大分県議会 > 2021-06-22 >
06月22日-03号

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  1. 大分県議会 2021-06-22
    06月22日-03号


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    令和 3年 第2回定例会(6月)     令和3年第2回大分県議会定例会会議録(第3号)令和3年6月22日(火曜日)  -------------------------------議事日程第3号            令和3年6月22日              午前10時開会第1 一般質問及び質疑  -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 一般質問及び質疑  -------------------------------出席議員 43名  議長        御手洗吉生  副議長       三浦正臣            志村 学            井上伸史            吉竹 悟            清田哲也            今吉次郎            阿部長夫            太田正美            後藤慎太郎            衛藤博昭            森 誠一            大友栄二            井上明夫            鴛海 豊            木付親次            古手川正治            嶋 幸一            元吉俊博            麻生栄作            阿部英仁            成迫健児            浦野英樹            高橋 肇            木田 昇            羽野武男            二ノ宮健治            守永信幸            藤田正道            原田孝司            小嶋秀行            馬場 林            尾島保彦            玉田輝義            平岩純子            吉村哲彦            戸高賢史            河野成司            猿渡久子            堤 栄三            荒金信生            末宗秀雄            小川克己欠席議員 なし  -------------------------------出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       尾野賢治  副知事       黒田秀郎  教育長       岡本天津男  代表監査委員    首藤博文  総務部長      和田雅晴  企画振興部長    大塚 浩  企業局長      浦辺裕二  病院局長      井上敏郎  警察本部長     竹迫宜哉  福祉保健部長    山田雅文  生活環境部長    磯田 健  商工観光労働部長  高濱 航  農林水産部長    佐藤 章  土木建築部長    島津惠造  会計管理者兼会計管理局長            森山成夫  防災局長      梶原文男  観光局長      秋月久美  人事委員会事務局長 法華津敏郎  労働委員会事務局長 稲垣 守  -------------------------------     午前10時 開議 ○三浦正臣副議長 皆様おはようございます。 これより本日の会議を開きます。  ------------------------------- ○三浦正臣副議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第3号により行います。  ------------------------------- △日程第1 一般質問及び質疑 ○三浦正臣副議長 日程第1、第58号議案から第71号議案までを一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。木田昇君。  〔木田議員登壇〕(拍手) ◆木田昇議員 おはようございます。25番、県民クラブの木田昇です。本日、傍聴にお越しの皆さん、また、インターネットで視聴の皆さん、ありがとうございます。よろしくお願いします。今日は、アフターコロナから坐来やデジタルの変革、また、避難生活の課題等について質問するので、知事はじめ、執行部の皆さんよろしくお願いします。 それでは、質問に入ります。 まず1点目、九州ブランドPR拠点づくりについてです。 先月、本県のフラッグショップ坐来大分が移転し、リニューアルオープンしました。移転先は有楽町の数寄屋橋交差点近くでアクセスもよく、また、併設のショップやギャラリーも充実しており、これまで以上に大分の魅力を伝える拠点として役割を果たすものと期待されます。 さて現在、コロナ禍にあって会食や観光が制限されていますが、アフターコロナを見据え、今回の坐来大分のリニューアルに続く首都圏でのPR戦略を考えるべきと思っています。 2005年に設立された九州観光推進機構は、九州はひとつの理念の下、九州地域戦略会議で策定された九州観光戦略の実行組織として九州の観光振興に取り組んでいます。 九州観光戦略の分析では、本県も含め、九州各県の観光客は、近県、関西方面からの来訪が多く、インバウンドに関してもアジア方面からの来訪に偏っている現状です。第2期九州観光戦略第3次アクションプランでは、世界中の観光客から選ばれる「KYUSHU」の確立が基本方針の第1に掲げられており、今後は各県ごともさることながら、九州としてのブランドイメージの定着と認知度の向上が重要と考えます。 そこで、九州各県が共同で九州ブランドをPRするシンボリックな拠点施設を首都圏に設置してはどうかと思いますが、知事の考えを伺います。 あとは対面にて行います。  〔木田議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○三浦正臣副議長 ただいまの木田昇君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 木田昇議員から九州ブランドPR拠点づくりについて御質問をいただきました。 食や観光のグローバル化が進む中、国内外に向けた大分ブランドの発信の重要性はますます高まっています。このため、県では大消費地の首都圏において坐来大分による「食に情報をのせて」をコンセプトにした大分の魅力発信の他、百貨店や量販店における物産展やホテルフェアなどに積極的に取り組んできました。今年度は東京など都市圏の県産品取扱店を69店舗から100店舗に増やすことを目標に取り組み、販路拡大を進めています。 また、九州ブランドの定着や認知度向上も必要なことです。現に私も大九州展などもよいのではないかと首都圏の大手百貨店関係者と話をし、この5月には東京で開催することになっていました。緊急事態宣言により一時中止となりましたが、こうした取組も進めていきます。 しかし、ただ大分の産品を首都圏に持っていけばよいというものではありません。ターゲットとなる市場に応える商品の掘り起こしや開発、おいしさや鮮度の保持、そのための輸送方法に加え、コスト回収に必要なある程度の販売量とそれを可能とする生産体制等の課題を県内の食品企業が乗り越える必要があります。その上で、大分産品を売り込むための手法として九州がよいのか、大分を最初から前面に出していくのがよいのかなど、より効果的な形を考えながら取り組んでいきます。 観光では、コロナ禍を経験して旅行者のニーズが変化しています。自然の中でのアクティビティやワーケーション等の新たな観光需要にも応じた施策を進めることが重要です。 インバウンドについては、現在、海外に出向いてのPRは困難なことから、九州観光推進機構が現地のパートナー企業を活用し、現地メディアに対し、リモートでの観光体験などを働きかけています。さらに、デジタルマーケティングを活用し、九州への訪問意向等のデータ分析と発信手法の改善にも継続的に取り組んでいます。 今後もターゲットとなる方々が九州・大分を知り、行きたいと思っていただけるよう最適な施策を実施していきます。消費者ニーズの変化の加速化、SNSなどの発信ツールの多様化が進む中、九州としての拠点を持つことは、現時点では必ずしも最適ではないと考えます。引き続き九州各県とも連携しながら、様々な方法により九州や大分をPRし、ブランド力を一層高めていきます。 ○三浦正臣副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 知事、答弁ありがとうございます。この件は、今後の検討をぜひお願いしたいということで、今回質問として取り上げています。 まず九州、また北海道のブランディングの違い、認知度の違いについて説明します。資料を配っていますが、首都圏の九州各県のアンテナショップと、北海道のアンテナショップ、北海道は2か所設置されています。この北海道の認知度と九州の認知度といった場合、私ども大分県議会ラグビーワールドカップに際し、大洋州に県議の調査団として私も参加しました。オーストラリア・シドニーの場合ですが、あちらの政府・観光局のヒアリングでも、日本の認知度の中では東京、千葉、そして京都、大阪となるわけですね。千葉はディズニーランドがあるからと思います。そして、やはり北海道が来ます。長野もスキーがあるので、人気があるようですが、九州という言葉はなかなか上がってこない。向こうとしても、九州としてPR活動にぜひ豪州にも来てほしいという話もありました。 今アフターコロナの国内観光客のアンケート結果も種々ありますが、やはりそれを見ると、アフターコロナで行きたい旅先というと、北海道、沖縄、京都といった順で、なかなか九州という取扱いでは捉えてもらっておらず、九州各県もこの上位には上がってこないです。 やはり北海道としての認知度は定着しています。北海道はかつて明治時代は三県一局時代というのがあり、函館県、札幌県、根室県、そして、その他の地域の管理局、その三県一局時代があって、そのまま北海道がばらばらだったら、今のような北海道の認知度にはならなかったと思います。九州も九州アイランドとして、九州のブランドイメージを定着し、これから特に関西以北になるとなかなか九州への来訪は少なくなるというところ、そして、インバウンドへの訴求を考えたときに、九州ブランドとしての観光戦略にしっかり取り組む必要があるということで、今回、この質問を取り上げています。 今すぐ拠点施設を造るのは難しいかもしれないですが、東京オリ・パラ後の首都圏の不動産状況とか、テレワークとかでかなり不動産の状況も変わっているような動きがあると思います。ぜひ九州各県で協力して九州ブランドをつくっていく、そういった拠点を設けるべきではないかと思います。九州知事会なのか、戦略会議の場所になるか分かりませんが、統一した九州の拠点づくりの検討に入っていくことをぜひお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○三浦正臣副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 実は御質問の趣旨に沿うような九州のブランドを売り込む、また、九州の観光を売り込むための拠点をしっかり設けていくべきではないかという議論は、九州地方知事会でも九州観光推進機構の中でも大変活発に行われています。むしろPRのために九州全体として観光商品をまとめていくことが大事だということが一つ。そのため、九州全体の温泉のマップを作ったり、九州の名山のマップを作ったり、いろんな意味で九州を一つとして売り込むための中身づくりをやっています。 もう一つは、イベント、例えば、ツールド・九州ということで、九州を一周する自転車のスポーツをやっていこうではないかとか、そういった九州全体としての売り込みのイベントも考えています。 それを、今はネットの時代ですから、いろんな意味でネットに乗せて売り込んでいくことは非常に大事ではないかということでやっています。何せコロナの問題があるので、今はどちらかというと、そういうものについて準備中で、コロナが明ければいろんな動きが出てくるのではないかと思っています。御質問の趣旨はよく理解しているので、時宜を見ながら動いていこうと思っています。 ○三浦正臣副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 ありがとうございます。さきほど大九州展の企画もあるということですし、ツールド・九州、この後、質問しますが、いろんな取組とあわせ、連動し、ぜひ九州ブランドの定着に取り組んでほしいと思います。 今、九州経済産業局九州経済国際化推進機構が中心となって本格焼酎・泡盛輸出促進ネットワークといったオール九州・沖縄で取り組もうという海外展開も進められていると聞いています。コロナで今はオンラインに取り組まれていますが、オール九州の取組がやはりいろんなところでなされており、北海道、東北にしても、やはり我々から見たら、向こうは東北六県とかいう感じで見ますよね。観光商品も東北3県巡りといった商品になってくるし、東北物産展といった感じになると思うので、向こうから見ると、やはりこっちは九州と見ていると思いますから、そういったブランディングでぜひ強化していただきたいという趣旨での質問です。 我々議会も九州観光議連に一本化して今取組をしています。ぜひそういったところとあわせて九州ブランド、しっかりPR戦略を進めていただきたいと思います。ぜひよろしくお願いします。 では、次に、電気自動車についてです。電気自動車シフトに伴う影響等についてお尋ねします。 温室効果ガスについて、政府は昨年10月、2050年までに排出を実質ゼロとするカーボンニュートラルを目指すと表明し、さらに、2030年に向け、2013年度比で46%減とする目標を打ち出しました。 また、国際的にも排出削減目標が前倒しして進められる中で、自動車の環境規制が各国で相次いで強化されており、日本でも2035年までに新車販売を電動車のみとする方針が示されました。 この方針に日本の各自動車メーカーも反応し、危機感を示すメーカーもある一方、2040年までに新車販売を全て電気自動車及び燃料電池車にすると表明したメーカーや、3社共同で軽自動車を含む小型の電気自動車の開発を進めるとの発表もありました。 世界的なEV化の潮流の中で国際競争力を維持するためにはEVシフトに対応すべきなのか、または水素エンジンなど別の道があるのか、大きな転換点にあると感じます。 さて、本県には県北を中心に車体や部品メーカーなど自動車関連産業が集積しています。自動車産業は裾野の広い産業と言われていますが、EV化の進展に伴い、設備投資や人材確保など、本県の自動車関連産業に対し影響や課題はないのか、世界的なEV化への評価を踏まえ、知事に今後の見通しを伺います。 続いて、電気自動車の普及についてです。 昨年、中間見直しされた大分県新エネルギービジョン、そして、本年3月に策定された第5期大分県地球温暖化対策実行計画では、ハイブリッド自動車などの低燃費車や電気自動車等次世代自動車の普及を促進するとしています。 また、電気自動車の普及と同時に必要となる充電設備の設置に関しては、大分県次世代自動車充電インフラ整備整備ビジョンにおいて目標数等を定めています。 電気自動車の普及については、車両購入やEV充電設備の設置に対し、経済産業省や環境省の補助金の他、自治体独自の補助もあるようですが、本県では電気自動車の普及促進に向け、具体的にどう取り組むのか、お聞かせください。 ○三浦正臣副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 電気自動車シフトに伴う影響について御心配いただきました。 国は2050年、カーボンニュートラルを宣言し、2035年までに新車販売で電動車100%実現の方針を打ち出しています。2020年、乗用車販売台数では、電動車の割合は38.3%で、これを100%にすることは大変野心的な目標と言えます。対応を迫られる自動車メーカーは、電気や水素を用いた燃料電池を利用する次世代自動車の開発をさらに加速していくと考えています。 本県の自動車関連産業は、ダイハツ九州の中津市進出を契機に、大分県自動車関連企業会を立ち上げ、メーカー等の支援を受けながら産業集積を図り発展してきました。 企業会による金型保全技術者養成講座の卒業生は延べ156社182人に達しました。また、大分県産業創造機構に設置した自動車関連産業支援プロジェクトチームの直近5年間の支援数は延べ239社に上ります。工場の導線や設備配置など細かい改善活動のみならず、マッチング支援により64件の商談にも結びつけています。 市場は常に変化し続けるものです。メーカーや取引先からのオーダーに応える待ちの姿勢ではなく、共に製品開発に取り組んでいくぐらいの先手先手を打った対応が必要になります。 そのような中、電動化という大きな変化が既に始まっています。県としては、企業会を中心に、まず、業界自らがその変化をどう捉えていけばいいか、その変化の中からどう成長の機会を見つけていけばいいかを考えていただき、そのための支援を県としてしっかり講じていくことが必要ではないかと思います。 まずは、電動化の動向を的確に把握し、対応していくことです。次世代自動車セミナーを開催し、電動化の自動車部品への影響等の知見を得る場として活用してもらっています。 次に、新分野参入に挑戦意欲のある企業に対し、電動化等に係る部品や部品製造装置等の開発費用を補助する制度を設けています。これにより、電動化に伴い増加が見込まれる部品の梱包資材の試作や自動車に搭載する電池の冷却装置部品の開発に取り組む企業が出てきています。 また、自動車の電動化とともに、これと一体的に考えなければならないのが自動運転技術への対応です。私は一昨年、米国のシリコンバレーを訪問した際、テスラに乗車しました。スマートフォンで自動車を駐車場から呼び寄せ、高速道路での自動運転、そして、全ての計測機器等が一つのタッチパネルに置き換わった運転席を目の当たりにし、自動車における大きな変革のうねりを実感しました。 こうした状況も踏まえ、今年度企業会の中に次代を担う若手経営者を対象とした新たな研究会を立ち上げることとしています。 本県自動車関連産業のさらなる発展に向け、自動車メーカー大手部品メーカーとの連携も深めながら、企業の事業展開意欲も後押しするような効果的な支援に取り組んでいきます。裾野の広い自動車産業ですから、今自動車の集積があることは大変な利点ですが、この変革にしっかり対応できなければ、これが負の遺産になりますから、非常に大事な御指摘だと思います。我々も一生懸命対応していきたいと思っています。 ○三浦正臣副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 続いて、電気自動車の普及についてお答えします。 運輸部門のカーボンニュートラルの推進に向け、エネルギーの脱炭素化とあわせて、車の電動化を進めていく必要があります。国では、従前の電気自動車を含むクリーンエネルギー自動車導入補助金に加え、インセンティブをさらに強化する事業を開始しています。 具体的には、施設や住宅の再エネ100%を実現した企業や地方公共団体、または個人が電気自動車や充電設備を購入する際、補助を上乗せしています。 また、2035年以降、新車の乗用車では電動車以外を販売できなくする方針も打ち出しています。そのような状況において県としてすべきことは、電動化のさらなる加速より、それに向けて地域社会を円滑に転換させていくことだと認識しています。 特に気がかりな点が2点あります。県内の約5割を占める軽自動車の買換えに伴う経済的負担、また、地域コミュニティインフラとしての機能を持つサービスステーションへの影響、大分県新エネルギービジョンでは、クリーンエネルギー自動車の導入台数を目標に掲げていますが、今後、国の動向や県民生活への影響も踏まえ、目標の見直しや支援内容を検討していきます。 ○三浦正臣副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 ありがとうございます。ヨーロッパではかなり電気自動車の導入が進んでいるようで、特にノルウェーが今世界では一番進んでいるのではないかという発表も聞いており、新車販売の半分以上はEVになっているということで資料を見せてもらいました。日本はまだまだ全然そんなレベルではない状況で、これから急速にEVの導入は進んでくるだろうと資料を見て感じました。 大きな課題は、電池の小型化と軽量化、大容量化の開発が今急がれていると思うので、いろんな技術開発に県もバックアップしながら支援していくということなので、このEV化の流れは止めようがないと思います。この変革に対応していく大変重要な時期になるなと感じており、かなりバックアップ体制を組むということなので安心しました。 部品数がガソリン車に比べ、3分の2ぐらいになると、関連産業はかなり影響を受けるのではないかと心配されているので、そういったところの設備投資、変革に対する支援、取り組んでいかれるだろうと思います。 岡山県も自動車集積のある県だと思いますが、岡山県ではEVシフト影響等調査というのを既に実施し、そういった対策にも取り組んでいるそうなので、大分県もぜひそういった自動車関連産業に対するバックアップ体制をしっかりお願いします。 そして、電気自動車普及に関しては、充電器の設備充足というのがディーラーからもよく聞かれます。充電スタンドが少な過ぎるということで、家庭用のものは新築の際に200ボルトをつけたりしますが、域内にどれだけ整備するのかが次世代自動車インフラ整備ビジョンだと思います。例えば、国道なら何キロメートルに1台充電スタンドを設けるとか、そういったものを今後のEV化の進展に合わせて目標をしっかり打ち出す必要があると思います。 あと集合住宅における充電設備をどうするのかという課題があると思いますが、その点についてどういう考えなのか、よろしくお願いします。
    ○三浦正臣副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 本県における電気自動車の台数と充電器の台数ですが、これは意外と全国の中では大きいほうで、例えば、充電器でいうと今340基整備されていますが、人口1万人当たりでいうと、全国順位で8位という状況で、電気自動車についても全国順位、1万人当たりで6位という状況です。 大分県としては充電器の目標を令和6年で390ぐらいで、現在340ですので、それに向けて着実に進捗はしていると思っています。その数字の伸びの状況と、またニーズ、そういったところをしっかり見ながら、県としても検討していきたいと考えています。 ○三浦正臣副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 集合住宅における充電スタンドの整備の課題についてはどういう考えがあるか、お願いします。 ○三浦正臣副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 そこは最初の答弁で申したとおり、様々なインセンティブがあり、集合住宅の中でそういうニーズがあれば、そこにしっかり充電器が入っていくと認識しています。 ○三浦正臣副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 国際的にEV競争になります。中国も廉価版の電気自動車を東南アジア、タイとかにかなり売り込みをしているので、国際競争力の中、日本の自動車産業もかなり頑張らなければならないと思うので、ぜひそういった産業の支援をよろしくお願いします。 次に、ツール・ド・九州2023についてお尋ねします。 本年1月に、本県にまた新たなプロスポーツチームが発足しました。本県出身で国際レースでの優勝経験を持つ黒枝兄弟を含む選手6人で構成する県内初のプロ自転車チーム、スパークルおおいたレーシングチームです。同チームは、本年スタートしたジャパンサイクルリーグに参加し、現在、チーム成績は2位と上位に位置し、今後の活躍が大いに期待されます。また、同チームは大分の魅力発信や交通安全啓発の他、プロリーグ戦を本県へ誘致するなど様々な面で地域貢献しています。県からのバックアップと自転車を活用した地域振興など、チームと連携した取組をぜひお願いします。 2017年に自転車活用推進法が施行され、その後、本県も含め、全国各県版の自転車活用推進計画が策定されるとともに、昨今のコロナ禍では自転車の利用が増加し、サイクルツーリズムの機運も高まる中、自転車ロードレースの国際大会であるツール・ド・九州2023が福岡、熊本、大分の3県において開催されることが発表されました。これはスパークルおおいたの誕生とともに、アフターコロナを見据えた久しぶりの明るい話題となりました。関係者の御尽力に深く感謝します。 このような国内外へインパクトのある大会の誘致は、地域への経済波及効果や開催後のレガシー等、様々な狙いがあってのことと思いますが、具体的にどのような成果を期待しているのか、伺います。 ○三浦正臣副議長 大塚企画振興部長。 ◎大塚浩企画振興部長 ツール・ド・九州2023は、国際自転車競技連合認定の国内外のトップ選手が参加する国際サイクルレースとして、2023年10月の第1回大会開催を目指しています。 大分ステージでは、日田市中心部から公道を通り、オートポリスを周回するロードレースを念頭にルートの策定を進めており、地域の人々が参画し、みんなで盛り上げ、元気になれるイベントにしたいと考えています。 大会開催の効果は、地域活性化や宿泊などによる経済波及効果に加え、サイクルスポーツ人口の底上げやスポーツツーリズムの推進なども期待されます。 さらに、大会の模様は欧米に向け情報発信することも検討しており、ラグビーワールドカップ2019のレガシーである本県のインバウンドのウイング拡大にもつながるものと考えています。 スパークルおおいたには、レースルート策定などについて既にアドバイスをいただいており、引き続き、地元の日田市や県自転車競技連盟などの関係機関とも連携し、大会開催に向け、しっかり準備を進めていきます。 ○三浦正臣副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 ありがとうございます。今回のコースが日田市中心部からオートポリスまで、一般道も使用してのコース設定ということで、そうなのかと認識することができました。 スパークルおおいたの皆さんも自転車文化づくりを、レースだけでなく、観光、健康、環境づくりなどについて、地域密着型の活動を目指していくということなので、ぜひチームの皆さんと連携し、今後もよろしくお願いします。 こう見えても私は元サイクリストで、ツール・ド・国東とツール・ド・佐伯にも出場し、ツール・ド・国東の160キロのレースがありますが、賞もいただいたことがあります。飛び賞ですが。 このツール・ドで使われるコースはサイクリストにとって聖地となり、そのコースを一度は走ってみたい、そういう場所になるので、今回のツール・ド・九州は本当にすばらしいなと思っています。ぜひよろしくお願いします。 また、今回は日田の山間部のコースになりますが、福岡、熊本も比較的山間部のコースになるのではないかと思います。また次の機会は湾岸コース、もともとこのツール・ド・九州の素案は、湾岸コースが大分は2コースと九州横断コースの3ルートが構想としてあったわけで、次はまた湾岸コースも、特に別大国道、非常にロケーションも映りもいいのではないかと思いますが、ぜひ検討いただきたいと思います。 一般道を使うので、県警本部の御協力も要りますので、本部長よろしくお願いします。聞いていますか。自転車はかなりスピードがあるので、駅伝とかマラソンに比べ、かなり交通規制時間も短く済むので、また、一般道を有効活用した福岡、熊本とか他の九州のコースに負けないようなコース設定をし、ぜひPRを進めてください。 大洋州のワールドカップを県議会で視察に行ったとき、シドニーもニュージーランドもセパレートされた自転車道がちゃんとあり、すごいなと思いました。日本と全然環境が違うんだと感じ、土木建築部と連携し、路面の整備、そういった自動車道の整備もぜひよろしくお願いします。 次の質問、デジタルトランスフォーメーションの推進についてです。 国はデジタル社会の実現に向けた基本方針を踏まえ、自治体関連のデジタルトランスフォーメーション、いわゆるDX施策について、自治体が重点的に取り組むべき事項、内容を具体化するため、自治体DX推進計画を策定し、本年9月にはデジタル庁が設置されます。 本県では、本年4月にDX推進課を設置し、全庁的な体制整備を進めるとともに、今年度予算ではおおいたDX推進事業を計上し、ビッグデータの利活用や人材育成を中心に取組を進めています。 世界的には2013年のG8サミットにおいてオープンデータ憲章が合意され、参加国は積極的に国のデータのオープン化を進めてきました。中でも最も進んでいるのがアメリカで、大量の政府機関データがオープンになったことで様々なサービスが生まれ、ビジネスだけでなく、障がい者支援や福祉などでも利用が進んでいるとのことです。 さて、こうした中、本県の官民データ活用推進計画であるおおいた革新的技術・データ利用推進計画が今年度末で計画期間を終えます。次期計画の柱として、DXの推進に向けたオープンデータのさらなる活用等が求められると思いますが、計画策定に当たり、DX推進課を中心とし、どのように全庁的に取り組んでいくのか、見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 次期官民データ活用推進計画は、DXの視点を組み入れ、DX推進戦略として今年度中に策定する予定です。 今月、知事を本部長として設置したDX推進本部会議の下、全庁で議論を深めながら検討を進めていきます。 DXを推進する上でデータの利活用は大事な視点です。オープンデータは市町村と連携して取組を進めており、昨年11月には全市町村が参加する協議会を立ち上げ、情報交換や研修を開始しています。 県内のデータ件数は、この1年半で1.5倍となり1,500件を超え、実際の利用も進んでいます。オープンデータを活用したコロナ関連データの視覚化や避難所検索ツールなど、民間企業による活用事例も誕生しています。 さらに、防災力の高度化を目指し、県が保有する被災データ等を大分大学と民間企業が共同開発中のAIプラットフォームに提供していきます。また、民間企業等を含めたデータ流通の連携基盤の整備にも着手していきます。 データを活用しながら、全庁を挙げてあらゆる分野でのDXの推進に取り組んでいく方針です。 ○三浦正臣副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 ありがとうございます。全市町村との情報交換、意見交換の場とあわせ、データセット件数もだいぶ増えてきたようですね。なかなかデータセットの件数が少なかったように感じますが、今後増やしていく必要があると思います。 DX推進課が設置されましたが、やはり人員が7人ですから、ぜひ体制の補強を図っていただきたい。取り扱う量が大変膨大なだけに、ぜひ人員の補強もお願いします。 また、データセットとあわせて、画像データもやはりオープンデータとして取り扱う必要があると思います。県のホームページ、コピーライトが表示されているので、自由にホームページから引用して再利用することが制限されるので、CCBYというクリエイティブ・コモンズのデータ利用ルールがありますが、CCBYをつけて利用しやすい映像とか画像といったものもオープンデータの対象として取り扱ったほうがより有効でないかと思います。例えば、宇宙港のデザイン、ロゴマークにしてもコピーライトがつけられないと、なかなか県の許可を得ないと、商業利用とかも制限があると思うので、そこもぜひ検討いただきたいと思います。 全庁的な体制も、各部局にそれぞれDX担当が配置されてもいいのではないかと思います。民間を対象にしたハッカソンも取り組まれると思いますが、それとあわせて、データセット件数をどんどん県庁内でも増やし、県庁内ハッカソンも取り組んでみても結構いい案が出てくるかと思いますが、見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 3点ほど御提案いただきました。 一つ目の人員の補強ですが、7人という形で我々としては十分過ぎるぐらい優秀な人材も今いただいているので、逆に7人が全庁的な取り組みをうまく広げるための仕組みといったものを考えていきたいと思います。 二つ目の画像データの使いやすい形ということで、早速中で検討し、やはり使いやすくすることが目的だと思っています。そういった観点で検討していきたいと思います。 そして三つ目、全庁的な取組として、DX、県庁内ハッカソンみたいな形ということで、実際、実は取り組み始めています。DX推進課を中心に様々な施策テーマを今後考えながら、県庁内の有志を集め、今そういったデザインシンキングを始めています。県庁の中、至るところでこういうDXの視点を持ったプロジェクトが生まれるように取り組んでいきたいと考えています。 ○三浦正臣副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 DXの推進を政府も打ち出していますが、今までも電子自治体推進計画プランとかも出されてきて、なかなか具体的な進捗がなかったという反省になっていると思います。やっと今になって判子の見直しが出てきたような状況で、リーサスも経産省で開発していると思いますが、このオープンデータもどれだけこれまで有効に活用されてきただろうか。オープンデータのデータセットを増やしながら、具体的に変革、DXですから、デジタルを使った変革が起こるような具体的な成果を上げるのは非常に難しい作業だと思っています。優秀な方が7人集まっているので、みんなで知恵を絞り、良い成果を上げていただきたいと期待しています。 経産省OBの西山圭太さんが本を出されており、この本を見ると、本屋の本棚にないものを探すんだという表現をDXの推進に関して述べておられました。県庁の棚にない本を探すというか、なければ、新しく本を作って、その本を結んでいくイメージだと思いますが、西山さんはDXに関してそういう表現をされています。そういったこともぜひ念頭に、地域課題の解決にいろいろとつなげていくDXを進めていただきたいと思います。 次に、避難所の運営についてお尋ねします。 避難者の良好な生活環境の確保についてです。この約10年の自然災害を振り返ると、熊本地震をはじめ、2度にわたる九州北部豪雨に加え、令和2年7月豪雨など激甚化、頻発化しており、こうした大規模災害時には避難所運営が問題となります。 昨年、新潟大学の榛沢特任教授による「避難所運営の進化と新型コロナウイルスに備えた避難所」と題するセミナーを受講しました。教授によると、日本の避難所運営は100年近く変わっておらず、いまだに床に毛布を敷いた避難生活形態も見られ、炊き出しがないところもあれば、中には毎日4か月間同じパンが提供されるケースもあったそうです。 国は避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針を示し、被災者の避難生活に対するきめ細かな支援の実施を求めています。 そこで、本県の示す避難所運営マニュアル策定のための基本指針は、避難者の良好な生活環境の確保に配慮した内容になっているのか、伺います。 あわせて、災害時における重度障がい児者へのケア体制についてですが、国連防災世界会議で示されたインクルーシブ防災という、災害時に障がい者等を含む全ての人を取り残さないという考え方があります。災害による停電時等には、日常的に電源を要する医療機器を使用する重度障がい児者に対する非常用電源装置等の整備をはじめ、ケア体制の整備が必要と思いますが、本県の状況について伺います。 ○三浦正臣副議長 磯田生活環境部長。 ◎磯田健生活環境部長 避難者の良好な生活環境の確保について御質問いただきました。 避難所においては、避難者の健康維持のため、良好な生活環境の確保が大変重要な課題と認識しています。国の指針を踏まえ、県の基本指針でも食料、簡易ベッド等の物資の確保や暑さ、寒さ対策、プライバシーへの配慮等について市町村にしっかり求めています。 議員御案内の榛沢特任教授の論文の中でも同様の趣旨が述べられていると認識しています。 そのような中、令和2年7月豪雨の際には、県の指針に基づき、避難所のプライバシー確保等に有効な紙管間仕切りや段ボールベッドを使用したり、あるいは暑さ対策としてスポットクーラーや大型扇風機を利用した避難所もありました。 また、この指針に基づき、市町村では既に炊き出しの訓練も行っています。早速令和2年の災害時には、地元婦人会等が中心となり、温かいカレーやみそ汁などの炊き出しが行われました。 引き続き、避難者の良好な生活環境を確保するため、災害時の避難所運営の検証等を踏まえ、絶えず指針の見直しと避難所運営の訓練を行い、市町村を支援していきたいと考えています。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 災害時における重度障がい児者へのケア体制についてお答えします。 先般、施行された改正災害対策基本法において、重度障がい児者等の個別避難計画の作成が市町村の努力義務とされたこともあり、対象者に応じた具体的な避難先の検討を早急に進めるよう市町村に促しています。 県内の重度障がい児者のうち、約230人が8か所の障がい者施設に入所しており、その全てで非常用電源が整備されています。自宅で生活している方は700人弱と把握しており、災害時に避難の必要がなく自宅等にとどまる場合と避難所や医療機関に避難する場合があります。自宅等にとどまる場合、人口呼吸器等を利用している方など停電時に備え、非常用電源が必要となるため、医療機関を通じて貸与を進めていますが、必ずしも全ての世帯に行き渡っているわけではありません。 そこで、こうした重度障がい児者については、必要に応じて非常用電源を備えた244か所の福祉避難所やかかりつけの医療機関に避難していただくこととしています。今後も市町村と連携し、災害時に重度障がい児者も含め、誰一人取り残すことのない万全な避難体制の整備を進めていきます。 ○三浦正臣副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 ありがとうございます。避難者に対する物資の運搬、運輸業界とか、いろいろな協定を県が結び、以前に比べ、格段に物資の運搬がスムーズにいっていると聞いて安心し、本当に感謝しています。 さきほどの榛沢教授ですが、ちょうどこの間の日曜日に公共放送で取り上げられていてびっくりしました。私もセミナーを受け、さきほどの100年前の状況と変わらないということで、今の避難所の状況は、関東大震災の写真と本当に変わらないですね。榛沢教授も、これは欧米ではあり得ない避難所の運営だと力説されており、特にトイレ、キッチン、ベッドを48時間以内に快適なものに整備すべきというのが教授の主張で、トイレ、キッチン、ベッドを48時間をTKB48と言っており、分かりやすいなと思いました。 イタリアでは48時間以内に準備するのが標準だそうです。イタリアは一家族ごとに大きなテントもベッドも準備され、そして、キッチンカーが来て温かい食事を提供するのがイタリアの避難所の標準ということで、随分日本と違うんだなと。 炊き出しを行う場合、日本はボランティアの手によるものが多いですが、イタリアでは職業ボランティアというか、災害時にそういった活動をされる方が事前に登録されているということで日本とかなり体制が違うというのを教授のセミナーを聞いて思いました。 長野県は、快適なトイレ確保ということで、災害時にレンタル会社からトイレを調達しますが、それをできるだけ快適なものにしようと、リース会社に快適なトイレを調達して準備してもらう補助、そういったことにも取り組んでいます。 今年4月に内閣府で発表した災害関連死事例集を見ると、災害関連死の原因の1番、55%は避難生活での肉体的、精神的負担と。これは国会でやり取りがあって、この事例を公表しろということがあって、今年4月に公表されたようですが、やはり熊本地震、かなり長期化されたので、そこでの関連死の件数が顕著に表れており、そうした精神的に負担のない避難所運営を日本としても進めるべきだと感じたところです。 それと、非常用電源整備についてですが、県内でも電源を整備するというか、購入するのに補助をしている自治体とそうでない自治体が分かれており、今かなり災害が多く、避難生活、また停電も多いので、そこに対する支援が欲しいという声が出ています。 岐阜県でも既に重度障がい児者の災害時非常用電源整備補助金が準備されているので、県としても大分県内に行き渡るような枠組みをつくっていただきたいと思いますので、その辺の見解をお聞かせください。 ○三浦正臣副議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 非常用電源装置は重度障がい児者にとって本当に命に関わる大変重要な課題であると認識しています。 県では、さきほど申したように、医療機関が必要とする障がい者に対し貸与する場合、その医療機関に対し購入費を補助しています。個人への購入補助については、個別避難計画の作成など、災害時の支援を担う市町村と連携しながら、その在り方について検討していきたいと考えていますが、まずは医療的ケア児等の非常用電源のニーズ把握も含めた実態調査を早急に行い、検討を進めていきたいと考えています。 ○三浦正臣副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 ありがとうございます。ぜひ実態調査を早急に進めていただきたいと思います。既に6月11日の立法でも医療的ケア児に対する支援が求められているので、ぜひ前向きに整備を図っていただきたいと思います。よろしくお願いします。 最後、教育分野でのデジタル技術の活用についてお尋ねします。 まず、GIGAスクールについて。 国は教育におけるICTを基盤とした先端技術等の効果的な活用のため、GIGAスクール構想の実現を進めています。 本県の今年度予算では、未来を創るGIGAスクール推進事業が計上され、個別最適化された学びのためのデジタル教科書やAIドリルの導入に取り組んでいます。デジタル教科書をめぐっては、2024年度の小中学校での本格導入に対するパブリックコメントが行われ、全体としては本格導入に慎重な意見が多く、先般、文部科学大臣は、紙とデジタルをしばらくは併用するのが望ましいとの見解を述べました。 また、AIドリルについては、児童生徒の転校時にデータの引継ぎや使用するソフトの違いにより、在校生と転入生に学ぶ環境に差が生じないか懸念する声も聞かれます。この点はデジタル教科書に関しても同じです。GIGAスクールの推進における課題や留意すべき点等について、教育長の見解をお聞かせください。 次に、デジタル文化資源について。 デジタル化の進展の中で、様々なものがデータ化され、今や文化的資源も例外ではありません。今年度予算では、活かして守る大分の文化財保護推進事業が計上され、国や県指定文化財のデジタル図鑑の作成が進められています。 昨年11月にウィキペディアタウンin大分が大分市にて開催されました。ウィキペディアは、世界中のボランティアの共同作業によって執筆されるフリーの多言語インターネット百科事典として知られており、本県の関連でも人物、歴史や史跡等、様々なジャンルの記事が掲載されていますが、情報が十分でなかったり、全く項目がないものもあります。これらを図書館の文献で調べたりして記事を編集する取組がウィキペディアタウンです。 本県の歴史、文化財や先人のことを学ぶには、県立歴史博物館、県立埋蔵文化財センター、あるいは県立先哲史料館でそれぞれを調べ、研究する必要があります。 現在、県立埋葬文化財センターで県内の主な遺跡のVR動画がネット上で公開され、大変すばらしいと思いますが、それに加え、ウィキペディアタウンの取組を県内各地で進め、古代から中世、近代までの本県の文化的資源をデジタル化して情報をリンクさせ、大分の歴史、人物を一気通貫で学ぶことのできるデジタル博物館を構築してはと思いますが、教育長の見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 まず、GIGAスクールについてお答えします。 コロナ禍の中で、一気に整備が進んだ一人1台端末を活用した授業が全国で始まっています。 今月7日に開催した大分県市町村教育長会議において、現場の声として出された現時点でのGIGAスクール推進上の課題については大きく二つあると認識しています。 一つは、ネットワーク環境です。通信速度の低下や接続自体ができないなどの事象が発生しており、ネットワーク環境を安定化してもらいたいとの要望がありました。この対策として、回線の負荷を下げる必要があるため、県立学校のタブレット端末専用ネットワークへの分散化を図る方向で調整しています。 二つ目は、教員のICT活用指導力の向上です。これはデジタル教科書やAIドリルの活用も含め、全国で試行錯誤が行われており、優良事例の蓄積が待たれるところです。県教育センターでは、様々な研修にICT活用授業の内容を取り入れ、教員の指導力向上を図ります。また、指導主事による授業研究等を実施するほか、ICT支援員が学校での活用を支援します。 なお、転校時の引継ぎについて、県立高校に試験的に導入しているAIドリルの場合、同一契約の学校間であればデータ移行は可能となっています。指導の継続性は重要であり、学習記録等の引継ぎができるよう進めたいと考えています。 続いて、デジタル文化資源についてお答えします。 昨年度策定した大分県文化財保存活用大綱に基づき、文化財の価値や魅力を幅広く共有し、保存と活用の両面から施策を推進することとしています。そのためにも、いつでも、誰でも、どこからでも文化財に触れる機会を創出できるよう、デジタル化と積極的な情報発信を進めていくことが大事だと考えています。 そこで、本年度より国、県指定の文化財をデジタル化し情報発信するおおいたデジタル図鑑の制作、運用に取り組んでいます。その際の留意点として四つあると考えています。 一つは、小学校高学年から楽しく学べること、二つは、学校教育との連携が図られること、三つは、最新情報へ適宜更新できること、それから四つ目として、歴史博物館、先哲史料館、埋蔵文化財センター、これに加え、国や県内全市町村等との連携が図られること、この連携については、できるだけ開放的に広げていけたらおもしろくなるのかなと考えており、その点も大事だと思います。 ウィキペディアは情報更新等においては有益ですが、学校教育との連携等の必要から、おおいたデジタル図鑑の運用を用いた、地域と共にある持続可能な文化財の保存、活用体制の確立に努めます。 ○三浦正臣副議長 木田昇君。 ◆木田昇議員 ありがとうございました。デジタル情報は二次元というか、空間情報がないのが欠陥になるのではないかと思います。厚みがないとか、例えば、歴史のこの辺のところに記載があったなどの情報がないのは欠点になるかなと思いますが、一番心配なのは、記憶定着アプリやAIドリル優良版などです。市場競争の中で格差につながりはしないか、そういった優良版のアプリがどんどん導入されてくることが懸念されるので、そこのところはぜひ懸念材料ということでお知りおきいただきたいと思います。 また、オンラインとかVRが導入普及すればするほどリアルなものに価値が生まれてきます。まずは、今そういったデジタル文化を使いながら、広めていただきたいと思いますので、今回はデジタルの話も多かったですが、ぜひ的確に対応した施策を進めてください。 以上で終わります。 ○三浦正臣副議長 以上で木田昇君の質問及び答弁は終わりました。鴛海豊君。  〔鴛海議員登壇〕(拍手) ◆鴛海豊議員 13番、自由民主党の鴛海豊です。本日、質問の機会を与えていただいた先輩、同僚議員に感謝します。また、私の地元豊後高田市より、コロナ禍の中にもかかわらず、10人程度の皆さんに傍聴に駆けつけていただき、ありがとうございます。よろしくお願いします。 それでは、早速質問に入りますが、今回は農業問題に特化して質問するので、知事及び執行部の皆さんよろしくお願いします。 まず初めに、園芸作物に応じた産地の形成と営農の継続について3点質問します。 1点目は、農業産出額増加に向けた園芸作物の選定についてです。 農林水産省が今年3月に公表した生産農業所得統計によると、本県の令和元年の農業産出額は1,195億円で、前年から64億円減と3年連続して減少となりました。また、この統計に上げられているほとんどの項目において産出額が前年を割り込み、本県農業は非常に厳しい状況にあると言わざるを得ません。県内の農業関係団体は、これを受け非常事態宣言を発し、農業関係者にこの統計に表れた危機的状況の自覚を促し、県は各団体と連携し、この状況からの脱却に向け、取り組むこととなりました。 私も今後の県農業を憂慮する者の一人として、また、昨年度県議会の農林水産委員長であった責任から、数年にわたる農業関連の県予算、決算額と産出額の推移や九州各県との比較を分析し、農林水産部の方々と議論しました。予算額、決算額については、各県と比較してもしっかり確保し、執行していることはよく分かりました。 一方、費用対効果を検証すると、九州各県よりも本県の投資は産出額の向上に結びついていないこともあり、県と農業関係者の意思疎通がうまくいっておらず、政策の意図するところが伝わっていないのではないかと危惧しています。 非常事態宣言発出の際には、大分県農業総合戦略会議を設立し、生産者、農業団体と議論しながら、共通認識を持って取組を進めることとしており、会議の活用に期待していますが、やはり産出額の向上とあわせ、生産者である農家が営農を継続できるような仕組みをつくっていくことが必要だと私は考えています。 令和3年度当初予算では、産地拡大対策の一環としてねぎ産出額100億円プロジェクトの重点的な推進が盛り込まれました。地元豊後高田市は西日本有数の白ねぎの産地であり、このプロジェクトの推進には大きな期待を寄せています。 九州各県で唯一産出額100億円の園芸品目を持っていない本県において、一番近いのは九州1位の産出額であるねぎであり、その狙いについては異論ありません。しかし、さきほど申した農家がしっかり営農し続けられる作物を推奨すべきであり、産地である豊後高田市では問題ありませんが、県全体を考えると、令和5年までにねぎの作付面積760ヘクタールを確保するのは非常に野心的目標であり、農家がついていけるのか心配しています。 ねぎ産出額100億円プロジェクトに例を挙げて意見を述べましたが、推奨すべき園芸品目と作付けに適した土地がなければ産出額の向上はあり得ず、水田畑地化などの県の設備投資も風土に合った品目への転換を奨励する政策であると思います。その意味で、何を作付けして、どこを産地化するかは、地域農業の持続的発展とあわせて農業関係者全体で議論する必要があると考えます。 今後の農業産出額の向上に向け、水田の畑地化にも適したどのような園芸品目を選定し、進めていくのか、知事の御見解を伺います。 あとは対面席から行います。  〔鴛海議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○三浦正臣副議長 ただいまの鴛海豊君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 鴛海豊議員から農業産出額増加に向けた条件について御質問をいただきました。 もうかる農業の実現には、その地域の風土に合ったマーケットニーズの高い品目の選定と産地拡大していくための農地の確保が重要です。このため、水田畑地化等により各地域で農地確保に取り組み、令和2年度も81ヘクタールの面積が拡大し、園芸産出額の増加につながっています。今後もこの動きを加速していきます。 まず、地域風土に合ったマーケットニーズの高い品目の選定です。豊後高田市で栽培が盛んな白ねぎは、水はけがよく、ミネラル分が豊富な砂地土壌に加え、冬場の寒に当たることにより非常に甘く仕上がります。あわせて、かつて白ねぎを食する文化の乏しかった西日本では主だった産地がなかったことから、戦略品目に選定して振興してきました。 さらに、近年では高冷地での夏秋生産を拡大することで周年出荷が可能となり、強みを増すことができました。臼杵市や豊後大野市など畑地帯で盛んな夏秋ピーマンは、初期投資が比較的少ない雨よけハウスでの栽培が可能であることから、新規就農者も取り組みやすい品目です。その夏秋で甘みが強く、濃い緑色のおおいたピーマンは、冬春産地の多い西日本にあって、夏場は市場で欠かせない産品となっています。高単価で推移していることから、新規就農者も増え、産地拡大へとつながる好循環に結びついています。 こういったマーケットニーズの高い品目について、熱意ある地域の園芸団地づくり計画を策定し、振興していきたいと思います。加えて、農業非常事態宣言を受け、生産者や農業団体と一体になって、計画の見直しも含め、園芸の構造改革に真正面から取り組みます。 一方、産地拡大にはまとまりのある農地の確保も大事です。現在、規模拡大や新規就農する場合の一番の課題は優良農地の確保です。担い手からは、拡大したいが農地がないといった切実な声が届いています。農地確保には数多くの地権者同意や交渉が必要となり、時間と労力を要します。豊後高田市水崎地区など、こうした農地集積の優良事例も増えてきていますが、産出額向上にはこのような取組を県内各地に広げる必要があります。今後、高齢化に伴う担い手不足、あるいは担い手不在集落や耕作放棄地が急増していきます。これをチャンスと捉え、早急に栽培に適した農地を整備し、集積していくための体制強化にも努めていきます。 生産者、農業団体、行政が一体になって構造改革に取り組む今こそ、再生へのターニングポイントです。地域に合ったマーケットニーズの高い園芸品目の拡大に不退転の気持ちで取り組んでいきます。 ○三浦正臣副議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 知事ありがとうございました。農業戦略会議等において、生産者や農業関係団体の皆さんと知恵を出し合って園芸作物を選定し、担い手の確保を図り、営農指導を行い、また、販売の強化を実施するということでよろしくお願いします。 その戦略会議の中では、品目の見直しなどを含め、構造改革を行うこと、それとあわせて、2点目が担い手の確保をすること、また営農指導とか、販売戦略の強化を通じて今後産地拡大を図っていくということで、8月に中間報告し、12月に結論を出すということですので、その会議に期待しています。ぜひよろしくお願いします。ありがとうございます。 次に、2点目は基幹的農業従事者の確保についてです。 もう一つ、県内農業の現状を示す統計値にあります2020年農業センサスによると、農業経営体は5年前から25%減少し、基幹的農業従事者に占める65歳以上の割合は77%、平均年齢は70歳を超えるなど、担い手の減少、高齢化が一層進んだ状況が浮き彫りとなっています。 先月、知事は記者会見において、農林水産業への新規就業者が468人、4年連続で400人超えの過去最多となったと発表されました。誠に喜ばしいことであり、第1次産業の魅力が多くの方々に伝わった結果と考えています。 一方、新たに就業された方は、その後の経営において非常に苦労されていることも事実です。夢を持って就業された方がしっかり経営を維持し、営農を続けていくためにも、それにふさわしい圃場や施設などの農業基盤が整っていることが重要です。基盤整備が固まり、収益が上がるのであれば定着率も上がり、産出額も向上してくるのではないでしょうか。 また、今年度から取組を始めた農業における経営継承事業についても同様のことが言えます。農業の継承や親元就農は、継承させようとする現経営者や親の基盤が脆弱であるケースでは、そもそも就農意欲が湧かず、その後の展望も開けないため、うまくいかない例が多いと認識しています。継がせようとする側の圃場や施設の整備を促進し、継承する側に農業で稼いでいける展望を持たせることも必要であると私は考えています。 基幹的農業従事者の確保に向け、圃場や施設の基盤整備にどのように取り組んでいく考えか、農林水産部長の見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 本県農業を持続的に成長させていくためには、人材を呼び込み、育てるとともに、既存の経営体を継承していくことが大事です。このため、就農学校やファーマーズスクールによる研修から就農までのサポート体制や就農初期の負担を軽減するため、県独自の支援制度の充実に取り組んでおり、その結果、自営就農者の5年後の定着率は84%と高くなっています。 また、新たに経営継承コーディネーターを設置し、専門家を含めたスムーズな経営継承を後押ししていくことにも取り組んでいきます。 一方、就農時や既存農家の生産拡大のためには、品目に応じた農地や施設など基盤の整備が重要です。例えば、豊後高田市の中真玉地区では、経営体を受け入れるため、客土や排水など白ねぎの栽培に適した農地の整備を進めています。さらに、ある程度の生産基盤を有し、もうかる農業に直結する親元就農を推進するため、親元就農給付金に加え、本年度から施設の改修などの支援策も強化しています。 このように、就農時から経営継承まで一貫した支援により、安心して営農できる体制と受入基盤の整備に取り組んでいきます。 ○三浦正臣副議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 部長ありがとうございます。夢を持って就業された方が、しっかりと経営を維持して営農が続けていけるよう、ぜひ支援をよろしくお願いします。 次の質問に移ります。 3点目は、ねぎ栽培の産地拡大と基盤整備についてです。 さきほども触れましたが、私の地元豊後高田市は白ねぎの一大産地であり、呉崎地区から西真玉地区までの干拓地は、海岸であった砂地土壌の畑で、ミネラル分が豊富で連作も可能なことから白ねぎの栽培に非常に適しています。しかし、白ねぎ栽培に適した農地は既に活用されており、今後産地として作付面積を増やすには、干拓地内には耕作放棄地は全くなく、他の地域の耕作放棄地や水田の畑地化等で対応するほかありません。 そこで問題となるのが白ねぎ栽培に適した農地とするための客土です。耕作放棄地や水田では水はけが悪いため、良質の白ねぎ栽培には向きません。土質を改良するため、白ねぎ栽培に適した水はけのよい客土を調達し、農地を整備することが必要です。白ねぎの一大産地であり、白ねぎで成功している農家が多い豊後高田市周辺に若手の白ねぎ農家を誘致することで、成功体験を共有化し、経営の維持と営農が続けられるモデルをつくるためにも客土の整備は重要です。 企業誘致について、知事は常に集積が集積を呼ぶと言われています。農業においても、農業産出額の向上と担い手確保には産地の集積は重要な要素となると私は考えています。 白ねぎについては、豊後高田市を中心とする白ねぎ栽培地帯を形成し、モデル地域化し、県下全域に広げていくことが100億円達成の近道と思います。白ねぎの産地拡大とそれに向けた基盤整備についてどのように取り組んでいくのか、農林水産部長に伺います。 ○三浦正臣副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 ねぎ産出額100億円プロジェクトの達成に向けては、御指摘のとおり、産地の集積が必要であり、そのためにはまとまりのある農地の確保と適した基盤整備、将来にわたって継承できる担い手の確保、育成が重要です。 県北地域では、大区画圃場で白ねぎの経営のモデルとなる大規模経営体が育成されており、さらなる規模拡大への意欲も旺盛です。このため、豊後高田市では排水対策や客土等による水田畑地化を進め、令和5年度までに25ヘクタールの白ねぎに適した農地整備を実施します。 さらに、夏秋期の生産拡大のため、高冷地への出作など、産地拡大に向けて由布市や九重町でのマッチングに取り組んでいます。 また、畑地帯である豊後大野市においては、既存生産者や参入企業が規模拡大に意欲的であり、さらに、冬場の収益確保策として夏秋ピーマン生産者が白ねぎを導入する複合経営モデルも増加しています。しかし、全県的に優良農地の集積が追いついていない現状もあります。今後、まずは生産者が求めるまとまりのある農地の確保に重点的に取り組んでいきます。 ○三浦正臣副議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 ありがとうございます。では、再質問します。 平成30年度より国直轄海岸保全施設整備事業において予算を獲得し、西国東干拓事業の推進が順調に進展していることに、知事及び関係者の皆様に厚くお礼申し上げます。ありがとうございます。 しかし、国の事業内容は堤防の根固めを行う耐震対策補強工事と干拓地内の排水を担う排水樋門や排水機場の整備などです。排水樋門や排水機場が整備されても、地区内が幹線水路や支線排水路は勾配が非常に緩やかで逆勾配の箇所もあり、排水樋門や排水機場まで雨水が流れにくい状況です。近年の大雨により、農地が冠水してねぎの倒伏や根腐れによる品質の低下など大きな被害が発生しており、早急な排水対策が必要であるとともに、昨今の機械の大型化で離合が困難な箇所が多くあり、幹線道路の整備も早急な課題です。 このことから、先進地である熊本県玉名市横島地区の状況を昨年6月に視察しました。幹線道路が広く整備され、また、排水樋門や排水機場も排水路とともに整備され、羨ましく思いました。また、玉名市横島地区の関連事業について調査したところ、県営事業で基盤や道路、水路等の整備に経営体育成基盤整備事業等の八つの事業を活用し、121億2千万円の事業を、団体営事業を活用して基盤や水路整備に63億4千万円を費やして干拓地内の整備が図られていました。 以上、先進事例の状況を申しましたが、地元から市長宛てに要望書も昨年提出され、地元もやる気が出てきたようです。ぜひ干拓地内の整備計画を策定してほしいと思いますが、農林水産部長の見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 西国東干拓地については、県にとっても重要な産地であると認識しています。現在、当該地区で行われている堤防工、排水樋門、排水機場の改修に係る国の直轄事業の総事業費は全体で250億円ほどと見込んでいます。県の負担分についても約76億円の見込みです。現在、年平均すると県費を毎年度4億円程度を投入し、事業を進めています。 議員御質問の干拓地内の農業施設は完成から50年以上が経過しており、豪雨時の排水等に支障が生じていることも認識しており、このため、全体として約600ヘクタールもありますが、今年度は干拓地内の現地調査や排水機場、排水路の用水能力の検証など、課題の整理をしっかり行いたいと思います。 ○三浦正臣副議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 ありがとうございました。特に国直轄の事業等を多大な費用をかけ、やられていただいていることに本当に感謝します。 ただし、さきほど申したように、水路が本当に悪い状況なので、ぜひまた早急に計画していただくよう要望し、次の質問に移ります。 防災重点農業用ため池の整備について伺います。 近年、気象変動により自然災害が頻発化、激甚化しており、多くの農業用ため池が被災し、甚大な被害が発生しています。平成30年7月に発生した西日本豪雨災害では、全国で32か所のため池が決壊するとともに、広島県福山市では決壊により流出した土砂に巻き込まれた女児が亡くなるという悲惨な事故が発生しています。 こうした中、国においては、令和元年7月に施行した農業用ため池の管理及び保全に関する法律、いわゆるため池管理保全法に加え、決壊した場合に人的被害が発生するおそれのあるため池を対象とした防災重点農業用ため池に係る防災工事等の推進に関する特別措置法、いわゆるため池工事特措法を令和2年10月に施行したところです。 ため池工事特措法では、国が策定した防災工事等基本指針に基づき、県が防災重点農業用ため池を指定するとともに、防災工事等を集中的かつ計画的に推進するため、今後10年間を見据えた防災工事等推進計画を策定することになっています。 昨年7月、本県においても豪雨によりため池堤体の法面崩壊や陥没が発生しました。幸い人命への影響はありませんでしたが、大分市の放生ため池等、一部のため池では決壊の危険が懸念されたことから、下流域住民に対し避難指示などが行われたところです。 そこで、県内の防災重点農業用ため池の現状とともに、今回のため池工事特措法を踏まえ、今後どのように防災対策を進めていくのか、その方針について知事に伺います。よろしくお願いします。 ○三浦正臣副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 ため池の防災対策について御質問をいただきました。 県内各地にある農業用ため池は、先人たちの英知とたゆまぬ努力によって築造されたものであり、今なお農業用水の大切な水源として、本県農業の維持発展に欠かすことのできないものです。また、ため池は洪水調整や生態系保全など、多面的機能を有しており、地域にとっても貴重な資源です。 他方、ため池の約9割が明治以前の建造であることから、老朽化の進行とともに、耐震性や洪水時の排水能力に不安があります。去年7月豪雨では、県内23か所のため池で法面崩壊などの被災が発生しましたが、発災後、直ちに排水ポンプの設置等により水位を下げ、被害を未然に防止し、現在、復旧工事を実施しています。 こうした中、県ではため池工事特措法に基づき、県内のため池2,151か所のうち、人的被害のおそれのある1,042か所について、本年3月に防災重点農業用ため池として指定しました。 今後の防災工事の計画的かつ集中的な推進に向けて、おおむね10年間を見据えた長期計画を策定したところであり、緊急度等を踏まえ、171か所で改修工事を進めます。そのほか、利用されていないため池が59か所あることから、災害リスクの軽減に向け、市町と連携し、廃止工事を着実に実施していきます。 こうした防災工事等のハード対策には時間と費用を要することから、ソフト対策にもあわせて取り組んでいくことが大事です。緊急時、迅速かつ的確な避難行動につなげることができるよう、4年度までに全ての防災重点農業用ため池においてハザードマップの整備を進めます。加えて、被害の影響度が高いため池に水位計などを設置し、管理者が常時ため池を監視できるシステムの実証にも取り組みます。 さらに、ため池管理者から将来の維持管理に対して不安の声もあることから、適正な保全管理に関し、きめ細かな技術的な支援を行う大分県ため池保全サポートセンターを本年5月に開設しました。 また、出水期に備え、ため池の一斉点検を実施したところ、187か所で漏水等の報告があり、これは大変ということで、至急、センターや市町とともに現地確認の上、応急工事の検討をするなど、管理者に対し現地指導を行っています。 今後ともハード、ソフト両面からため池の防災・減災対策を計画的かつ総合的に実施していきます。 ○三浦正臣副議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 ため池保全サポートセンターを設置し、ハード、ソフト面から整備していくということで、ありがとうございます。 防災重点農業用ため池の防災工事の費用については、国も地方に対する財政措置を拡充しているようで、現在も緊急度に応じ、応急措置で工事をしていただいています。今後も計画的に現場を見ながら整備していただくようお願いし、次の質問に移ります。 2点目は、ため池保全サポートセンターの役割と効果について質問します。 老朽化したため池の決壊を未然に防ぐには、常日頃よりため池の適切な保全管理が不可欠です。しかし、昨今、農業従事者数の減少や高齢化等により、地域によっては管理体制が弱体化しており、適切な維持管理を行っていくことが大変厳しくなっているため池も見受けられるようになりました。 このため、県では5月にため池管理に関する相談窓口や現地パトロール、技術的な指導などを行う大分県ため池保全サポートセンターを設置しましたが、ため池の適切な管理、保全に向け、このサポートセンターがどのような役割を果たしていくのか、また、その効果について農林水産部長に伺います。 ○三浦正臣副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 県では、ため池工事特措法に基づき、ため池管理者による適切な保全活動を支援する大分県ため池保全サポートセンターを大分県土地改良事業団体連合会内に設置しました。業務についても連合会に委託し、ため池工事等に精通した技術職員を3人配置しています。 センターでは、毎週月曜日と水曜日の週2回、電話等により専門の技術スタッフが管理者等からの相談に応じることとしており、早速、堤体からの漏水等の相談を受け、速やかに現地調査を実施しています。 また、先月実施したため池一斉点検や県が行う劣化状況調査等を踏まえ、異常が見られた箇所については、防災工事を実施するまでの間、サポートセンターにおいて定期的な現地パトロールによる監視を行うこととしています。 管理者などが行う簡易な部分補修についても、要請に応じて設計積算や施工管理などの技術的な指導助言を行います。 今後とも管理者等においてサポートセンターを積極的に活用していただき、ため池の適正な保全管理や必要な防災工事等につなげ、ため池被害の未然防止や地域の防災力の強化を図っていきます。 ○三浦正臣副議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 ありがとうございます。サポートセンターの機能については分かりました。先般、ため池管理者と土地改良区が点検し、その後、サポートセンターが整備していくという記事を見ましたが、ぜひまたよろしくお願いします。 3点目がため池を活用した流域治水対策についてです。 近年、毎年のように全国各地で自然災害が頻発し、国土交通省は令和2年に流域治水の考え方を示しました。 県内では、国に先んじ豊後高田市が令和2年1月に市と地元で大雨予報時のため池放流協定を締結しています。令和3年以降は、県内各市町村でも現人員体制の下でため池による流域治水対策が運用、整備されなければなりません。県が今後整備工事を実施していくため池については、工事実施の機会を捉え、流域治水対策も県が指導していくのが効果的です。今後どのようにため池流域治水対策を推進、展開されるのか伺います。 ○三浦正臣副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 現在、県では国、市町等の流域全体の関係者と連携し、水系単位で協議会を立ち上げ、流域治水プロジェクトを進めています。中でもため池は、決壊した場合、下流の人命、家屋等に甚大な被害を及ぼすおそれがあるため、流域治水を推進する中で、ため池の事前放流の取組は大変重要です。 ため池は、受益農家等で管理されていますが、県では毎年出水期を前に、市町村や管理者に対し、事前の点検整備を依頼するとともに、事前放流の手法についても研修会などを通じて指導助言を行っています。昨年は7月豪雨や大型台風に備え、豊後高田市を含む5市町で事前放流が行われました。 一方、県内の多くのため池においては、老朽化の進行や豪雨時における排水能力の不足等もあることから、事前放流を安全に行うためには、ため池の耐震化や取水施設の改修が必要です。 今後とも老朽化したため池の計画的なハード整備を進めるとともに、広く事前放流の取組を推進していくことで決壊防止及び下流住民の安全確保に努めていきます。 ○三浦正臣副議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 部長ありがとうございます。 それでは2点、再質問を行います。 まず1点目が、ため池工事担当者の技術教育についてです。 農業用ため池工事については、水を漏らさない特殊工事であるため、これまでは全工事を県が事業主体で実施していました。今回、部分改修、ため池廃止工事については市町村が事業主体となりましたが、市が担う部分改修工事等も県と同じく水を漏らさない特殊工事です。現在、県、市町村ともに社会資本維持管理等で技術職員不足の体制ですが、その状況下でため池整備工事の品質をいかに落とさず実施できるかが問われてきます。 県、市町村工事担当職員が適切に工事を実施できるよう、担当者へ実践的な工事教育、基準類統一化を早い展開でどのように実施するのか、伺います。 2点目が、ため池維持管理の長期的展望についてです。 農業者数の減少や高齢化等により農業地域全体が弱体化していますが、ため池には地域を守る大切な多面的機能があります。 ため池は、その機能で長期的農業地域を支えていく役割があります。現在、多面的機能支払交付金をため池維持管理に活用している地域が多くあります。ため池を長期的に維持管理、長寿命化させるためには、多面的機能支払交付金によるため池管理と今回の防災重点農業用ため池整備を連動させる必要があると考えます。今後どのように両者を連動させるのか、伺います。 ○三浦正臣副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 2点御質問いただきました。 まず、ため池工事担当者の技術教育についてお答えします。 ため池の防災工事に関しては、堤体盛土や堤体を開削する廃止工事など高い技術力が必要となることから、それに携わる農業土木技術者を育成していくことは大変大事だと認識しています。このため、県では、県や市町村職員等を対象にため池に関する改修計画の策定や国の基準に基づく設計、積算、施工管理の手法等について基本的な技術研修を行っています。 また、県土連、大分高専、地質関連コンサルタント等と連携し、築堤盛土材の土質試験の講習会等、より専門的な技術研修も行っています。 今後ともこうした技術研修を行いながら、県及び市町村におけるため池の防災工事に携わる農業土木技術者の育成に取り組んでいきます。 もう1点目、ため池の維持管理の長期的な展望についてです。 ため池の適正な保全管理に向けては、管理者と共に地域ぐるみで活動を行う多面的機能支払交付金の取組は非常に重要なものです。このため、地元において多面的機能支払交付金等を活用し、ため池の状態を確認するとともに、仮に異常が見られた場合は、速やかに大分県ため池保全サポートセンターに相談していただきたいと思っています。 センターから、こうした情報に基づき、県や市町村が現地確認を実施し、緊急度等を検証した上で必要な防災工事を進めていきます。 このように、地元、県、市町村、そしてサポートセンターが連携し、適時的確なため池の防災・減災対策を行っていきたいと思います。 ○三浦正臣副議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 ありがとうございます。各市町村、それから、県の職員も同じですが、技術職員が不足の状況の中で、市町村職員を育成し、それを活用すれば、県にとってもメリットがあると思うので、ぜひ御指導をよろしくお願いします。 それでは、3点目の養蜂振興について質問します。 養蜂振興法は、昭和30年に制定されて以来、約60年を経て養蜂を取り巻く環境が大きく変化したことから、改正養蜂振興法が平成25年1月から施行されました。 この法改正では、近年の趣味養蜂家の多数飼育など、養蜂を取り巻く環境変化に即し、蜂群の配置を適正化する目的をはっきりとした上、農作物等の花粉受精において養蜂が果たす役割の重要性に言及しています。 また、養蜂業者に課されている養蜂の届出義務を養蜂業者の他、蜜蜂の飼育を行う者にも届出義務を課し、あわせて蜜蜂の適切な管理規定が新設され、蜜蜂の飼育を行う者は衛生的な飼育管理を行うなど、蜜蜂の適切な管理の努力義務が求められました。 一方、都道府県にも蜜蜂の適切な管理が確保されるよう、蜜蜂の管理に関する指針の策定及び周知、その他必要な措置を講じることとされ、あわせて、国及び地方公共団体は、蜜源植物の病害虫の防除及び蜜源植物の増殖に係る活動への支援、その他の蜜源植物の保護及び増殖に関し、必要な施策を講ずることなど、今回の養蜂振興法改正では県の指導権限が強化され、その立場が非常に重要となっています。 法が改正され8年が経過し、強化された県の役割に即した対策を講じていると思いますが、県の養蜂の現状と課題をどのように認識されているのか、農林水産部長の見解を伺います。 ○三浦正臣副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 養蜂は、蜂蜜の生産のみならず、果樹や野菜の花粉受精など、本県農業にとって重要な役割を担っています。 養蜂振興において重要なことは、蜂群の適正配置、蜜源の確保、そして、疾病の蔓延防止です。県では、平成25年8月に大分県蜜蜂飼育管理の手引きを策定し、蜜蜂の適正管理に対する理解促進に努めています。 蜜蜂の飼養者数は、平成25年の144戸から令和2年には222戸、うち趣味の飼養者は54戸から108戸と大幅に増加しています。養蜂業者からは、趣味の飼養者が飼養管理に不慣れなため、疾病の発生を心配する声を聞いています。 このため、令和元年度から趣味の飼養者を対象に伝染病の蔓延や蜜源競合の防止を目的とした研修会を開催し、蜜蜂の疾病予防や養蜂振興法に基づく年1回の飼育届の提出を徹底しています。 蜜源の確保については、今年度レンゲに加え、新たにヘアリーベッチの播種を追加して実施します。また、蜜源となる樹木などの植栽については、養蜂組合と協議を進めています。 ○三浦正臣副議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 蜜源確保対策とダニ対策について再質問をします。 まず、蜜源確保対策についてですが、大分県の場合は蜜源はかんきつ類が主で、次がレンゲではないかと思います。自家消費目的の飼育者が増加する傾向にある中において蜜源が不足しており、蜜蜂飼育者にとって蜜源確保は緊急かつ大きな課題ですが、令和2年第4回定例会において、我が会派の後藤慎太郎議員の質問に対し当時の部長より、今後はレンゲよりも採蜜の時期の長い豆科のヘアリーベッチの作付けの検討や永年性の樹木、ビービーツリー等の植栽について養蜂組合と協議するなど蜜源確保に努めると答弁されていますが、その後の進捗状況について伺います。 次がダニ対策ですが、本県におけるダニの被害状況とその対応はどのように行われているか、現状をお聞きします。 ○三浦正臣副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 2点御質問いただきました。 まず1点目は、蜜源の確保についてですが、議員が言われるとおり、蜜源の確保は大変大事です。 現在、かんきつ類が一番多くて1,849ヘクタールほどあります。それから、レンゲに代わるものとしてもう一つ、ヘアリーベッチを振興するということですが、今年度から33ヘクタールほどについて大分県養蜂組合に委託して播種する予定です。また、樹木のビービーツリーについては、国庫事業等も活用しながら、樹木の植栽について組合と検討していますが、なかなか樹木を植栽する土地の確保が難しい状況です。そのことも引き続き協議しながら、ビービーツリーの植栽についても努力していきます。 それから、被害の関係は、やはり病害虫、まずは中に取り込まないことが大事だと考えています。そういったことで、趣味の飼養者などにインターネット等で気軽に蜜蜂を買ったりしないよう研修会等を通じて周知しています。 それから、大分県の中では、去年、おととし等についてはダニの被害はなかったのですが、引き続き、その監視等については行っていきます。 ○三浦正臣副議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 ありがとうございます。蜜源確保について努力していただいていることに感謝します。 ダニの関係ですが、私の調査では、平成30年度と令和元年度の比較をすると、被害件数が30年度が252件、被害蜂群数が6,411群、そして、令和元年が被害が440件、これは1.7倍に増えており、また、蜂群数が3万14群で、4.7倍にダニの被害が増加しています。やはりこういう状況でそのまま放置すると、さきほど部長から養蜂組合という話もありましたが、国の研究機関等に県の職員がいろんな情報提供を求め、その中で養蜂組合に理解を醸成するための研修会等をしていただければ養蜂の振興も図られるかと思うので、ぜひよろしくお願いします。 それでは、4点目、農業系教育施設での備品等の整備状況について質問します。 令和2年度は新規就業者が過去最高の468人だったと伺っています。また、農業参入企業への雇用就業者が増加していることも聞いており、新規就農に関する県の幅広い施策の効果が現れていると感じています。本県農業の発展のためには、今後も多くの若者に農業の魅力を伝えることが重要と考えており、特に学校の教育段階での取組に期待を寄せています。 県内には農業系学科を有する高等学校が9校、農業大学校が1校あります。これらの学校で将来の就農に向けしっかりと農業について学べるよう、備品や設備の充実を図ることが重要であると考えます。 そこで1点目が、まず農業大学校での現状の備品等の整備状況と今後の整備計画について、農林水産部長に伺います。 ○三浦正臣副議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 農業大学校は昭和41年に大分県農業実践大学校として開校し、約3千人の卒業生を送り出し、多くの方が本県の農業振興に貢献されています。しかし、開校から54年が経過し、施設と備品については計画的に整備を行っています。 平成16年から19年にかけ、厚生棟や体育館等を新築した他、寮なども計画的に改修しています。令和元年度には県産材を利用した肥育牛舎を新築しました。また、約1,400点ある登録備品についても、時代を捉え、先進的で現場ニーズに合った機器を優先的に5年間計画を立て、整備しています。令和2年度は画像解析による生育診断や農薬散布の機能を有するドローン3基を整備しました。 今後とも県農業の人材育成の拠点として、現場の技術に即時対応できるよう実践的教育を行い、さらに、先進技術に対応した魅力ある学校づくりに努めていきます。 ○三浦正臣副議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 ありがとうございます。ドローン3基を整備していただいたということで、またよろしくお願いします。 それでは次に、農業系高等学校9校での備品整備の状況について、今後の整備計画を含めて教育長に伺います。 ○三浦正臣副議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 魅力ある農山漁村づくりの核となる担い手の確保、育成は喫緊の課題であり、各学校における実習設備など学習環境の整備は重要であると認識しています。これまでも農業系高等学校では、各学校の要望を踏まえ、野菜温室除湿機、苗テラス、コンバインの導入など実習環境の整備に努めてきました。 今年度は、国の令和2年度第3次補正予算を活用し、実習設備のデジタル化、スマート化を進めることとしています。具体的には、作物栽培に重要な光や温度等の環境要因を最適化する温室環境制御システムやX線異物検査機などの導入を予定しています。また、老朽化したガラス温室やビニールハウス等の施設についても計画的な更新を検討しています。 今後も時代の要請に沿った備品等の整備を行い、高度な知識、技術を習得させるとともに、就農に向けたビジョンを自ら創造でき、主体的に判断し、行動できる生徒を育成していきたいと考えています。 ○三浦正臣副議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 ありがとうございます。徐々にスマート化が進んでいて安心しました。 これは要望にとどめますが、全国の先進事例を申すと、鹿児島県立伊佐農林高校では無人走行で耕うんなどができるロボットトラクターが導入され、今年度労働力が不足する農家に生徒を派遣して、研修用農業機械を生産現場で活用して援農活動に取り組み、作業員の負担軽減等、合理化に取り組んでいます。 また、農業分野でもスマート化がどんどん進行しているようで、ドローンで水田を撮影し、AI、人工知能が画像を分析し、水田の雑草が生えている場所を自動で判別するシステムが開発されたと聞きました。 そして、静岡県立農林環境専門職大学では農薬散布用ドローンなどスマート農業の教育に力を入れ、これまで学生14人がドローン操作の免許にあたる技能検定を取得するなど成果を上げているそうです。教習は資格取得の一環で、フォークリフト免許などと同様、希望する学生が受けているようです。 大分県でも各学校で実習活動が行われていると思いますが、将来、役に立つ免許取得等についても積極的に取組をお願いします。 また、白ねぎについては、関東方面では乗用型の座ったまま手でねぎの大苗をベルトコンベヤーに置くだけで移植できる半自動移植機が開発され、販売されるようになったとのことです。 このような労働力の省力化や経営規模拡大に伴う機器等を購入しないまでも、先進事例等をビデオ等で学生に紹介し、農業に対する希望や意欲を高めていただき、そして、将来の大分県農業を牽引する農業人になってほしいと私は念願する次第ですので、ぜひ今後ともよろしくお願い申し上げ、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○三浦正臣副議長 以上で鴛海豊君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。     午前11時58分 休憩  -------------------------------     午後1時 再開 ○御手洗吉生議長 皆さんこんにちは。休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。小川克己君。  〔小川議員登壇〕(拍手) ◆小川克己議員 今定例会で一般質問の機会を与えていただいたことに感謝を申し上げます。43番、玖珠郡の小川克己です。今日はまた地元から町議会の議長、副議長はじめ、議員の皆さん方、そして、支援していただく皆さん方が傍聴に来ていただきました。コロナ禍の中で、しかもまた、3月に全線復旧したJR久大線を感謝の意味を込めて利用して来ていただきましたことに厚くお礼を申し上げます。 それでは、早速ですが、一般質問に入ります。 自然災害への対応についてということで、令和2年7月豪雨災害では、私の地元、玖珠郡2町もかつて経験したことのない甚大な被害を受けました。この災害の特徴は、何といっても線状降水帯による断続的かつ集中的な豪雨であり、各所で道路や河川の護岸の崩壊が多発するものでした。残念なことに県内では6人の尊い命も奪われており、避難の在り方についても反省すべき点が残ったと思っています。 県では7月豪雨災害の発生にあたり、大分県災害対策会議を直ちに立ち上げ、8月には各市町の復旧・復興推進計画を策定し、計画的に執行していると伺っています。 報道等では、温泉街の中心部が重大な被害に遭い、泉源の問題の残る日田市天瀬地区の復旧、復興へのアプローチに注目が集まっていますが、私の地元玖珠郡の宝泉寺温泉街もまた、浸水被害を受けており、道路の崩壊も併発したため、一部でいまだ営業ができない状況です。こうした大所の被害もさることながら、さきほど述べたように、今回の災害は土砂崩れが多発しており、日常風景の中にも災害箇所の多くがまだ未整備のまま取り残されている状況です。 さきの令和3年第1回定例会において、知事は提案理由説明の中で、道路、河川、砂防の公共施設については、梅雨時期までに対象箇所のおおむね7割で工事に着手するとともに、農地についても被災面積の約8割で作付けができるよう市町村と連携し、取組を急ぐとの方針を示されました。3月には久大本線の全線開通という、復興に励みになるニュースもありました。携わられた関係者の方々の御尽力に敬意を表します。 一方で、取り残されたかのような未整備箇所がいまだに多くあることが、梅雨に入り、その後の台風シーズンと出水期を迎えるにあたり、地元住民にとっては、二次災害が発生しないかと不安をかき立てる要因となっています。 広範囲にわたる災害であり、箇所数も多いため、一朝一夕に全てが片付くとは思っていません。また、県土木事務所や振興局、各市町村の職員も懸命に復旧、復興に向けて取り組んでいることは十分承知しているし、県も一丸となって計画の進捗を支えていると思っています。そこで、7月豪雨災害復旧・復興推進計画の進捗状況と今後進めていく上での方向性について知事の御見解を伺います。  〔小川議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○御手洗吉生議長 ただいまの小川克己君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 ただいま小川克己議員から、令和2年7月豪雨災害からの復旧、復興について御質問をいただきました。 小川議員とは初めての対戦であり、どこから何が飛んでくるか、大変不安で緊張しています。どうぞお手柔らかにお願いします。 昨年7月豪雨の直後ですが、被害が大きかった地域を訪問し、被害状況や課題、要望等を直接伺いながら復旧・復興推進計画を策定し、社会資本の復旧、復興と事業者の経営再建の両面から取り組んでいます。 まずは、社会資本の復旧、復興です。今年は梅雨入りが平年より早く、長雨等による被害が心配されるため、公共土木施設の出水期への備えに意を用いています。特に、被災した河川に家屋や道路等が近接する箇所については、大型土のうによる侵食防止や堆積土砂の除去など応急工事を実施してきました。 また、本復旧については、5月末までに7割を超える箇所で工事に着手しており、早期完成を図るため、施工方法を工夫しながら出水期でも可能な限り工事を継続しています。さらに、緊急時には建設業者が即時に対応する体制も整えています。 野上川や玖珠川など特に被害が大きく、再度災害の危険性が高い箇所は、河道拡幅など県土強靱化につながる改良復旧も進めています。 農地・農業用施設については、仮設ポンプによる用水の確保や仮畦畔の設置等の営農対策を進め、被災農地のおおむね8割で、何とか今年の作付けが可能になりました。 加えて、土砂災害特別警戒区域や河川管理施設、農業水利施設等の点検を5月末までに県内全域で終え、緊急対応の必要がないことを確認しました。 次に、被災した中小企業・小規模事業者や観光業の再建については、コロナ禍で苦難が重なる事業者に寄り添った支援に取り組んでいます。県独自に補助率を上乗せしたなりわい再建補助金などにより、施設、設備等の復旧を手厚く支援しており、既に8割を超える事業者が事業の再開を果たしています。 議員御心配の宝泉寺温泉街には、私も先週、現地を訪問し、地元の方々から、河川や背後の急傾斜地の整備などについて、懸念や要望を伺いました。県や町が進める工事の状況について、もっと丁寧に説明し、そして、意見を伺うなど対話を重ねる必要があると改めて感じ、直ちに町とも連携してプロジェクトチームを立ち上げるように指示しました。昨日、早速、このチームが現地で話合いをしました。町や地元と連携を密にしながら、二次災害のおそれがある箇所などの応急対策をさらに講じた上で、来年の出水期までに全工事の完了を目指します。 また、地元の若手後継者から、温泉水を使ったコーヒーなど新商品の開発や、温泉街のシンボル「石櫃の湯」の復活など、温泉街の復興についての話も伺いました。 地域の皆さんが希望を持って取り組めるよう、県としてもスピード感を持って復旧、復興や県土の強靱化を進めていきます。 ○御手洗吉生議長 小川克己君。 ◆小川克己議員 知事を筆頭に、災害対応にスピード感を持って対応していただいていることに感謝申し上げます。さきほど答弁で、来年の出水期までには様々な事業を完了に持っていきたいという力強いお言葉をいただきました。 次に、玖珠郡内を流れる河川の改修について伺います。 御承知のように、昨年の豪雨災害では玖珠川をはじめ、多くの河川で氾濫が起きました。地元の野上川もその一つであり、さきほど申し上げたJR久大本線の鉄橋が流され、延べ500メートルほどの護岸の崩壊も発生し、九重町の中心部である豊後中村駅周辺の野上地区の住宅も100戸近くが浸水被害に遭いました。地元住民はこれまでにない野上川の氾濫に非常に驚いており、これからの出水期を前に不安が募っています。 また、野上川だけでなく、宝泉寺温泉脇を流れる町田川もまた、さきほど述べたように温泉街を巻き込み、約1.1キロの区間で護岸崩壊が発生し、こちらも旅館、ホテルを含む約100戸にわたる浸水被害が発生しました。大型土のうによる応急工事は完了しているものの、早期の復旧が待たれています。 加えて、玖珠町戸畑地区においては、玖珠川沿いの約2.4キロの区間で護岸が崩落し、農地に土砂が流入する被害が発生しており、河川復旧後でないと農地が復旧できないため、今年の作付けを見送りました。各支流が合流する玖珠川については、特に重点的な対策が必要であると思います。 JR久大本線の仮復旧工事は終了していますが、河川自体の改修はまだ行われていません。応急的な対策は行われていると思いますが、浸水被害軽減に向けた河川改修がぜひとも必要であると考えます。 被害が広域に及び大変苦労されていると思いますが、地元では大雨の予想が出るたびに、仮設の状況で大丈夫かとの不安の声が聞かれます。郡内における河川改修の検討状況と事業実施及び完了予定について土木建築部長に伺います。 ○御手洗吉生議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 7月豪雨では、玖珠郡で198か所の護岸が崩壊するなどの甚大な被害が発生しました。まずは早急に対応が必要な箇所について、大型土のうの設置や河床の堆積土砂撤去などの応急対策を講じた上で、順次、本復旧工事に着手しています。 JR橋が流出した野上川では、今年度から延長約2.4キロメートル、事業費約64億円の河川改修事業に着手しました。 川幅を拡げ、JR橋や堰などを改築する抜本的な対策には、10年以上の事業期間を要するものと考えられますが、部分的な事業効果の早期発現も配慮しつつ、用地の御協力もいただきながら早期整備に努めます。 一方、町田川の宝泉寺温泉付近や優良な農地がある玖珠川の戸畑地区については、旅館、ホテルの復興や営農の早期再開を図るため、まずは原形復旧により、来年の出水期までの工事完了を目指します。 さらに、玖珠郡全体の治水の在り方について、昨年度設置された筑後川水系の流域治水協議会の中で、あらゆる関係者が協力し、治水機能を高める対策を検討しています。 住民の皆様の不安解消のため、一日も早い復旧、復興に全力を注ぎながら、治水安全度の向上にしっかりと取り組んでいきます。 ○御手洗吉生議長 小川克己君。 ◆小川克己議員 さきほど申し上げたように、皆さん方が頑張っているのはよく分かっています。道路、河川の進捗が思わしくないという気持ちが住民の中にはあります。遅れている原因に、入札の不調、不落が多いとの話も聞いています。被災地区も多いからか、業者の手が回らないからなのか、地元住民の早く何とかしてほしいとの声と裏腹な状況が続いています。不調、不落の原因をしっかりと捉えて、早期に工事発注をしていただきたいんですが、いかがでしょうか。 ○御手洗吉生議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 建設業界では、その担い手不足が全国的に大きな課題となっている中、昨年7月、近年例を見ない甚大な被害が発生しました。特に山間部での被害が多く、例えば、10件入札すると、現場条件が厳しい工事などで1件、2件と不調が発生しています。 こうした工事への対応として、発注する工区の組合せを見直すなどの工夫を重ねながら、順次、入札手続を進めています。 また、技術者不足への対応も必要なことから、現場代理人が複数の工事を兼務することを認めるなど、弾力的な運用も行っています。 さらに、玖珠土木事務所では、応札状況を勘案し、入札に参加できる業者を玖珠郡以外に今月拡大するなど、不調、不落対策に努めています。 今後とも、一日も早い復旧に向け、全力を挙げて取り組んでいきます。 ○御手洗吉生議長 小川克己君。 ◆小川克己議員 ありがとうございます。大変努力していただいて、郡外にも拡大していくということで、これから逐次工事が進んでいくものと思っています。重ねてよろしくお願いします。 次に、避難情報の設定について伺います。 昨年は第2回定例県議会直後の7月に、線状降水帯の発生による甚大な豪雨災害が発生しました。今年もこれから台風シーズンが終了するまでは雨による災害は要注意の状況です。 防災対策をいかに練ったとしても、最後は自助に行き着くことは自明の理です。いざというときにどこへどう逃げるのか、自分の住んでいる場所、状況を的確に判断し、行動することを常日頃から心がけておかなければなりません。 ただし、この県民の自助の判断基準になるのは行政からの防災情報です。豪雨だけでなく、地震、火山噴火、津波など、今発生している危機がどこまで切迫しているのかを分析し、分かりやすく県民に伝えることが必要です。 国は先月、災害対策基本法の一部を改正し、市町村が発令する避難勧告及び避難指示について、避難のタイミングを明確にするために警戒レベル4を避難指示に一本化しました。今議会には、この趣旨に即した大分県減災社会づくりのための県民条例の一部改正案が提案されています。 警戒レベルの示し方としては分かりやすくなる一方で、警戒レベルそのものがどういう状況を示しているのかが実は分かりにくいものとなっています。レベル1、2については気象庁が発表していますが、レベル3、4という避難に一番重要なレベルについては市町村の発令となり、判断基準となるものが我々郡民、県民には示されていません。もちろん、判断にはある程度の弾力性を持たせているとは思いますが、差し迫った危機を共有する意味でも、どういう段階であればレベル3、こうなったらレベル4という私たち県民に分かりやすい例示が必要であると考えます。 県としても市町村の防災行政をリードしていく観点から、この点について県内市町村にある程度の統一性を持たせていくべきと考えますが、市町村にどのように指導しているのか、防災局長の御見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 梶原防災局長。
    ◎梶原文男防災局長 避難情報についてお答えします。 気象庁では、警戒レベル3、高齢者等避難の判断基準となる大雨警報、レベル4、避難指示の基準となる土砂災害警戒情報や氾濫危険情報など気象情報を段階的に発表しています。 また、土砂災害や洪水等の危険度の高まりを地図上で詳細に確認できるキキクルをホームページに掲載し、避難の判断材料として提供しています。 市町村では、これらの気象情報や日没の時刻、過去の災害事例などを総合的に判断し、避難情報を発令しています。 県では、従来から大雨などのおそれがある場合、気象台と合同で説明会を行い、市町村と災害発生の切迫度や警戒感を共有し、避難情報の早期発令を呼びかけています。 今月2日には、新たな避難情報に関するガイドラインの研修を行い、避難情報発令の判断基準を全市町村と共有しています。 さらに、県民の皆さんにあらかじめ早期避難スイッチを決めておいていただくおおいたマイタイムラインでは、警戒レベルと気象情報とを併記し、判断材料となるよう工夫しています。 今後も的確な避難情報の発令と、早期避難の習慣化を図ることにより、災害による人的被害ゼロを目指していきます。 ○御手洗吉生議長 小川克己君。 ◆小川克己議員 それぞれ段階的発表、あるいはまた、市町村と共有しながら判断していくとのことでした。本当にこれから想定し得ない災害が起こることが十分予測されるので、引き続き市町村との連携の中で対応方よろしくお願いします。 次に、観光業の振興について伺います。 私の地元である玖珠郡は、くじゅう連山を中心とする天然の資源を活用して多くの事業者が観光を生業としています。登山はもとより、温泉や自然散策、さらに冬にはスキーなどレジャースポットにも恵まれており、大分県の観光業を牽引してきたと地元の皆さんも誇りに思っています。 しかし、一昨年の日韓関係の悪化に伴う宿泊客の減少から、コロナ禍、そして、昨年の7月豪雨までたび重なるアクシデントにより、沈み込んでしまっている感があります。今述べた三つのアクシデントのうち、一番深刻なのは、新型コロナウイルス感染症の影響です。 コロナ禍は今回の第4波のように、潜伏し、小康状態になっていたかと思うと、突然大きなうねりとなって押し寄せ、制限解除と外出自粛が繰り返されています。国民全員がある程度免疫をつけるまではこの状況が繰り返されるのではないか、長期戦になることは避けられないのではないかと大変危惧しています。 これから夏、そして、秋に向けてレジャーシーズンになります。コロナ禍の状況次第ではありますが、感染防止を徹底した安心のおもてなしを実践している本県をしっかりPRし、稼げるときに稼げる体制をつくっておく必要があります。 折しも、本年は昨年から延期された第5回山の日記念全国大会も予定されています。感染状況が小康状態を保っていくことを心から願ってやみませんが、開催にあたっては多くの方々に、本県の持つ山の魅力を伝え、ポストコロナの観光誘客に向けたリスタートの一つの取組としていただきたいと思います。 これまでの行政からの観光業に対する支援は大変ありがたいものです。県の調査によると、今年の3月の県内宿泊者数はほぼ前年並みとなり、新しいおおいた旅割の活用により大分県民による利用が増えたのではと聞いています。 一方で、行政の一時的な支援ではなく、本質的にこの難局を打破するためには、新型コロナウイルスへの対処はもちろんですが、観光客が帰ってくる前に倒れそうになっている観光業者そのものへの支援が大変重要と思われます。 日本銀行大分支店の大分県内の景気動向によれば、県内の観光業はこの2月から4か月連続で厳しい状態にあると判断されており、旅行業大手各社の決算も大幅に赤字が見込まれ、地元旅館業をはじめとする観光産業はぎりぎりの線で保っているのが実情です。 観光業の経営支援については、今議会を含めこれまで多く質問されてきました。県内の重要な基幹産業である観光業には、しっかりと手を差し伸べていただきたいと思います。 県内観光業の業況をどのように捉え、対策を考えているのか、知事の御見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 観光業の振興について御質問をいただきました。 新型コロナウイルス感染拡大は、発生から1年余り経過し、大分県観光にも多大な影響を及ぼし続けています。県の調査では、観光客でにぎわうはずの5月の宿泊者数は昨年より増加したものの、コロナ禍前の一昨年の水準には遠く及ばない状況でした。 かつてない厳しい状況の中、観光事業者から、再度の感染拡大で予約が軒並みキャンセルとなり、新型コロナに翻弄され続けている、あるいは今年旅行需要が回復しなければ大変苦しい状況になるなどの声が届いています。 先行き不透明な状況ですが、おんせん県おおいたを支え続けてきた観光事業者に対し、多方面から寄り添った支援を展開します。 第1に、観光産業の受入環境整備への支援です。県内の宿泊施設では、これまで感染症対策チェックリストや感染症対応マニュアルに基づく徹底した感染防止対策によりクラスターは発生していません。 こうした宿泊施設に対して、国の地域観光事業支援を活用し、県が補助率を上乗せした上で、感染症対策の一層の徹底に加え、新たな観光需要の創出を目的とした補助金の申請受付を7月から開始します。 また、旅館経営者などが変化に強く、稼いでいける経営ができるように、デジタル化を含む経営戦略の変革を支援することや、魅力的な体験型観光サービスを開発する事業者への支援などにも取り組んでいきます。 第2に、誘客への支援です。インバウンドが止まっている今、感染状況に留意しつつ、マイクロツーリズムやワーケーションの推進、自然の中でアクティビティを楽しむ観光など新しい旅のかたちも取り入れながら国内観光客の誘客を進める必要があります。 今月14日からは、新しいおおいた旅割を再開し、まずは県境をまたがない県内旅行を促進します。宿泊施設や旅行会社から再開後の予約は好調との声もあり、観光需要の回復が期待されます。今後は、感染状況を見ながらさらに九州域内、全国へと展開していきます。 また、来るべきインバウンドの復活に備え準備も進めます。観光ユーチューブチャンネル沸騰大分やラグビーワールドカップのレガシーを活かした取組などを通じ、大分の魅力をしっかりと海外へ発信していきます。 先週、県政ふれあいトークで宝泉寺温泉を訪問しました。観光事業者の方々が、苦境にもくじけず、地域の魅力を活かし温泉地を盛り立てる活動を熱く語る姿に心を打たれました。 県としても、ポストコロナを見据え、世界規模で起こる危機や旅行の多様化に負けない足腰の強い観光産業へと成長できるように、しっかりと支援していきます。 ○御手洗吉生議長 小川克己君。 ◆小川克己議員 ありがとうございます。7月からは新たな補助金を開始したり、新しいおおいた旅割を発行していただけるなど、県境をまたがない観光を促進していただけるということで、観光関係の事業者の皆さん方は大変喜ぶと思っています。重ねてよろしくお願いします。 次に、県道40号飯田高原中村線について伺います。 観光業の最大の振興策は観光誘客であることは言うまでもありません。観光誘客を図るには、安心して訪れていただく道路が必要です。 県道飯田高原中村線は、九重夢大吊橋やくじゅう連山などの観光地を結ぶ重要な道路です。 昨年、令和2年7月豪雨では、6か所で災害が発生し、通行止めが生じましたが、速やかに応急工事が行われ、着々と復旧工事が進み、安堵していました。 しかしながら、今年3月末に紅葉の名所として知られる九酔渓の付近で、雨が降ったわけでもないのに、道路の路肩崩壊が約50メートルにわたり発生し、再び通行止めになり、改めて観光産業や地域住民の生活への影響を心配しています。秋の紅葉シーズンには多くの観光客の方々に安心して訪れていただくことを望んでいます。 そこで、現在の復旧状況と今後の見通しについて土木建築部長に伺います。 ○御手洗吉生議長 島津土木建築部長。 ◎島津惠造土木建築部長 3月末の九酔渓付近における路肩崩壊については、発災後、直ちに地形測量及び地質調査を実施しました。その結果、崩壊原因は昨年の7月豪雨をはじめとした河川の増水に伴い、護岸基礎周辺の地盤が洗い流され、さらに道路面下の土砂が徐々に吸い出されたことによる石積崩壊と考えています。 復旧工法としては、擁壁の基礎コンクリートと岩盤を一体化させる対策を施した上で、高さ約11メートルの擁壁工を計画しており、速やかに工事着手しました。 施工にあたっては、出水期においても河川内の工事を継続し、工期の短縮を図りたいと考えています。 このため、河川内の堆積土砂をあらかじめ撤去するなど、治水上の安全性を高めた上で、擁壁の基礎コンクリート工事を鋭意進めています。 飯田高原中村線は、地域の生活はもとより観光振興に欠かせない道路です。引き続き、しっかりと工程管理を行いながら、紅葉シーズンに入る10月末の交通開放を目指し、全力で復旧に取り組んでいきます。 ○御手洗吉生議長 小川克己君。 ◆小川克己議員 10月末の完成を見越しているということで、重ねてこの件もよろしくお願いします。石積崩壊ですか、擁壁工等、我々には専門的な知識はありませんが、築後かなり経過しているので、経年劣化もあると思います。引き続き工事完了に向けて全力投球していただきたいと思います。よろしくお願いします。 次に、肉用牛の振興について伺います。 畜産業は本県農業産出額の約3分の1を占め、本県の農業振興にとって欠かすことのできない重要な産業です。中でも、私の地元である玖珠郡は、過去には名牛「糸福」を誕生させるなど、生産技術、頭数とも、県内有数の産地です。 こうした中、5月17日の地元紙に大変喜ばしいニュースが載りました。それは、玖珠郡の生産者と県が造成した県有種雄牛「松吹雪」号が過去最高レベルの検定成績を記録したというものです。ニュースを聞いて、私自身大変誇らしく感じました。また、県内の肉用牛関係者にとってもうれしい話題であろうかと思います。関係者の皆様の御苦労に深く感謝申し上げます。 この「松吹雪」号は、脂肪交雑に優れていることはもとより、脂肪の質、いわゆるおいしさの面でも成績がよかったとされ、今後のおおいた和牛の躍進に向けて、その活用が大いに期待されます。 そして、同じくおおいた和牛の躍進の場として注目されるのが、和牛のオリンピックともいわれ、5年に1度開催されている全国和牛能力共進会です。次回は来年、令和4年10月に鹿児島県霧島市及び南九州市で開催予定となっています。近年の全共では、時代や消費者の要求に応じた和牛改良を進めるため、例えば、おいしさの指標ともいわれるオレイン酸に重きを置いた審査区を設けるなど、出品区に改良上の狙いを定める傾向が強くなってきていると聞きます。つまり、これまで以上に全共での好成績が、その後の産地の販売力の向上に直結しやすくなっているわけで、鹿児島全共で上位入賞を果たすことが、おおいた和牛のブランド化にとって大変重要になると思われます。 そこで、鹿児島全共に向けた現在の取組状況と全共後も見据えた肉用牛振興の方向性について伺います。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 全国和牛能力共進会は、ブランド力強化においても重要であり、前回大会では種雄牛の部で内閣総理大臣賞を収め、高い能力を全国にアピールすることができました。 こうした中、全国的に肉質4等級以上が約9割に達し、サシの改良が進んだことから、鹿児島大会では、おいしさの指標として脂肪の質に関する審査基準が新たに導入されます。このため、関係機関で組織する推進協議会を元年7月に設立し、脂肪の質を高めるオレイン酸能力の高い種雄牛と雌牛を選抜し、出品候補牛を計画的に生産しています。 現在、肉牛の部3出品区の7頭枠に対し、17戸で55頭が肥育され、地区指導班による指導を徹底し、玖珠町生まれの「寿恵福」号以来の肉牛の部、日本一を目指しています。 一方、サシだけでなく和牛本来の風味を求める声もあり、オレイン酸以外の赤身のおいしさに関する指標を取り入れた改良などの検討に本年7月から本格的に着手します。 今後は、おおいた和牛のブランド力向上のため、生産者、流通業者等が協働して、サシに加え、おいしさなど他県にない付加価値を創出し、もうかる畜産を実現していきます。 ○御手洗吉生議長 小川克己君。 ◆小川克己議員 4年前に開催された宮城全共では、さきほども言われたように、内閣総理大臣賞を受賞したということで、全国の上位は九州が、鹿児島県、宮崎県、大分県が独占しているような状況で、引き続き畜産県大分、そして、九州をとどろかせていただきたい。そのためには、さきほど言われたように、生産者や支える関係者が一致団結して、この鹿児島全共に臨んでいただければと思っています。 「松吹雪」号の子牛は鹿児島全共には間に合わないと聞いたが、この優秀な種牛を今後どのように活用していくのか伺います。 ○御手洗吉生議長 佐藤農林水産部長。 ◎佐藤章農林水産部長 「松吹雪」号は、量と質に加えて、おいしさ面でも改良効果が期待されています。新聞報道後、精液の問合せが急増して、5月だけで約300本の受注があり、生産者の期待が高まっています。 議員が今言われたとおり、鹿児島大会の肉牛の部には「松吹雪」号以上にオレイン酸や産肉能力に優れた玖珠町産を含む種雄牛3頭を計画的に交配しています。ぜひとも鹿児島大会では優秀な成績を取るよう頑張ります。 また、「松吹雪」号については現在、それ以外にも県の共進会や九州内での共励会等、様々な共励会がありますので、そこに向けて人工授精を推進しており、鹿児島全共終了後にちょうどその子牛が市場に出ていくので、またおいしいおおいた和牛生産に弾みがついていくと思いますので、ぜひ「松吹雪」号についても積極的に活用していきたいと思っています。 ○御手洗吉生議長 小川克己君。 ◆小川克己議員 ぜひよろしくお願いします。本当に「糸福」に次ぐ「松吹雪」なので、私ども玖珠郡民はこれに大いに期待して、鹿児島全共には言われたように間に合わない状況もあると思いますが、畜産県大分をこの上なく充実させていただきたい。 それからまた、家畜保健衛生所、あるいはまた生産者、こういう連携がスムーズに取れるよう体制整備も重ねてお願いして、残り時間がまだありますが、私の一般質問をこれで終わります。ありがとうございました。 ○御手洗吉生議長 以上で小川克己君の質問及び答弁は終わりました。後藤慎太郎君。  〔後藤議員登壇〕(拍手) ◆後藤慎太郎議員 8番、自由民主党の後藤慎太郎です。本日も、声なき声や小さな声を県政に届けるために、そして、知事や執行部の皆さんにその声を聞いてもらうために、今回も質問の機会をいただいた会派の皆様にまずは感謝申し上げます。本日もどうか知事、執行部の皆さん、よろしくお願いします。 では、早速いきます。まずはコロナ禍と認知症についてです。 だいぶ落ち着いてきたコロナの騒動ですが、やはりまだまだこれから先どんなことがあるか分からないと。そういう意味では行政におけるリスクマネジメント的なものも含めて、質問していくので、よろしくお願いします。 コロナ禍における認知症政策について伺います。 新型コロナウイルス感染症が世の中のあらゆるところに変化をもたらしたことは、皆さんも周知の事実です。県議会でもこの1年間コロナ禍に関する議論が絶えなかったことが、その影響の大きさを物語っていると思います。 このことは当然、介護福祉分野にも及び、本日質問のテーマとした認知症を患う方やその家族にも大きな影響を及ぼしました。 日本認知症予防学会が行った新型コロナウイルス感染症の認知症予防への影響についての会員向けのアンケートによると、対象となっている高齢者の方が取り組んでいる予防の種類が発症防止の一次予防、早期発見・治療の二次予防、重症化防止の三次予防のいずれの段階にある方でもほぼ半分の方々に認知機能の悪化が見られ、さらに4分の1の方々に周辺症状の悪化や身体合併症の悪化が見られたとの結果が報告されています。 同学会の理事長である鳥取大学の浦上教授によれば、コロナ禍による外出機会の減少は、認知症の予防における重要なポイントである運動、知的活動、コミュニケーションの機会を減少させることとなり、感染症対策としては必要であるが、認知症予防の観点からすれば危険であると指摘しています。その結果が残念ながらアンケートにも反映されてしまったものと考えられます。 5月の連休明けから高齢者向けのワクチン接種が図られ、接種された方々は落ち着きを取り戻しつつあるかと思いますが、それでも感染リスクがなくなるわけではありません。今後も予防していかなければならないと思います。感染症対策とある意味相反する認知症予防をいかに進めていくのかは非常に重要な課題であると考えます。 本県でも認知症予防プログラムを作成し、その活用を図っていると思います。その中には、やはり定期的な運動と対人交流などが予防には効果的である旨がしっかり書かれ、分かりやすい内容となっています。しかしながら、まだまだ収束が見通せないコロナ禍においても、高齢化社会と認知症の増加は着実に進展しています。認知症予防が難しいコロナ禍において、本県の認知症政策をどのように推進していくのか、知事の見解を伺います。  〔後藤議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○御手洗吉生議長 ただいまの後藤慎太郎君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 後藤慎太郎議員から、コロナ禍における認知症政策について御心配をいただきました。 県では、認知症になっても、御本人とその御家族が、住み慣れた地域でこれまでと同様に暮らし続けていただけるように、早期診断・早期対応の体制整備や認知症に関する正しい理解の普及などに取り組んできました。 認知症との共生の取組をさらに進めていくために、今年3月には、当事者の立場から普及啓発活動を行う大分県希望大使として2人の方を委嘱しました。 また、認知症は誰もがなり得る身近なものであり、認知症の発症を遅らせ、また、発症後の進行を緩やかにする予防の取組もあわせて進めていくことが大変重要です。 議員御指摘のとおり、認知症の予防には、運動不足の改善や社会参加による孤立の解消、あるいは役割の保持などが効果的とされています。 このため県では、市町村と連携し、住民同士で体操などの介護予防に取り組む通いの場や、認知症の方やその御家族が集うオレンジカフェの普及に取り組んできました。 竹田市や豊後高田市では、通いの場に専門家を派遣し、認知症に関する出前講座や脳の健康測定などを行っており、県では、こうした好事例の横展開を図っています。 しかしながら、コロナ禍で感染への不安などから、このような集合型の活動を控える状況が続いています。人との交流機会が減ることにより、認知機能の低下や、認知症の悪化が見られたケースが県内でも生じており、大変心配しています。 こうしたことから、コロナ禍でも安全・安心に活動を継続できるように、感染拡大防止10箇条を動画などにより、分かりやすく発信しています。 また、感染拡大が進み、外出自粛をお願いしている期間においても、人とのつながりを保つための手段として、オンラインの活用を推進しています。 今年度は、スマートフォンやタブレットを実際に使って家族や友人とつながる方法を学ぶ講習会を県内7か所で実施しています。先週は大分市と国東市で開催し、参加者から、思ったよりも簡単だった、あるいは、友達にも教えてあげたいといった声が聞かれました。 さらに、オンラインで仲間と交流を図りながら、体操や、脳を鍛える簡単なゲームを行うオンライン通いの場を県内4か所でモデル的に実施し、広く普及を図っていきます。 今後、高齢化の進展に伴い、認知症の方のさらなる増加が見込まれる中、その発症を遅らせ、認知症になっても安心して地域で共に暮らし続けることができる社会の実現が急務です。コロナ禍においても、その手を緩めることなく、しっかりと取組を進めていかなければならないと思っています。 ○御手洗吉生議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございました。毎日ずっと大変な思いをされて、知事以下、本当に県民の皆様の安心・安全を願ってされてきたと思います。引き続きしっかりやっていただければと思っていますので、よろしくお願いします。 次に、新型コロナウイルスに感染した認知症患者への今までの対応、そして、これからの対応について伺います。 認知症の予防が難しくなる中で、認知症の方が新型コロナウイルスに感染するリスクは高いと考えます。認知能力の低下に伴い、マスクなしでの徘回やマスクそのものを嫌がる行為など、御家族の方々はかなり気を遣っていらっしゃると伺いました。 また、そうした認知症の方が感染した場合に受け入れられる医療機関が少ない点も指摘されていました。報道によると、東京都などでも感染症に罹患した認知症の方などを専門に受け入れる医療機関は少なく、緊急搬送時にたらい回しになっていた例もあるとのことでした。 本県でも重症患者の入院調整などでは御苦労なさっているかと思いますが、認知症の方の場合はどのように対応することになっていたのでしょうか。認知症を患う方の家族や介護施設の方は今もなお大変不安に感じています。少しでも安心していただく意味でも福祉保健部長に答弁をお願いします。 ○御手洗吉生議長 山田福祉保健部長。 ◎山田雅文福祉保健部長 新型コロナウイルスに感染した認知症患者への対応についてお答えします。 本県では、医師がコロナの病状を評価し、必要と判断した場合は、認知症であっても医療機関で受け入れていただくことを原則としています。 入院に際しては、認知症の症状、要介護度、食事、排せつの状況などの患者本人の情報と、病床やスタッフの状況など受入先病院の情報の双方を丁寧に聞き取り、適時適切な入院調整に努めています。 徘回などの行動があり、高度な対応が必要な認知症の感染者を県立病院の精神医療センター、ここは本来コロナの受入れは予定していなかったんですが、こういうところで受け入れた例もあります。 なお、療養環境の変化により認知症の進行が危惧される方には、入院よりも施設での療養継続が望ましい場合もあります。その際には、必要に応じて医師や感染管理に習熟した看護師を派遣し、施設での療養支援を行うなど万全を期しています。 こうした対応により、本県ではこれまで、認知症の感染者が救急搬送時にたらい回しになった事例はありません。 今後も認知症の方とその御家族に安心していただけるよう、関係者と情報共有を図りながら必要な医療を提供していきます。 ○御手洗吉生議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございました。また第5波、第6波が来るか分かりませんが、そういったときに備えられるような体制をまた考えていただければと思います。よろしくお願いします。 次に、人権尊重社会の推進について伺います。 まずは性的マイノリティに対する取組について質問します。 本県では、全ての人の人権が尊重される社会づくりを進めるため、平成21年4月に大分県人権尊重社会づくり推進条例を施行しています。この条例では県、県民、事業者の責務を明記するとともに、大分県人権尊重施策基本方針を策定することとしています。 この基本方針では、人権に関する教育や啓発など人権意識の高揚を図るための施策や女性、子どもなど社会的弱者が抱える人権上の課題に対する施策などについて、県が取るべき事項を定めており、県はこの基本方針を柱として、全ての人の人権が尊重される社会づくりを進めていくこととしています。 令和2年4月の改定では、新たに性的少数者の人権問題を重要課題の一つに位置付けており、誰もが自分の性的指向、性自認を尊重され、自分らしく生きることのできる社会の実現を目指し、教育・啓発、相談体制の充実に努めることとしています。 来月にはいよいよ東京オリンピックが開催されますが、平成26年度にオリンピック憲章が掲げるオリンピズムの根本原則に、性的指向への差別禁止が盛り込まれました。私はこれまで議員になってから、この性の多様性については人権問題であるという観点で一般質問でも何度か取り上げてきました。性的マイノリティの人々が安心してこの大分県で暮らしていく、また、存分に活躍できるような社会を構築していく必要があると考えます。 そのためにも今後県として、性的マイノリティの人々に対する取組を進めていく必要があると考えますが、広瀬知事の見解をお聞かせください。 ○御手洗吉生議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 性的マイノリティに対する取組について御質問をいただきました。 人権尊重の社会づくりを推進するためには、性的少数者を含めた全ての人が互いを尊重し、多様な価値観や生き方が認められることが大切です。 県ではこれまで、近年の性的少数者の人権問題についての関心の高まりを考慮し、性別記載欄のある申請書等の見直しや、若年層を対象とした啓発漫画「りんごの色」の制作など、様々な取組を行ってきました。 さらに、昨年、大分県人権尊重施策基本方針を改定し、性的少数者の人権を新たに重要課題として位置付けました。 この方針に従って、次の3点の取組を重点的に進めています。 一つは、広く県内における啓発活動の推進です。県では、人権課題をより身近に感じられるよう、当事者のインタビューを映像化し、市町村や隣保館での研修で利用されています。 また、前述の「りんごの色」は、人権の啓発資料として法務大臣表彰を受賞し、昨年、国において実写化されました。これまでユーチューブ上で50万回近く視聴されるなど、全国で高い評価を受けています。さらに、啓発を進めていく上で、まずは職員自身が正しい知識を持つ必要があることから、昨年9月に職員向けのハンドブックも作成しました。 二つ目は、学校における人権教育・啓発の推進です。学校現場では、教育活動全体を通じた、多様な性についての理解を深める教育を進めています。これまでも大分県人権教育推進計画に基づいて、性的マイノリティに関する課題を授業等で取り上げており、理解を深めている学校が年々増加しています。 三つ目は、相談支援・権利擁護の充実です。大分県公認心理師協会の御協力をいただき、LGBT等に関する専門相談窓口を今月19日に開設し、早速2件の相談が寄せられました。相談日は毎月第3土曜日で、悩みを抱える御本人だけでなく、その家族や友人からの相談や匿名での相談も電話やメールで受け付けることにしています。 性的少数者の方々を取り巻く課題の解決を図る第一歩は、多様性を認め合うことだと思います。童謡詩人金子みすゞの詩に「みんなちがって、みんないい」というフレーズもあります。様々な違いを持った人々を懐深く受け入れ、人を大事にする地域をつくっていくことは、地方創生を進める上でも大変重要です。 今後とも、誰もが生き生きと活躍し、心豊かに暮らしていける大分県の実現を目指します。 ○御手洗吉生議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございました。実はトランスジェンダーの方は、自殺率の割合が、例えば、シスジェンダーや異性愛者に比べたら10倍、それから、LGBの方だと約6倍など、心にいろんな悩みを持たれている方がとても多いと。そういった方が相談する場所を今回、県につくっていただいたという意味では、先週、私も土曜日にメールと電話で1件ずつと伺いました。 ただ、一つ気になったのが、もともとそういった当事者団体に相談する窓口であればよかったんですが、結局県につくっても、県の担当窓口が当事者団体に聞いてくださいと電話を回されたそうで、結果、相談窓口の体制はあまり変わっていないのが実情のようです。そういった窓口に心理師の方がいらっしゃるとはいいますが、そういった方にさらに問題を考えていただければと思います。 例えば、大阪市においての調査で、国立社会保障・人口問題研究所が住民台帳から抽出したいろんなアンケートを取っています。こういったのを見ると、やはり我々が性的マイノリティに気づいていないだけで、会ったことないとか、どこにいるか分からないではなくて、実際いるんだということに気づくことになるんではないかと思っています。部長にもぜひ大阪市のアンケートの状況もさらに見ていただいて、大分県の窓口の充実を図っていただければと思っていますので、よろしくお願いします。 次に、パートナーシップ制度について伺います。 法的な拘束力はありませんが、パートナーシップ制度の導入が全国で進んでおり、本年4月には臼杵市が本県では初となるパートナーシップ制度を導入しています。私はこのような取組を県と県内市町村が連携し、県全体に広げていく必要があると考えます。 県でも人権尊重施策基本方針において、パートナーシップ制度を導入している自治体の制定、運用状況を把握するとともに、制度に関して県と市町村との意見交換を行うとしています。 そこで伺います。パートナーシップ制度について、これまでどのように状況を把握し、今後どのような検討を行っていくのか、生活環境部長の考えをお聞かせください。 ○御手洗吉生議長 磯田生活環境部長。 ◎磯田健生活環境部長 パートナーシップ制度についてお答えします。 パートナーシップ制度の導入自治体は、年々増加しています。本年4月1日現在では、全国で103の自治体が導入しています。うち、県域での導入は、茨城県、大阪府、群馬県の三つです。九州では、佐賀県が導入の方針を固めたという報道がなされています。 運用状況としては、福岡市、北九州市、熊本市は、転居しても相互利用が可能なことや、兵庫県明石市、東京都足立区は、同居する未成年の子も家族とするファミリーシップ制度もあわせて導入しているという動きです。 本県では、本年4月に大分県県営住宅等管理規程を一部改正し、市町村の証明書等によりパートナーシップ関係の認定を受けている場合、公営住宅への同居が可能であるとしています。 市町村には、これらを情報共有するとともに意見交換を実施し、パートナーシップ制度導入を検討する市町村もある一方、独自での導入は難しいとの意見も出されている状況です。 パートナーシップ制度は、当事者の生きづらさの解消につながること、あるいは、この議論そのものが県民への人権意識啓発に非常に役に立ち、効果的であると認識しています。 引き続き、全国状況の情報収集と市町村への情報提供を行うとともに、当事者の意見も十分参考にしながら、調査、研究を進めていきたいと考えています。 ○御手洗吉生議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございました。ちなみに、6月2日時点でパートナーシップ制度を導入している自治体は105で、その人口は3分の1を大体日本でカバーするというふうに広がりを見せています。 さらに、さきほど言われた茨城県、大阪府、それに三重県、群馬県、あと、佐賀県は8月中にもパートナーシップ制度を導入する方向で進んでいるという話を伺っているし、東京都も導入する方向で進んでいると聞いています。 臼杵市の担当の方に聞いたら、県内外の市町村からいろんな問合せがあって、入れたことによってどういったメリットがあったかとか、ネガティブな話はなかったかという話を聞きましたが、ネガティブな話などは特にないと。逆に、入れることによって、その市町村において生きづらさを感じている人がいるだろう、そういった方の声や、パートナーシップを出されるまでにはいかないんですが、そういった方の喜びの声を聞いているという話も聞いています。 社会が変わっていく中で、なかなか難しい議論に結び付いたりすると思うんですが、ただただ本当に同じ社会に生きている人たちが生きづらい、それを何とか解消しようと、それが私はパートナーシップ制度だと思っています。それをしっかり皆さんで考えていただければと思っているので、どうかよろしくお願いします。 次は、校則についてです。 人権問題の一つの側面として、学校の校則について伺います。昨今、いわゆるブラック校則が問題化しています。 文部科学省の生徒指導提要によると、校則は、児童生徒が健全な学校生活を営み、よりよく成長していくための行動の指針として、各学校において定められるものとしています。内容としても、学業時刻や児童会・生徒会活動に関する規則だけではなく、服装や頭髪など校内外の生活に関する事項など、様々なものが想定されていますが、学校や地域の実態に応じて適切に定めるものとされています。ただし、しつけや道徳、健康などに関する事項で、細かいところまで規制するような内容は、校則とするのではなく、教員がいたずらに校則にとらわれて、守らせることのみを指導するようになっていないか注意する必要があることもしっかりとこの提要には書かれています。 一方で、昨今、問題になっているのは行き過ぎた校則です。頭髪についても、さすがに丸刈りを強要する例はないとは思いますが、ポニーテールを禁止としたり、生まれつき茶色い髪の毛の方に黒色で染めるように指導するなど、全国的にはいまだに疑問符のつく校則は多く残っています。さらに服装については、下着の色について限定するセクシャルハラスメントまがいのものもあるとのことで、人権の侵害になるのではないかと懸念しています。 文部科学省も社会や時代の変化に合わせて見直しを求めるように都道府県教育委員会に通知を出したとの報道がありました。先日も新聞に出ていました。 本県においてこのような事例はないのでしょうか。また、このことについて、大分県教育委員会としてはどう考え、対応するつもりなのか、教育長にお尋ねします。 ○御手洗吉生議長 岡本教育長。 ◎岡本天津男教育長 今年度当初、県立高校を対象に校則の調査を行いました。その中には、夏服着用時の下着の色を限定したり、地毛の色を確認するために申請を要するといったものがありました。いずれの校則も、社会通念に照らして必要かつ合理的な範囲内で定められたものと考えており、学校での指導にあたっては人権に十分配慮して行っています。 なお、市町村立学校でもこのような校則の事例があると聞いています。 こうした中、今般、国からの通知を受け、県教育委員会として全ての県立高校に対し、校則の内容や必要性について、生徒と学校で話し合う機会を今学期中に改めて設けるよう指示しました。どんな意見が交わされたのか、あるいは今後の方向性がどうなるのかなどを学校ごとに見ていきたいと考えています。 中学校の中には同様の取組が既になされているところもありますが、市町村教育委員会にもこの対応を周知し、参考にしてもらいたいと考えています。 学校を取り巻く社会環境や児童生徒の状況は常に変化しています。それらを受け止め、児童生徒の実情や時代の進展等を踏まえた校則となっているか、絶えず積極的に見直しを検討するよう今後とも指導していきたいと考えています。 ○御手洗吉生議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございました。重箱の隅を突つくようなことをするつもりはないんですが、例えば、この校則問題は、さきほど高校においてはという話があって、自分自身においては高校のときに、僕が通っていた高校は、学生服の上にジャンパーなんか着ていくな、着てきたらだめだと言う。僕はそれを校門でずっと押し問答を何度も何度もやって、寒いのにどうして着ていったらだめなのかと。合理的な理由がよく分かんなくて、それを引き続きやっていって今に至るわけなんですが。何を言いたいかというと、そのときに相談できる大人がいないわけですよ。先生に言ってもどうせ分かんないと。だから、今になっては、30年後の大人になった自分に、この校則をぜひこういった場所で聞いてもらえよということで、僕は今日、校則でどんなものがあるかというのを調べてきたんですね。 実は、大分県のテレビ局が大分市の全ての中学校と小中一貫、義務教育校、合わせて27校分の校則を調べたと。いまだに30年前とそんなに変わらないのかと思ってびっくりしたのが、靴、靴下は白のみ、例えば、下着は白、絵柄ははがきの大きさまでとか、それから、マフラー禁止、ツーブロック禁止、制汗剤や汗拭きシートは許可しない。あと、よく分かんない、キーホルダーは2個までとかあるんですね。 その理由が、納得できればいいんですが、例えば、これは学校側の言い分もあるようなんですが、靴下が白なのは清潔感があると、これはいいんですが、汚れが分かりやすいことで、すぐに洗うなどでき、清潔さが保たれるというんです。白の靴下は汚れるから黒が僕はいいと思いますがね。 あと、マフラー禁止は、引っ掛かって首を締めてしまう危険性があると。これは分からなくはないですが、代わりにネックウォーマーを認めているというんですが、格好悪いんじゃないかなと思ったりもするんですね。それはいいですが。 あとは、ポニーテールに限っては引っ張られて危険とかなんですが、そんなに引っ張る人がいるとは僕は思いませんが。あと、制汗剤や汗拭きシートは許可しない。でも、体育なんかで真夏は暑いのに、汗をかいたまま授業をするよりは、そういったシートで体を拭いたほうが、その後の授業もすっきりできるし、学力が上がっていくんじゃないかと個人的には思います。 あと、ツーブロック禁止は、何か事件に巻き込まれるんじゃないかと。そんなことあるかなと思いますが、そういうのがいまだにまかり通っているのが校則です。本当かなと思うのが、ある新聞社が大分県の声で記事にしていたんですが、男子生徒の下着の色が白でなかったら体育祭の点数を減点されたというのが本当にあったらしくて、今どきこんなことが本当にあるのかなと思うんですが、新聞の記事なのでこういうことがあるということなんですね。 だから、私が思うのは、子どもたちはもちろん個性を出したいときもあるでしょうし、そういった個性だとか、いろんなことを考えると思うんです。大人ができることというのは、例えば、校則は絶対子どもたちから異議を出してできるとは思わないので、そういったものを大人がサポートする、先生がサポートして、よりよい学校運営のための校則が今後大分県の学校においてできるといいなと思っています。そういった質問でした。 子どもたちのために、やっぱり大分県に住んでよかったと思えるようにしていただきたいなと思っていますので、どうかよろしくお願いします。 次は、墓地行政の今後の在り方についてです。 情報化時代においては、大量な情報を短時間に発信していることから、ライフスタイルに様々な価値観の変化が起こっています。価値観の変化の振れ幅によっては、これまでの価値観を持つ人と新しい価値観を持つ人との間にあつれきが生じることも多くなってきたと感じています。 今回の質問のテーマの一つである葬祭は、まさにその例であると考えます。 墓の管理を含む墓地経営については、公衆衛生上の一定の規制がある一方で、死者への祭祀は、国やほかの権力が干渉するべきではないとして、家や家族に任されてきました。人口減少の進展による社会構造の変化により、これまで集落や跡継ぎ、家族が担ってきた役割を十分に発揮できない状況が散見されます。このため、死後に家族などに迷惑をかけない葬祭を望む声や、自分らしい死の迎え方を望む人も増え、散骨といった自然葬などの墓を持たない葬送への関心も高まっています。 自然葬の一つである海への散骨については、墓地埋葬法による規制の外のものであり、民間事業者と漁業権を有する漁協の間での調整に委ねられています。これについては、漁協も対応に苦慮しているとの話も聞いています。まさにライフスタイルの多様化の影響であり、営業の自由とのはざまにおいて、規制すべきかどうかは国の判断が必要と思います。 一方、森林への散骨や樹木葬など新たな墓地や葬送への対応については、墓地埋葬法との境界事例であると考えます。第二次地方分権一括法と事務処理の特例に関する条例により、墓地の経営許可権限が市町村長に移譲され、地域の実情に合った墓地行政への転換が図られました。原則として市町村での検討が必要であり、全国的には市町村レベルで条例やガイドラインを作成する動きもあります。しかしながら、こうしたライフスタイルの多様化に伴う墓地行政の変化については、県としても市町村をサポートし、多角的に県民の不安に向き合い連携し対応していく必要があると考えます。 折しも、平成26年8月に熊本県が「県民の生涯を通した安心の実現を目指して~これからの墓地行政の在り方等にかかる研究報告書~」を公表し、この問題の解決に向けた方向性を提示しています。本県においても墓地埋葬法上の公衆衛生的な観点を踏まえて対応を検討していくべきではないかと考えますが、見解を伺います。 ○御手洗吉生議長 磯田生活環境部長。 ◎磯田健生活環境部長 墓地行政の今後の在り方についてお答えします。 大分県においては、市では法律に基づき、町村では権限移譲の特例条例があるので、こちらで権限を移譲しており、それぞれ墓地の経営許可事務、こちらは全て市町村で行うことになっています。 熊本県では、実は町村の墓地経営許可についてはまだ県で持っている状況があるので、そのために議員御案内の県独自の研究報告書により処理の方法について示したという状況があります。 墓地埋葬法では、公衆衛生の観点から墓地等の適正な運用管理について定めています。近年の社会変化に対応した葬送については、実は法律の中ではあまり明確ではないのが現状です。 このような中、国は本年3月にNPO法人が取りまとめた散骨に関する調査報告書を参考として示しています。 これによると、海洋散骨は、海岸から一定の距離以上離れた海域、陸上散骨は、あらかじめ特定された区域で行い、地域住民や自然環境への十分な配慮が必要であると書かれています。 樹木葬ついては、墓地内であれば合法ですが、それ以外については墓地埋葬法上、違法となります。 本県では、墓地行政の円滑な遂行を目的に、毎年市町村と会議を行っています。その中で新しい葬送についても意見交換をしています。今後も国の動向を注視しながら、必要に応じて市町村に助言を行っていきたいと考えています。 ○御手洗吉生議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございました。もともとこの質問をつくったきっかけは、別府湾の漁協の組合長の皆さんから相談があって、近年、海に散骨をしたいんだが、いいでしょうかと、漁協にそういった問合せの電話が結構かかるそうなんです。漁協としても、漁協がいいですよと言うものでもなく、判断できるものでもないのでということが今回そもそもこの質問をつくったきっかけなんですね。 私もいろいろ調べると、確かに海洋散骨を行う際に基本的に許可や申請は必要ない。墓地埋葬法上、国や大分県では定める法律はなくて、現状はグレーゾーンの状態なんですね。私も知らなかったんですが、調べたら、そういった海洋散骨をする業者がいて、別府湾のどこからどこまで行って、何キロ沖ぐらいに散骨したら何十万円だとか、実は料金まで決まっているんです。これが一般的なのかどうかは分かりませんが、海で漁をする関係者の方に言わせると、瀬戸内海は大分県だけじゃなくていろんな県があるから、操業の邪魔になったりするといけないし、事故でもあったら大変だから、こういったルールは今後あったほうがいいんじゃないのかということを相談されたものですから、今回、ぜひこれを機に聞いてみようと思いました。 くしくも今日22日は、私の母親の2か月たった月命日なんです。その母親もちょうど死ぬときに、墓には本当は入りたくなくて、桜島が好きだったものですから、桜島にまいてくれという遺言みたいなものをされたんです。かといってまくわけにもいかず、桜が好きだったので桜の下に、全国にある有名な桜の下にまいてくれとか言われて、取りあえずそれも調べたら、やっぱりいろいろあって、これも死体損壊罪等に関わる違法になるということもあって、ただし、散骨前に遺骨を1片2ミリ以下の細やかなパウダーに砕骨し、骨と分からない大きさにすれば問題なく散骨していいとなっていて、そういうのが実際にあるんだなというのを初めて知ったんです。樹木葬をしているのは東京なんかにもあるはずですが、今後ライフスタイルも変わって、樹木葬、それから海洋散骨をしたいという方が増えてくるんではないだろうかと思ったものですから、早い段階で、これはぜひ部長にも、別府湾の漁協の組合長の皆様方の現状を聞き取りしていただければと思っています。ぜひこの問題は引き続きしていただきたいと思います。 ちなみに、静岡県熱海市では、熱海市から10キロ離れたところで散骨できるようにということでしているみたいですが、外海なんで、あまりそこは問題ないのかなと思わなくもないんですが、やっぱり内海との違いがありますから、その辺も考えていただきたいと思っています。 最後に、猫の殺処分の削減についてお尋ねします。 私はこれまでの一般質問でも動物愛護の視点から様々な課題を取り上げてきましたが、今回は猫の殺処分の削減策について質問します。 県では、令和元年6月の動物の愛護及び管理に関する法律の改定を受け、令和2年4月に改定された国の基本指針に基づき、新たな数値目標の設定や動物愛護センターを拠点とする各種施策等を盛り込んだ第3次大分県動物愛護管理推進計画を本年3月に策定しています。 本計画では、基本目標として、1.動物を愛護し、動物との暮らしを楽しみ、動物の終生飼養に責任を持つ。2.動物の特性や飼い方、しつけの方法を理解し、他人に被害や迷惑をかけない飼養をする。3.各地域で動物愛護管理の取組をする人材を育成し、人と動物が共生できる社会の実現を目指すとしています。 また、数値目標では、犬、猫の殺処分頭数を10年間で平成30年度に比べ50%減らすとしており、具体的には平成30年度の1,853頭を令和12年度には900頭以下にするというものです。 実際に、過去3か年の犬、猫の殺処分頭数を見ると、平成30年度は1,853頭、令和元年度は2,271頭、令和2年度は1,183頭となっていますが、犬、猫の内訳を見ると、犬は平成30年度が207頭、令和元年度は137頭、令和2年度は95頭と年々減少する一方で、猫は平成30年度が1,646頭、令和元年度は2,134頭、令和2年度は1,088頭と猫の殺処分頭数の多さが際立っています。 このことから目標を達成するには、猫の殺処分頭数をいかに減らしていくかが大切ですが、殺処分を行った猫の約7割は子猫であったとのことから、特に動物愛護センターでの子猫の引取りを減らす取組が重要だと考えます。 県では、これまでも望まない繁殖を防ぐため、野良猫への無責任は餌やりをしないよう啓発するとともに、地域でのボランティア団体などが行う飼い主のいない猫への不妊去勢手術の取組を推進するため、市町村がボランティア団体などへ助成を行う場合に手術費用の一部を補助する取組を行っています。さらに、昨年4月から所有者のいない猫の個体数を管理するための支援として、動物愛護センターで地域猫の不妊去勢手術を実施するさくら猫プロジェクトを始めており、市町村や地域猫活動団体、獣医師会、登録ボランティア団体等とも協働して取り組んでいます。 今年度は、不妊去勢手術の目標を1,200頭としていますが、このプロジェクトを進めていく上で、市町村の協力体制、自治会等住民への理解、不妊去勢手術のメリットの周知や、猫を捕獲する保護ボランティアへの捕獲器貸出しなどの支援は欠かせないものだと考えます。 そこで伺います。県として猫の殺処分頭数を削減するため、さくら猫プロジェクトを進めていくにあたって、現状や今後の課題をどのように認識しているのか、生活環境部長の答弁をお願いします。 ○御手洗吉生議長 磯田生活環境部長。 ◎磯田健生活環境部長 猫の殺処分の削減策についてお答えします。 さくら猫プロジェクトは、所有者のいない猫による環境問題の改善や引取り頭数の削減を目的に、ボランティア、市町村、動物愛護センターが一体となって不妊去勢手術を進めるものです。 令和2年度末時点で、12市で309団体のボランティアが既に登録して活動していただいています。年間860頭の不妊去勢手術を現在実施している状況です。 このプロジェクトを進めるためには、市町村やボランティアの体制整備を支援するとともに、不妊去勢手術のメリット等を周知し、地域住民の理解を得る必要があります。 そのため、今年度はボランティアに対する捕獲器の貸出し、運搬支援や地域住民に対する啓発用リーフレットの作成を行っています。 また、所有者のいない猫を削減するためには、このプロジェクトを実施する一方、飼い猫について、室内飼養や望まない繁殖を防ぐための不妊去勢手術、終生飼養を周知し、所有者のいない猫の発生抑止が非常に重要であると考えています。 第三次大分県動物愛護管理推進計画に基づき猫の殺処分削減を最終的に進めるために、人と動物が愛情豊かに安心して暮らせる大分県を目指して、これからも続けていきます。 ○御手洗吉生議長 後藤慎太郎君。 ◆後藤慎太郎議員 ありがとうございました。先日、私たちの会派でも動物愛護センターに伺って、本当に職員の皆様、子猫、犬を保護されて、しっかり管理していただいて、譲渡まで結び付けると、そういう本当に涙ぐましい努力をしているのは私たちもよく分かっているつもりです。 ただ、やはりどうしても無責任に餌やりをする方もまだいらっしゃって、そこをどうしても抑えないと、生まれてくる子猫を、これは本当にかわいそうなんですが、処分に回す職員の方の心労を考えても大変だと思います。最後は処分される猫を減らすしかないと思っています。何とか頑張っていただきたいと思います。 あと、一つ気になったのが、最近、さくら猫を見ていると、まとめてするというのをこの前、所長が言われていました。耳カットですよね、あのときに多分、小さく桜の形に切るんですが、大きく切ったり、結構耳がばらばらで、あまり大きいと耳がないような感じで切られる猫もいます。やはりちょっとその辺は、譲渡のこともあるし、急いでするのでどうしてもそうなるのかもしれませんが、そこは大変だと思いますが、さくら猫のカットをしっかりしてあげていただきたいと思います。 もう一つは、各市町村の玄関とか窓口に行くと、動物愛護とか動物遺棄のポスターとか、そういうのが掲示も少ないんじゃないかなと、いつも行くたびに思います。せめて市民の方が行ったときに、そういったのを見て、動物愛護月間とか、さくら猫プロジェクトがあるんだとか、そういったのを知る機会をしっかり、県の部長から市町村の担当の方に周知していただければいいなといろんなところに行って思うもんですから、ぜひそういった啓発に再度力を入れていただきたいと思っています。 いろいろとありましたが、質問を終わります。また引き続き頑張りますので、どうかよろしくお願いします。ありがとうございました。(拍手) ○御手洗吉生議長 以上で後藤慎太郎君の質問及び答弁は終わりました。 お諮りします。本日の一般質問及び質疑はこの程度にとどめたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○御手洗吉生議長 御異議なしと認めます。よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。  ------------------------------- ○御手洗吉生議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。日程は決定次第通知します。  ------------------------------- ○御手洗吉生議長 本日は、これをもって散会します。     午後2時41分 散会...