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09月12日-04号

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  1. 宮崎県議会 2013-09-12
    09月12日-04号


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    平成25年 9月定例会平成25年9月12日(木曜日)  午前10時0分開議 ───────────────────   出 席 議 員(38名)    2番  重 松 幸次郎  (公明党宮崎県議団)    3番  有 岡 浩 一  (愛みやざき)    4番  図 師 博 規  (  同  )    5番  西 村   賢  (  同  )    6番  黒 木 正 一  (自由民主党)    7番  内 村 仁 子  (  同  )    8番  岩 下 斌 彦  (  同  )    9番  後 藤 哲 朗  (  同  )   10番  右 松 隆 央  (  同  )   11番  二 見 康 之  (  同  )   12番  清 山 知 憲  (  同  )   13番  福 田 作 弥  (  同  )   14番  渡 辺   創  (民主党宮崎県議団)   15番  田 口 雄 二  (  同  )   16番  河 野 哲 也  (公明党宮崎県議団)   17番  太 田 清 海  (社会民主党宮崎県議団)   18番  高 橋   透  (  同  )   19番  星 原   透  (自由民主党)   20番  蓬 原 正 三  (  同  )   21番  井 本 英 雄  (  同  )   22番  中 野 一 則  (  同  )   23番  中 野 広 明  (  同  )   24番  横 田 照 夫  (  同  )   25番  十 屋 幸 平  (  同  )   26番  山 下 博 三  (  同  )   27番  前屋敷 恵 美  (日本共産党宮崎県議会議員団)   28番  徳 重 忠 夫  (無所属クラブ)   29番  井 上 紀代子  (民主党宮崎県議団)   30番  新 見 昌 安  (公明党宮崎県議団)   31番  鳥 飼 謙 二  (社会民主党宮崎県議団)   32番  緒 嶋 雅 晃  (自由民主党)   33番  松 村 悟 郎  (  同  )   34番  押 川 修一郎  (  同  )   35番  宮 原 義 久  (  同  )   36番  外 山 三 博  (  同  )   37番  坂 口 博 美  (  同  )   38番  中 村 幸 一  (  同  )   39番  丸 山 裕次郎  (  同  ) ──────────────────── 地方自治法第121条による出席者  知     事   河 野 俊 嗣  副  知  事   稲 用 博 美  副  知  事   内 田 欽 也  総合政策 部長   土 持 正 弘  総 務 部 長   四 本   孝  危機管理統括監   橋 本 憲次郎  福祉保健 部長   佐 藤 健 司  環境森林 部長   堀 野   誠  商工観光労働部長  茂   雄 二  農政水産 部長   緒 方 文 彦  県土整備 部長   大田原 宣 治  会 計 管理者   梅 原 誠 史  企 業 局 長   濵 砂 公 一  病 院 局 長   渡 邊 亮 一  財 政 課 長   福 田   直  教 育 委員長   近 藤 好 子  教  育  長   飛 田   洋  警 察 本部長   白 川 靖 浩  代表 監査委員   宮 本   尊  人事委員会事務局長 内枦保 博 秋 ──────────────────── 事務局職員出席者  事 務 局 長   田 原 新 一  事務局次長兼総務課長                   山 内 武 則  議 事 課 長   福 嶋 幸 徳  政策調査 課長   佐 野 詔 藏  議事 課長補佐   内 野 浩一朗  議事 担当主幹   伊 豆 雅 広  議 事 課主査   松 本 英 治  議事課主任主事   川 崎 一 臣──────────────────── △代表質問 ○議長(福田作弥) ただいまの出席議員38名。定足数に達しておりますので、これより本日の会議を開きます。 本日の日程は、昨日に引き続き代表質問であります。 ただいまから代表質問に入ります。まず、民主党宮崎県議団渡辺創議員。 ◆(渡辺創議員) 〔登壇〕(拍手) おはようございます。代表質問も3日目、民主党宮崎県議団を代表して質問を行います。 昨日の公明党、重松議員に続き、1期生2人目の代表質問です。たくさんの方にもお集まりをいただきましたので、元気に質問をしてまいりたいと思います。またあわせまして、4月に再結成した民主党宮崎県議団としても再出発の代表質問ですので、御支援いただいている多くの皆様に感謝をしながら、光ある宮崎の未来を見詰めて質問を行います。御答弁のほどよろしくお願いをいたします。 今回のような本会議での質問に向けて、私たち議員は、事前に質問のアウトラインを通告し、その狙いと意図をできるだけ明確に伝え、有意義な議論になるよう、担当部署の方々と内容の濃いやりとりを続けていきます。この議場にいる議員、そして執行部の皆様は当然御承知おきですが、この作業を「趣旨確認」と呼んでいます。時にこの作業を「なれ合い」との批判も聞きますが、私は頭をかしげます。非常に貴重な時間だと感じているからです。本会議での質問は年数回に限られた機会で大切な時間です。限りある時間を1分でも無駄にしたくない、だからこそ私どもは、みずからの主張を、そして問題認識を的確に執行部に伝えます。執行部の皆さんにとっても、かみ合った議論にするためには質問の趣旨を的確に把握する作業は必要不可欠です。ただ、私がそれ以上に貴重な時間だと感じるのは、この趣旨確認という作業を通して、現場にいる職員の皆さんと真剣に議論し、認識をすり合わせることによって、県政の課題を共有し、現場の生の声、感覚に触れることができるからです。そして多くの場合、そこで感じる現場の本音は、私の持つ問題認識とそう大きくずれていることはありません。もちろん、最終的なアンサーとして知事や各部長から伺う議場での答弁は、現場の本音と微妙にずれ、残念な内容で落胆することも少なくはありませんが、現場の皆さんが組織の壁という障害と奮闘していることは、それなりに質問者にも伝わります。現場の皆さんの問題意識に自分が提起する課題との共通認識を見出すことができれば、私はこの議場で行われる議論が必ず宮崎の未来につながると実感を持つことができます。そんな気持ちを持ちながら、今回は質問に臨みます。 さて、先日、ライトノベルの人気作家である有川浩さんの「県庁おもてなし課」という小説を読み直しました。舞台は高知県、県庁に実在するおもてなし課を舞台に、とあるきっかけから県の観光戦略・売り出しに意欲を持った職員たちが、県庁内部の壁という障害にもまれながらも奮闘する物語です。これがなかなか県庁の真髄を突いているようで、関東地方北信越地方の県庁に勤務する友人にこの小説の中の逸話について聞くと、「そう違和感はない」との正直な答えが返ってきました。宮崎県庁でも聞いてみようかと思いましたが、余りに生々しいといけないと思い、控えたところです。まあ、この場でフィクションである小説について議論をしても仕方がありませんが、一般論として、県庁という組織が決してフレキシブルな組織ではないことは否定できないのかもしれません。 話はそれますが、この「県庁おもてなし課」は、新聞連載を経て単行本化されました。その流れは小説の内容とも連動する仕掛けになっていて、またことしは、人気若手俳優を主人公に映画化もされました。高知県庁では行政庁舎と県議会をつなぐ渡り廊下につくられたオープンセットが一般公開されており、5カ月で3万人が見学に訪れ、観光資源としても大きく貢献しているとのことでした。 話を本論に戻しますが、私には、この小説に登場するさまざまな課題にもがく主人公たちと、趣旨確認で接する現場で奮闘する皆さんの心意気、また日常的に意見を交わす主体的な県職員のマインドが重なって見えます。現場で課題に直面し、その解決法を、そしてその先に広がる未来の可能性を信じて模索するのは、県庁も民間企業も同じです。しかし、公益に携わる県庁だからこそ、そのハードルは必ずしも低くない、そんな側面があるのかもしれません。 回りくどい話をしましたが、行政の中で、この県庁の中で、そのハードルをみずからの識見によって飛び越え、急進的な施策展開を図ることができる唯一の存在があります。それは、選挙という関門をクリアし県民の負託を受けた知事のはずです。この夏、私は、フードビジネス、津波対策、広報戦略各分野の話を、先ほどの「県庁おもてなし課」の舞台、高知県において聞く機会を得ました。いずれも全国に先んじた取り組みが行われています。思い切りが必要な判断もあったと思いますが、そのいずれもにおいて推進という明確なかじを切ったのは、河野知事と世代も近く、同じ霞が関出身尾﨑知事とのことでした。尾﨑知事の未来を見据えた判断に感心したところです。 河野知事も、この2年数カ月の間に、フードビジネス東アジア戦略など河野カラーを示してこられました。その大半は、施策の特質を考えても短期間では結果の見えづらい分野です。明確な推進の姿勢を堅持しなければ、開ける未来も限られます。そのことを踏まえれば、議会に身を置く私ども、少なくとも民主党県議団の目には、当然ながら1年4カ月後に迫った知事選後の宮崎にも責任を持つ、そういう姿勢と映ります。他会派からも同様の質問がありましたが、改めて次期知事選の対応をお伺いし、残りの質問は自席から行います。答弁よろしくお願いいたします。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 おはようございます。お答えいたします。 次期知事選の対応についてということでございます。今、渡辺議員から、さまざまな本県を取り巻く課題等について御指摘もございました。知事に就任して以来、口蹄疫を初めとするさまざまな災害から立ち直り、宮崎の元気を、希望の光を何とか取り戻したい、自分の持てる知識、経験を生かしてまいりたい、そのような思いで一所懸命、まさにこの宮崎のために一つのところに命をかける、そういう思いで取り組んできたところでございます。その中で、本県の復興から新たな成長に向けた大きな課題としましては、フードビジネスであったり、東アジア戦略、また東九州メディカルバレー構想、さらには東九州自動車道を初めとする高速交通ネットワークの整備、さまざまな課題が山積をしておるところでございます。これについても、与えられた4年間というのも見据えながら、それをしっかりと取り組みながらも、その視点は10年、20年、その先を見据えたさまざまな長期的な視点に立った計画づくり、また施策に取り組んでおるところでございます。一所懸命、宮崎の発展のために尽くすという思いは、これまでも、またこれからも変わりはないところでございます。 2期目の選挙というところについての御質問でございますが、これについては先日もお答え申しましたとおり、これから後援会を初めさまざまな県民の皆様の御意見をいただき、相談をさせていただきながら、しかるべきときに決断をしてまいりたいと考えておるところでございますが、そのように申したからといって、決して先を見据えた施策を取り組んでいないということではない、その点はぜひ御理解をいただければというふうに思っております。これからも、残り任期1年4カ月というところでございますが、一日一日を全身全霊、この宮崎の発展のために一所懸命努めてまいりたい、そのように考えておるところでございます。以上であります。〔降壇〕 ◆(渡辺創議員) 今の知事の御答弁の中、「一所懸命」というキーワードが繰り返し出ました。代表的な国語辞典で引いてみると、一所懸命の意味というのは、「1、1カ所の領地を命をかけて生活の頼みにすること。2、命がけで物事をすること。また、そのさま。必死」とあります。仮に知事のこだわりが「一所」にあるのであれば、それは当然この宮崎を指すのだと思いますし、また、「命がけで取り組む物事」という意味であれば、その取り組みが、今お話にありましたようにまだ道半ばであることは明らかだと思います。一方で、どうしてもちょっと頭をかしげてしまうのが、先日の記者会見で知事は、次期知事選への対応を問われた中で、対応を「白紙」とおっしゃったとのことです。私も元政治部の記者でしたので政治家の言葉には敏感ですが、仮にその発言を聞いて原稿を書く立場にあれば、「それは不出馬もあり得るということなのか」と確認をせざるを得ない内容です。これまでの議論を聞いている限り、知事の「白紙」というキーワードは、「現時点では言明をしない」という意味だったのではないかというふうに推測をしますけれども、果たしてその真意はどこにあるのか。知事は先日の自民党の宮原議員の質問に対して、「後援会とも相談をして、しかるべきときに」とおっしゃっておりましたけれども、知事を支援したのは後援会であったとしても、知事を選んだのは県民です。ですから、出処進退は政治家にとって重要なことというのはよくわかりますけれども、今の知事の環境下で知事の立場を退くという選択肢はないというふうに思いますので、県民に向けて、現時点でのお考えをもう少し明確にお述べになるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ◎知事(河野俊嗣君) るる御指摘ありがとうございます。真摯に受けとめたいというふうに考えております。先日、「白紙」と申し上げたところ、言葉の使い方がちょっとどうだったかなというのを、今、御指摘を伺いながら思ったところでございます。1年4カ月も先のことを今問われることに驚きもしながら、しかるべきときに決断をするものだという思いで申し上げたところでございます。宮城県の村井知事などは、来月の選挙に際して、昨日3選出馬表明をされたというふうな状況もあるわけでございます。私が申し上げたいのは、与えられた4年間、今ここに全力を集中するのが、将来を見据えた宮崎を引っ張っていく上でも大事ではないかというところを特に力点を置いたところでございます。ゴルフに例えると、一番の問題はヘッドアップであります。今ここのボールに集中すべきときに、次はピッチかパターかとか、そういうことを考えるときではないというふうに思っております。今トップの位置を決めてダウンスイングに入ったところでありまして、まずはこのボールをしっかり打つことに集中をしてまいりたい。それは決して先のことを考えていないということではなしに、しっかりと一日一日を、そういう思いで知事としての重責を果たしてまいりたい、そのように考えております。 ◆(渡辺創議員) 非常にわかりやすい御答弁だったかと思いますが、一面ではそろそろボールを打つ時期も迎えているかなという気もしますので、その辺は御判断の中にお加えいただければというふうに思います。 テーマを変えます。教育委員会制度についてです。安倍晋三首相の肝いりの教育再生実行会議の提言を受けて、国では教育委員会の改革の議論が進んでいます。その中でも特に、教育長の任免権、つまり任命とともに罷免する権限も首長に与える。そしてその上で、自由度が与えられた教育長に権限を集中させるという案が浮上しています。来年の通常国会にも法案が提出されるということのようですが、知事は、教育長の任免権を知事が持つことについてどのようにお考えでしょうか。 ◎知事(河野俊嗣君) 今御指摘がありましたように、現在、国の中央教育審議会、いわゆる中教審におきまして、首長の教育長任免権を含めて教育委員会制度見直し全般について審議がなされているところであります。本県におきましては、現行の制度の中で知事と教育委員会それぞれの役割を果たしながら連携・協力して教育行政の充実に取り組んでいく、そのように考えております。一方で国におきましては、現行の制度においてこれまでに発生したさまざまな問題を踏まえて審議がなされているところでありますが、制度を見直すに当たっては、教育の政治的中立性・継続性・安定性、これも大変重要なことであります。その確保にも十分留意をしながら、メリット、デメリットを踏まえた慎重な検討が必要ではなかろうかと考えております。 ◆(渡辺創議員) 今の答弁は、制度の見直しに慎重というふうに受け取りました。もし仮に実現をすれば、教育委員の皆さんはチェックを行う監査機能となるわけで、近藤教育委員長はその役割がなくなって、権限は全て飛田教育長に集中した上で、「知事がお気に召さなければ」というのは、ちょっと言い方はあれかもしれませんが、いつでも飛田教育長を罷免できる制度になるということです。私は、教育委員会制度にさまざまな課題があるとしても、今議論されている改革案は、「自治体首長へ権限を」という地方分権の一環と言いながらも、国による是正改善の指示を認めたり、「現場の声を生かす」と言いながら、トップダウンの方式であったりと、非常にちぐはぐな印象も持つわけです。全国的には教育委員会改革に熱心な発言をされている首長の方々もいらっしゃいますけれども、率直なところ、2年数カ月を過ごされて、知事は今の教育委員会のシステムに不備を感じていらっしゃるか、個人的な見解で結構ですのでお伺いしたいと思います。 ◎知事(河野俊嗣君) 本県におきましては、これまでも、教育委員会の委員の皆様、それから教育長とも個別に、教育行政、また人材育成をめぐり、さまざまな意見交換の場を持っておるところでございます。しっかり意思疎通を行いながら、知事部局、それから教育委員会、それぞれの仕事をしておるという認識でございます。もちろん教育行政はさまざまな課題もございます。また、残念ながら不祥事も含めていろんな問題も抱えておるところでございますが、それは制度に内在する問題というよりも、制度をいかに運用していくかというところが大事であろうかというふうに考えておりまして、本県におきましては、おかげさまで、円滑なコミュニケーションのもとに、しっかりと現行制度のもとでも教育行政を推進しているものと、そのように考えております。 ◆(渡辺創議員) ありがとうございました。 テーマを移します。続いて、北九州都市圏を中心とした九州北東部との関係構築について伺ってまいります。 来年3月、新規航空会社株式会社リンクによる新規路線が宮崎に開設をされます。宮崎―福岡間が8往復、宮崎―北九州間が2往復の予定です。県にとっては大きなチャンスになると思いますが、総合政策部長はいかがお考えでしょうか。 ◎総合政策部長土持正弘君) 株式会社リンクは、経済性にすぐれた機材を導入いたしまして、福岡空港などと近距離の地方都市を結ぶ「日本初のリージョナルLCC」を標榜する新規航空会社でございます。本県には、来年3月に福岡線、北九州線の就航を順次予定されておりまして、現在、就航に向け準備を進めているというふうに伺っております。リンクの就航によりまして、福岡線につきましては、便数の増加や4社乗り入れによる競争の効果により、さらなる運賃の低廉化が図られ、利用者の増加が期待できるところでございます。また北九州線につきましては、本県にとりまして初の北九州都市圏との路線となりますので、北九州市及びその周辺地域と新たな地域間の交流が促進されることを期待しているところでございます。 ◆(渡辺創議員) 8月に福岡市の同社の本社を訪ねて、杉山幸一社長らと意見交換をいたしてまいりました。今回の路線開設は、国内で初めての比較的近距離でのLCC路線で、さらに、LCCではありますが、機内に持ち込む手荷物の手続などLCC独特の煩雑な手続を簡素化した上に、チケットの購入も旅行代理店等でも行えるように工夫を施して幅広い世代の利便性を高めたい、そして親しみのあるエアラインにしたいということでありました。さらに、少し趣味の領域になりますが、導入される機体は、ヨーロッパの近距離路線ではメジャーな機体であるプロペラ機のATR72-600という機体で、日本では初めて導入をされる機体です。68人乗りの、同規模の大体70人乗りぐらいのリージョナルジェットに比べると価格的にも低く抑えられていて、静粛性にもすぐれているという特徴もあって、路線が開設されてしばらくの間は航空機ファンの搭乗も期待できるというふうに考えています。県としては、既に同社との間でさまざまな協議を行っていると思いますけれども、就航に当たり、具体的にどのような支援が可能か、続けて総合政策部長にお伺いします。 ◎総合政策部長土持正弘君) リンクにつきましては、御指摘のとおり来年3月からの就航を目指して新規参入を果たしたばかりの航空会社でございますので、まずは県民への周知、それから認知度の向上を図ることが重要であるというふうに考えております。そのため県といたしましては、県政番組やホームページ等さまざまなツールを利用いたしまして、県民に対し同社の就航について広く周知を図ってまいりたいと考えております。また、航空会社が実施するPR事業、それから利用促進等取り組みに対しましては、県、市町村、経済団体等で構成する宮崎空港振興協議会がございますので、ここを通じてさまざまな助成を行っております。リンクの就航に当たりましても、就航セレモニー利用促進キャンペーン等取り組みに対し、支援を行ってまいりたいと考えております。 ◆(渡辺創議員) 今の答弁にもありましたように、航空会社にとって重要なのは、新規路線の県民への周知であったり、エアラインとしての認知度の向上ということのようです。せっかく宮崎の可能性を見出して、県民の利便性向上にも貢献をしてくれるわけですから、宮崎の空の仲間として、ぜひ温かく迎え入れていただきたいと思います。福岡線、北九州線合わせれば1日で1,500人の新しい輸送能力が生まれるということになります。ぜひ新規路線が定着するように、必要な支援策を施していただきたいというふうに思います。ちなみに、北九州空港を本拠としているスターフライヤーの飛行機の機体には、北九州シティーという文字がペイントされています。それを理由に広告費が北九州市から支払われているんですが、非常に知恵を絞った支援策だと思います。ぜひ宮崎でも、既存の支援策にこだわることなく、知恵を絞って、就航してもらった宮崎の気持ちを示せるような対応を考えていただきたいというふうに思います。 次は、視点を陸路に移してまいりますが、平成27年度中には東九州道が北九州までつながる予定です。物流面などさまざまな効果が予測をされますが、新規高速バス路線開設の可能性についてはいかがお考えでしょうか、引き続き部長にお伺いします。 ◎総合政策部長土持正弘君) 宮崎市と北九州市の両市が高速道路で結ばれることによりまして、東九州で最大の人口を擁します北九州都市圏を初め、大分市、別府市など東九州の主要都市への移動時間が大幅に短縮されますことから、観光客の誘致、企業立地、医療産業の地域間連携など、人や物の交流がこれまで以上に活発化するものと見込まれております。本県と北部九州地域を結ぶ高速バス路線につきましては、現時点では具体的な計画は確認できておりませんけれども、このような状況を踏まえますと、今後、路線の開設も期待できるのではないかというふうに考えております。 ◆(渡辺創議員) 今まで東九州側の輸送はJRに頼ってきたところがあるわけですから、JRとの競合など幾つかの課題というのは想像できますけれども、県民の選択肢の広がりという観点で、さまざまな可能性を模索していただきたいというふうに思います。 さて、これまでお話をしてきましたように、リージョナルLCC路線開設東九州道による北九州との連結等によって、宮崎から見れば今までなじみの薄かった北九州都市圏との距離感は一気に縮まります。そしてまた、北九州都市圏域、さらにその背後地とも言える中・四国地方との関係強化が、これからの宮崎の発展を考える上で極めて重要というふうに思いますけれども、知事はどのようにお考えでしょうか。 ◎知事(河野俊嗣君) こうしたLCCの就航や東九州自動車道の開通というものは、北部九州圏と本県を結ぶ基幹的な交通インフラの飛躍的な充実を図る、まさに東九州の新時代を到来させる大きな転換点になるのではないかと受けとめておるところであります。これをチャンスととらえまして、今後の県勢の発展につなげていきたいと考えておるわけでありまして、食や観光などの地域資源の掘り起こし、さらに付加価値をつけていくということ。また、本県の競争力を高めていくことはもちろん、東九州全体を経済交流圏と捉えまして―これから人、物、金、大きくその流れが変わってくるわけであります。それを官民一体となって積極的に取り込んでいく必要があろうというふうに考えております。 これまでも、福岡県での観光・物産などのPRを行ったり、大分と連携した東九州メディカルバレー構想などを進めている。さらに最近では、延岡市と佐伯市がお互いの広報紙にお互いの情報を提供するというような連携も行われている。さらには、「東九州伊勢えび海道」というような連携もあるわけでありまして、そういったようないろんな工夫が考えられると思います。今後、北部九州の自動車産業と本県企業の取引が拡大するとか、東九州の広域観光ルートの設定による北九州、さらには中・四国からの誘客というのも考えられるわけでありまして、いろんなアイデアを出しながら、東九州経済圏の盛り上がりというものを本県の発展に結びつけてまいりたい、そのように考えております。 ◆(渡辺創議員) ありがとうございました。まさに、今議論してきた地域に向けての戦略を明確に持たない限り、何のために宮崎県が何十年にもわたって東九州道の北進を県民の悲願としてきたのかということがわからなくなるわけですから、ぜひ今後は、開通後にいかに大きな効果を呼ぶことができるか、そういう視点で枠組みづくりに力を注いでいただきたいと思います。特に北九州との空路は、羽田便を除けば北九州空港にとっては唯一の国内線での路線ということになりますので、ぜひこの路線を北九州との連携のシンボルとして、双方の関係構築に取り組んでいっていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。 それでは、テーマを移します。防災庁舎の建設についてお伺いをしていきたいと思います。 まず、この県庁本館の周辺には10施設以上の県の庁舎が分散、点在をしています。それぞれの庁舎の建設時期なども異なるわけですから、それぞれの庁舎の耐用年数というのにも違いがあると思いますが、その辺はいかがなっているでしょうか、総務部長にお伺いします。
    ◎総務部長(四本孝君) 本庁域の県庁舎でございますが、歴史的な建造物である本館及び5号館を除きまして、耐用年数が残っているという状況でございます。一般的な建物の耐用年数が65年でありますが、県庁舎の残存する耐用年数は、最も短い1号館が14年、最も長い企業局庁舎で45年残っているということになっております。なお、本県は「県有建物長寿命化指針」というのを策定しておりまして、適切に庁舎の維持保全を行うことで、最長88年の使用を目標としているところでございます。 ◆(渡辺創議員) ありがとうございました。 今回の庁舎建設の計画は、東日本大震災を契機に、災害対応部局をより耐震性の高い施設に入居させる必要がある、そういう問題認識から始まっているわけですが、専門家による検討委員会の検討状況、また今後の検討スケジュールを、改めて総務部長にお伺いします。 ◎総務部長(四本孝君) 防災や建築の専門家を含む検討委員会におきまして、防災拠点庁舎の整備場所を外来者第一駐車場とし、施設の規模を延べ床面積約2万平方メートルとする案が最も望ましいとして、現在、この案に係る具体的な検討を行っております。8月には第6回目の検討委員会を開催しまして、駐車場の整備方法や事業手法等について検討を行ったところであります。また、今後のスケジュールにつきましては、10月ごろに最終となる委員会を開催いたしまして、検討委員会としての整備案を取りまとめ、県議会の御意見等をお伺いした後、できるだけ早い時期に、県としての基本方針を決定したいと考えております。 ◆(渡辺創議員) 6月の一般質問では、年内に県としての方向性を取りまとめるということだったと記憶をしておりますので、県としての最終判断の時期もそう遠くないというふうに認識をしています。そこで、この防災拠点庁舎に最低限必要な機能は何なのか。また、最低限必要な機能に加えて、どのような役割を加えていくお考えでしょうか。例えば、当初は知事室などもというお考えもあったと仄聞しておりますけれども、具体的に知事室はどうなるのかも含めて総務部長にお伺いします。 ◎総務部長(四本孝君) 防災拠点庁舎につきましては、県民の生命と財産を守るため、全県の災害応急対策の指揮命令、情報の収集・発信、救助・救急等、防災対策の中枢としての機能を有することが必要であると考えております。具体的には、これまでの検討によりまして、十分な耐震性能はもとより、災害対策本部を初め、危機管理局や福祉保健部、県土整備部の入居スペース、自衛隊等の関係機関が活動できる十分なスペースや県民に災害情報を伝えるプレスルーム、さらには情報収集等に必要なヘリポート等を確保することが必要であると考えております。なお、防災拠点庁舎に必要な機能につきましては、検討委員会の整備案を踏まえ、県において改めて検討を行うことにしておりますが、知事室の入居は今のところ想定していないところでございます。 ◆(渡辺創議員) 私は、今回の庁舎建設を「防災拠点の整備である」というふうにテーマ設定を小さくするべきではないのではないかと思っています。もちろん、先ほど質問の中でも述べましたように、災害時のコントロールタワーをいかにして高い耐震性で守るかという議論がきっかけですし、入居部局も災害時の連携性が高いものになるということですから、災害時対応が最大の課題であることは事実です。しかし一方で、県は、分散した各庁舎をいかにして将来的に集約していくかという長年の課題も抱えているわけです。 視点を切りかえて考えてみると、今回の庁舎は、仮に県のイメージどおりに建設をされれば、県保有の庁舎の中で最大の庁舎となるわけです。そうなれば、災害時だけでなく日常的にも県の中核となる庁舎になるはずです。しかし、残念ながら、庁舎の分散状態という課題を一気に解決できるという規模ではないわけです。そういう状況の中で建設に踏み切るのであれば、今回の庁舎建設は、県庁の新しい時代のあり方を真剣に問う第一歩として、数十年後の県庁のあり方についても、せめて大まかなビジョン、せめて大まかな方向性を示しながら動き出すべきではないかというふうに考えますが、今後の県庁舎のあり方について、知事はいかがお考えでしょうか。 ◎知事(河野俊嗣君) 確かに現在の県庁舎の状況は、分庁舎、分庁舎ということでばらばらになっておりまして、特に県民の皆さんにわかりにくい、その利便性を考えると、また集約する必要がある。さらには、組織の縦割りの弊害などをなくして、横の横断、風通しをよくするためにも1つところに集まっていく、大変重要な課題ではないか。いずれ将来的には集約ということを検討すべきであろうというふうに考えておるところでございますが、当面、今御指摘がありましたように、災害時の対応を喫緊の課題として優先していく必要があろう。また、現在の財政状況もありますので、一気に全てを整えることは難しいという判断のもとに進めておるところでございます。ただ、現在、検討委員会で検討されております、外来者第一駐車場に床面積2万平方メートル規模のものを整備するという案も、将来的に県庁舎の分散化を解消することが可能である視点からも望ましいと。すなわち、そのそばなり別のところに、集約的に庁舎を将来には考え得る案だと、それと同居する案だということでの検討がなされているものであります。 ◆(渡辺創議員) 今、御答弁でも、分散化解消の視点からも今回の庁舎建設は望ましいということがありましたけれども、先ほど申しましたように、分散化の完全解消には至らないということです。そうであれば、今後はどうなっていくのかというのが県民の素直な疑問だと思います。今、御答弁にもありましたから、まさか将来的に、耐用年数が切れたものをその場でどんどん建て直して引き続き分散化ということもないんだろうというふうに当然思います。ただ、集約化を図るのであれば、いずれにしても、また改めて別に集約化した庁舎を建設するかどうかという問題が、10年後なのか、15年後なのか、20年後なのかわかりませんが、再び議論をしなければならないということになります。そのためにも、今回の庁舎建設を機会に、集約化なら集約化で明確な方向性を示しておくことは大事じゃないかと思います。知事の御答弁もそれに近いことをおっしゃっていると思いますが、今回の想定でも、詳細はわかりませんが、100億近い費用がかかるということになっているわけですから、この機会をきちんととらえて、この先どういう方向に進むのかということを、もう一歩踏み出してお示しいただくべきではないか。そうしなければ、具体的にこれから計画が進展していく中で、県民の理解を得ることも難しくなるのではないかというふうに思います。改めてもう一度知事に伺いますが、その点はいかがでしょうか。 ◎知事(河野俊嗣君) 先ほど申しましたように、現在の庁舎のあり方というものを考えた場合、県民の利便性、また仕事のさらなるレベルアップという観点からも集約化が望ましい、その方向で考えてまいりたいという思いでございます。今回、災害時の拠点の充実整備、強化というような観点で防災庁舎のあり方を検討したわけでありますが、そういう思いで県庁舎全体のあり方というのも視野に入れながら、今、検討委員会の資料においても、将来の県庁舎のあり方というものも絵を描いておるところであります。そのためには、これからさまざまな財政的な基金の積み立てというのも必要になってくるでしょうし、長い期間にわたった検討というのも必要だろうというふうに思っております。今回の防災庁舎の検討なり整備というものを一つのきっかけに、そういう方向での検討というのをしっかりと進めてまいりたいと考えております。 ◆(渡辺創議員) もちろん財政上の問題もありますし、その時々の首長の御判断もあるかと思いますから、縛るものではないとしても、方向性をわかりやすく県民にお示しいただければというふうに思います。 次の質問に移ります。広報戦略についてお伺いをしたいと思います。これまでも繰り返し議論をさせていただいてきたテーマですが、今回は、広報の中でも宣伝的要素に重きを置いた広報についてお話をさせていただきたいと思います。 まず最初に、これまでの一般質問等でも私は、宮崎県の広報宣伝戦略は多岐にわたり総花的で、貫く統一的なコンセプトに欠けるのではないかという指摘をしてまいりました。原点に立ち返ってもう一度伺いますが、まずは、宮崎県は県外への情報発信に当たりどのような戦略の柱を持って取り組んでいるのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(茂雄二君) 県外への情報発信に当たりましては、「日本一2連覇の宮崎牛」「宮崎産完熟マンゴー」といった本県のイメージを形成する、いわばイメージリーダーはしっかりと定着させつつ、それらを牽引役としながら、農林水産物や神話・観光、スポーツなど本県が持つ多彩な魅力を結集して、宮崎全体の認知度向上及びイメージアップを図っております。具体的には、県のシンボルキャラクター「みやざき犬」も活用しながら、大都市圏においてさまざまな企業と共同したイベントやフェア等を開催したり、マスコミやソーシャルメディア等各種媒体の積極的な活用はもちろんのこと、みやざき大使やみやざき応援隊を活用したPRなど、まさに「オールみやざき」として取り組んでいるところであります。 ◆(渡辺創議員) 今、御答弁にもありましたように、私も、県は各分野においては、それなりに知恵と工夫を施したブランディング戦略を持っているというふうに思います。その具体例をお伺いしていきたいと思いますが、2020年に向けて動きを加速しているはずの記紀編さん1300年事業は、県外にどのような情報発信を行っているのでしょうか。また、その影響、そして効果をどのように評価していらっしゃるのか、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(茂雄二君) 記紀編さん記念事業におきましては、昨年来、早稲田大学や明治大学での連続講座や、JR西日本管内における駅張りポスター、また、九州国立博物館や博多座でのパネル展や神楽の公演など、東京、大阪、福岡といった大都市圏で関係機関と連携したさまざまな事業を実施するとともに、神話ゆかりの地を紹介したNHKのテレビ番組の放送や、河瀬直美監督によるプロモーション映像の制作・配信など、メディアを活用した幅広い情報発信に取り組んでおります。その評価につきましては、例えば、青島神社や鵜戸神宮など記紀ゆかりの地では、昨年の観光客数が前年に比べふえており、一定のPR効果は出てきていると考えておりますが、県外において「神話のふるさと みやざき」のイメージが浸透しているという状況にはないと認識をいたしておりますので、今後とも、いろいろなアイデアを出して、効果的な情報発信に努めていく必要があると考えております。 ◆(渡辺創議員) さまざまな努力をされているけれども、浸透力という意味では課題が残るところかと思います。しかし、「神話」というフィールドが観光誘客にどの程度のポテンシャルがあるのかという見通しが非常にききづらい中では奮闘されているんだというふうに、私は思います。 先ほども申しましたように、宮崎県の各分野での個別のブランディング戦略は、非常によく練られたもので、しかも健闘しているというふうに思います。例えば恋旅ですが、若い女性をターゲットにして、宮崎の既存の観光資源を、若い女性に興味を持たれるようなストーリー性を強調してくくり直した。地域的には分断されているけれども、例えば高千穂と鵜戸神社とえびのの真幸駅などを同じテーマということでくくることができるというのは、まさに非常にいい発想を出されたんだと思いますし、そこに東京ガールズコレクションというような、若い女性にはまさに鉄板の価値まで付加したわけですから、非常にいい取り組みだと思います。狙いも明確で、ターゲットに響く要素は何で、そこに浸透するためには何をすればいいのかということをしっかりと考えて取り組まれてきたあかしだというふうに思います。 ほかにもいろいろ評価できるものはあるわけですけれども、それでは県には何が足りないのかということを考えれば、それは一つ一つの商品を売り込むための戦略ではなくて、全てのものを包含する宮崎県の統一的なイメージ戦略、ブランディング戦略がまさに欠けているということではないかと思います。県全体のトータルイメージを確立できれば、必ず後についてくる、個別の観光戦略であったりとか、物産のイメージは引き上げられるはずです。県外での宮崎の認知度を向上させるためには、基本戦略を持った統一的なイメージ戦略が大切だと思いますが、知事はいかがお考えでしょうか。 ◎知事(河野俊嗣君) 最近では、香川の「うどん県」でありますとか、高知県の「高知家」、広島県の「おしい!広島県」、いろんな形で県のPRを戦略的に展開する自治体がふえてきておると思います。お隣の大分県でも「おんせん県って言っちゃいましたけん!」とか、多少ギャグも含めながらいろんな展開がされているというふうに考えております。このようなPR戦略の構築に当たりましては、そもそも何をアピールするのか、誰に対して訴えるのか、他県とどう差別化を図るのか、さまざまな点を考慮する必要がありますし、核となるコンセプトを整理することが大変重要であろうかと考えております。 私は、よく前から言われておりますが、「太陽と緑の国宮崎」というものは、昔で言う文字どおりの「太陽と緑」という意味もありますし、現代的な再生可能エネルギー、そういう中での宮崎県の役割というような思い、また農林水産、フードビジネス、スポーツ、いろんな面にも通じる、いいコンセプトだなと思っておるんですが、じゃ、それをそのまま言えば伝わるかというと、伝え方をどのようにしていくか工夫が必要であろうというふうに考えております。そのようないろんな考慮をしながら、他県の先進的な事例もよくよく研究をし、まずは核となるコンセプト、そしてどういう発信の仕方があるのか検討を進めてまいりたいと考えております。 ◆(渡辺創議員) まずはPR戦略構築のための核となるコンセプトについて検討を始めてまいりたいという御答弁を今いただきました。2年間にわたってこの分野での質問を重ねてまいりましたが、趣旨を御理解いただいて、きょう初めて明確に一歩踏み出す御答弁をいただいたと思っております。検討を始めるということでしたので、まさにコンセプトづくりの議論を県庁内でも進めていくというふうなことだと理解をいたしたいと思います。まさにこれまでは他県の取り組みを注視するという段階でとまっていたわけですから、大きな前進だというふうに思い、非常にうれしく思うところです。香川県の「うどん県」や高知県の「高知家」など、先行して取り組む自治体もいろいろあるわけですから、コンセプトづくりというのが最大の難所だと思います。期待をしたいというふうに思います。 ちなみに、高知県の高知家は、「高知県は、ひとつの大家族やき。高知家」というコピーのもとに、高知のさまざまな魅力を、笑顔や幸せ、安心安全、いやし、親近感、健康、きずな、団らんといった温かい家族のイメージにして伝えようというコンセプトですが、実はその背景にあるのは移住促進という県の重点政策です。移住促進を図るためには、まずは高知県を知ってもらって、親しみを持ってもらって、興味を持ってもらう。そうやって高知県への関心を持つ層の裾野を確実に広げることによって、移住を促進させるという明確な狙いになっています。 その上で、発信力を高めるには著名人だということで、高知家の娘は女優の広末涼子さん、お姉ちゃんは歌手の岡本真夜さん、お姉さんはタレントの島崎和歌子さん。お姉ちゃんとお姉さんに何の違いがあるのかちょっとわかりませんが、県出身の著名人の力もかりております。その上で、家族を強調するためには県民参画も重要との発想が徹底していて、地場企業も高知家の一員となって、店内には高知家のロゴが張り出されていますし、街の中には広末涼子さんのポスターがあふれていました。さらに、高知家の取り組みに協賛する店舗では、100円以上の募金をするとピンバッジを1つもらえるということになっています。詳しく伺ってみると、このキャンペーン、8月の1カ月だけで2万1,000個のピンバッジを県民の皆さんが購入されているということです。記紀編さんのピンバッジもあったかと思いますが、あれが幾つできたのかちょっと把握をしておりませんけれども、100円入れて参画するというような仕組みにはなっていなかったかなと思うところです。 非常に長くなりましたけれども、ぜひコンセプトの議論をしっかりと深めていただいて、宮崎県の統一的なイメージ戦略を打ち出していただきたいと思います。私も私案があったんですが、やぼになりますので、ここで披露することは控えて、次の質問に移りたいと思います。 次は、教育委員会に幾つかの質問をさせていただきたいと思います。 まずは、高校の授業料の無償化についてです。昨年の政権交代以降、自公両党は高校授業料の無償化制度に所得制限を設けるということを検討してきました。その結果、世帯での年収が910万円で合意をして、来年度導入に向けて秋の臨時国会に法案を提出するというふうに伝えられております。仮に導入された場合に、宮崎県においてどのくらいの生徒に影響があるのか、飛田教育長にお伺いをいたします。 ◎教育長(飛田洋君) 公立高等学校の授業料無償制につきましては、国におきまして、所得制限を含め総合的に検討が行われているところであります。現時点では、見直しの内容がまだ決まっていないこと、また、県内の高校生がいる世帯の収入等の統計資料もありませんので、どのような影響があるか把握できていないところでございます。 ◆(渡辺創議員) それでは、これまでの高校授業料無償化の制度が、宮崎県の生徒さんたちをめぐる状況にどのような影響を及ぼしたかということについて、教育長にお伺いします。 ◎教育長(飛田洋君) 公立高等学校の授業料無償制は平成22年4月から導入され、この制度により、全日制高等学校の例で申しますと、1人当たり年間11万8,800円の授業料が無償となり、家庭の教育費の負担軽減が図られているところでございます。 ◆(渡辺創議員) 先ほど、高校生を持つ世帯にどのような影響があるかということをお伺いしましたが、具体的な統計データはないということでした。そこで、少しイメージを膨らませたいというところで、県の人事課に伺ったんですが、仮に県庁の職員で共稼ぎの夫婦で想定をした場合、ともに45歳の行政職で大卒、ともにストレートに入庁して、子供が2人いて1人が高校生だという場合、世帯の収入は年間で1,224万1,000円となるそうです。ということは、県庁で共働きをされているそのぐらいの年齢の世帯であれば、恐らく910万円を軽く超えてくるということになるかと思います。また、資料としての確実性はわかりませんが、新聞報道等では、今度所得制限をつけた場合に対象から外れるのは22%というふうな指摘も出ています。所得制限をつけた場合に影響が出る範囲というのは、決してわずかな一部というような議論ではないと認識をするところです。 そもそも高校授業料の実質的な無償化は、国際人権規約を踏まえて、将来の人材育成の土台となるところに関しては無償化をすべきであるという発想で始まったものです。今さらの所得制限は、時計の針を逆戻りさせることでしかないというふうに私は思います。制度変更による地方の事務負担の増加もありますし、県としても得るものは少ないと考えるところです。また、地方にとっては、その後の高等教育、高校卒業された後のことをいろいろ考えると、どうしても県外の学校に通わさなければならないという現実もあります。それを考えると、高校在学中の負担増というのは、その後のお子さんたちが学ぶ環境も必ず圧迫をすることになります。こういう地方の実情を踏まえた上では、宮崎県としては、例えば知事会合同でも結構でしょうし、宮崎県独自であったとしても、高校授業料の無償化について所得制限の撤廃を求めるべきではないかと思いますが、知事はいかがお考えでしょうか。 ◎知事(河野俊嗣君) 高等学校の授業料無償制等につきまして、全く無償としないという議論ではなしに、所得制限等のいろんな見直しということから、総合的な検討が行われているということでありまして、それぞれにいろんな御議論があろうかというふうに思っておりますので、我々としてはその動向を注視してまいりたいと考えております。県としましては、今、全国知事会を通して要望しておりますことは、国が制度を見直す場合は、地方へ必要な情報提供を行うこと、準備期間を十分確保すること、また、制度の見直しに伴い生じる経費の財政措置を講じることなど、現場での混乱、利用者の混乱を防ぐというようなことを要望しておるところでございます。 ◆(渡辺創議員) どうしても日本の教育行政は、総枠は同じ中で、その中をいじって新たなことの財源をつくるということが長く続いているような気がします。今回も、所得制限をつけて生まれた財源によって、返還の必要のない奨学金をつくるとか、さまざまな案が出ています。奨学金制度等については本当に必要なことで、対策が進むべきことだと思いますが、そのために所得制限をつけて圧迫してつくるのではなくて、新たな財源として、未来を担う子供たちに費やすべき費用は生み出すべきではないかというふうに思いますので、意見表明で終わりたいと思います。 続いて、学校における体罰にテーマを移します。昨年度、全国的にも注目を浴びた案件等を受けて、文部科学省の指導によって、県内の全ての小中高校等で記名式でのアンケートが実施をされました。記名アンケートについては、さまざまな御意見もあると思いますし、学校現場の負担も非常に重いものがあったのではないかと推測します。私がお話を聞いた校長先生は、集まったアンケートを全て校長室で、一つ一つ校長先生のみが開封をされて実態の把握をされたということでした。非常に御苦労も多かったのではないかというふうに思うところです。考え方はいろいろあるかと思いますが、実情を的確にあらわす方法として最適だったかどうかはともかくとしても、実態把握の一つの方法という意味では意味があったのではないかと思っています。このようなアンケートによる体罰の実態調査を今後継続されるのか否か、教育長のお考えをお伺いします。 ◎教育長(飛田洋君) 昨年度実施いたしました体罰の調査は、文部科学省の依頼もあったんですが、他県で起こった、教職員の体罰が原因で高校生のとうとい命が失われたということを本県としても非常に重く受けとめまして、体罰の実態把握、それから体罰の禁止の徹底を目的として緊急に実施させていただきました。今後、国がどういう調査をするかということは明確に示しておりませんが、県教育委員会といたしましては、体罰防止の徹底を目指して、体罰の相談窓口の設置や体罰に関する相談員の配置などにより実態把握をしていきたいとも考えておりますし、また何らかの形で体罰の調査も実施していきたいと考えております。 ◆(渡辺創議員) どのような内容で行うかというテクニカルな問題は別にして、継続的に調査を行うというふうに理解をします。 さて、前回の調査から半年がたとうとしているわけで、改めて体罰調査で判明した実態について、教育長がどのようにお考えになっているかお伺いしたいと思います。 ◎教育長(飛田洋君) 昨年度の実態調査では、本県の体罰発生件数が小中高等学校等合わせて92件でありました。教育行政の責任者として、児童生徒及び保護者の皆様に大変苦しくつらい思いをさせたということを、極めて重く受けとめております。本県から体罰を一掃するためには、教職員一人一人が、これまで「指導」という名のもとで暴力をした、そういうものを見過ごしてきたのではないか、そういうことを再度しっかりと反省し、真に指導者として確かな指導力─具体的に言いますと、体罰は絶対行わないけど、教えるプロとして、正すべきは正し、鍛えるべきは鍛える、そんな毅然とした指導ができる、そのような指導力を身につけさせるとともに、教師自身がみずからの人権感覚をさらに高めていくことが大切であると考えております。 ◆(渡辺創議員) いずれにせよ、誰もが安心して学校に通えて、先生方も重荷を背負わない、そういう学校環境をつくることが大事だと思いますので、よろしくお願いいたします。 続いて、スマートフォンなどの情報機器の急速な発達によって、さまざまなトラブルが発生をしているようです。子供が絡むさまざまな事件の報道を見ていても、最後の連絡がスマートフォンでの通話というかメールのようなものの記録であったとか、アプリを利用したコミュニケーションでのトラブルが事件を招いた、そういうような話を今耳にしない日はないというような状況になっています。県内でのスマートフォン等にかかわる児童生徒をめぐるトラブルの発生状況とその対策をお伺いしたいと思います。 ◎教育長(飛田洋君) 情報機器の急速な発達により利便性が高まった反面、携帯電話など児童生徒が手軽に持つことができる機器の普及は、子供たちの生活に大きな影響を与えており、さまざまなトラブルの報告も受けております。具体的な事例を申し上げますと、掲示板などネット上の誹謗中傷の書き込みや、動画サイトへ不適切な内容の投稿が見られたり、交流サイトで見知らぬ人と気軽に出会い被害に遭ったりするなどの事例が報告されております。そのため、児童生徒のネット上のトラブルへの対策は喫緊の課題であると考えております。県教育委員会といたしましては、ネット上のパトロールの実施や、ネットいじめに関する相談窓口として「目安箱サイト」の運営などに取り組むとともに、ネットトラブルというのは非常に見えにくいものでありますから、何よりも子供たちの生の声こそ大切でありますので、児童生徒と教職員が信頼関係を築き、子供たちが相談しやすい環境づくりを進めるよう各学校を指導するなどしながら、トラブルの早期発見、早期対応に努めているところでございます。 ◆(渡辺創議員) トラブルとあわせて、スマートフォン等の利用による児童生徒の生活面、そして心身面への影響も否定できないというふうに思います。ある調査では、中学生の6%、高校生の9.4%がネット依存の状況にあるという結果も出ておりますが、県内での影響はいかがでしょうか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(飛田洋君) データとして、文部科学省が行いました本年度の全国学力・学習状況調査があるんですが、携帯電話やスマートフォンで通話やメールを「ほぼ毎日している」と回答した本県の児童生徒の割合は、小学校6年生では全体の9.3%、中学校3年生では全体の25.7%となっております。この数字は、平成21年度の調査に比べますと約2倍にふえている状況にありますことから、携帯電話やインターネットなどの利用による児童生徒の生活習慣の乱れや、円滑な人間関係が築けないなど、心身の健康に大きな影響を及ぼしていることもあるのではないかと認識しているところでございます。現在、ほとんどの学校におきまして、県警など関係機関から講師を招いて、児童生徒が、何が危険なのか、何が危ないかを判断できる知識や、情報化社会の中でも情報機器をツールとして適切に生かしていく能力などをしっかり身につけられるよう、具体的な取り組みを進めているところであります。県教育委員会といたしましては、情報化が急速に進行する中にあっても、子供たちが傷ついたり、逆に人を傷つけたりすることがないよう、今後とも各学校の指導の充実に努めてまいりたいと考えております。 ◆(渡辺創議員) 教育分野としては最後の項目としますが、先日の新聞報道等によりますと、県内で精神性の疾患(メンタルダウン)による教職員の休職者は2年連続で80人を超えたということになっております。もちろんメンタルダウンに至るまでにはさまざまな要素が関係をしていて、一概に職場の要因だけではないというふうには理解をしていますけれども、教育委員会としての現状認識と現在の取り組みをお伺いしたいと思います。 ◎教育長(飛田洋君) 教職員の精神疾患による昨年度の休職者が80名ということを大変重く受けとめております。御本人や御家族の心情を考えますと、心が痛みます。教職員の精神疾患につきましては、職場でのストレス、人間関係、家庭内の問題などさまざまな要因が考えられますが、御本人や御家族にとっても深刻な影響があるだけでなく、学校にとりましても、また指導を受けている子供たちにとりましても大きな課題であると認識いたしております。県教育委員会といたしましては、公立学校職員の心身の健康増進を図るため、関係機関と連携しながら、全ての管理職を対象とした研修会の開催、職員みずからの気づきを促すメンタルヘルス調査の実施や各種相談窓口の設置などにより、予防と早期発見、早期対応への取り組みを強化しているところでございます。また、昨年7月に作成した「教職員の働きやすい環境づくりプログラム」に基づき、特定の職員に業務が集中しないようにすることや、休暇を取得しやすい環境づくりを進めること、同僚や管理職と気軽に相談できる職場づくりの推進などにも取り組んでいるところであります。 ◆(渡辺創議員) 80人という数字の評価は極めて難しいわけですけれども、増加傾向にあるということは間違いがないです。対策を打つという意味では、そういう状態に陥っていらっしゃる当事者の方々にプレッシャーをかけないような形で、具体的な低減目標というものも掲げていくべきではないかと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。 ◎教育長(飛田洋君) 先ほども申し上げましたが、こういう状況にあるということは非常に重く受けとめております。具体的にどうだということはなかなか言いづらいことでありますが、思いとしては、教職員自身の健康を保つということは何より大切でありますので、精神疾患による休職者を新たに出したくない、それから、休職者数を現在より減らしていくという強い決意を持って取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(渡辺創議員) 休職者を現在よりも減らしていくという形で答弁をいただきました。当事者、そして関係者の皆さんにとっても大変な課題だというふうに思っています。今をピークにするという覚悟での取り組みということですので、期待をしたいと思います。教育につきましてはこれで質問を終わります。 続けて、宮崎県の子供たちの、特に養育困難な状況に置かれている子供たちの問題について質問させていただきます。 今年度、宮崎県議会では宮崎のこども対策特別委員会を立ち上げ、宮崎の子供たちが置かれている環境の把握に努めています。その中で、こうのとりのゆりかご、いわゆる赤ちゃんポストに注目が集まっていますが、特別養子縁組のアシストなどにも熱心に取り組む熊本県の慈恵病院や、県内のさまざまな施設なども訪問いたしました。またさらに、個人的にも県内の児童養護施設などを訪問させていただき、お話を聞かせていただいております。保護者と離れて暮らす子供たちをめぐる課題はさまざまな要素があるわけですけれども、今回の質問では、児童虐待であるとか非行であるとか、その分野を除いて、保護者の事情により養育困難となる子供たちに焦点を絞ってお伺いしたいと思います。 まず、家庭環境や経済的な要因などによって、保護者の事情で養育が困難となる子供たちのケースは年間どのくらいあって、そのうち児童養護施設などに措置されるケースはどの程度なのでしょうか。また、宮崎県の状況について特徴的なものがあればお伺いしたいと思います。福祉保健部長にお伺いします。 ◎福祉保健部長(佐藤健司君) 県では、児童相談所におきまして、養育環境に問題のある子供に関する相談を「養護相談」という形で受け付けておりますが、その中で、虐待を除きます、保護者の事情による養育が困難な子供の相談は、平成24年度で382件でございます。このうち児童福祉施設入所あるいは里親委託となったものが88件でございます。なお、このほか主な対応といたしまして、209件は、1回ないし数回の助言・指導によりまして保護者あるいは親族のもとでの養育が継続されているものでございます。また、本県は地域のつながりも強いなど、一般的には全国と比較しても恵まれた子育て環境を有しているものと認識しておりますが、親の疾病や離婚、経済的な事情により養育が困難な児童が相当数いることも、現実としてしっかりと受けとめていかなければならないというふうに考えます。 ◆(渡辺創議員) 全体で382件、措置されたものが88件ということでした。このうち、本来は出産前の段階から養育ができない状況にありながら、どこにも相談をすることができずに出産に至ってしまって養育ができないというケースはどのぐらいあるのでしょうか。もちろん完全に一致する数字というのはないかと思いますが、近い数字で御判断いただければと思います。部長にお願いします。 ◎福祉保健部長(佐藤健司君) 出産後の養育について支援が必要な妊婦が、どこの機関にも相談しないまま出産に至るケースにつきましては、なかなか実態把握が難しいところでございますが、平成24年度に児童相談所で受け付けた養護相談の中で、生後3カ月未満の乳児の相談件数で申し上げますと、15件となっております。 ◆(渡辺創議員) 3カ月以内に養育ができない状況に陥るケースが15件。実はそのデータの詳細を持っているんですが、0日というケースがそのうち3件。これは病院で出産した時点で、もう既に養育を断念しているケースかというふうに思います。さらに、1カ月未満が6件、2カ月未満が4件、3カ月未満が2件となっています。女性が妊娠をして出産に至るまでの間に、さまざまな形で子供の養育が可能かどうかということを伺う機会はそれなりにあるわけですが、その網にかかることがなく、養育ができないという環境にありながらも―考え方はいろいろあるかと思いますが―中絶という選択肢にも行き着かずに出産を迎えてしまう。言いかえれば、妊娠して課題を抱えながらも出産に至る女性に、社会としてコミットしている場面がなくて出産に至ってしまうというケースが年間15件あるということです。この数が多いか少ないかというのは、それぞれの皆さんの捉え方があるかと思います。行政としてもさまざまな形でセーフティーネットを広げているんだと思いますが、その網をできるだけ小さく細かくして、この15人というのを減らしていくことが重要なことではないかと思います。この点については、改めて機会を見つけて議論をさせていただきたいというふうに思います。 今度は、生まれてきた子供のほうに目を転じてみたいと思いますが、保護を要する子供たちにとっては、できるだけ早く家庭的なといいますか、本来の家庭に近いような環境を整えることが重要だという指摘をよく耳にします。本県のそういう意味での取り組み状況というのはいかがなっているんでしょうか、部長にお願いします。 ◎福祉保健部長(佐藤健司君) 今お尋ねの件でございますが、国において平成23年度に、児童の養育環境の質を向上させるために「社会的養護の課題と将来像」が取りまとめられておりまして、この中で、児童養護施設などの小規模化、あるいは地域分散化、あるいは里親への委託推進という方向性が示されております。県としましては、国のこうした動きも踏まえ、児童養護施設等の小規模化を進めておりまして、具体的には、既存の養護施設の一部を改修して、6名から8名の小規模な生活空間といいますかスペースを整備して、その中で、より家庭的な雰囲気づくりに努めております。また、今年度から各児童相談所に、里親家庭を訪問して相談を受ける里親委託等推進員を配置いたしまして、里親委託の推進にも取り組んでおります。今後とも、社会的養護が必要な児童の養育環境の充実を図ってまいります。 ◆(渡辺創議員) 御答弁ありがとうございました。こどもの特別委員会の中でも感じるんですが、もちろん、宮崎の多くの子供たちをどんなふうに育てていくか、またそれぞれの夢や希望をかなえられるような状況をもって社会に出てもらうかというのも、非常に大事な観点として熱心に取り組まなければならないと思っているんですが、どうしてもさまざまな環境や事情によって、制度であったり、世の中の枠組みから一旦離れるような環境にいなければならない子供たちのこと、なかなか手が届いていないかもしれない、また届いている手の数が十分ではないかもしれないという子供たちの問題にきちんと目を向けていくことも大切なことだと思いますので、今後、特別委員会も含めまして議論をさせていただきたいというふうに思っております。 それでは、テーマを移しますが、次は木材の有効活用についてお伺いをしたいと思います。 8月に、民主党県議団の井上紀代子議員、そして田口雄二議員とともに、名古屋市にある産業技術総合研究所を訪問いたしました。そちらで研究をしていらっしゃいます金山公三氏らの取り組んでいらっしゃる、木材を万能素材にする研究の一端を学ばせていただきました。詳細を説明したいんですが、それだけの力量がないのと、ここで説明すると質問時間が全てなくなってしまいそうなので詳細は省きますが、木材を粘土のように加工して、さまざまな形状への成形を実現する流動成形技術というものです。木材の利用用途を大きく拡大する研究ですけれども、県はこの研究をどのように把握していらっしゃるでしょうか。また、どのように評価をされていらっしゃるか、環境森林部長にお伺いをいたします。 ◎環境森林部長(堀野誠君) 産業技術総合研究所において取り組まれている木材の流動成形の研究は、木材に熱や圧力、さらに添加剤を加えることによりまして、一定の強度を持った製品、例えば、現在プラスチックでつくられているようなものを自在に成形できる新しい技術を確立しようとするもので、これまでの削ったり曲げたりといった加工方法とは異なるものであると聞いております。この技術が確立されますと、金型に入れて加工することも可能となり、工業製品への応用範囲が格段に広がることが期待されることから、幅広い分野での木材利用の可能性が出てくるのではないかと考えております。 ◆(渡辺創議員) この研究に関しては、かなりの数の都道府県であったり、また民間企業も共同研究というような形で支援をされて、そのノウハウを手中におさめているところもあるようですけれども、宮崎県としても、県産材の活用の方法の一つとしてコミットしていくことは可能ではないかというふうに思いますが、その点についてはいかがでしょうか。 ◎環境森林部長(堀野誠君) この研究につきましては、先ほど申し上げましたとおり、幅広い分野での木材利用の可能性につながることが考えられます。ただ、実用化に際しましては、加工品の安定性や強度、成形に用いる金型の開発などの課題もあると聞いているところであります。県としましては、県産杉の需要拡大に向け、新たな分野での利用を進めていく必要がありますことから、この研究の動向や実用化に向けた取り組み等について注視してまいりたいと考えております。 ◆(渡辺創議員) 私たちも、すぐに利益を生むと考えているわけではありませんけれども、木材の未来を切り開く可能性のある技術だというふうに考えていただいて、県としても目を向けていただければと思います。 続きまして、口蹄疫埋却地の再生整備についてお伺いをします。再生整備の事業が今年度から始まりましたが、現在の進捗状況を農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(緒方文彦君) 口蹄疫の埋却地につきましては、農地等としての再生利用を図るため、土地所有者の意向等を踏まえまして、今後3年間で約220カ所の整備を計画しております。本年度は146カ所で整備を予定しておりまして、現在、52カ所の整備を計画的に進めておりますが、残りの94カ所の整備につきましても、スピード感を持って進めてまいりたいと考えております。 ◆(渡辺創議員) 再生整備を進める中で見えてきた課題といいますか、そのようなものが明確になっていればお伺いをしたいというふうに思います。 ◎農政水産部長(緒方文彦君) 埋却地の整備は、石れきの除去が主体となる、これまでに例のない特殊な工事でありますので、本年5月以降、川南町で実施いたしました工事において、整備の工法等の検証を進めてきたところであります。これまでの検証において、大小さまざまな石れきが想像以上に多く混入しておりまして、工事の作業効率を低下させるという課題がありましたが、作業機械の組み合わせ等工法の工夫によりまして、課題の解消を図っているところであります。今後とも、現場の状況を見きわめながら、埋却地の再生整備をしっかりと進めてまいりたいと考えております。 ◆(渡辺創議員) 進捗は順調ということのようですので、安心をいたしました。昨年度、県執行部の皆さんを初め多くの関係者の皆さんの御努力で予算確保ができた事業ですので、一日も早く再生整備が進み、優良な農地に回復する日を待っております。引き続きの取り組みをよろしくお願いいたしたいと思います。 続きまして、テーマとしては最後になりますが、カジノを含む統合型リゾート(IR)についてお伺いをしたいと思います。 国会においてIR法案をめぐる議論が進展をしているようです。報道によりますと安倍総理も熱心なようで、7月に終わりましたが、参院選後はその流れがまた加速をしてきているというふうにも聞こえてきております。県としては、この国の動きを含めた状況をどのように認識をしていらっしゃいますでしょうか、商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(茂雄二君) カジノに関する国の動きといたしましては、ことし6月の通常国会において、日本維新の会から、カジノを含む統合型リゾートに関する法案が提出され、現在、閉会中審査となっております。このほか、報道によりますと、超党派の国会議員で構成される議員連盟からも法案提出が予想されるなど、統合型リゾートの実現に向けた動きが活発化しているところであります。また、ことし6月に国において取りまとめられました「観光立国実現に向けたアクション・プログラム」において、法律制定の前提となる必要な制度上の措置の検討を関係府省庁において進めることとされております。しかしながら、どういった規模で整備するのか、またスケジュールはどうなるのかなど、統合型リゾートの実現に向けた具体的な内容については明らかになっていないところでありますので、引き続き情報収集に努めてまいりたいと考えております。 ◆(渡辺創議員) 引き続きお伺いをしますが、国の法案検討の流れを受けて、県内でも経済団体による研究会など動きがあるようですが、県としてはどのように状況を把握し、またどう対処されているでしょうか。これまでのことも含めまして、お話がありましたらお願いします。 ◎商工観光労働部長(茂雄二君) 統合型リゾートの実現に向けた国の動きが活発化する中で、県内におきましては、経済団体等が本県経済の浮揚のため、統合型リゾートに関する研究会の立ち上げに向けての準備会合を7月に開催されたところであります。県としましては、この会合にオブザーバーとして出席し、国の動きなどについて説明を行ったところであり、今後、研究会の立ち上げに向け、必要な協力を行ってまいりたいと考えております。 なお、本県も参加しております「地方自治体カジノ協議会」を通じ、各県の取り組み状況などについて情報交換等を行っているところであります。また、先月の香港・シンガポール出張の際に、シンガポールの統合型リゾート施設「リゾート・ワールド・セントーサ」の視察を行い、海外事例の把握に努めたところであります。 ◆(渡辺創議員) ありがとうございました。 もし仮に宮崎県で統合型リゾートを検討するということになれば、当然ながらシーガイア等も視野に入ってくるだろうというふうに思います。仮に本県でのカジノを含むIRが実現した場合、どのようなメリット、そしてデメリットが想定されるのか、県としての認識を商工観光労働部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(茂雄二君) 現状では、利用者の範囲や規模等について想定できないことから、具体的なメリット、デメリットを論じることは困難でありますが、一般論としてのメリットは、施設における雇用の確保や集客力による地域経済への波及効果などが想定されるところであります。一方で、デメリットといたしましては、治安や依存症の問題、青少年に対する影響などが言われております。なお、これらの課題につきましては、先ほど答弁いたしましたアクション・プログラムにおきまして、犯罪防止や依存症の防止、青少年の健全育成等の観点から、問題を生じさせないために必要な制度上の措置の検討を、関係府省庁において進めることとされております。 ◆(渡辺創議員) 最後に、知事にお伺いをしたいと思いますけれども、知事はシンガポールで、国を挙げたIRでもあるリゾート・ワールド・セントーサの御視察もされたということのようです。もし仮に、国会での法案の審議が進んで、成立するか否かわかりませんけれども、進展があった場合に、もしそれを宮崎県で取り組もうということになれば、県民の議論を二分するといいますか、大きく分けることも含めていろいろなことが今後想定をされるわけですが、現時点で統合型リゾートについて知事がどのような御認識をお持ちか、お伺いをしたいと思います。 ◎知事(河野俊嗣君) 御指摘のとおり、シンガポールに出張しましたときに、南のセントーサ島というところに整備をされたリゾート・ワールド・セントーサを視察したところであります。そこはユニバーサルスタジオでありますとかウオーターパークといったようなテーマパークを初め、世界最大級の海洋水族館、コンベンション施設、カジノ、リゾートホテル、さまざまなエンターテインメント施設が整備をされておりまして、すばらしい場所だな、家族でも楽しめる環境だなということを感じたところであります。運営会社の説明によりますと、5,000億を超える事業費がつぎ込まれ、海外からの利用客は6割を占めた、それから、GDP(国民総生産)の押し上げ効果が1.5%から2%ということでありました。大変な経済効果があるわけであります。 統合型リゾートは、地域の魅力アップや知名度向上につながりますことから、観光客の増加が期待されますとともに、投資や雇用、税収など地域経済に大きな効果をもたらすものと考えております。2年前に香港に出張しました折も、宿泊したホテルが3,000室規模の大変大きなもので、その中にカジノがございました。その状況も拝見をしたところでありますが、昼夜を分かたずいろんな方が楽しんでおられる。大きなお金がそこに流れ、大きな経済効果が及んでいるということを目の当たりにしたところであります。こういった海外の状況を見るにつけ、カジノというものの経済効果には大変関心を持って今見詰めておるところでございます。 一方で、カジノに関する課題については、先ほど部長も答弁したとおりでありますが、今回、依存症などが心配されているわけであります。シンガポールで説明を受けましたときに、自国民が入る場合には入場料の支払いを求める、100シンガポールドル、約8,000円を支払うというようなハードルが設けられているとか、依存症と認められた場合には入場できなくなる仕組みがつくられているということでございます。今後、国におきましても、いろんな法案審議なり準備がなされると考えておりますが、そのときにも、そういう懸念に対するどのような対策が講じられるかというのは大変重要なことであろうと考えておりますので、先ほど言いましたようないろんな協議会等を通じて引き続き情報収集するとともに、本県としても関心を持って動向を注視してまいりたいと考えております。 ◆(渡辺創議員) まだ国での法案の審議がどうなるかというのもありますし、仮に成立した場合にも、でき上がる法案がどういうことになるかというのもあります。そういう意味では、これから宮崎県内においても、またこの県議会においても、さまざまな議論も交わされるテーマかというふうに思いますので、また引き続き意見交換等していきたいと思っております。 それでは最後に、代表質問で長かったのでお忘れの方もあるかもしれませんが、冒頭でお話をした小説「県庁おもてなし課」、この本は今、幾つもの自治体で観光施策に関する研修のテキストになっているそうです。まさに視点の切りかえと組織内の壁を乗り越えていく工夫と知恵、そして熱意、そのようなものの重要性を感じる小説でしたので、そういう面も影響しているのかなというふうに思うところです。その小説の中で、県議会議員はワンシーンだけ登場したんですが、県幹部の意向を酌んで担当課の取り組みを邪魔するという存在でだけ、この小説には登場しました。社会の認識はそんなものかなと、ちょっと悲しくもなりましたが、私は、執行部の皆さんとしっかりと議論を交わし、ぶつかり合うところはぶつかり合いながら、新しい宮崎を模索できる議会であり、そして私自身もそんな議員でありたいというふうに思っています。宮崎県、ないものを挙げたら切りがない状況かもしれませんけれども、「じゃけんど、光はあるんだ」という姿勢で、これからも宮崎の未来の光を見詰めて取り組んでまいりたいと思いますので、この決意を述べまして、全ての質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手) ○議長(福田作弥) 以上で午前の質問は終わります。 午後は1時再開、休憩いたします。   午前11時26分休憩────────────────────    午後1時0分開議 ○議長(福田作弥) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次は、愛みやざき、西村賢議員。 ◆(西村賢議員) 〔登壇〕(拍手) 愛みやざきを代表しまして質問を行います。これまで多くの質問が出ましたので、重複した部分は割愛いたしまして質問を行います。 まず、知事の政治姿勢についての質問の前に、知事は、去る9月3日に報酬等審議会を速やかに開いていただきました。私が2月議会、6月議会と、特別職の退職金につきまして質問をさせていただいた中で、民意の中に公務員給与もしくは退職金について引き下げの議論がある中で、知事もそのように考えを酌んでいただいたものと思っております。また、これはただ退職金を下げればよいという話ではなくて、県全体でどうあるべきか議論が進んでくれることを望みます。 さて、みやざき東アジア経済交流戦略について質問をいたします。 8月後半に、知事を初め職員の方々、県の経済会、また、農協を初め農業関係者、そして、この議会からも多くの方が参加をされまして、宮崎県香港事務所の開設レセプションほか、視察に参加をいたしました。改めて、東アジア経済の中心地である香港の魅力やその熱気を感じたところであります。知事も同じように感じたところであると思います。 本県の東アジア戦略の中心となる「みやざき東アジア経済交流戦略事業」は、メーンとなるものに、県産品の輸出、そして観光客誘致、いわゆるインバウンド対策がありますが、それを今後どう進めていくのか、知事の思いを伺います。 以降は、質問者席より質問を続けます。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(河野俊嗣君) 〔登壇〕 お答えいたします。 「みやざき東アジア経済交流戦略」の今後の進め方についてであります。国内市場が今後縮小する中で、拡大する東アジア市場の活力を取り込んでいくことは、本県の経済・産業の活性化にとりまして大変重要であると認識しておるところであります。東アジアからのインバウンド対策につきましては、国際定期便のある韓国、台湾からの誘客を中心に、この定期便の維持にも今後しっかり力を注いでまいりたいと考えております。また、香港からのチャーター便の誘致やクルーズ船の寄港誘致などに取り組むとともに、観光需要の増大が見込まれるシンガポールなどにつきましては、国、九州観光推進機構等と連携を図りながら、誘客に取り組んでまいりたいと考えております。 今回、香港、シンガポールでいろいろお話を伺うにつれ、雄大な自然に対する憧れ、好みというのが大変強いというふうに伺ったところでございます。本県のそういった面もしっかりPRをしてまいりたいと考えております。 次に、県産品の輸出拡大でありますが、現地におきます認知度の向上を図ることが重要であるというふうに考えております。先般、香港、シンガポールで行いましたように、私が先頭に立って、効果的なプロモーション活動を継続的に実施していくことも必要であるというふうに考えておりますし、こうしたプロモーション活動で築きました人的なネットワークを活用しながら、まさにマーケットインの視点に立って、何が現地で求められているのかということを力点に置いて、県内企業への情報や取引機会の提供、マッチング等を行ってまいりたいというふうに考えております。 今後は、海外事務所等を拠点にしながら、効率的・効果的な観光客の誘致と県産品の輸出拡大、これはもちろん、宮崎としての発信また知名度の向上、そしてパイプの拡大、取引の拡大に努めてまいりたいというふうに考えておりますが、九州各県との連携など、そういった面でも大変重要なことだというふうに考えておるところであります。以上であります。〔降壇〕 ◆(西村賢議員) 知事の思いというものはわかりました。我々も現地の香港の貿易発展局のセミナーで聞いた際に、香港に輸入されるものの7割は東アジアのいろんな国へ再輸出されるという話も聞きました。当然、香港には後ろに中国という大きな消費地も控えておりますし、非常に魅力あるものとは感じたんですけど、それとは逆に、やはりリスクというものも非常に感じた次第でありました。 その中で関連して質問いたしますが、その拠点となる香港事務所の開設を行われたわけですが、既に上海のほうにあります宮崎県上海事務所においての役割というのが今後どう使われるのかによって、拠点としては利用するに非常にいいものだと思いますが、今後担うべき役割はどうか、部長にお伺いします。 ◎商工観光労働部長(茂雄二君) まず、上海事務所についてですが、現在の中国市場は、ほとんどの農畜産物が輸出できないことや政治的な影響もあり、県産品の輸出拡大や観光客の誘致が厳しい状況にあります。しかしながら、継続した経済成長や富裕層の増加もあって、大変有望な市場であることに変わりはないものでありますことから、加工食品や焼酎に的を絞るなどの戦略的な販路開拓や、九州各県と連携した観光PR等に努めてまいりたいと考えております。 次に、今回設置をいたしました香港事務所についてですが、まずは、本県産農水産物等の輸出拡大を目指して、事務所内に併設したフロンティアオフィスを活用する民間企業の営業活動を積極的に支援していくとともに、現地の情報やニーズを的確に捉え、タイムリーに県内企業にフィードバックすることにより、県内企業の商品づくりの支援を行い、また、バイヤー等との取引機会の提供やマッチング等を行ってまいりたいと考えております。さらには、今後、チャーター便の誘致など、観光誘客にも積極的に対応してまいりたいと考えております。今後、海外事務所におきましては、専門性の高い外部人材等との人的ネットワークを構築し、連携を図りながら、県産品の輸出拡大と観光客の誘致に努めてまいりたいと存じます。 ◆(西村賢議員) 香港のほうには、既に農協経済連が事務所を出しておりまして、互いに協力して拡大に向けていくということはわかるんですけど、経済連の補完機能のためだけにならないように、ぜひ自立性というか独立性も保ちながら、互いに協力してやっていただきたいと思っております。 続きまして、IR開発について質問しようと思いましたけれども、先ほどの渡辺議員の質問で非常によくわかりましたので、割愛をさせていただきます。 続きまして、知事に、TPP交渉参加に伴う営農意欲低下の対応についてお伺いをいたします。現在、TPP交渉参加に伴いまして、今回もいろんな質問の中で、執行部からも今、交渉の内容については国のほうも明らかにしていないのでわからないという答えをいただいております。宮崎県としましては、口蹄疫での被害、それからの復興の中において、さらに農家に追い打ちをかけないようにしなければならないと思いますが、県内の農家を対象としました宮崎県農業実態調査結果中間取りまとめにおきましては、TPPへの不安から、本県の農家・法人の約2割が営農の縮小や断念を意識しており、営農を続けていくためにさまざまな取り組みが必要だと考える農家も約4割との結果が出ております。今、政府は、交渉の過程で、主要5品目を守るということを言っておりますが、たとえこの5品目だけが守られたとしても、ほかへの影響ははかり知れないものがあると思います。漠然とした不安が農家にはありますが、その一方で、先ほどから話が出るように、香港の訪問団の中には非常に意欲の高い法人の方々もいらっしゃいました。その方々が熱心に、香港への進出には何が必要なのかということを聞き取っている様子もかいま見ました。そのような中で、農家も、もちろん規模、品目によって意欲も異なりますし、また、後継者がいるいないによっても変わると思いますが、長い間この県内農業を支えてきた農家がその漠然とした不安によって営農を断念していくということは、非常に宮崎県にとっても損失だと考えます。知事はどのような対策を講じていくべきなのか、お伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 御指摘ありましたように、TPP協定交渉の参加表明を受けまして、県内農家の約4割が、さまざまな取り組みにより営農を続けていこうとする回答をする一方で、縮小・断念を意識する農家が2割近くに達しているということであります。このような営農意欲の低下の一因としましては、TPP協定の内容や今後の交渉の先行きが不透明であるということ、まさに御指摘のとおり、不安というものがあらわれていると考えております。国に対しましては、引き続き、十分な情報提供を要請してまいりたいというふうに考えております。 その上で、営農継続のいかんにかかわらず、県内農家の多くが、TPP協定交渉を契機としまして、将来の営農活動を変えなければならないというふうに感じておるところでありまして、本県農業が抱えるこのような不安感を払拭していくことが重要であろうと考えております。 このため、担い手対策を初めとします従来の取り組みをさらに充実させつつ、フードビジネスに代表されるような新たなチャレンジにも積極的に支援してまいりたいというふうに考えております。また、アジア市場の開拓という面でも、日本の食品が高品質で安心・安全なものということで大変高い評価を得ている、そこにチャンスがあるんだというような、前向きに捉えるということも大変重要であろうかと考えておるところでございまして、今後の営農に対する意欲が少しでも向上するよう、さまざまな施策というものを的確に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(西村賢議員) これはまだ交渉が今後続いていくことでありますので、いろんな意味で宮崎県も情報収集が大変だと思います。また、農家の方はもっと大変な気持ちを持っていると思います。議会のほうも一緒になって宮崎県の農業を支えていくように努力していきたいと思いますので、今後とも関係各部も含めて、このTPPに対して宮崎県は闘っていくと、宮崎県の農業を守っていくという強い姿勢を、ぜひ知事も発揮していただきたいと思っております。 次に、防災対策について伺います。 防災対策、まさに危機管理ではありますが、地震や台風、そのような自然災害に対して、もしくは人災に対してもどう対応していくかということは非常に重要なことであります。先週ぐらいから有名になりました、私の地元日向市は、猿1匹、2匹のことで日向市内が大変なことになりまして、市役所も機能しない、また議会も開けない、一般質問は中止になるとか、そのような大きなことに発展いたしました。それもひとえに、住民の不安というものが非常に大きいからだったと思いますけれども、危機というものはいろんな種類があるなというのを改めて感じたところでありました。 さて、まず、原発再開の動きについて伺います。先日、鳥飼議員の質問でもありましたが、東京オリンピック招致は成功いたしました。その中でも、福島原発の汚染水問題は、逆に国際的に大きな問題であるということを私たち日本人も知らしめられたところであります。原発事故から2年半が過ぎておりますが、その中で、本県は7月に九州電力との覚書を締結いたしました。何か事故や故障などが起こった際に速やかに情報を共有するための情報連絡体制の確認をしたというような覚書の内容であったかと思いますが、これまでそのようなことさえも曖昧であったのかと、逆に不安を覚えた次第です。 この覚書の締結を見てみますと、九州電力のほうもなるべく早く原発の再稼働をしたい、それは当然かもしれません。その中で、まずは宮崎県、行政にお願いをして、行く行くは県民にも理解をしてもらいたいという気持ちのあらわれかなと思うんですが、知事は再稼働に向けて容認の立場であるのかをお伺いいたします。 ◎知事(河野俊嗣君) 覚書についての御質問が今ございました。この7月に九州電力と締結をしました「川内原子力発電所に係る防災情報等の連絡に関する覚書」につきましては、その再稼働の有無にかかわらず、現在のような休止の状況であっても、運転停止中の事象も含めたあらゆる状況を想定しまして、防災情報の連絡体制を整備するものということでございます。あくまで県民の安全を確保する危機管理や防災上の観点から締結を行ったものでございます。 容認するのかしないのかという御質問がございました。川内原子力発電所につきましては、7月8日に、九州電力が原子力発電所に係る新規制基準への適合性審査の申請を行い、現在、国において審査が行われているところであります。こうした再稼働につきましては、原子力規制委員会の科学的・技術的な知見に基づく安全性の確保を大前提とした上で、国において総合的な観点から判断をされるべきものだというふうに考えておるところでございます。こうした再稼働、安全性がどのように確保されるのかというのを、県といたしましては、しっかりとした情報提供を求めてまいりたい、そのように考えております。 ◆(西村賢議員) その覚書というものは、これは知事に聞いてもわからないかもしれませんけど、川内原発ができて稼働するときに既に結んでおかなければならない内容ではないかなと、私は個人的に思いました、その内容を見たときに。それは今さら言ってもしようがない話ですから、そういった不備があったものをしっかりとお互いに共有するための覚書であったと思います。今後どうなるかはわかりませんので、国の動きを注視していかなければなりませんし、知事の思い、もしくは九電の早く再稼働したい思いということもわかりました。ただ、福島の現状を見ると、とても県民、国民に賛同いただけるような状況にないということは、私も思っております。 次に移ります。空き家対策についての質問をいたします。県内を見渡しますと、中山間地域における空き家の問題、また、都市部でも、核家族化の影響もあるでしょうが、昭和の時代に造成された住宅地でも空き家が目立つようになりました。このような空き家の問題は、宮崎県のみならず全国的に問題となっており、地震での倒壊、火災、防災の観点からも放置されていることは望ましくありません。また、防犯上も非常に不安が残ります。他県においても、全国的に210以上もの自治体が空き家対策の条例整備を行っているとのことですが、県内にはどの程度の空き家があり、どのような対策が現在講じられているのかを県土整備部長にお伺いいたします。 ◎県土整備部長(大田原宣治君) 本県の空き家は、国が5年ごとに実施しております住宅・土地統計調査によりますと、平成20年時点で6万2,900戸でありまして、このうち、長期間賃貸や売却の予定がない住宅は3万2,100戸となっております。空き家対策につきましては、綾町及び諸塚村において、空き家を改修し、賃貸住宅や地域の交流施設として再生利用を行っている事例があり、延岡市及び門川町におきましては、管理が不十分な空き家への立入調査や改善を勧告できる条例を設けております。また、県では、本年6月に市町村との連絡調整会議を開催しまして、空き家対策に関する条例制定などの取り組み事例のほか、実態調査や除却等に対する国の補助制度について説明を行ったところです。現在、国におきまして、空き家対策に関する新たな法律の制定に向けた動きがありますので、今後とも、国の動きを注視しますとともに、市町村に対して、研修会の開催や情報提供などを積極的に行ってまいりたいと考えております。 ◆(西村賢議員) 県内でも既に条例化されている自治体があるとのことでしたけれども、これは通告しておりませんが、宮崎県としては、今、答弁にあったように、国の法制度を見ながらやっていくということでありましたけど、直ちに条例化を考えるというような行動はとられているのでしょうか。 ◎県土整備部長(大田原宣治君) それにつきましては、先ほど申しましたように、市町村に対していろんな情報提供などを行いまして、それも含めつつ、今後県がどうするか検討してまいりたいというふうに考えております。 ◆(西村賢議員) この条例も、一概に一つの条例という意味ではなくて、例えば、空き家を改修して次の人に貸せるようにするような助成制度でありますとか、持ち主にしっかりと管理をしなさいといったような、場合によっては罰則つきのような自治体もございます。これはいろんな観点から検討していかなければなりませんし、どうしても地域性というものも出てくるかと思います。県としても、非常に多くの空き家が存在していることはわかりましたので、なるべく早く対応していかなければ、これは雪だるま式にふえていくこともありますので、ぜひ対応を早目にしていただきたいと思います。 次に、宮崎県メールサービスについて質問をいたします。私も登録しておりますが、宮崎県のメールサービス、防災のお知らせ、また防犯のお知らせというものがあり、リアルタイムに携帯電話のほうにメールが届きます。メールにて災害予測時に多くの情報を流すことができて、避難や警戒には非常に効果があると思いますが、県民の中には、まだ知らない、まだ登録されていないという方の話も聞きます。このメールサービスの利用の状況とその効果、また、今後、このメール登録者をふやしていくための取り組みについて、危機管理統括監に伺います。 ◎危機管理統括監(橋本憲次郎君) 県の防災・防犯メールサービスは、平成17年の台風14号で甚大な被害を生じたということをきっかけに、平成18年から運用を開始しているところでございまして、利用していただいている登録者数は、東日本大震災の発生の前は約1万9,500人であったものが、ことしの9月には約2万5,800人と大きく増加しておりまして、危機意識の高まりなどから、多くの県民の皆様に御利用いただいているところでございます。 防災メールにつきましては、例えば、台風の接近に伴う大雨警報や、竜巻注意情報などを、場所ですとか時間を問わずいち早く伝達する手段でございまして、自然災害などから被害を減らす上で有効に機能しているものと考えております。また、これらの情報は、受け取った本人のみならず、その周囲にいらっしゃる家族の方、また職場の皆様などにも伝達され、二次的な効果も期待できるというふうに考えているところでございます。 県といたしましては、引き続き、広報紙ですとか各地で実施している出前防災講座を活用するなど、メールサービスの周知と利用促進を図ってまいりたいと考えております。ほかのさまざまな情報伝達手段とあわせて、できるだけ多くの県民に災害情報等を伝達し、被害の低減が図られるよう努めてまいりたいと考えております。 ◆(西村賢議員) 2万5,800人ということで、非常に登録者もふえているということでしたけれども、宮崎県の携帯電話加入者数というのを私もちょっと調べたんですが、昨年の3月時点の話ですけど、93.5万台が契約されていて、既に人口普及率は83%と。これは去年の話ですので、1年半たっていますから、もっともっと多いと思います。先ほど、二次的な効果と申されました。誰か一人が知っていれば周囲に広げられるということを考えたら、その中でせめて1割ないし2割ぐらいの県民が持っていただくといいのかなと思います。そうなると目標は、10万人、20万人の方が何とか登録してくれれば広くカバーできるでありましょうし、また、携帯電話を持たない人にも情報が通じていくかと思いますので、これからさらに加入といいますか、メールサービス登録をふやしていただくようにお願いしたいと思います。 関連して警察本部長に、防犯メールについて伺います。この防犯メールは、不審者情報や振り込め詐欺等の被害が発生した際に送られてまいりますが、期待される効果についてどのような効果があるかを伺います。 ◎警察本部長(白川靖浩君) 県警察では、犯罪等に関する情報を県民にリアルタイムでお知らせするため、お尋ねのメールによりまして、子供・女性を対象とする犯罪や高齢者を狙った振り込め詐欺、交通事故に関する情報を発信しておりまして、本年は8月末現在で44件発信しております。なお、この県民への情報発信に当たりましては、できるだけ防犯とか交通事故防止に役立つ情報を詳しくお伝えするよう心がけておりますけれども、案件によっては、被害者とか保護者の意向を踏まえつつ、一定の配慮もさせていただいているところでございます。 この防犯メールの効果でございますけれども、私どもは、被害の拡大防止や交通事故の抑止に極めて有効であると考えておりまして、今後も適時適切に発信してまいる所存でございます。 ◆(西村賢議員) 今、防犯メールの効果というものを伺いました。私も登録をしているんですけれども、先ほど答弁の中にも、保護者の意向とか被害者の意向を踏まえるという話がありましたが、例えば不審者情報なんですが、子供に対する声かけ事案なんかがあった際、「日向市内で声かけ事案が発生」というのを見ると、一体、日向市のどこで起こったんだろうと私は思ってしまいますし、もし、勇敢な方がそれを見たら、この近くにいたら捕まえてやろうとか、立ち番をされている方も、この近くにいたんだったらもっと警戒しなきゃと思うと思うんです。できる限り緻密に細かく情報を流してもらったほうがいいのか。場合によっては既に流しているという説明も受けました。ぜひ、せっかく流している情報ですから、これまで以上に有効に使われるように期待をしたいと思います。よろしくお願いします。 続きまして、県産材の普及につきまして質問をいたします。 これまでも木材・林業関係につきましては多くの質問がなされましたが、杉生産日本一である本県にとりましては、これまで、住宅を初めとした建造物、また杉材を生かしたいろんなものに県産材が活用されてまいりました。しかし、住宅構造の変化や外国産材に押される中で、木材価格の低迷に苦しんでまいったことは事実であります。しかし、このところの日向市における中国木材株式会社の進出、また、バイオマス発電所の建設等により、今後の県内の林業にとって浮揚のタイミングであるということには違いありません。今後、県内需要も高まっていく中ですが、やはり国内消費を全体として考えると、現在の少子化の影響、また、今後の広がるアジア対策というものはしっかりと考えていかなければなりません。県外や海外に向けての出荷の拡大について県はどのように取り組みをなされているか、また、出荷に際して、このところの推移もあわせて教えていただきたいと思います。 ◎環境森林部長(堀野誠君) まず、県産材の県外出荷の推移について申し上げますと、平成23年の出荷量は、5年前に比べまして、製材品が約7万立方メートル増加し、約49万立方メートル、原木は約16万立方メートル増加し、約42万立方メートルとなっております。また、平成24年度の海外出荷量は、県内で輸出に取り組む団体によりますと、5年前に比べ、製材品は約1,600立方メートル減少し、約1,000立方メートル、原木は、台湾を中心に建築用の型枠用材の需要が伸びたことから、約1万立方メートル増加し、約1万1,000立方メートルとなっております。 県としましては、最近の円安により国産材の競争力が高まっておりますので、県外・海外での出荷拡大に向けまして、官民一体となって設立した「チームみやざきスギ」を中心に、知事のトップセールスやフェアへの出展、さらには海外企業等を招いての県内製材工場見学会の開催などに、積極的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(西村賢議員) 県外向けもしくは海外向けの出荷が非常に伸びているという状況がありました。担当課の方に聞きましたら、県内の資源は、木材資源、林業資源はまだまだ余裕があると聞きました。さらなる拡大に向けて、宮崎県も攻めていただきたいと思いますし、以前から要望しておりました細島港の薫蒸施設でありますとか、そういう補助的なものをぜひ早期に整備していただいて、なるべく今のうちに市場開拓が進むようにお願いをしたいと思います。 続きまして、本県の木材加工技術において、日向市駅や木の花ドーム、西米良村のかりこぼうず大橋など、すばらしい木造建造物があります。その中で、本県の木材利用技術センターの飯村所長がテレビ番組「夢の扉+」でも取り上げられ、全国的に一躍有名となりました。県議会の林業活性化議員連盟でも所長に講演をいただいたところでもありますが、このようなすばらしい技術や研究成果を、もっと積極的に民間に移転していくことができないのか、今後の取り組みについてもお伺いをいたします。 ◎環境森林部長(堀野誠君) 木材利用技術センターは、平成13年の開所以来、杉材を中心とする県産材の高度な活用技術の研究開発に取り組み、平成24年度までに49件の蓄積した技術や研究成果を民間へ移転してきたところであります。主なものとしましては、日向市駅舎のデザインに合わせた特殊なスギ湾曲集成材の開発や、杉とヒノキによる異樹種集成材の実用化、杉などのやわらかい木材に有効なテーパーねじの開発などがあります。今後とも、企業との意見交換会や研究成果報告会等を通じまして企業のニーズを的確に把握するとともに、民間施設の木造化等を支援するため、ことし4月に設置しました「木構造相談室」において、建築・建設業者等からの技術的な相談に対応するなど、研究成果等のより一層の民間への移転を進め、県産材の需要拡大につなげてまいりたいと考えております。 ◆(西村賢議員) すばらしい技術が本県にあるなと、この技術がぜひ広く民間企業に使われたり、また、これが企業にとっても収益が上がるようなメリットになっていただきたいと思っております。 このほかにも、実は林業後継者についても質問を考えておりましたけれども、今の現状では、非常に補助制度等も充実しておりまして、林業従事者もふえているということでありました。ただ、この補助金がなくなったら従事者が減るというふうなことにならないように、永続的に林業で採算がとれて、また、安定して生涯にわたって仕事につけるというように、さらなる努力が必要だと思います。環境森林部を初め、支援をぜひお願いしたいと思います。 それでは、次に移ります。宮崎県中小企業等支援ファンドについて質問をいたします。 平成15年6月、当時の松形知事最後の議会におきまして、本県が出資してファンド事業を立ち上げる「宮崎県中小企業等支援ファンド」が議会の承認を経てスタートし、同年9月にファンド設立、公募に名乗りを上げた6社に対し、支援が行われました。私たち愛みやざきのメンバーはまだ10年未満ですので、このとき、議場には誰もおりませんでしたが、そのファンドの事業期間が10年であったことから、この9月に満期を迎え、この事業の清算に入っていくものと思います。ただ、今の時点では、清算前でありますので、損失があるか、また利益があるか、確定はなされていないので、推測も含めての質問になりますが、そこは御容赦いただきたいと思います。 平成15年当時は、バブル崩壊後であり、不良債権等の処理に金融機関の体力も弱まり、金融庁を初めとする政府の指導も加わり、金融機関の貸し渋り、貸しはがしというものが大きな社会問題となっておりました。そこの中で、行政が公金を使い、民間企業を支援するということに関しては、当時の議会でも慎重な議論が繰り広げられたようであります。この当時の議会、委員会の議事録を何度となく読み返させていただきました。当時の議事録からは、このファンドに公金を投入し、一部の企業のみを助けること、支援することへの公平性の懸念など、多くの今なおいらっしゃる議員の方々も意見を述べられておりました。このファンド事業の取り組み、成果につきまして県はどのような所感をお持ちか、商工観光労働部長に伺います。 ◎商工観光労働部長(茂雄二君) まず、ファンドの取り組みについてでありますが、これは、一時的に経営に支障を生じた県内の中核的企業に対し、再生計画に基づいてファンドから投資を行うことにより、企業の財務体質の強化や事業再生を促進するものであります。ファンドが設立されました平成15年当時は、長引く景気の低迷や不良債権処理の加速化等により、金融機関による円滑な資金供給が困難な状況にあったことから、県が積極的に事業再生を支援する仕組みを設け、ファンドにおいて投資及び投資後の継続的な経営支援が行われたところであります。なお、ファンドへの出資は、県産業振興機構が金融機関と共同で行い、ファンドの清算後に損失が確定した場合には、県は機構に対し損失補償を行うこととしております。 次に、ファンドの成果でありますが、投資先の6社につきましては、いずれの企業も事業が継続されており、本県経済の安定と雇用の確保に大きな成果があったものと考えております。 ◆(西村賢議員) 今の答弁ですと、大成功というような答弁に感じました。確かに、今もこの6社に関しましては、経営を続けられておりますし、社員の雇用が守られるなど、大変喜ばしい部分があったと思います。しかし、一部の特定の企業に対して公金を投入し、その損失があったとしても、それは大きな成果だと言えるのか。まだ確定はしていないので何とも言えませんが、実際は既に6社のうちの2社は損失が確定をしております。事実、会社は存続しても損失補償金は回収できないわけですから、それでも大きな成果だと言わざるを得ないのか。これは後でまとめて伺います。 当時の行政がファンド事業等、いわゆる公金を使って企業支援を行ったところは、本県だけではありませんでした。全国的に見たら、もっと大きな事業規模で行ったところもありました。大阪府は、「元気出せ大阪ファンド」を設立し、600社の支援を目標に、当時の知事が立ち上げました。1社当たりの上限は2億円、期限は5年でありました。既にこちらは23年度で事業が終わっておりますので、参考にするために大阪を訪問して、当時の担当者から話を伺うことができました。この「元気出せ大阪ファンド」では、再生支援委員会が、1,341件の相談の中から170社の支援希望の企業に対して、ファンド事業以外での再生を促したり、再生計画のアドバイスや相談を行ったりしたということでした。実際にほかの制度を利用したり、別途に資金確保が進んだことで、最終的にファンドからの支援を受けた企業は170社中35社にとどまったとのことでした。確かに企業にとっては、新規融資といえども借金になりますし、既にこの時点では手おくれだった企業もあったかと思います。 そこで、最も気をつけたことは何ですかと伺ったところ、相談に来た企業名を一切誰にも漏らさないようにすることが大変であったというふうに聞きました。当然、これは風評被害を恐れてのことでした。本県のファンド事業は、支援企業を明らかにすることにより、いわゆる公平性を明らかにすることにより、逆に言えば企業再建の支障になったり、また、申し込みたくても風評被害のほうが怖いと、風評被害を恐れて申し込めなかった企業もあったのではないかと思いますが、この事業の手法につきまして部長はどう考えているのか、伺います。 ◎商工観光労働部長(茂雄二君) 支援対象企業名につきましては、このファンドが公的な性格を有しており、公平・公正・透明性の確保を図り、県民への説明責任を果たす観点から、これを公表することとしたものであります。企業名を公表することが公募や事業再生に与える影響の有無については、確認できないところでありますが、経営に支障を生じた企業を対象とする再生ファンドであることから、風評被害等も考慮しまして、申請の段階では公表せず、投資決定後に発表するなど、公表の時期や内容について、当時、できる限りの配慮を行ったところであります。 ◆(西村賢議員) 確かに県民に対する説明責任をやる上では、公正・公平というものは非常に重要だったと思います。どういう企業が入っているか、当時の議事録を見ても、実名を出して悪いんですが、公明党の新見議員なんかは、どういう企業が受けるのか、既に意中の企業があってそのためにファンドを創設するんじゃないのかといったようなやりとりもありました。そのほかの議員からも、余りにも一部の方を守るんじゃないかという疑いが議会のほうからもあった。それに対して県は、公平性を担保するためにオープンにするということがありましたが、逆に、先ほど申し上げたように、オープンにするがために、取引先からは、次からは現金じゃないと取引しないとか、そういうことを恐れたんじゃないかと思っております。これは、10年たった今だから、ああだこうだと言えることかもしれませんけれども、結果的に半端に終わったのではないかなと私は思っております。企業再建をするのが目標だったにもかかわらず、県がやるからにはどうしても公平性を出さなきゃいけないというジレンマはわかるんですが、ここが私は非常にひっかかるところでありました。 続けますが、この事業は、投資から回収まで10年という長い期間でありました。この10年で景気がよくなったのか。確かに、この数カ月とか数日は非常に景気がよくなったイメージがありますが、この10年の間にも、リーマンショック、東日本大震災、本県においては口蹄疫や鳥インフルエンザ、いろんなことがありました。期間が長くなればなるほどリスクが大きいことは承知のことだと思いますが、このファンド設立時には、とりあえず先に、とりあえず先にといったような思いがなかったわけではないような気もいたします。甚だ疑問がたくさんありました。 実際に、今年度はこのファンド事業の損失を埋めるために、損失を補うための補填金も、平成25年度、ことしの当初予算で、管理費の7,000万円を含めて13億9,700万円が既に予算化されております。焦げついた際、これが充てられるということだと思いますが、ファンド設立時には、どのような損失があるか、もしくは利益があるかはわかりません。このときに、損失が出た場合の責任の所在が過去のを見てもわかりません。先ほど申し上げたように、これは当時の知事が最後の最後の議会でやったことであります。行政はどうしてもそれを継続しなければいけませんから、誰かが責任をとっていかなければならないと私は考えますが、もちろんこの原資となったのは公金、税金であります。その時代にやらなければならなかったことを次に、もしくは後にツケを残さないような仕組みが必要であったと思いますが、知事はこのような事業方法に対してどう思いますか。 ◎知事(河野俊嗣君) この中小企業等支援ファンド、今、経緯の説明を部長がしましたが、当時、大変厳しい経済情勢の中で、県の中核的な企業、さまざまな面で経済・雇用面での重要な役割を果たす企業の事業再生を促進するためにということで仕組まれたものというふうに考えておるところでございます。今、いろいろ御指摘もございましたが、何とか厳しい状況の中で、これらの企業が事業を継続し、雇用も確保されたというところで、それについては一定の大きな役割を果たすことができたのではないかというふうに考えております。 当時、債務負担行為というものが設定されたわけでございますが、これは将来の債務の負担というものを含めて、予算の内容をしっかりその段階で確認し、議会においても慎重な審議をいただくために設定するものでございまして、決してツケを先に回すといったようなものではない、非常に慎重な議論がなされた上での判断であった、そういうふうに考えておるところでございます。 ◆(西村賢議員) 先ほど部長は、大きな成果と言いましたけど、今、知事は、一定の役割というふうに感じて、ただただ手放しでは喜べないというあらわれかなと思ったんですけれども、私は、債務負担行為という、手続上、違法性があるとかそう言っているわけではありません。確かに合法で、そのときにおける手段を選ばれたのだと思いますが、支援先というものは民間企業でありますから、そのときの時代によって浮き沈みは当然あります。破綻であったり倒産であったりということも考えられます。また、当時の執行部と今いらっしゃる執行部の方々は、ほぼ皆さん入れかわっておりますから、そのときの状況というものを覚えていることはあっても、実際はタッチしていない方も多いと思いますので、今がこうだと責めているわけではありませんけれども、過去にそういうことがあって、実際損失を出して、既に6社中2社の損失は固まっておりまして、その2社だけでも実際4億7,600万の損失は既に出ております。これは公金で埋めております。 こういう中で、普通の企業であったり普通の金融機関だったら、それこそ今はやりのドラマじゃないですけど、片道切符の島流しですよ。誰かその責任者がもしこういう損失を犯したならば。ただ、公金であるがゆえに、逆に、大切に扱わなければならないお金なのに誰も責任をとらない、誰も責任をとらなくていい。まさにこれは行政は常に悪くないという、先日も行政の無謬性ですか、そういう質問がありましたけれども、まさにそれじゃないかなと私は思ってしまいます。当時の議事録を見ると、ファンドを立ち上げる6月議会のやりとり、執行部側の部長答弁しかり、委員会での質疑も、回収をします、回収することが前提です、もちろんリスクはありますと言っておりますが、現にこのリスクに対して責任の所在がわかりません。知事、当時の議事録を読まれましたか。 ◎知事(河野俊嗣君) 私はその議事録は読んでおりません。 ◆(西村賢議員) 部長は読まれましたか。 ◎商工観光労働部長(茂雄二君) 私も読んでおりません。 ◆(西村賢議員) いきなり予算が組まれて、その6月議会の中での委員会、本会議等の非常にバタバタとした中のやりとりであったということがわかります。確かにその中身の議論としては、議員のほうからも、大丈夫か、公平性に問題はないのか、もしくは、融資要件である5,000万以上での資本金が必要とか、100人以上の雇用が必要とか、そういうのはどうだとか、非常に議論がありました。ただ、企業がどの会社ということが当時はわかっていませんでしたので、ファンドを立ち上げるかどうかという中で、当時の執行部側としても、つぶさないために指導します、ちゃんと回収をします、そういうことを言われたわけですが、あくまで推測ですが、現時点では非常に厳しいんじゃないかなと思います。責任の所在ということを先ほどから申し上げますが、こういった場合、どういった責任のとり方があるのか、知事、どうお考えになりますか。 ◎知事(河野俊嗣君) 行政には継続性というものがございます。その時々のベストの判断をしながら、引き続き次の次へ渡していくわけでございまして、その時々で将来のことも見据えながら最善の選択をしていくというものが行政であろうかというふうに考えておるところでございます。今回のこのファンドにつきましては、当時、大変厳しい状況の中で、手をこまねいていれば、場合によっては大きな破綻が起きる可能性があるといったようなものを、県内経済全体へ及ぼす影響というものを考慮しながら、ぎりぎりの選択がなされたものだというふうに考えておるところでございます。その後も、懸命に投資期間内に事業再生を図り、企業の価値を高めていく努力というものが関係者によりなされてきたところでございます。その後のいろんな事情により結果的に損失というのも発生する、そういう面のリスクは考えるところでございますが、大きな過失、重大な過失なりというものがない限り、それぞれのベストで行政として取り組んできたものということで、現在、我々としては受けとめておるところでございます。 ◆(西村賢議員) 当時、民主党の井上議員からも、本来、民間企業がやるべきことを、金融機関がとるべきリスクをなぜ県がするんだというような質問もあったかと思います。そういう中で、急いで何とか議会をクリアして、当然、議会も議決をしたわけですから、立ち上げたときには同じ責任があったと思います。ただ、その後に実際9月に運用が始まってからは、まさに県から手が離れてしまうわけです。そのことをやはり議会側も心配をして、大丈夫か、どうなんだと言ってきたけれども、結果的にはうまくいったんです。確かに雇用であったり、人を守るという一面では非常にあったけれども、そのために公金という損失をもしこれ以上出していったのであれば、何らかの責任をとるか、もしくはしっかりとこのようなことが将来ないような手続を考えていかなければならないと私は思います。そもそもそれを行政がやるということに対しても非常な議論があったということは承知しております。 その中で、最後に、これは紹介していいかどうかわかりませんけれども、蓬原議員が当時の本会議で、「10年先、私いるかどうかわかりませんけれども、そのときの会計処理がちゃんと行われるかどうか、特に1回生の皆さん、ちょうどベテランになっているころですから、そういう処理が行われるそうでありますので、覚えておいていただきたいと思います」というふうに言っております。今も健在でしっかりと監視をしていただいております。その質問の結びに、「ついつい判断が甘かったり、どうせ損失が出ても、また一般会計から補填があるという考えがそこに基本があるとすると、やはり大きな間違いが出ると思いますので、そのところはしっかり考えて運営していただきますようにお願いを申し上げます」とあります。最後にこう締めてあるわけですけど、これが本当に10年たった今、できたのかということは、清算が全て終わってみないとわかりませんが、今のままでは非常に厳しいのかなという思いがあります。先ほど大阪の例も出しましたけれども、大阪は6億ぐらいの損失補償で終わっております。それを考えると、我が県の対応というのはちょっとぬるかったのかなと思わないこともありません。こればかりすると質問ができませんので、このあたりでやめたいと思いますけど、この清算が終わった後にまたどなたかが質問していただくと思います。 次に、雇用の維持ということが大事だということはわかりました。これからの時代に合った成長産業を本県も支援して、また、これを将来の雇用につなげていかなくてはならないと思いますが、志は高いけれども、金融機関からの支援はなかなか受けることができない新規企業の方々に、県はどのような支援を行っていくのか、また、その支援によって成功事例につながっているものがあるのかを伺います。 ◎商工観光労働部長(茂雄二君) ベンチャー企業の育成、新規創業の促進は、本県経済の成長・活性化を図り、新たな雇用を生み出す重要な施策であると認識しております。このため、これまで、経営計画策定などの相談対応を初め、専門家派遣、低料金の貸しオフィスの提供、展示会への出展支援、設備資金・運転資金への低利融資など、さまざまな支援を行ってきたところであります。 これらの取り組みによりまして、中小企業にとってハードルの高い航空機産業分野に参入し、旅客機関連部品の受注を伸ばしている精密機械関連企業、熱を遮り、温度の上昇を抑える塗料を大手メーカーと共同で開発し、畜産施設や生コン車向けに販路を拡大している建築関連企業などが出てきているところであります。さらに、今年度からは、宮崎商工会議所に「みやざきスタートアップセンター」を設置しまして、経営理念、事業戦略等を学ぶセミナーやビジネスプランコンテストの開催、全国の商工会議所のネットワーク等を活用した販路開拓など、人材育成から販路開拓まで一貫した支援に力を入れているところであります。今後とも、県産業振興機構などの支援機関等と連携をしながら、各種の施策を積極的に推進してまいりたいと考えております。 ◆(西村賢議員) ぜひ、ベンチャー支援をお願いしたいと思っております。 次に、公共事業のあり方について質問をいたします。 まず、本県の道路整備についてでありますが、先日、群馬県を訪問し、群馬県が取り組んでいる「はばたけ群馬・県土整備プラン」について説明を受けました。どの県にも10年計画というインフラ計画というものは存在すると思いますが、この群馬県のプランは、道路整備においては開通年度を明示し、積極的に民間投資を呼び込もうというものでありました。平成25年4月の時点で既に平成33年度までの工期目標が明示されております。さらに、そのことによる宿泊者数や企業誘致件数、幹線道路の混雑延長の短縮目標までを示しております。実際に群馬県は、これまでも道路建設の計画を発表するときに、工期目標をはっきりとさせることによりまして、平成24年度、昨年度の製造業の企業誘致件数が全国第3位、59件、立地面積が第1位、113.9ヘクタールであったと伺いました。ちなみに、県外からの企業立地も26件で全国第2位とのことでした。 このような取り組みは非常に参考になりますし、渋滞緩和が今後何年でおさまるだろう、もしくは、ここは非常にアクセスがよくなるということがわかると思いますが、進出したい企業にとっても、進出時期でありますとか、有益な情報につながると思います。今、企業誘致は、全国どの自治体もインセンティブなどを設けて積極的に取り組んでおりますが、実際はインセンティブ期間が過ぎて撤退するところもあります。しっかりと地域に根づいていただくためにも、企業側にも戦略を練っていただき、資本投下していただくことが重要でありますが、本県では、道路整備においては1年先ぐらいまでしか明示されません。群馬県までいかなくても、せめて5年先ぐらいまでは道路整備が見越せるようにできないのか、県土整備部長に伺います。 ◎県土整備部長(大田原宣治君) 道路整備は、物流効率化による産業振興を初めとしまして、地域の安全・安心な暮らしの確保、地域間交流の促進など、さまざまな役割を担っておりまして、県では計画的な事業の推進に努めているところです。また、道路整備を計画的に推進していくためには、必要な道路予算の確保が不可欠でありまして、国の道路予算の総額確保と本県への重点配分を強く働きかけているところでもあります。 現在、道路事業の目標年次の公表につきましては、今後の予算や用地取得が不確実なこともありまして、事業箇所の完成予定時期については、今、議員がおっしゃいましたとおり、前年度に公表しているところであります。しかしながら、完成予定時期の早期公表は、企業誘致や計画的なまちづくりにも貢献しますことから、今後、より効果的な公表となりますよう検討してまいりたいと考えております。 ◆(西村賢議員) 答弁ありがとうございます。ただ、将来にわたって国からいただける予算とか用地取得というものは、群馬県も一緒だと思うんです。ぜひ、群馬県の手法というものを学んでいただきたい。ちょっと伺ったんですけれども、全部の道路予算に対して、この道路、この道路、この道路をつくっていくという長期予算が占める割合は大体半分ぐらいと。たとえ予算が1割、2割その年はカットされようとも、その5割の部分はなるべく動かさないようにして計画に沿ってやっていくと。そのためには、その計画を立てていく中で群馬県の方々は、まずは、群馬県の出先事務所と地域の市町村とがしっかりと道路の優先順位をつくっていくということが非常に大事だという話をされたのと、あと、計画プランは、一切コンサル等に任せずに自分たちでつくり上げたと、非常に自負が高いものがありました。あっちの県でできてこっちの県でできないということは、私はないと思います。ぜひ宮崎県にもこのようなことが、なるべく5年先、10年先まで、いつまで待てばできるんだということではなくて、この道路整備はしっかりとできるということ、3年後にはできるということがちゃんとわかれば、非常に明るい空気になると思います。実際に、高速道路が開通年度が明示されるようになってから、県民のストレスというものは、まだまだ待ってはいますけど、下がっているように思います。そういうことも踏まえまして、ぜひ部長には一汗かいていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 また、市町村がこの道路をつくってくださいと、期成同盟会だ何だとつくって知事のところに来ます。部長のところに行きます。こういったことも回数を減らしたり、なくすことがあると思います。その担当された道路の市町村も、これを一番につくっていく、県も一番につくりますということがお互いにわかっていれば、要望活動なんかの数もぐっと減らせると思いますので、ぜひ、知事もあわせて力をかしていただきますようにお願いしたいと思います。 続けて質問をいたします。小倉ヶ浜有料道路が5月10日に無料化され、4カ月がたちました。まだ日向―都農間の東九州道が開通しておりませんし、また、インターから結ぶバイパスも完成しておりませんので、本格的な活用はこれからであると思いますが、実際にこの4カ月で通行量や周辺の渋滞緩和にどのような変化があったのかを伺います。 ◎県土整備部長(大田原宣治君) 小倉ヶ浜有料道路につきましては、本年5月10日より無料化したところです。無料化後の交通量は、料金所周辺で調査を行いました結果、1日約3,800台であり、無料化前の約3.7倍となっておりまして、周辺道路の渋滞緩和など、道路利用者の利便性の向上に寄与しているものと考えております。 ◆(西村賢議員) ぜひまた今後とも、物流効率化につながるようにお願いしたいと思います。 次、ダムについて伺います。先日、熊本県坂本村にある、現在、解体工事中の荒瀬ダムの視察に伺いました。河川法で定められたダムとしては全国初の解体工事で、6年の歳月をかけて解体されるとのことでありました。また、近年、大規模降雨の増加に伴う山間部の斜面崩壊等により、貯水池の急激な土砂堆積が進んでおり、その対策のために、現在、耳川水系の九州電力の山須原ダムと西郷ダムでは、自然本来の川の流れを利用し、ダム下流に土砂を流下させる工事を行っていると伺っております。基本的に、ダムは維持補修を適正に行っていけば半永久的に使用できると伺っておりますが、河川に長期に設置されているダムの影響で災害域が変化したり、河川環境に影響を及ぼしているところもあろうかと思いますが、まず、ダム本体の維持管理の状況について伺います。 ◎県土整備部長(大田原宣治君) 県内に設置されているダムにつきましては、河川法に基づき、日常点検としまして、漏水量などの測定や、ダム施設の外観点検を実施しております。また、月1回の定期点検としまして、ゲートや予備発電機の試運転及び貯水池の巡視を行っておりまして、さらには、地震や洪水が発生した場合には、ダムに変状がないかなど、速やかに臨時点検を実施し、これらの点検結果に基づきまして、ダム施設等の補修を行っているところであります。このほか、貯水池内の堆積土砂につきましても、測量を年1回実施しまして堆積状況を確認しているところであり、必要に応じまして堆積土砂の除去を実施しております。 ◆(西村賢議員) 先ほど挙げた荒瀬ダムの撤去理由の一つには、周辺の河川環境への負荷や災害域の拡大というものがあったそうです。河川においてダムが及ぼす環境の変化につきまして、本県の調査等の対策はどうなっているのか伺います。 ◎県土整備部長(大田原宣治君) 本県におきましては、地形が急峻で地質が脆弱であるため、大雨によりダムの貯水池内へ土砂が流入しやすい傾向にありまして、特に耳川では大量の土砂堆積の問題が、また一ツ瀬川では濁水の長期化の問題が発生しております。このため、県では、学識経験者や地域の方々の参加をいただき、山地を含めた流域全体で取り組みを行うための計画を策定しまして、さまざまな対策に取り組んでいるところです。 具体的には、耳川につきましては、ダムに流入してくる土砂を出水時に下流へ流すためのダム改造を行い、一ツ瀬川につきましては、ダム貯水池に流入してきた濁水を早期排除するための放流設備の設置を行っております。また、両河川におきまして、山からの土砂流出抑制のための山地の緑化、治山、砂防事業の推進もあわせて行っているところです。 ダムは、治水上も利水上も非常に重要な役割を担っていることから、今後とも、モニタリング調査等による効果の検証を行いながら、適切な対策に取り組んでまいりたいと考えております。
    ◆(西村賢議員) 次に、橋梁のほうに移ります。前回の議会でも質問がありましたが、大淀川にかかる小戸之橋のかけかえ工事につきまして、周辺の方々から、迂回するために通学路を横切る車両がふえるのではないかといったような懸念があります。昨日も鳥飼議員のほうから質問がございましたが、その場合に、一ツ葉有料道路南線のほうを料金の減額などで対応できないか伺います。 ◎県土整備部長(大田原宣治君) 小戸之橋のかけかえ工事に伴う渋滞対策につきましては、宮崎市と連携を図りながら、渋滞の発生が予想される周辺の県道や市道の交差点改良等を実施しているところです。また、通行どめの影響によりまして、一ツ葉有料道路の交通量も増加することが予想されますが、料金の減額につきましては、約29億円余の未償還金もありますことから、現時点での対応は難しいと考えております。県としましては、一ツ葉有料道路の利用促進は、周辺道路の渋滞緩和にも効果があると考えられますので、最大20%の割引となる通行回数券の購入PRに努めるなど、引き続き、道路公社と連携を図りながら、有料道路の利用促進に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(西村賢議員) この橋のかけかえもそうですけど、ふだん使いなれた道路が通れなくなるというのは、非常に不便を感じるところでありますけれども、防災上の観点からも、橋梁の耐震化や維持管理の工事は絶えず続けていると思いますが、県内の橋梁の取り組みにつきまして伺います。 ◎県土整備部長(大田原宣治君) 県管理の橋梁は約2,000橋ありまして、その多くが高度経済成長期に架設されております。架設後50年を経過する橋梁の割合は、現在約1割ですが、10年後には約4割、20年後には約6割となりまして、修繕費やかけかえ費が一定期間に集中するなど、財政的な負担が著しく増大していくことが懸念されております。このため、安全を確保し、効率的な橋梁管理を行う目的で、平成22年度に橋梁の長寿命化修繕計画を策定しまして、5年のサイクルで毎年約400橋の点検と診断を継続的に行い、将来的な維持管理費も考慮した上で、補修やかけかえを行っているところです。今後とも、コスト縮減や予算の平準化を図りながら、道路利用者の安全確保に努めてまいりたいと考えております。 ◆(西村賢議員) 今も話にありましたとおり、この修繕費というものは今後ますますふえていくのではないかと思っております。東日本大震災を受けまして、国のほうも国土強靱化計画をもって古いインフラを強化していこうという動きになっております。話がちょっと変わって、うがった見方かもしれませんけれども、2020年のオリンピック招致、これが成功しまして、逆に、さらなる東京一極集中を生んでしまうのではないか。また、インフラ整備も東京へ東京へと行ってしまうのではないかという懸念を持っております。確かに2020年までの7年間、これから都市部はますます成長していくような気になりますし、知事がきのう、答弁の中で、東京オリンピックの効果を宮崎県にも持ってきて観光客にも楽しんでもらう。それも一つの夢なんですが、そのときにまだ宮崎県内の高速道路ができていない、まだ隣とつながっていないということも十分考えられるわけです。2020年に全世界の方々が東京で歓喜していく中で、我々は、宮崎県のまたどこかの公民館で、500人、1,000人集まって「高速道路頑張ろう」と言っていることがぜひないように、知事初め、執行部の皆さんと力を合わせてやっていきたいと思いますし、副知事はその担当ですから、7年後にはぜひ宮崎県内の高速道路がもう目星がついているということになりますように、お力をかしていただきたいと思いますが、副知事、いかがですか。 ◎副知事(内田欽也君) 県内の高速道路の状況ですけれども、現在、計画延長は約329キロございます。うち201.4キロが供用されておりますので、残りは約127キロということになります。高速道路の整備というのは、オリンピックのために海外から来られた観光客の皆さんに宮崎に来ていただき、また、宮崎を楽しんでいただくという上でも非常に重要でありますので、今後とも全力を挙げて取り組んでまいりたいと考えているところでございます。 ◆(西村賢議員) ぜひ、7年後には大会を開いていないようにお願いしたいと思います。 時間がなくなりましたので、いじめ・虐待対策に対しては1問だけ伺いたいと思いますが、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラー事業につきまして、現在、教育現場において、スクールカウンセラーの活用事業、また、「いじめ・不登校」のない夢・心を育む学校づくり推進事業により、スクールソーシャルワーカーやアシスタントが配置されております。そのスクールソーシャルワーカーも県内で数名しかいないのですが、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの事業の成果、そしてその連携について、教育長に伺います。 ◎教育長(飛田洋君) 御質問にありました事業におきましては、現在、中学校へ専門的な見地から、児童生徒のカウンセリングや保護者、教職員への助言・援助を行うスクールカウンセラー、さらには、地域人材を活用し、児童生徒・保護者への支援を行うスクールアシスタントを配置するとともに、教育事務所には、家庭や関係機関への働きかけを行うスクールソーシャルワーカーを配置いたしております。これらの方々のお取り組みによって、各学校の教育相談体制が充実するとともに、児童生徒・保護者は、専門的な助言や関係機関からの支援をこれまで以上に受けられるようになり、問題の早期解決や児童生徒の心の安定が図られるなどの成果が見られているところであります。 さらに、事業を充実させていくために、連携というお話だったんですが、この3つの相談員の間で連携を図る必要がありますので、今年度は、スクールソーシャルワーカーと、スクールカウンセラーやスクールアシスタントとの合同研修会を実施し、情報の共有化を図りながら、問題解決に取り組んでいるところでございます。 また、昨年度は、7名のスクールソーシャルワーカーがおられるんですが、困難を抱えた235名もの多くの児童生徒に対応していただきました。そのため、より組織的で効果的な支援ができるように、本年度は、スクールソーシャルワーカーを取りまとめるスーパーバイザーを追加配置し、より一層の充実を図っているところであります。 ◆(西村賢議員) 時間が来ましたので、これで愛みやざき代表質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(福田作弥) 以上で代表質問は終わりました。 あすの本会議は、午前10時開会、一般質問であります。 本日はこれで散会いたします。   午後2時14分散会...