令和 4年 第3回定例会(9月) 令和4年第3回
大分県議会定例会会議録(第2号)令和4年9月13日(火曜日
) -------------------------------議事日程第2号 令和4年9月13日 午前10時開議第1
代表質問 -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1
代表質問 -------------------------------出席議員 43名 議長 御手洗吉生 副議長
古手川正治 志村 学 井上伸史 吉竹 悟 清田哲也 今吉次郎 阿部長夫 太田正美 後藤慎太郎 衛藤博昭 森 誠一 大友栄二 井上明夫 鴛海 豊 木付親次 三浦正臣 嶋 幸一 元吉俊博 阿部英仁 成迫健児 浦野英樹 高橋 肇 木田 昇 羽野武男 二ノ宮健治 守永信幸 藤田正道 原田孝司 小嶋秀行 馬場 林 尾島保彦 玉田輝義 平岩純子 吉村哲彦 戸高賢史 河野成司 猿渡久子 堤 栄三 荒金信生 麻生栄作 末宗秀雄
小川克己欠席議員 なし
-------------------------------出席した県側関係者 知事 広瀬勝貞 副知事 尾野賢治 副知事 吉田一生 教育長 岡本天津男
代表監査委員 長谷尾雅通 総務部長 若林 拓
企画振興部長 大塚 浩 企業局長 磯田 健 病院局長 井上敏郎 警察本部長 松田哲也
福祉保健部長 山田雅文
生活環境部長 高橋 強
商工観光労働部長 利光秀方
農林水産部長 佐藤 章
土木建築部長 島津惠造
会計管理者兼
会計管理局長 廣末 隆 防災局長 岡本文雄 観光局長 秋月久美
人事委員会事務局長 後藤 豊
労働委員会事務局長 田邉隆司
監査委員事務局長 河野哲郎
------------------------------- 午前10時
○
御手洗吉生議長 おはようございます。 開議に先立ち、先般新たに
公安委員会委員に就任されたから御挨拶があります。平川加奈江君。
◎
平川加奈江公安委員会委員 9月8日付けで
公安委員会委員に就任した平川加奈江です。どうぞよろしくお願いします。(
拍手) ------------------------------- 午前10時 開議
○
御手洗吉生議長 これより本日の会議を開きます。
-------------------------------
○
御手洗吉生議長 本日の議事は、お手元に配布の議事日程第2号により行います。
-------------------------------
△日程第1 代表質問
○
御手洗吉生議長 日程第1、これより代表質問に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。
古手川正治君。 〔
古手川議員登壇〕(拍手)
◆
古手川正治議員 16番、自由民主党、
古手川正治です。本議会で代表質問の機会をいただき、誠にありがとうございます。知事始め、執行部の皆さんよろしくお願いします。 それでは、早速ですが、質問に入ります。 まず、県政運営について。 第5期県政の総括について伺います。 広瀬知事におかれては、平成15年の就任以来、県民中心の県政という基本理念のもと、安心・活力・発展の大分県づくりに一貫して邁進してこられました。 今期においても、引き続き現場主義を徹底し、県政ふれあいトークなどにより各地域の県民の思いを直接受け止めながら、本県最大の課題である大分県版地方創生の加速前進や、地域課題の解決や新産業の創出に向けた先端技術への挑戦、県民の安全・安心につながる強靱な県土づくりなど、関係施策を積極的に展開されています。 第5期県政を振り返ってみると、3歳児未満の第2子以降の保育料の全額免除や昨年度過去最高となった移住施策の推進、裾野の広い農林水産業の成長産業化や地域に雇用と活力を生み出す企業誘致など、知事自ら先頭に立ち、大きな成果をあげています。また、大分空港を宇宙港として活用する
プロジェクトやホーバークラフトの復活など、本県の将来の発展を見据えた取組も果敢に進めてこられました。 他方、この2年半は、新型コロナとの戦いの日々であったと思います。これまで感染症対策と停滞する社会経済の再活性化にあらゆる対策を講じ、実行してこられたところですが、依然として感染の収束の見通しは立っていません。県民生活や県経済への影響が長期化する中、これまでの自粛傾向の社会生活が続けば、観光業や飲食業等は経営的にもさらに厳しい状況になることが予想されます。今後は、将来を見据えた感染症対策と社会経済再活性化の両立を図るコロナとの共生が重要な時期になっていると思います。 加えて、世界的には、ロシアの
ウクライナ侵略などにより、国際情勢は緊迫度を増しており、国内にも物価高騰など様々な面で影響が出てきています。 こうした国内外の社会情勢が激動する時代にあって、
ポストコロナを見据え、県民が将来に夢と希望を持てる県政運営の必要性がますます高まっていると考えています。 そこで伺います。残り半年余りとなったこの任期での県政運営をどのように総括し、将来につなげていこうとしているのか、知事の考えをお聞かせください。 次に、県経済についてです。 7月に公表された6月の
全国企業短期経済観測調査では、景況感を示す大
企業製造業の
業況判断指数のDIが前回調査から5ポイント下落し、2四半期連続で悪化する一方、大企業非製造業は2期ぶりに改善しています。これは飲食や観光業でコロナ禍からの回復が進む一方、長引く原材料高と部品の供給不足が製造業の重荷になっていることを示しています。 景況感と並び注目されたのが、値上げを急ぐ企業の姿が浮き彫りになったことでした。大
企業製造業の
販売価格判断DIはオイルショックの影響が残る1980年5月以来42年ぶりの高水準となるなど、
資源価格上昇の影響などにより、販売価格を引き上げている状況が読み取れます。 一方で、価格交渉力が大企業に比べて弱い中小企業が実際に価格転嫁を行い、値上げの動きが広がるかは不透明です。 大
企業製造業の
販売価格DIが34、仕入価格DIが65でその差が31なのに対し、中小企業は
販売価格DIが35、仕入価格DIが79で差が44もあり、中小企業が大企業と比べ仕入価格上昇の影響を価格に転嫁できていない状況があり、中小企業が多い本県にとって懸念材料となっています。 さらに、今後の中小企業を取り巻く環境に大きな影響を与えるのが最低賃金の引上げです。人手不足が深刻化しており、優れた人材を確保するためにも賃上げが必要であるという側面は理解できます。一方で、
ウクライナ情勢の
混迷長期化等による資源、
エネルギー価格の高騰やゼロコロナ政策が足を引っ張る中国経済の下振れ、さらに、円安の進行といった外部的要因により、中小企業の経営環境は非常に厳しい状況となっています。この上に単純に最低賃金の引上げを行うことは、人件費の高騰により経営をさらに圧迫し、中小企業によっては、健全な事業運営ができなくなるところも懸念されます。 一方で、消費者物価も上昇しており、最低賃金の引上げによる労働者側の生活環境の確保も重要です。この二律背反的な課題に対処することは非常に難しい課題であることは理解していますが、解決にあたっては、県内の全産業の生産性の向上による利潤の拡大と人材への重点投資を図っていくべきであると考えます。 前回の6月補正や今回の9月補正にもコロナ禍以降停滞してきた県経済を動かすための経済対策が盛り込まれていますが、これら施策を一つ一つの矢とすることなく、有機的にダイナミズムをもって政策展開し、産業政策を積極的に進めていくことが重要です。 現下の県経済の状況を踏まえ、どのように経済を動かし、中小企業等の生産性の向上などにつなげていくのか、知事の御見解を伺います。 次に、今後の財政運営についてです。 先頃、県の令和3年度決算と9月補正予算案が発表されました。3年度決算においては、コロナ対策はもとより、社会経済の再活性化などに積極的に取り組んだ結果、歳入、歳出ともに大幅に増加し、また県税の増収などもあいまって、単年度の黒字である実質収支が過去最高となったということであり、ひとまず安心しました。 しかしながら、今後に目を転じると、短期的には現下の円安に伴う企業業績の悪化が税収に影響を与える可能性があります。また、物価高騰や
労務単価上昇による諸経費の増などの影響も避けられないと思われます。 長期的には、災害等の多発による県債の本格的な償還が始まることから、公債費の増加が懸念されるところです。さらに今後金利が上昇するリスクもあります。 加えて、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者になることから、
社会保障関係費の高い伸びが確実であり、今後の財政運営について心配しています。 国においては、骨太の方針2021において、令和6年までは国の一般歳出の取組と基調を合わせつつ、交付団体を始め、地方の安定的な財政運営に必要となる一般財源の総額について、2021年度
地方財政計画の水準を下回らないよう実質的に同水準を確保するとされています。 一方で、地方財政全体では財源不足が続いており、本来は法定率の引上げにより
地方交付税総額を安定的に確保することが望ましいところです。現在、代替策として実施している、財源不足を国と地方で折半するルールは本年度が期限となっており、今後の地方財政、とりわけ
一般財源総額の確保については予断を許さない状況にあります。 そのような中、刻々と変化する世の中の動きを捉えながら、必要な政策対応を行い、また、
財政健全化目標への取組を進めることは、どちらかに偏ってしまうのではなく、バランスが大変重要だと考えますが、今後の財政運営について総務部長に伺います。 次に、農業再生に向けた今後の展望についてです。 まだ記憶に新しい方もいると思いますが、約1年半前、農業産出額の落ち込みや農家数の減少により、県農業は危機的状況にあるとして、大分県
農業非常事態宣言が発出されました。 その後、県では、
非常事態宣言とあわせて設置された大分県
農業総合戦略会議において、生産者、
JAグループ、市町村などの関係者と議論を重ね、昨年10月には、今後の県農業の再生に向けた羅針盤とも言える
農業システム再生に向けた行動宣言が公表されました。これを受けて、広瀬知事は、反転攻勢に向けて思い切った農業振興策を打ち出すとともに、農業再生の最後のチャンスと明言され、不退転の覚悟で農業の再生に取り組む決意を示されました。 この行動宣言によって、大分県の農業施策は大きく方針転換しました。象徴的なものの一つに、
短期集中県域支援品目の新設が挙げられると思います。これまでの、あれもこれもと多くの品目を支援するのではなく、
マーケットニーズが高く、短期間での産地拡大が期待できるものを
短期集中県域支援品目として、ねぎ、ピーマン、高
糖度かんしょ、ベリーツの4品目に厳選し、県域での産地拡大と、それに伴う集出荷体制の整備を行うこととして、県も全面的にバックアップし、県農業の再生に向け、全力で取り組むことになりました。 先日、その
短期集中県域支援品目の決起集会が開催されました。この決起集会は、生産者や関係者が一堂に会し、一層の一体感を高め、生産拡大に向けた取組を加速させるために開催されたもので、生産者が主体となって意欲喚起を図るような大きな決起集会は、平成15年以来、19年ぶりの開催とのことでした。出席された
御手洗県議会議長、
太田農林水産委員長からも、そのときの会場の話を伺い、生産者の意気込みの大きさが十分に伝わりました。これまでの県農業の課題として、県と団体、生産者の目標設定がばらばらであることが指摘されてきていた中で、今回、生産者自らが決意を述べ、関係団体や行政と同じ目標を共有することは、今までになかったことであり、今後の本県農業の可能性が大いに感じられ、農業再生に向けた大きな一歩になったのではないかと思います。 このように、
農業総合戦略会議を中心にして、生産者の機運向上、関係団体の組織改編、県施策の転換など、生産者、関係団体、行政の3者がしっかりとスクラムを組み、県農業を取り巻く環境に好循環が生まれているものと思いますが、今後は、これらの行動宣言や行動計画が絵に描いた餅にならないように、引き続き戦略会議の場において、しっかり進捗管理していくことが重要であると考えます。 そこで、知事に伺います。行動宣言から現在に至るまでの
農業総合戦略会議における進捗状況と、農業再生に向けた今後の展望について、知事の御見解を伺います。 次に、県土の強靱化について伺います。 まず、県土強靱化の検証と今後についてです。 本県は、内陸部に九州の屋根と呼ばれる
くじゅう連山を始めとする山々が連なり、県土の約7割を林野が占めています。これら山系から流れ出る水流は、筑後川、山国川、大分川、大野川、番匠川といった主要河川を成し、豊富な水資源を与えています。豊かな自然を利用して、農林水産業を始め、多くの産業を発展させ、多様な気候や地理的特性のもとで地域色豊かな文化を育むなど、自然の恩恵を受けた生活が営まれてきました。 半面、その地理的、地形的、気象的な特性ゆえに、災害の大きな要因ともなっています。過去10年間を振り返ってみても、平成24年7月の
九州北部豪雨、28年4月に発生した熊本地震、29年には5月に朝地町綿田地区での地滑り、7月の
九州北部豪雨、さらに9月の台風18号では私の地元、津久見市が大規模な浸水被害を受けました。30年4月には、中津市耶馬溪で発生した山地崩壊、そして今もなお復旧、復興が進められている令和2年7月豪雨と、気候変動に伴い自然災害が激甚化、頻発化してきており、深刻な被害が連続しています。 国においては、平成25年に公布、施行された強くしなやかな国民生活の実現を図るための防災・減災等に資する
国土強靱化基本法に基づき、
国土強靱化の取組を効果的、効率的に展開するために
国土強靱化基本計画を平成26年に閣議決定しました。さらに平成30年には、近年の災害から得られた教訓や
社会経済情勢の変化等を踏まえ、計画を変更し、中長期的な目標や
施策分野ごとの推進方針を明らかにしています。 県においても国に準じて、大分県
地域強靱化計画を平成27年に策定、令和2年3月には見直しを行い、年次計画により進捗管理を行うこととしています。 このような中、特に緊急的かつ集中的に事業を実施するため、平成30年度から7兆円規模の防災・減災、
国土強靱化3か年緊急対策が、そして引き続き令和3年度から15兆円規模の5か年
加速化対策が講じられたことから、本県でも積極的に事業実施に取り組んできました。その結果、津久見川の改修や綿田地区の
地滑り対策工事は完成のめどが立ってきており、地元の方々は喜んでいます。 しかしながら、今年7月には九州北部に線状降水帯が複数発生し、玖珠町及び日田市で記録的短時間大雨情報が発表されるなど、大規模な災害がいつ発生してもおかしくない状況であり、激甚化、頻発化する災害に備え、今後も計画的に推進する必要があると考えます。 そこで、お尋ねします。県土の強靱化について、さきの3か年緊急対策と合わせて5年間にわたり緊急対策を進めてきましたが、これまでの効果を検証するとともに、今後
加速化対策をどのように進めていくのか、知事の見解を伺います。 次に、
工業用水道施設の老朽化対策についてです。 対策を講じなければならないのは県土の強靱化ばかりではありません。
高度成長期時代に建設された施設の老朽化も忘れてはならない問題です。 愛知県では、工業用水の取水先の堰である
明治用水頭首工で、本年5月に大規模な漏水の発生によって川の水位が低下し、取水が不能となりました。これに伴って、豊田市や刈谷市等に集積されている
自動車関連企業等131社への給水が一時的に不能となりました。国が原因を調査中ですが、頭首工の造成後、60年以上経過していることから老朽化が漏水の原因となった可能性が指摘されています。 工業用水道は、工業の健全な発達と地盤の沈下の防止に資することを目的として、高度成長期に全国的に
大都市臨海部の工業地帯の
産業インフラとして急速に整備が進みました。 本県においても、昭和40年代半ばに、
日本国内有数の製鉄所と
石油化学コンビナートを備える複合的な
大分臨海工業地帯が建設され、現在、本県企業局では、主にこれらの
コンビナートに立地する46の事業所と55万4,330立米の工業用水の給水を契約し、安定的に供給しています。 その給水施設である
大津留浄水場や判田浄水場の施設や送水管は、昭和40年代の整備から約50年が経過しており、老朽化による施設の損傷によって、受水企業への給水が不能となった場合には、県経済への多大な影響が懸念されるところです。 そこで、お尋ねします。
工業用水道施設の老朽化に伴う対策をどのように進めているのか、企業局長に伺います。 次に、
日出生台演習場の使用等に関する協定についてです。 現在、ロシアのウクライナへの侵略など国際情勢が緊迫度を増しています。こうした背景もあり、政府・与党においては、我が国や国際社会の平和と安全を確保するため、年内には
国家安全保障戦略などの改定や、防衛費のGDP2%も念頭に置いた議論が行われています。 防衛力の強化にあたっては、装備品の充実や確保とともに、個々の自衛隊員の練度向上が大変重要です。 こうした中、今月16日には、自衛隊の
日出生台演習場の使用等に関する協定等が更新時期を迎えます。本県にある
日出生台演習場は西日本最大の面積を有し、陸上部隊に必要な様々な訓練が制約なく実施できる演習地であると聞いています。 さきほども言いましたが、防衛力の強化にあたっては、やはり自衛隊の練度向上は極めて重要と考えます。 そこで、協定の更新に向けた現在の状況について知事に伺います。 次に、
地域共生社会の推進についてです。 近年、ダブルケアやヤングケアラー、8050問題など、世帯が抱える課題が多様化、複雑化する中、
地域共生社会の推進は喫緊の課題であると考えます。
地域共生社会とは、制度・分野ごとの縦割りや支え手、受け手の関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながることで、住民一人一人の暮らしと生きがい、地域をともにつくっていく社会です。 そうした
地域共生社会を国レベルでさらに推進するため、昨年4月に社会福祉法に基づいた新たな事業、
重層的支援体制整備事業が創設されました。 これは、これまでの子ども、障がい者、高齢者、生活困窮者といった対象者ごとの支援体制にこだわらず、包括的に困り事などを受け止めながら、課題解決に向けて取り組んでいく体制の整備を市町村が中心となって行うものです。 県内では、津久見市が既に昨年度から当事業に取り組んでおり、九州内でも先進事例となっています。 津久見市では、つくみ
TTプロジェクトと題して、どの機関に相談があっても丸ごと受け止める包括的な
相談支援体制の構築や、社会とのつながりを回復するために就労体験などを行う参加支援、孤立させないための
居場所づくりや見守り体制を構築する
地域づくり支援などに取り組んでいます。 市役所の社会福祉課、市民生活課、税務課、そして
市社会福祉協議会、
地域包括支援センターなどを福祉まるごと相談窓口として位置付け、どんな相談事であっても一旦受け止めています。こうして寄せられた相談は、必要に応じて関係者が集まる福祉まるごと支援協議会で情報を共有され、スムーズに必要な支援策につなげられています。 ぜひこうした取組を県内全域に広げていただきたいと考えますが、
地域共生社会の推進のため、県としてどのように市町村を後押ししていくのか、
福祉保健部長に伺います。 次に、脱炭素に向けた取組についてです。 まず、産業界の
省エネルギー及びGXに向けた取組について伺います。 ガソリンや電気、ガスなど燃料高の状態が続いています。 また、グローバルな企業を中心に、自社のみならず
サプライチェーン全体での
カーボンニュートラルを目指す動きが広がっており、日本の企業も次第に他人事ではいられなくなってきています。これから我々には、燃料高への対応と
カーボンニュートラルの二兎を追わなければならないという大変難しい課題への挑戦が待ち構えていると考えた方がよさそうです。 中長期的な視点からは、
水素エネルギーなど、
温室効果ガスを排出しないエネルギーへの転換を可能にする技術への投資を行うとともに、それを受け入れる社会の変革を着実に進めていくことが大切だと思います。そうしたことからも、本県が取り組もうとしている地熱を利用した
グリーン水素の製造や
コンビナートをいかすことのできる
水素サプライチェーンの構築が、時代を先取りするものになることを期待しています。 同時に、現状の燃料高に対応しつつ、
カーボンニュートラルへの一歩を踏み出すためにも、
再生可能エネルギーへの転換等を進めるグリーントランスフォーメーション、いわゆるGXなど、今できる取組を速やかに開始することも必要かと思います。 資源の乏しい我が国では、長年にわたって省エネの努力を続けてきたところですが、
クリーンエネルギー戦略の議論によれば、中小事業者についても、経済合理的な範囲でまだ10%前後の省エネ余地があるとされています。 本県では、これまでも京都議定書の目標達成や、
東日本大震災後の電力不足への対応などで、県内企業の省エネ等の取組を支援してきたと思いますが、昨今取り巻く情勢が再び大きく変化しています。燃料高対応や脱炭素を見据え、産業界における
省エネルギーやGXをさらに後押しする取組も必要だと思いますが、
商工観光労働部長に伺います。 次に、県有施設における再
エネルギー電力等の導入についてです。 脱炭素に向けた取組は、県自らが地域脱炭素の旗振り役として公共部門から率先して取り組み、社会変革を先導していく必要があります。 そこでまず、県の公用車における電動車の導入状況と今後の導入の方針について、
会計管理者に伺います。 また、
再生可能エネルギーにより発電された、いわゆる再エネ電力についても、昨年度、県有施設の一部に、提案公募により導入を始めたと聞いています。再エネ電力に関して、現在の県有施設への導入状況と今後どのように取組を進めていくのか、あわせて伺います。 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。
○
御手洗吉生議長 ただいまの
古手川正治君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 ただいま
古手川正治議員から自民党を代表して御質問いただきました。 まず、私から答弁します。 初めに、県政運営についての御質問でした。 私は、就任以来、一貫して安心・活力・発展の大分県づくりを基本に県政を進めてきました。 今任期は新型コロナ対応に忙殺されて思うように動けなかった面もありますが、やはり同じ基本を理念に、具体的な対策を講じてきたところです。 安心の分野では、三つの日本一の実現に向けた取組を加速させ、保育所待機児童の解消や、さくらの杜高等支援学校の開校などを進めてきました。特に健康寿命については、大変うれしいことに、男性全国1位、女性4位にまで躍進したところです。 急激な人口減少を緩和するため、当面の対策として移住にも力を入れてきました。お陰で県外からの移住者数は、昨年度過去最多を更新するとともに、外国人の入国制限緩和もあり、今年の社会動態は、平成19年以来15年ぶりの転入超過となる見通しです。 県土強靱化にも取り組んできました。地方を挙げて要望してきた国の5か年
加速化対策予算を積極的に活用し、令和2年7月豪雨からの復旧、復興はもちろん、ダムや護岸整備など予防対策も計画的に行っています。 活力の分野では、県内全域に展開する農林水産業の成長産業化に力を尽くしてきました。最近、ようやく米作から園芸への転換が見えてきたところです。 今や県経済を支える商工業では、中小・小規模事業者に対してあらゆる対策を講じています。特に、産業の基盤を広げる企業誘致に力を注ぎ、昨年度過去最多の誘致を実現しました。 近年は先端技術の時代と言われており、地域課題の解決や新産業の創出にいかしています。とりわけドローンは、民間プラットフォームが動き出すまでに実用化が進んできました。 世界的に伸びゆく宇宙産業も目が離せません。大分宇宙港を日本やアジアの宇宙産業の拠点として活用するという大きな期待の実現に向けて、関係者一丸となって推進しています。 発展の分野では、将来の大分県を担う子どもたちの教育が重要です。今や学力、体力は九州トップレベルを維持しており、これをベースに、地球規模で思考ができるグローバル人材の育成や創造性を育むSTEAM教育に力を入れています。 それでも、新型コロナの世界的流行や緊張高まる国際情勢など、時代は急激に変化しています。 例えば、世界では、膨大なデータをネットワークに乗せて、あらゆる分野で活用するDXが急速に進んでいます。また、宇宙産業でも、ヴァージン・オービット社が韓国で打ち上げを検討するなど、国際競争が激化しています。さらに、
カーボンニュートラルの動きは、九州唯一の
コンビナートがある大分県にも多大な影響を及ぼすことが考えられます。 今は将来に展望を開く大事なときです。時代の潮流を捉えて、乗り遅れないよう気を引き締めて県政を進めていきます。 次に、県経済についての御質問をいただきました。 長引くコロナ禍で社会経済は相当に傷んでいます。加えて、ロシアによる
ウクライナ侵略に端を発したエネルギー、原材料価格の高騰などもあり、県経済の動向には今後も十分な注意が必要です。特に、原材料高は、本県の500社企業訪問調査で、今後の経営上の課題として多くの企業が挙げています。また、7月の中小企業団体の調査でも、原材料の値上がりを販売価格に転嫁できずに、苦慮する中小企業の声が聞かれています。 こうした中で、疲弊した県経済を民需主導の自律的成長路線へと戻していくためには、成長と分配の好循環の実現も急がれます。 このため、県では、事業者が価格転嫁を行いやすく、また、賃金底上げに踏み出すことのできる環境づくりを、生産、流通、消費の各段階で、同時に進めることとしています。 一つは、消費の活性化です。売上回復や価格転嫁を促進するため、市町村と連携して第2弾のプレミアム商品券を発行します。今月から多くの市町村で利用が始まる予定で、年末にかけて消費を盛り上げていきます。 二つは、価格転嫁への取組です。同業者の動向や取引の打切りを警戒し、価格交渉を躊躇する事業者を後押しするため、9月末までを大分県価格交渉促進期間として、国の協力も得て、県内各地で価格交渉促進セミナーを開催します。下請Gメンによる指導やパートナーシップ構築宣言等の国の取組や、産業創造機構の下請かけこみ寺、県の取組等を紹介し、価格転嫁への理解と協力を広く促します。 三つは、物価上昇局面で従業員の生活を守り、有為な人材を維持、確保するための賃金の引上げです。本県の最低賃金は、過去最大幅となる32円の引上げが決定されました。現状、中小企業等には厳しい選択ですが、国や県では、賃上げを行う事業者の設備投資や人材育成による生産性向上の取組を支援していきます。 また、成長への新たな挑戦や、生産性向上を図るためには、DXの取組も重要です。そのため、県では、自社だけでDXに取り組むことが困難な事業者と、専門的知見を有するパートナー事業者との共創を促進します。加えて、多くの中小企業を直接支援する経営指導員のDX対応や経営者のDXへの理解促進、データ分析やAI活用ができるデジタル人材の育成等にも取り組みます。 このような取組を効果的に連携させながら、物価上昇に対応する適切な価格転嫁を進め、賃金を上昇させるとともに、生産性向上や人材投資を促進し、疲弊した県経済を好循環に戻していきたいと考えています。 農業再生に向けた今後の展望についても御質問いただきました。 昨今の国際情勢の急変は、グローバル経済の中で日本農業が抱えたリスクを顕在化し、国全体に大きな課題を投げかけたと感じています。一方で、この状況に果敢に対応し、堆肥活用や自給飼料の増産に取り組もうとする本県生産者の姿を通じて、本県農業の今後の可能性も強く感じています。 生産者の努力に応えるためにも、行動宣言を確実に実行し、構造改革を進めていきます。 まず、園芸では、
短期集中県域支援品目について農地確保から流通販売までパッケージで支援しています。白ねぎでは目標とする184ヘクタールを上回る農地を僅か5か月で確保し、担い手とのマッチングを進めた結果、今現在、約110ヘクタールもの生産拡大となっているのを始め、各品目とも着実に拡大を進めています。並行し、選果場の整備に着手するなど、あらゆるボトルネック解消に向けて取り組んでいます。 畜産においては、キャトルステーションの建設地が決定するとともに、全共日本一を目指す取組も県内各地で加速しています。 こうした動きに応え、県農協も、真に農業の成長を支えるべく、共済との営業兼務を改めて、指導に集中する専任指導員155人を配置しました。また、地域に密着した拠点として、10月から新たに6か所の営農経済センターを設置するなど、改革を強化しています。 担い手の確保も加速します。産地による主体性と責任を持った担い手確保に向けて作成した産地担い手ビジョンは、既に16市町51ビジョンが策定され、活用が始まっています。 これらに加えて、戦略会議では新たな取組にも着手しています。長年の課題であった耕畜連携については、県域流通の実現に向けて需給バランスを責任持って調整する堆肥マッチングチームを立ち上げました。また、中山間地農業については、活性化の柱となる集落営農法人等から幅広く意見を伺い、経営強化と人材確保に向けた方針を取りまとめました。 農業を取り巻く環境は厳しさを増していますが、世界人口が増加する中で間違いなく成長する産業であり、大切なことは、課題を一つ一つクリアして成長の舞台に乗り続けることです。本県では今、戦略会議を軸に関係者が協力して、課題に向き合って産地を育てる農業システムへと、再生の展望が開かれつつあります。先日の決起集会には私も参加しましたが、今後、産地の中心となって活躍する若手生産者の力強い決意表明を通じて、再生にかけるエネルギーを直に感じることができました。県も、そうした思いに応えて、生産者、農業団体、行政が三位一体となって農業の振興に取り組んでいきます。 県土強靱化の検証と今後の取組についても御質問いただきました。 県では、国の3か年緊急対策及び5か年
加速化対策を積極的に活用しながら、県土強靱化の取組を三つの柱で進めており、着実にその成果が現れています。 一つは、治水・土砂災害対策です。待望久しかった玉来ダムがいよいよ今年完成を迎え、治水の要として機能を発揮します。 また、河川の災害復旧に際しては、再度災害を防止する観点から、河道拡幅等の改良復旧を積極的に採用しています。平成29年に被災した日田市大肥川では、流れの悪い湾曲部に今年、捷水路が完成しました。バイパスですね。増水した河川の水が分かれて流れる様を見た地元の方から、大変安堵の声を伺いました。 さらに、議員御指摘の29年台風18号で被災した津久見川でも、川幅を約10メートル広げるとともに、橋脚のない橋梁への架け替えも終わって、市中心部の治水対策完成に向けてあと一歩まで来ています。 あわせて、砂防、治山ダム等を、昨年度新たに県下全域で121か所事業化するなど、土砂災害対策も加速させています。 二つは、地震・津波、高潮対策です。29年度に着手した大分
コンビナートの護岸強化では、加速化予算により整備がスピードアップしており、約33%の進捗に達しています。 加えて、本年1月の日向灘の地震で被害を受けた漁港施設を始め、橋梁や農業用ため池の耐震補強等も大切であり、優先度を勘案しながら計画的に進めています。 三つは、広域道路ネットワークの整備です。令和2年の豪雨では、大分自動車道が法面崩壊で一時通行止めになりましたが、4車線あったお陰で、3日という短期間で解除することができました。命の道を確保するためには、やはり高速道路の4車線化が必要不可欠です。現在、東九州自動車道では、県北の香下トンネル、県南の臼杵トンネルなど、延長20.7キロメートルの区間で着々と工事が進められています。 あわせて、これらの高速道路を補完する中津日田道路や中九州横断道路も重要な役割を担っており、そのミッシングリンクの解消を戦略的に進めています。 加えて、既存施設の老朽化対策も待ったなしの課題です。道路、河川等の公共インフラや農業水利施設等の対策にも取り組んでいます。 このように総合的かつ計画的に県土の強靱化を推進していますが、まだまだ道半ばです。このため、政府・与党を始め、関係機関に対し、全国知事会国土交通・観光常任委員長として、
加速化対策終了後においても、引き続き
国土強靱化に取り組むよう訴えています。議員各位にもぜひその線で御支援のほどお願いします。 年々激しさを増す自然災害から県民の生命、財産を守るため、災害に屈しない県土づくりに全力で取り組んでいきます。
日出生台演習場の使用等に関する協定について御質問いただきました。 昨今、国際情勢の緊迫化とともに、我が国周辺における安全保障環境も大きく変化しています。とりわけ、南西諸島方面で緊張が高まってきており、決して楽観できない状況と認識しています。 こうした中、5年ごとに期限を迎える陸上自衛隊との
日出生台演習場の使用等に関する協定については、今正に、その期限が迫り、大詰めの協議を進めています。 課題となっているのは、りゅう弾砲の実弾射撃訓練の時間です。現在の協定では、7時から21時までと定めていますが、県と地元3市町の要望により、日曜日と祝日の開始時間は朝8時から、秋分の日から春分の日までの冬期の終了時間は20時までに自粛することとしています。 県としては、今後も可能な限り周辺住民の静穏な生活を守るため、射撃訓練の時間短縮については譲れないものと主張しています。 また、この協定は、米海兵隊による沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練に対して援用されており、このことも念頭に置いて、慎重に考える必要があります。 もとより、日出生台での米軍実弾射撃訓練に対する基本的なスタンスは、将来にわたる縮小、廃止であり、米軍の訓練拡大につながるような協定内容の変更は認められないと考えています。 確かに、国際的な情勢変化の中、自衛隊の練度向上が一層必要となっている状況は理解できます。加えて、九州、沖縄を担当し、
日出生台演習場を管轄する陸上自衛隊西部方面隊においては、南西シフトと言われる部隊の編成、配置が進んでいるとの報道もあります。こうしたことから、自衛隊の訓練ニーズは高まっているものと思われますが、私どもとしては、県民の安全・安心を第一に考えていかなければならないと思っています。 このため、今回の協定更新にあたっても、実弾射撃訓練の時間について、これまでどおりの自粛を継続するよう、地元市町と共に折衝を重ねています。
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御手洗吉生議長 若林総務部長。 〔若林総務部長登壇〕
◎若林拓総務部長 今後の財政運営について答弁します。 長期化するコロナ禍や緊迫化する国際情勢による原油・物価高騰など本県経済を取り巻く環境は刻々と変化していると認識しています。 こうした状況に迅速に対処するとともに、社会経済の再活性化や人口減少に対応し、安心・活力・発展の大分県づくりに即した政策を強力に進めていくためにも、同時に安定した財政運営を行うことが不可欠であると考えています。 予算編成にあたっては、歳入、歳出の両面から取組を実施していきます。 歳出面では、EBPMに基づく効果の最大化に重点を置いた政策形成を進めながら、効果の低い事業の再編を加速していきます。 歳入面においては、臨時交付金など国の財政措置を活用するとともに、各種の基金等の効果的な活用も検討していきます。また、自主財源確保に向けた新産業への挑戦や労働生産性向上を支援し、県税収の増加を図ることも重要と考えています。 さらに、国に対して、安定的な財政運営に必要となる
一般財源総額の確保、充実について、引き続き強く求めていきます。 こうした取組を通じ、財政調整用基金残高の確保、また、県債残高の適正管理といった行財政改革推進計画の目標の達成を念頭に置きつつ、安定した財政運営が行えるよう努めます。
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御手洗吉生議長 磯田企業局長。 〔磯田企業局長登壇〕
◎磯田健企業局長
工業用水道施設の老朽化対策についてお答えします。 大分の豊かな水をいかし、低廉で質の高い工業用水を安定供給することにより、県経済の推進に寄与することは企業局の使命であると考えています。
工業用水道施設は、古いものでは63年が経過し老朽化が見受けられます。加えて、近年、自然災害が頻発し、激甚化も顕著です。被害拡大防止や災害リスク低減を図る上でも、施設の老朽化対策は喫緊の課題であると考えています。 そのため、アセットマネジメントに基づく施設整備実施計画を作成し、計画的に予防保全対策を行うことで、事故の未然防止や修繕コストの低減を図っています。 送水施設では、災害時の代替性強化を目的に、各送水系統を相互補完した給水ネットワークの構築を急いでおり、主要ルートについては平成28年に完成しました。現在、これを活用し、隧道、埋設管路の調査や維持補修、更新を緊急度に応じて実施しています。大津留や判田の浄水場では、沈砂池等の補強や電気・機械設備の補修、更新を順次実施しています。今後、将来的な全面更新も含めて調査、検討しています。 今後も工業用水の安定供給に努めるとともに、補正予算案にある新たな用水確保に向けた調査に商工観光労働部と連携して取り組んでいきます。進出企業の発展とさらなる県勢の進展に、これからも寄与していきます。
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御手洗吉生議長 山田
福祉保健部長。 〔山田
福祉保健部長登壇〕
◎山田雅文
福祉保健部長 地域共生社会の推進についてお答えします。 地域住民が抱える様々な課題を包括的に受け止め解決を図る手法として、
重層的支援体制整備事業は有効であると認識しています。 県内では、昨年度いち早く取組を開始した津久見市に続いて、本年度からは、中津市、竹田市、杵築市が取組を始めたところです。 また、次年度以降の開始に向け、大分市、由布市、九重町が、事業の一部を試行的に実施しています。 県では、本事業の制度化以前から、包括的な相談に対応できる人材の養成や、住民と協働した地域づくりを担う人材配置への支援を行ってきたところです。 昨年度からは、大分大学と連携して、地域福祉の実践者や社会福祉協議会等の多様な関係者から成る実務者ネットワークを設置し、津久見市などの好事例の紹介や、本事業の活用に向けた助言等を行っています。 今年度は新たに、市町村職員等が具体的な事例検討を行う実践的な研修会なども開催することとしています。 今後とも、
地域共生社会の実現に向け、関係者と連携して、市町村の取組を積極的に後押ししていきます。
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御手洗吉生議長 利光
商工観光労働部長。 〔利光
商工観光労働部長登壇〕
◎利光秀方
商工観光労働部長 産業界の
省エネルギー及びGXに向けた取組についてお答えします。 脱炭素に係る国際的な動向や国の方針に加え、足下の
エネルギー価格を踏まえると、県内企業のエネルギー消費量のさらなる低減や、
再生可能エネルギーへの転換などによるグリーントランスフォーメーション、いわゆるGXの重要性はますます高まっているものと認識しています。 まず、
省エネルギーについては、地道な取組が不可欠です。事業者向けセミナーの開催や、省エネコーディネーターによる企業訪問などを継続して実施しています。 さらに、
省エネルギー型の設備導入を促進するため、今定例会では、地域産業振興資金に融資メニューを創設する補正予算を提出しています。 また、GXについては、コスト競争力のある代替エネルギーなどの技術確立が課題であり、関連する研究開発などに挑戦する県内企業を後押ししています。例えば、水素透過金属膜を活用した水素高純度化装置の開発や、竹の熱分解による水素製造の実証などを支援しています。さらに、今補正では、
水素サプライチェーン構築などの研究開発に対する補助枠を拡大するとともに、太陽光発電などの自家消費型エネルギー設備の導入補助を提案しています。 脱炭素の挑戦は難しい課題ですが、地方創生や産業活性化にもつながるものであると考えています。経済と環境のバランスを保ちつつ、ものづくり未来会議おおいたなどを通じ、企業とも一体となり取組を加速していきます。
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御手洗吉生議長 廣末
会計管理者兼
会計管理局長。 〔廣末
会計管理者兼
会計管理局長登壇〕
◎廣末隆
会計管理者兼
会計管理局長 県有施設における再エネ電力等の導入についてお答えします。 まず、電動車の導入についてです。
温室効果ガス削減のため、公用車の更新時に合わせ、ハイブリッド車など電動車への転換を進めています。 現在の電動車の導入状況は、公用車1,192台のうち73台、率にして6.1%となっています。そのうち、ハイブリッド車が69台、プラグインハイブリッド車が2台、電気自動車が2台です。 電気自動車については、現在、国内販売のほとんどが乗用車であるが、今後普及の加速とともに、公用車の中心的車種である小型貨物、軽貨物の販売が始まるとされています。 こうした点を踏まえ、電動車の普及に向け、代替可能な電動車がない場合などを除き、率先して電動車への転換に取り組んでいきます。 次に、再エネ電力の導入についてです。 再エネ電力については、昨年度、提案公募等により、産業科学技術センターなど知事部局の6施設に試行的に導入したところです。これにより、知事部局
使用電力の約12.3%が再エネ電力に転換されました。 今後の取組については、試行の検証結果及び燃料高騰、電力需給逼迫の影響を考慮しながら、本県の地球温暖化対策実行計画に定める
温室効果ガスの削減目標に向け、段階的に導入施設を増やしていきたいと考えています。
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御手洗吉生議長 以上で
古手川正治君の質問及び答弁は終わりました。木田昇君。 〔木田議員登壇〕(拍手)
◆木田昇議員 おはようございます。県民クラブの木田昇です。今回初めて会派代表質問の機会をいただきました。大変光栄ですし、ありがたく思っています。 もうすっかり秋であり、スポーツの秋とも言いますが、先日9月10日、11日、両日にわたり、厳しいコロナ禍を乗り越えての県民スポーツ大会が開催されました。私も今回初めて大会の役員として携わらせていただきました。というのも、ライフル射撃競技の選手とのつながりがあり、県のライフル射撃協会の会長を今年度から務めることになりました。初仕事が今回のスポーツ大会での由布市での競技会場の開会式と表彰式を担当して、無事に何とか2日間の競技を終えることができました。県のライフル射撃協会の選手の皆さんも、国体等で大変活躍されています。そしてまた、先日報告がありましたが、埼玉県で開催されているジュニアオリンピックカップで、女子エアライフル(AR)の競技で県選出の高校代表の選手が優勝し、他の選手も上位入賞しているので、ぜひ今後も選手の育成、また強化に様々な面から御支援いただきたいと思っています。 今回のスポーツ大会は、コロナ対策が非常に皆さん苦労されて、大会会長を務められた広瀬知事始め、大会役員、スタッフの皆さん、本当にお疲れ様です。感謝と御礼申し上げたいと思っています。 本日の質問は、コロナ禍、なかなか先行きは見通せませんし、物価高も同様です。それらの課題等々に対して、正に骨を折りながら12項目の質問項目を作り上げてきました。知事始め、答弁される皆様方、どうぞよろしくお願いします。 それでは、1項目め、まずは社会経済の変容を踏まえた地方創生の取組について伺います。 広瀬知事は、この第5期の任期において、大分県版地方創生を加速前進させるとし、三つの日本一の実現や、新たな人を呼び込む魅力ある仕事づくりなど、人と仕事の組合せによる魅力ある地域づくりに取り組んでこられました。 その中で、長きにわたる新型コロナ感染症の拡大を契機として、社会生活を取り巻く環境や日常生活は大きな変化を現しました。 外出自粛やテレワークなど、感染防止のため、非接触、非対面志向の活動の長期化は、オンラインビジネスを活性化させるなど、新たなビジネスの創出につながりました。また、テレワークの普及は、働き方改革を加速させるとともに、東京圏の人口減少に見られるよう、地方回帰への流れを生む契機ともなりました。 一方、米中の対立で世界規模での
サプライチェーンの分断が懸念されていたところに、コロナ禍とロシアによるウクライナ侵攻が加わったことにより、その動きが一気に拡大し、国内外での企業活動に大きな影響を及ぼしています。 このような社会経済等の変容は、大分県版地方創生実現の取組に少なからず影響があったのではないでしょうか。 こうしたことを踏まえ、大分県版地方創生実現への影響と今後の取組について知事の考えをお聞かせください。 次に、物価高騰下における賃金の引上げについてお尋ねします。 ウクライナ危機などの影響により、世界規模で不確実性が高まり、原油や穀物の供給不足が長期化し、世界的に物価高騰の状況が続いています。このような中、我が国においては、コロナ禍の長期化に加え、利上げを進める米国との金利差拡大による円安の進行が物価高にさらに拍車をかけています。 総務省が8月に発表した全国消費者物価指数は、昨年同月を2.6%上回り、11か月連続で上昇しています。また、内閣府の発表した今年4月から6月期の実質国内総生産は、3四半期連続のプラス成長となっていますが、コロナ禍やウクライナ危機の長期化、物価の高騰、欧米での金融引締めの動向など、景気の先行きは不透明であり、国を挙げて実効性ある景気・物価高対策を継続していくことが重要であると考えます。 一方、8月に厚労省が発表した毎月勤労統計調査によると、物価変動の影響を除いた6月の実質賃金は前年同月比で0.6%減少しており、3か月連続のマイナスとのことです。物価だけが上がり賃金が上がらない状況が続けば、個人消費は落ち込み、景気回復の逆風となりかねません。 こうした中、8月9日、大分地方最低賃金審議会は、2022年度の県内の最低賃金を32円引き上げ、854円とする答申を大分労働局長に提出し、本年10月5日から適用されるとのことです。 そこで、お尋ねします。賃金の引上げは物価高に苦しむ家計への支援となるとともに、少なからず個人消費拡大を後押しするものであり、県経済を下支えするために非常に重要であると考えますが、現下の経済状況では、企業側も思い切った賃上げに慎重にならざるを得ません。実質賃金が上がらず、物価高に苦しむ労働者を支援するため、賃金が上がる経済を目指し、県としても賃上げを促進していくべきと考えますが、知事の見解を伺います。 次に3項目め、大分空港・宇宙港将来ビジョンについてお尋ねします。 2018年度に大分空港の乗降客数は16年ぶりに200万人を突破しましたが、その後、現在まで続くコロナ禍により、利用者数が大きく減少し、2021年度は90万人を割り込みました。 コロナ禍の収束は完全には見通せませんが、県は航空会社や空港アクセス事業者、経済団体、観光団体などからなる大分空港利用促進期成会からの提言を受け、大分空港の目指すべき将来像を明確にし、その実現に向けての戦略的内容を取りまとめた大分空港・宇宙港将来ビジョン(素案)を本年7月に策定しました。 この将来ビジョンでは、大分空港としては初めてとなる乗降客数の目標数値が示され、策定から10年後に約260万人を目指すこととしています。1997年度の207万人を最多とする大分空港にとって、この数値は非常に高い目標ですが、来年度に再就航となる国内唯一のホーバークラフトを有し、アジア初の水平型宇宙港としてスタートを切る大分空港は十分なポテンシャルを備えていると思います。 また、国内外の新規航空路線の開設も重要です。将来ビジョンにおいて、空港の一体的な運営に民間の資金とノウハウを活用するコンセッション方式の導入についても検討を進めるとなっていますが、現状のコロナ禍のような不可避な要因による空港利用者の減少への対策も課題になると考えます。
ポストコロナにおける大分県経済や観光等の反転攻勢、また、地方創生の加速前進のため、本県の空の玄関口である大分空港の活性化がその原動力になるものと考えるところであり、知事のリーダーシップの下、関係団体と一致団結してビジョンに掲げた取組を推し進め、この目標をぜひ達成していただきたいと思います。 そこで、今回のビジョン策定にかけた意気込みと狙い、さらに、このビジョン実現のために必要なポイントについて、知事の考えをお聞かせください。 次に、子どもに関する施策についてお尋ねします。 近年深刻化する少子化、児童虐待、子どもの貧困、孤独、孤立など、子どもを取り巻く課題が山積する中、来年4月に子ども政策の司令塔となるこども家庭庁が発足します。 また、国連の子どもの権利条約を批准しながらも対応する国内法が整備されてこなかった中で、こども家庭庁設置法と同時にこども基本法が成立したことは、日本の子ども政策にとって大きな前進だと言えます。 こども基本法では、全ての子どもの基本的人権が保障されることのほか、自己に関する事柄への意見表明の機会の確保や子どもの意見が尊重することなどが定められ、子ども本位の政策が進んでいくことを期待しています。 子どもや若者が抱える問題は表面化しづらく、何か問題を発見しても氷山の一角にすぎず、調べればほかにも多くの事柄が判明することもあります。近年注目されるヤングケアラーもその一つではないでしょうか。こども家庭庁においては、そのような問題を放置することなく、迅速に発見、支援する取組を進めていただきたいと考えます。 こども家庭庁は、児童虐待や子どもの貧困対策など、主に厚生労働省や内閣府が所管してきた施策を一元的に担うこととされた一方で、幼児教育や義務教育は、引き続き文部科学省が担当するとのことです。 子どもを取り巻く様々な問題をめぐっては、福祉と教育の両方で並行して対応する必要があると考えるので、教育部門に関しても、こども家庭庁が積極的に関与できるようになってもらいたいと考えます。 そこで伺います。こども家庭庁の設置、こども基本法の施行を契機とし、こども家庭庁に県は何を期待し、また、今後どのように子どもに関する施策に取り組んでいくのか、知事の見解をお聞かせください。 次に、コロナウイルス感染症対策における情報発信についてお尋ねします。 新型コロナウイルス感染拡大の波は回を重ねるごとに大きくなり、この第7波では、本県でも新規感染者数が3千人を超え、他の自治体でも過去最多の感染者数を連日記録する事態となりました。 こうした状況から、医療機関、保健所の業務は全国各地で逼迫し、国は新型コロナウイルス感染者の全数把握を見直す方針を示しました。 本県においては、緊急事態の対応に困るとの医師の声があるとのことで、広瀬知事は、全国一律での見直しについては、現場の懸念が払拭されるのかどうか見極めていきたいとの意向を示されました。全国的には、これまで行政が主体となって進めてきた感染者の健康管理を個人や社会一般に委ねるという流れができつつあるのではないかと考えます。そうした中、本県においても、新型コロナウイルスに関する情報について、改めて県民の皆さん一人一人に正しく認識していただき、適切に対応していただけるような環境を整えておく必要があるのではないでしょうか。 県はこれまで、ホームページ等で日々、PCR等検査実施結果や感染状況の評価、ステージ等を公表し、県内の最新の感染状況を知らせるとともに、新型コロナウイルスの感染症に関する今後の対応等のメッセージを発し、基本的感染対策の徹底などを呼びかけてきました。事あるごとにこうした呼びかけを行うことは、大変重要であると思います。 しかし、デジタル情報の入手が困難な人もいれば、情報量の多い資料から適切に内容を理解するのは難しいと感じる県民も少なくないのではないでしょうか。 発熱等があるなど感染の疑いを感じたときに、どこに相談すべきか、どのような対応が必要なのかといった基本情報を、どのようなタイミングと手段で確実に県民の皆さんに提供するのか、いま一度検討する必要があると考えます。国が発表した全国一律見直しの方針もあり、今後、全数把握しないようになれば、保健所が接触しない、行政と距離ができる感染者が出てくる可能性もあります。このような中、情報発信の在り方を整理し、検証の上、提供すべきと考えますが、
福祉保健部長の見解を伺います。 次に、業務継続計画についてお尋ねします。 マグニチュード8から9の規模が想定される南海トラフ等を震源とする巨大地震の今後30年以内の発生確率は70から80%と予測されていましたが、政府の地震調査委員会は、本年3月に地震発生の長期評価を見直し、南海トラフに隣接する日向灘等でも、マグニチュード8の巨大地震が起き得ると公表しました。 県では、このような大規模地震の発生に備え、県の行政機能を維持し、県民の生命、財産を保護するため、最優先されるべき災害応急業務及び優先すべき通常業務等を特定するなど、災害時においても適正な業務執行が図られるよう、大分県業務継続計画を策定しています。 しかしながら、県の業務の継続が困難となるような事態は、地震などの自然災害だけではありません。現在直面している新型コロナのような感染症のパンデミックや、サイバー攻撃などによる情報システムのダウン等により、県行政の各組織での業務継続が困難になる事例も想定しなければならないと思います。 どのような状況においても、県の機能を維持し、県民の生命、財産を保護するという県の責務を果たすことができるよう、それら想定される様々な事態を対象として、本県の業務継続計画を見直すべきではないかと考えますが、県の見解を伺います。 次に、半導体産業の活性化についてお尋ねします。 デジタル化の急速な進展により、世界的な半導体の供給不足が続き、国内での安定調達が課題となる中、半導体受託生産の世界最大手である台湾のTSMCの熊本県進出が決定しました。これを契機に同県内では、半導体関連企業の進出や設備増強が続いており、地元銀行の試算では、生産が開始される2024年からの2年間で生じる経済波及効果は1兆8千億円が見込まれるとのことです。 1980年代には世界市場の50%の売上高を占めていた日本の半導体産業も大幅に縮小したとはいえ、大手製造拠点や関連企業は現在でも集積しており、世界的にニーズの高い半導体供給体制の構築によるシリコンアイランド九州の復活が期待されています。 九州には約千社の半導体関連企業が集積し、本県には福岡県、熊本県に次ぐ数の企業が立地しています。TSMC進出に関連し、福岡、佐賀、熊本、鹿児島の4県では、総額52億円を超える事業費を今年度当初予算に計上したと報じられていますが、本県においても半導体産業の活性化の取組が急務であると考えます。 今後、半導体産業の活性化にどのように取り組んでいくのか、
商工観光労働部長の考えをお聞かせください。 次に、大分港大在地区の利用促進についてお尋ねします。 大分港は、国内有数の臨海工業地帯である大分
コンビナートに立地する日本の代表的企業のほか、多くの企業の生産物などの物流を支える重要港湾であり、外貿コンテナ輸送による国際物流拠点として、また、首都圏や近畿圏と東九州をつなぐ国内物流拠点として重要な機能を果たしています。 近年、ドライバー不足などから、陸上輸送から海上輸送へのモーダルシフトが進んでおり、大分港大在地区では、関東向けRORO船の便数は九州1位で、近年は貨物取扱量が過去最高を記録しています。 一方で、シャーシ置場の不足等が課題となり、2020年度から大分港大在西地区複合一貫輸送ターミナル整備事業が進められています。 この事業により、1年間に約4万台の貨物を新たに海上輸送することが可能になるとのことであり、その能力を最大限に発揮するためには、より一層のポートセールスの推進が重要です。県が中心となって情報収集を行い、港運事業者、運送・倉庫事業者や立地企業等の関連事業者と情報共有しながら、大分港大在地区並びに大在西地区の利用促進に一体的に取り組まなければならないと考えます。 今後、東九州自動車道の4車線化の進展、中九州横断道路の整備促進による物流増が期待される中、どのように大分港大在地区、大在西地区の利用促進を図るのか、県の見解をお聞かせください。 次に、
ポストコロナを見据えた観光振興についてお尋ねします。 コロナ禍の長期化は、本県の観光にも大きな影響を与えています。観光庁宿泊旅行統計調査の令和3年の確報値によると、県内延べ宿泊者数は約416万人で、過去最高であった令和元年と比べ約47%の減、令和2年に続き、調査開始以来過去最低となりました。 今年は行動制限などもなく、昨年に比べ回復傾向にあり、県民割は9月末まで延長されたものの、国による全国旅行支援は、感染再拡大のため延期になるなど、先行きは不透明な状況です。 そのような中で、6月10日から観光客の受入れが一部再開されたインバウンドは、日本政策投資銀行等による調査において、コロナ収束後に訪れたい国・地域で日本が3回連続1位になるなど、本県の観光にとって明るい話題も見えています。 ラグビーワールドカップの本県開催を契機とし、欧米・大洋州から多くの観光客が来県しましたが、コロナ禍により、それも途絶えてしまいました。
ポストコロナを見据え、本県観光産業を振興し、ツーリズムを推進していくためには、インバウンドが大きな柱になると考えます。一旦途絶えたインバウンドの復活、また、新たなインバウンド需要の開拓に今後どのように取り組んでいかれるのか、観光局長の見解を伺います。 次に、部活動の地域移行についてお尋ねします。 文部科学省が2023年度以降、学校の休日の部活動の運営主体を学校から地域に移す方針を決定したことを受け、本年6月にはスポーツ庁の設置した有識者会議が、運動部の運営主体を民間クラブなど地域社会に移すための対応策を取りまとめました。また、文化部活動に関しても、8月に文化庁の有識者会議が提言を同庁へ提出していますが、いずれも来年度から3年間で休日を中心に移行を進めるとしています。 顧問を務める教員の過度な負担や、少子化による部員不足で学校単位の活動が困難になるケースもあるなど、制度の限界が顕在化し、見直しの議論が進んできたものと思います。 しかしながら、議論の中で、受皿となる組織や指導者の確保、保護者の費用負担、地域間格差等の問題を指摘する意見もあれば、そもそも部活動と子どもたちの関わり合いを見直すべきとの声も聞かれるし、教員の働き方改革も実現しなければなりません。本県においても、教員、生徒やその保護者など関係者は、今回の部活動の地域移行に戸惑っているのではないかと思います。 県教育委員会としても、早々に推進計画を策定するとともに、地域移行の現場を担う各自治体に対し、財政措置や人的支援を行う必要があると思います。こうしたことを踏まえ、部活動の地域移行についてどのように取り組んでいくのか、教育長の見解をお聞かせください。 次に、将来を担う県職員の確保についてお尋ねします。 急速な少子高齢社会の進行、新型コロナの感染拡大や経済情勢の急変等、県民生活を取り巻く環境が大きく変化する中、安心・活力・発展の下、地方創生を力強く推進する広瀬県政にとって、県政を支える優秀な人材の確保は極めて重要です。 そのような中、人材を確保する採用試験をめぐる動きとして、人事院は6月に公表した年次報告書において、国家公務員採用試験の申込者数は2021年度まで5年連続で減少し、行政を支える人材の確保にとって危機的な状況として、若年人口の減少に加え、採用試験に対する負担感や、民間企業の採用活動の活発化、早期化等が志望者減少の要因として考えられると分析しています。 本県の職員採用試験についても、ここ10年では2012年度の1,866人をピークに、昨年度は1,580人と受験者数は減少してきており、競争率も低下しています。 民間企業を始め、国や他の自治体等との人材獲得競争が激化しており、受験者確保に苦労しているのではないかと推察しています。 そこで、本県の将来を担う優秀な人材の確保について、今度どのように取り組んでいくのか、
人事委員会事務局長に伺います。 最後に、労働委員会における相談体制についてお尋ねします。 2019年4月から、働き方改革関連法が順次施行され、これまでに残業時間の上限を原則として月45時間、年360時間とするなどの労働時間法制の見直しや、同一企業等における、いわゆる正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間の不合理な待遇差の解消を目指す、同一労働、同一賃金の導入が進められました。 また、職場におけるパワーハラスメント防止措置が本年4月から中小事業主まで拡大されたほか、来年4月からは中小企業に対しても月60時間を超える時間外労働の割増賃金率を50%とすることが義務化されるなど、労使を取り巻く環境は近年大きく変化しています。 一方、長期化するコロナ禍や原油・物価高等で経済環境が急変する中、労使関係においても様々な課題が生じているのではないかと懸念しており、労働者救済機関である労働委員会の存在が重要視されます。 しかし、労働者や労働組合にとって労働委員会は必ずしも身近なものでないかもしれません。より広範囲に労働者救済や労使間の課題解決を図るためにも、労働委員会をより身近に感じてもらい、気軽に相談できる体制を整える必要があると思いますが、
労働委員会事務局長の見解を伺います。 以上で私の代表質問となりますが、この時代の潮流変化を考えると、さきの大戦を軸に考えれば、明治維新から大戦終結までが77年、そして、戦後77年が今年です。現在のコロナの状況、そしてまたウクライナ、あるいはまた物価高騰の大変厳しい状況、今年で何とかピリオドが打たれて、新しい時代が訪れることを強く念願しながら、私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○
御手洗吉生議長 ただいまの木田昇君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 木田昇議員には県ライフル協会会長として、早速、先日の県民スポーツ大会で御活躍いただき、誠にありがとうございました。これからも国体に向けて競技力強化の課題があります。引き続きぜひよろしくお願いします。 ただいまは、県民クラブを代表して御質問いただきました。まず、私から答弁します。 社会経済の変容を踏まえた地方創生の取組について御質問いただきました。 新型コロナウイルスの感染者が県内で初めて確認されてから30か月が経過しました。長期にわたるコロナ禍は、地方創生にももちろん大きな影響を与えています。 一つは地方回帰の流れです。コロナ禍を通じた価値観の変化等により、地方移住への関心が高まっています。本県独自の移住施策もあいまって、昨年度の本県への移住者は過去最高となり、5年連続の千人超えとなりました。 こうした移住施策の成果とあわせて、水際対策の緩和による外国人材の流入等により、本年10月の社会動態は、平成19年以来、15年ぶりに転入超過となる見込みです。 今後とも気を緩めることなく、時代のニーズに即した社会増対策を進めていきます。 二つはDXの加速です。コロナ禍以降、eコマース市場の急成長により、県内企業にとっても国内外に売り込むチャンスが広がりました。また、テレワークが浸透するなど、デジタルによる働き方も変化しています。DXは今や時代の要請となっています。県としても、中小企業等に対する伴走型支援やデジタル人材の育成などを含めて、社会、経済、そして行政など、全般にわたりDXを進めていきます。 三つは出生数の減少です。コロナ禍での婚姻数減少等により、本年の出生数は過去最低を更新する見込みです。苦戦が続いていますが、もとより少子化に歯止めをかけるには息の長い取組が重要です。昨年度から開始したオンラインお見合いなど、出会い応援の強化を始め、結婚、妊娠、出産、子育てに至るまで、切れ目のない支援をこれまで以上に進めていきます。 コロナ禍に加え、これまでの米中の対立やロシアによる
ウクライナ侵略等に端を発した、エネルギー、原材料価格の高騰や、急激な為替変動により、我が国の経済に厳しい影響を与えています。 こうした傾向が今後も長引くようなことになれば、さすがに家計も、事業者の経営も耐え切れなくなるものと思って心配しています。県として、できる限りの対策をし、県経済を上向かせていきたいと考えています。 国際情勢の時流をうまく捉えていくことも必要です。昨年度の企業誘致件数は、
サプライチェーンの見直しによる国内回帰等の流れもあり、過去最多となりました。 また、円安の進行は、海外誘客の好機です。インバウンド完全復活に向けて、先手を打って誘客対策を進めます。 社会経済等の変容を的確に捉え、人を大事にし、仕事をつくる、人と仕事の好循環で地方創生を加速していきます。 次に、賃金の引上げについて御質問いただきました。 国の進める新しい資本主義では、成長と分配の好循環の早期の実現を目指しています。その中で、働く人への分配を強化する賃金引上げの推進については、労働生産性を上昇させるとともに、それに見合った形で賃金を伸ばすために、官民で連携して取り組んでいくこととされています。 本県においても、国内の賃金、物価が上昇し、人材の流動性や働き方の多様性が増す中で、質の高い多様な人材を確保でき、地域経済の持続的発展を可能にする賃金水準を目指す必要があると考えています。 このような中、今年度の本県の最低賃金改定では、国が示した目安額30円を上回る32円の引上げという過去最大の上げ幅で854円となり、昨年度に引き続き九州では福岡県に次いで2番目の高い金額となりました。 長引くコロナ禍に加え、原油・原材料価格の高騰が続く中での改定ですが、労使で慎重に議論を重ねた結果と認識しています。 最低賃金の大幅な引上げは、家計負担の緩和につながる一方で、中小企業・小規模事業者の雇用や事業継続への影響が懸念されます。 そこで、さきの6月補正で、昨年度の9月補正と同様に、国の業務改善助成金の対象となる事業者の負担を軽減する制度を予算化しました。加えて、国の助成対象外となるものの、生産性向上と賃金引上げをあわせて行う事業者を支援する制度も今回新たに創設したところです。 大分県中小企業団体中央会において、8月1日から受付を開始しており、既に200件を超える問合せが来ています。引き続き必要な事業者に情報が行き届くよう、労働局や商工団体等と連携して、一層の活用を促していきます。 一方、持続的な賃金引上げを可能とするには、消費の活性化等を通じた売上回復や、労務費の上昇分を適切に価格転嫁できる企業間取引の適正化などを支援することも必要です。 国においても、賃上げ税制の抜本的な拡充、持続化補助金等への賃上げ特別枠の設定、下請取引の監督体制強化などを進めています。 県としても、地域経済の活性化に寄与するプレミアム商品券事業や、各種旅割を活用した県内誘客、今後拡大が見込まれるインバウンド需要の取り込み等により消費を下支えしていきます。 また、8月29日から9月30日を大分県価格交渉促進期間として、国の協力も得て、県内各地での価格交渉促進セミナーを開催し、価格転嫁への理解と協力を広く促していきます。 加えて、多様な人材の確保や定着、生産性向上による中長期的な所得の向上につながる働き方改革の取組も支援していきます。 今後とも中小企業等が賃金底上げに踏み出せる環境づくりに取り組んでいきます。 大分空港・宇宙港将来ビジョンについて御質問いただきました。 大分空港は、本県唯一の空の玄関口であり、地域発展のための重要な交通基盤です。観光振興や企業誘致、関係人口の増加など、本県の地方創生を加速させるためには、その活性化を図る必要があります。 そこで、このたび、大分空港の目指すべき将来像を官民で共有し、一体となって戦略的に取組を推し進めるために、大分空港・宇宙港将来ビジョンの素案を策定しました。 策定にあたっては、産学官の関係者から、宇宙港やホーバークラフトなど、大分空港には世界の拠点空港となるポテンシャルがある、将来的な有人宇宙旅行の実現を見据えるべきなど、夢のある意見を多数いただきました。 こうした意見を踏まえながら、県では、コロナ禍前には最高約207万人であった乗降客数について、10年後に約260万人を目指すこととして、実現に向けた四つの施策展開の方向性を示したところです。 まず一つは、航空ネットワークの拡充です。国内線では、東京、大阪、名古屋路線の増便や新規路線の誘致等を検討します。国際線では、韓国路線の早期再開に最優先で取り組むとともに、台湾、中国等の路線誘致を検討します。 二つは、アジアと宇宙をつなぐ宇宙港の実現です。有人宇宙旅行などの将来的な輸送ビジネスへの対応を見据えるとともに、宇宙港を核として関連産業が集積する、アジアにおける宇宙ビジネスの中核拠点化を目指します。 三つは、空港アクセスの充実です。ホーバークラフトの令和5年度中の就航に向けて、船舶の調達や発着地整備など、着実に準備を進めています。また、バスやタクシー、鉄道等の交通手段を最適に組み合わせ、空港と目的地を結ぶルートの検索、予約、決済等を一括で行うことを可能にするMaaSの導入を進めて、便利で快適なアクセスを実現します。 四つは、空港機能の拡充及び魅力向上です。最先端の技術やシステムの導入などにより、空港利用者の満足度を高めるとともに、航空機利用を目的としない人でも、日常的に集い、楽しむことができる空港を目指します。 そして、これらの方向性に沿って戦略的に空港を運営するため、民間運営により、民間のノウハウや資金を活用するコンセッション方式の導入についても、官民のリスク分担に関する国の検討状況等を注視しつつ、引き続き検討を進めます。 こうした取組を通じ、大分空港が陸、海、空、そして、宇宙につながる唯一無二のドリームポートおおいたとして、国内外から広く愛され、選ばれる空港となるよう、官民一体となって力強く取組を進めます。 子どもに関する施策についても御質問いただきました。 私も、こども家庭庁の設置は子ども政策推進の大きな一歩と考えており、6月には国に対し、困りを抱える子どもに対する支援体制の強化や、子育て世帯への経済的支援の充実等について、要望、提言を行ってきました。 こども家庭庁には、次の三つについて、大いに期待しています。 一つは、強い司令塔機能の発揮による縦割りの打破です。私はこれまでも、出会いから結婚、妊娠、出産、子育てまで、切れ目のない支援に全力で取り組んできました。 今年度は、発達が気になるなど、困りを抱える子どもたちを支援するため、小学校の就学前後における関係機関の連携体制構築に向けて、ガイドラインの作成に取り組んでいます。 ヤングケアラーについても、昨年度、大規模な実態調査を行って、その結果も踏まえて、福祉保健部と教育庁が連携して支援体制の整備を進めています。いずれの政策についても、こうした横の連携が欠かせません。 今度できるこども家庭庁には、ぜひ省庁の縦割りを排すべく大胆な調整機能を発揮し、年齢や制度の壁を越えた、切れ目のない支援策を強力に推進していただきたいと考えています。これが一つです。 二つは、子どもの視点に立って、子どもの最善の利益を常に第一に考える、こどもまんなか社会の実現です。子どもが個人として尊重され、適切な養育や教育を受ける機会が保障されるためには、その意見を表明する機会の確保が必要です。 本県では、全国に先駆けて令和2年度から、子どもの意見表明支援員、いわゆるアドボケイトをこれまでに約80人養成し、児童養護施設の入所児童等を定期的に訪問して意見を聞く、権利擁護の取組を行っています。 今回制定されたこども基本法には、全ての子どもの基本的人権の保障や意見の尊重が盛り込まれており、こうした取組がしっかり進められていくものと期待しています。 三つは、子ども政策を後押しする安定財源の確保です。本県では、子ども医療費の助成や第2子以降の3歳未満児の保育料を全額免除する取組などにより、子育て世帯の経済的負担の軽減を図っています。 こども家庭庁創設を機に、思い切った支援の拡充と、そのための安定的な財源確保に取り組んでいただくよう期待します。 今後、こども家庭庁と連携して、全ての子どもが誰一人取り残されることなく、健やかに育つことのできる大分県を築いていきたいと思います。
○
御手洗吉生議長 山田
福祉保健部長。 〔山田
福祉保健部長登壇〕
◎山田雅文
福祉保健部長 新型コロナウイルス感染症対策における情報発信についてお答えします。 県では、コロナに関する一般的な相談窓口と診療・検査医療機関を紹介する受診に関する相談窓口の二つの電話相談窓口を設け、ホームページ等で案内して、24時間対応しています。 また、感染状況を適宜分析し、グラフ等を用いてホームページで分かりやすく情報提供を行っています。 一方、デジタル情報の入手が困難な方に対しては、感染状況や感染対策上注意すべき点について、報道機関に対する毎日の資料提供や定期的な記者会見を行うことで、テレビや新聞等による情報発信にも努めています。 加えて、全戸配布の県広報誌も活用し、常時の換気や不織布マスクの着用等の基本的な感染対策の徹底や、受診相談窓口の案内など、必要な情報が全ての年代に行き渡るよう取り組んでいます。 他方、感染者に対する情報提供については、ショートメールで健康観察方法の案内や療養中の留意点などを迅速に伝えており、スマートフォンを持たない高齢者等に対しては直接電話で丁寧に説明を行うこととしています。 今後とも県民一人一人に必要な情報がタイムリーに届くよう、積極的かつ効果的な情報発信に努めていきます。
○
御手洗吉生議長 若林総務部長。 〔若林総務部長登壇〕
◎若林拓総務部長 業務継続計画についてお答えします。 災害や感染症等の蔓延、サイバー攻撃の発生時等に、県民の生命、財産を守るために必要な業務を継続させる備えは重要であると認識しています。 今般のコロナ禍においては、多くの職員が出勤停止になるおそれが高まったことから、令和2年度に業務継続計画(BCP)の見直しを行いました。 感染症を含む非常事態が発生した際に優先すべき通常業務を整理するとともに、担当外の職員が円滑に業務を行うためのマニュアルの作成や専門的な知識、資格を持つ応援職員のリストアップを行ったところです。 また、BCPの実効性を高めるため、防災関係のシステムなど、特に早期の復旧が求められる23のシステムについては、今年度ICT-BCPを策定しました。今後、その他の基幹システム等についてもICT-BCPを策定していきます。 7月の地方機関でのクラスター発生の際には、さきほど言ったBCPを適切に運用することにより、優先すべき業務を応援の職員により継続して、県民サービスに大きな支障を与えることなく対応がなされたものと認識しています。 今後とも、優先すべき業務の見直しやマニュアルの充実等を毎年行うことによって、多様な非常事態に対応可能となるよう業務継続に対する備えを進めていきます。
○
御手洗吉生議長 利光
商工観光労働部長。 〔利光
商工観光労働部長登壇〕
◎利光秀方
商工観光労働部長 半導体産業の活性化についてお答えします。 半導体産業は、国の半導体戦略においても中長期的に需要は右肩上がりの傾向であるとの予測が示されています。これからも旺盛な国内投資が見込まれる中、シリコンアイランド九州復活への機運が高まっています。 本年3月、国主導で九州の半導体産業の基盤強化に向け、産学官のコンソーシアムを立ち上げ、人材育成や
サプライチェーン強靭化の議論を開始したところです。調査事業やWeb研修などに着手されています。本県も積極的に関与し、広域的な取組を推進していきます。 県内では、産業振興に取り組むLSIクラスター形成推進会議を他県に先駆けて平成17年に設立しています。台湾と大分での相互商談会や、最新動向をフォローするフォーラムや交流会を開催し、企業がビジネスチャンスを逃すことがないように支援してきました。 本年4月に立ち上げたものづくり未来会議おおいたでは、半導体も柱の一つとなっています。2030年、50年を見据えた産業のありたい姿から人材育成やSDGsの視点を踏まえた取組を議論しています。 さらに、関連企業のさらなる呼び込みに備えて、企業ニーズに応じた量、質の用水の安定的な確保に向けた調査の補正予算を提出しています。 国の施策と連携しつつ、九州と県内における様々な施策の相乗効果も図り、本県の半導体産業の活性化とさらなる集積を推進すべく努めていきます。
○
御手洗吉生議長 島津
土木建築部長。 〔島津
土木建築部長登壇〕
◎島津惠造
土木建築部長 私から、大分港大在地区の利用促進についてお答えします。 大在地区では、県内外から貨物を呼び込むため、運送事業者等関係者と一体となって企業訪問やセミナーに取り組み、地理的優位性や豊富な便数、輸送経費への助成制度を積極的にPRしてきたところです。 こうした取組や高規格道路の開通も追い風に、大分発RORO船のシャーシ台数は昨年度までの6年間で3.9倍に増加し、定期コンテナ船の取扱貨物量も4年連続で過去最高を更新しています。 今後もモーダルシフトに伴う他港との競争激化が予想されることから、関係者との連携を密にしつつ、利用ニーズを踏まえた助成の在り方を検討しながらポートセールスを積極的に推進していきます。 こうした中、大在地区ではRORO船やコンテナ船、バルク船が混在し、取扱貨物量の増加とあいまって埠頭用地が手狭になるなど、課題が顕在化しており、施設の機能強化が必要となっています。 このため、大在西地区に新たなRORO船ターミナルを整備し、シャーシ置場を拡張するほか、シャーシの自動管理等DXによる荷役の効率化を図っていきます。 加えて、大在地区においてもコンテナヤードの拡張や老朽化したガントリークレーンの更新を進めていきます。 今後も計画的なハード整備と積極的なポートセールスの両面から大分港の利用促進を図り、物流の拠点化を推進していきます。
○
御手洗吉生議長 秋月観光局長。 〔秋月観光局長登壇〕
◎秋月久美観光局長 私からは、
ポストコロナを見据えた観光振興についてお答えします。 議員御指摘のとおり、日本への旅行意欲の高まりに加えて、受入制限の段階的な緩和、円安の進行など、海外誘客の好機が訪れています。 県では、こうした機会を逃すことなく、10か国・地域に設置した戦略パートナーと共に、現地での誘客活動を既に再開しています。留学生を活用した観光動画制作など、海外の方に響く効果的な情報発信にも取り組んでおり、6月以降、県内へのツアーが催行され始めています。 今後、本格化するインバウンドを確実に取り込むため、次の取組を強化していきます。 一つは、コロナ禍前、外国人観光客の約8割を占めた韓国、台湾、香港など、東アジアのリピーター層の復活です。県内事業者と連携して、現地旅行会社との対面での商談など、ツアー造成に直結する取組を積極的に進めていきます。 二つは、今後の誘客の伸びが期待される中国や欧米等からの新たなインバウンドの獲得です。アドベンチャーツーリズムのコンテンツ造成やガイド育成など、観光資源の磨き上げに取り組み、コロナ禍で多様化したニーズへも対応していきます。 インバウンドの完全復活に向け、受入制限のさらなる緩和を引き続き国に要望するとともに、先手を打って誘客対策を進めていきます。
○
御手洗吉生議長 岡本教育長。 〔岡本教育長登壇〕
◎岡本天津男教育長 部活動の地域移行についてお答えします。 県では、昨年度から運動部の、今年度からは文化部の地域移行に係る調査研究に取り組んでいます。これまでに専門的な指導による満足感や教員の負担軽減などの成果が見られた一方で、指導者の確保などの課題も明らかになっています。 調査研究校の中には、今年度、生徒の希望に応じてバドミントン部を新設するなど、再編を行った結果、参加する生徒が増加したり、教員の負担軽減につながった事例も見られるところです。 現在、各市町村教育委員会を訪問し、調査研究校の取組を情報提供するとともに、国に先んじて検討委員会を設置し、地域の実情に応じた移行の在り方について検討するよう助言を行っています。 また、スポーツ庁の検討会議の提言では、国がガイドラインを改訂し、各都道府県において具体的な取組やスケジュールを定めた推進計画を策定することが明記されています。このため、県としては、国のガイドライン改訂を受けて推進計画を策定したいと考えています。 今後も国の動向を注視しながら、市町村と連携し、円滑な部活動の地域移行に努めていきます。
○
御手洗吉生議長 後藤
人事委員会事務局長。 〔後藤
人事委員会事務局長登壇〕
◎後藤豊
人事委員会事務局長 将来を担う県職員の確保についてお答えします。 若年人口の減少や、活発な民間企業の採用活動等の影響により、本県の職員採用試験の受験者も減少傾向にあり、特に技術系職種の人材確保は大変厳しい状況となっています。 これまでも受験者確保に向け、任命権者と連携した大学訪問やガイダンスの開催等を通じて、県職員の仕事のやりがいや魅力を伝える積極的な情報発信に努めてきました。 また、行政と総合土木の上級試験に関しては、6月の試験に加え、4月に特別枠試験を実施しています。その教養試験には、民間で広く使われているSPI3を取り入れ、行政では専門試験をなくすなど、民間企業を志望する方も受験しやすい試験内容としています。 こうした見直しに加え、今年度は新たに職員採用ポータルサイトを構築し、受験者のニーズに応えられるよう、情報発信をさらに強化することとしています。 あわせて、従来の試験や特別枠試験の検証等を踏まえ、より多くの方が受験しやすいよう、受験機会の拡大や受験者負担の軽減等の試験方法のさらなる見直しも検討していきます。 今後とも積極的な情報発信に努めるとともに、様々な試験手法の研究を進め、将来を担う優秀な人材の確保につなげていきます。
○
御手洗吉生議長 田邉
労働委員会事務局長。 〔田邉
労働委員会事務局長登壇〕
◎田邉隆司
労働委員会事務局長 労働委員会における相談体制についてお答えします。 労働委員会に寄せられる労働相談は、年間300件余りで件数は横ばいですが、賃金の未払いや雇止め、配置転換、いじめやパワハラなど、内容は多様化、複雑化しています。 職場での課題を抱える労働者や使用者が、労働委員会を始め、労働相談に対応する機関を利用しやすいようにするとともに、関係機関が連携しながら、相談内容に応じ、より適切な対応等につなげることが大事です。 労働委員会では、商工観光労働部や大分労働局等と連携した労働相談の充実に加え、県のホームページやSNS、市町村の広報誌への掲載など、広報の強化に取り組んでいます。 また、労働者、使用者、公益の3者で構成された労働委員会の特性や活動内容を知っていただき、より身近に活用してもらえるようになることも重要です。 このため、昨年度から商工会議所等の経済団体や労働組合を直接訪問し、改めて労働委員会の周知を図るとともに、あっせんなどの申請手続を電子化し、申請者の負担軽減も図ったところです。 引き続き広報の充実強化や相談等をしやすい環境の整備などを進め、労使紛争の早期解決と安定的な労使関係の構築に努めていきます。
○
御手洗吉生議長 以上で木田昇君の質問及び答弁が終わりました。 暫時休憩します。 午後0時14分 休憩
------------------------------- 午後1時15分 再開
○
古手川正治副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 代表質問を続けます。河野成司君。 〔河野議員登壇〕(拍手)
◆河野成司議員 37番、公明党の河野成司です。代表質問の機会をいただき感謝します。 本日は、感染拡大の波を繰り返す新型コロナウイルスへの対応、物価高の中での賃上げ問題、エネルギー供給不安等、直面する重要課題のほか、地に足をつけて取り組むべきいくつかの課題について取り上げるので、知事を始め、執行部の皆様、よろしくお願いします。 まず、大項目の1、新型コロナウイルス蔓延による医療逼迫についてです。 新型コロナウイルスの感染第7波、特に児童生徒を含む若年感染者の増加が顕著となり、感染経路としての職場内、家庭内感染の激増を招いたことが過去最大の感染となった要因とされています。若年感染者の増加に伴い、医療現場、介護現場、福祉現場等のエッセンシャルワーカーにおける陽性者、濃厚接触者等も増加し、一定期間就労不能となったことから、通常のサービス提供が困難となる事例も増加しています。特に全国的にはクラスターが多発した医療機関や高齢者施設、福祉施設の陽性者については、医療機関や宿泊療養施設への受入れが困難となる状況も生じ、そのような施設では陽性者や濃厚接触者となった職員の職場からの離脱が長期化し、本来期待されていた機能が満たされなくなるという事態が多発しています。さらには、今夏のお盆明けの期間では、医療機関の発熱外来に患者が殺到し、一般診療体制が維持困難となるケースも報じられています。 そこで、医療等の提供能力の逼迫対策について何点か伺います。 その1、全数把握の見直しについてです。 岸田総理が表明した陽性者の全数把握の見直しに関し、報告を要する者を都道府県の判断で高齢者や重症化リスクの高い基礎疾患保有者等に絞り込むことが可能とされました。 しかし、報告対象から外れた若年者やリスクが低いとされた者の中でも、特に単身生活者では急激な病状の悪化に行政の目が届きにくくなるといった不安を感じる方々もおり、これまでも単身陽性者で死亡してから発見されたケースも全国的には報じられています。この政府方針に対して、先日の県議会コロナ対策特別委員会で、当面本県は政府に独自判断の届出を行わない方向性との説明を受けました。 さらにまた岸田総理は、9月26日から全数把握の見直しを全国一律で実施すると表明しました。さきほどの当面の方向性とは別に、全国一律での全数把握の見直しという政府方針について、本県では届出対象外となった方の体調急変時の対応策など、現場の懸念が払拭されるのか見極めたいとの意向を示されましたが、その考え方について知事に伺います。 あわせて、考慮される一般診療や救急医療も含む医療提供体制への影響、行政機関の負担、自宅療養者のケア体制の維持等の課題についてもお聞かせください。 続いて2番目、若年者の感染予防対策について伺います。 主な感染経路としての職場や教育機関における若年者、特に児童生徒の感染予防対策をどのように講じており、それをどう強化するのか伺います。 オミクロン株対応の新ワクチンも薬事承認されましたが、あわせてワクチン接種の促進策についてお聞かせください。 三つ目として、医療、介護現場の人員確保について伺います。 今般の感染第7波についてはようやくピークアウトしたのではとされていますが、この秋以降、気候が寒冷化して換気がおろそかになれば再びの拡大局面に至ることも懸念されています。そのような場合に備え、人的支援が逼迫する医療や介護、福祉現場で緊急的なバックアップ体制が必要となる場合への人員の融通制度等の準備状況についてお聞かせください。 その4、システムによる陽性者登録についても伺います。 保健所や医療機関等の陽性者発生時の対応余力が感染者の急増で逼迫しており、応援職員の配置等では間に合わない事態も想定されています。その問題の対策としての陽性者自らがWeb上で登録するシステムも始まりましたが、そのメリット、デメリットはどのようなことが想定されているのでしょうか。ネットスキルやネット環境のない人たちへの対策はどのように講じるのか、あわせて伺います。 続いて大項目の2、エネルギー問題について伺います。 まずはローカルエネルギーについてです。 ロシアのウクライナ侵攻による石油、天然ガスの供給不安からのエネルギー資源の国際価格の高騰が国内の物価高を招いています。日本のエネルギー自給率は2019年度で12.1%と他のOECD諸国と比べても低く、1次エネルギー供給構成を見ても、石炭、石油、天然ガスなどの化石燃料依存度が84.8%となっています。このように、エネルギー資源を海外からの輸入に頼っている日本では、今回のエネルギー資源の高騰が電気代を上昇させるなど、企業や家庭にも影響を及ぼしています。 また、東日本では6月に電力の逼迫を受け、経済産業省が東京電力管内に電力逼迫注意報を発令しました。これは火力電力所の休・廃止や猛暑による冷房需要により安定的な供給ができなくなることが予想されたためですが、全国的にも政府により7年ぶりに節電要請がされるなど、暮らしの中でも節電を意識した夏でした。さらに、今年の冬も電力逼迫が予想されており、エネルギー自給率を向上させ、国際情勢に左右されずに電力需給を安定化する取組が必要です。 一方、エネルギーを語る上で欠かせないのが
カーボンニュートラルです。政府は2050年までに
温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、いわゆる
カーボンニュートラルを目指すことを宣言しています。そのために、2025年までの集中期間に脱炭素先行地域を選定し、そこで得られた効果的な重要施策を全国で実施することで脱炭素ドミノを全国に伝搬させていくこととしています。中でも重要な取組の一つが
再生可能エネルギーの導入です。本県は地熱発電の供給量が高いなど、
再生可能エネルギーによるエネルギー自給率が全国トップクラスですが、今後はさらなる地域に眠るエネルギー源、いわゆるローカルエネルギーを積極的に開拓する必要があるのではないかと考えます。 具体的には、急峻な地形をいかした小規模水力発電、林地残材や畜産廃棄物を活用したバイオマス発電やメタノール生産、地熱を活用した水素生産、洋上風力、潮力、潮汐力等、各地で進む民間事業者の活力を取り込んだ多様な
再生可能エネルギー開発や、生産の拠点を本県に招致するための条件整備を盛り込んだ戦略を策定すべきと考えます。 また、系統電力網のみに頼らずに、ローカルエネルギーを地域内の電力需要に組み込む仕組みづくりの検討も必要ではないでしょうか。こうしたことを踏まえ、本県の恵まれた自然環境の持つポテンシャルを引き出すためのローカルエネルギーの開発について、知事の御見解を伺います。 2として、クリーン電力の売電について伺います。 新型コロナウイルス感染症の世界的流行やロシアのウクライナ侵攻による原油、液化天然ガス価格の高騰によって、旧一般電気事業者のみならず、市場から電力を調達して割安な料金設定をしていた新電力会社についても、電力調達コストが高止まりした状態が続いて経営が圧迫され、電力事業からの撤退も見受けられます。電力を取り巻く情勢は混沌としており、企業や県民等の需要家にとっては負担が増大しています。 その一方で、世界的に
カーボンニュートラルに向けた取組が進められる中、発電事業者にとっては、このような状況だからこそビジネスチャンスと捉えることができるのではないでしょうか。 そこで、これまでも議会の委員会審議等で執行部に質問し、提案してきましたが、企業局による売電に関し、取り巻く環境が変化していることから、改めて伺います。 本県企業局では、電気事業を展開しており、12の水力発電所と一つの太陽光発電所を所有し、固定価格買取制度による契約分を除いた全量を九州電力へ売電しています。現在は基本契約にのっとり、令和7年度まで九州電力への売電を継続するようですが、現在のような電力の需給状況や小売電気事業者を取り巻く環境を踏まえると、カーボンフリーな水力発電をクリーン電力として有利販売を行い、電気事業における収益の向上やSDGsの観点からの社会貢献として積極的に活用するなどの取組を進めてはいかがでしょうか。企業局長の見解を伺います。 続いて大項目の3、中小企業への支援についても伺います。 さきほどはエネルギーの高騰について言いましたが、加えて物価全般が上昇しています。日本銀行が発表した7月の国内企業物価指数は速報ベースで前年比8.6%、昨日また新たに10%を超える企業物価が上がっているという話も報道でありましたが、円安などにより輸入物価指数は対前年比48.0%増となっています。それに伴い、企業の業績に影響が出ており、全国的には物価高倒産が過去5年間で最多ペースとなっており、県内でも7月の企業倒産がコロナ禍の影響を受けて3件発生したと報じられました。業種別の倒産件数を見ると、全国的には運送業が全体の3割を占めてトップ、建設業や卸売業が続いています。食品や飲食関連の倒産も多く、県内の7月倒産には飲食店運営会社と旅館が含まれています。 円安の進行はまずは輸出企業の売上げを押し上げることから、製造業などの大手企業は高い収益を上げることができ、特に価格転嫁が進んでいる鉄鋼、輸出が好調な情報通信機械、業務用機械が好調な収益を牽引しています。しかしながら、原材料価格の高騰により売上原価の増加を十分に価格転嫁できない中小企業は収益性を悪化させています。 第7波の拡大により、今後とも経済活動への影響の長期化が懸念される中、特に中小企業が大宗を占める県内の重要産業である観光業、運送業へのダメージは深刻であり、政府系の融資で支えられてきた企業からも、返済のめどがつかない融資をこれ以上借りることは困難といった声や、返済の猶予が切れる頃には経営が行き詰まるとの声もあります。 岸田総理は、4月に原油価格、物価高騰対応分として創設した1兆円の地方創生臨時交付金のさらなる増額を指示しました。この交付金を活用し、本県でも物価高騰対応中小企業等業務改善支援事業や地域公共交通燃料高騰緊急支援事業など既に事業者支援に取り組んでいますが、このような地方創生臨時交付金の活用のみならず、県としても倒産を防止し、事業継続の後押しとなる中長期的な中小企業への支援策の強化が必要と考えますが、知事の御見解を伺います。 大項目4として、最低賃金の引上げに向けた取組について伺います。 さきほども代表質問の中で取り上げられましたが、大分地方最低賃金審議会は、先月9日、本年度の県内の時給としての最低賃金を32円引き上げて854円とするよう大分労働局長に答申しました。この引上げは、国の中央最低賃金審議会が示した目安の30円を上回っており、この結果、九州では福岡県に次いで2番目の上げ幅水準となる見込みです。 しかしながら、この引上げ額については労使双方から不満の声が上がっています。原材料価格や商品の仕入値の高騰で経営環境の厳しい県内中小企業については、さらに商品価格やサービスの対価への価格転嫁を円滑に実施できる対策が必要であり、一方、労働者については物価高騰に見合った賃金上昇がなければ購買力が低下し、消費行動に重要な影響もあり得ることから、賃金のアップは経済対策としても早期に実現する必要があります。 折しも国は例年9月を価格交渉促進月間と設定し、今後の持続的な発展に向け、ある程度の物価上昇を受け入れる社会へと変化させるため、価格転嫁と賃上げによる所得向上を進めていくことが重要としています。本県でも同様に価格交渉促進期間を設定し、企業への支援に取り組むこととしています。このことについては、最終的には賃上げによる経済の好循環を生み出していくことが重要ですが、まずは企業が労働者に支払わなければならない最低賃金の引上げをしっかり進めていくことが重要です。最低賃金の10月からの引上げに向けたこれら課題について対策をどのように取られるのか、
商工観光労働部長に伺います。 加えて、就労していない年金生活者等への支援策も検討する必要があるのではないでしょうか。急激な物価上昇と消費の減退対策として、自治体によるフードクーポンの支給といった地域内消費を喚起する取組は検討できないか、あわせて見解を伺います。 続いて大項目の5、特別支援教育について伺います。 発達障がいなどにより、支援学校への進学は望まないが、通常学校での特定科目の履修に問題を抱える児童生徒の増加に対応して、一部の授業を別室で受ける通級指導を受ける児童生徒が全国で過去最高の16万人を超えたとの報道がありました。文部科学省では、発達障がいと診断される子どもが増えていることや通級指導の存在が広く知られるようになったことが背景にはあると分析しています。 通級による指導とは、大部分の授業を小、中、高等学校の通常の学級で受けながら、一部障がいに応じた特別の指導を特別な場である通級指導教室で受ける指導形態で、障がいによる学習上、又は生活上の困難を改善し、又は克服するための指導が行われています。障がいに応じたきめ細かな配慮が可能だということで近年需要が増加しているようですが、この通級指導を含めた特別支援教育全体についていくつか質問します。 まず1番目として、本県の通級指導の実態についてです。 本県における通級指導を希望する児童生徒の状況と、実際に通級指導を受けている児童生徒の実態及びそれら近年の増減の状況について伺います。 さらに、4年前から通級指導が始まった高校では、指導を受けられなかった対象者が全国で1,100人に上り、障がい特性に応じた教育の充実強化に向けた方策が必要ではないかとの声が上がっています。本県の高校での通級指導は希望者全員に行き渡っているのか、また、希望がかなえられなかった生徒へはどのように対応しているのかについて伺います。 その2として、特別支援教育における教員の状況について伺います。 過去にも障がいを持つ児童生徒への専門教育を担う教職員の配置が、それを必要とする児童生徒の増加に追い付かず、教職員の養成が懸案となってきました。通級指導を含めた障がい児生徒の特別支援教育の教員の適正配置に向けた取組状況についてお聞かせください。 その3として、特別支援教育の体制強化について伺います。 本県でも支援学校の定員超過と支援学級の需要の増加が顕著で支援学校の新設もあります。特別支援教育の長期的な体制強化に向けた取組はどのように推進されてきたのでしょうか。今後の見通しも含めてお聞かせください。 大項目の6番目です。多胎児の出産や育児への支援について伺います。 近年、不妊治療の充実等により双子や三つ子といった多胎児の出産も増えていますが、妊娠中は複数の赤ちゃんがおなかにいるため、母体への負担が単児に比べて大きく、つわりや早産、妊娠糖尿病などの合併症が単児妊娠に比べて起こりやすいと言われており、出産前に管理入院が必要となることも多くなります。そのため、母親にとっては単児との違いによるちょっとした周囲の言葉に不安になって傷ついたりすることもあり、母親にとっては身体的、精神的な負担が大きいと言われています。不妊治療の一般化により、このような多胎妊娠・出産の事例が増加したことについて、そのような家庭への支援が求められていると思います。 そのような中、県は子育て満足度日本一を目指す取組の一環として、双子や三つ子といった多胎児の出産、育児や同時に2人以上の乳幼児を抱えた家庭への支援策として、本年度助産師による家庭訪問制度を創設されました。この制度の狙いと当事者の評価、利用状況はどのようになっているか、お聞かせください。 また、この制度の利用者から寄せられた様々な相談内容や御意見にはどのようなものがあり、そのうちに新たに子育て支援策として取り組むべき課題はないのか、お聞かせください。 大項目の7です。東アジア文化都市事業について伺います。 東アジア文化都市事業は、日中韓3か国において、芸術文化による発展を目指す都市を各国が選定し、その都市の芸術文化を始め、伝統文化、生活文化など、多彩な文化芸術イベントを1年にわたって実施するもので、本年は日本は我が大分県、中国は温州市と済南市、韓国は慶州市が選定されました。 大分県では、東アジア文化都市のオープニングとなる開幕式典を5月22日に開催し、マルタ・アルゲリッチさんによる開幕記念演奏や、関連行事として由布はさま太鼓、津久見樫の実少年少女合唱団など県を代表する団体の演技も披露されました。東アジア文化都市事業の成功は、県民一人一人の文化に対する関心、情熱を高めるだけでなく、中国、韓国を始め、東アジア地域に対し大分の文化を発信できる絶好の機会ですが、その実現には課題もあるのではと思います。東アジア文化都市2022大分県の基本構想では、「県民総参加で大分の文化を発信し、東アジアとの交流によって新たな文化を切り拓く」を開催テーマに掲げており、若者から高齢者までの県民総参加で取り組むことが成功の鍵となると思います。 その一方で、コロナ禍により中国、韓国との交流が様々な制限を受ける中で協調した取組が難しくなっているのではないかと懸念しています。また、東アジア文化都市事業の県民の認知度についてもまだまだ低いのではないかと思います。 こうした状況を踏まえ、さらに、インバウンドの再開というこの機会を捉えて、東アジア文化都市事業について、現在の進捗状況と今後の取組について、
企画振興部長に伺います。 最後の大項目です。監査の充実強化についてです。 監査委員事務局は、監査委員の指揮の下で、県の機関が適正かつ効率的に事務執行を行っているのか、所期の目的を達成しているのかとの視点で監査を実施し、県行政に対して是正、又は改善に向けた指導、助言を行う重要な役割を担っています。 これまで県庁内の全所属に加え、財政的援助団体等含めて毎年度350を超える機関を対象に職員監査を行っています。 こうした中、急速に進む人口減少、少子高齢化に加え、最近では頻発・激甚化する災害対応や長期にわたるコロナ禍で疲弊した社会経済活動の再活性化等の喫緊の課題に対応するため、行政事務が多様化、複雑化しており、これに伴い、監査の対象範囲も広がっているのではないでしょうか。 また、各所属では課題であるデジタルトランスフォーメーションへの対応、この導入により各種手続のオンライン化や電子化等が進んでおり、監査においてもデジタル関連の知見が監査をする側には必ず求められるようになっているということです。 こうした環境変化の中、監査には引き続き県行政に対するチェック機関としての役割をしっかりと果たすことがますます求められていますが、監査委員事務局においては、限られた人員の中で迫られる高度な知見を身に付けた職員の配置と、どのように監査の充実や強化を図っていくのか、
監査委員事務局長に伺います。 最後になりましたが、今般の様々な課題が山積する中にあって、この大分県をかじ取りされている知事において、また、執行部の皆様において、本当に御苦労されていることと思います。 そのような中で、政府は様々な予算措置を講じようとしています。その予算をしっかりいかした形で県民にぜひ大きな希望を与えていただきたい、このことをお願いし、私の代表質問とします。御清聴ありがとうございました。(拍手)
○
古手川正治副議長 ただいまの河野成司君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔
広瀬知事登壇〕
◎
広瀬勝貞知事 河野成司議員から、公明党を代表して御質問いただきました。私からまずお答えします。 初めに、新型コロナの感染症に関連し、全数把握の見直しについての御質問です。 国は、初め医療機関や保健所の業務逼迫を緩和し、適切な医療を提供することを目的に、9月2日以降、医療機関から保健所への発生届を都道府県知事の判断により限定できることとしました。 しかしながら、自宅療養中の届出対象外の方には健康観察など保健所の関与がなくなるため、体調急変時の受診、入院調整等に懸念が残り、急な受診や救急要請により一般診療や救急医療にも影響を与えかねません。県内の医療関係者からも、届出項目が既に大幅に削減されていることもあり、何とか対応できるという御意見をいただきました。これらの状況に鑑み、大分県では、これまでどおり全ての感染者について医療機関から保健所への発生届を継続しています。 こうした中、国は先週8日の対策本部において、ウィズコロナに向けた新たな段階に移行するという考え方を示し、具体的には次のような方向で、今月26日から全国一律で全数届出の見直しを行うと決定しました。 まず、感染が疑われる方は、診療・検査医療機関を受診していただいた上で、高齢者や妊婦、医師に入院や投薬治療が必要と判断された方は保健所に発生届が提出され、重点的に健康観察や入院調整等が受けられます。 他方、それ以外の若い軽症者等については、国では新たに健康フォローアップセンターを整備して、自宅療養中の体調急変時にも相談対応や医療機関の紹介等を受けられる体制を整えることにしています。 このセンターの機能を強化して、医療機関を受診せずに自己検査により陽性になった方も含めて、希望する方全てが登録できるようにすることで、フォローアップセンターからの支援をスムーズに受けられるようになります。これは地方の工夫でそういう機能強化をすればということです。 そこで、県としてはこうした体制を整備することによって、当初の心配を払拭できるのではないかと考えていますが、現在、医療関係者の御意見を伺うとともに、保健所の設置市である大分市とも協議を行っています。 これらを踏まえ、県として取るべき対応についてしっかり見極めたいと考えていますが、何よりも大切なのは県民の命と健康を守ることです。国に対して主張すべき点は主張しながら、新型コロナ対策に万全を期すとともに、社会経済活動との両立を図っていきます。 続いて、ローカルエネルギーについての御質問をいただきました。 本県は、日本一の発電規模を誇る地熱や九州一の発電ポテンシャルを持つ農業用水路など、多様かつ豊かなエコエネルギー資源を有しています。平成15年に大分県エコエネルギー導入促進条例を施行し、長年にわたりこのような環境に優しいエネルギー、エコエネルギーの導入を積極的に進めてきました。 また、本条例に基づき、令和6年度までを計画期間とする大分県新エネルギービジョンを策定し、エコエネルギー導入量の目標を設定するとともに、エコエネルギーを活用した産業振興や地域振興に資する取組を推進しています。 このエコエネルギーは、条例により定められた本県独自の考え方であり、地熱や水力など地域の自然や産業の特色をいかしたエネルギーを指しています。正に議員御提案のローカルエネルギーと同じ趣旨であると思います。 県としては、新エネルギービジョンに沿い、エコエネルギーに関して二つの取組を推進します。 一つは、地熱や小水力など地域における
再生可能エネルギーのさらなる導入促進です。導入を進めるためには自然の特性を十分に理解することが重要です。例えば、小水力発電では、発電装置を現地に合わせて製作するため、地形や水の状況などの調査が必要です。
再生可能エネルギーの新たな活用に向けて、可能性を探る県内企業を支援していきます。 なお、忘れてはならないのは地域との共生です。県としても環境アセスメントや開発行為の手続を通じ、必要に応じた住民説明の要請や合意形成の指導を事業者へ行っていきます。 二つは、県内エネルギー産業の振興です。県では、エネルギー関連企業を育成するため、新たな研究開発等への挑戦を後押ししています。例えば、姫島村における太陽光で充電した電気自動車を観光に活用する取組や、臼杵市における半導体産業から発生する廃棄物を利用した水素製造実証等を支援してきました。また九重町では、大手企業2社による豊富な地熱や木質チップを活用した
グリーン水素の製造実証が進捗しています。貯蔵、運搬から利活用に至る検証を行って、大分県版
水素サプライチェーンの構築を進めていきます。地域の強みと魅力を引き出す
再生可能エネルギー等の活用をビジネスチャンスと捉え、新たな事業に取り組む企業を引き続き後押しします。こうした取組は、エネルギーの地産地消を促し、地域のエネルギー自給率の向上にも貢献します。 今回の補正予算では、太陽光発電等を利用した自家消費型エコエネルギー設備導入への助成を提案しています。県内企業の電力コスト削減に加え、エコエネルギーの地産地消をさらに拡大していきます。引き続き経済と環境のバランスを保ちながら、持続可能性の視点を持って、県民や企業とも一体となって取組を加速させていきます。 次に、中小企業への支援について御質問いただきました。 県内の倒産件数は、コロナ前と比べて顕著な動きはなく推移していますが、コロナ禍が長引く中、関連融資の返済が始まるこれからが事業者にとって正に正念場です。引き続き必要な支援を届けていく必要があります。 まずは倒産の回避です。県では、資金の借換えや追加資金のニーズに対応する制度資金を用意するほか、金融機関や信用保証協会には中小企業からの返済期間延長等の相談に対し柔軟に対応するよう繰り返し要請しています。また、商工団体や金融機関、専門家等による中小企業再生支援協議会では、再生計画の策定や金融機関との調整支援を行っています。 こうした資金繰り支援とあわせ、プレミアム商品券や旅割等の事業でヒト、モノの流れを呼び起こし、消費を喚起することで事業者の業績回復を下支えしていきます。 一方、長らく続くコロナ禍はビジネスを取り巻く環境に大きな変化をもたらしました。事業者は、その変化に的確に対応し、中長期的な視点に立って経営体質を強化していく必要があります。 このため、国ではリアルからeコマースへの業態転換や成長分野への新規参入など、前向きに挑戦する事業者を事業再構築補助金で支援しています。また、持続化補助金やものづくり補助金、IT導入補助金により、中小企業の販路開拓や整備投資、ITシステムの導入を後押ししています。コロナ対応、賃上げ、グリーンといった特別枠を適宜設けるなど、社会のニーズに合わせた柔軟な支援を行っています。 県でもオリジナル商品の開発に取り組む飲食店、訪問サービスを開始する美容室など、新たな事業活動を行う中小企業を経営革新制度で支援しています。
ポストコロナに向け経営革新計画を策定する事業者は増加しており、その実現をしっかりとサポートしていきます。 また、生産性の向上を図るため、IoTやAIなどを活用したデジタルものづくりの支援や、デジタル企業との共創によるDXのモデル事例づくりに引き続き取り組んでいきます。 こうした様々な支援策を県内の中小企業に届けていくためには商工団体の存在が欠かせません。コロナ禍における事業者の補助金活用のサポート件数はコロナ前に比べて倍増しました。令和3年度では551件に達しています。加えて、最近では新たにDXの
プロジェクトチームを発足させ、経営指導のDXも進めています。 今後とも商工団体を始めとする関係団体と連携して、県内中小企業の事業継続や成長をしっかりと支援していきます。
○
古手川正治副議長 山田
福祉保健部長。 〔山田
福祉保健部長登壇〕
◎山田雅文
福祉保健部長 私からは4点お答えします。 まず1点目は、若年者の感染予防対策についてです。 行動が活発な20代以下の若年者は感染者の約4割を占めており、その感染予防対策が重要なのは議員御指摘のとおりです。若年者であってもやはり基本となる感染対策は変わらず、日常的な健康観察や3密の回避、マスクの着用、手洗いの励行、換気等の徹底をお願いしています。中でも集団活動が多い学校では特に換気が重要であることから、換気状態を可視化し、効果的な換気が行えるように、7月には全ての小、中、高校、特別支援学校、合わせて492校に二酸化炭素濃度計を配布し、活用を促しました。 また、ワクチン接種については、ツイッターやインスタグラムを活用した広報を行うとともに、県営接種センターでは、平日の夜間や土曜日に開設することで児童生徒や若年者の接種機会の拡大に努めています。 今般、5歳から11歳へのワクチン接種が努力義務化されたことから、その有効性や安全性について市町村と連携して保護者等への周知を図り、接種を促進していきます。 続いて、医療・介護現場の人員確保についてです。 県では、クラスターが発生した医療機関や介護施設等を支援するため、県医師会や県看護協会、県社会福祉協議会と職員の応援派遣協定を締結しています。今年度は感染管理の指導のため、83の病院や施設に感染管理認定看護師等を派遣しました。 他方、代替要員の派遣については、これまでに延べ178人を4施設に派遣しましたが、今年度は感染の急拡大により、各施設とも応援要請に応じる余裕がなく派遣できていません。このため、人員不足となった施設や医療機関では、通所・訪問サービスを一時的に縮小して入所サービスに必要な人員を確保したり、急を要しない手術を延期したりして急場をしのいでいる状況にあります。 他方、協定外の取組として、地域の医師会が医師等の輪番制によるドライブスルー型の発熱外来を開設し、地域の診療体制を支える動きも見られます。 県としてはこうした取組を支援するとともに、高齢者施設への全職員の定期検査のための抗原検査キットの無料配布や各施設、医療機関への感染管理認定看護師の派遣等を継続し、施設内感染を防ぐことで医療や介護サービスが機能不全とならないよう努めていきます。 三つ目はシステムによる陽性者登録についてです。 発熱外来の逼迫回避のため、先月24日、重症化リスクの低い若年軽症者に対し、希望に応じて抗原検査キットを郵送し、自己検査の上、Web上で陽性登録ができる体制をスタートしました。対象者がこの仕組みを利用することで安心して療養できるとともに、重症化が心配される高齢者や基礎疾患のある方、妊娠中の方が速やかに医療機関を受診できるようになると考えています。昨日までに検査キットの配布を1,904人、陽性者の登録を156人が利用しており、簡便で助かる、小さな子どもがいるので、自宅で検査、登録ができるのはありがたいなどと、利用者からは大変好評をいただいています。 デメリットとしては、郵送となるため、検査キットが御自宅に届くまでに時間を要する点が挙げられます。このため、本県ではコロナの診療・検査医療機関に御協力いただき、お急ぎの方には直接配布も行っています。 今回のシステムは、対象年齢を12歳から39歳までに絞り込むことで、ネットスキルやネット環境のある方を前提とした仕組みとしています。このような環境にない方については、代理申請をいただくか、又は従来どおり医療機関での受診をお願いすることとしています。 4点目、多胎児の出産や育児への支援についてお答えします。 本県における多胎児出産は、令和2年で85組に上っており、その支援は重要です。昨年、県内の多胎児ママサークルが行ったアンケートでは、多胎育児の経験者から、産後は余裕がなく、出産前に情報が欲しいとか、経験者からの支援が欲しいといった声が聞かれました。 そこで、多胎育児の困難さを軽減するため、助産師や多胎育児経験者であるピアサポーターによる妊娠期からの訪問支援を今般事業化しました。事業着手にあたり、まず、助産師やピアサポーター、地域で多胎児や多胎妊産婦の支援を行う保健師等約130人に対し、多胎育児の理解や支援方法に関する研修を実施しました。その上で、先月から市町村の母子保健窓口や産科、小児科を通じて相談希望者の募集を開始したばかりであり、現時点の実績は訪問済みが1件、予約が1件となっています。訪問した家庭では、助産師が不安を抱える妊婦に子育て支援の紹介や入院、産後の準備等について助言したところ、専門職に相談ができてとても安心できたといった感想をいただきました。 今後も事業の周知に努めるとともに、当事者の声に耳を傾けながら、多胎妊産婦が抱える課題の把握と解決に努めていきます。
○
古手川正治副議長 磯田企業局長。 〔磯田企業局長登壇〕
◎磯田健企業局長 私からクリーン電力の売電について御答弁します。 企業局は、豊かな水をいかして約5万6千戸、県内全世帯の約12%分の電力量に相当するクリーンな電力を安定供給し、県経済の振興や地域社会の発展に寄与しています。 現在の契約を締結した平成20年当時は、電気事業法により売電先が限定されており、本県においては九州電力一者と長期安定的な内容で随意契約しています。 売電価格は、総括原価方式により、発電に要する費用に一定の利益を加えて算出しています。直近では1キロワットアワー当たり10.63円で現在売電しています。 その後、
東日本大震災を受け、平成28年に法が改正され、現在は県内外に複数の売電先が存在するという状況になっているので、令和8年度以降の契約では、収益の向上や安定性を前提に入札による契約も検討していきます。 また、電力の地産地消による県内企業や県民への安定供給の確保、地場産業の育成といった視点も含めて検討を進めていきます。 今後も拡大するクリーン電力需要に対応して、新たな電源開発も検討しながら、県勢発展に向けて地方公営企業としての役割を果たしていきます。
○
古手川正治副議長 利光
商工観光労働部長。 〔利光
商工観光労働部長登壇〕
◎利光秀方
商工観光労働部長 最低賃金の引上げに向けた取組についてお答えします。 今年度の最低賃金の改定は、コロナ禍に加え、物価上昇の中、労使で慎重に議論した結果と認識しています。 最低賃金引上げは、労働者の処遇改善や人材確保、消費拡大などが期待できます。一方、中小企業や小規模事業者には2年連続の大幅な引上げは大きな負担となるものと認識しています。 このため、県では事業者が賃金底上げに踏み出すことのできる環境づくりを生産、流通、消費の各段階で同時に進めていきます。6月補正において賃金引上げを生産性向上とあわせて行う中小企業などを対象とした県独自の業務改善助成金などの支援制度を設け、県のホームページや商工関係団体などを通じて活用を呼びかけています。 また、労務費やエネルギー、原材料価格などの上昇分を適切に価格転嫁できるよう、9月末までを大分県価格交渉促進期間とし、振興局単位でのセミナー開催などを行っており、価格転嫁への理解と協力を広く促していきます。 加えて、個人消費を喚起し、経済の好循環を生み出すため、市町村と連携し、プレミアム商品券の第2弾を実施します。日常生活に欠かせない地域の小売店や飲食店などで広く利用可能であり、年金生活者などの生活の後押しにも資するものと考えています。疲弊した県経済を立て直し、成長と分配の好循環の実現に向け、今後も必要な対策を講じていきます。
○
古手川正治副議長 岡本教育長。 〔岡本教育長登壇〕
◎岡本天津男教育長 3点についてお答えします。 まず、通級指導の実態についてです。 小中学校の通級指導教室の利用者数は、この10年間で10教室、241人増加し、今年度は5月1日現在で59教室、470人となっています。昨年度、市町村の就学指導委員会で通級指導教室での学びが必要とされた児童生徒のうち、16人が自校に通級指導教室がないなどの理由で受けられていません。 通級には、自校通級のほか、他校で指導を受ける他校通級と通級担当者が対象児童生徒の学校を訪問する巡回通級があります。本県では約8割が自校通級を利用しており、他校通級と巡回通級がそれぞれ約1割となっています。 今後は、通級指導教室が設置されていない学校の児童生徒が巡回通級を利用できるよう、小中学校通級指導教室充実事業で巡回通級のモデル校を設定し、ノウハウの共有を進めていきます。 高等学校においては、爽風館、由布、佐伯豊南、中津南高耶馬溪校の4校を拠点校として通級による指導を実施しています。それぞれの学校で入学後に全員を対象に希望調査を行い、希望者と面談を行った上で決定していますが、希望する48人全ての生徒に対して通級指導が実施できている状況です。 特別支援教育における教員の状況についてお答えします。 現在、専門的な知識が必要な特別支援教育を担う人材の育成に向け、特別支援学校と小、中、高等学校との人事交流等を進めています。 特別支援学校教諭免許状を有しない者については、特別支援学校に異動後、免許取得を促すとともに、特別支援学校で採用された教諭を、その専門性が発揮できるよう、小中学校の特別支援学級担任として配置しています。 加えて、特別支援学校の教員が特別支援教育コーディネーターや個別の指導計画推進教員として市町村立学校を支援しています。 昨年度、文部科学省の特別支援教育を担う教師の養成の在り方等に関する検討会議において、特別支援教育に関する教師の専門性向上に向けた方策が取りまとめられました。この中で、特別支援教育の教員育成指標への位置付けへの明確化や専門性を有する人材の育成、キャリアパスの構築などが求められており、現在、大分県公立学校教員育成指標の見直しを進めています。今後とも特別支援教育を担う全ての教員の専門性の向上を図っていきます。 最後に、特別支援教育の体制強化についてです。 特別支援教育に対する年々高まるニーズに対応するため、平成20年3月に大分県特別支援教育推進計画を策定し、その後、更新を行いながら様々な体制強化に取り組んできました。 小中学校においては、特別支援学級の新増設を進め、今年度は10年前と比べ312学級増の745学級となっています。 特別支援学校では、児童生徒数の増加に対応するため、平成21年度に中津支援学校の前身となる宇佐支援学校中津校を新設しました。さらに、令和6年4月には大分市内3校目となる知的障がい特別支援学校を開校する予定です。本年4月に開校したさくらの杜高等支援学校では、一般就労を目指す生徒を対象とした職業教育に取り組んでいます。 学校や学級の新設のみならず、各特別支援学校に配置している特別支援教育コーディネーターや外部の専門家による個別相談など、校内支援体制の強化も図っています。 今後も国内外の動きや児童生徒の教育的ニーズを捉えながら、特別支援教育の体制強化に取り組んでいきます。
○
古手川正治副議長 大塚
企画振興部長。 〔大塚
企画振興部長登壇〕
◎大塚浩
企画振興部長 東アジア文化都市事業についてお答えします。 東アジア文化都市事業では、5月の開幕式典を皮切りに、本県の特色ある芸術文化イベントとしてのコア事業と、県内の芸術文化団体等による連携事業を展開しています。 コア事業では、8月から混浴温泉世界の塩田千春展を開催しており、今後は、大分アジア彫刻展の中国、韓国での作品展示や、中国、韓国のアーティストとDRUM TAOのコラボライブなどを予定しています。 連携事業では、県内各地の116団体や市町村による様々なジャンルの芸術文化イベントの開催を後押しし、広く周知にも取り組んでいます。中には交流都市を訪問し、現地でパフォーマンスを行うなど、コロナ禍でも工夫し、直接的な交流に取り組む団体もあります。 11月の閉幕行事では、県立美術館前を歩行者天国にし、公募した県民がメインステージでパフォーマンスを行うなど、できるだけ多くの方々に芸術文化を楽しんでもらえるイベントを予定しています。 また、閉幕式典では、都市間交流を末長いものとするための共同宣言も行うこととしています。 東アジア文化都市事業を一つの契機として、関係3都市との交流を深め、本県の芸術文化のさらなる発展につなげていきます。
○
古手川正治副議長 河野
監査委員事務局長。 〔河野
監査委員事務局長登壇〕
◎河野哲郎
監査委員事務局長 監査の充実強化についてお答えします。 監査にあたっては、効率的、効果的に行うことを基本に、各所属の業務執行におけるリスクに着目し、重点を絞るなど、メリハリを利かせています。例えば、今年度の監査では、新型コロナ感染拡大に対応した補助事業の種類や件数が急激に増加していたことなどから、補助金事務を重点項目として監査を実施しました。 また、不適切な事務処理を未然に防止することが結果的に監査の効率化にもつながることから、実地監査では、各所属が主体的に行う内部統制の実施状況を確認するとともに、業務改善に関する助言も行っています。 あわせて、過去の監査結果や指摘等に対する措置状況報告等を検索するシステムを事務局で開発し、先般、全庁向けに公開したところです。 さらに、各所属でDXが推進され、専門性の高いシステム関連の契約が増えていることから、監査にあたってIT関連の専門家である外部アドバイザーに助言を求めるなど、デジタル化への対応も行っています。 今後も県民に説明責任を果たし、県政への信頼が得られるよう、監査の充実強化に努めていきます。
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古手川正治副議長 以上で河野成司君の質問及び答弁は終わりました。 これをもって代表質問を終わります。
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古手川正治副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。日程は、決定次第通知します。
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古手川正治副議長 本日はこれをもって散会します。お疲れ様でした。 午後2時19分 散会...