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03月07日-06号

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  1. 大分県議会 2022-03-07
    03月07日-06号


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    令和 4年 第1回定例会(3月)     令和4年第1回大分県議会定例会会議録(第6号)令和4年3月7日(月曜日)  -------------------------------議事日程第6号             令和4年3月7日              午前10時開議第1 議員提出第1号議案   (議題、提出者の説明、質疑、討論、採決)第2 一般質問及び質疑  -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 議員提出第1号議案     (議題、提出者の説明、質疑、討論、採決)日程第2 一般質問及び質疑  -------------------------------出席議員 42名  議長        御手洗吉生  副議長       三浦正臣            志村 学            井上伸史            吉竹 悟            清田哲也            今吉次郎            阿部長夫            太田正美            後藤慎太郎            衛藤博昭            森 誠一            大友栄二            井上明夫            鴛海 豊            木付親次            古手川正治            嶋 幸一            元吉俊博            阿部英仁            浦野英樹            高橋 肇            木田 昇            羽野武男            二ノ宮健治            守永信幸            藤田正道            原田孝司            小嶋秀行            馬場 林            尾島保彦            玉田輝義            平岩純子            吉村哲彦            戸高賢史            河野成司            猿渡久子            堤 栄三            荒金信生            麻生栄作            末宗秀雄            小川克己欠席議員 1名            成迫健児  -------------------------------出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       尾野賢治  副知事       黒田秀郎  教育長       岡本天津男  代表監査委員    長谷尾雅通  総務部長      和田雅晴  企画振興部長    大塚 浩  企業局長      浦辺裕二  病院局長      井上敏郎  警察本部長     松田哲也  福祉保健部長    山田雅文  生活環境部長    磯田 健  商工観光労働部長  高濱 航  農林水産部長    佐藤 章  土木建築部長    島津惠造  会計管理者兼会計管理局長            森山成夫  防災局長      梶原文男  観光局長      秋月久美  人事委員会事務局長 法華津敏郎  労働委員会事務局長 稲垣 守  -------------------------------     午前10時 開議 ○御手洗吉生議長 おはようございます。 これより本日の会議を開きます。 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第6号により行います。  ------------------------------- △日程第1 議員提出第1号議案(議題、提出者の説明、質疑、討論、採決) ○御手洗吉生議長 日程第1、議員提出第1号議案を議題とします。  -------------------------------議員提出第1号議案 ロシアによるウクライナナ侵攻に抗議する決議  -------------------------------御手洗吉生議長 提出者の説明を求めます。木付親次君。  〔木付議員登壇〕 ◆木付親次議員 おはようございます。ただいま議題となった議員提出第1号議案ロシアによるウクライナ侵攻に抗議する決議については、共同提案者を代表して提案理由を説明します。 去る2月24日に、ロシアによるウクライナへの侵攻が開始されましたが、連日、ロシアによる首都キエフをはじめとしたウクライナ全土への軍事攻撃についての報道がなされています。 今回のロシアによるウクライナへの侵攻は、国際社会の平和と秩序、安全を脅かすもので、明らかに国連憲章に違反する行為であり、断じて容認できません。 また、この軍事侵攻が続くと、原油価格の高騰、金融不安など経済への深刻な影響も懸念されます。 よって、本県議会は、ロシアに対し、一連のウクライナへの軍事侵攻に厳重に抗議し、さらに、軍の即時撤収、国際法の遵守を強く求めるものです。 また、政府においても、ウクライナに対する支援並びに在留邦人の安全確保に全力を尽くしていただくとともに、国民生活への影響を最小限に抑えるよう要請することを決議します。 案文はお手元に配付してあるので、朗読は省略します。 以上で説明を終わります。御賛同いただきますよう、よろしくお願いします。 ○御手洗吉生議長 以上で提出者の説明は終わりました。 これより質疑に入ります。 別に御質疑もないようですので、質疑を終結します。 お諮りします。本案は委員会付託を省略したいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○御手洗吉生議長 御異議なしと認めます。 よって、本案は委員会付託を省略することに決定しました。 これより討論に入りますが、ただいまのところ通告がありませんので、討論なしと認めます。 これをもって討論を終結し、これより採決します。 本案は原案のとおり決することに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○御手洗吉生議長 御異議なしと認めます。 よって、本案は原案のとおり可決されました。  ------------------------------- △日程第2 一般質問及び質疑 ○御手洗吉生議長 日程第2、第1号議案から第39号議案まで及び第1号報告を一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。藤田正道君。  〔藤田議員登壇〕(拍手) ◆藤田正道議員 28番、県民クラブ、藤田正道です。 まず、公共交通をめぐる諸課題について2点伺います。 自家用車の普及や人口減少に伴い、公共交通の利用者が減少するなど、バスをはじめとする公共交通を取り巻く環境は厳しさを増す一方、高齢化や過疎化が進む中で、安全、安心で誰もが利用できる公共交通の役割は大きく、地域の活力を維持するためにも、その維持、確保が必要不可欠です。県は県内を6圏域に分け、持続可能な公共交通ネットワークの構築を目指し、地域公共交通網形成計画及び地域公共交通再編実施計画を策定してきました。 地域公共交通とは、法律上、「地域の日常生活若しくは社会生活における移動又は観光旅客その他の当該地域を来訪する者の移動のための交通手段として利用される公共交通機関」と定義されます。しかし、それを維持することについては、国も県も市町村も、そして事業者にも、法的な義務付けはありません。ただし、地域公共交通活性化再生法に基づく法定協議会において策定された地域公共交通計画については、協議会の参加者、つまり県、市町村、事業者、そして住民は、ともにこれを尊重する義務があり、計画に基づく事業を実行していくことが求められています。 一方で、人口減少による利用者の減少により、交通事業者は厳しい経営環境にあります。さらに、2年にわたるコロナ禍と燃油価格の高騰が追い打ちをかけています。公表されている2020年度決算を見ると、JR九州は経常収支で193億円の赤字、大分交通も7億円の経常赤字、亀の井バスは純損失4億円、フェリーさんふらわあも2億1千万円の純損失など収支と財務の悪化に加えて、収入減や将来不安から離職者も増加していると聞いています。航空業界も大変厳しい状況です。先月10日のANAホールディングスの記者発表で、片野坂次期会長は、小さな会社になっても生き残り、雇用を守り、ポストコロナに向けてビジネスモデルを変えていくと述べており、経営合理化に向け厳しい判断も考えられる内容となっています。このままコロナ禍、燃油高が続けば、路線維持のみならず事業の存続に関わる事態も想定され、地域公共交通計画の実効性はおろか、交通崩壊の引き金にもなりかねません。 県内交通体系の維持のため、鉄道、バス、フェリーに空路も加え、関係事業者と連携し、路線の存続と安定化を図るべきだと考えます。知事の見解を伺います。 また、自家用車や公共交通機関等の移動手段をめぐる中長期的な課題として、カーボンニュートラルへの対応があります。第5期大分県地球温暖化対策実行計画では、運輸部門から排出される年間の二酸化炭素排出量を2025年度に2013年度比で20%、2030年度には28%削減するという目標を設定し、公共交通機関を利用しやすい環境づくりによる移動手段の転換の促進や次世代自動車や低燃費車の普及促進などを柱とした二酸化炭素排出削減対策を推進するとしています。 EV、電気自動車の普及に関しては、化石燃料による発電量が7割を超える現在の我が国の電力事情を考慮すると、中短期的には排出削減効果はあまり期待できないため、2025年、2030年という目標達成のためには移動手段の転換の促進が鍵を握ります。 今期の温暖化対策実行計画に掲げる移動手段の転換促進に向けた取組の現状と今後の具体的な取組について生活環境部長にお尋ねします。  〔藤田議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○御手洗吉生議長 ただいまの藤田正道君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 藤田正道議員から、県内交通体系の安定確保について御質問をいただきました。 路線バス、鉄道、フェリー、航空等の公共交通は、住民の通勤、通学等の日常生活を支える交通基盤であると同時に、産業振興や観光振興、関係人口の増加など、本県の将来にわたる発展を支える社会基盤でもあります。公共交通を安定的に確保するためには、この両面を見ながら取り組むことが大変重要だと思っています。 一方、マイカーの普及や人口減少の進展に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により、公共交通の利用者は減少しており、全国的に大変厳しい状況に置かれていることも事実です。 公共交通の維持、確保は、交通事業者のみならず、行政としても主体的な取組が必要だと思っています。そこで、県では、県内の公共交通を維持、確保するために、三つの観点から取組を実施しています。 一つは、県内各地域を結ぶ公共交通ネットワークの維持に対する支援です。幹線的なバス路線やコミュニティバス等が抱える運行赤字に対する補助のほか、バスロケーションシステムや低床バス車両の導入、鉄道駅のバリアフリー化等への支援を行い、公共交通の維持と利便性向上を図っています。 また、フェリー、航空については、県外からの誘客を図るため、各事業者と連携したPRやプロモーション等の利用促進を行っています。 二つは、持続可能な公共交通ネットワークの再構築です。地域にとって望ましい公共交通網を形成するため、県内を六つの圏域に分けて、交通事業者、市町村、自治会の代表者等の関係者からなる協議会を開催し、地域公共交通計画の策定を進めています。 この計画では、例えば、バスと鉄道との接続改善、商業施設へのバスの乗り入れ、運行便数の調整や路線の延伸など、利便性や運行効率の向上に取り組んで、利用者目線に立った公共交通網の構築に努めています。 三つは、コロナ禍で苦境に直面する交通事業者への総合的な支援です。各事業者が実施する旅行商品造成や感染防止対策に対する支援のほか、住民生活に密着した移動手段であるバスやタクシー車両を維持するため、保有車両に応じた支援金を給付し、事業者の経営の下支えを図ったところです。 ポストコロナにおける地方創生を実現させるためにも、公共交通の存続と安定化は重要であり、交通事業者と行政が一緒になって、その維持、確保に取り組むことは必要だと思っています。 今後も引き続き、各交通事業者と緊密に連携しながら、積極的かつ主導的に県の役割を果たしていきます。 もう一つ、移動手段におけるカーボンニュートラルについて御質問いただきました。この件については担当の部長からお答えします。 ○御手洗吉生議長 磯田生活環境部長。 ◎磯田健生活環境部長 移動手段におけるカーボンニュートラルについてお答えします。 移動手段の転換の促進の具体的な取組としては次の三つを行っています。 一つは、平成20年度から続けているノーマイカーウィークの取組です。年4回、それぞれ1週間、県内事業所と連携して、マイカー通勤者に公共交通機関等の利用を呼びかけています。年間約5,700人が現在参加していますが、今後はさらなる参加者の拡大に向けて、SNS等を活用した広報を強化していきます。 二つは、エコ通勤割引制度の普及促進です。マイカー通勤者が水曜日にバスで通勤する場合に運賃を割り引く制度ですが、利用時の手間等課題も指摘されているので、今後、より取り組みやすい仕組みを検討していきます。 三つは、公共交通機関を利用しやすい環境づくりです。知事からさきほど答弁したとおり、バス会社等への様々な支援を行っています。これらに加え、大分市が実施している大分市パークアンドライド駐車場認定制度公共交通機関利用促進と渋滞緩和等に加え、環境負荷軽減にも非常に有効であると考えています。今後、他の地域でも取組が広がるよう関係機関に働きかけていきます。 公共交通機関への移動手段の転換は、カーボンニュートラルに加え、高齢者の移動手段確保のためにも非常に重要であると認識しています。より実効性のある取組を目指していきます。 ○御手洗吉生議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 知事ありがとうございました。三つの視点ということで伺いました。 地域公共交通計画に関して具体的に尋ねますが、12月補正では地域公共交通運行継続緊急支援事業の中で、将来に向けてのGTFS整備として約3,400万円予算計上されています。バス路線、停留所、ダイヤ、運賃などの運行情報をオープンデータ化して、グーグルマップなど各種経路検索サービスに反映して住民、観光客の利便性向上を図るとしていますが、こうしたデータの活用も含め、どのように公共交通計画を実行していくのか、企画振興部長の考えを伺います。 ○御手洗吉生議長 大塚企画振興部長。 ◎大塚浩企画振興部長 地域公共交通の利用促進とその維持、確保を図るためには、ICTの先端技術を活用した取組も重要であると考えています。このため、バスロケーションシステムデジタルチケットの導入に加え、路線バスのダイヤや運賃等の運行情報をGTFSでオープンデータ化し、グーグルなどの検索サービス等へ提供できる整備を進めています。 また、現在検討を進めている大分空港を起点としたMaaSにおいても、路線バスの運行データとの連携した取組は重要であると考えています。そういう意味で、今回整備するGTFSデータも活用される予定となっています。 引き続きこうしたデータを活用した、利用者にとって利便性の高い公共交通サービスの提供について検討を進めていきます。
    御手洗吉生議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 地域公共交通計画で策定されている内容を見ると、県全域で目指す指標として、乗り合いバスの年間輸送人員、令和7年の1,730万人、人口一人当たり年間バス利用回数16回を、人員では1割減、回数ではほぼ同水準を維持していくと掲げられています。県全体としてですね。ただ、現状、コロナの影響は予想以上に大きいようで、特にバスに関しては人員確保が非常に難しい。今、コロナの減便で本数が減っているから何とか今の人員でもダイヤを確保できているが、通常ダイヤに戻すだけの人の余裕がないという話も聞いています。既に痛みはかなりのところまで来ていると思います。 公共交通計画は法律上、尊重することが義務付けられているし、計画を実行していくことが求められているので、今の答弁を聞いても、今の計画の実行だけではとても追い付かないんではないかという気がしています。やはり県全体で真剣に取り組んでいく必要があるという気がしています。 公共交通の役割は、観光客の移動に関する視点も今お話がありましたが、地域で足を守ることのほかにも、例えば、高齢者が公共交通機関を使って社会活動に参加することで体力づくりや認知症予防などの健康増進効果を図ったり、教育に関して言うと、佐伯市では隣県の私立高校がスクールバスを持ってきて生徒を運ぶという話も聞いています。例えば、県立高校の定員確保につなげるために利便性を高めていくとか、あるいはマイカーから公共交通へ、さきほどの環境の問題もありますが、渋滞緩和とか交通事故の削減とか、それぞれの部局が公共交通の利用を増やすことによって課題解決を図っていく、そのために予算も使う、人も使うという大胆な取組が必要だと思いますが、ぜひそういう取組をしていただきたい。時間がないので、取りあえず要望だけします。 基本的に、駅の無人化や便数の減も根本的には利用者の減少という問題なので、利用者を増やすことが最も効果的な対策になると思うので、そういった視点での取組をぜひお願いします。 続いて、リスク・マネジメント、内部統制について伺います。 地方自治法の改正により、地方公共団体の職員自らが事務の適正な執行を阻害する事務上の要因をリスクとして識別、評価し、対策を講じる、いわゆる内部統制制度が2020年度から本県知事部局に導入されました。これは2016年の第31次地方制度調査会、人口減少社会に的確に対応する地方行政体制及びガバナンスのあり方に関する答申を踏まえたもので、答申では、人口減少社会の中でも持続可能な形で行政サービスを提供し続けていくための地方行政体制として、広域連携や外部資源の活用による行政サービスの提供並びに県、市町村、地域コミュニティーなどの役割を示すとともに、人口減少が進み、資源が限られる中で最小の経費で最大の効果を上げるためには、首長、監査委員、議会、住民が連携して、その役割分担の方向性を共有しながら、それぞれの強みを生かして事務の適正性を確保する適切な役割分担によるガバナンスが重要であると指摘しています。そして、民間企業が導入している内部統制制度を導入することで、マネジメントの強化、事務の適正性の確保、監査委員の監査の重点化、質の強化、実効性の確保などが促進されることや、議会や住民による監視のために必要な判断材料の提供などの意義があるとしています。 本県は、2020年3月に策定された大分県行財政改革推進計画において、内部統制の体制整備とともに、運用開始後は適切にPDCAサイクルを回し、必要に応じて改善を行い、知事部局の運用実績を踏まえて、知事部局以外の執行機関への導入も検討することとし、監査についても内部統制を前提として、より本質的な監査実務に人的及び時間的資源を重点的に振り分け、監査機能の充実強化を検討することとしています。 この制度では、地方自治法により年度ごとに首長自らが取組について評価を行い、それを監査委員が審査するよう義務付けられています。昨年9月の第3回定例会に提出された令和2年度大分県内部統制評価報告書審査意見書には、評価報告書に記載されている大分県知事による評価は手続に沿って適切に作成されていると認められたこと、重大な不備に該当する事象は認められなかったことから、報告書の評価手続及び評価結果に係る記載は相当であることが認められたと審査の結果が記されており、県のホームページでも閲覧が可能です。今後、大分県行財政改革推進計画に沿って運用されると思いますが、内部統制制度を正しく機能させるためには、制度の仕組みを整備、構築するだけでなく、その仕組みの意義を職員がしっかりと受け止め、実際に運用していくための職員研修の充実を図ることも必要になってくると思います。 今年度で導入2年目となりますが、今後の取組にあたっての視点や知事部局以外の機関への導入について総務部長の考えを伺います。 ○御手洗吉生議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 内部統制についてお答えします。 令和2年度の内部統制評価の結果、重大な不備に該当する事象は認められませんでしたが、所属によって取組に濃淡があったことや、支出負担行為の遅れといった不適切な事案が散見されるなどの課題もありました。 内部統制の実効性を確保するためには、職員が制度を理解して運用することが不可欠なので、様々な機会を通じて、内部統制は人的ミスや不正を防ぐ仕組みであることなど制度の趣旨を徹底していきます。 また、今回発生した不適切な事案は、業務にあたっての規則や規程といった基本的なルールを遵守していれば防げたものが多かったところです。 このような状況を踏まえ、間違いの起こりやすいポイントをまとめたチェックリストを見直して、同様のミスが生じるリスクを抑制していくとともに、eラーニング研修の実施など職員研修も充実させていきます。 今後とも、内部統制がしっかりと機能するよう、実施状況を踏まえた制度の改善、運用を図っていきます。 他の執行機関への導入については、知事部局での取組状況やその効果を随時紹介することにより、導入を働きかけていきます。 ○御手洗吉生議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 ありがとうございます。導入のきっかけとなった地方制度調査会の答申でも、人口減少の中で持続可能な行政サービス提供、そのためには広域連携や外部資源の活用、役割分担が重要だ、適切な役割分担によるガバナンスで内部統制が導入されていると伺っています。 さきほど報告した監査委員による審査意見書では、業務レベルの実施状況を主に財務監査を通じて確認してきましたが、内部統制に資するリスク一覧表の整備が遅れている所属が散見するなど、取組に濃淡があった実施についても指摘されています。ぜひ実質的に内部統制が機能していくように継続的な取組をお願いするとともに、それによって監査の実効性をさらに高めていただく一助にもしていただければと思っています。 次に、公社等外郭団体への関与について伺います。 監査委員、監査委員事務局は、県の財務事務に関する監査のほかに、一般行政事務に関する行政監査や出資団体、財政援助団体の監査も行っています。今年度の行政監査のテーマは、県が関与する任意団体の状況についてとなっており、県が関与する任意団体とは、法令上の根拠を有しない県以外の団体で、県の庁舎内に事務局を置くもの又は当該団体の事務が主に県の庁舎内で行われているものとされ、現在198団体存在します。今年度はそのうちの50団体が監査の対象になりましたが、先月24日、県議会に提出された調査報告書によると、2020年度にはこれら50団体に対し補助金、負担金、委託料など計1億3千万円余りが支出されています。 これとは別に、地方自治法上、議会に経営状況を報告議案として提出する議案提出団体のうち21団体と、県が独自に指針を定めて指導する22団体を加えた43の指導指針対象団体について、県は経営状況などを各常任委員会等で報告し、ホームページなどでも公表していますが、それによると2020年度はこれらの団体に委託料、補助金等として計84億円余りが支出されています。 また、それらの中には昨年使途不明金が発覚した公益社団法人ツーリズムおおいたもあります。指導指針対象の43団体はそれぞれでガバナンスやリスクマネジメントを行っていると思います。県はこの団体に対して指導すると思いますが、多額の公金が拠出されているわけですから、使途を明確にし、経営状況にもある程度関与していく必要があると考えます。現状どのような指導を行っているのか、総務部長にお尋ねします。 ○御手洗吉生議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 公社等外郭団体への関与についてお答えします。 外郭団体の業務運営は県行政と密接な関係を有することから、公社等外郭団体に関する指導指針に基づき、各団体の所管部局が指導監督を行っています。その際には、団体の財政基盤の強化等の経営状況のみならず、業務運営が適切に行われているかのガバナンスについても確認しています。 具体的には、事務決裁規程や財務会計に関する規程等が適切に整備されているか、予算執行が適正に行われているか、監査機能が十分に発揮されているか等についても指導監督を行っています。 また、外郭団体に関する制度全般を所管する総務部としても、各所管部局から団体の状況を聴取するとともに、必要に応じて指導、助言を行っています。先般のツーリズムおおいたの件を受け、総務部としても、会計事務に係る処理の適正化及びチェック体制の強化を図るためのチェックリストを新たに策定し、その活用を各所管部局及び団体に対し依頼しました。 今後とも、団体に対する積極的な指導監督とガバナンス強化への支援に努めていきます。 ○御手洗吉生議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 ありがとうございます。外郭団体については、現在、総務部の行政企画課が基準を示して、各主管部がその基準に基づいて責任を持って指導監督に当たっていると聞いていますが、任意団体の今回の監査委員による行政監査の中でも、できれば任意団体についても同様に行政企画課が基準をつくって、各部の主管課がそれに絡む中できちんと内部チェックが働くような状況をつくるべきだという意見もありました。 さらに、指導対象43団体とか任意団体のほかにも、公益法人やNPO法人、また、大分県農業協同組合をはじめ、各種協同組合など、県が団体設立の認可権や指導権限を持つ団体も数多くありますよね。その中には、県の事業に直接、間接的に関わって、県から交付金、補助金、委託料などが支出されている団体も数多くあります。こうした認可団体に関しては、法律上の監督官庁として、場合によっては業務改善とか役員交代とか、最終的には解散を命じる強い権限があり、これらをもって指導監督する義務もあります。そうした団体への指導の在り方も、やはり総務部、法務の担当が一定の基準を示して役割分担を明確にして漏れのないように、そして、それぞれが内部統制を働かせるような仕組みづくりにもぜひ取り組んでいただきたいと思います。これも要望します。 次に、設備保守管理委託契約について伺います。 報道によると、昨年9月に県立高校において、自家用電気工作物であるケーブルの損傷による停電で2日間授業が行えない状態になったとの事例がありました。振興局や土木事務所、県立学校や警察署などは専任の技術職員や有資格者がいないため、消防設備や自家用電気工作物、エレベーターなどの保守点検を専門事業者と委託契約を締結していると聞いています。 消防、電気、エレベーターなどは法令により有資格者による定期点検や届出が義務付けられているため、現在の委託契約は法定点検を行うことに主眼が置かれて、万が一の事故や火災、停電を防止するための保守管理という本来の目的を果たす内容となっていないのではないかと危惧されます。電気に関して言えば、多くの生徒に影響がある学校、また、災害復旧の拠点となる土木事務所や振興局、警察署などが災害時に自家用電気工作物に起因する停電で電気が使えない状態に陥るリスクを考慮すると、多少高くなっても、そうしたリスクを極力低減するための契約にすべきと考えます。 現在、地方機関における自家用電気工作物保守管理委託契約に関する指針や基準等があれば御教示ください。 ○御手洗吉生議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 県では、県有施設の機能の維持や安全性の確保とともに、計画的な保全管理による老朽化対策を目的として、庁舎管理マニュアルを作成しており、各施設の管理水準の向上を図っています。 自家用電気工作物の保守管理については、各施設管理者がこのマニュアルを参考に委託契約を締結しています。マニュアルでは、電気工作物保安管理業務として、毎月1回以上の定期点検や故障時の臨時点検を実施するよう定めています。加えて、電気事故や障害等発生時の応急措置、原因究明、再発防止の助言などについても契約内容に盛り込むこととしています。 なお、今年度の県立高校の事例を受け、各施設の契約内容を調査したところ、緊急時の急行時間や業務担当者が急行できない場合の対応等について、細かく仕様書に明示している契約も確認されました。これらの事項は、緊急対応を確実に実施する上で有効なことから、委託業務の仕様書に明記するよう関係機関に通知しました。 ○御手洗吉生議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 ありがとうございます。用度管財課と施設整備課がマニュアルをつくって各所属に配付して指導していると伺っていますが、あと、土木事務所が基本的に相談を受ければ、そういう施設設備関連についても対応しているということですが、実はDXを進めていく中で、電気や通信や機械の設備が途絶した場合にはほとんど行政機能がストップしてしまいます。非常に重要な事態になると思いますが、こういった電気、通信、機械などの設備関連の職員も土木技術者同様、非常に少なくなっている実態も聞いています。市町村も含めて不足しているので、今後、DXを進める中にあっては、こうした設備の設計や保守管理に関わる技術者の必要性がさらに高まってくると思いますが、今後、技術者の確保や市町村も含めたサポート体制の構築面ではどうなっていますか。 ○御手洗吉生議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 まず、今後の設備に関わる技術者の確保については、県有施設の長寿命化を進めるにあたり設備関係の業務量が増加していることもあり、平成29年度に12人体制だったものを本年度までに3人増員して15人体制となっています。 今後も業務の効率化を進めつつ、必要な職員数を見極めながら、関係部局と協議し、設備職員の確保に努めていきます。 次に、市町村へのサポート体制ですが、昨年度、県と市町村で大分県建築行政業務市町村支援協議会を立ち上げ、課題となっていた建築や電気、機械職員の不足に対応しています。この協議会の枠組みの中で市町村職員の研修を行っているほか、住宅供給公社と建築住宅センターを支援機関として位置付け、設備を含めた営繕工事発注の設計審査等の支援を行っています。 なお、本年度は、臼杵市発注の市民会館の空調設備工事など6件について設計審査を行っています。 ○御手洗吉生議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 ありがとうございます。こちらも非常に重要な事案だと思うので、さらに技術者の養成確保、それから、サポート体制をしっかり構築していただきたいと思います。 電気工作物に関しては、やはり災害の復旧拠点になる振興局や土木事務所が止まることはあってはならないので、万が一のときには仮復旧までしてしまう工事契約も一案だと思います。ぜひ万全の体制を構築するために、取組をさらに進化させていただきたいと思います。 それから、公用車について伺います。 2020年度の決算附属調書によると公用車による事故のうち、バック時の接触というケースが18件ありました。委員会等の現地調査の際に職員の運転する公用車に同乗することがありますが、今では一般的なカーナビやドライブレコーダー、バックカメラ、また、後部座席のパワーウインドーさえ装備されておらず、経費節減の努力が見受けられます。 国土交通省は昨年6月、車両後退時の事故防止のための国際基準を導入し、車両直後を確認できる装置の要件に適合する後退時車両直後確認装置、いわゆるバックカメラなどを自動車に備えなければならないと道路運送車両の保安基準等を改正し、今年5月以降発売される新型車に適用されるようです。 公用車の交通事故防止については、後退時には同乗者が誘導するなど、各所属長に対して指導監督に万全を期すよう人事課と用度管財課連名の文書も通知されていますが、こうした事故を防ぐ装備を導入するなどのハード対策も必要ではないかと思われます。 また、公用車のダッシュボードには車検切れ、自賠責切れを防止するために車検満了期日が貼られていますが、過去の行政監査ではリースなど管理の外部化について検討を求める意見も提出されています。 安全対策としてのバックカメラやドライブレコーダーの導入、公用車のリース化について、会計管理局長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 森山会計管理者兼会計管理局長。 ◎森山成夫会計管理者兼会計管理局長 公用車についてお答えします。 バックカメラやドライブレコーダーなどの普及が進む中で、公用車においては、これまで標準的な装備でなかったことから、バスやワンボックスカーなど一部の車両にのみ装着しています。 現在、知事部局や教育庁が所有する車両904台のうち、バックカメラを57台、ドライブレコーダーを126台に搭載しています。 今後、昨年6月の道路運送車両の保安基準などの改正を踏まえ、バックカメラなどの後退時車両直後確認装置については、更新する全ての公用車に導入していきます。その他の装備については、各所属が車両の利用状況を考慮して備えることとしています。 また、公用車のリース化については、行政監査の意見を受けて検討してきましたが、車検などの管理を含めたトータルコストが購入方式に比べて割高となるため、現時点では導入が難しいと考えています。 なお、車検切れなどを防止するために、昨年1月から用度管財課において車検の状況を一元管理するなどにより、点検整備の一層の徹底を図っています。 ○御手洗吉生議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 バックカメラに関しては、それぞれの所属で必要があれば設置できることになっているということでよろしいですか。 ○御手洗吉生議長 森山会計管理者兼会計管理局長。 ◎森山成夫会計管理者兼会計管理局長 車両の管理者である所属において、利用状況に応じて装着できるようにしています。標準装備とする場合に非常に割高になってくることがあるので、後から装着する形を取っている場合があります。 ○御手洗吉生議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 今入ってきている職員の方、うちの子どももそうですが、最初からバックカメラ、バックモニターがついた車しか運転したことがないという人が多いんですよね。特に人身事故を防ぐためにはバックカメラは非常に有効だと思うので、ぜひ計画的に配備していただきたいと切にお願いします。 それとあわせて、リース化等ですが、さきほどもありましたが、人的資源を行政サービス、持続的維持向上に振り向ける意味でも、さきほどの試算の中では職員の人件費が入っていないと思います。職員の時間は本来業務に集中できるように、そういった間接業務に関しては可能な限りリース化、DX化などを検討していただく必要があるんではないかなと思うので、ぜひ要望します。 続いて、海洋科学高校実習船の共同運航について2点伺います。 大型実習船翔洋丸を海洋科学高校が香川県多度津高校と共同運航を始めて3年が経過しようとしています。高校教育課の資料では、両県の水産教育の一層の充実を図り、共同運航を通じて両校の生徒、教員等の交流を進めるとして、具体的には、3級海技士、5級海技士養成の水産教育、ハワイ沖等での遠洋航海実習、両校生徒、教職員等の交流を図る教育活動が掲げられました。また、海洋科学高校の本校化にあたっての議会答弁では、共同運航を機に、遠洋航海実習を10日間延長し、最新鋭のレーダー機器の操作や漁労作業などの実践力をより磨いていくと当時の教育長は述べられています。 実習船の維持管理に係る経費は折半され、航海実習等の利用日数はほぼ均等とのことですが、海洋科学高校のある臼杵市では係留日数が年間30日程度で、停泊実習が香川県に比べ少なく、生徒が乗船しての実際のエンジンやレーダー、漁労器材等に直接触れる機会が限られるため、十分な教育効果が上げられないのではないかと心配する声も聞いており、何らかの対応が必要だと思います。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大や事故による船体損傷など予期せぬ事態も起こりましたが、実習船の維持管理に係る経費の扱い、両校の実習船の利用日数などの実態並びに共同運航の成果と課題について、教育長に伺います。 また、現在、遠洋航海実習中ですが、乗船している大分側の海事職員が退職と病気休暇で定員に2人足りない状態と聞いています。法定数は満たしているとのことですが、その分、乗船している職員への負担が大きく、航海中の生徒の安全確保や職員の病気やけがなど不測の事態があった場合、航行できなくなることも危惧されます。 学校や教育人事課も採用に手を尽くしていますが、全国的な人材不足により船員の有効求人倍率は高止まりしており、民間の初任給や給与支給額も年々上昇しているため人材確保は容易ではないようです。 また、香川県との共同運航となったものの、実習船が大半の期間、香川県側にあるため、大分県側は日常的に船体や機器に触れる機会が少なく、香川県側も自分たちばかりメンテナンスしていると不満が生じるのではないかと懸念され、両県で処遇も異なることに加えて両県職員間の人間関係にまで影響し、さらに離職者、転職者が出ることも危惧されます。 これ以上新たな離職者を出さないため、乗船機会など均等待遇となるような環境の整備や新規採用につながる初任給も含めた勤務、労働条件の見直しなど、香川県側と協議する必要があると思いますが、教育長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 2点についてお答えします。 まず、共同運航3年の実績についてです。 乗船実習は、適切な航海や船舶運用、機械装置の安全で効率的な運転や管理に必要な資質能力の育成を目的としています。 停泊実習及び利用日数は、毎年度、両県ほぼ同日数と設定しています。しかしながら、コロナ対応や事故などがあり、年度途中に運航計画を変更する必要が生じ、調整した結果、両県において日数の差異が発生しています。 実習船内で機器に直接触れての学びが望ましいと考えていますが、学校内にも最新鋭のレーダー機器やエンジンを設置し、船内実習と同水準の学びが確保できるようにしています。 維持管理等に係る経費は、共同運航の趣旨にのっとり、両県で折半としています。 共同運航の成果として、実習船の大型化に伴い、最新機器の搭載や乗組員の定員増が可能となり、指導の充実や安全性の向上につながりました。また、国家資格の取得に向けて両県生徒が切磋琢磨し、学習意欲がさらに向上しています。 課題としては、教官が他県の生徒指導に遠慮がちであったことが挙げられますが、すり合わせや連携を図り、統一感が出ています。引き続き、共同運航を通じて両県から優秀な人材を輩出するよう努めていきたいと考えています。 続いて、海事職員の確保策についてです。 船員の人材不足は深刻化しており、その人材確保は全国的に大きな課題となっています。 実習船の管理運営については、香川県が実施主体となることを両県で取り決めています。その取決めに基づき、ドックでの維持修繕工事を毎年2回、延べ約60日実施していますが、その際、本県の船長、航海士、機関士等も、香川県職員と共に監督業務などに対応しています。特に今年度は、職員の希望を踏まえ、全員を工事に参加させました。 次に、勤務労働条件については、本県は海事職給料表を適用していますが、香川県は行政職及び教育職給料表を適用していることから給与体系そのものが異なっています。そのため、諸手当の見直しなども行いながら、勤務労働条件が一定程度同水準となるよう、香川県と毎年度協議を行っています。 引き続き、安定的な共同運航の実施に向けて、香川県と連携し、勤務労働条件の見直し等に取り組んでいきます。 ○御手洗吉生議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 共同運航の成果は上がってきているのがよく分かりました。 ただ一方で、海事職員の確保は本当に深刻です。御案内のとおり、船は海事の資格を持った人が一定数いないと運航できないということで、今お手元に職業紹介の実績のグラフもお配りしていますが、船員に関しては求人倍率は2倍以上です。実際、国内で動いている船に必要な資格者の数が多分飽和状態になっていると思います。そういう中で運航に必要な海事職員を採用していくのは、並大抵のことではないと思います。まず、処遇が違う、民間が圧倒的に高いです。海事職員に関して言うと、例えば、共同運航になっているので、年2回、遠洋航海に丸2か月出ないといけない、さらに、近海の部分もあり、さきほどのドックもあるので、年間5か月は家にいられない、職場の中にいないといけないという特殊性があります。さらに、出航の数日前に大分県の職員は香川県まで移動しなければいけない。帰ってきたら、香川県から帰ってこなきゃいけない。こういった移動の負担もかかっています。 人がいない中で採用していくには、例えば、OB、先輩に頼むのが一番声をかけやすいと思いますが、現状だと、大分側が足りないからといって大分だけしか声をかけられません。多度津高校のOBに声をかけようと思っても、処遇が違うし、所属が違うので、間口が身内に限られてしまう。これはやはり、もう少し処遇を上げることと均等待遇にしていくことを真剣に議論していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 今し方答弁したように、それぞれが採用している給料表が違うことがまず根底にあります。香川県側とこれまで以上にしっかり協議を行って、大きな差が出ないような努力をしていきます。 ○御手洗吉生議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 ぜひお願いします。専攻科を出ると大分の場合は3級の海技士資格が取れる。これは内港ならキャプテン、船長になれる資格です。それだけ優秀な人材育成機関でもあるので、航海が途切れることなく実習できるような状況を、ぜひ両県で知恵を出して取り組んでいただきたいと思います。 次に、大分県消防広域化推進計画について伺います。 まず、消防指令業務に関してですが、県は2019年3月に新大分県消防広域化推進計画を策定し、消防の広域化に対する取組方針を示しています。当面は消防指令業務の共同運用実施に向けた連携、協力の検討を優先し、全県1区を基本として、県内14消防本部で2024年4月実施を目指し、検討、協議を開始しました。そして、2020年3月に知事と県内全市町村長が基本設計など準備を進めていくことに合意、9月には消防救急デジタル無線システムを含めた新たな消防指令システムの基本設計に着手、11月には大分県域消防指令業務連携・協力実施計画に全市町村が合意し、その後、令和3年度には実施設計を行うとともに、昨年12月、消防指令業務を大分市へ事務委託することについて関係市町村の議会決議を終え、今年1月に新システム構築のための事業プロポーザルを開始し、今後6月に契約候補者と契約し、2023年度にかけて新システムの整備・運用準備を進めるとなっています。 昨年の第1回定例会での太田正美議員の一般質問に対し、防災局長からは、最新システムでは通報位置や発災現場を瞬時に地図表示できるようにする、通信途絶に備え、通信データ、回線網等のバックアップも計画しているなどの答弁とともに、119番を処理する回線・要員が増え、災害時に通報が集中しても現状よりつながりやすくなる、迅速な消防本部相互応援も可能になるなど運用効果の説明もありました。県民からは、広域化による効率化でサービスが低下するのではないか、共同指令センターが被災したり通信障害が起きたら全県で119番がつながらなくなるのではないかなど、いまだ疑問や不安の声が聞こえます。今後も引き続き、各地の住民の不安を解消するためにも共同運用について分かりやすい周知、さらなる住民サービスの向上のため、しっかり準備を進めていくことが必要だと思います。 この1年間の検討結果も踏まえ、災害時の通信回線やデータのバックアップ、さらにはセンター機能そのもののバックアップ、共同指令センター開設後の消防本部間の相互応援の経費も含めた具体的な対応、さらに、県警ヘリ、防災ヘリなどから災害現場上空からの映像や県防災センターとの情報連携はどのように考えられているのか、防災局長に伺います。 ○御手洗吉生議長 梶原防災局長。 ◎梶原文男防災局長 まず、回線やデータについては、通信が途絶えぬよう、複線化に加えて無線も活用するほか、定期的にデータのバックアップを行います。 また、センターは大分市荷揚町に新設する大分市複合公共施設内に整備される予定です。津波や河川の氾濫があっても浸水のおそれがない3階以上で、南海トラフ等の巨大地震にも耐え得る免震構造となっています。さらに、万一の通信障害に備え、各消防本部での119番受信に切り替えることも可能としています。 次に、消防本部間の相互応援については、これまでどおり、あらかじめ締結している相互応援協定に基づき行うことになります。その経費は、事案ごとに協議し、指揮命令は応援を依頼した市町村が行います。センター開設後も、こうした対応は変わりません。 他方、センターでは県内全域の現場情報をいち早く把握できることから、相互応援の要否の見極め等、より迅速な対応が可能となります。 なお、現場映像や県防災センターの情報は、映像配信システム等を活用し、現在でも共有可能です。 今後も、市町村、関係機関と連携し、消防力の強化を図っていきます。 ○御手洗吉生議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 最後に、今後の消防広域化について伺います。 今回の消防指令業務の共同運用は新大分県消防広域化推進計画に基づくものですが、そもそも国は人口減少、高齢化の中で消防力を維持、強化するため広域化を推進する必要があるとして、2006年に消防組織法を一部改正し、都道府県や市町村に対し、広域化の推進を求めています。これに対し県は、県内全域を1消防本部としながら、当面は大分市との2本部体制を目指す大分県消防広域化推進計画を2008年3月に策定しましたが、当時は平成の大合併直後であることや、東日本大震災以降、県内各消防本部の相互応援協定など連携が強化されたなどの理由から実現には至りませんでした。その後、人口減少社会の到来、高齢化の進展、南海トラフ地震や、頻発、激甚化する大規模・広域災害への備えなど情勢変化も加味した新計画として、2019年3月に新大分県消防広域化推進計画を策定しています。 計画には、広域化に関して国が全県1区を理想的な消防本部の在り方としていることを踏まえ、段階を踏んだ取組も含め、実現可能性のある組合せを県内14消防本部で検討、協議していくこととし、当面は消防指令業務の共同運用実施に向けた検討を優先するなどの取組方針が掲げられています。 消防指令業務の共同運用は具体的な準備段階に入ったわけですが、人口減少、災害の大規模化、高齢化に伴う救急需要増加など消防行政を維持していくためには、さらに踏み込んだ広域化も必要になるのではないかと考えられます。そこで、消防広域化の必要性や具体的な構想など、防災局長の考えを伺います。 ○御手洗吉生議長 梶原防災局長。 ◎梶原文男防災局長 消防力の強化策の一つとして、国が推奨する自主的な消防広域化については、本県としても、県民の生命、財産を守るため、各市町村の意向を確認しながら、議論を重ねています。 2008年の旧計画策定は、大多数の消防本部が広域化を経験した平成の大合併直後であり、さらなる広域化の協議は具体には調わないまま推移しました。そうした中、東日本大震災以降は、非常時に備えた相互応援体制の強化を図っており、この取組は平成30年の中津市耶馬溪町での斜面崩壊の対応等にも生かされています。 こうした実績を踏まえ、2019年の新計画策定に際しても、相互の連携、協力体制の強化を優先することとしています。その具体策として、県としても、まずは消防指令業務の共同運用を進めることとし、令和6年度の運用に向けて全面的に後押ししています。 今後も県民が安全、安心な暮らしを続けられるよう、市町村と連携しながら、引き続き消防力の強化を支援していきたいと考えています。 ○御手洗吉生議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 ありがとうございます。今のお話だと、当面これ以上の広域化を進める計画、あるいは構想はないということでよろしいですか。 ○御手洗吉生議長 梶原防災局長。 ◎梶原文男防災局長 2019年の新計画には広域化という文言も入っています。しかしながら、さきほど申したように、今やることは指令業務の共同運用であろうと考えています。 さきほど議員が言われたように、いろんな不安とか質問が出ているようなので、この業務については、広域化については丁寧な説明とか議論が必要だと考えています。そういった意味でも、まずは共同運用を進めていくことが重要だということです。 ○御手洗吉生議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 ありがとうございました。実は、うちの義理の息子も消防職員で、現場の職員は体を張って県民の生命、身体、財産を守るために働いておられます。できるだけ安心して活動ができるように、情報提供を丁寧に進めていただきたいと思います。 今後とも人口減少が続く中、各部門でいろいろと大変な事態が起こっていることを改めて今回感じました。総合力を発揮し、役割分担を明確にしながら事業を進めていただきたいと最後にお願いして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。(拍手) ○御手洗吉生議長 以上で藤田正道君の質問及び答弁は終わりました。森誠一君。  〔森議員登壇〕(拍手) ◆森誠一議員 おはようございます。10番、自由民主党、森誠一です。本定例会においても一般質問の機会をいただいた先輩同僚議員の皆様に感謝します。また、本日も傍聴に来てくださった皆様、また、動画視聴してくださっている皆様、ありがとうございます。 先月末、県議会の大先輩でもある大分県畜産協会長等を歴任された近藤和義元県議が御逝去されました。これまでの長きにわたる御功績に深甚なる敬意を表するとともに、心からの哀悼の意を表します。私どももその遺志をしっり受け継いでいく所存です。 本日は、本会議の冒頭に決議されたロシアによるウクライナ侵攻に抗議する決議について、私自身も発議者の一議員として皆様と共に改めて今回の軍事侵略に断固として抗議し、政府に対しウクライナへの支援を強く要請する次第です。今回の全国の地方議会における非難決議は、議会の態度をしっかりと示す非常に重要な決議と認識しています。 それでは、一般質問に入ります。皆様の御答弁をよろしくお願いします。 まず初めに、DXを用いたデータ分析による政策県庁の実現について伺います。 今回のコロナ禍においては、医療はもとより、社会生活、経済活動など多くの分野が前例のない事態に直面し、行政はそれらの課題に関して迅速な対応が求められました。政策決定やその実行にはスピード感が必要となりますが、その効果についてはエビデンスを基に検証し、また素早く新たな状況に対応していくことが重要です。よく言われるPDCAサイクルを素早く回転させることが適切な政策効果を県民にもたらすことにつながります。正に今回のコロナ禍においても、知事をはじめ、執行部の皆様には政策決定と効果検証のはざまで大変な御苦労があったかと思います。 政策立案と実行過程において、現在、政府においても一つの手段として活用されている考え方がEBPMです。エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキングの略であり、エビデンス、つまり根拠に基づく政策立案と訳されます。一般的には、勘や思い込み、エピソードだけでなく、政策とその効果の関係が統計学の手法により、できる限り客観的に検証されたエビデンスに基づいて政策が立案されることと表現されます。つまり、データの分析を行い、効果を予測して政策決定を行い、実行した政策が思ったとおりの効果を発動しているのかを検証して、次の政策決定につなげるといったPDCAサイクルの回転にデータ分析を組み込む手法です。 既に県庁内でもこれらの手法を用いた政策立案がなされているかと思いますが、決算特別委員会などの審査で事業の評価、検証結果を伺うと、本当にエビデンスに基づいた施策が展開されているのか疑問符がつく事業が見受けられました。 一方で、このEBPMの手法は、ここ数年、国や各県で取り入れられていますが、効果とエビデンスの関係性にとらわれ過ぎて、無駄な資料の作成や県民目線の政策とずれたデータを用いた分析がまかり通るのではないかとの懸念もあります。これらの点は、今後デジタルトランスフォーメーションの活用などで改善されていくのではないかと私は期待しています。 昨年6月14日、大分県DX推進本部会議が設置されました。DX推進戦略の策定や全庁的DXの指揮、そして、KPI管理などが本部長である知事の下に意思決定がなされる体制となっています。 DX推進戦略骨子の中では、計画の目的を、県民本位の県政、持続的発展が可能な地域社会の実現を図るため、データとデジタル技術を県行政に積極的に活用し、県民のニーズを基に行政サービスや制度、組織を変革するDXの推進について、全庁を挙げて組織的かつ横断的に推進するとしています。推進戦略自体の目標とKPIには、全ての施策でDXを当たり前に、DXによる施策立案、実行を行う本庁所属数100%と示されています。また、そのDX施策の認定基準として、デジタル技術等の収集、利活用や県民目線での政策立案がなされているかが要件となっています。私はこのDX施策における施策の評価と立案過程におけるDXの推進は非常に重要だと考えています。 政策県庁として、そして、全庁的な課題として、政策効果を高めていくことは今後も重要です。例えば、安心・活力・発展プラン2015推進委員会などのプランニングの場や大分県行財政改革推進委員会などのチェック検証の場などにおいてデータを基に説明されているとは思いますが、DXを推進し、効果とのひも付けを行い、政策効果のエビデンスとなっているのかをしっかりと検証していくことが政策県庁の実現に資すると考えます。今後の政策立案におけるデータ分析活用についてどのように取り組んでいくのか知事に伺います。 以降は対面席から行います。  〔森議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○御手洗吉生議長 ただいまの森誠一君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 冒頭、近藤元県議の御逝去についてお話がありました。私からも慎んで哀悼の意を表します。 さて、DXを用いたデータ分析による政策県庁の実現についてという大変難しい御質問をいただきました。 時代の変化を捉えた政策形成にあたっては、一方でアンテナを高く掲げながら、他方で現場主義を徹底して、客観的な根拠に基づく政策を見いだしていくことは大変重要だと思っています。 しかしながら、実際のところ政策によってデータに基づいた立案をしたり、評価をしたりできるものと、そうでないものがあるような感じがします。そこのところはなかなか難しいわけです。例えば、小規模集落対策は、非常に急激に人口が減っている地域に対して対策を打とうということですが、そこの集落のために道路を整備するとか、あるいは集会所を整備すると、それは集落対策として大事なことであるかもしれませんが、人口が急激に減ってきているところにそういうことをやることについては、データ的にはなかなか必要性が現れてこないものかもしれません。しかし、そういう場合でも県民の思いを大切にして取り組まなければならない場合もあり、政策立案に対して、できるだけよりどころになるデータを探しながら実態に合った政策を行っていくことが大事ではないかと思います。 データエビデンスの重要性を否定するものではありませんが、なかなかデータエビデンスを見付け出すこと自身が難しい場合もあり、いろいろ我々もこれから研究を重ねていきます。 また例えば、男性が全国1位に輝いた健康寿命の延伸においては、健診やレセプトデータなどを活用し、生活習慣病対策などの保健事業を実施するデータヘルスを推進しています。さらにまた、人口動態の性別、年齢別、地域別分析により、福岡への若年層の転出に着目し、拠点施設dot.を開設し、UIJターンを促進しています。こういった効果もあり、開設前に比べ、福岡県からの移住者だけでも約2割増となっています。こういうものは、やはり議員おっしゃるようなEBPMの非常に成功例ではないかと思っています。 折しも行政の場においてDX、デジタル革命の波が押し寄せており、この流れをしっかりと捉えて、行政の高度化を図っていく必要があると考えています。このため、今後の政策県庁の実現に向けては、次の点に意を用いて取り組んでいきます。 第1は、DXの基礎となるデータの収集と利活用の環境整備です。現在、各所属にある様々なデータを共有し、加工のしやすさと見える化を可能にする共通基盤の構築を進めています。来年度末から順次実装し、分野横断的な比較分析などを行って、政策の効率的な立案につなげていきます。 第2は、DX時代に対応した人材育成の強化です。変革著しい時代にあって、県職員のさらなるスキルアップも重要です。複雑、高度化する情報を分析し、県民ニーズを捉えた政策立案を行うために、民間企業と連携したDXの研修や統計データの利活用に関する研修など、その充実を図ります。また、より高度なスキルが求められるデジタルマーケティング等については、外部専門人材の力も取り込みながらレベルアップを図っていきます。 行政においてDXを推進するにあたっては、DXだからこそできる施策の迅速な検証と見直しも大事です。例えば、飲食店の時短要請協力金では電子申請にも取り組み、電子申請率7割、支給までに2週間程度での支払いを実現しました。全国で最速だったのではないかと思います。アンケートで申請者の声を聞き、システムを随時見直すアジャイル手法により満足度も9割を超えました。このように、必要に応じて施策を柔軟に見直す手法も取り入れています。 今後もPDCAそれぞれのデータ活用に加え、データだけでは把握しづらい県民の声にも一層耳を傾けながら、そしてまた、それもできるだけデータ化しながら、県民中心のDXにより、安心・活力・発展の大分県づくりを力強く進めていきます。 ○御手洗吉生議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 知事ありがとうございました。冒頭知事からあったように、アンテナを高く、現場の視点で県民に寄り添った施策を実現するには、やはりそういう部分が大切だと思います。決してデータだけではない部分があるのを私も認識していますが、それで、あえて今の行政のDX等に関して今の立場をお聞きしました。 今、知事からあったように、DXによるデータの収集、また、今回の飲食店等の時短要請のときにあった電子申請等の、いわゆるDX化のいろんな施策がある中で、人材の育成にも触れていただきました。今後、政策県庁を実現していくには、DXを使いこなせる人材、データサイエンティストとも呼ばれる職種になるかと思いますが、そういった人材の確保が必要になると思います。デジタルを使いこなした上で変革を起こせるような政策集団として、ぜひ県庁の職員の皆様には御活躍いただきたい。そのための人材育成をどうやっていくのかもしっかり考えていく必要があると思います。 特に行政のDXについては、本年度から総務部行政企画課内に電子自治体推進室が設置されました。県庁のデジタル化の総合企画を行う要としての役割を担うことになっています。キャッシュレスや手続の電子化だけでなく、ICT人材育成も含め、県庁内のDX推進の調整役として総務部の役割は、県庁内において、また、それぞれの部局をつなぐ面で大変重要だと考えますが、総務部長に見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 正に今年度の組織改正において、一つは電子自治体推進室を新たに設置しましたが、それにあわせて、商工観光労働部にもDX推進課を設置しました。デジタル化の話とDXの話、両方をしっかり推進していかなければいけないので、デザインシンキング研修、そういったものを含めて今研修を商工観光労働部と一緒になりながらやっています。 ○御手洗吉生議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 商工観光労働部にDX推進課が設置されたのは承知している中で、大分県としてDXを進めていく中で、やはり総務部が中心となって、施策立案等の部分については政策企画課、いわゆる企画振興部になると思います。そして、県民にDXの利益をもたらす部分においては商工観光労働部が中心になると思います。総務部がやるべき部分は、そういった調整の部分で、いかにデータを生かすかとか、いかに連携させていくかという部分が大事だと思っています。 そういった意味での人材育成と総務部電子自治体推進室の在り方は重要だと思いますが、再度その点を踏まえて回答をお願いします。 ○御手洗吉生議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 商工観光労働部のDX推進課においては、民間だけにとどまらず、県庁の行政も含めたDX化について全体的な御指導をいただいており、その中で行政のデジタル化の部分については総務部の電子自治体推進室でやっているという関係です。 いずれにしても、総務部だったり、企画振興部だったり、商工観光労働部、各部にまたがる課題なので、各部の連携をうまく取りながら推進していきます。 ○御手洗吉生議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございます。これからDXは非常に重要になってくる施策だと思うので、ぜひ連携しながらの推進、それがまた県民に利益がもたらされるような施策の立案に向けてやっていただきたいと思います。 それでは、次に移ります。 次は、地域の医師確保とオンライン診療の普及について2点伺います。 まず、医師確保について伺います。 今年1月中旬からオミクロン株による第6波となる感染拡大の波が押し寄せてきました。今回の感染拡大にも、県は一丸となって、まん延防止等重点措置の国への要請、医療機関の病床や宿泊療養施設の確保、営業時間短縮の要請に応じた飲食店等への協力金給付と迅速に対応していただきました。 この間、特に大変だったのが病院をはじめとする医療従事者の皆さんであったことは言うまでもありません。こうした感染症の際はもちろんですが、貴重な人材である医療従事者の皆さんなしには日常生活を送るにも支障があります。まずはこうした方々の確保こそが最優先であると考えます。 令和2年に発表した県外来医療計画によると、本県の医療施設に従事している医師数は、人口10万人当たりで見ると275.2人と前回調査より6.7人増で、全国平均の246.7人を上回っています。しかしながら、二次医療圏ごとに見ると、大分市を含む中部、別府市を含む東部については全国平均を超えていますが、残念ながらそれ以外の医療圏では全国平均には及ばず、私の地元豊肥医療圏が206.9人とかろうじて200人を超えています。基になっている厚生労働省の医師・歯科医師・薬剤師統計を経年で追ってみると、平成20年よりこの方、県全体として医師数を年々伸ばしてきているのは医師確保政策が奏功したものであり、今後もこの方向で政策を展開していただきたいと思いますが、一方で、地域の偏在の是正についてもう一歩踏み込んでいただきたいと思います。 特に専門医のうち救急医については、しっかりと取り組んでいただきたいと考えています。現在、各救急医療圏において指定医療機関が救急の受入体制を組んで対応していますが、専門医の数は足りていないと伺っています。特に竹田、豊後大野、中津の各救急医療圏では救急医が不在で、内科、外科の医師が連携して対応している状況です。今定例会において県医師研修資金貸与条例を改正し、対象診療科に救急科を追加したのはこうした救急医を育成することを目的にしていると伺いました。その運用に期待しますが、県として、医師の地域間の偏在是正を含め、今後の医師確保に向けた政策をどのように展開していくつもりなのか、知事の見解を伺います。 続いて、オンライン診療の普及について伺います。 新型コロナウイルス感染症が流行し始めてから2年を超え、足かけ3年目を迎えています。全世界において、地域差もなく、ほぼ同時に2年以上も蔓延した感染症はこれまでも例を見ないのではないかと思います。それだけグローバリゼーションが進展し、地球上の人と人とが接触する機会が多くなったことが背景にあると思いますが、同時に、こうしたパンデミックの危険性は、この感染症の例からも分かるとおり非常に高くなってきています。 この間、感染症に対して最前線で奮闘された医療関係者の皆さんの御尽力には心からの感謝の意を表します。コロナ禍では、こうした医療関係者の皆さんを感染症から守る手だてを様々講じてきたと思いますが、その中の一つにオンライン診療があります。 令和3年6月の国の規制改革実施計画では、初診からのオンライン診療を来年度より恒久化することが定められ、厚生労働省の検討会で取扱いについて議論がなされています。本県でも1月にオンライン診療を13の医療機関で実施されていると伺っています。感染症流行下においては、非接触で患者の状態が確認できるため、医療関係者の安全を担保できることや、専門性の高い医療を受ける際に交通の便を考えずに受診できること、さらには在宅医療で回診する負担の軽減など多くのメリットがある一方で、実際の診断をオンラインのみで適切に下せるのかという医療機関側の不安もあり、地域ごとに温度差が出ており、取組が進んでいない面もあると聞いています。 先端技術はこれからも問題点を解消しながら発展し続けていくと思います。技術的に可能であれば現場の医療機関とも連携し、対応可能な部分でオンライン診療を進めていき、県民全体が一定水準の医療を受ける機会を提供していく必要があると思います。 オンライン診療の普及についてどのようにお考えなのか、福祉保健部長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 まず私から、地域の医師確保についてお答えします。 県民の皆さんが住み慣れた地域で安心して暮らしていくためには、医療提供体制の充実が欠かせません。このことは今回の新型コロナ感染症の対応の中で強く再確認しました。この医療提供体制の充実を図る上で、地域医療を支える医師の確保が大変重要であり、地域や診療科における偏在解消に向けて、次の対策に力を入れていきます。 まずは、地域医療を志す医師の養成です。県では医師確保対策の柱として、自治医科大学の定員2人に加え、大分大学医学部に13人の地域枠を設けて、地域の中核病院やへき地診療所で勤務する医師を養成しています。 その結果、現在35人の医師が各地域で診察に当たってくださっており、地域枠医師が初めて勤務を開始した平成27年の16人から大幅に増加しています。来年度はさらに10人程度増やし、豊後大野市民病院等、これまで配置してきた10の病院に加え、竹田医師会病院など五つの病院にも新たに配置します。地域枠医師数がピークを迎える令和11年度には約70人が配置できる見込みであり、今後、医師の地域偏在は大きく是正されることが期待できます。 次に、議員御指摘の救急医の確保についても積極的に取り組んでいきます。救急搬送患者の約3分の2は高齢者が占めており、全ての団塊の世代が後期高齢者となる令和7年に向けて、救急医の重要性はさらに高まります。他方、県内の救急医は47人にとどまり、人口当たりでは九州で下から3番目の水準で、志望する医師もこの4年間に僅か3人という状況にあります。また、大分救急医療圏に26人が従事する一方、豊後大野や竹田など三つの圏域では一人もいないなど地域偏在も顕著です。 このため、来年度から医師研修資金貸付制度の対象に救急科を追加し、救急医の育成に急ぎ取り組みます。育成した救急医については、各救急医療圏に2人以上となるよう、大分大学医学部と連携して配置を進めます。 加えて、県外からの即戦力医師の確保にも力を入れていきます。県のドクターバンクおおいたには、県内はもとより、県外医師からの就職相談も寄せられています。今年度は、へき地勤務を希望する県外勤務医を竹田市のへき地診療所での就職につなげました。こうした事例が増やせるように、県出身医師などに対して定期的に求人情報を提供していきます。 今後とも大分大学医学部や関係医療機関と協力しながら、医師確保と地域偏在の解消に全力で取り組み、県民の皆さんが安心して生活できる医療提供体制の確保、充実に努めていきます。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 私からは、オンライン診療の普及についてお答えします。 議員御指摘のとおり、オンライン診療は、移動手段を気にせず自宅で受診できるメリットがあるほか、接触がないことから、コロナ禍における診療にも適しています。このことは、第5波のピークであった昨年8月の活用実績が19医療機関286件であったのに対し、感染が落ち着いた12月には10医療機関106件と減少したことからもうかがえます。 他方、診察手段が画面越しの問診に限られ、適切な診断に不安があるという医師の声もあり、今年度から実証事業を開始しました。 来年度は、活用の期待が大きいへき地において、精度の高い診断に向け、聴診音の遠隔伝達システムの試験を行うほか、先進事例紹介セミナーを開催し、より多くの医師の参入を促すこととしています。 また、在宅医療におけるオンライン診療を促進するため、訪問看護師が患者のベッドサイドで利用できるタブレットの導入経費を助成します。 このような取組を通じ、対面診療を補完するオンライン診療の有用性を医療機関側と患者側双方に認知いただくことで普及を図っていきます。 ○御手洗吉生議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。医師確保に向けての政策を聞きました。いろんな場面で手を打っていただいていることを確認しました。 今回の救急科の設置についても、医師会の皆さん等からもいろんな御要望がありました。我が自由民主党会派とも議論の中でそういった御意見をいただき、このことは今回予算に掲げられたことで、関係者の方からも非常にありがたいと伺っています。しっかりとこの制度が救急医の確保に向けて進んでいくことを願っています。 そういう中で、豊肥圏域においての問題を一つだけ伺います。 昨年10月、お産ができる唯一の産婦人科が19床の急性期病床を1床として、分娩や入院医療を行わず外来診療とすることとなり、実質的に豊肥医療圏でお産ができる病床がなくなりました。地域の方々からも心配の声を聞いていますが、県の医療政策の中でこの件についてどのように捉えているのか、福祉保健部長の見解を伺います。 あわせて、さきほどのへき地における実証事業について、どこを想定しているのかをもし答えられればお願いします。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 豊肥圏域の産科の廃止について、今後の対応も含めお答えします。 今、議員が言われたとおり、昨年10月に豊後大野市の産婦人科が分娩取扱いの廃止をされました。これは分娩数の減少に伴う経営不振を理由とするものであると伺っています。 県としては、豊後大野市や竹田市と産科復活の可能性について協議してきました。この協議の中では、県からは、5年前に廃止した豊後大野市民病院の産科の再開に向けた運営費の支援などの提案も行いました。 一方、地元紙によれば、中九州横断道路などの整備が進み交通の利便性が増す中で、従来から多くの方が大分市などの産科で分娩を行っているということで、廃止以降、現在も特段の支障は生じていないということでした。 また、分娩を取りやめた地元の産婦人科は、現在も妊婦健診や産後の健診は継続していることから、市としては産科の再開よりも、当該産婦人科と連携して母子保健や子育て支援の充実に力を注ぎたいという御意向でした。こうした地元の意向を踏まえ、県としては、今後改めて産科開設の動きがあれば必要な支援が行えるように、地域枠の医師や研修資金制度等を活用して産科医の確保、育成に引き続き力を入れていきます。 それから、来年度予定しているへき地を中心としたオンライン診療についてです。今年度、調整中ですが、国東市と竹田市久住の2か所で実施を検討しています。 ○御手洗吉生議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。広域圏域から分娩施設がなくなったのは地域にとっても非常に大きな課題であると認識していますが、それに対して知事、また福祉保健部長からもいろんな形で、こうしたらいいんではないかとかアドバイスもいただいていると聞いています。ただ一方で、地域の皆様にはそういった不安があることは確かです。いろんな政策を総動員して子どもを増やしていく、人口増に向けていく中で産科の重要性があるので、この後の議論でもそういった部分も含めて、今後の人口政策等についても話をします。 時間がないので次に移ります。 次に、こども政策における学童の保育について伺います。 政府において昨年12月21日、こども政策の新たな推進体制に関する基本方針の閣議決定がなされました。こども政策を強力に推進し、少子化を食い止めるとともに、常に子どもの最善の利益を第一に考え、こどもまんなか社会を目指すこども家庭庁の創設の方針を明らかにしました。 基本方針では、全ての子どもが安全で安心して過ごせる多くの居場所を持ちながら、様々な学びや社会で生き抜く力を得るための糧となる多様な体験活動や外遊びの機会に接することができ、自己肯定感や自己有用感を高め、幸せな状態で成長し、社会で活躍していけるようにすることが重要であるとし、そのため、家庭、学校、職域、地域などの社会のあらゆる分野の全ての人々が、学校等の場をプラットホームとして相互に協力しながら一体的に取り組んでいくとしています。 また、文部科学省の所管する教育行政の一体性を維持しつつ、これまでどおりの教育の充実が図られるとともに、こども家庭庁は全ての子どもの健やかな成長を保障する観点から関与し、両省庁が密接に連携して子どもの健やかな成長を保障するとされています。 この国の流れを踏まえた上で、今回、私が議論したいのが学童保育についてです。学童とか保育に関していろんな定義がありますし、児童福祉法第6条3の第2項の放課後児童健全育成事業を根拠とする放課後児童クラブだけで議論がなされがちです。 今回、私の議論でいう学童保育は、小学校1年生から6年生の児童を対象とし、学校の放課後だけでなく臨時休業の平日や夏休みなどの長期休暇における児童を対象とした保育と定義します。 全国で学童保育を利用している児童の数は、令和3年5月1日時点で134万8,275人、設置施設数は2万6,925か所となっており、大分県においては1万4,782人、403か所となっています。 創設予定のこども家庭庁では、さきほど取り上げた放課後児童クラブを所管すると明記されていますが、私はこれまでの国や県の施策において、学童保育、つまり学校以外における児童の居場所の制度設計において本質が抜け落ちていると考えています。特に課題なのは、夏休みなどの長期休暇です。利用者からは、利用したいが、例えば保育の開始時間が8時30分からでは仕事に間に合わないので、子どもたちを仕方なく家で過ごさせざるを得ないであるとか、運営側からだと、短期間の雇用契約の人材を捜さなければならないなど、それぞれにおいて不都合が発生しています。 この問題の本質は、我が国の社会に非常に重要である学童期の保育に関することが法的に明確化されていないことです。そのため、学童保育の現場において、常に場当たり的な運営を余儀なくされています。これらの要因により、人材不足等に対応できない。人材が集まらないので弾力的な運営時間の設定などができていない負のスパイラルに陥っているのではないでしょうか。 学童保育は放課後だけでなく、夏休みなどの長期休暇において、児童や保護者の方々にとって今やなくてはならない居場所です。しかしながら、これまでの施策決定の経過に振り回されて、根本の課題解決ができていないと考えます。県として現実をしっかり認識し必要な施策を講じていくとともに、こども家庭庁の創設を見据えた国への働きかけをしていく必要があると考えますが、見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 こども政策における学童の保育についてお答えします。 学童期は、子どもの自主性や社会性の向上、基本的な生活習慣の確立等において重要な時期であり、この観点から、放課後児童クラブは子どもの健全な育成を図るための場として重要な役割を担っています。 県内では、クラブの66%が保護者会等の任意団体によって運営されていることや、夏休みなど時期により就業時間が異なることなどから、人材の確保や育成が課題となっています。 このため県では、労務管理マニュアルの配布や社会保険労務士の派遣により、就業規則の整備や社会保険の加入など労働環境の改善を図るとともに、支援員の資格取得や資質向上のための研修を行っています。 また、創設予定のこども家庭庁が子どもの居場所づくりを強力に推進するとしていることも見据え、国に対し引き続き運営費の補助単価や補助率の引上げ、さらには利用料の無償化を要望していきます。 今後も放課後児童クラブが発達段階における子どもたちの安全、安心な居場所として、その役割を果たしていけるよう、市町村と連携して安定的な運営を支援していきます。 ○御手洗吉生議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。この課題に関しては、一昨年、私がこの議場において取り上げた内容である放課後児童クラブについて、コロナ禍において学校が休みなのに開けなければいけないということで非常に現場で衝撃が起こった。その後、いろんな整備がなされていますが、例えば、言葉の問題として、放課後児童クラブなので、放課後だけしかないんではないか。よく話を聞くと、実は夏休みもちゃんと措置されているよと、そこまで聞かないと分からない状況でいいのかどうか。これも含めて、今回、こども家庭庁の創設があるので、しっかり県から現場の声をぜひ上げていただきたいと思います。 関連するので、次の質問に移ります。 ヤングケアラーへの支援です。こども家庭庁の政策において、ヤングケアラーの支援についても言及されています。 ヤングケアラーは、本来大人が担うと想定されている家事や家族の世話などを日常的に行っているため、やりたいことができていないなど、子ども自身の権利が守られていないと思われる子どもであり、年齢や成長の度合いに見合わない重い責任や負担を負うことで、本人の育ちや教育に影響があるといった課題が指摘されています。また、家庭内のデリケートな問題であることから表面化しづらく、社会的な認知度も低いため、周囲の大人だけではなく、ヤングケアラーに該当する子ども自身に自覚がない場合も多いため、それが適切な支援に結び付いていないことが問題です。 昨年4月に国が公表したヤングケアラーの実態に関する調査研究においては、世話をする家族がいると回答した割合が中学2年生で5.7%、高校2年生で4.1%でしたが、その中で世話について相談した経験があるは2割、ないが6割となっています。また、ヤングケアラーという言葉そのものを聞いたことがないが8割以上を占めています。これはヤングケアラーの認知度が低く、実態が潜在化していることを裏付けています。 また、昨年10月に本県が独自に行った小学5年生から高校3年生までの児童生徒約8万人を対象とした実態調査では、家族の世話をしていることで困り事を抱えている児童生徒が約1千人いることが推計されるとの結果も出ています。 潜在化しがちなヤングケアラーの早期発見は重要ですが、一方で、子どもの中には、家族の状況を知られることを恥ずかしく思ったり、逆に家族の世話にやりがいを感じている場合もあるため、支援の際には子どもの気持ちに寄り添うことも重要です。子どもたちの悩みをまず受け止める場所は、毎日通う学校ではないかと考えます。このため、ヤングケアラーの対応については、学校教育現場と福祉とが連携して取り組むことが不可欠だと思います。 本県では、独自調査の結果も踏まえて、ヤングケアラーに対してどのような支援に取り組んでいくのか、福祉保健部長の考えを伺います。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 ヤングケアラーへの支援についてお答えします。 本県では、教育現場の協力を得て、広範かつ詳細な8万人の全数調査をいち早く行い、72%という高い回答率を得ることができました。分析の結果、世話をする家族がいると答えた子どものうち、71%がその悩みを誰にも相談したことがないとしており、さらに、その3分の1は話を聞いてくれる相談相手がいないということでした。 そこで、この4月から電話とSNSの専用相談窓口を開設し、悩みを抱える子どもたちが気軽に相談できる環境を整備したいと考えています。 また、そもそもヤングケアラー自体を知らないとの回答が70%となり、認知度が低いことも分かりました。このため、県民フォーラムやブロック単位の研修会等を開催し、子どもはもとより、周囲の大人たちにも周知、啓発を図っていきます。 また、今回の調査と同様に、ヤングケアラーの対応には引き続き学校現場との協力が不可欠であり、教職員等に対する研修やヤングケアラーの元当事者による出前授業など、教育委員会と連携して進めていきます。 これらの取組により、ヤングケアラーの過度な負担を軽減し、子どもらしく伸び伸びとした生活が送れるよう、既存の福祉サービスも活用して、しっかりと支援していきます。 ○御手洗吉生議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。このヤングケアラーの実態について、アンケート調査で県内の状況が少し分かり始めた。ただ、まだまだ子どもたちが抱え込んでいる部分があるんではないかということです。 さきほどお話しした放課後児童クラブの運営をされている方からも聞きましたが、放課後児童クラブも料金が月に5千円、6千円かかるところと、年間2千円で済むようなところ、入りたくても入れないような方もいらっしゃる。今3割の方が県内で放課後児童クラブを利用していますが、その中で、もしかしてヤングケアラーとされる子どもたちが、実際に放課後児童クラブに来られなくて自宅でお世話をしているとか、そういったヤングケアラーの子どもたちも救えるんではないかという話も児童クラブの運営協議会の中でなされていると聞いています。まだまだ実態が把握できない部分のヤングケアラーの子どもたち、それと連動した福祉政策が今後非常に重要となります。 そういう中で、今のことに関する見解と、実際に今回のヤングケアラーの強化事業費で、個別訪問とか市町村への助成がほぼ予算の大半を占めています。これについて具体的に教えていただきたいと思います。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 ヤングケアラーの問題については、今回の調査でいろんな課題が浮かび上がってきました。今、議員御指摘のとおり、一人一人のケースによって様々な事情、背景があります。議員がおっしゃられた放課後児童クラブの活用も一つの解決策につながるのではないかと考えていますので、個別の事例をさらにつぶさに分析し、いろんな方策を今後検討していきます。 それから、今回のヤングケアラー事業の中身です。今回の事業については、内容的には、全ての児童生徒に対して相談先のカード、リーフレットを配布して、どこに相談したらいいかを周知すること、それから、ヤングケアラーアドバイザーを設置して、個別にいろんな啓発の手法や助言を行政に対して示していただくことを考えています。また、相談窓口として、いつでも子育てホットラインの相談員を活用して、24時間体制365日対応で相談窓口を設置する予定にしています。 さらに、基本的にいろんな福祉の既存制度があるので、そこにいかにつなげていくかが大事ではないかと思うので、その辺を市町村と連携して進めていきます。 それから、市町村事業、家庭養育ヘルパーの派遣事業がありますが、これについてはモデル的に一部の市町村で実施する予定にしています。 ○御手洗吉生議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。あえて放課後児童クラブ事業等の話をしました。 放課後児童クラブの事業については、今、大分県において年間8億円ぐらい措置がされて運営費等に充てられています。こういったヤングケアラーの実態把握等、子ども・子育て支援の充実こそが県の人口増対策につながっていくと思います。保護者の方が安心して子どもを預けられる場所、そういった児童クラブの位置付けが明確でないという、今回大きな私自身の課題を示して、ここまでの質問を終わります。 それでは最後に、ツーリズムに関して質問します。 現在改定中の第4期ツーリズム戦略について伺います。 令和元年、ラグビーワールドカップの年の県内の延べ宿泊者数は最高の約790万人で、その年のじゃらん宿泊旅行調査において、旅行後の来訪者の総合的な満足度で初の全国1位の評価がなされました。評価のポイントとして、魅力的な宿泊施設の多さ、子どもが楽しめるスポットや施設、体験の多さ、地元の人のホスピタリティが挙げられています。 しかしながら、その翌年の令和2年以降、現在まで続くコロナ禍において、旅行業、宿泊業をはじめとする観光関連事業者は売上げの激減により経営の危機に直面しました。この間、県においても雇用調整助成金の支給や中小企業・小規模事業者応援金の給付などの事業継続支援や、新しいおおいた旅割の実施などにより観光事業者の下支えがなされてきました。 一方で、ツーリズムに関する意識の変化がコロナ禍の約2年間で現れてきました。一つは、感染症や災害のリスクを想定した経営が重要であることの気付きです。観光産業の裾野の広さから、業界だけでなく行政の支援も重要なことが明らかになったと思います。 二つ目は、国内旅行や県内旅行が再認識されたことです。足下を見つめ直し、その価値を改めて感じることができたことは、今後の観光素材の磨き上げにおいて様々なヒントを与えてくれました。これらの意識変化に加えて、宇宙港などの新たなコンテンツが加わったことやDXの導入、活用は、ポストコロナにおける大分県観光の反転攻勢の原動力となると考えます。 先般、姫島と豊後大野の2回目の日本ジオパーク再認定審査がありました。再認定の報告を先日知事にもしましたが、審査において大分県の地域資源が高い評価を受けました。このように県内各地の温泉資源を含め豊かな自然は、本県の最大の強みです。また、自然を活用した体験型アクティビティーも注目され始めています。 第4期ツーリズム戦略において、特に地域素材の磨き上げと多様化する旅行者ニーズにいかに対応するのか、向こう3年間の取組に対する方針について伺います。 続いて、アウトドアガイド認証制度について伺います。 昨年の第4回定例会で、衛藤博昭議員の一般質問で北海道のアウトドア振興条例やアウトドアガイド資格認証制度を例に、大分県におけるアドベンチャーツーリズムの取組についての提案がなされました。アドベンチャーツーリズムは、アクティビティー、自然、文化体験の三つの要素のうち、二つ以上で構成される旅行形態と定義されています。 改定版のツーリズム戦略においても、地域資源を活用した取組として、アドベンチャーツーリズム推進が明記されています。また、今回、当初予算案のツーリズム推進基盤強化事業の中に自然型観光コンテンツの安全性確保等に資するアウトドアガイド認証制度の創設が盛り込まれており、私自身、大変期待しています。 近年のアウトドアブームは、コロナ禍において、運動不足解消や気持ちのリフレッシュなどを期待して裾野拡大を加速したとも言われています。 県内でも魅力的なアウトドアコンテンツがたくさんあります。清流を生かしたリバートレッキング、キャニオニングやパックラフト、ダム湖を活用した耶馬溪アクアパークの水上スキー、森林資源を生かしたフォレストアドベンチャー、くじゅう連山や祖母傾山系など魅力的な山々での登山、ハイキング、美しい景観を貫く道路網でのサイクリング、海での釣りやダイビング、また、キャンプや豊後大野でのサウナ体験なども大分の魅力的なアウトドアコンテンツと言えると思います。 これら県内各地の様々な魅力あるコンテンツの賦存量や、それらのアクティビティーの運営事業者の把握は現在どのように行われているのでしょうか。また、大分県を訪れた方にどのような方法で紹介できているのでしょうか。安心安全が担保されたアクティビティーとなっているのでしょうか。 アウトドアガイド認証制度の組立てにおいては、これまで20年以上制度を運営してきた北海道の事例に学びつつ、大分県の特性や課題をしっかりと踏まえた上で、大分県だからこその制度設計がなされることを期待していますが、今後の認証制度施策に関する具体的なスケジュールと内容について伺います。 ○御手洗吉生議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 二つ御質問いただきました。 まず最初に、多様化するツーリズムへの対応についてお答えします。 第4期ツーリズム戦略を推進する3年間は、コロナ禍で停滞する観光産業の復活、そして、躍進に向けた重要な期間です。大分が誇る豊かな地域資源を生かし、再び多くの旅行者が本県を訪れる取組の推進が必要です。 まず、大分ならではの観光素材の磨き上げを促進します。例えば、宇宙港は新たな素材として期待されています。県では観光事業者を対象としたセミナーやワークショップを通じて、宇宙をテーマとしたコンテンツづくりに取り組み、観光需要を創出していきます。 また、旅行者ニーズの変化を捉え、成長が見込まれる分野への誘客に取り組んでいきます。例えば、コロナ禍を経て、現地でしか触れることができない芸術文化の価値や、感染リスクが低く、心身のリフレッシュができる自転車の魅力が見直されました。 そこで、東アジア文化都市2022などを活用したカルチャーツーリズムやツール・ド・九州2023を契機としたサイクルツーリズムなどを展開していきます。 これらを推進していく上で、地域の前向きな取組への後押しが不可欠です。地域一丸となって行う課題解決や観光素材の磨き上げに対しても積極的に支援していきます。 続いて、アウトドアガイド認証制度についてお答えします。 アウトドアコンテンツやその提供事業者の情報は、主に市町村や観光協会から提供を受け、情報誌やホームページ等で紹介するほか、観光素材として旅行業者やメディア等に提供しています。 アクティビティーの安全安心に向けては、事業者それぞれが安全講習の受講や保険加入等で対応している状況です。 こうした現状を踏まえ、本県のアウトドアコンテンツのさらなる充実や安全性確保のため、北海道の取組も参考にしつつ、アウトドアガイド認証制度を創設します。 まずは、コンテンツ提供事業者や旅行業者、有識者等で構成する委員会を設置し、対象とするアクティビティーや手続、実施体制等を検討していきます。検討する過程で、県内のコンテンツ提供事業者の実態把握や現場のニーズ等に関するヒアリングを進め、委員会の議論に反映していきます。 認証ガイドには、事故の未然防止や緊急時の対応、豊かな自然環境の魅力や大切さを観光客へ伝える役割等を期待しています。本県観光の強みでもあるおもてなしを磨き上げる仕組みづくりもあわせて検討していきます。 5年度には認証ガイドによる案内を開始できるよう、体制づくりを進めていきます。 ○御手洗吉生議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。お手元に資料を配っています。これは北海道のアウトドアガイド認証制度によるものです。 今お話があったように、大分らしい制度設計をしていくことは必要だと思います。例えば、アウトドアという言葉の定義とか、あとベースとなるものとして、北海道においては推進条例があったり、条例に基づいて策定された推進計画があります。本県においても、アウトドアガイド認証制度自体を裏付ける条例を設けることが非常に重要だと考えます。これについて1点伺います。 もう一点、これは関連する生活環境部ですが、令和4年度予算案に山の日レガシー事業として、山や海、川のアクティビティーやキャンプ場等のアウトドア情報に特化したWebサイトの開設が盛り込まれています。ぜひ今回、観光局と連携した事業展開により、魅力ある大分の資源を発信していただきたいと思います。 アドベンチャーツーリズム推進に関して、生活環境部の知見を生かした取組が重要だと思いますが、生活環境部長の見解も伺います。 ○御手洗吉生議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 アウトドア活動を推進するための条例の制定について御質問いただきました。 本県の観光振興の基本条例であるおんせん県おおいた観光振興条例には、自然などの地域資源の観光資源への磨き上げやその活用、保護などの規定があります。このため、現在のところはアウトドア活動の振興に特化した新たな条例を制定することは考えていません。 この制度がアウトドア活動の活性化に効果を発揮するように、関係事業者へのヒアリングを進め、検討委員会で議論していきます。 ○御手洗吉生議長 磯田生活環境部長。 ◎磯田健生活環境部長 アドベンチャーツーリズムの推進についての見解をということです。 アドベンチャーツーリズムのうち、アウトドアで自然を活用して行うものについては、昨年の山の日の実績があるので、この知見を生かし、エコパーク、ジオパークと共に、このコンテンツをしっかり生かしていけるようにやっていきます。 また、アウトドアガイドについては、私どもでもそういった専門家の方がたくさん山にいますが、スイスのツェルマットの山田桂一郎さんの話だと、こういった自然を生かして観光をやっていくためにはストーリーが非常に重要だと。そのためには、そのストーリーを語るガイドの存在が不可欠であるとおっしゃています。ツェルマットでは、民間団体でこういう団体をつくっていますが、大分県では行政やツーリズムおおいた、あるいは市町村の観光協会と一緒になり、観光局と一緒になりながら制度設計からしっかり取り組んでいきます。 ○御手洗吉生議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。北海道にもジオパークがあり、認証制度の資格を持ったジオパークガイドもいらっしゃいます。そういったストーリーを語れるガイドがいることは、その地域の価値がもっともっと高まっていくことにつながると考えます。このことに関して、さきほどあったように、生活環境部、観光局が連携した取組、そのベースとなる部分、では、アドベンチャーツーリズム、アウトドアという言葉の定義がどうなのか、こういうところもぜひ議論していただきたいと思います。(拍手) ○御手洗吉生議長 以上で森誠一君の質問及び答弁が終わりました。 暫時休憩します。     午後0時3分 休憩  -------------------------------     午後1時 再開 ○三浦正臣副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。猿渡久子君。  〔猿渡議員登壇〕(拍手) ◆猿渡久子議員 皆さん大変お疲れ様です。日本共産党の猿渡久子です。 質問に入る前に一言申し上げます。 ロシアのウクライナ侵略に抗議し、ロシアは直ちに撤退させることを求めます。核兵器の使用も威嚇も原発への攻撃も、また、日本の核共有も絶対に許せません。戦争はやめろと一緒に発信しましょうと呼びかけたいと思います。 では、一つ目の質問、中小事業者への支援策の強化についてから質問に入ります。 コロナ禍でこの2年間、苦労を重ねながら頑張ってきた中小業者の経営状況は本当に深刻です。別府の喫茶店の方は、営業時間短縮要請協力金の対象外で、今日も売上げが最低を更新したと、また今日も更新したという状況だと話しておられます。仕入れて、準備して、廃棄しての繰り返しでモチベーションが落ちる。第6波は本当に厳しい、次の波が来たらもたないと訴えておられます。 私たちが皆さんにお願いしたアンケートに110件の回答をいただきました。経済的影響についての問いに、収入が減ったという項目にチェックが一番多く、次に物価高の項目です。改善が必要だと思うことについての問いには、消費税の減税、インボイス制度の中止が一番多く、次いで事業継続支援金の復活、次に復活支援金の増額の項目に多くのチェックがありました。 記述欄には、夜の街が止まると飲食店の方の利用が多い美容室やクリーニング等の売上げの減少が大きい、また、外出が減り、婦人服が売れず、大きな被害を受けているなど、多様な職種から時短協力金の対象外の方の不公平を訴える声が多く寄せられています。 毎月赤字だという声や、毎月の支払が滞るくらい逼迫している、病院代がなく病院にも行けない、ガソリン代が高過ぎるという声、あるいはガソリンの二重課税、収入減、物価高による生活苦、苦しいのは子育て世代だけではないなど、政治への不満の声も切実です。 この声に応え、暮らしを支えるのは地方自治体の仕事です。観光誘客の旅割やプレミアム商品券も大切ですが、これまでも繰り返し求めてきたように、中小零細業者にあまねく支援が行き渡ることが必要であり、次の対策を求めます。 一つ目は、事業継続支援金の復活と限度額の引上げと家賃などの固定費への助成、二つ目は県税の減税、三つ目は融資の返済額の減免です。中小零細業者は、政策金融公庫、県制度資金、民間の融資などを受け、何とか乗り切ろうとしています。今後、返済の本格化が予想されますが、県制度資金の返済額の減免が必要です。あわせて、条件変更した場合には柔軟な対応を取るよう金融機関に徹底することも必要です。 県経済の主役である中小零細業者への支援強化を求めます。知事の見解を伺います。 続けて二つ目、知事の退職手当についてです。 知事の1期4年間の退職手当は3,240万7,961円です。この額が4年ごとに税金から支給されます。私は、選挙のたびに首長に高額の退職金が支払われることを知ったときに本当に驚きました。 一方、県民はコロナ禍で苦労し、実質賃金が減り、年金も生活保護費も引下げが続いています。ステイホームで光熱水費がかさむ上に食料品や灯油代、ガソリン代などの物価上昇が深刻です。以前から多くの低所得者は、電気代も灯油も辛抱して、暗くなったら布団に入って真っ暗な中で暖を取る、こういう状況を多く見聞きします。介護保険料引上げも繰り返され、県民の暮らしは困窮する中で、75歳以上の医療費窓口負担を10月から2倍に引き上げようとしています。 私たち生活と健康を守る会は、低所得者への灯油代の助成を県に要望しましたが、県独自の対策は考えていないという回答でした。 大分県は、東アジア文化都市に指定されました。県民がこれだけ困窮している中で、文化都市と言えるのかと私は思います。文化都市というなら、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」という憲法25条にのっとって、誰もが人間らしい生活が送れるようにすることがまず必要ではないでしょうか。 この状況下で、4年ごとに3,240万円を超える知事の退職手当は大幅に引き下げるべきであり、知事の政治姿勢として県民の苦しみに寄り添う姿勢をここで示すべきだと考えます。知事の見解を伺います。  〔猿渡議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○三浦正臣副議長 ただいまの猿渡久子君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 猿渡久子議員の御質問にお答えします。 初めに、アンケート調査の結果等も御紹介いただきながら、中小事業者への支援策の強化について御質問いただきました。 驚異的な感染力のオミクロン株は、県内景気の持ち直しに水を差し、社会経済活動へ新たな打撃を与えました。引き続き感染対策を徹底しながらも、これからは疲弊した社会経済を再起動させていく必要があります。 これまで本県では、事業継続支援金などにより、業種を問わず様々な事業者を支えてきました。支援金では、昨年5月と6月、または8月と9月のそれぞれいずれかの月で売上げが30%以上減少した事業者に対し、法人30万円、個人15万円を上限額として1万1,989者に約34億7千万円を給付しました。 本年1月31日から申請受付が開始された国の事業復活支援金は、昨年11月から今年3月までのいずれかの月で売上げが30%以上減少した事業者に対し、法人最大250万円、個人最大50万円を給付するものです。事業継続支援金と比べ、対象月が2か月から5か月に広がり、支援要件が緩やかで、給付額もより高額な手厚い内容となっています。 県では、事業継続支援金に代わる制度として、関係機関等を通じ、周知徹底しています。その結果、商工団体には2月中旬までに約1,200件の相談が寄せられており、引き続き伴走型でしっかりと支援を行っていきます。 県税については、事業者の経営支援を目的とした減免は、公平性の観点から慎重な検討が必要ですが、コロナの影響を受け、納税が困難な事業者に対しては、納税の猶予制度を適用しています。また、その際には、延滞金や担保を徴しないこととしています。 県制度資金の返済額減免については、資金の貸手である金融機関が事業価値や関係者の支援状況等を勘案して、事業再生に資すると判断した場合等に例外的に行われることがあります。しかし、返済が原則ですから、追加融資と合わせた借換えや緩やかな返済が可能な県制度資金の活用などを通じて経営改善を促すこととしています。 県としては、コロナ禍で厳しい状況を踏まえ、金融機関に対し、条件変更した場合も含め、実情に応じた最大限柔軟な支援を行うよう、これまでも適宜要請しています。 こうした事業者への直接的な支援策に加え、社会全体の景気刺激策として個人消費を喚起することも重要です。市町村と連携したプレミアム商品券による地域での消費喚起や、再開した新しいおおいた旅割などにより、移動自粛で蓄積した観光需要を取り込み、県経済の着実な回復を図ります。 引き続き市町村や商工団体等と連携し、中小企業、小規模事業者に支援策が行き渡るよう、必要な対策を講じます。 続いて、退職手当について御質問いただきました。 退職手当については、条例に基づき支給していますが、その算定方法は各県と同様です。その上で、退職手当の水準については、第三者機関である特別職報酬等審議会に諮問し、その意見の趣旨を尊重して決められています。これにより、平成19年度から約20%の引下げを行いました。さらに平成24年度は、一般職の状況を考慮して約15%の引下げを行うなど、諸情勢を踏まえながら、適正な水準となるよう対応してきました。 ○三浦正臣副議長 猿渡久子君。 ◆猿渡久子議員 今、中小業者のことについて、事業継続支援金等の答弁がありましたが、事業継続支援金は今ありませんよね。ですから、その復活を求めているわけです。その復活の考えがあるかどうか、御答弁を求めます。 それと、知事の退職金については、条例に基づき云々ということですが、審議会に引下げの方向で諮問してもらうということが必要かと思いますが、再答弁をお願いします。 ○三浦正臣副議長 高濱商工観光労働部長
    ◎高濱航商工観光労働部長 1点目の継続支援金についてお答えします。 昨年実施した事業継続支援金については、さきほど知事からも説明したとおり、今回、国の事業復活支援金という--御質問は継続支援金の復活という話でしたが、国が事業復活支援金というのを今回設けています。それが正に県が実施した継続支援金よりもかなり手厚い内容になっています。 そこで、我々としては、まずは国の事業復活支援金を漏れなく周知した上で、しっかり活用していただくことに注力していきます。 ○三浦正臣副議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 知事の退職手当ですが、現行の水準については、九州でも6位、全国でも33位であり、決して高い数字ではないと考えています。 特別職報酬等審議会においても、知事の職責、職務を考えれば引下げは慎重に考えるべきといった意見もあったので、知事の職責、職務に照らして、現行の水準は妥当なものではないかと考えています。 ○三浦正臣副議長 猿渡久子君。 ◆猿渡久子議員 中小業者にとにかくあまねく支援が行き渡るように、いろんな制度がある中で、さきほど紹介したような声なので、ぜひ考えていただきたい。 高くないという知事の退職金ですが、市民感覚からしたらものすごく高いので、引き下げないと理解が得られないと思います。 では、次の3点目の質問に移ります。 新型コロナウイルス感染症への対応についてです。 無料検査場の増設や開設時間の延長など、PCR等検査を拡充すべきだと考えます。医療と介護の崩壊を防ぐ上でも、高齢者施設や医療機関などを頻回の定期検査によって守ることが急務です。国が主導して、いつでも誰でも無料で受けられる大規模なPCR検査体制を確立し、検査キットなど資材の調達、陽性者の保護に責任を持つよう県として国に求めるべきです。 無料検査が拡充されたことは評価しています。ただ、検査可能な場所がない市町もあります。宇佐市では、同じ薬局での検査なのに、市が実施していたときより県が実施するようになって時間が短くなった、日曜祝日や土曜午後は休みで、平日も5時までで利用しづらいと改善を求める声が寄せられています。徹底した検査体制の確立こそが重要です。国への要請と検査体制の拡充について答弁を求めます。 2点目、自宅放置で亡くなる方を二度と出してはなりません。国は、地域の医療体制強化が急務であるにもかかわらず、発熱外来への補助金や診療報酬の加算を昨年度中で打ち切ってしまいました。これらの補助金の復活や診療報酬の引上げなど、医療機関への支援を抜本的に強化するよう国に求めるべきだと考えます。 東京都の墨田区保健所は、昨年夏の第5波に際し、定数の10倍以上に当たる110人の感染症対策の体制をつくり、重症、死亡事例を数か月にわたってゼロに抑えていました。墨田区の西塚保健所長はこう述べています。次々に民間委託となり、保健所も減らされてきた中で、商売にならない検査を続けてきた検査技師がいたお陰でコロナにも対応できた。金にならないことをやって危機に備える、これこそが公衆衛生だと、この姿勢に学ぶべきだと考えます。 大分県では、今年度、来年度の2年間で9か所の保健所に保健師と事務職員各1人ずつ、計18人の定員増を行うことを評価しています。各分野の職員の皆さんの努力に敬意を表するものです。その上で、保健所を中心に本庁を含め、関係部署の人員体制をさらに充実し、保健所体制を抜本的に強化すべきと考えます。 以上の点について答弁を求めます。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 私から2点お答えします。 1点目は、PCR等の検査についてです。 本県の無料検査場は、オミクロン株の侵入に備え、昨年末に県内10か所で開設し、現在は13市村54か所まで拡充しています。これまで約7万人が無料検査を受けており、県民の不安解消につながっていると認識しています。また、無料検査場でこれまでに356人の陽性者も確認しており、感染の早期探知にも一定の効果を上げています。 このような検査体制の強化に向け、国に対しては、検査に要する資器材の需給を的確に把握した上で、診療及び無料検査に必要な試薬や検査キット等の安定供給に向けて早急に対策を講じるよう要望しています。 なお、検査場の開設時間については、事業者が地域の実情に応じて設定していますが、宇佐の検査場では時間外であっても可能な範囲で対応していると伺っています。 今後も行政検査はもとより、感染拡大傾向時には無料検査を実施するとともに、クラスターが発生しやすい高齢者施設等に抗原検査キットを配布するなど、検査体制の強化、拡充に努めます。 次に、医療機関への支援と保健所体制の強化についてお答えします。 発熱外来補助金は終了しましたが、診療、検査医療機関等による感染拡大防止策への支援として、昨年9月から新たな診療加算が認められました。また、減収が生じている医療機関への支援については、全国知事会はもとより、本県からも直接国に要望しています。 保健所の人員体制については、今年度と来年度の2年間で保健師を9人増員することとしています。また、事務職を今年度9人、時限的に増員するとともに、会計年度任用職員として看護職11人を含む計28人を配置しています。 さらに、OB保健師や人材派遣会社の看護師等の活用のほか、必要に応じて全庁体制による県職員の応援派遣も行っています。 加えて、昨年11月に締結した応援協定に基づき、別府市、中津市、日田市、臼杵市、杵築市、日出町の6市町から保健師を管轄の保健所に派遣いただいています。 今後も感染状況に応じ、保健所がその役割を果たせるよう、体制強化を図っていきます。 ○三浦正臣副議長 猿渡久子君。 ◆猿渡久子議員 今言われたようないろんな努力をされていることは本当に評価しています。お疲れ様と申し上げたいと思います。ただ、そういう中でもかなりの長時間勤務をされていると思います。 時間外勤務の状況、福祉保健部の今年1月、2月の時間外勤務、月80時間超え、100時間超えの人数を答弁してください。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 本年1月、2月の長時間勤務の状況ということで御質問いただきました。 福祉保健部の1月の時間外勤務は、80時間を超えた者が37人、うち保健所勤務者が26人です。また、100時間を超えた者が部全体で15人、保健所勤務が9人となっています。 超過勤務の縮減については、第5波への対応の検証を踏まえ、システムを導入した健康観察業務の効率化、あるいは疫学調査の重点化を図るとともに、さきほど申したように市町村からの応援派遣などをいただき、様々な対策を講じた結果、第5波ピークの8月の長時間勤務者と比較すると減少している状況です。 また、御質問のあった2月の超過勤務の実績は、今集計中でまだまとまっていませんが、分かる範囲で調べてみたところ、この2月も昨年8月に比べれば少ない人数で収まりそうな感じです。 ○三浦正臣副議長 猿渡久子君。 ◆猿渡久子議員 あと2点聞きたいですが、抗原検査キットを大分県では先進的に取り組んできたと思いますが、この活用状況と効果のほどについて説明いただきたい。 もう一点、ワクチンの3回目の接種についてです。 政府の感染症対策は本当に後手後手だと思いますが、3回目のワクチン接種の接種率、いまだにOECDで最下位ですね。国に働きかけるとともに、接種の加速化がさらに必要かと考えますが、2点御答弁ください。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 2点御質問いただきました。 1点目は、抗原検査キットの活用状況とその成果ということです。 今回、オミクロン株による急激な感染拡大に対応し、高齢者の入所施設や幼児教育・保育施設に対して検査キットを配布しました。 高齢者入所施設では、職員の一斉検査を実施するため344施設に配布し、ほぼ全ての施設で検査を完了しています。この中で2件の陽性者が出て、早期探知によりクラスターの拡大を防ぐことができたと考えています。 それから、幼児教育・保育施設は今年になって非常に感染拡大がそこかしこで起き、クラスターが多発しているという状況を受け、要望のあった270施設に配布し、職員の濃厚接触者が自宅待機を解除する際、あるいは体調に不安を感じる場合に使用することとして配っています。現時点で配った半分近くの施設でこれを活用されています。今後も、自宅待機の解除等の際にこれを使って安全を確認するという形で利用されるものと考えています。 もう一点の御質問、ワクチンの3回目接種の促進と国への働きかけについてお答えします。 ワクチンの接種間隔の相次ぐ方針変更により、市町村の接種計画は変更を余儀なくされ、混乱を来したのは議員御指摘のとおりです。 一方で、全国知事会等の要望もあり、国からのワクチン供給の改善が図られました。県内においても接種がペースアップして、最近では目標の1日1万回接種をおおむね達成できています。 今後も、モデルナワクチンによる交互接種の有効性や安全性についての情報発信や、要望の多いファイザー社製ワクチンの確保等について、引き続き国に対し要望を続けていきます。 ○三浦正臣副議長 猿渡久子君。 ◆猿渡久子議員 ここで知事に伺いたいですが、さきほどの部長の答弁の中で37人の80時間超えの超勤があると、100時間超え15人と、これは本庁も含みます。 先日金曜日、守永議員の代表質問への答弁で知事は、人材は県庁にとって宝だと、能力を発揮し、安心して働けるようにすることは私の責務だと答弁されました。2月はもっと超勤が多いと思います。そういう中で、国も各保健所に保健師を2人ずつ増員するということを言っているし、ぜひさらなる増員が必要だと思うわけですが、いかがでしょうか。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 今の超勤の状況についてですが、さきほど申したとおり、数字で申すと昨年のピーク、デルタ株のときの8月の本庁の80時間超えが21人に対して1月は11人、地方機関が48人に対し、26人ということで、今回、さきほど申したようないろんな改善策を講じて、かなり超勤の縮減は図られています。 とは申しても、依然、大変厳しい状況にあることは間違いないわけで、今後とも特定の職員に負担が集中しないようにしっかりと目配りして、対策を講じていきます。 ○三浦正臣副議長 猿渡久子君。 ◆猿渡久子議員 コロナ禍が2年以上続いて長いですし、本当に職員を増やすことが県民の安全を守る、公衆衛生をしっかり守るために必要だということで言っています。知事の答弁をぜひお聞かせください。 ○三浦正臣副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 ただいま山田部長がお答えしたとおり、大変厳しい状況の中ですが、できるだけ改善に向けて努力しているという状況です。 ○三浦正臣副議長 猿渡久子君。 ◆猿渡久子議員 ぜひ積極的に努力いただきたいと思います。 では、次の質問、日出生台での米軍演習についてに移ります。 在沖縄米軍の実弾射撃訓練が4月から6月の間に日出生台演習場で実施されるとの報道がありました。訓練の廃止を求めるべきだと考えます。そもそもこの演習は、沖縄の基地負担軽減ということで始まりましたが、沖縄でも各地でも負担は増えています。演習そのものの廃止を私たちは一貫して求めてきました。 さらに今はコロナ禍です。日米地位協定の下で米軍関係者は軍の管理下で入国し、コロナの感染対応も米軍任せです。米軍基地がある沖縄県で昨年12月にオミクロン株が初めて確認され、岩国基地がある山口県などでも感染が拡大し、米軍基地が感染対策の抜け穴になっていると新聞等で報じられています。その中での訓練は許せません。これまでも確認書や協定書が守られず、日数や時間を延長されてきた経過があります。知事も副知事も防衛局も要請を重ねてきたし、抗議もしてきました。しかし、午後8時以降の射撃自粛を日米の合意事項とすることを米側は拒否しています。米軍は地域での合意は国家政府の合意ではないという態度で、私はこれは本当に住民をばかにしていると怒りを感じています。 そんな中で、今回は報道が先行し、県にも九州防衛局にも連絡がなかった、報道で知ったと聞いています。地元の方からは、由布院は他の地域以上に自粛してきたんだと、必死で我慢してやってきて、感染は自衛隊だけなんだと。辻馬車も映画祭もようやくスタートというときに大きなリスクを由布院に負わせるのかと訴えています。また、ウクライナ情勢の中で戦場に直結する訓練は容認できないという声も上がっています。 訓練情報については早期の情報開示を求めるとともに、防衛省に対し、強く抗議し、演習の廃止を求めるべきです。県の見解を求めます。 ○三浦正臣副議長 梶原防災局長。 ◎梶原文男防災局長 米軍の実弾射撃訓練に対する本県の基本的なスタンスは、あくまで将来にわたる縮小、廃止です。 この訓練は、日米安全保障体制の枠組みの中で、外交、防衛の権限を持つ国の責任の下、国有演習場で実施されており、本県は沖縄の基地負担軽減のため、苦渋の決断をもって受け入れたものです。 訓練実施に際しては、大分県はこれまで独自に九州防衛局等と射撃時間などについての協定等を締結し、県民の安全確保に努めてきたところです。 県としては、昨今の緊迫度を増す国際情勢も注視しながら、今回の訓練においても、地元3市町と連携し、住民の不安解消に努めるなど、的確に対応していきます。 ○三浦正臣副議長 猿渡久子君。 ◆猿渡久子議員 今までも繰り返し、住民の安全を守るために県としても頑張ってきたと思います。国も防衛局も働きかけをずっとやってきた中でもこういう状況にあると、確約書等も守られていないではないかという中で、コロナ禍で県民の安全を守れるのかと非常に不安な声が上がっているわけです。 知事に答弁をお願いしたいですが、米軍の4.6人に一人が感染していると。家族も入れてこの人数で、感染者がいる前提で対応すべきだという声や、例えば、大分県のコロナの状況がステージ3以上になったら受け入れられませんよなど県独自の基準を設けるべきではないですかという声、あるいは時間延長もやられているので、9時なら9時にこっちがサイレンを鳴らしたらどうですか。こっちがもう時間ですよと米軍にアピールすべきではないですかとか、そういう声も上がっています。コロナの感染についても非常に心配の声が上がっていて、観光の大事なときに困るんだという声が上がっていますが、知事の考えをお聞かせください。 ○三浦正臣副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 日出生台の訓練のそもそもは、日米安全保障条約の下で地位協定がある。そして、その中で沖縄の米軍が国防の実弾射撃演習をやる。それではあまりにも沖縄の皆様も困るだろうということで、その負担を本土で引き受けて始めたものです。 したがって、今言われたようなこちらでサイレンを鳴らすとか、いろんなお考えはあるかもしれませんが、基本はそういうことになっていることをよくわきまえてやらざるを得ないということです。なければないのが一番いいというのはよく分かりますが、そうはいかない。むしろ、我々は日米で安全保障条約を結び、そして、地位協定をもって米軍がこちらに滞在し、日本の防衛を分担してくれるということ、そういう中での演習だということを考えてください。 今度のウクライナへの侵略等についても、よっぽど自分の身のことだという思いで備えなければならないと私は思います。 ○三浦正臣副議長 猿渡久子君。 ◆猿渡久子議員 知事、お願いですが、再答弁のときにマイクを上げていただけると聞きやすいので、お願いします。 次の問題に移ります。 子育て支援策等についてです。 人口減少問題は大分県の重要な課題です。私は今年1月上旬に明石市を視察しました。明石市は、子どもを核としたまちづくりで、人口減少、少子化、地方衰退を克服しています。 明石市は、独自の五つの無料化を所得制限なしで実施しています。子どもの医療費無料化の対象を高校3年生まで拡大、中学校給食の無償化を中核市以上で全国初めて実施、第2子以降の保育料の完全無料化は関西初、主な公共施設の入場料無料化、そして、五つ目に紙おむつなどを毎月届け、支援につなげるおむつ定期便、この五つです。 他にも多様な子育て支援策に取り組むことで、人口減少から9年連続人口増に転じ、2020年に人口30万人を突破し、過去最高となっています。特に子育て層が大幅に増加し、2018年の出生率は1.70です。 明石市が実施しているアンケートに住みやすいと答えた市民の方が91.2%、来街者は7割増となり、にぎわいを取り戻し、地価は7年連続上昇、市税収入も7年連続増加しています。 子育て世代は、子育てしやすい自治体を求めています。情報もしっかりキャッチします。子育て支援策の充実が子育て層の人口増加と税収の増加につながり、それがさらに新しい施策の充実へとつながっていく好循環を生み出しています。ここに大いに学ぶべきだと考えます。 そこで、一つ目、子ども医療費助成制度についてですが、大分県では15年間改善がなく、通院は小学校入学前まで、入院は中学卒業までが対象で、上限はあるものの、1日500円の自己負担があります。再三にわたって拡充を求めてきましたが、新年度も改善がなく、大変残念です。大分市、別府市は改善の方向です。 兵庫県は、所得制限や自己負担はあるものの、入通院とも中学卒業までの助成制度があります。福岡県は今年度から中学卒業まで拡大し、東京都は現在中学生までのものを高校卒業年齢まで2023年度から拡大するとのことです。 財政力の違いはあるかとは思いますが、人口増に向け、大分県でも高校卒業年齢までの医療費無料制度に取り組むべきだと考えますが、いかがでしょうか、答弁を求めます。 二つ目、子育て支援策として、明石市では見守り支援員が0歳児の赤ちゃんがいる家庭に紙おむつなどを直接届けるおむつ定期便を実施しています。経済的負担や保護者の精神的負担を軽減させるとともに、支援が必要な家庭を見付け出して必要な支援につなげています。兵庫県はコープに委託し、子育て経験があるスタッフが研修を受けた上で訪問しているとのことです。本県の子育てほっとクーポンは評価するところですが、これをさらに発展させ、アウトリーチ型でニーズを見いだし、必要な支援につなげていく積極的な取組を求めます。 3点目、子どもたち、若者たちには多様な居場所、いろいろな居場所が必要だと感じています。その一つとして、フリースクールの利用について質問します。 2016年12月に義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律、いわゆる教育機会確保法が成立し、翌年3月には基本指針が文部科学省より出され、不登校支援の在り方は大きく変わりました。 基本指針では、これまでの一歩でも教室に近づけようという学校復帰ではなく、子どもの意思を尊重しながら社会的自立を目指すという方向に変わりました。つまり、学校で学ぶことが全てではなく、学校に帰れる子は帰ってもらってもちろんいいが、学校以外の場でも多様な学習活動をし、学校以外の場から社会的自立を目指すという方向もあっていいんだと変わったわけです。 2020年度の大分県の小中学校の不登校は1,992人で、5年連続で増加、特に小学生の不登校は5年間で2倍以上に激増しています。 不登校の子どもが過ごす居場所が一つである民間のフリースクール、その利用料は一人3万円前後かかる場合が多いです。家計を圧迫するために思うように利用できません。特に小学生の不登校の場合は、一人で家に留守番させることは難しく、ひとり親の場合は仕事にも行けない、そういう困難を抱えている家庭もあります。 そこで、提案です。フリースクールを利用している保護者に利用料の補助をしてはどうでしょうか。例えば、茨城県では半額を助成しています。確保法や基本指針で明記されている子どもの教育を受ける権利を保障する意味で必要だと思います。 次に、情報を届けることが必要だと思います。大分県教委が発行している不登校児童生徒支援ガイドは、民間のフリースクールや親の会の情報が掲載された優れたものだと思います。しかし、これは学校に1部ずつしか配布されていないと聞きます。先生方や保護者へのフリースクールの情報は不十分です。 情報発信の一つ目として、県教委のホームページでフリースクールや親の会などを紹介していますが、分かりづらいとの声を聞きます。分かりやすく改善してください。 二つ目に、フリースクールや親の会の連絡先等が明記された一覧表を1枚のプリントにして、このチラシを小中高校生の全ての保護者に配布してください、答弁を求めます。 4点目、多様性を尊重する社会づくりについてです。 明石市では、LGBTQプラス施策担当職員として、性の多様性への理解があり、経験等を有する方を全国公募で採用し、当事者の方を採用しています。そして、パートナーシップ・ファミリーシップ制度の導入や専門相談などに取り組んでいます。県内では臼杵市が、都道府県としては6府県が既にパートナーシップ制度を導入しています。今年4月以降は、豊後大野市や竹田市、東京都、福岡県など全国で31の自治体が導入予定だと聞きます。導入自治体の人口は、4月以降は総人口の5割を超すことになるとのことです。 本県でもこれに学んで性的少数者を採用し、当事者の皆さんの意見を生かして、パートナーシップ、あるいはファミリーシップが私は望ましいと思いますが、ファミリーシップ制度の導入や相談、啓発などの取組を進めるべきではないでしょうか。 以上4点について答弁をお願いします。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 私からは、2点お答えします。 1点目は、子ども医療費助成制度についてです。 この制度は、医療体制も含め、安定的、持続的な運営が求められます。本県では、限られた財源の中で保護者の負担が大きい入院は小中学生まで、通院は受診回数が多い未就学児までを対象とし、所得制限を設けることなく実施しています。 市町村では、地域ニーズや財政状況も踏まえ、現在16市町村が小中学生までの通院医療費を助成しており、残る大分市と別府市も本年10月から世帯の所得にかかわらず、全ての小中学生まで助成を拡大する予定と伺っています。 これにより、県内全ての市町村において、中学生までの入通院医療費の助成が実施されることとなり、県民の皆様にとっては他県と比較しても遜色のない内容の助成制度が整いました。 なお、子ども医療費助成は、各自治体がそれぞれの実情に応じて実施していますが、そもそも国の責任において全国一律の制度として運用されるべきものであり、全国知事会などを通じて引き続き要望していきます。 次に、子育て支援策の強化についてお答えします。 本県では、市町村をはじめ、保健、医療、福祉の関係機関が連携し、母子健康手帳交付時から出産、乳幼児期の各ステージごとに親子の心身の状態を把握し、必要に応じて訪問等による継続な支援を行っています。 生後4か月までに市町村保健師等が全ての乳児家庭を訪問するほか、研修を受けた育児経験のあるボランティアが子育ての悩みを傾聴し、一緒に育児、家事を行うなどアウトリーチ型の支援に力を入れています。 来年度からは、新たに双子などの多胎児家庭に対し、助産師や先輩ママによる妊娠期からの訪問支援に取り組みます。 加えて、行政の支援を拒みがちな家庭に対しては、民間団体等と連携し、食事や日用品を手渡しすることにより家庭状況を把握し、適切な支援につなげていきます。 こうしたアウトリーチ型の取組により、育児不安の解消や、虐待リスクの高い家庭の早期発見に努め、ニーズに応じた効果的な支援につなげていきます。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 来年度、新たにフリースクールに通う児童生徒を支援する手だてとして、フリースクールからの要請に応じ、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを各スクールに派遣したいと考えています。心理面の悩みや家庭環境等の課題について、公的な専門スタッフがサポートしていく仕組みを導入します。 フリースクールの利用料補助については、現在、国で不登校児童生徒に対する経済的支援の在り方などに関する調査研究が進められており、その動向を見守りたいと考えています。 あわせて、利用料が不要の公的な不登校支援機関である県及び全市町設置の教育支援センターの周知にも引き続き取り組みます。 また、保護者の情報提供に関する御指摘のうち、県教育委員会のホームページについては、より閲覧しやすくなるよう工夫します。 フリースクールや親の会の連絡先などについては、一人1台端末などを活用し、教員や保護者、児童生徒の全員が閲覧できるよう、市町村教育委員会と連携して取り組みます。 ○三浦正臣副議長 磯田生活環境部長。 ◎磯田健生活環境部長 多様性を尊重する社会づくりについてお答えします。 人権尊重の大分県づくりには、県職員は特に高い人権意識を持つことが必要です。また、これはインバウンドや国際企業の誘致、移住促進を進める上でも極めて重要です。 明石市のように性の多様性への理解や専門的な知識、経験を有する方を公募し、結果的に性的少数者が採用された例が確かにあります。しかし、大切なのは性的少数者の声をきちんと施策に反映させていくことと考えています。 本県においては、性的少数者への理解促進に関する調査研究会を開いており、性的少数者支援団体の代表に参加していただくとともに、名乗りづらい性的少数者の方の生の声を県民アンケートで聞くなどの工夫をしています。 また、昨年6月に開設した相談窓口では、委託先の公認心理師協会が性的少数者支援団体の意見を取り入れながら個別の相談に応じています。 このように、性的少数者等の意見を施策の立案、実行それぞれの段階で反映し、実施しながら、多様性を尊重する社会づくりに取り組みます。 ○三浦正臣副議長 猿渡久子君。 ◆猿渡久子議員 子ども医療費やフリースクールの補助についても国の動向云々ということですが、国に求めていくのは私たちも同感です。本当は国がやるべきと私も思っているし、我々も働きかけていますが、国に求めながらも、やはり地方が先行してやるということは大事だと思います。フリースクールの補助についても、今、コロナ禍で子育て世代が非常に苦労している中で、ぜひ早い時期にフリースクールの利用料補助を実現していただきたいと重ねて申し上げます。 それと、LGBTQの多様性の問題については、パートナーシップ・ファミリーシップについて、ぜひ早く取り組むべきだと思います。家族が家族として普通に暮らしていきたいと、家族が家族としてきちんと認めてもらいたいだけなんだという当たり前のことに今ハードルが高いわけですよね。例えば、家族が病気になったときに家族として説明を受けることができないとか、子どもの学校や保育所などで支障が出てくるというところで、私はファミリーシップは望ましいと思うし、ぜひパートナーシップ・ファミリーシップ制度について、もう少し踏み込んだ答弁をいただければと思いますが、いかがでしょうか。 ○三浦正臣副議長 磯田生活環境部長。 ◎磯田健生活環境部長 パートナーシップ・ファミリーシップの導入について質問いただきました。 現在、私どももさきほど申した調査研究会を開いており、約1年かけて意見をよく聞いていきたいということで、今の段階では、広く多様な意見を丁寧に拾い上げながら議論を深めていきたいという状況です。 ○三浦正臣副議長 猿渡久子君。 ◆猿渡久子議員 この点の最後に一つ要望ですが、子どもたち、青少年の健全育成に関して、包括的な性教育の必要性を非常に感じています。年齢に合ったそれぞれの段階での性教育で、リプロダクティブ・ヘルス・アンド・ライツの観点に立っての積極的な取組を要望して、次に移ります。 温泉を生かした観光振興についてです。 私は、一昨年9月の一般質問で一度質問しましたが、別府八湯温泉道名人、私もその一人ですが、延べ1万人を超えました。88か所の温泉を巡ると名人に認定され、(現物を示す)この黒タオルがもらえるわけです。スタンプラリーなので、スパポートという手帳に判こを押していくわけですが、これの大分県版、大分県温泉道でおんせん県おおいたのPRをしてはどうかと提案し、前向きな答弁をいただきました。研究していくという答弁でしたが、その後の研究や具体化はどうなっているのか、御答弁ください。 コロナ禍で県内、近県で楽しんでいただき、地元のよさを見直し、冷え込んだ地域経済の活性化につながればと思います。ぜひ早い時期の実現を期待する声がたくさん寄せられています。いかがでしょうか。 ○三浦正臣副議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 昨年度、議員から御提案いただいた後、県では9月から5か月間、民間事業者と連携し、大分県版の温泉スタンプラリーを行いました。その実施結果を分析したところ、別府エリアの訪問率が82%となるなど、別府温泉の訴求力の高さを再認識した一方で、県内全域への周遊にまではつながることができませんでした。 また、県外客の参加率が36%、日帰り利用率は95%で、同時期に実施した大分旅行への関心度調査では、温泉だけでなく、自然や食にも魅力を感じるという声を多くいただきました。 このことから、県全体への効果の波及や県外客の取り込み、宿泊の促進、温泉以外の魅力との組合せが課題であると認識しました。 また、市町村から意見を伺ったところ、温泉のみならず、地域の魅力を磨き、温泉とつなげて誘客を促進したいという声が多く、現在、市町村と素材磨きなどに取り組んでいます。 今後は、ポストコロナ時代の温泉を活用した誘客対策について、市町村や観光事業者等と様々な課題を踏まえて議論し、新たな周遊の仕組みを構築します。 ○三浦正臣副議長 猿渡久子君。 ◆猿渡久子議員 今言われたようないろいろな地域の魅力とつなげた取組になっていくと思うので、大分県温泉道を早い時期にぜひ実施していただきたいと重ねて申し上げ、次の質問に移ります。 人権尊重社会づくり推進条例についてです。 この条例改正案が今議会に提案されています。SNS等による誹謗中傷、性的少数者や感染症に伴う偏見や差別について解決すべき課題として前文に明記することについては評価しています。しかし、条例名とともに改正案の随所に「部落差別等」や「部落差別をはじめ」などと「部落差別」の文言が挿入されており、こうした文言は削除すべきだと考えます。 水平社創立から100年です。国民も行政も差別をなくすために本当に努力してきたと思います。その結果、基本的には部落差別は解消されてきたと思っています。今回の条例改正は、そんな努力に逆行するものではないかと感じます。残された差別を解消する取組はもちろん必要ですが、あえて部落差別などの文言を各項目に挿入する必要はないのではないでしょうか。他のいろいろな差別と同じように扱うべきだと思います。 条例改正の背景の一つに、県民意識調査で、子どもが同和地区の人と結婚する場合、何らかの形で反対すると答えている人が約6割に上るとしていますが、架空の同和地域を前提にした設問自体がおかしいと思います。 また、婚姻の成立は、憲法24条に定められているように両性の合意のみとされています。この点でも設問自体がおかしいと思います。それを条例改正の背景の根拠としていることに納得がいきません。 都道府県の課の名前に「部落差別解消」という言葉を含むのは大分県だけです。フィールドワークを行政主体で主催している自治体も県外では見当たりません。条例名等の修正について答弁を求めます。 ○三浦正臣副議長 磯田生活環境部長。 ◎磯田健生活環境部長 人権尊重社会づくり推進条例についてお答えします。 平成21年4月に本条例を施行後、差別解消三法が施行され、また、SNS等による誹謗中傷、性的少数者の人権問題、新型コロナウイルス感染症に伴う偏見や差別などの様々な課題が浮上しています。これらの社会情勢の変化を踏まえ、今議会において条例改正を提案しています。 部落差別解消推進法では部落差別は存在すると明記され、法務省が令和2年公表の部落差別の解消の実態に係る調査の中でも部落差別の実態が明らかになっています。 加えて、SNS等による部落差別に関する悪質な書き込みや動画が見られ、同和対策審議会答申以降、長年の取組にもかかわらず、依然として部落差別問題は解消されていないと認識しています。 県民意識調査では、部落差別問題の最たる例である結婚差別の意識の傾向を把握し、啓発に活用する目的で設問を設定しています。 改正案では、様々な人権課題の中で部落差別問題は人権行政の原点であることから、あらゆる不当な差別の例として示したものです。今回の改正を通じ、人権尊重社会づくりの一層の推進を図ります。 ○三浦正臣副議長 以上で猿渡久子君の質問及び答弁は終わりました。元吉俊博君。  〔元吉議員登壇〕(拍手) ◆元吉俊博議員 皆さんこんにちは。18番、自由民主党の元吉です。大変お疲れ様ですが、しばしお付き合いをお願いします。 今回はアフターコロナを見据えて、農林水産物の輸出戦略や観光対策など、大きく4点について質問します。知事はじめ執行部の明確なる答弁をお願いして、早速質問に入ります。 まず初めに、本県の農林水産物の輸出戦略についてお尋ねします。 我が国は少子高齢化が進展しており、このままでは国内の市場が縮小することを考えると、海外での農林水産物の販売を視野に入れることが、農林水産業の発展の大きなポイントではないかと思います。このような中、国は令和2年11月に策定した、農林水産物・食品の輸出拡大実行戦略~マーケットイン輸出への転換のために~を令和3年12月に改定し、農林水産物の輸出拡大に向け取組を強化することとしました。 令和7年には2兆円、12年には5兆円という輸出額目標の達成に向けて、これまでの、国内の余剰を輸出するという発想を転換し、生産、加工、流通、販売に関わる全ての事業者が、マーケットが求めるものを作るという発想に立つべく改革を行う。28の輸出重点品目を選定し、品目別、あるいはターゲット国別に目標金額を設定し、具体的な行動計画を設定する。さらに、輸出にチャレンジする農林水産事業者を後押しするため、リスクマネーの供給、輸出先国のニーズに特化した産地の育成などを支援する。また、省庁の垣根を越えて、輸出先国の規制の緩和、撤廃に向けた協議、規制やニーズに対応した加工施設の整備などを行うという内容です。 重点品目の一つにブドウが挙げられていますが、その産地リスト5産地の一つとし本県が明記されています。国として、東アジアを中心に国別輸出目標を設け、輸出産地の育成、展開や加工、流通施設等の整備、販路開拓などの具体的な施策が盛り込まれており、国の本気度も十分に伝わってきます。 また、その他の重点品目として牛肉、豚肉、鶏肉、鶏卵、牛乳、乳製品のほか、いちご、かんしょ、切り花、茶、米、ブリ、製材など、本県でも生産されている品目が多く取り上げられ、ブドウと同様に具体的な施策が記されています。 本県においても、この国による輸出加速化の動きをうまく捉え、本県農林水産物の輸出拡大を一気呵成に進めていけたらと思いますが、本県における農林水産物の輸出戦略について、今年度1年間の成果と今後の展望について知事の見解を伺います。 以降は対面演壇より伺います。  〔元吉議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○三浦正臣副議長 ただいまの元吉俊博君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 元吉俊博議員から農林水産物の輸出戦略について御質問いただきました。 本県の農林水産物の輸出実績ですが、令和2年度が28億9千万円で、5年連続して最高額を更新しています。 今年度は新型コロナウイルス感染症の世界的な蔓延で、いまだ人流や物流の混乱もありますが、このようなときだからこそ、Web会議や現地法人等を最大限に活用して輸出拡大に向けた取組を進めてきました。 例えば、中国では、防疫上様々な規制がある中でも大連のおおいた農林水産物輸出サポーターの協力により、消費者向け養殖ブリや養殖シマアジをPRし、好評を博したところです。また、ベトナムでは、現地のジェトロを通じ複数のバイヤーと日田梨のオンライン商談を行いました。輸出実績は、令和3年度も過去最高を更新する勢いです。 これからは、コロナ収束後の攻勢に向け、国の実行戦略も踏まえて、さらに牛肉、養殖ブリ、製材製品等、本県に強みがある品目を中心に海外戦略を強化します。 一つは、マーケットインの輸出産地づくりです。 牛肉は米国向けを中心に輸出量が大きく伸びてきていますが、輸出先の要望に対応して細かな部位ごとにカットしていくことが求められています。そのため、畜産公社に真空包装機を増設する等、作業効率の向上を図り加工機能を強化します。 また、養殖ブリは、従来の生鮮フィレに加え、コロナ禍の巣籠もり需要で高まった冷凍切り身等のニーズを踏まえ、新たに高次加工施設を整備します。 最近、海外でも人気が高まっているシャインマスカットは、春節の贈答需要に対応するため、長期貯蔵による出荷期間の拡大を進めます。 二つは、新たな販路の開拓です。 今年1月に発効されたRCEP協定に加盟した中国は、今や日本最大の輸出先国です。現地フェアで好評の養殖クロマグロや養殖シマアジ等の販路開拓を進めるため、現地飲食店でのフェアや九州・山口連携で行う中国国際輸入博覧会への出展のほか、東アジア文化都市の取組とも連携を図ります。 また米国では、現地ニーズの高い和牛や養殖ブリの商談、量販店でのフェアを行います。製材品についても、今年度設置した現地販売拠点を中心に、ポーチ材やデッキ材への売り込みを強化していきます。 さらに、有機食品への関心が高い欧州では、展示会への出展等により乾しいたけの有機JAS商品を売り込んでいきます。 世界の人口増加等を背景に食料需要が増大する中、ニーズに対応しながら新たなマーケットを切り拓いて、令和6年度57億円の目標達成に向けて全力で取り組んでいきます。 ○三浦正臣副議長 元吉俊博君。 ◆元吉俊博議員 ありがとうございました。知事の話を聞くと、既にあらゆる角度から手を打っているということで、大変安心しました。 日本ブランドの食味の特徴は、外国と違い、甘みとうまみなので、そのよさは大いに受け入れられると思いますが、コロナ禍で輸出に対応するような高級志向の農産物は厳しい状況ではないかと思います。ぜひ希望の持てる対策をお願いします。特に短期集中県域支援品目に入っていませんが、輸出の重点品目であるブドウについては、我が国の高品質なものが高価で取引されています。惜しむらくはシャインマスカットの苗木が中国に持ち出されたことです。中国などに負けないブドウの産地づくりや新たな品種改良にもぜひ御支援いただきたいと思います。よろしくお願いします。 次に、産業の構造転換を見据えた企業誘致戦略について伺います。 ポストコロナやカーボンニュートラル、米中対立やロシア、ウクライナ問題など、世界的な大きなうねりの中で、我が国の産業も大きく転換期に差しかかっているように思います。 コロナ禍に起因する半導体不足は、自動車など多くの産業に影響を及ぼしましたが、デジタル化が進展する社会において、半導体が持つ重要性の意味を我々に再認識させる契機ともなりました。昨年11月には台湾の大手企業であるTSMCが熊本県内に立地表明を行いましたが、国では早速、先端半導体の国内生産拠点の確保のための予算を措置し、こうした動きを後押しすることとしています。IoTの進展などに合わせ、半導体の市場規模が拡大することが見込まれており、今後も半導体をめぐる投資が活発化することが予想されます。 また、自動車の電動化や再生可能エネルギーの拡大を図る上で、最重要技術となるのが蓄電池です。現在、中国がその最大の生産地であり、黒鉛などの資源確保においても、大きく優位に立っている状況です。欧州、米国も国家戦略として域内でのサプライチェーン構築を目指しており、大型投資の発表が相次いでいます。日本も蓄電池のサプライチェーン強靱化に向け、産業戦略の練り直しに着手しており、国内の製造拠点や研究開発拠点に対する国内投資を支援していく方向です。 本県は長年の企業誘致の結果、様々な製造業がバランスよく立地しています。今後もこうした企業誘致の努力を続けていただきたいと思いますが、他方で、本県経済を支えている自動車や半導体産業が、今後の構造転換の中心になると予想されます。決して容易なことではないのですが、次の時代の県経済を見据えた企業誘致の取組も期待したいところです。 そこで、比較的堅調な近年の企業誘致の状況を振り返り、評価した上で、産業構造の転換など、経済環境の変化を踏まえた今後の本県の企業誘致の方向性について、知事の見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 企業誘致は雇用機会を創出し、経済活動の基盤を拡大させるもので、地方創生を実現する上で最も重要な施策の一つだと思っています。 これまでの19年間で、誘致件数は500件を超え、2万2千人以上の雇用と1兆円を超える投資を生み、県経済の活性化や税収の増加に大きく貢献してきました。さらには、半導体や自動車等の企業会活動を通じ、取引機会の拡大など地場中小企業の成長にも寄与しています。 昨年度はコロナ禍による投資の先送りがあったものの、それまでの3年間は50件台で推移しており、今年度も好調を維持しています。本県の強みである集積が集積を呼ぶ効果が発揮されたものと評価しています。 今後は、議員御指摘のとおり、産業構造の転換に対応するため、人材を育成、確保するとともに、新たに構築されるサプライチェーンの中で、現在の産業集積に足りない部分を見極めることなどが企業誘致の大変重要なポイントになると思います。 かつて産業の米と言われた半導体は、今や産業の脳と言われるほど、5GやDX等のデジタル社会を支える重要な基盤となりました。今回、TSMCが熊本県に立地します。これを歓迎し、九州全体で成長する視点を持って人材の確保には一丸となって取り組んでいく姿勢が大切だと思います。その中で、集積の強みも生かしながら、企業の事業戦略に対して本県としてどのような価値を提供できるか考えていきます。 また、九州は半導体と自動車関連産業が共に集積する世界でも例を見ない地域です。カーボンニュートラルに向けたEV化や自動運転の進展で、半導体需要も旺盛です。シリコンアイランド九州の復活は自動車関連産業のさらなる集積にもつながるもので、大いに期待しています。 新たな成長産業を捉えることも重要です。先月、2例目となる大分宇宙港活用のパートナーシップを締結しました。集積が集積を生む流れができつつあります。宇宙に最も近い地の利を生かして、地球を超えた新たなビジネスの創出を図る国内外の企業を呼び込みたいと思います。 加えて、忘れてならないのが、長年、本県のものづくりを支えてきており、今も基幹産業であるコンビナート企業です。カーボンニュートラルへの対応策として期待される副生水素の有効活用の取組などにも、一層目を向けていきます。 これらの変化に対応するには、企業を受け入れる環境整備も欠かせません。最近、これまで少なかった大規模工業用地のニーズが高まっています。団地整備に前向きな市町村を支援し、民間活力を開発事業にも取り込み、用地確保も加速させていきたいと考えています。 引き続き、企業訪問活動などの地道な努力を怠ることなく、新たな動きにも注視しながら、全力で企業誘致に取り組んでいきます。 ○三浦正臣副議長 元吉俊博君。 ◆元吉俊博議員 ありがとうございました。知事が誘致していただいたダイハツ九州のおかけで、県北地域は自動車産業が集積し、雇用の場も格段に拡大しました。一方で、半導体不足が世界的に深刻であり、自動車の生産にも影を落としています。本県は半導体についても優位を持った地域であると思いますが、この際、県内の半導体産業の振興のためにギアを一段上げるような施策を展開していただきたいと思います。商工観光労働部長の答弁を求めます。 ○三浦正臣副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 お答えします。 県では、九州各県に先駆け平成17年に大分県LSIクラスター形成推進会議を設立し、人材育成、研究開発、販路開拓など半導体産業の振興を推進してきています。 先月、国は半導体デジタル産業戦略を九州から推進するため、九州半導体人材育成等コンソーシアムを設立と発表しました。本コンソーシアムは九州管内の産学官で構成され、半導体人材の育成、確保や企業間の取引強化、海外との産業交流促進に広域的に取り組むものです。 県では、LSIクラスター形成推進会議とともに、本コンソーシアムに参画することで、同会議の取組との相乗効果を図り、シリコンアイランド九州復活の一翼を担っていきたいと考えています。 ○三浦正臣副議長 元吉俊博君。 ◆元吉俊博議員 ありがとうございます。よろしくお願いします。 次に、県内企業の人材投資について伺います。 世界各国において、SDGsや人材を重視した新たな投資や成長につなげる動きが進んでおり、我が国でもこの新しい資本主義の実現に向けた議論が進んでいます。その中心となっているのが人的資本、人への投資です。 新しい資本主義実現会議の冨山委員によれば、デジタルイノベーションが始まった約30年前から、企業の付加価値の源泉が有形資産から無形資産へ、さらに人材、人的資本へと劇的にシフトしており、我が国の場合、米国などに比べ、無形資産、人的資本への投資が不足していることが、成長率の差になって現れてきていると指摘しています。 成長のアイデアを生み出すのは機械ではなく人です。その人をどう育てるかが重要です。また、分配の視点からは、賃上げの必要性が強調されていますが、賃上げに見合う生産性の向上を図るためにも、従業員、人への投資が重要なことは言うまでもありません。 本県では、中小企業のDXの推進や、先端技術の活用や新産業への挑戦を通して新しい成長モデルへの転換を促進するほか、賃上げを可能にする中小企業の下支えと成長支援を行うこととしています。これらを実現するためにも企業の人材投資の強化が必要になってくると思われます。 県では、これまでも様々な形で企業の人材育成を支援してきていると思いますが、その現状についてどのように評価しているのでしょうか。また、人への投資に改めて脚光が当たる中、今後どのように県内企業の人材育成を後押ししていくのか、商工観光労働部長の見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 県内企業の人材投資についてお答えします。 県ではこれまで、テーマに応じた講座や業種ごとの企業会研修などを通して、知識やスキルの習得を中心に支援してきました。企業の技術力や生産性の向上に一定の成果を上げてきたものと認識しています。 一方で、デジタルや先端技術の普及、グローバル化の進展など、事業環境は目まぐるしく変化しており、企業が賃上げを可能とし、持続的に成長していくためには、人材育成の在り方も変えていく必要があると認識しています。 例えば、専門性を磨くことのみならず、多様な専門家、企業と連携して価値を創造するオープンイノベーションの視点を持つことも重要になってきています。 また、経営者には、社員が賃金面に満足するだけでなく、社会に貢献していることを実感できるようなビジョンを設定することも求められています。 大学等との連携により、社会人も含めて、学びたいと思ったときにいつでも学べる機会をつくることも大事です。 こうした視点を持って、これまでの取組を継続するとともに、社会の変化を捉えながら人材育成を進めていきます。 ○三浦正臣副議長 元吉俊博君。 ◆元吉俊博議員 人に投資する企業は大きく育つ企業であると思います。そうした優良企業を県内に増やすことは、県内への域外からの人口の流入に大きく寄与するのではないかと思います。ぜひ前向きに実施して、人を大事にする企業を増やしていただくよう要望します。 次に、土木技術を学ぶ場の確保について伺います。 企業は、正に現場で人づくりを実践し、その企業分野で技術を先鋭化させる人材育成を行っています。今回は特に、土木技術者の育成について伺います。 県下には、大分工業、鶴崎工業と二つの工業系高校があり、国東、日出総合、情報科学、津久見、佐伯豊南、日田林工、中津東、宇佐産業科学の八つの高校に工業系の学科が設置されています。 県内で土木系学科を設置しているのは、現在、大分工業、日田林工、中津東、国東の4校であり、人数としては1学年の総定員数は150人となっています。現状を見てみると、残念ながら国東高校環境土木科が定員を割り込んでいるものの、他の3校については定員を確保しているようです。 気候変動により近年では、大災害が毎年のように起こっています。県土の強靱化はもちろんですが、災害の復旧、復興には、やはり土木技術者が必要です。しかも、単に確保するのではなく、山、河川など地元の自然環境を熟知した技術者の確保が最も重要であると考えます。そのためには、自分が育った地域での技術者の育成が一番の近道であると思います。 県土を健全な状態で維持していくには、土木技術者は必要ですし、その入口は土木系学科に進学してもらうことです。多くの生徒に、将来の県土保全に貢献していただきたいと思いますが、今後、少子化がさらに進む中、土木系学科を選んでもらうためには、その魅力を伝え、将来のビジョンを見せる工夫が必須であると考えます。定員を埋める努力が必要であると思いますが、県教育委員会として、土木系学科の志願者の確保についてどのように取り組む考えなのか、見解を伺います。 また、技術者不足は各市町村で大変深刻な状況となっています。例えば、工業系学科でも測量士補の資格取得に向けた授業の実施を行い、他学科からでも土木技術者になる選択肢の拡大は考えられます。 土木技術を学ぶ場を確保する測量技術コースなどの設置は検討できないか、あわせて教育長の見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 土木技術を学ぶ場の確保についてお答えします。 土木技術を学ぶ場は、県下4校の土木系学科のほかに、佐伯豊南高校にも土木コースを設置し、測量や施工等の専門的な学習を行っています。各校とも職業資格の取得に積極的に取り組んでおり、今年度は測量士補や土木施工管理技士に延べ140人が合格しました。 定員確保に向けて、小中学生には出前授業を実施し、レンガを用いたアーチ橋の製作やドローン操作などを通して、土木の魅力を発信しています。 また、地元企業の協力の下、国東高校ではため池の改修工事でのドローン操作や事務所内作業、大分工業では大分港護岸地盤改良工事での測量など、体験的な学習を行い地元の土木建設業に対する理解を深めています。 さらに、昨年度から地元の中学校教諭を対象に高校の説明会を実施し、今年度は中津東など土木系学科のある4会場で約90人が参加しました。学科説明に加え、パワーショベルの試乗体験など工夫を凝らして開催しました。 新たな土木系のコース設置等については、中学生のニーズや進路保障等も踏まえた慎重な検討を要します。まずは既存の土木系学科等の学びや魅力が小中学生や保護者に分かるように、情報提供の工夫に一層努めていきます。 ○三浦正臣副議長 元吉俊博君。 ◆元吉俊博議員 工業系の学科は土木コースが多かった時代は、職場体験としてインターンシップで夏休みに多くの地元の建設会社にアルバイトに入り、それがきっかけで土木の楽しさを知り、卒業後は地元企業に入り、頑張ってすばらしい現場代理人に育ってきました。 昔は3Kと呼ばれた土木現場ですが、今は違います。現場は工場と違い、画一的な作業はなく、技術者、オペレーターがそれぞれ知恵を出し合い、効率性、安全性を考えながら物事を仕上げていくという面白みがありますが、今はその体験の機会すら剥奪されている状況だと思います。ぜひ各校で工業系高校でそのチャンスを与えるべきだと思いますが、教育長の見解を再度伺います。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 職場体験ですが、生徒に勤労感とか職業感を身につけさせることを目的に、多くの地元企業に御協力いただき、生徒の希望を優先して実施しています。 高等学校2年生になったところで対象になり、地元の事業所に連続して5日間以上、インターンシップに行くという内容ですが、今年度、コロナ禍でしたが、県内の専門高校全体で見ると、15校1,900人を超える生徒が職場体験をしています。そのうち、土木系に限ると、184人の生徒が85の事業所で職場体験を実施しています。土木系で学ぶ学生が224人いますから、割合としては5人のうち4人が職場体験を経験している状況に至っています。 今後も地元企業の協力をいただきながら、この体験を充実させて、地元企業に対する理解を一層深めるということと、地域を支える土木人材の育成を図っていきます。 ○三浦正臣副議長 元吉俊博君。 ◆元吉俊博議員 ありがとうございました。ぜひ土木系をもう少し各地に広げていただかないと、本当に若い技術者が育たない現状に直面しているので、どうぞよろしくお願いします。 次に、県北地域における観光振興についてお尋ねします。 御案内のとおり、宇佐市を中心とした中津高田の県北地域は、県下でも名所旧跡、神社仏閣や景勝地など、多分野にわたって数多くの観光資源を有し、県北3市の観光担当課によると、平成29年度の観光入込み客数は、中津市429万人、宇佐市283万人、豊後高田市121万人となっています。そのうちの大半が通過型や日帰り観光となっているようで、いかにして滞在型周遊観光を構築していくかが最大の課題となっています。宇佐市で見ると、コロナ禍前までのバス旅行客は、宇佐神宮に寄って昭和の町、富貴寺から大分空港へ、あるいは別府温泉地へと、ほぼ通過型観光です。 しかし、アフターコロナからの観光動向は、時間をかけての個人旅行が主流となり、モノ消費からコト消費へと変化するであろうと考えられ、新たな滞在型周遊観光を構築するチャンスではないかと思います。平成17年、合併新宇佐市が誕生した最大のメリットは県北地域が本県を代表する大観光消費地、別府、湯布院、九重飯田、日田の四大観光地と全てつながったことではないかと考えます。令和2年度の県の観光実態調査でも、宿泊先の約70%が別府市、由布市となっています。日田からの入り込みは、既に中津日田道路の進捗で大いに期待されているところですが、宇佐市で見ると別府から国道500号を通ってアフリカンサファリ、名瀑百選の東椎屋の滝、楢本の石仏洞窟、地獄極楽を通って安心院へ、また、県道鳥越湯布院線は湯布院から塚原高原を通って真っすぐ安心院へ、国道387号は九重飯田から玖珠を通って岳切渓谷歩きを楽しんで石橋群を眺めながら安心院のまちへと、いずれも所要時間は40分から50分です。 今、一部例に挙げたように、この路線沿いには比類ない観光名所が多く点在しています。国道387号と500号の分岐点である二日市交差点は、正に扇の要であり、宇佐市観光はもちろん中津、高田を含めた県北観光のハブになると思います。 特に安心院は、昔からスッポン、ドジョウ、コイ料理や観光ブドウ狩り、温泉もあり、毎年、県内外から多くの宿泊客が集まる有名な旅館や食事どころもたくさんあります。フグ目的で泊まりに来る臼杵のまちによく似ています。正に食で人を呼べる観光地なのです。 また、グリーンツーリズム発祥の地でもあり、安心院、院内には多くの農泊受入家庭が存在し、長洲地区のブルーツーリズムにも広がっています。アフターコロナを見据えて、コト消費の誘客に向けて新たな取組も始めています。 宇佐市も第3次観光・交流ビジョンの中で、国宝宇佐神宮とアフリカンサファリ、安心院ワイナリーを軸に、旧市2町のトライアングル宿泊型周遊観光の構築に挑んでいます。 県として、四大観光地と結び付けて、コロナ禍後の展開が期待できる県下の広域型滞在観光の構築をどのように考えて、どのように支援していこうとしているのか伺います。 ○三浦正臣副議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 お答えします。 県北地域は、国宝の宇佐神宮や日本三大紅葉の耶馬渓、農泊発祥の地である安心院など、全国に誇る観光資源が豊富に存在しています。 宇佐市を含む6市1町1村は、別府からの誘客と域内周遊の促進を目指して、豊の国千年ロマン観光圏を平成22年に設立されました。これまで観光コンテンツの造成やインバウンド対策など、様々な取組を実施してこられました。最近では、コロナ禍で人気が高まるアドベンチャーツーリズムのガイド育成にいち早く着手されています。県ではこうした取組に対して、アドバイスや補助金等により支援してきました。 また、旅行会社やメディアに対して、商談会を通じて別府や湯布院などからの県北地域へのアクセスや魅力的な周遊ルートを提案するなど、積極的なセールス活動を行っています。 広域観光は、各地の観光資源を共通テーマなどで結び、地域の魅力を互いに高め、滞在時間の延長を促すことから、県はこれまで市町村の主体的な取組を後押ししてきました。 現在、県では地域の課題解決の取組を支援しており、広域観光についてもしっかり応援するとともに、魅力情報の発信も積極的に行っていきます。 ○三浦正臣副議長 元吉俊博君。 ◆元吉俊博議員 広域観光は、例えば別府と宇佐市とかで市町村内で相談して、お互いのルートづくりをするというのはなかなか難しいと思います。主体的な各市町村の取組を支援していますが、正に県の観光局やツーリズムおおいたが中心となって農泊、漁泊を含めた6振興局内の本県の観光地を結び付ける多くのプランを開発して、もう一日の延泊をアピールして、ぜひ県が中心となってその結び付けをやっていただきたいと思います。見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 これまでも市町村や観光事業者で構成されているツーリズムおおいたと連携して、県内観光地を温泉や食、自然などの魅力的なテーマでつなぐ周遊プランを企画して、積極的に情報発信するとともに、旅行会社への商品造成を促してきました。 滞在時間の延長と観光消費の拡大を促すためには、新しいニーズに対応した地域の観光素材磨きが大切です。現在、市町村と一緒になって素材磨きなどの課題解決に取り組んでおり、こうした取組により宿泊日数の延長を促進していきます。 ○三浦正臣副議長 元吉俊博君。 ◆元吉俊博議員 よろしくお願いします。 今申したように、広域連携による観光浮揚にはアクセスのよさが最も重要ですが、中津日田道路は着々と整備され、国道387号も宇佐市の背骨軸として歩道設置など、順調に整備されてきています。国道500号もほぼ整備され、安全・安心の観光道路の体をなしてきています。残るは、湯布院からの最短入り込み道路、県道鳥越湯布院線の整備です。宇佐土木事務所における平成13年度からの改良予算額を見てみると、国費を含め約14億円と聞いています。また、湯布院市街地から塚原地区、小平地区、筌ノ口地区から鳥越地区は合計約13キロメートルにわたり立派に整備されていますが、中間の本村地区から小平地区の間の杉山の中、約2.2キロメートルは極めて狭隘なままです。特に他市、他県からのドライバーが通る観光道路は、全線整備することで効果が大きく発揮できると思います。今後の整備計画について、土木建築部長の考えを伺います。 ○三浦正臣副議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 県道鳥越湯布院線についてお答えします。 本県では、県内各地で魅力的な観光資源を活用した地域振興の取組が進められており、道路管理者としてもこれを下支えする道路網の整備に取り組んでいます。 宇佐市安心院町と由布市湯布院町をつなぐネットワークとしては、一般県道鳥越湯布院線に並行した主要地方道安心院湯布院線が既に2車線で整備されており、広域的な移動ルートとしての機能を担っています。 鳥越湯布院線は、険しい山間部を通過しており、全長約22キロメートルのうち約8キロメートルの狭隘な未改良区間が残っていることから、まずは沿線住民の生活道路としての機能をしっかりと確保していくことが大切であると考えています。 このため、地元の方々とも相談しながら、安心院側から順次改良に取り組んできました。本年度は平成25年度から整備を進めてきた筌ノ口3工区800メートルが完成しました。 議員御指摘の本村から小平間の約2.2キロメートルについても、新たに事業手法の検討に着手しました。当区間は特に地形が急峻であることから、コスト縮減と早期の事業効果発現を念頭に、1.5車線的道路整備も視野に入れながら、着実に取り組んでいきます。 ○三浦正臣副議長 元吉俊博君。 ◆元吉俊博議員 ありがとうございます。山の中ということですが、割となだらかな山の傾斜なので、そんなに工事費も格段に上がることはないかと思いますが、いずれしても、通りやすい、見通しのよい、明るい道路を早く開通していただきたいと思います。地元からも強い要望が上がっているので、よろしくお願いします。 次に、教育関係の質問を2点します。 安心院高校の取組について伺います。 私の地元宇佐市で、県教育委員会の支援の下、県立安心院高等学校を中心に、旧宇佐郡の小学校7校と中学校2校で実施されている小中高連携という県内では類を見ない取組が大変大きな成果を上げています。 この取組は、平成12年、中高連携から始まり、27年には文科省の教育研究開発事業の指定を受け、今年で8年目になるもので、地球未来科という新教科を開発し、国際的視野を持ち、地域振興を考える力を小中高12年間で養うこととしています。 地球未来科においては、学校の種別にとらわれない教育を実践するため、子どもたちの発達段階に応じて4段階のステージを設定し、それぞれのステージごとに目標を定め、学びの充実を図るとともに、異年齢、異学年集団で協働した学習を取り入れ、教科横断型的研究活動を実施しています。 例えば、小中連携のミドルリーダー活動では、小学6年生の地域自慢の発表に、中学1年生がこれまでの経験を基にアドバイスを加え、交流会での発表を成功させるプロジェクトを実施しています。また、小高連携のスチューデントティーチャー活動では、身近な地域をテーマとしてこて絵を学ぶ小学4年生に対して、高校2年生がこれまで学んできたことについて、英語を交えながら紹介するなどし、地域観光における魅力の発見や地域文化の習熟を図るとともに、英語によるコミュニケーション力の向上にも力を入れています。 このような活動により、地域の皆さんは、郷土愛に満ちた子どもたちの育成が図られていること、子どもたちの学ぶ意欲が向上していることを実感しており、非常に好評です。加えて、この地域課題解決の教科の実践を例にして、大学のAO入試において見事国公立大学に合格した生徒も多数いると伺いました。この先駆的な取組を県内でも横展開して広げていただきたいと考えますが、現状はどうなっているか伺います。 このように、安心院高校の活動は非常に充実し、地域や生徒、保護者の満足度も大変上がってきています。地域外生徒も平成25年は8人であったが、30年、令和元年、令和2年と毎年20人程度で推移しています。しかしながら一方、両院地区の生徒数の激減が予想され、大きく定員割れし、閉校も危惧されています。この特色ある同校の活動を全国に周知し、生徒の募集については、今後、少子化が進む中で地元だけでなく、他県も含め広く募集してはどうかと考えます。また、安心院高校の活動の中で他の中学校、高校が取り入れられる活動もあるかと思いますが、現状について教育長の見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 安心院高校では、地球未来科という小中高一貫した学校設定教科により、12年間を通じて地域素材を活用した探求的な学習を推進しています。連携の成果として、スチューデントティーチャー活動などの校種を超えた学び合いにより、児童生徒の学習に対する主体性が向上しています。 安心院高校と同様の取組としては、由布高校でも、地域をテーマとした学びを地元中学校と協働で行っています。例えば、先生役の高校生が中学生にドローンプログラミングを教えたり、中高合同の生徒会活動などに取り組んでいます。 異なる校種間での系統的な学びは、生徒が体験、振り返りを繰り返すことで、地域のよさや課題などの認識が深まるものでもあり、他の高校でも中学校との連携を引き続き推奨していきます。 このような取組は定員確保にもつながることから、地域内外へのさらなる情報発信も進めていきます。 その上で県外からの生徒募集については、高校の維持、活性化を図る一つの方策として検討したいと考えています。 ○三浦正臣副議長 元吉俊博君。 ◆元吉俊博議員 ぜひ検討していただきたいと思うし、宇佐市からはバスで通えますが、他市からとなると、やっぱり寮や生活の場が要るわけで、その辺も含めて地域と話合いを持っていただければありがたいなと思います。どうぞよろしくお願いします。 昨年はコロナ禍でバス通学を嫌ったのか、地元以外の入学者は10人でした。10人でしたし、来年度の入学者数も厳しい状況ですが、平成30年は22人、令和元年は20人、令和2年は23人が地区外入学者です。令和2年の進学実態を見てみると、74人中12人が国立大学、私立4大33人となっています。我々が子どもの頃は、両院の子がバス、バイク通学や下宿して学区外の宇佐高校や四日市高校にかなり来ていましたが、旧宇佐市から安心院高校へ行くのは考えられませんでした。しかし、今日この結果は、安心院高校が子どもたちに求められる学校に変わったあかしです。子どもの保護者も何人か知っていますが、本当に安心院高校にやってよかったと言います。そういう声がどんどん広がって、安心院にやろうかということで増えていったんではないかと思いますが、さきほど言ったように、広い範囲から生徒に来てもらおうと思えば、やっぱり生活の場も必要なので、これをしっかりと吟味しなくてはいけないだろうと思いますが、何とか前向きに検討していただければありがたいなと思います。 安心院高校を見ると、競争教育という中で、安心院は下級生の面倒を見たり、あるいは同級生で助け合ったりという人のためになる喜びを体得させるというのが一番大きな特徴かな。そんな中で、自分も人のために役に立つんだということで、どんどんモチベーションが上がって、内向的な子どもが本当に活発になったり、人前で発言ができたということで、大変子どもが変わったという声をよく聞きます。 また、分散型の一貫教育なので、そのメリットは、さきほど教育長が言われたように、他の高校でも参考になる事例は多いと思います。ぜひともこれを県下全域で広げていただいて、地元の小中が交流する、連携するということは、地元の高校への進学希望率を上げるという大きな要素ではないかと思います。ぜひともそういう方向性を広めていただければありがたいと思います。よろしくお願いします。 最後に、新型コロナウイルス感染症は、私たちの生活様式を大きく変化させました。とりわけ、不要不急の外出自粛や3密回避に伴う運動やスポーツ活動への制限は、子どもたちの運動不足を招き、健全な心身の発育、発達に大きな影響を及ぼしたのではないかと考えます。 コロナ禍においては、学校の臨時休業や公園、スポーツ施設の利用の制限に加え、多くのスポーツ大会が開催中止となりました。 また、学校再開後も、密を避けるため曜日ごとに校庭に出る学年を振り分けたり、運動会等の体育行事を中止したり、時短や種目制限したりと、子どもたちが十分に活動することが難しい状況であったと聞いています。こうした運動機会の大幅な減少は、体力の低下はもちろんですが、運動やスポーツそのものに対する興味関心も薄れてしまうのではないかと危惧したところです。 こうした中、昨年12月に令和3年度の全国体力・運動能力、運動習慣等の調査結果が公表され、本県の体力合計点の全国順位は、小学校5年男子で1位、小学校5年女子、中学校2年男子で2位、中学校2年女子で5位となるなど、過去最高の結果となり、本県の子どもたちの体力が全国トップレベルにあるということは大変喜ばしいことです。 しかしながら一方で、体力合計点の年次推移を見ると、全国、本県ともに平成30年度をピークに低下傾向にあり、新型コロナウイルスの影響も考えられますが、体力が低下したという事実は真摯に受け止める必要があります。体力は、発育期の健全な成長はもちろん、生涯にわたって心身ともに健康で活力ある生活を営む根幹の一つであり、子どもたちの体力向上は重要な課題です。 そこで、コロナ禍における本県の子どもたちの体力の状況や課題について、県としてどのように分析し対策を進めていくのか、教育長の見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 本県の体力が全国と比較して高い水準を維持しているのは、小学校体育専科教員等が中心となって子どもが楽しみながら運動量を増やすよう、それぞれの学校が組織的に体育活動の工夫や改善に取り組んできた成果だと考えています。 課題としては、体力の低下傾向をはじめ、運動をする子とそうでない子の二極化、運動への愛好度が男子に比べて女子が低いことが挙げられます。 その主な要因としては、習い事などによる運動時間の減少やパソコン、テレビなどの視聴時間等の増加に加え、コロナ禍で学校の活動が制限されたことによるものと考えられます。 この解決に向けては、体育授業の充実はもとより、休み時間などに学校全体で楽しく運動に取り組む一校一実践のさらなる工夫改善を進めていく必要があると考えています。 具体的には、体育専科教員等の優れた取組を参考に教員の指導力向上を図るとともに、運動意欲を高める教材や教具の工夫を通して、子どもたちの体力の向上に向けた取組を推進していきます。 ○三浦正臣副議長 元吉俊博君。 ◆元吉俊博議員 ありがとうございました。 かつて高度成長を牽引した団塊の世代は、知力もさることながら、バイタリティーの源である体力もあり、エネルギッシュに活動することで我が国の経済成長を支えてきました。人口が減少する中で国力を維持していくためには、知力、体力の充実は大変大事です。今後の取組に期待したいと思いますが、一方で、知・徳・体と言われるように、道徳教育も大事です。郷土を愛し、背負って立つ徳のある人材育成も忘れてはなりません。教育委員会には、ぜひこの点もしっかり腰を据えて取り組んでいただくようお願いして、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○三浦正臣副議長 以上で元吉俊博君の質問及び答弁は終わりました。 お諮りします。本日の一般質問及び質疑は、ここまでとしたいと思います。 これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○三浦正臣副議長 御異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。  ------------------------------- ○三浦正臣副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。日程は決定次第通知します。  -------------------------------
    ○三浦正臣副議長 本日はこれをもって散会します。     午後3時 散会...