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12月09日-06号

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  1. 宮崎県議会 2008-12-09
    12月09日-06号


    取得元: 宮崎県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-05-20
    平成20年11月定例会平成20年12月9日(火曜日) 午前10時0分開議 ────────────────────   出 席 議 員(45名)   5番  武 井 俊 輔  (愛みやざき )   6番  西 村   賢  (  同   )   7番  川 添   博  (無所属の会 )   8番  河 野 安 幸  (自由民主党 )   9番  山 下 博 三  (  同   )   10番  黒 木 正 一  (  同   )   11番  松 村 悟 郎  (  同   )   12番  坂 口 博 美  (  同   )   13番  前屋敷 恵 美  (日本共産党宮                崎県議会議員団)   14番  高 橋   透  (社会民主党宮                   崎県議団)   15番  太 田 清 海  (  同   )   16番  外 山 良 治  (  同   )   17番  図 師 博 規  (愛みやざき )   18番  松 田 勝 則  (  同   )   19番  中 野 広 明  (自由民主党 )   20番  横 田 照 夫  (  同   )   21番  十 屋 幸 平  (  同   )   22番  押 川 修一郎  (  同   )   23番  外 山   衛  (  同   )   24番  宮 原 義 久  (  同   )   26番  田 口 雄 二  (民主党宮崎県                     議団)   27番  河 野 哲 也  (公明党宮崎県                     議団)   28番  新 見 昌 安  (  同   )   29番  満 行 潤 一  (社会民主党宮                   崎県議団)   30番  徳 重 忠 夫  (自由民主党 )   31番  井 本 英 雄  (  同   )   32番  丸 山 裕次郎  (  同   )   33番  野 辺 修 光  (  同   )   34番  浜 砂   守  (  同   )   35番  萩 原 耕 三  (  同   )   36番  黒 木 覚 市  (  同   )   37番  中 野 一 則  (  同   )   39番  井 上 紀代子  (民主党宮崎県                     議団)   40番  権 藤 梅 義  (  同   )   41番  長 友 安 弘  (公明党宮崎県                     議団)   43番  鳥 飼 謙 二  (社会民主党宮                   崎県議団)   45番  緒 嶋 雅 晃  (自由民主党 )   46番  水 間 篤 典  (  同   )   47番  中 村 幸 一  (  同   )   48番  蓬 原 正 三  (  同   )   49番  米 良 政 美  (自由民主党 )   50番  坂 元 裕 一  (  同   )   51番  外 山 三 博  (  同   )   52番  福 田 作 弥  (  同   )   53番  星 原   透  (  同   ) ──────────────────── 地方自治法第121条による出席者  知     事   東国原 英 夫  副  知  事   河 野 俊 嗣  県民政策 部長   丸 山 文 民  総 務 部 長   山 下 健 次  福祉保健 部長   宮 本   尊  環境森林 部長   高 柳 憲 一  商工観光労働部長  高 山 幹 男  農政水産 部長   後 藤 仁 俊  県土整備 部長   山 田 康 夫  会 計 管理者   長 友 秀 隆  企 業 局 長   日高幸平     病 院 局 長   甲 斐 景早文  財 政 課 長   西 野 博 之  教 育 委員長   大 重 都志春  教  育  長   渡 辺 義 人  警 察 本部長   相 浦 勇 二  代表 監査委員   城 倉 恒 雄  人事委員会事務局長 大 野 俊 郎 ──────────────────── 事務局職員出席者  事 務 局 長   石野田 幸 蔵  事 務 局次長   弓 削 孝 幸  総 務 課 長   田 原 新 一  議 事 課 長   富 永 博 章  政策調査 課長   桑 山 秀 彦  議事 課長補佐   孫 田 英 美  議事担当 主幹   日 高 賢 治  議 事 課主査   山 中 康 二  議 事 課主査   隈 元 淳 二 ──────────────────── △一般質問 ○副議長(星原透) ただいまの出席議員44名。定足数に達しておりますので、これより本日の会議を開きます。 本日の日程は、昨日に引き続き一般質問であります。 ただいまから一般質問に入ります。質問の通告がありますので、順次発言を許します。まず、十屋幸平議員。 ◆(十屋幸平議員) 〔登壇〕(拍手) おはようございます。きょうは傍聴においでいただいて、ありがとうございます。 一般質問を始めます前に、一言お礼を申し述べたいと思います。世界的な不況の中で、県並びに日向市の御努力で、念願の細島4区へ誘致企業の旭化成ケミカルズの第2期増設の発表がありました。また、日向高校ラグビー部が高鍋高校を破り、悲願の花園出場を決めました。東国原知事には、特別後援会名誉顧問に就任いただき、お礼を申し上げます。その関係で、私も日向高校PTAOB会の後援会長を務めさせていただいておりまして、県民の皆様並びに県庁職員初め多くの関係者の方々に御支援をいただいております。この場をおかりしまして、厚く感謝申し上げたいと思っております。本当にありがとうございます。 それでは、質問を始めさせていただきたいと思います。 知事が就任早々に、県幹部職員に向けてのあいさつの中で、「裏金はありませんか」と問いかけて、昨年、総額3億7,000万の裏金がわかりました。結果、官製談合事件、裏金問題で、平成17年度、平成18年度と連続して決算が不認定となりました。そして、平成19年度決算においても書きかえが行われておりました。この件は既に前年の調査で表面化しておりましたが、商工建設分科会では執行部より、「該当する部分は、公的支出内容としては適正であるかどうかの検討を行った上で、需用費から使用料及び賃借料、また備品購入費へ科目更正を行っており、決算そのものとしては適正なものとなっている」と説明がありました。しかしながら、整合性がある決算であっても、平成18年度決算不認定の原因となった不適正な事務処理と同様の行為が含まれていることを重く考えまして、金額の多少にかかわらず厳正に判断し、不認定を決定いたしました。平成19年度も決算特別委員会で不認定となりましたが、3年連続の決算不認定について、知事の見解をお伺いいたします。 次に、教育委員長教育理念についてお尋ねをいたします。 大重教育委員長、御就任おめでとうございます。教育基本法の改正や新学習指導要領基本理念、「生きる力」をはぐくむことなど、教育の重要性が叫ばれています。学力の向上はもとより、暴力行為やいじめ、不登校問題やモンスターペアレント、教職員の教育力アップ特別支援教育等取り組みなど、教育への価値観の多様化や子供たちを取り巻く教育環境の厳しさなど、課題山積であります。そこで、教育の基本理念教育委員長にお伺いいたします。 次に、特別支援教育高等部設置についてお伺いいたします。この質問は、しつこいと言われるほど毎回毎回、議会で質問させていただいております。それほどせっぱ詰まっていて、緊急性を御理解いただきたいというふうに思っております。 お手元の配付資料をごらんください。1枚目の学部別資料、幼稚部、小中学部は児童生徒数は横ばいですが、高等部は増加傾向にあります。また、障がい種別でも、知的障がいがやはり増加しております。これまでは、それぞれの地域が個別に要望活動をしてまいりましたが、保護者の願いは一日も早い高等部設置への着手であります。それには、地域エゴを捨て、特別支援が必要な子供たちのために一致団結をして取り組むことといたしました。そして、ことし8月25日に、東国原知事に県内4地区の保護者代表と要望活動をいたしました。知事からは、4年から5年のうちに4校を整備すると約束をしていただき、保護者一同感謝いたしております。そこで、宮崎県特別支援学校総合整備計画の策定の進捗状況及び今後の高等部設置への取り組みについて、教育長にお伺いいたします。 以下の質問につきましては、自席から行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(東国原英夫君) 〔登壇〕 おはようございます。お答えいたします。 19年度決算についてであります。普通会計決算特別委員会で19年度決算が不認定とされましたが、慎重かつ厳正に審査いただいた結果であり、大変重く受けとめているところであります。3年続けての決算不認定という、大変不名誉で恥ずべきことであり、県議会並びに県民の皆様に対し、まことに申しわけなく、心から深くおわび申し上げたいと思います。 昨年5月に不適正な事務処理が発覚したことを受けて実施しました、徹底した全庁調査の結果を踏まえまして、これまで、職員等による返還や処分等を行うとともに、職員のコンプライアンスの徹底など、再発防止策に取り組んできたところでありますが、さらにその徹底を図り、二度と不適正な事務処理が起こることのないよう、職員一丸となって、予算執行の一層の適正化に努め、県政に対する信頼の一日も早い回復に努めてまいりたいと思っております。〔降壇〕 ◎教育委員長大重都志春君) 〔登壇〕 おはようございます。初めてのことで大変緊張しておりますが、御質問のあったとおりお答えをしたいと考えております。 10月14日付で教育委員長に就任いたしました大重でございます。これまでの教師として、あるいは教育委員としての経験を生かしながら、さらなる本県教育の振興に邁進していく所存でありますので、どうぞよろしくお願いいたします。 さて、今、社会全体の規範意識の低下や連帯感の希薄化など、教育環境は大変厳しくなってきており、とりわけ、子供たちの安全が阻害される事件事故が報道されるたびに大きな憤りを感じるとともに、我が国の先行きを不安に思うところであります。私は、これまでの経験から、学校は、学力を養うことはもちろんのこと、それだけではなく、さまざまな人とのかかわりの中で夢や希望をはぐくみ、子供を人として成長させる重要な場であると考えております。このような意味からも、教育は、私たちにとって責任の重い、そして崇高な営みであると考えております。本県の子供たちが、志を持って、いかなる困難な局面にも果敢に立ち向かい、乗り越えていく力をしっかりと身につけるよう、学校における教育の充実はもとより、学校・家庭・地域社会が一体となった県民総ぐるみによる教育の推進に向けて、誠心誠意取り組んでまいりたいと考えておりますので、県議会を初め、県民の皆様方の教育行政に対する一層の御理解と御支援を賜りますよう、お願い申し上げます。以上でございます。〔降壇〕 ◎教育長(渡辺義人君) 〔登壇〕 お答えをいたします。 宮崎県特別支援学校総合整備計画の策定の進捗状況及び今後の高等部設置への取り組みについてであります。宮崎県特別支援学校総合整備計画につきましては、平成21年度から平成25年度までの5年間の特別支援学校の整備のあり方を示す新たな計画として、現在、策定作業の最終段階に入っており、年内にも計画案を策定し、お示ししたいと考えております。また、今後の高等部設置につきましては、この整備計画を踏まえ、本県の財政状況緊急性等、設置に係る諸条件を総合的に勘案しながら、段階的に取り組んでまいりたいと考えております。以上であります。〔降壇〕 ◆(十屋幸平議員) ありがとうございました。知事、本当に我々も、決算の3年連続の不認定というものにつきましては、やはり議会のチェック機能の不十分さも改めて痛感しております。そういうことも含めて、しっかりとお取り組みをしていただきたい、そういうふうに思っております。 それから、教育委員長、本当にしっかり子供たちの夢や希望のために御指導をお願いしたい、そのように思っております。 教育長、ありがとうございました。年内に計画案が出されるということでありますので、一定のめどがついたものではないかと思っております。しかしながら、財政状況は大変厳しいので、そのあたりもあわせて取り組んでいただかなければならない。そこで、高等部の設置は保護者の悲願で、ようやく生徒と保護者の―先ほど教育委員長がおっしゃいました―夢と希望がかなう光が差してきたと思っております。どの地域の高等部が先に着手されるかわかりません。しかしながら、一日も早い着手が望まれるものであります。先ほども壇上で言いましたが、知事が保護者の要望で設置を約束していただいて、本当に感謝していると思います。財政的なこともいろいろあると思いますが、緊急性を考えて、知事の英断をお願いするものであります。そこで、いま一度、知事の高等部設置に対する考えをお伺いしたいと思います。 ◎知事(東国原英夫君) 高等部の設置につきましては、私も、保護者や関係団体の皆様より直接、その必要性につきましては切実な思いを伺って、十分認識しているところでございます。今後は、本県の財政状況、各学校の緊急性等を勘案しながら、本年度、教育委員会が策定する宮崎県特別支援学校総合整備計画を踏まえて、段階的に取り組んでまいりたいと考えております。 ◆(十屋幸平議員) ありがとうございます。緊急性を重要視していただいて、一刻も早い着手をお願いしたいと思います。私の質問も一定のめどがついたかなと思っております。しかしながら、おくれればまた質問させていただきたいというふうに思っておりますので―順調に進むものと思っております。本当によろしくお願いしたいと思います。 次に、障がい者が自立していくためには、働くことができなければならないと思っております。そういう意味で、最終的な目的として高等部卒業後の一般就労を目指しております、延岡総合特別支援学校(仮称)基本構想策定進捗状況について、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(渡辺義人君) 延岡総合特別支援学校(仮称)は、本県では初めてとなる総合的な特別支援学校でありますので、本年5月、そのあり方について御意見をいただくために、医療・福祉・労働関係者、障がい者団体、保護者等で構成される「延岡総合特別支援学校(仮称)基本構想策定委員会を設置しまして、これまで4回にわたる御協議をいただいたところであります。その中で、1つには、複数の障がいに対応した専門教育の実施、2つには、就学前から卒業後までの一貫した教育の実施、3つ目には、一般就労を目指した職業教育の充実などについて具体的な御意見をいただいております。これらの意見を参考にしながら、本年度内には基本構想を策定したいと考えております。以上です。 ◆(十屋幸平議員) これは、延岡地区の議員もおられますので、しっかりと取り組み、今年度内に策定されるということでありますので、よろしくお願いしたいと思います。 障がい者が就労するということは、我々の一般的な働き方とは違って、障がい者の能力に合った多様な働き方があるべきであると思います。そのことを我々社会が理解することが大切であると考えておりますので、この学校に期待するところは、やはり職業教育の充実と思っております。どうぞよろしくお願いしたいと思います。 次に、監査事務局の強化・充実についてお尋ねをしたいと思います。 以前の県議会での井上議員の質問で、裏金問題について、こういうふうに答弁されております。「いろいろな事態も想定しながら、監査の手法を工夫するとともに、効果的な監査の執行に努める」と答弁されております。3年連続の決算不認定をかんがみて、先ほど申し述べましたが、我々県議会もチェック機能を高める努力をしていかなければなりません。一方で、不適正な執行の防止や財政の健全性を図る意味でも、財政健全化法の事務量も増加してまいります。そういう意味で、監査事務局の強化、機能の充実を図る必要があると考えております。その取り組みについて、知事の見解をお伺いいたします。 ◎知事(東国原英夫君) 昨年の不適正な事務処理の問題を受けまして、再発防止を徹底するため、コンプライアンス推進委員会の設置等により職員の意識改革に努めるとともに、県内各地域に総務事務センターを設置するなど、物品調達システムの見直しや指導検査体制の強化を図っているところであります。御指摘のとおり、こうした再発防止取り組みの中で、監査事務局の果たす使命というのは大変重要であると認識しております。また、行政のあらゆる分野において、公正で効率的な業務執行が求められている中で、独立・専門の機関として、行政全般に対する監視とチェックを行う監査事務局の役割は、ますます大きくなっていると考えております。そのため、今後とも連携を密にし、監査事務局の強化や機能の充実について、知事として対応すべきものについては、適切に対応してまいりたいと考えております。 ◆(十屋幸平議員) 本当に知事も御認識されているというふうに思っておりますが、行財政改革の中で、人員や経費の削減をやっております。これは、19名という監査事務局の組織体制からすると―ずっとこれは変わっていないと思うんですが―やはり部局からは、そういう状況の中でなかなか言い出しにくいと私は思っています。知事も、不認定のことにつきましては重く受けとめておられますので、やはり、今の御答弁にもありましたように重要性をかんがみたときには、組織体制も含めて積極的に、知事のほうで見直しを図っていただきたい、そのように要望しておきたいと思っております。 次に移ります。知事の国の役職について、お尋ねをしたいというふうに思います。 知事は、高速道路の必要性を訴えて、果敢に道路特定財源維持で矢面に立って、宮崎県民にとっては本当に頼もしい存在であります。それらの活躍の成果として、地方の道府県知事の代表として無駄ゼロ会議や国土交通省アドバイザリー会議に出席され、また、天皇陛下へ地方事情を説明されるなど、活躍の場がだんだん東京に移っているような気がします。知事のブログでは、「無駄ゼロ会議や国交省のアドバイザリー会議の参加は、宮崎や地方の再生、活性化の一助になると信じている」と言われ、先週からの議会でもそのように答弁されております。知事の情報発信力の本当の力強さを、私もそのように感じております。また、別な日のブログでは、「いずれにしろ、宮崎は非常事態であると感ずる」云々と書いておる。知事の国政への転出ではいろんな議論がありました。現時点では、県政に邁進する旨の発言でおさまっております。先日からの質問でもありましたが、いつの時期かは別にしまして、国政への意欲はあるのかないのか、知事にお伺いしたいと思います。 ◎知事(東国原英夫君) 私は、地方間格差を是正し、この宮崎、そして地方を再生させるために、数多くの行政課題に見られるように、国の制度、仕組みそのものを抜本的に変えなければならないと考えております。そのような思いから、これまで発言や行動を続けてきたところであります。今後とも、自身のマニフェストの達成を含め、地方の活性化、そして宮崎の発展、県民福祉の向上という大命題に向かい、今は知事として一意専心、堅忍不抜の精神で取り組んでいきたいと考えております。 ◆(十屋幸平議員) さすがに堅忍不抜の精神で取り組んでいただきたいと思うんですが……。 再度質問させていただきますが、制度の仕組みを変えることが一番、知事の頭にあるのかなというふうに思っております。そういう意味も踏まえて質問させていただきます。知事として、国への意見とか要望も言われます。また、国の役職、先ほど言ったような立場、いろんな立場での発言の機会があると思います。そこで、宮崎県知事としての発言と全国知事会の発言、国会議員としての発言では、地方の声はどの立場の発言が一番効果的に届くと考えますか。制度を、仕組みを変える、そして地方間格差をなくすという、御答弁が今ありました。そういうことも含めて、知事の見解をお伺いしたいと思います。 ◎知事(東国原英夫君) 宮崎県知事としての発言には、本県の現状を最もよく知る者の強みがありますし、知事会の発言というのは、地方自治体を代表する意見として、1県にとどまらない知事共通の意見としての厚みを意識させるものです。また、国会議員の発言には、国民の負託を受けて国会という場に身を置く立場の重みがあろうかと存じます。いずれにしましても、語られるテーマや表明される局面により、期待される役割は異なりますので、どの立場での発言が効果的であるかは、一概には論じられないと考えております。 ◆(十屋幸平議員) 多分、そういうことかなというふうに思っておりましたけれども……。 そこで、再度質問しますが、県民は、知事として4年間の約束を守ってほしいという声がほとんどだと思います。大局的に考えますと、先ほどの答弁にありましたようなことを踏まえていくと、宮崎の大命題、地方間格差を解決するという考え方も少なからずあると思うんです。それで、再度お聞きしますが、どちらのほうの考えを重視されるか。先ほど答弁されましたので大体答えはわかると思いますが、再度そのことをお尋ねいたします。 ◎知事(東国原英夫君) 重複しますけれども、この宮崎あるいは地方、疲弊した地方を再生するためには、国の制度、あり方、統治システム等々、抜本的に変えなきゃいけないと思っております。それを変えるために、私はこれから政治行動を―どのような行動を起こしていくかということに重点を置いていますので、今のところは、県知事として職責を全うする、マニフェストの実現に向けて一日一日、全身全霊を傾けていきたいということでございます。 ◆(十屋幸平議員) それでは、次の質問に移らせていただきます。親孝行についてということで、ちょっと漠としたものがありますが、親孝行や家族のきずななどは、人類に普遍的なもので、いつの時代でも大切な概念だと思っております。「親孝行したいときに親はなし」「石に布団は着せられず」などのことわざがあります。私も実体験として、家内の母を亡くしまして、母に対して、ああすればよかった、また、こうしてあげれば喜んだのではないかという後悔もあります。親孝行とは何ぞやと考えたときに、親を思いやる気持ち、親に心配をかけない、親の期待にこたえるなど、いろんな形があると思います。遠くに離れて暮らしている場合は、電話一つかけることも親孝行だと思いますし、また、旅行に一緒に行くことも親孝行だと思います。そして、よく言われる肩たたきもその一つだと思います。普遍的な概念ですから、非常に幅が広くてお答えしづらいかもしれませんが、知事は親孝行についてどのように考えておられるか、お伺いいたします。
    ◎知事(東国原英夫君) 現在の日本というのは、正直とか親切、他人への思いやり、親孝行、そういった人が持つべき倫理、規範意識、道徳観を失いつつあるように感じております。こういった感性というのは、人が社会の中で生きていくために大変重要な要素であるのではないかと考えております。社会を構成する最も基本的な単位である家庭において、子供の人間性や社会性など、人として最も基本的な資質がはぐくまれるわけですが、親が子を思い、子が親を敬う心は、社会の中でも良好な人間関係を築き、よりよい社会をつくっていくことにつながるものと考えております。そのような意味で、私は、親孝行という観念は、時代を超えて伝えていくべきものだと考えております。 ◆(十屋幸平議員) それでは、1つ提案をさせていただきますが、日本一親孝行な県を目指して、県民の皆様に親孝行の標語を募集してはどうかと考えております。これは私、頭の中でちょっと考えたんですが、標語ですけれども、「親の笑顔が親孝行」「一日一善親孝行」、どこかで聞いたようなフレーズですけれども……。「電話一本親孝行」、こういう標語について取り組む考えはないか。知事に再度お尋ねいたします。 ◎知事(東国原英夫君) 私は、昨年策定した新みやざき創造計画において、「全ての大人はすべての子どもの教師たれ」ということを掲げておりますが、そこには、私たち大人がすべての子供の手本となって、親を敬い、人とのつながりを大切にし、礼節を重んじる心を、ぜひとも未来の子供たちに伝えていきたいという思いも込めております。これらの取り組みを通して、各家庭で親孝行がよく見られるような地域が数多く実現し、本県が、これからの日本を支える次世代の人づくりの舞台として、その地位を確立していくことを期待しているところでございます。 ◆(十屋幸平議員) 最初に答弁いただきましたが、「親孝行という言葉を耳にしなくなっている」とも知事は言われました。「親孝行」という言葉を社会に広くアピールすることで、県民の意識啓発につながるのではないか。各家庭で親孝行する姿が見られる社会ができるものと思っております。先ほど知事の答弁では、するかしないかはっきり申されませんでしたが、そのためにも、標語を公募して意識啓発に役立てる取り組みはないか、再度お尋ねするとともに、2本目は、知事が御多忙の中でどのような親孝行をしていらっしゃるのかお聞きしたいと思います。 ◎知事(東国原英夫君) 標語の募集でございますが、今何とも申し上げられないんですけれども、そういった方向性というのは非常に大切な取り組みではないかなと考えておりますので、関係機関あるいは担当部局等々とも十分意見交換して検討してみたいと思っております。 私の親孝行についてでございますが、議員御指摘のように、何をもって親孝行とするか、親子の関係性や親子が持つ価値観からして、その定義づけは非常に難しいと考えております。また、千差万別、十人十色だと思いますけれども、「親孝行しているか」と問われますと、親孝行を受ける側の主観や感性にもよりますので、親に聞いてもらわないとわからないというのが正直なところでございますが、私は、県知事として県政のさまざまな課題に取り組んでいく必要があります。これらの課題に日々一生懸命元気に取り組んでいる姿を見せること、加えて県政が発展していくこと―別に親孝行のために県政をつかさどっているわけではありませんけれども、結果、そのことが親孝行につながるのではないかと考えております。 ◆(十屋幸平議員) ありがとうございます。十分検討していただきたいというふうに思っております。 次に、平成21年度の予算についてお伺いいたします。 よくフレーズでありましたが、サブプライム問題から一気に、100年に一度の世界的な金融恐慌が起こり、不況の波が、グローバリゼーションの中で本県の経済にも大きく悪影響を及ぼして、年末を迎えて県内の企業倒産の増加も非常に心配されているところであります。また、報道では、県内の企業誘致も中断や断念するなどの動きが表面化しております。そういう中で、県の翌年度の予算編成方針が出されましたが、このような経済状況では県税収入の減が懸念されます。そこで、自主財源が乏しい本県にとって、国からの地方交付税等の依存財源がどのように推移するのか、県税を含め歳入確保についてどのように取り組むのか、総務部長にお伺いいたします。 ◎総務部長(山下健次君) 御指摘のように、県税収入につきましては、最近の経済状況、あるいは県税の大きな税目でございます法人事業税、こういったようなことが景気の影響を受けやすいということで、大変厳しい状況になると認識をしております。また、地方交付税につきましても、国の概算要求におきまして、全国ベースの配分額で、今年度より6,000億円、3.9%少ない14兆8,000億円となっておるところでございます。本県の主な歳入であります県税及び地方交付税の確保は非常に重要であると認識しておりますので、引き続き、県税については、収入の確保に向けて収入未済額の圧縮に努めるなど、鋭意取り組んでまいりますとともに、地方交付税については、今後、経済情勢の推移や税制改正、国の予算編成の動向等に基づき決定されますことから、その動向を注視するとともに、九州知事会、全国知事会とも連携しながら、地方交付税の総額確保について強く要望してまいりたいと考えております。 ◆(十屋幸平議員) きのう知事は、地方交付税絡みの浜砂議員への答弁の中で、「国はようわかっていない」というふうな御発言もされましたので、ぜひ、しっかりと意見を言っていただきたいなというふうに思っております。 次に、歳出についてお尋ねをしたいと思います。予算編成方針の中に、「行財政改革大綱2007に基づき、職員数及び給与の削減を図ることとする」とあります。知事を初め県幹部職員は既に給与の削減を実施しております。私ども県議会も、平成18年10月より給与条例を減額改正して給与を減額いたしております。一般県職員も、3年前に給与構造改革で人件費の圧縮を図っているところでありますが、今後、財政状況が一層厳しくなる中で、基金等が底をついた場合、人件費をどのように考えておられるのか、知事にお伺いいたします。 ◎知事(東国原英夫君) 人件費につきましては、「宮崎県行財政改革大綱2007」の財政改革プログラムに基づき、現在、職員数の削減に努めるほか、知事や副知事など特別職の給与及び管理職の手当について一定割合を減額するとともに、一般職については給与構造改革の着実な実施を図っているところであります。しかしながら、地方交付税や県税等の減少、社会保障関係費や公債費の増等によりまして、今後とも厳しい財政状況は継続するものと考えられ、収支不足を基金に頼るというこれまでの方法では、予算編成が難しくなると見込まれますことから、収支不足や基金の状況を初め、本県財政の現状等を勘案し、状況によっては、さらなる改革の取り組みにつきまして総合的に検討していく必要があると考えております。 ◆(十屋幸平議員) 慎重にやることも必要ですし、大胆に英断することも必要です。そのあたりは十分考慮して検討していただきたいというふうに思っております。 次に、重点施策の子育て支援策の新年度予算について、例を1つ挙げさせていただきます。私立幼稚園入園料軽減補助金等の子育て支援策が、マイナスシーリングでどのように影響するのか、福祉保健部長にお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(宮本尊君) 新年度予算につきましては、厳しい本県財政の現状を踏まえ、すべての事務事業について徹底した見直しが必要とされているところであります。一方で、少子化が進む中、子育て支援の充実は県政の重要課題でありますので、この点にも十分留意しながら検討してまいりたいと考えております。 ◆(十屋幸平議員) この補助金に関しては、現在の景気低迷の中で、若い保護者の方は大変助かっております。乳幼児医療費助成の拡充なども知事が行われまして、本当によいことだなというふうに思います。子育ては、養育費や教育費、多額なお金が必要だと思っています。以前の少子社会対策特別委員会でも、お母さんたちにお聞きしますと、子育ての経費が少なければ、もう1人産みたいと思っている保護者の方はたくさんいらっしゃいました。そういう意味からも大切な事業だと思っております。再度質問いたしますが、入園料軽減補助金の維持をどのように考えるか、福祉保健部長にお伺いいたします。 ◎福祉保健部長(宮本尊君) 私立幼稚園入園料軽減事業につきましては、新入園児の入園料の一部を助成する県単独事業でありまして、保護者負担の軽減と私立幼稚園経営の安定に役立っているものと考えております。このため、当事業を初めとする子育て支援策の展開に十分留意するとともに、本県の財政事情も踏まえながら、総合的に検討してまいりたいと考えております。 ◆(十屋幸平議員) 先ほどと同じなんですけれども、十分に留意する―「留意する」は「注意する。心にとめる」。そういうことと総合的に検討するということで、ちょっとわかりづらいところがあるんですけれども……。先ほど答弁がありました県単事業、これは他県に類を見ない制度だと思うんです。いい制度だと思うんです。こういう子育て支援を宮崎でやっていますよというのを、もっとアピールしてもいいと思うし、拡充してもいいと思うんです。いい制度は後退させてはいけないというふうに思っておりますので……。 ちょっと例を引かせていただきます。平均的な入園料が3万4,500円、園が保護者に対して軽減するのが1万1,500円、保護者の負担が2万3,000円、県が1人当たり大体1万円の補助をしております。年間予算で4,000万弱と聞いておりますが、こういうことを削らずに、やはり重点施策であるならば、しっかりと維持していくべきと考えます。福祉保健部長、再度、御答弁お願いできますか。 ◎福祉保健部長(宮本尊君) 今申し上げましたように、この県単独事業の補助金は、子供さんを幼稚園に入園させられる方の経済的負担を軽減するとともに、幼稚園の経営安定にも役立っていると思っております。そういう中で、一方で、財政的にシーリング等もありますので、その辺の兼ね合いを考えながら、来年度予算の編成について検討してまいりたいと考えております。 ◆(十屋幸平議員) この件につきましては、時間がありましたら再度質問します。 次に、昨年6月議会で、枠配分方式やメリットシステムのことで、予算について議論させていただきました。結果的に、来年度から物件費にメリットシステムを導入されます。新年度予算においてどのような効果が見込まれるのか、総務部長にお伺いいたします。 ◎総務部長(山下健次君) 来年度から試行的に導入することを考えておりますメリットシステムは、御指摘のように旅費とか需用費、こういった一定の事務費につきまして、今年度の2月補正予算において削減した金額を、過去3年間の平均と比較いたしまして、その上回る額の2分の1を来年度当初予算において措置しようというものでございます。この制度は、不適正な事務処理再発防止策の一つとして取り組むものでありまして、職員の予算を使い切ろうとする、これまでにありがちな意識の改革を促しますとともに、より効率的な予算執行につながるものと考えております。今後、導入後の取り組みを十分検証しながら、一層の予算執行の適正化と経費節減に努力してまいりたいと考えております。 ◆(十屋幸平議員) やはりこれらの節約の意識と、不適正なということで、2本立てだと思っています。年度の物件費が入っているものを調べました。一般行政経費1,720億円余が大体毎年支出されますが、その中で181億8,200万円余が大体物件費だと。それを仮に1%削減できれば、約18億円が財政の健全化に役立つというふうに思っております。ですから、県職員の皆さんも、第1次、第2次行革を続けてきて、絞るぞうきんもからからだとは思いますが、ぜひそのあたりに取り組んでいただきたいというふうに思っております。これは要望にとどめたいと思います。 次に、教育行政について。 進路変更対策(退学・不登校等)について、教育長にお尋ねします。文部科学省が2007年に、いじめや暴力、出席停止、自殺、退学などの内容を調査した問題行動調査の発表がありました。この内容につきましては、新聞等で報道されましたので申し上げませんが、県内では問題行動調査はどのような現状なのか、教育長にお伺いいたします。 ◎教育長(渡辺義人君) いじめと暴力行為について述べさせていただきます。文部科学省が実施した調査によりますと、本県の公立学校におけるいじめの認知件数は、平成19年度は381件で、前年度と比較しますと283件減少いたしております。また、暴力行為の発生件数は95件で、これは前年度と比較いたしますと13件増加しております。以上であります。 ◆(十屋幸平議員) 数字的に暴力のほうは少ないので安心しましたけれども、しっかりといじめ、暴力行為等について取り組んでいただきたいというふうに思っております。 次に、高校生の中途退学者の現状と取り組みについてお伺いしたいと思います。この質問につきましては、平成16年の11月にも質問しました。15年度の調査の結果で、公立、私立の中途退学者の合計が1,031名、1つの学校がなくなる人数でした。現在の公立高校の推移を、教育長にお尋ねいたします。 ◎教育長(渡辺義人君) 本県の県立高等学校における中途退学者数でありますが、3カ年で申し上げますと、平成17年度が487人、平成18年度が477人、平成19年度は413人であります。以上です。 ◆(十屋幸平議員) 本当にまだ依然として変わっていないんですけれども、この中で公立が、今言われたとおり平均すると459人、私立が487人、424人、362人、平均453人、883名―これは平均値ですけれども、毎年出ております。そういうところで、佐賀県では、学ぶ意欲のある不登校や高校中退、発達障がいの生徒を受け入れる全日制学級を2011年度に新設します。この中身につきましても、やはり新聞報道でありましたので詳しく述べませんが、このようなタイプの県立高校を県内3地区に、佐賀県と同様な取り組みができないか。教育長にお尋ねいたします。 ◎教育長(渡辺義人君) 本県における対策といたしましては、中途退学者など学習歴やライフスタイル等が異なる生徒がそれぞれ自分のペースで学ぶことができますように、定時制や通信制の高校に単位制や2学期制を導入しているところであります。また、宮崎東高校と延岡青朋高校の定時制においては、昼間、夜間の両方で授業を受けられるシステムにするなど、さまざまな方策を講じているところであります。県教育委員会といたしましては、今後とも、生徒が夢や希望を持って生き生きと学び合うことができますように、これまでの高等学校再編整備計画に基づいた取り組みの成果等も検証しながら、多様な教育ニーズに応じた高校教育のあり方について研究してまいりたいと考えております。以上です。 ◆(十屋幸平議員) 先ほども言いましたように、883名の子供たちが退学しているわけでありますので、公立と私立の壁はあるかもしれませんが、両方協議いただいて、その子供たちができるだけ少なくなるような御努力を要望しておきたいと思っております。 次に、鳥獣被害対策についてお伺いいたします。このテーマは、黒木正一議員のライフワークのテーマでありますが、今回は、私が視点を変えて質問いたしたいと思っております。 まず、平成19年度のシカ、イノシシ、猿等の生息変化状況について、環境森林部長にお尋ねいたします。 ◎環境森林部長(高柳憲一君) シカにつきましては、一定区域のふんの数から生息数を推測いたします、いわゆるふん粒法により調査を実施しております。平成19年度の生息数は約5万6,000頭と推測され、近年、増加の傾向にあります。また、猿につきましては、平成14年度から3カ年かけて実施した生息調査では、県全体で約70群れ、約3,500頭と推測されておりますが、現在、新たに生息実態調査を実施しているところであります。また、イノシシにつきましては、調査方法が確立されておらず、生息数は把握いたしておりません。 ◆(十屋幸平議員) ありがとうございます。 シカの生息数は、18年度が5万2,000頭ですから、差し引き年間4,000頭増加していると言われております。イノシシについても、「調査方法が確立されておらず」という御答弁がありましたが、また別な方法で調査されていると思うんです。そのあたりをおっしゃっていただけるとよかったかなと思いますが……。後で申します特別措置法の中では、イノシシについても被害状況の的確な把握を推進するように述べられておりますので、農業従事者の方とか猟をされる方々に、聞き取りとかアンケート調査を―猟期の終了後に調査されて、やっぱりある程度の生息数を把握することが大事だと思っておりますので、そのように、これは要望しておきたいと思います。 次に、本県の農産物の野生鳥獣被害の実態と状況はどのようになっているのか、また、農産物の被害防止対策にはいろんな複合的な取り組みが効果的であると考えておりますが、県はどのように取り組んでいるのか、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(後藤仁俊君) 本県の農作物における野生鳥獣被害は、平成19年度は1億8,343万円となっておりまして、作物別には、水稲が5,760万円、飼料作物が4,510万円、野菜類が3,020万円となっております。このため県では、平成19年度から野生猿被害防止総合対策事業を実施し、地域の被害実態に応じた対策に取り組んでいるところであります。特に野生猿につきましては、人里に寄せつけないなどの取り組みが重要でありますことから、専門アドバイザー等を活用した野生猿の生態把握や、里山付近の緩衝帯設置、追い払い活動など、地域ぐるみでの複合的な被害防止対策を支援しているところであります。また、シカやイノシシ等については、電気さくや防護ネットの設置等を行っているところであります。今後とも、国や市町村等関係機関と一体となって、野生鳥獣の被害防止に努めてまいりたいと存じております。 ◆(十屋幸平議員) 次の質問に移りたいと思います。被害防止のための捕獲対策はどのように行っているのか。また、一昨年の答弁でもありましたが、鹿児島、熊本、宮崎の連携のシカ被害対策の取り組みについて、環境森林部長にお伺いいたします。 ◎環境森林部長(高柳憲一君) 県ではこれまで、野生鳥獣による被害を防止するため、有害鳥獣捕獲班への助成などによる捕獲対策を行ってきたところであります。これに加え、猿につきましては、平成19年度から野生猿特別捕獲班への助成額の拡充を行いますとともに、捕獲用わなの購入助成などを行っております。また、シカにつきましても、今年度から、特に生息数の多い地域において集中的に捕獲促進を図るため、市町村と共同で、有害鳥獣捕獲したシカ1頭当たり5,000円を助成するとともに、県境付近でのシカの一斉捕獲について、南九州3県に新たに大分県を加え、4県合同で行うこととしたところであります。さらに、イノシシにつきましても、今年度から狩猟期間の終期を、従来の2月15日から3月15日へと1カ月延長するとともに、くくりわなの規制緩和を実施するなど、野生鳥獣の捕獲の強化を図っているところであります。 ◆(十屋幸平議員) 有害鳥獣捕獲班の助成ということが出ました。ここでちょっとお知らせしておきたいと思いますが、いわゆるボランティアでやられるんですけれども、この班の日当ということを換算しますと、私が聞いたところでは300円から500円、この期間が2週間から1カ月に延長されまして、それを掛け算しても推してはかって知るべしだと思います。シカバラ弾といいますのが平均215円、散弾が約130円、実弾というのが200円から300円、2~3発撃ったらその日になくなるんですね。そういうことであれば、当然、なかなか力が入らないというのが人間のさがなのかなというふうに思っておりますので、このあたりの拡充も含めて御要望させていただきたいと思います。 先日、たまたまテレビを見ておりましたら、京都府で30代の猟師が、イノシシやシカ、カモ猟、そしてまた別な仕事をしながら生計を立てている報道がありました。その中で、ヒノキのシカの食害ではげ山になっている映像が映し出されておりました。人間が生態系に悪影響を与えて、イノシシやシカが人里までえさを求めて出てくると、そのような報道もありまして、シカの増加の原因は、ニホンオオカミが少なくなったこと、狩猟する猟師の方が激減したことと挙げられておりました。そこで、宮崎県も同じだと思うんですけれども、警察本部長にお聞きいたします。猟銃所持者数、年齢構成、猟銃による人身事故件数の5年間の推移について、警察本部長にお伺いいたします。 ◎警察本部長(相浦勇二君) お答えいたします。 議員に御配付いただいています資料の3ページ目と4ページ目を見ていただきながらだと、よくわかると思います。3ページを開いていただくと、まず、猟銃所持者数でございますけれども、本年10月末現在4,185人でございます。このグラフでおわかりになりますとおり、5年前の平成15年末と比較をしますと、実数で1,253人、約23%の減でございます。過去5年をずっと見ていきますと、年によって差がありますが、年間大体200~300人程度のペースで減少しておりまして、背景には、恐らく猟銃所持者の高齢化が進んでいることが挙げられるんじゃないかと考えております。4ページ目を見ていただくとよくわかるんですが、本年10月末現在のデータなんですけれども、猟銃所持者の60歳以上の方が、実は全体の約60%を占めておられまして、所持者全体での平均年齢を計算しますと、61.3歳となっております。 また、事故についてでございますが、猟銃による人身事故は、過去5年間を見てみますと、平成18年を除きまして、毎年1件から3件程度の暴発ないしは誤射等による人身事故を認知しております。昨年は10月に、イノシシの有害鳥獣駆除中、矢先の安全を確認しないまま発砲したため、同行のハンターの方が1人亡くなられているほか、同じシーズン、ことしの2月でございますけれども、シカ猟中に、同様の安全不確認によりましてお一方が重傷を負っておられます。以上です。 ◆(十屋幸平議員) 本部長、済みません。資料の説明までしていただきまして、ありがとうございました。 先ほどありましたように、やはり猟をする方が平均250人ずつ減っている。反面、猟銃を持てる許可を受ける方が平均81名ですか、ふえてきているというふうに思っておりますが、ここがなかなか解消しないと、狩猟される方が少なくなってくるのではないかなというふうに思っております。そこで、鳥獣保護防止特別措置法とはどういう法律なのか。また、内容、法律に基づく県内の取り組み状況について、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(後藤仁俊君) 鳥獣被害防止特別措置法は、昨年12月に制定された法律で、国の基本指針に則して被害防止計画を作成した市町村の取り組みを積極的に推進しようとするものであります。被害防止計画には、被害の防止に関する基本的な方針のほか、対象鳥獣の捕獲予定数、それから防護さくの設置等の具体的な取り組みや実施体制等を定めることとされておりまして、市町村に対しては、地方交付税の拡充や補助事業による財政支援のほか、鳥獣被害対策実施隊の設置など、人材確保のための支援措置が講じられることとされております。11月30日現在、県内では、延岡市、高千穂町、日之影町、五ヶ瀬町、綾町及び西米良村の6市町村が、県との協議を行いまして、計画が策定されたところであります。加えて今年度中には、宮崎市など別に8市町村が計画を策定する予定となっております。残る市町村に対しましても、早期の計画作成を支援してまいりたいと存じております。 ◆(十屋幸平議員) 時間も残り少なくなりましたが、市町村の被害防止計画における鳥獣の捕獲予定頭数はどのようになっているのか。また、捕獲担い手の確保の取り組みについてどのように取り組まれるのか、環境森林部長にお伺いいたします。 ◎環境森林部長(高柳憲一君) まず、市町村被害防止計画では、対象とする鳥獣について、今後3年間の捕獲予定数を定めることとなっております。計画を策定しました6市町村においては、主にイノシシ、シカ、猿を対象としており、例えばシカについては、これまで6市町村で年間270頭程度が捕獲されておりましたが、計画では年間700頭程度を捕獲することといたしております。 次に、担い手の確保についてであります。県では、捕獲班への助成を行っておりますが、その担い手となる狩猟者が減少しておりますことから、新たな狩猟免許取得者を確保するため、県内3会場で試験を実施するとともに、県内8地区において実技指導などの事前講習会を開催しているところであります。 また、こうした取り組みとあわせまして、鳥獣被害防止特措法に基づきまして、市町村が非常勤職員の鳥獣被害対策実施隊を設置する場合には、その経費に対する国の財政支援がありますことから、こうした制度の活用を積極的に指導いたしまして、狩猟者の確保に努めてまいりたいと考えております。 ◆(十屋幸平議員) 今の法律の中身でいきますと非常勤職員ということも出ました。公務員の方々に銃を持たせるような内容にも聞き取れるんですけれども、そういうことであれば、率直に考えて―単純な発想で申しわけないんですが―自衛隊のほうが訓練されていて効率的ではないかなというふうに思います。鳥獣被害も自然災害というふうに考えて、その対策として自衛隊に、生態系を維持することを前提に、生息数に配慮した駆除対策をお願いできないか、知事にお伺いしたいと思います。 ◎知事(東国原英夫君) 鳥獣による被害防止施策を総合的かつ効果的に実施するために、農林水産大臣が、鳥獣被害防止特措法に基づき基本指針を定めております。その中で、市町村による自衛隊の協力要請というのは、侵入防止さくの設置、または緩衝帯の整備に限られており、その場合でも、他の手段による対策の実施が困難な場合に限定されておりまして、駆除については今のところ、要請の対象とはなっていない状況でございます。 ◆(十屋幸平議員) 当然、自衛隊は、日本国民の生命と財産を守るというのが大前提でありますので、猿やシカ、イノシシに人間が襲われることはないと思いますが、そういう観点も含め、法改正も含めて、昨年つくられたばかりですから、なかなか難しいと思いますが、全国的に狩猟される方が少なくなっておりますので、その点も十分に意見を国のほうに申し述べていただきたいというふうに思っています。 先ほど福祉保健部長のほうに、時間があればということでありましたが、やはり子育て支援というのは、シーリング方式一辺倒でやることが果たして正しいのか。重点施策は、ある程度の枠を配分しなければ重点施策になり得ないのではないかという考えを持っております。これは、いろんなほかの中山間地の問題、雇用にしてもそうです。シーリング方式、一律カットはしやすいと思います。しかしながら、それでは何のための重点施策か、予算を削られてしまえば、なかなか力の入れようがない。そういう面も含めて、やはり、重点施策であるならば、このような県単事業として他県に類を見ないようないい制度であれば、しっかりと維持すべきであるし、予算を確保するべきであると思います。知事のほうの考えが、いろんな重点施策を出されておりますので、そういう意味においても、前回の議会で予算に関しての議論もさせていただきましたが、そういうことも検討に値するのではないかなと。財政状況が厳しいからこそ、重点施策にはきちんとした手当てをしていく、そういう私個人の考えを持っておりますので、そういうことを含めてお願い申し上げまして、私のすべての質問を終わりたいというふうに思います。ありがとうございました。(拍手) ○副議長(星原透) 次は、黒木正一議員。 ◆(黒木正一議員) 〔登壇〕(拍手) 人がキツネにだまされたという話を、私が子供のころよく聞いたものです。哲学者の内山節さんによると、1965年あたりを境に、それも全国一斉に、日本の社会からキツネにだまされたという話はなくなったそうです。1965年といいますと、43歳の人が生まれた年です。その年はスモッグ警報が日本で初めて出された年になります。前年の1964年には、東海道新幹線が開通し、東京オリンピックが開催されました。1963年から集団就職列車が走り出し、高度経済成長が始まったころになります。 なぜ日本人はキツネにだまされなくなったのか。内山節さんはその理由を幾つか挙げています。 1つは、人間が経済的動物になった。自然の価値も、それに経済的価値があるかどうかで判断するようになった。つまり、高度経済成長によって人間が変わったのが理由ではないか。 2つ目が、科学的に説明できないものはすべて誤りという風潮が広がり、科学ではとらえられない世界をつかむことのできない人間たちをつくった。つまり、科学の時代における人間の変化が理由ではないか。いずれも、人間の何かが変わり、人間がキツネとのコミュニケーションをとれなくなったというものであります。 3つ目の説は、テレビや電話の普及で、それまでの情報のあり方やその伝達のされ方が大きく変わった。テレビの普及は、自然の中から天気予報などの情報を読む能力を弱くし、電話の普及が、人間同士のコミュニケーションから表情の持っていた役割をなくした。つまり、情報、コミュニケーションの変化が人間を変えたのが理由ではないのか。 4つ目は、それまで地域で暮らす人間を育てる一環の中にあった学校が、受験を最優先する学校に変わった。必ず正解があるような教育を人々が求めるようになり、合理主義に価値を見出す意識を身につけていった。つまり、進学率の向上が原因ではないか。そのほか、死生観の変化、自然観の変化もその理由の一つではないか。一方、キツネの側から見ると、拡大造林が始まり、森林環境は変わり、住みづらくなったのも原因ではないかと指摘しています。 経済が成長し、物質的に豊かにはなったが、その内部では、日本の人々が受け継いできた伝統的な精神が衰弱し、同時に日本の自然が大きく変わりながら自然と人間のコミュニケーションが変容していった。1965年当時、日本では精神史に一つの革命がもたらされたと述べております。日本人が経済成長の中で失ってきた人と自然とのコミュニケーション、人と人とのつながりの希薄化が、現代社会にさまざまな問題を起こしているという危機感から、それを取り戻そうという行動が全国各地で起こりつつあります。自然の中で、異なる環境、異なる文化、異なる世代との交流を通じて、教室ではできない「生きる力」をはぐくみ、心や命の大切さを学ぶ機会を、未来を担う子供たちに与えようとする、例えば、自然学校や自然体験型のコミュニティースクール、また、体験型教育旅行などの取り組みがそうであります。国においては、農山漁村における子供体験学習の取り組みを始めようとしています。知事はこのような取り組みをどう考えるか、お伺いをいたします。 次に、林業の振興についてお尋ねをいたします。 1950年後半から60年代にかけて進められた拡大造林、道路もない中を苗をかるって山に登り植林し、将来、退職金がわりにはなるだろうと夢を託して育てた山林が、いざ伐採というときになって、現在の木材価格を目の前にしたとき、まさにキツネにつままれた心境ではないでしょうか。「森林あって林業なし」と言われるように、木材価格の低迷で、山村は、人口は減少、林業者は高齢化し、森林の境界さえわからなくなっていく現状にあります。林業においては、国境措置に関しましても、素材輸入は1961年以来無関税であり、製品輸入だけに関税がかけられてきました。それは、林家ではなく、製材業を初めとする2次産業の中小企業を保護する形で輸入が進められてきたと言えます。製材品の税率は次第に下げられてきておりますが、日本の木材産業は、山元立木価格の引き下げによって、辛うじて生き延びてきたのが実態と言えます。戦後の拡大造林によって資源は成熟し、外材価格の高騰もあり、いよいよ国産材の時代が到来したと言えますが、既に山村には、それに対応するだけの人、エネルギーがないのが現実です。県としても、新しい流通システムへの対応、また植栽未済地対策など多様な対策を行っており、知事みずからも、販路拡大に向けてトップセールスを行うなど意欲的に取り組まれておりますが、林業振興に対する知事の思いをお伺いします。 以下は自席より質問を行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(東国原英夫君) 〔登壇〕 お答えいたします。 子供たちの体験活動についてであります。私もそうでありましたが、山歩きや農作業など自然の懐に抱かれる体験活動は、感動したり驚いたりしながら、いろいろなことを学ぶことができる大切な機会であると考えております。直接体験が不足していると言われる現在の子供たちが、豊かな自然の中で、そこに暮らす人々の営みや文化などを五感を通して学び取ることによって、豊かな人間性や社会性というものがはぐくまれ、たくましく生き抜く力が身につくものと考えております。 次に、林業に対する思いについてであります。本県は、豊かな森林資源を背景として、杉の素材生産量が平成3年から17年連続して全国1位となるなど、国内有数の国産材供給基地としての地位を築いております。しかしながら、木材価格の長期的な低迷や、林業担い手の減少・高齢化など、林業を取り巻く環境は厳しい状況が続いております。このような中で、山村地域の基幹産業である林業を活性化していくことは極めて重要な課題でありますことから、平成21年度の重点施策に中山間地域対策を掲げ、その中で、健全で多様な森林づくりを総合的に推進することとしたところであります。今後とも、できる限りの施策を講じ、林業の振興に取り組んでまいりたいと考えております。以上です。〔降壇〕 ◆(黒木正一議員) 小学生を農山漁村に送り出し宿泊体験学習を行うという「子ども農山漁村交流プロジェクト」がスタートすることになり、現在、モデル的な取り組みが始まっていると聞いております。本県においても、受け入れモデル地域が選定されていますが、このプロジェクトの概要と今後の取り組みについて、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(後藤仁俊君) 子ども農山漁村交流プロジェクトは、御案内のとおり、総務、文部科学、農林水産の3省が連携して本年度から実施しており、小学生が農山漁村で行う1週間程度の宿泊体験活動を推進するものであります。本年度、本県では、西都市において受け入れモデル地域が選定され、7月に宮崎市の小学5年生64人を受け入れたところであります。本プロジェクトの実施により、小学生からは、「初めての農作業体験が大変楽しかった」などの感想が寄せられ、農業・農村への理解が深まったものと考えております。また、受け入れ地域におきましても、「子供たちとの交流により、地域の住民が生き生きとした」などの声が聞かれ、地域の活性化にもつながるものと考えております。今後は、教育機関のみならず、市町村やグリーン・ツーリズム実施団体とも、より一層の連携を行い、県内の受け入れ地域の拡大を図り、本プロジェクトの推進に努めてまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 県内においては、西都市がモデル地域として取り組んだということでありますが、このプロジェクトは、5年後には全国2万3,000のすべての小学校が取り組むことを目標としています。次代を担う子供が、人工的な都会生活を離れて農山漁村に出かけて滞在することで、自然にじかに触れて体ごと学ぶ経験でたくましくなるということが期待される一方、農山漁村も元気になり、活力と誇りを取り戻すことにつながるのでは、そういう期待もあります。農山漁村には廃校舎がふえており、それらの利活用も含め、地域の特徴を生かした多様な取り組みも考えられます。このプロジェクトには、日本再生への祈りにも似た願いが込められていると言う人もいます。本県においても、その体制づくりを進めるべきだというふうに思います。 集落支援員制度について、県民政策部長にお伺いをいたします。 環境問題や食料問題への関心の高まりもあってか、中山間地域への対策が多方面から取り組まれようとしております。国は、集落の維持・活性化のサポート施策として集落支援員制度を設置することになったと聞いております。国が集落を施策とすることは画期的なことだと思いますが、その概要と今後の展開についてお伺いいたします。 ◎県民政策部長(丸山文民君) 集落支援員制度は、総務省の過疎問題懇談会の提言に基づきまして、行政経験者あるいは農業関係業務の経験者など、地域の実情に詳しい外部人材を活用し、市町村に集落支援員を設置するものであります。集落支援員は、集落を定期的に巡回しまして、生活状況、農地・森林の状況等の把握を行うほか、地域住民と共同できめ細かな集落の点検を行いまして、集落のより詳細な現状把握を行います。その上で、集落のあり方の話し合いや、地元市町村と協働した集落の維持・活性化にも取り組むことが期待されているところであります。このように、集落支援員を活用した集落対策は非常に効果が高いものであると考えておりますので、県といたしましても、この制度の周知に努めますとともに、市町村に対し、積極的な取り組みを支援してまいりたいと考えております。以上であります。 ◆(黒木正一議員) 私の住んでおります諸塚村は、NPO法人地球緑化センターから、「緑のふるさと協力隊」を受け入れています。緑のふるさと協力隊は、農山村に関心を持つ若者を、地域活性化に取り組む自治体に1年間派遣するプロジェクトで、農林業や地域行事などさまざまな活動を経験するもので、現在7人目が滞在していますが、これまで派遣された6人のうち2人が村に残って住みついており、その活躍ぶりは地域の人に大きな刺激を与えています。地元の人と心を通わせ、ともに汗を流すことで、地域に新しい風を吹かせています。今言われましたように、行政経験者や農業関係業務の経験者など、地域の実情に詳しい外部人材を活用することも意味のあることと思いますが、住民と同じ目線で暮らすこのような若者こそ、今、厳しい状況にある集落が求めているものです。経験は未熟でも、真剣に生きる力、生きる道を身につけようと模索する都市の若者を集落支援員にする仕組みづくりが必要ではないかと私は思います。 次に、過疎法について、知事にお尋ねをいたします。 2010年には、過疎地域の総合的な対策を盛り込んだ過疎地域自立特別措置法、いわゆる過疎法が失効し、条件不利地域の農地保全を目的とした中山間地域等直接支払制度、この第2期も終了します。市町村合併を促進する新合併特例法も失効。さらに、日本の農林業を支えてきた昭和1けた世代がすべて後期高齢者になり、就業者の高齢化が一段と進む。この4つの問題をどう解決するか、「農山村の2010年問題」とも言われております。 さて、いわゆる過疎法は、過疎地域対策緊急措置法から今日の自立促進法に至るまで、10年ごとに新法として継続され、財政・行政・金融・税制上の特別措置により、これまで、交通通信体系の整備、情報化並びに地域間交流、そして産業の振興にその7割以上が投資され、人口の流出に歯どめをかけるには至らなかったものの、過疎の振興に大きな成果を上げてきました。過疎法の果たしてきた役割について、知事はどうお考えかお伺いいたします。 ◎知事(東国原英夫君) いわゆる過疎法は、昭和45年の過疎地域対策緊急措置法の施行以来今日まで、10年ごとに3度にわたり制定されております。本県におきましては、この間、過疎法に基づき、国、市町村と連携しながら、交通通信体系の整備、産業の振興、生活環境の整備など、総合的な過疎地域対策に取り組んでまいりました。その結果、過疎地域においては、社会資本や生活環境の整備が着実に進展しており、過疎法は過疎地域の振興に大きな役割を果たしてきたものと考えております。 ◆(黒木正一議員) 将来の食料危機への不安や食料価格の高騰に伴って、食料自給率向上の問題が浮上してきております。また、バイオマスなどの化石燃料にかわる新エネルギーの開発や、地球温暖化を防ぐCO2の削減など、日本が今、直面する大きな課題、食料、環境、エネルギーは、いずれも解決策は地方にしかなく、過疎地域の役割はこれまで以上に高まっていると言えます。このような中、過疎地域を多く抱える地域の知事会等を中心として、過疎新法の制定に向けた取り組みが行われております。過疎法は来年度で失効することになっておりますが、新過疎法の制定に向けての対応について、知事にお伺いいたします。 ◎知事(東国原英夫君) 現在の過疎地域を取り巻く環境は、急速な少子高齢化の進展や担い手の減少など、依然として厳しいものがあります。また、過疎地域は、県土の保全、水源の涵養、食料の供給機能など県民の生活を守る重要な役割を果たしており、今後とも引き続き、過疎地域に対する支援が必要であると考えております。このようなことから、本県におきましては、新たな過疎法の制定に向けて、県内過疎市町村との意見交換等を行うとともに、国等に対し、県単独での要望活動のほか、全国知事会や全国過疎地域自立促進連盟等を通じた要望活動を行い、過疎対策の継続を強く求めてまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 続きまして、中山間地域等直接支払制度についてお尋ねをいたします。 この制度は、集落協定の締結が支払い条件であること、また、さまざまな面で集落が重視されていること、助成対象の農家についても選別するようなことがなくて、集落のすべての農家が対象になっていること、こういうことで集落における話し合いの活動が活発化し、共同での生産活動が行われたり、耕作放棄地の防止が図られております。また、自治体の裁量権が大きく認められており、中山間地域の自然条件や、おのおのの地区の生活様式や個性を尊重することができることもあって、地域での評価も高いものがあります。この制度のこれまでの取り組みをどう評価し、今後どのように取り組んでいくのか、知事にお伺いいたします。 ◎知事(東国原英夫君) 私は、中山間地域の活性化は、本県にとりまして最も重要な課題の一つであると認識しております。本県においては、平成12年度より、生産条件が不利な中山間地域等において、農業生産の維持や農地の多面的機能の確保等を目的とした集落の活動に対して、中山間地域等直接支払制度による支援を実施しておるところでございます。平成19年度におきましては、24市町村の5,738ヘクタールの農地を対象に7億3,830万円の交付金が交付され、具体的には、集落において、農地や農道、水路の維持管理、機械及び農作業の共同化などの取り組みが行われており、その結果、新たな耕作放棄地の発生が抑制されるとともに、集落の共同意識の醸成など、地域の活性化が図られているものと考えております。このようなことから、平成21年度で終期を迎える本制度につきましては、その継続と内容の充実を国に対して強く要望してまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 先日、会派で中山間地域の調査に行きましたけれども、この制度はいろんな、生コン舗装とか作業路の復旧とかに活用されておるし、棚田をこの制度が守っているというような継続を求める声が、多くの人から上がりました。過疎法とあわせて、継続へ向けて国へ強く要望していただくようにお願いをいたします。 次に、公立病院改革についてお尋ねをいたします。 全国の医療機関が医師不足にあえぐ中にあって、不足する医療従事者を効率的に配置し、病院の経営改善に結びつけようと、医療機関の統合・再編を検討する自治体が全国的にふえております。その背景には、国が、公立病院への財政支援の前提として再編・ネットワーク化を強く求めていることがあると思われます。本県におきましても、公立病院改革ガイドラインに基づき、改革プランを関係市町村が本年度中に策定することが求められています。公立病院改革プランとはどのようなものか、また、県としてどのように取り組むのか、総務部長にお伺いします。 ◎総務部長(山下健次君) 公立病院改革プランにつきましては、公立病院をめぐる環境が、御指摘のように厳しさを増す中で、地域において必要な医療を安定的かつ継続的に提供していくために、関係市町村におきまして今年度中に策定することが求められているものでございます。具体的には、それぞれの地域におきまして市町村立病院が担うべき機能や役割を明らかにした上で、持続可能な医療提供体制の構築に向けた取り組みを進めるものでございます。県といたしましては、病院事業が、市町村の財政運営に与える影響や、地域医療の確保に果たすべき役割を十分に考慮しながら、地域住民に対する医療サービスが今後とも安定的に提供されるよう、必要な助言を行ってまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 山村に入りまして、人に「一番不安なことは何か」というふうに聞きますと、「地元の医療機関にお医者さんがいるかということだ」ということをよく聞きます。また、同様に都会から移住してきた人に聞きましても、医師、病院の問題のことを不安材料として伺うことがあります。宮崎県移住ガイドブック「みやざきコンスマガイド」にも、医療機関が重要データとして記載をされております。移住を進める上でも、医療環境の整備は重要なことであります。公立病院の大きな役割の一つに、過疎地のような採算性等の面から民間医療機関による提供が困難な地域への医療を提供することがあります。この改革プランには、経営の効率化が大きく求められております。効率化のかけ声のもとで、全国的に医師が不足する中、医療制度改革の失敗のツケが僻地医療に回ってくるのではないかと危惧されます。山間僻地には、賃金、教育、文化などの格差があります。それをすべて都会のようにということには困難があります。しかし、最も重要な命の格差が広がることは、何とか防がなくてはなりません。この公立病院改革プランの策定が、僻地医療の切り捨てにつながっていくことにはならないか、総務部長にお伺いします。 ◎総務部長(山下健次君) 県内の市町村立病院につきましては、僻地医療や救急医療など地域医療を支える重要な役割を担っておりますが、近年、御指摘のように医師不足などの経営環境の悪化によりまして、地域において必要な医療を継続的に提供していくことが大きな課題となっておるところでございます。公立病院改革プランにつきましては、病院経営の効率化と地域医療の確保、この2つの観点から策定するものでございますので、各市町村において策定をいたしました改革プランに基づき、それぞれの地域の実情に応じた取り組みを進めることは、将来にわたって、僻地医療を初めとする地域医療を守ることにつながるものと考えております。 ◆(黒木正一議員) ぜひ地域医療を守ることにつながるように御努力いただきますよう、お願いをいたします。 続きまして、林業の振興に関しまして幾つか質問をさせていただきます。 まず、需要拡大についてでありますが、戦後の経済回復につれて木材需要がふえて、木材価格も上がって、林業がもうかると思われた時期、1950年から1975年にかけて積極的に造林が進められて、本県では山林の60%が人工林となり、民有人工林の73%が杉で、そのうち6割が8齢級以上となりました。外材価格の高騰もあり、合板を含めた新建材製造の技術開発などが進み、大資本による合板工場、集成材工場の進出で、一気に国産材に対する大型需要が発生する状況になっております。 本県においては、中国木材の進出に関して覚書が交わされ、進出時期については不透明ですが、県産材の大きな需要拡大が見込まれることとなりました。しかし、その原料をB材、C材に求めており、価格設定を1立方メートル当たり1万円前後としており、これまで安値であったこれらの価格を上げる機能は持つものの、国産材価格全体の大幅な上昇とまでは望めないのではないかと考えられます。1立方メートル当たりの原木価格1万円前後では、山林所有者による森林の再生産は不可能であり、国産材価格の上昇のためには、A材を中心とした販売促進、需要拡大が不可欠であります。県は、県産材の需要拡大にどう取り組んでいくのかお伺いします。 また、木材の輸出についてもお伺いします。本県は、松形知事の時代に木材の中国への輸出に熱心に取り組んでおり、2002年6月に県の第1次調査団が派遣され、県森連は年間100万立方を目標に輸出する旨の覚書を交わしています。7月の第2次調査団に続き、9月には宮崎県林務部長と福建省林業庁長との間で、覚書を評価し支持することや、林業事業における交流と協力を行う共同声明を出しています。11月には、アモイで開催された国際木材産品交易会に出席し、宮崎県は、2階建ての木造住宅を出展するほか、杉材による内装材や家具なども展示、福建省副省長と、木材貿易の促進に互いに努力することなどを盛り込んだ覚書に調印したことになっております。まだ遠い昔のことではないのですが、どうなっているのかと思います。現在の海外への輸出の状況や将来性について、環境森林部長にお伺いします。 ◎環境森林部長(高柳憲一君) 県産材の需要拡大につきましては、林業の振興や山村地域の活性化を図る上で大変重要であります。このため県では、県内における公共施設等の木造化・木質化や、住宅業界と連携して外材を県産材へ転換するモデル的な取り組みなどを支援しているところであります。また、大消費地でのトップセールスや商談会等の開催に加えまして、県産材をふんだんに使った産直住宅の推進にも努めているところであります。お話にありましたように、海外輸出につきましては、商談会やサンプル材の輸出等に対し支援しておりますが、中国では、杉材の利用技術が普及していないなどの理由から伸び悩んでいるものの、韓国は、平成19年度の輸出額が前年度の約2倍になるなど、成果があらわれてきております。今後とも、関係団体と連携強化を図りながら、県産材の需要拡大に向けた取り組みを推進してまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) 当時、100万立方メートルを目標に輸出するという話がありまして、非常に山村も期待をしたものでありましたけれども、商習慣とかいろんな需要動向でなかなか難しいことはわかりますが、今後とも努力していただくように、よろしくお願いをいたします。 昨年6月に改正建築基準法が施行されまして、建築確認に大きな混乱が生じ、住宅着工戸数が大幅に減少し、特に分譲マンションで激しく、その影響が建材や家具業界にも及び、これが結果的に木材価格の下落にも波及したと言われています。法改正の影響の大きさに、官製不況とも言われておりますが、本県における戸建て木造住宅の着工戸数の状況について、県土整備部長にお伺いいたします。 ◎県土整備部長(山田康夫君) 国の新設住宅着工統計によりますと、本県における平成19年6月の改正建築基準法施行後の戸建て木造住宅の着工戸数は、法改正直後の7月、また8月には減少が見られておりますが、その後はおおむね18年度の水準で推移をしております。その結果、平成19年度は3,684戸で、18年度の3,916戸と比較しますと、戸数で232戸、率で5.9%の減となっております。また、20年度につきましては、10月末現在2,200戸で、19年度同期の2,207戸と比較しますと、戸数で7戸、率で0.3%の減となっておりまして、おおむね19年度の水準で推移をしている状況にあります。 ◆(黒木正一議員) 本県では、戸建て木造住宅においては法改正直後に減少があったものの、おおむね平年並みの水準で推移しているということでありますが、住宅着工数は景気に大きく影響されることから、現下の景気の悪化は大いに懸念されるところであります。耐震強度偽装の再発防止のための法改正は、これだけにとどまらず、従来は構造審査が免除された4号建築物が、新しく審査の対象に含まれることになる改正が予定されており、いずれ小規模な建築物に対する審査が始まれば、新たな問題の発生が考えられます。さらに、来年10月には、住宅瑕疵担保履行法が施行されることになっており、住宅供給業者に、保険への加入か保証金の供託が義務づけられることになります。先日行われた林業活性化議員連盟の研修会において、これらの改正は、国産材の使用率が高い中小規模の工務店への影響が最も大きいことが指摘されました。昨年6月の法改正後の混乱の原因は、周知徹底を十分に図る期間を設けず、準備不足のまま見切り発車が行われたことだと言われております。再び混乱し、住宅・木材産業へ大きな影響が及ぶことのないよう対応が望まれます。また、中小の工務店に対する周知にどのように取り組んでおられるのか、県土整備部長にお伺いいたします。 ◎県土整備部長(山田康夫君) 「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」、いわゆる住宅瑕疵担保履行法につきましては、平成21年の10月に施行されることとなっております。この法律の対象となる住宅は、戸建て木造住宅を含むすべての新築住宅とされておりますことから、多くの中小工務店等に法律の趣旨や内容を正しく理解していただくことが重要だと考えております。また、建築確認申請において、木造住宅等を建築士が設計した場合には、構造耐力等に関する規定の審査を省略できる、いわゆる4号特例という取り扱いがありますけれども、この取り扱いにつきましては、国において見直しが予定をされているところであります。しかし、その見直しの具体的な内容や時期につきましては、現在のところ未定とされておりますが、見直しの実施に際して混乱を招かないためにも、事前に十分な周知を図ることが重要であると考えております。このため県といたしましては、住宅瑕疵担保履行法や4号特例につきまして、既に中小の工務店等を対象に、県内各地で講習会等を開催したところでございます。今後とも、市町村や関係団体とも連携を図りながら、周知の徹底に努めてまいりたいと考えております。以上であります。 ◆(黒木正一議員) 周知の徹底を図って、混乱のないように努めていただきますよう、よろしくお願いをいたします。 先ほどの質問で、十屋議員から鳥獣害のことについて質問がありましたけれども、鳥獣害の問題を調べておりますと、野生動物の生態系を人間が大きくゆがめているのではないかと思えることがあります。例えば、シカは雄が平均12年、雌が15年生きるのだそうですが、ゼロ歳の死亡率が個体の群れの変動に大きな影響を与えている。特に誕生した年の最初の冬を生き延びるかどうかが、シカがふえるかどうかにかかっている。つまり、温暖化がシカの増殖をもたらしているのではないかと指摘する人もおります。また、近年、クマによる人身事故が増加しておりますが、異常気象による気圧の変化で、クマが異常な行動をとっておるというふうに説明する人もおります。人為的に引き起こされた生態系の変化が、地球温暖化、異常気象を招いているというのは、各方面から指摘されておりますし、森林に人工的に手をかけた以上、その管理をしっかりとしなければならないのは当然のことであります。京都議定書において、日本は6%のCO2削減を公約し、このうち3.8%は森林がCO2を吸収することで実現を目指すことになっておりますが、その対策についてお伺いをいたします。 森林があれば、あるいは森林の整備を行えば、自動的にCO2吸収量として計上されるものではなく、日本の場合、植林はほとんど対象にならないことになっております。つまり、間伐がその対象になり、そのための予算も組んで、国は対策推進を行おうとしております。本県においては十分な予算措置がされて、本県の間伐の取り組みが行われているのかどうか、お伺いをいたします。 ◎環境森林部長(高柳憲一君) 間伐につきましては、京都議定書の森林吸収量の目標を達成するため、本年5月に間伐等促進法が施行されたところであります。これを受けまして県では「間伐等の基本方針」を定め、今後5カ年で約5万ヘクタールの間伐を計画したところであります。本計画の実施に当たりましては、通常の間伐に加え、本県人工林の58%を占める高齢級森林の間伐を進めていくことが大変重要であります。このため本年度は、新たに創設した「70年の森林」間伐実施事業や国の補助事業等を活用し、約8,000ヘクタールの間伐に取り組んでいるところであります。 ◆(黒木正一議員) 林業関係の要望の中にいつも上がってくるのが、森林境界の明確化の件であります。森林所有者が高齢化し、また不在村所有者の増加により、次第に森林境界が不明確になっております。そのことが解決されなければ、計画的な森林整備を進める上で大きな障害となってくると考えられます。地籍調査が徐々に進んではおりますが、その進捗状況はどうなっているのか、農政水産部長にお伺いいたします。 ◎農政水産部長(後藤仁俊君) 本県における地籍調査は、国有林や公有水面を除く5,688平方キロメートルを対象に実施しております。平成20年度末までに3,358平方キロメートルを完了しまして、進捗率は59%となる見込みであります。今後の見通しにつきましては、調査の実施区域や事業主体となります市町村の体制及び予算の状況等にもよりますが、過去5年間の実績をもとに推計しますと、10年後には72%程度になるものと思われます。 また、山林につきましては、約4,200平方キロメートルの調査対象面積に対し、平成20年度末までに2,347平方キロメートルを完了し、進捗率は56%となる見込みであります。 ◆(黒木正一議員) 大変わかりやすい答弁をいただきました。農地に比べて山林は境界がわかりづらいし、今の進みぐあいでは何十年かかるかわかりません。これは課税上も不公平が続くわけで、より一層、取り組みを強化する必要があろうと思います。今後の取り組みについて、環境森林部長にお伺いいたします。 ◎環境森林部長(高柳憲一君) 森林の境界につきましては、今答弁がありましたように、市町村が地籍調査を実施することとなっておりますが、進捗率の低い市町村もあります。また、お話のように、森林所有者の高齢化や不在村化等によりまして森林の境界確認が年々難しくなってきております。このため県では、森林整備地域活動支援交付金事業におきまして、森林所有者による間伐等の実施に伴う境界確認に対して補助金を交付しているところであります。また、管理不十分な森林を適正に管理していくため、平成19年度から、県単独の森林施業長期受託実践モデル事業におきましても、森林組合が、不在村地主等の森林について簡易な境界測量を実施しているところであります。 ◆(黒木正一議員) 温暖化対策に資する森林整備を進めるための新たな税制度の創設について、知事にお尋ねしたいと思います。 本県においては、18年4月に森林環境税をスタートさせ、さまざまな事業が行われています。現在、名称は異なりますが、同じような制度が30の県で実施されております。最も税額が大きいのが神奈川県の38億円、これは本県の約13倍となります。本県に比べ神奈川県は人工林率も38%と低く、整備すべき森林面積も少ない中で、多額の森林整備費が使われております。人口の少ない本県は税額が3億円弱であり、広大な森林面積、人工林を有しており、県内全域にわたる十分な森林整備は当然不可能であります。神奈川県においては、シカ被害等の鳥獣害対策にも調査研究などに多額が割り振られております。森林整備を地方税方式によって行うとすれば、財政力において大都市圏と地方弱小県との格差は大きく、大きな不公平が生じることになります。本来、森林は国土保全の原点であり、国が資金の再配分によって責任を持って整備すべきものであります。本県は国に対し、温暖化に資する森林整備のための新たな税制度を国税として創設して、資源を循環させるために必要な対策の費用として国民が負担すべきではないかとの視点から要望しておりますが、その考えと今後の取り組みについて、知事にお伺いいたします。 ◎知事(東国原英夫君) 温暖化対策のための税制度につきましては、その早期創設と、それを財源とした森林整備の充実強化が図られるよう、毎年、国に対し要望してきているところであります。このような中、ことしの6月に閣議決定された骨太の方針2008におきまして、環境税が初めて税制改革の重点事項として明記されたところであります。現在、国におきましては、税制改革の議論が行われておりますので、県といたしましては、その動向を注視するとともに、引き続き国への要望を行ってまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) ぜひ強力な要望をしていただきまして、新しい税制度ができるように御努力をよろしくお願いいたします。 続きまして、植栽未済地対策、下刈り補助の延長について質問をさせていただきます。 宮崎県の素材生産量は、北海道に次いで全国第2位でありますが、植栽未済地も、1位の北海道の8,980ヘクタールには遠く及ばないものの、岩手、三重、青森、大分県―700~800ヘクタール台ですが―の3位グループを大きく引き離しての全国2位の面積であります。県が重点施策として造林補助に上乗せするなど、その解決・抑制に取り組んでいるのは重要なことであると思います。日本には、「木を切ったら植える」という文化があると言われておりましたが、なぜそれができなくなりつつあるか。一言で言えば、もうからないからであります。山元立木価格は、昭和55年の価格に比べて、杉が15%、ヒノキが24%にまで落ち込んでいます。森林・林業白書によりますと、平成19年の杉の山元立木価格は1立方メートル当たり3,369円、50年生程度の立木を販売して得られる収入は、1ヘクタール当たり126万円と試算されており、これに対し、再植林と5年間の下刈りに要する費用は1ヘクタール当たり135万円、除間伐の費用を含まない段階で既に9万円の赤字。これでは山に投資する意欲が出るはずはなく、森林所有者に利益が還元されるシステムができない限り、木を植えることは負担にしかならないのです。国、県の森林整備事業などにより、かろうじて再造林は維持されており、一部の市町村は事業費を上乗せしてでも植栽未済地を防ごうと必死に取り組んでいるのが現実であります。 日本は高温多湿の夏を持つ温帯モンスーン気候に属しており、農業が雑草との戦いであるように、林業も雑草、雑木との戦いであります。下刈りなどの初期保育にかかる費用が、他の林業国と比べてけた外れに大きく、労働コストが高いことも、日本の林業が経営的に成り立ちにくくなっている大きな理由となっています。森林整備事業における下刈りの補助対象林齢は6年生までとなっていますが、幾つかの市町村では、育林の状況から、上乗せして植栽未済地の抑制につなげています。下刈り補助金の1年間延長はできないか、環境森林部長にお尋ねいたします。 ◎環境森林部長(高柳憲一君) 下刈りにつきましては、植栽した木が3メートル程度の高さに成長し、雑草、雑木による影響が少なくなる6年生までを補助の対象としているところであります。7年生の造林地につきましては、関係者の意見や現地の実態等を把握してまいりたいと考えております。 ◆(黒木正一議員) ぜひ前向きな御検討をいただきたいと思います。 次に、林業技術職員の採用についてお伺いいたします。県職員全体の数が削減されている中でありますが、本県における林業技術職員の採用はどうなっているかお伺いいたします。 ◎環境森林部長(高柳憲一君) 林業職員につきましては、ここ数年、毎年1名から2名が採用されているところであります。 ◆(黒木正一議員) 林業普及制度は1949年に始まっており、農業改良普及制度の1年後にできておりますが、森林所有者に対して、主に林業に関する技術及び知識の普及と森林施業に関する指導を行ってきました。最近の林業情勢の変化、環境問題への関心の高まりから、広く一般に森林や林業に関する情報を提供し、理解を求めるなど、職務内容の広範化、多様化が進められております。一方で、予算、人員のカットが行われています。森林・林業への期待が高まる中にあって、その重要性は増すことが予想されます。森林を守り、循環可能な林業をつくり、山村社会を振興するかなめとなる林業普及指導制度を日本は持っています。さらに、この制度の効果を高めるためには、人材の確保育成が必要と思いますが、その考えを環境森林部長にお伺いいたします。 ◎環境森林部長(高柳憲一君) 多様化、高度化するニーズに的確に対応するためには、職員一人一人の能力を高めていくことが大変重要であります。このため、経験豊富な技術職員を各職場にバランスよく配置し、長年培った技術を若手職員に継承するとともに、国や民間の専門研修機関へ職員を派遣するなど、人材の育成に努めているところであります。 ◆(黒木正一議員) 日本の林業は、ヨーロッパの林業と比べてまだ歴史が浅いと言われておりまして、これからが、いよいよどう使うかという時代になります。そういう中で、林業普及指導員というのも非常に重要な役割を果たします。どうか、有能な人材の確保育成に取り組んでいただきますようにお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手) ○副議長(星原透) 以上で午前の質問は終わります。 午後は1時再開、休憩いたします。   午前11時51分休憩────────────────────    午後1時0分開議 ○議長(坂口博美) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次は、図師博規議員。 ◆(図師博規議員) 〔登壇〕(拍手) 愛みやざき、図師博規です。 先月、世界でも最先端の福祉制度を学ぶため、デンマークに行ってきました。デンマークの医療・福祉・教育の制度を学ぶために、世界各国から留学生が集まる文化交流学院という専門校にて研修をしてまいりました。御承知のとおり、デンマークは、高負担高福祉国家として成熟した社会保障制度が整備されています。基本的に、医療・福祉・教育にかかる関係費用は無料です。利用者が望むサービスが包括的に提供されています。 例えば、医療の現場では、家庭医制度といって、日本では始まったばかりの総合医制度と類似する制度が戦後間もなくから整備され、人口1,500人から2,000人に1人の割合で家庭医が全国に配置されています。それにより、医師の偏在問題は全くないということでした。救急以外の診療は、家庭医を通して専門診療に回される体制が徹底されているため、日本で問題になっているようなコンビニ受診や患者のたらい回しといった社会問題はありませんでした。 また、別の制度で、在宅死制度というものがありました。在宅で死ぬことを選べるという制度です。終末期にある方を住みなれた地域で、在宅でみとる体制が確立していました。この在宅死制度とは、むげな延命措置をすることなく、本人の望む環境で安らかに終えんのときを迎えていただく制度で、地域に24時間の医療・看護・介護の供給体制が完備されているのはもちろんのこと、本人が人生最後のときを一緒に過ごしてほしい家族や友人とともに生活できる、そういう環境設定ができる制度なんです。もう少し詳しく申しますと、その付添者、みとりをしていただく付添者が就労している場合、その就労されている方の所得保障までも国がしてくれるという制度なんです。この制度を利用することにより、デンマークでは約8割の方が在宅で亡くなられています。日本では一体何割の方が、地域で、家で、畳の上で亡くなられているでしょうか。 また、別の制度で、女性の社会進出も日本よりはるかに進んでおりました。それを支える子育ての支援策も充実していました。男性の育児休暇取得は当たり前。学校が始まる前の早朝学童保育というものがあり、早朝学童保育では朝食の提供がなされ、朝御飯を保育園で家族そろって食べてから子供を送る、親は仕事に行くという光景がありました。また、地域で4~5人の子供を保育する方の所得保障をする子育てママ・パパ制度というものがあり、これは都市部より地方のほうが発達していました。さらに、地域で12名以上のグループが教育・文化・スポーツ活動をする際の講師や指導者の人件費を完全に国が負担するという制度などなど、子育てを支援するための制度が充実しているため、日本で問題となっておるような少子化問題という状況にはなっていません。私は、デンマーク研修に行くまでは、女性の社会進出が少子化を招いているんじゃないか、情緒不安定な子供をふやす原因になっているんじゃないかと、偏った考えを持っていました。しかし、デンマークでの話を聞けば聞くほど、その固定観念はがらがらと音を立てて崩れていきました。 イギリスのレスター大学が発表した世界各国の国民の幸福度ランキングでは、医療費が無料、世界最高水準の国民1人当たりの国内総生産、さらには高い教育レベル等々の理由で、デンマークが世界第1位となっております。ちなみに、この調査結果で第8位がブータン王国です。アメリカは23位、日本は178カ国中、90位です。この調査結果の上位20カ国には、福祉政策の充実で知られる北欧の国がずらずらと並んでいます。これらの福祉先進国の制度をそのまま本県の政策に反映させることは困難だとしても、その方向性を見習うことは大変意義があることだと考えます。 デンマークの消費税は25%でした。所得税は累進課税で最低税率が38%で最高は63%。日本の所得税率、最高は40%ですから、その開きといいますか、重課税であることは間違いないわけでありますが、先ほど言いましたデンマークの総合医の先生の話を聞く中で、「我々デンマーク人は、医療・福祉・教育サービスが充実するのであれば、幾らでも高い税金を払う覚悟がある」と言い切られました。国民と政治の信頼関係が強い、そしてかたいと私は考えました。痛感させられました。日本は、福祉充実のために消費税等を上げなければならないことは明白なのに、政治と国民の信頼関係が希薄なため、消費税問題を先送りにしているこの状況とは大きく違いがあります。 文化交流学院の先生はこうもおっしゃいました。「デンマークには日本からも多くの行政関係者が研修に来られます。しかし、その日本から来る方々は、決まって「デンマークと日本では歴史や文化が違い過ぎるから制度が違うのも当然だ」といった言葉で片づけられようとする。しかし、日本が第二次世界大戦で敗戦国となり焼け野原になった歴史と、デンマークも第二次世界大戦でドイツ侵攻に遭い焼け野原になった、その歴史的傷跡は同じだ。そこから戦後65年余りの時間を積み上げてきた。その時の流れの中で、経済至上主義の国をつくった日本と、社会保障第一で福祉の国家をつくり上げたデンマーク。そのかじ取り役をしてきたのはあなたですよ。行政ですよ。あなた方が歴史や文化の違いで片づけるのは指導力のない者の言いわけだ」と、そこまで厳しい言葉を言われ、その言葉が今も胸に突き刺さっています。 日本では弱者を追い込む後期高齢者医療制度や障害者自立支援法の内容があり、高齢者を地域に放り出すことになりかねない療養型病床群の廃止もあります。さらには、高齢者介護を支える介護職員は、志はあれども低所得がゆえに仕事が長続きしない。そして、介護職員養成学校は、定員の半分にも満たない学校が続出しており、国は介護力不足を補うために、東南アジアから安い労働力の受け入れを始めました。そして、国内はフリーターやニートの増加が社会問題となっています。このような状況をかんがみ、知事にお伺いいたします。知事はこのような日本の福祉行政をどのようにとらえていらっしゃいますか。地方自治体の福祉行政は、中央追従しか方策はないのでしょうか。また、宮崎の福祉行政の未来に、知事はどのようなビジョンをお持ちなのか、所見をお聞かせください。 以下の質問は自席にて行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(東国原英夫君) 〔登壇〕 お答えいたします。 福祉行政は、子供や高齢者、障がい者あるいは経済的困窮者等に対し、公的な支援を行うことによって、そこに住むすべての人にひとしく安定した生活環境を提供するもので、幅広い行政分野の中でも、住民生活に直結する極めて重要なものであり、我が国の福祉行政も、そのような視点に立って運営されているものと認識しております。急速に進む少子高齢化等を背景に、近年、福祉や医療に関するさまざまな制度の見直しが進められておりますが、福祉行政の充実には、今後さらなる改善が必要と考えるところであります。こうした中、本県におきましては、新みやざき創造計画に「だれもが自分の住んでいる地域で生き生きと安心して暮らせる」社会づくりを掲げ、国の制度を基調としつつ、重点施策の一つとしている「子育て・医療対策」を初め、独自の視点も踏まえた関連施策を、多様な角度から積極的に推進しているところであります。今後も、国の動向を注視しながら、市町村を初め関係機関等とさらに連携を深め、県民の皆様と一体となって、目標実現に向け全力を尽くしてまいりたいと考えております。〔降壇〕 ◆(図師博規議員) 知事のただいまの御答弁、だれもが住みなれた地域で生き生きと暮らしていける社会づくり、まさにそれはノーマライゼーションの取り組みそのものです。その実現に全力を尽くすとの力強い御答弁を信じて、以下の質問をしてまいります。 まず、医療の実態についてお伺いします。現場では、研修医制度の改悪により、産婦人科医・小児科医不足や医師の偏在問題が顕著ですが、現在、宮崎県の中山間地域を含む公立病院及び診療所では、一体何名の医師が実際不足しているんでしょうか。福祉保健部長、お願いします。 ◎福祉保健部長(宮本尊君) 県内の市町村立の病院及び診療所につきまして、本年6月1日現在で調査したところ、13の病院・診療所において、病院等が希望する医師数に対して、23名が不足しているということでありました。 ◆(図師博規議員) 23名もの医師が足りていないということですが、県もその状況を改善するために、医師派遣システムや医師研修資金制度、また自治医科大学には年間1億2,700万もの拠出、そして宮崎大学医学部のほうでは地域枠を創設するなど、策を講じていらっしゃるのは理解できます。しかし、現場の急激な変化に対応できていないということも事実です。今述べた政策が十分機能したとして、福祉保健部長が言われた23名の医師不足が解消されるまでには、おおむね何年ぐらい時間がかかると予想されているんでしょうか。福祉保健部長、お願いします。 ◎福祉保健部長(宮本尊君) 医師派遣システムにつきましては、これまで2名の医師を採用しており、今後、全体として6名を確保することにしております。また、医師修学資金による医師の養成確保でありますが、早ければ平成22年度には医師を公立病院等に配置できる見込みであり、その後、徐々に増加しまして、10年後の平成30年度には、24名の医師が確保できるものと考えております。このほか、自治医科大学卒業医師の派遣や小児科専門医師研修資金の貸与等、さまざまな対策に取り組んでいるところであります。今後とも、関係機関との連携を図りながら、医師確保に全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。 ◆(図師博規議員) 順調にいって10年かかるんですね。壇上でも述べましたが、デンマークでは家庭医を全地域に配置しています。簡単にその状況を説明しますと、住民1人当たり年間200クローネ、日本円に換算して約4,000円負担を算出基礎として、約2,000人に1人の割合で医師を配置していますから、約800万円を診療報酬以外の所得保障として医師に用意し、地域の医師定住を実現しています。日本でも、1次医療の担い手として総合医制度が動き出してはいますが、総合医が養成されたとしても、地域に定着してもらえる保証はどこにもありません。そこで、総合医の定着を推進するためにも、地域医療を守るための目的税導入をしてはどうかと考えます。命を守る目的税であれば、十分県民の共通理解も得られると考えますが、知事の御所見をお伺いします。 ◎知事(東国原英夫君) 議員御指摘の総合医確保ための地域医療目的税の導入につきましては、医療保険料以外に新たな負担を求められる県民の合意が得られるかなどの課題があり、大変ハードルが高いものと考えております。なお、「総合医」は、日本では「かかりつけ医」的なものだと思いますが、かかりつけ医を持つことは非常に重要でありますので、そういったものの啓発には今後も努めてまいりたいと考えております。 ◆(図師博規議員) 議会のたびに、一般質問のたびに、中山間地の医師確保を、救急医療体制を、そういう議題が取り上げられます。私は今の知事であれば、県民の賛同を得ながら、新税導入というのは可能じゃないかと考えます。医師確保だけでは、地域の暮らしを守ることにはなりません。住みなれた地域で人生を全うしてもらうためには、昼夜を問わない必要に応じた看護・介護の供給体制を整備する必要があります。その在宅福祉を推進するため、利用者の自己決定と選択により、サービスを受けられることを定めたのが、2000年に導入された介護保険制度であります。福祉保健部長にお伺いしますが、この介護保険制度導入後、県内の福祉情勢は、今までの施設型から在宅型に移行していると思われますか。いかがでしょう。 ◎福祉保健部長(宮本尊君) 施設型福祉から在宅型福祉への移行状況につきましては、例えば平成12年度と19年度の介護給付費の比較では、在宅サービスがプラス88.8%、施設サービスがマイナス3.3%となっておりまして、給付費の伸びから見ますと、在宅への一定のシフトが図られたのではないかと考えております。しかしながら、施設サービスのマイナスにつきましては、食費の自己負担導入等の制度改正による要因が大きく、施設定員としては増加していることから、現時点では、施設型福祉から在宅福祉へ移行したとまでは言い切れない状況と考えております。 ◆(図師博規議員) しっかり現実を見ていただいた御答弁であったと思いますが、私の手元には、要介護認定者のうち要介護度が4もしくは5の方が、在宅で生活されているかどうかを調査した資料があります。その資料によると、県内には1万1,110名の要介護度4、5の方がいらっしゃいますが、そのうち在宅で介護されている在宅者割合は10%程度です。さらに、在宅割合が低い地域は、西都・西米良、西臼杵、西諸県といった中山間地域を抱えるところで、介護が必要な状態になると、暮らしなれた地域を離れなければならない、山からおりなければならない実態が浮き彫りになっているんです。在宅介護率を上げるためにも、夜間を含めた24時間の看護・介護サービスの供給体制整備を図る必要があると考えます。県内の福祉の供給体制、24時間の介護・看護の供給体制は整っていると言えるんでしょうか。福祉保健部長、いかがでしょう。 ◎福祉保健部長(宮本尊君) 訪問看護・訪問介護サービスにつきましては、現在、県内に約800の事業所がありまして、利用者のニーズに応じて、早朝・夜間帯や緊急時、さらには終末期を含めた介護サービスを提供しているところであります。しかしながら、御指摘のように、中山間地等地域ごとに見た場合、サービス供給体制に差があることは否定できないものと考えております。このような状況を踏まえ、さらなる供給体制の充実に向けて、市町村等と連携を図るとともに、事業者への指導助言を行ってまいりたいと考えております。 ◆(図師博規議員) 訪問看護や訪問介護提供事業所が800カ所あるとの答弁ですが、1事業所には大体2~3名の職員配置しかないんですね。これでは現在の介護ニーズはもちろんのこと、県内約5,000人いらっしゃる療養型病床群の入院者が退院を余儀なくされた場合、地域での受け入れ体制、受け皿が不足していると言わざるを得ません。さらに、受け皿が小さ過ぎるがゆえに、介護マンパワーが不足しているという現実があるがゆえに、介護ニーズが潜在化してしまっているんです。つまり、在宅福祉をあきらめなくちゃいけないような環境が今、あるんです。在宅で福祉サービスを受けるということは、病院や施設でのようなきめ細やかなサービスを受けられないことにもつながるかもしれません。しかし、医療の現場では、意識もないままに鼻から経管栄養のチューブが差し込まれ、呼吸困難な折には気管切開され、チューブがのどを通らなくなると胃に直接穴をあけ、そこにまたチューブを差し込む。そのような現状で、延命はされるものの、家族は付き添いに疲れ果て、医療側も提供する医療内容に疑問を抱きつつも、光の見えないサービス提供を続けるといった光景が一般化しています。 厚生労働省の行った、一般国民5,000人及び医療関係者9,000人を対象とした調査内容の結果では、自分が回復見込みのない状態になった場合、延命措置を望むかどうかの問いに対し、7割以上の方が延命治療に対しては否定的でした。さらに、医療従事者ほど、延命を望まない割合は高くなっています。その理由は、現場での悲惨な状況を知っているからです。そして、終末期医療について、事前にどのような治療(みとり)を望むか等を書面に書いておくという、いわゆるリビングウイルの考えに賛成した国民は62%、そして、その書面による意思表示を「尊重する」と答えたドクターは80%を超えています。私も医療の現場にいた一人として、リビングウイルの考えには賛同しますし、私の終末期にはむげな延命措置は望みません。知事は、リビングウイルに対してどのような考えをお持ちでしょうか。そして、みずからの終末期には延命措置を望まれますか。どうでしょうか。 ◎知事(東国原英夫君) 私自身は、終末期の延命措置については望んでおりませんが、一般論としては、終末期医療については、患者本人の自己決定権が尊重されることは大切なことであると考えております。また、リビングウイルにつきましては、個人的には肯定的にとらえていますが、終末期医療のあり方や延命治療を中止した場合の医療従事者の法的責任のあり方等について、さまざまな意見がある中で、これまで幾度となく国の検討会において議論されてきており、現在までのところ、国民が合意できるような結論は出ていないのではないかと考えております。 ◆(図師博規議員) 確かに、国のほうはガイドラインを示しているに過ぎませんが、日本では臓器提供意思カード等のように、自分の臓器使用に関する意思表示は制度化されています。リビングウイルの取り組みは、まだまだこれから、緒についたところです。みずからの死生観を見直し、家族とともに会話の中からみとりの環境に合意しておくということは、本人及び家族そして医療従事者にとって、大変有意義なことと考えています。また、介護保険の理念に基づき、在宅型福祉が推進されるとするならば、リビングウイルの取り組みは、在宅でのみとりを一般的にすることに非常に有益です。国のガイドラインに沿った先進的な宮崎型リビングウイル、終末期前意思表示の制度化に取り組んではいかがかと考えますが、知事のお考えをお聞かせください。 ◎知事(東国原英夫君) 終末期医療のあり方につきましては、適切な情報の提供と説明に基づいて、患者が医療従事者と話し合いを行い、患者本人による決定を基本とすることが重要であると考えております。しかしながら、リビングウイルの取り扱いにつきましては、国の有識者による懇談会で、引き続き検討を行っていくとされているところでありまして、国民が合意できるような結論が出ていない状況の中で、県において独自に制度化するというのは、非常に厳しいものがあるかなと思っております。 ◆(図師博規議員) 国の対応を待つばかりではなく、県民及び県内の医療従事者等にアンケート調査等を実施すれば、間違いなくリビングウイルの意識醸成は図れます。そして、多額の予算をかけなくとも、さまざまな効果が期待できますので、ぜひ県独自の取り組みに期待したいと思います。 続きまして、県の収入確保策についてお伺いいたします。 行財政改革大綱2007の歳入面の取り組みの中で、新たな広告収入に取り組むとの旨の明記がありました。現在のところ、芸術劇場のネーミングライツとサンマリンスタジアムのフェンス広告のほかには取り組まれているような事案は見当たりません。ネーミングライツの第2弾や県が発行する封筒や領収書、チケット等に広告登載をして、歳入確保を図るべきではないかと考えますが、総務部長の御答弁をお願いいたします。 ◎総務部長(山下健次君) 今、御指摘2つございましたが、もう1つございまして、県庁ホームページへのバナー広告もやっております。今後とも、こういう厳しい財政状況は継続すると見込まれますので、収支不足の圧縮のためには、歳出の徹底した見直しのほかに、こういったさらなる歳入の確保が大変重要でありますので、その方策につきまして、費用対効果、実施に際しての課題等を踏まえながら、検討してまいりたいと考えております。 ◆(図師博規議員) ぜひ具体的な御検討を期待いたします。 続いて、手数料収入についてお伺いいたします。県立高校の昨年度受験者数は1万856人、それに対応する職員は2,099名いらっしゃいました。それに伴う県の支出は人件費を除いても1,956万9,000円に上っており、それに対し、受験料収入は2,336万4,000円となっています。一方、県職員採用試験の受験申込者数は2,418名となっており、その受験料収入を見てみますと、徴収していないんですね。いや、徴収していないんじゃなくて、徴収できないという状況になっています。地方自治法第227条で、もっぱら地方公共団体自身の行政上の必要のためにする事務、試験については、手数料を徴収できないとなっているからです。しかし、国に職員採用試験の手数料、受験料徴収ができるように、知事会等を通じ要望されてはどうかと私は考えますが、知事のお考えをお聞かせください。 ◎知事(東国原英夫君) 例えば、県立学校の入学者選抜試験なんかで、入試の手数料を受験料として徴収していますが、これは教育を受けるサービス、「教育サービス」という利益を受ける対価であります。これとは違って、一般の入社試験と同じように、入社試験に受験料を払う企業というのはないものでありまして、それと同じ感覚で、地方自治法上の問題もあるんですけれども、職員の労働対価として給与を支払っておる。この企業体といえば企業体の組織で、入学試験と職員採用試験というのは、ちょっと性格を異にするのではないかと考えておりますので、法改正を国に要望するというところまでは、今のところちょっと考えていないということでございます。 ◆(図師博規議員) 私もその法律の壁があるのは承知した上での質問です。県の採用試験と高校受験を混同しているわけではなく、私が申し上げたいのは、自主財源の充実策にもう少し汗をかいていただきたい。今や民間企業では、就職のための会社案内資料を有料で送付する企業は、もう珍しくありません。今、知事が言われたとおり、仕事をしてもらい、その労働対価に見合った給料を支払う行為は、民間も公務員も同じです。他県に先駆けて、国にその可能性を求めていく気概も持っていただきたいと思っております。 続きまして、支出削減策について伺います。さきの9月定例議会代表質問でも取り上げましたが、総合文書管理システムの見直しについて再度お伺いいたします。これは各種申請書類等を電子化し、ペーパーレス化を図り、電子決裁を行うことにより、県民へのサービス提供をスピーディーにすることを目的に導入されたシステムです。代表質問でもその電子決裁の使用率が上がらない、その実態が明らかになったわけですが、それが上がらないがゆえにシステムを中止するということになったものです。このシステムの開発費及びメンテナンス費には、約2億5,500万がつぎ込まれ、十分利活用されないまま中止となり、それだけではなく、中止となった後も、業者との契約期間が残っているため、あと約2年間、契約料だけ払い続けることになるようです。その契約料の残金は5,600万円にもなります。この5,600万、税金の支出ですから、はいはいわかりました、5,600万円ですねと許されるものじゃないです。これが民間企業だったら責任問題になります。このような無駄な支出をなくさないと、幾ら収入確保策に努められても、その努力は一遍に吹っ飛んでしまう。契約料だけ支払い続ける状況はどうにかならないんですか。総務部長、実態はどうなっているのか教えてください。 ◎総務部長(山下健次君) 現行の文書管理システムにつきましては、年間6,000万円を超える多額の運用コストにもかかわらず、それに見合うだけの効果が得られていない。これは9月議会でも申し上げたとおりなんですが、こういった費用対効果の観点を踏まえまして、来年3月末で廃止して、文書管理機能に特化した新システムへ移行することとしたものでございます。この新システムへの移行後も、現行システムの機器リース料の支払いは、リース契約の性格上、残ることになります。一方、新システムの運用コストは年間200万円弱ということで、現行システムの30分の1以下になるため、大幅な経費削減が可能となるということでございます。これを21年、22年で見てみますと、それぞれ1,600万あるいは3,800万、現行システムを継続するよりもコスト削減にはなるということでございます。こういう現行システムの全庁的な運用は今年度末で廃止いたしますけれども、システム内には、これまでに蓄積された大量の電子データあるいは文書情報が保存されておりますので、これらの適正管理を図ることが、なお必要でございます。このため、現行システムにつきましては、リース期間満了まで、電子データの内容確認あるいは紙への出力、新システムへのデータ移行等の管理作業で、これは総務課において引き続き使用するということになっております。なお、現行のシステムは、総務課での限定使用ということでございますので、機器リース料の減額につきまして、今後、契約先と協議をしてまいりたいと考えております。
    ◆(図師博規議員) 答弁、かみ合っていないと思います。システムを中止することが20分の1のコストダウンにつながる。その数字だけではなくて、要は中止にすることが正しいような御答弁ですけれども、元来、その文書管理システムというのを利活用して、2億5,500万の投資に見合っただけの事業効果を上げなければならない。それをほっぽり出して、事業をとめたからコストが下がったんですよ、そしたらほかの事業も全部とめてしまうのかと、それがコストが下がることになるんじゃないかという話にもなりかねません。ですから、せめて5,600万、まだこれから払い続けなきゃいけない。それは現実でしょうが、これが少しでも軽減されるように、契約業者との交渉は粘り強く行っていただきたいと思っております。 それでは、続きまして、生徒指導についてお伺いをいたします。 県立高校における生徒指導内容についてですが、退学者については先ほども述べられましたので、重複は避けますが、平成19年度だけで413名もの退学者がいるということ、そしてこの数字には私立学校が含まれていないということを考えますと、高校では一体どんな学校生活が営まれ、どのような生徒指導が行われているのかと、不安や疑念を抱かざるを得ません。そこで伺いますが、現在、複数の高校でイエローカード制なるものが導入され、生徒指導が行われていると聞きます。教師がサッカーの審判のようにイエローカードを持ち歩き、生徒指導の切り札か水戸黄門の印籠のようにカードを生徒に突きつけ、反省を促す生徒指導の内容は、非常に高圧的で無機質で、マイナス評価ありきの指導のように映って仕方ないんです。イエローカードのようなものに頼らないと生徒指導ができないような現状にまでなってしまっているのか。イエローカード制は実際どういう仕組みで運用されているのか、実施校の実態を含めて、教育長の御答弁を求めます。 ◎教育長(渡辺義人君) いわゆるイエローカードや指導カード等を生徒指導に導入している県立高校は、43校中19校であります。その取り扱いにつきましては、例えば、イエローカードを複数枚出された場合には、個別面談等による指導を強化しますとともに、指導がたび重なる場合には、保護者を交えた面談を実施し反省を促すことにより、生徒の規範意識の向上を図っております。実施校におきましては、ルール遵守の意識やマナーが向上し、非行等問題行動が減少するなど、落ち着いた学習環境の確保について一定の成果が見られております。しかしながら、いわゆるイエローカード制は、あくまでも教育指導の一環として行われているものでありまして、今後とも、生徒・保護者への説明を十分に行うとともに、日常の相談活動や声かけなど、心の通った生徒指導に努めるよう学校を指導してまいりたいと思います。 ◆(図師博規議員) 私は、ことしの2月の一般質問でも、生徒指導のあり方を取り上げました。そのときは、ゼロトレランス制度という内容を指摘したんです。ゼロトレランス制度は、交通違反を取り締まるがごとく、遅刻は減点1、服装違反は減点2のようにカウントし、累積すると停・退学になるというマイナス評価ありきの指導内容でした。この指導内容への質問に対し、時の教育委員長は「生徒の自発性や内発性を損なうことが考えられ、運用には慎重を期す」との答弁であったのですが、実際は県立高校の約4割がイエローカード制を導入しているじゃないですか。これで今の御答弁を踏まえますと、成果が上がっているというような答弁でしたので、今後も教育委員会としては、このイエローカード制を強化推進していくと理解してよろしいんでしょうか。教育長、お願いします。 ◎教育長(渡辺義人君) 先ほどの議員の水戸黄門の御印籠じゃありませんけれども、学校現場でそれを振りかざしてという指導は多分行われていないと思いますけれども、いわゆるイエローカード制につきましては、服装容儀とかあるいは交通ルールの遵守ですとか、基本的な生活習慣の定着に向けた指導の一つの方法でありまして、各学校が、生徒指導の実情に応じて判断していくことが適当であると、このように考えております。以上です。 ◆(図師博規議員) 各学校の判断に任せる、県の教育委員会としては、具体的な指示は出さないというような御答弁と理解いたします。このようなカードをちらつかせながら威圧的な指導をするのではなく、生徒に知・徳・体を身につけさせるのが教師の役割であれば、教師こそ徳を持って指導に当たるべきではないか。何か武器を隠し持って、それによって生徒に対応しているようにしか映らないところがあります。そこでは実際、イエローカードの効果が上がっているともあります。じゃ、イエローカードは何枚累積したらレッドカードになるんですか。それを受けた学生が退場・退学になるというのは、どういう状況になったときなんでしょうか。教育長、お願いします。 ◎教育長(渡辺義人君) レッドカードという概念はございません。イエローカードという名前が、サッカーのプレーを取り入れた、制裁的にやられているそのイエローカードという言葉が、ちょっとひとり歩きしているようなところも見受けられますけれども、いわゆるイエローカード制ということで、指導の累積によって退学になったというような生徒はおりません。 ◆(図師博規議員) レッドカードは存在しない、レッドカード退学はないとのことですが、イエローカード提示というマイナス評価を受けた学生が退学まで至ったケースというのは多々あると聞きます。レッドカードがないというだけの話で。サッカーのイエローカードは、次の試合を休めば、イエローカードで警告されたものはなくなります。生徒に出されたイエローカードがプラス評価に転じるような救済策や改善策というのは、学校現場で生徒に対して担保されている部分があるんでしょうか。教育長、いかがでしょう。 ◎教育長(渡辺義人君) いわゆるイエローカードの活用の仕方は、学校によっては異なりますけれども、いわゆるイエローカードを出された生徒には、特にそのフォローに心がけるように、また、教職員もそのフォローには心がけているところであります。例えば、その生徒が指摘を受けた服装容儀面について改善した場合はもとよりでありますが、ボランティア活動や生徒会活動等への取り組みをした場合にも十分に賞賛するなど、生徒が意欲を失わないような取り組みが図られているところであります。今後とも、このようなことに留意しながら、心の通った生徒指導に努めるよう、まさしく教育的な配慮のもとに実施されるべきものでありますので、学校をそのような観点から指導してまいりたいと考えております。以上です。 ◆(図師博規議員) ぜひそのような心の通ったという取り組みに期待いたします。 では、退学者のうち、再び就学したいと希望する生徒も少なくないと聞きます。他県では、再入学を希望する学生のテストの点数を教師が改ざんして、入学させなかった学校もあったようです。本県では、他校への転校や定時制・通信制への転学を希望する者への就学保障は、学校間でどのような連携がとられ、その就学の機会というのを確保されているのか、教育長にお伺いします。 ◎教育長(渡辺義人君) 進路を変更した上で、再び就学したいという希望のある生徒が、その可能性をみずから切り開いていくためにも、新たな学びの場を確保していくことは大変重要なことであると考えております。したがいまして、学校におきましては、さまざまな手だてを尽くしても退学の意向を示す生徒に対しましては、担任やカウンセラー等が親身になって生徒・保護者の相談に応じるとともに、受け入れ先の学校を探し、決定後は転学等の速やかな手続がとれるよう支援しているところであります。以上です。 ◆(図師博規議員) それでは、徳による血の通った、心の通った生徒指導が教育現場で展開されますことを切望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。(拍手) ○議長(坂口博美) 次は、山下博三議員。 ◆(山下博三議員) 〔登壇〕(拍手) きょうも私の地元都城からたくさんの傍聴においでいただきました。きょうは、高齢者クラブの皆さん方がおいでであります。最高齢が87歳の方もお見えでありまして、本当に大正、昭和、平成、大変力強く生きてこられた大先輩方でありますが、実は初めて県庁に来たという方が大多数であります。これも今、東国原知事人気の中でこれだけ注目していただいておりまして、こういう御縁ができますことを厚く感謝申し上げたいと存じます。 それでは、通告に従いまして質問してまいります。 平成20年も早いもので残すところわずかとなってまいりましたが、1年を振り返ってみますと、年明け早々、JTフーズが中国から輸入した残留農薬ギョーザ事件や、夏には、三笠フーズの事故米の食用転用事件、中国における牛乳メラミン混入事件、そして最近では、東京のキャセイ食品が中国や米国産の冷凍野菜を国産として偽装販売した問題など、重大な食の安全・安心を脅かす事件が続発した1年だったと思います。 我が国におきましても、世界的な金融危機の影響で景気の減速感が強まる中、企業倒産の増加が一段と強まってきました。帝国データバンクによりますと、今年の負債総額1,000万以上の倒産件数は、前年1万959件を大きく上回り、1万3,000件に達する勢いだとのことであります。製造業や小売業など、幅広い業種に倒産の波が広がっており、年末の資金需要期に向け、経営体力の弱い中小企業を中心に、倒産件数がふえる可能性が懸念されております。 本県においては、東国原知事就任2年目を終えようとしておりますが、連日、県庁には依然として多くの方が観光にお見えになっております。そこで知事に、知事就任2年間の感想と、アメリカの金融・経済不安により、日本も景気後退の局面にありますが、我が国と本県への影響をどのように認識されておられるか、お伺いいたします。 以上、壇上よりの質問を終わり、この後、自席より行います。(拍手)〔降壇〕 ◎知事(東国原英夫君) 〔登壇〕 お答えいたします。 まず、知事就任2年間の感想についてであります。いかにすれば、県民の皆様が「生まれてよかった」「住んでよかった」と実感できる宮崎にすることができるかということを常に考えて、ひたすら必死の思いで県政運営に取り組んでまいりました。もう間もなく就任丸2年を迎えますが、正直に申しまして、本当にあっという間の2年間であったと思っております。この2年間を振り返りますと、私が掲げたマニフェストの各項目につきましては、おおむね順調に進捗しているのではないかと考えておりますが、中には「へき地医療提供体制の充実」など、今後、相当の努力を要する課題もあり、また、景気後退の局面にありまして、「新規雇用の創出」など厳しい状況もありますので、今後とも、マニフェストの達成に向けて、全力で取り組んでまいりたいと考えております。 続きまして、アメリカの金融・経済不安による景気後退の影響についてでありますが、アメリカにおけるサブプライムローン問題に端を発した世界的な金融の混乱、株価の下落、円高の進行による輸出の減少など、世界同時不況の波が日本、そして宮崎にも押し寄せてきております。これまでの県内経済への影響としましては、自動車生産台数の減少に伴う関連製造業者の受注減、一部企業における採用予定者の抑制・削減、円高・ウォン安による韓国人観光客の減少などの形であらわれてきており、県内経済は一段と厳しい状況にあるものと認識しております。本県にとって、景気浮揚が喫緊の課題でありますので、経済対策に関する国の検討状況も注視しながら、的確に対応してまいりたいと考えております。以上です。〔降壇〕 ◆(山下博三議員) ありがとうございました。 引き続き、金融対策についてお伺いしてまいりますが、先ほど政府が打ち出しました追加経済対策には、資金繰り支援のため、中小企業向けの信用保証枠拡大などが盛り込まれたところでありますが、景気浮揚効果は一時的との見方がされております。銀行などの金融機関も金融市場の動揺で業績悪化が鮮明になり、貸し出しの増加にはなかなか踏み出しにくい状況であると思われますが、年末を控え、中小企業を中心に資金繰りが大変厳しくなることも予想される中、本県における銀行等の貸し渋り、貸しはがし等は発生していないのか、商工観光労働部長にお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(高山幹男君) 金融機関の融資の際の対応につきまして、いろいろな意見が寄せられるということはございます。融資につきましては、借入申込者と金融機関との間でなされますことから、第三者がその実態を正確に把握することは非常に困難でございます。しかしながら、貸し渋り等が発生しますと、地域経済にも多大な影響があると考えております。このような中、国におきましては、金融庁や経済産業省を中心に、金融検査マニュアルの見直しや、金融機関に対し中小企業の円滑な資金供給を再三にわたり要請するなど、さまざまな対策がなされておるところでございます。県といたしましても、これまで中小企業への融資に対し、積極的な対応を要請してきたところでありますけれども、再度、知事を先頭に関係機関に働きかけてまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 今の件につきましては、多数の県議の皆さん方が今議会でテーマとされて、それぞれがお伺いをしていただいております。ぜひ知事を先頭に万全の体制をとっていただきますようにお願いを申し上げたいと存じます。 続きまして、商工観光労働部長にお伺いしたいと思うんです。特別法人宮崎県信用保証協会の動向についてお伺いをいたします。信用保証協会への最近の申し込み件数と保証承諾件数の推移の状況、並びにどのような問題を抱えておるのかお伺いをいたします。また、代位弁済の金額はどれほどになっておるのか、推移を示していただきたいと存じます。 ◎商工観光労働部長(高山幹男君) 信用保証についてでありますけれども、最近3カ年の状況でありますが、18年度は、保証申し込み件数が6,860件、保証承諾件数が6,698件、代位弁済額は21億991万3,000円、19年度は、保証申し込み件数が6,911件、保証承諾件数が6,744件、代位弁済額は34億7,518万4,000円、さらに20年度は、11月末現在、保証申し込み件数が4,795件、保証承諾件数は4,672件、代位弁済額は30億9,284万5,000円となっておりまして、保証承諾件数、代位弁済額とも増加傾向にございます。また、厳しい経済環境の中で、県内中小企業の金融円滑化を図るためには、信用保証制度の安定的な運営が不可欠でございますので、県におきましては、保証協会が債務者にかわって代位弁済をした場合、制度資金の一部について損失補償を行っているところでございます。 ◆(山下博三議員) 私も今回、信用保証協会の実態についての状況の資料を出していただきました。信用保証協会というのは、それぞれ借り入れの申し込みをいたしまして、保証協会が保証してくれるんですが、そのときに手数料を0.4%から1.65%、これを納めながら保証してもらう協会なんですが、実は私もびっくりした数字なんです。19年度はこれに対する調査中というのが64件、これは年度変わりの中での調査の件でしょうが、今、11月現在で168件が申請をされて、信用保証協会が今調査中であるという数字が出ております。 それから、代位弁済の状況でありますが、昨年の11月末時点が310件、1年前の代位弁済の状況がありました。これは倒産したがために保証協会が代位弁済する件数でありますから、この金額が21億5,222万6,000円。そして、ことしの11月末現在の金額を出していただきましたら、件数が385件、75件がプラスになっております。そして、金額が30億9,284万5,000円ということで、プラスの9億4,061万9,000円が、新たにことしふえた分の弁済であります。知事、このこともしっかりと数字をつかんでほしいんですが、いわゆる改革がどんどん進んでくる中で、大変な状況がこの数字でわかります。この代位弁済につきましては、本県が2%、損失補償を行っております。18年度5,000万、19年度が1億5,000万、20年度はかなりな損失補償をしなければならない状況だろうと思っております。いかに県内の企業が厳しい経営環境になっておるか、おわかりいただけるものと思っております。年末に向けてかなり増加すると思いますが、私どもも議員として、厳しい状況のデータを踏まえて、今後の対策、取り組みの参考としたいので、ぜひ議会にも推移を今後報告していただきますように、よろしくお願い申し上げたいと思います。 次に入らせていただきます。先ほども申し上げましたように、地場の企業、大変厳しい経営環境でありますが、企業誘致100社の見通しについて、知事にお伺いをいたします。宮崎には若者の働く場所がない、都会から親を見るために帰りたいが仕事がないと、これが私どもにも大きな政治課題でありました。知事はマニフェストで、4年間に企業誘致100社、1万人雇用を約束されましたが、予想もしない世界的金融不安の中、日本の企業も進出どころか、統廃合や撤退、人員削減が強力に行われております。企業誘致100社、1万人雇用について、今後どのように推進されるかお伺いをいたします。 ◎知事(東国原英夫君) 世界経済が減速する中で、我が国の景気の状況というのは非常に厳しいものになっております。また、本県に対しても、この実体経済に及ぶ影響というのは非常に甚大なものがあると懸念しております。このような状況の中、高いハードルではありますが、引き続き、マニフェストに掲げました企業立地100社の実現に向けて、私みずから企業訪問を積極的に行うなど、全力で誘致活動に取り組んでいるところであります。さらに、国の緊急経済対策を十分に活用しながら地域雇用対策を強化するとともに、金融等の経営支援、農商工連携等を通じた地場産業の活性化など、雇用創出につながる各種施策の実施に全庁を挙げて取り組んでいく覚悟でおります。 ◆(山下博三議員) 私ども議会、知事、ともに協力して、これは何とか頑張っていかないといけないと、そういう思いであります。 商工観光労働部長にまたお伺いをいたします。4日の高橋透議員の質問でも明らかになりましたが、リストラの対象者578人、内定取り消し―高卒予定者でありますが―3名の数字が示されました。これは厚労省の調査でありましたが、調査は派遣社員などの多い企業50社の調査であったようでありますので、実際はかなりの人数が本県でも影響が出ていると思うんですが、どれほど予想されておりますか、商工観光労働部長にお伺いいたします。 ◎商工観光労働部長(高山幹男君) 今回公表されましたのは、全国の労働局、職業安定所が調査した11月25日時点のものでございます。現在、国におきましては、追加の調査を実施中でございまして、その結果を踏まえながら、労働局等と十分連携しながら、対応してまいりたいというふうに考えております。 ◆(山下博三議員) 実はこの件で私も執行部側とやりとりをさせていただきましたが、独自で調査されていないということでありました。私は今、本県の状況はもう非常事態のような気がいたします。それぞれが離職された方、40代、50代の方もたくさんおられます。そういう人たちが再就職するにもなかなかないんです。私は、本県でも厚労省のこういうデータを待つのではなくて、独自の調査を県内企業中心に、ぜひやっていただきたいと思うんですが、そういう調査をされる計画というのは―知事、何とか先頭に立って調査をしてもらえないでしょうか、お伺いいたします。 ◎知事(東国原英夫君) これは厚生労働省、国の所管でございまして、地方の労働局でこの調査はされているんですね。県独自でやれないことも、やろうと思えばやれるんですけれども、労働局がやって、そしてまた県がやりますと、これこそ二重行政みたいなことになるんではないかと。また、受け入れる企業も、国から調べに来られて、また県からも来られたと。「あんたたちに2回も3回も言わんといかんとか」というような御不満もありますので、労働局と連携して、労働局に調査をしていただいて、その結果で、セーフティネットも含めて、再就職に対して対応をしていかなければいけないと、そっちのほうにウエートを置いている次第でございます。 ◆(山下博三議員) 厚労省の調査以外のところも、非常に今大変な状況です。職員もたくさんおられるわけですから、みずから近くの企業等の意見もぜひ聴取していただきますようにお願い申し上げたいと思います。 それから、同じく商工観光労働部長にお伺いしてまいりますが、景気後退の中、本県における企業の倒産状況について、件数、倒産した企業の従業員数はどうなっておるのか、お伺いいたします。また、特に本県は、前知事の建設談合事件により、急速に建設業入札改革が進んできましたが、建設業の直近の倒産状況についてお伺いをいたします。 ◎商工観光労働部長(高山幹男君) 民間の調査会社によりますと、負債額1,000万円以上の倒産の件数、倒産した会社の従業員数、これにつきまして、最近の状況ということでございますけれども、18年度から申し上げますが、18年度は84件の520人、このうち建設業が33件の180人、19年度は全体で101件で従業員数が1,281人、このうち建設業が52件の620人、20年度―これは11月末現在でございますけれども―全体で77件の1,480人、このうち建設業が42件の764人となっております。 ◆(山下博三議員) 私もこの数字を今お聞きいたしまして、大変びっくりいたしました。18年度は、件数、離職された方が、建設業の皆さん方は3分の1だったんですね。そして、19年度から2分の1になってきました。そして、20年度、11月末現在で77件の1,480人の中の764人ですから、半分以上が11月末で建設業の皆さん方が犠牲になっておられると、この数字であります。今、建設産業がいかに厳しいか、これでわかります。先日、建設産業の皆さん方とも意見交換会を行いました。宮崎から建設産業はなくなるんではないかという、そんな悲痛な声をたくさん聞かされた状況でありますが、知事も強力に改革を進める中で、この現状をどのように認識されるかお伺いをいたします。 ◎知事(東国原英夫君) 本県の建設業、土木業の従事者の方たち、経済の不況も重なって非常に厳しい状況だと思っております。再三、質疑応答等で言わせてもらっておりますけれども、建設業、土木業の方々には、災害を初め緊急時に非常にお世話になっているということでございまして、基幹産業としての位置づけと言っても過言ではないと思っております。今後とも、中立・公正、自由な競争、公平な競争性を確保した上で、入札契約改革も含めて、建設産業、そして土木業の方々たちの産業を守っていかなきゃいけないと思っております。また、基幹産業としては、もう一つ、農林水産業という基幹産業がございますので、こちらのほうもウエートを置いて、食料問題あるいは環境問題も含めて、宮崎県が食料の供給拠点となり得る、その生産拠点となり得る発信拠点であるという位置づけを強くしていかなければいけないと考えております。 ◆(山下博三議員) ありがとうございます。ぜひ21年度予算編成の中でも、いわゆる景気対策、この辺は本当に建設産業にも応分の配分をしていただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。 それから、ただいま数字も出していただきましたが、かなりな人たちが今離職をされております。離職者への就労に対する支援等はどういう取り組みをされるか、お伺いしたいと思います。商工観光労働部長、お願いします。 ◎商工観光労働部長(高山幹男君) 離職者に対する支援でありますけれども、まずはハローワークによる職業紹介のほか、新たな技能の習得を求める方への職業訓練、あるいは労働相談などによる再就職の支援に努めております。また、今回の非正規社員の雇いどめ等に対応するため、国におきまして「緊急雇用対策本部」が設置されたところでありますが、宮崎労働局においても対策を検討中とお聞きしておりますので、連携して対応してまいりたいというふうに思っております。さらに、国と県がワンストップで就職支援を行います「緊急地域共同就職支援事業」というのを来年1月の開始に向けて労働局と今協議を進めているところでありますので、国の追加経済対策も十分に活用しながら、再就職の支援はもとより、地域における雇用の確保に努めてまいりたいというふうに思っております。 ◆(山下博三議員) 次に、また知事にお伺いをしたいと思うんです。先ほど答弁でくしくも農業政策のことに触れていただきましたが、企業誘致については、知事を先頭に大変な努力をしていただいております。日本経済の景気後退に重ねて、特に本県はインフラ整備のおくれ、消費地との距離の問題等があり、誘致に関しては高いハードルがあります。そこで私は、宮崎県の基幹産業である農業について、いま一度、真剣に目を向けてみたらどうかと思っております。農業政策は国策で決まることが多く、県政だけでよくなるとも思えません。今、国民の目は、世界的な食料不足への不安に加え、輸入食品の残留農薬問題などを契機として、食料は安全・安心な国産のものが一番だと認識され、またそれが国内食料自給率の向上を本気で考えるようになったと思っております。私は都城市議時代に、「農業の果たす関連産業への経済効果がどれほどあるか」と質問したことがあります。そのときの答弁では、「農業産出額の5倍ある」とのことでありました。本県にたとえると、農業産出額が3,200億ですから、1兆6,000億の経済効果は想像できることになります。第1次産業の農業生産物を活用したアウトプット、すなわち農林水産物の1次・2次加工等を行う製造業、流通、販売にかかわる運輸、通信業及び卸・小売業、そして農業生産基盤や農業施設等の建設業、さらには農林水産業に携わる金融業、公務員、団体職員などすそ野は広く、3兆5,000億円余りの県内総生産や55万人余りの県内就業人口の中で、農林水産業とのかかわりははかり知れないものがあると考えております。したがいまして、本県の農林水産業が県内の他産業にもたらしている経済波及効果は、本県経済が第1次産業を基盤に成り立っていることを考えますと、莫大な金額になると予測されます。したがって、本県の基幹産業である農業を初めとする第1次産業の活性化に向けた取り組みをもっと推進すべきと思いますが、知事の御所見をお伺いいたします。 ◎知事(東国原英夫君) 議員御指摘のように、農業の経済波及効果というのははかり知れないものがあると思います。それと自然と環境を守る、それをコスト化するという意味でも、非常に重要なものじゃないかと考えています。また、御指摘のように、農業を工業化する、商業化するという取り組みも必要かなと思います。基幹産業であります農業の分野におきまして、例えば企業参入の促進とか農業生産法人や認定農業者の育成確保、確かな技術に基づく生産力の拡大とか、みやざきブランドの確立とか、農商工連携による新たな地場産業の創出など、雇用創出等々も含めた本県の活動、取り組みというのが求められていることかと思います。また、基幹産業であります農業の食料供給拠点としての本県の存在価値をますます高めるために、鋭意努力、取り組んでまいりたいと思っております。 ◆(山下博三議員) 農林水産省統計によりますと、国内総生産で約504兆円のうち、食を提供する食料産業で48兆円、その他飲食店を初め関連した製造業や流通業などで42兆円など、合わせて約90兆円あると試算化されております。一方、農林水産業の総生産が5.8兆円でありますから、その関連、効果は一目瞭然であります。このことを踏まえ、本県の農業対策については特段の御配慮を要望しておきたいと思います。 続きまして、食の安全対策について、「宮崎県食の安全・安心対策会議」の会長を務めておられます副知事にお伺いをいたします。壇上からも述べましたが、依然として食の事故、偽装等が後を絶ちません。本県でも、三笠フーズによって、菓子製造業の方も多大な被害をこうむっておられます。先日、事故米有識者会議でも厳しい議論がなされました。指摘された中では、平成13年に発生したBSEの教訓が全く生かされておらず、消費・安全局はつくったが、その機能、職員の意識の欠落、また、農水省と厚労省の連携不足など、行政の怠慢を厳しく指摘されたところであります。本県においても、中国産の飼料を国産と偽装表示して販売し、畜産農家にも多大な迷惑をかけたところでもありました。そこで、本県でも食の安全・安心に対する不安が高まっている中、食品業界へのコンプライアンスの徹底、安全チェック、指導体制はどのようになっているのかお伺いをいたします。 ◎副知事(河野俊嗣君) 食の安全・安心、県民生活に最も身近で重要な課題だと認識しておりまして、本県では平成16年に、ただいま御指摘のありました食の安全・安心対策会議を庁内に設置いたしまして、副知事を座長として関係部局で構成する会議でございまして、生産から流通、消費に至る各段階の食の安全・安心というものを組織横断的に対応しているところでございます。具体的には、この会議の中で食の安全・安心基本方針を定めまして、例えば生産段階では、農薬や肥料などの適正使用の指導でありますとか残留農薬検査体制の充実強化などを図っております。また、流通段階では、農林水産物のトレーサビリティーの推進や食品製造施設などへの監視指導及び食品のサンプリング検査の実施などを行っております。また、消費段階では、食品表示関係法令に基づく巡回指導などを実施しているところであります。また、食に携わる事業者に対し、コンプライアンスの徹底を図ることが重要でございますので、これも定期的に食品表示や衛生管理等に係る各種の研修会を行っているところでございます。今後とも、引き続き関係部局の連携を徹底しながら、適切に対応してまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) ぜひチェック体制をやっていただきたいんですが、実は食料を生産する農家側のチェックは農政サイドなんですね。そして、製品になってからのチェックは福祉保健部が担当になっているんですね。いろんな問題があったものですから、お互いの話し合いもしていただいたんですが、国での厚労省と農水省の連携不足、本県の中でも、やはり連絡体制、いわゆる連携というのが非常に不足していることを私も感じましたので、農政水産部と福祉保健部の連携をさらに深めていただきますように、要望を申し上げておきたいと存じます。 次に、農政問題について、農政水産部長にお伺いしてまいります。燃油、配合飼料、資材価格が高どまりいたしまして、農業者は現在も依然厳しい経営環境に置かれております。WTO交渉の再開も間近に迫り、日本農業にとりまして、全く予断を許さない状況でありますが、施設園芸、畜産経営における現状認識と今後の見通しについて、農政水産部長にお伺いをいたします。 ◎農政水産部長(後藤仁俊君) まず、施設園芸につきましては、燃油価格がピークであった8月に比べますと、低下傾向にありますけれども、依然として高い水準にあり、他の関連資材等の値上がりを含め、厳しい経営環境にあると認識しております。また、畜産経営でも、配合飼料価格の農家実質負担額が2年前と比較し、トン当たり約1万7,000円上昇しており、大変厳しい状況にあります。今後の見通しにつきましては、最近の海外での原油や穀物相場の下落、円高等の影響により、現状よりやや落ち着くものと考えておりますが、依然として予断を許さない状況にあるというふうに考えます。このため県といたしましては、施設園芸における省エネルギー対策や本県の気象条件を生かした新品目・作型の導入、代替エネルギーの検討等を進めるとともに、畜産につきましても、自給飼料の生産拡大や生産性向上を図り、農家所得の確保に努めてまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 力強く今頑張ってくれている農家でありますから、ぜひ変わらない御支援をよろしくお願いしたいと思います。 続きまして、農政水産部長に農地法について伺ってまいります。さきの経済財政諮問会議に示された農地改革プランの内容について、どう変わるのかお伺いをいたします。 ◎農政水産部長(後藤仁俊君) 今回の農地制度改革の目的は、農地の確保と有効利用の促進を通じて、我が国における食料供給力の強化を進める観点から実施されると伺っております。12月3日に示されました農地改革プランによりますと、農地確保の観点からは、まず1つとして農地転用規制の厳格化、2つ目には農用地区域内農地の確保、それから有効利用の促進の観点からは、制度の基本を「所有」から「利用」に再構築することとしまして、1つには農地の貸借を促進するための制度の見直し、2つ目に農地を利用する者の確保・拡大、3つ目に農地の面的集積の促進、4つ目に遊休農地対策の強化などの項目が盛り込まれております。今後、経済財政諮問会議でさらに検討されました後に、関係法令の改正案が来年の通常国会に提出される予定というふうに伺っております。 ◆(山下博三議員) 実は私も心配しておるんですが、この法案が通ってきますと、来年からJAとか株式会社等が簡単に農地の賃借ができるようになります。地域においては、集落形成の維持のためにも、どうしても担い手が必要なんです。JA都城では、農業法人を立ち上げまして、300町歩を目標にお茶の栽培加工を始めておられています。優良な農地を高い借地料で借り上げておられますから、担い手との競合ができまして、今、一部担い手に農地の不足が生じている状況であります。そこで、このことも踏まえまして、地域の担い手との共存共栄が十分図られますように、注意深く見守っていただきたいと、そのように思っております。 続きまして、同じく農地改革プランの2つ目なんですが、農地転用についての規制が厳格になるとの方針が示されております。その内容はどういうものなのかお伺いをいたします。 ◎農政水産部長(後藤仁俊君) 今回の農地改革プランでは、優良農地の確保の観点から、農地転用の規制について3点の見直しが位置づけられております。第1点は、これまで許可不要でありました「病院、学校等の公共施設の設置を許可の対象にする」、こういった改正とともに、原則として転用が認められていない「集団的農地の面積基準を引き下げる」というものであります。第2点は、違反転用に対する抑止力を強化するために、「罰則を強化する」というものであります。第3点は、2ヘクタール以下の県の農地転用許可事務につきまして、「国の適切な指導の確保を図る」というものになっております。 ◆(山下博三議員) 本当にどんどん制度が変わっていくのでありますが、この法案が通ってきますと―優良農地を残していくことは必要だろうと私は思っています。しかし、農地転用を余りにも厳しくしていくことは、農業農村の活性化の妨げになると、大変危惧いたしております。それは農地の財産的価値がさらになくなるような気がいたします。それともう一点、農地の価値がなくなることと、今までの農家というのは、相続に始まって相続に終わるというのが農家の歴史だったんです。それにはやはり農業をする魅力もありましたし、それは財産的な価値を持っていましたから、一つはそういう大変なときには土地もちょっとでも売ればいいねという思いもあったんですが、さらに転用等が厳しくなってくると、全くこの辺が魅力がなくなるなと、そういう思いであります。今後、本県の取り組みも注意深く我々も見守っていきたいと、そのように思っております。 続きまして、農振法について、同じく農政水産部長にお伺いをしてまいります。昨年の6月議会に続き同じ質問でありますが、家畜の効率的管理や担い手の住宅確保のためにも、農用地区内の畜舎の近隣になぜ農家住宅を建設できないのか、現状についてお伺いをいたしております。そのときの答弁は、個別案件で取り組むという答えでありました。その後、何とかど真ん中に住宅をつくりたいという私の思いもありまして、研究会も立ち上げられまして、部長も何カ所か現場にも視察に行かれたという話であります。これまでの検討状況をお伺いしたいと思います。 ◎農政水産部長(後藤仁俊君) 畜産経営の規模拡大や混住化等を背景としまして、集落から離れた農用地区域内に、畜舎やこれに隣接する農家住宅を建設したいという要望があることは、十分認識いたしております。御指摘がありましたように、私も何カ所か視察をさせていただいたところであります。こういった状況を踏まえまして、ことし4月に、関係課で構成しております研究会を立ち上げまして、建設する場所や家畜の種類など、幾つかのケースに分けた上で、1つには、優良農地の確保、それから農業上の有効な利用等の観点からどのような課題が存在するのか、それから2つ目には、そういった課題を解決する方策は何か、3つ目には、農地関係法の特例措置の活用の是非、さらには家畜管理に与える影響などのさまざまな観点から、現在研究を進めているところであります。先ほど申し上げましたとおり、国におきまして農地関係法の改正が検討されておりますので、その内容も十分に踏まえつつ、引き続き課題の解決方策について研究を続けてまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 実は5年前に、都城なんですが、住宅をつくりたいと申請をしたんです。それで、100%だめということで断られました。しかし、先ほど個別案件という答えをいただきましたが、5年の間に何とか認めていただいて、今、住宅建設中であります。本当に喜んでおられます。今まで、牛が途中で事故で死んだり、その苦難との闘いでありましたが、今度、畜舎の近くに住宅ができるということで、非常に安堵されております。 しかし、私は、もう一件相談を受けているんです。西岳の六工区―六工区といえば霧島のほんのすそ野なんです。そこで、おととしから畜産基地でなおられて牧場をつくられました。本当に疲弊した集落なんですが、そこで後継者が育ち、息子さんが家を牛舎の近くに建てたいと、そのことでも農振法にひっかかってだめということで相談がありました。なぜこんなところまでそんな法律を盾にとるんだと、そういう残念さ、むなしさがいっぱいあるんです。そのことで再度申し上げますが、申し込みの受理は市町村が行うんです。農振のど真ん中は、県が認めないからだめだと言われるんですね。県に行くと、国が認めないということを言う。私は国にも行ったんですが、国に行くと、県の裁量に任せていると言うんですね。そういう答えなんです。さて、どこで解決できるのか。やはり私は県の裁量だと思うんです。研究会も立ち上げられたとのことでありますから、ぜひ農振のど真ん中に畜舎と一緒に農家住宅も建設できるように、取扱基準の整理をしていただきますよう要望を申し上げたいと思います。 次に、畑地かんがい事業の問題点についてお伺いをしてまいります。現在まで7地区の国営かんがい排水事業が実施されてきておりますが、これまでの実績と今後の展望について、県の考えをお伺いいたします。 ◎農政水産部長(後藤仁俊君) 畑かん事業につきましては、本県では7地区のうち4地区が完了しており、3地区が現在実施中であります。完了した綾川地区、一ツ瀬川地区では、水を活用することにより、メロンなどの収益性の高い作物への転換や、シンビジウムなどの花卉の産地化が図られまして、農業所得も向上しております。また、現在実施中の地区におきましても、農業生産法人の参入や契約栽培の推進等により、ホウレンソウ、ニンジン、アスパラガスなどの新規作物が導入され、農地の有効活用が図られているところでございます。農業所得の向上のためには、安定した水を確保して農業を振興していくことが重要であり、今後とも、事業効果が早期に発現できるよう、計画的な事業の推進に努めてまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 7地区あるということで今答弁をしていただきましたが、この中でことし発足いたしました―2月だったんですが―都城盆地土地改良区の今後の課題についてお伺いをしたいと思います。都城盆地土地改良区は、930億の国費を投入されまして、受益農家数9,283名、受益面積3,966ヘクタールで、県内でも最大規模であります。これの経常賦課金が、普通畑で10アール当たり2,500円、お茶が同じく10アール当たり1万1,000円、ハウス、同じく10アール当たり2万1,000円で、賦課金の徴収をすることになっています。県営工事完了予定が平成35年度であるんですが、これまでの収支計画を見ますと、累積赤字が平成35年度で10億2,100万円になります。平成35年から事業収入をふやしながら返済をしていかなければならないんですが、経常賦課をかけるハウス農家の普及を飛躍的にふやす計画があるんです。330町、1戸当たり3反歩ぐらいの経営にいたしますと、そのハウス経営であれば、1,100戸の農家をつくる必要があるんです。現在は水田ハウス中心で、200戸ほどの方がハウス経営農家なんですが、これをどうやって1,100戸にふやせるのか、これが土地改良区の皆さん方、非常に心配されていることなんです。そして、そのことで、都城盆地土地改良区の今後の運営の認識と今後の取り組みについてお伺いをいたします。 ◎農政水産部長(後藤仁俊君) 都城盆地土地改良区は、本年2月に設立されたところでありますが、畑地かんがい用水を使った営農が可能な面積は、現在までのところ限られております。また、農業を取り巻く情勢も大きく変化いたしております。このため、県といたしましては、市場動向などを踏まえた収益性の高い営農の早期実現を可能とするために、土地改良区と一体となって、さらには市町、JA、担い手などのすべての関係者との連携強化を図りまして、目指すべき営農ビジョンを明確にした上で、畑地かんがい整備を積極的に進めるとともに、あわせて維持管理費の軽減の方策なども検討しながら、土地改良区の健全な運営の実現に努めてまいりたいというふうに考えております。 ◆(山下博三議員) 同じく、畑かん事業の推進の方向性についてお伺いしてまいりますが、畑かん事業の推進に私も座談会に呼ばれたり、多くの皆さんからたくさん相談も受けております。何とか基盤整備を整え、農地の集積も図ろうと思うのですが、座談会に行きますと、高齢者や遺産相続による土地持ち非農家などが非常に多くて、説明をしてもなかなか理解していただけないんです。担い手も、人の農地でありますから、負担金のかかる事業にはなかなか前向きな発言も出ない状況です。また、行政担当者からも、具体的な農業推進策が全く示されない状況であります。実にこんなことで農業の将来はどうなるのかと、本当に不安でたまりません。畑地かんがい事業を初めとした農業生産基盤の整備に合わせ、担い手への農地集積や基盤整備は積極的に推進すべきと思いますが、県の取り組みについてお伺いをいたします。 ◎農政水産部長(後藤仁俊君) 農業生産基盤の整備は、圃場条件の均一化、それから高度化を可能としますことから、これを契機として、担い手への農地集積と一体的に推進していくことが最も効果的・効率的であると認識しております。このため、関係機関との連携をさらに強化しながら、地域の合意形成活動などを通じて、認定農業者や農業生産法人などの意欲や能力のある担い手に農地が集積できるよう、基盤整備とあわせ積極的に推進してまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) 先日、石破農水相が閣議後の記者会見で、政府として10年後に食料自給率を40%から50%に引き上げるべく、具体的な数値を示されました。米、麦、大豆等の穀物を初め、牛乳・乳製品の生産拡大数値も示されまして、大きな追い風が吹き出したとの思いであります。今、担当部局は、強力なリーダーシップが必要だと思います。鹿児島県は、曽於地区でも営農推進本部を立ち上げておられます。県の職員の皆さん方も、デスクワークだけでなくて、現場に積極的に足を運んでいただきまして、地域住民が、地域の農家が何を期待しているのか、どういうふうに推進しようとしているのか、そういう話し合いというのをぜひ積極的に進めてほしいと、そういう思いであります。農政水産部の皆さんも、ますます元気を出して、このことを追い風としていただきまして頑張ってもらいますように、お願いを申し上げます。 続きまして、環境対策と新エネルギーの取り組みについて、同じく農政水産部長にお伺いしてまいります。 ことしの夏、都城では大変な話題になったことがありました。キオビエダシャク、ガの一種なんですが、これが非常に異常発生いたしまして、都城市の公園のヒトツバが枯れたという報告もありました。農家からも、このガの飛来とともに、新たなカメムシの発生や、作物の植えつけ時期などをずらすとか、そういう温暖化の現象を非常に不安に思っておられる状況であります。また、海水の温度上昇等によって、近海では熱帯魚が釣れるなどの報道もありました。このことを踏まえ、地球温暖化に伴う本県における農作物への病害虫の発生や沿岸漁業資源への影響等について、現状認識と今後の対応についてお伺いをいたします。 ◎農政水産部長(後藤仁俊君) 近年の異常気象等による農作物の収量・品質の低下を初め、ただいま御指摘の病害虫被害の増加や家畜等の生産性の低下、さらには漁業についても藻場の減少等が確認されるなど、地球温暖化への対応は、本県農水産業にとって避けて通ることのできない喫緊の課題であると認識しております。このため県におきましては、本年度、地球温暖化に的確に対応することを目的に、全国に先駆けて「農水産業温暖化研究センター」を設置しまして、生産現場でのさまざまな情報収集とともに、産業界や大学などと連携した各種影響緩和技術の開発プロジェクトや実証に取り組んでいるところであります。全国の農水産業の中で、いち早く地球温暖化の影響を受ける本県が、今後とも日本の食料供給県としての地位を維持していくためにも、暑さから守る、それから暑さを生かす、さらには温暖化を抑える、この3つ視点からの取り組みを積極的に進めてまいりたいと考えております。 ◆(山下博三議員) ありがとうございます。時間がないんですが、皆さん方に資料を配付いたしておりますが、9月24日付の日経新聞に掲載された、最近、石油代替燃料としてマスコミ等で取り上げられているジャトロファについて、県の取り組みをお伺いいたします。 ◎農政水産部長(後藤仁俊君) ここにお配りした資料に基づき、参考にしながらごらんいただきたいと思います。ジャトロファは、和名をナンヨウアブラギリと言いまして、油の性質がA重油、それから軽油と似ていることから、脱石油型の燃料の一つとして、今年度より宮崎大学の協力を得て基礎研究に取り組んでおります。しかしながら、中南米原産のジャトロファの生理・生態に関する学術的知見が少なく、また、日本でその研究はこれまで行われていない状況にあります。したがいまして、このジャトロファの研究につきましては、インドネシアの大学からジャトロファの種子を導入しまして、系統ごとの特性を明らかにするとともに、椎葉村から日向市まで標高別に苗を植えつけまして、本県での適地性・経済性についての検討を行うこととしております。 ◆(山下博三議員) まだ小水力発電関係をかなりボリュームを持って答弁をしてほしい思いでいっぱいであったんですが、これで、時間が参りましたので終わります。ありがとうございました。(拍手) ○議長(坂口博美) 以上で本日の質問は終わりました。 あすの本会議は、午前10時開会、本日に引き続き一般質問であります。 本日はこれで散会いたします。   午後2時40分散会...