大分県議会 > 2021-03-08 >
03月08日-05号

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  1. 大分県議会 2021-03-08
    03月08日-05号


    取得元: 大分県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-13
    令和 3年 第1回定例会(3月)     令和3年第1回大分県議会定例会会議録(第5号)令和3年3月8日(月曜日)  -------------------------------議事日程第5号             令和3年3月8日              午前10時開議第1 代表質問  -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 代表質問  -------------------------------出席議員 43名  議長        麻生栄作  副議長       嶋 幸一            志村 学            井上伸史            清田哲也            今吉次郎            阿部長夫            太田正美            後藤慎太郎            衛藤博昭            森 誠一            大友栄二            井上明夫            鴛海 豊            木付親次            三浦正臣            古手川正治            土居昌弘            元吉俊博            御手洗吉生            阿部英仁            成迫健児            浦野英樹            高橋 肇            木田 昇            羽野武男            二ノ宮健治            守永信幸            藤田正道            原田孝司            小嶋秀行            馬場 林            尾島保彦            玉田輝義            平岩純子            吉村哲彦            戸高賢史            河野成司            猿渡久子            堤 栄三            荒金信生            末宗秀雄            小川克己欠席議員 なし  -------------------------------出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       尾野賢治  副知事       黒田秀郎  教育長       工藤利明  代表監査委員    首藤博文  総務部長      和田雅晴  企画振興部長    高屋 博  企業局長      工藤正俊  病院局長      田代英哉  警察本部長     竹迫宜哉  福祉保健部長    廣瀬高博  生活環境部長    高橋基典  商工観光労働部長  高濱 航  農林水産部長    大友進一  土木建築部長    湯地三子弘  会計管理者会計管理局長            森山成夫  防災局長      梶原文男  観光局長      秋月久美  人事委員会事務局長 藤原隆司  労働委員会事務局長 森 優子  -------------------------------     午前10時 開議 ○麻生栄作議長 皆様おはようございます。 これより本日の会議を開きます。  -------------------------------麻生栄作議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第5号により行います。  ------------------------------- △日程第1 代表質問 ○麻生栄作議長 日程第1、これより代表質問に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。羽野武男君。  〔羽野議員登壇〕(拍手) ◆羽野武男議員 おはようございます。今日この質問の機会をいただきました会派の皆さんにまず感謝申し上げます。 質問に入る前に、まず今回の質問のうち、治水の広域的な取組と持続可能な森林(もり)づくりの質問で、森林(もり)という言葉を使いますが、いずれも森林という文字を当てていただきたいとお願いいたします。 それでは、早速質問に入ります。 まず、令和2年7月豪雨災害からの復旧、復興について2点お尋ねします。 1点目は、復旧・復興推進計画の進捗状況についてです。 昨年7月の豪雨では、日田市、由布市で計6人もの尊い命が奪われました。ここに改めて哀悼の意を表しますとともに、被災された方々のお力になるよう県議会県民クラブ会派議員一同、しっかり取り組んでまいりたいと考えています。 さて、豪雨災害の発生から早くも8か月を経過することとなりました。天ヶ瀬や湯平の温泉街などでは観光事業者等への被害も深刻でしたが、日常を取り戻すために関係者による地道な取組が進められており、さらには住民生活に欠かせないJR久大本線は、豊後森駅から庄内駅間が長らく不通となっていましたが、ようやくこの3月1日に全線復旧がかなうこととなりました。 また、湯平温泉の宿泊施設では、開業した1軒を除き、一昨日全て復活したという明るいニュースも流れました。 県では、7月豪雨の発災にあたり、大分県災害対策会議を直ちに立ち上げ、8月には市町ごとの復旧・復興推進計画を策定し、着実に取組を進めているところですが、被害が大きかっただけに復旧、復興には時間を要するのではないかと思われます。 知事におかれては、一日も早く平穏な日常を取り戻したいと願う県民の思いを受け止めていただき、復旧、復興に御尽力いただいていますが、7月豪雨災害における復旧・復興推進計画の進捗状況と今後の見通しについてお示しください。 2点目は、天ヶ瀬温泉街の復旧についてです。 天ヶ瀬温泉街の復旧については、昨年10月23日に検討段階での河川改修案が住民に説明されましたが、その内容は左岸を最小限拡幅し、河床掘削するというものでした。護岸の大きな拡幅では、多くの建物の撤去が必要となり、温泉街への影響が多大であり、河床掘削は川底にある多くの泉源に影響を及ぼす可能性があるため、簡単には住民の合意が得られない状況となっています。 現在、県と市で随時、地元説明や協議を行い、改修案について検討を進めており、来年4月の事業化を目指すことになっています。地元の一部には景観を守りつつ、泉源にも影響しない方法として、上流部にトンネルによるバイパスの建設を求める声があります。この方法であれば、多少の時間がかかるもの、住民の合意を得られるのではないかと思いますが、県の見解をお聞きします。 次に、災害対策の推進について、3点お尋ねします。 まず最初は、治水対策についてです。 昨年の7月豪雨では、活発な梅雨前線の影響により、県内の広範囲で大雨となり、複数の観測地点で48時間、72時間の各降水量が過去最大を記録したところです。これには線状降水帯の発生や、海水温の上昇など様々な要因が指摘されており、私の地元を流れる玖珠川をはじめ、野上川や大分川などで甚大な被害が発生しています。 これからも地球温暖化の影響による線状降水帯や巨大台風の発生などを原因として、さらに激しい大雨の発生が予測され、治水対策の強化はますます重要になると考えられます。 現在、主要な水系においては、治水対策を河川管理者だけでなく、国、都道府県、市町村、企業、住民等流域関係者全体で行う流域治水プロジェクトが推進され、これによるハード、ソフト一体となった事前防災対策の加速が期待されるとともに、県においては、河川全体の整備方針にあたる総合治水プランや玖珠川の河川整備計画策定に向けた議論がしっかりと進められていくことと考えています。 また、これまでにも県は毎年頻発する災害に対応するため、ハードやソフトの両面から具体的な対策を講じてきており、例えば、平成29年九州北部豪雨で被災した大肥川や鶴河内川では、河川改修が功を奏し、昨年の豪雨では浸水被害は発生せず、効果を上げていると言えます。 さらに、県内の各河川において、水位計や監視カメラを設置し、インターネット上で誰でも河川状況をリアルタイムで確認ができ、早めの避難を促すといった対策を行ってきたことも承知しています。 しかしながら、これまでの様々な治水対策により、一定の成果を上げてきた反面、まだまだ対策が必要な箇所が多数あることも事実であり、災害が多発する中、迅速に治水対策を行っていく必要があると強く感じているところです。 治水対策を効果的に進めるには、河川改修など、一定の期間を要するハード対策と速やかに行えるソフト対策を組み合わせて、より効果的に進める工夫も必要と考えます。 本県の治水対策をどのように進めていくのか、知事の考えをお聞かせください。 2点目は、治水の広域的な取組についてです。 さて、さきにも述べましたが、流域治水プロジェクト河川管理者だけでなく、流域全体の関係機関、住民など、あらゆる関係者が協働して進める点がこれまでと大きく違っています。 緑のダムという言葉がありますが、森林(もり)には水源涵養機能があり、治水対策を進めるにあたっては、この機能に着目し、直接被害を受ける河川周辺の地域だけでなく、上流域における森林(もり)づくりに目を向ける必要があります。山が荒れれば、川も荒れます。木を植え造林するなど、山を整え、水がめとしての機能を維持、強化する、すなわち治山をしっかりと行うことが治水対策には有効であると考えます。 そのためには、上流域の農山村から下流域の都市にかけて広く連携が必要となり、私の地元日田市の旧郡部では、下流域の住民を招き、山の手入れと山村住民との交流に取り組んでいますが、今のところ、流域全体の取組までには広まっていません。 さらに、治水に関する専門的知識を備えた人材や、遊水池など治水施設の整備に要する財源の確保など、ほかにも多くの課題があり、小さな自治体単独で行うことは困難を伴います。これら課題に対応するために、本県と福岡県、さらに筑後川流域の自治体で広域連合を設立し、人材、財源の確保などに協働し、治水対策に積極的に取り組んではどうかと考えますが、見解をお伺いします。 3点目です。日田-阿蘇間の道路整備についてお尋ねします。 昨年10月18日、中津日田道路のうち、日田山国道路の着工式が行われ、日田市民が待ちに待った日田市側からの工事が始まりました。また、中九州横断道路の整備も順調に進んでいます。地域高規格道路は、知事もおっしゃっているとおり、広域道路ネットワークとして、沿線住民の生活や人・物・サービスの交流による産業振興、いざというときの災害対策、そして観光振興にも大きな力を発揮します。 そして、県内の広域道路ネットワークを完成させるためには、日田から中九州横断道路を結ぶ地域高規格道路が欠かせないと思います。日田市は、従来から南北を走る幹線道路が1本しかなく、災害に弱いと言われてきました。日田山国道路が完成すれば、三隈川の北側はその問題が解消されますが、南側の課題は残ったままです。 また、日田市大山町から中津江村、上津江町を結ぶ道路は、豪雨のたびに通行止めになり、昨年の豪雨で通行止めになっていた国道442号は、日田山国道路の着工式の前日に、ようやく片側通行で復旧しました。それまで鯛生金山には八女方面からしか訪れることができず、大きな痛手となりました。 市町村合併時には、本庁まで30分で行けるようになると言っていましたが、鯛生金山から市役所本庁までは優に1時間はかかるのが現状です。 日田から九州を代表する観光地である阿蘇地域を地域高規格道路で結ぶことは、広域道路ネットワークの構築という目的はもちろん、特に奥日田地域の観光振興にも大きく貢献することは間違いありません。 日田市から中九州横断道路を結ぶ地域高規格道路の整備について、県の考えをお聞かせください。 次に、災害に強い農業についてお尋ねします。 振り返ると2020年は、新型コロナウイルス感染症が様々な産業に悪影響を与えた1年となりましたが、こと農林水産業においては、加えて災害や病害虫、気候変動により、さらに大きなダメージを受ける苦難の年でした。 春先には、平成29年7月九州北部豪雨で被害を受けた日田市大肥地区で3年ぶりの稲の作付けが開始されるという明るい話題があったのですが、これをかき消すかのように7月豪雨災害は大きな被害をもたらしました。 特に今回の豪雨災害では、大雨による被害が顕著であり、農林水産関係の被害額は実に182億円にも上りました。このうち畦畔の被害額は実に182億円にも上りました。このうち畦畔の損壊や土砂の流入、農業用水路の破損などの農地農業用施設の被害が136億円と最も大きくなっています。 現在、災害復旧工事の早期完了に向けて、関係者が連携して取り組んでいますが、生産者のためにも、次期作付けの前までに少しでも多くの復旧工事が完了することを願ってやみません。 また、夏には2年連続となるトビイロウンカの発生が見られ、7月末からの高温少雨で増加したことにより、その被害が大きくなったとのことです。これに8月の高温や台風第10号の影響も加わり、米の作況指数が77と全国で2番目に低くなってしまったことは残念なことです。 さらに、冬、年が明けて1月には5年ぶりに大雪警報が発令され、国東市や杵築市などでハウスの倒壊などの被害も発生しています。 自然が相手の災害等による被害を完全に防止するには難しい面もあります。しかし、生産者の減少と高齢化が進む中においても、営農継続に向けた意欲を維持し、農業生産の拡大や耕作放棄地の発生防止を図るためには、災害に強い農業の構築が求められると考えますが、知事の考えをお聞きします。 次に、林業振興について、2点お尋ねします。 まず、林業の担い手確保についてです。 本県における林業生産額は年々増加していますが、これは近年の木材生産量の増加によるもので、2009年の73万立方メートルから2019年には151万立方メートルまでに倍増しています。 一方、林業の担い手に目を向けてみると、国勢調査による国内の林業就業者数は1955年には52万人を数えましたが、2015年には4万5千人にまで減少するとともに、高齢化が進み、高齢化率は実に25%にもなっています。2003年に若年層を対象とした緑の雇用事業が開始された後は、新規就業者が増加し、若返り傾向が見られていることは幸いです。 このように木材生産量が増加する中においても、作業の効率化、低コスト化の推進を図るとともに、林業に従事する担い手の確保、育成に真正面から取り組まねば、林業の持続的かつ健全な成長にはつながらないと考えています。 県内では、林業アカデミー卒業生が就業者数を押し上げ、2019年度の新規就業者数は105人で過去最高となったとのことですが、木材生産量の増加に伴い、再造林などの作業も増加が見込まれることから、引き続き就業者数の確保に重点的に取り組む必要があります。 また、林業における雇用には、作業に季節性があるとともに、天候に左右されやすく、事業主の経営基盤が脆弱であることや、他産業よりも労働災害発生率が高いなどの課題があり、人材の定着には労働環境の改善も不可欠です。 そこで、今後の林業の担い手確保について、県としてどのように取り組むのか、知事の考えをお伺いします。 2点目、持続可能な森林(もり)づくりについてです。 本県は現在、持続可能な森林経営を可能とする低コストで合理的な森林施業や災害に強い森林の整備、生物多様性の保全などの視点で森林(もり)づくりを進めています。 さて、森林(もり)づくりを進めるにあたり、例えば、長野県では、森林に関わる県の意思を明確にするため、県民の主体的な参加の促進、県産材利用の促進、林業、木材産業の健全な発展、森林空間の多面的利用の促進、山村地域の活性化などを規定した長野県ふるさと森林づくり条例を制定しています。 また、奈良県においては、木材価格の低迷等による森林環境の減退や豪雨災害の発生を受けて、スイスのフォレスター制度などをモデルとした新たな森林環境管理制度の枠組みと方向性を定める奈良県森林環境の維持向上により森林と人との恒久的な共生を図る条例を昨年制定しています。 健全な森林づくりから始まる様々な施策は、農山村や関連産業の活性化、健康づくりなど、SDGsに貢献できる多くの要素を秘めています。 気候、地形、地理的条件、木材産業資源など本県の現状を踏まえ、本県の持続可能な森林づくりに関連した取組をより明確化し、積極的に推進するために、本県においても条例を制定してはと思いますが、考えをお伺いします。 次に、新型コロナウイルス感染症対策について、4点お尋ねします。 その前にまず、保健所はじめ関係者の皆様には、これまでコロナ感染の初期対応からワクチン接種に至るまで、時間の制約もある中、大変な御苦労があったことだと思います。この場を借りて、これまで頑張ってこられた皆様に改めて感謝と敬意を表します。お疲れさまです。 それでは質問ですが、感染拡大に備えた保健所の体制強化についてです。 新型コロナウイルス感染症は、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律の指定感染症とされる期間が来年1月31日まで延長され、現在も全国的に感染者の発生はやまず、引き続き感染者への入院勧告や就業制限などの対応をしていかなければならない状態が続いています。 県内では、関係者の迅速な対応もあり、緊急事態宣言地域相当の感染状況までには拡大していませんが、最悪の事態を想定した体制を構築しておく必要があります。 新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない、ある市の保健所について、発熱などの症状を訴える人からの相談業務に加え、感染経路や濃厚接触者について調べる積極的疫学調査を行うマンパワーが圧倒的に不足し、このままでは保健所業務が崩壊しかねないとの報道がありました。その県では、疫学調査の運用は見直さずに、疫学調査の一部を県が請け負い、保健師を応援派遣し対応するということでした。 また、保健所業務の逼迫については、全国保健所長会が昨年12月8日付けで厚生労働大臣宛てに行った緊急提言にも盛り込まれており、ここからも強い危機感が伝わってきます。 以上のような実態を踏まえれば、最悪の事態に備えた県内保健所の段階的な人的バックアップ体制について、あらかじめ構築しておく必要があると思われます。 さらに、今後予定されるワクチン接種についても、県と実施主体となる管内市町村との連携が重要となり、地域の保健所の果たす役割も少なからずあるのではないかと考えています。 感染拡大時の保健所の体制をどのように想定し、どのようなバックアップ体制を考えているのかお聞かせください。 2点目は、ワクチン接種における市町村との連携についてです。 新型コロナウイルスワクチン接種については、医療従事者向け先行接種が始まりました。今後、多くの県民に短期間で接種する前例のない大事業だと思います。 医療従事者へのワクチン接種は、都道府県が地域の医療機関と調整を行い、当初の3月下旬から4月以降にずれ込んだ高齢者をはじめとした県民へのワクチン接種の調整は、それぞれの市町村が受け持つことになっています。前例もなく、これだけの大規模の接種を進めるにあたっては、人的、技術的側面から、市町村の力だけでは困難な点もあり、前述の保健所はじめ、県からの支援も必要ではないかと考えます。接種を安全、円滑に進めるために情報共有をはじめ、県と市町村との連携が重要になると考えますが、見解をお聞きします。 3点目はICTを活用した救急搬送体制についてです。 重症患者の急増で病院の病床数が逼迫し、医療崩壊が迫っているとの報道がありました。大分県の病床数の確保状況については評価されていましたが、やはりもしものときに備えた対応は整えておくべきなのは言うまでもありません。 医療体制の逼迫を県が直接解決できるわけではありませんが、仕事を少しでも減らせる方法はないものでしょうか。 新型コロナウイルスの感染拡大は、医療機関から救急患者の受入れを断られた回数が3回以上、かつ現場滞在時間が30分以上のいわゆる救急搬送困難事例をもたらしました。1月4日から1月24日までの3週間に大分市でも10回も受入れを病院から断られたケースがあったことや、3回以上断られた件数が前年から2倍となるなど、搬送先が決まるまでの時間がこれまでよりかかっているといった厳しい現状が報道されていました。 福岡市では自宅療養中に急変した感染者の受入病院を輪番制にして、消防局とも情報共有しているとのことであり、医療機関が連携して何とかこの苦境を乗り越えていく工夫をしていくことが大切であると感じています。 救急搬送を速やかに行い、県民の命を守るためにICTを活用して情報共有を図り、市町村を越えて連携させるシステムを構築してはどうかと考えます。何も高額で複雑なシステムでなくてもよくて、例えば、無料通信アプリLINEを活用し、医療機関、保健所、消防署など、関係機関でコロナ患者の病床の受入状況について情報を共有すれば受入病院をしらみ潰しに電話して探す側と、連絡を受ける病院双方の手間と時間が省けるのではないかと思います。 そこで、ICTを活用した救急医療搬送体制の構築について、県としての考えをお聞きします。 新型コロナウイルス感染症対策、最後の質問は、感染した労働者への制度周知についてです。 従来、感染症が業務上の疾病と認められるのは、患者の診療もしくは、看護の業務、介護の業務、または研究その他の目的で病原体を取り扱う業務による伝染性疾患のほか、これらの疾病に付随する疾病やウイルスにさらされる業務に起因することの明らかな疾病とされており、容易には認められませんでした。 しかし、新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いについては、昨年4月までの感染状況と無症状でも感染拡大するという、当該感染症の特性に鑑みて、当分の間、調査により感染経路が特定されなくても、業務により感染した蓋然性が高く、業務に起因したものと認められる場合には、労災保険給付の対象として柔軟な取扱いがなされることになりました。 例えば、国内で医療従事者等新型コロナウイルスに感染した場合、業務外で感染したことが明らかでない場合は、原則として労災と認められ、それ以外の労働者についても、感染経路が特定されない場合であっても、複数の感染者が確認された労働環境下や、顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務に従事していた場合は、業務により感染した蓋然性が高く、個々の事案に即して適切に判断することとされており、もちろん、公務災害の取扱いも同様です。 厚生労働省はこのような取扱いの見直しとあわせて、日本医師会等医療関係団体に対して、医療従事者の労災請求の勧奨や請求手続における協力等の要請を行っており、都道府県労働局は、集団感染が発生した医療機関を把握した場合には、同様の要請を行うようになっています。 さらに、医療従事者以外の新型コロナウイルス感染症に係る労災請求についても、労使団体に対して、飲食店員、小売店販売員タクシー乗務員など、多様な職種の労働者の労災認定を行っているので、認定事例を参考にして、請求者への助力とあわせ、業務に起因にして感染したと思われる労働者から積極的に請求を勧奨するよう要請がなされています。 また、総務省からは都道府県、各指定都市に対し、職員が新型コロナウイルス感染症を発症した場合の相談体制等について、適切な対応を取ることや、公務または通勤に起因して発症したものであるときは、公務災害補償、または通勤災害補償の対象となることを感染予防とあわせて周知するよう要請がなされています。 私は、新型コロナウイルス感染症の公務災害、労災補償における取扱いや、請求に対する勧奨について幾人かに確認しましたが、そのことを誰も知りませんでしたし、知らされてもいませんでした。ましてや、民間のアルバイトやパート労働の方々は、そもそも請求できることさえ知らないのではないでしょうか。一義的には、請求は被災者本人が行うものですが、被災者本人がただいま申し上げたことを知らなければ、請求にはつながらないと考えます。 さて、本県においても、病院局職員、警察官や教職員などに新型コロナウイルス感染症の発症が見られています。そこでまず、総務部長以下、執行部に対しては、職員が安心して職務に専念できるように予防策の徹底を図ることは当然のこと、公務災害の対象となることをしっかりと周知徹底していただき、万が一の発症の場合には、その認定について適切な対応を取るよう、この場を借りて強く求めておきます。 一方、民間の事業所、特に中小企業、小規模事業者においては、病気休暇の制度なども整えられていないところもあり、労働者が業務に起因して、新型コロナウイルス感染症を発症した場合にあっては、速やかに労災の認定請求につなげ、生活を支える必要があると考えます。 大分労働局の集計によると、昨年9月から今年1月中旬にかけて、18人から認定請求があり、うち14人が既に認定されたとの報道がありましたが、その数の少なさから、対象となる全ての方が申請しているのか疑問が残ります。労災に関しては、本来、労働局がその役割を担うわけですが、県としても連携して、新型コロナウイルス感染症の労災補償の取扱いや労災請求について、事業者及び労働者への周知、勧奨に取り組むべきではないかと考えますが、県の見解をお伺いします。 次は、観光振興について、2点お尋ねします。 最初は、観光振興の現状と今後の展望についてです。 新型コロナウイルスの感染拡大は、観光産業へ大きな影響を与えました。昨年4月頃は、感染拡大の第1波により、日本で初めての緊急事態宣言が発出され、3密回避など自粛ムードが全国に広がりました。 感染拡大が落ち着いた5月25日に、約1か月半ぶりに緊急事態宣言は解除されましたが、観光庁の発表によれば、国内では2020年3月から宿泊者数は激減し、5月の外国人宿泊者数は前年同月比で98.7%減の12万9千人まで落ち込み、日本人を含めても84.9%減の779万人まで減少しました。 その後、感染拡大も収まり、GoToトラベルキャンペーンの後押しなどもあり、11月には前年同月比30.5%減の水準まで持ち直していました。 本県においても国内と同様で、県の調査によると、5月に宿泊者数が前年同月比で89.0%まで落ち込み、これが11月には19.6%減まで持ち直していたものの、外国人宿泊者数については98から99%の大幅な減少で推移しています。 また、昨年の県内宿泊者数は251万6千人で、前年比45.8%減と過去最低になりました。 一時は世の中に明るい兆しが見えかけたにもかかわらず、再度の新型コロナウイルス感染拡大により、12月にはGoToトラベルが一時停止されることとなり、本年1月7日には2度目の緊急事態宣言が発出されてしまいました。この時期は、観光業界にとってかき入れどきである年末年始と重なり、関係者の衝撃は計り知れないものと思っています。 確かにコロナ禍により、気軽に観光を楽しむことができなくなったのは事実ですが、同時に社会に大きな変容を生じさせることとなりました。例えば、働き方では、職場に出勤せずに働くリモートワークが広がり、人々の中には過密で感染リスクの高い都会から、自然豊かで密を避けられる地方のゆったりとした環境を求める意識も生まれてきています。これを好機と捉え、観光地で働きながら休暇を取るワーケーションなどを推進することは、苦難の続く観光業に希望を見出す手がかりの一つではないかと考えられます。 そこで、県として観光産業の現状と今後の展望についてどのように考え、どう取り組んでいくのかお伺いします。 2点目は、SDGsに貢献する観光の振興についてです。 国連世界観光機構(UNWTO)は、2017年を開発のための持続可能な観光の国際年として定め、観光が貢献する5つの領域として、①包括的・持続的な経済発展、②社会的な関わり、雇用拡大や貧困の撲滅、③資源の有効活用、環境保護や気候変動、④文化的価値、多様性、遺産、⑤相互理解、平和、安全が提示され、17全てのSDGsに関連する可能性があることを確認し、それぞれの分野に貢献できるツーリズムを展開していくこととしています。 このような中、欧州ではゼロエネルギーの仕組みを導入したホテル、台湾ではプラスチック利用削減の観点から、ペットボトル、ミネラルウオーターの提供を再考するホテルが現れました。また、アジア太平洋旅行業協会(PATA)は、タイのホテルと連携し、ビュッフェサービスから生じる廃棄食の検証を行い、食と関わる事業者が海外で生産された食材も含めて、利用された水や土地、関わった労働力、輸送にかかった石油燃料等に至るまで、SDGsの考え方に準じてどう改善すべきかを調査しています。そのほかにも、ドイツの旅行会社やカナダの観光協会などでもSDGsに貢献する取組が行われています。 一方、国内の旅行、観光業界におけるSDGsへの取組は、JTB総合研究所が、旅行会社、宿泊事業者、交通・運輸事業者、自治体を中心に行った調査によると、多くの事業者ではCSR活動の一環として、環境問題や雇用問題への取組は行っているものの、SDGsに正対する活動はほとんど実施されておらず、十分に浸透していないことが分かっています。 また、大手旅行会社でも従業員の就労環境改善など、内部的な取組が主で、SDGsを事業として成立させるまでには至っていません。 宿泊施設では、アメニティの節約やシーツ等の清掃関連に対する理解促進など、使う責任に基づく取組が中心になっています。交通・運輸関連では、エネルギー消費や環境への配慮に関わる対応は進んでいますが、観光に直接影響を与えるような取組には至っていません。 また、観光地を有する自治体では、雇用創出による移住促進関連の動きはあるものの、観光を主体としたSDGsへの取組は、一部に動きがある程度という結果になっています。 一方、同社が行った旅行者のSDGsに対する意識調査によると、日本人のSDGsの達成に貢献する旅行への理解や関心、その必要性についての意識は、外国人と比べて全般的に低い結果となっていますが、20代や50代、さらには世帯年収が比較的高い層を中心に、社会問題や環境問題の解決につながるようなSDGs達成に貢献する旅行が必要と答える傾向が高い層もあり、単純な楽しみだけではない観光へのニーズが存在しています。 今後は、これらを踏まえ、国内旅行者へのSDGsの認知度を高めるとともに、SDGs達成に配慮した商品やサービスの構築が求められると思います。 特に大分県は、SDGs達成に貢献する資源も豊富に存在していることから、観光庁が昨年6月に公表した日本版持続可能な観光ガイドラインなども活用しながら、SDGsに貢献する観光振興について、積極的に推進すべきだと考えますが、県の考えをお聞きします。 次に、女性の活躍推進についてです。 今日は国際女性デーです。女性の活躍推進は、かつての安倍内閣の成長戦略の一つとして掲げられ、多くの女性の非正規労働者が誕生したと思われます。新型コロナウイルスの感染拡大では、飲食店の休業などにより、多くの労働者が解雇や雇止めとなり、働く女性にも深刻な影響を与えています。 また、非正規雇用者に占める女性の割合は約7割と多く、労働者の中でも弱い立場に置かれていると言えます。 このような中、昨年12月25日に閣議決定された第5次男女共同参画基本計画では、小泉内閣時代に設定された2020年までに指導的地位に女性が占める割合を少なくとも30%程度にという目標は、2020年代の可能な限り早期にと表現が後退してしまいました。 加えて、2016年には働きたい女性が活躍できる労働環境の整備を企業に義務付けることで、女性が働きやすい社会を実現することを目的とした女性活躍推進法が施行され、2019年の改正で一定規模の労働者を常時雇用する事業主に一般事業主行動計画の策定や、女性の活躍推進に関する情報公開などが義務付けられています。これは義務付けまでしなければ、女性の活躍推進が進まない厳しい現状の裏返しであるとも言えます。 さて、本県では、2002年に制定した大分県男女共同参画推進条例に基づき策定した男女共同参画プランが今年度末で終了するため、これまでの成果や社会情勢の変化を踏まえ、新たな第5次計画の策定が進められ、本定例会に議案として上程されています。 県が実施した男女共同参画社会づくりのための意識調査の結果が昨年6月に公表されていますが、これによると、男は仕事、女は家庭といった、いわゆる昔型の固定観念に同感しない人は着実に増加しており、職場における男女の平等感についても高まっているようです。 しかしながら、同調査によると、DV被害経験者は前回調査に比べ増加傾向にあり、性暴力被害を受けた女性が1割超も存在しています。新型コロナウイルスによる外出自粛要請や経済的不安から、DVなどの相談件数も増加しているとの報道もあります。 また、女性の活躍については、結婚や出産にかかわらず、仕事を持ち続けたほうがよいと考える方が大きく増加し5割を越えている一方、男性が育児、介護休業を取ることについて賛成であるが、現実には取りづらいと思うと回答した方が6割以上もいるとのことです。 このようなことから、女性の活躍推進、男女共同参画社会の実現には子どもを産み育てながら働ける環境整備や、事業主をはじめ、社会全体の意識改革、男性の子育て参画など、県としてさらなる施策の充実が必要と強く感じるところです。 女性の活躍をより一層推進していくことこそが、地方創生実現の大きな鍵になると考えますが、そのためには女性が安心して活躍できる環境づくりも大切なことです。このような点も踏まえ、女性が活躍できる社会の実現に向け、どのように取り組んでいくのか、知事の考えをお示しください。 次は、労働者協同組合法に対する認識と今後の対応についてお尋ねします。 各人が生活との調和を保ちつつ、その意欲と能力に応じて就労する機会が必ずしも十分に確保されていない現状を踏まえ、労働者協同組合法が超党派の議員立法として提出され、昨年12月4日の参議院本会議で全会一致で可決成立しました。 この法律は、組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、組合員自らが事業に従事することを基本原理とする協同組合に法人格を与え、多様な就労の機会の創出と、地域の多様な需要に応じた事業を促進することで、持続可能で活力ある地域社会の実現に資することを目的としています。 組合員が、組合の運営に携わると、労働者ではないとされ、労働法制による保護が受けられないといった懸念を払拭するため、組合が組合員と労働契約を締結するよう義務付けし、休日や最低賃金の保障など、組合員が労働者として保護される内容となっています。 同様な組織として企業組合やNPO法人がありますが、企業組合の設置には都道府県知事の認可が必要な一方、労働者協同組合は一定の法定要件を満たせば許認可を受けることなく法人格が付与される準則主義となっています。 また、NPO法人は、行政庁の認証が必要で、福祉や観光振興など20の活動分野に限定されているのに対して、労働者協同組合は、労働者派遣事業以外は特に事業分野は限定されていないため、様々な事業を担うことが可能です。さらには、経営者が事業を断念しようとするときに、この労働者協同組合の設置によって、残された労働者が事業を継続することができるといった利点もあります。 地域社会の要望に沿った、働きがいが感じられる仕事を住民が自らつくり、主体的に働ける仕組みとして、協同労働という働き方は、この法律が成立する前から生まれており、県内にもいくつかの事業所が存在しており、これらも法定要件を満たせば労働者協同組合に移行していくと考えられます。 私としては、従来の雇う、雇われるといった会社に見られる縦の雇用形態から脱却し、労働者のための協同組合として、労働者の権利保護や多様な就労機会の創出など、より一層の働き方の変革につながると期待するところですが、県としての考えをお聞かせください。 最後は、交通安全について、2点お尋ねします。 まず、交通死亡事故の防止についてです。 2020年の県内における交通事故の発生状況は2,437件となり、前年の3,037件と比べると600件もの大幅な減少となっています。断言はできませんが、新型コロナウイルス感染防止対策として皆さんが外出を控えたことが少なからず影響したものと思われます。 一方、交通事故における死者数については43人と、前年から比べると2人増加しており、長崎県を除き九州各県が軒並み減少している中で、本県の増加が気になります。 さらに、人口10万人当たりの死者数については、本県では3.79人となり、これは全国平均の2.25人、九州平均の2.51人を大きく上回っています。 また、車両1万台当たりや、免許人口10万人当たりの死者数についても、同様に全国及び九州の平均を大きく上回る現状にあります。 また、先日の報道にもありましたが、JAFの実態調査によると、県内を走る自動車の後部座席におけるシートベルト着用率が全国ワースト4位と、誠に不名誉な違反状態の実態があることも判明しています。 交通事故の抑止、とりわけ交通死亡事故の発生防止は大きな課題であると考えますが、今後どのように対策の強化を図っていくのか、考えをお聞かせください。 最後、電動アシスト自転車による事故防止についてです。 電動アシスト自転車は、アシスト機能により、上り坂でも楽に走行できるなどの利点があり、通勤、通学や、買物などのほか、運転免許を返納した高齢者の新たな移動手段としても活用されています。しかしながら、普通の自転車と比べると、動き出してから短時間で加速し、スピードが出やすく、重量も大きいため、万が一衝突した場合の衝撃は、かなりなものになります。 また、電動アシスト自転車に限ったわけではありませんが、一部運転マナーの悪さを指摘する声を耳にします。公益財団法人交通事故総合分析センターによると、2018年に電動アシスト自転車に乗り事故で亡くなった46人のうち、8割が高齢者であったとのことです。 電動アシスト自転車は、その利便性の良さから、今後も利用者が増加していくと考えられ、その危険性を十分認識した上で運転しなければ、重大事故につながる可能性が高いと考えられます。特に通勤、通学時間は、学生や高齢者が電動アシスト自転車を運転する姿をよく見かけますが、この時間は車や歩行者も多く、接触などによる重大事故が発生しないかと心配でなりません。 交通事故は、加害者にも被害者にもならないことが大切なことであり、県警としての現状認識と今後の対応についてお聞きします。 以上で私の質問を終わります。 御静聴ありがとうございます。(拍手) ○麻生栄作議長 ただいまの羽野武男君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 羽野武男議員から県民クラブを代表して、種々御質問を賜りました。まず、私からお答えします。 初めに、復旧・復興推進計画の進捗状況について御心配をいただきました。 昨年7月の豪雨災害の復旧、復興にあたっては、次のような点に意を用いながら取組を急いでいるところです。 一つは、被災した中小企業・小規模事業者の事業、特に観光業の再建です。自然災害やコロナ禍で試練の重なる事業者には、施設、設備等の復旧をなりわい再建補助金により手厚く支援しており、既に8割を越える事業者が再建にこぎつけています。三隈川の風物詩、屋形船も復旧が進んでおり、再度流出の防止に向けた対策も検討されています。 二つは、社会資本等の復旧、復興です。 近年、頻発、激甚化している災害に備え、改良復旧も含めてしっかりと推進していきます。被災した道路や河川等は、梅雨時期までにおおむね7割の箇所で工事に着手するほか、氾濫した玖珠川や花合野川では、河道拡幅など防災機能を高める改良復旧を計画しています。 一方、天ヶ瀬温泉では、景観や泉源を守りながらの河川改修という難しい課題に直面しています。河道拡幅による安全確保の視点と、残したい天ヶ瀬温泉街の風情との兼ね合いをどのように図っていくかなど、市も交えて地元の皆さんと知恵を絞っているところです。この件については、後ほどまた担当からお答えします。 このような中、JR九大本線の早期の全線再開は、沿線住民の励みとなり、復興への機運が大いに高まるものと期待しています。 三つ目は、農地農業用施設の復興です。 市町に対する早期発注の支援や、応急の仮畦畔を設置するなど、営農対策を進めており、被災面積の約8割で何とか今年の作付けができるよう取組を急いでいます。 引き続き、抜本的な災害予防も含め、復旧、復興を着実かつ迅速に進めるため、国の新たな5か年加速化対策も積極的に活用していきます。 加えて、ソフト対策も重要であり、救援物資のドローン配送など、先端技術による防災力の高度化を図ります。 また、7月豪雨では、支流の氾濫が相次いだことから、中小河川においても住宅密集地等には浸水想定区域を設定し、水害リスクを住民にしっかり伝え、早期に避難行動につなげます。 次に、治水対策について御質問をいただきました。 県下各地に甚大な被害をもたらした7月豪雨から8か月が経過しましたが、今なお自宅に帰れず不便な生活を送る方も多くおられます。生活再建に向け、必死に立ち上がろうとする被災者の方々を後押しするためにも、災害に強い強靱な県土づくりを着実かつ迅速に推進していかなければならないと思います。 まずは、今回の災害からの復旧、復興です。 今月には河川工事の発注をおおむね8割終らせます。また、大肥川や有田川等での改良復旧の効果を踏まえ、今回、大規模に被災した玖珠川、花合野川でも住民の皆さんとの十分な合意形成を図りながら、改良復旧に着手します。 被災件数も多く、出水期までに完了しない箇所もあり、住民の不安を取り除くため、河床掘削や土のう設置など、次期出水期への対応に万全を期していきます。 これら取組に加え、近年の激甚化、頻発化を踏まえた災害予防の取組も極めて重要です。 本県の新たな河川整備の指針となる総合治水プランは、7月豪雨のデータを反映した浸水予測や、土地利用状況等から河川ごとの緊急度などを検討しており、策定を急ぎます。 また、治水の要である玉来ダムをはじめ、山国川等の河川改修に一層のスピード感を持って取り組む必要があります。国の防災・減災国土強靱化5か年加速化対策を積極的に活用して、早期の治水効果発現を目指します。 こうしたハード対策にあわせ、確実な避難行動につながるソフト対策も重要です。 そのため、7月豪雨で浸水被害のあった箇所を中心に、水位計や監視カメラを増設し、リアルタイムに伝える河川情報のさらなる充実を図ります。あわせて、市町と連携し、ハザードマップの作成を中小河川にまで拡充するとともに、要配慮者利用施設の避難確保計画の作成、訓練を支援します。 さらに、流域の防災力を高めるため、流域治水の取組も加速します。多様な関係者が参画し、各分野の施策を流域治水プロジェクトとして取りまとめ、着実に推進します。 今後もあらゆる施策を総動員し、災害に強い県土づくりを目指し、治水対策を推進していきます。 次に、災害に強い農業について御質問いただきました。 近年、自然災害は気候変動等の影響で、激甚、頻発化しています。災害から農業を守り、農家が安心して生産活動を継続できるよう、農業施設の強化や営農支援など、きめ細かな対策を講じていきます。 一つは、災害に対する事前の備えです。 耐用年数を超過した農業水利施設や、老朽化したため池を計画的に改修するとともに、豪雨等に備え、農業用ダムの事前放流や、ため池、遊水池などの浚渫にも取り組み、下流の農地や家屋などの被害軽減を図ります。 また、生産施設の対策として、強風や雪に強い耐候性ハウスの導入を促進します。 事前の営農対策の周知徹底も大切です。 例えば、台風接近時には、ハウスのビニールの一時撤去や防風ネットの固定、果樹の収穫など、事前対策の徹底を呼びかけます。 さらに、温暖化等による農作物への影響については、水稲やブドウなどの品種構成の見直しにより、対応を進めます。加えて、農業共済や収入保険への加入も促進します。 二つは、営農再開に向けた早期復旧です。 被災した生産施設の修繕や機械の再取得等に対し、県独自の復旧支援事業等により、営農再開を後押しします。 また、農地・農業用施設の災害復旧については、復旧工事の主体となる市町村に対し、技術的支援や人的支援により、迅速な復旧工事を進めます。 昨年の7月豪雨からの復旧では、用水確保や農地復旧を急ぐとともに、仮畦畔の設置等の営農対策を実施することにより、被災農地のおおむね8割で今年の作付けを目指します。 三つは、地域農業の発展につながる復旧です。 地元生産者の意向を踏まえ、経営の効率化や産地拡大等、将来の営農形態を見据えた復旧にも取り組みます。 29年に被災した日田梨や津久見のみかんでは、生産効率が上がり、災害リスクの少ない平たん地に新たな園芸団地の造成を進めています。 こうして梨産地、あるいはみかん産地を守ることも、また大事なことだと思います。 今後も農家が安心して農業を営むことができるよう、災害に強い農業農村づくりにしっかり取り組んでいきます。 林業の担い手確保について御質問いただきました。 本県の林業は、素材生産量、新規就業者ともに過去最高を記録するなど、成長産業化が着実に進行しています。 これを加速させ、持続可能な産業とするため、令和6年の目標を素材生産量160万立方メートル、再造林率80%と定め、その担い手の確保、育成対策に積極的に取り組んでいきます。 第1に新規就業者の確保です。令和6年の事業増加に対応するためには、約2割の生産性の向上とともに、年間110人の新規就業者の確保が必要となります。 林業の新規就業者の現状は、高性能林業機械の導入により魅力的なものとなり、39歳以下の若者は約7割を占めています。 そこで、機械化が進む林業の魅力を知ってもらうため、高校生への体験研修のほか、就業ガイダンスやSNSの活用など、就業情報の発信力を強化していきます。 また、おおいた林業アカデミーや造林作業に特化したOJT研修に加え、VRシミュレータなどの先端技術を用いた研修などにより、技術力の高い人材を早期に育成していきます。 第2は、就業者の定着に向けた労働負荷の軽減や安全性の確保です。傾斜のある林内でも安全に伐採作業が行える最新機械の導入や、下刈用重機、林業用ドローンによる育林作業など、機械化を一段と推進します。 また、コンテナ苗を活用し、年間を通した主伐、再造林の一貫作業を進めることで、作業量の平準化による雇用の安定を確保します。 加えて、シャワールームや休憩施設の整備、空調服や事故発生防止のための無線機の導入などを支援し、労働環境の改善を図ります。 第3は、人材の受け皿となる事業体の育成です。林業の新規就業者の多くが、事業体に就業していますが、その多くは小規模で、経営基盤の強化が必要です。 そこで、事業規模の拡大や確実な再造林を目指す事業体に対し、機械導入などを集中支援することで、1人1日当たり12立方メートルの生産性となる中核的な事業体を育成していきます。 今後も担い手の確保、育成対策をスピード感をもって進め、本県林業をさらに魅力ある産業へと成長させていきます。 次に、観光産業の現状と今後の展望について御質問いただきました。 本県の観光産業は、インバウンドの落ち込み、新型コロナウイルス感染症の影響の長期化に加え、昨年7月の豪雨災害等もあり、かつてないほど厳しい状況に置かれています。 私は、福岡県等が緊急事態措置区域に追加さた1月中旬に、事業者の皆さんから売上げが落ちたままでは行き詰まる事業者が今後続出するといった切実な声を直接お伺いし、早急に対応が必要だと強く感じたところです。 そこで、まずは県民の皆さんに県内旅行に出かけていただこうと、旅行割引事業として約2億円の予算を専決処分しました。感染状況に注意しつつ、来週末から開始します。 また、国に対しても、全国知事会を通じて、事業者への手厚い経営支援の実施、GoToトラベル事業の感染が落ち着いている地域からの再開等を要請しました。このほかにも、県独自の旅行割引を用意しており、適切な時期に活用しながら、本県の観光産業をしっかりと支えていきます。 他方、観光にもパラダイムシフトが起こっています。旅行者には遠方より近場、都市よりも地方、インドアよりもアウトドアといった志向が強まっており、こうした価値観の変化は本県にとって大きなチャンスになると考えます。 現在、ワーケーションについては、企業ニーズを把握するため、実証を進めています。来年度は、さらにマイクロツーリズムのコンテンツとして、豊かな自然環境を活かしたアドベンチャーツーリズムやエコツーリズム、文化資源を活かしたカルチャーツーリズム等の旅行需要も取り込んでいきます。 また、日本政策投資銀行の調査によると、訪日外国人旅行者は、コロナ終息後も感染症対策の継続に期待しています。インバウンドの回復を見据え、国、地域ごとのニーズに応じた誘客対策を行う際には、全国に先駆けて進めた本県の感染症対策をアピールすることで、多くの誘客に結びつます。 ポストコロナ期にもおんせん県おおいたが国内外の旅行者に選ばれるよう、事業者の皆さんとともにこの難局に立ち向かい、本県観光産業の再活性化とさらなる成長につなげていきたいと思います。 次に、女性の活躍推進についての御質問もありました。 お話にもあったとおり、今日は国際女性デーです。全豪オープンで優勝した大坂なおみ選手の活躍は、まさに国際女性デーの趣旨である勇気と決断をたたえるにふさわしいものであったと思います。 今定例会で提案の男女共同参画計画では、女性の活躍の推進を柱の一つとしています。この計画の代表指標でもある女性活躍推進宣言企業は、この1年で32社増え、合計208社となるなど、経済界の取組も着実に進んでいます。 先日、その取組が特に優れている5社を表彰しました。これらの企業では、キャリア形成に特化した面談やキャリアパス制度の導入など、働きやすく、働きがいのある職場づくりを積極的に進めています。このような取組を県内企業に広く周知することで、女性の活躍を応援する企業を増やしていきます。 また、県では、経済界と共同で策定する女性が輝くおおいたアクションプランに掲げる三つの取組をさらに強化します。 一つは、働きたい女性への支援です。再就職希望者への新たな支援として、就職になかなか結びつかないケースでのキャリアコンサルティングを実施します。 また、国東市でのモデル的な農場で開催する女性就農希望者向け研修への支援など、女性の創業や起業を後押しします。 二つは、働いている女性への支援です。女性の視点を活かした社内プロジェクトを専門家がサポートすることにより、女性のモチベーションアップや組織強化につなげます。また、管理職など将来の目指す姿を描けるよう、身近なロールモデルを紹介します。 三つは、仕事と家庭を両立できる環境づくりです。女性の活躍には、男性の家事参画や働き方改革も重要です。本県の男性の家事育児時間は、昨年、九州・山口で1位となりました。これに満足することなく、男性の家事力向上セミナーの開催や、家事分担を考えるツールとなる家事手帳の作成、こういったことにより、男性の家事等への参画を促します。 加えて、テレワークの導入支援や、病児保育ICTシステムの導入等、女性が安心して働ける環境づくりを進めます。 今後、地方創生を確かなものにするために、女性が個性と能力を十分に発揮して活躍できる社会づくりを進めていきます。 このほかにも大変大事な御質問をいただきました。その他について、担当部局長から答えさせます。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。  〔湯地土木建築部長登壇〕 ◎湯地三子弘土木建築部長 私から3点お答えします。 まず、天ヶ瀬温泉街の復旧についてです。 玖珠川の天ヶ瀬温泉街付近は、川幅が狭く、平成に入ってからも頻繁に浸水被害が発生しています。その都度、河川改修を検討してきましたが、両岸に建ち並ぶ旅館や住宅、川底の泉源への影響などもあり、天ヶ瀬温泉街の特色ある風情を大切にする地元との合意形成が進まず、本格的な河川改修に至っていませんでした。 そうした中、7月豪雨による浸水被害の影響は大きく、地元からも治水対策を求める声が強まり、その一つにトンネルによるバイパス建設があるのは承知しています。 トンネル案では、土砂などによる埋塞の恐れに加え、流れの速い洪水をトンネルへ導く構造などの技術的な課題が多くあります。 さらに、トンネルが複数本必要で、分流、合流施設も大規模となり、事業の長期化も懸念されます。何より、河道拡幅に比べ、完成までに全く効果が出ないことが問題と考えます。 現在、温泉街の存続と河川改修の両立を目指し、国や学識者と協議を進めるとともに、県と市で検討を進めているところです。 解決すべき課題もたくさんありますが、地元や関係機関との調整を丁寧に行い、令和4年度からの事業化を目指していきます。 次に、治水の広域的な取組について御質問いただきました。 流域治水プロジェクトは、各流域で早急に実施すべき治水対策の全体像を策定、公表し、計画的に推進するものです。 プロジェクト策定のため、昨年9月に県内6つの一級水系で、国、県、市町村の河川管理者をはじめ、農政、森林、まちづくりの担当部局など、多様な関係者が参画する流域治水協議会を立ち上げました。 筑後川流域の協議会においても、本県と福岡県、さらに筑後川流域の自治体など、多様な関係者が参加し、治水に関する各分野の施策を共有したところです。 この流域治水プロジェクトには、森林分野の施策として、森林整備や治山対策など、水源涵養機能等の発揮に向けた施策を盛り込む予定です。 今後は、この協議会において、短期、中期、長期にわたる様々な施策の進捗状況をフォローアップするとともに、新たな技術や知見も取り入れながら、治水対策に取り組んでいきます。 3点目、日田-阿蘇間の道路整備についてお答えします。 日田-阿蘇間を結ぶ道路は、産業や観光の振興、災害時のリダンダンシーとして、その重要性は御指摘のとおりです。 県内の地域高規格道路は、平成6年に中九州横断道路中津日田道路などが国により指定を受けていますが、平成10年以降、全国的にも新たな追加指定は行われていません。 現在、中津日田道路などを自動車専用道路として整備しており、今後も早期の供用を目指して全力を注いでいきます。 一方で、現在、広域的な産業や観光を支えている国道212号は、大きな災害のたびに被害を受け、その脆弱性は認識しています。 そのため県では、幅員狭小で落石被害も発生している国道212号において、響峠バイパスの整備を推進しており、いよいよ今月28日に開通する予定です。 引き続き、国道212号における課題の解決に取り組みながら、災害時に迂回路となる周辺の県道等とあわせた道路ネットワークの整備を進めていきます。 ○麻生栄作議長 大友農林水産部長。  〔大友農林水産部長登壇〕 ◎大友進一農林水産部長 私からは持続可能な森林づくりについてお答えします。 本県では、50年後のあるべき森林の姿や持続可能な林業経営、災害に強い森林づくりなどの基本方針を明確にした次世代の大分森林づくりビジョンを平成24年に策定し、29年に見直しを行ったところです。 現在、県内の人工林は利用期を迎えた林分が6割を占める一方、20年生以下の若い林分は非常に少ない状況にあり、将来にわたる持続可能な林業を実現するためには、齢級構成の平準化を進めることが不可欠です。 このため、次年度から、今ある高齢級の資源を最大限活用するため、大径材の価値向上と、成長が早く、30年後に利用可能な早生樹等の造林を推進していきます。 加えて、災害に強い森林づくりに向けて、河川沿いや、おおむね35度以上の急傾斜地の尾根谷部の広葉樹林化を進めていきます。 御提案のような森林づくり条例は、現在、全国16道県で制定されていると承知していますが、県としては、今後とも森林づくりビジョンに基づく取組を関係団体と連携して推進し、持続可能な森林づくりの実現を図っていきます。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。  〔廣瀬福祉保健部長登壇〕 ◎廣瀬高博福祉保健部長 私からは2点についてお答えします。 まず、感染拡大に備えた保健所の体制強化についてです。 これまで保健師や事務職員を追加配置するとともに、検体搬送業務の他所属への協力依頼、夜間休日電話受付の外部委託、個室相談室の整備や患者搬送車の追加配備などを行ってきました。 また、クラスター発生等により、一時的に業務量が増大した場合には、本庁から保健師や事務職員等を臨機に派遣しています。 さらに、本年2月から県や市町村を退職した保健師や看護師等、約20名の協力を得て、クラスター発生時に保健所での感染者の健康観察や相談業務などを支援する仕組みをスタートしたところです。 来年度は、感染対策に加え、ワクチン接種に係る業務量の増大も見込まれるため、保健師や事務職員をさらに増員し、体制強化を図ることとしています。 今後とも、感染拡大期においても迅速かつ広範に積極的疫学調査を行い、PCR検査実施につなげるなど、保健所がその役割を十分に果たすことができるよう対策を講じていきます。 次に、ワクチン接種における市町村との連携についてです。 高齢者の接種をはじめとして、県民へのワクチン接種を担う市町村の役割は極めて重要と認識しています。 4月中旬から高齢者などへの優先接種が始まりますが、ワクチンの供給体制、接種方法、接種場所の確保、医療スタッフの確保など、多くの課題が想定されています。 県としても、本庁感染症対策課のワクチン接種チーム内に市町村ごとに担当を配置し、毎週、進捗の確認や課題の整理を行うとともに、必要に応じて直接市町村に出向くなど、きめ細かな支援を行っているところです。 さらに、地域においては、保健所と市町村が連携し、郡市医師会、地域の医療機関を加えたワクチン接種関係機関連絡調整会議で意見を集約し、それぞれの地域に適した接種体制の構築を進めています。 現時点では、ワクチンの供給時期や供給量など、不透明な点もありますが、状況の変化に迅速、的確に対応できるよう、市町村としっかり連携していきます。 ○麻生栄作議長 梶原防災局長。  〔梶原防災局長登壇〕 ◎梶原文男防災局長 私からはICTを活用した救急搬送体制についてお答えします。 今年1月の救急搬送困難事案は、前年と比較し、大分市においては43件増加していますが、大分市を除く地域では特に増加していません。大分市で受け入れできなかった理由は、ベット満床、手術中や患者対応中などでした。 そのため、医療機関や消防機関の関係者で協議を行い、当面は受入可能人数や診療科目等について情報共有する既存のシステムである、おおいた医療情報ほっとネットを活用することとしました。 具体的には、受入可能な医療機関を救急隊員が効率よく選定できるよう、救急医療機関に対して毎日の受入可能人数等の入力を改めて依頼し、その徹底を図ったところです。加えて、必要に応じて管轄地域外への搬送を消防機関に促しています。 このような対策を講じたこともあり、大分市の2月の救急搬送困難事案は、1月の74件から27件に減少しています。 今後も医療機関と消防機関との連携を密にし、本システムの活用はもとより、搬送時間を1分1秒でも短縮できるようICT技術の研究を続けていきます。 ○麻生栄作議長 高濱商工観光労働部長。  〔高濱商工観光労働部長登壇〕 ◎高濱航商工観光労働部長 私から2点回答させていただきます。 まず、感染した労働者への制度周知についてです。 業務において新型コロナウイルスに感染した場合、労災認定により休業期間中の賃金等に対して補償が受けられることから、今回の措置を活用することは従業員保護の観点からも重要と考えています。 厚生労働省では、対象となる事例を詳しく説明したQ&Aをホームページに掲載するとともに、経団連や業種別団体、連合等2,200の労使団体や日本医師会等医療関係団体宛て、職員に周知するよう要請しています。 大分労働局においても、県内で感染が発生した場合、把握できた事業所等に要請を行い、該当する労働者が請求するよう促しています。 その結果、議員が言及いただいた、まだ請求が18件しかないのは1月20日現在の数字でしたが、最新の情報である2月末では40件の請求まで増えてきています。そのうち18件が既に認定されており、感染者数で本県は全国比0.3%のところ、認定件数では2倍以上の0.7%となっています。 しかし、議員御指摘のとおり、制度を知らずに請求していない事例があることも想定されます。県としても、周知が必要であると考えることから、大分労働局と連携しながら、保健所等関係機関の協力も得ながら、さらに周知を図っていきたいと考えます。 続いて、労働者協同組合法に対する認識と今後の対応についてお答えします。 働く人自らが出資し、自らの意見を反映した事業に従事する労働者協同組合は、仕事と生活の調和を図りながら、意欲と能力に応じて働くことができることから、多様な就労の機会の創出につながるものと認識しています。 これまで生活協同組合や農業協同組合が中心であった協同組合が、幅広い分野で事業を実施でき、子育てや介護、交通、まちづくりなど、地域における諸課題を担ってきた企業組合やNPO法人からの移行が想定されます。 また、例えば、後継者が不在となる株式会社も従業員の事業承継の手法の一つとして選択することも考えられます。 一方、働く側にとって、働き方を自ら決めることができるのは大きな利点ではありますが、一部の組合員に負担が偏らないよう、働き方の多様性と労働条件の保護を両立することも重要な課題と考えます。 県としては、2年以内に施行される法律に備え、今後、国から提供される制度の詳細を検討するとともに、庁内関係部局においても情報共有しながら、準備を進めていきます。 ○麻生栄作議長 秋月観光局長。  〔秋月観光局長登壇〕 ◎秋月久美観光局長 私からは、SDGsに貢献する観光の振興についてお答えします。 本県の観光振興におけるSDGs達成に貢献する取組として、日本一を誇る温泉資源の活用が上げられます。温泉は、地域で大切に維持されながら、入浴だけでなく、地獄蒸し料理、宿泊施設での発電や暖房など、環境に配慮した活用がされています。 また、最近では、臼杵市観光情報協会が、地元で育まれた有機野菜を味わい、地元住民が整備を続ける森林を巡るSDGsツアーを開発するなど、観光関係者のSDGsへの取組が進みつつあります。 さらに、コロナ禍を受けて、観光関係者にとっては、危機管理や感染症対策の徹底、旅行者にとっては、地域の文化や自然への関心が高まっています。 こうした状況を踏まえ、県としては、今後策定する第4期ツーリズム戦略にポストコロナにおける持続可能な観光の観点を盛り込み、観光関係者や市町村などと連携しながら、しっかり取り組みたいと考えています。
    麻生栄作議長 竹迫警察本部長。  〔竹迫警察本部長登壇〕 ◎竹迫宜哉警察本部長 交通安全について、二つ御質問いただきました。 まず、交通死亡事故の防止についてです。 人口10万人当たりの死者数等の各種交通統計において、本県の死者数が多いことは議員御指摘のとおりです。 この背景には、いろいろな要因があるとは思いますが、本県の高い高齢化率、32.9%ということで全国で11位、九州沖縄で第1位ですが、これも要因の一つであると考えます。 昨年の統計を見ると、死者に占める高齢者の割合が62.8%と非常に高いことから、高齢者の交通事故防止対策が重要と考えます。 また、後部座席のシートベルト着用率、横断歩道に歩行者がいる際の車両の停止率が低いことも御指摘のとおりです。 交通ルールの遵守について、昨年人対車両の交通事故によって死亡した歩行者17人のうち、残念ながら8人の方に法令違反があることから、歩行者を含めた県民一人一人の交通ルール遵守と交通マナーの向上が重要と考えます。 こうした情勢を踏まえ、県警察では交通指導取締等の交通街頭活動の際に、高齢者を含めた全ての歩行者に対し、正しい横断方法の指導や、特に日没前後の交通事故防止に向けた反射材着装運動を強化しています。 また、昨年立ち上げた思いやりの運転県おおいた推進会議等の関係機関団体とも連携した広報啓発活動や交通安全教育にも力を入れており、こうした活動を通じて交通死亡事故の抑止に努めていきたいと考えています。 次に、電動アシスト自転車による事故防止についてです。 県下における自転車の交通事故については、10年前の約4割の325件と減少しています。ただ、昨年は自転車乗車中の死亡が8人と、過去10年で最も多くなっています。このうち、電動アシスト自転車によるものは、325件中9件で2.8%、死者数はゼロでした。 昨年は自転車利用者による法令違反等の指導警告件数は2,147件に上っており、一昨年は歩行者に衝突し死亡させた事故も発生しています。 このため、国内生産台数が年々増加傾向にあり、今後も利用者の増加が考えられる電動アシスト自転車を含む自転車利用者に対しては、被害者、加害者の両面に着目した効果的な対策が御指摘のとおり重要であろうと考えています。 こうした中、自転車の交通事故防止等を目的とした大分県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例が制定され、県、事業者、学校、保護者等の関係者が、自転車安全教育等に取り組むこととされました。 県警察では、今後も電動アシスト自転車を含めた全ての自転車利用者に対する指導取締りを行うとともに、関係機関団体等と連携し、安全で適正な利用に関する交通安全教育や広報啓発活動に取り組んでいきます。 ○麻生栄作議長 以上で羽野武男君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。     午前11時44分 休憩  -------------------------------     午後1時 再開 ○嶋幸一副議長 皆さん、お疲れさまです。 休憩前に引き続き、会議を開きます。 代表質問を続けます。吉村哲彦君。  〔吉村議員登壇〕(拍手) ◆吉村哲彦議員 皆さんこんにちは。36番、公明党、吉村哲彦です。代表質問の機会をいただきました会派先輩議員の皆様、心より感謝します。本日は青年らしく、青年の目線で質問します。最後までよろしくお願いします。 初めに、県経済の再活性化について伺います。 ラグビーワールドカップ2019日本大会大分開催の大成功を経て、県政のさらなる発展をと期待された2020年。しかし、新型コロナウイルス感染症の流行により、多くの県民が苦しい1年を送らざるを得なくなりました。また、それだけではなく、7月には豪雨災害の発生、湯布院、天瀬、九重、玖珠等、なりわいさえも奪われかねない大きな被害となり、今なおその復旧は途上です。 まず、災害に目を向けてみると、2020年度までの期間で実施されている防災・減災国土強靱化3か年緊急対策では、特に緊急に実施すべきハード、ソフト対策を集中的に実施してきました。しかし、頻発する大災害を前に、政府は国土強靱化緊急対策をさらに延長、防災・減災国土強靱化のための5か年加速化対策を閣議決定し、命を守る防災・減災について、その取組をさらに進めることとしています。 党として防災・減災を推進している私たちも県土強靱化推進に向け、知事はじめ、県民お一人お一人と力を合わせ、しっかり取り組んでいきたいと決意しています。 そしてもう一つ大きな課題が、昨年より終息の見えない新型コロナウイルス感染症です。その影響は多岐にわたり、教育、経済、医療をはじめ、あらゆる分野で影響を受けています。多くの人が生活様式から行動様式まで変化を余儀なくされ、先の見えないトンネルを歩かされています。 新型コロナウイルス感染症は、経営者の高齢化や後継者問題に加え、特に経済への影響は深刻で、県内でも2020年に休廃業、解散した会社は460社を超え、その苦しい声は日に日に大きなものへとなっています。ワクチン接種もスタートしている今こそ、ウイルスへの反転攻勢に向けた体制を整えなければなりません。 そこで、新型コロナウイルス感染症を克服し、大分県の経済を本格回復させるための知事の決意を伺います。 次に、農林水産業の6次産業化について伺います。 緊急事態宣言の再発令の影響を受け、大消費地向けの県産ブランド食材の生産者が大きなダメージを受けています。外食産業の需要減少により、ブランド食材は注文の減少に加え、価格が低迷しており、これまでブランド化に積極的に取り組んできた県内の農林水産業者を守る対策は急務となっています。 そのような現状を踏まえ、県は6月補正に引き続き、2月専決予算でも県産農水産物学校給食提供事業を追加計上し、県産品の需要を下支えする取組を進めています。 ここで、沖縄県での取組事例を紹介します。 コロナの影響を受け苦しんでいる農家を助けるため、コロナの影響で余ってしまった農作物を買い取り、別の商品に加工し、ブランド化して販売するいわゆる6次産業化を進めています。これらをおいしく気品のある商品に作り上げ、ブランド化し、沖縄の名産と呼ばれる商品に洗練させたい、このような思いで取り組まれています。資金調達もクラウドファンディングを活用するなど、まさにアイデアを出し合い、ピンチをチャンスとし、進められています。 当然、目の前の支援は必要です。それに加え、希望を生み出す取組の一つとして、このような農林水産業の6次産業化とも言うべき取組を今まで以上に官民一体となって進めていくことで、コロナ禍を乗り越えるだけでなく、その後の発展にもつなげることはできないでしょうか。コロナ後も見据えた県産農林水産物の6次産業化への取組について伺います。 次に、花きの消費拡大対策について伺います。 花きについても、その消費の落ち込みが気がかりです。昨年の臨時会の折にも質問しましたが、今年も卒業式、入学式、そして歓送迎会と花にふさわしい時期がやってきます。日本人は万葉集の時代から花のうつろいにより季節を感じてきたことは皆さん周知のとおりです。「時に、初春の令月にして、気淑く風和ぎ、梅は鏡前の粉を披き、蘭は珮後の香を薫す」とは万葉集から選定された令和の由来であり、初春の梅や蘭の花の美しさ、かぐわしさをうたったものです。 その令和初めての春は、さきほど言ったイベントが縮小、自粛となってしまった寂しい春でした。今年の春は新しい生活様式に即し、過度な自粛にならない門出を祝う春らしいイベントにしていただきたいと思います。 そこで重要になるのはやはり、花です。県では2月専決予算において県産花き消費拡大緊急対策事業として、こうした卒業式などへの花の需要喚起を後押しする取組を通じて花き農家の支援を打ち出しました。ぜひとも花の似合う春を演出していただきたいと思っています。 一方で、花き農家の方はこの1年間、たび重なる緊急事態宣言や自粛要請により、かなり収入が落ち込んだことと思います。この春を支えるだけでなく、令和3年度を含め、支援していく必要があると思います。県の花き消費についての対策について伺います。 次に、コロナ禍における子育て世代への支援について伺います。 新型コロナウイルス感染症は、新しい生活様式など、これまでの日常を大きく変えるパラダイムシフトを起こしています。これにより多くの人が真の幸福、豊かさとは何かを考える今、行政も従来の常識、発想を超え、真に達成すべき豊かさとは何かを考えるときにあるのではないでしょうか。 このような考えのもと、私たち公明党青年局はオンラインを活用し、全国の青年との語らいの場を多くつくってきました。その語らいで得た実感は、将来への不安は誰しもが感じているが、負担に見合った行政支援を実感できず、不公平感を抱く単身者を含めた若い世代が多いということです。 コロナ禍により、多くの若者にとって学生時代の奨学金の返還負担が大きくなっており、結婚、出産など、ライフイベントの大きな障壁になっています。 低所得者支援の維持、充実は当然のこととして、中間所得層にある若者や子育て世代の支援に焦点を当てた安心の保障は、社会の分断を阻止する上でも、結婚、出産といった社会生活上の豊かさを享受する上でも、さらに人口増対策に向けても極めて重要であり、ひいては社会全体を支える基盤強化となるのではないでしょうか。 特に子育て世代への支援策として、育児休暇を取得しやすくすることは非常に重要だと考えます。男女がともに仕事と育児とを両立できる環境の整備は急務であり、働き方や生き方の多様性、柔軟性を諦める必要がない社会にする、このような意味で、県民の生活、生き方に直結します。 その上で、共働き世代の男性の8割は家事を行わず、約7割が育児を行っていない、このような統計もあることを踏まえ、テレワークなどの普及を男性の家事、育児等への参画を促すチャンスとすべきです。 育児にとって最も重要な子どもの誕生から最初の1か月間について、現在、休業前賃金の67%となっている育児休業給付金の給付率を100%まで引き上げるよう国に要請することも考えられるのではないでしょうか。 また、育児休暇を取得することに対して周囲の理解を得ることの難しさや、周囲の負担増への気兼ねもあることから、職場や社会全体が子育て世代の育休を支え合うような環境整備をさらに進め、育休制度を利用しやすい社会構築を進めることも考えられます。 休暇制度だけでなく、経済的負担もコロナ禍では若者や子育て世代に対し重くのしかかっています。子育て世代に負担に見合った行政支援を少しでも実感していただきたいと思います。 コロナ禍における、特に子育て世代への支援について、知事の御見解を伺います。 次に、ワクチン接種の副反応への対応について伺います。 新型コロナウイルス感染症ワクチン接種は強制ではありません。しっかり情報提供を行った上で、予防接種による感染症予防の効果と副反応のリスクの双方について理解を促し、自らの意思で接種を受けるとされています。 一般的にワクチン接種では、副反応による健康被害は極めてまれであると言われます。しかし、完全にはなくすことができないため救済制度が設けられています。 この救済制度では、予防接種によって健康被害が生じ、医療機関での治療が必要になったり、障がいが残ったりした場合、予防接種法に基づく救済、例えば、医療費、障害年金等の給付が受けられるとされています。 そして、新型コロナワクチンの接種についても、健康被害が生じた場合は、予防接種法に基づく救済を受けることができます。この制度については、さらに多くの方に周知をしていく必要があると考えます。 一方、具体的な副反応については、アメリカの疾病対策センターによると、最も起きるおそれのある副反応は注射した部位の痛みで、6割から9割の人に見られたと発表されています。 他方、アメリカニューヨーク州立大学などの研究によると、日常生活に支障を来すほどの痛みは1%未満にとどまるとの報告もなされ、他には赤みや腫れ、倦怠感、発熱、頭痛なども起こり得るとしています。 さらに、アレルギー症状であるアナフィラキシーは、ファイザー製では20万回に1回の割合で起こっているとの報告がありました。蕁麻疹やかゆみ、息切れ、血圧の低下や意識消失などに突然襲われるアナフィラキシーですが、早めにエピネフリンや酸素を投与すれば深刻な状態になりにくいとされており、このような準備も欠かさずに行う必要があります。 また、国としても先行してワクチン接種が行われている医療従事者に参加していただき、安全性や副反応のデータを収集、公表し、安心して接種できるよう取り組むとしています。 誰しもが安心してワクチン接種を受けるため、県としてどのような準備対策を行い、万一副反応が出た場合、どのように対処することが予定されているのか伺います。 次に、新型コロナウイルスに関する情報発信について伺います。 感染症にはどこで感染するか分からないという不安があるため、病原体への恐怖心がそのまま他者への警戒心に転じやすいと言われます。問題なのは、警戒心がエスカレートし、感染症に苦しむ人や家族をさらなる窮地に追い込むような事態を招いたり、感染症拡大の責任を一定の人に転嫁する雰囲気をSNSなどの匿名性の高いインターネットメディアを発信源として社会全体で形成する傾向にあることです。 こうした傾向が強い背景には、感染症拡大が生活に及ぼす影響が深刻なため、多くの人々が情報を求め、新聞、メディアにとどまらず、ネット上の真偽不明な情報や出所不明の情報に触れ、この情報の空白を埋めようとする動きがあると言われています。 そのような情報の中には、特定の人等に憎悪の感情を向けようとする悪意に満ちた言説も含まれます。このような様々な情報が拡散され、社会を混乱させてしまう事態はインフォデミックと呼ばれています。 国連においても、このインフォデミックに対し強い注意喚起をしており、昨年5月には誤った情報やデマの蔓延を防ぐため、ベリファイドという取組を開始しました。これは多くのメディアと連携し、正確で信頼できる情報について、専門家によって検証済みであることを示すベリファイドの認証マークをつけて発信する取組です。 県内においても感染した方が感染症を克服したものの、会社、地域、家庭に戻った際、誤った情報や偏った情報が偏見を生み、誹謗中傷され、これからの生活に大きな不安を抱えている方がいます。私は誰にも相談できず、一人苦しむ心の苦しさも伺ってきました。 相談窓口にいつでも相談してください、これだけでは本当に苦しい人の声は拾えていないのかもしれません。感染し克服された方に、その後どうですかと積極的に声をかけるアウトリーチ型の支援も考える必要があるのではないでしょうか。 そして、何より悪意のある情報のために苦しむ方を出すことがないよう、感染防止のための情報だけでなく、あらゆる角度からの正確な情報発信が必要だと考えます。 大分県は今こそ、新型コロナウイルス感染者への差別やデマの拡散を防ぎ、差別を絶対に許さないという機運を醸成し、誰もないがしろにしない人権文化先進県となるときではないでしょうか。そのためにもインフォデミックに対応する正確な情報の発信が、このコロナ禍には必要であると考えます。 新型コロナウイルス感染症に対する正確な情報発信についてどのように対応されるのか、御見解を伺います。 それでは、次にコロナ禍における若年者就職支援について伺います。 コロナ禍の影響により、学生の就職も不安視されています。文部科学省と厚生労働省が共同で発表した就職内定状況等調査によると、国公立大学、私立大学、短期大学、高等専門学校に関する2020年12月時点の総計の就職内定率速報値で、2019年同月と比べ5.6%減の80.6%となっており、特に短期大学では57.6%と、昨年同月と比べ14.4%もの減となっています。 また、厚生労働省の調査によると、最新の統計である2020年10月末時点で、高校生を対象とした求人数は36万9,677人で、2019年の同時期より20.7%も減少しています。特に宿泊業、飲食サービス業などでは45.9%の減少と、非常に大きな下げ幅となっています。 さらに、高校生の求人倍率も2.43倍と、2019年同期比から約0.32ポイントの低下をしており、前年からの減少幅としては1993年のマイナス0.3ポイントと並ぶ激しいものとなっています。 この数字だけを見ると、あのバブル崩壊後の就職氷河期が発生した1993年の状況を思い起こします。第2の就職氷河期をつくり出さないための支援が急務ではないでしょうか。2010年の青少年雇用機会確保指針改正により、新卒要件を卒業後3年間まで緩和することになりましたが、この要件緩和は企業に定着をしていないとの声もあり、政府は昨年、経団連など経済4団体に、採用試験で卒業後3年以内は新卒扱いするよう改めて要請を行いました。 県内でも人手不足の業種を支援し、ハローワークの大分わかもの支援コーナー等において、求職者と企業とのマッチング機能を強化するなど、さらなる雇用対策が必要となると考えます。 コロナ禍で厳しさを増す雇用対策のポイントは、現在維持されている雇用を守ることや職を失った人の再就職支援、春卒業予定の高校、大学生の新卒採用の後押し等ではないでしょうか。 その中でも特に、前途洋々たる若者の将来への希望をつくり、失敗しても挑戦できる環境をつくっていくことは行政の重要な役割であると考えます。そこで、県内における若者の再就職、新卒採用支援について、新卒要件緩和策の浸透状況とあわせて知事の考えを伺います。 では、次に若年者等の県営住宅入居要件について伺います。 さきほどのオンラインなどでの語らいの場において、多くの若者や子育て世代の方が訴えられていたのは住居費のことでした。 具体的には、若者が負担する生活費のうち、固定費において住居費の割合が大きくなっています。その負担を軽減し、若者が安心して暮らし続けられる環境を整備することは、将来に向けた安心を確保する上でも重要です。県営住宅の募集にあたって、一定の年齢以下であることを求める若者枠の設定や、子育て世代がより入居しやすい家賃設定も含めた環境をつくることで、若者、子育て世代に対する公的な住居提供サービスの拡充を図り、若者の負担を軽減し、安心して生活できる環境をつくってはいかがでしょうか。 特に、このコロナ禍において、県営住宅における若者世代への新たな支援策と子育て世代に的を絞った支援について、県の考えを伺います。 それでは、次に避難所における感染症対策について伺います。 近年、大規模な自然災害が頻発しています。先月発生した福島を中心とした大きな地震に、改めて自然の怖さを痛感し、東日本大震災から10年となる今、日頃の備えの重要さを再認識しました。 このように、度々発生する自然災害の脅威から避難する場所において、さらに感染症を気にする必要にさいなまれ、昨年からは避難所での新型コロナウイルス感染症対策が取り上げられるようになりました。 ただし、このことは決して新しいことではなく、2016年の熊本地震の際も感染拡大には至らなかったものの、インフルエンザやノロウイルスなどの感染症が確認され、その危険性については議論されてきたところです。 熊本県健康福祉部がまとめた「熊本地震における感染症コントロールに向けた当課の経験」という報告書によると、避難所には様々な支援が入り、また、短期間で人が入れ替わるため、避難者、支援者ともに混乱が生じることや、集団の中では一定数の患者発症は起こり得るが、一つの感染症例の発症が、時にパニックとなり得ることに加え、サーべイランスシートの書式や記載内容の不統一などの課題が上げられていました。 こうした熊本県での事例や、先月発生した福島県沖の地震に際して取られた避難所の対策を含め、県の示す避難所運営マニュアル策定のための基本指針において、感染症への対策をさらに充実した記載にすべきであると考えます。 新型コロナウイルス感染症に限らず、県内複数地域にまたがる災害時、各地の避難所で発生し得る感染症に対応した避難所運営について、県としてどのような対策を考え、市町村に助言しようとしているのか、県の考えを伺います。 それでは、次に移住、定住の促進について伺います。 コロナ禍を機に地方への関心が高まっています。県でもワーケーションの取組やオンラインでの移住セミナー、dot.(ドット)の活用など移住、定住を進めていますが、移住を考えている方の背中を押し、大分県へと目を向けてもらう取組をさらに進めていかなければなりません。 総務省によると、東京都では昨年7月以降、7か月連続で転出者が転入者を上回り、脱東京の動きとして注目を浴びています。しかし、東京からの転出先は、ほとんどが神奈川、埼玉、千葉といった近隣3県にとどまっているようです。 首都圏を越えた地方移住の流れを加速させるには、移住を断念する理由に上げられる仕事や子どもの教育、医療など、生活上の不安を解消できるかが鍵ではないでしょうか。関東学院大学の牧瀬准教授は、地方圏が移住先として選ばれるためには、脆弱である要素を全て改善するのではなく、何かに特化すれば東京圏と遜色がなくなると指摘し、戦略的な取組の重要性を強調しています。 移住の決め手となる要素は人それぞれです。まずは希望者のニーズを的確に捉え、選択肢の一つに入れてもらうことが移住者獲得の第一歩であることは言うまでもありません。 愛媛県西条市は、子育て世代を中心にターゲットを絞り、参加者の要望にあわせた完全オーダーメイド型の無料移住体験ツアーなどを展開しています。移住者の人数は、2017年度が106人、その後、289人、346人と年々増加しています。 田舎暮らしの本による2021年版住みたい田舎ベストランキングでは、多くの大分県内市町村がランクインし、県としても移住したい都道府県ランキングで第8位と大健闘をしています。 しかし、県内市町村の移住情報は多く目にするが、大分県内全体としての情報が分かりにくいとの声を実際に県内に移住してきた方からいただくこともあります。今後、デジタル技術の進展によって、住む場所に縛られないテレワークやオンライン教育、リモート診療などが普及すれば、地方の弱点の多くは解消され、移住、定住の競争は厳しくなると考えられます。 移住者を呼び込む売りとなる大分県の特徴は何かを考え、どの層を対象に、どうやって移住希望者が求める情報をつかみ届けるか、今まで以上に各市町村と一体となって進める必要があるのではないでしょうか。 将来を見据えたニーズの把握、移住、定住推進における県内市町村との連携について、県の考えを伺います。 それでは、次に先端技術への挑戦に向けた産業人材の育成について伺います。 県は昨年4月にアメリカのヴァージン・オービット社と、同社の目指す人工衛星の水平型打ち上げ事業の拠点として、大分空港をスペースポートとして活用するためにパートナーシップを締結しました。最速で2022年、小型人工衛星の打ち上げを目指していると聞いています。コロナ禍や豪雨災害といった暗い話題が多かった2020年において、県内では希望の持てる話題であったと思います。 打ち上げ自体もさることながら、宇宙を活用した先端技術は、既に私たちの身近で活用されています。人工衛星から送られてくる衛星データは、気象観測や通信など様々な分野で活用されています。こうした需要は、人工衛星の打ち上げ需要にもつながり、大分空港のスペースポートとしての役割も大きくなることが期待されます。 昨年実施された大分市内の小学生による社会科見学の際、大分空港を訪れ、宇宙港の話を聞いた子どもたちは、目を輝かせて帰ってきました。大人だけでなく、子どもたちにとっても大きな夢となる事業であると感じます。 一方で、こうした産業の中核となるのは技術者、ものづくりのプロフェッショナルたちです。特に先端技術分野のものづくり人材が県内に潤沢にいる状況ではありません。これまでのものづくり人材を新しい分野にどう活用し、先端技術という新たなものづくり分野に対して県内技術者の方々に挑戦していただくか、そのための基盤をつくることが重要だと考えます。 あわせて、将来の技術者確保のために、今の子どもたちが宇宙やその技術に興味を持ち、将来、大分県の技術者として活躍できるよう学びの場を提供することも非常に重要だと感じます。例えば、AIやドローンなど先端技術を学ぶことができる情報科学高校を拠点とし、新たな学科・コースを創設するなど環境整備が重要ではないでしょうか。 県内人材をいかに生かしていくのか、また、高校生などの若い皆さんに学びの場を提供し、人材育成を図る必要性についてどのように考えているか伺います。 では、次に行政や教育現場におけるデジタル人材の確保、育成について伺います。 新型コロナウイルス感染症拡大により社会が変容する中、様々な分野でデジタル化への課題が浮き彫りとなりました。その現状を踏まえ、私たち公明党は豊かな国民生活と誰一人取り残さない社会をつくるためのデジタル化を訴えています。 本県のように中山間地から離島まで多様な自然環境と地域性を持っている県土においては、どの地域に生活していようとも、デジタル化された仕組みを活用できるようにしなければなりません。そのためにはハード、ソフト両面における環境整備が急務です。 今回は特にソフト面に注目して質問します。私はデジタル化を進めていく上でのポイントは、年齢や性別、能力の違いに関わらず、多くの方が使いやすいように設計するユニバーサルデザインとすることと考えています。平時はもとより、災害やパンデミックなどの非常時にも有効に使用できるようにすることが大事ではないでしょうか。 人間が使いやすいようデジタル機能を設計するのは、そうした技術を持つデジタル人材です。しかし、そのデジタル人材は不足しており、確保することが喫緊の課題となっています。特に地方の自治体においてデジタル業務を担う専門職員を県内各地で同時進行的に育成、確保していくことは行政サービスに直結するため非常に重要です。 また、コロナ禍においてGIGAスクール構想がスピード感を持って取り組まれていることを考えると、教育現場においてもICT環境、デジタル機器等を十分に活用できる教職員を確保していくことは待ったなしの状況です。 行政や教育現場でのデジタル化を推進する人材を確保するためには、民間企業との人事交流の促進や、力がありながらも社会情勢の影響を強く受け、非正規雇用でICT関連の仕事をしている就職氷河期世代の方の登用などを進める必要があるのではないでしょうか。行政や教育現場におけるデジタル人材の確保、育成について、その考えを伺います。 では、次に脱炭素社会に向けた企業活動の支援について伺います。 県では第3次大分県環境基本計画を2016年3月に策定し、環境施策の推進を図っています。地球温暖化対策としては、家庭におけるCO2削減を目的に、省エネチェックシート、環境家計簿を作成、ラグビーワールドカップを開催した際にはCO2オフセットにトライを実施し、約1万2千トンのCO2を削減できました。 また、昨年は基本計画の見直しを行い、特に頻発する異常気象の原因の一部とされる地球温暖化対策において、2050年までに二酸化炭素排出の実質ゼロを目指し、脱炭素社会に向けた取組、いわゆるカーボンニュートラルを加速させるとしています。環境省としてもゼロカーボンシティの表明を推進しています。 本県も昨年表明しましたが、近隣県に目を向けてみると、九州内では熊本、鹿児島をはじめとする30の市町村が表明し、特に熊本県では18もの市町村が表明をし、まさに県を挙げて取組を進めています。ぜひ大分県においても各市町村の機運醸成を図っていただきたいと思います。 また、政府はグリーン成長戦略を策定し、再生可能エネルギーの利用拡大やガソリン車から電気自動車への転換など意欲的な目標を打ち出しています。この政府の取組により、国内民間企業の意識が高まりつつあり、特に再生可能エネルギー分野における土地開発が注目を集めています。県内においても林地、原野などの開発計画が報道されていますが、行政、民間企業、そして地域住民の正確な情報共有と相互理解、景観や周辺環境への最大限の配慮が必要不可欠です。 加えて、専門分野の人材育成や海外の再生可能エネルギー先進諸国との連携強化、また、革新的な技術開発や産業構造の変化に伴う労働力の円滑な移行ができなければ、失業、廃業など負の側面を生み出す可能性も考えられます。脱炭素社会に向けては多くの課題が残されています。 そのような中でもCO2削減に向けた取組を行っている県内企業が多くあります。このような県内企業の技術革新や脱炭素化に向けた人材育成などの取組を後押しし、官民が一体となって取り組むことで、さきほど述べたような負の側面に陥らないようにすることが今後重要ではないでしょうか。県の脱炭素社会の構築に向け、積極的に対応する企業への支援について伺います。 次にひきこもり支援について伺います。 これまで公明党大分県本部青年局として、ひきこもり支援について、外からは見えにくいという特性を考慮し、アウトリーチ型の支援を進めていただきたい等の要望を行ってきました。 現在、県のひきこもり支援については、おおいたひきこもり地域支援センターを設置し、年齢に関係なく、第一次相談窓口と位置づけるなど、その支援に取り組んでいただいています。 ひきこもりについては、8050問題として報道されるようになり、近年では9060問題とも言われ始めています。正に待ったなしの状況です。 私は、以前より当事者の皆さんと懇談する機会をつくってきました。今、当事者の皆さんが抱えている一番の悩みは、親亡き後の対応です。自分がいなくなった後、50代、60代の我が子をどう生活させるのかということを心配されています。生活保護を受けるにはどうすればいいのか、お金をどう残すのか、遺産相続でもめないために、今何をしておけばいいのかなど、先々の不安が尽きない様子です。 話を伺えば伺うほど8050、そして9060問題の大きさ、苦悩が浮かび上がってきます。ひきこもりの状態にある方が社会復帰に向けて一歩踏み出す支援は当然必要です。アウトリーチ型の支援等の取組をさらに加速していかなければなりません。 しかし、さきほども触れたように、現実には親亡き後といった悩みも非常に大きくなっている現状があります。この問題に触れるたびに感じますが、やはり予算や人がつけば物事が動き出すような問題ではなく、地道に一つ一つの事象、事件を追っていき、その人に合った解決策を見いだしていく粘り強さが必要であると考えます。当初予算においても引き続き対策を取っていくと思いますが、県としてどのような姿勢でこの問題に取り組むのか、御見解を伺います。 次にサイクルツーリズムの情報発信について伺います。 本県ではサイクルツーリズムの推進に取り組んでいますが、大分市での大分サイクルフェスの開催、最近では県内プロサイクルチームを発足し、今後ますます県内におけるスポーツとしてのサイクリング需要は高まってくるものと思われます。 また、2020年12月の大分市で行われているシェアサイクルの利用回数は6,412回と、2019年同月よりほぼ倍増しており、コロナ禍における通勤やビジネスでの利用が増えたものと考えています。今後、自転車道等の整備も進むことを考えると、今こそ考え得るソフト、ハード両面における整備を進めるときだと考えます。 さて、昨年よりグーグルマップが自転車ルートに対応しています。現在は全国10都道府県で自転車ルート検索が利用可能になっています。この検索サイトの機能としては、ルート検索に自転車タブが追加され、自転車で移動する際の最適なルートを表示してくれるとのことです。自転車で移動する多くのユーザーから、もっと使いやすいルート検索を求める声に応える形となっており、できる限り急坂、トンネル、悪路などを避けたコースや自転車レーンを優先的に表示する仕様となっているようです。 そこで、さらに県内におけるサイクルツーリズムの推進と自転車の利用促進を図るため、グーグル社を代表するインターネットの検索サイトなどで、大分県においても自転車ルートに対応するよう働きかけるのも一つのアイデアではないでしょうか。 グーグル社を代表する検索サイトとの連携は、本県の知名度の向上、観光客に対する自転車を活用したエコツーリズムの促進、健康増進にもつながる非常に有効な手段であると考えます。本県の自転車ルートを検索できるWebサイトとの連携を図り、本県の観光ツールの一つであるサイクルツーリズムの推進に弾みをつけるべきであると考えますが、県の御見解を伺います。 次に35人学級の実現に向けた取組について伺います。 私たち公明党は、不登校やいじめ、学級崩壊といった学校が抱える問題を解決する対策の一つとして学級の少人数化を粘り強く主張し、1999年には党の基本政策に盛り込むなど、一貫して推進してきました。 2001年には、公立の小中学校で少人数学級の設置を可能にする義務教育標準法の改正を後押しし、地域における児童生徒の実情や必要性などに応じて少人数学級の編制が可能となりました。 そして、今回のコロナ禍を受け、子どもの学びを保障する観点から、昨年6月30日、30人以下の少人数の学級編制を可能とするよう提言し、政府の経済財政運営と改革の基本方針に少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備が明記され、公立小学校の1クラスの人数について、2025年度までに現在の40人から、小学1年生以外の学年でも35人以下の学級編制へ段階的に引き下げることとなりました。 秋田県では2001年4月から少人数学習推進事業を始めており、2018年には県が独自で定める基準に該当する公立小中学校で少人数学級を実現、導入成果も現れています。文部科学省の全国学力・学習状況調査を基にした秋田県の分析によると、2018年度では10人から20人学級で66.1%、21人から30人学級で65.3%、31人から40人学級で64.7%と、少人数学級のほうが正答率が高くなっています。また、千人当たりの不登校の児童生徒数も小中学校では全国平均を下回っています。 また、福岡市でも2004年4月から順次少人数学級化を進めています。その結果、2020年度の1学級当たりの平均児童生徒数は、小学校27.7人、中学校31.6人まで減少しています。 導入後のアンケートでも、一人一人の興味関心を捉えやすく、子どもに応じた指導ができるや保護者との連携が取りやすくなり、基本的な生活習慣への指導をしやすくなったなど、肯定的な声が寄せられていると伺いました。 こうした中、コロナ禍での教室内の3密を避ける狙いも含め、福岡市は今年4月から市立小中学校の全学級を35人以下とするとしています。しかし、少人数学級を進める上で大きな課題も残されています。教室の確保においては空き教室では対応できない学校もあるのではないでしょうか。 さらに、教員の確保においては、本年度の小学校教員採用試験の倍率が過去最低の1.4倍であったことを考えると、人材確保に向けてさらなる積極的取組が必要であることは明らかです。また、学校現場において、極めて重要な役割を担っている加配教員が削減されないための取組も必要ではないでしょうか。 このような大きな課題に県としてどのように対応していく考えなのか、教育長に伺います。 次に中高生スポーツの大会開催への取組について伺います。 昨年は未知の新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、多くの学生のスポーツ大会が中止や延期、規模縮小での開催を余儀なくされました。そのような中でも試合が開催されることを信じ、トレーニングを重ね、僅かなチャンスでその力を出し切る中高生の姿に大きな感動が生まれたと思っています。コロナ禍により沈滞しがちの社会情勢において、このようなときだからこそ、スポーツの持つ力は多くの人に勇気と希望を送るものだと実感します。 大会開催にあたっては、中・高体連はもとより、各競技団体が所属連盟より出される感染症対策を十分に取り、保健所の指導も受けながらの開催となっています。いつも以上に役員、審判の人員確保が必要であるにもかかわらず、確保できないという声もあり、運営の中心となる大会主催者に係る負担は非常に大きなものです。 また、仕方のない部分もありますが、保護者の観覧制限やインターネット配信の有無など、競技や大会ごとに差が生まれてしまい、残念な思いをされている方もいます。試合会場の外に保護者が集まり、逆に密になってしまう事態も発生したようです。 このような昨年の経験を共有し、競技種別を問わず、コロナ禍における大会運営の課題を洗い出し、令和3年度に生かすことが必要ではないでしょうか。ぜひ県教育委員会にはそのイニシアチブを取っていただき、生徒が努力してきた成果を十分に発揮でき、そして、保護者の皆さんが直接その姿を見ることができるよう、また、競技場の都合で直接観覧できなければ、インターネット等で観戦できるようにぜひとも調整役を担っていただきたいと思います。 中高生のスポーツ大会開催に向けた取組とインターネット配信等の支援について、県の考えを伺います。 では、次にオリンピック・パラリンピック事前キャンプにおける感染防止について伺います。 現在、国際オリンピック委員会では、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催に向けて対策、協議が重ねられています。 我が県においても本年は開催されるという前提のもと、準備に当たっているものと思います。以前より県内各地においてオリンピック・パラリンピックの事前キャンプ誘致に積極的に取り組んできました。 事前キャンプを誘致し、キャンプそのものを成功させることでシティプロモーション効果は非常に大きくなると考えます。例えば、キャンプ地としての評価の高まりにより、今後のキャンプ誘致活動が有利に進められることが考えられます。さらには、スポーツツーリズムによる来県者の増加、スポーツの振興、国際交流の進展による地域の活性化、有力選手の来県に伴う観光客の増加等、経済効果も見込まれます。そして、練習公開や地元での交流会など、国際交流等を通じ、地元のおもてなし活動によるコミュニティ意識の醸成や青少年への教育効果など、地域の活性化につながっていくのではないでしょうか。 しかし、現在のコロナ禍において、海外からの来県を快く迎えるためには最大限の感染防止対策が必要となります。また、その情報を広く県民に周知し、安心していただくことも重要です。選手との交流など制限が必要になってしまうものもあるかもしれませんが、選手、県民双方にとって、最高の事前キャンプとなるよう万全の準備をお願いします。 そこで、コロナ禍における事前キャンプを成功させるための県の取組について伺います。 県職員採用についてです。 高度化、多様化する行政ニーズに迅速かつ的確に対応し、質の高い行政サービスを提供するためには、公務員としての優れた資質や高い能力を有し、変化する社会に対応できる多様で有為な人材の確保が必要です。 しかし、本県の職員採用試験を目指す受験者は、近年減少していると伺っています。この背景には、若年人口の減少による新規学卒者の労働需給が逼迫することに伴い、民間企業が積極的に採用を拡大するとともに、採用活動を早期化していることが理由の一つと考えられます。 また、全国的にも公務員志望者は減少しており、国や他の地方公共団体等との競合状態であるとも聞いています。特に、近年頻発する大規模災害に直接対応する総合土木職などの技術系職種や、現在、コロナ対応の現場で奔走している保健師などの医療免許資格職では、必要な採用予定者数を確保できない職種もあるようです。やる気のある優秀な県職員を確保することは、人事委員会の重要な役割であると思います。 そこで、人事委員会として、現在、どのように人材の確保を行っているのか、また、コロナの感染防止に努めなければならない現状において、採用募集活動をどのように工夫しているのか、お尋ねします。 最後に、交番員等の不在時の対応について伺います。 地域の交番は、県民、市民の安全を守る最前線です。交番に勤務している顔の見える警察官は、地域の輪に入り、地域の方から信頼されており、献身的に働いている姿に心から敬意と感謝申し上げます。しかし、地域に密着しているゆえに、その業務も多岐にわたり、多忙を極めているものと思います。 昨年9月未明に、東京都葛飾区で路上を歩いていた女性が襲われる事件がありました。この女性は約40メートル先にあった交番に駆け込んだものの、警察官が不在であったため、追ってきた男から暴行されそうになり、大声を出したことで犯人は逃走、その後、逮捕されました。 交番の運用は都道府県ごとに異なっていると伺います。県内の交番は入口近くに本署直通電話が設置されているようです。しかし、緊急時には直通電話に気づけないことも考えられます。 また、県のホームページには各交番の電話番号も記載されていますが、その番号にかけた際、留守番電話となり、交番員等につながらないという声が地域の方より多く届きます。電話がつながらない場合は遠慮なく110番へと言われますが、110番に電話をかけることに抵抗がある人は多く、地域によっては110番にかかってくる電話より交番に直接かかる電話のほうが多いところもあると聞きます。交番での電話対応に時間がかかり、他の大切な業務ができなくなることがあってはならないことですが、何も対策を取らなくてもよい問題ではないと考えます。 地域のお巡りさんを頼りにする声に応えるためにも、交番体制の見直しが必要であると私は考えています。このようないわゆる不在交番対策や電話がつながらない交番への対応についてどのように考えているのか、お考えを伺います。 以上で私の代表質問を終わります。御清聴ありがとうございました。(拍手) ○嶋幸一副議長 ただいまの吉村哲彦君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 吉村哲彦議員には、公明党を代表され、県政諸般の件について御質問賜りました。まず私からお答えします。 初めに、県経済の再活性化について御質問いただきました。 新型コロナウイルスの感染状況は、県民の粘り強い感染防止対策によりステージ1に戻っています。他方、社会経済への影響はいまだ厳しく、再活性化のため、必要性や効果の高い事業はスピード感を持って実施していかなければならないと思っています。 中小企業・小規模事業者の資金繰り支援では、無利子や低利の制度融資を創設し、これまでに1万4,736件、1,715億円を実行し、事業活動を支えています。また、中小企業・小規模事業者応援金は、2月末までに1万5,675事業者に62億4千万円を給付しています。今後も感染防止対策に万全を期するとともに、社会経済の再活性化に向けて取組を迅速に進めていきます。 まず、生活面では、感染症の影響で減収した世帯の生計を維持するため、引き続き生活福祉資金の特例貸付け等によって支援します。 また、県経済の要である中小企業・小規模事業者の元気を支えるため、事業面では、分野横断的な支援として増額した応援金は、先週までに1万31事業者から追加申請を受け付け、給付も開始しています。あわせて、新型コロナ関連の県制度資金も継続する他、経営改善に向けた新たな資金を設けるなど、当初予算で過去最大となる1千億円の新規融資枠を確保し、金融支援に万全を期しています。 また、御指摘のとおり、コロナ禍で休廃業、解散が増えています。事業引継ぎ支援センターを中心に、相談対応やマッチング支援を行って、地域に必要な事業を残していきます。 加えて、雇用面では、雇用調整助成金の特例措置の終了後も見据え、人手不足の企業と離職者とのマッチング支援を強化します。 さらに、GoToトラベル事業の延期や豪雨災害で影響のあった裾野の広い観光産業を支えるため、県独自に県民向け県内旅行代金の割引を学校が春休みに入る来週末に開始したいと思います。 また、25%プレミアム付き食事券おおいた味力食うぽん券は、60億円分がほぼ完売しました。飲食需要の喚起と食事券の利用促進により、飲食店を支えていきます。 今後も国や市町村、商工団体等と連携し、様々な取組を迅速かつ確実に実行し、本県社会経済の再活性化を進めていきます。 次に、コロナ禍における子育て世代への支援について御質問いただきました。 県では、コロナ禍における子育ての課題について、子ども子育て応援県民会議などの場において意見を伺っています。その中で子育て世代が安心して暮らせるためには、議員御指摘のとおり、仕事と子育ての両立や経済的支援が重要との声が多く、この両面から次の対策を講じているところです。 まず一つは、仕事と子育ての両立支援についてです。コロナ禍においては、テレワークや育児休業などを活用しながら、男女がともに子育てに参画する環境づくりが特に大切です。そこで、仕事と家庭の両立がしやすい職場環境づくりに取り組む企業をしごと子育て応援団として認証し、ホームページで紹介するとともに、テレワークを導入するなど、特に優れた企業については表彰を行っています。また、テレワークについては、再就職を希望する女性向けの講座も実施しています。 議員からは、育児休業給付金の給付率の引上げ要請について提案がありましたが、本県は独自に国に対して制度の大幅拡充を要望してきたところです。 さらに、県では、育児短時間勤務期間中に次のお子さんが生まれ、育児休業を取得した場合、減額となる育児休業給付金を30万円まで補填する独自の制度を設けており、今年度は既に66名の方に支給を行っています。 加えて、男性向けの子育て講座やイクボスセミナーなどに力を入れており、昨年は九州・山口9県で本県の男性の家事・育児時間がトップという大変うれしい成果も現れています。 次に、経済的支援についてです。 コロナ禍を受け、児童手当を1万円上乗せ支給したほか、児童扶養手当を受給しているひとり親世帯へ10万円などの特別給付を行いました。 さらに、来年度は子育て支援サービスや予防接種に利用できる子育てほっとクーポンの対象を拡大し、子育て世代から要望が多かったおむつやミルクの購入にも使えるようにすることで家計の負担軽減を図っていきます。 今後ともこうした取組を通じ、子育て満足度日本一を目指す大分県として、子育て世代をしっかり支援していきます。 次に、コロナ禍における若年者就職支援について御質問いただきました。 若年者の就職については私も大変心配しており、昨年5月、県内経済団体等に対し、企業の面接、試験の柔軟な対応や高校卒業予定者への早期求人票提出を要請したところです。 高校生については、県が毎年実施している高校生向け企業説明会をイベント会場での実施からオンラインでの配信に切り替えたことで、高校生一人当たり前年の倍以上の10企業の説明を視聴しています。その結果もあってか、10月末こそ内定率は前年比18.2ポイントも少なかったですが、1月末には93.6%と、前年比0.1ポイント上回る結果となっています。 大学生等については、昨年春の企業説明会が新型コロナの影響で軒並み中止となり、就活スタートが遅れたことで、内定率は1月末で82.0%と4.9ポイント前年を下回っています。引き続き大学関係者と連携し、最終的な内定率がどうなるか、把握、分析する必要があります。 来年度の新卒採用枠は、民間機関の調査によると、今年度と変わらないという企業が半数以上あり、急激に減少することはないという見方もあります。しかし、議員御指摘のとおり、第2の就職氷河期世代をつくり出さないため、県として三つの支援を考えています。 まず、企業の新卒要件の緩和です。緩和企業の割合は県内93.9%と、全国93.5%に比べ0.4ポイント上回っています。意欲、能力のある既卒者にチャンスを与えることが企業にとっても優秀な若者を獲得する機会となることから、さらに企業に働きかけていきます。 次に、企業と学生とのマッチング機会の拡充です。高校生向けオンライン説明会を引き続き実施するとともに、大学生等向けには3月に延べ260社の説明会をオンライン等で行っています。また、秋にも県内6地域ごとに説明会を開催します。 三つ目は、県外大学生等に対する情報発信です。昨年6月、福岡にオープンしたdot.(ドット)では、若者のニーズ、関心を捉えた取組が会員拡大等に結びついたところです。この知見をオンラインでの若者と県内企業との接点づくりに展開するため、企業や大分の情報を満載したポータルサイトFAVOita(ファボ・オオイタ)を2月に開設しました。これらを最大限に活用し、県内外の若者に大分の企業の魅力を発信していきます。 次に、移住定住の促進についてです。 コロナ禍を背景とした地方移住への関心の高まりにより、本県への移住者数は2月末時点で1,085人となり、過去最多のペースで推移しています。 その一方で、仕事や生活に対する不安から移住を断念される方も多く、将来にわたり移住者を増やしていくためには、的確なニーズの把握と不安を解消していくことが誠に大事です。 そのため、一つは移住希望者に県全体の移住情報をしっかり届けていきます。昨今のコロナ禍で紙媒体の情報を直接届ける機会が少なくなってきました。そのため、移住希望者向けパンフレットをデジタル化し、Web上で情報発信するとともに、紙での提供が困難であった保育、医療などの生活関連施設の最新情報を地図情報とあわせて提供します。 二つは、移住希望者が住みたい地域に比較的少ない負担で長期滞在ができるお試し移住施設の利用促進を市町村と連携して取り組みます。施設を拡充し、滞在費用を軽減することで、本県でのお試し移住を促し、移住決定の後押しをしていきます。 三つは、移住希望者のニーズを的確に把握し、速やかに対策を講じていきます。これまで県では、市町村とともに相談体制の充実に取り組んできました。東京、大阪、福岡に相談員を配置し、各エリアで毎月相談会を開催するなど、九州トップクラスの施策を講じています。また、福岡の拠点施設dot.(ドット)でも様々なイベントを開催しており、移住希望者から多くの御相談や御要望をいただいています。 こうした声を反映した施策として、移住における最大の壁と言われている仕事の確保に取り組みます。dot.(ドット)では、移住と仕事を結びつけ、移住者のニーズに沿った情報を提供していきます。加えて、県外の移住希望者を対象として、IT技術の習得に向けた実践的な講座を実施し、IT分野への就職、転職による移住促進を図ります。 今後も地域間競争の激化が見込まれる中、本県が魅力的な移住先として選ばれるよう、将来を見据えて移住希望者のニーズをしっかり捉え、臨機に施策へ反映させることで、移住、定住をさらに促進していきます。 先端技術への挑戦に向けた産業人材の育成についても御質問いただきました。 先端技術が世の中の在りようまで変えようとしている中、その重要性はますます高まっており、これを支える産業人材の確保、育成は極めて重要な課題です。 県ではこの課題に対し、短期的な視点と長期的な視点の二つの視点において人材育成に取り組んでいます。 短期的な視点では、既にものづくり分野等で活躍をしている県内技術者が、新分野へ挑戦しやすい環境をつくっていきます。例えば、重要な技術要素となっている深層学習やデータサイエンス、高度なIT技術を県内技術者が学べるセミナーの開催や、IT技術についての意見交換ができるコミュニティづくりを進めます。 また、先端技術の一つであるアバターについて、県内でものづくり企業の技術者等を対象に、アバターを用いた産業創出を目指すアバター産業創出塾を開催し、アバターについて一から学べる場を提供しています。 長期的な視点では、大分県の将来を担う子どもたちが持つそれぞれの才能が開花するよう、幅広い年代に対して学びの場を提供します。 小中学生に対しては、先端技術の基礎となるプログラミングを学ぶための教室や、一緒に学んでいる仲間と切磋琢磨しながら、その能力を競い合うコンテストを開催します。 高校生には、米国のスタンフォード大学と連携し、SDGsやグローバルな視点から、知識を課題解決にどう役立てるかを創造的に考える講座を遠隔で実施しています。また、来年度は情報科学高校におけるドローンなどの先端技術に関する学習を他校においても展開することとしています。そのほか、高校1、2年生を対象に宇宙をテーマとした実験やワークショップなどの研究活動、宇宙関連企業でのインターンシップ等を企画しています。 先端技術分野を担う人材の育成は、先端だけあって、人材育成の目標や手法についてもいろいろ議論があるところです。私どももそこを謙虚に学びながら、できるだけ充実した人材育成をしっかり進めていきたいと思います。 私からは以上ですが、その他の件については、担当の部局長から答弁します。 ○嶋幸一副議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 私から2点についてお答えします。 まず、農林水産業の6次産業化についてお答えします。 県は、6次産業化を目指す生産者を育成するため、先進事例の紹介や商品企画等の知識を習得するチャレンジスクールを開催しています。受講者の中には国主催のバイヤーが選ぶ加工品コンテストで100選に選ばれたジンジャーシロップなど、高い評価を得て商品化し、売上げを伸ばしている事業者もいます。 しかし、多くの生産者は新商品開発や商品改良、生産拡大など、単独では解決困難な課題を抱えていることから、加工等を依頼、相談できる企業との交流会を今月10日に開催します。また、商品のブラッシュアップでは、6次産業化プランナーを中心に、生産者、バイヤー、加工業者による商品改善チームをつくり応援していきます。 加えて、コロナ禍での販路開拓として、好調な通信販売事業者と県内生産者を結びつける初めてのオンライン商談会を開催し、取引拡大に向けた協議が進んでいます。 今後は、健康志向の高まりで需要が拡大している健康食品等の企業との連携を進め、販売まで見通した商品づくりを推進し、6次産業化に向けた新たなビジネスチャレンジをきめ細かな支援により引き続き後押ししていきます。 次に、花きの消費拡大についてお答えします。 イベントなどの中止や縮小による県産花きの需要減少が懸念される中、県では小、中、高等学校、特別支援学校の卒業式や入学式に県産花きを使用した花飾りを設置しています。生徒や教師、保護者からは、彩りのある花飾りで式場が華やかになった、自粛続きの1年だったが、生徒に良い思い出をつくってあげられたなどの感想があり、県産花きのすばらしさを体験していただきました。 また、昨年11月には、県内に四つある花商組合により大分県花き消費拡大連合会が設立され、県と連携し、県内一円での消費拡大の取組を進めています。例えば、フラワーバレンタインの取組として、これまでの大分市に加え、別府市、中津市の街なかでも花束の配布を実施しました。 花きの消費においても新しい生活様式への対応が求められています。次年度以降は季節のイベントに合わせた商品開発や家庭への定期宅配体制の構築に対する支援に加え、白輪ギクの生産者には用途の多いスプレーギクなどへ転換する際の経費を助成します。今後も生産者や流通関係者と一体となった花き消費拡大を進めていきます。 ○嶋幸一副議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 私から2点についてお答えします。 まず、ワクチン接種の副反応への対応についてです。 新型コロナウイルスワクチンの主な副反応として、接種部位の痛み、発熱、筋肉痛などが報告されており、中でもアナフィラキシーへは迅速な対応が必要です。 アナフィラキシーの発症に備え、接種場所にはアドレナリン製剤など救急処置に必要な物品を常備し、発症した際には速やかな治療ができるようにします。 また、極めてまれではありますが、ワクチン接種による健康被害が発生した場合に、国の救済制度があることを、県医師会や市町村と協力して周知していきます。 ワクチン接種に関する県民や医療機関などからの相談は、国、県、市町村及びワクチンメーカーがそれぞれの役割に応じて対応することとなっています。 県では、副反応を疑う症状が出た場合など、専門的な相談に対応できるコールセンターを3月中旬には開設できるよう準備を進めているところです。こうした取組により、県民が安心してワクチン接種ができるよう進めていきます。 次に、新型コロナウイルスに関する情報発信についてです。 どんな理由があろうとも、感染者やその家族などの関係者に対する差別や偏見、誹謗中傷は決して許されることではありません。感染者への差別や偏見、誹謗中傷の背景には、ウイルスに対する過度の不安から、感染者を排除しようとする意識と感染者の行動を自己責任と捉え、非難しようとする意識があると考えます。これらの意識の変容には、何よりも正確な情報を分かりやすく伝え、新型コロナウイルスについて正しく理解してもらうことが重要です。 県民の皆様方が、SNSなどで流される誤った情報に惑わされることなく、新型コロナウイルスを正当にこわがることができるよう、メディアなどを通じて引き続き正確で分かりやすい情報発信に努めていきます。 また、県民一人一人が感染当事者の立場に立って相手を思いやる気持ちを持っていただけるよう、しっかり呼びかけていきます。 ○嶋幸一副議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 私からは若年者等の県営住宅入居要件についてお答えします。 県では、子育て満足度日本一の実現に向け、全庁挙げて各種施策に取り組んでいます。 県営住宅では、令和元年度から子育て世帯の入居向けに、子どもの見守りに配慮したリビングやキッチンの改修などを実施しています。 また、新規入居抽選の際、子育て世帯の優先入居戸数枠設定や当選倍率アップなどの優遇措置を講じています。 さらに、昨年度策定した公営住宅マスタープランに子育てしやすい住環境の提供や入居制度の改善等を盛り込み、市町村と一体となって施策を推進することとしています。 なお、若年単身者の入居は、生活保護受給者や高齢者、あるいは障がいのある方など、住宅困窮度が高い世帯の入居機会を妨げない必要があることなどから、今後の検討課題と考えています。 一方、コロナウイルス感染症の影響を受け、住む家をなくした方には、目的外使用による公営住宅の一時的入居枠を設けており、先月末現在、市町村営住宅も合わせ、県内で計18戸、うち若者世代は4戸が利用中です。 今後とも市町村と連携し、住居確保給付金など各種支援制度も周知しながら、コロナ禍での若者の住宅支援にきめ細かに対応していきます。 ○嶋幸一副議長 高橋生活環境部長。 ◎高橋基典生活環境部長 私からは2点についてお答えします。 まず、避難所における感染症対策についてです。 県では、市町村の避難所運営をサポートするため、避難所運営マニュアル策定のための基本指針を策定し、支援しています。 平成29年2月には熊本地震の検証結果も踏まえ、同指針を改訂しました。また、昨年5月には新型コロナウイルス感染症対策のための別冊版マニュアルを新たに作成したところです。 昨年の出水期前にはこのマニュアルに基づく取組を徹底するため、県の防災担当者や保健師等が全市町村を訪問し、避難所の実際の受入手順等について確認を行いました。また、7月豪雨や台風10号の発生に伴う避難所運営の課題について市町村と検証し、改善策について議論してきました。 その結果、市町村では避難所設置数の見直しや避難スペースの拡充、避難所開設時のマンパワーの確保等に取り組んでいるところです。 県では、市町村や自主防災組織等と共同で避難所運営訓練を実施し、現場対応力の向上を進めています。 また、事前にスマホ等で避難所の空き情報を確認できるシステムを開発した民間事業者と協定を締結し、市町村がそのシステムを利用できる環境整備を行いました。今後とも市町村と連携し、感染症対策を徹底した安全安心な避難所運営に取り組んでいきます。 次に、ひきこもり支援についてお答えします。 県では、地域に潜在するひきこもりの方を相談につなげるため、ひきこもり地域支援センターの体制強化や支援機関のネットワーク構築、身近な場所での相談支援体制の充実に取り組んでいます。 特に体制強化として訪問支援員を増員しており、その支援員が自宅を訪問して、当事者や家族の生活環境、暮らしの様子を十分把握した上で支援を行うアウトリーチ型支援に力を入れています。 また、介護現場から訪問時に50代のひきこもり当事者を把握したが、引き継ぐ機関が分からないとの声も寄せられていることから、社会福祉協議会等の関係機関とネットワークを構築し、情報共有を図ることで支援につなげています。 一人の方を支援する場合でも、介護や障がい、また、貧困等の複数の課題への対応が必要なケースもあることから、新たに医療、福祉、就労等の専門家による定期的な会議を開催し、専門的な助言に基づいた支援を展開することとしています。 引き続き、高齢者福祉、精神保健福祉等を所管する福祉保健部とも十分連携しながら、当事者及び家族が安心して自分らしく暮らせるよう、一人一人の状況に寄り添った支援を進めていきます。 ○嶋幸一副議長 和田総務部長。 ◎和田雅晴総務部長 行政や教育現場におけるデジタル人材の確保、育成のうち、行政の分についてお答えします。 行政のデジタル化を進めていくためには、御指摘のとおり、それを担う人材を確保、育成することが大変重要です。 これまでの県における人材確保策としては、外部人材では、平成29年度からNTT西日本のICTの知識、経験が豊富な人材をIT戦略監として任期付採用しています。あわせて、社会人採用において、IT関連企業出身者等を平成25年度以降、就職氷河期世代を含めて12名採用し、デジタル業務を行う所属を中心に配置しています。 また、採用後の職員育成として、地方公共団体情報システム機構やシステム関連企業が開催する研修を受講させています。 このように、これまでもデジタル人材の確保、育成に取り組んできたところですが、デジタル化の動きが急激に加速化する中、市町村も含め、さらに高度な人材を確保する必要性が高まっています。 特にデジタル化では、ITの知識に加え、個々の業務の知見もあわせ持つ人材の確保が重要であり、専門職の採用も含めた内部人材の養成と外部人材の活用をどのように組み合わせるか、今後とも検討していきたいと考えています。 ○嶋幸一副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 教育に関する御質問3点についてお答えします。 まず、教育現場におけるデジタル人材の確保、育成についてです。 児童生徒の主体的、対話的で深い学びを実現するため、ICTを活用した授業づくりなど、実践的な指導力向上を図る研修等を充実させて、教員のデジタル機器活用能力の底上げを急いでいるところです。 既に多くの高校では、例えば、ラグビー等の戦略を数学的な手法で分析し、有効な攻撃方法を編み出すなど、STEAM教育の手法を取り入れた授業が実践されています。 また、スマートフォンでいつでも繰り返し学習できる支援システムを開発し、文部科学大臣賞にも輝き、学校現場でその成果を活かす教員も出てきており、今回のコロナ禍での迅速なオンライン学習の取組にもつながりました。 あらゆる分野でデジタル人材が不足する現在、学校現場においてもそれぞれの学校の教育課程に応じた独自教材や新しい授業の形を創出できる教員の育成が求められています。このため、新年度から教育庁内に教育デジタル改革室を新設し、学校現場のICT機器の円滑な運用をサポートするとともに、真にデジタル人材と呼べる教員の育成に努めていきます。 次に、35人学級の実現に向けた取組についてです。 まず、教室の確保については、現在、国の調査も行われていますが、35人学級が完成する令和7年度までを見込んだ必要数について、市町村には計画的な整備を指導するとともに、国に対しては財源の確保も要請していきます。 次に、教員の確保については、今後5年間で100人程度の増員が必要になると見込まれます。小学校教員がこの数年で退職のピークを迎えている中、必要な人員の確保に向け、あらゆる取組を進めていくことが必要です。 そのため、採用試験では、年齢制限の引上げや受験者の負担軽減、他県教諭特別選考枠の拡大などの見直しを行い、受験者確保に努めています。 また、再任用校長や再任用指導主事制度の導入など、再任用、再雇用に応じやすい工夫も行っているところです。 さらに、潜在する教員免許保有者への現場復帰の要請など、あらゆるルートを通じ、引き続き人材確保に取り組んでいきます。 また、国は加配教員を少人数学級の年次進行に合わせて削減する方針ですが、現場に混乱をもたらさないよう、安定的な定数配分を強く要請していきます。 次に、中高生スポーツの大会開催への取組についてです。 今年度の各種大会は、競技ごとに中央競技団体から示されているガイドラインにのっとって開催されたところです。来年度も最新の感染症防止対策について情報を提供するなど、コロナ禍における安全・安心な大会運営を引き続き指導していきます。 半数近くの競技が無観客での開催となったことから、観戦を希望する保護者からインターネット配信を望む声が寄せられましたが、関係者間の合意形成、撮影スタッフの確保、人権への配慮など課題も多い状況にあるため、無観客とするか、制限を加えながら観戦可とするか、完全公開とするか、会場の状況を含め、種々検討することが必要となることから、中体連、高体連と今後協議を進めていきます。 生徒にとっては日頃の練習の成果を存分に発揮する場であり、保護者にとっては我が子の活躍、成長を見届けられる貴重な機会であることから、感染状況を見極め、安全かつ充実した大会となるよう、関係団体を指導していきます。 ○嶋幸一副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 脱炭素社会に向けた企業活動の支援について御質問いただきました。 本県では、平成14年に大分県エコエネルギー導入促進条例を制定し、環境への負荷が少なく、持続的発展が可能な社会の構築を目指し、エコエネルギーの導入促進に取り組んできたところです。 これまで本県の再生可能エネルギー自給率は全国第1位を維持し続けており、温室効果ガスの排出削減の取組にも寄与してきたものと認識しています。 また、県では大分県エネルギー産業企業会を中心に新たなエネルギーに関する研究開発や販路開拓、人材育成等の取組を支援しています。 その結果、例えば、今年度の大分県ビジネスプラングランプリ最優秀賞となった水素ベンチャー企業のハイドロネクストは、プランを評価、審査する外部のベンチャー目利き委員に技術の将来性や成長性を非常に高く評価いただいたところです。今後の新たな展開が期待されます。 2050カーボンニュートラルの実現に向け、産業界全体としても今後新たな変革の時代を迎えつつあります。引き続き県としても県内企業の前向きな挑戦を支援していきます。 ○嶋幸一副議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 私からはサイクルツーリズムの情報発信についてお答えします。 本県では、大分県自転車活用推進計画を策定し、安全で快適な通行空間を整備するとともに、多様な観光素材を活かした滞在型サイクルツーリズムを推進しています。 県では、国内外からサイクリストの来県を促すため、これまでWebサイトや自転車専門誌の大分県版発刊等により、ルートやサイクルハブなどの情報を発信してきました。 さらに、今年度はユーチューブによる多言語動画沸騰大分や人気アニメサザエさんのオープニングを通じて、初心者でも気軽に楽しめるルートを紹介するなど、新たな層に向けたPRを行ったところです。 議員御提案の検索サイトを活用したルート案内は、グーグル社が試験的に10都道府県で実施しており、その結果を踏まえ、今後の運用を検討すると伺っています。その他の運営事業者を含め、本県のルートがサイトやアプリに掲載されるように働きかけていきます。 このコロナ禍の中で、開放的な自然を満喫できるサイクリングは観光コンテンツとしても関心が高まっており、今後も引き続き市町村等と連携しながら、ルートの魅力や沿線の観光情報を積極的に発信していきます。 ○嶋幸一副議長 高屋企画振興部長。 ◎高屋博企画振興部長 オリンピック・パラリンピック事前キャンプにおける感染防止についてお答えします。 本県では、事前キャンプ誘致に積極的に取り組んできた結果、ポルトガルやマレーシアなど11か国の選手を6市で受け入れる予定です。 国が定めた感染対策指針に基づき、3密回避などの基本原則の徹底と選手等の移動制限や行動ルールを各市と協議しています。 まず、キャンプ地に到着後には、直ちに選手やチーム関係者にPCR検査を実施します。移動の際には、専用車両の使用、マスク着用の徹底など、密を避けるための制限、行動ルールの策定を急いでいます。 宿泊先のホテルでは、フロア単位の貸切りや個室の確保の他、施設内での動線分離など所要の措置を講じていきます。 食事は、一般客との接触を避けるため、宿泊施設内では専用会議場を確保し、練習会場においては弁当を手配することとしています。 他方、昨年秋からは別府市の小学生がラオスの選手とオンライン交流を続けるなど、国際親善の新たな形も芽生えつつあります。 制約の多い事前キャンプとなりますが、感染症対策や交流事例をホームページやSNS等で積極的に発信し、各市で安心しておもてなしをしていただき、キャンプの成功につなげたいと考えています。 ○嶋幸一副議長 藤原人事委員会事務局長。 ◎藤原隆司人事委員会事務局長 私からは県職員採用についてお答えします。 人事委員会には、大分県の次世代を担う優秀な人材を継続的に確保する重要な役割があると認識をしています。 受験者確保のため、これまで大学訪問や大手就職サイトが開催する企業説明会への参加並びに職員採用ガイダンス等を開催しています。 昨今の民間企業の採用活動に対応し、民間志望の優秀な人材も取り込むため、上級試験に特別枠を創設し、また、総合土木を前倒しで計画しています。 また、保健師は競争試験とは別に、受験対象年齢を広げ、社会人も想定した選考試験を追加実施しました。 現在のコロナ禍においては、全国から多くの参加者を集めるガイダンスや個別面談会、そのほかにも技術系を対象にしたバスツアーによる現場見学会開催は困難な状況です。 このため、新しい取組として、職種ごとに業務内容を説明するオンラインセミナーや少人数に限定したジョブトークを開催しています。 また、従来からのフェイスブックに加え、LINEによるメッセージやユーチューブ動画などによる情報発信も充実させています。 今後ともより多くの受験者を集め、人物重視の面接試験により、優秀な人材を確保していきます。 ○嶋幸一副議長 竹迫警察本部長。 ◎竹迫宜哉警察本部長 交番員等の不在時の対策についてお答えします。 交番は、議員御指摘のとおり、パトロールや巡回連絡等、地域に密着した活動の拠点であり、地域住民の方々の安全と安心のよりどころとなるものです。 県警では、パトロール、事件事故への対応等による交番勤務員の一時的な不在状態に対応するため、経験豊富な警察官OBによる交番相談員の配置やパトカーの立ち寄り警戒等による補完措置を行っています。 このほか、交番勤務員の不在時に来所した方が、直接管轄警察署と連絡できる緊急通報電話を交番入り口の見やすい位置に設置しています。 また、交番の固定電話については、留守番機能を利用し、管轄警察署に直接電話するか、事件事故で急を要する場合は110番通報するよう、昨年、応答メッセージを変更したところです。 少人数で運営するという性格上、交番勤務員がパトロールや事件事故の対応等のため一時的に不在になることは避けられないことから、不在の場合の連絡方法について、ホームページ等で広報するとともに、引き続き地域住民の方々の不安解消に努めていきます。 ○嶋幸一副議長 以上で吉村哲彦君の質問及び答弁は終わりました。 これをもって代表質問を終わります。  ------------------------------- ○嶋幸一副議長 以上をもって本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。日程は、決定次第通知します。  ------------------------------- ○嶋幸一副議長 本日は、これをもって散会します。     午後2時48分 散会...