大分県議会 > 2021-12-03 >
12月03日-04号

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  1. 大分県議会 2021-12-03
    12月03日-04号


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    最終取得日: 2023-06-13
    令和 3年 第4回定例会(12月)     令和3年第4回大分県議会定例会会議録(第4号)令和3年12月3日(金曜日)  -------------------------------議事日程第4号            令和3年12月3日              午前10時開議第1 一般質問及び質疑、委員会付託  -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 一般質問及び質疑、委員会付託  -------------------------------出席議員 43名  議長        御手洗吉生  副議長       三浦正臣            志村 学            井上伸史            吉竹 悟            清田哲也            今吉次郎            阿部長夫            太田正美            後藤慎太郎            衛藤博昭            森 誠一            大友栄二            井上明夫            鴛海 豊            木付親次            古手川正治            嶋 幸一            元吉俊博            麻生栄作            阿部英仁            成迫健児            浦野英樹            高橋 肇            木田 昇            羽野武男            二ノ宮健治            守永信幸            藤田正道            原田孝司            小嶋秀行            馬場 林            尾島保彦            玉田輝義            平岩純子            吉村哲彦            戸高賢史            河野成司            猿渡久子            堤 栄三            荒金信生            末宗秀雄            小川克己欠席議員 なし  -------------------------------出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       尾野賢治  副知事       黒田秀郎  教育長       岡本天津男  代表監査委員    長谷尾雅通  総務部長      和田雅晴  企画振興部長    大塚 浩  企業局長      浦辺裕二  病院局長      井上敏郎  警察本部長     松田哲也  福祉保健部長    山田雅文  生活環境部長    磯田 健  商工観光労働部長  高濱 航  農林水産部長    佐藤 章  土木建築部長    島津惠造  会計管理者兼会計管理局長            森山成夫  防災局長      梶原文男  観光局長      秋月久美  人事委員会事務局長 法華津敏郎  労働委員会事務局長 稲垣 守  -------------------------------     午前10時 開議 ○御手洗吉生議長 おはようございます。 これより本日の会議を開きます。 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第4号により行います。  ------------------------------- △日程第1 一般質問及び質疑、委員会付託 ○御手洗吉生議長 日程第1、第105号議案から第117号議案までを一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。衛藤博昭君。  〔衛藤議員登壇〕(拍手) ◆衛藤博昭議員 おはようございます。9番、自由民主党の衛藤博昭です。 初めに、このたびの定例会においても貴重な一般質問の機会を与えていただき、大変ありがとうございます。 議会の諸先輩、同僚諸氏に、そして、本日、中継を御覧いただいている皆様、日頃の活動を支えていただき、議会に送り出していただいている支援者の皆様に厚く感謝、御礼申し上げます。 まず初めに、アドベンチャーツーリズムの推進について伺います。 新型コロナウイルスの第5波が収束し、先月、11月4日に米国メルク社が開発した新型コロナウイルスの経口薬が英国にて世界で初めて承認されました。また、11月16日にはファイザー社が開発中の経口薬を米国食品医薬品局に緊急使用許可を申請するなど、現在のコロナ禍を大きく変える可能性を持つニュースが次々と出てきています。新たな変異株が発見されるなど、まだまだ予断を許しませんが、次の第6波への備えをしっかりと行うとともに、去る6月の一般質問でも取り上げたように、アフターコロナに向けた準備も並行して対応していく必要があると考えます。 現時点においても、3密を避けるという観点からも、アウトドア・アクティビティが人気を呼んでいます。そして、それを旅行に取り入れるアドベンチャーツーリズムという言葉があります。 日本アドベンチャーツーリズム協議会によれば、アドベンチャーツーリズム旅行者の特徴としては、教育水準の高い富裕層の割合が高く、平均で14日間と長期の滞在を好み、用具や装備などのアウトドアギアにもこだわる層が多いことから、経済波及効果が高く、北米、欧州、南米の主要地域ではそれぞれの国内市場を除く海外での消費額のみで推計6,830億ドル、日本円にして76.5兆円の経済効果があるとされています。日本の市場規模推計は約1兆円、用具や装備のマーケットまで含めると約2.3兆円になると協議会は発表しています。 本県には幸いにして、由布川渓谷や藤河内渓谷といったキャニオニングが楽しめる場所や、くじゅう連山や祖母傾山系などの登山が楽しめる場所、そして、温泉文化とアドベンチャーツーリズムを進める素地が詰まった地域となっています。ツーリズム戦略の改訂時期が近づく中、県はこのようなアウトドアを中心としたアドベンチャーツーリズムをどのように捉え、今後どのように対応していこうと考えているか見解を伺います。 次に、安全なアクティビティの実現について伺います。 2020年10月に元関脇嘉風の中村親方が佐伯市などを相手取り、損害賠償を求める訴訟を起こしました。これは、2019年6月に地元PR活動の一環で行ったキャニオニングで負った膝のけがにより、引退を余儀なくされたと主張するものです。本件からも読み取れるように、アウトドアアクティビティにおける安全対策は、今後アドベンチャーツーリズムを推進する上で、避けては通れない課題になります。 ここで参考になるのが北海道の事例です。北海道は、全国で唯一アウトドア推進条例を制定し、アウトドアガイドの認証制度を導入しています。このような認証制度は、ガイドの質を担保し、レベルの押し上げにもつながるなど本県でも見習うところの多い取組です。令和4年度県政推進指針でも触れられていましたが、アウトドアガイドの認証制度等による自然体験型観光コンテンツの安全性確保、品質担保、環境・観光資源の保全についてどのように進めていくつもりか、考えを伺います。 以降は対面席より質問します。  〔衛藤議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○御手洗吉生議長 ただいまの衛藤博昭君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 アドベンチャーツーリズムは、アクティビティを通じて、その地域ならではの自然や文化が体験できることから、国内にとどまらず、世界でも注目を浴びています。 本県においても、パックラフトツアーやグランピングでの星空鑑賞、海辺でボードに立ち、パドルでこいで海上散歩を楽しむサップ体験等、地域資源を活かした体験型サービスの創出に取り組む事業者を支援しています。これまで28件のコンテンツが開発され、多くの旅行者に楽しんでいただいています。こうした自然アクティビティは、コロナ禍でも人気の高まりを見せており、改めて大分観光のポテンシャルの高さを認識したところです。 ポストコロナにおいて、本県の豊かな自然や多様な文化を体験し楽しむアドベンチャーツーリズムは、おんせん県おおいたの力強い復活を図る上で有益です。その推進にあたっては、次の三つの点が重要だと考えます。 一つは、大分の強みを活かした体験プログラムづくりです。本県には祖母・傾・大崩ユネスコエコパークや姫島、豊後大野の日本ジオパーク阿蘇くじゅう国立公園など世界に誇る自然があります。地域の事業者や住民が連携して、この自然と質の高いアクティビティや異文化体験等を魅力的なストーリーでつなぎ、旅行者目線で磨き上げることが重要です。 二つは、ガイドの育成です。ガイドは自然や文化の説明のみならず、自然が発するメッセージを伝える力や、上質な時間を演出するホスピタリティ等が求められます。優れたガイドには、そのガイドとの出会いによって、新たな気付きを得た、あのガイドにまた会いに行くなどの声が寄せられており、そうした唯一無二の体験を提供するガイドの育成が誠に大切だと思います。 三つは、効果的な情報発信です。近年、旅行先で具体的な行動を決める、自由な旅のスタイルが増加傾向にあります。そのため、旅ナカでの情報発信が重要となります。例えば、宿泊施設等における体験プログラムの動画配信など、必要な情報を適時に旅行者に届けることで、滞在時間が増加し、観光消費の拡大が期待されます。 こうした取組を通じて、新たな旅行ニーズを獲得し、本県へのさらなる誘客を図っていくことは非常に大事なことだと思っています。 ○御手洗吉生議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 私からは、安全なアクティビティの実現についてお答えします。 自然体験型の観光コンテンツは、本県の豊かな自然を生かす観光素材であるとともに、3密回避の観点からも注目を集めており、本県観光の強みであると認識しています。 その安全性の確保は、観光客はもちろん、観光コンテンツを提供する事業者やガイドにとっても大変重要です。県内での安全講習等の実施を期待する声もいただいています。 アウトドアガイドの認証制度は、事故防止や緊急時の対応などへの万全の備えになり、コンテンツの品質を担保できる取組の一つと考えています。加えて、ガイドの自然環境に対する理解を一層深めることや、観光客の保全意識の向上も期待できます。 そのため、今後、先進事例の研究や専門家の招聘、県内の関係団体等からの意見聴取等を実施したいと考えています。 観光客の安全性の確保につながるとともに、大分らしい独自の制度となるよう検討を進めていきます。 ◆衛藤博昭議員 ありがとうございます。今御答弁の中で、大分らしい独自の制度というお話がありました。正に私もそのとおりだと思います。北海道は一つの取組事例としてあるんですが、長い年月、20年かけてガイドの一つ一つの技術的な認証まで行ってきました。まだ大分はそこまでする必要はないと思います。正におっしゃったとおり、安全・安心をしっかり担保して、コロナのときに「安心はおいしい」というのがありましたが、「安心は楽しい」となるようなアウトドアガイド認証制度をつくっていっていただければと思います。 それでは次に、カーボンニュートラル達成に向けた取組について伺います。 先日19日に岸田首相は、コロナ克服・新時代開拓のための経済対策を発表しました。この中で、四つの柱を提案し、成長と分配の好循環を実現させる対策を様々な分野にわたり提案しています。 このうち、成長戦略の2番目の項目として、政府主導のカーボンニュートラルに向けた取組が具体的に例示されています。世界的に進むカーボンニュートラルの取組の中で、本県においても県庁が旗振り役となり、本年3月に2050年カーボンニュートラルの達成に向けた取組を掲げています。 本県は、元来、地熱発電をはじめとする再生可能エネルギーについては、いち早く取り組んできた先進県であると思っています。令和4年度県政推進指針でも触れられていましたが、温室効果ガス排出削減に向けた地球温暖化の緩和策の推進など本年3月に発表した地球温暖化対策実行計画の実施に向け、県としてカーボンニュートラルの達成をどのように具体化していくか、その方針を伺います。 次に、企業経営に過負荷とならない脱炭素化への取組について伺います。 カーボンニュートラルの取組を進める中で、大きなハードルとなるのが、再生可能エネルギーがまだ価格的に割高となっていることです。今回の経済対策で国も、企業の低炭素化に向けてエネルギー多消費型産業における石炭火力自家発電の燃料転換や製鉄用設備の低炭素化等の支援を打ち出していますが、現段階で従来頼っていた化石燃料からCO2フリーエネルギーへの性急な転換は、特に製造業の企業に対して過大なコスト負担を強いることになります。 さきほどの国の取組にもあるように、県においても企業の、特に動力系の分野で脱炭素化への支援を進めなければ、製造業、とりわけ基礎素材型産業の企業競争力に悪影響を与えかねないとの懸念を持っています。本県は大手の進出企業を中心に、製造業に関わる企業も数多くあります。特に大分臨海コンビナートを形成している企業群はほとんどが基礎素材型産業です。このような製造業が脱炭素に向けてかじを切りやすくすることも、川上から川下まで多様な産業構造を有している本県の優位性を維持していくには必要なのではないでしょうか。県としての対応を検討していただきたいと考えますが、見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 まず私から、カーボンニュートラル達成に向けた取組についてお答えします。 先般開催されたCOP26では、産業革命前からの気温上昇を1.5度に抑える目標達成に向けて、各国に野心的な対策が求められるものとなりました。いよいよ温暖化対策は待ったなしの課題であると受け止めています。 県では、本年3月に第5期大分県地球温暖化対策実行計画を策定し、三つの重点戦略により温暖化対策を進めています。 一つは、温室効果ガス排出削減対策の推進です。家庭、業務、運輸といった部門では、身近で地道な活動を息長く続けていくことが大切です。そのため、日頃の省エネ行動を促進する環境アプリエコふぁみの普及や事業者の環境負荷の低減を促進するエコアクション21の認証取得を支援し、宅配の再配達削減に向けた取組などを引き続き進めています。 また、これらの地道な取組をさらに強化するためには、未来を担う若い世代に旗振り役となってもらうことも重要です。そこで、新たに大学生などを対象とした学生推進員制度の創設を検討しています。 一方、産業部門においては、これまで企業や団体などが一体となって低炭素社会実行計画等を策定し、排出削減の努力を重ねて成果を上げてきました。しかし、国はこれまで以上の高い目標を掲げており、今後はさらなる取組が求められています。 二つ目は、エコエネルギーの導入・利用促進です。本県は、地熱、温泉熱など豊富なエネルギー資源を有しています。地熱発電を活用した水素製造の実証実験や、大分コンビナートにおける副生水素の活用により水素生産の拠点となる可能性も秘めています。 また、本県は豊富な日照量があり太陽光発電の可能性も大きい地域ですが、地域との共生が大前提です。太陽光発電のみならず風力発電も含め、自然環境や景観に配慮した再生可能エネルギーの導入推進が重要です。そのことも忘れてはならないと思います。 このようなエコエネルギーの活用は、地域の強みと魅力を引き出す取組にもなることから、市町村や企業等とも連携し、脱炭素先行地域の創出支援を検討します。 三つ目は、森林吸収源対策の推進です。森林によるCO2の吸収能力を高めるため、民有林でのエリートツリーやコウヨウザンなどの早生樹の造林を進めるとともに、環境を考慮した植樹活動の支援などにも取り組んでいきます。 カーボンニュートラルへの挑戦は、大変厳しい道のりですが、一方で新しいビジネスチャンスにもつながります。環境と経済・社会のバランスを保ちながら取組を加速していきます。 ○御手洗吉生議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 私からは、企業経営に過負荷とならない脱炭素化への取組についてお答えします。 産業部門の脱炭素化に向けては、技術が未確立であり、イノベーションが必要な分野が多いなど様々な課題を有していると認識しています。 大分市臨海部に生産拠点を持つ企業で構成する大分コンビナート企業協議会では、脱炭素化に向けた連携の協議を開始しています。 製鉄での脱炭素化などは、製造プロセスそのものを大きく見直す必要があり、企業だけの取組では困難で、国による支援も不可欠だと認識しています。県では全国知事会を通じて、地域の特性に応じた産業振興に資する研究開発・実証・社会実装の取組への支援を提言しています。 また、産業拠点となる重要港湾において、カーボンニュートラルポート形成を国が進めており、水素などの次世代エネルギーの利活用による環境面での競争力強化が期待されます。 県としても、県内企業のエネルギー転換を見据え、6月に県エネルギー産業企業会水素関連産業分科会を設置しました。また、県産業科学技術センターで、9月から再エネ100%の電力調達を開始し、カーボンニュートラルな製品開発という価値の提供を始めています。 今後も、国の支援制度も活用しながら、脱炭素化に挑戦する企業を後押ししていきます。 ○御手洗吉生議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 お手元に資料をお配りしています。資料1を御覧ください。 資料1の図1ですが、これは都道府県別の脱炭素政策に対する脆弱性を表すもので、県内総生産当たりのCO2排出量を示しています。100万円を稼ぐために何トンのCO2を出しているかが各県別に分かるので、脱炭素政策に対する脆弱性の指標になります。都道府県別に見ると、1位は我が大分県で6.7、2位は岡山県で6.0、3位は同率で山口県で6.0と続き、最下位は東京都の0.7となっています。大分県と東京都では10倍近い開きがあります。 上位の県で県内総生産当たりのCO2排出量が多い理由は、横にある図2で示されているように、工場生産額に占めるエネルギーコスト比率の高い鉄鋼、石油化学、セメントなどの製造業が県内総生産に占める割合が大きいためです。現状、既存の工場でCO2を減らす技術的な手段は限られています。大幅に減らそうとすれば、生産活動を止めざるを得なくなります。脱炭素を性急に進めれば、本県の基幹産業である製造業は大きな打撃を受け、本県の経済や雇用に深刻なダメージを与えることになるので、本県の抱える脱炭素に対する脆弱性を数値の上でも念頭に置いていただき、対応を進めていただけるようにお願いします。 この点について、今、脆弱性と県内の産業保護と、CO2のカーボンニュートラルが県内産業に与えるダメージはこういうもので分かりますが、その上での県内の産業保護に対する考えを改めて伺います。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 この資料を拝見しましたが、申すまでもありませんが、こういうことだからこそ、地球環境の問題は日本全体で、あるいは地球全体で考えていかなければならないと思います。大分県が一人で真っ先に地球環境を悪くしているという趣旨ではなくて、とにかくこれだけの仕事をして、そして、鉄やセメントを供給しているんだということをむしろ考えながら、それを円滑に供給し続けるためにどうしたらいいのか、そこのところが技術開発の問題であろうと思っています。そんなことを感じて、国全体としてこの問題を捉えて対応していくことが非常に大事ではないかと思います。 それから、その場合に、できないことを無理してやるかどうかは、相当の覚悟をしなければいけない。むしろ、今、鉄鋼業で炭素を出さないようにするといえば、高炉を止めるよりしようがありませんから、そうなると大分は本当にやっていけない人がたくさん出ることになるわけで、むしろそれを克服するためにどうやって技術を開発し、どうやって脱炭素の石炭、鉄鋼作りをしていくかを考えていくのが今から非常に大事なことではないかなと思っています。 ○御手洗吉生議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 ありがとうございました。本当に力強い言葉をいただきました。今ある経済の産業と雇用をしっかり守りながら、次の時代のカーボンニュートラル、地球環境に備えていく取組を引き続き、ぜひよろしくお願いします。 それでは次に、時差通勤による渋滞対策について伺います。 今定例会においても議案が上程されていますが、乙津橋の4車線化を含む国道197号鶴崎拡幅など、渋滞緩和に向けたハード整備が県内各所で進む中、今後は197号志村交差点付近から大分市東部の早期4車線化も地域から強い要望をいただいています。大分市東部は臨海工業地帯など立地した企業も多く、通勤時間帯は慢性的な渋滞に悩まされています。渋滞緩和に向けたハード施策を着実に進めるとともに、短期間で効果が期待できるソフト面での施策を展開することで渋滞緩和はさらに進むものと考えます。 大分キヤノン大分キヤノンマテリアルがサマータイムによる就業時間の変更を実施しています。具体的には、通常期の就業時間は8時から17時までですが、本年7月5日から10月1日にかけて7時半から16時半に変更し、就業時間を前倒しする取組をされていました。この取組は、生産性向上とワーク・ライフ・バランス推進に向け実施されたと伺っていますが、地元の方々からは通勤時間帯の渋滞が緩和されたように感じるとの声が聞かれました。このような一部企業ではあるものの、今回の時差通勤が渋滞緩和にどのような影響を与えていると分析されているのか伺います。 また、大分市内は、東部地域だけでなく、上野丘陵などの地理的な条件等により、県庁周辺や南大分などにおいても人口規模の割には渋滞が多く発生しています。全ての交通網をハード面から渋滞がなくなるように整備するには、膨大なコストと時間がかかり、費用対効果の観点からも厳しいものがあります。 一方で、時差通勤により一定の効果が見込めるようであれば、特に渋滞の多い大分市内の臨海工業地帯の企業が時差通勤に取り組むことは渋滞緩和に効果があるものと考えます。各社の事情があり、県が通勤計画を組んで実施を促すことはできないまでも、時差通勤に協力し、渋滞対策をお願いすることはできないものでしょうか。時差通勤による渋滞緩和の対応をほかの公共機関や民間にも呼びかけていくことについて、あわせて見解を伺います。 次に、時差通勤を活用した働き方改革について伺います。 さきほどの大分キヤノンの例にもあるように、企業にとって時差通勤の導入は、生産性の向上とワーク・ライフ・バランスの推進、つまり働き方改革による社員のモチベーションの向上を狙ったものとなっています。道路行政の側からすれば、渋滞対策ですが、労働行政からすれば、県内企業の働き方改革の促進という側面もあります。通勤時の渋滞緩和によるストレスの軽減を考えれば、この考え方も納得できます。 働き方改革の推進のために労働行政サイドからも県内企業に呼びかけてはいかがでしょうか、見解を伺います。 次に、県庁における時差通勤の対応について伺います。 県内における一大組織といえば、やはり大分県庁であると考えます。企業にお願いすることはもちろんですが、隗より始めよの言葉どおり県庁が時差通勤に取り組み、渋滞緩和を含めた働き方改革の一環として実施することが、民間企業の皆様に範を示すことになると思います。見解を伺います。
    御手洗吉生議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 私から、時差通勤による渋滞対策についてお答えします。 渋滞緩和には、道路整備によるハード対策とともに、時差通勤や公共交通機関の利用、テレワーク等TDMと呼ばれる交通需要マネジメントなどのソフト対策も重要です。 大分キヤノン等の就業時間変更に係る交通について、コロナ禍前の令和元年の状況を確認したところ、国道197号志村交差点における通行速度が改善し、渋滞発生時間が短縮した時間帯も認められます。 この交通の変化は、当該企業の就業時間変更のみならず、不特定多数利用者の行動変化など複合的な要因があるため、定量的な評価は難しいところですが、一般的には、時差通勤が渋滞緩和に効果があるとされています。 渋滞緩和に向けたTDM施策は、県や国、大分市などの関係団体で構成する大分県交通渋滞対策協議会で、効果的な取組を検討しています。 今般、12月6日から17日までの間、大分市内の37団体に御協力いただきTDMを試行する運びとなっています。 今後は、その状況も踏まえ、総合的な渋滞対策の進め方について、引き続き渋滞対策協議会で議論していきます。 ○御手洗吉生議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 私からは、時差通勤を活用した働き方改革についてお答えします。 県では、働き方改革の取組の中で、多様な人材の活躍のため、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方の導入を促進しています。 議員御指摘のとおり、時差出勤は通勤ストレスの軽減や子育て参画などライフスタイルに合わせた働き方が実現できるといったメリットがあり、柔軟な働き方の選択肢の一つとして考えられます。 県の調査では、3割の企業が時差通勤を制度として導入済みと回答しています。特に、金融や情報通信などの業種では6割を超えており、ワーク・ライフ・バランスの取組として定着しつつあると認識しています。 なお、御紹介いただいた大分キヤノンマテリアルでは、時差通勤により就業時間を30分前倒しした期間の残業は原則禁止とするといった時間外労働削減の工夫も行っています。これにより、従業員に早く仕事を切り上げる習慣が身についたとの効果も伺っています。 引き続き、企業経営者等に対し、セミナーや相談会を通じてこのような優良事例や効果について周知し、時差通勤を含めた柔軟な働き方の導入を促進していきます。 ○御手洗吉生議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 私からは、県庁における時差通勤の対応についてお答えします。 県職員においては、平成13年10月から大分駅付近の高架化事業が完了する平成23年度まで、渋滞緩和対策としての時差通勤制度を実施したところです。 特に、春日陸橋と大道陸橋の撤去工事が実施された平成21年及び22年には、国・県等関係機関で構成された協議会の要請に基づき、本庁等に自動車で通勤する職員の約半数が時差通勤に協力する取組も行ったところです。 現在においては、職員の心身の負担軽減や公務能率の一層の向上を図るため、育児や介護、通勤負担の緩和などの事情がある職員について、時差通勤を認めており、令和2年度は毎月170人程度の職員が利用しています。 今後も、多様な働き方を推進する観点から、県民サービスの低下を招くことのないよう業務執行体制の確保に留意しながら、時差通勤を推進していきたいと考えています。 その上で、御提案いただいた渋滞緩和を含めた時差通勤の取組についても、土木建築部など各部局の施策推進と歩調を合わせながら検討を進め、適切に対応していきます。 ○御手洗吉生議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 さきほどの御答弁の中で、大分県交通渋滞対策協議会という仕組みを御紹介いただきました。その中でお話しいただいたテレワークの推進、あともう一つは、公共交通機関への転換が必要だと思っています。 そこで伺いますが、この協議会に鉄道事業者は参画していらっしゃるんでしょうか。 ○御手洗吉生議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 バス事業者等は参画していますが、現在のところ鉄道事業者は参画していません。 ○御手洗吉生議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 ありがとうございました。私の地元は、鶴崎で197号が日豊線に沿って動いていたり、かなり渋滞するので、電車への転換は渋滞緩和の効果が非常に上がるのではないのかなと感じています。そういった意味では、鉄道事業者の協力も渋滞対策にこれから必要になってくると思うので、ぜひ鉄道事業者もこういった協議会に参画していただけるよう、県からも引き続き促していただければと思います。 それでは続いて、DXを活用した地場企業の育成について伺います。 昨年来のコロナ禍では、多数の罹患者の発生と医療従事者の疲弊、経済の低迷といった負の影響がクローズアップされてきました。我が国のデジタル化の遅れを顕在化させたこともコロナ禍による社会的影響の一つと言えます。令和3年度版の国土交通白書でもこの点について触れており、我が国のDXの必要性とその遅れを強く意識するようになったきっかけとなったのは、コロナ禍を契機とするテレワークの実践と特別定額給付金の給付に係る手続であり、前者は紙、印鑑や対面による業務実施方法をデジタル技術の活用により見直す必要性が、後者は英国や韓国などでは迅速に支給されたことから行政サービスの向上にDXが必要とそれぞれ認識されたと分析しており、恐らく多くの県民もこのように感じたことと思います。 一方で、今引用した国土交通白書においてもDXと記載されていましたが、テレワークのための承認システムや給付サービスのシステム化が果たしてDXというのか疑問に感じています。 DXの定義をひもとくと、平成30年12月に策定された経済産業省のDX推進ガイドラインによると、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化、風土を変革し、競争上の優位性を確立することと定義しています。つまり、デジタル技術とデータを活用して、社会や組織に変革をもたらすものをDXと呼ぶので、単なるIT化やデジタル化を指すのではないということです。 これまでも至るところでIT化やデジタル化は進められていたと思います。しかしながら、例えば、紙ベースでの業務作業をデジタル化したところで、紙の使用量は減少するが、システムのランニングコストと比較すると結果的にコスト低減が図れていない、あるいは逆に不便になり、効果が現れなかったという話もよく耳にします。デジタルという言葉に踊らされて、結果的に効率を落とすようなことは本末転倒です。デジタル化してはっきりと効果が示せる分野に投資し、そのことが業態全体の変革につながる中身でなければならないし、それがDXの推進であると考えます。 県内の地場企業でデジタル化したら効果が示せるような課題を見付け、それが企業、あるいは業態の変革につながるまでに至るにはかなりハードルの高いものであると考えます。経営革新的な部分も含め、地場企業に変革を起こすためにどのようにDXを進めていくつもりなのか、商工観光労働部長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 コロナの影響やスマホの普及等により日常生活のあらゆる面でデジタル化が進展しています。消費者の行動が変化する中で、地場中小企業においてもDX推進が重要です。 DXは変革に向けたビジョンが鍵です。地場企業の育成にあたっては、新しい価値を生み出そうとするビジョンの下で取り組むIT化やデジタル化もDXのプロセスとして推進しています。 まず、経営者の意識変革や企業内の体制構築が不可欠なことから、経営層や各事業部門でDXを推進する担当者までそれぞれの立場に応じたセミナー等を開催しています。経営層向けにはビジョンの大切さ、DXの効果、国内外の取組事例など、担当者向けにはAIやビッグデータ活用のスキルなどの内容で実施し、県内企業の人材育成を支援していきます。 今後、DXに取り組む事業者とそれを支援する企業をつなぐパートナーシップの形成のほか、経営指導員のスキルアップによる小規模事業者のデジタル化など、企業の状況に応じた支援や、業界・地域にDXが波及する取組も推進していきます。 地場企業が構造改革へとつながるDXを実践し、新たな活力分野を切り開いていけるよう、きめ細かに支援していきます。 ○御手洗吉生議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 ありがとうございます。単なるIT化やデジタル化の取組で終わってしまったという指摘もよく伺います。そういったことにならないように、なかなかハードルが高い取組だとは思うんですが、組織文化そのものを変えていけるようなDXの取組に向けて、引き続き旗を振っていっていただければと思います。 それでは続いて、県人口の推移と推計との乖離について伺います。 2014年5月、日本創成会議において、2040年までに全国の市町村の半数が消滅する可能性があるという通称増田レポートが発表され、国、各都道府県において、今後の人口の推移が不安視されました。本県も2015年に大分県人口ビジョンを策定し、対策に乗り出しました。その後、人口ビジョンは、2020年3月に新たな改訂版が出されました。国においても、当初は2020年までに東京圏と地方圏の流出入の増減均衡を図ることを目標にしていましたが、困難なミッションということもあり、目標達成の時期を2024年までに延期することとなりました。国の変更を受け、改訂版大分県人口ビジョンにおいても、大分県の社会増仮定値を2020年までの増減均衡から、2025年までの増減均衡に変更しています。 そこで、少し分析的な視点から伺います。 2015年に人口ビジョンを策定してから改訂版が発表されるまでの2015年から2020年までの5年間において、1、国立社会保障・人口問題研究所の推計に準拠した値、2、大分県が目指す将来人口及び、3、実際の人口、この三つの数値がどのように変化してきたのでしょうか。年ごとの変化が分かるのであれば、まずお示しいただいた上で、当初見込んだ目標値と実際の人口の間に乖離があれば、分析する必要があると思います。我が国が初めて直面する問題への挑戦なので、想定どおりいかない部分は当然あったかと思いますが、どのような原因で推計値、目標値、実数の乖離が生じたのか、生じたのであれば、結果に対しての分析を伺います。 次に、人口ビジョンに基づく目標値へのアプローチについて伺います。 国難とも言える困難な問題への対応なので、目標達成に向けてはよりきめ細やかな計画が必要になってくると思います。改訂版の人口ビジョンの中で、そのポイントとして合計特殊出生率は2025年に1.83を目指し、人口の社会増減は2025年にプラスマイナス0人を目指すとあります。 お手元に配付の資料2を御覧ください。 県は、この目標値を含め「5年後の私たちとの約束」と題したダイジェストを作成しています。その中で、人口ビジョンを実現するための三つの目標群を目標に対するアプローチ施策として掲げています。 しかしながら、ここに掲げている施策のうち、直接的に目標達成に寄与するようなものは、企業誘致件数と移住者数の増加の2項目ではないかと感じています。ほかの10項目は、人口増に向けた間接的な環境整備をするものとなっているように感じます。 また、前回の第3回定例会において報告のあった主要な施策の成果においても、これらの項目のうち関連事業でどのぐらいの人口増に対する成果が上がっているのかについて数値の記載がありません。県として可能な限り数値化された政策上のアプローチも今後検討していく必要があるかと思います。 人口ビジョンの改訂から来年3月で2年が早くも経過しようとしています。これまでの成果を振り返り、新たに対策を講じる時期も来ているとも思いますが、5年後の目標値到達に向け、必要な自然増数、あるいは社会増数に対し、それぞれどういった施策を実行し、人口の目標値と実績値のギャップを埋めていくのかを考察し、また、それに対する施策効果を検証するべきではないでしょうか。簡単に解決できる問題ではないからこそ、地道なアプローチが必要かと考えます。1歩ずつ前進させるためには成果を着実に押さえ、少しでも成果が上がる事業に予算を振り向けていくべきであると考えます。人口ビジョンの目標値にどのようにアプローチしていくのか、県の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 大塚企画振興部長。 ◎大塚浩企画振興部長 まず最初に、県人口の推移と推計との乖離についてお答えします。 国立社会保障・人口問題研究所は、2015年116万9千人から2020年113万4千人と、5年間で3万5千人減少すると推計しており、年度ごとの数値は公表していません。 本県はこうした社人研の推計なども勘案し、5年間で3万人の減少にとどめる、2020年に113万9千人を目標としました。 これに対し、2020年の実績は112万4千人で、県の立てた目標を1万5千人下回りました。実績の年度ごとの推移ですが、2015年から順に、116万6千、116万、115万2千、114万3千、113万4千人と推移しています。 自然動態における目標との乖離の要因ですが、晩婚化の進行や婚姻数の減少などにより、合計特殊出生率が2015年の1.59から、2020年は1.57に低下したことなどが挙げられます。社会動態は、転出超過がこの5年で1万人を超え、とりわけ若い女性の福岡県への転出超過が顕著となっています。 まちとしての魅力が高い都市部への進学や就職を契機とした若年層、特に女性の流出が拡大したことが、目標と乖離した主な要因と分析しています。 二つ目の御質問、人口ビジョンに基づく目標値へのアプローチについてです。 人口対策は各施策の積み重ねや相乗効果により成果が上がっていくものです。また、一つ一つの事業は毎年の事務事業評価で検証を行っていますが、人口に関する効果の発現には時間を要します。例えば、少子化の背景には、結婚や家族に対する価値観の変化が大きく関係しており、人々の意識の変化には時間がかかることから、息の長い取組を行う必要があります。 そうした認識の下、人口ビジョンの実現に向け、各種統計データに加え関係者や現場の声など、絶えず様々な視点から分析を行い、それに応じた対策を講じています。 こうした結果、出生数は、コロナ禍の影響で当面厳しい状況が続くことも考えられますが、直近の合計特殊出生率は4年ぶりに上昇し、伸び幅は全国で3番目に高く、全国順位も13位から10位にアップしました。 社会増減は、日本人の転出超過は3年連続で大幅に改善しており、留学生や技能実習生などが入国できるようになれば、さらなる改善が図られるものと考えています。 今後も、人口対策という大きな課題に対し、オール県庁で取り組んでいきます。 ○御手洗吉生議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 ありがとうございます。さきほど原因として晩婚化の進行や婚姻数の減少、それと福岡への転出超過という分析の話がありました。この改訂版を見ると、その辺りが書かれていないように感じるんですが、そこの時系列を教えていただけませんでしょうか。 ○御手洗吉生議長 大塚企画振興部長。 ◎大塚浩企画振興部長 1期の分析で今申し上げた晩婚化、あるいは女性の社会進出、県外への転出というところを踏まえて、2期においてもそれを分析しながら、さらに対策を講じています。 ○御手洗吉生議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 私もこの人口ビジョン2期の分、そして、特にこのダイジェスト版を拝見していると--すみません、話の順番が逆になりますが、ゴールは一緒だと思います。我々議会もしっかりと、国難と言える我々大分県が抱える人口減少問題をとにかく解決に導いていかなければいけない。その中で、具体的にこれからどうやっていけばいいのかを、1期目で厳しい結果が出たからこそ、さらに突き詰めていく必要があると思います。それをしっかりと議会と行政がスクラムを組んでやっていかなければいけないという話の前提の上で、このダイジェスト版を見ていると、一つ一つの施策について、なかなか分からないところがあります。ぜひ伺いたいと思っていたんですが、書き出していた再質問が20個ぐらいになったので、なかなか時間的に伺い切れないので、委員会なども含めて、これから議論します。 今この場で答弁はいただかなくて結構ですが、例えば、子育て満足度日本一をここに掲げています。この子育て満足度日本一、1位は全国で何県なんでしょうか。 では、その県の中で、子育て満足度日本一がきちんと、どういう形で人口の増加につながっているのか。子育て満足度の中にいろんな要素があります。中には不妊治療もあると思うし、子育てのサポートもあると思います。そういったことがどういうふうにつながっているのか見ていく必要があると思います。 例えば、その下の子どもの学力を見ると、中学生は全国平均との比が、正答率が99.8%から2024年に102%、2.2ポイント上がったら何で人口が増えるのかと。学力1位の秋田県は何で最下位なのか。そういったところの分析もこれから進めていく必要があると思うし、例えば、ここで健康寿命を挙げられています。どうして健康寿命なんでしょうか。これは人口に直結するという考え方だったらやっぱり平均寿命を取るべきではないのかなと率直に、素朴に感じる部分もあります。 障がい者雇用率日本一にしても、障がい者雇用率が日本一になったらどうして人口が上がっていくのか。こういったところもさらに突き詰めて考えていく必要があると思うし、企業誘致件数、これは直接つながるようにも感じるんですが、45件とあります。例えば、1件にしても、数人の企業もあれば、数百人の工場もあると思います。では、この中でどれぐらいの数を見込んでいるのか。それが、県外から新規に来てくれる新規雇用者数がどれぐらいなのかとか、農林水産業への新規就農者数も6年間で55人増えると。では、55人の中で、何人の県外からの新規就農者数を見込んでいるのか。これはきっちり見ていかないと、県内からの転職者だったら直接的にはやっぱり増えていかないわけで、そもそも人口増を考えるんだったら、農林水産業である必要はないと思います。製造業でもいいし、商工業でもいいんじゃないのかなと。その辺も県なりの考えをお持ちだと思います。 すみません、ついでに言うんですが、交通網の整備率も6年間で2%上がったらどうして人口が増えるのか。大分市からおおむね60分で到達する地域の割合が2%増えるだけで直接的に人口が増えていくとは思えないんですよね。 すみません、私も浅学非才なので、そこは私が理解できていないからかもしれないし、いろいろと考えはお持ちだと思います。 具体的な施策として、タブレットを活用した授業があります。タブレットを活用したら人口が増えるんでしょうか。これは具体的な施策なので、やっぱりここもしっかり見ていかないといけない。海上アクセスを整えたらどれぐらい人口が増えるのか。これは交流人口ではないのかと。定住人口にどれぐらい寄与するのか。 こういった一見すると素人にはなかなか分かりづらい部分があるので、今やっていただいていると思うんですが、さらに中身も精査していただいて、さらによいものに詰めていくことをやっていただきたいと思いますが、その辺りの見解はいかがでしょうか。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 大変大事な御質問だと思いますが、よく手段が目標を規定とすると言うし、目標が手段を規定するとも言いますが、とにかく少子高齢化に対応して、子どもさんをたくさん産んでいただこうということ、そして、できるだけ健康で長生きしていただこうと考えるわけですが、そのときに、産めよ増やせよという目標にするのか、子育て満足度日本一という目標にするのかは大変大事な分かれ目であり、産めよ増やせよということにすると、結婚しないでいる人に対しては非常にプレッシャーになるかもしれない、結婚してもなかなか子どもができない人にとってもプレッシャーになるかもしれない。そういうところも乗り越えて、とにかく人口を増やすことをやるわけではないんだと。適正な手段の中から目標を達成していくんだということからすると、産めよ増やせよではなくて、やっぱり子育て満足度日本一という環境をつくって、あとどうするかは個々人、お二人の判断で決めていくんだと。そのときに子育てしやすい環境をつくっていく。 そうすると、子育て満足度というのはよく分からないと言われるかもしれないが、その程度しか行政としてはやる手段がないということです。衛藤議員が言われるように、直接的な目標をもっと掲げたらいいではないかということについては私どもは反対で、むしろやっぱり手段として、皆さんが納得できるような手段を掲げながら目標達成していく。そこのところが行政としては一番大事な選択ではないかと考えています。 委員会で御議論いただけるということですから、委員会でよく御説明するようにしておきますので、よろしくお願いします。 ○御手洗吉生議長 衛藤博昭君。 ◆衛藤博昭議員 ありがとうございます。先日、国勢調査の確報値が発表されました。それを見ると、大分県は人口増減率が2010年から2015年、次の2015年から2020年はワーストファイブになっています。この結果はやっぱり我々はしっかり受け止めて、次に向けて頑張っていかなければいけないと思います。どうぞよろしくお願いします。(拍手) ○御手洗吉生議長 以上で衛藤博昭君の質問及び答弁は終わりました。玉田輝義君。  〔玉田議員登壇〕(拍手) ◆玉田輝義議員 皆さんおはようございます。34番、県民クラブの玉田輝義です。どうかよろしくお願いします。 今年9月に我々の会派で、大分にお住まいの外国人の方はどういうことでお困りだろうかと人材育成ゆふいん財団の理事のベトナム出身のグェン・ホアン・ナムさんをお呼びして、いろいろ意見交換しました。 困りごとはいろいろあったんですが、その中で私が印象に残っているのは、コミュニケーションの中で、はさみやさんを意識してほしいというお話がありました。何だろうと思ったら、はさみの「は」は、会話をするときにはっきりと、それから「さ」は最後まで、そして「み」は短く、そして「や」は優しい日本語でということで、はさみやさんということでした。 これは外国の方とのコミュニケーションもそうでしょうが、我々は今マスクをしながら会話している関係もあり、なかなか相手に気持ちが伝わりにくいこともあるので、そういう意味では、私も今日、一般質問の中でこれを心がけながら、はっきりと最後まで短く、ちょっと自信はないんですが、優しい言葉で気持ちを伝えていくので、どうかよろしくお願いします。 それでは早速、1点目のポストコロナ時代の県政について伺います。 新型コロナウイルスは相手を選ぶことなく感染を広げて、特に経済的、社会的に弱い立場に置かれている人々に深刻な影響を与えています。このウイルスは、私たちがこれまでつくってきた社会が、人々が等しく生きていく上でいかに脆弱なものであったかということを突きつけたのではないかと思います。 一方、今年8月、国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、産業革命前からの世界の平均気温の上昇幅が、今後20年間で1.5度に達する可能性があるという報告書を公表し、人間の活動が温暖化を引き起こしていることは疑う余地がないと初めて断言しました。 日本国内でも、50年に一度と言われる自然災害が毎年のように発生し、気候変動が影響していることは間違いないと思われています。このような自然災害もウイルス感染同様、弱い立場の人々に深刻な影響を及ぼします。 今年10月に岸田首相は、成長と分配の好循環とコロナ後の新しい社会の開拓を柱とした新しい資本主義を提唱しました。持続可能性や人を重視し、新たな投資や成長につなげる新しい資本主義の構築を目指す動きが世界的に進んでいる中、日本がこの動きを先導することを目指しています。 このような環境の下で、県では来年度、2022年度の予算編成が進められています。来年度の県政推進指針で知事は、新型コロナウイルスの適切な対応を図りながら、その先にあるポストコロナの時代に向けて、県民が夢と希望にあふれる大分県づくりを力強く進めていくとしていますが、ポストコロナの時代に向けて大分県をどのように導いていく考えなのか、具体的な方向性が見えないところにもどかしさも覚えます。 激動の時代の中、弱いところにしわ寄せが行かないような県政、弱い立場の方々を含む県民全体に目を配る県政、持続可能な県政がこれまで以上に求められていると考えます。 そこで、知事はポストコロナ時代に向けた大分県像をどのように捉え、具体的にどのように導こうとされているのか、見解を伺います。 それでは、以下は対面席で。  〔玉田議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○御手洗吉生議長 ただいまの玉田輝義君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 玉田輝義議員から、ポストコロナ時代の県政について御質問いただきました。 新型コロナの世界的流行や、頻発・激甚化する自然災害など、私どもは激動する時代のさなかにあります。ポストコロナに向けて、コロナ禍で痛んだ生活困窮世帯や中小・小規模事業者も含め、誰もが希望を持って暮らしていける社会を築くために、次の3点を念頭に県政を進めていきます。 一つは、社会分断の原因ともなりかねない新型コロナウイルスの感染拡大防止と社会経済の再活性化です。これまでの対策をしっかりと分析、検証した上で、感染拡大防止策の徹底や感染の急拡大に対応できる医療提供体制の確保など、今後の再拡大を想定した備えを進めていきます。 また、生活福祉資金や様々な給付金等により、コロナの影響で生活に苦しむ方々や疲弊する小規模事業者等への支援に万全を期していきます。 議員御指摘の自然災害への対応も、国の5か年加速化対策を積極的に活用し、昨年の豪雨災害からの早期復興を図るとともに、県土強靱化を着実に進めていきます。 第2は、本県最大の課題である大分県版地方創生の加速前進です。県内各地に魅力ある仕事の場をつくり出すため、農林水産業については、大分の顔となる園芸品目の生産拡大など、構造改革を加速させ、成長産業化を図っていきます。 商工業の分野では、回復傾向にある企業誘致をさらに推進するため、サテライトオフィスの誘致などを強化します。 また、観光産業については、アウトドア需要の高まりやサイクルツーリズムなど新しい旅のかたちも取り込みながら、本県の魅力の情報発信を強化し、県内への誘客を促進します。 あわせて、変革著しい時代にあっても、誰もが取り残されない社会を築くために、農業の担い手や産業人材の育成に向けた支援の強化、職業訓練の充実など、人を大事にし、人を育てる取組にも力を入れていきます。 第3は、DXと先端技術への挑戦です。コロナ禍で加速するデジタル化の流れを的確に捉え、あらゆる分野でDXを進めていきます。また、AIやドローン、アバターなど発展著しい先端技術も、地域課題の解決や新産業の創造に向けて、大いに活用していきます。特に宇宙については、ISTSの開催等による機運醸成や人材育成に力を注ぐとともに、何としても水平型宇宙港の開港を成し遂げて、本県がアジアでの宇宙ビジネスの中核となるよう産業化に挑んでいきます。 こうした成長の実現や人への投資に向けた取組は、国が進める新しい資本主義を先取りするものであり、国の経済対策も積極的に活用しながら、持続可能な大分県づくりを進めていきます。 ○御手洗吉生議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 ありがとうございます。今の答弁で、政策的なものも含めて知事の思いを感じ取ったわけですが、少し理念的な話になって恐縮なんですが、ポストコロナの時代、どういう時代が待ち受けているんだろうかということで、今回、知事の率直なお話も聞きたいなということで、こういう質問をしました。 知事がこの後、新しい資本主義とかいろんな今の時代のある意味転換点にあって、これから先どういう大分県になっていくのか、導いていこうとしているのか、それについて少しお話を伺えればと思います。 今回の質問でも上がっていますが、2050年が、カーボンニュートラルということでいろいろ議論されていますが、2050年がカーボンニュートラル以外にどういう社会になっているかがなかなか議論に上がっていないんではないかなという気もしています。 遠い将来のことなのでなかなか想像が及ばないんですが、これまでの質問でも出ているように、人口減少問題とか財政の逼迫とかですね。それから、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年問題、そして、自治体の半数が消滅の危機を迎えると言われる2040年問題とか、それから、人工知能が人類の知能を超えると言われる2045年のシンギュラリティとか、2050年までに待ち受けている課題が非常に多いと思うんですよね。 その中で、大分県で考えたときに、コロナ後の社会、これから進む社会は、自治とか分権、そして、分散をキーワードにして進めていくべきだという思いもあります。大分県自体が持続可能な県となるために、県が自らの課題に責任を持って取り組む自治、そして、国からの分権をさらに進めてもらい、一極集中から多極分散へ転換するように、県側からの思いを国に伝えてもらいたいなと思います。 今年9月に亡くなった内橋克人さんが提唱されているFEC自給圏構想、その意味では、規模は自治体という部分に限られるかもしれませんが、自治、分権、分散の時代に即した考えの一つではないかなという感じもします。Fは食料、農業のフードですね。それから、Eはエネルギー、再生可能エネルギー、そして、Cはケア、医療、介護、福祉、コミュニティ再生、この三つの市場を海外に頼るんではなくて、できるだけ地域でつくり出せる力を持つことができれば、地域の再生につながる、地域の自立につながるという考え方です。中長期的な視点で見たときに、本県としても、こういうFEC自給圏を取り入れながら、持続可能な大分県を選択的に進めてはどうかと考えますが、FEC自給圏についても、知事の考えがあると思います。そういう見解について知事はどうお考えか伺います。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 なかなか難しい問題なんですが、コロナの時代に、皆さんが過密な都会の暮らしは、リスクも多いし、快適性も少ないということで、せっかくデジタル技術がこれだけ普及してきたんだから、もっともっとリモートでいろいろな仕事をしても大丈夫ではないかということになってきたという背景もあります。きっと暮らしの面では人々は、もっともっと田園の風情豊かな美しい自然に囲まれた、そして、食べ物も自然食が豊富にあるような、そういうところで暮らすことを志向すると。 現に、コロナの時代を通じて、大分県にもUIJターンの方々がたくさん来たわけで、そういう面があるんだろうと。暮らしはきっと地方が大変優位性を持つような時代になってくると思います。 ただ、他方で、マーケットで見ると、やっぱり私どもの目指す農林水産業は、知恵を出して汗をかいてもうかる農林水産業ということになります。地産地消だけで済むような農業では、どうも豊かな農業とはならないと。そういうことになると、やっぱり国の内外にマーケットを求めていくような、そういう大規模な農業をせざるを得ないかなと考えるわけです。 それから、先端技術、アバターなんかにも手を挙げていますが、これも生産やサービスにおいて、大分県だけのマーケットで考えるのではなくて、やっぱり日本全体の拠点として続けていくことを考えると、農林水産業や商工業においても、やっぱりマーケットとしては全体を考えていかなければいけないし、デジタルの力はきっとそういうことを可能にする時代になっているだろうと思います。 カーボンニュートラルの問題もしかりで、さきほど衛藤議員から資料を提示して御質問があったように、地域だけで考えてみると、大分県は大変なCO2排出県になるわけですが、それだけに、基礎素材を全国に、あるいは全世界に供給しているという大変大事な役割を担っていると。その分については、カーボンの排出県は他県からも相当吸収してもらわなければならないと、そういうカーボンニュートラルについても、やっぱり広域で物事を考え、対応していかなければならないことになってくると思います。 したがって、暮らしの面とマーケットの面が随分異なってくるんではないかと。そこのところをうまく使い分けていくと、大分県の強みが非常にポストコロナの時代は発揮しやすい、発揮できる時代になってくるのかなと思っているんですが、よく分かりませんので、その辺をこれからも皆さん方に御指導賜りたいと思っています。 ○御手洗吉生議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 ありがとうございました。最近、私は自分の年齢に30歳足してくださいという話をいろんなところでしています。それは、2050年のどういう社会を想像するかということで、もう一つは、自分の身の回りの人に30足してみてください。そうすると、大体集落がどうなるかとか、自分のところがどうなるかが見えてくると思うんですが、そうやって2050年を想像したときにどういう社会になっているか、だから、今何をしなくてはならないかというバックキャスティングを考えていくことは、やっぱりこれから大事なんではないかなと思いました。 その意味で、今の中学生に30足してくださいといって、そうすると、彼ら中学3年生が45歳になったとき、そのときの社会に、それまでにさきほど挙げた課題がいろいろ降りかかってくる。でも、彼らは45歳という社会のど真ん中で生きていかなくてはならない。その彼らが生きる社会を我々がどうつくるか。それは我々から次に続く世代の選択の帰結がそこの社会に現れてくると思うんですよね。 そういう意味では、さきほど言ったFEC自給圏は一つの考えだと私も思っているし、例えば、今回の一般質問のやり取りでも、二ノ宮議員と知事とのやり取り、いつも興味深く聞かせてもらっていますが、農村をどうするかという問題、それから、全体を見たときにどうするかという問題。市町村においても産業構造とかいろんなものが違いますから、いろいろ要求も違うと思うんですね。だから、FEC自給圏を重点的に取り入れたいところもあるだろうし、いやいや、マーケット中心でいきたいところもあるだろうし、その辺の総合的な部分を考えながら県政をこれから知事も導いていくと思うんです。どちらか一方を偏って選択するよりも、さきほども知事が言ったように、暮らし、マーケットをしっかりと見ながら、これまでどおりやっていただきたいなという思いもしています。 そういう課題を前にして、2022年、来年度もまた重要な年になると思うので、そういう認識でまたポストコロナ特別予算枠、おおいた挑戦枠、しっかり取り組んでいっていただきたいと思っています。知事、何かあれば。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 大変大事な問題提起なので伺わせていただきましたが、おっしゃるように、よく分からない時代ですから、いろんな面で対応できるように、一方に決めつけないようなゆとりというか、そういう対応をしていく必要があるのかなと思っています。これからもよく考えていかなければいけないと思います。ありがとうございました。 ○御手洗吉生議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 ありがとうございました。 それでは次に、介護離職ゼロの大分県づくりについて伺います。 まず、介護離職ゼロに向けた取組についてです。介護離職とは、働いている人が家族の介護や看護のために退職、あるいは転職することをいいます。総務省の就業構造基本調査によると、全国の介護離職者は2012年に10万1,100人、2017年は9万9,100人で、この5年間は10万人程度で推移し、ほぼ横ばいの状況です。 一方、同調査による大分県の介護離職者は、2012年の1,100人から2017年には1,400人と、5年間で300人増加しています。団塊の世代が75歳に達する2025年が間近に迫る中、介護離職を迫られる働き盛りの世代が今後ますます増えてくるのではないかと危惧しています。 介護保険制度が始まって既に22年が経過しようとしています。制度導入当時にうたわれていた目的は介護の社会化でした。それは、家族、特に家庭内の女性によって行われていた高齢者の介護を社会全体で支えるということでした。 しかし今、果たして介護は社会化されているのか。もちろん、認知症など社会的な共通認識が進んだ面もあります。しかし、介護離職者が一向に減らない状況を見る限りでは、介護が社会化されているとは言い難いと思っています。 思い起こせば2015年9月、当時の安倍首相はアベノミクス新三本の矢の一つ、安心につながる社会保障の中で、介護をしながら仕事を続けることができる、介護離職ゼロという明確な目標を掲げました。あれから6年を経過しましたが、いまだに介護離職ゼロは実現していません。 介護離職の背景には、介護サービスを必要なときに必要なだけ利用できないこと、つまり、介護サービスが需要に対し十分に対応できていないことがあると考えます。自宅での介護を望む方が多い中、可能な限り住み慣れた地域で生活できるよう、特に居宅サービスを充実させていくことが必要です。 サービス提供の要である介護人材を確保することも重要です。あわせて、介護人材が将来的な展望を持って働き続けることができるような処遇改善やキャリアアップの仕組みづくり、介護の効率化、ICTの活用などの業務環境の整備も必要です。 おおいた高齢者いきいきプランによると、市町村の介護保険料標準月額の県平均額は5,956円です。第1期の標準月額の県平均が3,192円でしたので、現在20年前の約2倍の保険料を負担していることになるわけですが、いまだに介護の供給量は充足できていません。 私は、介護離職ゼロに向けては、今述べた介護サービス、特に居宅サービスの供給量の確保と介護休業制度の活用など社会全体の理解が必要だと思います。 本県において介護離職が減少しない要因をどのように認識されているのでしょうか。また、特に介護サービス量の確保に向けてどのように取り組んでいくのか、知事に伺います。 介護離職ゼロに向けて、もう一つ大きな課題があります。それは仕事と介護の両立です。介護離職の増加は、企業にとって貴重な人材の流出につながり、労働力の確保という観点からも深刻な問題です。仕事と介護の両立に向けて、事業主や従業員に対する介護サービス、介護休業制度等の周知、両立に向けた相談窓口の確保なども必要と考えます。 県は仕事と介護の両立に向けてどのように取り組もうとされているのか、見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 まず私から、介護離職ゼロに向けた取組についてお答えします。 高齢化が進み、介護を必要とする方が増加する一方で、労働力不足が深刻化する中、介護をしながら安心して働き続けられる環境の整備は大変重要な課題です。 平成24年の国の調査によると、最も多い介護離職理由は、仕事と介護の両立が難しい職場だったからだとされています。平成29年に育児・介護休業法が改正され、介護休業の分割取得や残業の制限申請が可能となりました。 そこで県では、500社企業訪問やセミナー等の機会を活用して、大分労働局と連携して介護休業制度の周知に努めています。 また、介護サービスが利用できなかったことも離職要因の一つです。家族が一人で介護の悩みを抱え込まないように、介護サービスに関する情報を適宜提供し、適切な支援につなげる仕組みが必要です。そのため、県内61か所の地域包括支援センターでは、介護をしながら働く家族の負担軽減や就労継続に向けた相談支援の充実に努めています。 また、議員御指摘のとおり、介護サービスが需要に即応できていないことから、十分な介護サービス量を確保するために、二つの取組に力を入れています。 一つは、介護サービス基盤の充実です。各市町村では、3年ごとの介護保険事業計画の策定にあたり、在宅介護実態調査を実施し、働きながら介護をしている家族のニーズに即したサービスを盛り込んでいます。 今年度からの第8期計画では、通所、訪問、泊まりを一体的に提供する多機能型の介護事業所13か所、認知症グループホーム87床など、介護者の負担軽減につながる介護サービス基盤を新たに整備することにしています。 これらの事業所では、今年度の介護報酬改定により、登録外の要介護者もショートステイの利用が可能になったことなどから、家族を介護する方にとって緊急時の受皿としての役割が期待できるところです。 二つは、介護人材の確保です。介護福祉士など資格取得への助成や職場体験・就職フェアの開催、外国人介護人材の受入支援等により、新規参入を促進していきます。 また、ノーリフティングケアの普及、介護ロボットやICT機器の導入支援により、職員の負担軽減や介護現場の業務効率化にも力を入れています。 今後も、このような取組を一層進めることにより、介護を必要とする家族を持つ方も安心して働き続けられるような大分県にしていきます。 ○御手洗吉生議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 仕事と介護の両立についてお答えします。 介護を行う方が仕事と介護を両立するためには、介護の状況に応じて希望する働き方ができることが大事です。介護休業や短時間勤務制度等を活用したり、テレワークで勤務することなどが考えられます。 全国調査によると、介護のための離職者数は、さきほど議員からも御指摘があったように横ばいですが、働きやすい職場を求めて1年以内に転職している方は増加しています。人材確保に取り組む企業は、従業員が柔軟に働ける支援制度を用意し、従業員にしっかりと周知して活用させることが大切かと考えています。 例えば、ホンダ太陽では、入社研修で介護休業制度を周知するとともに、管理職には月次報告会を通じて説明しています。また、相談窓口を設置し、介護休業希望者にはヒアリングを行う等の体制を整えています。 県では、こうした優良事例をホームページ等で紹介するとともに、経営者に対し、セミナー等を通じて、国助成金の活用も促しながら各種制度を運用することを働きかけています。 また、自宅での就業を希望する方を対象にした自営型テレワーカー養成セミナーなどを実施しています。 誰もが安心して働けるよう、仕事と介護が両立可能な環境づくりに取り組んでいきます。 ○御手洗吉生議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 ありがとうございます。まず、介護離職ゼロを目指していくことは皆さんで共有できると思うんですね。今、知事、部長の答弁があったように、制度、それから、サービスの現場では非常に努力しながら進めていることも十分理解しています。ただ、制度などは整備されているのになぜ減らないのかを、もうちょっとお互いに知恵を絞るべきだなと思うんですね。 ちょっとよく分からないところもあるんですが、一つの手がかりとしては、ケアマネジャーの果たせる役割をもう少し多面的に考えたらどうかなと思います。もちろん、ケアマネジャーは介護のプロなんですが、介護者自体が置かれている職場の状況を全て把握しているわけではないと思うんですね。ケアプランを作るときも介護者の意見を聞きますが、いろいろ話をしますが、その方がどういう職場で働いているのかまでなかなか思いが及ばないんではないかなという気がしています。 また、ケアマネジャーの方がどういう介護休業とか介護休暇制度を知っているかまで行き届いていないんではないかなという思いもするわけです。そういう意味で、県がケアマネジャーを対象とした各種研修の中に、法とか制度に対する講座はあると思うんですが、要介護者のみならず、介護者の介護と仕事の両立に目を向けたような研修を取り入れて、視野の広いマネジメントができるように充実させてはどうかというのが一つです。これは福祉保健部長に答弁願います。 もう一つは、これは企業側のことですが、今、部長が答弁したように、企業側の意識や体制を変えていくことはとても重要だと思うんですが、去年の秋に東京のケアマネジャー有志の団体が産業ケアマネという民間資格を設立して、注目を集めています。これは、産業医のように企業の中に入り込んでケアマネジャーが介護と仕事の両立に悩む従業員の相談に応じて、その支援を図ることを狙いにしているようです。こういう動きが広がっていると報道では出ていましたが、介護離職をなくして、仕事と介護の両立が当たり前となる社会を目指していくためには、何といっても企業側、働く場での理解促進と両立支援が不可欠だと思います。 本県においても、こういう企業の中に入る産業医みたいなケアマネジャーを置いて、中小ではとても雇用できませんから、そこを巡回するような、そういうシステムをつくってみてはどうかと考えるんですが、これについては商工観光労働部長の答弁をお願いします。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 ケアマネジャーについて今御質問いただきました。 県としては、ケアマネジャーに対して、5年ごとの資格更新の際に法定研修を行っていますが、その中で育児・介護休業法などの仕事と介護の両立支援制度についての研修を4時間組み込んでいます。また、今年度から県のケアマネ協会も同様の研修を実施すると伺っています。 ただ、今、議員御指摘のとおり、単に制度を知っているだけでは機能しないんではないかということで、正にケアマネジャーが介護離職を防止するための重要な役割を担っているという使命感を持っていただけるような、さらなる研修内容の充実を図っていきますし、市町村もケアマネに対する研修を行っているので、市町村に対しても、その辺について充実を図るように働きかけを行っていきます。 ○御手洗吉生議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 産業ケアマネについて御提案いただきました。正に、介護に直面した従業員の支援のため、企業が介護サービスの内容を踏まえた仕事との両立プランを作成することが大事かと思っています。 産業ケアマネの方々を巡回させてはというお話ですが、これはなかなか難しい状況ですが、国もそういう状況も踏まえ、今、プランを作るための補助金と、それを作るための相談窓口を業務委託という形でしっかり設けています。 我々としては、まず、そういう補助金があるという話と、相談するための窓口もあると、ここのところはしっかり周知していきます。 ○御手洗吉生議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 新しい試みなので、すぐにはいかないことは重々承知していますが、できるところから一つずつ進めていってもらいたいと思います。 それから、商工観光労働部長、これは産業ケアマネに近い考え方が令和元年6月6日に出された規制改革推進会議の第5次答申の中にも、そういう形の答申もあるので、当然御存じでしょうが、それをベースにしていただければと思っています。 介護離職者の約7割が女性で、特に女性の中でも非正規の方が多いと指摘されています。女性活躍を阻害しているという課題もあります。 また、もう一つ制度ということで、制度はできているんだが、社員一人一人、働く人たち一人一人の生活を見ていくことも大事だと思うので、その積み重ねが介護離職者ゼロにつながるという視点で、ぜひ横串を入れながら取り組んでいただきたいと思っています。 それでは、次に有機農業の推進についてです。 有機農業は、有機農業の推進に関する法律において、化学肥料や農薬、遺伝子組み換え技術を使わないことを基本として、環境への負荷をできる限り低減した生産の方法を用いて行われる農業と定義されています。環境に優しく、SDGsの達成に貢献することが期待される農業です。 このような中で、農林水産省は今年5月にみどりの食料システム戦略を策定しました。戦略目標の一つに、2050年までにオーガニック市場を拡大し、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25%、100万ヘクタールに拡大する目標を掲げ、農業の生産力の向上と持続可能性の両方を実現することを目指しています。 一方、県は2017年に第2次大分県有機農業推進計画を策定し、市町村や団体との連携強化、高付加価値農産物としての生産拡大、有機農業者の経営安定化等、有機農業が魅力ある農業となるよう取組を進めています。 この計画では、2021年度に有機JAS認定圃場の面積を400ヘクタールにすることを目指していますが、昨年度の実績では300ヘクタールと、2014年度実績値から僅か39ヘクタールしか伸びておらず、今年度中の目標達成は非常に厳しい状況です。また、有機JAS認定圃場農家戸数も、2015年度の95戸から2018年度には110戸になったものの、2020年度には96戸に減少し、計画期間中の戸数は横ばいとなっています。 有機農業が拡大しない背景について関係者の方々に意見を伺ったところ、病害虫、雑草対策等の労力が重いこと、有機JAS認定手数料等、各種手数料の負担、認定のための事務の煩雑さ、手間に見合うだけの価格設定が難しいことなどを挙げていました。 私はこれらに加えて、有機農産物の流通体制にも課題があると考えています。有機農業の生産者は小規模で多品目生産を行っているケースが多く、収穫量も変動します。大型スーパー等、安定した販路を確保しようにも、このような理由から難しいのが現状です。 県も、農家のネットワーク化により、大手スーパーへの出荷に向けて取組を進めていると聞いていますが、参加する生産者団体が少ないとも聞いており、今後の体制整備に不安が残ります。 このように様々な課題を抱える有機農業ですが、冒頭のSDGs達成の期待に加え、新型コロナウイルス感染症の影響により家で食事をする機会が増え、食の安全・安心に対する関心が一層高まっていることを踏まえると、今が有機農業を拡大する絶好の機会ではないかと考えます。 折しも第2次大分県有機農業推進計画が最終年度を迎えます。現在見直し作業が行われていると聞いていますが、現計画をどのように総括され、大分県の有機農業の振興を今後どのように推進していくのか、見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 県内の有機生産者は、総じて少量多品目栽培で生産が不安定であることや、販売体制が整っていないことから、販路開拓、販売拡大が難しいという課題があります。 第2次計画では、労力軽減のための施設機械整備などの個別支援や、県域出荷組織の設立及び活動支援などを行ってきたところです。 その結果、市を挙げて有機農業に取り組む市町村も出てきています。新たな動きも始まっており、現在策定中の第3次計画では、これまでの取組に加え、有機農業者の組織化と県域出荷機能の強化などを推進することとしています。 生産対策では、有機農業者組織を対象とした技術交流や土壌診断に基づいた土作り、堆肥投入システムの構築などを進め、安定的な産地づくりを行います。 販売対策では、近年量販店において有機農産物の販売ブースが拡大していることから、量販店向けの一元集荷や物流体制の整備を進めます。 今後とも、組織化によるメリットを最大限に生かした生産力向上と、マーケットニーズに対応した県域出荷組織の機能強化により、有機農業の産地拡大を目指していきます。 ○御手洗吉生議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 御苦労されながら進めているということは今の答弁でも重々分かりました。 2019年、令和元年第2回の定例会で県民クラブの代表質問で、平岩議員が有機農業の県の振興について質問しています。そのときに、有機JAS認定圃場は平成30年度末で110戸、296ヘクタールまで拡大したという答弁で、それはその後、頭打ちになって、それから、新規就業者が4、5人から積極的に確保、育成して生産の裾野を広げると。これについては生産者が減っているという状況で、やっぱり厳しい状況にある気がしています。 流通体制の確保は重要で、今いろんな試みを行っていることも承知しています。あわせて、有機農産物の周知についても力を入れながらやられているということです。関係者から聞いてみると、有機農産物を学校給食で使えないかなという御意見もいただきます。今回の一般質問でも出ていましたが、臼杵市、それから、佐伯市でもそういう試みを始める、あるいは始めようとしているというお話もありました。 例えば、長野県では長野県有機農業推進プラットフォームという事業があり、その中に消費者、生産者、流通業者が情報交換できる場を設けています。その会員を中心とした任意の団体が、有機農業の拡大や発展に向けて新たな事業に取り組む場合、県が、ちょっと低いですが、定額5万円の補助を出して後押ししているということです。対象事業としては、有機農業の生産拡大、それから、連携強化、販路拡大、消費者の理解促進などです。大分県も行っていることは行っているんですが、プラットフォームとしてうまく機能しているのかなという思いもあります。長野県の場合、学校給食は連携強化の中に位置付けていて、その中で食材費やレシピ、開発委託料という形で、学校給食への有機食材提供の試行実施に係る経費で後押ししているということです。 学校給食というと教育委員会の範疇だとか、あるいは市町村教育委員会の所管事項となるんですが、子どもたちの有機農産物の認知度を高めて、将来の消費者を増やす観点から考えて、農林水産部としても学校給食における有機農産物の提供に向けた取組を後押しすべきではないかと思いますが、部長いかがでしょうか。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 議員おっしゃるとおり、有機農産物の推進にはやはり消費者の理解が大事になってくると思います。そういった中で、食育を通じた学校給食での利用促進も有効な手段だと思います。 県内では臼杵市、佐伯市において、少量ですが、有機農産物を学校給食へ提供していく動きもあります。やはり学校給食は、その提供について市町村との連携が必要になってくると思うので、まずはそういった市町村の取組を注視していきます。 さきほど、全体的に有機農業があまり目標に達していないというお話もありました。やっぱり生産体制をきちんと取っていくのが大事だと思うので、そのためには組織化して、その組織の中で技術を向上して、お互いの情報交流、情報交換しながら、技術を持っている人が技術を持っていない人に教えていくとか、そういったことで産地としての生産拡大を図っていって、今、ニーズは確かにいろんな量販店でも有機野菜のブースは拡大しているので、消費者のニーズに応じてマーケットも拡大していっていると思うので、それに合った産地の拡大をしっかりと支援していきます。 ○御手洗吉生議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 ありがとうございます。部長が今、後段部で指摘された生産者側とかネットワーク側の課題もやっぱりあると思っています。そこも含めてですが、関係者のお話を聞いたら、うまいこと言うなと思ったんですが、有機農業に追い風が吹いていると、でも、自分たちで両手を広げていただけでは、帆がないから前に進めない、帆が欲しいということですね。そこは県側からの後押しとかいろんな形だろうと思うし、ぜひまたよく話し合って、前進に向けてやっていただきたいと思っています。 それでは最後になりますが、持続可能な開発のための教育(ESD)について伺います。 ESDとは、国連が掲げるSDGsが目指す持続可能な社会の創り手を育む教育のことを言います。現代社会の問題を自らの問題として主体的に捉え、将来の世代にわたり恵み豊かな生活を確保できるよう、身近なところから取り組むことで、問題解決につながる新たな価値観や行動等の変容をもたらし、持続可能な社会を実現していくことを目指しています。 これまで文部科学省及び日本ユネスコ国内委員会では、ユネスコスクールをESDの拠点校と位置付け、その加盟校を増やし、加盟校間のネットワークの強化、活動の充実を図っています。 また、2017年及び2018年には持続可能な社会の創り手の育成について明記された新学習指導要領が公布されました。既に新要領が実施されている小中学校に続き、来年度からは高等学校においても実施されることになります。 私の地元、三重総合高校もユネスコスクールに認定され、地域の課題解決に係る探究活動に大学、行政、企業等と取り組んでおり、三重町駅前通りの再開発におけるデザインについて、地域行事の中で実証実験を行い、市に対して提言を行ったりもしています。 私は、次代の社会を創造する子どもたちがESDという形で持続可能な社会について学ぶことは、人口減少が今後数十年続くことが見込まれ、地域社会の存続そのものが危ぶまれる中、大変意義のあることだと考えます。 一方、学校の取組のみでESDを推進することは困難です。学校が地域社会と理念を共有し、連携、協働して取り組むことや、学びの深化、活動の質の向上に向けて企業等、様々な主体とのネットワークを構築することについては課題もあるようです。 そこで、ESDについてどのような認識を持ち、本県のESDをどのように進めていくのか伺います。あわせて、ESDに取り組む人材の育成と確保についてもお聞かせください。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 持続可能な社会の創り手を育む教育について、本県ではユネスコスクールの取組を先行事例とし、総合的な学習、探究の時間で、各教科の学びを活用しながら、地域社会の課題解決に向けた学習を進めています。 取組にあたっては、多くの学校で市町村や外部機関との連携が図られています。姫島小学校では、豊後大野市内の小学校とジオパークを通した交流会を行い、村の支援を受けながら地域の魅力発信を行っています。 また、国東高校や別府翔青高校では、バーチャル市役所と銘打って、市が抱える課題の解決に向けて、提言する取組を行っています。 指導者の養成に関しては、宇目緑豊中学校や大分雄城台高校が国の研究指定を受け、学校全体でESDに取り組む手法の研究を行っており、その研究成果を波及させることで、県全体の指導力向上に役立てています。 今後も、地域社会の課題解決に向けて取り組むことのできる児童生徒を育成するとともに、地域と協働してESDに取り組む人材の確保を図っていきます。 ○御手洗吉生議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 ありがとうございます。持続可能な社会の担い手をこれからどう育てていくかという課題が大きくて、従来の学校の中だけではなくて、地域と一緒に学ぶとか、地域の持続可能性を一緒に考えていく、そういう学習に変わると私はイメージしているんですが、そういう中で、やっぱり学校の中だけでは教育が実現できないだろうと思っています。 そういう意味で、学校と地域が可能なESDの理念を共有して協働して取り組んでいくことがこれから必要になってくるんではないかなと思いますが、学校側に地域に対していろんなコネクションがすぐ生まれるかというと、なかなかないだろうと思うんですね。そういう意味で、これから地域との関係、教育長はどうお考えでしょうか。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 それぞれの学校ですが、正に議員御指摘のとおり、学校だけで解決できない事柄は多い状況ですから、個別で学校運営協議会を設置して、諸課題を協議して改善する取組があります。その協議会の中に、別の言葉で言えばコミュニティスクールということで御理解いただいても結構かと思いますが、豊後大野市でも取組が進められていますが、地域の関係する方々にしっかり参画していただいて、課題を共有して一緒に解決に取り組むことが必要なんだろうと思っています。 ○御手洗吉生議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 ありがとうございます。高校では来年4月からスタートするので、地域との連携がすぐスタートできるかというとなかなか厳しいと思うんですが、そういう仕組みを使って、そして、しっかりと地域と密着したESD教育を実現していただきたいと思っています。 それで、ESDでいろいろ今課題になっている持続可能性の中で、最大の課題は気候変動と生物多様性の問題だと認識しています。これは高校でどこで学ぶんだろうと調べたら、地学、地球科学という科目で学ぶということですが、教育長、私が調べたところでは、大分県内の高校で地学を学べる高校がないと。地学基礎はあるが、地学がないと聞いていますが、それはいかがでしょうか。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 中学生の進路希望を見ながら科目の設定を行っており、現状、議員が御指摘のような状況にとどまっていると理解しています。 ○御手洗吉生議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 地学は地球科学の略で、私たちが暮らしている地球の姿とそれを取り巻く環境、宇宙を含む全てを考察の対象にしているということで、全国的にも地学を履修せずに卒業する高校生が多くて、これからの日本を担う若者が自然災害の仕組みや資源や環境問題の基礎を理解するために重要な地学を受講しないまま社会人になっている現状があるという指摘もあります。ぜひ一つは、こういう科目を学べるところを設置するといいんではないかなと思っています。 あわせて、今、自然災害の問題で、気象予報士とか、気象がすごくクローズアップされていますが、この基礎を学ぶのも地学であると聞いているので、こういうところをぜひ御検討いただきたいと思っています。 ユネスコエコパークがあり、ジオパークもあり、しかも生物環境科という科目がある三重総合高校にこういう地学をしっかりと置いて、そして、農業と気象とか自然、そういう生物環境、生物多様性とか環境とかに重点を少しずつ置いていくような、そういう試みもぜひお願いしたいなと思っています。教育長いかがでしょうか、御見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 三重総合高校の生物環境科ですが、農業従事者、あるいは指導者を育成する目的で野菜、魚、食品の三つのコースを開設しています。こちらでは、農大との連携に加えて、スマート農業の導入など特色のある取組を推進しています。御提案があった気象予報士の話ですが、試験に合格するためには、御提案の地学に加え、気象法などの法律の理解であったり、あるいは観測数値の分析、さらには実技試験があって、地学の開設だけではなかなか対応が難しいのかなと考えています。 今後も、現在行っている取組を充実させながら、農業を支える人材の育成に力を注いでいきます。 ○御手洗吉生議長 玉田輝義君。 ◆玉田輝義議員 教育長、ぜひ御検討をこれからも進めていただきたいと思います。 これで質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○御手洗吉生議長 以上で玉田輝義君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。     午後0時1分 休憩  -------------------------------     午後1時 再開 ○三浦正臣副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。後藤慎太郎君。  〔後藤議員登壇〕(拍手) ◆後藤慎太郎議員 皆さんこんにちは。8番、自由民主党、後藤慎太郎です。本日も声なき声、そして、小さな声を届けるためにこの場所に立たせていただきました。機会をいただいた会派の皆さん、ありがとうございます。 そして、今日は傍聴にも来ていただきました。本当にありがとうございます。 さて、今日は教育行政から質問しますが、最初、長いもんですから、早速行きます。どうかよろしくお願いします。 初めは、教育行政に関する諸問題についてですが、まずは不登校への対応についてです。 文部科学省が全国の小、中、高校などを対象に実施した令和2年度の問題行動・不登校に関する調査の結果が今年10月に公表されました。これによると、小中学校の不登校児童生徒数は19万6,127人と前年度から1万4,855人増え、過去最多を更新し、8年連続で増加しています。このうち、約55%の不登校児童生徒が90日以上欠席しているなど憂慮すべき状況であり、文部科学省によると、児童生徒の休養の必要性を明示した義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律の趣旨の浸透の側面も考えられるが、生活環境の変化により生活リズムが乱れやすい状況や、学校生活において様々な制限がある中で交友関係を築くことなど、登校する意欲が湧きにくい状況にあったこと等も背景として考えられると分析しており、コロナ禍もその一因と考えられているようです。 本県でも、恐らく全国的な傾向と同様の状況で増加傾向にあるのではないかと考えます。ただし、不登校になる理由は児童生徒一人一人の個性や家庭の事情など様々な要因が考えられ、複雑な状況となっています。 不登校への学校の対応としては、不登校にならないための魅力ある学校づくりと不登校になった場合のきめ細かい対応の2点が重要であると考えます。 魅力ある学校づくりについて、私が一番重要だと思うのが、児童生徒にとって学校が心の居場所になっているかどうかです。単なる学習の場ではなく、彼らにとっての社会生活の場となり、そこで自己肯定感を高め、精神的な充足感を味わえる場所となっているのか、今一度チェックする必要があると思います。特にスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなどの専門スタッフと地域の自治会や福祉団体との連携を深め、地域とともにある学校づくりを行っていくことが肝要ではないでしょうか。 また、不登校の子どもたちへのきめ細かい対応については、昨年、第2回定例会で取り上げた教育機会確保法の趣旨に従った対応、つまり、これまでの学校復帰ではなく、子どもの意思を尊重しながら社会的自立を目指すことが重要です。現在、教育支援センターや民間のフリースクール、自宅で行うICTの活用による学習については、保護者と学校との間に十分な連携、協力が保たれていることなどの要件を満たせば、学校長の判断で出席扱いになると伺っています。 こうした学校以外でも教育の機会が確保されていることを児童生徒と保護者に十分理解していただき、活用を前向きに進めていくことが必要です。例えば、これらの出席扱いは指導要録上のものであり、これを通知表にも反映すると、児童生徒の自己肯定感を高める一因になると考えます。 あわせて、現在、公立学校ではタブレット端末が一人1台配備され、自宅から学校へのオンライン上のアクセスが可能です。物理的に学校に登校しづらくとも、オンラインならば大丈夫な子どももいると思います。例えば、後で詳細を話しますが、起立性調節障害を発症した子どもたちは、午前中の生活活動が不安定になり、登校しにくい状態にあります。ICTを活用し、こうした子どもたちに対して相談体制の充実や学習支援を深化させる必要もあります。そのためにも、学校を取り巻く社会全体で不登校になった子どもたちを支援する体制づくりが重要なのではないかと考えます。不登校という学校だけで解決することが難しい大きな問題に、県教育委員会が中心となり、地域を巻き込んで対応していただきたいと思います。知事の見解を伺います。 次に、起立性調節障害について2点伺います。 不登校の質問の後に障がいの話が出てくるのに違和感を覚える方もいらっしゃるかと思います。 起立性調節障害とは、思春期前後の児童生徒に多く見られる自律神経の働きの不調による病気で、英語のオーソスタティック・ディスレギュレーションを略してODと言われています。この数年で全国的に知られるようになってきました。 症状は、起立時に体や脳への血流が低下し、朝起きづらい、立ちくらみ、頭痛、倦怠感があり、ODの児童生徒の過半数が不登校に至っているとも言われています。また、全国の有病率は小学生の約5%、中学生の約10から30%と言われており、近年増加傾向を示しています。そもそもこのODの存在自体を知らずに診断を受けていない児童生徒がいることも想像できます。 先日、ODを経験した、若しくは現在治療中のお子さんを持つ保護者の会、ODOITAの方の声を聞く機会がありました。学校においては、先生方がODを知らない。知っていても対応の仕方が分からないといったケースが多く、必要な支援を受けることができていない児童生徒が多くいることを私は知りました。 この病気の特徴が、怠けやさぼりと誤解されたり、学校に行けないことで進級や進学に対する悩みを抱えているといった声や、ODの診断や相談を行うための医療機関が少ないといった声も聞いています。 私が感じたことは、この病気は周囲、特に学校の理解と協力が必要不可欠ということです。そこで、ODの児童生徒が安心して学校生活を送ることができるよう、何らかの対策が必要であると考えます。例えば、岡山県は全国で唯一、起立性調節障害対応ガイドラインを平成31年に岡山県教育委員会が策定しています。私が岡山県教育委員会の担当の方にこのガイドラインができるまでの経緯を聞いたところ、このODについての問題の重要性を知った医師会から教育委員会に働きかけを行ってできたようです。 私もガイドラインを読みましたが、ODの基本理解のためのQ&Aをはじめ、学校での対応、家庭での支援、ODについて相談できる県内の医療機関一覧表などすごく分かりやすく、また、このODが抱える様々な問題を改めて知ることができました。 この病気を抱えて苦しんでいる児童生徒はもちろんですが、同じようにその御家族も悩み苦しんでいます。恐らく今日この時間も、ODを抱え、学校に行けなくて悩み苦しんでいる子どもたちや、親御さんもいるはずです。この問題に前向きに対処していただくためにも、私は岡山県教育委員会のような起立性調節障害ガイドラインを大分県でも作成し、教職員をはじめ多くの関係者に情報共有して、子どもたちのために支援に立ち上がっていただきたいと思っています。この問題について教育長のお考えを伺います。 また、この問題が潜在化するのは、この障がいを自覚しても相談するべき医療機関が分からないところです。さきほど述べたガイドラインの作成には、医療機関の協力が不可欠です。県教育委員会と協力し、県医師会、特に小児科関係の部会と連携し、この障がいへの相談対応ができる体制を取っていただきたいと思います。福祉保健部長の見解を伺います。 次に、令和3年を通じて様々な意見が報道等で取り上げられ、私が特に注目してきた学校の校則について伺います。先般の6月定例会において質問しましたが、その際、教育長より全ての県立高等学校に対し、校則の内容や必要性について、生徒と学校で話し合う機会を1学期中に設けるよう指示したとの御答弁をいただきました。迅速な対応に心より敬意を表します。 文部科学省の通知にもあるように、校則については、常に児童生徒の状況や学校の状況、時代の進展などを踏まえたものになっているのか、絶えず積極的に見直さなければならないと考えています。あわせて、生徒の皆さんが校則の必要性をしっかりと理解し、自分たちで守っていこうとする姿勢を育てていくことも重要です。 正に民主主義の根幹は、ルールづくりを時代の変遷に即して、価値観の違う者同士が議論するところから始まるように、18歳から主権者となる高校生とその先達である先生方が話合いの場において議論し合うことは、社会教育としての視点からも大事です。 教育委員会の方から、今回の各学校での話合いの場の設定とその結果について伺ったところ、頭髪に関することや下着、インナーに関すること、制服に関することなど様々な項目について、生徒の皆さんと学校が話し合ったとのことです。また、校則の見直しについては、全日制課程のほとんどの学校において、既に見直しを開始している、あるいは今後、見直しの予定があると伺っています。 この報告の中で私が驚いたのは、女子の制服がスカートに限定されている点に注目し、今後、13校がスラックスの導入を含めて対応を検討するとしたところです。話合いの場における、制服の男女規定をなくす。LGBTQの人たちへの対応を考えるといった性差による違いの問題に気付いたという生徒たちの意見を伺い、校則の在り方に希望の持てる内容であると感じました。 今回の話合いの場の設定をさらに前進させ、校則の在り方について生徒と先生方が共に活発に議論し合っていくことを期待します。今回の取組における生徒、教員への効果と校則について明らかになった課題、そして、今後の校則の見直しへの取組について教育長の見解を伺います。  〔後藤議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○三浦正臣副議長 ただいまの後藤慎太郎君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 後藤慎太郎議員から教育行政に関する諸問題等に、不登校への対応について御質問いただきました。 令和2年度の県内小中学校の不登校児童生徒数は1,992人と5年連続で増加しており、私としても憂慮しています。不登校の要因は、無気力、不安といった本人に係るもの、親子関係など家庭に係るもの、友人関係や学業の問題などがあり、こうしたことが複雑に絡み合っていることが多いとされています。 不登校への対応は、議員御指摘のように不登校にならないためにどうするか、不登校になってしまった場合にどう支援していくかが重要だと考えます。県教育委員会では様々な不登校対策が行われていますが、児童生徒一人一人の状況に応じた支援をさらに進めてもらいたいと考えます。 一つは、不登校にならないための学校づくりです。児童生徒が登校したくなる、楽しい学校づくりを進めることが大事です。分かりやすい授業の取組や友人関係を良好にするための人間関係づくりプログラムをさらに充実する必要があります。また、不登校の兆候が見られる児童生徒に早期に対応できるよう、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを含む教育相談体制の充実も求められます。 二つは、不登校の子どもを支援するための多様な教育機会の充実です。教育支援センターの相談体制やフリースクールとの連携の強化も必要です。昨年度から実施しているICTを活用した家庭学習支援も好評と聞いており、その拡充も大事です。こうした学校以外の学びの場の充実が求められており、そこでの学びをしっかりと認めてあげることも子どもたちの意欲向上につながると考えます。 さらに、今年度から配備された一人1台端末を、不登校支援のために活用することも考えていかなければなりません。学校の授業やホームルームの配信、先生とのオンライン相談などについて、どのように行えば有効か研究を進めてもらう必要があります。 本県は、地域とともにある学校づくりが進んでいます。地域の意見を学校運営に反映するコミュニティ・スクールの導入率が小中学校の8割以上に及び、全国で3位です。学校と地域との協議では、不登校を議題としている学校も多いようですが、地域と目標を共有して、さらに支援を進めてもらいたいと考えます。 子どもは地域の宝です。子ども一人一人を地域が温かく見守り、支援することが健やかな成長につながります。県としても、教育委員会と連携して、地域社会全体で子どもを育む環境づくりを進めていきます。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 2点についてお答えします。 まず、起立性調節障害の児童生徒への対応についてです。 本県の児童生徒の有病率は正確に把握できていませんが、全国の有病率などからも、県内で罹患している児童生徒は一定数存在すると考えられます。 児童生徒が安心して学校生活を過ごすためには、教職員や保護者の理解と協力が何より重要なことから、まずはODについて広く周知していくことが必要だと考えています。 具体的には、ODの現状や対応の仕方などについて、県医師会と連携して、教職員を対象とした研修を今年度中に実施したいと考えています。 また、全ての学校で同じ支援が受けられる環境づくりに向けて、場面に応じたQ&Aや判別に用いるチェックシート、相談できる医療機関などの情報を関係者が共有することは重要なことです。こうした点をまとめた議員御指摘のガイドラインについては、今後、福祉保健部や県医師会と連携を図り、作成について検討していきます。 今後も、ODで悩んでいる児童生徒が安心して学校生活が送れるよう、関係者へ幅広く周知を図るとともに、関係機関等と連携して必要な対策を講じていきます。 2点目は、県立高校の校則の見直しについてです。 全ての県立高校において、1学期中に話合いの場を持ち、頭髪に関することなど、校則の様々な項目について生徒と学校が意見を交わしました。学校からは、生徒が異なる考え方に触れることに意義を感じた、卒業後の社会生活を視野に校則の必要性を考えるようになったなどの報告があり、生徒の主体性を培うことにつながったと考えています。 一方、今回の取組を通して、校則の必要性やそれぞれの項目が定められている背景などを生徒に説明するといった取組がこれまで十分ではなかったことが課題であると考えています。そのため、生徒、保護者に校則の必要性やそれぞれの規定の背景などについて、機会を捉えて説明するよう指導しています。 もちろん、各校において校則が生徒や学校の状況、時代の進展などを踏まえたものになっているか、絶えず検証することもあわせて指導しています。 今後も、生徒が今回の取組を通して培った主体性を、学校生活で発揮できるような機会を積極的に設けるよう学校に促したいと考えています。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 私からは、起立性調節障害の方への相談対応についてお答えします。 ODについては、主に小児科などの医療機関を受診することで、症状に応じた治療につなげています。 現在、大分県地域保健協議会、これは県、県教育委員会、県医師会、県小児科医会等で構成する組織ですが、ここにおいて児童生徒の健康保持増進対策にも取り組んでいます。 今後は、この協議会を通じて医療機関や県教育委員会と連携することで、ガイドラインの検討や学校における支援体制の充実に努めていきます。 また、ODは軽症であれば生活指導で改善することもありますが、中等症以上となれば薬物治療や心理療法が長期にわたることも少なくないことから、家族や周囲の人がODの特性を正しく理解することが大切です。 そこで、県ホームページにODに関する情報を掲載するなど、県教育委員会と協力しながら、幅広く周知を図っていきます。 ○三浦正臣副議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございました。制服ですが、6月に質問してから、まず高校で取組をしていただいた結果、私が聞くところによると、各市町村でも中学校等で校則の見直しが進んでいるという話も聞きます。そういった取組がより前進していけばいいと思うし、何よりも子どもたちが安心して学校生活を送れるような校則であってほしいなと、ただそれを願うだけです。 それから、ODについてですが、前向きな答弁だと私は受け止めました。今日も実はODの保護者の方が来られています。 このODに関して思うことがあり、私がODについて質問すると言った途端に、実はうちの子どももだとか、それから、知り合いの子どもがODだということが実に多いんです。それだけ本当は潜在的にというよりも、明らかになっている方もとても多いのが現状だと思います。 ですから、本当にその子どもたちが安心して、とにかく社会から阻害されることないように、学校でしっかりと安心して通えるようにしていただきたいと思います。 先日、私は国際情報高校に伺いました。こちらが実はODを抱える生徒さんがとても多いので、保護者の方がそこに行って、先生たちとも情報共有すると、そういった現場を先生が研修の場として持たれていました。保護者の方の話を校長先生はじめ先生方が本当に理解されようとする、そういった現場に立ち会ったわけなんですが、そこで先生たちは、やっぱり中学から高校に上がるときにも寄り添う必要があるんだという話をされていました。私はとてもすばらしいことだと思っていて、今、中学から高校、仮に普通に進学できても、やはりこのODのせいでやめざるを得ない場合もあり、県下でも本当に困っている方が多いと思います。国際情報高校の先生方のように、本当に理解していただけるような環境を、研修会等を通じてつくっていただきたいと思っています。今後とも、どうかよろしくお願いします。 次は、東アジア文化都市事業の実施について伺います。 今年9月の記者会見において、広瀬知事は、日本、中国、韓国の3か国において、文化芸術による発展を目指す東アジア文化都市の来年度の日本の開催都市に本県が選定されたと公表されました。 本県は、平成10年から23年間にわたり、世界でも屈指のピアニストであるマルタ・アルゲリッチさんを総監督に、一流の音楽芸術の鑑賞機会を提供し続けてきた別府アルゲリッチ音楽祭、東洋のロダンとも言われる県出身の彫刻家、朝倉文夫を継承し、新進気鋭の彫刻家の登竜門として、平成5年よりほぼ隔年で開催してきている大分アジア彫刻展など、これまでも芸術文化の創造と涵養に向けた取組を長年行ってきました。 また、国際社会への情報発信という意味では、人口当たりの留学生数が全国3位と、立命館アジア太平洋大学をはじめ、多くの留学生を有する本県の強みもあり、今回の選定は的を射たものであると思います。 これまで2年にわたるコロナ禍の影響により、密を避けるために展覧会や舞台公演、ライブコンサートなどは延期や観客数制限を余儀なくされ、芸術文化の担い手の皆さんやそれを志す方々にとっては発表の場が縮小してきました。新型コロナウイルス感染症の状況がどのようになるかは不透明ではありますが、選定された国際的な発表の場を生かし、新型コロナウイルスへの対策に万全を期して、本県の芸術文化活動の再活性化に向けた起爆剤にしていただきたいと考えます。 現在、県は今回の選定を生かし、1、県内各地域で展開されている特色ある様々な芸術文化に注目し、交流の場での発信、2、様々な交流を通じて、芸術文化の力を観光や産業にも生かす創造的な地域づくり、三つ目、3国1県3市の皆さんと、芸術文化の楽しみと感動を分かち合いながら、相互交流と連携の深化の三つに取り組むとしています。 また、会見では、様々な分野の方々に参加してもらう実行委員会や県庁内の関係部局によるプロジェクトチームで議論を始めると伺っています。 1年間の長丁場の事業となるので、新型コロナウイルス感染拡大の波がいつ襲ってくるか分かりません。警戒しながらも、本県から芸術文化がコロナ禍に負けなかったあかしとして、この事業を成功させていただきたいと思います。現在の検討状況と今回の事業にかける思い、考え方について知事の見解を伺います。 また、本事業は日中韓の3か国において開催され、都市間交流を含む文化芸術事業であると伺っています。仮にこの交流に中国や韓国からのインバウンドを見込むのであれば、コロナ禍以降途絶えてきたインバウンドの復活とも言える事業となります。 しかし、新型コロナウイルス感染症の水際対策などもあり、2019年のラグビーワールドカップのときのように簡単に誰もが入国できる状況ではないと考えます。 今年10月に行われた国際航空運送協会の総会では、来年の世界の航空需要は、新型コロナウイルスが広がる前の令和元年と比べ39%減となるとの見通しを発表しています。国境間の移動制限がまだ残るため、国際線を中心に航空需要の回復がずれ込みつつあると報道では分析しています。その意味では、観光客の受入れとしては限定的な効果になるのではないかと考えます。 インバウンドの回復は限定的になるかもしれませんが、本県に来ていただける外国人観光客がインフルエンサーとなり、本県の魅力を発信していただけるチャンスとなります。コロナ禍における外国人観光客の受入体制を整えることが、本県観光業の将来に向けた趨勢を決めることにもなりかねません。 県としては、観光事業者とともにしっかりと対応していく必要があります。今回の東アジア文化都市事業を機に、どのような観光振興策を考えていくのか、観光局長の見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 東アジア文化都市事業の実施について質問いただきました。 本県は、豊かで美しい自然に恵まれ、古くは宇佐八幡文化、六郷満山の仏教文化が華開き、16世紀には日本で初めて聖歌隊が組織されるなど、異文化を積極的に受け入れる風土をつくり上げてきました。江戸時代には小藩分立の中で、各地に特色のある豊かな文化が育まれ、日田祇園などの祭りや神楽などの伝統芸能が現代まで脈々と受け継がれています。 近年では別府アルゲリッチ音楽祭や大分アジア彫刻展が、回を重ねながら、国内外から高い評価を受けています。DRUM TAOは久住高原のTAOの丘を拠点に、世界を魅了するパフォーマンスを繰り広げるとともに、国東半島や別府では、現代アートの取組が地域活力や魅力づくりにつながっています。 また、iichiko総合文化センターなどを舞台に開催される県民芸術文化祭や大分県美術展は、県民の多彩な芸術文化活動として、大分の秋を彩っています。さらに先月、臼杵市が食文化の分野で、ユネスコ創造都市ネットワークに加盟が認められるなど、文化活動の新しい取組も進んでいます。 東アジア文化都市事業では、このような国内外に誇る本県の魅力的で多彩な文化を生かしながら、次の三つを目標に掲げて事業を展開していきます。 一つは人材の育成です。文化の担い手である県民が、多様な文化に親しむことのできる場づくりに努めます。そして、芸術文化団体や市町村等とも連携しながら、工夫を凝らして様々な事業を展開することで、文化に対する県民の情熱をさらに高めていきます。 二つは、芸術文化を生かした地域の活性化です。芸術文化には、人々の感性に訴えて深い感動を与え、心を豊かにし、様々な活動に導く力があり、そのエネルギーは社会経済に新たな活力をもたらします。東アジア文化都市事業の取組の中で、こうした芸術文化の力を観光や産業にも生かし、創造的な地域づくりを一層進めていきます。 三つは、東アジアの相互理解と協調への貢献です。東アジア文化都市の方々と、音楽、舞踊、書道、アートなど様々な分野で交流を行い、文化の楽しみや感動を分かち合いたいと思っています。そうした交流により、相互理解や価値観の共有を進め、東アジアの多様性の尊重に貢献していきます。さらに、国際発信力も高めながら、インバウンドの復活にもつなげていきたいと考えます。 今月7日には実行委員会を立ち上げて、準備を加速する予定にしています。東アジア文化都市・大分県として、県民総参加による取組を推進して、コロナを乗り越え、文化の香り高い創造県おおいたの実現を図っていきます。よろしく御指導のほどお願いします。 ○三浦正臣副議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 私からは、東アジア文化都市事業を通じた観光振興についてお答えします。 本事業で都市間交流を行う中国、韓国からは、これまでも多くの観光客を受け入れており、本県のインバウンドを進めていく上でも重要な国です。本事業をインバウンド復活の契機とするため、県内事業者と連携して、受入準備を進めたいと考えています。 まず、両国の現地旅行会社に対して、本県の芸術文化の取組に加え、魅力的な観光資源や食を提案し、ツアーの造成と販売を促したいと考えています。 また、将来に向けて継続的な交流を行うため、両国の学校関係者に向けたセールスを実施し、子どもたちの訪日教育旅行を県内の各地域に誘致したいと考えています。 本県の魅力発信も大変重要です。来県した訪問団へはもちろんのこと、各都市で開催される開幕イベントにおいて、誘客プロモーションを実施したいと思います。 また、観光情報発信チャンネル沸騰大分などを通じて、事業や交流の様子をタイムリーに発信することで、各都市住民に直接魅力を伝えたいと思います。 現在、外国人観光客の入国は制限されていますが、本事業のみならず、あらゆる機会を捉えて、インバウンドの復活に向けて実効性のある取組を進めていきます。 ○三浦正臣副議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございました。私の田舎である臼杵市も、ユネスコの創造都市ネットワークに選ばれて、関係者の方が大変喜んでいます。 もともと臼杵市は、野津町のグリーンツーリズムで結構海外の方が来られていたんですが、このコロナ禍でほぼ来られない状況で、本当に観光だとかグリーンツーリズムだとかのよさを知る機会を今なくしている状態でもあります。 随分前になりますが、私は臼杵の担当の方とスペインのサン・セバスチャンという美食のまちの話をして、そのとき、本当に小さなまちなんですが、美食のレストランがたくさんあると。大分県は、そういう意味では市町村ごとでもいいんですが、このまちにはこういうすばらしいものがあるだとか、そういったものの発信をどんどんしていくと、その小さな小さなまちにでも人がやってくるような、そういう大分県をぜひ目指していただきたいと思っています。 それだけ大分県には様々な潜在能力を持った、食文化もそうだし、地域のものがあります。そういったものを生かしていただければなと思うので、ぜひよろしくお願いします。 では、最後になります。生態系の維持とみどりの食料システム戦略の推進についてです。 まずは、生物多様性の保全に向けた取組についてです。 平素より農業に携わっている者として、自然の営みほどありがたく、そして、難しく感じるものはありません。農業は自然の流れにいかに乗っていくか、また、あらがうかによって実りが変わってきます。そのためには、その土壌となる自然を常に意識し、対応していく産業であり、そこに面白みを感じるところがあります。 近年の豪雨災害もそうですが、地球温暖化により自然環境が変化しています。地球温暖化の根源をたどれば、化石燃料の大量使用による二酸化炭素排出量の増加、経済性を優先した開発の推進であったと思います。このため、私たちの自然環境は、例えば、私が小学生であった昭和50年から60年代の頃に比べ劇的に変わっており、さらに人口減少、高齢化により、人の手で守られていた里山などの自然も荒廃が進んでいます。 また、人為的な意図をもって持ち込まれた外来種は、地域の生態系を乱す原因となっています。中でもアライグマは、従来の日本の農業には無縁の動物でした。今や増殖を続け、本県でも農作物に大きな被害を与えています。また、持込みだけではなく、オオカミなど食物連鎖の頂点にある種の絶滅などにより、イノシシ、シカなどの獣害に遭っているのも事実です。 そこで、今回、主題に置きたいのは蜜蜂です。日頃より養蜂に携わる方々と議論すると、やはりこの生態系の変遷の話に至ることが多々あります。休耕や開発などで農地が減少していること以外にも、花粉の量が減少した果樹への品種改良、温暖化による植生の変化、増加する野生動物による蜜源の食害など、蜜蜂が減少しており、蜜源が減ってきた要因を分析すると、自然の持つ多様性が失われたことによる影響が色濃く分かってきます。もちろん、その中には後述する農薬の使用も含まれます。 行き過ぎた経済効率性の追求により変わってしまった自然環境を元に戻すのは、多くの困難があると思います。しかし、現状を維持し、今、地域で起こっている生物多様性に対する様々な危機を回避し、大分が誇る豊かな自然の恵みを持続的に利用可能とすることが必要です。 県には生物多様性基本法第3条の基本原則にのっとり、施策を講じる責務があります。現在定めている第2次生物多様性おおいた県戦略も来年度に改定時期を迎えると思いますが、今後、豊かな多様性の保全を目指してどのような取組を行っていこうと考えているのか、生活環境部長の答弁を求めます。 次は、化学農薬、化学肥料の低減への取組についてです。 食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させるため、政府は令和32年を目指して、みどりの食料システム戦略を策定し、推進しようとしています。簡単に言えば、食料の安定供給、農林水産業の持続的発展と地球環境の両立のために、今から我々に課せられたミッションです。 しかし、地球の限界を意味するプラネタリー・バウンダリーは、九つの項目のうち、気候変動、生物多様性、土地利用変化、窒素・リン酸の4項目で高リスクの領域にあり、早急かつ大胆な取組が求められています。このことは、さきほどの質問では化学農薬、化学肥料の低減、生物多様性の保全、再生という点に関連してきます。 みどりの食料システム戦略が目指す姿とKPIでは、リスクの高い農薬からリスクのより低い農薬への転換を段階的に進めつつ、化学農薬のみに依存しない総合的な病害虫管理体系の確立、普及等を図ることに加え、令和22年までに、現在多く使われているネオニコチノイド系農薬を含む従来の殺虫剤を使用しなくても済むような新規農薬等の開発により、令和32年までに化学農薬使用量の50%低減を目指し、輸入原料や化石燃料を原料とした化学肥料の使用量の30%低減を目指しています。 時を同じくして、今年度より改正農薬取締法に基づく取組の中でも、グリホサート、ネオニコチノイド系農薬など14有効成分を対象に、最新の科学的知見に基づき安全性等の再評価を行う仕組みを導入し、また、必要な場合は随時登録の見直しも実施することになっています。 農薬の安全性に関する審査の充実の4項目の一つが、農薬の蜜蜂への影響評価の充実であり、もう一つは環境生物への影響評価の充実です。今回はその中から、特に化学農薬の低減に向けた県の取組について聞いてみたいと思います。 県農林水産部の調べでは、平成12年から令和元年まで農薬の使用量、化学肥料の使用量がともに半分まで減っています。また、環境保全型農業に取り組んでいる農地の面積も増えています。特に大分県では、近年、総合的病害虫・雑草管理、いわゆるIPMの推進に力を入れています。化学農薬だけに頼らず、病害虫の発生状況に応じ、適切な防除を実施するのがIPMの概念です。 県内の園芸品目でのIPM取組実績状況を確認したところ、IPM技術導入による効果は着実に出ていると伺っています。 農林水産省が提言したみどりの食料システム戦略は、令和32年をめどにして様々な取組を打ち出しています。県において、IPMの推進を含む化学農薬、化学肥料の低減への取組をどう実施していくか、私の愛する蜜蜂や川魚をはじめとした生物多様性の保全、再生のためにも進捗を期待したいと思います。農林水産部長の考えを聞かせてください。 ○三浦正臣副議長 磯田生活環境部長。 ◎磯田健生活環境部長 生物多様性の保全に向けた取組についてお答えします。 生物多様性の課題には、人間の営みによるものと地球環境の変化によるものがあります。 人間の営みによるものとしては、一つは、行き過ぎた開発行為による生態系への影響があります。自然環境に大きな影響を及ぼす開発行為については、既に環境アセスを厳しくするなどの対策を講じていますが、経済活動との調整を図りつつも、さらなる厳しい対応ができないか研究していきます。 二つは、里地里山での人の活動の減少に伴う荒廃の進行です。山間部の草原や林地は、人の手が入ることにより、その植生や景観を維持してきました。今後は野焼き等、里地里山の保全活動に対する支援の強化を検討していきます。 三つは、外来種や化学物質による危機です。特にアライグマの影響が非常に顕著なため、市町と連携した防除体制づくりを早急に確立していきます。 一方、地球環境の変化によるものについては、気候変動適応センターを今年度設置し、気候データの収集を開始しました。今後は将来予測も行いながら、県民に有用な情報を提供していきます。 本県の豊かな自然に育まれた生物多様性を保全するため、これからも県民と共に部局横断で取り組んでいきます。 ○三浦正臣副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 化学農薬、化学肥料の低減への取組についてお答えします。 化学農薬、化学肥料低減の取組は、令和3年5月に国が策定したみどりの食料システム戦略の中でも、栽培暦の見直しや土づくりの徹底等が具体的に示されています。 本県ではこれまでも化学農薬低減の取組として、化学農薬だけに頼らないIPMの普及拡大を進めています。特にいちごは蜜蜂と共存した栽培であることから、蜜蜂への影響を最大限に低減するIPM技術の確立と普及が必要となっています。本年度、複数のIPM技術を組み合わせた大分県版いちご防除暦の策定に向け、全振興局で実証圃を設置するなど、技術確立とさらなる普及を進めています。 今後、ピーマンや白ねぎをはじめ、他の品目についても同様の手法で技術の確立を進めていきます。 化学肥料低減については、土壌診断に基づいた有機質堆肥による土づくりや堆肥供給の仕組みづくり等を進め、化学肥料のみに頼らない栽培体系を確立していきます。これらの取組を進めていくことで、化学農薬、化学肥料の低減を今後も図っていきます。 ○三浦正臣副議長 後藤慎太郎君。
    ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございました。蜜蜂に関してなんですが、いろんなことを言われています。例えば、中には電磁波が悪いとか、今言われているのは、農薬はもちろんですが、寄生するダニの研究がまだまだ進んでいなくて、このダニの研究をぜひ進めてほしいなと思います。 蜜蜂は、今回のみどりの食料システムの中でも言われていますが、ポリネーターとして、そのものが存在することにより生態系があるというのもあるし、やはり我々の食料もそういったところで恩恵を受けていると思っています。 今、私は一般社団法人大分県蜜源花粉源植物振興協会という環境団体の代表をしています。要は、もともとあった環境を元に戻すのは難しいと。ただ、この大分県の中でぜひ残していきたいものがある。 蜜源花粉源は、蜜蜂が当然集まって蜜を取るんですが、それ以前に耕作放棄地の解消事業にもつながってきます。昔、景観作物だとか緑肥作物を植えるという政府の補助金等もあったんですが、こういった環境に関する農業の施策、環境に対する配慮、そういったのを進めていただければなと思っています。 田舎で農地を守る方は本当にいなくなっていますが、景観作物を植えているだけでも、人が来る場所もできます。例えば、ヒマワリ畑やソバ畑をつくると、そこに蜂蜜を取る養蜂家ももちろん巣箱を置くんですが、そこに人が来ることだってあります。そうやって大分県全域に蜜源花粉源ができるような、以前も質問しましたが、都市緑化も含めてそういったものを大分県に広めていただければなと。私も今活動しているものですから、そういった活動を続けていきたいので、御理解、御協力をいただきたいなと思っています。 今回この質問をしながら、いろんな方との話をしていく中で、これは生活環境部長にもし答えていただければいいんですが、大分県レッドデータブックの改訂をやっていると思います。この改訂をする中で、例えば、両生類に詳しい方、調査員の方、それから、クモだとか蜂だとか、こういった大分県の自然を調べてもらっている方がいるんですが、だんだん高齢化でいなくなっていると。 その原因が、大分県に博物館とか、自然昆虫博物館だとか、科学博物館がないということも言われていて、学芸員が育たないとか、そういったことを子どもたちも知らないので、そういった道に進む方も少ないというのを要望書かなにかで伺いました。大分県に博物館が簡単にできるものではないと思いますが、そういった自然に親しむような場所をつくったらどうかなと。九州でも実は博物館がない県は大分県だと、福岡は割とあるという話も聞きまして、部長、もしレッドデータブックと博物館について、何か思いがあれば答えていただければなと思いますが、どうでしょうか。 ○三浦正臣副議長 磯田生活環境部長。 ◎磯田健生活環境部長 レッドデータブックは改訂するということは聞いています。かなり植生等も変わってきているので、中身の入れ替わりとか、新たな情報も、次の改訂では入るものと考えています。 自然博物館等については、いろんな科学の勉強であるとか、あるいは自然に親しむ機会を確保するという意味があろうかと存じます。大分県内は非常に自然が多いので、そういったところも活用した教育関係、それから、NPOの活動等を使って、子どもたちに知ってもらう機会をどんどん広げていきたいと考えていますが、施設そのものについては、また今後の研究課題であろうかと思います。 ○三浦正臣副議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございました。博物館も、ぜひまたいろんな県を参考にして考えていただけばと思っています。どうかよろしくお願いします。ありがとうございました。(拍手) ○三浦正臣副議長 以上で後藤慎太郎君の質問及び答弁は終わりました。堤栄三君。  〔堤議員登壇〕(拍手) ◆堤栄三議員 皆さんこんにちは。傍聴の皆さん、そして、インターネット、ケーブルテレビで御視聴の皆さん、本当にお疲れさまです。日本共産党の堤栄三です。一般質問を早速始めます。 まず、新型コロナウイルス感染症第6波への対策についてです。 医療検査体制の充実についてです。まず、新型コロナウイルス感染症が第5波まで拡大した大きな要因の一つは、PCR検査などの徹底を、陽性患者が出れば医療崩壊を招くといって、やってこなかったからです。感染拡大防止のために、無症状者の早期発見・保護・隔離が大切であったにもかかわらず、それを行わず、制限を解除し、経済活動再開を進めてきたため感染の再拡大を引き起こしてしまいました。 さらに、政府による社会保障費や保健所の削減、病床など医療体制の削減策が進められた結果、医療崩壊を起こしてしまい、その反省もなく、軽症者は自宅待機という国による医療放棄を進め、在宅での死者が多発するという結果をつくり出してしまいました。 この反省の上に立って、削減ありきの姿勢を中止し、社会保障、医療体制の拡充をする施策を講じていかなければならないと考えますが、答弁を求めます。 また県は、11月16日、大分県新型コロナウイルス感染症対策本部等で、エアロゾル感染対策の強化や医療体制の提供などを公表していますが、中でも検査体制では濃厚接触者はもとより、その他の接触者に対しても幅広にPCR検査を行うと言っています。この方針はこれまでの方針と変わりなく、感染の疑いが出てからの検査となります。それでは遅いのではないでしょうか。感染者が出る前に検査を行い、早期発見と追跡、治療の体制を取らなければなりません。そのためにも、PCR検査の世田谷モデルとして複数人の検体をまとめて検査するプール方式などの採用で、大量に検査し、感染者を早期に発見できる体制をつくることが大切です。いつでも、誰でも、無料で受けられる体制を構築すべきです。 さらに、保健所機能の強化として職員の増員や保健所の増設ではなくて、保健師OBや外部人材、市町村職員の応援などで対応しようとしています。第5波までの教訓では電話等がつながらないなど保健所機能のパンク、職員の長時間勤務が大きな問題でした。このような小手先の対応ではなくて、平時から職員の増員などの体制強化を図るべきではないでしょうか、あわせて答弁を求めます。 二つ目には、公立病院等の統廃合です。国は、高度急性期病床など20万床削減することを目標に、大分県では臼杵市医師会立コスモス病院、竹田医師会病院を含む全国約440の病院の統廃合を推進するために、消費税増税分を財源にした病床機能再編支援事業までつくり、進めているのが現状です。コロナ禍でいかに医療が逼迫したかが明らかになりました。このような反省がないままの、公立病院の廃止・統合計画は中止を求めるべきです。答弁を求めます。 三つ目に、また、来年10月からの2023年3月までの間に75歳以上の窓口負担割合の増も計画されています。コロナ禍で受診抑制が発生している状況に加え、さらに個人負担増による受診抑制を誘発し、傷病の悪化になるような制度は直ちに中止を国に求めるべきです。答弁を求めます。 以下、対面にて。  〔堤議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○三浦正臣副議長 ただいまの堤栄三君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 堤栄三議員から、新型コロナウイルス感染症第6波への対策として医療検査体制の充実等について御質問いただきました。 まず私から、医療検査体制の充実についてお答えします。 少子高齢化が急速に進む我が国では、将来にわたり安心できる社会保障制度の構築が急がれます。その中で医療については、本県では病床削減ありきではなくて、地域のニーズに応じた適切な提供体制の整備に努めてきました。 そうした中、先般の第5波では、県内でも感染者が急増して、一時的に医療の提供が追いつかない時期があったことから、次の流行に備え、予想される必要数を大きく上回る入院病床と宿泊療養施設を確保しています。 次に、PCR検査についてですが、これまで本県では、原則として有症状者を対象として、一旦感染が確認されれば、濃厚接触者や無症状の接触者に対しても、幅広に検査を実施してきました。さらに全国に先駆けて、迅速診断キットを高齢者施設や学校、保育園、放課後児童クラブ等に広く配布して、体調不良時に即座に検査できる環境を整えました。 今般、感染拡大傾向が見られる場合には、知事の判断で、感染不安のある無症状者への無料検査を可能とする国の方針が示されました。感染拡大期には、市中における感染状況の把握に一定の効果があり、県民の不安軽減にもつながることから、今議会に所要の予算を追加提案しています。 また、感染急拡大時には、大規模災害時と同様に、現場で必要となる人員をいかに迅速かつ確実に投入するかが危機管理の要諦です。コロナ対応の最前線となる保健所の体制強化を図るために、今年度、保健師4人、事務職員9人を増員するとともに、会計年度任用職員も28人を配置しています。さらに、保健師OBなど外部人材を活用したほか、市町村や県庁各部局から応援職員の派遣、電話受付や検体搬送業務の民間委託等も実施しました。 加えて、即時データベース化が可能なクラウドシステムの導入により、保健所をはじめ、宿泊療養施設など、関係機関との患者情報の随時共有を図ります。また、タブレット端末を追加配備して、クラスター発生時の現地調査や指導業務を効率化し、職員の負担軽減にも力を入れていきます。こういうことで第6波への備えもできる限りのことをやっています。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 私からは2点お答えします。 まず1点目は、公立・公的病院の統廃合についてです。 公立・公的病院は、救急やへき地医療など民間病院では取組が困難な分野の医療を支えており、新型コロナ対応でも、入院患者の受入れ等で中心的な役割を果たしています。 現在、新型コロナを踏まえた今後の医療提供体制を国の審議会で検討中であり、その動向を注視していますが、公立・公的病院を含む地域医療の在り方は地域の実情を踏まえ、関係者で議論することが重要です。 これまでも地域医療構想調整会議で協議を重ねてきましたが、今回の経験を基に、公立・公的病院が担うべき役割を十分に踏まえた上で、統廃合ありきではなく、改めて丁寧に協議していきたいと考えています。 次に、後期高齢者医療制度についてです。 後期高齢者の窓口負担割合の改正は、団塊の世代が後期高齢者となり始める令和4年度以降も、全世代で広く安心を支えていく社会保障制度を構築するための、給付と負担の見直しを目的とするものです。 医療費の約4割を支える若い世代の負担を少しでも軽減することは重要な課題であり、今回の改正で一定所得以上の後期高齢者の窓口負担が2割に引き上げられることになったものです。 見直しの影響が大きい外来患者には、負担増加額を抑制する配慮措置が講じられます。県においても受診控えにつながることのないよう、広域連合と連携して配慮措置の周知に努めていきます。 ○三浦正臣副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 まず一つ、PCR検査の問題ですが、オミクロン株が最近発見されたことで非常に国内でも問題になっていますが、検査体制の拡充は絶対大事だと思うんですね。今回の補正予算でも確かに、感染拡大の傾向が見られる場合、県の判断で不安のある無症状者はPCR検査を行うよとか、または、対象は30万から40万にもなっているとあるが、傾向が見られるということは、結局、感染拡大につながっていることになるわけです。その前に検査を徹底して、発見し、隔離して治療する、これが原則だと思うんですね。そうすることによって感染拡大を外に広げない、そこで食い止めることにつながると思うんですね。そういう考え方に立つべきだと思うが、それについてはどうかということと、また、県の判断とは、具体的にいうと、どういうときに発動されるのかを一つ聞きます。 二つ目として、保健所の職員の関係ですが、確かにこの2年間、今年と来年度で増員は少しされています。しかし、統廃合する前と後では、確かに保健師の数は5人増えています。それ以外の医者や事務職員は結構減っているわけです。そういう中で、結局、今度の第5波までの体制を取らざるを得なかった。だから、長時間労働等になってくるわけですね。電話がつながらないとか。 そういうときに、やはりここは思い切って、第6波対策も含めて、人から、つまり市町村から借りるとかではなくて、県独自にきちっと、会計年度任用職員ではなくて、安定した方々、正職員として雇用することは感染拡大防止のためにも非常に大事だと思うんですね。そういう増員をぜひすべきだと思いますが、どうかということ。 もう一つ、後期高齢者医療制度の問題、この問題はよく私も質問等しているんですが、この影響が出るのは大分県下で大体3万人ぐらいと言われています。その負担増も8万3千円から10万9千円に増えると。ただ、激変緩和措置はあるが、それは3年間という一つの区切りがあります。その所得の200万円とか320万円についても、いつどうなるか分からないです。導入するときにはそういう線を引いているが、それをどんどん下げてくる可能性もあるわけでしょう。だから、そういう点からすると、75歳以上の方々は大分県を建設されてきた方だから、こういう方々に対しては、やはり県として、無茶をするなと、2割負担をするなと国に言うべきだと思うんです。 国の言い分どおりに、社会保障充実のためとか、全世代で面倒を見るとかではなくて、本当に頑張ってこられた方々に対して、きちっと県としても光を当てると、負担増させないということを国に求めるべきだと思うが、再度答弁を求めます。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 4点御質問いただきました。 まず1点目の、検査を感染が広がる前段階できちんとやるべきではないかということです。 これは、無料でPCR検査を行うことによって、無症状の感染者の発見という一定の効果はあるが、きちんと効果を発現させるためには、専門家によると、週に2回以上の検査を継続しないとその効果は発揮されないという見解があります。そうなると、費用対効果、あるいはマンパワーを考えたときに、大きな負担がかかるということで、本県は基本的にはさきほど知事の答弁にあったように、濃厚接触者、あるいはその周辺の接触者を幅広に検査を行うことで対応しています。 あと、クラスターが発生するリスクのあるいろんな医療機関とか高齢者施設とか福祉施設、そういったところには抗原検査キットを提供して、なるべく早期に感染者の探知に努めるようにしています。 今回、さきほど答弁にもあったように、無料の検査制度が国から示されました。 2番目の御質問ですが、感染が拡大していることについて、知事の判断、どういうタイミングでするかということですが、国から示されている考え方としては、レベル2と。レベル2は、感染が拡大し始めて、医療機関に負担が生じ始めた段階と示されています。これを具体的にどう運営するかは、県で基準を定めることになっているので、今その判断基準について検討しています。 それから、3番目、保健所の統廃合に関しては、保健所の平成20年の統廃合については、10医療圏から6医療圏に見直したことに伴い、従来13組織あったものを6保健所、3保健部に再編したということで、このとき、組織をまとめたことにより、管理的な立場にあるポストの廃止によって人員を削減したということで、保健師の数とか、そういう実質的な戦力がダウンしないように配慮しました。これによって、保健所の広域的、専門的な技術的拠点としての機能は逆に強化したと私どもは評価しています。 知事の答弁にもあったように、コロナ対応も災害対応と同様に、そのときに必要な人員を投入することが重要となるので、平時における増員はなかなか難しいんではないかと。 ちなみに、人口10万人当たりの保健所の職員数のデータがあります。これを見ると、全国平均が10万人当たり23.3人に対して、大分県は31.6人で、保健所の職員は手厚く配置されていると言えるのではないかと考えています。 4点目、後期高齢者については、さきほど答弁したように、今後の後期高齢者医療制度の持続性を維持するために、幅広く全世代で支えていくための取組と考えているので、受診控え等につながることのないように、そこはしっかりと配慮していきます。 ○三浦正臣副議長 執行部に申します。答弁は簡潔に願います。堤栄三君。 ◆堤栄三議員 PCR検査の問題については、費用対効果という財政上の問題を一つの大きな要因として挙げているが、これは間違い。やっぱり人の命に関わるわけだから、その点は強く、PCR検査をこれから徹底してやっていただくことを申し述べて、次に行きます。 個人消費の拡大策と中小事業者支援策についてです。 岸田政権は11月8日、新しい資本主義実現会議緊急提言で、1980年代以降、格差拡大、下請企業へのしわ寄せ、自然環境等への悪影響が出ていることを指摘しており、これは新自由主義の弊害によるものだと考えます。これまでの新自由主義経済理論では、企業が潤えば下へ滴り落ちるとしたトリクルダウンが破綻したことは明白です。成長と分配では、安倍・菅前政権9年間で、大企業の内部留保は133兆円も積み増しし、467兆円になり、一方、平均実質賃金は年22万円も減少しています。特に、GDPの5割強を占める個人消費の底上げは、このときは本当に必要です。県としても新自由主義の経済運営から、県民の暮らしを、懐を暖めるボトムアップの施策を講じることが必要と考えるが、答弁を求めます。 また、コロナ禍の4度にわたる緊急宣言下でも中小企業は歯を食いしばり営業を続けてきました。それに対して持続化給付金はただの一度だけ。時短要請協力金も飲食店等が対象であり、該当しない多くの中小企業は、コロナ融資や販路拡大、経費節減など涙ぐましい努力で経営を維持してきました。しかし、営業努力も限界です。帝国データバンクの新型コロナ関連倒産が、11月22日段階で都市部を中心に2,406件に上っていると公表しています。延命策が尽きれば倒産廃業せざるを得なくなります。企業立地補助金など県外大手資本へ補助金を出すのではなくて、県内中小企業にこそあまねく助成すべきです。 8月27日に大分県に対して、飲食店、アパレル等695人の事業者から、サービス業とそれに伴う業者への救済措置を求める要望書が提出されました。また、私が委員外議員で参加した11月8日の商工観光労働企業委員会でも、府内五番街商店街振興組合の方々から、一般の事業者には時短要請協力金などの支援制度がないなどの意見が出されていました。さらに都町の飲食業者も、11月26日に要望を県に行い、忘年会シーズンだが昨年はゼロ、今回も予約は少ない、時短解除後も客足はぱったりという実態が出されました。 第6波を見据えて、県として条件を付さず、売上げが減少した事業者を救済する営業補償を措置すべきであると考えますが、答弁を求めます。 また、東京都墨田区では、中小企業振興基本条例に基づいて、新型コロナウイルスによる区内中小企業等への影響調査を行い、個別企業への支援策をきめ細かくやっています。大分市などの中心地域と周辺部の対策はおのずと違ってきます。県として、各市町村と協力して実態調査を行い、現状の困りなどをつかみ、具体的な対策を講ずるようにすべきではないでしょうか、答弁を求めます。 また、来年の確定申告では、各種補助金や協力金は収入になり、国税や地方税、国保税などの各種税金の課税対象になります。生計維持のための支援金が中小事業者をさらに追い詰める結果となりかねません。このような問題に対する対策をどう講じていくのでしょうか、あわせて答弁を求めます。 ○三浦正臣副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 個人消費の拡大策と中小事業者支援策について御質問いただきました。 県民の皆様の御協力により、感染の第5波が収束し、これからは感染再拡大に備えながら社会経済の再活性化に向けて、より一層力を入れていく必要があります。 本県経済の本格的な回復には、業種を問わず全県的に個人消費を喚起していくことが重要です。このため、県内の消費拡大や地域経済の活性化に向け、市町村と連携して、プレミアム付商品券を発行します。市町村負担分と合わせてプレミアム率はおおむね30%を目安とし、発行総額は130億円程度としており、さきに実施した味力食うぽん券の約1.5倍に相当する規模としています。 第6波を見据えた事業者支援については、これまで県では応援金や事業継続支援金などにより、業種を問わず、売上減少に苦しむ様々な事業者を支えてきました。応援金は1万9,175者に約105億円、支援金は11月末現在で1万187者に約28億円を給付しています。 加えて、商工団体等と連携して、国の経済対策による事業復活支援金や期限が延長された無利子・無担保融資などの活用を促していきます。 実態調査による現状把握では、500社企業訪問によりコロナ禍での具体的な影響や支援施策への改善点等を重点的に聞き取るとともに、県内6地域で地域懇話会を開催して、地元事業者や市町村等と意見交換を行っています。あわせて、昨年以降、商工団体に寄せられた2万5千件を超えるコロナ関連の相談内容を随時共有することで、地域の実情を踏まえた施策の展開につなげています。 また、給付金等が各種税金に影響していることも御質問がありましたが、これまでも全国知事会を通じて、国に対して税や保険料の軽減、猶予等の措置を講じるべきだと提言しています。県としてもコロナの影響を受けた事業者の負担を軽減するため、県税の納税猶予制度を適用するなどの対応をしています。 個人消費の活性化とあわせて、国の経済対策なども積極的に活用しながら、市町村や商工団体等と連携して、中小企業・小規模事業者に支援策をあまねく届け、しっかりと後押ししていきます。 ○三浦正臣副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 確かに、売上減少事業者に対する支援策について、プレミアム商品券とか事業継続支援金、これは助かっている方はたくさんおられます。これは本当にこれからもどんどんやっていただきたいし、今回の補正予算の中でも、この事業継続支援金も1・2期で1万6,800者ぐらいの対象者までにやろうと、予算が枯れないようにやろうということで追加補正されて、非常にいいと思います。 ただ、問題なのは、やっぱり国も事業復活支援金でも、3割から5割売上げが減った事業者は最大30万円の支援金です。だから、そういうものに対して、県としていろんな、財政調整用基金でもなんでもいいが、そういう財源を活用して、10%の方に対して、また20%の方に対して、国も3割に下げているのであれば、県も今3割で頑張っているから、これを2割、3割の方々まで支給を拡充できると思うんですね、しようと思えば。知事の判断でできると思うから、ぜひそれはやっていただきたいんですが、それはどうかということが一つ。 それと、知事会として申告等の問題で収入を除外というか、課税等いろいろ問題視して措置を取るよう言っている。これは非常にいいと思います。 もう一つは、今まで国も含めて、これは営業補償ではないんですね。支援金とか協力金です。協力してくれたから、その代わりとしてお金を払いましょうという形になっている。営業補償ではないわけだから、それを所得、収入に合算することは本末転倒だと思うんですね。そういう点も強く言っていただいて、確かに猶予制度はいろいろあるが、もともとからせっかく事業として頑張ってほしいというお金を支給しているわけだから、それは除外するとか、何らかの特例措置を取るべきだと思うんですね。その2点について再度伺います。 ○三浦正臣副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 2点御質問いただきました。30%以下の方々へも支援をというお話です。 我々は本当に、さきほども答弁しましたが、様々な苦しい声を聞いています。当然、全ての方々をしっかり支援していきたいと考えていますが、財源の限りがあります。そういった中で、今回、頑張る方々にしっかりお金が回るように、サービス業の方からも大変苦しいという話、正に堤議員にも御紹介いただき、お話を聞きました。そういった方のために、今回、プレミアムクーポン券という形で用意し、各地域の声を聞いたほうがいいというお話も踏まえて、我々は市町村とも一緒にそういうクーポンの事業をやっていきたいと考えています。 2点目の、それは営業補償ではないと、税の猶予をお願いしますという話です。これは正に、さきほどの答弁の繰り返しですが、国に税の猶予等をお願いできないかという提言を既に全国知事会を通じてしています。 ○三浦正臣副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 事業者の方々に対する支援は、本当に大変です。毎日のようにいろんな方から話を聞くんですね。何で3割かと。これは説明がつかないですよ。だから、そういう点では、あまねく支援ということで、ぜひこれは3割以下の方々も本気になってどうするかと。プレミアム商品券は一部ですよ。ではなくて、全体の中小企業者の方々を支援する意味からも、ぜひこれからも1割、2割をどうするかも含めて真剣に考えていただきたい。強く要望します。 次に、ジェンダー平等の問題について聞きます。 世界経済フォーラムによるジェンダーギャップ指数2021では、日本は156か国中120位となっています。特に政治・経済分野での指数の低さが影響しています。働く女性の56%がパート、派遣などの非正規雇用であり、育児、家事は女性がやり、男性は長時間労働で家族を養うという性別役割分担の仕組みと意識が長年はびこってきた結果です。特に賃金格差は大きく、正規女性でも男性の7割、非正規では3割という状況です。実質的な失業者も女性は103万人と男性の2倍以上に上っています。このような女性の不安定な働き方を推進しているのが新自由主義であり、低賃金・長時間労働によって企業の利潤を最大化する思想の下で社会的につくられてきたジェンダーです。この認識に基づいた労働時間短縮と賃金引上げの実現を目指す改革を行わなければ、ジェンダー平等は実現しないのは当然です。 また、ジェンダー格差の問題では、仕事面に限りません。もう一つの問題は、家庭における女性の役割が大きいことも問題です。日本の家庭における女性への比重は一貫して大きく、安倍前政権の一億総活躍社会という目玉政策の実施にもかかわらず、減少していないことが分かります。 職業においても家庭においても、男女の役割分業的思想がいまだに根強く、ジェンダー平等社会に向けて、労働分野での女性の地位向上と男性の家事労働への参画などを県民と共に一歩ずつ進めることが、ジェンダー平等を実現する上でも重要ではないでしょうか。 この基本に立つことが大切と考えますが、基本的な認識はどうでしょうか、答弁を求めます。 ○三浦正臣副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 ジェンダー平等の基本的認識について御質問いただきました。 性別にかかわらず、平等に責任や権利や機会を分かち合い、あらゆる物事を一緒に決めていくことであるジェンダー平等は、SDGsのゴールの一つともされた世界共通の願いであり、普遍的な価値のあるものだと思います。 こうした思いを込め、県民の皆さんからの貴重な御意見もいただきながら、本年3月に第5次おおいた男女共同参画プランを策定しました。プランを着実に実行するため、三つの取組を進めています。 一つは、男女共同参画に向けた意識改革です。男は仕事、女は家庭という性別役割分担意識は解消されつつあるものの、いまだ根強いものがあります。例えば、女性の家事負担は、結婚して共働きになると男性の2.6倍、小学生の子どもがいると3.6倍と増えています。そのため、今年度は男性の家事参加を促すセミナーの開催や、カップルや夫婦で一緒に家事を楽しむ啓発冊子の作成に取り組んでいます。 二つは、女性の活躍の推進です。女性が個性や能力を十分に発揮して、政策・方針決定過程に参画することは大変重要ですが、管理職に占める女性の割合は11.4%にとどまっています。そのため、管理職を目指す女性及び女性部下を育成する立場にある方に向けたセミナーを実施しています。 また、県内企業で活躍する女性管理職を身近なロールモデルとして紹介するとともに、これからのキャリアと人生の歩み方をテーマとした講演会も開催しています。女性の採用・登用や柔軟な働き方に積極的に取り組む女性活躍推進宣言企業は4月以降30社増え、244社に上ります。 三つは、男女が安心できる生活の確保です。DVや性犯罪、性暴力の被害者に寄り添って、支援することに加え、暴力そのものを根絶していく必要があります。今年度は新たに、ジェンダー平等の観点から暴力防止に向けた広報啓発案を大学生が考えるアイデアソンを開催しました。参加者の意識は高く、短い時間で様々なアイデアをいただきました。 今後とも男女共同参画社会に向け地に足をつけた施策にしっかりと取り組んで、ジェンダー平等の実現に邁進していきます。 ○三浦正臣副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 今、管理職への女性起用の問題がありましたから、次の質問に入ります。 次に4点質問します。 まず一つは、県職員の女性幹部の登用についてです。 国は2020年代の可能な限り早期に指導的地位に占める女性の割合が30%程度となるように目指して取組を進めると表明していますが、県幹部職員の女性職員の登用比率はどれくらいでしょうか。また、向上策はどのように取り組んでいくのでしょうか。 次に、民間企業における育児休業取得率の向上についてです。 今は育児休業を取得しても、最初の半年はいつもの給料の67%、半年以降は50%と収入が激減します。さらに人事評価など昇進に影響が出て、将来収入が減少する場合もあります。上司からのハラスメント等も考えられます。県職員も民間企業の労働者もこのような不安がある中での育児休業を積極的に取ることは厳しいと思います。 男性、女性関係なく育児休業取得率の向上も、このような不安を解消することで、育児休業を取得することが進むと思います。県として民間企業における育児休業取得率の向上に対する対策をどう講じているのでしょうか。 次に、また、男性県職員の取得状況と向上のための施策はどうしているのでしょうか、答弁を求めます。 この項の最後に、新型コロナウイルス感染症の拡大で、今年4月から9月まで、過労死ライン超えの100時間超の残業をした職員が延べ90人に上り、昨年度1年間よりも多くなっていると報道されています。特に福祉保健関係職員の残業が8割を占めています。これまでも指摘してきましたが、長時間勤務の実態はこれまでのように効率化や外部委託などで解決できるものではありません。今後、第6波の懸念や新しい感染症の拡大など心配される中、根本的、抜本的に職員の増員を行うべきではありませんか、答弁を求めます。 ○三浦正臣副議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 ジェンダー平等実現に向けた取組に関して4点お尋ねいただきました。私から3点お答えします。 まず、県職員の女性幹部登用についてです。 課長級以上の職員に占める女性の割合は年々上昇傾向にあり、本年4月1日現在で9.2%と10年前に比べて約2倍となっています。 県としては、女性職員の活躍をさらに推進するため、昨年度、女性活躍推進法に基づく行動計画の見直しを行い、中長期的な視点に立った人材育成、キャリア形成支援を推進することとしています。 具体的には、若い年代から予算・人事等の管理部門、政策立案等の企画部門への積極的な配置や、研修等を通じたキャリア形成意識の醸成、管理職員の意識改革等に取り組んでいます。 今後とも女性職員の人材育成を推進し、幹部に登用されるよう努めていきます。 続いて、男性県職員の育児休業取得率の向上についてです。 男性職員の育休取得率は、令和元年度は10.8%でしたが、試行的に一部の部局で積極的な取得を呼びかけた令和2年度には28.1%へと上昇しています。 今年度からは全庁的に取得率100%を目標に掲げ、子どもが生まれた全職員に対する積極的な声かけや所属長など管理職員の意識改革のほか、育休取得者の代替職員配置等の環境整備を行うなどさらなる取組を推進しています。こうした取組により、令和3年度の取得率は、現段階で70%程度と大幅に上昇する見込みとなっています。 男女が共に活躍できる社会に向け、県庁においても男性職員の育休取得の促進に取り組んでいきます。 最後に、県職員の時間外勤務時間についてです。 長時間勤務の是正に向けては、まずは業務のスクラップ・アンド・ビルドなどによる効率化、業務の適正配分や定数配分の見直しなどにより対応することが基本だと考えています。 また、コロナ禍のような非常事態においては、臨機に応援職員を派遣するほか、業務の外部委託や人材派遣等も活用しています。 これらの対策を講じた上で、なお現行の職員数で対応が困難な場合は、国の財政措置等も考慮しながら定数を増やしており、コロナ対応の保健師や児童相談所の児童福祉司等を増員しました。 今後とも業務の効率化、適正な定数配分、外部人材の活用など様々な手法により対処していきます。 ○三浦正臣副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 私から、民間企業における育児休業取得率の向上についてお答えします。 昨年度の県内における育休取得率は、女性は98%ですが、男性は9.9%と全国の12.7%より低い状況であり、特に男性の取得率を高めていきたいと考えています。 男性に未取得の理由を複数回答可で聞いた国の調査においては、収入減少と回答した方が16%と一定数あるが、職場の人手不足が39%、取得しづらい雰囲気が34%など、経営者の理解で解決できるものが上位を占めている状況です。 人手不足の中、子育てに理解がない企業は働き手から選ばれない社会が到来すると考えています。このため、県では、従来の文化、制度を変革しようとする企業に対して取組事例や助成金活用を紹介し支援していきます。 ○三浦正臣副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 女性職員の件ですが、令和2年度の全職員に占める女性の割合が大体30.7%という話を聞きました。課長級以上の令和7年までの目標がたしか15%か。これをせめて30%、つまり今の職員構成ぐらいまでは引き上げるべきだと思うが、そういう考えはないんでしょうか。 それと、職員配置の適正化という名において、これはずっと削減してきたわけだから、コロナとか災害とか地震、集中豪雨、公務員としてやらなければいけない仕事はたくさんあるわけです。そういう中で、なかなか適正配置はできなくなってきているのが本当の実態だと思います。住民の生命、財産を守るためにも増員は本当に必要と考えますが、再度これについての考えを聞きます。 ○三浦正臣副議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 まず、幹部職員を女性職員の割合ぐらいにというお尋ねですが、幹部職員は基本的には50歳以上ぐらいの世代になるので、50歳以上の女性職員の割合は今現在13%程度なので、50歳以上の女性職員の割合からすれば決して低い目標ではないと考えています。 それから、定数増は否定するものではありませんが、まず、やはり業務の効率化、それから、既存業務の配分の見直し、職場下の定数配分の見直しを行って、その上で必要があるかどうか考えていきます。 ○三浦正臣副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 続いて、デジタル化の問題について数点にわたって聞きます。 個人情報の取扱いについてですが、大分県ではデジタルの積極的活用としておおいた革新的技術・データ活用推進計画やDX推進戦略などを推進しようとしています。今年9月にデジタル庁が設置され、このようなデータがマイナンバー等を通じて集中化される危険性があります。個人情報の保護が最重要ですが、県が制定している現行の個人情報保護条例を一旦停止し、国による個人情報活用のための法制に一本化する法律の成立によって、情報の流出、悪用の危険性がさらに高まりました。さらに、行政が保有する個人情報を匿名加工情報としてオープンデータ化し、企業等に公表し利用できるようになっています。ビッグデータは企業にとってもうけの対象となるが、各個人は一体どの情報が自分の情報なのか、また、それを削除させることもできません。個人情報が売買の対象にされ、情報の漏えいも危惧されます。それは、これまでの情報漏えい事件を見れば明らかです。 県として、ユーザーが個人情報を集める際に、その目的を明確に説明することを求めたり、企業に対し自分のデータを完全に削除請求できる忘れられる権利や、自由にデータを移せる持ち運び権などを憲法上の基本的人権として条例上でも規定すべきと考えるが、答弁を求めます。 次に、二つ目の重要な内容は、地方公共団体情報システムの標準化に関する法律によって、地方公共団体情報システムは標準化基準に適合するものでなければならないとなっていることです。標準化は、住民基本台帳や個人住民税、生活に密接に関わる20業務が対象となっています。各自治体では子ども医療費などの独自助成など様々な施策をやっていますが、国が定める標準化基準に従うだけでは実施できない場合は、仕様変更が必要になってきます。国会では自治体の独自助成などの仕様変更は可能ということは認めていますが、標準化対象事務以外のシステム化や仕様変更に係る費用は全額自治体の負担とされています。これでは財政基盤の弱い自治体は独自助成策が取れなくなってしまいます。 そこで、独自助成のための仕様変更は可能であることを各自治体に周知すると同時に、財源保障を国に求めることが必要ですが、答弁を求めます。 次に、マイナンバーカードの取得についてです。 今、マイナンバーカードが普及していないことで、政府はまたぞろ、新規取得者や健康保険証や金融口座とひもづければ2万ポイントを付与するという、ポイントが欲しければ個人情報を差し出せと言わんばかりの推進策を行おうとしています。県民は個人情報の流出、カードの紛失、利便性が一部に限られるなどで、カードを取得していないのが現状であり、政府に信用がないから普及が進まないのです。苦肉の策として2万ポイントを餌にして普及を図ろうとしているが、強制するべきものではないと考えるが、答弁を求めます。 ○三浦正臣副議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 自治体のデジタル化に関して3点御質問いただきました。 まず、デジタルデータにおける個人情報の取扱いについてです。 個人情報保護法の改正により、地方団体が保有する個人情報を匿名加工情報として民間事業者に提供できる制度が導入されましたが、加工方法、目的外利用、本人識別の照合行為の禁止等が定められており、情報保護が図られていると考えています。 民間事業者が個人情報を取り扱う際には、現行法においても、利用目的を特定するとともに、あらかじめ利用目的を公表するか、本人に通知することとされています。 それから、忘れられる権利、持ち運び権については、表現の自由や知る権利との関係の整理なども含め様々な観点から検討が必要であり、まずは国において法的な論点を整理していただきたいと考えています。 次に、地方公共団体情報システム標準化についてお答えします。 情報システムの標準化は、自治体ごとに異なるシステムの仕様を統一することで、自治体の人的・財政的負担を軽減するものです。 標準化により、各自治体が国の制度改正のたびに行うシステム改修をなくすとともに、長年のカスタマイズで他システムへの乗換えが困難になっている状況、いわゆるベンダーロックインを解消し、事業者間の競争を促すことにもつながるものです。 御指摘の独自助成のための仕様変更は、システムの標準化に向けた市町村との会議等において、可能であることをお示ししています。また、これらの独自の取組に対する財政的、技術的支援も、全国知事会等を通じて国に対して要望しています。 最後に、マイナンバーカードの取得についてお答えします。 マイナンバーカードは、行政手続や電子署名をはじめ、様々な行政サービスが受けられるなど、県民の利便性向上に資するものと考えています。 具体的には、公的な身分証明書として利用できるほか、コンビニで住民票を取得でき、健康保険証としても利用できるほか、運転免許証との一体化も予定されています。 一方、セキュリティ対策としては、カードそのものには税や年金等の個人情報は記録されず、また、紛失時には利用停止が可能となっています。 マイナンバー制度は、行政を効率化し、国民の利便性を高め、公平、公正な社会を実現するための社会基盤であるので、そのカード取得も引き続き推進する必要があると考えています。 ○三浦正臣副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 デジタル化の問題で、実際に大きな問題点が出てくると思うが、一つは標準化の問題で、知事会として財政支援を求めていると。確かに、自治体ガバメントか、自治体でまとまってそういうクラウドを使おうという方向性もあるが、そういう中で、結局、国は財政的な支援は基本的には今はしないと言っているでしょう。それを知事会として今要求していると、仕様変更はオーケーですよと。これについて国としてはどういう方向を今考えているかは分かりますか。知事会を介して、国の返答、回答、財政支援をするのかしないのか。 それともう一つ、個人情報保護条例の関係で、結構今いろんな意味で厳しく規定していますよね。法律で一本化すれば、それぞれの各自治体は個人条例をつくるのはいいが、ただ、法律に背いてはならないという問題点がいろいろ出てくるわけね。 今、2千個問題が非常に大きくなってきているが、それぞれの自治体で2千個近く個人情報条例があるから、結局それを1本にまとめてしまえと、簡単に言うとそういうことです。だから、そういう点で厳しい規制を県として、さきほど言ったような中身も含めて、これを条例上に規定するのかどうか再度伺います。 マイナンバー制度についても、実際、今ひもづけされているわけだから、マイナンバーという制度そのものの中で。だから、非常に大事なのは、大量のデータが蓄積されて、AIを活用していろんな情報が寄せ集められて人物像をつくり出すプロファイリングにも利用できるんですね。実際そうしている国もあるわけだから。そういう危険性があることを県として認識しているのかどうか再度聞きます。 ○三浦正臣副議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 まず、システムの標準化ですが、現行で国の予算で認めているのは標準化に要する経費で、我々が求めている、いわゆる独自のシステムに対する経費は認められていない状況ではあるが、その点について何とかお願いしたいと今全国知事会等を通じて要望している状況です。 それから、個人情報保護条例により厳しい規制を課すかという御指摘ですが、正に議員御指摘のとおり、今回2千個問題という、各自治体ごとに規制が異なることを解消するために、データ流通と個人情報保護の両立を図るために国として1本の法律で制度を決めるとしているので、基本的にそれに強化するようなものを条例で課すことについては慎重に検討すべきだと思っています。 3点目のマイナンバーの関係ですが、議員も御案内のとおり、今我が国では分散管理という仕組みを取っており、それぞれの情報、税や社会保障、医療とか、その情報はそれぞれの機関が保有しており、マイナンバーでそれを全てひもづけてどこかの機関が管理している状況ではないので、マイナンバーがあるからといって、個人の全ての情報がプロファイリングされることはないと考えています。 ○三浦正臣副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 確かに分散管理されているが、デジタル庁ができたでしょう。あそこは予算も人事というか、巨大な機構も、結局、各省庁にいろんな指揮命令ができるわけです。だから、そう簡単に信用できないわけですね。実際、デジタル庁は情報漏えいしてしまっている。どういうものかというと、11月26日に408人分のメールアドレスが外部に流出したとか、34人分のパスポートの一部が閲覧可能になっていたとか、デジタル庁自身がそういうていたらくです。そんなところに、つまり政府に信用がないから、結局、マイナンバーとしてプロファイリングされるんではないかという危険性が出てくるわけです。そういうところはぜひ認識をちゃんとしておかないと、情報が漏えいした後どうしようかでは遅いわけだから、その点は強く言っておきます。 次は、大分市寒田地区の防災対策についてです。 寒田地区を流れる寒田川は、30年前は暴れ川としてたびたび氾濫してきました。河川改修によって大規模な氾濫は起きていませんが、最近の記録的な豪雨が報道されるたびに、地域の住民は大変心配しています。住民の有志が寒田川のハザードマップを考える会を立ち上げ、氾濫などの場合の避難経路や避難所などの視察、上流にある宮窪ため池の現地調査などを行い、その危険性を共有してきました。そこでの要望として危険箇所の河床掘削や擁壁の対策、寒田川や宮窪ため池への監視カメラ等の設置が出されていました。県としては検討課題に入っているようですが、現状はどうなっているのか、また、今後どうされるか伺います。 ○三浦正臣副議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 私から、寒田川の防災対策についてお答えします。 寒田川では、近年、浸水被害等は発生していないことから、現時点では新たな河川改修や擁壁等の設置の計画はありません。しかしながら、一部区間で河川内の堆積土砂を確認しています。現在、流下能力への影響や、優先度を考慮しながら河床掘削の検討を進めています。 次に、監視カメラは、過去の浸水実績や背後地の土地利用等、緊急度や重要度を考慮した上で設置しています。一方で、近年、浸水被害がない区間においても、設置の御要望をいただいていることから、避難情報を発令する市町村と共に、このような区間に対する設置の在り方について検討しています。 ○三浦正臣副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 私からは、ため池に関してお答えします。 県では、全ての防災重点農業用ため池について、ため池ハザードマップを令和4年度までに整備することとしており、宮窪ため池は令和元年度に作成済みです。 また、緊急時、迅速かつ的確な避難行動が可能となるよう、現在、ため池監視システムの実証試験にも取り組んでいます。本年度は、下流域に家屋等が多く、決壊による影響度が高い県内3か所のため池に監視カメラや水位計を設置し、観測機能の確認とあわせてシステムの開発を行っています。 今後は、実証試験の結果を確認の上、県内での導入について、影響度や管理者の意向等を踏まえ、検討していきます。 ○三浦正臣副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 寒田川については、地域でハザードマップを考える会をつくって、過去の経験があるから非常に怖いという思いをされている。だから、監視カメラを川のところにつけてほしいと。それで常に情報発信すると。やっぱり安心ですよね。そういう点で、今いろんなところを検討しながら考えていると、ぜひこれは具体的に進めていただきたい。 あと、ため池の関係で、宮窪については、大分市が申請してになるのかな、所有者が個人だから、個人の費用負担とか、やっぱりいろいろ心配されるわけです。そういう点は、大分市ともぜひ協議していただいて、監視カメラを設置できるような方向で検討していただきたいが、その辺はどうでしょうか。 ○三浦正臣副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 さきほど言いましたが、今、県が3か所、ため池の多い地域で危険度が高いところで開発を行っていますが、今後、全体として、防災用の重点ため池が1,013か所あります。その中で、影響度なり、また、今、議員おっしゃったとおり、年間の維持費等は管理者が負担する形になると思うので、管理者の意向等も踏まえながら検討していきます。 ○三浦正臣副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 後日、考える会の方々が県に対していろいろ御要望したいということで話合いの場を持っていくので、そのときはぜひ真摯な対応をしてあげてください。 では、最後に行きます。 同和問題です。県立中津北高等学校において、2019年11月の人権講演会終了後に、生徒が賤称語を使ったとして、それを大問題発生のように当時の校長が部落解放同盟大分県連合会を訪問して事案の報告等をしたということがありました。その後、数回にわたって同県連や支部長を訪問し報告しています。 生徒間のささいなやり取りの発言を差別事象として事件化し、解放同盟に報告し、対応等を協議することは、教育の中立性を侵すものであり、是正すべき問題だと思います。県教育委員会としてどのように考えているのか、答弁を求めます。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 差別のない社会をつくるためには、学校のみならず地域全体で人権尊重の取組を進めていくことが必要であると考えています。 そのため、県立学校で部落差別に関する言動があった場合には、関係の市町村教育委員会、小中学校、教育研究団体や差別をなくす取組を行っている団体に情報提供を行い、対応を協議することとしています。 御指摘の案件についても、関係機関等と複数回にわたり協議を行うことで、小中学校での学びの実態や地域の実情を把握し、対策につなげられました。 なお、御指摘の案件について、対応としては、学校の問題として当該学校と県教委で対応しており、教育の中立性が侵された事実は一切ありません。 今後とも関係機関等と連携しながら、地域全体で人権教育を進めていきます。 ○三浦正臣副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 人権教育を進めるのは当然のことですよね、今いろんな人権問題があるわけだから。殊更、部落差別問題を取り上げて、結局、部落解放同盟大分県連合会は一つの運動団体でしょう。何で一つの運動団体にわざわざ報告して、そこで協議しなければならないんですか。団体になぜするかをちゃんと説明してください。それまでも協議していたという理由ではなくて、いろんな団体があるわけでしょう。なぜ解放同盟にしたんですか。 それと、教育の中立性を侵すものではないと言っているが、実際には第三者が入ることによって、いろいろ研究会や報告会をされて、いろんな問題が出て、冊子まで作っているからね。子どもが賤称語を使ってふざけたことをそれだけ大々的に取り扱った場合、その子どもに対して心理的な抑圧はどうなんですか。そういう意味からすると、逆差別につながってしまう可能性はあるわけでしょう。ではなくて、やはりそこは歴史的にどういう問題があるのかを学習の面からきちっとやるべきであって、運動団体が介入すべきものではないと思うが、教育長どう思いますか。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 繰り返しになるかもしれませんが、高校でこの課題解決の取組をする必要があることとあわせて、小中学校でも差別問題をはじめとする課題の認識、解決への学習取組を行う必要があると考えています。学校だけではなく、地域においても差別をなくす取組をしている団体があれば、必要に応じて情報提供するということで、今回の案件に関しても、部落解放同盟だけではなく、地域の全日本同和会といったような、しっかり取組をしている団体に適宜情報提供しています。 ○三浦正臣副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 全日本同和会にも適時情報を提供しているんですか。今回の高校のときも解放同盟だけではなくて全日本同和会も含めて情報提供しているという状況ですか。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 今回のことに関してというよりは、逆に今回のことに限らず、何か事象があったときには必要に応じ地域でも取組を進めていただく必要があれば、情報を共有するという考え方です。 ○三浦正臣副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 正にそれが差別をなおさら広げてしまう問題になってきます。ではなくて、教育的な観点からしないと、そこに運動団体が入って、例の解消推進法の中で、結局、附帯がついているわけでしょう。過去のそういう問題があったから、本当に悲惨な状況になってしまったと。そういうことを繰り返してはならないというのが法律の附帯意見です。それに基づけば、今回のような事件については、そういう運動団体に、第三者に介入してもらうんではなくて、県教育委員会で独自にきちっと自分たちの頭で考えて、自分たちでやっていく。人に頼まなければこの問題は解決できないと思っているんですか。そんなことないでしょう。教育委員会はそういう点で人権教育をやってきたわけだから、そういう立場に立つべきだと思うが、どうですか。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 冒頭も申しましたが、今回の問題、あくまで学校の問題だと認識していました。したがって、当該学校と私ども教育委員会でしっかり対応してきました。 ○三浦正臣副議長 堤栄三君。 ◆堤栄三議員 それなら運動団体を入れる必要ない、報告する必要ないではないですか、県教委がちゃんとしているんだったらね。そういう立場に立つべきだと私は思います。 今後、部落問題は法律も改正され、引き続き議論していきたいと思います。これで一般質問を終わります。(拍手) ○三浦正臣副議長 以上で堤栄三君の質問及び答弁は終わりました。 これをもって一般質問及び質疑を終わります。 ただいま議題となっている各案は、お手元に配付の付託表のとおり所管の常任委員会に付託します。 なお、他の委員会にも関連のある案については、合い議をお願いします。  -------------------------------付託表件名付託委員会第105号議案令和3年度大分県電気事業会計補正予算(第1号)商工観光労働企業第106号議案大分県使用料及び手数料条例の一部改正について総務企画第107号議案当せん金付証票の発売について総務企画第108号議案大分県の事務処理の特例に関する条例の一部改正について総務企画第109号議案大分県病院事業に係る料金条例の一部改正について福祉保健生活環境第110号議案工事請負契約の締結について土木建築第111号議案工事請負契約の変更について土木建築第112号議案大分県立学校の設置に関する条例の一部改正について文教警察第113号議案大分県立学校の設置に関する条例の一部改正について文教警察第114号議案工事請負契約の変更について文教警察第115号議案警察署の名称、位置及び管轄区域条例等の一部改正について文教警察第116号議案令和3年度大分県一般会計補正予算(第11号)総務企画 福祉保健生活環境 商工観光労働企業 農林水産 土木建築 文教警察第117号議案令和3年度大分県公債管理特別会計補正予算(第1号)総務企画  ------------------------------- ○三浦正臣副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 お諮りします。6日、7日及び8日は常任委員会開催のため、9日は議事整理のため、それぞれ休会としたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○三浦正臣副議長 御異議なしと認めます。 よって、6日、7日、8日及び9日は休会と決定しました。 なお、4日及び5日は県の休日のため休会とします。 次会は、10日定刻より開きます。  ------------------------------- ○三浦正臣副議長 本日はこれをもって散会します。     午後3時2分 散会...