大分県議会 2021-09-15
09月15日-03号
令和 3年 第3回定例会(9月) 令和3年第3回
大分県議会定例会会議録(第3号)令和3年9月15日(水曜日
) -------------------------------議事日程第3号 令和3年9月15日 午前10時開議第1 一般質問及び
質疑 -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 一般質問及び
質疑 -------------------------------出席議員 42名 議長 御手洗吉生 副議長 三浦正臣 井上伸史 吉竹 悟 清田哲也 今吉次郎 阿部長夫 太田正美 後藤慎太郎 衛藤博昭 森 誠一 大友栄二 井上明夫 鴛海 豊 木付親次 古手川正治 嶋 幸一 元吉俊博 麻生栄作 阿部英仁 成迫健児 浦野英樹 高橋 肇 木田 昇 羽野武男 二ノ宮健治 守永信幸 藤田正道 原田孝司 小嶋秀行 馬場 林 尾島保彦 玉田輝義 平岩純子 吉村哲彦 戸高賢史 河野成司 猿渡久子 堤 栄三 荒金信生 末宗秀雄
小川克己欠席議員 1名 志村 学
-------------------------------出席した県側関係者 知事 広瀬勝貞 副知事 尾野賢治 副知事 黒田秀郎 教育長 岡本天津男 代表監査委員 首藤博文 総務部長 和田雅晴 企画振興部長 大塚 浩 企業局長 浦辺裕二 病院局長 井上敏郎 警察本部長 松田哲也 福祉保健部長 山田雅文 生活環境部長 磯田 健
商工観光労働部長 高濱 航 農林水産部長 佐藤 章 土木建築部長 島津惠造 会計管理者兼会計管理局長 森山成夫 防災局長 梶原文男 観光局長 秋月久美
人事委員会事務局長 法華津敏郎
労働委員会事務局長 稲垣
守 ------------------------------- 午前10時 開議
○
御手洗吉生議長 おはようございます。 これより本日の会議を開きます。
-------------------------------
○
御手洗吉生議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第3号により行います。
-------------------------------
△日程第1 一般質問及び質疑
○
御手洗吉生議長 日程第1、第74号議案から第102号議案まで及び第7号報告を一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。古手川正治君。 〔
古手川議員登壇〕(拍手)
◆
古手川正治議員 16番、自由民主党、古手川正治です。久しぶりの質問であり、張り切ってやりたいと思っています。知事をはじめ、執行部の皆様の明快な御答弁をよろしくお願いします。 それでは、早速質問に入ります。 まず、中小企業の金融対策について伺います。 本県経済については、我が会派の嶋議員の代表質問にあったように、製造業や一部業態では持ち直しの動きが見られるものの、外食産業や観光産業といった業態には依然として厳しさが残るといった二極分化の動きが見られています。今後の経済全般を活性化させるためには、需要喚起に向けた景気刺激策も必要ですが、各企業の状況に応じた経営支援も重要です。今回は、その中でも金融支援について焦点を当てて質問します。
日本銀行大分支店の大分県内の景気動向によると、県内の金融状況としては、貸出残高は増加しているとの分析が報道されています。経済活動の根幹をなす人流を制限することで感染拡大を防ぐことを基本としたコロナ禍では、多くの企業において収益が減少し、運転資金の確保に対して公的な融資制度の活用を図ったことからこのような状況になったと考えています。この間、県では、無担保無利子の融資の創設など企業の負担を軽減した県制度資金を活用し、企業の資金繰り支援に尽力いただいたと思います。融資制度以外でも、国の持続化給付金や県の応援金、あるいは営業時間短縮要請時の協力金など
キャッシュフローの確保のために企業活動を下支えする資金の確保も図られました。
東京オリンピック開催時から都市部を中心に感染の第5波が発生し、医療提供体制が逼迫した状況が報じられています。本県でもその影響が懸念される中ではありますが、別の側面から見ると、ワクチン接種の進捗や治療薬の開発といったニュースも飛び込んできており、先行きも徐々に見えてきています。急にかじを切ることは難しいですが、今後は企業活動を徐々に平常時に戻し、さらなる活性化を目指していかなければなりません。ただし、そのときにこれまでの融資が飛躍するための重荷になるのではないかと懸念しています。 特に今後の返済については、経済活動が通常軌道に乗っていない場合には、収益がおぼつかないままに返済が始まることになります。この場合、運転資金が単純に削られてしまい、体力の弱い中小企業では経営危機に陥る可能性もあります。また、融資はあくまで負債であり、当該企業がイノベーションを起こす際の資金や、デジタルトランスフォーメーションなど新しい挑戦に対する資金等を調達する際に、投資家や金融機関が資金拠出を控える可能性もあります。このような負のスパイラルを起こさないためにも、県内企業の融資に対する返済状況を把握し、前に進むための経営支援と金融対策を実施すべきであると考えます。知事の今後の中小企業者への金融対策について御見解を伺います。 次に、最低賃金の引上げに伴う中小企業者への支援についてです。 先月10日、
大分地方最低賃金審議会において、今年度の大分県最低賃金について、30円、3.79%の引上げをするよう大分労働局に対して答申があり、26日に大分労働局長が決定しました。さきの
参議院議員通常選挙で自由民主党が公約していた年率3%の
最低賃金引上げが実現されるものと期待しています。一方で、多くの企業にとっては、さきに述べたように、コロナ禍の経済停滞に起因する経営不振により運転資金は非常に厳しくなっているところに、人件費の上昇によりさらに負担が増える形にもなります。 今回の最低賃金は、民需主導での経済回復を図ることや、コロナ禍の影響で広がった賃金格差を是正することなどを理由に引上げが決まったわけですから、人件費の増加により中小企業や小規模事業者が廃業に追い込まれることは何としても防がねばなりません。 国は8月から
業務改善助成金を利用しやすいような周知を行っていますが、この助成制度は最低賃金を一定額以上引き上げ、かつ設備投資などを行った場合が対象となり、企業の5分の1は事業者が負担するスキームとなっています。これに加え、県は今定例会で、この制度に伴走する形で事業者負担を実質負担なしとする
中小企業等支援策を提案しました。 そこで、
商工観光労働部長に伺います。県としては、今回の
最低賃金引上げがどのように今後の県内労働市場に影響をもたらし、県民生活に波及するとお考えでしょうか。また、最低賃金上昇に真摯に向き合う企業に対し、さきの支援策とあわせてどのように対応していくのか、考えを伺います。 以下、対面席で質問します。 〔古手川議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○
御手洗吉生議長 ただいまの古手川正治君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事
古手川正治議員から、
中小企業金融対策について御質問をいただきました。 全国的な新型コロナの感染拡大の影響が長期化する中、本県事業者も大きな打撃を受けており、その事業継続のためには、さらなる金融支援が重要です。 県では、これまでも県内企業の融資状況や返済動向を、500社訪問での金融機関へのヒアリングや保証協会との意見交換等により把握し、当面の資金繰り支援に生かしています。 昨年度実施した無利子無担保融資や、現在も継続実施している低利の特別融資の利用実績は、8月末までに1万8,152件、金額は2,102億円となっています。その結果、本年1月から8月までの県内倒産件数は、過去10年の同じ期間で比較すると3番目に低くて、事業継続の下支えになっていると考えています。 しかし、コロナ禍が長引く一方で、今後、特別措置である最長5年間の据置期間や3年間の無利子期間が終わると、元金返済や利子の支払が重荷となって成長の妨げになる可能性があります。最悪の場合、倒産に至ることも考えられます。後年度負担を懸念して、据置期間を短く設定した企業の中には、既に返済を始めざるを得ない企業も出ています。 このため、県では、最長5年間、元金返済なしに繰り返し借換え続けることができる短期資金や、借換えにより緩やかな返済が可能な長期資金を新設しました。これらの融資実績は、8月末までの5か月間で125件、12億円に上っています。加えて、経営環境が悪化しながらも再活性化に挑む中小企業の経営に関与し、再生を図るファンドを県内金融機関とともに本年4月に設立し、いくつかの企業の
再建計画策定等を開始したところです。 また、直面する足下の対応も大事ですが、コロナ後を見据えた将来への投資促進も忘れてはなりません。新分野展開や業態転換等の前向きな挑戦を支援していきます。 このため、今年度から金融機関の継続的な伴走支援を受け、生産性の向上等を図る事業者向けの低利資金を準備しています。また、新分野展開を後押しする
経営革新支援制度や、国の事業再構築補助金等を活用した支援を商工団体等と連携して進めています。 あわせて、新たな挑戦をしようにも過剰債務を抱え、資金調達が困難な事業者に対しては、資金とみなすことで
バランスシート改善につながる
日本政策金融公庫等の資本性ローンの紹介も行っています。実際に県内事業者への支援につながっていると聞いています。 県としては、引き続き県内企業の資金繰り等の影響を注視しながら、関係機関と連携して、事業、雇用の継続や、あるいは新事業への挑戦等をしっかりと応援していきます。 最低賃金の問題については、担当部長から答弁します。
○
御手洗吉生議長 高濱商工観光労働部長。
◎
高濱航商工観光労働部長 最低賃金の引上げに伴う中小企業者への影響とその支援についてお答えします。 まず、プラスとマイナスの2面あると考えています。 まず、プラスの面ですが、賃上げは非正規雇用を含め、幅広い労働者の処遇改善や人口の社会減緩和も期待でき、結果として、企業の人材確保や個人消費拡大にもつながると考えています。 一方、マイナスの面ですが、経営基盤の脆弱な小規模事業者の雇用や事業の継続に大きく影響する懸念があります。そのような企業には徹底的に寄り添っていきます。 まず、コロナにより売上げが大きく減少している事業者に対しては、国の
持続化給付金等に加え、県も応援金や
事業継続支援金を支給してきています。 加えて、持続的な賃金上昇には、事業者の生産性向上が重要となってきています。国は、その取組を
業務改善助成金で支援しており、その活用を促すため、県としてはコロナ禍で苦しい事業者に対し、自己負担分を軽減するための奨励金を支給する提案を今しています。 さらに、国の協力も得ながら、賃金上昇分を価格転嫁しやすい環境づくりも進めていきます。 9月1日に開催した支援策の説明会には、事業者や支援機関等、約171人の方に参加いただきました。影響の大きさを認識しています。今後も県内中小企業の状況をしっかりと把握し、有効な対策を講じていきます。
○
御手洗吉生議長 古手川正治君。
◆
古手川正治議員 ありがとうございました。 融資の返済方法については、それぞれの企業の状態において考えるべきことですが、返済計画を画一的に考えてしまい、首が回らない状況になることは避けるべきです。銀行をはじめとする金融機関も、当然その辺もよく分かっていただいていると思いますが、県としてもこのコロナ禍の影響を乗り切るべく、柔軟な対応を指導、要請するべきであると考えます。 県内企業の返済の現状と、さきほど答弁にあったもの以外で返済計画への弾力的な対応があれば、
商工観光労働部長より御答弁ください。
○
御手洗吉生議長 高濱商工観光労働部長。
◎
高濱航商工観光労働部長 県の制度資金の融資残高は、昨年3月以降、増加し続けていましたが、7月、2,186億円をピークに先月初めて減少に転じました。すなわち、県制度資金の利用者に限られる情報ですが、新規融資額を返済額が上回るようになってきている状況と考えています。 一方、県制度資金の条件変更中の件数と金額は、昨年度末の断面ですが、845件、103億円で、これは8月末現在、断面で見たところも引き続き857件、102億円とほぼ横ばいの状況が続いており、引き続き条件変更のニーズというのは続いていると認識しています。 県ではこれまで、金融機関に事業者からの相談や
元金返済猶予等、条件変更の申出に積極的な対応を行うよう度々要請を行ってきています。その結果もあってか、金融庁公表の金融機関が条件変更に応じた割合は、昨年3月から本年6月末までの実績で99%を超える高い値となっています。今後も金融機関に対して、必要に応じ返済条件の緩和などについて要請するとともに、対応状況についても注視していきます。
○
御手洗吉生議長 古手川正治君。
◆
古手川正治議員 ありがとうございます。 今のところは非常にきめ細かく、国も県も、そして、金融機関も対応していただいています。
リーマンショックの後の対策と同じような感覚を持ちながらも、必要な部分に非常によくやっていただいたと思います。 ただ、そういう状況が普通ではないと思っているし、明らかに中長期の形での対応をしていかなければいけないと。それは行政の支援もありますが、やっぱり企業としての努力、経営者としての責任もあろうかと思います。 昔話ですが、県南のほうは造船が不況になると、周辺に昔は鉄工所もあったし、造船、鉄工の皆さんが建設、運輸のほうに自然に移ってくる。そして、造船が好況になると、また建設、運輸から造船に戻る。そういう形が地域の特色だったんですね。今はサービス業を中心に非常に大変なんですが、人の動きというのはまだまだ見えないような気がします。だから、どちらがいいのかなという気もしながら、今はコロナ禍の非常事態ですから、とにかく手厚く救済していただきたいと思うし、これからも、私自身としてもその辺を注視していきます。どうぞ引き続きよろしくお願いします。 それでは次に、障がい
者雇用率日本一に向けた取組について伺います。 先月24日から今月5日まで、オリンピックに引き続き
東京パラリンピックが開催され、県出身の選手を含め、多くの
アスリートたちが奮闘し、その競技に没頭するひたむきな姿から私たちは多くの感動をいただくことができました。 こうした大会を通じ、障がい者の方々とのバリアを取り払い、今大会のコンセプトの一つでもあった多様性と調和が取れた社会の実現に向けて、我々も共に歩みを進めていかなければなりません。その重要な政策の一つが障がい者雇用の推進であると考えます。 県が目指す三つの日本一の中の障がい
者雇用率日本一については、これまでも鋭意取組を重ねてきていると思います。本県は、昭和40年に別府市に太陽の家が開所して以来、身体障がい者の雇用については先駆的な県であり、同障がい者の雇用率については常に
全国トップクラスです。一方で、知的、精神の両障がい者の雇用率は、全国中位からなかなか抜け出すことのできない状況です。 目標とする日本一に対しては、これからも努力をお願いしたいところですが、大事なのは、障がい者の雇用拡大にあたっては、企業側の障がい者の特性に対する理解と企業側がどのような人材を欲しているかといった情報を共有することです。 コロナ禍で経営状況が厳しい折ですが、雇用主である企業と被雇用者である障がい者がお互いのニーズに即した雇用関係を実現することが、障がい者が生き生きと暮らせる社会づくりに資するのではないかと考えます。今後の障がい者の一般就労に向けた取組について、知事の考えを伺います。 次に、
特別支援学校について伺います。 本県において障がい者雇用率を上げていくには、知的、精神障がい者の雇用が一つの鍵となります。その一助となるのが、
特別支援学校での一般就労に向けた取組であると考えます。 令和3年第2回定例県議会において条例改正が行われ、7月1日付けで
大分県立さくらの
杜高等支援学校が設置されました。また、7月9日の
県教育委員会会議において、同校の入学定員が32人と決まりました。8月には
入学者選考説明会や学校説明会が行われ、来年4月の開校に向けて、着々と準備が進められているものと思います。 県立さくらの
杜高等支援学校は、平成30年2月に策定された第3次大分県
特別支援教育推進計画において設置が計画された高等部のみの
特別支援学校で、企業への就職を目指す知的障がいのある生徒を対象とした学校です。
高等特別支援学校は、他県においても知的障がい者の一般就労に向けて大きな成果を上げていると伺っているので、県の目標である障がい
者雇用率日本一にも寄与すると思います。知的障がいのあるお子様をお持ちの保護者の皆さんの期待も大きいのではないでしょうか。 現在、聾学校敷地内に校舎の建設が進んでいますが、大切なのはその中身、教育内容ではないかと思います。一般就労を目指す生徒たちがその希望する進路を達成するために、さくらの
杜高等支援学校でどのような取組を行っていくのか伺います。 次に、
特別支援学校の環境整備についてです。 令和3年第1回定例県議会において、大分地区の
特別支援学校の環境整備について伺いました。 生徒の顕著な増加による教室不足への対応についての質問に対し、大分支援学校の
仮設校舎借り上げに係る債務負担行為を当初予算に計上しているとの答弁がありました。当面の教室不足を仮設校舎でしのぐことができますが、あくまでも仮設です。いずれ本校舎が必要になってくると思います。 さらに、第3次計画には別府地区での再編整備についても触れられています。今年2月に出された第3次大分県
特別支援教育推進計画に関する
フォローアップ委員会による報告書では、肢体不自由及び病弱の
特別支援学校については、
別府支援学校本校の存続を含め再検討すること、文部科学省が定める
特別支援学校設置基準の内容によっては、
南石垣支援学校を含めた検討が必要であるとされています。 そこで、大分地区及び別府地区の教育環境の整備についてどのように対応する方針なのか伺います。
○
御手洗吉生議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 ただいま障がい
者雇用率日本一に向けた取組について御質問をいただきました。 まず、私から障がい者の一般就労に向けた取組についてお答えします。 先般閉幕した
東京パラリンピックでは、本県ゆかりの5選手が持てる力を存分に発揮して、うち4選手が見事入賞を果たすなど、このコロナ禍にあって多くの県民に感動と勇気を与えてくれました。 障がい者スポーツと並び、本県が全国に先駆けて開拓してきたのは障がい者雇用です。県では平成27年度から、障害者就業・
生活支援センターの
雇用アドバイザーが企業への仕事の切り出しの助言や人と仕事との
マッチング支援などに努めた結果、雇用につなげた障がい者は昨年度末までに延べ1,137人に上ります。 こうした地道な就労支援は着実に成果を上げてきましたが、障がい者雇用を躊躇する企業からは、依然として、どんな仕事が任せられるのかとか、社員が障がい者の特性を理解できるだろうかといった不安の声も聞かれます。このため、雇用の優良事例や就労支援を行う事業所の活動のほか、職場で生き生きと活躍する障がい者の姿も盛り込んだ定期情報誌を来月創刊し、企業側のさらなる理解を促進します。 また、労働局との行政連携に加え、障がい者団体と企業の経営者双方が参画する大分県障がい
者雇用支援合同会議を去る6月に立ち上げ、互いの課題やニーズの共有など忌憚のない相互理解の場としています。 こうした取組により、企業ニーズと本人の希望を丹念に結び付けながら、雇用の促進とその後の職場定着を図っています。 もう一つ、かねてより本県では、知的及び精神障がい者の一般就労の促進が大きな課題の一つです。中でも、知的・精神障がい者が利用している県内339か所の
就労系福祉事業所から企業等への一般就労の移行率を見ると、全国平均の半分以下にとどまっており、その底上げが喫緊の課題と捉えています。 そこで、今年度から一般就労支援に豊富な実績をお持ちの施設の中核職員を実績の乏しい
就労系福祉事業所に派遣して、伴走型で重点支援する
一般就労チャレンジ事業により雇用の拡大を図っています。 多様性と調和を理念とした
東京パラリンピックに続き、11月には中村裕博士が提唱した
大分国際車椅子マラソンも第40回記念大会を迎えます。この節目にあたり、気持ちを新たに障がい
者雇用率日本一の早期奪還を目指していきます。
○
御手洗吉生議長 岡本教育長。
◎
岡本天津男教育長 私から2点についてお答えします。 最初に、
高等特別支援学校での教育についてです。 さくらの
杜高等支援学校の来年4月の開校に向け、現在、校歌や校章、制服の選定、教育課程の編成など準備を進めています。 知的障がいのある生徒が能力を発揮できるよう、就業機会の多い業種からコースを設定しています。一つは、清掃業務や洗車等を学ぶ
クリーンコース、二つは、商品管理や接客、販売を学ぶ流通・販売コース、それから三つは、調理や食品衛生を学ぶ調理コースです。各分野で基本的な技術や知識を学んでいただくことと考えています。 1年生の2学期までは全てのコースを学習経験した上で、生徒の希望や適性に応じて、3学期からコースを決定します。 企業での短期、長期の実習も充実させます。卒業までに15回、約600時間を予定しています。学校で学んだことを企業で実践し、その振り返りを通して課題の解決方法を学校で再度学ぶ。この過程を繰り返して、生徒の希望する進路の達成を目指します。職業的に自立して、地域や社会に貢献できる人材の育成に取り組んでいきます。 続いて、
特別支援学校の環境整備についてお答えします。 大分支援学校の仮設校舎については、既に契約を締結しており、来年4月からの供用開始に向けて準備を進めています。 本校舎については、大分市東部地区の児童生徒数の動向や、今後、国が定める設置基準を踏まえて設置の規模を定めたいと考えています。 別府地区については、第3次計画策定後、病弱児童生徒が増加するなど状況が大きく変化しました。別府支援学校3校には、併設している医療機関以外を主治医とする児童生徒が増えてきているため、それら主治医との連携の在り方も含めて検討が必要と考えています。
南石垣支援学校については、国が5月に公表した設置基準案と比べると、運動場の面積が大きく不足しています。したがって、その確保が課題だと考えています。 これらを整備しながら検討を行っているところであり、今後、有識者や関係機関の方々の御意見も伺いながら、環境整備について方針を定めたいと考えています。
○
御手洗吉生議長 古手川正治君。
◆
古手川正治議員 ありがとうございました。 さくらの
杜高等支援学校については、設置される三つのコースなど教育内容について、今御答弁をいただきました。来年4月の開校に向けて準備が進んでいるのだなと感じました。 ただ、言うまでもありませんが、目的は開校ではなく、生徒の一般就労100%、4月には一般就労を目指す生徒さんが入学してくるので、その生徒さんたちが3年後に希望する進路を達成できるように頑張ってください。 また、このたびのさくらの杜、非常にいい内容だと思っています。これをぜひ県下の他の支援学校にも連携して、県下全域の意識のレベルアップが図れるように、大分市中心だけではなくて、全域にお願いします。 そして、大分支援学校の校舎については、少しでも早く仮設校舎から本校舎へ移れるようにぜひ進めてください。 そして、第3次
特別支援教育推進計画にある大分地区の
特別支援学校の再編整備については、大分市内での知的障がい
特別支援学校の新設をもって一区切りになるだろうと思いますが、引き続き状況を見ながらよろしくお願いします。 一方、別府地区ですが、私も文部科学省が5月に公表した
特別支援学校設置基準案を見ましたが、
南石垣支援学校の現在の敷地では校舎を高層化しないと基準に達しないのかなと思います。これはかなりの難工事だと思います。敷地の問題等、相当な課題があると思います。現在の敷地は別府駅に近く、非常に利便性はいいんでしょうが、より広い運動場とか、よりよい教育環境の整備に向けて、ある意味、移転も含めて大きな視点で考えてみてもよいのではないかと感じますが、教育長、いかがですか。
○
御手洗吉生議長 岡本教育長。
◎
岡本天津男教育長 文部科学省から示されている設置基準案を見たときに、運動場の必要面積3,600平方メートルというのが現状なんですが、それに対して
南石垣支援学校の運動場の面積は2,250平方メートルということで、1,400平方メートルほど不足している状況です。現在の敷地でこの1,400平方メートルの用地を確保するのは、なかなか難しいと考えています。 そういうところから、子どもたちにとってどうあるのが最もよいかということを最優先に考えられる選択肢について、幅広に検討を行い、できるだけ早く方針を定めたいと考えています。
○
御手洗吉生議長 古手川正治君。
◆
古手川正治議員 隣接地にある医療機関との連携とか、非常にいい形でこれまでやってこられている、そういう特色もあるんでしょうが、新しいこれからの展望を踏まえて、ぜひ御検討ください。 そして、知事から非常に力強いお言葉をいただいたと思っています。障がい者雇用に向けて一層力を入れてください。 私の会社にも知的障がいの方、働いていただいています。やっぱり周りの方がそれになじむというか、慣れるまで少し時間がかかりますが、本当に一生懸命働いてくれて助かっています。そういう意味で、私もぜひ障がいのある方が企業との縁ができるように、また、一個人として、議員としてもこれからも努めます。どうぞ引き続きよろしくお願いします。 それでは次に、過疎対策についてです。 先月、4月1日に施行された新過疎法に基づく新しい県の過疎地域持続的発展方針が公表されました。新方針は、これまでの旧過疎法における過疎地域自立促進方針を踏襲し、県長期総合計画と第2期まち・ひと・しごと創生大分県総合戦略を軸に作成され、パブリックコメントに続き、国の関係省庁との協議を経て、策定されたと伺っています。 過疎対策は、昭和45年の過疎地域対策緊急措置法の制定以来、国、県、市町村で最優先に取り組んできたものです。これまでも過疎地域の生活基盤の確保のための道路整備や観光等の産業振興などを図るため、各市町村が県の方針に則した過疎計画を作成し、それぞれの地域で実践してきたところです。特に財政基盤が脆弱な過疎市町村にとっては、過疎対策事業債は元利償還金に対する交付税措置率が高く、使い勝手のよい非常に重要な財源であり、市町村がそれぞれの政策課題の解決をしていくためにはなくてはならないものです。その意味では、今回策定された方針は過疎行政の根幹をなすものであり、非常に注目すべきものです。 そこで、内容について従来の方針との違いを検証します。安心の項目に感染症への対応や地域共生社会の実現、再生可能エネルギーの利用の推進、活力の項目に先端技術への挑戦、働き方改革の推進と人材の確保、育成という項目が新たに設けられています。地域共生社会の実現や人材の確保などは、正に過疎地域が今抱えている問題であり、解決に向けて取り組むべき政策です。各市町村において、県の方針を受けて、さらに具体化したよりよい政策を企画することが期待されます。 一方で、感染症対策や再生可能エネルギーの中での脱炭素化社会へ向けた取組、あるいはDXなど先端技術を企図した施策など、過疎地域の持続的発展に向けた未来志向的な政策については、市町村だけでは展望が開けないものもあり、県として、市町村の過疎計画策定に向けて連携して取り組んでいただきたい内容であると考えます。 今回の方針は、今後、市町村が策定していく過疎計画の指針となるべきものです。県として、過疎地域を抱える市町村にどのような意図を持って作成したのかをしっかりと理解してもらい、各市町村の過疎計画の策定に結び付ける必要があります。また、市町村の過疎計画策定とあわせ、県の過疎計画も立案されると思います。計画を通じて、今後、どのように過疎に対してアプローチしていくのか、知事に伺います。 次に、離島航路の維持について伺います。 過疎の問題を少し掘り下げて質問します。 県内の過疎地域は、どこも人口流出と高齢化の進展に所得や雇用の場の減少、従来のコミュニティー機能の低下などの社会課題に直面しています。私の地元の津久見市においても、こうした状況は各地区の集落で見受けられます。特に離島である保戸島では、そうした状況が顕著に表れています。 保戸島の人口は、7月末現在で621人、そのうち65歳以上が470人と高齢化率が75%を上回っており、離島が他の地域と違うのは、集落と他地域を結ぶ交通網が限定されることです。この保戸島と津久見とを結ぶ航路は、民間事業者が国、県、津久見市の運営費補助を受けながら1日6往復運航しており、島民や観光客など年間7万人が利用する、保戸島と本土を結ぶ唯一の交通手段であり、島民の本土への通院や買い物等の日常生活において欠かすことのできない航路です。 一部報道で御承知のとおり、本航路の運航事業者が来年9月末に正式に撤退する意向を表明しました。今回の正式表明を受け、市が来年10月以降の運航事業者を公募したものの、応募がありませんでした。こうした中、先月27日に津久見市は、航路運営を引き継ぎ、民間会社へ委託する方向を示しました。過疎地域にある津久見の財源は厳しく、本航路の存続については、島民はもとより、多くの市民が大変心配をしています。 今後の離島航路の維持については、地元自治体である津久見市が主体的に責任を持って検討すべきであることは承知していますが、来年9月までという時間的な制約もあることから、本航路の存続に向けて、県としても市へのサポートをお願いしたいと思っています。本航路の維持について、企画振興部長の考えをお示しください。
○
御手洗吉生議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 過疎対策について御質問をいただきました。私から過疎計画の策定についてお答えします。 過疎地域は、豊かな自然や歴史、文化に恵まれ、県土の保全や水源の涵養等、多面にわたる機能を有し、県民の生活に豊かさと潤いをもたらす大切な役割を担っています。 県では、県土の大半を占める過疎地域が発展し、そこに住み続ける県民が安心して安全に暮らせるよう、これまで道路等のインフラ整備や、少子高齢化に対応した福祉の充実、医療の確保等を推進してきました。 今後は、今年4月に施行された新過疎法に基づき、近年の移住者の増加、革新的な技術の創出といった過疎地域の課題を解決する新しい動きも踏まえ、引き続き過疎地域の持続的発展に取り組むこととしました。 過疎対策の大綱となる県の過疎方針には、時代の変化に対応した施策を推進していけるように、移住・定住の促進やDX等の先端技術への挑戦といった取組を新たに盛り込みました。 また、過疎方針に基づき策定する過疎計画においては、人口に関する目標の設定が求められています。そのため、県の計画では、人口ビジョンとの整合性を図り、社会増減の均衡を目指して、過疎地域の課題解決に向けて、主に次のことに取り組むこととしています。 一つは、移住、定住、地域間交流に向けた取組です。福岡の交流拠点dot.の開設や、新型コロナ感染症を契機とした地方移住の機運の高まりを捉え、若者の移住、定住を促進します。また、安心して子どもを産み育てられるように、地域の医療体制の整備や教育分野でのICTの活用等に取り組むほか、複数の集落で支え合うネットワーク・コミュニティの構築を推進します。 二つは、雇用創出につながる産業の振興です。地場企業等の先端技術を活用した製品開発の支援や生産性の向上、スペースポートを核とした経済循環の創出等に取り組みます。また、もうかる農林水産業への体質転換を加速するために、水田の畑地化による高収益な園芸品目の導入等の構造改革を進めます。 三つは、市町村への人的、技術的支援です。過疎市町村が専門家の助言を受けつつ企画の立案や取組が推進できるように、集落対策において政策支援員の配置を検討していきます。また、市町村の過疎計画の策定にあたっても、県の方針の下、県と市町村が一体となって過疎対策に取り組んでいけるようにしっかりと支援をしていきます。 コロナ禍では、東京一極集中のリスクを顕在化させて、集中から分散へという価値観の変化をもたらしました。このような時代の変化の中、過疎地域の持続的発展はこれまで以上に重要な課題となっており、市町村とも連携しながら全力で取り組んでいきます。
○
御手洗吉生議長 大塚企画振興部長。
◎大塚浩企画振興部長 離島航路の維持についてお答えします。 離島航路は、離島と本土を結ぶ唯一の交通手段であり、住民の日常生活はもちろん、観光や地域振興の観点からも極めて重要です。そのため、県では、離島航路の維持、確保を図るため、県内の四つの航路に対し、国や地元市町村とともに運航赤字への補助等の支援を行っています。 議員御指摘の津久見、保戸島航路については、運航事業者が来年9月末をもって撤退する意向を示していましたが、先般、津久見市が事業主体として責任を持って航路を引き継ぐことを決定したと承知しています。航路を引き継ぐにあたっては、まずは津久見市が具体的な運航内容や運航委託先を決定するとともに、国の事業許可申請などの手続を着実に進めていくことが必要となります。 県としては、これまでも津久見市とともに運航事業者との協議などを重ねてきたところであり、来年10月以降の航路運営が途切れることのないよう、引き続き津久見市を支援していきます。
○
御手洗吉生議長 古手川正治君。
◆
古手川正治議員 ありがとうございました。 過疎化が進む市町村にとっては、何といっても過疎対策事業債の活用の可否が命綱です。公共施設や道路整備といったインフラ整備はもちろん、過疎問題と切っても切り離せない日常的な交通手段や地域医療を確保するための事業にも財源として活用されています。 その中、今回の法改正では、杵築市と宇佐市が全部過疎からみなし過疎地域に、また、大分市の旧野津原町、旧佐賀関町が一部過疎から非過疎地域となりました。みなし過疎地域でしたら、引き続き過疎債が活用できます。一方、非過疎地域になってしまうと、6年間は活用が認められるなど一定の経過措置があるものの、その後のことを考えると、より長期的な視点での政策立案や、比較的期間を要する投資などについては二の足を踏むことになるのではないかと心配しています。 そこで、総務部長に伺います。過疎法は議員立法ですが、過疎の要件設定などについては総務省の関わりも重要になってくると思います。今後、見直しが行われる際には大分県の過疎市町村のことを考えていただき、これからも必要な対策がしっかりと実施できるよう実態に即した検討をぜひお願いしたいと思いますが、御見解をお願いします。
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御手洗吉生議長 和田総務部長。
◎和田雅晴総務部長 今後、過疎制度が見直される場合には、大分県の過疎の実情もしっかり踏まえていただきたいという御質問かと思います。 大分県の過疎の状況を見ると、過疎市町村数の割合が全国で4位、過疎地域の面積の割合が全国で3位、人口の割合が全国5位と非常に過疎の比重が高い県の一つかなと思っています。 御質問にもありましたが、過疎対策事業債、交付税措置率が70%という大変有利な起債ですので、過疎から外れて過疎債が発行できないとなると、財政運営上も非常に大きな支障が生じます。今後とも、大分県内の市町村が安心して過疎対策に取り組んでいけるよう、国に大分県の実情を伝えることも含め、精いっぱい取り組んでいくので、よろしくお願いします。
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御手洗吉生議長 古手川正治君。
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古手川正治議員 よろしくお願いします。 保戸島の離島航路の件については、いろんな課題があります。しかし、津久見市がまず主体となってという形ではあると思っています。 そして、中部振興局とか土木の皆さんも含めて、知事がおっしゃる過疎地のモデルケースのような、非常に面白い景観を有しているので、そういう形で地元の方と--ただ、地元だけではできません。やっぱり新しい知恵を入れながら、そういう方向でまた、地域とともに、津久見市とともに考えていきたいと思うので、ぜひモデルケースにできるように、知事をはじめ、執行部の皆さんの御協力をお願いします。 それでは、県立病院の今後の対応という中で、感染症医療の強化について伺います。 足かけ2年にわたり猛威を振るっている新型コロナウイルスにより、本県の受けた経済的な影響は計り知れません。一方で、我が県においては、感染状況を的確に把握し、状況に応じた検査や宿泊療養施設の活用、ワクチン接種の早期実施など医療提供体制を確保しながら感染防止対策を図り、今のところ、まん延防止等重点措置区域の申請など法的な対応に移ることなく、新型コロナウイルスと向き合ってきました。この間の知事をはじめ、医療従事者及び関係者の努力にまず敬意を表します。 こうした医療機関の中にあって、本県では、大分県立病院は第一種感染症指定医療機関として、中核となって活躍していただいていることは言うまでもありません。既存の独立した感染症病棟だけでなく、一般病床も感染症用に転用し、率先して県内病院の範となる対応をしていただきました。正に災害のような急な状況変化に的確に対応可能であった点は、日頃から十分な想定と実践できるだけの訓練をしていたからではないかと推測します。 今議会において、県立病院の令和2年度決算が上程されています。昨年の令和元年度決算では約1億9千万円の黒字であった医業収支が、2年度では5億7千万円の赤字となっています。結果的には、病院事業会計全体では3億9千万円の黒字と昨年よりも2億5千万円ほど黒字幅を減らしていますが、6年連続の黒字決算となり、コロナ禍で苦しい経営状況であったが、何とかやりくりをつけたことがよく分かる決算です。 将来に向けた対策も必要です。コロナ禍によりどのような問題があり、何が不足していたのかをしっかり洗い出し、対策を取る必要があります。感染症に関しては、大分大学附属病院と県立病院が県民にとって最後のとりでです。期待に応える対策をさらに充実させていただきたいと思います。県立病院の感染症医療の強化について、病院局長の御見解を伺います。 また、近年の豪雨災害も見逃すことはできません。県立病院の立地を考えると、大分川のすぐ近くであり、付近の堤防が決壊した場合には水没のおそれもあります。ハザードマップでは5メートル程度の浸水が考えられていると伺っています。平成24年の九州北部豪雨から全国的にも毎年発生している豪雨については、これまでの想定を超える災害を度々引き起こしており、これまでに想定していた災害に対する考え方では通用しない状況も発生してきています。 災害拠点病院でもあり、高度急性期及び急性期医療を担っている県立病院が災害で機能停止することがないように、もう一度、災害対応を施設面や体制面で点検する必要があるのではないでしょうか、病院局長の御見解を求めます。
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御手洗吉生議長 井上病院局長。
◎井上敏郎病院局長 質問のあった2点についてお答えします。 まず、感染症医療の強化についてです。 当院は感染症指定医療機関として、感染症指定病床に加え、一般病床の一部を転換して対応してきました。 感染症病床では、患者を受け入れて初めて医師、看護師を配置する診療体制です。そのため、今回の対応にあたっては、呼吸器内科を中心とした全診療科の医師のローテートや、一般病床を休止、縮小して看護師の再配置を行うなど診療体制の再構築を図ってきました。 その結果、一部の一般医療を制限せざるを得ない状況となっていますが、優先度の高い救急の受入要請は、他の病院とも連携して、可能な限り影響がないよう努めています。 これまでの経験から、最重要課題は感染症に対して専門性の高い医師、看護師の確保と認識しています。感染管理認定看護師のさらなる養成に向けて、研修派遣に既に着手したところです。今後とも、他の医療機関とともに関係行政機関との連携を進め、感染症指定医療機関としての役割が果たせるよう努めます。 次に、災害対応についてお答えします。 当院では、水害時の浸水対策として、病院本館などの出入口等へ防水板を設置しています。しかし、近年、豪雨災害が頻発、激甚化の傾向が顕著であり、さらなる対策強化の必要性を痛感しています。 施設面では、現在、非常用自家発電設備や医療用ガス設備などを1階、または地下に設置しており、防水板を越えて浸水した場合、被害のおそれがあることから当該設備の高架化を検討しています。 次に、体制面については、災害対応には日頃からの備えが重要であることから、BCP、業務継続計画に沿った研修会や訓練を定期的に行うとともに、計画の見直しを適宜行っています。今後とも、災害拠点病院として、施設面、体制面の強化に取り組むことにより、県民医療の基幹病院としての役割を果たしていきます。
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御手洗吉生議長 古手川正治君。
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古手川正治議員 ありがとうございました。 病院の件についても、災害対応、コロナもある意味災害だと認識していますが、そういう部分で冷静にこれまでのことを検証し、次の計画に向けて研修等を考えられているというお話を伺って、非常に安心しています。これも、県民にとって本当に安心できるお言葉だと受け止めます。 今、病院局長のお話の中で、感染管理認定看護師の研修というお話がありました。私も、この認定看護師が非常にいい形で今回働いていただいたと思っています。津久見の施設でもクラスターが発生したときに迅速に対応していただき、自信を持って指示--命令ではないですが、てきぱきとしていただける。ある意味、パニックの中でそういうベテランの方の対応は非常にありがたかったというお話も伺っています。福祉保健部長に伺いたいんですが、県として今後、感染管理認定看護師の養成についてどのような考えがあるのか伺います。
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御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。
◎山田雅文福祉保健部長 感染管理認定看護師については、所属する医療機関での院内感染防止のみならず、さきほど議員がおっしゃったように、クラスターが発生した社会福祉施設等に実際に乗り込んでいって、いろんな指導をいただいたりとか、あるいは保健所が行う感染管理の研修、あるいは防護服の着脱研修といった研修にも講師として御協力をいただいており、様々な面で活躍していただいています。 県内には大規模病院を中心に34人の感染管理認定看護師がいますが、一つ問題は、養成に1年間の研修が必要であり、県立病院のような大規模病院はともかく、中小の病院では、なかなか研修への派遣等の期間をどう対応するかという問題があります。 県としては、今後、新型コロナをはじめとする新興感染症への備えとして、この感染管理認定看護師の養成は大変重要な課題だと認識しています。今後どのような支援ができるか、関係者の皆さんと協議していきます。
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御手洗吉生議長 古手川正治君。
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古手川正治議員 ありがとうございました。 現場の通常業務の中からそういう1年という長期の研修が必要と。誰もができるようなものではないと思うので、ある程度の中核となる方をしばらく病院から外さなければいけない、いろんな課題があると思いますが、ぜひ積極的に取り組んでいただければと思います。知事、よろしくお願いします。 それでは、最後になりますが、既存インフラの整備と防災対策について伺います。 まず、先月、お盆の期間中の大雨で被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。昨年の7月豪雨災害や平成29年の台風18号など毎年のようにやってくる大きな自然災害に対して、玖珠川や津久見川の改良復旧、山間部の災害関連緊急砂防事業、国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策を活用した県土強靱化事業など、新たな施設整備に取り組んでいただいています。 今年6月には、私の地元、津久見市港町で、住宅街近くの宮山北側の法面が高さ60メートル、幅13メートルにわたって崩落する土砂崩れが発生しました。一時は住宅への被害の可能性を考慮して、津久見市より68世帯133人に対して避難指示が発令されました。周辺の道路が3路線通行止めとなり、大変心配したところですが、半世紀前である昭和50年頃の急傾斜地崩壊対策事業で整備をしていた擁壁とモルタル吹付けが機能し、住宅被害もなく、現在は崩壊面の応急工事が完了し、本復旧に向けた準備を進めていただいています。この間の臼杵土木事務所をはじめとする関係者の皆さんの迅速な対応に感謝します。 この土砂崩れから、防災・減災対策として既存施設の機能をしっかり発揮させることも大切だと感じたところです。川に土砂が堆積しており、水があふれるのではないか、砂防ダムに土石がたまっているが、土石流を受け止めてくれるのだろうかといった声を地域の皆さんから聞くことがあります。河川施設や砂防施設などは、安全・安心な暮らしを支える重要な施設です。 今年5月28日に閣議決定された社会資本整備重点計画では、自然災害が激甚化、頻発化する中で、整備したインフラが事前防災として大きな効果を発揮するためには平素からの維持管理が不可欠であると記述されています。 そこで、整備された安全・安心な暮らしを支えるインフラの機能を発揮させる防災・減災対策について、土木建築部長の御見解を伺います。
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御手洗吉生議長 島津土木建築部長。
◎島津惠造土木建築部長 本年6月に発生した津久見市の土砂崩れでは、既存施設によって被害を最小限に食い止めることができました。 議員御指摘のとおり、投資した施設の効果を最大限発揮させるには、適切な維持管理が大変重要です。このため、県では、河川や砂防施設の出水期前点検や巡視を毎年実施するとともに、県民からの要請を踏まえて、異常箇所の早期発見、早期対策に努めています。 さらに、定期的に施設を点検し、その結果に基づく健全度評価を行い、緊急性の高い箇所から順次対策を講じています。 具体的には、河川では除草や支障木伐採をはじめ、河床掘削や堤防の補強、かさ上げなどを実施しています。また、砂防施設では落石防護柵の補修や擁壁背後の土砂撤去、吹付工や擁壁工の改築、補修等を行っています。 今後とも適切に点検を行いながら、5か年加速化対策の予算も活用して、安全・安心インフラの機能維持、向上に取り組んでいきます。
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御手洗吉生議長 古手川正治君。
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古手川正治議員 ありがとうございました。 港町の災害のときに現地に行って、この擁壁が、この吹付けが本当にあってよかったなと。両サイドが住宅でしたので、部長も現地を見ていただいたと思います。やっぱりやっていてよかったなということを痛切に思いました。 なかなか手の届かない、小さなことですが、数年前から知事にも御理解をいただき、河床掘削とか急傾斜、砂防ダムといった県単の経費も随分と増やしていただいています。ただ、その中でもまだ急傾斜の率は30%ちょっとであり、やはり怖い思い、危険な思いをしている県民はたくさんいるので、限られた予算の中だとは思いますが、まずできることから、今回質問した事項も含めて、そして、砂防ダムもできれば--やられているかもしれませんが、順番を決めてとか、地権者との合意ができているところから早めに始めるとか、やっていただいている中でもう一工夫していただければ、県民も安心して生活できると思うので、よろしくお願いをして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
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御手洗吉生議長 以上で古手川正治君の質問及び答弁は終わりました。高橋肇君。 〔高橋議員登壇〕(拍手)
◆高橋肇議員 おはようございます。24番、県民クラブの高橋です。今回、一般質問に立たせていただきありがとうございます。 新型コロナウイルス感染症もデルタ株の拡大によって新たな局面に入っています。医療の最前線で力を尽くしていただいている関係者の方々の御苦労に対し、心より感謝するとともに、今、治療をされている多くの皆様の一日も早い御回復をお祈りします。 では、質問に入ります。 新型コロナウイルス感染症の対策と支援について、まず、子どもの感染防止対策についてお尋ねします。 感染が拡大しているデルタ株は、大きな特徴として感染力が非常に強く、従来株の2倍ほどもあると言われています。国は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置など対策を講じていますが、十分な効果を上げているとは言い難く、大分県でも現在、新規感染者数は減少傾向にあるとはいえ、予断を許さない状況です。 このデルタ株について私が非常に危惧するところは、従来株と異なって、子どもに感染しやすくなっているという点です。報道によれば、ある小児科のクリニックでは、発熱症状を訴える子どもたちにPCR検査を実施すると、約半数の子に陽性反応、つまり、陽性率が50%という驚く数字が出ているということです。ワクチン接種の対象は満12歳以上なので、小学生以下の子どもたちのほとんどは接種を受けることができません。したがって、感染した子どもたちが各家庭にウイルスを持ち帰り、家庭内感染を起こす可能性があります。 一方で、ワクチン接種完了者が再び感染するブレークスルー感染もあるとされる中、大人から子どもへの感染も危惧されます。このようなことを踏まえると、子どもたち、特に小学生以下への感染対策の見直しが急務ではないでしょうか。私がお話を聞いた内科医も、夏休みが終わり、学校も始まる中、市町村よっては秋の運動会や体育祭などの練習が始まるところもあって、子どもたちを中心とした感染拡大が心配されるとおっしゃっていました。 子どもたちが安心して学び、遊び、生活できる環境確保に向けて、県としてしっかり取り組むことが重要と考えますが、このデルタ株が子どもたちに与える影響について、県としてどのように認識し、特にワクチン接種対象でない12歳未満の子どもたちの感染防止対策にどのように取り組もうとされているのか、知事にお尋ねします。 続いて、クラスター発生時の子どもの預け先についてです。 今回のコロナ禍は、女性、年配者、障がい者、ひとり親世帯など、社会的弱者へ大きな負担がかかっていることが明らかになっています。 今年7月から8月にかけ、会派の県南地区選出議員で臼杵市、佐伯市、豊後大野市でのワクチン接種の状況や、コロナによる市民生活への影響などについて調査しました。その中で、働く世代の親たちから、子どもを預けている施設でコロナ患者が出たり、クラスターが発生したりすると施設は休みになり、子どもを預ける場所がなくなる、仕方なく親が仕事を休まざるを得ない。緊急時に子どもを一時的に預けられる場所を設けてほしいという切実な声を伺いました。特に、近くに親や親戚のいないひとり親家庭が困っている実態があると聞きます。 保育所、幼稚園、認定こども園、放課後児童クラブなど、子どもの預け先は多岐にわたりますが、いずれもふだんから密状態で、いつクラスターが発生するか分かりません。これらの施設が休園になったとき、子どもたちを一時的に預かることのできる場を各自治体と協力して早急に設置すべきと考えますが、見解を伺います。 三つ目に、九州各県との広域搬送の連携について伺います。 デルタ株の感染拡大によって、首都圏など大都市では地域のベッドに入れず、自宅での療養を余儀なくされている患者が増加しています。また、病院のベッドは空いているにもかかわらず、医療現場の人員不足から対応が困難になっている事例も多くあるようです。 一方、コロナ患者の対応には多くの人員と時間が割かれるために、一般診療にも影響が出ていると聞きます。本県においても、8月中旬を境に新規感染者の数が大幅が増加し、その影響が危惧されます。 このような中、今後、この九州内でも県境を越えて感染者の治療にあたることができる医療機関を探し、県外へ搬送しなければならない事態の発生も想定されます。病床不足に備え、患者を受け入れてもらったり、逆に受け入れたりという他県との広域搬送に係る連携強化を図っておくべきと考えますが、見解を伺います。 以下、対面席より伺います。 〔高橋議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
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御手洗吉生議長 ただいまの高橋肇君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 高橋肇議員から、子どもの感染防止対策について質問がありました。 県内でも感染力の強いデルタ株への置き換わりが進み、第5波では既に第4波の2倍に迫る陽性者が確認されています。ワクチン接種の効果により、高齢者の感染が大幅に減少してきた一方で若年層が増加しており、その中で児童、幼児等の感染者数はおよそ10%となっています。 子どもの感染経路を分析してみると、家族間の感染が84%を占めています。一旦デルタ株ウイルスが家庭内に持ち込まれると、家族全員が感染する事例も多くなっており、その影響で児童、幼児の感染も増えているものと思われます。 このデルタ株の特性を踏まえた子どもの感染防止のためには、家庭内での基本的な感染対策の徹底はもとより、学校等においても次の三つが重要です。 一つは、学校や幼稚園等での感染対策の徹底です。小学校などでは、マスクの着用、手洗い、手指消毒、黙食などの励行や、小まめな換気などをお願いしています。 また、家庭からウイルスを持ち込まないために、児童などへの日々の健康観察とともに、本人のみならず、家族の体調が悪い場合でも躊躇なく学校を休むように呼びかけています。 二つ目は、子どもに関わる教員などの感染予防です。2学期から子どもたちが安全に学べるように、全国に先駆け、小学校や幼稚園の教諭をはじめ、保育士や放課後児童クラブの支援員などを対象に、8月末までにワクチン接種を完了しました。 三つは、感染の早期の封じ込めです。集団生活で一たび感染が確認されると、大規模クラスターとなるおそれがあります。このため、5月には国に先行して迅速診断キットを幼稚園、保育園、小学校などに広く配付し、体調不良時に即座に検査できる体制も整えました。万一、小学校や幼稚園、保育園などで感染が確認された場合は、速やかに疫学調査を行い、接触者を迅速に特定して、幅広にPCR検査を実施しています。これまでに子どもたちのクラスターはいくつか確認されていますが、いずれも早期の封じ込めに成功しています。 夏休みが終わり、新学期が始まりましたが、既に多くの学校で分散登校や、運動会、修学旅行の延期などの御負担をおかけしています。県としては、一日も早く子どもたちに安全・安心な学びの場を提供できるように、感染の収束に向けて引き続き全力で取り組みます。
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御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。
◎山田雅文福祉保健部長 私から2点お答えします。 1点目は、クラスター発生時の子どもの預け先についてです。 保育所や放課後児童クラブ等は、感染拡大時であっても原則開所することとなっているため、日頃から入念な手洗いや咳エチケット、小まめな換気など感染防止対策を徹底していただいています。また、日々子どもと接する職種であることを考慮して、保育士等へのワクチンの優先接種も行ってきたところです。 それでもなお、保育所等で感染者が発生し、臨時休園になった場合は、市町村が相談窓口となり、代替保育施設を紹介するなど、保護者に寄り添った対応を行っています。放課後児童クラブも同様に、ファミリーサポートセンター等の代替事業の紹介や学校の空き教室での預かりなど、各市町村において学校と連携した取組が行われています。 また、ひとり親家庭も含め、夜間の預け先が必要な場合には、児童養護施設等を活用するショートステイやトワイライトステイも御利用いただいています。 今後とも、市町村と協力し、各家庭の実情に応じた子どもの居場所の確保に努めます。 2点目は、九州各県との広域搬送の連携についてです。 新型コロナウイルス感染症対策として、医療提供体制の強化、拡充は極めて重要であり、県内で療養できる十分な体制の整備に努めています。デルタ株による第5波の中、入院病床は460床まで上積みし、宿泊医療施設も大分市に加え、中津市、日田市にも新たに開設し、8棟1,019室を確保した結果、病床使用率も低下してきています。 一方で、ECMO(エクモ)、これは人工心肺を使用した特殊な治療ですが、このECMOを必要とするような重症患者については、九州各県ともに対応可能な医療機関や医療従事者が限られており、議員御指摘のとおり、県境を越えた広域連携が重要となります。 このため、昨年12月、九州・山口9県ECMO広域利用等に関する協定を締結し、広域での患者の受入れや、医師や看護師等の派遣などについて協力体制を構築しました。幸い現在まで県内患者の他県への広域搬送や、他県患者の受入事例は発生していません。 今後とも、九州・山口各県との連携を図るとともに、感染者が安心して身近で治療を受けられるよう、医療機関等の協力を得ながら、県内の医療提供体制のさらなる充実に取り組んでいきます。
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御手洗吉生議長 高橋肇君。
◆高橋肇議員 ありがとうございます。 子どもが感染する最も多い場所として考えられるのは、やっぱり学校、幼稚園、保育園、そういう子どもたちが集団で集まる場所だと思うんですね。今現在、学校でクラスターは発生していませんし、感染者の数も減少して、落ち着いてきています。それは、手洗いとかマスクの着用、黙食の徹底、それから、学校によってはオンライン授業や時差登校、あらゆる手を講じて感染拡大を抑えようと、現場の先生方をはじめ、皆さんが努力をされ、その効果が現れてきいるのかなと思います。 しかしながら、今後、これから秋、冬を迎えて、季節性のインフルエンザ等とあわせて、コロナ感染が再び広がるのではないかと予想している専門家もいらっしゃいます。いわゆる感染の再拡大を防止するために、さきほどのマスクの着用、手洗い等々のためには、マスクとか、液体のハンドソープとか、ペーパータオルとか、各学校においても十分な量を備蓄していないと、いざとなったときに、大人数が出たときにはそれに対応できないと。 また、最近では除菌用の紫外線照射装置もできて、大分市等では事業所でいくつか設置しているということですが、そういうものも含めて、今のうちに対応できることはないのかを1点伺います。
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御手洗吉生議長 岡本教育長。
◎
岡本天津男教育長 県内の各学校には、年度当初に必要となる衛生用品等の例を示して、その規模に応じた購入予算を県、市町村教育委員会各々が配分しています。 御指摘のあったマスクやハンドソープはもちろんですが、ペーパータオルやアルコールなど、それぞれの学校の判断で購入するとともに、スクール・サポート・スタッフを活用して、消毒作業等の対応をしています。 現在、国からは、追加で交付措置がなされようとしています。それも活用して、県立学校においては、必要に応じて追加配分を行うとともに、市町村立学校にも活用を促したいと考えています。
○
御手洗吉生議長 高橋肇君。
◆高橋肇議員 ありがとうございます。よろしくお願いします。 小さな子どもは大人と違って、かかって、例えば、味覚、嗅覚に異常があっても、当然ですが、それをうまく伝えられません。そうなれば、当然周りの大人の注意力が必要になってきます。私は、そうやってかかったときの子どもたちの状況だけかと思ったら、今日、たまたま朝のテレビで、その後、つまり治った後の後遺症による味覚、嗅覚の異常が続いていても、子どもはそれをなかなか訴えることができないと。 つまり、かかったとき、それから、かかった後も周りの大人が注意して見ていてあげないと、子どもたちは自分の異常を大人に訴えることができないと。学校の先生が、いつもなら食べる給食を残す子どもがいる。おかしいと思って医者に行くと、そういう後遺症が残っていたことが分かったということがあるので、子どもたちの状況、こういうことがあるんだよという例も、今後、具体的に保護者を含め多くの方に周知して、みんなで子どもたちの様子を注意深く見守っていきながら、感染症の対策を進めていかなければいけないのではないかと思います。 それから、クラスター発生時の子どもの預け先ですが、保護者が仕事を休むことができる状況が最も望ましいわけですが、それはなかなかいろんな事情から困難だろうと思います。それだけに、短期間でも預けられる場所を行政が用意しておくということは、今後、災害が起きたときにもそれが生かされていくのではないかと思います。 あと九州各県の広域搬送の連携、これも重要なことではないかなと思います。しっかりと協力体制をこれからもよろしくお願いします。 それでは次に、リモートワークの環境整備と企業誘致についてお尋ねします。 コロナ禍でリモートワークが普及し、住む場所を限定せずとも仕事ができる社会が現実のものとなりつつある中、地方移住への機運も高まっています。 内閣府の新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査では、東京圏在住者で地方移住に関心がある人は直近の調査で33.2%と、コロナ禍直前の2019年調査に比べて8.1ポイントも上昇しています。 一方で、この調査では、地方移住にあたっての懸念や不安材料として、仕事や収入と答えた方が5割近くを占めています。また、転職支援会社のパーソルキャリアが昨年8月に1万5千人の正社員を対象に実施した調査によると、地方転職に興味のある方が希望する働き方として、地方に住んで、首都圏の企業にリモートワークなどで働きたいが51.1%と、地元企業への就職の48.9%を僅かに超えており、仕事の確保とリモートワーク環境の整備が地方移住促進の要になってきたと考えます。 このような状況を踏まえると、このリモートワークが移住促進の一つのポイントになると思われます。移住しても仕事の内容は変えず、都会と同じように働くことができる環境、つまり、リモートワーク環境が整えば、住環境に恵まれた本県に移住したいと思う人も増えてくるのではないでしょうか。また、環境整備とともに、県から積極的にリモートで働くことができる分野を提案していくことも必要ではないかと考えます。 あわせて、企業誘致も重要です。コロナ禍の中、企業の中には本社機能を移転する事例が見受けられます。生活物価の安さや従業員のワーク・ライフ・バランスを確保できる本県のよさをPRし、本社機能の一部でも移転してもらえるよう積極的な働きかけを行うべきと考えます。 コロナ禍で社会情勢が大きく変化している今こそ、地方移住促進の起爆剤として、リモートワーク環境の整備と企業誘致が重要と考えますが、県としてどのように取り組まれようとしているのか、知事の考えをお尋ねします。
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御手洗吉生議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 リモートワーク環境整備と企業誘致について御質問をいただきました。 コロナ禍における大きな社会変革を的確に捉え、地方創生実現の最大の課題である人口の社会増に結び付けていくというのは誠に大事なことです。 本県は、昨年度まで4年連続で移住者が千人を超えました。この流れをさらに加速させていくためにも、コロナ禍で生じた新しい人の流れに着目して、これまでの製造業を中心とした企業誘致に加え、都市部で働く社員の移住につながる人の誘致に取り組んでいます。 人口の社会増のみならず、社員が持つ高いスキルを生かした社会活動参加による地域課題の解決や、大分での起業などにもつながっていくものと大いに期待しています。 取組の一つは、受皿となる施設の環境整備です。平成29年度から条件不利地域でのサテライトオフィス整備に取り組んできましたが、移住した社員が打合せにも活用できるスペースが欲しいという企業の声も伺い、市町村とともにコワーキング施設整備を進めています。コロナ禍により、全ての施設がうまく成果を上げているわけではありませんが、新しい働きの場として活用も徐々に浸透しているようです。 二つ目は、社員の移住を推進する企業側への支援です。独自に行った首都圏本社企業へのアンケートの中で、移住した社員が本社に出張する際の経費補助を求める意見が過半を超える企業から寄せられたこともあり、出張費用の一部を助成する制度を創設しました。 この中で、今年3月に富士通株式会社と移住等に関する連携協定を締結して取組を進めたところ、これまでに9人の社員とその家族の移住が実現しました。さらに移住した社員の、単に地域に住むだけではなくて、専門的な知識や技術で地域に貢献したいという思いを形にするために、副業による地場企業とのビジネスマッチングができないか、企業とも相談しています。 今後も、大分に移住すれば、豊かな自然環境のみならず、東京と同じ水準で仕事ができるインフラやキャリアアップにつながる機会も用意されていることを積極的にPRしていきます。 本社機能移転についても議員から御指摘をいただきました。民間調査によると、昨年、首都圏から転出した企業数が過去10年間で最多となるなど、企業自体の地方への動きが活発です。本県でもこの流れを逃さずに、本社機能移転を促進するため、雇用や転勤を奨励する補助制度を創設しました。その支援の結果、これまで本社機能の一部である研究開発部門など3件の移転等につながっています。引き続き力を入れていきたいと考えています。 今後も社会情勢の変化に機敏に対応し、あらゆる方法で県経済を活性化させ、地方創生の実現を図っていきます。
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御手洗吉生議長 高橋肇君。
◆高橋肇議員 ありがとうございました。 大分県がまとめた2020年度の労働福祉等実態調査によると、雇用型リモートワークを導入した県内の企業が12.5%と、やはりセキュリティーの問題とか環境整備の負担などが導入の魅力の大きな理由のようです。また、都市部では、昨年のコロナ禍でリモートワークを導入したにもかかわらず、その後、コロナが落ち着いてきた状況になったとき、再び原則全員出社という企業が多くなって、なかなかリモートワークが進んでいない状況もあると聞いています。環境整備に確かに費用が大きいわけですが、さきほど知事が言われたように、企業自体にリモートワーク環境整備を積極的に進めていただくことが必要であり、それがまた、本県の移住促進の第一歩にもなるのではないかと思います。 そこで、既にリモートワークに取り組んでいる企業を優先的に誘致していくことが今後考えられないのかなと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
○
御手洗吉生議長 高濱商工観光労働部長。
◎
高濱航商工観光労働部長 リモートワークに取り組んでいる企業を優先的にというお話です。 我々として、企業誘致は激しい地域間競争の中にあると認識しています。そういった中で、あらゆる可能性、あらゆる機会を逃さずに企業誘致を行うことが重要だと考えています。既にリモートワークに取り組んでいる企業にも、また、取り組んでいない企業に対しても、機会を捉え、時代の流れを捉え、その企業に魅力を感じてもらえるように、地元に合う誘致活動を行っていきます。
○
御手洗吉生議長 高橋肇君。
◆高橋肇議員 ぜひよろしくお願いします。 それでは、3番目に移ります。通学路の安全確保と交通違反の取締りについてです。 まず、通学路の安全確保についてです。 子どもたちの痛ましい交通事故が絶えません。昨日の代表質問で戸高議員も取り上げられていましたが、千葉県の八街市で今年6月、下校途中の小学生の列にトラックが突っ込んで、5人が死傷した事件がありました。この事件は、今も登下校のときに劣悪な交通環境にある通学路を使っている子どもたちがいることを私たちに改めて認識させるものでした。日頃から道幅が狭く、歩道もなく、抜け道になり、かなりの車がスピードを上げて走っていることが指摘されていたにもかかわらず、このような犠牲者が出るまで有効な手だてを取らなかった責任は非常に重いと言わざるを得ません。 県内でも、子どもたちが日々通う通学路の中には、狭く、避難場所やガードがなく、車は多く、スピードを出すという悪条件がそろった場所が数多くあります。道幅を広げ、歩道を確保し、ガードレールなど安全対策を取ることが一番なのですが、予算や土地等の制約上、困難な場所も少なくありません。子どもたちの通学路を変更することも、また難しい問題です。 特に下校中の事故が多いとの統計が出ています。今回の事故も下校途中でした。登校時と違って、下校時間は学年や学校ごとに異なり、また、季節や行事等に変更するなど対応が困難な面もあります。 しかし、抜け道として頻繁に利用される道は、交通量も多い上、スピードを出す車も多く、危険度が増しています。そのような道を特定することは、ある程度可能ではないでしょうか。下校時間帯に合わせて進入禁止とか、30キロ速度制限にするなどの交通規制対策を早期に取る必要があると考えますが、見解を伺います。 続いて、交通違反の取締り強化等についてです。 今回の事故を起こしたトラック運転手の男性は、飲酒運転をしていた疑いがあるということでした。2006年8月、福岡県海の中道大橋で起きた飲酒運転事故で幼いきょうだい3人の命が奪われ、全国的に飲酒運転撲滅の機運が高まりました。あれから15年、いまだに飲酒運転に絡む交通事故が絶えません。15年という時間がたつにつれ、飲酒運転は危険という意識が少しずつ薄らいでいないかと危惧します。 また、最近の傾向としては、携帯電話を操作しながら運転する、いわゆるながら運転もよく耳にするところです。私自身も、ドライバーが耳に携帯を当て、会話をしながら、片手でハンドル操作をして、狭い道の交差点を曲がる光景を何度か見たことがあります。県内でも、ながら運転の危険性を訴えるキャンペーンを見たことがありますが、現実としてその数は減っているのでしょうか。 飲酒運転やながら運転の撲滅に向けては、まず取締りの強化、あわせて職場等に出向いての定期的な研修会など、県民の自覚を促すような啓発活動の工夫も必要と考えますが、見解を伺います。
○
御手洗吉生議長 松田警察本部長。
◎松田哲也警察本部長 御質問いただいた2点についてお答えします。 まず、通学路の安全確保についてです。 京都府亀岡市などにおける登下校中の児童が死傷する悲惨な交通事故の発生を受け、警察では、平成24年から毎年、学校、道路管理者と連携して通学路の危険箇所に対する合同点検を実施しています。その上で、警察では、通学路の交通実態に応じ、通学時間帯の通行禁止規制により通行車両を減少させる対策のほか、一定の区域内を低速度とするゾーン30規制など、登下校時の通学路の安全対策を行っています。 今後は、ゾーン30による低速度規制と速度低下を促すハンプや狭窄といった物理的デバイスの設置を組み合わせるなど、人優先の安全・安心な通行空間の整備に向け、道路管理者とさらに協議、連携していきます。 引き続き、関係機関、団体との緊密な連携の下、御指摘の下校時間帯を含めて危険箇所を把握した場合には、交通規制の必要性などを検討の上、通学路の安全対策を早期に講じます。 次に、交通違反の取締り強化等についてお答えします。 本県の飲酒運転における交通事故発生件数は、御指摘の福岡県の飲酒事故が発生した平成18年は108件でしたが、昨年は29件と約4分の1まで減少しています。また、携帯電話使用等違反は、令和元年12月に厳罰化されていますが、この携帯電話使用違反による交通事故発生件数は、同年は20件のところ、昨年は7件と約3分の1まで減少しています。これは飲酒運転や携帯電話使用等違反の厳罰化、行政処分の強化に加え、関係機関、団体と連携した広報啓発活動等に取り組んだ結果であると認識しています。 飲酒運転や携帯電話を使用しながらの運転は、御指摘のとおり、重大な交通事故につながり得る極めて危険な行為です。県警では、今後も引き続き交通指導取締りを強化するとともに、御指摘の職場等に出向いて行う研修会などに加え、例えば、SNSを活用した広報啓発などを実施していきます。 さらに、自治体や関係機関、団体と連携して、交通安全イベントなどの広報啓発活動や体験型教室、講習などの交通安全教育についてもしっかり推進していきます。
○
御手洗吉生議長 高橋肇君。
◆高橋肇議員 ありがとうございます。 先週でしたか、合同新聞に、横断歩道一帯を7センチほど高くして、車の減速を促すスムーズ横断歩道というのが別府市に整備されたという記事が載っていました。そういう物理的なもので、車の減速を促すと。ただ、子どもたちが通う通学路、または一般の方が使う生活道路にそういうものを頻繁につくるのは、なかなか難しいと思いますが、課題とか問題点も検証していきながら、必要とあらば検討していく必要があるのではないかと思うので、そういうものも含めて今後の取組をお願いします。 また、違反の取締りの強化、SNS等を使ってやっていると。私もツイッターとかを見ていますが、ただ、あれの問題点は、自分から見ないと分からないんですね。テレビは流しておけば、コマーシャルなんかで自然に自分のところに入ってきますが、インターネットを使ったSNSは、自分から能動的にいかないと、なかなか目に触れることができないと。そういう意味で、県民一人一人の目に届くような広報啓発活動、これもまた今後の課題ではないかと思うので、その辺も含めた検討を今後よろしくお願いします。 では、最後、4番目に教育現場の課題について伺います。 まず、発達障がいが疑われる子どもたちへの支援についてです。 現在、自閉症や情緒障がいがあり、特別支援学級に在籍する子どもの数を見ると、2012年の325人から2017年には775人に増加しています。また、発達障がいの子どもを対象とした通級指導教室の利用者も12年の140人から17年には334人になるなど、年々その数が増える傾向にあります。私が勤務していたかつての小学校でも、全校児童の1割近くが支援学級、または通級指導教室の子どもたちというときもありました。 また、発達障がいが疑われる子どもたちも年々増えていると実感しています。そのような子どもたちへの対応は、ある程度の専門知識が必要で、私も数度、そういう研修会に参加しました。このような子どもたちに対する指導や支援は、障がいのある子どもたちに対する支援と同様に、障がいへの深い知識と理解、それから、何よりも愛情がなければなりません。 一方で、このような子どもたちへの対応に追われて、そのほかの子どもたちへの指導が行き届かなくなってしまうこともあります。支援が必要な子の指導をしている間、クラスの子どもたちを見てくれる人や、逆にクラスの指導にあたっている間に支援の必要な子の相手をしてくれる人、そんな人が一人いるだけで、教員の身体的、精神的負担はぐっと軽くなることを私も経験しています。 支援の必要な子どもは、困った子ではなくて、困りを持った子です。教職員自身が知識を持ち、その子を十分に理解することが大切ですが、困りを持った子に対応する教職員を補助する人手も必要です。正規の教職員の配置がもちろん理想的ですが、経験ある支援員の方でも十分だと思います。 発達障がいが疑われる子どもたちに適切な支援を行うためにも、教職員が発達障がいについて正しく理解し、指導できる研修の機会の保障、そして、そのために必要な時間的ゆとりづくり、さらには支援を行う人員の確保が必要と考えますが、見解を伺います。 2番目に、教育現場の過酷な労働環境についてお尋ねします。 この数年で、部活動をはじめとした教職員の過重な働き方がマスコミ等で報道され、教職員の働き方改革がクローズアップされるようになりました。学校現場からは、長らく実効性のある改革をという声が上がり続けており、人事委員会が毎年行う報告の中でも、学校現場における教職員の負担軽減が個別に取り上げられる中、教育委員会としても働き方の改善に取り組まれてきたかと思います。しかし、学校現場に話を聞くと、業務量削減の実感はないという声しか聞かれません。現場で働く教職員からは、部活で休めない、家に持ち帰る業務が多くきつい、通勤時間が長く、学校での労働時間も長い、結婚もできないなど、過酷な労働環境を訴える声が多く聞かれます。 加えて、新型コロナウイルス感染防止のために行われる頻繁な消毒作業やオンライン授業の準備等、業務は増えても減ってはいないというのが現状です。 また、教職員の勤務は学校内だけでなく、自宅等への持ち帰り業務が多いことも知られています。2021年第2回の定例会で、持ち帰り業務の時間について岡本教育長は、県立学校において、全ての学校を対象に10月から11月の1週間調査を行い、教諭について年度比較すると、令和元年度も2年度も平均23分で横ばいであると答えられていましたが、県教職員組合の調査によると、回答した義務制の教職員の76%が自宅に業務を持ち帰っており、平日の持ち帰り業務の平均時間は一人当たり1日約43分、休日の平均時間は同約62分でした。中には週平均で120分や、毎日180分以上という職員もいたそうです。 これらの持ち帰り業務も含めた過酷とも言える教育現場の労働環境の正確な実態把握とその対策に向けて、労使一体となった取組が急務と考えますが、教育委員会として、これまでの取組の成果と課題をどのように総括されているのか、お尋ねします。 最後に、教員志望者の確保策についてです。 全国的に教員志望者が減っています。2021年度の公立小学校教員の採用倍率の全国平均は2.6倍だったそうで、昨年度の2.7倍を下回りました。小学校教員採用倍率においては、九州各県どこも倍率が低く、大分県もここ5、6年で大きく落ち込み、1.4倍となっています。受験者数も全国的にここ10年程度減少傾向にあって、教員を目指す若者が減ってきている現象が顕著になっています。 その原因の一つには、さきほど指摘した厳しい労働環境があります。そして、もう一つは、そのような労働環境であるにもかかわらず、賃金がそれに見合っていないということです。この業務量でこの賃金なのかと、教育現場を完全に離れる人もいると聞きます。このような実態では、進んで教員の道を選ぼうとする若者が減っていくのは当然です。 教員を志望する若者が減少すれば、教員不足が生じます。採用数を増やしても志望者が少なければ、需要と供給のバランスが取れません。県として採用倍率低下にどう歯止めをかけるのか、特にさきほど申し上げた志望者数が減っている要因を踏まえた県独自の志望者確保策が必要と考えますが、教育長の見解を伺います。
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御手洗吉生議長 岡本教育長。
◎
岡本天津男教育長 3点についてお答えします。 まず最初に、発達障がいが疑われる子どもたちへの支援についてです。 発達障がいのある児童生徒の学びの場の充実を図るため、今年度、小中学校に自閉症・情緒障がい学級を288配置しています。10年前の4倍を超える規模となっています。 小中学校の特別な教育的支援の必要な児童生徒は、昨年の調査で通常学級に約7千人在籍しています。この4年間で1,500人以上増加している状況です。このため、昨年度から
特別支援学校に配置した個別の指導計画推進教員8人が小中学校を訪問し、合理的配慮の提供等について、現場の教員を支援しています。市町村でも今年度、特別支援教育支援員を約600人配置するなど人員の確保に努めています。 研修については、県では特別支援学級担当研修など8講座を開講し、昨年度は延べ643人の教員が受講しています。このうち4講座は、Web研修を取り入れることで、移動時間の縮減など受講者の負担軽減を図っています。 県教育委員会としては、特別支援学級などの設置要求に可能な限り応えるとともに、それぞれの学びの場における特別支援教育の専門性の向上を図っていきます。 続いて、教育現場の過酷な労働環境についてお答えします。 県教育委員会では、これまでも庁内に設置した学校現場の負担軽減プロジェクトチームや職員団体との労使協議の場である教職員勤務実態改善検討会において負担軽減に向けた取組を進め、業務改善を図ってきたところです。具体的には、研修、会議や調査文書の削減、精選をはじめ、部活動指導員の配置、適切な休養日などを設定した部活動方針の策定、産休代替者の早期配置などの取組を通じて現場環境の改善に努めてきました。 また、コロナ禍の中、スクール・サポート・スタッフを活用し、教室の換気や消毒など感染症対策に係る教員の業務支援にも取り組んでいます。 あわせて、在校等時間の上限方針を全ての市町村で策定し、タイムレコーダーやパソコンの使用履歴などにより勤務実態の客観的な把握を進めています。 これらの取組により、県立学校では月45時間以上の長時間勤務者数が令和2年度は前年度から減少し、一定の成果も見られるところです。 しかしながら、県立、市町村立学校ともに依然として長時間勤務者や持ち帰り業務が存在することは課題と考えています。引き続き、市町村教育委員会とも連携して、教職員の働き方改革を一層推進していきます。 それから、3点目は教員志願者の確保策についてです。 教員採用選考試験については、これまで併願制度の導入や受験年齢制限の緩和、他県で教員として勤務している受験者に対しての第2次試験までの免除など、受験しやすい環境づくりを行ってきました。 他方、児童生徒数の減少により、各大学の教育学部の定員がピーク時の半数近い状況となる中、大量退職が続き、教員の需給ギャップが生じており、全国的にも受験者の確保は厳しい状況にあります。 そのような中ですが、コロナ禍の状況もあり、今年度、新たにオンラインによる説明会を10回開催し、全国の大学生など555人が参加しました。今回初めてチャット機能を付加しました。具体的には、気楽に参加者が質問を書き込めると、他の参加者は画面に出されたその質問を共有できるという仕組みですが、30件を超える質問を受ける回もあって、全ての質問に丁寧に説明できたところです。 今年度は、教員採用選考試験の志願者のうち新卒者はこの2年間減少していましたが、今回は54人の増加となるなど、取組の成果も見られると考えています。 また、県内の高校生を対象にキャリアフォーラムを開催していますが、こちらで教職の魅力を伝えるなど、長期的な視野に立った広報活動も実施しています。今後とも、教職員の働き方改革を推進しながら、公正、公平、透明性を確保しつつ、環境づくりと広報活動の工夫を行っていきます。
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御手洗吉生議長 高橋肇君。
◆高橋肇議員 ありがとうございます。 発達障がいという明確な診断を受けた子ではなく、そういう疑いのある子というのは、今、だんだんと増えてきているのは間違いない事実ではないかなと思います。やっぱりそういう子どもたちの支援は、今、本当に必要になっています。そのためには、さきほど言った担当する先生たちがきちっとした知識、理解を持っておくこと、そしてもう一つは、それを補助してくれる誰かがいること、この二つがうまくかみ合っていくといい結果が生まれるのではないかなと思います。それは結果的にその後のためなんですね。その後のため、今後のためにそれが必要になってくるということです。 ただ、今、現場の感覚としては、この二つが十分ではないという声が多いんですね。それも、どんな職場でも当然のことですが、人は多ければ多いほうがいいんです。ただ、そういう子どもたちがどんどん周りに増えてきている中で、なかなか今、それが追いついていないのが先生たちの実感ではないかなと思うので、市町村教育委員会ともそこを十分相談しながら、ぜひ一刻も早い対応をお願いします。 それから、過酷な労働環境ですが、聞いたところでは、コロナ禍で教育委員会が実施したリモートの研修は教職員に非常に評判がいいと聞いています。なぜならば、視聴場所まで移動しなくていいと。ぎりぎりまで学校にいて、子どもの対応ができると。その反面、研修の中には宿題が出されるものがあると。通常の業務にその宿題が加算されていくわけですね。そうすると負担になっていくという声を聞きます。そういうふうに成果の部分と課題の部分があるので、それをきちっと教育委員会としては何が成果で課題であったのかを具体的にまとめていただいて、その上でこれからどうしていくかという方向性をきっちりと出してください。 教員志望者の確保についてですが、私が知っているお子さん、高校教員志望の大学生がいます。その子がこの前言っていたことは、実は周りの人から、普通の企業より今は学校のほうがブラックだよ、趣味など自分の時間は持てなくなるよ、勤務時間が長くて土日もないし、手当もないよと。民間企業はもちろん大変なんだが、定時には帰れるし、手当も出るんだと。教員の資格は取っておいて損はないが、今の学校の状況では勧められないと言われたと。それを話してくれた中には、一度教員になったものの、その勤務の過酷さに驚いて辞めた方もいたということなので、忠告かどうか分かりませんが、一般から見てもやっぱり学校の現状はそういうふうに見えているということ。今や、教員という名前の憧れだけでは学校の現場は務まらない状況になっているということで、なった後で理想と現実のギャップに苦しむ若い教員も多いと聞いています。こういう現実を教育委員会としても真摯に受け止めて、その上で本当に若い人が以前のように教員になりたいと憧れる職種にしていってください。 業務量に見合う賃金を求めるという声は当然だと思います。これは人事委員会にも関係してくる部分ですので、今回は取り上げませんが、これも今後どうしていくか、真摯に検討すべき課題ではないかなと思っています。 いろいろとたくさんの課題がありますが、今後とも十分な検討と改善をお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
○
御手洗吉生議長 以上で高橋肇君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。 午後0時 休憩
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○三浦正臣副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。末宗秀雄君。 〔末宗議員登壇〕(拍手)
◆末宗秀雄議員 皆さんどうもこんにちは。また、少ないですが、傍聴ありがとうございます。昼食が済んだ後で、肉体的にもいろんなことが起こると思いますが、よろしくお願いします。 質問の前に、ちょっと前段で、今の世界情勢、20年前の9・11、アメリカのロックフェラーの象徴、資本主義の象徴のツインタワーに、飛行機が乗っ取られて激突、あのシーンが、ちょうど大分県議会の最中だったわけですが、正に映画が実際に起きているんかなという感じで、それが20年たって、なかなか民主主義が定着することなく、もとのタリバン政権という形で終わったわけです。その中で、自衛隊機3機、そして、政府専用機1機がアフガニスタンで、日本に大変協力していただいた協力者500人以上、その中には日本人も数人残っていますが、救出作戦を日本政府が実行したわけです。自衛隊機3機で、専用機1機ですから、その500人以上を連れて帰るつもりが、その結果、日本人1人だけを救出という、完全な失敗で終わったわけです。他国はどうだったかというと、アメリカは4,500人、カナダが3,700人、イギリスが1万3,700人以上、ドイツが5,347人、フランスが100人以上の
フランス人と2,500人以上のアフガン人、イタリアが4,832人、隣の韓国では390人、そういう例を見ると、歴然と分かるわけですが、残された500人以上の日本協力者は今正に殺されているも、刑務所に入れられているも、逃亡しているも、正に地獄の状況の中にいると思います。日本国家、日本政府が見殺しにしたと言っても過言ではないのではないかと私は思っています。日本がそういう救出活動等を通じて世界に貢献する、信用をつくる、その正に信頼と信用が失墜した結果に終わりました。 皆さん方にも問いかけたいんですが、この大分県議会で、政府に対してこの失敗の結果を、例えば、抗議の意見書とかも提出される意見がないのかなと私自身思っています。そういう思いを抱きながら、今回の質問の日が来たわけですが、一問一答ですので、1問だけ質問に入ります。 コロナ禍で、ワクチンの接種体制が随分進んでいるわけですが、そのワクチンについてお聞きします。 新型コロナウイルス感染症が中国武漢市で確認されてから1年10か月、これほどまで長く世界中に渡り、感染の波が繰り返されることになるとは想像していませんでした。本県でも昨年2月の感染者確認から既に8千人近い県民が罹患しています。今回の感染の第5波は非常に高い波であり、県境を接する地元の県北でも、中津市、宇佐市において多くの方々が感染し、大分市同様、学校も2学期の開始を延期しています。 県では、先月17日にステージ3と判断した時点で、県内全域の飲食店に対し、営業時間の短縮を要請、宿泊療養施設の増設など1か月間の対応を決定しました。医療提供体制の確保のためにも、感染者の減少と負担の緩和を図る施策は必要です。一方で根本的な対策としては、治療薬の開発と、ワクチン接種を促進し、多くの県民に免疫を付けてもらうことです。このうち治療薬の開発については、国内製薬大手で既に臨床に入ったとの報道がなされています。年内の承認申請を目指し、開発を急いでいるとのことで、実現されれば、ようやく収束が現実のものとなるんではないかと思っています。 しかし、治療薬の開発までは、有効な手だてはワクチン接種以外にありません。県では、今年2月末の医療従事者の接種に始まり、7月末には高齢者の8割の接種が終了、11月末までに希望する全ての県民に接種を完了できるようにと目標を立て取り組んでいます。遅まきながら、9月1日からは県庁舎新館14階を開放し、県営ワクチン接種センターとするなど目標の前倒しに向けても鋭意取り組んでいます。 ただし、治療薬の開発までにはまだ時間がかかります。その間、感染の波が繰り返されることは間違いありません。ワクチンの免疫効果の持続時間は、厚生労働省のWebサイトによると、2回目接種後6か月の発症予防効果は91.3%、一方で、先日、藤田医科大は、ファイザー社製のワクチンについて、最初の接種から3か月が経過すると、2回接種を行った場合でも、抗体量は大幅に減少し、抗体量の多い2回目接種から14日後の量の4分の1に減るとの調査結果を発表しました。また、ニューズウィークには、ワクチンの効果は2か月で低下し、3回目の接種が有効との記事も掲載されています。アメリカにおいては9月より3回目の接種が開始されます。ワクチン免疫効果の持続期間については、まだ確証が持てない状況です。 こうなると、やはり日本でも3回目の接種が必要となる状況と思います。その分のワクチンの総量を確保しなければなりませんし、この点については国に強く要請するとして、県としては、3回目の接種を視野に入れ、ワクチンを打つ体制を堅持すべきと考えます。そのためには医師、看護師をはじめ、注射を打つことができる薬剤師や歯科医師、獣医師などを総動員して、いつでも実施可能な体制を取っておく必要があるのではないでしょうか。今後のワクチン接種体制について知事の見解を伺います。よろしくお願いします。
○三浦正臣副議長 ただいまの末宗秀雄君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 末宗秀雄議員の御質問にお答えします。 冒頭、アフガニスタンについてのお話がありました。私もあの件を通じて、国の信用とか信頼というのをつくづく考えさせられたところです。 それでは、今後のワクチン接種体制についてお答えします。 県では新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、外出自粛や営業時間短縮の要請など強めの感染対策をお願いしてきましたが、県民の皆様の御理解と御協力により、改善の兆しが見えてきました。 しかし、今後の状況は依然予断を許さず、受入病床や宿泊療養施設の上積みを図るとともに、抗体カクテル療法の活用など、県として医療提供体制の強化に努めています。 一方で、ワクチンの優先接種の効果により、高齢者の感染は大幅に減少していることから、やはり感染収束の切り札はワクチン接種であると考えています。 国からのワクチン供給は、県民の8割以上が接種できる量が10月上旬までに供給されるめどが立ち、各市町村とも対象を若年層や現役世代へ拡大して接種を行っています。また、企業や大学での職域接種も県内28団体30会場で接種を進めています。加えて、県としても9月から県民全般を対象とした県営接種センターを県庁内に開設したところです。 さて、議員御指摘のとおり、ワクチン接種の免疫効果について、様々な調査結果が発表されていることは承知しています。県内でも2回接種後の感染例、いわゆるブレークスルー感染が確認されており、3回目の接種が必要ではないかという専門家の意見もあります。 3回目の接種の必要性や実施時期については、今後、厚生労働省の審議会での議論を踏まえて国において適切に判断するとされており、こうした動きも十分に注視していかなければなりません。 その上で、仮に3回目の接種となった場合には、これまで接種に御協力をいただいた医師会、看護協会、歯科医師会、薬剤師会など医療従事者の力を再度お借りして、これまでの経験、よかったこと、悪かったこと、いろいろありましたが、この経験も生かして万全な接種体制を構築していきます。
○三浦正臣副議長 末宗秀雄君。
◆末宗秀雄議員 3回目に対しても大変前向きに頑張るということで、本当にすばらしいと思っています。 知事、今から一つ難しい質問をしようと思っています。最近になって政府が行動制限の緩和を随分打ち出して、恐らくやっていくんだろうと私は思っています。今は正にピークも過ぎて、だいぶん収まってきているからその方向に行くと思いますが、そのとき、正に国民の世論を、気持ちを二分するワクチン証明、ワクチンパスポートを大分県の知事としてどのように考えていくか。正に世論が分かれる分岐点、分水嶺だと思っていますが、それに対し、どういう決断を下すのか、私自身も難しいところだなと思っていますが、その見解を知事に伺います。どうぞお願いします。
○三浦正臣副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 なかなか難しいところです。したがって、とにかく第5波が全国的に落ち着いた先の話だということのようですから、まだいろいろ議論の時間はあるんだろうと思っています。私個人的には、まだこれから議論を皆さんとしていかなければならないと思いますが、ワクチン接種をして、そして、ぜひ感染予防措置を取ってくださいということでずっとお願いをしたわけです。もちろん、その中には、打ちたくても打てないような事情がある方、それから、考え方として打たないんだという考えの方がおられるわけです。それはそれで、そういう方の考え方の自由は尊重しながらも、とにかく全体には感染拡大防止のために打ってくださいということを進めてきたわけで、その延長線上で考えると、やはり打ったら、かくかくしかじかの体の上での効果でもそうですし、社会的な構造における効果もそうですが、そういうものが出てくるんだということは、それはそれで我々も保障していかなければならないのではないかと思っています。したがって、ワクチンパスポートみたいなものは作ってもいいんではないかなと思っています。 ただし、その利用の仕方によって、打ちたくても打てない人が、むしろそういうものがあるおかげで、ワクチンを打った方がたくさん集うところに自分も行けると。したがって、自分も助かるんだという気持ちになってもらえる、あるいは場合によっては、PCR検査を何日以内にやった人からは同じような効果は出ますよというパスポートもいいかもしれませんが、そういうことで、打ちたくても打てない人を救済できるような、そういう人も助かるような制度にしていくということが大事であり、そこのところが工夫のしどころではないかなと思っています。 利用の仕方によっては、本当にワクチンパスポートがある人だけ入ってもらえますよとか、しかし、どうしても打てない方は打てない方の証明をしてもらえば、どうぞ入ってくださいということをやったら、どっちも助かるんだろうと思います。そしたら差別にもならないしというような、運用の仕方ではないかなと思っています。今考えているのはそういうところです。
○三浦正臣副議長 末宗秀雄君。
◆末宗秀雄議員 ありがとうございます。いろいろやり方は難しい面もあると思いますが、これは一つの決断でやっていかないとしようがない部分もあるので、やる以上はしっかりとお願いします。 次に、感染状況の評価についてお聞きします。 この夏場に流行を始めたデルタ株は、感染スピードが速く、瞬く間に全国的に大きく広がりました。各都道府県では、この状況を受け、国に対して緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用を申請し、対応してきたところです。本県ではまん延防止等重点措置を要請せず、国の判断を待たずにやるべきことをスピーディーにやることが大事と考え、独自の対応で乗り切ると判断したと聞いています。独自の措置であれば、飲食店への営業時間短縮要請に対しても強制力は弱いままですが、今回のまん延防止等重点措置を国に要請しないという判断は、知事のコロナ禍に対する決意の表れと思っています。 この背景には、県内の感染状況に対する客観的な評価があってこその決断であると思います。県では、重症者病床使用率、病床使用率、1週間の感染経路不明者割合、1週間の新規感染者数の四つの指標を使い、感染の各ステージを1から4までに分類し、不要不急の外出自粛や飲食店への営業時間短縮要請など対応を決めていると思います。現段階ではステージ3です。この四つの指標に着目し、ある程度の段階に達したら、まん延防止等重点措置を申請するなど感染状況を評価して、基準をつくってみてはいかがでしょうか。県の見解を伺います。
○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。
◎山田雅文福祉保健部長 感染状況の評価についてお答えします。 本県では、コロナ感染者の急増に対応して、国の判断を待たず、外出自粛や飲食店への営業時間短縮要請、医療提供体制の拡充等の措置を速やかに講じてきました。 こうした判断のベースには、病床使用率や新規感染者数、感染経路不明者割合、PCR陽性率に加え、自宅療養者数や待機者数なども含め、詳細な分析をベースに敷いています。 また、デルタ株の驚異的な感染スピードや、ワクチン接種の進展に伴う重症者の減少などの状況変化にも注視し、総合的に判断をしています。 その時々の状況に応じて真に必要な対策を速やかに講じ、感染拡大の抑制と社会経済の再活性化とのバランスを取っていくことが肝要と考えます。 国においては、ワクチン接種の進展を踏まえ、緊急事態宣言解除の考え方として医療逼迫の状況を重視することとし、ステージの基準見直しも予定されています。 今後は、こうした動向も注視しつつ、これまで同様、県内の感染状況をつぶさに調査、分析し、実効性ある対策を迅速かつ柔軟に講じるよう努めます。
○三浦正臣副議長 末宗秀雄君。
◆末宗秀雄議員 答弁を聞いていたが、なかなかよく分からないような答弁だったんですがね。 端的に言えば、今日の新聞を朝見ながら、ピークも過ぎて、だいぶん落ち着いてきたんですが、例えば、入院待機が34と書いているんよね。そしたら、入院は今現在たしか30%ぐらいではなかったかね。ベッドはたった30%ぐらいしか入っていないのに、入院待機がいる。この日本の状況を--日本が人口に対するベッド数は世界一と言われている。その中で、そういう状態で、入院したくてもできない。全国では自宅待機が10万人以上とも言われているわけです。そういうのを考えたとき、日本の医療体制、特に政府から県は医療に対して大きな権限も持っているし、責任も持っているんですが、そこあたりは日本の国の在り方がおかしいんではないかと。 例えば、お医者さんは、僕はほとんどの方が医者になるときに、人の命を救うという気持ちで医者になっていると思う。利益だけもうけようといってなる人は恐らくいないと思う。そういう使命感を持つのが医者という職業よね。それに対して、ベッドはあって30%ぐらいしか使っていないのに待機者がずらっといるとか、そういうのが非常におかしい。 それと、もう一つおかしいのは、感染症で2類と5類、これがまた、2類といったらペストと近いような形の感染症なんですが、他の国は恐らくそういう対応をしていなくて医療体制が崩れていないと思うんです。極東の日本だから、よそと違って島国根性もあるんでしょうが、培われたものでそういう方式になるのかもしれないが、そこは正に変えないといけない。そういうところを部長、特に広瀬知事は大分県独自の対策と言っているから、今後も大分県独自の保健体制、そういうものを望みたいんですが、見解をお聞きします。
○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。
◎山田雅文福祉保健部長 さきほどの入院待機の数ですが、新聞に報道されている数は、感染者が確認されて、その感染者の数プラス実際に待機をされている、入院調整を待っている数を合計した数になっています。ですから、その日の感染者で発表した方、検査を行って感染が確認されて、すぐにその日のうちに入院とか宿泊療養というのは物理的に困難です。というのが、入院するには受入側の準備もあるし、宿泊療養も部屋の準備とか受入れの準備とかいろいろあるので、早くても翌日になるということで、その日の感染者の数がそこに計上されていると。実質、今現在は入院待機者というのはほとんどいませんで、実際に入院が必要な方というのは、本当に入院療養が必要な、それなりに症状の重い方を入院措置、入院するというふうに調整をしています。軽症の方は宿泊療養ということになります。その宿泊療養で待機している方が今は大半で、それプラス当日感染が確認された方の数ということです。 ただ、8月末にこれが大きく膨れ上がりました。あのときは連日の感染者が200人を超えるような日も続いたりして、その辺の入院調整、あるいは宿泊療養の受入れ等の準備が間に合わず、何日かお待たせをしたようなこともありましたので、知事から答弁したように、宿泊療養のホテルの増設とか病床の確保等で対応したところです。 それから、2類と5類の問題については、ワクチン接種が進むことによって、この新型コロナウイルス感染症に対する評価は変わってくる可能性があるので、その辺の見直しも国において行う可能性はないとは言えませんが、今時点、デルタ株等で重症化している方もいらっしゃると、あるいはブレークスルー感染でワクチンを打った方も感染しているような状況にあるので、なかなかすぐに5類に見直すということにはならないのではないかと考えています。
○三浦正臣副議長 末宗秀雄君。
◆末宗秀雄議員 2類と5類ですぐにはならないと言うが、コロナ感染が始まって2年近くなるわけで、すぐという話で僕は言っているんではなくて、ただ、結論は、最後は5類にしないと、日本の国は進んでいかない。その5類に持っていくための方法の問題であって、そこあたりを部長、福祉保健部の職員は優秀な職員がいっぱいいるんだろうから、理論体系をつくって政府に物申して、そしたら知事が九州の知事会長だから、いくらでも言ってくれるよ。知事、乞う御期待というところで、次に進みます。 新型コロナウイルス感染症専用臨時病棟についてお聞きします。 デルタ株の急速な感染拡大には誰もが驚かされました。今回の第5波を教訓に素早く広がる変異ウイルスに対応する医療体制をつくる必要があります。 本県ではこれまで、既存の病院と宿泊療養施設を組み合わせて何とか対応してきたと思います。一方で、大阪府や福井県のように野戦病院的な専用の臨時病棟を設置して対応するアイデアも重要です。医師会、看護協会などに声かけをして、新型コロナウイルス感染症に対応する医療機関を除外し、医師、看護師を集め、臨時のプレハブ等を専用病床として活用することは、既存の感染症に対応していただいている医療機関の負担軽減につながります。次の感染の波は、いつ、どのような速度でやってくるのか分かりません。入院できない患者が出てくる前に、前もって対応を検討し、医療体制が厳しくなったときにすぐに発動できるような制度設計をする必要があると思います。県の見解を伺います。
○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。
◎山田雅文福祉保健部長 新型コロナウイルス感染症専用臨時病棟についてお答えします。 今回の第5波は、デルタ株への置き換わりが進み、第4波をはるかに上回る大きな波となりました。 県では、入院病床や宿泊療養施設の拡充により医療提供体制の維持に努めましたが、8月下旬には一時的に調整が追いつかず、自宅待機者が増加し、御心配をおかけしたところです。 この状況は、宿泊療養施設の増設や各保健所と連携した調整業務の効率化により、短期間で改善できましたが、感染者急増時の対応は引き続きの課題として認識しています。 このため、まずは、宿泊療養中に症状が悪化した方などが入院を待つ間、酸素吸入や点滴等の医療行為が行えるよう、大分市内のホテル1か所を医師、看護師が24時間常駐する臨時の医療施設としたところです。 議員御提案の野戦病院的な臨時病棟については、現時点ではその段階にはないと考えますが、今後、爆発的な感染拡大が発生したときなどの万一に備え、あらかじめ対応を検討しておく必要があると思います。 開設には、医療従事者の確保が鍵となることから、万一の場合を想定し、迅速に県内医療関係者の総力が結集できる仕組みを、医師会や看護協会、病院協会などと共に検討していきたいと考えています。
○三浦正臣副議長 末宗秀雄君。
◆末宗秀雄議員 部長、今の言葉で、医師と看護師と話しながら医療提供体制をつくっていくこと、それは当然一番重要な部分なんですが、その後、野戦病院的なものを検討という話だったんだけど、僕が言うのは、野戦病院的なものはそんなに金もかからないし、今コロナで使っている大きな金に比べたら微々たるものよ。それをあらかじめ造っておいて、爆発的に増えたときに使うという方法を今お聞きしたんだけど、そういう考え方には基づかないということでいいんかね。
○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。
◎山田雅文福祉保健部長 野戦病院的な臨時の医療施設は、現在、大阪府や福井県で開設準備が進められています。その状況を調べてみたんですが、福井県では体育館に空調やシャワー設備等の工事を行った上で、間仕切りを設置し、100床程度の病床を確保するということで、本県がする場合はこれが目安になるのかなと。大阪府は500から千床規模という巨大な野戦病院的な施設を造るということのようです。 この野戦病院的な施設は、開放的であるために、多数の患者の病床を限られた医療スタッフで把握しやすいという利点がある一方で、患者にとっては、プライバシーが保てず、シャワーやトイレも共同というデメリットが生まれます。大阪府は、この野戦病院をホテルに入れない方を受け入れる避難所的なイメージで捉えていると報道されています。 そういうことで、この野戦病院的な施設は、そういうメリット、デメリット、双方があるようなので、その辺をよく分析するとともに、当面は本県の場合、宿泊療養を行うホテルを8棟確保しています。恐らく療養される患者さんにとっては、ホテル療養のほうがはるかに居心地はいいんではないかと思われるので、当面そういったものを活用しながら対応すると。それでも対応できないときには、いよいよの窮余の策としてこの野戦病院的な臨時施設を造るというふうに現時点では考えています。
○三浦正臣副議長 末宗秀雄君。
◆末宗秀雄議員 ちょっとくどく言わんでいいんですが、ホテルとかがプライバシーも守れて、療養しやすいんではないかという話だったんですが、それは当然そうなんよ。でも、野戦病院というのは、それを乗り越えた次の段階、命がかかっているときに野戦病院が要るわけで、次元が違う話よね。そういう元に戻したような話で言われてもね。県がこの次爆発したときに、県の責任じゃきどうにかしてくれる覚悟があればいいが、やっぱりそれに備えることは、たとえ無駄でもやるべき価値があると僕は思うわけで、県がしなければ手がつかんのやきね、教えるのは教えておくわ。 次に、第三者認証制度を通じた感染防止対策の効果について。 コロナ禍において、県は昨年6月から「安心はおいしい」サイトを活用した自己認証制度を中心に飲食店の感染防止対策を展開してきました。また、今年6月には自己認証をベースとして第三者がその感染防止対策を認証する制度を導入し、飲食店に制度の活用を呼びかけるとともに、認証を受ける飲食店が行う感染防止対策に対して支援を行っています。 感染の第5波を受け、先月21日には、これまでの第三者認証に関する要件のうち、従業員の体温測定と風邪症状のときの責任者への確認などを必須とし、より徹底した感染防止対策を行う飲食店を認証していくこととしたと報道されました。 さらに、この第三者認証の要件には利用者名簿の記載や換気設備、またはHEPAフィルターというウイルス除去機能の付いた空気清浄機の設置、手洗い設備には自動水栓の推奨など、ソフト、ハード両面でもかなり厳しい条件が付されています。あまりに厳しい条件では実効性の担保もできず、認証の手前で止まってしまうのではないかと懸念しています。 また、飲食店は様々な工夫を凝らし、コロナ禍を乗り越えようとしています。そうした努力をしっかりと酌み取り、県が優良事例として認証し、顕彰することが大事であると考えます。年度内に5千店舗の登録を目指していると伺っていますが、そこに到達させるには手前で止まっている店舗の掘り起こしが必要であると思います。第三者認証の要件設定の趣旨とあわせて、目標達成に向けてどう取り組んでいくのか、県の見解を伺います。
○三浦正臣副議長 磯田生活環境部長。
◎磯田健生活環境部長 第三者認証制度を通じた感染防止対策の効果についてお答えします。 県で実施している第三者認証制度は、それまで県独自で実施していた自己認証制度をベースにしたものです。 認証要件は、消毒の徹底、客席の間隔確保、マスク会食、換気の徹底、感染経路特定のための利用者名簿等としています。これは感染防止とともに飲食店の経営継続支援という観点を盛り込み踏まえたものです。また、国が示した要件とおおむね沿うものとなっています。 また、第5波の際に、従業員がマスクを着用していないということからクラスターが発生した経緯があり、それまで任意要件だった従業員の体調管理やマスク着用を必須としたところです。 9月13日現在で、認証の申請数は既に2,172件となっています。うち具体的に認証が終わったところは1,132件ですが、年度内にはおおむね目標としている5千件には達する見込みです。 今後は県のホームページやCM広告に加え、Web広告、あるいは雑誌掲載など広報媒体を増やすとともに、食品衛生協会など関係機関と協力しながら認証を加速させ、安全・安心な店舗を増やしていきます。 このように第三者認証制度に積極的に取り組むことで感染防止、飲食店の営業支援を行い、営業者と利用者双方の安全・安心を確保していきます。
○三浦正臣副議長 末宗秀雄君。
◆末宗秀雄議員 部長、よく分かるんですが、僕が言いたいのは、今正に飲食店業界は存亡の危機というか、人生で初めてこういう危機が来て対応しているような状況です。そのあたりの気持ちも受け取りながら、行政としてできる限りの臨機応変さを持ちながらやって、目標も達成していただきたいと思います。 次に、コロナ禍の農林水産業戦略について。 新型コロナウイルス感染症の拡大は、感染防止のための3密回避と人流抑制のため、観光業や飲食業に大きな打撃を与えました。もちろん、農林水産業に対する影響も大きなものがありました。飲食店などで使われる高級食材に付加価値をつけた食材として売り込みをしてきたブランド戦略品目の需要が低迷したのではないでしょうか。 一方で、コロナ禍により観光ができず、外食もできない生活では、いわゆる巣籠もり需要が発生し、意外と高級食材は売れていると聞いています。こうしたところにThe・おおいたブランドを売り込むことが必要です。しかし、今までは、素材のよさを飲食店等に売り込み、そこでの取扱いを増やしてもらっていた産品を、今後、一般家庭に送り込んでいくためには、プロ仕様でなくてもおいしく食べられるように、商品開発戦略を変える必要があります。 本県の農林水産業のブランド戦略は、おおいた農林水産業活力創出プラン2015にあるように、変化するマーケットに対応できる流通・販売体制の構築や消費者の多様なニーズに対応した商品づくりなど、競争力のあるブランドの確立に取り組むとしており、機能性やストーリー性を備えた魅力ある商品開発とブランド戦略の展開を施策の柱の一つとしています。コロナ禍におけるブランド戦略の展開について、どのようにお考えか伺います。
○三浦正臣副議長 佐藤農林水産部長。
◎佐藤章農林水産部長 コロナ禍において、外食需要の減少により、和牛や養殖魚など高級食材は単価が低迷しました。一方、量販店では、巣籠もり需要により農林水産物の販売はおおむね好調となっています。 そのため、県では、県内外の量販店やECサイトと連携して、おおいた和牛や養殖ブリなどの需要喚起を行うキャンペーンを行いました。 また、業務用の需要が低下した食品企業に対して、量販店向けに商品を卸せるよう小袋包装機の導入を支援し、販路の拡大にもつなげました。 コロナ禍で拡大したネット販売は、収束後においても引き続き成長が見込まれると考えています。農協や漁協、畜産公社、椎茸農協などが参加する研究会で、県産食材を用いた大分ならではの家庭向けセット商品の開発を進めています。 今後も、販路の多チャンネル化を一層進めるとともに、これから期待される外食需要の回復など、マーケットニーズの変化を注視し、柔軟に対応していくことで、ブランド戦略の展開を図っていきます。
○三浦正臣副議長 末宗秀雄君。
◆末宗秀雄議員 力いっぱい頑張ってください。よろしくお願いします。 次に、土木の関係ですが、私の地元の寄藻川の治水対策について伺います。 図面も付けていると思いますが、本県は、平成24年、平成29年、そして昨年の7月とたび重なる大規模な水害に見舞われてきました。そして、今年の夏も8月の前線による大雨により、長崎県、佐賀県、福岡県で大規模な浸水被害が発生し、県内でも西部と北部を中心に長期間にわたり大雨が降り、道路の通行止めなど県民の生活に影響が生じました。 近年は、気候変動により、気象の急激な変化が予測できず、北部九州付近を通り道とする線状降水帯の急速な発生や赤道付近で発生する台風の大型化などがもたらす豪雨災害が頻発、激甚化する傾向にあります。 お配りした図面を御覧ください。私の地元を流れる寄藻川流域でも梅雨や台風のたび、地域住民の皆さんから、あと1時間雨が降り続いていたら氾濫していたという不安の声をいつも聞きます。寄藻川は、その源を宇佐市の雲ヶ岳に発し、向野川、松崎川、田笛川を合わせ周防灘に注ぐ2級河川で、全国八幡宮の総本宮である宇佐神宮の境内を流れる歴史ある河川です。 寄藻川は以前、河川改修をしていますが、土砂の堆積も見られ、激しい雨が降ると川の水が増え、堤防を越えるのではないかと不安に感じます。また、下流では海に向かって急に河川が曲がっていることや、さきほど申した田笛川や豊後高田市内を流れる桂川の三つの河川が同じ河口に流れ込んでいるため、上流部で同時に大量の降雨があった場合には河口付近で冠水の懸念もあります。その解決策として、寄藻川の河道を直線化する新たな水路、川を造ってはどうかとも考えています。 そこで、今後の異常気象に対し、浸水被害を防止し、若しくは最小限に食い止め、住民の命を守るため、寄藻川の治水対策にどのように取り組まれるのか、県の考えをお聞きします。
○三浦正臣副議長 島津土木建築部長。
◎島津惠造土木建築部長 寄藻川は昭和54年の水害を契機に昭和58年から平成21年まで、四半世紀をかけて改修を実施しています。 議員御指摘の河口部については、洪水と高潮の水位を比較した上で、より危険な高潮の水位を用いて護岸が整備されています。このため、洪水に対する流下能力を備えており、現時点では新たな整備は計画していません。 一方、河川内の堆積土砂は流れを阻害するため適切に撤去することが必要です。そこで、定期的に堆積状況を調査するとともに、住民の皆様からの御要望も踏まえながら、河床掘削を実施しています。寄藻川では、平成28年度以降、5か所で土砂を撤去しており、引き続き計画的に取り組んでいきます。 県では、気候変動による水災害リスクの増大に備え、流域治水プロジェクトを策定し、8月に公表したところです。これまでの河川管理者による対策に加え、例えば、田んぼダムやため池を活用した流出抑制、森林の保水力向上など、あらゆる関係者の取組により流域全体で効率的、効果的な治水対策を進めていきます。
○三浦正臣副議長 末宗秀雄君。
◆末宗秀雄議員 答弁は大体分かるんですが、あと1時間集中豪雨が続いたら河川がオーバーするのは100%間違いない状態がこの30年ぐらいずっと続いているわけよ。宇佐神宮から守られたから河川がどうにかもっているという話を、僕は3、4年前からよく聞くんよ。そして、500メートルぐらいで駅館川に届くが、駅館川に流すわけにもいかないし、いろんなところにためるわけにもいかないし、方法が無くなかなか難しい。そして、図面をよく見ていたら、この桂川と田笛川と寄藻川が集中するところを、ひとつ寄藻川が曲がりくねって真っすぐに通せば、海に直接行く。これは1キロだから大した金ではないと思うんです。 それで、宇佐市で、この寄藻川で、関係者が大体5千人ぐらいいると。氾濫したときに影響を受ける者がね。そしたら、高田でも当然5千人以上はいる。まだ多いだろうと思うが。大体1万人以上が生命の危機、死ぬ者もだいぶん出るだろうし、住居から田んぼから全て影響を受ける。1万数千人が影響を受けるのを、この1キロの改修をせんかったから起きた、それは自然災害だからしようがないと果たして言えるのかなと。これを、例えば、土木建築部でこの発想を持った人もいるんかな。こういう発想がないき、そういう--例えば、土木建築部でこれを発想しちょったら、どんなことでもやって、知事さん、これをやったら1万数千人が助かりますよと逆提案するんではないかと。議員が発案したら、あれは議員が言いよることだから、行政からではないからなかなかしにくいなとか、そういう卑しい心があるんではないかと私は思うんですよ。そこを知事、大所高所から勘案しながら、この計画の実現に向けてお願いします。知事、答弁をよろしくお願いします。
○三浦正臣副議長 広瀬知事。
◎広瀬勝貞知事 我が大分県庁の土木建築部の職員は、常に災害からどうやって県民を守るかという高尚な気持ちで仕事をやっています。そのことについては誤解のないようにお願いします。 また、御提案のことについては、とにかく災害を防いでいくことは非常に大事だし、お話のように、1万人以上の方がこの影響を受けるということであれば、よく考えてみなければならない問題だろうと思いますが、県内には急がなければならない案件がたくさんがあるものですから、優先順位等々をいろいろ考えながらやっていくことになるだろうと思っています。
○三浦正臣副議長 末宗秀雄君。
◆末宗秀雄議員 これは知事、最優先でやらないといけないところではないかと思っているので、よろしくお願いします。 次に、県道和気佐野線についてお聞きします。 宇佐市の東西を結ぶ県道和気佐野線は、フラワーロードとして地元自治会や学校、企業などの各種団体が沿道の花壇に植栽を行うなど、宇佐市民に愛着のある道路であり、沿道住民の生活道路として利用されています。 一方で、混雑する市街地を通る国道10号を迂回する道路としても利用されており、交通量も非常に多いと感じています。 交通事故についても、近年は年間10件以上の人身事故があったと聞いています。これは直線道路で信号機が少なく、スピードが出やすいことも事故が多い背景の一つにあるのではないかと考えています。まずは、ドライバーが安全運転に心がける必要がありますが、道路管理者としても何か事故を減らす取組ができるのではないかと思います。 また、大型車の通行も多く、最近は舗装のひび割れやわだち掘れが目立つようになっており、安全な走行に支障が生じるのではないかと心配しています。 そこで、このような状況にしっかりとした対策が必要と考えます。具体的には、4車線化が最適ではないかと考えています。土木建築部長の見解をお聞きします。
○三浦正臣副議長 島津土木建築部長。
◎島津惠造土木建築部長 和気佐野線における交通事故は、過去3年間に42件発生しています。このうち、前方不注意等による追突事故が25件、交差点での出会い頭等の事故が12件、はみ出しによる正面衝突等の事故が5件となっています。 こうした事故の実態を踏まえ、警察や学校等の関係機関と協議しながら、ハード、ソフトの両面から対策を講じています。 このうち道路管理者の県としては、視認性を高める区画線の設置や、車線を分離するポストコーンの新設をはじめ、右折レーンの設置、脇道からの見通しに支障となる街路樹の撤去等を実施しています。 さらに、重篤な人身事故につながる正面衝突や出会い頭事故を防止するため、振動で運転手に車線はみ出しの注意を促す区画線の設置や、交差点を強調するカラー舗装などの対策を講じていきます。 一方、舗装の劣化に対しては、大型車の交通にも耐えられるよう、舗装の打ち換えにあわせてアスファルト下の地盤も強化しています。 引き続き、道路の利用状況等を注視し、警察等の関係機関と連携しながら、交通の安全確保に努めます。 また、和気佐野線の4車線化について御提案いただきましたが、現在、同路線の海側に並行する中津高田線の柳ヶ浦バイパスを整備しています。まずは、その進捗をしっかりと図っていきたいと考えています。
○三浦正臣副議長 末宗秀雄君。
◆末宗秀雄議員 部長ありがとうございます。和気佐野線、宇佐市の国道10号と中津高田線の間にある道路ですが、どういう道路かというと、昭和50年頃だから、50年弱の頃から10年間ぐらい造って、宇佐の駅館川総合開発という耕地の事業で造った道路。大体、和気佐野線は幅が20メートル、縦が16メートルで、今言う和気佐野線は多分20メートルだと思う。20メートルの道路を今2車線で走っているんですが、歩道も広いし、植栽もあるし、いろんな機能を保ちながらも、用地買収などが割と少なくて4車線化ができるような道路だと。正に宇佐市の--とにかく穀倉地帯としては大分県で一番広いわけで、その当時、耕地事業としては4車線はできないが、それを見越して20メートルにしたんではないかと。その当時は森田克己さんが部長、そして、宇佐市は山口馬城次さんが市長の時代につくった計画ですが、そういう先見の明もありながら造った道路ではないかと私は思っています。 そういう宇佐市の状況を考えながら、今後、早急に予算の着手、調査費をよろしくお願いします。要望で結構です。 それでは、時間もたくさん余ったかどうか分かりませんが、終わりましたので質問を終了します。どうもありがとうございました。(拍手)
○三浦正臣副議長 以上で末宗秀雄君の質問及び答弁は終わりました。小嶋秀行君。 〔小嶋議員登壇〕(拍手)
◆小嶋秀行議員 31番県民クラブの小嶋秀行です。一般質問を行わせていただきます。どうぞよろしくお願いします。 最初に、介護保険制度についてお尋ねします。 2000年に施行された介護保険制度は、創設当時の基本的な考え方は、介護の社会化とともに在宅介護の推進でした。医療と介護を区分し、新たな独自の保険制度を立ち上げたのは、高齢者を中心とする介護問題が社会的な課題となったことによる時代の趨勢でした。 述べるまでもなく、発足当初の介護保険は、基本的に認定を受けた人に給付する、サービス提供することが基本でした。それが2006年の地域支援事業が創設され、介護予防事業の導入と要支援者向けのケアマネジメントなど、高齢者の総合相談窓口として、地域包括支援センターの設置、運営が図られました。2006年には、最初の大きな改正で新予防給付が創設されました。 2006年から2007年にかけては御記憶にあろうかと思いますが、コムスンによる介護報酬の不正請求が発覚し、コムスンは介護業界から撤退を余儀なくされる事件がありました。 さらに、2015年度には、第4回目の介護保険法改正の際、特別養護老人ホームへの新規入所者は原則、要介護3以上とされたことを記憶しています。そして、介護職員の人手不足や、2018年には所得に応じた3割負担への介護報酬の改定もありました。このように、本制度もこの20年間で紆余曲折を繰り返して今日に至っています。 介護保険制度では、3年間を1期とする介護保険制度事業計画を策定することとしており、本年3月に公表された第8期おおいた高齢者いきいきプランによると、制度創設時の2000年から2020年にかけて、要介護・要支援認定者数は1.8倍、介護給付費は2.5倍、介護保険料は1.8倍になっており、全国的には調査中ですが、その伸びを下回っていると思われます。 制度導入から20年を経た今日、特に団塊の世代が後期高齢者となる2025年を目前に控え、また、いわゆる団塊ジュニアの世代が高齢者となる2040年代を見据え、介護保険財政の運営面からも県内の現状に沿って、課題や今後の展望など、どのように評価しておられるか、知事の御見解を伺います。 次に、関連して、在宅で親や配偶者、兄弟等を介護する人、これをケアラーと呼ぶことにしますが、以下の点からケアラーを支援する仕組みづくりが求められています。 本年6月2日の地元紙の報道によると、大分市内で介護疲れにより家族をあやめるという事件が発生しました。現在、この事件は6月22日に起訴され、裁判所の下で審理が行われています。被告人の長男は、介護に疲れてと自ら罪を認め、申し訳ないことをしたと語っていると報道にあります。 調べてみると、今回のように、県内では昨年の12月に60歳代と70歳代の高齢者兄弟が無理心中したという事件がありました。原因は兄弟の一人がもう一人を介護しており、介護疲れが原因と思われます。こうした場合、そのほとんどが献身的に数年間介護してきたが、その先が見えず、寝たきり状態や認知症などの生活実態が基で周囲との関わりも次第に希薄となっていくことなどが重なり、ケアラー自身が孤立感とその生活環境に限界を感じて介護うつの状態となることで孤立感がさらに高まり、犯行に及んでしまうということが多くの場合、共通点のようです。 そこで、昨年から今年にかけて命に関わる事件が2件発生していることもあり、これを機会に、県の主導で実態調査、分析を行い、支援策を検討してはいかがでしょうか。もとより、いきいきプランには、被介護者が地域で安心して暮らせる基盤づくりの推進として、地域支援事業など、実際有効に機能していると思われますが、こうした事件は、それらを超えて発生してしまっているのが現実です。今後、大分県でこうした事件を発生させないための環境づくりが必要だと考えますが、部長の見解をお聞かせください。 以降は対面席から質問します。 〔小嶋議員、対面演壇横の待機席へ移動〕
○三浦正臣副議長 ただいまの小嶋秀行君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。 〔広瀬知事登壇〕
◎広瀬勝貞知事 小嶋秀行議員から、介護保険制度創設20年を経て、介護保険制度の今後の展望について御質問を賜りました。 本県では、高齢化率が32.9%に達し、一方で、制度を支える生産年齢人口は減少しています。いかにして制度の持続可能性を高めていくかが課題ですが、対策としては、二つの取組が重要だと考えています。 一つは、高齢者の自立支援です。 県では、これまで全国に先駆けて地域ケア会議の開催や、生活機能の向上を図る事業所の育成など、自立支援型ケアマネジメントの推進に力を入れてきました。その結果、要介護認定率、介護保険料ともに上昇が抑制され、介護保険財政の健全性に寄与する大分県方式として全国から高い評価をいただいています。 今後は、ICTなども活用し、生活機能の改善が見込まれる高齢者を短期集中予防サービスにつなげ、改善後は通いの場などの社会参加を通して、健康を維持する自立支援サイクルの構築を進めます。 また、現下のコロナ禍においても、オンラインなどを活用した介護予防活動を普及、定着させるとともに、地域でのつながりを保ち、高齢者の生活の質を高めていきます。 二つは、介護人材の確保です。 国の推計によると、本県では必要な介護サービス量に対し、2025年時点では約1,200人、2040年時点では約6,700人の介護職員が不足するとされています。そこで、介護ロボットや入所者の24時間の見守りシステムなど、先端技術を積極的に活用して、介護現場の改革を加速していきます。 また、福岡の若者をターゲットに、dot.を活用して、介護の魅力ややりがいを伝えるセミナーを開催します。加えて、先輩介護職員の活躍ぶりを紹介するパンフレットや動画を作成し、WebやSNSを通じて広く発信することにより、人材の新規参入を促します。 外国人も貴重な介護人材です。受入事業所の環境整備をはじめ、日本語や介護技術の習得支援、仕事や生活の相談に応じるアドバイザー派遣を行っています。加えて、コロナ禍による入国時の隔離のためのホテル滞在経費を助成するなど、外国人の円滑な受入れと定着を支援していきます。 こうした取組を通じ、団塊ジュニア世代が高齢者となる2040年も見据えながら、高齢者が住み慣れた地域で安心して自立した生活を送れるように、介護保険制度の安定的・持続的運営に努めたいと思います。 私からは以上です。介護者、ケアラーの支援については、担当部長からお答えします。
○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。
◎山田雅文福祉保健部長 私から介護者、ケアラーの支援についてお答えします。 今回の痛ましい事件は、周囲との関わりが希薄となり、介護者が不安や悩みを一人で抱え込んでしまったことによるものと考えられることから、気軽に相談できる体制づくりが重要です。 県では、6月の事件報道を受け、即日、市町村に相談窓口や介護サービス活用等の周知を図るよう改めて要請し、県のホームページでも県民向けに同様の呼びかけを行ったところです。 議員御提案の実態調査については、全市町村で3年ごとに在宅介護実態調査を行っていますが、今回の事件のような介護認定を受けていない世帯は対象となっていません。 このため、民生委員や自治体等との連携を強化し、地域包括支援センター等による高齢者世帯への見守り活動につなげ、深刻化する前段階での実態把握を行っています。 こうした痛ましい事件が二度と繰り返されることのないよう、在宅介護の課題をさらに深く掘り下げ、関係機関との緊密な連携の下、地域みんなで支え合える環境づくりに努めます。
○三浦正臣副議長 小嶋秀行君。
◆小嶋秀行議員 知事ありがとうございました。私も初めて人材不足が6,700人に及ぶというのを知りました。そういう意味では、これから介護保険制度そのものが前途多難だなと感じたところです。 また一方では、介護の社会化ということから申し上げるならば、まだまだ道半ばと言わなければならないのかもしれません。そういう意味では、これから知事がおっしゃったような施策をそれぞれやっていただくことによって、地域の中で本当に根づいていく介護保険制度にしていかなければならないなという思いを強くしたところです。 一方で、それを前提に考えていかなければならないと思いますが、さきほど部長から答弁いただいたケアラーの問題については、昨日、戸高議員からヤングケアラーの話があり、これも調査するということでしたが、あわせて私は実態的な調査を行っていただくことがいいんじゃないかと思うわけです。 それはどういうことかというと、既に御承知のとおり、要介護3以上の施設の待機者が3,422人、これは令和2年4月現在ですが、要介護3というのがどういうことかというと、自力で立ち上がることや歩くことが難しく、認知症の症状が見られる場合があるなど、食事や排せつなど、身の回りはほぼ全て介護が必要な状態が要介護3ですから、それ以上の方は大分県内でまだ3,400人いらっしゃると。この方々にはそれぞれ恐らくケアラーという介護人という人が家族を中心についていてお世話をなさっていると思います。居宅介護が方針ですので、施設介護を積極的にやりなさいという意味ではありませんが、しかし一方で、要介護3以上の人がこれだけの数いれば、そこに多くの悩みや苦しみがあるのではないかと思いつきます。 ですから、そういう観点で申し上げるならば、実際にどういう悩みを持たれているかも含めてこれを調査していただくということが私は肝要ではないかと思います。御承知かと思いますが、日本福祉大学の社会福祉学部で湯原悦子教授という方が、介護者支援の視点からということで本を出しており、その方がこのように書かれています。「介護殺人が生じる世帯の多くは被介護者、介護者の健康のみならず、経済的困窮など様々な問題を抱え、自ら困難に対処する力を失っている。これらに対応するためには適切な判断と支援を行える第三者の介入が不可欠である。もし、危機介入が必要な場合でも、実際に介入を可能とするシステムが地域に整備されていなければ、本人の尊厳の保持や自立生活の支援だけではなく、家族もその人らしい生活を送れるように、という理念は絵に描いた餅になってしまう。保健医療福祉領域の専門職が適切に介入していくためには、公的責任による介護者支援のシステム整備が不可欠である。それなくして自助と互助を支援の拠りどころにするのであれば、介護殺人の発生を防ぐことは難しい。」というのを論文で表せています。あらかじめ職員を通じてお渡ししてありますからお読みいただいたと思います。一気に話は支援のための仕組みづくりに及びましたが、今読み上げた点について、どのように部長としてお受け止めになっておられるか、一言お願いします。
○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。
◎山田雅文福祉保健部長 今回の痛ましい事件は本当に衝撃的で、介護の実態を把握する必要性を痛感しています。 介護保険制度の中には、介護者の集いとか、介護者慰労金といったケアラーに対する支援制度もありますが、問題はそれを必要とする人をどうやってあぶり出すかが一番大事ではないかと思っています。 そのためには、通り一遍の調査ではなくて、やはり実地に入っていって、現地で調べていくという地道な努力が大事ではないかと考えています。 そのためにも、さきほど申し上げたように、民生委員や地域包括支援センター等を総動員し、実態把握に努めたいと考えています。 今、議員がおっしゃった公的責任による介護者の支援システム、整理、これは早急に取組を強化していきます。
○三浦正臣副議長 小嶋秀行君。
◆小嶋秀行議員 介護者に関しては、制度創設の頃から4、5年の間、御記憶にあるかもしれませんが、介護手当というか、支援者手当のようなものを検討されていたことも言われているし、記憶もあります。これは結果として、介護の社会化という観点からすると、家庭の中で自分の家族を介護するときに手当をつけることはいかがなものかということも議論としてあって、そういう制度にはならなかったという話は聞いています。お金が必要だということを言っているわけではなくて、社会的に介護をするということからすれば、こういうケアラーに対する仕組みづくりもしっかり議論していく必要があると考えているので、今後の議論にしていきます。 北海道では、ケアラー支援条例のようなものが北海道議会で議論され始めた、それから、埼玉県ではもう既に今年の4月につくられたということが言われています。それ以外にも、二つの市においてケアラー支援条例ができているということもあります。これから少し議論を深めていただいて、いろいろ調査していただいて、そういう方向に持っていっていただく、ぜひともよろしくお願いします。 それでは次に、振興局における市町村の避難判断支援についてお尋ねします。 御記憶にあると思いますが、8月12日の大雨時、警戒レベル5の緊急安全確保が九重町東飯田、野上地区に発令されていました。テレビの15時13分の報道は、テレビキャスターが「この時間に出てももう避難できる状況にはないですよね。」と述べられていました。 この時間帯は、雨が強く降り始めてから4、5時間経過後で、お手元に配付していますが、九重町では大雨や気象台の土砂災害警戒情報などを踏まえて、12時45分に町内全域にレベル4の避難指示を発令しました。その後、河川増水により、14時20分に東飯田地区に、そして、14時40分に野上地区にレベル5緊急安全確保を発令いたしました。この間、2時間ほどですが、実際に避難された方は少ないのではないでしょうか。 県災害対策連絡室の14時40分発表の災害情報では、九重町の避難者数はゼロとなっています。町から県への報告にタイムラグがあることを考慮しても、実際に避難をされた方はあまりにも少ないと感じます。そして、すぐに緊急安全確保の情報が発令されているわけですから、東飯田、野上両地区の住民の方々については、レベル5の緊急安全確保が発令される前より避難を進めるべきであったと思います。 前述のとおり、警戒レベル5が発令されたところで、そのときは既に動けない状況に至っていることがないようにするため、特に今回のような長時間広範囲大量降雨に際し柔軟に判断できる対策が必要と思うし、この数年間のこの時期の雨量や規模などを考えると、今の体制では大変不安に感じます。県民に対して市町村が発する避難情報を待つだけでなく、自らを守るため自発的な避難をふだんから心がけてもらうことを啓発していくことも大切なことだと思いますが、県として、とりわけ振興局段階として、市町村が行う避難指示などをサポートする体制は取れないものでしょうか。 具体的には、毎年のように県内を大量の降雨が襲うようになっており、なおかつ、今回のような長時間広範囲大量降雨に際しては、各振興局エリアで気象予報に深く知見を持つ職員の複数配置、あるいは気象予報士の資格を有する職員の配置、採用などがなければ、降雨時にリアルな判断は不可能ではなかろうかと思います。それが今回、立証されているのではないかと考えます。その上、それぞれの広域エリア、振興局管内のこうした事態への対応を市町村と連携を取りながら、日常的に強めておく必要があると考えますが、御見解を伺います。
○三浦正臣副議長 梶原防災局長。
◎梶原文男防災局長 避難判断支援についてお答えします。 今回、九重町は土砂災害警戒情報の発表を受け、その10分後には避難指示を発令しています。県は、土砂災害警戒情報等に合わせ、避難指示を発令するよう市町村に働きかけており、九重町の発令は適切なもので、早期避難につながったと認識しています。 加えて、松木川の水位が橋桁近くまで達し、昨年と同じように氾濫することが心配されたため、緊急安全確保を発令したと聞いており、問題はなかったと考えています。 県では、大雨のおそれがある場合、気象台と合同で説明会を開催し、市町村に映像を配信しています。さらに、災害発生が予想される場合は、気象台職員が防災センターに常駐し、きめ細やかな情報共有を行っています。 また、避難情報に関する研修や気象台との共同による防災気象情報研修を実施し、市町村職員の専門性向上を図っています。 一方で、気象庁は観測機器の強化や予報の精緻化に取り組んでいることから、県としては、資格を有する職員の配置ではなく、今後も気象台とともに市町村の適切な避難判断を支援します。
○三浦正臣副議長 小嶋秀行君。
◆小嶋秀行議員 ありがとうございます。話はちょっと角度が変わりますが、局長、今NHKで放送があっている「おかえりモネ」という番組を御存じでしょうか。今日、たまたま私がこういう発言をするから、そういう番組になったわけではなく、降雨時の、台風18号が動くときの気象予報会社の中の動きがリアルに出されています。実際は、大量降雨のときは現地、つまり、自治体の中で、あるいは振興局を含めてそういうリアルな状態になければならないんじゃないかなと思います。 いろいろと対策を取って、それは間違いでなかったということは確かにあるのかもしれませんが、しかし、県庁の中に3人の気象予報官がいて、現地の雨の降り方とかいうのは実際分からないわけです。現地には、それと同等の知識や知見を持つ人がいて、これは危ないぞと判断したときに役場に早く出しましょうという助言ができるということだと思います。それを、振興局の中の防災企画監、防災監という方々が位置づけられていて、その方がしっかりと市町村と連携を取ってやれるという環境をつくっておかないと。これから先、雨が広範囲に大量に降る時代が今来ていますから、これに耐えられないんではないかと考えます。 それで、気象予報士の話をしましたが、4年前にも同じような話をしました。あまり答弁としては変わっていないような気がするんですが、今回、また改めて提案ですが、1年に一遍に6振興局にそういう気象予報士の資格を持つ人たちを配備しましょうと、そういう話じゃありません。今、気象台には気象防災アドバイザーという制度があるようで、それを利用して、そして、実際にその地域の状況もしっかり理解していただいた方に判断をいただく、それで気象台から来る、あるいは本部から来る情報より早目に避難の指示が出せるような状況に私は持っていくべきではないかと思いますが、気象防災アドバイザーの制度の採用というか、導入などについていかがでしょうか。少し私も話を譲って、そこまで譲ってお話をしましたが、いかがでしょうか。
○三浦正臣副議長 梶原防災局長。
◎梶原文男防災局長 今、議員おっしゃったのは、気象庁防災対応支援チームのことだと思います。既にさきほど答弁で申し上げた気象台の方が常駐していただいているというのは、その制度を活用しています。 それから、県庁に来るだけではなくて、市町村にも出向いていただけるようになっているので、市町村にもこれから心配なことがあれば出向していただくことはできると思います。そうなると、現地の状況だとか、首長さんとの対話も可能でしょうから、そういった取組を進めていきたいし、現状として制度もあるので、お話をしていきます。 それから、今回、12時ぐらいから雨がひどかったんですが、それ以降、少し収まって大きな災害にならなかったと思います。九重町長もかなり心配して、少し早目に安全確保を出したという認識を持っており、先日の町議会の答弁でも、住民の方が空振りと思って避難しないことになれば悪いので、これからは一貫性を持った気象情報とのリンクを考えてやっていきたいと真摯なお答えをしています。 町長は、住民の安全を第一に考えて、去年の災害のようなことが起こらないようにという一心でこのような対応をしたということをおっしゃっていたので、少しだけフォローしておきます。
○三浦正臣副議長 小嶋秀行君。
◆小嶋秀行議員 一番心配するのは--心配というか、このたび5月でしたか、6月でしたか、レベルの4とか5とかいうのが変わりましたね。これが、以前ですと避難勧告から避難指示に変わる、それが合併して4になったということなどがありますが、それが住民の皆さんにほとんど理解されていない。 我々はよく見聞きするのでよく分かりますが、それが住民の皆さんには十分理解されていないし、住民の皆さんに対して避難するぞというふうな一撃、最初の一言をかけられるような環境づくりも私は必要ではないかと思っているので、そこに重要な役割を果たすのは、私は振興局かなと。 あるいは振興局の中のそういう仕組みが市町村と一緒に努力をしていただくということになるのではないかと、私は私なりの持論を持っています。これらについてはまた今後議論をしたいと思いますが、一番大切なことは、災害で一人の命も失わないことだと私は思っているので、引き続き議論します。 それでは次に、教育におけるICT活用について伺います。 県内教育機関のICT化は、国が平成25年に閣議決定した、世界最先端ICT国家創造宣言を引き金に、文部科学省の学習指導要領の改訂から始まっています。これをさらに前倒しして取り組もうとしたのが、国のGIGAスクール構想だと思います。 既に大分県内では、市町村立学校及び支援学校を含む県立学校全てで教育の情報化が進められており、国の法律に基づいて、県では大分県学校教育情報化推進計画、いわゆるICT活用教育推進プラン2020では、昨年9月に改訂したようですが、2021年までの2年間の計画が進行中であると認識しています。 特に、国が進めるGIGAスクール構想では、ICT環境の整備、ソフトの充実、指導体制の強化、三つの柱を基に進められており、これまで進めているICT活用教育推進プラン2020計画の前倒しへの期待があります。 また、ICT活用教育推進プラン2020では、公立学校教員のアンケート結果を示しており、2019年3月時点で、授業の中で電子黒板やプロジェクター、書画カメラ、タブレット端末などをどの程度活用していますかの問いに、約2割が使用していないと答えており、月に1回から3回程度の使用が約3割強でした。ほぼ毎日や週に1回から3回程度と比較的多く使っている教員もありますが、この結果を見ると、ICT教育における地域間格差や学校間格差を招いているのではないかと考えるわけです。 そこでまず、大分県内におけるICTを駆使した教育を、大分県学校教育情報化推進計画に基づいて、どの程度の水準まで高めていこうと考えかお聞きします。また、2024年以降予定と言われてきましたが、前倒しの導入となる学習用デジタル教科書についてどのように扱われる考えかお聞きします。 さらに、ICT教育における地域間格差や学校間格差を招かないようどのように取り組んでいるのか。授業の中で電子黒板やプロジェクター、書画カメラ、タブレット型端末などの最新の活用状況とあわせて伺います。 さらに、地域間格差や学校間格差を招かないためにもICT支援員の配置は重要です。これに関し、昨年の第3回定例会で、尾島議員がICT支援員の配置について質問しました。その際の答弁で、ICT支援員や教育支援アドバイザーの人数が示され、教員の指導力向上や学校におけるICTを活用した授業づくりの支援を行うこととしていましたが、その後の取組やさらなる充実策について質問します。 また、基本的な読み、書きの力を持続的にどう向上させていくのか、大きな課題です。この点についてもどのような対応が取られるのかお聞かせください。
○三浦正臣副議長 岡本教育長。
◎
岡本天津男教育長 2点についてお答えします。 まず、大分県学校教育情報化推進計画に基づいた教育水準の向上についてです。 ICT活用教育推進プランは、大分県長期教育計画の教育情報化に関わる部分を具体的に示し、推進するものです。長期教育計画では、令和6年度までに子どもたちにICT活用を指導できる教員の割合100%を目標としています。 もう一つの児童生徒一人にタブレット端末1台を配備するという目標は達成しています。 デジタル教科書については、約半数の小中学校に1教科ずつ試験的に導入しています。国のガイドラインに基づき、動画や音声等を活用し、指導の効果を上げるとともに、習熟の度合いに応じた学習を行っています。 ICT教育における格差について、一人1台端末の活用は、今全国で試行錯誤を重ねている状況であり、好事例を収集しています。 参考となる取組は、市町村教育長も参加する情報化推進本部会議などで共有するとともに、授業研究会を開催するなど、各学校への横展開を促進しており、教育格差が生じないよう留意していきます。 授業での電子黒板などICT機器の活用頻度について、今年3月の調査では、使用していない教員の割合は12%まで減少しています。一人1台端末の整備に伴い、今後、頻度は増加していくものと考えています。 二つ目は、ICT支援員の配置についてです。 GIGAスクール構想の実現に向け、先月の学校教育法施行規則の改正で、ICT活用の支援に従事する職員が情報通信技術活用支援員として新たに規定されるなど、ICT支援員の役割はますます重要となっています。 市町村立学校については、16市町村がICT支援員を配置しており、残る2市は配置準備を進めています。 県立学校については、ICT支援員2人を配置しており、オンライン研修や機器の操作支援を行うとともに、各学校を訪問し、授業用アプリケーションの活用研修などを行っています。 さらに、教員の指導力向上のため、教育センターの研修充実はもとより、外部の専門人材によるICT教育支援アドバイザー派遣研修を行っています。 ICT機器等を活用し、授業で実践できる情報モラル教育やデータ活用など、五つの研修メニューから市町村ごとの選択制で、今年度は20回以上開催する予定としています。引き続き、ICT支援員等の配置の充実に努めたいと考えています。 基本的な読み、書きについては、ノートなどに直接書く活動、あるいは音読は大変重要だと考えています。今後とも学校や家庭学習の中で、しっかりと取り組んでいきます。
○三浦正臣副議長 小嶋秀行君。
◆小嶋秀行議員 ありがとうございました。今さら申し上げるまでもないんですが、GIGAスクール構想、文科省によると、一人1台端末と高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とすることも含め、多様な子どもたちを誰一人取り残すことなく、公正に個別最適化され、資質能力が一層確実に育成できる教育ICT環境を実現する、これまでの我が国の教育実践と最先端のICTのベストミックスを図ることにより、教師、児童生徒の力を最大限引き出すことと言われていることは申し上げるまでもないことだと思います。これが非常に理想的な水準ということになると思います。 にわかに始まったわけではありませんが、この間、少しずつICT教育が導入されるに至って、一どきにすべからくばしっといく、きれいにいくとは考えていません。それぞれ地域によって、あるいは教員の資質によっても様々あろうかと思います。しかし、教育ですから、最低限どこかに合わせなきゃならないし、それを少しずつ高めていかなければならないのではと考えるわけです。私も文教警察委員会に所属していますが、あえてそういう話でもあるので、質問しましたが、今後、様々な課題については委員会の中でも議論します。 最後に、教育長がおっしゃった読み、書きの力の持続的な観点、向上については、これがいいかどうかは分かりませんが、先生方によると、先生が板書していると、それを子どもたちが自分のノートに書き写そうとしている。そのときに、君たちは後で写真撮ったらいいんだから、今はちゃんと先生の話を聞いて前を向いておきなさいとおっしゃる先生もいると聞きます。ただ、写真を撮ったら、それを恐らく家に帰って、整理することにはなかなか慣れていないのが今日の状況だろうと思います。基本的に読み、書きの力の持続的な向上については、ぜひ意識して取り組んでいっていただきたい。教員のそれぞれの資質によって違うかもしれませんが、ここはあえてお願いをしておきたいと思うところですので、よろしくお願いします。 それでは、最後の自動水栓による感染症対策について伺います。 コロナ禍における学校生活の環境整備についてお聞きしますが、大変残念なことに、日本国中、新型コロナウイルスの感染再拡大が起きており、各学校では、夏休み明けの子どもたちの学校生活がとても窮屈な状況になっていると思います。 今年は、全国高等学校野球選手権大会が実施されている途中に選手への感染が確認され、出場校が試合を辞退せざるを得ないということが起こりました。必ずしも学校での感染対策が影響しているとは言えませんが、既に県内でも児童生徒への感染拡大が懸念されており、それぞれの教育委員会や学校で夏休み明けにあたり、独自の緊急対策を講じなくてはならなくなっていました。 学校内では、これまでに取り組まれている入念な手洗いやマスクの完全着用、間隔を空けた着席、3密を避けることなど、万全の感染対策のみならず、そうした感染対策を行いやすい環境づくりとして、日頃使う手洗い場やトイレ周辺の水回り、上水道の蛇口の自動水栓化など対策が必要ではないかと思います。 本年5月に一部修正はありましたが、文部科学省が示す学校における新型コロナウイルス感染症に関する衛生管理マニュアル、学校の新しい生活様式では、手洗いの教えとして、接触感染の仕組みについて児童生徒等に理解させ、手指で口、鼻、目をできるだけ触らないように指導するとともに、接触感染を避ける方法として手洗いを徹底しますとしています。 手洗いの六つのタイミングについて、外から教室に入るときや、咳やくしゃみ、鼻をかんだとき、給食の前後、掃除の後、トイレの後、ブランコや滑り台など共有のものを触ったときを指導しています。ただ、こうした六つのタイミングで入念に手洗いして、水道の蛇口が従来型のハンドル水栓であれば、せっかく接触感染について理解しても、洗った後と洗う前に触れたハンドルの水栓に接触せざるを得なくなるので、マニュアルの遵守さえ難しく、元も子もないのではないかと思います。 また、トイレ関連企業6社が学校のトイレ研究会として研究活動する中で、今後、新設や改修をする際には非接触型の自動水栓を74%の学校関係者が求めているという調査結果もあるようですから、大いに検討の余地がありそうです。 この対策はまた、昨今のコロナ禍の時期のみならず、インフルエンザをはじめ、他の感染症が発生した際に有効ですから、県として既に設置の方向である大分市を除く県内各市町村でこうした対策を計画的に推進すべきであり、また、応急の措置として何らかの方法を検討する必要があるのではないかと思いますが、教育長の御見解をお聞きします。
○三浦正臣副議長 岡本教育長。
◎
岡本天津男教育長 現在、新型コロナウイルス感染症は若年層の感染が増えており、新学期を迎え、児童生徒の感染防止対策の徹底は重要な課題と考えています。 その中で、水道の自動水栓は、蛇口を直接手で触れる必要がなく、接触感染を予防するための有効な感染症対策の一つだと考えています。 県立学校では、新設や改修の際に加え、昨年度からはコロナ交付金を活用し、自動水栓化を進めており、現在では、大半の学校のトイレにおいて自動水栓が備わっています。 市町村立学校については、各市町村の判断とはなりますが、今年度中に各市町村内の全ての学校で自動水栓が設置されるのは10の市町と伺っています。 ハンドル水栓の場合は、手指を石けんで洗った後、そのまま蛇口のコックを石けんで洗って、最後に流水で洗い流すといった方法もあります。今後は、蛇口に関する指導状況も把握した上でマニュアルを作成するなど、状況に応じて必要な対策を講じていきます。
○三浦正臣副議長 小嶋秀行君。
◆小嶋秀行議員 ありがとうございました。10の市町で対策は進んでいくということがはっきりしたわけですが、伺うと、県立学校については半分、二つ蛇口があったら一つだけは自動水栓化ということが現在行われている対策と伺っています。私は、その対策がこれから各市町村で取られるとすれば、県と同様の対策になるのではないか、つまり、2か所ある手洗い場は1か所の対策ということになるかもしれないという臆測があります。ぜひこれはお願いするしかないんですが、自動水栓を完全に予算化してもらってつけてもらう、市町村にもそういうことができるように、ぜひ県としてもアドバイスをしていただけるよう、よろしくお願いします。要望します。これをもって私の一般質問を終わらせていただきます。(拍手)
○三浦正臣副議長 以上で小嶋秀行君の質問及び答弁は終わりました。 お諮りいたします。本日の一般質問及び質疑はこの程度にとどめたいと思いますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○三浦正臣副議長 御異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。
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○三浦正臣副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。日程は、決定次第通知します。
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○三浦正臣副議長 本日は、これをもって散会します。 午後2時46分 散会...