大分県議会 > 2021-03-10 >
03月10日-07号

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  1. 大分県議会 2021-03-10
    03月10日-07号


    取得元: 大分県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-13
    令和 3年 第1回定例会(3月)     令和3年第1回大分県議会定例会会議録(第7号)令和3年3月10日(水曜日)  -------------------------------議事日程第7号            令和3年3月10日              午前10時開議第1 一般質問及び質疑  -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 一般質問及び質疑  -------------------------------出席議員 42名  議長        麻生栄作  副議長       嶋 幸一            志村 学            井上伸史            清田哲也            今吉次郎            阿部長夫            太田正美            後藤慎太郎            衛藤博昭            森 誠一            大友栄二            井上明夫            鴛海 豊            木付親次            三浦正臣            古手川正治            土居昌弘            元吉俊博            御手洗吉生            阿部英仁            成迫健児            浦野英樹            高橋 肇            木田 昇            羽野武男            二ノ宮健治            守永信幸            藤田正道            原田孝司            小嶋秀行            馬場 林            尾島保彦            玉田輝義            平岩純子            吉村哲彦            戸高賢史            河野成司            猿渡久子            堤 栄三            末宗秀雄            小川克己欠席議員 1名            荒金信生  -------------------------------出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       尾野賢治  副知事       黒田秀郎  教育長       工藤利明  代表監査委員    首藤博文  総務部長      和田雅晴  企画振興部長    高屋 博  企業局長      工藤正俊  病院局長      田代英哉  警察本部長     竹迫宜哉  福祉保健部長    廣瀬高博  生活環境部長    高橋基典  商工観光労働部長  高濱 航  農林水産部長    大友進一  土木建築部長    湯地三子弘  会計管理者兼会計管理局長            森山成夫  防災局長      梶原文男  観光局長      秋月久美  人事委員会事務局長 藤原隆司  労働委員会事務局長 森 優子  -------------------------------     午前10時 開議 ○嶋幸一副議長 皆様おはようございます。 これより本日の会議を開きます。  ------------------------------- ○嶋幸一副議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第7号により行います。  ------------------------------- △日程第1 一般質問及び質疑、委員会付託 ○嶋幸一副議長 日程第1、第1号議案から第30号議案まで、第32号議案から第37号議案まで、及び第1号報告を一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。藤田正道君。  〔藤田議員登壇〕(拍手) ◆藤田正道議員 29番、県民クラブ、藤田正道です。実は、今議会では大分大学と別府大学の5名の大学生が随時傍聴席に来てくれていますが、彼らは、私の事務所と木田議員の事務所にインターンシップでインターン生として活動をしてくれています。彼らは、議員の事務所ごとに30年後の社会のビジョンを描いて、そのビジョンに向けた政策を自ら組み立てていくと。全国で1,600名のこうした学生さんがその政策を持ち寄ってコンクール、コンテストを開催するということで、今、その課題に取り組んでいる最中です。 今日は、そうした彼らの研究テーマについても今回質問に取り入れましたので、ぜひ30年先の未来に向けてのつながる答弁をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 まずは、県産加工品の今後の展開について、県産加工品の販路拡大についてお尋ねします。 新型コロナウイルス感染症の拡大は、国内で最初の感染者の確認から1年余り経った現在においてもいまだ収束は見通せず、我々の生活に大きな影を落としました。中でも食品関連産業では、今年1月に2度目の緊急事態宣言が発出されたことにより、関さば・関あじ、大葉や三つ葉などの大消費地に向けての県産食材や酒類の出荷量が大幅に減少し、県内漁業者や農家、食品関連事業者は非常に厳しい状況に直面しています。また、コロナ禍が収束したとしても、国内需要は人口減少により先細り、苦境に立つことは明らかです。 一方、2013年に和食:日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産に登録されたことで、海外での日本食に対する関心が高まり、加工食品の輸出ニーズは年々増え、農林水産省の2020年の農林水産物・食品輸出実績によると、輸出額は9,223億円と8年連続で過去最高を更新しています。津久見市の株式会社兵殖の養殖ブリや別府市のマルトウ物産販売株式会社のクッキー菓子など、県内でも輸出を伸ばす企業が出てきました。 県も県産加工食品の輸出拡大を図るため、大分県貿易協会やジェトロ大分と連携し海外バイヤーとの商談機会の創出に取り組んでおられますが、県内加工食品業者のうち輸出実績がある企業は約1割で、本県の加工食品輸出額農林水産物輸出額の3分の1にとどまっています。輸出実績のない約9割の企業は、輸出に興味はあるけれども、どのようにすればよいか分からない、本当に売れるのだろうかなどの不安から輸出への第一歩が踏み出せないのではないかと推測します。 このような状況を踏まえ、海外をターゲットとした県産加工食品の販路拡大について、今後の取組を知事にお聞きします。  〔藤田議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○嶋幸一副議長 ただいまの藤田正道君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 藤田正道議員から、海外を見据えた県産加工食品の販路拡大について御質問をいただきました。 少子高齢化・人口減少が進み、国内市場の縮小が心配される一方で、経済・社会のグローバル化、アジア諸国の力強い経済発展など海外市場は今後さらなる拡大が見込まれています。 県においても、海外から活力を取り込むことを念頭に置き、海外戦略を推進しており、養殖ブリ、牛肉などの農林水産物や酒類、調味料などの加工食品の輸出強化に取り組んでいます。 大分県貿易協会やジェトロ大分等の関係機関と連携した取組により、加工食品の輸出額は令和元年度に約8億円と年々増加しています。年々増加しているけれども、しかし、その主な品目は酒類や調味料などであり、さきほど申し上げたブリや牛肉に加え、今後さらに、梨やみかん、ベリーツなどを使った本県の魅力ある農産加工品にも広げていく必要があると考えています。 海外との往来ができない今年度は、オンラインによる商談に取り組んでいますが、時間や費用が削減できて、国・地域を問わず身近に商談ができるなど、コロナ禍にあっても新たな手法での可能性を実感したところです。かえってよかった面もあるわけです。 一方で、多くの事業者は、輸出に関心はあるけれども、海外展開に必要なノウハウやネットワークを持っていなかったり、あるいは資金や人材不足等の理由から、海外への販路開拓をためらっている状況もあります。 県外へ実施したアンケートでも、自社商品が海外で売れるか分からず踏み出せないなどの声もあり、輸出経験のない事業者のニーズに応じた支援が重要であると考えています。 そこで、県では、事業者が輸出への第一歩を踏み出せるように四つの手法でファーストステップ支援を行っていきたいと考えています。 一つは、商品のレベルアップです。県とのコネクションを持つ国内商社や現地バイヤーから商品の客観的な評価をもらい磨きをかけながら商談力の向上を目指します。 二つ目は、海外バイヤーを対象とする越境ECの活用です。現地コンサルのきめ細かなサポートで、国内にいながらECに登録した商品を提案や商談につなげる支援を行っていきたいと思います。 三つ目は、留学生との協働です。本県の強みである多くの留学生や留学生OBへのマーケティング調査等により、それぞれの国に合った商品提案方法などを学ぶ機会を提供します。 最後に、県内輸出商社のスキルアップです。事業者に代わり海外への販路拡大を担う地域密着型輸出商社を対象にセミナー等を実施し、事業者をきめ細かくフォローできる環境づくりを進めます。 こうした幅広い支援により、輸出事業者の裾野を広げ、県産加工食品の海外への販路拡大を図っていきたいと考えています。 ○嶋幸一副議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 ありがとうございました。 今回、県産加工食品の海外展開サポート事業などにも取り組まれて後押しをしていこうということですが、農産物、あるいは海産物、そして加工食品を海外に販売する際、やっぱりキーになるのが私は酒、地酒だと思います。お酒と地の食品の組み合わせ、これが非常に有効だろうと思っていますが、以降、実は第3波が来る前に、お酒で今勢いのある佐賀県と新潟県を調査してきました。それも踏まえて3点質問と提案をさせていただきたいと思います。 まず、県産酒の販路、消費拡大についてです。 私は、平成28年第3回定例会において、大分の食文化としての地酒・焼酎文化の発信について質問し、知事からは国民文化祭の市町村実行委員会事業では、発酵醸造文化をはじめとする特色ある大分の伝統文化も広く情報発信し、そのレガシーとして地酒の愛飲といった発酵醸造文化に対する県民の愛着を広め、全国には大分ファンを増やすなど地域の活性化につなげていきたいとの答弁をいただきました。 その翌年には、当時の井上議長をはじめ、各会派、先輩同僚議員、さらには、酒造組合や酒販組合、地元商店街にも御協力いただき、NPO法人大分県地酒・焼酎文化創造会議が設立されました。NPOは大分市中央町商店街に地酒の展示館であるおおいた銘酒館ゆたよいを開設し、以降、昨年9月まで3年半にわたり土日祝日を中心に、県民及び国内外の観光客延べ2万2千人に県産の地酒、焼酎を1杯100円で試飲提供してきました。 また、NPOとして地元新聞社とタイアップした蔵の語り部養成講座、国民文化祭、全国障害者芸術文化祭応援事業としての蔵の語り部講座、ラグビーワールドカップ開催期間を通して大分地酒バーの開設、また、世界温泉地サミット日本ジオパーク全国大会など、国内外のシンポジウム等レセプション会場で試飲会の開催などに取り組んできました。 この間、地元百貨店や空港売店など地酒コーナーが拡大され、県内の飲食店でも地酒を扱う店舗が増えてきたようです。御協力いただいた広瀬知事をはじめ、関係者各位、そしてボランティアスタッフの皆様の御支援、御協力に改めて感謝を申し上げます。 しかしながら、昨年からの新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言、新しい生活様式、飲食店の営業自粛などにより、全国の酒造会社は商品の出荷がストップし、紙パックなど一部の家飲み対象商品を除き、その後の売上げも伸び悩み、結果的に貯蔵タンクや冷蔵庫内の在庫が解消されず、多くのメーカーが今期の新酒の仕込みを例年に比べ大幅に縮小せざるを得ない状況となりました。コロナ禍により、消費者から飲食店、卸・小売りなど酒類販売業者、酒造会社、米、麦、芋などの農業生産者へと負の連鎖が今も続いています。 佐賀県では、2005年度から佐賀県原産地呼称管理制度を導入し、原材料は100%県産米でかつ無農薬または減農薬栽培認定されたものなどの基準をクリアした上で、審査会で認められた商品をThe SAGA認定酒とし、認定ラベルの表示を認めています。佐賀県の日本酒がブランド価値を高めつつある中、このラベルが表示された日本酒はお土産などの売上げに直結することから、国税局主催の新酒鑑評会以上に力を入れる蔵元が増えているとのことです。この人気の高まりを活用し、佐賀県の酒造組合が東京、大阪で毎年開催している試飲会や、香港とフランスで開催しているレストラン経営者バイヤー対象の試飲・商談会に県が特産として力を入れている牛肉やお茶、海苔などをセットで出品することで、認知度と販路の拡大につなげています。 コロナ禍で苦しむ酒造、酒販関係者等を支援するため、積極的に地産地消の促進や販路・消費拡大に向けた対策を講じるべきかと思いますが、商工観光労働部長のお考えを伺います。 ○嶋幸一副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 県内には、日本酒と焼酎の両方を製造している蔵元も多く、これは全国的にも珍しい本県の魅力の一つです。全国や世界的品評会で受賞する独創的な商品も造られています。 今は、地元のよさに目を向ける好機であり、まさにNPO法人が3月末に開催する新酒祭りは、多くの県民の方が県産酒の魅力を知って飲んでいただけるよい機会になると思っています。 コロナ禍の中、急速にEC市場が拡大しています。今年度実施したWeb物産展では、県産酒が売れ筋商品となるほど人気がありました。ECでの販売拡大とともに、県内外に県産酒の魅力を積極的に発信していきます。 さらに、国の輸出拡大実行戦略でも日本酒や本格焼酎は重点品目となっています。酒造組合や九州各県と連携し、ターゲット国に合わせて効果的に海外展開を図っていきます。今後も酒造組合や酒販関係者が連携した取組を支援するとともに、県産酒の奥深さや歴史・文化など、ストーリー性を持った情報を積極的に発信しながら、さらなる県産酒の販路、消費拡大を促進していきます。 ○嶋幸一副議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 ありがとうございました。 続いて、県産酒による農業振興についてお伺いします。 さきほど例に挙げた佐賀県や新潟県は、原材料に占める地元産の割合が高く、新潟県ではほぼ全量を県産米で賄っているそうです。酒米は主に中山間地域の中小規模農家が栽培しているため、コロナ禍の昨年秋は地酒の仕込み量が減少する中でも酒造組合としては当初計画どおり酒米を買い上げ、余った米は製菓などの原材料として転売するとのことでした。この取組により、新潟県では県産酒の売上げイコール県産米の売上げとなります。そして、全国で唯一の県営醸造試験場を持ち、職員7名が試験、研究や酒造会社への指導、研修等を行うことで、全国的に有名な久保田の開発や新潟県産酒イコール淡麗辛口のブランドイメージ確立など、販売促進につなげています。 日本酒では、本県の十数倍の生産量があるだけに、新潟県の酒造りに対する力の入れようは理解できます。一方、日本酒と焼酎を合わせた生産量では、実は本県は新潟県を2倍以上上回っています。県産の原材料を使った日本酒、焼酎を製造販売することができれば、本県においても農業振興につながると考えます。 折しも改正食品表示法により、来年3月末には大麦(大分県産)や日本産、豪州産など主原材料の産地表示の義務づけの経過措置が終了し、本格施行されることから、差別化により地元産原材料を使ったおおいたブランドの県産酒や焼酎等の販売促進を行うことで、中山間地の農業振興につなげる好機だとも言えます。農林水産部長の御見解を伺います。 ○嶋幸一副議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 地元原材料を使った県産酒による農業振興についてお答えします 焼酎の原料である大麦は、安定供給や品質面などにより海外産のものが優れ、全国使用量の約7割が輸入の原料となっています。 一方、県産焼酎用大麦のニシノホシは、需要の拡大に伴い、令和2年産麦の25%に当たる1,293ヘクタールまで増加し、産地と地元酒造会社が結び付いた優良事例となっています。また、平成27年から取り組んでいる県産オリジナル品種トヨノホシは、当初の12社から16社の酒造会社が製品化し、栽培面積も年々拡大しています。ニシノホシと合わせた焼酎用大麦の令和5年産目標面積1,450ヘクタールに向けた取組を進めています。 また、麹の原料となる酒造好適米については、草丈が高く収量が少ないことから、県内での生産が難しく大半が他県から調達されています。かけ米となる加工用米については、酒造会社からの要望に沿った生産量確保に向けて、生産者に対し産地交付金による支援を行っています。 なお、今回の改正食品表示法を契機に、新たな需要の拡大に向けて、県酒造組合や県農協、県などで構成する焼酎用大麦新品種の生産と流通の円滑化を進める協議会を通して、県産原料の供給拡大を図っていきたいと考えています。 ○嶋幸一副議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 ありがとうございます。 新潟県は、有名な山田錦という酒用米がありますが、これを使わずに県産のお米だけで勝負するという大胆な施策を取りながら売上げを伸ばしている現状もあるので、ぜひ研究に取り組んでいただければと思います。 次に、酒蔵を活用した観光振興について、新潟県酒造組合は、2004年から県外、国外の消費者をターゲットにしたにいがた酒の陣という日本酒イベントで、2019年は2日間で14万人の来場者を集め、この期間は市内のホテルが満室となるなど、今では長岡の花火大会と並ぶ県内最大のイベントとなっています。 また、佐賀県鹿島市は、市内の6酒造会社とともに鹿島酒蔵ツーリズム推進協議会を立ち上げ、2012年から毎年3月末の土日の2日間鹿島酒蔵ツーリズムを開催し、現在は嬉野温泉酒蔵まつりとも連動開催することで、県内外から10万人近い参加者を集め、嬉野温泉をはじめ周辺のホテル・旅館へも大きな経済波及効果を及ぼすなど、今や地酒イベントは、大きな集客力を持つコンテンツとして全国的に広がりを見せています。 そこで、観光局長に伺います。アフターコロナに向けて酒造組合とともに観光資源としての酒蔵をブラッシュアップしながら、飲食・ホテル事業者との連携で県産食材とのマッチングを行い、JRやバス事業者とも連携して、豪雨災害からの復旧・復興と脱コロナに向けた号砲イベントとしておんせん県おおいた酒蔵ツーリズムやおんせん県おおいた酒の陣など、酒蔵を活用した観光振興に取り組んでみてはどうでしょうか。御所見を伺います。 ○嶋幸一副議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 酒蔵を活用した観光振興についてお答えします 名水に恵まれた本県では、個性豊かで香り高い日本酒や焼酎が多く、これまで酒蔵を活用した誘客が各地域で実施されてきました。 今年度は、コロナ禍により開催を見送るイベントが多い中、議員参加のNPO法人が主催した酒蔵を巡るバスツアーは、感染防止策を強化した上で実施され、好評だったとお伺いしています。 また、豊後大野市でのイベント巡蔵は、先月27日にオンラインで実施され、県外も含めて延べ1,400人を超える視聴があり、新たなファンを獲得しました。 県では、こうした取組を支援するとともに、県内外での商談会や定期的なニュースレターを通じて、旅行会社やメディアに酒蔵の魅力とあわせて、各地域の観光素材を紹介し、商品造成を働きかけています。 議員御提案の酒をテーマにした大規模イベントを実施するためには、まずは県内外の多くの方々に本県の酒の魅力と、その酒を育んだ自然や歴史文化などを知っていただき、足を運んでいただくことが重要となります。 豪雨被災地には、長きにわたり地域で愛され、全国でも高評価の酒蔵があります。今後もそうした酒蔵の情報発信や旅行会社へのセールスなどに積極的に取り組んでいきます。
    ○嶋幸一副議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 ありがとうございました。 三つの質問、実は5年前にも同趣旨でさせていただきましたが、以降、それぞれの部局において酒蔵や酒を視点にした取組を着実に進めていただきました。 先ほども言ったように、食品表示法の改正等、非常に大きな転機を迎えるし、そして、酒蔵を売り込むのに今、観光局長からは、県外の方に知っていただく、国外の方に知っていただくという話がありましたが、逆にお酒を売り込むときに、大分県の酒蔵とその風土を売り込んでいく、相乗効果をツーリズムと商品販売を合わせることで、それに取り巻く大分県産の食材も売り込んでいく好機だと思うんですね。 ぜひ新たなツーリズムの開発等、実はツーリズムおおいたの会長にも同趣旨のお願いをしたんですが、大分の各地でやる酒のイベントがばらばらなので、どうしても日帰り客しか取り込めない。これを2日間にかけて同時開催することで、県内を周遊するツアーが組めるのではないかと考えています。 その要にやはり、ツーリズムおおいたとともに県でも役割を担っていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いします 次に、エネルギー産業政策について、グリーン成長戦略への対応を伺います。 令和2年3月の中間見直しを行った大分県新エネルギービジョンでは、これまでのエコエネルギーの導入推進などに加え、太陽光発電の効率的な利用のための電力需要のシフトや地域活性化につなげる付加価値の高い利用の促進、水素サプライチェーンの構築、自然環境・景観との調和と共存共栄の一層の徹底を図ることとしています。 また、国は昨年10月に2050年カーボンニュートラルを宣言し、その達成に向けた対策を積極的に行うことで、産業構造や社会経済を変革し、大きな経済成長につなげていくグリーン成長戦略を描き、成長が期待される14の産業分野において高い目標を設定し、あらゆる政策を総動員することで、民間企業の大胆な投資やイノベーションへの挑戦を促し、それを政府が全力で応援していくこととしています。 私は、近年多発する自然災害や人類の存亡にも関わる地球温暖化を食い止めるため、世界各国が協調し脱炭素社会を目指すことは当然だと考えていますが、その過程で生じるエネルギー構成や産業構造の大変革の中で、果たして電力の安定供給を維持できるのかという大きな不安も抱いています。 年明け早々、電力不足で電気代が急騰というセンセーショナルな報道がありましたが、電力の現場は昨年末からかつてない需給逼迫の緊急事態に陥っていました。全国の需給を統制する電力広域的運営推進機関は1月6日に非常災害対策本部を立ち上げ、エリア間の融通指示や停止中の発電所の稼働要請などの対応に追われていました。ピークとなった1月12日には、電力の供給力に占める需要の割合である使用率が、関西99%を筆頭に、四国98%、九州・東北97%と、一つの大型電源でトラブルがあれば、エリアをまたがる大規模停電につながる、まさにブラックアウト寸前の状態でした。この非常事態に対応するため、発電可能な全ての発電所で最大出力運転を行い、自家発電設備を持つ事業者には発電を要請し、通常は使っていない離島のディーゼル発電機を動かし本土に逆送し、非常災害用の発電機車も動かすなど、電力各社は極限の緊張下で綱渡りの需給調整に追われていました。 直接の原因は、寒波襲来による消費電力の急増ですが、これまでの再生可能エネルギーの導入促進による太陽光発電シェアの急拡大、調整力であるLNG火力の役割の急激な高まり、火力発電所は燃料不足のため半分近くが停止状態、原子力発電所の停止によるベースロード電源の厚み不足といったアンバランスな電源構成の中で、燃料不足によるLNG発電所の出力低下、調整力不足、悪天候での需要急増、太陽光稼働率低下など負の連鎖がかつてない非常事態として発生し、専門誌には「世界屈指の安定供給体制に赤信号か」との見出しとともに、電力市場のシステム制度の欠陥や電源構成の偏重問題が一気に露呈したとの記事も掲載されました。 こうした電力供給の現状を踏まえると、カーボンニュートラルを目指す国のエネルギーミックスに関する議論や、今後の県の新エネルギービジョンの見直しにおいても、脱炭素の優先により、電力の安定供給が損なわれることがないよう、それぞれの電源が抱えるリスクを的確に検証、分析した上で、供給安定性、経済合理性、環境適合性、そして安全性という3E+Sの評価軸で、多面的な検討が冷静、慎重に行われる必要があると私は考えています。 2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略を踏まえた本県の今後のエネルギー産業政策の方向性について知事の御所見を伺います。 ○嶋幸一副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 グリーン成長戦略への対応について御質問をいただきました。 2050年カーボンニュートラルを目指す中においても、島国であり近隣諸国との電力融通が困難な我が国では、安全・安心で安定的なエネルギーの確保は、産業の振興、県民の生活福祉の維持、向上のために極めて重要です。 同時に、国のグリーン成長戦略は、カーボンニュートラルの達成に向けて経済と環境の好循環の実現と併せて電力の安定供給の観点も盛り込まれており、県のエネルギー産業政策にとっては大事な要素と捉えています。 その上で、前回の議会でもお答えしましたが、次の2点を軸にして取り組んでいきます。 1点目は、今後も再エネルギーや省エネルギー、水素などのエコエネルギーの導入を需給のマッチングや省エネ診断など、きめ細かな対応で推進していくことです。重要なのは、持続可能性の視点であり、自然環境や景観、生活環境との調和を懸念する事態も発生しています。エコエネルギーは大分の豊かな自然の恵みであり、自然と対立するものであってはなりません。自然環境・景観との調和や地域との共存共栄の一層の徹底を図りながら、一つに絞らず多様なエネルギー源の導入を図っていきたいと思います。 2点目は、カーボンニュートラルは成長の制約やコストではなくてビジネスチャンスを生み出すと捉え、企業の取組を後押ししていくことではないかと思います。 例えば、水素は貯蔵や運搬機能の点で、電力の安定供給面に優れており、大分における新たなエネルギー源の一つとなるのではないかと期待を持っています。 県内には、供給サイドとしてハイドロネクストの水素透過金属膜が実証段階にあり、九重町で清水建設の共同事業体に参画し、地熱とバイオマスによる水素製造の実証事業を開始しました。また、利用サイドではヤンマーホールディングスが水素船の実証を今月から国東市で開始しています。県としては、このような企業の取組を後押ししながら、今後も高純度な水素をはじめ、本県の強みを活かした大分県版水素サプライチェーンの構築に取り組んでいきたいと思います。 さらに、この2点に加え、グリーン成長戦略を踏まえたエネルギーの産業政策を進めるためには、市町村との共働が欠かせません。例えば、カーボンニュートラルをまちづくりに活かしていく等、他の地域のモデルとなるような取組を県としても進めていきたいと思います。 今後も多様なエネルギー源の導入を進めて、グリーン成長戦略に基づく国の支援策を取り込みつつ、電力の安定供給にも貢献するエネルギー産業政策を進めていく所存です。 今度の年末年始は、ブラックアウトの瀬戸際までいった経験は大変大事な経験になったと思います。ああいうことを踏まえて、これから多様なエネルギー源を定めるに当たって、よく考えて行わなければならないなと思っています。 ○嶋幸一副議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 今、知事におっしゃっていただいたように、まさかこんな事態になるとは私も思ってもみませんでした。原子力が止まっているため、LNGがそもそも調整電力というよりもベース電源になってしまって、伸び幅がないという中で、燃料が足りないというのは、実は海外のLNGのプラント、輸出の基地も含めて複数の施設でトラブルがあって出荷できない状態であった。 アメリカの東海岸から日本に向かうタンカーは、パナマ運河が渋滞で船が太平洋に向けられなかったという状況があったのに加えて、実は、今カーボンニュートラルに向けてハイブリット車等が増えているので、火力発電所の重油燃料を製油しようと思うと、実はガソリンやディーゼル燃料やジェットエンジンや灯油、ジェット用の燃料とか全部が製造されるわけです。火力発電の燃料の重油だけを製油するわけにはいかないので、燃料不足で火力発電所の半分は動けなかったという状況があります。 それから、これからグリーン成長戦略を2050年に向けて進めていくと、実は電力需要は現在の30%から50%増えると言われています。今一生懸命再エネを増やしていったとしても、それが需要の増に追いつけるかどうかという問題も一方では出てきますし、先ほど言ったように、老朽した火力発電が、燃料不足も相まって動ける期間がごくごく限られてくるという状況もあって、電力需要が本当に賄えるかどうか心配な事態になっています。 知事のさきほどの答弁を聞いて、大分県においては水素エネルギーを主力にしながら、太陽光等に偏らない電源構成を目指していかれると読み取りましたので、ぜひそういった方向で大分県のエネルギー産業政策進めていただければありがたいなと思っています。 その太陽光発電なんですが、この設備の撤去と廃棄について、次は御質問させていただきます。 太陽光発電の急速な普及は、林地開発を伴うメガソーラー建設での景観の悪化や、災害発生を心配する地域住民とのトラブルなど、近年は本県においても社会問題となっています。 最近は、山に大量に設置されている太陽光パネルは、最終的にはどうなるのかという質問をよく受けます。今年で10年目を迎えた再生可能エネルギー固定価格買取制度による買取価格は運転開始から20年間適用されますが、その後、寿命を迎えて発電できなくなった太陽光発電設備を事業者がきちっと撤去してくれるのだろうかという周辺住民の心配の声です。 発電事業者は、市外や県外の新興企業も多くて、その実態が見えないことや、そうした企業が果たして20年後も存続しているのかという懸念もあり、そのまま放置されれば山火事や災害の原因にもなりかねず、最悪行政代執行で市町村が撤去しなければならない事態も想定されます。 資源エネルギー庁は、将来的に太陽光発電設備の放置や不法投棄が懸念されることから、事業用太陽光発電設備の廃棄費用の積立てを2018年4月から事業者に義務づけ、同年7月から定期報告で積立計画と進捗状況の報告を義務化しました。しかし、2019年1月末現在で8割以上の事業者が積立てを行っていないため、来年度からは支払われる電気代から外部積立てを行う制度も検討されているようです。 最終的な対応は市町村が行うことになると思いますが、県として太陽光発電の事業者や設備の現状についてどの程度把握し、太陽光発電設備の適正な撤去やリニューアルに向けてどのように取り組んでいるのか現状を伺います。 また、太陽光発電容量から推計すると県内には約500万枚の太陽光パネルが存在していると思われますが、これらの大量のパネルをどのようにして処理していくかも大きな課題です。 現在、太陽光パネルのリサイクル処分を行っている企業は九州では北九州と宮崎にありますが、先ほどの来年度以降に積み立てられる分も含め、全体の撤去適用が1キロワット当たり1万円で概算すると、大体124億7千万円という金額になります。これを県外に持ち出すのではなく、県内企業が撤去から再資源化まで担うことで県内にお金を循環させる必要があると考えます。そのための技術開発や産業、企業の育成が重要だと思われますが、県としてのお考えを伺います。 ○嶋幸一副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 県では、平成30年から毎年20キロワット以上の発電事業者を対象にアンケートを実施しています。発電の管理方法は、自社管理が50%を超えていますが、委託管理も43%と多い状況です。発電事業で困っていることは、パネルの汚れや雑草対策など、安定的な発電に関することが45%と大半を占める一方で、設備の廃棄、リサイクルに関しては3%程度となっています。現時点では、経年劣化が大きな課題とはなっておりませんが、注意深くモニターしていきたいと考えています。 また、県では発電事業者や電気工事業組合、電気保安協会などで構成した連絡会議を平成30年に設置しています。先進事例の見学やセミナーの開催を通じて、関連事業者に対し太陽光パネルの3Rの必要性を啓発しています。 太陽光パネルのリサイクル処分を行う企業は、御指摘のとおり、県内にはまだいない状況です。そのような中、県内企業3社が共同で、本年度から太陽光パネルを構成するアルミとガラス等とセルの分別装置の開発を開始しました。県としても支援しています。 今後も県内における太陽光発電の状況を注意深くモニターしながら、県内でのリサイクルビジネス構築に向け、関連産業、企業の育成を図っていきます。 ○嶋幸一副議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 実はインターン生と一緒に宇佐市にある共栄九州さんを調査、訪問させていただきました。現在、県内の他2社と一緒に今おっしゃった分別するプラントの開発を行っているということで大いに期待しているんですが、やっぱり県内のこれから行われるであろう撤去に県内企業が参入できる状況をつくるために、ぜひそういう企業グループの育成をさらに進めていただければと思います。 最終的にモジュールが残るんですが、アルミとガラスを分別するとですね。モジュール部分について、私、佐賀関のパンパシフィック・カッパーさんの知り合いに内々打診をしてみました。今のところ、モジュールのリサイクルからの貴金属の抽出はやっていないけれども、要請があれば研究に取り組むことにやぶさかでないということなので、最終的なモジュールのリサイクルまでできれば本県の大きな強みになると思うんですね。九州内のパネルの処理、リサイクルを本県で進められるように、ぜひここは力を入れていただきたいと思います。これも要望させていただきます。 最後に、空き家対策についてお尋ねします。 まず、景観保持のための空家対策です。近年、県内の幹線道路を移動していると、今にも朽ち果ててしまいそうな老朽空き家が目につきます。老朽化した空き家は、周辺住民の生活環境問題と併せて景観上の問題も大きく、特に県内の観光地を結ぶ幹線道路沿線の老朽家屋の存在は、インバウンドを初めとする旅行客にとって、本県のイメージを損ねるおそれもあります。市町村の条例や空家等対策計画を見ると、いずれも地域住民にとっての安全、防犯・防災、生活環境の保全に重きが置かれ、旅行者目線での景観の保持という観点での対策までは言及されていません。 広域での景観保持のための対策は、網羅的に連絡調整を図れる県の果たすべき役割が大きいと考えられます。和歌山県は景観保全という観点で、景観条例が規定する特定景観形成地域において、外観が景観の支障となっている建築物の周辺に住む者、土地の所有者、地権者が知事に要請した場合、知事が景観の支障になる状態の除去、修繕、解体等の措置を勧告、命令できるという条例を制定しています。 良好な景観の保持という視点での空き家対策について、県として、現在どのように取り組まれているのでしょうか。 ○嶋幸一副議長 高屋企画振興部長。 ◎高屋博企画振興部長 景観保持のための空き家対策についてお答えします。 県は、平成29年に市町村向け特定空家等の判断基準案を策定し、危険な空き家等を特定するための統一基準を定めています。 この基準には特定空き家の定義の一つとして、適切な管理が行われないことにより著しく景観を損なっている状態を規定しています。 市町村は、この統一基準をもとに空家等対策計画を策定し、空き家の所有者に対して、必要な措置を取るように助言、指導等を行っています。 例えば、大分市においては、令和元年度は166件の助言、指導を実施し、そのうち71件は所有者が必要な措置を講じています。残りについても、大分市が継続的な指導等を行っています。 また、景観計画や景観条例と整合性を図っている市町村もあり、良好な景観の保全という視点での空き家対策は取られていると認識しています。 今後も景観保全はもとより、安全、防犯、防災、生活環境などの様々な観点からの空き家対策に、市町村と連携し取り組んでいきます。 ○嶋幸一副議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 では、その市町村との連携についてお尋ねします 平成30年住宅・土地統計調査によると、県内には約9万7,700戸の空き家があり、全住宅に占める空き家の比率、空き家率は、平成25年の15.8%が平成30年には16.8%に上昇しています。 県が平成25年度に行った調査では、倒壊のおそれのある物件が空き家全体の3割近くに上っているとされ、これを平成30年調査の空き家戸数に掛け合わせると、県内には約3万戸近くの倒壊のおそれのある老朽空き家が存在すると推定されます。 国は平成26年に空家等対策の推進に関する特別措置法を制定し、市町村に対して空家等対策計画の策定等を求めるとともに、倒壊や衛生上有害になるおそれがある空き家等を特定空家等として、市町村が除去、修繕、伐採等の措置の助言または指導、勧告、命令を行うこと、さらには行政代執行による建物除去の強制執行を行うことを可能としました。あわせて、都道府県は市町村に対する技術的な助言や連絡調整など、必要な援助を行うこととされます。 空家対策特措法が全面施行され5年になりますが、空き家対策に関する市町村との連携状況や今後の方針について企画振興部長にお尋ねします。 ○嶋幸一副議長 高屋企画振興部長。 ◎高屋博企画振興部長 空家対策における市町村との連携についてお答えします。 本県では、全国2番目の速さで全市町村が空家等対策計画の策定を完了するなど、積極的に取り組んできました。平成24年には県と市町村職員で構成する空き家対策検討会を設置し、適宜、所有者への周知方法についての意見交換や国の制度説明等を行っています。 また、住民向けの無料相談会には司法書士や建築士等のアドバイザーを派遣するとともに、NPO法人空き家サポートおおいたと連携して、県内3か所に相談窓口を常設してきめ細かな対応に努めています。 しかしながら、空き家の解体や改修には多額の費用がかかることとあわせて、固定資産税の軽減措置も除外されることもあって、所有者の理解を得ることが難しくて、迅速な対応につながっていない事例も見受けられることもあります。 空家対策特別措置法に定められていますが、空き家の所有者が責務を果たすよう、引き続き市町村や相談窓口を通じて解体や改修の支援制度の活用を促して、老朽空き家の解消に努めていきたいと考えています。 ○嶋幸一副議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 お手元に空き家問題を解決するA4サイズの両面コピーの資料を置かせていただきました。実は、これはインターン生、私の事務所に所属する3名が今政策検討を行っているものなんですが、この裏面、グラフを見ていただきたいんです。彼らが課題意識を持ったのは、実は人口がこの1年間で1万人近く減少しているにもかかわらず、新規着工件数はずっと7千件以上着工されているんですね。それを推計していくと、実は令和40年には、彼らの試算によると、現在9万7,700戸が16万100戸の空き家が出て来ることになります。そうすると、人口が減っていく中で家は増えていくわけですから、1人当たり負担しなければいけない家の維持費や解体費はとてつもなく大きな金額になっていくわけですね。 これはやっぱり次世代に残しちゃいけないと思うんですが、あわせて、国も実は先般、3月5日の報道で相続に関わる民法改正ですね。相続してから2年以内に変更登記を義務づけるものが出ていましたが、まさにこういう機会を通じて、もっと空き家対策、県がイニシアチブを取りながら取り組むべきだと思いますが、企画振興部長、どうでしょう、体制も含めて何か今後増加する空き家に対して、このプランに対する感想でも結構ですが、お願いします。 ○嶋幸一副議長 高屋企画振興部長。 ◎高屋博企画振興部長 法律だとか数字とかをよく詰められて大変勉強されていると思いました。特に、空き家税の導入等を行って減らしていく提案で勉強されていますが、地方財政の税とか財源を充実するときには、法律が地方の仕事とならないとなかなか充実がされないと。今、空き家の特別措置法は最終的には所有者ということになっているので、将来的に代執行しても所有者が負担するとなっていますから、そういうところの法律改正がなされて、市町村の仕事とするとなった場合には、まずは市町村共通の軸となるので、普通交付税が措置されたり、その前に国交省の国庫補助金が充実されたりしていくので、そういう面、幅広く検討されたほうがいいかなと思います。我々もそういう意味では、空家等検討委員会とかで少し議論をしていきたいと思っています。 ○嶋幸一副議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 実は、うちも昨年までに両親が亡くなり、津久見の実家を相続しましたが、よく考えてみると、親父の実家が佐伯市にあります。兄弟が住んでいる家もあります。でもここ跡継ぎがいないんですね。妻の実家が別府にありますが、ここも姉夫婦が住んでいますが子どもがいないと。ということは、うちの子どもたちが我が家も含めて5軒は面倒見ないといけなくなってくる。そういう勢いなんですね。これがさらに子どもたちが結婚すれば、その相手も面倒見なければいけないことになるので、ぜひ国の法改正を機に、ここは国が相続した土地を国庫に帰属させる制度ができますが、更地にしないと受け取らないんですね。だから、空き家に対する施策をもっと県、国連携して取り組んでいただきたいということをお願いします。 そして、次にマンションの問題です。 分譲マンションの老朽空き家化を未然防止するため、国は昨年6月にマンションの管理の適正化の推進に関する法律とマンションの建替え等の円滑化に関する法律の改正を行い、来年4月以降の施行に向けて、専門家による検討会を設け制度設計を行っています。 今回の法改正では、国が定める基本方針に基づき、都道府県と市・区がマンション管理適正化推進計画を作成し、その計画に即して、管理組合に対する助言、指導を行うとともに、管理が著しく不適切な管理組合には改善勧告することができるとされています。また、管理組合が作成、申請してきた管理計画を審査、認定する制度を設けて、適正管理を資産価値として評価することで、建物の適切な修繕の実施を促進することとしています。 これにより、市と県は法の定めにより助言、指導、勧告など、管理組合に対する支援を行うことになりますが、県内では大分市と別府市を除くと、各市町村とも1棟から数棟しか分譲マンションが存在しないため分譲マンション施策の担当部署すら決まっておらず、ノウハウや経験もありません。2022年4月からの改正法施行に向けては、大分市、別府市も含め県のイニシアチブが重要になると考えられますが、土木建築部長の御見解を伺います。 ○嶋幸一副議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 マンション管理の新制度への対応について御質問をいただきました。 分譲マンションの老朽空き家化は、県としても重要な課題と捉えており、これまでも管理適正化に向け、市町村や関係団体への情報提供をはじめ、県民からの相談対応、あるいはNPO法人との情報交換などを行ってきました。 マンションの多い大分市、別府市では、相談窓口を設置し、大分市においてはマンション管理士の派遣制度も活用されていると伺っています。 今回の法改正では、県と市の役割が明確化され、管理組合に対し助言、指導等ができるようになりました。まずは、県が担当する町村区域で既存マンションの基礎データを収集整理し、実態調査に着手したところです。 一方、築年数の浅いマンションが多いことやマンション自体が少ないことなどから、喫緊の課題と捉えていない市町村も多いのが実情と認識しています。そのため、法改正の趣旨を周知し、必要な情報を提供することで、意識の醸成を図るとともに、住民や管理組合からの相談などに適切に対応できるよう、伴走型で市町村を支援していきます。 ○嶋幸一副議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 実は、マンションに係るNPOで各市町村回っても、なかなか担当者がいなくてマンション何ですかという感じなんですね。これから法の改正によってそれぞれこういった義務ですね。実際に関わる主体となるし、県も初めてこれで実施主体になるわけですが、そうした市町村の状況を考えると、やっぱりここにある管理計画とか、その審査基準を県が中心になって取りまとめて市町村をサポートしていく体制が必要だと思うんですが、いかがでしょうか。 ○嶋幸一副議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 県の役割も明確化されたし、今、国でいろいろと計画策定に伴うものを検討していただいているので、我々もしっかりそういうものを勉強しながら、初動的に取り組んでいきたいと思っています。 ○嶋幸一副議長 藤田正道君。 ◆藤田正道議員 ありがとうございます。 この空家問題は、今20代の彼らが30年後、50歳になったときにどのような空き家の状況になっているかが質問のもとになっています。マンションも含めて、市町村ではなかなか手も届かない部分も多いので、ぜひ県が主体性を発揮して、大分県に空き家を1戸でも少なくしていく、そういったものを総合的に取り組んでいただくこと、未来の彼らに向かってお願いして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手) ○嶋幸一副議長 以上で藤田正道君の質問及び答弁は終わりました。木付親次君。  〔木付議員登壇〕(拍手) ◆木付親次議員 おはようございます。13番、自由民主党の木付親次です。知事はじめ執行部の皆さん、よろしくお願いします。 明日で東日本大震災から10年を迎えます。お亡くなりになりました方々に心より御冥福をお祈りしたいと思います。 私も大学時代は仙台でしたので、テレビで流される津波の映像を見まして、本当に胸が痛む思いを今思い出しています。 それでは、質問に入ります。 まず、宇宙港構想についてです。 昨年の4月2日、大分空港がアジア初の水平型宇宙港に選定されました。県とパートナーシップを締結したアメリカのヴァージン・オービット社では、打ち上げ用のジャンボジェット、ボーイング747-400型機を改良したコズミックガール(宇宙の少女)にロケットをつり下げ、高度1万メートルで切り離し、宇宙まで人工衛星を運ぶ水平型打ち上げ方式で、大分空港から小型人工衛星の打ち上げを予定しています。最速で令和4年とのことで、地元の県民共々非常に楽しみです。 大分空港が選定された決め手について、ヴァージン・オービット社は、3千メートル級の滑走路を有していること、石油化学コンビナート企業や多様な産業が数多く集積していること、豊富な観光資源が存在していることと公表しています。 それに加え、私は航空機の発着回数がそれほど多くなくて、離着陸の自由度が高い、周辺に人口密集地が少なく海に接しており、打ち上げ場所として想定されている太平洋まで常に海の上を飛んで向かうことができ、万が一の事故でも二次災害が起こりにくいこと、つまり、条件の整っている田舎の空港ということだと思います。 また、本県には温泉、自然、歴史などがあり、エンジニアがリフレッシュできることや、平成30年に大分の企業が九州工業大学と協力して超小型の人工衛星てんこうの製作に携わったことも挙げられます。 今年の1月18日には、ヴァージン・オービット社がロケットの打ち上げ実験をアメリカ西海岸の太平洋上で実施し、水平型のロケット打ち上げに初めて成功しました。また一歩国東が宇宙に近づいたことになると思います。 宇宙港の開港が待たれますが、ロケットの整備や衛星を搭載する施設、燃料関係の設備を空港と周辺地に整備する必要があります。令和4年の打ち上げに向けたスケジュールと環境整備について、それから大分県での宇宙ビジネスの可能性、宇宙港を活かした観光振興についてお尋ねします。  〔木付議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○嶋幸一副議長 ただいまの木付親次君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 木付親次議員から宇宙港構想について御質問をいただきました。 本年1月18日でしたが、ヴァージン・オービット社が打ち上げテストを成功させたという大変うれしいニュースが届きました。その後、同社は今年後半にポーランドの衛星会社の光学衛星を打ち上げることを発表するなど、商業化へ順調に進んでいます。 本県では、昨年4月のヴァージン・オービット社とのパートナーシップの発表後、同社とも連携し、大分空港を宇宙港として活用するための調査を着実に進めています。 なお、大分空港を宇宙港として指定し、契約をするに当たり、大分空港が田舎の空港だからいいという話は全くありませんでしたので、念のため申し上げておきます。 一方、宇宙港については、国内で先行事例がなく、ヴァージン・オービット社が米国の宇宙関係企業であることから、国との調整、連携が大変重要です。関係省庁へ要望、提言活動を行い、宇宙港の取組について理解いただくとともに、日米政府間の調整などをお願いしています。 そこで、今後のスケジュールですが、コロナ禍においても、最速で2022年の打ち上げを目指すとするヴァージン・オービット社の方針に変わりはありません。現在、人工衛星をロケットに搭載する施設やコントロールルームなど、必要となる施設設備の要件について整理を進めています。 環境整備については、日米政府間の調整状況なども踏まえて考える必要があるため、段階的に準備していくことを含めて検討しています。これら環境整備の検討も含め、一部調査や調整は来年度も継続して行うこととしています。 次に、宇宙ビジネスの可能性、宇宙港を活用した観光振興ですが、大きく三つの観点で考えられるんではないかと思います。 一つは、打ち上げに直接関わる産業の創出です。燃料供給や物資の提供などが考えられるので、ヴァージン・オービット社と県内企業をつなげる機会を創出し、参入を支援します。 二つ目は、宇宙港を活かした観光プログラムの創出です。観覧客と打ち上げ関係ビジネス客、それぞれのニーズを踏まえて、周辺の観光素材を活かした訴求力のある観光プログラムの創出を図っていきます。 三つ目は、宇宙に関連した新ビジネスの構築です。衛星データ活用や宇宙を題材とした商品開発にも大きな可能性があるので、県内企業の意欲的な取組を支援していきます。 最後に、宇宙港の経済波及効果について試算を行ってきましたが、最初の5年間で約102億円との速報値が出ました。この経済波及効果をしっかりと発揮させるため、地元サプライヤーの充実や、受入環境の整備など、宇宙港の実現とあわせ、関連施策一体となった取組を進めていきます。 ○嶋幸一副議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 ありがとうございました。 5年間で経済効果が102億円ということで、これはまだずっと続くので楽しみです。そしてまた、令和3年度の予算で展望エリアの設計が計上されています。令和5年度にはホバークラフトが走り、ホバークラフトが走ってジャンボ機が飛ぶと、そういう姿を思い浮かべると本当に楽しみです。 今、知事のお話にもありましたが、衛星データの活用について次に御質問します。 宇宙ビジネスの中で、衛星データを用いた新事業が展開されています。私の地元国東市安岐町に本社があるニュージャパンマリン九州もその一つです。ニュージャパンマリン九州は、FRP製小型船舶の設計、開発、製造を手がけ、プレジャーボートの分野ではカタマラン(双胴型)ボートを国内で唯一製造しています。 また、個人向けのプレジャーボートのほか、防衛省の護衛艦に搭載される作業艇や都内を走る水上タクシー、外国政府のコースト・ガードや海上警察向けの警備艇なども製造した実績があります。 令和元年10月、内閣府の準天頂衛星みちびきを利用した実証実験公募において、プレジャーボートのピタット自動着岸、入れ食い自動操舵実証実験が採択され、みちびきの測位データを利用して船の位置を制御し、自動操舵で離着岸できる機能の開発を始めました。 昨年2月、横浜市でみちびきのセンチメータ級測位補強サービスによる小型ボートの自動接岸の実証実験を行い、今年の夏に販売することを目標に、自動接岸できる機能を搭載した小型ボートの開発を進めています。 このように県内の企業でも衛星データを活用した取組が始まっています。 県では、先端技術への挑戦を進めるべく、令和3年度当初予算では、衛星データ活用推進事業を編成し、地元企業の衛星データの活用による地域課題の解決に向けた支援を行う予定としています。 先ほど紹介したニュージャパンマリン九州のように、進取の精神で活動する企業の掘り起こしと衛星データ機能とソリューションのマッチングが事業の鍵になると思います。衛星データの多様な可能性を考えると、幅広くアイデアを出し合い、型にはまらない議論を進めることが事業の肝になると考えます。今回予定している新事業をどのように活用し、地域課題解決に生かしていくのか伺います。 ○嶋幸一副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 衛星データの活用を進めるに当たって、三つのステップを踏まえて進めていくこととしています。 一つ目は、先端技術の可能性やそこから広がる世界をよく知ることです。初心者向けの活用例の紹介等を行うセミナーを開催し、衛星データ活用の可能性を広く知っていただこうと考えています。 二つ目は、可能性を知った上で、自社で何ができるのかをしっかり考え、イメージすることです。基礎知識の習得や事業検討ワークショップを行う連続講座を開催し、衛星データの基礎から事業アイデア出しまで行っていきます。 最後に、事業実現に向けて一歩前に踏み出し、実行することです。新事業の創出と国の実証事業採択に向けて挑戦する企業に対し、伴走型支援を行います。 先月、民間企業が中心となって宇宙に関する一般社団法人を設立しました。その団体でも様々な人が集まり、いろいろなアイデアを形にしていくことを事業内容にしていると聞いています。 多様な主体が衛星データの活用の可能性やそこから広がる世界について活発に議論し、ニュージャパンマリン九州に続き、果敢にチャレンジする企業が多く現れることを期待しています。 ○嶋幸一副議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 産業科学技術センターがあります。こういう宇宙衛星データを活用した事業についての研究もしていると聞いていますが、産科技の役割、そして、支援はどのようになるのかお尋ねします。 ○嶋幸一副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 産業科学技術センターでは、例えば、人工衛星からの測位データを活用した自動運転トラクターの実証実験、これは昨年7月から今年3月にかけて農林水産部と共に実施しています。これが実現すると農業の省力化につながり、生産性向上に寄与します。 また、衛星データを活用したニュージャパンマリン九州のプレジャーボートのピタット自動着岸、入れ食い自動操舵実証実験では、推進装置の開発について支援をしています。 今後も産業科学技術センターでは、衛星データを活用する企業の支援を行っていきます。 ○嶋幸一副議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 スマート農業にも衛星のデータを使っていろいろとできるんじゃないかと私も考えているところです。 続いて、建設産業における女性の活躍についてお尋ねします。 私の地元国東市では、事業所のトップとして活躍している女性がいますので、少し紹介します。 まず、特別養護老人ホーム鈴鳴荘、朝来サポートセンター鈴鳴荘、特別養護老人ホームむさし苑、養護老人ホーム松寿園の四つの事業所を持つ社会福祉法人安岐の郷の理事長。 次に、障害福祉サービス事業所秀渓園、障がい者生活支援センタータイレシ、地域活動支援センターぽけっと、グループホーム島ホーム、なごみ、児童発達支援事業・放課後等児童デイサービスいきいきっ子クラブなどを運営する社会福祉法人秀渓会の理事長。 次に、障がい者サポートセンター三角ベースで、相談支援事業、地域活動支援センター、就労継続支援B型事業、生活介護事業、グループホーム、短期入所事業を展開している社会福祉法人共生荘の理事長。 次に、水耕栽培でリーフレタスやさいままを生産、販売する女性だけの農業法人ウーマンメイクの代表。現在30アールの水耕ビニールハウスを今年50アール増設して、ホウレンソウを新たに生産する予定です。また大分県、そして内閣府女性のチャレンジ賞をはじめ、各賞を受賞しており、大分県研修体制整備促進事業に採択され、新規就農研修生の募集も行っています。 次に、明治元年創業の本格麦焼酎を販売している南酒造の杜氏で7代目社長。令和元年、そして昨年もスペインで開催された国際酒類コンクールの日本酒、焼酎部門で、喜納屋が金賞、とっぱいが銀賞を受賞しました。 最後に、明治25年の創業以来、国東半島の地大豆、麦こうじ、米こうじ、天然塩を使用し、代々受け継がれた昔ながらの伝統製法を守り続ける手作り味噌と醤油の老舗安永醸造の5代目社長。国東半島かね松のブランドとして積極的な研究開発により様々な商品開発を行っています。このほかにも多くの事業所で女性が活躍しています。 本県では、女性が輝くおおいたアクションプラン2020を策定し、女性活躍に向けて取り組んでいますが、特に建設産業での女性活躍への取組についてお尋ねします。 建設産業において、新規入職者の減少、就業者の高齢化が進む中で、将来の担い手の確保・育成が課題となっています。その解決方法の一つが建設産業での女性活躍です。 平成26年8月に建設業5団体と国土交通省が共同で、もっと女性が活躍できる建設業行動計画を策定し、官民が一体となって、女性の入職促進や就労継続に向けた様々な取組を実施してきました。 その結果、建設女子「ドボジョ」ともいわれる女性技術者は、平成26年の1.1万人から平成30年には1.8万人へと1.64倍の増加、女性技能者は平成26年の8.7万人から平成30年には10.4万人へと1.19倍増加し、職場や建設現場が改善される等、多くの成果が上がっています。 一方、建設産業を取り巻く環境が変化し、こうした取組をさらに促進するためには、就業の継続が大きな課題であることが顕在化したことから、国土交通省では令和2年1月に建設産業で働く全ての女性が働きがいと働きやすさの両立により、就業継続の実現を目的としつつ、働き続けるための環境整備を中心に、女性の定着促進に向けた建設産業行動計画を策定しました。働き続けるための環境整備を進める、女性に選ばれる建設産業を目指す、建設産業で働く女性を応援する取組を全国に根づかせるを計画の3本柱として、官民を挙げた目標を定め取り組んでいます。県も女性の働きやすい、女性に選ばれる、そして女性が活躍できる建設産業の育成に向けて取組を進めるべきと思いますが、御見解を伺います。 ○嶋幸一副議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 建設産業における女性の活躍についてお答えします。 建設産業は、他産業に比べ女性の就業割合が低く、女性の活躍は重要な課題と認識しています。 県はこれまで、更衣室の整備や育児休業制度の導入など、就労環境の改善に取り組む企業を支援してきました。今年度からは、経営者の意識改革や建設産業におけるロールモデルづくりに重点的に取り組んでいます。 具体的には、トップセミナーを開催し、先進的な取組を紹介しました。また、女性の職務領域を広げるため、ドローン測量をはじめ、広報や施工管理の専門的知識を身につけるスキルアップ講座を実施しました。参加した36名全員が講座を修了し、先日、成果発表会を行ったところです。この取組は、参加した女性自身の成長に加え、経営者や上司の意識変化ももたらしたと感じています。 現に、女性活躍推進宣言を行った建設企業が昨年度から倍増したほか、女性の意見を取り入れた新社屋建設や短時間勤務の導入など、次につながる成果も出始めています。 このような好事例を水平展開し、ライフスタイルに応じた働き方の導入などに取り組む企業を伴走型で後押しし、働きやすく、働きがいのある建設産業への発展を支援していきます。 ○嶋幸一副議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 発表会は私も参加させていただきました。民間の女性技術者が本当にすばらしい発表をしていました。頼もしくてまた将来期待できるなと思ったところですが、大分県での女性の建設技術者の数はどうでしょうか。そしてまた、県での建設技術者の活躍推進はどのように考えているかお尋ねします。 ○嶋幸一副議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 女性技術者の正確な数字は持ち合わせていないんですが、ちょっと古いですが、平成27年の国勢調査では、県内建設業の就業者数は4万6,376名、うち女性は6,990名で、率にして15.1%です。この就業者には事務職も含まれているため、女性技術者の人数はさらに少ないというところだと思います。 そこで、全事業者の状況を反映はできていませんが、令和2年度の入札参加資格を県に申請した県内企業2,090社から提出された技術者名簿によると、令和元年12月現在で技術者は1万2,184名ですが、名簿には性別の記載がないので、名前からの類推になりますが、女性技術者は約630名といったところです。これは率にして5.2%で、それほど多い数字ではありません。 成果発表会を見ていただきましたが、県としては女性が活躍できる職場というだけではなく、やはり女性が活躍できるということは、若い人も含めていろんな方が働きやすい職場につながると思っているので、このような活動を継続しながら、さらに女性も、誰もが働きやすい職場づくりを目指して取組を進めていきたいと思っています。 ○嶋幸一副議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 県庁も土木事務所等に行くと、女性の技術者が頑張っています。ぜひ県庁の中においても、建設技術者、これは試験があるし、応募の状況によりますからなかなか増やせというのは難しいんですが、ぜひそういう活躍の場を与えていただきたいと思います。 将来、女性の土木事務所長ができるのを楽しみにしているので、よろしくお願いします。 続いて、アイ・コンストラクションについてお尋ねします。 アイ・コンストラクションとは、国土交通省が進める建設現場の生産性向上を目指す取組で、測量、設計、施工、検査、維持管理に至る全ての建設生産プロセスにICTを活用しようとするもので、平成28年度に導入されました。 アイ・コンストラクションの施策は、土木の現場においてドローンを用いた3次元測量やICT建設機械による施工など、高速かつ高品質な建設作業を実現していく、ICT技術の全面的な活用、コンクリート工における規格を標準化し、業務の効率化を図る規格の標準化、年度末に施工時期を集中させるのではなく、施工時期を平準化し、年間を通して工事量を安定化させる施工時期の平準化の三つの柱から成ります。 また、アイ・コンストラクションの目指すものとして、生産性の向上、より創造的な業務への転換、賃金水準の向上、十分な休暇の取得、安全性の向上、多様な人材の活用、地方創生への貢献、希望が持てる新たな建設現場の実現、広報戦略が挙げられます。 アイ・コンストラクションにより、建設産業をきつい、汚い、危険の旧3Kから、給料が高い、休暇が多い、希望があるの新3Kに一新するものと期待されています。 一方、アイ・コンストラクションの柱の一つであるICTの導入に当たっては、中小零細企業の費用負担が大きいこと、技術取得のハードルが高いこと、費用対効果があるのか判断が難しいことなど課題もあります。 県でのアイ・コンストラクション推進に向けた取組と、ICTを導入した現場の実情についてお尋ねします。 ○嶋幸一副議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 アイ・コンストラクションについてお答えします。 本県での取組の1点目は、施工時期の平準化です。建設現場の限られた人材を効率的に活用するため、県議会の御理解をいただきながら、ゼロ県債設定や早期繰越承認を運用し、計画的な発注に努めてきました。その結果、平準化の達成状況は、直近のデータで全国第4位と成果が表れています。 2点目は、ICTの活用です。 ICT建機による土工工事を平成29年度から12件試行した結果、現場条件によってはコスト面の課題があることを認識しました。 他方、ICT建機を使用せず、着工前測量や出来形管理など、施工プロセスの一部にICTを利用する、いわゆる部分活用の手法は、測量作業や工事書類作成等の負担軽減に幅広い工事で効果を発揮するものと評価しました。 このため、本年度、3次元の設計データ作成や測量等の実務研修会を大分県建設業協会と連携して開催したところです。参加者から、時間短縮に効果があった、女性や若者が取り組みやすいなど導入に前向きな声が聞かれました。 今後は、部分活用の促進に向けた支援も継続しながら、建設産業の働き方改革につなげていきたいと思っています。 ○嶋幸一副議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 今日のNHKの朝のニュースでやっていましたが、現場に行かず検査ができる遠隔臨場というんですが、こういうICTを活用した技術も進んでいます。県庁の若手の技術者、やはり私は現場に行って、現場を肌身で感じるのが本当に大切なことだと思っていますが、大分県での若手技術者の育成はどのように考えているのか、お尋ねします。 ○嶋幸一副議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 遠隔臨場のお話がありました。遠隔臨場の導入により、現場立会のスケジュール調整が容易になることや、立会までの待ち時間削減により工程の短縮につながるほか、このコロナ禍での接触機会縮減などの効果が期待されており、本県でも来年度から試験的に導入することとしています。 しかしながら、工事現場を直接見なければ判断できないことも多いため、全ての現場立会を遠隔臨場で行うものではありません。 御指摘のとおり、若手技術者の育成や技術力確保の観点からも、現場でのOJTは、特に重要と考えています。 現場第一主義で取り組むことが大事であり、現場で物ができていく喜びや達成感を実感しながら成長してほしいと考えています。 遠隔臨場については、こういった視点を踏まえ、国の取扱いを参考にしながら、工事の様々な過程で試行を重ね、活用のルールを確立していきたいと考えています。 ○嶋幸一副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 技術者の育成については今申し上げたとおりですが、今度の7月災害のときに私もすぐ現場に行き、いろんなところを見て回ったんです。そのときに、九大線の落橋のところで土木事務所の職員に説明を受けたんですが、女性職員でありまして、そのときに、現状で復旧できるのか、それともいろいろ改良復旧をしたほうがいいのかというところが、発災直後でしたから、なかなか難しい判断だったんですが、いろんなデータを上げながら、こういう状況だから、取りあえず現状復旧でいいでしょうと言って、現場の土木部長も言えないような、大変広範な情報を得て、ずばりと判断をして、それが結局、そのとおり現状復旧ということで、九大本線の早急な復旧につながったわけです。 そういうことで、技術の皆さんが現場に出ていくことは非常に大事なことだなと思いました。土木部長の言うとおりだと思います。 ただ、特に土木の関係では、入ってから、2、3年は一律に現場の土木事務所にとなっているかは、人それぞれによって、全体の仕事を見てから現場に行くほうがいいじゃないかとか、こういう仕事は本庁にあるんだから、そっちで仕事をしてから行ったほうがいいんじゃないかとか、その時々に応じて、あるいは人に応じて、大事な職員ですから、弾力的に養成するように考えたらどうだということで、そこのところは少し弾力化をしています。本人のために一番いいような形で育成していこうということになっていますので、補足をさせていただきます。 ○嶋幸一副議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 ありがとうございました。私も昔の土木技術者ですので、ぜひ注視していきたいと思いますし、また期待しています。よろしくお願いします。 それでは次に、地域の芸術振興についてお尋ねします。 国東半島では、平成24年から平成26年に国東半島芸術祭が開催され、国東市では国東町成仏、国見町岐部、千燈の3地区で製作された作品が残っています。 また、国見町には様々な分野のアーティストが集まり、アートの町と呼ばれています。そんな国見町在住の作家による国見アートの会が結成されています。会員や会員以外の作家が陶芸、ガラス工芸、竹工芸、木工、メタルアート、表装、染色、絵画、仏像彫刻と多彩なジャンルにわたり、個性豊かな作品を制作しています。そして、春と秋に国見町工房・ギャラリーめぐりを開催していますが、昨年は残念ながら新型コロナウイルスで開催されませんでした。 しかし、昨年、若手作家が地元の小学生や中学生に創作指導をすることで地域に貢献していきたいと考え、10の工房が参加して創作指導を行いました。 竹田津小学校では、全校児童19人を対象に陶芸、染色を、伊美小学校では5、6年生25名を対象に、陶芸、メタルアート、シルクスクリーンを、熊毛小学校では5、6年生11名を対象に、陶芸、竹工芸を指導しました。国見中学校では2年生22名が、10か所の工房に分かれて職場体験と併せて創作指導を行いました。 子どもたちは、プロの指導のもと、道具を手に取り、イメージを膨らませながらアート作品を制作し、創作した作品の展示が国見町こどもたくみじゅく展として昨年の11月25日から30日まで国見町の涛音寮で、12月15日から20日まで、大分県立美術館で開催されました。OPAMでのオープニングセレモニーには広瀬知事も出席されたと聞いています。 このように国東地域では芸術振興に取り組んでいます。本県の芸術文化の拠点OPAMも今年4月で6年目を迎えます。これまでも大分県が一丸となって芸術文化の振興に邁進してきたと思います。これからは更なる発展に向け、御紹介したような地域の芸術活動を振興し、県全体の文化レベルを上げていく取組も必要であると考えます。今後、どのように芸術文化を振興していくつもりなのか、知事の御見解を伺います。 ○嶋幸一副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 地域の芸術振興について御質問いただきました。 本県では、古くは六郷満山の神仏習合など、新しいものを受け入れる気風に富み、また、江戸時代の小藩分立などにより、各地に多様な文化が育まれています。 日田の小鹿田焼や田能村竹田に代表される豊後南画、近年では、別府アルゲリッチ音楽祭や久住高原のDRUM TAOなど、世界に誇る新しい芸術文化資源も地域に根付いてきました。 今後は、これらの豊かな地域の文化資源を活かした芸術文化の振興が重要となるため、次の二つの取組を進めたいと思います。 一つは、カルチャーツーリズムの推進です。 来館者が300万人を突破した集客力のあるOPAMと県内各地の芸術文化活動や、観光地、大型イベント等を結びつけ、芸術文化施設を拠点とした好循環を創出します。 例えば、OPAMで生野祥雲斎の作品を鑑賞した後、工房を訪れて作家と交流し、制作体験もできるツアーを造成します。 また、ISTSの期間中、OPAMでは、はやぶさ2などの小惑星探査機模型や宇宙開発映像を展示して、会場とシャトルバスで結びます。 NHKの人気番組ブラタモリでは、身近にありながら普段は全く意識しない地形や自然現象を分かりやすく説明し、知的好奇心を高めています。 同様に、カルチャーツーリズムでも、地域に眠る新たな素材を掘り起こして、エッジの聞いたストーリーに仕立て上げて、旅行者に提供していきたいと思います。そのため、今月から関係者によるデザイン会議を立ち上げ、早速議論を開始したところです。 二つは、OPAMのおもてなし力、誘客力の向上です。 館内に無料の高速Wi-Fiを導入し、作品解説の多言語化を進めるとともに、デジタルミュージアムを開設します。工芸品を全方向から美しい画像で鑑賞できるシステムを導入するなど、来館者の満足度を高めたいと思います。 加えて、来館者が県内在住の作家と直接触れ合って、その場で作品も購入できるようなイベントを企画するなど、これまで以上に地域に密着した美術館を目指します。 また、新たに旅館やホテルでの所蔵品の出張展示を行い、旅行者にも芸術鑑賞の機会を広げていきます。 大事なのは、芸術家自身がこの大分に来ていただくということであり、国東半島には多くの芸術家が来ていただいています。こういう方を大事にしながら、大分県の観光資源、芸術資源にしていくことも非常に大事なことだと思っています。 6年目を迎え、県民とともに成長する美術館として、OPAMのさらなる魅力向上を図って、カルチャーツーリズムとの車の両輪で人の往来と県内消費を活性化して、本県芸術の振興を図っていきたいと思っています。 ○嶋幸一副議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 国見町では芸術家の友達の輪で全国から移住しています。今でも移住していると聞いています。地域が元気になれば大分県版地域創生の加速もますます進むのではないかと思っています。 ただ1点、再質問しますが、前回の芸術祭のときに、地元の作家さんたちが参画できなかった、そういうお話を聞きます。将来、またそういう芸術祭が開催されたときには、ぜひ地元作家、芸術家の方が参画できるようにしていただきたいんですが、企画振興部長、いかがでしょうか。 ○嶋幸一副議長 高屋企画振興部長。 ◎高屋博企画振興部長 国東半島ですが、美しい自然の中で、仏教文化の薫りもしながら、キリスト教的空間も併せ持つという魅力的な空間でもって、若い方々が皆さん創作活動されているという形で、すごくアーティスト・イン・レジデンスが盛んだと思っています。将来的にも、アートイベントが開催されていく場合は、そういうすばらしい芸術家の方と一緒につくり上げていく姿勢は変えずに、それを一層高めるためにしっかりと環境を整えていき、頑張りたいと思っています。 ○嶋幸一副議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 ぜひよろしくお願いします。 続いて、水産振興についてお尋ねします。 漁業は漁村の産業基盤であり、漁村地域の活性化のために漁業所得の向上が欠かせません。 本県の漁業生産量は、資源量の減少、漁業者や漁船の減少、魚離れによる消費量の減少により長期的に減少しています。うち、生産量の4割強を占める海面養殖業は、その多くが県南のブリ類養殖によるものですが、横ばいで安定して推移しています。他方、残りの6割弱を占める海面漁業については、減少傾向が続いています。 このため、漁業生産額は単価の高い養殖魚種が下支えし、400億円前後で推移し、海面養殖業が3分の2を占める状況となっています。 そのような中で、私の地元国東市では、近年新しい取組が行われています。 一つは、くにさきOYSTERです。国東半島独自の干潟の多い地形と、世界農業遺産の森に育まれた沖合で、シングルシードと呼ばれる養殖方法により、安全かつ高品質の生食が可能なカキが養殖されています。殻いっぱいに育った身は、小ぶりながら大変上品で贅沢、すっきりした味わいが最大の特徴です。現時点では生産量が限られているため、販売は国内及び国東市内の一部店舗となっていますが、国東市のふるさと納税のメニューに取り上げられ、大分空港でも販売されるなど、地域の顔となる産品として地元の振興に大いに貢献しています。年間15万個の出荷を目指しており、3月31日まで、国東市内の6店舗で、くにさきOYSTERを使ったランチがいただけます。 もう一つは大分うにファームです。昨年、県のビジネスグランプリで奨励賞を受賞し、6月にはNHK朝のニュースおはBizでも全国ニュースとして取り上げられ、海外の水産業界も注視しています。 磯焼け対策で駆除した可食部がなく、売り物にならないムラサキウニを地元漁業者から買い取り、ウニ蓄養専用飼料と陸上での蓄養技術によって蓄養し、食用として販売することで、地域経済の活性化と漁業者への支援、環境の保護を同時にかなえる循環型ビジネスモデルとして注目されています。 おいしいウニにするため、食用昆布の切れ端を活用したうまみ成分たっぷりの独自の餌でウニのうまみを引き出します。こうしたノウハウは、ノルウェーに拠点を持つ企業が自国にウニを食べる習慣がないため、世界屈指のウニ消費国の日本に持ち込んだものです。季節を問わずに地元のウニを安定供給できることが強みです。3月までに水槽を18台から84台に増設して、年間15トンの出荷を目指しています。 こうした先駆的な事例をどれだけ増やすかが漁業生産額の底上げにつながり、ひいては水産物の輸出にもつながっていくと考えます。国は70年ぶりに漁業法を改正し、資源管理や担い手確保に本格的に舵を切りました。 本県漁業政策も大きな岐路に差しかかっていると思いますが、本県の今後の水産業振興について伺います。 ○嶋幸一副議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 水産業の振興についてお答えをします。 水産業の活性化には、新たな技術の導入などにより生産性を高め、水産物をマーケットへ安定的に供給することが重要です。 カキの養殖では、国東をはじめ、中津、佐伯でシングルシード方式を導入し、生食用としてブランド化を図り、有利販売につなげています。 佐伯では、国内で初めてニュージーランドから生産機材を導入し、生産性向上を図っており、今後、生産者や生産地域の拡大を進めていきます。 そのカキについて、輸入基準が厳しいシンガポールへの輸出に向けて、県が作成したカキ衛生管理プログラムが、昨年の6月、シンガポール政府の承認を受けて先月、くにさきOYSTERがサンプルとして初出荷されました。今後の輸出に結びつくよう期待しているし、後押しをしていきたいと思っています。 また、クロマグロでは、赤潮発生時にマグロが赤潮のない水深帯に移動できるように、深い生けす網を開発するなど、大分方式の養殖手法を確立し、普及を図っています。 さらに、ヒラメ養殖においては、成長促進効果のある緑色LEDによる養殖期間の短縮、あるいはブリの養殖では、産卵期をずらした人工種苗による出荷時期の調整によって、ヒラメ、ブリそれぞれの出荷端境期を解消し、周年出荷体制を強化していく取組を行っているところです。 このような新たな養殖技術や機械の導入により生産効率を向上させる取組を広げるとともに、マーケットニーズに対応した生産体制の構築により、水産業の振興を図っていきたいと考えています。 ○嶋幸一副議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 今年度から漁業公社国東事業場の改築が始まりました。この改築によっての水産振興の効果についてお尋ねします。 ○嶋幸一副議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 国東事業場の改築による効果ということです。 国東事業場では、マコガレイ、クルマエビ、イサキといった種苗を生産しています。ただ、築後48年が経過しているということで生産機能も下がっているので、現地での建替えを今進めているところです。 建替え後については、まず水槽の面積は1.2倍にし、その容量についても1.6倍に増加させることとあわせて、成長促進効果のある、先ほど言った緑色LEDの照明を導入することによって、生産能力を約2割ほど高めていきたいと思っています。それによって生産量を増やし、さらに放流する場合の量も合わせて増加させていければと思っています。 また、全体の施設の形態として、稚魚の生残率が高くなる八角形の水槽を導入するようにしています。そういったこと、あるいは魚病に強い紫外線殺菌装置を導入することで、これまで漁業者から期待のあったキジハタ、そういった新魚種の種苗の生産も始めたいと思っているので、そういった取組によって資源量を増やし、漁獲量を高め、漁船漁業等の振興に努めていきたいと思っています。 ○嶋幸一副議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 今、キジハタの種苗のお話がありました。地元ではアコウというんですが、定着率が高いことで、地元の漁業者も大変期待しています。よろしくお願いします。 そして、蓄養したウニを知事にぜひ試食していただきたいとこの間言っていたので、ぜひそのときはよろしくお願いします。 では続いて、農地・農業水利施設を活用した防災対策についてお尋ねします。 気候変動の影響や社会情勢の変化などを踏まえ、河川流域のあらゆる関係者が協働して、流域全体で行う流域治水が推進されています。 その中で、農地・農業水利施設の多面的機能を活かした防災対策と課題についてお尋ねします。 水田を活用した田んぼダムは、豪雨時に雨水を水田にため、下流域への湛水被害を低減します。しかし、排水口への堰板の設置が必要で、田んぼダムに取り組む水田の面積を増加させなければなりません。 農業用ダムは、大雨が予想される際に、あらかじめ水位を下げる事前放流によって洪水調整機能を発揮します。降雨をダムに貯留し、下流域への氾濫リスクを低減しますが、ダムにたまった堆砂対策、貯水池法面の保護、取水設備の整備、情報システム整備が必要です。 ため池も、事前放流で洪水調節機能を発揮しますが、耐震対策による堤体の補強、洪水吐きにスリットを設ける改修は必要です。 農業用の用排水路や排水機場、樋門は、市街地や集落の湛水を防止し、軽減しますが、老朽施設への改修、ポンプの増設、降雨時の排水操作が必要です。 このように、農地・農業水利施設は、流域の防災対策に機能を発揮しますが、申し上げたとおり多くの課題もあります。県としてどのように取り組んでいくのか、お尋ねします。 ○嶋幸一副議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 農地・農業水利施設を活用した防災対策ということです。 農地・農業水利施設については、本県農業の基盤となるだけでなく、洪水防止の機能等を有していると考えています。近年、自然災害が激甚化する中で、流域における役割も高まっています。 農地・農業水利施設を活用した流域治水の取組については、実施に当たっての課題も踏まえながら推進していきたいと思っています。 まず、田んぼダムでは、水田の所有者等の理解と協力を得て、地域全体での合意形成を図りながら進めていきます。今後、農地等の保全を地域住民が共同で取り組んでいる多面的機能支払交付金の実施地区を中心に、普及、拡大を図っていきたいと考えています。 農業用ダムでは、河川管理者等との事前放流に関する治水協定の締結を進め、従前の約2倍の1千万立方メートルの洪水調節容量を確保したところです。 実施に当たっては、土地改良区による適切なダム管理が行えるように、取水施設の整備や監視システムの運用支援等を行っていきます。 ため池の事前放流については、今年度既に5市町で実施されました。引き続き、管理者に対する助言、指導を行うことによって、その取組を広げていきたいと考えています。 あわせて、5か年加速化対策を活用したため池の計画的な整備を進めるとともに、防災重点ため池のハザードマップ、そういったものの作成、配布などのソフト対策も併せて進めていきたいと思っています。 今後とも関係者と連携し、農地・農業水利施設の持つ多面的機能を活かした防災減災対策に取り組んでいきます。 ○嶋幸一副議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 部長のほうから防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の取組のお話がありました。ぜひ積極的にこの対策を取り入れてもらって、防災対策に使っていただきたいと思っています。 私は以前質問したんですが、農業用水利施設、土木遺産級の施設がいっぱいあるんですね、白水ダムとか変形水路とか、広瀬井路もありますが、そういうところの老朽化がかなり進んでいるように見受けられます。ぜひこういう農業遺産、農業土木遺産は守っていかなければならないと思うんですね。予算を獲得して後世にそういう遺産を残すようにしっかりと取り組んでいただきたいと思っています。 それでは次に、住宅におけるアスベストの処理についてお尋ねします。 建築物の解体工事におけるアスベスト飛散防止の対策を強化するため、昨年6月、大気汚染防止法が改正され、本年4月から段階的に施行されることになりました。 その主な内容としては、全てのアスベスト含有建材が規制の対象となり、解体工事前の事前調査の義務付け、調査結果の県への報告、直接罰の創設、作業基準の遵守徹底、作業結果の発注者への報告など、飛散防止対策が一層強化されます。また、令和5年度から、専門知識を有する資格者による解体工事前の調査も義務づけられます。 アスベストは様々な健康被害を巻き起こすことは明らかであり、そのため解体作業時において、周辺環境や作業従事者の健康を守っていくことは大変大事なことだと考えています。 一方で、今回、全てのアスベスト含有建材が規制の対象となったことから、平成18年まで一般家屋にも使われていた可能性がある屋根材やサイディングボードなども含まれることになり、家屋所有者や、解体請負業者にとっても、コストや工期などに影響を及ぼすことになると思います。 今後、制度を活用していく中で課題も生じてくると思いますが、まずは制度の円滑的な施行に向けて、県としてどのように取り組んでいくのか、お尋ねします。 ○嶋幸一副議長 高橋生活環境部長。 ◎高橋基典生活環境部長 住宅におけるアスベストの処理についてお答えをします。 今回の改正内容を円滑に実施するためには、一般住宅の所有者や解体工事業者への周知とともに、監視指導体制の強化等が重要と考えています。 そのため、一般住宅の所有者に向けては、県のホームページや市町村報、ラジオなど広報媒体を活用し、周知しているところです。 また、県内約2千社の解体工事業者に対しては、県建設業協会等の関係団体を通じて周知を図るとともに、個別に通知し、丁寧に相談に応じているところです。 次に、監視指導体制の強化については、解体工事現場において、建材の中のアスベストを迅速に検出できるアスベストアナライザーを導入し、科学的根拠に基づき指導を行うこととしています。 さらに、大気中の微細なアスベストも明瞭に判定できる高度な顕微鏡も整備し、解体工事等のアスベスト処理に伴う周辺環境の安全性を担保します。 加えて、解体工事業者を技術面で支援するため、現場での留意点や、優良な工事事例などを分かりやすく解説したハンドブックを作成します。 このような取組により、制度の円滑な施行を図り、安全・安心な生活環境を確保します。 ○嶋幸一副議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 法律が変わるということは、また条例等も変えていかなければならないところが出てくると思います。 そしてまた、直接の事業者さん、そしてまた、家屋所有者さんがそういうことを知らないという可能性もあります。ぜひ周知の徹底、それから研修を行って、アスベストは本当に有害な物質なので、それによる健康被害が出ないようにしっかりと対応をお願いします。 それでは、最後になりました。財務書類の活用についてお尋ねします。 本県では、平成28年度決算から、総務省が取りまとめた統一的な基準による地方公会計マニュアルにより財務書類を作成しています。 このマニュアルの特徴は、複式簿記・発生主義会計の本格的な採用、固定資産台帳の整備、比較可能性の確保が挙げられます。また、29年度決算からは、施設別の財務書類も作成し、これらの財務書類は県のホームページで公開されています。 具体的には、貸借対照表、行政コスト計算書、純資産変動計算書、資金収支計算書の4表です。この財務諸表から各種指標を算定し、財政を分析しています。そしてまた、その健全性を評価しているところです。財務書類を作成し、指標を算定することが目的ではありません。これらを活用し、財政マネジメント機能を向上させ、人口減少、少子・高齢化が進む中で、限られた財源を賢く使う取組が重要であると考えます。行政内部、そして行政外部での具体的な活用をお尋ねします。 ○嶋幸一副議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 財務書類の活用についてお答えします。 御指摘のとおり、財務書類を単に作成するだけではなく、財政運営や政策形成、県民等に対する説明にしっかりと活用することが重要だと考えています。 まず、行政内部での活用としては、今年度からスタートした行財政改革推進計画において、有形固定資産減価償却率、いわゆる資産老朽化比率ですが、これから把握できる資産全体の老朽化度合いを考慮しながら、県債残高の適正管理を行い、財政健全化に努めています。 今後は、この資産老朽化比率を用いて、公共施設の長寿命化を図るなど、適切な資産管理を一層推進していきたいと考えています。 行政外部での活用としては、県民に財政状況を説明するツールとして財務書類を活用しており、公表に当たっては、概要編や指標編を追加して県民に分かりやすくするなど工夫しています。 また、県債の発行に際しても、全国の投資家等に分かりやすく財務状況を示すため、IR資料への地方公会計制度に基づく財務書類の掲載も検討しています。 今後も限られた資源、限られた財源を賢く使うため、他県の取組事例を参考にしながら、引き続き財務書類の活用を進めていきたいと考えています。 ○嶋幸一副議長 木付親次君。 ◆木付親次議員 今、行政外部での活用のお話がありました。令和元年度市場公募債150億円を発行しています。これは部長がおっしゃったとおりに財務諸表がしっかり正確じゃないと、投資家の方が投資するんですから、その辺はしっかりお願いしたいと思います。 また、今年度から内部統制も始まり、財務書類の信頼性が求められています。行政内部での老朽化比率を判断するのに固定資産台帳、これがしっかりと正確じゃないと、この老朽化比率がちょっと違ってくるということで、その正確性もしっかり担保できるようにお願いし、私の一般質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。(拍手) ○嶋幸一副議長 以上で木付親次君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。     午後0時 休憩  -------------------------------     午後1時 再開 ○麻生栄作議長 皆さんこんにちは。 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。成迫健児君。  〔成迫議員登壇〕(拍手) ◆成迫健児議員 皆様こんにちは。県民クラブの成迫健児です。本日は一般質問の機会をいただきました県民クラブの会派の皆様、そして、私の一般質問、かかわっていただいた皆様に深く感謝申し上げます。何度ここに立っても心臓が張り裂けるぐらい緊張してしまいますが、今日は大変心強い応援団も来てくれているので、全力でしっかりと質問を進めさせていただきます。 まず初めに、三つの日本一への挑戦について。 知事は就任以来、安心・活力・発展の大分県づくりに邁進し、安心の中心となる目標に健康寿命日本一、子育て満足度日本一、障がい者雇用率日本一の三つの日本一の実現を掲げ、幅広に取り組んでいます。 私は、スポーツに関わる者として、子を持つ親として、そして障がいのある友を持つ者として、この三つの挑戦について高い関心を抱いてきましたので、それぞれについて伺います。 まず、健康寿命日本一について伺います。 いつまでも健康に暮らし、元気に活躍することは、誰もが抱く望みであり、また、医療、介護費の抑制や、働き手の確保など、今後の高齢化の進展に伴い、本県が直面する様々な課題の解決につながることから、生涯にわたる健康づくりを支援することは重要です。 運動等を通じた健康づくりの具体的な効果としては、虚血性心疾患や高血圧、糖尿病などの罹患率及び死亡率の低下、メンタルヘルスや生活の質の改善などがあり、高齢者にとっては寝たきりの防止や認知機能の維持に対する効果も認められています。 こうした効果は、身体活動量、身体活動の強さ掛ける行った時間の合計の増加に従って上昇することから、全ての身体活動が私たちの健康につながるものと言えるのではないかと思います。 近年、国の普及啓発や健康ブームにより、運動の健康に対する効果は、国民に広く普及しつつありますが、運動を実際に行っている人の割合が少ないこと、作業の機械化の進展、交通手段の発達により身体活動量が低下していることなどから、今後は多くの人が無理なく日常生活の中で運動できる環境づくりがより一層求められると思います。 県もおおいた歩得や、まず野菜、もっと野菜プロジェクト等の画期的な取組を行っており、大分県民の平均寿命は男女ともに全国トップクラスとなっています。しかし、肝心の健康上に問題のない状態で日常生活を送ることができる期間である健康寿命は、中位にとどまっています。 私は、全県的な機運が高まっているこの機を捉え、これまでの取組の成果も生かし、対象とする年代、性別に応じた、きめ細やかな意識啓発やイベントの開催を通じた情報発信などの効果的な取組、日常生活での運動の習慣化のきっかけになる機会の提供、さらには、県民の主体的な健康づくりにつながる環境づくりなどを充実させる必要があると考えます。 そして、こういった取組を通じ、一人でも多くの県民が日常的な身体活動量を増加させ、いつまでも健康で元気に活躍できる社会を実現していただきたいと思います。 そこで伺います。健康寿命日本一に向け、今後どのような方針で取り組まれるのか、知事の見解をお聞かせください。 次に、子育て満足度日本一についてです。 この問題は、皆様の関心が大変高く、今回を含め、毎回のように、よりよい取組を目指しての質問がなされています。重なる部分があるとは思いますが、私も強い関心を持っているので、特に子育ての前段階である結婚支援に絞って質問させていただきます。 県では、出会いサポートセンターや、結婚応援団などにより、出会いのサポートに取り組んでいますが、若者にアンケートを取った結果を見ると、男女とも結婚したいと答えた人は多いものの、結婚したくてもしない理由として、経済的に生活の不安があるので、決断できないとの理由が最も多くなっています。このことから、私は結婚を後押しするためには、経済的な支援も重要だと考えています。 また、一生に一度のことだから、結婚式、披露宴を行いたいと思っても、多額の費用がかかってしまい、式を諦める方もいるのではないかと思います。 先月発表された2月専決予算で、結婚式、披露宴経費に対する助成事業が計上されており、知事も同じ思いでいてくださったのだと大変うれしく思っています。この事業は、結婚する2人だけでなく、コロナ禍で苦境に立たされている結婚式場関係者にとってもうれしい事業であり、その効果に大いに期待したいと思います。 しかし、結婚はイベントであると同時に生活です。国が進めている結婚新生活支援事業では、補助金が来年度から60万円と倍増され、一部条件も緩和される予定です。この事業の実施主体は市町村になりますが、大分県内でこの事業を実施するのは4市町にとどまる見込みです。 国の事業を活用することで、結婚の決意を促し、補助金でできたゆとりが、結婚式、披露宴を諦めないことにつながり、県の応援事業が生きるといった好循環も考えられます。 県として、市町村と連携するとともに、県独自の結婚に関する経済的な支援をさらに拡充すべきだと考えますが、見解をお聞かせください。 最後に、障がい者雇用率日本一について伺います。 コロナ禍で、本県のみならず、日本が、世界が大きな経済的打撃を受ける中、失業者が増加しています。さらに、事業者が生き残りをかけて経費を削減する中で、障がいのある従業員の解雇が増加するのではないかという懸念があります。 実際、新型コロナウイルスの影響で令和2年3月から令和2年9月までの半年間で、全国で1,200人以上が解雇され、昨年より解雇率が40%以上上昇しているとの報道もあります。 障がい者雇用率日本一の達成に向け、このような厳しい条件下で、障がい者の雇用をどう守っていくのか、現在の県内状況とあわせて、その対策についてお聞かせください。 以下は対面席から伺います。  〔成迫議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○麻生栄作議長 ただいまの成迫健児君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 成迫健児議員から、大分県が目指す三つの日本一について御質問をいただきました。 まず私から、健康寿命日本一に向けた取組についてお答えします。 県では、健康寿命日本一に向けて令和6年までに県民の健康寿命を2歳以上延伸する目標を掲げ取組を進めています。具体的には二つあります。 一つは、県民参加型の健康づくり運動です。県民が健康を育む生活を送ることで、幸福を感じ、生涯にわたって活力ある生活を送ることができる社会の実現を目指します。そのため毎年10月を健康寿命推進月間と定め、様々な団体に呼びかけ、各地で食やスポーツなどのイベントを開催し、機運を醸成しています。 昨年はコロナ禍で県主催の大規模な集客イベントを見直し、テレビのスポット番組を使って健康づくりに取り組む事業所やスポーツ団体などを5回にわたり紹介しました。平均視聴率は12.1%で、多くの皆様に御覧いただきました。 また、運用3年目を迎えたおおいた歩得は、順調にダウンロード数を伸ばし、利用者は先月末に5万4千人を超えました。来年度には県内の一周駅伝コースなどをバーチャルで歩ける機能を追加し、より楽しく達成感を得られるようバージョンアップしていきます。 第2は、健康を支える社会環境の整備です。無関心層も含め、誰もがあまり意識しないで健康になる環境の構築を目指します。 栄養、食事の面では、うま塩メニューや、もっと野菜メニューを提供する飲食店の拡充を図ってきました。学校給食にも取り入れられるなど、県内全般で食を通じた健康づくりの機運が高まっています。 健康寿命は、老若各世代の健康に対する意識を調査し、算定するものです。健康寿命の延伸には、特に若い世代に健康だと認識してもらうことが重要です。そのため、事業所ぐるみで働き盛りの従業員の健康づくりに取り組む健康経営事業所の拡大を図っています。今年度の優秀事業所である佐伯市の小野明組では、社屋にトレーニングルームを設置するなど、従業員が気軽に運動できる環境を整備し、先月末に地元紙で大きく取り上げられました。 加えて、働き盛り世代が元気に過ごすためには、心の健康も不可欠です。今年度、公認心理師や理学療法士などの専門職46名を中小企業の職場環境を改善するアドバイザーとして養成しました。 来年度には、このアドバイザーが企業を訪問し、ストレス解消や疲労回復に効果的な運動など、具体的に提案する健康づくり処方箋を提供することで、心と体の両面に着目した職場ぐるみの健康づくりを後押しします。 今後とも、多様な主体と協働して、あらゆる角度から健康寿命日本一の大分県づくりに取り組んでいきます。 私からは以上ですが、その他御質問については、担当部長からお答えします。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 私からは2点についてお答えします。 子育て満足度日本一に向けた結婚支援についてです。 県では、コロナ禍で結婚式や披露宴の実施を躊躇するカップルが多いことから、感染防止対策を講じた結婚式等の費用を助成し、希望する時期の結婚を後押しします。 また国の結婚新生活支援事業では、結婚に伴う住宅の取得や、賃貸、引っ越しに係る費用を助成していますが、市町村に事業の活用を働きかけた結果、来年度からは6市町が実施する予定となっています。 そのほか、6市町村では結婚祝金などの支援金制度を独自に設けています。 こうした経済的な支援に加え、県では結婚したくても、適当な相手に巡り会えないという若者も多いことを踏まえ、出会いの機会の提供に力を入れているところです。 その拠点である出会いサポートセンターでは、この2年半で約1,700人の会員が登録し、51組の成婚実績を上げています。 来年度は、オンラインによるお見合いや会員同士の出会いイベント、市町村が委嘱する婚活サポーターのスキルアップ研修を実施し、さらなる充実を図る予定です。 引き続き、市町村と連携しながら、若者の出会いや結婚を幅広く支援していきたいと考えています。 次に、コロナ禍における障がい者雇用についてです。 障がい者の雇用状況について、県内6か所の障害者就業・生活支援センターにおける昨年3月から先月までの解雇に関する相談件数は2件となっています。 雇用調整助成金等の支援策を活用し、多くの企業で雇用が維持されており、2名の解雇になった障がい者についても、雇用支援アドバイザーが関係機関と連携し、いずれも再就職につながっています。 一方、障がいのある方々からは、コロナ禍での勤務形態の変化などへの不安の声が寄せられており、定着支援アドバイザーが職場訪問等を行い、対応しています。 例えば、コロナの感染拡大を受けて出勤に不安を覚える障がい者からの相談を受け、その職場と直接調整し、一旦休職した後に再度復帰に導いた佐伯市内での支援事例もあります。 県としては、引き続き企業と障がい者一人一人に寄り添い、雇用維持や再就職に向けた支援に力を入れていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 成迫健児君。 ◆成迫健児議員 ありがとうございました。 健康寿命日本一に向けては、あらゆる角度からアプローチをされているというふうに伺いました。 いつも都道府県の健康寿命ランキングの上位にランクインしている県として、山梨県、愛知県などがありますが、その大きな理由としては、若者同士、または高齢者同士で集まりやすい文化や環境があると言われています。 山梨県は無尽文化といって、山梨県特有の文化なのですが、月に1度、特定のメンバーで集まって食事会などを行う文化が定着しているようです。 また、愛知県については喫茶店の文化があるので、みんなで集まってお茶をするような機会も多いと言われています。 長寿に共通する習慣として、社会的集団に属するという項目がありますが、この2県については、まさにそこに当てはまる環境があると言えます。 私はこの社会的集団に属することのきっかけとして、運動を通じてのコミュニティの形成を目指すことは、とても効果的ではないかと感じています。そういった観点からも、おおいた歩得は、グループでの参加も可能となっているので、友達同士や企業等の中で、みんなで協力して楽しく始めていける本当に素晴らしい取組だと思います。 ただ、既に累計5万4千ダウンロードほど達成されていると先ほどお話がありましたが、実際私の身の回りでも、まだアプリの存在を御存じない方も多くいらっしゃいます。 健康寿命日本一を目指す上で、大きな取組の一つとして、今後より浸透させ増やしていくための今後の課題などあったら教えてください。 また、コロナ禍で外出自粛がどのような影響をしたか、この改善策について、以上2点について、福祉保健部長、答えていただければと思います。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。
    ◎廣瀬高博福祉保健部長 歩得について御指示いただきました。本当にありがとうございます。 2点ということで、まず歩得についての課題ということですが、議員の御指摘のとおり、健康寿命延伸のためには、やはり県民の方々が運動に積極的に、しかも継続して取り組むことが大切だと考えています。おおいた歩得は、そのための有効な手段の一つと考えており、一人でも多くの県民に活用していただけるようにすることが必要だと思っています。 そのための一つの課題として、やはりそれを皆さんがダウンロードしていただくためには、魅力を高めていくことが大きな課題であり、今後ともそうした魅力をしっかり高めながら、県民の皆様にしっかり周知していきたいと考えています。 それから、コロナ禍での歩得の影響はどうだったのかという御質問だったと思いますが、まず歩得そのものの状況については、先ほど知事の答弁にもあったように5万4千件のダウンロードがあります。 現在はそういった形で昨年度の同時期と比べても、ダウンロード数が増えていることもあり、そういった形では会員も順調に伸びています。 会員一人当たりの歩数があり、それを見ると、その歩数もコロナ禍ではありましたが、まずまず順調に伸びているところで、一つはそういった効果があったと思っています。 ただ、コロナ禍においては、やはり感染を心配して外出を自粛される方々も多いと思います。自宅で体操したりいろんな努力をされていることも聞いています。 今後ともコロナの感染防止に留意していただきながら、運動を通じた健康増進にしっかり取り組んでいただけるように県民の皆様方にしっかり周知をさせていただきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 成佐健児君。 ◆成迫健児議員 ありがとうございます。 今、魅力を高めているという御答弁をいただいたんですが、私は本当にこの歩得については非常に魅力があると認識しています。 このおおいた歩得は、職場対抗戦なども開催されているので、普段あまり運動されない方でもウォーキングであれば始めやすいし、健康増進だけでなく、職場での仲間意識も高まると、いいことづくしですので、より多くの人に知ってもらえるだけ広がってくるのじゃないかと考えています。 引き続き、県民の皆様への周知を、よろしくお願いします。 結婚支援については、国の結婚新生活支援事業を実施する地域が分かれるのに大きな不安を感じており、実施する市町村はいいですが、私の地元である佐伯市を含めて、実施しない、それについては、今の収入に満足できておらず、移住を悩んでいるカップルにとっては、この制度が引き金になってしまうのではないかと懸念しています。 事業については、各市町村の判断に委ねられる部分もありますが、人口流出の観点からも、大分県全体の課題として、後押しの御検討いただければと思います。 コロナ禍における障がい者雇用についてですが、相談件数も多いと私は想像していたんですが、その点、非常に安心しました。 コロナの影響に伴っての雇用対策についてはしっかりされているということで安心しました。 私は地元に帰ってからずっと定期的に特別支援学校や放課後デイサービスの子供たちに走り方教室をさせていただいてるのですが、既に高校を卒業し、仕事に就いている教え子や職業訓練校で汗を流している教え子が直接会いに来てくれます。 その中で、先生、仕事は職場の方たちも優しくて楽しい。できることを早く覚えて、欲しいものを自分の働いたお金で買いたいとうれしい声が聞こえてきます。 そういった恵まれた職場の環境や一人一人の意欲は障がい者雇用率日本一を目指す大分県の象徴だと強く感じているので、引き続き手厚い御支援をよろしくお願いします。 では、次の質問に移ります。 コロナ禍における児童福祉施策と自殺対策について、新型コロナウイルス感染症の拡大は多方面に大きな影響を及ぼしていますが、身近な人間関係にも大きな影響を与えています。 外出自粛や在宅勤務などにより、家族と過ごす時間が増えたことで家事を分担するようになった、日常生活をありがたいものだと感じ、家族を大事にする気持ちが持てたなど、行動が変化したことで家族の絆が深まったといったプラスの変化がある一方、ささいなことでけんかが増えたといったマイナスの面も多く指摘されています。 家族関係で生じるマイナスの事象として児童虐待があります。児童虐待については、近年増加傾向にあり、全国の令和元年度の相談対応件数は19万3,780件と平成30年度の15万9,838件と比べると21.2%と大幅に増加しています。 一方、令和2年の増加件数を見ると、1月は対前年同月比21%の増、2月が11%増、3月が18%増と、これまでの傾向どおり増加しているのに対し、4月以降は増加率が鈍り、5月、7月、8月は逆に減少していることから、児童虐待の潜在化が懸念されています。 虐待の潜在化は何としても避けなければなりません。コロナ禍で支援が難しくなっている児童虐待防止について、今後どのように取り組んでいくのか、福祉保健部長の考えを伺います。 次に、自殺対策について伺います。 先ほど質問した児童虐待と同じく、自殺についてもコロナ禍の影響により大きな変化が見られます。 警察庁の令和2年自殺統計速報値では、男性の自殺が減少したにもかかわらず、女性の若年層が増えたことで、全体で750人の増と11年ぶりに増加に転じました。 非正規雇用の多い女性や若年層は社会の変化の影響を受けやすく、経済的に不安定になりがちであることや、有名芸能人の自殺に影響を受けやすい層であることも原因として考えられているようです。 国内でも、医療従事者に対してワクチン接種が始まるなど、先行きに明るさは見えるものの、感染に対する不安は拭い切れず、また、経済的な不安も続いている中で、自分自身を追い詰めてしまう人が増えているのではないでしょうか。 ワクチンや治療薬の開発による終息がベストですが、安全性の課題もあり、もう少し時間が必要と思われます。それまでは医療提供体制の強化や経済対策の効果的な実施などにより、社会に広がる不安を軽減していくとともに、既に精神的に追い詰められている人たちに対する支援を早急に講じる必要があります。コロナ禍における自殺対策について、県の方針をお聞かせください。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 2点についてお答えします。 まず、児童虐待防止対策についてです。 児童虐待の潜在化防止には、様々なチャンネルを通じた子どもの状況把握や関係機関との情報共有が重要だと考えています。 コロナ禍の学校休業等により、見守り機会の減少が懸念された際は、各市町村の要保護児童対策地域協議会では、約千人の対象児童ごとに市町村や学校、児相などの関係機関を総動員して、家庭訪問などを実施したところです。 こうしたきめ細かな活動を通じて、子どもに異変があれば、直ちに関係機関が連携して迅速に対応し、虐待の重篤化防止を図っています。 また、子ども食堂など、子育て支援を行う民間団体による弁当や食材の配布などを通じて、子どもの見守り体制の充実を図る地域も出てきており、官民一体となった潜在化防止対策が進みつつあります。 来年度、県では児童福祉司9人、児童心理司2人を増員して体制強化を図ることとしており、市町村要対協や民間団体と連携しながら、虐待の早期発見、早期対応に万全を期します。 次に、自殺対策についてお答えします。 大分県の自殺者数は、令和2年2月から3年1月の直近1年間では184人と、前年から8人減少していますが、コロナ禍による閉塞感が長期化する中で、予断を許さない状況にあります。 本県では、関係機関と連携し、二つの側面から自殺防止に向けた取組を進めています。 一つは、自殺を思いとどまらせる精神的支援です。全国的な若年層の自殺増加を受け、これまでの電話相談に加え、10月からSNSを通じた相談窓口を設置しました。コロナによる感染や収入減による生活の不安などの相談が寄せられ、専門のカウンセラーが対応しています。 二つ目は、自殺に思い至らないための経済的な支援です。生活福祉資金や中小企業・事業者応援金などの支援策により、不安の解消に努めています。 今後も、不安を感じている人に寄り添うとともに、速やかに必要な対策を講じていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 成迫健児君。 ◆成迫健児議員 ありがとうございました。 児童虐待については、コロナ禍の外出自粛によって、加害者が自宅に長時間いることで、被害者が外部に相談しづらかったケースも多いと聞いています。大分県内でも同じような事例はあるのでしょうか。 また、その対策については、どうお考えなのかについて聞かせていただけたらと思います。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 同じような事例があったのかということだと思いますが、先ほどちょっとお話ししましたが、外出自粛期間中も市町村要保護児童対策地域協議会では、約千人の児童ごとに担当者を決め、まずは先手先手で家庭訪問や電話連絡を行っています。自粛期間中に相談がしづらかったという理由で重大な児童虐待事象は発生していません。 また、学校再開後は、特に学校の協力もいただいて、子供の体重減少がないかとか体に傷がないかなど、念入りに先生方に観察してもらうと同時に、子どもにもアンケートなどを実施して、困りごとの聞き取りを行ってもらうなど、学校などにお願いして実施していただきました。 自粛中であっても、子どもの変化を見逃さず、児童虐待の早期発見、早期対応を行い、取り残される子どもが一切ないように対応してきました。 ○麻生栄作議長 成迫健児君。 ◆成迫健児議員 ありがとうございました。 先手先手の対応ということで、細やかなサインを見逃さないように今後も注視していただければと思います。 子どもの命と権利と未来は、社会全体で守らなければいけないものなので、引き続き市町村等の関係を強化していただき、虐待を起こさない社会の実現を目指していただけたらと思います。 自殺対策については、8人減少ということでしたが、今後、またこの影響で経済的、精神的に追い込まれる自殺者も増えていくのではないかと思います。私もコロナ以前の話になりますが、大切な友人と先輩を自殺で失った経験があり、いまだになぜ気づけなかったのか、悔やんでも悔やみ切れない思いがあります。これからも周りの方々の気づきが大切になると思うので、今の状況にかかわらず、追い込まれた方が相談しやすい環境を今後も整えていただくことをお願いします。 次に、教育に関する諸課題について伺います。 令和元年度、児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査によると、県内の不登校児童生徒数は、小中学校で1,843人と過去最高になっています。 学校には行けなくても、学習意欲ある不登校児童生徒にとって、きっかけがコロナ禍とはいえ、オンライン授業の普及は明るい話題です。しかし、不登校対策は、学習ができる環境が整えばよいというものではありません。子どもの成長には、多様な他者とのコミュニケーションや、自宅外での様々な体験が必要だと考えます。そのような体験のできる場所の一つとして、フリースクールがあります。 今般、佐伯市にも待望の民間フリースクールが設立されることになり、関係者と話す中で気になることがありました。 1点目は、出欠の取扱いについてです。 フリースクールの出席を学校の出席として取り扱うかどうかは、学籍のある学校長の判断に委ねられており、同じフリースクールに通っていても在籍している学校が違うと出席が認められないケースがあると伺いました。 国から判断基準が示されているとのことですから、恣意的な判断はないと思いますが、出席として認めない場合、その理由がフリースクール側に示され、改善できるようになっているか。また、その理由が納得できないときはどうなるのか伺います。 2点目は、財政支援についてです。 フリースクールは、子どもたちが家の外で安心して過ごせる場所の一つとして大変重要です。しかし、不登校を恥ずかしいことと捉え、フリースクールを学校よりずっと劣った場所と考える人たちが、いまだに少なからずいます。我が子がフリースクールに通うことを学校にも伝えられない例があると聞きました。 このような偏見を払拭するには、啓発とともに、フリースクールの質的向上が必要ですが、そのためには施設などの整備とともに、スタッフの充実が求められれます。 資格や経験のあるカウンセラー等の配置によって、一人一人の事情に応じた支援が可能になります。しかし、民間のフリースクールだけでなく、市町の設置する教育支援センターでも、人材不足で手が回らないと聞きました。 感染症対策にも対応できる施設を用意し、優秀な人材を雇用し、それを維持していくには、事業者や保護者の負担だけでは運営が難しいという財政的な課題があるようです。 フリースクールが安定的に機能するには、学校など関係機関との連携の強化とともに、財政的基盤の強化が必要です。鳥取県や福岡県では、人件費などに対する補助制度があります。本県でも、このような補助制度を創設することで、子どもたちの成長や自立のために頑張っているフリースクールの安定的、継続的な運営を支援すべきと考えますが、県の御見解を伺います。 部活動指導員制度についてです。 部活動は、勉学と並ぶ重要な教育活動の一環として、心身の鍛錬、生涯の仲間との出会いや生きがいづくりを通じ、子どもたちの健やかな成長に寄与し、また、社会で必要とされる人間形成に不可欠な役割を有しています。しかしながら、近年では生徒数の減少による廃部や指導者不足など、部活動が持つ本来の役割、魅力を発揮できない状況が出てきています。さらに、働き方改革の推進により、教員の部活動に係る業務負担の軽減も求められるようになっています。 1月末、公立高校の教員に、土日の部活動での練習試合などの引率に係る交通費が支払われていない自治体に大分県も含まれているとの新聞報道がありました。そのニュースに対するネットの書き込みで、教員と見られる方からは、交通費の不支給に対する不満とともに、素養のない競技の顧問を務めることに対する不安や、休みが取れていないことに対する不満が多く見られました。 一方、部活動にやりがいを感じている教員もいて、教員の中でも温度差があるようです。 子どもたちのために部活動が必要であると同時に、教員の負担軽減は喫緊の課題であり、国は令和5年度以降、休日の部活動を段階的に地域に移行する方針です。 県では、教員の働き方改革を進めて、長時間労働を是正するとともに、部活動の質的向上を目指して、平成30年度から部活動指導員制度を導入しています。 事業は始まって、ほぼ3年がたちますが、どのような成果が得られ、どのような課題が見えてきたのか、また、活動指導員のさらなる資質向上には、どのように取り組まれているのか、教育長に伺います。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 教育に関する諸課題について、2点お答えします。 まず、フリースクールについてです。 国の通知では、出席と認める判断は校長にあるとされています。とはいえ、在籍する学校と保護者、フリースクールとの間に十分な連携、協力が保たれ、相談、指導が社会的自立を目指し、個別指導などの適切な支援を行うものであれば、出席扱いしない積極的な理由はありません。そのためには3者の意思疎通が大事であり、何かあれば市町村教育委員会からも積極的に調整するよう指導していきます。 補助金については、単独で制度を設けている県もありますが、多くは既存の起業型補助金などを活用しています。団体ごとに多様な活動が行われ、一定の基準設定に困難も伴うことから拡大していませんが、今、国で不登校児童生徒の経済的支援の在り方等に関する調査研究が進められており、その動向を見守りたいと考えています。 現在、県教育センター内のポランの広場をはじめ、県下全市町の教育支援センターでは、不登校児童生徒のための学習支援など、社会的自立に向けた様々な支援に取り組んでいます。 本年度立ち上げた大分県フリースクール等連絡協議会などを通じて、各フリースクールとも連携を図っていきたいと考えています。 次に、部活動指導員制度についてです。 現在、15市町の中学校に89人、県立学校には10人の活動指導員を配置しています。 配置校では、顧問の教員一人当たりの指導時間がひと月に約13時間削減されるなど、負担軽減にもつながっています。 また、配置校の高校生へのアンケートによると、活動が楽しいと答えた生徒の割合が94%もあり、専門的な指導を受けたことも寄与したと考えられます。 指導員の派遣元を見ると、総合型クラブからは数人のみで極めて少ない状況にあり、学校のニーズに応じた指導者が地域に不在であることや、勤務時間との調整が困難などの理由から、人材の確保が課題となっています。 任用したときには、学校の方針や部活動ガイドラインにのっとった指導を求めるとともに、その後の集合研修では、効率的、効果的な指導法やハラスメント防止などの徹底を図っています。 総合型クラブへの全面的な移行に伴う課題については、来年度から調査、研究を進めていきますが、教員の負担軽減が求められる中、部活動への期待に応えるためにも、指導員の確保、指導力の向上に、引き続き努めていきます。 ○麻生栄作議長 成迫健児君。 ◆成迫健児議員 まず、フリースクールについてですが、フリースクールに通いたいけど、通えない大きな理由として経済的理由があります。文部科学省の調査によると、月間費の平均は3万3千円となっており、現場の話の中では、通っている生徒はひとり親家庭の子が比較的多いと聞いており、家庭によってはとても大きな負担となっています。 また、本日傍聴に、大分市の未来学園の学長でもあり、今度県南で初めて未来学園佐伯校を開校される松川先生がいらっしゃいますが、保護者負担の軽減や説明のために日常は学長としての役割を担い、夜はラーメン屋でアルバイトを行うといった、非常に過酷な生活を送られていました。全ては大分県の光り輝く子どもたちのために尽くしていることであり、県の支援をいただけることとなれば、学校運営費に係る部分で浮いた費用を保護者への負担軽減につなげることもできます。運営者側も生徒にかける時間に余裕ができ、より生徒たちの未来に対してのアプローチへのサポートができます。 以上のことを踏まえ、フリースクールの補助制度の方向性について、再度教育長のお考えを伺います。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 フリースクール、いろんな事情で、なかなか学校に通えないということで、保護者も苦労して子どもをそういうところに送っているということで、さきほど申したように、国においてどういう支援が可能なのか、いろいろ検討されています。 一律にやることが難しい中で、さきほど申したような企業型の補助金を使っていますが、国の方では特に交通費、また体験活動や実習等に要する実費、そういったものが今の研究段階では対象になるかという話もあります。どの程度のものになるか、引き続き我々もしっかり注視しながら、対応できるものかどうか考えていきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 成迫健児君。 ◆成迫健児議員 ありがとうございます。 国の動向という部分がありますが、今、不登校に陥っている子どもたちは、もう待ったなしの状態で、来年、再来年にこれが実現するという話にはなっていかないと私は考えているので、喫緊の課題として県の方からも取り組んでいただくよう、どうかよろしくお願いします。 今日は未来学園の生徒も議会に足を運んでくれました。皆さんはいろんな夢を持って日々の学業、または活動に取り組んでおられます。このフリースクールに対して、知事が期待する部分について話を伺えたらと思うので、よろしくお願いします。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 フリースクールについて、成迫議員からの御質問、特に不登校の問題は、ますます大きくなってきているような感じがします。 そういう中で、一生懸命子どもたちを支えてフリースクールをやっていただいている皆さんに対しては、心から敬意を表しますし、成迫議員のご心配のように、何とか持続的にやれるようなことを考えられないかということについて、さきほど教育長も答弁しましたが、いろいろと、できるだけ早く検討してみることになると思います。 ○麻生栄作議長 成迫健児君。 ◆成迫健児議員 前向きな言葉をいただいて本当にありがとうございます。 フリースクールの経営者は子どもたちと向き合う中で、非常に運営についての悩みが絶えない状況にあるので、県としても大きな課題として引き続き取り上げていただきたいと思います。 次に、部活動指導員制度についてです。 質問の中にも盛り込みましたが、やはり練習試合などの引率に係る交通費について、支給されていない問題がありました。 県内での部活動指導員の方も、当然生徒の大会であったり、コンテスト等、それに帯同されると思いますが、その中での旅費等については正常な取扱ができているかどうか伺います。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 御案内のとおり、部活動に当たる指導員については、顧問の先生もそうですが、部活動の手当が出ています。特に言われるのが土日の対外試合に行ったときに、旅費の支給ができないのかという議論があります。 他県の状況等を調べると、そういう形で旅費を出したときには、その日は出張命令となるので振替の休日をする。ただし、部活動手当は出ないということで、両方一緒にセットで出る状況にはしていないということで、どちらを取るかということですが、九州各県ではほとんどの県が休日の部活動手当の中で対応している状況になっています。 ○麻生栄作議長 成迫健児君。 ◆成迫健児議員 すみません、ちょっと私の質問の仕方が悪かったと思いますが、今、県で活躍されている部活動指導員の方たちも、大会等になると、一緒に帯同されたりすると思われますが、その際の旅費等について、どういった取扱になっているかを聞けたらと思います。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 すみません、ちょっとよく聞き取れなかったですが、部活動指導員が試合等に出たときに手当がどうなっているかというお話だと思います。部活動指導員は学校の職員ですので、移動することについては、当然、それに見合った交通費等は出ていく。その対外的なものが公式に認めたものであれば、そういう対応をします。 自由にいろんな活動をする中の一つとしてやられるときには、学校が認めた形になっていなければ出ないことになりますが、公式試合に出ていくとか、そういう状態のときには部活動指導員が当然帯同しなければいけないので、対応していきます。 ○麻生栄作議長 成迫健児君。 ◆成迫健児議員 すみませんでした。私の方がうまく理解できていませんでした。 この部活動指導員制度については、専門の指導者がいない現場にとっては大変ありがたい取組となっています。私自身のことに置き換えても、小中高全てのステージで優秀な指導者と出会えたことがオリンピックへの出場につながりました。 この部活動指導員から専門的な指導を受けることができたその先に全国、世界へ羽ばたいていける選手の育成につながったと言えるような高い意識で今後取り組んでいただければと思いますので、どうかよろしくお願いします。 では最後に、離島の振興についてです。 私の地元佐伯には離島がいくつかあります。離島は、自然や人情が豊かですばらしいところですが、他地域に先駆けて少子高齢化が進んでいます。 これまで離島は不利と言われていた医療や教育、仕事については、コロナ禍をきっかけにICTの活用などでその差を小さくできることが実感できました。 ただ、新型コロナウイルスの蔓延により、宮古島で自衛隊の派遣を要請するほどの事態となったことは記憶に新しいところであり、今後、遠隔診療などが進んだとしても、根本的に医療体制の脆弱な離島では、感染症の蔓延に対する不安は他地域以上に大きなものです。医療と並んで、災害に対する不安も根強いものがありますが、どちらも抜本的な対策は難しく、離島振興の足かせとなっているのではないかと思います。 さらに、島の振興を考えるには、島民自身が現状を直視し、望ましい将来像を共有し、その実現に取り組むことが必要ですが、高齢化の進む中、島民自身にリーダーシップを求めることは難しくなっています。 一方、離島には、離島ならではの魅力も数多くあり、その代表的なものが魚釣りやマリンスポーツなどに向いた土地柄であるという点であり、愛好家は全国に数多くいます。GoToトラベル等が解禁され、観光需要が増える時期に備え、ワーケーションといった新しい動きを取り入れることが必要となるのではないでしょうか。 こうした離島の強み生かしながら、地理的に不利な条件を克服し、離島の振興を図っていくため、県では平成25年に大分県離島振興計画を策定されています。まずは、この離島振興計画の進捗状況についてお聞かせください。 また、新型コロナウイルスにより社会変容が起きており、今後は離島振興計画を柔軟に見直しながら取り組む必要があるかと思います。計画の見直しも含め、今後この計画に基づき、どのように振興していくのか、あわせて聞かせてください。 また、離島振興計画では、大入島への架橋について、将来に向けて検討するとされています。実現のためのハードルは非常に高いと考えますが、架橋整備に向けた検討状況についてお聞かせください。 ○麻生栄作議長 高屋企画振興部長。 ◎高屋博企画振興部長 離島振興計画についてお答えします。 県では離島振興計画を策定し、住民が安心と生きがいを感じながら住み続けられる島づくりを地元自治体とともに進めています。 具体的には、姫島村ではITアイランド構想を推進するため、国の離島活性化交付金を活用してモニターツアーや親子のプログラミング教室を行い、IT企業や人材の誘致に取り組んでいます。 また、屋形島と深島では、国の過疎地域等自立活性化推進交付金を活用し、ゲストハウスや味噌づくりの体験施設を整備し、来訪者と島民が交流を深めています。 大入島では、県の総合補助金等により、オルレコースの整備やプロモーション、ブランドの真牡蠣である大入島オイスターの新たな養殖方法の導入等を支援しました。 感染症拡大や災害による離島航路の運休リスクを回避するため、保戸島では昨年10月から遠隔診療の運用が始まっています。 さらに、離島特有の地理的条件を克服する手段として、無垢島と大島ではドローンによる医薬品等配送の実証実験を開始したところです。 今後もワーケーション等の新たな動きを積極的に取り入れるなど、臨機に対策を講じて、次期計画に反映させています。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 私からは大入島の架橋についてお答えします。 大入島架橋については、大入島架橋促進期成会の皆様から、長年御要望をいただいており、島内の生活環境の改善、あるいは元気のある地域づくりを目指す地元の方々にとって切実な願いであると認識しています。 県では、平成6年度から11年度にかけて、佐伯市と協力しながら、架橋のルートや構造、投資効果などの調査を行っており、当時でも架橋には約120億円の事業費が必要になることが見込まれていました。 道路整備は限られた予算を活用し、効率的に進める必要があることから、多額の事業費を要する大入島架橋の事業化は、現時点でも非常に厳しい状況です。 一方、佐伯市は平成11年2月に、大入島開発計画を策定し、特産品の開発など、大入島振興に取り組んできましたが、その計画も平成26年度に終了したと伺っています。このようなことから、近年、県では具体的な調査などは行っていません。 大入島架橋については、今後の大入島振興の状況を見ながら、将来に向け、検討していくものと考えています。 ○麻生栄作議長 成迫健児君。 ◆成迫健児議員 離島振興についても、大分県のいわゆる離島についての振興に力を入れられているという回答をいただきました。 昨年の11月に、地元の佐伯市の蒲江の海に浮かぶ深島に、麻生議長、御手洗県議、清田県議、そして私と一緒に視察に行ってきました。 その中でいろんな要望を聞いてきたのですが、その中の一つとして、今は使われていない教職員住宅を観光客への宿泊施設にできないかという要望もいただきました。 その時には県の執行部の方も来られていたので、このことについては、またしっかり議論させていただければと思いますが、非常に島の方たちはエネルギッシュで、この島に人を呼び込みたいという熱い気持ちでおられるので、引き続き、県からの支援をいただけたらうまくいくと思うので、どうかよろしくお願いします。 大入島架橋についてですが、これは非常に難しい問題として私も捉えています。ただ、先ほど部長からもあったように、大入島の新栄丸のアイランドオイスター、全国的にも非常に人気が出ており、このコロナ禍でもほとんど打撃がなかったと聞いています。 こういった食への海産物の勢いと、あと先日、東海大学の駅伝部、過去に箱根駅伝で優勝し、その次の年に佐伯に来てくれて合宿をしていただいて、陸上教室等もしていただきましたが、先日来られて、大入島のコースをトレーニングで走っていただきました。 島の方たちも出てきていただき、頑張れと熱い応援をいただき、選手たちもその応援が非常に力になったと、また海が広がった、非常に爽快感のあるコースになるので、また走りたいという意見も聞きました。合宿の拠点として、大入島が一つまた可能性が出てきたのかなと考えています。 当然、架橋を達成するためには、いろんな機運を高めなければいけないことは私も重々承知です。島の方たちと力を合わせて、橋ができないと追いつかないと思われるぐらいの勢いをつけていきたいと思いますので、よろしくお願いします。(拍手) ○麻生栄作議長 以上で成迫健児君の質問及び答弁は終わりました。 今吉次郎君。  〔今吉議員登壇〕(拍手) ◆今吉次郎議員 4番自由民主党の今吉次郎です。今回、質問の機会をいただき、我が会派に感謝します。 最近はコロナで大変です。自然災害も予測ができず、本当に将来が不安ですが、この危機を乗り越えるために、知事や県職員の方々と連携して頑張りたいと思います。よろしくお願いします。 また、このような時代ですから、知事や県職員の方々の大分県版の方針を前面に出して、クリエイティブな、常識にとらわれない発想で乗り切ってほしいと思います。 では、質問に移ります。 最初は、地方創生についてです。 人口ビジョンですが、地方創生をなし遂げるには様々な解決すべき課題があります。本県も魅力発信、企業誘致、農林水産物のブランド化、移住・定住の促進と多くの政策を掲げて活動しています。その中で、私は人口減少時代における過疎対策に注目し、質問したいと思います。 昨年3月に改訂された大分県人口ビジョンでは、このまま何もしなければ2100年には45万8千人と人口減少がさらに進行するという推計となっており、県民の結婚、妊娠・出産、子育ての希望の実現など自然増を図り、あわせて若者の流入・定着など社会増を促進することで、2100年でも90万から100万人の人口維持を目指すとされています。 こうした中、先月公表された大分県の人口推計報告では、令和2年10月1日の人口は112万4,983人で、前年に比べ9,448人の減少となりました。 また、コロナ禍による雇用情勢や出産環境の悪化は出生数にも影響を及ぼしています。昨年5月から10月に全国の自治体が受理した妊娠届の件数が、前年同期に比べ8.9%減少しているとの報道があったほか、日本産科婦人科学会のアンケートでも、昨年10月から本年3月の出産予約数が前年同時期に比べて減少しているとの結果をまとめており、本年の出生数が減少する見通しです。 一方、今般の感染者が都市部を中心に拡大したこともあり、東京圏での人口集中リスクが改めて浮き彫りになりました。地方への移住や就業に対しての国民の関心が高まりを見せており、東京都でも昨年7月から1月にかけて7か月連続の転出超過となるなど、人々の行動変容が数字となって表れています。 このように人口ビジョン策定時とは状況が一変した中、昨年の実績をどのように分析し、人口ビジョンの達成に向けていかに取り組んでいくのか、知事のお考えを聞かせてください。 あとは対面席で伺います。  〔今吉議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○麻生栄作議長 ただいまの今吉次郎君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 今吉次郎議員から人口ビジョンについて御質問をいただきました。 本県では、今世紀末に90万人から100万人の維持を目指す人口ビジョンを策定し、市町村と一体となって地方創生に取り組んでいます。 昨年10月1日の本県人口は112万4,983人で、目標を1,237人下回りました。自然増減では、出生数が前年から176人減少しました。社会増減では、日本人は転出超過数が前年比891人改善した一方で、新型コロナで入国制限を受けた外国人が1,424人の転入超過から449人の転出超過へと反転しました。こうしたことが目標を下回った主な要因だと分析しています。 これが昨年の分析ですが、本年の見通しはどうかというと、これも厳しいものがあります。新型コロナの感染拡大が出生数など人口動態にも影響を及ぼしつつあります。国の調査によると、昨年4月から10月までの本県の妊娠届は前年比5.3%の減となり、本年の出生数は大幅な減少が見込まれます。今後はこうした変化を捉えて、ポストコロナを見据えた効果的な対策を講じていかなければなりません。 まずは、出生数の減少に歯止めをかけることです。出会いサポートセンターでのオンラインお見合いの開催や、特定不妊治療のさらなる助成拡充など、引き続き出会いから結婚、妊娠、出産、育児まで切れ目ない支援をしていきたいと思います。 加えて、若い世代の方には結婚や出産についてもっと広く、人生や仕事にどう向き合い、どう自己実現をするかを問いかけて、その中で、結婚や出産を位置づけて前向きに考えてもらうことも大事だと思っています。そのため、ライフデザインを考えるための高校生向けの副教材や新成人向けの冊子を作成など、段階に応じた意識啓発を促進します。 次に、社会増減の均衡です。 都市部におけるコロナの感染拡大を通じ、地方への関心が高まっています。本県への移住者は2月末時点で1,085人と過去最多のペースで推移しています。 このような流れを確かなものにするため、県外の移住希望者を対象にIT技術の習得に向けた実践的な講座を実施し、IT分野への就職、転職による移住を促進します。 また、昨年、福岡中心部に開設し、若者に大変好評をいただいているdot.(ドット)を活用し、県内企業と学生等との多様な接点づくりにも新たに取り組みます。 さらに、在宅勤務等の新しい働き方に対応した企業誘致を推進するため、サテライトオフィスの整備やリモートワークを推進する事業者の支援にも取り組みます。 自然増減、社会増減に様々な政策を講じて、何とか人口ビジョンの実現に向けて力を尽くしていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 今吉次郎君。 ◆今吉次郎議員 どうもありがとうございました。時代がどんどん変化しますので、少しでも若者の意識向上のために頑張ってください。 知事が出生数を上げろ上げろと言うので、私も成迫議員に負けないように子作りを頑張っていますので、またそのときはよろしくお願いします。 では次は、地方創生に向けた市町村との連携についてお聞きしたいと思います。 国では令和2年12月に、第2期まち・ひと・しごと創生総合戦略が改訂され、地方とのつながりを築き、地方への新しい人の流れをつくる取組として、関係人口の創出、拡大が掲げられました。県でも地方創生の実現に向け、目標は高く、多くの政策を実施しています。いくつかは改善されて効果も出てきていますが、一朝一夕に地方創生を実現するにはなかなか難しいのも現実です。 自治体間競争が激化する中、今一度原点に返って、県民に大分の魅力や大分らしさを再認識してもらい、大分に住んでいることを誇りに、これからも住み続けたいと思える大分県の実現に注力すべきであると思います。その取組こそが国内外への大分の魅力発信につながり、関係人口の増加拡大に結び付くと考えています。 前回の一般質問に対する答弁でも、関係人口の創出、拡大は地域課題の解決や有効な取組であるとの共通認識を得ました。県としても、様々な機会の創出や充実した仕組みづくりに取り組むということでしたが、そこで再度質問します。 県政は、全ての県民の皆様に関わることであり、多くの県民の声に耳を傾け、対話を重ねることが大事です。それを率先垂範されている広瀬知事のふれあいトークの活動には大変感謝をしています。 一方で、日々現場で多くの県民と接触している基礎自治体である各市町村とも課題認識を共有し、連携、協力関係をもっと密にしながら、共通の目標に向かって取り組んでいく必要があると思います。特に関係人口の創出、拡大には、県の面的な取組と各市町村のスポット的な活動との連携が不可欠です。関係人口の創出、拡大こそが地方創生の実現への近道だと私は認識をします。そのために、移住促進など関係人口創出、拡大の中核となる企画振興部や振興局、市町村が地方創生について協議する場が必要ではないでしょうか。企画振興部長のお考えを伺います。 ○麻生栄作議長 高屋企画振興部長。 ◎高屋博企画振興部長 地方創生に向けた市町村との連携についてお答えします。 関係人口の創出、拡大は、地域課題の解決や将来の移住者確保の観点から有効な取組であり、県の第2期総合戦略にも盛り込んだところです。 人口減少対策など地方創生について協議する場としては、知事を本部長として市町村長や県の振興局長、部局長で構成するまち・ひと・しごと創生本部の会議があります。 また、振興局においては、管内の市町村や商工団体、観光関係者等を交えた地域別部会を開催しており、地域経済の活性化や移住定住策など、より地域に密着したテーマを協議しています。 例えば、中津市が行ったパウダールームなど女性が働きやすい環境整備を行う企業への助成政策だとか、テレワークの推進など中津市独自の政策についても、他の市町村とも情報共有を図ることができたところです。 今後もこれらの場を活用し、より活発な議論を重ねていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 今吉次郎君。 ◆今吉次郎議員 ありがとうございました。 私も市の職員と話をしますが、やはりもっと連携をしたいという方も多いので、ぜひとも頑張ってほしいと思います。 これは要望ですが、例えば、私の地元の中津において、本庁の方と政策協議の場が確保されているのであれば、ぜひ我々議員にも参加させていただきたいと思います。一緒に勉強し、ぜひ関係人口の創出、拡大につなげたいと思いますので、よろしくお願いします。 では、移住者の統計について質問します。 地方創生関係人口の創出、拡大の基礎となる統計数値について少し質問したいと思います。 いなか暮らしの本2月号、2021年版住みたい田舎ベストランキングで、豊後高田市が4部門で第1位を独占したという記事を見ました。その中で、2019年度は139世帯300人が市内移住、2020年度は4月から12月で293人126世帯という数字も載っていました。ところが、大分県が出した統計によると、豊後高田市は2019年度は移住者数が71世帯155人、2020年度は64世帯165人となっています。以前より、市町村の移住に関する統計については、市町村毎で少しそごがあるように感じてました。 この点について、県として統一的な基準を示し、見直しを求めてはいかがでしょうか。そういう統計の数字が違うことについて、よろしくお願いします。 ○麻生栄作議長 高屋企画振興部長。 ◎高屋博企画振興部長 市町村が公表する場合は、県内の市町村からの移住者数に含めます。そのため、県が把握する移住者数は、本県の社会増減を把握するためのものです。大分県外から大分県に入った人を報告してくださいとなっているので、市町村の数字より県が少なくなることになります。 ○麻生栄作議長 今吉次郎君。 ◆今吉次郎議員 では、その市町村の部分は県内からも移住するということ、お互い市町村同士が競争するということですね。 では、県の、県外からの移住者数の市町村別集計によると、2017年度は日田市が243世帯389人、2018年度も日田市で293人179世帯と日田市が一番ですね。では、具体的に日田市が頑張って移住促進事業を行っているのであれば、その事例を横展開し、各市町村でも実施してどうかと思いますが、そういう指導は県としては他の市町村にしないんでしょうか。 ○麻生栄作議長 高屋企画振興部長。 ◎高屋博企画振興部長 日田市や豊後高田市など移住者が多いところを見ると、市単独で頑張っているのではなくて、NPO法人だとか団体とかが頑張っています。 例えば、日田市ではNPO法人リエラがあり、過去、北部災害を支援した大分大学の学生がそのままNPOをつくって日田市が支援していることだとか、日田高校のOB会があり、そのOBがUターンを図ろうという形でやっているので、市によって、例えば、日田市はそういう面でUターンを大事にしているという形で、市内の分析がよくできていると思います。 だから、日田市の事例も会議で共有していますが、やはり市民性があると思いますので、Iターンがいいのか、Jターンがいいのかは、市町市町で独自性を出していくべきと思いますが、日田市の優良事例はちゃんと紹介しています。 ○麻生栄作議長 今吉次郎君。 ◆今吉次郎議員 成功事例として、もっと他の市町村にぜひそれを連絡して、やっぱり負けないように頑張るように指導をよろしくお願いします。 では、次の質問です。 県はこれまでも移住促進の策として、セミナーなどを東京でいろいろやっているのは承知しています。一方で、その事業効果の検証が不十分ではないかと思っています。事業を受けて実際どのくらいの移住効果が出たかという分析を、市町村と具体的にその数を調べる必要があると思います。全体としての統計を結果で見るのではなく、やっぱり事業の直接効果として数字も必要だと。具体的に移住のセミナーをしたときに実際どのくらい来たかということを、市町村と連携して確認したほうがいいと思います。 ○麻生栄作議長 高屋企画振興部長。 ◎高屋博企画振興部長 私も議員と同じ考えであり、セミナーやイベントなどを行った際は、必ずアンケート調査をやるようにしています。そこから次の政策の種が見つかりますので。難しいのは、移住政策は一つの単独の施策ではなくて、二つ三つセミナーをやったと、補助金をもらったと、二つ三つを使っています。複数の回答になりますから、どれがどうという分析は難しいんですが、そこら辺は引き続き分析を重ねていって、一つ一つの事業の効果性はちゃんと把握しながら移住の増につなげていきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 今吉次郎君。 ◆今吉次郎議員 では、ぜひともそれが前向きにいけるようにまた頑張ってください。 県政の方も、副知事の黒田さんをはじめ、東京から大分に来て頑張っていますし、そういう東京から来ている方も中には大分に住みたいという方もいるらしいんですよ。ぜひとも説得して、帰るときは単身で帰るようによろしくお願いします。 では次に、農業振興の未来像について伺います。 昨日の二ノ宮議員の質問で、知事の農業に対する強い思いを感じました。知事の議案の提案理由でも説明がありましたが、大分県のネギの出荷額は九州でも1番とのことです。そういう事例もある本県の農業ですが、2月18日の我が会派の農林中金総合研究所との勉強会では、本県の農業経営体の減少率が2015年比で九州で一番減っています。農業従事者の年齢も、65歳以上、75歳以上の割合も九州で最高です。農業経営体でデータを活用した農業を行っている割合も12.3%で九州でも最も低い値になっていることが示されました。 また、九州各県の平成20年から30年の10年間の比較で、農業産出額における品目別の増減額の合計でも80億円の減少と九州でも一番低く、大変厳しい数字も出ていました。 まとめとして、大分県の農業関連データからは、九州他県に比べ相対的に不利な状況下にあり、農産品の産地振興においては、新たな技術、品目の導入や品質向上などの不断の取組が必要で、その際には生産者支援のためにもJA及びJAグループ、行政、普及センター、試験研究機関等の関係する諸団体との連携支援が必要などと指摘されました。 そこで、県の農業振興等についていくつか質問します。 水田の畑地化ですが、我が国では食の多様化により消費者の米離れが進んでいます。1人当たりの米の消費量は、ピークの昭和37年の年間118キロから、平成30年にはおよそ半分の53.5キログラムまで減少しています。さらに、国内人口の減少もあいまって、主食用米の全国ベースの需要量は一貫して減少傾向で、年10万トン程度に減少幅も拡大しています。 このような状況の中、昨年の本県の米の作況指数は77で、平成5年度以来の不作となりました。これは、トビイロウンカの発生や夏の高温など様々な要因によるものと言われます。 このように米生産を取り巻く状況は厳しく、特に米生産への依存度が高い本県は、もうかる農業を実現するため抜本的な対策が喫緊の課題と言えます。 このため県では、米の生産から高収益な園芸品目への転換を進めていますが、これまで以上にスピードを上げていく必要が高まっています。 水田の畑地化については様々な課題もあります。 まずは、生産者の負担です。これまで米生産を中心に行ってきた農家が不慣れな園芸品目を栽培する上での生産技術の習得、あるいは機械、設備などの初期投資による負債の増は、高齢化が進む農家にとって非常に大きなリスクになります。加えて、年々農家が減少する状況から新たな担い手の確保も必要です。 次に、土地の確保です。水田を園芸品目へ転換するためには所有者の同意がいるので、所有者の畑地化への理解が前提になります。 さらに、転換後の園芸作物の販路を確実に確保していく必要があります。 このように園芸作物への転換には多くの関係者の同意と調整が必要であり、とてもすぐに進められるものではありません。生産者と農協、行政などが連携し、しっかりとした計画的な取組が必要になると思います。そこで、今後、水田の畑地化をどのように進めていくのか、知事の考えを伺います。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 水田の畑地化について御質問をいただきました。 農業をもうかる産業として発展させていくためには、米への依存度が高い大分県において、畑地化による高収益な園芸品目への転換が急務です。しかしながら、今年度までの4年間の実績は、令和10年度目標の2千ヘクタールに対し、わずか350ヘクタールにすぎず、生産転換を加速していかなければなりません。 そのため、まずは核となる園芸団地づくり計画の進捗管理をしっかり行っていきます。各地区では、転換後の作付品目や担い手確保、販売対策、農地集積などについて、市町や農業委員会、農協、農業者などの関係者が話し合って、現在78地区で計画が策定されています。 このうち、国東市池ノ内地区のこねぎ団地や、日田市入江地区の梨団地などでは既に園芸品目の栽培が始まっています。さらに、今後も毎年30地区の新たな計画策定を支援し、水田畑地化を加速させていきたいと思っています。 次に、農地と担い手の確保です。 農地については、提供者に協力金を交付し、担い手への農地集積を進めるとともに、平たんで作業性のよい優良な畑地づくりに向けて、排水対策や土壌改良等の基盤整備を強化します。 また、担い手確保については、若者を農村に呼び込むために、新規就農者の確保に加え、新たに農家子弟による親元就農への支援を強化します。 そして、園芸品目導入の際に新たに生ずる負担を軽減するために、大規模に転換する農家に対し、肥料代などの生産費を支援するとともに、全農などによる貸出用農業機械の充実を図っていきます。 さらに、稲作農家が不慣れな園芸品目に取り組む場合の技術支援として、ベテラン農業者の技術を習得する研修制度を設けます。 こうした取組を進めるにあたり、営農指導をしっかり行っていく必要がありますが、これについては本来は農協の業務であることから、その役割を早期に発揮するようにぜひ指導していきたいと思っています。 県においても、来年度、農協や市町等と連携した園芸産地づくりの取組強化を図るため、振興局の組織体制を見直しています。生産者、行政、関係団体、とにかく役割をしっかり果たしてもらって、農業の構造改革を一日も早く実現していくことは大変大事な時期に来ていると思っています。 ○麻生栄作議長 今吉次郎君。 ◆今吉次郎議員 知事の今のお話で、目標はすごく高いんですが、2千ヘクタールが356しかできないとか、大変ハードルは高いんですよね。営農なども、農協という話もありましたが、実は農業普及員について伺います。 各振興局には生産流通部と農山漁村振興部があり、それぞれ農業普及指導員がいます。普及指導員は、農林水産省令で定められた普及指導員資格試験に合格した者で、農業改良助長法により、農業への巡回指導、相談、講習会の開催など直接農業者に接して農業生産方式の合理化や農業経営の改善、技術、知識の普及などを行っています。 本県でも、農業者のよき相談相手として、農業の振興に果たしてきた役割は大きなものだと理解しています。農業者からも、気候変動や豪雨災害のような様々な変化を受ける農業分野において、相談相手である普及指導員の存在は大変重要だと聞いています。しかし、日頃からもっと広範囲に、そして頻繁に農業者と接点を持って活動して、農業の発展に大きく寄与していただくために、もっと定数を増やして活動してほしいと考えています。今後の普及指導員の充実について、農林水産部長の御見解をお願いします。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 農業普及指導員の充実についてお答えします。 農業者への生産技術指導や経営相談については、農業産出額の多い他県においては、生産者に身近な農協が本来の役割として担っていると思っています。県農協に対し、産出額を引き上げるためにもそうした役割をしっかりと担うように、業務改善の一環として指導していきたいと思っています。 その上で、県の普及指導員の充実についてでです。 県では、現在196人の農業普及指導員を配置しています。その人数は、平成18年に振興局の再編当時181人から194人に増員して以来、200人を維持し、現在の体制となっています。 そういった状況の中にはありますが、次年度からは、さらに地域に密着し、市町村等の関係機関との連携を強化して普及指導活動に取り組むために、振興局の組織改正を行っています。 具体的には、これまで生産流通部の園芸担当は戦略品目を中心とする部門・品目担当制となっていましたが、今回からは地域担当制ということで、市町村のエリアを担当するような園芸班に再編したいと思っています。これにより各地域の農業者と接する機会を増やすとともに、各市町村が策定する園芸団地づくり計画の取組支援を強化し、水田畑地化をさらに強化します。 今後とも、重要な部門への人の重点配置とともに、先進技術、あるいは最新の情報に関する知識の習得などを進め、普及指導員のさらなる資質向上を図り、普及指導活動の充実を図っていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 今吉次郎君。 ◆今吉次郎議員 ありがとうございました。ぜひとも地域担当という形の方向で、もっと密に頑張るようにお願いします。 では、農業研究機関の充実についてでです。 先般、地元中津の農業者と意見交換をさせていただきました。皆さんの意見の中で畑地化について考えさせられるところがありました。やはりそれぞれの地域に適正があり、推進したい園芸品目に合わせた土壌や風土を考えながらの作付けが必要になるということでした。こういうときに役立つのが農業研究機関であると思います。県内では、林業、水産も含め研究機関として4研究部、5グループで構成する研究指導センターが県内10か所に設置されています。特に農業分野では、最近の園芸品目のブランド化や県の気候風土に合った品種の改良等を目指し、様々な活動をしていると思います。 さきほどの質問でも申し上げたように、畑への転換等も力を入れなければなりません。それぞれの地域の気候などの特色を考え、土壌の改良や種子の開発等を行い、今あるものをただ植えてもらうのではなく、地域に合った形に改良して提供していくことが畑地化推進に向けた取組を後押しするのではないかと思います。農業研究機関の現場と政策に合った品種改良などの取組について、農林水産部長のお考えをお願いします。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 農業研究機関の充実ということでお答えします。 水田畑地化による園芸品目の導入にあたっては、まず、地域の気候等に適しているか、次に、生産技術が確立されて集出荷体制が整っているか、さらには、販路が確保できているかといった観点から関係機関と協議し、品目の選定を行っています。 農林水産研究指導センターでは、各地域での導入品目を検討する際に、品目の組合せであったり、作付けの規模、それに応じた収益性や必要な労働力を試算できるシステムを、今、開発してるところです。また、振興局と連携し、園芸品目を導入する予定の各地の水田の現地調査を行い、それぞれの圃場に応じた排水対策であったり土壌改良方法を指導するなど、水田畑地化に向けた取組を行っています。 また、品種の開発や改良には長い年月を要します。既存の品種の中から地域の気候条件や栽培時期、マーケットニーズに合った品種を選定する試験を生産者の圃場で実施しています。今後も地域に合った品種の選定や栽培技術の改善に取り組み、水田畑地化を推進していきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 今吉次郎君。 ◆今吉次郎議員 ありがとうございました。 さきほど言った農林中金の総合研究所でも、なかなか大分県はハードルが高いと。私もこの前、日田中津道路の開通式に行き、ある人が、知事ではないと思うんですが、大分県はトンネルの数が一番多いとうれしそうに言っていましたが、よく考えたら、トンネルが多いということは、昨日の二ノ宮議員の質問でも中山間地がいかに多いかということだと思います。 だから、これから知事もトンネルの数が一番多いと言うときは大変そうな顔をして話してください。大変な地区だということを自覚してほしいと思います。よろしくお願いします。 では次に、JR駅舎の有効利用についてです。 JR九州が業務効率化などを理由に駅の無人化を進めています。報道によると、全国の駅でも半分近くは無人駅だそうで、昨年の12月議会でも公明党の河野議員がこの問題について質問していたように、訴訟も提起され、障がい者の方にとっても何かよい解決策はないか、JR九州も考えているところだと思います。利用者側にも、JR九州側にも、お互いにとってよい方向に進んでいけるように解決策が出ればよいと考えています。 その中で、私見を交えてJRの駅舎の有効利用について質問します。 JRの駅舎は、地域や場所によってそれなりの規模もあり、観光協会などの事務所やコンビニエンスストアが入居して有効利用されてきているようです。そうした入居団体が駅利用者の乗り降りに対して共同して手助けができればよいのではと考えます。当然、駅のバリアフリー化やスロープ等環境整備も必要だと思います。ただ、ハード面だけではなく、ソフト面も含めた対応がこの問題解決の核になる部分であると考えます。国土交通省も検討会等を設置していますが、問題解決に向けて、市、県、国を挙げての協力体制が必要です。 私の地元の中津の今津駅は無人駅ではありませんが、中津市地域振興課が人員を派遣して駅での業務を請け負っています。また、今津駅の駅舎を借りて、地元の社会福祉法人いずみの園が今津サポートセンターとして現在運営もしています。今津駅では、障がい者等の乗降はあまりないそうですが、高齢の方が重い荷物を持っていると、中津市から派遣された職員が階段を上がっていくのを手伝っているそうです。 一方で、社会福祉法人の職員の皆さんとお話ししたところ、当然お手伝いできることがあれば協力したいとのお返事をいただきました。駅という地域資源を活用した取組が県内でもできるのではないかと思います。福祉的な意味合いだけでなく、県内でも幸崎駅、上臼杵駅、日田駅、豊後清川駅、豊後荻駅などでは市も関わって駅舎を活用しています。駅の乗降の介助を含め、JR駅舎を有効利用して地域内での活用につながる取組を、県、市町村、JRが連携してほしいと思いますが、御見解を伺います。 ○麻生栄作議長 高屋企画振興部長。 ◎高屋博企画振興部長 JR駅舎の有効利用についてお答えします。 鉄道駅については、障がい者や高齢者の方々を含め、全ての人が不自由なく利用できる環境を整えることが重要であることから、現在、国において、無人駅に関するガイドラインの策定が進められています。 駅での乗降介助等にあたっては、まずはこのガイドラインを踏まえ、バリアフリー化の推進とあわせて関係者で議論していくことが重要です。 また、本県にはJRの社員が配置されていない駅が57ありますが、このうち12の駅においては、観光関係団体や商店等が入居し、駅舎が有効利用されていると承知しています。 例えば、臼杵市の下ノ江駅では、市と地元地域振興協議会が連携して駅舎を改修し、地域の困り事の相談所や立ち飲み食堂として活用されています。 また、豊後大野市の朝地駅でも地元の観光協会が入所し、観光や九州オルレの案内を行うなど、地域の取組に有効利用されています。県としても、こうした取組に対しては総合補助金等で必要な支援を実施しています。 いずれにしても、駅での乗降介助や駅舎の有効利用は地域での議論や要望が出発点となります。そこで市町や地域振興団体と議論していくことが重要と考えています。 ○麻生栄作議長 今吉次郎君。 ◆今吉次郎議員 ありがとうございました。駅舎利用に市町村と県も連携して、県の補助もしてほしいと思いますので、よろしくお願いします。 では、学校での防災対策についてお願いします。 学校施設は子どもたちが一日の大半を過ごし、災害時は地域の避難所を兼ねることから、災害機能の強化を図ることが大事だと思います。国の防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策でも、予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた老朽化対策の中で、公立小中学校施設の老朽化対策が含まれています。 東日本大震災では、防災拠点としての学校施設の重要性が改めて見直されました。学校施設は老朽化もあり、改修等も大きな課題ですが、地域の住民のために学校施設を災害に強いものにする必要があると思います。 例えば、自然災害によって電気、ガス、水道といったライフラインが損壊した際、代替エネルギーシステムの活用を含め、自家発電設備の整備を図り、十分な期間の発電が可能となるように備えることが重要です。 また、災害時の通信手段の確保も必要です。学校施設の通信施設の整備は、校内の教室での整備が主体ですが、避難所施設の防災機能を強化する観点からも検討の必要性があると考えます。 以上の点を踏まえ、学校の防災機能を強化するべきと考えますが、教育長の見解をお願いします。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 学校での防災対策についてお答えします。 国は、激甚化・頻発化する風水害の対策として、公立小中学校の防災機能の強化などを求めており、重点的に取り組むことが必要です。 昨年度の国の調査では、避難所に指定をされている公立小中学校319校のうち、非常用発電設備を有する学校は54校16.9%、非常用の通信設備を有するのは232校72.7%となっています。 また、避難所に指定されている県立学校24校では、非常用発電設備は12校50%、非常用通信設備は20校83.3%に設置されています。 また、近年の異常気象による夏場の熱中症も増加傾向にあって、体育の授業等に制約が発生をする中、指標として暑さ指数(WBGT)が環境省から示されました。避難所の機能強化にもつながる換気・冷房の必要性も高まっています。 このような状況を踏まえて、特に体育館の機能強化、設備の整備について、国の調査も始まったところであり、県としても調査、研究していきたいと考えています。 また、避難所となる小中学校の防災対策については、防災当局と緊密な連携を図るように市町村教育委員会にも求めていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 今吉次郎君。 ◆今吉次郎議員 ありがとうございました。 今の答弁で、自家発電設備が319校の中で54校が入っているんですね。ところが、中津市ではまだ0なんですよ。そういうことを市町村にももっと県として伝えてほしいと思います。よろしくお願いします。 では、留学生の県内就職や起業支援についてです。 本年1月29日に大分労働局が発表した昨年の10月末日現在の県内の外国人労働者は7,591人であり、前年同期比3%の増加となっています。コロナ禍で国外との往来が制限されていることから考えると、県内での外国人労働者の需要がいまだに高いことが分かります。 その中で、外国人労働者の大半は技能実習生やアルバイトなどの留学生あり、数年たてば帰国等で県内から転出します。知事は従前から、外国人労働者に選んでもらえる大分県になる必要があると述べています。この考えを実現するためには、労働環境や生活環境の整備などが必要です。 また、本県は人口10万人当たりの留学生数が361人と、京都、東京に次いで全国で3位になっています。昨年の新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言により、留学生もアルバイト収入が激減するなど経済的な影響を受けましたが、国や県等の支援により状況は落ち着きつつあると聞いています。 この中で、一時帰国したまま、海外でオンライン講義を受けている学生もいらっしゃるようですが、昨年10月からの入国規制の緩和に伴い順次戻ってきており、県内の大学で学んでいます。 世界的に感染が広がる中において、大分県に学びに来るチャレンジ精神にあふれた留学生の県内就職や起業を推進することは、地域経済の活性化にとって非常に重要であると思います。 県では、おおいた留学生ビジネスセンターで県内就職や起業に関する様々な支援を行っていますが、これまで留学生を積極的に採用してきた県内企業もコロナ禍で大きな影響を受けており、就職が厳しくなっていると聞いています。 そこで伺います。このような状況の中、留学生の県内就職や起業の支援について今後どのように取り組んでいくのかお聞かせください。 ○麻生栄作議長 高屋企画振興部長。 ◎高屋博企画振興部長 留学生の県内就職や起業支援についてお答えします。 県では、留学生ビジネスセンターを核に県内での就職と起業を支援しています。平成27年度の32件から令和元年度は52件と、コロナ以前は順調に増加していました。 今年度は対面での合同企業説明会やオンラインでの説明会等、マッチングの機会を増加させましたが、残念ながらコロナ禍で現段階では内定率が低い状況となっています。 一方、起業は、厳しい経済環境の中でも今年度は5件と例年以上に活発でした。母国とのネットワークを活用した貿易や語学力を活かした教育など、県内産業に新しい風を吹き込む事業も誕生しています。チャレンジ精神旺盛な留学生の力は、コロナ禍の県経済の活性化に極めて重要と改めて認識をしたところです。 そこで、県内企業への就職等を選択肢として認識してもらうためにも、県内就職、起業を条件に償還を免除する新たな奨学金を創設し、留学生の県内定着を一層促進したいと考えています。 あわせて、採用後の即戦力となるように、留学生の日本語能力向上支援や、採用の受皿づくりとして、就職者数の多い宿泊業に加え、貿易業、IT産業の企業開拓にも取り組んでいきます。 人口減少が見込まれる中ですが、経済活性化を図り、競争力を高めるためにも、大学や関係機関と連携し、取組を加速させていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 今吉次郎君。 ◆今吉次郎議員 ありがとうございました。働き手が少なくなって、やっぱり共生社会ですから、こういうような外国人の方も当然受入をせざるを得ないと思います。特に大分県は留学生も全国で3位ですので、ぜひともよろしくお願いします。 ただ、これは要望になりますが、当然、留学生は、今、部長の話だと、日本語の教育とかもよくやるということですが、技能実習生、こういう方についてもお願いしたいなと。 というのは、この前、県の国際政策課主催で、おおいた国際交流プラザの協力で、先般、宇佐市で行われた県北地区の日本語おしゃべり会がありました。私もそれに参加しましたが、在留外国人の方々が日本語でいろいろな思いを発表していました。それを聞いて、やっぱり日本語を覚えてしゃべるようになると、何かかわいいような感じもしますね。地元の方々との触れ合いも広がり、やっぱり楽しくなるそうです。 そういう外国人の養成や県内の定着には日本語教育が不可欠で、一昨年、日本語教育推進法が施行され、県における日本語の推進が責務とされました。実際、各地区、中津、宇佐も県北ですが、県内あると思いますが、日本語の研修講座を実際に実施されていると思いますが、まだ生徒の数が少ないらしいんですね。技能実習生など、外国人労働者を対象に、もっと日本語教育に県としても力を入れてほしいと思います。なぜかと言ったら、日本語を覚えると近所の人と話をするようになります。 私も、実は不動産業をしているのは知っていますかね。知らないでしょう。インド人をこの前、世話しました。そのときに僕が思ったのは、やっぱりぽつんと住まれても寂しいと思って、自治会長に案内して、そこの町内会に年会費を払って入らせました。そして、班の家を1軒ずつ連れて回り、そして、インド人を住まわせました。いまだにうまく回っています。 だから、そういう連携ができるような、コミュニケーションが取れるようなことを極力してあげるためには、外国人の実習生、技能実習生などは日本語を別に教育してあげて、発表の場があるとやっぱり頑張るそうです。要望ですが、ぜひともお願いしたいと思います。 では、最後の県立工科短期大学の宇宙産業人材の育成についてでです。 知事の大きな功績の一つであると思いますが、大分空港がアジア初の水平型宇宙港に選ばれました。今議会でもいろいろとこの宇宙港についての質問が出ていますが、知事の、大分県はこういう企業、団体と協力して、これから夢多い宇宙開発の一翼を担っていきます。そんな中で、宇宙関連産業が立地したり、県内企業が自ら宇宙に挑戦して、関連産業が芽生えてくれば何よりです。大分県の観光産業の振興効果も期待されます。そして、宇宙港のある県、宇宙に一番近い県として、大分県の若い人に宇宙や先端技術に夢を持ってもらえれば、こんなうれしいことはありませんというコメントがありました。県民の皆様も県の将来に向けて大きな夢と期待を持っているのではないかと思います。 昨年8月に、別府ビーコンプラザで開催された第33回宇宙技術および科学の国際シンポジウムin大分別府大会キックオフイベントでは、コロナ禍のため定員の制限はありましたが、多くの方が参加し、特に体験ブースでは子どもたちでにぎわっていました。私も子どもを連れて参加しました。大変喜んでおりました。 また、昨年の10月から12月にかけて県内6か所で、2月に県の宇宙港に向けての応援組織としてできた一般社団法人大分スペースフューチャーセンターの専務になった高山久信さん、多分知っていると思いますが、その方が講師として県内6か所で講演したそうです。それに参加した人が、その話を聞いて、全く未知の新しい分野への扉を開いたかのような表情をしていたのが印象的でしたと。 宇宙関連ビジネスに向けて、企業等の連携や誘致を進めることも大事ですが、こうしたイベントを通じて宇宙関連産業に携わる人材育成を行うことも大事だと考えます。宇宙の中でも衛星ビジネスは、GPSをはじめとして、最近は民間で活用されています。宇宙産業も時代の変化の中、官から民へと移行しているそうで、これから民間主導だそうです。 その中で、さきほど紹介した一般社団法人大分スペースフューチャーセンターの専務になった高山久信さんのお話として、ちなみに、気象衛星等は地球から3万6千キロの周りを回るそうです。そして、今回の水平型の衛星は、地球から300から1千キロの周りを回る衛星だそうです。 今回大事なことは、木付議員の質問にもありましたが、こうした衛星から発信される情報量がすごく多いんですね。だから、宇宙工学的なことより衛星データの情報処理を行う人材の育成が急がれるということでした。県内にはいくつか大学もあり、新たに挑戦する学校もあるでしょうが、中津市にある県立工科短期大学校で実践するのはいかがでしょうか。同校は平成10年に開校されて20年以上が過ぎました。今まで県北の工業には大変な功績がありましたが、新しい時代の中で、これからの県の産業の発展や技術力の向上のために、高度な専門知識と技術・技能を兼ね備えた即戦力となる技術者の育成を目的とする同校に、衛星情報科等、情報処理に重点を置いた新たな学科を増設してみてはいかがでしょうか。考えを伺います。 ○麻生栄作議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 県立工科短期大学での宇宙産業人材の育成について御質問いただきました。 県立工科短期大学校は、平成10年に開学以来、教育内容の充実を図りながら、県北地域の自動車関連産業をはじめ、県内ものづくり産業を支える実践技術者を養成してきています。 近年は、卒業予定者の10倍を超える求人があるなど、即戦力となる若手技術者養成のニーズは高く、また、IoTやAI、ロボット等による先端技術に対応できる人材の育成が求められています。 宇宙関連産業は世界的成長が見込まれる先端技術分野であり、県内には、てんこうのプロジェクトに参加したデンケンなど、様々な分野で宇宙関連産業に携わっている企業もあり、また、宇宙関連産業の立地も期待できます。 議員御提案の衛星データを利活用できる人材は国内でもまだ少ないのが実情です。県では、まずは衛星データの基礎から事業立案までを学ぶ宇宙データ活用塾の開催等を通じ、ノウハウを習得した人材を育成していきたいと考えています。 工科短大の学科新設については、最近は宇宙に限らずデジタル化という流れもあります。県内企業から求められる人材を前提に、指導体制や他の養成施設・大学等の状況も踏まえて判断していきたいと考えます。 ○麻生栄作議長 今吉次郎君。 ◆今吉次郎議員 ありがとうございました。では、前向きにということですね。やはり常識にとらわれない発想で、ぜひとも、前向きにどんどん頑張ってお願いしたいと思います。よろしくお願いします。ありがとうございました。(拍手) ○麻生栄作議長 以上で今吉次郎君の質問及び答弁は終わりました。 お諮りします。本日の一般質問及び質疑はここまでとしたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○麻生栄作議長 御異議なしと認めます。よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。  ------------------------------- ○麻生栄作議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。日程は決定次第通知します。  ------------------------------- ○麻生栄作議長 本日は、これをもって散会します。     午後2時56分 散会...