令和 4年 第3回定例会(9月) 令和4年第3回
大分県議会定例会会議録(第5号)令和4年9月16日(金曜日
) -------------------------------議事日程第5号 令和4年9月16日 午前10時開議第1 一般質問及び質疑、
委員会付託第2
特別委員会設置の
件 -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 一般質問及び質疑、
委員会付託日程第2
特別委員会設置の
件 -------------------------------出席議員 42名 議長
御手洗吉生 副議長 古手川正治 志村 学 井上伸史 吉竹 悟 清田哲也 今吉次郎 阿部長夫 太田正美 後藤慎太郎 衛藤博昭 森 誠一 大友栄二 井上明夫 鴛海 豊 木付親次 三浦正臣 嶋 幸一 元吉俊博 阿部英仁 成迫健児 高橋 肇 木田 昇 羽野武男 二ノ宮健治 守永信幸 藤田正道 原田孝司 小嶋秀行 馬場 林 尾島保彦 玉田輝義 平岩純子 吉村哲彦 戸高賢史 河野成司 猿渡久子 堤 栄三 荒金信生 麻生栄作 末宗秀雄
小川克己欠席議員 1名 浦野英樹
-------------------------------出席した県側関係者 知事 広瀬勝貞 副知事 尾野賢治 副知事 吉田一生 教育長 岡本天津男
代表監査委員 長谷尾雅通 総務部長 若林 拓
企画振興部長 大塚 浩 企業局長 磯田 健 病院局長 井上敏郎 警察本部長 松田哲也
福祉保健部長 山田雅文
生活環境部長 高橋 強
商工観光労働部長 利光秀方
農林水産部長 佐藤 章
土木建築部長 島津惠造
会計管理者兼
会計管理局長 廣末 隆 防災局長 岡本文雄 観光局長 秋月久美
人事委員会事務局長 後藤 豊
労働委員会事務局長 田邉隆司
------------------------------- 午前10時 開議
○
御手洗吉生議長 おはようございます。 これより本日の会議を開きます。
-------------------------------
△諸般の報告
○
御手洗吉生議長 日程に入るに先立ち、諸般の報告をします。 まず、監査委員から地方自治法第235条の2第3項の規定により、8月の
例月出納検査の結果について、文書をもって報告がありました。 なお、調書は朗読を省略します。 次に、第73
号議案職員の
高齢者部分休業に関する条例の制定について、第74
号議案職員の定年等に関する条例等の一部改正等について、第75
号議案職員の育児休業等に関する条例の一部改正について及び第76
号議案職員の
特殊勤務手当支給条例の一部改正について、
地方公務員法第5条第2項の規定により
人事委員会の意見を聴取した結果、適当と考える旨、文書をもって回答がありました。 次に、
教育委員会から
地方教育行政の組織及び運営に関する法律第26条第1項の規定により、教育に関する事務の管理及び執行の状況の点検及び評価について、報告書の提出がありました。 なお、報告書はお手元に配布しています。 以上、報告を終わります。
-------------------------------
○
御手洗吉生議長 本日の議事は、お手元に配布の議事日程第5号により行います。
-------------------------------
△日程第1 一般質問及び質疑、
委員会付託
○
御手洗吉生議長 日程第1、第70号議案から第98号議案までを一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。吉竹悟君。 〔
吉竹議員登壇〕(拍手)
◆
吉竹悟議員 おはようございます。3番、自由民主党、吉竹悟です。 今回、質問の機会を与えていただきました自由民主党全ての皆様に心より感謝、御礼を申します。ありがとうございます。 答弁をいただく知事、そして、部長の皆様、私の質問の後ろにいるたくさんの人々に寄り添った、心温まる答弁をいただきたいと思うので、どうかよろしくお願いします。 さて、季節はもうすっかり秋です。私ども竹田市は農業の
算出額トップとなっていますが、この週末、あいにく稲刈りができない状況になっているし、運動会、体育祭も予定されていますが、今回の台風第14号で全てがキャンセル、中止になっているようにお聞きしています。何とか被害のないことを心から念じ、一般質問に入ります。どうかよろしくお願いします。 今回の一般質問は、四つの問題について質問します。 まず最初に、今後の林業振興の展望について質問します。 日本の森林は、国土面積3,780万ヘクタールの3分の2に当たる2,505万ヘクタールあり、そのうち1,348万ヘクタール、約5割が天然林、1,020ヘクタール、約4割が人工林、残りが無立木地及び竹林となっています。 森林資源を見てみると、人工林を中心に蓄積量が毎年約7千万立方メートル増えており、現在は約54億立方メートルです。面積ベースで考えれば、人工林の約半分は50年生を超えた主伐期を迎えています。資源を有効利用すると同時に、今後の循環利用に向け、計画的に再造林することが重要です。 本県の森林面積は約45.3万ヘクタールで県全体の面積の71%を占めており、この森林資源を活用し、木材の産出や質、量とも日本一を誇る
乾しいたけなどの生産も盛んで、中山間地域の林業や木材産業の活性化に寄与しています。つまり農山村の振興に大きく貢献していることとなります。 県民生活には、森林が持つ国土保全、水源の涵養、二酸化炭素の吸収による
地球温暖化の防止、生物多様性の保全、木材など林産物供給などの多面的機能が公益的な機能も発揮することで、安心・安全な日常を提供しています。 しかしながら、現在、林業を取り巻く環境は決してよい状況にあるとは言えません。さきに述べたように、主伐期を迎えた杉、ヒノキの人工林は伐採を待っている状況ですが、一方では、植栽15年以下の若い人工林は非常に少ない状況となっています。このため、主伐後の再造林、植栽を着実に行わなければ、将来にわたり十分な森林資源が確保されず、林業の経営環境は今後ますます厳しくなると考えます。 こうした現状を踏まえ、県における今後の林業振興の展望と、いよいよ11月12日、13日に開催される第45回
全国育樹祭への知事の思いを伺います。 後段の質問は対面席で行います。よろしくお願いします。 〔吉竹議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○
御手洗吉生議長 ただいまの吉竹悟君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 吉竹悟議員から林業振興の展望について御質問いただきました。 昭和33年に本県で開催された第9回全国植樹祭は、拡大造林を推進するきっかけとなり、以来、先人たちのたゆまぬ努力により植え、育てられてきた森林は、今や多くの資源を蓄えています。 この豊かな森林資源をフル活用し、再生していく循環利用の確立が、持続可能な林業経営を行う上で誠に重要になってきました。このため、新たな視点で次の二つに取り組んでいきます。 一つは、文字どおり、年輪を重ねた大径材の伐採と活用です。県内の人工林は60年生をピークに大径材が多いことから、これらを積極的に活用し、森林資源の偏りを解消していくことが必要です。 このため、大径材の伐採を見据えた路網の整備や
高性能林業機械の導入を進めるとともに、製材加工に必要な機械等の整備を支援していきます。加えて、大径材製品の消費拡大に向けて、大消費地である関東・東海地域等に拠点を設け、販売力を強化していきます。 二つ目は、早生樹による着実な再造林です。本県の再造林は、植栽本数を減らす疎植造林や民間企業などからの支援により、令和3年には再造林率が74%となるなど、目標の80%に向けて堅調に推移しています。 しかしながら、議員御指摘のとおり、若い人工林が非常に少ないことから、30年後の森林資源に不安が残ります。そのため、今後の再造林では、伐期の大幅な短縮が見込まれる
エリートツリーやコウヨウザンといった早生樹の導入を進めていきます。 大径材を伐採し、資源の若返りを進めることは、結果として森林による
二酸化炭素吸収量を増加させることから、本県が目指す脱炭素社会の実現にも大いに役立つものと思います。 このような中、あと57日と迫りましたが、本県では2度目となる
全国育樹祭を、皇族殿下の御臨席を仰いで開催します。 今大会では、「伐って使い、植えて育てる」をコンセプトとしており、高林齢化した大径材を切って、そこに早生樹による再造林を行うなどの新たな循環型の
森林づくりをアピールしていきます。 また、各行事において、多くの子どもたちに活躍の場を設けるとともに、大会後の森林・林業教育を充実させることで、未来の
森林づくりを担う人材を育成していきます。 このように、大分の豊かな森林とその恵みを次代につなぐ大会にしていきたいと思っています。
○
御手洗吉生議長 吉竹悟君。
◆
吉竹悟議員 知事、どうも答弁ありがとうございました。育樹祭への思い、それから森林に対する思い、私も共通した思いがあります。何せ大分県は70%を超えて森林です。私ども竹田市も同じように7割を超えた森林があるので、それを活用する、そして、それが県民ないし国民にその林業のありがたさ、林業がなくてはならない、その森林がなくてはならないという気持ちがどこかで伝わっていただきたいので、今回の育樹祭の御成功を心から御祈念します。 続いて、2番目の質問に行きます。 林業の
担い手確保についての質問を行います。 現在の山林の現状から見ると、将来的に
水源涵養機能の低下による災害の発生や獣害の多発化といった不安があります。
林業従事者や一人親方、
森林所有者などの高齢化が進むと同時に担い手が不足している現状では、林業が魅力的な産業として位置付けられていないのではないでしょうか。とりわけ、林業は危険性が高く労働環境も決してよい方ではなく、
林業そのものの情報や就業に関する情報も少ないようです。 山林を守り林業振興を図るためには、今現在、活動している森林管理の作業員、
新規就業者や後継者、各種団体など林業に関わる人や団体の支援や育成などが重要です。最近は林業を目指す若い人も現れているし、就業や研修のための支援もありますが、農業に比べると
就業希望者が少ないのが現状のようです。現在、林業者の
事業体向けや後継者育成のための様々な補助事業や制度がありますが、現状の課題を解決できずにその効果が十分に発揮できていない面もあると考えます。また、林業用の機械導入は多額の費用が必要ですが、
新規就業者や一人親方向けの支援制度は少ないようです。 林業に関わる若い人材や後継者、森林を守る人や団体の確保と育成、そして、魅力ある林業の産業化が大切だと考えますが、林業の
担い手確保について今後どのような方策で進めていくのか、
農林水産部長の見解を伺います。
○
御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。
◎
佐藤章農林水産部長 林業は、森林を守り次世代に受け継ぐ魅力ある産業です。一方で、労働強度や雇用環境の面で就業のミスマッチも生じています。このため、担い手の確保に向けては、段階的に対策を講じていきます。 まず初めに、林業への就業を選択肢としてもらえるよう、ガイダンスや
就業支援サイトでの情報発信に加え、高校生などを対象とした職場見学などを行います。 次に、就業を決意された方々には、給付金を受けながら、必要な知識、技術を習得できるおおいた
林業アカデミーでの研修や
作業体験研修を実施していきます。さらに、雇用就業後は、緑の雇用制度の活用や
造林OJT研修など
フォローアップを行い、着実な定着を図っていきます。 また、伐採や造林作業を独立で行う一人親方に対しても、
生産性向上や資格取得に向けた研修を実施するとともに、蜂毒や振動病対策への助成など、林業者として経営できるよう支援していきます。 今後とも160万立方メートルの素材生産や循環型林業を担う人材の確保、育成に向け、必要な対策をしっかりと行っていきます。
○
御手洗吉生議長 吉竹悟君。
◆
吉竹悟議員 答弁ありがとうございます。思いはさきほどから言うように共通しています。現状は若干、その気持ちが林業者にとってまだ通じていないものがあるので、ここで再質問します。 林業の現状を人という観点、視点から見てみると、本来経営者であるべき
山林所有者に不在地主が増加し、あわせて、山に関わる
林業従事者や森林作業員の高齢化が進み、山を管理する人も減少しています。そのことから慢性的な人手不足となっています。
小規模事業体も含め、林業者や
新規参入者にとって補助事業や制度は現状を踏まえたものとなっているのか、補助制度の要件は林業者にとって取り組みやすいものとなっているのか、再度お尋ねします。
○
御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。
◎
佐藤章農林水産部長 就業前から就業後の
フォローアップまで段階的な支援を実施しており、取り組みやすいものになっているとは認識しています。事業体においても同様に、雇用管理の実態や生産規模に応じ、段階的に支援を行っています。 また、やはりきめ細かな支援は大事になってくると思うので、そこについては今、市町村に対し、
森林環境譲与税を活用した
担い手確保対策などを提案し、またアドバイスも行って、市町村にもそういった支援を拡大していただくようにお願いしている状況です。
○
御手洗吉生議長 吉竹悟君。
◆
吉竹悟議員 ありがとうございました。今、
森林環境譲与税の活用も話されましたが、さきの一般質問の中にあったように、半分は返している、使っていない状況があるので、本当の意味で活用していただきたいと思うので、よろしくお願いします。 そこで要望します。山から木材を効率よく出すためには、作業道の大型化などが必要になります。いろいろな主体や要件が絡み合って、なかなか前に進まない事案もあるようです。ぜひ林業家の視点に立って解決してもらいたいと思います。どうかよろしくお願いします。 続いて、
しいたけ振興について伺います。 先月、8月6日に佐伯市で、2022年
全国乾しいたけ振興大会inオーガニックシティさいきが開催されました。 大会の趣旨は、近年の
地球温暖化の進行や異常気象などが、しいたけの生産に大きなダメージを与えていること、高齢化や担い手不足から生産量が減少していること、若い世代の
乾しいたけ離れが進んでいることから、生産者の意欲を喚起するとともに、消費者に対して
乾しいたけの魅力を伝えることでした。 本県は
乾しいたけの質、量ともに日本一を誇っていますが、
しいたけ生産の現状や消費の減退と、菌床しいたけによる
乾しいたけの流通量が増加していることを踏まえ、今後は生産者の収入を確保しつつ、
原木乾しいたけ生産日本一を維持していくのかが施策の課題と考えています。特に、生産者の高齢化により原木伐採などができなくなり、生産者、植菌量、生産量が減少しています。これは原木伐採からしいたけの栽培までの工程が一戸の農家の一貫作業となっていることもその要因となっています。生産の減少から、伐期をはるかに過ぎ荒廃したクヌギ林も年々増加しています。 県は、
原木しいたけにこだわりを持って
施設機械整備や研修制度などの施策も充実し、安定した
しいたけ生産を進行しているが、生産者や生産量の減少に歯止めをかけることは厳しい状況のようです。今後は、原木伐採から、種駒打ち、ほだ木運搬などの重労働となる部分の分業化を考えていかなければならないと思っています。分業においては、運送業や建設業などとの連携も考えられます。
しいたけ栽培を一つの産業として捉え、現状の課題を解消し、新規参入を目指す若者や後継者、また、高齢化している生産者にとって魅力のある産業化と栽培の継続が大切であると考えますが、しいたけの振興について今後どのように進めていくのか、
農林水産部長の見解を伺います。
○
御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。
◎
佐藤章農林水産部長 しいたけの振興にあたっては、生産体制の整備と担い手の確保、育成、消費拡大を総合的に進めることが重要です。 生産体制の整備では、竹田市などの
生産者グループによる原木伐採、玉伐り、運搬の分業化や、県椎茸農協の
AI選別機導入による省力化の取組を支援しています。 担い手の確保、育成では、
しいたけ版ファーマーズスクールの設置や、
新規参入者を対象とした
生産施設整備等の支援を行い、4年間で109人の
新規参入者を確保しています。 また、建設業など異業種からの新たな担い手の確保も進めており、重機を活用した大規模経営に取り組んだ結果、
全国品評会で
農林水産大臣賞を受賞した事例もあります。 消費拡大では、
県内観光施設と連携した食べる機会の創出や大消費地での商談会、有名料理人を起用したPRなどを行っており、うまみだけの取扱店は昨年の3倍となる222か所まで増加しています。 今後とも質、量ともに日本一の地位を維持できるよう、総合的に支援していきます。
○
御手洗吉生議長 吉竹悟君。
◆
吉竹悟議員 答弁ありがとうございます。今、部長の答弁にあったように、
ファーマーズスクール、竹田市もその取組で若干は持ち直しているが、県全体でいえば減少傾向は歯止めがかかっていないので、さらに支援をよろしくお願いします。 次に、竹田市の治水対策について質問します。 昭和57年7月24日、大洪水をもたらした梅雨末期の集中豪雨が竹田地方を襲い、7人の尊い人命を奪うとともに、家屋の全半壊、道路、鉄道の流失、稲葉川、玉来川の氾濫などにより、未曽有の大惨事をもたらしました。 まず、県では
災害復旧事業に取り組み、その後、再度災害防止のため、昭和59年から玉来川、昭和60年から稲葉川で
河川改修事業に取り組まれました。 その僅か8年後の平成2年7月2日には、これを上回るかつてない豪雨が再び竹田地方を襲い、家屋の流失、全半壊、道路、鉄道の流失など市民生活に大被害を与えるとともに、尊い5人の人命を奪いました。 この大水害を契機に、市街地上流に稲葉ダム、玉来ダムを建設する
竹田水害緊急治水ダム建設事業が平成3年度に事業採択され、河川改修とダム建設を組み合わせた治水対策を行うことになりました。その後、河川改修については平成12年度に概成し、稲葉ダムについては平成22年度に完成しました。 一方、玉来ダムについては、事業を本格化しようとした平成21年から
ダム検証作業が始まり、約2年間を要しました。平成24年7月12日に、
九州北部豪雨により、浸水家屋217戸、2人の人命を奪うなど大災害を受けました。特にダムができていない
玉来川流域では、国道、鉄道の寸断や家屋浸水など甚大な被害があったことは残念でなりません。 被災後、
竹田水害緊急治水ダム建設促進委員会が中心となって、住民の安全・安心のために一日も早く玉来ダムを完成させると掲げ、市民1万1千人の署名を集めるなど、被災を受けた下流域、ダムを建設する上流域の住民が手を取り合って取り組んできました。また、知事を筆頭とした関係者の御尽力により、工事は着実に進んでおり、改めて感謝します。 こうした中、今年2月、
玉来ダム早期完成を求め尽力してきた
竹田水害緊急治水ダム建設促進委員会の前会長の丹統司さんが亡くなられました。最後に現場を訪れた昨年8月の
堤体完成式典では、全体像が見えてうれしいと涙を浮かべていたのが印象的でした。 昨今は、線状降水帯の発生など記録的豪雨が頻発する気候変動によって、これまで経験したことのない異常気象が発生すると言われています。 竹田市における過去3度の大水害を踏まえ、これまでのダム事業を始めとする治水対策の経過と、いよいよ完成を迎えるにあたっての知事の思いをお聞かせください。
○
御手洗吉生議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 竹田市の治水対策について御質問いただきました。
竹田市民悲願の玉来ダムですが、工事も大詰めを迎え、いよいよ竣工式を11月7日に執り行う旨、こうして発表できるまでになりました。苦難の歴史を乗り越えた今、万感の思いです。 振り返ると、昭和57年、平成2年の集中豪雨により、合わせて12人もの尊い人命が奪われ、鉄道や国道などあらゆるライフラインが寸断し、未曽有の被害を受けました。 たび重なる災害を受けて、県では平成3年から稲葉ダムの建設に着手し、20年間に及ぶ事業期間を経て、22年にこの稲葉ダムが完成しました。 次はいよいよ玉来ダムだというところで、時の政府の検証作業により2年間の事業中断を余儀なくされたところです。ようやく再開した矢先に、平成24年
九州北部豪雨の襲来です。この間、既に完成していた稲葉ダムの下流域では、被害が最小限に食い止められた一方で、
玉来川流域では三たび甚大な被害を受け、落胆する被災者の姿を目の当たりにしました。 県土を守る立場にある者としてじくじたる思いで、何としても玉来ダムを早期に完成させなければならないと強く決意したところです。 まず、計画にあたっては、ダムは治水効果が大きい反面、地形改変など自然への負荷も大きいことから、自然環境に配慮して、ふだんは水をためない流水型を採用することとしました。 事業進捗を左右する用地取得は、
地元関係者の御協力のお陰で、僅か1年で約9割の面積を契約していただきました。前例のないスピードで工事の準備が大変進捗しました。 工事に備えた調査設計では、阿蘇のたび重なる噴火活動による、全国まれに見る複雑な地質に対し、綿密な検討を行ったところです。 こうして29年に着工しますが、いざ施工になると、亀裂が多い岩盤への止水対策など、新たな技術的課題が露見したため、職員を
ダム技術センターへ派遣するとともに、国土交通省には一貫して大変丁寧な御指導をいただいたところです。 このように多くの方々に御協力いただいて、技術の粋を集めてダム建設に取り組んだ結果、昨年、
本体コンクリート打設が完了し、先月、主要工事を終えて、現在、ダムの安全性を確認するため、試験湛水を行っています。 完成を迎える今、整備促進に多大な御尽力をいただいた、今は亡き和田至誠元県議会議長や丹統司前
建設促進委員会会長のお二人に思いをはせると、さぞ喜んでおられることと思います。 また、円滑な工事の進捗に御理解、御協力いただいた当県議会の皆様はもちろんですが、地域の方々、あらゆる関係の皆様に心より感謝します。 約30年という長い年月を要しましたが、二つのダムの完成により、ようやく竹田市民に安全・安心が届けられるとともに、地域振興にも寄与するものと期待しています。
○
御手洗吉生議長 吉竹悟君。
◆
吉竹悟議員 答弁ありがとうございました。私も万感の思いですし、和田至誠先生、そして丹統司さん、そして知事の話にあったように、僅か1年で9割の方々の賛同を得た。つまり、竹田市において治水対策は喫緊の課題だったということがそこで証明されているし、知事の答弁にあった11月7日、竣工式をやっていただけるということで大変ありがたく、心から感謝します。 次の質問に入ります。 畜産振興についてです。耕畜連携による堆肥の活用について質問します。 ロシアによるウクライナ侵攻後、原材料価格高騰、肥料価格高騰、飼料価格高騰、そして、社会経済を取り巻くほとんどの生活必需品価格の高騰と生活環境において厳しさを増す状況です。 特に農業生産物は買手市場という中で、生産者は自らの生産物に対して自らが値段をつけることがなかなかできません。反面、生産に必要な資材や肥料、飼料など、どんどん値段が上昇しています。こうした厳しい環境の中、国や県において飼料価格上昇分の補填等の経営支援が行われており、大変ありがたく感じていますが、もう一つ大事な観点が、影響の長期化も懸念される中でも継続できるかです。その経営体質の転換が必要だと考えています。 そういった意味で、今非常に注目されているのが堆肥の活用です。堆肥は、肥料価格高騰の影響を受けにくい生産体制づくりが鍵となるが、地域によるばらつきが大きく、供給側である畜産農家と使用側である耕種農家との、いわゆる耕畜連携の体制構築が困難で、これまでなかなか活用が進んできませんでした。 県では6月補正で耕畜連携堆肥活用推進事業を予算化し、県域での堆肥の流通体制を構築する予定であると聞いています。そのためには、これまで実現できなかった理由や課題を丁寧にひもとき、解決策を構築していく必要があります。 そこで、耕畜連携による堆肥活用の課題と今後の取組について、
農林水産部長の見解を伺います。
○
御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。
◎
佐藤章農林水産部長 長年の課題である耕畜連携の取組を進めるためには、供給側、活用側の課題を並行して解決する必要があります。 まず、供給側の課題として、高品質堆肥の安定生産と、堆肥供給力の地域ごとのばらつきを解消することが挙げられます。このため、ペレット製造機など、高品質化機器の整備を支援するとともに、堆肥の成分を分析します。これによって品質の確保に努めていきます。あわせて、産地ストックヤードの整備や、運搬、散布を請け負うコントラクターの育成を進め、県域での供給体制を構築していきます。 活用側は、これらの堆肥をいかに効率的に使用し、経営を強化できるかが課題です。本年度は、ねぎや麦で堆肥活用モデルの大規模な実証を行っており、その有効性を示すことで、さらなる活用促進を図っていきます。その上で、需給バランスについて責任を持って調整することが重要です。このため、JAグループ等による耕畜連携広域マッチングチームを立ち上げ、県下全体での需給体制を整えました。 こうした取組を不退転の覚悟で進め、県域での耕畜連携体制を確立していきます。
○
御手洗吉生議長 吉竹悟君。
◆
吉竹悟議員 答弁いただきありがとうございます。需要と供給のバランスが非常に重要だということで、なかなか旗を揚げても実際に本当のバランスが取れていないのが現状です。そこにさらに踏み込んで呼びかけをしながら、今非常に肥料、飼料は高騰しているので、何とか安価でできるような体制づくりをしていただきたいと思うので、よろしくお願いします。 続いて、人工授精師の免許取得について伺います。 肉用牛繁殖経営において、所得の基礎となる子牛を安定的に出荷するためにも、繁殖成績の向上は経営の核となります。そうしたことから、畜産農家にとって人工授精は重要な工程です。母親牛の発情期にタイミングよく授精させることは、計画的な分娩には欠かせない作業です。そのタイミングは決まった時間に始まるものではありません。時間帯もまちまちです。人工授精師を雇うことがたやすくできるわけではありません。規模拡大が大幅に進んだ地域では人工授精師の不足により、繁殖適期に人工授精ができないなどの問題が発生していると聞いています。また中には、自ら人工授精業務を行うことを希望している生産者も多くいると聞いています。 現在、年に1回、畜産研究部において人工授精師の講習会が行われていますが、希望する方が何年待ってもできない状況になっています。受入れの人数を増やすことや回数を増やすことができれば、希望する方々がタイムリーに受講できるのではないかと思うし、授精適期に人工授精ができるようになることで、県内における繁殖成績の向上につながるのではないかと考えています。ぜひとも前向きに検討していただきたいと思いますが、
農林水産部長の見解を伺います。
○
御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。
◎
佐藤章農林水産部長 繁殖農家の所得の向上には、雌牛の分娩間隔を短縮して、子牛を効率よく生産することが重要です。このため、雌牛の発情適期に種付けを行うことが大切であり、この業務を行うのが人工授精師です。 人工授精師の免許取得については、学科と実習を受講した上で修業試験に合格する必要があります。講習会は、受講者の希望を踏まえて、農閑期の11月に開講して、12月に閉講するように調整して、畜産研究部において年1回開催しています。 近年、農業大学校生の受講希望者の増加に加え、規模拡大に伴い、所有する雌牛に授精を行うため、免許取得を目指す生産者も増えたことから、定員15人の枠を超えて、生産者の受講枠が不足する状況が生じています。 このため対策として、令和3年度から農業大学校生については、自校で講習会を受ける体制に改めるとともに、畜産研究部の指導体制を強化したことから、定員を18人に増員し、全てを生産者の受講枠に割り振っています。 県としても、今後とも人工授精師の確保、育成を図るとともに、畜産農家の繁殖成績並びに所得の向上に努めていきます。
○
御手洗吉生議長 吉竹悟君。
◆
吉竹悟議員 答弁ありがとうございます。恐らく今の答弁で、免許を受講する期待を持っていた方がいます。今回これを取り上げたことを、そういう方々にお知らせしていて、その答弁がどうなのか皆さん興味を持っておられます。受講の機会、人数が増えたことで、さらに皆さんが畜産経営に対する希望、夢を持てるのではないかと思っています。どうもありがとうございます。 続いての質問に行きます。 障がい者をめぐる諸課題について。 まず最初に、発達障がい児の早期発見、早期支援について伺います。 発達障害者支援法では、発達障がいとは、自閉症、アスペルガー症候群、その他広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であって、その症状が通常低年齢において発現するものとされています。生まれつきの脳機能の障がいであり、コミュニケーションや想像力を働かせることが苦手であるといった特徴があります。 また、同法第3条では、国及び地方公共団体の責務として、発達障がいの早期発見及び発達支援のための必要な措置を講じるものとされています。発達障がいは早期に療育や支援を開始することにより、そうしない場合よりもはるかにその後の社会生活の困り感が違うと言われています。つまり、いかに早く気付いてあげることができるか、そして、いかに早く適切な支援ができるかが重要な鍵となるわけです。 本県でも早期発見、早期支援に力を入れてきていると聞いていますが、健診のときだけではなく、日常の幼児教育や保育の中でいち早くその特性に気付き、専門家につなげていくこと、そして、早期に児童発達支援事業所などの療育機関による発達支援に結び付けていくことが肝要です。加えて、小学校へと進む中で適切な連携を取れるかも忘れてはなりません。幼児教育や保育の現場から小学校へ適切な報告がなされていることが重要になっていきます。 こうしたことを踏まえ、発達障がい児について本県での早期発見、早期支援の現状と幼児教育や保育から小学校への連携についてどのように取り組まれているのか、
福祉保健部長に伺います。
○
御手洗吉生議長 山田
福祉保健部長。
◎山田雅文
福祉保健部長 発達障がい児の早期発見、早期支援についてお答えします。 おおむね5歳になると、通常は相手の気持ちを理解して行動できるようになるため、発達障がいの特性に気付きやすくなると言われています。 そのため県では、市町村が行う5歳児健診等に専門医を派遣し、見極めが難しい軽度の発達障がいの早期発見に努めています。 また、早期支援としては、専門的な相談にワンストップで対応する子どもの発達支援コンシェルジュを6圏域の児童発達支援センターに配置し、関係機関との支援調整を行っています。 加えて、保育所等での集団生活の現場では、本県独自に養成した約700人の保育コーディネーターが、発達障がい児の早期発見と必要な支援につなげています。 さらに昨年度からは、国の無償化の対象外である3歳までの障がい児に対し、児童発達支援サービスの利用者負担を県独自に全額助成し、早期の療育支援を下支えしています。 小学校との連携については、健診情報等を記録した相談支援ファイルを活用して、情報共有を図るとともに、発達支援コンシェルジュや保育コーディネーターとの協働による切れ目ない支援も行っています。 今後とも関係機関との緊密な連携の下、発達障がい児が伸び伸びと育つことのできる環境づくりに力を入れていきます。
○
御手洗吉生議長 吉竹悟君。
◆
吉竹悟議員 答弁ありがとうございます。1点、今、幼稚園、保育園、それから小学校へとつなげていくときに、個々のいろんな内容がありますよね。もちろん個人情報等々いろいろあるんでしょうが、それが本当に的確に小学校側につながっているのかといったら、実はそうではない部分もあるということが、私もそれを調査しているので知っています。 ここで詳しい内容を言うべきではないと思っていますが、そういうことを本当にきめ細やかなつなぎ、そして、さきほど言ったように早期発見することが、その子どもたちのための支援になるので、1点だけ要望します。 発達障がいの診断を受けていないものの、発達が気になる子どもへの対応も大切です。本年度から切れ目ない支援に向け、就学前後を通じた支援体制づくりを進めていくと聞いていますが、ぜひとも教育、福祉などの関係機関が連携し、しっかりと体制の構築を進めてもらいたいと強く要望しておきます。 続いて、発達障がい児の通級指導について伺います。 平成23年度に実施された文部科学省の全国調査では、公立の小中学校の通常学級に在籍する児童生徒のうち、発達障がいの可能性のある児童生徒の割合は全体の6.5%と推計されています。つまり、30人学級であれば、そのうちの2人は発達障がいの可能性があるということです。今や身近であるこうした児童生徒への支援が大切であると考えています。 特に最近は、障がいに合わせて個別に指導する必要性への理解が広まったこともあり、通常学級に在籍しながら、週に1、2回、障がいに応じた特別な指導を受ける通級指導が増えており、本県でも現在59教室、約470人の児童生徒が学んでいます。 しかしながら、教師は発達障がいの専門的な立場ではありません。また、多くの児童生徒を指導していかねばなりません。そういうことから、一人一人に多くの時間を割いていくことは現場ではなかなかできないのが現状です。 そのような中、先日、発達障がい児をサポートする作業療法士(OT)とお話しする機会がありました。作業療法士であれば、その専門的知識をいかして、その現場で行動観察して適切な指導の方向性を見出していくことができるとのことであり、特別支援学校や特別支援学級だけではなく、通級指導教室や通常学級においても、作業療法士の視点が入ることで、生徒の学習や生活環境はよくなっていくと考えていますとのことでした。 現在でも発達障がいの訓練を専門機関で行う際には、作業療法や理学療法など必要な専門家が携わっていますが、なかなか通常の教育現場までには入っていないのが現状です。 本県の障がい者計画では、多様な障がいへの対応として、外部人材の活用による幼稚園、小中学校、高等学校における障がいのある幼児、児童生徒への対応の強化を掲げており、理学療法、作業療法等の専門家等とのネットワーク構築により、各分野における専門性の高い外部人材を活用した授業研究会の実施など効果的な専門性向上を目指すこととしています。 また、本年度から小中学校通級指導教室充実事業として、通級における指導システムの構築と担当教員の専門性の向上を図る事業がスタートしています。 共生社会の形成に向けたインクルーシブ教育システムの構築に向け、外部人材等と連携しながら、増加する発達障がい児への教育を充実させていくことが必要であると考えます。こうしたことを踏まえ、発達障がい児への通級指導の充実に向け、外部人材との連携を含め、今後どのように取り組んでいかれるのか、教育長の見解を伺います。
○
御手洗吉生議長 岡本教育長。
◎岡本天津男教育長 県
教育委員会では、発達障がいのある子どもを担当する教員を支援するため、特別支援学校教員による巡回相談、個別の指導計画推進教員の派遣、医師などの専門家による個別相談会を実施しています。このうち個別相談会には、全7地域中4地域で作業療法士に参画いただいています。 加えて、大分県発達障がい者支援センターが養成した支援専門員が学校を訪問指導する制度もありますが、その支援専門員の中にも作業療法士等の療育関係者がいます。 さらに、就学中も療育機関等で継続して支援を受けている子どもについては、その担任が療育の様子を見学し、学校での指導にいかすなど、連携した取組を進めているケースも見られます。 通級による指導の充実に向けて、今年度から小中学校通級指導教室充実事業を開始し、モデル校で自立活動の指導や校内体制の充実を図っています。 今後は、モデル校でのノウハウを各学校に広めるとともに、巡回相談や個別相談会などの活用を十分に促し、発達障がいのある児童生徒の通級による指導のさらなる充実を進めていきます。
○
御手洗吉生議長 吉竹悟君。
◆
吉竹悟議員 ぜひともよろしくお願いします。 それでは、最後の質問に入ります。 公務部門の合理的配慮について伺います。 県庁においても、障がい者雇用率日本一の旗振り役として、隗より始めよの精神で既に多くの障がいのある方が雇用されていると思いますが、障がいも外見上把握し得るものから、心疾患、肝疾患のように臓器に障がいのある方や、知的、精神の障がいのある方まで多岐にわたり、その態様に応じて職務に従事されていると思います。こうした方々が安心して職務を遂行するためには合理的配慮が必要となります。 合理的配慮の提供については、平成25年の障害者雇用促進法改正によってその提供が事業主に義務付けられたもので、働きやすいハード面の環境整備はもとより、職務従事者誰もが円滑に職務を執行することができる人的環境の形成も必要であると考えます。 特にハード面の整備は、古い庁舎ではなかなか難しいと思います。職員の皆さんの意識付けにより対応しやすくなることもあると思います。一方で、前回の定例県議会の総務企画常任委員会においても報告があった別府庁舎の再編統合では、ハード面での合理的配慮を実践する好機です。合理的配慮を踏まえ、整備がなされ、障がい者にとって魅力のある職場となることを期待しています。 適材適所の人材配置と合理的配慮の行き届いた職場環境が整備されるべきだと考えているので、そのことが障がいの有無に関わらず優秀な人材を確保することにつながると思います。県において公務部門の合理的配慮をどのように確保するのか、総務部長に伺います。
○
御手洗吉生議長 若林総務部長。
◎若林拓総務部長 県では、障がいのある職員一人一人が、その特性や個性に応じて能力を有効に発揮できるよう、大分県障がい者活躍推進計画を策定し、取り組んでいます。 例えば、知事部局では、車椅子利用者に合わせた机の配置や聴覚障がい者に対して会話を即時に文字化できるアプリを導入したほか、障がいのある職員のための時差通勤などを行っています。 また、令和元年度の職員採用選考から、障がいの区分にかかわらない募集をしているが、精神障がい等への理解を促進するため、周囲の職員に対する研修も実施しています。 今年度からは、職場定着支援の観点から、障がいのある職員が働く上で、自分の特徴や希望する配慮などを就労パスポートといった形で整理し、職場と情報共有しています。 さらに、人事課に職場支援員を配置して、本人及び職場への定期的な相談を行うことにより、本人の能力をいかせるような仕事の切り出し方、その他のアドバイス等を行っています。 引き続きこのような取組を通じ、合理的配慮が行き届き、誰もが働きやすい魅力ある職場環境づくりに努めていきます。
○
御手洗吉生議長 吉竹悟君。
◆
吉竹悟議員 以上です。ありがとうございました。(拍手)
○
御手洗吉生議長 以上で吉竹悟君の質問及び答弁は終わりました。守永信幸君。 〔守永議員登壇〕(拍手)
◆守永信幸議員 27番、県民クラブの守永信幸です。一般質問の機会を与えてくださった先輩議員、同僚議員の皆様に心から感謝します。 台風第14号が勢力を強めながら近づいています。予報では、予報円の中心をたどると、19日の朝3時に長崎市を経由し、強い勢力を保ったまま長崎市周辺を経由して福岡県を横断するような経路で予測されていますが、ぜひとも大きな被害とならないように、常に最新の情報を基に、大分県に接近する前後も含めて注意喚起をいただいておきたいと思います。よろしくお願いします。 では、早速、質問に入ります。知事を始め、執行部の皆様には前向きな答弁をお願いします。 最初に、コロナ禍における健康寿命日本一への取組についてお尋ねします。 本年第1回定例会の代表質問で健康寿命について質問しました。広瀬知事は健康寿命の延伸について、3年に1度の調査であり、毎年の評価が困難なことや、主観的な指標が用いられ、市町村ごとの結果も分からないため、取り組むべき課題の分析、評価が難しいことを課題とし、健康寿命のさらなる延伸に向け、お達者度、有所見率、健診受診率、生活習慣と健康行動等に関する、合計12からなる客観的な指標を新たに設け、市町村ごとに、それぞれの強み、弱みを明確にして、対策を講じていくと答弁されました。 このような中、2020年から流行した新型コロナウイルス感染症は、私たちの日常を大きく変え、健康づくりに向けた取組の状況にも変化をもたらしたと感じています。 コロナ禍で私も毎日体温を測って出かけるようになりました。37度のときは不安にもなるのですが、しばらくして測り直すと37度未満となって、それを確認してほっとする状況です。このほかにも、帰宅時の手洗いの徹底や食生活の見直しなど、多くの方がこうした新しい生活習慣と、高い健康意識を身に付けたのではないかと感じています。 厚生労働省の定点報告によると、2021年のインフルエンザ患者報告数は、全国で1,071件で、コロナ前の2019年と比べると99%の減少となっています。全世代を通じて感染予防が徹底され、インフルエンザの流行を抑制したことがうかがえます。 一方で、気になる点もあります。 例えば、特定健診の受診率についてです。40から74歳を対象に実施される特定健診、いわゆるメタボ健診について、厚生労働省の発表によると、受診率は2008年度の制度創設時に38.9%からスタートし、2019年度までは毎年右肩上がりに上昇し、55.6%にまで達しました。しかし、2020年度に初めて減少に転じ、53.4%と前年度比2.2ポイントの減少となっています。減少率は、特に65歳以上の層で大きくなっており、新型コロナの重症化リスクが高いと言われる世代が、外出等による感染リスクを恐れて、受診率が低下したものと見られています。 厚生労働省の公表数値では、まだ都道府県別の状況は分かりませんので、大分県内の特定健診受診率について、国民健康保険中央会の速報値を引用しますが、県内の2020年度の特定健診受診率は35.4%で、前年度から5.1ポイントの減となっています。国民健康保険中央会の集計値は、保険者種別や市町村国保の方だけを対象としたものですが、これらのデータを参考にすると、県内全体の受診率も同様に低下していると考えられます。 また、コロナ禍における外出自粛の長期化等により、高齢者を中心に筋力の低下や、それをきっかけとした老年症候群の一つであるフレイルの進行も気になるところです。 このように、新型コロナの流行により、健康への関心が高まった面もある一方、これまで順調であった健康行動、つまり健康づくりの取組にブレーキがかかっている面もあるのではないでしょうか。 コロナ禍により醸成された県民の健康意識をばねにするとともに、特定健診受診率の向上やフレイル対策に取り組むなど、状況の変化や悪化等をしっかりと把握し、それらに対し軌道修正を加えながら、男女ともに健康寿命日本一の目標実現に向けて取組を加速させることが重要であると考えますが、知事の考えをお聞かせください。 この後は対面席から質問します。 〔守永議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○
御手洗吉生議長 ただいまの守永信幸君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 守永信幸議員には、近づきつつある台風について御心配いただきました。 今年は本当に台風が多くて驚いていますが、特に今度は、秋のちょうど連休、観光関係の事業者にとっては書き入れ時であり、その辺でも被害が大きいわけですが、加えて、台風による被害が実際に起こったら大変ですから、十分に気をつけてもらいたいと思っています。 コロナ禍における健康寿命日本一に向けた取組について御心配いただきました。 新型コロナウイルス感染症と向き合いながら日常生活を送る中で、私たちの健康に対する意識は大きく変化しています。 昨年12月に公表された男性の健康寿命日本一達成の朗報は、そうした県民の皆さんの健康への関心をさらに高めてくれました。 これを追い風に、県民向け健康アプリおおいた歩得(あるとっく)のダウンロード数も、目標を上回って、7万4千件を超えるなど、多くの方に活用していただいています。 また、今年から開始した、議員が御指摘された客観的補助指標の活用についても、指標ごとに市町村の強みや弱みが一目で分かるように見える化したこともあり、早速、新たな動きが出始めています。 例えば、由布市ではプロジェクトチームを編成し、我が町の健康上の強みや弱みを広報誌に毎月連載して住民に伝えるなど、市を挙げての取組につながっています。こうした好事例を横展開できるように、今年度新たに設置した健康寿命延伸アクション部会において、市町村間の情報共有を進めています。 一方、2年半に及ぶコロナ禍がもたらしている不安要素にも的確に対応していかなければなりません。 中でも、御指摘の高齢者の特定健診受診率の低下については、外出自粛による受診控えに加え、健診自体の中止なども影響していると考えられました。そこで、県医師会と連携し、身近な医療機関において、コロナ禍前と同様に特定健診を実施していただくよう働きかけを行い、高齢者の方々が安心して受診できる機会を確保しました。あわせて、受診者同士の距離の確保、受診時間の分散など、密の回避策等を盛り込んだ感染防止対策チェックリストを健診機関に配布し、感染リスクの低減にも努めています。これらの取組により、令和3年度の特定健診受診率は、高齢者層を含めて、全ての年齢層で上昇に転じています。 コロナ禍で用心して家に閉じ籠もりがちな高齢者のフレイル対策も重要な課題です。 日本一の参加率を誇る、通いの場の確保に向けては、ウィズコロナ仕様として、オンラインによる開催方法の紹介や支援員の派遣等を通じ、活動の継続を支援しています。加えて、日頃から高齢者が自身の運動、口腔機能や栄養状態等を的確に確認できるフレイルチェックシートを分かりやすく改訂し、積極的な活用を促しています。 今後とも、コロナ禍に的確に対処しながら、男女ともに健康寿命日本一を目指して、県民総ぐるみで取り組んでいきます。
○
御手洗吉生議長 守永信幸君。
◆守永信幸議員 ありがとうございます。高齢者の様々な対策、特にフレイル対策も含めてチェックリストを作っていく、また、健康寿命について、市報等を通じていろんな人に知ってもらう、意識してもらう機会ができるのは大変よいことだと思うので、ぜひ県としても積極的に進めていただければと思います。 また、新型コロナ禍で医療機関が様々な影響を受けたわけですが、子ども医療費助成事業費の執行額にコロナ以降減少が見られます。インフルエンザが流行しなかったことによる面だけでなく、新型コロナへの感染を恐れて病院の受診を控える実態とあわせて、子どもたちの健康状態がどのようになっているかが気がかりです。 将来ある子どもたちの現在の健康状態はどのようになっているのか、現状分析が必要ではないかと考えます。子どもたちの健康状態の把握やその分析の必要性について、
福祉保健部長に再質問します。
○
御手洗吉生議長 山田
福祉保健部長。
◎山田雅文
福祉保健部長 子どもたちの健康状況に関わるデータとして、子どもの感染症の発生状況を分析したところ、インフルエンザと同様に、プール熱とか、夏風邪の一種であるヘルパンギーナ、こういったものはマスクの着用や手洗いの徹底等のお陰で、この2年間、コロナ禍の間、流行が抑えられています。 一方、同じ感染症の中でも、RSウイルスとか手足口病、これも子どもに多い感染症ですが、これは令和2年度は少なかったんですが、3年度になって流行しました。長期間罹患していないことから免疫力が低下することで、その反動で流行が大きくなるという可能性もあるので、これからインフルエンザの流行期を迎えるにあたり、決して油断することなく、感染動向をしっかりと注視していきたいと考えています。
○
御手洗吉生議長 守永信幸君。
◆守永信幸議員 ありがとうございます。医療機関に足が遠のくことによって様々な病気に気付かないことがあっては大変なので、そういったことを常に県民の皆さんに注意喚起を促す、そして、今のような情報についてもできるだけ広く発信することでお互いの注意が深まるんではないかと思うので、取り組んでいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。 次に、女性の活躍推進についてお尋ねします。 新型コロナウイルス感染症の拡大は、世界中の人々、とりわけ、女性の生活に大きな影響を及ぼしています。日本では、女性の就業者数は大幅に減少し、雇用や生活面で大変厳しい状況にあります。また、DVの相談件数や女性の自殺者数も増加しており、新型コロナウイルス感染症の拡大は、日本の男女共同参画の遅れを改めて顕在化させたところです。 スイスの非営利団体、世界経済フォーラムが発表した2022年のジェンダー・ギャップ指数において、日本は146か国中116位で男女共同参画の現状は、諸外国に比べて立ち遅れていると言わざるを得ません。特に政治分野と経済分野における値が低くなっています。 また、内閣府の調査でも、男女の地位は平等になっていると思うかと聞いところ、社会全体で見た場合には、平等と答えた人の割合は21.2%にすぎない状況となっています。各国もジェンダー平等に向けた努力を加速している中で、日本もスピード感を持って取組を進めていく必要があります。 この数十年間で、女性を取り巻く環境は急速に変わりました。人生100年時代を迎えようとする現代、男性が働き、女性が家庭を守るというかつての家族像は、もはや過去のものとなっており、女性の人生と家族の姿は多様化しています。こうした社会の変容も念頭に置きながら、社会のあらゆる分野において、女性と男性が共に意思決定に参加すること、また、多様性を受け入れる社会をつくり、多くの国民がこの社会は平等であると感じられるような社会の変革が必要です。 本年6月に閣議決定された女性版骨太の方針2022では、女性活躍推進法に基づき、労働者301人以上を常時雇用する事業主を対象に、男女間の賃金格差について開示の義務化を行い、女性の処遇改善につなげることとしています。 県では、男女共同参画社会を実現するため、昨年3月に第5次おおいた男女共同参画プランを策定し、基本目標として、男女共同参画に向けた意識改革、女性の活躍の推進、男女が安心できる生活の確保といった三つを掲げ、各種施策に取り組むこととしています。99%が中小企業である本県においては、経済団体と連携して積極的に女性活躍推進に取り組んできたところですが、女性の登用や継続就労には、まだまだ課題があると思います。 女性の活躍をより一層推進していくことこそが大分県版地方創生実現の大きな鍵になると考えます。女性が活躍できる社会の実現に向け、どのように取り組んでいくのか知事の見解を伺います。
○
御手洗吉生議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 女性の活躍推進について心配をいただきました。 今年度で19回目となった内閣府の女性のチャレンジ賞では、これまでに県内8団体、個人が受賞し、特にこの5年間は県関係者が連続受賞しています。また、農業分野では、昨年度、県内の新規就農者280人のうち女性は78人と4年連続で過去最多を更新するなど、女性が自信とやりがいを持って働き、様々な分野で活躍する場が次第に増えてきています。 こうした成果の一方で、県内企業の管理職に占める女性の割合は13.1%、男性の育児休業取得率も9.6%にとどまるなど、男女共同参画社会の実現には、まだまだ道半ばです。 また、新たな課題として、新型コロナ感染拡大の影響により、飲食・宿泊業等を始め、女性の就業者が多いサービス業の雇用情勢が悪化する事態も起きています。 こうした状況を踏まえ、県では女性が輝くおおいたアクションプラン2022に基づき、経済界と連携して三つの視点で取組を強化しています。 一つは、働きたい女性への支援です。女性向け合同企業説明会や職場体験において、新たに配置した就職アドバイザーが伴走型で丁寧にサポートします。また、私立学校の女子生徒に理工系分野を深く知ってもらうためのバスツアーを企画し、ものづくり企業の職場体験会などを3回にわたって実施しました。参加者からは、理工系分野への興味が沸いた、企業の雰囲気を肌で感じ、将来を決める機会になったなどと好評でした。これが働きたい女性への支援です。 二つは、働いている女性への支援です。建設産業での活躍の場を拡大するため、経営者向けのセミナーを実施するほか、ドローン操縦や施工管理などのスキルアップ講座を開催しています。 また、女性の継続就労や管理職登用に向けて障壁となっているのが、男性だから、女性だからといった無意識の思い込み、アンコンシャス・バイアスです。今年度は企業と共に深堀りした事例をSNSで発信し、まずは多くの人に気付いてもらうよう努めます。 三つは、仕事と家庭を両立できる環境づくりです。女性の活躍には男性の家事参画や働き方改革も不可欠です。一昨日公表された男性の家事・育児力に関する民間調査では、本県が全国4位と高い評価を得ました。家事の達成感を夫婦やパートナーで共有することの大切さや、少しの工夫で楽しく楽にできることなどを、家事シェアアップやセミナーを通して、引き続き周知していきます。また、男性の育休取得の促進やテレワークの導入等、働き方改革もしっかり進めていきます。 こうした取組をたゆまず進め、性別にかかわらず個性と能力を十分に発揮し、誰もが活躍できる大分県をつくってもらいたいと思っています。
○
御手洗吉生議長 守永信幸君。
◆守永信幸議員 ありがとうございます。大分県が男性の家事・育児力が全国4位になっているのは私も初めて知りました。その4位に私はひょっとして貢献していないんではないかなと不安になるんですが、私自身も含めて、また、様々な職場環境を改善することによって女性が働きやすい職場環境と働くことを助長できる、また、様々なワーク・ライフ・バランスの取れる環境というのを、磨きを含めてつくっていただけるように取り組んでいただければと思います。 次の質問に入りますが、次に、地域の小児医療体制について尋ねます。 医療は、県民生活に欠かすことのできないものであり、誰もがどこに住んでいても必要な医療を受けられる環境をつくっていくことが重要です。 2020年時点の大分県と全国の人口10万人当たりの医師数を12ある診療科目別に比べてみると、眼科、産婦人科、皮膚科、耳鼻咽喉科、救急科の医師数は全国水準より少ないものの、小児科を含む七つの診療科目が全国水準を上回っている状況であることが分かりました。 全国水準を上回っていることは好ましいことですが、それで県内の医師数が充足していると断じることはできません。 例えば、小児科について、全国平均が14.3人に対して、大分県では15.1人、全国比プラス0.8人という状況ですが、全国的に小児科医の不足が問題視されていることを踏まえれば、本県において、小児科医が十分であるとは言えません。 また、この小児医療については、医療計画上で、特に政策的に医療の確保が必要であるとされていますが、小児科の医師数は、全体の医師数に比べ伸び率が低いという課題もあるわけです。 医師の偏在には地域ごとの特殊性も影響するとは思いますが、県民の皆様に医療面で安心していただくには、県内で必要な医師数を具体的に把握し、計画的に医師の確保に取り組むことが重要であると考えます。 昨年3月にまとめられた第7次大分県医療計画の中間見直しでは、小児医療については、地域の実情に応じて各種事業を活用して初期、二次の小児救急医療体制が整備されているものの、小児科医師の不足や地域偏在から、十分な小児救急医療体制が整備できていない地域もあると記述されており、地域間格差があることがうかがえます。さらに、同計画の中では、現在の小児救急医療体制が開業小児科医師や病院に勤務する小児科医師の献身的な就労実態により支えられており、小児医療を安定的、継続的に提供するためには、病院小児科医師の勤務環境を早急に改善する必要があるともうたわれています。 そこで、小児救急医療体制の充実や勤務環境改善を含む小児科医の確保対策に、県としてどのように取り組んでいかれるのか、また、その取組の状況について、
福祉保健部長に伺います。
○
御手洗吉生議長 山田
福祉保健部長。
◎山田雅文
福祉保健部長 小児医療体制の充実を図るためには、小児科医の確保が何よりも重要です。 これまで、自治医大や地域枠、研修資金等の制度を活用して、55人の小児科医が誕生しており、今年度もさらに11人が研修中で、小児科医の確保は着実に進んでいると考えています。 また、質の向上に向けて、地域の中核病院に派遣される若手小児科医を、大分大学の専任指導医が支援する体制も構築しています。 確保した小児科医の県内定着には勤務環境の改善も重要であり、県が設置している医療勤務環境改善支援センターが、時間外労働の縮減に向けた相談等に応じています。 加えて、小児科医の4割近くが女性であることから、育児との両立に向けて、短時間正規雇用制度の普及にも力を入れており、今年度は新たに南部医療圏の病院が導入されたところです。 こうした取組もあって、唯一未整備であった西部医療圏の2次小児救急医療体制も昨年度から整備されるなど、小児救急の地域間格差は改善されてきています。 県民の皆さんが安心して子育てできる環境づくりに向けて、引き続き小児科医の確保と小児医療体制の充実に努めていきます。
○
御手洗吉生議長 守永信幸君。
◆守永信幸議員 ありがとうございます。自治医大と地域枠、そういった取組によって55人確保したという話でしたが、何年間で55人確保できたのかは後で教えていただきたいと思います。 今11人が研修中ということですが、毎年何人ずつ確保できているか分かればイメージがしやすいと思うので、それを教えていただければと思います。 4割が女性ということだけでなく、やはり小児科医を目指す方が少ないから小児科医の確保がなかなか難しかったということだろうと思いますが、なぜ小児科医が医師を目指す方々の中で避けられてきたのか、その辺の分析はできているんでしょうか。その辺に対してどのような対策を講じているのか教えていただければと思います。
○
御手洗吉生議長 山田
福祉保健部長。
◎山田雅文
福祉保健部長 小児科医の確保がなかなか難しいことについての分析については、現場の声を聞いてみると、やはり小児科医は24時間勤務を迫られると。子どもが熱を出したら、何時であっても小児科の病院に電話をかけて子どもを連れていくと、そういう親御さんの気持ちもよく分かるわけで、小児科医としてはそれに対してきちんと対応するという義務があるので、他の診療科でも同様に、産科とか救急科とかそういったところも同じように24時間対応が発生するわけですが、そうしたところをカバーするために、学生さんがなるべくそういった診療科を目指していただくように、さきほど言った研修資金を特別に設けて育成に努めています。
○
御手洗吉生議長 守永信幸君。
◆守永信幸議員 ありがとうございます。それぞれの診療科目ごとにその医師が確保できない課題があると思うので、そういったことを把握した上での取組と、あわせて、大分県の各地域ごとに、どういう地域でどういう診療科目の医師が足りていない、そういった地域特性も踏まえながら対策を講じていただければと思います。 もう一点質問なんですが、本県の産科における医師の不足も心配しています。医療圏では周産期医療体制として大分市、由布市、別府市、中津市に二次施設、三次施設となる周産期母子医療センター等があるわけですが、一次施設である身近な産科の病院が地元にない状況で、果たして安心して子どもを妊娠、出産できるのでしょうか、考えをお聞かせください。
○
御手洗吉生議長 山田
福祉保健部長。
◎山田雅文
福祉保健部長 産科については、少子化の進展に伴い非常に経営が厳しい状況であり、県内八つの市町村で分娩施設がないという状況にあります。 最近では、昨年10月、豊後大野市で唯一の産科である病院が分娩の取扱いを廃止したということで、県としても大変心配しましたが、これまでのところ妊婦からの不安の声は聞かれていません。 これを調べてみると、交通利便性が向上して、豊後大野市の妊婦さんの多くが、もともと大分市の産科で分娩している方が増えていたということ、それから、豊後大野市が保育士や助産師による戸別訪問等を通じ、安心して出産に臨めるようなきめ細かな対応を取っていると、そういったことも安心確保の要因ではないかと考えられます。 そうは言っても、産科についても地域偏在の解消に向け、さきほどの小児科と同様に、地域枠や研修資金制度等を活用して産科医の確保に努めていきたいと考えています。 それから、さきほど御質問のあった件ですが、小児科医が年間に何人ほど育成されているかということですが、小児科医、この地域枠については、年間13人ずつ枠を設けていて、その中でなるべく小児科に進むように誘導に努めているということです。
○
御手洗吉生議長 守永信幸君。
◆守永信幸議員 ありがとうございます。医療制度の整備は県民としても大変重要なことなので、これからもよろしくお願いします。 では、次の質問に移りますが、県職員の職場環境についてお尋ねします。 地方分権の推進により、様々な事務や権限が地方自治体に移譲されるとともに、住民ニーズの多様化ともあいまって、地方自治体はこれまで以上に自立性の高い行政主体となること、また、地域間競争に勝ち抜くために、政策立案と実行能力が求められています。そして、こうした情勢の中、高度なサービスを提供するためには、優秀な人材を採用し、職員一人一人が高いモチベーションを持って、生き生きと働くことが何よりも重要であると考えています。 本定例会の代表質問で、木田議員から本県の将来を担う県職員の確保について質問がありました。優秀な職員を確保するためには、国や他の自治体との人材獲得競争を勝ち抜くことが必要です。競争を勝ち抜く重要な要素の一つには、給与面があげられると考えますが、大卒の初任給を見ると、大分県は18万8,700円である一方、お隣の福岡県については20万1千円程度と紹介されており、一見すると見劣りしてしまっている状況です。 また、新採用職員のモチベーションの維持について、職員の方から心配される声を聞きました。コロナ関連業務が保健所等に勤務する職員の大きな負担となっている状況は皆さんも御承知のことと思います。感染者数が膨大であるため、超過勤務を余儀なくされる状況であることに加え、新規採用職員が配置された職場では、その育成に手を割く余力がない状況とのことでした。若手職員は、研修や指導を通して、様々なことを学び、吸収するべきですが、コロナの対応に追われ、現場で十分な指導を受けられないために、日々の膨大な業務に疲弊し、仕事に魅力を感じることができずに辞めていく人が出てくるのではないかと危惧しています。 県民サービスの向上のためには、まずは県職員を志す人を増やし、優秀な人材を確保していくこと、そして入庁後は、モチベーションを維持したまま意欲的に働いてもらうことが何より大切です。例えば、政策的な給与の引上げや、配属先でのきめ細やかな人材育成など、働く上でのやりがいと将来への展望を抱ける職場であることが重要だと思いますが、働きやすい職場づくりについて総務部長の見解を伺います。 次に、職員の定年年齢の引上げについて伺います。 公務員の定年年齢の引上げが決定し、国家公務員については2023年4月から定年の段階的な引上げが開始されることになっています。本県においても、今議会に、関連する条例の改正案が上程されています。 改正後は、任期の終期が65歳以降の3月末日までとのことですが、あわせて、管理監督職勤務上限年齢、役職定年というようですが、その年齢を60歳とすることとしています。つまり、部・課長級の職員は、60歳を超えた翌年度は課長補佐級での任用になるということです。 これまでも、再任用や再雇用として新たな公務職場で任用されたわけですから、同様の状態で法的に整理されるということなのでしょうが、定年という敷居を超えて継続して勤務するのと定年年齢が引き上げられた中で勤務するのとでは、気持ちの持ちようも違うのではないかと思います。さらに、御本人だけでなく、周囲で一緒に働く若い方々にしても、どのようなスタイルで働くことになるのか戸惑うことも多いのではないでしょうか。 現行の再任用制度でも、再任用後に非管理職となった職員とのコミュニケーションに課題があるとの声も聞こえますから、こうした課題の解決に向けて、例えば、役職定年を迎えた職員に対して、周囲との関わり方等に関する研修を行う、また、若い職員に対して、定年の引上げや、役職定年の仕組をしっかりと理解してもらうことなどが必要ではないでしょうか。 そこで、定年年齢の引上げにあたり、全ての職員が働きがいを感じながら生き生きと、持続的に活躍できる、居心地のよい職場環境を実現するために、どのようなことに取り組まれるのか、総務部長の考えを伺います。
○
御手洗吉生議長 若林総務部長。
◎若林拓総務部長 2点お答えします。まず、働きやすい職場づくりについてです。 生産年齢人口の減少により官民問わず人手不足が顕著となっている中、優秀な人材を確保していくためには、職員一人一人が健康で意欲を持って働き続けることのできる職場づくりがこれまで以上に重要と考えています。 本年3月に大分県庁働き方改革基本方針を定め、部局長、所属長が働き方改革の先頭に立ち、業務改善やワーク・ライフ・バランスの推進など、働きやすい職場づくりを進めています。 また、人材育成に際しては、新採用職員ごとに職場の指導担当者や特別相談員等を割り当て、相談・指導体制を整えるとともに、若手職員向けに自身のキャリア形成について考える研修を今年度から新たに実施しています。 給与についても御指摘がありましたが、本年の採用試験申込者のアンケート結果を見ると、志望理由では給与等の勤務条件は、アンケート9項目あるうち8位であった一方、1位は郷土愛、2位は仕事のやりがいといった結果が出ています。 将来の大分県庁を支える優秀な人材を確保し、育成していくため、県庁の働き方改革を推進し、人を育て、人をいかす組織、働きやすい職場づくりを進めていきたいと考えています。 次に、定年年齢の引上げについてお答えします。 定年の引上げは、これまでの再任用制度のように60歳で退職し、一旦区切りをつけた後の勤務とは異なり、培った知識、技能をいかして65歳まで継続任用となるものですが、高年齢期の職員には大きな制度改正となると考えています。 また、中堅、若手の職員にとっても、自らの定年年齢の見直しはもとより、役職定年制や定年前再任用短時間勤務制の導入など、新たに60歳以降の職員が配置されるということで、職場環境に変化が生じることとなります。 このため、全ての職員に対し、定年引上げ制度の意義、役職定年制の仕組み、60歳以降における働き方の選択肢や給与の取扱い等について、丁寧に説明していきたいと考えています。 特に、役職定年となり新たな業務に従事する職員と、受け入れる側の職員との円滑なコミュニケーションを図る観点から、各階層の研修において、それぞれの心構えや期待される役割等について理解を促していきたいと考えています。 引き続き、職員が士気高く働き続けることができるよう、職員一人一人の制度理解の促進や、これまでの知識、経験をいかした人事配置など、様々な工夫を行いながら、活力のある職場環境づくりに努力していきたいと考えています。
○
御手洗吉生議長 守永信幸君。
◆守永信幸議員 ありがとうございます。再質問しますが、賃金水準の問題と職場環境の問題とがあるわけですが、働きやすい職場環境を整えることは大事なことだと思います。特にワーク・ライフ・バランスの充実については、執行部からも言葉としては出てくるわけですが、現実的に働き方や職員の意識がそれほど大きく変化したのかなというのが感じられない面もあるわけです。 自分自身が何のために働くのか、私生活の面から見つめ直し、働く意欲をかき立てるためにワーク・ライフ・バランスを整えることが大切だと考えます。 先日、大分県地方自治研究センター主催の地方自治研究集会の地方活性化分科会に参加する機会がありました。その際に気が付かされたことですが、県職員が公務に追われ、夜遅くまで働き帰宅する生活、そんな毎日の中で、自分が暮らす地域のことになかなか関わることができていないのが実態だと思います。それは民間企業の方も同様です。 一方で、仕事では地域の活性化のために苦労しながら、地域に人がいないと手をこまねいていると言うと言い過ぎかもしれませんが、活路を見いだせずにいるわけです。 ワーク・ライフ・バランスの充実は、地域の活性化のために自分自身の時間を少しだけ割くことができる環境をつくり出すことができるということでもあります。その充実がそういう点で必要なのだろうと思うのです。県が率先してそのような環境をつくり出していただきたいと思うし、そのためには、人員が不足している状態ではとても実現できるものではありません。充足された人員体制の整備に向けて取り組んでいただきたいと思いますが、この点についてはどのように思われるでしょうか。
○
御手洗吉生議長 若林総務部長。
◎若林拓総務部長 ワーク・ライフ・バランスの充実に取り組んでいますが、充実させていくためには様々な取組が必要と考えています。 例えば、年次有給休暇の取得のしやすさなど、客観的な目標も定めながら、その取得しやすい職場環境づくりに取り組んでいます。 体制についても御指摘がありましたが、現在、一般行政部門で見ると、人口10万人当たりの職員数は、本県と類似する中身でも、これは平均的な体制は取れているのではないかと私ども考えていますが、引き続きスクラップ・アンド・ビルドなど業務の効率化もしっかり行っていく中で、特定の職員に業務が集中することのないように配慮しながら、業務実態に応じた定数配分体制の構築に努めていきたいと考えています。
○
御手洗吉生議長 守永信幸君。
◆守永信幸議員 ありがとうございます。ある意味では、定年延長のこの期間が一つの体制を見直すチャンスとなると思うので、ぜひしっかり検討をお願いします。 本題に戻りますが、大分県の賃金水準が劣るという状況であれば、地方で若い人を雇おうにも賃金水準の高い地域に人が流れてしまい、そうでない地域では応募者が少なくなると考えられます。 基本的に公務員の賃金は、人事院や
人事委員会が民間の賃金実態を調査し、公務員賃金を民間賃金に準拠させるために勧告を出します。しかし、地方によっては、民間企業が公務員賃金水準を参考に従業員賃金を決定している面もあるわけです。民間賃金水準の向上を図って、それが公務員賃金の向上につながるというのが、人事院や
人事委員会から見ても理想だとは思いますが、地方における景気の好循環をつくり出す施策を進めていくために考えるべき点がそこにあると思います。 職員賃金の在り方については、今後、労使で議論を踏まえ、任命権者である広瀬知事が責任を持って判断されることだし、県議会から口を挟むべきものではないと心得ています。しかし、大分県の大きな課題でもあるので、一言だけお願いします。 それは、大分県に憧れ、大分県職員を目指す若者が増えるように意識していただきたいということとあわせて、これまで大分県民のために昼夜を分かたず努力を重ねてこられた職員がモチベーションを維持できるような賃金制度の運用について、大分県内も工夫を凝らして組合との協議に臨んでいただきたいのです。 職員が県民や地域の課題に真剣に向き合い、その課題をやり遂げた充実感ややりがい、生きがいを感じられることは、県民にとってみれば暮らしやすい大分県づくりに即結び付くことです。そんな職場環境の実現に向け、広瀬知事にしっかりと采配を振るっていただきたいと思います。よろしいでしょうか。 では、次の質問に移りますが、鉄道路線について尋ねます。 議場内の皆様には、お手元に資料として日豊本線の小倉駅から宗太郎駅までの駅名と、杵築駅の下り線側にある鉄橋の写真を印刷したものを用意しているので、参考にしていただきたいと思います。 日豊本線は小倉-大分間においては、立石-中山香間、杵築-日出間を除いて複線化ができていますが、大分駅以南は単線のままとなっています。大分市も人口が減少に転じましたが、大分市の大在・坂ノ市エリアは人口増となっているエリアです。大分市中心部に通勤する人も多いと思われますが、鉄道等の利便性が向上すれば、通勤手段として電車やバスを利用される方が増加することが見込まれます。2013年に行われた第2回大分都市圏パーソントリップ調査の結果を基に策定された大分都市圏総合都市交通計画でも、鉄道利用時の利便性がよくなることで、1日当たりの鉄道利用者が現行の9,900人から1万3,800人に増加すると推測しています。しかし、現状は大分駅以南が単線であるため、ダイヤの編成に制約があり、著しい利便性の向上も難しい状況にあります。 電車の本数を増やし、利用者の便利性を高めれば、自家用車から電車への移行が進み、そのことによって、渋滞が緩和され、バスの定時性が保たれるようになるでしょうし、そうなれば、バスの利用も増加が見込めると考えられます。また、日豊本線などの鉄道を基軸として、バス路線との連携による公共交通網を整備することは、自家用車利用によるCO2の排出抑制につながり、
地球温暖化対策、ひいてはカーボンニュートラル社会の実現に向けた施策としても重要であると考えます。 公共交通をより多くの方々に利用していただくためには、その利便性を高めることが必要です。県も長期総合計画の中で以前から日豊本線の複線化を掲げていますが、具体的にどのように促進していくのか、
企画振興部長の見解をお聞かせください。 また、日豊本線は1897年に、豊州鉄道が行橋-長洲駅間まで延長開業してから、大分県下での鉄道の延伸が始まります。大分駅まで延伸したのが1911年、さらに神原駅、現在の直川駅ですが、そこまで延伸したのが1920年、1923年に豊州本線と宮崎本線が結ばれ日豊本線となったわけです。このように古い歴史のある鉄道だけに、河川に架かる鉄橋などの中には老朽化が進んでしまっているものもあります。 例えば、小倉-大分駅間の中で、杵築駅から日出駅までの8キロメートルはさきほども触れたとおり単線区間となっていますが、その単線区間に八坂川を渡る鉄橋があります。万一、老朽化によってこの鉄橋が通れなくなるようなトラブルが生じれば、大分-小倉-博多間の利便性は大きく悪化してしまうし、状況によっては大分県の経済活動に悪影響を及ぼすことも懸念されます。 近年、豪雨災害や大規模な地震など、予測が難しい自然災害が頻繁に発生しています。 基本的にこれらの施設については、JR九州が維持管理しているのでしょうが、老朽化が懸念されているインフラ施設を把握し、その整備に努めることは、災害に強い本県の実現にもつながります。万が一、老朽化によるトラブルが危惧されているのであれば、早めに対応すべきと考えます。 また、この問題は、新幹線の計画が具体化する前に対策しておかなければ、計画が具体化すると、先延ばしになりかねません。 実際にトラブルが起こってからでは遅いと考えますが、日豊本線の老朽化対策について、県としてどのようにお考えか、これも
企画振興部長にお尋ねします。
○
御手洗吉生議長 大塚
企画振興部長。
◎大塚浩
企画振興部長 まず、日豊本線の複線化についてお答えします。 日豊本線は、沿線の方々の通勤、通学などの日常生活に加え、観光や経済活動に伴う人流、物流を支える重要な社会基盤です。 そのため、県及び沿線市町と商工団体等で構成する日豊本線高速・複線化大分県期成同盟会では、日豊本線の複線化や増便等について、JR九州に毎年要望し、協議を行っています。 一方、全線複線化に向けては、さらなる需要を喚起していくことが必要です。このため、期成同盟会では、沿線市町のPR動画をユーチューブや博多駅等の電子掲示板に掲載し、旅行需要の喚起を図る取組を行っています。 また、JR九州においても、36ぷらす3等のD&S列車を活用した旅の魅力向上や、割引切符の設定など、日豊本線の利用促進に向けた各種施策を実施しています。 特に、単線区間の大分駅以南については、県南の豊かな食材や自然を体験できる鉄道を利用した旅行商品の企画などを行っています。 引き続きJR九州や沿線市町と連携し、日豊本線の複線化に向けた取組を進めていきます。 日豊本線の老朽化対策についてお答えします。 議員御指摘のとおり、鉄橋等の鉄道施設が一たび被災すると、復旧に至るまで大変長い時間を要し、沿線住民の方々の日常生活や観光、経済活動に重大な支障を来します。 また、日豊本線は、東九州と日本全国を結ぶ貨物ネットワークの一翼を担っているため、その寸断は、全国の物流にも多大な影響を及ぼします。 このため、日豊本線の老朽化対策は、当県のみならず、九州各県が連携して取り組むべき課題であると認識しています。 現在、県は、九州各県で構成する九州地域鉄道整備促進協議会等を通じて、老朽化した鉄橋の改修、改築等をJR九州に要望しており、JR九州は、河川改修等に合わせて施設の改修を順次進めています。 また、国においても、JR河川橋梁対策検討会が設置され、JR各社と鉄道のさらなる安全・安定輸送の確保を図るための検討が行われています。 県としては、国の動きも注視しつつ、引き続きJR九州、九州各県、沿線自治体と緊密に連携しながら日豊本線の老朽化対策に取り組んでいきます。
○
御手洗吉生議長 守永信幸君。
◆守永信幸議員 ありがとうございます。交通施策については、特に鉄道に関しては、JR九州との調整が非常に難しいのは分かるし、状況も踏まえながら、なるだけ続けていただければと思います。 また、老朽化対策、また、中には新駅を造ってほしいという要望も上がっている状況もありますから、そういうことを工夫しながら、県民の皆さんが使いやすい環境をいかに実現していくかということで議論を深めていただき、JR九州と進めていただきたいと思います。 ちなみに、この写真の一番下の橋脚の看板については、塗り替えた年月が書いてあります。実はいつ架かったのかというのを知りたかったんですが、このプレートはあったんですが、すぐに見えるところにはありませんでしたので、ちょっといつ架かったのか分かりませんが、架け替えられていないという状況、かなり古くなっていると思うので、その点も含めて今後情報を取っていただければと思います。よろしくお願いします。 これで一般質問を終わります。(拍手)
○
御手洗吉生議長 以上で守永信幸君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。 午前11時55分 休憩
------------------------------- 午後1時 再開
○古手川正治副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。小川克己君。 〔小川議員登壇〕(拍手)
◆小川克己議員 まず、質問に入る前に、豪雨災害等の復旧、復興に向けて、広瀬知事を始め、
土木建築部長、そして、
農林水産部長などには、復旧、復興に向けて大変な御尽力をいただいていることに深く感謝し、お礼を申します。ありがとうございます。まだ道半ばなので、引き続きよろしくお願いします。 それから、今日は玖珠では農繁期の真っただ中で、しかも台風第14号が通過予測で、その心配もされるところですが、遠路のところを傍聴に来ていただいた皆さん方にお礼を申します。ありがとうございます。 それでは、質問に入ります。 令和2年7月豪雨災害等への対応について、3点伺います。 まず1点目は、災害対応の高度化と人材育成についてです。 令和2年7月豪雨災害では、私の地元、玖珠郡2町もかつて経験したことのない甚大な被害を受けました。 本県は、中央構造線断層帯が横断し、土砂災害危険箇所が1万9,640か所あるなど、災害の発生しやすい地理的条件を有しており、甚大な被害をもたらす大規模災害が頻繁に発生しています。 県においては、これらの災害が発生するたびに検証等を行い、対応の強化に努めていますが、私は災害対応を考える上で重要なポイントは、大きく二つあると考えます。 一つは、情報の収集、分析です。災害発生の予測から発生後の現地の状況把握まで、情報の質や量によって、応急活動や被害の拡大防止が左右されると言っても過言ではありません。 気象庁では、頻発する線状降水帯による大雨災害の被害軽減のため、本年6月からスーパーコンピューター富岳も活用し、線状降水帯発生予測を開始しました。現時点では、正確な予測は難しく、必ずしも線状降水帯が発生するわけではないとのことですが、災害発生の危険度が急激に高まる場合に備えて、私たち一人一人が心構えを一段高めることに、この予測の大きな意味があると思います。 また、国土交通省が設置するTEC-FORCE、緊急災害派遣隊は、ドローンを使用して被災状況の迅速な把握等に取り組むなど、様々な機関が新技術の導入に取り組んでいます。 こうしたことから、本県においても、迅速かつ確実に情報を収集し分析を行うために、AIやドローンなど先端技術を活用し、災害対応を高度化していく必要があると考えます。 もう一つは、人材育成です。県庁以外での業務や過去の災害対応等で培った人脈や経験を持つ人材は、関係機関との調整役を担う県において、大変貴重な存在です。 県では、これまで国や被災自治体に多くの職員を派遣していることから、これらの職員を積極的に活用し、防災力の向上を図るべきだと考えます。加えて、県の防災部門の職員や市町村に情報連絡員として派遣される職員など、実際の災害対応でしか培うことのできない経験等を有する人材の育成にも継続して取り組むことが必要です。 激甚化する豪雨災害や切迫する南海トラフ巨大地震などの大規模災害に立ち向かうために必要な災害対応の高度化と人材育成について、知事の見解を伺います。 次に、2点目です。土木施設の復旧についてです。 令和2年7月豪雨では、玖珠川や野上川など、多くの河川が氾濫し、また多数の道路や砂防施設も甚大な被害を受けました。 被害が広域に及んだこともあり、復旧、復興にあたっては、関係機関の皆さんは大変御苦労されていることと思います。あれから2年が経過した7月に発表された復旧・復興推進計画の進捗状況では、道路82.3%、河川69.5%と進んではきましたが、まだ道半ばです。今年7月には九州北部に線状降水帯が複数発生し、玖珠町及び日田市で記録的短時間大雨情報が発表されるなど、大規模な災害がいつ発生してもおかしくない状況の中、一日も早い復旧が待たれます。 ついては、土木施設の今後の復旧の見通しについて、
土木建築部長に伺います。 次に、3点目です。農地・農業用施設の復旧についてです。 農地・農業用施設の復旧の進捗が気がかりです。本年7月時点での進捗状況では、復旧率は県全体で約51%、玖珠郡に至っては約27%であり、進捗を非常に心配しています。玖珠郡の住民を含め、いつになったら復旧するのか、不安に感じている生産者もいます。今後の復旧の加速に向けて、どのような工夫を行い、進捗率を上げていくのか、また今後の復旧の見通しはどうなのか、
農林水産部長に伺います。 以上、3点よろしくお願いします。 〔小川議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○古手川正治副議長 ただいまの小川克己君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 令和2年7月の豪雨災害については、お地元、西部地域を中心に、本当に大きな被害がありました。改めてお見舞い申し上げるとともに、ようやく復旧のめどが立ってきましたが、改良復旧でもあり、抜本的に復旧を、施設を強化しようということでやっているものですから、時間がかかっており、御心配をおかけしています。後ほどまた答弁します。 私には災害対応の高度化と人材育成について御質問いただきました。 近年、全国各地で自然災害が頻発して激甚化しています。今年も、3月に福島県沖を震源とする震度6強の地震があり、また、8月には東北・北陸地方等で記録的な大雨を観測し、それぞれ甚大な被害が発生したところです。 県内でも、1月の日向灘地震や7月の線状降水帯の発生など、自然の猛威は私たちの生活と常に隣り合わせにあることを痛感したところです。 このため、県では、これまでに得た教訓、知識をいかしながら、災害対応の高度化と人材育成を図って、大規模災害等への即応力を強化することが重要だと考えています。 まずは、先端技術を活用した災害対応の高度化です。 現在、大分大学と世界有数のIT企業であるSAP、それから、地場のIT企業のザイナスが防災・減災のための情報活用プラットフォームEDiSON(エジソン)の構築に取り組んでおり、県も全面的に協力しています。 具体的には、気象庁の雨量解析や、国・地方の災害データなどを基に、AIで15時間先までの災害リスクを予測する機能を活用して、企業が操業停止や再開を判断するためのモデル作りに取り組んでいます。 また、ドローンによる被災状況等の映像を関係機関と共有することで、早期の情報収集や迅速、効率的な初動対応につなげています。 今後、これらの取組については、産学官で構成する防災テック検討会において、さらなる活用方法や仕組み作りを検討していきます。加えて、超小型人工衛星の時代が到来する中、国内外で機運の高まっている衛星データの活用についても、次の一手として研究を進めていきます。 次に、防災分野における人材育成です。 県では、5年前から内閣府の防災部門に職員を研修派遣しており、そこで得た知識やネットワークを防災行政にいかしています。 また、大規模災害発生時には、災害対応業務に習熟した防災局OBの職員を県の災害対策本部に動員するとともに、市町村にもリエゾンを派遣する体制を整えています。 今後、これらの実効性を確保するため、防災に関する研修や訓練の充実を図っていきます。 次世代を担う若者や子どもたちの育成も大変大事です。大学生や高校生との座談会など、若い世代のアイデアをいかせる環境作りも積極的に行っていきます。 防災・減災対策に終わりはありません。引き続き、先端技術の活用による災害対応の高度化と、実践力、対応力を備えた経験豊かな人材の育成に取り組み、防災力の底上げを図っていきたいと思っています。 あわせて、ただいま土木施設の復興状況、それから、農地・農業用施設の復興状況について御質問がありました。これについては担当部長から答弁します。
○古手川正治副議長 島津
土木建築部長。
◎島津惠造
土木建築部長 私から土木施設の復旧についてお答えします。 令和2年7月豪雨では、県が管理する道路や河川など公共土木施設で645か所、約229億円と、平成24年、29年の被害額を大きく上回る甚大な災害となりました。 特に現場条件の厳しい中山間地域に多くの被害が集中したことから、入札参加エリアの拡大や複数工事での技術者の兼務を認めるなど、弾力的な運用も行い、現在、全箇所で工事着手済みとなっています。 直近の8月末時点の進捗は、道路、河川など全体で501か所、約78%の復旧が完了したところです。 未完了箇所では、工事に先立ち、土砂が堆積した区間の河床掘削を行うなど、暫定対策を講じた上で、暑い夏場の出水期間中も、施工業者の献身的な努力と工夫により可能な限り工事を継続し、鋭意進捗を図っています。 こうした取組により、改良復旧を行う一部の箇所を除き、次期出水期までに全て完了させるよう全力で工事を進めていきます。 改良復旧を行う玖珠川、野上川等については、用地買収を行い、川幅を拡げる等の抜本的な対策を行うため期間を要しますが、一日も早い復旧、復興を目指していきます。
○古手川正治副議長
佐藤農林水産部長。
◎
佐藤章農林水産部長 私からは農地・農業用施設の復旧についてお答えします。 令和2年7月豪雨では、玖珠郡、それから由布市を中心に、5,834件に及ぶ農地・農業用施設の甚大な被害が発生しました。 県では、発災直後から事業主体である市町への人的支援や技術的支援を行うとともに、早期の営農再開に向けて、県の普及指導員等による仮畦畔設置等への支援を行い、現在、93%の農地で作付が可能となっています。 一方、小規模な農地が点在している箇所などについては、受注業者の技術者不足等の影響で不調、不落が発生している状況です。このため、工事発注時の地域要件の拡大や、県から市町への発注支援の強化、さらには、他の工事との技術者の兼務などに取り組み、積極的に進捗を図ろうとしています。 また、玖珠町の戸畑地区では、河川の復旧工事の完了に合わせて農地の復旧工事を行っており、今年度中に完了する見込みです。さらに、大規模な被害があった由布市の高津原地区においては、高度な技術力が必要なため、県が受託し復旧工事に取り組んでいます。 今後とも市町と連携を図り、早期発注を進め、大規模復旧地区を除き、来年の作付けに間に合うよう復旧に努めていきます。
○古手川正治副議長 小川克己君。
◆小川克己議員 力強い回答をいただき、安心しているところです。 特に人材育成、あるいはまた高度化対応については、先端技術を駆使してやっていける、それからまた、大分大学等々との産官学の連携等をフルに活用して今後の災害対応に当たっていただけるということで、よろしくお願いします。 それから、
土木建築部長からは、県内の災害箇所、約300億円を、これは中山間地域が主体ということもありましたが、全力で今後取り組んでいくという回答もいただきました。ぜひよろしくお願いします。 それから、農地・農業用施設の復旧については、特に戸畑の農地が数キロメートルにわたって河川の護岸の決壊と同時に、水田に土砂が流入したわけですが、これも今年度中に完成させて、来年度は作付けができるようにしていただけるということで大変安堵したところです。今後ともよろしくお願いします。 次に、肉用牛の生産基盤強化について伺います。 いよいよ来月には、和牛のオリンピックとも言われる第12回全国和牛能力共進会が鹿児島県南霧島市などにおいて開催されます。5年に1度開催されるこの大会での審査結果が、産地のその後の販売力の向上に直結するため、飼料高騰など非常に苦しい中ではありますが、県内の肉用牛生産者や関係機関は一丸となって出品対策に取り組んでこられました。ぜひとも本大会で優秀な成績を収め、おおいた和牛のブランド化を強力に推し進めていただきたいと思います。 また、3年連続でおおいた和牛推し隊長に就任された中村獅童さんですが、コロナ禍を乗り越えて本年ようやく来県が実現し、PR活動を充実させていると伺っています。こうした取組を着実に積み重ねることにより、おおいた和牛のさらなる認知度向上や需要の拡大が実現することを期待しています。 一方、おおいた和牛の競争力強化を図る上で重要となってくるのが生産基盤の強化です。本県の肉用牛振興計画では、令和5年度までに繁殖雌牛を2万頭、肥育牛を1万5,500頭とする増頭目標を掲げています。本年2月時点の頭数は、それぞれ繁殖雌牛が1万7,700頭、肥育牛が1万4千頭であることから、さらなる増頭が求められますが、県内の各産地では高齢化に伴う廃業により飼養戸数は減少の一途をたどっています。私の地元である玖珠郡は竹田市とともに肉用牛の産地ですが、特に繁殖農家が多く、玖珠町の繁殖農家戸数は25年前と比べると約5分の1にまで減少しています。また、県全体で見ると、70歳以上の繁殖農家戸数の割合は約45%、頭数で見ても約25%程度にも及んでおり、今後の生産基盤の脆弱化が懸念されます。 今のところ、畜舎整備への支援等といった増頭対策によって1戸当たりの規模拡大を図り、繁殖雌牛の飼養頭数は何とか横ばいを続けているものの、労働力不足や後継者の確保、育成といった課題が、さらなる規模拡大の阻害要因となり、今後の継続的な生産基盤の強化は困難な状況となっています。 こうした中、今般、県西部におけるキャトルステーションの整備が進められることになっていますが、繁殖農家で生まれた和牛子牛を預かり、共同育成するこの施設が完成した際には、作業外部化により各農家の労力が軽減されるだけでなく、牛舎の空きスペースをいかした飼養頭数の純増も期待できます。 そこで伺います。おおいた和牛の競争力強化に向け、キャトルステーションの整備も踏まえた生産基盤の強化について、どのように取組を進めていかれるのか、知事の答弁をお願いします。
○古手川正治副議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 肉用牛の生産基盤強化について御質問いただきました。 本県の肉用牛は、地域農業を牽引する核であり、県としても、増頭や規模拡大、本県のリーディングブランドであるおおいた和牛の流通拡大など、各種施策を積極的に推進しています。 肉用牛のさらなる競争力強化のためには、議員御指摘の生産基盤の強化はもちろんのこと、ブランド力の向上も欠かせません。 そのため、全国トップレベルの肉用牛産地を目標に、次の2点に重点的に取り組んでいます。 一つは、担い手の確保、育成と労働力不足への対応による生産基盤の強化です。 肉用牛繁殖経営における70歳以上の生産者の割合は約45%になっています。うち半数近い農場については、後継者を有しており、今後も継続した経営が期待されるが、その他の農場では近い将来、離農により飼養頭数の減少が心配されます。 そのような状況を踏まえ、親元就農者や
新規参入者を対象に、補助率をかさ上げして、積極的な支援を行い、4年間で16件が事業に取り組み、計525頭の増頭が行われました。 今後も意欲ある生産者及び新規就農者に対する多様な支援策を継続して、担い手の確保、育成を図っていきます。 また、玖珠町において県内2か所目となるキャトルステーションの整備を令和6年度の運営開始に向けて進めています。本施設は、労働力不足の解消及び牛舎の空きスペースをいかした繁殖雌牛の増頭を目的とするほか、学生や担い手の技術習得の場として活用することも計画しており、地域産業の活性化につながることを目指しています。 二つ目は、高付加価値化戦略としてのおおいた和牛のブランド力の向上です。これによって高付加価値化を進めていこうと思っています。 現在、中村獅童氏にお願いしているPR大使を活用したキャンペーンや取扱認定店等でのフェアにより、認定店舗数は令和2年度の178から、8月時点では268と大幅に拡大しています。 また、大消費地における認知度についても、平成30年度の4%から令和3年度には16.3%へと着実に向上しています。令和5年度の目標である30%に向け、県内外の企業と連携したプロモーションや、年間を通じた県外への情報発信を強化していきたいと思います。 ブランド発信の最大の機会である第12回全国和牛能力共進会まで、残すところあと20日となりました。県内でも最終予選を終えて、大会に向けた機運が高まっています。 前回大会では種牛の部で日本一を収めました。今大会では生産者、関係団体が一丸となり、肉牛の部でも日本一を目指しており、これを契機に、さらなるおおいた和牛の生産基盤、競争力の強化につなげていきたいと思います。
○古手川正治副議長 小川克己君。
◆小川克己議員 知事から、おおいた和牛をトップクラスに持っていきたいということで、ブランド力の向上、それからまた、担い手の確保、あるいはまた労働力不足等々についても様々な支援策を講じていただけるということでした。 また、認知度が、言われるように、我々も豊後牛という話を各地でするわけですが、宮崎牛とか佐賀牛、鹿児島、こういったところは非常に有名ですが、なかなか豊後牛の認知度がいまいちなので、今後は16.3%から30%に引き上げていく努力をされるということでした。 恐らく今、私の知り合いだけでも、新規に畜産経営をやりたいということで就農した者もいるし、あるいはまた、後継者ができて、今日も傍聴に来ていますが、畜産関係者の皆さん方もおられます。 今、農業を取り巻く状況の中では、私は畜産が一番もうかると言っては語弊があるかもしれませんが、意欲が湧く種目の一つであると思っているので、引き続きこの肉用牛の基盤確立に向けてはよろしくお願いします。 次に、3番目に行きますが、児童福祉をめぐる諸課題について2点伺います。 1点目は、ヤングケアラーへの支援について伺います。 ヤングケアラーは、本来、大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているため、やりたいことができていないなど、子ども自身の権利が守られていないと思われる子どもであり、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負うことで、本人の育ちや教育に影響があるといった課題が指摘されています。 本県では、昨年、県内の実態調査を行ったほか、本年4月にはヤングケアラー相談窓口を設置するなど、支援に向けた取組を本格化させていると認識しています。しかしながら、そのヤングケアラー相談窓口では、現時点でも相談件数はごく僅かと伺っています。やはり子どもにとって相談することのハードルは想像以上に高く、自らSOSを発するのは難しいのだろうと思われます。また、そもそも家事や家族の世話は当たり前のことや、自分が我慢すればいいことだと思っていて、人に助けを求めたり相談するという発想が全くない可能性もあります。 国がまとめた多機関・多職種連携によるヤングケアラー支援マニュアルでは、必要に応じて、福祉、介護、医療、教育などといった様々な分野が連携し、アウトリーチを行うことが、潜在化しがちなヤングケアラーへの支援において重要としています。 ここでいうアウトリーチは、制度や窓口を設けて相談者が来るのを待つのではなく、必要としていそうな人に積極的に届けることを意味していると思います。支援を必要としているヤングケアラーを発見するために、まずは、常に子どもに接している学校現場のほか、同居する家族に接する機会の多い高齢者、障がい者、生活困窮者などに対応する専門職など、多くの周囲の大人が、ヤングケアラーがいるかもしれないと常日頃から意識し、早期発見、早期支援につなぐことが重要だと考えます。 そこで、こうしたヤングケアラーへの支援について、どのように取り組んでいかれるのか伺います。 次に、2点目は、児童養護施設退所者、ケアリーバー等への支援について伺います。 児童福祉法第2条では、全て国民は、児童が良好な環境において生まれ、その意見が尊重され、その最善の利益が優先して考慮され、心身ともに健やかに育成されるよう努めなければならないと、児童育成に係る国民の義務について規定しています。 その児童福祉法の趣旨にのっとり、令和2年3月に策定された大分県社会的養育推進計画は、親元を離れて暮らさざるを得ない子どもに対して、生活の場から自立に至るまでを、家庭養育優先原則の下、一体的かつ全体的な視点を持って着実に取り組んでいくことを目的としたものです。 これまで県では、当該計画に基づいて里親委託を強力に推進するとともに、児童養護施設等の小規模化や地域分散化、高機能化等を計画的に進めてこられました。本県の令和2年度の里親委託率は34.9%で全国第6位となるなど、家庭に代わる養育、いわゆる代替養育の環境は、より家庭的なものへと変化しており、子どもを権利の主体として捉えた取組が着実に進んでいることを表しています。 一方、社会的養育にある子どもの側から見れば、施設や里親での暮らしが権利を守られたものであると同時に、施設等を離れた後の日々が支えられ、見通しを持った人生を主体的に構想できることが重要です。 国が令和3年4月に公表した児童養護施設等への入所措置や里親委託等が解除された者の実態把握に関する全国調査、いわゆるケアリーバーの実態調査では、現在困っていることや不安なことはとの問いに対して、生活費や学費のことが最も多い33.6%、次いで将来のことが31.5%、仕事のことも26.6%となっています。彼らケアリーバーの多くは困ったときに頼れる家族がおらず、生活や就労に関して不安を抱えているものと思われます。奨学金や貸付金等の支援策につなげることはもちろんですが、例えば、大学生や新社会人が新生活の悩みを保護者に相談するように、困り事を気軽に相談できる誰かが必要であると考えます。 そこで、本県における児童養護施設退所者等、いわゆるケアリーバーへの支援の現状について、
福祉保健部長に伺います。
○古手川正治副議長 山田
福祉保健部長。
◎山田雅文
福祉保健部長 2点お答えします。1点目は、ヤングケアラーへの支援についてです。 昨年、県内約8万人の児童生徒を対象に行った実態調査では、支援を必要とするヤングケアラーが千人程度存在すると推計される一方で、ヤングケアラーという言葉自体を知らないといった回答が7割に上りました。 そこで、現在、相談体制の整備とあわせ、児童生徒への相談先カードの配布等による周知啓発や、周囲の気付きを促すための教員などの関係者向けの研修を実施しています。 そうした中、先月開催したフォーラムには、10代から80代に及ぶ様々な年代や職種の方が約170人参加し、この問題に対する関心の高まりを実感したところです。 講師からは、子どもだけを見るのではなく、家族丸ごとの支援が必要であるとか、何げない会話からの気付きが重要といった、今後に向け示唆に富んだ教示をいただきました。 ヤングケアラーへの取組は、学校はもとより、事業所や医療機関、子ども食堂等の様々な関係機関が連携し、子どもや家族の気持ちに寄り添いながら、プッシュ型、伴走型で支援することが重要です。 今後も周囲の大人が早めに気付き、本人のみならず家族全体への包括的な支援が届けられるよう、体制の充実を図っていきます。 2点目は、児童養護施設退所者、いわゆるケアリーバー等への支援についてです。 昨年国が実施した調査では、本県のケアリーバーのうち、施設や里親とのつながりが途絶えた方が約半数に上っています。 こうした社会的養育経験者の多くは、虐待体験等の影響から、生活スキルやコミュニケーションスキルに困りを抱えており、トラブルに巻き込まれても自ら相談できず、時間の経過とともに問題が深刻化していくケースも少なくありません。 そのため、退所者等の支援を担う児童アフターケアセンターおおいたでは、退所後の生活設計や困ったときの相談先等を本人と直接話し合い、一人一人の支援計画を策定し、継続的にサポートする体制を整備しています。 また、積極的に家庭訪問や行政手続等の同行支援も行うなど、プッシュ型の丁寧な支援に努めており、令和3年度の対応実績は、前年度の42人106回から182人729回へと大幅に増加しています。 さらに今年度は、当事者同士が気軽に集い、語り合える場を新たに設けるなど、ピアサポートを充実させることにしています。 今後ともセンターと連携しながら、ケアリーバーが抱える困りに対して、早期に適切な支援が行えるように努めていきます。
○古手川正治副議長 小川克己君。
◆小川克己議員 ありがとうございました。プッシュ型の支援を今後、継続的に努めていくということで、私も今後、他人事ではなくて、里親も含めて、私の身の回りからそのような受入体制の加速もしていきたいと思っています。 大分県は、広瀬知事のリーダーシップの下で、子育て満足度日本一に向け様々な取組を進めていますが、こういったヤングケアラーやケアリーバーなど、言わばなかなか目の行き届きにくい、でも、とても困っておられる、そういう子どもたちにもぜひしっかり目を向けていただき、全ての子どもが誰一人取り残されることのない大分県を築いていってもらいたいと思います。よろしくお願いします。 次に行きます。商工行政をめぐる諸課題について、2点伺います。 1番目は、水素の地産地消に向けた取組についてです。 カーボンニュートラルの達成に向けた次世代エネルギーとして、今、水素が注目されています。水素は、使用しても二酸化炭素を排出せず、水はもちろん、石炭やガスなど、多様な資源から作ることができるという大きな利点があります。 化石燃料から作られた水素はグレー水素、グレー水素の製造工程で排出される二酸化炭素を回収、貯蔵した水素はブルー水素、そして、本県の強みである再生可能エネルギーを活用して作られた水素はグリーン水素と呼ばれていますが、私の地元である九重町では、大手企業2社により、豊富な地熱やバイオマスを活用したグリーン水素製造の実証事業が進んでいます。 昨年7月から実施されているのは、地熱発電による電力を活用して水を電気分解し、水素を製造する実証事業です。再生可能エネルギーによる水電解により、二酸化炭素を排出せずに、安定的に水素を製造することができます。 また、今年8月からは、地熱とバイオマスとを組み合わせ水素を製造する実証事業も実施されています。木質チップに含まれる炭素に水蒸気を反応させることで水素を製造する新しい技術ですが、二酸化炭素の排出削減と低コスト化を図ることができると伺いました。製造方法は異なるものの、いずれも地域の資源をいかしながら、グリーン水素を製造できるのではないかと期待しています。 これらの九重町で製造された水素は、県内の水素ステーションやオートポリスの自動車レースで活用されるなど、地産地消の取組も進んでいます。 政府が目指す2050年カーボンニュートラルの達成に向けては、水素の製造から利活用まで、水素の地産地消に向けた取組を加速させていく必要があると考えます。県として水素の地産地消に向けて今後どのように取り組んでいくのか、
商工観光労働部長に伺います。 次に2点目は、玖珠工業団地への企業誘致についてです。 昨年度の企業誘致件数は、過去最多となる68件でした。地域別に見ると中部地域が21件と一番多く、次に北部地域が20件です。西部地域は2件で、いずれも日田市への進出と地域的な偏りを感じています。 玖珠郡には、県営玖珠工業団地があります。この玖珠工業団地は構想から整備まで20年ほどかかりましたが、平成29年に合板会社の進出が決まったときには地域で大変喜んだところです。この会社は令和元年に操業を開始し、雇用や地域の活性化に尽力いただいており、感謝しています。 一方で、1区画がまだ未分譲であり、地域では次はまだかと期待の声が高まっています。昨年度の好調な企業誘致の背景には、前年度、新型コロナウイルスの影響により企業が投資を先送りしていた案件が動き出したことによるものと伺っていますが、製造業、特に半導体分野については、今後も旺盛な投資が見込まれると思います。 特に、自動車のEV化の流れの中で、半導体関連産業は活況を呈しており、その中で隣の熊本県で大型投資が行われるなど、九州では勢いがあると思います。 こうした動きを受け、県においては、市町村向けの補助金を拡充するなど大規模工業用地の整備を促進しようとしていますが、まずは今ある玖珠工業団地をしっかり売ることで、後に続く市町村も出てくるのではないかと考えます。 そこで、お尋ねします。1区画が大きく、大規模投資に適した県内でも貴重な玖珠工業団地への企業誘致の現状と、現状を踏まえ今後どのように取り組んでいかれるのか、
商工観光労働部長に伺います。
○古手川正治副議長 利光
商工観光労働部長。
◎利光秀方
商工観光労働部長 まず、水素の地産地消に向けた取組についてお答えします。 水素は国のエネルギー基本計画の中においても、カーボンニュートラルの達成に向けて、必要不可欠なエネルギーとして位置付けられています。 本県は、日本一の発電規模を誇る地熱などのエネルギー資源に恵まれているほか、大分コンビナートは全国の副生水素発生量の10%を占めるなど、正に水素製造に優位な環境にあるものと認識しています。 水素の地産地消を実現するためには、供給だけでなく需要もバランスよく立ち上げていくことが必要であると考えています。既に県内では、水素の製造や利活用に向けた様々な取組が進展しています。 議員御指摘の九重町での水素製造に関連して、その次の段階ということで、現在、県エネルギー産業企業会を中心に、水素の圧縮、運搬に関する実証事業に着手しており、県内の水素ステーションなどへの供給を予定しています。 また、同企業会では、水素を活用した海上から停泊船舶への電力供給だったり、燃料電池式港湾クレーンへの水素供給に向けて、参加企業間でのマッチングも実施しています。 現在、県で開催しているものづくり未来会議おおいたにおいても、副生水素の活用や、太陽光発電の余剰電力などによる様々な形での水素製造の可能性を議論しています。 引き続き、水素の地産地消を推進し、水素エネルギーの産業化に取り組んでいきたいと考えています。 続いて、玖珠工業団地への企業誘致についてお答えします。 地域のバランスの取れた企業誘致に向けて、県では中山間地域や離島へのIT関連企業などの誘致にも積極的に取り組んでいます。本年7月には玖珠町に1件の進出が決定しています。 製造業の誘致では、旺盛な国内投資が期待される半導体企業などに対するアプローチを強化していきたいと考えています。県内各所における水の確保に向けた調査費を今議会に提出しています。 また、受皿となる大規模工業用地の整備については、整備費用の補助上限を引き上げ、市町村に対し手厚く支援するとともに、団地開発を担う開発業者への営業を強化しています。 現状、県内で即時入居可能な10ヘクタール程度の大規模工業用地は、玖珠工業団地の1区画のみなので、県としても積極的に売り込み、現地案内なども行っています。 引き続き、玖珠町や県外事務所との連携により企業の投資動向をいち早くつかんで、玖珠工業団地の魅力である農林業など地域の基幹産業の特性などもメリットとして最大限PRすることで、誘致につなげていけるよう努めていきます。
○古手川正治副議長 小川克己君。
◆小川克己議員 ありがとうございました。水素のクリーンエネルギーを積極的に今後活用していただけるということで、重ねてよろしくお願いします。 それから、玖珠工業団地については、御存じのとおり、未分譲の部分も広大な面積なのですね。したがって、複数社で分譲でもいいのではないかと思っています。今、既に1社という話がありましたが、引き続き地域に活力をもたらすためにも工業団地の活用をぜひよろしくお願いして、私の一般質問をこれで終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手)
○古手川正治副議長 以上で小川克己君の質問及び答弁は終わりました。麻生栄作君。 〔麻生議員登壇〕(拍手)
◆麻生栄作議員 時の会・県民の声の麻生栄作です。私も還暦を迎え、県議会初当選時の保守系無所属一議員の原点に戻って、県民・地域の声を届けていきます。この一瞬を大切に質問するので、どうぞよろしくお願いします。 まず、県民の生活に対する意識等の変化について、知事に伺います。 最近、パンデミックや戦争の勃発が起因しているのか、世の中全体の大きな変化を感じるのは私だけでしょうか。 県民の暮らし、生活について、特に食料やエネルギーの脆弱性が明らかになったことから、それらに対する意識や志向について、劇的な変化に気付きます。しかも暮らしている地域や世代によっても、その変化は多様であり、大きな違いがあります。 大都市や地方拠点都市から田舎への移住も増えています。生活水準の向上から生活の質の向上を求めるといった若者の志向の変化も見受けられます。 暮らしを豊かにする要素や今までにない視点から選ばれる地域づくりをサポートすることが地方自治体としても避けては通れなくなったように思います。 社会起業家であり、「まちづくり幻想-地域再生はなぜこれほど失敗するのか-」の著者、木下斉氏は、「田舎になくて都会にあるのは利便性だけ。逆に言えば田舎には利便性以外の全てが揃っている。」と言っています。 その全てがそろっているはずの大分県ですが、過疎や人口減少、さらには格差拡大といった点で、深刻かつ危機的事態が迫っているように感じます。 今こそ既成概念にとらわれることなく、発想の転換と県民の意識改革及び情熱によって、新たな一歩を踏み出すときです。 このように、コロナ禍によって、あるいはロシア、ウクライナ戦争勃発によって、県民の暮らし、生活に対する意識や志向の変化について、動向把握のために統計数値などで把握していく必要があると思います。まずは、そうした指標で特に注目しているものがあればお示し願います。その上で、科学的な手法ではなくとも、県民と接し、こうした変化を肌で感じることもあろうかと思います。そうした県民の意識、志向の変化をどのように捉え、政策を議論し、施策に反映させていこうとお考えなのか、お示し願います。 〔麻生議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○古手川正治副議長 ただいまの麻生栄作君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 ただいま麻生栄作議員から、県民の生活に対する意識等の変化についてどう感じているかと、大変難しい御質問をいただきました。 私たちは今、大きな時代の変わり目にいます。新型コロナ感染症によるパンデミックや米中対立の常態化などにより、サプライチェーンが寸断され、部品供給の途絶など、自動車関連産業を始め、多くの業種に影響が生じました。 加えて、国連の常任理事国であるロシアによる思いがけないウクライナ侵略を契機に、エネルギー、原材料価格が高騰するなど、国際情勢に変化が見られ、県民生活や社会経済活動にダイレクトに影響を与えていると思います。 県民の皆さんも、平和の大切さや経済安全保障の重要性を改めて認識するとともに、よりグローバルな視点を持って物事を捉えるようになったのではないかと思います。この点は本当に最近の世の中の動きに応じて、もう一度県民の皆さん、頭の中でよく考えておられるんではないかと思います。 時あたかも、世界では、日々拡大する膨大なデータをネットワーク化し、あらゆる分野で活用するDXが急速に進んでいます。 これまで様々な統計指標を政策立案に活用してきましたが、私は、こうした時代の潮流の中にあっては、特にビッグデータに注目しています。 例えば、新型コロナの流行に際しては、スマートフォンの位置情報などを基に、人の流れや感染の状況が瞬時に分析され、感染拡大防止に活用されたところです。果たして成功したか失敗したかは、また議論があるところですが、そういうところまで志向は来ているということです。 また、衛星データも今後の活用の期待が膨らむ楽しみな分野です。世界では、衛星から得られるデータを、防災、防衛はもとより、農林水産分野や土木分野など、あらゆる分野で活用しています。県内でも、海洋浮遊ごみの効率的な回収など、既に将来のビジネス展開を見据えたチャレンジが始まっています。 こうしたデータを活用する一方で、県民の声をくみ上げ、意識の変化を的確に捉えることも大事です。 データのみによる政策立案では、データに現れにくい県民の声を見過ごすことにもなりかねません。このため、職員には、現場をよく見て、常に県民の声に耳を傾け、県民の心を心として政策県庁の本領を発揮するよう促しています。 私も、データなどによって、大きな時代の流れを読みながら、県政ふれあいトークや各種審議会の場などを通じて、幅広く県民の皆さんの声を伺い、多くのヒントをいただいています。 こうした現場での声を、新型コロナ感染者に対する丁寧な
フォローアップや、物価上昇に対応した中小企業・小規模事業者の適切な価格転嫁の促進など、県民の思いに寄り添った施策にいかしていきます。
○古手川正治副議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 ありがとうございました。知事からデータの統計の重要性というか、新しい視点もお示しいただきました。 私が今注目しているのは、県民の暮らしに関わる統計数値、特に地域の暮らしを映す消費者物価指数です。この中でも特に光熱水道及び食料の費目の動向が気になります。また、それに連動する可処分所得なども気がかりとなります。日銀大分支店によると、大分市の消費者物価指数の伸びは、全国に比べると抑えられていると聞きます。 そこで、可処分所得について、本県の実態について調べてみました。お手元に資料を配布していますが、総務省の2019年全国家計構造調査の都道府県別全世帯平均年間可処分所得の従来型算定は、お手元に配布の資料のとおり、東京都の490万8千円に対し、地方でも富山県が499万4千円、福井県も494万9千円と東京都を上回っています。大分県は386万5千円です。九州では福岡県がトップと思っていたんですが、佐賀県がトップで448万1千円、熊本県、福岡県、長崎県と続き、本県は5位です。 都道府県別の可処分所得について、産業別就業者割合などとの関係についても、配布資料の裏面に添付してあるので御覧ください。 産業割合などと可処分所得の因果関係についての要因分析によって、本県の強みを伸ばすことも可能なはずです。 本県のその他世帯の女性世帯主の場合、全国13位と高い方で、全世帯及び無職世帯において女性世帯主の場合、可処分所得が全国都道府県で最下位となっています。その要因分析が、女性活躍や女性から選ばれる地域づくりの参考となるとも思われます。この点に関する見解があればお示しいただくとともに、このように大分県民の暮らしや生活の豊かさを示す統計データやその分析があれば、あわせてお示し願います。
○古手川正治副議長 大塚
企画振興部長。
◎大塚浩
企画振興部長 この世帯可処分所得のデータは、一つの世帯全体の可処分所得となっています。同一世帯で働いている人の数だとか、複数世代の同居の状況など、これは各県まちまちです。さきほど御指摘があった富山県、福井県が高いのは、3世代同居というか、一つの世帯でたくさんの方が住まわれているという特徴もあるのかなと思っています。そういうことであり、各県の状況が同一ではない中での比べ方になっているので、これだけをもって他県との違いを分析するのは困難です。 しかしながら、その他世帯の女性世帯主、これは一番右端にありますが、この区分には、社長とか会社役員などがここに含まれていますが、これが全国で13位と大分は高くなっています。この要因については、別のデータでは、大分県は全企業に占める女性社長の割合が高いといったデータもあります。そういったことが要因の一つではないかと考えています。 また、県民の暮らしや生活の豊かさを示すデータとしては、例えば、本県の通勤、通学時間の短さは全国2位、休養、くつろぎなどの自由に使える時間の長さは全国8位となっています。こうしたものは大分県での暮らしやすさを他県にアピールしていけるものと思っています。
○古手川正治副議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 ありがとうございました。問題は、暮らしを豊かにするために、データをどう読み解くかではないかなと思います。 2021年、令和3年の消費者物価地域差指数を見ると、全国平均を100として、大分県は住居が84.4と低く、光熱水道が105.0、教育が104.0と高いのが特徴でした。 可処分所得、九州トップの佐賀県は、住居が88.0、教育も91.2と低く、光熱水道は111.6と高いのが特徴ですが、食料も本県より低い99.1であり、食べ盛りのお子さんを抱える子育て世代に優しい家計が想像できます。 実際にかかる出産費用と出産育児一時金との差額や出産お祝い金、油布勝秀議員が第1子100万円、第2子200万円、第3子300万円というような提案もしていましたが、そのようなお祝い金とか、あるいはお祝い品の地域農産物として提供するような、そういった支給、これによって子育て世代の消費者物価指数を抑え、その分の可処分所得を確保するなど、打つ政策や施策が確実に子育て世代に届いているかなど、AIを駆使して、消費者物価指数、10大費目指数のクラスター分析などによって、データで読み解くことも可能なはずです。 本県の可処分所得についても、金額にこだわる必要はないと思っています。それよりも、中身を読み解くことが大事となります。 例えば、自給自足の暮らしが可能な大山町の文産農場で働く高齢者の皆様の稼ぎは、東京での同じ金額の何倍もの価値があると思われます。桃栗植えてハワイ旅行に行っていた皆様が、孫やひ孫にお小遣いを渡して、ほほ笑んでいる姿が目に浮かびます。 ぜひ豊かな暮らしとは何かについて、AIも活用の上、あらゆる角度、視点からデータを読み解き、選ばれる地域づくりに全庁挙げて工夫していかしていただくことを強く求めておきます。 それでは、次の項目に行きます。 次に、食と農業、農村の振興について知事に伺います。 農林水産省は8月5日、2021年度の食料自給率を発表、カロリーベースで38%、生産額ベースでは過去最低の63%でした。ロシアのウクライナ侵攻を機に世界で穀物価格が高騰する中、日本の食料の海外依存と国内農業の荒廃という二重のリスクを抱え、その懸念が高まっています。 昨年11月に公表された2020年農林業センサスでは、直近5年間で、本県農業の担い手の高齢化率は72.8%から77.3%と4.5ポイントも上がり、農業経営体も24.7%減少して、2万を割り込みました。流通実態は違うのでしょうが、いざというときには110万人の県民の食を、2%にも満たない平均年齢70.1歳の農家の皆様に頑張って支えていただくことになります。構造改革が遅れ、危機的状況に陥っているのみならず、この状況が続けば、農村社会、経済の崩壊につながりかねないとして、大分県農業非常事態宣言を発出したことは周知のとおりです。 最近、ツイッターで知った東大の鈴木宣弘教授の日々のつぶやきは、大変刺激的です。鈴木教授は、「これまではお金を出せば食糧を輸入できるという前提でいられたが、いくら払っても買えない状況になりつつある。肥料原料なども含め、真の意味での食料自給率の向上に今こそ本腰を入れるべきだ。」と警鐘を鳴らされています。 鈴木教授は、著書「農業消滅」によって、その危機認識を伝え、農業従事者へ支援の必要性を関係者のみならず、消費者にも、今だけ、金だけ、自分だけの社会風潮からの脱却を訴え続けておられます。農林水産省でも仕事をされており、当時の経済産業省と農林水産省との認識の違いやあつれきについての記述もあります。 いつの時代でも、食は日々の暮らしの中で意識せざるを得ない自分ごとでした。戦後は食料難が続きましたが、経済と社会の発展によって、生産者と消費者という言葉が使われるようになり、食の確保は徐々に他人ごとになっていきます。今問われているのは、食と農のつながりの中身であり、自分ごととしてのつながりとも言えます。その食と農のつながりをどう修正し、再構築するのかの視点に立ち、多様な農業の担い手を育て、食と農をつなぐ仕組みをつくることが重要です。持続可能な自分ごととしての食卓の姿がイメージできるか、県民の皆さんと一緒に考えていくことが鍵を握っているのではないでしょうか。 県農業・農村の疲弊と消滅の危機は深刻度を増しており、一刻の猶予もありません。最近、大分市竹中の市道脇で1人、佐伯市宇目の林道そばで2人が相次いで白骨化遺体で見付かったことは御存じのとおりです。どんなに少なくても地域には人が住み、道路には人の往来や道路管理者によるパトロールもあるはずなのですが、安全・安心を掲げる本県の出来事とは信じられません。鈴木教授の「農村消滅」の指摘が身近に迫っています。 本県農業の現状を見ると、高齢化による担い手不足、耕作放棄地の増加、集落消滅の危機が拡大し、今頑張ってくれている農家がいつまで耐えられるのかも分からない、そんな状況が続いています。食料こそが県民の命の源です。その生産を担う農業を余りにも軽視してきたのではないでしょうか。鈴木教授によると、農政の失敗が招く国家存亡の危機は、食と農を犠牲にした貿易の自由化と言及されておられることは御承知のとおりです。 水田畑地化やもうかる農業についても、本県全ての地域で目指すべきものか、もうかるの定義についても考えさせられます。 このような指摘や実態などを踏まえ、知事は本県の農業、農村の現状についてどのように思っておられるのか、まずは率直な感想をお聞かせ願います。 また、これからの本県の政策の柱における農業・農村政策の位置付け並びに優先順位についても考えをお示し願います。 さらに、今年のウクライナ危機勃発後、農業システム再生に向けた行動宣言及びおおいた農林水産業活力創出プラン2015及び同アクションプラン2022、あるいは大分県果樹農業振興計画など農政に関する各プランについて、この危機的な状況を踏まえ、緊急見直しが必要不可欠と私は感じますが、見直しの必要性についての考えもあわせてお示し願います。
○古手川正治副議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 農業・農村の振興について御心配いただきました。 農は国の基との言葉に表されるように、県内各地で幅広く営まれている農業は、県民の食を支え、地域に活力を生み出す重要な産業であり、県勢発展にその振興は欠かせない一つだと思っています。 一方、農業を取り巻く状況は、消費の多様化、気候変動、国際情勢の急変など、年々複雑さを増しており、変化に対応し発展する農業を目指して、私は就任以来、県政の最重要課題の一つとして農業の構造改革に取り組んできました。 この結果、近年では毎年200人を超える方々が新規に就農するとともに、力を入れてきた園芸の産地化も着実に進み、ねぎの令和2年度の産出額は78億円と、いよいよ100億円が視野に入るところまでやってきました。 しかしながら、まだまだ解決すべき課題は多く、県では、近年ようやく危機感を強くしてきた農業団体と共に農業総合戦略会議を設置し、さらなる改革に取り急ぎ取り組んでいます。 中でも、県内の多くの農村集落で見られる、米に依存した生産・収益構造からの脱却は、何としても実現しなければならない大きな課題です。米は、国家貿易という自由貿易内の例外とされながら、その消費は、人口減少だけではなくて、共働きや単身世帯の増加に伴う簡便化志向など需要面の要因で減少し続け、価格も長期的に下落傾向にあります。昨今の国際情勢から、米粉等を見直す動きもありますが、その消費量は極めて限定的です。国際的に米が足りないというので、米の粉も扱ったらどうかと考えていますが、余り売れなかったです。 国産農産物は高値でも買い支えるべきといった議論もありますが、本質的には国民の需要を捉えるかどうかであって、米を作っていれば大丈夫という時代への回帰は困難と言わざるを得ません。 真に持続と成長が可能な農業実現のため、御指摘の各種計画に水田の畑地化や、集落営農法人の強化を掲げてきましたが、昨今の情勢を受けても、その必要性は何ら変わらず、むしろ高まっているものと考えています。 本県の先哲に、江戸時代の三大農学者に数えられる大蔵永常がいます。永常は、グローバル化とは無縁の江戸時代においても、農家が収益を得るためには米だけに頼るのではなく、地域の特産となる品目を振興すべきと考え、農業改革の必要性を訴え続けました。 くしくも、今年の戦略会議の議論において中山間地の担い手の皆さんから、経営があってこそ農地、地域を守れるのであって、園芸などで収益を上げ、持続可能な経営を確立したいという価値観をお聞きしました。 我々も、こうした現代の価値観にすら通ずる先人の先見の明と高い志に負けないよう、強い覚悟を持って農業の構造改革を進めて、後継者が夢を持ち、活躍できる農業・農村づくりを進めていきたいと確固たる信念を持ってやっていきます。
○古手川正治副議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 確固たる信念で農業、農村をしっかりと取り組んでいただけるということなので、次に、中山間地域集落における集落営農組織・法人について、3点に絞って聞いていきます。 まず初めに、私の生まれ故郷を始めとする山奥の中山間地域の集落営農組織・法人の事業承継について質問します。 本県でも戦略品目などの指定を受け、そのような産品によって経営規模拡大が進んでいるエリアの農業については、それなりの成果が現れているように感じます。しかし、問題は、中山間地域集落・農村です。有効な手が打てていないか届いていないように思います。 県では、令和3年度から農業の経営継承を推進する取組を強化し、今年3月に大分県版の農業者のための事業承継ブックを作成、活用を始めています。 これですが、一方、全農では、6年前の2017年1月から既に事業承継ブック親子版を発行し、その活用を進めています。しかし、法人化は進みつつあるものの、高齢化に歯止めはかからず、世代交代は進んでいないとして、農業の担い手に出向くJA担当者TACが、その翌年、5年前の2018年3月からこの事業承継ブック集落営農組織版を発行し、その活用、啓発を進めてこられたことは周知のとおりです。本県では、大分県集落営農推進本部を平成17年に設置し、具体的取組に着手しています。 本県の令和3年集落営農任意組織は346、法人は222ありますが、機械の共同利用や基幹作業の受託などを行う補完型集落営農の3タイプと集落全体で農業経営を行う集落一農場型の計4タイプに分類されます。その4分類タイプ別の事業承継に関する課題ごとに、その有効な緊急対策が求められています。 2020年農林業センサスにおける県内農業集落3,312を分母とする令和3年の集落営農組織のカバー率は44%、担い手不在集落数が1,248となっていますが、実際の担い手不足はさらに深刻と言えます。 そこで、新しく農業を始める雇用就農や新規参入など、就農ルートの多様化に合わせ、限られた経営資源、例えば、農地とか資金、農機具、施設、作業場、倉庫や営農技術といった経営資源や、住宅や生活情報といった生活資源に加え、人間関係や、ここが大事ですが、地域からの信用力の調達及び住み込み型や通い型、あるいは宿泊施設準備型などのスタートラインに立てるような段階的かつ戦略的な集落営農組織・法人の担い手づくりによる事業承継が早急に求められています。 広域営農システムを支える担い手の確保に向け、集落営農組織・法人が抱えるタイプ別の事業承継の課題とそれに対する有効な具体的な緊急対策をお示し願います。 法人経営体の強化に向けた取組について2番目に伺います。 都市に人口を集中させることが効率的な社会の在り方として推進されてきましたが、コロナによって結果として、過密な都市部の暮らしは人々をむしばむ脆弱性が明らかになってしまいました。都市への人口の集中という3密構造を改め、地域を豊かにし、地域経済が観光や外需に過度に依存しないで、地域の中で回る循環構造を強化する必要があります。そして、その核に、農林水産業、食料産業を柱に据えることが大事です。 その中でも、集落消滅の深刻な危機にある地域農業、農村の中心を担っている米農家の存続が危ぶまれるような米価下落がさらに深刻さを増しています。今ここで発想の転換が不可欠です。相対的貧困率が最悪な水準の15.4%の我が国、しかも本県の可処分所得の実態からしても、コロナ禍による収入減で一日一食に切り詰めるようなひもじい思いをされている人々がきっと増えている中、飼料、肥料も海外に依存し、しかも農村も消滅の危機にある中、中山間地域にとっては、さきほど知事から話がありましたが、生産効率のいい飼料米とか飼料稲、WCSを含めて、米を減産している場合ではありません。中山間地域においてですが、そこのところの認識がちょっとまだ違うような気がしています。 食料こそが命を守るわけであり、その鍵を握るのが中山間地域の集落営農組織・法人です。地域経済循環構造において、この集落営農組織・法人をどのように位置付け、また、集落営農を継続発展させていくためにどのように法人経営体の強化に取り組んでいかれるのかお示し願います。 3点目に、みどりの食料システム戦略を踏まえた取組について聞きます。 農林水産省の使命は、命を支える食と安心して暮らせる環境を未来の子供たちに継承していくこととし、海外に依存している食料について、持続可能な食料システムをつくるとして、みどりの食料システム戦略策定に着手しています。 そこで、中山間地域集落における最後のとりでである集落営農組織・法人において、みどりの食料システム戦略策定を踏まえた取組を今後どのように進めていくのか伺います。
○古手川正治副議長
佐藤農林水産部長。
◎
佐藤章農林水産部長 3点質問いただきました。 まず、集落営農組織・法人の事業承継についてお答えします。 集落営農法人は、地域農業の中心的な役割を担うとともに、営農を通じて耕地や水利の保全等の役割も果たしており、その発展は中山間地域農業の振興に欠かせません。 そのため県では、集落営農法人の事業承継も進めていますが、いずれのタイプにおいても、承継の前提となる法人の経営強化を急ぎ進める必要があります。 経営強化には、園芸品目等を導入し、経営の多角化を図ることが必要です。 これまでも園芸品目の導入支援や、効率的な営農に向けた機械化、省力化等を支援してきましたが、今後はこれをさらに強化し、大規模な複合経営への転換を進めていきます。 また、戦略会議の議論の中で、集落の機能維持という名目で、草刈りなどの過度な負担を強いられており、これが経営面の足かせになっている実態も明らかになりました。 このため、区画が狭く非効率な農地については、粗放的な管理を前提に受入れを行うなどのルールづくりにも取り組みます。 今後も集落営農の高収益化と生産体制の効率化を進め、スムーズな事業承継につなげていきます。 続いて、法人経営体の強化に向けた取組についてです。 集落営農法人の持つ食料供給や集落維持の機能は、法人自体の健全な運営が大前提であり、収益力向上による集落営農法人の経営強化が欠かせません。このためには、長引く需要の低下により、価格が低下し続ける米に依存した収益構造からの脱却が必要です。 県内には、中山間地域にあっても、かんしょやスイートコーンなど、マーケットニーズに対応した品目を導入することで、高い収益力を上げている集落営農法人もあります。戦略会議の議論の中でも、集落営農法人代表者、また経営者の方から、米のみに頼っていてはだめで、経営の多角化を進めるべきだといった意見をいただきました。また、人手などクリアしなければならない課題は多いが、今後の経営発展には園芸品目の導入などが必要だなどの意見もいただいたところです。 県では、引き続きこういった導入への課題を解決しながら、前向きなチャレンジを積極的に支援し、地域農業の中心的な役割を担う集落営農法人の経営強化と、中山間地農業の振興を図っていきます。 最後に、みどりの食料システム戦略を踏まえた取組についてお答えします。 みどりの食料システム戦略は、イノベーションにより
生産性向上と持続性を両立するという高い目標を掲げたものであり、その実現には革新的な技術開発と各当事者の思い切った構造改革が必要です。 国は本年7月に関連法を施行し、9月にその実現に向けた基本方針を公表、それを受けて各県において市町村と共同して基本計画を作成することとなっています。 基本方針は、昨日公表されましたが、これに掲げられる有機農業については、県内の集落営農法人でも既に取組が進んでいます。また、堆肥の積極的な活用と地域循環を目指した集落営農法人が関わる耕畜連携の取組も始まっています。 今後とも国の動向を注視するとともに、こういった前向きな取組について、しっかりと支援していきます。
○古手川正治副議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 ありがとうございました。集落営農法人の事業承継、これは本当に喫緊の課題であり、県で作っているこの事業承継ブックの最終項、このQRコードを読み込むと、伊東悠太郎さんと、県庁マンらしいんですが、MC-カボC-さんの動画が見れます。この動画は実に秀逸であり、これを大いに活用していただいて、農家の悩みと共通する部分がよく伝わってこようかと思うので、大いに活用して取組をしてほしいと思います。 いろいろ準備はしていたんですが、なぜ集落営農法人を質問したかというと、実は私自身が所有している田畑についても、集落営農法人に頑張って作っていただいていたんですが、もう作れんぞと、どうにかしてほしいということで、広域合併とか、由布市の中で9法人が一つになってやっていますが、それでもなかなかうまくいかない実態があります。 例えば、中山間地域だから、畑地化するにしても非常に問題があるわけです。畜産農家の方にWCS、稲作として、飼料稲としてそのまま梱包して持っていってもらうとか、そのときの畜産コントラクターの位置付けとか、いろんな部分はあるんですが、やっぱり最後は人が足りないんです。人が足りない、これをどうするか。そこで考えなければならないのが、例えば、私の田舎では、梨農家も含めて、あるいはニラ農家とか、いろんな形で認定農業者で頑張っておられる方もたくさんいます。 そういったことについて、昨日答弁がありましたが、産地を絞って、また、150の経営体という話もあったんですが、認定農業者は自分のところなんですね。集落営農法人の組織の構成員にはなっていま3059が、それはそれ、法人、地域を、集落を守っていく維持活動もあるものですから、なかなかあれもこれも全部できないので、どうやって分けていくか。そして、今いる集落の担い手だけでは足りないので、都市の住民とか、都市と田舎の住民が価値交換しながらお互いに助け合っていくような交流を、価値交換をどうやって具体化していくかが課題になってこようかと思います。例えば、台風が来ているということで、梨が落果するのは大変だといったときに、出荷できなくなったときどうするかという部分を含めて、庄内梨のフローズンとか今非常においしい新商品を開発して、梨ロードには何と自動販売機を置いて、ひっきりなしにお客さんが来るようなところもあるし、あるいはそういった販売店で、菜果野アグリさんの契約社員が現地に出向いていって手伝っているというようなこともあります。そういった人たちが常に、周年を通じて農村集落営農をサポートできるような、臨時雇用とかパートとかアルバイト、そういったものもひっくるめていかにやっていくか、そういったことが事業承継の鍵を握ってくるんではないかなと思っているので、もし
農林水産部長、具体的なそういった部分での事業承継についての考えについてあればお願いします。 それから、経営の強化の部分については、この事業承継ブックの12ページ、13ページに記載されている法人化にあたっての留意点の部分があるんですが、こういった部分についての課題、例えば、会計経理の負担増とか、規模が小さい場合の利益がなくても7万円程度の法人住民税がかかるとか、こういった問題、社会保険加入等々についての課題について、いろんな形で人的サポートを含めて、技術的なサポートを含めて、今、人員を配置して、中小企業診断士か何かを配置してサポートしてくれていると伺っていますが、農繁期が終わって、収穫が終わって、本当に短い期間で一気に集落営農組織はやらないといけないものですから、そういったことについても、もう瞬時で、今年の収穫の後、来年の土作りの間までに方向性を出さないといけない。そのことをお願いします。 私も農山漁村の振興交付金とか各種指定起債事業の活用、畜産クラスター事業や畜産コントラクター、あるいは特定地域づくり事業の協同組合制度を活用した組合との連携とかいろいろ調べてみたんですが、なかなかうまくいきそうにありません。だったらどうするかですので、ぜひそういった、だったらこうしてみようよというような具体的なアイデアを集落営農法人の皆さんと共に作っていっていただくように、これはお願いします。 そしてあわせて、集落営農法人組織の役員の中に、やっぱり女性をもっと登用して、女性の視点から参画いただくことも大事ではないか、あるいは県庁職員の中でも、集落営農法人組織の構成員がたくさんいると思います。そういった方々にも参画していただいて、共に考えていくことも大事ではないかなと思います。そのことをお願いします。 ただいまの件と、そして、営農の基本的な部分で、収益を上げるという部分で、人道支援として子ども食堂とかフードバンク、こういったところと集落営農法人をマッチングして何かいい手ができないかなという思いもあるので、これは検討課題として意識していただければ幸いです。まず、
農林水産部長にただいまの点について伺います。
○古手川正治副議長 必要であれば質問のポイントをもう一回確認した上での答弁でも結構です。
佐藤農林水産部長。
◎
佐藤章農林水産部長 ただいまの中で、一つは事業承継をどうやっていくかということと、今後担い手のところをどうやって確保していくかが再質問の中心であったと思います。 まず一つは、事業承継についてですが、やはり事業承継は、事業承継したいという集落の方の気持ちもあると思いますが、そこに入りたいという担い手となる人の気持ちもあると思います。ということは、やはりその集落に入って自分が活躍できる、もうかる集落があるということがないと、なかなか担い手もそこに入りたいという気持ちにならないと思うので、やはり事業承継にあたっては、その集落が、まずは自分たちが経営をきちんと保って、少しでももうかる形の経営基盤を整える努力をすることがまず大事になってくると思っています。その上で、担い手等について、県としても農業大学校の学生とかとマッチングして、活躍できる場として集落営農法人という組織、法人をそういった活躍の場にしていきたいと考えています。 それから、担い手についての労働力不足という話がありましたが、一つは、労働力の確保については、地域農業サポート機構等で労働力の調整を行っています。それから、さきほど梨の話もありましたが、6次産業化に向けても、6次産業化のプランナーという形での支援策も持っているので、そういったことを活用していただければなと思います。 それから、全体として担い手が今後いないことについての対策をどう考えるかということも質問の中にあったと思いますが、今年、国でも法改正があり、今までの人・農地プランについては、今後法制化されて、地域計画ということで、法の計画ということで位置付けられています。市町村、地域、それから、農業団体等が今後の10年後の地域の農業の姿について、現場の農業者、それから、市町村等も含めて、その在り方を考えた上で、目標地図を策定することになっています。そういった中でも、全体としての地域の農業の在り方をみんなでしっかりと検討していく必要があると思います。県としてもそこは一緒になって取組をします。
○古手川正治副議長 麻生栄作君。
◆麻生栄作議員 ありがとうございました。いずれにしても、集落営農法人、御苦労していただいており、山村をしっかり守ってこられた、例えば、今回、私なぜこの質問をするかというときに、21世紀にまさかの戦争が勃発したわけですよね。そんな中、私の祖父は赤紙召集で、百姓だったものが30歳を過ぎて現地に行ったと。そのとき、石垣の棚田をずっと築いて、それを守ってきた方々が帰りたくても帰ってこれない、そんな人たちの思いを考えたときに、やっぱりこの農村集落の在り方をもっと真剣に覚悟を持って取り組まないといけないなと思って今回質問しました。 時間がないので、最後になります。 公共交通をめぐる諸課題についてですが、まず、地方創生に資する公共交通の在り方について、いろんな課題があります。 今回、JR九州の初代社長であった石井幸孝さんは、現職時代から2050年に全国の全ての鉄道業が人口減少とICT化によって赤字になり、コロナによって赤字化はさらに30年早まったと言っておられ、著書「人口減少と鉄道」に根拠が詳しく記載されています。 また、元トヨタ副社長の栗岡完爾さんもモノの流れ、人の流れこそ、地域間の格差の元凶と指摘されています。地方がいくら頑張っても、この人やモノの流れの距離に関するコストの違いは、このままではどうすることもできないと思います。 だったらどうするかということで、今回、国への要望についてですが、この国で暮らす人々ではなく、訪日外国人旅行客限定の定額乗り放題プランパス導入実績もある中、国への要望、提言に鉄道や高速道路について、地方創生の視点から距離料金制度の定額料金制度への抜本的見直しを提言できないものかと考えるが、これについての見解を伺います。 また、東九州新幹線の整備についてですが、今年7月27日、貨物鉄道の強化に関する国土交通省有識者検討会中間報告案は、新幹線ルートに貨物専用車両の導入の可能性を検討すると明記され、今後、国交省、JR貨物、JR旅客各社が貨物鉄道改革として物流機能強化について協議を始めるとのことです。 そこで、新幹線物流の発想を取り入れた前提条件の見直しについては、要望の選択肢とスケジュールの見極め問題も含め、県行政としての基本的な考え方として議論しておく必要があろうかと思います。 東九州新幹線の整備において、旅客と貨物の混載新幹線物流導入を検討せざるを得ないと考えるが、
企画振興部長の見解を伺います。
○古手川正治副議長 大塚
企画振興部長。
◎大塚浩
企画振興部長 まず、地方創生に資する広域交通の在り方についてお答えします。 産業振興や観光振興など、地方創生の各種取組を力強く推進するためには、鉄道や高速道路等の広域交通ネットワークを積極的に活用し、人、モノの流れを一段と活性化させることが不可欠です。 一方で、鉄道や高速道路の利用料金を利用距離にかかわらず一律の料金とする定額料金制度については、利用者間の負担の公平性等の課題があると認識しています。 他方、一定期間、一定区間内の鉄道や高速道路等が定額で乗り放題となるサブスクリプションサービスについては、長期滞在型観光等の需要創出に大いに寄与するものと期待しています。 現在、JR九州全線が乗り放題のぐるっと九州切符、あるいはネクスコ西日本が管理する九州内の高速道路が乗り放題のぎゅぎゅっと九州まんきつドライブパスなど、様々な企画商品が現在発売されています。県としては、先行事例の効果を注視しつつ、各事業者の魅力的な商品造成を支援し、広域交通ネットワークの活性化を図っていきます。 次に、東九州新幹線の整備についてお答えします。 旅客と貨物の混載新幹線物流については、既にJR各社において、既存車両の一部を活用した取組が始まっていると承知しています。 国においては、これをより本格的に展開するべく、今後の鉄道物流の在り方に関する検討会を設置し、新幹線による貨物輸送の拡大を課題の一つとして掲げ、検討を始めたところです。 その実現にあたっては、車両の新規開発や安全確保など解決すべき課題が山積しており、今後、国やJR各社と関係者による検討や必要な調査に着手すると聞いています。県としても、新幹線を活用した鉄道物流の推進は、
地球温暖化対策やカーボンニュートラルの実現、トラックドライバー不足の解消に資するものと認識しています。 国等の動向を注視しながら、まずは東九州新幹線の整備計画路線への格上げを目指し、引き続き国への要望を行っていきます。
○古手川正治副議長 以上で麻生栄作君の質問及び答弁は終わりました。(拍手) 次に、上程案に対する質疑に入ります。 発言の通告がありますので、これを許します。堤栄三君。 〔堤議員登壇〕
◆堤栄三議員 共産党の堤です。議案に対する質疑を行うので、よろしくお願いします。 まず、コロナウイルスの感染拡大防止対策についてです。 大分県では、コロナウイルス感染症陽性患者数が約16万9千人、第7波で10万5千人、死者数は9月15日までで331人に上っています。オミクロン株は軽症者が多いといっても、罹患者が多くなれば死者の絶対数は増えていきます。無症状患者を含めた患者の早期発見と保護が基本でなければなりません。 そこで、第7波が拡大した要因についてですが、新自由主義によって社会保障制度の後退や感染症対策を怠ってきた政治の責任が重大です。パンデミックになる以前は、感染症対策の体制を無駄で費用がかかるとして縮小してきました。これはこれまでの保健所の整理統合による削減、感染症病床の縮小・削減、医師・看護師等や感染症対策研究の縮小・削減などに現れています。このようなことが原因で感染拡大が収まらないということを自覚しているのか、答弁を求めます。 次に、無料のPCR検査についてです。 重症化を防ぐためには、感染者を早期発見し、保護するなど検査体制の強化が必要です。 そこで、共産党県議団が実施した県政アンケートでも、コロナ対策としてウイルス検出の科学的な精度、正確性、検出限界の判断のためのゴールドスタンダードと言われるPCR検査の拡大を無料で実施すべきと6割の方が答えています。 世田谷区のようにプール方式を採用すれば、コストや時間を抑制できます。このような方式などを活用し一気に検査を拡大すべきではないか、答弁を求めます。 次に、感染拡大に伴う死者数の増加です。 また、オミクロン株は軽症者が多いと言われていますが、8月の全国の死者数は、1か月当たりとしては過去最多となる約7,300人を記録しています。大分県でも第6波の1月から6月までは81人の死者数であったのが、第7波の7月では23人、8月で91人と一挙に死亡者数が増加しています。また、全国の死者数の中には子どもの死亡も見られます。軽症者が多いと安易に捉えてはいけない数字です。その認識はあるか、答弁を求めます。 次に、感染症対策のための保健所職員の増員の問題です。 コロナウイルスに罹患した方に話を聞くと、かかりつけ医に電話しても、発熱外来はいっぱいで受けられない、保健所に電話しても、ホームページを見て病院に連絡してくれと言われるだけ、不安な状況で過ごしたことを話していました。 県下の保健所職員が3年近くに及ぶコロナ感染症拡大で心身ともに疲弊していることは理解していますが、専門的な指示がなされないと、患者は不安な中で過ごさなければなりません。 この間、保健所職員は若干名増員されていますが、それでも他部署や人材派遣会社等から人員を配置しているのが実態で、パンデミックに対応できない状況となっています。専門性と継続した技術の習得のためには、応援という小手先の対応ではなく、職員の増員や増設を思い切って行い、今後来るであろう新たな感染症に対応できる体制を講じる必要があると考えるが、答弁を求めます。 以下、対面にて。 〔堤議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○古手川正治副議長 ただいまの堤栄三君の質疑に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 堤栄三議員から、新型コロナウイルス対応について厳しい御質問を承りました。まず私から、新型コロナウイルス感染拡大防止についてお答えします。 我が国の感染症対策は、患者の人権を尊重し、隔離を目的とする入院を少なくする考え方に基づき、実施されてきました。 この間、入院勧告が必要な結核など2類感染症の患者数が減少してきたこともあり、感染症病床は全国的に減少しています。 そうした中での極めて感染力の強い新型コロナウイルス感染症への対応にあたり、私は、感染者の重症化を防ぎ命を守ることを第一に、時には国とも意見を闘わせながら、絶えず変化する状況に対処してきたところです。 まず、医療の提供が必要な感染者を確実に受け入れることができる体制の確保です。 県内で初の感染者が確認された令和2年3月には、八つの指定医療機関が確保している40床にすぎなかった入院病床数は、感染拡大に応じて上積みを進め、現在では53病院に御協力いただいて、最大で545床を確保しています。 医療機関の従事者の確保や感染防止も重要です。県では、医療計画に基づき、地域の実情に応じた医師及び看護師の確保を進めており、ともに増加傾向にあります。 しかし、今回のコロナ禍では、医療機関におけるクラスターの発生や、医療従事者自身の自宅待機等により、安定した医療提供が困難となるケースが生じています。そのため、県医師会や看護協会の協力の下、感染管理認定看護師等を派遣し、専門的知見を踏まえた感染管理を徹底しています。 次に、地域における感染者と医療をつなぐ保健所の体制強化です。 平成20年の再編は、広域交通網の整備や市町村合併等を踏まえ2次医療圏を6圏域に見直した際、限りある公衆衛生人材の集中による機能強化に向けて、適切に実行したものです。 コロナ禍においても十分期待に応えてくれていますが、その機能を維持するため、保健師等の増員や会計年度任用職員の配置に加え、人材派遣会社やICTの活用等による負担軽減も図りながら、臨機に対応しています。 なお、国において、感染症の研究と対策を一本化する日本版CDC創設の動きも出ており、今後、県の感染症対策にもいかすことができるものと期待しています。 私は、今回のような未曽有の危機に備えて、平時から健康被害が最小限となるよう可能な限り対策を講じた上で、有事には状況に応じて迅速かつ的確に対応していくことが肝要だと考えています。 私からは以上ですが、その他の御質問については担当の部長からお答えします。
○古手川正治副議長 山田
福祉保健部長。
◎山田雅文
福祉保健部長 私からは3点お答えします。 1点目、PCR検査についてです。 新型コロナウイルスの対策において、検査体制の強化は何よりも重要と認識しています。 議員御提案のプール方式による検査は、陽性率が高い現在の状況下では、再検査数が増加するため、むしろ効率的でないと言われており、全国的にも簡易で迅速な抗原定性検査が多く用いられています。 本県では、感染に不安を感じる無症状の方のために、県内82か所に無料検査場を設置し、その不安解消に努めています。加えて、先月、若年の有症状者に対し、希望に応じて抗原検査キットを無料配布し、自己検査の上、陽性登録できる体制も整えました。また、先月末からは、インターネットでも抗原検査キットが購入できるようになったところです。 なお、行政のPCR検査については、高齢者施設等のハイリスク施設に重点化することで、クラスターの早期探知を図っています。あわせて、高齢者入所施設における職員からの感染拡大を防ぐため、職員の定期検査用に約14万個の抗原検査キットを配布しました。 こうした検査体制の拡充により、感染者を早期に発見し、感染の拡大防止に努めていきます。 2点目は、感染拡大に伴う死者数についてです。 第7波における県内の死亡者数は、昨日までに166人と高い水準にありますが、死亡率は0.15%で、第6波までの0.28%から大きく低下しています。 一方、死亡者の平均年齢は、第7波で84.2歳となっており、基礎疾患のある方がほとんどとはいえ、死亡者の増加は深刻な問題であり、高齢者の感染防止や重症化予防が喫緊の課題であると認識しています。このため、保健所では、重症化リスクの高い高齢者等に対し、重点的に健康観察や疫学調査を実施しています。 また、高齢者施設でのクラスターが多発したことから、先月中旬には、高齢者入所施設1,100か所余りに、全職員の定期検査用として抗原検査キット約7万個を配布しました。一定の効果が見られたことから、先週、同じ規模で再度配布し、定期検査を継続しています。 重症化予防については、ワクチンの4回目接種を急ぎ進めるとともに、ひとたび感染した場合には、受診や入院の調整を迅速に行い、適切な治療につなげていきたいと考えています。 3点目は、保健所の体制についてです。 これまで県では、各保健所に保健師9人を恒常的体制として増員するとともに、会計年度任用職員を30人増員したほか、人材派遣会社に委託し、現時点で看護職23人、事務職36人を追加しています。 また、保健師のOBや市町村保健師に加え、本庁や近隣地方機関の職員など、全庁を挙げて応援派遣し、感染状況に応じた機動的な体制を確保してきたところです。 業務の効率化では、クラウドサービスを利用して疫学調査票を電子化するとともに、スマホ入力による健康観察の省力化を図りました。また、検体や患者の移送、夜間電話対応等の業務の外部委託や、ショートメールを活用した陽性者への一斉連絡などにより、職員の負担軽減を順次図ってきたところです。 こうした業務効率化によって捻出したマンパワーを、高齢者等の重症化リスクの高い方の命と健康を守る業務に重点的に振り向けています。 引き続き国におけるウィズコロナに向けた新たな段階への移行の動きも見据えながら、感染状況に応じた適切な保健所の体制を確保していきたいと考えています。
○古手川正治副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 一つは、臨機応変にいろいろ対策等をやってきた、医者の体制とかスタッフの体制とか、そういうことで非常に臨機応変に対応してきたと言われましたが、さきほどの保健所の関係で、会計年度任用職員と、もう一つは人材派遣会社ではなくて、やはり私はここは正規職員を雇うべきだと思います。じゃないと、さきほど質問しましたが、今後何が起きるか分からない。前は結核があったり、今はCOVID-19とか、いろんな新たな感染症が出てくる危険性もあるわけですね、
地球温暖化の問題も含めて。だから、そういうものに対応していくためには、やはり保健所機能の体制強化、正にこれは正規の方々を増やして、そこで研究してもらって、常日頃のこういう感染症対策の技術を蓄積していただいて、そういう方が次回に備えるという体制を取るべきだと思うが、それについて考えがあれば再度お聞かせください。 それと、死者数の関係で、確かに死亡率については、絶対数が増えていますから死亡率としては下がるのは当たり前のことですが、ただ、亡くなるのは事実です。数が多いのも事実。これに対して、軽症者が多いことを発信するんではなくて、やっぱり危険なんだよと、こういうところをもっともっと情報提供すべきだと思うんだが、そこら辺はどうなのかを再度伺います。 その2点を再度質問します。
○古手川正治副議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 初めに、保健所の体制について私からお答えします。 さきほど私からも、それから、部長からも言いましたが、保健所の体制強化については、限りある公衆衛生の人材の集中による機能強化ということであり、人を増やしていこうとか、体制を整理しようということでは決してありません。できるだけいろんなことに対応できるように機能を強化していこうということであり、今度正にそういう事態が起こったわけですが、御存じのように、保健所の職員、保健師はなかなか今全体として不足しており、すぐにはなかなか採用できないところもあるものですから、他の方で対応できる分はぜひそこでお願いして、何とか全体として機能が果たせるようにやったということです。 これからも体制についてはよく考えながら、必要に応じて対応を考えていくということです。
○古手川正治副議長 山田
福祉保健部長。
◎山田雅文
福祉保健部長 死亡者が増えているということで、その対応ですが、今回、オミクロン株の特徴として、以前のデルタ株のときは結構肺炎症状が生じて、そういったものが体力を奪うようなケースがあったんですが、オミクロン株については、肺炎症状ではなくて、コロナが発症したことによって全体的に体力が低下した。肺の呼吸器症状は余りないんですが、体力が低下して、その方が持っている慢性心不全とか脳梗塞とか、そういった基礎疾患が悪化して亡くなったようなケースが多いということです。 さきほど言ったように、亡くなった方の平均年齢は82歳ということで、やはり高齢者の感染拡大をいかに抑えていくかということが死亡者を抑えていくための最大の課題ではないかと思っています。 そのための対応策として、ワクチン接種は重症化を予防する効果が明確になっているので、今回、オミクロン株に対応する新しいワクチンが開発されたので、今月末からその接種がスタートします。高齢者で4回目を打っていない方には、そういったものを積極的に接種していただくようなことをしっかりと訴えかけていくとともに、高齢者施設、あるいは病院に入所されている方に感染が拡大しないように、施設や病院の感染管理対策をしっかりとしていただくということで、さきほど知事答弁にもあった感染管理認定看護師の派遣とか、そういった指導を強化していきたいと考えています。
○古手川正治副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 今後、保健師の体制はぜひ強化をやっていただきたいのと、また、PCR検査もぜひ全ての小中学校、やはり件数を増やす、抗原検査を含めて件数を増やしていくことが大切だと思うので、その点は強く要望します。 次に、物価高騰対策に入ります。 この問題については、具体的な
景気対策を取っていくべきではないかと思います。 まず一つには、消費税の減税とインボイス制度の中止で景気回復を図るべきだと思います。 物価高騰対策としては、全ての県民が恩恵を受けられる消費税の減税が一番効果的だと思います。しかし、大分県は社会保障の充実のために、消費税率引下げは適切でないと、かたくなに減税を拒否しています。では、2021年度まで累計440兆円の消費税収がどのように社会保障に使われたというのでしょうか。これほどまで社会保障制度が後退している現状から考えると、必ずしも社会保障制度に使われてこなかったのが事実です。こうした認識及び消費税減税に景気回復の効果があるという認識はあるのか、答弁を求めます。 また、インボイス制度について、大分市内の建築業者は下請として一人親方を雇っているが、インボイス制度の登録を言えない、元請と単価の引上げの交渉をしようと思うが、どうなるか不安、料飲業者は、接待交際費で経費にするから領収証をと言われれば、課税事業者にならざるを得ない、これ以上とても負担できないと語っていました。 県はインボイスについて、消費税の適正課税を行うために必要、円滑な導入に取り組むと答弁していますが、インボイスがなければ適正課税ができないと認識しているのでしょうか。 また、来年3月末が登録期限ですが、今年7月末でも対象事業者の7%しか登録されていないのが実態です。これで円滑な導入などできるわけなく、混乱が広がるだけです。周知徹底すればするほど、内容を知れば知るほど、現場は混乱します。現在の2段階の複数税率でも帳簿方式の申告、納税で十分対応できています。インボイス制度導入は必要ありません。大分県としてもこの立場に立つようにすべきと考えるが、答弁を求めます。
○古手川正治副議長 広瀬知事。
◎
広瀬勝貞知事 まず私から、消費税についてお答えします。 コロナ禍が長期化する中で、ロシアによるウクライナ侵略や急激な為替変動などによる物価高騰は、国民生活や社会経済活動に大きな影響を及ぼしており、国・地方を挙げて、きめ細かな対応策を講じています。 議員からは、物価高騰対策として、全ての県民が恩恵を受けられる消費税の減税が一番効果的であるとの御意見をいただきました。 しかしながら、消費税は、急速に進む少子高齢化の中で、厳しい日本の財政状況に鑑み、財政健全化への内外の信任を得て、世界に誇るべき社会保障制度を次の世代へ引き継ぐために必要な財源であると認識しています。 消費税率の引上げによる増収分は、その全額を社会保障財源に充てることとされており、幼児教育・保育の無償化や医療・介護保険制度の改革などに活用され、全世代を通じた社会保障の充実につながっています。 社会保障制度については、年々増加する社会保障費に対処するため、国において社会保障給付の重点化や効率化が進められており、これまでも必要な給付やサービスの質を維持しながら、制度の見直しが図られてきました。その中で負担が増えている部分もありますが、持続可能な社会保障制度を次の世代に引き継ぐために、国として必要な見直しを行ったものであると認識しています。 持続可能な社会保障制度の確立とそのための安定財源の確保、財政の健全化のためにも、これ以上、将来世代に過重な借金を背負わせないためにも、消費税率の引下げについては慎重に考えるべきではないかと思います。県としては、コロナ禍で傷んだ社会経済の再活性化に向けて、原油・物価高騰等に苦しむ生活者、中小企業者等への支援や消費喚起のための対策を、国や関係機関と連携しながら、引き続き講じていきたいと考えています。
○古手川正治副議長 若林総務部長。
◎若林拓総務部長 私からインボイス制度についてお答えします。 インボイス制度については、売手が買手に対し正確な適用税率や消費税額等を伝える手段であり、複数税率の下、税制の公平性や透明性を確保するために必要な制度であると考えています。 また、インボイスにより、売手は納税に必要な消費税額を受け取り、買手は納税額から控除される消費税額を支払うという対応関係が明確となり、事業者にとって消費税を転嫁しやすくなる面もあると考えています。 現行の区分記載請求書等保存方式においては、売手側に区分記載請求書等の交付義務やその写しの保存義務はなく、また買手側は、少額取引等、一定の場合には、証拠書類の保存がなくても仕入税額控除が可能な制度となっています。 このため、仮に売手が軽減税率で申告したものを、買手が標準税率で税額控除したとしても、適用税率や税額を明らかにする書類が保存されていなければ、現行制度下では事後の確認が困難な面があるとされています。 こうしたことからも、インボイス制度は、より透明化や公平性が高まり、消費税の適正な課税を確保するために必要な制度であると考えています。 今後とも県としては国や関係団体と連携しながら、その円滑な導入に取り組んでいきます。
○古手川正治副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 価格転嫁の問題で、実際価格転嫁できると思いますか。元下関係で、消費税がインボイスしないといけないからといって、その分、価格に転嫁していいよと、それができないから、さっきは元請の人に相談してみましょうという話をしたわけでしょう。実際に部長、最近来られたばかりだが、大分県でそういうインボイス制度で価格転嫁できますよという事業者は10割いますか。調べていないでしょう。 だから、まず、そういう実態があるかどうかをあなた自身が足を使って調べなければ、インボイス制度がどれだけひどいかは、生の声を聞けば分かりますよ。そういうことをまずやってみてください。どうですか。
○古手川正治副議長 若林総務部長。
◎若林拓総務部長 インボイスの導入にあたっては、これまでも制度に関する理解が深まるよう、国と連携しながら、県でも周知、広報に取り組んできました。 私は直接お聞きした機会はこれまでありませんが、様々な業者の方から不安とか相談が国なども含めてあることは承知しています。 引き続き国においても、中小事業者が不当な取扱いを受けないような相談体制の強化とか取引の実態把握等を行っており、県としてもそういった動向をしっかり把握しながら、引き続きしっかりと連携していきたいと考えています。
○古手川正治副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 価格転嫁は基本的に、実際6割、7割ができないんですよ。僕たちは数年間そういう話を聞いてきていますよ、実際にできないと。 だから、そういう生の声をやっぱりあなた自身が現場に行って聞いてどうなのか、そういう声を国に出していく。アンケート結果ではなくて、そういうことはぜひやっていただきたいし、不安な声を国に届けることは県としての責務でもあるから、ぜひその点は要請しておきます。 時間がないから最後に行きます。 個人消費の引上げのための賃上げと家計応援についてです。 GDPの約6割を占める個人消費の引上げをするためにも、賃上げ等が絶対必要です。県議団が行った県政アンケートでも、国保や介護、医療の負担を軽くしてほしいという要望が7割に及んでいます。こういうふうな小学校の給食の無料化、中小業者や家計の負担が大きくなっている家賃や電気、ガスなどの固定費等への助成を行うことで、可処分所得が増えると思いますが、これについて基本的な考え方を伺います。
○古手川正治副議長 利光商工労働観光部長。
◎利光秀方
商工観光労働部長 最低賃金の大幅な引上げは、労働者の処遇改善や人材確保、加えて家計負担の緩和などが期待されるところです。 一方で、中小企業や小規模事業者には負担となり、その雇用や事業継続への影響も懸念されるところです。そのため、県としては、
生産性向上と賃金引上げをあわせて行う中小企業などへの支援、加えて下請取引の適正化推進など、企業が賃金底上げに踏み出せる環境づくりに努めています。今後も引き続き取り組んでいきます。 議員御提案の全国一律1,500円とすることについては、都市と地方における経済実態の差や企業の賃金支払能力などについて十分考慮が必要であると考えています。 また、可処分所得を増やす取組として、話があった国民健康保険税の均等割については、今年度から未就学児について5割軽減制度が導入されましたが、さらなる拡充について、国に要望しています。 また、給食費の無償化については、臨時交付金の活用を含め県内では3市で実施されていますが、他の市や町においては負担軽減策を講じています。 足下の物価高騰に対し、国としては低所得世帯への給付金支給のほか、物価高騰を踏まえた臨時交付金の拡充などの追加策を打ち出しています。県としても引き続き必要な生活者、事業者への支援策を検討し、実施に移していきます。
○古手川正治副議長 堤栄三君。
◆堤栄三議員 中小企業を支援しないと賃上げなんか大変だといつも言うが、国としてそこにちゃんと財源措置をすればいいわけでしょう。だって、大企業には内部留保がこの8年間で130兆円ため込まれたわけでしょう。残高だけで480兆円。この一部をそういう賃上げのための中小企業支援のために使う、税金として納めてもらって。そういうことをすれば財源はできるじゃない。それで中小企業を支援しながらやっていく、これを強く求めて質疑を終わります。(拍手)
○古手川正治副議長 以上で堤栄三君の質疑及び答弁は終わりました。 これをもって一般質問及び質疑を終わります。 ただいま議題となっている各案のうち、第70号議案から第83号議案まで及び今回受理した請願3件は、お手元に配布の付託表及び請願文書表のとおり、所管の常任委員会に付託します。 なお、他の委員会にも関連のある案については、合い議をお願いします。
-------------------------------付託表件名付託委員会第70号議案令和4年度大分県一般会計補正予算(第2号)総務企画
福祉保健生活環境
商工観光労働企業
農林水産
土木建築
文教警察第71号議案令和4年度大分県港湾施設整備事業特別会計補正予算(第1号)土木建築第72号議案令和4年度大分県工業用水道事業会計補正予算(第1号)商工観光労働企業第73
号議案職員の
高齢者部分休業に関する条例の制定について総務企画第74
号議案職員の定年等に関する条例等の一部改正等について総務企画第75
号議案職員の育児休業等に関する条例の一部改正について総務企画第76
号議案職員の
特殊勤務手当支給条例の一部改正について総務企画第77号議案大分県使用料及び手数料条例の一部改正について総務企画第78号議案工事請負契約の締結について農林水産第79号議案工事請負契約の締結について土木建築第80号議案工事請負契約の変更について土木建築第81号議案工事請負契約の締結について土木建築第82号議案大分県建築基準法施行条例の一部改正について土木建築第83号議案損害賠償請求に関する和解をすることについて文教警察
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△日程第2
特別委員会設置の件
○古手川正治副議長 日程第2、
特別委員会設置の件を議題とします。
------------------------------- 特別委員会設置要求書 次のとおり特別委員会を設置されるよう会議規則第66条の規定により要求します。 記1、名称 決算特別委員会2、目的 令和3年度決算審査のため3、期間 令和4年9月16日から令和4年12月31日まで4、付託する事件 第84号議案から第98号議案まで5、委員の数 21人 令和4年9月16日発議者 大分県議会議員 井上伸史 〃 〃 志村 学 〃 〃 吉竹 悟 〃 〃 清田哲也 〃 〃 衛藤博昭 〃 〃 井上明夫 〃 〃 木付親次 〃 〃 成迫健児 〃 〃 木田 昇 〃 〃 羽野武男 〃 〃 尾島保彦 〃 〃 玉田輝義 〃 〃 戸高賢史大分県議会議長
御手洗吉生殿
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○古手川正治副議長 井上伸史君ほか12人の諸君から、お手元に配布のとおり
特別委員会設置要求書が提出されました。 お諮りします。要求書のとおり決算特別委員会を設置し、第84号議案から第98号議案までを付託の上、期間中、継続審査に付することにしたいと思います。これに異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古手川正治副議長 異議なしと認めます。 よって、要求書のとおり決算特別委員会を設置し、第84号議案から第98号議案までを付託の上、期間中、継続審査に付することに決定しました。
------------------------------- 決算特別委員会に付託した議案第84号議案 令和3年度大分県病院事業会計決算の認定について第85号議案 令和3年度大分県電気事業会計利益の処分及び決算の認定について第86号議案 令和3年度大分県工業用水道事業会計利益の処分及び決算の認定について第87号議案 令和3年度大分県一般会計歳入歳出決算の認定について第88号議案 令和3年度大分県公債管理特別会計歳入歳出決算の認定について第89号議案 令和3年度大分県国民健康保険事業特別会計歳入歳出決算の認定について第90号議案 令和3年度大分県母子父子寡婦福祉資金特別会計歳入歳出決算の認定について第91号議案 令和3年度大分県中小企業設備導入資金特別会計歳入歳出決算の認定について第92号議案 令和3年度大分県流通業務団地造成事業特別会計歳入歳出決算の認定について第93号議案 令和3年度大分県林業・木材産業改善資金特別会計歳入歳出決算の認定について第94号議案 令和3年度大分県沿岸漁業改善資金特別会計歳入歳出決算の認定について第95号議案 令和3年度大分県県営林事業特別会計歳入歳出決算の認定について第96号議案 令和3年度大分県臨海工業地帯建設事業特別会計歳入歳出決算の認定について第97号議案 令和3年度大分県港湾施設整備事業特別会計歳入歳出決算の認定について第98号議案 令和3年度大分県用品調達特別会計歳入歳出決算の認定について
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○古手川正治副議長 お諮りします。ただいま設置された決算特別委員会の委員の選任については、委員会条例第5条第1項の規定により、お手元に配布の委員氏名表のとおり指名したいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古手川正治副議長 異議なしと認めます。 よって、ただいま指名した21人の諸君を決算特別委員に選任することに決定しました。 なお、決算特別委員会は委員長及び副委員長互選のため、本日の本会議終了後、引き続き議場において委員会を開催願います。
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○古手川正治副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 お諮りします。20日及び21日は常任委員会のため、22日は常任委員会予備日及び議事整理のため、それぞれ休会としたいと思います。これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○古手川正治副議長 異議なしと認めます。 よって、20日から22日までは休会と決定しました。 なお、17日から19日まで及び23日から25日までは県の休日のため休会とします。 次会は、26日定刻より開きます。日程は、決定次第通知します。
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○古手川正治副議長 本日はこれをもって散会します。お疲れ様でした。 午後3時20分 散会...