におけるコンセッション方式の導入について、県はどう考えておられるのかをお伺いします。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 今回の法改正に伴い、国から示された水道事業におけるコンセッション方式は、単純な民営化ではなく、官民連携の選択肢の一つとして、住民サービスの向上や業務効率化のメリットがある場合に、市町村等の水道事業者が、議会の議決を経て導入することになっております。 また、導入する際も、給水責任のある水道事業者が、料金の上限や、管理運営の内容及び水準を定めた上で、国の許可を得ることが必要とされておりますことから、事業の安全性や継続性について留意した内容になっているものと考えております。 導入に当たりましては、今後、国が示すガイドラインを踏まえ、各水道事業者が十分に検討していく必要がございますので、県としましては、必要に応じて、適切な情報提供や助言に努めてまいりたいと考えております。 ◆(横田照夫議員) 民営化した海外都市では、料金高騰とか水質悪化を招き、少なくとも世界33カ国の267都市で再び公営化されているとも言われています。そういった事例もあることから、多くの自治体が慎重な対応になっているのだと思います。 法改正が行われましたが、まだ詳しい内容まではわかっていません。今後、水道事業者である自治体が誤りなき判断ができるように、しっかりと情報提供や助言をしていっていただきたいと思います。 次に、フロン回収罰則強化について、環境森林部長にお尋ねします。 冷蔵庫やエアコンなどの冷媒として使われているフロン類について、政府が業務用機器からの排出規制を強化する方針を決めました。関係法の改正案の、今国会への提出を目指すそうです。 冷蔵庫などの冷媒には、以前は特定フロンが使われていましたが、オゾン層を破壊することがわかり、使用が規制されました。そのかわりに広く使用されることになったのが、オゾン層を破壊しない代替フロンです。 しかし、代替フロンはオゾン層は破壊しないものの、最大で二酸化炭素の1万倍もの温室効果があるということがわかり、2016年に開かれた国際会議で新たに規制対象になりました。 現行の規制法では、事業者がフロン類を用いている機器を処分する際、専門業者に依頼してフロン類を回収するよう求めています。一応、違反した事業者には50万円以下の罰則規定が設けられていますが、違反を繰り返さなければ罰則は科せられず、違反の現場を取り押さえることも難しく、これまで適用例はなかったということです。そのために、現在、業務用機器の廃棄の際のフロン類回収率は30%台にとどまっている状態です。 改正案では、フロン類の回収済み証明書がなければ処理業者が機器を引き取れなくすることや、一度の違反でも罰金を科すことになるということです。また、建物の解体情報をもとに、都道府県が現場に立ち入り検査する仕組みも設けるそうです。 エアコンなど業務用機器廃棄時のフロン類回収率向上に係るフロン排出抑制法改正案に対する県の考えをお聞かせください。 ◎環境森林部長(甲斐正文君) 機器を廃棄する際のフロン回収率が低迷している要因は、国の調査によりますと、建物解体時に回収が行われなかった事例が特に多いと報告されております。 このため県では、国の通知に基づき、関係機関による建物解体情報の共有化を図ったところでありますが、今回の改正案では、議員からもお話がありました、現行法ではできなかった県による解体工事場所の立入検査などが可能になると伺っております。 さらに、事業者が機器を廃棄する際、処理業者に回収済み証明書の確認を義務づけることなど、新たな仕組みが導入される方向であります。 今回の法改正が実現すれば、必要に応じた立入検査などで、機器廃棄時における事業者のフロン類回収の履行が促進され、回収率向上が図られるものと考えております。 ◆(横田照夫議員) 冷蔵・冷凍庫やエアコンなどは、私たちの生活には欠かせないものになっています。でも、フロン類などの回収をしっかりとやらないと、温暖化が加速し、昨年の夏が人災と言えるような暑さとなり、学校へのエアコン設置が決まったように、さらにエアコンなどの数をふやさなければいけないなどの悪循環に陥ることになると思います。 国も、厳格化しないと大変なことになるとの思いで今国会への法案提出に踏み切ったのだと考えますので、県としてもしっかりとした対応をしていただくようお願いしておきます。 次に、被災した農業用水路について、農政水産部長にお尋ねします。 昨年の台風24号で、農業用水路も多くの箇所で山腹崩壊や倒木により壊れてしまいました。 早期水稲地帯では、年が明けたら、すぐに田んぼの準備が始まり、野焼きや田起こし、水路の整備、苗の注文などをしなければなりませんが、水路が壊れていて水が流れなければ、それらの作業をしても意味がありません。 そこで、台風等の災害で被害を受けた農業用水路の復旧にはどのような対応ができるのかをお尋ねします。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 農業用水路の災害復旧につきましては、一般的に、市町村が事業主体となりまして国庫補助事業を活用して実施することになります。 ただし、事業費が40万円未満の災害復旧につきましては、国庫補助事業の対象にならないことから、市町村が単独で復旧したり、あるいは管理者がみずから復旧する場合もあると伺っております。 なお、多面的機能支払制度や中山間地域等直接支払制度に取り組んでいる地域におきましては、復旧にこれらの制度の交付金を活用することも可能となっております。 ◆(横田照夫議員) 土砂と一緒に何本もの巨木が倒れかかって壊れた水路は、地元の水利組合や農家だけではどうしようもないのが現実です。その水路で、広い面積の水田が養われており、水が流れなければ、結局は耕作放棄につながってしまいます。 一昨年に発生した北部九州豪雨で被災した田畑は、いまだに復旧は手つかずで、高齢化が進む農家の意欲に影を落としているそうです。農地が荒れたままでは、人口減少に拍車がかかるし、集落の存亡にもつながりかねません。 昨年の硫黄山の噴火による長江川等の白濁により、川からの取水ができずに、えびの市、伊佐市、湧水町で約1,400戸、1,080ヘクタールで、やむを得ず稲作を断念しました。そのことに対して、国も県も作付が再開できるようにさまざまな対策を打っていますが、災害により取水できないということでは、台風災害も同じだと思います。 台風で被災した農業用水路も次の作付に間に合うように、行政がしっかりと復旧にかかわることが必要だと思いますが、県の考えをお聞かせください。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 議員御指摘のとおり、災害復旧に当たりましては、次の稲作に間に合うよう、迅速に取り組んでいくことが非常に大事だと考えております。 このため県では、事業実施に当たり、市町村に対し、事務手続や復旧工法のほか、工事の早期着工・早期完成について、助言・指導を行っているところであります。 また、復旧工事に期間を要するなど、国の査定後の発注では次の作付に間に合わないような場合は、国との協議により、査定前に工事に着手できる制度もあることから、その周知に努めております。 引き続き市町村と連携して、災害の早期復旧に向けてしっかり対応してまいりたいと考えております。 ◆(横田照夫議員) 例えば、水路横の山の木が倒れて水路を壊している場合、その木の撤去は山の所有者がすることになります。でも、最近では所有者がわからないこともあります。そういう場合でも、その木は個人の財産ということで勝手に切ることもできません。今後はそういうこともふえてくることが考えられますので、そういう場合の指針のようなものをつくっておくことも必要ではないでしょうか。 次に、家畜防疫体制についてお尋ねします。 家畜伝染病「豚コレラ」の感染が5府県に拡大しました。昨年9月以降、岐阜県内で発生が続き、国と県が拡大防止に取り組んできましたが、愛知、長野、大阪、滋賀の4府県でも新たに感染が拡大してしまいました。初動に問題があったと言われていますが、それだけ感染力の強い怖い病気だと言えると思います。そのことを考えてみますと、本県で9年前に発生した「口蹄疫」が、他県に感染することなく県内だけでとどめられたことは、すごいことだと思います。対応に当たっていただいた関係者に敬意を表させていただきます。 家畜伝染病は、国内ばかりではなく、例えば中国では、豚コレラよりも致死率が高く治療法もワクチンもない「アフリカ豚コレラ」が流行していますし、韓国でも口蹄疫が発生しています。 今、それらの国等からの来訪者もふえてきており、ウイルスや病原菌がどのように持ち込まれるかわかりません。韓国人経営のゴルフ場もふえてきていて、多くの韓国人ゴルファーも、県内でゴルフを楽しんでいます。現在の空港やゴルフ場における水際防疫の対応状況について、農政水産部長にお尋ねします。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 宮崎空港におきましては、国際線や国内線の全ての搭乗通路に加え、空港ビルの出入口にも独自に改良を重ねた消毒マットを設置するなど、水際防疫に積極的に取り組んでいただいております。 また、年末年始など人の動きがふえる時期におきましては、県と動物検疫所が合同で、肉製品の持ち込み防止などの啓発キャンペーンを実施しているほか、動物検疫所では入国者のゴルフシューズの消毒も行っていただいております。 一方、ゴルフ場につきましても、海外からの旅行者の利用が多いことから、ゴルフ場経営者協議会と連携して、靴底消毒を実施していただいております。 県といたしましては、空港や港湾、さらには宿泊施設、ゴルフ場など、関係団体の協力を得ながら、引き続き水際防疫体制の強化に取り組んでまいります。 ◆(横田照夫議員) 農家からは、空港や港など外国人が入国する場所にミストの消毒器を設置してほしいという意見が多くありますが、ミスト消毒器を空港に設置できないか、農政水産部長に考えをお伺いします。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) ミスト消毒器につきましては、空港が、さまざまな旅行者等が利用する施設であり、床面が濡れることによる転倒の危険性や衣服への付着や吸引による影響などを不安視する声もあることを考慮しますと、空港への設置は難しいものと考えております。 なお、動物検疫所による検証結果では、消毒マットによる靴底消毒は病原体の持ち込み防止に効果があるとされておりますので、今後とも、空港ビルの協力のもと、消毒マットを設置していただくとともに、旅行者等に対し、靴底消毒の徹底を啓発してまいりたいと考えております。 ◆(横田照夫議員) 今、本県畜産物の輸出が順調に伸びてきていますが、一旦家畜伝染病が入ると、これまでの努力が水泡に帰することになってしまいます。県も畜産農家も県民も、同じ認識を持って対応していきたいものだと思います。 次に、無人航空機の利用についてお尋ねします。 昨年10月に、大分県佐伯市番匠商工会の宅配事業を調査してきました。佐伯市宇目地域の高齢化率は52%で、山間部に人家が点在しています。高齢者の多くが1人か2人暮らしです。交通手段がなく、自宅の近隣に商店がないなど、年々買い物に不便な環境になってきているそうです。 そこの住民が頼りにしているのが、佐伯市番匠商工会の「高齢者等買い物弱者支援宅配事業」です。電話をすれば、担当者が買い物を代行し、食品から雑貨まで届けてくれて、まさに宅配が生活の支えになっています。 番匠商工会は、宅配事業を平成14年から始め、現在126人が会員登録しています。年3,000円の会費と加盟店の手数料、市の補助金300万円で運営しています。ただ、車の維持費などの負担は大きく、ビジネスとしては成立しないと言われます。それでも、誰かがやらなければ高齢者の暮らしは成り立ちません。地域を守るという使命感で続けておられるそうです。そこで、県内の買い物弱者等に対する宅配事業や移動販売の状況について、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 買物弱者等に対する宅配事業につきましては、公的な支援により、都城市高崎町や小林市須木、西米良村、美郷町におきまして、地元商工会による高齢者等の見守りを兼ねた宅配事業が行われているところであります。 また、民間におきましては、県内全域での個別配送を行っている事業者があるほか、一部のスーパー、コンビニなどにおいて、営業地域周辺での宅配が行われております。 また、移動販売につきましても、公的な支援によりまして、公民館等を活用した高齢者向けサロン事業での移動販売が日之影町で、移動図書館を兼ねた、地元の新鮮な野菜等の移動販売が五ヶ瀬町で行われており、都城市や高千穂町でも移動販売が行われております。 このほか、民間でも、一部のスーパー、コンビニなどにより、地域を限定した移動販売が行われておるところであります。 ◆(横田照夫議員) 大分県は、佐伯市番匠商工会と連携をして、この宇目地域で、ドローンによる宅配の実証実験をしています。昨年3月に、目視飛行で重量10キログラム規模の運送を試みて成功しました。 そして、国が昨年9月に、条件つきで「補助者なし目視外飛行」による実験が可能という新しい指針を出したのを受けて、先月から、今度は目視外飛行の実証実験を開始し、約1カ月にわたり「定期ドローン便」を運航し、実用化に向けた技術や制度面の課題を洗い出すことにしているそうです。 今回の実験では、携帯電話通信による長距離運搬と、離れた場所からの手動操縦の実現、目視外による自動飛行の実施をポイントに設定し、いずれも成功したということです。 2回目以降は条件を変え、データを蓄積しながら、実用化に向けた課題を検証していくそうです。 大分県新産業振興室は、「県民の生活課題を解決する手段として活用できるよう、着実に歩みを進めていきたい」としています。 また、政府は「未来投資戦略2017」で、2020年代には、人口密度の高い都市部でもドローンによる荷物配送を本格化させるという目標を掲げています。 本県も中山間地の集落を多く抱えておりますし、都市部でも免許証を返納するなどして買い物弱者となった人がふえています。ドローン宅配も含めて、買い物弱者対策をどのように考えているのかを、商工観光労働部長にお尋ねします。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 少子高齢化の進行や人口減少の本格化に伴い、買物弱者対策が大きな課題となってきており、県ではこれまで、商工会等による宅配事業の取り組みへの支援や、中山間地域における買い物実態の聞き取り調査、市町村との意見交換などを行ってきたところであります。 近年、IoTやAI等の科学技術が急速な進展を見せる中、ドローンによる宅配は、これからの買物弱者対策の有効な取り組みの一つになるのではないかと考えております。 今後、買物弱者を取り巻く環境は、さらに厳しくなると見込まれますことから、地域住民の生活支援や地域福祉の視点も含め、関係部局等が十分に連携を図りながら、市町村と一体となって、引き続き、地域の実情に合った効果的な施策に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(横田照夫議員) ドローンなどの最先端技術は、新しい産業を生み出していく可能性が大きいと思います。今までなかったビジネスを生む種でもあり、社会の課題を解決する切り札でもあると思います。 本県は、ドローンの可能性と今後の利活用についてどのように考えているのか、商工観光労働部長、お聞かせください。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) ドローンは、全国において、空からの撮影にとどまらず、撮影データの解析を初めとした高度利用が進められており、今後、国における安全・安心な利活用のためのルールづくりが進むことで、災害時における救急・救助活動など、将来的には物の輸送に加え、人の輸送も想定した、さらに幅広い分野での利活用が進むものと認識しております。 県内におきましても、ドローン操作に関する人材育成とともに、鉄塔やダム、大規模な太陽光パネルの点検業務での活用のほか、農業分野においても、上空からの撮影・画像解析を用いた水稲の生育診断などの実証試験が始まっているところであります。 このため、県としましては、国の動向を注視しながら、今後の新たなルール・運用等の事業者に対する周知や、最新技術に関する情報収集・共有を行い、先ほどお話にありました買い物弱者対策での配送も含め、ドローンの特性を生かした、これまでにない新たなビジネスモデルの創出など、県内企業の取り組みを後押ししてまいりたいと考えております。 ◆(横田照夫議員) 無人航空機といえば、先ほど黒木正一議員の質問にもありましたが、県が取り組んでいる「林業植林地における無人航空機による農薬散布」があります。 この技術開発の取り組みについて、その内容を環境森林部長にお伺いします。 ◎環境森林部長(甲斐正文君) 本県の林業従事者が減少傾向にある中、足元が不安定な山間部において、暑い時期に蜂や蛇を避けながら人力で行われる下刈り作業の省力化が大きな課題となっております。このため、今年度からGPSや無人航空機と農薬を組み合わせた技術開発の取り組みを開始したところであります。 具体的には、昨年10月に技術開発委員会を立ち上げ、研究の方向性について議論を行い、11月には試験地において、自動飛行に必要な地形データの計測と、検証に必要な農薬散布試験を実施したところです。 また、今月上旬には、無人航空機による自動飛行や農薬成分を除いた模擬剤による落下試験を実施し、今月中旬に開催します技術開発委員会において、これらの試験結果の評価を行いまして、次年度に向けての課題を整理することとしております。 ◆(横田照夫議員) 農薬をまく行為は、草花を枯らし、昆虫や地中の微生物・ミミズ等を滅ぼし、土質力が減少し、さらには残留農薬が、やがては川に流れ込み、川の生態系を壊し、海にまで影響を及ぼし、環境破壊につながるとの意見もありますが、どのようにお考えか、環境森林部長、お聞かせください。 ◎環境森林部長(甲斐正文君) 植林地用の農薬については、環境への影響が最小限となるよう、事前に水生生物やミツバチへの影響、分解のしやすさなどさまざまなリスク評価が行われた上で、農薬登録が行われております。 今回使用を検討している農薬は、昭和57年に登録されたものです。平成2年には全国で約4,000ヘクタールに相当する面積で使用され、拡大造林の減少とともに減ってはおりますが、平成28年の使用実績は約70ヘクタール相当となっております。 環境への影響については、これまで大学や関係機関で研究が行われており、農薬散布後に造林地から流出する河川水を調査した結果、農薬成分は検出されなかったという結果も報告されてはおりますが、さらに、本県においても独自に調査を行うこととしております。 また、自然保護や養蜂関係者の皆様などからも個別に御意見を伺っているところでありますので、必要に応じて調査項目を追加することなどにより、環境に配慮した技術開発を慎重に進めていきたいと考えております。 ◆(横田照夫議員) 田んぼのあぜとか用水路、ため池の堤防、道路の路肩やのり面などに除草剤を散布すると、根っこまで枯らしてしまうので地盤がもろくなって崩壊につながるので、除草剤は使用しないようにという通達が、多くの自治体から出されています。のり面部で除草剤を使う場合の取り扱いについて、農政水産部長と県土整備部長にそれぞれお伺いします。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 農業分野におけるのり面部の除草につきましては、農業用ため池を管理しております土地改良区や水利組合によりますと、のり面の崩壊等の懸念があるということで除草剤を使用せず、草刈りで対応していると伺っております。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 県管理道路の除草につきましては、車両通行の安全確保や沿道景観の保全等を目的に実施しておりますが、限られた維持管理費の中で、草刈り回数やその範囲について多くの御要望をいただいているところであります。 このため、「より効率的な除草対策」として従来の草刈りと併用し、除草剤や成長抑制剤などの活用を進めているところです。 その使用につきましては、土地利用状況や景観の阻害等に十分配慮するとともに、道路のり面部については、根を枯らさず、のり面崩壊につながらない薬剤に限定するなど、周辺環境に留意した取り扱いとしているところです。 ◆(横田照夫議員) つまり、農政水産部も県土整備部も、のり面に除草剤を使うと、のり面崩壊につながる懸念があるという共通認識を持っておられるということですよね。 当然、無人航空機で農薬をまく植林地は急斜面だと考えます。そういう場所に農薬をまくということは、植栽木にも影響を与え、山腹崩壊につながるのではないかと思いますが、どのようにお考えか、環境森林部長、お聞かせください。 ◎環境森林部長(甲斐正文君) 今回の試験で散布いたします農薬は、ススキや葛などの特定の雑草に作用する選択性を有するものでありまして、杉やヒノキの造林木や常緑広葉樹などは枯れず、林地の裸地化にはつながらないものと考えております。 植林地へ農薬散布を行った後の植生の状況について、これまで国有林や公設の林業試験場で行われた調査結果を見ますと、散布の翌年には植生が回復することが報告されております。 また、農薬の散布は育林の初期段階に限定され、植栽木が雑草木に覆われることのない1.5メートル程度の高さまで成長すれば、以後の散布は不要となるため、植栽木の成長とともに林地保全が図られるものと考えております。 しかしながら、議員御指摘のような御意見も関係者からお聞きしておりますので、不安の払拭につながるよう、薬剤散布の回数や量の抑制も研究項目に加えるなど、一層慎重な技術開発に努めてまいりたいと考えております。 ◆(横田照夫議員) 確かに、植林地の下刈りの労力軽減を図ることの必要性もよく理解できますが、きょうの宮日の「窓」の欄にもありました、環境破壊を不安視する意見も多くあります。いずれにしましても、これから技術開発の検討が始まるということですので、あらゆる方面からの検討を行い、後の世に悔いを残さないよう慎重な対応をお願いしたいと思います。 次に、建設産業の人材確保についてお伺いします。 昨年12月8日、いわゆる「改正入管法」が成立し、同月14日に公布されました。今、多くの産業で人手不足・人材不足が言われていますが、それを補うために、単純労働を含めた外国人労働者を雇い入れやすくするための法改正です。在留資格を特定技能第1号及び2号に分け、建設業は1号に入りました。在留期間は5年間で、家族の帯同は認められていません。 建設産業は、どの専門職種も若い人材が育っておらず、このままで推移したら、近い将来のインフラ整備は大変な状況になることが考えられます。そこで、多くの専門職種の皆さんが外国人労働者の雇用に関心を持っておられるようです。でも、建設産業の専門職種はいわゆる技能士が担っていて、その専門技術は簡単に身につくものではなく、長年の経験が必要です。だから、仮に外国人労働者を雇用したとしても、すぐに専門職を任せることにはならず、とりあえずは熟練技能士が技能の仕事に専念できるように、いわゆる「こどり」をしてもらって、そのうちに技能を身につけてもらえばいいと考えておられるようです。 県内でも、建設業や農業など、多くの産業で外国人労働者を雇いたいと考えておられる人がいると思いますし、今後、外国人労働者がますますふえてくると思います。そこで、外国人労働者を生活面で一層支援する必要があると思いますが、県の取り組みについて、商工観光労働部長、お聞かせください。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 県では、現在、県国際交流協会に窓口を設け、外国人住民からの教育、医療、防災などの生活相談に、英語、中国語、韓国語など5カ国語に対応する生活相談員を配置して、母国語での対応を行っております。また、必要に応じて弁護士や行政書士による法律相談対応も行うこととしております。 今後、新たな外国人材の受け入れ拡大に伴って、対応言語をふやすなど、外国人住民に対するより幅広い対応が必要となってまいりますので、県としましては、行政・生活全般の情報提供や相談対応を多言語で一元的に行う、多文化共生総合相談ワンストップセンターの設置を検討しているところでございます。 また、外国人住民のコミュニケーション能力を高めるため、日本語学習機会の充実などにも取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(横田照夫議員) 建設産業で外国人労働者を受け入れることで、とりあえずは人手不足が補えたとしても、根本的な解決にはならないと思います。技能の継承ということを考えたら、やはり、日本の若者が自信と誇りを持ってそれらの専門職種に入ってきてくれるような就労環境、労働環境を整えることが大事ではないでしょうか。 建設業就業者の年齢別の構成割合は、50歳以上が50%を超える一方で、29歳以下は9%しかいないということです。たくさんある専門職種のうちで、例えば鉄筋工とか型枠工とか、どれか一つでも仕事が滞ったら、その現場は仕事が進まなくなります。先日の山下議員の代表質問で、不調・不落が増加しているというお話がありましたが、皆さんたちが幾ら発注しても、業者にマンパワーがないから、それに応えられないということになるのではないでしょうか。来年度の予算に、「防災・減災、国土強靱化対策」として補助公共・交付金事業を約171億円措置するということですが、これも本当に計画どおりやれるのか、不安を感じます。 知事は、県政運営の基本姿勢で、政策の原点は現場にあるとの思いで、「徹底した現場主義」をとると言われました。今、建設現場はどうしようもなくなるような状況が、もうすぐそこまで来ていると思います。どうしようもなくなった場合、困るのは発注者であり、それらの施設を利用する県民です。今後、橋梁など、長寿命化のための工事もふえてきますし、今後も公共工事がなくなることはありません。県民に安全・安心を届けるためにも、技能・技術をしっかりと後世に継承していけるような体制をとることが大事だと考えます。 知事は、「リーダーに求められるものは、将来を見据えて、変化に対応するための明確なビジョンを示すこと」とも言われました。建設産業が将来にわたってインフラ整備や災害への対応等の役割を果たしていくためには、担い手の確保・育成に取り組むことが急務であると考えますが、知事の見解をお伺いします。 ◎知事(河野俊嗣君) 建設産業におきましては、御指摘のとおり、若年入職者の減少や技術者等の高齢化といった問題が生じており、担い手の確保・育成が喫緊の課題であると考えております。 このため県では、産業開発青年隊や産業技術専門校におきます建設技術者の育成を初め、建設業団体等と連携して、若年者の職場実習や資格取得を支援しているところであります。このうち、産業開発青年隊―これは今、全国で唯一の建設産業の人材の養成の組織でありますが―卒業生の県内就職をさらに促進するため、来年度から、建設業の関係者が講師となりまして、県内で働く魅力などのPRを行う夜間講座を開催することとしております。 また、建設産業の担い手を確保・育成するためには、下請・孫請を含む企業が、適正な利潤を確保できることが大変重要であります。設計労務単価の引き上げや経費率の加算、現場条件に応じた積算等による適正な予定価格の設定や発注の平準化などに努めているところであります。 今後とも、こうした取り組みをさらに進めるとともに、関係機関や建設業界と十分連携をして、入札制度の検証や見直しなども含め、最近では建設産業の新3Kというふうに言われております、給与がよい、休暇がとれる、希望が持てる、こうした魅力ある職場となるような実現に向けて、しっかりと取り組んでまいります。 ◆(横田照夫議員) 入札制度も含めて、これまで当たり前と思われてきた制度とか考え方を、もうそろそろ考え直す、そういう時期が来ているんじゃないかなと感じております。 予定の質問を全部終わりました。以上で、私の一般質問の全てを終わらせていただきます。ありがとうございました。 ○議長(蓬原正三) 以上で午前の質問は終わります。 午後は1時再開、休憩いたします。   午前11時42分休憩────────────────────   午後1時0分開議 ○副議長(外山衛) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次は、中野明議員。 ◆(中野広明議員) 〔登壇〕(拍手) こんにちは。ごらんのとおり、まだ4本足でありますけど、家では2本足、時には3本足。それだけ健康になりました。おかげで、我々の武器はしゃべりですから、菌がそこに行かんでよかったなと思っております。 そういうことで、質問に入りますけど、毎年私は楽しみにしているんですけど、今回、サラリーマン川柳が公表されました。私もサラリーマンでしたから、それを見ると、本当に、穏やかになって笑いが出て、健康にいいなと思っています。その中の10首、いろいろ遠からず近からず、皆さん経験されるようなことかなと思います。 まず1つ目、「意見箱 反映されずに ただの箱」と。「生産性 語る上司の 非効率」「本題を 外れ会議は 活気付く」「会議中 本音と建て前 懐疑中」「上司宅 家ではこんなに 動くのか?」「「前向きに 検討します!」と 後ずさり」。私も、ここで一首詠んでみました。「「前向きに 検討します!」と そのまんま」。これは座布団2枚ぐらい。「来春は 10連休だが 定年後」。定年される方、おめでとうございます。「忖度で ちがう意見が 一致する」「休日に 働き方の 打ち合わせ」「削減だ 改革起こすと 仕事ふえ」。こんな川柳を見ますと、いろいろおもしろいですね。そういうことで、質問に入ります。 まず、知事に質問いたします。人口減少対策についてであります。 知事の選挙公約の1番目が人口減少対策でありました。これはなかなか厳しい課題だと私も思っております。そういうことで、新年度予算において、人口減少対策には具体的にどのように取り組んでいくのか、知事にお尋ねいたします。 それから2番目、農業振興についてであります。 本県の農業・工業・観光・林業の中で、それぞれの課題はありますが、その中でも農業の課題が一番深刻ではないかと私は思っておりますので、農業について質問いたします。 本県の平成28年農業産出額は3,562億円、平成22年の口蹄疫発生どきには全国7番目に落ちましたが、平成26年からは5番目を維持しております。しかし、残念ながら、平成29年の産出額は、宮崎が3,524億円、対前年度38億円減っております。隣の鹿児島県の産出額は5,000億円、対前年度264億円の増加であります。北海道を抜きますと、鹿児島が全国1位ということになっています。この差はどのようなことか、農政水産部長にお尋ねいたします。 それから、中山間地域対策についてであります。先ほど、黒木議員のほうからいろいろ話がありました。まさしく議員の話の中身は、中山間部じゃなく山間部の話かなと私は思っております。いつも質問を聞きながら、彼の質問で大体山間部のありようがよくわかりました。本当にお疲れさまでした。それで、県の政策評価、いろいろありますけど、この政策評価では目的を達したということで、平成28年度の評価はA、29年度はBとなっております。まず、本県の中山間地域の定義はどうなっているのか、総合政策部長にお尋ねいたします。 以下、質問者席から質問いたします。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。人口減少対策の取り組みについてであります。 当初予算におきましては、「未来を担う人財の育成・確保」などを重点的な課題として、人口減少への対応を強く意識した事業構築を行ったところであります。 具体的には、まず、自然減対策として、引き続き、出会い・結婚のサポートや不妊治療費の助成等を行うとともに、子育て支援拠点の設置や多様な保育サービスの展開など、地域の実情に応じた子育て支援の充実を図ってまいります。 また、社会減の抑制に向けて、県立学校を核とした地域人材の育成、インターンシップやきめ細かな就職支援、県内企業情報の発信の強化を図るとともに、林業大学校の開講や農業・漁業の経営資源承継のための新たな仕組みづくりなどを進めてまいります。 今後は、このような対策にしっかりと取り組みながら、合計特殊出生率の向上や社会減ゼロへの道筋をつけていくため、さらに踏み込んだ対策も検討してまいりたいと考えているところであります。以上であります。〔降壇〕 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) 〔登壇〕 お答えいたします。中山間地域の定義についてであります。 本県の中山間地域は、中山間地域振興条例第2条第1項の規定によりまして、「過疎地域自立促進特別措置法」「山村振興法」「離島振興法」そして「半島振興法」及び「特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律」の規定により指定される区域のほか、これらに類する地域として、農業地域類型区分の「中間農業地域」「山間農業地域」のいずれかに該当する区域となります。 この結果、本県の中山間地域は、一部指定を含めまして23市町村となり、県土面積の約9割、県人口の約4割を占めております。以上であります。〔降壇〕 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 〔登壇〕 お答えいたします。農業産出額についてであります。 本県の平成29年農業産出額は、畜産部門で、肉用牛の出荷頭数の増加や豚の価格上昇等により、前年から54億円増加いたしましたが、耕種部門で、野菜の価格低下や果実の生産量の減などにより減少したことから、全体では前年より38億円減少しております。 一方、鹿児島県は、豚とブロイラーの価格上昇等により、畜産部門が204億円増加したことに加えまして、バレイショの生産量増加や価格上昇等により、耕種部門におきましても増加したことから、全体では264億円の増加となっております。以上であります。〔降壇〕 ◆(中野広明議員) 済みません、座ったままで。 知事、まず答弁いただきましたけど、この人口減少問題、本当に対策が大事なことだということはわかっております。ただ日本全体で言えば、1億を切るのが30年先ぐらいです。全体で考えれば大したことはないなと思っていますけど、地方ではやっぱり大変重要な課題だと思っております。私も、これという決め手となるような考えがないので、知事もなかなかないと思いますから、これ以上聞きませんけど。ただ、私は、間接的ですけれども、やっぱり農業・工業・観光などの産業の活性化が、人口減少対策の主たるものになるんじゃないかなと思っております。やっぱり働く場所、所得、そういうことが私は関係しているんじゃないかと思いますので、ぜひ産業をね。一般的な話なので、ミサイルを撃ち込むように、ピンポイントで何かやらないと、効き目はないなと思っているんですよ。これは公約の第一番目ですから、なかなか厳しいと思いますけど、頑張ってください。 中山間地域対策について、この中山間地域という言い方は、本当によくわからんのですよ。例えば、県の政策評価では、目的を達したということで28年度の評価はA、29年度はBになっているんですよね。そういう評価ができるわけですけど、一般的にはAとかBとか見ると、目的を達したというふうに捉えて、この中山間部、私は中山間部といえば、大体山間部のことしか頭にないんです。それで定義を聞いたんですけどね。これ、現実的には、非常に厳しい状況だと思うんですけど、実態はAとかBになっているけれども、この中山間地域の現状をどのように認識しているのか、総合政策部長に。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) 中山間地域は、地理的条件等からしましても、県全体と比較して厳しい状況にあり、その対策としましても、集落機能の維持や日常生活に必要なサービスの確保といった取り組みが中心となってまいりますけれども、御指摘の政策評価につきましては、そういった取り組みに対して評価されたものと考えております。 しかしながら、議員御指摘のとおり、国勢調査の結果を見ましても、人口減少は予想を超えて進んでおり、山間部を中心に、中山間地域における状況は一層厳しさを増しておりますことから、複数の集落が連携した、暮らしの機能を確保する仕組みづくりとか医療・介護、防災といったセーフティーネットの構築等、中山間地域対策に着実に取り組んでいかなければならないものと考えております。 ◆(中野広明議員) 中山間地域は県土の90%を占めているという話ですよね。90%を占めている中で、何か、今の「中山間地域は地理的条件等から」というと、これは山間部のことを言っていると思うんですよね。それから、「中山間地域対策に着実に取り組む」というと、「宮崎県の9割方を取り組む」という話になるのかな。政策評価では、やっぱり山間部という言い方のほうが私はわかりやすいと思うんです。中山間部というと、宮崎の1割ぐらいを除いてみんな中山間部です。農政とかぶったりとか、そんな話になるんじゃないかと思うんですけど、どんなですか。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) 先ほど答弁させていただきましたけれども、現在、条例で定められております中山間地域は、それぞれ法律や統計上の分類で、地理的条件や人口減少の度合い、市町村の財政力等で、特に振興が必要と整理された地域を対象としたものでございまして、これは議発条例で制定されておるんですが、条例制定の前年度に特別委員会で議論された上、定められたものというふうに認識しております。 御指摘のありますとおり、中山間地域の中でも、山間部の状況というのは非常に厳しいものと考えております。その実情を捉えて、我々も取り組んでいかなければならないというふうに考えておるところでございます。 ◆(中野広明議員) 私も初めて知ったんですけどね。この中山間部の定義、9割になったというのは、議発の条例でそうなったという話を聞きましたが、私、全然覚えがないんですけどね。条例で決まったということであれば、私も恐らく賛成をしたと思いますけど、そういうことで、この政策評価については、分け方としては技術的な面だと思っています。中山間部という言い方をすれば、AとかBとかわかってきますから、部長、最後の置き土産として、山間部という言い方をしてもらいたい。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) お話のとおり、山間部の状況は大変厳しいということについては、私も十分認識しております。そういった認識のもとで、今回の目標設定の中、この中山間政策の検討の中で、十分考えていきたいと考えております。 ◆(中野広明議員) ぜひ、最後の仕事として頑張ってください。以上。 次に、農政水産部長に壇上で答弁いただきました。私の質問より短いのかなと思いましたけど。今議会は卒業される方がおりますから、最後の記念写真の場にと思って、壇上にしたんですけどね。そういうことで、中田部長も10年前ぐらいに一緒に仕事をした仲間でありますから、これ以上言いませんけど。 それで質問ですけど、本県産黒毛和種の27年から29年までの出荷頭数・県外出荷比率はどのようになっているか、農政水産部長に。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 公益社団法人日本食肉格付協会によりますと、平成27年の出荷頭数は4万6,126頭で、そのうち県外には2万2,140頭が出荷され、比率は48%となっております。 同様に、平成28年は4万3,283頭で、県外が1万9,612頭の45%、平成29年は4万3,910頭で、県外が1万9,321頭で44%となっておりまして、県外での食肉処理の割合は減少傾向にございます。 ◆(中野広明議員) 確かに、パーセントで見ると減少しているんですよ。それは間違いない。ただ、実態を見ますと、27年と29年の出荷頭数の差、29年が2,000頭減っているんですよね、2,000頭。それで見ますと、2,000頭減っている中で、比率を見ると確かに減っているけれども、頭数も減って、比率は減っていると。何か、数字のマジックみたいな話で、きのうはちょっと遅くなって、パソコンがいかれて、ちょっとぼうっとしていますけど。そんなことで、この出荷頭数、県外出荷。畜産といえば、くどいけれどもやっぱり県内屠殺しない限りは、付加価値は出らんのですよね。今、産業を見ても、目の前で税収がふえる要素というのは、これぐらいかなと思っているから私は何回も質問しているわけですけど。とにかく鹿児島は5,000億円ぼんと出てきて、宮崎県は下がったと。一体これは何だろうと思うと、私はまだまだ分析をする余地があるだろうと思うんですよ。部長、最後にしっかり分析して卒業してください。答えはいいですよ。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 議員おっしゃいますとおり、出荷頭数自体が平成27年、29年比べまして2,000頭ほど減っておりまして、それに伴いまして、県外への出荷頭数も頭数的には、おっしゃるとおり減っている状況にございます。比率は、県外出荷の比率は減っておりますけれども。ただ、平成27年から28年まで出荷頭数は減っておりますけれども、29年から増加のほうに傾向が変わってきておりまして、それ以降は繁殖雌牛頭数もふえておりますので、全体的に出荷頭数は増加してくるのではないかと考えております。私どもとしては、出荷頭数がふえておりますので、できるだけ県内で屠畜できるような、体制づくりを、しっかりと今後ともやっていく必要があるというふうに考えております。 ◆(中野広明議員) 私は農業の中でも畜産は、本当に成長産業だと思っているんですよ。全国で小規模農家がどんどんやめていく中で、しっかり伸ばしていくべきだと思っております。それで、何回も質問しますけど、畜産、いわゆる肉用牛は本県の一大産業です。産業としては本県にいかに付加価値―国でいえばGDPですけど―を落とすかが最大の目的であると私は思っています。しかし、肉用牛は約半分が県外出荷になっている。この件については、知事、そして郡司副知事にも、農政水産部長のときから質問をしております。どのような検討がなされたのか。郡司副知事、お願いします。 ◎副知事(郡司行敏君) 肉用牛の県内出荷頭数をふやすための対策につきましては、畜産新生推進プランにおきまして設置いたしました専門部会において、検討を行ってまいりました。その中で、食肉処理を行う関連産業の機能強化を図ること、また宮崎牛のブランド力向上による取引拡大などが重要課題として提起されておりまして、現在、関係機関・団体と一体となって鋭意取り組みを進めているところであります。 そのような中で、肉用牛の付加価値を高めるため、小林市の食肉センターにおいて新たにカット場が整備されたこと、また来年4月には、EU輸出にも対応したミヤチク都農工場も稼働予定であることなど、具体的な動きが出てきておりまして、このような施設整備により、県内屠畜頭数も増加することが見込まれております。 また、全共日本一を冠としたプロモーション活動や、食肉関連企業の加工品開発、さらには牛肉カット技術向上に向けた人材育成の支援などにも今、取り組んでおるところでありまして、これらの成果にも期待を寄せているところであります。 議員御指摘のとおり、畜産は家畜の生産のみならず、飼料製造業や食肉加工業など裾野が広く、地域経済を支える重要な産業でありますので、引き続き、県内出荷頭数の増加に向けて、しっかりと取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(中野広明議員) 今のペースで行けば、10年先何パーセント減るのかなと私は思っているんですけどね。これは畜産振興にとっては大事なことですよ。やっぱり私は、根本から今の流通を変えなきゃ改善できぬと思っております。今、副知事は、知事の命令があれば自由に動ける身ですから、ぜひ先頭に立って頑張ってください。知事、しっかり副知事に「やれ」と一言言ってもらえば動きやすいですよ。いや本当そうですよ。知事の考えがわからんと、動けませんから。ぜひ、そういうことで頑張ってください。 それから、ちょっと雑になりますけど、この間、「探検バクモン」というのを築地市場ということで見ておったんですよ。中途半端だったんですけど。そうしたら、私はびっくりした。太田清海議員じゃないけど太田何とかという人が、鹿児島黒豚をつくっているところ等をインタビューしておるんですよ。そうしたら、その真ん前に、鹿児島黒豚、こう何のかんのいろいろと書いてあるんですよ。長かったですよ、恐らく10分ぐらい。鹿児島黒豚が、ただで―私は視聴率が高いと思うんです―それに出ていたんですよ。「すごいな、宮崎は何豚かな」と思いながら見ておったんですけど、あれもプロデューサーが仕組んで、わざわざああいうのをしたのか、たまたま偶然なのかわかりませんけど、宣伝の仕方もいろいろ頑張っていただきたいなと思っております。 そして次、インバウンド対策についてであります。 平成30年の訪日外国人数は3,119万人、対前年比8.7%増加になっています。本県の延べ宿泊数と九州内における状況はどうなっているのか、商工観光労働部長にお尋ねします。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 国の宿泊旅行統計調査の速報値によりますと、本県の平成30年の訪日外国人延べ宿泊者数は32万4,000人であり、平成29年の29万7,000人を上回り、過去最高となりました。 一方、隣県では、大分県が133万9,000人、熊本県が98万2,000人、鹿児島県が79万2,000人となっております。 本県は九州で最下位でありますが、対前年比で9.3%増となっており、前年を下回る県が複数ある中で、熊本県に次いで高い伸びとなっております。 ◆(中野広明議員) 低いと伸び率が高くなりますけど、やっぱりトータルで見た場合、熊本、鹿児島。私、ここに行っている国はどこかなと、ちょっと見たんですけど、例えば、熊本県は香港とか、鹿児島県は韓国とか、みんな違うんですね。だから、あんまり新幹線の影響というのはないのかなと思ったりしたんですけど、やっぱり航空関係に大きな影響があるかなと思っていますので、そこら辺をしっかり分析しながらですね。ここで倍の差がついてる、隣の県で。これは知事を先頭に頑張ってもらいたい。これはずっと年間通してですから。これも今一番、宮崎県の経済波及効果を増すための大きな要因だと思っております。もう目の前に来ておるわけですから。そういうところを、やっぱりピンポイントで頑張っていただきたい。要望しておきます。 次に、新年度のインバウンド対策予算はどのようなことか。そのうち宣伝費、これはプロモーションとなっています。昔は宣伝費とか言っておったんですけど、予算はどうなっているのかお尋ねします。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 商工観光労働部の平成31年度のインバウンド対策の予算案といたしましては、本県の認知度向上や増加しております個人旅行者をターゲットにしたプロモーションの強化等に取り組むこととしておりまして、観光みやざき未来創造基金などを活用し、前年度と比較して約8,400万円増の1億3,800万円余を計上しているところであります。 このうち受け入れ環境整備に係る予算を除いた、いわゆるプロモーションの予算でございますが、これにつきましては、昨年度より約7,000万円増の1億2,300万円余を計上しております。 今後も伸びが期待されますインバウンド需要をしっかり取り込むため、外国人観光客の誘致に戦略的かつ集中的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(中野広明議員) 今度は金額が倍ぐらいになりました。それでいいか悪いかというのはわかりません。ふえたことだけは事実だということで、それなりの評価はします。あとは、やっぱり鹿児島、熊本、ここら辺がどれぐらい使っているかということを判断基準にしないと、うちは5,000万ふえたからいいかと、そんな話じゃない。やっぱり隣県と競争ですから。競争するためにはそれなりの原資を入れんとしようがないですよ。かなり地理的要件とか、歴史的要件もあるかもしれませんけど、そんなことを言っておったら何もできませんからね。やるべきことはしっかり。インバウンドは、国の見方でも、私もふえると思うんですけど、これは年間通して、やっぱり大きな税収にもつながりますから。今これだけ来ておっても、宮崎の旅館の稼働率は年間通すと、まだ6割ぐらいだと。そんなことを聞いていますと、まだまだ余裕がある。それから、御存じだと思いますけど、リピーターを見ると都会に来たら次は田舎。田園風景とか、そういう嗜好も変わっていますから、ぜひ農家民宿、そういうところも含めて、隣県に負けぬように頑張ってください。 それで、これもまたテレビの話です。この間、たまたまNスペかな、見ておったら、中身はくまモンの話だったんです。私は、くまモンが何であんなに評判になって世界的に有名になるのかなと。みやざき犬、これ県と犬と、見分けられないけど、みやざき犬とどこがそんなに変わるかなというので見ていましたけど、やっぱりそれだけ努力しているんですよ。熊本県は、くまモン専門のスタッフが6人か7人いるんです。そして、振りつけとかいろいろ研究したり。そこまで一生懸命研究して、そして東京のど真ん中で人を集めてやったりとか、全然違うんですよ。私は「みやざき犬」というのを忘れたぐらいで。私は、悪いけど、ひなたのバッジは好かんからつけんのですよ。いやいや、本当に、いろいろ変わる。最初は太陽と緑の国、Mの国とかね。くまモンなんか、熊本の議員さんがくれるんです。かわいいから、俺もいっときはつけておった。きょうはつけてくるのを忘れましたけどね。そういうことで、くまモンのバッジぐらいのものをつくって、もうちょっと頑張って、引っ張りだこになるぐらい。そんなに見た目は変わらぬと思うんですけどね。そういうことで、テレビを見たら、そんなのが出ていまして、みやざき犬のぬいぐるみは何だろう、そんな感じがしましたので、ぜひこれも頑張ってください。 それから、外国人留学生についてでありますけれども、これもネットで見ておったんですよ。そうしたら、全国で留学生の数が宮崎県が最下位だったんですよ。はあと思って、また、それを2度見ようと思ったら、今度は場所がわからんで見られなかったんですけどね。 それでお尋ねしますけど、本県への外国人留学生の数は、全国と比較してどうなっているのか。商工観光労働部長にお尋ねいたします。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 独立行政法人日本学生支援機構によりますと、平成30年5月1日現在の本県における外国人留学生の数は552人となっております。 また、全国における外国人留学生の数は29万8,980人でありまして、全国に占める本県の外国人留学生の割合は約0.2%、全国順位は35位となっております。 ◆(中野広明議員) これも今後、―今、グローバル社会とか、グローバル人材の育成とか、事業が出ていますけど―こういうのを含めて外国人がふえたりすることによって、そうすると、そういう人たちはやっぱり優秀な人が来ていますから、帰ったらまた宮崎の宣伝になるとかね。窓口がありますけれども、これもしっかり取り組んだら、インバウンドにも波及効果があるし、頑張ってくださいよ。何かネットを見ると、40番とか30番しかいつも出てこないんですよね。これは大事なことですよ。今から外国人と共生しないと、日本社会は成り立ちませんよ。ぜひお願いします。 次に、市街化調整区域についてであります。これは去年かな、鎌原副知事に現地調査をしていただきました。感想はいいですけど、ありがとうございました。しかし、昭和45年というと副知事は3歳ですから、比較はできないと思いますけど、とりあえず現場を見ていただきました。それで、質問しますが、昨年2月議会の質問で前部長が、市街化調整区域の未利用地については、実情を十分踏まえた上で開発許可の基準の緩和を検討してまいりますと答弁していますが、見直しの状況はどのようなことか。県土整備部長、お願いします。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 開発許可の基準の見直しに当たりましては、市街化調整区域を有する県内の関係市町との意見交換会を3回開催したほか、各県の運用状況調査を行うなど、地域の実情を十分に踏まえた上で検討を行ってまいりました。 検討の結果、宮崎県開発審査会審査基準を改正し、既存集落などに属していない場所で一定の要件を満たす、昭和45年の線引きの前に既に宅地であった土地、いわゆる既存宅地におきまして、自己居住用の一戸建て住宅を建築できるよう緩和を行いました。 また、都市計画法施行細則を改正し、同法第34条第11号に基づいて指定した区域における旗ざお形状の土地に関する規制の撤廃を年度内に行うこととしております。 このような見直しにより、市街化調整区域における未利用地の活用が図られるものと考えております。 ◆(中野広明議員) 確かに、おかげで緩和されて、家も建っていますよ。自民党で3月に、綾・国富の全戸にリーフレットを投げるんですけど、そうしたら、去年より戸数が100件ふえた。この結果が全てじゃないですよ。100件ふえたということで、印刷も100件ふえましたけれども、そういうことで、本当にこの法律というのは、個人の財産を、何も使う目的がないのに、ただ法律で縛って、一生野ざらしにする。こんな法律はおかしいと私は思っているんですよ。そういうことで、市街化調整区域内において、県の権限で定めている開発許可の基準はどのようなことか、県土整備部長。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) 開発許可の基準のうち県の権限で定めているのは、都市計画法第34条第11号に基づく条例と、同条第14号に基づく「宮崎県開発審査会審査基準」がございます。 このうち、条例では、開発を行うことができる大規模な既存集落の要件として、一体的な日常生活圏を構成する、おおむね200戸以上の建築物が連なっていることなどの基準を定めております。 また、開発審査会審査基準では、一定の用途の建築物を建てることができる既存集落の要件として、敷地と敷地の距離がおおむね50メートル以内で、50戸以上の建築物が連なっていることとしているほか、既存宅地に建築できる建築物の高さを原則として10メーター以下とすることなど、建築物の用途、目的、位置、規模等についてそれぞれの基準を定めているところです。 ◆(中野広明議員) いろいろ開発の関係があって、これこれが宮崎県の権限とか、小さく分かれていますけど、私が今回思ったことは、今、集落の200戸連檐が抜けました。これは、11号の条例で、家と家の間があと50メートル、そして、それが50連檐あれば集落とみなして、またその間も第三者が住むことができるということですよね。そういうことでありますと、何で50メートルなのかと。昔は、この間に畑があったんですよ。畑が、何もできんから草ぼうぼうになる。ただ、こういう50メートルを100メートルにしたらどうなるのかというと、議論としては私は勝つと思っているんですけどね。今後、50メートルを100メートルにして、集落を50戸連檐をつくる。こんな緩和をすべきだと思いますけど、県土整備部長、お願いします。 ◎県土整備部長(瀬戸長秀美君) お尋ねの既存集落の要件であります敷地と敷地の距離など、県が定めている基準につきましては、市街化調整区域における未利用地の活用が図られるよう、関係市町と引き続き意見交換を行いながら、しっかりと検討してまいりたいと考えております。 ◆(中野広明議員) 市町村と前向きの意見交換をして、本当に個人の財産が永久にどうしようもないんですから。こんなの、相続放棄も出てきますよ、将来は。そういうことで、ぜひ、次の緩和に向けてお願いします。 次に、学力向上についてであります。一昨日、右松議員のかなり格調の高い質問がありました。その格調の高い質問の次に来るのが、私の質問です。そういう質を上げた結果どうなるかという話なんです。 平成30年の全国学力・学習状況調査の結果をどのように分析しているのか。教育長、お願いします。 ◎教育長(四本 孝君) 君) 本年度の全国学力・学習状況調査における本県の結果は、小中学校ともに全国平均を下回っておりまして、平均正答率を見ますと、小学校では、トップの石川県と比べ、1教科区分当たり約7ポイント、中学校では、トップの福井県と比べ、1教科区分当たり約6ポイント低い状況でございました。 子供たちの回答状況を分析してみますと、長文の問題をもとに活用する力を問う「B問題」につきまして、「問題を解く時間が不足していた」と答えた児童生徒の割合が、全国平均よりも高い傾向が見られております。 また、教員に対して行う、指導の状況に関する調査結果を、石川県や福井県などの成績上位県と比較しますと、「国語だけでなく、各教科などを通じて、読んだり、書いたりする活動が少ない」という傾向も見られ、「読むこと」や「書くこと」に関する取り組みが不十分であると、分析をしているところであります。 ◆(中野広明議員) その前は国語Aかな、全国で14、15番目行っておったと思うんですよね。去年は平均点数以上というのがなかった。何と言ったらいいかわかりませんけど。残念かなと思うんですけど。これも、やっぱり教育長が幾ら頑張っても、先生が頑張ってくれんとどうしうようもないんでね。どうやったらそういう意識向上につながるかとか、いろんな要素があると思うんですよ。秋田とか、福井県とか、ホームページを見てもその差がわかりますね。やっぱり見劣りする、宮崎県は。宮崎県のホームページも、鹿児島と比べたら、やっぱり見劣りする。そこら辺から、しっかり見劣りしないように頑張ってほしいと思います。 それで、新年度予算で学力向上に向けた取り組みはどのようになっているのか。
    ◎教育長(四本 孝君) 君)先ほどの分析でも申し上げた、子供たちは、教師が思っている以上に読めていないという分析結果から、県教育委員会といたしましては、読解力の育成を図るための取り組みを進めてまいります。 具体的には、国語の授業を中心に、全ての教科において、辞書をこれまで以上に用いて語彙力を身につけさせたり、新聞などを活用して文章のポイントを短く要約させたりする活動が、各学校で組織的に展開されるよう、管理職への研修や学校支援訪問等を通して、指導を徹底してまいりたいと考えております。 また、これまで行ってまいりました、「子どもの学びを支える学力向上推進事業」の取り組みに加えまして、小学校高学年における教科担任制の導入も、各学校の判断で可能とするなど、環境面の整備にも力を入れていきたいと考えております。 ◆(中野広明議員) やっぱり、こういう順位がつく以上は頑張らんといかんですよ。宮崎県は、いつも下のほう。時には上位で見たいですよ。ぜひ頑張ってください。 以上で終わりますけど…… ◎副知事(郡司行敏君) 訂正させてください。先ほど、ミヤチクの都農工場の稼働の時期について、来年の4月の稼働というふうに話をしましたけれども、これは正確にはことしの4月。もう1カ月後のことでございます。訂正しておわびを申し上げたいと思います。失礼しました。 ◆(中野広明議員) 都農町が稼働すれば、県外出荷が少なくなるというのは、前回の議論。その後のでき上がった場合がどうなるのかなと、楽しみにしております。 それから、部長さんの中には今年度で無事退職される方がおられるかと。登壇させてもらったこっちの質問の順番がわからんようになってしまってですね。本当にお疲れさまでした。第二の人生、頑張ってください。終わります。(拍手) ○副議長(外山衛) 次は、新見昌安議員。 ◆(新見昌安議員) 〔登壇〕(拍手) 質問に入る前から、ぶるぶるなってどうするんだと、みずからを鼓舞しながら、通告に従い、最後の一般質問を行います。知事を初めとして、関係各部長、教育長に答弁をお願いいたします。 初めに、知事に伺いたいと思います。一昨年の9月議会、昨年の6月議会に引き続き、3度目となるSDGs(持続可能な開発目標)についての質問となります。 SDGsとは何ぞやにつきましては、過去2回の質問で述べておりますので、本日は割愛をいたしますが、昨年6月15日、私の質問の翌日に、神奈川県が「SDGs未来都市」及び「自治体SDGsモデル事業」として内閣総理大臣から選定されたと記者発表をしております。 国は、地方自治体によるSDGsの達成に向けた取り組みは、地方創生の実現に役立つものであり、その取り組みを推進することが重要ということで、その一環として地方自治体の取り組みを公募し、この日、6月15日に全国で29自治体を「SDGs未来都市」として選定、そのうち、特に先導的な10の取り組みを「自治体SDGsモデル事業」に選定しておりますが、記者発表の内容は、両方に選定されたのは都道府県で唯一神奈川県だけ、さらには、神奈川県とともに、横浜市、鎌倉市もその両者に選定されており、一都道府県内で3都市が選定されたのも神奈川県だけという内容でありました。 先月30日には横浜市において「SDGs全国フォーラム2019」を開催し、そこでは、「神奈川から「自治体の役割を明確にしたSDGsへの取り組み」を全国に発信する」として、「SDGs日本モデル宣言」を33都道府県を含む93自治体から賛同を得て採択するなど、先駆的な取り組みに着手しております。 前回の質問で私は、「持続可能な宮崎」を実現するため、SDGsについて一歩踏み込んだ取り組みをすべきと訴えました。今議会には、「県総合計画の変更」が議案として上程されています。SDGsの理念、方向性は県総合計画長期ビジョンにどのように反映され、政策にはどのように生かしていくのか伺いたいと思います。 壇上からの質問は以上とし、残りは質問者席から行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えします。 SDGsにつきましては、経済・社会・環境をめぐる広範囲な課題を統合的に解決し、持続可能で強靱な、そして誰ひとり取り残さない社会の実現を目指すものでありまして、本県においても重要な理念であると考えております。SDGsの理念や掲げられた目標の多くは、本県の目指す方向性と基本的に合致しておりますことから、今議会に上程しております総合計画長期ビジョンの改定案の中で時代の潮流としても掲げ、その要素をできるだけ施策にも反映させるよう努めたところであります。5つの長期戦略においては、働き方改革などあらゆる人々の活躍促進、福祉の充実や健康長寿への取り組み、産業成長や資源循環、災害に強い県土づくりなどに取り組むこととしております。 今後は、このような方向性を民間企業や関連団体、さらには多くの県民の皆様と共有しながら施策を展開し、人口減少が本格化する中にあっても持続可能な地域づくりを進めてまいりたいと考えております。以上であります。〔降壇〕 ◆(新見昌安議員) SDGsについては、自治体のみならず、今の答弁にもあったように、企業や団体、さらには県民も巻き込んでの取り組みが重要と考えます。大企業の中には、ビジネスチャンスや経済成長につながるということで、積極的な姿勢を見せているところもありますが、SDGsの達成のためには、国内企業の99.7%を占める中小企業が参画することが重要な鍵になるとも言われております。中小企業の取り組みを広げるためには、行政の支援も重要になってきます。広島県では、SDGsに取り組む先進的な地元企業を紹介する事例集などを作成することもしておりますし、SDGsに触れることができる環境づくりに取り組むことも重要だと考えます。ぜひとも積極的にかかわっていっていただきたいと思います。 SDGsの理念を日本に根づかせるためには、未来を担う子供たちにもしっかりと理解してもらうことも重要でありますが、日本ユニセフ協会と外務省が新しく制作したSDGsに関する副教材が昨年10月から全国の中学校約1万校に配付され、3年生の公民の学習に活用されることになっております。本県の活用状況を教育長に伺いたいと思います。 ◎教育長(四本 孝君) 君) 新しい学習指導要領におきましても、子供たちが、貧困、紛争、資源の枯渇などの人類が直面する課題を理解した上で、その解決策について考えていく学びを通して、持続可能な社会のつくり手となるよう示されているところであります。 そのような中、今お話にありましたような副教材は、昨年末に各学校へ配付されておりますけれども、主として中学校3年生の公民の授業で活用されることが期待されております。幾つかの学校では既に実践されている状況も見られるところでございます。 県教育委員会といたしましては、学習指導要領の説明会や教科の研修会におきまして、本副教材の活用に関する情報提供や助言を行い、今後、多くの学校で活用されるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆(新見昌安議員) この副教材の来年度以降の取り扱いについて気になっていたんですけれども、宮崎県ユニセフ協会を通して日本ユニセフ協会学校事業部に確認してもらったところ、この秋も配付する意向のようであります。また、今年度の配付時には、活用状況の把握、今後の教材制作・改善の参考にするためのアンケート用紙も送ってあるようであります。しっかり協力していただきたいと思います。 次に、「県民の声」について伺います。 昨年12月5日付宮崎日日新聞に、その利用が低迷しているとの記事がありました。知事選直前の特集記事でありました。知事は「対話と協働」を本当に大事にされておりますが、「県民の声」は、知事と県民をつなぎ、県政への提言や意見を募る大事なツールでもあり、ちょっと気になったところでありました。この現状をどのように認識され、今後この制度をどのように県政に生かしていかれるのか、再度、知事に伺いたいと思います。 ◎知事(河野俊嗣君) 私は、「対話と協働」の県政を掲げ、県民の皆様との対話を大切にしておりますが、その中でも「県民の声」は、時間や場所などに限られることなく、直接意見をいただく重要な仕組みであると認識しております。 意見の件数の減少につきましては、以前ありましたような、知事個人に対する意見や要望・苦情などは大幅に減少した、そういったことによるものでありますが、県政への関心の状況を反映している面もあるのではないかと感じております。 この制度を生かす上では、意見をふやす工夫も大変重要でありますし、これとあわせて、政策に生かすという視点を持ち、しっかりと受けとめる丁寧な対応が必要である、重要であると考えております。意見をいただいた方には、連絡先がわかる場合にはできる限り県の考えをお答えするよう指示しているところであります。 今後とも、この「県民の声」という制度につきまして広く周知をしながら、県民との対話を進める重要なツールとして積極的に活用してまいりたいと考えております。 ◆(新見昌安議員) スマートフォンで、県庁のホームページを見てみると、「県民の声」は、「キーワードで探す」というコーナーの中で、余り目立たない配置になっております。県民からのさまざまな意見や要望を寄せてもらいたいというのであれば、もっと目立ったバナーにすべきではないかと考えます。また、現代のコミュニケーションを図るツールとしては、SNSも無視はできません。若年層に目を向けさせるためには、SNSでの周知にも取り組むべきと考えますが、以上、総合政策部長に伺いたいと思います。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) 広く県民から意見をいただきやすい環境を整備することは、大変重要だと考えております。議員からお話がありました、県ホームページにおける表示のデザインにつきましては、できるだけ早く改善いたします。 また、現在、「県民の声」に提言を寄せられる方の74.5%が40代以上でありますことから、県政への関心を高めていくためにも、若い方々への浸透が課題であると認識しておりますので、県のSNSなど、さまざまな手段を通じまして、「県民の声」という県との対話の窓口が開かれていることを、広く周知してまいりたいと考えております。 ◆(新見昌安議員) 前向きに取り組んでいただくようであります。ありがとうございます。 次は、持続可能な宮崎づくりということで、まず、医療環境の向上に関して何点か伺いたいと思います。 B型及びC型肝炎ウイルスによる肝がん・重度の肝硬変患者の入院医療費を助成する取り組みが、去年の12月からスタートしております。これは2017年8月、我が党が厚生労働大臣に提出した「2018年度予算の概算要求に向けた重点要望」に盛り込まれたものでありますが、これを受け、2018年度予算に計上されたものであります。これは、「治療研究促進事業」で、患者の臨床データを今後の研究に活用することになりますが、県においては、昨年12月28日付でホームページに、この事業の内容を掲載されております。厚生労働省によると、この事業の対象者は全国で約7,000人いるとしております。そこで伺いますが、本県の助成対象者は何人ぐらいになると推計しておられるのか、また、事業開始に当たり、ホームページ以外ではどのように周知に取り組んだのか、福祉保健部長に伺いたいと思います。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 本事業の助成対象となり得る、過去1年間で4カ月以上入院されている県内の肝がん・重度肝硬変の患者数は、国の推計手法を本県に当てはめますと、平成30年度は約60人となります。 事業の開始に当たり、昨年8月以降、県内3カ所で開催した肝疾患専門医療機関等を対象とした説明会や、医療機関等で患者からの相談対応を行います肝炎医療コーディネーター向けの研修会におきまして、本事業を周知したところでございます。 今後とも、対象となる患者の方が確実に助成を受けられるよう、医療機関等への本事業の周知に努めてまいりたいと考えております。 ◆(新見昌安議員) 推計で約60人ということで、助成対象者の数が少ないようには感じますが、肝がん・肝硬変患者に対する支援がこれまでなかなか進まなかった中で、今回の事業によって一歩前に進んだのではないかと思いますし、対象となる入院患者にとっては、ありがたいのではないかと思います。ウイルス性肝炎は、放置すれば「慢性肝炎」「肝硬変」そして「肝がん」という経過をたどるようであります。まずは、今回の助成を滞りなく実施した上で、さらなる対象の拡大にも取り組んでいくよう、私たちもしっかりと国に求めていきたいと考えております。 引き続き、福祉保健部長に伺います。昨年の9月、我が党の機関紙である公明新聞に掲載された静岡県のある取り組みに非常に感動したので、紹介したいと思います。 低出生体重児のための母子手帳をつくったというものでありました。妊娠時に配付される一般的な「母子健康手帳」は、国が定めた様式に基づいて市町村が作成するものであり、妊娠期から幼児期までの健康・成長を記録する大事なツールでありますけれども、低出生体重児、特に1,500グラム未満の極低出生体重児が誕生した場合、手帳に記載されている平均的な身長・体重などよりも我が子の成長がおくれるため、親はその子の成長を実感できず、不安で落ち込んでしまうことが多い。そのような親を励まそうと作成されたのが、「しずおかリトルベビーハンドブック」という手帳であります。これは、静岡県と県立こども病院で生まれた低出生体重児の親の会などが共同で昨年3月に作成したとありました。 電子版がありますので、私も読んでみましたけれども、本当にじんとくるできばえであります。なぜなら、全ページが母親目線で編集されており、深い愛情を注いでいるのが感じ取れるからであります。きめ細かな配慮と工夫が行き届いていると感じました。不安でいっぱいの母親を励まし、心の支えにもなるのではないかと思います。低出生体重児向けの手帳、本県も作成すべきと考えますが、見解を伺いたいと思います。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 低出生体重児は、それ以外の新生児と比べまして、成長の経過が異なり、さまざまな病気になるリスクが高いことから、保護者の方は、適切な情報提供を受け、養育上注意すべき点について把握しておくことが重要でございます。 現在、市町村や周産期母子医療センターにおいて、保健師等の専門職から保護者に対する情報提供が行われておりますが、県としましては、適切に情報提供がなされるよう、研修会を行っているところであります。 議員から御提案のありました手帳につきましては、保護者へわかりやすく情報提供するための一つの手法と考えられますので、今後、市町村や小児科医などから成る母子保健運営協議会の場において、当該手帳も含め、情報提供のあり方について協議してまいりたいと考えております。 ◆(新見昌安議員) 部長も電子版を読まれたと思いますので、感想をお聞かせください。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 私ごとになりますけれども、私も子供が1人おりまして、生まれたときに、やはり2,100グラムということで、低出生体重児でございました。生まれてすぐ保育器に入れられて、なかなか抱っこすることもできなくて、その当時非常に大きな不安を抱えたという経験がございます。そういった意味からも、低出生体重児をお持ちの保護者の方が大変大きな不安を抱えていらっしゃるということが、経験上、感じられるところでございます。 私も手帳を読ませていただきましたが、議員がおっしゃるとおり、非常に内容が工夫されておりまして、お母さん方が非常に心配になられる、病気とか成長の過程に加えて、先輩のお母さん方からのアドバイス、それからQ&Aなんかも細かく記載されておりました。こういったことを考えますと、非常に心の負担軽減にもなりますし、心の支えになると考えられますので、こういった情報提供の手法、非常に参考になる取り組みではないかと考えております。 ◆(新見昌安議員) ありがとうございました。私も初めて知ったんですけれども、国際母子手帳委員会という組織があるようであります。そこの女性の事務局長が次のようなコメントを寄せておりました。「静岡の取り組みで特に優れている点は、当事者目線が生かされているということ。出産直後の親が一番つらい時に心強い冊子をもらえることも大きい。不安による虐待や育児放棄を防ぐ効果もある。行政と親の会が連携し、こうした取り組みが全国に広がることを期待する」、こういった内容でありました。ぜひとも前向きに取り組んでいただければと思います。 次に移ります。厚生労働省は先月18日、医師の充足状況を判断する目安としてこれまで使われてきた「人口10万人当たりの医師数」にかわり、より実態に即した都道府県や各地域の医師数の偏りの度合いを示す「医師偏在指標」なるものを公表しておりますけれども、それによれば、「医師少数3次医療圏(都道府県)」として全国で指定した16県のうちに本県も位置づけられております。そのほとんどが東日本に集中している中で、なぜか西日本は三重、山口、宮崎の3県のみであります。厚生労働省は、この16県については重点的に医師不足解消を促進する方針とのことで、2036年度までにはその問題を解消したいとありました。県においては2019年度一般会計当初予算案に、医師確保を目指してのさまざまな事業を盛り込んでおられますが、「医師少数県」からの脱却に向けて、どのように取り組んでいかれるのか、改めて知事に伺いたいと思います。 ◎知事(河野俊嗣君) 今回示されました医師偏在指標では、本県は全国32位、九州では唯一の「医師少数県」とされまして、大変厳しい結果であると受けとめております。 これまでも、関係機関と連携をして、若手医師の養成・確保、医師の地域間・診療科間の偏在解消に取り組んでまいりましたが、こうした取り組みをより一層強化しなければならないということを、改めて実感したところであります。 そのため、新年度予算案におきまして、医師修学資金貸与制度や専門研修資金貸与制度の見直し、医師の養成・確保を中核となって行う地域医療支援機構の体制強化を図るための事業を計上したところであります。 今後とも、宮崎大学や県医師会、県教育委員会等の関係機関との連携を一層強化し、オール宮崎で積極的に取り組むとともに、国に対しましても、医師の都市部への集中に対する是正を強く要望してまいります。 ◆(新見昌安議員) しっかり取り組んでいただきたいと、お願いをしておきます。 次に、県民にとっても利便性の向上に資する方策の一つとなると考えられるキャッシュレス決済について伺いたいと思います。 政府は、本年10月の消費税率10%への引き上げに伴う需要の平準化対策として、中小・小規模の店舗においてキャッシュレス決済で買い物をする際に、消費者に原則5%のポイントを還元する制度を導入するとしております。対象店舗の決済端末導入費も支援してくれます。ポイント還元する期間は、ことしの10月から来年6月までの9カ月間ではありますが、キャッシュレスの普及に向け、一定の効果が見込まれます。キャッシュレス決済は、企業の生産性向上につながるほか、現金輸送費や人件費の削減にも役立ちます。世界の流れでもあり、インバウンドのさらなる誘客を見据えれば、本県でも導入へのスピードを上げなければならないと考えます。キャッシュレス化の推進について、県の取り組み状況と今後どのように対応していくのか、商工観光労働部長に伺いたいと思います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) キャッシュレス化につきましては、店舗業務の効率化や県民の利便性向上に加え、インバウンド需要を取り込む絶好の機会であります、ゴールデン・スポーツイヤーズ本番を迎えますことから、その推進は大変重要であると考えております。 このため県では、昨年8月の商工関係者を対象としたキャッシュレスセミナーを初め、ことしに入り、県内3カ所でセミナーを実施するなど、導入事例の紹介や国の補助制度の活用等について情報共有を図ってきたところであります。 また、観光関係者に対しましても、インバウンドセミナーでの説明や、ホテル旅館業、飲食業の組合との意見交換等を通じた周知活動を行っております。 県といたしましては、10月の消費税率引き上げに向けた国の動きも踏まえながら、セミナーの開催等による事業者の理解促進に努めてまいりますとともに、商工団体や商店街が中心となった地域独自の動きも出てきておりますことから、国や市町村等と十分に連携しながら、そうしたキャッシュレス化の取り組みの推進に、さらに力を入れてまいりたいと考えております。 ◆(新見昌安議員) キャッシュレス決済は、利便性の向上のみならず、本県においても深刻な状況にある人手不足を解消する一つの手だてとしても期待できます。県としてもしっかり普及に取り組んでいかれるよう、後押しをお願いしておきたいと思います。 次に、県外にいる大学生等の県内就職率の向上を図る観点から、何点か伺っていきたいと思います。 まず、奨学金返還支援事業に関して伺います。この事業は、「みやざき産業人財確保支援基金事業」として平成29年度にスタートしておりますが、宮崎の未来を担う若者の県内企業への就職を進めるためにも有効な事業であり、多くの県内企業に参画してもらいたいと考えるところであります。現在参画している企業はどれくらいあるのか、また、今後どのように取り組んでいくのか、総合政策部長に伺います。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) 県では、宮崎の将来を担う産業人材を確保するため、県内企業との連携のもと、当該企業に就職した学生等に対する奨学金の返還支援に昨年度から取り組んでいるところであります。 本事業に登録し、県とともに返還支援を行う支援企業につきましては、これまで申請のあった企業全てを認定しておりますが、昨年度が35社、今年度が62社、そして来年度が82社と、年々着実に増加しておりまして、人材確保のための一つのツールとして、県内企業の間にかなり浸透してきているものと認識しております。 今後は、さらに多くの企業に参画いただき、学生等にとって魅力があり、利用したいという気持ちを持ってもらうようにすることが重要であると考えておりますので、産業連携推進会議等の関係団体や金融機関、市町村等で構成される会議の場において、広く周知を行うとともに、実効性の高い人材確保策を学ぶための企業支援セミナーの開催等により、支援企業をふやしてまいりたいと考えております。 ◆(新見昌安議員) 多くの企業の参画を、私も期待したいと思います。 ところで、支援対象者となる学生の募集については、昨年10月1日から募集を開始し、2月6日が締め切りであったことを、私自身も友だち登録しているLINEの「宮崎県公式就職応援情報」で知ってはおりましたが、2月14日に「二次募集」を行うという通知がありました。申し込みが少ないのかと感じたところであります。情報発信が悪いのか、受け取る側の問題なのか、はたまた別の要因があるのか定かではありませんが、この状況をどのように認識しておられるのか、また今後どのように取り組んでいかれるのか、同じく総合政策部長に伺いたいと思います。 ◎総合政策部長(日隈俊郎君) 学生等の利用状況につきましては、今年度は、昨年度の19名を上回る30名程度を見込んでおりますが、支援対象者数の目安であります40名には達しないものと考えております。 これは、県内企業において人材確保が困難な状況が続いていることなどによるものでありますが、学生等に対する周知にさらに取り組むことで、本事業のさらなる活用を促進する余地があるものと認識しております。 したがいまして、今後は、周知イベントの開催及びウエブサイトや多様なSNSの活用のほか、今年度から東京と福岡に設置しました、県外の学生等に県内就職の働きかけを行います産業人財掘り起こしコーディネーターを通じた、支援企業のPRの強化等に取り組むこととしております。 このような取り組みを通じ、学生や保護者等に対して、県内企業の魅力や「宮崎で暮らし、働く」よさをしっかりと伝えることによりまして、若者の県内定着につなげてまいりたいと考えております。 ◆(新見昌安議員) これもよろしくお願いしておきます。 次に、知事に伺いたいと思います。県と宮崎日日新聞社は先月15日、県外に流出する若者を地元にとどめ、人口減少に歯どめをかけようと、「若者の県内就職促進に関する協定」を締結しておられます。今回、宮崎日日新聞社と締結した、若者の県内就職促進に関する協定について、その狙いと今後の取り組みの方向性を伺いたいと思います。 ◎知事(河野俊嗣君) 人口減少問題や県内企業の人手不足への対応が喫緊の課題となる中で、地域や産業を活性化し、地方創生の実現を図るためには、それを支える人材の育成・確保に、関係機関が連携して取り組むことが重要であると認識しております。 宮崎日日新聞社におきましては、今年度から新たに、学生等の県内企業への就職活動支援を開始されたところであります。同社としては、県が有する就職イベント開催のためのノウハウや市町村、大学等とのネットワークを活用できる一方、県としては、県内一円を網羅し、県内で最も発行部数が多い同社の情報発信力を活用できるなど、お互いの強みを生かすことができますことから、今般、両者間での協定を締結したところであります。 この協定の締結によりまして、今後は、学生やUIJターン希望者等を対象とした合同就職説明会の開催や、「みやざきで暮らし、みやざきで働く」よさをPRする冊子の発行などに共同で取り組むことによって、より多くの方々に県内企業の魅力や宮崎の暮らしやすさを知っていただき、若者の県内就職を促進してまいりたいと考えております。 ◆(新見昌安議員) ありがとうございます。 もう一点、代表質問とも重複しますが、県外大学生等への県内就職情報の提供について、現在どのように取り組んでおり、今後どう強化していくのか、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 県外大学生等への県内就職情報の提供についてでございますが、先日、日本大学との間で、本県では6校目となるUIJターン就職支援協定を締結したところであります。本県では、県外大学とのこのような協定に基づき、各大学のキャリアセンターを通じた学生への情報の周知や、県内で開催されます、大学の保護者会等を活用した情報提供など、大学と連携した情報発信を行うとともに、ホームページやメールマガジン、SNSなども活用しながら取り組んでおります。 また、企業の魅力を紹介する冊子、「ワクワクWORK!宮崎」と申しますけれども、これを作成し、県内外で開催する就職説明会等で配布しております。さらに、大学等に進学した学生の保護者のうち、希望のあった約6,000名の方々に対して、県内就職に関するさまざまな情報を郵送で提供しているところであります。 今後は、これらの取り組みをさらに強化するとともに、本県へのUIJターンを希望する方と県内企業とを結ぶサイト「ふるさと宮崎人材バンク」のリニューアルや、携帯端末用アプリの作成など、多くの学生や社会人の方々に対して、情報が、よりしっかり届く仕組みづくりに努めてまいりたいと考えております。 ◆(新見昌安議員) これもしっかり取り組んでいただきたいと思います。 次に、地域未来投資促進法を活用しての県内企業支援について、引き続き商工観光労働部長に2点伺います。 地域の特色を生かした事業に挑戦する中小企業を応援するため平成29年7月に施行された法律が、「地域未来投資促進法」であります。これは、企業立地促進法を改正し、それまで製造業に限られていた支援対象を、今後成長が見込まれるサービスや観光、農業などの分野にまで広げてあります。 支援内容としては、中小企業を元気にするさまざまなメニューが用意されているようですが、支援を受けるには、国が同意した都道府県や市町村の基本計画に沿って、企業側が事業計画をつくり、都道府県から承認を受ける必要があります。経済産業省によれば、都道府県が承認した全国の事業計画は、昨年11月6日現在で1,078件、本県では、ことし2月末現在で26件となっているようであります。経済産業省が目標とするのは、施行から3年後の2020年7月までで2,000社程度ということですので、現在は半分ちょっとであります。まだまだ利用の余地が残っております。 以上を踏まえ、確認の意味も含めて伺います。まず、本県においては、地域未来投資促進法に基づく基本計画の策定をどのように行ったのか、伺いたいと思います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 県では、平成29年7月の地域未来投資促進法の施行に伴い、将来、県内における付加価値を高め、質の高い雇用創出を図る効果的な基本計画の策定を行うため、県や県内全市町村、商工団体などの関係機関・団体で構成する「宮崎県地域経済牽引事業促進協議会」を設置し、本県の産業構造や各市町村の実情等を踏まえながら、幅広い議論を行ったところです。 その結果、対象地域を県内全域にすることや、対象分野をフードビジネスやものづくり、観光など、本県の特性や強みを生かしながら、地域経済を牽引する事業が見込まれる分野とする基本計画を策定したところでございます。 ◆(新見昌安議員) 次に、県としては、事業者からの事業計画提出を促進するために、これまでどのように周知してきたのか、また、今後どう周知を図っていくのか伺いたいと思います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 県ではこれまで、県内各地での説明会の開催や企業訪問の実施、また、承認した事業計画を県のホームページに掲載するなど、さまざまな形で本制度の周知を図っております。 このような取り組みによりまして、先ほどお話がありましたように、2月末までに26件の事業計画を承認しているところでございます。承認された企業等においては、設備投資に係る法人税等の減税措置や政府系金融機関の低利融資などの支援措置が活用できますことから、生産性の向上や競争力の強化が図られることとなり、ひいては本県経済の活性化につながるものと期待しております。 このため、県といたしましては、県内の多くの企業等に本制度を活用していただくよう、引き続き、市町村や関係機関・団体と連携をしながら、本制度の周知に努めてまいりたいと考えております。 ◆(新見昌安議員) この法律は、地域にもともとある企業を生かす点に大きな意義があると言われております。支援を受けることになった企業には、文字どおり地域経済の牽引役となってもらわなければならないと考えます。県としてもしっかり後押しをされるよう、要望しておきます。 次は、訪ねてみたい宮崎づくりについて、引き続き商工観光労働部長に伺ってまいります。 来年度予算案に計上された「東京オリパラ等合宿誘致・受入推進事業」には、本年9月に開催されることになった「2019ISAワールドサーフィンゲームス」への支援が盛り込まれておりますが、そのうち、会場となる木崎浜の環境整備については、地元に移住した、あるいは、足しげく通っている、いわゆるローカルサーファーにとって、非常に期待が大きいものとなっているようであります。 大会開催まで6カ月ちょっとに迫ってきた今、道路や駐車場、トイレ、シャワー設備、ネット環境、食事場所などなど、国内外からの選手や観客に、快適な環境をいかに提供するか、腐心されていることと思います。そこで、ワールドサーフィンゲームスの選手や観客の受け入れをどのように行っていくのか、伺いたいと思います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 本大会は、東京オリンピックの出場選手選考大会の一つに位置づけられ、約50の国・地域から、トッププロサーファーを含め約300名の選手の参加が見込まれております。また、5万人を超える観客も予想されているところであります。 このため、選手・スタッフにつきましては、臨時的に県総合運動公園の中を通る専用ルートを確保するとともに、ビーチに面した道路を拡幅し、駐車可能なスペースを設ける予定でございます。 また、観客につきましては、県総合運動公園内の駐車場側から松林を徒歩で通り抜けていただくことを基本に、臨時駐車場の確保など、先日、宮崎市などと一体となって設置いたしました実行委員会において、必要な交通対策等を講じてまいりたいと考えております。 さらに、大会を盛り上げる会場設営や関連イベントの開催など、参加する選手や訪れる観客の方々に満足いただける受け入れ環境を整え、「サーフィンの聖地みやざき」を大きくPRしてまいりたいと考えております。 ◆(新見昌安議員) 私は、サーフィンに関しては全くの門外漢でありますけれども、大会終了後も、木崎浜がすぐれたサーフポイントとしての知名度をさらに上げ、多くのサーファーが来訪してくれるよう、大会を大成功に導いていただきたいと期待しております。 次は、「やさしい日本語」についてであります。外国人に情報をわかりやすく伝える手段として、「やさしい日本語」が注目をされております。もともとは阪神・淡路大震災をきっかけに、災害時の外国人の避難誘導に役立てようと考案されたもののようでありますが、最近では、日常の行政情報や生活情報を伝える際にも活用され始めております。 使い方のポイントは、短く切って話す。例えば「小さくて軽い」は「小さい。そして、軽い」。尊敬語や謙譲語を使い過ぎない。例えば「いつ日本にいらっしゃいましたか」というのは、「いつ日本に来ましたか」。熟語はなるべく使わない。例えば「徒歩10分」は「歩いて10分」といった具合であります。日本における外国人との意思疎通の手段として活用できるということであります。 ACジャパンの「オモイデはニッポンの人」というテレビコマーシャルを最近目にすることがありますが、登場するおじいさんやおばあさんが外国語を話しているとは思えません。多分、この「やさしい日本語」で話しているのではないでしょうか。それを考えると、外国人観光客に対するおもてなしとして、多言語対応が大事ではありますが、ある程度日本語を理解できる外国人のために、「やさしい日本語」にも取り組むべきと考えるところであります。見解を伺いたいと思います。 ◎商工観光労働部長(井手義哉君) 県では、外国人観光客にストレスなく快適に観光を楽しんでいただくため、これまで観光案内板やホームページの多言語化に取り組むとともに、多言語コールセンターによるサービスの提供などを行ってきたところであります。 議員から御提案のありました、日本語をわかりやすい表現に言いかえて伝える「やさしい日本語」の取り組みは、外国人に情報を正確に理解してもらうだけではなく、触れ合いの機会をふやし、リピーターづくりにもつながる有効な取り組みであると考えます。 県としましては、外国人観光客の誘致を促進するため、多言語化等の取り組みに加え、今後、おもてなしセミナーなどの機会を捉えて、「やさしい日本語」の取り組みについて周知してまいりたいと考えております。 ◆(新見昌安議員) よろしくお願いしておきます。 次は、防災・減災に向けた取り組みについて2点伺います。 まず、医療機関の防災減災対策強化について福祉保健部長に伺います。 昨年相次いで発生した大規模災害では、各地域の医療機関が機能不全に陥っております。内閣府や厚生労働省のまとめによると、大阪北部地震では、天井や壁の一部崩落、高架水槽が破損して水漏れが相次いだほか、エレベーターの停止も各地で多数発生したようであります。西日本豪雨では、最大95の医療機関で断水や停電が発生、断水は長期にわたり、血液をろ過する人工透析に必要な水が足りなくなった医療機関は、患者の転院先探しに追われるという状況も発生したようであります。 南海トラフ巨大地震といった大災害の発生が懸念される中、非常時でも医療機関が機能するための対策を講じておく必要がございますが、厚生労働省は昨年10月から、約8,400に上る全国全ての病院を対象に、災害時に診療を続けるための事業継続計画(BCP)を策定しているかどうかの調査を始めております。来月までに結果を取りまとめるようでありますが、その中では、BCPを策定していない災害拠点病院に対しては、3月までの策定を義務づけ、一般医療機関についても策定の協力を呼びかけるとしております。 本県の医療機関におけるBCPの策定状況はどうか伺いたいと思います。また、策定がおくれている、あるいは策定していない医療機関に対しては、県として策定に向けどのように支援していくのか、伺いたいと思います。 ◎福祉保健部長(川野美奈子君) 本県の医療機関のうち、12の災害拠点病院については、BCPの策定が指定の要件となっておりまして、その期限が本年3月末となっていますことから、ほとんどの病院で策定が完了しているところであります。また、その他の医療機関の策定状況につきましては、現在調査中でありますが、多くの医療機関が、これから策定する予定となっております。 医療機関において、BCPを策定し災害に備えることは大変重要でありますことから、県としましては、引き続き医療機関に対し、その策定を働きかけてまいります。 また、関係部局や策定に関するノウハウを持つ損害保険会社等と連携しまして研修会等を開催するなど、本県の医療機関においてBCPの策定が進むよう、積極的に支援してまいりたいと考えております。 ◆(新見昌安議員) 厚生労働省も今後、BCPに関する研修会を開催する方針だと聞いております。参加を促すとともに、災害発生時を想定した訓練等にも取り組むよう、バックアップをお願いしておきたいと思います。 最後に、農政水産部長に伺います。 先ほど述べた昨年の大規模災害、特に西日本豪雨では、広島県を中心に多くのため池が決壊して家屋が浸水し、死傷者も出ております。これは記憶に新しいところであります。 このときに決壊したのは32カ所だったそうですが、そのうち29カ所は、都道府県が選定し、堤の補修などを優先的に進める、いわゆる「防災重点ため池」ではなかったということで、国はその後、全都道府県で、防災重点ため池に限らず、決壊した場合に家屋や公共施設などに被害を与えるおそれのある8万8,133カ所のため池の緊急点検を実施し、危険度の高い1,540カ所で水位を下げるなどの応急措置を講じたようであります。 さらに国は、豪雨や地震によるため池の決壊被害を防ぐため、防災上重要なため池を指定し、自治体による管理を強化する新法案を今国会に提出しております。国としては、早期に成立させ、台風の上陸がふえる時期を前に施行したい考えのようであります。 その中身は、決壊した場合、周辺に被害を及ぼすおそれのあるため池を「特定農業用ため池」として都道府県が指定し、形状変更を許可制にするほか、都道府県による防災工事の命令や代執行ができるようにするとありました。また、ため池は全国におよそ20万カ所あるそうでありますが、その所有者や構造などを把握するため、所有者らに届け出を義務づけ、都道府県によるデータベースの整備も進めるようでありますし、特定農業用ため池に指定されるのは全国で数万カ所に上ると言われる中で、法律はまだ成立してはいないものの、事前の準備は周到に行う必要があると思います。限られた時間の中でどのように取り組んでいかれるのか、伺いたいと思います。 ◎農政水産部長(中田哲朗君) 本県におきましては、平成25年度に受益面積0.5ヘクタール以上のため池についてデータベースを構築し、毎年、更新を行っております。 また、昨年の西日本豪雨によるため池の被害を受けまして、現在、防災重点ため池の見直しや、受益面積0.5ヘクタール未満のため池についてもデータベース化を進めておりまして、5月末までに終了予定としているところであります。 お尋ねの、今国会で審議されている新たな法案に基づく「特定農業用ため池」の指定等につきましては、手続などの具体的な内容がいまだ示されておりませんが、今後、詳細が明らかになれば、市町村とも十分に協議し、迅速に対応してまいりたいと考えております。 ◆(新見昌安議員) 自治体による管理を強化し、決壊による水害を防止する。これがこの法案の最大の目的であります。万遺漏なきよう準備をしておいていただきたいとの思いで質問したところでありました。よろしくお願いをいたします。 手元に、宮崎日日新聞に掲載された平成11年6月定例県議会の一般質問日程を知らせる「県議会からのお知らせ」というコピーがあります。私の古びたファイルから引っ張り出してきました。4月の県議選で初当選をさせていただき、初めて質問に臨んだ議会でもありました。同期生の濵砂守議員、丸山裕次郎議員、国会議員になられた松下新平議員、そして満行潤一議員も質問をされております。当時は1日4人、4日間の日程でありました。16人のうち8人は、きょうの議場にはおられません。改めて、この20年という年月を感じているところであります。 汗びっしょりになった議会でありましたが、自分の席に戻って、最後に次のように述べました。これはそのときの質問の内容ですけれども、  「月曜日の新聞に掲載された「県議会からのお知らせ」の中に、次のようにありました。「県議会は私たちの暮らしの根っこです」。どなたが考えたのかは知りませんが、県議会の存在を的確に表現したすばらしいコピーだと思います。根っこは目には見えません。目立たない存在です。しかし、根が地中深く張っていなければ、地上の幹も枝葉も存在しません。私も根っこである県議会を構成する議員の一人となった以上は、経済も福祉も教育もすべて盤石な、「太い幹」の上に、全ての県民が幸せを感じられる宮崎という「青々とした枝葉」を茂らすためにも、これからしっかり勉強し、県民の声をどんどん吸い上げながら議員の責務を果たしていこう、根っこの一部に徹していこうと思っております。要望がいつの間にか決意発表になってしまいましたが、以上で私の質問のすべてを終わります」 このような内容でありました。今、20年間を振り返り、このときの決意発表どおりに議員の務めを果たしてきたかとみずからに問うと、冷や汗が出てまいりますが、多くの県民の皆様に支えていただきながら、ここまで来ることができました。心から感謝をしているところであります。改めて、御支援いただき、お世話になった方々に御礼を申し上げます。とともに、4月の選挙に臨まれる議員の皆様には、ぜひとも勝ち抜いていかれるよう祈念申し上げます。そして再び、県政の発展に御尽力いただくようお願い申し上げ、全ての質問を終わります。長い間本当にありがとうございました。(拍手) ○副議長(外山衛) お疲れさまでした。 以上で本日の質問は終わりました。 次の本会議は、4日午前10時から、本日に引き続き一般質問であります。 本日はこれで散会いたします。   午後2時38分散会...