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12月01日-02号

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  1. 大分県議会 2021-12-01
    12月01日-02号


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    令和 3年 第4回定例会(12月)     令和3年第4回大分県議会定例会会議録(第2号)令和3年12月1日(水曜日)  -------------------------------議事日程第2号            令和3年12月1日              午前10時開議第1 第116号議案及び第117号議案   (議題、提出者の説明)第2 第87号議案から第101号議案まで   (議題、決算特別委員長の報告、質疑、討論、採決)第3 一般質問及び質疑  -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 第116号議案及び第117号議案     (議題、提出者の説明)日程第2 第87号議案から第101号議案まで     (議題、決算特別委員長の報告、質疑、討論、採決)日程第3 一般質問及び質疑  -------------------------------出席議員 43名  議長        御手洗吉生  副議長       三浦正臣            志村 学            井上伸史            吉竹 悟            清田哲也            今吉次郎            阿部長夫            太田正美            後藤慎太郎            衛藤博昭            森 誠一            大友栄二            井上明夫            鴛海 豊            木付親次            古手川正治            嶋 幸一            元吉俊博            麻生栄作            阿部英仁            成迫健児            浦野英樹            高橋 肇            木田 昇            羽野武男            二ノ宮健治            守永信幸            藤田正道            原田孝司            小嶋秀行            馬場 林            尾島保彦            玉田輝義            平岩純子            吉村哲彦            戸高賢史            河野成司            猿渡久子            堤 栄三            荒金信生            末宗秀雄            小川克己欠席議員 なし  -------------------------------出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       尾野賢治  副知事       黒田秀郎  教育長       岡本天津男  代表監査委員    長谷尾雅通  総務部長      和田雅晴  企画振興部長    大塚 浩  企業局長      浦辺裕二  病院局長      井上敏郎  警察本部長     松田哲也  福祉保健部長    山田雅文  生活環境部長    磯田 健  商工観光労働部長  高濱 航  農林水産部長    佐藤 章  土木建築部長    島津惠造  会計管理者兼会計管理局長            森山成夫  防災局長      梶原文男  観光局長      秋月久美  人事委員会事務局長 法華津敏郎  労働委員会事務局長 稲垣 守  -------------------------------     午前10時 開議 ○御手洗吉生議長 おはようございます。 これより本日の会議を開きます。 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第2号により行います。  ------------------------------- △日程第1 第116号議案及び第117号議案(議題、提出者の説明) ○御手洗吉生議長 日程第1、第116号議案及び第117号議案を一括議題とします。  -------------------------------第116号議案 令和3年度大分県一般会計補正予算(第11号)第117号議案 令和3年度大分県公債管理特別会計補正予算(第1号)  -------------------------------御手洗吉生議長 提出者の説明を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 ただいま追加提案した諸議案について、主なものを説明します。 第116号議案令和3年度一般会計補正予算(第11号)についてです。これは、国の経済対策に対応し、新型コロナウイルス感染症対策の強化を図るとともに、喫緊の課題である社会経済の再活性化に向けた取組を拡充するものです。また、県経済を回復軌道に乗せるべく、ポストコロナの構造改革に資する施策を追加投入します。あわせて、県民の命と暮らしを守る県土強靱化なども前に進めていきます。 以下、主な内容を説明します。 新型コロナウイルス感染症に関し、昨日、日本でも新たな変異株、オミクロン株が確認されました。この変異株については、感染力や重症化リスク、ワクチン効果など不明な点も多いだけに、国内侵入を防ぎながら知見を集積し、対策を講じるまでの時間を確保していくことが大事です。足下は引き続き落ち着いていますが、さらに危機感を持って緊急時に備えなければなりません。 このため、過去最大の感染規模となった第5波の検証結果を踏まえ、まずは十分な数の入院病床や宿泊療養施設をあらかじめ確保しています。その上で、医療従事者の確保に向けても関係機関との連携を深めており、例えば、一部の病院等に負担が集中することのないよう輪番体制の構築なども進めています。感染拡大期における保健所の機能維持も重要です。そのため、疫学調査や患者の健康観察等にデジタル技術を幅広く導入し、業務の効率化を図っていきます。 また、マンパワー確保のため、市町村職員の応援派遣に関する協定を昨日締結しました。ワクチンについても、いよいよ本日から3回目接種がスタートします。希望者が滞りなく接種を受けられるよう、個別・集団接種ともに万全の体制で臨みます。 加えて今回の補正では、PCR検査等の対象を国の方針を踏まえ拡大します。まず、健康上の理由等によりワクチンを接種できない方への無料検査を実施します。これによってワクチン・検査パッケージを社会に浸透させ、感染対策と経済活動等の両立を図っていきます。また、感染拡大の傾向が見られる場合には、さらなる広がりを抑えるため、そのときの情勢に応じ、感染不安のある無症状者への無料検査も実施します。 こうして新型コロナウイルスへの対応力を高めていく中、県民の皆さんにおかれても、不織布マスクの着用や十分な換気など、基本的な感染対策の徹底をぜひともお願いします。 生活困窮者や中小・小規模事業者など、コロナ禍で厳しい状況にある方々への支援にも引き続き注力していきます。 まず、生活、暮らしの応援です。生活困窮世帯等には生活福祉資金の特例貸付を実施していますが、その受付期間を令和4年3月末まで延長します。また、月額最大10万円を給付する生活困窮者自立支援金についても、支給総額を最大3か月30万円から6か月60万円に拡大し、今回、その所要額を補正します。 中小企業・小規模事業者に対しては、地域、業種の限定なく、最大250万円を支給する事業復活支援金が創設されることになりました。これまでの持続化給付金では、売上げが50%以上減少した事業者を対象としていましたが、今回はこれを30%以上の減とするなど要件が緩和され、より支援を受けやすくなっています。また、雇用調整助成金の特例措置や政府系金融機関による実質無利子・無担保融資も、その実施期間の延長が決定しました。こうした国の施策が事業者まで確実に届くよう、県としても遺漏なく対応していきます。 このような中、我が国の平均賃金は、先進国下位の水準でこの30年間推移しており、賃金底上げは日本経済が抱える課題の一つです。特に介護や看護、保育などの人手不足は慢性化しており、まずは給与面での処遇改善が急がれます。このため、公的価格である介護報酬等の見直しに先立ち、来年2月から9月までの間、賃金引上げに対する助成金を国と歩調を合わせ措置します。 そして、これからの経済再興に確かな道筋をつけていくには、まずもって、低迷する個人消費を盛り上げていくことが必要です。そのため、県民の皆さんが身近な商店街や飲食店等で様々に利用できるプレミアム付商品券を発行することにしました。プレミアム率は、市町村の独自上乗せ分を含め30%程度とし、発行総額は130億円を予定しています。県民の皆さんには、ぜひとも奮って御利用いただき、これを機に、地元の良さも再認識してもらえればと思います。 加えて、県経済を大きく動かす観光業の振興も欠かせません。第5波が収束し、また、新しいおおいた旅割を9月末から再開したこともあり、10月の県内宿泊者数は、コロナ前の41万人には届きませんが、前月比6割増の26万人まで回復しました。近日中にこの旅割の対象を隣接県まで拡大したいと考えており、GoToトラベルも再開となれば、さらなる人流増加が見込まれます。 そういう中で忘れてならないのは公共交通です。人口が集中している大都市と違い地方では、日常生活はもとより、観光客の移動手段として、その役割は大変重要です。特にバスやタクシーは、県内を広く網羅し、移動サービスをきめ細かに提供してくれます。現在、両事業者ともコロナ禍での需要低迷等に苦しんでいますが、今後の観光復活を前に、ここを何とか踏ん張ってもらわなければなりません。そこで、車両の維持や感染対策の強化に対する県独自の交付金を用意し、運行継続等を支援していきます。 また、おんせん県おおいた復活の起爆剤として、大規模観光キャンペーン等の誘致活動も進めたいと考えています。そのためにも、食の魅力向上や観光消費の拡大、二次交通の充実など、多年の懸案に対応していく必要があります。そこで、今回、これらの解決につながる新たなツーリズムの造成や観光施設のリノベーションなどに対する助成制度を創設します。クリエーターの知恵や先端技術の力も積極活用しながら、事業者主体の思い切った取組が各地域で数多く沸き起こることを期待しています。 インバウンド立て直しの足掛かりもつかんでいかなければなりません。そのため、タイや英国などターゲットとする国々の現地旅行会社等を新たに戦略パートナーとして位置付け、最新の旅行者ニーズを的確に反映したツアー企画の販売や情報発信などに連携して取り組みます。現在、オミクロン株の発生で水際対策が強化されていますが、事態が改善し、外国人観光客の入国制限が緩和されれば、すぐに動き出せるよう準備に入り、機を逸することなく、実効性ある海外誘客を展開します。 こうした観光振興の取組とあわせ、県産農林水産物に関しても、宿泊施設と連携した総額1億円相当のプレゼントキャンペーン等を実施します。また、県外でも連携店等で販促フェアを開催し、おおいた和牛やベリーツなどのファンを全国に獲得していきます。 このたびの経済対策では、国土強靱化5か年加速化対策も盛り込まれました。激甚化する風水害や切迫する大規模地震などへの備えは、緊急にして重大な課題であることから、国の予算を最大限に受け入れることとし、緊急輸送道路の整備や河道掘削、ため池の改修等を集中的に実施します。これに農林水産業の成長産業化に向けた土地改良事業等を加え、公共事業費全体で約349億円を追加補正することで県経済を支えていきます。 県民の利便性向上と行政事務の効率化に向けた行政のデジタル化も急ぎます。令和6年度までには全ての行政手続を電子化したいと考えており、今回、オンライン決済等が可能な新たな電子申請システムを導入します。また、県の窓口を全てキャッシュレス時代に適応させるため、この10月から実証実験を始めた県庁舎本館の情報センターに続いて、一部の県地方機関にもクレジットカードなどの対応機器を設置し、収納手続等の検証を開始します。 教育関係では今年度、GIGAスクール構想による一人1台端末の環境が整いました。今後は、ICTの効果を主体的、対話的で深い学びへと本格的につなげていく段階に入ります。このため、タブレット等の機能を存分に生かした授業づくりを支援するサポーターの育成に着手し、来年度から各県立学校等に派遣していきます。 こうした取組を進めるため、今回補正する額は455億1,139万2千円であり、これに既決予算額を加えると、7,801億9,451万7千円となります。 なお、今回の補正では、国の経済対策のうち、現時点で見込めるものを可能な限り計上しましたが、これから具体的な内容が判明する事業については、今後の補正等で措置していきます。 以上をもって提出した諸議案の説明を終わります。何とぞ慎重御審議の上、御賛同いただきますようお願いします。 ○御手洗吉生議長 以上で提出者の説明は終わりました。  ------------------------------- △日程第2 第87号議案から第101号議案まで(議題、決算特別委員長の報告、質疑、討論、採決) ○御手洗吉生議長 日程第2、第87号議案から第101号議案までの各決算議案を一括議題とし、これより委員長の報告を求めます。決算特別委員長木付親次君。  〔木付議員登壇〕 ◆木付親次決算特別委員長 おはようございます。決算特別委員会の審査の経過と結果について御報告します。 本委員会で審査した案件は、第3回定例会で付託を受けた第87号議案令和2年度大分県病院事業会計決算の認定について、第88号議案令和2年度大分県電気事業会計利益の処分及び決算の認定について、第89号議案令和2年度大分県工業用水道事業会計利益の処分及び決算の認定について、第90号議案令和2年度大分県一般会計歳入歳出決算の認定について及び第91号議案から第101号議案までの令和2年度各特別会計歳入歳出決算の認定についての議案15件です。 委員会は、10月5日から11月4日までの間に7回開催し、会計管理者及び監査委員ほか関係者の出席、説明を求め、予算の執行が適正かつ効果的に行われたか、また、その結果、どのような事業効果がもたらされたかなどについて慎重に審査しました。 その結果、各般の事務事業等は議決の趣旨に沿って、おおむね適正な執行が行われており、総じて順調な成果を収めているものとの結論に至り、第87号議案、第91号議案から第94号議案まで、第96号議案から第98号議案まで及び第101号議案については全会一致をもって、第90号議案、第95号議案、第99号議案及び第100号議案については賛成多数をもって認定すべきものと決定しました。 また、第88号議案については全会一致をもって、第89号については賛成多数をもって可決及び認定すべきものと決定しました。 なお、決算審査の結果、改善、あるいは検討を求める事項については、お手元に配付の決算特別委員会審査報告書のとおり取りまとめたところです。その全ての朗読は省略しますが、いくつかの項目について申し述べます。 まず、財政運営の健全化についてです。 新型コロナウイルス感染症の拡大防止と社会経済の再活性化への対策などにより、財政環境が厳しくなる中、今後の不測の事態に柔軟に対応できるよう、一層の行財政基盤の強化に努める必要があり、引き続き行財政運営の効率化、健全化に尽力していただきたいと思います。 次に、収入未済の解消についてです。 収入未済額全体については、依然として多額であることから、今後も引き続き収入未済の解消と新たな発生防止に努めていただきたいと思います。 次に、個別事項について、次の9項目を挙げています。 ①主要な施策の成果(事務事業評価)について、②指定管理施設の検証について、③大分空港海上アクセス整備事業について、④保健所職員及び県立病院医師の時間外勤務縮減について、⑤青少年のネット利用に関する意識向上について、⑥先端技術の活用について、⑦大分県農業非常事態宣言について、⑧建設産業構造改善人材育成支援事業について、⑨教員が働きやすい学校現場の環境整備についてです。 当委員会でまとめた事項については、今後の事業執行及び来年度の予算編成に反映させるなど、適時適切な対応を講じられるよう要望して、決算特別委員会の報告とします。 ○御手洗吉生議長 以上で委員長の報告は終わりました。 これより委員長の報告に対する質疑に入ります。 別に御質疑もないようですので、質疑を終結し、これより討論に入ります。 発言の通告がありますので、これを許します。堤栄三君。  〔堤議員登壇〕 ◆堤栄三議員 おはようございます。共産党の堤です。 2020年度の一般会計及び特別会計歳入歳出決算の認定について討論を行います。 まず、第90号議案令和2年度大分県一般会計歳入歳出決算の認定について、反対の立場から討論を行います。 歳入全体について、今回の一般会計歳入決算は7,383億8,801万円であり、新型コロナウイルス感染症対策関連決算など、当然必要なものも含まれています。施策ごとの賛否を問えない以上、以下の意見を付して反対討論します。 具体的な内容では、2020年度の収入未済額も県税で15億2,773万円であり、コロナ禍による景気後退が大きな影響となっていることが分かります。また、不納欠損も破産や納付不能など時効等により欠損処理し、7億9,372万円となっています。これらのことは、長期の景気低迷の中、新型コロナウイルス感染症拡大や消費税増税などによって大きな打撃を受けた事業者などの実態を表しています。滞納繰越しも数多くあり、差押処分などが実行されていますが、過度な取立てはやめ、納税者の状況をよく勘案して行うべきです。 消費税は、県にとってみれば地方消費税として歳入増となりますが、県民にとっては負担増です。税収増を図るためには、大企業や富裕層に軽減している税率や特別措置などの優遇税制を改め、適正な課税を実施することが必要です。 以下、歳出決算について、反対の理由を具体的に述べます。 新型コロナウイルス対策、県民の暮らしや福祉応援の予算へと、約2年間に及ぶ新型コロナウイルス感染症拡大は、県民生活に大きな影を落としています。県民の暮らしや営業の再活性化を最優先にした施策が求められます。 観光政策でも、新たな感染症の世界的な拡大や他国内の政情等によりインバウンドは大きく影響を受けており、海外インバウンド頼みでは大分県経済の発展はありません。やはり足腰の強い地場産業の育成が大切です。 公共事業分野では、身近な道改善事業など地域の道路事情の安全確保のための予算を増額し、全ての希望に応じられるようにすべきです。ぜひ次年度での増額を求めます。 また、土木予算の中には、耐震化や老朽化対策など必要な公共事業も含まれています。さらに、最近の豪雨被害を受け、緊急周知のための水位計や監視カメラの設置は優先的に実施すべきものです。 一方、東九州新幹線推進事業や太平洋新国土軸構想など大型開発を推進する事業もあります。東九州新幹線については、災害時の需要予測、JR在来線の需要予測など国の調査待ちで、県独自にしようとせず、ただ、整備区間への格上げのための機運醸成のみで突き進んでいるのが実態です。具体的に負の調査結果も県民に公表して議論すべきです。 豊予海峡ルート構想においては、相変わらず掲げた灯は消さないという言い分のみで、協議会へ負担金を支出しています。これらにおいても、南海トラフ地震など災害対策が明確にされておらず、機運醸成だけで推進しており、このような事業は直ちに中止すべきです。 福祉施策では、後期高齢者医療制度の窓口負担が2022年10月から2023年3月の間に単身世帯200万円以上の人などが1割から2割負担になります。当面、優遇制度はあるにしても、大分県内の約3万人が対象となり、その負担も平均で年8万3千円から10万9千円へとなります。約2万6千円の負担増となり、単純に計算したとしても7億8千万円の負担増となります。年金が実質的に減額されている中で、この負担増は耐えられるものではありません。国に強く中止を求めるべきです。 保健所はコロナ禍で大変な苦労をされています。残業についても、2021年4月から9月までで80時間超が延べ86人、100時間超が延べ38人、非常勤の看護師も超過勤務しています。やはり人員不足が大きな原因です。感染症拡大の場合の保健所の役割は大切です。これまでの新自由主義の下、保健所等の統合を行ってきましたが、この削減は間違いであると撤回し、保健所を増設し、県民の安全に資するべきです。あわせて、今後の新型コロナウイルス感染症等の対策としても、定数増は待ったなしの課題です。 また、看護師等の離職原因も長時間勤務が多くなっており、根本的な改善策が必要です。勤務条件の改善や待遇改善が求められ、県立病院なども定数増が何よりも必要です。ぜひ来年度は予算を増額し、医療と社会保障の充実を図るべきです。 住環境を守る対策として、日本製鉄の降下ばいじんについては、公害防止協定を締結し、県、市、企業と定期的に降下ばいじん検討会を開催し、協議していると主張していますが、まだまだ不足です。近隣住民の健康被害をなくし、住環境を整えるためにも、徹底して降下ばいじんの低下を目指す取組を強化していただきたいと強く要望します。 また、同和対策における運動団体にこれまでは年820万円、昨年はコロナ禍の研修減で348万円の決算でしたが、差別意識があるとして、運動団体による研修会の開催などに対する委託料を払っています。そして、これは意識の問題として、内心の自由を侵すものであり、憲法違反は明確です。このような逆差別につながる研修等のための委託料という名の補助金は、無駄な税金の使い方であるため、来年度予算から削除するよう求めるものです。 三つ目めには、補助金漬けの企業立地優先から県内中小企業支援策、そして、正規労働が当たり前のルールをつくることです。2020年度決算では、企業誘致のための8億2,448万円の補助金を出しています。しかし、雇用は641人となっていますが、これも直接の正規雇用ではなく常用雇用となっているのが実態です。不安定雇用は、働く人にとっても大分県にとっても安心できる働き方ではありません。県は企業訪問の際、正規雇用と要請しているだけであり、立地協定書に正規雇用を明記すべきです。来る当てのない企業のための団地造成をするのではなく、疲弊している県民の暮らしや福祉応援のためにこそ税金を使うべきです。来年度予算では、ぜひこの立場に立つことを強く求めます。 気候危機打開のためにも、太陽光や風力発電施設は再生可能エネルギーとして重要な位置を占めています。大分県は地熱エネルギー供給日本一という先進県ですが、住民合意のない野放図なメガソーラーや風力発電などは人体への悪影響を及ぼすものであり、また、里山など自然環境を壊してまで進めるものではないと考えます。 中小企業施策では、中小企業金融について、コロナ禍で多くの中小企業が借入れをし、債務超過となっている状況も見受けられます。県として各金融機関や保証協会と協議し、無理な債務回収はせず、中小企業の実情を配慮した対応をしていくことを求めます。 子育て・高齢者世帯住環境整備では、子育て支援で53件、3世代では17件、バリアフリーでは85件で、予算も約3,700万円となっていますが、少ないというのが実感です。CO2削減効果、地域の経済波及効果が抜群の一般的な住宅リフォーム助成制度を創設すべきであり、来年度予算にぜひ制度を創設するように求めます。 また、働き方では、一般県職員が過労死ラインを大幅に超える長時間労働が今年も発しています。行財政改革による職員削減が大きく影を落とした結果です。職員の増員こそ必要です。県職員のテレワークの推進についても、専用端末の通信費は県が負担していますが、光熱費等の負担は職員となっていることが分かりました。この費用負担について、国の動向を注視していくというだけではなく、県としてきちんと対応すべきです。最近、勤退管理についても、パソコン等のオン、オフで管理すると言っていますが、自宅等という環境で公私等の区別がなくなってしまい、超勤につながる危険があります。しっかりと管理し、違法なサービス残業が生じないようにすべきです。 また、会計年度任用職員については、同一価値労働、同一賃金の基本で月々生活している職員であるという考え方で、月額賃金の増額をするべきです。 デジタル分野では、電子自治体推進の掛け声の下、AI、RPA等を活用した事業を推進していますが、国によるデジタル化推進と軸を一つにした取組となっています。今後、窓口業務のRPAによって無人化するところも一部の自治体では見られますが、窓口業務はやはり人がいて、その相談内容から生活や借金など会話の内容から推察し、それを担当課へ回すという住民の暮らしを守る重要な業務であることを認識し、RPA等による窓口無人化を実施しないようにするべきです。 四つ目には、農林水産業の振興策です。食料自給率が過去最低37.17%であり、大分県としても2021年3月12日に2019年度農業産出額の減少に対して大分県農業非常事態宣言を発出しました。その対策として、産地拡大対策や販売対策などを強化する中間報告や重点的な振興策を10月に取りまとめていますが、国の基本、大分県の基幹産業としての農林水産業を守り、発展させるためにも、TPP11や日米FTAからの脱退が重要です。あわせて、国連が提唱している家族農業の10年の実施や、CO2吸収源である森林の整備や、住民の理解が得られないメガソーラーや風力発電による里山の破壊を止めることが大切です。沿岸漁業を守るためにも、漁業法を再改正し、大企業の進出をやめさせるべきです。ぜひ大分県の農林水産業の振興を基本に据えた取組を推進することを強く要望します。 5番目には、教育予算の充実で、学校教育条件の整備、充実を図ること。教育環境の整備では、国も多くの国民の声に押され、来年度から小学3年生を対象に35人学級を順次増やしていくことになりました。県としては、独自にでも少人数学級を一気に小6、中3まで拡充すべきです。大分県の将来を担う子どもたちの教育環境の整備は、教育委員会の責務です。来年度予算に反映するよう強く求めます。 また、同和問題では、昨年度、高校内で生徒が賤称語を使ったことで、小中との連携、地域の問題として運動団体に情報提供したと言っていますが、このような問題は教育の中立性の立場や憲法上の理由から、全く道理のないことです。関係のない運動団体にお知らせすることなど全く言語道断であり、内心の自由に踏み込むようなことに教育機関や運動団体が口を挟むことがあってはなりません。今後、全ての同和対策関係の予算は削除すべきです。 最後に、大分県警において、別府市の組合事務所に違法に使用された盗聴用のビデオカメラを今年3月には57台所有しており、471万円支出しています。その使用内容については、捜査に支障があると秘匿されている状況の下で、その支出を認めるわけにはいきません。 日本共産党として、今回の一般会計決算について、県民の暮らしと福祉の充実で県民の所得を向上させ、コロナ禍の不安を解消し、安心して大分県で暮らせる予算への転換、大企業の身勝手な大量解雇に反対し、雇用を守る県政、そして、大企業に補助金を出すのではなく、疲弊が進む地元中小企業への支援、農林水産業の振興等を県政の中心に据えることを求めるものであり、それを来年度予算に反映させることを強く求め、討論とします。 以下、特別会計決算等についてです。 第89号議案令和2年度大分県工業用水道事業会計利益の処分及び決算の認定について、電気・工業用水道事業会計における内部留保も、各々2020年度59億円、62億円となっています。今後のリニューアル等に経費がかかるにしても、県の一般会計の繰り出し、企業誘致等に限定するのではなく、県民の暮らし、福祉を応援するための繰り出しとするべきです。 次に、第95号議案令和2年度大分県流通業務団地造成事業特別会計歳入歳出決算の認定です。 負の遺産を少しでも減少させるために、売却を進めるべきと考えます。しかし、当初計画では2003年度に完売予定であったが、それができなくて、今では2028年度に延長しています。当然、売却が進まなければ、利子の負担ばかり増えてしまいます。企業が来るであろうと造成した事業が全く計画どおり進んでいないのが現状であり、売却が進まなければ負の遺産が増えるだけです。 次に、第99号議案令和2年度大分県臨海工業地帯建設事業特別会計歳入歳出決算の認定です。 今回の決算で、造成費に係る減債基金や償還金として約8億8,177万円を支出しており、特に6号地C-2地区では、進出企業のために造成しましたが、結局進出はなく、県としてセールスを行い、ようやく販売のめどが立ったという負の遺産でもあります。 最後に、第100号議案令和2年度大分県港湾施設整備事業特別会計歳入歳出決算の認定についても、港湾機能施設整備に約16億654万円を支出しており、これまで反対理由を述べてきたように、大企業優遇等の決算であり反対します。 以上で各決算議案に対する討論を終わります。(拍手) ○御手洗吉生議長 以上で通告による討論は終わりました。 これをもって討論を終結し、これより採決に入ります。 まず、第87号議案、第91号議案から第94号議案まで、第96号議案から第98号議案まで及び第101号議案について採決します。 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○御手洗吉生議長 御異議なしと認めます。 よって、各決算は、委員長の報告のとおり認定することに決定しました。 次に、第88号議案について採決します。 本案は、委員長の報告のとおり可決及び認定することに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○御手洗吉生議長 御異議なしと認めます。 よって、本案は、委員長の報告のとおり可決及び認定することに決定しました。 次に、第89号議案について、起立により採決します。 本案に対する委員長の報告は、可決及び認定であります。 本案は、委員長の報告のとおり可決及び認定することに賛成の諸君の起立を求めます。  〔賛成者起立〕 ○御手洗吉生議長 起立多数であります。 よって、本案は、委員長の報告のとおり可決及び認定することに決定しました。 次に、第90号議案、第95号議案、第99号議案及び第100号議案について起立により採決します。 各決算に対する委員長の報告は認定であります。 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の諸君の起立を求めます。  〔賛成者起立〕 ○御手洗吉生議長 起立多数であります。 よって、各決算は、委員長の報告のとおり認定することに決定しました。  ------------------------------- △日程第3 一般質問及び質疑 ○御手洗吉生議長 日程第3、第105号議案から第117号議案までを一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。吉村哲彦君。  〔吉村議員登壇〕(拍手) ◆吉村哲彦議員 皆さんおはようございます。36番、公明党、吉村です。第4回定例会一般質問第1走者を努めます。その任を果たせるようしっかり頑張っていきます。よろしくお願いします。 それでは、まず初めに、コロナ禍からの脱却について2点伺います。 1点目は、新型コロナウイルスワクチン接種体制についてです。 本県においても、医療従事者の皆様、県民の皆様、そして、担当される行政の皆様等の御尽力により、新規感染者を大きく抑え込むことができています。心より感謝します。 さて、本県においては11月末をめどに希望者全員へのワクチン接種完了を目標に取組を推進してきました。その結果、県民の約8割の方が接種を済ませ、その目標はおおむね達成されたと言えるのではないでしょうか。しかしながら、ワクチン接種が先行する諸外国において、中和抗体価の低下等によるブレークスルー感染や大幅な規制緩和の中でリバウンドが発生している状況に加え、今までになかったオミクロン株という新たな変異株も確認され、県内においても感染拡大を防止するための行動を引き続き呼びかけ、マスクの着用、手指消毒、密の回避や換気といった感染防止対策を引き続き徹底しなければなりません。 また、これからの季節は気温の低下により屋内での活動が増えることや、忘年会、クリスマス、お正月等の恒例行事により、さらに社会経済活動の活発化が想定されます。飲食に際しては、リスクの高い状況が重なると集団感染につながるおそれもあることから、第三者認証店を選び、飲食時以外はマスクを着用することなど、再度県民の皆様に丁寧にお願いしていくことも必要です。その上で未接種者へのワクチン接種を進めることも重要ですし、追加接種に向けた検討も進めていかなければなりません。 本日よりワクチンの追加接種がスタートしていますが、今後の感染再拡大も見据え、感染状況が改善している今こそ、しっかりとした準備をしていくことが重要だと考えます。 現在、国においては新型コロナウイルス感染症に対して経口医療薬の年内実用化を急いでおり、これには大いに期待するところです。しかし、確実に感染を防止する手だてとしては今のところワクチン接種です。これまでの接種状況を確認し、問題点があれば洗い出し、今後に生かす対応が必要です。そこで、以下、これまでワクチン接種の経験から聞いている問題点を述べます。 1点目に、在宅の認知症患者や重度障がい者の接種についてです。自宅から外出しづらい方々に対して、医師、看護師の訪問による接種や会場まで介助者による引率など工夫し進めてきたと思います。3回目に向けて、こうした方々がより一層接種しやすい体制づくりをさらに進めていただきたいと思います。 2点目として、追加接種の優先順位についても気がかりです。医療従事者や基礎疾患のある方は当然として、高齢者とともに、場合によっては受験生に対する配慮も必要ではないでしょうか。厚生労働省は、2回目の接種を終えてから8か月を原則としており、これに当てはめると受験生は対象とはなりません。県として受験生への配慮を前向きに検討することはできないのでしょうか。 そして、3点目として、ワクチンに関する副反応を含めた相談体制の充実が必要です。先日、私のところに、予約センターに電話したものの接種予約を断られたと、妊婦からこのような相談がありました。センターに問い合わせると、単なる勘違いであり、その後、円滑に接種に至っていますが、予約受付準備期間が短かったこともあり、受託した側の認識の問題があったケースであると考えます。このような県民の不安を払拭する相談体制の構築をぜひともお願いします。以上3点を踏まえ、今後の追加接種に向け、どういう方向性を持って接種を実施していくのか、知事の見解を伺います。 以下、対面席で行います。  〔吉村議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
    御手洗吉生議長 ただいまの吉村哲彦君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 吉村議員から新型コロナウイルスワクチン接種体制について御質問いただきました。 新型コロナウイルスの感染拡大を防止し、県経済の再活性化を図るには、引き続きワクチン未接種者に対する接種勧奨と、希望する県民への3回目接種の円滑な推進が重要です。日本は、欧米諸国等に遅れて接種を開始しましたが、現在では先進7か国でトップの接種率となっています。 また、県内でも既に県民の76%を超える方が2回目の接種を終え、11月末までの接種終了目標を達成しました。現在、県内の感染状況は極めて落ち着いた状況となっており、改めて県民の皆様の御協力に感謝する次第です。 しかしながら、いくつかの国では新規感染者数が増加に転じ、また、新たな変異株も確認されるなど決して油断はできません。県では、これまでの感染症対策を検証し、次の流行に備え、エアロゾル感染を想定した対策や、検査・医療提供体制と保健所機能の強化を図るとともに、ワクチン接種にも全力で取り組みます。 議員御心配の認知症や障がい者など在宅の方には、ケアマネジャーを通じた接種勧奨や、かかりつけ医による巡回接種を行いました。また、接種会場に入場できない方への車内での接種など好事例の横展開を図り、障がい者等がより接種しやすい体制を確保していきます。 次に、受験生へのワクチン接種です。受験や就職を控える高校3年生には、私も一刻も早く接種してあげたいとの思いから、初回接種では県独自策として、高齢者に次ぐ優先接種を行いました。 3回目接種について、国の方針では2回目接種から原則8か月以上経過することとされており、例外的に接種間隔の短縮が認められるのは、医療機関等でのクラスターの発生など極めて限定的な場合となっています。高校3年生については、受験までに8か月を経過していないことや、若年者の中和抗体が比較的長く維持される傾向にあると言われていることから、受験前の3回目接種はむしろ適切ではないと考えています。 次に、副反応を含めた相談体制については、ワクチンに関する専門的知見を有する県薬剤師会に委託し、これまで延べ1万件を超える相談に24時間体制で対応していただいています。今後も接種予約業務を含めて、委託先との連携を密にして、引き続き相談体制の強化を図っていきます。 さらに、これらを含めて、1、2回目接種を通じて浮き彫りとなった課題を検証し、3回目接種では予約方法の改善や、かかりつけ医での接種と集団接種の効果的な併用など、市町村の円滑な接種を支援していきます。 加えて、休日、夜間の接種機会を提供するため、接種対象者が増加する2月をめどに、県営接種センターを開設し、ワクチン接種の加速を図っていきます。 ○御手洗吉生議長 吉村哲彦君。 ◆吉村哲彦議員 知事ありがとうございました。ぜひとも県民の皆さんが安心してこれからも生活ができるようワクチン接種の準備をよろしくお願いします。 以下3点、部長に伺いますが、ほかにもこれまでの経緯として伺いたい点があります。 まず、アレルギー等でメッセンジャーRNAワクチンを接種できない場合、アストラゼネカ社製のワクチンを接種する可能性もあると考えています。本日の合同新聞にも少し報道されていましたが、実際、医師によりアストラゼネカ社製のワクチンを勧められた方がいました。この方は県等に相談したようですが、現状は打てていないと聞いています。複数いるのか、お一人かははっきり分かりませんが、現状としてそういった実情があるようです。 現在のアストラゼネカ社製のワクチン接種をどのように進めているのかという点、またあわせて、追加接種については現段階ではファイザーのワクチンが使われると聞いています。今後、モデルナも追加されるかとは思いますが、1回目、2回目の接種においてアレルギー等でアストラゼネカ社製のワクチンを接種した方の追加接種についてはどういった形になるのか伺います。 もう一点が、2回目接種済みの方のブレークスルー感染はどのような状況だったのか伺います。これが追加接種の優先順位に関係する場合もあるかと思いますが、どういった形で分析をされているのでしょうか。 以上3点について福祉保健部長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 私から3点お答えします。 まず最初に、アストラゼネカ社製のワクチンの接種体制についてです。 海外で2回目の接種ができなかった方とか、あるいはファイザー社製のワクチンにアレルギーがある方のために、そうした接種機会の確保は必要になります。 これまで県営接種センターでアストラゼネカ社製のワクチンを希望する方に接種しており、これまで47人の方が接種されています。今後も、昨日発表したとおり、県庁内で月に1回、接種日を設けて、アストラゼネカを希望する方の対応をする予定にしています。 それから、アストラゼネカ社製のワクチンの追加接種、3回目の接種ですが、さきほど議員おっしゃったとおり、現時点では3回目の接種用として承認されているのはファイザー社製のワクチンのみで、モデルナ社製も薬事審査中ですが、アストラゼネカ社製については薬事承認申請自体が行われていない状況です。調べてみると、海外でも3回目の接種にアストラゼネカ社製を使用している例はごく僅かということです。したがって、基本的にアストラゼネカ社製で1回目、2回目を打たれた方については、承認されているファイザー社製のワクチンで3回目を打つことに現時点ではなるということです。 続いて、3点目のブレークスルー感染の状況です。ブレークスルー感染者、2回ワクチンを打っているにもかかわらず感染した方は、県内ではこれまで315人いらっしゃいます。中身を見てみると、年代別では60歳以上の方が61.6%とかなりの割合を占めています。それから、職業別で見ると、医療従事者や施設の職員が24.8%と一番割合が多くなっています。これらの方はワクチンを早い時期に優先的に打たれたので、ちまたで言われているとおり、期間がたって抗体が低下したことが考えられます。第5波の感染者の6.7%をブレークスルー感染者が占める状況です。これらの方については、基本的に3回目の接種は接種完了から8か月後の接種ということなので、こうした医療従事者や高齢者、施設職員等がおのずと接種順位が上位になるということです。 ○御手洗吉生議長 吉村哲彦君。 ◆吉村哲彦議員 ありがとうございました。県内で47人の方がアストラゼネカを既に打たれているということでした。素人な部分があるので、簡単に考えれば、ファイザーを打てないからアストラゼネカを打っていると。その上で3回目はファイザーを打てというのも果たして大丈夫なのかという心配もあるし、これは誰しもが思うのかなと。そういった部分ではしっかりと相談に乗っていただいて、この47人の方が安心して打てるように、また、まだ打てていない方がいらっしゃるとも聞いているという部分でいえば、こういった方も打てるような準備を進めていただければと思うので、ぜひよろしくお願いします。 では、同じくもう一点部長に伺います。これは最後ですが、今、知事が様々述べていただいた、追加接種に向け方向性を持って各市町村と連携していくといった形かと思っています。 市町村の接種計画、どのように把握されているのでしょうか。今後のスケジュールを含め、福祉保健部長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 市町村の3回目の接種計画についてです。 現在、各市町村とも2回目の接種をほぼ完了して、3回目の接種の計画の具体性を整えています。本日から医療従事者、それから、来年1月下旬ぐらいから高齢者の接種がスタートする予定です。それが終われば基礎疾患を有する方ということで、2回目の接種から8か月経過した方に順次接種を進めていくということです。 3月までの接種者用のワクチンも十分な供給量が国から示されているので、県としても市町村や医師会、看護師会等としっかり連携して円滑な接種を進めていきます。 ○御手洗吉生議長 吉村哲彦君。 ◆吉村哲彦議員 ありがとうございました。今回、1回目、2回目の接種の中で特に伺うのが、予約した際や電話で問い合わせた際に、なかなかうまく県の考えている部分が伝わっていないというお声も現実にありました。ゆえに、妊婦の件であったり、アストラゼネカの件であったり、そういった事例があったのかと感じています。今後そういった体制もしっかりスムーズに、また、タイムラグがなく連携が取れるような形をぜひ強化していただければと思うので、よろしくお願いします。 それでは、次の質問に移ります。 ワクチン・検査パッケージについて伺います。 経済活動再開に向けてワクチン・検査パッケージの推進がなされています。ワクチン・検査パッケージとは、飲食、イベント等の事業者が利用者のワクチン接種歴、または検査結果の陰性、このいずれかを確認することです。報道されているように、東京都ではLINEを活用したワクチン接種記録を登録できるTOKYOワクションアプリの活用を進めているし、民間企業でも活用が始まっています。 さて、政府は年内にワクチン接種証明書のデジタル化を目指しています。電子ワクチン接種証明書は、スマートフォン上で専用アプリからマイナンバーカードによる本人確認の上で申請・取得し、二次元コードとともに表示可能になると聞いています。また、紙によるワクチン接種証明書についても引き続き発行し、二次元コードを記載することとしています。この二次元コードが電子署名となり偽造を防止できる仕組みだと伺っています。 ワクチン・検査パッケージは、民間企業が提供するサービス等において、飲食店やイベント主催者等がワクチン接種証明書によりワクチン接種履歴を確認したり、PCR検査での陰性証明を確認することで、日常生活や経済社会活動における感染リスクの引下げと追加サービスなど幅広い活用が期待されています。しかしながら、差別や偏見につながるのではないかと危惧されています。このように、経済再活性化に向けて必要性と課題が残るワクチン・検査パッケージについて、県としてどのように活用を考えているのか、見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 ワクチン・検査パッケージの活用は、飲食店における第三者認証制度やイベント開催時の感染防止安全計画とともに、社会経済再活性化に向けて期待の持てる選択肢の一つと認識しています。また、緊急事態宣言等の感染拡大時のほか、平時における観光庁の実施する観光事業での活用も想定されています。 現在、国では、飲食店や大規模イベント、観光等の分野で技術実証を進めており、さらなる検査費用の低減や検査時間の短縮等いくつかの課題が明らかになっています。その解決に向けた国の動向を注視するとともに、円滑な制度の活用に向け、議員御指摘の差別や偏見を生みかねないとの懸念の払拭にも注意を払いながら準備を進めていきます。その一環として、今回の補正事業では、健康理由等によりワクチンを接種できない方への無料検査を行うこととしています。 他方、国の制度によらずとも、既に民間によるワクチン証明を使った割引サービスや、会食時にワクチン接種を確認し合うことで人々の交流、活動に安心感を与えるなどの動きも出てきています。これらも社会経済再活性化を後押しするものとして歓迎したいと考えています。 ○御手洗吉生議長 吉村哲彦君。 ◆吉村哲彦議員 ありがとうございます。積極的に活用していただけるということかと思いますが、1点再質問します。 これまでも高齢者やデジタル機器、また、インターネット等に慣れていない方が様々な手続においてお困りであるとの声がたくさんありました。ワクチン・検査パッケージは国も推進しているし、さきほど部長からもありましたが、県の補正予算においてもワクチン接種できない方のためのPCR無料検査等も追加提案されています。 以上のことからも、高齢者やデジタル機器に慣れていない方も簡単に誰でも利用できる工夫、仕組みが必要かと思います。ワクチン接種予約の際は、地域のボランティアの方による予約のサポートや、携帯電話会社によるスマホ教室での接種予約代行といった取組もよく目にしました。あらゆる方が使えるようにするための取組を県としてどのようにお考えでしょうか、改めて部長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 この制度を運用する際は、高齢者を含め、誰もが分かりやすく、簡単に使える制度設計となるよう全国知事会からも提言しています。ワクチン接種証明書は年内にデジタル化される予定ですが、マイナンバーカードや高齢者になじみのある紙の使用もできるよう国に提言しています。全ての利用者、事業者、双方が使いやすい制度となることが重要で、引き続き国の検討状況を注視していきます。 ○御手洗吉生議長 吉村哲彦君。 ◆吉村哲彦議員 ありがとうございました。ぜひ引き続きよろしくお願いします。 それでは、次の質問に移ります。 次は、コロナ禍における教育分野への影響について、大きく4点について伺います。 まず1点目、非認知能力の向上についてです。 昨年からのコロナ禍において、教育の分野でも大きな課題や変化が起きている、これは周知の事実です。小中学校、高校、大学等においては今まで行ってきた学校行事の開催もままならず、大きな制約の中で学校生活が進んでしまっています。 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が本年6月に示した調査レポートによると、小学生は学校行事が中止・縮小された場合の非認知能力、生活習慣等への悪影響が大きいとされています。大きな行事である運動会、球技大会、修学旅行等が中止、縮小になった場合は、特にその傾向が見られるようです。一方で、中高生については、同じく学校行事が中止、縮小になった場合の非認知能力、生活習慣等に対する悪影響は小さいものの、以下、小学生と一緒ですが、文化祭や修学旅行など大きな行事が中止、縮小になると非認知能力、生活習慣等への悪影響が大きいことが示されていました。 ここで取り上げている非認知能力とは、国際的にも注目されており、学習指導要領にも学びに向かう力・人間性等と示されています。よりよく生きていく力とも言えるのではないでしょうか。 子どもたちがコロナ禍で様々な我慢を強いられ、学校行事も縮小されている中、特に小学生の時期において、テスト等では点数化しにくい非認知能力を育てる取組を重点的に行う必要性を感じています。教育長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 ただいま議員にも御紹介いただきましたが、学習指導要領においては、育成すべき資質能力の一つとして、学びに向かう力・人間性等が重視されています。目標達成に向けて粘り強く取り組んだり、多様な人々と協働したりするなど、かねてより非認知能力の育成は大切であると考えています。 今年度は、コロナ禍の中、実施時期や内容を工夫しながら、ほぼ全ての小学校で運動会、修学旅行を実施できています。実施にあたっては、目当ての設定や、活動の振り返りに協働して取り組むこととし、子どもたちは自信や達成感を味わえたところです。 また、毎日の朝の会や帰りの会でも、子どもたち自身がその日の目当てを立て、1日を振り返るなど、これまでよりも努力したことや協力したことを自覚させるようにしています。 さらに、小学校低学年の生活科の目標には、意欲や自信を持って学ぶ態度を養うことというものがあります。「おもちゃランドを作ってみんなで楽しもう」という単元では、友達と力を合わせて見通しを立てたり、試したりする活動が大切にされています。 今後も様々な活動の中で、非認知能力の向上につながる取組を一層充実させていきます。 ○御手洗吉生議長 吉村哲彦君。 ◆吉村哲彦議員 ありがとうございます。今できる工夫を現場の先生方が一生懸命やってくださっていると思います。大変ありがとうございます。 県立芸術文化短期大学においては、サービスラーニングという教科を履修できるようになっています。このサービスラーニングが非常に非認知能力を幅広く伸ばしていくという研究結果も示されていました。大学において行われている授業ですが、小学生にも十分幅広く対応できるような内容です。既に閉校となっていますが、佐伯市立西浦小学校では以前、私たちのまちづくりCMプロジェクトにおいて、サービスラーニング型総合的学習と言えるような先進的な取組もなされており、非常に高評価をいただいていたと認識しています。 このように、各学校において総合的な学習の時間や、高校においては総合的な探究の時間を活用し、非認知能力を伸ばすサービスラーニング型の学習を検討するのも一つの案かと思っています。先生方の負担も考慮しなければいけない部分はあるが、このサービスラーニング型の学習を取り入れる部分に対して、検討してはどうかと思っています。教育長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 今し方、議員からサービスラーニングの例で佐伯市立西浦小学校の取組を御披露いただきました。同様の取組、県内でも広く進められています。佐伯市立西浦小学校のほかにも、例えば、中津市立山口小学校の場合には、地元のお祭り、コスモス祭りをさらに盛り上げたいということで、祭りの実行委員会のメンバーに自身のアイデアをプレゼンし、実際に実行していただくということで、委員会だけではなく地域住民からも評価されて、役立った感覚を養っているという実態があります。こういった好事例を積極的に発信していきます。 ○御手洗吉生議長 吉村哲彦君。 ◆吉村哲彦議員 ありがとうございます。地域のためにもなる学びの場かと思うので、ぜひとも横展開できるかどうか検討いただければと思います。 それでは2点目に、学習時間の確保について伺います。 学習面に目を向けると、小中学校、高校が臨時休業となっていた時期は、全体として総学習時間が減少しています。しかしながら、世帯年収別に見ると、相対的に年収の高い世帯では学習時間の減少幅が小さくなっていました。世帯年収の高い層は、学校外の学習時間を増やしていることが原因であると考えられます。親に経済力がある子どもやもともと学力の高かった子どもは、学校外での学習時間を増やすことによって、学校での学習時間減少を穴埋めしたと言えるのではないでしょうか。親の経済力によって教育機会の格差が広がることはあってはならないことです。本県においても現状を調査し、学習時間確保の対策が必要ではないかと考えますが、教育長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 今年度の全国学力・学習状況調査によると、本県では、塾や家庭教師から学ぶ児童生徒の割合は小学6年生で39.4%、中学3年生は51.8%となっています。 また、平日1日当たりの学校外での学習時間が1時間以上と回答した小学6年生は67.3%であり、一昨年に比べ2.8ポイントの減、一方、中学3年生は83%で1.5ポイントの増となっており、いずれも増減幅は小さく、コロナ禍による大きな変化は見られませんでした。 一方で、平成29年度全国調査の際、実施された保護者調査では、おおむね世帯収入が高いほど子どもの学力が高い傾向が見られました。 コロナ禍の状況や家庭環境によらず、全ての子どもたちに確実に力をつけるため、県では昨年6月に2020からの新しい授業づくりハンドブックを作成して、全教職員に配付しました。このハンドブックには、児童生徒が主体的、計画的に家庭学習を行えるよう、授業と家庭学習を効果的に連動させた学習指導を例示しています。加えて、一人1台端末を活用して、AIドリルなど、個々の学習状況に応じた個別学習が家庭でも行えるよう、市町村とも連携した取組を進めています。 指導の工夫や個に応じた支援を行い、子どもたちの自立した学びを実現させていきます。 ○御手洗吉生議長 吉村哲彦君。 ◆吉村哲彦議員 ありがとうございます。大分市では低所得者層への塾の助成を行っているし、ほかにも漢字検定や英語検定の助成など、そういった現実的なサポートをされている自治体も県内にはあり、このような取組を横展開することはできないのかなと感じています。市町村の事業なので、費用の部分等あるかと思いますが、こういった部分について県がイニシアチブを取っていくことはできないのでしょうか、教育長の考えを伺います。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 今、議員御指摘のように、低所得者層に対する大分市の取組に加えて、中学生を対象に塾の助成も行っているということですが、国東市では漢字検定、所得によらず一律助成を行っているし、英語検定については全体の半分、九つの市町において、所得によらずに一律助成を行っているところまでは私どもも把握しています。市町村によって塾の件数とか検定自体に対するニーズなど状況は様々であり、助成の取組は各自治体の状況に応じて独自に取り組まれることが望ましいと考えています。 県教育委員会としては、公教育において全ての子どもに力をつけさせるという責任を果たしていきます。 ○御手洗吉生議長 吉村哲彦君。 ◆吉村哲彦議員 ありがとうございます。 では、次の質問に移ります。 次は、双方向型オンライン授業の整備と出席の扱いについてです。 さきほどの調査から希望となる結果も出ています。双方向のオンライン授業を行っていた場合、世帯年収にかかわらず勉強時間の落ち込みを防ぐ効果が見られています。これを考えると、どのような経済状況、地域においても双方向のオンライン授業を行うための環境整備を早急に進めていくことで、子どもたちの学ぶ機会を確保することができると思っています。 また、受験生にとってもコロナ禍における不安は大きなものとなっています。文部科学省は、新型コロナウイルス感染症の影響により登校できずオンラインを活用した高校生が大学受験で不利にならないよう、受験先に提出する調査書には授業日数を記載しないなどの配慮を求めました。これは高校受験においても同様の配慮が求められていると聞いています。北九州市、福岡市においてはオンライン授業に参加すれば出席としているようですが、本県での取扱いはどのようになっているのでしょうか、見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 今年度から生徒一人1台端末の利用が始まり、臨時休業等、非常時の学びの保障に備えるための環境整備を進めるとともに、日常の教育活動にも積極的に活用しています。 現在、生徒が新型コロナウイルス感染症の影響により、やむを得ずオンラインを活用した学習指導を受けた場合、その日数は指導要録上、出席停止、忌引等の日数として記録されることとなっています。 本県では、大学入学者選抜で不利益に取り扱われるのではないかという懸念や不安などが生じないよう、作成する調査書の取扱いについて、出席停止、忌引等の日数とか授業日数は記載しないこととしています。 県立高校入試については、県が定めている調査書様式の出欠の記録欄は、そもそも欠席日数のみとしており、コロナ禍で登校できなかった日数は記載を必要としていません。 各入試については受験者に懸念や不安などを与えないよう、必要に応じて文部科学省の通知等も踏まえながら、適切に対応していきます。 ○御手洗吉生議長 吉村哲彦君。 ◆吉村哲彦議員 丁寧な対応をありがとうございます。 1点再質問しますが、前段のオンラインの部分について伺います。 今回もICT教育サポーターが予算として上げられていますが、全県下どの地域でもオンライン授業ができるようにするため、県の考える課題等があれば、ぜひ伺います。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 一人1台端末、ようやく今年からスタートして、まだ1年経過していないのが実態です。 本日、追加で御提案した中にもありますが、端末は皆さん手元にあるが、どう使えばいいのか、あるいはどうすればよりよい授業ができるのかがまだまだこれからだと思うので、そういった意味で御提案しています。どうぞ御理解いただければと思います。 ○御手洗吉生議長 吉村哲彦君。 ◆吉村哲彦議員 ありがとうございます。次の質問にもつながるので伺いました。 では、教育関係について最後の質問です。一人1台端末に起因するいじめの防止について伺います。 先日、タブレット端末などでのいじめが原因で、東京都町田市の児童が自ら命を絶つという大変痛ましい事件が発生してしまいました。 コロナ禍で導入が早まったタブレットの取扱いや活用方法が真に子どもたちのためになるよう様々な観点からの検証が必要だと考えます。自治体や学校によってタブレット端末の使用ルール、制限はまちまちで、教員間のリテラシーの格差、家庭環境の違いも目立つなどの意見も耳にしています。単に制限を厳しくするのではなく、子どものコミュニケーションを教職員が注意深く見守り、トラブルに早期に対応できる仕組みづくりが必要だとの声もありました。 初の取組で、コロナ禍のため急速に導入した中、様々な意見があることは当然のことですが、子どもの命に関わる事柄においては後手に回ることがないよう取組を進めなければなりません。 そこで、本県において、タブレットによるいじめ防止の観点から、どのような取組、対策を行っているのか伺います。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 一人1台端末を配備するにあたり、県教育委員会では児童生徒用の利用ガイドラインを策定しました。その中で、学習活動以外では使用しないこと、自分自身以外には使用させないことなど守るべきルールを定め、各県立学校はこれを基に指導しています。市町村立学校についても同様の取扱いで進められています。 東京都町田市の事案は、端末で使用するアカウントとIDの双方が初期設定のままで、他人が容易に想像でき、パスワードについても全員同じものであったという実態です。また、チャットが教員を介さずに使用されていたという実態もありました。 本県では、ID、パスワードのそれぞれを個人ごとに設定しており、チャットについては一部使用されている学校もあるが、教員が監視できる状態で使用することを徹底しています。 このように、安全な運用に努めるとともに、道徳の授業において情報モラル教育を行ったり、あるいは専門家によるネットトラブル講演会など、いじめを起こさない取組を引き続き進めます。 また、県立学校生の端末のホーム画面には、いじめなどについて相談しやすいよう、相談窓口のアイコンを常時表示しています。こうした取組も進めながら、端末の安全な活用を進めたいと考えています。 ○御手洗吉生議長 吉村哲彦君。 ◆吉村哲彦議員 ありがとうございます。今、教育長からあった相談窓口が分かるアプリ、非常にすばらしい取組だと思っています。しかしながら、このタブレットの活用ですが、学校や地域ごとに運用されているし、今、学校でしか使えないところもあります。当然持ち帰りもなく、休み時間も使えず、授業中のみの使用としている学校もあるように伺っています。そうなってしまうと、せっかくの相談窓口のアプリも活用する場面がないということは容易に想像がつくわけですが、この相談アプリを一般公開するとか、学生の自分の端末にインストールできるようにする取組について可能かどうか、教育長の考えを伺います。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 今お問合せのあった相談アプリ、アイコンと申しましたが、現状、児童生徒の端末に表示されているアイコンです。内容は、ネットあんしんセンターであったり、あるいはいじめ相談につながるものであったりという六つのものです。実はこの六つ、いずれも既に公開されている相談窓口を示すものです。このことは市町村教育委員会にも周知しており、既に大分市は導入済みであって、他の市町村からも問合せを受けている状況です。もし議員に関係の方からそういう御要請があったということであれば、今申したような内容だとお伝えいただければと思います。 ○御手洗吉生議長 吉村哲彦君。 ◆吉村哲彦議員 ありがとうございます。子どもたちが相談するとなると、1人のときに相談しやすいのかと。周りに友達がいる中で相談するかと言われれば、なかなかそうはいかないかなと思っています。そういった面でも、1人のときに相談できるような仕組みづくりもぜひ進めていただければと思います。 それでは次に、エシカル消費について質問します。 近年、エシカル消費といった考え方を見聞きするようになりました。消費者庁が発表している定義では、このエシカル消費とは、地域の活性化や雇用を含む人、社会、地域、環境に配慮した消費行動のこととされています。これはSDGsの17のゴールのうち、特にゴール12、持続可能な消費と生産に関連する取組です。値段や性能だけを見て商品を選ぶのではなく、消費者それぞれが社会課題の解決のために考慮し、そうした課題解決に取り組む企業を応援する形で行う消費がエシカル消費とされ、多くの意味を持った新しい価値観として広がりを見せています。 電通の調査によると、エシカル消費という言葉自体の知名度は全体で24%と、高いとは言えませんが、コロナ禍を受けてエシカル消費への意識が高まっているということも分かってきています。 また、本年10月には一般社団法人日本エシカル推進協議会がエシカル基準を定めるなど、その取組は加速しています。 様々な分野でエシカル消費に取り組もうとする動きも出ています。例えば、食です。農業におけるエシカル消費を意識し、実践することで、気候変動などの環境や社会が抱える様々な課題の解決につながると考えられています。地産地消を意識することもエシカル消費の一つではないでしょうか。地元で取れた野菜、肉、海産物などを積極的に購入すると、その分の輸送に使う二酸化炭素の排出を抑制することができ、コロナ禍で苦しむ地元生産者の収入増や地域活性化にもつながります。これまでの地産地消にSDGsの観点からもう一つ新たな付加価値ができたと考えることができます。 また、県として力を入れている農福連携分野においても、農福連携商品を購入することで、障がいを持つ方の自信や活力となるだけではなく、大きく考えれば、高齢化が深刻な農業分野において新たな担い手を確保することにもつながると考えることで、エシカル消費と呼ぶことができるのではないでしょうか。 農業分野だけではなく、太陽光発電や地熱発電による電力を購入し、消費することができるようになれば、電力消費の在り方についてもエシカル消費という考え方が当てはまるし、エコバッグの利用、プラスチックストローを使わない脱炭素、脱プラスチックを意識した消費もエシカル消費です。 我が国のGDPに占める家計最終消費支出は55%前後です。個人消費は社会に大きな影響を与える観点から、長野県では県版エシカル消費の推進に取り組んでいるし、愛知県でもあいちスタイルというエシカル消費への取組を普及啓発しています。 エシカル消費の対象となるものを積極的に購入すれば、エシカル商品を作ろうとする事業者が増え、また、そうした人や社会、環境に優しいものを作る事業活動が継続、発展していくことができます。これまでの安全・安心な消費活動だけではなく、これからの消費活動における一つの新たな指針となり得るエシカル消費を県としてどのように捉え、推進していくのか、地産地消の観点も踏まえ、県の考えを伺います。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 エシカル消費について御質問をいただきました。 消費者が大量生産、大量消費、大量廃棄の経済の波に流されて漂流する存在から、持続可能な社会、経済の実現に向けたかじ取り役となることが求められている現代において、エシカル消費は大変大事な役割を果たすだろうと思います。 特に、商品やサービスを選択する際に、価格や品質だけではなく、社会的課題に消費者の立場から考えるエシカル消費を心がけて、実践することはとても大切なことだと思います。 そのため、本年3月に策定した第4次大分県消費者基本計画では、エシカル消費の普及啓発を新たに盛り込んだところです。この計画では、エシカル消費を三つの視点から捉えています。一つは、人や社会に配慮することです。例えば、障がいのある人たちが作った製品の購入等は、その人たちへの支援と自立への後押しにつながることに思いを致すということです。二つは、環境に配慮することです。必要なものを必要な量だけ買うことや、使い捨てのものより長く使えるものを選ぶことはもとより、エコ商品やリサイクル製品、有機農産物の購入などは、その代表的な例だと言えます。三つは、地域に配慮することです。地域の生産物を地域で消費する地産地消は、生産者にも消費者にもメリットがあり、地域内資金の好循環を生み、地域の活性化に貢献しています。 このようなエシカル消費を広めるため、県ではラッピングバスの運行や、JRやバス車内での啓発用のポスター掲示からまず始めました。先月18日には、エシカル消費を基礎から学ぶ講演会を開催したところ、中学生からお年寄りまで103人の参加をいただきました。 このような一般対策のほかに、障がい者就労施設等の製品、サービスの周知や、食品ロス、プラスチックごみの削減など3Rの啓発、エコドライブの呼びかけ、環境保全型農業の推進など、エシカル消費につながる取組も進めています。 地産地消では、県産食材を使った料理を提供するとよの食彩愛用店を募集しており、現在384店が登録しています。また、今年7月の地産地消月間には、7万6,732人の児童生徒に地元食材を使ったカレーが振る舞われました。 こうした取組を進める中で、エシカル商品には様々な認証ラベルがあり、分かりにくいという声も聞かれ、また、事業者の新たな設備投資が必要となるなど、企業活動との調整が課題となります。このような全国的な課題の解決に向けては、国へ分かりやすい仕組みづくりや助成制度の拡充等を求めていきます。 今後は、エシカル消費に社会全体で取り組み、定着を図るとともに、新たな産業やサービスの創出にもつなげていきます。 ○御手洗吉生議長 吉村哲彦君。 ◆吉村哲彦議員 知事ありがとうございました。さきほど知事の答弁の中で、7月、地産地消月間というお話もありました。また、11月17日がいいなおおいたの日とも伺っています。このような取組をなされていますが、県民への浸透があと一歩かなと感じています。大分県においては、この7月や11月だけではなく、その時々に旬のものがあるのが大分のすばらしさかなと感じています。例えば、毎月17日を地産地消の日と定め、エシカル消費の推進とあわせて大分県のアピールをすることも可能になるのではないのかなと考えています。これはぜひ知事をはじめ、生活環境部長、また農林水産部長等、関係する部局で連携して検討していただければありがたいなと考えています。これは要望です。ぜひよろしくお願いします。 それでは次に、宇宙産業への参入について質問します。 先日、大分空港をアジアにおける航空機による人工衛星打ち上げ拠点として活用することを目指しているヴァージン・オービット社とANAホールディングスが令和4年以降10年間で20回の打ち上げを行うという報道がされました。具体的な目標が発表されたことで、その期待はますます高まっています。 本年6月18日に政府が公表した成長戦略実行計画には、アメリカ宇宙産業との協力なども視野に入れながら、宇宙港の整備などによって、アジアにおける宇宙ビジネスの中核拠点化を目指すことが明記され、政府としても、宇宙は成長産業であるとともに、安全保障、防災、SDGs達成等にとって不可欠である、このような観点から宇宙開発利用を強力に推進するとしています。 さらには、昨年6月30日に閣議決定している新たな宇宙基本計画によると、日本の宇宙産業の規模、約1兆2千億円を2030年代には倍増する目標も示されました。 また、地域における自律的な宇宙ビジネスの創出を加速させるため、衛星データ等を活用した宇宙ビジネスの創出を主体的、積極的に推進する自治体を宇宙ビジネス創出推進自治体と認定し、本県も昨年9月に選定されています。 このような支援を受けながら、県内で現在開催されている宇宙関連のイベントやセミナーは県外からの参加者がいるほど、非常に注目を集めていると伺っています。その中には宇宙産業とは一見関連のないような業種の方からの声もありました。 宇宙産業にはニュースペースという動きがあります。民間企業が進める新たな宇宙開発のことを指しています。こうした新しい宇宙開発に異業種の参入を促すことで、大分県版のニュースペースを生み出すきっかけになるのではないでしょうか。 そこで、県として異業種による宇宙産業参入に対しどのように支援していくと考えているのか伺います。 ○御手洗吉生議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 民間活力の活用、異業種参入は、政府の宇宙基本計画にも明記されている重要な視点だと認識しています。 県内でも、民間主体で設立されたおおいたスペースフューチャーセンターや、県主催セミナーにおいて、異業種の企業同士による活発な意見交換等が行われています。 宇宙を利用するという視点に立てば、あらゆる業種に新規事業開発のチャンスがあるとの意見もあるように、今後、幅広い分野で宇宙と掛け合わせた「宇宙×◯◯」といった取組が生まれる可能性があります。 県としても、既にクリエーター育成講座において、宇宙を題材としたビジネスアイデアのブラッシュアップを行ったほか、宇宙食に取り組む企業に対し支援も行っています。このように、既存スキームも積極的に活用し、異業種による宇宙産業への挑戦を促進していきます。 宇宙産業への参入については、一定の専門性も求められます。そのため、引き続きセミナー等を通じた情報提供を行うほか、来年2月開幕のISTS大分別府大会の機会も最大限活用し、県内企業と県外の宇宙関連企業、大学等研究機関とのネットワーク構築を支援していきます。 ○御手洗吉生議長 吉村哲彦君。 ◆吉村哲彦議員 ありがとうございました。今、既存のスキームもあるとお話がありました。私が実際にアイデアを伺ったところは、ここで言うわけにはいきませんが、非常にすごいなと、全く関係のないところからのアイデアでした。ただ、関係がないゆえに、法的に大丈夫なのかとか、どこに相談すればいいのかとか、どの企業とつながりを持てばいいのかとか、そういった部分もさっぱり相談もできない、どこに言っていいかも分からないというお話もありました。 このようなアイデアをぜひ実現していくような形ができれば、大分としてもさらに魅力のある県に発展するのかなと考えたときに、県が中心となって、企業の相談に乗ったり、企業同士をつなぐ場所を提供するのも一つのアイデアなのかなと思っています。既存のスキームをより活用するという部分もあるかもしれませんが、この点、部長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 ありがとうございます。県が中心にというお話でしたが、実はさきほども答弁しましたが、正に民間主体で一般社団法人おおいたスペースフューチャーセンターが設立されています。大変心強い動きです。 こういったもの、正に多様な参加者がアイデアを出し合い、アクションにつなげるといった多様な会も開催しているし、また、県や商工団体が主催するビジネスセミナー等の場も設けています。こういった場を通じて、宇宙産業参入に意欲ある県内企業同士の連携を支援していきます。 ○御手洗吉生議長 吉村哲彦君。 ◆吉村哲彦議員 ありがとうございます。ぜひそういった企業の夢、目標を達成できるよう後押しをお願いします。 では最後に、災害時の道路啓開について伺います。 これまで大きな災害のたびに、道路に乗り捨てられた車が物資輸送の大きな障害となることがありました。また、放置車両を強制移動させる法的根拠がないことも問題視されていました。しかし、平成23年の東日本大震災、平成26年の関東甲信越での大雪などにより道路啓開の重要性が再認識され、平成26年11月に改正災害対策基本法が施行されています。 この改正法では、道路管理者が区間を指定し、車両等を道路外へ移動することを所有者等に命令できることとし、命令に応じない、または不在の場合は道路管理者が車両を移動できることにしています。加えて、損失補償規定を設けた上で、やむを得ない限度で物件の破損も認めています。 大分県においても南海トラフ地震、降雪被害等の可能性を考えると、このような道路啓開についてはしっかりと備えるべき課題であると考えます。また、車両を扱う作業者の安全を守るための取組や必要資格も変わってきており、ハイブリッド車や電気自動車などでは、電気自動車の整備の業務等に係る特別教育を受講しなければなりませんし、専用の装備も必要だと聞いています。 別府市、臼杵市、日田市においては、車を移動させる専門家とも言えるレッカー団体等と災害協定を独自に結んでいますが、その範囲は市道などの市管理道路にとどまるため、広域に及ぶ災害では必要な措置が十分に講じられないことも考えられます。 このような状況を踏まえ、大規模災害等発生時、速やかに道路啓開を図るための県の考えを伺います。 ○御手洗吉生議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 県では、大規模地震や大雪時に放置された車両等を迅速に移動するため、平成27年2月に道路管理者による一連の作業手順を定めており、現場での作業は、協定に基づき建設業協会へ依頼することとしています。 議員御指摘のとおり、近年増加しているハイブリッド車等の移動は、感電にも注意する必要があることから、レッカー車の活用は有効な手段と考えています。 また、広域的な災害が発生した際は、レッカー車を速やかに確保するため、関係団体との連携を図る必要があります。 このため、建設業協会に加え、レッカー業者も含めた指揮命令や作業体制、災害協定等について、国や他県の取組状況を参考に具体の検討を進めています。 道路啓開においては、こうした放置車両の移動をはじめ、がれきや倒壊した電柱等も迅速に撤去する必要があります。 引き続き、警察や消防、電線管理者等関係機関と緊密に連携し、情報共有や防災訓練等を実施しながら、大規模災害発生時の救命・救援活動が円滑に進むよう道路啓開体制の構築に努めていきます。 ○御手洗吉生議長 吉村哲彦君。 ◆吉村哲彦議員 ありがとうございました。現在検討が進められているということで安心しました。 建物等の倒壊を考えれば、建設業協会の皆様のお力も必要かと思うし、車で考えると、いかに破損していても財産であることには変わりがないということから、不用に傷つけるわけにはいかないということもあるのかなと思います。 また、今、部長からもありましたが、大分県全体で大きな災害が起こった際に、大分県内の企業だけでは対応できない。ゆえに、福岡、熊本、宮崎等、広い範囲に要請する必要もあるのかと思います。ぜひともそういった幅広い視野に立って検討を進めていただければと思います。 以上で質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○御手洗吉生議長 以上で吉村哲彦君の質問及び答弁は終わりました。木付親次君。  〔木付議員登壇〕(拍手) ◆木付親次議員 14番、自由民主党の木付です。知事はじめ、執行部の皆さん、よろしくお願いします。 それでは、まず最初にISTSの開催についてお尋ねします。 ISTSとは、宇宙技術及び科学の国際シンポジウムの英語の略称で、世界の宇宙工学の研究者が一堂に会し、研究発表や討論を行う国際会議のことです。大分別府大会は、当初、今年6月5日から11日に開催予定でしたが、新型コロナウイルスの影響により延期され、来年2月26日から3月4日に別府のビーコンプラザで第33回目として開催されます。期間中、延べ1万人が参加予定で、そのうち2割から3割は外国人の参加が見込まれています。新型コロナウイルス感染症の発生以来、県内で開催される初めての大型国際会議であり、一大イベントとして期待されます。 この会議は、国内外の宇宙工学、宇宙理学、宇宙医学、宇宙法等、宇宙のほとんどを網羅する分野の専門家が研究発表を通じて交流を深め、宇宙活動を一層活性化することや、次世代を担う人材育成を目的に、昭和34年に第1回大会が開催されました。以後、ほぼ隔年で開催され、第15回までは東京で開催されていましたが、アウトリーチの一環として、一般公開の国際宇宙展示会や宇宙一日授業などを通して、青少年や一般社会人を対象とした科学振興及び宇宙教育に力を入れるため、昭和63年以降は国内各地で開催されています。 大会ごとにメインテーマを設け、20分野を超える学術セッションと学生セッション、また、開催時期に対応したトピック的なテーマや注目を浴びている分野を特別セッションとしてプログラムが組まれます。 今回の大分別府大会は、早くて来年には宇宙港として大分空港から人工衛星を打ち上げるということもあり、正に時宜を得た大会となると思っています。 既にイベントは始まっています。11月13日、14日に2日間、日本橋で開催された宙フェスTOKYO2021に大分県ブースを出展し、大分空港を宇宙港として活用するための取組紹介と、マダケの竹材生産量全国1位である別府市産の竹を使って、月をイメージした花籠作りのワークショップを行いました。 また、教育の面では、私の地元国東市安岐町の梅園の里天文台天球館で、宇宙や科学好きな小学生を対象としたコズミックカレッジを開催し、宇宙をテーマにした体験学習プログラムに取り組み、科学の楽しさや不思議さに触れることで、知る喜びを感じ、自ら探求して考える力を養い、命の尊さを感じることができる心豊かな子どもたちを育むことを目指しています。そして、ロケットの仕組みを知って、最近話題のモデルロケットを一人一人自分のものを作って打ち上げました。 産業の面では、大分空港の売店でNASAやJAXAのグッズ、水や湯を注いで作る宇宙食のおにぎり、ロケットをかたどった文房具、宇宙飛行士のシャトル搭乗を記念したワッペンなど150点を販売しています。また、国東市の地域おこし協力隊員と地元企業が、特産のタコを使った宇宙食の開発を目指しています。そして、安岐町にあるニュージャパンマリン九州が衛星データを活用した船舶ピタットプロジェクトで第18回大分県ビジネスプラングランプリの優秀賞に選ばれました。 このように大会を前にして、国東市では多くの分野で宇宙プロジェクトが進んでいますが、大会を契機に、今後さらに進んでいくと思います。ISTSで実施されるプログラムの内容を含め、大会により県内に期待できる波及効果をどのように考えているのか、知事の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 ただいまの木付親次君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 木付親次議員から、ISTSの開催について御質問いただきました。 いよいよISTS(宇宙技術および科学の国際シンポジウム)大分別府大会が来年2月26日から1週間、別府市のビーコンプラザで開催されます。ISTSは組織委員会が日本で隔年開催する国際学会ですが、初めの2日間は、おおいたそらはくと銘打って地元主催事業を展開します。次の三つの目的を見据えて、皆さんの期待に沿うイベントにしたいと考えています。 一つ目は、県民の皆さんに宇宙科学技術への興味・関心を深めていただくとともに、県内企業の宇宙関連産業への挑戦機運を醸成することです。初日には、JAXAの現役宇宙飛行士による自らの経験に基づいた講演を行います。 また、超小型人工衛星の研究や数多くの宇宙ベンチャーの起業に関わる中須賀真一ISTS組織委員長から、宇宙開発・利用を取り巻く現在の大変革と今後について分かりやすく講演いただきます。さらに、「映画の中に現れる宇宙」について県民の皆さんと語らう座談会には、宇宙飛行士の山崎直子さんが参加します。 二つ目は、次代の宇宙関連産業を志す人材を育成することです。初日のステージイベントでは、STEAM教育で宇宙を学んだ成果を高校生に発表していただきます。さらに、その高校生が宇宙飛行士と中須賀組織委員長を交えたトークセッションに参加して、直接語り合う機会を設けます。 また、両日にわたり子ども向けにバーチャル宇宙飛行士選抜試験体験等の体験コーナーも設けて、幅広い世代が楽しめる内容としています。 三つ目は、宇宙への挑戦に積極的な全国の関係者が連携していくことです。先月8日、岸田総理に「地方からの『宇宙』への挑戦」の要望書を11道県知事の連名で手交し、意見交換しました。 宇宙の市場が拡大していること、地域の活性化や子どもたちへの教育効果があることなどを説明して、岸田総理に御理解いただきました。この地方の動きを加速させるため、2日目の27日に日本各地のスペースポートを有する地域や宇宙産業に挑戦する方々が集うスペースポートサミット2022を開催します。 ISTS開催による波及効果としては、宇宙に関わる多くの有識者が集まるこの機会に、県内各地で教育や宇宙食などに取り組む方たちとの交流を通じ、新たなネットワークの構築やビジネス創出につなげていきたいと考えています。 ISTS開催後も、加速する多様な主体の活動を原動力として、宇宙港を核とした新たな産業の育成や人材の育成などエコシステムを構築していきます。 ○御手洗吉生議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 盛りだくさんのプログラムで、大変楽しく、わくわくするような気がしています。ただ、昨日もオミクロン株が確認されたように、第6波が来ないように、しっかりと対策をして開催できればいいなと思っています。 それでは続いて、宇宙港の進捗状況についてお尋ねします。 大分空港が昨年4月に宇宙港に選定され、来年の人工衛星打ち上げを目指しています。しかしながら、大分空港では、宇宙港関連に向けた具体的な取組が見えません。そんな中、国東市商工会青年部が9月12日、この日は宇宙の日ですが、くにさき宇宙ミライ計画開発委員会を結成しました。委員会は、アジア初のスペースポートとなる大分空港を擁する国東市にて、宇宙港のまち国東Space Port City Kunisakiを掲げ、その定着化をいち早く進め、宇宙港整備を契機とした人材育成と、宇宙港に関するビジネス化を目指しています。 令和3年度は人材育成に注力し、子どもたちが宇宙に目を向け、宇宙や宇宙に関係する人たちを身近に捉え、夢や憧れを抱いてもらうこと、また、地域住民の当事者意識の向上を促し、国東地域の活性化、さらには国東のプレゼンスを高めていくことを目指して、10月30日に、宇宙飛行士山崎直子さんを講師としてオンラインで講演会を開催しました。講演会後には、山崎直子氏と一緒に宇宙を旅した宇宙アサガオの種を市内小学校の全児童に渡す贈呈式もありました。 このように国東市内では、宇宙港開港に向けた取組が始まっています。宇宙港開港に向けた進捗状況と県の取組状況はどうなっているでしょうか、商工観光労働部長に伺います。 ○御手洗吉生議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 商工会青年部等、地元の盛り上がりは、宇宙港の取組を進めていく上で大変心強いものです。先日、ヴァージン・オービット社とANAホールディングスにより、2022年以降の10年間で20回の打ち上げを目指すとの発表が行われ、事業化に向けて大きく前進したところです。 宇宙港の開港に向けては、両社と共に、解決すべき課題の整理、調整を進めていますが、我が国初となるプロジェクトであることから、関係法令等の整理が不可欠です。必要な施設、設備等の整備は、これらの進捗等を踏まえ、進めていきます。 県としては、先般、知事より、岸田総理ほか、関係大臣に対し要望・提言活動を行ったところであり、本事業のビジネス展開に向けた環境整備について、引き続き関係機関と調整を進めていきます。 宇宙港は開港がゴールではなく、継続的に打ち上げが行われることが重要です。宇宙港に対する県民理解の向上を図るとともに、大分が国内外の衛星事業者などの宇宙ビジネス関係者から選ばれるためにも、県外の宇宙ベンチャー等に対し、本県の取組の周知を図っていきます。 ○御手洗吉生議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 私は本年7月10日に、当時の菅首相とリモート対話の機会がありました。 私からは、宇宙港開港に向けて三つの要望をしました。一つは、ヴァージン・オービット社の宇宙関連技術の日本への導入に関わる日米政府間調整の加速。二つは、水平型打ち上げに係る関連法令、基準の整理と整備。三つは、宇宙港関係施設・設備の整備や宇宙港を核とした経済循環創設に係る地方のソフト面への取組への財政支援を要望しました。 首相からは、大分県が宇宙港の整備に積極的に取り組んでいることは承知している。政府としても重要な制度設備を進め、地方創生の交付金などにより、ハード、ソフト両面から支援していきたい。米国政府との調整については、政府全体でしっかりと検討を進めていく。水平型ロケット打ち上げに必要となる制度設備については、具体的に安全基準が整備されていないことが課題だ。打ち上げ実績のある米国の安全基準を参考にしつつ、来年に予定されている打ち上げの審査に間に合うよう検討を進めていきたいとの答弁をいただきました。 今、知事も、岸田首相に要望書を手交したということです。我々自民党県議団も先週、東京要望して、関係省庁に宇宙港開港に向けての要望をしたところです。政府の応援もあるし、来年、第1回目になると思いますが、宇宙港開港、私も地元の議員なので大変期待しています。これからもまた県の支援をよろしくお願いします。 それでは続いて、福祉避難所についてお尋ねします。 私は平成27年第3回定例会で、福祉避難所について質問しました。そのときの福祉保健部長から、25年に策定された福祉避難所開設・運営マニュアルに基づき、研修会や避難行動要支援者の搬送・受入訓練、ボランティアネットワークの構築、物資の備蓄、避難所開設時の運営や災害を想定したシミュレーションの実施に取り組んでいきたいとの答弁をいただきました。 一方で、28年に発生した熊本・大分地震では、福祉避難所は由布市と竹田市で4か所開設され、延べ80人が避難しました。その中で、震災後の県の調査では、開設に必要な物資が備蓄されていない、住民が福祉避難所の存在を知らない、開設訓練をしていない、専門職員の確保ができていない等、様々な課題が明らかになりました。 そこで県は、この地震での学びを教訓にして、30年3月にマニュアルの改訂版の作成、31年1月から福祉避難所サポーターの募集等に取り組んでいます。 また、国は本年5月、福祉避難所の確保・運営ガイドラインを改定しました。主な改定は、受入れを想定していない被災者が避難してくる懸念に対応するため、事前に受入対象者を特定し、特定された要配慮者やその家族のみが避難する施設であることを指定の際に公示できる指定福祉避難所制度の創設、要配慮者が日頃から利用している施設への直接避難の促進、感染症、熱中症、衛生環境対策、一般避難所での要配慮者スペースの確保など、福祉避難所の機能を一層強化するものです。 近年、災害の頻発化、激甚化で福祉避難所の重要性がますます高まっており、女性に対する配慮や新型コロナウイルス感染症への対応も含め、通常の避難所でも新たな課題が出てきています。より配慮が必要な福祉避難所においても対応を要すると考えています。国の改定に対する県の取組など、福祉避難所の開設や運営について福祉保健部長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 福祉避難所についてお答えします。 県では、熊本地震や平成29年九州北部豪雨の経験を踏まえ、マニュアルの改定や備蓄物資の整備、福祉避難所サポーター等を対象とした研修などを実施してきました。その結果、福祉避難所は27年度の352か所から375か所へと増加しています。さらに、30年度からは、福祉避難所を補完するものとして一般避難所内の福祉避難スペースの整備も進めており、現在607か所が確保されています。 本年5月の国のガイドライン改定を受けた対応については、直接避難を想定した指定福祉避難所が2市22か所で公示済みであり、その他の市町村においても、指定に向けた準備が進められています。 また、感染症対策として、マスクや消毒液などの物資を備蓄するとともに、受付で健康状態を確認し適切な避難先へ誘導するなど、コロナ禍における避難所運営に万全を期すよう市町村に徹底を図っています。あわせて、男女別の更衣室や授乳室の確保、生理用品の備蓄等、女性への配慮も促すなど、新たな課題にも随時対応しています。 今後とも、災害時の要配慮者への支援が適切に行われるよう市町村の取組を支援していきます。 ○御手洗吉生議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 ありがとうございます。実際に開設したときにやはりいろいろな課題が出てくると思います。最悪をシミュレーションして、避難所の運営がスムーズにいくように、市町村と共に県もしっかりと対応していただきたいと思います。 それでは続いて、県農業の再生に向けた取組についてお尋ねします。 大分県にとって、農業は大変重要な産業です。海と山に囲まれた我が県は、県下各地に幅広く農林水産業の生産拠点が広がり、長い年月をかけて地域に根づいた基幹産業として、大変重要な役割を担ってきました。しかし、近年の少子高齢化や、農業従事者の減少、食のグローバル化が進む中で、地域のもうかる農業の実現は、大変厳しい現実を突きつけられています。その現れの一つが、今年3月に発出された大分県農業非常事態宣言ではないかと私は思います。 県の令和元年度農業産出額は45年ぶりに1,200億円を割り込む1,195億円となり、県内の農業経営体数が5年間で約25%減少する等の背景を受け、今年3月15日に県内農業関連団体により、大分県農業非常事態宣言が発表されました。そのときの衝撃は今でも鮮明に覚えています。そのインパクトの大きさに、私の周りからも大分県の農業は大丈夫かと多くの心配の声が寄せられました。 それから半年の間、宣言と併せて設置された大分県農業総合戦略会議において、生産者、JAグループ、市町村などの関係者が、大分県農業の再建・復活のため、多くの議論を重ねられ、今年10月に、大分県農業総合戦略会議の最終取りまとめ結果として、農業システム再生に向けた行動宣言が公表されました。 もうかる農林水産業を強力に進めている本県として、この状況は本当に危機的状況だと思いますが、一方で私は、この一連の流れから、この危機こそ絶好のチャンスではないかと期待も込めて思っています。農業非常事態宣言を発出して以降、多くの関係者が議論を重ねたことと思いますが、過去これまでに、生産者から農業団体、行政など、あらゆる関係者が集まり、これほど真剣に明日の大分県農業について議論する機会はなかったのではないでしょうか。このたびの農業システム再生に向けた行動宣言は、大分県農業に携わる人たちの思いを込めた、今後の大分県農業の羅針盤となる重要な宣言になったと思います。 しかし、行動宣言がゴールではありません。正にこれからが真のスタートです。重要なのは、これから具体的にどう行動するかです。私はこれを機に、これからの農業振興を進める上で、残念ながら不祥事が最近発覚しましたが、中心となるべきJAグループが自らの改革をどのように進展させるのか、そして、それと県をはじめとする行政がどう連携していくのかが大きな鍵になると考えています。 そこで、知事に伺います。このたびの大分県農業総合戦略会議の最終取りまとめを受け、今後、県としてJAグループとどう連携して大分県農業の再生を図ろうとしているのか、考えをお聞かせください。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 県農業の再生に向けた取組について、大変御心配いただいています。 農業は県下全域で展開され、地域の活力を生み出す大変重要な産業です。これまでももうかる農業の実現に向け取り組み、一経営体当たりの農業所得が向上するといった成果はありますが、やはり構造改革の遅れから、農業産出額が3年連続の減となるなど、厳しい現実を突きつけられています。 加えて、戦略品目などの目指すべき目標において、農業団体等の目標数値と連携が取れていなかったことや、農業団体がAという数字を打ち出し、県がBという別の数字を打ち出すような、誠に説明がつかないような無様なことでした。そんなことがあったもんですから、やはりこの辺も改めなければいけないということで、JAの営農指導体制の弱体化、集出荷施設の整備の遅れ等も課題だと思っています。 そういった問題を払拭するため、大分県農業総合戦略会議では、生産者など延べ852人から意見を聞き、議論を重ね、農業再生に向けた行動宣言を取りまとめました。取組の中心となるJAグループ大分自らも農協改革、産地振興、担い手育成の三つの柱から成る具体的な取組を示し、実行に移しています。県としても、これを農業再生の最後のチャンス、農協による再生の最後のチャンスと捉えて、全面的に支援していきます。 農協改革では、本来業務である営農指導を強化します。組織体制の見直しにより、営農指導員を確保するとともに、専任化や部会活動の強化を進めます。既に現場では、若手農業者グループと若手営農指導員が、今後の農業について語り合う場を設けるなど動き始めています。 産地振興では、中京圏からも引き合いが強いねぎやピーマン、ニーズの高い高糖度かんしょ、味がよくて高単価時期に多収なベリーツを加速度的な拡大が見込める品目として、農地確保から流通販売までパッケージで支援します。農地については、地元に精通した仲介者を配置するとともに、集落営農組織からの農地の提供等を支援する仕組みを構築し、まとまった農地の確保を強力に押し進めます。さらに流通・販売のボトルネックとなっており、生産者からも強い要望のある選果場等の集出荷施設の整備に対して、補助率を拡充し支援します。 近年、増頭が進む畜産分野においても、人手不足や環境対策等の構造的課題への対応が急務です。このため、さらなる増頭や作業省力化、人材育成などにつながるキャトルステーションの整備を進めるとともに、県域での高品質な堆肥の活用体制づくりに取り組みます。 担い手の確保、育成については、産地自らが、求める担い手像を明確化した上で、技術習得から生活支援まで一貫した受入体制を整備する仕組みを導入するとともに、経営体の課題に応じた学びの場も提供します。 生産者と農協、市町村、県がしっかりと議論して積み上げた宣言をしっかりと受け止めて、不退転の覚悟で農業の成長産業化を最後のチャンスだと思って取り組みます。 ○御手洗吉生議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 知事からは最後のチャンスが何回も出てきました。本当に最後のチャンスだと思います。私の地元では、こねぎが水田の畑地化としてモデル的な地域ができています。それもハード面です。そしてまた、国東市ではこねぎの学校を作って、市外から就農者を呼び込み、そしてまた支援する。ねぎの100億円、これは達成にまだまだ相当、現在と開きがあると思いますが、豊後高田の白ねぎと宇佐・国東のこねぎと、またハウスねぎもあるし、その辺でしっかりと最後のチャンスに、本当に最後のチャンスということで頑張っていただきたいと思います。 部長に1点だけ聞きますが、振興局で営農指導員が品目から地域ごとの担当になったと思うんですが、その辺の効果はどのように把握しているのか伺います。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 今年度から、品目担当から地域担当へと体制を変えていますが、やはり地域ごとでいろんな品目の振興が違ってきます。今、議員おっしゃったとおり、国東ではこねぎを中心にするということですが、やはりその地域ごとの品目、市町村、また地域の農協、それから生産者と一体となって、地域全体を盛り上げていくという意味で、一つの品目に限らず、いろんな品目を指導できる体制が大事だと思います。今後、品目を各市町村ごとで生産者、農協と議論しながら、複数の品目を推進していくことになると思いますが、そういった場合にやはり地域ごとで、地域担当を持って、しっかりと普及員が責任持って地域に根差していくのが大事だと思うので、そういう方向で頑張っていきます。 ○御手洗吉生議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 本当に地元に密着した振興局の職員、県の出先で地元を一番よく知っている方が多くいると思うので、地元のニーズ、また指導、その辺をしっかりとやっていただきたいと思います。 それでは次に、農業の土台となる水路やため池等の農業水利施設の改修についてお尋ねします。 本県農業は、さきほど述べたように再生に向けた行動宣言を発出し、気持ちを新たに、関係者一丸となったこれからの取組に大いに期待しています。 この行動宣言を着実に実行していく上で大切なことは、農地や農業水利施設等の生産基盤がしっかりと整っていることです。現在、水路やため池等の農業水利施設については、土地改良区等において適切な管理が行われています。しかしながら、水路については、その多くが耐用年数を超過し、経年劣化による漏水が発生するなど、改修工事を希望する地元農家の声を多く耳にします。 また、ため池の多くは明治以前に築造されており、堤体の浸食や豪雨時に水を安全に流下させる洪水吐の断面不足が危惧されていることもあり、計画的に改修を進める必要があります。 このような中、土地改良区等を取り巻く環境は、組合員の高齢化や農家数の減少に加え、近年、激甚化、頻発化する自然災害への対応に係る費用が増大するなど、大変厳しくなっています。さらに、労務費や資材単価の上昇等により工事金額も増加しており、大きな負担を伴う事業に取り組むことが容易でない状況です。 これまでも県は、事業に対する地元負担の軽減を行ってきたところですが、今後、安定した農業用水の確保に向けた水路の改修や、農村地域において安心して暮らしていくためのため池の改修を計画的に進めていくには、さらなる軽減が必要であると思われます。地元負担軽減に対する県の考えを伺います。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 県では、これまでも農業生産を行う上で、農業水利施設の果たす役割が非常に重要だと考えており、基幹的農業用水路では、劣化度合などから判断した約60キロメートルの改修を今後10年間で進めることとしています。 また、ため池では、1,042か所を防災重点農業用ため池に指定し、今後10年間で優先度の高い約170か所について改修を進めることとしています。農業の再生に向けた行動宣言では、加速度的に生産拡大ができる園芸品目への重点支援など大規模園芸団地の整備を行うこととしており、そのためにも農業用水の安定供給が重要であると再認識したところです。 加えて、近年、自然災害が大規模化、頻発化しており、防災・減災の観点から、施設の耐震化や洪水調節機能の強化などの整備を行うことも重要です。このように、農業水利施設の重要性がこれまで以上に高まる中、国の動向も踏まえ、地元の負担軽減については、前向きに検討していきます。 ○御手洗吉生議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 地元負担について話すと、ため池は1%が農家の負担となっているということです。特に、ため池の事業、大きいものになると2億、小さくても1億を超えると。それで、100万から200万、あるいは300万ぐらいの地元負担が増える。そして、利用している農家は毎年毎年減っている。ということは、1軒当たりの負担金額が大変大きくなっています。もちろん防災のためのため池だし、また、用水を使うため池なので、自己負担はやむを得ない面もあるかもしれませんが、やはりその辺の負担額をできるだけ少なくして、農業産出額につながるわけだから、そういう面からもしっかりと県が支援していただければと思っています。 また、農業水利施設として、宇佐市の広瀬・平田井路が世界かんがい施設遺産に登録されました。大分県には、竹田の白水ダム等々、土木遺産に匹敵するようなたくさんの農業水利施設がありますが、これを維持し、後世に残すことも大切だと思いますが、その取組について、部長いかがでしょうか。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 さきほども申しましたが、やはり農業をやっていく上で、農業水利施設は非常に重要です。そういった施設が遠い昔から大分県では、さきほど議員も言われたように、かんがい施設として整っていたことがこのたび評価されたということで、非常に大事なことだなと思っています。 当然そういった先人が残してくれた井路を今後も利用していくことが大事だと思うので、その維持管理については県としてもきちんとやっていきます。 ○御手洗吉生議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 分かりました。しっかりと支援していただきたいと思います。 それでは次に、魅力ある高等学校の実現についてお尋ねします。 今定例会に、県立国東高等学校双国校の廃止に伴う条例改正が上程されました。同校は、昭和38年に、県立高田高等学校香々地分校と国東高等学校伊美分校を統合し、県立双国高等学校として開校し、多いときには301人の卒業生を輩出した旧国見町の中核となる教育施設でした。しかしながら、少子化、過疎化の波にあらがうことができず、平成20年の高校改革プランにより現在の国東高等学校双国校となり、地域の少子化の現状や入学者募集の状況を踏まえ、今回の決断になったと聞いています。地元県議会議員として、高校が一つなくなるということは大変残念に思います。 一方、社会や時代の変化により現状が変わることはやむを得ないこととも理解しています。そんな中でも双国校が培ってきた伝統や精神、そして、国見の地で学びたいと思っているこれからの児童生徒の皆さんの気持ちをしっかりと酌み取り、最寄りの引継先と考えられる国東高等学校の活動に生かしていただきたいと思います。双国校は、国東市、国東市商工会と連携した地域ソーセイプロジェクトで地域活性化に取り組んできました。今年度が最後となるプロジェクトでは、国見町を巡るサイクリングコースのマップを作成し、修正鬼会で有名な岩戸寺で人気が出るよう祈願し、お披露目会が行われました。赤鬼、青鬼バーガー、あるいはチップスとか、いろいろなことを商工会青年部の皆さんとやって、それを売って、また、実学を勉強すると、そういうことをやってきて、大変国東市でも好評な高校生の授業でした。 残念ながら、本県においては、過疎化において高等学校の定員募集は、今回の双国校の状況からも分かるようになかなかうまくいかないのが実情です。もちろん全国でも恐らく多くの都道府県で同じような課題にぶつかっているのではないかと推察できます。 一方で、こうした逆境から反転し、入学者を増やした高等学校も存在します。有名なところでは、島根県立隠岐島前高等学校の取組は特筆すべきものがあると思います。島前地域の住民、特に同地域の中学校に通う生徒、保護者に丁寧にアンケートを取り、隠岐島では希望する進路実現がかなわないから島前高校に通わせたくないという多くの意見を受け、希望の進路を実現できる教育環境づくりを図っています。 具体的には、学力向上のためのカリキュラムや教職員の充実、同校が位置する海士町からの支援を受け、隠岐國学習センターで大手予備校での指導歴を持つ講師と高校教員が連携した学習指導などを実施し、毎年10人程度の国公立大学合格者の輩出を実現しています。これにより、一時期は全校生徒数90人足らずであったところを、150人超にまで増やすことに成功しました。市町村、高等学校、地元住民が一丸となって、進学という希望に沿った取組を行ったことが奏功したと考えます。 進学ばかりが高等学校の魅力ではありませんが、島前高校の例は、地域ニーズをしっかり酌み取った学校づくりができたことで高等学校を残すことに成功した例です。 県教育委員会では魅力ある学校づくりを進めていますが、実業系であれ、普通科であれ、過疎地域の学校の存続には、地元の保護者、生徒ニーズを把握し、将来の展望が開けるものとする必要があります。双国校の廃止を一つの糧とし、魅力ある高等学校の実現について教育長の見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 高校の魅力づくりにおいて、生徒の自己実現につながる取組は重要です。進学のみならず、地域人材をいかに育て残していくかという観点も踏まえ、生徒の多様なニーズに応えていくことが必要だと考えています。 現在、地域の高校では、生徒のキャリア形成につながる学びを実践するため、自治体や産業界などとコンソーシアムを構築し、学校と地域での協働した取組を進めています。 双国校でも、国東市商工会等と連携した商品開発や販売活動等を通して、ビジネススキルを持った人材育成が図られてきました。こうした学びを本校ビジネスITコースに継承し、加えて、普通科進学コース、環境土木科など多様な学びの提供により、市内外から集まる生徒の幅広いニーズに対応していきたいと考えています。 また、地域の高校では、生徒ニーズへのよりきめ細かい対応も大事であり、例えば、進学希望者向けに連携校から授業を配信するためのネットワーク整備も進めています。 今後も、生徒や保護者のニーズ、地域ニーズ、双方の把握に努めるとともに、自治体や市町村教育委員会等とも一層の連携を図り、地域と共にある、魅力のある学校づくりを進めていきます。
    御手洗吉生議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 国東高校を取ってみると、環境土木科ができて、今2年目になりますが、2年生が30人の定員で16人、1年生が19人と、残念ながらなかなか30人には届かないところです。寮も完備しているので、県下どこからでも進学できる環境は整っているんですが、なかなかその辺が、高校もいわゆる宣伝というか、各中学校を回って、別府、大分で説明会を開いたりして、県下の中学生を持つ保護者、あるいは中学生に宣伝をやっていますが、これがなかなか難しい。その辺、教育長、どうやったら定員を満たせるとお考えでしょうか。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 今し方、大分、別府での説明会をしたという御発言をいただきました。 国東高校環境土木科に限った話ではないと思いますが、地域の高校、実はいろんなコースを持っている実態はあるんですが、お互いに、やはり人事異動等々あったりするので、例えば、生徒を送り出す中学校の先生方が、個別の高校の学科、コースについてちゃんと分かっているか。逆もそうだと思います。中学校の先生方もそういうところがあろうかと思うので、やはり年に1回で十分とかいうことではなく、なるべく回数を多く、毎年しっかりPRし、それは先生にもそうでしょうし、生徒、それから保護者に対してもしっかり情報発信して理解してもらうところから始めたいと思います。 ○御手洗吉生議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 今、環境土木科の話もしましたが、普通科でもなかなか難関校への進学が少ない。したがって、国東市の中学生は市外に出て高校に行くという現実もあるようです。 そこで、国東市は、来年、国東高校の魅力向上に向けて、国東高校生を対象とした無料の公営進学塾を開設することにしました。これは市が予算を持って進学塾をやるということで、私も期待していますが、これがすぐ効果として現れることはなかなか難しいと思います。こういう何かしらのアクションを起こして魅力ある高校をつくっていく、それが大切なことではないかと思うので、その点の支援もお願いします。毎年、教育長には、国東市、姫島村、そして、PTAの方、議会等々で陳情に行っていますが、その要望をしっかりと受け止めていただければなと思っています。 それでは最後に、東部地区流域治水プロジェクトについてお尋ねします。 国土交通省管理の県内の一級水系では、気候変動に伴う災害の頻発化、激甚化に対応するため、あらゆる関係者から成る流域治水協議会を設置し、流域全体で協働して実施すべき治水対策の全体像を流域治水プロジェクトとして、本年3月に策定、公表しました。 これに続き、県でも二級水系について流域治水協議会を設置し、ハード、ソフト一体の事前防災対策を加速させるため、本年8月に流域治水プロジェクトの策定、公表がされました。 国東市を含む東部地区でも、流域治水を計画的に推進するための協議、情報共有を目的に東部地区流域治水協議会が設置され、流域治水プロジェクトの実施状況のフォローアップ等を行っていく体制が整ってきたと実感しています。 また、国東市における流域治水プロジェクトの「氾濫をできるだけ防ぎ、減らすための対策」では、武蔵川水系と安岐川水系が主な対象となっており、武蔵川は令和4年度に河川改修が完了すると伺っています。一方、安岐川水系では河川整備基本方針及び河川整備計画の策定を進めていると聞いていますが、概要についてお尋ねします。 さらに、流域治水に加え、河川堤防の機能維持も大切です。洪水による災害の発生防止のためには、堤防の状況把握を目的とした堤防点検を実施しなければなりません。そのためには、堤防の除草が必要となりますが、適切に堤防点検が行われているのか、お尋ねします。 ○御手洗吉生議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 流域治水プロジェクトは、主要な河川の流域ごとに県内を八つのエリアに分け、それぞれの流域の特性を踏まえた防災対策を一体的に推進していく取組です。 東部地区の安岐川水系では、砂防や治山の土砂災害対策に加え、気候変動に対応する抜本的な治水対策として、安岐ダムの洪水調節容量の拡大を検討しています。今後は、河川整備基本方針及び整備計画の策定に向けて、有識者の意見も伺いながら、効果や課題などを検証していきます。 次に、堤防点検は亀裂やモグラ穴などの変状を発見し、早期対策を講じることにより、決壊などの大きな被害を未然に防止するため、定期的に実施しています。点検時に僅かな変状を発見する上で、堤防の除草はとても大事であり、近年は河川環境保全の観点からも数多くの御要望をいただいています。このため、今年度から試験的にリモコン式草刈機を導入するなど、除草作業の効率化にも取り組んでいます。 今後も水害リスクの増大に備え、しっかりと堤防の機能維持を図っていきます。 ○御手洗吉生議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 安岐川水系では安岐ダムの再生ということで、安心しました。堤防も長寿命化は大切なことで、事前に予防するには、やはり除草して、早く危険箇所を見付けることも大切なので、その辺もしっかりと予算付けをお願いして、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○御手洗吉生議長 以上で木付親次君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。     午後0時44分 休憩  -------------------------------     午後1時45分 再開 ○三浦正臣副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。二ノ宮健治君。  〔二ノ宮議員登壇〕(拍手) ◆二ノ宮健治議員 皆さんこんにちは。27番、県民クラブ、二ノ宮健治です。傍聴者の皆さん、今日は大変ありがとうございます。開会時間が少し遅れて大変申し訳なく思っています。最後までよろしくお願いします。執行部の皆さん、よろしくお願いします。 それでは、大分県農業の振興について、3点お聞きします。 まず、農業システム再生に向けた行動宣言とその取組についてです。 本県の令和元年度農業産出額は総額で1,195億円となっており、3年連続の減少となりました。また、農業経営体数も5年前と比較して24.9%減少していることが明らかになり、さらに高齢化により担い手が減少する中、このままいけば、本県の農業経済、農村社会システムの崩壊につながるとの認識から、大分県農業非常事態宣言が発出されました。 これらに基づく行動指針が農協や県など9団体でつくる大分県農業総合戦略会議の中で議論され、10月にはこの危機的状況からの脱出に向けた行動宣言が取りまとめられました。 今回の県農業非常事態宣言から行動宣言への一連の取組は、県の農業産出額を上げることはもちろんですが、端的に言えば、大分県で農業を営み、生計を立てていくことができる仕組みを生産者、農業団体、行政が一体となって構築していく、いわゆる県農業の再生に向けた宣言だと受け止めています。 宣言の冒頭には、「これまでの農協の事業や県の施策の反省も含め」とあり、さらに本県農業は他県と比較して構造改革が遅れていることなどの指摘がありますが、これは中山間地域の割合が高く、集積化や広域化が難しいことや、農業の後継者育成のために重要な農業高校が全て廃校となったことなどたくさんの要因が挙げられます。 その上で、担い手の確保、営農指導や作物の選定などの重要性、特に園芸・畜産振興についての具体的な目標が掲げられていますが、生産者、農業団体、そして、行政の3者が一体となった目標の設定や役割分担などの取組をさらに積極的に進めていくことが明記され、私もそのことが宣言成功の一番の鍵だと考えます。 そこで伺います。今後、この行動宣言をどのように実行、活用し、県農業を元気にして農業産出額を向上させていくのか。特に生産者や農業関係団体、行政が一丸となって取り組むことが行動宣言の成否を握る中、県の強い牽引力が必須と考えます。 また、営農指導面でのJAの役割は大きいと思われますが、支店の整理など大幅な合理化が打ち出されており、地域密着にはほど遠いと言える状況の中で農家に対して十分な指導体制が確保できるのか。また、行政としての普及指導の強化も必要と思われますが、3者が一体となった取組としてどのような体制で臨まれるつもりか、知事の考えをお聞かせ願います。 以下は対面席から行います。  〔二ノ宮議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○三浦正臣副議長 ただいまの二ノ宮健治君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 二ノ宮健治議員には、農業システム再生に向けた行動宣言を受け、農家へどういう指導体制で臨むかという大変大事な質問をいただきました。 消費者ニーズや環境が変化し、生産技術が著しく進歩する中、優良な農作物を生産するための営農指導はなくてはならないものです。そのため、JAの営農指導員が九州他県よりも約4割少なく、その指導体制が脆弱が大分県では、県の普及指導員を平成18年度以降200人程度確保し、技術指導等に対応してきました。農協で人がいないものですから、県で確保して指導しており、県では相当力を入れています。 しかしながら、生産者の所得増加と産出額向上を図っていくためには、やはりJA本来の役割である営農指導の強化は欠かせません。 農業総合戦略会議においても、困ったときに気軽に相談に対応してほしい、専門知識を習得して質問に即答できるようになど、多くの生産者からJAの農業指導員に対する厳しい御意見をいただいています。 このため行動宣伝では、JA自らが農協改革をしっかり進め、営農指導員を確保した上で、資質向上と部会活動を軸とした効率的な指導により、営農指導の強化を図ることとしています。 早速、大分県農協では、今年度新たに設置した営農支援部署において営農指導員の専任化を進めており、出向く体制をさらに強化しています。加えて、技術力の高い生産者を指導者として活用するなど、生産者と共に歩む新たな取組も進めています。 また、営農指導員の資質向上に向けては、JA独自の研修の充実に加え、県普及指導員研修にJA指導員を参画させ、技術レベルの向上を図ります。既にベリーツでは、今年9月からJA指導員も含めた研修を実施しており、今後は他品目にも拡大していきます。 JAにおける営農指導強化の取組がようやく動き出したところなので、県においてもこの動きと連動し、指導体制をさらに充実させていくことが大事です。 豊後高田市では、白ねぎの葉の中に入り込んで、農薬が効きづらい害虫の対策が急務でした。そこで、県とJAで個別巡回等による技術指導を積み重ね、生産部会も巻き込み、農薬を使わない防除技術を100ヘクタールを超える大きな規模で導入することができました。こうした生産者の意欲を引き出し、それに応える指導は、産地の新たな取組や拡大に大きな力を生み出します。今後は、このような取組を県下各地に広げていきます。 JAが主体となった部会指導体制の充実を図るとともに、県普及指導員に加え、試験研究機関の研究員も積極的に現場に出向き、新技術の普及や生産者の新たなチャレンジを支える指導を強化していきます。 意欲ある生産者と、それを支えるJAと県が一体となって生産力の向上に取り組むことで、産出額の向上を何としても図っていきます。 ○三浦正臣副議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。 部長に具体的なことについてお聞きします。 まず1点目は、戦略会議のメンバーに農林水産部長以外全てがJA関係者で生産者の代表が入っていませんが、この体制で十分なのでしょうか。また、誰が牽引し、事務局体制はどういう具合にしていくのか。あわせて、県の体制や市町村との連携、役割はどうしていくのか。 次に、担い手の確保ですが、計画ではもうかっている農家のモデル経営体を通じて情報発信していくとありますが、県内のモデル経営体となり得る農家数や現状について、また、就農学校やファーマーズスクールについても、これを機に市町村と連携した新たな園芸品目の掘り起こしなどで県内市町村にバランスよく設置することが新規就農者など担い手拡大につながると考えますが、以上、お聞きします。 ○三浦正臣副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 まず、戦略会議ですが、戦略会議では、広範な項目を効率的に議論するために、まず生産者組織として取組に責任を負うべき農協等による本会議を構成しました。その上で、四つの作業部会を設置し、その場で生産者、市町村等から幅広く意見を伺っています。 例えば、担い手作業部会では、認定農業者組織の代表や若手生産者グループの代表等にも参画いただいており、親元就農の在り方など貴重な意見をいただいています。同じく園芸や畜産の作業部会においても、品目ごとの生産者と意見交換を行っています。 加えて、議論に先立ち、県普及指導員とJAの営農指導員が約500人に上る生産者に直接出向いて課題等の聞き取りを行っています。担い手施策や地域特性に応じた山地づくりを担う市町村との連携は重要です。このため、市町村担当者と議論する場も設けました。 なお、戦略会議、議長は大分県農業協同組合中央会の壁村会長が務めており、事務局は農林水産部の農林水産企画課となっています。 それからもう一つ、モデル経営体になり得る農業者数等の現状ですが、企業的経営戦略を持ち、マーケットニーズに対応し、おおむね販売金額3千万円以上の経営体をモデル経営体と捉えています。令和2年の調査では、販売金額3千万円以上の経営体は県内に416あり、これらモデル経営体の産地リーダーとしての姿を広く示し、担い手の確保に向けた情報発信と強化を図っていきます。 また、戦略会議では、産地自らが産地担い手ビジョンを示し、部会等の産地を主体に担い手確保を進めることとしています。これを機に就農学校やファーマーズスクールについても、産地自らが受入態勢を整え、担い手の求めるものについて県と市町村、JA等が一体となって支援していきます。 ○三浦正臣副議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 7年前に国が地方創生を打ち出し、それと同じように、今度の非常事態宣言から行動宣言の打ち出しは、大分県農業の浮上ということで大変期待しています。 行動宣言を読ませてもらいましたが、さきほどの知事のお話の中でも、JAが主体ということがあまりに強く出過ぎているのではないかと感じています。初めから言っているように、3者が一体となってこの難しい難局を乗り切らなければならないと思うので、ぜひその辺に力を入れてください。 あと、産出額を上げることはもちろん、中山間地域農業、県全体の所得を上げなければということで、次の質問とあわせて最後に知事に質問します。 2番目は、持続可能な中山間地農業、農村の実現についてです。 令和3年産水稲の作況指数を見ると、全国平均で101の平年並み、一番高いのは北海道で108の良と2年連続の豊作でした。本県では99の平年並みで、最近このような傾向が続いているように思います。10アール当たり収量で見ると、北海道で597キログラム、本県では487キログラムで110キログラムもの差があり、米の作付適地が北に移動したかのように感じます。本県が生産拡大に向けて実証栽培中のなつほのかの推奨など酷暑への対応も急務ではないかと思います。 さらに、今年の米の買取り価格も大幅な下落となり、農家にとっては収量の低下とともにダブルショックとなっており、これ以上米価が下がれば、米専業農家が苦境に立たされ、細々と農業を続けていただいている方の農業離れもさらに進み、農村の崩壊が急速に進むのではないかと危惧しています。 一方、海外に目を転じると、人口増加や地球温暖化による自然災害等により世界的な食糧不足が懸念され、いかに自給率を高めるかが各国の喫緊の課題となっています。 そこで提案ですが、中山間地域農業を持続させ、農業、農村を活性化させるためには、中山間地域の基幹作物である稲作をどのような形で継承していくかにあると思います。 高齢者でも水稲なら耕作が可能で、このことが持続されれば農村機能が維持され、食料の供給はもちろん、水や空気の環境保全、景観を守ることにもつながり、正に一石三鳥の効果が期待できます。そのためには、これまでの経済効率面を重視した農業、農村支援だけではなく、米作を基軸として農業、農村の持つ多面的な維持機能にも支援する。例えば、中山間地域等直接支払制度の充実や農業者戸別所得補償制度の復活など国策として農業、農村を守る仕組みにチャレンジしなければ、中山間地域農業の未来はないと思います。もちろん国の制度の転換が必要ですが、この提案について知事の考えをお聞かせください。 ○三浦正臣副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 大変難しい御質問ですが、さきほどからお話が出ているように、先般、大分県農業総合戦略会議が県農業の再生に向けた行動宣言を取りまとめました。 その中で何よりも大切なことは、これから生産者、農業団体、行政が一体となって、この宣言を速やかに実行していくことだと思います。そのためには、情勢を的確に捉え、持続可能な経営基盤を生み出す取組を県下各地に展開することが重要です。 いくつかポイントがあると思いますが、その一つは、マーケットを起点にしたもうかる農業の実現です。本県の顔となる園芸品目の産地拡大や、産地が主体となった経営規模拡大への取組に県の施策を連動させ、しっかり支援していかなければならないと思います。それには、やはり米から高収益品目への転換を県全体で強力に進める必要があります。 米はやはりこれまで作り慣れた産品でもあるし、ぜひ作り続けたいというお気持ちもあると思います。それはそれで結構ですが、農業政策として、これからの農業の構造改革を進めるにあたり、農業生産にあたる人が将来に希望を持ってやっていけるような体制を取っておく必要がある。そのためには、やはり米からさらに高収益品目へ転換することを掲げざるを得ないのではないかと思います。 先日、佐伯水田露地野菜推進協議会の皆さんの話を伺いました。米だけでは経営維持が難しいとのことで、危機感を持って畑地化に取り組み、ピーマンや枝豆、ほうれんそうの導入にチャレンジしていました。加工事業者との連携や地域雇用への貢献、農福連携も行っており、非常に頼もしく思いました。 これまで米を作っておられた方々の気持ちは非常によく分かりますが、やはりこれから希望を持って農業をやっていくためには、ここのところは構造改革をしなければならないと思います。 二つ目は、地域農業の持続発展に欠かせない経営継承の促進です。中核的担い手として活躍する企業的経営者等を育成し、将来、その財産を後継者や第三者、参入企業等にしっかりとつなぐシステムを構築することが、農村の多面的機能保持の点からもとても大切なことです。県としても、後継者の独立や規模拡大の後押しとあわせ、第三者へのマッチング等を積極的に推し進めるなど円滑な経営継承を支えていきます。 三つ目は、中山間地域等の農業を面的に支える集落営農組織の経営力強化です。時の流れとともに構成員の高齢化が進み、持続的な経営には、組織の広域連携、合併や、まとまった優良農地を活用した園芸品目導入等による経営の多角化が必要となっています。先般、由布市でも九つの法人が共同出資した株式会社が設立され、農作業の効率化等による経営基盤が強化されています。 議員御心配の持続可能な中山間地域農業については、やはりこのようなしっかりとした経営基盤を持った農業の実現が大事です。また、最近話題の新たな米品種なつほのかについては、高温に強く、食味、収量に優れるという実証成果が得られており、来年は一気に1千ヘクタール以上の品種転換を図るとともに、特Aの獲得も目指します。 こうした取組も含め、本県農業の成長産業化に全力で取り組んでいきます。 ○三浦正臣副議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございました。構造改革等は、もちろん必要なことはよく分かっています。 さきほどの質問とちょっと重複すると思いますが、中山間地農業について私の持論を整理してみました。ぜひお聞きください。 私は、県農政の推進には二つの形の農業の推進が必要と考えています。 一つは、今回質問した行動宣言が目指す産出額を上げ、県農業全体の振興を図っていくという農業の形です。もう一つは、県土の保全、農村集落維持のための農業の推進です。その方策が、さきに提案した稲作経営を中心とした中山間地農業の推進です。県土の約70%を占める中山間地域農業の衰退は、農村集落の維持だけではなく、県全体の経済にも大きな痛手になります。 ここで、中山間地農業の現実について、数字で示してみました。今年の稲作60キログラム当たり1万800円として、1反当たり7.5俵の収穫量で8万1千円、1町歩作って81万円の収入です。肥料等の経費を引いた所得率70%で約57万円の所得となりますが、コンバインなどの農業機械を800万円として、15年間の減価償却で見ても年間53万円となります。差引き労働費が4万円で、他に中山間地域直接支払制度の補助金のみです。たとえ効率化により所得率を80%に上げても、8万円の増収しかありません。中山間地農業では、市場競争原理や効率化が難しいというのが結論です。 仮に所得補償制度としての色合いが強かった食管制度のときの60キログラム当たり2万円で換算すると、労働費として1町歩で67万円が残り、面積の拡大や畜産、しいたけ等の複合経営により中山間地域での農業が成り立つ可能性がより高くなると考えています。そうなれば、移住者も増え、農村集落の維持も可能となりますが、この実現にはさきほど示した米の生産価格保障制度がベースになると考えます。 アメリカやカナダ、フランスでは、農産物の所得補償は当たり前で、農業政策の基本に農業を大切にし、国民の食料を守るという強い信念が感じられます。日本も中山間地域では稲作を、その他の地域では食料自給率を高めるための作物の奨励を基軸として、国の米の生産価格保障制度など農業に手厚い保護政策がなければ、日本の農業、農村は成り立たないというのが持論です。 質問ではありませんが、農林水産部長、何か一言いただきたいと思います。 ○三浦正臣副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 中山間地域については、これまでも生産条件に対応する中山間地域等直接支払交付金があります。また、国土の保全などを目的とした多面的機能支払交付金もあり、農地を維持する制度です。 直接支払交付金については、大分県で大体24億円、多面的機能支払交付金については14億円という形で支出させてもらっています。こういった農地を維持する制度というのも大事だと思っています。 しかしながら、例えば、50年先など将来を見据えて農地が承継されていくためには、やはり継ぎたいと思うようなもうかる農業に取り組み、意欲ある若手後継者とか、第三者とか、参入企業等にしっかりつなぐシステムを構築していくことが大切ではないかなと思います。 そのため、さきほど知事からも答弁がありましたが、集落営農組織とか企業的農業経営を行う担い手が高収益の園芸品目を導入する取組を進めていくことがやはり大事になってくると思います。 ○三浦正臣副議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 中山間地域の実情を持論とともに述べました。 宇佐にこの間見に行きましたが、1枚が2町5反とか、私のところなどは1反の圃場で広いなと感じますが、例えば、米余り現象の中で、宇佐のあの広いところで米を作っています。だから、そういう政策がおかしいですよと言っているのです。かといって、では、中山間地で畑作ができるかというと、なかなか難しいですね。そういうことをぜひ、なかなか結論は出ないですが、農村の実情とか、そういうものを知っていただきたいし、そちらの方向にと言うとおかしいですが、食料危機とか、そういうものの中で日本の農業、特に中山間地農業をどうしていくかということはものすごく大切だと思うので、また、知事のお話をよろしくお願いします。 ○三浦正臣副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 二ノ宮議員の御心配、非常によく分かるし、理解もしていますが、私どももこだわり過ぎるのかもしれませんが、これまで我々は、農業、農村の多面的機能だとか、食料安全保障だとか、いろんなことを言いながら米作りを応援してきました。戦後、そのおかげで日本は国民が飢えずに済みましたから、そういった面も恩恵として考えなければいけないと思ってやってきましたが、ここまで米余りになると、いくらいろんな政策的配慮で応援し、お金をつぎ込んでも、それでもやはり米作りではもたないということになったので、農業の構造改革が出てきたのではないかと思います。 そういう流れがあるので、全体としてはそういう方向ですが、しかし、中山間地で特A米、誰にも負けないようなおいしい米、いくら払ってもいいよ、ぜひあなたのところの米を食べさせてくれと、こういう特Aの米を作っている農家もある。隆々として、そういう米を作っているところもある。いろんな意味で状況が悪い中でも工夫をすれば、お米が非常に重宝がられるところもあるから、そういうのを個別にどういうふうに対策を考えていくかということは、またもう一つ、我々もしっかり応援しなければいけないと思っていますが、全体の構造的な流れとしてはそういうことではないかなということで、あえて申し上げた次第です。 二ノ宮議員の御質問の趣旨はよく理解しているし、我々もそこはよく考えいかなければならない問題だと思います。これからもよろしく御指導のほどお願いします。 ○三浦正臣副議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。よろしくお願いします。 1点だけ、日本という国が右肩上がりで、そして、人口が増えているときであれば今まではよかったですが、人口減少社会の中で農村をどうして守るかということは大変難しい状況になっていると思います。その辺をぜひ加味してください。 次に、大分県種子条例の制定について伺います。 平成30年4月に、国の主要作物である米、麦、大豆の地域ごとの優良な品種の開発、生産、普及を義務づけていた主要農作物種子法、いわゆる種子法が廃止されました。 今年9月、私の地元、由布市議会に大分県主要作物等種子条例制定を求める請願が提出され、賛成多数で可決され、県議会に意見書として提出されました。私も請願提出に関わりを持ったことから、種子法を改めて勉強する機会を得ました。この種子法廃止については、同僚の馬場議員、羽野議員が定例会で質問しているので、少し視点を変えて伺います。 まず1点目は、今回の種子法廃止にあたっての不可思議な国の対応です。 国民にとっての命を守る主食の種を守るためにつくられた法律が、国民に十分な説明もないまま廃止されました。その廃止理由について、国家戦略として農業の分野でも民間の活力を最大限活用しなければならない現代、民間による優秀な種子の利用を種子法が妨げているので廃止すると説明されています。 国家戦略として、日本古来の在来品種である米の種子を守ることなら理解できますが、国民の立場からすれば、廃止という形で品種を守ることをやめることが国の利益になるとはとても思えません。県として、どのような見解をお持ちでしょうか。 2点目は、令和元年第3回定例会での羽野議員の質問に対し、種子条例を制定しなくても、大分県主要農作物種子制度基本要綱でしっかり対応できていると答弁されていますが、その後、全国で28もの都道府県が条例を制定し、県内にも条例制定を求める声があるのですから、将来にわたり安定的種子の供給を図り、本県の食を守るためにも、要綱でなく大分県種子条例を早急に制定すべきと考えます。 以上2点を踏まえ、農林水産部長の御見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 主要農作物種子法は、戦後、食料増産のため、稲、麦類、大豆の優良な種子の生産、普及を促す目的でつくられました。法制定から60年以上が経過し、生産技術や品質が向上し、米の供給不足が解消されるとともに、中食・外食用途等、多様化する需要に対する必要性などもあり、時代の流れを踏まえ、廃止されたものです。 本県では、地域特性を生かした農業振興や新品種の開発、普及を定めたおおいたの食と農林水産業振興条例、そして、それに基づき法規定の内容を反映した要綱等により、従前同様、安定供給の体制を継続しています。 具体的な取組として、普及すべき優良な品種を決定する試験の実施、原種、原原種の生産、種子の審査などを確実に実施しており、これまでも生産者に優良な種子をしっかりと届けることができています。今後も県内の農家が安心して生産を続けられるよう、大分県主要農作物改善協会等関係機関との連携を密にし、優良種子の安定的な生産と供給を続けていきます。 ○三浦正臣副議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 要綱の説明がなかったと思います。 今の質問の中で、要綱で処理できるからという回答だったんです。大変すみません。通告していませんが、総務部長に、条例と要綱の決定的な違いを簡潔に教えてください。 ○三浦正臣副議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 条例と要綱の違いということですが、一般的に申し上げれば、条例については、地方自治法等に基づき議会の議決を経て設置するものであり、住民の権利や義務を決めるものです。 要綱については、住民に対する行政指導に関する事項だったり、条例や規則の運営に関する事項、例えば、補助金の交付要綱といったものを決めるために地方自治体の執行機関が定める規定ということになります。 ○三浦正臣副議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 どうもありがとうございました。 条例と要綱というのは、今違いがよく分かったと思いますが、やはり条例については議会の議決が要る。要綱については、そのときの首長の印鑑一個と言うとおかしいですが、だから、永久的に将来にわたってということになれば、条例化は必要だと思います。 この種子を守るということは、農業、そして、これからの食料を安定的にいつまでも、この2、3年とかいう時限的なものではないんですよ。だから、条例化は、ごくごく当たり前だと思います。決して要綱が不十分とは言えませんが、九州でも農業県と言われている熊本、宮崎、鹿児島では早々と条例化が終わっています。ぜひ県内の農業振興を進める農林水産部として、以上のことを踏まえ、県農業を安定的に持続するためにも部の総意として意見をまとめ、知事に条例化を進言していただきたいと考えますが、部長にお聞きします。 ○三浦正臣副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 さきほども申しましたが、地域特性を生かした農業振興とか新品種の開発、普及を定めたおおいたの食と農林水産業振興条例に基づいて法規定を反映した要綱により、従前同様、安定供給の体制を継続しています。 また、この振興条例に基づく基本計画として農林水産業活力創出プラン2015を策定し、その中でも優良種子の安定供給、流通体制の確保を明記しています。 今後も県として、県内の農家が安定して生産を続けられるよう優良種子の安定的な生産と供給を続けていきます。 ○三浦正臣副議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 法から要綱に替わっても、県としてはほとんど今まで以上のことをやっていただいていることはよく分かっています。しかし、国が要綱でという指導をしましたが、全国で28もの県が条例化しているんですよ。そういうことを何で大分県がしないのか、私は不思議でなりません。ここでは結論は出ないと思いますが、ぜひ農業のトップである農林水産部として知事に進言していただきたいことをお願いし、次に移ります。 次は、人口減少に伴う交付税の影響についてです。 地方交付税の仕組みについて少し整理してみると、普通交付税の算定は各自治体の税収で賄うべき標準的な行政経費を基準財政需要額として計算し、一方で、標準的な税収の見込額の75%相当を基準財政収入額として計算して、その差額を普通交付税として交付される仕組みです。今回は、この基準財政需要額を計算する中で、測定単位に人口が多く入っていることから、人口減少が進行する地方が不利益を被るのではないかとの質問です。 いろんな政策分野がありますが、特に住民の足の確保の地域公共交通や防災・減災対策、そういうことも今から大切な政策分野になると思います。こういう分野では、人口減少や少ない人口にかかわらず、政策を展開する財源が必要です。人口で換算する現行の交付税算定では、過疎や中山間地域に対する交付税による財源確保が困難となり、十分なサービスが行われない可能性があります。 そこで、総務部長に伺います。人口減少がこれからも確実に進行する中、さきに述べた人口減少に伴う交付税の影響をどのように捉えているのか、私は標準的行政経費の財源保障として機能するように交付税制度の算定基礎を見直す必要があり、国に要望すべきと考えますが、いかがでしょうか。 ○三浦正臣副議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 人口減少に伴う交付税の影響についてお答えします。 地方交付税の算定においては、御指摘のとおり、多くの費目において人口が測定単位として用いられており、人口減少は交付税の減少につながるものと考えています。 一方で、人口だけでは測定できない行政需要も多々あることから、測定単位として面積や道路、河川、農家数なども用いられており、中山間地域等にも配慮された算定となっています。 また、人口が少ない過疎地等においては、一般に行政経費が割高となるため、人口規模に応じて測定単位を補正する仕組みも講じられています。 このほか、近年においては、新たに人口減少等特別対策事業費、地域社会再生事業費、地域デジタル社会推進費などの算定項目が設けられ、これらについては人口を測定単位としつつも、補正係数により条件不利地域に手厚く配分されており、議員の問題意識を踏まえたような算定が取り入れられていると考えています。 このように、現行の地方交付税制度については、過疎地や中山間地域においてもしっかり財源が確保される仕組みとなっていますが、いずれにしても一番大事なことは、総額として地方交付税が確保されることです。国に対しては、地方が安定的な財政運営ができるよう、地方交付税をはじめとする一般財源総額の確保、充実を要望していきます。 ○三浦正臣副議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 由布市の市役所、交付税担当にはじいていただきました。これは令和3年が3万2,787人、平成27年国調が3万4,262人で1,475人減っています。そういう中ではじいたとき、金額は言いませんが、1億8,471万円の減額となっています。もちろん、いろんな補正係数とかは加味していませんので、大方の目安ですが、これに小学校の児童とか生徒数が減っているので、交付税における人口減少の影響は看過できないと思います。 国になかなか要求は難しいと思いますが、人口減少社会での交付税の在り方ということで、制度そのものの見直しが必要ではないかと思っています。ぜひ全国知事会等にこういうことを働きかけてください。よろしくお願いします。 次は、県民の安心・安全対策についてです。 駐在所の現状と課題についてお聞きします。 今年8月、竹迫前県警本部長の後を受けた松田県警本部長は着任にあたり、県民が不安や恐怖に脅かされたとき、我々が期待や信頼に応えなければならない、治安への責任を有するプロフェッショナルとして前向きに力を合わせていこうと訓示され、県民もこの決意を聞いて大変心強く感じていると思います。今後も本県の安心・安全に向けた万全な取組を冒頭にお願いします。 さて、中山間地域では、住民の日常的な営みの中で交番・駐在所への依存度が高く、身近な存在としてなくてはならないと感じています。 人口減少による過疎化が急激に進行している本県でも、凶悪犯罪が最近多く発生しています。第一線で県民の命を守る駐在所の位置付けや体制なども変化する中、全国では駐在所等への襲撃事件も発生しているが、県内駐在所の防犯対策の現状や課題について伺います。 ○三浦正臣副議長 松田警察本部長。 ◎松田哲也警察本部長 平成30年から令和元年にかけ、富山県等で発生した交番等の襲撃事件を受け、当県においても全ての交番・駐在所で、そのセキュリティーに関する緊急点検を実施しています。その結果を踏まえ、相手からの不意の攻撃などに備えた盾などの装備資機材の増強、また、受付カウンター上へのアクリルパネルの設置等のセキュリティー強化対策を講じました。 また、勤務員に対しては、勤務全般を通じて危機意識を堅持するよう指導しており、不意の一撃を交わし、犯人等を取り押さえるための実践的な訓練を定期的に実施しています。 特に御指摘の駐在所については、基本的に1人で勤務しているという特性があるので、それを踏まえ、勤務員がより一層危機意識を堅持すること、また、そのための教養や実践的訓練を反復継続することが重要であると認識しています。 今後も犯罪情勢や治安状況等を踏まえ、勤務員に対する教養、訓練や装備資機材を充実させるなど、駐在所の防犯対策に万全を期す所存です。 ○三浦正臣副議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。大変申し訳ありませんが、次の空き交番対策のところで再質問を一緒にしたいと思います。 空き交番の解消とパトロール強化のため、空き交番・県民安全相談対策事業が行われており、本年度の決算審査では、県内に33か所の交番がある中で交番相談員が19か所20人配置さているとの報告を受けました。 私も挾間交番によく行きますが、パトロールや事件のときには交番には人がおらず、心配になることがあります。交番員等不在時の来所対策の現状と課題、また、この事業による交番相談員の今後の人員等の配置計画について伺います。 ○三浦正臣副議長 松田警察本部長。 ◎松田哲也警察本部長 交番は、パトロールや巡回連絡等、地域に密着した活動の拠点であり、地域住民の安心と安全を確保するものです。 パトロールや事件・事故等の取扱いによる交番勤務員の一時的な不在状況に対応するため、御指摘の交番相談員に加え、パトカー勤務員がパトカー乗車中に立ち寄り警戒により補完措置を実施することにしています。このほか、来所された方が管轄警察署と連絡できる緊急通報電話を交番入口の見やすい位置に設置しています。 交番勤務員の一時的な不在は避けられないことなので、これらの対策について、ホームページとか各交番が作成する広報紙等による広報を実施するとともに、効率的な運用を図り、地域住民の不安解消に努めます。 また、もう一つのお尋ねの交番相談員については、交番勤務員の体制、管内の人口や地理、事件・事故の取扱状況を勘案して配置しています。今後も、ただいま申し上げたこれらの状況を分析しながら、組織の体制や治安上の課題等、情勢の変化に応じて効果的な配置を検討していきます。 ○三浦正臣副議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 どうもありがとうございます。 今回、駐在所の連絡協議会と交番の連絡協議会について初めて知りました。ぜひこの現状を教えていただきたいということと、もう一つ、駐在所とか交番勤務員については、本所勤務と違って日の当たることが少ないのではないかと思います。新聞を出したり、老人会で講師を務めたり等、頑張っている駐在員さん、交番勤務員の方はたくさんいます。表彰するなど駐在所や交番勤務の方が希望を持って安全に職務ができるよう願っていますが、表彰の現状等についてお伺いします。 ○三浦正臣副議長 松田警察本部長。 ◎松田哲也警察本部長 まず1点目、駐在所連絡協議会は、警察から犯罪発生状況等の御説明、情報発信をするとともに、地域住民の方から御意見、御要望を伺い、地域の実情に応じた業務運営に反映しているものです。こういったものなので、地域の住民の方々の御意見や御要望を的確に警察が把握する、お聞きすることが大事です。定期会議を通常年1回やっていますが、昨年度以降はコロナ禍のため、開催困難な状況です。 今後は新型コロナウイルス感染状況等を踏まえつつ、運営方法を検討するとともに、さらに地域住民の方の御要望を的確に伺う仕組みも検討していきます。 もう一つの表彰についてです。ありがとうございます。交番や駐在所の地域警察官は本当にあらゆる警察事象を取り扱っており、地域と密着しながら管内を守っており、私としても非常に重要な部門と考えています。 そのため、その点も踏まえた表彰ですが、警察本部長による年間表彰のほか、担当の生活安全部長よる表彰、上半期、下半期の表彰とか、担当課長である本部地域課長による月間表彰等の表彰を実施しています。今後も成績優秀な地域警察官に対しては、積極的な表彰を行うことにより意識の高揚に努めていきます。 ○三浦正臣副議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。ぜひ地域住民と連携し、交番や駐在所の方を大切にしていただいて、地域の安全をよろしくお願いします。 次は、教育の振興についてお聞きします。地域と連携した定員確保対策についてです。 平成28年度に始まった地域の高校活性化支援事業も、地域の高校魅力化・特色化推進事業、また、令和3年度からは地域との協働による高校魅力化推進事業と事業名を変え、進化をしています。 平成27年第3回定例会で、多くの高校で入学定員割れが起こる中、地域の高校が生き残るためには特色のある学校づくりが必要だと提案しました。早速、翌年度の平成28年度には11校に2千万円の事業費がつき、特色ある高校づくり事業がスタートしました。地域に信頼され、中学生に選ばれる学校づくりなど、高校ごとの特色あるプロジェクトが立ち上げられ、地域と一体となり、学校の持つ魅力度をさらに増し、中学生から選ばれる高校へ向けた取組が行われてきました。 しかし、残念なことに、事業の終極の目的である定員を満たすところまでには手が届いていません。生徒数の減少や大分市への一極集中、さらに私立高校の特色ある高校づくりなどから一朝一夕にいかないことは理解しているつもりです。 そこでお聞きします。地域の高校活性化支援事業も5年が経過しました。その成果と今後の課題をどのように捉えているのか、どのように地域と連携し、定員確保対策に取り組むのか、教育長にお聞きします。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 高校魅力化事業による成果として、事業開始前と比べ、高校に対する地域からの協力など連携体制が進んだことが挙げられると考えています。 例えば、玖珠美山高校では、地域課題に係る調査、研究を進めて、小中学校に情報発信するなどコミュニティスクールを核として地域との強いつながりが生まれています。また、高校での授業改善と地元公営塾との連動による国公立大学合格者増加など進路における成果もあり、保護者の学校満足度は95%を超えている状態です。 三重総合高校では、地域の商工会と連携した企業説明会を実施することで地元就職率が向上しており、両校では地域連携が生徒の自己実現においても成果を生んでいます。 また、佐伯豊南高校のように学校広報誌を毎月地元の全中学校に配布したり、コロナ禍の中であっても地域説明会をリモートで実施するなど積極的な情報発信を通し、欠員減につながった例もあります。 一方で、地域との連携、協力体制には温度差もあり、一律に定員確保に結び付いた状況にはありません。成果が出始めた学校での志願者の確保から進路保障までの取組や丁寧な情報発信など、今後は他校でも実践することで定員確保につなげていきたいと考えています。 ○三浦正臣副議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。 この事業の高校の魅力化、特色化を進める上で、一つは、地域の持つ魅力を引き出しながら、地域と協働して学校全体の魅力化、特色化につなげていく。そしてもう一つは、生徒個人が卒業して社会に出たときに役立つ、言い換えれば、自分の一生の力となり得る魅力あるメニューをつくり、他の高校にはない、生徒に選ばれる魅力ある高校にするという二つの願いがあると理解しています。 この5年間の取組を見ると、一つ目の地域との連携は進んでいますが、二つ目の自分の一生の力となり得る特色あるメニューづくりの取組が弱いと感じています。私立高校では、特色を明確に示すことにより、多くの進学者を呼び込んでいます。学校ごとにコースごとの特色をさらに強く打ち出したり、また、中学生に学校の魅力をいかに知らせるかということもあると思っています。教育長の考えをお聞きします。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 佐伯豊南高校福祉科は介護福祉士国家資格、国東高校環境土木科は測量士補、由布高校観光コースでは中国語、ハングル能力検定など特色ある資格取得を各校で行っています。 再びになりますが、由布高校では企業と連携して、ドローン操作を高校生が小中学生に教えてみたり、温室効果ガス排出量に係る環境学習など多様で先進的な学びにより魅力化を図っています。 学校コースの特色をさらに強く打ち出すため、コンソーシアムを構築し、その知見を生かしつつ、育てたい生徒像や生徒の力を育むプロジェクトを共有しています。 さきほど佐伯豊南高校の取組を示しましたが、中学校に向け、情報発信をしっかりすることも大事だと認識しています。 ○三浦正臣副議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。各学校で頑張っていただいていることはよく理解しています。 そういう中で、少し視点を変えます。県内の高校の入学状況について整理してみました。令和3年度の全日制の第1志願の状況ですが、県内39の高校のうち半数に当たる20校が定員割れを起こしています。ところが、大分市内の高校で見ると定員割れは13校中1校のみで、募集人員2,211人に対して応募者が2,917人と706人もの不合格者が出ており、大分市への一極集中が如実に表れた数字となっています。 このことから、特色のある高校づくりを進めながらも、あわせて高校の全県一区入試制度の見直しも検討しなければ、大分市以外の半数以上の高校が消滅しかねない状況です。このことは高校だけの問題ではなく、大分市への一極集中がますます加速し、大分市以外の地域の過疎が進むことにもつながっていきます。この際、全県一区制となっている入試制度の見直しを検討すべき時期が来たと考えますが、教育長の見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 全県一区は、生徒の学校選択の自由を保障する観点から導入したものであり、生徒の願いを制度で縛らないという考えは引き続き大事にしていきたいと考えています。 一方、大分市内普通科への市外からの志願者数ですが、直近3年間の平均でも全県一区導入前の区域外入学枠10%を上回る状況にはなっていません。逆に、大分市から地域の高校に進学して、部活動などで活躍する生徒も出てきています。例えば、由布高校の射撃部ですが、33人の部員のうち9人が大分市の出身となっています。また、地域と連携した教育に取り組む学校等については、適正としている4学級以下でも柔軟に対応しています。 今後とも、地域の高校については、学級人数の柔軟な対応も含め、学校の維持、活性化の工夫を図るとともに、地域との協働体制を一層進めていきます。 ○三浦正臣副議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 どうもありがとうございます。大変難しい問題だと思いますが、両輪と思っています。そういうことも含め、検討をよろしくお願いします。 最後ですが、教科書の増量による重過ぎるランドセル対策について伺います。 最近、多くのお母さんから子どもの学校に持っていく荷物が重いとの声を聞くようになりました。このことは保護者の間では何度も問題になりましたが、本県での調査資料が見つかりませんでした。そこで、熊本日日新聞に掲載された資料によりますが、通学荷物の平均の重さは小学校低学年で5.6キログラム、高学年5.3キログラムで、約90%の児童が荷物の重さに腰や肩などの負担を感じており、子どもの成長への影響も心配されています。 また、教科書のページ数についてですが、全教科書の合計は、平成17年度に4,857ページだったものが令和2年度には7,148ページと約1.5倍に増加しています。これは脱ゆとり教育以降、学習指導要領の内容が充実したことに加え、学びやすさなどを追求して、教科書の記述やレイアウトが工夫されたことが影響していると言われています。 さらに、タブレットが配付されたことにより、当分の間、今まで以上に荷物が重たくなることが予想されます。 平成30年には文科省が児童生徒の携行品に係る配慮についての通知で、家庭学習で使用する予定のない教材については学校に置いて帰ること、いわゆる置き勉を認めています。 そこで、これまで荷物の重さについて保護者から多くの声が寄せられたことと思いますが、学校に持っていく荷物が重過ぎるという問題について、県教委としてどのように対処してきたのか、お聞かせください。 また、さきほどの文科省からの通知について、これまでの取組の状況と、それが子どもたちの負担軽減につながっているのか、お聞かせください。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 教科書は、教育課程の実施にあたっての主たる教材であり、授業だけでなく、家庭学習でも適宜用いられます。他方、持ち帰る携行品の重量化に伴う健康や発達への影響についても考える必要があります。 平成30年の文科省通知では、携行品の重さや量について検討し、必要な配慮をすることとされており、各学校において統一的なルールを設定するよう市町村教育委員会に依頼したところです。 この依頼を受け、例えば、大分市では、毎日の家庭学習で使用する予定のないものは学校に置いて帰ることを認め、学校で保管する教材については、保護者に事前の周知を図るよう指導しています。別府市では、置いて帰る教材について学級や学年間で差が生じないよう、ルールづくりをすることを校長会議において指導しています。 現在は多くの市町村で通学に係る荷物の軽量化が図られています。今後は、一人1台端末の日常的な持ち帰りも本格化することから、工夫ができている市町村の取組について情報発信していきます。 ○三浦正臣副議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ランドセルがどのくらい重たいか考えてみました。小学校1年生の体重が20キロと仮定したとき、5.6キログラムのランドセルは、体重70キロの大人で換算すると毎日20キロの荷物を持っての通勤ということになります。子どもにとっては本当に負担になっていくのではないかと思っています。 そこでまず、県内の現状把握をしっかりしてください。そして、子どもの声を特に聞いてください。それから、これは文科省が選定をするんですが、ページ数等について、何でこの15年間で1.5倍になったか、その辺も適宜検討してください。 それから、主要科目については上下、できれば学期ごとに上・中・下に分かれるといういろんな工夫が必要だと思っています。とにかく現行の制度の中で考えるのではなく、新たな発想の転換で、そして、使う側、作る側、子どもたちがすくすく成長するために知恵を、工夫を出してください。現場の声として、ぜひ文科省に進言してください。 すぐに実行できるのが置き勉だと思っています。市町村は少し混乱していると思うので、もう少し県教委として方法を考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 これまで様々な取組が進められてきている実態があります。 議員から上・中・下に分けてはどうかという分冊のお話がありました。分冊でいくと、県内で現在使用されている科目でいうと国語と算数、それから生活科、生活科というのは小学校1、2年生の理科、社会だと理解していただければと思いますが、この3科目の教科書については、低中学年では既に上下間に分かれた状態のものを使っていただいているのが実態です。 紙質についても、私どもが使っている東京書籍でいくと、平成17年に比べると現在は約1割紙質を軽量化する努力もしていただいています。 それから、置き勉という御指摘もありましたが、実は多くの市町村において置き勉などの取組で荷物の軽量化が図られています。 一つの例として、その結果、日出町の小学校に確認したところ、現状では小学校2年生でランドセルの重さが3.4キロ、小学校6年生で3.9キロとなっているという実態でした。 さきほども申し上げた多くの市町村において、こういう取組を進められているのが実態ですが、逆に言うと取組が遅れている市町村も一部見られます。取組をやっている好事例を遅れているところに示し、取組を進めてもらうよう努力したいと思います。 ○三浦正臣副議長 二ノ宮健治君。 ◆二ノ宮健治議員 ありがとうございます。 この問題は、どんなに重くても子どもは文句を言えない、自分で判断して教科書をもし家に置くと忘れ物としてカウントされる。つまり、大人の思いで子どもに無理を押しつけていると思っています。結果的には一つの虐待に捉えられるのではないかという親もいます。子どもにとっては大変なことなのに、なぜか大人は真剣になってくれない、こんな子どもにぜひ応えていただくよう、さきほどいろんな工夫はしていただいていると聞きましたが、それでもやはり重たいんですね。 私も1年生の孫がいますが、5日間量ってみました。平均4.8キロです。それに水筒とか手提げかばんを持つと大変な重さになります。そういうことも、ぜひ現状をまず調べてください、そのことについてお聞きします。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 執行部に申し上げます。答弁は簡潔にしてください。 ◎岡本天津男教育長 現状、さきほど申したとおり、私どももしっかり調べていますので、対応もさきほど申したとおりの対応をしていきます。(「終わります」と呼ぶ者あり)(拍手) ○三浦正臣副議長 以上で二ノ宮健治君の質問及び答弁は終わりました。井上明夫君。  〔井上(明)議員登壇〕(拍手) ◆井上明夫議員 皆さん大変お疲れさまです。本日の第4走者、アンカーとなった自民党の井上明夫です。本日質問の機会を与えていただいた同僚並びに先輩議員の皆様方に感謝しつつ、質問に入ります。 最初に、玖珠川流域の治水対策について質問します。 昨年7月の豪雨の発生から間もなく1年半を迎えます。今年9月25日には天ヶ瀬温泉街の老舗ホテル成天閣が約1年2か月ぶりに営業を再開するなど、復旧、復興の歩みが少しずつ見えてきています。 災害に加え、コロナ禍もあり、天瀬地区は非常に厳しい経済状態に陥っています。現段階でコロナ禍は小康状態にあり、少しでも稼いで元気を取り戻す足がかりにしていただきたいと思っています。この点については、県からの御支援も強く要望します。 天ヶ瀬温泉街周辺の玖珠川における復旧の状況については、昨年から河川改修計画について意見交換を重ね、地元とおおむね合意を得たとの報道もなされるなど、少しずつ進展が見え始めています。また、河川改修計画の合意により、日田市が来年度より流出した新天瀬橋の再建に着手する旨の話も聞いており、明るい兆しが見えてきています。 玖珠川流域では、天ヶ瀬温泉街のみならず、玖珠町の戸畑や日田市の山ノ釣、湯ノ釣などにおいても被災しており、玖珠川全体の復旧、復興を早期に進め、一日も早く平穏な日常を取り戻し、この地域の安全を確保する必要があると考えます。また、今後、このような被災をしないような取組も必要だと思います。 ついては、7月豪雨で被害を受けた天ヶ瀬温泉街や山ノ釣、湯ノ釣など日田市と玖珠郡の玖珠川流域の治水対策について、今後の展望を知事に伺います。  〔井上(明)議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○三浦正臣副議長 ただいまの井上明夫君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 井上明夫議員から玖珠川流域の治水対策について御質問いただきました。 玖珠川流域では、昨年の7月豪雨に続き、今年の8月豪雨においても久大本線が再び不通になるなど大きな被害を受けました。強靱な県土づくりに向けて取り組んでいく覚悟を新たにしました。 まず、天ヶ瀬温泉街の治水対策については、被災直後から再度災害防止を目的とした河川改修の検討を進め、川沿いの旅館や住家、泉源等への影響について地元の方々と丁寧に対話を重ねてきました。 今年9月に説明会を開催し、左岸の拡幅を基本とする河川改修計画案について、地元の方々とおおむね合意したところであり、来年度の新規事業化に向けた道筋が整ったと考えています。引き続き、護岸の詳細設計や改修に伴う泉源への対応など具体の検討を進めます。 一方、復旧、復興にあたっては、河川改修のみならず、大分を代表する魅力的な温泉街としてのまちづくりを考えることも大切です。日田市や地元が中心となり、まちづくりや防災の学識経験者も参画した議論が始まっており、県もこれを支援しています。 例えば、温泉街再生に取り組む長門湯本温泉などの先進地を参考にし、温泉街の風情を演出する夜間照明や河川内の遊歩道整備など、親水空間や回遊性の創出に係る勉強会を今年度から開催しています。 私も先月、ふれあいトークで天ヶ瀬温泉街の方々から復旧、復興にかける思いはもとより、地域づくりの取組や県内外への復旧状況の情報発信、泉源の確保など貴重な御意見を聞くことができました。 一日も早い温泉街の復興に向け、しっかり対応するよう関係部局に指示し、引き続き温泉街が元気を取り戻す取組を応援していきます。 玖珠川流域全体に目を向けると、温泉街の他にも甚大な被害が発生しており、再度災害防止に向け、各所で改良復旧を進めています。 日田市天瀬町の山ノ釣地区では、玖珠川に岩盤が崩落した高さ60メートルの崖について対策工事に着手しました。また、湯ノ釣地区でも川幅を拡げる工事を進めています。さらに、九重町の野上川では、河川の拡幅に伴い架け替えるJR橋梁の設計にも着手しました。いずれの箇所についても早期復旧を目指しています。 気候変動の影響が顕在化している今、こうした河川改修に加え、田んぼダムやため池の事前放流など流域に関わるあらゆる関係者が協働して、水害を軽減させる玖珠川の流域治水に総力戦で取り組んでいかなければならないと思っています。 ○三浦正臣副議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 広瀬知事には発災からこれまで何度となく現地を訪れていただき、地元住民をはじめ、様々な要望を聞いていただき大変ありがとうございます。 先般もふれあいトークで訪問いただいたと伺いました。その際にもいろいろなお話があったと思います。今後、復興に向けたまちづくりも含め、復旧工事、可能な限りの対応をぜひよろしくお願いします。 私も地元選出の議員として天瀬地区の方々とお話しする機会がよくありますが、その中でちょっと気になることがあります。災害の影響か工事の影響か定かではありませんが、最近、右岸にある旅館が利用している温泉の湯の温度が低くなったと関係者の方から話を聞いています。御存じのとおり、当該地区は温泉を中心とした観光で売り出しているので、現在は対岸の左岸の泉源の湯を購入せざるを得ないということで、このようなコストの増大は死活問題につながります。復旧、復興工事に際しては、ぜひこの点に留意して施工していただくとともに、状況を見ながら、縦割りではなく、セクション横断的な対応をぜひよろしくお願いします。 また、昨日の新聞記事にありましたが、筑後川上流域の河川整備計画、全体の計画が30年計画ということで、この30年という数字にはちょっとびっくりしますが、現在、既に住民説明会を行っている災害対応の改修工事については一応来年からということですが、おおむね何年くらいの計画となるのか、お尋ねします。 ○三浦正臣副議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 さきほど御質問いただいた河川整備計画の年数のことですが、平成9年の河川法改正に伴い、従来の工事実施基本計画に代わり、現在は河川整備基本方針及び河川整備計画を策定するよう位置付けされています。これについては、おおむね20年から30年を目安とした期間で計画を策定するようにと定められています。 一方、今回被災した玖珠川の天ヶ瀬温泉地区については、現在、全体の事業費、計画規模を算定していますが、もちろんこの20年、30年という長いスパンではありませんが、なるべく早期に完成させるように今計画を策定しています。 全体の工期についてはまだ明言できる状況にはありませんが、一日も早い完成に向け、しっかり取り組んでいきます。 ○三浦正臣副議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 とにかくできるだけ短期間でというのが地元の切実な願いなので、どうかよろしくお願いします。 次に、子育て支援について質問します。 まず、子育て満足度日本一への挑戦について伺います。 大分県の合計特殊出生率は令和2年に僅かに上がったものの、出生数の減少傾向には歯止めがかかっていません。若い人たちが子どもを産み育てるための支援策は、正に喫緊の課題です。 子育て満足度日本一については、平成21年3月の中期行財政運営ビジョンにおいて、子育て満足度日本一を目指す大分県を目標に掲げ、取組が始まったと伺っています。以来12年間の長きにわたり、子育て世帯の経済的負担を軽減する子ども医療費助成や保育料助成などの施策、子育て世帯が多様なサポートを受けられるような保育所の増設、病児病後児保育の拡充などの環境整備、男性の育児参加などのワーク・ライフ・バランスの促進など様々な施策を積み重ねてきたと思います。現在は出会いから結婚、妊娠・出産、子育てとライフステージに合わせた政策を戦略的に組み合わせて実践しています。 しかし、本県だけではありませんが、人口減少のトレンドに歯止めがかからない現状があり、平成11年以降、死亡数が出生数を上回る自然減の状態が続いています。 また、県が実施した令和2年度子ども・子育て県民意識調査報告書においても、理想の子どもの数と現実の子どもの数の乖離がこの4年間是正されておらず、より効果的な施策を検討する必要があると考えます。この調査によれば、乖離の理由については、子育てや教育にお金がかかり過ぎること、その是正のためには経済的支援を求めるという意見が多くあり、子育て世帯の負担感が色濃く出ているものとなっています。厳しい財政状況で、どのように彼らの負担感を軽減させ、より子育てがしやすい環境にしていくのか、しっかり分析し、令和4年度の当初予算につないでください。 今後の子育て満足度日本一に向けてどのように取組を進めていくのか、知事の考えを伺います。 ○三浦正臣副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 子育て満足度日本一への挑戦について御質問いただきました。 子育て満足度日本一を初めて目標に掲げた平成21年当時、リーマンショックによる世界的な景気後退の影響もあり、先行きが不透明な社会状況にありました。私はそうした時代だからこそ、大分県の未来を担う子どもたちや若い世代の夢を後押しすることが重要であると考え、子育て満足度日本一への挑戦を決意し、これまで全力で取り組んできました。 一方、議員御指摘のとおり、県民意識調査における理想と現実の子どもの数に乖離があり、その理由として、子育てや教育にお金がかかることが調査開始以来1位に挙げられています。 就学前児童のいる世帯における最も負担を感じる費用を見てみると、平成30年度は保育料、幼稚園授業料が41.5%と突出していましたが、令和2年度には12.3%と4位に低下しています。これは幼児教育・保育の無償化に加え、本県が独自に行っている第2子以降の3歳未満児保育料の全額免除も寄与しているものと考えています。 代わって日用品費への負担感が19.0%で1位となりましたが、今年度から子育てほっとクーポンでミルクやおむつを購入できるように改善したところです。 負担を感じていないとする割合も7.2%から9.1%へと上昇しており、これまでの本県の取組の成果と受け止めていますが、経済的支援は終わりなき課題であり、引き続き県民の声に耳を傾けていきます。 また、県民意識調査では、3人目以降の子どもを持つことができた理由も聞いており、1位は配偶者が家事、育児に協力的だからとなっています。共働き世帯が増加する中、女性の家事、育児にかかる負担感を軽減することも大変重要です。このため、これまでの経済的支援策を堅持するとともに、仕事と育児の両立に向けた働き方改革や男性の子育て参画を推進し、男女が共に家事、育児を担う社会を目指します。 また、既婚女性が子どもを産む数は、この30年で増加している一方で、25歳から39歳の女性の未婚率は14.0%から何と36.8%と大幅に上昇しています。そこで、出会いサポートセンターの機能を充実させるなど、結婚に対する支援も強化していきます。 加えて、多胎児や低出生体重児へのきめ細やかな子育て支援サービスの充実にも市町村と連携して取り組みたいと考えています。 子育て満足度日本一を掲げ、はや12年。いまだ道半ばではありますが、子どもを産み育てることに楽しみや喜びを実感できるよう今後とも果敢に挑戦していきます。 ○三浦正臣副議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 財政面や男女の意識の問題などいろいろと難しいところは多いと思いますが、引き続きの対応をぜひよろしくお願いします。 この子育て満足度を高めるための重要な要素の一つが保育ということなので、次に、県外への保育人材流出対策についてお尋ねします。 保育士は、新型コロナウイルスの感染対策で緊張感を強いられる中、次代を担う子どもたちの健やかな成長を守るため、日々奮闘しています。また、多くの子どもの多様な姿や育ちを見続けることのできる魅力あふれる仕事ですが、一方で、保育現場ではこういった業務を担う保育人材が不足している現状もあります。県が施設に実施したアンケートによれば、最低基準は満たしているものの、令和3年4月1日時点で常勤、非常勤合わせ416人が不足しているという結果が出ています。さらに厚生労働省の社会福祉施設等調査によれば、就業している保育士数は令和元年には5,684人と、前年から170人ほど減少傾向となっているのも気がかりです。 とりわけ、福岡県と隣接する日田市や中津市などにおいては、福岡県への保育人材の流出が大変懸念されています。県内の高校卒業後、福岡県で保育を学ぶ学生も多く、本県へのUターン促進が重要と考えます。 先月策定された政府の新たな経済対策では、保育士を含め、介護職や看護職員等の賃上げが打ち出されましたが、厚生労働省の賃金構造基本統計調査によると、現状、福岡県の女性保育士の平均給与約24万円に対し、大分県は22万4千円となっており、1万6千円程度の開きがあり、処遇面では本県にとって不利な状況と言わざるを得ません。もちろん、給与だけではなく、子どもたちの成長を支える業務そのものにやりがいを持ち、保育に専念できる職場環境であるかどうかも重要ではあります。 本県出身の学生に県内で働きたいと思ってもらえるインセンティブやその情報発信など、保育人材の県外流出をどのように引き止めていくのか伺います。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 県外への保育人材流出対策についてお答えします。 県では、保育士の県内就職を促進するため、県内の保育施設に5年間勤務した場合、返還免除となる保育士修学資金貸付を平成28年度から実施しており、これまで511人が利用しています。 今年7月には福岡市のdot.において、福岡県からUターンした先輩保育士によるトークセッションを開催し、大分で働く魅力を情報発信しました。 また、福岡事務所と連携して、福岡県内の養成校18校を訪問し、県内就職への支援制度や県内の求人情報、保育実習情報などの周知を図りました。その際、先方の就職指導担当者の助言をいただき、今後の就職イベントの実施時期や内容について改善を図ることとしました。 あわせて、県内の高校生向けの出前講座により、保育士を目指す人材の開拓も予定しています。さらに、令和元年度から保育現場に精通したコンサルタントの保育所への派遣やICTの導入など、保育現場の働き方改革も積極的に支援しています。 こうした取組により、引き続き福岡県からのUターンも含め、保育人材の確保に努めていきます。 ○三浦正臣副議長 井上明夫君。
    ◆井上明夫議員 保育人材の確保についてですが、福岡県と大分県の給与差については、県境にある日田市ではよく話題に上る話であり、関係者は非常に深刻に捉えています。 あるこども園の関係者の意見ですが、大分県と福岡県の給与の差については、施設型給付費の単価が違うことに起因しているのではないかということでした。ただ、物価スライドの影響とか、制度として差があることについては仕方のない面があるのは理解します。その分、大分県では様々な取組でカバーするという話だったので、国に対しては、例えば、日田市と隣接するうきは市や八女市、朝倉市などと単価が違うことのないようにお願いしてください。 次に、放課後児童クラブについて質問します。 最初に、支援員の処遇改善についてです。 この2年にわたるコロナ禍は、私たちに多くのことを気づかせる機会になりました。独立行政法人労働政策研究・研修機構がまとめた専業主婦世帯と共働き世帯の推移に関する資料によると、全国で41年前の昭和55年には1,114万世帯であった専業主婦世帯が令和2年には半分の571万世帯に減少し、共働き世帯は614万世帯から1,240万世帯と倍増していることが分かります。女性の社会進出、労働力人口の確保といった観点から、共働き世帯は今後も増加していくことが予想されます。共働き世帯が安心して仕事に従事できるような社会環境を今後も充実させていく必要があります。そのためには、保育所や幼稚園とともに放課後児童クラブもしっかりと体制を整える必要があります。コロナ禍において小学校が休業となり、共働き世帯の御両親が放課後児童クラブを頼ったために、朝からクラブを開け、対応したとの話も聞いています。放課後児童クラブの保育機関としての役割の大きさを再認識しました。 このクラブの運営には、民間企業からPTA有志によるものまで多岐にわたり、クラブ活動の事業水準も統一されているとは言えない状況にあるため、支援員の給与体系もまちまちで、この状況は大分県だけではありません。しかし、今回のコロナ禍で非常に重要な役割を担っていることが改めて認識された放課後児童クラブについては、やはり放課後の児童の預かりに関して一定水準の役割を担ってもらい、支援員が常勤で勤務できるような体制整備が必要ではないかと考えています。 平成26年と令和3年を比べると、大分県内の放課後児童クラブは128クラブ増加し、受入児童数も4,374人増加しています。それだけ保護者の皆さんが放課後児童クラブの社会的な役割を認知し、期待していることがこの数字に表れています。 児童福祉法における放課後児童健全育成事業に基づき市町村が運営するものではありますが、国に対して支援員の処遇改善を含めた体制整備を強く求めていくべきと思います。県として、国への働きかけを含め、今後の放課後児童クラブのあるべき姿をどう考えるのか、御見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 放課後児童支援員の処遇改善についてお答えします。 近年の利用児童の増加に伴い、放課後児童クラブの支援員には、多様な個性へのきめ細かな対応が求められており、負担も大きくなってきています。加えて、コロナ禍への対応も必要とされるなど、クラブの重要性が一層強く認識されています。 こうした要請に応えられる人材を確保するため、県としても支援員の処遇改善を含めた体制整備は重要な課題と認識しています。県では、平成29年度から支援員の経験年数や研修の受講歴など一定の条件による加算制度を設け、処遇改善に取り組んでいます。 また、支援員の労務環境を整備し、クラブの運営体制の強化を図るため、昨年度、県独自の労務管理マニュアルを策定し、市町村を通じて各クラブに提供したところです。さらに、今年度から希望するクラブに社会保険労務士を派遣し、適正な労務管理や社会保険への加入について助言する取組を始め、10月末までに延べ98クラブが利用しています。 支援員の処遇改善については、今回の国の経済対策に沿って、保育士等と同様に賃金引上げの措置を行うための補正予算を本日提案しましたが、引き続き全国知事会を通じて、運営費補助単価の引上げ等について要望していきます。 ○三浦正臣副議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 放課後児童クラブの支援員は、最初の頃は学童保育という名前でできたのですが、子どもを見守っていればいいという存在であったような気がします。しかし、厚生労働省が出している放課後児童クラブ運営指針には、支援員の役割として、子どもにとって適切な養育環境が得られるように支援するという役割が明記してあります。少なくとも一つのクラブに1人は、職業として常勤で勤める支援員を置くことで運営指針にかなう放課後児童クラブになると思うので、引き続きそこに向けた取組をお願いします。 それと、今の答弁の中で、今日上程された保育・介護職員等処遇改善事業があり、保育士や介護職員等の賃金の引上げを行うということですが、放課後児童クラブ支援員も含まれているということでよろしいでしょうか。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 議員がおっしゃったとおり、看護師、保育士の処遇改善の中に放課後児童クラブ支援員の賃金引上げも含まれています。 ただ、これは3%という率が適用されるので、保育士のように9千円という額にはならないですが、3%相当の賃金の引上げが予定されているということです。 ○三浦正臣副議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 分かりました。 それでは次に、学校と放課後児童クラブの連携に市町村によって濃淡があるとの声も耳にします。県福祉保健部及び教育委員会がコロナ禍における対応等の通知を各市町村に行っていますが、小学校と市町村担当課との連携が悪いのか分かりませんが、クラブによって対応に差が出てきていると伺っています。 例えば、クラブでWebを使った作業をしようとしたが、小学校のWi-Fiを利用できなかったとか、コロナ禍で児童が多く集まったため、密を避けるため体育館を使用したかったが使えなかったとか、些細ではありますが、情報セキュリティーや安全面の問題をある程度クリアすれば問題なかったのではないかと思う事例が何件かあったようです。 極端な例では、校長が替わるとクラブへの対応が一変し、全く連携が取れなくなったといった状況も伺っています。 さきほど申したように、放課後児童クラブには一定の社会的役割があり、隣接する小学校によって県内で判断がまちまちであることは、受益者である児童、保護者にとっていいことではありません。県福祉保健部の通知がしっかりと末端にまで行き渡り、小学校と放課後児童クラブが共に協力できるよう、県教育委員会から各市町村教育委員会に対し、改めて小学校に協力を呼びかけるべきではないかと考えますが、教育長の御見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 国が平成30年に公表した新・放課後子ども総合プランにおいて、放課後児童クラブと放課後子ども教室の一体的な実施を推進するとともに、学校施設を活用することが示されています。 県内にある403の児童クラブと204の放課後教室は、子どもにとって社会性を育み、発達段階に応じた主体的な学びや生活ができる重要な場となっています。 県教育委員会では、本年7月に福祉保健部と連名で市町村教育委員会宛て文書依頼をしました。しかしながら、施設設備の管理や警備上の理由から、学校施設の利用などの連携に課題が残されているところもあると聞いています。このような課題については、学校と児童クラブ、放課後教室等、子どもの育成に携わる関係者が立場を超えて連携し、取り組むことが重要です。 県内で設置が進む学校運営協議会等を活用して情報や課題を共有し、より一層の連携を図るよう、教育長協議会等を通じ、市町村教育委員会へ再度働きかけていきます。 ○三浦正臣副議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 さきほどお話しした校長が替わるとクラブへの対応が変わるというのは、実に根が深い話のようです。市町村教育委員会の理解も必要ですし、校長の理解も必要です。県庁の中でも、教育委員会と福祉保健部が連携してこの問題にあたっていただかないといけないと思います。 もう一つの事例ですが、ここ1、2年、これまで実施してきた学校とクラブの事例検討会という子どもたちの情報共有を行う時間、回数が減少し、担任と話をしていたのが管理職や主任教諭が対応するようになり、形骸化しているケースも出てきていると聞いています。 クラブ側は、教員の働き方改革の影響ではと疑念を持っているということでしたが、地域と共にあるべき学校が地域団体のうち一番身近な放課後児童クラブと連携できないのは大変な問題だと思うので、文書等、形が残るようなもので市町村教育委員会にしっかり指導してください。 厚労省が出している放課後児童クラブ運営指針には、放課後児童クラブにおける育成支援の基本として学校等の関係機関と連携することも必要であると表記されています。福祉保健部と連携していただき、放課後児童クラブと学校が基本的に連携できる仕組みを大分県としてぜひつくっていただくよう要望します。 次に、新型コロナウイルス感染症の次の波に備えた対応について2点ほど伺います。 まず、宿泊療養施設の体制整備についてです。 先月14日に大分救急医学会が主催する大分県COVID-19対応大討論会というフォーラムに参加し、県内の医療従事者によるこれまでのコロナ禍の対応についての議論を伺う機会がありました。参加した方々は、正に医療現場の最前線でコロナ禍を見た方々であり、想像と違った現場での負担感を直接聞くことができました。 このうち特に気になったのが、県からの情報伝達が末端にまで行き届いていなかったのではと思われる意見が散見されたことです。例を挙げると、宿泊療養施設の対応で医療スタッフが派遣されたが、マニュアル等、県の方針を伝える手段がなかったために、現場で何を求められているのか、何をすべきなのかが不明確で、中途半端な状況に置かれてしまったとのことでした。 また、宿泊療養施設で療養することになった方々も、自分の病状がどういう状態でホテル療養となったのか伝えられていないため、医療側としても診断や問診に不安があったということです。これは、県の宿泊療養施設に関する方針や、そこで対応すべき医療とそのための情報が整理できていなかったからではないかと思います。 知事は先月16日の記者会見において、宿泊療養施設の十分な確保とそこへの医療スタッフの派遣など、第6波への対応を力強く御説明されました。その体制は非常によいのですが、情報伝達体制が整っていないのでは実態として機能しません。明確な指揮命令系統の下、宿泊療養施設は、重症化リスクのない患者を受け入れるなどの役割の明確化とそこで対応する医療スタッフのマニュアルを含めた分掌を、コロナが小康状態の今のうちに定めておく必要があると考えます。福祉保健部長の考えを伺います。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 宿泊療養施設の体制整備についてお答えします。 県では、新型コロナの陽性が確認された方に対し、速やかに入院が必要かどうかリスク評価を行った上で、軽症、無症状の方には家庭内感染等を防ぐ目的で宿泊療養をしていただいています。 この方針の下、看護師には従事する前に業務マニュアルに基づく研修を行うほか、医師に対しても薬剤処方や入院を要すると判断した場合の対応等を個別に説明し、宿泊療養施設の円滑な運営に努めています。 しかしながら、第5波のピーク時には入所者の急増に伴い、宿泊療養決定後や入所中に病状が悪化した方が増加し、入院等の調整を待つ間、宿泊療養施設ではマニュアルにない臨機な対応に追われました。 改善に向けた関係者との協議の中では、入所時点で体調が悪化している方にとって健康状態の聞き取り自体が大きな負担になっているとか、できるだけ早く入院させてあげたいといった現場の生の声を伺いました。このため、より詳細なマニュアルを作成するとともに、患者情報共有システムを整備し、宿泊療養施設のスタッフが保健所からの患者情報に基づいて迅速に対応できるよう改善を図ることとしています。 ○三浦正臣副議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 何せ本当にコロナの対応は初めてのことで、パニックになった部分もあるかと思います。個人情報保護もあるかと思いますが、命に関わることを任せている医療スタッフに情報提供が希薄になることがないよう、ぜひよろしくお願いします。 次の質問にも関連するので、宿泊療養施設に移送を決定したときの保健所での問診結果を速やかに提供できる体制も整えるように要望します。 次に、保健所業務のICT化について伺います。 新型コロナウイルス感染症の拡大により、改めて気づかされたのが保健所の役割です。この2年間にわたるパンデミックに第一線で対応された保健所職員の皆さんにまずもって敬意を表します。 今回の感染症において保健所では、住民や医療機関からの相談、疑似症患者へのPCR検査、検体搬送、積極的疫学調査、陽性者のフォローアップ、退院後の生活指導など多くの業務を担当されました。特に濃厚接触者の洗い出しや医療機関への入院対応など直接的に感染者を処遇する対応には、非常に肉体的、精神的にも御苦労があったのではないかと拝察します。これまでの第4波や第5波では感染者が雪だるま式に増えてしまったため、保健所の対応すべき作業量も通常の数倍に膨れ上がったことと思います。 本県も他所属からの応援などでこれまで対応してきたと思います。確かに人力での対応する業務も多いと思いますが、こうした場合にはデジタル技術を活用し、業務の効率化を今のうちから検討しておくことも必要ではないでしょうか。感染者の情報処理や健康観察の情報共有体制などは、正にICTが得意とする分野です。少しでも負担軽減を図るべく取組を進めていくべきではないでしょうか、福祉保健部長に伺います。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 保健所業務のICT化についてお答えします。 新型コロナの患者管理については、厚生労働省が開発した専用システム、HER-SYSと呼びますが、このシステムが令和2年5月から供用開始されています。しかしながら、動作性等の課題から全国的な活用が進んでおらず、国による大規模な改修も予定されていますが、来年10月までかかる見込みと伺っています。 このため、本県では次の流行に備え、操作性に優れ、患者情報の管理、共有が容易となる新たなシステムを取り急ぎ年明けから導入する予定です。このシステムでは、入力作業の省力化や保健所、本庁、宿泊療養施設等との情報共有が可能となるほか、自宅療養者や濃厚接触者等がスマートフォンで自ら自分の健康状態を入力できる機能を搭載しています。 これにより、感染ピーク時の保健師一人1日当たりの業務が2時間程度短縮される見込みです。加えて、保健所の電話回線に余裕ができ、緊急時に電話がつながりにくいという課題も解消されます。さらに、タブレット端末を配備し、クラスター発生時の現地指導などにも活用したいと考えています。 今後、他の保健所業務においてもデジタル化を進め、さらなる効率化を図ります。 ○三浦正臣副議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 いろいろな取組をされる予定ですが、県の保健所は福祉保健部管轄であり、ある程度連携が取れると思いますが、人口規模が最大で感染多発地帯となる大分市の保健所との連携についてはいかがでしょうか。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 今回のシステム導入にあたり、大分市保健所とも協議しました。大分市保健所も全く同じ課題を抱えているということで、大分市でも共同利用することになり、県下全域の保健所で情報共有が図られ、事務の効率化が進むものと期待しています。 ○三浦正臣副議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 11月19日の新聞記事に、本年度上半期で福祉保健部や大分市保健所では過労死ラインの残業をした職員が90人とか100人いたという記事もありました。本当に大変だったと思います。ぜひ今後ICT化を進めて、業務の改善を行ってください。 それからまた、さきほどのフォーラムの話ですが、やはりキーワードは情報の提供と共有、また、連携の強化であると感じました。関係する部署の皆さんはそれぞれの立場で力を尽くしておられると思いますが、その辺にとりわけ注力して、コロナ第6波に備えてください。 次に、ツール・ド・九州2023について質問します。 本年5月に、ラグビーワールドカップ2019大会以降の九州における定期的かつ継続的な国際スポーツイベントとして、ツール・ド・九州2023が令和5年に本県の他、福岡県及び熊本県の3県で開催されることが決定しました。 大分県のレースコースは、モータースポーツの国際公認サーキットであるとともに、サイクルレースとしても活用されている日田市のオートポリスを核としたコースを念頭にルートの策定を進められていると伺っています。 ツール・ド・九州2023は、国際自転車競技連合が認定する国際サイクルレースとして、国内外から多くのトップ選手が参加するということです。新型コロナウイルスがもたらした生活スタイルの変化によって、ますます今後、自転車にも注目されていくと思います。 ツール・ド・九州2023について、県ではレース開催に向けて様々な準備に取りかかっているのではないかと思いますが、これまでの進捗とともに今後どのように取り組んでいくのか、企画振興部長にお尋ねします。 ○三浦正臣副議長 大塚企画振興部長。 ◎大塚浩企画振興部長 ツール・ド・九州2023の開催にあたっては、国内外から注目される国際スポーツイベントにとどまらず、ラグビーワールドカップ2019のように地域の元気づくりにつなげていくことが大変重要です。 そのため、今年10月、開催地の日田市や県自転車競技連盟をはじめ、地元の商工団体や観光関係団体などとともに大分ステージ推進委員会を立ち上げました。この推進委員会では、レースの運営や交通規制などを担当する部会と大会の機運を醸成する部会を設置し、既に作業に着手しています。 加えて、本大会を地域のビジネスチャンスと捉え、地元の観光やまちづくりに取り組む若手メンバーとともにプロジェクトチームを立ち上げ、日田地域の活性化に向けた活動をスタートさせました。 令和5年度の開催に向け、日田市や地元関係団体などと議論を重ねながら、着実に準備を進め、ツアー造成によるサイクルツーリズムの振興にもつなげていきます。 ○三浦正臣副議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 日田市の会場の中心となるオートポリスには、これまでコロナ前までは車のイベントを中心に年間約20万人が訪れていましたが、その大半は熊本県に宿泊し、観客とか関係者が日田市に宿泊するのは2割程度だったと。今回のイベントにあっては、観客やレース関係者の多くが日田市内に宿泊するように県としてプロモーションを行っていただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。 ○三浦正臣副議長 大塚企画振興部長。 ◎大塚浩企画振興部長 このツール・ド・九州の開催にあたり、さきほども申しましたが、地元日田市にいかににぎわいをつくっていくのかということが大変大事だろうと思います。今御指摘いただいた宿泊も含め、地元の皆さんと一緒に検討していきます。 ○三浦正臣副議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 このイベントは、正にアフターコロナの観光の再生という意味で大いに期待できます。被災した天ヶ瀬温泉も含め、日田市をはじめとする大分県の観光への追い風となる取組をよろしくお願いします。 最後に、犯罪被害者への支援について伺います。 私は以前より、この問題について度々県議会で質問してきました。平成29年第3回定例会におけるこの事案に関する質問に対し、知事より条例化する旨の回答をいただき、次の第4回定例会において犯罪被害者等支援条例が立案、制定されました。翌年4月の施行より3年が経過し、その間、支援推進指針も今年3月に改正され、支援体制の強化も進められてきていると思います。 特に昨年度改定された第2次大分県犯罪被害者等支援推進指針では、犯罪被害者に対する不適切な言動やプライバシーの侵害など二次的被害防止のための広報の充実や、性暴力救援センターの相談対応の24時間365日化など取組の拡充が図られ、犯罪被害者に寄り添った対策が示されたと思います。 そこで、次の点について伺います。 まず、条例化されてから3年間でこれまでの取組の成果をどのように捉えているのか。また、犯罪被害者の二次被害防止のため、どのように取り組んでいくのか、生活環境部長に伺います。 ○三浦正臣副議長 磯田生活環境部長。 ◎磯田健生活環境部長 犯罪被害者への支援についてお答えします。 まず、条例制定による成果としては二つあります。 一つは、被害者等に対する支援体制の充実です。条例を契機とし、市町村や県警、支援団体など24機関で構成する支援機関ネットワーク会議を設置し、関係機関が連携して支援する体制が強化されています。その結果、公営住宅への優先入居や生活保護等の申請手続を支援した件数は、条例施行前の平成29年度には11件でしたが、施行後の令和2年度は44件に増加しています。 二つは、条例に基づいた被害者等の経済的負担軽減の実施です。平成30年には、全市町村において県が半額を補助するという見舞金制度が整いました。不幸にも被害に遭われた場合、誰でも受給が可能となりました。全市町村が対象という仕組みになっていますが、この取組は全国の中で唯一であり、昨年度までの実績は13件です。 次に、二次的被害防止に向けては、効果的な啓発や窓口担当者の資質向上が重要となります。啓発では、犯罪被害者週間を中心に各種メディアや大型ビジョン等を活用し、優しい心や思いやりを届けるよう訴えています。担当者向けの研修では、窓口を訪れる被害者等に適切に対応できるよう、立場を入れ替えて役割を演じて研修するといった演習形式を採用しています。 今後も犯罪被害者等の苦しみを少しでも軽減できるよう、関係者とともに取り組みます。 ○三浦正臣副議長 井上明夫君。 ◆井上明夫議員 犯罪被害者見舞金制度、大変すばらしいと思いますが、この見舞金のことで一つ事例を聞いたのが、やはり被害者の方は事件の記憶が残る土地から離れたいと思うケースがあって、地元の警察署とか、犯罪被害者支援センターも親身になって対応していましたが、その手続をする前に他県に引っ越してしまって、支払われなかった事例があったと聞きました。 現在、犯罪被害者等支援条例を制定している都道府県は昨年度までに32団体、7割に満たないので、他県に出た場合、なかなか難しいと思いますが、できれば他の都道府県と連携して被害者が県外に出ても見舞金が届くよう、それぞれの都道府県の制度には少し違いがあるとは思いますが、都道府県との連携も今後課題として捉えてください。 この犯罪被害者等支援条例で対象となる方々は、犯罪等により害を被った方やその家族、遺族の皆さんであり、本来的には平穏な生活が送れていた方々です。不幸にも犯罪に巻き込まれた方々を通常の生活に戻すための支援をすることは、条例に書いてあるとおり、県、市町村など行政だけでなく、県民一人一人、社会全体の責務です。また、対応も犯罪被害者の皆さん個々のケースによって変わってくると思います。その意味では、この支援への取組は、常に課題を解決し続けるものであり、こうしたら解決というのはないと思います。大分県でも引き続き充実した支援を実施、検討し続けていただきたいことをお願いし、質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○三浦正臣副議長 以上で井上明夫君の質問及び答弁は終わりました。 お諮りします。本日の一般質問及び質疑はこの程度にとどめたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○三浦正臣副議長 御異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。  ------------------------------- ○三浦正臣副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は決定次第通知します。  ------------------------------- ○三浦正臣副議長 本日はこれをもって散会します。     午後3時53分 散会...